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1972-10-11 第69回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十一日(水曜日)    午後一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        久次米健太郎君     理 事                 寺本 広作君                 柴立 芳文君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 高橋 邦雄君                 玉置 猛夫君                 原 文兵衛君                 若林 正武君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  福田  一君        国 務 大 臣  木村 武雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        警察庁交通局長  片岡  誠君        自治省行政局長  皆川 迪夫君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君        消防庁長官    宮澤  弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (派遣委員報告)  (当面の地方行財政及び警察行政等に関する  件)     —————————————
  2. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査のうち、地方行財政等に関する件を議題とし、派遣委員報告を聴取いたします。寺本君。
  3. 寺本廣作

    寺本広作君 北海道実情調査のため、去る九月二十日より四日間、委員長をはじめ七名の委員が派遣され、調査をしてまいりましたので、その概要を報告いたします。  調査事項のおもなるものは、北海道及び道内市町村財政状況、第三期開発計画の概況並びに政令指定都市実情閉山炭地行政広域市町村圏行政、大規模工業基地開発問題などであり、調査団はこれらの調査の目的に対応し、道庁をはじめとして、札幌市、美唄市、深川市、苫小牧管理組合などを訪れ、説明の聴取、施設視察などを行なってまいりました。  北海道は、御存じのように、全国土の二〇%強に相当する広大な地域行政区域といたしておりますが、最近の国勢調査では、人口は約五%相当の五百二十万にすぎません。人口の推移を見ますと、三十五年の国勢調査で五百四万でしたから、微増ないし横ばいに近い状態であります。しかし、道内市町村状況地域別に見ると、札幌市は、最近の十年間に市域の拡大等原因もありますが、人口六十万から急増して百万の大台を突破し、また、交通の要地その他の若干の都市では人口相当に増加いたしております。このことは、反面から見ると、多くの市町村では人口が減少していることにつながるわけであります。事実、市町村のうち、その六五%に相当する百三十八市町村は、人口の著しい減少により過疎市町村指定されておるのであります。参考までに申し述べますと、全国の平均値は二六%であります。  北海道主要産業を四十五年度生産額で見ますと、粗鋼、石油製品、洋紙などの工業生産額が約一兆五千億円で第一位、次いで農業生産額が第二位で三千五百億円、また、かって日本経済の復興に著しく貢献した石炭などマイニング部門における生産は千百億円にすぎず、その地位は大幅に低下しております。広範囲にわたる過疎の浸透は、北海道において生産性の低い農業のシエアが非常に大きかったことによりますが、同時に、エネルギー革命の進展に伴い、石炭採掘経済的限界が急速に顕在化し、生産が後退したことなども大きな要因であると考えられます。  北海道地域が広大であるため、日本経済発展の受けとめ方が複雑であり、したがって、その地方行政の展開もはなはだ多様であります。私どもが回った都市の例を見ても、大都市問題に取り組む札幌市、炭鉱全面的閉鎖により深刻な事態に直面している美唄市、代表的農業地帯として独自の生き方を模索する深川市、そして七〇年代後半における経済成長の大規模基地として開発成果を期待される苫小牧市などというように、全く異なった環境を背景にそれぞれ市政課題に取り組んでおります。  札幌市は、昭和六十五年を目標年次とした長期総合計画を樹立し、現在は四十六年度を初年度とする第一次五カ年計画が進行中であります。市街地における人口密度の比較的低く、冬期オリンピック開催を契機として都市的施設も一段と整備し、庁舎新築に伴う事務改善等にも力を尽くし、現在のところ他の大都市におけるごとき過密の弊害というものは少ないようであります。しかし、それでも交通の渋滞、事故件数増加等に見られるように、一歩政策を誤まれば過密の弊害発生が全く予想されないというわけではありません。幸い、市政関係者においては、過密問題を発生させないという強固な決意のもとに、意欲的な姿勢をもって行政に臨んでおりますので、その成果に期待したいと思います。  都市施設を整備し、生活環境を向上させるためには、公共用地地方団体において先行的に取得することが肝要であります。これは各市の一致した要望でありますが、美唄のような人口急減市においても、地価が年々高騰しつつある現状を見ると、きわめて緊急性のある問題であると思います。先般公有地拡大推進法が制定されましたが、財源的に十分な裏づけをして同法の活用をはかるとともに、土地有効利用のため適切な措置を講ずることが必要であると思います。  美唄市は、昭和三十年当時、人口約八万九千を擁して繁栄しておりましたが、打ち続く炭鉱閉山により、現在は約四万二千人に減少いたしております。市当局は、大型工業団地の造成、中小企業誘致美唄川ダムの建設、減反等に対処するための畜産振興果樹栽培研究等によって市勢の挽回をはかるべく努力いたしております。美唄は、もともと札幌、旭川という大消費地の中間に位置し、また苫小牧、小樽など臨海部にも交通の便がよく、内陸型工業適地として発展可能性を持ったところであります。国の適切な援助民間資本協力等を得られれば、市関係者の努力も十分報いられるものと思います。  深川市は、北空知広域市町村圏中心都市で、圏域内の全町が過疎指定を受けている中で、同市だけが若干人口を増加しております。圏域における産業の主体は農業でありますが、将来は食糧供給基地としての役割りを基調に、二次産業誘致による産業構造改善をはかることを目標にいたしております。深川市は、日本体育協会スポーツセンター誘致し、青少年のスポーツ振興市政の大きな柱とした特色ある市政を実施しております。市当局者は、地方債依存度高まり財政構造が硬直化してきているので、自主財源を増強してもらいたいこと、教育施設等に対する補助金制度を合理化してもらいたいこと、病院会計が悪化し、また医師不足に悩んでいることなど訴えておりましたが、これらはいずれも各地方団体に共通の問題であると思われます。  北海道は、日本経済の高度な発展段階にあって、単に北海道自体格差是正という視点にとどまらず、国民経済的立場から、あらためてその開発の意義と可能性が高く評価されております。苫小牧東部工業基地開発は、その臨海地域における最大の事例であり、道央アセンブル産業開発と相まって、将来日本経済発展に大きな役割りを果たすことになると思われます。昭和二十六年の北海道開発法の制定以来、北海道開発に対しては、国において特段の援助を行なってきたわけでありますが、さらに新しい視点に立って、公害先見的防止とあわせ、開発の促進に力を入れてまいる必要があると思います。公害発生環境の破壊に対しては、その防止についてすでに十分配慮がなされているとの説明がありましたが、なお万全を期せられるよう要望してまいりました。  終わりに臨み、今回の調査に御協力いただいた道庁はじめ関係者方々に心からお礼を申し上げ、御報告を終わります。
  4. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) ただいまの報告に対し、質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、派遣委員報告はこれをもって終了いたします。     —————————————
  5. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 当面の地方行財政及び警察行政等に関する件を議題とします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 柴立芳文

    柴立芳文君 四十八年度予算編成を前にされまして、自治省関係のほうでも、大臣をはじめ幹部の方々で進められていると、かように承知をいたしておりますが、この機会に、たいへん変動してまいりました地方行政の面につきましても、このごろよく流れを変えるとか発想転換ということばがはやっておりますとおり、私は、いま寺本委員のほうから行政視察報告がありました中でも、そういうふうなことがうかがわれます。私も視察に参りました一人として考えてきたことを述べていただいたわけでありますが、そういうときでありますので、基本的な大臣考え方をこの機会にお伺いし、さらに具体的な予算の問題につきましてお尋ねをいたしてみたい。かように考えますので、たいへん時間が少のうございますから、簡潔にひとつ要領よくお願いをいたしたいと思います。  経済の伸長というのは目まぐるしいものがございますが、そういうふうなことの原因、結果はここで論じ上げるまでもないわけでありますので省略いたしますが、したがって、漸次国政はもちろん自治行政も大きな変化を来たしておるということは御案内のとおりであります。この大きな変化一つは、第一に、やはり経済発展規模が増大したことであると、こういうふうに考えております。GNP、すなわち国民の総生産数字を見ましても、昭和三十五年が十六兆ということになっておりまして、四十五年は七十兆をこしておりますから、三十五年からの十年間に四・五倍になった。またいろいろな経済発展数字をもとにした想定によりまして、昭和四十六年から五十五年までの十年間、いま途中でございますが、二百六十兆ぐらいが最終年度に予定されておるという人もございます。そういうふうなことを計算に入れますと三・五倍ぐらいになる。アメリカが四十年か五十年かかりました経済発展を、わが国は十五、六年あるいは二十年ぐらいでこれをなし遂げておるというふうなことがよく言われるわけであります。したがって、このような経緯から国の予算も非常にふくれたことも御案内のとおりでございまして、地方財政計画もしたがって大きくなってきておるのも当然であります。本年度は、昨年に比べまして約二一%弱、十一兆七千五百億くらいの計画になっておるのでありますが、そのように経済及び国の予算の急激な変化の中で四十八年度予算編成されるわけであります。自治省予算問題点としては、このように増大してくる国の予算編成の中での地方財政計画もいまのままのような形でいいかどうかという考え方なんですね。特にまた新しいそういう変化の中で、どうしてもやむを得ないから列島改造論というものが出てきたと思う。田中内閣が発足をいたしまして最大の内政の問題としてこの計画が出されて、いよいよ四十八年度予算面から漸次この問題が予算化されるであろうと私どもは期待をいたしておる一人でありますが、そういうふうな中で、こういう観念も含めて、自治大臣はこの変遷きわまりない地方行政の前途を見た上で、この流れを変えると、あるいは発想転換という意味、あるいは日本列島改造論の中で地方財政計画をどういうふうにお進めになるつもりであるかということを、まず第一に大臣にお聞きをいたしたいと思います。
  7. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまお説のありましたとおり、来年度予算につきましては日本列島改造論も踏まえての予算編成ということが議題にのぼりつつあるわけでありますが、当面の問題といたしましては、さしあたり大型補正予算を組むべきであるという意向もございまして、その補正予算内容についていま詰めを行なっておる段階でございます。このようなことでありまして、来年度予算をどのような規模にするか、あるいはどのように編成していくかということについては、一応のめどのようなものが出ておりますけれども、まだ確たるものは出ておらないのであります。特に、この列島改造論に伴いますところの予算につきましては、これからの詰めが大事になってくるわけでありますが、とかく列島改造論というのが出ましてからは、何か一、二年の間にたいへん大きな構造変革が行なわれるような印象を受けておるのでありますけれども、しかし、実際には、総理が言っておりますように、これは一つの百年計画である。さらにまた列島改造論というのは一つ提案をしたのである。そうしてその提案の基礎をなすのは、やはり高度経済成長をしたということに対し、これが海外から非常な反響、反撃を受けつつある段階であるが、しかし日本の国内にある力を今後のすなわち公共投資等の国内問題に転換をしていくことによって、さらにさらにやはり日本経済発展を期してまいりたい、こういう方向を示されたんだとわれわれは思っておるわけでございます。  その方法をどういうふうに処理していくかということになりますと、これからその計画をつくらなければならないわけでございまして、その計画案内容がまだコンクリートになっておりません段階におきまして、来年度予算編成について、私がかくあるべしということを申し上げることはいささか過ぎたことになるかと思いますので、これは差し控えさしていただきたいと思いますが、しかし地方自治体というものを今後順次力をつけていくようにしていかなければなりません。いわゆる三割自治とか二割自治とかというような形において日本のこの政治の姿がいま行なわれておりますけれども、しかし、何といっても民主主義の時代でございますから、地方にできるだけやはり力を与えるくふうをしなければならない。その意味では、この地方予算をできるだけやはり自主財源も持たせると同時に、また自主財源を持ち得ない分については国が相当程度援助を与えていくと、こういうやり方で順次自治行政というものを強力に推進していくように指導をすべきである。かように私は考えておるわけでございまして、ただいまの御質問に対して十分な答弁になっておらないように存ずるのでございますけれども、何といってもいままだそういう問題を検討しておる段階であるということを御理解を願いたいと思う次第でございます。
  8. 柴立芳文

    柴立芳文君 いまの大臣のお答えはもっともだと私も思いますし、また必要性については十分御認識になっております。また、今後の地方公共団体やり方、あり方ということについても、一応の考えと申しますのは、まあ百年の大計であると、だから地方自主財源やあるいはできるだけの助成をしたいんだというふうなことで、わかるわけなんです。もちろん私も一、二年でできる問題ではないと思っておりますけれども、たとえばGNP配分と申しますか、非常にむずかしい段階でございますので、恩恵配分と申しますか、あるいは配分と申しますか、とにかく日本経済が重工業を中心にした開放経済の中でこんなになってきたわけです。そうしますと、やはり地方自治団体の中でも非常に変化を来たしている。それは、そのまん中にあるものはいいのでありますけれどもらち外と申しますか、そういうふうなものは非常にたいへんな問題が起こってきておる。そして地方公共団体にも非常に要望とかそういうものが起こってきつつあるということは御案内のとおりだと思います。  そこで私は、やはりこの改造論も、自治省が所管される地方自治発展ということについては非常にどの省よりも大きな影響があると見ておるわけであります。したがいまして、その場合に、いまみたいな流れの中で、地方行財政中心にした中での問題がここで発想転換をはかるべきいろいろな課題を包蔵しておる、こういうふうに見ておりますので申し上げるわけでありますが、これはまあ総理大臣に言うべきことかもしれませんが、特にGNPというふうなものが上がってきて、百六十数億ドルの外貨を持ってたいへんな政治問題になっておる。そういう中で、やはりこの私ども人間の場合におきましては、老人とかそういう年取った方のもう働かない、あるいは物質的なものによって生きていくという方々がここに出てくると思うのであります。これは一つ政策論でありましょう。そのほかに業種別というふうなものにつきましては、まあいいのもありますけれども、一がいに言いますと、一次産業すなわち農林業、漁業、こういうふうな業種は多少GNP恩恵らち外というふうなことが言えるのではないか。一部には土地の上昇とかそういうことで恩恵をこうむっておると思うのでございますけれども、大体においてはそういうふうな農山村、漁村、こういうところは過疎に悩み、従来の地方交付税制度あるいは最低の需要を満たす交付税の算定の変化考えていかなければならないのではないかという気がいたすのであります。  たとえば、先ほど御報告の中にありました美唄市の関係、八万数千人おりました美唄市が四万そこそこになっておる。これはエネルギーの問題と関連をしまして、その土地人々影響によってなったものではなくて、炭鉱閉山されましたものですから結局はそういう形が残った。まあ大臣がやっておられる地方自治というのは、あと始末という形を今日まで引き受けられていると思うんです、この高度成長経済の中で。したがって、皆さんの自治省政策の中でもいろいろな政策が出されていることも承知をいたしております。やむを得ないものだと考えますけれども、そろそろ明治百年、これから先の百年の列島改造論というものを考えていくならば、日本の国の地方行財政の姿というものを描きながら、それに向かって一つの大きな施策と申しますか、方向を持っていく時期ではなかろうかと私は考えておりますので、そういう意味で申し上げたわけであります。  まず第一に、福祉行政が重点的にならざるを得ない。老人年金とかその他たくさんございますが、そういうふうな行政は当然なものだと言えると私は思っております。それと同時に、地方行政の面からいえば、先ほど申し上げましたように人口が非常に動いている中で、日本農業も外国の農業と競争する立場考えていく時期が出てきている、いま保護しておりますけれども。これがだんだんとやはり急激な変化を緩和していくという意味におきましてはこれは非常にいいことでございますけれども、同時にやはり変わっていかざるを得ないと、こういうように見るのであります。したがって、そういうところに、たとえばこのごろはよく地方公共団体地域住民のサイドに立っていないというふうな言い分から、一部の人々はすぐ、何と申しますかストレートに裁判所に提訴するというふうな現象も起こっている。このことは私、日本経済発展配分の中で多少地域住民といいますか一部の方々地方行財政に対する不信感を抱いている現象が出てきていると、かように見ているのであります。したがって、それに対して従来の自治省行政の基本でいいのかどうか、あるいは住民との対話、あるいは住民との直接の話し合いというふうなものは、もちろん自治省自体やるわけではないんで、都道府県あるいは市町村に対して、このようないわゆる公害とかその他の問題もありますけれども、そういうふうな問題に対しまして地方行政をもう少し地域住民に濃度なタッチをさしていく施策、そういうものが新しく必要ではないかと私は考えるのであります。  そのほか、美唄市の例をたびたび出して恐縮なんですけれども、こういう産業変遷、盛衰の変遷から起こる問題を、それだけではありませんが、炭鉱の場合は法律ができておることも承知をいたしておりますけれども人口が急減している、そういうのは激変緩和時限法でもうすっきりとした。先ほどは、美唄の例は新しいものをすれば再起できるんじゃないかという御報告ですが、なかなかそうでないところがあるわけですね。そういうものに対して時限立法的な問題で、おそらくはやはり激変緩和という意味で法案をつくっていく。いま過疎地につきましては自治省においてはいろんな形でやってはこられております。しかし、そういうものが歯どめになるかどうか。もう歯どめにならないから、五年、十年はどうしてもこういう形をとってというふうなことをお考えになってはいませんか。またお考えになるような気持ちはございませんか。  もう一つ申し上げます。私の調査で三万以下の市が八%くらいに相なっておるようになっております。従来五万という地方自治法の線から臨時の特別な法律で四万になり三万になってきたわけです。どんどん村から町に上げ、町から市に上げる方法はいろいろ優遇されてきた。ところが、いろいろ産業構造変化と申しますか、たいへんな問題になってきて、三万以下の市が八%くらいある。それはやはり議員さんも一つの体面を保つために相当多い、あるいは職員も相当多い、また国が市に対して委託している行政面も多いわけです。ところが、町より小さい市がたくさんあるわけですね。そういうものに対する整備——名前はそれは市だから、また町に引き戻すということは無理かもしれません。しかし、もうすでにそういうことも整備する必要があるんじゃないかというふうに私は考えておりますが、その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  9. 福田一

    国務大臣福田一君) 非常に広範な範囲にわたっての御質問でございますが、私はまず日本列島改造ということを考えなければいけない、またそれが適切であると思っておりますことは、日本がいままでつくりました設備投資これはまあそれぞれの会社においていろいろありますけれども、その設備投資というものをフルに動かしていきますというと、ますます輸出が増加して海外からの圧迫を受けるということになります。この設備投資を十分に使わないということは不景気に通ずることになります。不景気に通ずるということは縮小均衡をするようになりまして、私は福祉政策とかその他のいわゆる対策を考えてみた場合においてもこれはむしろ逆の方向に行ってしまうと思うのであります。そこで日本のいま持っておる力を公共投資の面に投ずるか、とにかく過密、過疎の問題を解決するほうに転換をして、いわゆるうまく利用するという考え方日本列島改造論考え方である、この段階においてそれが必要である。かように思っておるわけでございまして、そういう意味合いにおきましては、しからばこれからどういうことを考えていったらいいかといえば、何といっても現段階においては、その設備投資をした結果においては公害の問題が出てきておる、こういう公害問題をまず重点的に取り上げなければいけない。また、いまお話がございましたように、これだけ日本の国が力がついてまいったのでございますからして、その力で福祉政策をもっと充実していかなければならない、これもごもっともなお考えであると思っておるわけであります。  しかし、このようにしていきましても、一方においては過疎地域がどうしても出てくる。ただいま御指摘がございましたように、産炭地等におきましては非常に市の人口が減っておる。美唄は私も視察をしてまいりました。たいへんなこれは人口が少なくなっておる好適例であります。しかもこれはエネルギー革命からきた一つ現象であるわけでございますが、このようなものに対して今後どういうふうに処置していったらいいか。また、いままでは市といえば五万といったのを今度は三万に切り下げた、そして三万になった市がたくさんできたときには、その三万が今度は三万を切るような状態になってきておる。これも実は過密、過疎といいますか、日本生活流れが大きく変わっていっておる一つ現象でございます。こういうような点から考えてみますというと、これらに対しても適当な措置をとるべきである。国としても適当な措置をとるべきであるということでございまして、美唄あたりにおきましては工業団地をつくるとか、あるいはその他の水道施設を充実してやるとかいろいろのことも考えておりますけれども、これで決して十分と言えるかどうか問題だと思います。特に北海道のような地域においては、もう少し石炭を使うくふうを、国が援助をしてもよいから石炭火力というものを実現してはどうかということは私は一つの命題として今後考えていい問題ではないかと思うのであります。同時にまた、三万都市がだんだん人口が減っていくというようなことも、一つはやはりいまの生活環境といいますか、職場を求める気持ち、あるいはまた人間が持っておりますところの都市へのあこがれ等々が一つの大きな原因になっておると思うのでありますが、これがひっきょうするに過疎地帯をだんだん引き起こしてきております。  そこで私は、日本列島改造論というのは決して二十五万都市をつくるのが目的だと思っておりません。それからもう一つ考えなければいけないことは、確かに二十五万という数字日本列島改造論には出ておりますけれども、しかし御案内のようにこれは論でございまして、決してこれは政策を決定した計画ではございません。いわゆる日本列島改造懇談会で総理が常に言っておりますように、これは私が一つ提案をしたのである、こういうことを考えたらいいのではないかという提案をしたのであって、皆さんの御意見も聞いて十分にこれを練り直す気持ちがあります、いい案があったらどうぞ教えてもらいたいというのが私は田中総理考え方であり、またわれわれとしてもそうだと思っておるのでございます。あれは一つ提案でございまして、日本の国内において全部二十五万都市にするなどということは、これは地勢の関係からいってもとうていできるものではないと思われます。そういうような意味もありまして、この日本列島改造論というのは、これを要するに、過密地帯すなわち太平洋ベルト地帯に張りつけられておるところの工場、工業がますますこの地域においてふえるということは困る。新しいものは、できることなら北海道とかその他の適地へ持っていくようにしなければならないということを述べておると思うのでありまして、もちろんここにあまり人がたくさんおりますからして、どうも公害問題が非常に起きておったりいたしますので、これを何とか処理するという意味におきまして、われわれ自治省としては、まだこれは政府の案としてはきまっておりませんけれども、いわゆる都市整備税というものをつくって、そうしてその半分は取った都市に落とす、半分はこれから工場が出ていく地域に持っていこう、こういう考え方地方税としてのものの考え方をとっておるのでありますが、これはまだきまっておるわけではありません。これはいままだ検討の段階でございます。政府としてはまだきまっておりません。  いずれにいたしましても、こういうようなことをいたしますけれどもが、しかし、それにしても過疎地帯というものが非常に多く出てまいっておりますので、私は日本列島改造というのは日本の国をよくするという意味だと思っておるのでございまして、そういう意味から過疎地帯、農業地帯、農業などが非常に悪影響を受けるという場合には、これは十分にこれからわれわれとしても施策をしていかなければならない。お説のとおり、これが海外農業と太刀打ちできるようにするためには、その基盤整備とか資本の関係とかいろいろの面でこれからも十分考えていかなければなりません。また過疎の山村とかあるいは海べの辺地の漁村とかいうようなものについても、われわれは決してこれを無視するとか、ほうっておいていいとか考えておるわけではないのでありまして、私はこの間、九月の二十五日から出かけまして、三日間ほどで岐阜県の過疎地を見てまいりました。そうして一日村長をやってまいったわけであります。村長を実際やったわけではございませんけれども、つぶさにその村内の事情を調べるということで行ってまいりました。そうしてただいまお話のあった老人対策等については、自治省の——これは何も自治省の自慢を言うわけではございませんけれども過疎債によりましていろんな公民館とかそういうものを建てますと、その公民館を建てたときに必ず老人の部屋というのをつくりまして、そしてそこには老人の浴場といいますか、ふろに入れるようにふろ場をつくってあります。そういうところへ行きますと、もう年寄りが、家族制度がなくなったものですから、うちにおっても話し相手がおらない、そこでそういうところへ行きまして、朝からふろに入って、なかなか夜になっても帰らないというようなこと、こういうことは過疎地域老人対策という意味ではかなり効果をあげておると思うのであります。  したがって、この辺地債、過疎債というものを大幅にふやそうというので、ことしは昨年度の四百五十億円に対しまして一千億円の要求をいまやっておるわけでございます。こういうものをつくってあげますというと、よほどそういう意味での過疎的な意識が失われていくといいますか、過疎的なさびしさがなくなってまいるわけであると私は信じておるのでございまして、同時に私は、過疎地域に行きましても申したのでありますが、よく日本列島改造論というのは公害をまき散らすのだというお話がございますが、私がこの山村へ行って言ったことは、皆さん方はこの土地に合った産業をもっと考えてはどうですか。たとえば、まあだんだん小学校等が統合されて小学校の校舎が要らなくなる、そういうときには都会の児童をせめて一カ月でもだんだんと過疎地へ迎えて、そうしてみんなが自然に親しめるようなくふうをする、そういうことをしてみてはどうか。これは文部行政の問題に入るから私はそこまでは言いませんけれども、そういうような考え方もあるわけです。と同時に、またそういう地域では特殊な魚の養殖だとか、あるいはくだものだとかいろいろそこの土地にふさわしい産業があるわけであります。そういうふさわしい産業というのこそ、やはりほんとうの利益をあげられる産業であります。そういう辺地のところへいきなり工場を持ってきたらいいじゃないかというような話もありますけれども、そんなことは、工場は行く道理がありません。来いと言ったって行きはしないのであります。その場所に合った産業をもっとみんなで努力をして考えられたらいいじゃないか、それが考えられれば国としてはできるだけの財政的な援助もまた資金的な援助考えるようにいたしましょうということを言ってきたわけでありますが、私はそういう立場で、今後もひとつ日本列島改造という立場から見ますならば、もちろん太平洋ベルト地帯に張りついたところの工業はある程度疎開する、また新しくこれからつくるというものは、できるだけ北陸とかあるいは東北とか北海道とか、いわゆるその他の地域、しかも住民が反対しないような地域に持っていくようにしてはどうか。こう考えておるわけでありまして、同時に、過疎の対策というものもわれわれ十分考えて、均衡のとれた政治体制をつくっていくということに努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  10. 柴立芳文

    柴立芳文君 大臣のほうから私が質問しようと思う先にお答えいただきました。だいぶ私質問したいと思っていましたが、大体そういう方向で、時間がたいへんございませんので申し上げておきますが、分配の時代に入りますと非常に問題が多いわけであります。特にまた必要性も多極化しておりますから、満足のいく地域住民ということも多種多様であると思うのです。ただし、そういう面において、従来の地方自治のあり方が多少その問題点にもなっておると申し上げましたけれども、いまの大臣のお考えのとおり、強力に進めてもらわないと、改造論も大計でありますけれども、この改造論自治行政で積極的に受け入れていくという姿勢が地方行政発展につながるものと私は確信を持っております。したがって、そういう問題につきまして各論的に進めてもらいたい、こういうことを強く要望いたしたいと思います。  また、税制についてもちょっとお伺いしたいと思っておるのですが、意見だけ申し上げておきます。税務局のほうなんですが、いわゆる工場の追い出し税とかあるいは新都市開発の問題というのが税制の面から大きく論議されているのは御承知のとおりであります。こういう面と地方行財政との面との比較なんですけれども、いろいろな案がありますが、とにかくいま申し上げましたように、地方が健全な行財政を自治体として持っていくという形の税制、それからまた自治省もいろいろ税制については非常に積極的にとりたい面もあるでしょう。しかしまた時代が変わっておりますから、たとえば人口が減ったところで事業体がなくなったための固定資産税、あるいは遊休なものに対して取れないとかどんどん変わってくるわけですから、そういう面で税制の問題も考えてほしいと思っております。  特にまた私は、この前の大臣のときに木引税の話をいたしました。そういう木引税の撤廃等の問題につきましても、これは当然流通課税的なものであるというふうなことでありますので、そういうふうなものは外材が入ってきて、外材には何も手をつけないで国産材に課税をしておる。あるいはまた、それは輸入の第二番目にも問題になっておりますが、石油の場合には外国から持ってきた原油にもかける、加工にもかける、販売にもかけるという税制でありますけれども、そこの点はどこから見ても、税体系からいきまして国産材の木引税なんというのはこれはどうしても理由が立たない、私はそう信じておりますし、それがまた国産材を圧迫して国有林が非常に赤字になってきている原因でも一つはあると思っております。したがって、時代が変わりますと税制も廃止するもの、あるいは大幅に変えるもの、たとえばいま自動車の重量課税の増額の問題が出ておる。そういう問題についてもハイヤーとかあるいは人が乗るものは私はかけてもよろしいと思うけれども、ただし長距離のトラック等につきましては上げ率をそんなに上げてはいけない。それはやはり物価の問題あるいは産業的な問題につながっているから私はそう思う。そういうことでありますから、税制の改革がいま非常に論議されておる最中でございますので、時代に合った、相当見通しのきく税制の改革に踏み切ってほしいということを要望申し上げておきたいと思います。  たいへん時間が過ぎてしまいましたので一つだけ最後に。鹿児島県の奄美群島の振興事業のことにつきましてはこの前の大臣のときにもお願いを申し上げたところであります。ところが沖繩が復帰いたしました。沖繩の復興計画というのは新しく沖繩県の意向も聞かれて決定されるやに聞いておりますが、これはやはり自治大臣の大きな問題にもなるわけであります。なおまた奄美大島の復興事業というのは四十八年度で切れて四十九年度からなくなる。ところが、いろんなデータをお示ししてもいいんでありますが、現在でさえも非常に不遇な点が多いわけであります。また電灯料金あたりは二倍ということになっております。沖繩はすでに国が九九%出費をいたしまして、これがほとんど内地と変わりません。奄美大島は復帰して二十年近くになるんでありますけれどもまだ電力は二倍以上、こういうふうなことであります。したがいまして、そういうことに対してはこれはやはり政治の平等という面からいきまして私は黙視できないわけであります。したがいまして、昭和四十九年度からの対策につきましては鹿児島県といろいろ御相談いただいていると思いますけれども、どうかひとつそういう大局的な面に沿って沖繩の振興計画に準じてやってもらわないと、ただ同じような形で早く返ってきたばかりにこれが谷間にならないようにお願いを申し上げたい、かようにお願いいたす次第であります。  総体的に申しまして、たくさん私まだ聞きたいわけでありますけれども、皆さん方の時間が少ないんで配分をいたしておりますからやめますが、最後に自治大臣地方自治変化あるいは今後の発展、そして地域住民の気持ちをば地方自治体が受け取れるように御指導願う。国が御心配になるのは、やはり大臣が金を与えなければいけない、権限を与えなければいけないと一番最後におっしゃいましたから私は繰り返して申し上げませんけれども、そういうふうなことを自治省がよく市町村とかそういう方々に、住民のサイドを考えていくような形の地方行政、これを強く私から要請いたしたいというふうに思っておりますので、いま大臣から非常に積極的にお話しいただきましたのでこれでやめますが、どうかよろしくお願いを申し上げまして終わりたいと思います。
  11. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの奄美大島の件につきましてはお説のとおりだと思っております。今度の補正予算におきましても、まだ額はきまっておりませんが、相当程度奄美大島のために要求をいたしておる段階でありまして、もちろん来年度予算においても、いまの御趣旨に沿って、先に返ってきたから非常に不公平になるというようなことがないように処置をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最初に、減税問題から質問申し上げたいと思います。  田中総理がさきに来年度の減税は五千億程度、こういうような、言うならばいままでにない大型な減税、こういうことが言われておったのですが、最近の報道によりますと、それが三千五百億円程度、こういうような報道がなされておるわけであります。そこで、言うならば田中総理の当初考えていたことについては後退したという、この点について大臣はどのように考えておられるかお伺いしたいと思います。
  13. 福田一

    国務大臣福田一君) 新聞紙上によく数字が出ておりまして、変わってきておるようでございますが、しかしまだ田中総理として幾らということをはっきりきめたわけではございません。われわれもまた相談を受けておらないわけであります。五千億という数字が出ております。そうすると今度は三千五百億という数字が出る。三千五百億という数字はどういうことだと言ったら、それは平年度は五千億円、年度の半ばからすれば三千五百億円だというように、われわれもどうもまだはっきりした数字をつかんでおりませんので、田中総理が食言したとは私は考えておらないわけであります。
  14. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点につきましては、これははっきりお答えがないと思っておりました。  そこで、来年度地方税の自然増、この点についてはどういうふうな考え方を持っていらっしゃるか、どの程度大臣考えておられますか。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) 政府委員から答弁させていただきます。
  16. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 来年度地方税の収入見込み額につきましては、現在の段階におきましては本年度の実績見通しというものもまだつかめない状態でございます。また、来年度経済見通しもまだ政府部内におきまして策定中でございます。そういうような事情もございまして、どの程度の増収を期待し得るかという点につきましては、まだここで明確にお答えするわけにはいかないのでありますけれども、ただ最近の経済情勢は、私どもが当初予想しておりましたものよりはだいぶ明るい見通しがございますので、おそらく来年になりますというと、本年見込みました増収よりはやや多い目の増収があるだろうというふうに期待はいたしております。
  17. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、この点については見通しがまだ明らかでない、こういうことなんですが、四十七年度住民税の減税規模は七百五十六億円、そこで国民の所得税だとかあるいは住民税に対する考え方、これは非常にまだまだ重税感というのは残っておる、こういうことですね。そこでやはり来年度ですね、そういう住民税の場合にいたしましても、そういう国民の重税感という感じをなくしていくべきである、そういう方向考えていかなければいかぬじゃないか。こういうふうに思うわけですが、そこで住民税に対する来年度の減税をどういうようなふうに考えているか、この点だけお話しいただきたいと思います。
  18. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 御承知のとおり、個人の住民税につきましては、従来から課税最低限の引き上げということを中心にいたしまして、毎年六百億ないし七百億前後の減税を行なってきたところでございます。昨年の税制調査会におきましても、その長期答申に、個人の住民税につきましては、国民生活水準の向上に伴って納税義務者の推移、あるいは地方財政の状況等を総合的に考慮しながらさらに課税最低限の引き上げについて検討をしろという指摘がなされております。ただこの議論の過程におきまして、税率につきましてもここ十年ばかりの間ほとんど手がつけられておらない、そういう意味においては課税最低限との関係において税率についてもなお再検討したらどうだというような指摘もあるわけでございます。ただ、税率を改定いたしますというと、税収入におきましても、また個人の負担感におきましても相当大きい変動が生じてまいります関係で、その財源措置等につきましても相当慎重な配慮がなされる必要があるだろうというふうに考えております。そういうことで、この住民税の減税につきましては、課税最低限の引き上げかあるいは税率の改定か、こういう問題が両面あるわけでございます。もちろん減税するという立場からいたしますと、両方やったらどうだということもあるわけでありますが、何ぶんにもまだ来年度地方財政の状況というものは相当苦しい状況を予想しなければならないわけであります。この両者の問題についてさらに税制調査会等の御意見も十分お聞きしながら私どもとしまして検討してまいりたい、かように考えております。
  19. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、いまおっしゃったように、減税には課税最低限の引き上げ、それから税率の改正、こういう問題があるわけですね。これは三十八年以降税率については改正されておらないわけです。そこでいまのお話ですと、いずれかわからない、こういうわけですね。できれば両方行なえば一番いいことなんですけれども方向としてはどっちの方向をとっていこうという考え方を持っておるのか。税率を引き下げていくという考え方、それから課税最低限を引き上げるんだという考え方、できれば両方がいいけれども、そうはいかないんだということならばいずれをとるのか、その辺のところをひとつ。
  20. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 現在、税制調査会の御意見は、まあどちらかといいますと意見が両方に分かれておるというような現状だろうと思います。ただ課税最低限の引き上げをここ十年ばかり継続してまいりました関係で、現在市町村ごとに納税義務者の状況を見ますというと、この課税最低限の引き上げが続きました結果、所得割の納税義務者が極端に減少しているという市町村があらわれておるのでございまして、そういう市町村におきましては住民税が、地域社会の費用をその所得に応じて配分をする、分担をするというたてまえが、どちらかというと均等割だけでいわば住民税負担を配分されておるような状態になっているわけでございまして、課税最低限の引き上げにつきましては、そういう市町村ごとの状況を見ました場合に、やはり一定の限界があるような感じがいたしております。また一面、税率につきましては所得段階の区分がほぼ十年近く据え置かれたままになっておりますので、やはり低所得段階における税負担がきつくなっているのではないかというようなこともございまして、いまその内容について検討をいたしておるところでございますけれども、何ぶんにも一方におきまして財政収支の問題が非常に大きい問題として横たわっております。これに対応いたしますところの財源措置というものによりましてやはり減税のワクというものも一定の拘束を受けることになりますので、そうした財政の収支の状況並びに財源措置の状況を見ながらその内容を具体化してまいりたいと思いますが、税制調査会の論議もまだ結論を出す段階まで至っておりませんので、さらにその問題は審議を通じて詰めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次に、電気ガス税の問題ですが、この問題については特に最近廃止という考え方、そういった考え方とともにそういったことが強く叫ばれているわけですね。そこで中曽根通産大臣が、これは五月二十日に熊本で、来年度からは電気ガス税は全廃したい、こういうような発言をしているわけですね。これはいままでもそういった声が非常に強いわけでして、そういうものを受けて通産大臣はそういった発言をしたのだろうと私は思います。そこで、当然来年度においてそういう方向へ行くべきだと、こう思いますけれども、この点について大臣はどういうふうに考えておられるかお答えいただきたい。
  22. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり、電気ガス税はこれは廃止すべきものであるとか、廃止する方向に持っていかねばならないという考え方が非常に強うございまして、私もでき得るならば廃止をしたいと思っておりますが、何といってもこれは相当な税源でございまして、市町村の財政に与える影響は非常に大きゅうございます。したがって、急激に廃止するということはいかがかと思っておりますので、まあ税率あるいはその他の面で順次考えてまいるようにいたしたいと、かように考えているわけでございます。
  23. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次に、過疎、過密問題ですけれども、いままで自治省過疎、過密問題に真剣に取り組んでまいりまして、それでいろいろと対策を立てやってきたわけなんですけれども、実際にいままで対策を立ててそしていろいろとやってきた結果として、どういうような実効があげられてきているのか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  24. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) まず、過疎問題につきましては、御案内のとおり、昭和四十五年に過疎地域対策緊急措置法がつくられたわけでございます。これに伴いまして学校統合の場合におきまする国庫補助の特例あるいは消防施設あるいは保育所、あるいは統合にかかわりますところの教員宿舎、こういったものにつきまして国庫補助のかさ上げが行なわれるということが行なわれましたと同時に、過疎債あるいは辺地債、こういったもののいわゆる弾力的運用ということで今日までに至っているわけでございます。御案内のとおり、この過疎立法は十年間の時限立法でございまして、十年間に過疎地域の非常に劣悪な生活あるいは生産諸条件というものを改善をする。こういうことになっているわけでございますが、なお、まだこの法律が施行になりまして日も浅いわけでございますけれども、したがいましてそれだけの成果の具体的な判定ということにつきましてはなかなか異論があろうかと思います。ただ率直に申しまして、私ども過疎対策をやっておりまして非常なもどかしさと申しますか、というものを感じますのは、やはり私ども過疎債、これは最初がたしか二百億足らずだったと思いますが、それが三百六十億にふえ、ことしは五百億——過疎債、辺地債合わせまして五百億を配分をいたしているわけでございますけれども、何か二階から目薬という感じがしてならないのでございます。と申しますのは、やはりこの過疎地域の振興のために、この法律の命ずるところに従いまして県が振興方針を立てられ、市町村が振興計画を立て、あるいは県はそれを補足するものといたしましてのやはり県としての計画を立ててやっておられるわけでございますけれども、先ほどから御論議がございますような人口産業都市集中という流れがあまりにも強いものでございますから、少々の施策はありましても、やはり若い人たちというものがこの過疎地域というものを去っていく。こういうことでございまして、もっともっとそれぞれの地域の特性に応じた、生産でいくところは生産でいく。生産内容も、先ほど大臣申しましたように、二次、三次というものもございますれば、一次産業、それぞれの地域の特性を生かした産業の振興ということもございましょうし、あるいは生活環境改善ということにつきましても、もっと思い切った集中的な投資というものをある程度やっていかなければいけないのではないだろうかという感じがするわけでございます。現在の段階におきましては、過疎債の配分結果を見ておりましても、大半が道路でございまして、道路ももちろん大事であり、それだけ道路がおくれておったということでございましょうけれども、もっとやはり住民の所得に結びつき、あるいはまた地域住民生活水準の向上に結びつくような仕事というものが見つからぬものだろうかという感じがいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、これはよく言われますように、人は高きに流れるといいますか、所得のないところには人はこれは住めないわけでございますから、所得を得る機会、そういうものをつくり出し、あるいはそれを増大するためにもっともっと知恵を出していかなければいけないのではないだろうかという感じがしておるわけでございます。  また、過密地域でございますが、過密地域の中で特に人口急増地域市町村でございますけれども、こういったところはまた違った意味におきまして、短期間に集中的な投資というものを、義務教育施設あるいは保育所、幼稚園あるいは上下水道、屎尿、じんかい、こういったものをやらなきゃならないわけでございまして、これもまたついていけない。大体戸数四千戸ふえますというと、どうしても小学校が一つ必要になる。もっとふえますというと小学校が二つ、中学校が一つと、いま小学校一つつくりますのにも七億という金が要るわけでございまして、そういった面から人口急増地域に対しまして、私ども年度来国庫補助のかさ上げ、それから地方債の充実、交付税の充実と、こういったことで対処いたしておるわけでございますが、国庫補助の点につきましては、義務教育の小学校の建設費の補助率がことしから三分の一が二分の一に上がりました。用地費につきましては、四十五年度来文部省が補助を受け、あと追いで四十年から四十五年までの建設取得分につきましては私どもが利子補給をしておるわけでございますが、もとよりこれは不十分でございます。これにつきましては四十八年度を目途にいたしまして、大幅な国庫補助負担率のかさ上げということを行なってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、先ほどから田中総理の言う列島改造論が問題になっておりまして、そこの中で特に二十五万都市の建設、この点について大臣からもその二十五万都市についてはこうであるという答弁もありましたけれども、田中総理は、この二十五万都市の建設によって過疎、過密の問題もあわせて解消していこうと、こういう考え方を持っている。ですから、そうなりますと、二十五万都市建設による過疎、過密問題をそれによって解消するという田中総理考え方、これに対して自治省はどのように受けとめておるのか、その点をひとつお答え願いたいと思います。
  26. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、過密、過疎の問題を解決する一つ方向であって、第一段階であると思います。第一段階であると同時に、それだけでもって問題が解決するのでなくて、同時にやはり過疎地帯の対策も十分考えていかなければならない。二十五万都市と言いますが、これは一つの基準だと思っております。十万都市でなければならない場合もあるでしょう、ところによっては、あるいは五十万にせざるを得ないところもあります。いずれにしても、それは一つの基準を示しただけでありますから、それによって過密、過疎がある程度解消は受けるけれども、しかしそれだけでは問題は全部解決しているのではない、そういうふうな意味合いで問題の処理を解決していくというのがいわゆる日本列島改造論のほんとうの趣旨だと思っております。
  27. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、田中総理は、二十五万都市建設によって過密、過疎問題もあわせて解消していこうと、そういう何といいますかね、二十五万都市はそれらにつながるものであると、こういうふうに言っている。そこで、自治大臣は、それはすべてではないのだと、過疎、過密問題を解消するすべてではない、その一部である、だから二十五万都市必ずしも二十五万都市という問題でもない、それは十万になるかもわからない、こういうことなんです。そうしますと、それが先ほどお答えの中では過密、過疎の解消、その目標を十年間、一応十年間に置いておるのじゃないのですか。先ほどの答弁はそうじゃないのですか。
  28. 福田一

    国務大臣福田一君) いえ、違います。百年……
  29. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いやいや、それは大臣、そこでそれを聞きたい。先ほどは十年、こういうことですね。そうなりますと、その方向が、非常にその辺のところが過密、過疎対策、いわゆるこの問題を解消していくという力にはあまりなり得ないのじゃないかということは、大臣が百年という、いわゆるこの構想は百年構想であるというお話があった。そうだとすると、何かその辺が矛盾するような感じがする、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  30. 福田一

    国務大臣福田一君) 私が申し上げたのは、日本列島改造という大きな仕事は百年を一応目途にしなければいけない。しかし、過疎の問題については、緊急特にやらなければならないものについて十年という目標を立ててやったのでありますが、それでできない場合は今後まだまだ延ばしていってもこれは実行に移していかなければならない、かように考えておるわけでございます。それからまた、ここのところが非常に総理もあるいは気にしているかもしれません。私も列島改造論を読んで受けた印象は、これは論でございまして、何もあれは計画ではないのでございます。したがって、懇談会というようなものをつくって、いい案があったら教えてくださいということをいま世論に問うておるわけでございまして、したがって私たちとしては、二十五万というのも一つ提案として認めるわけでございますから、まあまあそういう二十五万というようなのは一つの基準と考えてもそれはいいかもしれません。しかし、それをやれば、それで全部日本列島改造が済むというのではないのでありまして、これが大きな第一段階になるだろう。そして第二段、第三段の施策をやはり並行して、また同時に長い期間にわたって行なっていかなければ日本列島改造論というようなことはとうていできないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  31. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点につきましては何かこう、過密、過疎問題をいまお尋ねしているわけですけれども、この問題については何かあれですね、ばく然として、十年という一応のめどをつけておるけれども、それでできなければまたそのまま続くのだと、これは確かにそうかもしれませんけれども、そういうことにならざるを得ないだろうと思います。しかし、やっぱりほんとうからいえばいわゆる過密、過疎問題というのは非常に大きな問題としていま取り上げられておるということなのです。これを何とか早い機会に解決しなければならないのですから、十年たってできなければまたその先何年かかるかわからぬという考え方では、これはあまりうまくないのじゃないかと、こう私は思いますね。それは意見として申し上げておきます。  次に、お尋ねしてみたいのは、またこれは田中総理が、将来は地方行政方向といいますか、これは広域地方団体と言うのですね。その設置というものを考えているようですね。これはたくさん問題があるだろうと思いますね。そこでやはり総理がそういった考え方を持っているという時点で、これをやはり受けて立つ自治大臣考え方、これに対する。考え方はどういう考え方をこれについては持っておられるか、この点ひとつ伺いたいと思います。
  32. 福田一

    国務大臣福田一君) 大体この広域行政の問題は、もちろん田中総理は自民党の党員でもあるし幹事長等もいたしておりましたから何も関係がないとは申しませんけれども、従来の自民党の政府は広域行政というものを推進しなければならないという方向でもってきておるわけでありますが、なぜそういうことになるかといえば、だんだん自動車、電車あるいは高速道等と、いろんなもので交通関係がスピードアップされてまいりましたし、それからまた住民生活環境といいましても、たとえば町と町の隣合わせであまり大きくない町でじんかい処理場をつくるという場合に、二つつくるというのは意味がないじゃないか、一緒にやったほうがいい。消防署もやはりこれは大きくしていい機械を入れたほうがいいと。いろいろそういう意味で共同してやったほうがいいという空気が当然起きてくることは、私はスピードアップによって非常に促進されてきておると思うんであります。それを受けて広域行政というものが順次地について発展をしておる。この姿を今後ますます広げていくかどうかはやはり住民がそういう気持ちになっていかなければなりません。上のほうからそういうことはいいんだという宣伝はわれわれとしてもしますけれども、それでは府県合併しろとかそういうようなことを政府の力で言ってやれるものとは私は思っておらないんであります。しかし、広域行政というものが時代の波に乗ったものであるということ、またそういう意味でどんどんそういうような努力をしたらいいじゃないかということは、われわれとしては大いにPRをすべき義務がある。またこれが国のためにも住民のためにもなる、こう考えておるわけでございます。
  33. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは直接関係がないと言えばない、また、あると言えばある問題だと思うんですがね。最近、千葉県では住宅公団が入ってくることをこれを阻止をいたしました。神奈川県も、また埼玉県もやはりそういう同じような傾向。  そこで、なぜ地方公共団体が住宅公団が入ってくることについてこれを阻止するのかということは、これはもう私が申し上げるまでもなくおわかりのことですが、これはここで議論する問題ではないかもしれませんけれども、まあそうなってきますと、国の住宅建設計画にも支障を来たしてくると、こういう問題もあろうかと思います。そこで、この公団シャットアウトというその問題だけでなくて、そうなってきた背景が私は一番問題だろうと、こう思います。それはいわゆる人口急増地域に対する国の配慮、いわゆる社会資本の投入といいますか、そういった点がいままでまだまだ非常に貧弱なものであったと。そういうことで、まあ国としては人口急増対策緊急措置法、これを次の通常国会に出すように伺っておりますけれども、この内容、どういうような内容が盛られているのか、この点についてひとつお答えいただきたい。
  34. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 先ほども申し上げましたこの人口急増地域におきましては、義務教育をはじめといたします教育施設あるいは上下水道、こういった公共・公益施設の整備を短期間に集中的にやらなければならない、こういうことでございます。しかもこれは現実にそこに何千戸、何万戸という集団住宅ができるわけでございますから、金がないから待ってくれと、こういうわけにはいかない。結局この施設の整備が整わないところでそういうものが入ってこられるということになりますと、私どもやはりこの自治体の立場から考えますというと、これはお断わりというのはやむなく出てくるまことに悲痛な叫び声だろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、私ども前々から申し上げており、また努力がいまだに実っておらないわけでございますが、何と申しましても、そういうところで早急に公共・公益施設の整備をしなければならないわけでございますから、そこで国庫補助負担率の特例というものを設ける必要がある。通常のところでございますれば小、中学校をつくるのに二分の一の国庫補助でございますけれども、そういうところは二分の一ではなくて三分の二にしてもらいたい。これにつきましては、学校でございますと文部省でございますし、あるいは保育所でございますれば厚生省、あるいは下水道施設等でございますれば建設省、それぞれの所管省がそういう気持ちになってくれなければ、自治省予算要求をする立場でございませんので、そこで私ども関係各省にも呼びかけまして共同歩調で明年度予算の要求というものを行なっておるわけでございます。  また他方、人口急増のもう一つ前でございますが、大規模な宅地開発というものが行なわれる。で、宅地開発が行なわれますというと、当然そこにはまた人が入ってき、同じような行政・財政需要というものが出てまいるわけでございますので、市町村におきまして現在宅地開発要綱というものを設けまして、この公共用の用地は無償で提供せよ、あるいは建てかえて上ものもつくれ、こういうことをやっておるわけでございます。そういったものにつきましても、やはり時といたしまして、やむを得ないことでございますが、かなり私ども見ておりまして過重な負担というものを開発者に求めておるという例もないわけではございません。そういった意味合いにおきまして、宅地開発者に対する土地の提供あるいは上ものの代替施行、そういったものにつきましてもある程度合理的な基準というものをきめまして、そういうものを含めた法制化というものを考えてまいりたいということで、現在せっかく努力いたしている最中でございます。
  35. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) 速記をつけて。
  37. 占部秀男

    ○占部秀男君 時間がありませんから簡単にお伺いしたいと思うのですが、前回の委員会で区長公選の問題について大臣の前向きの形の御答弁をいただいたわけであります。その後、御案内のように、地方制度調査会でこの問題が審議され、たしか明日は都知事と区の代表が呼ばれることになると思うのでありますが、いずれにしても地方制度調査会は今月じゅうに答申を行なうというような様子であると、こういうことを聞いておるわけです。そこで、行政局長にお伺いをしたいのですが、まず地方制度調査会がやっておる作業の状況とその見通しについて簡単に御説明願います。
  38. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) 地方制度調査会は、この問題のために行政部会を設けまして、すでに第一回の会合をいたしております。まあ大かたいろんな議論が一応出尽くしている段階だと思います。なお、もちろん具体的に詰める問題はたくさんございますけれども、そういう段階でございまして、明日の委員会では都知事並びに区の代表者をお呼びして御意見なりお考えをお伺いしたいと、こういう日程を立てておるわけでございます。それから先どういうことになりますかは、あすの部会の状況によってきまるものだろうと思います。私たちとしましては、なるべく早く結論を出してもらいたいという御希望を申し上げておるわけでございますが、必ずしも今月中にその見通しが立っておるということではございません。だんだんと審議の過程で固まっていくものだろうと思っております。
  39. 占部秀男

    ○占部秀男君 今月中ときまっているわけではないというんですが、作業の問題ですからそういう点もあるかと思いますが、とにかく早急に出そうと、こういうような情勢にあることは事実だと思うんです。そこで区長公選は可であるという内容のかりに答申が出た場合、これは大臣はもちろん受けて立つような形になると思うんですが、その点はいかがですか。
  40. 福田一

    国務大臣福田一君) どういう答申が出ますか、私はいままだここであれを持っておりませんけれども、その答申を拝見さしていただきまして、十分にこれを尊重しつつ問題を処理したいと思っております。
  41. 占部秀男

    ○占部秀男君 この問題は、答申が出てから後がまた一つの問題になると思うんです。というのは、私の仄聞しておるところによると、地方制度調査会の作業はまず公選の問題を中心として、そこに重点を置いているように伺うんです。ところが、従来自治省考えていることは、これはもうこの委員会でもたびたびそういう点がはっきりされたんですけれども、区長公選に伴って、人事、事務・事業、財政面、これらを包括的にやはりやらなきゃいかぬじゃないかと、こういうような考え方流れていたと思うんです。そこで、もし今度の答申案に、ある部分がその中に加わるような様子でありますけれども、いずれにしても人事、事務・事業、財政、これが完全に——完全にというか、いってないので法律案としてはなかなかこれは出せないということになると、いまの準公選運動が相当もつれてくるようになると思うんです。  そこで私は、最後に、お願いというか、御質問いたしますが、いずれにしても、答申を受けて立つという立場から、答申が月末あるいは来月早々にでも出るということになれば、臨時国会もしくは通常国会には法律案として必ず出さなければならない情勢になってくると思うんですが、大臣のその点についての御見解を承りたい。
  42. 福田一

    国務大臣福田一君) 時期がいつになるかは存じませんけれども、私は臨時国会に出すということは非常に困難かと思っております、いろんなことから言って。しかし、通常国会にはぜひ出すようにつとめたいと思います。
  43. 河田賢治

    ○河田賢治君 大臣に伺いますが、いま占部委員から公選の問題を聞かれたんですが、それに対する大臣の答弁は、答申を尊重するという態度ですが、いま私たちも、それが出れば自治省としても尊重するという限りにおいて、大体公選を可なりとするという意見があれば、これはやはり通常国会にでもこの法の改正をやらなくちゃならぬと思うわけなんですが、この点はどうもあいまいなような返事なんですが、いかがですか。
  44. 福田一

    国務大臣福田一君) いや、先ほどお答えを申し上げましたのは、尊重するということを申し上げたんで、私は通常国会には提案するようにつとめたいと、こう申し上げたわけでございます。
  45. 河田賢治

    ○河田賢治君 大臣、いま東京都の、まあ私は東京に住んでいませんから詳しくはないんですけれども、東京というのは一つ日本の国の顔なんですよ、顔なんです。そうでしょう、政治の中心なんですよ。ところが、御承知のとおり、区長の公選問題をめぐってずいぶんと区はいろいろな方向をたどっており、ある区においては区長がかなり長い間空席になっておると、こういうような始末なんですね。これはそれぞれの理由はありましょうけれども、しかしやはり国がこの東京都の主として自治権を拡大してやる、地方住民の利益をはかる。それからまたそれに必要な財政措置、たとえば十四次の地方制度調査会の答申でも、大都市の問題についてはずいぶんと口がすっぱくなるほど事務・事業の移行なんぞ訴えているわけですね。なるほど東京都内の、区と都の間の関係もありましょうけれども、しかし国としても、こういう日本の顔である東京に対してやはり少しでも障害があればそれを取っ払って、そしていろいろな立法措置を講じて、財源についても地方制度調査会の答申をできるだけ早く生かしていく。こういうことが必要じゃないかと思うのですが、こういう点で、仕事をやるとすれば、相当これらの問題が洗えばずいぶん出てくると思うのです、いろいろな法改正あるいは政令の改正とか。したがいまして、相当自治省自身でこれに対する、やはり区長公選に伴えば、早急に私はそれに応じた措置をいろいろ立法的にもしなくちゃならぬと思うのですが、どうもいまの大臣の答申のようでは何か煮え切らぬ。そして事務当局も十五次の答申が出てからと、あまりこれに対して乗り気でおやりになっていないわけですね。これはあとで専門の局長に伺いますけれども、とにかくそういう気がするわけなんですよ。しかし、いずれにしましても、東京というのは日本の顔なんですから、外国の方もたくさんいらっしゃる。日本の国じゅうの者がやはり東京の政治というものに対しては目をみはっているわけなんですから、やはりいろいろな内部事情がありましても、そういうものを外から解決できる問題はしていく、国がしなくちゃならぬ問題は早急に手をつけるということが至当じゃないかと思うのですが、この点についてひとつ一応の見解を承っておきたいと思います。
  46. 皆川迪夫

    説明員(皆川迪夫君) ただいまのお話の点でございますが、十四次の調査会の答申では、現在の仕組みの中で都知事が区におろせる仕事はなるべくおろしなさい。それから人事についても、実際上の措置として区長の人事権を尊重ずるという方法もあるわけでありますから、これをいまの制度のワクの中でやったらいいじゃないか。財政についても、区のほうに財源を現在都が相当出しているわけですから、こういう方面を充実をしたらいいじゃないか。そういう実体を備えた上で区長の公選問題というものを考えたらいいだろう。こういう趣旨の答申があったわけでございます。もちろん、いま先生がおっしゃいましたように、法律でこれをはっきりさせるという方法もあるわけでございまして、そういう点は、御指摘のように、答申以来自治省としてもまだ法規の改正はやっておらないわけでございます。しかし、まあそうこうしておりますうちにこの公選問題が出てきましたので、私たちはこれは一体のものとして検討をしてまいったらいいじゃないか、こういうことで再度諮問をしたということになっておるわけでございます。  なお、自治省の態度がどうも煮え切らぬように見えるというようなお話でございましたけれども、これはそういうことではないのでありまして、ただ現在のところでは、調査会に諮問をいたしておりまして、それがどういう結論になるかまだわからない、およその方向はだんだんと出ているかと思いますけれども、そういうものを予定するわけにいきませんので、そういう段階になりましたならば、その際その答申の趣旨を尊重して法律改正の準備をいたしたい。かように申し上げておるわけでございまして、特別に消極的である、あるいは準備をしてないとかということではございませんので、よろしくひとつ御了承いただきたいと思います。
  47. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  48. 久次米健太郎

    委員長久次米健太郎君) それじゃ速記始めて。
  49. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これから消防庁とそれから警察庁、いわゆる交通関係ですね、この二点をお尋ねしてみたいと思います。  だんだん寒くなってくる、火災の時期になりましたと、こういうことなんです。そこで、消防力の、いわゆる国の消防力基準というものがありますが、これが昭和四十六年に一部改正されましたた。そこで、基準を充足すると言いますかな、体制が基準に合ったところまで、基準と同じような状態に一日も早くしていかなくちゃならぬわけです。そこで、いまの時点から言うならば非常におくれているわけですね。これをいつごろまでに基準まで充足させるかということが問題になると思いますけれども、その点どういうふうに考えていますか。
  50. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 消防力の基準は、ただいま上林委員お示しのように昨年改正をされたわけでございます。そこで、現状においてはその基準がどの程度充足をされているかということでございますけれども、これは実は各都市によりまして充足状況がまちまちでございまして、宇都宮でございましたか、九〇何%というようなほとんど基準に近い設備があるところもございますし、きわめて低い都市もございます。大体全国的に平均をいたしますと六割程度というのが現状でございます。そこで、これは早急に整備をし、充足をしていかなければならないわけでございます。昨年基準が改正されましたのを機会に、私どもといたしましては、主として国庫補助事業を中心にいたしまして、これを計画的に充足することによって、消防力の基準についてあるレベルを確保していこうということで仕事を進めております。大体国庫補助事業だけを中心考えまして、五十一年、つまり四十七年から五カ年でございますが、それで八割ぐらいのところにまではぜひ持っていきたい、こう考えております。これは国庫補助を中心に問題を考えております。そのほかに、御承知のように、消防施設につきましては、地方交付税で一般財源としての措置がなされておりますし、あるいは地方債を活用することもできますので、まずいま申し上げましたように、五十一年ぐらいまでに大体基準を充足するレベルを確保していきたいというのが私どもの現在の考え方でございます。
  51. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そちらからの資料があります。いわゆる消防力の基準に対してどの程度まで充足されておるか。いまのお話では全体的にいって六〇%くらいですか。これを一つ一つ見ますと、ポンプ車が六一%、三輪、手引き車が一〇〇%、小型動力車が七三・二%、化学車が五七・五%、はしご車が五六・一%、消防艇、これが三八・一%、こういうふうにあるんです。そこで、たとえば化学車であるとかはしご車であるとかあるいは消防艇、これはどのくらいするのかわかりませんけれども、比較的価格の張るもの、これがおくれているようですね。で、価格の高いものについてはおくれておるという傾向がこの資料によってもわかるのですけれども、その原因は、いわゆる市町村にこういうものを買う財政力がない。ですから、消防力の基準というものは国で定めてある、それに到達しなければならないんだけれども、実際に市町村における財政と見合わせた場合に、どうしてもそれができないというのが実情じゃないか、こういう感じがするわけです。そうなってきますと、これに対する補助について、いままでと同じような考え方では、いつまでたってもこの消防力の基準はとうてい充足できない、こういう感じがする。ですから、特別にこの消防力の重要性ということをほんとうに真剣に考えているならば、現在のおくれたそういう体制をどうするか、これはやっぱり金の問題だ。その金については国として今後どういうふうにしていくのか。これは補助金をいままで三分の一ですかね、それをもっともっと引き上げていかなければ、一応基準は設けられても、それに到達することは非常にむずかしいという感じがするわけです。その辺、いわゆる補助の問題についてどういうふうに今後していくのか、これがなかったらとても基準に到達できませんよ。その点どういうふうに考えておりますか。
  52. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 補助のことについての見解を示せというお話でございますが、まず、それに先立ちまして一つだけ、これは念のために申し上げておきたいと思うのでございますが、上林委員御指摘のように、確かに施設の水準がなかなか確保できない、これは財政問題でございます。ところが、先ほど私もちょっと申し上げましたが、消防の施設、運営につきましては、地方交付税で財政需要として見ている部分があるわけでございますけれども、これが交付税というのはもとよりひもつき財源ではございませんから、そういうことを云々するのはあるいは適当でないかもしれませんが、これも全国的、平均的に見ますと、全国の市町村交付税の需要で見ております分だけ実際の支出をいたしていない、こういう実情がございますので、私どもはそういう面におきましても、国庫補助も国庫補助であるけれども、なおやはり市町村行政の中に占める消防行政意味といいますか、ウエートというものを消防関係者はもとより、首長さんももう少し問題を考えてほしいということは実はしばしば申し上げているところでございます。これはもちろん十分御承知だと思いますけれども、ひとつ前提の議論として申し上げさしていただきたいと思います。  そこで、交付税で見ております一般財源は別にいたしまして、確かに施設を充実いたしますための補助制度というものをもっと拡充していかなければならないわけでございますが、これも国の財政当局に言わせますと、自治省は補助金の整理とか零細補助金の統合とか解消ということを言って、消防だけはなぜそういうものを置いているのだという議論もございます。しかし、これは事人命に関する問題でもございますし、早急に整備をしなければならない問題でございますので、私どももそれの拡充、充実の方向で微力を尽くしているわけでございますが、そこで、先ほどもお示しのように、基準の充足状況のうちで、特にいまのはしご車でございますとか化学車でございますとか、いわゆる科学消防力の充実の面が比較的おくれておりますのは事実でございます。これは最近の新しい分野であることもそのとおりでございますけれども、おっしゃいますように、各施設の価格が比較的高いということもその原因でございます。そこで、私ども来年の予算要求といたしましては、通常の消防施設の補助率は三分の一ということでございますけれども、特に科学系統の消防施設につきましては三分の二ということで、少なくともこの辺だけは早急に整備をいたしたいということで要求をいたしているわけでございます。おっしゃいますような、一般的にレベルを上げる必要はございますけれども、特に最近の社会経済情勢にかんがみまして、科学系統のものにつきましては、私どもも重点を注いでやってまいりたいと思います。——ちょっと私、いま申し上げるのが間違いまして恐縮でございますが、一般の消防施設は三分の一でございますが、科学関係は今回二分の一ということで要求いたしております。
  53. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いわゆる化学車については二分の一である。そして来年はまたあれですか、いまのお話ですと、化学車についてはもう一歩考えていこう、こういうことですか。さきの答弁では三分の一という、そういう考え方で答弁したわけですよね。
  54. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) いままでの消防施設、これは過疎でございますとか、あるいは同和関係でございますとか、こういうものは別にいたしまして、一般的には消防施設の補助金の補助率は三分の一でございます。本年までそうでございました。それを、ただいま御指摘のようなことも私ども考えまして、来年度につきましては、科学関係を二分の一に要求をする、そういうことでございます。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは化学車についてはそういったことで補助率を上げていく、こういうことなんですが、はしご車もなかなかこれは高いものですよね。これは三分の一じゃとても買えませんよ、地方では。ですから、はしご車についても考える必要があると私は思うのです。なぜそう言うかというと、地方でもとにかく観光ブームで、ホテルの建設等が盛んに進んでおります。相当高いものです。ですから、いままでは必要なくても、これからだんだん、だんだんと地方、郡部においてもそういうはしご車等が必要になってきておるということ。当然そうだとするならば、それを充実させなければならぬわけですが、しかし口では充実とは言うけれども、実際財政的になかなかこれについていけない、こういうことなんですから、化学車の補助率を上げると同時に、はしご車についてもそういう配慮が必要なんではないか、私はこう思います。その点ひとつ。
  56. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) ちょっと私の申し上げ方が不十分でございましたが、ことしまで三分の一のものを来年度二分の一にいたそうとしておりますのは科学消防施設関係。そこで、その中に何が入っているかと申しますと、まず化学消防ポンプ、それからただいまお示しのはしご車というようなものも入れてございます。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 消防関係の最後なんですが、だんだん建物が高層化されて、特に東京なんかはそれは非常に顕著であります。で、当然東京でははしご車等も他の地方から比べれば非常に充足されてきている。しかし問題は、いわゆる車は充足されてきたけれども、実際にそれを使う段階でいろいろな支障が生じてきている、こういうことなんです。ということは、たとえばはしご車を使う場合に、道路に張りめぐらされている電線が、これがじゃまである、そして十分な機能が発揮できない。また四メートル以下の道路には入れないわけですね、そういった問題、これらがあるわけです。で、そういった問題をこれからどう解決するか。これは現実の問題として解決しなければ、せっかく高いはしご車を持っても宝の持ちぐされみたいな形になってしまうわけですから、それが十分機能を発揮できるだけのまわりの整備ということ、周辺の整備、こういうものが必要だと思うのですね。その周辺の整備の例として、電線あるいは道路の問題、これを取り上げたわけなんですが、そういった点について消防庁はどういうふうに考えておるのか。どう解決していこうと考えているのかですね。
  58. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) ただいま御質問の問題は、まさに実は現在私ども東京消防庁と御相談をいたしております焦点の問題の一つでございまして、おっしゃいますように、はしご車が幾ら整備できましても、いざというときにこれがかからなければしょうがないわけでございますが、最近東京消防庁が管轄内の四階以上の中高層の建物につきまして調査をいたしましたところが、大体四割近いものがいざというときにはしご車がかからない。こういう結果が出てまいりまして、私は実はたいへん意外というか、りつ然といたしたわけでございますが、この中にはいわゆるマンションでありますとか、アパートも入っているわけでございます。そのはしご車がかからない理由というものを多少分析をいたしてみますと、一番大きい理由あるいは原因が、ただいまおっしゃいましたように電灯線、電話線でございます。それからその次が道路が狭いとかあるいは地盤が軟弱である、あるいは道路に傾斜がある、そういう問題でございます。そこで東京消防庁といたしましては、さっそく東京電力、電電公社、それから道路管理者であります東京都の当局というものに具体的に連絡をいたしまして問題の解決を進めようといたしております。しかし、この問題は、消防という狭い領域で問題を考えるのではなくして、都市の安全といういわば都市づくり、都市計画というようなものの中に安全という考え方が入っていかなければ根本的には解決をしないと思うのでございます。そういう意味合いで、消防関係の安全という要素を都市計画の中に入れてほしいということで、私どももいろいろ建設省あたりとも接触をいたしておりますけれども、とりあえず具体的にはただいまお示しのような事実はそのとおりでございまして、東京電力なり電電公社なりあるいは道路管理者なり、具体的にその施設を管理をしております者に連絡をいたしまして、とにかく宝の持ちぐされにならないように措置をいたすように現在とり進めているわけでございます。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ消防庁ありがとうございました。  次は、交通問題ですけれども、一日に全国交通安全運動が終わったわけなんです。で、全体的な結果は非常によかった。事故件数も少ないわけです。また死亡者の数も全体的には減っておる。こういうことなんですけれども、しかし、ただ遺憾なことは、子供それから老人、この死亡については昨年よりも数がふえておる、こういう事実が生まれてきているわけですね。特に子供と老人がふえてきているというその原因はどういうところにあったのですか、その点についてひとつお答え願いたい。
  60. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) いま先生から御指摘がございましたように、秋の安全運動、この十日間に、全般的には一〇数%の交通事故による死傷者の減がございました。その点非常によかったと思いますが、子供、特に幼児の交通事故が昨年に比べて非常にふえておるという点を非常に憂慮しておるわけでございます。六十歳以上の老人につきましては、昨年に比べて減っております、わずかでございますが。したがいまして、問題は子供、特に幼児の交通事故に対する対策の問題だと思います。十日間のことでございますから、まあそれだけで評価もできないと思いますけれども、私どもが憂慮いたしておりますのは、ことしの初めから九月までに至ります間においても、幼児と小学生の事故だけが、全体が減っておるのに、わずかでございますけれどもふえておる。この点で現在私どもとしてはいろいろ問題があると思いますが、どうも的確にこれが原因だというのがつかめないので困っております。さしあたりこの秋の交通安全運動期間中の十日間に発生いたしましたお年寄りと、それから幼児の交通事故でなくなった方のケースを詳細にいま調査をいたしております。もう少し具体的な個々のケースを掘り下げて調査をして、そしていままでいろいろやってまいりましたけれども、何らかさらにきめのこまかいいろんな手を打っていかないと減らないんじゃないかということで現在調査いたしておりますので、調査結果ができましたところで、また具体的な施策をさらに打ち出してまいりたいと、そのように考えております。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 小学生の死亡事故は東京ではゼロであったわけですね。これはスクールゾーンの設置、これが非常に効果があった。まあこういうことです。これはあれですか、全国的にいって、この東京の場合と地方の場合ではその設置率ですね、これは相当違うものですか、   〔委員長退席、理事柴立芳文君着席〕 大体平均したものなのか、その点についてひとつ。
  62. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) この春の安全運動から全国的にスクールゾーンをつくって、そしてスクールゾーンの道路環境の整備をすると同時に、集中的な安全教育をしていくというやり方を政府として、関係省庁集まりまして、強力に実施をしておるわけでございます。  いまお話がございましたように、東京では実施率と申しますか、すべての小学校の中でスクールゾーン地域指定をしたのが八一%ございます。これは全国平均を見ますと六二%でございます。ただ地方へまいりました場合に、山間部の小学校その他がございますので、私どもとしましては市街地の小学校にはすべてスクールゾーンを設けるようにいま指導をいたしております。具体的にじゃ地方の市街地の実施率はどのくらいであるかというのはいまつかんでおりませんので、現在秋の安全運動の実施結果の報告の中でそれをいまとっておりますので、いずれまとまるものと思います。大体そう差があるとは私ども思っておりませんけれども、問題は、道路交通環境の整備に要する費用のかけ方はやはり財政力によってある程度左右されておりますので、そういう点のないように道路管理者のほうとも十分協議をして、金のないためにスクールゾーンができないということのないように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に、これ交通関係、犯罪関係なんですけれども、よろしいですね。  現在、指名手配をされている対象がどのくらいあるのか。指名手配をされておるということは、あの資料いただいているのですが、関係が違いますか。
  64. 片岡誠

    説明員(片岡誠君) 刑事局長の担当でございますけれども……。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 おいでになってない−・−・、それじゃだめですね。これ頼んであったんだけれどもね。それじゃお聞きしてもわからぬでしょうからけっこうです。
  66. 占部秀男

    ○占部秀男君 木村公安委員長に時間の関係もありますから緊急の点だけひとつお尋ねをしておきたいと思います。  それは私の手元に、いま九月二十八日付の各新聞の切り抜きその他あるわけですが、委員長は二十七日の午後、滋賀県警察本部の職員あるいは警察官等を集めて訓示をされておるわけですが、その中で、「共産党や社会党、連合赤軍などは、平和の名の下に人を傷つけたり、殺したりして、平和を概念でつかんでいるだけだ」、こういうようなことばが中にあったように思います。この新聞に出ております。もし、これが事実であるとすれば、これは非常に大きな問題で、黙視し得ない問題であります。こういう事実は公安委員長はあったんですか、ないのですか。その点をお伺いいたします。
  67. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 私は、いま各府県の警察を回って歩きまして、そして人命ほど大切なものはない、したがって人命には全力を尽くしてもらいたいと。とりあえず交通事故死だけは毎年一割ずつ減らしていく、そして十年の後には交通でなくなる者はいなくなると。それが主軸になって海で死ぬ者や山でなくなる者や、それから公害なんかでなくなる者がいなくなってしまって、事故死のない日本というものをつくり上げることができたならばすばらしいだろうと。だから、どうか警察官諸君は、平和とは何だと言えば生命尊重なんだと、その生命尊重の手始めは、まず警察官として交通事故死をなくすようにしてもらいたい、治安だけが警察の全部じゃない、大きな人命救助という問題があるのだと、それが人類の大理想なんだと、こういう話をして歩いておるんですよ。そして滋賀県に行ったんですが、その滋賀県に参りましたときに、いま占部委員のおっしゃったように、社会党、共産党、連合赤軍と、そのときに私は、共産党、社会党は別としてと、こういうことばを自分では言ったつもりだったんですよね。ところが聞いておった人はそういうことを言わなかった、それは新聞記者諸君だったんです。演説が終わりましてから新聞記者諸君が三人たずねてまいられまして、三者を同一に扱ったのはどういうわけだと、こういうような質問をされたんですわ。それですから私は、そういうふうに同一に扱ったとは思わないと、私は共産党、社会党は別として連合赤軍というように区別して話をしたつもりだったけれども、そう聞かなかったのかと、こう話をしたところが、そう聞かなかったと、こういうことだったんです。そうでありまするから、そうだとすればたいへんなことだから、そのところは取り消してもらいたいと、こう言って私は新聞記者諸君に取り消しをお願いしたんですよ。ほかの人——まあ警察官それからほかの人々はそこのところを素通りされたようなんですけれども、記者諸君はそこを素通りされなかったのであります。そいつを質問されたものですから、私は、そいつは取り消してもらいたいと、全然本意じゃないんだと、こういう話をして、取り消ししてくださったと思ったところが、翌日の新聞にそういうことが出たんです。そういたしますると、公党を傷つけてまことに申しわけなかったと、こういうわけで、翌日は京都に参ったんです。その京都で、新聞記者会見の席上であらためてあのことは取り消しさしてもらいますよと、こういうことをすなおに申し上げた事件なんでありまして、全然本意ではないと、そういうことは何も必要としないことば、形容詞だったものですからね。全体をお聞きになりまするとよくわかりまするけれども、何で一体そんなところでそういうことばを使ったのか、私自身としてもおぼろげなんでわかりませんけれども、ただ、私自身として配慮したものがあったんじゃないだろうか。そいつは京都がああいうような場所であったものですから、それでああいうような場所に行ってそういうような話をしなきゃならない。それで私は、警察官にそう言っておったのは、取り締まりの対象に当たっておる人が警察官で、その取り締まられる中にたとえば連合赤軍とかそういうものがあると、そういうような人々とのいさかいの中で平和などというものに対する概念が曇ってくると困ると、こういうわけで私は非常に心配してしゃべったつもりだったんですけれどもことばが足りなかったと、こういうわけでまことに申しわけなかったと思っておりまして、こっちへ帰ってまいりましてからも、さっそく石橋書記長に謝罪をしたような次第だったんであります。
  68. 占部秀男

    ○占部秀男君 いま大臣は、全然本意ではなかったと、こういうふうに言われるんですが、私は社会党、河田さんは共産党なんですが、大臣が言われたことをすなおに受け取ることはなかなかできないんです。いま大臣が言われた人命を尊重し、たとえば交通事故あるいは山の遭難、こういうような事故をなくなさそうと、こういうことで大臣が訓示をされたということは、これはもちろん国家公安委員長としてはやるべきことであると私は思うんですよ。それは非常にいいことだと思うんですよ。ところがその中に、大臣は、社会党、共産党は別としてということを入れようと思ったんだがと害われましたけれども、事故死や何かと社会党、共産党とは何ら関係がないんだ。突如として、赤軍の前に社会党、共産党ということばが出たこと自体が私はおかしいと思うんですよ、率直に言って。交通問題、特に人命尊重のための交通問題を中心に、山やその他で事故死する人をなくなさそう、こういうようなら、すんなりとそういうようにあなたは言えばいいわけなんだ。それをわざわざ何の必要があって社会党、共産党を入れたのか、これが私たちはわかりません。この赤軍関係は確かに警察官も殺し、ああいうような大ぜいの人たちを殺しているんですから、いろいろと委員長としての立場からいうとあるでしょう。しかし、私どもは一揆をするために政党をつくっているんじゃなくて、しかも合法政党なんですよね。そういうものの名前が突然出たということは、われわれはどうしても承服できないんですよ。そこのところを、大臣はどういうわけでそういうことばが出たのか説明していただきたいと思います。
  69. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 最初からこういう話をしているものですからね、お互いがこうして国家生活を営んでおりますると、その時代時代によって国家目的というものは違う。それで、いまから二十七年前の国家目的と現在の国家目的というものはまるっきり違うんだ、二十七年前の国家目的というものは、国防国家として世界一になろうという国家目的を持っておったんだ、その時代の人間に対する価値観というものは、人間は尊重しなかったんだよと、それから新しい時代というものは、もう平和国家になったんだから、そうして国が平和国家になったんですからその平和主義者としての行為が望ましいんだと、ところが、平和というものに対する概念というものはわかっておるようでわからないことがあるんだと、そういう話の中にそのことばを私使ったんですよ。そこで、私が京都に出かけていくときに何でそんなことを−どこでも話をしていないんです、ほかでは。その話をしておりませんのが何で一体そんなことばを使ったのか、自分ではほんとにはっきりしておりませんけれども、御承知のようにあそこはああいう場所でしょう。京都、関西方面は、特に連合赤軍なんかの根拠地は向こうのほうにあるんだと、こういうような頭があったものですからその話をしようと、こういうように思ったんじゃないか。そのときに共産党と社会党を一緒にされては困ると、そういう関係で私は、共産党、社会党は別ですがという特別なことばを使ってしまったと、その使ったときに、その別ですがということばが聞こえなかったと、こういうような記者諸君の感じだったんですよ。警察の人に聞いてみましたけれども、そういうところは一つも重要視しないで、前段の人命尊重のほうだけすなおに受け取ってくださいましたけれども、やっぱり第三者として聞いておられた新聞記者諸君はそこを非常に重要視されて私にそういう質問があったと、それで私はびっくりして取り消してくださいよと、こういうことを申し上げたと、こういうことなんですよ。
  70. 占部秀男

    ○占部秀男君 何でこういうことをある程度しつこいような形でお尋ねをするかというと、これは委員長、もちろん私が言うまでもなく、警察法の第五条では国家公安委員会の職務と権限の問題がうたってあるわけですね。国の公安に関する警察運営をつかさどるのが国家公安委員会である、しかも委員長はその公安委員会をいわば代表する者である、委員会の会務を総理するということになっている。そうすると、国の保安を維持する一番トップが委員長であるということになっておるわけです。ところが、その委員長が、もし社会党、共産党、連合赤軍、こういうものを並立に考えておられるとしたならば、今後取り締まりの対象となるときに、非常に治安を維持するという名前で警察行政の行き過ぎが出てくるのじゃないかと、そういう点を私は心配するので、委員長に重ねてこう聞いておるわけなんですが、いま委員長は、社会党と共産党と連合赤軍を一緒にしちゃ困る、そこで別という——社会党、共産党は別だが連合赤軍云々と出、占おうと思ったのだと、こう言うんですけれども、その場合でもおかしいんですよ。社会党、共産党は、何も委員長から連合赤軍は別だと言われなくとも、これはもう天下の公党として連合赤軍と別であることは国民がみんな知っているんですよ、逆に。まあこれは具体的な例をあげれば幾らでもあげられるのですが、自民党さんのほうで、連合赤軍のようなものが社会党、共産党じゃないかと言って宣伝をしておる事実はたくさんあるのです。選挙のときでもそうですし、あの連合赤軍の問題が起きたときにもそうなんだ。私は、木村委員長が自民党さんのそういうような宣伝に忠実に、こういう問題をペロッと出してしまったのじゃないか、委員長という考え委員長という立場を忘れて選挙運動かなんかのような気持ちで正直に出しちゃったのじゃないかと思うのですけれども、そういう点、いかがですか。
  71. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) そんなことは全然ありませんです。私の心の中に、社会党が連合赤軍なんかと同じであるなどという気持ちは全然私は持っておりませんし、また警察当局にもそいつは私はないと思っております。それだけは確信を持って言えることなんであります。ただ、いままでの自由民主党の宣伝の中にそういうようなものがあったとか、それからそういうような演説をしておった人がおったとかいうようなことはあるだろうと思いまするが、私は自分であっちこっちで演説をやります、いままで国家公安委員長にならない前でもいろんなことを言います、やりますけれども、他会派の批評をするということは非常に慎んでおります。自分のほうの話はやりますけれども、他会派の批評をするということはうんと慎んでおります。それから演説の内容なんかも、人と全然別な内容の話をしておりまして、たとえば日本から事故死をなくそうじゃないかとか、世界一の道徳国家になろうじゃないかとかと、そういうことを中心にして話をして、それじゃ票にならないぞとばかり注意されるのでありまして、そういうことは私は全然考えておりませんから、どこかに措っておるのじゃないかなどと考えないでくださいまして、ほんとうになかったのであります。ただ、ああいう場所に行って警察官に話をするものですから、それを、自分たちが対象としておる者の中にそんなことを考えられちゃいけないというようなくだらない配慮だったかもしれませんけれども、それがあったのじゃないだろうかと思いまして、全体の話からして、少しもそれは必要のない形容詞だったものですから、私はそれ以後全部やめておりまするし、それ以前もそんな話はしたことがないのです。本心であったならば私は最初からそういう話をしておりまするけれども、そんな考えは全然ありませんから、社会党に対して片りんもそんな疑惑も疑いも何も持ってないということだけは、どうかお認めくださるようにお願いを申し上げておきます。
  72. 占部秀男

    ○占部秀男君 河田委員があとやるわけですから、時間の関係もありますから、委員長も四時までということですから、私は結論的に言いますが、お聞きしますが、いま委員長は、そういう考えは毛頭持ってないと、こういうふうに言われたわけですが、われわれも委員長の言われたことをすなおに聞けないようないま段階にある。  そこで一つは、今後の警察行政の対象の問題としての社会党あるいは共産党の問題なんですが、まあ社会党の中にも——これは共産党は知りませんけれども、わが党の中にも、たまには党員がけんかをしたり、あるいはまた幾らか騒いだり、こういう者があるいは、多くの党員ですから、何万、十万幾らという中には原則の例外というやつがあるかもしれません。しかし社会党は合法政党であるし、組織なんです。組織と個人とは、これは個人が組織をつくってるのですけれども、社会党という人格はまた別なんですよ。社会党の機関が、人を傷つけたりあるいは騒ぐことを指令して、そしてみんな騒いだというならば、これは社会党は人を傷つけあるいは騒いだりする政党であると、こういうふうに言われてもしかたがないと思うのですが、社会党はそんなことは一つ考えないし、いままでもやってないわけです。そこで今後いろいろの問題が起こると思います。特に基地問題など相当いま国民の間でもクローズアップしていますから、そういうような場合に、一々社会党は人を傷つけたり扇動する、そういうような考え方でやられては困るのであって、あくまでも社会党は組織である、組織である機関が中心になって動いているものであるから、そういう社会党であるということをはっきり対象の基礎に置いてもらいたいということを一点申しておるのです。その点いかがですか。
  73. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) やっぱり政党をつくっておりますと非常に数なんですね。それからその数の中には洗練された者もおりまするし、洗練されない者もおりまするし、それから場所場所に行ってエキサイトしてとんでもないことをしでかす者もなきにしもあらずと思いまするし、そういうような現象のために、私たちはそんな考えは毛頭起こしませんから、決して現象をとらえて云々するなどということはこれからも絶対にやりませんし、いままでもやったことはないと思いますよ。それですから、その点はどうか御了解をしてくださるようにお願いを申し上げます。ただ社会党が、あるいは中央委員会とかそれから大会なんかで決議されまして、これから革命政党になるのだと言って天下に宣言されたならばまた別ですけれども、そうでない限りは——私はそんなことがあったとしても、現象をとらえて云々などということは決していたしません。どうかその点を御了承してくださるようにお願いを申し上げます。行動でもことばでも、現象をとらえ上げてそういうような対策を樹立するなどということはこんりんざいやりませんです。
  74. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうもぼくは委員長の言われる筋が、ことばの意味がわかるような気がするから、あえてことばじりをつかまえたくはないが、社会党も革命の政党なんですよ。委員長はいま、社会党は革命の政党じゃないということを言われたが、平和革命の政党なんです。ですから、革命をすることは事実われわれの目標なんですから、したがって革命の政党になった場合にいけないとか、そういうことばは使わぬほうがいいと思います。まあ委員長はおそらくそういう意味じゃないと思いますから、そういう点だけ一つ御忠告申し上げます。  それからもう一つの点は、委員長はそういう気持ちはなかった、本意でなかったと、こう誓われておるわけですが、口から出たことは、これは本意でなかったからということだけでは済まされない。特に国家公安委員長というのは、これは一つのそういう位置があるわけですから、これはやっぱり国会の中でも正式にこの問題を取り消し、それはわれわれのことを言ったことではないと取り消し、社会党、共産党には正式に陳謝すべきであり、また当然そうすべきであると思うのでありますが、その点はいかがですか。
  75. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 社会党に対しては即座に、最初は電話で石橋書記長に、たいへん御迷惑をかけてすまなかったとおわびを申し上げた。東京に帰りましてまたお伺いをして正式におわびをしたいと、こう申し上げまして、石橋書記長は私に会ってくださいましたよ。そして、しかも非常に礼を厚くして、君は先輩でもあるのだからと、こういうわけで、自分の部屋で会ってくださいました。私はそういう点非常に心から感謝しております。それで国会の席上におきましても、やはり謝罪しなければならないことですから、ほんとうに御迷惑をかけたのですから、それは謝罪したいと思っておりますし、あらためてきょうも衆議院の委員会で山口鶴男君の質問に対しましてお答えしながら、なおあらためてあなたを通して謝罪を申し上げます、こういうことも言っておきましたし、あらためてまた占部委員を通して謝罪を申し上げます。これは全く私としては本意じゃなかったことなんであります。  それから革命ということばを使いました。あまり単純にそういうことばを使いますので失敗するのでありますが、私の申し上げました革命というのは、火炎ぴんとか、ああいうものを使った暴力革命を言うのでありまして、平和革命というふうになりますると、それは私たちのほうも同じなのでありまするから、その革命ということについても、そいつはことばが足らなかったと思います。お許しをお願い申し上げます。
  76. 河田賢治

    ○河田賢治君 国家公安委員長に同じ問題についての質問でありますが、まあ先ほど、警察官の幹部を集めた席上での問題は、共産党、社会党、連合赤軍ということを言ってはおったが、しかし、それは社共は別としてということばを入れるのが足らなかったというお話であったわけです。ところが、新聞によりますと、これはやはり京都のほうの新聞ですから、地元の記者が書いておるわけなんです。委員長はその訓示をしたあと、すぐ県警の記者室を訪れて、「こんどは「私が言ったのは社会党、共産党は騒いだり人を傷つけたりする、連合赤軍は人を殺したりする、ということで、社共と連合赤軍とを同列に言ったのではない。災害地などを回っているので疲れている。疲れたときは言葉が不完全になりがちだ」と」、まあこういうふうにおっしゃったらしいのですね。これが委員長の話として出ているわけです。で、この記者が、これはやっぱり大同小異だと、つまり、やはり社会党と共産党は騒いだり人を傷つけたりすると、こうおっしゃった、ここでは。連合赤軍は人を殺したりする。こういうふうに若干区別をされているわけですね。しかし、この記者から見れば、これはやっぱり大同小異だと、こういう評価をしておるわけです。そして委員長が、今度は県庁の貴賓室で行なわれた県政、県警両クラブ合同記者会では、「社共と連合赤軍とは対立しているぐらいだから同等に扱うのは間違いと思う。訓示発言は舌足らずで誤解された」、こういうふうにここではまたはっきりおっしゃっておるわけですね。だから、この県警の記者室での考え方というものは大体そう変わらぬわけですね。ただ、人を殺すか、騒いで人を傷つけるか、殺人と片方は暴行、傷害とか、こういうことで区別されておるわけですね。しかし、この記者自身もそういうふうに言っておるように、結局、まあ共産党、社会党は連合赤軍と多少の差はあるけれども、大体同列だというふうな、こういう考えがひそんでおるように思われるわけです。私は、おそらく選挙が、大津の市長選挙でしたか、ありましたので、そういうものが長官の頭にかなり影響しているのじゃないかと思いますけれども、ここでやはり民社党にしろ、公明党なり、それぞれの党をあげつらう、それぞれ批判すべきであって、特に共産党と社会党ですね、ここで出しておられる−だから、そういうのは、やはり委員長の潜在意識の中にあるのだと、私たちはこう見ているのですけれどもね、少し酷なようでありますけれども。この点はどうです。
  77. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 先ほども占部委員に対しましてお答えしたとおりなんでありまして、私のあいさつが終わって、しばらくたってから、新聞記者諸君がお目にかかりたいと、こう言われて見えてお目にかかったときに、そういうことをまあ言った、言わないと。私は全然そういう気というものはなかったものですから、そんなことは言ったはずがないかなあというような−話の中で、その騒いだり、傷つけたりというようなことの中に、もう一つ、別としてということばを私言ったはずなんですよ、それは。ところが、新聞に書かれていなかった、こういうことでありまして、自分としてみては、それからあとからも、そばにおった者に、言わなかったんだろうかと、こういう話をしてみたんでありまするが、まあ、確かに言ったと思いまするけれども、これは内輪の者が私のことを悪く言うはずないから、そんなことを言ったといたしましても、あらためてそいつは取り消しをしなければならないと、こういうわけで、翌日京都の記者会見において取り消ししたと、こういういきさつなんであります。  それから、その私の意識の中にそういう気持ちがないということは、一番最後にこういうことを述べておるんです。私は、理想としておるのは、内に争いのないH本の建設だと、したがって、どのような問題でも共産党、社会党と話し合いをしながら解決していきたいという熾烈な気持ちを持っておると、そしてほんとうに内に争いのない日本をつくってみたいんだと、そいつを最後に書っておるんですから、私は言わないと言えばそれまででありまするし、そういうことを顧た言ったと言えばそれまでなんでありますけれども、私の真意は決してそうじゃないということだけは御了解してくださるようにお願いを申し上げたいのであります。
  78. 河田賢治

    ○河田賢治君 先ほど、公安委員長の職責については、占部委員からも誓われたのですが、御承知のとおりに警察法の、まあ警察官が特に職務を遂行するにあたって第二条で規定されているのは、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもってその責務とする。」、第二項で、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」、さらに第三条、「服務の宣誓の内容」、「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」、こういうふうに厳格に警察官の職責を規定しているわけです。そういろ警察官をいわば指導し、監督されるあなたですね。あなたが、こういう警察官の席上で公然とそういう問題を出されているわけなんです。その点は、まあことばが若干入らなかったと言うが、共産党、社会党、連合赤軍というふうにほぼそれらを並べられて、いかにも共産党やあるいは社会党も違法的なそういう諸活動をしておるような印象を訓示の中で与えられているわけです。この点は私たちは、さっき公安委員長から言われましたから、まあそれとして受け取りますが、しかし翌日、社会党の京都府本部の坪野委員長、それから共産党の京都府委員会の広田常任委員、この二人が委員長に会って、これに対して委員長は、「ご迷惑をかけて申しわけない。あの発言は全面的に取り消す。東京に帰れば、それぞれの党本部におうかがいしておわびしたい」と、こう述べられておるのですが、これは事実でしょうか。
  79. 木村武雄

    国務大臣(木村武雄君) 事実であります。そして、帰りましてさっそく社会党の石橋書記長にお目にかからせてもらったんですよ。それから不破書記長にもお目にかかっておわびを申し上げたいと、こう思って何べんもその連絡をとったのです。ところが、その連絡がつかないままで今日にきておるんであります。そうでありまするから、連絡がつき次第私は不破書記長にもお目にかかりまして、京都で約束したことでもありまするから、おわびさせてもらいたいと思っております。
  80. 河田賢治

    ○河田賢治君 まあ京都で約束されたのですから、やはりそのことは特に公平中正を旨とする、それを取り締まられる公安委員長なんですから、みずからやっぱりそういうことは実践してもらいたいと、こう思うわけです。  以上で終わります。
  81. 柴立芳文

    ○理事(柴立芳文君) それじゃ木村公安委員長けっこうです。
  82. 河田賢治

    ○河田賢治君 若干東京都の財政問題について、私もあまり詳しくはないんですが、それにまた準備が不十分なんですが、特に東京都が、まあ御承知のとおり、都とそれから区との事務、財政、こういう問題についてのいろんないま問題があり、さらにある一定の区が自主的な財源を持って広範な自治権を行使するという場合にはかなり問題があると思われますので、この際、二、三の点について質問したいと思うんです。  地方交付税の算定方式というようなものが御承知のとおりあるわけですが、東京都は、例の市町村とそれから二十三区というような特別な区を持っております。その結果、地方交付税というものが東京都は不交付団体になっている。これはまあ大阪、愛知などもそうですが、ここで非常に内部からの要請等もありますが、御承知のとおり、他の府県では府県分と大都市分を分離して交付税の算定を行なっておるわけですが、その結果、府県が不交付団体でも大都市は交付団体と、こういうふうにして、ある程度財政の調整が行なわれている。東京の場合は、二十三区の事務の一部を都がかわって行なっていることを理由に、交付税の算定は府県分と大都市分が合算されて計算されておる。このため実際交付さるべき大都市二十三区分の交付税をもらえない。この合算方式によると損失が非常に大きいというととがいわれているわけです。四十六年度でも、府県分の基準財政需要額が二千九百八十二億、大都市分が二千七百十三億ですが、基準財政収入額が府県分三千六百七十八億円、大都市分が二千百六十九億、交付基準額が府県分六百九十六億、大都市分が五百四十四億、こういうふうに四十六年度では五百四十四億円の損失ということになっておる。四十七年は同様な計算をしまして、一々言いませんが、四百七十億と、まあこういう結果が出ているわけですね。で、こういう点からしまして、都が大都市行政の一部、まあ交通とか消防、警察、衛生等を府県の行政とあわせて行なっているのは事実である。しかし、四十年以降事務委譲も相当進んで、特別区が大部分の都市行政をになっている実態から見て、交付税の合算方式というものは再検討すべきじゃないかというふうに一つ考えるわけです。少なくとも今後事務権限の特別区への委譲が大幅に進んだ段階では合算方式を廃止すべきだと考えるわけですが、検討するお考えはありませんか。この点をちょっとお伺いしたい。
  83. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) いま御指摘になったようなことがあるわけでございます。この基本にありまする考え方といたしましては、これはもうくどくどしく申し上げる必要はないと思いますけれども、やはり東京都の都と特別区、こういったものとの関係と、たとえば大阪府と大阪市、こういうものとの関係考えてみました場合に、東京都の特別区の場合におきましては、やはり都と一体となりまして首都という大都市行政というものを行なっている。そういうことでございまして、結局この特別区というものを完全に市町村と同一の考え方で処理してまいるということがかえって大都市としての実情に合わない。そういった考え方から、たとえば清掃事務でございますとか、あるいは消防でございますとか、あるいは都市計画でございますとか、保健所の行政でございますとか、こういったものは都がやっておるという面があり、他方におきまして、税の面におきましてそういう実情があるものでございますから、かつては東京都が、市町村税でありますところの、いわゆる特別区がどういうものを課税するかというのは東京都の条例にゆだねておった時代がございます。それが、ただいま御指摘になりましたように、昭和三十八年に特別区への権限委譲、権限強化ということがございまして、そこで特別区が取れる税目というものと、それから都が取る税目というものを法定をいたしたわけでございます。その場合におきまして、本来市町村税でございますところの市町村民税法人税割と固定資産税、これは都が徴収をいたしまして、その一定割合と特別区の納付金というものを合わせましていわゆる特別区財政調整交付金の原資にする、こういうことになっておるわけでございます。これはまあ率直に申しまして、非常な知恵の所産といいますか、特別区というものと都というものとの行政の一体性というものを保持する上からとられた非常に現実的かつ知恵の所産だというふうに考える次第でございます。で、この点につきましては、そういう考え方に私ども立っておるわけでございますので、その基本的な特別区と都との関係というものを前提として考える場合におきましては、いまの財政調整交付金の仕組み、その前提になっておりますところの都・区財政調整制度、あるいは固定資産税とか法人税割を都が徴収しておる、この基本的なたてまえというものはくずす必要はない。ただ、特別区へ今後さらに事務の委譲というものが行なわれる場合におきましては、いまの特別区への財政調整交付金の原資になっておりますところの固定資産税あるいは法人税割、現在は、今年の場合は三六・七五%になっておるようでございますが、この率を調整するということによって必要な財政の調節ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  84. 河田賢治

    ○河田賢治君 まあ東京都はそういういろいろな内容的には複雑なものを持っておりますが、いずれにしても、これは東京都の資料で言っているのですが、現在の合算方式の場合でも、東京都の資料によりますと、道路、住宅、下水道、人件費などの単位費用が大都市東京の実態に即して正当に評価され、また、実際に必要な都市的財政需要が正当に基準財政需要額に算定されれば都は交付団体になると計算されているのです。御承知のとおり、東京都は単価が非常に基準財政需要額によりますと低い。用地は高いし、建設費なども他のところに比べれば高いし、したがって態容補正などをやりましてもなかなかカバーできない。こういう実情があって、大体国の基準財政需要額が実際の費用の六割、七割しか見ていない、こういうことを言っているわけですね。ですから、四十七年、これは今年なんですけれども、一兆一千二百四十二億、これが実際の財政需要額、国の基準財政需要額でいくと六千三十六億、こういうふうに非常に大きな差があるわけです。特に法人関係の税収が非常に従来高かったのですが、東京都はドルショックの影響を最も深刻に受けて、このために国は臨時特例交付金や交付税の借り入れなどで地方財源の措置を講じましたけれども、しかし東京都は不交付団体であるというところから、地方財政の危機が非常に東京都は高まっておる。かなり赤字が続いております。ことしの公債費なんかは千三百億ですか、そういう非常に多くの公債を発行しなくちゃならぬ。しかも公債の発行についてはかなり自治省あたり、起債に制限をつけている。そして、しかも国のつまり良質な資金、原資ですね、このほうが少ないですけれども、自由に縁故債やその他で地方で借りられるものがあるにもかかわらず、これに対する制限が非常に多い。こういうことから、ことしの財政状態は異常な公債費の高さになっているわけです。  ですから、こういう点を東京都がいま大きく問題にしているのですが、その中で一つ、二つ例をあげますと、財源調整によってこういう大きな問題をかかえているわけですね。たとえば義務教育国庫負担金、これがいま三十七億六千万円ですか、この負担金なんかも不交付団体だということで、つまり高さが制限されてしまっている。そこで三十七億六千万、こういう義務教育の国庫負担金を支払わなくちゃならぬということになっている。これはまああまりこまかくは私も言いませんけれども、義務教育の学校の、たとえば例を申しますと、定員の実額、これが昭和四十七年で九百三十五億千五百万円ですか、一般の県の方式でいきますと。ところが、これに対して都の定員単価、これは八百五十九億九千六百万円ですか、こういうふうにいろいろ人の数でも押えられている、それから歳出の金額でも抑えられているというふうな一つのあり方があるわけです。これは一つ法律なんかもありますけれども、こういう義務教育なんというものは本来ならば国がすべて支給するというのが一番のたてまえなんですから、特にいろいろなそういう財源によって押えられるものについては、特に学校教育とか子供たちの幼稚園とか、その他こういうものに対してはきちんとやはり国が支払うようなことをすべきだと私は思うのです。昭和二十何年ですか、ごろからの法一律がありますけれども、義務教育の国庫負担の問題、こういうものをひとつ洗い直すお考えはないですか。
  85. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 東京都の財政需要をはじきます場合、ただいま御指摘になりました態容補正で自治体の特殊性というものをできるだけ織り一込む、社会構造的な、あるいは社会経済的な特殊性というものをできるだけ織り込むということを一行なっておるわけでございますが、東京都の場合におきましては、たとえば態容補正でございますと甲の八種地ということで適用いたしておるわけでございまして、一例を申し上げますと、道路橋一梁費でございますと、甲の一種地に対しまして五倍、あるいは都市計画費でございますというと九倍近いいわゆる割り増しをかけておるわけでございます。  ただ、御案内のとおり、交付税の現在の仕組み、釈迦に説法でございますけれども、必要な財政需要額をまるまる取り込むというやり方ではございませんで、標準的な経費と申しますか、というものを一方の基準財政需要に立て、そのかわり基準財政収入におきましては、都道府県の場合でございますと標準税収入の八割、あるいは市町村でございますというと七五%というものを一方に置きまして、その差額で交付税をはじいている、こういうことでございまして、いわばこの税収の二〇%なり二五%なりというものは、これは計算の外に置いているわけでございますので、現実に実決算額というもの、それから基準財政需要の額というものとの間には、ただいまの交付税の仕組みからいたしまするとどうしても合わないところが出てまいる、これはいたし方ないと思います。  それから、結局限られた財源を配分をするわけでございますので、ただいま御指摘になりましたように、義務教育費なりあるいは道路譲与税なり、こういうもので交付制限なりあるいは譲与制限というものがあることは事実でございます。これは結局あり余る財源というもので配分をするということでございませんで、限られた財源というものを非常に財政力の格差のある自治体に配っていく。早い話が、御案内のとおり、税収一人頭の額ではじきますというと、鹿児島一に対しまして東京都は五と、五倍の開きがあるわけでございますので、ある程度やはり財政力によりまして格差がついてまいるということは、私は現在の限られた財源の配分の中ではこれはまことにつらい話でございますが、いたし方ないところではないだろうか。ただ、東京都をはじめといたしまして、大都市の特殊財政需要というものにつきましては、私どもそれなりに基準財政需要額の配分なりあるいは起債の配分なりにおきましても十二分に考えているつもりでございます。大体東京都の場合でも、要望せられる起債というものにつきましては、今年度におきましても最終的には配分をするということを考えているわけでございますし、あるいはまた、先ほどの質疑段階でもお話がございましたが、昨年の事務所・事業所税というものをさらに発展をさせまして、都市整備税というものを明年度創設をいたしたい、これの徴収税額の二分の一というものは、これは徴収地で都市改造、都市開発、そういった都市的な財政需要というものに充ててもらうということで、自主税源の拡充ということも考えている次第でございます。
  86. 河田賢治

    ○河田賢治君 あまりこまかくなってもあれですが、東京都が「昭和四十八年度国の施策および予算に対する要望書」、こういうものを出しているのですが、お読みになったかと思いますが、「財源調整の廃止」ですね、「地方交付税法上の不交付団体であることを理由とする地方道路譲与税等における財源調整措置をすみやかに廃止されたい。」、東京都は「地方道路譲与税の譲与制限、国有提供施設等所在市町村助成交付金(いわゆる基地交付金)の交付制限を受けており、また、地方税源の適正配分を理由に、地方税法上法人事業税の分割基準、たばこ消費税の課税標準の算定方法について財源調整を受けている。」、こういうふうに、かなり数年以前にできたいろんな法律なんかも出して、とにかく東京の税収が伸びるといろんな形の法律がまた新しくできて、そして税源を押えられる。そして、それが必ずしも地方自治体の財源に回るわけでもないのですが、そういうようにして非常に財政需要があるにもかかわらずそれが押えられる。そこで、四十七年だけでも、ここで計算しておりますのは法人事業税百二十五億ですか、都のたばこ消費税、これが十九億、地方道路譲与税六十億、それから基地交付金、これはわずかですけれども一億五千万、合わせて二百七億というふうに書いておるわけです。地方道路譲与税あるいはまた法人事業税なんかも幾多の段階で改正されたわけですが、こういう問題に対して、都は非常にこれを何とかしてもらいたいというふうな要望を持っているのですが、これはすぐの問題ではありませんけれども、次の国会などにおいて、こういうものについて——大都市も、過疎地帯もそうですけれども、だんだん御承知のように、経済界のショックなんかで大きな赤字をかかえておる、それからまた、やる事業が非常に今日はふえてまいっております。そういう関係から、こういう都の要望に対して、ある程度これらの諸法律を若干でも改正して地方自治体が潤うような方向に、大都市と限らず、不交付団体四つばかりでありますけれども、こういうものについてのお考えがあるかどうか、ひとつ聞いておきたいと思います。
  87. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) いま私ども地方財源の問題で頭を痛めておりますのは、やはりまず三千の地方団体配分すべき総額というものをいかにしてふやすかということでございます。それを配分いたします場合には、これはもう容易に想像がおつきになりますように、結局いわゆる財源の豊富なところからは、それだけ仕事たくさんあるんだから税源をよこせと、こういうことでございますし、あるいはまた財源の枯渇をいたしておりますところの大多数の地方団体、まあ財政力指数でまん中ぐらいから下、五割以下の団体、こういうところでございますというと、これはまあおれたちのほうはもともと税源がないんだからできるだけ交付税をふやしてくれ、譲与税をふやしてくれ、こういうことになるわけであります。したがいまして、まあ私ども財源の適正な配分という場合に、やはり基本的にはまず地方財源の総量をふやす、地方財源の総量をふやします場合にその一つ方法として都市税源の充実、これはもう当然やらなければならない問題であろうと思います。そういった意味合いにおきまして、私どもが当面取り組みたいと思っておりますのは、先ほども申しました都市整備税であり、あるいは市町村の道路目的税であり、こういうものでございますれば、これはおのずからそれぞれの既成大都市というものにかなりのものが落ちてまいるわけでございます。ただ他方におきまして、譲与税とかあるいは国からの交付金、こういうものでございますというと、ある程度財政力の格差というものに対応して、財政力のあるところには比較的薄く、財政力の弱いところには比較的厚く、こういう配分をどうしてもこれはやらざるを得ない。それから先ほど法人事業税の問題がございましたが、これは配分基準というものが現実に、たとえば生産工場でございますと、付加価値を生み出しておる、生産を行なっておるところに現在の配分基準であればうまく流れない、むしろ管理部門の多いところに流れる、こういうむしろ事業税のあり方の問題としての配分基準の適正化ということでございまして、これは何も不交付団体なるがゆえにその税源を削る、そういう考え方ではございませんで、むしろ配分の適正化という一−たばこ消費税でもそうだと思いますが、高いたばこを吸う人はどうしても都会地に多い、安いたばこを吸う人はどうしても農山村に多い、そういうことになりますというと、やはり本数割りで配分をしたほうが適正に配分ができる、この辺のところはやはり租税政策上の問題だろうと思うわけでございます。まあいずれにいたしましても、全体的に大都市に対しまして自主税源を付与する、あるいは私は、現在の大都市問題という問題を考えます場合には、もっともっとやはり公債への依存度というものを高めてもいいのではないだろうか。そういう意味合いにおきまして、公債の発行配分ということにつきましては思い切ってやりたいという気持ちを持っておるわけでございますが、現在その他のとられておりまする、たとえば義務教育費なりあるいは道路譲与税なり、こういったものの譲与制限あるいは交付制限というものにつきましては、来年度からこれを改正するということにはとてもならないだろうと思います。
  88. 河田賢治

    ○河田賢治君 とにかく、まあ昭和三十五、六年から七、八年ごろできた法律というのは、日本経済が非常にいびつなときですから、やはりそれ以後、経済発展、それからそれに伴う税収または税の配分、いろいろあると思うんですよ。けれども、どうも学校なんかの問題をあんまりお粗末にしちゃってね、社会保障の問題も確かに重要な問題ですが、同時に子供の教育ということは非常に重要なんですね。そうすると、やはり教育費なんかも、ある程度地方団体が困るようなときは、これはやはり財源を押えたり頭を押えるということでなくて、それはできるだけ出していく。そして、まあレジャーとかなんとか、自治省も今度はだいぶそのほうへ力を入れられようとしておりますけれども、そういうものは多少、一年、二年、ところによっちゃ延びてもいいものもあると思うのですよ。そういう配分が、対象によりまして、何が国にとって大事かというような問題が、どうもあんまりないように思うんですよ。やはりそういう点をひとつこれから行政の中で一また新しく今度は特別区が多少の自主財源を持つというようになりますと、いろいろまた特に東京都は問題があるでしょうが、しかし、ある程度財源をどんどん必要なものは補給していきませんと、さっきも申しましたように、東京というのは日本の顔なんですから、こういうところは自治省でもいろんなもう少しこまかいことを考えていただく、そういう道を開いて、そうして東京があんまり問題を起こさぬようにひとつやってもらいたいと思うんですよ。  以上でもって私の質問は終わっておきます。
  89. 柴立芳文

    ○理事(柴立芳文君) 本件に対する調査はこの程度とし、本日はこれにて散会をいたします。    午後四時七分散会