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1972-07-19 第69回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年七月十九日(水曜日)    午前十時四十三分開会     ―――――――――――――    委員の異動  七月十一日     辞任         補欠選任      杉山善太郎君     鶴園 哲夫君  七月十二日     辞任         補欠選任      小林 国司君     古賀雷四郎君  七月十三日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     片山 正英君  七月十五日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     小野  明君      星野  力君     塚田 大願君  七月十七日     辞任         補欠選任      小野  明君     杉山善太郎君   七月十八日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     鶴園 哲夫君      杉山善太郎君     前川  旦君   七月十九日     辞任         補欠選任      前川  旦君     森中 守義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 世耕 政隆君                 松本 英一君                 上林繁次郎君     委 員                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 高田 浩運君                 寺本 広作君                 鶴園 哲夫君                 中村 英男君                 前川  旦君                 森中 守義君                 宮崎 正義君                 高山 恒雄君                 塚田 大願君    委員以外の議員        議     員  森中 守義君    国務大臣        農 林 大 臣  足立 篤郎君        郵 政 大 臣  三池  信君        建 設 大 臣  木村 武雄君        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        総理府総務副長        官       小宮山重四郎君        内閣総理大臣官        房参事官     杉岡  浩君        防衛庁人事教育        局人事第一課長  馬場 義郎君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        竹内 信雄君        厚生省社会局施        設課長      新津 博典君        厚生省保険局国        民健康保険課長  黒川  弘君        農林政務次官   園田 清充君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        農林省農地局長  三善 信二君        林野庁長官    福田 省一君        気象庁長官    高橋浩一郎君        郵政省電波監理        局長       斎藤 義郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局河        川総務課長    関口  洋君        建設省道路局国        道第一課長    大島 哲男君        消防庁長官    宮澤  弘君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告に関する件)  (昭和四十七年七月豪雨に関する件)     ―――――――――――――
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を、議題といたします。  まず、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会は、高知土佐山田町における山くずれによる被害実情調査並び九州地方及び東北地方における被害状況実情調査のため、委員派遣を行ないました。これらの派遣委員報告は、時間の都合で省略することとし、各報告書は本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 次に、昭和四十七年七月豪雨に関する件を議題といたします。  まず、昭和四十七年七月豪雨による被害について、政府から説明を聴取いたします。本名総務長官
  5. 本名武

    国務大臣本名武君) 御報告の前にちょっとごあいさつ申し上げます。  私は、このたび総理府総務長官に就任いたしました本名武でございます。浅学非才でございますが、諸先生方の御鞭撻と御指導をよろしくお願い申し上げます。  初に、昭和四十七年七月上旬からの豪雨並び台風六号による災害について御報告いたしますが、この報告に先立ちまして、各地災害によっておなくなりになった方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、かつ被害をこうむられた方々に衷心からお見舞いを申し上げます。  さて、七月五日に高知土佐山田繁藤地区に発生いたしました土砂くずれにつきましては、去る七月六日の本委員会におきまして、御報告申し上げましたが、その後、日本附近に停滞する梅雨前線活発化によりまして、七月六日以降に九州地方東北地方中国地方、関東、中部地方各地局地的な豪雨が降りました。さらに七月十五日には、台風六号が知多半島に上陸しましたが、上陸以前に衰弱し、上陸するときには小型の台風となっておりました。さらに十五日夜半には温帯性低気圧となって、日本海に抜けました。これらの各地豪雨によります被害台風六号の被害を合わせまして、現在までに判明いたしております被害は、次のとおりになっております。  まず、一般被害といたしまして、警察庁で取りまとめましたところによりますと、死者三百九十九人、行くえ不明四十四人、負傷五百四十二人、建物の全・半壊、流失三千九十四棟、床上浸水四万八千七百九十五棟、床下浸水十五万二千四百九十一棟、罹災者数二十二万三千二百五十七人となっております。  次に、施設関係被害といたしましては、県などからの報告によりますと、七月六日の本委員会報告いたしました被害額を含めまして、公共土木施設約一千八百十九億円、農地等施設約六百十五億円、農作物被害約三百六十四億円その他合わせまして、三千六百三十四億円となっております。  このように大規模、広域にわたる災害に対処し、国として総合的、計画的に応急対策を推進するため、政府といたしましては、災害対策基本法に基づき、去る八日の持ち回り閣議により非常災害対策本部を設置し、八日、十日及び十四日の三回にわたり本部会議を開催し、被害状況、各省庁における応急対策等について情報を交換するとともに、必要な対策を検討、指示いたしたところでございます。  本部において指示した主要な事項をあげますと、次のとおりになっております。  第一は、各省庁において早急に現地調査実施し、被害実情に即しました対策実施することであります。  第二は、第一とも関連することでありますが、災害復旧事業早期査定事業実施につとめることであります。  第三は、農業災害共済金早期支払いを行なうことであります。  第四は、激甚災害指定天災融資法発動等を、この災害による被害総額が判明し次第早急に行なうことであります。  第五は、再度の災害の発生に備え、危険地域の総点検並びに、特に住民に対する避難指示の強化に配慮することであります。  また、各地方公共団体におきましても、高知県をはじめ延べ二十二県、五百五十二市町村災害対策本部を設置し、警察、消防、自衛隊、海上保安庁等協力を得て、行くえ不明者の迅速な捜索、道路鉄道等早期復旧防疫等応急対策につとめました。また、一府十五県にわたり百二十七市町村災害救助法を適用し、避難所の設置、たき出し、被服、寝具の支給等を行なっております。  なお、政府といたしましては、去る六月五日の本委員会に御報告いたしましたように、衆議院災害対策特別委員会がまとめました災害弔慰金構想を受け、昭和四十八年度より、この構想の趣旨に沿った市町村災害弔慰金に対する補助制度実施できるよう積極的に取り組んでおりましたが、死者、行くえ不明が多数に及んだ今回の災害実情にかんがみ、七月十一日の閣議において、この実施時期を繰り上げまして、今回の災害から適用することと決定いたしました。  また、高知土佐山田町の被災現地において、強い要望の出ております救助活動協力従事中なくなられた民間の方々に対する補償問題につきましても、消防団員に準じて、特別の報償金を授与することを昨日の閣議決定いたしましたのでございます。  以上御報告申し上げます。
  6. 松永忠二

  7. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) お許しをいただきまして一言ごあいさつ並びに御報告を申し上げます。  私、このたび農林大臣を拝命いたしました足立篤郎でございます。着任早々大災害にぶつかっております。本委員会委員長並び委員各位にはたいへんごやっかいに相なることと存じます。よろしくお引き回しのほどをお願い申し上げます。  当面します災害につきましては、災害対策委員会委員各位の御指導、御鞭撻をいただきまして農林省としても災害対策に万全を期してまいりたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。  最初に、今次災害により多数のとうとい人命が失われましたが、心から御冥福をお祈りいたしますとともに、被災されました方々に対しお見舞を申し上げる次第でございます。  次に、六月初旬から七月十八日現在までの農林省関係被害状況対策の概要について御報告を申し上げます。  今次の災害につきましては、先ほど総理府からも報告がありましたように、六月初旬以来の豪雨と七月に入ってからのほとんど日本全土にもたらされた集中豪雨等による被害等各地に頻発しておりまして、七月十八日現在の県報告による被害額農地農業用施設林地荒廃等による施設被害及び水稲等農作物等被害を合わせまして六月災害分約二百十七億円、七月災害分約千二百七十三億円に及び、総額ではほぼ千四百七十億円に達するに至っており、今後なお増加する見込みであります。  七月初めの高知南九州東北北西部等の悲惨な災害に対しまして、当委員会におかれましてもさっそく現地実情を御調査いただいたのでありますが、私も去る十二、十三日の両日にわたりまして現地調査してまいりました。私が調査しました熊本の印象から申し上げますとまことに想像を絶するの一語に尽きると申し上げるほかございません。  現在、森下政務次官中国、東海に派遣中でありますし、園田政務次官は北九州調査して昨晩帰京したばかりでありますが、いずれの地域もほぼ同様の惨状と考えられ、まことに憂慮にたえない次第であります。  熊本において従来想像できなかった場所で山くずれが発生している実情にもかんがみ、農林省といたしましては、人命等被害の絶無を期するため林野、農地及び漁港関係につき、災害危険個所の総点検実施するようすでに指示したところであります。  次いで、先般、総理からの指示もあり、防災態勢については、今後、続発する台風災害等にも備え関係出先機関都道府県等にも防災態勢に十分留意するようすでに指示をいたしておりますし、また、災害復旧については、いやしくも査定官等の不足のため、災害復旧に支障を生ずることのないよう措置するとともに、財政当局とも協議をいたしまして、改良復旧を積極的に推進してまいる所存であります。いずれにしましても、今次災害につきましては、被害実態を早急に把握の上、金融、共済補助制度等を最大限に活用して、災害対策に万全を期してまいる所存でありますので、委員各位の御協力を強くお願い申し上げる次第であります。  以上、簡単ながら、報告にかえる次第であります。
  8. 松永忠二

  9. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) ごあいさつさせてもらいます。  私、このたび建設大臣を拝命いたしました木村武雄であります。全く至らない者でありますからどうぞ御指導、御鞭撻、御協力くださいまして大過なく仕事をやらしてくださるようお願いを申し上げるわけであります。  私は、災害が発生いたしますると、すぐに現地に立って現状から対策を立てることが一番適切だと考えまして、きのうの晩まで十一県を回ってきたのであります。いまだ回わらない場所もありまするが、少し疲れましたので今週休ませてもらいまして、来週からまた出かけてまいりたいと思います。やはり罹災地に立って、この目で対策を立てることが血の通う政治が行なえると思いまして至らないからだではありまするが、一生懸命でこれからも努力するつもりでありますから、どうか今後とも御指導くださるようお願い申し上げます。
  10. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これよりただいま政府報告及び派遣により得ました問題について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。
  12. 柴立芳文

    柴立芳文君 私は、参議院の災害対策特別委員会の一人として、去る十三日から三日間、九州現地調査に参りましたので、その実態中心にして関係大臣をはじめ政府皆さん方見解をただしながら質問をしてまいりたいと存じます。  今回の災害につきましては先ほどからお話もございましたし、また、熊本県や秋田県の知事さんからも陳情のございましたとおりでございまして、六月、七月にわたりまして回数の少ないところで三回並びに多いところでは七回という、ある期間を置いて連続的に豪雨に見舞われたというような特徴を持っておるのでありまして、その被害というものは結局累進的に増加した、こういうふうに見られるのであります。また、私ども視察をした中で、とても常識では考えられない局地災害が起こっておるという地域もたくさんございます。したがって、先ほどお話がございましたけれども、従来の災害救助法発動基準とかあるいは激甚災害法指定基準、こういうふうなものだけではとうてい救えない、被災地はなかなか問題がある、あるいは被災者はなかなか不安からのがれることができない、こういうふうな地域があるように見るのであります。これらの異常災害と申しますか、雨量が多くて連続的であったというような状況からいたしまして、ここで法の改正を考える必要がないかどうかというふうなことは先ほど陳情もありましたけれども総理府総務長官にまず第一にお伺いをいたします。  なお、今回の全国的な災害に対しまして政府は当然災害復旧のための補正予算を組まれるものと推定をいたします。したがいまして、この補正予算を計上されるのはいつになるという御見解であるかどうか。あるいは補正予算を計上される場合、これらいままでのきまっておる法律ではどうにもならない個所に特別な配慮がこの際されるものだという御見解がきまっておるかどうか、この点についてまず総務長官の基本的な考え方をお伺いいたします。
  13. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のとおり激甚災指定あるいは天災融資法発動等は急を要すると同時に従来制度の上に立ちまして処置される。一応、地方団体財政上の援助を中心に行なう措置であろうと思います。しかし、いまお話しのございましたとおり、実際、現実の被害ははなはだ激甚であるばかりでなく、はるか法の及ばないいろんな処置を必要とすることは十分承知いたしております。同時にまた、今次の災害が従来防災指定の観念に立ってながめた地点ばかりではなくして、その他防災施設の及ばないところにも、あるいは防災基準決定をいたされないようなところに起きたということのために防災に対する施設やあるいは処置というものが非常に間に合わなかった、または非常に思わざる各種の災害を発生したというところに特色があろうと存じます。したがって、それを踏まえながら今後において立法措置等も検討いたしてまいりたいと考えているわけでございます。
  14. 柴立芳文

  15. 本名武

    国務大臣本名武君) 補正予算につきましては、いま御承知のとおり、被害に対する査定進行中でございます。まあ、私の見解を申し上げますと、予備費の活用等々によりまして運用はいたしてまいりますけれども、さらに、被害状況からいたしましてあるいは補正予算を組まざるを得ないのじゃないかとは考えられますけれども、ただいまその査定進行中でもあり、被害実態というものをもう少し時を経てから決定をするようにいたしたいと考えております。
  16. 柴立芳文

    柴立芳文君 いま総務長官補正予算を組むということはおっしゃらないんですけれども、私ども視察をいたしました者からいたしますと、これはたいへんな補正予算を組まなければ解決できないという気がいたしているのでありまして、だいぶその辺のところは認識をひとつ深めていただかなければしようがない、こういうふうな見解を申し上げておきます。  そこで、農林大臣にちょっとお伺いいたしておきますが、今回の災害復旧のできない水田とか、そういうものがたくさん出ているように見受けられます。こういうものは当分の間、休耕田と申しますか、休耕田扱いというふうなことが考えられますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  17. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) お答えします。  私も現地でそういう陳情を受けたのでございますが、本年の場合を申し上げますと、すでに作付が終わっておって災害でやられまして再び作付ができないというところは、御承知農業災害補償によりまして全損扱いでございますから、事務当局に計算をさしてみますと、休耕扱いよりも一般的に申し上げましてやや共済金額のほうが多いんじゃないかという数字が出ておりますからこの点は問題ないと思います。ただ、いまのおっしゃる柴立さんの御意見は来年もどうするかというふうなことが含まれているようでございますが、これは災害復旧進行状況ともにらみ合わせまして考えませんと、二度と農地としては無理だということが判定されますと、これは農地でなくなりますとどうも休耕ということも無理ということになりますので、その辺はいまちょっとここで確答を申し上げかねます。ただ、私が天草現地を見まして、たとえば、たばこあと作水稲を植えようとして用意をしておってまだ苗代田が多少あるんですね。ところが、今度の災害を受けてたばこもやられてしまった、あと作付不能である。これは共済のほうでは御承知作付不能の場合は共済金額の半額を払うことになっていますからこれはちょっとお気の毒でございますが、しかし休耕扱いのほうはもう六月に締めくくってしまっておりまして全国の数字も発表いたしておる段階でございますから、どうも災害にあったからあとからかけ込みで休耕扱いという、性質が全く違いますんで農林大臣としてはこれはちょっとできかねるとお答えする以外にございません。
  18. 柴立芳文

    柴立芳文君 それじゃ次に進みますが、特に熊本県の天草上島カ町村の場合ですね、これは建設大臣もあるいは農林大臣も御視察になったと思う。目も当てられない惨状である、こう言わざるを得ない。当面の緊急対策というものはもちろんでありますけれども、今後の復興対策等に対しまして政府はほんとに被災地を思う気持ちでやってもらわないと社会構造的に、もう社会問題的な問題である、私はこう見ておるわけであります。田中内閣は決断と実行を売りものにされておる。したが。て、この困っている天災、こういう方々をいわゆる新内閣のキャッチ・フレーズをよごすことのないようにしていただかなければならない、私はこういうふうに考えておるのであります。特にその被災者の不安を除去するためには、市町村自体がとほうにくれておるというふうに私は見受けておるのであります。いま熊本知事さんからもいろいろ御陳情がありましたので、今後の恒久復興対策についてはいろいろ地元中心にしてお考えになると思う。そういう場合に、どうしてもあたたかい政府の手をば差し伸べていくという態度をここではっきりとしていただきたいということ、その場合に私は建設省とかあるいは農林省総理府等が別々な形でこれをやられるということは非常に不効率だと考えております。したがいまして、これはいわゆる総理府なら総理府のほうではっきりとひとつ総合的にどうしたほうがいいのかというふうなことを確立されて、総合的な対策を早く立てて実行していただきたいということをこの際強く総務長官並びに両大臣要望を申し上げておきます。特に、次に私は視察しあるいは調査した中で、次の三点についていまから質問をいたします。  鹿児島県の川内川災害関係一つ一つ宮崎県えびの市の真幸地区山津波による局地災害の問題、三番目はいま少し申し上げましたとおり、天草上島カ町村の鉄砲水と申しますか、これは山津波による山くずれの大災害、これらのことについて意見を交えて質問いたしますので、ひとつ御回答願いたいと存じます。  まず、鹿児島県の今回の災害が百六十三億という数字が出されております。そのうちに川内川流域が百億九千万、これは小さい一つの川の流域だけで百億以上も出ているのであります。その中で一番大きいのが宮之城町の二十七億三千万というのが、いまだかつてないものが出ておるわけであります。これはいわゆるあとでまた詳細に質問をいたしますけれども、ダムの影響によって湯田という温泉が流れてしまったというふうな地元考え方、そういうふうなものも関連をしておりますが、そういうふうに二十七億三千万という、小さい一町で被害を出しておる事実、そういうふうなことを中心にして申し上げますけれども、この川内川の水害というのは、非常に台風の場合あるいは集中豪雨の場合、建設省でも非常に御やっかいな川であろう、かように考えて、毎年毎年被害が出ておるのであります。そういうふうな中でありますので、特に川内市が毎災害ごと市街地が全部浸水をする。そして、その中間にある宮之城という町ですけれども中間にある一番大きな町も浸水をするというふうなことが毎年繰り返されておるのであります6これは建設大臣も常に言われますように、政治の貧困であるといわざるを得ない。このことは川内川というのは非常にむずかしい川であることは間違いないのです。川内川川内市の周辺に五つの小川と申しますか、支流が流れ込んでおる。普通ならば海岸に近いのでありますから、その支流海岸に直接流れているのが実情でありますけれども川内周辺に流れ込んでおるというふうなことも一番自然的な条件でありましょう。しかし、このことがそのままどうにもならないじゃ困るのであります。したがって、いままで河川改修その他ポンプを用意してもらったりいたしておりますが、従来は川内川本流決壊をいたしまして浸水した例が多かった。しかし、今日は川内川本流決壊をいたしておりません、川内市の付近は。そして支流が全部はんらんをしてどうにもならなくて市街地に流れ込んでおる。その市街地支流から流れている内水面と申しますか、これが川内川を全部つからしてしまっておるという実情であります。これはもう二、三年続いておりますが、そういうふうなことでありまするから、このことは非常に今日問題が大きいと思うのであります。したがって、この川内川の問題につきましては今日非常に客観情勢も変わっておりますので、水の流れが早くなったとか、あるいは上流からの土砂が流れて河床が上がってしまっておるというふうなこともありまして、自然に支流のほうからの水が出ないというふうなこともございます。したがって、この川内川の改修につきましては、いまの客観情勢を踏まえて大きな抜本的な対策を、基本対策をつくっていただかなければ解決をしないのではないかというふうに考えるのでありますが、そういうふうな抜本対策をおつくりになっていただく意思があるか、あるいは現在でもあるというふうに御答弁になるのか、そしてそれはいわゆるそうすればああいうふうな災害は起こりませんというふうな建設省の技術的な確信があられるのか、その点をまず第一にお聞かせ願いたいと存じます。
  19. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 川内川のことは事務当局からよく聞いておりまするけれども、私自身はまだ検分しておりません。それで、来週の水曜日に出かけまして、二日間、川内川とえびのを視察して帰ってきたいと、こう思っておりまするが、建設省としては抜本対策を立てると、こういう方針はきめて、いま研究しておるのであります。ただ、それはそれなりにして政治的な判断をしてみたいと、こう思いまして私出かけてまいりまするが、抜本的な対策を樹立するという根本方針はきめまして、いま研究に入ったところであります。
  20. 柴立芳文

    柴立芳文君 それじゃ、大臣に行ってもらうというのでたいへんありがたいのでありますから、この機会に、これは私現地をよく知っておりますから申し上げるのですけれども、いまの川というのは上流と下流あるいは左岸と右岸でいろいろ地域エゴというのか、いろいろな意見がございまして、なかなか決定的な断が下されないという弊害があったことは私も認めます。しかし、そういうことを言っておったって、もう百億という災害が一雨で出るわけです。そして、一年間の川内川の改修工事は十二億ですか、十一億何千万ですか、全体的に。そういう実情であって、これがそのまま放置されて、毎年毎年浸水をして、決壊をして水が出て不安におののいていながらやるということですから、その点を間違いなくひとつ建設大臣見てきていただきたい。政治的に予算を計上する、あるいはこの機会に上流と下流との利害関係の中に入って、これは直轄河川なんですから、はっきりとしていただきたい。というのは、一つの上流においては内水面が出るから下のほうは流れの早くなるようにしてくれと言うし、下のほうは、そんな早く流れたら川内がつかるじゃないか、こういう御意見なんですね。地元のほうとしてもわれわれはよく認めるところでありますけれども、しかし百二十戸、百十九戸という湯田の温泉が流れてしまった、このことを銘記してひとつ抜本対策を立てていただきたいということを強く御要請申し上げたいと存じます。  さらに、ダムと災害の問題についてここで質問をいたしたい。  実は、この前の災害調査に参りまして、私ども松本団長をはじめとしてその会に臨んだわけでありますが、まず第一に、宮之城議会から決議文をつきつけられた。それからそのビラがこういうふうに「直撃無残!!ダム放流による」と、こう明確に印刷してある。これは人工災害だというふうなことを地元では言っていらっしゃる。たまたま七月の十三日の読売新聞の西部版にこういう記事が載っておるのであります。「鶴田ダム放水ミス」「湯田温泉水害政府「人災」認む」「衆院特別委」と、こうなっておる。これは新小宮山副本部長ですか、この談話まで明記してある。そしてこの「「温泉街の災害は未然に防げた」とはっきり〃人災〃であることを強調した。」と書いてあります。これは七月十三日の読売新聞の西部版ですが、私はこれを見まして、現地が考えていらっしゃることがこのことで裏づけされたと考えておるのですが、そう解釈してよろしいかどうか、お伺いいたします。
  21. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) このたび副長官に任命されました小宮山でございます。  いま、私の発言に関しての御質問でございますのでお答え申し上げますけれども、この鶴田ダムの問題については地元で確かにそういうことの申し入れがございまして、かつ宮之城ではこの一ヵ月に二度の水害をこうむって、たいへん悲惨な状況でございます。私、そういう趣旨のことを申し述べた記憶はございませんけれども、ただ政治姿勢の問題としては今後とも考えざるを得ない。それから、今後ダムの予備放流については、現実的にはもうそういうことが起こらないように放流を始めておりますので、先生の御質問の点については私存じておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  22. 柴立芳文

    柴立芳文君 新聞が誤報なのかどうか知りませんけれども、その点はいまはっきりと否定をされました。  そこで、この鶴田ダムの、これは私ども承知をいたしておりますが、四十年に完成をいたしまして、いま六、七年たっています。その間にたくさんの災害に遭遇いたしておりますが、今回こういうことは初めてです。そこで、ダムと災害という問題につきましては、きのうの朝日新聞にも「あぶないダム」という題で出ております。これは私全く同感なんです。これを切り抜いてまいりましたけれども、このようなことがもう確実に現地では信じられておるわけです。そこで、電源開発は来ておいでにならぬかもしれませんけれども、御承知のとおり多目的ダム、大体このダムは百三十億かかっております。国が六十億、電源開発が七十億ぐらい出してつくったダムであります。それは多目的ダムでありますが、年間電力を十七億円電源開発が九配に売っておる。だからそれを確保するために規定があって、要するに、一つの規定の中でこれが操作されていることも御承知だと思う。それが非常に雨が多かったのでどうにもならなかったという理由になり、そして、これは地元では鶴田ダムの影響によって、人災によって湯田温泉は流れましたと、だからどうしてくれるのだというのが、われわれに陳情を切実にされたわけです。町長は現王園という方なんですけれども、これは県会の大先輩でございますが、非常におとなしい方でありますけれども、今回は強い姿勢で、どうか参議院の災害調査班の皆さん、正しい決断をしてください、こういうふうに叫ばれました。どこへ行きましてもダムは恩恵をこうむっているという空気はありませんで、ダムは非常にやっかいなものだという現地の声が充満をいたしておるのであります。その最中にこういう記事が出ておる。それでありますから、日本の国にいま二千ばかり、千八百かあるいは建設中のものも合わせて二千くらいあると聞いておりますが、このダムと災害との問題、これは私は初めて鶴田ダムで出たケースであると見ておるのです。これを明確にしないとどうしても落ちつかない、落ちつかないというよりも不安であるということは解消されません。したがって、これはどうしても庶民に、地域の人だけじゃなく、日本国じゅうの人にわかるように政府は解明する必要があると思う。これはやはりこれぐらいの雨が降ったからどうしてもだめでした、しかしダムがあった場合となかった場合はこうでありますということをしないと、これは不安であるということに尽きるわけです。それを明確にしていただかなければいけないと私は考えるのでありますが、その点について河川局長にお伺いをいたしたいと思います。
  23. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しのように、鶴田ダムにつきましては三十五年から建設にかかりまして四十一年に竣工したダムでございます。その後ダムが完成いたしましてから四十年あるいは四十四年と、たび重なる川内川に出水がございまして、そういった経験を生かしまして私どもといたしますれば直下にございます湯田地区、あるいは宮之城町、こういったところをできるだけ水害から守るためにいろいろ検討いたしましたが、約九百トンないし一千トン毎秒というような程度にダムで調節をして放流をしないと助からない、こういうような状況でございますので、今回もそういった経験を生かした操作をしたわけでございます。それでいわゆる洪水の第一波は無事に操作をしたわけでございますが、御承知のように、非常に連続して相当な強度の雨が二度三度とこの地域に降ったというようなことで、結局鶴田ダムで持っております約四千二百万立方メートルの調節容量がもうすでに調節機能を失って満杯になったというようなことで、やむなく上流からダムに入ってきます流量をそのまま下に流す、こういった操作をとらざるを得なくなったわけでございます。したがって、われわれのダムに対する改修の計画なりあるいは上下流の河川の改修計画、こういったものの規模が小さかったという点では、非常に私ども残念に思っておるわけでございますが、やはり今後はこういった降雨を参考にして、できるだけダムの容量に対しても十分な余裕をとる、それから河川の改修もやはり抜本的にやる必要があると痛感する次第でございます。先生のお話しのように、非常に川内川は下流、中流、上流と利害を異にいたしておりまして、いろいろな住民感情もあるようでございますし、河川改修上の技術的な面から見ましても、相当問題が多いわけでございます。したがって昭和四十六年、昨年に中流部等は県管理でございましたが、これを直轄管理に移しまして、少し全川を直轄で見直しをいたしまして、改修にかかりたいという準備を始めた矢先でございまして、しかし、今回こういった災害がございましたので、私ども急拠全川に対する根本的な改修計画を立てたいというようなことで、近く九州地方建設局を中心にいたしまして、地元の大学の先生といったような学識経験者の方、あるいは私どもの土木研究所あるいは担当官、こういったもので流量改定並びに改修の検討会を行ないまして、その線に沿ってひとつ積極的に改修を進めたいと考えておる次第でございます。ただ、非常に地域的な制約の多い地区でございますので、やはり自然とわれわれがどうやって共存していくかという点につきましては、これはダムのさらに新設とか、河川の改修とか、あるいは単に堤防を高くするだけでなくて、遊水地等をそれぞれ設けて下流の状況をにらみながら、あまりひどいまたつぶれ地等ができましても、これまた、地域の生活にも影響するかと思いますが、こういった総合的な判断からひとつ改修計画を立てたいと考えておる次第でございます。なお当面鶴田ダムにつきましては、これは治水の立場から見ますれば、先ほどの四千二百万トンという治水容量をふやすということが、やはり安全を確保する一番手っとり早い手段でございます。しかしこれは電源側の都合もございますので、先般来いろいろ折衝をいたしましたが、関係所管の通産省のほうでもこういう事態を踏まえて協力しようというふうなことで、現在は予備放流によって水位を下げておりますが、さらに、いわゆる出水期間、こういったものに対して恒久的に治水容量をふやすというような方向で取りきめをいたしたいということで、現在電源開発会社あるいは関係省庁と私どもで協議をいたしておりますが、できるだけ早急に結論を出したいと考えておる次第でございます。
  24. 松永忠二

    委員長松永忠二君) もう一問だけにしてください。
  25. 柴立芳文

    柴立芳文君 大臣が行かれるので申し上げておきますけれども、いま小宮山副長官が言われたことは否定されましたけれども、実は私も百四十六・五というダムの水位、これがだんだん上がっていきまして、それから流水量とかあるいは放水量というものが図面に一時間ごとに出ておる。これを調べてみました。そうしてこの原因は、やはり一がいにダムが影響していないとは言えないと思うのです。しかし、それは非常に大きな水量だったのでやむを得なかった、うつわに入りきれませんでしたというのも実情だと思っているのです。これはずっと表を追っていきますとここでパンクをしておるんです。パンク時期がずっと大きい量が上に上がって二千二百六十という数量になっております。このことは非常に水量の多かったということを証明しておるんですけれども、しかしそうだからといって、いま局長が言われましたように、あそこはどうしてもダムと治山治水のいろいろな改修工事、それから何と申しますか、遊水というふうなことを勘案して総合的に考えないと、もう幾ら働いても不安でたまらない。  それからもう一点、湯田温泉のところは流れちゃったんですけれども、その上流に湯之尾という温泉がある。ここに行ってもらいたい。ここはもう水害の名所でありまして、水が出るたびに家がつかるんです。それもいままでは非常になれておられまして、少しぐらい水につかってもまた洗濯しましたという程度だったんです。今度参りましたら、まあ一緒に参ったんですけれども、もう真剣な顔でおりてくれというわけですね。それはどういうことかといいますと、下流の湯田という温泉がなくなったということですよ。これは、次はおれのところだということは、もう彼らの顔にあらわれている、不安でたまらない、そのことが政治不信なんですね。だから、そのためにバイパスを通すというふうな計画があると聞いておりますけれども、まだ公表になっておりません。そういうものをはっきりと打ち出して、これでも君たちはやらないというならしかたがないぞという程度にやるチャンスである、こういうふうに私は見ておるんです。したがって、こういう点についてはひとつ強い要望大臣にいたしておきたいと存じます。非常に委員長からせかれておりますので、もう少し原因について申し上げたかったんでありますけれどもやめます。  次は、天草の問題についてであります。これは全く私、想像し得ない災害であります。そこで地質の問題、これをこの際、建設大臣総理府長官は、危険な場所の地質のボーリングをしてこれを危険地区にはっきりしていただきたいということなんです。そして、それはたとえば、どういうふうなことかと申しますと、全然山の頂上から流れてきておる、それが瓦れきになってやってきておるということです。あのような雨量だったらしかたがないのかどうかという点がどうもはっきりいたしておりませんので、この点については十分なるひとつ対策を練っていただくということと、災害復旧というふうなことで救助法でやりましてもあそこはもうもとどおりになりませんよ。そのことは地元とかいろんな方とやられると思いますが、ひとつ農業構造改善事業等と農林大臣は一体的にやるということが新聞記事に出ておりましたが、これらを十分考えてやってほしいと、こういうことを要望申し上げておきます。  次に、えびの市の真幸山の津波について申し上げておきますが、これは約八町歩か十町歩の山がつぶれている。そしてそれは行かれるとわかりますけれども、三十万立米といわれる土砂が流れ込んでおる、その周囲は何も被害はありませんよ、そこだけ被害があるんです。ほかの山がずっとつぶれておればこれは私はその下に異常なる雨が降って崩壊をしたと断定します。しかし、ほかの山は何ともありません。そして、これは林政上の関係があるかと思いまして、私も林政に関係がありますからいろいろと調べてみましたけれども、その七〇%は五十年以上のヒノキ山です。下の三〇%は二十年以上の灌木林です。だからこれは林政上の問題ではないと私は見ておる。ところが、あそこの三十万立米の土砂が鉄道線路を乗り越えて沢に流れ込んでおる。これは惨たんたる惨状である。これは行かれるとすぐわかります。そこで、これは原因究明なんですけれども、この原因究明について、私は専門家ではありませんけれども勘で申し上げますよ。しかし、これはひとつ科学的に原因を究明していただきたい。それはこのような山くずれが起こった原因は、まあしろうと考えでも、山くずれを出しました表面の土砂が群青色といわれるベントナイトという土砂なんです。少し青味がかった土砂が非常に広く露出しております。これは上にのっておった土砂のすべり台になったのだ、こういうふうな印象を受けるのです。ベントナイトというその土砂がすべり台になるかどうかということは科学的な調査が必要だと思う。そこで、このすべり台になるような点のボーリングを危険な場所だけはひとつ指定して金をかけてくれということなんです。そうしないと安心しておられません。その点、危険区域をはっきりとしてもらいたいということと、同時に、ボーリングをして、こういう流出する土砂で形成をしているということをはっきりとしていっていただきたいということと、集団移転ということはあそこは考えられるでしょう。集団移転しなければ問題になりません。だから、集団移転等につきましては十分話し合って、別ワクの処置をひとつしていただきたいということであります。  それから、集中豪雨の連続的なことの合算によって、激甚災害指定をしていただきたいということは総務長官要望いたしておきます。そうしませんと、次から次へと連続してかかって、その部分的にしますとだめなんですから、基準にかかりません。しかし、その結果は非常に大災害につながっているということですから、連続したものをば採用してもらいたいということを要望いたしておきます。  最後に、今回の災害地で陸上自衛隊の、何と申しますか、だいぶ御支援をいただきまして、ヘリコプターの関係者の方、非常にこれは便利なものです。だから、こういうのを非常に利用さしていただいたということに対して敬意と謝意を表しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  26. 松本英一

    ○松本英一君 わが国の災害史の中では、水禍の苦しみが一番多いようでございます。まさに水害国日本であります。こうして日本人は「災害進化民族」との説をなす人もありますが、このたびの水害をみますと、進化したのは災害であって、政治は退化しておるのではないかとさえ思わざるを得ないのであります。そのことは、実は新しい国、土の病を身をもって現出しているのではないでしょうか。われわれは政治のゆがみと行政の貧困さを厳重に指摘しなければなりません。国土のつくり方、住み方、産業配置のしかたが全体としてバランスを欠いているということであります。  復旧計画も、治山だ、治水だ、砂防だ、住宅だと、ばらばらであってはなりません。たとえてみれば、胃や腸だけが悪いのではなくして、全身が弱っていることを、この災害の大きな教訓として行政当局は十分認識をしていただきたいと思います。  今回、九州地方を襲った梅雨前線豪雨による災害天草地方をはじめ、九州各地に大きな傷あとを残し、その被災地九州全県に及び、多数のとうとい人命と住む家を奪い、鹿児島県湯田温泉のごとく三メートルに及ぶ濁流が一瞬のうちに百戸をこえる温泉街をあとかたもなく流してしまったような、また、宮崎県えびの市真幸地区山津波のごとく国有林から崩壊流出した土砂は三十万立方米をこえ、幅二百五十メートル、長さ千五百メートルにわたって国鉄真幸駅を埋め尽くし、六十数戸に及ぶ一部落を押し流すという大規模なものであります。  さらに天草地方のごときは、至るところ山津波により崩壊流出した巨岩が人家を押しつぶし、離島の過疎化の激しい、わずかばかりの耕地と沿岸漁業により生活をささえていたこの地方の人々に、再起不能といわれるほどの壊滅的被害を与えたことは、建設、農林両大臣ともに現地視察されてよく御承知のことと思います。私は当委員会から各党構成による同僚議員とともに、現地のなまなましい被災の実情調査視察してまいりました。現地関係者の要望及び被災地住民の切実な訴えを聞いてまいりましたが、被災後も断続的に降る雨に一週間も経過したその視察の時点においてなお本格的な復旧工事は進まず、被災住民は災害の再発をおそれ、私たちに対して「また危険ですか」と言うその切実な声がいまもなお耳を離れません。再起、生活再建のめどを立て得ないままに、ぼう然自失の状態で、わずかな晴間を利用し、細々と家財道具を整理しているのが実情であります。激しく降る雨の中、プラカードを持ち、鶴田ダムの放流と川内川改修のおくれに対する激しい怒りを訴える宮之城、大口、菱苅、栗野の人々、えびの市の山津波現場で炎天下黙々と行くえ不明者の遺体発掘に泥沼と戦っている自衛隊及び機動隊の若い隊員、消防団、警防団、そして巨岩に押しつぶされた家の中から放心したまなざしでわれわれを迎えた天草の五カ町の人々の姿が、いま私の目前に浮かんでまいります。被災各県市町村とも災害対策本部を設置し、首長をはじめとする執行部は議会側と一体となり、その陣頭指揮に当たっておられましたが、いずれの関係者も異口同音に、一日も早い国の本格的施策の実施を強く要請しております。  そこで、現地要望中心質疑を行ないたいと思いますが、農林大臣は時間がないそうでございますので、先に農林大臣に関する質問を二点いたしたいと思います。  今回の災害の特色は、山間部では長期にわたって断続的に降った集中豪雨による山津波、山くずれ、がけくずれ、地すべり、あるいは中小河川の溢水等による人家の被害であります。九州各県を視察して、至るところこの種の被害が発生しております。これが防止のためには治山砂防、山腹崩壊防止事業、治水砂防、急傾斜崩壊防止事業、あるいは地すべり防止事業等の治山治水事業の飛躍的な増加を持たなければ解決し得ないとの感じを深くいたしてまいりました。この点に関する農林大臣建設大臣の御所見と今後の御方針について御見解伺いたいと思います。
  27. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 御質問のありましたとおり、今回の災害状況からも明らかでありますとおり、治山治水は国土保全と民生安定のために重要欠くべからざるものであると、私も存じております。このような観点から、政府といたしましては先般改正されました治山治水緊急措置法に基づきまして、四十七年度から第四次治山事業五カ年計画を発足さしておりまして、治山事業を強力に進めてまいります。また国土保全上必要な森林につきましては保安林整備臨時措置法に基づきまして、保安林の指定の推進、適正な維持管理等保安林の整備につとめてまいります。これらの諸施策につきましては今後ともこれを強力に推進いたしますとともに、荒廃地の復旧並び災害の未然防止にさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  28. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 松本委員の御指摘のとおりに、集中豪雨が日本列島の健康診断をしてみた、その結果、日本が非常に不健康であったということが暴露したのであります。それでありまするから、こういうような現実の上に立って、いままでの建設行政ではたしていいのかどうか、こういうことについて私自身非常な危惧の念を持っておるのであります。と申しまするのは、何といいましても、一番大切なものは生命なんでありまするから、生命を擁護する、生命を大切にするという政治が何ものにも先駆しなきゃならない、そういうような状態のときに、今日のような多数の犠牲者を出したなどということは政治として恥ずべきことであると、私はこう思っておるのであります。そうでありまするから、現在の建設行政に対しても私はもっともっと深く掘り下げて根本的に考えてみたいなと、こういう気持ちなんであります。道路行政が先駆したことは非常にけっこうだったんでありまするけれども、だからといって、治水治山行政がおくれていいというものじゃなかったんでありまするが、今度の――特におなくなりになった方々調査いたしますると、治山治水がおくれておったがために、たくさんの犠牲者を出したということは何人にも首肯できることなんでありまするから、治山治水事業というものは建設省であるとか、農林省であるなどといって分けないで、やっぱり一つの統一した政治で行なう必要があるんじゃないだろうか、分けてやっておるところに、そこに大きな穴が出ておったんじゃないだろうか、出る危険もこれからもなきにしもあらずでありまするから、これは、農林省農林省建設省建設省として別々ではありまするけれども、心から底から手を握り合って統一した行政を行なう必要があるということを私は今度の水害で切実に感じたのであります。  それから、もう一つなんでありまするけれども、やっぱり仕事本位に考えなきゃならない時代が来た、予算本位に考えてはほんとうに間に合うような政治というものは行なえないんじゃないだろうか、したがって、予算本位になりますると仕事がこま切れにされてしまう、その結果、一カ所がよくなりましても他の個所が悪くなっておりますると、それがまたせっかくつくったものをこわしてしまう危険が多分にある、そういう点で、予算本位の行政でなく仕事本位の行政に切りかえていかなきゃならないものじゃないだろうか。  それから、もう一つ重大なことは、川内川でも何でもそうでありまするけれども、人間の技術に並行して金をかけたならばすべての災害から人命を守ることができるんじゃないだろうか、不可抗力ではないのじゃないだろうかということも私はこの際考えてみたいなと、こう思っておるような次第なんであります。  それで、一つの意欲的なものを持ちまして現地に立って罹災者と同じような気持ちになれたならば非常に幸いだと、そういう気持ちになって災害対策を考えてみたいと、こう思っております。
  29. 松本英一

    ○松本英一君 治山治水事業の促進とともに、過疎地域の山間部の災害に弱いがけ上、がけ下に点在する人家について積極的に移転を促進するための方策を、また地すべり地帯については、集団移転を促進するための方策をとらなければ、災害は毎年同じように繰り返されるだけであると思います。今回の災害を契機に九州災害に弱い山間部各市町村では移転希望という、悲しいかなみずからの土地を離れていく人々が増加しているのが現状でありますし、陳情もそのように受けてまいりました。政府はこの際、営農指導、生活指導あるいは転業指導等を含めた総合的な移転対策を講じ、また、移転先の住宅建設資金の確保、移転に要する経費に対する助成等の措置を講ずべきだと考えておりますが、建設、農林大臣の御所見と今後の御方針をお伺い申し上げます。
  30. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) ごもっともなことでありまして、私は、そういうような危険な場所でいままで生活された方、その人が災害に遭遇されましてふるさとを捨てねばならないなどということは、こんなにさびしいことはないと思いまするが、現状やむを得ないとすれば、そういうようなこともまた考えなきゃならないと思っております。そういう際は、あらゆる点で、いままで生活しておった場所よりもいい生活ができるような、いろいろな点で指導をしなきゃならない。建設省では、まあ――天草にも私参りましたし、それから、きのうは島根県からそれからあちこち全部回ってきましたけれども災害で住宅をなくした人が非常に多いと、せめてその住宅をなくした人に対して住宅を与える方法はないものかどうかと、こういうように考えまして、住宅金融公庫の資金なんでありまするが、この際大幅にふやしてみようと、それから、いままでは一人平均二百万のやつは私は三百五十万に増額してみようと、それから利子もなくしてやったらどうだと思ったんですけれども、これは法律できめなきゃならぬことでありまして、そういう際はおはかりいたしまして、皆さまの御援助によりましてそういうことも考えてみよう、建設省としてできることはどんなことでもやってみたいと、こういう考えで努力するつもりなんであります。
  31. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 松本委員の御意見まことにごもっともで、今回の災害では残念ながらおっしゃるような処置をとらなければならぬ地域が相当数あるように存じます。私も天草現地ではいろいろ提案をしてまいりましたし、昨日、宮崎知事が見えまして、――えびの地帯、これは私自身が行けませんで農地局長を団長としてもうすでに調査を終えて帰っておりますが、三十万立米の土砂が流れ出まして二十数ヘクタールの農地を、また部落をおおってしまいまして、ちょっと復旧の見通しが立ちません。やはり、とりあえず部落を移転しなければならぬという問題がございますが、これは前例もございまして、かつて長野県伊那谷におきまして二百三十四戸が移転をして、そのうち農家が百七十四戸という事実がございます。これは災害復旧費を計算いたしまして、これを自治省に移管をして、自治省のほうでその他の経費を合わせまして万全を期していただくというやり方をとった実例がございますので、おっしゃるようなケースについては前例に徴して処置をとるということを御了承いただきたいと思います。
  32. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと関連。  建設大臣、いまの言った程度のことではだめなんですよ。いま農林大臣が言っているように、伊那谷のときに集団移転の措置を特別にやったわけなんです。これがさっき話が出ている現在の法律でできないことなんですよ。だから土地を買い集団的に移転をするということについて、過疎対策としては一応法律的な措置はできるけれども、こういう災害の場合にないわけなんです。だから、どうしてもこれは法整備をするというような形でとにかく……。
  33. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) ちょっともう一ぺんおっしゃってください。
  34. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 法律をつくるか、法律はつくらなくても事実上そういうことができるように、集団移転ができるように措置するということでないとこれはだめなんで、これはもう特に建設大臣に強く要望し――もう全部そうなんですよ。土佐山田だってもいまのところから移らなければいけないということになるわけなんです。この点について大臣の率直な感じと見解を述べてください。
  35. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) まあ、ごもっともなことでありまして、これはその方向でできるように思い切って検討してみたいと思います。
  36. 松本英一

    ○松本英一君 農林大臣からえびのの問題が出ましたので、一問だけ聞きたいと思います。  宮崎県えびの市の真幸地区熊本鹿児島両県境に接した山岳地帯で、たださえくずれやすいシラス地層におおわれております。しかし二十年前までは一帯に三十年、四十年生の杉、ヒノキ林が密生して土砂流出防止の保安林としての役目を十分に果たしていたようであります。ところが、十数年前に、熊本営林局えびの署は、これらの杉、ヒノキ林が保安林に指定されていないことに目をつけ、ばたばたと伐採してしまいました。その後再び杉、ヒノキを植林したものの、シラスと急傾斜の現場一帯はちょっとした大雨のたびに山はだがくずれ、同営林局が住民不安解消のためにつくった谷どめ堰堤五基も全く役に立たず、営林局の山津波対策のずさんさを今回さらけ出したわけであります。「植林した杉が十九年もたってすでに直径十センチ、高さも十メートルになっており、過去の伐採が原因とは思われない」と否定され、弁解をされておられますけれども地元の人たちの経験では、少なくとも、三十年をこえないと雨量の多い同地方では保安林的な機能を果たすことができない。また、一般論として申し上げますならば、樹齢二十年前後の杉、ヒノキでは根の張りぐあいなどまだ十分とは言えないし、ましてシラス土壌の樹木は土砂崩壊防止の面からなるべく切らないほうがよいのでありまして、林野庁の伐採が結果的に今回の事故のマイナス要因になったということは、言えるのではないかという気がいたしております。したがって、熊本営林局のこの伐採が原因であるという問題について、これは全国的な問題にも関連するわけでありますので、そのことについての御答弁をお願いしたいと思います。
  37. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) いま松本委員御指摘の点は、私、着任早々でございましたが、各方面からいまおっしゃるような情報が流れてまいりまして、林野庁の国有林の経営ずさんから起こった災害ではないかということで、私も非常に神経を使いまして、私自身は行きませんでしたが、きのうも宮崎知事から詳しく事情を聞きまして、その点を再三問いただしました。なお、現地調査に行きました農地局長調査団からも事情を聞きましたが、どうもいま松本委員のおっしゃるような国有林の皆伐をやり、あるいは伐採し過ぎ、また経営がずさんのために今度の災害の原因になったという事実は私はないように思っております。これは見解の相違といえばそれっきりですが、事実関係がございますから、林野庁長官からただいまお答えさせますか、それとも後ほどいたしますか、委員長のお指図によって事実関係、技術的な問題は林野庁長官からお答えをさせるということで御了承いただきたいと思います。
  38. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 一緒に関連して前川君、そしてあと林野庁。
  39. 前川旦

    前川旦君 関連してお尋ねします。  これは乱伐説が非常に強く出ておりますね。いまそういう事実はないとおっしゃいましたが、そのなかったか、あったか、その因果関係を科学的に証明するのは非常にむずかしい。したがって、大多数の人が乱伐が原因だというふうに常識的に考えておるときは、やはりそう思って対処していっていいんじゃないか。  そこで、これは七月十三日の毎日新聞ですけれども総理府総務長官が新聞記者に語られて、ちょっと読んでみますと、「乱伐説も有力なので、徹底的に究明したい。たしかに国有林は特別会計がある限り、独立採算の建前から収益中心主義となる。山を守る――環境としての緑を守る点と、防災として山を守る両面から、国有林制度は必然的に改める時期にきている。」、こういうことを談話で言っておられます。私は、これ非常に興味を持ってこの記事を読みました。国有林は独立採算制で、最近赤字になっているはずですね。ですからそういうのがどうしても木を切ろう切ろうとする方向へ自然に出ていくと思うのです。ですからその辺の、やはり木を切らないという、なるべく切らないという方向での再検討は私は必要なんじゃないかと思いますが、その点、総理府総務長官農林大臣と両方からこの際、御見解をお聞きしておきたいと思います。
  40. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 実は私、林政はしろうとでございますが、いまの御意見、私は必ずしもいまおっしゃるとおりには考えておりません。国有林が国土保全のため、民生安定のために果たすべき役割りはたいへん大きゅうございますし、特に昨今、やかましい公害問題、特に自然環境保全、これに率先して協力しなければならぬことも申すまでもございません。したがって、伐伐計画等は計画的にその地域の地質や災害が起こる可能性がないかどうかという点まで十分考慮をして立てなければならぬと思いますが、同時に、森林というものはやはり活力に満ちてなければ森林としての役割りを果たすことはできないと思います。したがいまして、やはり全然手をつけるなというような考え方では私はほんとうの森林の維持はできないと思うわけでございまして、万全を期していかなければならぬということは申すまでもありませんが、木を切らなければ国土が安全だという考え方はにわかには賛成いたしかねるわけであります。十分注意をしていきますので、その辺はまた林野庁長官から、事実関係、技術的な問題についてはお答えをさせたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  41. 前川旦

    前川旦君 総務長官にお答え願いたいのですが、全然木を切るなというのじゃないのですよ、それは活力のある林野にするために、手入れをしなければならぬのは当然ですよ、植林も木を切ったら対処していかなければならぬのは当然ですが、私の言いましたポイントは、総理府総務長官から収益中心主義の独立採算制を一ぺん再検討すべき時期だということを言われておりますので、その点がポイントなんです。その点の意見をお伺いしたいと思います。
  42. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) それは、おっしゃることはよくわかります。したがって、四十七年度予算で初めて治山事業の約半額が一般会計から注入されているわけでありまして、そういう目的を達するために今後そういう一般会計からの援助といいますか、そういう措置をとりまして大きな国家目的に沿うような運営をやりたいというふうに考えております。
  43. 本名武

    国務大臣本名武君) 私の新聞記事についての御指摘でありますが、実は午後もしお時間いただけるならば、むしろ私のほうから誤解を招くといけませんので申し上げようと思っていた点であります。それから、限られた紙面で私の言ったことを書かれるのでありまして、その前後中間等がつけ加えてないとたいへん誤解が生ずるのじゃないかということも憂えているものでございます。先ほど松本、前川両先生から御指摘もありましたとおり、実は災害本部長になりました直後において、御指摘のようなことを私も耳にいたしました。それは乱伐説もあるということでございます。したがって、それが真為のほどは徹底的に検討したい、究明したいというのがこの記事でございます。そういうことから出たわけでございます。さらに話が進みまして、国有林の経営の問題になりましたが、ちょっと私記憶が薄らいだのでございますが、就任早々でもありましたが、「収益中心主義」ということでは私はなくして、収益を重んじなければならない経営の実態ということを見のがすわけにはいかぬ状態に置かれているのが今日の林野庁特別会計の実態ではないだろうか、こういう意味でお話をしたのであります。したがって、そのためには山を守りあるいは防災あるいは国民の必要な木材の供給等々を勘案しがら今後国有林の経営というものは再検討する時期に来たのではないか、まあこういう意味のことをお話したのでありますが、もう少し詳しく話したのですけれども、かいつまんで申し上げるとそういう意味でございます。
  44. 福田省一

    説明員(福田省一君) 御指摘の点につきましては、伐採方法につきましては、今後は自然保護、公益的な面を重視した施業方針をとるということでただいま検討中でございますけれども、いずれこれは森林資源の基本計画の改定版としまして閣議決定をお願いしたいと、かように思っております。  それから特別会計の問題につきましては、ただいま総務長官大臣からお答えしましたとおり、非常に重要な問題でござやまして、この特別会計、国有林経営のあり方につきましては、ただいま林政審議会に検討をお願いしております。いずれこの答申をいただきましてから当局としましても案をつくり、御趣旨に沿う線で進めてまいりたいと、かように思ってる次第でございます。
  45. 松永忠二

    委員長松永忠二君) この際、おはかりいたします。  委員外議員森中守義君から発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。森中君。
  47. 森中守義

    委員以外の議員(森中守義君) 私は人吉にちょっと行ってきたのです。ここでさっき前川委員からお話がありましたように、国有林が伐採されたのが直接原因であったかどうか。この因果関係はもう少し精査の必要があると思う。で、少なくても、こういうことが問題になる以上、概念論として議論するのじゃなくて、天草天草、あるいは人吉は人吉という国有林との関係というのは、この際やはり因果関係を明らかにする必要があると思う。そのお考えがあるかどうか、これが一つ。  それからいま一つは、中央防災会議の議論の中であるいは防災計画がつくられる際に、国有林というものがどの程度配慮されて、少なくとも防災計画の中にそのことが入ってるかどうか。これが実は独立採算特別会計にも関係してくるのですね。おそらく採算至上主義とは言い得ないにしましても、どうしても防災上適当な事例で、市場に供給してもよろしかろうという場合に、防災上これがいけないということがおそらく実際問題としては起こり得るだろう。その辺のことが、独立採算を採用する限り、採算か防災かというかね合いの議論として私は当然発生すると思うのです。そこで本来的に林野庁の独立採算、一体それは何から原因があったのかということになれば、やはりこれは建材にどう供給していくかということなどが発端であったと思う。しかし、これはいま長官の言われるように、審議会はどういう答申を出すかわかりませんが、すでにもう独立採算の時期は過ぎたのじゃないですか。たとえば外材、新建材、少なくとも市場コントロールという時期はもう過ぎた。だからもとのように一般会計に移しかえてもいい時期に来ているのじゃないか。したがって、今回の非常災害等を通じて、国有林が次から次に伐採をされる、そのことが災害の一因だというようになってくれば、一林野庁の独立採算の問題じゃない。事人命であり、非常にこれは重要な問題だと思うのですね。そういうことを考えていけば、そろそろ一般会計に移すべき時期に来たというように私は考えるのですが、まあこの三点についてそれぞれの閣僚からお答えをいただきたい。
  48. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 独立採算制について強い御意見がございまして、さっきも私が申し上げたように、自然環境保全という大きな任務が法律上も国有林にも課せられてまいっておるわけでございますし、かたがた今回の災害の体験からいたしましても、いま御指摘の防災事業という面につきましても、国有林は積極的に取り組まなきゃなりませんから、いままでの考え方の独立採算というものはこれはきわめて困難になってきたというふうに私自身も感じております。しかしおっしゃる、一般会計に移したらどうかというのは、いま私はにわかにはお答えできないと思うのでありまして、特別会計がいろいろございますが、特別会計でもさっき申し上げた治山事業費はことし一般会計から繰り込んでいるわけでございますから、そういう措置をとれば、やはり国有林というのは大きな財産を管理しておるわけでありますから、全くそういう経営意識がなくなってしまったのでは、これはたいへんな問題であります。その間のからみ合わせを考えながら、今後の方針をきめてまいりたいと私自身としては考えております。なお技術的な点、事実につきましては林野庁長官からお答えをさせます。
  49. 森中守義

    委員以外の議員(森中守義君) 因果関係の究明はどうします。
  50. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 失礼しました。  因果関係は、私も非常に心配をしていままで情報を聞いておりますが、これは抽象的な話ではだめでございますから、事実として具体的に因果関係があったかどうか。これは今後の防災あるいは治山事業、これの根本的な問題でございますから、積極的にその究明をさせます。
  51. 森中守義

    委員以外の議員(森中守義君) 因果関係の究明は、農林省、林野庁独自にやるのもけっこうだが、これは第三者によってやったほうがいいでしょうね。つまり防災担当である総務長官の所管でしょうから、そのあたりでもひとつ手をつけていただきたいのですが、それをあわせて林野庁やったら、これはどういうことになるか。ありません、ありませんと逃げられちゃかないませんから。ほかのほうでやったほうが正確だから。
  52. 本名武

    国務大臣本名武君) 私の所管外のことでたいへん御指摘いただくような発言をいたしましたことをつつしんでおわびを申し上げます。しかし、これは非常に大事なことでありますので、特に御指摘のように、総合的に防災体制を整えるということにつきましては、私にも責任がございます。さらに、具体的に御指摘がありましたように、因果関係につきましては、われわれとしては基本計画の中におきまして、国土保全について、特に造林等については、この基本計画の中で十分に積極的な推進をはかるために計画を立て実施するという責任を持っております。そういう立場から、今後農林省当局とも密接な連絡をとりながら、御指摘のようなことを解決をしていくように努力いたしたいと考えております。
  53. 森中守義

    委員以外の議員(森中守義君) いままでのことはどうなんです。これからはいいんだよ。納得しないね……。  総務長官、いま言われる防災の所管庁としての責務は基本法にきめてある、そんなことは言われぬでもわかっておりますよ。私の聞いているのは、いままでの経過としまして、林政がどういう状態で防災計画の中に組み込まれていたのかと、こう聞いておるのです。いま言われるのは、これから先のことを言われておる。
  54. 本名武

    国務大臣本名武君) いま申し上げました、また、御指摘のありましたとおりに、防災基本計画に対して具体的な治山治水等の計画が決定され、また実行していかなけりゃならぬことは当然でございますが、既往の問題につきましては、私も就任早々であり、具体的には検討いたしておりませんが、少なくとも、私は山に関する限りにおいては相当日本の、特に国有林においては近時における歴史的な経過を忘れるわけにはいかぬと思うのであります。たとえば戦時中における、あるいは戦後における、いろいろな国家的な要請にそれぞれ対応しなきゃならぬかったという、木材の需要に対応する対策も必要でありましたのでしょうし、また、さらには治山治水をはじめといたしまして、防災関係の仕事をしなければならなかったことは当然であろうと思います。しかしながら、ただ私は国有林だけというよりも、むしろ国有林を含めての日本全体の林政の中において防災計画というものはどう取り上げられるべきかということの検討については、私自身も率直に申し上げると非常に足らなかったところがあろうと思います。そのために先ほど農林大臣からも御指摘がありましたように、自然環境保全法の制定を起点といたしまして、自然保護についてはある程度の、ある程度と申しますか、かなり前向きの態勢がとられたと思います。しかしながら一方において特別会計を踏まえた国有林、あるいは私権を尊重しなければならない民有林、これらに対して防災計画をどう実行していくかということは今日までにおいても相当の問題がある。ここらにも一つの隘路があったのではないか。それから国有林を含む日本の林政全体についての考え方の中に一体防災というものがどういうふうに考えられてきたかという、具体的に申し上げますならば、やはり御指摘がありましたように、国有林を取り上げるならば国有林は一般会計では不都合だ、私も実は不都合な点は個人的には二、三今日までも指摘してまいりましたけれども、いまもって考えております。たとえば、御指摘のように直ちに全面的に国有林を一般会計に移すということは非常に問題があります。これは農林大臣の御指摘のとおりであります。しかしながら少なくとも防災、あるいは国土保全を中心にした国有林のあり方というものを考えますとやはり防災事業、治山事業をはじめとして、あるいはまた幹線的な林道、これはあるいは林業経営にも関係してきますけれども、国民に必要な、あるいは地域開発、過疎対策等々にも関連してきますので、こういった基本的な幹線林道というもの、あるいはまた長期にわたる防災的な造林等については、私は特別会計の中においてまかなうことが適当であるかどうかということに非常に疑問を持っております。そういう意味から国有林の特別会計というものもそういう角度からも見直す必要があろうと思います。いずれにいたしましても、今日まで率直に私の忌憚ない意見を申し上げるならば、防災計画及びその実施については万全を期せられたとは言いにくい点があったと、これはいま冒頭申し上げました日本の林政全体が考えなければならない、また反省しなければならない一つの悲しい歴史であったとも考えるわけであります。そういう点に立っていろいろと過去を踏まえながら、今日までとられた施策を踏まえながら今後のことを十分に検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
  55. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほど建設大臣がおっしゃられましたその中で、災害があるということは政府としての恥であるというようなお話もございました。ことばじりをとるわけではございませんけれども、さらには治山治水がおくれておって、それが道路のほうが主体に、生活と直結しているので、つい道路のほうの工事の事業のほうが先にいって、河川がおくれてきているということもお認めになっているようなお話もございました。さらには、統一政治の必要が当然あるんじゃないか。この統一政治の必要性に穴があったためにこういうふうな事態を招いていることがあり、各省ぱらぱらの体制があったというようなお話もございまして、まさしくその例が今回の土佐山田の繁藤の山くずれの面に明らかになっている点が私はあると思うんであります。と申し上げますのは、総合的な援護体制というものがあの山くずれのあったときに統一的なものはなかったんじゃないか。ここに大きな問題があるわけです。十万立米といわれているあのくずれた土砂をどこへ始末していくかというまずそこからも考えなければならなかったでありましょう。したがいまして、建設省、国鉄、自衛隊、警察、消防地元の県当局あるいは町当局あるいは消防団等々の方々が一挙にその災害地に集まって、そうして国鉄は国鉄の分だけとろう、建設は道路だけをとろうみたいな摩擦まであったというように地元の人たちの声を聞いてきたわけであります。こういう点は大臣の言われたとおりの姿が政治実態の姿の中にあらわれているということが大きな問題点だと思います。このいま申し上げました土砂くずれの土砂の始末さえもあの川沿いに捨てているわけです。雨が降りゃまた川沿いから全部――川沿いにただ積み上げて捨ててあるだけですから、全部今度はまた土砂が流水をふさいで閉じてしまうようになってくる。再び災害を起こすようなことになっている。こういう姿を見ましても明らかに統一的な体制をとって事故に当たっていくという姿がないわけです。これは関係閣僚、長官も大臣もよくこの点はあの繁藤の現場から見つめられていけばはっきりする問題だと思うのです。さらにあの山は民有林、先ほど国有林の話も出てまいりました。あの頂上のほうは伐採して八年の歳月がたっている。頂上には二年生植林ができている、中間は六年生だとも言われておりました。この頂上の二年生の植林のところからもろにくずれているというようにも取りざたをされているわけです。原因については、調査の結果また詳細に伺わなければなりませんけれども、これはある学者もその説をとっておりましたし、こういうようなことも将来の課題として考えなければならないことである。また、農林大臣として考えていかなければならないことは、私有林である場合にはあとの養護、植林、そういうものの指導育成というものがあの繁藤においてなされていたかどうか、民有林だからいいとはこれは法律的にもないわけです。したがって、この点も大きな私は手抜かりがあったんじゃないか、このようにも考えるわけであります。したがいまして、民有林に対する農林大臣の――伐採あるいは乱伐ともいわれておりますが、伐採後の処置をどういうふうにやっていたのか、また、今後はどういうふうに指導育成をしていこうとするのか、建設大臣及び農林大臣の私のいまの質問をいたしました中でおのおのの考え方を私は伺いたいと思います。
  56. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 私も土佐山田に行ってまいりまして現状を視察してまいりました。いろいろな行政の施策がばらばらになっておることを現地で発見いたしまして穴があれば入りたいような実は気がしたのであります。そういう点でやはり私たちがこれからは、だれの責任だとか、おれのほうに責任がないなどということは言わないで、すべて自己の責任においてものごとを解決していくという方針が一番大切であろうとこう思いまして、私はやはりやってみようという、こういう考え方で取り組んでおります。御指摘のように、私の参りましたときにはまだ遺体がたくさん埋没いたしておりまして、遺族の人々は機械などの作業で遺体の発掘をやられますると、体がこわれる危険があるからやめてくれというような話があったんであります。知事もそれを非常に主張しておいでになりましたので、まあ、私もやはり罹災者の身になってみたならば、まだ土砂の中に埋もれておっても生きておるような気がしておるに違いないと、だから、まあ非常にごもっともだと思いまして、そのときには、そういうような話し合いをしてきたのでありまするが、その後相当進展したようでありまして、その土砂をどうするかということについて、まだ何らの対策を持たないんじゃないかと、こういうお話でありまするから、これは早速対策を立てまして、そして、そうでないようにしてみたい、こう思っております。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕  それから、いま宮崎委員のおっしゃったように、私、あの災害の現場に立って、くずれた山を見まして、そのくずれた山と周辺の山を比較いたしましたときに、御指摘のものがあるんじゃないかと、こう思います。十二分にこういうことはこれから考えていかなきゃならないことだと思っております。やはり、あそこの土地柄などは、建設省に地質調査所がありまして調査した結果、あそこは危険な地域じゃなかったそうであります。天草も地質的には危険な場所じゃなかったそうでありまするが、調査してなおかつ危険でない場所にああいうような事態が起きたということについても、建設行政についても反省しなきゃならないものがあると、私はこういうふうに考えまして、すべて現地に行ってみて、これからいろんなことを考えてみたいと思っておりまするが、どうかごらんになったいろんなことがありましたならば、私のほうにも教えてくだされば非常に幸いだと思います。
  57. 宮崎正義

    宮崎正義君 土砂の始末は。
  58. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 土砂の始末はどうするかということ、これから建設省に帰りまして検討、相談をいたしまして、対策をすぐ立てて御返事を申し上げます。
  59. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 御承知のとおり、森林法に基づきまして、施業計画を出してもらいまして、県を通じて具体的には監督をし指導もいたしておるわけでございます。いま建設大臣からもお話がございましたが、やはり地質等を十分考慮いたしまして、災害の原因になるおそれのあるような場合の伐採につきましては、今後さらに留意をしなきゃならぬということを私も痛感をいたしております。たとえば、人工造林の計画がございましても、もうすでにえびの付近、宮崎県地帯から二カ所ばかりそういう要求がございますが、やはり状況を考えまして、また環境保全という観点もあわせまして、人工造林の計画はあっても中止をしなきゃならぬという場合も今後考えられると思っております。そういう意味合いを含めまして、今回の災害実態からいたしまして、民有林につきましても、その管理、指導につきましては十分意を用いてまいりたい、かように考えております。   〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
  60. 宮崎正義

    宮崎正義君 もう一点お伺いしますが、国道の三十二号線、あれがずたずたに破れまして、あれのずたずたにされましたのも、これは砂防のほうは砂防のほうであるでありましょうし、また農林大臣のほうにお伺いしたいのは、その林道をつくるあるいは農道をつくっていく、このつくっていったあと始末が非常によくない。伐採したもののあとをつき固めている程度で過ごしているというようなことも間々あるわけです。  それからもう一つは、その土佐のほうに参りまして感じたことは、低い山並みの上に畑作をやっているという傾向が非常にあるわけです。そういうところを見ますと必ずくずれているというふうに、私は車の中ですから、現場へ行って上がって確認をしたわけじゃございませんけれども、そういう事例がございました。この前の宮崎県、鹿児島県のそのシラス地帯の土砂崩壊もございまして、あれなんかもやはり林道をつくった、その個所からくずれていっているということです。私はこういうところにも一つの大きな欠陥があるんじゃないか、こういうふうに見て帰ってきたわけです。今回の災害地に行きましても、そういう面が非常に多いわけです。これらに対する、治山というものに対する考え方、治水というものに対する考え方、畑作物に対するその指導、育成ということのあり方、そういうものについて農林大臣から伺っておきたいと思います。
  61. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) たいへんむずかしい御質問でございまして、私もこれは簡単にお答えができないと思っておりますが、御承知のとおり、山を維持管理するために林道をつくりたいという要望は全国にたくさんございまして、まあ、これは補助事業でやっておりますので、もちろん計画をきめます際に、いまおっしゃるような点、十分、留意が必要であることは申すまでもございませんが、そう一々現地の事情というものを、現地を踏査してまで予算を決定したわけでございませんので、これはむしろ県のそれぞれの機関で、農道は農地関係、また林道は林務関係、十分留意していただいて、その道をつけることが山を開発する反面、災害の原因になるというようなことは、これはたいへんな問題でございますから、今後十分留意をしてまいりたいと存じます。  まあ、畑の問題は、地域によってはそれこそ耕して山頂に至るという状況でございまして、それが災害の原因になるというおそれも私も多分にあると思いますが、十分、排水路等も整備し、段々畑でございますから、その畑の構造につきましても、十分注意をしてまいらなければならぬと思っておりますが、私、今度、地域は狭いんでございますが、天草被害を見まして、先ほどお話がありましたように、実はびっくりいたしました。もう完全におさまっておると思われる山、しかも、ほとんど伐採もしてない自然林のままの山が、山頂からつめでかいたようにくずれておりますが、これはいままで古老の話を聞きましても経験がないということでございまするので、今度の集中豪雨というのは、里のほうで測定したのとそのほんとうに被害を受けた山頂における雨量というものは、相当な開きがあるんじゃないかというふうに私は感じて帰ったんでありますが、こういうふうな被害になりますと、いまも御指摘のような思わざる被害も起きます。私どもも非常に責任を感ずるわけでございますが、いま申し上げたような点で、今後、十分、留意をしてまいりたい、かように思っております。
  62. 宮崎正義

    宮崎正義君 建設大臣がお急ぎのようでありまするが、いま農林大臣が答弁の中で段々畑とありましたけれども、土佐のほうは山からいきなり国道になっております。その地域の三十二号線ですが、その分野のことをお話し申し上げたんで、段々畑の実態とは違います。ですから、その御認識をいただきたい。  それから先ほど、それぞれの被害を受けられた知事方々から要望陳情がございました。その中にも明らかなように、今回の、私は秋田、青森のほうにも回ってまいりました。能代川にいたしましても、雄物川にいたしましても、岩木川にいたしましても直轄河川であります。これの決壊によって今回の大きな事故でありますのは、御承知のとおりであります。  たとえば、岩木川というのは、あれは大正七年から工事を始めて今日に至っているというようなことを聞いております。五十数年にわたっての改修工事だというふうに聞いたわけでありまするが、これなんかはまだ半分程度しかできてないということから、今度のその周辺に与える大きな規模ということも明らかであります。  それから、能代川のことにつきましては、大臣も行かれまして、これをショートカットしたらいいじゃないかというようなお話も聞いたようにも思いますが、その出っぱったところ、中川原ですか、その出っぱったところを切ればいいじゃないかというお話もあったということでありますが、いずれにいたしましても、今回は急にきたわけじゃなく、何年も前から、この個所があぶないんだ、この個所があぶないんだと言われたことが改修できなかったために大きな事故を起こしたわけであります。こういう点から考えあわせまして、私は現地の能代川のところにも行ってまいりました。現場へ行ってまいりました。ところが築堤と思われるようなところに新しい住宅が建っているわけです。それが林立しているわけです。その裏地を、裏手を回ってみますと、その敷地はどうなっているかといいますと、砂で自分の土地の確保といいますか、おのおの住宅の土地の、裏庭の土地を確保しているといいますか、砂を流しただけで、それが即のりになりまして河川敷のほうに入って河川になっているという形態であります。これなんかも、直接にはおわかりにならないと思いますけれども、建築基準法からいけば当然問題があるのじゃなかろうかと思います。また同じような形態、同じような建物ですから、同じ業者がやったのじゃないかとも思われます。そういう、土手と思われるような、築堤と思われるようなところにうちが林立して、新しい住宅が建設してある。しかも、一番端の建物なんかは、捨てコンクリーの土間が割れているわけです。あれも、もう少し雨が降ればあの一番端のうちは、新しいうちは川の中に埋まったでありましょう。しかも、危険だ、危険だと言われているその個所においてそういうふうなことが行なわれているということは、これは私は大きな問題だと思う。あの河川の管理状態も、悪いことばで言えばなってないと、こう言わざるを得ないのでありますが、こういう点につきまして大臣のお考えを承って、しかも、能代川の毎年問題になっているようなところ、雄物川の毎年問題になっている中流の個所なんか、どんなふうに考えられて、どんなふうな改良事業を、災害復旧事業じゃなくて改良事業をあわせながら、かつ小河川の河川についても改良しなければならないというような考え方かどうかということを伺っておきたいと思います。
  63. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 私も秋田、青森の災害地の現場に立ちまして、そうして、政府が管理しておりまする川で被害を与えたということは、まことに申しわけないとおわびを申し上げてきました。  そして、その改修は、自今、こういうような災害の起きない対策を立ててみたい。  それから、雄物川とか、毎年毎年堤防が低いがために水害にあっている。そうして農作物や家屋にいろいろな被害を与えておる。それを今日まで等閑視してきたという政治に非常に間違いがあった。そういう場所は、これから洪水が起きても堤防から水があふれないようなかさ上げを必ずやると、そいつも断続的にやるんじゃない、ものが完成するまでやるんだと、こういうことをお話ししてきたわけであります。原形復旧でなく、ほんとうの改良工事で満足な河川をつくり上げるということを現地でお約束をしてきたのでありまするから、それはそのとおりに実行してまいる決心であります。私はえてかってにそんな話をしてまいりましたところが、この前の閣議の席上で、内閣総理大臣が特にそのことについて発言されまして、もう閣議決定事項になっておりまするから、お約束を果たすことができると思っております。それからまたその席上で、内閣総理大臣は大蔵大臣に向かって、予算などであんまりぐずぐず言わせないようにしなさいというようなことまで言われましたから、私はそういう点で意を強うして、これからの建設行政と取り組んでいくつもりであります。何せあちらこちら見てまいりますると、思わざるものにたくさん出会う。これが一体政治であったんだろうかと思うようなものにたくさん出会うわけであります。こういうようなものは早く解消してまいりたい、こう考えております。
  64. 宮崎正義

    宮崎正義君 もう一つ、いまのいい例としまして、手を入れたところと手を入れないところの実例を現場で見てまいりました。青森県の中村川と、それから赤石川、これはいい例だと思います。片一方は一生懸命手入れをした。かさ上げをした。だから今度はその木橋が流れている。赤石川のほうはやたらくたらと頭首工をつくっている。しかも河川の改修はやっていない。そこで中小学校の校庭の一部まで流されてしまった。これはあとでまたゆっくりと午後の分でやりますけれども、いずれにいたしましてもこの状態を見ていきますと、手をかけたところ、きちっとその予算をかけ、やったところは、必ず今回の災害でも守られているというようなことがわかります。  それと同時に、もう一点私の申し上げたいことは、永久橋でありながらピァーが下がったりピァーが寝ころんだり、そしてさらにブリッジの道路面に当たる接点のところ、そこがいつも決壊するわけです。これは施工上のこまかい問題になってまいりますと思いますけれども、確かにその施工は構造学上の荷重、張力の計算なんかで、ブリッジそれ自体は工事の仕様施工どおりできているのかもわかりませんけれども、袖側のそのコンクリの護岸をやらないでいたために、あそこは、追良瀬橋は、片っ方の青森からきたほうの側は袖壁のコンクリが打ってありますが、片っ方はじゃかご程度で置いたために全部それが流されてしまって、裏を回られてこわされたわけです。こういうふうな問題等も、――これは橋梁の決壊といえば必ず継ぎ目がやられるわけでありますし、その継ぎ目のときには必ず袖のコンクリを打っていくというような、そういう施工上の問題点を幾つか見てまいりましたので、この点も十分に御研究願いたい。大臣のお考え聞いて私の大臣に対する質問を終わります。
  65. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) ありがとうございました。御礼申し上げます。そういう点は、これから十二分に施設をやる者に向かって注意を与えまして、万全を期したいと思います。ほかに何かありましたならば、遠慮なくおっしゃってくださいまして、行政は思い切って批判してもらいたい。そして思い切って大胆に批難してもらいたい。そうするとみんなも一生懸命になるだろうと思いまするから、どうかどんなことでも批判し批難してくださることをお願いを申し上げておきます。  それから、委員長にお答えを申し上げまするが、集団移転のことであります。長野県と、それから福井県に前例があるそうであります。それでありますから、えびのですか、集団移転を希望されるのであったならば、その前例にならいまして、よりよき集団移転を考えてみたいと思っております。  それから天草の場合でありましたが、天草では海岸を埋め立てしてそこに集団で移りたいと、こういうお話があった。私に対してこういう陳情がありましたけれども、それがいいのか悪いのか、それはもう一ぺん考えてみようと、こういうことを言ってきたのでありまするが、そこでもまた適切な場所があって、集団移転を希望されるのであったならば、これはそう指導してみたいと、こう考えております。さきの御返事であります。
  66. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  67. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を起こして。
  68. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 私は、四国の高知宮崎鹿児島熊本、福岡の実地調査をしてまいりました。その上に立って質問さしてもらいますが、わずか十分しかないということですから、重要な点だけを取り上げて申し上げておきたいと思います。  こういう災害のときに、両大臣が一日ひとつ暇をつぶして参加できないということは非常に残念に思います。その点はひとつ大臣、万障繰り合わせて災害対策の姿勢を示してもらいたいと、私はこういう強い意見を持っております。そこで、私はこの川内川の問題について申し上げておきたいんですが、何回となしの災害に私も参加いたしております。この災害は、むしろ政府がいまから八年前ですか、一級河川という銘を打ちながら何にもしなかった、災害対策だけをやってきたということです。これでは一級河川の価値はないと私は思うんです。こう薬ばりのいままでの施工をやってきたと、これが今度の大きな原因かと思います。したがって、先ほど柴立委員も言われたように、百億からのやっぱり損害を出しておるということは、もう言うまでもないのであります。したがって、この問題については、この川内川だけではございませんが、御承知のように、熊本の球磨川、緑川、白川、あるいはまた菊池川もございます。さらに、福岡における川等も重要な問題がたくさんございます。こういう一級河川においては、ひとつ政府はこう薬ばりの工事じゃなくて十分なる検討をしてもらいたい。どういうところに欠陥があるのか、これは八年前に青写真はできておるはずです。ところが一向にそれは進展してないというのが現状だと思う。したがって、この際もう一ぺん洗い直しの検討をしていただいて、恒久的な対策を立てていただく必要があると、こう思うんです。この点ひとつ強い要望を私は申し上げておきたいと思います。  なお、もう一つは、宮之城町ですが、これは先ほどもございました、五つの支流からなって、非常に複雑な川であることは言うまでもございません。ここの湯田温泉の件は、これは非常に社会的な重大な問題だと私は思うんです。これは御承知のように新潟にもございました。加茂川の上流のダムの放水をしたために、農地、水田がほとんどやられたという実例がございます。こういう問題について、湯田の地域住民の方は放水のためにそうなったんだということを、先ほどもおっしゃるように断言いたしております。これは一体、通産省とも検討していただく必要があると思いますが、これらの問題は実際問題として、家、家財一切を流して、これから一年先休業するのかわかりません、すべて温泉旅館でございますから。これらの補償をどうするのかということを基本的に考えて出してもらいたい、これをひとつ要望いたしておきます。これはどうしてもやってもらわなければいかぬと思います。たとえば、ダムがそれだけのまだ余裕があるにもかかわらず、二千数百トンというものの放水のために全町百三十軒というものが流出した。これから一年間休業しなくちゃなりません。これらを一体どうするのかという点は、十分通産省とも打ち合わせの上検討してもらいたい。これは総理府にもひとつお願いしたいと私は思うんです。  それからもう一つ、この要望ですが、これは国の庁に対してでございます。これも先ほどお話がございましたように、何回となしに川内川のこの水害で、上流のはんらんです。何とかして、先ほど申しますように、恒久的な処置と同時に、もう一つは臨時処置というものを考えていただかなければいかぬ。これはこの災害復旧もその臨時処置一つでございましょうけれども、国の庁としては排水ポンプの設置をしてくれと、こういう要望が強く出ております。私は大体この概算は一億二、三千万円じゃないかと思いますが、まあそのくらいは何とかしてこの町民の四、五年間の安定策としての処置を講じてもらいたいということを強く要望しておきます。これは実際にやってもらいたい。それでなければ、あの川内川の上流というものはなかなか多くの隘路があることでありますから、急速には進まないでしょう。その暫定措置一つとして国の庁におけるところの排水ポンプの設置はぜひやってもらいたい。これは強く要望しておきます。  それから農地の問題ですが、実は川内川に沿います地域において、農地局長も行なってこられましたから見てみえたと思いますが、川内川の一部水路変更をいまやっておるわけです。この水路変更をやるために堤防を切ったままにしております。いわゆる従来の形もある程度もうなくなっておるわけであります。ところが、農地をほっておくわけにはいきませんから、農水路の工事をやったわけです。約六百万円かけたと言っております。この田植えに初めて農水を使用したというとを言っておりました、地域住民が。ところが、一回水が通っただけで今度の水害で全部くずれてしまっております。なぜその上流に対して堤防の仮設をやらないのか。これらは、建設大臣が言われたように、災害に対する中央におけるところの施策というものが各省においてまちまちだと、これは大きな欠陥ですよ。かりに、私は、農地関係者の方が、これは水路変更によって、しかも梅雨期になって集中豪雨等もないではない、ある。年々ふくらんできておる。こういう情勢であるならば、建設省に直ちに連絡をとって、何とかしてあの仮設の――つまり浸水を防止する方策はないのか、防水方法はないのか、こういう連絡があれば、せっかく六百万円かけた水路というものが生きてきたのではないか、私はこう思う。これらも欠けております。これは全く建設省と、河川局と農林省との関係の私は連絡の不手際、絶対これはやってもらわなければいかぬ、こういうふうに考えております。  それから、えびのの地すべり、あるいは熊本地域鹿児島地域の地すべりについてはいろいろの説が出て、さっきから大臣も答弁をしておられますから私はあまり追及いたしませんけれども、この地すべりについて、山林の伐採ですね、これをもっと検討してもらいたい。先ほどもいろいろ意見が出ておりましたが、一がいに言えないということもございましょう。けれども災害が起こっておる地域の現状を見ますと、すべてが沢です。沢に災害が起こっておるわけです。伐採しましたあとのいろんなものがほとんど沢に流れ込んできておる、何年かのうちに。そうして集中的な豪雨のために水の強力な流水によっていろいろなものが流れてきて、そうして一定の場所にたまる、たまったやつがもう一つ上からの石あるいは木材等の流出によって一挙に山くずれの状態が起こってくるという危険がないとはだれも断言できないと、私は思っております。これらの伐採後の清掃関係ですね。それから伐採に対してはもう少し検討をして、沢をかりに伐採する場合は、沢でないと杉やヒノキはあまり育ちませんから、どうしても沢が中心になります。片方の沢だけは残すという方法を考えてはどうかという私は考えを持っております。つまり、一ぺんに全部の地域を伐採しないで一部分だけうねごとに残していくような伐採方法を研究してみてはどうか。これは先ほど断言ができないとおっしゃるように、だれが考えてもそういかぬかもしれません。しかし、切らなければ台所が赤字だからどうにもならぬというので林野庁はやっぱり切らざるを得ないということになりましょうが、切ることにも切ったあとの清掃にももっと注意をする必要があるんじゃないかということを私は痛切に感じております。この点はひとつ検討の問題でしょうから、私は十分なるひとつ検討をしてもらいたいと思います。  なお地すべりの問題ですが、この地すべりの問題については言うまでもございません。せっかく法律をつくって、急傾斜に対する処置をやるべきだということで法律ができておるんです。一向にこれが進んでない、一向にまたこれを予算をとろうともしてない、こういうところに問題があるんです。問題は金だと思うんです。私は、農林大臣総理府長官も建設大臣も一丸となってこの災害に対する一体予算をどうするかという検討をしてもらわなければ善処できないということを考えておるんです。ただばらばらの、建設省建設省の予算あるいは農林省農林省の予算で糊塗的なやり方をしておったんでは、この災害を防止することはなかなか困難だと、私は思うんです。さらに私がお聞きしたいのは、この特別な対策のための、特にこの地質の軟弱な地域と申しますか、シラス地域ですか、宮崎鹿児島熊本、あるいは千葉もそうでしょう。そういう地域はもりと地すべりに対する対策として具体的な検討をされる必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えております。この点もひとつお考え願いたいと思います。  したがって、私は時間が十分しかありませんから、一方的に私の意見を申し上げましたけれども、御答弁願いたいことは、川内川の今日までにとってこられた処置の不備に対して長期的な対策をお立てになるのかならぬのかということが一つ。この宮之城の湯田地域の百三十戸の流失に対する補償、これは長官でもけっこうです。一体どうされるつもりか、この御答弁をひとつ願いたい。それから、国の地域におけるところのポンプを緊急にやっていただくかどうか、これをひとつ御答弁願いたい。なおもう一つは、地すべりに対する集団移動については先ほども御答弁なされましたけれども、これは単に集団でやれといってもなかなか困難な問題なんです。まあ、法律的にも先ほど委員長が指摘申しましたようになかなかうまくいってないので、したがって、いま災害にあっておる地域住民の安心を与えるために速急にやらなくちゃいかぬということでありますから、この集団移動に対しては私は特別の配慮をとっていただきたい、これが先決だと、この答弁をひとつお願いしたいと思います。むろん農林大臣においては林野庁の問題なり、今後の農業政策におけるところのそういう連絡の不十分な点をどうお考えになってるのか、御答弁を一括して各大臣からお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 時間が十分ありませんので、ひとつ簡潔に要領よくお答え願いたい。
  70. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 川内川につきましては根本的な対策を樹立いたします。そして早急に解決したいと思っております。金のかかるものは幾ら金をかけましてもやりたいと、こういう考えであります。  それから補償の問題は、これは考えさしてもらいます。  それから排水ポンプの問題、これは私、水曜日に現地に参ります。現地で判断して即決いたします。  それからえびのの集団移転の問題も、これは現地に立ちまして即決したいと思います。
  71. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) 私からお答えする点は二点あると思っておりますが、第一に川内川の堤防改修未完成のために農地に水が流れ込んだということ、農地局長から状況は聞いております。従来、土地改良に対する御要望が非常に強うございまして、特に中小河川の場合に多いのですが、原始河川のまま、それに接続する土地改良をやりますと、その川がはんらんしますと、せっかくの土地改良がもう惨たんたる状態になりますので、これは建設省と十分連絡をとり、私のほうはその中心になる河川改修が終わらないのに土地改良をやるということはむしろ危険があるとさえも考えておりますので、今後こうしたことにつきましては、建設大臣冒頭おっしゃったとおり、緊密な連絡をとりながら万全を期していきたい、かように考えております。  それから、森林の伐採計画、おっしゃるとおり――先ほどちょっと私ほかの方の御答弁の中で申し上げたのですが、すでにえびの周辺では伐採計画があるところがあるが、これを切られると自然環境保全のみならず防災上も非常に危険だというところを指摘されまして、きのう宮崎知事とも御相談をしましたが、そういうところは伐採計画を中止するというような思い切った処置をとっていきたい。  なお、おっしゃるような点は十分注意いたしまして、もうすでに林野庁でも、皆伐をやりますと非常に危険でございますので、皆伐は面積をある程度制限しておりますし、できれは抜き切り――間伐ですね、こういう処置でいきたいということで指導いたしておりますので、御注意の点は十分意を体して進みたいと思っております。
  72. 本名武

    国務大臣本名武君) 建設関係の補償の問題につきましては建設大臣から御説明がありました。その他の御指摘ありました補償につきましては、非常に困難な問題がたくさん横たわっておると思います。御趣旨のほどをさらに吟味いたしまして、一応考えさしていただきたいと思います。
  73. 塚田大願

    塚田大願君 今度の災害が史上まれに見る大災害であったという点につきましては、もう一般世論が認めておるところだと思うのです。しかし、この大災害について質問がたった十分しかできないというのは、いま高山委員長もおっしゃったけれども、まことに残念だと思っておりますが、とにかく、その間に質問をしたいと思っています。したがって、基本的な問題について政府考え方なり姿勢なりについてお伺いしたいと思います。  第一は、やはり今度の大災害の原因の問題でありますけれども、とかくいままでは集中豪雨があった、確かにその点では間違いなく集中豪雨が非常に記録的であったということは言える。しかし、特にそういう点になりますと、建設省あたりは、今度の災害は非常な集中豪雨の結果なんだというふうにして逃げる傾向があると思うのです。現に、いままでずいぶんそういう点では批判がございました。しかし、私ども今度のような災害で、毎年災害を受けて考えますときに、やはりこの日本列島というのは、大体においてつゆになれば雨が降るのはあたりまえなんであって、したがって、集中豪雨のためでございましたと言うのでは私はやはり言いわけにならないと思う。特に、今度のとの被害を受けた地域を見ますと、いわゆる過疎地域ですね、ほとんどが、御承知のとおりです。高知にしても、熊本にしても、広島、島根にいたしましても、愛知、岐阜、あるいは秋田、青森にいたしましても、ほとんどが過疎地帯、ここででかい被害を受けたという点が特徴でございます。したがいまして、やはり、単に集中豪雨があったから被害が起きたというのでなくて、やはりこの過疎地帯の問題というものをおざなりにしてきた、先ほどから総理府長官も国土保全、治山治水――建設大臣農林大臣もみんなおっしゃっておられるけれども、しかし、この過疎地域対策というものがほとんどいままでゼロにひとしかった、これが私は被害を大きくした一つの非常な原因ではないか。ところが、田中内閣は日本列島改造論なんかというようなことを言っておられるのだけれども、中身を見れば何のことはない、いままでの新全総を焼き直しただけのことである。だとすれば、この過疎地帯を無視して、そして国土の開発をやる、高度成長をやる。この政策がいわば今度の災害を大きくした主要な原因ではないかと私ども考えている。したがって、先ほど大臣方もいろいろ今後はこういう対策については積極的に処置をするとおっしゃっておるんだけれども、私はやはりここで新全総であるとか、日本列島改造論なんということを考える前に、この過疎地帯の経済の復興あるいは国土の保全、治山治水、これを政治の第一義的なものとして取り組んでいただくことが必要なんではないかということを考えます。その点で、まず大臣のお考えをお聞きしたいと思うのです。
  74. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) 今度の災害集中豪雨のためだなどといって政治が逃げるつもりじゃないかと、こういうお話でありまするが、そんなことは絶対ありませんです。逃げも隠れもいたしません。あくまでもこの問題は政治の責任において解決してみたい、しかも早急に解決してみたいと思って努力しておるまっ最中でありまするから、逃げるなどということはこんりんざいありません。その点は御了解くださるようにお願いを申し上げます。  それから今度の災害は過疎地帯に非常に多い、これは政治の責任じゃないか、こういうようにおっしゃいましたけれども、私はそれも一つの原因だと思っております。やはり金をかけた地帯は災害から免れておる。金をかけない場所はやはり災害をこうむっておる。この実情から見まして、今度の災害は過疎地帯に多いということは、率直にもっと金をかけておったならば、こうした災害というものから若干でも防ぐことができたろうと私も思っております。そこに、田中総理の日本列島改造があるのでありまして、過疎地帯をこれから重視していこう、いままでは行政があまり重視しなかったから今度は思い切って行政が過疎地帯を重視していこうというところに日本列島改造のねらいがあるのでありまして、それを中心にして、これから日本列島の地ならしを真剣にやってみたい。こういうことでありますから、その点も御了承してくださるようにお願いを申し上げます。  それから日本列島改造は新全総とか、そんないままでお役所がつくっておったいろいろの団体の作文の焼き直しじゃないかというようなお話がありまするけれども、全然違います。そういうようなものもこれからは参考にはいたしますけれども、捨てはしませんけれども、それが中心じゃない、全然別なものであるということも御了承してくださるようにお願い申し上げておきます。
  75. 塚田大願

    塚田大願君 いま大臣はこの災害についての政治の責任がある、その一端を政治が責任を負わなければならないという趣旨のお話がございましたし、先ほどからも非常にそういう点では大臣の哲学と申しますか、これが政治かと、あるいは恥ずかしいことだというふうに非常にしばしば繰り返されておられるわけです。  そこで、私は第二点としてお伺いしたいのは、やはりこの点をもう少しはっきりさしていただきたい。先ほど総理府副長官でありましたかの談話が問題になりました。川内川の問題について人災である、あるいは政災であるという地元の抗議に対しまして総理府副長官がそれを認めたというふうな話がございまして、先ほどもいろいろ質問がございました。しかしいま副長官いらっしゃらないのだが、副長官の答弁を聞きますと、それを否定したかのごとく、あるいは認めたかのごとく、聞いてもよくはっきりしませんでしたが、やはりこの問題は、私は国民の立場から見れば当然のことだと思うのですね。非常に重要なことだと思うのです。  そこで私は、こういう質問を、結論的な質問をしなければならないのは私も残念だと思うのですが、要するに、もっと具体的に私ども一つ一つ問題をはっきりさした上で、結論的にそういう結論が出るか出ないかというふうに聞くべきだと思うのですけれども、そういう余裕がございませんので私のほうの考え方を述べて質問するのですが、たとえば、先ほどからももうすでに出ました国有林の伐採の問題にいたしましてもそうだし、それからダムの放水の問題にしてもそうだし、あるいは河川の改修にしてもそうだし、個々の事実をあげれば私はたくさんそれを裏づける材料を持っております。私も土佐の高知土佐山田、それから秋田、青森をずっと回ってまいりましたので、具体的な事例をたくさん持っておりますけれども、とにかくどの点を見ましてもやはり今度の災害というものは、いまのような過疎地域が非常な大きな被害を受け、先ほどおっしゃったように、金をかけているところは確かにあまりなかった。しかし金のかかっていないところでああいう大災害が起きたというのは事実でございますので、そういう点で私はやはり災害というものは単純な一つ二つの原因から起きるのではなくて、たとえば、この国有林の問題あるいはダムの放水の問題あるいは河川の改修の問題、いろいろなそこに集中豪雨ということもございましょう、気象上。そういうものが重なってやはり災害が起きるのだと私は思うのです。非常にそういう意味では災害というのは総合的なものでございます。個々の問題から見ればそれほど問題がないように見えても、私はやはりこの災害を追及するためにはそういう観点が必要だと思っているわけです。  特に一つだけ例を申し上げますと、これはあとでこまかく質問をいたしますけれども土佐山田町の場合は、たとえば、国道三十二号線の改修をやって道路の幅を広げた。そのときに住宅も移転さしたというような、あるいは先ほど話が出ましたけれども、頂上の民有林が伐採された。あるいは二、三年前に穴内川のダムがはんらんをいたしまして河床がかなり変化をしているというふうな問題、あるいは繁藤駅は無人駅でありまして監視体制も何もなかったというふうなこと。そこに集中豪雨というふうな状態が起きましてああいう悲惨な結果になったのだと考えるわけですが、そういうふうに考えますと、私はやはり全体として政治の責任というものをはっきりさせる必要がある。ことばで人災であるか、政災であるかということばを使うか使わないかという問題ではなくて、やはり政府としてはそういう立場に立ってはっきり受けとめる、国民の批判なり要求なりを、ぜひそうしていただきたいと思うのですが、その点で建設大臣総務長官農林大臣に一言ずつ意見を聞かしていただきたいと思う。
  76. 木村武雄

    国務大臣木村武雄君) そういう姿勢で取り組んでおります。あなたのおっしゃったとおりに、その問題を取り上げてみますると、建設省に責任がないだとか、農林省に責任がないだとか、こういうことばがいままで使われてきたことばなのでありますが、そういうことばをこれからは使いたくない。政治の責任においてすべて解決していきたい、こういうつもりでおります。
  77. 足立篤郎

    国務大臣足立篤郎君) ただいまの木村建設大臣の御答弁、なお先ほど木村建設大臣の御答弁、私も全く同感でございますから、そういう姿勢で今後取り組んでまいりたいと思います。
  78. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) ただいま両大臣からお話がありましたとおり、政治の責任の反省の上に立って、今後積極的に取り組んでまいります。
  79. 松永忠二

    委員長松永忠二君) それでは、午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五十分まで休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時五十八分開会
  80. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十七年七月豪雨に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  81. 松本英一

    ○松本英一君 午前中、私並び前川委員質問に対して、高知の山くずれ、宮崎の山くずれについて農林大臣から「見解の相違もございましょうが、これは伐採が原因ではないと思う」という御答弁がありました。現地調査をいたしました私たちに、えびの真幸西内竪の坂口区長の話では、現場裏手の国有林は、えびの営林署が二十年ほど前に大面積を伐採し、あと地にヒノキ、杉を植えた、今度の災害は、そのときに伐採した木の根が腐り、保水力を失ったためだ、このような述懐をされておられます。国有林の経営は、全国的に見れば赤字でございますが、南九州は黒字となっております。それだけ南九州の国有林が切りまくられているというわけでありましょう。私たちは、国有林の連続大面積皆伐方式を鋭どく追求をしてまいりたいと思います。  この方式は、生産第一主義からきておるというのが原因であります。林野庁の予算は特別会計、そのため国有林を毎年大規模に伐採しておられるのが現状であり、それは生産コストを切り下げるには、同じ山を連続して伐採する必要があるというわけであります。年間の伐採量は、成長した分だけを切るのが常道でありましょう。しかし、現在は成長量の一・八倍を切っておられます。しかも、この宮崎県下の二十四市町村長が五月三十一日には、目に余る乱伐に抗議して「環境保全を考慮するように」という決議文を提出されております。これらの事実を踏まえて、午前中の農林大臣の御答弁のように、伐採が原因ではないということが言えるのかどうか明確な御答弁を求めます。
  82. 福田省一

    説明員(福田省一君) 国有林は、ただいま御指摘ございましたように、ただいまのところは収支の関係は赤字になっておるのであります。ただ、私たちは、赤字を消すために伐採するということは考えていないのでございます。この特別会計制度になりましたいきさつは、先生御存じかと思いますけれども、戦前は伐採の収入の半分しか森林に返ってなかった、こういうことではいかぬ、治山もできないし、造林もできないから、したがって、伐採した収入はすべて森林に返そうということから独立採算制、特別会計制度が始まったわけでございます。しかしながら、その収入の九割以上を占めますところの木材の価格が最近、御承知のように低迷いたしております。一方、支出の六割を占めますところの人件費は、これはほかの産業並みに最近は是正されつつあるわけであります。したがいまして、収入と支出のバランスがくずれることは当然でございます。そこで、この点をどのようにして合理化していくかということは、それなりに一つの財務の面の問題ではございます。しかしながら最近、御指摘のように、森林に対するいろいろな公益的な機能についての要請が非常に強くなってまいりました。これは、森林が本来持っておる機能であることは当然でございます。その点を踏まえまして木材生産以外の国土の保全、あるいは水資源の涵養、あるいは良好な自然環境の供与、こういうことを考えまして、森林の経営につきましては午前中ちょっとお答えいたしましたように、閣議決定にこの新しい考え方を盛りました資源の基本計画を出したい、こう考えてただいま検討中のものでございます。  そういう考え方に従いまして全国的に申し上げますというと、森林の皆伐面積は約二五%減少いたしまして、逆に禁伐あるいは択伐林のほうの面積をふやしたわけでございます。したがいまして、伐採量もまた、ただいま国有林におきましては二千一百万立方メートルでございますけれども、これは一千八百万立方メートル台に、約三百万立方メートルを落とすわけでございます。ただ、御指摘の九州地方は、気候の点から見ましても、雨量が多い、あるいは温度が高い、土壌の関係も、シラス地帯は別ではございますけれども、肥沃なところが多いわけでございます。北海道、東北等に比べますというと造林地の成績は良好でございます。そういう考え方に立っておりますので、北のほうに比べますというと、南のほうは造林地の面積は比較的多くございます。しかし、この造林地は、国有林全部を造林地にしようとは考えておりません。ただいまのところは森林の約三七%が造林地でございます。将来はこれを約倍近い五六%ぐらいに造林するのが限度であろうと考えております。高山地帯あるいは亜高山地帯、こういうところは禁伐採、あるいは切りましても択伐ということを原則といたしたいと思っておるわけであります。したがいまして、九州もやはり亜高山地帯、中腹地帯、これらにつきましては禁伐あるいは択伐というものをふやしまして、皆伐するところは比較的里山の下のほう、治山治水に影響のないところにいたしまして、切る場合におきましても、やはり面積は一カ所多くても二十ヘクタール、できるだけ少なくする。しかも、これを飛び飛びに伐採するというふうな形で周囲には天然林を残すという施業方針でただいま営林局を指導しているところでございます。  そういう考え方に従いまして、九州もそういう方針で施業をしてまいりたいと思っておりますが、御指摘のえびの地区におきましては、あの地区は、造林いたす前は五十八年生の杉の造林地、これは一番上の崩壊した場所でございます。これは昔は採草地、草地でございます。草地に造林した場所でございます。それから二十年生の造林地、これは昔は薪炭林でございまして、まきをとったり、あるいは炭を焼いた場所でございます。これを伐採して二十年前に杉を植えたものでございます。それで、杉の造林をしてから約六十年ないしは二十年たっております。これが今度の集中豪雨によって、二十年前あるいは六十年前に伐採したのが原因であるのかどうかということが問題になっておりますけれども、造林する前が草地であり、あるいはまた薪炭林であったということを考えますと、必ずしも簡単にこの結論を出すのはむずかしかろうと思っております。したがいまして、林業試験場等に依頼しまして、ただいま、伐採とそれから降雨と、それから土壌、地質の関係について調査をいたしておりますので、この点につきまして、えびのばかりでなくて全国を一斉に点検いたしまして、あらためてこの伐採の規制につきまして、今後十分地質、あるいは気候等を考えて方針をつくりまして至急に検討してまいりたい、かように考えております。
  83. 松本英一

    ○松本英一君 一番最後で、検討をするとか調査をするとかいうおことばでございました。しかし、それまでの答弁は全部一般的なことの答弁です。そういう答弁を聞いておるのではありません。年間の伐採量は成長した分だけ切るのが常道である。しかし、現在は成長量の一・八倍を切っておる。これが第一点。  次に、全国的に経営は赤字であるけれども熊本営林局が黒字であるということは、南九州管内の伐採がそれだけ多くなされておるという事実。これが第二。  第三点は、五月三十一日に宮崎県下の二十四市町村長から、環境保全を考慮するようにという決議文を受け取っておられるかどうか。それに対する見解を求めておるのです。答弁を求めます。
  84. 福田省一

    説明員(福田省一君) 成長量の一・八倍を伐採しておりますのは御指摘のとおりでございます。現在あります国有林は、造林地が先ほど申し上げましたように三割ちょっとでございます。大部分は天然林、つまり、北はエゾマツ、トドマツとか、そういうもの、南のほうにいきますというとモミ、ツガ、あるいはその他の広葉林――非常に老齢な森林が多うございます。したがいまして、これは現在林分単位によりますが、ほとんど林分としては成長いたしておりません。将来は九州につきましても、やはり成長量だけ切っておきますというと、現在成長している造林地しか切れない。簡単に申し上げますと、天然林は成長していないから切れない、こういうことになるわけでございます。ただ、天然林につきましては、林分としては成長いたしておりませんが、午前中大臣がお答えいたしましたように、若い健康な森林に仕立てるためには、ある程度の択伐なり、その他小面積の皆伐をしまして、成長量の旺盛な森林に変えていくというのが基本的な考えでございます。これにはやはり長年月を要します。将来は――と申しますのは、約五十年先には、現在、日本の森林面積二十億立方でございますけれども、これを約六割増の三十数億立方に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。天然林の成長していないところを切って、成長する森林に変えていくために成長量以上に実は切っているわけでございます。これには限度がございます。二倍も三倍も切っていくならば早く変えられますけれども、これは急速な伐採をいたしますと、森林を破壊するということで、徐々に老齢な天然林を健康な若い森林に変えていくために、いま申し上げたように一・八倍程度の伐採をしているわけでございます。  第二点の、熊本営林局は確かに黒字でございます。ほかにも黒字局はございます。しかし、黒字であるからおまえのところはよけい切れというふうな指導は決していたしておりません。やはり九州は成長量が旺盛である、北のほうは成長量は少ない。そういう現実を踏まえまして、適正な伐採をして、ただいま第一点で申し上げた森林造成の一応の計画をつくっておるわけでございます。これに基づいて九州も天然林を伐採し、造林地に変えるところもございますし、また造林地を伐採して若い造林地に切りかえるということは計画的に実は実施をしておるわけでございます。黒字を出すために熊本の営林局に伐採しろということは、絶対考えておりませんということを特に申し上げておきます。  第三点、市町村からいろいろな陳情を受けております。治山治水上の問題はもちろん、最近、国民の皆さんから要請のございますところの良好な環境をつくる、特に森林を中心とした良好な環境をつくるということは、国有林こそやはりそういった要請にこたえていかなければならないということを考えておりまして、そういった要請にもこたえた計画を取り入れるための計画を策定してまいりたい、かように考えております。
  85. 松本英一

    ○松本英一君 総理府にお尋ねします。  今回の災害は、全国的に及ぶ規模といい、二千億円をこえる物的な被害等から推察して、被害調査の集計が終わり次第、当然激甚災害指定が行なわれることと思われますが、被災地の多くは山間僻地の財政力の弱い市町村であり、年間予算の十倍に及ぶ被害を受けているところがすべてであるといっても過言ではありません。したがって、いつごろの見通しを立てて指定が行なわれるのか。あるいは現地関係者はいずれも激甚災指定または局地激甚災指定を強く要請していますので、その点、それらの要請を踏まえての総理府見解をお伺いしたいと存じます。
  86. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いま先生の御要請、地元では確かに激甚災指定要望いたしておることもわれわれ承知しております。現時点ではまだまだ全部の集計が集まっておりません。で、また、もう一つ気象条件から申し上げましても、七号、九号の台風の来襲のおそれがございますので、その上、そういうものも見あわせて、激甚災指定をしたいというように考えておりますけれども、特に財政力の弱い町村については、これはいろいろな手当てをすることももちろんでございますけれども、また災害を受け、またこれから七号、九号がまいりまして、災害を受けるようなことがあればたいへんでございますので、その防災措置にも鋭意努力いたしておるところでございます。
  87. 松本英一

    ○松本英一君 今回の災害のもう一つの特色は、平野部における未改修中小河川の堤防決壊、あるいは溢水による田畑の冠水でございます。河川、特に中小河川の抜本的改修がおくれている今日、ふだん流れがほとんどない川でも、これを放置しておくと意外に大きな災害を起こすのは当然であります。この被害による農作物あるいは都市部の中小河川の堤防決壊による浸水、これらはいずれも中小河川の改修のおくれにその原因があり、いまさらながら中小河川対策の重要性を再認識したわけであります。  私たちが視察をいたしました四県の問題をよく振りかえってみますと、これもまた、全国的な問題であろうと思います。特に中小河川における葦州、中州、寄り州、川幅が狭くなっておるような堆積土砂等々、これらの問題を特に建設省は検討をしていただきたいことと、本年度より発足した治水五カ年計画においてどの程度の中小河川改修費を見込まれているのか、またどのような事業費を確保すれば、今回程度の集中豪雨にも耐え得るような改修できるのか、五カ年計画の中で二千億円にのぼる予備費をこの中小河川対策に投入して大幅な増加を予定されておるのか、建設省の御答弁を願います。
  88. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先生の御承知のように、今回、私どものほうで策定をいたしました第四次の五カ年計画でございますが、この中でも在来の改修状況の進みぐあい、こういったものを勘案をいたしまして、できるだけ、まあ直轄河川といいますか、大河川よりも中小河川に予算の比重を傾斜させるというようなことで、今回の五カ年計画にも、中小河川をできるだけ促進する意味で私ども計上しておるわけでございます。しかし、御承知のように、中小河川も全国で約六万六千キロ程度でございます。現在の進みぐあいが約一〇数%、こういったような状況でございますので、われわれといたしますれば、昭和六十年までに何とか概成をしたいということで、その第一歩として今回、治水事業の五カ年計画の策定をいたしたわけでございますが、今回のような中小河川のはんらんが非常に目立っておるわけでございまして、特にその状況は、山間部の中小河川において山地からの土石の流出、こういったものが、単に水量だけではなくて、土石流になって河川の河床を閉塞してはんらんを起こしておる、こういうことでございますので、特に砂防対策、地すべり対策、こういったものと中小河川――もちろんこれには治山の計画も当然やはり総合的な検討が必要かと思いますが、そういったものをまとめて、やはり総合的な河川改修を促進する必要があるということを痛感いたしておるわけでございます。  まあ五ヵ年計画が発足したばかりでございますので、今後これをどのように運用するかという点については問題がございますが、やはり今回の災害に関連をしましたような河川については、できるだけ一定の計画を立てまして、その期間内に重点的に投資なり配分をいたしまして、改修の促進をはかりたいと考えておる次第でございます。  なお、今回の災害によってどの程度に予備費、あるいは五カ年計画の災害あるいは関連事業との関係がどうかということでございますが、現在集計をいたしておりますところでは、大体、昨年の災害被害報告をすでに現在で上回っておるような状況でございまして、なお今後七号あるいは九号、こういったものも予想されますので、いましばらく情勢を見た段階で計数等を整理しまして、私どもとしての判断をきめたいと考えております。
  89. 松本英一

    ○松本英一君 今回の集中豪雨による災害で、鹿児島県下の被災地はほとんど川内川水系流域に集中をしております。  午前中の質問で各党委員からそれぞれ質問要望がございましたが、この川内川流域地域は、過去三年にわたって毎年連続して災害を受けております。流域の各市町村では、支流を含めた川内川水系の総合的な改修工事を強く要望しております。建設省は、目下、四十一年に作成した川内川水系工事実施基本計画の改定作業を進められておるようですが、今回の貴重な経験を生かして、再度このような災害が発生しないよう抜本的な改正――改定を願いたい。国費を集中的に投入し、上流から下流に至る全面的な改修工事を短期間に実施していただきたいと思います。  特に鹿児島県民同士が血で血を洗うような事態を実際に私たちは触れてまいりました。それは、栗野町の問題であります。これは高山委員から質問がありました。これは上流のほうの栗野町の河川が轟橋というところで大きな岩石にぶつかります。道よりも高い岩石がそこにあるわけであります。このため逆流水となり、田畑の冠水、溢水になって栗野町では軒端までつかっておるという事実であります。それで、栗野町にしてみれば、下流の人たちに迷惑をかけてはいけない、いままでがまんしておったけれども、もうこれでは、下流に被害を与えないためにあの岩石があったのだから、それを除去してくれということになりますれば、これは当然下流の大口、菱刈方面に大災害をもたらします。したがって、内水排除のためにはポンプ場の設置が必要であります。このポンプ場は、一基が三億五千万ぐらいだということでありますが、これを二基設置していただければ大体この問題は解決されるという地元の強い要望がございます。この点については、先ほど大臣にその要望書を提出をいたしておりますが、建設省としてのお考えを、見解を示していただきたいと思います。
  90. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 川内川につきましては、午前中も申し上げましたように、一級河川として非常にこの激甚な災害を受けた、最大の問題の河川でございます。したがって、私どもも単に下流の川内市とか、あるいは上流、中流というものにとらわれないで、抜本的にこの際現在の工事実施基本計画、こういったものを見直しまして、基本的な改修とそれから地域の今後の将来計画、こういうものが両立するような河川計画を立てたいと考えておる次第でございます。さしあたり九州地建を中心にいたしまして、学識経験者その他の方のいろいろなお知恵も拝借しながら、あまりやはり時間的な余裕もございませんので、当面の処置とあわせまして、そういった基本的な問題もできるだけ早く方針を立てて、手戻りのないような改修を進めたいと考えております。  なお、お話しの栗野町ですが、あれには現在栗野町の下流に、左支川から綿打川という川が入っております。これが御承知のように無堤状態でございますので、おそらくまあ栗野町の内水の被害の大半の原因はこれじゃなかろうかということでございます。現在用地買収に着手しかかったところでございますけれども、まあこの災害を契機にしまして、できるだけ地元協力も得まして、用地買収並びに今後は築堤の促進ということを大急ぎで取りかかりたいと考えておる次第でございます。なお、その上にさらにポンプが必要であれば、私ども、方向としまして、相当な豪雨があれば、そういった対策も必要じゃないかという気がいたしますけれども先ほど来の根本的な改修の見直し、それからその一帯の内水の状況、こういったものもあわせまして判断をして、必要であれば積極的に実現するようにいたしたいと考えております。
  91. 松本英一

    ○松本英一君 鶴田ダムの放水に関しましては、それぞれ具体的に午前中質問がありました。この鶴田ダムの放流によって、宮之城町は七日、水害の原因は上流の鶴田ダム放水にあるとして、国に被災者の損害の賠償を町として決議をいたしております。この決議に対しての総理府の御見解伺います。  それから、平常時の貯水はいまのままでいいのか。放水の際の避難、連絡のあり方など、地元では大きな課題としてからだで受けとめております。しかも、この百三十世帯、押し流された湯田温泉の下流の六キロのところにあります虎居橋の両岸の人たちは二メートルに及ぶ床上浸水があり、したがって、このダムの問題については、雨期の間だけ水量を減らすよう申し入れをしておいたのに、発電のため減水していなかったのが災害の原因であると、地元の人たちはこのように強く感じております。現地河川の事情から、このダムを雨期だけ――六月、七月、八月のこの時期だけを洪水調整のダムとして重点的に考えてほしいという希望が強うございますが、このことについての総理府の御見解をお伺いしたいと思います。
  92. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 宮之城につきましては、私、実際に視察をしてまいりまして、罹災者方々がたいへんお気の毒だ。また、川内川の上流、中流、下流、それぞれ、利害がございますけれども、中流については改良工事等ほとんどされていないということが、もう一つ災害を大きくしたという感じをいたしております。  いま、先生の御質問の鶴田ダムの問題でございますけれども、まず第一点に、この六、七、八の降雨期に対して地元からの要請、県知事からの要請もございますので、これはこのような意向に沿って、予備放流をいまやっておりますし、基準以下に下げておりますので、今後とも建設省、通産省等々で相談し、この時期には再度こういうようなことが起こらないような、地元民が安心して休めるような形にしておきたいと思います。  それから、災害が起きました鶴田ダムについては、鶴田ダムの放流によってこのような大きな災害が起こったという地元の話も聞いております。そういうことでございますので、これは専門的なことでございますので、建設省、通産省等に原因追及をさしております。  以上でございます。
  93. 松本英一

    ○松本英一君 天草地方を襲った豪雨は、年間雨量の半分または三分の一に相当する雨が一夜の間に降るという異常気象が原因であるとされております。建設大臣農林大臣現地に行かれてよく視察をなされたと思いますが、どこの被災地も悲惨なものであります。特に天草被害は多大であり、もう悲惨であったという一言に尽きます。多くの人々が家財を一瞬に奪われて、着のみ着のまま食糧もなく瓦れきの中にほうり出され、その中には、親きょうだいをなくし孤児になった小学校二年生の子供までおります。この人たちの今後の生活を思うとき、暗たんたる気持ちでありますが、公共施設災害復旧対策はもちろん、個人災害には個人災害救済制度が確立されていませんので、地方自治体としての県、町、それらのところでは手の打ちようがないわけであります。個人災害救済制度についてどのような御見解をお持ちであり、今後どのような方針で臨まれるか、御見解を求めます。
  94. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 個人災害救済制度につきましては、長いこと両院で御研究いただいております。われわれといたしましても、この問題を受けまして、強制加入がよいのか、任意加入がよいのか、また、方法はどうしたらよいのかということでいろいろ研究調査し、本年度では二百五十万の研究調査委託費を計上いたしまして、鋭意研究しております。今後、天草等々の問題がございますので、この共済制度をどういうふうに確立していくかということも、われわれとしても研究いたしていくつもりでございますけれども、本委員会としてもよろしく研究をお願いし、今後ともその制度の確立につとめたいと思っております。
  95. 松本英一

    ○松本英一君 天草山津波により流出した土砂岩は、人家を直接に襲っております。岩石が住宅を押しつぶし、病院の中には二トンの大きな石がコンクリートの壁を突き破って中に入り込んでおります。それがこの地方の被災地実情でもあります。あまりにも大きな被害であり、この天草地方については、従来の災害対策の諸法律では処理できるものではありません。沢田熊本知事も、離島の過疎地域に発生したこの災害に対して、現地実情に即した総合復興事業が行なわれるよう特別立法を要請をされておられます。この天草五カ町では、町村財政の十年分にも相当する被害を受けた町村ばかりであります。再建のために、わずかな田畑を土砂に奪われ、漁場を流入土砂で奪われたこれらの被災住民に対して、早急に災害救農土木事業の実施が必要であると考えますが、これらを総合的に実施し得る特別立法の制定の用意があるかどうか、総理府の御答弁を求めます。
  96. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 移転の問題につきましては、天草もございますし、えびのもございます。これは、われわれとしては今後どういうふうにするか、住民の意思を尊重してやっていきたいと考えております。これについて立法云々という話がございますけれど、いまのところ、対策本部といたしましては非常対策だけで手一ぱいでございますので、今後とも検討課題として考えさしていただきたいと思っております。
  97. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと、長官がいまさっき発言したところとだいぶ違うじゃないですか。個人災害については繰り上げて四十八年のを四十七年にやろうということを言ったね。
  98. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) はい。いや、いまのは移転の問題でございます。
  99. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 移転の問題については、従来行なった方法でやると言っておる。行政的にやると言っておる。別に何も研究すると言っているんじゃない。あまり前の発言をぼやかすような発言は……。
  100. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 先ほど大臣が答弁されたのは私、聞いておりませんでしたけれど、前例がございますので、これに従ってやる。ただ、住民の意思を尊重せざるを得ませんので、えびのの場合については、はっきり言いましてもう移転せざるを得ないだろうと私は考えております。で、そういうようなことで前例を考えてやっていきたいと思いますけれど、天草の場合については、まだ住民の意思その他も尊重せざるを得ませんので、その辺、地元町村と相談をいたしまして、今後とも考えていきたいということでございます。
  101. 松本英一

    ○松本英一君 川崎河川局長建設大臣に随行されて現地を見られておりますが、崩壊地のあと始末については、あれだけの大きな土砂岩くずれをどのようにあと始末をしたがいいのかどうか。――倉岳の町長あるいは竜ケ岳の助役、姫戸の町長にもお会いをしたけれども、どのように解決したらいいか。新聞の報ずるところによれば、海岸にその岩石を捨てたほうがいいんじゃないかという質問に対して、大臣はあなたに御相談をなさったそうですが、私の考えでは、一トンから二トンにわたるあの大きな岩石を砕いてただ単に海岸に捨てるということは、これまた漁業権の問題がからまってくると思います。ところが、御承知のようにあすこは築港がございます。築港というのは潮水がないと役に立たないところでありますが、いま、全く潮がありません。さすれば、その築港の中に石を投げ込んで宅地の造成をする。そこに公営住宅をつくる。その先に突堤を築いてつくるというような方法も私には考えられるのであります。河川の場合、その大きな岩が石があることは水流を弱めるためにたいへん必要であり、除去をしてはいけないという重大なことでありましょうけれどもあと天草の始末について、この土砂岩を一体どのようにしたらいいのか、判断がつかず、各町長の方々には、その処理に困惑しておられます。したがって、国から、あるいは県を通じてそのあと始末の方法についての適切な指示を与えるべきだと考えておりますが、その方策と今後の方針について御答弁を願います。
  102. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私も大臣のお供をいたしまして現地視察したわけでございますが、数年前に新潟県の羽越豪雨で荒川が大災害を受けましたが、やはり大体あれと同じような形をとっておるようでございます。で、今後被災された方々がどこに土地を卜して村づくりをされるかということが一番きめ手になるんじゃないかという気がいたします。天草といたしましては、古老の方などのお話伺いますと、七、八十年こういったことを経験したことがないということでございます。したがって、これは大臣の直観でございますけれども、相当いわゆる弱点は、これで全部うみが出たんじゃないかと、したがって、この上さらに山地等について適切な砂防対策、あるいは土石流対策、こういうものをやれば、大体もう二度と災害の心配はないんじゃないか、したがって、この土石を海岸に埋め立てるということにも相当な金がかかるわけでございますから、そういった意味ではむしろ、ああいう土地の川原ではございますけれども、それをならして、その上に家を建てたほうがいいんじゃないかと、こういうような大臣も直観的なお考えであったと思いますが、申されております。で、この辺についてはやはり非常に災害直後でございますので、もう少しやはり村全体、あるいは県の指導、こういったもので村づくりの方針がきまりますれば、私どももいろいろ協力できるんじゃないか。やはり川原になっておりますが、今後やはり雨が降りますと、土石流じゃございませんが、水は流さなくちゃいけないわけですから、あの川原をやはり一定の河積に開さくする必要があると思います。どういうように川筋の線系をつけるかということはこれからの村づくりなり、あるいは農地復旧、こういったものと見合いながらやる必要があるかと思いますが、そういった土石の処置については造成地のプラスになるように、あるいはもし海岸等で埋め立てをしようということであれば、そういったところに運搬するとか、いろいろ今後の地元の村づくりの計画に応じて私ども協力していくと。ただ、いまここでどういう方法が一番最善であるということは、私どもの立場だけではちょっと判断しがたいんじゃないかと考えております。
  103. 松本英一

    ○松本英一君 これは園田農林政務次官もよく御存じだと思いますが、一番熊本県で問題になるのは、熊本県の依頼で天草被災地視察された東京農大の小出博教授は、「天草上島はもう心配は要らない」と割り切った見解知事報告されたようであります。ところが、天草の地質を長年研究しておられる熊本大学の理学部の松本幡郎講師は、天草の弱い地質を指摘して、「まだまだ大いに危険がある」と警告をされております。このように、同じ被災地、同じ調査対象地の今後の安全性をめぐって、専門学者の見解が対立をしておる。はたして安全なのか、あるいはまだ危険なのか、両者の見解にはもっともな理由があるだけに、県当局も地元住民も迷わざるを得ないのは当然であります。政府は早急に地質、あるいは砂防、工学等の専門家を派遣して崩壊地の科学的調査を行ない、復旧方法について一日も早く具体策を提示すべきでありますが、どのような御見解でありましょうか。
  104. 園田清充

    説明員園田清充君) 松本先生が団長として御調査を願いました災害地を私も視察をして昨夜帰ってまいりました。  いま御指摘がございました点でございますが、関係町村では、ぜひ県に対してこの際、災害復旧の村づくりの基本となるために中央から権威ある調査団を派遣をしてほしいという要請がございまして、そこで、私のほうでも中央防災会議に対して、権威ある中央からの調査団の派遣をしてほしいと、それが基礎になって今回の災害復旧のいろいろ基本計画が立てられるから、ぜひひとつ急遽派遣してほしいということをお願いをいたしておるところでございます。本委員会において、ただいま松本先生から御指摘がございましたとおり、ひとつ私どものほうとしても早急に権威ある調査団を編成し、派遣することにいたしたい。また、総理府にもお願いを申し上げておりますので、そうさしていただきたいと思っております。
  105. 松本英一

    ○松本英一君 今度の九州四県調査によって私たちは、自衛隊あるいは機動隊、警防団、消防団、被災者の人たちがその救出、あるいは復旧のために努力をしておられることに対して心から敬意を表してまいりました。  特に西部方面総監部は、直接の指揮をとって各地救助活動をいたしております。ところが残念なことに、本日でもおそらく孤立をした村――太作山の中で一部落が孤立をして、大型ヘリコプターで食糧を定期的に運んでおるという事実を知ることができました。同時にまた、救助復旧という連日作業の中で、自衛隊の隊員の一人が過労のため死亡するという痛ましい事故が起こりました。この問題について防衛庁としてどのような慰謝の方法をとられるのか。賞じゅつ金制度消防団の場合百万円から三百万円という基準があるようでありますが、この場合防衛庁はなくなられたその隊員の方についての補償、あるいはその慰謝の問題についてどういうふうにお考えになっておられるのか、それが第一点。  次に、建設大臣は例年、建設大臣表彰を行なっておられます。これは国土建設に功労のあった人、あるいは団体でありますが、私たちが直接天草で目撃し、また、各町長さんも言っておられますが、熊本県建設業協会天草支部、並びに個人的には八代の松浦工務店、八代土木工業株式会社、その他の業者の人たちは無報酬で一週間、復旧作業、援助活動をしてまいりました。このような団体または個人の人たちは、何も大臣表彰をもらおうと思って奉仕したのではありません。ただただ善意に基づいて奉仕されたことでありましょうが、このようなことにこそ建設大臣表彰をすべきだと考えますが、建設省のそのことについての明確な御答弁を求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  106. 馬場義郎

    説明員(馬場義郎君) ただいま先生御指摘の死亡隊員でございますが、昼間遺体の発掘作業に従事したあと、宿舎に戻りましてから気分が悪くなって、入院させましたが、翌朝死亡したものであります。直ちに一階級特進をいたしまして、二曹にいたしましたのと、長官から弔電を打ちまして、公務死でございますので、国家公務員災害補償法の規定による遺族補償年金、それから葬祭補償、それから普通退職の場合の五割増しの退職手当法による退職手当、それから国家公務員共済組合法の規定による遺族年金等も考慮をしてございますのと、なお、防衛庁職員の共助会から百万円の弔慰金を出すようにいたしております。なお、本人の生命保険等が七百六十万円ほど入っております。  以上のような措置をとるようにいたしております。
  107. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 孤立している村の件でございますけれども、大型ヘリで救済をしておりましたけれども、十七日に開通したそうでございます。
  108. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 松本先生のお話しのように、建設省では表彰規程を設けまして、建設行政の推進に非常に功績のあったというような個人とか、あるいは団体を表彰いたしておるわけでございます。したがって、先ほどお話しのような、災害復旧に非常に協力されたというような場合には、当然これに該当するかと思います。現在、実は各府県を通じまして、それぞれそういった個人なり団体があれば至急に連絡してくれと、こういうことをやっておりますので、その結果を待ちまして、そういった規程を適用して表彰いたしたいと考えておる次第でございます。
  109. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 今回、六月、七月の梅雨前線豪雨で非常な災害が発生いたしました。四百四十名に及ぶ死者を生じました。まことに遺憾なことでございまして、つつしんでお悔やみ申し上げたいと存ずるわけでございます。さらに、多数の全壊家屋、半壊家屋、流失あるいは水田の被害等を生じまして、被災民の皆さまはたいへん御苦労なさっておることだと思います。今後の再興ができるように、政府機関はもちろんのこと、われわれ全員もその復興に相協力して、早急に進めることが肝心かと存ずるわけでございます。  そこで、私は今回、九州全域にわたって、自民党の立場で調査してまいりましたので、この際、若干の問題をいろいろ質問したいと思います。  災害が起こりましたのは、いろいろ原因があるでしょうと思います。そこで、私はこの際、その原因が何であるかということをはっきり確かめるべきであると、まず思います。その原因となるべきものにはたくさんの現象がございますが、たとえば雨の問題が一つございます。雨はもちろん相当大きな雨でございますが、私も九州出身でございますが、決して異常な大きい雨ではないということだけは申し上げられるかと思います。私の流域の地区あたりは、日雨量が千ミリという大洪水が出まして、二次発生を生じたわけでございまして、必ずしも、今回の豪雨が最高の豪雨であると決して申せません。また、梅雨前線が気圧配置によりまして、相当移動する。あちこち移動する。そういう関係で、この災害は各所に起こり得るということも、まず念頭に置かなくちゃなりません。そういう意味で、私はこれらの事態を踏まえまして、この原因を急速に調べて、処置すべきものは処置する必要があると思います。  私は、いろいろ現地を見まして感じた問題につきまして、まず第一点は、がけくずれの問題でございますが、このがけくずれ等につきましては、政府機関で一斉点検をやるということで進められております。まことにけっこうでございます。高知土佐山田町におきましてがけくずれが生じまして、約六十名近くの方がなくなられました。その一斉点検をやられる段階にあたりまして、その土佐山田の現象をごらんになった方はおわかりになるだろうと思いますが、相当深いところに地下水が通っている。その現在までの調査というのは、がけくずれの危険性があるということを土質的にはある程度判定できます。また、地質的にもある程度いろんな踏査によって判定できるだろうと思いますが、そういう地下水の存在等につきましては、なかなか原因が判定できない。わからない。そこで、この調査をやる場合に、私は、そのがけくずれの原因か地下水――いわゆる集中豪雨によるそれが地下水となって流れて、先ほどお話しになりましたえびのの地すべりと同じようにすべり面を生じて、がけくずれを生じたということがあるわけでございます。したがいまして、こういったことにつきまして、もう少し精細に地下水等の問題をひとつ調べていただきたい。  実は、私らの郷里にも――大水のときには、がけ上から水が清水になって出ます。そうしてそれがきれいな水で出ている間は非常に安全でございますが、一たん、少し濁り始めますと非常にあぶない。そういったこまかい注意をやっぱしやっていただく必要があるのじゃないかという気がいたします。したがいまして、その土砂崩壊とか、いろんな原因の探査にあたられまして、それらの問題まで詳しくひとつ進めていただきたいと思うわけでございます。それらの問題が、どういう雨のとき、どういうぐあいに起こるということは、なかなか判定がしにくいと思います。原因調査にしましても、がけくずれ、急傾斜等の処置は非常にむずかしいとは思いますが、どうか調査されるならば、そういったところのこまかいところまで注意されまして、将来原因になるところを除去していただきたいと念願いたしているものでございます。  さらに土石流の問題でございますが、これも原因は、先ほどのえびのの地すべりのところは、あれはまさに小渓流による土石流の問題でございます。この小渓流の土石流は、土石流対策として建設省でも相当実施しておられますが、何分にも非常に渓流が多うございまして、先ほど申し上げましたように、いつ、どこにくるかわからないという現象でございます。そこで土石流河川につきまして、砂防ダムを一本早急に入れるということを、私らも建設省におりましたとき、 推奨してまいったところでございますが、何としても予算が足らなくて、入れられないということで今日まで至っております。したがいまして、先ほどの土石流なり、がけくずれに対しましては、原因を十分調査していただきまして、早急な措置をひとつお願いしたいと思うわけでございます。  それから、中小河川の問題でございますが、これは非常に原因がたくさんあろうかと思います。まず、中小河川は県の管理に属します。また、一級河川の支派川で、まだ県の管理に属しておるところはたくさんございます。その河川を見ますと、大体におきまして非常に管理が悪い。これが第一に指摘できます。管理が悪いというのは、要するに、費用の問題もあろうかと思います。それから、一たん改修が終わった河川でも、なお管理の十分でないという点もございます。それは二、三点指摘ができますが、たとえば佐賀の徳須恵川というのが、これは県の管理を一級河川に移した川でございますが、河床が相当に高くなっている。それから低水路が非常に狭い。そういったことによって水があふれてしまったと、それで破堤したということでございます。熊本にもたくさんその実例が見られますし、各地の中小河川にもその実例が見られます。したがいまして、そういった原因、直接の原因になる問題点がございますので、そういった点も、ぜひひとつ精細に調査していただきまして、原因の除去に努力していただきたいと思うわけでございます。  さらに、農林関係における土地改良区のせきでございます。このせきが非常に河川の水流に影響を、悪影響をもたらしている実例がたくさんございます。大体、二十八年ごろの災害は、せきのサイドから切れて、非常に水害が多く出ました。今回も若干せきの関係がございまして、それらの問題が生じております。さらに、上流の小河川におきましては、ほとんどそのせきの影響によってやられたという実例がございます。  一つ例を申し上げますと、矢部川の飯江川という川がございますが、矢部川の支派川になっております、今回直轄に延長していただきました川でございますが、そこにせきがございます。そのせきが非常に高い。高いからどうしても湛水する。上流が洪水の水位が上がる。したがいまして、全川に溢流する。したがって、破堤個所が三カ所か四カ所かできております。そういった原因の除去さえできればある程度の洪水は対処できるという問題があります。また大洪水の場合に、私はダムの問題に関連しまして、先ほど川内川の鶴田ダムがお話に出ましたけれども、ダムは、私も昭和二十六年からあの鶴田ダムに関係してまいりました。ようやくでき上がって非常に喜んでおったところでございます。しかし、残念ながらあの貯水容量がそういった防災目的に利用されていないということになりますと非常に問題でございまして、あれは多目的ダムでございますが、私は防災第一目的に、それは短期間のことでございますので、どうかひとつ水位を下げて早急に措置される必要があろうかと思います。この問題は、全国の各地にございます。たくさんのダムがございます。あるいは電力専用のダムもありましょうし、農地専用のダムもありましょうし、たくさんございますが、梅雨前線というのは性格上非常に長く続くという性格の雨でございます。台風は短期間で終わりますが、梅雨前線というのは一カ月近く続きます。しかも、しょっちゅうしとしと降っておりますので、地盤はゆるんでいるというような状況でございますので、この際、私は、電力ダムを含めて多目的ダムあるいは農地専用ダム、すべてを含みまして、建設省でひとつこれらの防災対策用の水位低下の問題につきまして、具体的な協議に各個ダムにつきまして入っていただきますようにぜひお願いしたい。以前もそういったことを再々繰り返してまいりましたけれども、残念ながらなかなかその実行がとまっております。ことしは球磨川の上流の市房ダムというのは非常に調子よく調節をやりました。これは全く過去の球磨川の災害に基づいて、多年の経験によりまして熊本県がいち早く水位低下をやったということによって災害から免れているという実情でございます。災害を経験しなければさようなことができないというようなことになりますと非常に問題でございますので、事前においてさようなことをやっていただければ非常にありがたいと思います。  その他いろんな問題が、たとえば、堤防のところに非常に草がはえている。まあまあ考えてみれば雑木林みたいになっているという河川が中小河川にあります。そのために堤防が破堤して、残念ながら万に及ぶ町歩が冠水したというような状況でございます。これは佐賀の田手川という私の郷里の河川でございますが、さような状況でございました。これらの問題が恒久対策としての間に会うかどうかは別としまして、緊急対策には少なくとも間に合うというふうに考えるわけでございまして、先ほど河川局長が言われましたように、中小河川は六十年までに概成したいというほど遠い先でございます。そういった点をひとつぜひ考えていただきたいと存ずるわけでございます。  そこで私は、それらの原因を十分調査していただきまして、先ほどから松本英一先生から専門的な調査団を編成して行ったらどうかというお話がありました。まことにけっこうでございます。軽重に応じてさような措置をぜひとっていただきまして、あるいは各省におかれましてもそういう原因調査をやっていただきまして、これらの原因の除去につきましてぜひお願いしたい。  そこで、総理府総務副長官におかれましては、先ほどの御答弁で、調査団を編成することにつきましてお話がありました。非常にけっこうなお話でございます。どうかひとつ早急につくっていただいて、天草等重要な地域につきましてはぜひお願いしたい。さらに、各省におかれましても、あるいは各出先機関におかれましても、それぞれひとつ調査機関をつくられて、小さいところまで、手の届くところまでひとつ原因を探求していただきたい。この点につきましてひとつ総務副長官からぜひお願いしたいと思います。
  110. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いま、今度の災害についての防災に関していろいろな親切なアドバイスをいただきまして、厚く御礼申し上げます。熊本県の問題、あるいはえびのの問題にしても、原因追及はたいへんでございます。特に、いま松本先生がおっしゃいました天草の問題などは学者の意見が分かれている。そういうことで各省あるいは権威者を連れて実地調査に乗り出したいと思いますし、また、えびのも、これが地震が少なくとも影響があるのか、それから今後どうしたらいいのかというような問題についても、専門家を派遣して今後対策を練りたいと思っております。
  111. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 各省にひとつ、ほかのところも……。
  112. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 各省にはこの問題について非常災害対策本部がございますので、ここで各省とも連絡がございますので通達をいたします。
  113. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで、原因はそういったことによって皆さまの手で調査されます。  それで私は、この災害復旧には三つの段階があろうかと思います。  まず、応急復旧で当面の水害対策防災対策を構ずるという対策でございます。これは各省のやっておられるのを見ると大体やっておられるというような感じでございます。中に一、二後ほど質問いたしますけれども、これらの問題についてぜひ応急対策を早急にやっていただきたい。これはまあどちらかというとどろなわでございますので、完全なものはできません。現状に合わしてつくるということが関の山だと思います。そこで私は、その次の段階における復旧につきまして、住民の方々に明るい見通しをぜひ与えていただきたい。いつまでできるかわからないというようなことがやはり住民に不安を招きます。私のところはもう過去十年中小河川をやっておりますが、いつまでできるかさっぱりわかりませんと、こういうことでは住民の安全な商売もできませんし、あるいは住宅を直そうとしましてもなかなか直せない、非常に住民はそういった点を不安がっております。それからまた、新しい商売をしようとしてもなかなか新しい計画はできない。そういったことがございますので、少なくとも緊急計画というのを立てまして、たとえば、先ほど原因調査になりましたネックとなる個所につきまして緊急に一年であるとか、二年であるとか、あるいは三年であるとか、少なくとも三年ぐらいをめどにやっていただきたいと私は念願いたしております。  そこで、一、二の実例を話してみますと、たとえば先ほど川内川の実例を引いてたいへん恐縮でございますが、川内川の栗野、さらに菱刈、あるいは下流にわたる間の問題でございますが、これはお互いに連鎖反応が起きます。したがいまして、轟の岩石を掘さくすれば直ちに湯之尾の浸水が起こる、さらに湯之尾の浸水を除去するために下に流せば、菱苅平野が水没するということでございます。そうしますと、その水が下流に流れていって今度は川内平野、あるいは先ほどお話がありました宮之城地区の浸水とかいろんな問題が起きます。したがいまして、上流の改修を進めるとすればどうしてもそういったときも、鶴田ダムの水位低下という問題は当然考えていかなくちゃいかぬ問題であると、だから私は、上流の改修をやらざるを得ない。そう考えますと、鶴田ダムを百三十メートル程度下げるのはこの際やむを得ないのじゃないか。そこで電力といろいろとお話になっているようでございますが、私は、鹿児島県の過疎地帯の人口がたびたび流出する、しかも、その間に非常な災害をこうむる、ああいった被災状況を見まして、この際、勇断をふるってひとつダムの問題を解決していただきたいと存ずるわけであります。それと同時に、その問題が解決すれば、今度は私は、菱苅から湯田、それから栗野に至る三区間をやりますれば大体解決する。これは私は、そう大した金じゃないと思うわけでございます。したがいまして、緊急三カ年くらいの計画でぜひひとつ私は、この問題を鶴田ダムを含めて解決していただきたいと念願しております。詳細は、河川局長はよくわかっておられますから、御答弁は要りませんが、そういった問題がございます。それからもう一つは、園田先生の地元の嘉瀬川という川がございます。これはもうしょっちゅう出水しております。その原因も大体わかっておる。もちろん有明海の高潮の問題もありますが、やはりあそこに野田ぜき等の農地の土地改良の用水ぜきがありますが、そのせきが非常に高い。さらに川じりの町内を流れる国道をはさむ上下流が非常に狭い。そのためにどうしても上下流の先ほどのような栗野、菱刈の対立の問題と同じでございます。そこでそれも調べてみますと、私の予想ではそう大して金はかからないが、そういったネックがたくさんございます。もちろん全国全部ということをやればやはりたいへんな金であろうと思いますが、少なくとも私は、緊急三カ年である程度の洪水には耐え得るということをやってもらわないと、これはもうなかなか住民がおさまらなくなっております。そういうことではなくて、やはり日本全土から災害をなくすという立場に立って、ひとつ今後その問題をぜひ処理していただきたいことを念願しております。これは一例を述べただけでございます。河川局長、忙がしいところたいへんだろうと思うんですが、十分にひとつ行政のすみずみまでに徹底するようにぜひお願いしたいと思います。答弁は要りません。  そこで私は、そういった緊急計画をぜひやっていただきまして、少なくとも三十年洪水に対処するとか、あるいは五十年洪水に対処するとか、少なくともその程度の洪水に対処できるような形を考えていただきまして、それから恒久復旧にかかっていただきたい。恒久復旧は、もちろん、川内川みたいに抜本的対策をやらなければならない問題もございます。あるいは矢部川もおそらく抜本対策をやらざるを得ないという判断でございますが、そういった意味でそれらの問題は恒久対策をじっくりひとつ練っていただきまして、緊急対策はもちろんやりながら、必要とするものは恒久対策をやっていただきたい。その恒久対策をそれにつれて逐次進めていただきたいと存ずるわけでございます。どうかひとつそういった意味で、原因の追及から応急対策緊急対策、恒久対策、そういった一環の連関性を持ちながら水系を全体としてひとつ整理していただきたいと念願する次第でございます。  そこで、二、三点応急復旧について御質問いたしたいと思います。  厚生省にまずお伺いしますが、応急仮設住宅の問題でございます。応急仮設住宅は、災害を受けられました住民の方がお入りになる住宅でございます。ところが、厚生省では十戸の応急住宅を三戸に査定されるというお話を聞いております。それはまことかどうかということと、私は、十戸こわれて、被災者がなくなられた方がかりにあるとすれば、その残りは全部収容できるくらいの仮設住宅を考えられてもいいのではないかというふうに考えます。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕  各地で私は、応急住宅が不足するという話を聞きました。まず私は、被災者の方をほんとうにあたたかい気持ちで仮設住宅であるが入れてあげて、まずまず生活を安定させる、そういったことが一番精神の安定につながる問題でございます。そこで、仮設住宅につきましてひとつぜひお考え願いたい。  さらになお、がけくずれ等の危険がまだたくさんあるところがございまして、たとえば人吉市のところには裏の山の、村山という山がありますが、その村山のふもとに家が並んでいる。その家が並んでいるところにがけくずれが起きまして、死者が出ました。ところが、周辺におる人はがけくずれがなかったから幸い助かりましたが、それでもいつくるかわからないということで、市役所では応急住宅をすぐ建てて移転させることにしました。ところが、残念ながらそれに対しては何も処置ができないというようなこともございます。そこで、そういった危険地における、もうすぐ台風の時期を控えて危険を感ぜられる人の人心の安定のためにも、安全地帯に応急住宅をつくって移させるということについて、ひとつ厚生省から御答弁を願いたいと思います。
  114. 新津博典

    説明員(新津博典君) ただいま御質問のございました応急仮設住宅でございますが、これは災害救助法の中の規定に基づいて実施されておるわけでございまして、実際にはプレハブの三十万円程度のものでございます。これはみずからの力で家が建てられない方に現物給与するということで、大体おそくとも災害があって家を流されたり全壊された方に対して、災害があってから二十日以内に着工してすみやかに現物で給付すると、こういうたてまえになっておるものでございます。それで、救助法に基づきます応急救助が原則的に必要なものは十分に行なうというたてまえがあるわけでございますが、住宅問題は、若干災害あと時間がたって行ないます関係上、各人がそれぞれ親戚にたよられるとか、あるいは住宅対策そのものといたしましても、建設省のほうの災害公営住宅の問題ですとか、いろいろな形で解決されていく中で、従来の実施の傾向から見て、原則的には被災地帯の三割程度があれば足りるということでございますが、ただいま御指摘がございましたとおり、それだけで足りない場合があるわけでございます。これは当然、一応特別基準ということになりまして御協議はいただくわけでございますが、今回の場合は特に所得水準の低いところとか、出かせぎ地帯とか、あるいは低所得階層の多い地帯に多うございますので、当然この特別基準ということで極力必要な戸数は建てられるように県と協議して、十分対処していきたいと思います。  あとのほうの問題は、実は新しく伺う問題でございまして、従来ですと、実際に家が流失されたり、こわれたりした方が対象でございますけれども、いまの御質問の様子を伺いますと、単に応急救助としての、救助法としての対策だけでなく、午前中来出ております移転の問題とか、各省のいろいろな施策を総合的に考えて考えていかなければいけない問題だと思いますけれども、その中でも応急仮設住宅については、そういう事態にも対処し得るような形で県と協議をさせていただきたいと思います。
  115. 中村英男

    ○中村英男君 関連。  建設省、だれかいらっしゃいますか。――きのう島根県で大臣と一緒になったんだが、島根県は川本で二百軒ぐらい倒壊、流失しているのに七十戸の県がプレハブ住宅を提供したと、そういうことだったが、大臣いわく、全部倒壊、流失には建設省はひとつプレハブ住宅を供給しなさいと言っておりましたから、厚生省のいまの話を聞くと、そんなものはもたらもたらしていつのことかわからぬから、とりあえず、流失、倒壊した家屋は、建設省は銭金で済むことなら全部やれと県に指示して、手配せぬとプレハブがなくなりますよ、まごまごしていると夏ですからな。これで済むことですから。銭金で済むことなら何でもやれと、こう言わにゃ不安定だ。昔、大野伴睦は九州災害のときにそれをやったわけだ、一発で。金を十億出そう、これでおさまったからな。それをぴしっと、銭金で済むことなら全部やってくれと、市町村や県はあと始末は全部してやるから。これを一発食わしておかにゃいかぬ、そのほかのこまかなことはこっちはわかりゃせぬから。夏ですからプレハブ住宅を建設省は全部倒壊地区には提供せいと、応援してやろう、これをひとつ早く手配してください。住宅なくなりますよ。
  116. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まことにただいまお話があったとおりでございまして、ぜひひとつ必要な数のプレハブ住宅を建てていただきますことをお願いしたい。  それから、集団移転のお話がございました。ただいま答弁がございましたけど、私は集団移転に二、三回――天竜川の上流の問題、あるいは足和田地区の問題、あるいは福井県の問題等に関連してまいりました。しかし、実際事務を処理するのは非常にむずかしい。だからぼくは、集団移転をやるときまればかなり時間がかかります、いままでの実例によりますと。だから集団移転はぜひひとつ一本でやっていただきたい。総理府なら総理府でもいいし、どこかでひとつ一本で処理してもらわないと、たとえば農地災害をこっちに持ってきて予算を移しかえてやるとか、いろんなめんどうくさいことをやってもらうと事務的に長引く。そうすると集団移転は非常に不可能になります。やっぱしこういう集団移転がきまれば即刻手を打つことが必要でございまして、これは予算の移しかえですから、そういったものはあとでも移しかえの了解だけできれば、総理府で一本旗をあげていただければすぐできる。そういうことに集団移転の問題をひとつぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。そこで厚生省の――先ほども私は、すぐそばでこわれて、その次の家はまさにがけが、同じようながけが、この次雨がくればこわれる可能性が相当強い。一〇〇%近い。そういう家の下におる人は、まさに台風は七号、九号がきておる時代に、危険でおれるわけがないと思う。そういった人を私は移転させるのは、人心安定上非常に大事だと思います。そこで、そういったところの対策を今後の非常な災害に際してとることが、なくなられた方のほんとうの御供養になると私は思うんです。あとでなくなられた方のお悔やみはもちろんしなくちゃいけませんけれども、そのなくなられた方の最期に残したことばは、あと災害を起こすなというようなことだろうと思います。どうかそういった点でひとつぜひがけくずれの危険地帯、そういったところにおられる方をとりあえずプレハブに移すとか、処置をぜひやってもらいたい。市町村はそれでなければやれないといっております。現に建てて要請してくれば、オーケーと言っていただければけっこうです。大した金のかかる問題じゃありません。どうかよろしくお願いします。  それから、集団移転の問題に移りますが、先ほどお話ししましたが、ぜひそういったことで、集団移転の個所は相当多いと思います。天草でも希望者がありますし、それからえびのでもあります。  従来のような集団移転は、私は、実際にタッチした一人としましてあまり好ましいやり方ではない、時間ばかり食ってよくないと思います。だから、集団移転をきめた場合の対策を具体的にきめられて、ひとつすっきり解決できる方法を考えていただきたい。あるいはたとえば、私、実例を話しますと、河川改修関係の金を出すとか、あるいは農地災害復旧費を回すとか、あるいは自治省から交付税を持ってくるとかいろんな金を集めて、あるいは電力会社から金をもらうとかというようなことでやっていく、そういうことをやると時間がかかりましてなかなかむずかしい。だから、この辺はぜひひとつ金がたくさん要るときでございましょうけれども、非常に住民の不安を解消する意味におきましても、一刻も早くやらなきゃいかぬ問題だと私は思います。どうか法制上の問題とかいろいろな問題がありましょうけれども、ぜひひとつそういう方向で、これは御要望で御答弁は要りませんから、ひとつお願いしたいと思います。  それから激甚災、個人救済補償法につきましては、先ほど松本先生からお話がありました。また、同僚の各議員からお話がありましたので、お話は簡単に申し上げますが、個人救済制度ができておりません。これも長年の懸案でございまして、ようやく知事会、あるいは総理府防災本部ですか、そういったところである程度成案を得ておられるようですが、どうかひとつこれが早急な実施をぜひお願いしたい。それから、激甚災にもちろんしていただきたいし、その際に、六月、七月というぐあいに合わせて一本ということにしていただきたいと存じます。これは従来の私は、役人でおった場合も、実例としてもそういったことを採用してまいっております。梅雨前線豪雨で六、七月ということでひとつくくれば、非常に市町村財政は助かります。どうか今度の災害が過疎地帯に起きた災害である、市町村財政は非常に苦しい、そういったこともひとつ十分勘案の上に、早急に出していただきたいと思うわけでございます。もちろん、市町村激甚災というものは非常に計数的に整理をしなければいけませんから、時間がかかりますが、しかし、少なくともこの六、七月の全体の豪雨激甚災にすることは、そう時間のかかる問題ではないと私は思うわけです。だから、この災害激甚災にすると政府は一言言ってもらえれば、これは非常に住民は安心する。行政当局も非常に安心をして仕事ができると私は思います。しかし、これは答弁は要りません。  そこで問題は、私はこれはちょっと呼ばなかったのですが、小災害の問題でございますが、市町村財政と関連しまして、市町村の小災害が非常に多い。それから林野庁の山地崩壊、そういったものが非常に多うございます。だから、小災害に対する措置をひとつぜひ考えていただきたい。しかも、その査定を簡便にしていただきたい。小災害一つ一つ査定をするわけにもなかなかまいらないと思います。だからこの際、地方行政当局を十分信用していただきまして、まとめて報告したらそれでオーケーと言ってもらえるかどうか、   〔理事松本英一君退席、委員長着席〕 そういう方法をやっていただきたい。これは答弁は要りません。そういった御要請が非常に強うございますので、ひとつその点も十分研究していただきまして、小災害、公共土木では十五万円以下、それから町村災害では十万円以下、そういった災害に対する対策を考えていただきたい。これは交付税なりいろいろな措置ができるだろうと思いますので、きょうは自治省はおられませんけれども、ひとつ総理府のほうからよろしくお伝えいただきますようにお願いいたします。  時間がもう少しですが、そこで、林野庁にちょっとお伺いしたいと思いますが、私は、今回の災害地を歩いてみまして、林野庁のいろいろな施設も見てきましたし、それから山のいろいろな問題も一緒に見てまいりました。そこで、林野庁の施設を私は非難するわけではございません。決してそういうことではありません。林野庁は特別会計を設けられまして、林地保護というたてまえに立っておられます。したがいまして、その目的に関する限りにおいては、私はそういった点は心配要らない。心配要らないというよりやむを得ないのではないかと思うわけでございますけれども、しかし、私が見ました菱刈町のシラス地帯のがけくずれの問題でございます。これは予防治山がやってあります。しかし、予防治山の高さが非常に少ない。そうしますと、予防治山の擁壁の上が非常に高い。したがいまして、その山が上のほうが高いものだからさらっと食われてくる。五倍くらいあるでしょう。上のがけの高さが。下の予防治山が二メーターかいくらかあるでしょう。そこでがけ下にある家は全部こわれたという実例です。だから私は、林野庁の考え方は、それは特別会計上やむを得ないということですが、治山、それらに関係する人命に関する問題につきましては、私はそういったのを度外視してやってほしい。私は、むしろ治山課というのは公共的な性格をもってやってしかるべきだ。独立採算性からはずしてほしいというふうに考えるわけですが、今度それらの問題はひとつぜひ検討していただきまして、要するに、人命尊重第一に考えられまして適切な施設をやっていただきたい。えびのの災害もさようでございます。これは建設省も同罪でございますが、やはり林野の砂防もやっておられるようですが、それから建設省の砂防もやっておられます。しかし、いずれも非常に小さい。だから、私は現地へ行って、あの小さい堰堤ではとてもあの災害は防げません。しかも、重要な鉄道とか人家があります。そういったところに対する対策としては、私はもっと思い切った対策をやられてしかるべきじゃなかったろうかという気がいたします。そこで、林野庁のほうにぜひこの問題を検討していただきまして、少なくともそういった防災対策につきましては、建設省も林野庁も、あるいはほかの省も全部一本になって、同じ強度を持った、しかも、安全性を持ったものにしてもらいたいという気がいたします。  それから、林野庁の伐採計画の問題でございますが、これはもう先ほどから再三同僚議員の方から話がありましたので簡単に申し上げますが、要点は同じです。しかし、部分伐採というのをぜひ実行していただきたい。私、加久藤トンネルをこう出まして、こうあの辺の山を見たら、全部はげ山である。これは一回加久藤トンネルを出ていただくとわかると思うんです。全部草ばかり。だから、あの山を見るとやはり川内川に洪水が出るのはやむを得ないかなという気もいたしました。最近非常に川内川が水が多い。何で多いのだろうか。雨量も多かったでしょう。しかし、私は、そういったことも原因の一部じゃなかろうかという気がするわけです。まあよく御検討くださいまして、全伐方式、皆伐方式というのは最近累次の災害によってやめられておるようですが、それをもっと縮小されまして、ひとつ少なくとも渓流沢々に災害を及ぼさないというようなやり方をやっていただきたい。片方を切れという、片方だけ切ったらどうかという話ですが、片方を切っても片方がこわれれば同じことですから、だから、ぜひひとつ片方を皆伐する場合には、必ず砂防堰堤をやるとかいろいろな処置をしてひとつやっていただきたい。それをやられない間はそういった伐採はぜひやめていただきたい。先ほど同僚議員からさような話がありましたけれども、私は、少なくとも対策ができてやるべきだと、対策もできないのに私はやるべきじゃないという感じを持ちました。どうかひとつ林野庁、建設省十分打ち合わせられまして、治山課と砂防課は非常に仲がいいですから、一そう緊密に御連絡をとられましてひとつやっていただきたいというふうに希望いたします。  次は、通産省がおいでになっているかと思いますが、おいでになっていますか。――おいでになってない。じゃ来たところでやります。先ほどのダムの問題と関連いたしまして、やはり通産省が電力補償の問題とか何とかで非常にむずかしい問題がある、そして通産省のそれに対する考え方を聞きたかったんですが、残念ながらおられませんので、後日にひとつ御返事をいただきたいと思います。  これで質問を終わりますが、先ほど申し上げましたように、原因を十分探究されまして、応急、緊急、恒久という段階に分けていただきまして合理的な復旧をしていただきたいと心からお願いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  117. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をとめて。   〔速記中止
  118. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記をつけて。
  119. 園田清充

    説明員園田清充君) 私どもの林野関係で各委員から御指摘をいただいておりますが、その中で少し誤解と申しますとなんですけれども林野庁長官の答弁からもう一歩前進して御理解願いたいと思いますが、いま松本委員からも御指摘がございました。古賀委員からも御指摘がございましたけれども、伐採自体が災害の原因ではないかということでございまして、さっき成長量の一・八倍を切っておるじゃないかということでございます。そこで、長官の答弁としてはさっき御答弁を申し上げたとおりでございますが、しかし、この異常な事態に対してやはり災害が発生していることを、現地を御調査いただいた皆さま方が、あるいは住民の方々がさようなことを指摘していらっしゃるならば、この一・八倍という計画が適切であるかどうかということを、私どもはやはり謙虚に反省することが必要だと思います。そういう点に立ってこの計画伐採に対する重ねてひとつ反省、検討をいたしてみたいと、かように考えておりますので、さよう御了承賜りたいと思います。  それから、なお、災害の原因が、せき堤の問題が出ておりましたが、特に建設省が先輩でございますので、この点は建設省にもぜひ私どもよく連絡を申し上げ、御協力いただきたいと思いますけれども、固定ぜき、転倒ぜき、巻き上げぜきというようなことで大別されるかと思いますけれども地域によってはぜひ転倒をということでございますので、なかなか河川改修の問題、いろいろな問題との関係で技術的に意見の一致を見ることができないようでございますが、少なくとも私どものほうからいたしますと、やはりこれは転倒ぜきのほうがよかったんじゃないかというような個所もたくさんあるようでございますが、こういう面はこの災害を機会に各省間の反省として災害がこれらのことに原因しないようなことでひとつ研究、検討させていただきたいと思いますので、御協力をお願い申し上げたいと思います。
  120. 前川旦

    前川旦君 私は、高知土佐山田現地を見ましたので、主としてそれを中心質問したいと思いますが、時間が限定されておりますので、私も質問を三問にしました。どうか答弁の方は説明を抜きにしてください、結論だけを聞かしてください。  そこでまず、土佐山田の土砂くずれは建設省関係でも、林野庁関係でも、国鉄でも、それから高知県側でも全くマークしていなかったところなんです。危険地域として指定していなかった、そこがやられたわけですね。ですから、一つの盲点をつかれたということになりました。国鉄にしても、高知県にしても科学者に事前に危険個所を見てもらっているわけです。それがどうしてこういう盲点になったのか、科学者の側に甘さがあったのか、行政のほうに間違いがあったのか、この辺はこれからじっくり究明をして、大きな教訓を必ず引き出していただきたい、こう思いますが、いろいろ各省にまたがっていますので、代表して園田次官に。  先ほど点検をすると言われましたけれども、過去に災害がなかったから次もないだろうという考え方はまず改めていただきたい。これが一。  それから、点検をしてあと何年もほっておくと、その間に地形が変わります。道ができたり、林道ができたり、あるいは皆伐したり危険がふえることがあります。したがって、再点検をできれば毎年一回、二年に一回でもいいです。やはり継続的な点検をする、これが必要だと思います。この二点についてまずお答えいただきたいと思います。
  121. 園田清充

    説明員園田清充君) まず、第一の点でございますけれども、私どものほうではすでに役所に対して通達をいたしておりますし、その中で約二千二百カ所、私ども農林省関係だけで危険個所があげられておりますが、ところが御指摘のとおり、今回の災害がそうした個所でない地域におけるところがございます。そこで今回の総点検にあたりましては、いま御指摘のようなことをひとつ踏まえてやらしていただきたいと思います。  それから連続点検の問題でございますけれども、これも御指摘のとおり重ねてやらしていただきたいと思いますが、ただ一つ私も現地を見てまいりまして、いまの科学者の権威の問題でございますけれども、実は天草で三十二戸ある部落で三十一戸が流失をいたしております。その中で一戸残っておるのですが、いなかのことを御存じですから申し上げますが、古い時代からあった家だけ二戸残っておる。生活の知恵と申しますか、科学的に割り切れないような点もあるようでございますので、こういう点もひとつ加味して検討してまいりたいと思います。
  122. 前川旦

    前川旦君 現地を見られた方たくさんございますが、現地を見てまず、一様に声をあげたのは、皆伐が原因じゃないか。これはちょうど頭をバリカンでかったように皆伐してあるのですよ。そこに植林しているけれども、まあ二年生か三年生か、小さい。目で見たところ、皆伐です。ちょうどそのバリカンでかったような皆伐のところがどしゃんと落ちて、両側は残っておるわけですね。したがって、見たわれわれは一斉に、これは木を切ったことが一番大きな原因ではないかとびんときました。もちろん、この因果関係を科学的に証明せよといわれれば、これはできません。同時に、因果関係がないということもなかなか証明できないと思いますよ。ですから原因究明を徹底的にやっていただきたい。これはそのほかに水道管を中腹に埋めてあったという問題もあります。いろいろあります。ですから、これは徹底してもらいたいと思います。  そこで、ごく最近、京大の名誉教授の矢野勝正さんという方を班長にして学術調査団が六十人ほど組織されまして、全国的に今度の災害の原因究明に当たるということを聞きましたが、そのとおりですか。
  123. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 私のほうではまだそういうことをやっておりません。
  124. 前川旦

    前川旦君 私のほうではそういう話を聞いておりますが、担当の方いらっしゃらないらしい。そこで、伺いますと、その予算を文部省から三百万円ついたという話を聞いておりますが、六十人の学者が全国的に大々的な調査をするのに、一体三百万円の予算で何ができるか。この調査団が出るという話を聞きましたので、やるなら徹底的にこの際十分の予算をとってやっていただきたい。このことを要望しておきます。これは担当がいらっしゃらないから、調査の上……。
  125. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) いま先生のおっしゃいましたこと、さっそく調査いたしまして、事実かどうかを調べてみます。
  126. 前川旦

    前川旦君 私は、十分な予算をとってもらいたいということを重ねて強く要望しておきます、  それから次に、これは高知県の安芸市というところへ参りましたときに指摘されましたけれども、学校と保育所の上のがけがいまにもくずれそうなんだ、くずれるのはわかっているんだ、そこで、一応休校にして子供は学校へいっていない、何とかそれを取り除きたいのだけれども、自治体としてはたいへん費用がかかる、何とかこれを国のほうでこういう緊急な援助をしてもらえないか、こういう要望がありました。こういう場合、一体どういうふうにされますか。これは建設省が所管だろうと思いますけれども、緊急に自治体がやって、それをあとで手当てをするというような方法をとってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  127. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しの個所は、高知県の安芸市の伊尾木というところじゃないかと思いますが、さっそく県のほうではとりあえず、まあ、くずれかけておるもののあぶないものを落とすということをやっております。なお、先生のお話しの事情であれば、私どものほうでその当該年度四十七年度の予算にそういった緊急対策用のものを保留いたしておりますので、当然それに該当するのではないかと思います。したがって、県等を指導いたしまして御趣旨の方向に進めたいと思っております。
  128. 前川旦

    前川旦君 土佐山田災害では各省にまたがっています。林野庁、それから建設省でも河川、道路、国鉄、いろいろ行政の縦割りがまじり合っている。この土佐山田の山ですね、追廻山。これは第三次災害を防ぐためにどこが主体になって、どういうふうな処置をするおつもりなのか。これは建設省農林省からお答えいただきたい。
  129. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 現在の復旧状況は、まだ遺体の捜査が全部完了いたしておりませんので、いろいろ住民の方のお気持ち等もそんたくしながら、捜査を重ねながら徐々に道路その他の復旧を進めているというのが実態でございます。そういったものができるだけ早く一段落することを祈っているわけでございますが、今後の全体の復旧方針といたしますれば、山地のほうは、くずれました個所でございますが、これは林野のほうで緊急にやっていただく。それからその両サイド、まだ森林がかなり茂っておりますけれども調査によって必要な急傾斜的な対策があればこれは建設省でいたします、もちろん道路も含めてでございますが。  それから国鉄との関係は、これは道路と国鉄との間ですでに仕事の分担等の打ち合わせを終わっております。なお、国鉄から下の護岸等につきましてはこれは河川のほうで始末をするということで、一応作業の分担はきまっておりますので、現地状況が円滑に進みますれば直ちにそういった方向で根本的な復旧に当たりたいと考えております。
  130. 前川旦

    前川旦君 先ほどから被災者の移転の話が出ました。これは総理府ですかね。えびのの話はずいぶん出ました。土佐山田の話が出ておりませんが、ここもやはり何回もやられているわけです。これも先ほどの前例を見て、措置をする、適用されますね。
  131. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) さようでございます。
  132. 前川旦

    前川旦君 土佐山田の場合には、なくなった方に非常に特徴があります、御承知のとおりですが。これは消防庁にお尋ねをいたします。  一人の生き埋めになった人を掘り出すために出動した消防職員あるいは消防団員、それに対する協力者がどんとやられたというたいへん例のない事例だろうと思います。そこで、協力者はちょっとあと回しにして、正規の消防職員、それから消防団員、これに対する賞じゅつ金、あるいは補償金、こういった手当てはどういう方針でなさる御計画ですか、お伺いいたします。
  133. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 消防職員、団員に対する賞じゅつ金でございますが、賞じゅつ金につきましては表彰規程というのがございまして、そういう場合に百万円から最高三百万円、国として差し上げることになっております。私どもは、おそらくこの場合は三百万円に該当するであろう、こういうふうに考えております。国として賞じゅつ金を差し上げました場合には、県と市町村が同額差し上げる、こういうルールになっております。賞じゅつ金につきましては以上のとおりでございまして、消防職員、団員、区別はございません。  それから災害補償でございますが、災害補償につきましては、消防職員につきましては地方公務員の災害補償の法律上の制度がございます。それによって災害補償といたしまして年金または一時金が出ます。それから消防団員につきましては、ただいまの消防職員の例に準じまして、条例によりまして同じく年金または一時金を差し上げる、こういうことになっております。
  134. 前川旦

    前川旦君 そこで非常勤の消防団員の問題ですが、この一時金、年金の計算の基礎になる補償基礎額ですね、基礎額に若干問題があると思いますが、基礎額は比較的低い。したがって、二十年勤続ということになりますと、常勤の方と非常勤の方とやはりもらう金額に差が出てきます。そこで最近、この二十年以上で補償基礎額を二千百六十円から二千四百五十円に上げたということを聞きましたが、上げたところで、これに適用になりますか。いかがですか。
  135. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 御指摘のように、四月一日から適用するという制度になっておりますから、新しい制度が適用されることになると思います。
  136. 前川旦

    前川旦君 ここでは一応、住宅に避難命令が出ておりました。そこで動員を受けた、指示を受けた消防団員消防職員が救難に当たっておった。それに対して住民の人が協力者として出ていたわけです。これは避難命令が出ていましたから、やじ馬はいないのですよ。みな仕事をしていたわけですね、協力して。ですからこれはきめられた法、あるいはその条例できめられた消防――これは水防も同じです。協力者として最大限の処置をしていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
  137. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 協力者につきましては、一つは、いままで公務災害補償の制度があったわけでございます。それに従って災害補償が行なわれるわけでございますが、ただいま御指摘のように、これまでは協力者につきまして賞じゅつ金を差し上げるということにはなっていなかったわけでございます。今回の事態にかんがみまして、閣議におきまして賞じゅつ金を一般の公務災害補償のほかに差し上げると、こういう取り扱いをすることにいたしたわけでございます。
  138. 前川旦

    前川旦君 この協力者の範囲を最大限広くとっていただくということは実態に即したことでありますので、そのことも含めてお答えをいただきたいと思います。
  139. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 協力者の範囲につきましては、おそらくいろいろ議論があろうと思います。しかし、私どもは、考え方といたしましては、ただいま御質問の趣旨のようなことで取り扱っていきたいと考えとおります。
  140. 前川旦

    前川旦君 この協力者には年金が支給される制度があります。一時金と年金ですね。そこで、年金の額、一時金の額を計算する補償基礎額、これが日額千五百円から二千百円までの間で実情に合わせて適用すると、こういうことになっていると思うんですね。この千五百円、これはいまの普通の常識に反して、いまの普通の日当に反してこれはやはり低いと思いますね。ですから、千五百円から二千百円までの間という六百円の幅がありますから、その幅を最大限に生かして実態に合うぎりぎりのところできめていただきたいということをお願いしておきたいんですが、いかがですか。
  141. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) 私も、おっしゃいますような趣旨で判断をしてまいりたいと思っております。
  142. 前川旦

    前川旦君 先ほどお答えにありました常設消防職員、それから非常勤の消防団員、これに対する賞じゅつ金、補償金、いずれも末端の地方自治体の負担分があります。かなり大きな金額ですね。それから、いまの協力者に対する年金、これは半分が中央の基金が持ちますけれども、残額の半分は地方自治体が持たなければいけないということになっていると思うんです。ただ、高知県の場合は、組合をつくって全体としてプールをしていらっしゃるようですが、それにしても、年間十億ぐらいの予算で税収が二億円ぐらいの町ですね。とてもじゃない、支払う能力がありません。それから、組合をつくっていますけれども、この高知県でつくっているこういう場合に備えての組合では、五年に一度こういう事件があるであろうということを前提にして積んでいますから、百五十万円ぐらいしか基金がたまってないと思うんです。これに対しておそらく一億円をこえる金の支出をしなければいけないのじゃないかと思います。これはもちろん地方自治体の手に余ることです。法律できめられ、条例できめられたことですけれども、金がないというとやれません。そういうことでありますので、皆さんの努力で実際にやれるような手当てをしていただきたいんです。この点について御意見伺いたいと思います。
  143. 宮澤弘

    説明員(宮澤弘君) おっしゃいますように、まだ計算としては確定はいたしておりませんけれども、おそらく一億をこえる支出を余儀なくされるだろうと思っております。これにつきましては、私どもも地方財政の運営上、前川委員承知のように、特別交付税という制度がございますので、地方負担につきましては、特別交付税によりまして地方が迷惑をしないようにカバーをいたしたいと思っております。  それから、ただ特別交付税にいたしましても、これは御承知のように、年度末交付ということになるわけでございます。したがいまして、この間にタイムラグが出てくることが予測されるわけでございます。その辺も県と相談をいたしまして、資金繰り等につきましては万全の策を講じていきたいと、こういうふうに考えております。
  144. 前川旦

    前川旦君 私は、昨日、一昨日ですね、消防庁長官並びに次長が財政当局と非常に交渉されて、いまのような特別交付税ということに結論されたということに対して、心から敬意を表してお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。  次に、これは各省にまたがった話ですけれども災害査定を急ぐということが先ほど答弁の中にありました。急くだけじゃなくて――交通が途絶しているところがたくさんあるんですね。急がなければいけない。査定前の着工、応急復旧、こういうようなものを積極的にどんどん認めていくという方向で考えてもらいたいと思いますが、いかが  ですか。
  145. 園田清充

    説明員園田清充君) ただいま御指摘のとおり  に善処したいと思います。
  146. 前川旦

    前川旦君 それから各省、各庁、国鉄、林野、建設、それぞれを有機的に結合をして一体施行といいますか、そういう形の姿をとってもらいたい。すでにそれは総理府から指示があった、どこからか指示があったということをちょっと聞いておりますが、事実そうであればたいへんうれしいことだと思いますので、一体施行を強化するということをこの際伺っておきたいと思うんですが、いかがですか。
  147. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) その点につきましては非常災害対策本部で、土佐山田につきましては国鉄、建設省、林野庁、各ばらばらでやっておる様子がございましたので、一体化して今後ともやれという指示を出しております。
  148. 前川旦

    前川旦君 それから安芸市周辺、これは高知県のいまの土佐山田と別のところですけれども、中小河川のはんらんが災害のたびに起こるわけですね。もうあふれるのがわかっている。わかっているけれども予算のとおりやっていったら十年かかる。十年間とにかく、もう毎年しんぼうせにゃいかぬ。土地改良やったようなところへどうっと水が流れていく。さっきのお話じゃないけれども、それ、実態があるんです。ですから、全国でもこういう例が多いと思いますので、実態に応じて、総花的に予算ばらまいて十年間にやるなどということじゃなくて、これはと思うものはピックアップしたら一年でやる、二年でやると、こういうような思い切ったことを私はやっていただきたいと思うんですが、これは建設省総理府ですか、お願いをしたいと思います。
  149. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほど古賀委員のほうからもお話しのございましたように、やはり恒久対策は恒久対策といたしまして、当面の応急の問題、それからただいまのお話しの再度災害を防止するような緊急対策の問題、こういったものにつきましては、できるだけ一定の期間を目標にして御趣旨のような方向で集中的に改修するように努力をいたしたいと思います。
  150. 前川旦

    前川旦君 これは建設省総理府の両方にお尋ねをしたいと思いますが、通称がけくずれ防止法ですか、正式に言うと急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律というのがあります。これで、全国でも一万以上の危険地域があるけれども、二千二百近くを指定をいままでして、予算もわずかですけれども組んでいる。この法律をうんと生かしていかなければいけないんですけれども、実はこの法律をたんねんに読んでみると、第三条に、第一項は、都道府県知事危険地域指定することができる、これは非常に弱い。その次の第二項に「前項の指定は、この法律の目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。」、たくさん指定して安全をはかれというんじゃないんです。できるだけ少しせい。これはいまの姿と逆行していると思う。おそらくこの年からいって四十四年ですから、いまだに――この経済成長なくして福祉なしと言っておった一時代前の時代の考え方が残っているのじゃないかという気がいたしますよ、ですから土地の所有者のことも考え、開発のことも考え、最小限にとどめろというこの姿勢は、私は誤っていると思う。この際、法を改正して危険地域をうんと指定して全面的に力を入れるというお考えがあるのかないのか、この点について建設省総理府とにお尋ねをいたします。
  151. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しのように、全国で約一万三千カ所余りが四十四年の調査で対象に浮かんだわけでございますが、実績はその一割に満たない数字しか指定されていない。それはただいまおっしゃるような面も確かにあるいはあるかと存じますが、やはりこの危険区域の指定をいたしますと、七条にございますように、かなり行為の制限を伴うわけでございます。したがって、実態としますと、市町村等で随時事業をするというようなケースが非常に多いわけでございます。そういったことのないようにということで今回大臣からの指示もございまして、現在、総点検の作業に入っておりますが、そういった機会にさらに指定の促進をするように指導いたしたいと思いますし、なお、法律の必要最小限というのは、必要なものまで否定をするんじゃなくて、必要なものは当然これは指定をすべきでございまして、その範囲等の判断にあたっては十分私権の制限にならないように注意をしろと、こういうことでございますから、特におっしゃるような御心配はないと思いますが、なおそういう点も十分くんで私ども指定の促進を指導いたしたいと思います。
  152. 小宮山重四郎

    説明員小宮山重四郎君) 建設省とも協議して、今後とも整備したいと思っております。
  153. 前川旦

    前川旦君 知事指定することができる、弱いんですね。それからできるだけ最小限度にしなさい、これでは私は、やはり消極的にならざるを得ないと思います。ですから、むしろ一歩突っ込んで危険なところはせねばならぬとか、それから危険だと思われる個所はできるだけ広範囲に、またいろんな関係もありましょうけれども、積極的になるようなかっこうにやはり姿を変えていただかないと姿勢が変わらない、私は実はこう思いますので、この点も御検討願いたいと思います。  それから、この法律によりますと、この事業に対する国の補助、「都道府県営工事に要する費用の二分の一以内を補助することができる。」、これは二十一条ですね。国は補助することができる。これは新聞によりますと、四割の補助だと聞いておりますが、実態はどうなのか。国が四割、県が四割、それから受益者負担という名前でしょうか、地元の自治体、とにかく地元が二割負担、こういう割合になっていると聞いていますが、そのとおりですか。
  154. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのとおりでございます。
  155. 前川旦

    前川旦君 これは建設省さん考えていただきたい。このために組まれた予算は確かに四十七年度予算で三十七億五千万円だというふうに、私の調査ではそうなっているんですが、かりにもう七億ちょっと、八億ぐらいを加えれば五割負担になりますね。いくでしょう。――そうすると、かりに五割負担したとすると地元負担が二割が一割になる。これは半分になるわけです。もう八億加えれば地元負担ほとんどゼロでいけますね。わずかな金なんです。この地元の末端の自治体に負担があるがゆえに、積極的にやはりやろうという姿勢がどうしても乏しくなります。やむを得ません、これは。わずかのことで法律が生きるかどうかということでありますので、この国庫補助の割合はふやすという方向で御検討いただきたいと思いますが、この際いかがですか。
  156. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) この法律の趣旨はもちろん人命の保全でございますけれども、やはり一義的には個人の土地なり財産はまず個人が管理し、保全をはかるというのがたてまえでございますので、これはあまり徹底をいたしますと、またいろいろな疑義を生ずる問題になるかと思います。したがって、まあ私どもといたしますと、できるだけ事業の範囲を拡大するということについてはつとめておるわけでございますし、相当重要度の高いものもまだ十分この事業の対象として消化されてないというふうなことでございますので、こういった事業の促進と、それからまた住宅を移転したほうがむしろいいんじゃないかというようなケースもあるわけでございます。そういったものにつきましては、ことしから住宅の移転に対する助成制度等も始めておりまして、そういった総合的な行政でできるだけ法の趣旨を生かすように努力をしておるわけでございます。  なお、お話の点は前々からもいろいろ議論が出ておりますので、今後とも十分検討はいたしたいと思います。
  157. 前川旦

    前川旦君 今後とも十分検討とおっしゃいましたけれども、五割までは補助できると書いてあるのですから、わずかのことですから四割なんと言わないで、法改正しなくても五割ぎりぎりまでの補助率を上げてもらいたいということなんですから、この際、さっぱりとお答えになってもいいんじゃないですか。その方向でやりますと、こういうようなことを……。
  158. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほど申し上げましたような趣旨でございまして、国としてもできるだけ急傾斜地の危険な家屋に対しては援助の努力をいたしておるわけでございます。ここで、私は建設省の立場でございますので、私だけでただいまお話しのようなことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、十分検討いたしたいと思います。
  159. 前川旦

    前川旦君 もう一問だけ許してくれましたので、一問の中に少し加えますが、このがけくずれ防止法の危険地域指定されるといろいろな制限があります。先ほど答弁の中にも出ました、いろいろ制限があります。この制限の中に、樹木あるいは竹の伐採、この制限もあります。しかし、これは全部知事の権限に一任をされているわけです。したがって、知事の許認可事業だと思います。こういうような指定された地域で、たとえば木を切りたい、あるいは工事をしたいという制限行為を申し出てきた場合に、なかなか知事の権限でこれは情が、どうしても人間ですから非難できません。どうしても人間であることですから、なかなかこれは断わりにくい面もあるのではないか、こう私は想像します。したがって、建設省のほうで一つの基準というものを、準則を設けて――条例でつくっていらっしゃるところがほとんどだと思いますけれども一つ指導要綱として、たとえば皆伐はだめですよとか、木を切るときにはこれだけしかだめですよとか、何かそういう基準をきめての指導をきちっとなさる必要があるのじゃないかと思いますが、その点、いかがですかということが一つ。  それからもう一つは、繁藤の追廻山は民有林です。何の規制も受けません。ただ、木を皆伐するときには営林署へ書類の届け出を出せば済むということであろうと思うのですよ、民有地ですからね。しかし、民有林であろうとも、木を切ることによって、皆伐することによって危険なところはたくさん出てくると思う。これを何かの法改正か何かで、あぶないところについては民有林といえども、これは所有者はおこるかもしれませんけれども、全体の福祉のためです。皆伐のようなことをやめさせるという、何かそういう歯どめというか、制限を設けるべきではないか。おそらく長官、あなた御答弁なさるでしょうけれども、それは保安林をふやしますと、こうおっしゃるかもしれないけれども、保安林を一々ふやすといっても、やはり民有林を保安林に指定する場合には所有者の承諾が要りますね。なかなかこれは遅々として進まないでしょう。ですから、とにかく木の乱伐はいけない、一切木を切るなとは言っていませんよ。そんな四角的なことは言わないが、乱伐だけは防ぎたいということで、たとえ民有林であろうとも規制のできる方向を考えるべきではないかと私は思いますが、その点いかがですか。その二つで終わりにいたします。
  160. 福田省一

    説明員(福田省一君) いま御指摘の民有林の場合でございますが、これは現在の森林法の中におきまして、これは五条にございますけれども、一応県知事が民有林につきましては計画をつくることになっております。その中で森林の伐採についての規制を必要があればすることができるようになっております。ただ、これはそれに違反した場合には勧告権しかございませんで、非常にゆるいものでございます。いま御指摘のような点につきましては、今後森林法等の改正も考えまして、そういった場合については全般的な手段、環境庁の自然環境保全法案との関連もございますし、いろいろと伐採規制につきましては、もちろん補償の問題もございますので、次の森林法改正の際に十分に検討してまいりたいと、かように考えております。
  161. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 急傾斜地の規制行為についてでございますが、非常に地域地域によっていろいろ事情も異なりますし、また、それじゃ自治体には、そういう能力がないのかというようなことも、私ども簡単にきめつけるわけにもまいりませんけれども、やはり一般的な注意事項なり判断の基準、こういうものは、やはりあったほうがいいんじゃないかと思いますので、ひとつその方向で私どもも検討いたしたいと思います。
  162. 前川旦

    前川旦君 終わります。
  163. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最初にお尋ねする問題は、いずれにしても、この激甚災指定が行なわれると思いますけれども、その期間をどういうふうに考えているのかという点についてお答え願いたい。
  164. 本名武

    国務大臣本名武君) 激甚災指定につきましては、災害地におきまする最大の御要望一つであろうと思います。したがって、鋭意査定に全力を尽くしつつあります。その結果を待ちまして決定をいたしたいと考えておりますが、時間的には、気持ちとしては、一日も早くと思っておりますが、査定その他の手続上取り急ぎまして、来月早々にも発令いたしたいと考えております。
  165. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点はわかりましたが、私のお尋ねしたい点は、その激甚災指定をやはり何月何日の大雨と、そういうふうに短く区切る可能性、こういうことを私は心配しているわけです。その期間をつとめて長くとって救済していくのだという、そういう姿勢を持っているのかどうかという点ですね、その点姿勢についてひとつ。
  166. 本名武

    国務大臣本名武君) 今回、私どもが検討いたしております災害本部は、一応、七月の集中豪雨を対象に検討を続けてまいりました。ところが、六月中のこの気象条件は必ずしも激甚であるかどうかはともかくといたしまして、それだけでは被害が済まずに、ついに梅雨前線を刺激したり、あるいはその後において台風六号が重なって襲来したりいたしまして、どうしても、やはり六月の災害も含めて総合的に今次六、七月の災害を対象にして考えていかなければならないのじゃないかと思っております。
  167. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまちょっと回りがざわめきましたのでよく聞き取れなかったのですが、六月の状況をよく加味をする、こういうことですか。
  168. 本名武

    国務大臣本名武君) そうでございます。六月災害も加えて考えていきたいと、かように考えております。
  169. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 気象庁にお尋ねしたいと思うのですが、最近、気象の状況が変わってきたといいますか、集中豪雨、これは非常に山間部、いわゆる過疎地帯に多い。で、都市部にはまずないと言っていい、非常に少ない、こういう点ですね。そういう原因がどういうところにあるかという問題。それから昔は災害と言えば、地震とか火災は別として、まず台風台風による災害、これはそういう考え方が強かった。しかしそれが最近では、台風ということよりも集中豪雨。この何年も毎年、来る年も来る年も集中豪雨です。そういうふうにこの集中豪雨が毎年やってくるというそういう気象状況というのは、いままであまり数少ないわけですね。最近になってそういうふうに集中豪雨が非常に多くなったというその気象状況、そういうものがどういうところに原因しているのかという点、こういう点について研究された点がありましたらそれをお答えいただきたい。
  170. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) ただいまの点について御返事いたしたいと思います。  従来の、昔の気象状況を調べてみますというと、やはり長い間には、気象状況がかなり変わっておる点がございます。たとえば台風の例で申しますというと、大正年間はわりあい強い風は少ないのでありまして、昭和年代に入りましてから、強い風が何回か襲来しております。こういうように、非常に長い間には気象状況が変わるという事実につきましては、世界各国でも認められておりまして、いわゆる気候変動という問題で、ある意味で非常に大きな問題になってきているわけでございます。それによりまして、たとえば将来の農業とか、あるいは災害対策一つの問題かと思いますけれども、そういったことについても、そういう問題を考えに入れる必要があるのじゃないかというような意見もあるわけでございます。ただ、その原因につきましては、残念ながら、いまのところ実はよくわかっていないのでございます。たとえば太陽活動の変化によりまして起こるのではないかという説もございます。それから海の状況関係いたしましてそれによって起こるものもあるのではないか、こういうような説もございます。ただ全体の気候状況と申しますか、太陽の地球に入りましてまた出ていく、そのバランスによってきまるのでございまして、そのバランスの変化というものは、非常にわずかな原因でも起こり得る可能性があるわけでございます。たとえば最近問題になっておりますのは、人間の活動によりましてそういったようなものが非常に影響するのではないか、こういう問題がございまして、現在のところは、そういういろいろな研究が行なわれておる状況でございまして、その原因につきましては、遺憾ながら、まだこうであるというふうにお答えできないことは残念でございます。  次に、台風災害集中豪雨関係でございますが、台風そのものにつきましては、先ほども申しましたように、多少変化してきている面はございますけれども、強さなんかについて見ますというとそれほど変わっているわけはないのでございます。ただ同じ台風が来ました場合の災害を調べてみますというと、戦後、非常に多かったのでございますが、いろいろの防災体制が進んだためでございましょうか、台風に伴います災害が非常に減っていることは確かでございます。数字はよくわかりませんけれども、一番多いときの状況を比較してみますというと、五分の一程度になっておるのではないかと思うのでございます。ところが、集中豪雨の問題に関しましては、これにつきましては、実はあまり詳しく調べてございませんけれども、感覚といたしましては、昔もいまもあまり変わりがないのではないか。むしろ最近のほうがふえているのじゃないかという感じがございます。その原因はよくわからないのでございますが、これは一つの想像でございますが、集中豪雨による災害と申しますのは、先ほどからもいろいろ議論がございましたように、がけくずれとか、そういったような問題がございまして、一つは人口の増加によりまして、いままであまり災害が起こりましても、人がいなかった、そういうところに人が住みつくようになったということ。あるいは宅地造成なんかでそういったような危険がふえた。そういったような、何と申しましなうか、社会環境と申しましょうか、そういったような変化がありまして、災害対策そのものは進んでおるけれども、結局そういった点であまり変化がない。むしろふえておる状態ではないか。まあこんなふうに私としては考えておるのでございます。  大体以上のとおりでございます。
  171. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 集中豪雨による被害、それが非常に大きいわけですね。そこで、その被害のよって来るところは、山がくずれた、こういうことで、非常に山がくずれるということについて、いままで盛んにそれを防ぐための論議が行なわれたわけです。そこで多いところでは一千ミリをこえるという。これは、九州じゃないんですよ。昨年川崎で人口放水によって山をくずした。非常に大きな災害が起きたわけです。言うならば貴重な体験です。その貴重な体験をどういうふうにとらえ、どういうふうに生かしたか、その点ひとつお答えいただきたい。
  172. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 昨年の川崎の事故につきましては、これは科学技術庁が中心調査でございます。ただし、それにいたしましても、私どもの土木研究所の所員等がかなりたくさん参加しておったわけでございます。現在その事故原因等につきましては調査が行なわれておりまして、まだ私ども結論は聞いていないわけでございますけれども、ああいった、いわゆる専門家ばかりが集まって実験をしておったところが、ああいう事故になったというようなことで、これは非常に私どもも反省しなくちゃいけない問題がたくさんあるわけでございまして、お話しのように、結果がまとまりますれば、十分これを今後のがけくずれ対策、そういったものに反映するように努力いたしたいと思います。
  173. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 科学技術庁が来ておりませんので、はっきりしたお答えをいただけないわけですけれども、去年そういったことで大きな被害が出たわけですね。で、当然この状況を踏まえて、そしてこれが各県、あるいは各市町村、この防災関係の責任者にそういった、いわゆる、あの実験の結果というものを十分話し合われて、そしてこの程度の、いわゆる土質で、この程度のいわゆる降雨量ならばこうなっていく可能性が強いのだという、そういう話し合いが、話し合いというか、研究というか、そういうものが私は行なわれていかなければならない。もしそれが行なわれていないとするならば――もう一年たとうとするわけですから、そろそろね。行なわれていないとするならば、何のための犠牲であったのかわからなくなります。そういう意味で私はお尋ねをしているわけですけれども、その辺のところはどうですか。  これは、確かに直接は皆さん関係ないかもしれないけれども、しかし災害で山がくずれていく、あるいは、いわゆる大量の雨によって山がくずれていく、そういったものを防いでいくという立場にあるわけです。ですから、当然科学技術庁においてこの実験をした、ああいう貴重な体験をどうなっているんだというくらいのことを私は知るべきだと、こう思うんです。その点どうですか、全然わかりませんか。
  174. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) あの実験の結果で、あの地域一帯は関東ロームの土質でございますが、そういったもののいわゆる含水量というんですか、保水量というんですか、そういったものがわれわれの想像をしておったよりももっと大きな量で、それが一挙に今度は落下するというようなことで、通常の土質の場合とは違って、ああいった土石流的な災害を起こしたということでございます。そういった概要については私も聞いておるわけでございますが、実は捜査当局のほうへああいった実験の資料等、全部現在参考資料に提出をいたしておりまして、手元にないようでございますので、何かそういうものが一段落をしませんと、ちょっと私どももお答えいたしかねるわけでございます。なおよく科学技術庁のほうにも連絡を申し上げておきます。
  175. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 連絡するだけでなくて、ああいう貴重な体験、経験があったわけですから、皆さんとしてもその実験の当事者ではなかったかもしれないけれども、こうやっていまここで論議をしている問題それ自体が、それにつながる問題なんですから、当然関心を持つべきです。そういう姿勢では、幾らこの場所でもって、どううまいことを言ってみたところで、その熱意に私は欠けるんじゃないか。その熱意がこういう問題を解決するか、しないかの大きな一つの原因にもなっていくのだと、こう私は思います。そういう意味で申し上げておるのです。  そこで、それでは次の問題に移りますが、いま田中総理が日本列島改造論ということを唱えて、非常にこれが大きな反響を呼んでおるわけです。そこで、私から言うならば、なるほど日本列島改造論、これはわからないわけではない。しかし災害列島改造論ということも、これは当然この中に含まれていかなければならない。そういう意味で、この中に、いわゆる災害列島である日本の災害をどう防いでいくかという問題が、このいわゆる日本列島改造論の中に含まれておるかということです。そういった点でひとつ知る限りお答えいただきたい。
  176. 本名武

    国務大臣本名武君) 私からお答え申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、総括的な問題、特に災害にも関連しての御指摘でありますから、一言述べておきたいと思いますが、実は、日本列島改造論は、たいへん、ある意味では皆さんに関心をお持ちいただいている。私もその点については同感であり、またけっこうなことだと思います。内容についてはいまさら申し上げるまでもございませんが、ただ、そのポイントとなるところは、やはり日本の現状におきまして、産業構造と地域構造が非常にいろいろまちまちになっております。これを積極的に改革していかなければならない。また同時に、並行してあらわれた現象としては、やはり過密、過疎の現象というものも、これを見のがすわけにはまいらない。したがって、これも解消していかなければならない。過密、過疎の格差を解消していかなければならないというようなことも、一つの大きなねらいだろうと思います。そうして、そこにでき上がるものは、やはり産業と文化と自然の調和が必要である、同時に、生産といわゆる経済行為、生産とそれから人間生活の調和というものが健全にはかられねばならないということが、あの改造論の一つの大きなねらいだろうと思われます。したがいまして、過密対策といえば、やはり都市対策になると思いますが、都市に対する防災については、これは当然施さなければならないということもうたわれていると思うのであります。また、過疎に対しましても、これは先ほど来、今次の災害で御指摘がありましたように、過疎地帯ほど被害が大きい、また過疎地帯ほど災害発生要因をかかえているところはないというようなことでありまして、この改造論の中におきましても、治水をはじめといたしまして、かなり積極的に処置を講じなければならない。特に既往の深い反省の上に立って、長い治水事業の歴史の上に立って思い切って改革をしていかなければならないということがうたわれているように思っております。
  177. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間がありませんので先に急ぎます。  先ほど農林大臣が総点検を命じた、こういうお話でありました。非常にけっこうなことであります。この前に建設大臣も、そういった危険個所の総点検をたしか命じたんじゃなかったかと思うのですが、非常にけっこうだと思うのです。そこで、いわゆる総点検をやることは、はなはだけっこうですけれども、それじゃどこに向かってその責任を、いわゆる総点検の責任はだれが持つかという問題、それからいわゆる総点検に対する陣容というものが整っておるのかどうか、この点ひとつお答えいただきたい。
  178. 園田清充

    説明員園田清充君) 総点検は、午前中、大臣から重ねて指示をしたという答弁がございましたが、そのとおりで、また、責任はどこにあるかということでございますが、当然政府側にございます。とともに、第二点の、現在の出先その他を動員いたしましてやっておりますので、陣容には支障はございません。
  179. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 建設はないんですかな。
  180. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私どものほうで点検をいたしております重点は、主としてまあ人家あるいは公共の建物なり施設のある、いわゆる、ものに対する危険ながけ地帯、こういったものを全国で点検しようということでございます。四十四年にすでに第一回の調査をやっております実績もございますので、今後さらに、それを方法その他改善をして、各府県の土木部を中心にいたしまして、土木の現地の出張所、それから警察、消防、こういったところにも協力を得まして、まあしっかり調査をやりたいと考えております。
  181. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私はまだ甘いと思うんですよ。その各機関を動員してやるんだと、総点検を。これは先ほどお話がありましたけれども、いわゆる学者が見て土質の調査をやる。それでも見当がはずれたような結果が出ておるというようなことで、だれでもかれでも総点検に参加すればいいというもんではない。当然、そこには専門的な知識を持った者がいなければならぬわけです。そういう意味で私はお尋ねをしているわけです。非常に総点検はけっこうだと思うけれども、そういう陣容が整っておるのかどうかということが私は心配になる。そこで当然この専門委員も必要であるという立場から、私は、これだけ毎年災害を受けておるわけですから、徹底的にこの山の土質調査をはじめ、このいろんな角度から総点検をやらなきゃならぬと思う。そういう意味から、私は、各県にそういう専門官というか専門委員、専門員というか、そういうものを配置するという、こういう考え方が必要ではないか。また、そういうこの配慮が必要ではないかと、こういうふうに思いますけれども、その点どういうふうに考えますか。
  182. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私どもの所管いたしております範囲では、大体各府県の土木部に砂防課というものがございます。ここに、主として現在の砂防なり土石流対策なり、がけくずれをやっておる専門家がかなりおるわけでございます。また、そういったところに、過去のすでにまあ航空写真等で全国かなり危険なところの資料がございます。それにまあ各市町村、それから聞き込み調査、こういったものを含めて、ある程度悉皆的な網を張れるんじゃないか。ただ、それをどの程度に危険かという判断の診断につきましては、さらに基準を設けるなり、あるいはまあ学識経験者の意見を聞いて判断、基準の判断の上で緊急順序等はつけていきたいと考えておる次第でございまして、大体御趣旨のような体制はできておると思っておる次第でございます。
  183. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 どうせ同じような答えだろうが……。  それじゃ具体的に、この私、九州の四県を回ってまいりましたけれども、ほかの委員から出てこなかった問題を取り上げてお尋ねをしてみたいと思うんですが、まずその一点は、御承知のように、宮之城町の湯田温泉でございますね、百二、三十戸一ぺんで流された。そして多数の死亡者も出した。非常に被害が大きいわけですけれども、このよってきた原因はどこにあるかということですね。その点をどういうふうにとらえておられるか。
  184. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) まあ原因といいますか、現実的には、ダムの操作がまあ不可能な程度に貯水容量が一ぱいになって、調節機能がなくなったということ。それから下流の、今度は河川改修の問題――やはりダムの調節と河川改修とが相まって初めて、安全を期せられるわけでございますから、そういった面では今回の雨なり出水を見直す必要があろうかと思うのです。ただし、それじゃ、どうしてあのような流量が出たかということになりますと、これはもちろん気象条件にもよるわけでございますが、さらにまあ地域のいろいろな開発状況とか、こういったこともやはり無視できないんじゃないかと思うのです。したがって、そういうものを、近く出発いたします検討会において総合的に判断をして、改修計画と地域方々の生活の安定とをはかるように立案をいたしたいと考えております。
  185. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その、いま局長がおっしゃったように、ダムの放流というもの、これが大きな被害をもたらした原因であると、こういうふうに地元では言っております。  そこで放流量ですね、当日の。三回にわたって放流がなされたようですけれども、その一回、二回、三回の放流量を、その各回ごとの。一回目幾ら、二回目幾ら、三回目幾ら、この放流量をひとつ教えていただきたい。
  186. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ダムに流入しました流量の山が三回ございます。第一回は、五日の二十二時の千七百八十立方メートル毎秒、二回目が、六日の午前八時の千八百二十立方メートル毎秒、さらに同じく六日の十四時の二千二百六十立方メートル毎秒でございます。  この初めの二つの流入の山は、かなりカットできたわけでございますけれども、最終の二千二百六十立方メートルの場合には、貯水池が満水になりまして、調節機能を失なったために、同量の水を放流いたしておる。こういうことでございます。
  187. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、最終的には二千二百六十であると、一番大量の水が流されたわけですよね。私は逆だと思うのですよ。最初に――極端な言い方をしますと、最初に二千二百六十流したというんなら話はわかる。それがだんだん一回目少なくて、二回目はそれより多くて、三回目はどうっとなった。状況は、たいへんな降雨量だからこそ、だんだん多くなったのであって、それと同時に、河川、川内川それ自体が、あるいは川内川につながる支川それ自体が、やはり増水してきているわけです。そういう状態の中でだんだん量を多くすれば、当然その被害がそこから生まれてくるということは、これはだれが考えてもわかることだ。したがって、私から言わせれば、いわゆる最初に多くの水を放流すべきであった。こういうように思うのですよ。その点に私は手違いがあると思う。それをどう考えますか。
  188. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 最初の放流では、大体まあダムから出る量を九百立方メートル毎秒に押さえて放流をしておるわけです。これによりまして、昨年、二度洪水がございましたときも、それから、今回も、六月の中旬に一度、同じような出水があったわけでございますが、これもやはり同じような操作によって一応目的を達してきたわけでございます。したがって、そういった経験なり雨の降り方から、今回も同様の措置で来たわけでございますが、実は鶴田、宮之城町の湯田温泉等につきましては、ダムからの九百立方メートルの放流と残流量を合わせますと、大体ひたひたになる温泉街なんですね。そういった点から、現地の管理所の所長の判断としましても――少し切り過ぎだという、あるいは先生の議論かもしれませんが、それ以上の放流を初期にできなかったというのが現在の湯田なり宮之城の地形の実情でございます。したがって、やはり絶体的なダムの容量がもっとたくさんほしい、こういうことが一番の私どもの希望でございます。
  189. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは将来の問題です。これからの問題ですね。私の聞いているのは、そういうことじゃないわけなんです。だから、ほんとうは逆でなければいけない。  そこで申し上げたいのは、ここは、鶴田ダム、九電ですか。
  190. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 電源開発株式会社です。
  191. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 この、いわゆる責任者が、最初の放流のときに、鹿児島の気象台と連絡をとって、いわゆる集中豪雨に対するその後の見通しを気象台と話し合ったかどうか。そういう配慮ができておったのかどうか。常識で考えたって、われわれしろうとが考えたって、降雨量がどんどん多くなって、そしてあとになって、たくさんの水を流せば当然被害が起きるということは、これはしろうとだってわかるわけですよ。当然、専門家がやる以上、第一回の放流をするときに、当然その後の見通しというものをつけた上で、こういうことがわかれば、私は逆に、最初に二千トンなら二千トンを流すことができる。電源を守るために、初めにうんと流しちゃってあととれなかったら困っちゃうという、こういう考え方があるにきまっているんですよ。それならば、いま私が言うように、いわゆる鹿児島の気象台と連絡をとりながら、その後の見通しというものをつけながら、放流というものをやったのかどうか。もしそれをやってないとするならば、これは私は手落ちという以外ないと思いますね。その点どうですか。
  192. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまおっしゃるような、気象庁との連絡、それからダム自身にも、流域に雨量観測所を設けておりますので、そういったものの情報、こういったものは十分把握した上で操作をしておるわけでございます。まあ結果的に、もっといい方法があるのじゃないかというような議論は、あるいはあるかもしれませんけれども、やはり一定のルールに従わないと、これは自由自在に操作をするというわけにもまいらないわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、やはり今回の降雨が、ピークとすれば、あまり高くはございませんが、非常に継続時間が長かった。したがって、調節機能がなくなったというのが実態でございまして、おっしゃるように、いろいろ操作の方法を、初期にもっと流すべきじゃないかというような点につきましては、やはりこれはダムの容量をそれだけ予備放流ということでふやしておきませんと、操作ができないわけでございますが、操作規則その他で、現在の規則ではそのようになってなかったわけでございます。したがって、今後は、先日のような雨ではとても容量が不足をするので、もっとあらかじめ予備放流をいたしまして貯水値を下げようじゃないかということで、基本的には電源開発会社、あるいは所管をしております通産省、こういったところとも了解がついておりますので、現在は気象情報によってできるだけ事前に下げる。電源との取りきめの水位よりも予備放流でずっと下げる、こういう操作をすでに行なっておるということでございます。
  193. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあほんとうは、これは、いわゆる人災か天災かということで地元はもめているわけです。ですから、ほんとうは私はこの点でぐいぐい詰めたいところなんです。ところが、時間がないものですからね。こちらには非常に困るし、そちらには幸いかもしれぬけれども、時間がないので詰めていくわけにいかぬのですけれどもね。  そこで、河川法では、豪雨を予想して事前にダムの水位を落とすという、この予備放流の義務づけがないんじゃないですか。その辺のところをはっきりさせておかないとうまくないと思うのですけれどもね。その点どうですか。その点はっきりしておかなくちゃいかぬと思うのですよ。
  194. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 河川法にも、利水専用のダムにつきましては、これはやはり洪水その他のそういった危険なときに緊急の操作をまあ命令することができるようになっております。このダムは直轄管理をいたしておりますので、当然河川管理者の判断でダムは操作することになるわけでございます。いずれにいたしましても、操作規定なり操作規則、こういうものをもってそれぞれ管理者は操作をしておるわけでございますが、緊急のときにはさらにまあそれに対して適切な指示をすることができる、このようになっておるわけでございます。
  195. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 その点ひとつ徹底することが大事なことだということですね。  それでもう一点、いま申し上げたように、人災か天災かという問題ですけれども、あの湯田温泉のあの場所に中州があるのです。その中州に国民宿舎が建っているのです、でっかいのが。こう手を広げたようにね、上流に向かって。その国民宿舎の建っている中州というのは、この所有はどこなんですか。
  196. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) この国民宿舎の用地は町有地でございます。
  197. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 で、これはいわゆる川内川の中州ですね、いいですか。それで行ってごらんになったかと思いますけれども、全く手を広げたようなかっこうでその国民宿舎が、ばんとかまえています。で、全然土台も何もゆるんでいないようですね、あそこだけは。かえってそれが悪かった。あれにぶつかって、百三十戸が建っているこの温泉街の道路に向かって流れ込んでいった。こういうふうに言われているわけです。ですから、今後の問題として、あの国民宿舎はあのままでは私はまずいと思う。何らかの処置をとらないとまずいと思う。と同時に、それがその原因であったということならば、これは町にも大きな責任があるということです。その辺を局長はどういうふうにとらえておるのか。全然あの国民宿舎は無害であった、今度の災害には無害であった、害を及ぼさなかった、こう見ているのか。あるいはあの宿舎があったがゆえにいわゆる水が横に流された、そのために道路に向かってはんらんしていった、こういうふうに考えるのか。端的にひとつ答えてください。
  198. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) この宿舎自体の位置は実はまあ河川敷になっていないわけでございます。ああいう特殊な地形で、ああいう形で岩盤の大きな州のようになっているわけでございますが、この辺はまだ県がずっと昨年まで管理をいたしておりましたが、はっきり河川区域とかそういうものが、線引きといいますか、十分なされていないといったのが実情でございまして、そういったものを大急ぎで調査しなくちゃいけないということでスタートをしたばかりでございます。で、今回の出水の実態を見ますと、単にダムだけの容量をふやすだけではなくて、やはり相当あの地区の河積も広げなくちゃいけないという感じがいたします。したがって、そういう点ではおそらくまあ私は撤去する必要があるんじゃないか、河川改修の計画上は。という感じがいたしておるわけでございます。ただ、出水の時点であの家がどのような状況になったかということにつきましては、ちょっと私も現場を見ておりませんのでお答えいたしかねます。
  199. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあその点はよく調査をして、そして――私はしろうとですよ、しかし見てきました。確かに地元の言われることもそのとおりだなあという感じを受けて帰ってきました。ですから、十分調査をする必要があると私は思う。国民宿舎を移すこと、それ自体はそれほどの大問題じゃありません。いわゆる百何十世帯も一ぺんに流され、そして多くのとうとい生命が失なわれているという面からいうならば、国民宿舎を移すことは、これは何のことはないと私は思う。ですから、十分にこれは建設省としても検討をしなければならない問題であろう、こう思います。  そこで、宮崎県ですがね、これは先ほどからいろいろと、宮崎県のえびの市の問題についてはいろいろと話がありました。まあ御承知のように、三十二万立米の土砂が崩壊した。それは、いわゆる国有林内の土砂が崩壊したんだと、それが被害の原因である、こういうことなんですね、結局は。そこで、この伐採の問題も、いろいろ集団移転の問題もございます。それは取り上げられましたので申し上げませんけれども、いわゆる国有林内の土砂が崩壊して三十二万立米、大量の土砂が崩壊した。それでその被害を及ぼしたということは、これはいわゆる国に責任があるんじゃないですか。私有林ということじゃない。ですから、私は、当然そこに国が、特にこの地点についての国の、補償ということは当然考えられるべき問題である、こういうふうに思いますが、どうですか。
  200. 福田省一

    説明員(福田省一君) えびの以外、過去の実例を見ましても、集中豪雨によりまして国有林から土砂が崩壊する、あるいは流木が出まして被害を与えた場合がたびたびございます。国の施設に瑕瑾がありました場合には国の賠償責任というのがございます。ただ、今回の事例、またただいま申し上げました過去の事例等によりまして、集中豪雨のような不可抗力と考えられるようなものにつきましては、国の施設の瑕瑾に基づくかどうかという判断は、非常にむずかしゅうございまして、ただいままでのところでは、国の賠償責任を出した事例はございません。えびのの場合は、今回はとりあえず見舞い金といたしまして、地元の町村に国のほうからわずかではございますけれども、出してございます。また、過去におきましても、そういう見舞い金ということで、一応町なりあるいはその他の団体に差し上げている事例はございます。
  201. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は逆、逆だからそれを言っているわけですね。過去になかったからといって、これからもやらなくてもいいという問題じゃない。それをいわゆる過去になかったからやらないということなら、これは非常に保守的だ。進んで言うならば、全然国に落度がなかった――そのいわゆる過去において、落度がなかった。こういう理由で落度がなかったと理由つけるならば、幾らでも理由はつけられる。しかし、先ほどからもいろいろと取り上げられているけれども、いわゆるあの崩壊の地点を見ると、二十年杉、その上には五十年杉、いわゆる二十年の期間たった新しくいわゆる植林された部分、そこからいわゆる崩壊しているということ、これは何か大きな意味があると私は思う。ですから、そういったことを考えた場合、じゃほんとに自然の力によってそうなったと、こう断定すべきなのか、あるいはそういう農林省の、言うならば農林省の植林技術というか、また、土質のいわゆる調査というか、そういうものが不備であったがゆえに、そういう災害被害が起きたということも言えないことはないわけです。ですから、私はもっともっと前向きに、過去になかったからと言うんでなくて、前向きに、そういう意味から取り組んでもらいたい、こういうふうに要望しておきます。  それから、今度熊本県なんですがね、これは非常に天草被害が大きかったわけです。で、先ほど松本理事のほうからも、岩石が流れてきた、これはもうたいへんなもんですね、非常にたいへんなものです。そこでその処置をどうするかとか、今後あの一帯をどのようにしていくのかという問題にも触れたわけですよ。私は、それですから、そういう問題には触れません。そこで、たしかあそこに、姫戸だと思うのですけれども、上天草病院というのがあります。ここの病院がたいへんにやられたのです。しかも、この病院は、あの一帯の唯一の病院なんですね。で、何とか早くこれは復旧してあげなければならぬと思うのです、金に糸目をつけずに。赤痢もちらほら発生しております。ですから、早く復旧しなければならぬと思いますけれども、いわゆる今後の復旧にどのくらいかかるか。また、損害額はどのくらいになるか。こういった点についてひとつ。
  202. 黒川弘

    説明員(黒川弘君) 上天草病院は竜ヶ岳町のいわゆる直営国保診療施設でございますが、今回の被害は、病棟、それから医師住宅、看護婦寄宿舎で、被害の内容といたしましては、埋没、流失、半壊でございます。復旧所要額といたしまして約一億五千六百万円の見込みが立っております。県から報告を受けておりますけれども、まだ復旧のめどは立っておりません。これに対します財政措置でございますが、現在の予算の費目といたしまして、国民健康保険診療施設整備費補助金という費目の予算がございます。この予算におきましてこの補助金についてこの被害復旧に優先的に対処してまいりたいと、ただいまのところこういうふうに考えております。
  203. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いずれにしましても、病院のことですから、相当被害を受けておりますから、もう国のほうが積極的にどうだと言うくらいにやってください。向こうが言ってこないから、おくれているんだみたいな姿勢でなくて、積極的にひとつやってもらいたい、こう思います。  あと今度福岡県ですね。福岡県の場合には高田町、太宰府、ここが先ほどから話が出ておりますけれども、いわゆる頭首工、農業用の取水せきですね、頭首工の土が全部洗われて決壊している。それがいわゆるあの高田町なんかはあれだけの被害をもたらした。もう原因がはっきりしているのです。太宰府もそうですよ、何カ所か見ましたけれども。ですから、この問題、先ほどから出ておりますけれども、十分これについては政務次官の明確な答弁がなかったわけですけれども、まあ研究してこれからぼちぼちやろう――まあぼちぼちじゃないですけれども、やろうというわけですけれども、急いで私、検討しなければならぬ問題だろう。毎年きますからね。これは全国的な問題ですから、ひとつ早急に考えてもらいたい、こう思います。  それから、これで各県のあれ一応終わります。それで、なお、あの一帯は、福岡県の場合は太宰府なんか盛んにいま開発されておりますが、開発についての知事の権限が非常に弱い。そのために規制することができない。そこで、そういう面での知事の権限をもっと拡大すべきじゃないか、こういうことが言えると思いますけれども、これもいわゆる福岡県のみならず、全国的に言える問題だと思うけれども、その点についてのお考え方をひとつ。
  204. 関口洋

    説明員(関口洋君) 御指摘のように、現地で福岡県知事からそういう御要望がございまして、早速帰りまして調べたのでございますが、これに対するいままでの対応策としましては、都市計画区域内、特に、俗に線引きと呼んでおりますが、市街化区域と調整区域の区分の設定をすることにつきましては、都市計画法で御案内のとおり開発許可制度がしかれまして知事さんに権限がございます。また、宅地造成をしました結果、がけができて安全性が阻害されるというような場合には、宅地造成等規制法の施行区域にいたしまして、がけの安全その他の問題について規制をする権限が、やはり知事さんに認められております。そういうもののほかになおかつ必要があるのかどうか、この点計画局のほうで福岡県と連絡をとって詰めておりますが、まだ明確な答えを実は福岡県のほうからいただいておりませんので、きょうのところはその程度でごかんべんをお願いいたします。
  205. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わかりました。それでね、この問題は、福岡もそうだし、それから熊本もそうですし、各県やっぱりそういう知事考え方を持ってるわけです。ですから、いまの答えですとね、これ以上何が必要なのかというようなお話だけれども、そうでなくて、現地知事がそう言ってるんだから、それじゃどことどこなんだということをはっきりして、それでその権限を与えられるべきものは与えると、早く、こういう姿勢が大事だと。ですから、私は、あなたの説明わからないわけじゃないけれども、消極的な姿勢でなくて、積極的にもっと乗り出せと、こう言うわけです。よろしいですね。  で、総理府に聞きますけど、昭和四十六年度の防災関係予算、決算、これについてひとつお聞かせ願いたい。
  206. 本名武

    国務大臣本名武君) 私の手元にも数字はございますけれども、内容にわたっては不詳でありますので、事務局から説明させます。
  207. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答え申し上げます。  四十六年度の災害関係の予算でございますけれども、六十五回の通常国会のほうに防災白書といたしまして提出いたしておりますけれども、科学技術の研究三十二億円、それから災害予防が八百四十五億円、それから国土保全でございますが三千百七十三億円、それから災害応急対策が五億円となっております。  それで、なお決算でございますけれども、これは現在各省のほうで決算をまとめておりますが、これをまとめまして今度の十二月に召集されます常会のほうで年次計画といたしまして総理府でまとめまして御提出申し上げます。
  208. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 四十七年度の防災関係予算がもうきまってますよね、七千七百三十八億三千万円ですか。――それじゃね、この四十七年度の防災関係予算は何を根拠にしてつくったんですか。
  209. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 四十七年度のとるべき措置といたしましては、国会のほうに四十七年度予算は提出しておりますが、これは各省から防災に関する研究、あるいは災害の予防措置、あるいは国土保全、あるいは災害復旧といったのを、項目を分けまして、各省からその資料を提出いたしまして、これをまとめまして、この年次計画を立てまして御提出したわけでございます。
  210. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはまとまっているわけですね。四十七年度の予算を組んだ根拠を聞いてるわけですよ。
  211. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 四十七年度の予算につきましては、四十七年度において実施すべき防災に関する計画ということでまとめております。
  212. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それで、まあ決算はまだまだできないらしいけど、その辺もちょっと、そういったことが全部わからないとほんとうの予算というのは組めないんじゃないか、だから中央防災会議というのは何をやってるのかという感じをしてるわけですよね。  そこで、この四十六年度の予算はもちろんわかりました。で、この予算以外に、災害が起きて――去年起きましたね、それに使われた、いわゆる災害だけに使われた――予算は別ですよ、その災害だけに使われた支出額はどのぐらいあるんですか、もうすでに大体二千億くらい……。
  213. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 現在まあ四十六年度につきましては、先ほど申し上げましたように、決算を各省でまとめております。四十七年度につきましては、現在のところ、各省で関係経費に使っておりますが、まだまとめておりません。これは年次計画の段階でまとめようと思っております。
  214. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私はその辺がやはりもう少し迅速化しないと。だから、そういう中で四十七年度の予算がきまってくるということも、私おかしいと思うのですよ。なぜそう言うかというと、たとえば、ことしは七千七百億だと、で、去年は五千八百億、その差は、その差というか、どれだけふえているかというと千八百億ですよ、で、千八百億ふえているのだと。災害は毎年来ているわけですよ。それで災害に要する金というものは毎年出ているわけです。そういったものは、ことしの予算にやはりはめ込まれていかなければならぬと私は思うのです、そういうものを踏まえた上で。そうして、そうしていくことによっていわゆる災害に対して、その防災に対して先手を打つことになると私は思う。これだけまず組んでおいて、災害が起きたら、これだけ出そうというのは後手ですよ、これは。だから大体年間これくらいの災害費が要るわけだから、当初予算のほかに。その分を含めてもう予算に組んじゃう、そうして、先にいわゆるいろいろな防災体制を組んでいくという姿勢が私は大事だと思う。そういう意味で予算はどうだ、決算はどうだと聞いている。私はその辺非常にずさんだと思う。
  215. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) ただいまの防災関係の予算でございますが、災害の予防、あるいは国土の保全、災害復旧といった非常な多岐にわたる予算でございます。関係各省におかれましても、その本来の事業と、それから災害復旧、あるいは災害予防との関連において関係各省それぞれ検討されまして、その必要な、たとえば、五カ年計画なら五カ年計画という範囲内でやっております。中央防災会議といたしましても、その辺予算要求の状況等を調べまして万全を期していきたいと考えております。
  216. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ほんとうは中央防災会議というのは何をやっているのか、こう言いたいわけです。それは言いませんけれども。言っちゃってから言いませんと言ったってあれだけれども。(笑声)  そこで、三点だけ。いままで災害を受けて復旧する場合に原形復旧ということが原則になっているわけですよ。で、改良復旧もいままでやっておりますと、こう言うけれども、姿勢としては原形復旧なんです、原則としては。だから、これを、特に今度の災害で聞くことは、全部改良復旧にしてもらいたい。それはそのとおりだと思うのですよ。大体原形復旧という考え方が間違っていると思う、日本のような災害の多いところで。ですから、その点をどういわゆる考えているか。それから改良復旧は四年ということだけれども、その場合に改良復旧だから四年ということはないので、これも二年なら二年、こういうふうに期間を縮めるべきだ、こういう考え方。それから補助工事である中小河川の問題、これについてこれを三年を二年――直轄工事と同じように、こういう考え方でやはり進まなければ私はいかぬと思う。それでなければいつも後手後手と全部後手になっちゃう。そういう感じを持っております。感じというよりもそういうことが現実であろう、こう思いますから、この点についてどういうふうに考えるか。これで最後にいたします。
  217. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 在来からおっしゃるような改良復旧的なこともかなりやってはおるわけでございます。しかし、今回の災害等にかんがみまして、私どももできるだけ改良復旧という要望を満たして河川の改修を促進していきたいという気持を持っております。したがって、いわゆる災害は原形復旧がたてまえでございますが、その原形復旧にいたしましても、たとえば、木橋等の場合にこれを永久橋にかえるとか、こういったことは在来からも進めておりますが、さらにそういったものをできるだけ徹底するようにしていきたい。  それから、ある程度の範囲、被災個所だけではなくて上流、下流、こういったような復旧の問題がございます。これにつきましては災害の助成事業、関連事業というものがございますが、こういったワクについてもいままでで不十分だということであればもっと拡大する方向で検討する必要があるんじゃないかというようなことで、現在査定状況とにらみ合わせまして、そういった作業もいたしたいと考えております。なお、さらに被災地個所からはるかに下流のほうでも、上流の改修が進みますと、当然さらに計画を改定しなくちゃいけない、こういう個所もあろうかと思いますが、こういったものが本来の治水事業を、そこにある程度集中しまして、できるだけ上下流が一貫するように、こういったことで、災害復旧並びに関連事業費それから治水費等それぞれの面で、御趣旨のような改良復旧をできるだけ促進する、こういう方向で取り組みたいと思っております。
  218. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あと年数の問題は、改修する年数の問題。
  219. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 年数でございますが、現在でも災害復旧等でございますと、これは三年に短縮したわけでございますが、すでに二年目で約七〇数%、国庫債務を入れますると八〇%になんなんとしております。問題はやはり出水期を避ける必要がある、あるいは降雪期を避ける必要がある。それから改良復旧等の場合には用地の取得もやはり伴うわけでございますので、どうしてもやはり短縮にもある程度の限度があるんじゃないかと思いますが、現在でも緊急なものはその中で二年で適当に運用してやっておるわけでございますから、こういった面をさらに強化していきたいと思います。そして体制が整えば、おっしゃるような、やはり将来は方向でいくべきだと考えている次第でございます。
  220. 園田清充

    説明員園田清充君) 大体建設省からお答えになったとおりでございますが、農林省といたしましても、御指摘のとおり、関連あるいは改良復旧これを併用して、二度と災害を起こさないようなことで対処をいたしたいと思います。なお、昨年から四年だったのを三年に期間を短縮いたしておりますし、緊急なものを単年度で仕上げていく。ただ私ども皆さん方のお歩きになったあとを歩きまして、実は内部の問題でございますけれども、私どもから中央防災会議のほうに出席をする官房に申し伝えておきましたことは、国務大臣現地を御視察になる場合に、いまのような関連改良をやろうという場合の事実上の査定の問題になってまいりますと、地方財務局との関連が出てまいります。そこで国務大臣という性格からして、大臣現地にお入りになる場合には、地方財務局も同行するようにぜひさして、いまのような御趣旨に沿うようなことを一体化という姿で進めてまいるように努力してまいりたいと思います。
  221. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この委員会でいま上林さんも、それから同僚議員のほうからも、鶴田ダムの問題が問題になっているわけですが、私もこの鶴田ダムの問題についてもう少しはっきりとした回答をもらいたいと思ったんです。今度の集中豪雨鹿児島のほうは六月の中旬、つまり六月の十一、十二それから六月の十七、十八ですか、下旬の六月二十七、八、七月の上旬の七月五、六、この四回の集中豪雨がそのまま川内川流域を襲っておるわけですね。まるでローラーにかけられたみたいに、川内川流域というのが。そこで問題は、この鶴田ダムについてあの川内川流域の人は一致してこのダムについて非常な不信感を持っている、たいへんな不信感を持っている。これは一致して不信感を持っている、中身はいろいろありますけれども。  もう一つ川内川の改修の問題について、災害復旧についてどうしてくれるのだという考え方を持っているわけです。  そこで、いまの鶴田ダムの問題について申し上げたいのですが、これは先ほど局長お話がございましたように、七年近い歳月を使って重力方式としては日本一というたいへんなダムができたわけですね。このダムができれば水害はないのだ、これから洪水にあうようなことはないんだというような宣伝も行なわれておりました。それからまた、キャッチフレーズでもあったし、あの偉大なダムを見れば、だれもこれは信用します。信用しておったと思う。これでもって水害とは縁が切れたわいという考え方もあったと思うのですが、ところが、局長も御答弁がありましたように、次から次へと不信感がある。四十四年はたいへんだった。四十六年――去年なんかもダムをとうしてくれるんだ、ダムは要らないじゃないか、あるから災害が出るんじゃないかというような意見が出ました。ことしになりましても、このたびごとに問題になってきている。最後は御承知のとおり、七月六日の日に放流が行なわれて百三十戸という鶴田の温泉街が全部流されてしまった。そしてすぐ隣りにある宮之城の町が床上浸水になってしまうというような、そして十九億というこれは宮之城町始まって以来のたいへんな水害をこうむった。こういうことになって、いまやこの鶴田ダムについて徹底的な不信感を持っている。これは川内川を含めて全部です。たとえば今度ああいうふうに二千六百三十トンという水を放流した。もしそのときに下流に三百ミリくらいの雨が降っておったらどうなるんだ。幸いにいたしまして、ちょうどそのころは川内宮之城もあまり雨が降っていなかった。上のほうは降っていました。もしそのときに下のほうに三百ミリ台の雨が降っておったら、これは川内市そのものが水の中につかってしまったんじゃないか、たいへんな惨害を起こしたんじゃないが。こういうことから川内市を含めて全体が、このダムについてたいへんな不信感を持っている。  そこで、このダムについて局長説明がありましたが、パンフレットを見ますというと、一億二千三百万トンの容量があるんだ、その中で災害の調節用としては四千二百万トンだ、ちょうど三分の一ですね。三分の一くらいのものが防災用の調節としてつくられた。いまのみんなの考え方としては、これを一億二千万トンにしてもらえないか。つまり六月、七月、八月ですね。洪水期の六月十一日から八月三十一日、この洪水期の間にこのダムをからっぽにすることはできないか、そうすればいまの四千二百万トンの洪水調整量の約三倍の容積を持つのじゃないか。何とかこの洪水期にからっぽにすることはできないか、こういう意見が非常に強い。ダムをぶっつぶせという意見もありますけれども、これはそういう気持ちになることはわかりますけれども、そういうことはできないのかどうかということです。  先ほど局長が、河川法の五十二条の問題をちょっと説明されましたが、河川法の五十二条というのは、場合によれば、ダムの施設者に対し放流を指示することができるようになっているわけですね。調べてみましたら一回もやったことはないのですね、指示したことはないのです。ダムと洪水という場合に、何としても、五十二条を発動したことはないということでは、これは先ほどからお話がありましたけれども、たいへんじゃないかという気がするのですが、私がいま申した、からっぽにできないかということ、そういうあの地域の住民の熱烈なる希望だと思うのですけれども、それについての考え方を聞きたい。  もう一つ、あの災害によって住民が言っておりますのは、これは、国の責任じゃないか、国に補償してもらいたいという考え方が出ているわけです。これは、総理府の副長官もちょうど行っておられますから、副長官もお聞きになったと思うのですが、国で補償してもらわなければ困るという意見ですね。私は、補償した例があるのかと思っていろいろ調べてみましたけれども……。ですから、補償の問題と、からっぽにできないかという問題ですね。この二つについて答弁をいただきたいと思います。
  222. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと答弁する前に要求しますが、これはやはり放水のあれを、まずダム操作規程がどうなっておるのか、放水をどうしたのか、それからダムの水位はどうなって変化したのか、こういうものを資料にして出してくださいよ。そうしなければ、ただ議論をして、こういうふうな議論で、これをそのままにしておくわけにはいかぬし、一億二千三百万トンというのは、これは非常な大きな容量を持っているわけです。だから四千二百万トンの調整能力を持っているというのだから、いまの意見は二人、三人全部出ているわけですね。これをただ簡単に答弁だけで済ますわけにはいかぬと思うんですよ。資料を明確に出して、まずダム操作規程はどうなっているのか、そうして放水をどういうふうにしてやっていったのか、ダムの水位はどういうふうに変化したのか、下流の水位はどういうふうに変化したのか、そういうものを資料にして出して、そうして、これは、きょう十分な討議ができなければ、次回に再度この問題については討議をするという方向にいきたいと思います。したがって、まずそういう資料を出すということを要求すると一緒に、的確なひとつ答弁をしていただくように私からも要望しておきます。
  223. 宮崎正義

    宮崎正義君 ほかのダムだってほとんどそうなんですよ。
  224. 松永忠二

    委員長松永忠二君) まあいまこれが大きな問題になっているからそういうふうにして……。
  225. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) この鶴田ダムの全貯水量は、お話しのように、一億二千三百万立方メートルございます。ただしこれは、いわゆるダムの底のほうは、堆砂その他のデッドストックになっておりますので、いわゆる有効貯水量として治水あるいは電気、こういったものに利用できます総量は七千七百五十万立方メートルでございまして、その利用の最低水位が百三十メートルでございます。したがって、物理的にはこれより以下は操作は少しむずかしいんじゃないかと思います。ただ、この七千七百五十万トンをいわゆる出水期にどのように利用するかということでございますが、現在のところでは制限水位は百四十六メートル五十でございまして、それから以下はいわゆる電気の容量と、こういうことになっておりまして、電気の容量になお約三千五百万トン余りを残しておるわけでございます。したがって、まあ今回の災害にかんがみまして、できるだけこの三千五百万トンを治水の観点から有効に使いたいと、こういう希望を持っておるわけでございます。ただし、やはり九州地区の電力の事情、それから電気の負荷等の変動がございますので、こういったものもやはり配慮する必要があろうかと思いますが、そういった点もさらに詰めまして、近日中には結論を出したいと思っておりますが、いずれにしろ、在来の制限水位にこだわらないで、大幅に治水容量をふやす、こういう方向で解決をいたしたいと思っておる次第でございます。  なお、操作のことでございますが、先ほど来申し上げましたように、このダムもまあ必死で洪水調節をやったわけでございますが、ついに容量不足のためにまあ期待に沿えなかったと、こういう結果を見たわけでございますが、そのために特に上流から入ってきております自然の流入量、これをこえた放流は、記録を見てみましたが、いたしておりません。したがって、まあ自然の流量を、一特にこのダムが増幅をして人工的に下流の流量をふやしたと、こういうミス操作はないようでございます。したがって、まあ補償ということになりますと、こういった場合には、国家賠償法とか、こういったものが対象になろうかと思いますが、それにはどうも該当しないんじゃないかというふうに私どもは解釈をいたしておる次第でございます。
  226. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 資料は出すのかね。資料は。
  227. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 資料につきましては、だいぶん関係の御熱心な先生方がおられまして、それぞれには要望に沿って提出をいたしておりますが、御希望であれば委員会にあらためて提出するようにいたしたいと思います。
  228. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御希望であればではなくて、委員会に出してください。それから、出すのも、委員会の審議の直前に出したってだめだから、早目に出して、みなの委員に手渡しができるようにしてください。そうしなければ検討はできません。
  229. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのように処置したいと思います。
  230. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大幅にこの洪水期の容量をふやしたいと、まあ三千五百万トンという余裕がある、それをできるだけ大幅にふやしたいということだと思うのですけれども、ですから私が言っているのは、一億二千万トン、大体一億二千万トンの中の七千七百万トンというのは電気の関係、それで洪水関係では四千二百万トンぐらいなんだと。で、住民が考えているのは、洪水期だけ、つまり六月十一日から八月三十一日まで、この間ダムをからっぽにすることはできないのかということですね。その間をからっぽにする。そのかわり、電気が起きない。それについては国が補償する。その程度の努力があっていいのじゃないか。これは積み重なっておるわけですから、このダムについてのあれは。今度も徹底的にきておるわけですよ、頭にきちゃっているのです。かっかときていますよ。そういう考えなんですよ。ですから、容量を少し一まあこの間一千万トン予備放流いたしましたね。一千万トン、そんなものではないんですわ。洪水期だけについて何かからっぽにするという、そういうことはできないのかということです。
  231. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私どものほうは、やはりまあ下流の治水上のことが第一だという考え方で各省との話をしておるわけでございます。もちろん、これには電気のサイドに不利益を伴うわけでございますから、そういった点についてはやはり治水サイドのほうで何らかの措置を講ずる必要がもちろんあろうかと思います。そういったことも含めて関係の各省庁と早急に詰めたいと考えております。
  232. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題が解決をみませんというと、まあ政府のほうで考えていらっしゃる二つの防災ダムをつくりたいと、すぐその流域に二つつくりたいということは、これはもう全然問題にならないですね。一顧だにされないと思うのですよ。とにかくこれができれば、水害はないのだと、洪水はないのだという形でできているわけですからね。それがいま言ったような形に出てきたものですから、これはほんとうに流域一帯の不信感ですよ。ですから、私がいま申し上げましたように、この一千万トンふやすとか、二千万トンふやすというような形ではなくて、少なくとも、からっぽにするぐらいの、その程度の努力を払う必要があると私は考えております。  それからその補償の問題ですけれども、これは私はもう前からこのダムについて、四十四年、四十六年と非常にだんだん不信感が強まってきて、こうすべきではないか、つまり、何とか電気だけに水をためておくというのではなくて、洪水期にはうんと減らすというようなことをやってくれればいいじゃないかという、そういう意見も非常に強くあったわけですよね。いまのっぴきならぬところにきているわけですよ。一歩も譲れぬというところまできているのですけれども。そういう経過からいいますと、今度の放流によりましてたいへんな被害を受けたということについて、国は責任はないというお考えですか、それを伺っておきたいと思います。
  233. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほど来申し上げましたように、まあこれはやはり改修とそれからダム計画なり操作、いろいろな問題があるわけでございます。そういった点では、やはりまあ重点をどこに置いてこの川内川の改修を促進するか、そういったような計画の立て方だとか、そういった点ではわれわれも十分反省する必要があると思っております。ただ今回の直接ダム操作そのものを見て、この操作があやまっておったかどうか、人工ミスかというようなことになりますと、これはやはり自然の流入量をそのまま下流に流すというようなことで、いわゆる人工的に流量を増加してないという点では、一つの計画規模にもやはり一定の限度がございますから、それを越した流量の場合には、まあやむを得なかったというような私どもとすれば判断をとっておるわけでございます。
  234. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃもう一つ、補償の問題なんですけれども、不信感ですね、補償の問題。これは先ほども問題になりましたけれども、菱刈町の築地という地区ですね、ここでことしの四月にたいへんりっぱな見上げるような堤防ができ上がったわけです。河川改修でたいへん見上げるようなりっぱな堤防ができたのだけれども、その堤防が百五十メートルか百メートルくらいつながってなくて、あけてある。これをつないでくれ、つないでくれ、つながないと梅雨期にはたいへんなことになるということで、再三にわたって工事事務所のほうに陳情これつとめたのだけれども、かりの、仮工事でもいいからつないでくれ、閉じてくれということであったけれども、ついにこれは閉じなかった。したがって六月十七、八日の豪雨の際に、ついにこれはそこのところから川内川の水が流れ込む。そうして田んぼは川になっちゃった、川底になってしまったという状態になっておるんですね。それで住民は、われわれは、堤防をつくるために川幅を広げなければならぬということで、そこで田んぼを政府に二十ヘクタール程度売り払った、それで堤防つくってくれた。つくってくれたけれども、つながないものだから、堤防と堤防の間があいているものだから、そこから水が入ってきて、ついに守ってくれるべき美田が川底になっちまった。踏んだりけったりだというわけですね。そのとおりだと思うのです。これについて、非常に農民の人は率直に、われわれがあんなに言ったのに工事事務所はついにつながなかった。仮工事でもいいからつないでくれというのにつながなかった、どうしてくれる。こういう非常に強い意見なんですね。ですからこれについて、対策と、いまのその農民の率直な意見についてどういう考えを持っていらっしゃるか。そのつながなかった理由には、これは樋門をつくらなきゃならぬからそこはあけとくんだということもあったらしい。しかし樋門をつくるんなら、あとでつくるんだから洪水の時期だけは何かかりに閉じといてくれという農民の意見ですよ。これは、農民の意見はあたりまえだと思うのですねそれについてちょっと伺いたいんです。
  235. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまのお話は、川内川の湯之尾の下のところじゃないかと思いますが、この地区の、これは全体の計画は、このショートカットをするだけで約三十億程度かかる工事でございます。したがって、まあ地元要望等もあって、できるだけ重点的に工事は施行していきたいということで、今回の出水によりまして、まあおそらくこめ堤防が、多少二カ所ばかりまだつながってないわけでございますけれども、そういうものがなければ、おそらく直接部落等にはんらんをして、溢水をしておったんじゃないか。そういう点では、一番上流の堤防などは、まあ部落の防護に対してはかなり役を果たしておるわけでございます。しかし、やはり全面的な溢水はしなかったけれども、逆に、二カ所ばかり堤防が連続してないというようなことで、そこからはんらんをいたしまして、農地等がかなり被災をしたわけでございますが、このあいておりますのは、一つは農業用水路の問題これの処置が十分地元との間にまだ話がまとまらなかったということ、それからもう一カ所は排水の小河川がございまして、将来樋門等をつくるわけでございますが、いずれにしましても、かりにこれを締めますと、今度は出水期の内水被害がまた裏に出てくるわけでございます。したがって、それに対するやはり処置がないと、できないというようなことで、やはり安全をとって少なくともまあ在来程度――在来は堤防もなかったわけでございますから、そういった意味では、こういう措置はやむを得なかったんじゃないか。しかしまあ相当多額の事業費でございますが、最終的には全部この地区を守るためにやはり働くものでございますから、私どもも、今後こういった事態も予想されますので、できるだけ早急にこの事業を促進する、そして早く完成する。こういうことがまあ第一じゃないかということで、これから全力をあげたいと思っておる次第でございます。
  236. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つの、先ほど言った農民側として見れば、つないでおいてくれればいいのにつながなかった、何度言ったって、つながなかった、かりにつないでくれと言ったが、つながなかった。そのために、そこのところの水田が川になっちまった、流されちまったということですよね。それに対して、けしからぬと、建設省は――これは建設省の責任じゃないのか。建設省は、だから、われわれのこのことについて、そのために被害を受けたことについて、補償をしてくれという意見ですよ。きわめて率直な意見だと思うのですよ。その点についてひとつ回答をもらっておきたい。
  237. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほど来申し上げましたように、特に、この河川工事の施工順序なり工法が誤っておるというようなことは私はないように思っております。したがって、近く現地に行く機会もあろうかと思いますので、十分私どもも説得をいたしたいと思いますが、多少やはり河川というものはそれぞれ上流、下流あるいは対岸と干渉し合うものでございますから、そういった点では被災された方々には非常に私は残念だと思いますが、そういった意味でもできるだけ早く堤防を完成してそういった心配のないようにしたいと思います。  なおこの被災をした農地等につきましては、これはやはり天災と言うよりほかにはないと思いますけれども、そういった観点からやはり適切な措置がとられるように私どもも努力はいたしたいと思います。
  238. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 関連。その点は、非常に私はいいほうに解釈しておられると思うんですよ。私も現地を見てきたんですよ。午前中大臣がわずかな時間しかないと言われるから、私は簡単に申し上げましたが、現地の人は、原形のままでもいいから残してくれと、こう言っているんですよ。それは、現地のものが希望した原形というのはどうかというと、ちょっと小高いところに木がはえておるんです、一本。あの高さであれば、ここは何も災害がなかったんだと、こう言っておるんですよ。いまあなたの考え方からいくと、ああやらざるよりしかたがなかったんだろうと、こうあなた言っておられる。これはおかしいと思うんだね。やっぱりこれは原形を残さなくちゃいかぬ。水害という問題をどうするかということに、建設省考え方が及ばなかったのではないか。しかも、そこの農民の希望があったにもかかわらず、やらなかったのじゃないか。そうして六百万円かけた農水路を一回だけ水を流しただけで、あとは流れちゃったという現状じゃありませんか。そこらは認識を変えてもらわなければちょっとおかしいですよ、その答弁が。もっとはっきり私は――当然それは建設省としてめんどう見たい、そうして早急にやるということを、今後の問題として。そういう点を明らかにしてもらいたいと思いますね。農民はたいへんですよこれは、いまおっしゃるように。
  239. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま高山さんのほうからお話がありましたけれども、どうも河川改修というのは、やってやるんだという感じが非常に強いんじゃないでしょうかね。これは、陳情や、何やかやあるから、そういう感じもお持ちでしょうけれどもね。もっと地域の住民をほんとうに大切にしてくれなければ困りますよ。工事にミスはなかった。しかし、農民が、これ閉じなければあぶないですよ、われわれはやられますよと、再三にわたって陳情した、仮閉じでもいいから閉じておいてくれと。聞けばどうも樋門の関係のようだと、じゃ仮閉じしておいてくれ、それもやらなかった。だから、おれの田んぼが全部川の底になってしまったじゃないか、どうしてくれるんだ。あたりまえの話だと思うんですよ。それを、工事にはミスはない、私は知らぬ。こういう考え方でやっていかれたんでは処置がないと思うんですがね。建設省の頭は、どうも私は、いまも高山君も言ったけれども、おかしいような気がするんだな。やってやるという気があるんじゃないのか、全然おかしいような気かするな。
  240. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのような気持ちは毛頭持ってないわけでございまして、できるだけ地域が早く治水環境がよくなるようにということで私どもも努力をいたしておるわけでございます。直接私も現地を見たわけではございませんし、先日概略の報告を受けた結果をお話ししたわけでございますが、十分工事の手順なりあるいは現地実情、こういったものをよく調べまして、措置をいたしたいと思います。そういうことで本日は御了承をいただきたいと思います。
  241. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今度は、先ほど高山さんも問題にしましたし、たびたび問題になったんですが、栗野町の内水排除の問題ですね。これは一年に五回ぐらいあるんですよ、この内水は。そこで、要するに、川内川のあそこの栗野町の流域というのは堤防ができてしまっているんです。護岸工事ができまして、堤防ができている。そこで、水が出ますというと、川内川の水位が上がる。上がりますというと、そこに注ぎ込んでいるところの川、これは逆流しますから、そこで樋門を閉じる。樋門を閉じますというと、その樋門を閉じられた川というのは、川内川に注いでおる川というものは、これは逃げるところがないから、その堤防をあれにして、全部あふれてしまう。その二つの川が栗野町の町の中を流れている。したがって、これが水が出るたびに内水になってしまう。そして床上浸水床下浸水というのがことしになってから、六月から四回だというんですね。去年もたいへんだったんですよ。去年も床上浸水でたいへんだったのです、あの被害地域は。そこで、これは何といっても、ポンプを備えつけて、そうして内水を排除するという必要があるんだということで、何かことしの四十七年度の予算だかにも調査費が組まれているのだというふうに聞いているのですけれどもね、それが組まれているらしいです。どうも栗野町というのは、水が出たら必ずこういう事態なんですよ。そうならざるを得ないんです。それではどうしてポンプを備えつけないのか、つけたらいいじゃないか。その点についてお答え願います。
  242. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 先ほども御説明申し上げましたが、あそこに走っております河川の、やはり無堤地帯の河川でございますので、この河川のやはり改修が先決じゃないかというようなことで、現在築堤等の用地買収にかかっておるということでございます。で、これを促進すること。  それからその次に、やはり地域のいまおっしゃっている内水の排除をどうするかということでございますが、改修した形でどの程度のポンプが必要か、こういったことについては少し検討をいたしたいと思いますが、やはり将来的にはポンプの必要もあるんじゃないかという気がいたします。その点さらに十分詰めまして、あの地域浸水を防御するようにいたしたいと思っております。
  243. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 時間がきましたので、最後に川内川全体の問題について伺っておきたいのですが、川内川はよくヒステリックな川だというふうにいわれる、あるいは動脈硬化におちいっている川だというふうにいわれる、あるいはエスカレーター川だというふうなことがいわれる。鹿児島は御承知のように、日本一、雨の多いところです。そうして梅雨前線というものは必ず――必ずといっては悪いが、あそこにきたら、あの北側にある熊本の切り立ったような山脈にぶち当たってしまう。梅雨前線に沿ってちょうど東西にその川内川が流れているわけです。ですから、梅雨時期になりますと、特に鹿児島は水が多いのだが、その川内川に集中的に雨が降る。そのためにヒステリックに川内川があばれるということになるのだろうと思うのですよ。動脈硬化というのは、御承知のように、鹿児島は独得の土壌です、つまりシラスですね。水を含みますというと、飽和状態になるとすぐくずれてしまう。水に非常に弱い土壌なんですね。川底の、川内川の百三十キロというこの川の自然の土というのは、ほとんどこのシラスです。ですから、水を含んでしまったらくずれてしまうという、しかもまるでコレステロールもいいところですね。これは動脈硬化におちいっておる川になっている。御承知のように、この河口とそれから上流との間の非常に落差がでかいですね。千四百メートルというたいへんなでかい、高い関係もあって、鹿児島川内川というものは、いま申し上げたようにたいへんな私は川だと思うのですよ。ところが、これに対する改修なり治水という問題については非常におくれているのじゃないでしょうか。私もいままで全国区だったのですが、地方区に回ってみて、川内川というものをいまさらのようにながめてみた。四十四年の水害のときに調査しまして、去年の四十六年の水害のときにまた調査に行って、ことし調査に行って、つくづくこの川内川を見た場合に、これは川内川の改修のしかたというものが非常におくれているのじゃないかと。いうならば、川内市のいわゆる河口ですね、これはある程度進んでおるですね。あと鶴田ダムですね。鶴田ダムと川内市との間の約三十一キロ、つまり東郷――宮之城、この間はほとんどこれは何もしていないといっていいんじゃないか。もちろん建設省に移ったのはことしといってもいいぐらいの点もありますけれども、少なくともこの中流の三十一キロというものはほとんど何も行なわれていない。上流でいえばいま問題のありました菱刈地区が、ショートカットがちょこちょこ行なわれている、そういう状況ではないでしょうか。ですから、川内川というのが、たいへんな雨が集中して降るという独特な川であって、シラスがまた周囲を取り囲んでおるという状況、あるいは川の河口と上流との差が大きいと、落差が非常に大きいというような点からいいましても、あばれるのはあたりまえじゃないかという気がするんですけれども、改修についての予算のつき方というのは非常に少ないのじゃないかと私は思うのですけれども、その点についてひとつ局長お話をお聞きしたいと思います。
  244. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) お話しのように、まさに九州の一級河川の中では、一番おくれておる河川でございます。そういった点では、私どもも非常に雨が降りますと心配になる最大の河川でございます。単に予算的な問題だけではなくて、上流、中流、下流と、いろいろ地形的な制約とか、歴史的な経過、こういったものがございまして、現在のまあそれぞれの地域の生活条件をあまり大きく変更しないで、どうやって安全に改修できるかということになると、非常に技術的な困難がございます。そういったわれわれの技術的な若干の逡巡と、それから地元のいろいろな対立的な感情と、こういったものが一つの背景になりまして、やはり全力投球をできなかったという、まあ要因をなしておるのじゃないかと思う次第でございます。しかし、そういったこともこの災害を見ますと、言っておれませんので、私どももひとつ抜本的な計画を立てて、真剣に川内川の改修と取り組むようにいたしたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。     ―――――――――――――
  245. 松永忠二

    委員長松永忠二君) この際、委員の異動について報告いたします。本日、前川旦君が委員辞任され、その補欠として森中守義君が選任されました。     ―――――――――――――
  246. 森中守義

    森中守義君 総務長官、今度ですね、現在までの集計では、約三百九十字余りの生命が失われたようであります。これは中央防災会議が出した防災基本計画の添付資料からいきますと、ちょうど二十八年以降統計上は五番目の大量な死亡者を出しておる。一言で言えば、異常災害であったと、こういうことに相なろうかと思います。そこで、先ほど自治省の参事官かだれか説明があっておりましたが、年次ごとに予算を組んで予防措置は講じてきたと、こういうことになろうかと思うんですが、よって、現在まで災害の予防を講じながら、依然として二十八年以降五番目の大多数の死亡者を出すというこの事態をどういうふうにお考えですか。具体的に言えば、災害対策基本法の三条の中に国の債務が明示されておる。明示されているこの責任を完全に果たし得たという、こういう自信がありますか。
  247. 本名武

    国務大臣本名武君) ただいまの御指摘のおしまいの問題については、最善の努力をいたしてまいりましたが、結果から申しますと非常に悲惨な状態におちいったということは、まことに遺憾でございます。それから今次災害が二十八年度以降五番目の異常な災害である、私どももそのように了解いたしております、はなはだ残念でございますが。ただ、なぜこのように大きくなったかということにつきましては、二、三の特色があろうと思います。第一の特色は、例年、集中豪雨で、一両日の降雨によって大災害をこうむる、あるいは台風によって大被害をこうむる、こういうのとは違いまして、何回となく同じ個所豪雨にさらされたということが一つ。それからもう一つは、防災計画によりまして、その基準に適合したところから防災施設を行なってまいりましたが、今次の災害はむしろ、その従来指摘された個所とは全然別な個所、いわゆる、従来はむしろ災害はこうむらないのではないかと思われるようなところさえも、今回らやられたということであります。  ただ、原因になりますと、やはり先ほど来御指摘のありましたとおり治山治水等について幾多の問題点はございますけれども、今回は非常に急ぐところから先にやってだんだん手が及ぶところであったかもしれませんけれども、山くずれであるとか、その他山津波であるとかいうような災害が、あまり考えられなかったと言いますか、むしろ、さほど心配に感じられなかったようなところが非常に多く被害をこうむっておるというような、まことに遺憾なことでありますが、変わったケースが多かったと思うのであります。要するに、数次にわたって豪雨にさらされたということであるとか、あるいは災害の地帯が、個々の個所を考えてみますと、従来の防災基準に従って施設をいたしてまいりましたところ以外のところを多くやられておるというような特色があったと思うのであります。したがって、先ほどもいろいろお話がございましたが、先般の災害対策会議におきましても、また、閣議におきましても、これが対策のためには、やはりこの機会に、災害対策と合わせて個所その他に対する災害の原因あるいは災害個所等あるいはまた今回災害にあわなかった地点も含めて、それぞれの省庁において、責任の立場において総点検を行なうということを決定いたして、それぞれ指示をいたしたわけでございます。そういうようなことで、今後再びこのような異例な災害が起きないような措置を講じてまいりたいと考えておるわけであります。
  248. 森中守義

    森中守義君 これは、せっかくのおことばですが、異常な性格を持つ災害であったという、そういうことではどうもやっぱりまずいと。災害には定型はありませんよ。そこで定型はないけれども、おおむねこの種のものが発生するであろうという予測は当然できると思う。で、したがって、先ほど上林委員は中央防災会議等にはこの際触れないというお話ですが、あえて私は触れざるを得ない。一体、中央防災会議というのはどういうことを議論するのです。決定をされた防災計画というものはどういうことですか。むろんこれは国会に報告をする、公表しなければならぬという内容にはなっておりますけれども、私もかいつまんで計画の内容を見れば、その計画が間違いなく実施されておれば、少なくとも被害は最小限度に防止することができる。それが行なわれていないわけです。だから一言で言うならば、基本法というものが存在をしながら、単なるこれは基本を示したにすぎない、具体的な裏打ちがない。たとえば、一例をあげますと、先ほどどなたか話が出ましたね。地すべり防止法制定のときに、この地すべり防止法が確実に運用されていくならば災害は防止できる、こういうことが当時の審議に参加した私の記憶にある。一体、地すべり防止をどういうふうに措置しましたか。熊本県当局から承った話では、要するに脆弱な地質はどの辺であるか、どこはどうなのかという、専門の調査する機能がない、むろん国にもない、こういう話なんですね。そこで、やれ五百ミリだ、あるいは千ミリ近い降雨量になってくれば、もはや言うところないように危険な個所ばかりですよ。私は防災計画の中で、そういう地質に検討を加えるとか、そういう技術者の配置をきめるとか、こういうことで、事前にそういうところがチェックされていたならば、あらかじめ防止できたんじゃないか。また雨量の測定にしましても、今度私どもが回ったところには雨量計それ自体がないんです。これはもうたいへんな問題ですよ。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕  まさに野放しというべきだと私は思う。だから、遺憾であったということですから、ここで議論することは目的じゃありませんからね、極力そのことは避けますけれども、基本法三条にいう国の責任は、要するに果たされていない。この責任は、政府一体のものとして十分反省されてしかるべきであろう、こういうように思うんです。いかがですか。
  249. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほどは、ことば足らずでたいへん恐縮に存じますが、率直に申し上げまして、今次の災害が異常である、それは災害の原因が異常であるということだけでなくして、御指摘のような、それぞれの措置においても欠くるところがあったのではないかと強く反省もし、また会議におきましてはその点も検討いたして、それぞれ指示をいたしたわけでありますが、特にこの防災会議の使命は、もう申し上げるまでもないと存じますが、災害を未然に防止するということから始まって、それぞれ災害発生に対する措置を講じていかなきゃならぬ。しかも、その計画及び現地調査等々につきまして、具体的なことは各関係省庁においてそれぞれ立てていただいて、防災会議はそれをまとめて進めるということでありますが、先ほど異例であるということを申し上げたのとあわせて、今次災害に際しましては、御指摘もありましたように、県がおっしゃっていると同様に、国においても、やはりいろいろな調査や、あるいは計画、立案の機能というものが十分でないことを反省いたしております。したがいまして、今次災害を契機として、さらに一そうこれを充実させるという意味で、従来、各省庁のお持ちになっている、あるいは出先機関のお持ちになっている機能を充実させる意味で、現在配置されております定員の中におけるこの処置は、なかなか容易でない場合もありますので、適切な民間人を積極的に起用してこの体制を整えていこうというふうに今回いたしたわけでございます。そして、そのことは各関係省庁指示いたしまして、それぞれの省庁において積極的に取り組んでいただいているはずでございます。そのようにいたしまして、遺憾であるでは済まない、また異常であるということのことばだけでは済まないということは十分に踏まえて、さらに今後、防災会議の運営並びに今次の災害対策に対して万全を期してまいりたいと考えております。
  250. 森中守義

    森中守義君 非常災害対策本部というものが設置されたようですね。当然、これは基本法からいってしかるべきものだと思うのですが、中身はどういうことですか。緊急措置をすべきだということが基本法では定めてある。定められたこの緊急措置とはどういう内容ですか。
  251. 本名武

    国務大臣本名武君) もうすでに御案内のとおり、災害が発生いたしますと、まずその原因を究明し、あるいは防災に手落ちがあったとするならば、どこにあったかという、その究明ももちろん必要でありますけれども、やはり人命をはじめとして物的ないろいろな被害等々について至急調査をすると同時に、それに先立って人命救助あるいは生活諸条件を救済するための措置をとっていくことはもちろんであります。同時にまた、災害対策本部は、基本法を受けまして、災害のつど政府に設置されまして、これが対策を実行に移していくわけでございます。災害と一口に言いますが、その災害の内容は、御案内のとおり、各省庁にまたがることが非常に多いのでありまして、内閣におきまして災害対策本部をつくって、各省庁間の連絡、連携あるいは国の責任において施すべき災害対策について、それぞれ検討、協議をし、指示をいたしているのが災害対策本部のやってまいりました仕事でございます。
  252. 森中守義

    森中守義君 時間がありませんからちょっと急ぎますが、先ほど七千七百何十億とかという説明がありましたね。まあおそらくそれは総額を示されたものと思うのですが、防災業務計画、それから予防計画、応急対策、それぞれに予算はどういうような内容になっておりますか。
  253. 本名武

    国務大臣本名武君) 数字について正確を期するために、事務当局から説明させます。
  254. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答えいたします。  昭和四十七年度に例をとりまして、各省についております予算をまとめましたものを御説明申し上げますが、まず防災関係の科学技術の研究でございますが、これが昭和四十七年度三十九億になっております。それから災害の予防でございますが、これは関係各省で、その災害の予防関係で、あらかじめ客客の保全をいたすわけでございますが、これが千二百六十五億ということでございます。それから国土保全関係でございますが、これが三千八百九十六億どなっております。それからさらに、災害のあった場合に、それを復旧いたします経費でございますが、これが二千五百三十七億。これがさっきの七千七百三十八億の内訳でございます。
  255. 森中守義

    森中守義君 予算の構成は、おそらく前年の実績主義をとっていると思うんですが、そういうように理解していいですか。前年度の三%増とか、四%増という、そういう積算ですか。
  256. 本名武

    国務大臣本名武君) 必ずしも実績によって何%増しというようなことではなくして、各省庁においてそのつどの状況に対応してそれぞれ計画を立てられ予算が計上されている、そういうふうに承知しております。
  257. 森中守義

    森中守義君 これは事態が発生して長くたっておりませんから、正確な数字の把握はやや困難かと思いますが、被害県からあげられた被害の額といいますか、大体これは概算として把握できていると思う。規模としてどのくらいになりますか。   〔理事松本英一君退席、委員長着席〕
  258. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 御報告申し上げます。  これは現在調査中でございますけれども、現在まで明らかになりました被害額でございますが、冒頭に総務長官被害額として御報告申し上げましたように、公共土木施設が約千八百十九億円でございます。それから農地等――これは農地あるいは農業用施設あるいは林道等含めますが、農地等につきましては六百十五億円でございます。それから農作物等被害が三百六十四億円、その他各種の被害がございますが、現在その調査をいたしまして判明いたしましたものを全部合わせますと三千六百三十四億円というふうになっております。
  259. 森中守義

    森中守義君 その他も合わせて三千六百三十四億。
  260. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) はい。
  261. 森中守義

    森中守義君 総額は。
  262. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) 総額――ただいまのとその他を合わせましたのが三千六百三十四億円でございます。
  263. 森中守義

    森中守義君 これは各自治体から急速に処理してほしい、こういう非常に強い要望。おおむねいつごろ決着をつける予定ですか。それと、三千六百三十四億は、先ほど事官が示された予算からいけば事足りないということはありませんね。四十七年度予算のワクの中で決着つきますか。
  264. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほどの予算とは別個に予備費にももちろん手をつけなきゃならぬのじゃないかと思われます。さらには、また災害の精細な調査の結果が出ますれば補正予算等の措置も講じなければならなくなるのではないかと考えております。いまのところ、まだ調査進行中でありまして、いずれなりとも決定する段階には至ってないという状況でございます。
  265. 森中守義

    森中守義君 それはおかしい。それは、最初私は概算だと、こう言っているわけだ。より正確なものが必要でしょう、けれどもいま報告されてきた金額がさらに倍額になるとか、三倍になるとかということはあり得ませんよ、総務長官。そこで大体の方向としては、もはやきめておかないと、熊本県などではつなぎ融資をしてほしいと、こう言ってきておりますよ。いま調査進行中だから行き先ははっきりしないなんということでは、はなはだもって、これは適当な政府の考えじゃありませんよ。私は、概算か精算かという相違なんです、三倍にも四倍にもなるはずはない。おそらく百億前後の相違でしょうね。その程度のものであれば、もう少しきちんとした答弁をしてもらわないと――つなぎ資金をやってくれと言っているんですよ。それぐらい自治体が困りはてているのに、進行中だからもうちょっと待ってくれという話じゃ、何もきょう緊急に委員会を開いた意味がありませんよ。どうしますか。
  266. 本名武

    国務大臣本名武君) 当年災につきましては予備費を転用いたしまして、それぞれ措置をとってまいります。また復旧以外の問題につきましては、これはそれぞれ補正予算なり何なりで処置していくということを申し上げたつもりでございます。
  267. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣見えていますね。実は決着がつくまで簡保の短期融資をする、つまりつなぎ融資ですね、そういうことがそろそろ出始めております。今朝来熊本知事もしきりにそれを強調しております。それは総務長官が言われるように、なかなか決着のつくのに時間がかかり過ぎる、それでは待てないからつなぎ融資をしてほしい、ついては簡保の運用から金がほしいと、こういうわけですが、いま大体郵政省ではどのくらいの資金ワクを持っておりますか、同時にこの際出せるかどうか、これが一つ。  それから農林政務次官天災融資法を発動してくれと、これも被災地から非常に強烈な要請がある、これはどうされますか。  それから、これは総務長官の所管になるかどうかわかりませんが、激甚地指定というのは、すでにもう終了しておりますか、それをお答えいただきたい。  それから、もうあまり時間がないということでまとめてお尋ねしますが、郵政大臣、例の通信機能の問題で、公衆通信が全部途絶をした、ために相当時間が経過してもしかるべき機関に現地状況がなかなか把握できなかった、こういうことで、ことに熊本天草の離島においては、道は寸断をする、連絡の方法はない、自衛隊のヘリが行ってやっと状況を把握した。こういうことで緊急通信の完備ということが非常に問題になっている。これは大臣承知でしょうけれども、電波法の七十四条一項及び二項からまいりますと、当然緊急の事態に対して電波の完全なネットをつくらなければならぬ、こうなっておる。ところが波を所管し、それの監督するのは郵政省でしょうが、設備がなければどうにもならぬ、一体設備はだれがするのか、どこが所管庁なのか、これがはっきりしておりません。これはこういう災害が発生をするたびごとに通信の手段としてきわめて重視されておる。ところが先ほど申し上げた添付資料からまいりますと、たとえば航空、国鉄、警察、電電公社というように無線の設備を集計としてあげておる。けれども問題は、離島等においていつどこで何が発生するかわからないという緊急な事態に対応するものになっていない。しかし、基本計画からいけば、逐年この設備を完備していこうという方向はあるようですけれども、ちっとも具体的になっていない。ですから、このことは今回の災害を契機に、すみやかに、一体総理府の所管なのか、あるいは自治省の所管なのか、あるいは電波法七十四条によって郵政省が設備までも負担すべきものであるのか、その辺のことをはっきりしてもらいたい。そうしないと、これはたいへんなことになりますよ。  以上全部取りまぜての質問ですが、時間がないというものですから、それぞれの責任者からお答えをいただきたい。
  268. 園田清充

    説明員園田清充君) 私から申し上げるまでもなく、実態は御承知のとおりでございます。  そこで、きのう九州農政局長にも統計調査部を督励してすみやかに総体的な数字をひとつ把握して報告してほしいと、天災融資法を、待ちまして直ちに発動いたします。
  269. 三池信

    国務大臣(三池信君) ただいまの簡保の融資の問題ですけれども、いま幾ら残額があるかという数字事務当局から報告させますが、いつでもつなぎ融資はする体制になっております。  また災害時におけるところの通信問題で、電波に関するものは郵政省が担当すべきものだと思うんでありまして、これの機能が十分に発揮していないし、予算の取り方も不十分だという点の御指摘はごもっともだと思うんでありますが、四十七年度では七百七十万の予算で逐次機能が発揮できるように、災害等の非常の場合に対処できるように逐次機能を発揮する予算もとらなきゃならない、それに努力したいというふうに考えておる次第であります。
  270. 斎藤義郎

    説明員(斎藤義郎君) ただいま大臣から御説明申し上げたとおりでございますが、郵政省といたしましては、郵政省防災業務計画、これは防災基本計画に基づいて作成するわけでございますが、これを作成いたしております。そしてこれに基づいていろんな訓練、その他のことをやっておりますが、特に施策の一つといたしまして、都道府県の地域における防災応急救助、災害復旧に関する業務を遂行するために使用することを目的とする防災行政用無線局というものがございますが、これに対しまして昭和四十五年、その免許方針を定めまして、防災関係機関相互間に必要な直通回線を確保するという原則に立って、都道府県の防災通信網の設置について積極的に助言と指導を行なっておるというのが現状でございます。
  271. 本名武

    国務大臣本名武君) 激甚災指定につきましては、非常に災害地においては関心の深いことでございますので、鋭意査定に努力をいたしてまいりまして、大体今日までのところ査定を積み上げまして、激甚災指定可能なところまで到達いたしました。しかしながら、災害復旧その他のことを考えますと、やはり最終的な査定が必要でございますが、そのことにつきまして、各関係省庁に対してさらに一そう督励をいたしまして、査定の迅速な結論を求めているところでございます。大体におきまして、来月早々には何とか指定をいたしたいというふうに考えております。  それから、ついででたいへん申しわけないのでございますが、先ほど私ちょっとことばが足らなかったのでございますが、先生の御指摘は災害関係予算として七千七百三十億ある。現在わかっている災害が三千六百三十四億だ、それに対して予算措置がなぜできないのか、こういうことでございますが、七千七百三十億の災害関係予算は、この中には、簡単に申し上げますれば、いわゆる治山治水等の前向きの工事費も災害関係予算として含まれております。したがって当年災、特に今次災害に対する予算というものは、先ほど申し上げましたような扱いになると思うわけでございます。
  272. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣ですね、ちょっと最初のが聞き取れなかったのですが、簡保のつなぎ融資はよろしい、こういうことですね。それとね、私がお尋ねした、どこが設備の主体だということは自治省なり、あるいは総理府あたりとよく検討してください。郵政省が設備の主体になると私は思わない、そういうように私は聞いておきます。  それと総務長官、激甚地指定はさっきから言われるように、異常ということばがある限り、通例の台風、水害等と違いますから、来月の上旬などと言わないできめなさいよ、ずばり。待っているのだ、みんなそれを。もっと早くおやりになるように特に要望しておきます。
  273. 宮崎正義

    宮崎正義君 午前中に農林大臣から、六月は二百十七億、七月は千二百七十三億の農林省関係被害があるような話を聞いたわけですが、ところがただいま総務長官のほうからですと、農林関係合計しまして九百七十九億、農地だとか農作物だとか等合計しますと九百七十九億になると思うんですが、これはいつの時点でこの農林省側とのつき合わせというか、話し合いといいますか、この点どうなっていますか。
  274. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 数字上にわたりますので私からお答え申し上げますが、先ほど総理府のほうのお話と今朝の農林大臣お話とは、全く数字としては七月十八日現在の数字で一致しているわけでございますが、ただ災害項目、たとえば荒廃地復旧の三百八十六億というような大きな数字総理府のほうの御報告では省略して申し上げたので、ただいま宮崎先生がおっしゃった、全体を合計しても九百幾らではないかというようなお話でございまして、作物災害を含めますと農林関係では千四百九十億ということになっております。
  275. 宮崎正義

    宮崎正義君 了解しました。  そして、この千四百九十億の中の畑の被害は幾らになりますかね。
  276. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 後刻資料をもって提出いたしますが、農作物等被害が全体で三百六十三億でございまして、それは農作物で三百五十億、それから林産物で三億、水産物等で九億というような数字になっておりますが、作物別の内訳については後刻資料を提出いたします。
  277. 宮崎正義

    宮崎正義君 これはいま現在手配中であり、またそれぞれにわたって査定もやっている段階でございますから、まだいまでははっきり言えないと思いますが、いずれにしましても畑作物に対する共済制度考え方、それからもう一つは、特に生産調整による畑作物に対する法的の救済措置を講ずべきであるかどうかというこの二点についての基本的な考え方を伺っておきたい。
  278. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっといまの関連で聞きますが、いまお話があったのは、減反で転換作物をつくったと、今度被害を受けた、米でやってれば共済がもらえたのに、今度の場合もらえないと、政府協力的にやったのにかかわらず、何らの共済制度もないということはおかしいのじゃないかと、これについてやはりわれわれも何か法的に不備な点があると、さっきのいわゆる集団移転と同じように法的につくるのかどうだろうか、行政的な指導でやれるのかどうか、全国的に一体どのくらい転換作物の被害面積があると見ているのか、特に秋田あたりに相当強い要望として出ている。いまそれを宮崎君が話されたので、あわせて一緒に御説明してください。
  279. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お話しのとおり、米の過剰問題を解決いたすために、四十六年度から生産調整を計画的に実施しておるわけでございまして、その際は需要の増大することが見込まれます作物に対して、いわば農業生産を再編成するというような方向でやっておるわけであります。したがいまして、これに対しては農家の、あくまでもこれは作付の強制とかそういうものではなくて、農家の御協力を願いまして、奨励金といたしましては、ただ休むだけの奨励金が三万円でございますが、これに対して三万五千円ないし四万円、作物によりましては、ということで転換をお願いしておるということでございまして、各地域地域によりまして、約その休耕面積と申しますか、調整対象面積の半数以上を現在は転作作物を農家に取り上げていただいているというような段階でございます。したがいまして、そういうことと、従来水稲に比べて畑作物に対する各種の施策が立ちおくれておるというような問題がございまして、農林省といたしましても畑作物についてのこの共済制度化という問題については、この数年来非常に進めてきておるわけでございまして、現在では、作物の名前を一つ一つ申し上げませんが、約六種類の作物につきましてその実施のための調査を行なっておるわけでございます。で、くどくどしく申し上げて恐縮でございますが、畑作物は年次による作付の変動が非常に大きいとか、価格の変動が大きいとかいうようなことで、米のように保険設計がしにくいというような問題が、実は共済と申しましても保険でございますのであるわけでございまして、そういう点についての制度上の問題を一つ一つ解消して、これを制度化をはからなければならないというように考えておりまして、先国会でようやく果樹につきまして試験実施の段階から本格実施制度化をお認め願ったというような段階でございますが、その他の、たとえば施設園芸とかその他の畑作物につきましても次々とそれを制度化しなければならないと思っておりますが、現時点で転作なされた方の畑作物についてどうかという問題については、制度の救済がございませんので、これに対しましては天災融資法なり自作農維持資金と、各方面からいろいろ要望がありますこれらの資金につきまして、特に手厚くこれを充てまして関係の農家に対する救済措置に万全を期したいというふうに考えておるわけであります。
  280. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 特に手厚くと言ったってわからぬでしょう、どういうところか、具体的に。
  281. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答えいたします。  資金需要額については各県から非常に御要望がございますが、畑作関係転作が相当ウエートを占める地帯の農家の資金需要なり、特に需要の強い自作農資金等についても、その配分その他についてはそういう関係地帯の地元要望を十分配慮してやっていきたいということでございます。
  282. 宮崎正義

    宮崎正義君 委員長から、一生懸命に私の言わんとすることを先に先にと言ってもらったので非常に進め方が速くなってありがたいことですが、いずれにいたしましても事態が違うわけです。災害を受けた時点ということを中心に考えて、その被害によるものだということを中心に考えていかなかったらこの議論は成り立っていかないと思う。  で、これは秋田では百四戸の農家の人たちが共同で、県の奨励等によって一生懸命やって、やっとイチゴがとれて、いよいよスイカというときになって、スイカのいよいよ最盛期になってきたというときにがっさりやられてしまったということ、これは一戸当たりにしますと三千万の赤字をしょってまた行かなきゃならないというような形態もそのことによって起きているということなんです。そういう実例等を踏んまえながら考えを進めていかなきゃならぬ。特に先ほどお話がありました特別転作奨励補助金、これは永久転作の分に対する奨励金を四万円、これは大体四十九年度までの五カ年間、閣議の方針でこの米の生産調整対策の円滑な推進をはかるために、こういうふうな申し合わせをして、方針で進んでいる。こういう形態の中の途中である。途中なんですから、したがって、途中に受けたこういう、早くいえば天災であるか人災であるか、それは災害そのものの因果関係というものは別として、受けたこと自体に対してはこれは大きな障害であり、またこれによって農家が農作物に対する意欲というものを失っていくという、こういう点から考えて、せっかく米の生産調整対策の円滑な推進をはかるためにやったという制度が四十九年まであり、その四十九年で切れるのか切れないのかという、その中途において被害を受けているということから考えても、何とか法的な処置を考えてやらなければいけないのじゃないかというのが私どもの言うところなんですがね。
  283. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 先ほどお答え申し上げたわけでございますが、早急な畑作物の、これは単に転作農家だけではなくて、その他畑作をなさっておられる農家全般についての問題でもございますが、その共済制度化という問題については、相当急いでこれを取り進めまして、対応しなければならないというふうに思っておるわけでございますが、今日この災害が起きた時点におきましては、ただいま申し上げましたような各種農政上許されました融資措置等を十二分に手厚く充当いたしまして、おこたえしていかなきゃならないというふうに考えておるわけでございます。
  284. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、これはまた別なんですが、パイロット事業等で、これは同じく秋田にあるわけです。これは秋田ばかりじゃないと思うのですが、角館の碇地区というところでは、四千六百八十万の金を借りて、やっと耕地を改善したといったとたんに、やれやれこれから五百町歩くらいの米がとれるのだという時点になって、やはりこういう被害を受けているわけですがね。こういう点をあわせ含めての考え方でよろしいのでしょうか。いまの答弁。
  285. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) お答え申し上げます。  先生御指摘の角館地区等の構造改善の事業地区につきましては、これは災害を受けた耕地の復旧等についてはきょう午前中以来るるお話が出てございましたような手厚い災害復旧なり施設復旧ということでございまして、また農林漁業金融公庫等の資金の借り入れもございます。これについては償還延用措置なり中間据え置きというような措置で最大限の負担軽減の措置をとるように考えているわけでございますし、また前向き資金的なものにつきましては農業近代化資金なり公庫資金等の資金についても、関係地区の御要望に応じまして十分な手厚い手当てをしていきたいというふうに考えておりまして、非常に不幸な事態でございまして、せっかく大きな投資をしたところで、その実りが出る段階におきまして、被害を受けた関係農家の方々が、挫折しないような十分な措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  286. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は農水の委員ですから、これはまた農水のときにゆっくりこの問題は触れてまいりたいと思います。  文部省の方来ていますか――鰺ヶ沢の赤石川流域の南金沢小中学校併設の学校の災害の状態、こういうの御存じでしょうか。
  287. 竹内信雄

    説明員(竹内信雄君) はい、知っております。青森県の西津軽郡鰺ヶ沢町の南金沢小学校並びに中学校、これは同一敷地にあります学校でございますが、この学校が赤石川に県道一本を隔てまして近接しておりまして、赤石川のはんらんによりまして運動場の一部並びに校舎の一部が流失あるいは半壊をしたという状況でございますが、これにつきましては、赤石川に接しておりますので、赤石川の改修計画の確立を待ちまして学校の運動場並びに校舎の復旧をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  288. 宮崎正義

    宮崎正義君 現場をごらんにならないからおわかりにならないだろうと思いますが、そんなのんびりしたことにはならない現状でございます。また、もう少しよく勉強なさってみるとおわかりになると思いますが、洪水のために洗われ洗われてだんだん敷地が狭められてしまって、今日になって、またさらに今回の水害によって切られた。校庭もそれから校舎も切られておるわけです。さらに、前のほうに敷地がありませんので、この敷地を設けて校庭の一部にしておるというような現状でもあるわけですね。そこで、これに対する、赤石川の復旧を待ってといいますが、このような形態で、学校令によるところの一人当たりの校庭の制限といいますか、制度といいますか、それに対することなんかはおわかりなんでしょうか。
  289. 竹内信雄

    説明員(竹内信雄君) こまかい数字につきましてはただいま資料を手持ちしておりませんので、お答えできません。まことに申しわけございません。
  290. 宮崎正義

    宮崎正義君 答えができないと言うんですから、これ以上質問はできません。それじゃ要望だけを、こちら側の要望だけを申し上げておきますと、その敷地を変えるか、学校敷地を全体的にどこかに移設していくか、さもなきゃ現時点のものを鉄筋コンクリにしていくとかいうような、このことを考えていかなければならないんじゃないかと思います。赤石川の関係は、建設省の河川局長にも考えてもらわなきゃならないのは、頭首工が十六カ所もあるわけです。その頭首工による被害が大きな問題をもたらしていることがいわれているわけです。旧式なものでありますし、これがために木橋も流失をしているという、十六カ所の木橋も流失しているということなんです。これはみな頭首工がもたらすところの影響だというふうにわれわれも見てまいりましたけれども現地でもそのように言っているわけです。この問題も解決していきませんと、やはり学校をその位置にまた建てていきましても同じことが繰り返されてくるというようなこともかみ合わした上、文部省の考え方も合わせていかなきゃいけないんじゃないか。そういうふうな見地に立っていくと、いま私が申し上げたように、学校を移設するか、さもなければ鉄筋コンクリの校舎に変えるかという形態にしていかなきゃならない。両々相まっての行き方をして進めていかなかったらこの問題は解決できないというふうに思うわけですが、文部大臣に県のことであるから知らぬというようなことを言わせないようにしっかり指導監督等やって、早急に校舎の復旧ということを考えるように厳重に言っていただきたい、こう私は思います。
  291. 竹内信雄

    説明員(竹内信雄君) 改良復旧あるいは土地を変えるというようなことにつきましては、町の設置者の意向をよく伺いました上で善処いたしたいと思います。
  292. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 私のほうからも、現に現地査定官を派遣いたしまして、おそらくこの川については災害復旧だけではなく、改良復旧のための助成事業、こういったのを大幅に取り入れないと根本的な改修ができないかと思います。したがって、そういった手戻りを生じないように、現在査定に先だちまして、各県と査定官が現地で十分打ち合わせを各被災個所について行なっておりますが、すでに青森についても派遣をいたしております。したがって、先ほど来いろいろ教育施設との関係が非常に重大なようでございますが、そういった点で、私どもの計画がおくれたために支障のないようにいたしたいと思います。  なお、それから井ぜき等の御指摘がございましたが、それぞれの土地の水の利用の過去の経緯等があって、そういう形をとっておるんじゃないかと思いますが、基本的には可動ぜき等にしまして取水位を下げるということが望ましいと思いますので、これはやはり農林省あるいは現地等といろいろ話をする必要があろうかと思いますが、基本的には、そういう方向で処置をいたしたいと考えております。
  293. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 宮崎さん、もう……。
  294. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間なんだそうですから、もうあっという間に終わるわけですが、一つだけ。
  295. 松永忠二

    委員長松永忠二君) はい。
  296. 宮崎正義

    宮崎正義君 もう一つ。  気象庁の長官にお願いしたいんですけれども、今時点の、異常気象というだけで片づけられる問題でない事態ということは、先ほどお話なんかにありましたけれども、その中から私はうかがうことができるのですが、今後の問題として、集中豪雨の特別観測計画がことしで終わりますね。そうしますと、今後の計画というものをどのように進められておるのか、豪雨をもたらすものあるいはレーダーで雨の、雨域といいますか、それらをどう見つけていくか、または無電による情報装置等、あるいは観測体制の総点検とか、警報作業上の問題点とか、いろいろひっくるめた中でこの特別観測計画というものをどんなふうにしていこうとするのか、時間があれば一つ一つこまかく私は事実を指摘していきながら質問を申し上げたいと思いましたけれども、総体的な考え方だけを伺っておきたいと思います。
  297. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) まず初めに特別観測でございますけれども、一応今年度で観測計画は終了いたします。しかし観測しただけでは役に立たないわけでございますので、これからその資料を使いまして、じみちではございますけれども、それを実際の集中豪雨なりなんなりの役に立つような研究を進めさせていきたいというふうなことを一つ考えております。  次に、さしあたりの問題でございますけれども、やはり集中豪雨を前の日あたり予報できればこれは非常によろしいわけでございますが、遺憾ながら現状では非常に困難でございまして、ただ、そういうような集中豪雨が起こる可能性があるという程度にとどまっておるわけでございます。したがって現在の状況におきましては、レーダーなどを活用いたしまして雨の状況をいち早くキャッチいたしまして、それによってなるべく早い時間、できれば数時間前にお知らせする、そういう体制をとっておるわけでございます。この点につきましては、現在全国に約二十ヵ所レーダーができまして、場所としてはほぼ一応満ぱいと申し上げて――満ぱいというとちょっと語弊がございますけれども、一応役に立つことになりましたので、あとはもう一つは観測する間隔の問題でございます。原則といたしましては従来四回でございましたけれども、それを昨年度あたりから八回にするように、これにはある程度観測員を増強する必要がありますので、そういった方向で進んでおります。もちろん、集中豪雨がありますような場合におきましては、臨時に泊りましてほとんど一日じゅう観測するような体制を現在でもとっております。そういう方向で進んでいきたいと思っております。  もう一つの問題は、レーダーでも観測できない、山の陰になりますと観測できないというところがございます。そういうところはやはり観測をする必要がございます。現在はそういったようなところを、ロボットを使うこともございますけれども、これでありますというと、たとえば夜中のような場合でございますと、そういった報告が来ないことがございます。これを改良いたしますには抜本的にやる必要があるというので、現在テレメーターと申しましょうか、電話線などを使いまして、観測したデータがすぐ中央気象台なりあるいは気象庁に出される、そういったようなシステムに変えていく必要があるだろう。こういったようなことにつきまして、今年度からそういった方面のまあ第一波の観測と申しますか、試験観測を始めております。こういった方向でいつでも一時間ごとに現在とる予定でございますけれども、それで見ていくというような計画を現在進めております。できればあと三、四年で全国的にそういった観測網を展開したいと、こう考えておる次第でございます。
  298. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 しつこく質問するようで気の毒な気持ちもするのですけれども、非常に重大で、私はやっぱり河川局長、もう一ぺん確認しておきたいのですよ。この湯田温泉というのは約百三十戸。先ほどからの質問に対していろいろお答えは願っておりますけれども、実際問題として責任の所在をどうするかということがやっぱり焦点になろうと思うのです。これは普通の災害と違うという要素は、ダムの放出を二千二百六十立方メートルやった、これがやっぱり問題だと思うのです。通産省ともお話をされて千五百万か何かの見舞い金を出したということも新聞で私は読みましたが、どういうお話をされているのか、その結果と、今後この処理はどうされようとしておるのか。私は災害というものはあくまでも事後におけるところの地域住民の生活の安定ということをまず考えなくちゃこれはたいへんだと思うのです。特にこの湯田地方の場合と、熊本天草、それからえびの、この三ヵ所はどうしてもそれをやっぱり急速にやる必要がある。いわゆる地域住民に安心を与える必要がある、こういう意味で私は質問を申し上げておるのだが、どういうふうにしようとされるのか。もっと今日までの経過、今後の処理をいつごろまでに結論を出そうとされるのか、普通の取扱いにしていかざるを得ないという結論になろうとするのか、この点もっと明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  299. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 最初に電源開発会社が現地に見舞い金を出すという話は私も聞きましたが、これにつきましてはやはり電源開発株式会社といたしましていろいろ地元とも密接な関係がある、こういうようなことで、自発的にそういう意向を表明したようでございます。ただし、直接には所管は通産省になっておりますので、そのほうとももちろん協議をしてそういった措置をとったというように聞いておりますし、私どもも少しでもそういった災害の時期に住民感情をやわらげるといいますか、被災者の方のプラスになればということで、もちろん、私どもも反対する筋ではございませんし、よく気がついたというふうに喜んでおる次第でございます。なお、今回の災害につきましては、在来から治水容量が不足しておるのじゃないかという声はかなりあったわけでございますが、ことしの六月十八、九日の取水等におきましてはかなり苦しい操作ではございましたが、十分、目的を達してきた。そういうような意味で、やはり今回も同様の趣旨の操作をしたわけでございますけれども、ついに調節の能力がなくて自然の流入量をそのまま流さざるを得なかった。したがって、地域の住民の方からすれば大きく期待がはずれた、こういうことになろうかと思います。したがって、単にこれは操作のミスだとかいったような責任の問題ではなくて、やはりわれわれ河川改修事業、あるいは政府の立場としても積極的に今後の抜本的な地域の改修計画なり、住民の方々の次の生活再建、こういったものについては大いにやはりわれわれも努力をして協力する必要があると基本的に考えております。したがって、当面鶴田ダムの治水容量をふやす、少なくとも取水期にはいまの容量よりも相当大幅にこれをふやしたいということで現在通産省、あるいは電源開発株式会社、こういったところと折衝いたしておりますが、すでに七号、九号といった問題もございますので、できれば今週中にでも結論を出すように努力をいたしたいということで、日曜日等もいろいろ関係方面ともずっと続いてやっておるわけでございます。できるだけ早く結論を出したいと思います。  なお、今後の抜本的な問題につきましては、御承知のように非常に自然の制約のきびしい地形でございますので、やはりかなりダムの容量をふやすだけではものは解決しないと思います。現に私どものほうで観測をいたしました結果を総合いたしますと、湯田ではおそらくダム以下の支川の流入量が千数百トンあって、三千四、五百トン流れておったのじゃなかろうか、こういう結果も出ておりますので、やはり大幅な河川改修、こういったものも取り入れたい。ただしその場合に地域の土地利用がどういうようになるか、こういった点が非常に調整の争点になろうかと思います。したがって、なるべく客観的に計画を立てるために地元九州大学、あるいは鹿児島大学、そういった地元の水の専門の先生、そういった者のお知恵も借りまして早急に基本的な計画を立てて十分地元の方の理解も得ながら、今度は全力投球をやりたい、現在はそのように考えておるわけでございます。
  300. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 長期計画は、先ほど大臣もそういうふうにおっしゃっておるのですから、私、その点はもう皆さんにおまかせする以外にないと思うのですよ。一番問題なのは、これは農業をやっておっても同じことでありますけれども、サービス業でしょう。温泉街ですから。これは原状復帰という問題は、一年かかろうと思うのですよ。これを実際にまかせてしまうのか、政府の結論から言うと、普通の取り扱いと同じような現象にしかならぬというような回答を聞くものだから、私は何回でも繰り返し話をしておるのです。現在の事態で早急に今週でも結論を出して、いわゆる原状復帰というものを早急にかかるという姿勢がなくちゃ私はいかぬと思うのです。これがまず民心の安定です。それはある程度の政府としては補償的なことを考えておるのだとか、何かなければ、これは局長も行くとおっしゃるから一日も早く行ってみなさい、たいへんですよ。私も災害を長年やっておりますけれども、こういう事態の災害というのは珍しいケースです。やはり特別の処置を考えてもらう必要があると思うのです。この点私の希望意見ですけれども、もっと現地の声を聞きながら早急に対策を立てていただきたい。これをひとつぜひお願いしたい。農地の場合は農地補償もございますし、いろいろな問題がありますけれども、個人災害だという認定になれば何の補償もないということになるじゃありませんか。これでは政府として許されない問題だと、私はこう考えますので、この点は希望意見として申し上げておきます。さらに局長現地に行くとおっしゃいますが、一日も早く二、三人で行っていただいてその点を現地視察していただけばもう身をもって体験されることだろうと、私はこう思います。希望意見として申し上げておきます。時間がございませんから。  それからもう一つ申し上げたいのは、これは長官に申し上げたいのですが、高知土佐山田町の地すべりですが、先ほど前川委員から質問がございましたから、私は多くは申しませんけれども、三十五年の国勢調査で、人口が三千人あったんです、この町は。ところが、これはもう典型的な過疎地区です。九百五十人、現在。三分の一に減っておるんです。そこで、一人の犠牲者を救うために、急傾斜の土砂くずれがあったために、あれだけの、五十九人という犠牲者を出したわけですが、一体、この急傾斜地の処置というものを、これは治山関係でしょうけれども、今後具体的にどういうことをお考えになっておるのか。一つの例を申し上げますと、これも昭和三十六年ですか、長野県の大西山で四十三人の犠牲者を出しております。それから四十一年には山梨県の足和田、それから横浜市の犠牲者が出ております。横浜が三十九名、山梨が二十六名ですか。それから次には新潟の地すべりで、これも十名の犠牲者が出ております。なお、大分、鹿児島で、これも六十六名の犠牲者が出ております。兵庫県の地すべりで十人の犠牲者が出ております。今回は、御承知のように、この高知県の土佐山田が五十九人、さらに熊本天草中心とする災害が百十二人と、こういうふうに年々ふえておるわけですよ。一体この地すべりに対する対策としては、政府は今日までやってはみえたでしょうけれども、具体的には今後どうしようとお考えになっておるのか、具体的には。あったものの防災処置だけをして、そしてやっていこうとされるのか。もっと総合的な点検をして、災害地域の発生しておる歴史的のものを調べながら、早急にやっぱりそれを防止するという姿勢がなければ私は何にもならないと思うのですね。この点をひとつ具体方針があるなら、治山関係のほうで、これは長官のほうでひとりもっと総合的な総理府としては集約をして、本体を今度おつくりになっておるのだから、私はこの際長官が強くこれを主張されて、具体的に対策を立ててもらいたいという私は希望意見を持っておるのですが、長官どうお考えになるかですね。これは、ただもう言うだけでその場を切り抜ければいいという問題と違うと思うのです。年々ふえてくるこの犠牲者をどうするかという問題は、やっぱり基本的に考える必要があると、こう思うのですが、長官どうお考えになりますか。
  301. 本名武

    国務大臣本名武君) 災害対策本部におきましては、閣議総理指示をいただきます前に、各関係省庁お集まりいただいて私からお聞きいたしましたことは、ただいま御指摘のとおり、従来の防災施設というものが進んでいるところは同じ雨量であっても未然に防ぐことができた。しかし今回は、その防災施設というものの進んでいないところ、あるいはまた従来の観念では心配が要らなかろうというような考え方から、防災計画の中に入れていなかった地帯等々に非常な災害が起きておるということで、まことに遺憾であるということで、まず第一回の会合におきまして、今次の災害はまことに遺憾なことではあるが、この災いを転じて遺憾なきを期するために総点検実施しようということにいたしたわけであります。したがって、その総点検をいたしましても、点検をしただけでは意味がありませんので、この点検をもとにいたしまして、今後における防災計画、あるいは災害基準を改善いたしまして、徹底的な防災施設を施していく。そのためには、明年度予算要求にも影響することでありましょうし、また、防災事業実施に当たってそれぞれ人員その他の施策も必要でありましょうが、いずれにいたしましても、とりあえず急を要するのは総点検をやろうということであります。従来の観念をさらに進めて、災害を憂える地帯というものを新しく見出して、それに対して万全の措置をとっていこうという措置をいたしたわけであります。まあ、そういうようなことで、今後まだまだいろいろ点検もこれから結論が出るわけでありますが、その過程におきましても、さらに、御指摘のようなことを再び繰り返すことのないように、点検過程におきましても十分留意して進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  302. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 気象庁にお聞きしたいんですが、気象庁が答弁されるのはいつも同じことを答弁されていますから、私は希望意見を申し上げながら質問したいと思うんです。  この集中豪雨で百名以上の死者を出した災害が年々増大している、先ほど申し上げましたように。それで、特に四十五年、四十六年は連続して千葉県でも見舞われております。もう御承知のとおりです。で、今年は西日本で立て続けで五回も起こっておる。気象庁はこれをどう見ておられるのかわかりませんが、これに対して適切な避難報知的な処置ができないものかどうか。いつもの答弁に、設備が足らないとか、こういうものができればもっと地域豪雨も察知できて通報を出すことができますという答弁をいつも聞いているのですよ。これは長年われら災害やっていますからね。これでは済まない状態なんです、いまの社会というものは。したがって、何と何をやればこの通報ができるようになるのか、あるいは気象庁としてもっと人員をふやすとか、地域に雨量に対する報知施設をつくっていくとか、何かやればできるんだと、わずかな金でできるんだと、いや膨大な金が要るからできないんだとか、もっと的確なひとつ答弁をきょうは願いたいのです。この点はっきりしてかからないとだめではないかというような気がします。なぜ、私がこういうことを申し上げるかというと、新聞にも報道されています。今度の災害で、いち早く避難指示を出して数十人の命が助かったという宮崎のえびのの報道がなされております。これは実際そうだと思うのですよ。あれを何ら待避姿勢をとらなかったなら、これはたいへんな犠牲者だったろう。それを消防庁が、ほんとうにこれは貴重な教訓だと、こうなくちゃならぬ。逃げるということはひきょうのようであるけれども人命はとうといものだ、こういうことを示しているわけです。だから、少々の金でできることなら、気象庁がその設備を急速にやって、そうして避難処置をやるとか、あるいは消防隊の待機をやらすとか、いろんな処置ができると思うんですね。私はそういう点をもっとはっきりしてもらいたいと思う。金が足らぬのだったら予算をとるようにして、私は災害対策委員全体の主張によって予算のときに話をしたらいいと思うのですよ。この点を気象庁の関係でひとつもっとはっきりしてもらいたいと思います。
  303. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) お答えいたします。  けさほどからの議論もございましたけれども災害の問題は非常に複雑な現象でございまして、原因といたしましては、集中豪雨の場合、水害の場合、原因といたしましては雨でございますけれども、実際は、がけくずれだとか、あるいは川の流れの問題とかいろいろあるわけでございます。そのがけくずれなんかの問題になってまいりますというと、気象庁が担当しているわけでございませんで、建設省なり何なり、ほかの関係でやってるわけでございます。また、いろいろな実際の防災活動になりますというと、これは警察庁なりあるいは都道府県なり、そういうところで担当してるわけでございます。したがって、気象庁といたしましてはそういうような災害が起こるということをいち早くそういったような関係のほうにお知らせいたしまして、そこで適切な処置をとっていただくというようなことが一番実際的な効果ではないかと考えているわけでございます。特に、避難の問題になってまいりますというと、災害関係は非常に局地性がございまして、たとえば東京都の中におきましてもわりあい安全な所と安全でない所がございます。そういった面につきましてはとうてい気象庁でわかるわけでございませんので、やはりそれは関係市町村なり何なりで検討していただきまして、あるいは消防庁などで検討していただきまして、そこで避難処置をとっていただくというようなことが一番望ましいのではないかと思うわけでございます。ちょっと年数を忘れましたですけれども、大阪に台風が参りました場合にたしかそういったような処置をとりまして人命災害を非常に減らすことができた実例がございまして、そういったようなやり方はぜひ今度進めていく必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。この問題につきましては、私から言うのはおかしい点もございますけれども防災会議なり何なりで検討すべき問題の一つの問題ではないか、こういうように考えている次第でございます。
  304. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 どうもあんたの答弁聞いとるとおかしな答弁される。私は山くずれなんかあんたに言っとるわけじゃないんです。集中豪雨そのものを掌握できませんのかと言っている。豪雨の場合、住民の避難指示する第一の目安を雨量によってこれをやるためには、気象庁としては測候の網の目を持たなくちゃならぬでしょう。それはなくてもいいんですか、それはあるとおっしゃるんですか。何も砂防工事をやれとか、あるいは消防庁が待機せよとか、そんな問題じゃない、一番大きな原因は何かというと、大きな雨量のために、集中豪雨のために起こってくる災害でしょう。その雨量がこれ以上雨量があった場合には危険だという報道はやはり気象庁としてできなくちゃいかぬじゃありませんか。その網の目はできておるのですかと私は言っている。どうですか、その点。
  305. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ちょっと関連して……。いま気象庁の長官の答弁しているのも一つの理屈があるわけで、そういう雨量が出てきて、それぞれの各省が所管することがあぶないということをちゃんと把握をして、それをすぐ指示していくやり方を防災会議なり、あれとして計画としてちゃんと持ってと、そういうあなたの御意見一つ考え方で、その点ぬかりのあることは事実なんですよ。これ。しかし、いま高山さんの言っているのは、もっと積極的にその観測の網について金が足らないのかどうかということなんで、これは気象台の現場の台長がこう言っているのですよ。気象庁の持っている観測と、それから各省がみんな各県に持っているというのですよ。その各省の気象の観測を気象庁に連絡をしてくれれば、気象台に、もっとこまかいあれができますと言っている。私はほかの省にも責任あると思う。だから資料的に見れば、たとえば、その熊本県に気象台の観測が幾つあって、建設省のは幾つあって、農林省のが幾つあるのか、それで網ができていて、それが連絡とれているのかという話になってくると何にも連絡とれてない。そういう点について、むしろ気象庁のほうは積極的にこういうことを各省に要求すべき筋合いのものだと私たち思うのです。これはむしろ気象庁がそういうことを、そういう責任があるし、これは総務長官どもそういう問題があることをきちんと記憶すべきだと思うのです。しかし、そういうことをもう少し入れて、観測地点が足らぬのか、もっと人が足らぬのか、金が多く要るのかということを言っているのであって、あなたのおっしゃった答弁は、そういうことに基づいて避難をしたり、いろいろすることは各省の責任でやってもらえばいい。避難は当然そういう関係でやればいい。それを私たちが出しているにもかかわらずちっとも活用してくれぬじゃないかという不満だって私は気象庁にあると思うのです。それが十分でないから結局各地でがけくずれを起こしたりいろいろなことが、避難が不十分だということになったりするわけです。あなたのおっしゃることもごもっともなんですよ。しかし、もっと積極的にそういう声があるので、その点をひとつ話をしてもらえばわれわれもひとつ大いにやろうじゃないか、こういう積極的な話であるのでこの点について答弁してください。
  306. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 もう一つ私も追加しておきますが、市町村に雨量の観測の施設をもっと的確性を持つ方法でやるべきじゃないかという意見が出ておるんです。特に矢野勝正氏が京大の名誉教授のやっておられる、この方はどういうことを言っておられるかというと、異常気象による被害を防ぐためには観測がないのがやはり問題だと、こう言っておるんです。したがって、国としても、県としても市町村にもこれを補助金を出して急速にその網の目を張るべきだということを主張しておるんですよ。これは気象庁がやらざるを得ないじゃないですか。そういうことが十分でなければないように言ってください、予算をなかなか出してくれぬというならそう言ってくださいと私は申し上げている。いつもの質問に同じような答ばかりしか答弁しておられませんから、これでは災害は防げません。人命はとうといものであるけれども、やはり犠牲は出さざるを得ないという結論になるわけです。この点をもっといわゆる気象庁として姿勢を正すべきじゃないか、どうお考えになりますかと、私は申し上げている。
  307. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) ただいまの先生の御質問に対しまして私は少し見当違いの返事をしたかもしれませんのでおわびいたします。確かに雨量の観測点をつかむことは非常に重要でございまして、先ほども申し上げたことでございますけれども一つの計画といたしましては各地に観測機械を置きまして、それを電話線なり何なりをとりまして、テレメーターと申しましょうか、それをやることを一つ計画しておるわけでございます。もちろん、これだけでは十分でございませんで、先生いまおっしゃっいましたように各町村あたりに雨量計を置くということはある程度必要なことはあるかと思います。そのデータを気象庁が集めることも必要でございますけれども、特に集中豪雨のような場合でございますというと非常に範囲が狭いわけでございますし、また、降った状態をもちろん気象庁としてお知らせする義務はございますけれども、非常に大雨が降りますことは、必ずしも気象庁が知らなくても、現場にいてもある程度わかるのでございます。特に大雨になれば、雨量の問題は別でございますが、たとえば、何ミリ降ったということはわかります。その場合に、何ミリくらい降れば、この辺ではがけくずれのおそれがあるということはある程度平均的には言えるわけでございまして、そういう意味で、責任を回避するわけではございませんけれども、ある程度そういうところで自衛的な対策をとることもこれは非常に重要なことだろうと思うわけでございます。その場合の気象庁の任務は何かと申しますというと、そういったような集中豪雨があるという、集中豪雨がいつどこでどのくらい降るかということを的確に把握することはこれは現在の技術では非常に困難でございますけれども、こういったような集中豪雨があしたあたり大体この範囲で起こりそうだというところはある程度までは予報できるわけでございますので、そういった情報を知らしておきまして、そこで、一応警戒を促して、そしていざ降ったという場合には、そういったような自衛の手段でやるというようなのが一番効果のあるやり方ではないかと、私としては考えておるわけでございます。  それと同時に、やはりある程度気象庁でこまかいデータを集める必要がございますので、そういったものにつきましては、先ほど来の方法と、現在も委託観測をしておりますが、それで集めるということを考えることもあると思います。その限りでは現在でも自衛に近いことではあるかと思いますけれども、電力会社もある程度そういうものを持っております。建設省関係でも持っておられます。農林省あたりでも持っておられます。そういったようなデータは個所によりましては現在のところ電話なり何なりで、雨が降りました場合にお聞きしたり、何かする場合もございます。そういった点についての何と申しましょうか、連絡につきましては、先先御指摘のようにまだ不十分な点もございますので、今後大いに検討していきたい、こう考えておる次第でございます。
  308. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 非常にむずかしい問題ですが、いまあなたの結論をお聞きしていますと、気象庁では的確な集中豪雨がどの付近にあるということはつかめないんだ、こうおっしゃっているのですね。それが、いわゆる雨量の観測施設というものがその地域にあれば、そこが的確につかむことができると、こういうことですか。そうですね。私はそうならば、それを気象庁としては完備するような方向に網の目を張れという主張はできないんですか。それはどこがやるんですか。その点をひとつお聞かせください。どこがやるんですか。
  309. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) 現在、雨量の観測点といたしましては全国に約千カ所ぐらいございます。したがって、普通の程度の集中豪雨ならばおおむねそれでキャッチできるわけでございます。ただその場合に、先ほども申しましたように、委託観測したりなんかする地点もございますので、そういたしますというと、夜中に起きていなかったりなんかするために入ってこないこともございますので、そういう場合にはテレメーターにかえたほうが二十四時間監視できるわけでございますから、そういう意味でかえる必要があるというふうに考えているわけでございます。そういう意味での観測網の目としては現在気象庁としては持っております。たださらにこまかいがけくずれなんかの問題に関連してまいりますと、さらに非常にこまかいデータが必要になってきます。そのこまかいデータをどこで利用するかという問題になってまいりますというと、これいろいろ議論のあるところでございまして、そういうデータまで気象庁で集めて知らせたらいいんじゃないかという、こういう考え方も確かにあるかと思います。しかし、それにいたしますというと通信費やなんか非常にたいへんでございまして、また、それを各所に知らせるということも非常に問題がございます。そういう点でむしろ先ほど申しましたようなそういった点では自動的なやり方をとらなければならないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。したがって、繰り返すようではございますけれども、気象庁といたしましては、まずやはり全力を注がなければいけないことは集中豪雨の予報でございまして、予報をまずやるということがまず第一点。それから、降りましたことを現在の観測網でつかみましたならば、いち早くやはりテレビなりラジオなりでお知らせするということ、もちろん、そのほかに都道府県なり何なりにお知らせいたしまして、注意報、警報を出していろんな災害を防ぐ対策をとる、こういう点も必要であろうかと思うわけでございます。そして、そういうこまかい点を……。
  310. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 簡単でいいです、もう大体わかりましたからね。  もう一つ、これはむずかしい問題だけれどね、私が申し上げたいのは、たとえば湯田という温泉街があるのです。鶴田ダムの付近は集中豪雨があり得ると、この地域は非常に危険だと、こういう報道はできないのですかと私は言っている。あるいはまた逆にですよ、天草地域のあの辺は非常に危険だと、注意すべきだと、それはいま現実にできるということであるならば連絡の不十分ですか、どっちなんですか、そういう点はっきりしてくださいよ。設備が悪いのじゃなければいまでもできるとおっしゃるなら、地域人命を尊重するために、その地域住民のいま町村長が持っておるわけです、退避する権限というものを。これともう一つは長、区長からそういう地域の人まで権限を与えて避難させてはどうかという意見まで出ているのです。町長や村長ではもうおそい。地域の犬ですよ。そういう連絡が完全に気象庁でできるとおっしゃるならば、集中豪雨に対しては事前の対策ができるのじゃないかと私は感じたものだから申し上げておるのであって、それは現実できるわけですね。
  311. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) わりあい広い範囲につきましては、たとえば何と申しますか、九州地方とか……。
  312. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 できるかできないかだけおっしゃってくれればいいですよ。
  313. 高橋浩一郎

    説明員高橋浩一郎君) そういう非常にこまかい地点のことになってまいりますというと、降っているという現状をレーダーでつかんでお知らせすることは可能でございますけれども、ただ、こまかい市町村などに気象庁から連絡するということはこれはできないかと思います。
  314. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 この問題は、ほかのところで話しましょう。  もう一つあるんです。あの中小河川の問題ですが、これはまあ都道府県にある程度の権限が委譲されておるので問題だと思いますが、これも上林さんからちょっと御質問がございましたが、この中小河川に限らず、まあ、大河川でもそうですが、農業用水のための頭首工の決壊ですね、亀裂、それがほとんど堤防切れになっているのですよ。これはもっと研究できないのですか。どこの水害を見てもこれですよ。農地用水を取っているところの頭首工があるために、そこで水が停滞する、停滞して渦を巻く、そしてその堤防の頭首工のきわが全部掘られて堤防がくずれている。これはもう太宰府の災害もそうです。福岡の高田ですか、ここもそうです。ほとんどそうですよ。そこで私は、これは私の個人の見解ですが、考え方を申し上げておきたいのだが、こんな科学的な発展する時代になって、ああいう旧式のものばっかりにたよらなくても、近代的なモーターで引き揚げて農業用水は取れる方法が今日あるんじゃありませんか。金をちょっとかければ農業用水のあのくらいのものはモーターで私は完全に取れると思うのですよ。それを旧態依然たる昔のままの工事で、しかもそれが非常な不備な工事になっている。私はしろうとだけれども、しろうとが見てもそう思いますよ。こういう点は、これは農業関係建設省関係とやっぱり私は話し合いをしてもらって、考え直す必要があるんじゃないかという意見を持っておりますが、あとで答弁してください。  もう一つ申し上げておきたいのは、この中州の問題、中小河川のはんらんはほとんどもう手入れがしてない。それで中州ができている。それで川幅が狭くなってしまった。これは川内川の昨年の災害のときにも上流の水たびしのときに私は調査に行ったのですが、そのことを強く地域住民が言っております。これに対しては一私は、ある程度の予算を出して、そうして地域住民の、つまり労力をもって河川の清掃をやれ、整備をやれと、こういうやっぱり一つの義務づけ的なものをこの際やるべきじゃないかと思うのですが、これは農業関係の問題ですから、ひとつ次官と長官に御答弁願いたいと思うのですよ、もう時間もありませんから。どうしてもそうせなければいかぬ、私はこう思うのですが、なお局長からこれに対する意見があればお聞きもしておきたいと思います。  以上で終わります。
  315. 三善信二

    説明員(三善信二君) 中小河川の井ぜきの問題でございますけれども、頭首工を現在大体やっておりますけれども、頭首工をつくりますときに、河川管理者とこういう流量の問題とか、そういうのは一応協議して現在までつくってきているわけでございます。ただいま先生申されましたように、また先ほど来問題になっておりましたように、この頭首工がくずれてそれが災害、堤防決壊の一因になったというような話もだいぶ先ほどから出ておりますので、まあこういう問題につきましては、つくりますときに建設省出先機関等と十分相談しておりますが、今後ともよく研究をひとつしてみたい、早急に研究をしてみたいと思っております。また、ポンプで排水やかんがい用水をポンプアップすると、これは物理的に可能でございます。ただ、農民の方々がこれをやりますと電気代というのが非常にかかります。それからつくりましたあとの維持管理、この維持管理の費用というのが非常に多額につくような場合が多うございます。こういう関係もありまして、現在なかなか、応急措置としてはやっておりますけれども、これを永久的な、恒久的な措置としてそう簡単に済まないという問題もございますが、こういった問題も含めて、建設省とも今後の問題としては十分相談をし研究をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  316. 本名武

    国務大臣本名武君) 中州の問題につきましては、河川局長のほうからお話があろうと思いますが、農業用水の頭首工の問題並びに中州の問題と、それぞれ所管省において当然善処さるべきものと考えておりますけれども、特に今次災害の実例に即しまして、総合的にこれが完全に実施されますように計らうことに努力をいたしたいと考えております。
  317. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまお話しの中州の問題でございますが、まあ、常識的にはやはり河床が上流から土砂が流れて少しずつ上昇するとか、あるいは雑草などがはえる、こういったことはやはり維持管理の問題であろうと思います。まあ、その地域地域のやはり大事な川でございますから、できるだけ自分たちの川というような感覚で地域の方がお守をしていただきたいというのが私たちの基本的な考えでございます。しかし、まあこれもやはり手に負えないような非常に大きな中州がたまって、そのために河積が狭められ、したがって、疎通量がなくなって、また河川のはんらんにまで影響を及ぼす、こういったようなこともやはり問題が各地で出ておるようでございますので、昨年来私どものほうでも積極的にひとつ各府県でもそういった援助をするように考えていただきたい、なお、さらに手に余るような大規模なそういった自然現象に対しては、災害復旧なりあるいは河川改修の中に私どもも取り込んで応援をしましょうということで指導をいたしておるわけでございます。特に災害時にはそういった現象が各河川で相当出ておると思います。そういったことも、もう一度よく出水後の状況等を調べまして、適切に処置をいたしたいと考えております。
  318. 高山恒雄

    ○高山恒雄君 希望だけ。長官、予算が何もないんです。一回だけでもいいから国からの助成と県からの助成とで大掃除を、整備をやる必要があるという私は観点を持っておるのですが、ひとつ何とかして、これは長官、やっていただくようにお願いをしたいと思います。  以上です。
  319. 塚田大願

    塚田大願君 最後になりましたが、時間もあまりありませんので、答弁はひとつ簡潔にお願いしたいと思うんです。  私、午前中の質問で、災害というのは単純ではないと、非常に複雑な要因が重なって起きてくるんだという話をいたしましたが、先ほども出ました土佐山田の繁藤の場合、私はまさにこれは非常に個々のそういう要因が集中したと思うんです。先ほど質問で、あの追廻山の山頂が皆伐されたという問題も出ました。これも一つであります。それから穴内川の河床が非常にダムの放流などによって変化したというのも一つ。それから繁藤駅が、これは監視体制の問題でありますけれども、繁藤駅が無人駅で、全く監視体制というものがゼロであったということもございますが、私は、特にここの場合に重要なのは、やはり国道三十二号線の拡幅工事の問題があると思うんです。その点についてお聞きするわけです。建設省にお聞きしますが、この国道三十二号線、これは昭和三十九年に道路の拡幅工事が行なわれたわけであります。そして、民家を約八戸ですか、建設省の地図もいただきましたが、八戸ぐらいとにかくがけ側に移転をさした、道路の拡幅のために。まあそういうことが行なわれたわけですけれども、その場合に、はたしてその地域の危険性についてどれだけの調査をしたのかということ。ここは、私どもは行ってびっくりしたのですけれども、雨壼という地名なんですね。俗の地名、雨のつぼだ。つまり幾ら雨が降ってもそこへたまるんだという、そういう地名だったというのです。それが字がその後変えられまして字は変わった。しかし、古老に言わせればそういうふうな土地なんだ、こういうふうに言われる。もう昔から有名な土地、実は私も高知に戦後しばらくおりましたからあの土讃線によく乗りました。あの土讃線は年がら年じゅう不通なんですね、がけの崩壊やいろいろで。ですから土讃線でなくて土砂線だといって地元の人は皮肉っていたほどのもう有名な地域ですね。ところがそういう地域道路を拡幅する場合に、その危険性についてほとんど調査もしない。したがってその急傾斜地域指定になってもいなかった。これはまあちょっと珍しい私はやっぱりケースだったんじゃないかと思うのです。これはもう異口同音に行った人がみんなびっくりしたんですが、そういう点で、やはりこの工事をやられた、国道でありますから。建設省がどういう当時の工事をやられたのか、あるいはその危険性についてどれだけ調査をされたのか、また、今度の災害が起きてから見ますと、その一体責任はどういうふうにとったらいいのか、その辺について建設省にまずお伺いしたいと思うのです。
  320. 大島哲男

    説明員(大島哲男君) ただいま先生の御指摘のように、繁藤というところは雨つぼと申しまして雨がよく降るところであります。何しろ全線がそういう危険な場所でございますので、道路改築にあたりましては、なるべく地形をいじらないようにという方針で進めております。特に繁藤地区では、ただいま申しましたように雨が多いということで、原道を利用しまして、駅前は駅のほうに広げていく、家はなるべく動かさぬようにするというような方針をとりました。しかしながら、一部ではどうしても家を引かざるを得ないということになりまして、今度つぶれましたところ、高松寄りから約七十メートルばかりの間におきましては家を五世帯、八むねばかり解体移転あるいは引き家しておりまして、そのうち四むねを引いております。その際、ほとんどの家が裏にあき地がございましてのり先等はいじっておりません。ただ一軒多少整地程度ということで二尺程度の石積みと申しますか、簡単な壁をつくっておりまして、それが一軒ございます。そういうような方針で、なるべく原道を使って改良するというぐあいにしておりますので、その改良があの崩壊を引き起こしたというふうには考えておらない次第でございます。
  321. 塚田大願

    塚田大願君 そういう答弁だから実際何にも打つ手が出てこないんだと思うんですよ。そして同じことを繰り返しているんだと思うんですよ。とにかく、あそこはいじったけれども原因ではない。あるいは伐採したけれどもこれも原因ではない。じゃ何も原因がないじゃないですか。原因がなかったら大体災害があんなに起きるわけがないんです。六十人の人が一挙にして流された。そして、私どもが行った時点でも二十何体が残っておる。いまでもなおかつ遺体が残っておる。そして遺族の方などに対して私どもお見舞するんですけれども、まあ何と申し上げていいかわからないんです。ですからもうこれは明らかに国の責任なんであって、その点では私はもっとはっきりしなければいけないし、この三十二号線の拡幅工事のときだって、建設省は確かにてこずったはずですよ、この道路の拡張には。それはそうでしょう、常識でわかりますよ、あそこの工事はたいへんな工事だったに違いない。それをあえてやったんです。そしてしかもこういう結果が起きたというんだったら、私はもっと謙虚に関係者は反省すべきだと思うんですが、そういう意味で、いまの答弁はあまり私は納得しませんけれども、非常にわずかな時間ですから、先へ進めます。  そこで、急傾斜地の指定の問題につきましては、先ほど質問がございましたし、国の補助をもっと強めるべきだということについては私もそうでなければいけないと思います。同時に、移転の問題ですね、移転の問題も先ほどから出ましたが、この場合の補助というのは、国が三分の一ですか、そして県が三分の一、市町村が三分の一、たしかそういうふうに聞いておりますけれども、やはりこの場合でももっと――三分の一などということではやはり私は言うべくして行なわれないと思うんですよ。市町村みんな、あるいは県にしましても、今日財政が非常ピンチに立っておりますので、やはりこの移転の場合でも、私は少なくとも半分ぐらいは出すぐらいの気持ちがあっていいんじゃないかと思うんですが、その点ではどうでしょうか。
  322. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) ただいまのお話しの移転の制度も、昨年の災害等にかんがみまして、単にがけくずれの防止のための事業だけでは解決はしない、こういうようなことで、いまお話しのような制度をようやく創設をしたわけでございます。したがって、お話しのように必ずしも私どもも十分だとは思っておりません。しかし、これを第一歩にしまして、今後ともそういった危険な住宅に対する対策というものを積極的に推進する一つの道が開けたというように思っておるわけでございます。  なお、単に移転だけではなくて、さらにその家屋が新しく今度は家を建てるなり、あるいは引き家をする、こういったものに対する建設の資金等についても、さらに一歩考えを進めて援助の道を開きたいということで現在作業をいたしておるわけでございまして、まあ、いろいろな御意見はあろうかと思いますが、これは個人のやはり財産であり、一次的にはやはり個人が十分自分で家を建てる場合にも、土地を選ぶ場合にも判断すべきだというものがやはりあろうかと思います。その上で地元市町村なり県なりがどのようなやはり援助なり指導をするか、さらに、それらに対して国がどのような応援をするか、それぞれやはり持ち分もあろうかと思いますが、先生のお話しの趣旨は十分ひとつわれわれもくみ入れまして今後とも検討いたしたいと思います。
  323. 塚田大願

    塚田大願君 大いにその前向きな点を私は買って、ぜひひとつ、建設大臣も午前中たいへん景気のいいことも言っていらしったので、そういう姿勢でひとつ問題を処理していただきたいと思うのです。  次に、建設省関係でもう一つお聞きしたいのですが、ダムの問題が先ほどからしばしば問題になりました。特に川内川の鶴田ダムの問題が非常にやかましくきょうは論ぜられました。実は昨年の八月、ちょうどいまから一年前でありますが、この災害対策委員会で私がやはりこの鶴田ダムの問題については質問をしているのです。当時台風十九号が参りまして、やはりあそこで被害が生まれました。私ども視察をしてまいりまして、そこで質問をいたしました。  私は、そこで、一つは河川の管理の問題、もう一つはやはりダム管理の問題、特に水位を下げておく問題について私は川崎河川局長にもお聞きしたわけであります。ここに議事録がございますから、ここではっきりわかりますが、私はとにかく、なるほど去年の台風のときには、やはり非常調整というものが一応規定どおりに行なわれた。規定どおりに行なわれたけれども、やっぱりあれだけの災害が出たんだから、今後万一のことを考えて、水位はもっと下げておかなければいけないんじゃないかということを私は質問した。そのときに、局長の答弁は、大体その心配はございませんと。下流に二つか三つダムをつくって調整すれば、この鶴田ダムの制限水位を変更する必要はないと、――のじゃないか、なかろうかということをはっきりここで答弁されておった。ところがです。今度はまたぞろ――いや、またぞろではない、もうもっと大きな被害をとうとう生んでしまったわけです。  そういう経緯から考えてみますと、私はやっぱり、先ほどから論ぜられておるあのダムの調整の問題というものはやはり非常に重要だし、その後今度私ども秋田、青森のほうを見ましたときに、あの米代川の問題で地元からそれがやっぱり非常に出ました。あの米代川の上流に、これは県営の多目的ダムでありますけれども、素波里ダムであるとか、萩形ダムであるとか森吉ダム、三つある。そして、これがやっぱり放水をしたと。ダムのおかげでたいへんな被害を受けたというので、下流の方々はたいへんおこっていらっしたのです。われわれに陳情された地元の町長などは、ああいうダムはこわしてくれ、取り除いてくれということをやっぱり言われました。先ほど聞いてみますと、川内川のほうでもそうだったということですが、そういう激しいやっぱり怒りが爆発しておるのです。もちろん、私どもはそのダムをこわしたり撤去したりするよりは、その多目的ダムを防災プロパーの、防災用の専用のダムに切りかえたほうがこれは正しいのではないかと思うし、また、地元方々も結局はそういう趣旨だという説明をされましたけれども、やはり思い切ってこういう危険な地域においては、このダムを防災専用のダムに切りかえる、あるいはどうしてもそれができなければ、やはり、防災専用のダムをつくっていくということが必要なんではないかと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
  324. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 昨年先生から川内川について御指摘がございました。その時点では、私どもも鶴田ダムの下流の状況等を見まして、まあ約二回程度同じような出水が昨年ございましたが、これはどうやら操作によって、たいした被害に至らずに終わったわけでございます。なお、ことしの六月の中旬の出水も同じようでございましたが、今回の七月初めの豪雨につきましては、これは全然雨の規模なり降った総雨量というのはけた違いに多いわけでございます。そういった意味で、単にまあダムの計画を追加するだけでは、もうとても治水上の安全を期しがたいというようなことで、先ほど来申し上げておりますように、この鶴田ダムについてさらに出水期間については、治水容量をふやすというのが、当面のやはり一番効果的な方法ではないかというようなことで、私どもも決心をいたしまして、各省とも折衝をいたしておる次第でございます。  なお、いまお話しのございました米代川の素波里ダムの件でございますが、これも川の状況、あるいは雨の降り方、こういったところでは若干まあ鶴田ダムとは違った点もありますが、容量不足という点ではやはり同じケースでございます。しかし、この川筋につきましては、川内川と違ってやはりいろいろまだ総合的に検討すれば、十分対策が立てられるんじゃないかという気もいたしますので、まあ、一級河川で計画高水流量を上回ったという河川は過去にも幾らもないわけでございますが、そういった点では、重点的にひとつ取り上げて、必要であればダムを追加するなりあるいは堤防の改修をさらに強化するなり、そういった対策を根本的に立てたいと考えておる次第でございます。
  325. 塚田大願

    塚田大願君 では、次に、河川の修理についてもう一つだけお伺いしたいんですが、岩木川の話が出ました。この岩木川も、直轄河川で非常に重要な大河川でありますが、行って聞いてみたら、大正七年から改修が始まって、五十年間にたった五〇%しかやっていないというんですね。そして、弘前のすぐそばが決壊して、あわやというところまでいった。こういう河川がこういう状態だというのは、いわば日本の治山治水政策の貧しさを一番よくあらわしているんじゃないかと思うんですが、これはまあ先ほども出ましたので、もう一つ聞きたいのは、米代川のあの二ツ井ですね、二ツ井がたいへんな浸水を受けまして、町、商店が全部やられてしまったんですが、そこへ行ってみてやっぱり驚いたのは、その町、商店街がずっとあるそのわきに川が流れているんですが、堤防というものがないんですね。本来の護岸の堤防というものがなくて、自然の昔できたような堤防があっただけ。それがもろに決壊したんですから、これはもうたまったものじゃなかったわけですよ。あるいは能代のほうを見ましても、まあ二ツ井も同じですが、とにかく米代川はものすごく蛇行していて、その蛇行しているかどをねらい撃ちをされて能代がやはり浸水したわけですが、せめてそういう蛇行しているカーブの地点にコンクリートブロックでもあったらまだ防げたんじゃないかと地元の人は言っているんですね、これはしろうと考えですが。事ほどさように、もう自然のままに、あるいは何十年も前の土手で、もう穴だらけの土手だと。そういうぐあいに放置されておる。その結果が今度のような災害になっておるわけですけれども、この点について、河川の改修についてはやはりお金のかかることですけれども、私は思い切ってこの際解決する必要があろうかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  326. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 今回、一級河川の米代川で、大きなところでは二カ所ばかり破堤を見たわけでございます。いずれも数十センチ計画高水を上回っておるというようなことで、確かに、私どもの計画を立てた時点の規模が小さかったという点では非常に残念でございますし、反省をしておるわけでございます。全国の河川を見ますと、大体、現在の進捗率が約三〇%程度というようなことで、一般の中小河川よりは整備の率は進んでおりますけれども、まだまだ相当な長年月をかけて投資を続けないと完備しないというのが実態でございます。しかし、それにしましても、われわれの計画の規模を上回るという河川は幾つもないわけでございますので、そういった点では、根本的な計画の再検討、改定並びにそれに伴いまして特に弱点と思われるようなところにつきましては、できる限り投資の配分等にも積極的にウエートを置きまして、御趣旨のような方向で、早急に住民の方々の不安を取り除くというような方向で努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  327. 塚田大願

    塚田大願君 ぜひ、そのおことばを決行に移していただきたい。その点では、ひとつ、総理府総務長官もぜひ御尽力願いたいと思うんです。  次に、農林省にちょっと質問いたします。  先ほど土佐山田の繁藤の問題で追廻山の山頂で皆伐が行なわれた話が出ました。これは民有地でありますから別としまして、私が見ました米代川の場合に、この支流であります藤琴川、この二ツ井の場合にはちょうどそこがぶつかるところで、藤琴川の決壊と米代の本流の決壊、二カ所でやられたから非常に被害は大きくなったんですけれども、この藤琴川の上流にブナ林があったそうであります。ところが、これが大企業のパルプ用のチップといたしましてこれが伐採をされたと一何十年かのこのブナの森林が切られた、これが藤琴川のはんらんの原因だったんではないかというふうに地元の人は言っておるんですが、この点はいかがでしょうか。
  328. 福田省一

    説明員(福田省一君) 御指摘の藤琴川の上流、これは国営林でございまして、ブナ林が主になっております。ブナ林は、この近辺は非常に多いわけでございます。これを従来はブナ林を伐採しまして、杉その他の針葉樹に変えるという施業方針をとっておったわけでございます。これが、伐採したために現地――ただいま御指摘のところは見ておりませんが、正確にはあと調査いたしたいと思いますが、伐採した直後に集中豪雨がありますというと、御指摘のやはり非常な危険な状態になるわけでございます。今後はやはりただ単に木材の生産量が多いという針葉樹だけに切りかえるという方針ではなしに、御指摘のようなそういう治山治水を考えて、あるいはまた環境保全という意味も含めまして、針葉樹と広葉樹を適当に配合した森林を造成していくというふうな方針にしたいと考えておるわけでございます。そういうことで、今後はこういう伐採につきましては十分注意し、治山治水のことを重点に考えまして予防治山を実施しながら、また伐採についても十分配慮してまいりたいと、かように考えております。
  329. 塚田大願

    塚田大願君 いまの問題ですけれども、実は、伐採したあと、造植林が行なわれてないんだそうですね。そういう話を聞きました。ですから、まことにひどい話で、あるいはそういう計画はあるかもしれないけれども、現実には造植林がされていないと、そういう状態ですから、これはぜひ……。  私も現場を見て来たわけではないんで、地元の人からのお話を承ったので、ぜひひとつ調査をしていただいて、こういったことがもう二度とないようにぜひ配慮をお願いしたいと思うんです。  委員長、最後に私、もう時間もあれですし、私はなるべく時間は守りたいと思っておりますから。  これは総理府総務長官に、最後ですからお聞きしたいと思うんですが、先ほど高山委員から警報体制の問題、避難体制の問題で気象庁にいろいろ御質問がございました。まあ確かに気象庁としてはいろいろ苦労されているんだと思うんですけれども、現実の姿を見ますと、やはりこれはゆるがせにできないことで、気象情報の収集などにつきましては、たとえば、これは前回もたしか私はこの災害対策でやったと思うんですが、飛行機観測は日本ではないと、アメリカ軍の飛行機の観測にたよって飛行機観測をやっていると、なるほど陸上と海上の観測はやっているかもしれないけれども、いまのこういう異常な気象条件の中で、飛行機観測ができない、飛行機がないなどというその話では、これはだれだって納得はしないんですね。高度成長第二位だなんて言っていばっていて、飛行機観測もよその国にお願いしているなんてばかな話はありっこないですよ。ですから、そういう点では、気象庁の御奮闘をこれからお願いするとしまして、私は、この問題はやはり究極的には総理府で、防災会議でやっぱり考えていただく必要があると思うんです。それで、たとえば先ほど出ました緊急通信の問題、防災無電装置の問題ですね、まあ郵政大臣はやりますとおっしゃいましたけれども、とにかく、いまの状態ではアマチュアの無線家の好意にたよって無線連絡をしているというまずしい姿なんです。ところが、そのアマチュア無線家がおられればけっこうなんだけれども、たとえば、この間、高知の安芸市に行きましたときに、災害が起きてから一週間日に行ったのです。そうしたら市長がいわく、とにかく地元のことはわかるけれども、山奥のことはいまだにわかりませんと言うのですね。一週間たってそうなんです。どうしてわからないのだと言ったら、電話が全部不通だと、道路も不通だと。もうあとは徒歩で一つ一つたどっていくよりしようがないから、奥地の災害の情況というのはまだ把握されておりませんというお話なんですね。ほんとうに高知というところはそういうところですが、しかし、そういうところが日本にはたくさんあるわけなんですね。ですから、どうしてもそういう防災無線装置というものは当然これから考えなければいけない。新聞などの調査によりますと、日本全国四十六都道府県でたった六県しか無線装置を持っていないそうですね、県として持っているのは、その防災用の無電装置を持っているのは。ですから、ほとんどないにひとしい。しかし、さりとて地方公共団体がそれを設備するにいたしましても、何でも四億円ぐらい一つの設備にかかるそうで、なかなかその金がないと、こういうことで、実際問題としては、頭では考えてもそれが進まないということだろうと思うのです。これはやっぱり思い切った国の助成措置が必要なんではないかと、こういう問題では。やっぱり人命にかかわる問題でありますから、救助体制の問題あるいは避難体制の問題、こういう面では、私はもう思い切った措置をする必要があるだろうと思うのです。  それから警戒体制の問題ですけれども先ほど気象庁のお話では、いろいろおっしゃっていましたが、私は、これは気象庁だけにたよるという状態ではないと思うのですね、いまの段階では。やっぱり国民もわれわれもやはり協力して、あの特に集中豪雨のような観測というのは、なかなかいまの技術ではむずかしい面もあるかもしれないので、そういう意味では、私は簡易にといいますか、簡単に取りつけられるような雨量測定器でありますか、強雨計と申しますか、そういったものを、私はこれはもう危険なところにはどんどん配って、そうして民間の協力も得て、一定の雨量になった場合には、直ちに避難体制をとらせるというふうなことも私は当然考えていいのではないかと。そのぐらいやはり積極的にやらなければ、何か、どこの責任だというふうなことだけでは私は問題が解決しないのであって、そういう意味では、そういう体制、警報体制、避難体制、救助体制、これは思い切ってやはり総理府あたりで旗を振っていただいてやる必要があると思うんですが、その点で最後に総理府長官の御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  330. 本名武

    国務大臣本名武君) たいへん適切な締めくくりをいただきまして、感謝申し上げます。  御指摘のとおり、かなり具体的な案件についての御示唆があったわけでございますが、防災会議並びに今次災害災害対策本部といたしましては、その使命と機能は、御案内のとおり各省庁間にまたがるものについて、総合的な調整をする責任をもっております。しかし、だんだんお話を承っておりますと、単なる調整機能だけではなくして、さらに前向きに防災会議として新しく助成――予算措置をはじめとして、防災に対する諸施策、施設の充実をはからなければならないというところに今後は特に思いをいたして善処してまいりたいと考えております。
  331. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時散会      ―――――・―――――