○大矢正君 私が心配をいたしますることは、
日本という国が世界の中の孤児となるような、そういう結果が招来することをおそれているわけですね。何か問題があったらすぐ
日本におどかしをかけるといいますか、けしからぬ、すぐこれは
輸入制限をするぞというような、そこまでやらなきゃ
日本という国は一切やろうとしないのだという印象が国際的に広まりつつある。これが
わが国に対する諸
外国の認識です、率直に言って。そういう
情勢がありますから、やはり
日本みずからがひとつ大きな柱を立てて、その柱の上に立って直すべきものは直していくという
考え方が必要じゃないかと思うんですよ。
で、いま、前回の
切り上げによって
中小企業にかなり影響があるので、
対策を云々、こうやったということをおっしゃられるが、
安田政務次官がこの間金沢かどこかで、本年度大幅に財投
計画を修正して、特に
中小企業金融公庫には資金のワクを大量にふやすのだというようなことを言ったと
新聞記事に載っておりました。けっこうなことだと私は思います。別に国会の承認を必要とすることではありませんから、けっこうなことですが、問題は、資金ワクを幾らふやしたって
意味のないことなんです。なぜかと言えば、いまあれだけ発行されている国債、それは利回りの問題とか安全性からいえば、高いから別でありますけれども、これをいま買おうたって、二カ月待たなければ買えないのです、証券会社の店頭へ行っても。なぜかといえば金融機関、それに関連する類似の機関が全部金が余って、それを国債で持っているわけですから、個人が買おうとしても、二カ月も待たなければ買えないほど金がダブついているのです。ですから、担保力があったり、信用力があれば、何も
中小企業金融公庫にたよらなくても、市中金融機関から金は幾らでも借りられる、こうした
情勢にあるのです。
それで、私は何を言いたいかといえば、幾ら金を
中小企業金融公庫につけて
中小企業対策をやろうとしても、金だけ出してやったって、貸し付けの
条件なり、内容なり、担保力なり、そういうものをどうするかということに全く
考えをめぐらさなかったら、これは何にもなりません。その貸す残高が残るだけの話で、借りようたって借りられないということになってくるわけです。私は、そこまでもしやるなら、単にワクだけふやせばそれでいい、あとはワクを
大蔵省にまかせておけば、
大蔵省がやるだろうというのじゃなくて、ほんとうに通産省が円の
切り上げによって、それが
中小企業に響いたというなら、やはりそこまで突っ込んでやっぱり
考えなきゃ何の
意味もないという結果になります。きょうの議論は時間もありませんし、あなたとの議論でははっきり言って、私は何もしないのだ、いままでのことをやっていれば何とかなるのだという結論しかいただけませんでしたが、私は、これではもう
日本の国はおそらくたいへんなことになるのじゃないかという気がいたしますし、それから、
アメリカに取るものは取られた上に、
円切り上げという事態に追い込まれるおそれも必ず起こるということを申し上げておきたいと思います。
次に、電源立地問題についてお尋ねをいたしますが、これは御存じのとおり、私の選挙区であります北海道においても一カ所、火力発電所の建設問題で非常に地方議会が混乱をしたり、地域住民との間に
摩擦が生じたりしていますが、これは単に私のところだけでなくて、全国至るところでこういう問題が発生しております。私は、二、三年来、当
委員会におきましても主張しておるところでありますが、法律上どのようにして云々というようなことではないが、行政上
考えなければならぬ点があるのじゃないか。それは、電源立地の問題は一私企業——もちろん公益性はありますが、電力会社あるいはそれに類似するようなものにまかせる、あるいは地方自治体にそれをまかしてしまって、
政府は知らぬ顔をしているというような、そういう態度では電力の安定的な供給は困難になる。私は、電力の供給が不安定になってもいいとは
国民は
考えていないと思うのです。やっぱり電力は必要なだけ供給してもらわなければならぬという
考え方は、私は変わりがないと思うのであります。
ただ問題は、その立地について地域住民との
協力なり、自治体との
協力なりというものが事前に得られないというようなところが私は、問題としてあるのじゃないかと思う。たとえば、電調審でもってどこどこに火力発電所をつくりたいと言うてきた場合に、地方自治体が判を押せば、それをすぐそのまま認めてしまう。しかし、実際には、建設省としても建設ができないというようなことも現に起こっておりますね。ですから、私の言うのは、法律をつくれというのじゃありませんが、この電源立地問題というものは、単に通産省が何かしようとしてもできる問題ではありません。通産省が主体にならなければならぬことは事実でありまするけれども、やはり自治省なり、それから特にまた、温排水の問題等から
考えれば農林省、これは漁業問題に重大な
関係があります。それから農作物等に
関係があります排気、排煙等。ですから、そういうことから
考えますると、私は、この内閣をあげてこの電源問題、電源立地の問題に取り組んでいかないと、電力の供給というものが非常に不安定になってまいります。
で、ここであらためてこまかいことは申しませんけれども、何やら
新聞を見ると、通産省で法律をつくってお出しになるというようなお話を聞いております。その内容は、私、中身は存じませんが、通産省が法律をつくるんではなしに、内閣として、全体としてやはりどういう形でその地域住民の了承を得つつ、この電源立地を求めていくかという
考え方が
基本的に必要なんじゃないかという感じがいたしますので、
大臣のお
考えを私、この際承っておきたいと、こう思います。