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1972-08-09 第69回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月九日(水曜日)    午前十時九分開会     —————————————    委員異動  七月十九日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     須原 昭二君  七月二十日     辞任         補欠選任      細川 護煕君     大谷藤之助君      園田 清充君     川野辺 静君      塚田 大願君     星野  力君  七月二十六日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     梶木 又三君  七月二十七日     辞任         補欠選任      川野辺 静君     高橋雄之助君  八月二日     辞任         補欠選任      森中 守義君     鈴木  力君      須原 昭二君     杉山善太郎君  八月七日     辞任         補欠選任      片山 正英君     伊藤 五郎君      大谷藤之助君     若林 正武君  八月八日     辞任         補欠選任      久保田藤麿君     大谷藤之助君      世耕 政隆君     柴立 芳文君      杉山善太郎君     中村 波男君      鈴木  力君     須原 昭二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 古賀雷四郎君                 高橋雄之助君                 上林繁次郎君     委 員                 大谷藤之助君                 梶木 又三君                 柴立 芳文君                 寺本 広作君                 濱田 幸雄君                 八木 一郎君                 須原 昭二君                 中村 波男君                 中村 英男君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 星野  力君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        建 設 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官       小宮山重四郎君        警察庁長官官房        装備課長     武藤  昭君        防衛政務次官   古内 広雄君        文部省管理局教        育施設部助成課        長        西崎 清久君        厚生省社会局施        設課長      新津 博典君        厚生省保険局国        民健康保険課長  黒川  弘君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        農林省農地局参        事官       住吉 勇三君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業政務次        官        安田 隆明君        通商産業省公害        保安局長     久良知章悟君        中小企業庁計画        部長       原山 義史君        気象庁長官    高橋浩一郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        建設政務次官   小渕 恵三君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局地        方道課長     高木 澄清君        建設省住宅局長  沢田 光英君        自治省財政局指        導課長      植弘 親民君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君    参考人        東京大学工学部        教授       福岡 正巳君        理 学 博 士  奥田  穣君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○派遣委員報告に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (防災対策に関する件)  (昭和四十七年七月豪雨等による災害対策に関  する件)  (昭和四十七年七月豪雨災害対策に関する決議  の件)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事古賀雷四郎君及び高橋雄之助君を指名いたします。     —————————————
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、本委員会は、昭和四十七年七月豪雨による被害の実情調査のため、中国地方及び東海地方委員派遣を行ないました。これらの派遣委員報告は時間の都合で省略することとし、報告書は本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  6. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  防災対策に関する件について、東京大学工学部教授福岡正巳君、理学博士奥田穣君を本日の委員会参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 防災対策に関する件を議題といたします。  先ほど決定されました参考人の方に御出席を願っておりますので、これより参考人の方から御意見を承ることといたします。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙のところ、本委員会に御出席をいただきまして厚く御礼申し上げます。参考人におかれましては忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願い申し上げます。  なお、議事の進め方といたしましては、初めに参考人からお一人十五分間程度で御意見を述べていただき、引き続いて委員の質疑にお答えいただくことといたします。  それでは、福岡参考人からお願いいたします。
  9. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) 地すべり、山くずれなどの自然斜面崩壊人工的切り取り斜面自然斜面のふもとの部分が流水の洗掘によって崩壊する斜面崩壊について御説明いたし、これらについて所見を申し述べます。  斜面崩壊が起こる原動力は重力でありまして、斜面の一部あるいは全体が重力作用で運動するのでございます。これが崩壊という現象になってあらわれるわけでございます。崩壊する土塊並びに崩壊する土壊すべり台になっておる土塊の性質、それから地表面傾斜角地下割れ目などの状態土塊を構成する土の勇断抵抗力といったようなものが崩壊現象と密接に関係することは当然であります。わが国のように降雨、降雪の多いところでは降雨量、融雪の速度などが、水の地下浸透する量と速度に影響するわけでありますが、その浸透した地下水崩壊関係いたしておるようでございます。地下水の中には鉱物成分が溶けておりますので、地下水の質も崩壊関係いたします。  次に、崩壊の際のすべり面の深さでございますが、これは数十センチメートル程度のものから数十メートル程度まであります。このすべり面の深さは地表面に近いところに土が薄くかぶっている場合には浅いのですが、岩石のようなものでは割れ目が相当深いところまで及んでおりまして、数メートルから数十メートルのところにすべり面ができます。したがいまして、崩壊土量も非常に大きくなります。水の浸透が非常に大きな要素でありますが、雨水すべり面まで到達するのには時間がかかります。浅いすべり面では、雨水すべり面に到達する時間が短いから、降雨のある日にすべりが起こります。しかし、深いところのすべり面に水が到達するのには数日というような長い時間がかかりますから、雨がやんでからしばらくたって、晴天の日にすべりが起こります。これは一般的なルールでございまして、実際には浅いすべり面でも、遠くのところに浸透した地下水が影響いたしますし、岩石の間隙の間を通って早くすべり面に達する水もありますから、深いすべりが雨の降っている間に起こることもあります。  雨の量とすべり関係ですが、二十日間の間の降雨の総量が八十ないし百ミリメートル以上にならないとすべりは起こらないということは統計的にわかっております。また、総雨量が大きい場合、それが短時間に降るほど崩壊が起こりやすいということができます。一日の降雨量が少なくても、長い間雨が降る場合には、たとえば、梅雨のような場合でございますが、この場合には崩壊は起こります。台風のようなものには短時間に多量の雨が降りますから、総雨量は少なくても、雨の強度が強ければ崩壊が起こります。  降雨崩壊とは以上のように密接な関係がありますので、雨を正確に予報できれば崩壊もそれだけ正確に予報できることになります。梅雨のように雨の長く続く場合には長期間の総雨量が重要ですから、そのときまでに幾ら雨が降ったかということを正確にはかっておけばある程度崩壊予想が立ちましょう。しかし、短時間に多量の雨が集中的に降る場合には、そのときの雨の強度が問題ですから、普通の雨量計ではなしに、雨量強度のはかれる計器雨量強度をはからなければなりません。すべり面が深い場合や岩のすべりの場合には、雨がやんでから一昼夜ないし数日たってから急にすべりが起こりますから予報は非常にむずかしくなります。しかも、岩ではすべり初めに少量の土砂がくずれ落ちるとか亀裂が広がるとかといったようなことがありませんので、注意をしてもなかなか徴候がつかめないのでございます。このような現象研究はまだ十分行なわれていないのではないかと思います。  すべりに際して植物が大きな影響を持っていることはよく知られております。山を乱伐したから降雨による崩壊が起こったというような議論をよく聞きます。植物の根はすべり面における土のすべりに対する抵抗力を大きくする働きをいたしますから、すべりが起こりにくくなるわけでございます。木の中にも浅根性のもの、つまり浅い根のものです。これと、深根性、深い根のものとがありまして、深根性のもの、たとえば私というようなものは特に有効でございます。根の深さは植物の種類とやわらかい土壌の深さによって違いがあります。また植物でも表面のやわらかい土からその基盤になっておる比較的固い岩の中へ根をおろす力の強いものと弱いものがあります。固い岩の中へ根をたくさん伸ばす能力のある植物はそれだけすべりをとめる作用が大きいわけです。私は植物学者ではありませんが、どのような植物をどのようなところに植えておけばよいかということは研究に値すると思います。ただ、注意すべきことは、植物が茂っていればすべりが起こらないだろうということを盲信することははなはだ危険なことと思います。昨年九月千葉の災害では、百年近くもたった松の木が根こそぎ引き抜かれてすべったところがありましたし、狩野川台風では伊豆のよく茂った山がすべり狩野川が材木で埋まったというような経験があるからでございます。雨の量、地質地形条件が悪ければすべるわけでして、植物すべりを食いとめようとする力にも限度があるからです。特に深いすべり面の場合には根がすべり面に達していませんから樹木は全然役に立ちません。台風の風速が強くて根がゆるむとき、木を切った後にその切り株がくさって穴があいたとき、こういうときには雨水地下浸透しやすくなりますので木があることがすべりを助長することになります。  すべり予想をする際にまず地形地質調査をいたします。すべり現象が複雑なこと、土質工学のうち特に勇断試験というすべり現象に一番密接な関係のある試験研究がまだ十分に進んでおりません。そのためにどの程度の強さを持った土は降雨の際にすべり出さないか、どの深さにすべり面ができるのかというような最も基本的なことがよくわかっておりません。もちろん、非常に大ざっぱなことはわかります。しかし、これは肉眼で行なった地質調査の結果とあわせて見ますと、肉眼調査と同程度、あるいはそれよりは少しましな程度でございます。試験をして、その結果をコンピューターにかけてすべるかどうかを調べるのですが、試験技術が未発達ですからせっかく精密なコンピューターを使ってもあまり役に立たないというのが現状でございます。はっきりすべりそうなところはもちろん肉眼でも試験でもわかります。これも両方の精度はいまのところ同程度というしかしかたがありません。試験をして絶対だいじょうぶという範囲と必ずすべるだろうという範囲を除いた部分はすべるとも言えるしすべらないとも言えるわけでございます。科学技術の進歩によってこの範囲が次第に狭められてはいますが、まだまだこの範囲は広うございます。われわれが直面する大部分自然斜面はこの範囲に入っているといってもよいと思います。斜面崩壊した後で調査試験をし、こうこういう結果が出てきた、このように明らかであるのに技術者はなぜ気がつかなかったのかというようなおしかりを受けることがしばしばあります。それは確かに情けないことで、当の技術者も何とかできなかったかと反省すると思います。しかし、厳密に考えますと、試験をしても崩壊するかしないかはわからないわけでして、これは当該技術者責任というよりはむしろ科学技術責任といったほうが適当でございましょう。計算をしているから安心だとか、安全率がこれだけになっているから安全だというようなことは必ずしも言えないのでございます。ですから、不安なところは根本的に補強しておくべきではないかということになります。確かにそうでございますが、しかしながら、人の近づくところを全部補強することはあまりにも膨大な出費になりますので、不可能でございましょう。そこで、その代案といたしまして、人の多く集まるところ、重要な構造物のあるところだけは十分補強しまして、他のところはある程度安全度を高めるとともに、予報措置をとりまして、災害の起こりそうなときには人がそこに近寄らないような措置をとるのが実際的でございましょう。  予報措置をとれば災害の前に逃げることができるわけですが、予報措置には、気象予報のほかに、地形変形を測定してすべり運動の初期における徴候をとらえ、変形が大きくなって土塊が押し寄せるまでに逃げる方法があります。伸縮計傾斜計をはじめいろいろな計器が開発されております。最近の研究によりますと、すべり土塊速度予想よりもはるかに速いようでございます。昔の目撃者の話によりますと、おとなが長ぐつをはいて走る程度速度であるということでございました。しかし、最近になって車の走る程度速度もあり得るということがわかりました。速度が速ければ、土の量が少なくとも破壊力は大きくなります。山腹からくずれ落ちた土の到達距離がわかれば、その外側に家を建てるとか、構造物をつくれば安全なわけです。また逃げるにしても、どこまで逃げればよいかわかります。到達距離研究もだんだん進んでまいりました。この研究成果は利用していただけると思います。  次に重要なのは、防止対策の立て方です。幾らお金をかけてもよいというわけにはまいらない場合が多いし、また、時によりましてはどうしても安全にしておきたいけれども、よい方法がないというようなことも起こっております。予防対策には、工事を施行する技術と、すべりをとめる技術両方が必要です。この方面技術はまだまだ発達の余地が大きく残っております。  以上を要約しますと、災害科学技術、特に地すべり崩壊に関する土質工学ははなはだしく立ちおくれております。私は、この方面専門に勉強しているものの一人として、痛ましい事故が起こるたびごとに全く胸が締しつけられるような思いがいたします。早く科学技術を発展させ、少なくとも、斜面崩壊によって死傷者が出ないようにしなければならないと考えております。開発した技術現場技術者にお知らせして有効に使ってもらうようにしなければならない、このように痛感しております。  時間の関係でまことに大ざっぱでございましたが、この方面現状所見を申し述べた次第でございます。
  10. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ありがとうございました。  次に、奥田参考人にお願いいたします。
  11. 奥田穣

    参考人奥田穣君) 奥田でございます。  私気象専門でございますけれども、きょうのお話しの目的がどういうことなのかということがちょっとわからなかったものですが、それで私なりにまとめて持ってまいりました。  災害というのは、破壊力抵抗力とのバランスの関係で発生するということは皆さん御存じのことと思います。その破壊力抵抗力よりも強い場合に災害が発生する、これはもう常識でございます。自然状態では常に抵抗力の弱いところあるいは破壊力の強いところで災害が発生する。そして、そこに災害地域性が生まれてくるということになるわけです。  先ほど福岡参考人がおっしゃられましたけれども、その地域性の中に雨の問題が入ってまいります。雨の非常に多量に降るところ、そこのところでは破壊力が集中するわけであります。雨それ自身が強い破壊力を及ぼすというわけではございませんでして、大きい雨粒の場合には衝撃力が強くてそれだけ浸透力が、あるいは侵食が強くなるわけでございますけれども、むしろ雨直接それ自身よりも、雨が降りましてそれが流出——表面流出あるいは地下流出、そういうような流出形態になりまして、流れの形態になりまして、それが破壊力を集中するという形でもって災害が発生するわけでございます。  気象のほうから、雨のほうのまず地域性でございますが、雨の地域性気象じょう乱といいまして、抵気圧あるいは前線あるいは台風、その経路とかその存在する状態、それによりまして雨の強く降る地域が変わってまいります。年々災害の発生する地域が変化するのも雨の多く降る地域と関連して発生するわけでございます。これが一般に自然の状態でございます。  気象のほうばかりでなくて、その地域性地形それから地質、それから海陸分布、こういうようなものでいろいろ災害発生形態が違ってまいります。ことしのたとえば四国の災害、それから天草の災害集中豪雨の典型的な形の中で発生しておりますが、その状態はやはり以前から私たち承知していると同じような形態で発生しております。  その中でなぜ災害が、その部分だけに今回発生したかというような問題が次に提起されるわけであります。それは、雨自身自然現象でありますが、その雨が降ったあとで今度流出してくるその中でいろいろ作用するわけでありますが、その受けるほうの地面の、あるいは地質地面構造地層構造、そういうようなものの抵抗力が年々変化してきている。それが自然が変化してきているものと、それから、日本列島は大部分は自然の状態ではなくて人為的にいろいろ改変されております。その改変の状態災害となって影響しているわけであります。  それをひとつまとめてみますと、人為的に自然を改変していくわけでございますからそこには技術が関連するわけでございます。それで、災害技術関係を結びつけてひとつ分けて考えてみたいと思います。そうしますと、そこに適用している技術が、開発技術といいますか、技術機能——能力ですが、機能災害を生み出すというようなものです。その開発技術機能災害を与えるということは、問題になっております公害問題のことを思い浮かべていただければすぐ御承知になられると思いますが、やはり水害の場合にも、こういう問題が発生いたします。  それから二番目としまして、開発技術導入される——何かそこに、自然を変えていくとかいうような場合に、技術導入するわけでございます。その技術導入する場合に、必ず環境条件を、気象だけじゃなくって、地質とか地形とか、そういう環境条件調査するわけでございます。その環境条件把握に不十分さがあったために災害が発生するという場合がございます。公害問題でもその問題がやはり出てくるわけでございますが、水害でも同じように発生しております。  それから三番目に、監視技術の不十分さからくる災害ということが出てまいります。これは気象庁、自治体、それから防災担当機関、そういうところがそれぞれその技術をもっていろいろ対処しているわけでございますが、そこに不十分さが出ているというところからくる災害という問題が発生してまいります。  それから四番目に、新しく導入されてきます開発技術と、前からありました伝統技術といいますか、前からありました伝統技術環境技術環境との格差が災害を生むというようなものもございます。  これをこまかく申し上げますと時間がとても足りなくて、そこまで申し上げにくいんでございますが、その四つの中で、それぞれ災害に果たす役割りが違ってまいります。  で、気象のほうの立場から申し上げますと、気象のほうでは、開発技術導入に際しての環境条件把握に不十分さがあるというところに気象が関連してまいりますし、それから開発技術の不十分さからくる災害という問題が、この気象のほうからは出てまいります。  その開発技術導入に際しての環境条件把握に不十分さがあるかどうかということの問題の中には、これは、たとえば河川改修を行なう場合には、計画高水流量というようなものを立てます。計画高水流量を立てる場合に、これは、実際には流量それ自身を取り扱えばよろしいわけですけれども、流量は、土地の利用状態、水の利用状態、それから植生の状態とか、何か流域のそういう状態が変化しますと、異様に大きく変化してまいります。そういうようなことで、それを避けるために、そのほとんど自然の状態であります雨を取り扱いまして計画高水流量を立てるわけでございますが、その雨量それ自身でもって計画高水流量を取り出すという場合に、超過確率というようなものの計算をしたり、そしてあと、雨の分布を予定しまして計算しまして、そして流量配分とか、何かを考えるわけでございます。ところが、雨自身の実際の状態を調べてまいりますと、そこに非常にむずかしいいろんな問題があがってまいります。  それは、確率の問題からいきますと、一つは、非常に多く雨が降るというような状態度数分布を調べてまいりますと、われわれが普通に取り扱っている確率論では、非常に形のよい——正規分布といいまして、一番多く度数があるところのものは中心にいきまして、平均値のところが度数が一番多くて、あと少ないところと多いところとはちょうど左右対照になるような度数分布をするわけでございますが、雨の場合には、それが、ずっと少ないほうに多く出まして、雨量の非常に多いほうのところはずっとすそが伸びるわけです。ですから、こういう形になるわけです。それをガンマ函数形の分布といいますけれども、そういう分布を取り扱うような統計的な手法はまだ生まれてきていないわけでございます。それで、正規分布にそれを直しまして、そして取り扱うという方法をとるわけでございます。ところが、そういうようなことをやりましても、平均値それ自身は、中央値——その一番いままで発生した多いものから少ないものまでの中央値ですが、中央値よりも、得られた答えというものは、平均値ですが、それはずっと少な目のほうに入ってまいります。  ですから、百年一回の高水流量というもの、雨量というものが得られましても、実はそれは平均値でございまして、それよりもずっと多い雨というものはもっとたくさんあるわけでございます。そういう値をとるということ自身が非常に問題になるということをわれわれは言っているわけでございます。それを避けるために、できれば中央値をとるほうがよろしいのじゃないかということの問題をわれわれは提起しております。平均値ではなくて、中央値より多いほうをとったほうがよろしいと。  で、そうしますと、百年一回の雨をつかまえるためには、約一千年に一回という程度確率雨量計算しないといけないというような問題も出てまいります。ですけれども、それは、それでもって、じゃ河川流量配分とか何かということをやるとなると、相当今度は、いままでの計画を全面的に変えていかなくちゃならないという大きい問題が生まれてくるので、これをいかに処理するかということは非常に問題になると思います。  それで、要するに、いま百年に一回という雨でもって計画を立てているけれども、実はそれは目安にすぎないんだと。それ以上の雨が降り得るのだ、非常に多く降り得るんだと。だからそれを考えて防災対策を施さなくちゃいけないということがここで出てくるわけでございます。そういうようなことを念頭に置かないで防災対策を施しますと、たいへんなことになるということになるわけでございます。  それ以外にいろいろとありますが、時間が限られておりますので省略いたしますが、先ほどのすべりと雨との問題に関連しまして申し上げます。  崩壊現象に関連しまして、降雨強度が非常に問題になるということです。先ほど福岡先生は雨量強度と言いましたが、同じことでございます。降雨強度が非常に関係が深いということをおっしゃられました。降雨強度には非常に大きい変動がございます。で、台風とか集中豪雨の場合のことについてわれわれいま研究を進めてきておりますけれども、ベースとしては、大体二十分くらいの周期がございます。二十分くらいで強くなったり弱くなったりいたします。それの上に、短時間の非常に激しい震動が伴ってまいります。それと崩壊との関係を調べてみますと、第一回目の非常に激しい雨、集中豪雨が降りまして、降雨強度の強いものが降りましても、そのときには崩壊は発生しておりませんです。それが二、三回と続きましたところでもって崩壊が発生しております。ですから、雨それ自身が直接関係するよりは、むしろ、雨で浸透してふえてくる土壌水分あるいは地下流出の移流して入ってくる流れ、それが地層の勇断強さを弱めていくというような形になっているのだと思いますが、この研究は実はまだ総合的にはなされておりませんです。  そこの問題は、われわれこういうふうなことをやらなくちゃいけないんじゃないかということで、科学技術庁のほうには要請を出しておりますけれども、まだ総合的な研究はなされておりませんです。で、福岡先生もおっしゃられましたけれども、そういう研究が総合的に——現象は一つでございまして、非常に複雑でございます。いま科学の分野では非常に分化された、専門の立場、立場でばらばらに行なわれておりますけれども、いま文部省でも災害科学が特別研究になりまして行なわれておりますけれども、まだほんとうの総合研究が端緒についたばかりでございまして、まだほんとうにはなされておりませんです。そこで、雨から土壌水分、地下流出、それと先ほどおっしゃられました土質力学的な強さ、そういうようなものが総合的に研究されることが、崩壊現象に対して非常に大事な問題じゃないかと思います。それからもう一つは、雨の問題は地域性があると申し上げましたけれども、個々の山々の地形のいろいろな地形によりまして、雨の降り方がそれぞれ谷、沢によって違ってまいります。そうしますと、気象庁の配置しております雨量計の位置、それだけでは不十分でございます。ですから、自治体それ自身がそういう問題に対する監視体制が必要になってまいります。崩壊は時間雨量が二十ミリ以上になりますと崩壊がやはり発生しているようでございます。それから日雨量では二百ミリ以上で崩壊が始まり、四百ミリ以上になるとたいていのところが崩壊しているのが日本の実情でございます。そういうようなところから自治体それ自身も監視体制をする必要があるのじゃないかということをわれわれは主張しておるわけでございます。  四つの問題につきましては、時間がございませんのではしょりましたけれども、あとで御質問がありましたときにお受けいたしたいと思います。  これで終わります。
  12. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ありがとうございました。  それでは、これより参考人に対し質疑を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 柴立芳文

    柴立芳文君 福岡参考人にお聞きいたしますけれども、私はどうもしろうとなものだからよくわからない点がありまして、宮崎県のえびの市に起こりました地すべりなんですけれども、周囲は全然地すべりがないわけですね。あそこだけ五十万立米と言われるような土砂が下に流れているわけです。で、降雨量だけであれば、その地すべりしたところの降雨面積は一平方キロくらいだと言われておりますけれども、そういうところはたくさんあるわけです。ところがあそこだけが大災害が起こった。そして人や人家が非常に大災害をこうむったことは御承知のとおりでございますが、そのあとを見てみますと、群青色ベントナイトという土質がずっと表面に出ているわけです。それが私はすべり台になってあの大災害が起こったんじゃないかと、これをしろうとなりに考えたわけですよ。ずっと下のほうから崩壊しているわけですね。木の根なんというのは、ずっと上のほうにしかないわけですよ。それで大災害が起こったんですが、ああいうところのすべり台になるのが土質の一番大きな原因ではないのか。だから、そういうのをボーリングその他で、さっきも奥田さんがおっしゃいましたように、全部やるわけにはいかないでしょうけれども、その下流に人家があり、そうしてどうもおかしいというのは、ボーリングをしてそういうすべり台のあるところを発見をして防災をするのが一番実情的じゃないかというふうに考えるわけです。その点について専門家である先生の御意見をお聞きいたしたいわけです。  もう一つお願いします。もう一つは、天草の上島五町も災害を受けたわけです。ずっと高い山の上から山くずれがしておる。ほとんど降雨量はないんです、その頂上ですから。高い立っておる山なんです。だからあの山がくずれたというのは、その四合目か五合目あたりに崩壊が起こって、いわゆる上のほうの土砂を引きずりおろしたんじゃないか、それが勢いに乗って下のほうに流れていったのではないかという推測をしろうとなりにするわけです。で、そのあとのことなんですけれども、あれは非常に危険だから早くやらなければならないという学者があり、もう一つは、もうあれは肉がなくなっちゃったから心配要らないんだという学者があるんですが、福岡参考人はこれをどういうふうにお考えですか、二点だけお教え願いたいと思います。
  14. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) ただいまの御質問でございますが、実は不幸にいたしまして私その現地を全然見ておりませんので詳しいお答えはできないわけでございますが、伺いますと、えびの市のような場合、だいぶたくさんの家がございましたが、そういったふうな家がありまして、地理的に見まして相当広く歩けばそういったふうなすべり台があるかもしれないということがわかりますので、まずその地表面を踏査いたしまして、そういうすべり台があるかないか、ありそうかなさそうかということを調べまして、その次に今度はボーリングをかけてすべりそうな面を見つける、こういうふうな手続をとったらいいんじゃないかと思います。その場合に、すべってしまったあとからすべり台があったということは、これはだれが見ましてもすぐわかるわけでございますけれども、すべる前にそういったふうなものがあるかないかということを見つけ出す技術というものが、いまのところ私はあまりはっきりしてないんじゃないかと考えているわけです。それですべってしまったあとでこんなすべり台を見のがしていたのはおかしいじゃないかという議論は、これはだれでもできることでございますけれども、その前にすべり台があるかもしれぬぞという注意ができるほど学問も進んでおりませんし、それからそういったふうなことはやっぱり専門家が一番よくわかるわけですが、専門家の数がやはり少のうございますから、日本全国のそういう危険個所を調べて歩くという程度に至っていないんじゃないかと思います。ですからもし人がたくさん住んでおられるところで、しかもこの辺のところはしろうと目にも怪しいぞというところがございましたら、できるだけ早く専門家に見てもらいまして、そしてボーリングをしたり、あるいはボーリングだけではなかなか小さいものでございますからよくわかりませんので、やはり手で穴を掘りまして、それで直接すべり面を確かめるというようにしたらいいんじゃないかと思います。また、そういう場合に山が動いているかどうかということを、もう少しお金をかけられて確かめるという方法もありますので、怪しそうかどうかということを、なるべく、普通の科学者の人じゃない人が気をつけていただくということが重要じゃないかと思います。  それから天草の場合のことも、これも私いま初めてお伺いしましたのでよくわかりませんが、やはりこういうものも、数学で一足す一は二というような明快なお答えはできにくいものではないかと考えます。で、医学——医者を見ていただけばよくわかりますけれども、いろいろな医者がいまして、甲の人はこれはどこが悪い、乙の人はどこが悪いということを言って、同じ患者についてもいろいろな意見が出ますので、絶対的な神さまのような科学者なり技術者なりというものはいるものじゃないと私は考えます。ですからなるべく多くの科学者、技術者に診断を仰がれまして、そうしてその結果に従って判断をしていただければ一番間違いがないんじゃないかと思います。先ほど、私御説明のとき申し上げましたように、残念ながら土質工学技術があまり完全なものじゃございませんので、すべるとも考えられすべらないとも考えられるという程度の答えしか出せませんけれども、一応数字的な値はそこに出てまいりますので、それを多くの科学者、技術者が判断をいたしまして、そうして意見を申し述べることと思いますので、それをお聞きいただいて、最後に総合的に御判断いただくというのが一番適当かと考えます。  以上でございます。
  15. 柴立芳文

    柴立芳文君 委員長にちょっと御要望を申し上げておきますけれども、私はしようがないというふうなことでは、今回の災害あまりにも大きいと思うんですよ。だから、できるだけこういう専門的な先生にでも見ていただきまして、何らかの科学的な処置、方法というものを最小限に樹立してほしい。というのは、やむを得なかった、こういう雨も百年に一回というふうな推定ではだめだしということでは、あの災害はどうにもならぬと私は考えているわけです。だから、その点も決議か何かのほうで入れていただければ非常に幸いだと思っています。
  16. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 いまの質問と同じですけれども、福岡先生にお聞きいたしたいんですが、私も災害を長くやっておりますけれども、いろんなところ見てはきております。しかし、しろうとですから、十分な、われわれにどういうことなんだろうということのつかみようが出てこないんです。ただ一つだけ先ほど先生がおっしゃったように、岩石流出による崩壊があり得ること、こういう先ほどのお話だったかと私は思うんです。なるほどそうだと私も前から思っておるわけですが、いまから六年前ですか、山梨県の地すべりですね、それから今度の天草の地すべりを見ますと、両側に沢がある、その奥に山がもう一つある。したがって、その沢には岩石が長年の流積で停滞しておるんじゃないか。そこに時間当たり五十ミリの、あるいは五十五ミリというような雨量のために一挙に流れ出て、そうして、岩石とともに山くずれをするんじゃないかという気が私はしておるわけです。で、そういう危険性が多分にあるとお考えになっておるのか、この点はっきりひとつお聞かせ願いたいと、こう思うんです。  それからもう一つ、この集中的な豪雨に対しては一挙にいろんな砂防的な防止も簡単にできるものではないから、やっぱり集団的な退避の訓練が必要だと、こう私も思うわけですが、先ほど先生もそうおっしゃったと思いますが、たとえばこの沢の下に密集した家が十軒も十五軒もあれば、もう気象庁豪雨の危険性があるという場合は、避難したほうがいいんだと、それしか道はないんだと、こうお考えになっているのか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  17. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) ただいまの御質問にお答えいたします。  まず、岩石流出によって崩壊があり得るかという御質問だと思いますが、それは、私は非常に重要なポイントだと思います。これまでは土があればくずれるんだというような頭ばかりじゃなかったかと思います。ところが、先ほどおっしゃいました山梨県のくずれにいたしましても、今度、去年の千葉の災害なんかを調べてみますと、やはり南房州のほうでは岩のくずれが目立っていると思います。で、岩のくずれというのは土のくずれと非常に様相が違っておりまして、雨が降ってからくずれが起こるまでの間に非常に長い時間があることがある。雨がやんでからしばらくしてから岩が突然くずれてくる。静岡県の大くずれなんかもそうでございます。非常に予測がつきにくい。しかも土の場合ですと、土がぱらぱらとくずれてきたり、そういうケースが目に立ったりしてからくずれるわけですけれども、岩石の場合には急にくずれてまいりますので非常にこれは予測がむずかしいと思います。くずれた量はまたどうかといいますと、非常に大量の土砂がどっと出てまいりますからまたその被害も大きいですし、逃げるにいたしましても相当遠くまで逃げないといけません。ですから私どもはそういうことがあるということを認識いたしまして対処しなければならぬじゃないかと、こういうように考えます。  その次に御質問ありましたのは退避のことでございますけれども、これも確かにお説の御趣旨のとおりだと思います。やはり雨が降りましたら、どの程度の雨が降ったらどういう地形でどういう地質のところではくずれが起こりそうかという程度のことは現在私どものところでもわかっております。つゆのようなときにはどうだとか、あるいは台風のときにはどうだとかいうようなことがわかっておりますし、それから去年からことしにかけまして私どもが調べておりますところによりますと、どの程度のところまで土砂が押し寄せてくるのかというようなこともおいおいわかってまいりましたので、そういう知識を御利用いただけばどういうときにどういうところまで逃げればいいかということがわかります。ですから、できるの範囲でそういうことを御利用願えば幸いじゃないかと、私はこういうように考えます。
  18. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 福岡参考人にお伺いいたしますが、シラス地帯のことにつきましては、私は本委員会でも過去に質問したことがございますのですが、シラス地帯の研究過程がどんなふうに今日なっておりますか、そのことがひとつお伺いしたいことと。  もう一つは、昨年の宮崎を襲いましたあのやはり集中豪雨のときに決壊が、崩壊がずいぶんしました。そのときには、私ども見てまいりました感覚では、一つには林道をつくっていったそのもとが、その一角のシラス地帯の山並みがくずれていたということがしろうとなりに見てきたわけですが、そういうようなことも大きな原因じゃないかということも思っておるわけですが、こうした点についても御説明を願えれば幸いだと思います。  それから奥田参考人の方にお伺いいたしますが、先ほどのお話で多雨のところ、雨の多いところでございますね、雨の多いところの早くいえば地域分布といいますか、実は土佐山田の繁藤というのがございますが、あそこの場合なんかを考えてみますと、昔は雨つぼといっていたのが雨藤に名前が変えられているというくらいに非常に雨の多いところであります。そういうあの一帯の地帯というふうなことを、全国的に気象関係のほうではどんなような掌握のしかたを、先ほど日本列島というお話もありましたけれども、地域をどのように調べられておりますか、その点をちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  19. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) お答え申し上げます。まず第一点でございますが、シラスについてはどの程度研究をなされておるかと、こういうことであろうかと思いますが、実は、私土木の関係でしかも土の関係の勉強をしているわけなんでございまして、それ以外の分野につきましてはあまりよく知りませんけれども、土質工学会という学会がございます。土質工学会のほうではシラスの特別研究委員会というものをつくっておりまして、まあ常設委員会でございまして、相当長い間多くの研究者が研究いたしております。それで、主として九州大学とか、あるいは鹿児島大学とか、あるいは宮崎大学とかいうようなところの先生方が中心になっておられまして、年々学会の研究発表も相当ございます。  で、その次に、今度は林道のところが崩壊したというお話でございますが、道路をつくった場合にシラスが崩壊する危険性があるんじゃないかと、その崩壊をどうして防止すればいいのかということは、これはやはり一つの研究対象になっておりまして、私が昨年日本道路公団に奉職しておりましたときにも、やはり鹿児島で降雨によるシラスの崩壊の実験を実施いたしまして、その結果を使いまして設計をいたしたわけでございます。そういったふうな研究の成果を御利用いただけば、道路によるシラスの崩壊というものもある程度まで防止できるのじゃないかと、こういうふうに考えております。  以上です。
  20. 奥田穣

    参考人奥田穣君) お答え申し上げます。  日本の多雨地帯というのは、気候学的に申し上げますと、太平洋岸の、関東から以西の太平洋岸、これは多雨地帯に入ります。特にその中で多雨地帯と目される所は、紀伊半島の東側、それから四国のやはり繁藤の土佐山田から東側、それからあと九州の宮崎県、鹿児島県、それから熊本県、それから長崎県、そういうような所が多雨地帯に入ります。特に強いと思います。それからもう一つ、ごく地形がこまかくなりますので地図があればよろしいんですけれども、地図がないものですからあれですが、中部地方でずっとこう木曽川あるいは飛騨川とか、ずっと入り込む、そこのところの山合いのところで、ちょうど中腹にあたるその斜面のところが強く入る傾向があります。それから日本海のほうで降る条件というのは、今度また違ってまいりまして、よく湿舌ということをお聞きになられたことがございますと思いますが、強い非常に多湿な水蒸気量が集中して入ってくるところを湿舌というわけですが、それが日本海側から入ってくる所、その場合には日本海側のほうで豪雨が起こります。その場合には、その湿舌がどこに入っているか、あるいは前線がどこにあるかによって南北に変動するわけですが、新潟県で三年にわたって水害が発生しましたけれども、そのときにもやはりそういう日本海のほうからずっと強い水蒸気の流入がありまして、そこでじょう乱が、前線がそこに入りまして、それで豪雨があった。それが福島県の山奥まで入った、あるいは長野県の山奥まで入った、そういうところで水害が発生した。ことしは秋田県から岩手県にかけてのところに、あるいは青森県のところにかけて降っておりますが、やはりその場合には低気圧がずっと日本海の北のほうにありまして、前線がこう横切っていた、そこのところに水蒸気の多いところのものが入り込んで、そうして上昇気流を強くして雨が降ったというようなことになるわけです。大体、豪雨の降る所は、太平洋岸地帯が先ほど多雨地帯と申し上げましたけれども、それにもう一つ、梅雨前線で降る多雨地帯と、台風によって降る多雨地帯とそれぞれ違ってまいります。梅雨前線で降る多雨地帯は大体九州から東海地方までの範囲でして、関東地方ではせいぜい房総あるいは南関東地方、普通その程度でございます。それに台風が加わりますと、今度は水蒸気の入り方が違ってまいりまして、梅雨前線で降る状態に、もっと梅雨前線で入る場合には湿舌というものが大体こう西のほうから東のほうに入ってまいります。気流も、西のほうから東のほうに入ってまいります。ところが、台風というこの循環圏が入りますと、渦がこういうふうに回っているわけで、そうしますと、東寄りの風がそこに加わるわけです。東寄りの風が加わりますと、梅雨前線のときには西寄りの風ですから、西寄りの斜面のほうがわりあい多いのですが、台風の場合には東斜面のほうが強くなる。風向によりまして非常に分布が違ってくる。関東地方の大部分あるいは東北地方の東側というのは台風、それから北海道では、梅雨前線が北上して、七月末から八月に前線がまた下がってきたり何かして降るのと、それから台風というふうな形になりまして、あと台風自身がもたらす雨でもって降るというようなことで、これは台風は巨大なエネルギーを持ってやってくるものですから、経路によって降るわけですけれども、そういうとき、時期的な特徴がございます。その集中豪雨の発生しやすい所は、ですから西日本のほうが非常に多いということになるわけです。関東地方では、わりあい南部を除いては少ない。それから西日本ばかりじゃなくて、日本海側のほうでは、前線が北上していった場合に集中豪雨地域的に発生してくる。三十八年の場合には、それが山陰地方で発生して、それから逐次前線が北上するに従って山陰から北陸と、ずっとこう集中豪雨範囲が移動していったような例もございます。それは例年のことでございまして、そういうふうに発生しております。そうして特に雨の多い所は山岳部、平野部から山のほうに出ていったその山のほうに、山岳部に入った二十キロかそのくらいの所に普通は一番多く降っていくというような傾向がございます。それで、ですから、平野部と山岳部とでは画然と雨量分布に違いがあるという場合がたびたびございますので、その場合の亀裂とか崩壊とか何かの問題がそこで発生するわけでございます。  以上でございます。
  21. 星野力

    星野力君 福岡先生にお聞きしますが、先ほど植物の切り株が腐るとすべりを助長することがあると申されたのですが、その切り株というのは大体どのくらいの年月たちますと腐るものですか。植物の種類や環境条件の違いなどございますが、普通の杉であるとかヒノキであるとか、普通の日本の山野の状況ではどんなものでございましょうか。
  22. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) 植物の腐るということは、私はいまはっきりと何年ぐらいということは調べておりませんので申し上げられませんが、私の出くわしました例では、木を切ってから十年ぐらいはそこのところはたっておりました。
  23. 星野力

    星野力君 十年ぐらいだいじょうぶ。
  24. 奥田穣

    参考人奥田穣君) いや、十年ぐらいたって木が腐っておりました。それを見ましたのですが、何年ぐらいで腐るかということは私はよく知りません。
  25. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 奥田参考人にお伺いしたいと思います。  最近非常に集中豪雨が多い。集中豪雨の予測がたとえば地域的にできるのかどうか。もちろん、集中豪雨の量とかいろいろな問題、非常にむずかしい点もあろうかと思いますが、雨雲の厚さとか、あるいはその湿度等、いろいろなこと、非常にむずかしいかと思いますが、要するに、最近のがけくずれ等の事故を見ておりますと、集中豪雨、異常な集中豪雨と言われておる。そこで集中豪雨の予測というものが地域的にどうすればできるのか。部分的というか、あるいは小範囲の予測ができるのかどうかということをひとつお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、超過確率というお話がございました一これは一般の人には非常にわかりにくいことばでして、確率論であって、いろいろ河川計画が立てられておりますけれども、どうも百年洪水といっても、すぐ翌年それ以上のやつが降るというような現状でございます。そこで、やはり私は何ミリの雨に耐え得るというようなことで一応考えなきゃいかぬだろうし、またそれ以上の雨が起こることがあるかもしれません。それから確率をとるには、非常に雨量の資料が少ないという点もあろうかと思いますので、その辺の今後の先生のお考えがあればお伺いしておきたいと思っております。  それからもう一つは、福岡先生にお伺いしたいのですが、現地ではよく地すべりとがけくずれと間違って解釈されておるようですが、その辺の関係をひとつお教え願いたいと思います。  それからもう一つは、また奥田先生にお伺いしますけれども、先ほど時間雨量二十ミリでこわれている、それからあるいは日雨量が二百ミリでこわれるだろう、それから総雨量で四百ミリというお話がございました。そこでこの資料というのはどこで、どういうぐあいな統計資料に基づいてやっておいでになってきたか、これはちょっとお伺いしておきたいと思っております。こういうことがわかれば、その予測とかいろいろな問題につきまして、あるいは退避の問題とかということについてある程度目安がつけられるのではないかという気がいたしますので、この辺をお伺いしたいと思います。  それから地元では、天草の関係でございますが、一ぺん災害が起きたところというのはもう再び起きないんだという説が言われておる点がございます。もちろん災害が起きて、土石流なり、土砂くずれが起きれば、上の土を持っていくから相当長い間その点は起こらないだろうと思いますが、そういう点につきまして、そういう説が正しいのかどうかということを福岡先生にお伺いしたいと思います。  そういった点につきまして、ひとついままでの御経験に基づいた、あるいは統計に基づいた、また学識に基づいた意見を聞かしていただきたいと思います。
  26. 奥田穣

    参考人奥田穣君) 私には三つの問題が出されていると思いますので、お答え申し上げます。  集中豪雨予報の可能性の問題なんですが、これは現在気象庁でもいろいろと、気象庁だけじゃなくて、各大学の地球物理の気象学教室の連中も一緒になりまして、この問題いろいろ取り組んでやっておりますが、非常にまだむずかしい問題が含まれておりまして、こまかく、どこの地域のどの地方に、たとえば東京地方に降るか降らないか、そういうようなことになりますと、まだ非常にむずかしい。ということは、先ほどレーダーでもって雨雲の厚さとかなんかというお話がございましたけれども、そのときはもうすでに降っているわけでございまして、その降っている集中豪雨が、それが今後続くか続かないかということについては、非常にレーダーは有効でございます。その雨雲の成長は非常に早くて、大体三十分から一時間のうちにはあのような巨大な雨雲になる場合が非常に多いわけでございまして、それを予報するということは、地域的な分布予報するということは、いまのところ非常に困難な状態になっております。  それで、せっかくその集中豪雨研究ということで予算を気象研究所もいただきまして、そうして、いろいろ研究を積んできているわけでございますが、その集中豪雨の可能性については、たとえば、関東地方あるいは四国地方、九州地方の南部あるいは北部、そういうところで集中豪雨が降るぞと、降る可能性があるというようなことについてはどうやら目鼻がついてきているわけでございます。ですけれども、その中で四国のそれじゃどの付近に集中豪雨があるかといいますと、御承知のとおり、集中豪雨というのは、非常に極端な場合には二十キロの狭い範囲のところでそこだけが降っている。あとはもう総雨量で十ミリとか、百ミリ以下のところが非常に多いわけなんです。その二百ミリ以上の集中豪雨が降っているところはほんの二十キロくらいの範囲。そういうようなところの予報が可能かどうかということになると非常にむずかしいんで、そこのところをどういうふうにやっていったらいいかということを非常に頭を悩ましているところでございます。それにはやはり、われわれはポテンシャル予報と言っておりますが、可能性があるという程度だけしかいまのところできないというような形になっております。これはやはり研究は今後も積まれていかなくちゃいけないんでし三水蒸気がどっからどのように補給されていくか。それから、あとそれが地形の影響とか大気の成層の条件によってどのように変化されていくか。それからあとそこに上昇気流を一番強く与えているじょう乱が、その地域に対してどういうふうに変形を加えて上昇気流の分布を与えていくのかというようなことになりますと、これは今後の研究の課題なんですが、なかなかそこまでいうておりませんです。そういうことは、今後も研究を進めていかなくちゃいけないという考え方でやっております。  それから二番目の確率の考え方なんですけれども、これは非常にむずかしいことを申し上げましたんですけれども、これは、それじゃ経験に基づいてやったらどうかということになりますと、経験はそれがあるいは偶然に発生したものか、それとも起こるべくして起こり得たのかどうかということの問題になるわけです。で、気象のほうから申し上げますと、この地域に一番条件を悪くしまして、ここの地域に一番降り得る雨というものは何ミリなんだ。最大可能降水量といいますが、可能な降水量はどのくらいかということをほんとうは推定すればよろしいわけなんです。それを推定できれば、それに基づいて計画を立てていただければよろしいわけなんですが、先ほどの集中豪雨のメカニズムにつきましてまだわかっていない。そういうようなこともございまして、最大可能降水量というものをきめにくい状態にあるわけです。それだけわれわれの知識がまだございませんので、それで一応目安として超過確率というのを行なっておるわけで、計算しているわけでございます。その計算値がそういうような誤差があるのだということを念頭に置いてそうしてやればよろしい。計画を立てる場合にはどうしても確立計算をすることが必要なわけでございまして、ただし、それは目安を与えるんだということを念頭に置いてそれを考えていくということになると思います。三番目の、二十ミリ以上、あるいは日雨量というように申し上げましたけれども、二十四時間雨量というふうに御訂正をお願いしたいと思いますが、二十四時間雨量で二百ミリ以上、そのときにはたいていの場合に崩壊が発生しているということは、これは私たち今回の場合でございませんですけれども、災害の現地調査をいたしまして、雨の分布と、それから雨の降り方と、それから崩壊している件数、崩壊は何カ所崩壊したかというようなことと対比さして見てみますと、大体時間雨量が二十ミリ以上のところ、あるいは二十四時間雨量で、二百ミリ以上のところで崩壊個所数が多くなってきている。それから四百ミリ以上となりますと、めちゃくちゃに崩壊が多くなっているということが、これも統計的といいますと、やはり誤差がありますけれども、統計的に取り扱いますと、そういうようなものが出てまいります。ですから雨の何ミリ降ったかということを絶えず監視しておいて、崩壊する危険性があるといつも、先ほど福岡先生おっしゃいましたけれども、そのような考え方でもって監視しておいて、それで雨のほうと、それから斜面状態と監視していて、それに対応して早く逃げるということが必要なんじゃないかというふうに考えるわけです。  確率のほうは非常にむずかしい問題を提起いたしましたのですが、なおそれにはもう一つ雨のほうで計画高水流量を立てるわけなんですが、百年向こうに対して適用するものについては、たとえばよろしいとしても、今度は地面状態が土地利用とか水利用とか何かによりまして流出率が変わってまいります。それを考慮に入れて、それで計画高水流量を立てているかどうかということがもう一つそこに加わるわけなんでございますが、それは現在のところそのままで、そのままの値でもって、そして流量配分を今度は行なっているということが実情のようでございますので、そこのところやはり将来、土地利用とか水利用計画とか、地域開発がどういうふうに行なわれていくかということを念頭に置いて、その計画高水流量をきめていくということが、そこのところで大事だということを先ほど申し忘れたので、そこのところをつけ加えさしていただきたいと思います。
  27. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは、三十分までで終わりたいと思いますので、福岡参考人ひとつ簡潔にお願いいたします。
  28. 福岡正巳

    参考人福岡正巳君) お答え申し上げます。  まず第一の御質問は地すべりとがけくずれとの差違ということでございましたが、これは常識的に考えてお答えを申し上げます。  まず、地すべりの場合には、普通われわれは動く速度が五センチメートル毎日よりもおそいものというふうに考えていただいたらどうかと思います。それからがけくずれの場合は、動く速度が一メートル毎秒から三十メートル毎秒ぐらいの速度になるものだと考えてみたらどうか。それから地すべりのほうは、地下水が原因のうちの非常に大きなものであり、またすべり面の粘土が存在する。それから、がけくずれのほうは、これに対しまして、むしろ砂質土もしくは砂礫土からなり、降雨によって浸透した地下水が原因ですべるというように考えたらどうか。また、がけくずれの場合は、地震によってがけくずれが起こる場合もあるということだと思います。  それから第二点の免疫性のことについてお答えを申し上げますと、免疫性があるかないかということは地質によって違うと思います。で、一回すべった、その下の地中の岩がすべったことによりまして圧力が減少いたしまして、そのために岩石が膨張をして、そうしてその岩が変質する。そうしまして、強度が弱くなってすべりやすくなるということになります。そこに、もう一つ地下水関係で水が入りやすくなり、そうして地下水のルートが変わるというようなことが起こり得ますので、そういう場合には地下水によってすべりが起こりやすくなる。また地形が変わりますので、その地形の変わった影響が影響を及ぼして、すべりやすくなるということになります。  それから、また地すべりなんかにおきましては、一度すべった土砂がもう一回すべりを起こすという例は非常に多いと思います。それから、また土石流なんかの場合でありますと、土石流が一ぺん動いて、その堆積している土石流がまたもう一回次の再出水で動くということがあると思います。それから、それに対しまして、去年の千葉の災害なんかでございますが、この場合には、すべった土の下にある土がわりあい強度が強くて、すべった土と、それからその下の基岩と申しますか、それの強度の差が非常に著しい。したがいまして、一ぺんすべりますと、その次にすべるまでの期間が百年、非常に長い年月がかかると思います。その場合には、一ぺんすべった土の上にやわらかい土が水で運搬されてたまりまして、そこに植物が生えて、その植物の根が風化を促進して、そうして新しいすべりが発生するということになりますから、一回すべつてから次のすべりが起こるまで相当の年月がかかります。こういうことでございまして、一回すべった後に間もなくまたすべるというものと、そうでなくて百年くらいはすべらないものとありまして、その間いろいろな段階がありますから、すべるというのは、一ぺんすべったから、もうあとは免疫性があって絶対にすべらないものだと早計に考えるのは間違いであろうと思います。  以上です。
  29. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に発言もなければ、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には御多忙の中を本委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  30. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは、次に昭和四十七年七月豪雨等による災害対策に関する件を議題といたします。  この際、本名総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。簡潔にひとつお願いをいたします。
  31. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 昭和四十七年台風第七号及び第九号等による災害について御報告申し上げます。  七月十五日までの災害につきましては、去る七月十九日の本委員会におきまして御報告申し上げましたが、その後七月二十三日には台風第九号が大分県と宮崎県の県境付近に上陸し、下関付近を通って日本海に抜けました。さらに台風第七号は、七月二十日に九州の南二百キロの海上を西に進み、東シナ海に抜けましたが、その後南下し、宮古島付近を通り、さらに向きを北に変え、沖繩本島付近を通り、七月二十五日には九州の西を通って済州島方面に抜けました。  これらの台風による災害の被害は次のとおりとなっております。  まず、一般災害といたしまして、警察庁で取りまとめましたところによりますと、死者四人、行くえ不明四人、負傷者十一人、建物の全半壊、流失四十七棟、床上浸水三百五十四棟、床下浸水三千三百二十七棟、罹災者数二千百五十一人となっております。  次に、施設関係の被害といたしましては、県などからの報告によりますと、六月上旬からの梅雨前線豪雨による災害の被害額を含めまして、公共土木施設約二千四百十二億円、農地等約千二十六億円、農作物等約二百七十六億円、その他合わせまして約四千八百二十九億円となっております。  六月以来の大規模、広域にわたる災害に対処いたしまして、七月十九日の本委員会におきまして御報告申し上げました措置に加えまして、関係各省におきましては、危険地域の総点検を実施いたしております。また避難体制を考慮いたしました防災体制の強化にもつとめております。さらに激甚災害の指定につきましては、八月中旬に指定政令を制定するよう事務手続を取り急いでいるところでございます。  以上、御報告申し上げます。
  32. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより本件に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  33. 中村波男

    中村波男君 通産大臣にお伺いいたしますが、今度の災害は御承知のように、非常に範囲が広くて傷が深い。したがって、個人災害をどうするかという議論が非常に強いのですが、実は個人的ですからね、なかなか団体ではないですから、十分大臣のお耳に入っていないかもわからぬが、あるいは十分入っているかもわからぬが、従来、この災害の資金をお世話するとかいろいろやっておりましたが、今度は、まあ回ってみると、工場が流れたとか、あるいは品物が流れたり、冠水したり、まあたいへんな個人災害なんですね。それを従来と同じような取り上げ方をしては、私は不満足なんです。したがって、そういうまあ個人災害ですから、助成ということは非常にむずかしいかもわからぬが、まず第一に、そういう人たちの助成ができたら、金を貸すのではなくて助成ができたら、助成の方法があるかどうか、あるいは金利の引き下げをしてもらいたい、あるいは金の世話をしてもらいたい。従来借金があったと、その上に品物が流れてもう首が回らぬと、こういうことですから、従来の借金をたな上げして、あるいは延期して、そうしてやってもらいたいという強い要望なんです。それに対する適切な措置をお考えかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 今回、通産大臣を拝命しました中曽根でございます。どうぞよろしく。  ただいまの御質問でございますが、従来、農業と商工業とは性格が違うという法の概念に基づきまして、まあ農業の場合は生計であると、商工業の場合は企業であると、こういう観念から、農業には直接補助金がいきましたけれども、商工業にはいかないわけでございます。そういうことから金融措置を思い切ってやって、そうして金利及び償還期間、それから担保の問題、そういう点で特別の考慮を払って、早く企業力を回復する、そういう措置をやってきたのでございます。今回、補助金をやるといいますと、ちょっといまやっぱり困難な情勢でございます。したがいまして、できるだけ激甚災害に早く指定いたしまして、特利であるとか、あるいは期間であるとか、担保の問題であるとか、そういう問題でできるだけの措置を講じていきたいと、このように考えております。
  35. 中村波男

    中村波男君 岐阜県の東濃地方は、御承知のように、農業地帯でありますが、水質汚濁防止法によっていわゆる公害防除施設を無理してつくったわけであります。今度の災害でそれらの施設が流失したり、機能を喪失したというような事態が幾つかあるわけです。したがって、こういうのはいわゆる公害防止という性質からいいまして、特別な措置をひとつお考えいただきたい。ただ一般的な取り扱いとしては、あまりにも酷ではないか、こういうふうにまあ考えるわけであります。  それからもう一つは、陶土をつくります地帯が大災害が起きまして、いまほとんど陶土の搬出ができない。また道路が決壊いたしたために大型車が通れない。こういう事態で東濃一帯が有形無形に被害を受けて、ドルショックによる被害に重ねてまあダブルパンチだという実態があるわけです。そういうものについても実態を調査の上、適切な措置を講じてもらいたい。時間がありませんから、具体的に申し上げませんけれども、通産大臣の頭に置いていただいて十分ひとつ御配慮を願いたいということを要望いたしまして質問を終わります。
  36. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま陶土の公害防除施設の問題、私初めて拝聴いたしました。そのほかの岐阜県地方の問題については報告を受けております。ただいまのお話を受けまして実情をよく調べまして、できる限りの措置をいたしたいと思います。
  37. 中村英男

    中村英男君 個人の援助、補助、これはむずかしい思うんです。むずかしいと思うけれども、今度はまあ全国的に非常に個人災害をどうするかという世論が高まっておるし、またそういう要望が強いですからね。非常に従来の考え方では処理しにくい思うんですよ。ですから、今度は特別に範囲も広いし、傷も深いと、そういう立場から特別にひとつ善処してもらいたいことを要望して、お急ぎのようですから。
  38. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと関連して私のほうから要望しておきます。御返事もいただきたい。  いま岐阜県のお話が出まして、陶町あるいは瑞浪市などで十七億という被害を出しておるのです。いまお話しのあった公害防止事業団として四億の融資を受けて設備の改善をやったのにかかわらず、今回被害を受ける。しかも、これは例の円の切り上げによって対米輸出の問題について非常に被害を受けた地域です。そういう産業であって、しかも公害防止事業団からの融資も受けているし、今度そのいわゆる設備が陶土等の流失によって約十七億の被害を受けているという点が明らかになった。  もう一つは、秋田県で能代市の木材工業が米代川の堤防の決壊に伴って原木の流失約八千五百万、いわゆる製品の操業停止等に伴う被害二十五億、設備の損傷、機械など入れて合わせて二十九億八千万円の被害を出しているわけです。これは木材関係約九十の工場がこういう被害を受けているわけです。  で、お話しのありましたように、農地についてはいわゆる助成措置がとられている。しかし商工業者といえども自分の店舗や工場は、農民における農地と何ら差のあるものではないと思うのです。したがって、いまの制度としても、お話しのように助成措置を商工業についてもやるということを今後開くべきであるということは、もう当委員会等で毎回通産大臣に要請をし、そのつど通産大臣は、そういう必要を痛感していると言いながら、現実にその道を開いていなかった。いま直ちにおっしゃるようにその助成措置ができるかどうかということについては、大臣の言ったとおり疑問がある。けれども、これだけの集中的な被害を受けたことに当たって、従来のようないわゆる貸し付けの限度ではぐあい悪いじゃないか、限度額の引き上げをやるべきではないか、貸し付け期間の延長をすべきではないか、すでに借りている借入金の償還期限の延期をすべきではないか、担保の問題について、いわゆるその信用保証、担保問題について従来よりも上回った措置をすべきだと私は考えるんですが、通産大臣は従来どおりのやり方はできないとおっしゃっておるのか、この際、そういうような面について、いわゆる従来の措置を上回る措置をすることが約束できるのかどうなのか。根本的には、商工業者といえども農民における農地と同じような状態において店舗なり工場の被害には将来助成の道を開くべきであるというふうに考えておられるのかどうなのか、この二点を明確に答弁をしていただきたい。そして、この点についてひとつ田中内閣の中で十分に発言をされて善処を願いたいというのが私の希望であり、その他の人の希望だと思うんですが、これについて通産大臣の御答弁をお願いいたします。
  39. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほどの公害防除施設の問題につきましては、公害防止事業団及び環境庁ともよく相談をいたしましてできる限りの措置をやってみたいと思います。  それから委員長からお尋ねになりました点について、個人災害に対して商工業者に補助を出すというその壁を突破することは現在ではなかなかむずかしいと思います。しかし、いろいろ中小企業三機間の融資の問題、たとえば据え置き期間ということもございますし、それから返済期間の延長という問題もございますし、あるいは担保の問題、無保証無担保というやり方も弾力的に考えれば考えられると思うんです。事実上そういう方面でできるだけのことをやって、いま言ったことに代替するように努力することが当面の可能と思われる方法であると思います。したがいまして、当面はそういうことを努力してやってみたいと思っております。しかし、本質的な先ほどの問題につきましては、これは関係方面とも相談をいたしまして、われわれのほうといたしましては農家並みに取り扱えるようにぜひとも打開すべく努力してみたいと思います。
  40. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 通産大臣にお尋ねしたいんですが、今度の災害でいま中小企業等における災害の問題はもとよりでございますけれども、先ほどの答弁をお伺いしていまして私はある程度努力していただけるものだと、こう考えております。で、実情を申し上げますと、各都道府県によっては保証協会の利子補給をするというようなところもございます、これはわずかではございましょうけれども。そういう地方財政の苦しい中からそういう処置までとらなければならぬ事態にあるということだけは深い御認識のもとに先ほどの御答弁を実現してもらいたいという強い要望をこれは申し上げておきます。  なお、今度の災害で重要な問題はダムの問題です。岡山に私は四、五日前に参ったのでありますが、岡山のこの災害でダムの放水に基づいて大体医療設備がほとんどもうだめになっておるという事実が出ております。そこの町村は大体浸水三百五十戸、しかもその医療設備の再建になかなか困難をきわめておるというのが事実であります。今度のダムの放水は鹿児島の場合も二千六百トンの放水をやっておる、岡山の場合も同様二千六百の放水をやっておる。同様の被害を受けておる。これはダムそのものの基本的な考え方を考える必要があるんではないか。したがって、岡山はそのための対策委員会を設置いたしております。通産省としてはこの面に対してはひとつ建設省と強力に将来の災害を防止するために助成等をもっとやる必要があるんではないかという感を深くするわけです。すでに鹿児島の問題では通産省とも御相談があったかと思いますが、今後の対策として通産省はどうお考えになっておるのか、改善するまた意思があるのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  41. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) ダムの問題で御迷惑をおかけいたしましてたいへん恐縮に存じます。対策といたしましては、川内川の場合も同様でございますが、やはり通常貯水量というものを調節してそしてそれを少し下げて、雨が降った場合に持ちこたえられるような容量をもう少しふやすと、そういうことも一つの方法で、一番それが手っとり早い方法ではないか、そういう考えに立ちまして、ダムの管理者、あるいは発電会社等ともいろいろ協議してまいりたいと思っております。川内川の場合はすでにそういうことをもう始めておりますが、御指摘の岡山県の場合もそれでやってまいりたいと思います。
  42. 中村英男

    中村英男君 建設大臣にお伺いしたいんですが、大臣、たいへん広範な日本の災害にみずから足を運ばれていろいろな調査をされて御苦労でした。したがって、それだけに災害の実態をはだ身に受けとめておいでになって急速に災害復旧をやっておいでになっておることについて心から敬意を表します。これだけの大きな実は災害がありまして、私は中国の団長で見て歩いたのですが、災害が大きいわりに——今度の災害は山陽の中山間部から山陰の、ことに島根の海岸まで四百ミリから七百ミリ近い雨量です。非常に異常な雨量です。したがって、異常な災害を起こしておる、それにもかかわらず比較的被災者が少なかった、これはやはり町村長の功績あるいは自衛隊、機動隊、消防団あるいは住民の非常な努力と思って敬意を表しております。  そこでお伺いしたいのは、大臣、今度歩いてみられて、昭和二十九年の災害ですか、大野伴睦が九州災害のときに銭金で済むことならやろうと、十億か百億か出すことでおさまったようですな、二十九年災害は。それと同じように、町村長なりあるいは県や国が銭や金で済むことならひとつやっておいてくださいと、あと始末はしましょうと、法律はあとからだと、この態度で人心がまあある程度動揺せずにおさまってきておるんですね。そこで、それを実際に具体的に裏づけるのはこれからなんですからね。これは大臣の腕に期待したいんですが、今度の災害は大河川の災害あるいは中小河川の災害、山の崩壊あるいは宍道湖のごとき冠水——四つくらいに区別できるんですね。  そこで、一番最初にお伺いしたいのは大河川の場合ですね、岡山県の四つの川、あるいは広島県の太田川あるいは江川の上流、あるいは島根県の三つの川。  そこで江川について最初にお伺いしたいんですが、これは広島が三分の一か三分の二ですか、水域を持っておりますね。そこで回ってみますると、まず地元の人が言うには、直轄河川の幅を、範囲を広げてもらいたいと——これはもちろん地元負担が少ないですからね。これをひとつ、直轄河川の延長をやってもらいたいということを具体的にお考えになっておるかどうか。
  43. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 江川のお話でありまするが、災害地に参りまして罹災者その他の人々の意見をお聞きいたしまして、そして、その場所その場所で適切なやっぱり対策を講じてあげなきゃならない、こういうように感じまして、そして必要な場所は広げると、広げなきゃならないと、こういうように指令をしてまいりましたから、そのとおりに実行してみたいと、こう思っております。
  44. 中村英男

    中村英男君 それから異常な雨量ですが、遊水地帯がなくなったんですね、河川改修で。しかも、それは上流から河川改修をやって、下のほうがおくれたんですね。そういう事情のために一そうその被害を大にしておるわけですから、今度改修される場合には原形復旧じゃないと、改修だと、そう言われてるんですから、ああいう川でもやっぱり遊水地帯を設けるべきじゃないかと、こう思うとるんですよ。堤防をぴたっと築いて——そりゃ田んぼがあったり家があったりすりゃ別ですけれども、そうでないところは、山の大した田んぼのないところは広げたらいいんですよ、まっすぐにせずに。そういう遊水地帯を設けることが一つと、それからかさ上げをして、そしてはんらんしないようにしてもらいたいという要望は当然です。  そこで、江川については、一級河川に指定されて、そしてかさ上げをして改修をしてもらっておるが、速度が鈍いんですね。単年度でできるかどうか、これはできると思うんです。なぜかというと、広島、岡山の知事には聞かなかったが、島根県が言うには、土地の買収費は県の公社で立てかえましょう、こう主張しておるんですね。そしたら、工事費にそれが回るわけですから、ですからそれは単年度にできる地点がありはしないか。たとえば川本、川戸、江津の渡津地区はもうすでに買収費がついておるんですからね。それは県が立てかえたら、その買収費は工事費に回れば単年で済まないかと。なぜそう言うかというと、今度の災害を見ても、途中で置いてあるために、単年度でないから、その次のところから、工事をしておるその次から堤防が切れて土砂を持ってきておるんですから、これはぜひひとつ勇断を持って単年度で県と相談してやっていただきたいと。
  45. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 最も適切な方法を講じます。そして、二度と被害の起きないような、まあ先ほどのおことばでありましたが、銭金に糸目をつけないで、二度と災害の起きないようなやり方をやってみたい、こういう考えでおります。  それから、江川の上流にはやっぱり一つの遊水的なものなんですが、ダムをつくらなきゃならないだろうと、こういう考えでいまダムの設計を考えております。
  46. 須原昭二

    須原昭二君 いま大臣は銭金に糸目をつけずにと大胆な御発言をいただいて、非常に感心をしておるわけなんです。  実は十五日には愛知の西三河、そして東濃地方を急遽御視察をいただいて、この機会に厚くお礼を申し上げておきます。  しかし、実は私非常に心配しておることは、当時の現地の中日、毎日、朝日、すべての一流新聞が大々的に高く称賛をして書いておるわけです。ちょっと読んでみますが、大きな字で、「「何でもしてあげる」木村建設相〃やる気〃大盤振るまい」、こう書いてあるわけです。中を見ますると、「政府は敏速果敢にやる。なんでもいってきなさい」あるいは「〃やる気〃だけは威勢よくふりまいていった」「政府は法にとらわれず敏速に対策を立てる」こういういろいろの発言をされておるわけですが、特に現地で当日、小原の村役場でしたか、その記者会見の席上で、端的に「小原村を中心に西三河、東濃の被災地一帯を災害激じん地に指定する」、こう即断をされておるわけです。そういう問題について、実は地元の皆さんはほんとうにいまの銭金に糸目をつけずというお話がございましたが、勇断ある思い切った大胆な発言に対して非常に感心をしたり、実はびっくりしたり、ほんとうかなあと疑ってみたり、さまざまの考えが地元住民の中にあふれておるわけです。  そこで私はお尋ねをいたしたいのは、小原を中心にしてというその範囲ですね、範囲がたとえば愛知の西三河でいうならば、一番ひどかった小原、藤岡を中心に、さらにまた旭町の中で岐阜県から越県合併をいたしました三濃という部落、あるいはまた足助、豊田の一部、そうしたものがありますが、さらに東濃地方におきましては明智、瑞浪、たくさんのところがございますが、はたしてこれを激甚地に指定をするとおっしゃいました概念はどこをさしておられるのか、この点をひとつお尋ねをいたしたいということが一つ。  いま一つは、東京に帰って直ちに手続をする、こうおっしゃっております。もうすでに一カ月たとうといたしておりますが、この適用をいつやられるのか、この際、御発言はきわめて大胆に率直におっしゃっておられますから、これまた抽象的ではなく断言をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  47. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 今度の災害を受けました場所ですね、それは全部激甚災害地として指定いたします。ただ指定がおくれておりましてまことに申しわけないと思っておりまするが、総務長官、災害対策の本部長でして、総務長官も一生懸命になって、早く指定しようと思って努力いたしておりまするが、いまお聞きいたしますると、中旬には間違いなく指定できると、こういうことでありまして、中旬には——そうして指定する場所はこの今度の災害を受けた場所をほとんど全部指定いたします。いまお話になりました場所はみな指定になると思います。
  48. 中村英男

    中村英男君 いま大臣から治水ダム、防災ダムの問題が出ましたが、お回りになって大臣にも要望されたと思うんですが、今度の災害で電源ダムは評判が悪いですね、どこも。ですから、これは防災ダム、治水ダムをつくるべきだというこの主張ですね、私も当然だと思う。そこで各県ともこれは治水ダムをつくれ、つくってもらいたい、こう要望しておるわけですから、具体的にいいますとたくさんございますけれども、私はまあ島根県だから島根県のこと一番よくわかっておるんですが、それぞれあると思うんです。江川なんかの本流に大きな治水ダムをつくるということは非常にむずかしい思うんですね。むずかしい思うが、あのときに大臣お聞きになったように、治水ダムをつくってくれ、これもひとつ研究してもらいたいこと。それから島根県でも五つぐらい、高津川から三隅川から斐伊川から治水ダムをつくってもらいたい。これはなぜかいうと、島根県は十四、五年前ですか、浜田川でたいへんな浜田に災害があって、そのときに治水ダムをつくってもらったんです。空閑期には電気だけはちょっとやっておりますけれども、まあ防災ダムですね。これが非常にあの七百ミリ近い雨量がありながら浜田がはんらんしなかったということは、これは治水ダムそのもののおかげなんですね。このことをいい例としておりますから、ひとつこれは大臣全国的にそういう要望が強いと思うから、ぜひそういう防災ダムですか、治水ダムですか、これをひとつ促進するようにお願いしたい思いますが、どうですか。
  49. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 防災ダムを主としておりまして、そうして島根県の川ですね、全部の上流について一ぺん調査を始めたいと思っております。来年から調査費をつけて調査いたします。
  50. 中村英男

    中村英男君 大臣お急ぎのようですから、ごく簡単に、他の委員もありましょうから。  もう一つ宍道湖のはんらんですね、これは水量が多くて、言うなれば収支のバランスがくずれたわけですね。そこでこれをどうするかという問題は二つ三つある思うんですね。一つは入るを防いだらいいんです。つまりダムを築くか、あるいは斐伊川から神戸川に落とすか、よけい出るように大橋川から改修するか、その他の日本海に抜ける水路をつくるか、三つ四つある思うんですね。しかし一番適切なことは何かということをいろいろ建設省でも議論されておる思うんですね。これはまあ二十数年の懸案ですから、私はこの際に、単にあの地方のはんらんしておるのは松江や平田だということでなくして、あの河床の高い天井川の斐伊川がもし決壊したら——たまたま雨量が少なかったから出雲市のはんらんは免れたけれども、少なくとも、そこに重点を置いて、もし雨量が多かったら斐伊川がはんらんして、天井川だから出雲市は壊滅するぞと、このことを強く言って、私はやはり斐伊川を神戸川に分水をして、入るを防いだらいい思うのです。その上にダムにつくることはけっこうですが、これをひとつ知事にも私は言っておるのですが、具体的にそれをひとつ処理していただきたいと、こう思います。
  51. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 斐伊川、神戸川すべて含めて総合的にいま考えておるのですよ。地元に参りましても、斐伊川から神戸川のほうに一つの放水路をつくる、そのためには神戸川の日本海に近いところの川幅を広げる、こういうような問題が一番いいのじゃないか、こういうふうに考えてきたんですけれども、やっぱり地元にいろいろな意見があったものですから、どれがいいかという決定はしないできたんです。それで中村議員なんかの意見も十分お聞きして、やっぱり一番いい方法を講じていきたい。私の考えとしては、いまあなたがおっしゃったような方法が一番いいのじゃないか。それでまとまるものならまとめてみたいなという気持ちを実は持っておるのですけれども、まだ向こうの意見も煮詰めていないものですから、発表しかねておるのでありまするが、私はあなたの意見であったならば、非常にいいのじゃないか。そうすれば、いまから神戸川の下流のほうの川幅を広げるための予算をつけたり何かしていきたい、これは私考えております。
  52. 中村英男

    中村英男君 これは大臣に聞いていいかどうかわからぬが、これは原形復旧じゃなくて改良工事だと、それはよろしいですね。それから基準をやっぱりきめてやらないと、地建の査定が困ると思うんです。それから緩和してもらいたいということ。  それから大臣は田中内閣の震源地ですから、実力者だと思うから、二千億の財源があるから、だから臨時国会開かなくても、それでまかなうという意見もあると思うんです。あると思うが、何しろ災害範囲が広いし、銭金で済むことなら、ひとつやっておけと、あと始末はこっちで法律の改正その他をやろう、こういう非常にいい態度ですから、ね。ひとつ臨時国会を、これはむずかしい、臨時国会を開けば解散しなければならぬですが、そこら辺がむずかしいが、臨時国会を早く開いて、そしてこの災害に対する全国的な応急処置を早くやる意思があるか。総務長官も来ておいでになる。一つその辺を、臨時国会を早くやると、どうか。
  53. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 臨時国会を開くかいなかということは、ほんとうにおっしゃるとおり、開いてそしてうっかり開くと解散になるということになるとたいへんなことですから、開くか開かないかということは、とても何だか返事できないのです。これはあしからずつひとつ御了承願いたいと思います。
  54. 柴立芳文

    柴立芳文君 関連。この機会にもう一ぺん川内川のことについて明らかにしておきたいと思いますから質問さしていただきます。  先般来、建設大臣、川内川の視察に行っていただきまして、適切な御指示をしていただきまして感謝申し上げます。ただその後川内川の抜本対策については、前向きで検討しておるということで安心をいたしておるわけなんですが、ただし、やっぱりダムと湯田温泉の関係がどうも地域の方方も納得がいかなくて、現在でもダムの所長や、あるいは九州地建の方々と折衝をされている。その内容は、やはりダム操作によって、湯田温泉という温泉が一瞬にして流れたのでありますが、こういう理由に尽きると思うのです。そこで、きょう鶴田ダム操作規則というのをいただいたのですが、先ほど資料をいただきまして、私はこれを読んでみたのですが、どうもやはり私自体も結果的には、あの異常な雨量によりまして、鶴田ダムという温泉街が流れたかもしれない。しかし、実は調節がまずかったので、あれだけの災害が一瞬にして起ったということに対しては、やはりダム操作によるものであるというふうに、地域の人々は断定をされておるわけです。そしていろいろ折衝されておりますが、なかなかこれが平行線をとっていることは事実であります。  そこで申し上げますけれども、私この規則を見てみまして、第四章の洪水調節等というところの条項を読んでみますと、第十三条の第三項に、「洪水調節計画を立て、予備放流水位を定めること」、そして予測しなきゃならないということが第一項にある。そして第十五条に、その予測のもとにその放水量というものをきめていくということになっておるわけであります。たとえばこのデータによりますと、七月の五日の十一時から二十二時まで十一時間の間放流量はずっと平行線で放流されておるわけです。ところが、その間にどんどん流入量が多くなりまして、ダムの水位が上がっているということは、これは表で出ておるわけです。そこでもしこの十五条を適用しますと、これは河川局長でけっこうなんですが、これを適用しますと、たとえば、七月の五日の夜の二十時、この時期ではおそらく千三百八十トンくらいの放流量がなければならないことになっておる、この規則からいくと。ところが十一時間というものは平行線で放流をしておるから、雨が降ったのでどんどん水位が急上昇いたしておる。それで川内川の水位がぐっと上がってしまったんだというふうに地元の人はこの表、データを見ておっしゃっている。私もそう思うわけです。したがって、これは建設省には規則の上では、あの操作にミスはなかったかもしれないけれども、その予測は誤ったんだということだけは確かに言えるわけですね。だからそういう面について、これは人災であると地元の人は言っていらっしゃるんです。そのことを明らかにしていただいて、そして建設大臣はその陳情に対して、おれの建設大臣だけでできるものならやるけれども、これは総務長官なり大蔵大臣と相談しなければならないと約束をされました。したがって、こういう事実から見て、湯田温泉の流された原因が建設省の鶴田ダムの操作によらないんだということは言えないと私は思う。したがって、この十五条を適用しますと、ずっと放流量を上げておれば、徐々に上がっていって、そんなに急激には出なかったんだというふうな証拠になるわけです。その点はその後どういうふうになっておるかどうか。私はこの点については、建設大臣を中心にしてやらないと解決をしないと見ておるものですから、視察をされたときのこと、あるいはそのときに自分だけではどうにもならないとおっしゃった、そうして帰って相談をするとおっしゃいましたが、その後事務当局あるいは総務長官並びに大蔵大臣との関係において、いまの湯田温泉の被災、流失された被災の方々をどうするのかということについてお聞かせをいただきたい。
  55. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 帰りましてから、まだあっちこっち回ったりしておるものですから、まとまってまだ話はしておりませんけれども、個々には話し、いま総務長官とか、それから官房長官など個々には話をしておりまするけれども、まだ会議的なことはやっておりません。建設省としては、その川内川の改修問題を一生懸命にやっておりまして、その補償の問題はまだまとまって話をしておりません。きのうも二階堂君と会って話をしようと思いましたが、二階堂君は長崎に行っておりまして、きょうもまだ帰ってこないんですよ。私はおとといの晩沖繩から帰ってきたばっかりのものですから、なるべく早くまとめて、このことを相談してみよう、こう思っておりまするが、きめ手がないんです、自分としては。ただ、何とかしてあげなければならないと、こういうことなものでちょっと時間をかしてください。
  56. 中村英男

    中村英男君 また具体的な例をあげますが、単年度で堤防をやる、こうなってくると川戸、川本のごとく大臣が言われたように、天井川で土砂の搬出にたいへんなんですね、町も本人も。そこで土砂を搬出する費用、土を毎日運んで出しているわけだ、それをブル使ってやったりするのは、市がやっておりますが、しかし個人でも毎日やっておる。この個人が土を出す費用を、国にめんどうみていただきたい、このようになるんですね。これを処理してもらいたいことが一つと、それから町づくり、堤防ができたあと町づくりをどうするか、移転するか、その場所にするかという議論を市町村と県でいま話を煮詰めております。そのときには相談に乗ってやって、土を持ってくる費用は法律がないとできぬ、こういう議論もあるでしょう。ありますけれども、特別にそこへ土を盛らなかったら費用も出さないぞ、こういう議論になるかもわからない。そうすると、土を持ってくる費用をどっかで出さなければなりませんから、そういうときに建設省は話に乗ってもらいたいこと、それから、川本のごとくげたばきにして——そしてアユやコイは水路をつくってやって、住宅は別にして、前のほうは公園にして、別に町をつくれ、それぐらいのアイデアを持てと言っているんですが、かさ上げして堤防ができたらその町づくりの話に具体的に入るでしょう。その場合に、建設省はぜひそういうことをひとつ頭に入れて——いままでの災害とは違うんですからね、大臣御承知のように、天井までどろが入っているんですよ。このどろを運ぶ、個人が運び出す費用を特別にひとつ見てもらいたいことが一つと、町づくりに対する県や市町村が具体的な話をまとめた場合に、ひとつ大臣も十分相談に乗ってもらいたい。この希望ですが、もし返答がございましたら。
  57. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 川本も桜江も同じだと思いますけれども、あのように川が土砂を町の中に——しかも個人の家の二階まで持ち運んできてしまうと、ほんとうに手がつけられないような状態でこれをやっぱり運び出すということは個人がいままではやっておったんだろうが、個人じゃとてもできるものじゃない。かりにできたとしても、その人に対してはやっぱり何らかの方法を講じてあげなきゃならぬだろうと、こう思ってきたんであります。それで、そのことにつきましては、いまどうしてその費用を負担してあげるかということで研究いたしております。現場を見てまいりまして切実に感じた問題でありまするから、何とかしてみたいと、こういう考えでいま研究いたしております。  それから、町づくりの問題なんでありまするが、やはり堤防を高くして、思い切って高くして、今度はその内側に町をつくるとなると、町づくりのかっこうもまるきり別になってきやしないかということは、現場であなたともいろいろ話をした問題でありますから、県と町当局が一緒になりまして、何らかの形で新しい町づくりでも何でもけっこうですけれども、おやりになる場合には建設省としては十分御相談に応じまして、積極的に御相談に応じてみたいと、こういう考えを持っております。
  58. 須原昭二

    須原昭二君 まことに疑うようで申しわけないと思うんですけれども、あまりにもりっぱに御答弁いただいたからこちらも戸惑っておるわけですが、先ほど申し上げた小原、藤岡足助、旭、豊田、全部指定をされるということですね。確認をしたいと思います。いいですか。
  59. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 災害地全部指定いたします。
  60. 須原昭二

    須原昭二君 それから岐阜県の東濃一帯、この地域をきちっと確認したいということ、それから中旬と言われますが、一日も早く指定をして、適用をされたいという地元では、非常な熱烈な希望があるわけです。したがって、中旬といっても十日の幅がありますから、したがって、どの日をめどにされておられるのか、この際明らかにしていただきたい。
  61. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 災害地は全部指定をいたします。あなたのいま御指摘になりました場所は全部指定できると思いますよ。まず自分の行ってきた場所はわかりますけれども、その場所まで参りまして、行けなかった場所もあるものですから、そこは見てこないものですから記憶にない。それで、くどいようにお尋ねになりましたけれども、災害地は全部指定いたします。そいつはどうか御懸念のなく考えてください。  それから日にちの問題なんですがね、私のほうも一生懸命になって進めているんですよ。それから総務長官も一生懸命になって担当者を叱吃勉励しておいでになるもののごとくでありまするが、やはり惰性があるんですよ、悪いことには。それで一生懸命になっておりますから、いつと言われると私にわかりませんが、総務長官からお答えしてもらいたいと思います。
  62. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 建設大臣からお答えがございましたが、私、本部の考え方といたしましては、前回も申し上げましたが、今次の豪雨災害は激甚災に指定する見通しが立っているということをこの前申し上げました。現実に指定いたしますのは、先ほど申し上げました八月中旬、私自身は十五日にと思っておりますが、八月中旬には必らず指定をするということでございます。  それから、建設省その他の関係省からお答えいただいたほうが適当でございますが、いま申し上げますように、この七月豪雨についての災害は、激甚災の指定をいたします。したがって、各町村の災害はその被害の実態に応じまして、激甚災の特例の措置をとるかとらないかということは、それぞれ査定基準によって査定をいたしました結果によって措置をすることになります。しかし、建設大臣がお話しのように、いままでのごらんになったところ、あるいは一応話題になっております災害が非常に激しい地帯というのは、大体指定をされるのではないかという建設大臣のお答えだと思いますが、それに対しまして、私のほうはその後調査をいま最終的な詰めをして、調査をしていただくという段階になっております。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 災害地を回ってみますと、復旧について、原形復旧でなくて、改良復旧にしてもらいたい、こういう声が非常に強いわけです。なぜそういう要望が強いかと、こういうことになるわけですけれども、これはあくまで法律の上で、たとえば公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第二条、それから、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する負担法律の第二条、これらに原形復旧ということが原則になっているわけです。ですから、原形復旧という、こういう法律がある以上、現地としては融通がきかないわけです。ですから、どうしてもこの原形復旧では今後もまたそういういろいろの災害を、被害を受ける可能性が多い。だから、何とかしてこの際改良をしたいと、こういうわけです。ところが、こういう法律があるために、その辺が障害になって、地元の思うようにできない、こういうことなんですけれども。そこで、この法律は当然変えるべきだと、原形復旧という、こういった考え方を取り除くべきだと、こういうように私は考えるわけです。この点について、今後の問題として大臣はどういうふうにお考えになっているのか、この点をひとつ。   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
  64. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) そういう法律はいまありまするけれども、今度の災害は全部原形復旧じゃないと、改良復旧なんだということは、建設省では再三再四言っております。そして、ほんとうに原形復旧でなくですな、改良復旧をさせるように一生懸命になって指導いたしております。ただ、そういう法律があるせいかどうか知りませんけれども、指導しておる過程において、原形復旧のような案をつくられる市町村もなきにしもあらずなんでありまして、それでは困るといって、一生懸命になってやっております。  ただ、そういう法律がありまするから、その法律をなくしたほうがいいか悪いかと、こういう問題は、こいつはいまのところ、あったってじゃまにならないように思いまするけれども、あって将来じゃまになるんであったならば、なくしたほうがいいんではないかとも考えまするが、どうしたほうがいいかということは、これから考えさしてもらいます。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣の言われること、わからないわけではないですがね、いま申し上げたように、現地へ行きますと、徹底して、改良復旧を認めてもらいたいと、こういうことなんです。それは、しつこいようですけれども、いまのような法律がある。大臣が考えられるように、原形復旧とはあるけれども、改良復旧を大いに奨励をしておると、こういうこと。大臣の考え方はそうであっても、現地と関係省庁の係、いわゆる係ですね、これらとの関係というものは、大臣が考えているようなそういう単純なものではない。非常に、この法律があるために、その辺の査定がきびしい、こういったことが言えるわけです。そういう立場から言うならば、やはりこの法律というものは早く是正しなきゃいかぬじゃないか。そうでなければ、災害を受けた上、なお復旧に対して真剣な現地が、こういったものによってその意欲を阻害される、こういうことも言えるわけです。また、将来に向かって完全ないわゆる防災体制をつくるために、こういうものが非常に大きな支障になる、こういう感じがいたしますので、これは、いま大臣のお答えわからないわけではありませんけれども、そういった実情というものを踏まえて、もう一歩突っ込んで私は考えてもらいたいし、またその上で、一日も早くこの法律の改正なり何なりを急いでもらいたい。   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕 こういうふうに考えます。最後は要望になります。  次に、これも絶えず言われることですけれども、急傾斜地の指定の問題ですね。今度、私は静岡、それから愛知、岐阜と、ここへ行ってまいりました。そして、特に静岡の場合で強く感じたわけですけれども、小山町というところがあります。ここは非常に災害をひどく受けているところなんです。ここに城山という山がありまして、これは前にも崩壊したことがあるようですが、このまわり——これ町の中にあるわけですよ。このまわりに、相当、何軒かあるわけです。そのうちの四軒かそこらが土砂の崩壊でつぶれ、しかも犠牲者を出している。こういうことなんですね。そこは全然急傾斜地の指定がなされていないわけです。そういうことで、これは一例でございますが、全国的に言っても、いわゆる急傾斜地の指定が一万三千幾らですか、非常に全国的に言うならわずかなもんです。そのように、この急傾斜地の指定というものがなかなか進まない。これはやはり私は問題だろうと思うんです。なぜ急傾斜地の指定というものが進まないか。その原因、理由というものを私はここで確認する必要があるのじゃないか、こう思うわけですね。大臣は、その急傾斜地の指定というものが進まないいわゆる最大の原因、理由はどういうところにあるんだと、その点はどのように踏まえておられるのか、その点についてひとつお答えいただきたい。
  66. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 今度の災害の特徴的なものは、急傾斜地が崩壊してそうして非常な被害を与えたことなんでありまして、指定しなければならない場所は全国的に非常にたくさんあると思います。いままでのやり方からいたしますると、市町村長の意見を聞いて知事が指定すると、こうなっておりまするが、指定する知事のほうからいいますると、指定したいのだけれども結局銭がないということだったんじゃないかと、こういうように思いますね。それですから、やっぱり予算を多く持ったならば指定地も多くなってくるだろうと、こういうように考えておりまして、最大の障害は予算にあったんじゃないかと、こういうように自分は思っております。これはきわめて単純素朴な私の考えなんですよ。ただ、事務当局の人に聞いてみますれば、そうでないとおっしゃるかもしれませんけれども、私はそういうように思っております。
  67. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣のおっしゃるように、この補助については、いわゆる指定地に指定された場合、国が四〇%、県が四〇%ですか、地元が二〇%、こういうようなことですね。ですから、確かに予算的な問題、これは一番大きな問題だろうと、こう思います。  と同時に、現地へ行って聞くところによりますと、やはりそのほかに、たとえば指定をされると地価が下がる。地価、いわゆる土地の値段ですね、これが下がる、こういうようなことを言っております。あるいはまた、観光地のような場合には、いわゆる観光としての価値がやっぱり下がる、こういうようなこと。こういういろいろな声があるわけです。そういった面についても、適切な私は指導というものが必要である、こう思います。現地での実際の声なんですから、そういう声があるということは、それに対しての適切な指導、考え方というものが建設省にもなければならぬと私は思う。その点、そういう障害をどういうふうに今後排除していくか、そうしていわゆる急傾斜地の指定を進めていくか。こういった点はやはり一つの問題点だろうと思うのですね。ですから、その点についての考え方をひとつ伺いたい。
  68. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 全くお話しのとおりなこともあると思います。悪い指定を受けますると地価が下がるとか、そこが観光地帯であったならば、危険だと言われると観光地帯としての値打ちも下がるだろう。したがって、そういうような傷口になるようなものは全部隠しておると、隠しておってもらいたいと、こういう気持ちもあるかもしれませんけれども、やっぱり危険個所は危険個所として扱って、何よりも大切なものは人命ですからね、地価が下がることよりも命が大切だと。観光地であるということよりも命が大切なんですからな。やっぱりそこは、そういうような危険が起きない前に未然に対策を講じておったならば、地価も下げないで済むんじゃないかと、それから観光地としての価値もこわさないで済むんじゃないかとも思いまするから、そういう点はやっぱり正直に大胆にやるように指導したほうがいいのじゃないかと、こう思います。  とにかく、今度の災害の特徴は、こういうところに起きておったと。そして、洪水のために、水が非常に出たがために水死したという人よりも、土砂くずれのために圧殺されたという人のほうが非常に多いんですから、これはこれとして、やっぱり急速にそうして大胆にいろんなことも考慮しながらやったほうがいいのじゃないかと、こう思いますね。
  69. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 結論的に、この問題についての結論ですけれども、大臣が、問題は金の問題だろうと、こういうことをお話しになったわけです。そのことについて、この指定された場合に、国の補助というか、国が四〇%、県が四〇%、地元が二〇%。大臣が金の問題だと、こうおっしゃるのですから、大臣はこの問題について、もっと金を国が出そうと、こういう腹でいらっしゃるのかどうか。
  70. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) いま危険地域というものの総点検をやっておるのです。そうして、点検して発見された場所は、やはり適切な対策を講ずるために総点検をしているのですから、ただ単に総点検しているのじゃありませんから、もちろん金を出すという考えで、出さなければならないという考えで総点検をやっておるのでありまして、帰するところはやはり一番たつといものは人命だと、こういう立場に立って、こういう問題といま取り組んでおります。
  71. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 関連さしてください。  いま大臣が、金の問題、予算を出してやらなければいけないというふうなお話で、非常に意を強くしているわけです。激甚災害に対処するための特別財政援助等に関する法律、この中の二章の「公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助」という面から、出し方によって、これはだいぶ違ってくるのじゃないかとも思うわけです。と申し上げますのは、先ほどお話が出ました、大臣もお行きになりました島根の川本町、あの土砂です。あのところには大臣はたしかあのときにはまだ地上におりられなくて、ヘリコプターでたしかお回りになったという話を聞いたんですが、私ども二週間後に行ったときは、まだ長ぐつはいて歩いても埋もっていくような状況でございました。先ほどお話がありましたように、二階の軒まで土砂が詰まっている。そこでこの基準によりますと、崩壊による宅地内に堆積した土砂の排除については、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に準拠すれば、一市町村というものが三万平米以上の、一カ所において二千平米以上の場合に国庫負担が二分の一となっていると、こういうふうな準拠によったところの手当てを出しているというのですが、大臣も御存じのように、あの川本町は全町全部やられてしまった。町の代表の人が泣いて訴えておりました。その一つに、逃げるのはやすい、町を救出するのはかたし、借金をして借金をして、今日まで毎年のように被害を受けてきている。また借金をしなければならない。だけれども、ここで私たちが逃げ出したらどうなるのだということで、新しい町づくりをしなければならないのだと、そのためには、その排土というものを、これは平面で言っておりますが、立米で計算してやっていくべきじゃないか。土佐山田のあの繁藤の場合にも、十万立米のものが流れてきた、前回の委員会でこれを私は申し上げました。今回の川本にしろ、桜江にしましても、膨大な立米です。これは、一定のいま私が申し上げました平面によるところの災害の救助体制というものでない立米の容積によっての災害対策の法律というものはどういうふうに考えておられるのか。それで、いまだにその土を除去しております。こういう点についての考え方、財政援助について、あとこまかい法律的なずっと個条がございます、十三までありますけれども、これは関連質問ですから、午後の質問のときにゆっくりやりますけれども、大臣の基本的な考え方だけを伺っておきたい。
  72. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 私も川本にはおりたんです。そして全くお気の毒で、ことばも出なかったのであります。桜江にはおりられなかった。ヘリコプターの上から見ましたときには、死の町になったんじゃないか、人が一人もおられないように見えたのですけれども、わずかながら人影を発見したものですから、死の町にならなくて済んだなと思いましたけれども、全く悲惨そのものであったのであります。だから、川本に桜江の町長さんもおいでになりましたし、沿道の市町長はみんなおいでになりまして、そこでお話をいたしたのでありますが、私というやつはこういうやつなものですから、あまり法律にとらわれない男なんです。それで、何とかしてあげなければならないと、こういうように切実に感じて、そして帰りまして話をしたところが、現行法律の中で相当考えられる、こういうあなたのいまおっしゃったような話もあって、法律の中で相当考えられるというようなことを事務当局が言っておりましたけれども、どの程度に考えられるかどうかということは、自分自身としてはわかりませんけれども、法律の許す範囲内において思い切って——法律の範囲外のことでも、やっぱり運用の妙は人にありますから、何やかにや考えて、ああいう特別な区域の人に対しては、やっぱり特別な方法を何らかの形で考えてみたいな、こういう気持ちで私はいま取り組んでおるのであります。そうでありまするから、具体的に法律はどうだこうだと、こういうことになりますると、私わからないんですよ。ですから、必要がありましたならば、河川局長から答弁いたさせます。
  73. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 もう時間がなくなりましたので、続けてあと二問だけ大臣にお伺いしておきたい。  一つは、先ほどもちょっと問題になりましたけれども、ダム建設の問題です。特にことしの災害を見てみますと、ダムの放流というものが被害を大きくしている、こういう現地の声、また実際に見て、なるほどさもあらんというふうに感じる問題が多々ありました。そこで、先ほど通産大臣が、ダムの操作について云々しておられました。私はやはり電力主体のダムの場合、いわゆる操作によってそういう災害、被害というものを小さくするのだという考え方、これはちょっと——全然当を得てないとは言えないかもしれないけれども、それだけでは間に合わない、それで、これは通産大臣の考え方を先ほど聞いたのですが、建設大臣は、ことしのこういうダム放流ということが被害につながってきた、こういう見地から、今後のいわゆるダム建設についての考え方あるいはまたいわゆる通産大臣が言った操作だけで今後考えていけばこと足りるじゃないか、こういうふうに考えておられるのか、今後の大臣のこの辺についての方針といいますか、考え方についてお尋ねをしたいと思います。これが一点です。  それからもう一つは、最近の災害は、昭和三十五、六年から、いわゆる台風から集中豪雨による災害、こういうふうに気象の変化といいますか、だんだん変わってきているわけです。そこで、特にいままで台風による災害の場合は、海からやってくる、言うならば表からやってくる、ですから、山のほうの人は、山をうしろにしてそして住居をつくっておるというようなことで、そういう状態の中で、いわゆる最近の集中豪雨による被害というものは起きてきているわけですね。いわゆる山の崩壊、それによってそれらの家がくずれてくる、こういうことなんですね。そこで、そういうことを考えますと、これからは河川がこわれたからその河川をいわゆる改良復旧すればいい、山のほうはこの程度、こういうふうに堰堤をつくって工事すればいいとか、そういうただ部分的な問題ではなくして、いわゆる町の構造全体を変えていくというもっと先に進んだ考え方が私は必要になってくるんじゃないか。そうなると、相当な財政的にも大きなものが必要になってくるわけです。こういった感を非常に強くしたわけですけれども、そういったことについての大臣のお考えをお聞かせ願いたい、こう思います。この二点を伺います。
  74. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ダムの問題なんですけれども、多目的ダムだとか利水のダムだとかいろいろありまするが、建設省が結論として管理、監督しているダムに対しては、建設省としてはこういう方針で臨んでいきたい。どのような問題が起きようとも、第一の条件が人命尊重だから、その場合は必要に応じて放水するものは放水する、どこがどうのこうの、将来問題が起きても、それぐらいの厳重な処置はとってよろしい、こういうように私は今度は、川内川のときでも指令してきたんですよ。それですから、建設省の支配下にあるダムに対しては、そういう方針で望みます。  それからいまおっしゃいました問題は、町づくりということになりますると、危険区域におる人とか、そういうような者は集団的に移転しなきゃならないというような問題が加味されるんじゃないかと思っております。その法律的な根拠を今度はつくってみたい、こう思いまして、いまそれをつくるように研究いたしております。やっぱり災害でいろいろなことを教わるものですから、すなおにそれを受けて、そして対策を立てていかなきゃならない。  それからいま閣議でも相談いたしておりまするが、中央防災会議という会議があるんですけれども、その会議というものは何ら生きた活動をしていなかったんですね。したがって、災害が起きますると、災害対策本部というものができて、事後処理には懸命の努力をします、そして万全の対策はやりまするけれども、事前に対策を立てるということはなかったんですね。それで今度は、あらためて防災対策本部というものを、そういう予報、予告があった場合には即座につくると、そして、万全の対策を講ずるようなことを考えてみようじゃないか、こういうわけで、災害対策本部の前に防災対策本部をつくるようないま協議までしておる状態なんであります。これから日本人が生きていくためにはたいへんな教育であったと、今度の災害は、すなおに受けて万全の対策を講じてみたい、こう思っております。
  75. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 高山君。時間をひとつ守ってやってください。
  76. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 十分ですね。では端的に御質問申し上げます、時間がありませんので。  応急仮設の住宅の設置ですね、三分の一になっております。私は災害を考えますときに、人心の不安ほどおそろしいものはないと。こう思うんですよ。これこそ、安定させる意味で政府は法律を改正する必要があると。三分の一の仮住宅を建てて、あとは親類とか子供のうちとかにおるわけですよ。そうしますと、これはまだ政府は激甚の取り扱いをするかどうかもわかってないわけです。実際に宙に迷っておるわけですね。そうして親類のうちにお世話になっておる。それが六カ月、八カ月、長いのは一年かかっておるんですよ。こういうことこそ私は早急に改正してやるべきだ、全額政府が負担したって大した金じゃないと思う。あれだけの被害で三十万かそこらでしょう。そこで私は、これをその県の規模に応じて実際に流失したものには直ちに改正してやってやると。今度は県独自でやっておる県がございます。そういう県には特別の措置を私は講じてやるべきだ、こういうふうに考えています。この点が一つ。  もう一つは、復興はやっぱり急ぐということであれば、仮設住宅でありますから、つまり本人が希望するならば、自分の土地にもう一ぺん建てたいというならば、復興住宅の資金の貸し付けの限度を幅広くしてもらう、それから利子を安くしてもらう、これは絶対必要だと思うんですよ。この二つを大臣はどうお考えになるか。私は先ほど申しましたように、民生安定こそ災害の復興に立ち上がる一つの大きな基礎になる、こう考えますので、大臣はどうお考えになっておるかお聞きしたいと思うんです。
  77. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) やはり罹災者が最初に安定すると、そうして、それから立ち上がっていくという基礎をなすものは何だといいますると、ほんとうに住宅なんです。それですから一日も早く自分が住める住宅をつくらせるように指導しなきゃならない、そうやるべきだと、こう思いまして、私のほうでは即座に、たとえばプレハブ住宅を必要とする場合には即座にそういうものをつくらせるように、厚生省のほうにも話をし、県にも話をして、そういう方針で最初は臨んだんです。それが一つであります。それでありますから相当にできたろうと思いますが、あと問い合わせてみたところがあります。それは愛知県に問い合わせてみたところが、罹災者の数のわりあいにそういう仮設の住宅でも少なかった、こういうことですからすぐに桑原知事に話をいたしまして、それではだめだと、もっとたくさんつくってやったらどうだと、こういうことを言って、あなたの御指摘のとおりに、まず立ち上がる場所は住宅にあると、こういうことで、その方面はその方面でやっておりまするが、まだまだ及ばないことを私は非常に残念に思っております。  それから仮設住宅でなく、自分の永住の住宅はどうするか、いままでのような資金ではとてもだめですから、幅も大幅に広げなければならないと思いまして、これは財投の金をもっと多くふやしてもらうために努力いたしまして、若干ふえたようであります。これはまだまだでありまするから、もっと努力したいと思っております。私が要望いたしまして、そうして、いま政府に交渉いたしておりますることはそのとおり実現さしたいと思っておりまするが、いまあなたのおっしゃったとおりに、金額も多くすること、それから利息も安くすること、こういうことで一生懸命になって努力いたしておりまして、住宅に対するものの考え方は全く同じでありまして、どうかそういう声をうんと強くしてもらいますると、やっぱりいろいろな競争の中で住宅の資金を取るという、こういうことですから、世論が強いと私も取りやすいから、どうか御援助くださるようお願いいたします。
  78. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それからこれは愛知県の小原村、大臣もおいでになったと思いますが、それから岐阜県の明智の阿妻地区ですね、これはほとんど阿妻地区は地区ですけれども、戸数が大体三十九世帯、小原は村、すべてが全体と見てもいいでしょう。したがって、この阿妻地区を申し上げますと、三十九世帯のうち一世帯は全滅した。そして道路、河川の損傷が激しくて、いまでも小型の自動車しか行かない、これが現状です。それで、ちょっといまの段階では交通の可能性の見込みは立ってないようです。さらに、そこで復旧するか、または他に集団的な移動をするかも、その地域住民としては十分なる決意ができてないようであります。したがって、これは私は小原村とこの明智のこの阿妻地区はほんとうにどうするのかは、今後の問題だと思うんです。したがって、こういう災害に対する政府としてのこの考え方、たとえば村全体の問題であると同時に、三十九世帯もおるような大きな地域、これを再建するについては相当の私は費用が要ると思うんです。さらにまた、今後の集団移動をいたしますにしても、なかなかこれは問題です。地方自治体ではできない点があります。政府のいまの補助ではどうにもならない、こう考えておりますが、こういう面に対しては私は特別の処置をやっぱり考える必要がある。これがほんとうの災害だ、いまいう家も、現存しておるのも、床上浸水もして荷物を流したといいますけれども、一体どうするのかという、将来まで不安になるような災害を受けたような地域の対策こそ、重大だと思いますが、これには特別の処置を考える必要がある。いわゆる普通ならば五年の資金であっても十五年にするとか、あるいは二十年にするとか、何かの特別の処置が必要だと思いますが、県当局、地域から要望があった場合には、大臣はそういう面についてはどういうお考えを持っておられるのか、ひとつお聞きしておきたいと思うんです。
  79. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 明智町には参りましたけれども、私が参りましたとき、とても阿妻地区に行けなかったものですから、そこは残念ながら視察できないで帰ってきたんです。それで阿妻地区の住民だけ集団で、その部落を去って他の場所で自分たちの永住地をつくるかどうかと、こういう重大な問題がありましたならば、それは御相談に応じなければならないと思っております。宮崎県のえびの地区に参りまして、あそこでもやっぱりどうしても感情的には現住地でまだ生活を営みたいという人もおいでになりましたが、非常な痛手だったものですから、集団移転しようじゃないかという意見も多数あった。いずれともきめかねておられたときだったのであります。私はそこへ参りまして、そして罹災者全部とほんとうに話し合いをしてみたんであります。それから、その地域全体を見まして先祖伝来の土地であるから、ここでもう一ぺん生活を営みたいと、こういう気持ちはよくわかるけれども、政治的に判断してまだまだ危険のある場所にお住みなさいというわけには自分は言えないんだよと、こういう話し合いをしながら、えびのの全罹災者と懇談いたしまして、全部が全部集団移転できる、こういうことにその場所できめて、それからえびのの市長さんが自分の町の中に移転する場所があると、こういうことから知事なんかともいろいろ話し合いをいたしまして、東京に帰りまして、いろいろな角度から各省が全部それらの人々を待遇する方法を自治大臣を中心にして立案する、こういうことで、その問題は解決いたしております。そうでありまするから、阿妻地区の場合も同様だと思いまするので、そういうことが起きましたならば、現地に行って相談の中に入ってもけっこうです。これはそうでありまするから、そういう人々の気持ちを生かした対策を必ず立てなきゃならない、こう思っておりまするから、県からもちろんそういう話がありましたならば、積極的に飛び込んでいって御相談に応じまするし、対策も立てたいと思っております。ただ法的な根拠がいままでないのですね、集団移転というのは。それで建設省としてはその法的な根拠をやはり与えなきゃならない、こういうことで、それはこの次の国会で出そうと思って立案いたしております。
  80. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 委員長から。  いまお話しのあった点は小原村なんかは八割被害を受けているのですね。したがって、ただ被害対策をやったからそれでいいというわけではなくて、愛知県も言っているように、山村構造の再開発整備の面から地域ぐるみの抜本的な復旧整備をしてくれと言っているわけです。その点を強く要望しているわけですね。だから、ただ災害の手当てをするのじゃなくて、一体この地域をどうして再建するのかという、いまお話しの自治大臣を中心とした地域ぐるみの対策をぜひひとつ考えてもらいたい。これはいまの法律にはない。それからいま私たち参議院の災害対策特別委員会で、その居住地を移す、災害のための住民の住居の移転の促進に関する法律案というものをいま大綱をつくっております。すでに大綱ができたので各党で検討することになりました。それで、この内容についてとるべきものがあれば政府のほうでぜひひとつとって、積極的なそうした従来と違った面の総合的な対策を打ってもらいたい。そういう点を特に御要望しておきたいと思うわけです。
  81. 星野力

    星野力君 私、建設大臣に十分間に三つ質問いたします。大臣にとっては簡単な問題ですから、ひとつ簡潔にお答え願いたいと思います。  きょうはまだ政府委員の方の発言がございませんが、私、前回七月十九日の委員会での政府側の発言、特に災害問題に直接取り組まなければならない関係省庁当局者の発言を聞いておりますと、今度の災害は異常な集中豪雨による天災である、不可抗力によるものであるとする天災論的な意見や気分が強いように思われたのであります。そういう立場に立つ限り抜本的な対策はとれない、結局びぼう的な対策に終わるおそれがあると思うのでありますが、この点に関する大臣の見解をまずお聞きしたいこと。六、七月の集中豪雨は確かに強烈なものではありましたが、天変地異といったたぐいのものではない。いかにしても防ぎようのない災害というのでなしに、十分の施策があれば防げた災害だと思うわけであります。要するに、現行法令に具体化されておるこれまでの国土保全のための政策が不十分であったということだと思います。政治の貧困である、こう思うのでありますが、したがって、現行の関係法令に根本的な検討を加える必要があると思いますが、その御意思がおありになるかどうか。
  82. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 集中豪雨なら今度の集中豪雨だけを切り離して見ますると天災と、こういうことになるのでありまするが、そういう解釈をしておったならば、あなたのおっしゃるとおりに根本的な対策というものは生まれてこないので、そうでありまするから、私はそういうように一こま一こま切り離して、持って回ったものの言い方をしたくない。そうでありまするから歴史的に見て人災である、前もって何十年か前からでもずっと対策を講じておったならば被害というものは防げたんじゃないだろうか、こういう点で歴史的に見て私は人災である、こういう判断に立って、人災なるがために解決することができると、対策を樹立することができるんだと、こういうものの考え方で災害の問題と取り組んでおります。
  83. 星野力

    星野力君 大臣の御答弁からしますと、現行の関係法令などに根本的な検討を加えなきゃいけないということになるだろうと理解いたします。  次の問題でありますが、根本対策についてはもちろんでありますが、応急対策についてもこれは多額の金が要るわけであります。大臣はこれからは幾ら金がかかってもよいから災害予防に重点を置くという意味のことを言っておられますが、国の財産、国民の生命、財産を守るためにほんとうに金を出すだけの財政上の方針、政府としての方針というのがきめられておるのかどうか、念を押して。大臣いかがです。
  84. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 今度の災害に臨む方針は決定いたしております。というのは、災害の原形復旧はしないと、改良復旧であるということが一つです。  それから仕事を解決するためには予算にとらわれないで仕事をやれと、これは総理大臣の発言によりまして閣議の決定事項になっております。したがって、政府の方針がそういう点で決定いたしております。
  85. 星野力

    星野力君 いまの御発言に関連しますが、大臣は現地視察の場などでも、必要な金は使え、めんどうは国で見るからという意味の発言をされておりますし、実際大臣のそうした態度が災害地の人たちに励ましを与えておるということも事実だと思います。田中総理も地方からの陳情団に対して必要なことはやれ、法令や制度のほうはあと措置するからというようなことを言われたと聞いております。しかし実際問題としては、地方当局としてはそれだけではなかなかやれないだろうと思います。災害対策については法令や通達などでこまかく規定されておる、それをはみ出して措置した場合に、大臣はあのように言われるけれどもはたして金をくれるのかどうか、そういう不安を持っておる。だからなかなかやれといってもやらないということではないかと思います。収容した罹災者のたき出しは燃料費などを含めて一日二百三十円、これでは飯とつけものしか支給できない、三日、四日ならいいが、長引いたならば罹災者が栄養失調になると、どこへ行ってもこの二百三十円についての苦情というものは聞かされるのです。それなら県なり市町村なりで上積みして急場をしのいだらよさそうなものでありますが、なかなかそれもやられない。それから応急仮設住宅、先ほどお話に出ましたが、あれは便所がないのだそうでございますね。罹災者も用を足さなければならぬ、どこでどうしてやれということかと思いますが、幾ら応急仮設住宅にしましても便所がない住宅というのは、資本主義国でGNP第二位を誇る日本としてはあまり名誉な話ではないと思うのですが、便所は必要だからこれはつくらなければならない、しかし金の問題がからんでくるとはかばかしくそれもやれない、共同の便所をつくっておる県もあります。これは、というのが実情ではないかと思います。大臣が言われるように、この際は必要なことはやらなければならない、金がかかるなら金は使わなければならないし、そのめんどうは国が見なければならないと思います。それを建設大臣や総理の個人的な発言の形でなしにもつとはっきりしてほしい。いまお聞きしますと、閣議決定をやられておられるということなんですが、それならけっこうなんです。その閣議決定に基づいて関係各省の次官通達などを正式の手続をとって地方当局にそのことを知らして、正式のものとして知らして実際に大臣が言われるような措置が取れるようなしかたをひとつ考えていただきたいと思うのです。先ほど応急仮設住宅の問題で愛知県知事に電話でもって言われたということをお聞きしたのですが、大臣や次官からとりあえず電話ででも地方にそういう方針、これは政府の正式な方針だ、決定だということを伝えていただきたいと思うのですが、それをやっていただかないと、地方では言っておるのですよ、ああいってもほんとうに金をくれるのかどうかと、そこのところをやれるようにひとつ措置していただきたいと思うのです。
  86. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) そういう愛知県のように連絡のあった場所はすぐに連絡しますけれども、あなたのおっしゃるように、はたして金をくれるかどうかといって心配しておる場所もあると、こういうことでありましたならば、これも建設省は自分でやりますけれどもね、局長からも何べんも出しておりまするし、次官通達も出しておりまするけれども、ほかの省のほうはまだわかりませんから、そういうことは大臣にも話をいたしまして、なお下のほうを点検させるようにして上の気持ちが下にほんとうに申達するように努力したいと思います。
  87. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本件に対する質疑は午前はこの程度にとどめ、休憩いたします。    午後一時六分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  88. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  89. 中村英男

    中村英男君 農林省に最初にお尋ねしたいんですが、今度の災害はちょうど早場米の早稲の地帯が相当減収になったわけですね。そこで、回ってみると、農家の方が共済制度で救ってもらうのが得なのか、あるいは減反で振りかえたほうが得なのかということを御存じない。私も知らぬ、どっちが得なのか。農家の立ち上がりにどっちを適用したほうが得なのか。県によって違うと思うのですね。ひとつこれは共済で救うたほうが得な場合は共済、それから減反調整で振りかえることができたらそれでやったほうが得なのかどっちかわかりませんが、なにしろ農家の希望するように復旧できるような措置を講じてもらいたいと思うが、いかがですか。
  90. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生のお話しございました災害水田についての共済と休耕との取り扱いの問題でございますが、御案内のとおり、生産調整は作付以前に生産調整をいたしたいという農家の方々のお申し出によりまして一定期限で申し込みを締め切りまして、そのあとそれに対して休耕奨励金を差し上げるという制度になっているわけでございます、作付可能な水田について。したがいまして、作付をいたしましたあと災害を受けられた農家の方々の水田に対しましては、これは共済でいくというたてまえで、生産調整が始まりました以来の災害対策については一貫してやってきておるわけでございます。  ただ、地域によっては共済のほうと休耕奨励金の単価が違う場合もございますけれども、今回被害を受けました地域、先生の御指摘の島根等につきましては、キロ当たりの金額なりあるいは十アール当たりの金額をとりましても、全損の場合におきましては共済金のほうが金額が相当高くなっております。したがいまして、すでに作付を終わりました農家の方々に対する減収の補てん的なものは共済による休耕奨励金という問題と別に切り離しても達せられるものというふうに判断しております。
  91. 中村英男

    中村英男君 それは、たてまえはそのとおりです。私が言っているのはたてまえ論じゃないので、今度の災害は異常なんですよ、範囲が広くって。ですから、従来のそういうかまえでものを処理できないという災害なんですね。ですから、銭金で済むことなら政府はやると、私もそう言って歩いたから、そういうたてまえではあるが、地区によっては共済よりは減反で振りかえたほうが得だという場合があれば、作付を済ましたところで災害にかかったのはたてまえとしてはできないでしょう、できないけれども、そういうことが可能なのかどうか、やっていただくだけの親心を持ってもらいたいということを私は言っております。
  92. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、災害については制度の運用なり、その他最大限度の措置によって被災農家の方々の立ち上がりに対してつとめるべきだということだと思いますが、生産調整の、ただいまの農家が自主的に米の減反に協力して作付を控えるという方々に対する奨励金と、それから作付後の災害の方々の共済、これは一応たてまえとして区別をしまして、まあ、いま申し上げましたように、今回の九州等もそうでございますが、どちらで払われるというケースを見ますと、共済金のほうが金額が大きいという点もございますので、農家の方々に御不便をかけることはないと判断しております。
  93. 中村英男

    中村英男君 農地災害の復旧限度額のかさ上げ、あるいは撤廃を要求しておるわけですが、これは町によって大小あるわけですね。ですから、これをひとつ限度額をかさ上げするかあるいは撤廃してもらいたいという、それができるかどうか。
  94. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) お答えいたします。  今回の集中豪雨によりまして静岡、島根、広島、山口等でワサビ田がいろいろ被害を受けております。御案内のとおり、ワサビ田は山間僻地の渓流地区にございますので、いろいろ復旧するにあたりまして困難の事情もございますし、また復旧の方法等も一般の農地復旧に比べて特殊なものがございますので、非常に金額のかさむのはいままでの例からも事実でございます。しかしながら、今回の災害におきましては農業用施設災害、これに土どめ溝とか水路とか、そういうものは極力施設災害のほうで取り上げるようにいたしまして、また現地の状況は、流出いたしました石などがその付近に残っておるようでございます。こういうような石を利用する、そういうような方法をくふういたしましてこの限度額の範囲内で支障ないようにひとつ実施していきたいというふうに県のほうに指導しております。
  95. 中村英男

    中村英男君 いまワサビの話が出ましたが、その前に、林野庁のほうだれか見えておりますか。——島根県のごときは国有林を借りておるところがたくさんあるんですね。ですから、これはやはり国有林の伐採について計画的な伐採をすべきじゃないかという議論が一つあるんですね。つまり災害を受けた一つの原因はそれにもありはしないか。  それからもう一つ、いまワサビの話が出ましたが、島根県のああいう僻地は唯一の収入源なんですね。そういう事情からいっても、従来も援助してもらいました、ずっと前の災害で。これは野菜か林産物がわからぬが、林産物になっているわけですね。それでワサビの施設には百三十万円から百五十万円ぐらいかかるんですね。そういう実態をよく見て限度額のかさ上げするとか撤廃するとか、やはり農家がもう一ぺん復旧してワサビで生活するんだというところまでひとつ親切に援助してもらいたいという希望なんですけれども。これはお願いですからひとつそれをわきまえて、ああいうところはほかに収入源がないんですからね。過疎対策にも通ずるから、そういう点を十分ひとつやっていただくでしょうが、一そう心して援助してもらいたい、こういうお願いなんです。いいですかな。
  96. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  国有林野事業等につきましては、もう御承知いただいておりますとおり、国土の保全とか水資源の涵養、あるいは森林の持ちますその他もろもろの公益的な機能を発揮させるという一つの目的と、さらには木材の供給、この二つの面から私ども国有林の経営をいたしておるわけでございます。そして、その伐採とか造林等につきましては、私ども地域施業計画と申しておりますけれども、それをもちまして具体的な伐採なり造林等、あるいは必要がございますれば保安林に指定するとか、あるいは治山事業をもってそれを補完するとか、そういう事業をやっているわけでございます。  なお、いま、そういう切ることによって災害が起こったんじゃないかという御指摘でございますが、当地方の災害等を見ますと、特に風化いたしました花崗岩であったり異常な降雨であったりいたしまして、なかなか森林だけでこれを持ちこたえるということは困難でございます。しかしながら、すでにことしの二月に、現在自然保護等の要請が非常に強いということから、新しい施業方針等を立てまして、全国の国有林にそれを適用するということにいたしております。したがって皆伐する面積が少なくなるとか、あるいは非常に小面積に切るとか、あるいは分散伐採をするとか、特に必要なところは禁伐にするとか、そういうことの施業を新しくとって全国的にそれを徹底さすというような処置をとっているような次第でございます。
  97. 中村英男

    中村英男君 これは、また別な質問ですが、農業構造改善事業で設置した共同利用施設の災害復旧ですね、これは農協のやっておる共同施設には援助されるが、共同体のやつは援助されてないですね。これを農協の利用施設と同じように、そういう共同体で共同でやっておることにも援助していただきたいという要望ですが、それはむずかしいですか。
  98. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  中村先生のお話しのとおり、ただいま農地や共同利用施設に対する災害復旧の助成のいわゆる暫定法におきましては、その助成の対象の線を公益性といいますか、そういう点で線を切りまして、共同組合有の施設で線をただいま引いておるわけでございます。したがいまして、従来もそうでございますが、その他の個組合の施設とかあるいは数個共有施設というものにつきましては、農林漁業金融公庫の低利資金あるいは新設、改良でございますと農業近代化資金というようなものが対応して従来も措置しているわけでございまして、法律制度改正の今後の問題としてどこで線を引くかという問題については今後なお検討を続けたいというように考えております。
  99. 中村英男

    中村英男君 今度の災害、たびたび言うように広くて深いですからね。従来と同じような考えで、かまえで処置できないわけです。だから政府もあとで法律改正はするが、金で済むことならやってくれと、こういうかまえですから、ひとつそこら辺も法律改正をする必要があるものはあとでやって、そういう個人災害も適用しなければいかぬという世論も高まっておるから、この際にそういう点もやはり農協みたいな公共性のあることだけじゃなくして、協業でやっておるところも同様な措置をひとつぜひ講じていただくようにお願いしておきます。  それから、天災融資法を受けていないところもやはりそういうことをやってもらわぬと、従来と同じような感覚で扱ってもらうと非常にたくさん問題を残して再起できないようになる。それをひとつ心得てやっていただきたいと思いますが、よろしいですか。
  100. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先生お話しのとおり、今回の災害地域においても深さにおいても非常に大きな災害でございまして、農林関係は従来その性格から戦後いろいろ災害制度も整備してまいりまして、その最大限の運用によってただいまやっておるわけでございますが、かっての伊勢湾台風の際におきましても従来の災害制度を見直して逐次検討していったように、今回の災害を契機といたしましても諸般の制度をあらためて見直しまして、実際の末端の被災農家の方々に即応するような努力を続けてまいりたいというように考えております。
  101. 中村英男

    中村英男君 ワサビが出たからシイタケもやっておきますがね、シイタケも原木流されたり非常な災害を受けているのです。これもやはり山地農業の唯一の収入源だし、特にそういうところではそう米もできませんから、これもひとつ今度の災害に限っては十分な措置を講じてもらいたい、こう思います。
  102. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、原木等につきましては、単に農業プロパーの種苗、育苗等ではなく、シイタケの原木等につきましても天災融資法の経営資金等の対象にいたしまして必要な農家の方々に対する長期低利の融資の手当て等の万全を期したいと考えております。
  103. 中村英男

    中村英男君 そして、回ってみると小さい山間の小河川で崩壊して土砂が入っておる、土だけならいいが石ころが二メートルもたまっておる、石ころを取って、山間部ですから土はないですから、土をもって復旧するということはこれは事容易ではないです。そういうことはできない、ですから、これは国が買い上げて、そしてその村を移転していかなければならぬ地帯があると思うのですね。ですから農地に復旧するよりは、石を取って土を持ってきて農地に復旧するよりは、それは国が買い上げて、そして他の方法で農民が生存できるようなそういう指導を県や村がしなければならぬものと思うのですね。そういうときにもひとつ相談に乗ってもらいたいと思う。国が買い上げる手があれば買うてもろうて、そして他に生きる道を講じてもらいたい、こういう要望ですからその点を十分ひとつ心得て農村の災害復旧の手当てをしてもらいたいと思います。
  104. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げますが、お話しのような事例等が各地で今回の災害は非常に激しく起きているようでございますが、これにつきましては当省の関係ではございませんけれども、河川改修との関連における敷地等に供して農地復旧として行なわないほうがいいというような点については、その河川改修の一環で処理していただくとか、あるいは前回の当委員会においてもいろいろ御指摘がございました、住居も移し農地も移すというような集団移転等についてもただいま政府部内で関係省が検討中でございますが、また従来も単にその土地に対するその個所の復旧ではなくて、極力代替地等を求めてそこで農地復旧をいたすというようなことであらゆる手段を講じまして末端の御要望にこたえたいというふうに考えております。
  105. 中村英男

    中村英男君 事のついでにこれは大臣がおれば言おうと思うが大臣の足立さんはおらぬから——まあ、この際ですからもちろんあなたの答弁けっこうと思うのですが、山地農村がこういう農村の時代ですからやっぱりモデル地区をつくって災害復旧の、従来と同じ考え方でなくして、山地農業をこういう際にどうして持っていくか、そういう点を非常に高い見地でひとつ考えて処理してもらいたい、これは希望です。  それから、農民に金を借れ、借れ言っておるけれども、五十万円借りてしもうておるのだな、借りようがないのだ、自作農維持資金、これ限度額を、まあこまかい金だ、百万円に上げてくれと言うのですからな、これをひとつぜひ上げて、そして従来の借銭のその上に借銭を負うということはいまのような農村政策ではとても借銭が返せぬが、そういう希望があるからひとつ百万円に限度額を引き上げることをやってもらいたい、こういうことです。
  106. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 前段の山村振興なり過疎対策の問題につきましては大臣等から政策の基本方針について申し上げるのが筋かと思いますけれども、今回の災害等に関連しましても災害が契機で一そう過疎が進み山村の問題が深刻化するということについては災害復旧の面から全力をあげてこれをしなければならないというふうにわれわれ事務当局も考えております。  第二点の、自作農維持資金、先生五十万円とおっしゃいました、そのとおりでございますが、これは農業の方針といたしまして大臣等が申し上げましたように、今回の災害は非常にひどいし、従来も相当借りておるという点につきましては、限度を従来の規定限度にとらわれず農家の方々の要望に沿いたいということで、具体的に申し上げますと、ただいま各県からその被災を受けた農家の方々の頭打ちの状況、それを見さしていただきまして思い切った限度を設定してはいかがかというふうに検討中でございます。
  107. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。
  109. 柴立芳文

    柴立芳文君 たいへん御迷惑をかけておりますが、午前中にちょっとやりまして、建設大臣が川内川のダムの操作と湯田温泉というところが流失した関係についてはきめ手がないで困っていると、こういうふうに言われたわけですよ、それで河川局長にお尋ねいたします。午前中に御配付いただきました鶴田ダムの操作規則というのを私読んでみた、そうしたら第四章に、「洪水調節等」という中で、第十五条、これについて規定されておりますね、これは大臣にも了解をとりましてちゃんときめたものである、したがって、この問題について、いろいろ経過は御承知だと思うのでありますが、現地の方々が、このダムの所長に対しまして、たいへんいま折衝をいたして、三日間居すわりをしておる。地方の新聞には大きく出ておる。そこで、どうしても納得がいかないので、これはダムの操作のミスによって起こった災害であると現地の人々は言っていられるわけです。私も、きめ手はないじゃないかというつもりでおりましたところが、御配付になりましたこの規則の中に、第十五条の一で、流入量が最大に達するまでは、毎秒流入量から六百トンを引いて、それに〇・六八をかけて、プラス六百トンの流水を放流することということが書いてあるわけですね。そうしますと、このダムの洪水調節一覧表は、今回の三日間のやつが出ておるのです。その中に、七月の五日の十一時から二十二時までは、十一時間の間、同じように放水量をされておりますね。九百トン、十一時間でしょう。これは御承知だと思う。この規程の方程式にあてはめますと、一番ピークの流入量のところで計算を私いたしたわけです。そうしますと、大体七月の五日の二十二時で千七百五十トンという流入量が記録されております。それから六百トンを引きましてこの方程式に入れますと、千三百八十二トンという放水量をしなければならないという帰結に当てはまると私は思うのですけれども、そのときにやはり放水量は九百トンでございますね。だから、きまっている放水量の半分しか放水をしていなかったということが言えると私は思うのです、これは計算的に。これに対して、やはりダムの所長は、多少先が見えずにミスをしましたと言っているようですね。それに対して九州地建のほうからは、それはそうではないんじゃないかという話があってこじれている。したがって、やはりこのことは非常に将来大きな問題をかもすので、はっきりとこのことはしておいたほうがいいんじゃないかと、こういう気持ちから先ほど質問をしようとしたら、多少御迷惑になるのでやめたわけです。いま十分間いただきましたから。  やはり地方の災害を受けて流された温泉の方々は、もう少し早く放水をしていたならば、こういうことにはならなかったんだというふうに信じておられる節があるわけですね。ところが、規程内で操作をしておりましたから間違いはありませんとは言えないことが、いま午前中に配付になりましたこのダムの操作の規則によって私が計算したところ、そういうふうになるわけです。その辺のところ総理府の長官はどういうふうに了解し、そうしてどういうふうにお考えになっておりますか、お尋ねをいたします。
  110. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのように、操作規定の十五条では、一定の式を与えまして、それによってこのダムの洪水時の操作を行なうということになっておるわけでございます。しかし、現実に、御承知のように、この川内川の改修状況が非常におくれておるわけです。昨年もやはりこのたびほどの水は出ませんでしたが、かなりの出水がございまして、もちろん川内市、それから宮之城町を含めまして相当な問題があったわけでございます。したがって、この川内川流域全体について、ダムの操作の方法、それから川内川自身の改修計画を見直す必要がある、特に非常に中流部においては問題が多いと、こういうことで、四十六年——昨年から急遽直轄区間に入れまして、そういった検討を始めたわけでございます。  その間、それじゃ現在の時点でどのような鶴田ダムの操作をするのが最善かということにつきましては、いろいろ検討をいたしましたが、この宮之城町の湯田の温泉街につきましては、過去の出水等の状況から見ますと、大体ダム放流が九百トンをこしますと、ダムから下のやはり残流域等もございまして、千数百トン程度になりますと、もう床下浸水が始まると、こういったような治水の状況にございます。したがって、何とか温泉街を助けたい、こういうような中流部からのもちろん強い要望もございますし、ダムでたくさん放流量を調節すればするほど、下流とすれば条件がよくなるわけでございますから、ぜひそういったことにしてもらいたいというような強い要望もございまして、実は昨年七月、八月二回出水がございましたが、このときに同じような緊急操作をしたわけでございます。そのときの総体的な雨量からいきまして、どうやら目的を達しましたので、今回は七月の五日から七日でございますが、その前の六月の十七日から十九日の出水におきましても、そういった操作によってできるだけ下流の浸水を防ぐということで一応成果をおさめたわけでございます。したがって今回も、必ずしも操作規則の数字の線には沿っておりませんけれども、趣旨としましては、昨年と同じような操作をしたということで、ただ非常に降雨量が継続時間も量も大きかったということが、このダムの容量を食いつぶしたという結果になったわけでございます。
  111. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 総務長官に限って質問してください。
  112. 柴立芳文

    柴立芳文君 いまそれが前提なものですから。  総務長官、いまおっしゃるとおり、この問題は、操作については、どうも降雨量が多過ぎてどうにも結果的にはよくなかったということになるのです。その間には、この規則のとおり操作がされていないということもはっきりしているわけです。したがって地域の人々は、何らかの処置をしていただけないかと言っているわけです。そこで、これは災害対策部長である長官にお伺いいたしますけれども、この問題は、悪くするとたいへんめんどうな問題になります。したがって、何とも誠意がないじゃないかという態度では収拾がつかないと見ておるわけです。したがって、大臣も午前中にお聞きのとおり、よくわかるけれどもどうもきめ手がない。きめ手は私はこの問題でできてきたと思うのです。操作規則によって、なかなかそのとおりいっていないということがはっきりしているわけですから。この点は、私は総務長官のところで主体的にひとつこの問題の解決をしていただきたい、こう思っております。そのことが一つと、それから午前中にあなたが四千八百二十九億の被害を発表になったわけですが、この前御質問申し上げたときに、補正予算はわからぬとおっしゃいましたが、いまは補正予算を既定の予算で消化をされますか、この災害の被害で。その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  113. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 前段の鶴田ダムに関連いたしまして、私としては、今日まで御指摘のような、操作規則によってかりに完全に実行されたといたしましても、相手が何しろ自然の現象であり、いろいろなまたそのときの降雨量をはじめとして諸条件によってなかなか規則どおりいかないということが、また規則どうりにやっても逆効果があらわれるというようなことのおそれがあってはいけないということで、これは建設大臣に特にひとつ再検討をお願いできないかということを申し上げてあります。  もう一つは、やはり発電と貯水量及び発電と予備放流の関係というものについても、私どもは現地の御事情を聞いてみると、いささか問題もありはしないか、ついてはその点について、発電とも関係いたしますので、通産大臣と建設大臣において具体的にひとつこの問題をチェックして、新しい態度で今後ダムによるところの人災天災論が再び起きないようにしていただきたい、こういうふうに申し入れをいたしてあります。その結果はまだ伺っておりませんが、先ほど来、建設大臣及び河川局長からいろいろお話がありましたが、今後の問題として、真剣にこれは取り組んでまいりたいと考えております。  それから、後段の災害、被害額に対する措置として既定予備財源で操作ができるかどうかということでありますが、せっかくいまこの現地の査定を進行中でございます。もちろん、財源的に不足を来たす場合には、国会において補正予算措置をとらなければならないと考えております。
  114. 中村英男

    中村英男君 大蔵省と自治省にお伺いしますが、今度の災害で市町村の持ち出しが非常にふえたわけですね。これは私はしろうとだからわからぬが、普通の交付税でまかなうものか、特交でやるものか、市町村が心配して言うのは、特交をふやしてもらいたい、こういうのは、全国的に広いですから、しかも特交は何かパーセンテージが非常に少ないですから、それでもって十分めんどう見れるか、あるいは他にいい方法があるのか、そういう点をひとつお聞かせ願いたい。
  115. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 自治省の財政局でございます。  お答えいたします。とりあえず当面の資金繰りの問題といたしましては七月の二十四日付をもちまして、地方交付税、普通交付税の繰り上げ交付をすることにいたしまして処置してございます。  それから、先生御指摘の災害に伴いまして、いろいろと事務費等が必要となってまいるわけでありますが、これにつきましては例年どおり特別交付税で処置する。いまのところは千三百億ばかりの特別交付税を用意しておりますので、だいじょうぶ措置できるだろう、このように考えております。
  116. 中村英男

    中村英男君 心配しておるのは、特別交付税が、範囲は今度は広いですから、全国的に。それだからなかなかそれでめんどうを見てもらえるか、十分な手当てがしてもらえぬのじゃないか、交付税がもらえぬのじゃないかという心配が一つあるわけです。  そこで、項目ごとにたとえば非常に土砂がたくさん積もっている。これはまだ搬出しておるんですね。市町村はブルトーザ借りるわ、自動車借りるわ、たいへん苦労している。それを項目別にめんどうみていただいたほうが安心するんじゃないかと、こう思うんですが、交付税もさることながら。それからもう一つそのときに、これはあなたにお伺いしていいのか、だれにお伺いしていいのかわからぬが、まだ個人が罹災して、罹災したところから来てやっておるわけだ。これはちょうど除雪費を出しておるように、私は個人が搬出する土砂については個人にその労働費として何らかの方法措置すべきじゃないかという意見を持っておりますが、いかがですか。
  117. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 従来からこの特別交付税は、災害対策費を最重点的に配備いたしておりますので、おっしゃるように、ことし特別交付税総額がそれほど伸びているとは思われませんけれども、災害関係では、最重点的にという方針でやっております。  それから、個別の問題につきましては、具体的に特交計算の際に検討しなければなりませんが、できるだけそういった災害対策費といいますか、そういったものの実態をよく見きわめながら計算してまいりたい、このように考えております。
  118. 中村英男

    中村英男君 そこで方針はわかりましたが、その個人の土砂を運ぶやつを、これを何らかの形でひとつめんどうを見てもらいたいと思う。罹災しておって毎日二百五十円の弁当もらうというような——これ出してもらいたい。
  119. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 十分これに検討しなければならない問題です。
  120. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 指導課長発言を求めてやってください。
  121. 植弘親民

    説明員植弘親民君) はい失礼いたしました。  でございますが、市町村でかりにそういった人夫賃を支出するといったような場合には、当該市町村の災害対策になりますので、積算対象になるかと思います。
  122. 中村英男

    中村英男君 それはなる、それはなりますけれども、市町村のせぬ場合だ。それは市町村が出しておる場合はそれでいいです。市町村がそこまで配慮せぬ場合には個人が自分のあれによってやっているわけだ。それをやはり指導して、市町村を指導して出動費としてそれを出す。これは雪の場合やるのですからな。ですから土砂を搬出する場合も個人個人にやっぱり、私は面積は、ある地区の面積はちゃんとはかっておけと、そして何立米あると、個人の面積は何ぼと、何人罹災しておると、それは個人個人に割り当てをして、土砂を運搬する費用がこれだけ要りました、ああそうか——それぐらいな処置をしてもらいたいと、こういうのですよ。
  123. 植弘親民

    説明員植弘親民君) まあ災害に伴いまして個人の労力奉仕的なものが相当いろいろな分野において考えられるわけでございます。したがって、特定の土砂等出す場合におきましてはまあ他の省庁における助成問題もあろうかと思いますが、個別の問題でございますので、十分これは私ちょっといまどうするという明確なるお答えをいたしかねますので十分検討させていただきたいと思います。
  124. 中村英男

    中村英男君 研究じゃだめですよ。これは現実にものすごい土砂なんだから、従来そんな災害は、私も災害方々見て歩いておるけれどもない。これは特別にそういうことはやはり雪のときにやっているのですから、豪雪のときにやっているのですから、そういうことをひとつ検討して満足のいくようにひとつやってもらいたいと思います。  それから、時間がないから次に進みます。  文部省にお伺いしたいが、これまた島根県のことだけ言うようですが、島根県の浜田の美川の小学校がやられた。その他一つあるのをちょっと忘れましたが、これは査定官がおいでになって、土砂を受けて崩壊したところは対象にします。これは危険であるが、これはまた耐用年数がありますと、これは対象になりませんと、これじゃ色気のない話で、これはやはり耐用年数は来てないが、きょう新聞読むと稲葉文部大臣は供給公社についても公団住宅についてもなかなかいいことを言うているから、もう一歩進めて、こういう場合にも耐用年数はまだあるが、このまま置いておけば土砂くずれがきてあぶないという校舎があるわけだ、現在。これはやはりぜひ復旧の対象にしてもらいたいと、こう思います。どうでしょう。
  125. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 先生お話ございますように、美川小学校につきましては先般査定に参ったのではございませんで、正式には財務局と今月の二十八日から共同立ち会いで査定をいたします。先般参りましたのは、今回の豪雨災害が非常にきびしいということでとりあえず各県関係県におじゃまをしたというようなことでございます。美川小学校につきましては全壊、半壊の分につきましては、当然災害復旧でこれはできるわけでございますが、まあ土砂くずれのおそれがあるというところについてのお話でございますが、まあこれは今度の今月末の共同調査の結果も必要でございますが、教育環境が非常に悪化してあぶないというふうな場合には不適格校舎というふうな形での考え方もございます。これは災害復旧という考え方とは別でございますが、いろいろな考え方で、こういうふうな危険な場合には取り扱うことも可能かと思われますので、今月末の共同調査の結果に基づきまして、極力前向きに処置をしたいというふうに考えております。
  126. 中村英男

    中村英男君 それじゃもう一問。  今度は国鉄さんにお願いしたいのですが、どうぞ前に出てください。  まあおかげで伯備線やその他たいへん全国で国鉄も復旧にたいへんだったでしょうが、伯備線は復旧した。三江線はずたずたにやられてちょいと復旧の見込みが立たぬと地元は心配しているし、三江線の廃止につながるのじゃないかという心配をしているのです。そこで矢板をぶち込んでどんどんやればできるのです。しかし、まあブルドーザーであの線路の上の土は取れぬからまあたいへんだと思うが、ひとついつごろ開通できるかどうかということ。もし開通が非常におくれたらば、川本−江津間は国鉄バスを出してもらいたいという要望ですから、その点についてお伺いしたい。
  127. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) いま中村先生の御質問二点ございますが、第一点でございますが、山陰線が同時にやられまして山陰線の復旧に非常に手間がかかりまして山陰線が開通してから三江北線にかかったわけでございますが、三江北線は先生御指摘のように道路がずたずたにやられまして現地の被害調査がなかなかできなかった。したがって、ヘリコプターその他を使いまして被害調査をやりまして、現時点では全区間応急復旧工事に入っております。大体九月の十日目標で明塚まで開通させたい、かように考えております。
  128. 中村英男

    中村英男君 十日ですか。
  129. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) はい、九月の十日です。江津から明塚までは九月十日を目標にして現在復旧工事に入ってます。部分的には非常に早くできるところもございますが、川平−川戸は護岸の擁壁が百メーターにわたって二カ所崩壊しております。その辺を橋梁で渡るか、あるいはステージングにするか、いろいろ工法を検討しながらやっておりますが、一応九月十日と目標を立てております。それから明塚から浜原、この間は第一江川橋梁という橋梁がございまして、橋梁は鉄げた六連使っておりますが、六連全部流されました。したがいまして、ここが一番時間がかかりますので、明塚−浜原については建設省と言いますか、河川管理者のほうと協議しまして、今回は洪水が非常に大きかった、したがって、計画高水量をどうするか、あるいは川の幅をどうするかという協議が整いましたら応急復旧に入りたいと、かよう考えております。その間、九月十日までバス代行のお話ございましたんですが、私が現時点で聞いておりますのは江津から川戸まではあした、八月の十日に国道の道路の改修が完丁すると言っております。したがいまして、十一日に試運転をいたしまして、十二日から国鉄バスによる代行運転をしたいと考えます。川本から奥のほうにつきましては、現在まだ道路の開通予定が私のほうに詳細が入っておりませんので、この道路の開通を待ちまして、もし国鉄の三江北線の開通がおくれるようでございましたら、国鉄バスによる代行を考えておるというのが現時点の状況でございます。
  130. 中村英男

    中村英男君 川戸までは一六一号です。川戸から川本まで県道がやられておるが、バスが通れる状況になったら川本まで延ばせるじゃないかと、こう私は意見を申し上げておる。
  131. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) バスが通れるような道路の状況になりましたら、注意運転しながらでも通す予定でございます。
  132. 中村英男

    中村英男君 お願いします。  これでおしまいにしよう思ったらもう一つあった。  今度の災害で江川で六本ぐらい橋が流れておる。古賀君が河川局長のときに七本つくってくれまして、たいへんこれは早くやってくれた。河川局長見えとるわな。局長さん、古賀さんが局長のときに、四十年災害で七本ぴしゃっとつくってくれた。大いに恩に感じておるからね、地元も。あんた、局長のときに、この六本を早くやってくださいよ。
  133. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 大臣の御趣旨もございますので、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  134. 中村英男

    中村英男君 終わりました。
  135. 中村波男

    中村波男君 まず最初に、気象観測の問題について気象庁にお尋ねしたいと思うんでありますが、専門気象庁関係官の間で異常気象という表現が目に立ちはじめたんでありますが、現実問題として、集中豪雨などの災害による死者というのは年年ふえまして、特に百人以上の人災をこうむった災害がふえてきておると思うのでありますが、こういう点から言いまして、もう異常気象だと言い切れるかどうか。通年気象あるいは通年化する傾向にあるというおそれはあるのかないのか、まずこの点がお聞きしたい第一点であります。  それから気象庁集中豪雨観測特別五カ年計画を立てられまして、これが究明に当たって来られたんでありますが、この計画が終わったのではないかと思うんでありまするけれども、その成果として、いかなる点が究明されたのか、その二点についてまず最初にお答えをいただきたい。
  136. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) まず最初の異常気象というものについての御返事をいたしたいと思います。異常気象をどういうふうに定義するか、非常に問題がございまして、通常は過去の観測と比較いたしまして、例年ですとこの程度の変動がある、この変動と比べてどうであるか、そういう程度を見まして、それで異常気象というふうに大体定義せられておるわけでございます。この問題につきましては非常にむずかしい問題がございまして、と申しますのは、気候変動と申しましょうか、そういう現象がございます。長い昔の歴史を調べてみますと、ある期間にはわりあい雨の少ない時期がございますけれども、ある期間には雨の多い時期が何年あるいは何十年ということもございます。そういうような気候変動がございますので、最近集中豪雨がふえておりますけれども、その原因がほんとうに異常気象であるか、あるいはそういったような気候変動によるかといったことにつきましてはいろいろ問題があるかと思うわけでございます。最近の状況を調べてみますと、わりあい最近異常気象が起きていることは事実でございます。そういう意味ではやはり異常気象と言っていいのではないかと思うのであります。ただ、災害の問題になってまいりますと、先生も御承知のように、いわゆる気象条件だけではなくて、そのほかのいろいろの条件がございますので、そういう面で、たとえば何といいますか、土地開発や何かが進んでまいりますというと、その手当てが悪ければ災害が起こりやすいということもございますので、そういう点がございますので、私としては簡単にこの問題について何とも言いかねる状態でございます。  次の集中豪雨の観測計画でございますが、大体五年計画でやっておりまして、本年度は最終年度に当たるわけでございます。いろいろ研究しました結果につきましては、いままでの材料を使いまして、まだこれからさらに研究を進める必要がございますけれども、従来わかってまいりました点は、集中豪雨のメカニズムというのはなかなかむずかしいけれども、非常に小さい地域の問題であるというようなことだとか、それからあるいは気象語で申しますと、コールドボルテックスと申しましょうか、冷たい渦でございますが、そういったものとの関連があるというようなことがある程度わかってまいりまして、そういったようなことで、昔に比べますというと、集中豪雨そのもののこまかい正確な予報ということはまだできておりませんけれども、こういうような状態が起こりやすいというようなことにつきましてはだいぶ昔よりはよくなってきたんではないかと、こう考えておる次第でございます。
  137. 中村波男

    中村波男君 観測体制についてまだまだ現状も知りたいし、私は、私らの考えも申し上げてみたいのでありますが、時間がありませんから総務長官にお尋ねをしておきたいと思うんでありますが、私は気象観測を含めて災害対策について考えるのでありまするけれども、国民も自身の居住、行動範囲に発生する地方災害の潜在的可能性というのを各自の立場で科学的に突きとめる努力をする必要がある。しかし、そのためには、国や自治体が災害を最小限度に食いとめる防護措置を講ずることが要求されると思うのであります。時間がありませんから項目的に述べてみたいと思うのでありますが、第一には、日本の特性とも言うべき梅雨豪雨がいまだに発生機構すら十分に解明されないまま、ゲリラ性があって、予報が不能だという、そこに手をこまぬいておるということは許されないと思うのであります。したがって、きょうの午前中の参考人の御意見を聞きましても、がけくずれ、山くずれ等の科学技術、あるいは集中豪雨等に対する科学的な体制というのが全くおくれておる、総合的にこれを立てるべきだという意見があったんでありますが、私ももっともだというふうに聞いたわけであります。それから具体的には施設面で、少なくとも自動雨量計の装置の拡充並びに地域気象観測網や緊急連絡情報ネットを確立することについて緊急に私は整備を急がなければならぬというふうに思うんであります。災害が起きましたときにはやります、やりますと言いまするけれども、具体的には気象庁は三、四年前から、いわゆる機械化を口実にして人員整理をどんどんやってきておる。こういう現状からして、これはのど元過ぎれば熱さを忘れるというのが今日までの政府のとってきた予防対策ではなかったかと言いたくなるのです。これらについてひとつお答えをいただきます。
  138. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 観測体制につきましては、先ほど気象庁からもお話がありましたが、私どもも決して十分だとは考えておりません。特に先般防災会議を開きましたときにも、まず第一に、観測体制を整備するということが第一であり、またさらには、やはりこれをいかようにして周知徹底させるか、あるいはまたこれを受けたほうはどういうふうに理解するか、さらにその上に立って避難防災体制をどうつくり上げるか、一連の施策がなされなきゃならぬことは当然であります。何といっても、根幹はやはり御指摘がありましたようにいわゆる情報ネットと申しますか、それらの機能を町村に至るまで充実するということが一番大事なことである。今日の災害におきましても、市町村において無線設備のある市町村等は早目に適切な措置がとれた。特に人命的な被害を未然に防止することができたという実例もあるわけであります。こういういいことがありながら、なぜこれがいままでやれなかったかということが、われわれの一番今回腐心したところであります。したがって、関係各省庁に対しましても、これらの充実のために一段と今後努力をすべきであるということと、各省の協力を得て必ずこれを実施いたす所存でございます。のどもとを通りまして熱さを忘れるようなことは絶対いたさないということをここではっきり申し上げておきたいと思います。
  139. 中村波男

    中村波男君 長官もう一問だけ。  聞くところによると、個人災害救済制度を実施すると、毎日新聞でありましたか、本名本部長に聞くという中でも述べられておったと思うんでありますが、自然災害弔慰金を、補助金制度を発足されると私たち聞いておるわけでありますが、これを今回の激甚地指定をされた災害から適用するということにされる準備があるのかないのか。また、適用対象をすべての死者、行くえ不明者にも及ぼして災害の規模にかかわらずこれを適用する、こういうことが必要だと思うんでありますが、それらの点いかなるお考えがありますか。
  140. 本名武

    ○国務大臣(本名武君) 自然災害によります個人災害につきましては、国会においても今日までいろいろと御論議をいただいたことでもあり、政府におきましても真剣にこの制度創設のために検討いたしてまいりました。ところがいままでの検討した結果によりますと、いろいろな契約方式、加入方式あるいはその経理の実態等々考えますとなかなか容易ではないということであります。したがって、まず政府としてはどうもこれは使いにくいというところまでいったようでございますが、今時の災害を契機といたしまして、災害対策会議はもちろんでございますが、私自身も特に関係筋を督励いたしましてやはりひとつ新しい制度を打ち立てるべきだということで真剣にいま検討に入ったところでございます。一刻も早くこの制度を確立したいと同時に、国会のさらに一そうの先生方のいろいろな御指導をいただかなきゃならぬと思うわけでございます。しかし、それかといってこれはまた国会でいろいろ御検討いただきました個人に対する弔慰金について、国は一体何ほどの処置をするんだと。実は国会ではもう直ちにこれを実行しろというその御決定があったわけでありますが、政府の都合によりまして明年度から実施するということで弔慰金を明年度から実施するお約束をしたわけでございますが、しかし、私はこの災害対策会議に臨みましてそういうことではいけない。これはやはりその制度がいいものであるならば今年から、たとえ来年からというお約束はしたってもこういうことは今年からやるべきであるということで閣議に提案をいたしまして今年から実施することにいたしました。  その内容につきましては、大体国会におきましていろいろ御方針も御相談いただいた線に沿っていると思いますが、一応この災害救助法を適用いたしました市町村におきまして、なくなられた方方に弔慰金をお払いになった場合には、十万円を限度といたしましてその半額を国が助成申し上げるというのが大前提でございます。  そこで、いまお話しのございました、そういうことではなくして、自然災害によってなくなられた人はそういう制限を加えないで、災害救助法を適用しない町村でもなくなられた方があったならばそれを適用せよという御意見であろうと思うわけでございますが、そのことにつきましてわれわれも非常に苦慮いたしたのでございますが、元来災害の非常に激甚であり救助法を適用した町村はその救済並びに復旧等々に相当の財源の負担がある。そこへもってきてさらに数多くの弔慰金をお払いするということはなかなか町村財政もたいへんだろうから、そういう財政の負担の多くなる町村にまずひとつ半額御援助を申し上げようというようなことにいたしたわけであります。  なお、災害救助法が適用されない町村に対していかにすべきかということについては今後自治省あるいは建設省その他と被害のいろいろな実態に即応して検討はいたしてまいりたいと考えておりますが、一応ただいままで取りきめました弔慰金に対する内容はこういうことになっております。
  141. 中村波男

    中村波男君 気象庁にまだ質問したいのでありますが、時間がありませんので御苦労さんでした。  次に、警察庁の関係にお尋ねをしたいと思うのでありますが、岐阜県の実態を見まして痛切に私は感じて意見を申し上げるわけでありますが、今度のいわゆる災害救助、明智町の阿妻地区というのは道路は寸断をされまして、通信は途絶をし、救助に行くことさえできなかったという実態があったわけであります。  そこで、警察官が必死の救援活動を行ないまして山を切り分けてその阿妻部落へ到達をしたという全く涙ぐましい活動を聞くわけであります。  そこで、私が考えていただきたいと思いますのは、警察の本来の任務であります人命財産を守るという立場から災害等の救助活動の大切であることは当然の任務としてあるわけでありますが、そこで安保条約の反対闘争対策あるいは過激集団の警備のためには県警等につきましても相当国家的な政府の援助がありましてそれらに対応する装備というのは充実をされておると思うのです。私は十二分に充実されたと言い切ってもいいと思うのであります。しかし、救助活動に対する装備いわゆる器具、資材、こういうものは全く貧弱なわけです。  したがって、具体的に考えてもらいたいと思いますのは、少なくともヘリコプターをいま各県にどのような状況にあるかまだ調べてありませんけれども、ないところが多いのじゃないかというふうに思うわけです、県なり警察本部にですね。  それから少なくとも災害救助というようなことになりますと、大型輸送車はもう何台もあるわけでありまするけれども、道路が寸断をされあるいは町村道へ入らなければならぬという山間僻地の災害等を考えます場合には、小型輸送車を早急に装備させる必要がある。それから夜間の作業等を考えます場合には投光車、できたらレッカー車、それから山等を切り開いて道を進むということになれば、木を切るチェーン・ソー、小さななた、のこ切り、スコップ、寝袋、携行食というようなものは、これは県につくれという行政指導でも可能でなかろうかと思いますけれども、少なくともいまあげましたような金のかかるもの、こういうものはやはり国の予算において、政府の予算においてこれを与えると、こういう道が開けないものであろうか、この点をお尋ねいたします。
  142. 武藤昭

    説明員(武藤昭君) ただいま先生御指摘のような災害の警察活動に必要といたします装備器材、これは冒頭に仰せになりましたヘリコプターをはじめ輸送車、その他それぞれ警察は装備さしていただいているわけでございます。ところで、ヘリコプターの装備にあたりましても、現在年次計画を立てておりまして、主要府県に逐次御配慮をいただくように整備中のところでございます。また輸送車につきましても、小型の輸送車を整備しろというような御趣旨の御発言かと存じますが、まことにごもっともの仰せでございまして、小型の小回りのきく輸送車もいろいろ整備いたしておりまして、逐次これも各県に渡っておるわけであります。何せいまお話しのように、道路の状況あるいはそのときの災害地の状況によりましては、小型の車が直接役に立つ場合もございますし、また他面、小型には小型としての欠陥と申しますか、馬力が少ないというような点もございまして、大型車のほうが有効な場合もございます。そういったようなことで、いろいろな組み合わせを必要とするわけでございます。また、その他仰せのような投光車、これも主要な府県にいわば管区所在の府県と申しますか、こういったような県を重点的に選んでおりまして、逐次現在整備いたしておりまして、災害その他いろんな警察が必要とするようなときにそれを使えるような状態に持っているわけでございます。また、チェーン・ソーとかいったような、これは名前は違いますけれども、そういう仰せのようなことに使われるような資材も逐次整備中でございます。なお一般的に申しまして、まだまだこういうようなものにつきましての整備というのは、これからも努力を続けてまいりたい、かように思う一わけでございます。
  143. 中村波男

    中村波男君 まあ逐次整備するということでありますが、岐阜県の場合なんかは、いま私が指摘したようなものは皆無と言っていい状態なんですね。したがって、これだけ災害が激発しておることから考えましても、この機会にひとつ来年度予算で要求を強く出していただいて、そして計画的に少なくとも三年なら三年計画で全国に装備するというような計画のもとに、一そうひとつ格段の推進をしていただきたいことを強く希望申し上げるわけであります。  次は、災害救助法が現実と合わなくなった点がたくさんあるんじゃないかと思いますので、したがって、時間がありませんから一問一答でただしていくわけにまいりませんので、私の考えております点を一括して申し上げてみたいと思いますから、それぞれにひとつ答えていただきたいと思うわけであります。  第一番は、災害救助法による救助活動の協力者に対するたき出し及び食品の給与及び飲料水供給に要する費用をぜひ国庫負担の対象にすべきではないか、実際に災害救助その他で協力しておる人たちに、あなたたちは協力者だからと言って別にするわけにはまいらぬと思うのです。したがって、こういう費用も県なり町村の負担は災害が大きければ大きいほどあるいは死者等が行くえ不明になっておるような場合は費用のかさみ高というのは大きいわけでありますから、ぜひひとつ考えられるべきではないか。  それから二番目は、避難所の開設に対する国庫負担の対象となる費用は、限度額一日一人当たり三十円以内ということになっておりますが、(「二十円だよ」と呼ぶ者あり)これは私は実情に合わぬのではないか、こういうふうに思うわけです。私は三十円というふうに思うのですが、いま二十円という声がありますが、二十円であれば訂正しますが、三十円でも全く実情に合わぬのじゃないか。  それから三つ目は、今回の災害は山間部における山くずれ等による被害が多くて、住居及びその周辺に運ばれた土石、蓄木の流入による被害が甚大であります。これはさいぜん他の委員からも指摘されたところでありますが、災害救助法の関係からいえば、一般基準一・五割以内というのを大幅に私は緩和する必要があるんじゃないか。  四つ目の問題は、全壊、半壊家屋百三十世帯に岐阜県の例を申し上げますと及んでいるわけでありますが、それらの復旧費に充てる世帯更生資金の貸し付け原資の早期に交付措置を講ずる必要があると思うのです。これはいまどのような措置を考えておられるか、あわせ聞きたいのでありますが、それと同時に、住宅金融公庫の規定を改正して、災害住宅の復興資金というのは簡単に、と言うとこれは問題があると思いますが、貸し出されるようにぜひひとつ住宅金融公庫法の改正を行なうべきではないか、こういうことを考えているわけであります。  それから五つ目は、岐阜県の大災害を受けました明智町に隣接市町村の共同のし尿、ごみ処理施設が被災を受けたわけであります。したがって、これの災害復旧費の適用基準を大幅に緩和してもらわぬと、これはそれぞれ共同施設を行なっている町村が大災害を受けておりますから、ぜひひとつ考えていただきたい。  それから仮設住宅については先ほど高山委員からも御指摘があったと思うのでありますが、これは少なくとも家を失った人はあくる日から住むところが必要なんでありますから、いろいろな制約を設けずに、とにかく住める家を建てて与えると、これくらい思い切った対策を立てるべきでないかというふうに考えます。さいぜん質問もありましたから詳しくは申しません。  それからもう一つ、私は今回の災害の実態の中から考えていることでありますが、市町村に医療機関のある場合は、他の市町村やほかから医者等が入ってきて医療を受けました費用については公費負担の適用除外になっていると思うわけです。少なくとも災害で何百人という人が被災したような場合には、小さな町村で一人や二人のお医者さんではとてもとても措置できない。したがって、岐阜県の場合でも県立病院や日赤その他の医療機関が臨時に出向きまして医療に当たったわけでありますが、そういうものについてやはり私は公費負担として支弁すべきでないか、こういうふうに考えるわけであります。  以上、七つ質問をしたわけでありますが、お答えをいただきます。
  144. 新津博典

    説明員(新津博典君) 第一番目の協力者に対する給食費等の問題でございます。これはもう御指摘のとおりでございまして、現地では実際に被災者だけでなく大ぜいの方が医療活動に当たっているので、たれかれの区別なく給食しておるのが実態だと思います。ただ、現在の法律が災害によって被害を受けた方の応急の生活の保護という目的になっておるので、現在は国庫負担の対象になっておらないわけですけれども、これは、御指摘もございますし、各県からもそういう声を聞いておりますので、ひとつ各県の今回の災害の担当者とその実情等を十分に聞かしていただきまして、検討してまいりたいと思います。  それから二番目の避難所の問題でございますが、これは先生御指摘のとおり、実は三十円でございます。三十円というのは、実は避難所は御承知のとおり、大体安全な場所の公共施設、学校とか公民館とか、そういう既存の施設が充てられますので、そこでのランニングコストと申しますか、光熱水費その他の経費でございまして、この根拠は一応実際にその開設した避難所にかかった経費の県の実態から割り出したものでございますが、これらの額は毎年実情に応じて改正しておりますので、今回の場合も非常に低いという実態でございますれば、来年度大幅に改善をしていく方向で検討いたしたいと思います。  それから三番目の、その住居に入った土石等の除去の問題でございますが、これは過去の災害救助活動の実態から、一応その一般的な基準として一五%というのがあるわけでございますけれども、今度のような災害の場合には、各地でこの一般基準では間に合わないという御要望がございます。この点につきましては、厚生大臣の特別基準の道が開かれておりまして、災害時の緊急時でございますから、とりあえずはその実情を電話で聞いてオーケーを出す、あとで文書処理をするというようなことで実情に応じてこのワクの特別基準を認めることで、今回の災害でもそういう扱いをいたしております。  それから四番目の世帯更生資金の関係でございますが、これは救助法とは別でございまして、同じ局内でございますので制度を知っておりますのでお答えを申し上げますが、御承知のように、世帯更生資金自体は平常時でも一般の低所得者のために、生業費でございますとか、医療費の貸し付けとか、育英資金とか、いろいろな資金を持っておるわけでございまして、あらかじめ各県に本年度貸せる分が配賦してございます。で、今回の災害の場合には、とりあえずその県が手持ちの資金で災害者に優先的に貸し付けて、足らない分を追加交付をするということで、この追加交付の財源が実は本省留保では間に合いませんので、ただいま大蔵省と予備費を大幅に使わしていただくように交渉中でございます。おそくも八月中旬中をめどに予備費について御承認をいただいて、各都道府県にほぼ御要望を満たすだけの額が追加交付される予定でございます。  それから住宅金融公庫の関係でございますが、これは、おそれ入りますが、担当が建設省でございますので、建設省のほうからお答えをいただきたいと思います。  それから六番目の共同ごみ処理施設の関係でございますが、この点も、御要望も今回の災害に関連して各県からあがっております。これは、恐縮でございますが、役所の担当が環境衛生局の環境整備課になっておりますので、きょうちょっと来ておりませんが、環境整備課が十分承知しているはずでございますし、私も政務次官のお供で現地を見て御要望を聞いておりまして取り次いでございますので、ひとつ戻りまして担当の諸機関によく通じまして前向きで検討をするようにしたいと思います。  それから七番目の応急仮設住宅の問題でございます。これも、御指摘のように、一応過去の災害の実例から三〇%という一般基準のワクがあるわけでございますが、これに対しても特別基準の道が開かれておりまして、現に今回山間僻地、わりあい低所得階層の多い地域でしかも悲惨な災害が多かったということで、このワクを越えての御要望が各県からあがっておりまして、逐次それを特別基準という形で処理している段階でございます。  ただこの住宅に関しましては、私一課長として出過ぎたことを申し上げるようでございますが、いわゆる応急仮設住宅と申しますのは、本来建設省でやっております一般の住宅対策というワクからはみ出して、とりあえず何といいますか、建築基準法の適用を除外されたほんとうの応急の仮設の住宅ということでございまして、規模も不十分なものでございますし、それからまた、耐用年数も基準法の適用除外ということで、長くて二年以内ということで、いわば恒久的な住宅対策にはなり得ない。したがって、たとえば災害用の公営住宅でございますとか、恒久的な住宅対策とのつながりをどういうふうにうまくやっていくのか。個人で申しますれば、先ほど御指摘があったように、住宅金融公庫の資金で建てる場合、あるいは世帯更生資金の住宅資金を借りてくめんしてやる場合、いろんな制度をうまく活用してやっていく恒久対策、それとのつながりの中から総合的に考えていく必要があるのじゃないかということで、実は内部ではよりより検討しておりますが、とりあえずの御質問に対しましては、応急仮設住宅についても三〇%という点を特別基準で県の御要望にこたえていくようにしたいと思っております。  最後に、応急医療活動の面での御質問でございますが、これは私の聞き違いでなければ、災害非常時にふだんの医療機関が正常な状態機能を果たし得ない、こういう場合に日赤救護班等、公立病院からの救護班が現地に行って診療するわけで、これは全部公費負担でございます。したがいまして、それがある程度落ちついてから普通の医療保険で普通の医療機関にかかれるようになった場合は別ですが、応急の医療をやっている段階では全部公費負担ということで、国庫補助の対象になっております。  以上、答弁不十分な点があったかもしれませんが、とりあえずお答えいたします。
  145. 中村波男

    中村波男君 いま最後の問題ですね。私のことばも足らなかったのですが、たとえば小さな町村でお医者が足らない。少なくともすぐ隣にはお医者さんがあるというような場合でも、これはやはり緊急医療という立場で公費負担にすべきだ、町村長の証明で。そういう弾力的な取り扱いをやらなければ実際の緊急医療にはならないのじゃないか。こういう点はひとつ十分考えてもらいたい、こういうふうに思うわけです。
  146. 新津博典

    説明員(新津博典君) ただいまの点は御指摘のとおりでございまして、天草の例でございますが、天草の患者が海を渡って本島の病院に行く。隣の町、村の病院に行く。こういう場合も全部公費負担の対象にしておりまして、いま先生のおっしゃったような弾力的な運営ができているはずでございます。もし現地に個々の問題で取り扱いに不備がございますれば、今後御指摘を受けて、十分指導し、おくればせながらでも国庫補助の対象にしたいと思います。
  147. 小渕恵三

    説明員(小渕恵三君) ただいま御質問のありました住宅金融公庫法の改正の問題でございますが、罹災者に対してよりゆるやかな条件で貸し付け等ができるようにする、こういう御指摘だろうと思いますが、この問題につきましては、特に大臣から御指示がございまして、利率の問題、貸し付けワクの問題、据え置き期間の問題等、現在大蔵省と住宅局で検討、協議中の模様でございますが、なお法改正を必要とする問題でございましたら、その問題につきましても、よりより検討させるようにさせてまいりたいと存じます。
  148. 須原昭二

    須原昭二君 三十分の質疑の時間でありますから、私も要点だけ申し上げたいと思います。したがって、答弁は要を得てひとつ御答弁をいただきたいと思います。  まず、緊急砂防工事の基準についてでありますが、この砂防工事の基準は、たとえば田が十ヘクタール流失をした、国道やあるいは主要中央道が通っているところ、しかし家が二軒以上流失をしたところ、こういうような、いわば公共性があるところという基準があるようでありますが、これは一般的に、一般並みの基準であって山間僻地の基準でない、こう私は思うわけであります。したがって、山村僻地に合う基準に変えるべきであると思うけれども、その点はどうか。これが第一点。  第二点は、いま愛知県の小原村だけで山くずれの個所が大体四千六百カ所、その周辺全部合わせますと八千カ所あるといわれております。いま、砂防工事の設計をするために県の職員まで動員して二十名現地で実測をしております。しかし、八千カ所もあるんですから二十名ぐらいで動員されて設計したところで、これはもうたいへんなことだ、いつ完了するかどうかわからない実態です。したがって、この際、民間の技術者も動員して、やはり設計までも委託をするようなことを考えるべきではないか、こう思うんですが、この点はどう考えられているのか。  それから設計の内容についてでありますが、これまでの土木工事の常識からいうと、河川改修の計画強度、これは大体時間雨量六十ミリ程度、あるいはまた砂防工事の計画強度というものは大体時間雨量の七十から八十ミリ程度、こう基準を設けて設計をされているように私は聞いております。愛知の西三河を襲った集中豪雨は最大時間雨量が八十六ミリです。という記録的な雨量、土木工学の常識を越えた集中豪雨であったといわなければならないわけでありますが、戦後の集中豪雨の時間雨量をずっと調べてまいりますと、だんだんこの記録が伸びておる現状であります。したがって、計画設計の内容を再検討すべきではないか、こう実は思いますが、まず最初に、その三点だけをひとつ御質問を申し上げます。
  149. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 最初に緊急的な砂防対策を要する個所の事業の採択の基準の問題でございますが、なるほど現行でやっております基準には、ただいま先生のお話しのような表現をとっております。しかし、治水的な砂防と申しますのは、やはり下流の河川に対する悪影響をできるだけ防除するというのがたてまえでございまして、その地域はずっと下流までも及ぶわけでございますから、その範囲のとり方によってかなりまあ大きく採択もできるんじゃないか。まあ過去の経験でございますと、大体そういった基準のために採択できなかったというような例はほとんど私はないと思っておりますので、ひとつよろしく御了承いただきたいと思います。  それから次に、非常に個所が数千カ所にも及んでおる。したがって、早急に設計を立てるのには県の職員だけでは不十分じゃないかということでございますが、先月の二十九日に、私の名前で通達を出しまして、これは改良復旧等の関係もございましたが、できるだけ公共団体で十分でないものについては、コンサルタントなり民間技術者の協力を要請をして、その委託をしなさいという通達を出しております。したがって、まあかなり徹底はいたしておると思いますが、そういったことで、少なくとも被災個所の中で緊急を要するようなものについては、できるだけ民間力も利用いたしまして事業の促進をはかりたいと思います。  それから最後に河川の計画的な雨量強度はどうかと、こういうことでございますが、たとえば都市部の河川でございますと、これはまあ湛水等をポンプで排除するとかといったような場合には時間雨量というものを考えております。都市部ではまあ大体普通の河川では五十ミリぐらいを目標にしておるわけですが、一般に中小河川でございますと、流域面積とか何かによって到達時間とか、あるいはまあそれの緩和のしかたというようなものが非常に異なっておるものですから、河川の個所、個所によりまして、きょう午前中参考人奥田先生からいろいろ計画規模の話も出ておりましたが、一応中小河川については頻度として五十分の一ぐらいの被超過確率をねらって改修規模をきめておる。ただし、やはり既往にそういった大きな実績があれば、当然これはまた計画を立て直して、そういったものにも再度災害のないといったような計画に変更する。こういう形で指導をいたしております。したがって、中小河川で時間雨量何ミリというのはちょっと言いがたいと思いますが、そういった考え方でやっておる次第でございます。
  150. 須原昭二

    須原昭二君 設計の委託の問題については会計検査院等々、あとの問題が起きてきますが、そういった点の万抜かりのないようにひとつお願いをしておきたいと思います。さらに設計の内容については、特に愛知の場合は沢地帯なんですね、土質がきわめてもろい。したがって、岸壁がきちんとしていないものですから、りっぱな橋がだっと流れてしまったと、こういう現況がありますから、特に設計の内容について再検討をしていただきたいと思います。  それから災害救助法の内容についてでありますが、いま中村さん、あるいは高山さんから御指摘がございましたから、あまり詳しくは申し上げる必要はないと思いますけれども、いずれにいたしましても、たしかこれは四十年五月十一日付の通達ですね。したがって、そういう七年前の状態では実情に合わない。これはもう言うまでもない。物価がどんどん年に一割も上がっているんですから、したがってこれは実情に合わすように特に早急に改正すべきである。その点を指摘をしておきたいと思います。特にその中で私が特異に現場を視察をして感じたことなんですが、ある家庭は家があぶなくなってきた。したがって、家族一緒に避難しかけた。しかし、子供だけがあすからまた学校があるということで教科書を取りにいったわけですね。したがってその子供だけ、実は家の下敷きで死んでしまったという悲惨な事故が事実あるわけです。子供にとって教科書というのは、私は命から第二番目のもの、きわめて大切なものであると言わなければならないわけです。そういう点から考えまして、たとえば救助法の中における文房具、教科書あるいは通学用品、これを含んで子供の場合、小学校の場合は一人当たり千三十円ですか、中学生の場合は千百円、県当局に調べますと教科書だけで三千円ぐらいかかる、こういわれているわけです。千九百七十円、残り分は県費で負担をせよと、こういうことなんですが、実は教科書というのは無償で配給すべきものであります。そういう点からいいますと、まさにこれはちぐはぐではないか、したがって、これは全部国費で支弁をすべきように改正をすべきである、こう指摘をいたしておきたいと思います。御意見があったら御指摘をいただきたい。  さらに応急仮設住宅の問題は、先輩、同僚の皆さんから多く指摘をされております。何といいましても三割というのは、それから低所得者という制限、これは非常に問題があるといわなければならないわけでありまして、災害非常時に限られた職員で、特に小原あるいは藤岡村なんかは千二百戸ぐらいあるのに、八百五十戸ぐらいが何らかの被災者になっているわけです。そういうまた職員自体が自分の家庭がやられているわけです。そういう職員で調査は不可能。そんな調査をするひまがありません。さらにまた、所得というものについて被災前後どちらをとるのか、そして三番目と四番目のどういうわれわれは区別を、地元の人たちは区別するのか、急激に変化している所得というものをどう査定をするのか、こういう点が非常に現状に合わないわけです。所得の多少にかかわらず、家が必要なことはみな同じのことです。したがって、めんどうな手続は省いてしまって、そして被災者にあらかじめ応急住宅を与えて、あとで個々の実情に合わせて適当な代金を返済させる、そういうような幅を持ったような政策を講ずべきだと思いますが、その点はどうなっているか、どうお考えになっておるのか、御質問を申し上げたいと思います。  さらに医療の問題は、あす実は社会労働委員会が開かれますから、その節に大体の大要についてはまた申し上げたいと思いますけれども、ただ一つだけ申し上げておきたいと思います。災害救助法によりますと、十四日間、この適用が受けられるわけです。しかし、十四日間というのは、現在の医療の中で考えますと、かすり傷程度ぐらいなら十四日でなおります。骨折だったらまず応急手当てをして一週間か十日ぐらい待って、それからほんとうの治療に入ってくるわけです。したがって、こういう十四日間では何もできない。しかし、十四日経て十五日目から国保の対象になっていくわけです。御案内のとおり、国民健康保険法によって市町村が保険者になって組合をつくっております。御案内のとおり、二百五十億ぐらいの損害だそうでありますが、その大半がたとえば小原はその二分の一が被害総額だというふうに聞いております。そしていま愛知県下で調べてまいりますと、県民一人当たり大体平均保険料が、四十五年の統計でありますが、五千五百二十七円、そして一人当たりの平均医療費が一万六千二十九円ということになっております。この愛知県というのは富裕県の中に入りますが、それでも五千五百二十七円ですから、小原なんかは半分以下、きわめて微々たる保険料なんです。国庫負担が医療費の四〇%、さらに財政調整交付金はわずか五%、全部で四五%です。そういたしますと、ただでさえ赤字に転落しつつある国民健康保険組合の基金というものは、まさにパンク寸前、パンクそのものであるといっても私は過言でない。特に災害によってあるいは低所得者というものの保険料を免除しなければならない、免除するように条例がきめられているわけですから、この災害によって保険料はほとんど入らないといっても私は過言でない、こう言わざるを得ないわけです。したがって二週間ぐらいめんどう見てやる、あとは保険でかかれというようなことは、まさに私は悲惨そのものの扱いではないか。そういう点から考えますと、特に災害市町村の国民健康保険組合の基金というものは、その運営というものはたいへんなピンチに立っておると言わなければならないわけでありますが、国民健康保険法の第四条によりますと、国と都道府県の義務というものが明記されております。しかも、その中で事業の運営の健全化につとめなければならないという国の責任が明確にしてあるわけでありますが、こうした財政的に不如意になった、あるいはパンクしてしまった、こういう状態についてはどのように国は援助をするのか、この点を明確にしていただきたいと思います。時間の関係がありますから、この点だけまず第二番目に御質問申し上げます。
  151. 新津博典

    説明員(新津博典君) 第一の災害救助法で行ないます教科書の関係ですが、これは教科書及び準教科書は実費で出しまして、それと別に先ほど御指摘になった金額を通学用品等ということで支給するということになっております。  それから二番目の住宅の問題ですが、これは先生の御指摘のとおりなんで、原則的に必要なものを建てて逐次やっていく、しかしまあ過去の実績で、実は建て過ぎてだいぶ余ってしまったというようなケースもあるので、原則をさらに……。
  152. 須原昭二

    須原昭二君 不幸中の幸いだ。
  153. 新津博典

    説明員(新津博典君) これは御指摘のあるとおりですから、実情に応じて弾力的に対処していきたいと思います。  それから三番目の医療の問題でございますが、これは一応原則は十四日間ですが、それをこえて必要な事情があれば延長できる特別給付の道もございます。それから原則は十四日たつと御指摘のとおり、医療保険に戻るわけでございますけれども、その場合災害等で、国保で言えば三割の自己負担ができない者については、たとえば世帯更生資金の貸付金による医療費の貸し付けをするとか、あるいは医療扶助で公費で行なうとか、それぞれの道はあるわけでございますが、なお、国保問題については、国保課長がただいま来ておりますので、国民健康保険課長からやっていただきます。
  154. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 国民健康保険の関係でございますが、被災されました小原村、藤岡村、これは組合ではございませんで、公営の国民健康保険を実施しております。被災した国民健康保険加入世帯については市町村が一定の基準によりまして保険料の減免を行なうこととなっておるわけでございますが、それに対します国からの助成といたしましては特別調整交付金によって手当てしてまいるということになっておりまして、今回の災害についてもこれによって措置してまいるということになるわけでございます。
  155. 須原昭二

    須原昭二君 災害救助法の改正の問題は。
  156. 新津博典

    説明員(新津博典君) 災害救助法の援助内容なり程度につきましては、先ほど先生の御指摘がありましたけれども、毎年改正をしておりまして、ことしもそれぞれの金額を大幅にアップいたしまして、したがって通牒も一部改正で毎年改正しております。御要望の点については、今年度はすでに改正が終わっておるわけですが、来年度の改正で十分考慮してまいりたい。
  157. 須原昭二

    須原昭二君 ひとつ実情に合うように、あまりみみっちいことを考えないように、ひとつ改正していただきたい。特に教科書の問題については現品は無償で渡していく。そして文房具だとか通学用品だとか、副読本とか、そうしたものを千三十円でやれということなんですね。そういうことになりますと、愛知県の教育委員会でやらせましたら三千円要るというのですよ。そうして、会計検査院がこともあろうに災害が起きてすぐあとに行ってこの基準どおりやらなければ、あとは県費でまかなってくださいというようなきわめて冷淡なことを言って回っているわけです。そういう点は不幸のあったところに何か悔やみならいざしらず、締めつけにいくような態度というものは私は了承できないと思うわけです。そういう点はひとつ関係当局に要望しておいていただきたいと思います。  それから医療の問題については、あすまたお話をいたしたいと思いますが、公営でやっているというのは、どういうことですか。私ちょっとわかりません。その点だけひとつ。
  158. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 国民健康保険の実施につきましては、御承知かと思いますが、市町村が実施するということがたてまえとなっておりまして、例外として国民健康保険組合をつくって、これはたとえば食品とか、そういった関係業者の集まりの組合でございますが、そういう国民健康保険組合による実施もございますけれども、問題の小原村、それから藤岡村につきましては、これは市町村が実施している国民健康保険組合でございます。そういう意味で、公営と申し上げたのでございます。
  159. 須原昭二

    須原昭二君 町村がやっている組合であろうとも、いずれにしても、これは赤字もしくはピンチになっちゃっているわけですね。そういう点についてどのような方策をとっていかれるか、こういうことを言っているのです。
  160. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 確かにその点につきましては、町村についても全く同様でございまして、申し上げましたように、町村が被災されました世帯について一定の基準に従って保険料を減免された場合には、国はそれに対して特別調整交付金をもって措置をしてまいる、こういうふうな仕組みになっておりますので、今回の被災につきましても同様措置を考えてまいりたいというわけでございます。
  161. 須原昭二

    須原昭二君 次に、道路と河川のことについて御質問いたしたいと思います。  その二百五十億の被害総額の中で小原が半分以上、その周辺がその半分と言われておりますが、その小原村が税収たったわずかに四千万円です。そうして藤岡村は若干ふえて税収が六千万円。そうして年間予算三億五千万円です。双方の二つの村とも、この大災害でそうして四十七年度の税収はまさに激減をする。千二百戸の中で八百五十戸ぐらいが何らかの被災者になっておりますから、税収はゼロに近いと言いたいほど激減をする。そういたしますと、町財政はまさに破産状態になってしまう、こういう現況をとらえていまから御質問いたしたいわけですが、実はこの愛知県ではこの藤岡あるいは小原、足助、旭、こういう山村僻地の村道をいま極力県に移管をするように事務手続を進めているわけです。なるほど過疎対策として道をりっぱにすることは過疎を防いでいく一つの道、いまひとつは財政的に困窮になった市町村の財政を助けるために、二つの観点からこの方法をとっているわけですが、したがって、国においても被害地域を通っております主要な県道、たとえば私が言いますが、豊田−瑞浪線、豊田−岩村線、これは当地を通っている主要な県道です。この県道をこの際国道に移管すべきである、こう実は私は思うわけですが、その点はどうお考えになっておられるか、やっていただけるかどうか、この点をひとつ御質問をいたしたい。特に村道を県道に、県道を国道に、こう移管をして、過疎を防ぎ、そして村財政を助けていく、そういう方法としてひとつぜひともやっていただきたいと思いますが、その点はどうかということです。  それからもう一つは、河川の段階でありますが、とうとい犠牲者を多く出した、すなわち六十七、八名の多くの犠牲者を出したわけですが、それは小原村の下仁木を流れる田代川、それから藤岡村の御作、木瀬、これは視察団の先生方、同僚の皆さんにも御視察をいただいたところでありますが、さらに小原村の西萩平、これを流れる犬伏川という川があります。これはともに一級河川であります矢作川の支流であります。二級河川でありますが、この両河川の途中まで国の管理になっていて、そのもうちょっと先が県の所管になり、そしてさらに上流が村の管理になっているわけでありますが、この国の管理になっているところに災害が多く出ておるわけです。この際この田代川、犬伏川のさらに上流までさかのぼってひとつ国の管理責任として、原形から改良へ改修すべきである。すなわち蛇行いたしておりますものをそれを直線にし、さらにまた、その直線にしますと、水の流れがきつくなりますから鈍化をする。そういうような改良工事を行なうべきである。さらにまた、従来の国、県、地元の、五、三、二ですか、こういう財政負担区分というものは、実はそうしたピンチに立っておる山村僻地の村での財政能力では当然これは負担能力がありません。したがって、その負担区分を明確にひとつ再検討していただきたい、こう思うわけですが、その点はどうでしょう。ひとつ御答弁をいただきたい。
  162. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 村道の県道昇格、あるいは県道の国道昇格について努力をすべきではないかという御質問に対しましてお答え申し上げます。  まず村道の県道昇格でございますが、これにつきましては、やはり過疎地域等の地方財政の負担の軽減ということも含めまして、昨年来県道昇格の基準を若干緩和しまして村道から県道へ昇格し得るものにつきましては極力昇格をして実施していくということで県のほうを指導しております。  また、ただいま御質問にございました主要地方道、豊田−瑞浪線並びに豊田−岩村線——これは豊田−明智線という路線名に変わっておりますが、これの国道昇格につきましてはすでに御存じと思いますが、道路法の第五条に定めます国道指定の要件に従いまして、国道網として間隔、あるいは交通量、その他路線の重要度等を勘案しまして追加指定をやっておるわけでございますが、先般、昭和四十五年に約五千六百キロの国道昇格を実施いたしております。したがいまして、この二線につきましては、今後さらに調査を進めまして、次回の国道昇格のおりに検討をさしていただきたいと思っております。なお国道になりませんでも、現在主要地方道といたしまして豊田−瑞浪線につきましては、小原村地内で土地改良工事で道路整備をいたしております。また豊田−岩村線につきましても、道路改良工事で主要地方道として国の補助事業で県が残部の負担を持ちまして実施いたしておりますので、それらの整備の促進につきましては、今後努力してまいりたいと思います。
  163. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 河川関係でございますが、直轄の河川区域に編入したらどうかと、こういうお話でございますが、これにつきましては、やはり県の意向等もございますし、河川の持っております規模とか重要性、こういったものもございますので、単に過疎地域の対策ということだけで踏み切れない問題があろうかと思います。  なおもう一つ、いろいろ今回の災害の実情を見てみますと、かなり市町村の公共土木の災害が多いものですから、相当な激甚災の援助率になるんじゃないかと思います。したがって、むしろ当面は町村災害で採択をしまして、もうほとんど全額に近い程度の国庫負担率になると思いますので、なおいまおっしゃったような実際の実施の方法等については別に考えたほうが事務的には有利じゃないかという気もいたしますので、少し査定の額等が固まりました上で、市町村なり県に有利なように私どものほうでも検討いたしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
  164. 須原昭二

    須原昭二君 私はいずれにしても、パンク寸前、パンクしてしまった破産状態の小原あるいは藤岡の財政実態を知ってですね、ですからこういう財政不如意な段階で負担ではたいへんだからと、こういう視点と、いま一つはやはり過疎対策というのは、道路等なんかよくすることによって過疎を防ぐことができるわけです。そういう視点から申し上げておるわけですから、意のあるところをくんでいただいてひとつ善処していただきたいと思います。  時間があとわずかになってきましたから、あと二点ぐらいお尋ねをいたしておきたいと思います。  そのように税収入はほとんど期待できなくなったこの山村僻地の小原や藤岡や旭だとかあるいはまた足助、こうしたその財政状態を見て、当然国や県の事業でもあるけれども、村独自の不可欠なやらなければならない仕事があるわけです。これらを消化するためにはどうしても長期の、そうしてあるかないかわからないぐらいの低利の復興資金が私は必要になってくる。いわゆる立ち上がり資金ですね。こういうものが私は必要とは思うのですが、従来この起債の中でも、たとえば災害復興債というものがありますけれども、これは起債というものは大体目的を明示しなければこの復旧、復興というものにならないわけです。したがって、全体、満身きずだらけですから、したがって、手が悪いとか足が悪いとかそういう目的支出起債ではなくしてまあ全体をプールしたものとして長期しかも低利の起債を認めてやる意向がないかどうか。そういう点をやっぱり考えていくべきではないかと思うわけですが、その点はどうかということです。  それからいま一つは、この山村のあり方、大臣はよくもう復旧じゃなくて改良へと、こういう名言を吐かれておりますが、山村のあり方を根本的に私は再検討すべき段階にある。したがって、たとえば都会にある都市計画のように、山村部の農村にも全体的な構造改善をするような山村計画というものを私は立てる必要があると思うわけです。さしづめこうした壊滅状態にあるところの被災地をひとつモデルにして、これを出発点として全国的に山村計画を打ち立てていくようなやはり積極的な施策が私は必要だと思うわけです。特に愛知県では桑原知事が中心になりましてこの山村計画をつくり上げる、そういう点をすでに公表してやっておるわけですが、もしこれをやるとすれば多大なやはり国の援助が私は必要だと思います。そういう点をどうお考えになられておるのかお尋ねをいたしておきたいと思います。  あと一点ありますが、まずその二点について。
  165. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 非常に被災地で財政力が枯渇してきておるといわれる小原村、藤岡村につきましては、現在の地方債の許可方針によりましても、いわゆる小災害といったもので公共土木災害とか公立学校、農地、農業用施設等の被害額の大きい場合におきましては、まとめてこういった小災害対策債等も出しておりますので、できるだけ御趣旨に沿うように具体の町村ごとに相談に乗ってまいりたいと、このように考えております。
  166. 須原昭二

    須原昭二君 もう一つ、山村計画。——総務長官おりませんか。建設大臣おりませんか。
  167. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 直接の担当ではございませんが、私どものほうでも先ほど来お話しのございました過疎対策等所管いたしております。山村問題につきましては、経済企画庁に総合開発局の中に山村豪雪地帯振興課といったようなものもございまして、そういった、私ども非常に地方財政の関係もございますので、十分連絡はとっておりますが、いまおっしゃいましたような意味におけるモデルケースとしての新しい山村づくりと、こういったものは山村振興法等の精神からいっても非常にいいサゼスチョンではないだろうかと拝聴いたしました。直接担当ではございませんが、企画庁等とも十分連絡いたしましてそういった考え方を検討していきたいと思います。
  168. 須原昭二

    須原昭二君 いまお話を聞いてですね、これでいいかどうか、私も再質問に戸惑うわけです。というのは、やはり責任ある方がいないということです。少なくともこの災害対策特別委員会は、先月の十九日にこの日はきまっているわけです。にもかかわらず、何の御用事があったのかわかりませんが、総務長官も建設大臣もどこかへ行っちまう。こういうことではほんとうに審議は尽くされないですよ。きのうこれは招集された、きのう予告されたというならいざ知らず、二十日間も前にこの日が予告されておるにもかかわらず、途中で帰ってしまわれるということはまさに無責任だと言わなければならない。われわれは真剣に討議できないじゃないですか。この点は、副長官おいでになりますから、十二分に大臣によくひとつ伝えていただいて、今後かかる失態のないように考えていただきたいと思います。
  169. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いまの御趣旨、大臣によく伝えておきます。
  170. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、午前中、建設大臣に質問をしておりまして、しかも関連質問でありましたので、要点だけ一言言っただけで意がくみ取られなかったというふうに思っておりまして、午後の質問でそのことをはっきりお伺いするというふうに言っておきました。そのときに大臣は、災害でいろいろなことを教わった、率直に受け入れて法改正もやっていくというような答弁をはっきりしておられました。  そこで、さらに長官もおっしゃっておられたのは、激甚法が十五日ごろに査定の発表ができるのじゃないかというような話のように私伺ったわけです。これは小宮山総務副長官、どうなんですか、十五日ごろに発表できるような段階になるのですか。この点は念を押しておきたい。
  171. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) お答え申し上げます。  十五日に閣議決定をしたいと思っております。
  172. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、激甚法の指定時期でありますけれども、おそらく激甚災害に対処するための特別財政援助、激甚法の災害対策というふうになってくると予測をいたしまして、長官あるいは建設大臣がいませんので小渕政務次官等にもお伺いするわけですが、このいままでの午前中の各委員の質問も要望も一切が財政援助のことについてがほとんどでありました。当然、地方財政では、町村によっては財政規模が、ただいまお話がありましたけれども、三億数千万ぐらいで、それが三倍も四倍もの被害を受けているというようなことから考えて、町自体も村自体も立ち上がっていくことのできないような財政規模になっているという時点において、この激甚法の第二章の「公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助」、ここに出ておりますが、この法律の条文を見ていきますと、時間がございませんので私はその問題だけをずばりと申し上げますと、この十三項のところに、「激甚災害に伴い発生した前号に規定する区域外の堆積土砂であって、市町村長が指定した場所に集積されたもの又は市町村長がこれを放置することが公益上重大な支障があると認めたものについて、市町村が行なう排除事業(他の法令に国の負担又は補助に関し別段の定めがあるものを除く。)」、こんなふうになっておりますが、この項目の母法があるのかないのか、さらに予算上の根拠がこれに伴ってあるのかどうか、これについてまずお伺いしておきます。
  173. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しの激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律、これが基礎になっておりまして、あとはこれを施行令等によってその基準を設けまして財政を補助をしておるわけでございます。
  174. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 午前中に大臣に私言いましたんですが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に準拠すれば、市町村が三万平米以上の、一カ所において二千平米以上の場合には国庫が二分の一補助するというふうになっておりますが、この点はどこに規定されているんですか。
  175. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまの法律の施行令、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令というのがございますが、これの第四条に「(堆積の程度)」というようなことで、一つの市町村の区域におきましてこれは三万立米でございます。それから、それだけまとまっておりませんでも一カ所の地域で二千立米程度あれば認めましょう、あるいは、それが一カ所でなくとも点々としたものを集めて二千立米程度あればこの法律の対象にいたします。そういったような堆積土砂の程度につきましては、これの施行令の四条で定めておるわけでございます。
  176. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、島根県のあの川本及び桜江等の排土というものをどのくらいに見ておられて、そしてこれを国庫補助が二分の一になっております。おそらく罹災地の市町村では金が全くないわけですね。こういう点についてもこの法律のままいこうとするのかどうか伺います。
  177. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 江川筋の今回の災害に伴います土砂の排除につきましては、ただいま申し上げました法律が当然適用されると思います。したがって、堆積土砂の排除につきましては、いわゆる河川とか道路とか、こういったものはそれぞれ公共土木の施設の復旧ということで除却されるわけでございますが、それ以外にいわゆる市町村の区域内の市街地といいますか、住家の前にたまっておるこういったようなものにつきましては、ただいまの法律の施行令に従いまして、大体全部採択できるのじゃないかと思っております。  なお、補助率が二分の一でございますが、これにつきましてはやはり起債その他、特に今回は激甚災にもなっておりますので、そういった意味のまた援助の方法も当然あるわけでございます。
  178. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 当然援助があるという、その援助のしかたはどういうふうになるんでしょうか。
  179. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 国の補助率は先ほど申し上げましたように二分の一でございますが、残りについては一応起債の対象ワクになる。なお激甚災の場合には、そういったもののかさ上げも在来から考慮されておる、こういうことでございます。
  180. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 先ほどの件でございますが、地方負担につきましては一〇〇%地方債を許可することにいたしておりまして、特別交付税、その元利償還費の一部を補てんすることにいたしております。
  181. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いずれにしましても、起債はもう借り入れなんですから、これはたいへんなことだと思います。その点も十分に考慮しなきゃならないと同時に、この法律の(特別財政援助額等)、第四条にありますが、この条文も、百分の百というような面だって、当然考えていかなければならない事態の今回の災害地が一ぱいあるわけです。したがって、この点も留意をしていかなければならないんじゃないかということを申し上げてみたいんですけれども、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
  182. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) やはり地方の財政、それからこれを援助いたしております国の財政、いろいろむずかしい問題があろうかと思いますが、要は、できるだけ地方の負担を軽減するという先生の御趣旨かと思います。こういった面では、私どもだけではまいりませんけれども、十分また関係の機関とも協議をいたしまして、今後とも検討を進めていきたいと思います。
  183. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほどの質問の中にもありましたけれども、この考えられる方法としては、町民の人たちが全部そろって、全町民をあげて土砂の片づけをしているわけですね。したがって、その市民の人たちの日当ということ等をどのように考えていくか。そういう点もあわせながら、これは当然、自治体においても、自治省においても考えるべきだと、こう思うわけなんですが、その点どうでしょうか。
  184. 植弘親民

    説明員植弘親民君) 先ほども御答弁申し上げましたが、一般的に、いろいろと、災害の場合には労力奉仕といったようなものがあるわけでございます。ある程度を越えた場合にどうするかという問題でございますが、市町村が単独事業として行ないます場合には、当然これは災害対策といたしまして措置の対象になっておりますが、個人の労力提供の場合について、いわゆる人夫賃といったものを措置の対象にするかどうかは、ちょっと検討さしていただきたいというふうに考えております。
  185. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そのことについて、知事なりあるいは市町村長なりに直接に呼びかけていって話し合いをしていくような、またどれだけの人数がかかっているのか、川本にしても、桜江にしましても、いまだに土砂の排土をしているわけです。仕事にかかれない。ですから、この点は新しいケースとも言えばそうかもわかりませんけれども、これは、熊本、天草についてもそのことは言えると思います。そういったようなことから、新しい法のあり方というものを考えあわしていかなければいけないんじゃないかということを私は申し添えておきたいと思います。  そして、いまだに町民の人が、自衛隊の——防衛庁の人おいでになりますか。  そこで、建設関係のいま質問をしておりますので、防衛庁がまだいま途中だというので、建設省のほうにもう一つ質問をしておきます。  それは、全国の観光温泉地といいますか、温泉地にありますホテルとか観光施設等が、ほとんどといっていいほどがけっぷちにあり、山を切りくずしたところにあり、また土地造成をしたところに建てられているということであります。それで、河川を中心にした温泉街というものは、河川の中まで建物を建ててあるところもずいぶんございます。こういうところの実態というものを、早く言えば、危険地域に指定をしてあるかどうか、急傾斜地の指定をして、急傾斜地法を適用さしているのかどうなのか、建築施工上に支障があるのかないのか、そういう点を調べられていることがあるならば、その発表をしていただきたいと思います。——住宅局長ですか。
  186. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しのような観点からは、特に旅館等を取り上げましての調査は実はいたしておりません。まあ普通河川区域に入って建てておるとか、こういったものになりますと、これはいわゆる不法占拠なりあるいは占用の物件でございますから、そういったものについては、少なくとも直轄区間等については把握をいたしておりますが、いわゆる全般の河川につきましては、これはそれぞれ所管のところでは調査をしておるんじゃないかと思いますが、よく実態をつかんでおりませんのが現状でございます。  なお、河川のこれは区域でございませんと、たとえば異常出水なんかの場合にそういったものが危険になってくるという場合が非常に多いわけでございますが、通常の場合に、これを河川区域に入れるということは、またやはり一方ではいろいろな行為の制限等を伴いますので、必ずしも、改修をやるとかそういったことでないと、なかなか河川区域には入れがたいというのが実態でございまして、したがって、それまでの間は、いろんな意味のやはり行政指導でやる以外には手がないんじゃないかという気がします。しかし、まあ特に旅館等につきましては、いわゆる景色だとか、そういったものを非常に重要視しまして、いたずらに川に近い危険なところに家を建てるということは、御指摘のようにまことに至るところに例があるわけでございます。やはり改修ができておればよろしゅうございますけれども、そういった時点までまだ達していないような河川につきましても、やはり自然といわゆる人間の生活が共存しますためには、あまり無理にそういった構造物を建てるということは非常にこれは危険なことでございますから、ただいま御指摘もございましたことで、私どもも十分その点に今後留意いたしまして、いわゆる地域開発なりそういった面からも、できるだけ水害の危険の予測と地域の開発、こういったものをかみ合わせるようなひとつ努力をしてみたいと考えております。
  187. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) 先生ただいま渓流の旅館その他の御質問でございますが、ただいま河川局長からお答えいたしましたように、このものずばりの調査は私どもも持っておりません。全体のがけ地についての個所あるいはそれに近接をする住宅とか住居のための建築、こういうものの戸数の概略は河川局の調査で出ております。それはたしか三十万弱というふうなことと覚えておりますが、それにつきましても、ただいま先生おっしゃいましたような渓流あるいはがけ地、こういうところのそばに建築物があって危険じゃないか、そういうのはどうなっているというお話でございますが、建築基準法によりまして、私どもは、さようなものについては一件一件確認をしております。特に渓流地に建ちますようなものは、おそらく鉄筋コンクリートのようなもので、相当堅牢に、災害を防ぐように、危険のないように、防災上は技術的には十分担保しておるというふうなかっこうで確認をしております。  ただし、そのがけ地なり何なりが非常に危険だというふうな判断をしますれば、それは確認をしなさい。さらには、これを、地域的にその広がりがある場合には、基準法上、特にがけ地につきましては、条例でがけ地の近接区域的に建築を制限するとか、あるいは特にそういう安全の施設をやるとか、そういう条例で一つの制限を付加するようなことをやっております。全国でただいまのところ、これをすでに制定しておりますのが二十八県ございます。あるいは制定中のものがまた十数県ございます。そういうことで、一応体制はございますが、しかし先生おっしゃるようなこまかい調査は私どもの手元にございません。したがいまして、御心配の向きも私どもも中にはあるかと思いますので、今後至急にそういうものについては点検をして必要な手当てをしたいと考えております。
  188. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 きょう時間があれば、もっとこまかく、私の承知している個所でもおよそ御存じないところが一ぱいあるわけです。いずれにいたしましても、最近における建築許可に対しては、それは鉄筋コンクリートでやるように建築基準法も変わってきておりますからそうですが、その以前のものに対する考え方、急傾斜地法ができる以前の考え方、そういうようなものから判断をして、そうしてその防災という面からきびしくそれを見詰めていかなければならない。そこにまた対策を講じなければならない。現に私どもがちょっと行きました有福の地域の温泉街のところでも、連結のコンクリートブロックが石がきがわりのかきねをしているわけです。それがもろに連結ブロックがはずれてしまって、それは山ぎわに建っているわけです、あれがもろに家自体が、旅館自体がひっくり返った場合どうなるのか、もう寸前の状態も見ておりますし、なぜああいうところに建築許可をしたのか、また工法上の竣工検査というものをどのようにしていっているのか、はだ寒い思いをして帰ってまいりましたけれども、こんなところがずいぶんあります。この関東においても熱海の地域、湯河原の地域、またこちらのほうに行けば幾らでもあります。こういう今日の観光地の温泉街というものは、ほとんど急傾斜地法の適用されるようなところに建っております。林立をしております。そういうふうなものを考えていきますと、新しく建てたものじゃなくて、昔の建築物というふうな点が非常に心配で、昨年も、あれは宮崎で、一面では相当な被害があったわけです。こういう面から考えていきまして、これは将来において厳重な計画を立てるとともに、現時点で総点検をやるべきである、こういうふうに思っているわけですが、その点どうなんですか。
  189. 沢田光英

    説明員(沢田光英君) まず特に特殊建築物、人の集まりますさようなものにつきましては、至急に点検をしたいと思います。それから一般的には、そういう条例がきめられる以前からあるというものにつきましては、そういうあぶない事例が多いかと思います。最近この数年の間に、このがけ条例あるいは災害危険区域、こういうものの指定が急激にふえております。これはふやすような指導、行政をしたわけでございますが、その以前のものにつきまして非常に問題でございまして、以前のものにつきましては、その地域を指定したあと、当然非常に危険があれば撤去を命ずるとか、さような措置までしたい、その撤去の場合にはそれぞれそのほかの助成措置を加える、こういうことで、がけ地を中心にいたしまして、本年度からそういう制度は住宅につきましては出てまいりました。それからまたそのほかの特殊建築物につきましても、各種の融資等でそういうものを助成しております。かような総合的なことをやっていきたいと思っております。
  190. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 小渕政務次官どうなんですか。建設大臣いないので、政務次官どんなお考えですか。いままでの私の話しの、河川あるいは裏山をかかえておるようなところの施設に対しての。
  191. 小渕恵三

    説明員(小渕恵三君) ただいま住宅局長が御答弁申し上げましたように、先生御指摘のような家屋等が全国に現時点にあるといたしますれば……。
  192. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 あるのだよ。
  193. 小渕恵三

    説明員(小渕恵三君) そうした家屋につきまして緊急に点検をいたさせまして、しかるべき処置を講じさせたいと存じます。
  194. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 防衛庁の政務次官おいでになりましたので。防衛庁長官をお待ちしていたのですが、御都合があるので。  今回の六月、七月の災害に、たいへん防衛庁の自衛隊員の方々のお骨折りをいただきましたが、どれぐらいの出動員数があったんでしょうか。
  195. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) 長官がどうしても来れませんので、私古内でございますが、かわってお答えさしていただきます。  ただいまの御質問でございますが、昭和四十七年七月豪雨による災害派遣のことでございますけれども、昭和四十七年七月初めから、ほうぼうで襲ってまいりました集中豪雨災害、山くずれ、出水などでございますが、これに対して自衛隊では二十九日間にわたりまして全国二十二県、人員延べ約三万九千名、車両延べ約五千両、航空機は延べ約二百四十機、艦艇は延べ四隻を派遣いたしまして、特に行くえ不明者の捜索、救護物資の輸送、堤防の補強それから道路警戒あるいは給水支援、防疫支援、空中写真撮影などの作業を実施した次第でございます。
  196. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まことに自衛隊員の御努力に対しては心から敬意を表する次第でございますが、実は島根県の川本、桜江−川本のほうが主体でございますが、この川本のほうにも出動をしてやったのはいいのですが、私どもが二週間たって現地に参りました。ところが長ぐつ深くまで泥がまだそのままの形態でございまして、もうネコの手も借りたいというぐらいな状態でございました。現地の人の声を聞いてみますと、自衛隊員の人たちが来て寝食を忘れてやってもらった、非常に感謝しておる。ところが十八日の日に撤収をしてしまった、そのときも、もう少しその排土の作業に当たっていただけないかというように依頼をしたということを聞いているわけです。この間の事情を御存じでしょうか。
  197. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) 私どもが報告を受けました範囲におきましては、個々の場合にそういうお困りの事情もあったように聞いておりますが、しかしこの問題につきまして、自衛隊と申しますか、防衛庁の原則的な方針といたしましては、全般的な応急の復旧が終わりますと、むしろ防災担当の機関、知事あたりと撤収時期を相談するのでございますが、その調整を行なって部隊を撤収しております。ただ、われわれの聞いておりますところ、個々の場合に、ある一つの家族が、もっといてもっとこの問題を手伝ってほしい、そういう個々の要求はときどきあるのでございますが、いままでの方針としては、大きく応急措置がきまりましたら、もう全体としての目的が達しましたら、その担当の先方の機関と相談した上で撤収しております。そういうふうに個々の場合になりますと、いろいろ伺った上で、また今後反省しなければならない点はひとつ反省してまいりたいと思いますけれども、いままでの方針はただいま申し上げたような方針でやっております。
  198. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 町長がそう言っておったんですがね。ですから、おそらくその要請はしていたと思うんですが、私もこの間の事情を深く問い詰めていってもしようがないと思います、時間がございませんので。演習があるとかというようなこともちらっと聞いたんですが、それで撤収をされたということなんですが、それがほんとうかどうかわかりません。わかりませんけれども、現地としてはいまだに排土しなければならないという事態に置かれておるわけです。で、土佐山田の繁藤の場合なんか実によくやっていただいた。これはもう私自身も行ってみたのでよくわかっておりますけれども、あくまでもこの災害派遣というこの自衛隊法の八十三条の中にもはっきり2、3、4と項目を掲げておられます。この項目について私は十分将来は考えていかなきゃならない点が一ぱいあるんだと思うんです。この点について考えていきますと、災害派遣が主体であるということならば、災害派遣に対する出動部隊というものは住民の納得のいくまでやっていくのが法の趣旨じゃなかろうかと思うんです。この点はどうなんでしょうか。
  199. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) 従来の方針といたしましては、あくまで撤収時期に関しましてはその防災担当の機関、特に知事あるいは原則的に言えばその関係の町村長とも十分相談してやっておるわけでございますが、今回の場合も、いま先生の御指摘のことにつきましては、十分なお調査してまいりたいと思いますが、ただ、要するに先ほど申しましたように、原則的にはもう大きく言って、大体において応急措置ができてしまって、まあこちらの、大体皆さんが見たところでも個々の問題に残ってきたと、それはたとえば町でやっていただくような問題であるというような場合には、やっぱりこっちの仕事もございますから引き揚げるわけでございます。あくまでいま先生のおっしゃったように、住民の困難を救ってあげるということが目的でございますから、その御趣旨に沿いたいわけでございます。ただいま申しましたように、防災の担当の知事なり市町村長と撤収時期は相談して、そしてやるという方針できております。今回の場合そうじゃないと言っておるのでございますならば、調べて善処したいと思います。
  200. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはわかりました。  大体その出動人員が三万九千で、車両が五千車両とか、航空機が二百四十機等、あるいは艦船、それらをお使いになって災害に対して処理をなさったということ、非常にうれしいわけですが、この費用はどれくらいかかっておりますか。おおよそでけっこうです。
  201. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) その費用はまだ具体的に集計したものを持っておりません。原則として全部御承知のように国で負担しております。いずれ調べてまた……。
  202. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはどれくらいの費用がかかっているかということは、やはりやらなければならないし、また八十三条の中にも報告しなければならないということもありますし、そういう点からも当然だと思います。  この直接にきょうの災害委員会には関係ございませんけれども、きょうの新聞を見ますと、日米機が二重遭難をして宮崎沖で六人救助、三人行くえ不明だという悲しい新聞記事が出ておりますが、この飛行機、ヘリコプターですか、パトロールのV107型のヘリコプターが一機炎上したというふうにも出ておるんですが、このヘリコプター一機のおよそ額は幾らぐらいですか。
  203. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) V107、救難用のでございますが、価格は四億三千八百万円でございます。
  204. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、先ほどの愛知県の一地方自治団体の財政規模より多い金額ということになるわけですが、第四次防なんかではRF4Eの偵察機が十九億八千七百万だというふうにも言われておりますが、私は時間がございませんので、もっといろいろな角度でお話し合いをして将来の考え方というものをはっきりさしておきたいわけであります。あくまでも国土を守り国民を守るという、そういう立場に立ってこの法律は設定されているわけであります。したがいまして災害派遣と銘打っての活動に対しては、予算のことをかまわずというふうにまで今回の災害には言われているわけでありますから、思い切って罹災した人たちが喜ぶまでやるのが私はほんとうだと思うんです。そういうことを考えまして防衛庁長官に政務次官のほうからよろしく伝えていただいて、今後国土を守り人命を守っていくという、そういう立場の上に十分にやっていただきたいということを伝えていただきたい。時間がきたので私はこれでやめます、まだほかに一ぱいありますけれども。
  205. 古内広雄

    説明員(古内広雄君) ただいま先生がおっしゃいましたこと、十分長官に伝えて善処してまいりたいと思います。
  206. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 水産庁のほうから来ておるようですので、簡単に次の質問に入る前に、ちょっとこの二つのことについて答弁をしてください。  今度の災害地を回ってみまして、マスの被害、それからニシキゴイの被害などが相当たくさん出ておりますが、このマス、それからニシキゴイは漁業災害補償法でも養殖共済の中に入っていない。それからまた施設についても農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置法にも入って、いない。このために視察に参りますと、この関係者から特に強い要請があるわけでありますが、このマスあるいはニシキゴイの養殖について、今度の災害にあたって水産庁はどういう一体対策をするつもりなのか、これをひとつ答えてください。
  207. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) ただいま御指摘がありましたように、今日現在で集中豪雨及び台風の被害は魚類につきまして、ニシキゴイ、ニジマス等につきまして、総額合わせまして約二十億の損害という報告が来ております。これにつきまして、これらの被害者に対しましては天災融資法による融資の措置を講じてまいりたい、施設その他の件につきまして、天災融資法の融資で措置してまいりたいと考えております。  なお、いま御指摘のニジマス等の内水面養殖業の共済制度につきましては、現在はまだ適用になっておりませんが、これの適用を現在検討中でございます。
  208. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御答弁のように、現状では言うとおり天災融資の融資だけ、したがって、農林水産という関係でいうと、農業に対して非常にこの内水面漁業というような意味で非常に対策がおくれているということになるわけです。したがって、この共済制度を適用するとか、あるいは組合の水産施設については助成措置をするとか、こういう問題を十分にひとつ検討して、そしてこの復旧にあたって手ぬかりのないような措置をしていただくように再度要望して答弁をいただきたい。
  209. 藤村弘毅

    説明員(藤村弘毅君) ただいまも御指摘がありましたように、共済制度につきましても十分検討いたしてまいりたいと思っておりますが、それと同時に、内水面の養殖業につきまして、将来の発展を期しまして根本的な対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  210. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最初にお尋ねする問題は、愛知県のあの小原村、ここは死者が三十一名、行くえ不明が一名、愛知県の中でも最も大きな人的な被害があったところです。そこで、なぜそういう大きな被害があったか、もちろん降雨量も多い、いろいろなそういう条件が重なっておったということも言えますが、そのほかに感ずることはその通信網がまるっきりとだえてしまった、通信網が麻痺をしてしまった、こういう問題、これはいま一例として小原村をあげたわけですけれども、この災害時には大体においてどこの地域においてもこの通信が麻痺をしてしまう、こういう例が非常に多いわけです。そこで、そういった通信網がとだえてしまうということが、やはりその小原村でいま申し上げたように、三十一名の死者が出た、そういう被害を大きくしている原因にもつながっているんじゃないか、こういう感じがするわけです。そういう立場から今後災害時のこの通信網をどういうふうにしていかなきゃならないか、そういった点についてどのような考え方を持っておるのか、郵政省のほうからお答え願いたいと思います。
  211. 牧野康夫

    説明員(牧野康夫君) お答え申し上げます。  ただいまの災害にあたりまして、通信が途絶することによって被害がより大きくなる、こういうことは確かにわれわれとしては十分注意しなければならないことだと常々考えております。そこで、現代は情報化の社会だと、こういうふうに言われております。そこによって災害の防止のために連絡手段がうまくつくということによって災害がより小さくなるばかりでなく、あらかじめ防止できるということもできるわけであります。そこで、われわれとしましては、公衆電気通信つまり日本電信電話公社が実施いたしておりますところの電信電話の通信網の整備ということにつきましては、ここ四、五年にわたりまして、第一次第二次と三年ずつの計画によりまして異常災害にあたっても通信が途絶しないように鋭意努力し、おおよそ現在までに四百億から五百億程度の金を費やしてまいったわけでございます。通信と申しましても実は幹線の通信、それから支線の通信、いろいろございます。ただいま御指摘のものは、村落農山漁村その他におきますところの端末の通信かと存じますが、この点の通信は確かに弱体のところがございます。そこで一たん川がはんらんいたしますとかいうことになりますと、地上の陸線が切れる、それをまたはりかえることは容易ならざる状況においてははなはだしく困難なことでございますので、そういう通信がないことによって孤立する部落と申しますか、通信電話を、電信のできないところがないように、孤立防止ということを主眼に計画を立ててまいりました。現在第二次の二年目に入っておりますが、この点で大体全国で三千程度やりました。全国で大体四千五百ぐらいやらなきゃいけないと思いますが、三千二、三百までは孤立防止用の無線機の設置を完了しております。これがうまく働いたところと、それから、また未設置のために不十分であったところが多かったかと存じます。ただいま先生の御指摘の村はあるいはどれに属しますか、電々公社のほうで調べましてお答えさせますが、かような方針でわれわれは進んでおりますが、明年、明後年に至りますればおおむねそういうことがないような孤立防止用の支線の完成を期しでいる次第でございます。
  212. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次に、表彰の問題で一つお尋ねをしてみたい。  熊本県の災害、特に天草ですが、姫戸町立の姫戸小学校の牟田分校というのがあります。これが全壊ですね。それから大道中学校、これそれぞれの学校の分校主任の増永先生ほか三名、あるいはまた大道中学校の塩田先生ほか五名、こういう方たちが災害時に適切な処置をとった、こういうことで表彰を何となく……、何となくというよりも、きまっているように聞いておりますけれども、そのほかの中部地方、あるいはまた中国地方、東北地方、だいぶやられたわけですけれども、それらの地域においてこのようにやはり表彰の対象になっている者、これはどのくらいあるのか、ひとつお答え願いたい。
  213. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 先生のおっしゃった増永先生ほか数名の方々の表彰については閣議でも話になりまして、表彰しようということですけれども、今度の災害については九月一日の防災の日というのがございます。その日に毎年一回必ず表彰することに、総理大臣からの表彰がございます。それに合わせて今回の災害については各地区のそういう防災に協力した方、表彰に値する方々に総理大臣より表彰しよう、いま関係各省にそういう方々の、それから都道府県にもそのようなことで通達を出しておりますので、いま集計中でございます。なお補足でございますけれども、この前土佐の件で協力者でなくなられた方々に対してはすでに叙位叙勲をいたしております。
  214. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私、静岡、愛知、それから岐阜と回ってまいりました。私が聞いた限りでは愛知県の旭町というところがあるのですが、ここで聞いた話なんですけれども、隣接の消防団が非常に活躍をしてくれて、全く献身的な命を惜しまずに隣りの旭町のために働いてくれたという、こういう話を聞きました。この例からいってこれらも表彰に値するのじゃないか、こんな感じがして帰ってまいりました。   〔委員長退席、理事高橋雄之助君着席〕 そちらのほうに報告があるだろうと思いますが、漏れるといけないから一応申し上げておきます。  なお個人的な問題ですけれども、負傷者を六時間もかかって山を越えそして病院に連れていった、こういうような美談も聞いているわけです。そういった話を現地で聞いてまいりましたので、幸い九月一日にそういったことで表彰があるということですので、聞いてきた手前申し上げて漏れのないようにやっていただきたい、こう思います。
  215. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いまお聞きした話、私のほうで調査してみます。  今度の災害では、ほんとうに一般協力者の方がたいへんな協力をしていただいてできるだけ大ぜいの方々に表彰を与えたいという気持ちでございます。
  216. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これはやはり愛知県の小原村で見てきたのですけれども、それほどの大河川ではない、しかし言うならば中小河川ですね、名前は矢作川ですか。この橋梁ですね、橋梁が非常にがんじょうなんです。がんじょうなことけっこうです。がんじょうにするために水の流れが悪くなった。水の流れそれ自体平時のときは悪くないかもしらぬ、しかし一たんたくさんの水が出ると、それがいわゆるせきのようになってしまう、こういう橋が多かったようです。ですからこれは技術的な問題だけれども、たとえば利根川にかかっている橋梁だとか、そういう大河川にかかっている橋梁はこれは私問題ないと思うのです、あらゆる技術が取り入れられている。ところがそういう山間部に行った場合橋のつくり方はまちまちである。がんじょうな橋なるがゆえに回りの人家が流されてしまったり、あるいはまた橋の手前、上流は土砂が堆積してそしてはんらんをした、こういうように感じてまいりました。そういった点については改良の余地が私あると思う、そういった点についてひとつどんな考え方を持っているか。またどのくらいどの程度そういったことについて把握をしておられますか、お答え願いたい。   〔理事高橋雄之助君退席、委員長着席〕
  217. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 今回だけでございませんで、最近の中小河川等の災害をずっと見てみますと、かなりいわゆる橋梁等が支障してといいますか、流木等がこれに引っかかりまして結局は河川の疏通力を減殺をしておる、あるいは農業関係の古い歴史的な経緯からの井ぜき等が予想せざる豪雨等で結果的にはそういったものが疏通力を減らしておる、こういったような状況が非常に目立つわけでございます。したがって、先般私どものほうから全国に査定官を出します前にひとつ原因等について一ぺん十分調査してもらいたい、いろいろやはりそれぞれ管理者のある場合もございますし、それに応じて対策等も必要でございます。また関係機関との御協力もいただかなくちゃいけない、こういうようなことで、特に橋梁と農業関係の井ぜきの二つを重点的にひとつ統計をとりたいので原因等を十分調べてこい、こういう指示をしたわけでございます。おそらく今月中ぐらいには緊急査定その他の査定が一段落いたしますので、かなりそういった集計が出てくるんじゃないかと思いますので、お話しのように何らかひとつ今後そういったことのないような対策を私どものほうでも考えていきたいと思っております。  なお、現在の指導といたしましては、河川の占用工作物、いわゆる道路でもやはり河川を横断した一種の占用工作物でございますが、そういったものについて大体どの程度の、結局、径間を持たせればいいか、それから計画の水面からどのくらい上げて建設をすればいいか、こういったような基準を一応つくっておるわけでございます。少なくとも私どもは最低でも十五メートルくらいはほしい、昔は非常にがんじょうなコンクリートづくりあるいはれんがづくりといったようなものがたくさんございます。いまにして思えば、がんじょうなためにかえって改築がおくれておるという逆の皮肉な面もあるわけでございますが、やはり災害ということを考えますと、そうも言っておられませんし、最近は鉄製のいわゆる橋梁というものもかなり進んできておりますから、そうスパンを広げるということには不自由をしないのじゃないかというような感じをしております。したがって、被災をした木橋等につきましては当然これは永久橋にするように私どもも指導をいたしておりますが、既設のそういったもので障害になるようなものについても、何らかこの際手当をする方向をひとつ講じていきたいと考えておる次第でございます。
  218. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間がありませんので、最後にもう一問。  通産省来ておられますね、これははっきりお答えいただけるかどうかわかりませんが、災害時においていわゆる中小企業に対する融資、援助の問題ですね、これは、これについては償還期間をもっと長くすべきだとか、あるいは利子の点についてもっと低利のものにすべきだとか、こういうお話がいままで出てきておるわけです。それに対して当局のほうから何らかのお答えが出ているわけですが、けさも大臣が見えまして何か前向きに検討するというようなことになりました。そこで私はたとえば公害防止のためのいわゆる公害防止事業団から出るものの利子、これは当初三年間五%、以後五・五%、こういうわけでしょう。それから中小企業設備近代化資金貸し付け制度、これによるものは無利子である。償還期間は一般の場合は五年だと、災害の場合は、激甚災の指定の場合ですね、七年である、こういうこと、あるいは農林水産業者に対しては天災融資法によると三分資金の融資である、あるいは六分資金の融資である、こういうような非常に恵まれたあれがあるわけですね。ところが中小企業に対してはそれらに比べると非常に中小企業というのは恵まれない、こういうことが言えると思うのです。なぜそういうふうにいつまでも差をつけておかなければならないのか。災害でやられるということは日本の国土の特質みたいなもので、毎年やられる。ですから今度六月、七月の災害時にも、お盆の前で、それで大量に仕入れておった、それが全部やられてしまった、こういう特殊な例があちこちにあるわけですね。こういったことで、どうしても災害時における融資というものについては当然大幅にいろいろ配慮してあげなければならぬのじゃないか、こういう感じがいたしますが、なぜそういういままで申し上げたような差が、中小企業に対してそういう差をつくらなければならぬのかという、その根本的な原因ですね、それについてひとつお話しいただきたい。
  219. 原山義史

    説明員(原山義史君) 確かに先生御指摘のとおり農業につきましては激甚災の指定を受け、さらに非常に大きな被害の場合は三%の融資という道が講ぜられております。中小企業の場合は一律六・五%というふうになって差がございます。これは農業と中小企業の存立の基盤とか、経営形態等が異なるゆえんだろうというふうにいままで言われてきたわけでございますが、確かに当委員会におきましてもしばしば御指摘を受けておりますし、私どもといたしましては、現在六・五%というのは中小企業関係の融資の中で最優遇金利ではございますけれども、いろいろこの点については御意見もございますので、一次産業との農業の違いもあって非常にむずかしいとは思いますが、今後十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  220. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう時間が非常に少ないですから、簡単にひとつ御質問申し上げて、答弁も簡単にひとつやってもらいたいと思います。  静岡の富士山山頂から山ふもとまで通じている唯一の沢であります大沢川ですか、砂防事業は国の直轄の事業としてなっておるわけです。この問題はきょうやきのう始まった問題じゃないようですが、直轄事業であるにもかかわらず、その効果がなかなか期待ができないというのが今日の実情かと考えておるわけです。現地で調査いたしましたときに、たとえばこの河底橋ですか、川やら橋やらわからぬような状態が、その日は大洪水で、結局道を川が通っておるというのが現状です。河川局としては一体、現地で私ら聞きましたけれども、どういう計画でいつごろにこれを完成しようと考えておられるのか。長い歴史の問題でもありますし、日ごろ水がないわけです。一たん雨となると岩石が流れてくる、水量はふえてくる、その岩石のために至るところで護岸の崩壊ができてくる、こういうところですね。現地の報告で満足しないというわけではありませんけれども、少なくともこれは国の直轄でありますので、どういう計画で、一体何年ぐらいでこれ完成して完全なものにしたいとお考えになっておるのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  221. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 大沢くずれにつきましては、いろいろ前々から問題があるわけでございますが、昨年あるいはことしとかなり大量の土砂が供給されまして、その結果ああいったような既設の施設等もかなり災害を受けておりますし、流末の、これが潤川に出てまいりますけれども、そういったところについても土砂等が相当流れて河川を閉塞しておる。田子の浦港までその土砂が及んでおるわけですが、そういった実情でございますので、この機会にもう一度ひとつ大沢くずれを見直そうじゃないかというようなことで、実はすでに現地調査を一回終えまして、二回ばかり会合を持って、いろいろ学識経験者の先生方とか、あるいは防災研究所の所長さんとか、そういった方々にお集まりをいただきまして、研究会を現在進めておるわけでございます。で、大体の空気といたしますと、やはり非常に高い所の部分からの落石でございますので、とても現在の科学の力ではああいった崩壊を食いとめられないんじゃなかろうか。したがって、できるだけ中流部でやはり遊ばせる。もっと大胆に遊ばせて、この被害をできるだけ下流に及ぼさないというような工法をひとつ進める以外にはないんじゃなかろうか。それにしても今後どの程度の土砂の供給量が出てくるんだろうか。それから、それに対して現在の貯砂地の容量ははたして十分かどうか。それから、今後もやはり堆積が続くわけでございますから、貯砂の容量にしてもやはり限度がある場合には、こうしたものをどのように搬出計画を立てるべきかどうか。それから下流の潤川自身のやはり河積に限度がございますので、これを富士川のほうにひとつ放水路を掘ろうじゃないか、この計画はすでに進行いたしております。放水路のほうは、四十九年だったと思いますが、大体そのころには完成をいたしますので、下流の流況とすればかなり楽になってくると思いますが、問題はどの程度の貯砂量を持たしてこれを床どめその他の工法で保護するか、こういうことが問題になると思います。その点につきまして、ただいまのいわゆる研究会の結論が出れば、私どももその方向で、あるいは現在の砂防指定地の範囲を拡大するとか、こういったことも必要かと思いますけれども、そういったものもあわせて積極的に取り組むようにいたしたい。一応現在の計画は四十三年から十カ年計画ということで進めておりますが、もちろん、これも当面進めますけれども、そういった計画の今回の再検討によって追加する必要があれば、さらに事業等も拡大をして適切な処置をするようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  222. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 これは私の希望ですが、現地でお聞きしたこととあまり変わりございませんけれども、研究をするということでありますから、それ以上の追及もできないと思いますが、少なくとも、この十カ年計画の中で私は成功するような方法を積極的にやっぱり建設省自体がこれはやるべきだと、こういうふうに痛感しておるわけです。これは希望意見として申し上げておきます。  それからもう一つ河川局のほうですが、先ほどの須原君の質問に対して、今度の一級河川、あるいは二級河川もありましょうけれども、河川全体については一応原形復旧、あるいは改良復旧もある程度含んでやられるかもしれませんけれども、一応復興は復興としてやって、その次にあらためて検討してやりたいと、こういう先ほどの御答弁があったわけです。したがって、私もなるほどそうならざるを得ないのじゃないかという考え方を持つわけですが、今度の災害で、一級河川と称するもの、二級河川と称するもの、一体どのくらいの河川が被害を受けておるのか、これはひとつ報告をしてもらいたいと思います、資料としてですね。それで、基本的に改良を加えるなら加える場所も検討してもらいたい。たとえば、川内川は上流から下流に至るまでやらなければいかぬとか、あるいはまた岡山あたりの旭川ですか、これらも大きな問題だと思いますが、そういう点を河川局としては、私は、今度の被害件数並びにそれに対する復旧処置、そうして具体的に改良処置と、こういうものが付加されるものは付加されると、こういう報告をわれわれにひとつもらいたい、こういうふうに考えております。これは希望意見で、答弁はけっこうです。  それから気象庁に、時間がありませんが、質問申し上げます。前回も私は気象庁にいろいろ御質問申し上げたのですが、きょうの奥田参考人でしたかのお話しを聞きますと、私が心配していましたように、結局集中豪雨そのものに対しては予報を的確に示すだけの研究が終わってないんだと、こういう結論だと私は思うんです。しかしそれにもかかわらず、これは地方の問題ですが、こういうことが出ておるわけです。これは中村委員もちょっと御質問されましたが、台風シーズンを目前に控えてデータ研究も十分できぬような人員整理がいま起こっておる。こういうことが、これはわれわれのほうにも陳情がほかから来ておりますが、新聞にもこれが出ておるわけです。内容をちょっと申し上げますと、佐藤内閣が昭和四十四年に打ち出した公務員五%削減政策で、職員を減らされるばかりか、昨年には同気象台の手足というべき丸山通報所、これは加茂郡の八百津町が廃止された。今度は可児通報所が廃止される。白鳥の通報所が、これは郡上郡ですが、これも廃止され、恵那郡の通報所もこれもなくなる。以上、六カ所がなくなってくる。ところが先ほどの奥田参考人のお話を聞いておりますと、飛騨地域における山間部の雨量というものは非常に危険がある、あるいは白鳥もその一つでしょう。それから東濃における山奥もそのとおりだと思いますが、ほとんど愛知県と岐阜県の境の山間部が今度の豪雨があったわけですから、そういう危険がある山岳の予報を中止することは意外である。そうして、しかも同測候所は北アルプスを一番近くに控えて、その予報をするには絶好の場所である。どうしてもなきゃならぬところである。それをどんどんどんどん連絡所を取ってしまうということになれば、特に日本の場合は、その予報官を減すということになれば、四季の移り変わりには天候が激変する、そういう国は世界でも少ない国なんです、日本という国は。したがって、それだけに過去のデータあるいは文書、研究書など相当の知識を、自然知識と申しますか、そういうものの経験者でなければならないんだと、それにもかかわらず、先ほど申しましたように、定員を何割削減するから削減しなくちゃならぬということでやっておるのか、機械的にそういうやり方をしておるのか、あるいは近代化した設備をしたために削減をするのかという問題がここの中心になろうかと私は思うんですが、しかし、新聞にこうして出ますと、いまや台風の全くシーズンです。そういうときに一体政府は何をやっておるんだ、気象庁は。近代化するためにやるのか、あるいはまた削減の五%というものを目標にしていまやっておるのか、こういう点をもっと気象庁気象庁の立場におけるその責任ある私は態度をとるべきだと、こう思うのですよ。それがなされてないところに、特に先ほどの参考人のお話から承っても、いまの時代では集中豪雨というものの掌握は非常に困難だと、こういうことを言っておられるのですから、しからばどの程度までならできるのかということが問題になろうと思います。たとえば、飛騨地区なら飛騨地区全域ですね、これは少なくとも相当の豪雨があると見ざるを得ないとか、あるいは日本海における山間部は富山あるいはまた福井、金沢、これはやっぱり危険性があるとか、大づかみでもいいですが、そういうものぐらいはして、それに対して一体対策をどうするかということが結論的に出てこなくちゃいかぬと思うのです。気象庁はこの人員整理の問題と、今後の集中豪雨は掌握はできないけれども、どういう対策を立てようとしておられるのか、いまどういう考え方を持っておられるのか、簡単でもいいからひとつ御答弁願いたい。
  223. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 初めの定員削減の問題ですけれども、先生も御承知のように、政府の方針もございまして、ちょっとそれが一つのあれになっておるわけでございます。その場合、やはり気象庁の事情ということも考えに入れていただきまして、ある程度ほかの官庁に比べるというと少なくなるようにはなっているように伺っているわけでございます。そして通報所の問題でございますけれども、通報所にいろいろな仕事がございますけれども、原則的に申しますというと、山々にいろいろな観測所がございます。それを中継をいたしまして、それを気象台なり、場合によっては測候所なんかがございますけれども、そこへ知らせるというような任務をおもに持っておるわけでございます。したがって、そういう所は、通報所がなくても、ほかの手段があればそれにかわることができるわけでございまして、実はそういった方向で、あまり重要でない通報所につきましてはしかるべき措置、場合によると閉鎖した所もございますけれども、そうしたような代替手段を考えに入れまして、そうして併設とか何とかいうような手段、方法をとっているわけでございます。  今後につきましても、やはり仕事の合理化ということは、やはり時代が変わってきたわけでございますからやらないといけないとは思っております。その場合、やはり予報とかあるいは警報、そういうものを精度を落とさないで、むしろよりよく持っていくような方向で進めていかなければいけないのじゃないか、こう考えているわけでございます。したがって、この集中豪雨に関しましても、現在の段階におきましてはレーダーでございますが、これを活用することが非常に重要でございまして、そういった方面につきまして強化をいたしていきたいと、こういうふうに考えています。  また、予報関係につきましても、今年度からと申しましたらよろしいかと思いますが、地方気象台の全部ではございませんけれども、若干予報官を増強いたしまして、そういった方面の、方向の強化もはかっていく、こういうような状態でございます。
  224. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 あとの御答弁は、私も納得がいくのです。それは合理化するところは、近代の行政においては近代化するものはしなくちゃいけませんが、早急に掌握できるという方法、これは決して私は反対の意見を述べておるわけじゃありませんが、ただ政府の事情も御承知のとおりとおっしゃいますが、もし五%の人間を減さなくちゃいかぬということが前提で、いまの段階では必要であるけれども政府の方針がそうであるから減員をするのだということなら、私は納得できないのです。これはなぜかなら、御承知のように、今度の災害のような膨大なこの復旧に対する金を使わなくちゃいかぬという場合兵しかも気象庁の百人や五十人の人を削減したからといって、その責務が全うできないということになれば、これは気象庁責任として私はたいへんだと思うのです。たとえ政府の方針が五%減であっても、これはむしろ五%ふやせとかそういう処置をとることのほうが、私は気象庁責任においてその責務を全うしたということになるのじゃないか。この点を、もっと明らかにしていただきたいと思うのですね。政府の方針もそうではあるけれども、実際問題としてあらゆる情報機関という、連絡員というものは近代化したのだ、その他は必要ないのだ、決して今後の台風シーズンにおいてもいまのと変わらない、むしろそれよりも速急な効果をあげることができるのですと、これなら私もいいと思いますけれども、前段なのか後段なのか。この点、はっきりひとつ御答弁をお聞きをしたいと思うのです。
  225. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 先生おっしゃいましたように、もちろん政府の方針でございますから、ある程度その方向に従ってやる方向で努力しないといけないわけでございますけれども、その場合、やはり先ほど申しましたように、予報なり、あるいは観測なりにおきまして、いままでよりも段階を落とすということについてはこれは非常に困るわけでございまして、そういった方向で進めていきたい方向でございます。したがって、必要な新しい人員につきましては、お願いいたしまして要求するつもりでございます。削減量につきましても、沖繩の入ったこともございますけれども、気象庁全体の定員と申しますというと、差し引きいたしまして三百人ぐらいの増員にはなっているわけでございます。
  226. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ聞きますが、そうですと、岐阜地方の気象台だけの人員の削減だけではなくて、一方では増員している場合もあるでしょうが、全国的に岐阜のような処置を、近代化した場合には各気象庁の人員は減していくのだ、この方針に変わりないですね。その点はどうですか。
  227. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 総体の数で申しますと、全部が減るとは限らないわけでございます。むしろあるいはそういった増員や何かの関係を考えてみますと、むしろ総体としてはふえる場合もあり得るのじゃないかと考えるわけでございます。ただ、個々の場所につきましては、あるいは仕事を合理化するためにいままで重複といっては語弊があるかもしれませんけれども、なるべく、たとえば天気図を書くにいたしましても、全部で書くよりもまとめて書いてそれをファックスなり何なりに流してみてやってみたほうが、人手が浮きましてしかも正確な図ができるというようなこともございますので、そういった方向で進んでいくべきであろうと、こう考えております。
  228. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 どうも私の質問にぴっちりお答え願えないんですがね。全国的に通報所というのはあるわけでしょう。したがって、その通報所は近代化するためにむしろ敏速な通報ができて、そして人は要らないようになるんだと。で、安心したらいいと。したがって、この通報所というのは全国的にあるでしょうから、それは機械設備の近代化に基づいて減していく、それから場合によってはその以外のものでふえる場合もありますと、こういうふうに考えたらいいんですか。
  229. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 通報所につきましてもこれは実は地点がございまして、廃止とかあるいは移設できないところもございます。そういうところは当然残していかなくちゃならぬわけです。また、従来ないところにおきましても観測点なんかも設ける必要があるようなところもあるんじゃないかと思いますが、そういったようなところにつきましては、むしろ別なテレメーターやなんかの方式を使いましてそしてさらに資料を充実するような方向で進んでいきたい、こう考えております。したがいまして、通報所につきましても同じような考え方を持っているわけでございます。
  230. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 それから次官にお聞きしたいんですがね。先ほど須原君が申しましたように、大臣に対する質問を午前中十分間は時間をいただいたんです。それで根本的な問題を触れる時間がなかったわけですが、副長官なり次官にこれはお聞きしたいんですが、まあ災害に対する基本的な考え方について政府は、須原君でしたか中村さんでしたか質問がありましたように、台風そのものにはどろなわの処置を講じて、そうして金を出せば復興するんだと、こういう考え方が濃厚ではないかという感じを私は受けるわけです。したがって、災害対策本部ができますのは災害が起こってからできるわけです。いつのまにか災害が終わってしまうと、自然解消的に対策本部というものはなくなっちゃう。これがいままでの災害対策に対する処置であったと私は思うんです。ところがこれでは災害の防止にはつながらないと私は思うんですよ。たとえば一つの例を申し上げますと、災害にはこれは気象庁との重大な関係がございますが、気象庁と中央における対策本部との連絡というものは密でなければなりません。これは自治省がとるのかあるいは総務長官のほうでとられるのか、いままではどうなっておるのか、私もそこまでは調べてありませんけれども。そうして少なくとも、災害に対する事前対策というものが基本的に生まれてこなくちゃいかぬ。それが全然政府にはない。今度の災害でも御承知のように非常に広範の災害が起こっておることは御承知のとおりです。ある県においては非常に注意をして人命尊重という立場から避難処置というものを完全にやっており、その報告もなされておる。で、ある県においてはその避難処置も十分でなかったと。昼であったけれども、それが十分でなかったという点がありありと見えます。そういう報告は現地に行ってもわれわれは受けない場合が多いのです。むしろいまの気象庁の実態から見ますと、集中豪雨に対する姿勢というものは何が一番肝心かというと、人命尊重ということを基本に置くなら、いわゆる避難処置をどうするかということは基本的な問題として考えなくちゃならぬ問題だと私は思うんです。そういう検討がなされてないと。それは先ほど私が申しましたように、災害対策は起こったものに対して対処するという姿勢で、一番その矢表に立つのは建設省だけだと。しかもその中でも河川局長あたりが苦労をしておるだけだ。そのほかのほうは見ておるというわけではないけれども、実際の対策がないんじゃないかという気が私はこの災害の全体を見てみて痛感しているわけであります。  そこで私はこれは、私がこれから申し上げるのは希望になりますが、少なくともこの避難処置の日ごろの訓練ですね、地域に対する周知徹底、県知事から市町村までが今日の法的に認められた処置でございますからそれを場合によっては区長なりあるいは部落会長なりそういう人まで徹底させるという処置がなければいかぬ。そういうことを考えれば何が一番必要かといいますと、少なくとも今度の二十二県に起こっておりますこの大災害に対して私は報告の統一的なものをやはり考える必要があると思う。たとえば何時から雨が降り出したのか、それに対してはどういう処置をしたのか、こういうひとつの報告の義務的な統一あるものをやはり検討させる必要がある。それを政府は集約をしてこの処置がいかなかったとか、この処置がよかったとか、これは判断が生まれてくるはずですよ。そういうものが全然なしでいまの日本の気象庁現状から考えてみて人命尊重なんということはナンセンスだという気が私はするわけです。したがって、恒久対策の一つとして少なくとも政府はこの機会にこの膨大な数字の金を使わなくちゃならぬというような災害に対するためには、私はせめて人命を、その災害をなくするというような立場からもその統一ある集約と研究が必要だと、こう考えております。この点は、きょうは両次官、副長官ですが、実は大臣にこれが言いたかったんです。いつも災害のときには、先ほども小言が出ておりましたけれども、午前中とか何とかというようなことじゃなしに、これだけの金を使うならもっと政府、大臣みずからがやはりこの委員会出席していただいて恒久対策、それは現在痛んでおるその地域だけの復旧だけではなく、どうすれば災害を最小限に食いとめることができるかという研究を私は政府としてやってもらいたいことを強く熱望しております。次官、副長官はこの私の質問に対してどういうお考えなのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  231. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 先生の御質問、私もたいへんごもっともだと思います。  今回、私非常災害対策本部の副本部長として災害を見てまいりまして、一番最初の問題は何かというと、やはり気象がしっかりしているかしていないかという問題だろうと思います。  私は、その辺の全国的な気象把握のしかたがまず第一、それからもう一つは、災害が起きた場合コミュニケーションがしっかりしなければだめだ。たとえば、行政無線などはまだまだ普及しておりません。また、市町村に対する負担金も多い。このようなことでは防災ができないんだということを私は痛感してまいりました。今回、今度の災害で建設省あるいは気象庁あるいは自治省とテレックスを結ぶような考え方もいま出しております。そういう形で、防災会議が全体の状況を把握している、また、各省がそれぞれの水位あるいは風雨というようなものをどういうふうに把握し、それを防災会議で全体で受けとめて、こういう指令を出す。そうしますと、県が、それに指令が出ますと、これがまた市町村に散るような形をとりませんと幾ら金を出してもまたまた同じだろうという感じを私受けております。  で、ぜひ本委員会の先生方にもお願いしておきたいのは、この点の御協力をいただき、私もその点は早く実現したいと考えております。  たとえば気象についても私は画期的な仕事をしなければいけない。本来システムで全国の気象把握できるような形に持っていけば少なくとも人命は助けられるのではないかという気持ちもございます。  で、そういうようなことで態勢の問題は私も全力をあげて今後ともやる所存でございますけれども、もう一つは、今度の災害復旧の問題についても、いままでですと原形復旧でございます。今度は内閣総理大臣の指令によりまして、改良復旧という形で出たということはいままでのからを破った。まあそういう意味でも高く評価されるべき問題だろうと。ただコミュニケーションの問題はまだまだこれから時間がかかる問題でございますけれども、私としましては、ぜひコミュニケーションの確立ということが行なわれないと、今後の防災面においては非常にいろいろな問題が出てくるのではないかということでございます。  それから、きょう長官が途中で帰りましたけれども、きょうは北方領土の問題でどうしても出なければならない問題がございますので、失礼させていただきましたけれども、先生の御趣旨十分伝える所存でございます。
  232. 小渕恵三

    説明員(小渕恵三君) ただいま先生の御指摘、すべて理解するものであります。ただし、建設省におきまして何もしておらなかったわけでないことは、先生先ほど御指摘いただいたとおりでございまして、過去におきましても、すべて建設省の諸事業は災害が発生しないための懸命の努力をいたしてきたわけでございますが、特にことしのような場合、平年度でありますと一千億程度の土木災害が、その二倍以上の災害を起こすというような場合におきましては、やはりそういった時点で考えますと、過去のいろいろな事業の中に考え直すべき点もあろうかと思っております。限られた財源の中でいたすことでありますので、今後は費用とその効果ということを十二分に考えまして、あらゆる土木の工事等については努力を払ってまいりたいと存じております。  なお、災害対策本部を常設したらどうかというようなお話もございまして、この点につきましては、大臣が午前中も答弁されておったと聞いておりますが、やはりあと追いでなくて、つねに災害はいつ起こるかわからないことではありまするけれども、常にその準備を怠らないために、大臣もそういうお考えのようでございますので、さらに努力をいたしてまいりたいと思っております。
  233. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 建設省だけがやっていないというんじゃない、建設省だけが苦労をしておるということを私は申し上げておるんです。
  234. 星野力

    星野力君 最初に建設省にお聞きしたいのです。  ダムの問題であります。前回の委員会、またきょうの委員会でもたびたび問題になっております鹿児島県の鶴田ダムについて、私もだめを押しておきたいわけでございます。  毎秒二千二百六十立米という流入量をそのまま流したら、下流が洪水になる。湯田温泉街は流されてしまう。このことはもう事前にわかっていたことですね。お答え簡単でよろしゅうございます。
  235. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 湯田の温泉街が流出するかどうか、こういったことについてはいろいろ問題があろうかと思いますが、私どもの調査しております点では、千数百トン出ると湯田の温泉街は浸水をする。もちろん残流域等の関係もございますけれども、大体ダムから見れば約九百トン余りが浸水しない限度じゃなかろうかということでございます。
  236. 星野力

    星野力君 まあここは公式の場ですから、慎重に御答弁になっておられると思うんですが、流したならば湯田などは一度にいってしまう。しかし流さなければダム自体が危険になる。そういう判断があったと思うんです。言ってみれば、大の虫を生かすために小の虫を殺すのはやむを得ない、こういう判断だったと思うのでありますが、しかし、殺された虫のほうからしますと、これはどうしたらいいか。泣き寝入りしろということになりましょうか。湯田の住民に手落ちがあったわけではありません。それを天災だと思ってあきらめろというのでは、どこか筋が通らないと思うのです。筋が通らないというのは、たとえば鶴田ダムというのは洪水調節及び発電を目的としたダムでありますが、それが肝心のときに洪水調節の機能を発揮できなかった、機能を発揮できないようにされておったというのは、これは事実でありますから、そうすると、これは国の責任ではないか、国の責任という問題が起きるんではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  237. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほども御説明申し上げましたように、このダムの、私どものほうでいろいろダムの計画規模について建設当時に検討をいたしました段階では、主としてこれは川内川、こういったものを念頭に置きまして計画されたダムでございまして、しかしいずれにしろ、洪水調節をすることによって下流の被害をできるだけ逓減するという思想にはもちろん変わりはないわけでございます。で、その後、中流部の地域の発展の状況等を見ますと、在来からの操作の程度ではおさまらない、やはりもっと何といいますか、湯田の温泉街を守るために大幅な洪水調節をやらないと十分じゃないというようなことで、非常に中流部の改修のおくれというのが私は一つの大きな原因だろうと思います。それから治水容量の不足、こういった計画上あるいは今後の治水対策の進め方の点ではやはり大きな意味での国の責任と言えば言えるかもしれませんが、そういったものを踏まえて、できるだけ早急に中流の河川改修対策を立てたいと言っておったやさきの事故でございまして、したがって、私どもといたしますれば、このダム自身がダムの安全性とか、そういったことでなくして、上流から入ってくるものをそのまま調節機能がなくなったので下流に放流せざるを得なかった。ただ、下流の改修等がまだ進んでおりませんために、今回のような被災を見たわけでございまして、そういった点では非常に残念に思っているわけでございますが、これを機会に私どもも川内川流域全体の根本的なひとつ改修計画を立てまして、その方向で治水の万全を期するように努力いたしたいと考えている次第でございます。
  238. 星野力

    星野力君 総務副長官、前回たしかこの問題について、湯田の災害についてはダムの放流が原因だと地元で言われているが、そうかどうかを検討させていると、こういうふうに御発言であったと思うのです。その検討の結果はどうでございましたか。
  239. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 現在、建設省の地建のほうでいろいろ調査をさせております。
  240. 星野力

    星野力君 まだ調査中だということですね。
  241. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 総務副長官のほうからお話がございまして、私のほうでも現地の操作状況、そういったものの資料を取り寄せまして検討いたしましたが、やはり自然の貯留の、いわゆる洪水調節機能を失って、その結果、流入量だけを放流せざるを得なくなったということでございまして、人為的にいわゆる流入した量以上の流量を下流に流したという過放流の事実はございません。
  242. 星野力

    星野力君 先ほど河川局長の御答弁からしましても、建設にあたって見通しが不十分であったということは否定できないだろうと思うんですね。そういう意味において、国の責任というものははっきり存在すると思いますし、当然国家の賠償責任の問題も生ずるのではないかと思います。その辺についてのお考えと副長官、政務次官、河川局長でもけっこうですが、国家の賠償責任という問題についてのお考え、それから二度とこういうことを起こさないためにどうするか。このままでは雨が降ればまた同じ事態が起きるわけです。もっともいま降っても湯田はもうありませんが。河川局長は中流の改修、これを急がなければならぬということを言われました。それも必要だと思います。私もあそこ見ていろいろ説明もお聞きしましたが、下流の住民は、あのダムは、発電のほうはやめてくれということも要求いたしておりますし、そこまで言わなくとも、六月からの洪水期にはダムをからにしておけというふうに要求しておりますので、まあ幾分ふだんの水位を下げるという程度では住民の不安は去らないと思うのでありますが、またそれでは実際非常の場合に役に立たないのではないかと思いますが、その点について二度と起こさないためにダム自体をどうするかという問題を含めて御答弁願いたいと思います。
  243. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しの最初の問題でございますが、まあ先ほど来申し上げておりますように、ダム自身の調節容量がなくなって、結局はダムがなかった状態と同じような自然状態で被害を受けた、このようなことになろうかと思います。したがって、いわゆる国家賠償法等には、道路とか河川の施設につきまして、この設置とかあるいは管理に瑕疵があった場合に、この法律の対象になるわけでございますけれども、そういった点では私どもは該当しないと考えておる次第でございます。なお、この鶴田ダムの今後の利用計画をどのようにするかということにつきましては、やはりもちろん改修計画を抜本的に行なうわけでございますが、改修だけでは不十分でございまして、できるだけダムにもっとたくさんの治水の調節容量がほしいということは、私ども川の立場から見ましても当然なことでございまして、そういった点では、このダムができれば、いわゆる取水期間には洪水調節を主にした運用をできるようにいたしたいということで、先般来、関係の電源開発株式会社、あるいは所管の通産省、こういったところとも話をいたしまして、当面、出水の予想されるときには、容量を予備放流によって下げまして、できるだけ治水の目的のために使うということで、先般の七号台風、あるいは九号台風、こういったときには、すでにそういった状況を実施しておるわけでございます。来年もやはり同じような体制をとりたいと思いますが、なお、恒久的な処置につきましては、これはやはりダム使用権というようなものが設定をされておりまして、ダムの使用者と、それからいわゆる河川管理者であるわれわれとが協議をして、資金を出し合ってつくったものでございますから、したがって、やはり他人の財産というようなことになるわけでございます。したがって、そういった相手方のやはり同意なりそういったもの、それからそれに伴ういろいろな処置、こういったものがございますので、多少具体的な恒久的な方向については時間がかかろうかと思いますが、ただいま申し上げましたように、取水期等につきましては、河川管理者の判断と電気事業者の協力によって、先ほど言ったような処置を今後ともとっていきたいと考えておる次第でございます。
  244. 星野力

    星野力君 これは直接建設省の所管ではないかもしれませんが、岡山県の新成羽川ダム、あそこも八百トン以上の放流は下流に洪水を起こすことがわかっておりながら二千八百二十トン流している。しかも中国電力は警報処置をしないままその異常放流を行なった、そういう事態を許すわけにはいかないということで地元民の怒りが高まっており、中国電力に対する補償請求、賠償請求というようなこともございます、もちろん御存じだと思いますが。それから江川のやはり中電の浜原ダム、この下流の住民も放流が被害を大きくしたと言っております。それらのダムについて、調査結果があったらお聞きをしたいと思っておったのですが、とても時間がなさそうですから、これはお答え要りません。  次の問題として防災のための観測や通報の対策の不備、欠陥ということ、これはやはりこの委員会で問題になったことでありますが、これをぜひ改善していただかなければならぬと思うのです。ダムの警戒通報体制の不備は、これはもう至るところで問題になっております。  それから、これは斐伊川水系の水位記録の資料がここにございますが、水位の観測にしましても、建設省と松江市の消防署とが別々に観測しておる。地点も多少違うんでありますからデータが違うのも当然でありますが、いかにもやり方がばらばらだという感じがするのであります。この一つの例だけ申しますと、松江大橋の上流で建設省は観測いたしておりますし、それから何百メートルか下流の新大橋の少し下流で消防署が観測しておるのでありますが、私、水位というのは上流のほうが下流よりも高いと思うのでありますが、実際、グラフを、数字を見ますと、十二日の十一時ごろまでは下流のほうが低くなっております。が、十二日の十一時を境にしまして下流のほうが水位が高くなっておるのですね、四センチ、五センチと。こういう事態はあの地点で起こり得ることでしょうか。すぐ宍道湖から出たばかりのところですね。こういうような状態、私はこういう観測や、通報の体制がばらばらであるということ、この体制を整備しなければならぬということを申し上げるための例として言ったんですが、こういう数字の出方というのは、これはあり得ることなんでしょうか。
  245. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) まあ常識的には、やはり上流の水位が高くて、下流のほうが低いというのは当然であろうと思います。ただ非常に大きい湖等になりますと、これは風による吹き寄せの問題だとか、あるいは下流のせきを締めますと、一時的に下流のほうが急上昇するとか、そういったような異常な現象はございますが、一般的には先生のおっしゃるとおりでございまして、ただいまのような数字をちょっと私もまだこまかい報告を受けておりませんが、なお今後のやはり貴重な水位資料として十分調べたいと思います。  それから、それぞれやはり自治団体で観測を当然自己防衛のためにやっておるわけでございますが、そういった点については洪水予報連絡会とか、こういったものを開きまして、出水期前にはいろいろな打ち合わせはさせておるわけでございますが、やはり機能的にそういったそれぞれの機関が持っておる観測施設が一本になって防災対策に働くということがやはり一番大切でございますので、そういった点につきましても十分調査いたしまして、今後ともよく指導をいたしたいと存じます。
  246. 星野力

    星野力君 農林省関係、林野の問題ですが、林野行政が批判の的になっております、災害と関連しまして。これはもう申し上げるまでもなく、何が批判されているかはすでにたくさんの方から発言がありましたからおわかりと思うのです。林野行政の損益、収入、それによる伐採ということでありますが、私は九州四県と中国の三県を本委員会調査団に加わって見てまいったわけでありますが、行く先々で、その土地土地の実情に即した具体的な林野行政に対する批判、批判というより恨みですね、これが出されておりました。ところで林野庁の方の答弁をお聞きしておりますと、どうもいまの林野行政が災害に対してそうたいした関係はないんだというふうに見ておられるように私には受け取れるのです。まあ林野庁を除きまして、天下ことごとく大いにこれは関係あると、こう言っておるんです。でありますから、この問題、もう少しはっきりさしておく必要があると思うんであります。もちろん、この林野庁関係だけでなしに、この林野の開発による自動車道路や宅地の造成であるとか、あるいは原始林を皆伐してミカン畑をつくる、茶畑をつくる、そうした土地利用の変換も災害にかかわりあると思うんでありますが、前回、きょうおいでになりませんが、園田農林政務次官は林野行政について謙虚に再点検したい、こういうことも言っておられましたが、林野行政と災害との関係、これは一体どういうふうに見ておられるか。林野庁の方、おられますですね、指導部長おられる。たいして関係はないと見ておられるのか、大いに関係あると見ておられるのか、その辺どうなんですか。
  247. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 森林の持つ機能といたしましては、すでに先生御承知のとおりでございますが、木材の生産等は別といたしましても、国土保全とか、水資源の涵養とか、あるいはレクリエーションの機能とか、そういうものに対応いたしまして、森林の内容充実ということは私どもかねてから施策として取り上げてまいっておるところでございます。ただいま御指摘のような今度の災害というようなことで、私どももなるべく現地に入りまして、このそれぞれの調査団等も派遣しながらその原因等については現在究明いたしておるところでございます。しかし、私どもが一般的に申し上げられることは、森林の国土保全上の問題といたしまして、そこに森林があるということが国土保全に資するということは当然でございます。ただ、森林といたしましても、樹木と申しますか、これの根と申しますか、根の緊縛力によって山くずれというようなものを防ぐというふうに私ども見ておりますが、この緊縛力が発揮できます土壌の深さと申しますか、これが大体一・五メートルぐらいでございます。したがって、いままでの実験データによりますと、当然地形地質、あるいは傾斜とかいうことが非常に強く影響するわけでございますけれども、連続いたしまして雨量が二百から三百ミリございますと、大体崩壊のきざしが見えてまいります。そして日雨量が三百ミリをこすとか、あるいは時雨量が百ミリこすという場合は、いかなるそこに森林がございましても、とうていそこでは持ちこたえられないというような実験データにはなっております。しかし私ども、一般そういう実験データでございますが、少なくとも森林があることによってそういう国土保全の効用があるということを前提にいたしまして、保安林の指定とか、あるいはそれでなお不足な場合は治山工事によって補完するとか、そういう処置をいたしておるわけでございます。  なお、御承知いただいておりますとおり、本年度から第四次治山治水五カ年計画がスタートいたします。規模といたしまして二倍、特にこういう災害復旧ということだけでなしに予防ということが当然必要であるということを前提にいたしまして、私どもはこの第四次五カ年計画におきましては、第三次の場合の三・二倍の予防治山をここに計画いたしているのでございます。少なくとも、私どもそういう森林の取り扱いにつきましては、現在森林計画制度の拡充とか、あるいは保安林制度の整備とかいうようなことで、次の国会には森林法改正というようなことで対応してまいるよう準備中でございます。
  248. 星野力

    星野力君 前回の委員会で林野庁長官がえびのの災害に関連してだと思いますが、あれは集中豪雨による不可抗力だということをたしか言われた。私、きょうも午前中、木村建設大臣にその問題でお聞きしたんですが、今度の災害を天災だ、不可抗力だと、そういう立場に立つ限り抜本的な対策は立たないということを申し上げたんですが、林野庁の方のお話聞いておると、どうもその危惧があるわけであります。いま植林の話をされましたが、林野庁が造林をやっておられる。杉やヒノキを植えておられる。あれは何年ぐらいにお切りになるんですか。何か十数年——二十年たたないうちに切るんだと、こういうことになっておるという話を聞きましたが、そうですか。
  249. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) 私ども植林いたしておりますおもな種類は、御指摘のとおり、杉、ヒノキあるいは松とかカラ松とか、そういうものを植林いたしておりまして、伐採時期といたしましては、先ほどお答え申し上げましたように、森林計画制度がございまして、その中で標準の伐採適齢期的なものをきめております。したがって全国、地域によって生長の早いところあるいはおそい東北、北海道、その樹種によってあるいは地域によりまして変えておりますけれども、大体平均的には四十年あるいは四十五年というようなものでやっております。なお、カラ松等につきましては三十五年というような地帯もございます。十年あるいは二十年とか、そういうことで切るような場合はございません。
  250. 星野力

    星野力君 私、これは鹿児島で聞いた話なんですが、とにかく二十年ならぬうちに、おそくとも十九年生で切るようになっておると、こういう話だったんですが、これはとんでもない間違いだと、こういうことですね。じゃ時間もございませんから、もうよろしいです。  通産省の方、お見えになっておりますか——では、最後に一つ、お聞きしますが、天草上島、たしか姫戸町でなかったかと思いますが、ヤマハボートの関連工場であるケミカル工場、あすこで十人近い人が犠牲になられた。これは単に山くずれで押しつぶされたというんじゃなしに、同時に爆発が起こって、そのためにもやられておる。死体は骨ばっかりになって、身元確認ができたのはただ一人であったという話を聞いたんですが、災害といいますか、事故といいますか、爆発があったそうでありますが、何がどうして爆発したのか、その辺のことをお聞きしたいんです。
  251. 久良知章悟

    説明員久良知章悟君) 先生御指摘のように、七月六日の午前に、熊本県の天草の姫戸町の姫浦にございます公進ケミカル工業という、FRPでモーターボートの船体をつくっておった工場があるわけでございますが、この工場で、豪雨による山くずれのために工場が全壊をいたしまして、その後火災が発生をいたしまして、工場で従業しておられた九名の方が死亡されたということ、私ども、新聞等を通じまして知っておるわけでございます。県からは報告をもらっておりませんので、本日、県のほうに照会をいたしたわけでございます。県の回答では、火災は塗料に使いますシンナーと申しますか、溶剤の火災でございまして、これの多量に貯蔵の場合には消防法で規制を受けるわけでございますが、その関係の火災ということで、これは県の調査の結果、そういうふうに取り扱われておりました。高圧ガス関係災害ということでないので、私どもに報告がなかったわけでございます。消防法関係災害でございますので、私どもといたしましてはただいま申し上げました程度報告を持っておるだけでございます。
  252. 星野力

    星野力君 山くずれの中で火災が起きたと、こう申されるんですが、単なるこれは火災ではないだろうと思うんです。死体が骨ばっかりになっておると、身元確認もできないというような状態になっておるところを見ますと、単なるこれは火災ではないと思うんですが、いまも申されました塗料、溶剤というものがどういう性質のものであったか、水に触れると爆発する薬品が貯蔵されておるということを犠牲者の家族などがふだん聞いた話として語っておりますが、相当危険物が置かれておったんではないか。それがいま申される消防法に基づくところの規制をはたして受けておったか、管理が、規定されておるような管理の方法がとられておったかどうか、その辺の問題もあると思うんですが、これは通産省の問題ではないわけですか、そこまでは。
  253. 久良知章悟

    説明員久良知章悟君) 私ども通産省といたしましては、このプロパンガスその他の高圧ガスの関係、それから火薬類の関係、これについては取り締まりの責任があるわけでございますが、そのほかのものについては私どものほうの権限外でございます。
  254. 星野力

    星野力君 そうしますと、やっぱり薬品類なんかについての取り締まり、いまだにそれについての何ら報告がないと、受け取っておられないということになりますと、やはり手続としてずさんなものがあったんではないかと、こう思うわけであります。その辺のこともひとつ調べていただきたいと思います。それから私はこの問題は場合によっては刑事問題になるような事件ではないかとも思うんですが、そういうことにも関連してよく調査していただきたいと思いますし、それから犠牲者も単に集中豪雨による犠牲というだけじゃない、これは労働災害でもあるように思います。今度の一般的な災害のどさくさの中でこの問題がうやむやにならぬようにひとつ調べていただきたいと思いますし、そのことはここで、関係の省庁の方おられないようですが、ひとつ総務副長官のほうにも引き受けていただきたいと思います。  以上で終わります。
  255. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  上林君から発言を求められておりますので、これを許します。
  256. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、昭和四十七年七月豪雨災害対策に関し、自民、社会、公明、民社及び共産の各党共同提案によりまして委員会決議を行ないたいと思います。  案文を朗読さしていただきます。  以上であります。
  257. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまの上林君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  258. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。  ただいまの決議に対し小宮山総務副長官から発言を求められておりますので、これを許します。
  259. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) ただいま昭和四十七年七月豪雨災害対策に関する決議を御決定いただきました。その趣旨を十分尊重いたしまして、今後検討をさしていただきたいと思います。
  260. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本日は、これにて散会いたします。    午後六時十分散会      —————・—————