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田中寿美子君 私は
沖繩の売春対策についてお尋ねしたいと思います。
去る七月の二十七日に
沖繩の売春と取り組む会の代表が各省各
大臣に申し入れに参りました。私も行く
予定でしたけれども、突然北海道に遊説に参りましたために、藤原道子さんが同行されまして各省に申し入れをされました。この問題は私は前の六十八
国会からしばしば問題にしてまいりましたことで、そうしてなおこれは婦人の間に大衆運動も起こっておりますが、今月末にはまた
沖繩の代表を迎えて
集会もし、それでこの売春対策について前の内閣当時各
大臣がいろいろと約束をし、各省がそれぞれ決意を述べてきたことについて新しい内閣でどういう
考えを持っていられるかということを私はきょうは主として確認したいという意味での質問でございます。で、ちょっと私のほうの手違いで質問時間が短うございますので、詳しいことはできませんから、わりあいに簡単に申し上げ、また簡単な御返事をいただきたいと思うんですが、きょうは
労働大臣が主でございますので、私は、この問題は法務、
労働、厚生、
警察、公安
委員会と、全部そろえてその意思を伺いたいと思っておりましたけれども、いまは
労働大臣中心ですから、そういう
立場でお答えをいただきたいと思います。
で、もちろん
労働省は
労使関係の問題、
労働者の権利の問題、たくさんあるんですけれども、同時に婦人少年
行政を持っております。婦人の地位を守る、婦人の人権を守る仕事も持っております。そういう意味で大いに張り切っていただきたいと思うんですが、これまでの「
沖繩の売春問題と取り組む会」を中心にした
沖繩の売春問題に関する経過について、もう御承知だと思いますので省きます。
ただ、念のため、問題点として私どもがこういう点が問題だというふうに要約した点を申し上げますと、
沖繩の売春では第一番に、明らかに人身売買に当たるような前借金制度によって婦人の身分を拘束をして売春を強制している実情があったが、前借金を無効にする方法を講じなければならないということ、そしてそれを徹底させることを
要求してまいったわけでございます。
それから第二点は、売春業者と
暴力団とが婦人を脅迫して売春をさせている、だから
暴力団及び売春業者の間の結びつきを断つことや、それから徹底的にそのような
暴力団の取り締まりをせよということを
警察に
要求してまいったわけでございます。
それから第三点は、
沖繩の婦人の間に本土よりは人権意識が薄い、だから教育宣伝活動が非常に欠除している、特にアメリカの施政権下にありましたので本土政府側も手を出しかねているし、それから
沖繩現地の
行政機関もたいへん萎縮していたというふうに私は現地で感じました。それが必要であるということ。
それから、第四点は保護施設の欠除です。これはきょう厚生
大臣に
あとで伺いたいと思いますが、
沖繩にも売春防止法があったにもかかわらず、これに対する宣伝も少ないし、それから、それじゃそこから飛び出してきた婦人をどこに収容するかという場合に、それの受け入れ体制がほとんどできておりませんでした。保護施設が欠除しているということでそれの整備を急げということや、それからそれを助ける婦人相談員を強化せよと、こういうことを
要求してまいりました。
それから第五点は、職業指導機関を整備してほしい、職業を開拓しなければほかに働く
場所がないではないかという問題が非常に重要な問題でございます。
それから第六点は、
労働基準監督
行政をもっと徹底させなければいけない、
沖繩の売春をさせられている婦
人たちは強制
労働や前借金によるかせぎの相殺、それから中間搾取をどんどん受けていたわけです。それから、そのほか婦人
労働の保護という点では非常にひどい状況がありました。私どもが参りましたときにも、産後三日目から働いているという女性がおりました。こういうようなことの
労働基準監督をもっと徹底させなきゃいけない。
それから最後に、世論の喚起、つまり一般に売春というものがあたりまえのような状況にあの基地のもとではあるということ。それから生産的な職業が少ないためにサービス業に走らざるを得ない状況の中で非常に世論があたりまえのことのように
考えている。その世論を喚起する必要がある。人権意識をもっとかき立てる必要がある。大体このような点に私どもは問題を集約して
要求してきたわけです。
それで、この間、各
大臣への申し入れをいたしましたが、私
たちは別に
大臣にお願いするというのじゃなくて、これは
国会では私
たち当然政治の主体ですから自分
たちも一緒になってやらなければならない問題でございますし、それから
国会の外の大衆もこの運動をしているわけで、
沖繩という特定の
場所の問題じゃない、全体の問題であるというふうに
考えていただきたいと思います。
それで、きょうは法務
大臣がいられませんけれども、第一点の前借金の問題について何回か私ども法務
大臣、法務政務次官などにお会いして売春を目的とした前借金は無効であるということは、これは
昭和三十年の最高裁の判決でも出ている、それから売防法の九条でしたかにも売春前借金は禁止されていますね、それですから、このことは当然前借金なんという前近代的な人間を拘束するようなそういう
関係というものは一切断たなければいけない、このことに関して法務
大臣に復帰時の時点ではっきりと前借金は無効であるということを宣言してほしいというようなことを私どもも何回か申し入れしました。しかし、そういう宣言には至りませんでしたが、
法務省で、いまの法務
大臣はこの問題についてどういう扱いをするつもりでいられるか、その決意がわかれば
局長からでもお答えをいただきたいと思います。