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1972-08-31 第69回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月三十一日(木曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  七月十二日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     佐田 一郎君  七月二十六日     辞任         補欠選任      大森 久司君     林田悠紀夫君      中山 太郎君     細川 護煕君 八月二十八日     辞任         補欠選任      植木 光教君     高橋 邦雄君     —————————————   委員長異動 七月十二日大森久司委員長辞任につき、その 補欠として佐田一郎君を議院において委員長選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         佐田 一郎君     理 事                 川上 為治君                 矢野  登君                 藤井 恒男君     委 員                 赤間 文三君                 大谷藤之助君                 高橋 邦雄君                 林田悠紀夫君                 山本敬三郎君                 阿具根 登君                 大矢  正君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 原田  立君                柴田利右ェ門君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣  有田 喜一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        経済企画政務次        官        木野 晴夫君        通商産業政務次        官        安田 隆明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○小委員長辞任及び補欠選任の件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査産業貿  易及び経済計画等に関する件)     —————————————
  2. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  このたび、私、商工委員長選任され、責任の重大さを痛感をいたしております。委員皆さま方の御協力を賜わりまして職責を全うしたいと存じます。  どうぞよろしくお願いを申し上げます。     —————————————
  3. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 委員異動について報告いたします。  去る七月二十六日、大森久司君及び中山太郎君が委員辞任され、その補欠として林田悠紀夫君及び細川護煕君が選任されました。  また、八月二十八日、植木光教君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  4. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 次に、剱木亨弘君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事矢野登君を指名いたします。     —————————————
  7. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 次に、石炭対策に関する小委員長剱木亨弘君から、文書をもって、都合により小委員長辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、石炭対策に関する小委員長補欠選任を行ないたいと存じますが、小委員長選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 御異議ないと認め、それでは、石炭対策に関する小委員長に阿具根登君を指名いたします。(拍手)     —————————————
  10. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) この際、中曽根通商産業大臣有田経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。  中曽根通商産業大臣
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回、通商産業大臣を拝命いたしました中曽根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  委員各位にごあいさつを申し上げます。  今日、内外経済情勢はきわめてきびしく、かつ流動的であり、この間にあって国民の負託にこたえるためには、通商産業行政も新しい展開を遂げることが強く要請されていると考えております。  私にとりまして通商産業行政は、新しく、経験に乏しい分野ではありますが、この時期に際会し、全力をあげて任に当たる覚悟でございますので、委員各位の御理解と御協力を切にお願いする次第であります。  今日はせっかくの機会でもございますので、通商産業政策について二、三私の基本的考えを申し述べたいと思います。  私は、これからの通商産業政策基本は、内にあっては国民福祉向上であり、外に対しては国際協調であると考えております。  これまでの高度の経済成長は、国民各層にわたって豊かさをもたらしてまいりましたが、同時に、その過程において、公害の発生、社会資本の不足、過密と過疎等国民福祉の面で相当の立ちおくれを招来し、国民は、これまでの成長の成果を福祉向上に役立てることを希求いたしていると承知しております。  また、国際的には、わが国経済動向国際経済社会発展と安定にとっても重要な意味を有するに至っております。わが国としましては、諸外国との間の不均衡摩擦の解消のために最大限の努力を行ない、また、流動的な国際社会の変化に的確に対処していかねばなりません。通商産業政策は、内外にわたるこれらの基本的な要請にこたえることに最大の重点を置かなければならないと考えている次第であります。  このような基本にのっとり、私は、まず公害の防除、物価の安定、消費生活充実等国民生活質的向上をはかる施策を実現したいと考えます。  この意味から、特に公害防止対策拡充過密過疎是正のための工業再配置対策推進をはかるほか、消費財をはじめとする安全対策拡充等流通対策の強化、住宅産業振興等につきましても、積極的な施策を講じてまいる所存であります。  さらに、この激動期に多くの困難に直面している中小企業に対しましては、新しい時代に対応できる体制を整備し得るよう積極的に指導支援を行ないたいと思います。特に、小規模企業の経営の改善に対しましては、抜本的な施策を講じてまいりたいと考えております。  このほか、輝かしい未来を築くために、わが国産業経済の体質を改善し、その基盤を強化するために、知識集約産業振興をはかり、また、各種エネルギー資源について長期的かつ総合的な施策を講じてまいりたいと考えております。  次に、国際面についてでございますが、私は、対外経済関係調整全力をあげて取り組む所存であります。すなわち、輸出における摩擦の回避につとめ、輸入を促進し、資源確保経済協力等外貨の有効な活用を行なって、貿易の安定をはかり、国際経済におけるわが国責任を果たしたいと考えております。  特に、日米経済関係長期的安定的な発展は、わが国対外経済政策基本であり、当面輸入促進等により緊急に両国間の貿易収支の不均衡是正につとめ、引き続き両国間の話し合いを通じて、調和ある経済関係維持発展をはかる所存であります。  また、新内閣最大課題一つであります日中問題については、国交正常化観点から、貿易をはじめとして両国経済交流に積極的に取り組みたいと考えており、このため必要な施策を講じていく所存であります。  なお、当面の国内景気につきましては、長期にわたる沈滞をようやく切り抜けて、ゆるやかな回復過程をたどりつつありますが、国民福祉充実し、国際的な不均衡を是正する方向で、景気回復を確実ならしめるようつとめてまいる所存であります。  最後になりましたが、沖繩国際海洋博覧会は、世界で初めての海洋をテーマとする博覧会であり、沖繩経済開発海洋開発飛躍的推進観点から、りっぱに成功をおさめるため、担当大臣として各省の協力を求めて開催準備に万全を期してまいりたいと思います。  以上のような方向通商産業政策を強力に推進し、御期待にこたえる決心でございます。  よろしくお願いをいたします。
  12. 佐田一郎

  13. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 先般、経済企画庁長官を拝命いたしました有田喜一でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  きょうは私、就任以来初めての商工委員会でございますので、私の考えておる一端を述べましてごあいさつにかえたいと思います。  最近の経済動向を見ますと、生産、出荷は上昇基調にあります。そうして景気は、昨年末を境に回復段階に入りました。今年度の経済成長率もこのまま順調に推移していくなれば、政府のかって見通しておりました七・二%を相当上回ることとなる、かように考えております。しかしながら、今回の景気回復主導力は、財政個人消費民間住宅建設などであるために、回復のテンポは、従来に比べましてさほど強くはありません。また、国際収支黒字幅も依然高水準にあります。  このような経済情勢にかんがみまして、当面の政策運営にあたりましては、国内景気の推移、国際収支動向などを見守りながら、適切な措置を講じてまいる所存でございます。  次に、物価問題でございますが、物価の安定は、国民生活向上にとって不可欠の条件であります。また、国民政府に対する最大の要望でもあることを十分認識して、これに真剣に取り組んでまいる所存でございます。  このため、従来から実施してまいりました低生産性部門構造改善輸入政策活用競争条件整備等の諸施策を一段と強力に推進するほか、特に、流通費用の増大が消費者物価上昇の大きな原因となっていることから、生鮮食料品輸入品を含め、流通機構改善合理化を促進していきたいと考えております。  なお、公共料金につきましては、極力これを抑制的に取り扱うべきであると考えております。が、半面、公的サービスの円滑な供給を阻害しないよう配慮することも必要でありますので、慎重な態度で対処し、国民理解と納得を十分得た上で処理していきたい、かように考えております。  消費者保護につきましては、消費者保護基本法の精神にのっとりまして、危害の防止、公正自由な競争確保消費者啓発等、各般の施策を進めているところでありますが、今後とも地方消費生活センター拡充など、地方公共団体との連携を強化しながら、消費者保護のための施策を機動的、総合的に推進してまいりたいと考えております。  ところで、わが国をめぐる内外情勢は急速に転回を遂げつつありまして、いまや長期的展望に立ってわが国経済社会発展基本的方向を明らかにすることは緊急の課題となっております。このため、政府は、国民福祉充実国際協調推進を目ざした新しい長期経済計画を年内にも策定することといたしまして、去る八月二十三日に経済審議会に対して諮問を行なったところでございます。  次に、国土開発問題につきましては、新全国総合開発計画策定後三年の年月を経過しまして、その間、この計画に基づきまして国土の均衡ある発展をはかりつつ、豊かな環境を創造するための総合的施策を展開してまいりましたが、人口、産業等の大都市への集中傾向は依然続きまして、公害に代表されるところの環境悪化の問題が深刻化しております。  このような情勢にかんがみまして、地域開発政策の面で新しい開発のあり方を検討するために、特に環境問題の側面から、新全国総合開発計画の総点検を行なうことといたしております。それと同時に適正かつ合理的な土地利用をはかるために、より強力な施策を展開してまいる所存でございます。  以上申しましたような施策推進格段努力を傾注してまいる決意でございますので、本委員会及び委員各位におかれましても、格段の御支援と御鞭撻を賜わりますよう切にお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。
  14. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 次に、安田通政務次官木野経企政務次官及び高橋公正取引委員会委員長から発言を求められておりますので、順次これを許します。  安田通政務次官
  15. 安田隆明

    説明員安田隆明君) このたび中曽根通産大臣もと政務次官を拝命いたしました安田でございますが、きわめて責任の重いことを痛感しております。今後、あらゆる意味で御指導と御鞭撻をいただけますようお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。
  16. 佐田一郎

  17. 木野晴夫

    説明員木野晴夫君) このたび経済企画庁政務次官を拝命いたしました木野晴夫でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  18. 佐田一郎

  19. 高橋俊英

    説明員高橋俊英君) 先般、公正取引委員会委員長を命ぜられました高橋でございます。  国際的にも、また国内的にもいろいろ問題の多い時期でございまして、公正取引委員会役割りはいよいよ重要度を増しております。こういう際に委員長を拝命いたしまして、たいへん責任の重いことを痛感しておりますが、何とぞ皆さまのよき御理解と御支援を仰ぎまして、私どもに課されました任務を円滑に遂行してまいりたいと存じます。  どうぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  20. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間が非常に限られておりますので、抽象的な質問になりまして、具体的な質問は後日に譲りたいと思いますが、中曽根通産大臣に一、二点御質問申し上げます。  質問ということよりも、通産大臣考え方を聞きたいんですが、八月十三日の新聞で報じておりますところによりますと、中曽根通産大臣は、九日の電気、一般機械産業界代表者との懇談会で、日本経済はいま円再切り上げ調整インフレかの選択を迫られている。結論として申し上げますと、大臣としては、調整インフレ政策をとるべきであるという発言をされたと、こういうことが報じられております。大臣所信表明をいま聞いたばかりですから、その当時どういうお考えだったかわかりませんけれども、一体、日本の今日の黒字に対する対策に対してどういうふうにお考えになっておるか、調整インフレというのは一体どういう気持ちなのか。それとも、円切り上げ調整インフレ以外にこれを調整する法はないのか、その点ひとつ大臣のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 懇談会におきまして申し上げましたことが間接的に伝えられまして、誤解を生みましてたいへん恐縮に存じております。私は、調整インフレを採用するということは申しておりません。こういうことでございます。  日本の現在の経済情勢を見てみるというと、過去と性格が違ってきておる。過去は、民間設備投資がふえてきて景気上昇力が出てきたけれども、いまは、政府財政需要、それから民間消費等でささえられてきている。それで、ことしは九月までに大体政府需要の七三%を出し切って景気回復しようという政策でやってきているので、景気はゆるやかな上昇過程に入ってきていると思う。しかし、後半になるとあと二七%しかない。そういう面からも、やはりこの際、アクセルを踏んで景気上昇力を続けないと、ちょうど坂道を大八車を押し上げているようなもので、手をゆるめたらまたもとに戻ってしまう、そういう危険性があると思う。  それから、特に対米関係においてドルがたまっておるけれども、これは、外需が旺盛で内需が逼塞しているからである。内需をもう少し旺盛にして外需を押えなければならぬ。そういう点からも、もう一回アクセル踏む必要があろう。しかし、物価騰貴危険性はそれほどあるとは私は思わない。なぜならば、物価は、当時、昨年に比して四・四五%であって、そう上昇するという気配はない。それから、卸売り物価につきましては若干上がってきているけれども、これは輸出カルテル等関係不況カルテル等関係カルテルをはずせばあれより下がるかもしれぬし、あるいは現状維持であるかもしれない。そういう面からいたしまして、そういう物価上昇危険性はあるとは思わない。まあ物価上昇は、生鮮食料品サービス料金をよほど注意する必要がある。そういうことで、あるとは思わぬが、ともかく、もう一回、もう一息内需を旺盛にする、そういう必要があると、そういうことを申し上げたのがインフレやむなしというふうに受け取られたと、そういうことでございます。インフレと名のつくものは、あらゆるものについて私は反対の考えを持っております。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 インフレに賛成する閣僚はおられぬとは思うんですけれども、そうしたならば、あなたの発言がいま言われたような発言になったにしろ、それを直ちに受けて立つように、永野さんは、輸出税を取られるとか、輸出課徴金を取られるような問題になるよりも調整インフレに賛成である、こういう意見を吐かれておるわけなんです。そうすると、輸出税とか輸出課徴金とか、こういう問題は考えにあるのですか、ないのですか。それも全くなくて、いまのお考えのようなことでインフレを押えていける、円の切り上げを押えていける——もう少しそういう点詳しく説明願いたいんです。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、貿易は、基本的な考えといたしまして、拡大均衡のほうにいくべきで、縮小均衡のほうにいくべきではない、そう考えております。ただ、いま対米その他においてドル蓄積が多くなりまして、拡大ということと均衡ということの間にやや矛盾がございます。均衡回復する段階にあるように思います。そういう面で、内需を旺盛にして輸出力内需に回すということが一つ。もう一つは、やむを得ない場合には、対米関係におきましては緊急輸入ということも考え外貨蓄積を押える、そういうことも考えている。そのほかいろいろ七項目のすでに閣議で決定しました政策を実行していく、こういう考え方に立ってやっておるのでございます。それで、拡大均衡ということは基本的な考えにありますから、輸出課徴金というような考え方はなるたけとらないほうがよろしい、基本的にはそういう考え方に立っております。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 お互いに抽象論でやっているから、なかなかわかりにくいのですけれども、まあいまも言われましたように、緊急輸入だというようなことが言われておりますが、たまたまこれもまた誤解だと、こういう答弁になると思うのですが、たとえば、就任早々にあなたが発言されておるのは、アメリカから五億ドルからの輸入をしなければならぬと、このうちに自衛隊の兵器輸入をするんだと、こういうことを言っておられる。ところが翌日の新聞では、防衛庁そのものが困ってしまって、とんでもない、いま時分にそんなことを言われても、とても買い上げるような気持ちはありませんよ、できませんよ、こういうことを言っておられるわけなんですね。こういうものを見てみますと、大臣になられた早々で、田中政権もとで、まあ決意と断行だということでやっておられるから、何か目新しいものを打ち出さなければならぬという気持ちはわからぬわけではないけれども、何か防衛庁長官をまだやられているような気がしてならないんです。あなたはもう前でもなくて、元の元なんです。その防衛庁長官もとやった方が、いま時分になってアメリカから兵器輸入するんだと、こういう物騒な発言をされたと、しかも、その防衛庁がびっくりしてとめたと、これは一体どういう考えなんですか。いまのお話しを聞いておっても、そういう場当たり的に、抽象的に、みんなが納得するような大臣の趣旨になってこないんです。  いまの場合だから、一つ一つ具体的に取り上げてどうこう言うことはないけれども、たとえば課徴金の問題を取り上げてもそのとおり、拡大均衡という問題を取り上げてもそのとおりで、何かこの際、ここまで国民も心配しておりますし、一体どうなるんだろうかというような考え方もあるこういうときに、もうちょっと、田中内閣のそうそうたるメンバーの一員ですから、やっぱりきちっとしたことをやってもらいたいという国民のそういう考え方じゃないでしょうか。何か政府自体としては、中国問題にしても、日本列島改造論にしても、相当喧伝されておるけれども、各大臣発言ではどうしても私は、納得するようなそういう姿勢になっておらない、こういうふうに思うんですが、一番切れ者だと言われる中曽根さんの発言にしては、少し私は、何か言ったことは取り消し、言ったことは間違いだったと、それなら一体どうするんだという場合に、何か納得しないような考え方がうかがえるんですが、いかがですか。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 防衛庁兵器アメリカから輸入するというようなことを、私は言ったことはございません。アメリカからの緊急輸入物件というものを私らのほうでいろいろ検討したことはございます。しかし、その中に防衛庁のものは入っておりません。これはまだ、いわゆる四次防というものが正式にきまってもおりません段階でございますから、防衛庁というものははずしまして、運輸省、農林省、あるいはそのほかの部面でどういうものが緊急輸入として選べられるか、そういうことは通商政策観点からいろいろ検討したことはございますけれども、防衛庁のことはわれわれのほうははずしておりまして、そういうことを防衛庁にわれわれのほうから申し入れたとか頼んだとか、そういうことはないわけでございます。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、また話をもとに戻しますけれども、卸売り物価が大体〇・五%ぐらいと言うんですけれども、これが現状のままか、あるいは下がるかもわからないというような先ほどの御発言があったわけなんです。しかし、これは御承知のように、日本卸売り物価と諸外国卸売り物価と、今度は消費者物価の差は大きな差があるわけなんですね。で、日本卸売り物価が少しでも上がったならば、物価はそれの四倍から五倍上がっていく、こういうことを言われておるし、それならばたいへんだけれども、新聞等で見てみる範囲内では、大蔵省考え方とあなたの考え方と違うんだとあなたが言われておるようなことを何か大蔵省が言っておったような気がするんです。その当時、あなたは相当張り切って、そうではないということを言っておったような気がする。そうすると、意見調整がもうできたのか、そういう見通しに立ったのか、そういう点もどうもすっきりしないんです。ひとつすっきりするように御説明願いたいと思うんですが。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 卸売り物価が何%上がったら消費者物価がどの程度上がるか、これは非常に大きな問題でございまして、その国のいろんな条件によって異なるようでございます。具体的には担当官をして御説明申し上げさせたいと思いますが、フランスの場合、あるいは英国の場合、あるいはアメリカの場合、おのおのその倍率あるいは影響力というものが異なっておるようでございます。日本の現在の情勢から見ますと、日本では不況カルテルを鉄鋼、紙パルプその他で結んでおりまして、それでその減産とかそういう力によって価格が維持されているか、あるいはようやく上昇してきたという部面もあると思うんです。そういうような部面は、このカルテルをはずせばまた増産体制に入って下がるかもわかりません。まあ私らの勘では、それらをはずして現状維持程度ではないかと、そういう私のこれは直感で、科学的根拠があるわけではございませんが、そういう感じがしておるのでございます。でありまするから、現在もう一つアクセルを踏んでみても、物価上昇にすぐ連なるとは考えられない。  日本消費者物価が問題でございますが、見ていると生鮮食料品の影響というのは非常に大きいわけでございます。もう一つサービス料金、床屋さんとか美容院とか、そういうものの料金が響いているようでございます。ですから、工業製品という点については、現在の経済条件をもってすればインフレとかなんとかという危険性はないと、そう私は判定しております。大蔵省も大体同じような考えであるのではないかと思います。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは、円再切り上げを回避するために、景気を刺激するために六千億から七千億ないし一兆円程度の補正予算を組むべきだとあなたは発言されておる。これは数字だから間違いないと思うんです。これは、いわゆる調整インフレにつながっておるし、卸売り物価につながっておると私は見るんですが、これは、全然根拠のない数字をおっしゃったわけなんですか、その一兆円という補正予算は。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、六千億から一兆円の間ぐらいの補正予算を組む必要があると発言したことは、これはございます。それは、もう一回アクセルを踏めという意味で申したのでございます。しかし、臨時議会も開かれませんから、そこで政府は、地方団体に対しまして財政投融資等で約三千五百億の事業を行なうことにいたしましたし、災害復旧等でもお金を出しておりまして、そういう面である程度支持力はできておると思うんです。しかし、それでもまだ私は足らぬ、十分ではないと、こういうように考えております。しかし、それは通産省でもいろいろ検討させまして、いまの外に、輸出に向かう力を内需に向けてドル蓄積をある程度セーブするというためにはその程度のものが必要である、そういう数値的計算に基づいてそういう発言をしたのでございます。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 次に、経済企画庁長官に御質問申し上げます。  今度の田中内閣では、いわゆる反主流というのですか、そこから出られた方であって、相当ここでしっかりした発言があるかと思ったところが、相も変わらず経済企画庁長官は総理府の統計局の発表みたいなことをやられておって、ということは、それは当然です。それは、物価は上げません、公害はさせません。あたりまえだけれども、いままでそれだけ実力のあった大臣がおられたかですね。公共料金はなるべく上げないように——もうなるべくじゃなくて、上げるところは上げてしまっているんですよ。もう上げませんと、物価が安定するためには、もうこれ以上は当分の間できない、私の在任中は、もうこれを上げたらこれはとても物価を押えることはできません、こういうような考えでもすぱっと言われるかと思ったら、そうでもないんですな。やはりだれが考えても常識的にあなたは、まあ物価は上げないようにしますよ、公共料金はなるべく上げないようにします、これはだれでも言うことなんです。だれかがそれをやらにゃならぬ。それは所管大臣のあなたがやるのですね。一体、どう考えておられるか。公共料金はどうですか。いまはなるべく上げないようにと言われたけれども、やむを得ない場合は上げるんですと、こういうふうにとれるわけです。そして、そのとおり上がってきておる。  経済企画庁長官は、ぼくは前から同情しているんです。実際、ほかの閣僚がどんどん上げるほうに上げるほうに進まれる。あなたのところはちゃんと数字だけ出して、ことしの物価は四・五%ですよ、五・三%ですよと、こう言われるだけであって、あなたがそのために、これはだめですよとほかの大臣を押える力はないのです、そこには。だから、ぼくは気の毒だと思っておるけれども、もっといまの立場で——決断と断行の田中内閣、全国にビラを張って一生懸命選挙運動ですよ。あなたもそこで、絶対上げませんというくらいの歯切れのいいところをひとつ言ってみたらどうですか。
  32. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 御承知のとおり、物価安定ということに対しては国民の非常な期待があります。また、非常に熱望されております。  先般も、私のほうで国民の選好度調査というものをやった。その中で、あなたは所得の増大と物価の安定のいずれを選びますかという質問に対しまして、所得の増大よりも物価の安定を欲求しますという人が七〇%あるのですね。この数字を見ましても、いかに国民の多くの人が物価安定を期待されておるかということが十分わかります。で、私は、微力ではございますが、国民の皆さんとともに歩む姿勢で政治をやらなくちゃならぬと思っております。そのためには、物価問題に対しましてはまあ微力ながら懸命の努力を払ってその安定に邁進したいと、かように考えております。  しかし、やはり阿具根さんも御承知のとおり、経済が成長発展し、文化生活が向上する以上は、ひとり日本ばかりじゃない、世界共通的に物価がある程度上昇することは、これはしかたがないですよ。ただ問題は、急激に上がるかどうかということが問題だと思うのです。そこで、この三十五年度の所得倍増以来御承知のとおり、相当急激な上昇カーブをとっておる。ここに問題があるのですね。そこで私は、この原因はどこにあるかということを探求しておるわけですが、それには大ざっぱに申して二つある。  一つは、やはり人手不足の今日になってきますと、弱い産業と言っちゃ失礼かもしらぬが、中小企業とかサービス業、そういうものは人手が足らぬために、やはり高賃金を払わなくちゃ自分の仕事がやっていけない。そうしますと、その面から好むと好まざるとにかかわらずサービス料金を上げたり、あるいはほかの商品を上げたり、こういう傾向のあることは現実です。そこで中小企業対策、これは中曽根さんのほうの関係になりますが、ひとつ弱い産業にしっかりとてこ入れをしてもらって、そういう弱い産業をより強くしていくということが一つである。  それからもう一つは、物価の内容を見ますと、御承知のとおり流通費というものが半分以上占めておるのですね。そこで、この流通費というものに目をつけてみたときに、これはことばは少し悪いかもしれませんが、昔ながらの小規模で、人手の余っているようなときのそのしきたりといいますか、そういう流通機構のあり方が依然として残れっておる面が多いのですね。そこで、今後は流通機構の改革といいますか、そのほうに力を入て、そしてこの物価上昇する線をできるだけ押えていきたい、こういうふうに、微力ながら私は、次の予算のおりにも物価問題に対して相当熱意を持って予算をとるようにして、そして流通問題に対しても真剣に取り組んでいきたいと、かように考えております。  それから、公共料金のお話が出ましたが、もちろん公共料金も原則としては、これは押えていくというたてまえをとっております。しかし、本年は御承知のとおり、一昨年の暮れでございましたか、公共料金一年間ストップという政策をとって、それを押えつけたものですから、一年たった今年一月からまるで堤を切ったように、非常に郵便料金をはじめ次から次と公共料金の値上げの申請がありまして、それが今日、公共料金が非常に上がってきた、こういう印象を与えておると思います。しかし、私は、公共事業といえどもこれは事業ですから、やはり従業員の給与も上げなくちゃならぬ場合もある。また、ほかの商品が高くなれば物価も相応して上がってくる。  たとえば先般も四大都市のバスその他の公共料金の値上げがありましたが、これも私のほうでいろいろ査定するといいますか、厳密な注意を払い、あるいは暫定料金の期間を延ばしながら対処したのですが、その四大都市は御承知のとおり、横浜市、名古屋市、京都市、神戸市ですが、その四大市の中には言うまでもなく、革新の市長がおられます。それから革新の国会議員もおられますが、そういう人もみなともどもに賛成して、上げてくれ、こういう要請が出ておるんですがね。だから、さっき言いましたように、公共事業といえども賃金が上がり、物価が上がると、やはり赤字が出てきて、さっきの四大都市のごときもベースアップもできないで、ベースアップするために借り入れ金から一時をしのいでおるんだ、自分のバス事業としてはこのままではとうていやっていけませんと、こういうやはり現実も踏まえていかなくちゃならない。  そこで、私は、公共料金を上げたくない、できるだけ押えることを原則としておりますけれども、一面、市民のしあわせということを考えたときに、それなら、バス事業なりそういうものがストップしてとまっちゃったらどうだ、市民がどんなに迷惑するか。そうしますと、やはりサービスの向上ということも同時にあわせて考えていかないといかない。そういうことを踏まえながら、私が先ほど述べたように、押えることを原則としているけれども、やはり現実としてはある程度上げざるを得ない。しかし、そうやっていくためには、まず、公共事業といえども事業の合理化をしっかりやってもらいたい。そして、現実をよく把握すると同時に、将来の展望もやっていかなければならない。それでどうしてもいかなければ、国からある程度助成もしなくちゃならない、また市民にもある程度負担をかけなくちゃ、こういうような考えにならざるを得ないのですよ。だから、阿具根さんが勇気をふるってストップせいと、こう言われましても、それはやはり市民のサービスということもあわせて考えていけばそうもいかない。原則としては押えるという態度でおります。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣、そういう話はここで聞かんでもいいんです。いなかでどうせそういうことは言っておられるんでしょうから。ここはみんなそういうことは百も知っている者ばかりですから、そういうくどくどと長いことじゃなくて、たとえば流通機構なら流通機構、いままでずいぶん問題になってきたんです。ところが、いま流通機構を一体どうするかと言ったら、いままでずっと流通機構物価のたびにやってきた。あなたのいまの常識論から言うと、何にもできないということなんです。それで今日までずっとずるずるときたから、今度はあなたが何かやるだろうと思って私は期待をしていたけれども、なに、ちっともやらない。これじゃ全然あなたはかわられた意味はありませんよ。とてもいまの話を聞いておったら、そんな話は何十年もほんとうにみんなが聞いていやになっている。みんな知っている、そんなことは。そこを一体どうしていくかというのが、いまあなたに求められたところなんです。それを、いままで言ってきたことを、ここで幼稚園のような話をされても、そんなものは時間を空費するばかりだから、これは聞きたくはありません。こういうことはもう何十年とみんな聞いてきて、だれでも知っている。そこを何とかしていかなければならんのです。そうしなければ、いままでのとおり漫然とやっていくならば、何も田中内閣ができて国民が期待するものは何にもなくなってしまう。  時間がないから私はやめます。あと大矢さんのほうから質問があると思いますけれども、内閣もできて初めての委員会で、私も口汚なく言い過ぎたかもしれませんが、あなたも骨のある人です。われわれもちゃんと見ておりますから、田中内閣の一人くらい、前の大石環境庁長官ではないけれども、き然としてやはり叫ぶところは叫ぶ、やるところはやるくらいのかまえを持たなかったならば、いまの常識でいったら、何もあなたの色は出てきませんよ。経済企画庁というのは、ただこれは統計局の発表機関くらいにしかなりませんよ。その点しっかりがんばっていただきたいと思います。  終わります。
  34. 大矢正

    ○大矢正君 質問に入ります前に中曽根さんに確認の意味でお尋ねをしておきたいと思いますけれども、いま阿具根さんの、卸売り物価上昇の現状をどう食いとめるかということに対するあなたの御答弁として、カルテルの問題に触れられましたね。それで御承知のとおり——私がこんなことを言うのは言い過ぎかもわかりませんけれども——御存じのように、法律上認められている言うならばカルテルもありますし、行政上、公取とあなた方が話をされてやっておられるカルテルもあるし、それから、業界内で秘密にやっているカルテルも実際上存在しているわけですね。それについて、公取がいろいろな意味でそういうカルテルを排除すべく、制限すべく努力をいたしておると思うのでありますが、あなたの先ほどのお話は、卸売り物価の上昇をこれ以上させないとか、あるいはこれを下落傾向に持っていくとかということをやるにはカルテルを制限すればいいんだ、そうすれば卸売り物価の上昇はしないで済むというお話がございましたから、ここで私は、念のためにお伺いをしておきますが、あなた自身は、法律上、行政上、もちろん地下カルテルは当然のことでありますが、そういう一切のカルテルを含めて、公取委員長になったようなつもりでカルテルの制限に当たるという決心を持って先ほどおっしゃられたのかどうか、私は確認をしておきたいと思います。
  35. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、私の勘ではと申し上げましたが、物価水準がどの程度に落ちつくであろうかという予測の意味で申し上げたのでございます。つまり、卸売り物価につきましては、いま鉄鋼その他でカルテルもあります。と、かりに卸売り物価が上がるということが考えられても、カルテルをはずせばはずした程度のところでおさまるんではないか、そういうふうに私の勘では予測しておりますと、そういう予測の勘を申し上げたわけでございます。しかし、いまお話がございましたように、カルテルというのは、これは一時の緊急避難的行為でございますから、ずっと永続するということは経済上の常識ではないと思います。ですから、なるたけそういう緊急避難行為は早く正常に戻すということが正しいやり方ではないか、そう思います。
  36. 大矢正

    ○大矢正君 いや、私は一般論として聞いているんじゃないですよ。一般論はあなたの言うとおりなんですよ。ただ、私が申し上げたのは、あえてあなたがここでカルテルの問題に触れられて答弁をされているから、といたしますれば、いま現存するかなりの数のカルテルはこれを徹底的に洗い直して、そうしてやはり極力カルテルを制限するという方向にもう踏み切るのだ、そうして卸売り物価を安定させるのだと、こういう決意だと実は承ったんですが、そうではないわけですか。
  37. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) カルテルは、いま申し上げましたように、緊急避難のやむを得ざる行為でございますから、できるだけこれは常態に戻すことが適当であると思います。しかし、緊急避難的条件が続く間はまたやむを得ぬことであると思います。しかし、通産政策基本といたしましては、やはり卸売り物価消費者物価も安定させるということが望ましいことでございますから、その緊急避難的行為と、それから卸売り物価あるいは消費者物価の安定というものをどういうふうにあんばいをして調整をとっていくか、これは毎月毎月業界の情勢物価情勢をにらみながら、われわれは検討を加えていくべき問題であると思います。
  38. 大矢正

    ○大矢正君 だから、私の聞いているのは、一般論として、緊急避難としてのカルテル行為それ自身が全面的に否定されるべきであるという極論を言っているのじゃないんですよ。いまあなたがあえて自分でみずからここに触れられたから、それならば私どもの解釈は、そうするとあなたは新大臣として相当の決意を持ってこのカルテル問題には臨まれるんだなと、そういうように解釈をせざるを得ないから私は申し上げておるので、何も、いまあなたが答弁されているように、一般論的にこれは緊急避難だから、だから時期がきて、まあよかろう、その時期になったらはずします、こんなものは聞かなくたってわかっていることなんだ。それくらいのことは私も勉強して知っておりますから。  そうじゃなくて、あなたがあえてここで触れられたという意味は、自分は今度新大臣になって、カルテル現状を見たところ、これはちょっと問題がある、これが卸売り物価の上昇の原因になっておるから、この際、思い切ってカルテルは——それは全部はもちろんできないでしょうが、思い切ってやはりカルテルをこの際制限をするというような、規制をするというような気持ちに洗い直してやるというような、そういう考え方がいまあるのかないのかということを聞いているので、一般論を私は聞いているのじゃない。あなたは自分で触れられたのだから、さっき……。
  39. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、これは、毎月毎月物価動向やあるいは業界の内部の情勢、そういうようなものをにらみ合わせながら、なるたけはずす方向にこれは努力すべきものであると、そう心得ております。
  40. 大矢正

    ○大矢正君 まあ時間がありませんから、あまりこれでやりたくありません。  二点お伺いをいたします。一点は、国際流動性の問題に関連をするわが国産業貿易政策と、もう一点は電源立地に関する問題。二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  いま、ハワイで新総理とニクソンとの間でいろいろな話がなされ、その一つとして、どうも日米関係における貿易上の黒字傾向をいかにして均衡あるものにするかというのも、一つの大きな話題であるというように新聞等で報じられております。そこで、私の感じますることは、いろいろとさっきも阿具根さんから皮肉まじりにお話がありましたが、武器を買うとか、ウランを買うとか、あるいはまた原料を購入するとか、その他プラントに関連して頭金を前渡金として払うとか、まあ一切を含めて単年度の収支で見れば対米貿易上における黒字というものは変わらぬけれども、国際収支全体として見た場合に、対米間においては黒字傾向が減少するようにというような、そういう考え方を最近持っておられるように承っておりますが、もしそれが事実だとすれば、私は、これは私の意見でありますから、あなたはどのように判断なさってもけっこうでありますが、それは問題の本質には一つもなっていない。  日米関係の問題として、これは私は、繊維の問題をずいぶん取り上げてやってまいりました。そのときもいろんな議論をいたしましたけれども、結論的に言うならば、前渡し金を払ってみる。ことしだけ、たとえばそういう何といいますか、国際収支全体として見れば対米貿易上多少の黒字を減少する傾向を見たところで、それは、将来買うものを先に金を払っているだけにすぎないわけでありまして、これは貿易とはおよそ縁のないものですわね。アメリカ考えておるところは、日米間における貿易上の黒字をどのようにしてこれを是正をするかということにねらいがあるのです。ですから、単年度における国際収支全体の中で対米問題をどう解決をするかというようなものに、そういう考え方だけで、アメリカが、はい、わかりましたというような、そんな簡単ななまやさしいもので私はないのじゃないかと思う。  そこでもしかりにアメリカとの間の単年度の問題あるいはここわずかな間の問題は片がついたとして、それじゃ、アメリカとの話が済めば一切終わりかといえば、新たにもしまた、ヨーロッパ諸国から貿易上の問題としていろんな問題が持ち出されたときに、これは一体どうなりますか。いま、通産省もそうですが、政府自身が若干近視眼的なものの見方をしているのじゃないか。もっと世界全体の国際流動性の問題と、その中における貿易、そしてわが国貿易の実態、わが国の産業構造、こういうものを結びつけた大きな視野からものを考えるべきじゃないか。たとえばその結果として、アメリカとの間にそういう約束をして、いろんなものを買います、前渡し金は渡します、それから、多少無理をしてわが国輸出制限をどういう形でやるかわかりませんが、たとえば話し合いの中でもってやったと、こういうようなことをやって、そのあとから今度はヨーロッパ諸国が、かりにわが国の円の切り上げを迫ってきたときに、それを回避することができるか。その際にアメリカは、いや、われわれのほうとしては日本の円の切り上げは反対だ、現状でいいじゃないか、こういってアメリカが実際問題としてがんばってくれますか。  私は、野党としてこういうものの言い方はおかしいかもしらぬが、もしほんとうにわが国が円の切り上げをしなければ、実際上、世界的な国際流動性の中における位置としてはやはり問題解決にならないとすれば、思い切ってやはり私は、切り上げをすべきものは切り上げをすべきじゃないか。そうでないと自由な貿易、もちろん世界がいま自由貿易をしているとは思いません。ガットそれ自身にも別の抜け道がございますくらいですから、自由貿易が行なわれておるとは思いませんけれども、やはりわが国がみずから自由な貿易をするのは、わが国自身が一つ基本的な方向を持って話をしないと、アメリカとだけ話をして、どうにか国際収支の収支じりだけちょっと減らしてくれば、それであとは貿易上問題がないのだとか、国際流動性の中におけるわが国に対する円の切り上げ圧力はないのだという、そういう考え方はないでしょうが、やり方では、今日の世界の貿易なり、それから、国際流動性の中で日本が生きていくことはできないというように私は考えるのでありますが、どうもいまの政府はそうじゃない。もうほんとうに局部的な、近視眼的なことしかやらぬが、大臣、どう思いますか。
  41. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 円の再切り上げには反対であります。はっきりここで申し上げておきたいと思います。なぜならば、いま円の再切り上げを万一やられるというような情勢になれば、中小企業とか、下請の中では相当ばたばた倒れるものが出てくる危険性がございまして、その中から失業者が出るという危険性もあるわけでございます。これは国民福祉に沿わないゆえんであります。こういうような失業が出るという危険性のあることは、絶対われわれは回避する必要があると考えているからであります。この前の円の切り上げでそういう中小企業、下請産業等は非常な苦難に入りましたが、しかし、金融措置で切り抜けました。そのときに担保を出しておるわけです。今度そういうことをやられたら、出す担保ももうないという状態で現実はおるわけです。そういう冷厳な現実を考えてみますと、円の再切り上げというようなことは、われわれは全力をふるって回避しなければならぬ、そういうように私は考えておるからであります。  しからば、じゃどうするか。大体この前の円の切り上げの効果がだんだん出てまいりまして、輸入がふえて、輸出は停滞ぎみになってきております。それから、ヨーロッパその他に対して特に輸出が激増しておる問題については、業界同士の調整とか独禁法に抵触しない範囲において、そういう輸出力に対する節度あるマーケティング、そういう形でいま自己制御がある程度行なわれつつあります。また、アメリカに対しましてもいろいろ努力をいたしまして、いまのような努力をやっておるわけでございます。で、もう少しこの情勢を見まして、いま輸出の停滞、輸入の増大、この傾向を助長していけば大きな傾向としては必ずしも心配しなくもいい情勢が出るんではないか。いま、ようやくこの前の切り上げ、一年前の結果が出始めてきている。そういうことであるから、しばらくこの様子を見てゆく、そういう考えに立っておるわけでもあります。
  42. 大矢正

    ○大矢正君 結局、わが国の円が上限に張りついて、ほとんど動かないという現状ですね。で、私が非常に心配をいたしますことは、繊維の問題のときもそうでございましたけれども、アメリカといろいろ約束をする。これは終わったんだというやつをまた蒸し返されて、結局はねじ伏せられてしまったわけですね、御存じのように繊維は。それからその次は今度は、貿易の話は一年間休戦しようじゃないかということになって、そしてこれまただめになって、いまハワイ会談を、アメリカからも来て日本は話をしている。そういうことで、そうやって日本が徐々に譲歩していかざるを得ない面もいろいろあるでしょうけれども、譲歩するだけしておいて、これがあげくの果て、今度は大幅に円の切り上げという形で出たら、それこそ往復びんたですね。  それから、もう一つ私が心配することは、この間は十数%の切り上げですよ。それだけにショックが非常に大きいと思うんです。ですから、そういう大幅な、万一切り上げをした場合における、特にあなたのおっしゃっておられる中小企業等に与える影響というものは、甚大なことは申すまでもありませんが、私は、この際やはり、小刻みな円の切り上げをもしやらなければならぬとするならば、どうしてもやらなきゃならぬというようなやはり貿易上の問題や国際収支上の問題があるといたしますれば、ショックの少ない形で、しかも、外国から強要されて、あらゆるものをむしり取られたあとでこういう切り上げをさせられるような、そういうへまなことをやるんじゃなしに、みずから率先して小幅な切り上げをするなりして、私は、やっぱり国際的な協調関係を保っていくというあり方が本来正しいのじゃないかと思う。それは小幅であればそれほど——全然影響はないとは申しませんがそれほど大きな影響が出るとは思われませんし、むしろ、わが国のあるべき姿勢というものをこの際明確にして、押え込みをかけられて、最後の最後にならなければやらぬというような態度ばかりを堅持しないで、むしろこの際、すっきりした日本の立場といいましょうか、そういうものを明らかにすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。私の考え、間違でしょうか。
  43. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、大幅であろうが小幅であろうが、円の再切り上げには反対であります。やはり通貨の不安、動揺を防ぐということは経済秩序、社会生活の安定のためにも非常に重要な要素でありまして、日本の現在の輸出入の情勢、それから将来の見通しからいってわれわれが努力していけば回避できる、そう私は考えております。もし万一、かりにそういうものが行なわれた場合の惨害のほうがはるかに大きいと、そういうふうに私は考えております。
  44. 大矢正

    ○大矢正君 そういたしますと、お尋ねしますが、円の再切り上げ問題は自分としてはやりたくないという気持ちはわかります。それじゃいまの状態は、ほっておくという意味じゃございませんが、現状、まあ極力努力をしていけば国際的な圧力はそう強くなくなるであろうというようなお話ですがね。それは、法律に基づくたとえば輸出抑制、あるいは行政指導による輸出の抑制、そういうようなものも一切行なわなくても、対外的には問題が解決をされる、アメリカの問題さえ解決されれば世界全体の問題が解決されると、そういうふうにお考えなんですか。
  45. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは、やはり各国各国おのおの事情がございますから、その国情に合うようにわれわれは可能な手段を講じて、その国の経済に著しい迷惑をかけないように制御措置を講じていく。官がやるか民がやるかそれは別として、そういうことは必要であるだろうと思います。また、そういう努力を誠実にやるべきであると思います。それがいわゆるオーダリーマーケティングということであるだろうと思うのです。その努力を一方において行ないつつ、そして円の再切り上げの効果がいま出てきた情勢を見ながら推進していくべきである。そういう努力を重ねていけば、私は、再切り上げは回避できると、そう考えておるわけであります。
  46. 山本敬三郎

    山本敬三郎君 関連。  中曽根大臣は、円の切り上げは絶対いけないとおっしゃいますが、ことしの経済白書を閣議決定されたわけですね。あの中には三つのギャップがあって、それを解決するために五つのポリシーミックスがあり、その中に、為替政策については弾力的運用という形がはっきり入っているわけです。いまいろいろおっしゃいましたが、昨年一年間を見ましても、アメリカやその他は卸売り物価が四ないし四・五%くらい上がっている。日本は一くらいですから、日本輸出価格はその半分くらいと見なくてはならない。そして円の切り上げは効果がなくなった。さらに一年たった後にアメリカの状態を見て、アメリカインフレ政策をとっておりますから、あるいは外国卸売り物価日本輸出価格との差は七、八%になるかしらぬ。そういう状況で、決して現状で本年八十億ドルぐらい輸出超過になるという事実を簡単に回避することができるとは思われない。  過去にアメリカが一番輸出競争力の強い当時、したがって、国際的な貿易のボリュームもいまほど大きくないでしょうけれども、そのときでも百数十億ドル輸出超過です。日本が昨年七十五億ドルないし八十億ドル、本年も八十億ドル輸出超過というのが世界経済の撹乱要素になっているという事実は、私は、おおいがたい事実だと認めざるを得ない。やはり私は、日本側でやるべきことは、決断と実行ですか、やって、そして国際流動性を不安定にさしているもとアメリカインフレ政策ですから、それに対してきびしく迫っていく。それにはこちらがやるべきことをやる、こういうことが必要で、昨年のように円切り上げを絶対回避するというような硬直化した姿勢は、ことしの白書には出ていない。むしろそれが評価されている。こういうことを考えますと、いまの大臣のおっしゃることは白書と一体どういう関係があるか、あるいは長期的な見通しで円切り上げを絶対回避してやっていけるというような、そういう手続をお示しできるかどうか、そういう点について伺いたい。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれは、現場当局で実際中小企業現状を知り、そのめんどうを見なければならぬという一番身近な立場にある者として、円の再切り上げは回避しなければならぬとかたく信念を持っております。企画庁がどういうお考えでそういう考えを示されたか知りませんが、それは、企画庁当局としての一般的な理論あるいは抽象的なお考え、一般的政策論か何か言っているので、今日それをやるべきであるという議論ではないと私は思うのです。したがって、現場を担当しているわれわれと、一般的な理論や方向を示している企画庁当局と考えが乖離しているとは思いません。しかし、いま御指摘になった点は、私も頭を痛めている点でございまして、アメリカ——海外の物価動向日本物価動向との乖離というものは、これは慎重に考えなければならぬ要素であると思っております。しかし、やはりいまの輸出入の状況を見ておりますと、輸入が増大しつつあり、輸出が停滞しているということは、現にもう出てきておる事態であります。だから、との現実の上に立ってこの状態をもう少ししばらく静観をしてみながら、いま努力すべき点を努力していく、そういう考えに立っておるわけであります。で、やるべき政策につきましては、いろいろわれわれも検討を加えておりまして、そして、ドル蓄積の状況を見ながら、その政策を強めていく、場合には強めていかなければならぬし、現状でいけるならば現状で推移を見る、こういう弾力的な態度であるわけでございます。
  48. 山本敬三郎

    山本敬三郎君 昨年七、八十億ドル、本年また八十億ドルの見込みで、来年は減るという見通しが立つでしょうか。やっぱり基礎的収支が不均衡だということは、国際経済の撹乱要素になっている。この事実はやっぱりおおいがたい事実だと思うんです。ですから、輸出を押えるか、輸入を進めるか、それも絶対だめだ、調整インフレもだめ、そして円切り上げもだめということであったら、昨年と同じように七項目やったって、実質上できないし、効果はあがらない。これから秋の国際会議に、そんな態度で過ごせるような状況ではないでしょう、そうじゃないですか。基本的な認識が、いま大臣は、効果があらわれてきていると言いますが、おそらく上半期四十億ドル貿易収支の黒でしょう。下半期になったら、これがずっと減って来年は均衡するという見通しは全くないのじゃないでしょうか。外国インフレであり、日本卸売り物価は比較的安定している。その差がどんどん累積してきますから、円切り上げの効果は半減されてくるおそれすらある。こういう状況ですから、基本的な認識について、やっぱりしっかりしたものを立てて、いままでのような硬直化した姿勢をとっていくべきときではないのではないでしょうか、そういう点なんです。
  49. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) だからといって、円再切り上げをやっていいという問題ではないと思います。やはり日本が直接しょっている中小企業や下請の惨害というものを考えてみると、だからといってやっていいという理論ではない。現在の時点において様子を見ながら、政策についても弾力的に強めるべき情勢があるものは強めるし、あるいはこのままでいいというものはこのままにしていく、そういう態度で切り上げ回避のために全力を注ぐのがわれわれの立場である。こう考えております。
  50. 山本敬三郎

    山本敬三郎君 またこの次にやらしてもらいます。
  51. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) ちょっと関連して。  先ほど経済白書に関連して御質問がありましたが、この今回の白書の大きな特徴は、いままではいずれかというと高度成長、すなわち生産第一主義、それから輸出第一主義というような気がまえであったわけですね。それを大きく転換して福祉優先、そして同時に国際協調、この線で、三つのギャップはありますけれども、そのギャップがおのおの関連するのですが、そのうちで最も力を入れている問題は生産福祉のギャップの解消です。そうして、いままでは重化学工業が牽引力となっておりましたが、今度はだんだんと環境改善、その他社会福祉、いろいろな社会開発が進んでいきますと、そのほうが牽引力をなしてくる。  だんだんと景気は好調になり、最近の五月ごろを見ますと、やっぱり輸出は鈍化しております。輸入がふえつつあることは御存じのとおりです。それから六月−七月は海員のストがありまして、ちょっと番狂わせになっておりますが、私は、八月になってくると、輸出はやはり鈍化して輸入がだんだんふえてくる、こういうような見通しを持っておりまして、そこに国際協調の線が必要だと思っておりますが、しかし、私は、決して円の切り上げをやるという考えは毛頭持っておりません。やはり中曽根大臣の言うように、円の切り上げはやらないように、その方向でいろいろと対策を講ずる、こういうことでございます。  御了承願います。
  52. 大矢正

    ○大矢正君 私が心配をいたしますることは、日本という国が世界の中の孤児となるような、そういう結果が招来することをおそれているわけですね。何か問題があったらすぐ日本におどかしをかけるといいますか、けしからぬ、すぐこれは輸入制限をするぞというような、そこまでやらなきゃ日本という国は一切やろうとしないのだという印象が国際的に広まりつつある。これがわが国に対する諸外国の認識です、率直に言って。そういう情勢がありますから、やはり日本みずからがひとつ大きな柱を立てて、その柱の上に立って直すべきものは直していくという考え方が必要じゃないかと思うんですよ。  で、いま、前回の切り上げによって中小企業にかなり影響があるので、対策を云々、こうやったということをおっしゃられるが、安田政務次官がこの間金沢かどこかで、本年度大幅に財投計画を修正して、特に中小企業金融公庫には資金のワクを大量にふやすのだというようなことを言ったと新聞記事に載っておりました。けっこうなことだと私は思います。別に国会の承認を必要とすることではありませんから、けっこうなことですが、問題は、資金ワクを幾らふやしたって意味のないことなんです。なぜかと言えば、いまあれだけ発行されている国債、それは利回りの問題とか安全性からいえば、高いから別でありますけれども、これをいま買おうたって、二カ月待たなければ買えないのです、証券会社の店頭へ行っても。なぜかといえば金融機関、それに関連する類似の機関が全部金が余って、それを国債で持っているわけですから、個人が買おうとしても、二カ月も待たなければ買えないほど金がダブついているのです。ですから、担保力があったり、信用力があれば、何も中小企業金融公庫にたよらなくても、市中金融機関から金は幾らでも借りられる、こうした情勢にあるのです。  それで、私は何を言いたいかといえば、幾ら金を中小企業金融公庫につけて中小企業対策をやろうとしても、金だけ出してやったって、貸し付けの条件なり、内容なり、担保力なり、そういうものをどうするかということに全く考えをめぐらさなかったら、これは何にもなりません。その貸す残高が残るだけの話で、借りようたって借りられないということになってくるわけです。私は、そこまでもしやるなら、単にワクだけふやせばそれでいい、あとはワクを大蔵省にまかせておけば、大蔵省がやるだろうというのじゃなくて、ほんとうに通産省が円の切り上げによって、それが中小企業に響いたというなら、やはりそこまで突っ込んでやっぱり考えなきゃ何の意味もないという結果になります。きょうの議論は時間もありませんし、あなたとの議論でははっきり言って、私は何もしないのだ、いままでのことをやっていれば何とかなるのだという結論しかいただけませんでしたが、私は、これではもう日本の国はおそらくたいへんなことになるのじゃないかという気がいたしますし、それから、アメリカに取るものは取られた上に、円切り上げという事態に追い込まれるおそれも必ず起こるということを申し上げておきたいと思います。  次に、電源立地問題についてお尋ねをいたしますが、これは御存じのとおり、私の選挙区であります北海道においても一カ所、火力発電所の建設問題で非常に地方議会が混乱をしたり、地域住民との間に摩擦が生じたりしていますが、これは単に私のところだけでなくて、全国至るところでこういう問題が発生しております。私は、二、三年来、当委員会におきましても主張しておるところでありますが、法律上どのようにして云々というようなことではないが、行政上考えなければならぬ点があるのじゃないか。それは、電源立地の問題は一私企業——もちろん公益性はありますが、電力会社あるいはそれに類似するようなものにまかせる、あるいは地方自治体にそれをまかしてしまって、政府は知らぬ顔をしているというような、そういう態度では電力の安定的な供給は困難になる。私は、電力の供給が不安定になってもいいとは国民考えていないと思うのです。やっぱり電力は必要なだけ供給してもらわなければならぬという考え方は、私は変わりがないと思うのであります。  ただ問題は、その立地について地域住民との協力なり、自治体との協力なりというものが事前に得られないというようなところが私は、問題としてあるのじゃないかと思う。たとえば、電調審でもってどこどこに火力発電所をつくりたいと言うてきた場合に、地方自治体が判を押せば、それをすぐそのまま認めてしまう。しかし、実際には、建設省としても建設ができないというようなことも現に起こっておりますね。ですから、私の言うのは、法律をつくれというのじゃありませんが、この電源立地問題というものは、単に通産省が何かしようとしてもできる問題ではありません。通産省が主体にならなければならぬことは事実でありまするけれども、やはり自治省なり、それから特にまた、温排水の問題等から考えれば農林省、これは漁業問題に重大な関係があります。それから農作物等に関係があります排気、排煙等。ですから、そういうことから考えますると、私は、この内閣をあげてこの電源問題、電源立地の問題に取り組んでいかないと、電力の供給というものが非常に不安定になってまいります。  で、ここであらためてこまかいことは申しませんけれども、何やら新聞を見ると、通産省で法律をつくってお出しになるというようなお話を聞いております。その内容は、私、中身は存じませんが、通産省が法律をつくるんではなしに、内閣として、全体としてやはりどういう形でその地域住民の了承を得つつ、この電源立地を求めていくかという考え方基本的に必要なんじゃないかという感じがいたしますので、大臣のお考えを私、この際承っておきたいと、こう思います。
  53. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は全く同感でございます。私たちもそういう御趣旨にのっとりまして努力していきたいと思っております。この間、関西電力で美浜の発電所が故障いたしましたら、すぐ関西地区におきましては節電の認可申請が出てくる。そういうことで、一般の市民には御迷惑をおかけしませんでしたけれども、将来そういう危険性がすでに関西地区には出たわけでございます。これが東京地区にいり出ないとも限らぬという需給関係にいまあるわけでございます。  将来計画を見てみますと、審議会の議を経て認められた地点の開発が進まない、こういう状態でございます。そういう意味からも、一面においては公害規制を厳に守り、住民の皆さんが安心できるような体制をつくらなきゃなりませんし、また自治体当局にも、そういう点について理解協力を求めて、そのためにその周辺の整備、下水とか、あるいはモニタリングのシステムとか、あらゆる面について自治体当局にも御協力を願わなきゃならぬことでもございます。したがいまして、それは建設省あるいは環境庁、自治省、あるいは通産省、科学技術庁、各方面の協力を得なければできないことであります。  そういう観点に立ちまして、そういう電源立地について理解が得られ、地元の御協力が得られるような立法措置をやる時期にきたと、そう考えまして、いま各省寄り合ってその素案をつくっておる最中でございます。その趣旨は、やはり公害に関する心配をなくすということ、それから、環境の整備というものについて重点を入れるということ、それから、安全性に関して地元の住民の御納得の得られるような体制をつくること、あるいは都市計画その他について国で助成すべき点があれば助成するようにしたい、そういう諸点についていろいろ考えた立法をやろうと考えているわけでございます。
  54. 大矢正

    ○大矢正君 最後に、これは質問というよりも希望意見として申し上げておきますが、電調審にかけるには地方議会の同意書ということになるわけですね。ですから、今度はもう地方議会でやると地方が混乱するから、だから国がそれをとって、国の強権でもって有無を言わせずばさっと東京でやってしまって、幾ら地域住民が騒いでもどうにもならぬようにするのだと、そういうような意味における法律ではないように、国がかりに法律をつくってやるとしても、その法律は、むしろ国自身が乗り出して、地域住民に納得させ得るような条件をつくりあげるような法律に私はぜひしてもらいたいということを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。
  55. 原田立

    ○原田立君 ごく簡単にお聞きしますから、答弁のほうも簡単に適切にお願いしたい。  一番最初に、いま問題になっている日中国交回復問題についてですが、これはテンポが順調に進んでいるように思うんでありますが、先日の新聞で見たところによると、中曽根通産大臣が国交回復後訪中し、経済問題等でいろいろ話し合ってくるということが報道されたのを見たのでありますが、その言についてどういう意図があるのか、構想なんかはまとまっておるのか。まずその点をお伺いしたい。
  56. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私はそういう発言をいたしました。それはしかし、前提がございます。それは、中国側がそういう御希望があるならば、私は、そういうことをするにやぶさかでありません。先方の意思をそんたくして、その御希望に沿ったやり方でそういう考え方を進めたい。そういう基本的な考えを持っておりまして、われわれが一方的に押しかけて行くとか、恩着せがましくやるという意図は毛頭ございません。これがまず基本的な態度でございます。  それから第二に、いま国交が正常化しない現段階におきましても、相当な経済交流があるわけでございます。それが国交が正常化するという形になれば、もっと大型の大きいものに変化していく可能性がございます。その場合、やはりもし先方にそういう御希望があるならば、通商航海条約とか貿易支払い協定とか、あるいは経済協力協定とかさまざまなそういう政府間の取りきめをやって、その両国のオーソライズされたもとに交流がもっと太いパイプで行なわれることが望ましいと考えておるわけです。そういう基本的な問題等について先方とよく話し合って、そうしてお互いが理解し合い、認識し合い、どういうふうにしてそれを太く円滑に、安定的に行なうかという考え方を協議し合い、相談し合うということは非常に有益であると実は考えておるわけでございます。したがいまして、もし、先方にそういう御意図があるならば、田中総理が行なってそのあとに適当なときに私は訪中するにやぶさかでありません。そういう考えに立っておるわけでございます。
  57. 原田立

    ○原田立君 国交回復後は、いわゆる政府貿易が中心になるのだろうと思いますけれども、その際は、従来のいわゆる覚え書き貿易等の民間貿易、それはどのようになさるお考えなのか。ちょっとこれも新聞報道で見たところによると、周恩来総理は、従来の形のものを残してもいいんだというようなことを言ったとちょっと聞いておりますのですが、その点はいかがですか。
  58. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは先方と話し合って先方の考えも聞いてみませんと、われわれが一方的にこうするということは申し上げることは適当でないと思っております。ただ一般論的に申し上げまするならば、ほかの正常化した国との関係と同じように、互恵平等のもとに、政府間協定のもとに太いパイプで安定的に行なえる、そういう体制にしていくということが最終的には望ましい形であろう、そう考えます。
  59. 原田立

    ○原田立君 まあ、これからのことでありますから、まだいろいろ考えがまとまっていないのかとも思いますけれども、もし検討されているようなことであればお答え願いたいと思いますが、日中貿易によりどれだけの量を輸入するのか、その中身、または今後の見通し等についてお考えがあったらお示しを願いたい。
  60. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは先方の現在やっておる五カ年計画の展望あるいは円元決済、これが具体的にどういう形で行なわれるであろうか、あるいはこのポンドその他支払い手段の仲介になるものがどういう動揺や安定性を示しているか、さまざまな事情によって左右される問題で、現在どの程度になるという予測はなかなかつきかねる状態でございます。ただ言えることは、両者がお互いに話し合ってその障害を取り除くように努力するならば、そうして、かなり長期的にわたった協定や合意ができるならば、かなり大きなものの交流が行なわれる可能性があると考えております。
  61. 原田立

    ○原田立君 まあ、これからの話だからその程度しか答えられないのだろうとは思うのですけれども、けさの新聞に稻山新日鉄社長等の日本経済人訪中団が行って、周恩来首相といろいろ話し合った内容が報道されておりますけれども、その中に、鉄鋼の問題あるいは肥料、機械設備等の問題それらについては日本から輸入したい、こういったようなことが言われております。これを受け取られてどういうふうにお感じになるか、あるいはまた、いまのお話は、日本から輸出する場合でありますけれども、中国から輸入してくるそういうものについての何か構想等はないんですか。
  62. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その新聞報道につきましては、もしそれが真実であるならば、歓迎すべきことであるので、われわれも積極的に協力したい気持ちを持っております。そういうことを申し上げられるだろうと思います。しかし、これについては貿易バランスという問題がございますから、どういう物件で長期的にバランスがとり得るか、これはわれわれがこれから開拓していかなければならぬ要素であると思います。それらにつきましては、やはり北京へ参りまして、現地の計画そのほかをある程度理解しませんと、われわれとしては計画が立ちにくいことでございまして、そういう点についても話し合ってみたいと考えておるところであります。
  63. 原田立

    ○原田立君 いまのは非常に抽象的なお答えなんで、そんなことでいいのかなという感じがするわけです。というのは、田中さんも九月下旬ないし十月上旬には訪中なさるというようなことで、そうなると、中曽根大臣の訪中もその後ということになれば、もうすぐ九月ですから、一カ月後くらいの話であります。そういうような段階で、いまのようなただ抽象的なお話では、ちょっと納得しがたいんですけれども、まあこれからのことでありますから、隣の中国とも仲よくしていくというためにも、積極的な姿勢があってしかるべきだと思うんです。  この問題はこのくらいにして、先ほど阿具根委員から調整インフレの問題で質問がありましたが、中曽根大臣が八月九日に発言した翌日の十日に永野日商会頭が、輸出課徴金のような輸出罪悪思想に基づく政策を実施するよりも、調整インフレを採用するほうが望ましいと、こんなふうに発言している。新聞報道によると、何となく中曽根大臣発言を受けて日商会頭がこういう発言をしているというふうに記事が出ているんですけれども、これについて通産大臣はどのように理解なさっておりますか。
  64. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 永野さんが、どういうお考えで、どういうことばを吐かれたか私は存じませんので、私がコメントを加える資格はないのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、インフレと名のつくものにつきましては、一切私は反対であります。ただしかし、内需を旺盛にして、そして外需から内需に転換させる、そういうことは現在必要である、そう考えておるものであります。
  65. 原田立

    ○原田立君 大矢委員もちょっと指摘しておりましたけれども、九月に入ると十カ国蔵相会議あるいはIMFの総会など、いわゆる国際通貨会議がメジロ押しに並んでいるわけでありますけれども中曽根通産大臣、このままの状態では再び円切り上げの圧力が強まるだろうと心配しているわけであります。これをどのようにかわそうとなさるのか、お考えがあったらお示し願いたい。
  66. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一般的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、内需を旺盛にして、そして外需内需に転換させるということ、それからアメリカあるいはヨーロッパ等について輸出が伸び過ぎている問題につきましては、業者間の協調によって独禁法にひっかからない範囲内においてそれをセーブして、オーダリーマーケティンを実行していくということ、それは非常に大事なことで、オーダリーマーケティングというやり方はいまヨーロッパのドイツにしても、ベネルックス三国にしても、あるいはイギリス等にいたしましても、ある程度順調に進行しつつあるところでございます。アメリカにつきましても、これはニクソンさんと田中総理との会談において、政治的観点からそういう問題も出ると思いますけれども、緊急輸入とか、あるいはその他の措置によりましていまのような誤解や圧力を解いていく、そういう努力をしているところでございます。
  67. 原田立

    ○原田立君 経済白書の中で、わが国経済が直面している問題として福祉のギャップ、それから国際収支のギャップ、それから需給のギャップの三つをあげておるわけでありますが、その中で、特に福祉のギャップ解消が最優先順位であることは政府も認め、再確認すべきであろうと思いますが、その点はいかがでございますか。
  68. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 全く同感であります。この需給ギャップの一番大きなものは、重化学工業におけるギャップでございますが、そのギャップをすぐ埋めようと思って、過去の愚を繰り返すというようなことは考えておりません。新しい需要構造を起こす、そうして新しい経済構造に徐々に転換していくというのがわれわれの考え方でございます。その方向は何であるかといえば、社会資本充実強化ということであります。つまり、住宅あるいは都市開発あるいは下水とかあるいは学校の老朽建物を建てかえるとか、国立病院を建てかえるとか、やれば幾らでもあるわけです。そういう社会資本充実強化、そういう面から福祉ギャップを埋めていく。われわれは景気を起こす力もそういう方面から引き起そう、こういう考えに立って努力しておるのでございます。
  69. 原田立

    ○原田立君 もう一つ再確認みたいなことになるんですけれども、社会資本充実という形の景気対策や賃金の引き上げなどは、国際収支の状態がどうであれ、社会資本充実などを通じて福祉向上につとめるべきである、こういう基本的な考え方ですか。
  70. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一般的にいってそういうことであるだろうと思います。やはり福祉国家を建設する、それが自民党並びに政府考え方でございますから、その太い線をもって予算編成その他においても一貫していくべきであると考えます。
  71. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ちょっと関連してお伺いしますけれども、田中総理の日本列島改造論によりますと、昭和六十年を目標にして約一兆ドルのGNPまで持っていくんだ、そのためには、やはり成長率が一〇%くらいだ、こういうようなことを書いてありますが、そうすると、いまあなたがおっしゃったように、今後福祉のギャップを埋めるためには、内需拡大していくことも賛成でありますけれども、一体内需拡大していくのに、どういうような政策をおとりになるのか、その辺大体  の構想なりをお聞きかせ願いたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の考えでは、第一に社会資本充実ということでございます。これは久しく各方面から指摘されたことであり、かつまた、民衆の要望しているところでもあると思います。  その中身といえば、私らの選択ではやはり住宅、都市開発というものに非常に大きなウエートを置きたい。住宅問題というのは、やはり全国民のいま悩んでいる問題でもございます。特に若い世代で困っている問題でございますから、ここに思い切った施策を講ずる。それから都市開発あるいは下水道、そういうような問題も同様でございますが、つまり、環境整備あるいは公害の防除、これまた国民の大きく指摘しているポイントでもございます。そのほか土地を要しないで、そういう社会資本充実する一つの方途として、たとえば、国立病院の老朽しているものや、学校の老朽しているものや、あるいは体育館を建てるとか、プールをつくるとか、やれば幾らでもございます。そういうような面にわれわれのお金を投じて、そうして一面においては内需を起こし、また民衆の要望にも沿う、そういう面に強い政策を打っていくべきであると考えます。
  73. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは、私もそういうことをよく聞かされておるんですけれども、それじゃその内容そのものがはたして四十八年度予算にどういうふうにあらわれるか、その点は私は期待しております。  質問はこれで終わります。
  74. 原田立

    ○原田立君 日本列島改造論の問題が出ましたのでお聞きするのですが、誘導地域を今度はおきめになりまして発表になっておりますが、建設省あるいは通産省、自治省、いろいろと構想があるようであります。国土総合開発とか土地利用計画とか公害防止などの面から総合的な調整が必要であろうと思うのですが、これはたぶん経企庁が中心になっておやりになるであろうと思うが、今後どのようなスケジュールで前進なさるか、簡単でけっこうでございますから伺いたい。
  75. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 御承知のとおり日本列島改造論は、田中総理の一つ意見として取りまとめたものでありますが、先般来より約八十名ほどの学識経験者その他からいろいろ意見をいま徴しつつあるところであります。同時に経企庁としましては、先ほどもちょっと申しましたように、いわゆる新全総が三年前にできたのですけれども、新しい視野に立ちましていま総点検をしつつあるところであります。その総点検の中間報告ともいうべきものがこの年末に出てくるだろうと思います。それから具体的に、いわゆる新全総というものはできるわけですが、そういうことでありまして、要は日本列島改造論のアイデアといいますか、いい面があるのです。  それは大きく言いまして、交通網、通信網のネットワークをつくるということが一つ、過疎過密の解消をはかるということが一つ、それからもう一つは、それと関連もしましょうが、土地を全国的に有効利用しよう、こういう三つの線があると思うのですが、それらがいまやっている新全総とアイデアは非常に似ておるのです。しかし、新全総の結果が依然として大都市に人口が集中する工場が集中すると、こういう傾向がありますから、それを直すべくまた総点検をやる、こういう段階でございます。
  76. 原田立

    ○原田立君 この線引きのときの発表の中にある、工業再配置法であったと思いますが、移転促進地域については既設、新設おのおの両方の工場に対して床面積一平方メートル当たり五百円、調整地域は新設工場だけ二千円を課税し、誘導地域はこれらの財源で進出工場に対する固定資産税の減免を行なうことにしていると、こういうことでありますが、ここでお聞きしたいのは、この工場追い出し税は、大企業等の資金のある連中はこれは支払えるだろうと思うのでありますが、中小企業の場合には経済的にも比較的苦しいし、なかなか払えないのじゃないかというようなことも、そういう声も聞いているのでありますが、そういう中小企業に対してはこの工場追い出し税をどのように処置なさるのですか。
  77. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 工場追い出し税というのは、実は名前が悪い名前でありまして、そういう名前はわれわれは使いたくないと思いまして使っておりません。  それから、そういう課税をやることが適当であるかどうか、このこともいま各省庁の間でいろいろ協議しているところでございます。つまり、どういう課税思想に基づいてそういうものはやり得るのか、集積の利益がそれだけあるから、じゃそれだけ課税していくという課税理論が成り立つのかどうか、そういう課税思想の点からもいま各省でいろいろ論議しておりまして、まだ統一見解が政府としてできているわけではございません。したがって、大企業、中小企業、そのおのおのをどうするかという点までは固まっていないのです。しかし、もし万一、かりにやるという場合でもお説のとおり、大企業と中小企業とは当然取り扱いに差があってしかるべきである、私は常識的にそうであると考えます。しかし、まだそれをやること自体が各省の間で正式にまとまっているわけではないということも御報告さしていただきたいと思います。
  78. 原田立

    ○原田立君 一番大きな問題なんですけれども、中曽根大臣、工業再配置法は公害のいわゆる地方分散論だと、そういうことで前国会もいろいろ問題にしたわけですが、その当時田中通産大臣は、現在のような公害は絶対起こさない、こういうふうに約束なさったのでありますけれども、あなたはいかがですか。
  79. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も絶対起こさないようにいたします。
  80. 原田立

    ○原田立君 裏づけとして、じゃ、お聞きしたいのですけれども、田中大臣の説明の中身はこういうことだったのです。過密地帯に工場があると、そこできたない水やきたない煙を出すからその過密地帯に公害が発生するのだ、自然界の自浄力が過密地帯には少ないのだと、ところが、過疎地に行くと自然界の自浄力があるから、過疎地に工場を持っていっても公害の起こる心配はないと、胸を張って田中大臣は言っておりました。  これはおかしな話でありまして、そういういわゆる他力本願的な公害対策では話にならない、こう私は思うのです。まさか中曽根大臣は田中大臣と同じような答弁をなさらぬだろうと思うけれども、公害を起こさないというその裏づけとして、じゃ、どうなさるのか。工場排水、工場排煙の規制をもっときびしくしていく、またそのように厳重に指導していく、このようなことをなさるのかどうか、あるいは法律で規制なさるのかどうか、そこら辺裏づけとしてお聞きしたい。
  81. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本列島改造論というのは、公害をまき散らす考えであるという考えを私たちはとっておりません。公害をなくすために、日本列島改造という発想が出ておるのでございます。それで、地方へ行ったら自浄力、復元力が多いからそれにたよれる、そういう考えは私は持ちません。それよりもやはり環境基準あるいは排出基準そのほかを厳格に守らせる、あるいは工場立法等を行なってそういう規制、安全性というものを確認して工場をつくらせる、そういう措置のほうが大事であろうと思います。そういうような環境の整備、工場立地条件の厳守等によりまして公害を防ぐようにいたしたいと思っております。
  82. 原田立

    ○原田立君 時間がありませんので、ほんとうは中曽根大臣公害病救済財団あるいは電力立地の問題、それからコンビナートの総点検、あるいは建設省で行なった東京湾内の汚染調査、ここら辺をお聞きしたかったのですけれども、時間がありませんからこれは次の機会に譲ります。  最後に、有田長官にお聞きするのですけれども、けさの新聞によりますと、農林省では、新米から一八%消費者米価を上げると、こういうように何かきまったそうでありますけれども、過日、八月の二十三日に有田長官は、消費者五団体と会見をした際、米の政府売り渡し価格引き上げ幅は生産者米価の引き上げによって生じたぎりぎりの平均五・九%にとどめたい、こういうようなことを発表なさったというふうに聞いておるのですが、そうすると、この決定と何か非常に矛盾を感じるような気がするわけですが、経企庁長官は物価監視お目付役の大臣ですから、農林省や何かがかってなことを言ってもそれをがっちりと押えて、それで物価対策等にもっと本腰でやらなければいけないと思うのです。実は、八月二十三日の会見を聞いたときには、非常に頼もしいなと思っておったのですが、きょうの新聞を見ると、有田長官の考えとはかかわりなしにどんどん値上げの方向に進んでいる、これはおかしい話じゃないかと、こう思ってお聞きするわけです。過日お話があったように、消費者米価の値上げ、標準価格米、これは値上げしないと、こういう点はだいじょうぶなのかどうか、その点はいかがです。
  83. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 消費者米価の問題は非常に重大な問題であります。いろいろ昔と比べて見まして、生活費に占めるウエートは違っておることは知っておりますけれども、何といいましても、家計の上で一番大事な要素を占めておるのは米であります。したがいまして、物価担当のわれわれとしましては、できるだけこれを上げたくないと、こういう方向で進んでおりますが、けさの新聞かどうか知りませんが、それは農林省の一つの案でありまして、政府の案ではありません。いま私たちは、私たちの見解に基づいてそれを主張しておるところであります。いずれ、政府全体としての一つの統一見解が出るときがあるかと思いますけれども、今日の段階では、私は、私のいまの考え方で進んで、少なくとも、一般の普通米といいますか、標準価格米と申しますか、そういうものについては値上げしない、したくないと、こういう考えで進んでいることをお答えいたします。
  84. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 だいぶ時間が予定より過ぎておりますので、簡潔に、きめられた時間内だけで質問を終わらしていただきたいと思います。  最初に、通産大臣にお伺いいたしますが、通産大臣、もっと積極的な姿勢で、日中国交回復のこれはさなかにあるわけですが、大臣みずから訪中の意思を表示すべきじゃないかと思うんです。と申しますのは、中国とわが国との間には国交がいまだに回復されておらないわけですが、中国の貿易総量に対して最も大きなウエートを占めているのがわが国でございます。しかも、田中総理が訪中されることもはっきりしているし、訪中されるとさらに貿易量が拡大されることも明らかなことです。そういった時期でもございますので、私はむしろ、情勢を見きわめてということじゃなく、通産大臣として当然のこととして訪中の意思があるか。訪中するんだと、そしてその上で、いままでの日中の貿易というものをさらにかたいきずなで円滑に進めていくということをもう表示すべき時期だと思うんですが、その点いかがですか。
  85. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私は、個人的には藤井委員と同じ考え方を持っております。ただしかし、国交がまだない現状にかんがみまして、発言は非常に注意しなければならないと思っております。また、相手の立場に立ってみますと、ちょうど日韓条約ができたあと、日本の財界人が相次いでソウルを訪問して、何か日本がまた経済侵略をやるような、相次いでイナゴの大群が来るような印象を先方は持ったんではないかと、当時私は心配したことがございます。それと同じように、中国側の立場になってみますと、日本の事情をよく理解していただきませんと、相次いで財界人や何かが向こうへ行きますと、また経済侵略みたいな形で日本人が相次いでお仕着せがましく来るというような印象を与えることは非常にマイナスであるし、われわれの善意を誤解される危険性が非常にあると思います。現に、アメリカやヨーロッパに対してああいうような輸出に対するいろいろな批判も起きているわけであります。そういうことも考えてみますと、政府当局としては、やはり先方がそういう御意思を持っておるならばこちらは十分応対しますと、そういう謙虚な態度をとっておることが非常に大事であると思いますし、将来そういう誠意のある貿易関係をつくっていかなければならぬと思っておるわけであります。したがいまして、責任者としての私は、言動について非常に注意して発言しておるわけなのでございます。
  86. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 なるほど、おっしゃる意味もわからぬわけではないけれども、私はむしろその逆であって、日韓条約のおりには、そういった政府の行政指導的なものがないから、むしろイナゴの大群のごとく押し寄せて不評を買ったという向きがある。そういう形をとらないためにも、また、中国の現在の意思というものがすでに民間貿易を通じて那辺にあるかはもうわかっているわけでありますから、積極的に政府責任者が現に中国を訪れて、彼らの意思をよく確かめ、そしてまたこちらの意思を伝えて、その上で正常な輸出関係を結んでいくべきだと私は思う。そういう意味からも、私は、通産大臣はやはり積極的にその辺のところを明確にすべきだと思うのですが、重ねてその御意思をお聞きしたいと思います。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり日本と中国の間は、過去において長い不幸な時間がございまして、日本側が迷惑をかけた点が多々あるわけであります。そのことを深く反省してわれわれの基本的立場を持っておりませんと、いずれ誤解を受けるような危険性がなきにしもあらずです。私は、そういう点からして、中国へいらっしゃる皆さん方はみんなそういう点は気をつけていらっしゃるとは思いますけれども、政府当局としては、最初のそういう接触の場合には、厳にその点を戒めていかなければならない。そういう考えを持っておりますので、いまのような態度をくずそうとは思いません。
  88. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはまた別な角度の問題ですが、最近、ことに発展途上国に対して日本の企業の進出が著しいわけでございます。そういった面について、香港あるいはタイ国あたりにおいては、最近、とみに反日感情をあおるような新聞記事なども出ているし、そういう動きも現にあるわけなんです。先ほどイナゴの大群というふうに大臣、おっしゃったわけでありますが、これからわれわれはアジアの中で、特に発展途上国との間には、より緊密な関係を結んでいかなければならないおりに、この種の問題が現に惹起されておるわけでございますが、所管大臣として、それを今後どのように指導していくのか、あるいは現に誤解等に基づいてその種の問題が起きているとするなら、的確な処置をとっているのかいなか。その辺のところを聞かしてもらいたい。
  89. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのような日本の不評に関する新聞記事が出たことも、私、報告を受けて知っております。それらの点につきましては、一つ一つ具体的に指示いたしまして調査をするし、また、そういうことが事実である場合には、注意を与えて、直すようにしております。  一般的に見て、やはり経済力が出てきた者が経済力のない方と接する場合には、どうしても、こちらが善意を持っておっても誤解される要素があるし、いわんや善意がないという場合には、傲慢に受け取られて、いわゆる醜いアメリカ人と言われたように、今度は醜い日本人と言われる危険性が非常にあるわけです。その点は非常にわれわれはこれからも戒心していかなければならぬところでございまして、世界じゅうの取引相手に対しての、日本の商社、日本のメーカー等の精神的態度をやはりもう一回きつく注意しておく必要がある、そういうように思っております。
  90. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この問題は、みずからの姿勢を正すことももちろん必要ですが、必要以上に誤解やあるいは偏見に基づく中傷であるなら、これはやはりき然とした態度で相手国に対してわれわれの態度を示すことが必要だと思う。多くの勤労者が現に単身で多くの土地に行き、それなりにまじめにみんな働いておるわけだけれども、そういった人たちが、いま言ったような問題で肩身の狭い思いをしなければならないということは、私、たいへんな苦労であろうというふうに思うのです。  現に、昨年も私、この辺のところを回ってまいりまして、そのことを痛切に感じております。ひとつ大臣として適切な措置をとっていただきたいと思います。  それから、その次の問題ですが、先ほどのお話では、大臣基本的なものの考え方として、内にあっては中小企業の育成につとめなければならない、外にあっては国際協調という形の中で経済を発展さしていかなければならないというお話でございました。この中で一つだけ私、具体的な問題として申し上げるわけですが、最近とみに、わが国に対する繊維品の輸入、よそからいえば輸出、これが出てまいりまして、この五年間に繊維の輸入量というものが五倍以上になっておる。しかもその主体が衣類ということでございます。これは内にあってはまさに衣類等を生業としている縫製業あるいは高次加工部門、このことごとくが中小企業もしくは零細企業でありますが、これとまさに競合しておるわけです。しかも今後発展途上国からの繊維品の輸入というものがどんどん私は増加すると思うんです。こうなったとき、まあ内にあっては中小企業の育成だ、外にあっては国際協調もと輸出入を円滑にしなきゃならない。発展途上国から購入する物品というものはおのずから範囲が限られてくる。たいへんなこれは産業にとっては国の施策と置かれている立場からのジレンマになるわけですが、この辺のところをどのようにお考えになっているのか、あるいは措置をとっておられるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  91. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり日本も経済的な力がついてまいりまして、UNCTADその他で国際的つき合いというものもございますので、特恵関税制度というものを発展途上国に対して普通の国並みに認めていくことは当然でございます。したがって、そういう国々から輸入してくるというもまたやむを得ないことで、そういう部面からくる被害あるいは困難に対してはできる限り中小企業政策の一環としてわれわれが国内業者をお助けする、そういう措置で切り抜けていくのがやっぱり国際的に見ても正しいやり方ではないか、そう思っております。原則はそうであります。そして、そういう困難が出てくる場合に、どういう具体的に措置をするかということになれば、これは金融とかそのほかあらゆる面で努力してまいりたいと、そう考えます。
  92. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 たとえば中国との貿易一つとりましても、中国へ輸出するものは最も多い品目は機械であり、工作機であり、あるいは化成品である。輸入するものとしては、これはまあ食品あるいは飼料などを除けば繊維品ということに私はなると思う。これは香港においてもそうだし、韓国の場合もそうだし、あるいはタイ国の場合もそうだし、まあ全部そういうかっこうになってくると思うんだけれども、いまおっしゃるように、なるほど競合して中小零細企業が困った場合には、金融財政等の措置でカバーするということだけれども、それは私あくまでも表面を糊塗することであって、発展途上国との貿易というものをバランスさしていかなきゃならない場合には、勢い繊維の輸入がふえるということはあたりまえなんです。長期的な抜本的な施策にはならないと思う。もっとその辺のところをどのようにしていくのか、いますぐの問題じゃないにしても考えていただかなければ、私は、一つの産業にとってたいへんなピンチを招くことになると思う。重ねてその辺のところをお聞きしたい。
  93. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本アメリカとの間に起こっているようなことが、今度発展途上国と日本の間に起こる可能性は十分あるわけです。長期的に見て、そして国際的に、大局的に見た場合には、これは歴史の趨勢であって、われわれはそれに耐えていかなければならない。方針としてはそうだと思います。したがいまして、日本の繊維産業はより高度化して発展上国と競合しない方向に前進していく、そういう形が望ましいので、近代化、高度化についてわれわれは積極的に施策をしていくべきだと思います。
  94. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 御承知のように、繊維産業は最も多くの人手を擁しているし、しかも、中小零細企業を数多くかかえておるわけでございます。ことに、日米の繊維問題が起きて以来、かなりピンチに立っておる状況の中でございますので、この辺のところは次年度の予算編成にあたっても十分考慮をして長期的な繊維産業の発展のための施策を取り入れていただきたい。具体的な問題は、また日を譲って私のほうからも御提言申し上げたいと思います。  その次に、実は五月三十日に公取の化合繊のメーカー十四カ所に立ち入り検査がございました。この問題についてはもう申すまでもなく、一つには合繊メーカーがこの不況に際して生産数量の協定をした。要するに操短をした事実があるのじゃないかということと、いま一つは西欧の合繊メーカーと協定して市場を分割したのじゃないかという疑いを持って立ち入り検査をしたわけです。実は私、六十八回国会の六月一日のこの本院における商工委員会で、前の大臣にこの問題をこまかく質疑いたしました。大臣としては、「ある時期においてはこれを政府は奨励する、ある時期においては同じ政府機関である公取は取り締まる」、こういうことではいけない。したがって、今後は制度を整備し、あるいは区画整理を行なわなければならない、こういうふうに言っておられるわけです。さらに、これはもう公取として問題を取り扱っている法律行為だから、しばらくの間、静観はせざるを得ないが、一番最終的な結論が出る前には、この種の問題に対して通産省の意見を述べるということがあって当然だと思う、そのように努力します、こういうふうに言っておられるわけです。大臣もおかわりになったし、公取の委員長もかわられたわけなんで、当然大臣はその辺の問題を継承されていると思う。この公取の問題の現状がどうなっているか、あるいはいま前の大臣がおっしゃったように最終段階に至る以前に通産省としての態度を明示するのか、そのお考えがあったら、その内容などもいまあればお聞かせいただきたい。
  95. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本件は目下審査中でございますから、われわれはその結果が出るのを静観しておりたいと思います。しかし、国際的な混乱を防ぐためにいわゆるオーダリーマーケティングをやる、そういう趣旨においていろいろ相談をしたり、あるいは協議をしたり手続をしている、そういうことはオーダリーマーケティングをやっていくために必要な場合もあり得るわけです。しかし、それが独禁法にかかるということは適当ではございません。だから、かからない範囲内においてそういう行為を行なうということは、日本貿易秩序を維持していくためにも私は、むしろ適当な行為であると考えておるわけです。公取がこういう現実的必要性をどういうふうに認識するか、通産省としては通産省としての見解がございますから、適当なときに公取に対してわれわれの意見を表明する、こういうことは考えております。
  96. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それじゃ、時間がもう参りましたので、最後の質問をいたしますが、毛・ポリエステルの混紡織物の関税差しとめの問題について、これは実はもう長い期間を経ておるわけでございまして、率直に申し上げて、日米繊維交渉が起きる以前の問題としてアメリカの繊維業界がこの問題を提起した。その後新しい事実として日米に政府間協定というのが結ばれ、数量規制が現に行なわれている。したがって、本来ならこの数量規制が行なわれた時点においてこの米国の業界からの問題提起は消滅しておらなければならない。にもかかわらず、それが継続されている。その後日米の政府間協定に基づいて輸入割り当て数量のおよそ四割にも満たないであろうという数量しかアメリカに現に製品が入っていない。そういう中で、最近これは財務省がクロという判定をしているわけです。しかし、まあ表面の動きはそういうことだけれど、この間田中前通産大臣は、サンクレメンテにおいても先方に対してこの問題の非を訴えているし、あるいは最近大臣もおかわりになって、現中曽根大臣も七月二十九日にエバリー米大統領通商特別代表とこの問題についてお話をなさっているはずです。そしてこの問題をハイレベルでひとつ会議して、何とか解決つけようじゃないか、われわれの側から見れば数量規制をし、さらに金額の面でこういう措置をとることは二重規制である、この日米繊維協定に背馳する行為であるということすら言っておるんだけれども、全くこちらの言い分が無視されて、呼びかけが無視されて、そしていまこのような結果が出ておるということは私は許せないものである。むしろ、これに対する対抗措置であれば、しかも、これがいままでのアメリカの行き方であるなら、他の品種にもこの種の問題が波及しかねない。これはもっと担当大臣として強い姿勢を示すべきである。せっかくの日米の友好のもとにということで、まあ歯を食いしばって繊維協定を結んだにもかかわらずこの種の問題が出るなら、繊維協定をほごにするというぐらいの態度をとっても、私はおかしくないと思う。いままでも田中大臣からは、あなたのおっしゃることは全部言っています、これはきついことを言ってるんですというようなことの話があったけれども、何ぼきついことを言っておっても、全然相手にされていないんではこれは何にもならぬわけなので、私、その辺のところを中曽根さんはどのようにお考えなのか、あるいはいまのアメリカの働きに対してどのようにわが国考えを向こうに伝達しておるのか、今後どのようにこれを措置しようとするのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  97. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本件につきましては藤井委員と全く同感でございます。せっかく繊維協定が成立しておるのにああいう行為が行なわれるということは繊維協定を無視するものでありまして、私は不法である、あるいは不当である、そう考えておりまして、そこでエバリー氏が参りましたから、この点を私からも強く抗議を申し立て、補償を申し立てまして、それでハイレベルのアンチダンピング問題に関する両国の話し合いを九月にやる、その中心にはこの問題が一つあるわけであります。国務省側は事情がよくわかっておるようですが、財務省の一部にわからない面があるやに聞いております。そこで、九月のハイレベルの協議で、われわれとしては厳重にこの問題を申し立て、そういう不当な措置をやめてもらうようにやりたいと思っておりますし、また、けさ田中総理がハワイへ立ちましたけれども、機会があったらニクソンにこの話もしてもらいたい、そういうことも私は、先般会ったときに要望しておきました。ともかく、全力を尽くしてこういう不当な措置を撤回させるように努力いたします。
  98. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これで終わりますが、いまの問題、実は繊維の労働者でつくっている組合の全繊同盟も、アメリカの繊維の労働者でつくっている全米被服労組との間にこの問題を話し合おうじゃないか、いままでアメリカが全く逃げを打って、こちらの呼びかけに応じてこなかったけれども、九月の初旬にハワイで双方の組合が集まってこの問題を討議することになっておるのです。だから私は、いま大臣のお話を聞いてたいへん心強く思っておるわけなんです。どうか、何でもかんでもゴリ押しに来れば、最後は日本はしっぽを巻くんだというようなことではいけないんで、だめなことはだめということを明確にして対米折衡に当たっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。  終わります。
  99. 佐田一郎

    委員長佐田一郎君) ほかに御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十四分散会