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1972-09-11 第69回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十一日(月曜日)    午後一時十分開会     —————————————    委員異動  八月十五日     辞任         補欠選任      中村 波男君     杉山善太郎君      須原 昭二君     鈴木  力君  九月六日     辞任         補欠選任      星野  力君     塚田 大願君  九月十一日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     久保田藤麿君      杉山善太郎君     足鹿  覺君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 古賀雷四郎君                 高橋雄之助君                 上林繁次郎君     委 員                 梶木 又三君                 柴立 芳文君                 高田 浩運君                 寺本 広作君                 足鹿  覺君                 鈴木  力君                 中村 英男君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君    国務大臣        国 務 大 臣  小山 長規君        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官       小宮山重四郎君        経済企画庁長官        官房参事官    岩田 幸基君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        農林政務次官   園田 清充君        農林大臣官房参        事官       澤辺  守君        農林省農地局参        事官       杉田 栄司君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        水産庁長官    太田 康二君        気象庁観測部長  木村 耕三君        建設省都市局下        水道部長     久保  赳君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省住宅局長  沢田 光英君        自治大臣官房過        疎対策管理官   高品 宏作君        自治大臣官房参        事官       中野  晟君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (漁業災害対策に関する件)  (昭和四十七年七月豪雨災害等復旧対策に関  する件)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、杉山善太郎君及び大谷藤之助君が委員辞任され、その補欠として足鹿覺君及び久保田藤麿君が選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、昭和四十七年七月豪雨災害等について政府から発言を求められておりますので、これを許します。小宮山総理府総務長官
  4. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 昭和四十七年六月六日から七月十三日までの断続した豪雨等による災害激甚として指定し、及びこれに対し適用すべき措置指定する等の政令制定について申し上げます。  六月からの豪雨等による災害激甚災害として指定し、及びこれに対し適用すべき措置指定する等の政令制定につきましては、関係省庁において鋭意作業を進めまして、去る八月十七日政令三一六号をもって公布、施行いたしました。  激甚災害として、指定いたしましたのは、六月六日から七月十三日までの断続した豪雨及び台風第六号、第七号、第九号による災害であります。  次に、この激甚災害に対して適用すべき措置として指定いたしました措置は次のとおりであります。  一、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助  一、農地等災害復旧事業等にかかわる補助特別措置  一、農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例  一、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置特例  一、土地改良区等の行なう湛水排除事業に対する補助  一、中小企業信用保険法による災害関係保証特例  一、中小企業近代化資金等助成法による貸し付け金等償還期間等特例  一、中小企業者に対する資金融通に関する特例  一、公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助  一、私立学校施設災害復旧事業に対する補助  一、日本私学振興財団の業務の特例  一、市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例  一、母子福祉法による国の貸し付け特例  一、水防資材費補助特例  一、罹災者公営住宅建設事業に対する補助特例  一、公共土木施設農地及び農業用施設等災害にかかわる地方債元利補給措置であります。なお、今回の指定に先立って、罹災者公営住宅建設事業補助特例につきまして、激甚災害指定基準の緩和をはかり、また、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令の改正により適用範囲の拡大をはかっております。  また、今回の災害におきまして、山くずれ、がけくずれによる被害が各地に発生いたしましたことにかんがみ、非常災害対策本部におきまして、これらの災害原因機構解明、さらに今後の対策についての技術的検討を行なうために、八月十五日から八月二十三日まで九州、四国、中国、中部、関東に科学技術庁を中心建設省農林省林野庁、通商産業省、消防庁の研究機関研究者からなる技術調査団を派遣いたしました。調査結果につきましては、現在、調査団において取りまとめ中でありますが、九月中旬には取りまとめが終了し、報告を受ける予定となっております。  この際、九月六日からの熱帯気圧と秋雨前線による災害について御報告いたします。この熱帯気圧等による豪雨は現在は回復しておりますが、この豪雨によって西日本を中心災害が発生いたしました。現在判明いたしております一般被害につきましては、警察庁で取りまとめておりますが、この報告によりますと、死者は八人、行くえ不明二人、全半壊流失七十二棟、床上浸水二千九百五棟となっております。  なお、この災害に対しましては、愛媛県今治市をはじめ、七市町村災害救助法を適用し、救援活動を行なっております。  以上でございます。
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 ちょっと腰を痛めておりまして、失礼ではありますが、すわったまま質疑をさしていただきますので、御了解をいただきますとともに、政府側もどうぞそのままで、質疑に対する御答弁をするようにお願いしたいと思います。  私は、本日は、「日本列島改造論」をまず質問前提において、具体的には去る七月以降約七十億の養殖ハマチその他の大被害を出しました瀬戸内海全域あるいは長崎その他において起きましたいわゆる異常海水被害地方では赤潮または苦潮といっておりますが、これらの点について政府天災融資法の発動をされておりますので、この対策等について、いささか場違いの感を持たれるかもしれませんが、少なくとも、天災融資法をこの災害に適用するについては、農林省としても、また環境庁としても、総理府としても、いろいろと御協議になったと思います。将来の対策についてもあわせて伺いたいと思います。  このたびの災害の問題についてはあとで述べますが、まず最初に、田中総理の出されました「日本列島改造論」を私も読ませていただきました。これを見ますと、一七三ページから一八二ページにわたって約五枚ばかり、わずかなスペースが農業問題に限定して取り上げられたのみであります。そもそも四面環海のわが国の地理的な条件から見まして、海洋国土関連を無視して日本列島改造は私はあり得ないと思うのであります。しかるに、総理になられる前の改造論は、よかれあしかれ国民には大きな反響と期待、いわゆる日本列島改造論ブームなるものがあるやに伝えられておりますが、私ども農林漁業、農山漁村問題と取り組んでおるものから見ますならば、まことにお粗末の一語に尽きます。特に漁業問題については、いま述べたような日本海と太平洋、オホーツク海、これらの海に囲まれた浮き島の日本列島に対し何ら一言も触れておられないことは、このような構想事体が、内閣を組閣されてからも、今回の赤潮対策についてもきわめて具体性を欠く結果になり、基本的な政策を怠られる結果になったと私は思うのであります。したがって、田中さんの言っておられることについては、後日席をあらためて伺いますが、「農工一体でよみがえる近代農村」などという美辞麗句を並べてはおられますが、漁業海洋、特に今回甚大な被害を起こした沿岸近海汚濁問題については、何ら総合的な政策が示されておらないことは最も私は遺憾といたします。この点について、環境庁長官は、このたびの被害の前後に瀬戸内の一部を船で御視察なされ、いろいろと御検討になって熱意をもって対処しておられると思いますが、まず環境庁長官から、ただいま述べた日本列島改造論との関連の上において、少なくとも沿岸海域近海海域における海水汚染除去、防除の政策等について、大臣としての新たなる御構想があれば、この際承っておきたいと思います。
  7. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いま足鹿先生がおっしゃいました日本列島改造沿岸水域水質汚濁、これは非常に広範な話でありますけれども、したがって私のほうもごく根本的なことだけお話をいたしますが、水質汚濁防止については、水質汚濁防止法がありまして、これできびしく取り締まっておるわけでありますが、その基本は、排出される汚濁物質は、自然の浄化の及ぶ範囲内にとどめる、これが基本的な考え方でありまして、これに基づいて規制をいたしておるわけであります。瀬戸内海のような海水の交流、交換の少ない地域にこれが集まりますと、いま仰せられましたような赤潮被害というのが生ずるわけであまりすが、この赤潮政策は人為的なものと、天然的なものと重なっておるのじゃなかろうかというような点がありまして、現在この赤潮発生機構というものの解明のためにいろいろな調査をやっております。そうして考えられる政策としては、まず工場排水規制、それから下水道の整備、そうして屎尿の海洋投棄の禁止、こういう方法で現在やっておるわけでありますが、これらの施策環境庁だけでできる問題でありませんので、各省庁の協力のもとにこれらの施策を推進してまいる考えであります。
  8. 足鹿覺

    足鹿覺君 長官、そういうことは一般論でありまして、この七月十八日付、私どもの党の土井たか子さんが提出いたしました瀬戸内海海水汚濁政策に関する質問に対し、答弁をあなた方は政府の名においてなさっておる。現内閣になってからですよ、七月十八日付で。それを見ますと、大体書いてあるのです。それよりもあなたの御答弁は抽象的です。私はそういうことをあなたから聞く前に、この答弁書を読めばそれでもう事足りておる。またわが党は、八月九日に六項目にわたって田中総理大臣あてにこの申し入れを行なっておる。これはきわめて具体的な項目申し入れをしている。何かこれらの問題は、当面の対策と、近い将来における対策基本について触れておるのでありますが、いまあなたのおっしゃっておることぐらいは私どもも百も承知しておるのであります。問題は、それをもう一歩どうお進めになるのか、今回の七十億近い被害というものは、これはもう漁民にとって壊滅的な打撃ですよ。しかも養殖ハマチ全部は天災融資法対象にならない、あるいは漁災法対象にならない、制度の欠陥あるいは漁民保険制度である漁災法に基づく加入の有無等によって救済の措置が全く困った状態になっておる。したがって、それらの問題をやはり農林省とあなた方は、まず当面の対策を考えられ、あるいは建設省経済企画庁等とも打ち合わせをされ、あるいは通産省とも具体的に対策を、こういう手を打っておるのだ、それを私は聞きたかったのです。どうですか、その点は。
  9. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 最初、私が足鹿先生からお伺いした質問の要旨は、私は先ほど申し上げた趣旨であると思いましたので、そう申し上げたわけでありますが、いまの赤潮に対する、赤潮損害をどうするかということについて限って申し上げますと、赤潮については足鹿先生専門家でありますから御存じだと思いますが、一体、これ保険対象になるのか、つまり天災になるのか、それともそうでないのかということがまず問題になっていることは御承知のとおりであります。そうして、天災であるという前提のもとにこの天災融資法が発動されたということも御承知だと思います。問題は、そういったような一種の公害とも申すべきものでありますかと思いますが、そういうものに対する補償制度をどうするかという問題がもう一つ残るわけであります。これについては、次の国会にこれらの損害を補償する制度法律案を出そうと考えておるわけですが、その中にいまの赤潮被害を含めるかどうか、これはいろいろな議論がありまして、まだ判断するところまでまいっておりませんが、この範囲内に含めるとする場合に、それではPPPの原則によってその損害を負担する企業なり、あるいは相手方は何であるかというようなことまでいろいろ詰めなければなりませんので、まだ現在はこれを含めるかどうかについて判断はできていない、こう申し上げるほかはないと思います。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 きょうは、米価審議会も開かれておりますし、知事会議も招集されておるということでありまして、多くの時間、長官をここでおとどめすることもできませず、足立農相にも日本列島改造海洋国土関連について私は伺いたかったのでありますがこれはあと農林省当局にも構想があれば承っておきたいと思うのです。  ただ、長官御存じでありましょうが、前の大石長官は五月二十二日だったと思いますが、瀬戸内海環境保全対策推進会議というものを設置されて、みずから会長となって大規模な一斉調査対策に乗り出された。これは各省庁にまたがるきわめて新たなる構想であり、それは環境庁長官として引き継いでおいでになりますか。引き継いでおられるとするならば、その後の一斉調査と今後の構想について、ただ単に赤潮対策に限定しないで、これらの沿岸近海海水汚濁対策というものは当然日本列島周辺資源保護の面、あるいは関係漁民立場に立ってもゆるがせにできない重大な問題だと私は考えます。しかるに、そのことについては一言もお触れになりませんが、これは農林省政務次官おいでになる、水産庁長官おいでになっておりますが、七十人からなる大きな総理のこの政策としての具体化がいま急がれておるという話でありますが漁業の漁の字も出ない海洋汚染対策の問題が、漁民立場からも、環境保全立場からも、環境汚染対策立場からも、この具体的な問題がないということは、一体、これは怠慢と言わざるを得ないと思うのです。農林当局なり、内閣総理府長官なり、あるいは環境庁長官なりとしては、いま私が述べておる問題と、基本問題と合わせて具体的な赤潮に限定した問題はあと水産庁当局農林省にも伺いますが、その点、大臣としての御所信のほどを私はお述べになるのが当然ではないかと思うのです、私の質問をまともに受けて。長官並びに農林省総理府の御所見を承りたい。
  11. 小山長規

    国務大臣小山長規君) 水産振興をはかり、またそれの保護をするためには、当然海洋環境保全されていなきゃならぬことはもとよりであります。そのために、先ほど申しましたように、いろいろな工場の操業の規制なり、排出規制をいたすわけでありますが、先ほど瀬戸内海環境保全対策推進会議はずっとやっておるのかとおっしゃいましたが、まさにずっとやっておるのであります。そして、その調査もすでに進めておりまして、これは大体四回調査することになっておりまして、最後の調査が来年の一月に終わります。終わりましたところで、すべてのデータがそろいましたら、それに基づいて瀬戸内海水質汚濁防止するためあるいは水産資源保護するためにどういう政策、たとえば工場規制をどうするかとか、あるいは排出基準をさらにどの程度きびしくするかというような問題が当然出てくるわけでありまして、必要とあれば法律制定をしなけりゃならぬかと思っておるわけであります。そういったような方策を講じて海をきれいにするということが目的でありますことを申し上げておきたいと思います。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林省ありますか。
  13. 園田清充

    説明員園田清充君) 農林省としては、ただいま御指摘日本列島改造の具体的な政策検討中でございますので、その検討に際して私ども農林省としての一応の意見は持っております。  そこで、御指摘水産関係についてでございますけれども、御承知のとおり、動物性たん白質の過半を供給するのが水産物であるということからいたしまして、海洋自然環境保全ということが不可欠の問題でございまして、当然、日本列島改造に伴いまして、列島周辺海域開発が進められるということになってまいりますと、こうした従来の生産を持続するということにもいろいろ問題が出てまいります。そこですぐれた漁場条件を備えた海域中心沿岸漁業の造成、確保をはかり、水産資源開発を積極的に行なっていく、そうして公害のない海洋環境保全をはかることにより、水産業、特に沿岸漁業の健全な発展がはかれるように、この中で私どもは具体的にひとついま申し上げたようなことを骨子としてのものを、政策として農林省としては打ち出してまいりたいということで、まだ御満足いただける段階ではございませんが、一応列島改造論が出ましてから、私どもの内部的な検討としての基礎的な態度として、いま申し上げたようなことを一応きめておるわけであります。
  14. 足鹿覺

    足鹿覺君 経済企画庁おりますか。——経済企画庁日本列島改造論具体化していく大きな主管官庁であろうと思いますが、きょうは肝心な長官局長おいでにならない。また日を変えますが、日本列島改造論政策化を進められる場合、新全総の大幅修正は当然であり、あるいはやり直しの必要があるのではないかとさえわれわれは思っておる。まあいずれにせよ、公害防止汚染漁場の早急な復旧事業を私どもは少なくともこの日本列島改造論を進めていく上において、漁民一体国は何をしておるんだ、調査調査といっておるが、一体何をしておるんだという政治不信、怒りを爆発をさせておるんです。随所に見られる海上デモはむろんでありましょう。そういう点についていかようにあなたたち総合官庁として構想を練っておられますか。あれば承りたいし、今後どのような対策を立てて、来たるべき通常国会に、いま小山長官が述べられたような構想のものを含む具体的な対策があるかどうか、あれば承りたい。
  15. 岩田幸基

    説明員岩田幸基君) 現在、日本列島改造論につきましては、御承知のとおり、総理私的諮問機関でございます日本列島改造問題懇談会というのがございます。そこで各界の委員の方々から、現在文書改造論につきましての御意見を出していただいております。その御意見をただいま整理をしておりますけれども、その整理が済みました段階で、新全総の総点検の中にこれを生かしてまいりたいと思っております。一方、新全総のほうは、できましてから三、四年になりますけれども、御指摘もございましたように、特に環境問題を中心にして非常に問題が出てきているわけでございます。経済企画庁といたしましては、現在、この新全総の総点検というのを八項目について実施をしております。これは特に工業基地公害環境問題との調整であるとか、あるいは巨大都市における環境問題であるとか、あるいは自然環境保全開発との問題であるとか、こういう点につきまして具体的に総点検実施をしているわけでございます。現在のところ、これらの総点検の大部分は今年度中にある程度の結果を得たいと思っているわけでございますが、ことにその中で土地利用制度につきましては何らかの立法措置を次の通常国会までに出していきたい、一応かように考えております。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が述べた海洋汚染とその公害防止は、総合性がなければ効果があがりません。したがって、いまの御答弁には、この問題について沿岸漁民は頻死の状態にある。現に養殖ハマチにして七十億近い巨額の損害を受けて困っておる。そういった項目一つ沿岸近海海水正常化対策なくして、日本列島改造などは絵にかいたもちじゃありませんか。その点を大きな柱として経済企画庁はお取り上げになるのでありますか。関係官庁から文書で出ておるといいますが、農林省環境庁からどういう文書が出ておりますか。たとえば私は、大石長官が大規模調査を開始され、四回目の一月ごろには調査が終わるということでありますが、おそらく一番汚染のきびしいのは瀬戸内であろうと思う。これを早急に大しゅんせつして、いわゆるどぶさらいをやって、良好な環境の海に返すことが、これは私は当然とるべき具体的な措置の第一歩だと心得ておる。その他沿岸正常化対策はもちろんでありますが、まず瀬戸内海を、この滞積したヘドロ有害物質、こういうものをまず手始めに、具体的な成果をあげるような対策なしに一体沿岸漁民に死ねというのでありますか。大きな柱として取り上げになるかならぬか、これは農林省環境庁経済企画庁総合意見を私は承っておきたい。これは例をとってですよ。瀬戸内海に限りませんが、まず瀬戸内海でもう悲惨な事実が起きておる。これは赤潮公害説もあるし、あるいは天然災害説もありますが、いずれにせよ養殖ハマチのみに限らず、すべての漁民が海からとったハマチが、奇形な魚がたくさんあって、市場へ出しても買い手がつかぬというような状態は、もう毎日の新聞やテレビをにぎわしておるじゃありませんか。このような事態を具体的に把握するための調査でなければならぬ。どうですか、この点に対する対策は。どういうふうにあなたたちは考えているのですか、経済企画庁は。
  17. 岩田幸基

    説明員岩田幸基君) ただいま申し上げました総点検の中で、御指摘のように、まあ八項目ございますけれども、いまの海洋汚染の問題につきましては、海洋汚染そのものとして項目としては取り上げてございませんけれども一つは農林水産業問題といたしまして、緑と海の保全というような観点で特に沿岸漁業、それから埋め立ての問題とからみましてその問題を検討してまいりたいと思っております。  それからもう一つは、先ほどちょっと申し上げました工業基地の問題といたしまして、工業基地の総点検の中で、海の汚染の問題も当然大きな問題として取り上げたいと思っております。現実には、たとえば瀬戸内海でございますと、水島とかあるいは大分の工業基地につきまして、そういう観点から具体的に調査をやりたいというように考えております。
  18. 足鹿覺

    足鹿覺君 何を聞いても調査でありまして、これはまあ一定の時間もかかるわけでありますから、それは官庁としてはそれで済むかもしれません。現にその被害を受けておる漁民関係者一体どうすればいいんですか。特に瀬戸内海の場合は、長年月にわたって水質汚濁の結果として、先ほど言いましたように、ヘドロ等がもう相当な厚さに沈積しておる。底質は悪化したいろいろな有害物質やどろどろのものになっておる。それがとった魚が人間が食えないというような状態。片方では高いえさを与えて三年もかかってハマチ養殖をしたものが死んでおる。こういう状態の中で、漁場条件が悪化を招いておる。これが自然環境の悪化としては重大な問題であります。沿岸漁場は水産資源の産卵あるいは育成場というものと関係がありまして、それなしには、とる漁業からつくる漁業などということばを水産庁は使っておりますが、産卵や育成場すらも破壊されてしまう。でありますから、私は小山長官に申し上げますが、一月の大がかりの調査が終わったならば少なくとも瀬戸内海を大しゅんせつをやる、それぐらいの具体策をおとりにならなければ、これは政策を実現したということになりませんよ。毎年毎年調査と作文に終わるようなことでは困ります。しかと農林省とも、きょう水産庁長官もお見えになっておりますが、連携をとって、その一月の調査の結果を待っておったのではもう予算に間に合いませんよ。いまからこれに対する瀬戸内海その他の赤潮公害その他、もうデータはあるわけですから、そのところを点検して、そしてヘドロのしゅんせつから始めていく、政治は具体的で現実的でなければならぬと思う。官庁の作文では漁や国民は納得いたしません。いかがですか。この点もう少し権威のある、責任のある、具体性のある御答弁を私は求めておるわけですが、いかがですか。
  19. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 具体的なというお話でございますので事務的にお答え申し上げますが、先ほどお話ございました瀬戸内海環境保全対策推進会議、昨年五月できまして、昨年の十二月に中間報告をいたしております。その中間報告は、赤潮問題等を中心にいたしまして、今後長期的な観点から瀬戸内海をどうするかという問題のほかに、当面実施すべき対策につきましても報告をいたしておりまして、それに基づきまして関係各省は当面実施すべき政策を推進いたしておるわけでございます。  で、まず長期的な観点からの検討につきましては、先ほど長官からお答えいたしましたように、年四回の根本的な調査が来年一月に終わりますので、私どもはその調査結果を踏まえまして、瀬戸内海につきましての環境保全のマスタープランというものをつくりたい。これによりまして瀬戸内海沿岸の自然保護を含めました環境保全のあり方につきまして青写真を描きまして、その青写真の実現のために、法律その他の必要があればこれを制定いたしたいと実は考えておるのでございます。  それから当面緊急に実施すべき対策といたしましては、まず排水の規制でございますが、これは現在水質汚濁防止法によりまして行なわれております全国一律規制のほかに、関係各県に上乗せをさせまして、きびしく排水を規制をする。それから赤潮の原因とも考えられます瀬戸内海に対します屎尿の投棄を今年度末で全面的に禁止をするということをすでに決定をいたしておるのでございます。  それから具体的な赤潮によります漁業被害対策といたしましては、後ほど水産庁からお話があると思いますけれども、当面実施すべき対策といたしましては、赤潮発生の通報体制の整備か、それから赤潮発生水域の水質の監視、測定の強化、また赤潮の防除対策というようなものにつきまして現在いろいろ研究中ではございますが、なお不備な点等につきましてその実用化を促進をするというような予算を今年度並びに来年度において措置をいたしたいというふうに実は考えておるわけでございまして、赤潮発生機構につきましては不明な点が確かにたくさんございます。しかし、それはそれといたしまして究明を急ぐと同時に、できることから実施をするということは私ども関係省庁の一致した態度でございまして、これを本年度並びに来年度から実施する考え方でございます。
  20. 太田康二

    説明員(太田康二君) 水産庁といたしましては、足鹿先生の御指摘のとおり、海洋汚染防止ということにつきましてはたいへん関心を持っておる事項でございまして、まずやはり漁場をきれいにしていただく、そのために、先ほど来環境庁長官もお答えになりましたように、現在、立法せられておりますところの海洋汚染防止法あるいは水質汚濁防止法等の厳正な運用によりまして、少なくとも漁場をいま以上よごさないんだというようなことを強く関係各省にもお願いをいたし、私どももその努力をいたしておるのでございます。  なお、それ以外に、私どもといたしましては、先生の御指摘になりましたような汚染をされて生産力の低下した漁場の復旧というような事業も、実はまだそれほど大規模ではございませんが、実施いたしておりまして、本年度瀬戸内海関係各県が寄りまして、瀬戸内海漁場環境保全月間中の事業ということで実際に実施した掃海面積が九万五千ヘクタール、延べ船の出漁が七千八百隻、人員で約一万九千、一億のしゅんせつ事業をやっております。これに対しまして私どもも四千万ほどの補助をいたしまして海底の掃海事業を実施したというようなこともございます。で、これらの事業につきましては、まずもとをきめてもらって、生産力の低下した漁場の復旧ということで、明年度もさらに規模を拡大して実施するべく四十八年度予算に要求をいたしております。  それから赤潮につきましての対策でございますが、これにつきましては、先ほど来話しの出ておりますように、試験研究機関で目下いろいろな発生の原因、さらにこれをいかにして抑制するかというようなことの試験研究を実施いたしておりますが、まだ最終的な何と申しますか、具体的結論は出ておりませんが、その研究の過程におきましていろいろな研究成果も出ておりますから、私どもといたしましては、たいへんおくればせではございますが、四十八年度予算で実験事業といたしまして、一つは遠心分離式の赤潮回収事業化の試験という試験事業を実施すると、それからサクション式ヘドロ回収事業化試験というような事業の予算も計上いたしまして、試行錯誤的ではございますが、これらのことで赤潮を回収し、あるいは赤潮が発生する一つの原因と見られます海底のヘドロを回収する事業を実施いたしたい、かように存じております。  なお、それ以外に、赤潮による活魚の被害というようなこともございますので、陸上に活魚のいけすをつくる、あるいは活魚を輸送するための船に対しまして酸素ボンベを設置させる、これらの助成の事業も明年度はぜひ実施をいたしまして赤潮に対する対策を強化してまいりたい、かように存じております。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 小山長官も他の行事があって御多忙でありましょうから、もう一問だけで終わりますが、お引き取りいただいてやむを得ませんのでお引き取りいただきたいと思いますが、いま、私が述べましたように、まず瀬戸内海に問題を、焦点を合わせて、そして前の長官の試みられた大規模調査結果が出るわけですから、これを待つことなく、もうわかったことなんですから、瀬戸内海の大掃海事業をやる、それぐらいの意気込みをやはり政治家としてお持ちをいただく。特にこの間、私がこの質問通告をいたしましたら、科学技術庁が参りまして、赤潮の原因について調査したものを持ってきて、これはもう環境庁へ引き継ぎましたので私どもはごかんべん願います、こういう話。とにかく官庁というものは事業を環境庁へ引き継げばもうわれ関せずえんということはあまりいいことではありませんが、それが官庁のしきたりとするならばいたしかたありませんが、それなりに環境庁としては責任が私は重くなると思う。問題は、私は貧乏な農業兼漁家に成長いたしまして、父が中海で赤貝の養殖事業をやる、境の防波堤が約四キロにわたってできましてから、三年連続、豆粒大の赤貝を児島湾から移入して、そうして養殖をやりました。三年続けて赤潮が出て、私どもでは苦潮といっております。東風が続けて吹きまして、必ず、大体八月末から九月にかけてこれは起きる現象です。七月、八月のころに発生いたした事例はあまりありません、私どもの経験から言えば。大体八月下旬から九月の上旬で東風が連続して吹きまして、そして塩分濃度が薄くなったころになりますと、必ず起きる。その当時はまだ都市汚水も——いまから四十年も前のことであります。私がまだ県会、市会議員当時のことでございます。若いとき、二十八歳当時です。そこで、その負債を私は十数年かかって全部しりをぬぐった苦い経験があるんです。今日のように公害論もないときです、救済の方法もない。みんな私がしりをぬぐいました。こういう苦い経験からいたしますと、もう赤潮の研究などということは手ぬるいですよ。四十年間にわたってこの問題起きておるんです。漁民は泣いておるんです。いまになって科学技術庁が環境庁にこれを移管したからといってこれは時すでにおそいんです。が、しかし、といってこれを投げるわけにはまいりません。勇断をもったひとつ日本列島改造論の中における沿岸漁民近海漁業振興立場から環境汚染を、これを未然に防止し、現在汚染されておるものを順序をつけて次から次と一定の長期計画をもってこれを排除していく、一方においては排水規制等が行なわれ、水質汚濁防止法の基準が厳重になり、建設省の簡易屎尿処理器等を早急に普及してもらって、そして少なくとも沿岸海水浴は無理であってもある一部を海水浴はできないまでも清浄化をしていかなければ、これは日本列島改造論などと口幅ったいことをおっしゃいますけれども、私は足が地についておらぬ議論だと思う。小山長官の勇断を求めて、まず瀬戸内のこの汚物の沈積した、ヘドロ化した、有機水銀その他有害物質のたまったものに対する相当な措置を、いわゆる公共事業としての性格をもった事業を施行してもらいたいと思うんです。これをだんだん波及してもらいたいと思うんです。この一点、御所信を承ってお引き取りをいただきたいと思います。誠意のある御所信を承りたい。
  22. 小山長規

    国務大臣小山長規君) いまお話しのありました掃海の問題については私ども自然環境保全し、維持するために必要であると考えまして、来年度予算で水産庁にその予算を計上するように申し上げ、現に計上してもらっておるわけであります。これをさらにおっしゃるような方向に推し進めていく決心であります。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、あまり日本列島論に立って大局論をやっておりますと足が地につかなくなりますから、一つ伺いますが、この沿岸汚濁していく元凶は工場のあるところは工場排水が大きな原因だと、これはわかっておる。工場のない、比較的少ないそういう地帯における汚濁は都市汚水にきまっておるんです。屎尿の海上投棄にきまっておるんです。来年四月一日を待たずして屎尿の海上投棄を瀬戸内その他はやめさしたらどうです。もっと政治は具体的で迅速にやらなければまた起きないという保証はないんです。  そこで、建設省に伺っておきますが、下水道計画などを待っておったのではとても百年黄河の河清を待つのたぐいでありますが、少なくとも——各戸に、このごろ建つ住宅にはほとんど簡易屎尿処理槽を持っておりますが、これらの点をもっと普及する対策がないんでありますか。ひとつ建設省当局の御意見を、そして対策を承りたい。
  24. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 実は屎尿処理は建設省ではございません、厚生省でございますけれども、厚生省の係官見えておらないので私からお答えを申し上げたいと思います。  屎尿処理につきましては先般の閣議によりまして大体これをほぼ一〇〇%、若干山村地帯等を除くわけでございますけれども、ほぼ一〇〇%衛生的な処理をするということにいたしまして昭和五十年度までにこれを実行いたすという計画を樹立をいたしておるわけでございます。その中には先生おっしゃるような浄化装置といいますか、そういうことによる処理も含めまして考えておるわけでございます。ただ私環境庁立場から申し上げますと、もちろんすべてを屎尿消化槽によりまして処理するわけにもまいりませんので、浄化槽によります処理も含めまして計画を推進することにいたしておりますけれども、浄化槽の管理につきましてこれを放置いたしますとかえって屎尿のたれ流し同然なことになるわけでございます。これはやはり浄化槽に堆積しました汚泥を定期的にこれをしゅんせつするということでなければ環境保全は全うできないというふうに考えておりますし、また屎尿中に含まれております窒素とか燐というものにつきましては、浄化槽では必ずしも十分にこれは除去し切れないんではあるまいかというふうに考えるわけでございます。そこで河川なり海洋に直接流れ込むような屎尿関係の汚水につきましては、私どもはできればこれを完全な処理——窒素なり燐なりを除去した末にこれを排水をするというようなことをお願いをいたしておるわけでございまして、そういうような高度処理の方法が実用化になりますれば、すべての処理施設はそれらの方向でもって整備をされるということを私ども関係省庁にお願いを申し上げておる段階でございます。
  25. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 公共用水域の汚濁源といたしまして、工場以外は都市の市街地からの都市下水があるという御指摘は全くそのとおりであろうかと思います。したがいまして、現在下水道をその地域に普及をいたしましてその地域からの下水を必ず処理をして出すと、こういう方向で第三次の下水道整備五カ年計画が進行中でございます。ただ、この計画が進行いたしましても、現在の下水道の普及率が昭和四十五年度末で約二二・八%でございますが、五十年末で三八%の下水道の普及を予定をいたしております。したがいまして、どのような市街地から先に下水道整備をしていくかということが非常に大きな問題であろうと思いますので、建設省では現在環境庁が定めました水質汚濁にかかわる環境基準が定められた水域に最重点を置いて下水道整備を進めているというのが実態でございます。先ほどから御議論をいただいております瀬戸内海につきましては、瀬戸内海全域環境基準というわけではございませんが、地先の海域環境基準がすでにきまっている水域がございますので、それらの水域に対しましては先ほど申しましたように下水道整備の中で一番重点を置いた整備を進めておるというのが実情でございます。  以上でございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 不満足でありますが、先を急ぎますから、先ほどの環境庁答弁の簡易水道の私は管理さえよろしければ、これは効果があると思う。現に新しく建つ住宅にはもうやはり屎尿のくみ取りなどということはありませんね。東京周辺だって、飲み水のないところへ住宅を建てるようなところでさえあった。そういうところでも屎尿処理はやっておるんです。簡易採尿処理はやっておるんです。ですから、沿岸のいわゆる相当密集した都市用水地域には整備した下水道ができないなどと——ちょうど農村に簡易水道が普及したごとく、施策をもってすれば私はある程度防除できると思う。また、自分のことでありますから、たれ流しなどするようなことはいたしません。私どものうちも、下水道をつくるのはけっこうですけれども、何十年先かわかりませんので、みな簡易屎尿処理施設でやっております。毎年手入れをしております。それでけっこうです。そういうことを具体的におやりになる意思があるかどうか。三カ年計画の中身にはそういう点をもってまず答弁を補いながらやらなければ、百年黄河の河清を待つたぐいではないかということを聞いておるんですよ。三カ年計画の中身も何も私どもはわからない。そういうことが中身に入っていますかということを聞いているんです。
  27. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 屎尿の対策でございますと、はっきり申し上げますけれども、先生のおっしゃるとおり、五十年度までの屎尿処理、廃棄物の処理の計画でございますけれども、その中には浄化槽、簡易の浄化槽によります処理対策も含めまして、全国九五%でございますけれども、すべて衛生的処理をするという目標で計画ができ上がり、それによりまして予算要求をいたしたという実想でございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 来年度の要求予算は幾らしているんですか。何戸ぐらいを対象にして年次計画を立てておるんですか。
  29. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) ちょっと数字まで私いま持っておりませんけれども、先ほども——繰り返しますけれども昭和五十年度に全国の九五%の要処理人口に対しまして浄化槽ないしは屎尿消化装置によります処理を完了するということで、年次計画によって予算要求をしているはずでございます。
  30. 足鹿覺

    足鹿覺君 じゃ三カ年計画の中にはそれが入っておるわけですね。それをあとで資料でお示しを願いたい、三カ年計画を。
  31. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) そのとおりでございますので、後ほど厚生省のほうに連絡をいたしましてお示しいたしたいと思います。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 総理府の副長官、ちょっと事前の打ち合わせはなかったですけれども、今度天災融資法対象になさったわけですね、今度の養殖ハマチの斃死について。これは私はけっこうだと思います。それ以外には当面なかったと思うんですが、ところが激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律によって激甚災害として政令でもって指定されることが私は好ましいと思うんです。だからといって——農業の場合は高率の補助がありますが、それは堤防が切れたとか、あるいはその他の共同施設がこわれたとかということでありますが、今度の場合は小割りという特定なものは対象になりますけれども、築堤式の養殖ハマチ漁場は対象にならないんですね。といって、それなら風浪によるものでありますから、施設はこわれておらぬわけですね。ただ中身が、永年たくさんのえさ代をかけて、もう成魚寸前のやつがやられたわけですね。これはやはり激甚災害に対処する特例財政援助に関する法律を援用して、何か対策を講ぜられる必要がありはしないか、これをぜひ御検討いただきたい。直ちにすぐにやるということは私もむずかしいと思いますが、ひとつ前向きで御検討いただけますか。
  33. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) ハマチの問題については、特に、今回の災害では新しい問題として出てまいりました。そういう意味で援用して使ったということで、これは水産庁長官のほうから答えていただきますけれども、今度の災害で私たち感じましたことは、災害救助法あるいは財政援助法律についてももう一度見直しする必要があるということを感じております。たとえばほかの問題にしても、集団移転、がけ下の問題等々の問題がございますので、その点を含めて今後とも検討さしていただきたいと思っております。
  34. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先生御指摘のとおり今回の赤潮によりますところのハマチ被害につきましては、確かに人為的な要素があることは間違いないわけでございますけれども、私どもといたしましては、異常海象とこれに起因する有害プランクトンの異常の増殖によるものである。非常に天災的な要素が多かったということに着目いたしまして天災融資法の発動をいたしたわけでございます。  それから先生お尋ねの築堤式と網仕切りのハマチ養殖でございますが、これにつきましては、被害を受けた場合には、当然天災融資法で救済の対象にはなるわけでございます。現に今回の被害を受けられた方々の中にもそういう方もあるようでございます。ただ漁災の点で、養殖共済の対象といたしておりますところのハマチ養殖は、現在は小割り式のものしか対象にいたしておりません。と申しますのは、築堤式とか網仕切りの場合には被害の認定がたいへんむずかしいという技術的な問題があるようでございます。  そこで、私どもといたしましては、養殖ハマチの何と申しますか、共済制度をさらに充実するというような意味におきまして、四十八年度におきましては、   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕 これらにつきまして実際に事業設計ができないかどうかというようなことを具体的にやる経費を要求いたしまして、これらの問題に取り組んでまいりたい、かように存じております。
  35. 足鹿覺

    足鹿覺君 当面の対策として、この被害漁民の負債が高額に達しておるんですね。数字はちょっと忘れましたが、たいへんな数字です。正確な数字を、資料が——六十六億四千二百八十二万一千円という膨大な借り入れをしておるわけですね。これは漁信連や市中銀行から借りておりますが、これをもろにかぶったら、これはとてもじゃないが再起不能です。そこで被害漁民の負債のため上げ措置を考慮すべきではないか、利子の補給、債務保証を目的とした特別立法等で対処すべきではないか、かように思いますが、政務次官いかがでしょう、前向きでひとつ御検討願えますか。
  36. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先生御指摘のとおり私どもが具体的に負債の状況を今回被害を受けられた方々から伺っております額によりますと、六十六億余に達しておるようでございます。そこで私どもといたしまして、これは毎度災害を受けた際、特に天災融資法等が発動になりました場合に、関係金融機関に依頼をいたしまして、まあ具体的に申し上げますと、農林漁業金融公庫あるいは農林中金、信漁連あるいは漁協になるわけでございますけれども、償還期間の延長につきまして特に何と申しますか、十分考慮して取り計らってもらいたい。もちろん、これはケースバイケースによるわけでございますけれども、そういった依頼を行なっておっておるのでございます。それから買い掛け金とか、支払い手形による負債もあるわけでございまして、これらの債務につきましては、極力系統金融機関についてつなぎ資金の融資方というものの依頼をいたしておるのでございます。先生がおっしゃいましたように、いままでの債務をたな上げして場合によってはそれに損失補償をつけたらどうかというような御議論、これは現に私ども陳情の方々からもそういうことを伺っております。しかし過去におきます、何と申しますか、こういった資金政府が全然関与していなかった資金等につきまして、国が現実に損失補償契約を結ぶというようなことは、確かにいままで例もなかったことでもございますので、なかなかむずかしかろうと思うのでございまして、これらの点につきましてはなかなかむずかしいというようなことを申し上げておるのでございます。ただ、現在の天災融資制度ハマチ養殖被害の場合に必ずしもぴったり適合するかどうかというような点につきましては、私どもも十分検討しなければならないというふうに考えておるのでございまして、現に特別立法等の要望も出ておることは、われわれも承知いたしております。したがいまして、これらの内容につきましては、私ども現在検討いたしておるということでございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿覺君 赤潮はまあ天災かあるいは公害か、そんなことはこれは複合被害ですから、私は論ずるわけではありません。いずれにせよ、公害的要素が強いということは間違いありません。漁業の再生産というものを考えた場合に、やっぱり何らかの見舞い金的な性格の形でもいいし、利子補給、地方自治体が一応補償措置を講ずる、肩がわりをする、地方自治体も考えるが、政府もその利子補給を考える、何かそういったようなことでもして当面を切り抜けさせなければ私どもはいまから十年ほど前に、私衆議院時代に、浴岸漁業振興法を制定のときに十日間ばかり歩いたところがみんなやられている。私は当時これは義務加入にしなければ、将来泣くことがあるのじゃないかということで強硬に主張して、私はこの制度の運営について意見を述べたことでこれが入ったわけなんですが、十年の後にこのような悲惨な被害が起きるということは私も意外千万に思っております。   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕  そこで、農業の場合は自作農維持資金という制度がありますが、漁業の場合は、経営を維持していく資金制度というものがないわけなんです。これは総理府長官も心にとめていただきたいと思いますが、やっぱり自然を相手にしていく場合ですから、危険度というものは相当あります。こういうときに自作農資金を発動いたしますと、三分五厘で生活資金が出ていくわけですね。漁業の場合はないのですからね。何かやはりそこにも同じ農業をやり、それだけでは食えぬから漁業をやる。漁業をやり、それだけでは食えぬから農業を営むという半農半漁の形態が相当あるわけなんです。何かその辺について対策を講じてもらいたいという声が強く、ぜひやってもらいたいと私は考えます。どうしても政府がおやりにならないということであれば、たな上げ措置をめぐる一連の利子補給、債務保証その他を、議員立法をわれわれは超党派ででもやりますよ。やらざるを得ない。こういうことを放置しておくことは、国会立場においてもゆるがせにできないと思う。われわれは関係方面に呼びかけて、議員立法辞せずと、与野党あげて、これは一体となってまず当面の救済措置を考えてあげなきゃならぬ。立ち上がりのやはり熱意を持たせなければならぬ。全くいま絶望感におちいっておる。種苗を求めようとすればあるが、それを買う金もない。こういう絶望感にこたえない場合は政治不信にこれはつながる。国会は何をしておるか。国は何をしておるか。政府当局は何をしておるかということになる。これは単に与党とか、野党とかの区別ではなくして、党派の問題ではなくして、国会としても政府がじんぜん日を送るならば、私どもはそれに踏み切らざるを得ない。こういう強い決意を持っておりますが、政務次官から農林省基本姿勢をひとつ承っておきたい。
  38. 園田清充

    説明員園田清充君) ただいま足鹿委員の御指摘の点でございますけれども、実は私も農林省に入りましてまだ日が浅うございます。ちうょど参りました前後にいま御指摘赤潮の問題が発生をいたしました。そこで、何らかこれは効済の方法はないのかということで、事務当局にもいろいろ検討さしたのでございます。  まず第一に、御指摘がございましたとおり、これが天災であるか人災であるかということの問題。そこで、現行法規の中でいろいろ検討いたしてみますと、この際これは天災ということで天災融資法を発動すべきだというのがまず第一の結論でございまして、そこで総理府総務副長官からもお答えをいたしましたとおり、天災融資法を発動するということで第一に踏み切りますし、それから漁業共済によって効済できないかということで、ところがこれも任意加入制度になっておりまして、非常に共済の加入者が、対象が少ないということでございましたが、これもすみやかにひとつ支払いをしろということ、すなわち今月中には何とか支払いを終わるというようなことで事務的に急がしておる。  それから、さっき御指摘がございました支払いの金融機関の延期をしてもらうというような措置、これらがまあ事務的に今日とられつつある措置でございますけれども、しかし、お話がございましたとおり、いまたとえば天災融資法を発動したからといって個人で百万、法人五百万というような少額の金額では再生産ということも不可能であるというのが現実の姿でございます。  そこで、何か一つ具体的にこの当面を切り抜けられるひとつ措置というものを検討しろということで事務当局にも検討を急がしておるところでございますので、きょうまで、御指摘の点についてまことに私から明確な答弁ができないことを残念に思いますが、私どもは私どもなりにひとつ実情は十分承知もいたしておりますし、足鹿議員から御指摘の点もございますので、ひとつ内々、前向きで検討さしていただきたいと思います。
  39. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひひとつ前向きで早急に来たるべき臨時国会に提案でもできるようなかまえでぜひ誠意をもって対処していただきたい。総務副長官においてもぜひひとつ政府としてもこの問題の対策を急いでいただきたい、かように思い、お願いをいたしておきます。  次に、この漁業災害補償制度自体が問題ですが、いま天災融賞法であってもまあ五分五厘ですか、金利はね。百万円ですね。だからこれはまあ目薬みたいなものですよ。気休めみたいなものです。共同で五百万。これを少なくとも百万を五百万、共同の分は五千万というぐらいの構想が私はほしい。直ちに御答辞は要りませんが、少なくともよく詰めていただきたいと思います。養殖共済の対象が小割りハマチ養殖のみに限られておるということは私はよろしくないと思う。網仕切り、築堤式等も大規模養殖業はみな除外されておる。これは私は少し従来の対策が欠けておったと思う。この点を反省して改めていただきたい。いかがですか、その点検討しますか、対策立てますか。
  40. 太田康二

    説明員(太田康二君) 現在私ども承知しております経営の規模で申し上げますと、築堤式が七経営、それから網仕切りがたしか五十八経営、これは四十五年度の数字で若干古うございますけれども、そういうことになっております。一般の小割り式養殖ハマチが二千二百五十ぐらいあるはずでございます。  先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、築堤式あるいは網仕りの場合に損害の認定が非常にむずかしいというようなことでいままで対象にはいたしていなかったわけでございますけれども、四十八年にはそれにつきまして具体的に保険設計ができるかどうかというようなことを調査をする予算を計上いたしまして前向きで取り組んでまいりたい、かように存じております。
  41. 足鹿覺

    足鹿覺君 前向きで検討するということですが、現行の養殖共済制度は、全員の同意がないと加入ができないという形になっているのです。しかし一方、あなた方の所管である漁船損害補償法によると、第百十二条ですか、加入区域内の三分の二以上の船主の同意があれば全員加入しなければならない旨の規定があるように思っておりますね。間違いありませんな。これに準じていけば同じ——船は、これだっていつ災害を受けるかわかりませんね。養殖ハマチだっていま言ったような例があるわけです。こういう点でびっこ、同じ漁民対象にしたものでもびっこになっておるのです。これは早急に改められてしかるべきだと思う。次の機会に、漁業災害補償制度の具体的な改正案を検討して次の国会に提出してもらいたい。ぜひひとつ政務次官、この点は大臣にもよく御協議になってやっていただけますか。
  42. 太田康二

    説明員(太田康二君) 漁業共済制度全般の改善につきましては、制度ができましたのは、たしか三十九年だと思いましたが、それ以後何べんかの手直しをいたしてまいったのでございますが、まあ実施して以来相当の年月がたちまして、実は四十六年度に漁業共済制度の問題研究会を開催いたしまして種々問題の検討をしてもらったわけでございます。その中の一環として、いま先生のおっしゃいましたように、加入の制度につきまして、現在の養殖共済の場合には加入区域というものを設けまして、全員、共済目的の一括契約申し込みのある場合にのみ加入できるということにいたしておりますが、農業共済なりあるいは漁船損害補償法にあるような三分の二が決議をした場合に全員加入というような制度が実はまだとられておりません。そこで、まあ漁獲共済あるいは養殖共済、それといまの義務加入の問題これらが実は問題の日程にのぼっておるのでございます。そこで、私どもといたしましては、さらに昭和四十七年度に予算を計上いたしまして、ほんとうの学識経験者にお集まりいただきまして、これから精力的にこれらの点につきましての検討をお願いすることにいたしております。そこで検討の成果の得られたものから私ども制度化をいたしまして実施をしてまいりたいということでございますので、当然いま御指摘の点につきましては検討対象に加えまして私ども検討をお願いすることにいたしております。
  43. 足鹿覺

    足鹿覺君 ぜひ御対処願いたいんです。  そこで、なぜ漁家がみな入っておらなかったか。これは保険方式ですから掛け金になかなか問題がある。私の資料によりますと、共済価格、ハマチ一匹四百五十円の場合、五月三十一日までのもの一匹当たり標準掛け金率が五・八、一匹について実に二十六円十銭というものを払わねばならぬ。翌三月三十一日までのものは五・五、二十四円七十五銭、これは相当太いですよ、一年魚です。二年魚になりますと一匹当たり千円、こうなってくるわけですが、八月三十一日までのものとしますと一匹当たり三・一%、三十一円という掛け金が出てくる。これでは何万匹の養殖をやっておる漁民も入りとうても入れませんわ。これは農業共済制度が永年かかって、私どもが十年かかって昭和三十八年に抜本改正をやってからいま共済制度に対して文句を言う者ありますか。あのときの改正がものをいったんです。そのときの情熱は私どもは失っておりません。議員を含めた協議会を開いて、そうして事務的に流れないように、実情をよく反映するようにずいぶん論争いたしましたが、あの昭和三十八年の改正によって今日りっぱに制度として存続しております。  そこで、全員加入を義務化していくほうがいいか、三分の二の同意でいくがいいか。土地改良法もそうですね。ですから、全員義務加入にした場合、あるいは三分の二によって議決した場合、掛けやすいような掛け金率というものにして加入対象者が全員になれば掛け金率も下がっていくわけです。それからある程度国が再保険制度を考えていく、農業共済制度を参考にされまして、そして、形式は再保険でありますが、国もそのめんどうの一端を見ていく、こういうふうにしていけば掛け金も下がっていきますから、無理がなくて漁民も加入することができるようになると思います。ぜひそういうふうに踏み切っていただきたい。掛け金率の改正について十分検討する用意があるかどうか承りたい。
  44. 太田康二

    説明員(太田康二君) 御承知のとおり、現在の掛け金の国庫補助につきましては準共済掛け金につきましての補助をいたしておるわけでございますけれども、実は補助限度率という率をかけておりまして、最高共済価格の六割というような制度に相なっております。したがいまして、いま先生の御指摘のように、掛け金が他の農林省の同種の制度に比べて高いというような、まあ相対的な問題ではあるわけですけれども、あることは十分われわれも意識をいたしておりますので、実は昭和四十八年度からは、現在の国庫補助につきまして共済価格の一定割合までに対応する掛け金額について国庫補助をするということにいたしておったわけでございますけれども、こういった補助限度率を撤廃をいたしまして全部国庫補助対象に、まあ足切りをしないで対象にするというような制度の改正をいたしたい。このために予算が相当増額になるわけでございますけれども、これを四十八年度から実施いたしたい。もちろんこれは財政当局との話し合いが要るわけでございますけれども、私どもはそういったことで取り組んでまいりたい、かように存じております。
  45. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に、これは総理府にもあわせてひとつお願いなり質問をいたしまして、私のお尋ねを終わりたいと思いますが、要するに、制度金融にしろあるいはその他の融資にしろ、これを補完するものが必要ではないか。たとえば基金制度ですね。将来工場地帯が多いところには企業者側にも負担させる。いわゆる一種の漁業公害対策基金とでもいいますか、仮称、私のこれは考え方なんですけれども。そしてこれを工場のあるところは工場側にも持たせる。それからこれにまあ国も一役買う。あるいは漁業団体も一役買う。まあいろいろ方法はあると思いますが、何か天災融資法は当然改正されて金額は上がっていく。激甚災害法の再検討のみに限らず、すべて洗い直してみるという長官の御答弁でありましたから、これを補完する意味における基金制度といったようなものをひとつ検討し、これを実施すべきではないか、かように私は思うんであります。そういう点でひとつ早急に検討願いまして、これは通産省、その他関係省にまたがる問題でありますから、臨時国会とは申しませんが、来たるべき通常国会ぐらいには御提案——これに必要な予算措置というようなものが一応頭を出すと、こういうようなことが私は必要ではないかと思います。つまり、とる漁業からつくる漁業と、魚の育苗センターはできて苗はある、技術もある。特にもっと浴岸の魚礁対策等とも進めていけば、養殖ハマチに限定せずして浴岸漁業の発展の余地は私はあると思う。これはもう運賃もたいして変わりませんし、まあ専門家意見を若干聞いてみますと、古タイヤを、これを何か組み立てるんだそうですね。それにセメントを流し込んで、そして海へおもしをつけてほうり込む。するともう魚の住みかとしてはなかなかいいというお話も聞いた。あるいは鉱山の不要になった鉱石を投棄する。あるいはバスのお古、それに石をうんと入れて沈める。まあ商船やタンカーその他を沈めれば一番いいでしょうが、何かまあやはり海はややきれいになりつつある。沿岸漁業はやはりそういったつくる漁業ということは養殖だけをさしておるのではなくして広義のつくる漁業、そういう対策を講じていかない限りは、私はいまに日本の沿岸漁業は滅びると思うんです。それを心配するがゆえにあえて本日お尋ねをいたしたわけでありますが、ひとつ前向きで積極的に具体的に取り組んでいただきたい。これについて総理府環境庁水産庁それぞれから御所信があれば承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いまの先生のお話、たいへん私たちも参考になりました。今後とも新しい制度としていかにすべきか関係各省とはかって、かかるような災害あるいは漁業対策等々をやっていきたいと思っております。
  47. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) 先ほど副長官からもお答えしたわけでございますが、公害被害に伴います救済のための基金制度の創設につきましては、できれば次の通常国会に提案をいたしたいということで検討いたしているわけでございますが、先ほど副長官申し上げましたとおり、その対象赤潮のように公害によりますハマチ被害等、財産被害まで含めるかどうかという点につきましてはPPPということもございますので、その基金を徴収する相手方の問題その他がございますので、目下検討いたしておりますが、基金につきましては早急に創設をするという方向で現在検討をいたしている段階でございます。
  48. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先ほどの日本列島改造論水産の面からの基本的な考え方につきまして政務次官からお答えを申し上げたわけでございますけれどもどもといたしましては、いままさに先生の指摘されましたように、私ども現在栽培漁業につきましての全国化という事業に取り組んでおります。しかし、国の栽培漁業センターをつくっただけでは、ふ化放流はできますが、これが魚族の保続上すぐ役立つかどうかという問題があるわけでございまして、当然漁場管理をしなければならない。その際やはりその地先水面に相当大幅な魚礁帯を設置しなければならないということの問題意識を持っておりますので、いま具体的に御指摘になりましたような点につきましては、私はやはり日本列島改造論沿岸漁業振興版としてぜひこれに取り組んでまいりたいと、かように存じております。
  49. 足鹿覺

    足鹿覺君 経済企画庁も御所信あればどうぞ。
  50. 岩田幸基

    説明員岩田幸基君) 現在、御指摘のような資源培養型の漁業につきましては、実はこの前の新全総でも一番そこが抜けている点だということを私どもも反省をいたしておりますが、そういった意味で、関係方面とも十分連絡いたしまして、この点についての新しい考え方あるいは具体的なやり方について前向きに検討いたしてまいりたいと思います。
  51. 梶木又三

    ○梶木又三君 六月、七月の集中豪雨による災害、これはもう大体二カ月ほどたったわけなんですが、だいぶんいろいろ各省で措置されたと思うわけなんですが、それにつきましてひとつ具体的な問題につきまして若干お尋ねしたいと思います。  まず共済、農業保険関係なんですが、農地が流失あるいは埋没しまして、できるだけ早く復旧をしてもらいたいんですが、どうしても来年の植えつけまでにできない。こういう場合に、共済関係でいわゆる保険金、これの割り当て等についてその基盤が減少しております。どうしてもその関係市町村単位に考えた場合に、災害を受けた市町村で来年植えつけ面積が少なくなったと、こういう場合に共済組合の事務費の割り当てが少ないんじゃないかと、こういう心配が出ております。  そこで、農林省は各県単位の割り当てのときにはあるいはそういう考慮を払わないかわからぬけれども、県連合会から単一の組合に渡る場合にそういう計算がされるんじゃないかと思う。そうされた場合に、災害を受けた市町村の共済組合の事務費が非常に苦しいと、特に小さな組合であればあるほど非常に苦しいと、何か特別ワクで事務費の配分を願えないものかどうか、こういうことなんですが、それについて農林省のひとつお考えを承わりたい。
  52. 澤辺守

    説明員澤辺守君) ただいまお尋ねのございました農業共済団体に対します事務費の国庫負担金の配分についてでございますが、耕地が流失、埋没いたしまして復旧が早急にできないという場合には、その当該組合の事業規模が縮小するわけでございまして、それに伴いまして事務費の国庫負担金が減少して運営上支障を来たさないかという点の御心配であるわけでございますが、農林省のほうで現在組合に対します、団体に対する国庫負担金の配分のしかたといたしまして、固定費用割りを約二五%といたして、残りをおおむね事業規模割りで配分をしておるわけでございます。したがいまして、事業規模が、作付面積が、そのために減少すれば、その分は減るということになるわけでございますが、ただいま申し上げました事業規模割りで配分する場合の基礎になる実績規模につきましては、ことしの災害でできない場合、直ちにことしの事業規模を基礎にして事務費の配分を算定するわけでございませんので、ものによって違いますけれども、一年ないし二年後になってただいま申し上げたようなことが出てくるわけでございます。したがいまして、今年度あるいは来年度もほとんど実際には影響がなくして、再来年以降影響があるいとうことになるわけでございます。で、事業規模割りで配分をしていると申しましたけれども、小規模組合の場合には、事業規模割りの基礎となる事業規模点数という点数制でやっているわけでございますが、点数につきまして一定の係数によって小さな組合に対しまして、事業規模の小さい組合につきましては増点数修正ということをやっておりますので、運営についてその点の配慮は災害に伴う規模が縮小した組合にも一般的に配慮が行なわれるわけでございますが、その上に個々の組合に対する県が行ないます事務費の配分にあたりまして、特別の事情のある場合には、都道府県知事が調整をして配分をするということを認めておりますので、その配分にあたりまして耕地被災組合の実情等も考慮して行なうように今後その実際に影響の出ます年度がまいりました際には指導をしてまいりたいと、思っております。
  53. 梶木又三

    ○梶木又三君 再来年以降に若干影響が出てくるというお話なんですが、そういう場合だと非常に困るから、ひとつ十分連合会から単一の組合に割り当てのとき、ひとつ農林省でも十分指導監督をお願いしておきます。  その次は、イグサなんですが、これはことしも熊本あるいは岡山でだいぶ被害が出ております。昨年のこの委員会でもだいぶんイグサの保険についていろいろ問題になりまして、農林省調査をされておると、四十五年からいろいろ調査されておるんですが、いままで調査された内容ですね。  それから、それに基づいて今後すみやかに保険制度ができるかどうか、この見通し、これはイグサだけでなく、いままででも畑作関係、いろいろ問題になっております。とにかく稲作転換に伴いまして、これから非常に畑作関係が苦しい、こういう実態で北海道のてん菜とかあるいは沖繩の復帰に伴うて沖繩のサトウキビ、いろいろ問題がありますが、とりあえずことしの災害でイグサに相当被害が出ておる熊本なんかでも、何とか保険を早く取り入れてもらいたいという希望が強いんですが、この二、三年、調査されました結果、どういうお考えか、これについてお伺いいたします。
  54. 澤辺守

    説明員澤辺守君) ただいまお尋ねのございましたイグサにつきましては他の畑作物と同様に、昭和四十五年度から地域特産物共済制度調査事業の対象品目として取り上げまして、基準収穫量及び基準率など、保険設定上必要な基礎資料を得るための調査実施してまいっておるわけでございます。その調査結果に基づいて、制度化について検討を進めたいという考えで調査をいたしておるわけでございます。ただいままでに、その調査の途中でございまして、まだ結論を出すに至っておりませんけれども、問題点として浮かび上がっておりますところでは、ただいままでの調査結果によりますと、農家の共済需要が比較的低い、多数農家の加入がはたして可能であるかどうかという点が問題点として出ております。農家の意向を調査いたしましたところ、ぜひ必要、あったほうがよいという積極的な意向を示されておりますのが二七%程度ということで、他の農家は比較的関心がない、必要なしというような御意向も少なくないという点、今後保険需要をもう少し調査を進めまして、ある程度、農家の意向が賛成であるということを把握したいということでございます。  次に、被害率は現在のところ、まだ四十五年度から始めておりますので、四十六年産の資料のみが現在把握されております。被害の実態が十分把握されておりますので、あと数年間積み上げをやって、被害の実態を明らかにする必要があるのではないかという点が第二点でございます。  第三点といたしまして、イグサは御承知のように、地域的なローカルな特産物でございます。したがいまして、危険分散がどの程度はかられるか、災害が起きました場合、集中的に産地が被害を受けるというようなことも考えられるわけでございますが、地域ごとに、農家ごとにどの程度の危険分散がやり得るのか。それから保険責任の持ち方をどのようにしたらいいかというところは、なお検討を要するところではないかと思います。さらに減収量を適正に把握するということが、制度を運用する場合、前提になるわけでございますが、その点について、技術的になお検討を要する点があるようでございます。問題点として現在調査を始めてからあまりまだ年数たっておりません、途中でございますけれども、以上のような点を今後調査しながら進める必要があると思いますが、いずれにいたしましても、いましばらく調査した上で制度化につきまして検討いたしたいというのが現状でございます。
  55. 梶木又三

    ○梶木又三君 農家の要望がいま二七%と言われたのですが、非常に少ないというお話なんですが、これは私個人的に考えるのだけれども、熊本ではそんなことはないと思うんですよ。というのは、被害を常に受けているときは、そういう結果は出てこないと思うんですよ。おそらく全国的に岡山等の農家も調査された結果だろうと、全国的な数字だろうと思うんですがね。農家の方々にも問題はあるのですが、岡山もいままでイグサの被害がなかった。だからやれ掛け金だとか、いろいろ手間も煩瑣だということで、あるいは農林省調査されたときにはあまり賛成でないような声が出たと思うんですがね、現にもう岡山で今年非常な被害を受けた結果は、やはり済共制度を設けてもらいたい、こういう声が出ておりますからね。もう一度また今年調査願って、非常に私今度は違った結果が出るのじゃないかと思うのですよ。イグサだけに限らず、ひとつテンサイ、サトウキビ等も含めて、重要なこれからの農作物関係の共済制度を立てていただきたい。これは農林水産委員会でもいろいろ強い要望が前から出ているのですが、今年の果樹のときでも。それについてどういうお考えか、もう一度。
  56. 澤辺守

    説明員澤辺守君) ただいまお答えしましたように、まだ四十五年度から調査を始めたばかりでございますので、今後慎重に調査を続けた上で結論を得たいというのが基本的な考えでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、確かに、イグサ栽培に対する熱意の非常にあるところとないところ、それから災害を受けた直後というのは、当然農家の意向としても制度化についての要望が非常に強いということもございますので、この辺は、ただいま御指摘の点も十分念頭に置きまして、さらに調査を続けて適正な結論を得たいというふうに考えます。
  57. 梶木又三

    ○梶木又三君 ひとつできるだけ早く結論を出していただきたいと思います。  次は、自創資金なんですが、前回の対策委員会でも出ておりましたが、限度額、これは大体いままでよく問題になっておるんですが、これについて、今回、何か限度額の増加についてお考えになったかどうか。また、本年度の要望に対して、どのぐらいの資金ワクを確保されたか、これについてひとつお伺いいたしたいと思います。
  58. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 自作農維持資金につきましては、今年災害、四十七年六月及び七月の豪雨による被害に対処するために、従来のワクでは対処できないというような観点から、増額をいたしまして、いわゆる貸し付け限度額を、五十万円を八十万円に増額いたしております。これは、特に被害が著しい島根県、広島県、高知県及び熊本県の地域の一定の要件を満たす農業者に対してということにいたしております。  なお、熊本県内につきましては、昨年の八月にやはり被害を受けた農業者が相当おられますので、これはいわゆる連続になりますので、そういう農業者に対しましてはさらに三十万円のかさ上げをいたしまして、そういう特例措置を今月の一日に講じております。
  59. 梶木又三

    ○梶木又三君 資金ワクは。
  60. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 資金のワクは三十二億でございます。
  61. 梶木又三

    ○梶木又三君 だいぶん増していただいて、これはけっこうだと思います。  資金ワク三十二億、これは要望に対してどのくらいになっておりますか、比率は。
  62. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 要望は三十四億でございます。
  63. 梶木又三

    ○梶木又三君 自創資金のほうはだいぶんうまくやっていただいて、これはけっこうだと思います。  そこで、これは答弁要りません。政務次官おられたら、ひとつ決意のほどを伺いたいと思いましたが、政務次官お帰りになりましたので、これは答弁要りませんが、自創資金、限度額上げていただいてけっこうなんだけれども災害農家は結局これ借金で非常に苦しい。非常に低い金利の融資ではあるけれども災害農家にとってはだいぶん苦しい借金になります。  そこで、これは自創資金にかかわらず、農業金融一般、土地改良補助残融資とか、あるいは近代化資金、こういう一連の農業金融関係のひとつ金利の引き下げ、あるいは償還期間の延長、こういう問題をひとつ四十八年度真剣にお考え願いたい。これは強く要望いたしておきます。いずれまた、ほかの機会をいただいて、これだけについてお尋ねしたいと思いますが、きょうは御答弁は要りません。  次に、自治省おいでになっておりますか——。  今度の災害で、熊本県あるいは島根県等で、集団移転の希望があるやに聞いております。何か希望市町村等から具体的なことがおたくのほうに上がってきたかどうか、これについてお伺いしたい。
  64. 中野晟

    説明員(中野晟君) お答え申し上げます。  現在までに移転につきまして特に要望の強い市町村でございますが、熊本県の五つの町でございます。松島町、姫戸、龍ヶ岳、倉岳、栖本、これで八十二地区、移転戸数が約七百五十戸程度でございます。なお、この天草におきましては、部落の地先に海面埋め立てを行ないまして、集団で移転するというところが多いわけでございます。そのほか、宮崎県のえびの市で五地区、約八十戸でございます。それから島根県の三隅町でございますが、七地区で三十戸余りでございます。これらの数字も実は私ども詰めてまいります段階で実は変わってまいっておるわけでございまして、最終的な数字ではないわけでございます。以上申し上げました合計で七つの市町でございまして、九十四地区、八百六十戸程度でございます。  以上の申し上げました地区のほかに、島根県でも、三隅町以外にも出てまいっております。それから宮崎県でもえびの市以外もございますので、秋田県ほか十二県、三十六市町で、地区の数から申し上げまして九十九でございますが、こういう市町村におきまして移転対象と考えられているものがあるわけでございます。ただ、このあとで申し上げました中には、まだ地区で移転の話が出ている程度のものとか、そのほか、住民の意向が明確でないものとか、移転計画を現在検討しておるとか、それから今後の各種の防災工事の状況とか、そういうものを勘案いたしまして検討するという状況のものが多いわけでございまして、全体的にまだ明確な移転戸数というのははっきりつかみ得ないわけでございます。
  65. 梶木又三

    ○梶木又三君 八百六十戸の移転、これは市町村に分けるとあまり多いことはないかと思いまするが、やられる方法ですね、昔伊那谷で一村が、どこかちょっと具体的に忘れたけれども、ありましたですな、伊那谷で移転が。ああいう方式をとられるのか。あるいは、四十二年災だったかな、新潟県、羽越水害でありましたね。ああいう方法でやられるのか。そういう具体的な移転の資金計画とか方法、それから残存農地というか、そういう農地の復旧の関係。それから、もう一つ私心配するのは、ことしの災害みな過湛地帯ですね。いまお話しになった、海岸埋め立てをやって移転先を考える。こういうようなのが、その被害を受けた町村の同じ町村内で移住するのか、ほかへ出ちゃうのか、どういう考えで指導されるか。その点についてひとつ具体的にちょっとお願いしたいと思います。
  66. 高品宏作

    説明員(高品宏作君) 移転の方式につきましては、従来の伊那の方式だとか、あるいは新潟の方式などありますし、また過疎対策で集落移転をやっております。こういったものを参考にいたしまして、今回の災害関連の集団移転につきまして、その考え方、方式をいま検討中でごいざます。できるだけ地元のほうの実態に即した方向で考えてまいりたいというように存じております。その場合に、強制的に移転をするというような考え方はとらず、地元のほうの考え方、計画を尊重してまいりたいというように思っておるわけであります。移転先を村内とするか村外にするかということにつきましても、そういう考え方、あるいは護岸についても、そういう考え方によりまして、検討を続けてまいりたいというように思います。
  67. 梶木又三

    ○梶木又三君 できるだけやはりいまお話しのように、地元の意向というものを非常に尊重していただいて、特に小さな町ですと、町の中どこへ移転しても問題ないのですが、大きな町で、同じ町村内だといっても、部落で学校なり、診療所なり、いろいろな経営をしておるというような場合に、何軒か抜けてしまうと、あと共同社会を営んでいくのに非常に苦しいということがありますから、そういう個々の農民の方々の御意向もあろうけれども市町村長さんとか、そういう方々のいわゆる市町村の今後のあり方等もよく意向をくんでいただいて、ひとつ計画を立てていただきたい。でき得れば、私の希望するのは、危険な家を安全なところに移転する、ただし、農地なりいろいろなものはそのまま復旧して、そこで生活をやっていけると、過疎化しつつあるところをますます過疎化しないと、ひとつこういう方向で進んでいただきたい、かようにこれは強く希望いたしておきます。  それから次は、いまの集団移転とも関連をするわけなんですが、今回の災害、これが山村、僻村、こういうところに非常に被害が出ておる。そこで、これからの復旧計画を立てるときに、どうしても私、総合復旧計画を立てていただく必要があると思う。河川なら河川、農地なら農地、林野なら林野と、こういう各個ばらばらの計画でなくて、もちろんいろいろ御相談されておると思うのですがね。いわゆる愛知県のたとえば小原村、ああいう災害あと地を見ますと、いままでの災害復旧の考え方、これでもっては私、新しい村づくりはできないと思います。そこで完全にひとつ発想を変えていただいて、この災害を機会に、新しいひとつりっぱな村をつくってやるのだと、こういう気持ちで各省協力願って復旧計画を立てていただきたい、このように考えるわけなんですが、そこで、何といいましても一番もとになりますのが中小河川の改修計画だと思うのです、特に渓流工事も含めてね。そこで建設省のほうで、そういう山村の復旧計画に伴って、一番根っこになる河川改修計画、これをどういう計画で、いつまでぐらいにめどが立つかどうか、こういう点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  68. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいま山村地域の中小河川の災害復旧につきまして、愛知県の小原村の例が出ましたですが、愛知県では大体六割あまり現在査定が河川関係で終わっております。その中で、やはり激甚なものは優先的に査定その他行なっておるわけですが、大体私が聞いておりますところでは、ひとついわゆる在来の災害復旧ではなくて、それぞれの地域の河川全般を見て、この際抜本的に改良復旧をする必要があるというようなことで、県等から申請が出ておりますので、大体そういった方向で全部採択をしておるようでございます。ただ、先ほど来お話しのように、いろいろ地域の今後の村づくりの問題だとか、やはり生活手段としての農地をどのように扱うか、こういったいろいろ関連の問題がございますので、そういったものについては、さらに十分、これは地元でもやっておると思いますけれども、協議した上で、早急に災害復旧にかかりたい、こういうことでございまして、この九月の六日に、そういった関連事業との関係もございますので、建設省それから農林省農地局なりあるいは林野庁、こういったものと共同通達を出しまして、農地の復旧と河川改修の関係あるいは林野との関係、こういったものをひとつ総合調整をして、できるだけ効率的に円滑に復旧がはかれるようにやってくださいというようなことで通達を出しておりますが、そういった趣旨を生かしまして、早急に復旧をはかりたいと考えております。めどといたしますれば、大体災害復旧は三カ年ということが原則になっておりますから、ああいった激甚な被災地については、その程度の期間で完全に改修等の復旧が行なわれると考えておる次第でございます。
  69. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 私からもちょっとお聞きしますが、いま梶木委員からお話が出ている問題は、本委員会で毎回問題になっているし、すでに本委員会の決議としてもあげた問題なんです。きょうは総理府長官が、約束の時間を守らないで出てこない。一体総理府は、いまの集団移転の問題等について、どういう一体角度で各省の調整をやっているのか。何か自治省にまかして……。総理府として災害対策の総括を、一体どういうことをやっていられるのか。それからまた、総合復旧計画を小原村について立てるべきだと、この問題も本委員会で問題になったことであり、従来の災害に比べてみて、今回の災害にあたっては、八割も被害を受けているようなこういうところについては、個々の災害復旧ではだめだ、新しいいわゆる村づくりの構想に立っての復旧措置をすべきである、これも各省にまかしたってだめなんであって、総理府がこれをやはり総括的に推進をしていくということを示さないといけないと思う。われわれは残念ながら、政府がそういうふうな推進を総理府中心としてやっているという印象を現状において受けることができないですよ。そういう角度で集団移転の問題とかあるいは総合復旧計画を総理府が推進していると、そういう災害復旧をいま推進しつつあるという印象を残念ながら持っていないんですよ。そういう点について質問が出ているのです。一体総理府は、こういうふうな集団移転の問題あるいは総合復旧計画について、一体どういう調整的な役割りを果たしながら推進しているのか、一体いつそういう成果を明確にするのか、こういう点を明らかにしなければいかぬ、そういう責任があると私は思う。こういう点について、この際、梶木委員が適切な質問をされているので、委員長としても強く総理府のそういう推進のしかたについて明確なひとつ答弁をしていただきたい。  特に、それから担当の所管の官庁として、委員会におけるやはり責任を果たす意味において、約束をされた時間には、大臣、明確に出てくるのはあたりまえのことなんで、そういうことについて今後ひとつ十分に責任を果たしてもらいたい。各委員とも重要な質問をされるにあたって、明確なやはり責任を果たす答弁を得られなければ満足できないことはあたりまえのことなんです。この点について、副長官、かわって出ているわけだから、答弁をしてください。
  70. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 大臣の出席がたいへんおくれておりますけれども、きょう全国知事会議がございまして、午前中の会議が一時間以上おくれまして、その分だけずれて、一時からの質問がございますので、おくれておりますことをおわび申し上げます。  梶木委員あるいは委員長の御質問に対して、総理府といたしましては先々週にも関係各省の担当官を全部集めまして、私が主宰をいたしました。たとえば集団移転、これは個別災害あるいは避難、過疎の集団移転等の例にならわず新しいルールをつくるということで、自治省が主体となり、建設省農林省、大蔵省、消防庁等々の役割りをきめまして、その主管省を自治省にきめておきました。この省間で速急に結論を出すように命じております。そのほか災害復旧については農林省建設省等が緊密な連絡をとるようにこれも指示いたしました。ほかに行政無線については、これも自治省が主体となり、消防庁、気象庁、縦割りの線だけではなくて横割りの線も考え出すように指令をいたしております。まだこまかい点もございますけれどもも、そのような事項はいま各省間を主宰省においてまとめるように、これが速急に総理府の担当官会議に出てくるようにいま指示しておりますので、いましばらくお待ちいただきたいと思っております。
  71. 松永忠二

    委員長松永忠二君) もう一つの総合復旧計画、つまり新しい村づくりという立場に立って、個々の復旧じゃなしに、総合的な復旧をしていかなきゃだめだろう、こういうことについてはどういう推進をしているんですか。
  72. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) これについては特に一番重要なのは、農林省建設省、自治省だろうと思います。これは地元の意向もございますので、地元との連絡も十分とって、先ほど申しましたように、復旧計画を早くつくるように、また査定状況等、これもいろいろな査定の問題が非常に低いという陳情もございますので、このような点についても考慮するようにということで、いま各省間で連絡をとってやらしておるところでございます。
  73. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。私も聞こうと考えておった問題ですが、先ほどの報告で、市町村の協議を経て申請のあったものが熊本では七十六世帯ですか、それからこれはえびのですか、これは約五十世帯、それから島根で三十世帯、七地区に及ぶと、こういう報告があったんですよ。市町村ではこういう報告をしてそうしたいという連絡は届いておるわけですね。  そこで、私も具体的なことを聞きたいと思ったんですが、そのほかにも秋田ほか含めて九十九地区にそういう問題が起こって、確実な通知はまだ来ていませんと、しかし来ておる地区も七地区の約百五十戸ぐらいの移動をするのに、具体的にはどうするのかという結論ないまだに得られないで、災害対策になりますか。この点、問題だと思うんです。具体的に政府はどういう処置をとるか、あるいは地方自治体はどういうことを考えるか、県がどのくらいの助成もしてやるとか、そうしてあまり農地を離れない方向でやるならやるとか、すでにもう通知が来ているものをどうするかという問題ですね。少しは災害地の災害にあっておる人のことを考えてくださいよ。もうきょうは何日たっていると思うんですか。こういう点が、私は総理府として少なくとも具体的なものがきょうの報告になされなくてはいけない。そうして前半の報告をお聞きしますと、農地については天災融資の方法をとったとか、あるいはは中小企業には近代化資金を出してやるとか、そんなことはわかり切っておりますよ。そんな報告をここで聞いても、われわれは皆さんが具体的にどう進めておるかをやっぱり質問せざるを得ないんですよ。もっと具体的なものを出すと、責任ある報告をすると、こういう態度をとるべきじゃないかと思うんだが、どうですかね、その点、委員長も言われたように。
  74. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 秋田県のことについては私まだ聞いておりません。実を申しますと、私も早くやらなきゃいけない。で、伊那谷の例でございますが、農業共済の金を移転して使ったという例で非常に不完全な形でございます。そういうことで、大蔵省で新しい財政の出し方を考えてくれぬかといこうとで、大蔵省をまじえての話し合いでございます。で、私はそういう会議を主宰するものとして、今後集団移転する場合に毎回こういうような問題が起きてはいけない、新しいルールをここでつくろうということで、自治省が主体になってやっていただきたい。それから天草の例でございますけれども、先生のおっしゃいます——たいへん申しわけないんでございますが、まだ埋め立ても十分ではございません。やっておりません。そこに移そう。これもいろいろな問題がまだ残っております。海水の問題とかいろいろな問題がございます。これから事業をどうやっていくんだというような問題も残っております。その辺もまだ解明もしておりません。ですから緊急に移転ができる、その間の罹災者をどうするんだというような問題をも含めて考えていかなければいかぬ問題です。で、たいへん財政当局のほうも問題点があるようでございます。ただ罹災された方が財政的にどうだこうだということでなくて、一番ベターな方法で集団移転できる、この集団移転の場合は個々の例が全部違いますので、特にこれは自治省が主体になって強力に推し進めるという指令は出しておりますけれども、今後この実情を受けまして問題点を早く煮詰める。特に長く放置していくものではございませんので、先生のおっしゃいますように、速急に自治省、関係省に通達を出しましてこれを解決さしていただきたいと思っております。
  75. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 関連。  ただいま副長官からお話がありましたが、この点は、この前も私質問申し上げました新しい形態の集団移転の問題につきまして、御要請を申し上げたんですが、従来から私も災害問題にはいろいろ関係してまいりましたけれども、やはり地域の住民としましては一日も早く大綱がきまることを待っている。それから財政措置がどうできるかということが、やはり移転の問題と関連するという二つの大きな問題があろうと思うわけです。そこで、私はぜひお願いしたいのは、ある程度期限を切ってこれらの問題をひとつ解決してほしいという考えを持っておる。いつまでもじんぜんとしておりますと、やはり地域住民はいろいろと迷います。それから地方自治体もその問題をどう処理していいかちょっと受け取りにくいという問題も出てきます。副長官にはぜひひとつこういった問題につきまして、早急にひとつ結論を出していただきますようにお願いしたいと思います。
  76. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いま古賀先生のおっしゃいました点、私も留意いたしまして、期限を切ってやっていきたいと思います。いままでのような流用だけではいけない、ここで新しくルールをつくりたいということでございますので、いろいろな御参考になる御意見があればぜひ承りたいと思っております。
  77. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 委員長から言いますが、実際参考になる意見を出しているんですよ。委員会でいま各党で協議している移転の法案要綱も出しておるわけです。だからそういうものを政府がみずからつくることがむずかしいなら議員でつくるし、そうしていわゆる対症的な療法でなしにもう少し長期的な展望に立ってやっていくという考え方を持っていくべきだ。私は日本列島改造論なんかで、一体工場を移転するについてさえあと地を買ってやって、向こうへ行けば税金をまけてくれる。公害をまき散らす可能性のある工場の移転にそれだけの措置をするなら、あすの命をあぶなくして住まっている人がよそへ移りたいというなら、まずそっちのほうの手当てを先にすべきですよ。工場よりもっと先に命を脅かされている人たちがいるわけですよ。そうして移りたいといっているんです。そのことをまず先にやってやらなければ産業優先、経済優先の列島改造論だという議論が出てくるわけですよ。もっとやはりそういうふうな意味でわれわれがすでに大綱をまとめたものについても参考としてもらって、それで恒久的なものについては立法措置をするとしても、とにかくその趣旨にのっとって、とにかく早く期限を切って明確に大綱をつくって、それに基づいて市町村が安心して施策ができるというふうなことにやらなければ、何か、えらく決断を持って、勇断を持ってどんどん仕事すると、こう言っているのにかかわらず、今度のような大きな災害についてじんぜん日を送っているということでは、とても納得ができない。本委員会でも、各方面に調査を進めて、今次災害の特色と見られる問題について、決議もまとまっているわけです。衆議院は衆議院としても、その処理というのを、決議ができるわけなんだから、それを基盤にしながら、期待にこたえるように、ひとつ早急に大綱をまとめて立案をしていくというふうにしてほしいんです。まあひとつそういう点を要望しておきます。何か御意見があるなら出してくれというお話ですから、御意見はちゃんと出しているので、よくひとつ参考にしてください。
  78. 梶木又三

    ○梶木又三君 まあ私の希望するのも、委員長ほかいま関連で各委員から出たとおりでございます。ひとつ早いところ総合復旧計画を立てていただきたい。  そこで具体的に質問を続けますが、先ほど建設省にお尋ねしたと同様のことで、林野庁、荒廃林地ですね。荒廃林地に対する農地との境目の関連とか、こういう問題について、どういうお考えで今後計画を立てられるか、それについてお伺いしたい。
  79. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 私どものほうで、林地崩壊の場合に、今度の災害につきましては、特にこういう場合が多いケースでございますが、その場合、緊急を要するものにつきましては、緊急治山というようなことで対処いたしておりまして、現在すでに七〇%の査定を終わっております。したがって、それに対する予算措置等も現在準備いたしております。と同時に、先生御承知のとおりに、人家の裏山の非常に小災害というようなものがございます。あるいはその中で農地というようなものとの関係のもございます。それらにつきましては、ことしの六月から大蔵省の御了解等を得まして採択基準等を緩和いたしまして、すでにほとんどが査定等も終わっておりまして、緊急に復旧を立てるつもりでございますが、その中における農地の場合等につきましても、大部分が林地でございます場合等につきましては、やはり先ほど河川局長のほうから御説明申し上げましたような、お互いに連絡をとりながら、あるいはお互いの同時施行をやるとか、あるいはときによっては、委託施行とか、そういうことを十分事前に協調あるいは計画の協議調整等を行ないましてやるつもりでございます。  以上でございます。
  80. 梶木又三

    ○梶木又三君 建設省の中小河川あるいはいまの荒廃林地、こういう関係農地の復旧が結局からむわけなんですが、相当これ、私、面積がつぶれてくるんじゃないかと、農地面積がね。おそらく中小河川の改修などについても、いままでの断面どおりやったのでは、これまた同じことを繰り返すから、おそらく拡幅計画でやられとる思うのですよ。それから荒廃林地にしたかてくずれたところだけ直すというわけにいかぬですわな。これ永久に再び災害が起きないような復旧計画を立てられるわけだから。それで農地がああいう谷間であれば、こま切れに残ってしまう。そこで農地関係で、農地局のほうで今後復旧計画を立てられるのに、もちろんこのいまの河川局あるいは林野庁と十分協議されるわけなんですが、まあ簡単に言うなれば、河川と林地との間にはさまれた細長いところを復旧するについて、ただ農地の復旧だけやってもらってもああいう狭いところであれば小型機械も入らぬ。先ほど申し上げたように、新しい村づくりという観点に立てば、やはりその村に残っていままで以上のいい農業経営もできるのだと、あるいは林業経営もできるのだと、こういう考えに立ってもらうなれば、農地復旧について、たとえ私、区画が三町とか五町とかそんな大きなものじゃなくても、少なくとも一反区画で部分的にでもこの区画整理をやっていただいて、少なくとも小型の機械が入れられて、いままで以上の農業ができる、こういうふうにやっていただきたいと思うのですよ。そこでまあ災害復旧の原則があるから査定額がどうなるか、それは今後の問題で、私もこまかくわかりませんが、もしか本災だけで足らない場合は、ひとつ災害関連をぜひ取り入れていただいて、いままで申し上げたような線までの少なくとも復旧をやっていただきたい。このように考えるわけなんですが、ひとつ農地局の御見解。
  81. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) まことに先生のおっしゃる趣旨よくわかりますし、非常にいいことだというふうに思います。したがいまして、河川の大幅な改修計画というようなもの等に伴いまして、その周辺の農地をも含めました総合的な復旧というような観点から、この地帯の総合的な計画を立てるということに指導する必要があると思います。ただ、農地の復旧につきましては、区画の形状等につきまして、被災したところにつきましては、当然復旧する際に、これを新しい計画に基づく区画に復旧いたすことはもちろんでありますが、未被災のところにつきましては、いわゆる隣接しておるところにつきまして被災してない場合には、現行法ではなかなか関連事業としてとれない仕組みになっております。この点が問題であろうというふうに思いますが、そういうところにつきましても、いわゆる圃場整備事業等の計画のあるものはもちろん、ないものにつきましても、積極的に計画を立てるようにいたしまして、合わせて一体として整備するようにしたいというふうに考えております。また、そのように指導してまいると思います。ただこの圃場整備事業は、御承知のように申請事業でございます関係もございまして、その地帯のあるいは地形とか、あるいはその後の営農形態というようなものにつきましても十分に検討した上で、将来そごのないものをやっていきたいというふうに、そうするようにいたしたいというふうに思います。
  82. 梶木又三

    ○梶木又三君 結局、圃場整備で、いままでの土地改良でとれる範囲内の団地が固まっておればいいのですが、団地が固まってないために、補助事業の採択基準に入らない場合ですな。結局一軒家があって、その自分の家の回りに三反なり五反持っておると、これをせめて団地としてはそうだけれどもあとのこう大きく団地が重ならないために、十町とか五町とかにならない場合に補助事業の対象にならないわね。だから、何とか本災と災害だけでひとつこまかくまとめて農業経営をうまくやってもらえないか、こういうことなんですが、それについてもう一回。
  83. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 河川改修あるいは荒廃林地の災害等と合わせての問題でございまして、したがいまして、非常に面積の小さいところが問題になるわけでございますけれども、河川改修等の場合は、一連の河川改修の計画が生まれてくるわけでございますから、それらの周辺の耕地を合わせてなるべく大きな団地で補助対象になり得るような形で進めてまいりたい。  それから、ほんとうにごく限られた小さなものにつきましては、本災の運用を、実態に合うように、できるだけ取り込むような形でやりたいというふうに思います。
  84. 梶木又三

    ○梶木又三君 ぜひ、いまのお答えのように、うまくやっていただきたいと思います。  河川局にもう一ぺん戻ってお尋ねしたいのですが、拡幅した場合に、拡幅後の農地は、これ買収しますか。
  85. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 当然買収の対象になると思います。
  86. 梶木又三

    ○梶木又三君 いまのに関係して、面積減りますわね、買収されたら。それに、いまの買収費も、継ぎ足してもいいのだけれども、地元から買収費をそのまま現金で持っておるんじゃなしに、その金をつぎ込んで、減った面積だけ開墾したいと、代替地を求めて開墾したいと、こういう希望があった場合には、代替開墾をやっていただけますか。
  87. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) いまのいわゆる買収費も含めてというようなことになりますと、いわゆる改正土地改良法の創設換地の手法、あるいはまたいわゆる代替農地造成というような、そういう手法を組み合わせて実施するということになると思います。
  88. 梶木又三

    ○梶木又三君 もう時間がきましたので………。  それでは最後に、査定設計書をつくるのに、これは広島県でも、島根県でも、相当町村が出費をしておるわけなんですよ。それはいままでは補助対象になっていないわけですね。これを市町村が、民間のコンサルタントあるいは県の土地改良事業団体連合会、こういうものに委託をして、査定設計書をつくってもらった場合、——もう非常に役場の吏員とか人手がなくて、とても自分の手で査定設計書をつくれない。ほとんど広島県でも、ほかの県も同様なんですが、外注しておるわけなんですよ。この金が非常にばかにならない。災害関係で痛めつけられた上に相当な出費になる。これは泣き寝入りしておるわけなんですよ、いままで。これに対して、何としてでも、私は、やはり査定設計に関する事務費の補助をお願いしたいと思うのですよ。これについてひとつ御見解を。
  89. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 査定設計書の作成というのは、特に今次災害のように約二十万件ぐらい農地、農業施設でございます。したがいまして、非常に人と金を要するという実情は私どもよくわかっておるわけでございますが、そこで、従来、補助というようなことがなかったわけでございますけれども、非常に人手不足でもございますし、特に技術者の不足いたしております今日、また、民間に非常にそういった力が出てまいっておる昨今でございますので、指導といたしましては、災害を受けない都道府県から応援を出すと同時に、民間のそういう力も活用して、早急に査定設計書をつくり、かつ復旧事業が進むようにということで指導いたしております。したがいまして、先生おっしゃいますように、その経費につきましては、相当な額にのぼるであろうというふうに予想されますので、目下その経費の補助につきまして財政当局と協議中でございます。前向きに検討するということになっております。
  90. 梶木又三

    ○梶木又三君 これは、前向きに検討じゃなしに、もう非常に市町村困っているのですよ。何とか大蔵省とも話をつけていただいて実現をはかっていただきたい。これは強く希望いたしておきます。  一つ忘れておったのですが、一つだけ最後に。  愛知県の枝下用水、これが昔は御承知のように、用水だけでつくった川なんですが、付近の社会開発が進んで、情勢がすっかり変わったために、山の水をどんどん連れてきて、排水路みたいなかっこうになっているわけですね。だから、今度、この間の災害で破堤したところを、堤防だけ直していただいても、将来また破堤をして、同じことを繰り返すので、これはどうしても、といって断面を大きくして、あるいは堤防を高くするというようなことは、あの地形上ではむずかしいのですよ。それでどうしても放水路をつくって、山から入ってきた水は、これは矢作川から入ってくる水を根っこでとめても、流域から入ってくるものだから、入ってきた水は、放水路でもってもう一ぺん矢作川に流してやる。この放水路を復旧でやらないと機能が戻らない。こういうことですから、その放水路が災害のほうでできるかどうか、これをお伺いしまして私の質問を終わります。
  91. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 愛知県の枝下用水についてでございますが、確かにこの地帯は、この枝下用水の受益者の責めではなく、周辺の土地利用の形態が、その後、この施設ができましたときとは変わりまして、そのために非常に流出量もふえたという問題があると思います。その結果、今次災害一つの原因にもなっておるというふうに聞いております。そこで調べましたところ、現在の断面が、用水量、一般の農業排水で用いております十年に一回の排水量で計画ができておりまして、それをオーバーする高水量が今度流入したということで被災したわけでございます。そこで復旧方針といたしましては、先生がおっしゃいますように、必要なところに放水路を設ける、これは当然、本堤をさらに拡幅するにかわるべきものとして当然設けるわけでありますから、これは災害復旧事業としてやる必要があるというふうに考えております。
  92. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私がお尋ねしたい点は、前回の委員会のときに、いま問題になっている山間部の構造改善、山村の構造改善ということについてお尋ねした点なんです。でこの問題は最も私は重要な問題だろうと思うのです。災害を受けて、その受けた山間部をいろいろと堰堤をつくり、二度とがけくずれが起こらないようにしていくと、いろいろその対策はあるけれども、最近の災害の傾向というか、これは台風による災害ということよりも、集中豪雨による災害、いままでに、言うならば山間僻地においては予期しなかったような状態の中で集中豪雨が起きて山くずれが起きる、そうして被害を受ける。で、最もその中で大きな特徴は、そのために多くの人命を失ってきたということ、それを守るためにはどうするかという問題なんです。そういう見地から村の構造改善というものを真剣に考えなければ、またいつ人命を災害によって奪われるかわからない、こういう問題があるわけです。そういう意味から山村の構造改善ということは緊急を要する問題である、こう思うわけです。そういう意味で前回も私はお尋ねしたわけですけれどもさっぱり進んでいないようなんだけれども、その辺について、災害以後現在、もう一カ月以上たっているわけですが、どの程度の検討がなされてきておるのか、どの程度の検討が。その辺からまずお尋ねしてみたい。
  93. 本名武

    国務大臣(本名武君) お答えの前に、全国知事会の会議がおくれまして出席がたいへんおくれましたことをおわび申し上げます。  ただいま御指摘の山村構造改善につきましては、先般も申し上げましたが、関係省、特に自治省を中心にいたしまして、建設省農林省に対して指示をいたしました。しかし、それとあわせてやはり必要なことは、外見上あるいは地形上からだけ見て、ものを判断するということは、非常に不適当であろうということで、科学技術庁を中心にいたしまして、建設省農林省等々関係省で調査団を編成いたしまして、早速現地に入りまして調査を進め、その結果に基づいて対策を促進しようということにいたしております。一方、災害発生後におきまして、直ちにそれらのことも含めまして、とりあえず農林省建設省中心に、被害地はもちろんでございますが、災害地はもちろんでございますが、災害の起きそうなところも含めまして総点検をいたしてまいったわけであります。それやこれやをあわせまして、ただいま関係省庁におきまして鋭意これが対策実施中でございます。なお、相当の部落にはすでにもうほとんど全戸数が移転しなければならないというような現実もございます。それはそれでそれぞれの処置を推し進めているというのが現況でございます。
  94. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、非常に私は抽象的だろうと思うんですね、いまのお話は。  そこで、具体例をあげましてひとつお尋ねをしてみたい。まず、愛知県——この七月に愛知県もやられたわけです。その愛知県では、七月の集中豪雨の経験を、言うならば苦い経験です。その経験を生かして、何とか二度とそういう災害をこうむらないように、被害をこうむらないようにということで、山村部の構造改善ということについて真剣に取り組んでおる。で、それに対する構想もほぼまとまったようです。その構想の内容ですがね、こういうことが考えられているわけです。その一つ一つを申し上げて当局の考え方をお尋ねしてみたいと、こう思います。  まず、新住宅の造成による移住の促進、こういうことが一つ掲げられている。次に、ヘリコプターの発着が可能で、避難所としても使える集会所また運動場の新設、こういう問題が含まれている。それから、河川、道路幅の拡張と改良、こういう問題、こういうような内容を含んだ構想が考えられているわけですけれども、これらについて国のほうとしてはどういうふうに考えておられるのか、まずその辺のところから。
  95. 本名武

    国務大臣(本名武君) 具体的に、対応策の御意見がございましたが、私としてはいずれも適切であろうと存じております。ただ問題は、新住宅建設及び新住宅地の構成をはじめとして、その他公共事業あるいは避難体制の装備を事前に設置するというようなことにつきましては、それぞれの省庁において御検討中であろうと思いますので、関係省庁からお答えいただくことが適当だろうと存じます。
  96. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ住宅局長から……。
  97. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) 住宅の移転につきましては、私ども本年度から始めました、がけ地近接住宅の移転事業というのを持っておるわけであります。それから来年度からはこれを拡大をいたしまして、すべての災害危険区域につきまして、住宅を移転する場合の助成制度をしたいと、かようなことを考えております。さしあたりまして、今回の災害につきましては、現在あります移転の制度を使ってやるわけでございますが、これは個々に移る場合もあるいは集団で移る場合であろうと、住宅に関します移転に関しまして移転料をとにかく出す。それから次に、これの新築に際しましての融資を行なう、融資の補助金は来年度予算になるわけでございますが、これはつながっておりまして、移転料を出した者には融資を出すということになりまして、これは、予算要求では、一戸当たり用地まで含めまして百万程度、かようなものを要求をして、これをいただこうとしております。これによりまして、ばらばらに移転をする場合であれ、あるいは集団で移転をする場合であれ、住宅のほうの方法といたしましては、さような住宅金融公庫の融資を使いまして、おもに手段を講じていきたいと思っております。さらにその場合に、持ち家ではなしに、借家で新しいところにお入りになりたいという方々には、これは別途公営住宅法ということに基づきまして、公営住宅という制度がございます。これは地方公共団体が三分の二の補助でつくります借家でございます。こういうものも特別に割り当てをして、集落計画なりあるいは個々の人を収容する計画、かようなもので処置をしたい。ことに集団移転の場合には、その計画の中の住宅の手法としてジョイントをして立体的な計画に参画をしたい、かように考えております。
  98. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 河川その他の公共施設等におきまして、今回災害の実態を見て、点々と連続して災害を受けておると、こういったところにつきましては、当然一定の区間をまとめて改良復旧を行ないたいというような方針で、すでに愛知県等におきましてはかなり査定が進んでおりますが、そういった方向で県からも地元からも申請が出ておるようでございますので、これを機会にそういった地域についてはかなり抜本的な改修ができるんじゃないかと考えておる次第でございます。
  99. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ヘリコプターの発着場だとかあるいは避難所、それから集会所、運動場の設置だとか、そういう構想があるわけですよ。これはいわゆる新しい町づくりだからね、そういう構想がこの中にあるわけですよ。そういったものについての考え方はどうかということだな。
  100. 本名武

    国務大臣(本名武君) ヘリコプターの発着場等の設置につきましては、まず消防庁当局の考え方をもとにしてそれぞれ施策を講じなきゃならぬと思いますが、きょうは消防庁見えてないようですから、私のほうから消防庁と至急連絡をとりまして、別途、考え方及び方針等について御返事を申し上げることにいたしたいと思います。
  101. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 住宅の関係ですが、いま局長が融資の問題をお答えになりましたけれども、住宅金融公庫の融資でたして地元住民が納得して移れるかどうかという問題ですが、相当自己資金が必要じゃないかというように考えるわけですね。その辺をどう割り切るかですね。それはいわゆる地元の市町村が努力しろと、金はこれだけしか出ないのだと、こういうことなのか、あるいはまた新しい村づくりということについて特別ないわゆる措置をとろうと、こういう考え方があるのかはどうか、この点ひとつ。
  102. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) ちょっと私、説明が不足していると思うのでございますけれども、現在あります融資の制度は住宅金融公庫の制度一つございます。これにつきましては、金額がいままで百八十万程度の低かったものを今回三百万に引き上げました。これでもまだ追いつかないかもしれない、こういう状態だと思います。これだけで処置できる方はそれでけっこうだと思うのですが、大体災害を受けた方はなかなかそうはいかない。そこで、先ほど申し上げましたがけ地その他の危険地域、こういうところから移転する方は公庫のお金を借りてもけっこうです、あるいは農協からお金を借りてもけっこうです、あるいはあわせて借りられて十分なお金を借りてもけっこうでございます。このお金を借りられたことに関しまして一戸当り百万円程度の補助金を出す、これは金利補給のような意味もあるわけでございますが、一戸当たり百万円程度の予算補助と申しますか、国と地方共公団体で合わせて百万円にいたしまして個人補助をするというかっこうでその移転の場合の補助をしていく、かようなかっこうに現在来年度からしていきたい、かように思っております。
  103. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 河川局長にお尋ねしますけれども、愛知県のこの構想の中で、たとえば河川の幅を二、三倍にしたいと、こういうふうな考え方を持っていますね、二、三倍にしたいと。それから、道路なんかも現在の一車線を二車線にしていこう、こういう考え方、これはどうですか。いわゆる今回の、先日、七月の集中豪雨ですね。その復旧事業の中にこういった考え方を盛り込んでいくと、それを許すと、こういう考え方を持っているかどうか。これはまたあらためて、このいわゆる山村部の構造改善というその中であらためて考えていこうという、こういうことになるのか、その点どういう考え方なんですか。
  104. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 道路につきましては、これはちょっと河川と性格が違いますので、やはり地域の、まあ今後のいわゆる利用計画なりそういったものからおのずから計画が生まれてくるのじゃないかと思います。しかし、河川につきましては、先ほど申し上げましたように、この災害を契機にしまして、いわゆる災害復旧なりそれに伴う関連事業、あわせましてこの機会に少なくとも同じような豪雨があっても、こういった災害を招かないといったような、一連の区間については抜本的な改修をこの際やる、こういうことでございます。   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
  105. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、そうなりますと、いわゆる建設省のほうで、河川局のほうでそういう考え方で進んでいくと、そうなりますと、河川を二倍、三倍の広さにしていくということになりますと、当然それだけの用地が必要になってくるわけです。その用地が必要になってくるということになりますと、これは当然、大体、農地が多いと思うのです。その用地がそれだけ減るわけです。そうすると、それにかかったいわゆる農家というのは、それだけ負担しなければならぬ。そこで、そうなると、言うならば、非常に不公平という問題が起きてくる。そういう調整を農林省農地局かしらぬけれども、そういういわゆる不公平是正ですね、是正という問題もからめて考えていかなかったら、いわゆるこの河川の二倍、三倍と大きく広げていくという問題は、私は行き詰まりがくると思う。その辺の問題を、農林省のほうはどういうふうに調整していく考え方か。それがびしっとできないと、これはできませんよ。
  106. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 今次災害に限らず、確かにそういう問題が従来からあったわけでございますが、さきの国会土地改良法の改正をしていただきまして、いわゆる非農用地、これは公共用地も含めていわゆる圃場整備、区画整理等ができるような改正法を通していただいております。そこで、その運用によりましてやるのが、一番公平の見地からはいいと思います。これは一つには、いわゆる共同減歩方式といわれる方式でございます。しかし、中には、もうこの災害で離農したいというようなそういう方もその中には、多くの中にはあるかもしれないと思います。そういう際には、そういう人たちは、当然農地をいわゆる買収されて金を持って出るということになると思います。そういういわゆる人たちも含めまして、圃場整備事業を仕組めば、いわゆる不換地方式という形になると思いますが、特定のところに用地買収に伴う害が及ぶということなくしてやれるようになる。そういう点をうまくやるために、先ほど河川局長からもお話がございましたように、林野庁あるいは農地局、河川局というふうに三者共同の通達を出しまして、その間の計画のそごを来たさないように今次の計画を立て実施するようにということを通達してあるわけでございます。   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
  107. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうするとあれですね、そういった調整をやっていくということであるのですね。  それでは問題をかえますが、山間部の——山間部というか、過疎地域の対策として、過疎地域の集落整備事業というのがありますね。  この過疎地域の集落ということについて先ほどもちょっと話がありましたけれども、これは——山村部の新しい町づくり、いわゆる構造改善、この構造改善をやるにあたって、この過疎地域の集落事業、これと新しい構造改善というものとつまり関連が持たれているのですか。それともこれは別にしておいて、いわゆる過疎地域のこの集落事業というものはこれは別である、新しい構造改善はこれはまた別個のものとして金をつぎ込んでそれを進めていこう、こういう考え方なのか。その点、明らかにしてもらいたい。
  108. 高品宏作

    説明員(高品宏作君) 先ほど梶木委員の御質問にお答え申し上げましたけれども災害関連の集団移転につきまして、現在検討をしておるわけでございますが、その中におきまして、集団で団地に移住された方々が入る場合につきましても、あわせて検討すべき問題ということで取り組んでまいりたいと思っております。  それで、過疎地域の集落移転の場合は、過疎対策という観点からとらえておりますが、災害関連につきましては、やはり災害対策災害復旧というような考え方のもとでよく検討してみたいというふうに存じております。
  109. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ちょっとはっきりしないのですがね。考えてみたいということで——いわゆるその過疎地域の集落整備事業、これは関係しないということになりますか。それを考えるというのですか。これはこれから聞くんですけれども、そのお答えによっては。その辺を少しはっきりしてもらいたいのですよ。いわゆる山間部に点々としているわけですよね。で、今度は、それが非常に災害を受けて危険だからというので一カ所にまとめようというのですね。これはまあ一面から言えば、新しい村づくりにも通ずることになる。そういったことをやるのに——過疎地域の集落整備事業というのは、そういったことをやっぱりいままでやってきたわけでしょう。ですから、それがそのままいわゆる災害の今後の防災体制、それにやはり含まれちゃうのか、一緒になってやっていくのか、それともいわゆる別個のものなのか、新しい村づくりというのは、構造改善というのはそれとは別個のものなのか、別個にいわゆる金をつぎ込んでつくるという考え方なのか、その点がどうなのかということですね。その点をはっきりしてもらいたいのです。
  110. 高品宏作

    説明員(高品宏作君) 具体的な財政措置をどういうふうにするかという問題に関連すると思いますが、過疎地域につきましては、補助率三分の一というようなことでやっております。まあ考え方、あるいはその事業の態様など大体同じような事業になろうかと思いますけれども災害につきましては、単なる過疎対策という観点だけでなくて、やはり災害対策というような観点から考えて新しいものも考えてみなきゃならないのじゃないかというように思うわけです。
  111. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんなのんきなことを言っていたのじゃだめなんですよ。それで大臣、どうですか、総合的にまとめる側として、その点どういうふうに大臣考えていますか。
  112. 本名武

    国務大臣(本名武君) 私は、自治省は自治省の立場として、一応既往の制度の上に立って過疎地域の集落対策はおとりになるというお考え、それからまた災害等を考慮いたしまして、新しく防災の立場からやろうとする別途な行き方というものと二つあって、しかもその二つは一体で処理されるべきで処理していいものでなきゃならぬとさえ思っております。しかしまた、これ自治省だけでも何ですから、また、私のほうで農林省建設省等々関係省に対しまして、さっそく私のほうからも相談を持ちかけて、一応政府としての考え方をまとめて、あらためてまた御報告を申し上げ、御批判をいただきたいと思います。
  113. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その辺のところがはっきりしないわけですけれども、その辺は私は大事なことだと思うのですよ。たとえばこれが進むか進まないかという問題にかかってくると思うのです。たとえば過疎地域の集落事業というのはこれはやっぱり条件がある。たとえば二十戸以上なければいかぬとか、あるいはその事業費が四千万円以上でなければいかぬとか、こういう条件があるわけですね。で、いま現地の実情というものをつぶさに考えたときに、なるほど理屈の上では、市町村が集落事業をやって一カ所に安全なところをつくって、そして一カ所にまとめよう、こういう考え方、それは理屈の上ではわかる。しかしその農家のまた山村部に住む人たちの長い間の習慣というか、慣習というか、そういうものにとらわれて理屈はわかるけれども、移転に踏み切れない、こういう現実の問題がある。それをどういわゆる調整していかなきゃならぬかという問題なんです。そうなると、この自治省で言う集落事業、これが二十戸である。一世帯でも残ればそれは対象にならぬ、こういうことではいわゆる山村部の構造改善というものはとうていおぼつかない話になるのです。そこを私は心配するわけです。そんな内容のものではだめだ、もりと思い切った措置をとらなければ、いわゆるこの防災対策上の新しい村づくりというものはできないじゃないか、こういう考え方を持っているわけですよ。その点をもう少しはっきりできないかどうか。まあ方向だけでもいいです、もう。はっきりした答えが出ないなら方向だけでも。
  114. 高品宏作

    説明員(高品宏作君) 先ほど申し上げましたように、今回のこの集団移転、団地形成事業は、従来の過疎対策上の集落移転とだいぶ事情が違う事業でございますので、おっしゃるような点を十分に考えて、新しく取り組んでみなきゃならないというように存じます。
  115. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあその程度しか出てこないでしょうね。その辺を何回も言うようですけれども、はっきりしませんと、その辺ははっきりしませんと、これだけの新しい村づくりをやったらもう少し金かかるわけですよ。また農村部の方たちの長い間の慣習、そういったものからなかなかその中に飛び込めないいろいろな問題があるわけです。どうしてもやっぱりいろいろなことを総合すれば、財政的な問題、これが一番大きな問題になってくる。そのときに、いままでの法律によってみみっちいことを言っていたんでは、そういう新しいこの村づくりというものはできるものではないのだと、こういったものをもっとはっきりと認識をしなければいかぬ。その上に立っていろいろとこの対策を講じていかなければ私は進まない、こういうふうに申し上げたいわけです。  そこで、住宅それから河川のことにも、先ほどお尋ねしたわけですけれども、これはまあ総合的な問題になると思いますけれども、この新しい村づくり、いままでいろいろな理由を言いました。非常にだからむずかしいということを、いろいろな理由を言いました。そこで古い昔からの慣習、そういうものにとらわれて、実際にその中に飛び込んでいこうとしない、そういう方たち対象にして、その人たちをどう引っ張るか。それは財政的な問題もある、それは大きな問題です。だけれども、いわゆる集落事業に当たって、新しい村づくりに当たって、それは相当魅力のあるものでなければ、私はそういう古い考え方を持って——まあ古い考え方と言ったんでは少し語弊がありますけれどもね。昔からの慣習にとらわれた方たちに魅力を持たして引っ張るというわけにいかぬと思う。そこでいわゆる同じこの構造改善、集落事業、そういうものをやるにしても、これは相当それらの人たちが魅力を感ずる、こういうものでなければ私はならない。それでなければ成功しないのじゃないか、こういうように思うわけです。そういった立場から、どういうようなこの村づくりを、そういう構想を国としては考えておるのかということ、そこまで考えているのかどうか。また、これからそういった点も含めて考えていこう、いかなければならない、こういういずれかの考え方を持っているのかどうか、その点ひとつ明らかにしてください。私はそういった魅力のある町づくりが必要だと思う。
  116. 本名武

    国務大臣(本名武君) まさにやはり、たとえ災害がかりに予知される場所に生活いたしておりましても、やはり生活の慣習やあるいはその土地に対する愛着、執着というものは持っておられると思うのであります。しかし、そこに私は、個人のそういったお考えをある程度、強制ではありませんが、いろいろと話し合い等々によって理解をしていただくことも必要だろうと思いますが、ただ問題は、御指摘のように、それじゃ移転する先が、はたして従来長年住まった土着の、愛着の気持ちにもまさる、豊かな環境のいい町づくりができるか、できないかということもやはり示してあげなければ理解していただけないんではないか。したがって、これからの集団移転はもとより、過疎地域集落事業もやはり新しくできるところの体制がどうあるべきかということをぜひひとつ考えて進まなきゃならぬというところに、一つの新しい課題があろうかと思います。  まあ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、さっそく私のほう、私のほうは実施はする官庁ではございませんけれども、調整の役を果たす意味で、それぞれ自治省はじめ関係省庁に話し合いを、さっそくいたしたいと存じております。
  117. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  118. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。
  119. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だいぶ気が抜けましたけれども、そういう新しい村づくりをするためには、いろいろな問題点があると思うわけです。だけれども、結局はそういうふうに聞けば、関係官庁のほうによく言ってあるとか、そんな程度で終わっているわけです。これじゃ私は、この事業が、しかも、最も大事な事業が進まないんじゃないか、こういう感じをいま強く受けているわけなんですが、住宅についても、当然集落をやる場合には住宅を建てなければならぬ。だからこの問題についても、ただ金を貸すというだけの問題じゃなくて、じゃ、その住宅形成について、どういう一つの魅力ある構想を持っているのかという点も私はお尋ねしたい。だけれども、それはもうお尋ねをしません。そういったことも考えていくべきであるということをわかっておいていただきたい、こう思います。  そこで、今度は気象庁にちょっとお尋ねをしたいと思います。  集中豪雨というのは山間部に多い。そこで山がくずれて、その山に住んでいる人たちはたいへんな被害をこうむる、こういう結果が出ているわけですね。その災害を予報する立場、これは市町村長が、たとえば危険になってきた場合には、危険と感じた場合には避難命令を出す、こういうことでやってきているわけですね。非常に適切であった地域もある。しかし、その予報が、避難命令等がおくれて、そうして大惨事を巻き起こした、こういう例もあるわけです。そこで、やはり被災地の声を聞きますと、もう少し的確な予報がなされないものかということを異口同音に唱えるわけですね。考えてみますと大体、地震等を除いて災害というと、台風に備えてのあれですね。気象庁の関係も台風に備えての体制、こういう体制は当か否か別にしまして、いわゆる集中豪雨なんという、言うならば新しいこの問題については、そういうものに対する体制というのはできていなかったんじゃないか、こういう感じがするわけです。ということは、たとえば、全国気象台を含めて測候所、これらは百何十カ所です、全国で。集中豪雨を見ると山間部ですね。それですごい雨を降らす。そういうところに、じゃ測候所なら測候所の体制が、そういう体制ができているかというとできていない。また、あったとしてもそれはいわゆる権限がない。予報する権限がないとか、いろいろ支障があるわけです。そこで、やはり災害特別委員会でいつも問題にされることは、防災体制の整備ということ、また確立ということ、これが強く叫ばれてきておるんですけれども、そのほかにとにかく最も大事な問題は、いわゆる人命を保護することだということを、各大臣がそれをはっきり言っておるわけですね、この前の委員会でもこれは言っておるわけです。ところが予報、いわゆる集中豪雨について的確な予報がなされるという、そういう体制ができないということは、これはこれからも非常に山間部に住む人たちは危険を感じながら生きていかなければならない、こういうことになるわけです。ですから、これからの予報体制というものについて、もっと気象状況の把握というもの、それに対するもっと進んだ体制、いわゆるもっと突き詰めて言うならば、年々起きている集中豪雨に対する気象状況の的確な把握、それに対する体制、それをどういうふうに考えておられるのか、またそれを本気になって考えていかなければならないんじゃないか、私はそう思うわけですが、その辺についてひとつお答えをいただきたい。
  120. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いまの先生の御質問に対しては、つい最近やりました連絡会議において、国鉄が簡易雨量計を持っておるそうでございます。それは気象庁との連絡が十分でございませんので、今度気象庁でそのような規格をつくろうではないか、農林省建設省、国鉄と十分連絡し合える機構にしよう、雨量計のある程度基準をつくり、それで気象庁に通報するようなシステムをとろうではないかということで、これは気象庁が責任官庁になりまして、会議をやっていただくという方向にまとまっております。
  121. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 気象庁のほうは、もう少し技術的な面からもひとつ話をしてください。
  122. 木村耕三

    説明員(木村耕三君) お答えいたします。  先ほど御指摘のありました気象台、測候所など、明治以来展開してまいりましたけれども、あれはいわゆる天気図をつくるための観測をやっております。で、低気圧とか、台風とかいうものを観測するためのものではありますけれども、それらは雨雲ができる状態にあるかどうかという判断をするので、あした雨という予報を出しましても、これは雨雲がたくさんできるぞというだけのことでありまして、その雨雲がどこにできるかということはわからないわけであります。  それで、雨雲というのは、たとえて言いますと、茶わんについためし粒のようなものでありまして、大体直径が四キロぐらいの粒が固まり合ったものが雨雲、で、その雨雲が、極端な話をしますと、たくさんこの地域にできても、それが一列横隊ですっと動いてくれれば、たとえば、雨雲から十ミリ雨が降るとしましても、広い面積に十ミリの雨が降るだけで、災害というのは起こらない。一列縦隊になってやりますと、ある狭い地域に次々に雨が降るわけで、百ミリも二百ミリも降ってしまうというわけで、雨雲の動きがわからないと、集中豪雨の予報はできないわけです。天気図の上から、この地域には雨雲ができるということはあっても、どの地域に集中豪雨が起こるかということはわからない。それで、気象レーダーを展開しまして、雨雲の動き方をいま観測しているわけであります。その雨雲を観測するだけじゃなくて、それを各地方気象台に通報して、それで予報が、注意報が的確に出せるように努力中でありまして、今度の集中豪雨でも通報できるような組織にしたところでは大きな成果をあげていると聞いております。しかし、あくまでも雨雲の存在でありまして、そこからどのくらい雨が降っているかということがわからなければ、どのくらいその地域に降るという予報はできないわけであります。  そのために、雨雲から現在どのくらい雨が降ってきているかということを観測するためには、地上にたくさんの雨量観測所を置いて観測しなければいけないわけでありますが、現在、その観測点も展開してはありますけれども、人が観測して、それを通報するという組織をとっておりますために、非常に通報に時間がかかっております。そのためにしばしば注意報がおくれたとか何とかいう批判を受けているわけでありますが、これは、来年度は残念ながら予算の都合でできませんけれども、四十九年度の雨期には、電電公社と協力いたしまして、各観測点の雨量が即時にわかるようなふうな形で、中央気象台、あるいは管区気象台、それから気象庁でも即時にわかるような組織に現在検討中でございます。今月末にはそのシステムは皆さんにお話できるかと思います。で、四十九年度でありまして、四十八年度は残念ながら現在の体制でいかざるを得ませんけれども、国鉄その他各雨量計を持っている機関と協力いたして、それができるだけ早く入手できるように、いま各地方気象台を中心に現地でもって協議中でございます。
  123. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。  いまの答弁を聞いていますと、雨雲の掌握は非常にむずかしいという答弁ですね。そうですね。したがって、監視員の連絡者を増加しなくちゃならぬ、こういうことでしょう。ところがね、——違いますか。
  124. 木村耕三

    説明員(木村耕三君) ちょっとニュアンスが違うと思います。お答えします。  観測のための人間というのは一カ所にいればいいわけで、みなそこに報告がくればいいわけですから、観測員そのものが不足ということには、直接にはつながりません。ただ、たとえばいまのお話が、気象用レーダーで観測するための要員が不足で、しょっちゅうレーダーを回しておられないという意味であれば、そのとおりでございます。で、増員を要求するつもりであります。
  125. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。  この間、この問題でやっぱり質問したんですよ。岐阜で連絡兼監視員ですね。それを整備しているわけです、この前。いま気象庁は人員の整備をやっているわけです。それは簡素化するという意味ですよ。したがって、それにいま支障はありませんと、こういうことでしたが、いまのあなたの答弁を聞いていますと、むしろ強化しなくちゃならぬという状態ではありませんか。そういう点のこの前の答弁といまのあなたの答弁と非常に大きな開きが出ている。それなら、なぜ監視員を強化しないか。次の予算にももっと政府に要求して、そうしてその監視体制といわゆる入道雲といいますか、雨雲の掌握をして、逐一連絡のとれる姿勢をとるんだ、こういうことが出てこなきゃいかぬと思うのですが、そういう点はどうなっておるのですか。どうも、その人その人で答弁が変わったのでは、これは問題ですよ。
  126. 木村耕三

    説明員(木村耕三君) 私ども観測の体制から申しますと、いままで人が目で、電話をかけて通知しているということをやっていましたために、時間がかかってしまう。むしろ、ロボットにして、機械的にすぐに地方気象台、たとえば、いまのお話でありますと岐阜の地方気象台でありますが、その岐阜の地方気象台に夜中でも、どんな大雨が降っていても、自動的に観測ができる、高山でもどこでも観測ができるようにすれば、地方気象台にさえその観測者がいれば、地方に人をばらまいておかなくても観測ができるわけでありますから、その点では人が減っても差しつかえないわけであります。ただ、先ほど申しました雨雲の動向を見るためには、気象用レーダーをしょっちゅう回して監視していなければいけないわけでありますが、そのためには現在人員が足りません。それは要求中で、いわばスクラップ・アンド・ビルドという形で要求しているわけであります。
  127. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 この前の災害対策委員会で、私、若干質問をいたしましたので、その質問をしたことに対しましてどういうぐあいな処置がなされているか、それをお伺いしたいと思います。  まずその前に、私は、総理府総務副長官に御要請を申し上げたい。御答弁は要りません。  先ほど集団移転の問題が出ましたが、これは非常に急ぐ問題でございます。したがいまして、とりあえずは、たとえば政府間でいろいろな案をつくりになりましょうが、要綱的なものを出してすみやかに処置をしていただく。立法の段階には、国会関係もございましょうから、その段階でより具体的により方向づけした案をつくっていただいて、ぜひ実行していただきたい、これを御要請をいたしたい。松永委員長からも御提案の参考意見がございました。そういった御意見もひとつ中心とされまして御検討を願いたいと思いますが、お願い申し上げておきます。  そこで、私、この前の質問の中で川内川の問題をお伺いいたしました。川内川でダム問題がたいへんいろいろと地元で問題になってあります。そこで、その問題と関連しまして、ダムの水位を非常に下げてほしいということがありました。そこで、政府は、このダムの水位の低下につきましてどのように処置されたか、御答弁を願いたい。  それから、このダムの問題と関連しまして、電力ダムあるいは利水専用ダム等につきまして、治水的配慮も要する河川につきましては、それらの問題をひとつ各会社あるいはそれらの関係機関と協議していただきたい。そして治水的な容量を確保するようにひとつぜひしていただきたいという要請をいたしました。この問題につきましてどの程度進んでいるのか、具体的にお伺いしたいと思います。
  128. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 川内川については、私ども中心といたしまして湯田ダムの取り扱いをいかようにするかというようなことで、方針とすれば、この前の委員会でも御説明を申し上げたかと存じますが、すでにことしの出水期間中は少なくとも全容量を治水優先のために処置をしたいということで、関係の機関でございます通産省等の了解も得まして、そういったことを実施したわけでございます。今後、基本的にあのダムを長期計画的にどのように扱うかという点につきましては、現在、大急ぎで川内川の改修の計画を根本的に改定いたしますために研究会等をつくっていただいておりますが、これの結論を待って処置をすることになろうかと思います。しかし、見通しといたしますれば、あのダムを全部やはり出水期に治水を優先して使っても、なおかつ相当な河川改修が要るのが実態であろうかと思います。したがって、当面、来年度もやはり同じような処置をとりたいと私どもは考えておりますが、これにはやはり恒久的な方向といたしまして、操作規程の改定なり、あるいはそれに伴う減電の問題等いろいろございますので、そういったものは少し時間をかけて話し合いをまとめたいと考えております。したがって、来年もそういった恒久的な措置はとりますけれども、当面は利水優先で使うという考え方は貫いていきたいと思っております。  なお、全国的にダムと関連していろいろ利水ダムの問題が出ておるわけでございますが、これについては、私どもと通産省のほうで問題のございました河川等につきまして、いろいろもう一度洗い直しをしてみようじゃないかというようなことで、下流の被害の実態なり、改修の状況、それからそれぞれの操作規程、あるいは今回に行なわれた措置、こういったものを総合的に現在見直しています。もし今回の災害復旧等で十分下流の安全性が確保できればけっこうでございますが、それでないものについては、どのようにするかというようなことは、さらにその調査の結果を待って詰めていきたいと思っております。なお、そのほかに警報あるいは通信連絡、こういったところでも多少事務的に流れ過ぎておって親切さが欠けるといった点もございますので、そういった面もこの機会に十分反省をして、いわゆる地元の方にも周知徹底できるというような措置もあわせて考えたいと思っております。
  129. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 その中で特にことしの岡山の高梁川でございますか、新成羽ダムの問題につきましても当然その中に入るだろうと思いますので、その検討もぜひお願いしたいと思います。そこで、川内川のダムの放水と関連してというと語弊がございますが、宮之城地区が非常に大災害をこうおりましてまことに残念でございますが、ああいう四回も続いた集中豪雨の連続的襲来に対しまして、ダムがどの程度耐え得るかということはもうわかっておると私は思うわけです。そこで、やはりダムがどの程度もてるかということはある程度住民に知らしてあげなければいかぬ。そこで、できるだけ地元に対しまして、そういう雨の状態とか、いろんな流れてくる状態を知らしていただきまして、緊急避難とかいろんな問題につきまして、ひとつ具体的な措置をぜひお願いしたいと思います。幸い政府におかれましてはその災害を、おくれたとはいいながら、急速に地元の御要請どおりあるいは洪水に対処できる程度下げていただく、まことに御英断は私は厚く評価いたしたいと存じます。  そこで、宮之城地区では家屋が百三十戸流れまして、まだ仮移転の状態でございます。非常に地元の方はお困りになっております。これらの問題につきまして、今後どういうぐあいにされるか、あるいはこれらの災害に対しましていろいろと巷間流されておりますが、それらの災害対策と申しますか、住民に対する処置、そういった問題につきまして総務副長官からひとつ御答弁をお願いしたい。その具体的な計画につきまして、ひとつ河川局長からお願いいたしたい。
  130. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 川内川の問題については、これは上流、中流、下流相当の防災河川改修をやらなければいけませんし、それから鶴田ダムの問題についても、先生がおっしゃいますような問題がございます。現時点で宮之城でも争っておることも知っております。これについては建設省、通産省でよく話し合うように申しておりますし、今後川内川については、建設省はそれだけの被害を出したのだから、早く復旧させる作業をやっていただきたい、地元住民に対して安心ができるような形にやっていただきたいということでお願いしております。  また連絡会議で、建設省農林省等について危険地のリストアップをいまやらしております。で、これに対しての対策を各省で早く立っていただきたいということで、いまお願いしておるところでございます。
  131. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 川内川につきましては、先ほど申し上げましたように、抜本的な検討を研究会で行なっておりますが、そういったものがまとまりますれば、予算措置等もございますので、四十八年から緊急三カ年といったようなところで、いわゆる湯田地区あるいは菱刈地区、栗野地区、こういったものの概成をはかるように処置をいたしたいと思います。なお引き続いて、やはり恒久対策といったものを立てまして、抜本的な改修を早急に完成するという方向で進めたいと思っております。
  132. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあこれは御答弁は要りませんが、これは災害の問題に関連しまして何らかの住民に対する具体的処理が要るようにも私、判断されますので、その点につきましてもひとつ総理府で十分御検討願いたいと存じます。答弁は要りません。  それから、その節お伺いいたしました農業用せきによる湛水被害というのがかなりございます。また、上流の小支川には小さいせきがあるが、農民の負担も非常にたいへんですから構造がちゃちである、いろんな問題がありまして、農業用せきのサイドからこわれているというような問題がたくさんございまして、それによる被害がございます。そういった問題につきまして、農林省建設省と十分打ち合わしていただくようにお願いしておりましたが、具体的な問題につきまして、たとえば矢部川支川飯江川あるいは緑川支川加勢川等の各せきを、私、あげましてお話し申し上げまして、それらの問題につきまして、まあ簡単でけっこうでございますが、どういう日程で今後進められるのか、また、全国的にいろいろございましょうが、それらの調査研究、あるいは具体的な計画の推進のためにどういう処置を今後やっていかれるのか、お伺いしたいと思います。簡単でけっこうです。
  133. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 御指摘のございました件につきましては、私も査定官が査定に出かけます前に、そういった問題に対しまして十分配慮して、改良復旧なり災害復旧の設計を審査するように指示をいたしました。これは管理者がやはり土地改良区とか、いろいろ農林省の所管になりますが、治水の面から見まして、やはり不適切だといったようなものにつきましては、私どものサイドのほうからもできるだけ改良復旧をいたしまして、可動ぜきなり何なりそういった適切な方法をとるように指導していきたいと考えております。
  134. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 たくさんお聞きしたいことは、この前の問題と関連しましてお願いしたいのですが、時間がございませんので、新しい問題を災害の問題と関連しましてお伺いしたいと思います。  実は、地盤沈下の問題でございます。地盤沈下の問題につきまして、私ども若干勉強させていただきまして、いろいろ調べさせていただきました。私は、建設省におりますときに江東地区の地盤沈下対策等を担当したこともございましたが、非常に膨大な費用がこの江東地区にそそがれた。こういった問題がおそらく全国各地で私は、軟弱地盤帯あるいは、洪積層でもいろいろな問題が起きているのじゃないかと思うわけでございます。  そこで、ひとつ環境庁にお伺いしたいのですが、全国で地盤沈下地帯はどれくらいあるのか、そして大体どういう状況なのか、それから、それの原因は何かということをお伺いして、それに対する対策につきまして簡単にお願いしたいと思います。  私がここで質問申し上げますのは、実は、私の郷里の佐賀県でございますが、毎年六、七センチ地盤が沈下いたしております。これはもちろん地盤が悪くて、圧密沈下という能然的な現象もありましょう。しかし、農業用水の井戸からの取水とか、あるいは地下水のくみ上げ、特に佐賀に工業はあまりありませんから、考えてみますと、ビル用水の規制——ビル用水の問題はかなり大きいのじゃないかという気がいたします。もちろん佐賀の西のほうの白石平野というのは、干ばつにより農業用水の井戸をつくりまして、水をくみ上げたということが大きな原因でございますが、そういったような意味で、今後新しい土地利用の効果をあらわすためにも、そういった問題を日本列島改造論前にできるだけ解決しておこうということが必要であろうかと思います。そういう意味でお伺いしたいと存ずるわけであります。
  135. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) まず、全国の地盤沈下の状況でございますが、私どものいろいろな調査の結果から判断いたしまして、現在地盤沈下が生じていると思われます地区は全国で三十都道府県、四十四地域に及ぶものというように考えております。で、その状況でございますけれども、年間沈下量が十センチ以上という大幅の沈下をいたしております地域は東京、埼玉、千葉等約五地域でございます。それから五センチから十センチというような沈下を示しております地域は濃尾平野、阪神地区等の八地域ということになっております。  その沈下の原因でございますけれども、沈下の原因の大半は工業用水、それから上水道用水、ビル用水、それから農業用水等のための地下水の過剰くみ上げでございますが、それ以外にも一部の地域におきましては、天然ガスの採取に伴います地下用水が原因をしているという地域もございます。  現在の対策でございますけれども、現在私どものとっております対策は、御承知のようにビル用水法、それから工業用水法という二つの法律がございまして、それらの法律によりまして地域指定をし、その指定地域内におきましては、一定の制限のもとに地下水をくみ上げているというような措置をいたしておるわけでございます。ただこのビル用水法及び工業用水法につきましては、なお私ども制度的にも不備があるというふうに考えております。と申しますのは、この法律の運用によりましては、予防的な措置といたしまして、地盤沈下を規制をするということが必ずしも十分にはできかねるというふうに考えております。そこで、現在、私どもは、中央公害対策審議会の地盤沈下部会に諮問をいたしまして、予防的な措置を含めまして地盤沈下対策を十分整えるためにはどのような技術的な問題があるかということの解明をお願いをいたしております。その技術的な問題の解明ができ次第、私ども制度の改正を含めまして十分な対策を打ち立てたいと、かように考えておる次第でございます。
  136. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ただいま岡安さんから御説明がございましたけれども、地盤沈下の原因というのはある程度はっきりした原因がかなりあるわけですね。そこで、まあ代替対策がなければ処理できないという意見で、技術的に調査されるということだと仏は思うのですが、そういう結果が、たとえ、江東三角地帯のマイナス二メートルまで下げた要因になる。各地で、たとえば新潟でも地盤沈下のためにもうものすごい施設をやらなきゃいかぬということになろうかと思います。したがいまして、国土保全という立場からも、また災害防止対策からいっても、あるいは国土の有効利用という面からしても事前に規制をして、そういった問題につきましては、その規制をする方針を示すことによって、私は、代替用水の問題とかいろいろな問題がおのずと解決するのではないか。だから私は、規制の方針を示すべきだと、示してそれに対する地元の対策あるいは県の対策、国の対策、そういった問題を具体的に日程にあげなきゃ、これはいつまでたっても解決しません。それはもう如実に私は、江東三角地帯で示されているということが言えるわけです。江東三角地帯でも、十年前に江戸川の河口でものすごい集中的な地盤沈下が出ている。私は、あれはおかしいからとめなきゃいかぬと言ってもなかなか、まあいまだにとまっていない。まあそういうことですから、これは私は、規制の方針を明確にして、三年後にはもう全部規制をするんだというような方針をぴしっと出してもらう。その中でその対策を私は考えていくべきだというふうに理解できるわけです。  一つの例を申し上げますと、江東三角地帯でも、あのころは江戸川にも利根川にもたくさん水がありました。その水のあった時代に規制しておけば当然あの問題は解決したはずだろう。まあこれは結果論だから何とも言えませんけれども、そういうふうにも理解できるわけですね。だから大体、沖積地帯とかそういった地盤沈下地帯というのは水があるところが多いのですね。水はじゃぶじゃぶしているけれども地盤は沈下するという地帯が多いのです。だから、私は、対策はできると思います。どうかひとつそういった点で、私は鶏が先か卵が先かというような論議をしなくとも、ここでひとつぴしゃっと一つの方針をきめて、そこでくいを打てば問題はおのずと解決をする、その決心をひとつぜひ総理府長官からお伺いしたい。
  137. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) ちょっと前に答えておきます。  おっしゃるとおり、地盤沈下対策につきましては代替用水の確保のみならず、やはり新しく工場その他都市が立地する場合のめどとなるための地下水揚水の規制の方針と申しますか、それを早く出すことは必要だと思っております。私もそれを早く打ち出したいというように思っておりますが、ちょっと申し上げたいと思っておりますのは、非常にむずかしい問題が一つございます。と申しますのは、地下水をくみ上げれば地盤沈下につながるということは明らかになっておりますが、それにつきまして、現在非常に困難といいますか、学説の上においても一つ問題がございます。  と申しますのは、少量でも地下水をくみ上げれば、必ずそれは地盤沈下につながるといううよな学説もございますが、また一説によりますと、過剰な地下水のくみ上げが地盤沈下につながるので、適正な地下水の揚水ならばこれは有効な水資源の利用であるのだというような説もございます。そういたしますと、その辺のめどを明らかにいたしませんと、私どもの地盤沈下対策といたしましての地下水揚水の規制というものがはっきりいたしませんので、私どもは一日も早くそれらにつきまして明らかな方針を樹立いたしまして、先生のおっしゃるとおり二年先、三年先の目標を明示し、それに向かいまして代替用水の確保、それから立地の規制をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  138. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 いまの御答弁で、私は、学説的にきまらなければ仕事ができないのだという感覚が、いままでそういう地盤沈下を引き起こしてきたと理解できるわけですね。たとえば新潟だって、ガスをとめれば地盤沈下はわりあい少なくなっている。まあ沖積地帯だから、地盤が悪いから幾らか下がりますよ。それはもうやむを得ない。それはもう自然現象ですから、それはもう認めますけれどもね。だけど、新潟だってガスをとめればちゃんととまっている。だから、わかっているのをなぜとめられないかという問題ですね。それは学説をいろいろ言ったら、それは議論になっておそらく私はとめどがないと、それでじんぜんと日を送る、それが地盤沈下をだんだん促進する。だから、私はこの辺で、新しい日本列島改造をやろうというときに、過密から過疎に持っていこうというようなことで 過疎地帯が地盤沈下になると、それはりっぱな基盤整備をやっておかなければ、私は、それは計画が非常におかしいと思います。だから、この際私は、政府としてはひとつはっきりしためどを示してやっていただきたいと存ずるわけです。
  139. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いま先生のおっしゃった問題については、けさの知事会議の中で総理も、工業用水はとめたい、地盤沈下を押えたいという発言もございました。早急にこのめどをつけてやるべきであろう。また一方、ダム建設等もやらなければいけない問題であろうと思います。それから上下水道——下水道の第三次処理という問題も今度は多摩川のほうでやるようでございますけれども、それがまた工業用水に利用できるようないろいろな問題を考えていく必要があろうかと思っております。
  140. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 時間も来ましたので、ひとつその地盤沈下の問題につきましては、将来の非常に大きな問題になろうかと思いますので、ぜひひとつ早急に手を打っていただきまして、国土保全等につきまして十分考えていただきたいと思うわけです。そういう方針を示されることによって、代替用水の問題とかいろいろな問題が発展してまいります。そういう発展の契機がないということでございまして、その点をよく理解したいただきたいと私は念願いたしまして、私の質問を終わります。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一たん水産庁長官がお帰りになりまして、私はおいでになるものとばかり思っていたら——私質問の通告をしていなくて、わざわざ来ていただきまして、まことにありがとうございます。で、先に水産庁長官関係するところの質問をしたいと思います。  この今回の四七・七災害地域全体にわたっての被害を受けている養魚池に関する質問をまずしたいと思うのですが、最初に、農地局長おいでにならないので、「米の生産調整および稲作転換対策実施要綱の制定について」の次官通達と、それから農政局長通達で四十六年三月三十日に出ております。この次官通達いまさら私が申し上げるまでもございませんけれども、第五の「米生産調整奨励補助金の交付等」というところにdという個所がございます。このところの意味をひとつ御説明を願いたいと思います。——通達をお持ちにならなかったらいいです。私のほうで言いましょう。「昭和四十四年産水稲の収穫後、当該年度の前三年度の十一月三十日の翌日から当該年度の十一月三十日までの間において水田から造成された養魚池または農業生産に必要な施設(農林省農政局長が別に定めるものに限る。以下同じ。)の敷地(農林省農政局長が別に定める規模以上のものに限る。以下同じ。)」と、こうありますが、この「水田から造成された養魚池」についてどんなふうなお考えか伺っているわけです。いまのは次官通達です。  今度は農政局長通達を申し上げましょう。局長がお出しになった通達ですから、当然局長立場答弁なさる立場であれば、私は、何もこれを引っぱり出して言う必要はない、これだけ時間のむだだと思うんです。それで趣旨を説明願いたいと言ったわけです。お持ちになっていないようでありますから、私のほうから、残念ながら読んでお話しをする以外にないと思います。この五のところに「養魚池または農業生産に必要な施設の種類およびその敷地の規模要綱第五の二の(1)の(ア)のdの養魚池または農業生産に必要な施設の種類およびその敷地の規模は、次のとおりとする。(1)種類ア 養魚池(農地転用に該当するものに限る。)魚介類の養殖の目的でたん水するため、固定的に構築した池をいう。」あとございますが、私は、いま特に養魚池に対することを伺うわけです。  そこで、今回、能代の米代川の地域に産物地域というのがございます。そこで被害を受けております。これは九州もそうです、四国もそうです。秋田もそうでありますが、そういういろんな個所で米生産調整政策によるものと、それからよらざるものと二とおりのものがあるわけです。私がいま特に取り上げているのは、農林省がその方針を示して、そしてこういうふうにやっていけと、こう指向してやらした養魚池に対して、今回の災害を受けた場合、当然それは政府がそういうふうに方針をきめたんだから、今度はそういう災害を受けた場合には、逆に政府がその被害を受けたものに対しては補助してやらなきゃならないという立場にならなきゃならないんじゃないかと、こう私は思うわけです。そういたしますと、この農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律、これは昭和二十五年の五月十日に制定されました。で、最終改正が三十六年五月三十日となっておりますが、これは部分的なものであり、基本法というものは昭和二十五年の五月十日にこの法が制定されておる。したがって、今日は昭和四十七年であり、この間、言うならば二十二年の歳月がたっております。この時流、潮流に合わした法の改正というものをやっていかなければならない。それで漁民を守り国民を守っていくというのが法の精神だとするならば、当然この第三条というものに対する考え方を改めていかなければならないんじゃないか、このように思うわけです。
  142. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) どうも失礼いたしました。転換水田等にかかる問題で、特に、それが内水面漁業の敷地等に使われておるものについて暫定法の適用があるかどうかというような問題だと思いますが、ただその「農地、農業用施設」というような観点からは、この暫定法の趣旨からは該当しないということになっております。水産施設としてどうかというような点が問題があろうか思いますが、それはまた水産庁のほうからお答えいただきたいと思います。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 水産庁長官答弁あとにして、いまの御答弁にありましたこの農政局長通達であり、あるいは次官通達で明らかに「米生産調整および稲作転換対策実施要綱の制定について」といって特にこの養魚池の施設、この施設とは先ほど言いましたように、「固定的に構築した池をいう。」と、「構築した池」というのは写真をとっております。これはあとでごらんになればわかりますけれども、こういうりっぱな施設をして、そして養魚池をつくった、これに対する考え方は、災害で当然この水田の場合はこのわきのほうにもずっと出ております、この水田は二十ヘクタールばかりあります。これは適用してこっちは適用していかないということなんです。こういう点を考えてみれば当然——政府みずからが転作をやりなさい、やりなさいと言って——今日の日本農業の政府の失政から、米をつくれ、つくれと言ってつくらしておいて、余ったら今度は転作をしろ、生産調整だと言って、その農地の肩がわりをするために養魚池というものを今度はつくらせる方針にしてしまっている。それをつくらしてしまったら、今度は同じような災害を受けて、片っ方は共済制度があるからそれで守ってやる、片っ方は守ってやる制度がつくられてない、こういうところに私は矛盾があるんだということを申し上げているわけなんです。どうなんですか。
  144. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 確かにこの暫定法そのものの制定が古いという点もございまして、先生のおっしゃることもあろうかというふうに思います。ただ、暫定法でいう「農地、農業用施設」ということは、やはり農地法なりあるいは土地改良法なりの規定が根底にあるわけでございまして、そういう意味で、水産にかかわるものにつきましてはこの現在の条文では読めないというふうに思っておるわけでございます。
  145. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その時分は当然、そういう生産調整をやって養魚池をつくれなんということは考えてなかったでしょう、法の精神は。現実の災害の地域においてそういう問題が起きているとすれば、当然考えるべきじゃないんでしょうか。
  146. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 十分検討に値することだと思いますけれども、現在なってないということでございますので、将来の問題として考えなければならぬのじゃないかと思います。ことに、やはり実態といたしまして、たとえば愛知県にいたしましても、相当に養鰻場というようなものが水田からほとんど形態としてあまり変わらない形で変わっている事態もございます。そういう意味から検討を要する問題だと思いますが、現在は暫定法の中では読めないというふうに思います。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そのための私は暫定法だと思うのです。暫定法の精神というものはどこにあるかということ、これは長くなりますから、このやりとりは私はやめますけれども、こういうふうなことを考えて、この時点においての農地に対する、農地法に関する立場の上から暫定法がつくられた。やはり農地関係していることなんです。養魚池もやはり農地の転作なんです、永久転作として認めて奨励金まで出すのですから。それが適用されていかない。片方が共済制度に守られる、片方は守られていかない。しかも、こういう旧施設をつくっていくのには、農家は借財と転作の金だけでは足りませんから、なけなしの金で、田畑を売って、水田を売って、そうしてこの施設をつくっている。その奥深い中に含まれている実情というもの、国民の実情、農民の実情というものを知りませんと、法は生かされてこないと私は言たいのであります。したがって、これをごらんになればわかります。固定的構築をしているわけであります。指示したとおりやっているわけです。それに対して、その当時の法律がまだそのままになっておって、それは守れませんとは納得ができないわけです。やはり時の趨勢によって法というものを改正していくのが国民を守るという立場の行政機関だという立場ならば、これは当然やらなければならない問題だと私は言いたい。これは私は一例にしかすぎないのです。随所にあるわけです。随所にあるということを御記憶願いたいと思う。今回の災害でその養殖のものがやられたという水産関係被害というものも膨大なものでありましょう。その中で法のたてまえで、法が生かされていくということから考えあわしていかないことには、政府がこういうふうにやりなさいというものをやったものを守ってやるということがほんとうの行き方だと私は言っているわけです。ですから、いま御答弁がありましたように、この法は二十五年につくられたのだから、二十二年たっている。二十二年経過しているのですから、それを変えていくという方向にいかれるというような御答弁があったと思う。私はそうくみ取って、それを期待しておきます。  水産庁長官にお伺いいたしますけれども、こういう問題についてどんなふうにその補助対策を考えていこうとするのか、御答弁願いたいのであります。
  148. 太田康二

    説明員(太田康二君) 先生の御指摘なさいました、災害によります私どもが県から取りました被害の総額を申し上げますと、施設で二億三千四百万円、水産物が二十三億九千七百万円というふうに承知をいたしております。この施設の中には、ただいま御指摘になりましたような従来から養鰻池であったものもありましょうし、稲作転換の奨励金をもらって転換したものも中にありますし、あるいはそれとは別のノリ、カキ等の被害もこの中に含まれておるのでございますが、私どもといたしまして確かに先生のおっしゃいますように、国が助成をして稲作転換で養鰻池をつくった、しかも、かなり固定的な施設である、そういうことを条件に実は反当三万五千円の補助もいたしたということになるわけでございます。  そこで、農地農業用施設の暫定措置法をそのまま読みますと、ただいま参事官答弁をされましたように、実際は「農地、農業用施設」でないということで、いわゆる補助対象にならないということになるわけでございまして、確かに先生のおっしゃいますように、一方において奨励してつくったものに対して何ら救済の措置がないのは片手落ちではないかというのはよくわかるわけでございますが、現実の処理の問題といたしましては、私どもがいまとっております対策といたしまして、水産物の被害につきましては当然天災融資法対象になっておりますので、これによりまして稚魚等の購入資金は手当てができるわけでございます。  そこで、施設の復旧についての問題でございますが、この点につきましては、たとえば秋田県等の例をとってまいりますと、復旧に大体四千五百万かかるということになっおります。これにつきましては、一つは農林漁業金融公庫の資金、いわゆる主務大臣指定施設という資金がございますから、それで手当てをすると、残りは県がやはり独自で県単による無利子の貸し付けワクをつくっておるようでございまして、この融資措置によりましてこれに対処をしてまいるということになっておるのでございます。確かに御指摘のような点もございまして、補助いたしたものがさらに被害を受けた場合に、あとでこれをどう救済するかという問題につきましては、御承知のとおり、個人施設につきましては、農地農業用施設等を除いての補助体系というのが、現在、制度としてないわけでございまして、御承知のとおり、共同利用施設等につきましては、暫定法の適用で被害激甚の場合にはたしか十分の九の補助というようなこともあるわけでございますが、個人施設については農地、農業用施設を除いては、現在のところ、制度がないというような実情でございますので、いま申し上げたような措置にもなっておるのでございますが、御指摘のような点、確かに私どもも考えなければならないということでございますので、ひとつ今後検討さしていただきたいというふうに考えます。
  149. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまはその暫定法に基づいての、私、質問でありましたけれども、従来から内水面漁業として営業を営んでいる、その人たちに対する問題ですね、助成の問題。ただ単なる、いまのお話だと融資によって、あるいは県の無利子等の処置によって救済をしていくということでありますが、少なくとも借財をしょっているわけなんです。今回の場合なんか、いまの、これは秋田でございますけれども、産物地域のところですけれども、全く土砂が畑より高くなっているぐらい埋まっているわけです。これを取るだけでも容易なこっちゃない。ですから、こういう個々にわたっての災害というものを、将来もまた、少なくとも取り除いてやるぐらいのことまでは、これは総理府としても考えていかなきゃならないのじゃないかと思うのですね。それはもう個人のことだから知らないよということでは済まないのじゃないかと思いますね。全部、一様に受けているわけです。共済制度のあるものは助かっている、共済制度のないものは守られていない、漁業関係については何もないということが、災害を総括していくという立場において、これは将来大きな課題となって、現実問題として泣いている人がいるということの立場に立って御答弁をひとつ願いたいと思います。
  150. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いまの先生のお話、確かにいろいろな法律の面でたいへん古いものがございます。たとえば災害救助法を見ますと、昭和二十二年の制定でございます。いま先生のおっしゃった法律もたいへん古い。先ほどのハマチの問題にしても、養魚場の問題にしても、これはやはり合ったものに改正していかざるを得ないのだろうと思います。そういうことで、一連の災害関係法案については一度再検討をさしていただきたいと思います。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 長官、今回の激甚法を適用されて、こういう米の生産調整による転作によるものの被害と、よらざるものの被害、立て分けてございますか。
  152. 太田康二

    説明員(太田康二君) 私が先ほど申し上げましたように、国が奨励をして助成をした施設がやられた場合と、そうではなしに、まあ何と申しますか、みずからの創意と責任においてやったものとの扱いという点につきまして別な取り扱いをすべきではないかというような御意見、よくわかるわけでございますけれども、いままでの措置といたしましては大体同じような扱いになっておるわけでございます。  そこで、じゃ今後どうするかというようなことになるわけでございますけど、先ほど来申し上げておりますように、農地、農業用施設の暫定法でこれを救済するというわけには、私は、現行制度のもとではならないだろうというふうに考えるわけでございまして、国が助成をした施設がまたやられたという場合に、やはり農地、農業用施設の暫定法に準ずるような補助措置がとれないかどうかということが、その稲転でやったものの施設の復旧についての問題点であろうかと思うわけでございまして、この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いま少しく時間を拝借いたしまして検討さしていただきたいと思います。
  153. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それは先ほど御答弁がありましたから……。私の質問しているのは、その稲転でやって被害を受けたものと別なものとのその災害被害状態というのは、別々に調べてありますかと伺ったわけです。
  154. 太田康二

    説明員(太田康二君) たとえば秋田の例等で申し上げますと、県報告によりますと、被害者が全部で二十七名ございまして、先ほど申し上げましたように、施設の被害が四千五百万ということになっています。そのうち稲転からの関係者のものが七名、二十七名の中に含まれておるようでございますので、先生御指摘のような稲転からの被害がそのうち幾らであるかということは、県に照会すれば当然わかるだろうというふうに考えます。
  155. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは将来問題になりますので、私は、議事録に残しておきたいために申し上げて質問をしたわけです。今度それが将来は法改正になるかどうかわかりません。わかりませんけれども、国の奨励によって、奨励金まで出して、そうして施設をさしておいて、それが被害を受けた、その被害額がどれだけであって、従来からやっていた個人の内水面漁業によってのそのものとの区分けというものが、明らかに当然今度分類されてこなければならぬと思う。そういう考えの上で申し上げたわけです。いま秋田県だけしか私は質問しておりません。秋田県しか御資料を持ってきておられないと思います。これは私が秋田のことを取り上げますと言いましたので、まだほかにこういう問題があるということを御承知を願いたいと思うんです。ですから、内水面漁業に対する補助のことにつきましては御答弁もあったようでございますので、それにしてもこの災害ということ、これをどう——共済制度をつくるということはむずかしいかもわかりません。だったら、個人共済の中にどういう形で入れていくとかというものがまだまだ残ってくるだろうと私は思います。その点もお考えの上で将来やっていただきたいということを希望を申し上げておきたいと思います。  それから、農地局長のほうにお伺いいたしますが、第三条の三でございますね、この問題で一番泣いておるわけであります。これは先ほど河川局長が御答弁になりまして、三カ年が常識だというお話が一言ございましたけれども、この災害地にしてみれば、非常にこの三カ年というのが頭にきているわけです。いっときも早く補助措置をやってもらいたいということがどの自治体でも言われているわけです。しかも、今度は予算措置になりますと、必ず一年目は三割とか、二年目は四割とか、三年目が三割だとかいうような配分がこれまた常識のように言われておりますけれどもも、この法文を見ますと、いまさら申し上げることもございませんけれども、「その施行者が当該年度(災害の発生した年の四月一日の属する会計年度をいう。)及びこれに続く二箇年度以内に完了することができるように、財政の許す範囲内において、当該災害復旧事業に係る国の補助金の交付につき必要な措置を講ずるものとする。」となっております。  ここで皮肉な解釈をし、皮肉な言い方をいたしますと「これに続く二箇年度以内に完了すること」また、「財政の許す範囲内において、」ということで、この災害地、罹災地を救済していくという点で、住民の心、意思に反して三カ年が設定されているようにとれるわけです。現地では、罹災地では、ことしのうちにでも全額の金をもらえば、やれるものはやっていきたいんだというのが、その内容によってはあるわけです。こういう三カ年、したがって、緊急な災害復旧事業に対する政府の処置というこの法律が大きく拘束しているんじゃないか、こんなふうに私は考えるわけです。これは農林省ばっかりじゃございませんし、建設省もそうでありますし、また、総理府のほうもこの法律に対する考え方、財政処置の考え方、それらの関係について御意見を私は伺っておきたいと思います。
  156. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) この三条の三、これは法律としてこういう書き方にならざるを得なかったと思いますが、実態から申し上げたほうがわかりがいいかと思います。  実は、農地関係災害だけに限って申し上げますと、先ほど申し上げましたように、今次災害でも一千億をこえると、二千万件をこえるというような非常に小さな災害もたくさんあるわけでございます。したがいまして、中には直ちに復旧しなきゃならないのもございます。それから大災害でございまして、物理的に、非常に大きな施設等で、とても単年度ではできない、三年、あるいは場合によってはさらに一年ぐらいかかるような大施設もあるわけでございます。全体で予算措置といたしましては、三カ年でやるようになっておりますけれども、その施設の種類に応じまして、あるいはまた緊急の程度に応じまして、当該年度でやるものはやるように心がけておりますし、あるいはものによっては二カ年度で完了するようにいたしております。ただ先ほど論議の中でも出てまいりましたように、設計その他いろいろな物理的な準備が間に合わない、というようなことでおくれておる面もありますが、これはいわば役人の怠慢でございますから、その辺も督励をいたしまして、早急に復旧するように心がけております。したがいまして、予算措置のほうも予備費の要求等をいたしまして、急ぐものにつきましては二カ年以内くらいにやれるように措置する所存でございます。
  157. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、いまのいろいろな点から御答弁がありましたけれども、今回の災害について、現地で建設大臣も、金のことを考えるのじゃない、災害は国の恥だという答弁もされたことを、前回の委員会で私も申し上げましたのですが、この自治体では査定が非常におくれておるということ、こういうことを一つの問題として取り上げているわけです。それで、支出するまず金のめどがつかない。どの程度の、どのようなことをやっていいのか。それもこちらが幾ら出しても、大蔵省の財政で抑制されていくというようなことになってくると、せっかく計画を立てようと思ったものも立てられない。足踏み状態をせざるを得ないというのが現況だと、私は、現地でその後の実態というものを調べてきまして、そういう市町村がほとんどです。一例をあげてみますと、能代市の場合なんかでも緊急査定というものを、これは特に農業用施設及び農地災害復旧の問題にしぼって、私は副長官質問をするわけでございますけれども、全体の立場の上から御答弁を願いたいし、またそれを農林省のほうでは、自分のほうはどんなふうにこの問題については考えているのだという、その立場答弁願いたいと思います。緊急査定が、これは能代市でありますが、七月の二十七日に決定いたしまして、第一次査定が八月の二十五日に決定しているようでありますが、この第二次査定というのが、農地のことにしぼって考えてみますと、現地では一億三千九百万という査定を出しましたのが、わずか四千四百万の査定が終了したままで、九千五百四十一万三千円という査定がまだ未査定になっているという、その査定をいつからやるかというと、予定が九月の十一日から二十一日に査定をすると言っているわけです。こういう一つの実例をもって私は申し上げているのですが、こういう点から非常に査定がおくれているという、これが一つの事例であります。それから、かなり査定が進んでいるという事例も申し上げたいと思いますが、これはやはり両方を申し上げませんと悪いものばかり私は取り上げているみたいに思われますので、いいほうもやはり言わなければ長官のほうもお困りでございましょう。  これは深浦町というんですが、町自体の査定総額として七億一千万なんでありますが、それが四億三千万で査定されてしまったということ。これなんかはいいほうの部類に属するこれでありまして、ここは第一次、第二次も農地、農業災害については査定が全部終了している。これは非常にうまくできているわけです。先ほどの能代の場合なんかは、まだやってないと言っていいくらいにやってない。こういう大きな違いがあるということを御承知願いたいと思うんです。そこで、この青森県深浦町というところなんかは財政規模が六億五千七百万、人口一万三千の町でありますが、これが被害総額が十五億以上にも達しているわけです。この町自体の査定されたものが七億一千万もある。そうしますと一般会計よりオーバーしている。これはまあ倍ぐらいオーバーしているところもあるわけです。  これは、いまわずかいいところをとったんですが、そういういいところでも全額が査定されてないというような点があるわけです。しかも、今度それが三年間にわたってやられるんでは困るという。それは直接の声を私は行って聞いてきたものですから申し上げているわけです。このいま言いました三条の三、農地におきますと三条の三であります。そういうふうな現地の声というもの、そういうことに対してこの法の精神からどのように今後処置をしていかれようとするのか、副長官から御答弁を願いたいと思います。
  158. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 災害の査定状況については、六日に建設省農林省から聞いてまいりました。これは連絡会議がございまして、建設省のほうでは直轄事業では九九・九%終わっておる。それから補助事業のほうがたいへんおくれておるようでございます。それから農林省のほうでは治山のほうが進んでおりまして、六九%。農地、農業用施設については二三%終わっている。これではたいへんおそいではないかということで促進を依頼いたしております。  また、査定について先生のおっしゃいますような問題がございますのは、私陳情を聞いておりますのでよくわかっております。査定はなるだけ地元の意向をいれて十分見てくれるようにということで、対策本部会議では建設、農林等によく申し上げ、かつ大蔵にもその意向を伝えてあります。で、特に建設、農林のほうは査定終了が十二月末とか十一月末とかいうようなことでは困る、早く出していただきたいということで、各省は鋭意いまやっていると存じますけれども、実際先生のおっしゃいます三条の三、こういうような問題も、方法としては三年でやるんではほんとうに地元は困るんでございます。これをどういうふうな方法をやるべきかというようなことは、今後とも研究課題として、法の改正もあわせて考えていかなけりゃいけないんではないかということで、私どもつとめて連絡会議等も開いてやっていきたいと考えております。
  159. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) とにかく迅速に運んでいないところがあるということで、まことに申しわけないと思っております。実は青森、秋田等、雪の降る地帯につきましては特に急ぐ必要があるわけでございまして、そういう意味で、西日本のほうよりは非常に精力的に査定をするように指導しておるところでございます。  査定状況について申し上げますと、青森が農地が百六十八カ所で四億六千五百万。秋田が四百八十四カ所で五億六千万。農業用施設につきましては青森が四百二十六カ所、十七億。秋田につきましては千二百二カ所、二十二億というようなことで、いずれも青森が二十二億、秋田が二十八億というようなことで、相当な大きな件数と災害の額になっておるわけでございます。そこで、とりました処置といたしましては、緊急を要するところは応急工事を査定前にでももちろんやるというようなこと、それから同時に緊急査定をやるということを実施しておりますし、青森県におきましては、そういうことで八月二十九日までに査定を大半完了いたしております。秋田県におきましても、先ほど先生お話しいただきましたように、九月二十二日までに全査定を完了するように現在努力をしております。ただこの査定は、実はここが問題なんでございますけれども市町村がつくります査定設計書がなかなか終わらない。その間まあ査定ができないというようなこともございまして、そこで民間を動員するなり、あるいはまた経験者の応援を得るというような処置もあわせやっておるわけであります。査定官につきましても、査定官が不足いたしますので、これも査定官の経験を持っております職員を動員いたしまして、早急に完了するように現在やっておるところでございます。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常に苦しい御答弁と私は思いますが、いずれにしましても非常におくれているということだけは事実であり、市町村のほうで設計がおそいからということじゃ私は済まされない問題だと思うのです。それはもう国の責任において当然やっていくことがあたりまえのことなんですから、その点ひとつ、なお一そうの査定のすみやかに進められますように、特にいまお話しのありましたように、東北関係は雪がすぐ降ってまいります。非常に困難な事態が自然現象の中に生じてくるということをお含みのようでございますので、その点も私からあわせて御希望を申し上げておきたいと思います。  次は、時間がございませんので、河川局長に御質問をいたしたいと思います。米代川の決壊をいたしましたその個所、中川原でございますか、今日それの復旧程度はどのようになっておりましょうか。それと、米代川の計画でございますね、いつの時点までに完了する計画を立てておるか、たとえば産物地域における計画がいつまでに完了し、全体がいつまでに、予定を立てた計画がいつまでに完了するかということをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  161. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しの米代川につきましては、直轄でやっております区間で、中川原それから二ツ井、この二カ所が一番大きい被害を受けまして、破堤を見たわけでございますが、これにつきましては七月中に一応私どもの手で応急工事を完了いたしております。なお、先ほど副長官からお話しのございましたように、直轄については大体査定を完了いたしておりますので、ただいま事務的に予備費等の支出についての手続を進めておりますので、これが終わりますれば直ちに本復旧に着手をいたしたいと考えております。  なお、一連の河川全般を見まして、今後手当てを要するようなところ、こういったところにつきましては、やはり緊急的に、ある程度区間なり期間を限りまして、ほぼ三年程度で、必要な個所については概成するというような方向で、現在具体的な計画を立てさせておるというところでございます。
  162. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、三年ぐらいで完了させるつもりでやっているということでございますね。先ほど私は農地局長とか、あるいは水産庁長官にお伺いしておりました養魚池や、米代川の産物地域のはんらんした個所であります。あそこがはんらんしたところです。ですから、そういうことで、おそらく河川局長も、そういうことは初めてお聞きになるのだと思うんです。まだまだほかにもいろいろ具体的な例は一ぱいあるわけです。河川がはんらんをして、それに伴って生業をなくして、いまだに復旧のめどが立っていないという、その地域住民の方々が一ぱいいるわけです。私はずいぶんいろんな資料を持ってきております。写真も一ぱい持ってきておる、いろんなところを調べてきているものがあるんです。一ぱい持ってきている。これが米代川ばかりではございません。奥入瀬の永久橋の付近にいたしましても、これはたいへんな問題が一ぱいあります。それが災害地が、それじゃどんなふうに復旧されているか、これはやはりいまの時点で、少なくとも責任者である立場の方が、建設大臣災害のときには飛んで行かれましたけれども、いま、約二カ月たとうとしております。そのいまの時点というものを、やはり責任者の立場で現実を見詰めながら、そうして財政は財政、あるいは施策施策というような、技術的な指導というものを的確にやっていかなかったならば、また雨が降った場合には、二度、三度同じことが繰り返されていく、そのうちには、先ほど申し上げましたように、養魚池ばっかりではございません。その沿岸に住まいをしている住民の人たちがどれほど泣くかということであります。  さらに、あの中川原のすぐ上のほうには、堤防の上に家が建っているような気配があるということは、この前の委員会のときに私は申し上げました。しかもそれが、新しい建築物が、住宅が並んで建ててあるわけです。それがもう危険状態、土手のつら一ぱいにはみ出ているような建て方で建てられているわけです、河川にはみ出るようにして。そういう実情等も写真にとってきております。それでしかも、基礎コンクリを打ったものが割れて、今度雨が降ればその家まで倒壊していくだろうと危惧されております。  それから、さらには中川原のところには、放牧をしているところがあります。この放牧しているところの河川敷が占用地で、その占用地を、今度は洪水になった場合、いままで金かけた草地というものをどういうふうにしてやるのか。あるいは、その酪農家をどんなふうにして救済対策を考えてやろうとするのか。河川敷の中だって、酪農なら農林省の問題だから、うちのほうは知らないと言うことはちょっとできないと思うんです。占用地として河川敷をした場合には、やはりそれ相当の責任というものを負わなければならないというのが立場じゃなかろうかと私は思うわけです。  こういう点から考え合わしてみまして、現地の実情というものを、いまの時点で、査定の最中の時点で、査定が終わっていないところ、そういうところには特にもう一度強制視察をし、そうして適切な指導をしていく、そういう考え方をされるかどうか、伺っておきたいと思います。
  163. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私も、一度土木関係の被災地を回りたいと実は思っておるわけでございますが、十分現地を存じませんので、的確なお答えができなくて、まことに申しわけないと思います。いろいろ関連いたします事業等の調整等は、できるだけ現地において関係機関とも相談した上で、復興計画に支障のないような復旧方針を立てるように指示はいたしておるわけでございます。  なお今後も、一次、二次までやっておりまして、三次査定で大体完了するかと思いますが、お話しのような趣旨は、十分地元にも、あるいは関係機関にも徹底するようにいたしまして、できるだけ一連の復旧対策に支障を来たさないように、私どもも再度指示をいたしたいと思いますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ブリッジの構造問題についてちょっとお伺いいたしたいのですけれども、いまその写真がありますから、お手元へ持っていきますとその質問がよくわかる。——これは奥入瀬川の永久橋でございます。あなたよく御存じだ、奥入瀬川の、ピアが飛んだやつと、それからピアがひん曲がった個所です。それで、いまこれを仮設しております、仮橋ですね。これが、こちら側のほうがそでを打ってない。じゃかご程度で築堤が築かれている。そのために、川がその弱いところに向かってぶつかっていきながら、逆にうしろから回って、こんなふうにこうなっている。しかもここは、コンクリートの国道——コンクリートだから国道かな、その国道に沿って、橋の端に渡るまでのコンクリートができてないのです。ですから、もろにその土砂が流された。それで、中のピアの根っこですね、基礎が一メートル四方くらいの基礎でしょう、もっと、一メートル半くらいかもしれませんけれども、そこの基礎の深さなんというのは、お話にならない。非常に浅い。だから、こんなので、ちょっと大きな水が出て、流木が流れていけばひっくり返るのはあたりまえなんです。これが永久橋だったんです。ですから、ブリッジと道路に面する面は、必ずコンクリを固めて、そうして裏から回ってもくずれていかないような形態をとっていかなければならない。それで、これは私の考えでありますが、ブリッジもアーチに当然考えて、河川の下流の流れるところはアーチに切りかえていくような構造方法をしなければいけないのじゃないかというふうに思うわけです。ですから、これを見ましても非常に心配なんです、仮橋も、渓流でやっていますから。これもこんなに浅いものですから、これは何千万かけているか、相当膨大な金をかけているけれども、これがまたすぐやられてしまう。この永久橋についても、おそらく設計上のミスが構造上の計算違いか何かは知りませんけれども、私も一応そのほうの道を歩んできている者でありますが、いずれにいたしましても、今後の橋梁というものに対する施工の考え方というもの、これは私は改めなければならないと思う。高梁川のところの橋が流されている、随所に。川内川のほうもしかり、また赤石川のほうの橋梁の破壊、流失、そういったようなものも全部構造上に問題が一つはあるだろうと思う。それから流れというものの考え方、ピアの構造の考え方、そういうようなものも当然ひっくるめて考えていかなければならないものだと私は思います。もっと問題を一ぱいかかえておりますけれども、時間だということでありますので質問をやめますけれども、その点をどんなふうに将来お考えになっていかれんとするか、御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  165. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまの奥入瀬の橋は、約十年ばかり前に建設した橋のようでございます。どういう計画なり設計でやったかよく存じませんけれども、これは道路局を通じて、一応私なりに原因はよく調べたいと思います。  なお、ただいま写真に出ております仮橋、これはベーリー橋でございまして、早急に交通を確保しなくちゃいけないというようなことで、準備工事として応急に敷設をいたしてはおりますが、災害の査定も終わっておりますようでございますので、直ちに本復旧にかかるようにいたしたいと思います。もちろんその節、基礎の問題、それから橋梁の型式等について、先生から御指摘がございましたが要するに十分河積を確保すること、それから洪水の疎通に支障のないような構造をとること、こういったことが要点かと思います。そういった点につきましては、具体的な復旧設計にあたって十分配慮するように指示をいたしたいと思います。
  166. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私、時間がありませんから非常にしぼりたいと思うのです。できるだけ簡明な御答弁をお願いしたいと思います。  先ほど関連で御質問申し上げたんですが、先ほどの御答弁から承りますと、集団移動に対する政府としての事後処置と申しますか、具体性が、何にも、まだ審議中で確立されてないと、こういう御答弁であったと思うんです。そこでこれは、私は速急にやってもらいたいと同時に、この問題を解決をされるにあたりましては、もう一つ問題が出てこようかと思うのです。先ほどの報告を承っても、熊本、宮崎あるいは島根の三県から集団移動という申し出があると、こういうことです。そのほかにもまだあるだろうという予想を立てておられます。これは当然のことだと私も思います。そこで、集団移動でない、全壊という家屋が一体何ぼあると見ておられるのか、私があらかじめ調査しておりますところを見ますと、熊本、鹿児島、宮崎、ちょっとこう拾ってみても六百戸の流失、全壊があるわけです。そこで集団を考えてみますと、申請は百二十六戸しかない。集団にはある程度の政府あるいは地方自治体の助成と申しますか、あるいは長期金融と申しますか、何かがなければ集団移動もできないと思うんです。ところが、全壊で、自分がかりに土地を持っておった、もう山手は危険だから自分の土地の埋め立てをやって、そこに移動したいという人はたくさんあると思うんです。現にそういうところをもう見てきました。埋め地がしたいといって、事実やっておる人もあったですね。したがって、全壊にあった人にはどういう処置が必要なのか、単に長期の建設資金を二十年償還ぐらいで三分五厘で貸すようにするのか、あるいは一時金として、この補助として何か出してやるのか、こういう点までお考えになっておるのかどうか。集団がまだきまってないくらいですから、そこまでお考えになっていないかもしれませんが、その点はどうお考えになっておるのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  167. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 先ほど申しましたように、集団移住の問題についてはいろいろな問題がございます。先生の御指摘のように、流失された、全壊された家屋、私の手元に入っておりますのは千二百ほどございます。熊本、宮崎、島根のほかに、秋田あるいは高知や鹿児島、山口、京都というところでも希望があるということでございますが、まだまとまっておりません。で、私たちいま検討いたしておりますのは、集団移転をいま希望しておる方々と、もう一つ危険地を含めるか含めないかというような問題も検討対象に入れて、自治省が主体となってこれをまとめていこうということで、速急にやるようにお願いをしております。それから全壊された方々については、とりあえず公営住宅等に入っていただいて、集団移住あるいは新しい補助等によって家ができるまで待っていただくような形になるかと思いますけれども、その点も含めて、今後とも自治省に督促いたしまして、関係各省と成案を練るように速急にいたしたいと思います。
  168. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 副長官答弁で、転地も含めてということですから、私はそれで了承したいと思いますが、自治省として、実際問題として、関係の方にひとつお聞きしたいんですが、いつごろ一体この集結をやって、地方自治体に安心をさせるというような方法を講じておられるのか、すでに皆さん御承知のように、もう二カ月以上たっておるわけです、七月の上旬ですからね。こういう状態になりますと、一刻も早く、この仮設住宅に入っておっても一間ですよ。実際問題として。そして家族の大も小もみんな一間です。こういう問題を考えていきますと、これはやっぱり地方自治体はまず予算の問題になる、中央は何もきまらない、こういうことでは、これはどうにもならないというのが地方の現状だと思うんです。自治省としては、一体中央でどうお考えになっているのかですね。その点をお聞きしたいですね。副長官の考えはわかりました。
  169. 高品宏作

    説明員(高品宏作君) できるだけ早く検討を進め、関係省庁と協議いたしまして、できるだけ早く地元のほうに政策をお示しいたしたいというふうに考えております。
  170. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 じゃ、次に進みますが、簡易水道の問題ですが、これも副長官にお尋ねしたいんですが、実際問題として、非常にこの簡易水道の現状というものは脆弱なんですよ。それで鹿児島、秋田にしても、鹿児島が二十一カ所、秋田が十八カ所ございますね、簡易水道の破損が。したがって、私はこれで感じましたのは、この鹿児島ですか、見ますと、自衛隊が二週間にわたって給水をしております。したがって、天気が回復しても、その浸水後の処理というものは水がないためにどうにもならぬということですね。この問題は、私は厚生省にも強く主張して大臣の回答を得ておりますが、この災害問題と関連しておると思うのです。したがって、簡易水道の今度の激甚の取り扱いとしてはどういうことになっておるのか。これは厚生省でしょうけれども、厚生省の担当の方が見えなければ副長官にお聞きしたいのですが、私は、少なくとも水害ごとに人心が非常に不安におちいるような、あすの水に困るというような問題はもっと改善をする必要がある。いまは三分の一の補助金ですよ。これをせめて三分の二の補助にする、最悪の場合でも五〇%は補助をするのだ、したがって、もっと災害のないような位置を選んで、そして安全係数で建設をせよと、こういう指示と努力をすべきじゃないか。そうすることは、結果的には国の財政上から見ても、災害のたびに水がたまっちまうというような簡易水道では、これはもう役に立たないと思うのですね、永久的なものですよ、こういうものは。どうですか副長官、この問題について、いまの三分の一を三分の二……、今後の問題ですよ、今後の。この復興についてはどうお考えになっておるのか。今後の問題として三分の二の国家補助をすべきだと、努力をするというお考えがありますかどうか。ひとつ端的に答弁願いたい。
  171. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 財政当局でございませんので、たいへんむずかしい御質問でございますけれども激甚財政援助の中に簡易水道が入ってないように私記憶いたしております。で、これなどもやはりひとつ検討の余地があります。そうしますと補助も相当高くなることになります。それから、その事業そのものが、災害のたびに水がとまるようではいけない、これも先生のおっしゃるとおりでございますので、この旨厚生省に伝えまして、こういうことのないように、かつ激甚の中の財政援助ができるような形に今後ともしていきたいと考えております。
  172. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 そうでしょう。私はそのことをわかって質問しておるのですがね。  そこで、先ほど言いましたように、もう厚生大臣にはせめて三分の二、最悪でも五〇%補助すべきだと、そして恒久的なものをやはり設置すべきだ、こういう強い私は要望を申し上げたところが、考えてみたいということですよ。ところが、私が副長官に申し上げておるのは、災害のたびにこういう問題が起こっておれば、経費上から見てもマイナスではありませんか。したがって、今度の復興に対してもある程度の対策を立ててもらうことが一つと、もう一つはこれから簡易水道をつくろうとするものに対しては、国家の助成を三分の二にする、あるいは最悪でも五〇%にする、これを、ひとつ強く厚生省と政府の予算の中に私は盛り込んでもらうべきだ、こう考えるのです。考えてみたいじゃなくて、その点どうですか。そういう点になると大臣じゃないと困るのだな、私は副長官を責めるわけじゃございませんけれども、非常に重要な問題ですよ、生命に関する大きな問題です。しかも災害のたびに自衛隊が出てくる。そうしてあと整理もできぬ。災害のたびにどこでもこの水道がとまって、現実問題として困っておる問題ですよ。そういう点を、もっとはっきり、副長官責任持って、厚生省はやると、こういうような御答弁願いたいと思いますな。長くは要りませんよ。
  173. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 次の災害対策本部会議で厚生省にきつく申し上げ、先生の意向のような形でやっていきたいと考えております。
  174. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 両面の問題ですね……。  それでは次に、これも副長官は前回も参加されておりますからお考え願ったのかもしれませんが、被害者に対する免税の問題ですね、これは一体この激甚の取り扱いでどうお考えになっておるのか。私は各県の、八県も調査に行って各県の陳情状況を聞くと、免税してもらいたいという強い要望があるわけですよ。私は、官庁は大体各都道府県のこういう要請書についてみな目を通しておられると思うのだ、どこの県に行ったってこれは免税にせよという要望が出ているのですよ。そういう問題を、きょう長官報告される中において、もっと具体性のある報告が望ましいということで私は考えておった。それを具体的に報告をされるなら、私はきょう質問する予定じゃなかった。しかし、報告のいかんでは質問するという私は考えで実はおったわけですが、何の具体性もない。こういうことではどうにもならないと思うのですね。  それからもう一つ問題は、これは一番しょっぱなに社会党の方から御質問がありましたが、農林漁業者、中小企業者、まあ中小企業者でも近代化資金融通するとか、あるいは農地法による補助をやるとかいうことは言っておられますけれども、実際問題として現地は何に困っておるかというと、融資条件の改善をもっとしてくれと、それから災害が非常に多いところ、たとえば宮崎、鹿児島、熊本、毎年あるのですよ、これは。そうして同じ災害を受けておる地域があるわけです。そういうところは金を借りて、払うのにあくせくしているわけですな。したがって、三年という期限の返還じゃなくして、長期の十年くらいにしてくれという希望が出ているのです、これは。そういう問題は一体、まあ前回も質問したのですよ、そういう問題は一体、副長官検討されたのかどうかですね。各県から出ておるのですよ、この問題は。それがなされてないようでは、私は災害対策にならぬと思うんですよ。税制の問題、たとえば融資に対する延期の問題。先ほど社会党から御質問があったときには、利子補給もせよということまで言われておりますが、私は延長すべきだと、もっとですね。そして、延長が可能になれば、それがはっきりすれば、地方の自治体である程度の、三・五%くらいですか、この利子補給をしてやろうという問題が出てくるんですよ。地方自治体で、県あたりですね。政府が三年という切り方をしておるものですから、なかなかそれが出てこない。困っておる。これ地方自治体の実態ですよ。こういう点は、一体検討されたのかどうかですね、お聞きしたい思う。
  175. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) そういう問題につきましては、通産省については中小企業者貸し付けの問題、金利の五%をもう少し下げられないだろうかということで、通産省と大蔵省との間の話し合いを詰めるように六日の対策本部会議ではいたしました。それから大蔵省のほうについては、いろいろ国税、地方税の減免とか、徴収猶予とかいうような問題がございます。その点についても、地方の実情に沿うように考えてみてくれという話も出ましたことは事実でございますが、先生のおっしゃるように、相当詰めるということではなくて、まだまだ、前回の会議では集団移転が主体となっておりましたので、次回ではもう一回詰めさしていただきたいと思っております。
  176. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 ぜひこの被害者に対する免税の処置の問題については、私は努力をして実現をしてもらいたいと思うんです。かなり大蔵省もいろんな問題もありましょうけれども、これはやっぱり関係者がその気で努力してやるべきだと、こう思うんですよ。副長官ね、人間は災害に一回あうとなかなか背は伸び切れないんです、実際問題として。人間一生のうちに、火災にあうとか、あるいは災害にあうとなかなか腰は伸びないものですよ、特にこの過疎地域におりますと。そういうことをお考え願って、私は真剣にやっぱり取り組んでもらいたいと申し上げたいんです。  なお、次にお願いしたいのは、これは河川局長ですか、ちょっとお聞きしたいんですが、先ほど古賀さんからも御質問がありましたから、しつこく申し上げません。この間、私は資料も整ったら出してくださいと申し上げておいたんですが、いずれそうしていただけるだろうと思いますけれども、きょうのお話を聞いておりますと、局長は全国に一ぺん行きたいんだけれどもと言っておられた、この間もそう言っておられたんですよ。大いに行ってもらったらどうですかね。せめて私は一級河川だけでも見てもらう必要があると思うのですよ。川内川という問題も古賀先生から御質問がございましたから、私はあえて聞きませんけれども、一級河川で、球磨川、緑川、白川、菊池川、これも一向に遅々として進んでないようです。したがって、ちょっとお聞きしたいのは、地方における建設省の考え方が、意見が統一されてそうして中央に上がってくる、報告をされる、その期間は一体どのくらいかかるのかですね。それは二カ月やそこらでは私はできないと思うのですよ。先ほどの答弁にもございましたように、長期対策あるいは暫定対策いろいろあると思うのですね。したがって、長期対策じゃなしに暫定対策はかくかくかような状態で、どの一級河川とどの一級河川はこういう処置をとった。こういう河川は改革に、二年かかる。したがって、いま青写真製作中だとかいろいろあろうと思うのですね。そういう点が、やはりわれわれもその現地を見てきた立場から考えますと、やはり具体的に、ほんとうに原形復旧じゃなくて長期計画をやるのかやらないのかという問題がいつも問題になるのですよ。きょうでもそうですよ。副長官報告はこれは全く私はおざなりだ。そんなことはみな委員は知っていますよ。おざなりですよ。あるいは厚生部門はこうだ、あるいは建設部門はこうだ、そういう報告があってしかるべきですよ。それもない。したがって、現地に行ったわれわれ調査団として、今後その具体性が、やはり確立をほんとうにやっていただくのか、やらなければどういう促進をしたらいいのかというのが国会議員の役目だと私は考えております。河川局長、具体的にはどういうお考えなのか。先ほど私申しましたように、現地を見てもらうところは早く見てもらいたい。それだけ人が足らなければ代理でもいいからやる、というようなことでやるべきじゃないかという感じが私はするのでありますが、ひとつ局長のほうからお聞きしたいと思います。  最後に、重ねてこれも自治省ですか、お聞きしておきたいと思うのですが、栗野町のこの水害、川内川の出水のたびに、全くこの八百戸、被害者は約二千五百名、これも前回質問したんですよ。その川内川の出水のたびに水害にあう、場合によって一年に二回あう。したがって、暫定処置でもいいから排水ポンプなりをやってくれと、こういう決議と要望があるわけです。この前も私はこの問題で御質問申し上げておいたのですが、一体きまったのかきまらぬのか。やるということになっておるのか。これは自治省と思いますが、建設省ですか——そうですか、建設省でもけっこうですが、ひとつ御答弁願いたい。
  177. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私ども大臣、ほとんど全国の被災しております各地については、精力的にお回りになっております。私も一部はお供いたしましたし、できませんときにはそれぞれ次長なり担当課長等をつけておりますので、大体大災害等の概況は把握いたしておるつもりでございます。したがって、今回の豪雨で非常に特色といたしますのは、かなりわれわれの安心しておったような東北の、たとえば岩木川だとか米代川、こういったものも被災を受けております。川内川なんかはかなり改修がおくれておりますので、文字どおり大災害になったわけでございますが、そういった河川については、やはり在来から考えておりますこの治水事業のペースを特に促進をいたしまして、先ほど来申し上げておりますように、必要なものについては暫定の三カ年計画とか、そういった期限を区切って、少なくともほかの河川以上に程度を上げるとか、あるいは被災したところについては、これはやはり民生安定といったような意味もございますので、できるだけ改良復旧を急ぐといったようなことで、大体一級河川で十河川程度全国であろうかと思いますが、そういったものにつきましては、特にこれを重点的に計画の改定並びに対策の工事、こういったものを進めていきたい。特に川内川については御承知のとおりでございますので、私どもも四十八年度からの予算に対応いたしまして、三カ年でまず中流部等は概成をしたいと考えておる次第でございます。もちろんその中に、栗野のポンプの問題も入ってまいります。あそこには、御承知かと存じますが、綿打川という河川が入っておりまして、これの本川との節合部等がまだ未処理になっておりますので、これも内水の問題とポンプの計画と斉合させる必要があるんではないかということでございます。いずれにしましても、やはりポンプの設置の必要性ということについては、これはもう明らかでございますので、計画がきまりますれば、おのずからそれによってどの程度設置すればいいかというようなポンプの規模もきまってまいりますので、そういった調査を待って、四十八年度から少なくともスタートしたいと事務的には考えておる次第でございます。
  178. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十分散会      —————・—————