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1972-10-09 第69回国会 参議院 建設委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月九日(月曜日)    午前十時十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         沢田 政治君     理 事                 上田  稔君                 大森 久司君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 小林  武君                 田中  一君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  木村 武雄君    説明員        経済企画庁調査        局長       宮崎  勇君        法務省民事局参        事官       古館 清吾君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        厚生省環境衛生        局水道課長    国川 建二君        通商産業省企業        局商務第一課長  青木 利雄君        通商産業省企業        局沖繩国際海洋        博覧会管理官   中沢 忠義君        運輸省港湾局計        画課長      鮫島 泰佑君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君    参考人        日本道路公団総        裁        前田 光嘉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (道路行政に関する件)  (沼田ダム等建設に関する件)  (地価対策等に関する件)  (青森市における土地区画整理問題に関する件)  (沖繩国際海洋博覧会開催に伴う道路等建設  諸計画に関する件)     —————————————
  2. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず最初に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日、日本道路公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 田中一

    田中一君 最初に伺いたいのは、懸案になっておった旭ヶ丘住宅団地の中を関越道路を通すという問題でありますが、その後どうなっておりますか。結論がもう出てきつつあるように聞いておりますけれども。
  6. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 関越道路が通過する関東といいますか、現在東京−川越道と申しておりますが、それが通過する旭ヶ丘住宅団地につきまして、かねてから地元の方々から騒音対策の一環として措置を講ずるようにという御要望がありました。前建設大臣に対してそういう要請があり、大臣もその線に従って検討するという御返事がありまして、われわれのほうではいろいろ研究いたしておりまして、たとえば、御要望団地の特に騒音のはなはだしいところにふたをかぶせるという工法研究いたしました。これにつきましては、どの程度の構造にするか、あるいはふたのかけ方を、上を利用できるようにすべきかどうか、またふたをいたしますと、そのふたの直接すぐかたわらにある場所につきましては騒音がなくなりますけれども、そのふた出口と申しますか、むしろ外側に対して騒音がかえって大きくなるという点等もございまして、技術的に相当研究する必要がございましたので、関係方面とその技術的な問題及び費用の負担方法等について研究をいたしてまいりましたが、まだ最終的な結論は出ておりませんけれども、近く年末ごろまでには詳細な結論が出るだろうと、私は考えておるところでございます。
  7. 田中一

    田中一君 これは本省ではっきりと、とりあえず補正予算で一億円程度のものを出してふたをかけるという工法でやるんだということを言明しておるんです。いまのふたをかけると、その両出口、結局、入口と出口ですね。両出口のほうに騒音が拡大されて、かえって悪いということになると、どうしようというのですか。
  8. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) そのふた出口のところをさらにふたを追加していくということになりますと、これは追っかけっこになりますので、たとえば、ふたの出たところには違った形の遮音壁というものを立てまして、徐々にその騒音をなくするというふうなことも実は検討しておるようでございます。
  9. 田中一

    田中一君 既設の一つ市街地、ことに住宅専用地域にそうした道路をつくるということは、一つケースとして、完全に地元住民に対して迷惑をかけないという方向を確立させようという気持ちで、われわれもこれに対する一つテストケースとして実行せよと言っているのです。今後とも相当たくさんの同じようなケースのものが生まれると思うのです。その際に、そうした苦情のないように研究さしていこう、それを実行させよう。したがって、完全なものというよりも次善の策ですね。テストケースとしてそうした消音を行なっておるということにしてほしいと思うんです。したがって、これは成田の新幹線にいたしましても何にいたしましても、市街地ができ上がっておる。ことに住居区域ができ上がっておるところに対する当然しなければならぬことだと思うんです。  そこで、これも問題になってから相当時間がかかります。相当な研究なりあるいは実験をしているものと思うんですが、まだ結論は出ない。そうするといつごろ結論が出ると思いますか。
  10. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) われわれのほうは、四十七年度におきまして調査研究をいたしまして、四十八年度から工事を実施したいというつもりで、四十八年度予算にはおおよその事業費を想定いたしまして要求いたしておる次第でございます。
  11. 田中一

    田中一君 そうすると時限としては、四十八年度予算にはこれを計上する。したがって、四十八年度から直ちに工事に着手すると、こういうわけですか。
  12. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) そういう予定関係方面と折衝いたしております。
  13. 田中一

    田中一君 どれくらい金をかけるつもりですか。
  14. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 実はまだ技術的に問題点がございますし、関連事業等もございますが、われわれの現在の概算では、道路公団としては約十億円程度予算事業費として必要ではないかと思って説明をいたしております。ただ、これを二カ年にしますか、あるいは単年度にしますか、目下のところは二カ年くらいで工事を施行することを考えております。
  15. 田中一

    田中一君 そうすると、技術的な検討という結論は、予算を計上するころまで、あるいは三月末までかかるのですか、その時限はどうなんですか。
  16. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 技術的な結論は三月の前に出るかと思います。しかし、予算関係もありまして、事業を実施する年度は、四十八年度に考えております。
  17. 田中一

    田中一君 こうしたケースのものがほかにもあるわけです。また、ほかにも急速に生ずるおそれがありますから、地元連中にもよく了解するように、それから技術的にも安全な方法をなるべく早く発表するようにしていただきたいと思います。これについての質問は、これで終わります。  次に北海道、東北等、各高速道路建設状態はどうなっておりますか、それを総括的に報告してほしいと思います。そうしてその中には、どれくらい進んでいて、四十八年度はどういう建設計画か、それを大体報告してほしいと思います。
  18. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 現在われわれは、全体の高速道路といたしまして七千六百キロを一応目標仕事を進めておりますが、現在建設省から施行命令をもらいましたのが、全体を総計いたしますと四千二十一キロメートルございます。そのうち現在すでに供用しているもの、東名、名神等を含めますが、現在、現実高速道路として使っていただいている延長が八百三十四・九キロほどございます。この中には先ほどちょっと申し上げましたような、振りかえて高速道路にしたものを含んでおります、八百三十四・九キロメートル。現在、土木工事に着手しているものが千百三十二キロございます。その前提であるところの調査、あるいは設計、用地交渉などを行なっております延長が残りの二千五十四キロメートルでございます。そのうち今年度新たに供用する区間東北道につきましては岩槻から宇都宮まで、これが九十二キロほどございますが、これはこの十一月に完成する予定工事を急いでおります。北陸道金沢西から小松まで、これが二十三・九キロございますが、これがこの十月に完成する予定になっております。九州道の先般開通いたしました植木から北のほうの南関まで、南関植木間、これはわずかでございますけれども、これもこの秋完成いたします。  それから成田−新空港間、これはすでに事実上の工事は終わっております。本年度開通いたしますのが、合計いま申し上げました百四十一キロでございます。  それから来年度、四十八年度に完成したい、そうして新たに供用したいと思って工事を急いでおりますのが、あと東北道北陸道中国道九州道、それから関門道近畿道、それぞれ全区間でございませんけれども、できるだけ重点的に工区をまとめまして交通に供されるように努力している区間が約三百六十六キロございます。そういうことで、当初の目標に向かって鋭意努力している次第でございます。
  19. 田中一

    田中一君 私は、個人的にずうっと調査して歩いたんですが、未着手の区間、まだ用地買収もしておらぬ区間が相当いままでの予算では、ことにもう四十七年度予算でもって買収をするという地点ですら、とうてい地元の申し出並びに時価と申しますか、地価高騰によって全然手もつかない、手もつけられないという現状であるということを各所で聞いておるのです。これを調べてみますと、どうも角榮君の日本列島改造論というのがこれは災いをしている。なるほどいままでの伝統的に佐藤内閣からずっと続いている保守政権というものは、物価を上げる政策をとっているんだなということがうなずけるわけです。地元もそういうぐあいに受け取っております。したがって、これらの用地高騰によるこの対策としては、あとこの仕事をしなければならないんだから、幾らでも予算を出すんですよという方向で四十八年度予算要求をしようとするのか。これは御承知のように、最近は決して市街地をそのまま強行して通そうというんじゃなくて、主として山間僻地をなるべくねらって安いところを買う。ところが、その安いところであろうといういままでのわれわれの土地に対する地価の観念がくつがえって、道路公団高速道路をつくろうという地点、そうした市街地から相当離れたところ、これが非常に大きく値上がりをしているんです。で、これに対する四十八年度予算要求、四十七年度計画のうち、折衝しているけれどもとうてい話がつかないというようなところには土地収用法を適用して強行しようとするのか、あるいは補正予算——今度はまた大型の補正予算を組むつもりでおるようでございますから、これにどのくらいのプラスを考えて現在要求しているのか、その点詳細に説明してほしいんです。そうして私がいま言っているように、そんなことはないと。現在、四十七年度用地買収として着手しているところは、そんな抵抗なくどんどん買収されておりますよというならばそれでもけっこうです。したがって、それらをきめこまかく、計画中のものも、進行中のものもあるわけですから、これに対する地点をひとつあげて——もし地点をあなた方があげられなければ私が地点をあげます。この地点はどうなっていますか、あの地点はどうなっていますかと、こう言いますけれども、それらの点についての総括的なものと、具体的なものを説明していただきたいと思います。
  20. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 地価値上がりにつきまして御心配いただきまして恐縮に存じますが、われわれは原則として時価買収するという方針をとっておりますが、その時価自体が最近上がってきておりますので、各現場におきましては非常に苦労しておることは事実でございます。しかしながら、公団自体が高い土地費を出すというふうに受け取られること自体、これは問題がございますので、あくまでも厳正な、公正な地価評価による土地買収を進めさしております。  それから土地収用法につきましてお話ございましたが、われわれも土地収用法の精神に従いまして、できる限り事業計画がきまりますと、事業認定の手続をとってやっておりますが、現在この事業認定に従って土地収用裁決というところまでいく、最後のところまでいくものはそれほどございません。やはり最終的に話し合いがつきまして適正な価格と申しますか、かなり当初予定した価格より上がっておる場合もございますけれども、話し合いが済んでおります。  現在、土地価格で非常に困っておるという問題よりも、むしろわれわれのほうで実際出先の連中が困っておりますのは、高速道路に対する認識がだいぶ変わってきまして、地元に対する直接の利益よりも騒音とか、あるいは排気ガスとか、そういう公害を来たすのじゃないかというふうなそういうふうなことを心配されまして、地域全体としてあるいは高速道路路線を変えてくれとか、こういうふうな話が出まして、なかなか地価交渉にまで入れないという個所が全国に相当あるように私も承知しております。ただいま先生の御指摘の地区ごとの詳細な資料は持ち合わせてございませんので、あしからず御了承のほどをお願いいたします。
  21. 田中一

    田中一君 そうすると、総裁として受け取っている報告は、騒音並びに排気ガス等公害によるところの弊害がおそろしいから路線を変えてくれというのであって、したがって、その用地買収までいっておらないというように受け取っておるのですが、そうすると、用地買収は、地価は上がっておらないのであろうという見解なのか、あるいは地価が上がっておるかしらぬけれども、買収交渉などというものにはまだ入っておらないのだというように理解していいのですか。どっちなんですか。
  22. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 地価は確かに上がっております。高速道路を当初計画いたしました、あるいは事業計画を当初きめましたときよりも、時価現実に上がっておりまして、そのつどと申しますか、一定の時期をおきまして政府とも相談をし、全体の事業計画変更をお願いしております。しかし、その基本には先ほど申し上げましたように、土地は公正な時価で買うという原則がございますので、時価全体が上がってきておりますと、われわれ用地買収をする者はその時価で買わざるを得ない。その時価につきましては、国の方針等にもよりまして、客観的に公正な鑑定評価近傍類地価格というものを基準にして買収しておるというのが実情でございます。
  23. 田中一

    田中一君 いよいよ今度、臨時国会に出るという補正予算のうち、いままで地価が上がったために、どのくらいものが本年度用地買収計画で残っておるのか、そして、それに対して補正予算でどのくらいのものを追加要求しているのか、その点。
  24. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 補正予算では、地価の値上がった分についての事業計画変更は出す予定はないと私は考えております。
  25. 田中一

    田中一君 そうすると出す予定がない。上がったものは別のほうで、現在施工中の、工事中のものの年次を早めるために、その部分だけの工事費にもっていくのだ、用地費は振りかえて使うのだという考えなんですか。四十七年度仕事買収すべき地点地価が上がっておる。上がっているけれども、要求計画変更はしないと、同時にまた、補正予算でも、財投その他でもって借りるのでしょうから、それもしないんだと。せんだって、まあ新聞で見ただけでありますけれども、倍以上の実質要求に、補正予算になるというように言っております。そのものが倍ぐらいになって、財投その他も入ってくるでしょう。そこで、その要求しないとなるとどうなるんですか、しているんですか。
  26. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 高速道路の場合、全体の事業費がございまして、そのうち幾ら用地に使うか、幾ら工事に使うかという点につきましては、そのときどきの物価、あるいは地価等の変動がありますので、ワクでいっておりますので、そのときの事態に応じて、ワクの若干の移動は年度内予算の中でできます。それが非常に大幅に変えざるを得ないときには、その計画自体変更して要求し直すというふうにいたしておりますので、本年度につきましては、当初きめた事業費の中で、適当な、本年度必要な、あるいは若干当初予定した、四月に予定したときよりも土地の値段が上がっておりましても、本年度事業費内で泳がせるというつもりでおります。
  27. 田中一

    田中一君 とにかく、地価が上がっているという方向は間違いないんです。それはもうさっきも言っているように、既成市街地等でなくて、まあしいて言えば、都市開発地域でなくして調整区域、山の中でも上がっているんです。上がっていることを認めるならば工期を短縮するとか、工事中のものを急速にやるとか、あるいは全体の開通が三年おくれる、二年おくれるということになっていいといっているのか、また、将来地価は下がってくるんだという前提で考えておるのか、その点が明確じゃないじゃありませんか。  私は、いまの田中内閣は、地価を上げる政策をとり、地価を上げる、物価を上げる内閣である、こういう認定をしているんです。あなた方は、自分で実際仕事をしなきゃならぬ。国民のために仕事をしているわけですよ。それにもかかわらず、将来上がるという前提ならば、やはり先行投資をふやして、お互いが納得するような価格用地取得をしなきゃならぬじゃありませんか。もしも前段に総裁が言われておるように、公害等のおそれから自分のところは路線を引いちゃ困るんだということならば、全面的に中止する以外にないんです。しかし、道路公団は中止する意思はないんでしょう。やるならば、半年、一年早く用地取得をしなければ、ますます困難になるということを考えておらないのかどうか。将来用地が、地価が安くなるという前提で考えておるのか、それこそまた、このほかに金が十分借りられると、借りられるから買うのか買わないのか。しかし、どっちころんでも、大ワクできめていて、何に使ってもかまわないんだと、おれのほうは予算経理していないんだと、ふところのどんぶり勘定でやっているのだから、安いところをどんどん買っていくんだという、そうした非近代的な経営じゃ、これは危険きわまりない。だから汚職も出るんです。やはり、計画的な経営というものを持っていなきゃならぬと思うのです。今回のこの補正予算にも公共投資を相当ふやして景気を刺激しようと、そうして選挙に勝とうではないかという含みを持ってやっている以上、それはおそらく田中総理  の意思と異なっているんじゃないかと思うんです。その点、これは決して前田さん、あなたに対してどうこう言うんじゃないです。ただ、そうした実際にわれわれの目の前に見えている現実というものを見ながら、経営の見通しを立てなければならぬと思うのです。道路は決して道路公団のものじゃないんです。国民のものなんです。国民がこれを利用しよう、経済的にも、あるいは社会開発のためにも有利に持っていこうじゃないかというところにあるのです。だから、われわれは公団法並びに道路整備五カ年計画等々、道路の問題については、野党のわれわれも相当な熱意を持って推進してきているわけです。にかかわらず、用地は別に使うんだ、大ワクで取ったのだから何に使ってもいいのだということであっちゃならぬです。あなた方は必ず年次計画を立て、年次工事予算を立てる。そうして計画していると思うのです。現にそうして取得しようと思っている。手に入らない土地はどう解決するかということは、やはり資金繰りの問題が先行するのじゃないですか。いま、あなたのほうで相当な収入がある。もういままで計画したよりももっと交通料金が上がってくるのだ、だからこれを使っていくんだというなら、そのあがっている財源がどこにあるかということを明らかにしていただきたいです。それが自由裁量道路公団が使えるものかどうか、使えるならばどの道路……。当面はこのぐらいに収入がふえているから、まあ一千億や二千億、そんなものはへいちゃらでございますよというなら、それを説明していただきたいと思うのです。もう少し詳しく説明してほしい。
  28. 小林武

    小林武君 関連して。  まあ田中さんからも詳細な質問がありましたが、おわかりかと思うけれども、私はしろうとなものだからあまりよくわからぬのですが、あなたのお話だというと、時価購入原則というようなものがあるらしい。時価購入原則でやるということで、しかも買うものが公正な地価評価によれば、これは何ら差しつかえないんだということを先ほどから申し述べておりますけれども、私はそれは平生のときだと思う。私はいま、地価天井知らずだと思うのです。これは宅地であろうが何であろうが、天井知らず状況になっている。しかも、それが一切の物価に反映してきているということもあなたは十分御承知だと思う。そういう際に、一体その時価購入原則に立っているから、四十七年度購入分についてどんなに地価がなろうともだいじょうぶだということを、いまのような天井知らず地価暴騰状況の中でおっしゃることは、これはわれわれはなかなか納得がいかぬのです。予算というものもある、予算というものはそんな弾力があるものなのかどうか。道路公団というようなものが、そういうことについて一体それほどの大きな裁量を持ってやるものなのかどうかという問題ですね。これは一般のわれわれの家庭に至るまでのことを考えても、家庭なんかにおいては、もうそんなことは夢にも考えられないことなんです。そういうわれわれからいえばルーズだと感ぜられるようなことは、私はなかなか納得いかないのだけれども、あなたのおっしゃる時価購入原則と、その時価というものが公正に評価されている場合には何ら差しつかえないということは、この天井知らず地価暴騰の中でどういうふうにしたらいいか、まず説明してもらいたいことが一つです。  それと四十七年度の未購入分というのは、一体、どのくらいあるのかどうかという、先ほど来の質問が出ているのですけれども、あなた、それについて数字をあげたお話がないけれども、大体概算で一体未購入分というのは全体のどのくらいあるかということがわからないでここへおいでになっているわけでもないと思う。ここで言ってみてください。何%ぐらい一体未購入分があるのか。その未購入分は、一体天井知らずのいまの中において、どれだけ上がってもそれは別だということが理解できないから質問しているのですから、その二点をお答え願いたい。
  29. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) われわれも土地はできる限り低廉に手に入れたいと思って努力いたしておりますが、現在の機構の中におきましては、土地公定価格がございませんし、それから所有者意思に反してこれを一般時価より安く買うという、そういう強制的な権能もわれわれは持っておりませんので、客観的な時価で買わざるを得ないと、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。われわれといたしましてもできる限り安く買いたい、そのためには、ただいまから少し始めましたように、できる限り先行と申しますか、一般の周辺が上がらない時点において買収をしたい、土地収用法の規定もおそらくそういう観点からの解釈だと思いますが、そういう点に従って努力をしておるわけでございます。  それから、お尋ねのございました四十七年度の数字につきましてはただいま資料を取り寄せておりますので、しばらくお待ちのほどをお願いいたします。
  30. 小林武

    小林武君 ちょっと委員長。  あなたのおっしゃることをいまこのまま聞いていればとにかくあれだね、四十七年度の分についても、いまの上がり方をしていくならばどこまでいっても大体やれるという見通しですね。何ら予算上には差しつかえないという考え方ですね。そういうことでしょう。私も、あなたが先ほど来おっしゃっているように、売らないというものを買おうと言ったり——それはいまのあれでもって抑えることができないですから、それはそうでしょう。公定価格があるわけじゃなし、値段はとにかく話し合いでやるよりかない。その場合の値段というのは少なくともだれが見ても、いまの値段ならば——これは上がり方はひどいけれども、これはやむを得ないのだという価格ならば買いましょうということですから。いまの上がり方からは——いまどんどん上がる。四十七年度予算を通したときに当初考えたこと、少なくとも政府の関係の団体であれば、私は土地値上がりが今後はどうなるかということは見込みがあると思う。どんなに上がっていっても余裕つくくらいのあなたちゃんとした余裕をもってやっている、弾力性をもってやっている、そういう弾力的な予算を組んでいると、こう解釈してよろしいですか、いまのお話だというと。どのくらい幅があるんです。どのくらい上がってもだいじょうぶなんです。そうでなかったらできないでしょう。
  31. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 当初、われわれは用地決定します場合に大体何キロメートル買収しよう、そのための平均の時価をかけて積算しておりますので、具体的に何メートル買えるかということは、やはりその年度内の地価の上がり方ぐあいと、それから用地接収の結果に待ちますので、そう当初からぴしゃりと明確にきまったわけではございません。しかし非常に上がって、とても現在の当初もらった予算では用地が買えない、どうしても事業の進捗から見てことしに買うことが困難であるというようなことになりますれば、これは年度途中で事業計画変更とか、あるいは予算変更等がありましょう。しかし私が申し上げましたのは、ことしの私がいま聞いておりまする現在の地価状況等は、そう予算をこの際大幅にと申しますか、事業計画をこの際変更しなきゃならぬという程度のものではないというふうに私は申したわけでございます。
  32. 田中一

    田中一君 高橋君、これね、私は全部現地に当たってきているんです。そうすると、とても買えないんだと言っている。なるほど土地を二十キロ年度に買わなければならぬのだというところでもとても買えぬと言うのです。いまのこれは現地というものは、与えられた予算、これでどうだといって買うわけですからね。値上がりになれば、二十キロ買うところがあるいは十三キロで終わるかもわからぬ、それでやむを得ないんだということになっているんです。しかし、政府としてはどう考えるか。政府としては、これが地元は上がっているという趨勢にあるのにそれも知らぬ顔して、これだけあれば二十キロ買えるんだという場合には、当然政府としても、道路公団のほうの計画というものに協力をしなければならぬということになると思うんです。今度の補正予算には高速道路に対する——いま緊急の問題ですよ。中途はんぱなやつをつくっておっても、これは出口、入り口がなければそれは何にもならないんです。普通の一般道路と違って回り道ができるわけではないんです。ことに山の中にほっぽり出されてどうにもなるものじゃないんです。だから言うんです。だから補正予算にどのくらい入っているかどうかと言っているんです。これは、何も一般予算からどうこうというのじゃない。それもあるでしょうが、そればかりじゃないんですよ。たとえば、財投でどういうものを出すかどうかという問題も含めて、今度の予算というものは大型だというふうにいわれている。一兆何千億あるといわれているんですから、そこで、道路局としては知らぬ顔してそれを傍観して、道路公団のほうから要請があるまで知らぬ顔しているということなのか。私は現に歩いて見ているんです、実情どうなっているであろうかということで。現地ではとても計画どころの騒ぎでございません、しいて言うならば、田中総理ができたものだからもうどうにもならなくなったんですということも言っているんです。列島改造論というものが、ここまで上げてしまったんですということを率直に言っている人もいるんです。これは道路公団の人ですよ。前田君、これは君、私はもうあっちこち歩いて話やっていると、田中に会うなよ、そんなこと言うなよと言う必要はないんですよ、君。総理大臣一つ方向を私見として出しているんだから。これは、国民全部が土地に対する感覚が変わっちゃったんですよ。僻地に新しい都市をつくろうなんというような、道路公団道路が通るからこの辺も新しい市街地が生まれるのじゃなかろうかなんと考えてやっているわけなんです。したがって、いまの一カ月越すごとに地価が上がっているという実情から見て、どういうぐあいに政府としては考えるか——政府というか、道路局長としては考えているか、見解を示してほしいと思います。傍観しているのかどうか。
  33. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、地価は年々少しずつ上がっていくことは事実でございまして、最近日本列島改造論という総理の新しい方針に従いまして地価が上がっているといううわさも聞いております。  いまほど御指摘の問題は、主として日本道路公団高速道路についてでございますけれども、実は高速道路というのはむしろ市街地から離れたところを通っております。一般国道の二次改築というほうがむしろ地価の上昇には敏感にはね返るわけでございますが、同様な問題としてわれわれは全部取り扱っているわけでございますけれども、年度の当初に予算を組むときに当該年度事業計画をつくります。その場合に、用地幾らにするかということは非常に慎重に調査の結果きまるわけでございまして、従来の例ですというと、その年度の途中に、われわれの推定の倍になるとかというような極端な値上げのあることはまずほとんどございません。ほとんど皆無といってよろしいかと思います。確かに一割程度ないしは一割五分程度、これは平均してでございます。ある場所においては、非常に上がる場所があると思いますが、全体ではその程度でもっておさまるのが通常でございまして、急激に変動することはないようでございます。したがいまして、極端な値上がりのない限りは、その事業は一割ないしは二割程度の増額でできるならば、年度の途中でこれを補正予算に組むとか、あるいは事業計画変更するということはございませんで、翌年度その不足分を加えて予算要求さしてもらうというのが通常の事務ベースになっております。  なお、御承知のように、五カ年計画では全体の規模、それぞれの道路につきまして幾らというふうにきめてございますが、たとえば、日本道路公団の高速自動車国道につきましても五カ年では幾らというふうにきめてあります。しかも、何キロ供用を開始するかということはきめてございますが、これは従来の実績から申しますというと、やはり二割程度の増額になっておるようでございます。これは単に用地費——大部分が用地費でございますが、一部工事費の増というものはございますが、従来五カ年間に大体その程度が常識じゃないかというふうに考えております。ただいまの日本列島改造論による影響というのはどうなりますか、これは予測はできませんが、われわれとしてはさほど大きな——従来よりそれは大きいかもしれませんが、極端に大きな影響があるというふうには実は考えておりません。一つのムードでございまして、むしろそれよりもこわいのは大都市のいわゆる用地の買いあさりを行ないます土地業者がその付近に土地買収いたしますというと、それによって地価も上昇するということがございますけれども、日本列島改造のムードだけでは、高速道路用地全体が上がるというふうには考えておりません。御承知のように、高速道路用地の上がるのはインターチェンジ周辺だけでございまして、大部分の沿線はむしろ用地が下がるといわれております。したがいまして、インターチェンジのないところにおきます反対が非常に多いわけでございまして、全体として見た場合にはさほどの影響はないのじゃないかというふうに私は考えております。
  34. 田中一

    田中一君 ここで君と、私が自分で足で歩いて知ってきた問題と、君は観念的にそういうことを言っているが、食い違いがあると思うんです。それはひとつ、いまここでもってわからぬのにどうこう言ったってしようがない。現にいま急速に早く土地を買ってしまえという命令が道路公団から各地に出ています。そうすると、それらのものがどのくらいに予定価格よりも上がっているかどうかという問題を急速に調べてください。ただ、今度出そうという補正予算の中に、道路公団取得しようという土地計画の費用が足りない場合には、道路公団自身でまかなえるのだという根拠があるならば、その根拠を知らせてほしい。まかなえるのだ、なに二千億や三千億は前田総裁がちょっと腰振ればすぐ出てくるのだという隠し財源があるなら、それを知らせてほしい。計画が、高速道路というものは一般道路と違って迂回線がないわけなんです。期待がはずれてくるわけなんですね。したがって、その実情を調査するのか、するというつもりでやるか、さもなければ君が言うように、なにそういう山間僻地は、高速道路が通るのだから値上がりはしませんよということが、君のほんとうの調査の結果の強い意思ならば、それもけっこうです。それを報告してほしい。実際に調査していただきたいと思うのです。そうすると、今度の補正予算には道路公団が行なうというままでの計画そのまま遂行できます。しかし、一割や二割は値上がりがあるでしょうが、それは何とか買収距離を縮めればできますから、こういう答弁だと思うのです。その点はどうなんです。今度は一体何か隠し財源があって、その財源を使って補えます、できますということなのか、いままでの計画買収キロ数が減るのだ、減ってもかまわないのです、次年度に回しますということなのか。とにかく一年に君、二割上がったら、たいへんなことになりますよ。ところが、そういう山間僻地の買いあさりというよりも、住民が値上がるもんだという見通しを立っております。現にそうなんです。その点は調査してくれますか、全国全域にわたって。計画路線のうち、四十七年度買収しようという地点がどう値上がりになって、どういう困難にぶつかっているか、二つの問題があります。値段が高いという問題と公害等におそれをなして路線変更してくれという二つあると思うのです。この二つの問題について即刻調査をしてくれますか。  それから、前田総裁が言っておるように予算には修正の変更をいたしません、要求はいたしません、それでいいのですか。もうひとつ高橋君、君のほうは。
  35. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 最初用地値上がり等につきましての調査はさっそくいたさせたいと思います。これは日本道路公団だけでなくて、一般道路につきましてもさっそく実施したいと考えております。  第二点の問題は、総裁のおっしゃるとおりだと私は思っております。
  36. 田中一

    田中一君 いま小林君からの質問のあったキロ数よくわかりましたか。
  37. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 四十七年度道路公団用地予算と申しますか、これは全体で九百四十七億七千百万円予定をいたしております。で、そのうち手元にある七月末の数字では、三百五十六億千百万円用地買収が済んでおります。で、私のほうでは実は本年度用地買収土地は、本年度もちろん使いますけれども、相当部分は次年度、来年度もしくは四十九年度というときに使うものを先行して買収をいたしております。  そこで、お話ございましたように、われわれのほうは、あと残りました数カ月、約半年でございますが、この期間に残ったこの三百五十六億円の土地をぜひ買収したい、こういうことでおりますけれども、そこで、一番地元の私どもの担当者が苦心しておりますのは、できる限り安い価格で買いたいと申しますか、いかに地価が上がってもやはりできるだけ安く買いたいという気持ちがありますので、そこで、やはりその折衝等にいろいろ苦心をしておるというのがあるいは田中先生のお耳に入ったかと思いますが、そういうことで、私のほうではこの残ったものをぜひことしじゅうに買い上げたい。しかし、それは四月の当初予算を組んだときに考えたキロ数を若干差があるいは地価値上がり等であるかもしれません。それは局長も言われましたように、これは当年度使うのじゃございませんので、あるいはまた次年度、それ以降に使うという関係上、用地買収もそのあとで追加していけばいいというふうに存じます。しかし、これがはなはだしく、先ほどお話が出ましたように、用地費が上がった結果事業費がふくらみますと、これは事業計画の全体の変更をしなけりゃならな、そのときにあらためてまた予算の修正をお願いするというふうに考えておる次第でございます。
  38. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あのね、予算はわかったんだが、どのくらいのキロ数買う予定だっだのか、その当初の予算で。買ったキロ数は幾らか、あと残っているキロ数は幾らかということを、キロ数自体を、まあわかったらお伺いしたいと思います。
  39. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) キロ数は、面積等もございますので、後刻詳細にまた申し上げます。
  40. 田中一

    田中一君 高橋君、もう一ぺん念押すけれどもね、今度の補正予算には道路公団が必要とするところの買収費は補正いたしません。それでもう何とか間に合いますということが一つだね。その場合、二割やそこらの値上がりならば次年度高いものでも買いますと、こういうことだね。
  41. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 第一点につきましてはそのとおりでございますが、第二点は、二割というのを先ほど例として申し上げたものでございますが、私自身は二割も一年間に——私たちが当初予算要求するときに十分調査して積算したものよりも年度の途中に二割も上がるということは実は想定できないのでございますが、トータルとして一割以下におさまると思いますけれども、もしそういう事態がございましても、その翌年度に十分補正できることでございますので、その場合には、そういうふうにさせていただきたいというふうに考えております。
  42. 田中一

    田中一君 ひとつ面を変えて聞きますが、本年度の集中豪雨、台風等の災害について、道路公団の供用していている路線のうち、交通不能になった地点、規模、原因、対策、現状、これをひとつ報告してほしいのです。
  43. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 先般来の豪雨で若干の災害がありました。
  44. 田中一

    田中一君 若干じゃないだろう。
  45. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) しかし、ただいた先生のお話しの交通の不能という考えでございますが、のり面が崩壊いたしまして路上に土砂が出たためにこれを取り除くという間あるいは一車線を減らす、そうして、一晩かかってこれを排除するということもありました。それが各所にございます。しかし、それほど交通に重大な支障は起こったことはございません。一番大きゅうございましたのは、これは雨と申しますか、例の本年度は中央道の岩殿山が地すべりがありまして、このために、数カ月間交通を遮断いたしまして工事を行ないましたけれども、それほど私どもは交通遮断というふうな事態のないように即刻土砂を取り除いて交通の支障なきように実施いたしまして、努力をした次第でございます。
  46. 田中一

    田中一君 岩殿山のあれは何カ月閉鎖して、地すべりが根本的に解決したということなのか、現状はどうなっているか報告してほしい。
  47. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 岩殿山はたしか三カ月かと思いましたが、あの山に深礎と申します太い大きな柱を十数本立てまして、いわば、山自体を、山の地殻に塗りつけたというような形の工事をいたしました。外観はあまりよくありませんけれども、これで絶対に心配ないということで、われわれは理解しております。
  48. 田中一

    田中一君 同じようなケース地点ですね、これはあるでしょう。そういう点に対する予防的な検討というか、調査はしておりますか。
  49. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) やはり山、自然は生きておるものでございまして、雨が降る、あるいは地震等で若干やはり各所で動いておるようでございます。  そこで、われわれも岩殿山の例もございましたので、全国的に調査を始めまして、また、計測器を備えまして、できれば全部、あるいはとりあえずはおそれのありそうなところに計測器を備えまして、常時これを観測して、少しでも異常があれば即刻未然に措置いたしたいと思って考えております。
  50. 田中一

    田中一君 施工上の技術的な面の欠点から、たとえば集中豪雨にしても、この程度の集中豪雨ならばと思ったところが、結局崩壊したなんていう地点もいままでありますか。主として原因はどういうところにあるのですか、部分的崩壊にいたしましても。
  51. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 岩殿山などは、これはやはり地殻と申しますか、土地自体の地すべり関係じゃないかと思いますが、集中豪雨によって起こりますのは、のり面の崩落でございまして、これも場所によっては土地の性質もありますけれども、やはり急いで土工をして、それに対する排水の問題とか、あるいはのり面の傾斜度とか、あるいはのり面の安定のしかた等につきまして、さらにくふうをこらさなければならぬと思います。道路公団ができましてから、非常に大規模な大土工を行なうということで、従来考えていなかったようなことをやっておりますので、この辺の手当てがあるいは少し足りなかったのじゃないかという気もいたします。今後はもちろん現在ありますところの各そういうのり面等の個所につきましては再検討いたしますが、今後の新しい工事につきましても現在のこの実績と申しますか、経験を十分に反映したいと思って検討さしております。
  52. 田中一

    田中一君 この数多い高速道路計画のうちで相変わらず用地は四車線獲得、いわゆる中央道の行き方ですね。あれをそのまま踏襲している。用地は四車線買うけれども、あとの実際に道路をつくるのは二車線だという地点が相当あると思うのですが、これらももう当然四車線全部供用するような計画工事を進めるという方向はとらないのですか。中央道の大きな事故、これは交通事故です。これらもセンターに相当な施設を持ち、そうして四車線ならばああしたたくさんな事故がなかったんではないかというのが、国民的なわれわれの考え方なんですが、これだけ金があって、公共投資をうんとしようといっている現在で、まだ他の路線も二車線だけで当座は糊塗していこうという考え方を持っておりますけれども、その点は、根本的にどうなんですか。
  53. 前田光嘉

    参考人前田光嘉君) 先生御指摘のとおり、高速道路である以上私はやはり往復分離して追い越し可能である四車線、これは原則だと思います。いまお話しのように中央道の経験を見ましても、高速道路と銘打ちながら、二車線であるために事故が起こった、しかも、起こった事故が非常に激しいということを痛感いたしておりますので、われわれ道路をつくる側から考えますと、ぜひとも高速道路は全部四車線以上にお願いしたい、こう思っておりますが、しかし、国の御方針あるいは財政等の都合によりまして、まだ全部そうなっておりませんことは、私といたしましては残念でございますけれども、しかし、政府のほうにおかれましても、そういう点は十分御承知でございます。縦貫道審議会等におかれましても、たびたび論議されておるように聞いております。なるべく早い機会にそういう御方針にこれが変わるように希望しております。
  54. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) ただいま公団総裁から御説明ございましたように、高速道路の定義は四車線以上になっております。往復分離されておることになっております。したがいまして、二車線でつくるということは、まことにこれは当時の財政事情と申しながら、われわれ建設省側といたしましても不本意であったわけでございますが、最近財政当局との話し合いもつきまして、平地部におきます高速道路につきましては、四車線でつくることが了解されております。山地部と申しましても、特に中央山脈を抜くとか親不知子不知であるとかいうような特殊な難所を除きまして、原則として四車線で建設するように財政当局との話し合いを進めておるわけでございます。
  55. 田中一

    田中一君 四車線以下じゃ困るんで四車線以上なんですよ。六車線でもけっこうです、八車線でもいいんです。したがって、いま高速道路計画されているものは、全部四車線以上完成と同時に供用するということになっておりますか、そうじゃないところがありますか。その点はどうなんですか。ことに前田君の答弁のうち国の御都合で——国のために道路をつくるんじゃないですよ。国民的要請からつくるんです。こんなことを言いたくないけれども、やっぱり四次防にあれだけの金を使うならば、国民の生命を守るために、必ず高速道路は四車線以上の用地を幹線は取得し、そうして必ず四車線の完成をみなければ供用させないんだというぐらいな方針を立てなければならぬと思うんです。ちょうど建設大臣お見えになったから、まあ木村さんは、その点はよくわかるでしょう。ひとつ、まだまだ現在でも用地は四車線、工事の完成は二車線で供用する、こういうことの地点がたくさんあるんです。四十八年度からの予算の上に、あるいは計画の上に、国民の生命を守るために必ず四車線を完成させ供用する、二車線の供用は認めません、こういう姿勢をとっていただけるかどうか伺います。
  56. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ごもっともでありまして、私もやっぱりあちこち回って歩きまして、四車線以下のものは許したくない。何といっても人命が一番大切ですから、そういうようなことを考えて障害になるようなものはさせたくない、こういうふうに考えております。それですから、御期待に必ず沿うように処置する考えであります。
  57. 田中一

    田中一君 これの計画は、全部四十八年度からそのように改定するということを言明してください。
  58. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) そういうように改正いたします。それはお約束いたします。
  59. 田中一

    田中一君 いまここへお見えになるまでに、どうも角榮君のあの著述、改造論という、相当山間僻地土地まで値段が上がっておる。そうして、私はずっとよく休会中に歩くんですよ。そうすると、どうしてこんなことしてんだと言うと、用地の問題、もう値上がりになって、ことしの予算じゃ、いままでの公団から与えられた予算じゃとても買えません、こう言って嘆いておるんです。ところが、御承知のように、どんどん山間僻地値上がりしているんです。まあ道路局長は、市街化区域のほうが上がっているんだ、一般道路のほうが上がっているんだと言いますが、山間僻地を日本の大手の不動産業者がどのくらい買っているか。これは、手をつければそれがすぐ時価になる、時価時価と言うけれども。先行投資として、商品として買うんですから、これはどうにもなりません、買って売るんですから。それで上がっているんです。上がってないと高橋道路局長言っているから、実態を調べてくださいと言って、調査をして当委員会で報告する約束をしましたから、これはいいんです。私は、日本列島改造論についての論議は、これはいずれかの機会にします。みんなの聞いているところで、なるべく宣伝力のあるような質問をしたいと思うものですから。ただ気になるのは、とりあえずは、税金は——いわゆる商品として持っておらないで値上がりを待っている投機的な法人、金持ち、財閥が——不動産会社の買うのは全部これは商品ですが、そういうものが土地を買い占めて、そうして値上がりを待っているんだという、これに対しては九〇%の課税をしようということを大臣、あなたは放言——これも放言の一つだな、私に言わせれば。本気でやる気なんてないと思うんですよ。  土地というものは、公共事業土地取得するもののほかは、やはり生産のために——一番大きなのは、自分の家を持ちたい、一番不足しているところの、日本の貧困な住宅政策の面から、自分の住む宅地がほしいんだということで、これが最後の買い方なんです。国民がほしがっているんです。公共用地幾ら上がったって、次年度にそれを改定してやりますからと、高橋君、あとで議事録見てくださいね。君はそう言っていますよ。何も上がったって、翌年それを修正して買えばいいんです、こう言っておりますよ。私の言っていることが、そういう受け取り方が間違っていれば、高橋君、議事録読んで、この次に説明してもらいますけれども、これは結局、九〇%の税金をかけると、地価が九〇%上がるということなんです。究極の要求者は国民なんです。政府じゃないんです、国民なんです。そうすると、なるほどな、田中内閣物価を上げようという政策をもうしんからとっているんだと。しょせん都市周辺、あるいは東京都、首都圏なら五十キロ以内、近畿圏ならば近畿全域に対して九〇%の税金をかけるならば、九〇%、地価が上がるということにすぎないんです。税金をかけるなんということは、政治の一番低級な方法なんです。いかに国民に税金を一切かけないか、国民には何にも税金をかけないということが最良なる政治なんです。別の面でその産業を保護し、育成し、独占資本というものを育成し、それらが土地を買った、これに税金をかけるんだとなると、その財閥は、あるいは資本家は、その土地自分で持っているんじゃないんです、売るんです。売る場合には——税金は九〇%かけるけれども、売る場合には、九〇%税金は控除したところの、買った値段にプラスアルファ、金利なり何なりつけて売らなければならないんだという政策を政府がおとりになるなら、これは一面歓迎してもいいと思う。まあ納得してもいい。歓迎はしませんけれども、納得してもいいと思う。結局、九〇%の税金をかけると、地価が九〇%上がるんです。庶民の生活に全部かかってくるんです。これは全部の物価を上げる政策なんです。  この点について、木村建設大臣、現在の心境はどうであるか。また、大蔵財務当局は、これでもって原資を取って、そうしてまた国が公共用地として土地を買えばいいんじゃないかということを考えているようでありますけれども、その点の心境はどうですか。
  60. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 山間部落のほうに投機的な人が土地を買っておる、もう買い占めに近いことまでやっておるというところは、実際至るところに見受けられますよ。私は、地方を回って歩きまして、いろんな話を聞いて、実はびっくりしておるんです。こんなに日本の商人というものはたくましいもんだろうかと、全くびっくりしておるような次第なんでありまして、どういうわけで、どこをどうしてこんな場所を発見して、そしてこのような手を打っているもんかということには敬服する次第なんですよ。  そうでありまするから、それにつけても、公共事業で必要とする土地を確保するにはどうしたらいいんだと、こういう点で非常に頭を悩ましまして、そうして、思い切って税金をかけたならば、そういうような投機的な買い占めというものを抑制することができるんじゃないか。こういう考えで、私は建設省当局と相談して、法人税は分離課税にして、地方税、中央の税金を含めて九二%の課税をやってみようと。そうして、土地ではもうからないんだというような気持ちを起こさせることが最初に一番大切だと思って考えたんですよ。ところが、田中委員からも、そういうようなことは、結論として、個人が最終的に自分土地、住宅を必要とすると。そういう人々が土地を獲得する場合には、税金政策をやると高過ぎて困るんじゃないかと、こういうようなお話がありましたので、それをどうするかということもいま私考え中なんですよ。しかしとにかく、そういうような投機的な土地の買い占めをやって、値上がりを待って、そうして売ろうとしておる者に対しては、高額の税金をかける以外に方法がない。それが一ついま考えておることなんであります。  それからもう一つ、売らなければ結局税金がかからないんですからね、じっと持ちこたえておったならば何にもできないんじゃないかと、こういうような声もあったものですから、投げ出させる方法として、結局保有課税ですか、そういうような面で、三年でも五年でも持ち続けておるとそれだけ税金が高くなってしまって、持っておることは非常に損だという側面的なやり方も必要だと、こういうように考えまして、そのことも一つの案としていま出しておるようなわけなんでありますよ。一生懸命になって考えておりまするけれども、しからばこれが全体のきめ手であるというものを持たないことを私は非常に残念に思っておる。現在の私の頭では、それより以上出てこないんですよ。まあ田中委員から、土地は国の領土であるというような宣言をしてみたらどうだというようなお話もありましたので、どういうようなお考えだかもっとしっかり聞いてこいと、こういうことを事務当局に言ったと思いますけれども、まだ行きませんか。私は、ほんとうにあらゆる角度から、この点は何とかしてみたいと思いまして、一生懸命で取り組んでおる状態なんでありまするが、あに田中委員だけでなく、やっぱり、こうしたならばどうだというお考えのある御意見は、私はほんとうに取り入れて実行してみたいと、こういう考えで、一番頭を痛めておることなんであります。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、建設大臣の、地価を、需要者に、税金をかけて高い土地にするんだということは取りやめようということですね。
  62. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ええ。
  63. 田中一

    田中一君 よくわかりました。  それからもう一つは、いまあなたがおっしゃるように、遊閑地税をかけろということですね。遊閑地なんという土地はないんです。これは、どの場合でも有閑地はないんです。ということは、木一本植えたらいいでしょう。ここはこの木を育てるためにここに杉を植えているんですということでも有閑地じゃないんです。結局、土地というものは、生産の媒体なんです。持っていることだけでは、土地からは生産されないわけなんです。したがって、利用の問題なんですよ。土地利用法という法律をつくるなんということを、木村さんは就任と同時に、そういうことを言ったと聞いておりますが、利用というものはだれが利用してもかまわない。国は、当然日本の領土であるところの土地を、私有であろうと公有であろうと、遊ばすことはならない。また、市街地にあき地があったって、貸しガレージという看板が一つあがっていれば、それは使おうが使うまいが、やっぱりそれに対して利用していることになるんです。したがって、有閑地という土地はなくなります。一つも存在しません、都市化区域には。車は入らぬでも、貸し駐車場というならば営業として、これは車を預けて使わしてくれといったら使わせればいいのです。有閑地ではないんです。したがって、根本的に土地というものそのものの性格を変えなければ解決されませんというのです。  まあ、ここで私の議論を言ってもしようがないからやめますが、いずれ——ただ、こういう問題はせんだっても自民党の小山委員から発言があったのは、土地の問題等も当委員会で小委員会でもつくって十分に一緒に検討しようではないか、各党で検討しようではないかという提案があった次第なんです。とにかく、いまのような形で、一つの手法として税金をかけるなんということは愚の骨頂です。高物価政策の最たるもんです。一番ほしがっている。しかし、国民土地の所有がほしいのじゃない。利用権がほしいのです。利用するところに価値があるのであって、持っているところで、固定資産税を取られて、何にも生産されないと利益がないのです。したがって、この点については、まあ建設大臣が各党に政治的に働きかけて、みんなで——学者ばかりじゃだめですよ。実際に目の前にある土地を考えているのは庶民なんですから、政策ではなくして、根本的な民族の立場からこれを考えなければならぬと思うのです。  したがって、あなたから、きょうは非常によかったのは、高速道路は必ず四車線を完成させて供用させるということが一つ。もう一つは、土地に対して高額な取得税をかけない。かけたところがこれは物価値上がり方向ですから、これはかけない。有閑地税なんというものは、有閑地税というものをつくる、かける、設定するということになったら、必ず利用されている土地になってしまいます。一坪の土地でも、これが利用される土地になってしまいますから、これは、もうそれも愚な、間違っている施策でありますから、これもおやめになっていただきたいと思うのです。もう少し根本的に土地の問題を考えなきゃならない、その段階がきているんだということにもっと御検討願いたいと思うのです。  私の質問、これで終わります。
  64. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) おっしゃるとおり、税金かけるなんということはいいことじゃないですよ。私もそんなことはきらいなんですけれど他に考えられないものですから——公共事業のための土地を獲得するには他に考えられないものですから、最善の策と思わないで、こういう案を出したのでありますが、どうかお願い申し上げることは、私は学者の議論なんというものはあまり歓迎はしないんです。実際いろいろなことで体験、経験のある人のお話を採用することが一番適切だと、こう思っておるものですから、私のほうからお願い申し上げることは失礼かもしれませんけれども、ぜひこの委員会で土地問題の小委員会でもおつくりくださっていろんなことを研究してくださいましたならば、私は非常にうれしいことでありまして、そうして、実際実行でき得るもので国民の喜ばれることであったならば、私はそのまま採用してもいいのじゃないか、決してこだわっておりませんから。ものはこだわって考えておりません。常によりよきものに前進していきたい、こういう考えを持っておりまするから、その点は特にお願いを申し上げておきます。
  65. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は、木村建設大臣に具体的な問題でお尋ねをしたいと思います。  木村建設大臣は先月二回にわたって群馬県を訪問され、二回記者会見をしておられます。その記者会見の内容について少しお伺いしたいのでありますが、記者会見のお話がそのまま政府の方針であり田中内閣の具体的な施策でありますならば、たいへんけっこうなことだと実は思うわけであります。しかし、どうもそのいきさつをつぶさに検討してまいりますと、何か木村個人の発言と申しましょうか、思いつきの発表と申しましょうか、そういった感じを持ちますので、ひとつこの委員会の席上でやはり政府を代表する建設省の主管大臣としての答弁をお願いしたい、こう思うわけであります。  先月二十四日に小渕政務次官の就任祝賀会と申しましょうか、小渕君の応援にいらっしゃって記者会見されたときには、沼田ダムはあまりにも犠牲が大きいのでこれはもうやめるんだ、端的に申し上げてこういった発言をしておられます。沼田ダムと申しますのは、御承知のようにこれは大正の初年から問題にされまして、当時は発電関係の重要なダムとしてかなり検討されたようであります。しかし、何せああいう場所でありますから実現はかなりむずかしいということで、まぼろしのダムということばが冠せられたのであります。しかし昭和の時代になりまして、発電ダムとしてはもちろんでありますけれども、東京都を中心としたいわゆる京浜、京葉の工場地帯がさらに大きくなってきました時点と軌を一にして工場用水の不足が非常に目立ってまいりました。この工場用水を確保するため、もちろん上水道の確保もこれはありますけれども、工場用水を何としても確保するためには、もうすでに今日沼田ダムの建設以外にはないといったような観点でさらに大きくなってまいりました。  私はかつて衆議院の建設委員会で、佐藤内閣の中期でございますが、瀬戸山三男君が建設大臣になった当時でありますが、このことについていろいろと問いただしたところ、それまでは建設大臣は、つくりたいけれども決していまつくろうと思っていないといった答弁でございましたが、瀬戸山君が初めて、沼田ダムをつくるんだ、どうしてもつくらなくちゃならない、しかも瀬戸山君の言うことには、私が大臣就任当時佐藤内閣総理大臣からわざわざ、ひとつ瀬戸山君沼田ダムを頼むぞ、こういうことまであったのだという答弁がございまして、いわゆる自民党政権は、もちろんいろんな困難はあるけれども沼田ダムを建設する意図があるし、またやらなくちゃならぬということが、一応政治的な具体的な問題として提起されたわけであります。それ以来いろいろといきさつはありましたが、私がまた当参議院に回りまして、当委員会でも河川局長ないしは主務大臣に聞きますと、これは、困難はあるけれども何とかひとつ地元の了解を得てやりたいのだという答弁が返ってまいりました。そういうときに木村さんが大臣になられて、そういう地元の群馬県にいらっしゃって、去る二十四日の、そして重ねて三十日の記者会見ではっきりとやめるんだと、こうおっしゃっている。このことは、非常に地元にとっては朗報であります。ただ、しかし先ほど申しますように、私が、木村個人の発言であり、あるいは思いつきの発言じゃないかと申しましたのは、かなり歴史的に根強い問題でありますし、いわゆる昭和六十年、東京都を中心としたこの首都圏の水はかなり不足してまいります。いろんな対策がなされておりますけれども、要するにこれは、もうこれを確保するためには沼田ダム以外にないのだという建設当局のお考えもありますので、こういったことを踏まえて、大臣はいわゆる建設省担当の大臣としてこういう御発言をなさったのか、この辺の真偽のほどをまずお伺いしたいと思うわけです。
  66. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 最初に参りましてそして発言したのは、個人的発言です。それは、この京浜地区で非常に水不足に苦しんでおる。将来を考えると、ますます不安がつのってくる。だから、どうしても水資源を確保する場所がほしいのだと、そういう点で、沼田ダムというものは垂涎おくあたわざるものであったことだけは間違いなかったと思います。しかし、私は群馬県に参りまして、沼田ダムで水没家屋というものは幾らあるのだ、これ聞いてみたのですよ。そうすると、一番最初は二千六百と、こう言っておったのですが、あとから聞きましたときには、四千戸以上ある、こういう話なんです。私は、二千六百戸の水没家屋というものを対象にして、そして、その沼田ダムをつくるということは不可能じゃないか。それは二千六百ですよ、家屋分が。それらの人々を納得さして、そしてその地域から他の地域に移すなどということは、どのような、たとえばヒットラーのようなやり方をすれば別ですけれども、そうでなくて、話し合いでものを解決しようという現在の政治情勢のもとにおいては不可能じゃないか、こういうように自分が判断をしたのですよ。それで不可能なことはやはりあきらめたほうがよろしいと、こういう考えで、私は、沼田ダムというものを建設することはむずかしい、こういう話をしたのですよ。そうですから、これは角度を変えて考えたほうがいいんじゃないか、こういうように発言いたしまして、こっちに参りまして、建設当局にその二千六百戸の水没家屋を対象にしてダムをつくるということは、もう一ぺん考え直したほうがいいのじゃないか、こういう話を事務当局にはしておいたのですよ。しかし、事務当局は、長らくの懸案なものですから、即座にやめるとは言わない、それは放棄するとは言っておりません。  それから、今度は二度目に参りましたときには二千六百戸じゃないと、もう四千戸以上出ておるのだと、こういう話なんです。ますます不可能の度合いを強くしたのですよ。とてもそんなことは無理でしょう。どっから考えても無理ですよ。どのように垂涎おくあたわざるような場所であっても、四千戸以上の人々が住んでいる場所に、それを全部立ちのきさして、そして必要だからといって、そこに私はダムをつくるということは、政治的判断ではとても不可能だ、こういうように考えておるのでありまして、それはあきらめたほうがいいぞ、いつまでもそんな場所に固執しておったって不可能なものは不可能なんだ、だめなものはだめなんだ、きちっとあきらめたほうがいいぞ、そしてそれだけのものは他で発見するようなことを考えてみないと、その水資源を確保するという根本的問題も失われる危険があるぞというのが私の考えなんでありまして、それは事務当局には現在でもたびごと言っておりまするが、事務当局も長らくの懸案であるものですから、私から言われたからといってあきらめましたなんて即座に言い切れないのじゃないかと、こう見ておるのですよ。しかし、私は、政治判断から不可能だと、こういうように判断いたしております。そうして無理なことはさせないつもりなんであります。
  67. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 二千五百戸というものは、これはもう十年以上前の戸数でありまして、現在は四千から五千になっておると思います。沼田市というのは約四万ちょっとの市でありまして、市の大半が人工的にもう沈みますし、それから隣接町村も含めますとえらいことであります。いわゆる利根、沼田という地域の経済、文化、あらゆる面も中断されまして、これはえらいことになることなんです。その点、われわれとしては、もう反対していた立場から木村大臣の発言は非常にけっこうと受けとめたいわけでありますけれども、いまあなたも指摘されますように、この問題は非常に根強いものであります。これは建設省当局だけじゃなくて、いわゆる日本の財界と申しましょうか、独占資本の諸君の、これはもう松永さんとかいう大先輩のこれは一つの固執とでも申しましょうか、あの人を中心に日本財界の集中的なこれは願望でございますから、私は簡単じゃないと思うのです。  そこで、私はきょうわざわざ質問するのは、地元が、いわゆるこれは保守、革新を問わず、商売のいかんを問わず、地元では絶対反対の立場をずっと堅持しているわけでございます。ところが、木村現大臣の発言で、何かこう地元にほっとしたような気分が生まれている。私がたびたび指摘するように、いわゆる思いつきの発言であっては困る、それは地元に対して何かこうあめでも投げ与えて油断をさせて、油断したすきをいわゆるねらうといったようなことがあっては困る、そういう点がありますから、実はここでいわゆる新聞発表——これは私はもちろん大事なことでございます。決して新聞発表が軽いとかいうことではございませんけれども、やはり当委員会で大臣の確固たるひとつこれに対する立場をお伺いしておかぬことには、これはやはり地元としても今後いろいろな問題を惹起するという観点で実はお尋ねしたわけであります。  いま大臣の端的な御答弁で、あなた自身は、確かにこれはもうだれが考えても四千戸以上の、関係人口二万人です。しかもいま申しますように、利根、沼田における米の主産地の約七〇%が水没することになる、国鉄の駅が三つ、学校その他の公共施設もずいぶん水没することになる。したがいまして、私も木村大臣と同じようにこれは不可能に近い、いや不可能な一つのことであるというふうに受けとめておるわけですが、したがって、まあ私は違った立場からずっと反対してまいった。しかし大臣も指摘されますように、たなた自身がそういうふうな非常にすなおな受け取り方をして、不可能だからやめるべきだという御判断をされましたけれども、それを受けた建設省内部においては、簡単にそれを受けとめる状態じゃない。こうなりますと、問題は大きく残るわけであります。私もいわゆる建設省当局が簡単にあきらめないということも、私個人としては理解できないではありません。そこで、ひとつ大臣がそのことと含めておっしゃったいわゆる沼田ダム一つにこだわらないで、上流なりあるいはほかの水系にダム群をつくって、これを補ったらいいんじゃないかという発言がありました。この点、私どもも何回となく指摘をしてきておるのであります。あの沼田ダム一つにこだわらないで、利根川の上流、渡良瀬川その他の関東地域にある水系に多くのダムをつくってそれを補ったらどうかということを指摘しましたが、事務当局はそれに対しては、とてもそれじゃ追っつかぬと、こういうお話であったわけであります。  そこで川崎河川局長、いまお聞きのように、建設大臣は、沼田ダムはこういったことでこれはもう不可能に近いと、したがって、放棄すべきであるという御発言をなさっていらっしゃる。これは私は木村大臣としてはほんとうの気持ちだと思うのです。しかもまた、いま申しますように、ダム群をつくってこれを補ったらどうかという意見もありましたが、あなたは当面の責任者としてことことに対してどういうふうな御見解を持っていらっしゃるか、ひとつ端的にお伺いします。
  68. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 沼田ダムにつきましては、基本的にいろいろ大きな問題をかかえておるということはお話しのとおりでございます。したがって、私どもも現実状況から見まして、少なくとも新しい第四次の五カ年では、これはまだ着工すべき段階じゃないというようなことで、前の西村大臣とも御相談をいたしまして、五カ年計画では着手しないという方針できておるわけでございます。ただ、それじゃ、今後少し長期的な考えでどのように進めるかということでございますが、先ほど来やはり大臣からもお話しのございましたように、現実を踏まえましてやはり政治的な判断とすれば、相当この実現ということは不可能に近いあるいはむずかしいという御意見も当然あろうかと思いますので、私どももひとつ慎重に進めていきたいと思います。沼田ダムの持っております使命といいますか、目的は水資源の開発と、それから治水と、この両面があるわけでございますが、水資源につきましては、今後のやはり日本列島全体の土地の利用計画、こういったものからやはり水需要の形態にもやはり新しい姿ができてくるのじゃないかと思いますし、特に水の利用の合理化、こういったものも含めまして十分ひとつ検討をしていきたいと思います。  ただ、問題になりますのは治水の問題でございますが、御承知のように、昭和二十二年のような豪雨が参りますと、利根川その他の地域開発の状況からいきまして、かなりひどい災害が予想されるわけでございますが、これにつきましては、水資源の開発の問題とは違って、あまり適当な代替手段がないわけでございますので、そういった点では、さらに私どもも慎重に進める必要があろうかと思いますが、基本的には大臣の御指示もございましたので、十分心がけて今後対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  69. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは、いわゆる世界のダム史上かってなかった水没家屋だと思います。とにかく、四、五千程度の、人と市があらかた、半分くらい沈むというのでございますから、ほんとうにおそらく今後もこういうダムが起ころうとは考えられない。したがってこれは、場所は群馬県の一部でありますけれども、私は日本列島改造と関連してきまして日本的な問題だと思うのです。したがって、ここでこれ以上論議をする意思はありませんが、少なくとも大臣のおっしゃったことを政治的に踏まえて私はこれはこのダムをつくるということが別に閣議決定されたわけじゃございませんけれども、しかし、一面いろいろな問題がありますが、田中総理の日本列島改造なども大きく喧伝されている中でございますから、ひとつ、できますならばこれは閣議あたりで、いま局長も言われたように、五カ年計画に入ってないけれども、しかし依然として局長の答弁で見ますと、これはいつかはやりたいという願望は捨て切っていないわけです。そうしますと、群馬県ないし地元の人たちがこれはもう永久に沼田ダムによって脅かされ、かなりの精神的な苦痛を味わうわけですから、できますならば、閣議の席上において木村大臣から発言をされて沼田ダムを問題にしないのだというくらいのひとつ発表がなされますれば、たいへん地元としてもありがたいし、また、この問題は一応ほんとうに消える、木村建設大臣が群馬にいらっしゃって二度も発言されておるのですから政治的な裏づけができると、こう思うのですが、そういったひとつ御努力をされる意思はないかどうか。
  70. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 建設省としては、率直に言うと十年間もほれてきた女がですね、そうですからそれを即座にあきらめろと言ったってなかなかあきらめ切れないからいまみたいな何だかことばの中で濁したような話をしているのじゃないかと私は思っておるのですよ。しかし、こんなことをやるとこれは政治じゃない、暴政ですよ、ほんとうの暴政ですよ。五千戸近くの人をそこから追い出すなんということはたいへんな暴政だと、東京都が、こっちのほうから見ましたならば、水資源を確保して云々なんて言って善政みたいに見えますけれども、これをやったならばほんとうの善意ではあるけれども悪政になってしまうと自分政治家として判断しておるものですからこれはやらしたくないし、やらせないという考え方で取り組んでおるのです。ただ、閣議でそういうようなことを発言して云々というところまで必要はないのじゃないだろうか、そういう点については、私は、私よりも建設行政はいまの内閣総理大臣が十分知っておりますからね、一対一で話し合いをしておきたいとこう思っておりまするが、日本列島改造をやるにあたって無理なことしたならばたいへんなことになってしまうと、決して日本列島改造は無理してやるものじゃないと、その基本線を私持っておるものですから、それで沼田ダムなどというものはやらせない、こういう腹で自分も取り組んでおります。そして建設省でもいま一生懸命になってその水量に見合うものは、一つじゃありませんよ、五つとか何ぼか集めたならばなるのじゃないだろうかと思って、それからは真剣にいろいろな場所を発見するように努力いたしておりまするから、そのうちに私は無理な政治はやらないように、権力でものをやるということじゃないように私は改まると、こういうように確信を持っておりますから、どうかそういう点ではこれからのやり方についてはどうかおまかせくださるようにお願いを申し上げます、暴政は決してやりませんです。
  71. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 田中総理はあのダムのそばをいつも通って上京したり帰ったりされるわけでありますからよく知っています。したがって、ぜひ木村建設大臣との仲でありますから、閣議とは申しませんが、ひとつぜひ田中総理にも進言されてあのダムを中止する方向に努力されたい。  次に、官房長にお尋ねしたいのですが、先般の当委員会で、次の通常国会に提案される法案の幾つかが提示されましたが、これはいま別にこのほかに追加される意思はありませんか、追加されるものがあるとすれば、どんなものであるかちょっとお伺いしたい。
  72. 大津留温

    説明員(大津留温君) ただいまのところ、追加する予定のものはございません。
  73. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、建設大臣にお尋ねするんですが、あなた同じ記者会見の席で八ツ場ダム問題に触れられて、八ツ場ダムの建設は水源地域開発法を次の通常国会に出して、これをひとつ通過させて、その上で対策を講じたい、こういう発言をしていらっしゃる。いまお聞きするように、当委員会にあなたも御出席なさった先般の委員会で、次の通常国会への法案の提出について伺いました。いま重ねて責任者である官房長官にお聞きしたら、追加提出の予定はないとおっしゃっている。この点いかがなものですかお答え願います。
  74. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 失礼しました。  経済企画庁でこの水資源を確保する法律はどうしても出したいというわけで話を進めておるようですよ、私のほうで出すんじゃありません。これは経済企画庁で出すんでありますが、私のほうといたしましては、この前の国会でもやっと十八の法案を通すのが精一ぱいだったんじゃないかと、より以上の法案を出したんじゃとても通らないぞと、こういうたいへんいい御忠告があったものですから、通る範囲内で何とか法案を提出してみようと、そして、そのことについても御了解を得ながら進めたいと、こういうように思っておるもんですから、私のほうのものでなくこの問題が進められておるんであります。経済企画庁かこれを担当しております。経済企画庁の意見だとどうしても今度の国会に出すようですから、そう御了承くださったらよいと思います。
  75. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設大臣は所管外の経済企画庁関係の法案まで出すという自信と、そういう発言をされたようでございますが、実は建設省が「八ツ場ダム建設に伴う地域開発及び一般補償についての意見書に対する回答」という形で、八ツ場の地元の長野原町議会が出しました建設省に対する回答、要求書について。これは直接出した、回答したのは建設省関東地方建設局でございますが、しかし、その回答書の中に建設省という立場で回答が出ている。その第一項目に、地元要望として「水源地域開発法の早期制定について」というものがあるわけです。これによりますと、短い文でありますから読んでみますが、「回答 水没地域の開発にあたっては、地域の実態に即した補償を行なうとともに、あわせて地域開発に関する施策を総合的に実施することが必要であると痛感いたしております。このような観点において、政府は、ダム建設事業と取り組むうえで最も問題となっている水源地域対について、最近、関係省庁による連絡会議を設けて、水源地域全体の地域開発を総合的に進めることとしておりますが、なお、建設省としても、水源地域開発法の制定についても、積極的に努力している状況であります。八ツ場ダム建設につきましては、国の関係機関をはじめ関係地方公共団体等のご協力を得ながら、ご要望の趣旨を十分踏まえ、水没されるみなさま方の生活再建対策を最優先した、万全な対策を期し、地域開発の促進が図れるよう善処いたす所存であります。」こういう回答が出ております。  そこでいわゆる地元としては、これは御承知のように、群馬県知事の神田坤六君が会長をして、水源地域開発促進法の制定についての運動を、陳情をしてきておるわけですが、そのよしあしは別として、群馬県としては八ツ場ダムの地元だけじゃなくて、県全体としてもぜひそういう対策を立てる、そこへもってきて建設大臣が水源地域開発法を制定するという発言をされましたことは地元にいろんな影響が出てまいるわけなんです。それがまた八ツ場のダムの地元としても複雑な様相を呈しているわけでございます。そこで、先ほど質問したんでございますが、こういった関連の中で、八ツ場ダムの建設に対して大臣としてはどういう今後対策を立てていかれる御意見であるか、この点をひとつあわせてお答えいただきたい。
  76. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 八ツ場ダムの問題ですね、賛成者の意見も私は現場で聞いてみたんですよ。町当局は賛成である、それから県も賛成であると、ところが地元の八ツ場ダムの人々がおいでになりまして、われわれは反対であると言って、反対の意見と賛成の意見と私は聞いてきたんですね。それで、反対の意見の主たるものは、あそこは旅館がありますね。あれが水没地域になってくると、そうすると商売が成り立たなくなるんだ、だからわれわれは八ツ場ダムの建設には反対であったと、こういう意見だったんですよ。それから県当局に聞いてみましたならば、あのお湯は管で山に上げることができるから、その補償は間違いなくできると思うと、こういうような話であったものですから、二の問題は条件づきで解決することができるんじゃないかというのが私の大体の判断なんです。そうでありまするから、この法律ができ上がって、この法律を中心にして、そして話し合いを進めていったならば、反対者の人々は納得してもらうことが可能じゃないだろうか、こういう私は考えを持っておりまして、この法案の制定というものには私は熱意を持っておるのであります。そして、この法案をつくり上げるために、一生懸命になっておりますのが政務次官であります。政務次官が横の連絡をとってやっておるようであります。そして大体了解しましたけれども、まだ企画庁の一部に賛成しないものがあるものですから、出すとか出さないとかという決定的な意見がいまだ述べられていないという状態が実際の状態なんでありまするが、私は、まだ企画庁の長官ともお話をしておりませんが、時期を見まして企画庁の長官とも話し合いをいたしまして、そして、企画庁長官から話をつけてもらいまして、納得してもらって今度の国会に出してみたい。しかしいま官房長の言ったのは、建設省の担当しているものじゃないものですから、自分ではそういう気がないと、こう言ったんだと思いまするけれども、私としてはそういう考えで、この法案と、それから八ツ場ダムの問題はそういう考えで私は臨んでみたいと、こういう気持ちを持っております。
  77. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 政務次官というのは、小渕恵三君のことですか。——まあ木村建設大臣としてのダムに対する基本的な立場と申しましょうか、問題は違いますが、沼田ダムについておっしゃったように、これは地元の了解なしにはもちろん工事は進むもんじゃございませんし、たとえば、いま建設をどんどん進めております草木ダムなどは、当初から反対はなかったにもかかわらず、予定より数年おくれて仕事がなされているという状態でございます。全員反対でなかったにもかかわらず、そういう状態でございますから、山奥のダムは別として、少なくとも人家が水没したり、農地が水没するという地点においてはかなりいろんな問題があるわけでございます。いま、あの八ツ場の場合に温泉のことをおっしゃいましたが、温泉はもしもかりにそうなったとしても、田畑や家の水没がかなりあるわけでございます。この諸君の中に特に反対も強いわけでございます。先般来、河川局長にもお話をして、いわゆるそれと関連した現地の測量等も実は遠慮してもらっているんでございますが、ひとつその基本的な大臣の立場、いわゆる地元の了承なしには強行しないという立場をやっぱり堅持していただきたいと思うのですが、私ども反対は続けておりますけれども、反対する側でなくても、やはり先ほどあなたは政治じゃなくて悪政とおっしゃったが、そういったことは起こり得る可能性も多分にあるわけです。特に、現地においてはかなり時間も要しておりますし、責任者はかなりこれはじりじりしているようでございますから、ややもするとその地元を刺激する言動なり、あるいは行為が伴ってまいります。  まあ、これ以上深くは申しませんが、いわゆるそういった点を十二分に踏まえて、ひとつ今後の処置をやっていただきたいと思うのでございますが、あなたの所信をひとつ伺います。
  78. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 八ツ場ダムのことで反対された人に対して、私はいずれ現場に行ってみようと、こういう話をしておったんですよ。こういうようなことはやっぱり大きく人の生活に関係するような問題で、ただ単に事務的だけで、私は処理したくないんですから、自分みずから行って大ぜいの人々の反対の意見も聞きながら、それから現場の実情を見ながら、自分では判断してみたい、こういう気持ちを持っておりまして、近いうちに行くと、こう言っておりましたから、私は行ってみたいと、こう考えております。そして、自分の目で見て、いついつも決定してみたい。そのときにぜひあなたも一緒に行ってくださるようにお願いを申し上げておきます。
  79. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 先ほど沼田ダムの件に関して茜ケ久保委員が、公式に政府の立場を代表してやめるのかやるのか明らかにしてほしいと、こういう質問をしているわけです。まあ、大臣政治的に判断してゴリ押しすることは悪政だ、もうあきらめるべきだという所信を明らかにしたわけです。その際、事務当局がそれを断言するかどうかということは、なかなかこれはまだむずかしいだろうという一つの余韻を残しておるわけですね。で、川崎局長大臣の意を体してということは言っていますものの、水源地対策から考えるならばと、こう余韻を残しておるわけですね。御承知のように、これは政党内閣ですから、議院内閣ですから、この付近は非常に疑義を感ずるわけですね。大臣は、はっきり政府の立場を代弁して言っているわけです。ですから、きょうここで即答を求めるわけじゃないれども、少なくとも五千世帯の人が来年どうなるのか、再来年どうなるのか、非常に戦々恐々としているわけですね。そういう不安と動揺を持たせるということはいかぬと思うわけですね。そういうことだから、きょう大臣から即答を求めるわけじゃないけれども、事務当局と話して、この点についてはっきり事務当局を含めた政府の見解としてどうするのか、少なくとも大臣が任期中にこれは明らかにすべきだと思いますが、その点についてお約束できますか。
  80. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) お約束したいと思いますよ。それで、事務当局ともこの点はみっしりと詰めておかなければならないと。しかし、事務当局を無視するわけじゃありませんけれども、やっぱり政党内閣ですから、その責任者がそれは不可能なことだと、こういう判断をくだしたならば、それが決定的なものと考えられていいのじゃないかと思いますけれども、なお、事務当局ともこの問題は煮詰めまして、そしていずれ御返事をしたいとこう考えております。
  81. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 先ほどおっしゃったように、小渕恵三君は地元の出身でございます。まあお話聞くと、みずから建設政務次官を買って出たようなことでありますか、かつて——いま返り咲いてまいりました小峯柳多君が、彼はもと群馬の三区の選出議員だった、妙義山の軍事基地闘争がありまして、私は当時あそこの委員長をして、まあ二年間戦ったのでありますが、そのとき彼が地元であったものでありますから、ちょっとしたことばの行き違いで、彼は妙義山の軍事基地反対闘争のために落選する憂き目を見た原因がある、次に当選しましたけど。小渕恵三君、これは自民党でございますが、第三区では私、社会党は一人しかおりません。そこで、これは余分なことでございますけれども、彼はいま群馬の三区で福田君の猛烈な攻撃を受けております。それはもとあなたのいらっしゃったところであります。そういった中であの八ツ場ダム問題について、もし小渕君がへたなことをしますと、えらい結果を招来するわけです。この点、あなたもよほどお考え置きいただきませんと——決して小渕君を擁護したり、小渕君の選挙に有利だというわけじゃありません。私どもはあのダムの建設に反対している立場で、いわゆる建設政務次官というものはへたな動きをすると、これはえらく私どもの予期しない結果が出てくることもあります。そこで、ひとつ重ねてあなたに申し上げておくのは、ぜひ、そういう点も含めながら、あなたのかわいい政務次官ですから、ひとつ政務次官も傷つけないように、ダムも無理しないように、私はこれをやるのが木村建設大臣政治的な手腕であり、立場であると思う。ひとつこの点を踏まえながら、八ツ場ダムについては慎重な配慮をぜひやってもらいたい、こう思います。
  82. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ありがとうございます。私も、彼は政務次官ですからね、落とすようなことがあったらたいへんだと思っておりますが——そうですから、いろいろな点でどうか御注意くださいまして、年も若いし、どうかお願い申し上げますよ。
  83. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時十五分に再開いたします。    午後零時十八分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  84. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  85. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、土地問題の総括的な問題と、それからいまちらほらと話題にのぼっておりますゴルフ場の運営の問題、この二点にしぼってお伺いしたいと思うのでありますが、いずれも総論的な問題であります。  ただその前に、これは午前中に同僚委員の方から何か発言があることだろうと思って、私もその節に関連してと思っておったのですが、どうしても無視できません。といいますのは、大臣の各地における発言であります。このことについては、私もあんまり事こまかく申し上げるつもりはありませんけれども、大臣が就任されて早々の当委員会で、茜ケ久保委員から、いわゆる国家公安委員長と、それから建設大臣いずれも要職である、きわめて忙しい場面を担当されるので大臣の決意をお伺いしたい、というときに、大臣の答弁は実に真摯な、とにかく私は建設行政については現地主義でとにかく解決してまいりますと、こういう、われわれも耳をそばだてるような真摯な発言があったわけでありますが、ところが、それを今度は全く否定してしまうような、これは場所が場所ですから、祝賀会である人を持ち上げるためにおっしゃったことではあろうかと思いますけれども、われわれ建設委員としては、この大臣の発言は無視できません。したがいまして、それが報道されているとおりなのかどうか。また、大臣としてもその間の事情について説明されたい面もあると思うんです。あえて私、中は読みませんけれども、それを含んだ上で、大臣の御真意をお伺いしたい。そして建設大臣としての大臣の抱負をあらためてお伺いしたい。
  86. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 二宮さんに質問してもらいまして、ほんとうにありがとうございます。これは、私もあの新聞記事を見ましたときに、あのままでは済ましたくないという気持ちを持っておったんですよ。しかし自分の立場を釈明するような、弁解するような場所がありませんでしたもので、つい今日まで放置しておきましたけれども、いま御質問を受けまして、釈明する機会を与えてもらいまして非常にうれしく思います。厚く御礼申し上げます。  あの場所は、御承知のように、小渕政務次官のところに応援に行った席上なんでありまして、そこに集まっておいでになりました方々は、主として年とった人が非常に多かったんであります。それで、なるべく話はわかりやすくしなきゃならないと、こういう頭が前提にあったんです。ところが建設大臣を付録と、こう申し上げたんではありません。私はこういうことを申し上げたんであります。国家公安委員長というものに対しては、私自身はもし国家公安委員長になったならば、こういうことをしてみたいんだという考えを持っておったものですから、言いかえれば準備があったのであります。ところが、建設大臣になるなどという気持ちは私は全然なかったのでありまして、それを仰せつかったときに実はびっくりしたのであります。それで、考えてもいなかった建設大臣を仰せつかったものですから、その勉強をどうしてやるかと——どうしてやるかと、百聞は一見にしかずで、やはり書物について勉強するよりも実地について勉強したほうがよろしいと、こういうわけで、七日に辞令をもらいまして、そして八日から御承知のような災害があったものですから、ずいぶん災害地を歩いて回った。それから、これから建設行政をやるにあたりまして、日本国内を知らないで建設行政をやったのでは間違いがある危険なしとしない、行政べったりのやり方をしたくないと、こう思っているものですから、私はそれからずっと全国を回っているのであります。それだけ建設行政というものに重きを置きまして一生懸命になって勉強しておるつもりなんでありますが、自分の気持ちをあれは表現をしたのでありまして、建設大臣を付録と、こう言ったのではないのでありまして、考えてもいなかった建設大臣という、しかも重要なポストの建設大臣というものを仰せつかったものですからと、こういう意味で申し上げたのでありまして、その点を御了承してくだされば非常にありがたいと思います。ただ、ああして新聞なんかに書かれますると、なるほど表現のしかたがまずかったと、一人でもそういうようなことを気にする人があったならば自分はまずかったと思いまして、それ以後はその表現は使っておりません。そうですから、その点も自分では改めておりますから、御了承してくださったならば非常に幸いだと思っております。
  87. 二宮文造

    ○二宮文造君 私もあまり深く、リラックスした場所でおっしゃったこと、それをこういう公開の席上で対決姿勢で問題にするつもりは毛頭ありません。ですけれども、たとえばそのあとの、建設行政のことは私はからきしわからぬというふうなことをおっしゃったとすれば、やはり前の付録というのは出ているわけですし、語るに落ちるような発言であったんじゃないかと、しかし、それはリラックスした場所だと、こういうふうに私は理解します。そういう意味で、木村元帥の漫遊もまだ続くそうですから、われわれがこういう公開の場所で大臣を云々しないでも済むような、そういう姿勢でひとつやっていただきたいと、これはお願いしておきます。  それから問題の、土地の問題でありますけれども、田中首相の日本列島改造論、それからまた、それに続く懇談会。いま土地問題というのは、御承知のように非常にその解決が焦眉の急に迫られております。けさほど田中委員からその問題について発言がございました。大臣もその節、地方を回ってみて、こんな山間僻地にまで手が伸びているのか、いまさらのように日本の商人の根性というものを目のあたりに見せられたと、実にぼう然としたような表現をされておりました。私はそういう現状を目の前にしながら、いわゆる政府の中で、土地問題についての統一的な行動があるのかどうか、問題はいろいろ浮き彫りされているけれども、その浮き彫りされた問題に真正面から、しかも各省が一致して、いわゆる政府としての立場でその問題に取っ組もうという姿勢がまだできてない、こういうところからきょうの質問をするわけであります。  冒頭に計画局長にお願いしたいのですが、建設省がことしの八月三十日、企業の土地取得等に関する調査結果の概要、こういうのを発表されました。私どもも建設省の努力を了とします。しかし、この調査結果の概要について、あらまし、ポイントになるところだけ御説明いただきたい。
  88. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 企業の土地取得に関します調査を私どもことしの五月ごろいたしたわけでございます。これは調査対象といたしましては、東京証券取引所一部、二部上場の全企業につきまして行なったものでございまして、約千三百社についてでございます。これはアンケート調査でございましたので、回答してきました会社が七百四十社、回収率は五七%でございます。その調査結果の概要につきまして、ポイントだけ御説明申し上げます。  昭和四十七年三月三十一日現在土地を保有している企業は、この回答のありました会社につきまして調査いたしますと、その総保有面積は約三十三万ヘクタールでございます。  それから土地取得状況でございますが、この調べは昭和四十一年の四月一日から四十七年三月三十一日までの六カ年間につきまして調査をいたしたのでございますが、そのうち土地取得しました企業は、回答のありました会社の中で二百九十四社でございまして、その六年間に取得しました土地の総面積は約四万三千ヘクタールでございました。  この土地取得年度ごとの状況を見ますと、四十一年から四十六年まで、大体年々増加してまいっておりまして、事業用資産について見ますと、四十一年から四十六年の倍率は約二倍、たなおろし資産で見ますと約三倍、全体で約二・四倍と大幅に増加いたしております。  取得いたしました土地の目的について見ますと、事業用資産につきましては、事務所だとか工場などの直接業務に必要な施設の用地というのが大部分で、約七割でございます。それから森林等の資源確保を目的とするものが一五・五%でございます。  それからたなおろし資産につきましては、この事業の性質上、住宅地の分譲用が七八%、レクリエーション施設用が七・三%ということで、これが大部分でございますが、土地取得の際に、すでに転売を目的とするというようなものが、事業用資産では〇・七%、たなおろし資産では二・一%、なお用途不明というものがございます。用途不明のものが事業用資産で五・三%、たなおろし資産で一一・四%ということになっている次第でございます。  それから、取得いたしました土地をこの期間中にすでに譲渡をしておりますが、それが二千四百七十ヘクタール、五・六%についてでございますが、そのうち保有期間がはっきりいたしておりますものについて見ますと、これは半分ぐらいでございますが、この保有期間は三年未満のものが約七割でございます。  それから取得土地の利用状況について申し上げます。事業用資産では約六割について、使用または開発着手されておるのでございますが、たなおろし資産につきましては着手されておるものが一一・三%ということになっておる次第でございます。  以上ポイントだけにつきまして簡単に申し上げました。
  89. 二宮文造

    ○二宮文造君 これにつきましての質問はまたのちほどにしたいと思います。  それから、続いて企画庁のほうで、四十七年八月一日、企業の土地利用に関する調査結果報告、この冊子をいただいておりますが、この件について特に第二の部門、アンケートの第二の部門についての調査結果を概略でけっこうですが、説明いただきたいと思います。
  90. 宮崎勇

    説明員(宮崎勇君) この企業の土地利用に関する調査報告と申しますのは、四十七年の五月時点で調査したものでございまして、対象は東証第一部、第二部に上場されております千三百一社を対象にしたものでありまして、回答社数が七百三社で、回答率が五四%になっております。これは対象の企業につきまして調査をして、企業の都市への集中の実態と、それから土地利用の状況について調査するというのが目的でございます。  調査のおもな結果でございますが、いろいろ項目を設定しまして聞いておりますが、おもな点を申し上げますと、回答企業の中で、過去七年間、昭和四十年から四十七年の間に従業員数が増加いたしましたのは、数字で見ますと一八%でありますが、そのうち東京の事務管理部門に従事する者が二八%ふえております。また、東京の事務所施設は三八%、企業の都市集中の状況が進んでおるということが第一に明らかになっております。  それから、東京に管理部門を設置する、それはどういう理由で設置しているかということでございますが、業界や需要者の情報収集に便利だとするものが非常に多く、また官庁からの許認可事務、あるいは情報収集に便利だと答えている意見が多いようであります。また、今後さらに管理部門の拡充を計画する企業が二五%にのぼっております。かりに東京から中央官庁や金融機関が新しい別の都市に移転するといたしました場合に、企業の対応はどうかということも調査しておりまして、問題は少ないと答えておりますのが二一・七%、もし交通機関網が整備されると問題が少ないというものが三二・七%、合わせて五割強のものが問題が少ないというふうに答えております。  それから、土地取得に関しましては、四十六年度と四十七年度について、特に取得の有無等について調査しておりますが、大体の傾向を申しますと、企業の土地取得は昭和四十五年度以降増加しておりまして、四十六年度に新規に土地取得した企業は回答企業のうち五四%にのぼり、四十七年度も三五%の企業が土地取得計画を持っております。で、取得の目的でございますが、これをかりに四十七年度の新規の土地取得について見ますと、在来、事業部門の拡充というふうにあげておりますのが五九・九%と最も多くて、次いで福利厚生施設の建設と答えておりますものが二一・五%、新規事業への進出とあげておりますのが八・四%、その他七%のほか、具体的な計画はないが、いずれ事業を始めるためというふうに答えておりますのが二・六%ありまして、資金運用の一形態という理由をあげておりますものが〇・三%と非常に少のうなっております。  それから、先ほど申しました土地取得、売却の関係でございますが、その点は年々両者の関係は若干変動しておりますが、昭和四十四年、五年と純増分がふえ、四十六年度は若干減っております。なお、その土地取得と関連いたしまして、不動産部門をその企業の中で設置しているか、あるいは関係小会社を設置しているかという問いに対しましては、全産業で三七%の企業が本社内に不動産部門を設置し、ないしは関係小会社を設置しているというふうに答えております。  なお、土地取得しました場所等につきましては、神奈川、千葉、埼玉が二二・四%、東京都区部が四・九%、同じく都下が五・五%で、首都圏全体で三二・八%、大阪、京都、兵庫、愛知が二二・四%、その他地域が四八・六%というふうになっておりまして、この四十七年度計画は大体四十六年度の実績と同じになっております。  そのほか、たとえば現在の事務管理部門があります建物をだれが所有しているかとか、あるいは何階建てになっているかというような調査もございますが、以上申しました点が大体の重点でございます。
  91. 二宮文造

    ○二宮文造君 私いま報告を伺っていて、同じ時点で同じ対象に、両者から、角度は違いましょうけれども、アンケート調査をやっておる。その回答率は一方は五七%、一方は五四%、大体回収率も似ております。ただ建設省としては経企庁がそういう調査をやった、いいですか、それに対して回答があった、それから建設省もアンケート調査をやった、回答があった、ともにどちらの分にも回答のない企業というものについてはどういう考えをお持ちになりますか。
  92. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 私どもアンケート調査をいたします際には、企画庁と十分な調査をとって、行管の承認を得てやったわけでございますが、私どもといたしましては、アンケート調査の結果、全企業に回答をしていただくことが一番いいことでございます。そういうことを期待し、また業界等を通じましてその依頼をいたしておったわけでございます。結果的には私どものほうは五七%であるということになっておるわけでございます。これは任意のアンケーと調査でございまして、強制するという性質のものではございませんでしたので、全部を把握することができないのはまことに残念でございますけれども、今後いろんな機会を通じまして、もっと幅広く調査をいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございまして、その際には、今度の調査の結果にかんがみまして、いろんな業者団体等を通じまして回答を必ず出してくれるように強力にお願いをいたしたい、というふうに考えておるわけでございます。
  93. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、私の質問違うのです。建設省には五七%返ってきた、経企庁には五四%返ってきた、いずれにも返ってこない企業というものがあるわけです。ですから経企庁に対してはどういう企業、まあ一部、二部の上場会社に出したわけですから、返った分だけのけていけば返らない分はわかるわけですね、そうでしょう。建設省にも返ってこない、経企庁にも返ってこない、そういう会社というものは、やっぱり土地行政の上からは、全体を把握するためには当然マークしなければならないと思います。発表するとかしないとかではなくて、全体の傾向をつかむために必要があってアンケート調査をしたわけでしょう。しかもたまたま別なところから同じ対象に向かっていった、どちらにも返ってこないという分については、行政の方向を模索するためにも、返ってこない企業というものについて関心があってしかるべきだと思うのですが、この点は経企庁と打ち合わせされましたか。
  94. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 具体的な会社につきましては、経企庁とは打ち合わせをいたしておりません。内容につきましては、相互に調査結果を交換いたしておりますけれども、どの会社が回答しないかということについては、具体的に打ち合わせいたしておりません。
  95. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはできないのですか、やらないのですか。官庁同士ですから私できると思います。そして企業名がいろいろ出てきます。その企業名はピックアップして、また別途、何らかの形でその企業も回答してもらえるようなアンケートに直せば、せっかくやるアンケート調査ですから、やはりその全貌をつかむということが望ましいわけですね、宙ぶらりんな姿勢ではなくて。  もう一度さっきの質問に返りますが、できないのですか、しようとしなかったのですか、その姿勢をお伺いしたい。
  96. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) こういう種類の調査は、傾向を把握するというところに主眼があるわけでございます。もちろん全数が回答になる、なるべく全数に近いということが完全でございますけれども、従来からの調査からいいますと、大体この程度調査でも傾向はつかめるというふうに私ども考えておるわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、なるべくたくさんの企業が報告してもらうのが非常にいいわけでございます。企画庁と建設省の回答率の差は三%ございます。実は、私ども締め切り期日以降におきましても、業者の団体等を通じまして相当促進方を依頼したわけでございます。したがって、締め切りを企画庁よりも少しおそくしたわけでございます。その結果三%という差が出てきたと思いますけれども、今後も先生のおっしゃるように、その残りの部分も回答を出すように、今後の調査にあたっては十分ひとつ配慮いたしたい。また業界、業者団体その他にも依頼をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、大体の傾向といたしましては、この程度の回答率で大体つかめるのではないか、というふうに考えております。
  97. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、その辺の姿勢が土地対策をおくらせている最大のもののように思うのです。こういうアンケートの場合は、調査回答のなかった企業名を発表するということはできませんか。だって、対象としたのは東証の一部、二部の上場会社を対象にしましたと、これは発表しておるでしょう。返ってきたのが五七%で何社です、返ってこないのは何社ですと、こういうことは私は発表してもいいんじゃないかと思います。だってアンケートの中身について、一社一社をどうだという発表は、これはちょっと問題があろうかと思います。しかし、回答のなかった会社、企業名は私は発表して差しつかえないじゃないか。でなければ善意に回答し、建設行政の参考になろうかというので協力をした人は、考えようによってはばかみたいなことになります。この点どうでしょう。回答のなかった企業名を発表することはできるのかできないのか——する、しないは別ですよ。
  98. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) これは先ほども申し上げましたように、この調査は任意のアンケート調査ということで、統計法に基づきまして行管の承認を得たものでございます。したがいまして、これを強制するということもできないわけでございます。回答をいただきました企業はまことに協力していただいたわけでございますが、これでばかをみたというものでは決してないと思います。各企業ごとの内容は、これは私どもも、発表することはそういう統計法の趣旨からいっても妥当なものではないと考えておるわけでございます。ただ、回答しなかった企業について、先生のおっしゃるように、これを公表したらどうだということでございますけれども、これもやはり、そういう調査方法が任意である、アンケート調査であるという趣旨からいいまして、これを発表するということは妥当ではないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  99. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと最後が、ないじゃないかというふうな、そういう私は感情論をお伺いしているんじゃないんです。そういうことを発表できるんですか、できないんですか。何かこう、規則とか法律とか、そういうものがあって、回答なかった企業について発表することは法的にできないのかどうか。それか、私、聞くのは、するつもりがないのか、どちらですかと……。どちらですか、建設省の姿勢は。
  100. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) これは、法律上は発表して、これについて建設省が法律違反であるということは、これはないと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたような調査方法の、こういう方法ということからいたしまして、これは妥当ではない。したがって、私どもは公表しないほうがいいんじゃないかというふうにお答え申し上げたわけでございます。
  101. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、発表しても法律とか、そういうものには抵触しないわけですね。国民はやっぱりそれを待っていると思うんです。とにかく政府のほうで土地対策に本腰を入れてもらいたい。そして世論が、企業が土地の買い占めに入っている、それはむしろ地価のつり上げにつながっていると、これはもう全体的なムードの中にあるわけですね。それをつかむために、傾向はもう要らないんです、傾向はもうわかっているわけですから。むしろ回答してこないところに問題が出てくるんじゃないでしょうか。だから私は、ならばどういう方法でわれわれが建設省に迫れば、建設省は回答しない企業を公表せざるを得なくなるんですか。その方法を教えてください、われわれとりますから。法律的には抵触しないんでしょう。ただ、しないのがいいんじゃないかというのは、部局の、事務当局の考え方であって、国民は待っているわけです。それがせめてもの地価のつり上げに対する水かけになるんです、ほんのわずかでも。企業の土地買い占めというのはいま非常に問題になっている時期じゃありませんか。しかも傾向としてそういう方向が出てきたじゃありませんか。設備投資のための土地の購入よりも、いわゆるたなおろし資産、それを転売するための土地の購入のほうが非常にふえてきたという結果さえ出ているじゃありませんか。しますと、あとの残った四三%、この企業が報告をしてくれば、もっとその傾向は鮮明になると思う。そうしてまた建設行政を、今後、土地対策を進めていくのにかっこうの私は資料になる、こう思うのですが、また今後も建設省があらゆる意味のアンケート調査をされるでしょう、このときに回答しない企業名が公表されるとすれば、自然に各企業はアンケートに協力する、こういうことにもなるかと思うのですがね。くどいようですけれども、どうもいまの局長の答弁、私は納得ができない。発表できないものであれば引き下がります。できるけれどもやらないということになると、建設省の姿勢を私は疑いたくなる。くどいようですけれども、重ねて所信を伺いたい。
  102. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) いろいろな、ものごとには、それは法律的にはできるけれども、その行為をすることが妥当であるか妥当でないかというものもあろうかと思いますけれども、この場合におきまして、私はこういう調査方法の場合におきましては、現在のところ公表しないことのほうが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  103. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  104. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記つけて。  傾向は役所側ばかりつかんだってこれはわからぬ。われわれも国政調査権もありますから、だから委員会として、未回答の会社名を委員会に報告してもらうと、こういうことを要求しておきます。  質問続けてください。
  105. 二宮文造

    ○二宮文造君 同じくこれは新聞発表ですが、日銀は上場大企業四百六十七社、資本金十億円以上、金融、保険を除く、これを対象として調べたところ、はっきり出ているわけです。四百六十七社を調べた。そうして四百六十七社の傾向をここへまとめて発表しているわけです。土地対策の一番の大元締めである建設省が五七%の回収率だけで、ただそれで傾向がつかめるからよろしいということでは、どんな姿勢で取っ組んでいるのだろうか私どもは心配でしかたがない。日銀はちゃんと対象企業全部について調べております。その結果でもこういうことになっております。去る三月までの半年間に設備投資としての土地取得は三五%、販売用在庫投資としての土地建物取得は五二%もふえていることがわかる。この四百六十七社についてですよ。過去半年間だけで販売用のいわゆる在庫投資、これが五二%ふえているんですね。ということは、もう私が説明するまでもなく、また大臣が、午前中の答弁の中にもう感心したごとく、日本全国各地にわたっての土地の買い占めといいますか、その手が伸びているわけです。ですから、いま委員長が仲をとってくれまして資料要求をしていただいた。私はぜひ回答していただきたい。そうすることが、これらの各種のアンケートに対する企業の姿勢を前向きにしてもらえることにもつながると思います。  そこで、私、次の質問に入りたいと思うのですが、その前に経企庁はどういう意思があるでしょうか、回答のなかったものについて。これも私は委員長に裁断してもらいますが、同じようにやっぱり資料として出していただきたいと思うわけです。
  106. 宮崎勇

    説明員(宮崎勇君) 私どもの企業の土地利用に関する調査は、個々の企業についての動向を調査することではなくて、全体として東京にあります企業について土地取得あるいは立地の要因等を調べたわけでございます。したがいまして、対象として選びました会社は、上場の一部、二部すべての会社でありまして、特に区別はいたしておりません。で、これが返ってまいりましたのが五四%でございますが、私ども従来のこの種の調査から申しますと、一応この程度の数字であれば有為だと考えます。したがって、残っております四〇数%の企業がどういう意味で答えなかったかというようなことについては、一応統計上の問題として考えておりまして、特殊な事情、特に答えたくないとか、あるいはその種のような事情で答えたというふうには断定できません。  それから私どもの調査は、これは全く任意のアンケート調査でございますので、企業に協力を依頼するという形をとっておりまして、調査をします際に、この結果については公表しないということで協力を要請しておりますので、企業の名前は公表することはできません。
  107. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記をつけて。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵省にお伺いしたいと思いますが、大蔵省はこの春以来銀行局を通じまして、企業の土地取得に対する行政指導を行なっているやに聞いております。その前提になる資金融資の問題、実態もありますけれども、不動産業、建設業あるいは土地関係の深い業種に対する融資額、これは非常に著しい伸びを示しておるように思いますが、銀行が企業の土地投機、これを助成している傾向が強い、このように言われております。したがって、銀行局としてそういう土地取得に対する資金融資の指導方針といいますか、それをお伺いしたい。ちなみに銀行協会の会長の発言としては、土地に対する融資を増加させるのが当然だと、現在の状況では。こういうような、そう受け取れるような態度を銀行協会の会長は表明しておりますけれども、銀行局の、こういう土地取得に対する資金融資、これの基本方針といいますか、指導方針といいますか、それをお伺いしたい。
  110. 吉田太郎一

    説明員吉田太郎一君) 私どもは機会あるごとに、たとえば銀行協会の集まりの席あるいは相互銀行、地方銀行協会の席上で、土地投機をあおるような融資については厳に金融機関の公共的な使命からいって差し控えられたいという要望はいたしております。ただ今後の指導をやっていく前提といたしまして、ことしの四月から六月にかけまして、都市銀行、信託銀行、それから長期信用銀行につきまして、土地取得資金の融資についての実情調査、聞き取り調査を行ないましたので、その結果を簡単に御説明してみたいと思います。またそういう事情聴取の席上で具体的な事例に即して金融機関に反省を求めていくということが一番効果的ではないか、かように考えております。これを法的に規制する、あるいは何らかの形で規制すると申しましても、先生すでに御承知のように、非常に実態においてはきめ手にならない性質のもの、基本的には私はやはり金融機関の良識に信頼するよりしかだがない、かように考えておるわけでございます。したがいまして、今後もそういう調査をやはり具体的なそれぞれの銀行の貸し出しについての事情聴取を続けていく、そうして私どもから見てやはりおかしいなと思うものについては、やはりそれに対して注意を換起するという方法でやっていきたいというのが第一点でございます。  なお、全国銀行協会の会長が、土地融資は当然だという新聞が出ておりましたので、私のほうも、実は全銀協の会長にその真意を確かめましたところ、実はこういうふうに釈明しておりました。わが国の経済が、いままで御承知のような設備投資主導型と申しますが、輸出投資主導型というような形から、どうしても国民の福祉充実という、あるいは生活にもっと直結した形での経済の成長ということをやっていかなくちゃいけないのだ、したがって、そういう点から考えると、ちょうどここの建設委員会で御審議願っております住宅建設ということについて、これから金融をつけていきたいのだというのが基本的な考え方でございまして、投機的な土地融資を当然だと言ったのではないので、はなはだことばが足りないので申しわけございませんでしたという釈明がございましたことをつけ加えておきます。  それで、調査結果について申し述べさしていただいてよろしいですか。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 ええ、お願いします。
  112. 吉田太郎一

    説明員吉田太郎一君) 調査をいたしましたのは不動産業と建設業と私鉄、それに百貨店の四業種に対する貸し出しについていたしました。  なお、このほか商社についてやってみかけたのでございますが、御承知のように、今日のところの商社というのはいわゆる総合商社、非常にたいへん総合的な部門をやっております、海外の貿易あるいは国内の交易あるいは不動産なり。で、ここ数年、商社の金融力というものは非常についておりまして、銀行から金を借りてそれで買うという形にはなっていないのが今日の商社の実態かと思います。むしろ銀行と商社との関係は、いろいろな商社の総合的な各部門の資金じりを借りてくるというかっこうになっておりますだけに、銀行の融資を通じて、商社がどうしておるかということを具体的に把握することは非常に困難であるというようなケースに非常に多くぶつかるということで、途中で取りやめたわけでございます。しかし、今後なおかつくふうをしてみたいと思っております。  いま御報告いたしますのは不動産業、建設業、私鉄、百貨店でございます。  まず貸し出しの増加状況からいたしますと、ここ一年間の総貸し出しの増加額は約八兆六千ございまして、そのうちのこの四業種向けの貸し出し増加額は一兆九千八百、約二兆近くになっておるという状況でございます。そのうちの一番大きなのは、やはりこの四業種の中で大きいのは不動産業と建設業に対する貸し出しでございます。その二兆近くのこれら四業種への貸し出しのうち、この二業種、不動産、建設業が一兆七千億でございます。端数は後ほど御質問があれば申しますが、約二兆、伸び率は約五五%ということになっております。  さらにこの四業種に対する貸し出しの中で、直接の土地取得関係の融資は二割から三割程度という比率を示しております。そしてこの比率は漸次高まっている傾向がございます。で、土地取得した資金、要するに土地融資、その土地取得資金の使い道、融資の申し込みの使い道を見ますと、分譲宅地用というのが六割を占めております。それから分譲建物用が八%、貸しビル用が約四%という状況でございます。  それから、こういう土地関係の融資の対象地域は、先ほど企画庁からも御説明がございましたように、首都圏及び関西の京阪神地区が全体の八割ということになっております。  貸し出し期間につきましては一年から五年前後のものが多いようでございます。七年以上のものも見られたわけでございます。金利は七%から九%といったところが大半を占めております。  なお、最近の四業種に対する貸し出し状況を、先ほど先生がお話のございました日銀の統計で見ますと、昨年の六月からことしの六月までの一年間で総貸し出しの増加額八兆六千のうち、四業種向けの貸し出し増加額は二兆一千八百億という状況でございます。このうち不動産業及び建設業に対する貸し出し増加額は一兆九千億、伸び率は五八%、やはり上昇傾向でございます。  大ざっぱに申しまして、私どもが個別の事情聴取をしたところと傾向としては一致しておる、かように考えております。
  113. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで大臣、こういうふうに企業を中心にした貸し出し、あるいはまた企業を中心にした土地取得調査、傾向はもう十分おつかみのことと思います。  そこで、たびたび言うので、ことばさえももう口から出すのはあれなんですが、こういう地価値上がり、これを真正面から取っ組むために昭和四十年に地価対策閣僚協議会というのが設けられました。しかし、残念ながら今日までにこの協議会は三回しか開いていませんね、地価対策閣僚協議会。しかもこれほどやかましく言われた地価対策、これについても現在ある地価対策というのは、政府の基本方針としての地価対策というのは、四十五年の八月の十八日の閣議了承、その地価対策ですね。こういうふうな各省がばらばらでやっている。しかも、そのある機構も動かない、またその対策としても何か隔靴掻痒といいますか、もう直接影響しないような対策しかとれない、こういう状態で施策がずっと手おくれしておりますが、これについての大臣の反省といいますか、これをどう切りかえていくか、そういう大臣の所信、これを伺っておきたい。
  114. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 地価問題は、ほんとうに歴代の大臣が担当いたしまして、解決しないで今日まできた問題でありまして、その問題が急速に大きくなってきたものですから、何とか根本的な対策がないものかといって非常に苦慮しておるのであります。それで、建設省としては、一応具体的なものをつくってみたのでありますが、御指摘のように各省がいまだばらばらになっております。それでありまするから、早く各省の事務的な意見を出してもらいまして、来月になりましたならば、その地価問題に対する閣僚協議会を開いてみたい、こういう考えでいま交渉を進めておるところなんでありまして、何とかこの問題と取り組んで、ほんとうに期待にこたえられるような解決策を樹立してみたいものであると考えております。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 一昨年、四十五年八月十八日、閣議了承ですね、この「地価対策について」これには項目的ではありますけれども、「当面緊急に実施すべき施策」その他、もう中身は「宅地需給長期見通しの策定」あるいは「市街化区域及び市街化調整区域の設定の早期完了」と都市計画区域における土地利用計画の確立、それから「市街化区域内における宅地利用の促進」「大規模宅地開発の推進」「公有水面埋立による大規模宅地の造成」「公的土地の保有の拡大と活用」、あるいは「農村地域への宅地需要の分散」、そういうふうに項目はあげられておるわけですが、全く肉づけが、大臣も答弁になったように、まだ各省から上がってくるとかなんとかいう状態ですね。ところが、もうほんとうに土地に対する大衆の声というのは、われわれ議員を含めて、一体何をやっているのだ、まさに四面楚歌です。ですから、この中でほんとうに早急にやっていかなければならぬわけですが、にもかかわらず、先ほど計画局長のような姿勢が出てきますと、一体建設省の考え方というのはどこにあるのだろうかという疑問が再び起こってくるわけです。  そこでけさほどの田中委員の発言とはちょっと裏になるのですが、土地税制の問題です。田中委員の発言は、もう大臣も御承知のように、土地に税金をかけると大衆にそれは転嫁されてしまい、かえって地価がつり上がる。したがって、税制で処置しようとするのはきわめてまずい、あるいは未利用地税を創設するのもよろしくないというふうな御意見でしたけれども、私は意見がまた違います。そこで昭和四十五年ですか、個人の場合は、土地の譲渡所得というのは分離されて課税されています。ところが法人の場合は、やっぱり分離課税が実施されておりません。これは先ほど言った、いろいろの調査にも歴然とその弊害というものがあらわれてきた今日では、法人の土地譲渡所得に対する分離課税、これはもう当然やるべきだと私は思うんです。それは消費者に転嫁されるんではなくて、いわゆる不当な利得といいますか、そういういわゆる地価をつり上げるのを防止することにもなりますし、それからまた、つり上げて所得をふやした、それに対する課税ですから、いきなりそれは、私、大衆に転嫁されることにはならないんじゃないかと、こう思うんですが、今日までになぜ法人の土地譲渡所得に対して分離課税がされなかったか、その理由はどこにあるんですか。
  116. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 昭和四十四年度の税制改正におきまして、個人の土地譲渡所得についての分離課税制度が臨時の措置として置かれたわけでございますが、税制改正が行なわれましたときの考え方は、主として土地の供給を増加させたい。特に都市周辺におけるところの土地の供給の増加をはかることによって、まあ俗にサラリーマンというようなことばを使いますが、サラリーマンなどが何とか自分で家を建てたいと思う場合に、なるべく安い価格土地が手に入るようにできないかというところから問題が起こったわけでございます。で、御案内のように、法人税は比例税率になっておりますが、所得税は累進税率になっておりますので、土地の持ち主が土地を売るという場合に、法人の場合には、たとえば一単位のものを一挙に売りましても、一単位のものを三年なり五年なりに分けて売りましても、その負担した税率は同じでございますけれども、個人の場合は累進税率になっております関係で、一挙に土地をある年まとめて売りました場合と、その地帯を何単位かに分けて売りました場合とでは、負担すべき税金の額が変わってまいります関係上、どうしても個人が持っておる土地につきましては、一挙になかなか大量に供給されない。持ち主にしますならば、やはり税金は安いほうが楽なわけでございますから、その意味におきまして、まとめて売らないで、どうせ売るつもりでありましても少しずつ売っていくと、こういう関係になります。そうなりますと、都市近郊における土地供給がかりに行なわれたとしましても、その場合に、部分的に売られていきますので、いわばスプロール化の現象が起こってまいりますし、それから計画的にかなり広範囲な土地取得して、そして計画的な宅地開発をやりたいというふうに、公の機関もしくは民間のデベロッパー等が考えましても、まとめて土地は売れないということになりますので、そのに障害があるということから、いろいろ御議論がありました末で、特例的に個人につきましても所得税の累進税率の大原則を排除するということをいたしたわけでございます。  で、今日考えますと、そのようにして個人について土地税制について特例を設けましたことは、はたしてよかったか悪かったかという問題がございます。特にただいま二宮委員から御指摘がございましたように、個人についてだけ処置をして法人については処置をしなかったという結果として、せっかく土地を個人が大量に手放すことがありましても、それが最終需要者に行き渡らずして、法人のほうで中間的に持たれてしまうという結果を招いたことは否定できないわけでございまして、私どもも今日の段階で考えますと、昭和四十四年の税制改正におきまして、個人だけについてしたということがよかったか悪かったか、まあいろいろ議論はございますけれども、相当問題があるというふうに認識を持っております。ところが最近に至りまして、先般来御指摘がありますように、昨年秋以来の金融緩和との関連もありまして、かなり大量に土地が、しかも全国的に動いておるという事実があり、その場合には、金融を受ける力との関係上、法人が土地を買う場合が非常に多いという現象が起こってきておりますので、過去におきましての改正の是非はさておき、現状において法人について何らかの税制上の配慮が必要ではないかということを考えているわけでございます。各方面から広く御指摘がありますが、私どもも一体いまのままでいいかどうか、個人と法人とのバランスを欠いてはいないかということについては、御指摘のように、十分にこれは考え直すべき時期に来ているのではないかというふうに考えております。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣先ほど立たれて答弁されるところを主税局長が出られたのですが、閣僚協議会の問題、それからまた、大臣としていわゆる法人課税の問題、そのことについて答弁を……。
  118. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 法人に対する課税はやっぱり分離して考えなきゃならないと、こういう方針建設省としてはとっております。それからまああとの課税なんかも思い切って税金をかけることによって公共事業に対する土地取得は有利にしてみたいと、こういうように建設省としては考えておるような次第なんであります。建設行政というものを進めるにあたりまして、特にまあ日本列島改造なんという大きな命題が出てまいりますると、一段と目ざわりになるのが、この法人の投機的な土地取得なんですよ。そうでありまするから、私は最近そういうような話を聞いただけでももう不愉快になってきてしょうがないと、同じ日本人でありながら、一体、こんなことまでもして公共事業の妨害をしなきゃならないのかと思いますると、ほんとうに不愉快になってまいりまするものですから、非常に強い姿勢で臨んでみたいと、こう思っております。しかし、まだ事務当局同士の話し合いがついていないようであります。大体十一月をめどにして閣僚協議会を開いて、そしてまとめたい、こういう考えでいま取り組んでおります。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 主税局長にちょっとお伺いしたいんですが、ある証券会社が、東証の第一部上場の企業ですね、その企業が、京浜あるいは阪神工業地帯に有している事業用地の帳薄上の価格時価との差、これは二兆五千二百九十二億円ですか、そういう金額にのぼって、企業の含み資産の中で占める土地価格というのはきわめて膨大だと、こういうような数字を出しておりますが、その企業の有する土地、これは企業会計上、法人税法の取り扱いとして、企業のそういう含み資産、企業の持っている土地事業用地の評価というのはどういうふうに評価されるのでしょうか。薄価ですか——薄価というのは、取得時の価格ですか。この税法上の扱いをちょっと教えていただきたい。
  120. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 現行の法人税法の考え方は、商法なり企業会計の原則の考え方に基づいてもろもろの課税が行なわれるというのを大原則といたしております。現在、商法では取得主義、資産については取得原価主義というたてまえをとっておりますので、税法のほうも取得原価主義という考え方で損益計算を行なうことになっております。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 その点ですね、企業がこれほど土地に進出していると、そういうこととからめて、ちょっと同じ範疇には考えられないかもしれませんけれども、いわゆる時価との差があまりにも大きいので、再評価をして、そしてそれに税を課すべきだという、もうそれが一番土地対策としてはてきめんな効果をあらわすんじゃないかというふうな意見を持つ人もいますが、これらについてはどうですか。
  122. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) まあ、現在企業が持っておられます土地は、確かに投機的な目的でたなおろし資産を持っておるという場合もありましょうが、全体として考えますと、やはり企業が土地を持ちますのは事業用資産でございます。土地のうち非常に大きな面積を占めております、たとえば製紙会社の山というようなものが一番大きなウエートを占めておりますが、これは明らかに事業用資産として持っておるわけでございますし、それからいろいろな製造業が持っております土地も工場用地として使われておるわけでございます。  そこで、一方においてたなおろし資産等についてどう考えるべきかという問題がございますけれども、大部分の土地——量的には大部分の土地事業用資産であるというふうに考えますならば、ときおり伝えられておりますところの土地の強制再評価、これは経済全体をぐるっと変えるわけでございます。土地を再評価いたしますれば、すべての原価その他が全く変わってくるわけでございます。それはかなり大きな変化を経済全体にもたらすということでもございましょうし、税制の問題の前に土地そのものの強制再評価ということについては、経済全体をかなり著しく変動するという意味において問題があろうかと思っております。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、論点変えます。  大臣にお伺いします。大臣、これは二日ですか、富山で記者会見されまして、「新都市計画法に基づく線引き作業は、結果として市街化区域、市街化調整区域双方の地価騰貴を招き、失敗に終わったので、今後は土地が投機的な売買の対象にならないよう保有課税や都市計画税のような新税創設を検討したい。」あとのほうはわかりますけれども、結果として市街化区域、市街化調整区域地価高騰を招いて失敗に終わったと、こういう線引き作業に対する大臣の評価ですが、これは現在も変わりませんか。
  124. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) こう向こうから質問されたもんですからね、そう答えたのです。土地対策としては線引きは成功であったか失敗であったかと、こういうことでしたから、土地の値上げをさせないように線を引いてみたけれども、そいつは失敗であったな、こう申し上げたのでありまして、私は、その気持ちは変わっておりません。
  125. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで次に質問したいんですが、開発を抑制すべき市街化調整区域、あるいは都市計画区域外の山林、原野、そこいらに大手企業のいわゆる土地投機の対象が集中されているわけです。したがってこの土地利用計画法案——いま政府のほうで検討されているようですが——この土地利用計画法案の中では、いま言いましたような調整区域、あるいは都市計画区域外の山林、原野、そういうものの土地の開発について何か規制をなさるとか、そういうお考えありますか。
  126. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ちょっと事務当局から意見を述べさせます。
  127. 高橋弘篤

    説明員高橋弘篤君) 土地利用法案につきましては、御質問のように現在、企画庁を中心に関係九省庁でいろいろその案を練っているわけでございます。これは、現在の全国土にわたりまして土地利用の基本計画をつくりまして、そのもとに規制を加えていくということでございます。  土地利用の基本計画の内容につきましては、いろいろまだ現在詰めているわけでございます。たとえば、四つの区分に都市的な土地利用と農業的な土地利用、また、保護保全すべき土地利用の区域、その他の区域というような区域に分けていこうという案、また、そのマスタープランの中には主要な公共施設の計画を盛り込むと、まあその他いろいろな内容について目下こまかく検討いたしておるわけでございます。この場合におきまして、そういうマスタープランに基づいて私どもとしましては、全国にわたりまして土地の一定規模以上の取引にあたりましては届け出をすることと、同時に、開発行為につきましては知事の許可を受けさせるということもこの法案の中で検討いたしているわけでございます。そういう趣旨でございますので、先生の御質問のように、現在、開発許可というのは御承知の線引き地域だけでございまして、その他の区域におきましてもそういうことができるように、そういうことによりまして乱開発の防止ができるように、私ども、目下関係の省庁で検討いたしている次第でございます。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、都市計画法の三十四条の十号のイ、これでいわゆる市街化調整区域でも二十ヘクタール以上の開発が認められる道をお開きになっています。これが結果としてどういうかっこうになっているかといいますと、そういう市街化調整区域に対する大手の不動産業者の土地の何といいますか、投機といいますか、買い占めといいますか、そういう事態を引き起こしていることにもつながっているわけですけれども、十号のイで二十ヘクタール以上は無条件に開発を認められているわけじゃなくて、市街化区域における市街化の状況等から見て計画的な市街化をはかる上に支障がないと認めた場合に限ると、こういうただし書きをつけて運用されているはずなんですが、実際には、二の項目のために市街化調整区域における大手の不動産会社、あるいはまたそういう企業の土地の買い占めというのを助長しているような傾向にあるのですが、この点はどう理解されますか。
  129. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 御指摘のとおり、都市計画法の規定におきまして市街化調整区域でありましても、二十ヘクタール以上の規模の開発行為については特に許可し得る道が開かれておるわけでございます。市街化区域と調整区域に分けました以上、市街化区域から順次開発を進め、その進捗度合いに応じまして五年ごとにその線引きを見直し、必要な個所は市街化調整区域から市街化区域に繰り入れるというようなことを原則としては法律は予想しているわけでございますが、まあ個別の議論としては、市街化調整区域の中でも相当程度の規模をまとめて開発する場合に、これは小規模のばら建ちと違いますので、規模が大きいがゆえにその中に幹線道路を入れ、あるいはその開発したい場所から既存の道路までの幹線道路を敷くとか、あるいは広い地区公園をとるとか、排水その他の処理施設を整備するというようなことが可能であろう。規模が小さい場合はそういうことは実際上不可能でございますから、これは一切許可できないけれども、規模が大きければそういうことも可能であろう。そういう場合にはそれなりのまとまりのある町づくりができ、乱開発は一応防止できると、こういうことでありますので、これにつきましては特に府県に置かれております開発審査会というところの議を経まして許可する道を開いたわけでございまして、その運用にあたりましては、これまた御指摘のように、市街化調整区域として指定した意義が、それによって失われることがないような配慮もあわせ判断した上で個々に処理することとしているわけでございます。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 ですから、先ほど大臣の失敗に終わったという率直な感想、そうしてまた一方、事務当局からの説明は、大手の場合だったら、二十ヘクタール以上であればそういうばら建ちじゃないから、何とかまとまって都市化されるのじゃないかという期待、説明はわかりますけれども、それが地価の騰貴に大いに役立っているという実態は、これは、大臣が失敗に終わったという意見を私はとるわけです。したがって、こういうふうな開発許可についてもやはりその明確な規制というものをとるべきでないか、こう考えるわけです。  約束の時間がもうほとんどありませんので、ちょっとはしょって次の問題に入るわけですが、私どもは、日本列島改造論にからみまして、これは土地の騰貴を引き起こす、こういうことで各地で実態を調査しております。もう最近にその概要が出てまいると思いますけれども、まだまだ中間で私も断言はできませんけれども、各地から調査の結果上がってきた中にゴルフ場の新設というもの、あるいはゴルフ場の計画というものが非常に多いわけです。私が住んでおります香川県でも現在四カ所ありますが、あのネコの額のような香川県でさえもさらに七カ所ゴルフ場をつくりたいという、すでにその動きを見せている。もうどこに限らず、山陰に限らず、九州に限らず、とにかくゴルフ場の新設というのは、目につくわけです。そこで私、ゴルフというのはやったことありませんから知りませんけれども、主務官庁は、伺ってみると通産省のようですね。ですから、いまのゴルフ場の経営というのはどういうかっこうでなされているのか、時間がありませんので、ポイントだけ教えていただきたい。
  131. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) 現在、全国にゴルフ場、これはコースの数で勘定するわけでございますが、六百九カ所あると言われております。ことしの初め現在です。このうち大部分、五百六十ぐらいが株式会社になっていると思われます。残りのうち社団法人あるいは財団法人、公益法人で行なわれておりますのは三十五、六、それからその他に学校法人とかあるいは公営、都道府県とか公社、こういうようなものの持っておりますのが十五ぐらいある、こう言われております。大部分は株式会社形態で行なわれていると存じます。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 ゴルフ株式会社というのはあります。ところが、その株式会社が各ゴルフ場を持って経営する。しかし、実際にそれを使用する会員は会員権を持ち、株式、いわゆるその出資はしておりません。会員権は持っています。これは、その土地を持っているのはゴルフ株式会社ですね。ゴルフ株式会社で、そこは株式で運営されておりますけれども、会員の保証金、いわゆる会員権という性格はどういう性格に判断すればよろしいでしょうか。
  133. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) いま申し上げました約六百の中で、パブリックと称しているものが約五十ぐらいございます。それから株主会員制というのが百十五あるようでございます。これは会社の株を買わないと会員にしてくれない。しかし、その反面、通常の意味の株主としての権利も一切持っている、こういうものでございますが、これが百十五ぐらい、残りが大体、通常言われております会員制になっていると思います。  この会員制の内容はちょっと複雑なんでございますが、ゴルフ場の経営主体というのは通常、会社でございますが、それと表裏一体をなしてゴルフクラブという親睦団体がございます。その親睦団体への入会金といいますか、その親睦団体の会員たる地位をさして通常、会員権といっております。ところで、この会員権、ゴルフクラブに入るためには入会金の支払いを要するわけでございますが、入会金そのものは預託金のような形で会社側へ支払われている、こういう例が多いようでございます。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま伺うと、私もよくわかりません、非常に複雑な構成、機構でもってゴルフ場が運営されておりますけれども、現実に今度はクラブの会員とゴルフ場との間に非常にトラブルが出てきていると思うのですが、そんなことは聞いていませんか。
  135. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) これはクラブといいますか、ゴルフ場が完成してしまったあとのトラブルは比較的少ないようでございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 増設の場合。
  137. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) 一部にあるのは、何人会員を募集するかということを知らないで会員になったと、ところが、会員があまり多過ぎて、優先的にプレーする権利である会員になっておりながら、実際には会員の数が多過ぎて番が回ってこない、こういうトラブルが一つあるようなところがございます。  それからもう一点は、ゴルフ場完成前に入会金を払い込んだけれども、ゴルフ場が幾らたっても完成しないと、一体どうなるのか、こういう面のトラブルがあるようでございます。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう一つトラブルがあるのです。十八ホールで開場した。それで会員権を取得した。ところが、そこに今度は九ホール増設する。したがって、そのわがゴルフクラブは二十七ホールの、使用権を認めるのであって、十八ホールの使用権は認められない、これが二十七ホールになるのだから、あらためてまた追加で支出しろ、そうでなければ会員たる資格をとるということで、新たなトラブルを起こしている場面もあるようです。私が思うのは、やっぱり、やったことありませんけれども、そのワンラウンドすっとこう回ってくるのに相当時間が要りますね。メンバーの人の話を聞きますと、大体、メンバーの人はわがゴルフクラブに何人会員がいるかわからない。勤め人の場合、日曜日に来たいと思っても、メンバーは前もってもうよっぽど前から日曜日にエントリーしておかないと、ビジターが来てさっぱりプレーする機会がない。そういう面でも会社とメンバーとの間にトラブルが起きています。  それから今度は、会社がたとえば住宅公団等にそのゴルフ場を転売する、そういう場合に、会員は預託しているだけですから、何ら発言権がない。自分たちの金でコースをつくったんじゃないか。そうして何年かたって地価値上がりした。その値上がりの配当は当然われわれの会員にもあるべきだと、こうメンバーの人は考えておりますけれども、それに対する発言権は全くない。要するに、これだけゴルフ人口がふえてもゴルフ場の規制ということは全くされてない。これはやっぱり大きな問題をふり起こすのじゃないかと思うのです。  それから、私、同じように主税局長にお伺いしたいが、この会員権というのはとてつもない値段で売買されるそうですね。ある場所によりますと会員権が四千万もする。二千五百万もする。そういう場合に、会員権の譲渡の税捕捉ができますか。全く規制がない。届け出もなければ公表するあれもない。メンバーも公表しない。で、しかも、プレミアムをつけて会員権が売買されると、税の捕捉が全く私はできないのじゃないかと思うのです。ですから、通産省の方には、このゴルフ場の規制という問題、会社と会員との間の権利義務というもの、そして会員の発言権というものをもっと守るべきではないか。また、会員権の性格というものをどう理解し、その譲渡によるプレミアム、それは税捕捉の上からはどういうふうな対策がとられてきたし、今後とられるのか、この二点、分けてお伺いしたいと思います。
  139. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) 会員の発言権に関しましては、先ほど申し上げましたように、会員というのは親睦団体であるゴルフクラブの会員である身分でございますが、このゴルフクラブに関しましては、会員は、たとえば理事長の選出の権利というようなものも持っております。そういう意味で、クラブに対する発言権はございます。それから、クラブというものを通してゴルフ場の運営にタッチできる、こういう形になっておるようでございます。
  140. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 最近、非常にゴルフ場の株券なり会員権なりの値上がりが多いところから、それの譲渡所得課税の問題がしばしば問題になっております。  実は、詳しい状況は私もよく存じておりません。税の執行に関連いたしますので、国税庁のほうで扱っております関係で、私も詳しくは承知しておりませんが、何かトラブルが起こりつつあるというふうに聞いております。そのトラブルの原因の最大のものは、現行の所得税法上株式の譲渡所得が非課税になるということになっております。これはしかし、本来、株というものは転々流通売買されておるということから、現在の所得税法の大例外規定がありまして、株式の譲渡所得非課税という大例外が、昭和二十八年以来今日まであるわけでございますが、ゴルフ場の株式のように本来転々流通……。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 株式じゃない、会員権。
  142. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 株式について、まず、転々流通する性格のないものについて、その考え方がどう適用されるべきか、株式とは申しましても、非常に会員権的性格の強いものについて、株式の譲渡所得非課税の規定が適用されるべきか。次に純粋会員権の場合には、それがどうあるべきかということがちょっといま問題になっておるところでございまして、どのように結論を出しましたか、あるいは出そうとしておりますか、いまここでは、私、勉強してまいりませんでしたので、的確なお答えができませんが、たいへん問題になっている。それは一つには御指摘のように、株式についても、会員権についても、株式プラス会員権的性格のものについても、法律的性格がややあいまいもことしている点に由来しているというふうに承知をいたします。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 法務省の方、見えているのですが、会員権の性格はどう理解したらいいでしょう。
  144. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) ただいまの会員「けん」の「けん」の字は入場券の券の字でございましょうか、それとも権利の権の字でございましょうか。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 権利の権。
  146. 古館清吾

    説明員(古館清吾君) この会員権といいますのは、大体、ゴルフ場における会員たる地位ということになろうかと思います。その地位を取得するにつきましては、ゴルフ会社と会員になろうという者との相対の契約で会員になるわけでございます。そうしますと、会員である権利の内容といいますのは、そういった相対の契約の内容、あるいはゴルフ会社の規約等によってきまってくるだろうと思います。それにしましても、やはりプレーをするために会員になるのでございますから、まず、ゴルフ場で会社の規約に従ってプレーをするという権利、いわゆる債権上の権利、これは少なくとも持つだろうというふうに考えます。そのほかに、いま入会金を——先ほど通産省の御回答にありましたように、寄託するということでございますけれども、この入会金につきまして何らかの権利を持っているということは言えるのじゃなかろうかと思います。しかし、その権利の内容につきましては、先ほどお話しましたように、相対の契約の内容、あるいは会社の規約等によって変わってくるのじゃなかろうかと思います。残念ながら私、その規約の内容を承知しておりませんので、具体的な性格につきまして、一般的にお答えすることができません。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 私もそうだと思ったんです。会員権というのは、プレーするために会員におなりになるんだと思ったんです。ところが、いま違うんです。利殖のために会員になるんです。これは、こういう本があります。今週号ですが、一年間で二千五百万もうけた、こういう見出しで、プレーするのが目的じゃなくて、いわゆる会員権のプレミアムを取得するのが目的でやるわけです。だから私、主務官庁である通産省に、時間がありましたら、もっと掘り下げた問題たくさんあるわけです。ですけれども、時間がありませんから、総括的に問題点を申し上げますが、まず、会社が株式会社といって運営するのはけっこうです。会員権、いわゆる会員を何人持っているかということの届け出の義務があるかどうか、これは当然先ほど法務省の参事官が答弁されたように、会員がプレーをする目的で会員になったとすれば、その会員の総数というのは、ゴルフ会社かあるいはそのクラブにちゃんとうたわれていなければいけない、明記されていなければいけない。——明記されておりません。理事会の決議等云々でお茶を濁されている。どのゴルフ場も会員総数は幾らかということは伏せてしまっています。ここに問題点があるわけです。  それからもう一つ、そのゴルフ場とすれば、メンバーが使用するよりもビジターが使用するほうが使用料が高いんですから、ビジターをどんどん入れる。そのために会員がプレーできない。そういう不服を持っていくにも、持っていく場所がない。あるいはそのゴルフ会社が他に土地を転売するときに、私は、会員というのは当然含み資産といいますか、そういうものにも権利があると思うんです。しかし、現在のクラブとゴルフ場との間の取りきめには、そういう会員の権利というものは全く規約の中には入っておりません。ただ会員が預託したお金をお返ししますというだけのことです。それからまた、追加の支出を要求される、それにこたえなければ、メンバーとしての資格を剥奪される。要するに、ゴルフ場株式会社の企業サイドの運営で、会員の利益というのが全く守られていないというのが現状ではないかと思うんです。しかも、冒頭に述べましたように、全国各地でゴルフ場の新設というものが云々されてくる今日におきましては、もはやゴルフ場の運営とか、新設とか、そういうものに対する規制があってしかるべきだ。これだけゴルフ人口がふえたんですから、会員を守るための措置というのは、私は必要だと思うんです。野放しにすることはもう許されない。これだけきょうは申し上げておきます。  それで、もう少しゴルフ場の実態というものをおつかみになる必要があると思います。この点、いわゆるゴルフを何かそういう面で統一的な運営にしていこうという通産省の考え方はあるんですか、ないんですか。
  148. 青木利雄

    説明員(青木利雄君) 先生の御指摘のとおり、ゴルフ人口というのは非常にふえてまいりまして、これは四十五年の数字でございますが、延べ人数にいたしまして入場人員二千万人をこえたといわれております。ゴルファーの数は三百万ないし五百万くらいといわれております。それから、その三百万ないし五百万の中で、大体一割がどこかのゴルフ場の会員になっておるだろう、こういわれております。二年ほど前からかなりいろいろ問題が指摘されておりまして、私どもとしては、行政指導によりましていろいろやってきておりまして、たとえば会員の人数につきましては、会員名簿を会員全体に配るようにというような指導もいたしまして、かなりこういった点では普及してきておるようでございます。  それから、一方、ゴルフ場経営者の団体でございます日本ゴルフ場連盟というものができておりまして、ここでも、経営者側の姿勢を正すといいますか、いま先生御指摘のような、不当な会員権募集というようなものがなくなるようにということで努力をいたしておりますが、私どもとしては、この行政指導にさらに力を入れたいと考えております。  それから、実態をつかむ面に関しては、これはおそいといってしかられるかもしれませんが、四十八年度予算要求で、こういった会員制レジャーの実態をつかむための調査費として四百万円弱を要求していると、こういう状況でございます。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 行政指導でこと足りる段階は、もう終わりましたよ。これはもう私、初めてこのゴルフ雑誌を見たんですが、この雑誌の中にも、各種のトラブルが出ております。要するに、会社に対する会員の不満ですよね。ですから、行政指導の段階はもう済んだ、こういう認識を新たにされるべきだと思います。  それからもう一つは、さっき、会員権が——これは大蔵省の主税局長の管轄になるかどうか疑問ですがね。株券の売買の場合は、いわゆる証券取引法によりまして、登録された業者でなければできません。ゴルフの会員権は、これはもうどこででもいわゆる無登録で、何の規制もなくできるわけですね。しかも、それが四千万だとか、二千五百万だとか、あるいはまた、ここに出ているのはこれは単なる宣伝かもわかりませんけれども、一年間に二千五百万円もうけたと、こういうことが公々然と出る限りにおいては、この会員権の売買、授受、譲渡、そういうものについても、何かやっぱり新たな方式というものをお考えにならなければこれはまずい時代に入ったんじゃないか。ゴルフ場の運営の規制の問題。規制といったって、縛るわけじゃないんですね。一定の線の中に入れるべきだ。その中の一環として、この会員権のあっせんという問題も含んでやるべきではないか。  今後のゴルフ場の新設ということは、土地利用計画の問題からも、そう野放しに許すべき問題でもない。いわゆる土地開発の問題と関連してきますけれども、話が土地の問題からゴルフ場に行って、それをまたさらに総論に戻して大臣に答弁を求めるのは、非常に話の行き道としてまずいんですけれども、とにかく土地対策、これはやっぱり政府のほうがもう主導権を握らなければなりません。成り行きまかせではいけません。こういう段階になったと思うんですが、大臣のまあ取りまとめのような答弁をいただいて、きょうはこの点でとどめておきたい、こう思います。
  150. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 二宮委員と同じように、私もゴルフをやらないものですから、ゴルフに対する知識は持っておりませんけれども、ゴルフをやっておる話を聞くだけでも私は、実は不愉快に感じますわけでございますが……。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは別の問題です。
  152. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 何であんなことをしなければならないのか。それで、建設大臣になりましてから、河川敷の中にゴルフ場がたくさんありますね。あれを全部調べて取り上げるようにしたらどうかと。そうして、さなきだに子供たちの遊び場所なんかないんだから、あそこは全部子供たちの遊び場所に提供するようにしてみたらどうか、こういうようなわけで、全部調べろという指令を出したんですけれどもね。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 記者会見じゃありません。委員会の席ですから……。
  154. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) それで、その後まだ出しておりませんが、お考えのように、これはほんとうに規制しなければならない。あっちこっちにたくさんできております。特に常磐線なんかは一駅ごとにいまゴルフ場がつくられつつあるという状態だそうでありまして、ごもっともなことだと私は思っておりまするから、そういう声が出まして非常にうれしく思っております。何とかしてそのような方針をとってみたいと思っております。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、ゴルフで取りまとめの答弁をお伺いしたんじゃないのです。土地対策からゴルフ場へ行ってもとへ返るのはまことにまとめとしてやりにくいことですけれども、時間がありませんので、土地対策としては、成り行きまかせではなくて、政府のほうで主導的な役割りを果たさなければならぬ今日になりましたと。法人課税の問題も出てきましたし、あるいはまた都市計画土地利用法の策定というものも当面出ていますし、あるいは都市計画法の改正というのも出ています。そういうものを含めて土地対策というものに対する大臣の見解を伺い、そして終わりにしたいと、こういうわけです。
  156. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 土地利用に関する問題もいま各省でやっておりまするが、それを閣僚レベルにおいてまとめたいと思いまして第一回の会合をやったんであります。しかし、第一回の会合ではなかなかまとまらない。それから、事務当局でも煮詰まっておりませんから、もう少し煮詰めてから土地利用問題の閣僚協議会を開いて解決すると、こういう方針をとっております。  それから、地価問題、土地の値段の問題につきましても、先ほど申し上げましたとおりに、もう少し事務当局で煮詰めてもらいまして、十一月の半ばごろを期してこの会合をしてみたい、閣僚協議会をしてみたいと、こういう考えで、二つの点につきましては、そういう方針で臨んでおります。
  157. 春日正一

    ○春日正一君 区画整理の問題で質問したいのですけれども、最初に、戦災復興区画整理事業の進行状況について簡潔に御説明いただきたいと思います。
  158. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 戦災復興の土地区画整理事業は、昭和二十一年十月の、特別都市計画法に基づく戦災都市の指定を受けました都市が百十五都市ございまして、面積にして約六万五千ヘクタールでございます。しかし、その後いろいろ事情がございまして、数度にわたり再検討あるいは改定がなされまして推移したわけでございますが、昭和三十四年度をもちまして、戦災復興事業という形での工事は完成したものとして一応打ち切りまして、昭和三十五年度以降は、形を変えまして、戦災復興関連都市改造事業として実施してまいっておるわけでございます。その場合には、幹線街路など、公共施設のまだ整備されていない区域、残っております区域を拾いまして、約五千ヘクタールを国庫補助のもとに都市改造事業として実施してきておるわけでございます。都市数もその間若干減りまして百二都市、面積で約二万八千ヘクタールということになっております。で、今年度現在で、戦災復興関連の公共団体補助事業として施行中の都市が九都市、施行面積が二千七十一ヘクタールということになっております。  以上がこの工事面の現況でございますが、次に、換地処分の状況を申し上げますと、区画整理事業は、最後に換地処分を行ないまして、清算金も片をつけることによって終息するわけでございますが、百二都市のうち換地処分も完全に終わりました都市は六十八都市でございます。残る三十四都市のうち十七都市が一部換地処分を終えた、一部はまだ換地処分を終えていないという状況であります。したがいまして、全部完了した都市と一部完了した都市、合わせまして、全体で約二万八千ヘクタールのうち五八%につきまして換地が終了したという状況であります。  で、換地処分に至らない都市あるいは地区につきましては、非常に長い間かかっておるわけでございますので、一刻も早くこれを終結すべきものと考えまして、いろいろ事情はございますが、そういった難点を打破しつつ、極力昭和五十年度ぐらいの完成を目途に終息の運びにいたしたいと、このように考えておる次第でございます。
  159. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういう状況ですね。  そこで、もう二十六年になるわけですか、始めてから。四半世紀とよくいわれるけれども、それ以上になってもまだ四四%が換地処分できない部分になっているというふうな状況ですね。こういうことで、長引いている理由は、一体、どういうことになっていると建設省は考えていますか。それからまた、それを早く片をつけるにはどうしたらいいと考えておりますか。
  160. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 先ほど申し上げましたように、非常に長い間、事業の終息に手間どっておりまして、たいへん地区内の方々に御迷惑が及んでおるということは遺憾に存じます。  そのおくれております原因としては、いろいろなものがございますが、これも、先ほど申し上げましたように、事業そのものはもう大部分進んでおるわけでございまして、結局、最後の換地、それに伴う清算というところに時間がかかっておるわけでございます。そういった点も含めまして、おもな理由を拾い上げてみますと、まず、戦災によって従前の土地台帳が焼失してしまっているというようなことも多くございますこと、あるいは土地登記簿の記載、これが必ずしも実態に合っていないこと、こういったことがいろいろと重なりまして従前地の確認、その他諸権利の確定ということがむずかしかったことがあげられます。  次に、戦災の状況のもとで家屋の建築を禁止するということができなかったために、施行途中におきましても数多くの家が建てられてしまいまして、こういった家の移転・除却等にも手間がかかり、あるいは費用も大幅に増大したというようなことがあげられます。  また、戦災復興事業というのが戦後間もなくの時期に全国にわたって一斉に行なわれたわけでございまして、その時点におきまして、各施行者側——これは県なり市でございます——が、膨大な土地区画整理事業をすみやかに進めていくための練達者が非常に少なかったにもかかわらず、一斉に事業を始めざるを得なかったというようなことがあるかと思います。しかも、工事の面が概成いたしますと、残る清算事務、換地計画の事務になお多大の人手が要るわけでございますが、どうしても表向きの工事が終わりますと、そのほうの人員が他の緊急な個所につかれるというようなことになりまして、区画整理の終息事務に従事する人員がむしろ減ってしまっておるというようなことが考えられます。  また、戦後の非常なインフレのために物価高騰が著しく、事業費は非常に増大したわけでございます。しかしながら、一方、国や地方公共団体の財政も窮迫しておりましたために予算措置が十分でありませんで、次々と後年度に繰り越されてきた。このような事情が重なっておるものと考えております。  御質問の第二点、それではどのようにこの事業を急速に終結に持っていくつもりかということでございますが、いままでいろいろ事業にかかりました理由は申し上げたとおりでございますが、今後におきましては、最後の段階である換地計画、清算金の交付、徴収という点で時間がかかっているわけでございますので、まず、これに従事する県、市の職員を充実して相当の人手をもってこの膨大な終息事務に専念させるようにすること、それから、非常に時間がたちましたために土地価格等の変動が大きいわけでございますが、いつまでも区画整理事業を終結いたしませんと、その財産の処分その他が非常に不便なわけでございますので、これを一日も早く完了するということに最大の力点を置きまして、関係者の方とも事を分けてお話し合いを進め、御理解を得ていくようにしたいと考えております。
  161. 春日正一

    ○春日正一君 いろいろ理由をあげられましたけれども、結局、一番ネックになってひっかかっておるのは換地、それから清算ですね、ここでひっかかってきている。そういう意味で、青森市の戦災復興区画整理の清算金の問題、この問題は現在どうなっていますか。これについてはもう再三国会にも陳情もあり、請願もあって、六十八国会のときにも陳情に見えているんです。だから、建設省のほうとしてもこれは相当注意しておられる問題だと思うんですけれども、現状どうなっておるのか、建設省としてこれを解決するためにどうしようという方針を持っておいでになるのか、そこを聞かしていただきたいんですが。
  162. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 青森の都市計画復興土地区画整理事業、これは青森県知事を施行者として昭和二十一年事業の決定がなされて今日に至っておるものでございますが、現在工事面はほとんど終わりまして、最終段階である換地処分の準備を進めておる段階であります。この間にやってきましたことは、仮換地の指定、道路、水路、公園等の公共施設の整備、建物の移転工事、こういったことでありまして、最終段階である換地処分につきましてもその一応の調査準備を進めまして、昭和三十七年、換地計画の案を作成して、地区内の権利者の縦覧に供したわけでございます。  ところが、非常に多くの不服の意見書が提出されまして、その数は四千数百件に及んだわけでございます。意見書の不服の理由は幾つかございますが、つまるところ換地計画と清算金に関するもの、あるいは土地の評価に関するものが大部分でございまして、このために青森県におきましては、縦覧に供した換地計画を再度詳しく調べ直しました。ところが、その結果、面積その他の記載の誤りとか、その他換地あるいは清算金について修正を要する部分が相当程度認められたわけでございます。このために、三十七年に発表した換地計画案は一切白紙に戻しまして、あらためて精密な調査、測量、評価等を行なってきております。その作業が現在大詰めにきておりますが、非常に膨大でかつ複雑でありましたために、たいへん時間がかかっております。しかしながら、青森県当局では、明年度できるだけ早急に最終案をまとめて縦覧の上決定したい、こういうことでありますので、いろいろと私どもも相談を受けつつ、その収束に向かって努力をしておる次第でございます。まあ、この清算換地を最終的に決定するにつきまして、なかなか地区内各権利者のすべての方の十分の満足を得られるという見通しが得られないというところから延び延びになっておりますが、これを幾ら延ばしましても片づかない問題もあるわけでございますので、やはり日限を切って再精査してつくり上げたものに関しましては、もはや誤謬はないはずでございますので、それによって収束するということにつきまして、関係権利者の御協力、御理解も得たいと思います。まあ、個々のいろいろな問題があるかもしれませんが、その辺はまた県当局の意向、希望等も聴取しながら善処してまいりたい、このように考えます。
  163. 春日正一

    ○春日正一君 だいぶわからない問題があるんですがね。まあ経過は、私のほうでもいろいろ聞いたり、現地へ行って見てきたりして、三十七年の十月に換地計画の縦覧をやって、このとき審議委員の中で、こんなものを発表したらたいへんだという反対が相当あったけれども、審議委員会というのは諮問機関であって決議機関じゃないからといって、強引に公表さした。公表さしたら、これに対して異議がごうごうと出てきて、四千三百五十件も出てきたということで、県があわてて土木部長、計画課長をやめさせて、知事もやめちまった。そして、副知事が白紙に撤回しますということを宣言して今日に至っておる。だから、あなたの言っているようなそんなきれいごとじゃないんですよ。非常に無理があった。これは私は、言うだけでとめておきますけれども、それが一つですね。  そうして、みんながこれに納得しない理由というものは一体どういうものか。いま説明では、個々の自分土地に対する評価の問題とか、いろいろこまかく言われたけれども、これは立ち入ってみればそういう個々の具体的な問題、みんな違ったものがあると思いますけれども、ここで青森市の関係者が、土地区画整理審議会ですか、そこの連合会の総意として陳情してきているものを見ますと、こういうふうに言っているのですね。その結果、青森市において次のような状況が出たのです。国道拡幅分二万坪、その価額十億円、県道拡幅分三万坪、その価額五億円、市道拡幅分十万坪、その価額五億円、計二十億円、この市民の二十億円の負担は、土地を多く提供した、公共のために用いられた千数百名の人に支払うということですが、私有財産は正当な補償のもとに公共のために用いることができるという法の精神に基づき、この補償は当然国の負担と責任で解決すべきだというのが全市民の世論でありますと、こういうふうな形で、この区画整理の根本の問題に含まれているところで異議が出ておる。だから、ここを踏まえませんと、幾ら技術者をふやしてみたところでらちがあくものじゃないだろうというふうに思うのです。  たとえばその一つの例として言われている具体的な中身で言いますと、先ほど言ったような国道とか、県・市道というような幹線道路の減歩の問題ですね、これが買収方式との差が非常に出ておる。これは地図を見ますと、大臣、この部分が区画整理になっているところなんですが、これは駅、ここが駅前で、県庁も市役所も銀行もある一番市の中心部です。そこが区画整理の戦災復興の対象になって、ここの部分に国道が通っています。これはつまり区画整理の減歩で、ただ取られておるということですね。それからこういう県道とか市道とか、そういうものが取られている。ところがここの、終わったここからこっちの都市計画道路ですね、これはいわゆる普通の建設省のやり方で土地買収して工事をした。それから国道のこっちのほう、ここから駅を越えたこっちのほうも買収方式でやっておる。そうすると、片方はただとられて膨大な清算金がかけられておるというのに、片方ではそういう形で買われておる土地ですね。  これは、たとえば国道七号線の場合だと坪当たり二十万円、中間地点でも十四万円でつまり買い取って工事をしておるわけです。ところが、それからまた漁港大通り幸畑線というところの都市計画街路では、坪当たり四万八千円、こういうことで買い取っているんですね。その人たちは土地を売ってもうけて、しかも、道路が通るというので土地の値が上がったということになる。片方は区画整理をやってもらった。そのために道路敷とかそういうものを十五万坪もただ取られて、しかも、それに対する清算金というものは十九億三千三百万円、当時の青森の市民税総額が四億円ですから、約五年分ですね、市民税総額の。それだけのものを区画整理対象の中の約六千人ですか、それぐらいの人のところへかけてきている。具体的には一人でも三千五百万円からかかってきている人もあって、平均で三十五万円というような清算金がかかってきているということで、これは大問題になったんですね。ところが、県や国や市がこの区画整理事業に出したお金というものは、全部で五億二千六百万円、坪数で割ってみますと一坪三千五百円、それだけしか使ってない。これではあんまりひどいじゃないかというのが反対の一番大きな理由になっている。そこで、同じ道路をつくるのに、適用する法律によって片方はただ取られて清算金も出さされる。片方は坪二十万なり坪五万なりで買い上げてもらえるというような不公平があってもいいもんかと、この点住民が納得できないのは、私は当然だというふうに思います。だからそこをどう解決するのか、この点どうですか。
  164. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 区画整理法は御承知のとおりでございますが、街路その他の公共施設を整備するときに、あわせまして再街路を入れたり、その他の公共施設の整備を一体的に行ないまして、その結果地価が利用効率増進のために値上がりする。その範囲内においてこういった公共用地を減歩として生み出していくという手法でございまして、町づくりの上では一帯の市街地として面的に整備されますので、個々の街路ごとに用地買収方式でいく場合に比べましてその負担の公平もはかれますし、でき上がったあとの町も整然とするという非常に効果のある事業だと思っております。個々の隣接したような区間において、片一方では用地買収方式で行なわれ、そこから、ある点から境に区画整理が行なわれるということによりまして、一人一人の地主さんから見れば差は生ずるかもしれませんが、これは区画整理の方式によること自体が、たとえば道路用地を、たまたま道路にひっかかる地主だけの負担において解決するのではなく、全体の住民が、土地所有者がいわば減歩という形で公平に持ち寄って道路用地を生み出そうというシステムでございますことからどうしても違ってまいりますけれども、これをもって買収方式の場合に比べて不公平ということは当たらないのではないかと思います。
  165. 春日正一

    ○春日正一君 全く説得力ないですよ。  で、区画整理というものが大体始まった経過から見て、明治四十年代に耕地整理という法律から始まって、耕地整理であのたんぼの中をきちっと四角に整理して農道を拡幅しよう、そのほうがみんなにいいからということで農道を出し合おうとか、あるいは曲がったあぜをきちんとまっすぐしたのでおまえのほうに何坪よけいいったから、その分は金でもらうというようなことでやっているときには、これはきわめて合理的なんですよ。ところが、それが大正年代になって、震災復興事業というような形で一つの町づくりに適用されてくる。さらに、それが戦時中の軍都づくりにも使われるし、戦後のさっき言った戦災復興というような形からいままできておるという形で、成立が出発点から違ってきたんですね。だもんだから、こういうことになるんじゃないですか。つまり、いまの場合には、区画整理の中にその地域自体のために必要なものですね、地域住民にとって。区画街路とか、小公園とか、下水道というようなもの、そんなら出しましょうというものもあるけれども、同時にそれだけでなくて、都市全体のために必要な都市計画関係の幹線道路が通る、その区域だけが負担すべき性質のもんじゃないでしょう。それから、国の国土利用という観点から国道が通る、そういうものまでその狭い地域の住民に全部負担させるということの道理があるのか。つまり、耕地整理から始まった区画整理の手法をそのまんまどんどん引き延ばしてきた結果出てきたこれは矛盾じゃないのか。  とすれば、あんたはいま、土地の値が上がると言ったけれども、じゃ、こういう反論があったらどう答えますか。たとえば、いま言ったように、青森の市の中心部が区画整理で、ただ道路を提供してりっぱに復興した。ところが、まわりはまだ畑地だったり、またそれほど家のない、地価の安いところだったけれども、この中心部が復興してきて、それがまわりへ波及したためにその周辺の地価が上がった、ところが、その地価が上がったところは買収方式でやられたもんだから、区画整理の利益は周辺の地主さんたちが手に入れちゃって、区画整理の本体は犠牲を食わされる、こういうことになるわけでしょう。そうしますとこれは、それでも公平だと言えないでしょう。もしあなたの公平の論を言うなら、この区画整理の結果、値が上がった周辺の人たちもこの分を当然負担すべきじゃないですか。それじゃなきゃ不公平だ。人のふんどしで相撲をとることになる。そこんとこをどうですか、合理的に解明できますか。
  166. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) いまの例にあげられましたことが、区画整理のために生じた受益がどうかという点が、その区画整理による戦災の復興、それによる受益ということもないとは申せませんが、それが主たるものかというような点もございまして、なかなかはかれないと思います。まあ区画整理もどこまでも広域に、広く広くとるということにすれば、そのようなこともないかと思いますが、実際上そうもいきませんので、ある区域を限りまして、その区域をもって一つの単位として公共施設を整備する、宅地も整備するという事業でございます。そういうことで、この事業も当時としては相当思い切って広い区域をとりまして実施してきておるわけでございますので、そういう意味で、その周辺との比較は一がいには申せませんけれども、私どもは、区画整理の中で公共用地が生み出されるということにつきましては、別途区画整理による補助金の制度もあるわけでございますから、公平は保たれていると考えております。
  167. 春日正一

    ○春日正一君 まあ非常にはっきりしないし、あなた、役人の立場から言えば、いまの法律のワクの中で答えなきゃならんもんだからそういうことになると思うので、大臣にひとつお聞きしたいのですけれども、いま私言いましたように、とにかく、耕地整理の時代と違って、当然住民の利益に直結するようなその一区画の小さな街路とか、小さな公園とか、下水道とか、そういうものもありますけれども、しかし、それだけでなくって、都市全体の計画から必要とされる幹線道路も通るし、それから国の利益の観点からする国道などがあるということになれば、それぞれの受益に応じて国道は、国が受けた利益として国が持つとか、県道は、県が受けた利益として県が持つというように、それぞれが受益者分を負担してほしいという、住民の要求というのは、私はしごく当然な要求だと考えるんです。その点大臣はどうお考えですか。
  168. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) ここに住んでおるその住民だけでなく、一般国民にも第三者にも非常に利益を与えるという問題であったならば、やはりその角度で考えるのが私は当然だと思います。ただ、青森の問題は初めて聞いたものですから、私はこのことについて、どういう返事をしたらいいかということは、私、これから勉強さしてもらいまして、判断さしてもらいまするけれども、全体に通ずる区画整理の問題であったならば、ここの人だけに負担させるということは、私はどうかと思います。
  169. 春日正一

    ○春日正一君 私は、その点を大臣にはっきり頭にとめてほしいというのは、区画整理そのものの持つ矛盾ですね。そのために区画整理がひっかかっておる。そこをどうするかという問題として、この問題を出しているわけです。その一番はっきり典型的なものが青森のいまの例なんだと思って、私は具体的に青森の問題を問題にしているわけです。たとえば、この面的な解決ができるということを局長は言って、区画整理を正当づけようとされる。確かに面的な解決ができるという利益は、私も否定しませんし、これは生かしておく必要があるだろうと思います。しかし、矛盾は矛盾として解決しなければ、そのこと自体が進まなくなる、そういう問題だろうと思うんですよ。だから、地価値上がりするから、それによって補われるといいますけれども、区画整理法のワクの中だけで考えても、幾つか矛盾があるわけです。たとえば、一つ市街地でもってこの区画整理をやった場合に、確かにまあこの市街地の区画整理をやれば、いろいろ便益その他価値が上がるということはあるでしょう。しかし、その利益が具体化しないものが特に都市の場合に多いわけですね。自分の住むだけの土地、あるいは小さな店舗なんかで売るつもりのないものは地価が上がったって、そのまま自分のところにすぐ影響はないというようなこと。たとえばこの青森の場合でも、現地へ行って今度聞いてみますと、関係者の中には、日雇いをしておって、借地をしておって、借地権がある。それに対して十八万とか、二十万という清算金がかかってきているわけです。で、その土地を売って出ていくわけだ、買い付けだから。そういう人があるわけですが、そうすると、そういう人にまで一律にこの清算金を押しつけるというようなことになれば、そこの居住権なり、生存権を奪い取るような結果になってしまう。これは、行政をやるものとして、それがいいということは言える問題じゃないと思うんです。そういう点は当然検討する必要があると思うんですよ。この点どうですか。坪数の少ない人、あるいはそういう借地権者で、いま言ったような例の人とかの場合、これを一律にこの利益を得るというような形で計算をして、清算金をかけるというような点は無理があるんじゃないか。無理があるなら再検討すべきじゃないか、その点どうですか。
  170. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 清算金がかかるということは、これも区画整理を行ないまして換地計画を立てる際に、できるだけ従前の宅地の価格に比例するように新しい換地も定めれば、個人の間に清算金の徴収あるいは交付ということがなくて済むわけでございます。しかしながら、実際に物理的な土地につきまして、これを全然差がなくなるように区画割りをして、換地計画を定めることが実際にむずかしいこと、あるいは過小宅地の所有者等には減歩がかけられないというような問題等もありまして、いろいろな事情から各人間におおむね土地だけで公平が保たれているものの、若干の差額が金銭で清算されざるを得ないということからきたのがこの清算金の制度であります。青森の場合に御指摘のように非常に大きな金額が、十九億というものが三十七年発表されまして、非常に問題を生じたわけでございますが、先ほど申し上げましたような県当局の精査の結果、まだ最終的には判明いたしておりませんが、この清算金の額は大幅に減るようでございます。つまり、いろいろなミスが重なっておるわけでございます。そういった点で、非常に驚かしたような数字であったものが、全体として相当減るということが見込まれると聞いております。また、御指摘のような、なかなか、清算金を払うについて土地を切り売りできないような、そういう小さい面積の土地を持っておられる方、あるいはそういう土地の利用のしかたをしておられる方、あるいは日雇いのような方、こういった方につきましては、まあ土地区画整理法でも五年間の分割徴収の道を開いておりますが、こういったことを活用いたしまして、その清算金の支払いにあたっていただきたい。この清算金を徴収されるという側は、つまるところ土地としては他の人よりも有利な扱いを受けたというわけでございまして、このアンバランスというものはやはり是正せざるを得ないのじゃないかとこう考えます。
  171. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういうことを言うけれども、ある未亡人が十七坪の土地しかなかった。そうしたら二坪出せと言われた。二坪出したらうちが建たぬからと言ったら、清算金を出せとこう言われた、そういうことでしょう。これは理屈から言えば、みんな二坪をその割りで出しているのだから、お前さんも出すのがあたりまえだと言うのだけれども、出すにたえる人と、たえぬ人とあるし、また、その事業によって、利益を受ける人と、受けぬ人とある。この場合の価格計算、路線価方式というのですか、あれなんか見ましても、利益の面は計算して点数をつけてやっていますけれども、不利益ということは全然入っていないでしょう。たとえば最近ではモータリゼーションがあるから、道路ができたために車が通ってうるさくて寝られなくなるとか、あるいは排気ガスがたまるようになる、その他交通事故が起こるとか、いろいろそういう不利益な面が出てくる。そういう面を引くというようなことはいままであんまり聞いてないですね。そういう問題もある。だから、あなたの言う区画整理法のワクの中で私はいまものを言っているのだけれども、そのワクの中でやるにしても、小さなものに対する、いま言ったような無理もあるし、価格計算の場合にそれもある。もう一つ大事な問題は、さっきの隣の話じゃないけれども、都市一般の復興といいますか、繁栄といいますか、あるいは日本の政治全体のインフレなり土地ブームというような状態の中で上がってくる分と、区画整理の道路ができたから上がった分と、どこで区別して計算できるのか、その計算の方式があったら教えてほしいと思う。そこを教えてくれませんか、どこで区別するか。建設省としてその基準があるのかどうか。
  172. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 区画整理における土地の評価の率は、なかなかいろいろと積み重ねがあってむずかしいものだと聞いておりますが、ある道路なり、幹線道路、あるいは区画道路が網の目のようにつくられることによりまして、たとえば道路だけを見ましても、その土地の利用価値がぐっと上がるというようなことから、従来道路の性格、幅員等ごとに路線価を出し、その路線価を標準としながら、同じ路線に面する土地の形状、奥行き等に対応して、これを修正して評価しているというわけでございまして、まあいろいろな評価方式がありますけれども、路線価方式は最も合理的ではないかと言われているわけでございます。まあ一般地価上昇との比較の問題というのは、一応それとは違って、これは区画整理をしようが、すまいが、一般的に上がるものでございますが、そういうものとは違って、公共施設が整備されることによる地価値上がりというものを別途に評価し、計算しているというわけでございます。
  173. 春日正一

    ○春日正一君 だいぶ苦しいあれですが、いま言ったように、区画整理がやられるというそのことを前提にしても、その道路が通ることによるプラスもあるし、最近じゃマイナスもある。それから回りの、いまのインフレとか、土地ブームというような形で上がってくる、そういう要因もあるんですが、実際利益になったというんじゃなくて、そういうようなものまで十分計算してということには、一番合理的と言われるその路線価方式でもなってないように私は思うんですよ。だから、そういう矛盾がいまのワクの中でもあるし、そうでなくて、青森の人たちが言っているのは、先ほど読み上げたように、公共の事業、国道なり県あるいは市道というようなために、道路をただ十五万坪も取り上げて、そうしてその代金は残りのものが払え、値が上がったからということで清算金を取り立てて相殺させるというような区画整理の、そこのところのやり方ですね。公共用地をただ取り上げるというこれが問題なんだということを言っているわけです。これはその分出してくれ、そうすれば問題は片ずくじゃないか。ちょうど二十億なんだその分出してくれと言っている。だから、ここでは明らかに区画整理法というものが、このやり方が憲法に違反するんじゃないかという問題が出されているわけですが、二十九条三項では、個人の財産を公共に使うためには正当な補償をしなければならぬということになっている。ところが補償なしに取ってしまうじゃないか、しかもその負担をわれわれにさらに清算金という形でかけてくるじゃないかと、それじゃあんまりだというのが青森の人たちの主張だし、私はこれは道理があると思うんですよ。  私は経過から言いますけれども、時間がないから、省く意味で。大体先ほど言ったように、明治の終わりに耕地整理という形で始まったものが、震災復興事業のときには一〇%までは公共減歩で取っていい、それをこすものは補償しろと、こういうことになっておった。それが戦災復興のときには一五%までは取ってもいい、あとは補償しようというんだと。ところが、これが昭和二十四年に新しい憲法ができて、憲法で、公共用地のために個人の財産を取り上げるときには、適正な補償をしなきゃならぬという憲法二十九条の条文ができてきたものだから、この一五%ただでいいという条文は、これは憲法に抵触するおそれがあるというので、これは削って、そしていまの土地区画整理法の九条ですか、あれでいう、前の価格よりあとの価格のほうが少なくなったら、その分だけは補償するというようなものにすりかえてしまったのですね。だから、ここには明らかに憲法違反をのがれるためのごまかしがある。しかし関係者は自分の直接利益に関することですから、そういうごまかした理屈じゃ通りゃしないから、だから憲法に反している、なぜただ取るのだということを問い詰めてくるわけですね。それに対して納得のいくような答弁というものはいままでされてないのですよ。この点どうですか。
  174. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 清算金の性格は、先ほど申したとおり、個々の換地を受ける人同士の平均に比べての有利さ不利さに対応して、いわばその有利な人から不利な人に金銭で渡すというものを施行者である県がかわりに授受するというだけのことでありますので、これは道路にどれだけの費用を国なり県が持つかということとは必ずしも関係ないことだと思います。また、青森の戦災復興事業につきましても、長い時期をかかってやってきておりますが、そのときどきの所定の負担を国、県、市、行なっているわけでございまして、特にこの地区の土地所有者に非常にしわ寄せをしているということもないと考えております。また、新憲法後の減価補償金の規定等につきましても、これも先ほど申したような地区の整備によります増価があるという、まあ事実あるわけでございますので、これの範囲内において換地として照応させていくという話でございます。まあそれにもかかわらずいろいろな事情で総額が減少した場合に減価補償金を出すという制度になっているわけでありますから、憲法違反というような問題はあり得ないと考えております。
  175. 春日正一

    ○春日正一君 ちっとも説明になってない。区画整理法はそういうことですと、だから道路をつくれば土地の値が上がるから、だから損はないからいいじゃないかという言い方ですね。そういう理屈が通るかというのですよ。それで、私、土地収用法の九十条ですね。これ見ますと「起業利益との相殺の禁止」という項があって「同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用し、又は使用する場合において、当該土地を収用し、又は使用する事業の施行に因って残地の価格が増加し、その他残地に利益が生ずることがあっても、その利益を収用又は使用に因って生ずる損失と相殺してはならない。」、土地収用法にははっきりこう書いてあるのですよ。道路をつくるから、値が上がるから道路の値段ももっと安くしろとか、評価をただにしろとかということはしちゃいかぬとはっきりここに書いてある。同じ日本の法体系の中で、土地収用の場合には、その事業の利益と相殺してはならぬということがはっきりきめられておる。それから一方では、先ほど言ったように同じ日本の道路行政の中で用地を買い上げて施行するというやり方が一般的にやられている。そういうことの中で、この区画整理区域だけがただ取られるということが道理づけられているのか。土地収用を適用される人と、あるいは道路法によって買い上げられる人とに差別というか、不公平があるじゃないか、これは何と言っても説明つかぬですよ。一方の法律にはこれがはっきり相殺してはならぬと規定している。同じ日本の法律の中で、片方はあなたの説明のように、道路をつくれば値が上がるのだからいいじゃないか、ただ取っても。値が上がるのだからただ取ってもいいじゃないかなんていうことになったらたいへんですよ、その論理を通すということになれば。だから私は説明つかぬ——あなたは何とかそれをあれしようと思って値が上がる、値が上がると言っているけれども、同じ日本の法律の中にこういう条項を持った法律だってあるのだから、そこの点どうですか。どうしても説明がつかぬ。
  176. 吉田泰夫

    説明員吉田泰夫君) 土地収用法は、公共施設に必要な土地だけを限りまして取得するという法律でございますから、その土地にかかる人もおれば、かからない人もおるというわけでございまして、また、収用される土地だけしか持っていない人もおれば、収用される土地のほかに、収用地外にも隣接して土地を持っている人もいるということでございます。収用法の九十条の規定は、たまたまある人が、土地収用対象区域外に土地を持っておって、それが値上がりしたという理由でもって、またまたその土地を外に持っているために相殺されるということは、非常に不公平になるということから相殺の禁止がうたわれておるわけでございますが、区画整理事業は、このような公共施設用地だけを幅狭くねらった手法ではもとよりないわけでして、むしろ全体の区域内の土地所有者土地を少しずつ持ち出して、公共施設用地を生み出そうという、面的な広い区域を考えての話でございますから、しかもそのために、特別の法律でもって、その中では換地を行ない、その間の不公平は清算金でやるとしても、基本的には、換地を行なって公共施設を生み出すということが法定化されておるわけでございますから、土地収用法の場合とは違うわけでございます。
  177. 春日正一

    ○春日正一君 違うけれども道理に合わぬと、私さっきから言っておるのですよ。  時間がありませんから、結論を急ぐから先へいきますけれども、しかしそういうあなたの言う論からいっても、実際の状況はどうなっておるかというと、区画整理前と区画整理後の全体の土地の総価格というものは、減歩率や公共投資額の多少にかかわりなしに、プラス・マイナス・イコール・ゼロと、こういうふうになることを前提として、逆算して、それを各戸に振り分けていくというやり方をとっているのでしょう。たとえば青森の場合ですね、前の土地の総価格、区画整理前のですね。これが百十六億八千五百万円、区画整理後の残地の総価格が百十六億八千五百万円で、ぴたりと合っている。こんな計算出るものじゃないですよ、実際問題として。どうしたってこれは作為的なものですよ、合わせるようにつくったものですよ。こんなに一銭一厘と違わぬように出るはずがないですよ。だからこういうことで、たとえば一〇%前後の減歩率のものでも、まあ極端に大きいもので、五〇%近いような減歩率のものでも、特別な事情のものは別として、前とあとのと値段が違ったからといって減価補償金を出したというような例はあまりないでしょう、大体ぴたっとつじつまを合わせているでしょう。この青森の例だってこんな計算はどこから出てくるか、計算の根拠出せと言われたら困るじゃないですか。あなた方は、値段が上がるから得をするのだとか何とかと言うけれども、それじゃつじつま合わないのですよ、取るだけ取っといて、それで、その引かれた土地と前の値段をぴたっと合わせるようにして、それで各戸に、おまえのほうは幾ら上がったからというような形で、清算金だ、交付金だというような計算していくように、そういう扱いに現実はなっている。だから、あなたの説明は説得力がないから、何といっても住民は聞かないわけですよ。あなたの説得で通るなら、いまごろとっくに片づいている。そういうことなんですね。  で、私がいま局長をそうやって責めてももう犬体底は知れているから、だから私はもうその問題では——時間を取れさえすれば幾らでもやりますけれども、やりませんけれども、こういうことがあるから、だから、住民の抵抗がいろいろ起こってきて、どうにもならなくなるから、政府は、区画整理に対する国の支出についても何度か変更を余儀なくされて変更しているわけでしょう。たとえば三十四年には都市改造方式にして事業費の二分の一を国が持つと変えている。三十九年からはそれを三分の二国が持つというように変えている。三十七年からは、道路管理者負担金支出というようなものを設けるというような形で、幾らかずつ譲歩するような形に変わっていっているということは、その矛盾が現実になってどうにもしようがないから、だから少しずつ歩み寄っていっているということじゃないのだろうか。こういうことを考えてみますと、青森の問題を単に——青森県自体に問題が私たくさんあることを知っております、区画整理以前の問題もあると思います。たとえば県有地を三倍ぐらいにある点で計算してしまったというような問題ですね。そういうような問題とか、県自体にも問題がいろいろありますけれども、やはり青森県だけでやれということだけでは済まされないのじゃないか。それでは青森県としてはなかなか片づけようがないのじゃないか、国道も通っているのだし。  特に木村大臣に聞いてほしいのは、青森県の人たちはこう言っております。とにかく戦災を受けたというのは、わしらが好きで受けたのじゃない、国の国策の結果として戦災を受けたのだ、そのあと区画整理をやらされてそのために減歩を取られ、さらに清算金まで取られる。ところが、戦災を受けないまわりの人たちは、道路を買ってもらってけっこう、まあその人たちに言わせれば、もうけているというようなことになると不公平じゃないか、むしろ農地改革に対する地主に対する補償とか、在外財産の補償とかいうような例をあげて、そういうことができるなら、戦災を受けたわれわれに対しても、それだけの特別な措置をしてくれてもいいのじゃないか、そういうふうにも言っているということを考えますと、国道も通っているというような事情を考えると、国としてもっと親身になってやって必要な金は何とかして出してもやるし、皆が納得できるような解決もするということに国も肩入れしなければならぬのじゃないか。私は、それは、国が口を出してやるという気になれば、存外スムーズに解決つくのじゃないかというような気がしているわけです、実情を聞いてみて。  そこで大臣にお伺いしたいのは、その点でどうされるかという問題と、いまあります区画整理のいろいろの矛盾の問題ですね、これについてどうされるか、そこをお聞きしたいのです。
  178. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 青森の問題は、これほんとうにきょう初耳だったものですから、これは事務当局と話し合いをいたしまして、私は私なりにいろいろなことを聞きまして、そして回答を出してみたいと、こういう考えであります。やはりお話はもう——第三者になったわけじゃありませんけれども、お話を承っておりまして、まだ事務当局のほうには説得力がないのじゃないかと、そうすればやはりもう一ぺん考える必要があるだろうと自分はこう判断したのであります。それから全体の区画整理の問題でも非常に、これからいろいろなことを進めていくためには、過去のことに無理がある、障害になりますから、全体の問題なんかもやはり検討するものは検討しなければならないと、こういうふうに思っておりますが、またどういうようなやり方で考えていくかということは、自分はこれから勉強さしてもらいたいと思います。ただあちこちでこういう問題が起きておりますから、全体としてやはり考えなければならないという気持ちは持っております。
  179. 春日正一

    ○春日正一君 もう私の持ち時間は切れたものですから、少しまけてもらって締めくくり的に述べたいのですけれども、戦災復興区画整理の問題ですね。これは最初にお聞きしたように、もう着手してから二十五年たってまだ非常に多くの地区、特に主要な大都市ではほとんど片づいていないというような形で、未処理の面積が四四%、こういうことになっておるわけです。で、処分計画済みといっておるものの中にも書類上では解決になっているけれども、実際に施行者と住民の間では解決になっていないようなものもあるというような実情ですから、半分ぐらいしかいってないということだろうと思います。だから、この解決の基本的な方向建設省としてはっきりいま打ち出していく必要があるんじゃないか、今日までの実情の上に立ってですね。そういう意味で、先ほど言いましたように、戦災というのは、国策によるものであって、地主補償や在外財産補償と同じ性格のものであるから、特別の措置をとってほしいという住民の主張に対して、やはり十分受けとめて検討してほしいと、これが一つ。  もう一つは、戦災復興以外でも、全国至るところで区画整理が施行されておって、いろいろ問題を提起しております。しかも、新全総では現在の二倍の市街地を確保するために積極的に区画整理の手法を活用するというようなふうに言って、中央都市計画審議会はさきに市街化区域の四分の一強、二千七百平方キロを区画整理方式で開発するということを答申もし、建設省も検討しておるというように聞いております。それからまた、田中首相の列島改造論では、二十五万人都市づくりは大いに区画整理を活用すると書いてある。ということになりますと、この区画整理というものは、これから非常に大事な重大な問題になってくるわけですね。  そこで、私ここで大臣に聞いておいていただきたいことは、先ほど来申しましたように、わが国では耕地整理とか、震災復興とかいうような区画整理というものは五十年の歴史を持っておるわけです。さっき言ったように、面的な問題を解決するというような一つの積極面は持っておりますけれども、非常にたくさんの矛盾を含んでおる。そうして、この点ではいままでに私どもタッチした問題でもたくさんありますけれども、全国で見れば何百、何千というほどこういう問題をめぐっての紛争が起こって、住民の側からいろいろ要求も出され、そうしてまた、そういうものに基づいて解決しておるというような実例もたくさん出てきておるわけです。つまり、区画整理というものの含んでおる矛盾が、そういう形で、住民の抵抗というような形、それに対する要求というような形で出てきて、その中でまだ解決されないものもあるし、されたものもあるという実情になっておる。という実情ですから、当然こういういままでたくさん出されておる問題点、こういうものを整理して矛盾を取り除いていく、あるいはまた区画整理問題の係争を解決したたくさんの積極的な実例があります。そういうものを解決に取り入れていく。たとえば、浦和市の、あれですか、何地区というのかな、それから蕨市の南部地区、ここではそういう問題の係争の結果百平米以下の人は基礎控除として減歩をしない、それから清算金も免除する、そのかわりに二万五千円は協力金として自発的に出すというような形で、折り合いがついて、解決しているいろいろな具体例があるわけですね。矛盾を打開していく、そういうものを積極的にくみ入れて、そうして区画整理の持っておる矛盾を根本的に解決していくような、そういうことをやらなきゃならぬだろうと私は思う。もしそれをやらなくて、大規模な区画整理でもって都市を倍もつくろうというようなことになれば、住民の抵抗というものは非常に強いものになってくるでしょう。だから、そういう意味で区画整理の問題を、いままでのそういう係争の事実や教訓をくみ取って改善していくその気持ちがおありかどうか、その点をお聞きして私は終わりたいと思います。
  180. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) いまのお話しは非常に傾聴に値すると思っております。十分にくみ入れて考えていかなければならぬと、こう思っております。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、きょう三つの質問を提案いたしておりますが、時間も十分ありませんので、特に二と三の問題を中心にいたしたいと思いますが、第一の問題については基本的な問題について一応確認しておきたい。  そこで第一点は、いわゆる新全総と最近日本の政治の焦点となっております改造論とのつながりは一体どういうつながりであるのであるか。  次に第二点は、東北を私調査いたしてみました場合に、それぞれの県において独自の開発構想というものを持っておられる。その地域開発構想と改造とのつながりは一体どう考えておられるのか。  次に第三点は、沖繩の開発と改造論との結びつきは一体どのように考えておられるのであるか。  以上の点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  182. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 日本列島改造論と在来ありました新全総の問題ですが、日本列島改造を主にして、新全総は従の形になると、こういうことであります。  それから日本列島改造の際における沖繩との関係なんですけれども、この前の知事会議でも総理ははっきり申されましたが、地方の開発の案は地方でまずつくってもらいたいと、地方を主にして考えるべきであって、あくまでも主体は国じゃない、県である。だから県でまず考えてそして案を出してもらいたい。それについて国が協力する立場をとるんだと、こういう方針であります。それから沖繩の問題も大体そのことじゃないかと、こう思っておりまするから、具体的な問題でなくて、日本列島改造との関係であったならば、まず県でつくってもらいたい、こういうことになっております。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 一の問題につきましては、時間もありませんので、また、いろいろ私調査をいたしまして、地元側からのいろいろな意見を一応キャッチしておるわけでありますが、きょうはそれを控えたいと思いまして、さっそく第二の問題に移りたいと思います。  先般、建設委員会で、大臣が沖繩から戻られた直後でございましたが、たいへん力強い御決意を承ったわけでありますが、ところが、その後の沖繩の状況というものは、特に海洋博をめぐる諸情勢というものは、必ずしも大臣が決意されたように動いておらない、運んでおらない、このことを私はたいへん憂うるものであります。このことについて、ややもすると——私が一番心配でなりませんのは、もう日にちもあと何日ですか、八百七十五日ですか、きょうから、そのように一日一日カレンダーが、沖繩県庁にかかっているカレンダーがめくられるわけですが、ところが遅々として進まない、その原因が、ややもすると沖繩側に責任があるかのごとくに流布されておることについて、私は非常に不満を持ち、もっと率直に申し上げれば、まことにけしからぬではないか、こう思うわけなんで、もちろん沖繩現地としてそれぞれの立場においてやらなければいけない点もあるし、国は国として、あるいは公団は公団として、それぞれの立場から責任を感じて、一体となってやっていくべき筋合のものが、そういった責任のなすり合いがある、またこれまでもあった。たとえば、私は、もしこのような形でいくならば、この海洋博を、国際的に初めてのこのすばらしい行事が、成功裏にということが、むしろ逆にいろいろのおもしろくない事態が起こってくるのではないかということも思うのでありますが、たとえば、この沖繩復帰の直前直後の円とドルの問題をめぐるこの差損金の処理の問題をめぐっても、そういった沖繩側に責任があるかのような、こういった問題があったことは御承知でしょう。さらにそれに関連する物価高の問題、物価が大混乱をして、それが一つの要因となって、今日までなお物価問題が大きな問題になっておる。これもいかにも沖繩のその当時の責任者の責任であるかのごとくに言いふらされてきた。それから、復帰後、軍労働者が間接雇用になった、その間接雇用に伴う給与の支払い、これが遅払いとなっておる。こういういろいろの問題がいっぱいあるわけなんです。こういったことともからみ合って、海洋博が遅々としてその準備が運ばぬのも、いかに沖繩側に責任があるかのごとくに言いふらされておる。本土側にも、また沖繩側にも心なき者はおるわけなんですが、私は、もしこういうことがこのままの形でいくならば、いかに切実な要求として沖繩側から要求しても、沖繩を甘やかすな、甘やかすなと、こういう形で国会の中で埋没し、また、国の責任において成功させるべきこの回天の事業が、そういう形でいきますというと、これはたいへんなことになるのだと、こう実は案じておるわけでありますが、そのことに対して大臣はいかがお考えでしょうか。
  184. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) そういうような材料が土台となって、沖繩海洋博覧会が満足にいかないというようなことになったならば大問題だと思っております。そうでありますから、たとえばドルの差損金の問題、そういうことについても、これは当局者がここにおいでになると思いますから、その人から話をお聞きいたしまして、実際そういうものは適切な措置を講じていかなければならないのではないか、こう思っております。私はドルの問題も、物価高の問題も、軍労働者の間接雇用の問題も、直接関係しておりませんからわかりませんから、関係者から答弁してもらいたいと思います。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それではお尋ねいたしますが、海洋博に関連した土地の購入がおそい、これは事実であります。そうして、道路計画が決定しないことも事実であります。それではお尋ねいたしますが、この土地の購入に関連した予算措置、あるいは道路計画を完全に実施していくための青写真は一体どこがつくるべきものなのか、どこが示すべきものであるか、それをお聞きしたい。
  186. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 道路の問題は建設省だと思いますが、東回りでやるということはもう決定しておると思っております。そうして、そのことは沖繩県のほうにも話し済みだと思いまするが、なお、そのことについて詳しいことは道路局長から説明をさせます。  それから土地の購入がおそいと、それは、土地の購入は、現地でやってもらうように話をしてきたんですよ。それで、そのためにおそいということであったならば、その責任が国にあったならば、こういう点でこうしてもらいたいということも、私の担当ではありませんけれども、責任者の大臣に言いまして、早めるようにしたいと、こう思いますが、まあ道路のことは道路局長からお話しいたします。
  187. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 沖繩の海洋博に関連する道路事業はどういうような計画でどこがつくるかということでございますので、お答え申し上げますが、建設省が、直轄事業としての有料道路事業日本道路公団に行なわせます高速道路、これについては建設省計画いたします。会期に間に合うように準備を進めさしております。  なお、県道、たとえば本部半島を縦断する県道がございます。これは予算的には全体がすでに閣議了解になっておりまするが、県が実施計画をつくって国に申請し、補助金を出すことになっております。同じく都市計画事業でございますが、これも同様に県が実施計画書を作成し、国の承認を求める、こういうかっこうになっております。  なお、道路が進んでいないような御質問でございますが、簡単に御説明申し上げます。海洋博までわずか二年半足らずになってしまいまして、非常にわれわれも急いでおるわけでございますが、当初高速道路をつくるときに大臣から御指示をいただきまして、高速道路をつくるときに申し上げたのは、工事に約一年十カ月はかかるであろう。したがって、残りの期間のうちに調査設計を完了して用地買収を行なわなければならない。これが海洋博に間に合う唯一の方法であります。したがいまして、そのような準備を進めております。ただ、御承知のように、国道五十八号線、並びに新しくつくります高速道路につきましては、軍用地高速道路は二カ所、国道については嘉手納基地をはじめ数カ所を拡幅しなければいかぬという問題が起きてきております。これが海洋博に間に合うかどうかということが焦眉の急になっておりますが、これにつきましては、外務省を通じまして米軍と現在折衝中でございます。少なくともこの見通しは年末に決定いたしませんというと、高速道路をつくることも、国道を拡幅することも非常に困難だというふうにわれわれは判断している次第であります。
  188. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 軍道使用の問題ですが、おそくなるといけないと思いまして、特に外務大臣にその話をいたしまして、非常に急がせるようにしております。
  189. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に私が明らかにしておきたい点、また、していただきたいことは、青写真も明確に示さずに、それからもう一つ困難な地籍調査ですね、地籍が沖繩の場合には、戦争が終わりますというと、すぐ占領された面から軍事基地が二五%も、沖繩本島では五〇%も広がったのです。そういった放置された面から戦後は始まったわけなんです。それがいろいろの形で結局地籍が申告されたために、いまいろいろの矛盾が、合わしてみたら、海にまで広がるといったようなこういった矛盾もあるわけなんです。そういった青写真も明確にせず、それから地籍も明確にしない限り、契約のしようがない、個人的にもですね。地主との交渉もできるはずがない。そういった困難点、矛盾点があるわけなんですね。だから、そういった沖繩の特殊の事情も十分御理解願っておると思いますが、それをどう、即戦即決と言いたいですけれども、そういう筋道を明らかにしていかずして、われわれのねらいとするところのものごとが前進するはずがない。こう私は思うがゆえに、ぜひひとつ、これはお互いにあげ足を取るのではなくて、けなし合いをするのでなく、それぞれの立場からやるべきことをきちんとやっていく中から問題の前進がある。こういうことを私は特に御要望申し上げたいわけでありますが、まあいま触れられたこの縦貫道路関係にしましても、何一つとらえても、よくこういう表現がありますね。沖繩をまっすぐ行けば金網に突き当たる、その金網をぐるっと回ると基地に突き当たる。金網と基地が沖繩の現実の姿であります。そういう状況の中で、この高速道路の間も二カ所あるということも報ぜられております。キャンプ・ハンセン、これは地図どおりですね。それからキャンプ・シュワブ、宜野座村。キャンプ・ハンセンは例の栄野川君が射殺された事件のあるキャンプ・ハンセンですね。その二つの基地がこれにかんでくるはずであります。そのことについて建設大臣は、去る九月二日、この問題で米大使館のシュースミス公使ですか、この方に二つの基地の部分返還を要求された。そして今後、日米双方で協議することになったと、こう一応伝えられておるわけでありますが、私があせりをもってお聞きしたいことは、この協議は一体その後進行しておるのであるか、また、米側の態度は一体どういう態度をとっておるのですか、そのことをお聞きしたい。
  190. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 最初にシュースミスさんに会いまして、沖繩から帰ってまいりまして、沖繩の要望事項についていろいろと話をしておったのです。それから電話では二度繰り返してその話をシュースミス氏にしております。それで非常に好意的に向こう側は返事をよこしておりまするが、何せ日米合同委員会で決定することなものですから、日本側の政府も思い切って早くやるような方針をとる必要がある、こう思いまして、特に外務大臣に対して、私はそいつを要望しておったのであります。これはもうたびごとにその要望は問題が解決するまで繰り返してみたいと思っております。これが失敗いたしますると、建設省仕事も失敗になりまするから、どんなことがありましても成功させなければならない、こう思いまして、そいつをいま非常に急がせておるところなんでありますが、具体的にいま何回合同委員会がありまして、どういう話があったかということはまだ聞いておりません。
  191. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは非常に困難な問題であるということも十分承知いたしております。そしてこれは大臣お一人の力でもまた御無理であると言えば失礼かもしれませんが、これは当然外務大臣との関連においても、いろいろと防衛庁とも関係が出てくることかと、こう思いまするが、このような問題が早急に解決されないで、沖繩のこの海洋博に向けての基盤づくりが進むはずはない。もしそれが時をかすというならまた路線変更が必要になってまいります。そうなるとますます立ちおくれてくると、こういうことになるわけでありますので、ぜひひとつこの問題はもう全力投球していただいて、このめどづけに。そうでないと、これは着工がだんだんおくれてくることは当然のことでありますので、そのようにひとつ私強く要望すると同時に、またただいまの御決意を心から御信頼申し上げたいと思います。ひとつよろしくお願いいたします。  次に、関連して、地元側としましても、いろいろ心ない人々は、沖繩側が非常に優柔不断だとかいろいろ言うようでありますが、決してそうではありません。御承知と思いますが、県庁は、沖繩県全市町村海洋博推進連絡協議会を発足させて、土地取得問題を中心に関係市町村長への協力要請、そして今後も会議を重ねて、一致して海洋博成功のために全県的な体制をととのえていくということは、組織もでき、決意もされておることも御承知だと思います。決してぼたもち式に、責任転嫁式に、沖繩側も、現地側もだまっているわけではない。むしろあせりを感じているわけなんです。どうかこの点ひとつ重ねてお願いいたしたい。  次に、大臣は、かつてあの構想の中で、瀬底島に橋をかけて迎賓館にするといったことをおっしゃったと思うのですが、その計画は何かこう、私の聞き誤まりかもしれませんが、取りやめになったとかいうことも聞いておりますが、どうなんでしょうか。またどうしてそうなったんであろうか。もしそれが事実であるとすればお尋ねしたいと思います。
  192. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 瀬底島に橋をかけるという話は前から進んでおりまして、県を通しまして、これは実は市町村道になっておりますので、村のほうから県を通しまして申請が出ております。これは国のほうはそれを受け付けておりますが、ただ非常に流れの早い海峡を渡る橋でございまして、小型な本州、四国の橋に近うございます。したがって、技術的にはかなりむずかしい問題が残っております。しかるにそれに対する調査はほとんどなされておりません。たまたまいろいろな業者が——会社名をあげるのは遠慮いたしますが、業者が、そんな橋は簡単にできるというような、非常に実際橋梁をかけたこともない業者がそういうふうなことを市町村に、村のほうに話す、村なり県なりに話している関係か、簡単にできるように村でも誤認されまして、全然調査もせずに申請が出たような経緯がございます。したがいまして、これにつきまして十分調査して、県が中心になって調査を行なって、これを実施するように指導しているわけでございますが、調査にやはり半年以上は少なくともかかるものというふうに私たちは考えております。
  193. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これは、いまのは情勢の変化やあるいは時期の問題、いろいろありますので、あるいは慎重審議の結果、変更もあり得るかと、こう思うのですが、ぜひひとつ現在及び将来、この海洋博を成功させることは当然でありますが、それが沖繩永遠のひとつの繁栄、それが日本の繁栄につながる、こういったたてまえにおいて、われわれは海洋博を成功させたいということをもう絶えず繰り返して、いつどこででも強調している点でありますので、この問題も私はすばらしいことだと思って、実は大きな期待をいたしておったわけですが、これが取りやめになったということを聞きまして、たいへん残念に思うわけでございます。再検討をお願いできぬものかどうか、いかがですか。
  194. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 取りやめにはなっていないんですよ。いまも局長から話しましたとおり、まだ何らの調査もしてないから、これから調査して、調査するに約半年ぐらいかかるんじゃないかと、こういうことです。調査すると、こういうことになっておりまするから、その点は取りやめになったんじゃないということだけは御了承してくださるようにお願い申し上げます。
  195. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、そのようにひとつ御期待申し上げておきます。  次に、海洋博事務局関係の報ずるところによりますと、海外——本土はもちろん、国際的に沖繩にやってくる方々が大体最近の検討によりますと五百万人から一千万人をとらえておるようであります。これはすばらしいことだと思っております。そうしますと、どうしてもそれを運ぶには空と海以外にはないわけなんで、陸続きでもありませんので、空路と港湾しかないわけであります。それで、空の整備、それから港の整備、これについてはどういう構想を持っていらっしゃるか、確認いたしたいと思います。
  196. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) この前の沖繩関係閣僚協議会で、空の整備は四カ所だったですかね、五つだったですかね。それから海のほうもみんなきめたんです。書いたやつはありますか。海のほうもきめたんですよ。それですから、それは発表していいと思いますが、空港は、那覇空港を整備する、伊江空港を整備する、それから在来ありました宮古空港を整備する、石垣空港を整備する。それから、公園事業は平和記念公園を中心に公園の整備を行なう。通信施設の整備も行なう。それから港湾は、那覇港を整備する、運天港を整備する、渡久地港を整備する、平良港を整備する、石垣港を整備する。こうなっておりまするから、空の整備も、海の整備のほうにも思い切って力こぶを入れる、こういうことになっております。  予算も、港湾整備に要する予算は七十億です。それから空港整備は九十億です。九十億ですから、思い切って力こぶを入れていくつもりなんです。
  197. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 だんだん明るい思いがいたすわけではありますが、ところがお聞きするにつれて、だんだんひっかかってくるものが出てまいります。と申しますのは、那覇空港の整備ということでありますが、この那覇空港は復帰の時点では完全開放するという、いわゆる一種の目玉商品であったことは御存じだったと思います。ところが、このように整備しなければいけない状態であるにもかかわらず、P3が依然として居残るということ、このことは一体どうなんだろうか、私はもう心配でなりません。どうしてもこのことをいわゆる完全に解消、解決するのでなければ、那覇空港の整備は、これはますます危険きわまりないものになるのではないかという心配も出てくるわけでありますが、いかがですか。
  198. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) そのことについては特に沖繩関係閣僚協議会で外務大臣が発言しておりましたよ。明確な発言しておりましたが、どういう内容であったか、私、忘れてしまいまして、これは後日、外務省からか、または総務長官ですか、総務長官からでもお聞きして私のほうでお答えしてもけっこうでありますし、それからまた、委員会に来てもらいましてお聞きしていただいてもけっこうでありますけれども、そのときの発言、私ちょっと忘れまして申しわけありませんです。
  199. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはひとつぜひ、いまの海洋博との関連におきましてももちろんでありますが、これは一貫した課題でありますので、これを契機としてひとつ一日も早くこの目玉商品が目玉が実るように御尽力をお願いいたします。  次に、報道によりますと、いま述べられたほかに、伊江島飛行場、本部飛行場も整備しなければ間に合わぬじゃないかという声も非常に強いわけなんです。また、ある程度そういった具体的に取り上げられると思いますが、本部飛行場はと。それから伊江島にあります飛行場ですね。これの整備につきましては、いかがお考えでしょうか。
  200. 沢田政治

    委員長沢田政治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 速記を始めて。
  202. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 私は港湾局でございまして、空港のことにつきましては航空局が来ていないのではないかと思いますが。
  203. 中沢忠義

    説明員(中沢忠義君) 御説明申し上げます。  ただいま御質問の伊江及び本部空港につきましては、私ども海洋博の担当の省といたしまして運輸省当局と調整してまいりまして、去る十月六日の閣僚協議会で伊江島空港を整備するということに閣僚協了解として決定しております。本部空港につきましては、海上の近辺であるということ及び地勢上の問題等から滑走路の整備が困難であるということから、次善の策といたしまして伊江島空港を整備するということで運輸省当局の御了解をいただいたわけでございます。
  204. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ぜひ、これもひとつ具体的に御検討になって実現をしていただくように要望いたします。  次に、港の整備につきまして先ほども一応場所は述べられましたが、その中で運天港の整備につきまして、もう少し具体的にお聞きしたいんです。特に主会場であります本部と関連の距離の近い渡久地港、それから運天港、その中の運天港についてお聞きしたいんです。
  205. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) 運天港につきましては、まず海洋博のための資材の輸送というのが先がけて始まると思います。そのために全体の計画といたしましては、マイナス九メートルの深さを持ちます岸壁を一バース整備することにいたしておりますが、とりあえず明年の秋くらいまでにマイナス七・五メートルという水深で航路ができるように、岸壁並びに航路の整備を行なうということにいたしております。そうして、引き続きまして海洋博開始までの間に九メートルとして完全に供用できるようにしゅんせつ工事をさらに進めるというふうに考えております。
  206. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御計画もけっこうだろうと思いますが、非常にこれは重大な問題に触れておられる、こう思いますので申し上げたいと思います。沖繩の海洋博を成功させるにはいかなる場合でも沖繩の場合は海を離れては考えられない。ところがその海洋博の時期——三月から八月ですか——をとらえても直接もう沖繩の人間ならばすぐピンと感じます。台風期ということなんです。そうすると空だけではなく、むしろ海に多くたよらなればいけない、お客を運ぶのに。万一台風にあうということが当然に予想される。大体台風というものが沖繩にやってくる、そのことを考えた場合にどうするか。最近もございました。目の前に、沖繩本島の那覇港の目の前に船は来ておりながらその台風にじゃまされまして、大島に、そして鹿児島に避難をしなければいけない、こういう実情は十分御存じだと、こう思うわけなんです。そうしますと、どうしても単に資材やお客をそこに運んで接岸するというだけの考え方ではこれはもうたいへんなことだと思います。運天港は唯一の避難港であります。もう沖繩には運天港以外には避難港はない、こう言っても過言ではありません。運天港が唯一の避難港である。現在も一千トン級以下の船はそこへ避難いたしております。ところが御承知のように一万トン級の船ということになりますと、それが単に横づけだけでなくて、ここに地図も持っております。私、専門家とも十分検討もいたしてきたわけでありますが、申し上げるまでもないかと思いますが、これですね。(地図を示す)これ運天港でしょう。ここが避難港なんです。そうするとここが二百メートルですね。二百メートルの水深はもう十分ありますことはおわかりですね。この出っ張りがあるために、これを削れば何万トン級でもそこに退避できる状況にあることは御存じだと思いますね。それを十分考えていただかないというと、万一その期間に台風でもありますと、これはもうたいへんなことになりかねない。こういうことを御検討になったことがありますかどうか。
  207. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) ただいまの先生の御指摘の点につきましては、特に現在までには検討はしておりません。
  208. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 このことは、非常に重大なことでありますし、また、沖繩の現在及び将来におきましても、直接この海洋博を安全に健全に成功させていくためにもどうしても考えていかなければいけない私は緊急な問題だと、こう思っております。これは水深は問題はないようでありますけれども、この海岸の出っ鼻をちょっと削るだけで十分に何万トン級の船が入れる。いま私、専門家に聞きましたら一千トン級以内は何とかここに避難できます。一千トン級以上のものは、奄美大島に引き返したり鹿児島に引き返したり、もう那覇港の目の前に来ておりながら。そのために、そこからくるところの生鮮野菜やいろいろな品物がこれが盆、正月にたいへんなことになって、物価高に関連して、お客も盆に間に合わない、正月に間に合わない、こういったいろいろな問題が過去においても限りなくあるわけなんですね。どうかひとつそのこともお考えになって、この際ひとつ抜本的に解決をしていただきたいということを御要望申し上げます。  さらに、皆さんがいま計画しておられるこの運天港の問題解決のあと、どうしても五億円なければいけないという要望がありますが、いかがですか。
  209. 鮫島泰佑

    説明員(鮫島泰佑君) ただいまの五億さらに必要だという話につきましても、実は聞いておりません。先ほどまとめて建設大臣から言っていただきました金額の中で——運天港ももちろん含まれているわけでございますけれども——私どもそれで予定しております事業はできるというふうに考えております。
  210. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) この前、閣僚協議会で話をした予算で間に合うと思っておったんですけれども、もしも間に合わなければ、そのために不成功に終わらせるなんていうわけにはまいりませんから、それは運輸大臣とも、それから担当の通産大臣とも相談いたしまして、必要な金があったならばやはり出してもらうようにしたいと思います。
  211. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 十分御検討になりまして、ぜひひとつ地元要望にこたえていただきたいと思います。重ねて申し上げたいことは、台風が必ずあるということを予想の上に、ひとつ海の整備、空の整備をやってもらうように強く要望いたしておきたいと思います。  次に、この前の委員会でも上下水道、道路の問題をお尋ねいたしたしたが、その後具体的に進んでおると思いますが、そのことについて一応お聞かせを願いたいと思います。
  212. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 道路予算は、六百四十三億を見込んでおります。それから内容については道路局長から御説明をいたします。それから水道事業のほうは十五億、それから下水道事業は四十九億、それから治水事業は四十六億、それからごみ・屎尿処理施設は五億、公園事業が八億、通信施設は二百七十億、こういうことを一応決定したような次第なんでありまするが、道路の内容は、そちらから説明させてもらいます。
  213. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 道路の海洋博関連事業は、ただいま大臣から御説明がございましたように六百四十億でございます。そのうちの大部分が石川から名護までつくります高速道路の金でございまして、これが四百三十億でございます。六百四十億のうち四百三十億を予定しております。残りの約二百億ちょっとでございますが、それで国道、県道、それから街路事業等を行なうわけでございますが、大部分が国道になります。国道の計画は国道五八号線でございまして、これは御承知のように那覇から嘉手納までは六車線、嘉手納から仲泊まで四車線、それから県道でもって仲泊から東海岸のほうへ県道を一本新しくつくります。県道六号線という名前で、仲泊と石川間の間に四車線道路をつくる。それが主体の事業になるわけでございます。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この道路に関連しまして、御承知のとおり、沖繩の国道といいますのは、最初から国の計画によってできた国道ではなく、いわゆるアメリカの占領に付帯した軍用道路としてできたのを復帰の時点で国道に吸い上げただけのことなんですね。それだけに人間本位にできた道路ではない。端的に申しますならば歩道もない。だから危険きまわりない。こういう非常に不健全な、危険な道路がいわゆる国道という名においてあるわけなんです。どうか沖繩のそういう特殊事情からきた道路状況というもの、これはもうよく沖繩でも国道は国道ではない、これは人間の通る道ではない、こういったことも言うほど危険な、不整備な道路でありますが、その点、この安全な国道としての整備計画がおありでしょうか、どうですか。おありでしたら、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  215. 高橋国一郎

    説明員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、沖繩は従来まで軍道、軍営繕整備道というようなものが大部分を占めておりまして、これらの道路の整備の方法は、主として軍用車の車両の輸送のための構造というふうな考え方から、御指摘のように歩道も少なく、また、道路の両わきにつくります側溝も少ないというような現状でございます。したがいまして、復帰と同時に、あれは交通安全対策事業ということで、主として横断歩道橋並びにそれと付随しまして、先ほど申し上げました道路の側溝をつくる工事に主力を注いでおります。歩道のつくれないところにつきましては前と同様にガードレール等によりまして人と車を分離して交通安全の用に資するようにしております。これは四十七年度事業の大部分がこの事業になっておりまして、四十八、九と三カ年でおおよそ全線を終わらせたいというふうに考えておりますが、ただ、部分的には用地を広げたり、あるいはまた路面が民家よりも高いために民家を上げなければいかんというような場所も出ますので、場所によってはだいぶ時間がかかると思いますが、できるだけこの安全施設のほうに全力をあげてやっていきたいというふうに考えております。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ひとつこの道路の長さの問題もさることながら、こういった安全な道路と、こういう立場から特に本土と違う沖繩の特殊事情を絶えず念頭に置かれて、ひとつ御配慮を願いたい、こういうことを強く大臣にも要望いたしたいと思いますが、いかがでありますか。
  217. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 十分以上に考慮してやるつもりであります。私もあの道路道路局長と一緒に全部通って参りましたからよくわかっておりますから、十分に心して進めたいと思います。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、いま沖繩に起こっておるもろもろの問題がある中で、その一つに水の問題、まあ水の問題は、この前の委員会で、福地ダムを水源とする海洋博につながる問題の解決は十分だと自信を持ってお答えいただきましたので、そのとおり順調にいっておるものと、こう思っておりますが、その後の状況も、そのように順調に運んでおりますでしょうか、どうですか。
  219. 川崎精一

    説明員(川崎精一君) 水の供給につきましては、私どものほうとそれから厚生省のほう、二つで対処しておるわけでございます。私どものほうは主として水源手当のほうを分担をいたしまして、特に沖繩の一番水資源の供給の基本になっておりますのは、やはり福地ダムの促進でございます。いろいろ引き継ぎ時点で問題点がございましたが、現在は予算措置並びに現場の監督体制、こういったものもかなり順調に軌道に乗っております。したがって、ほぼダムは概成に近い状態でございますが、なお、若干ダムの基礎その他の安全性を確保しますために、基磯のセメント・グラウトこういったような追加工事、それから洪水時の余水廃棄の工事、なおそのほかにダムのさらにつきたての最後の詰めの工事、こういったものを急いでおるわけでございまして、ほぼ年内には完成いたしますが、付帯工事等を入れまして、四十七年度末には全部完了すると思います。したがって、来年の台風期等に対する治水上の効果、こういったことも所期どおり期待できるのじゃないかと思っておる次第でございます。
  220. 国川建二

    説明員(国川建二君) 海洋博に関連しました水の問題ということでお答え申し上げたいと思いますが、ただいまも御説明がございましたように、福地ダムが間もなく完成するということを前提といたしまして、海洋博の会場あるいはその周辺の市町村におきまして必要な水道用水は、本部半島一帯に新たに水道施設を建設いたしまして、海上まで送水パイプを敷設し、博覧会に必要な水は十分供給を確保するということで、会期までに行なうように予定いたしております。
  221. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そこで、この水の問題に関連して、いま困ったことが沖繩に起っております。それは米軍との例の水道料金の問題であります。もういろいろ右に左にひっかかりが多くて、なかなかスムーズにいかないのが沖繩の現状でありますが、その復帰の時点で沖繩の水の権限は、一切まあ国に移ったわけなんです。ところが米軍は、国内法の水道事業法を全く無視して、復帰直前に、十五日が復帰でありましたが、その直前にあたふたとその旧水道公社の代表と契約を結んでしまった。それをたてにして復帰後水道料金を払っていない、ざっとまあ二億二千万円ぐらいに現在でも滞納額があるわけなんです。そこでこの水道公社が、水道協会なり、そうして市町村が加盟して水道協会を結成し、そうしてそこから卸をして、米軍に、あるいは企業体に、あるいは住民にと、水道料金を払う仕組みになっているのは御承知だと思います。ところが、米軍は復帰直前こそこそとやった契約をたてにして結局沖繩県民と不平等の料金をとっている。ところが町村側では、それはもう復帰前はともかくとして、復帰後は絶対にそういう差別は許さぬ、不平等許さぬ、こういうことでいま大きな問題になっておるわけなんですが、そういった事件をめぐって、いまもみにもんでいる。そうして滞納が現在二億二千万円ある。そこで、厚生省はたしか先月の十二日でしたか、衆議院の社労委で、米軍も国内法に従ってもらうように、そうして事実関係調査のため係官を派遣したい、それから日米合同委員会にはかりたい、こういう回答が衆議院でもなされております。その後、その回答がどのように進められたのであるか、そして現状はどうなっておるのであるか、それを一つ承りたいと思います。
  222. 国川建二

    説明員(国川建二君) 沖繩本島での県の企業局が行なっております水道事業、市町村が行なっております水道事業がございまするのは御承知のとおりでございます。ただいまのお話しの米軍への給水の問題でございますが、もちろん私どもといたしましては、国内法——水道法に基づいた形でこれを今後運用していくというのが私どもの考え方でございます。ただ現在ございます水道施設が復帰前は米軍の水道施設として建設され、その一部の施設が市町村への水道用水供給事業の形態で運営されてきたということから、水道施設そのものがたいへん複雑な形態をなしておるわけでございます。で、私どもといたしましては、その扱いにつきましては当然、現在福地ダム以下の水道の基幹施設という部分は県営の水道で行なわれておるわけでございますから、米軍に対する給水をどういう形で行なうか、県、市町村あるいは米軍との間で円滑に話し合いをつけていただきたいということで指導しておるわけでございます。先ほど申しましたように、施設の形態等も非常に複雑なものでございます。先月末担当官を派遣いたしまして、いろんなケースについて具体的に調査を行なったわけでございます。現在、県並びに市町村の間でどういう形で具体的に給水する方法をとればよろしいのかということにつきまして検討中でございます。私どもといたしましてもこの扱いにつきましては、水道法の趣旨に沿いまして円滑にかつ合理的に話を定めていきたいということで、ただいま県との間で協議あるいは指導、助言いたしておる段階でございます。前回社労の委員会におきまして、大臣からも、この問題がなかなか複雑な要素があるということから、県あるいは市町村のサイドのほうからも要望がございますならば、これを今後国レベルでの折衝に持ち込むということも考えられるのではないかということを答えておりますけれども、現段階ではまだそこまでは至っておりません。
  223. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでお聞きしますが、一体本土ではどうなっておりますか。
  224. 国川建二

    説明員(国川建二君) 本土にも基地がたくさんございます。いろんな基地がございますけれども、一般的に申し上げれば、市町村の水道事業から給水しているものが大部分でございます。それから、県の水道事業から行なっているのも一部ございます。
  225. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ということは、結局平等に扱っておる、その料金にも差はないということでしょうね。どうですか。
  226. 国川建二

    説明員(国川建二君) 料金につきましては、当該水道事業におきまして定めております給水条例に基づいて行なわれておりますので、本土内の、たとえば横須賀とかあるいは佐世保等におきましては、一般の市民の料金と同じでございます。
  227. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 喜屋武さん、そろそろ時間なのでまとめてください。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よくわかりました。  ここに問題がある。なぜ沖繩にだけそういう差別を許すのか、本土では平等に、ちゃんと地方自治体の、あるいはその組織の一員として、どこの国であろうが、だれであろうが、そこに平等の原則に立って受けておるのに、沖繩にだけそのような不平等なことを残して、なおそれに本土の政府が、いかにいろんな事情があったにせよ、復帰後はあくまでも日本政府のベースに立ってものごとが解決する、いわゆる対米姿勢ですね。対米姿勢のこの問題にも私は触れたいと思いますけれども、時間もありませんので、一応きょうはお預けにいたしたいと思いますけれども、もし、このようなことが東京のどまん中で、本土のどこかであったとするならば、日本政府は、はたしてそのようなひより見といえば失礼かもしれませんが、何かよそ事みたいに調査官を派遣して事実とかどうだこうだという、事実であることは間違いがない。調査どころの話ではない。われわれの主張を正しく受けとめてもらえるならば、そのような不正は、不合理は、不平等は許さないと、なぜそういう対米姿勢を正して交渉ができないのか、そのことについてひとつ御見解を承りたいと思います。
  229. 国川建二

    説明員(国川建二君) 先ほども申し上げましたように、現在の水道施設の形態から申し上げますならば、復帰の際に、日本政府に引き継がれた元水道公社の施設が県に移管されておるわけでございます。したがいまして、その形で、今後市町村が水道事業として米軍への給水を行なうためには、それなりの給水方法なりをきめなければいけないという考えもございまして、これらの取り扱いにつきまして、現在県と市町村で鋭意話を詰めておる段階でございます。私どもももちろんそういう県並びに市町村の考え方等を十分配慮いたしまして、水道法に基づいた判断をしてまいりたいということは十分考えておるわけでございます。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 日本の政治の対米姿勢の弱さからくるいろんな形でのしわ寄せが沖繩に集約されて戦後四半世紀もきた。復帰したあかつきにはほんとうに両手をあげて喜べないにしても、片手くらいはあげて喜べる、復帰してよかったと、こういう沖繩になることをわれわれは期待し、信じておった。ところが復帰後の沖繩——将来は別として、少なくとも現段階における沖繩の復帰後、二、三カ月から現状までの実情というのは、もろもろの事件が復帰前よりも騒然となっておる。これはあさっての沖特委でもまたその面は述べたいと思うのでありますが、そこで、建設大臣要望いたしたいことは、沖繩のもろもろの問題は、いろいろのあるべからざる不自然の形態の中から、支配の中からこう生まれてきたので、一気に一〇〇%手のひらを裏返すように、沖繩百万県民が望んでおるけれども、現実の問題として、それは困難であることはこれはよく存じ上げております。不満ではあるけれども、がまんをしてしばらくはと、こういう問題もあります。ところがこのことはもうがまんならない、こういった切実な問題も一ぱいあるわけなんです。その場合に、私は、日本政府としてがまんならない切実な問題であればこそ、それをとらえて、人道上の立場からも、そしてほんとうに道義的立場からも、政策の立場からも、平等の立場からも、いろいろの立場から沖繩問題を、むしろその事実をとらえて、アメリカに正面切って、パートナーシップというのは、私は、上下関係からは、いかにへ理屈を並べてもあり得ない。パートナーシップなら対等ですよ。対等の姿勢に立って初めてパートナーシップということはあり得るのでありまして、いついつまでもそういった一方の犠牲において一方がぬくぬくとしていくような、こういう政治のあり方は一日も早くこれは改めなければいけないと私は思うわけなんです。どうか一事水道料金のささいなことだと思いなさらずに、この事実をとらえ、さらに栄野川氏の射殺事件——犬やネコであってもまともな人間であるならば射殺できませんよ。それを人間が人間を、しかも銃をとって——これは話はまあちょっとこの場所ではあれかもしれませんが、あえて私は大臣という名において申し上げるわけでありますか——銃をとってきて、そして目前で射殺するという、これはどんなことがあっても許されない。許してはならない。このことに対して日本政府はどう立ち上がってくれておるかということを私はこの際はっきり日本政府の、これは大臣には別の問題かもしれませんが、どうかひとついわゆる対米姿勢という名において筋の通ることは事実をとらえて追究していただく、それが沖繩がよくなり、日本がよくなることだと私は信ずるがゆえに、あえてそう申し上げる次第であります。  時間も差し迫りましたので、以上申し上げて、大臣のひとつ御見解を、御決意を、また、沖繩の海洋博に対するこれからの取り組みに対する御決意を賜わりたい。よろしくお願いします。
  231. 木村武雄

    ○国務大臣(木村武雄君) 水道の問題につきましては、これも総務長官にも話をいたしまして、さっそく交渉させたいと思いまするし、外務大臣にもこれは話をしまして、厚生大臣一人でなく、外務大臣にも総務長官にも話をいたしまして、水道の問題については、早急に解決するように努力してもらいたいと思います。  それから、対米姿勢は私全く考えが同じでありまして、そういう点でちょいちょい私が行き過ぎておこられておるのであります。今度のああいうような事件ができましたときにも、警察としては身柄は即座に渡してもらいたい。たとえ地位協定があっても好意で渡せないということはないだろう、こういうわけで非常に強く主張したんであります。そういう点では、ほんとうに同じ考えで私は進んでみたいと考えております。
  232. 沢田政治

    委員長沢田政治君) 本日はこの程度にとどめ、これにて散会します。    午後五時二十三分散会