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古賀雷四郎君 今回、六月、七月の
梅雨前線豪雨で非常な
災害が発生いたしました。四百四十名に及ぶ
死者を生じました。まことに遺憾なことでございまして、つつしんでお悔やみ申し上げたいと存ずるわけでございます。さらに、多数の全壊家屋、半壊家屋、流失あるいは水田の
被害等を生じまして、被災民の皆さまはたいへん御苦労なさっておることだと思います。今後の再興ができるように、
政府機関はもちろんのこと、われわれ全員もその復興に相
協力して、早急に進めることが肝心かと存ずるわけでございます。
そこで、私は今回、
九州全域にわたって、自民党の立場で
調査してまいりましたので、この際、若干の問題をいろいろ
質問したいと思います。
災害が起こりましたのは、いろいろ原因があるでしょうと思います。そこで、私はこの際、その原因が何であるかということをはっきり確かめるべきであると、まず思います。その原因となるべきものにはたくさんの現象がございますが、たとえば雨の問題が
一つございます。雨はもちろん相当大きな雨でございますが、私も
九州出身でございますが、決して異常な大きい雨ではないということだけは申し上げられるかと思います。私の
流域の地区あたりは、日雨量が千ミリという大洪水が出まして、二次発生を生じたわけでございまして、必ずしも、今回の
豪雨が最高の
豪雨であると決して申せません。また、
梅雨前線が気圧配置によりまして、相当移動する。あちこち移動する。そういう
関係で、この
災害は各所に起こり得るということも、まず念頭に置かなくちゃなりません。そういう意味で、私はこれらの事態を踏まえまして、この原因を急速に調べて、
処置すべきものは
処置する必要があると思います。
私は、いろいろ
現地を見まして感じた問題につきまして、まず第一点は、がけくずれの問題でございますが、このがけくずれ等につきましては、
政府機関で一斉
点検をやるということで進められております。まことにけっこうでございます。
高知の
土佐山田町におきましてがけくずれが生じまして、約六十名近くの方がなくなられました。その一斉
点検をやられる段階にあたりまして、その
土佐山田の現象をごらんになった方はおわかりになるだろうと思いますが、相当深いところに地下水が通っている。その現在までの
調査というのは、がけくずれの危険性があるということを土質的にはある程度判定できます。また、地質的にもある程度いろんな踏査によって判定できるだろうと思いますが、そういう地下水の存在等につきましては、なかなか原因が判定できない。わからない。そこで、この
調査をやる場合に、私は、そのがけくずれの原因か地下水――いわゆる
集中豪雨によるそれが地下水となって流れて、
先ほどお話しになりましたえびのの地すべりと同じようにすべり面を生じて、がけくずれを生じたということがあるわけでございます。したがいまして、こういったことにつきまして、もう少し精細に地下水等の問題をひとつ調べていただきたい。
実は、私らの郷里にも――大水のときには、がけ上から水が清水になって出ます。そうしてそれがきれいな水で出ている間は非常に安全でございますが、一たん、少し濁り始めますと非常にあぶない。そういったこまかい注意をやっぱしやっていただく必要があるのじゃないかという気がいたします。したがいまして、その土砂崩壊とか、いろんな原因の探査にあたられまして、それらの問題まで詳しくひとつ進めていただきたいと思うわけでございます。それらの問題が、どういう雨のとき、どういうぐあいに起こるということは、なかなか判定がしにくいと思います。原因
調査にしましても、がけくずれ、急傾斜等の
処置は非常にむずかしいとは思いますが、どうか
調査されるならば、そういったところのこまかいところまで注意されまして、将来原因になるところを除去していただきたいと念願いたしているものでございます。
さらに土石流の問題でございますが、これも原因は、
先ほどのえびのの地すべりのところは、あれはまさに小渓流による土石流の問題でございます。この小渓流の土石流は、土石流
対策として
建設省でも相当
実施しておられますが、何分にも非常に渓流が多うございまして、
先ほど申し上げましたように、いつ、どこにくるかわからないという現象でございます。そこで土石流河川につきまして、砂防ダムを一本早急に入れるということを、私らも
建設省におりましたとき、 推奨してまいったところでございますが、何としても予算が足らなくて、入れられないということで今日まで至っております。したがいまして、
先ほどの土石流なり、がけくずれに対しましては、原因を十分
調査していただきまして、早急な
措置をひとつお願いしたいと思うわけでございます。
それから、中小河川の問題でございますが、これは非常に原因がたくさんあろうかと思います。まず、中小河川は県の管理に属します。また、一級河川の支派川で、まだ県の管理に属しておるところはたくさんございます。その河川を見ますと、大体におきまして非常に管理が悪い。これが第一に指摘できます。管理が悪いというのは、要するに、費用の問題もあろうかと思います。それから、一たん改修が終わった河川でも、なお管理の十分でないという点もございます。それは二、三点指摘ができますが、たとえば佐賀の徳須恵川というのが、これは県の管理を一級河川に移した川でございますが、河床が相当に高くなっている。それから低水路が非常に狭い。そういったことによって水があふれてしまったと、それで破堤したということでございます。
熊本にもたくさんその実例が見られますし、
各地の中小河川にもその実例が見られます。したがいまして、そういった原因、直接の原因になる問題点がございますので、そういった点も、ぜひひとつ精細に
調査していただきまして、原因の除去に努力していただきたいと思うわけでございます。
さらに、農林
関係における土地改良区のせきでございます。このせきが非常に河川の水流に影響を、悪影響をもたらしている実例がたくさんございます。大体、二十八年ごろの
災害は、せきのサイドから切れて、非常に水害が多く出ました。今回も若干せきの
関係がございまして、それらの問題が生じております。さらに、上流の小河川におきましては、ほとんどそのせきの影響によってやられたという実例がございます。
一つ例を申し上げますと、矢部川の飯江川という川がございますが、矢部川の支派川になっております、今回直轄に延長していただきました川でございますが、そこにせきがございます。そのせきが非常に高い。高いからどうしても湛水する。上流が洪水の水位が上がる。したがいまして、全川に溢流する。したがって、破堤
個所が三カ所か四カ所かできております。そういった原因の除去さえできればある程度の洪水は対処できるという問題があります。また大洪水の場合に、私はダムの問題に関連しまして、
先ほど川内川の鶴田ダムが
お話に出ましたけれ
ども、ダムは、私も
昭和二十六年からあの鶴田ダムに
関係してまいりました。ようやくでき上がって非常に喜んでおったところでございます。しかし、残念ながらあの貯水容量がそういった
防災目的に利用されていないということになりますと非常に問題でございまして、あれは多目的ダムでございますが、私は
防災第一目的に、それは短期間のことでございますので、どうかひとつ水位を下げて早急に
措置される必要があろうかと思います。この問題は、全国の
各地にございます。たくさんのダムがございます。あるいは電力専用のダムもありましょうし、
農地専用のダムもありましょうし、たくさんございますが、
梅雨前線というのは性格上非常に長く続くという性格の雨でございます。
台風は短期間で終わりますが、
梅雨前線というのは一カ月近く続きます。しかも、しょっちゅうしとしと降っておりますので、地盤はゆるんでいるというような
状況でございますので、この際、私は、電力ダムを含めて多目的ダムあるいは
農地専用ダム、すべてを含みまして、
建設省でひとつこれらの
防災対策用の水位低下の問題につきまして、具体的な協議に各個ダムにつきまして入っていただきますようにぜひお願いしたい。以前もそういったことを再々繰り返してまいりましたけれ
ども、残念ながらなかなかその実行がとまっております。ことしは球磨川の上流の市房ダムというのは非常に調子よく調節をやりました。これは全く過去の球磨川の
災害に基づいて、多年の経験によりまして
熊本県がいち早く水位低下をやったということによって
災害から免れているという
実情でございます。
災害を経験しなければさようなことができないというようなことになりますと非常に問題でございますので、事前においてさようなことをやっていただければ非常にありがたいと思います。
その他いろんな問題が、たとえば、堤防のところに非常に草がはえている。まあまあ考えてみれば雑木林みたいになっているという河川が中小河川にあります。そのために堤防が破堤して、残念ながら万に及ぶ町歩が冠水したというような
状況でございます。これは佐賀の田手川という私の郷里の河川でございますが、さような
状況でございました。これらの問題が恒久
対策としての間に会うかどうかは別としまして、
緊急対策には少なくとも間に合うというふうに考えるわけでございまして、
先ほど河川
局長が言われましたように、中小河川は六十年までに概成したいというほど遠い先でございます。そういった点をひとつぜひ考えていただきたいと存ずるわけでございます。
そこで私は、それらの原因を十分
調査していただきまして、
先ほどから松本英一先生から専門的な
調査団を編成して行ったらどうかという
お話がありました。まことにけっこうでございます。軽重に応じてさような
措置をぜひとっていただきまして、あるいは各省におかれましてもそういう原因
調査をやっていただきまして、これらの原因の除去につきましてぜひお願いしたい。
そこで、
総理府総務副長官におかれましては、
先ほどの御答弁で、
調査団を編成することにつきまして
お話がありました。非常にけっこうな
お話でございます。どうかひとつ早急につくっていただいて、
天草等重要な
地域につきましてはぜひお願いしたい。さらに、各省におかれましても、あるいは各出先機関におかれましても、それぞれひとつ
調査機関をつくられて、小さいところまで、手の届くところまでひとつ原因を探求していただきたい。この点につきましてひとつ総務副長官からぜひお願いしたいと思います。