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1972-09-19 第69回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十九日(火曜日)    午後零時八分開会     —————————————    委員長異動  七月十二日前田佳都男君委員長辞任につき、そ  の補欠として藤田正明君を議院において委員長  に選任した。     —————————————    委員異動  七月二十六日     辞任         補欠選任      大竹平八郎君     土屋 義彦君  八月十日     辞任         補欠選任      竹田 四郎君     小谷  守君  八月十四日     辞任         補欠選任      棚辺 四郎君     船田  譲君  八月二十九日     辞任         補欠選任      土屋 義彦君     上原 正吉君  八月三十日     辞任         補欠選任      上原 正吉君     土屋 義彦君      小谷  守君     竹田 四郎君  九月十三日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     向井 長年君  九月十四日     辞任         補欠選任      向井 長年君     栗林 卓司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 正明君     理 事                 嶋崎  均君                 土屋 義彦君                 戸田 菊雄君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 河本嘉久蔵君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 船田  譲君                 竹田 四郎君                 成瀬 幡治君                 松永 忠二君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  植木庚子郎君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        大蔵政務次官   大村 襄治君        大蔵政務次官   山崎 五郎君        大蔵大臣官房審        議官       藤岡眞佐夫君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省関税局長  赤羽  桂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○租税及び金融等に関する調査  (財政及び金融等基本施策に関する件)     —————————————
  2. 藤田正明

    委員長藤田正明君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  議事に入るに先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  前国会の最終日の本会議におきまして、当委員会委員長選任をされましたが、ごあいさつを申し上げる機会もなく今日に至りましたことをまずおわび申し上げます。  このたび委員長の席を汚すことになりましたからには、中立公正かつ円満なる運営を心がけてまいりたいと存じますので、皆さまの御協力を衷心からお願いを申し上げる次第でございます。     —————————————
  3. 藤田正明

    委員長藤田正明君) それでは、これより議事に入ります。  まず、委員異動について報告をいたします。  去る七月二十六日、大竹平八郎君が委員辞任され、その補欠として土屋義彦君が選任をされ、また、去る八月十四日、棚辺四郎君が委員辞任され、その補欠として船田譲君が選任されました。     —————————————
  4. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、理事辞任の件についておはかりをいたします。  柴田栄君から、文書をもって、理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  ただいまの理事辞任及び栗林卓司君が一時委員異動したことに伴い、現在理事二名が欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事上屋義彦君及び栗林卓司君を指名いたします。     —————————————
  7. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  この際、植木大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。植木大蔵大臣
  8. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 遅刻いたしまして、申しわけございません。  先般私は、はからずも大蔵大臣を拝命いたしました。わが国が、内外にわたってのきびしい試練に直面している時期におきまして、財政金融政策運営に当たるべき責任の重大さに胸を痛めておる次第であります。願わくは皆さま方の御理解と御協力を得まして、大過なきを期したいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  よってこの機会に、現下の内外経済情勢並びに財政金融政策につきまして、私の所信一端を述べさせていただきたいと存じます。  わが国経済は、戦後四半世紀にわたる国民各位のたゆみない努力により、目ざましい成長を遂げまして、国民所得水準も急速に向上してまいりました。しかしながらその反面、公害問題をはじめ高度成長に伴う各種のひずみが大きくなるにつれて、これまでの成長あり方に反省が生まれ、国民は、いまや経済量的拡大よりも、成長福祉との調和を求め、真に人間性豊かな福祉生活を待ち望んでおります。  産業の面におきましても、資源を多く消費する産業などには、各種の制約が生じますとともに、他方、新たな需要に即応した新たな産業が生ずるなど、いわゆる産業構造転換の機運が見られるのであります。  さらに国際経済面に目を転じますと、世界貿易に占めるわが国貿易の割合が急速に拡大し、国際収支に大幅な黒字が生ずるようになりまして、わが国国際的協調になお一そうの努力を重ねるよう、強く要請されるようになってきております。  以上のような諸情勢から、おのずから、わが国におきましては、従来の輸出優先産業投資主導型の経済から、生活優先社会投資主導型の経済へとその姿を改めていくべきことを示唆されているように考えるのであります。  次に、昨年末の多角的通貨調整が行なわれました当時には、わが国景気動向について懸念する向きもありましたが、本年度積極大型予算編成や数次にわたる公定歩合引き下げなど財政金融面からの景気対策が講じられたこともあり、その後の国内景気は着実な回復の過程をたどっております。したがって、当面は、なお、景気物価水準動向を慎重に見守りながら、本年度予算の円滑な執行に力を注ぎ、経済安定成長路線に乗せてまいりたい所存であります。  他方国際収支面では、通貨調整後もかなり大幅な国際収支黒字が続いております。通貨調整効果国際収支に浸透するまでには、かなりの期間を要しますことは、おおむね共通した認識となっており、また最近において輸出の伸びの鈍化、輸入増大の動きがあらわれ始めておりますが、黒字幅はなお依然として大きく、これを適正な水準に戻すためには、引き続き、格段のくふうと努力を払わねばなりません。  安定した国際通貨体制と自由な国際経済体制の維持が、世界の平和と経済の健全な発展のため、基本的かつ不可欠な要件たることは多言を要しないところであり、各国とも、おおむねこのような共通の認識のもとに真剣な努力を重ねておりますが、わが国経済の今日の発展は、世界経済拡大自由化の流れの中で初めて達成されたものたることを思いますとき、今後のわが国対外経済政策の展開にあたっては、国際通貨体制の安定につとめ、保護主義経済ブロック化の傾向を牽制し、世界経済の健全な発展に資するため、より広い国際的協調精神に立脚することを基本とすべきだと考えます。先般のハワイにおける日米首脳会談においても、こうした考え方についての両国の理解が深められましたことは、まことに有意義だったのではないかと存ずる次第であります。  政府は、つとにこのような見地から、昨年六月にはいわゆる八項目総合的対外経済政策を、また本年五月には七項目対外経済緊急対策を策定し、各種施策を講じてきたのでありますが、対外均衡を達成するためには、基本的には輸出主導型の経済構造を改めていくことがもっとも肝要であり、この意味において、輸入及び資本自由化関税引き下げ等を積極的に推進すると同時に、発展途上国に対する経済協力の強化などを通じまして、新しい国際分業体制に積極的に参加すべきではないかと考えます。  次に、今後の財政金融政策方向につきまして、一言申し述べたいと存じます。  今後の政策課題の第一は、人間性豊かな福祉社会の建設に積極的に取り組むことであります。すべての国民が快適な生活を営み、効率的な経済活動が行なわれる社会を実現するためには、財政金融政策国民生活質的向上を第一義とした方向転換し、相対的に立ちおくれている生活関連施設中心とした社会資本整備社会保障充実をはかってまいることが肝要であります。  この点につきましては、これまでも、その推進につとめてきたところであり、先般、財政投融資計画追加措置を講じましたのも、この趣旨に基づいたものなのであります。わが国はいまや、充実した経済力国際収支のゆとりを活用し、従来に倍してこれらの施策に取り組むべき時期に立ち至っていると考えるものであります。  言うまでもなく、これらの施策を推進する場合には、財政支出増大が予想されますので、国・地方を通じ、財政効率化を一そう推進すべきはもちろんでありますが、これと同時に、長期的な展望のもとに、国民税負担等あり方につき、本格的な検討を加えるとともに、国債その他公共債による民間資金活用等についても一段とくふうを重ね、公債政策の健全な運営により、民間部門政府部門の間における資源配分適正化をはかる必要があると考えます。  次に、金融政策について申し述べます。  昨年後半以降金融市場は、金融緩和の局面を続けております。このような情勢のもとで、国内景気海外金利動向を勘案しつつ、先般来六次にわたる公定歩合引き下げが行なわれましたほか、預貯金金利中心として長・短金利の全般にわたる引き下げを推進してまいりました。その一環として、このたび資金運用部資金金利引き下げを行ないましたことは、御承知のとおりであります。  今回の一連金利引き下げは、内外均衡の達成をはかる上に、今後大きな効果を発揮していくものと考えておりますが、同時に、金利引き下げ効果預金者を含む国民全体に広く還元されるよう、貸し出し金利引き下げ金融機関大衆化特に住宅ローン充実につき、今後とも十分指導してまいる所存であります。  激動する内外経済情勢に即応し、機を失せず有効適切に金融政策を展開していくことは、今後ますます重要になってまいります。このため、公定歩合の操作を中心とする一連金融政策の中で、特に準備預金制度機動的活用に配意しますとともに、金利が一そう弾力的に動き得るよう、金融環境整備をはかりたいと考えております。  また同時に、わが国資本市場国際的地位向上金融環境変化等に即応しまして、証券市場がその機能を十分発揮できますよう、引き続いてその育成指導につとめたい所存であります。  以上申し上げましたように、わが国はいまや新たな試練転換の時を迎えており、その前途には、早急に解決をはかるべき多くの問題をかかえております。  私は、このような、未来を開く時期にあたり、内においては人間性豊かな福祉社会を建設し、外に対しては国際協調精神をもって世界経済発展に寄与し得ますよう、財政金融政策運営にあやまちなきを期したい所存であります。  皆さま方の御理解と御支援を切にお願い申し上げる次第であります。
  9. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 次に、大蔵政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。山崎大蔵政務次官
  10. 山崎五郎

    説明員山崎五郎君) 先般大蔵政務次官を拝命いたしました。何とぞよろしく御指導、御鞭撻賜わりたくお願いいたします。
  11. 藤田正明

  12. 大村襄治

    説明員大村襄治君) 大村襄治でございます。このたび大蔵政務次官を拝命いたしました。つきましては、誠意をもって職責を遂行いたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  13. 藤田正明

    委員長藤田正明君) それでは、ただいまの植木大蔵大臣発言に対しまして質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  14. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまの大臣発言に、私は直接質問するわけにまいらぬと思う。ということは、大臣の国際的な会議の時間がありますので、与えられた時間、往復で三十分ですから、とてもじゃないけれども基本的に質問する余裕はない、残念ながら。非常に私は不満に感じている。ですから、あらためて基本的な問題質問したいと思いますが、とりあえず、最近田中内閣になってまいりましてから、ぼつぼつ報道関係を通して、政策であるのかないのかわかりませんが、その一端らしきものが報道されている。その中で、私はきょう大臣に伺っておかなきゃならぬ点が一つあります。その点について質問をいたしたいと思います。それは、最近の報道関係、特にそうでありますが、来年度予算編成にあたりまして、来年度税制あり方について税調に諮問したやに報道されているのであります。そこで、私は、新しい大臣ですから、税調に諮問することはこれは当然大臣責任においてやることですから、これは私言いません。言いませんが、少なくとも租税のことですから、いままでこの二十数年間歴代保守内閣が政権を担当してきて、いまの大臣所信表明にもありましたが、幾つかの矛盾が露呈していますね。税制の面においても、たびたびこの委員会においても同僚議員から指摘された点がある。大きな一番目は、何といたしましても、税の負担の公平を欠く、不公平である、これがたびたび指摘されている。そこで私は、この税制改正にあたって、税の負担公平の原則を欠いている、不公平だという原因三つぐらいあると思う。  その一つは、所得の捕捉が非常に困難であるという問題、いつもこれは大蔵省役人諸君が言うことであります。これは端的に大蔵省資料を見ても明らかなように、個人営業農家所得等々は、いまだにかつて一〇〇%納税されたためしがない、大臣承知置きのとおりであります。昭和四十四年度実績を拾ってみますと、わずかに個人事業所得者あるいは農家の方々の納税の実績というのは三一%にすぎない。一面今度はサラリーマン諸君は、御承知のように、これはもう天引きの課税をされるのですね、源泉徴収ですから待ったなしですよ。そうしますと、この面だけ比較してみても、たいへんなこれは矛盾ですよ、ここに一つあるような気がする。  それから二つ目は、土地に対する税制の問題、あわせて医師に対する税制の問題、この問題が不公平のやはり私は原因二つ目だと思う。  三つ目は、法人税だと思うのですね。前は、昭和三十三年ごろ、法人税というものは四〇%課税であった。それがその後いろいろわが国のいわゆる国際競争力をつけるとか、何かいろいろな理由をつけまして、だんだんだんだん税率を下げてきた。それから今日、その当時はそれなりに政策目的があったからやむを得ないとしても、客観的に国際的な産業経済構造も変わっておるし、わが国産業経済構造も変わっている。こういう問題もやはりこの機会に洗い直す必要があるのじゃないか、こう思うのですね。大別してみると、この三つぐらいが税の負担の公平を欠いている最大の原因ではないか、こう思うのですが、大臣、どう思いますか。
  15. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいま御質問にございました税金の問題につきまして、公平な課税ということが一番大事だと仰せになりましたが、全くそのとおりと私も存じます。ただいまおあげになりました四つの例等につきましても、それぞれいろいろな事情から、今日なお不十分として批判も受けたり、あるいはいろいろな不満も申し述べられておりますので、われわれといたしましては、これに対してでき得る限り公平を旨とした内容是正をはかっていくべき当然の責任があると考えておるのであります。ただいまこれらの点について、詳細にどういうことを考えておる、どうこうという問題につきましては、また従来の事務的な経過の次第もこれありますから、これによって、よく事務当局の意見も聞き、改むべきところは、極力あらゆる万難を排しまして努力すべきことは、当然の運営上の心得と考えておる次第でございます。
  16. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 毎回、大臣、こういう委員会でわれわれが尋ねますと、最後はきまり文句のように、努力する——努力するということは、だれでも言えることなんですよ。実行しなければいかぬのですよ、実行。一つ例をあげてみますか——、私は先般、機会がありましてある資料を調べてみたのです。高額所得者の番付などを見て、日本一だといわれる人の所得内容をある資料で調べてみた。これは戸田先生のほうの宮城県、この方は、所有地を売って所得三十九億円ですよ。普通であったらこの人の税金というのは、八割近く本来サラリーマンと比較した場合に納めなきゃならない。ところが、御承知のように、これは特別優遇措置がございますね、税制上。わずか一〇%ぐらいしか納めてない、この人は。これは資料に明らかになっている。地方税含めまして一四%です。こういう実態があるんです。ですから、どんな内閣ができて地価対策努力するとか、物価問題とからめて努力しますと言ったって、現状これがあるわけです。現実にあるわけですね。これなどは明らかにひど過ぎるくらい優遇措置じゃないですか。  それから今度はお医者さんですが、開業医。これなどは毎度この委員会同僚議員から指摘されていることでありますけれども、七二%までこれは課税対象にならない。なっていませんね。そうして今度、一面サラリーマンのほうは、先ほど申し上げましたから御承知おきだと思うんですが、毎回税調税制改正の諮問をいたしますけれども、これは何ら具体的に実行されていない。歴代大臣いずれも努力すると。しかし、この東京都の調査をした資料をいろいろ調べてみた。ところが、今春卒業した中学生税金かかるんですよ。大臣こういうこと知っていますか。今春卒業して東京都に採用された中学生税金かかる。つまり、租税課税最低限を何もいじっていないわけです。同時に、初任給若年労働者が不足していますから漸次上げてきている。こういう中学生税金を納めておって、三十九億の高額所得者がわずか地方税含めて一四%しか納めない。開業医は七二%まで課税対象にならない。こんなことはあなた許されますかね。これはただ一片の努力いたしますということでは私は納得できない。少なくともあなたは税調に諮問したわけでしょう、改正を。私は、大蔵省がいまごろ税調に諮問するなどということは全くおかしいと思う。明らかに税調などというものは、大蔵省役人の隠れみのになっているわけです。端的に申し上げて。こんなことは大蔵省全部知っているんですよ。大臣役人諸君は知らないはずはない。知っているんですよ。やっていないんですよ、これは。たとえば、今度田中角榮さんは五千億減税すると言っている。だれのために減税するか内容は明らかじゃない。今年度減税についてもそうだ。この委員会でいろいろ指摘された事項があって、結果的にどうですか、三百万とか四百万の所得者に対する減税の恩恵がいった。こういうことが今日税負担の公平を欠いているということで、あなたもいま答えられたように、批判——批判じゃないんです、これは。国民の側から見るとたいへんに不満なんです。同時にそのことは、つまり税金を公平に納めることが原則ですから、不公平な現状があるわけですから、私は、担税能力といいますか、能力をこえた場合に、結果的には税金というのはただ取られるんだと、税金を納めることが責任であるというような感じ方が薄らいでいくと思うんですよ。こういうことに対してどう思いますか、大臣
  17. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいま例におあげになりました中学卒業のような、わずかな給与しかもらっておらない者にも税金がちゃんとかかる。そうして一方、何十億の所得がある者に対してその一〇%とか十数%しかかかっておらない、そこには不公平があるじゃないかというお話でございますが、その点は私はいまのお話の、大きな高額の所得を持っていらっしゃる方の所得内容を別に知りませんから、どういうふうな中身の所得の種類なのか、それもわかりませんし、おそらくは税務当局の、これに対する弁解を、私もそういう場合もあるのかと聞いてみたいと思いますが、私はその点については、その意味におきまして、やはり正すべきことは正さなければなりません。そのうち一つ、私の了承している、知っている問題としましては、医業所得、お医者さんの所得の問題、これについては確かに七二%の経費を見ておって、そうして二八%に対して課税が行なわれている。これが法律の上では、当分のうちというので、たしか昭和三十何年のころだったと思いますが、ある時期の間、医業所得内容を、よく実地調査をできるだけたくさんして、なるべく早く一般の所得の計算のしかたと、調査のしかたと同じように扱わにゃいかぬということが、当局からも熱心に主張しておりましたが、なかなかそれが正しいと言える、不公平を除くような制度にまだ変わっておらない、それがたまたまいまなお行なわれているということでございまして、これについては税制調査会におきましても、ここ一、二年来の懸案問題として、これに対してどういうふうにして是正していくかということで御研究を願い、御審議を願っております。これはいずれ早晩これに対する対策が、御答申を得まして、そうしてわれわれ当局といたしましても、よく内容を見せていただいて早く是正をしたい、かように思っております。
  18. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、その開業医のこと、説明されたことですね、それは了解しますが。土地を売った所得内容についてはよう知っていません、こう言っていますが、これは大蔵省の統計ですよ。  もう一回申し上げます。宮城県の会社の社長です。だから先ほどよけいなことだけれども、戸田先生のほうですねと、こう言った。宮城県です。所有地を売ったんです。売って所得が三十九億です。これは本来であれば八割近い税金がかかるわけです。たまたま土地税制の特例によって一〇%より納めない。地方税含めて一四%。大臣、あなた大蔵大臣だてや酔狂でやっているわけじゃない。就任してからかなりたっていますね。役人からいろいろな所管事項を聞くでしょう、一〇%という税率はどの辺かというと、所得税最低限なんです。三十九億も所得した人が——先ほど言ったように、わずか三万か、三万五千ぐらい、ボーナス入れていまの中学生所得というのは年間百万ちょっとぐらいでしょう。この人々に税金がかかるのですよ。最低限の一〇%、わかりますか。その人と同じなんです。三十九億の所得者が。ですから、こういう点はあまりにひど過ぎる優遇措置ではないかということは、いままでも何回もこの委員会で指摘されてきた。だから、幸い税調に諮問したということなんだから、こういう点は一体あなたどう考えて——税調に諮問するまでもないと思う。大蔵省として、来年度予算編成の作業にいま当たっているでしょう、ですから、当然税調にあなた方は諮問をしたということであるならば、こうした税負担が不公平であると、こういう矛盾を直していくというのが、現内閣の任務であり、使命であって、また私は、その内閣大蔵大臣に任命されたあなたの責任じゃないかと思うから聞いているんですよ。わかりますか、こういうことなんですよ。  それから、時間がありませんから、時間を制限されていますから、立ったついでに申し上げますけれども、具体的に、ですから、税調の答申を待つまでもなく、大蔵省、これに対するどういう考えを持っているかということを明らかにしてください。  それからもう一つは、先ほど言ったように、昭和三十三年は法人税というのは、御承知のように、先ほど申し上げたパーセンテージになっている。それが漸次引き下げられた、税率が。で、現状水準になってきている。これはそれなりに私は、当時は政策目的があったから、四〇%を下げてきたと思うのです。しかし、いまはもう客観的にかなりの年数もたっていますから、諸情勢も変わっていますからね。ですから、税制改正するための諮問をしているということになるのならば、私はもとの位置に戻していいんじゃないかと、こういう考え方を持っているんです。なぜこういうことを言うかというと、わが国税金が高い高いと言っていますけれども、こうした法人の関係の税金は安いんですよ。西ドイツで五一%ですから、日本の場合は三六・七%ですが、そうでしょう、大臣。西ドイツでも五一%、フランスで五〇%、アメリカで四八%、英国では四〇%、ちょうど日本の国が昭和三十三年度法人税率としてかけておった税率なんです。ですから、いわゆるGNP世界第二位になったと、いろいろいまあなたの所信表明でも明らかにされたように、国際的にも問題あるわけですね。ですから、昭和三十三年の当時の四〇%に法人税は引き上げてもいいんじゃないか。特に最近の新聞紙上を見ますと、何か減税をやったり、あるいはいまあなた演説しました福祉の関係にしても、いわゆる財源がない。そのために新税などを用意してなどということが新聞等にも報じられていますよ。だとすれば、なおさら私はこういうところに、つまり財源を求められるものがあるんじゃないですか。そういう意味でこれは聞くんですが、どう考えていますか。
  19. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 先ほど私の最初お答え申し上げたのも、納税についての一番大事な、気をつけなければならぬ問題は、やはり公平である、負担の公平を旨としなきゃならぬ、かように申し上げておりますが、その意味におきまして、いまほど幾つかの例をおあげになりましてのお話でございますが、相当の所得の大きい人でありましても、この内容によりますと、やっぱりどの率を適用を受けるかという問題になります部分がございますから、その点ではっきりわからぬ点がありはしないかと思いましたので、私は内容をよく存じませんからと申し上げたのは、その趣旨でございます。そういうようなわけから、私の申しておりますのは、やはり実務の上で事務当局課税内容等を審査する場合においても、同様な気持ちを持たねばなりませんし、法律、制度の上でも、やはりその制度のどういう点に現在のそういうお話しになりましたようなまずい状況が統計上あらわれてくるのかという、あるいは事実上あらわれてくるのかということにつきましては、その税法の至らぬところがどこにあるのか、ないのか、制度としてやむを得ぬという結果になって、そういうような場合が起こるのか、起こるとすれば、さらに制度を補正する、補完するために、税法の改正も必要じゃないかと、こういうふうに考えておりますことだけは申し上げられるのであります。しかし、いまのお話しのように、一々のそのたくさんの例がございます。そうしたものについて、特定のこうこういう所得に対してはこうこういう税金がかかるのだ、それを対象として課税するということになってまいりますと、その場合、それに対しての一律な理論の適用ということも実行しなければならぬ場合もときには起こり得るのじゃないかと私は思うものですから、その点については実務のこと、あるいは税法のことも、実は久しく専門にやっておった時代もございませんから、十分にそのための御納得のいくようなお答えが困難なのでございますが、御指摘の点は十分研究いたしまして、税制調査会でもいろいろお願いをしております点がございますから、ここでまたよく本日の御質問の趣旨を体して、自分としても研究もし、なるべく間違いを正してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  20. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。  ただ、もう少し具体的な点をひとつはっきりさせてください。何か総理の日本列島改造論を見ると、法人税の付加税といいますか、一・七五%を二年間引き上げをやった。その後また昨年二年間の暫定的な引き上げをそのままやったわけです。ところが、あの本を読んでみると、法人税一・七五%はもうやめになると思っていたら、それを財源にして工場追い出し税の財源にしたいということをいっておるわけなんです、具体的にですね。これについて大臣、一体そういった法人税の一・七五%の引き上げというのは、必要だからやったのであって、これをまた引き続いてやるべき筋合いのものであって、それをほかのものに流用するというような、そういう性格の私は法人税の引き上げではないと思う。いまお話しのように、法人税というものは国際的に見ても低い。税制調査会も引き上げなさいということをいっておるわけです。それだからこそ引き上げようとすると、財界の反対でなかなか思うように引き上げられない。ですから、一・七五%二年引き上げた。それをまあ時期が来てもなおかつ必要だから、一・七五%引き上げをそのままにしておくといっているのに、ことしちょうど期限が切れたと思ったら、その一・七五%を財源にして、工場のいわゆる追い出し税の財源にしようなんというようなことを具体的にいっているわけなんですが、一・七五%引き上げということは、法人税が軽いから、それを引き上げる必要があるから引き上げたのか、こういうものを他の財源のほうに回して一体措置をすることが必要なのかどうなのか。これは法人税引き上げの趣旨と違うと私は思うのだが、この点について大臣はどういう見解を持っているのですか。具体的なことを聞いておるのですよ。法人税は軽いから引き上げたらどうだという話がある。片方では、同時にその一・七五%を追い出し税の財源にしたらどうだというようなことをいっているが、もっと法人税を引き上げるべきであるのに、その財源をよそへ使っていって、そういうふうな政策的なものに使っていってあたりまえだという考え方は、明らかに法人税については引き上げの必要なしというような感じに私たちとる。こういう考え方については、あなたは具体的にどうお考えになっているのですか。工場追い出し税の財源、丁七五%の財源を使うことの可否。それをいなというならばその理論的な根拠、よしとするならばその理論的な根拠、そのことを聞きたいわけです。
  21. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいま御質問にございました法人税の問題について、追い出し税云々の問題と関連があり、そして云々というようなお話でございましたが、実は私どもはまだその問題について審議に入っておらないのであります。そして構想といたしましても、いわゆる日本列島改造とかいう問題について、それのために特別な財源を特別な税から求めようとかなんとかいうことについても、まだ研究、検討の最中でございまして、全然まだ成案にはなっておらない。また各省の中でいろいろそうした問題についての御意見を持っておられる責任の方もございますが、これらの問題についても、その構想についてまだわれわれ当局にぜひこういうものを実現してほしいとか、あるいはこれを減じてこちらへ持っていくというような、そういう内案らしきものも、何も実は私の手元にはまだまいっておりません。事務的にはいろいろ研究をそれぞれの省でしておられますから、その結論に基づいてその省ではいろいろのことをわれわれのところにだんだんといま原案を持っていらっしゃるに違いない、そういたしますと、われわれは税の責任官庁として、やはりこれのよしあし、あるいはそれの採否というものを十分研究し、そして審議会にもおかけして、そしてその審議会の了承を得られるに従って、必要なものはなるべく早く手をつける、こういうことになると、こう考えております。したがいまして、追い出し税云々については、全然まだ私どもの構想の段階にも入っておらない、ただそういう考え方の、新聞で拝見しておる程度であります。
  22. 松永忠二

    ○松永忠二君 時間が短いので……。  そういうことを私言っているんではないのです。追い出し税の財源をどこに求めるかということについて、これをいま検討中であるということについては、そのとおりだと思うんです。ただ、具体的に法人税の付加税の一・七五%を、この追い出し税の財源にしたいということは具体的に書いてあるわけなんですよ。こういう見解についてあなたはどういうお考えを持っているかということを聞いている。何もあなたは、いま政府がそういうことに対して、工場追い出し税をどこに財源を求めるかということを私は聞いているんじゃないんです。こういうことを具体的に言っている、この考え方は一体法人税という性格を、法人税の引き上げの必要性というものをいわれている一面から考えてみて、あなたはどうお考えになっているかということを聞いているんです。そんなことは新聞に伝えられていることじゃないでしょう。ちゃんと書いてあることなんです。日本列島改造論にちゃんとそういうふうに書いてある。だから、そういうことについての法人税の付加税をそれに引き当てるなどという考えについて、あなたはどうお考えなっておるかということを聞いているんです。政府がどうするとか、財源をどうするということを聞いているんではなく、あなたはこういう考え方についてはどうお考えになっておりますかということを聞いているんですから、あなた自身のお考え方は言えるはずだと思うんです。それを聞いているんです。
  23. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) そういうお話でございますと、私ももう少し自由な立場でものが言えます。それはなぜかといいますと、いまのお話のような、前回に法人税についてそういう引き上げをしたと、その分をこちらに回して云々ということが、その本に書いてあるというお話でございますが、私はそれも実は存じません。読んでおりません。そうして私はこれについては、私が税の立場で大蔵大臣として考えまするときには、そうすべき特殊な事由がはっきりあるならば、あるいは検討の上で考えなきゃならぬかもしれない。しかし、それを約束して、そして別に目的税になるような云々とか、追い出し税云々ということになりますと、それは私は現在の法人税の一部をさいて、目的税の財源にするということになりますから適当と思いません。この点は私の個人的の見解でございますが、省としてではございませんけれども、私の個人的な考え方としてはさように考える次第でございます。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大臣、国際的にも円の切り上げとか、ドル・ショックの当時もそうでありましたが、非常にわが国法人税が、欧米諸国に比較して安過ぎると、こういう批判を受けておったことは御存じだと思うんです。それは私たちはここでとやかく言うんでなくて、その当時は一定の政策目的を持っておったからやられたんですね。わが国産業経済国際競争力の基盤をつくりあげていく、そのための助成策の一つとしてやったんですから、だから、昭和三十三年の四〇%であったものを、政策的に助成措置をとってだんだん下げてきた、ところが、私がいま言っているように、三十三年まで引き上げてみたって、イギリスと同じなんです。最近とみにヨーロッパ諸国では、日本の企業の国際競争力が強過ぎている、それの最大の原因は、日本政府産業界が癒着をしている、こういう批判をしていますよ。当たっているかどうか別として批判されているんです。そういうこと等を考えてみて、先ほど私が言ったように、比較してみると、確かに日本の場合水準は低いんです。だから、税制改正についてせっかく諮問しているわけですから、そういう点をも、答申を待つまでもなく、大蔵大臣として考える必要があるんじゃないか、こういうことを言っておるんです。  それから、いま関連質問で、松永先生が伺ったんですが、あなたは、日本列島改造論なるものを見たこともない、こうおっしゃっている。見たこともない者にこれは聞いてもしようがないんだけれども、しかも、そういうものは新聞では見ているけれども、考えていないやに聞こえる答弁なんです。しかし、実質的にあなた新聞見ているでしょう、けさのこれは朝日です。この中にも、来年度予算の目玉商品をつくるために、それをめぐって減税福祉かということで、自民党と大蔵省が対立しているということが見出しでこう新聞に出ております。しかも、いま法人税を四〇%から現行三六・七五に下げたというのは、わが国景気動向、特に景気が鎮静化した、だから、景気の浮揚政策をとらなきゃならぬ、対策をしなきゃならぬ、こういうものも含まれて、そういう税制優遇措置をとってきたんです。ところが、このけさの新聞を見ると、「大蔵省は、税の自然増収は、景気の回復などによって二兆円程度になるとみられる」そうするともうこの限りでは、景気対策という面ははずしていいと思うんです。新聞に書かれていることだとすれば。私は間違いないと思うんですけれども、新聞に書かれていることが。こう思うものですから。ですから、景気対策として考えられたつまり政策目的というものははずしてよろしいと思うんです。だとすれば、もとの位置に戻してもいいんじゃないかという理論が成り立つんじゃないですか。  それともう一つは、五千億減税するということを田中総理大臣が発表して、新聞にでかでか出て、かなり前からいわれていますね。問題は、だれのために減税するかということは明らかじゃない。ですから、私はこの段階では、あなたがいま演説されましたように、公害等々のつまりひずみが出てきた、こう言っていますね。等々の中には、税制矛盾、ひずみも入っていると思うんです。だから、当然税制改正税調に諮問したとするならば、その点は考えられているんだと思うんですよ。あなたはないようなことを言っていますがね。ところが新聞には、日本列島改造論との関連で、新政策の財源として新税を考えられているものは、付加価値税、それから工業再配置税、先ほど松永先生が質問した点だと思うんです。それからギャンブル税、これを新たに創設をする考えだ、このことを今度の税調に諮問しているという意味のことが書かれている。それ以外に財源を求めるために、自動車重量税の引き上げ、ガソリン税の引き上げなどを考えられている、大蔵省が、こう書かれているのですがね。この真意はどうなんですか。  それからもう一つは、あと時間ありませんから、これでやめようと思いますが、付加価値税については歴代大蔵大臣がこの委員会で、この委員会の同僚の委員の方々の質問にずっと答えてきたことなんです。中身は申し上げませんよ。上げませんけれども、この問題は、一歩間違いますと、物価値上げを招くことになるわけですよ。なりかねないんですよ。ですから、物価対策と、物価政策とやはり考えてやらなければ、大きな社会問題を起こすんじゃないかと私は思うんです。その証拠に、地方自治体がたいへん付加価値税創設について反発している。現に地方議会で反対決議しているのは、先月の二十五日付で、都道府県で十五都道府県があります、付加価値税をきめることについて反対だと、こういうことです。町村では二百に近い議会が反対している。だから、この付加価値税については新しい大臣としてどういうふうに考えているのか。  それから、こまかな問題になりますけれども、いまの物品税だってたいへん問題ありますよ。ですから、こういう問題についても、付加価値税と類似する税目ですから、当然検討されていいんじゃないか。そういうこと等を今度の税調に諮問しているんですか、していないんですか、この点を答えてください。
  25. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 付加価値税の問題につきましては、特に付加価値税について今度の、いま進行を始めました調査会で至急検討を願いたいというような具体的なそのお話については諮問いたしておりません。お尋ねしておりません。ただ、現行の各種税制の上においての問題として、税制全般にわたっての研究をしていただく、その前提といたしましては、新しい内閣におきましていろいろ、まあいわゆる日本列島改選の名のもとにいわれておりますたくさんの仕事のうち、できるだけ大事な仕事を急ぎたいという考えがあるものですから、だから財源の調達についていろいろとごくふうを願いたい、御意見を賜わりたい、こういうようなことを言っておりますので、付加価値税云々とか、何々税についてどうというような特殊の税名をあげての御諮問はいたしておらないのであります。この点御了承願いたいと思います。  それから、さらに問題の、列島改造の問題その他につきましてのことになるわけでございますが、われわれといたしましては、あの列島改造論にいろいろ書かれておりまする意見は、田中さんが多年の御経験で自分の所見をおまとめになった一つの著書でございます。この著書に対して——著書の内容は、拝見してみますれば、われわれ自由民主党が長い間いろいろな諸施策を講じ、法律を出して、そうしてお願いしてきた問題の累積、これはやっぱり自分たちの責任であり、また自分たちもこの従来のやってきた方針を根本的に変えるものではないんだ、しかし、自分の一つの構想としてこういうまとめ方をしてみたいんだというのがあの著書の大体の骨子だと思います。私、全然読んでないというふうに——ことば足りないものですから、御批判受けるかもしれませんが、部分的な抜き読みはあちらこちらいたしましたけれども、いま先ほどお話のありましたような点については、たまたま全然私の目に入らなくって、はなはだ申しわけないと思いますけれども、その点は党全体がいま新しく予算を編成しよう、税制をどう改正していこう、列島改造云々の問題につきましても、いま内閣に八十名に余る多数の委員の方の御意見を求めてやっております。したがって、これらの問題が、このうちでどれとどれは直ちに手をつけたらいいじゃないかというような御意見が出てまいりますと、これをわれわれの一つの尊重すべき参考材料として、来年度予算編成に当たる、こういうことに相なると思うのであります。したがって、それについての税目について云々とまでは、とてもまだそういうところまでの検討には私どもは入っておらないことを申し添えて御理解を仰ぎたいと思うのであります。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもたいへんぼくは、大臣の答えは、頭が悪いせいか、理解できないんですよ。  簡単に聞きますが、第一は、税の負担の不公平、これを是正しますか。いいですか、これが一つ。  それから、法人税については、先ほど来申し上げたとおりですから、これを現況に合うように、つまり昭和三十三年度の位置にまでさかのぼって検討しますか。これが二つ目。  それから、いままでわが国税制というのは、だれが何と言っても、大企業優先の方向のつまり税制であったことは間違いない。ですから、今度のあなた方が税調に諮問したというもの、それから、これからの大蔵省税制改正についての考え方、私は、この大企業優先の方向税制転換期にきたと思うんです。ですから、これを変える考えがあるかどうか、この三つ。  以上で私は質問終わりたいと思いますが。
  27. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 関連して。  関連で、ちょっと吉田先生が質問した中で新税創設の問題、いま工業再配置税あるいはギャンブル税、あるいは付加価値税も入るでしょう。いずれ付加価値税等については詳しくやりますけれども、そういう新税創設ということは、大蔵省で考えて簡単にできると思いますか。これは、私は七年間おりますけれども、大蔵省が新税創設については一番理解しているはずだと思うんですが、大臣どうですか、その点含めて。
  28. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 第一の考えといたしましては、お答えいたしますが、従来の現行の税制のうちで、それが不公平な点が法文そのものにある、理論そのものにあるということが研究の結果わかりますと、これは極力直していく努力をいたします。しかしながら、これにはこれの多年の沿革の問題のみならず、税制理論としても通った理論があり、その理論に賛意を表せざるを得ないという立場に私の結論がなるかもしれません。その場合においては、私は現行のままで運営の上でやっていけばいいのだという結論を得ることも起こるかもしれぬことをひとつ御理解願いたいと思うのであります。  それからお話のギャンブル税の問題でありますとか、付加価値税の問題でありますとかいう問題については、これは私はいろいろ役所で事務当局と財源その他の問題等についても相談し合いますときには、こういう問題今度どうなっているんだろう、こういう長所と短所があるだろうというようなことで話題にはしておりますが、いま直ちに、一番前からの、先年来の問題であります付加価値税の問題については、私はこの際まだ採用すべき制度であるとは思っておらないことを、これはいまそれだけ申し上げてもけっこうでございます。  ギャンブル税の問題等につきましても、これまた考えようによってはいろいろ考えられますが、ただいま仰せのとおり、新税を新しく制度をこしらえるということは、容易ならぬむずかしい問題がたくさん存しております。ギャンブル税そのものにいたしましても、それに対しては長所も短所も理論的にもございますから、簡単にいま、私どもが先般就任さしていただいたばっかりで、この大きな問題と取っ組んで、はたして結論を得られるかどうかと言われますと、私は結論を得ることは困難でありますと、これについてはお答えを申し上げております。  以上のような観点から、いろいろるる御質問いただきまして、ふなれなために非常に答えもまずいかもしれませんが、私といたしましては、最善を尽くして、そうして御質問の趣旨をやはり極力自分が理解をさしていただいて、そうして税制調査会等に臨みましても、自分の記憶に存しているところを申し上げて、こういう問題についてはどういうふうにお考え願うかということを、会議全体の議題としてでなくて、雑談の間にももちろんのこと、もしそれに触れ得るような機会があれば、そういう機会にやはり十分御批判を仰ぎ、私の足らざるところを反省の材料に、そこでもさしていただいて、そして本日の委員会での御発言の趣旨も十分心にとどめておいて、そして研究の材料にさしていただきたい、かように思う次第であります。
  29. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうも大臣、それでは納得しませんね、そんなことでは。時間がありませんからこの次にじっくりやりますが、つまり税制の法理論とか、体系とか、形態の問題じゃないんです、これは。現実にあるわけでしょう。三十九億も所得したものが、所得したのですから所得税ですよ、これは。サラリーマン所得したものも所得税ですよ。その所得したものが、一〇%より税金がかからない。片一方は源泉徴収という制度がありまして、待ったなしにかかってくる。一面今度は、個人営業、あるいは農業もそうでありますが、これは申告制度でしょう。制度がそうなっておりますね。ですからそれが三一%より税金を納めていない。それに、捕捉の問題は確かにありますよ。捕捉の問題はあるからといって、これは投げやりに放置していいというものじゃないでしょう。  ですから、そういう明らかに税負担の不公平については、この趣旨であなたはやっぱり税調税制改正を諮問しておるのですから、不公平については、不公平にならないように是正するというくらいのことは答えられなければ、大蔵大臣の資格はないですよ。どうなんですか。
  30. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私の申し上げている、私のお答えしようとしているところが、ことばが足りないのか、表現がまずいのかであろうと思いますが、私はやはり現行税制の施行の上におきましても、税制の上で不公平なところがあるならば、これはやはり十分検討した結果できておる税制でございましても、十分研究をして、そしてこれに対してわれわれが反省をしなければならぬときには、いわゆる調査会の議を経て、そして皆さんの御主張の長所をわれわれも学んで、そしてそれを実行に移していきまして、法制度改正の必要があれば、制度改正もやりたい、こう申し上げておるのであります。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がたいへん少なくなってしまったので、お聞きしたいことの十分の一くらいしか聞けないだろうと思いますが、答弁のほうもひとつ当を得て簡略にお願いをしたいと思いますが、田中総理になりましてから、今度の来年度予算についてとやかく言われております。最近各省の概算要求見ましても十四兆幾ら、十五ケ月予算にすれば十五兆というような数字になってくるわけでありますし、それから財投関係を見ましても、大体十兆になるのではないか、倍近くも、本年度から伸びるのじゃないか、こういうふうに言っているわけですが、それは具体的に幾らになるか。これはまだわからないだろうと思うんですが、その辺もしわかっていたら、ひとつ四十八年度財政規模、財投の規模、そうしたことをひとつ御説明願いたいと思うんですが、ただ大蔵大臣、先ほどから文書の中にはきわめていいことばがたくさん並べてあるのですね。全くことばの上では私そのとおりと思う。そのとおりなんだけれども、さてそれだけの大型予算というものをやっていくということになりますと、一体いままでの反省というものが、反省ということばがたくさん書いてあるわけですが、いままでの反省というのが、ことばの上だけの反省であって、実際上はいままでと同じような生産優先、生産第一というような状態にいってしまうのじゃないか。現実にここに反省が生まれ、反省しなくちゃならないというふうにいってあるのですが、そういう面での計画なりプロジェクトなりというものは一向に進んでないわけですね。そうしますと、私は、非常にやっぱりそれに列島改造論を入れれば、日本列島総公害論というような方向にどうも流れそうな気がするわけですが、どうもその辺のほんとうの反省が、来年度の予算の中にもう固まってこなくちゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。いまのままでいけば、いままでのような二の舞いを相変わらず踏んでいくという心配があるわけですが、大蔵省としては、今度の来年度の予算について、社会保障費、いろいろな予算の項目がたくさんありますが、各項目別に、社会保障費は一体どのくらいの割合に今後していくのか、あるいは国民一人の社会保障費というのは、一体どのくらいの限度まで上げていくつもりなのか、そういうものの構想を示していただかない限りは、幾ら金額が大きくなっても、それは福祉社会の建設ということには私はならぬと思う。その辺の財政構造自体を変えていくという問題を、具体的にお示しにならなければ、四十八年度予算、幾ら大蔵大臣りっぱなことを言っても、私は実質的にそういう方向にはいかないんじゃないか、こう思うんですが、その辺の話を聞かしてください。
  32. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ワクなり幅なりの形でもって、一つの構想をこの際描いて答えろという御趣旨と考えますが、それにつきまして、私はまだきわめて柔軟な考え方でおります。と申しますのは、各省から要求が出ましたのは、ようやく通常の年の場合における概算要求が先月一ぱいであります。そうしてその後にわれわれとしましては、新しい内閣においての考え方で、新規にどうしても要求をしなければならぬ問題については若干おくれてもいい、おくれてもいいが、一番おそい場合でも九月一ぱいで、なるべく早く出してくれというかっこうで私は要望しておるのであります。これが実行に相なりますれば、おのずから九月のある時期に達しますと、各省から、もう自分のほうはすでに出してあるもので、あとはないということになると思いますから、そこで私は、各省の大臣の御所見、すなわち、自分の所管を通じてこういうことを現内閣のためにやろうということが初めてわかる、それが私がわかる時期の一番早い時期なんであります。だから、それによっていろいろ財源のくふうもしなければなりませんし、それから支出の面におきましても、どの費目、どの福祉的経費というような問題が、どの点に重点を置くかも、やはりそのときになりませんと、ただいまここですぐにはお答えできませんが、心の上で、平生の研究からおまえは何かあるかと言われますと、まだ残念ながら各省の要求を受けて立ち、しかも、それが党全体としても、国全体としても、これが一番緊要であろうというところをはかってまいるのが、私、大蔵省当局の仕事だと思いますので、この点はいまあらかじめ自分でワクをつくってこうだ、ああだというようなことは、とてもまだ申し得る段階には至っておらないのであります。これをなるべく早く、いま係の段階でだんだんと相手方の要望の内容を詳しく聞き始めておりますから、これが十一月の中旬以降にもなりますと、おおむねの見当としては、係の意見もわかりましょうし、またわれわれがその説明を聞いて、係の不十分なところはまた直して是正をしてまいらなければなりません。そういうふうに互いの研究の結果を申し上げ得るのは、やはり予算の概算がきまるのが年末でございますから、その時分になってしまわざるを得ないのであります。この点はひとつ御理解をほんとうにお願いしたいと思っております。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 たいへんあなたの御答弁噴飯もので、それじゃこういう所信をあなた出す必要ないんだ、各省から出てきたものをまとめてやります、それでいいんですよ。わざわざこんなところに十分間も時間を費やして、われわれの質問の時間をそれだけ少なくして、書いてあることを聞けば、そんなことは私は流動的でまだわかりません、大蔵省大臣ですよ、田中内閣の台所を預かる大臣ですよ。それに、いまだもって構想をすら出されないというのは、いまの日本の官僚制度の中でいけば、結局いままでの予算構造と同じになるじゃないですか。ことばの上だけでそういううまいことを言ったところで、これはどうにもしようがないと思うんですね。この辺は次の委員会までには、委員長はっきりさしたことにしてくださいよ。こんなコンニャク問答で貴重な時間とってやっていられないんだ。これはひとつ委員長のほうでおはかりをいただきたいと思うんです。  それから第二の質問に入りますけれども、先ほど吉田委員質問の中でも、どうも新しい財源対策ということはあまり明確に出ていないわけなんですけれども、まあ自然増収が、二兆円ぐらいふえると、こう言っているわけですが、田中総理は十五兆円予算だと。そうしますと、どうしても財源不足というのは当然私は出てくると思うんです。その財源不足というものは、一体どういうふうにお考えになっているんですか。公債発行をまあある程度やるでしょう。その公債発行というのはどういう形でやるわけですか。たとえば赤字公債をこの際やるというのか。まあ、おそらく建設国債等ワクを広げていっても、これはある程度限度があるでしょう。そんなにはふやせないでしょう。これはどうしますか。赤字国債を発行する、それに伴って財政法の改正もやって、赤字国債を出すという形で財源対策というのも考えざるを得ないような事態があるんじゃないか。一方には列島改造関係の予算というのも相当出てくるでしょう、九月末までに。どうしますか。
  34. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) そうした問題につきましては、私は公債政策の上で考えておりますのは、赤字公債は避けたいということを強く考えております。  それから、発行する公債は、従来の例のごとく、いわゆる財政法に許されたる建設公債、あの範囲を逸脱したくない、こういう強い一つの方針を持っております。しかしながら政治は、これはいざという場合にどうしても、私がそういう念願を持っておろうが、信念を持っておろうが、それで通し得ない場合も絶無かと言われますと、これは私は絶無にしたいという強い考えを持っているだけであって、直ちにその場合には処すべき道をおのずから考えても、私の信念を通すか、あるいはその点は、なるほどこう考えればこういう種類の経費に充てられる特殊の財源、これは何らかのいわゆる赤字公債になるけれども、こういうことのために歳入補てんなり、特別な公債を発行することの必要があるということに心から賛成できるようになれば、絶対にということばは私は使い得ないことを申し添えておきます。  こういう考えで私はおるのでありまして、全体として、どうもあまりまとまりがないあやふやなかっこうじゃないかと仰せになりますと、そのとおりの実はまだその内容の引き続き勉強の最中でありますから、とても全体についてのお答えはいたしかねるのがただいまの現状でございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも何を聞いてもわからないことばかりで、どっちを向いてもあとで言いわけがつくような、そういうお話で、私ども所信に書いてあることはたいへん期待を持ったんですが、どうもあまり期待を持つことはいけないような感じがするわけですね。田中内閣は今様太閤とよく言われておる。確かにそういう面があると思いますが、豊臣秀吉がやったことを私ども考えると、太閤検地というのは、税金をかき集めること、太閤検地というのはこれは有名であります。それから刀狩り、これは太閤秀吉のやったことであります。今様に言えば国民の抵抗権をなくしていくということだろうと思います。第三番目にやったことが、聚楽第という大邸宅をつくった。これがかつての豊臣秀吉のやったことだと思うんですが、どうも今様太閤もそれに似たような感じが私はするわけです。そういう点で、太閤検地ということで庶民から税金をかき集めるということをどうもやりそうなんですが、ひとつ私は端的に聞くんですが、従来から述べてきましたんですが、法人の土地保有、これに対しては、前の大蔵大臣も、これは何とかやらなくちゃいかぬ。建設大臣もかつて、いまの建設大臣もそうですけれども、土地保有に対する売買差益ですか、これに対してはきびしい課税をしなくちゃいかぬと、こう言っているんですが、植木大蔵大臣は、最近の法人の大量土地買収、ほとんど日本列島は大法人に土地を買い占められたとさえ言われているぐらい、重要な個所は全部買われている。それが何年か後には日本列島改造論で地価がうんと上がる、たいへんなもうけがまたころがり込むという仕組みになるわけですが、この大法人の土地保有に対しての税金というものは、来年度からどうしようとしているんですか。建設省のほうでは、ある程度意見が出ているようですが、建設省のほうの意見でいくつもりですか。それよりやわらげるつもりですか。きびしくするつもりですか。どっちですか。
  36. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) その問題につきましては、やはりわれわれといたしましては、建設省の意見は意見として承って、そしてそれを今度は税の専門の立場から、専門の役職の者が十分研究をし、そして私どもは相手方とも話し合い、その必要性の有無等についての検討をいたしてきめてまいろうと、こう思っておるのでありまして、私はこの土地税制について深く考えなければいかぬ、ことに法人の最近の土地取得が非常にたくさん行なわれておることは、仰せのとおり私も、うすうすでございますが知っております。これについて直さなくちゃならぬ、不当なもうけを得るのはいけない。だからそれを直すことは言うまでもありませんが、その保有している形態そのものに対しても、何らかの保有課税式なものは考えられないだろうかというような問題をあわせて研究をしてみたいと思っておるのであります。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはどうしてもやれと言っているのが世論だと思うんですが、そうしますと、来年度からこれについて新しい税制をつくるのか、つくらないのか、その点だけはっきりしてください。
  38. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 十分検討いたしたいということをお答えさしていただきます。(「検討程度か」「だめだ、そんな答弁じゃ」と呼ぶ者あり)
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 何を聞いても検討するで、もうこれはこの委員会を開いている価値があるのかないのか、それすら疑わざるを得ないと思います。(「何のために所信表明をやったんだ」と呼ぶ者あり)  それじゃ、何かきょうの午後あたりからIMF総会に出られるというんですが、ならこの程度についての検討はもうできていると思いますから、この点だけお聞きしたいと思いますが、IMFの理事会報告では、黒字責任論というのがかなり討議されたようです。これは稲村財務官が帰ってまいりましても、かなり黒字国の責任というものが今後大きな追及になるだろう、こういうふうに言われておりますが、大蔵大臣出かけていかれるんですが、日本の黒字の減少対策ですね、これは一体どう考えるか。  それからもう一つ、どうせアメリカの代表にも会われることでありましょうから、一つは、今日の国際通貨の混迷というのは、アメリカが金・ドルの交換停止をずっと続けている。このことがかなり通貨不安の大きな原因になっているでしょうし、日本もそれによってだいぶ黒字をためさせられている面も多少あると思う。こうした面では、私は、当然アメリカに対して金・ドルの交換措置をとるように要求すべきだと思うんですが、これをやられるのかどうなのか、お答えいただきたいと思います。
  40. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 今度の向こうへ参りましての私の大事な要件としては、今回の各国間の通貨制度改正に関連しまして、そして報告書がそれぞれの国に出ております。その報告書によって内容を、きわめて私もすみからすみまでではございませんが、一わたり拝見しますと、各国のいろいろなそれぞれの立場においての意見が列挙してあるわけです。たくさん並べられている。それがこれからの総会におきましてどういう手続かを経て、でき得るならば各国の希望も一つ体制に一体化していこう、そして共通の場で貿易をやり、お互いの国のためになるような通貨の制度に直していこうというところに、全体の気持ちがあることは大体察し得るのでありますが、それが具体的の中身の問題になりますというと、いろいろ甲論乙駁が出るんだと思います。今度の場合に日本としては、やはり国際経済の自由体制下において今日までやってまいった、またIMFの資金の供与を受けて、そしてそれによって日本の戦後の復興に非常に役立つこともできた、こういうことに相なっておりますから、この体制はぜひとも続けていきたいんだというようなことは、私の今度申したい意見の一つになっております。そういうラインでいきたい。今回は各国の多数の国々の間の問題でございますから、今回の十日間ばかりの会合で、それによって結論を得ることはなかなか困難ではあるまいか。各国がそれぞれ意見を表明して、そしてこれをまた次の機会までに、それぞれ具体的にそのうちのすぐれたる意見を取りまとめて、そして次の機会に今度は一本になるという研究が行なわれる。あるいはどうしてもその多数の結論が一つにまとまるということができなくなるかもしれないという非常に大事な場でございますから、それぞれの国のそれぞれの意見をわれわれもまたさらによく承って、そしてそれを今後の、日本の最後までの主張にどれとどれを持っていかなければならぬかということの結論を得る勉強をいまからしておかなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 どの質問に対してのお答えも、とにかく答えらしき答えじゃないわけですね。植木さん、大蔵大臣になってからもう二カ月くらいになるわけですね。それにもかかわらずどうもちっともわからない。こういうことじゃ、委員長、困るんですよ。ぼくはまだ質問あるんですが、やめます。つまらないから、時間つぶしですから、きょうはやめます。(笑声)
  42. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 補正予算の規模は幾らですか。
  43. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 補正予算の規模がどうかとおっしゃいますのは、おそらくこの年末に向かって適当な機会を得て臨時国会が開かれれば出すところの四十七年度の補正予算、こういう意味においてのお話と思っているのでありますが、それがはたしてどのくらいの規模になりますかにつきましては、これまた同じようにまたおしかりを受け、お笑いを受けるかもしれませんが、これはやはりいま検討している最中なんであります。そこのところはひとつお察し願いませんと、それじゃ規模は幾らだから、これだけならばいたしますが、とてもこれ以上は絶対にやれませんとか、そういうやり方で、この予算の査定はできないものだ、私はかように考えておるものでございまして、ただいまとしては、残念ですが、規模は幾ら幾らということは、お答えはいまの段階で申し上げかねることをお許し願いたいと思います。
  44. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 人事院勧告は完全実施しますか。
  45. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 人事院勧告は完全実施しようと思っております。
  46. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 高木主税局長に聞きますが、税収はどういうふうに見ておりますか、四十八年。
  47. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現在四十七年度の税収見込みがまだはっきりわかりませんので、四十八年度は非常に立ちにくいわけでございます。ただ、新聞紙上等で二兆という数字が出ておりますが、二兆という数字は、マクロ計算でこういう計算をすると二兆になるということでございます。それは四十七年度の税収が約八兆五千でございます。八兆五千でございますが、四十七年度自体でいまいわゆる自然増収が若干見込まれるのではないかというふうに考えられます。それを入れて大体八兆七千ぐらいにかりに見まして、来年の成長率を一五%——これは何%になるか全くわかりません。実質が幾らになるか、名目が幾らになるかわかりませんが、一応名目で非常に勇敢に一五%と一つ仮定を置きまして、それから非常にマクロでの税収弾性値を一・三と置きます。この弾性値も各年相当動いておりますので、幾らと見るべきかわかりませんが、これも非常に勇敢に一・三と置きますと、ことしに対しては、一五%と一・三でございますから、二〇%の伸びがまあ期待できるということになりますから、先ほどの八兆七千前後という数字に二〇%を置いて見ますと、大体二兆近い数字になるのではないかという見当が、いまの段階では、唯一のつけられる非常にマクロな勇敢な推定方法であるということでございます。
  48. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大臣財政規模、予算規模と、物価というものは関係があるとお思いですか。ないとお思いですか。
  49. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) あると思っております。
  50. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、予算規模というものが大きくなれば物価が上がるということですね、関係があるということは。
  51. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 上がる傾向にあると思います。
  52. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 好ましいのは、物価が安定するということが一番好ましいと思う。福祉ギャップ、国際収支ギャップ、六〇年代のしわが寄っちゃって、そこで物価も一つの問題になっておる。あなたのは全く抽象論ですよ。いまの物価をある程度安定させながら、しかし、いろいろなこともやりたいという。すぐに何にお金を幾ら使うということじゃなくて、四十八年度の予算の規模をどのくらいに押えたいとお考えになっておりますか、検討中ですか。
  53. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) そのとおりでございます。
  54. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 検討中。検討中ということは——自然、経費は伸びますね。四十七年度に対して自然増がありますね。それにプラス政策です。いろいろここにお書きになったことは一応おやりになるはずでしょう。そうすると、ここに書いておおきになることに対して、財政の裏づけのない演説というものはないわけです。そんなばかな演説はないのです。それを演説されたのだから、それを達成するにはどのくらいの財源措置が必要だとしてあなたは演説をされましたか。
  55. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) それもあわせまして私のほうでは、ただいま主税局長がお答えしましたように、いろいろの場合を想定して研究をいろいろいまやっておる段階でございまして、それがこれぐらいのところという結論を私としてはいままだよう出しておらないのであります。この点、非常にくどいようでございますが、御理解を仰ぎたいと思います。
  56. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、ここでお読みになったことは、財政の裏づけは一つもないということですか、一文もないというのですか。
  57. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) それにつきましては、そこに掲げました問題は、おのずからその財源調達のために困難であり、あるいは不能であるというふうに考えなければならぬほどの要望が出ておると思います。これに対していかにして財源を調達して、いかにあんばいするか。支出の項目をいかにしてあんばいするかとなりますと、これは既定経費の節約ということも考えなければなりません。当然増の問題に対しても、最悪の場合については、これは当然増の問題ではあるけれども、これはピッチをゆるめて、こういう方法で引き続いて当然増の金額をふやすなら、ある程度のかげんをしてもらって、そしてふやすという場合も考えなきゃならぬと思います。これは私の過去の経験によりますと、普通ならば、従来、私どもが若い時分にやっておったときには、継続費——継続的に要るものは継続費として従来要求しておりましたが、いまは必ずしも全部が全部継続費にはなっておりません、特殊なものだけで。その継続費になっておるものだけでも、毎年毎年繰り返しもう一ぺん検討し直して、そして継続費の繰り延べということをやってもらい、それを繰り延べても、新規にこれのほうが急いでやらなきゃならぬという問題が起こってまいりますと、その分がまた継続費として入るということすら、しばしばあったのでございます。さような考え方でおりますので、だから、ここに書いてある、私が先ほど述べましたあの問題は、それぞれの問題を十分考えてまいって、そして財源と照らし合わせ、そして財源の捻出がどの程度にやれるか——おそらく私は新税の問題も考えなきゃならぬ問題が起きるかと思いますけれども、これまた新税は、先ほどもお答え申したように、そう簡単にこうした税金が、かつては論議をした、あるいはすでに既定の傾向として、いずれは国民の皆さんにPRをして、そしてこの税金についてもだんだん理解を仰いで、ある時期がきたら新税の実行に移ろう、提案をしようというようなことを考えておるのが、たとえば例をあげますというと、かねて言われておりました付加価値税の問題のごときも、数年間は国民の皆さんによく問題の内容を説明して、そしてこれは非常にいい税金なんだということの理解を仰いで、しかる後にやろうじゃないかという過去の状況もございます。こうした問題等をあわせてやっていかなきゃならぬと思いますので、私としましては、財源については、われわれの経験の全部を傾け、研究の粋を集めて、そしてやはりこれに対しての裏づけは必ずこしらえなきゃならぬ。そして全体として、それじゃ前年度予算よりふえるのか減るかというようなお話になりますと、これは私は若干ふえる傾向にあると、かように思っております。  申されましたように、予算も大型になると、物価騰貴の誘因になりはしないかとおっしゃる。これもよくわかる。また、そう思いますと申し上げましたのも、やはりこれにも程度がありまして、私としては、むちゃくちゃな大型予算をさらにここでこしらえるということになりますと、非常な弊害が起こってくる。これまたよほどここであんばいをし、考えて処しなきゃならぬことだと、かように思っておる次第なのでございます。
  58. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 ほんとうはみんなもっとまじめにいろんなことを聞きたいわけなんですよ。ところが大臣の答弁がさっぱりなもので、わしも実は投げやり的なことを聞いておるわけですよ、ほんとうの話は。だから、あなたがここでお話しになったことの中は、全部やろうとしておるのか。この中でもやることとやらぬこととあるのか。財源がどういう裏づけがあるかということが大事なんですよ。ですから、およその予算規模というものがわからなけりゃ、はたしてそれじゃこの中でどれにウエートがくるであろうか、なるほどちょっとこれは頭を出すとかどうだとかいうところをもっとみんな真剣に聞きたいわけですよ。そのことに対して意見が述べたいわけなんですよ。ところが、聞いておると、あなたはかつて田中さんの日本改造論を読んだとか読まぬとかいう話もここでありましたが、ある席じゃ、私小説だというお話も出ておったが、ほんとうに全く寝言みたいなことを聞かされたということになる。もう一度聞きますが、これだけのことをやるためには、ある予算の規模というものの構想のもとに——財源というものは当然ですから——こういうことをお書きになったと私は思っておったのです。おったんだけれども、財政規模がどのくらいになるかなんということはまったく検討最中でだめだと。これじゃ話にならぬじゃないですか。これこそ寝物語り、夢物語りですよ。どういうふうにお考えになっておるのか。これだけをやろうとするなら——これは来年度予算編成方針だと思うんですよ。ですから、来年度の予算の規模はおよそこのくらいになるんだという押えがあってしかるべきだと思うんですが、どうですか。
  59. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 重ねておことばを返すようで恐縮でございますが、私としましては、そこに書いてある、あるいは私が先ほど申し述べましたあの趣旨のことをでき得る限りやっぱり実現したいという腹は持っておるのであります。持っておりますが、しかしながら、それが規模に幾らでも問題が起きます。既定経費の節約を申し上げておるのもそれであります。かつては、継続費であっても、去年組んだ継続費でも、翌年は繰り延べをやって、また新しい継続費を出すということすらも私の時代に起きましたが、それと同じような気持ちで、ここに書いておりますことについて、できる限りその実現を期したいということにおいては、私は十分考えておるつもりでございます。
  60. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まああまり私も、これどうも議論がかみ合いませんから……。  じゃ、税負担について、いま二〇%となっておりますね。この税負担は軽いとおみえになるか、それともこれでいいとおみえになっておりますか。
  61. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 最近の日本の国税と地方税と合わせた税負担等の問題、あるいは国税だけについての問題、それの各国の比較もいろいろ係でこしらえてもらっておりますが、日本の最近の税負担は、各国の分と比べましてそう多くはないと。ただ、私の申しておるのは、先ほども申しましたのは、多くはないけれども、その税の内容に不公平がありはせぬかという問題についての検討は十分遂げなきゃならぬと思っておりますが、総額においては、最近は、他の諸国と比べましてもそう多いほうじゃない、むしろ少ないほうであるということに私は承知をしております。
  62. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、税は不公平なものの手直しはするけれども、増税はやらぬと、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  63. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 来年度実行しようとする施策は閣内においても十分練られると思います。そしてその練られました結果が、従来よりも、どうしてもこれだけは、単に自然増収に待つだけでは実行できない、そしてある部分については、既存の税であっても増税をしなけりゃならぬかというような問題も起こらないとは私は保証できません。それは、その場合もやはり考えなきゃならぬ問題なのであります。その意味において、私は、現時点においては、何といいますか、非常に大胆に増税はいたしませんというようなことも実は申し上げかねる。しかし、したくないことははっきり申し上げておきます。増税はしたくないという気持ちは持っております。だから現在も、それじゃ租税制度のうちでこの点が不公平じゃないかということになりますれば、税全体としては同じであっても、これについて不公平に安い人は正当なところまで出してほしいという要望をわれわれ出すんですから、これによって増収は起きましょう。一方において非常に過重負担であるという部分があればこれを下げるということの努力もするんですから、それはプラスマイナス合わせて従来の状況においては増減なしと。しかしながら、一般的に経済界の情勢がだんだんよくなってまいります。そうなれば、この分だけはやはり自然増収としてあがってくるんじゃないかと、こういうことも言えるし、またそれが実情であると私は思いますので、そういう問題も含めて考えさしていただきたい、かように思っておる次第であります。
  64. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この中で一言、私は賛成なことですからあなたにぜひやっていただきたいという気持ちも込めて質問します。  第一に、ギャップの問題で、福祉ギャップを取り上げるということが第一と書いてある。そうしますと——この福祉ということについての内容はいろいろ非常に広いわけです。——あなたがこの第一にやらなきゃならぬと言うことについて、その福祉の中で何を第一に考えておるか。これだけは承らなけりゃ、あなたをテストするようなものだけれども、何を一体第一として考えておるか伺いたい。
  65. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 社会福祉国家の建設ということは田中新内閣が主張しており、総理もみずから主張しておられる問題でもございますから、これには私は大いに力を入れたいと思っております。その点につきましては、直ちにいま考え得る問題は、これは、当然増加の中にも入っておりますが老人対策の問題であります。こういう問題についてはできるだけ力を尽くさなけりゃいかぬというふうに考えておりますので、ただ単に、去年までの老人対策のうちで当然増に入っている部分もありますが、そのほかに医療関係等の、老人福祉の老人の医療、こうした問題についていろいろな施設ができないか、全部国費で一定の年齢以上は全部めんどう見て上げることができないかというようなことがございます。あるいはまた、身体障害者も、単に戦争のための犠牲者だけではなしに、現在でも一日に多数の交通事故による障害者が出ております。こうした方々の中で、なかなか完全に治療のできない程度の負担力の方々もございます。そうした方々に対しての施設を十分にしてまいりたい、かように思う次第であります。  そのほか類似の問題は私はたくさんにあろうと思うのです。厚生省の所管の仕事を考えてみましても、これはなるほど気の毒だ、もっと国で力を出すべきじゃないか。国で力を注ぐべきじゃないか。あるいは国と府県とであわせてこうした場合には処すべきではないかというような問題等もございますから、これらの問題もあわせて、そうして恵まれない人たち、政治の恵みの及ぶことが少ない階級——階級ということばはよくありませんが、階層といいますか、こうした方々に対しての施設をできるだけ十分にしてまいりたいものだなというのが私の大きな念願の一つにして努力をしようと思っておる次第でございます。
  66. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一つ、あなたは老人対策ということを言われましたが、これは賛成なんですよ。そうすると、老人対策はいまいろんなことをおっしゃる、順位というものがおのずからあることだと思います。そこで、老人対策を第一にする。これは賛成なんです。それならば、その老人対策の具体的なことは何をおやりになるのですか。
  67. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私は、当然増加の経費でいま予定されている問題が老人対策の中にございます。いわゆる年金等の問題であります。そのうちで二千三百円を三千三百円までは、これはこの間一応上げることになっておりますが、しかし、初年度であり、これはたった三カ月分しか計上されておりません。それを年に換算しますと、それの四倍になるわけであります。これは相当大きな千億円をこえる財源が要ります。しかし、そのほかにいわゆる老人でも寝たきり老人というものがおります。これに対して非常に恵まれない、家庭的にも家族がめんどうを見て上げることさえ十分にできない、こういう者に対しての私は何か国で施設をこしらえて、そうしてそこへ収容してあげるということができないものだろうかということは、これは党内においてもそういう御意見の方もございますし、私もそれはやってみたいなということの一つの大きな問題で、あるいは精薄者等々の問題についても、これは親が非常に家庭的にも困る。本人のためにもほんとうに気の毒な状態の方々ですから、これは国の大きな力をもってできるだけの措置を講ずべきじゃないかというふうに考えておる点もそのうちの一つであります。こうした問題について、恵まれない階層に対しての努力をできるだけ福祉予算の中で計上してまいりたいものだと、かように思っております。
  68. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあそれは前にもやったことなんですよ。老人対策を第一におやりになるということは、何か引き合いがあるのかと思うと、それがない。それじゃ、あんたほんとうに第一に据えた意味がないじゃないかということを言いたいわけですよ。あなたは給付の引き上げを、底上げを考えておみえになるかどうかということが聞きたいのですよ。
  69. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 考えておるかどうかという御質問でございますと、私は考えておりますと申し上げたいのです。すぐに実行できると思っているのかと、こう言われますと、私はそれについては各省の予算の要求、ことに厚生省のこうした福祉予算の中の内容を見ましても、ほかに、さらにこういう問題について考えるべきじゃないかという問題等もあり得ると思っているのです。そうした場合に、私自身の単なる個人的な希望と、厚生省が、大臣はじめ事務当局が十分研究され、あるいは審議会等があれば、そういうような方々の御意見も聞かれてお出しになれば、やはり私は個人的にはこう思っても、こういう経路を経ておやりになった研究の結果であるから、これは尊重して、自分の考えはしばらくあと回しにしようということでやるだけの考え方でおるのであります。
  70. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 これは不満を言っちゃいかぬですが、大蔵委員会の今後のあり方について——これ以上やっていてもかみ合わないわけですよ。そこで大蔵大臣の時間、あとのわれわれの時間もあるのですが、しかし、大蔵大臣の意向を優先して、朝から晩まで、一日議論しようじゃないかというぐらいの委員会の設定を一度おやりになってみたらどうですか。そしてそこで十分腰を据えて、もう少し大臣にも、主税局なら主税局の局長連中も横につけて、そうしてやるようなことで、しかもそれは休会中がいいと思いますので、ぜひひとつ大蔵委員会運営を考えていただきたいことを要望しまして質問を終わります。
  71. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 関連。  大臣の性格といいますか、ちょっといまの話、石橋をたたいても渡らないということは、そういうことじゃ国会審議の侮辱もはなはだしいと思います。いま同僚議員のいろんな話を聞いておっても、答弁を聞いておっても、非常に奇異に感ずるのは、全然真実を発表しておらないのですね。たとえば四十八年度予算編成について方針は定まったのか。すでに八月中には予算折衝でしょう、各省。これが大蔵省の査定に入るわけでしょう。復活折衝、予算最終原案をつくるということになっているのでしょう。これは大蔵省の方針がきまっていなければ、これはどうやって査定をやるんですか。この段階にきてもまだ方針がきまらぬというばかな話はないじゃないですか。そういう点については、もう少し私は率直に答弁をしていただきたい。  それからもう一つは、補正予算の性格ですね。それは人事院の勧告をやるというのですから、米の問題もあるでしょうし、災害等の問題もあるでしょう。いずれにしても補正は組まなきゃいかぬですね。これだって田中総理が中国から帰ってくれば間もなくやるのかどうか、時期的にはそう遠くないと思うのですね。こういった問題について、もし補正予算を組むとすれば、性格はどういうところに置くのか、その辺の見解をひとつ聞きたい。  四十八年の予算方針についてはいつごろになったら時期的に方針が固まって、明確に委員会等でその答弁ができるような状況になるのか、この二点。  それから最終的に、最近ホノルル会談で、共同声明の発表をやってきているわけです。五項目から七項目は、経済、貿易、金融、こういう問題についての打ち合わせをやって、一定の共同声明を発表している。この中で国際通貨の改善策をとるという意思統一をしているのですけれども、時期的には明確に示されておりませんね。田中総理は三年と、ニクソンは四年、五年と、こういうことになっているのですけれども、いずれにしてもその中で見のがし得ないのは、関税定率法ですね。これを政令で政府が一括処理ができるように、今後そういうことに持っていくということを発表された。これは重大な問題、憲法八十四条とのかね合いというものがありますから、これは一体、大蔵大臣どう考えますか。  三点、端的にひとつ答弁してください。
  72. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 三点とも私にいまおまえどうだ、こう言われますと、私はやっぱり現時点においてはこういうことを考えておりますとかということは、どうも申し上げかねる心境なのであります。間違いかもしれません、今後反省をしてみますけれども。
  73. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大いに反省してもらわなくちゃだめです。
  74. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私は、やはり補正予算の問題につきましても、大体においてある程度の補正予算はどうも必至になると思っております。思っておりますが、これまた財源も考えにやなりませんし、単に、起こった災害だとか、人件費だとか、あるいは米のために必要な予算追加補正だとかというような問題があろうと思いますが、そのほかにもそれじゃ全然ないということが蓄えるかといいますと、われわれの党員の中にも、部分的には、この際何かひとつ考えていくべきじゃないかというようなことを言われる筋もあるのであります。これらの多数の方々の御意見も耳に入れながら、そうして最後の補正予算の規模をどうするかというふうに考えざるを得ないというふうに思っておりますので、金がないからこうだということは、なるべくならば申したくない。そしてそれぞれ多数の優秀な御意見を、多数の御意見の集まったところで話し合いの結果補正してまいりたいと、かように思っておりますので、どうも現時点でどうせいこうせいと言われましても困難に思います。  それから、関税定率法の改正云々の問題につきましても、これまた実は関税定率法の法律によってやっているものは、当然やっぱり法改正が必要だと思いますし、そうじゃないまかされた、政令以下にまかされてある部分については、これまた運営でやっていける部面もあり得るのではなかろうかと、かように思っております。
  75. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 もう一つ、四十八年度予算の時期的見通し、いつになったら方針がきまるのかということ。
  76. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) それは私は御承知のことだと思って、御承知の上でいろいろ御質問を受けていると思ってお答えしているんですが、やはり予算編成方針は、これからまだ党としての編成方針がきまるのもずっとおくれます。それから政府の、いわゆる大蔵省が原案をつくって閣議にはかって編成します予算の編成方針、これも十二月のむしろ押し詰まってからというのが慣例であります。しかしながら、そこまで全然それじゃ閣議の中でも話題にもしない、何にもしないで、そのままでほうっておくのかと申しますと、これはまたやはりある程度は総理なり、あるいは経済閣僚——企画庁の御意見なり、こういう逸すべからざるところについては、ある程度の話し合いで、どんなふうに考えますか、大蔵省はこう考えますが企画庁はどうお考えになりますか、あるいは総理は全体を握っていかれる方として、全体に対しての——かつては大蔵大臣もおやりになり、幹事長もおやりになった方ですから、これらについての政治的感触も十分お持ちだと思います。こういう御意見は参考に入れながら予算の原案を、こういう場合にはこうしよう、こういう場合にはこうしようと、それぞれの案をつくっておいて、そして最終の結論をまとめますとこうなります、これを編成方針にあらわしますとこうなりますが、これでどうでしょうかというような御相談をしてきまるのが最終なのであります。したがって、私が自信をもって、不十分ではあっても自信をもって、私はこう信じましたから、こういう編成方針のもとに、こういうような原案を作成することに相なりましたといって御報告を申し上げ、お答え申し上げる時期は相当あとにならざるを得ないと、こう私は思っておる次第でございます。
  77. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を入れて。
  79. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 最初に大蔵大臣に伺いたいんですが、いわゆる昨日の財務官の話等、けさのテレビで見ましてもわかりましたし、またいままでの日米の会談でもはっきりしておりますように、輸出についてかなりの制限をする、いわゆる経常収支の黒字幅を、四十億ドルにもなろうというのを、早々、明年度にも二十億ドル以下にしていかなきやならないだろうという大きな問題がいまあるわけですね。そういう点で、一体どういうようにこれから持っていくのかということが、ことしから来年へかけての大きな課題だと思います。特にこれは大蔵関係で一番大きな問題が、税関係そのほかであるわけです。その点で伺いたいのは、まあ先ほどからの御答弁のように、検討します、考えますというだけじゃなくて、もう少しはっきりものを言っていただきたいと思うんでありますけれども、一つは、輸出振興税制については、これを衆議院の段階でも、もうこれは何とかするということを言われております。それと同じように私は考えているんですが、割り増し償却制度についてのいろいろな特典があります。そういうものもこの辺である程度淘汰をしていく必要があるんではないか。そういうことが、はっきり申し上げて、先ほども質問に出ておりました、日本という国が、企業と癒着している、日本株式会社のような感じであるという印象の質問があったわけでありますが、そういう印象はどうしてもこれは外国にはあると思うんですね。そういう点から見ても、割り増し償却をしている点、これを取りやめるとか、あるいはこれをかなり、最小限度絶対必要であるというものだけにとどめて、あとはこれをやめてしまうとか、こういうことはまず考えられないかどうか、これを一つ伺っておきたいのです。
  80. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいまの御質問について、輸出関係のいままでの振興政策としてやっておりました恩典の施策がございますが、こういうものは私はやはり漸次直していくべきである。その中でどうしても緊急的に、そしてまた実情的に考えて必要なものは、これはあるいは部分的には淘汰して、部分的には残るということになるかもしれませんが、方針としては、私はそれは仰せのとおりの御意見全く御同感であります。
  81. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 輸出振興のことと割り増し償却、二つあるわけですが、この中には、輸出のものもあるし、そうでないものもあるわけですね。そういう優遇制度、いまの答弁からみてもこれは整理されるということがはっきりしてきていますから、この辺でこれはやめます。  もう一つ税金の問題では、関税の問題があるわけです。関税について、いままでもこれはいろいろ自由化が進む、それに伴って関税が本年度も当初のときにいじられました。いじられたけれども、いままでの輸入制限的なものをそのまま残しているわけです。なるほど自由化にはなっているけれども、一定のところまで、いままでのワクのところまでは税は安い。しかし、もしいままでの自由化のいわゆるワク一ぱいこえた場合には、これは自由化をしないと同じような税がかかる、関税が入る、こういうような輸入制限的な関税というものが行なわれているわけです。今度の大蔵大臣所信表明、この中にも関税の問題についても述べられております。はっきりと「関税引き下げ等を積極的に推進する」と、こういうふうに大臣も申されたわけです。その点から、輸入制限的な関税というものは、まずこの制限というのをとっていくのかどうかということ、それから前回も特恵関税のものでシーリングのワクを広げるとか、天井を高くするとか、あるいは毎日々々輸入量を見ていたのを、月ごとに改めるとかということを言われておりました。この点はどの程度まで積極的に伸ばしていくのか、そういうきめのこまかいことがなければ、はっきり申し上げて対外的な経済政策としては失敗してしまうと思うんですけれども、その点はどうお考えですか、構想を伺いたい。
  82. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 関税率の問題についてのお尋ねでございますが、これはこの審議会がございまするし、われわれの考えも述べながら、そして審議会で十分御意見を承って、そして日本の国益に悪い影響がこないようにということを考えるのであります。たとえば、ある程度云々と仰せになりますが、その限度云々を撤廃するといいますか、なくすることによって日本の国内産業に非常に大きな広範囲な影響を及ぼしてまいる場合もなきにしもあらずであります。こうした問題のときには、やはり相手方と、相手方というのは相手の国と十分話し合いをして、そうして研究をして、妥協できるものかできないものか、十二分の私は手を尽くして、国内において不当な、不当なというとおかしいですけれども、大きな影響をこうむって倒産、破産とかがその業界では非常に起こってくるというような場合には、それをしのんでもなおやらなきゃならぬかどうかという場合を十分慎重に考慮しなければ、結論は直ちには出せないものだと、かように思うのであります。
  83. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあそのワク云々というのがありました。関税審議会の結論を待ってということなんですが、ただ大臣として、いま大蔵省の考えている審議会云々もあるでしょう。それはわかるけれども、こういうような対外的にいわゆる経常収支が大幅な黒字である、これを退治しなければ、再び円の切り上げということにならざるを得ないわけでしょう。これは大臣としては、円の切り上げは徹底的に守るというか、したくないというお考えなんでしょう。そうですね。そうだとすれば、審議会の答申を待ってというその気持ちもわかります。それは答弁としてはわかるけれども、大臣御自身としては、これは関税等でもできる限り輸入を促進するために引き下げるものは下げる、もうこういう積極的に推進すると言っているんですから、言っているならば、一体どういうふうなスケジュールでくるのかということを私は聞きたい。いまのように審議会の答申を待って下げられるものは下げる、ワクは広げられるものは広げる、こういろ言い方だけ、あるいは国内産業に影響するものについてはこれは相手国と相談してと、まあ相手国云々というのは、関税の場合ですとやはりそれだけじゃいかないと思います。そうなると、これはいつまでたっても結論が出ないわけですね。はっきりとこちらとしては、大臣としてはこうしたいと、こういうものについては、関税については、もう今度輸入自由化が進むようにはかっていくと、こういうような方向でいかなければ、とてもじゃないけれども、それはもう外国からの圧力は避けられないことになると思うんです。そういう点は、この積極的にと言われたのと、いまの答弁ではまるきり違っている感じがしますので、もう一ぺん伺いたい。
  84. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 御趣旨の存するところを体しまして、私としては極力いま仰せになりましたような円切り上げというような問題は避けたいと思っておりますので、でき得る限りの努力を必ずいたしてみたいと、かようにお答え申し上げます。
  85. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは事務当局に聞いたほうがいいと思いますから。これは大臣がこれだけの所信表明をして、もう衆議院においてもこれと同じことを言っているわけです。当然その作業というものがある程度進んできているだろうと私は思うんですけれども、それはどういうようなふうな中身があるのか、それをちょっと局長から伺っておきたいと思うんです。
  86. 赤羽桂

    説明員(赤羽桂君) ただいま御指摘のございましたいわゆる関税割り当て制度あるいは特恵等のお話でございますが、御案内のとおり、わが国のいわゆる輸入自由化、これにつきましては、累年国際化の線に沿いまして数を減らしてきているわけです。前国会におきまして御答弁申し上げたわけでございますけれども、制限品目でまいりますと三十三残っております。この三十三と申しますのは、ほかの先進国と比べましても遜色のない数字でございまして、まあイギリスはかなり日本より少ないわけでございますけれども、ドイツの三十九などと比しまして少ない数字でございます。  ところで、こういった自由化の過程におきまして、自由化をするとその反対給付と申しますか、そういったような意味関税が上がる。そしてまた、いま御指摘になりましたいわゆる関税割り当て制度、一定の数量以内は関税を下げるけれども、それ以上は関税をぐっと上げてしまう、禁止的な関税になるものも中にはあるわけでございまして、そういったものは、形式はともあれといたしまして、自由化をせっかくいたしましても、その効果をそこなう、こういう制度であるわけでございます。こういったやり方がいろいろと諸外国から批判の的になっておるのはよく御承知のとおりかと存ずるのでございますけれども、われわれといたしましては、まあこれははやり国内産業との権衡、国内産業に与える影響というものも同時に比較考量をいたしながら、スムーズにトラブルなくこの自由化をここ数年来進めてきておるわけでございまして、そういった措置それ自体は決して全く悪いものであるというぐあいには考えておりません。現実の問題といたしまして、たとえばこの数年前にバナナの自由化をいたしましたけれども、毎年毎年の国内産業に与える影響を考えながら、それは毎年毎年見直しいたしましてこれを下げてきておるわけでございます。そういった努力をも毎年積み重ねてきているわけでございます。  ところで、来年度しからばどういうぐあいにしてやっていくか、こういうお尋ねでございますけれども、ことし前回の通常国会が終わりまして、直ちに関税率審議会の審議を開始をいたしております。現在までに約五、六回開いておりますが、ただいまの段階におきましては、いわゆるマクロと申しますか、基本方針と申しますか、関税率審議会では、いよいよ法律にここを改正するという個々の単品ごとに取り上げる段階と、その前の段階といたしまして、基本方針をきめる段階と二つに分かれております。ただいまやっておりますのは、その基本方針を定める段階でございまして、これがあと一、二回で一応基本方針がきまると存じます。そこで、まあこの段階におきまして、来年度はこれこれこういったものを下げたいのだということをお答えしたいのは山々でございますが、これは率直に申しましてまだきまっておりません。われわれといたしましてはこれをやる、あれをやるといういろいろと案は持っておるわけでございますけれども、何ぶんにもよく御承知のとおり、関係各省との折衝が非常にこれはときとして難航し、いろいろとトラブルがこれから起きる時期でございまして、いまの段階におきましてこれをやるという、個々の品目を例示するのはお許しいただきたいと思うわけでございます。  それから特恵の問題でございます。特恵は御存じのとおり、昨年諸外国に先がけて、いち早く実施をいたしたわけでございますけれども、時期は非常に早かったわけでございますけれども、なかなか日本の国内の中小企業への影響を勘案いたしまして、国会にも附帯決議をいただいておるわけでございますけれども、中がまあきびしいわけでございます。特恵の実施もそろそろ一年をこし始めてきているわけでございます。その後の実施状況、関係国等の反響等を考えまして、さきのUNCTADの総会あるいはまた今度の日韓閣僚会議の席上でもそういう話し合いがなされたわけでありますが、特恵のワクの緩和を要望される向きが非常に多いわけであります。そういった点を勘案いたしまして、ぜひ来年度関税改正にあたりましては、十分そういった意図、バックグラウンドを頭に置きまして改正をしたい、かように考えておるわけでございます。
  87. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣、ここのところで景気の回復がはなはだ著しいと、これが税収の大きな伸びを得るというような空気になってきつつございます。先ほどからの質疑そのほかでもそのことが裏づけされたり、はっきりされてきておりますけれども、そういう点ではっきり申し上げて、もうこの辺で、本年度はほとんど所得減税をやらなかったわけであります。来年度の五千億の減税云々よりも、目の前の本年度の年内減税を本気になって考えないと、四十七年度は何も減税をやらなかったということになってしまう。この点は私はすでにもう年内減税を考えるべきだろう、こういうように思うのでありますが、その点はいかがですか。
  88. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) その点につきましては私はある程度の、減税をするならするで、ある程度の額ができないといかがなものだろうかという疑問は持っておりますが、しかし各方面で、たとえば、先ほども例にあげられましたような、低所得層の所得税減税等の問題については非常に要望の多いことをだんだん私もこの職になりましてから非常に耳に入るのであります。その意味におきましては、かりに少額といえども、少しでもそれを手直しするのがほんとうなのかな、そういうふうな御要望を考えるのがほんとうかなということを思わぬでもないという段階にまでまいってきておるということを申し上げておきます。
  89. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 非常に微妙な答弁で、思わぬでもないということは、私のほうはこれは年内に期待ができると、こういうふうに受け取っておきますけれども、それで差しつかえないのですか、大体の受け取り方としては。
  90. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 現時点においては、いま申し上げた程度の私は所存を持っておるのであります。
  91. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 次に、これは経企庁の方お見えになっておられますか。経企庁長官がきょうは見えられないということなんですけれども、一つ、二つだけ、大蔵委員会、非常に関係があるものですから伺っておきたいのですが、これからの予算編成がいよいよ近くなってくるわけですけれども、新しい、新の次、新々経済社会発展計画といいましょうか、その経済計画ができなければ、これはプランニングが書けないと思います。いま一つ、新全総も固まってこなければできないわけであります。それは年内ということも言われておったわけでありますけれども、いまの構想からいくと、いつごろになるかということが一つであります、大体確定するのは。  それから二番目に、大体もうおおよその規模はできているんではないか。たとえば私どもが聞いているのは、GNPの成長率、経済成長率が年率九%というふうに言われておる。こういうふうにも承っている。総理が一〇%、それに対して九%、そういうふうにも言われている。非常にそういうことも聞いているので、大体の規模はもうできているのではないか。できているとすれば、少なくも成長率はどの程度を考えているのか。五年後の経済の規模はどのくらいに考えているのか。  それからいま一つが、大蔵大臣のこの演説の中にもございますように、福祉中心のパターンに変わりつつあるわけですね。そこに大きく変えなければならないんだろうということを思うのでありますが、どういうパターンになるのか。その三つを伺いたいんです。いつになるのか。大体の規模は、もうできているのではないか。それは大体成長率は九%と聞いているが、そのとおりか。五年後の規模は一体どこを目ざしているのか。いま一つは、どのような形になっていくのか、この三つの点であります。
  92. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 第一点の時期の問題でございますが、八月二十三日に経済審議会が開かれまして、内閣総理大臣より諮問が行なわれました。その際に、これは四十八年度予算等にもできるだけ反映をさしたいので、年内に決定をするつもりで作業をしていただきたい。こういうことでお願いをしてございます。もちろん事務局もそういうことで、その後五つの分科会をつくることにいたしました。分科会も発足いたしまして、鋭意作業を進めておるという段階でございます。したがいまして、現在予定どおり持っていきたいという気持ちに変わりはございませんが、何ぶんにもいろいろと問題がございますので、はたしてそのとおりほんとうにやれるかどうか、まだちょっと確たる見通しを立てるということを申し上げる段階には至っておりません。  それから、第二点の問題でございますが、これは当然四十八年から五十二年度までの五カ年間の計画ということにいたしておりますが、今回の計画が、大体諮問にも出ておりますように、国際協調の推進ということと、福祉国家といいますか、福祉の拡充ということを二本の柱にしておりますが、そういう形で計画をつくってまいりますけれども、当然この計画そのものは、いわば政策体系として組まれるわけでありまして、その形、さらに程度、これをどう組むかによって、いわゆる成長率というような点も変わってまいります。私どもとしては、成長率というのは、いわば政策体系が計画の本体でございまして、結果的にきまるもの。こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、そうは申しましても、やはりこういった数量的な問題を扱う計画でございますから、何らかのやはり目安がないと議論が進展いたしませんので、計画のフレームということばを使っておりますが、ごく簡単な前提を置いて、マクロモデルを使って、いわゆる条件つき予測、シュミレーションと申しておりますが、条件つき予測をいたした場合に、どれくらいのことになるか、これを三つぐらいのケースについてやってみようということで、いま努力をいたしております。これは結局非常に福祉型に資源配分を強く傾けた場合には、当然のことながら生産力効果が落ちてまいりますので、成長率は若干下がります。  それから、比較的従来と似たようなかっこうでいくというようなことにいたしますと、これは成長率が高くなります。その中間ぐらいに見るとか、そういうようなことで考えておるわけでございます。こういういわば計画の政策論議をするたたき台になるようなものを、できれば今月末か、来月早々ぐらいにつくりたいということで現在やっております。別に九%というような数字がまだそういう意味で出てきておるわけではございません。ただ、おそらく一〇%台とか、七%台とか、いろいろの計算が出ておりますが、最終的に予測として三つぐらいのケースを示したいと思っておりますが、どれくらいのものを出すことになりますか、これはこれから企画委員会等で十分御議論いただきまして、そうして私どもとしてはやってみたいと思います。いずれにしてもこれはあくまで手がかりとしてのものでございまして、最終的にはただいま申しましたように、計画そのもののいわゆる政策体系がきまったところで、同時にまた経済見通しも変わってくる、こういうものでございます。  それから、第三の御質問でございますが、これは当然今後の経済運営として、いわゆる高度福祉生活と申しますか、福祉主義中心政策に重点が置かれていくということは当然のことでありますが、具体的になりますと、結局社会資本投資のウエートを相当上げていくことが、民間投資の関係で、従来とかく公共投資がおくれがちになっております。これをかなり是正をしなければなるまいと思っております。  それから第二は、社会保障の問題、これも相当力を入れていくような形に今度の計画ではやっていきたいと、こう考えておりますが、そうなりますと、当然民間との関係はかなり、いわゆる公共というか、公共部門が拡大するような形に、経済構造が変わってまいります。そういうことになった場合に、どういう問題が出てくるか、いろいろこれは問題がございます。そういうことも十分これから検討いたしまして、最終的にはきめてまいりたい。もちろんこれには審議会はもちろんでありますし、各省の意見も十分伺わなければなりませんし、各方面の御意見も伺いまして、そうしてできるだけ全体として国民のコンセンサスがとれるようなものにしたいと私は考えております。
  93. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  94. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 速記を始めてください。
  95. 多田省吾

    ○多田省吾君 九月十五日は敬老の日で、各種方面でもいろいろ老人福祉問題が言われました。また大臣所信表明にも、人間性豊かな福祉社会とか、あるいは社会保障充実、けっこうなことをいっておりますけれども、先ほども老人福祉を第一にしたいとおっしゃっておりますけれども、まあ年金一つ取り上げても、そういう姿にはなっていないわけです。いまは修正積み立て方式、もう外国はほとんど先進西欧諸国は賦課方式をやっております。それを改めなければ、幾ら老人福祉と言ったって、これはしようがない。少なくともいま修正積み立て方式を賦課方式にすると、大蔵省資金運用部資金が、いま年金からも七兆円ほど入っておる。郵便貯金も九兆円入っている。簡易保険も入っている。十八兆円ほどの財政投融資をやっておる。それが少なくなるとか、あるいは賦課方式にすると、将来十年、二十年後負担が重くなるからいけないというようなことを言っておるわけです。厚生省もまだまだ消極的です。特に大蔵省が私は問題だと思うのです。ですから、賦課方式、全部とまではいわなくても、修正賦課方式くらいまで入っていかなければ、私は老人問題は解決しないと思う。一例をあげれば、いま年金が一兆三千億くらい入っている。賦課方式にすれば、その年金の利息も四千億円あるだろうし、生活保護費なんかも少しは一緒になりますから、全部で二兆円くらいの財源はあるわけです。そうすれば、厚生年金では夫婦で六万円、国民年金は夫婦で四万円、老齢福祉年金は、いま二千三百円ですけれども、十月から三千三百円、来年五千円にしたいと言っておりますけれども、それにしたって最低二万円は全員にできるわけです。それは理想でありますけれども、そこまでいかなくても、修正賦課方式で大幅にアップするくらいは考えたほうがいいんじゃないか。これが解決しないうちは、幾らたったって、大臣のおっしゃる老人福祉なんということは解決しないのです。国民年金を四万円にしたいなんと言ったって、二十年先、三十年先じゃありませんか。それから還元融資だって、いま二五%、少々三〇%くらいにしたいなどと言っておりますけれども、これは全部一〇〇%にしたっていいはずです。大臣この問題どうお考えですか。
  96. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) この問題はやはり私ども財政当局になりますと、勇敢に踏み切るというのはなかなかむずかしい問題でございます。しかし、最近において、そうした御意見がだんだん政治家の皆さまの中にもふえてまいっておりますし、またこれを受ける側にすれば、なおさら要望している問題でございますから、十分私は検討してみたいと。やはりこれも同じ答えだとおしかりを受けるかもしれませんが、そうしたことを現時点においては私はお答えするよりほかございませんことをお許し願いたいと思います。
  97. 多田省吾

    ○多田省吾君 時間もありませんから……。何回質問しても同じ答えしか返ってこないと思いますけれども、来年は五千億減税、総理が言っておるように、はっきりこれはなされるのですか。  それから、当然私は低中所得層の所得税減税中心になるべきだと思いますが、これはいかがですか。
  98. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) その点、私もいろいろ要望を耳にしておるところから考えますと、そこに重点が置かれておることを承知しております。
  99. 多田省吾

    ○多田省吾君 先ほどからお話を聞いていますと、大臣はっきりしたことをおっしゃられませんけれども、来年の財政規模でございますけれども、まあ概算要求で十四兆三千億、また五%の新規のものを九月中に出せということ、あるいは総理が十五兆予算を言っておるといったようなことから、現在の状態では、十四兆七千億から十五兆くらいになりそうだというような一般の考えもあるわけです。そうしますと、来年の財源は、先ほど、名目で一五%の伸び率を見て弾性値丁三で大体二〇%の伸びだからということで、大体十兆四千億くらいになると思う。そうしますと、計算しますと、大体四十七年度よりも三兆五千億ほど大型予算を組まなくちゃいけない。そうすると、二兆円の所得で、五千億減税すれば、一兆五千しか入らない。あと二兆円足りない。建設国債を大幅に組む。たくさん見込んでも最大限二〇%だと思う。三兆円になる。一兆円の伸びだ。どうしても一兆円ほど足りないわけですね。それをどうも増税するような考えもあるらしいというようなことで、先ほどの大臣の説明では、付加価値税もやらない、ギャンブル税もやりたくないというようなことで、工業再配置税とか追い出し税しかないことになる。はっきり答えられないのはわかりますけれども、大体その程度を考えているのですか。
  100. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私としましては、先ほど来申し上げているようなお答えをさらに飛躍して申し上げることは困難でございます。
  101. 多田省吾

    ○多田省吾君 土地の問題ですけれども、大蔵省土地保有税構想なんかおっしゃっておりますけれども、建設省の構想では、土地売却益を分離して九〇%の重課税とか、あるいは自治省は固定資産税の負担調整措置等の法人適用除外等税負担の強化ということを主張しているのですが、それもあわせて考えられるわけですか。
  102. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 土地税制につきましては、税制調査会におきましても、いろいろ考えていただきたいという御注文が出してございますから、各方面からのいろいろな試案が出ております。これらも爼上に供して、十分専門家の御意見を聞かせていただけることと期待をしております。
  103. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、国民感情をさかなでするような二つのことがあるわけです。  一つは、教科書無償配付制度を全廃する方向大蔵省は検討中なんということが新聞に伝えられたわけですね。これに対して十二日の衆議院文教委員会において、文部大臣は全面的にこれを否定して、無償配付制度をやめる考えは毛頭ない、あるいは来年度国が全額負担する方針だと、こういうことを主張している。昭和四十四年に財政制度審議会で、地方団体と国が半分ずつ教科書無償配付はやったほうがいいんじゃないかというような答申がありましたけれども、これは全然実現しておりません。これはあくまでも憲法の義務教育は無償とするという精神に従って、やはり国が負担すべきだと思うのです。新聞の世論調査でも、七〇%程度、だからほとんど全員です、教科書無償配付廃止は反対だとい、ことですね。大蔵省はそんなことをおっしゃったのかどうかわかりませんけれども、こういうことを少しでも考えておられるのかどうか、そんなことはたいへんだと思う。  それからもう一つは、新聞でいろいろいわれている問題でございますけれども、大蔵省の国有財産監査官の悪業があったわけですが、これは大臣が、一人だけの小さな事件だとか、手口もすぐばれるような幼稚なものだ、だますほうも、だまされるほうも幼稚だとかおっしゃったとか伝えられているんですが、もしおっしゃったとすれば、ここで、すみませんなんてあやまるだけの問題では私はないと思うのです。とんでもないことだと思うのです。いま新聞の投書なんかでも、その問題でにぎわしておりますけれども、これは大臣どうお考えなんですか、この二点を最後にお聞きして終わります。
  104. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 教科書無償配給の問題につきましては、どうしてああいう記事が出たのか、私にも全然心当たりがないのであります。かつてあの制度が、無償で渡されるのが一年一年と上級に向かっていったかと思いましたが、あの時分にはまだ必ずしも全員に対してそういう制度がいいかどうかには議論がありましたことを承知しておりますが、最近になってからは、私自身としては、もちろんそれを廃止しようなんということを事務当局の前でうわさにもしたことはございませんし、今日となれば、やはり板についた、それこそ国民の皆さんの要望の強い問題であることを承知しておりますので、どうしてああいうような大蔵省がというようなことになったのか、あるいは新聞のほうでどこかそういう意見の方があって、それを大蔵省はというふうにお書きになったのか、その点私もつまびらかにしておりませんことをお答えしておきます。  それから、私が先般省内の新聞記者会見、閣議後の記者会見のときでございますが、そのときにあの話題が出まして、最初御質問の趣旨がわからなかった。全然私には見当のつかない問題でわからなかった。そうした場面で、あの問題は、不祥事件があった、その不詳事件についての御質問だな、こういうことがやっとわかりました。そこで私が前日の省内においての状況を考えてみますと、うすうす私にその問題についてのきわめて簡単な報告でございますが、報告がございまして、私としては、たいへんだな、そいつは何とか大きな問題でないということを祈るがなというような話題をお互いに話し合っておったのであります。その際に、それほど大きな問題になる心配はまずないと思います。たいしたことじゃないと思いますというようなことを係のほうの意見として聞きました。そうか、それならやむを得ぬな、残念だけれどもやむを得ぬなというようなことで別れておったのであります。で、その問題であることにやっと気がついたものですから、いやたいしたことじゃなかったんですよというようなことをうっかり発言をしておった。しかし、それにしても事件としては金額も相当のものになる。しかし、最初の日には金額はっきりわかりませんでした。私にはその金額が幾らぐらいの間違いであるということがわかりませんでした。たいしたことないと言ったんだから大きな問題じゃなかったんだろうなと思いましたから、たいしたことないということを言いました。非常に私は省みまして、失言だった、これはあの問題の内容を十分にわかっておらない段階において、たいしたことはないんです、ないんですと言ったのは、むしろ非常な軽率であり、私の間違いであるということを考えましたので、翌日また別の記者会見がございまして、私のほうから進んで皆さまにいろいろ御心配をおかけし、むしろある意味においては私の失言についていい反省の機会を与えていただいたので、その点はむしろ感謝しておりますと言って、こういって私からおわびをしたようなわけでございます。決して私はなんでもない問題だ、あんなことぐらいはたいしたことはないというようなことを私が本気で申したんではない、うっかり口ばしってしまって悪かったと思って、おわびをしておる問題で、全く失言でございますことをお答えにさしていただきたいと思います。今後十分気をつけてまいりたいと思っております。
  105. 栗林卓司

    栗林卓司君 時間も迫ってきましたので、一つだけお伺いしたいんですが、その前に大臣にぜひ申し上げておきたいと思いますのは、先ほど来の大臣の御見解を伺っていてたいへんさびしい気が実はしております。田中総理が自民党の総裁に選任されたときだったと思います。記憶違いだったらお許しをいただきたいんですが、そのあいさつの中で、これまではとにかくどの政策をいつやるのかということは国民に明らかにされてこなかった、しかし、これからはいつまでに何をやるかということが明らかにできる政治でなければいかぬ、こういう趣旨のことを私はあいさつされたように記憶しております。確かに大いに努力します、あるいは慎重に検討しますという言い方で、さすがにあきあきしてまいりましたから、なるほどいいことを言ってくれるという気持ちが国民の中に共感を呼んだことも事実だったと思います。しかし、そういう期待感なり共感というものが、先ほどの大臣の御発言を聞いておりますと、まさに完膚なきまでの幻滅感にあったような気がいたしますし、それが実態なら、羊頭を懸けて狗肉を売るの感を私は免れないと思います。大臣の御答弁で何が気に入らないかと言いますと、いろいろ御答弁にはなるんですけれども、一つに縮めてしまえば、私は白紙なんです、いろんな御意見伺いながら、その結果によってきめてまいります、現在御意見が全部伺い切っておりませんので、内容を申し上げるわけにはいきません、これは平たく言いますと、責任を全部他に転嫁した答弁でしかないと思いますし、なるほど大蔵大臣として言えること言えないことあろうかと思います。しかし、その前にやっぱり責任ある地位にある政治家としての抱負経綸というものは私はあると思うんです。そこで、具体的な、たとえば減税規模幾らという数字は言えないにしても、ある筋道は明らかにできるんではないか。その筋道に大臣個人としての、政治家個人としての私は政治責任がかけられているように思うんです。しかし、そういったものを感じられなかったという意味でたいへん残念でなりません。まあ次回の機会までに、もし私が申し上げたことが一分の理があるとお考えでしたら、ぜひ御配慮、御検討をお願いしたいと思います。  時間がありませんので一つだけお伺いします。  IMFの総会にお出かけになるそうですけれども、若干関連いたしますが、先般ハワイで田中・ニクソンの会談がございました。その前に、ハワイで経済会議がございました。聞くところによると、米国側の当時の主張というのは、二、三年かけて毎年十億ドルぐらいずつ黒字を減らしながら、二、三年後には二十億ドル台ぐらいの黒字にしてくれという言い方をした、これはいろいろこまかいいきさつはわかりませんけれども、最終のハワイの共同声明では、両三年のうちにGNPの一%というような言い方に変わってきた。しかし、これはよく考えてみると、表現上の違いだけであって、いわばそこの中で問題になったもの、合意された内容というのは、実はたいして違いがなかったのではないか。実質的にどんな手段をとるかは別にして、米国の主張もごもっともなので、貴意に沿いましょうということが、表現としては両三年のうちにGNPの一%ということになったのではないか、結局同じものだという印象を持つのですが、これについて大臣の御見解をいただきたいと思います。
  106. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 実は私はその問題についての具体的数字、あるいはいま仰せになりましたような両三年とおっしゃいましたが、それも直接には総理のお口から承っておりません。ただ間接にやはりその問題について、私もああそうか、そういう点をお考え……、応答の中にあったのかなと想像しているだけでございます。この問題につきましては、やはり両国間の貿易をお互いにわれわれ自由貿易のたてまえでやっておりまするし、直ちにこれを、それじゃ露骨な言い方で仮定的に申しますというと、輸出については課徴金をとるとか、あるいはそういうものに対して税をとるとかという問題もいろいろ方法論としてずいぶん無理な問題も付随してまいると思いますが、考えられますし、輸入については、いま日本としては国産で間に合うものがあっても、それが向こうでどうしても一歩進んだものであるならば、同じものなら国内のものを使えばいいじゃないかというのが従来の考え方でございますけれども、同じものであっても少しまさっているならまずそれを輸入品でまかなって使ってみたらどうかというようなことも踏み切れば踏み切り得る問題でございます。そしてこうした問題について法制上の国産奨励に関するような、前からの奨励に関する制度がございますが、これについては最近全部撤廃をしております。こういうふうにしてだんだんと輸入をしやすいようにする、そして輸出の面では、できるだけお互いに自粛をしてやっていこうというような考え方で、業者の諸君にもわれわれお会いするときにはお話をしておりますが、さればといって、どんどん向こうに売れるものを売らぬでおきなさいということもできませんし、そこのところには非常に悩みを感じているのであります。しかし、何らかそこに措置を講ずることは必要があるのでございますから、われわれとしてはこれについても何か制度上も考えないではない。その次には単に指導上の問題として考える余地があるのか、しかし、その指導上の問題じゃ実効が出てこないじゃないかという問題もございますから、この辺に非常な悩みを持ちながらも、また相手方に対しても十分、ただ単に黒字国だけの責任、あるいは赤字国は責任がないのだ、こういう考え方もおかしいじゃないかというようなことも、こんな意見がはたして会議の席上で取り上げていただけるかどうかわかりませんが、私としてはやはりこういうことも十分話し合いをする機会を持ちたい。かりに会議の公開の席でなくても、個々にお会いしたときにはそういうことも訴えてみたい、主張してみたい、かように考えておる次第でございます。
  107. 栗林卓司

    栗林卓司君 ことばじりをとらえて恐縮ですけれども、ハワイ会談でどういう話があったのか、田中総理からつぶさに聞いてないのでという趣旨の冒頭の御答弁がございましたが、これから国際会議に出ていくわけですし、当然アメリカの利益を代表する米国代表ともお会いするわけだし、その中で、ついこの間やって、きわめて湯げの立っているような、逆に言えばそれだけ強い関心を米国が持っているような会議のやりとりについて、その程度の御認識で日本を出発されるのですか。
  108. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) その問題につきましては、出発までに総理ともう一度お会いをして、そしてでき得るだけ聞かせていただけることは聞いてまいりたい、こう思っております。
  109. 栗林卓司

    栗林卓司君 私が冒頭申し上げたのはそこなんです。では田中総理をそこに呼ばなかったら何にもわからない。ですから政治家としての植木さんはどうお考えになっているのか。いまのいろいろ悩みがあるとおっしゃいました。そのとおりだと思います。ただ、いまわれわれが取り巻いてさっきから同僚委員諸君質問している気持ちというのは、すべての諸問題は幾ら時間かけてもいいという問題ではないのです。ある期間の中で消化しなければいけない、したがって急がなきゃいかぬ、どうするのだ、これが再々お伺いしていることなんだし、日米の貿易関係の問題にしたって、まあゆっくりと考えよう、そのうちにはということにはならない。私が両三年のうちにGNP一%ということと、毎年十億ドル云々ということが同じだということを申し上げたのは、現状のまんま二、三年いって、ある日突然に改善されたということではアメリカは承知しないだろうと言っている。したがって、どう改善したのかということが、政策の選択は日本ですけれども、結果として出てこなかったら承知をしないでしょう。その意味では同じことなんだし、その意味ではたいへん切迫した問題なんだと申し上げたかったから聞いたんだ。それは、これから国際会議に行くんで、ゆっくりと総理から聞いてみますというのでは、いまの時代の大臣として、私は残念ながら不適格だと申し上げざるを得ない。それは慎重な御答弁であるのかもしれませんけれども、きわめて不穏当だと思うんです。まあ時間がありませんからこれ以上申し上げませんけれども、円の再切り上げにしても、このままいったら、私は必至だと思います。じゃ一体これがいやだというんだったら、早急に何らかの対策を打たなきゃいかぬ、どうするんだということが、残念ながらいまの御答弁にうかがわれる御検討のテンポでは、私は円の再切り上げはきわめて近い将来必至だと覚悟せざるを得ません。困るのは国民が困るのです。その意味でもう少し御検討いただきたいと思います。  終わります。
  110. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 大臣、総理大臣から意見を聞かなければ私はわかりません、これはたいへんな無責任な言い方だと思うんですね。すでにこのホノルル会談の共同発表の内容において、五項ないし六項、七項、ことに七項においていまの問題についてはこういってるんですね。「総理大臣は、日本政府も米国からの輸入を促進するよう努力する意向であり、また日本政府は合理的な期間内に不均衡をより妥当な規模に是正する意図である」、明確にいっている。この合理的ないわば期間というものが問題になって、現地の各記者との会見の中で田中総理みずからそれは両三年だと、こう言っている。ニクソン大統領は四年ないし五年だと。おそらくそれは田中総理の任期期間をさして言ったんだろう、こういう観測記事まで出てるんですよ。そういう三十一日と九月一日の共同発表の経済、金融各般の、関税等の問題も含めて、金融の合意書をもってきちっといっているんですね。それが閣僚である大蔵大臣がわからぬというのはね、いまの栗林委員質問に対する回答は、これは議員を侮辱するということになるんじゃないですか。国会の審議権を大臣は何と考えているのか。これは私は容認できないと思うんです。関連でありますからこれで終わりますけれども、明確にいってるんですから、共同発表で。
  111. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私もこの共同声明に出ております「日本政府も米国からの輸入を促進するよう努力する意向であり、また日本政府は合理的な期間内に不均衡をより妥当な規模に是正する意図であることを指摘した。」と。私はこの問題に関しては声明書を通じて知っておりますが、私の申し上げようとしたのは、あるいはことばが足りないのかもしれませんが、たとえばGNPの一%がどうだとか、あるいは両三年内だ、いや四、五年内だと、そういう具体的な問題については実は聞いたことがございませんと、こういう実は言い方をすべきだったのを、そこをはしょってしまったものですから、この問題を私は声明書を通じてはこの程度の了解は持っているのであります。それで、おのずからそこに「合理的な期間内」というのは、なるほどそういうようなことが話題に出たのかなあということを、これは想像としては、世間でも一部聞いたことがありますが、確かめてみたことはない。その意味で実はあまり要領を、慎重を要したのかもわかりませんが、そういうことでございます。
  112. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっと、時間ありませんけれども、そういうことだから、今後の対策をどうするかということなんですね。この共同発表からくるものは、長期的な国際通貨調整をいっているんですよ。だから、三年か四年か五年かかる。しかし、それでいったんでは、いま早急にまとめ切れないから、じゃ短期的にどういう態度をとるか、さしあたって日本の円の再切り上げ、これは当面の問題、これをどうするかという、こういう案は当然政府としては考えている。主管大臣である大蔵大臣がそういうようなことを考えないというのはいけないと思う。それをいま栗林委員は具体的にどうするのか。今月末大臣行かれるわけでしょう。当然外圧が加わってきている。西ドイツや日本が指摘されて、どんどん追い込まれているわけでしょう。これをやらなければ円の再切り上げにいくかどうか、そういうせとぎわなんです。大臣はやりたくない。だから、そういう問題について具体的に当面どうするのか。この両首脳が会談でもって発表した内容については長期的な展望ですよ、国際通貨調整の。こういう政策が、当然主管大臣としてどうあるべきかということははっきりしてんじゃないですか。それを言えないということはないと思う。栗林君はそれを言っているんだと思う。
  113. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) その問題につきましてはまことに申しわけございませんが、具体的に私が現時点でこういうことを考えてみました、こういうことを考えておりますということをまだお答えできない私の心境でございますことをお許しを願います。
  114. 渡辺武

    ○渡辺武君 十四日、十五日両日パリで開かれたOECDの第三作業部会に出席された稲村財務官がけさ帰国されたということで、この委員会に出席していただくよう通告したのですが、ほかの用事で来られないということで、かわりに藤岡審議官においでいただいていると思いますので伺いたいと思います。  この作業部会の内容が、黒字国日本にとってきびしいものであったということがけさのテレビニュースなどで言われているわけですが、時間がないので、要点を、ポイントだけでいいですから、ひとつ簡潔に報告していただきたいと思います。
  115. 藤岡眞佐夫

    説明員藤岡眞佐夫君) 先週の十四、十五の両日、パリでOECDの第三作業部会が開かれたわけでございますが、その討議内容は、これはあらかじめお断わり申し上げたいと存じますが、従来からこれは秘密になっておりまして、そういう約束のもとに各国は率直な意見の交換をしておるわけでございます。  そこで、これから申し上げますのは、私の印象を中心にということになろうかと思いますが、一月半の会議でございまして、最初の日には、これは前の六月の会議のときから宿題になっておりました各国の国際収支目標とその整合性の問題、それから次に第二点として、国際収支の調整過程の問題、これはいわゆるアジャストメントプロセスと申しておりますが、それから第三番目の撹乱的短資の移動の問題、この三つを議論する予定でございましたが、第三番目は時間の関係で議論になりませんでした。したがいまして、第一、第二を一日をつぶして議論をしたわけでございます。  まず第一の国際収支目標でございますが、これは、最近国際収支を議論いたします場合、あるいは国際収支の調整をどうするかという場合に、まず問題になりますのは、各国の国際収支の目標でございます。どこの国も黒字を持ちたいという国が多うございまして、それを足しますと非常に大きな黒字になるわけでございますが、国際収支は、どこかの国が黒字を出せば、他方どこかの国では赤字を出さなくちゃいかぬということになるわけでございます。OECDで扱っておりますのは、OECD加盟国の国際収支の目標を調整するわけでございますが、それを全部足しますと、相当大きな金額になるわけでございます。で、それだけの黒字は結局OECD以外の国の赤字になるというわけでございますので、そこにはおのずから限度があるわけでございます。この議論を長々とやったわけでございますが、たとえば日本の場合には、これは前からいろんな機会に申しておりますように、近隣諸国をはじめ、対外援助をする関係もございまして、GNPの一%程度の経常勘定の黒字を持ちたいという目標は前から言っておったわけでございますが、ほかの国もそれぞれの事情がございまして、やはり国によって大きな黒字を持ちたいということもあるわけでございます。こういった目標をどういうふうにして整合性を持たせるかということが議論になったわけでございますが、結局何ら結論らしきものはないまま終わったわけでございます。  それから第二の国際収支の調整過程の問題でございますが、これは、焦点は先般発表になりましたIMFの通貨改革に関する理事会レポートにも出ておりますように、国際収支に関して一定の基準を設け、そこに達した場合に、通貨調整を含めいろんな措置をとるかどうかという問題、これは、もちろんそういうことはいいという意見と、それから、そういうことは弊害があるし、できないという反対意見と、両方あるわけでございますが、第三作業部会におきましても、それを中心に議論が戦わされたわけでございます。で、これにつきましても、やはり全般的な空気としては、たいへんそれはむずかしいのではないかと。たとえば外貨準備が何億ドルかになれば、自動的に切り上げをするということは、これはとてもできない問題じゃないかというような意見が大勢を占めたと思います。それから二日目は、半日でございましたが、これは恒例の主要国の国際収支の状況を検討したわけでございます。で、日本が話題の中心になったわけでございますが、これは前回の六月の第三作業部会のときにおきましても、日本の経常収支の黒字が非常に大きいと。あのときは七十億ドル程度と事務局のほうで見込まれておったわけでございます。今回は事務局のほうももう少し低目の数字を出してきたわけでございますが、私どものほうは、一月から八月までの実績、これは八月は暫定実績でございますが、季節調整いたしますと経常収支で四十億ドルぐらいの黒字になっているわけでございます。それを単純に八分の十二倍いたしますと六十億ドルになるのでありまして、OECDの事務局の言っております数字よりはちょっと低い。さらにまた、これは今後の円切り上げの効果を考慮に入れておりませんし、それから、これから景気がだんだん回復、上昇するわけでございますし、それから一−八月の実績の中には、湾港ストというような例外的な要因もあるので、今後次第に黒字幅は減少していくと。来年になれば五十億ドル台にいくという説明をしたわけでございます。  まあ率直に申しまして、こういう説明はしたわけでございますけれども、それにしても、日本の黒字は非常に大きいではないか、何とかもうちょっと早く措置をとって、黒字幅を縮めてもらえぬかというふうな要望があったということは御報告させていただきたいと思います。  以上でございます。
  116. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、いま戸田委員その他から問題になっておりました、両三年でGNPの一%程度に経常収支の黒字幅をしたいということですね。この立場で第三作業部会で日本代表が発言されたというふうに理解してよろしゅうございますか。  それから、もう一つついでに伺いたいんですが、この調整過程で、じゃそれを達成するための具体的な方策ですね、これはいろいろやっぱり議論があったと思うんですね。日本の立場として、たとえば輸入自由化の促進だとか、あるいは財政金融面からの景気拡大だとか、あるいはまたアジア援助の拡大など、こういうような方策を強調されたというふうに漏れ承っているわけですけれども、その辺事実かどうか。  もう一つ、円再切り上げについての要求があったかどうか、その辺あわせてお願いしたいと思います。
  117. 藤岡眞佐夫

    説明員藤岡眞佐夫君) まず最初の、GNPの一%を経常収支の黒字幅の目標にするという点につきましては、実はこれは秘密の会議でございますので、今回初めて言ったわけではございませんで、まあ従来から、少し前から大体日本はそういうニュアンスで発言をしておったわけでございます。  それから二番目の、黒字幅を減らす方法でございますが、これは具体的にだれがどう言ったということは申し上げられないわけでございますが、たとえば輸入自由化とか、あるいは財政金融政策とか、これは一般的にいわれていることでございまして、日本のような大国になりますと——大国といいますか、経済をじょうずに運営している国の場合につきましては、おまえの国は何をやれというふうに言わないのが慣例でございまして、まあ方法は自分で考えていい方法でとにかく黒字幅を縮めてくれという空気でございました。  それから、三番目の円切り上げについては、一言も話はございませんでした。
  118. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣に伺いたいのですが、いまのお話を伺いましても、日本が非常に大きな黒字を出している、貿易や国際収支で。そして外貨の蓄積が進んでいるということが、現在の国際通貨金融問題についての焦点になっている。言ってみれば、非常に強い風当たりのもとに置かれているということは、これは明らかだと思うのですね。このことは、日本が貿易上その他のいろいろな負担を今後もおおいかぶさせられて、背負わされていくというだけじゃなくして、これはもう円の再切り上げというもの、近い将来に不可避的にそういう方向に追い込められるだろうということを十分に推測させる材料だと思うのですね。  で、特にアメリカの大統領のニクソンが、この八月の半ばに特別経済報告を出しておりますけれども、その特別経済報告の中でも、こういうことを言っているのですね。通貨改革は、国際収支の不均衡を敏速に調整、このため赤字国の平価切り下げと同時に、黒字国の切り上げを促進する仕組みにならなければならない。つまり卑俗に言えば、アメリカもドルを多少は切り下げてもいいけれども、何よりも国際収支黒字国である日本などが切り上げるべきだということだと思うのです。この間発表されましたIMFの年次報告も、その方向でやっぱり強調しているというふうに内容は読みとれると思うのですね。  私、こういう外国からの圧力、特にアメリカからの強い圧力があるだけじゃなくして、何よりも、日本政府の部内に、すでに円の切り上げというような意見があるやに聞いているところが大きな問題だと思うのです。たとえばこの間の経済企画庁の年次経済報告、あの中でもそれをにおわせるようなことをいっておりますし、特に通産大臣が、調整インフレをやるべきだというようなことを言ったのに対して、これは新聞紙上で拝見した限りでは、大蔵省その他が、調整インフレという意見には反対して、為替調整という方向で問題を考えるべきだというような意見も出ているというようにも聞いておりますし、また日本銀行総裁も、調整インフレという考えに反対されながら、円の再切り上げというような点をにおわせるような発言もしているわけです。やはりこの問題は、日本経済にとっても、国民生活にとっても、非常に大きな問題です、大きな打撃を与える問題です。  大臣もIMF総会に出席の直前だということでありますので、これらの点についての基本的な態度をどういうふうにとられるのか、その点を伺いたいと思います。
  119. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 私は、やはり今回の向こうへ出ましての、自分の、日本としての立場の主張を述べる際には、通貨調整の問題については、赤字国は言うまでもなく、黒字国も赤字国も、それぞれの責任をお互いに持つべきじゃないのか。両々相まって話し合いをして、そうして適当な結論に到着するのが筋じゃあるまいかということが、一つの私の主張してみたい点の原則でございます。しかし、微力な私でございますし、あと、日本の意見が、どこまでそういうものが取り入れてもらえるものかもらえぬものか、これは大ぜいの席上の問題でありますし、直ちに決をとるということには至らないのじゃないかという想定を持っておりますけれども、そういう感じで考えております。
  120. 渡辺武

    ○渡辺武君 赤字国はもとより黒字国も責任をとれと。非常に抽象的な表現ですね。やっぱりこんな抽象的な表現で、いまのこのきびしい国際通貨情勢について、日本の民族的な利益を擁護していこうというようなことは、私はできないと思う。そういうようなことでは、これはもう、日本の国民的な利益を守りて、アメリカの圧力その他と戦っていくというようなことはとうてい私はできない。  具体的に伺いたいと思いますが、今日の国際通貨危機の根源が、アメリカのドル危機にあるということは、もう国際的な常識だと思う。特に、そのアメリカのドル危機の最大の原因が、アメリカのベトナム侵略を中心とする戦争と、侵略の政策にあるということも、これもまた国際的な常識だと思う。私、前々国会で、前国会でも、前佐藤首相やそれから水田大蔵大臣にもその点をただしましたけれども、結局それを認めておられる、政府の最高の責任者も。そういう事態です。私、アメリカの商務省の発表しているサーべー・オブ・カレント・ビジネスを詳しく検討してみますと、昨年のアメリカの国際収支、これは政府決済ベースで二百九十七億六千五百万ドルの赤字を出しております。これは非常な、史上最高の大幅な赤字です。さて、この大幅な赤字の原因がどこにあるのか、これを見てみますと、そのベトナム侵略を含めてのアメリカの海外への軍事支出、これは支出と収入がありますから、差し引いての純支出ですが、三十八億九千四百万ドルある。それからいわゆる政府の贈与だとか、長期借款だとかというようなもの、これもまた戦争と侵略の政策に関連して出されている、これが六十二億七千八百万ドル、合計してこの政府の海外経済軍事支出、これが九十一億七千四百万ドルに及んでいる。アメリカの国際収支の赤字の三分の一、これがこういうベトナム侵略を中心とする戦争と侵略の政策のための海外への支出、これから生まれている。  もう一つ大きいものは、これは昨年八月、このドルが金との交換を停止しました。そのこととも関連しまして、アメリカから短期資金が急速に流出した、いわゆるドルのたれ流しですよ。金と交換するおそれがないから、幾らドルを外へ出したってだいじょうぶというようなことで、短期資金をめちゃくちゃに出してきた、これが二百十一億八千万ドルにも及んでいる。もちろん貿易収支も昨年から赤字になりまして、二十八億八千九百万ドルの赤字が出ておりますけれども、しかし、最大の原因は、ベトナム侵略を中心とするアメリカの戦争と侵略の政策のための海外支出及び金とドルとの交換停止にあるということは、いま私があげた簡単な数字でも明らかです。ことしに入って第一四半期だけの数字が発表されておりますが、これを見てみますと、アメリカ政府の軍事経済支出は第一四半期で純赤字二十五億六千四百万ドル、昨年の同じ時期は二十二億千五百万ドル、昨年よりもさらに大きくなっている、これはベトナム侵略戦争の激化を反映していると見て差しつかえない、こういう事態なんですよ。それでドル危機、そうしてまたそれを根源とする国際通貨危機の最大の原因が、アメリカのいまの戦争と侵略の政策、とりわけベトナム侵略の強行下にあるということは明らかなことです。ところが、それにもかかわらず、昨年十二月末のいわゆるスミソニアン体制というのは、このアメリカのベトナム侵略、これを不問に付した、そうしていわゆる黒字国の責任、まあアメリカもドルを若干切り下げましたけれども、特に日本などの黒字国の通貨を大幅に切り上げるという形で、このドル危機を何とか解決しようという方向を打ち出した。これは客観的に言えば、アメリカのベトナム侵略を経済的に支援するということになる処置だと思うのですね。それでこれは私は、やはりスミソニアン体制基本的な矛盾一つだと思う。こういう事態を、つまりアメリカのベトナム侵略、ドルのたれ流しということをそのままにしておいて、不問にしておいて、黒字国の責任でもってドル危機を解決するなんて処置をとれば、アメリカはますますそれに力を得て、ベトナム侵略を強化して、ドル危機は一そう激化して、国際通貨危機もこれはなかなか解決しない。ますます激化の一途をということになるのは、これは明らかです。ところが、この間の日米ハワイ会談、これはまさに同じ立場に立って、特にアメリカのベトナム侵略を支持するという立場に立って、十一億ドルに及ぶ緊急輸入その他の大きな負担をしょいこまされている。その上にアメリカと一緒になって、国際通貨体制の改革に努力するというようなことまで言明して帰ってくるというような事態、私はこういうことでは、幾ら大臣が円の再切り上げはいたしませんなんて言ったって、客観的な条件からして、円の再切り上げに追い込まれることは不可避だと思う。一体今度のIMF総会で、アメリカは国際通貨危機を防ぐためにも、ベトナム侵略はやめるべきだということを主張なさるかどうか。私は、当然主張すべきだと思う。その点、大臣の見解を伺いたい。
  121. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいまの御意見、御質問でございますが、私はこれに対してまっ正面からお答えすることは遠慮させていただきたいと思います。しかし、非常に貴重な一つの御意見であり、そうした御意見が世上にも伝わっていることも知っておりますし、したがって、私はやはりこれは、われわれとしましても、十分頭に入れておいて考えるべき問題だと、かように思っておるのであります。
  122. 渡辺武

    ○渡辺武君 最後に一問。  この問題は、私、水田前大臣にもやかましく伺ったんです。そうしたら、いや、それは問題にしました、と言うんですね。コナリー財務長官には話をしました、と言う。それで、それじゃそれを正式の会議の席上で、日本政府代表の正式の意見として出されたのか、と言ったら、そうじゃない、どこでお出しになったか、と言ったら、会議が終わってコーヒーを飲んでいるときに言いました、と言う。日本政府代表は、国際会議でコーヒーを飲みに行くわけじゃないだろうと私は思うう。大臣もこの点はよくお考えいただいて、正式な会議で、日本政府の正式な意見として出していただきたい。この点を解決しなければ、円再切り上げの問題などこれは回避することは絶対にできませんよ。それをひとつ要望して、重ねて御意見を伺いたい。  もう一つは、先ほど申しましたドルと金との交換性の停止の問題です。もう時間がないから詳しくは申しませんけれども、さっき言いましたけれども、まさにドルと金との交換性が停止されたために、アメリカはますます大胆になって、ドルのたれ流しをやっているんですよ。幾らドルをたれ流したって、金と交換という要求が出されても実現する道がなくなっている。この問題を解決しなければ、このめちゃくちゃなアメリカの短期資金の海外流出、アメリカのドルのたれ流しというのは、これは防ぐ有効な手段というのは国際的にないんです。したがって、これは円の再切り上げを防ぐ上でも、このドルと金との交換性の回復、これを日本政府の正式な要求として出すべきだと思います。この点、どうお考えになるのか。
  123. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 慎んで拝聴しておきます。
  124. 渡辺武

    ○渡辺武君 いや、拝聴されたんでは困るんだよ。出されるかどうかと伺っているんだから、質問しているんですよ。意見を言っているわけじゃない。答弁いただきたい。
  125. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 拝聴しておきまして、そしてそれを適当な機会があるときに、私として主張する機会を握りたいと思いますが、それは必ずこうできますという見通しは、私はそうした国際会議に出た経験もありませんから、水田先生がどういうふうにお話しになったか、またどういうふうに御実行になりましたか、いま初めて承りましたけれども、私にはよくわかりません。したがって、私は、その御意見は一つの世上にある御意見でもございますから、一つの考え方であるということは十分に頭に入っているつもりでございます。それを体して行動したいという、つとめをしてみたいということを申し上げるのであります。
  126. 野末和彦

    ○野末和彦君 先ほど土地課税の強化という問題が出まして、これは大臣、検討中ということでしたけれども、土地と同じく大きな問題の一つに、公害の防止ということがありますね。それでこの公害ですけれども、これは国の急務なんですけれども、税制面でもそういう公害防止に協力できるような案があったら協力するのがあたりまえではないかと私は思うわけで、何か大臣、検討中の構想がいまおありでしょうか。事後の補償ということは、いままでよりは進歩したように思います。事後の補償だけでは、しかし万全ではないわけで、やはり公害の発生源を押えて、公害を予防するということはこれは重要ですね。日本列島改造なんていったって、やはりこの問題を無視するわけにいきません。そこで公害防止に効果的な税があるかないか。もし検討中であれば、その構想の一たんを教えていただきたいと思います。
  127. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) この問題につきましては、現行税制の上でも公害防止に関しての若干の措置がしてあるそうでございますが、私、実は局長にいま聞きましたようなわけでございまして、この点についてはなお十分、どういう方法によって対策をとっておるかを聞きまして、それに対してさらに新しい考え方、違った考え方で、有効な措置があるかどうかを研究をすることにいたしまして、充実を期す必要があれば、ぜひとも充実を期したい、かように思います。
  128. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、来年度の新税あるいは税改正の面で、こういう案は出てくるわけですか。というのは、何か国民にしわ寄せがくるような新税案なんか、どんどん検討されるわけですね。どうも企業のほうには相変わらず甘いわけですから。そういう立場でいながら、すぐに福祉国家だとか、生活優先だとか言われても、どうも信用ができないわけですね。先ほど減税五千億という話も出ましたけれども、大臣のお考えでは、やはり低所得者層が中心減税をしたいというようなお考えがある。ところが新聞を読むと、今度はどうもあぶなくなってきている。そうなると一体、きょうの所信表明もどこまで信用していいか、さっぱりわからないのですが、減税五千億やれそうなんですか。それとも財源上いろいろな点でもう無理なんですか。これは大臣の個人的なお考えでけっこうですから、それをひとつはっきりさしていただきたい。先ほどから、あいまいなお答えしかありませんので、ひとつ増税と引きかえならやれるからやりたいとか、いろいろなお考えがあるでしょう。五千億、実現しそうですが、それとも無理ですか。
  129. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 一口に五千億円減税と申しましても、相当のこれは大きな、いままでにも一挙にそれだけの所得税減税というものは、おそらく先例がなかったのじゃないかと思います。一方、福祉国家建設のために、普通財源の増収を非常に期待をしておるわけでございますから、一挙に五千億減税を来年度でやれるかと聞かれますと、しいて勇敢におまえ申せと言われれば、私は相当困難だと思います。こう申し上げるよりほかありません。
  130. 野末和彦

    ○野末和彦君 まあしかし、大臣としては困難だと言われても、何といっても大ぶろしきを広げているわけですから、ここで実はできませんということになれば、これはいわば詐欺みたいなものですからね。これは大臣責任ではないかもしれませんけれども、やはり、できるという前提がある程度あって、総理がおっしゃったようにも思うし、全然それが口先だけだったら、これは総理が非常にいいかげんだということになりますね。  で、大臣、五千億で無理だったら、どの程度なら減税はできそうですか。
  131. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) いま、先刻来本委員会において再三おしかりを受けながらも申し上げかねておる問題でございますから、以上きょうの質問応答によって私の、具体的なワクなり金額なりはまだ申し上げられません。けれども、答えてまいっておりますのでお許しを願いたいと思うわけであります。
  132. 野末和彦

    ○野末和彦君 まあ、全部申し上げられませんになったり、検討中になったりしますと、これはもう何を聞いても、先ほどからの委員の意見と同じになっちゃうのですね。大体、きょうの所信表明でもありますけれども、いままでの産業投資主導型から、生活優先、あるいは福祉国家という方向に変わっていくんだったら、税制も当然そうあるべきですね。そうすると、税制がそうあるべきなんだけれども、根本的姿勢というものをもう一度振り返ってみたいと思うんですね。福祉時代にはこういうふうに税制はあるべきだ、それで考えますと、金の使い方についてはことしの税改正でも、それから来年度の予算の配分でも、いろいろな点で福祉がかなり重要視されているような気がするのです。そういう方向に向かいそうな、しかし、金の集め方、要するに税制というのはどうも変わりそうもない。高福祉負担、こういうわけですね。そうすると、高負担というと、すぐ一般の国民が、サラリーマンが一番多いようですけれども、サラリーマン中心とした一般国民負担を求めるようなことをすぐ検討し出すわけですね。その辺がずいぶんおかしいと思うのです。何か、取りやすいところにはいつも負担を持っていく。取りにくいところから取ろうというくふうとか努力というのをさっぱりしないで、それで福祉国家、福祉国家と言われても、これでは一般の国民は納得しないと思うのです。いままでとっくに高負担をしていると思うのですね。高負担しているけれども、見送りはさっぱりないじゃないかというのが実感なわけでしょう。ですから、高負担という場合に、すぐに取りやすい一般の国民から、高負担という考え方をひとつ改めていただかないことには、こういう基本的姿勢を改めないことには、全く福祉面では充実しないと私、思うわけです。  大臣にあらためてお聞きしますが、高福祉負担ということを、このごろ大蔵省のほうで盛んに言っているという話ですが、大臣もやはり高福祉のためにはもっと国民に高負担をしいなければならないとお考えですか。
  133. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 福祉国家の建設のために、相当多額の経費が要るだろうということについては、これまたいなみ得ません。そうしますというと、それをどこから一体財源を求めるかということになりますが、一方におきましては、先ほど来もかねて御質問にもございましたように、私も申し上げましたように、減税についての強い要望もございます。さればといって、福祉的ないろいろな社会資本あるいは社会施設の増強についても、もう少し自弁でまかない得る部分もございましょう。たとえば託児所をどうするとか、あるいは寝たきり老人のために病院を、施設をこしらえて、そこへ入れる。そしてそれを今度はそのための初度費、建設費というようなものが、いわゆる公債財源でもやれるじゃないかというようなことも考えられぬことはありません。しかしながら、経常的にそれを経営していくような運営の費用等になりますと、これはやはり本来ならば普通歳入でもって支弁するのが相当と思いますから、やはりどこかに財源を求めにゃならぬ。そうすると、これは高福祉負担、たとえばそのことばから解釈すれば、私としましては、やはり現在所得税なら所得税でも、比較的負担がつらいところではあるまいかと思うときに、それをつらいのを全部除くというのを少しがまんをしてもらって、そうしてもう少し一般的に社会生活国民生活が高まるに従って、そういうところからだんだんと出してもらうというようなことで、財源を苦しい中からでも、将来に楽しみを持ちながら財源をあさって、そうして新税はなるべくならばむずかしいだろうなと、これも思いますから、これはできない。そうすると、既存の税源の中でも、減税の程度の問題におのずから及んでくるのでなかろうか、こういうふうに私は考えられると思っておるのであります。
  134. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうすると、やっぱり何か国民のふところ以外には財源がないような話に聞こえるわけですけれども、先ほどから大臣も一応税制が不公平だということをお認めになったでしょう。不公平で得をしているところに、もっばら負担をさせようというような考えはないのですか。というのは、いまの国民の賃金からいって、高負担というのはぼくはおかしいと思うのです。無理だと思うのです。諸外国ではもっと高負担で、日本の税負担は平均してまだ低いということが、そういうデータも政府のほうから聞きますけれども、高賃金があって高負担というならいいけれども、日本の現在、どうなんですか、高負担というのは、ぼくはこれ以上の税負担は無理だ。そこでいまの大臣お話ですけれども、もう少しがまんしてもらうようにというお話でありますが、そうじゃなくて、甘やかされてかなり税の不公平で得をしている連中、ここをもっと強力にやる。で、国民のふところを期待するということはやめたほうがいいんじゃないか、やめるべきじゃないかと私は思います。最後にそれをお答えいただきたいのです。
  135. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいまのその御質問に対しては、先ほども申し上げましたように、医師のいわゆる収入につきましては、特別の恩典のある制度が長い間行なわれてきておりますが、これについては、税制調査会にもはかって、そうしていろいろ検討をしてもらっておる。検討してもらうというのは、いまさらおかしいじゃないかとおっしゃるかもわかりませんが、一つの、ちょうど悪税もまた税なりという昔からことばもございますが、そういうことから考えてみましても、それになじんでいる人たちは、これが当然である、われわれとしてはこれくらいの経費を見てもらわなければやれないのだというような主張も一方にはあり得るのでありまして、これらをだんだん直していくためにこそ、前年の税制調査会の時分からすでに検討してもらっておるんですが、容易にまだ結論を出して御答申を得るに至っておらないということは、やっぱり一つの既成事実ができると、それをいかに直すのに骨が折れるかということの一つの例になるのではあるまいか。私はこうした問題についても、ことしはできるならば、ぜひひとつ調査会に適切な案をお考え願い、われわれとしてもぜひ飛びついて賛成できるような結論を得さしてほしいと、こういうふうに思っております。
  136. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、そういうまだ問題をかかえているのに、一方で、先ほどから言いますように、国民負担がかかるような新税を検討するというのは、これは非常に迷惑な話で、やはり高負担を口にされるだけでも、国民感情としてはおもしろくないと、こう思うわけですよ。ですから、高福祉負担というようなことを簡単に大蔵省のほうも言って、いかにも福祉充実するためにはおまえたちの負担が低いのだというような言い方は慎むべきである、私はそう思うんです。ですから、いまいろいろ問題になっております、税調などが問題にしておるような面を、不公平な面を解決してから、新税の検討なり、高負担ということを言うのが筋道ではないか。どう考えても、いま大蔵当局、あるいは大臣のお考えは、ちょっと逆であるというふうに思いますが、いかがですか。
  137. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) ただいま高福祉負担を、私がどっかで主張したような前提での御質問でございますけれども、私は別に高福祉負担という考え方で、高負担のほうに、増税あり、新税ありというようなことは、実は別に主張しておらないのであります。ただしかし、その声がこれまた相当広くあることもわかっております。それは、そうしたことをお考えになっている方々は、いわゆる福祉国家のいろいろな施設を大幅にこの際伸ばすべき時期になってきているんじゃないか。こういうことから、それにはやはり財源というものは、国民の一部の人たちから負担してもらわにゃいかぬじゃないかということから、当然一つの帰結としてのあることばであろうと思いますから、私はやはりそういうこともあってなかなか、歳出全体も福祉国家の建設のために相当力をさいて財源を出したいと思いますが、それにもなかなか苦労のあることをいまから心配をしておるというのが実情であります。その点はひとつそういうような御理解でお願いしたいと思います。私が別に増税をやりますとまだ申し上げておりませんし、新税をやりますと申し上げてもおりません。いろいろな機会を研究をいたしておるのですということを申し上げておる次第でございますから、御了解を仰ぎたいと思います。
  138. 藤田正明

    委員長藤田正明君) 本日の質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会