○渡辺武君 赤字国はもとより
黒字国も
責任をとれと。非常に抽象的な表現ですね。やっぱりこんな抽象的な表現で、いまのこのきびしい国際通貨
情勢について、日本の民族的な利益を擁護していこうというようなことは、私はできないと思う。そういうようなことでは、これはもう、日本の
国民的な利益を守りて、アメリカの圧力その他と戦っていくというようなことはとうてい私はできない。
具体的に伺いたいと思いますが、今日の国際通貨危機の根源が、アメリカのドル危機にあるということは、もう国際的な常識だと思う。特に、そのアメリカのドル危機の最大の
原因が、アメリカのベトナム侵略を
中心とする戦争と、侵略の
政策にあるということも、これもまた国際的な常識だと思う。私、前々国会で、前国会でも、前佐藤首相やそれから水田
大蔵大臣にもその点をただしましたけれども、結局それを認めておられる、
政府の最高の
責任者も。そういう事態です。私、アメリカの商務省の発表しているサーべー・オブ・カレント・ビジネスを詳しく検討してみますと、昨年のアメリカの
国際収支、これは
政府決済ベースで二百九十七億六千五百万ドルの赤字を出しております。これは非常な、史上最高の大幅な赤字です。さて、この大幅な赤字の
原因がどこにあるのか、これを見てみますと、そのベトナム侵略を含めてのアメリカの海外への軍事支出、これは支出と収入がありますから、差し引いての純支出ですが、三十八億九千四百万ドルある。それからいわゆる
政府の贈与だとか、長期借款だとかというようなもの、これもまた戦争と侵略の
政策に関連して出されている、これが六十二億七千八百万ドル、合計してこの
政府の海外
経済軍事支出、これが九十一億七千四百万ドルに及んでいる。アメリカの
国際収支の赤字の三分の一、これがこういうベトナム侵略を
中心とする戦争と侵略の
政策のための海外への支出、これから生まれている。
もう
一つ大きいものは、これは昨年八月、このドルが金との交換を停止しました。そのこととも関連しまして、アメリカから短期資金が急速に流出した、いわゆるドルのたれ流しですよ。金と交換するおそれがないから、幾らドルを外へ出したってだいじょうぶというようなことで、短期資金をめちゃくちゃに出してきた、これが二百十一億八千万ドルにも及んでいる。もちろん貿易収支も昨年から赤字になりまして、二十八億八千九百万ドルの赤字が出ておりますけれども、しかし、最大の
原因は、ベトナム侵略を
中心とするアメリカの戦争と侵略の
政策のための海外支出及び金とドルとの交換停止にあるということは、いま私があげた簡単な数字でも明らかです。ことしに入って第一四半期だけの数字が発表されておりますが、これを見てみますと、アメリカ
政府の軍事
経済支出は第一四半期で純赤字二十五億六千四百万ドル、昨年の同じ時期は二十二億千五百万ドル、昨年よりもさらに大きくなっている、これはベトナム侵略戦争の激化を反映していると見て差しつかえない、こういう事態なんですよ。それでドル危機、そうしてまたそれを根源とする国際通貨危機の最大の
原因が、アメリカのいまの戦争と侵略の
政策、とりわけベトナム侵略の強行下にあるということは明らかなことです。ところが、それにもかかわらず、昨年十二月末のいわゆるスミソニアン
体制というのは、このアメリカのベトナム侵略、これを不問に付した、そうしていわゆる
黒字国の
責任、まあアメリカもドルを若干切り下げましたけれども、特に日本などの
黒字国の通貨を大幅に切り上げるという形で、このドル危機を何とか解決しようという
方向を打ち出した。これは客観的に言えば、アメリカのベトナム侵略を
経済的に支援するということになる処置だと思うのですね。それでこれは私は、やはりスミソニアン
体制の
基本的な
矛盾の
一つだと思う。こういう事態を、つまりアメリカのベトナム侵略、ドルのたれ流しということをそのままにしておいて、不問にしておいて、
黒字国の
責任でもってドル危機を解決するなんて処置をとれば、アメリカはますますそれに力を得て、ベトナム侵略を強化して、ドル危機は一そう激化して、国際通貨危機もこれはなかなか解決しない。ますます激化の一途をということになるのは、これは明らかです。ところが、この間の日米ハワイ会談、これはまさに同じ立場に立って、特にアメリカのベトナム侵略を支持するという立場に立って、十一億ドルに及ぶ緊急
輸入その他の大きな
負担をしょいこまされている。その上にアメリカと一緒になって、
国際通貨体制の改革に
努力するというようなことまで言明して帰ってくるというような事態、私はこういうことでは、幾ら
大臣が円の再切り上げはいたしませんなんて言ったって、客観的な条件からして、円の再切り上げに追い込まれることは不可避だと思う。一体今度のIMF総会で、アメリカは国際通貨危機を防ぐためにも、ベトナム侵略はやめるべきだということを主張なさるかどうか。私は、当然主張すべきだと思う。その点、
大臣の見解を伺いたい。