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1972-10-11 第69回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十一日(水曜日)    午後一時十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         星野 重次君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鬼丸 勝之君                 川村 清一君                 藤原 房雄君     委 員                 今泉 正二君                 河口 陽一君                 楠  正俊君                 町村 金五君                 鈴木美枝子君                 宮之原貞光君                 松下 正寿君                 春日 正一君    委員以外の議員        議     員  喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君        法務省刑事局総        務課長      前田  宏君        法務省刑事局参        事官       敷田  稔君        外務省アメリカ        局安全保障課長  松田 慶文君        文部省大学学術        局審議官     安養寺重夫君        厚生政務次官   増岡 博之君        厚生省公衆衛生        局精神衛生課長  永井 好望君        厚生省環境衛生        局長       浦田 純一君        厚生省医務局総        務課長      山高 章夫君        通商産業省企業        局沖繩国際海洋        博覧会管理官   中沢 忠義君        海上保安庁警備        救難監      貞広  豊君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君        建設省道路局企        画課長      井上  孝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (派遣委員報告)  (沖繩国際海洋博覧会に関する件)  (沖繩における水道問題及び医療問題に関する  件等について)     —————————————
  2. 星野重次

    委員長星野重次君) ただいまより沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  先般、本委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員からの報告を聴取いたします。  派遣委員報告を願います。川村清一君。
  3. 川村清一

    川村清一君 沖繩問題対策樹立に資するため、星野委員長稲嶺理事鬼丸理事藤原理事松下委員と私の六名は、去る九月十一日から十四日までの四日間、沖繩県下を訪問し、復帰後における現地実情等調査してまいりました。  現地におきましては、沖繩総合事務局沖繩国税事務所沖繩地区税関那覇防衛施設局沖繩振興開発金融公庫より、復帰後の一般情勢をはじめ、通貨交換実施状況、物価問題の現況軍用地契約状況等一体化措置関連した諸問題、国際海洋博覧会準備状況等について、次いで沖繩県よりは、県政移行後の行財政の概況、民間賃金の旧レート読みかえ問題や離職者対策現況沖繩振興開発計画策定状況等について説明を聴取し、さらに那覇市、名護市、沖繩県八重山支庁石垣市及び竹富町からも、当面する諸問題について説明を聴取いたしました。  また、本島中部海岸国定公園海洋博覧会会場予定地及びその周辺開発状況石垣島内開発状況嘉手納空軍基地過密都市那覇市の実情那覇圏開発拠点等について、時間の許す限り視察を行ないました。  復帰直後の沖繩は、予想したように、実に多くの問題をかかえております。関係当局等からは、実情説明に添えて、延べ百項目以上にわたる要請や意見が私どもに寄せられました。  今回の調査で、とくに関心の持たれた問題を、二、三申し上げますと、まず第一は、公共事業執行上の問題であります。復帰に伴って、沖繩県及び市町村が、昭和四十七年度予算に引き継いだ公共事業事業費は、一ドル三百五円で換算されたのでありますが、損失を懸念する業者との間に、旧レート換算による契約を余儀なくされる実情にあり、いわゆる契約差損が多く発生している点であります。格差是正を主眼とする諸公共事業完全消化のためには、この差損額を補てんする財政措置が強く要望されております。  また、国の補助事業補助単価実効単価との間に著しい懸隔のあることも問題とされております。そのため、沖繩県及び市町村は、大幅な超過負担をしいられることを危惧しており、沖繩全域が離島であり、遠隔地なるがための諸経費の増高分は、諸事業執行上、適正に積算される必要があります。  次に、米軍基地への給水問題であります。米軍施設四十一カ所に対する給水は、水道法の規定により、市町村米軍当局との間で契約するたてまえになっておりますが、米軍は、復帰直前に旧水道公社と取りかわした給水契約たてに、市町村との契約を拒み、その料金滞納額は約三億円にのぼっております。かかる事態は、市町村水道事業主体に及ぼす財政上の問題にとどまらず、県民感情にも好ましくない影響を与えております。この問題は、現地交渉によって解決をはかることはもはや困難とされており、国の段階において至急解決するよう強く望まれております。  また基地が依然として大きな比重を占める現地においては、基地関連する問題が相変わらず多く、トラブルの迅速かつ適切な解決をはかる手段として、国、県、在沖米軍の三者構成による現地協議機関の設置についても要請されております。  さらに指摘しなければならない問題は、廃油ボールによる海洋汚染の激化であります。琉球列島東方海上は、本土と東南アジア及び中東地域を結ぶ主要な航路となっており、片航のみで年間約二千八百隻といわれるタンカーのバラスト水から発生するボール状油塊は、沖繩全域の砂浜や岩礁を無残に汚染しております。水産動植物に対する被害の防止や環境衛生上の問題、とりわけ観光開発立場から早期かつ強力な国の施策が望まれております。  これらの問題は、沖繩問題の全貌の一端にすぎません。今回の調査結果は、別に文書にまとめ、報告書として委員長の御手元に提出してありますので、本委員会会議録に掲載するよう、委員長においてとりはからっていただきたいと存じます。  最後に、今回の調査に御協力いただいた関係当局等の諸君に感謝の意を表明して、報告を終わります。
  4. 星野重次

    委員長星野重次君) 以上で派遣委員報告は終わりました。  なお、ただいま御報告がございましたが、別途詳細にわたる報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 星野重次

    委員長星野重次君) 御異議ございませんので、さよう決定をいたします。     —————————————
  6. 星野重次

    委員長星野重次君) この際、おはかりいたします。  委員外議員喜屋武眞榮君から、発言したい旨の申し出があります。これを許すことに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 星野重次

    委員長星野重次君) 御異議がございませんので、発言を許します。     —————————————
  8. 星野重次

    委員長星野重次君) 次に、本調査に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 川村清一

    川村清一君 われわれ沖繩派遣委員調査した事項については、ただいま口頭報告したとおり、報告書の中に詳細記載してありますが、私は、緊急を要する当面の問題について二、三質問したいと存じます。  まず第一点として、海洋博覧会場に充てられる土地取得問題について質問いたします。  現在沖繩では、県はもちろん、関係市町村は、昭和五十年に開催される沖繩海洋博覧会を成功させるべく全力をあげて努力しておりますが、その会場予定地に決定しておる本部町の会場敷地取得について、買収価格地主側との話し合いがつかず、県当局はほとほと手をやいている現状でございます。当初、地主側も全面的に協力の姿勢を示しておりましたが、周辺地域地価が大企業土地ブローカーのせり上げによって、最近数カ月の間に約十倍にもはね上がったと言われておる。そのために、地主側態度も強硬になってまいりまして、買収交渉が難航し話し合いがつかない。このままでは会場を変更するか、最悪の場合は博覧会開催計画を取りやめるようになるのではないかというようなことを心配しておる状態でございました。土地取得は県の責任でございますけれども現状は、県の力だけではなかなか解決しない、こういう状態になっているんではないかと判断いたします。したがって、この際、国の協力が絶対必要である、かように考えます。  そこで、海洋博担当省である通産省として、この現状をどのように一体把握しておるのか、どのような処置を現在までとられてきたのか、また、この問題についてはどのような見通しを持っておられるのか、通産省の御見解をまずお尋ねしたいと存じます。
  10. 中沢忠義

    説明員中沢忠義君) 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、沖繩県会場予定地につきましては、沖繩県当局会場として予定されます約二十五万坪を取得いたしまして、博覧会主催者でございます海洋博覧会協会会場用地として提供するという前提で、博覧会計画は進めてまいりました。ことしの八月末から、海洋博覧会会場用地の具体的な取得交渉に、沖繩県当局地主代表との間に入りまして、当初の段階におきましては、県当局から示されました会場取得予定価格に対しまして、地主側の要望というものが相当高い価格で提示されました結果、約一月間交渉が相当難航したわけでございます。ちなみにその価格を申し上げますと、県側の当初提示価格が、宅地六千五百円、畑地四千五百円、原野四千円という形になっております。それに対しまして地主側の回答が、それぞれ宅地一万六千円、畑地一万五千円、原野一万四千円という状況でございました。しかし、その後県当局会場予定地地主に対する説得が功を奏しまして、地主との間の交渉は先月末から非常に好転してまいりました。その理由は、会場取得海洋博覧会開催準備前提でございまして、その成否が海洋博開催そのものに非常に重大な影響を及ぼすという認識を県当局から地主側に行ないました結果、地主側も原則として県の提示価格のラインで契約に応ずるという態度に変わっております。最近の報告によりますと、今週一ぱいで全体の約七〇%につきましては契約の締結が行なわれる、残り地主につきましても、今月一ぱい取得を完了するという心証を得ております。ちなみに、現在その地主さんは三百八十二件ございますが、その約七〇%にあたるものの契約が今週一ぱいで済むという状況でございます。若干の問題といたしまして、立ちのきを要する家屋が三十戸程度ございますが、その立ちのきの補償問題と申しますか慰謝料、そういう形での損失補てんにつきまして県当局から何らかの措置をする必要がある。しかし、その立ちのきを要する家屋につきましても、海洋博用地としての提供は行なうという点につきましては、地主側も了解しておりますので、私どもとしては、今月一ぱいで県がこの用地を全部取得いたしまして、博覧会協会のほうに、会場造成が急がれるわけでございますので、来月からは造成あるいは調査のための提供ということが行なわれるというふうに期待しております。  以上でございます。
  11. 川村清一

    川村清一君 ただいまの御報告によって、心配しておりました土地問題が解決できる見通しがついたことはまことにけっこうだと思いまして、ともに喜びたいと存じます。しかし、これからも土地取得についていろいろな問題が起きると思いますので、この際、開発庁長官にお尋ねしておきたいと思うわけでございますが、地価がこのように数倍も値上がりしておりましては、今後さらに問題が出てまいりました場合に、国が考えておりました補助費あるいは起債ワクではとうてい買収することができないのではないかというような問題が起きることをやはり懸念しておるわけであります。それかといって、県当局が単独でその不足分負担するということは、県の財政力からいってこれはなかなかできない問題でございます。したがって、当然今後この博覧会関係して土地問題が起きてきた場合において、それを解決するためには何としても国の補助費をふやすか、あるいは起債ワクを広げるとか、こういう措置が絶対必要であろうと私は思うわけでありますが、こういうような事態が発生した場合に、それに対してどう対処されようとするか、長官の御意見を伺っておきたい。  それからもう一点は、沖繩土地問題については、私ども復帰前からたびたび注意を促がしてきたわけであります。きびしい規制措置を早急にとらなければ、大企業土地ブローカーの無秩序な土地買いあさりによって沖繩土地はむちゃくちゃになってしまう。米軍基地とともに振興開発のガンになると指摘してまいったわけでありますが、いまや海洋博でこの土地問題が現実の問題として大きく浮び上がってきた。さらに、今後振興開発計画を作成し、これを実施する場合に、何といっても土地問題が大きな問題となる、これは基地問題とともにいまからよほどしっかり計画を立ててやらなければたいへんなことになろうと私は思っているわけであります。土地問題は、田中総理大臣日本列島改造論によりまして、日本列島の最大な問題になってきました。これは沖繩にとりましても大事な問題でございますので、開発庁長官として、この沖繩土地問題について今後どう対処しようとされるのか、この点をこの際明らかにしていただきたいと存じます。
  12. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のとおり、今次計画いたしております海洋博は、沖繩にとってはもちろんでございますが、わが国としても国際的な、しかもいまだかつてこのような規模の海洋博というものはないというほど意味を持ったものでありますから、国といたしましても、十分これが目的達成のためにあらゆる努力をいたさなければならないことは当然でございます。博覧会施設等々に関連していろいろな財政負担の問題が出てくると思いますが、特にいま御指摘のありました土地取得につきましては、従来の予定しておりました地方財政の御負担の過重を避けるために、十億の起債ワクを一応きめておりましたが、それだけではどうもこのごろ間に合わないのではないかということで、私どもとしてはさらに増額いたしまして、たしか十七億の要求をいたしまして、これがつとめて財政負担のしやすいような措置をとりたいということで、自治省のほうと折衝いたしておるわけでありますが、なおまた、大蔵等にも了解を取りつける問題は残っておりますが、そういうようなことで進んでおるわけでございます。  それから沖繩全体の今後の振興開発計画を実現いたしますために、やはり博覧会と同じように、土地利用区分土地取得ということが非常に大事な問題になってくると思います。現存する基地問題も、御指摘のとおり、今後基地に対してどう対処するか、もちろん大きな問題でございますが、一般土地につきましては、これが取得については、うわさされるごとく、本州資本県進出によりまして、まことに無秩序な土地取得あるいは価格の高騰をきたすということは、沖繩開発にとって決してプラスするわけではないと思いますので、その点も配慮しながら、われわれとしては、何かここで歯どめをひとつつくりたいということで、その歯どめの案について、まだ成案、結論は得ておりませんが、鋭意検討いたしております。あわせて、県に対しましてもいろいろと御相談を申し上げながら、また、県の意見を尊重しながら、その内容に対応して開発庁としては対処してまいりたいと考えております。
  13. 川村清一

    川村清一君 次に私は、米軍基地への給水問題についてお伺いいたします。  復帰前には、御案内のように、布令第八号に基づいて設立されました琉球水道公社水道事業を行なっておりましたが、復帰に伴いまして、琉球水道公社資産日本政府に買い取られまして日本政府に移管されましたが、日本政府からさらに沖繩県にまかされて、現在では県の企業局水道用水供給事業を行なっておるのでございます。米軍基地給水を受けておる基地は四十一カ所あるという話でございますが、基地に対する給水は、当然国内法に基づいて当該市町村水道事業体によって行なわれるべきでございまして、米軍市町村給水契約を結ぶべきであると考えます。にもかかわらず、復帰一週間前の五月十日付で琉球水道公社との間に結ばれた給水契約たてにいたしまして、米軍市町村との契約を拒み続けておる、そのために、水道料滞納は実に二億九千万円にも達しておるといわれております。このために、市町村、自治体の財政運用に大きな支障を来たしただけではなく、県民感情にも悪影響を及ぼしております。しかも、この問題は非常にむずかしくなってまいっておりまして、もはや県、市町村だけでは解決できないという段階にきておる、かように判断しております。非常に大きな問題で、私どもには強くこの問題が訴えられておるわけでございます。  そこで、厚生省にお尋ねしますが、今日までの経過について概要説明願いたい。さらに、この問題で米軍といろいろ交渉に当たっております外務省当局から交渉経過並びに今後の見通し等についてお聞かせいただきたい、かように考えます。
  14. 浦田純一

    説明員浦田純一君) 沖繩における米軍基地への給水問題について、その経過を簡単に御報告申し上げます。  戦後米軍基地給水するために水源開発を始め、水道施設建設を行なったのでございます。当時、水道を有しておりましたのは那覇市のみでございました。米軍が進駐後、これらの施設建設を行なったのでございますが、その際、便宜余剰水市町村に売ってきておったのでございます。それらが、つまりこれら民間需要が次第に増大いたしまして、先ほど先生指摘布令第八号をもって琉球水道公社を設立し、市町村への給水を行なわせることとなったのでございます。琉球水道公社は、その施設管理米軍に委託しておりまして、そのため米軍施設公社施設とを合わせて、いわゆる全島統合上水道と称してきておりましたのは、先生案内のとおりでございます。日本政府は、沖繩復帰に当たりまして、民間需要関連いたしました施設、すなわち水源浄水場及び送水管などは日本に引き渡すように要請いたしました。その線に沿って、関連のある米軍施設のうちおもなる部分は七二年の一月一日付をもって公社資産として移管され、残り部分も五月十四日までにすべて移管されたのでございます。それで返還協定第六条に基づきまして、日本政府公社資産等を引き継ぎ、特別措置法第三十六条によって沖繩県が承継したわけでございます。沖繩県企業局をつくり、水道用水供給事業を五月十五日に設立いたしまして今日に至っているのでございます。  さて、復帰前に米軍が有しておりましたこれら民間需要関係のある水道施設につきましては、復帰後の供給体制をどうするかということにつきまして、かねて厚生省といたしましても、当時の琉球政府にいろいろと御相談を受けておったのでございます。私どものほうから、復帰後のいろんな条件につきましても、たとえば国内法関係、あるいは国内法に基づきまする水道事業を経営するについてのいろいろな手続等について指導し、相談を受けてまいったのでございます。その際、琉球政府並びに沖繩市町村の意向といたしましては、復帰後は市町村水道事業を行なう。したがいまして、市町村から米軍基地への給水を行なうという形態を強く主張しておられる。琉球政府、ただいまの沖繩県は、県みずからがこのような水道事業を行なうということについては意思表示をせず、むしろ市町村水道事業を推進するということでございましたので、私どもは当然その意思を尊重いたしまして、復帰後の水道事業のあり方につきましても、先生の先ほど御指摘のように、市町村水道事業主体とする、米軍への給水市町村水道事業を通じて行なうということでもって指導してまいったのでございます。復帰後、なかなかこれに関連事業が進まないというふうなことで、私どもいろいろと事情調査しておったのでございますが、八月の末ごろになりまして、沖繩県のほうから口頭で、米軍との間に給水契約を結ぶにつきましてトラブルがあるという報告を受け、ついで中旬に至りまして、厚生省のほうにこの紛糾についてひとつ世話をしてほしいという申し出がございました。私どもは、直ちに係官を現地に派遣いたしまして、詳しく事情を聴取いたしまして、現在問題点を整理しております。一つは、私どもといたしましては、すみやかにやはり国内法に基づきまして各市町村の行なっております水道事業復帰に伴います事業内容の変更、これのひとつ申請をしてほしい。その他、国内法できめられておりますいろいろな法律上の手続、これに必要な資料のつくり方その他について要望し、指導してきておるところでございます。  以上簡単でございますが、今日までの経緯を御報告申し上げた次第でございます。
  15. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御説明申し上げます。ただいま厚生省から御説明がございましたとおり、ただいままでの段階におきましては、日本側内部、すなわち直接の事業者でありますところの県ないし市町村水道行政を担当いたします厚生省本件を鋭意御協議なさっておる段階でございまして、これらがととのいまして、日米双方当事者がこれを政府間で公式に協議いたしたいという段取りになりますれば、その段階から私ども外務省日米合同委員会事務局立場本件をお世話させていただきたいと存じております。
  16. 川村清一

    川村清一君 厚生省からまあ経過概要は御説明いただきましたし、外務省の現段階における立場についてもお聞きしたわけでありますが、聞いた限りにおいては、現在沖繩関係市町村が強く要望され、しかも財政的にまいっておる。これを市町村の要望どおり解決する方法というものは何も明示されておらないわけでございます。まあ何か指導され、いろいろ協議されていることはわかりましたが、一体いつ解決されるのか、その見通し等についてもっとはっきりお聞かせいただきたいと思います。そもそも私考えるには、琉球水道公社というものは、布令第八号によってこれは設置されたものである、これは御案内のとおりでございます。ところが、一九七二年五月九日といいますと、復帰一週間ほど前であります。この時点において、ランパート高等弁務官琉球公社理事長書簡を出しておる。その書簡によって琉球水道公社定款が変更された。こういったようなことは、一体違法行為でないのか。この点は、布令第八号によって設定されておる機関定款ランパート高等弁務官書簡によって変わるということは、必ずしも違法でないとしても、私は法律的にはあまり知識がないので断定できませんが、違法でないとしても手続上問題があることは、これは否定できない事実だろうと私は思うわけであります。しかも、五月十五日に沖繩復帰した。その一週間前に、いわゆる五月九日に書簡を出しており、五月十日に公社との間に給水契約をしておる、こういったようなことは、あまりにも一体意図的ではないか。と申しますのは、返還協定によって、また、この琉球水道公社資産日本政府が買い取ったことによって日本政府のものであり、しかも、水道国内法によってこれが実施されなければならないと、こういうことになることははっきりしておる。そこで、その以前にこの給水契約を結んでおる。そうしますと、返還協定によって引き継がれた琉球水道公社が持つところの権利義務というものは、そのまま日本政府がこれを引き継ぐと。現在沖繩県がそれを承継しておると、法的にはそうなると思うのでありますが、こういうことを見越して、もう復帰の直前にこういう契約を結ぶ。しかも結んだその処置というものは、手続的にはいわゆる布令違反の疑いさえ持たれるような処置をなされるというところに私は問題があろうと思うのでありますが、この辺は、一体外務当局やあるいは厚生省はどう考えていらっしゃるのか。この点に対する御見解と、それから、一体この問題は解決できるのかどうか、早急に解決しなければならない、早急に解決するために努力しているのかどうか、この点をはっきりお話しいただきたいと思います。
  17. 松田慶文

    説明員松田慶文君) お答え申し上げます。  まず前段の、五月九日及び十日の書簡ないしは契約の側面を先にお答え申し上げます。  復帰前の沖繩において施政権を行使し得た米国政府が、その内部規程上の措置をいたしましたのがこの事柄でございますが、私のほうといたしましては、先ほど御説明申し上げましたように、公式に日米間の政府交渉となるに至っておらず、したがって、公式に米国政府からの弁明ないしは説明を聴取しておりませんので、ただいまの段階で、日本政府立場から、米国の施政権下の行為についてこうではなかったかというような法的な解釈を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  しかしながら、このような問題が現に存在いたしますことにかんがみ、私どもは非公式に米側とは問題点指摘及び説明を聞いております。米側の非公式な説明によりますれば、先ほどからの御説明にございますとおり、復帰前におきましては全島統合上水道は軍の管理のもとに一つの組織として民需、軍需ともに総合的に扱っておりました。したがいまして、各軍の基地水道供給者たる統合上水道当局との間には、軍隊としての内部行為であります関係上、契約でありますとか、法的措置でありますとかいうものは不必要であった次第でございますが、これが返還協定によりましてわがほうに引き継がれるということとなり、その返還協定に基づく復帰が目前に迫った段階で、米側といたしましては、法制上、契約上の事柄の整備を復帰対策として行なう必要があった。すなわち、端的に申し上げますと、従来言ってみれば私営水道であったものが私営水道でなくなるということに伴い、所要の法的整備を行なったというのが米側の一応の説明でございましたけれども、その事柄の有効性ないしは妥当性というものにつきましては、冒頭申し上げましたとおり、米側の公式な説明ないし事情を聴取した上で、あらためて御報告申し上げさせていただきたいと思います。
  18. 浦田純一

    説明員浦田純一君) この問題の解決の大綱につきましては、水道法の趣旨に沿いまして、今月末までにめどをつけてまいりたいと考えております。
  19. 川村清一

    川村清一君 ただいま厚生省当局から、水道法の趣旨に基づいて今月末をめどに解決をつけたいと、こういう御答弁でございましたが、ぜひそういうふうに、あくまでも日本国内法に基づいてこの問題を解決していただきたい。早急にやっていただきたいということを強く要望しておきます。  次にお尋ねいたしますことは、那覇市から糸満市に至る国道三百三十一号線の解放の問題について質問いたします。国道三百三十一号線は旧三号線であり、本土復帰後は国道に認定されたものであるから、当然国民に解放されるべきであります。しかるに、現在なお、那覇空港基地、第一ゲートから第二ゲート間の一・六キロメートルについては、米軍によって封鎖されておる。それによって、住民の利便はもとより、都市計画上も重大な支障を来たしております。この道路は、中南部を結ぶ重要な道路でございまして、住民をはじめ那覇市は復帰前から再三解放を要求してきたものでございます。この道路の封鎖によります交通難、旧七号線はいまや交通事故、人身事故が激増しまして、児童生徒の通学をはじめ、一般市民の不便、危険は極度の状況にございます。去る八月には国道三百三十一号線の解放要求住民会議が組織され、住民運動が展開されております。しかも、新聞等で御存じのように、最近はトラブルも発生しておるわけでございます。この問題解決のため、建設省、施設局、外務省がそれぞれ当たっているとのことでございますが、建設省及び外務省からそれぞれ所管事項について説明を願いたいことと、今後の問題解決見通し等についてお話をいただきたい、かように存じます。
  20. 井上孝

    説明員(井上孝君) お答えいたします。  国道三百三十一号線は、本年五月十五日に一般国道に認定をいたしました。現在のところ先生指摘のように、五、六地区で那覇空軍の施設内を通ります一・六キロの区間が未供用になっております。この件につきましては、五月十三日の閣議決定によりまして、所要の安全施設等が整備されれば、一般交通の用に供するということになっておりまして、この件につきましては、それに引き続き行なわれました日米合同委員会で、米側との合意に達しておる件でございます。現在、日米合同委員会の下部組織でございます施設分科委員会におきまして、その内容について、いろいろ検討中でございますが、すでに一応の米側の案が提示されております。その案につきまして、ただいま双方で施設庁を交えまして、外務省を入れまして検討中でございます。私どもといたしましては、米側の意向もございますが、道路管理者としてはなるべく折衝を早急に煮詰めまして、一般交通の用に解放するように努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  21. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 厚生省の御説明に追加してお答え申し上げますならば、御承知のとおり、この問題は、昨年の返還協定策定当時よりは、むしろ本年五月の返還時期が迫りますにつれまして、地元から強い御要望を受けた次第でございました。政府といたしましては、このような地元関係各位の非常に御熱意ある御要望を背に受けまして、三月、四月、米側と鋭意交渉いたしました結果、復帰実現の直前にようやく旧三号線の当該部分日本一般通行への解放が日米間で合意を見た次第でございます。その上で、合同委員会——五月十五日復帰時の合同委員会でこれを両国政府間で確認いたしまして、所要の設備等日本政府建設した上、これを一般通行の用に共するという政府間合意をいたした次第でございます。  そのあと、米側から具体案の提示があり、ただいま御説明のありましたとおり、合同委員会の機構を通じまして、いかなる仕事、いかなる段取りでやることが最も望ましいかということの協議を始めております。外務省といたしましても、本件は道路御当局である建設省ないしは施設関係である施設庁の両省庁が直接的には技術的その他の側面を米側と御協議なさいますけれども、合同委員会ワク内の仕事であるという観点から、最大限度の御助力を申し上げて、地元の非常に切実な御事情が一日も早く解決できるように鋭意努力したいと考えております。
  22. 川村清一

    川村清一君 ただいま御両者から、米側から具体的な条件の提示があったというようなお話がございましたが、私の仄聞するところによりますれば、その提示された具体的条件の内容というものは非常に多岐にわたり、それを日本政府が行なうとするならば、膨大な財政負担を要するというような話も承っておるわけでございますが、一体その具体的な内容というものについて、ここでもし説明ができるならばひとつ御説明を願いたいと、かように考えます。
  23. 井上孝

    説明員(井上孝君) 日米合同委員会施設分科会を通じまして、一応の米側の第一案というべきものが提示されまして、ただいまこれについて折衝中でございますので、詳細について御説明申し上げることはひとつ御了承願いたいと思います。御指摘のように、立体交差等を含めまして、相当の道路事業及びその他事業が含まれておる内容でございます。
  24. 川村清一

    川村清一君 きょう御出席されております政府委員の方は、それぞれ関係省庁の事務官の方でございますので、事務的な御答弁以上には出られないということを承知しておりますから、御答弁に対してさらに追及的な質問を私はあえて行なっておらないわけでございますが、やはりこういう問題でございますので、今後委員長といたしましては、委員会を開くにあたりましては、ぜひ外務大臣なり、あるいは厚生大臣とか、あるいは建設大臣とかいういわゆる責任者、しかも政治家を出していただかなければ政治的な議論はできないわけでございますのでこれをひとつ委員長としては頭に置いて委員会の運営を今後やっていただきたい、かように私は希望を申し上げておきます。  まあお聞きいたしますというと、それ以上の御答弁ができないことは立場上わかるわけでございますけれども、しかし、私ども立場から言うならば、五月十五日施政権返還、沖繩は完全にわが日本復帰したわけであります。日本の各府県と全く同じようになったわけであります。したがって、この沖繩には、日本の国会できめた国内法が法律が施行されるべきなのであります。したがって、水道の問題は当然国内の、国内法水道法によって行政が施行されるべきでございますし、道路もいままでのアメリカの軍用道路からいわゆる日本の国道に認定された以上は、日本の法律によって行政が行なわれなければならない。したがいまして、給水事業を行なう主体である市町村とアメリカ軍は給水契約を結ぶべきであり、当然また国道であります以上、国民に全部これは解放されるべきであります。でなければ、日本復帰した——日本沖繩県であるということは言えないでしょう。日本の国道になったけれども、なおアメリカ軍はこれを封鎖して日本人は通さない、こういうことは許さるべきではないのであります。この点、われわれはこの立場から質問しているわけでございますので、しかし、まああなた方とすればそれ以上の御答弁はできないと思いますから、あえてこれ以上追及はいたしませんが、この点を基本的に踏んまえて今後の問題解決に全力をあげて努力していただきたいということを、私は要望しておきたいと存じます。  最後に、キャンプ・ハンセンでベンジャミン上等兵によって基地従業員である日本人が射殺されましたが、この事件について質問をいたします。本件については、すでに警察の手を離れて検察庁に送検され公訴されておりますが、今日までの経過概要について、まず法務省から御説明を願います。
  25. 敷田稔

    説明員(敷田稔君) 御説明申し上げます。  本件につきましては、事件発生直後から日本側の警察によりまして殺人罪として捜査が開始されたわけでございますが、沖繩地方検察庁がこれを受理いたしましたのが九月二十三日でございます。それから地検としまして鋭意捜査を続けまして、十月三日、那覇地方裁判所に対しまして殺人罪によりベンジャミンを公判請求いたしておりまして、それと同時に、裁判所に対しまして勾留状の発行を請求いたしまして、現在、身柄は日本国の沖繩刑務所に収容いたしております。
  26. 川村清一

    川村清一君 まあ経過概要でございますから、それが概要だといえば概要だと思いますが、あまりに簡単でいささかふに落ちない点がございます。  さらに御質問を申し上げますが、事件発生後、沖繩県警の犯人身柄引き渡しの要求に対し、米軍当局は、日米安保条約に基づく地位協定をたてにして起訴前はついに応じなかったわけでございますが、米軍の言うとおり、法的に引き渡し要求の根拠がないとするなら、地位協定第十七条そのものは不当なものと言わざるを得ないと私は判断するわけでございます。三十二年、群馬県相馬ケ原で起きたジラード事件と全く変わることがない、占領時代と全く同じではないか、このような不当な地位協定の改定をアメリカに求めるべきである、私はかように考えますが、法務省として、この点検討したことがあるのかないのか。これも事務的レベルではお答え願えないかもしれませんけれども、この点をまず第一にお聞きしておきたいと存じます。さらに、このような事件が発生した場合、裁判権を持つ日本の警察当局は、基地内に入って、捜索、差し押えなどを裁判所の認めた令状によって行なうことができるのかどうか、この点もお尋ねしたいと存じます。  それから、五月十五日復帰後、米軍人による人身殺傷事件がこのほか数件発生しておると聞きますが、どのような事件が起きておったのか、この点についても御説明を願いたいと存じます。
  27. 敷田稔

    説明員(敷田稔君) 御説明申し上げます。  まず第一の地位協定の改正問題につきましては、法務省の所管外の事項でございますので、この点につきましては、答弁を差し控えさしていただきたいと存じます。  第二点の基地内におきます現場検証その他の問題でございますが、御承知のように、地位協定の第十七条六項で証拠の収集その他につきましては、日米は相互に援助すべきであるという規定がございまして、この規定に基づきまして、事件発生直後より、検察及び警察の係官が現場に、いわゆるハンセン基地内に参りまして、種々の現場検証、それから証拠品の押収あるいは領置などを行なっております。この点につきましては、したがいまして、捜査上何ら支障は起こっておりません。  それから第三の点でございますその他の殺傷事件がなかったかという御質問でございますが、その点につきましては、殺傷事件としまして一件、八月の二日発生いたしました宜野湾におきます米兵によるホステス殺人事件というものがございます。それ以外は、業務上過失致死事件、つまり自動車事故によって不幸にして被害者が死亡されたという事件が二件ございます。以上三件だけでございます。
  28. 川村清一

    川村清一君 外務省にお尋ねいたしますが、本件が発生してから、外務省米軍当局とどのような交渉をされたか。当然したと思いますが、厳重な抗議をしたのかどうか。それに対してアメリカ側はどのような対応を示したのか。沖繩の施政権か返還され、日本復帰した今日、なおかかる事件が発生していることは、米軍人の意識が占領時代と何ら変わっていない、沖繩県民をまるで虫けら同様に見ている、われわれは日本人として絶対に許せない問題でございます。心から憤激にたえない。今後再びこのような事件が発生するならば、アメリカ政府は重大な責任を負うべきだと思いますが、これも外務大臣がいないので困りますが、外務省としてはどういうような見解を持っていらっしゃるのか、外務大臣にかわって政府委員からひとつ御答弁を願いたいと存じます。
  29. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御説明申し上げます。  本事件発生後、外務省といたしましては、特に内閣官房長官の御指示を受けたアメリカ局長が、在京アメリカ大使館の公使を外務省に招致いたしまして、数点にわたり申し入れをいたしました。  第一点は、このような残虐な行為が軍人によって犯されたということに対する日本政府としての抗議でございます。  第二点は、問題の早期解決のため、地位協定十七条五項(C)の規定が存在することを十分承知はしているが、あらゆる可能な方途を尽くして日本側の捜査に協力することにつき善処を求める。  第三点は、この種事件が米兵によって犯されることの重大な問題であることを指摘し、米軍人に対する教育、規律の強化について申し入れを行ないました。  これに対しまして米国大使館公使は、米国政府を代表するとの立場から、わがほうに対しまして深甚なる遺憾の意を表明するとともに、第三点の規律の強化につきましては、特に沖繩においては、従来の施政権下からわが国の行政のもとに入り、そして安保条約、地位協定が適用になるということを踏まえて、十分教育を施したつもりであったけれども、なおこのような忌まわしい事件が起こったことを遺憾とし、さらに、沖繩と本土を区別することなく、一そう規律の強化、教育の徹底に相つとめたい、このようなことを答えました。  さらに、第二点の身柄の問題につきましては、先ほど御指摘ございましたように、地位協定十七条五項(C)で、米国の手中にあるこの種被疑者は米側が拘禁するものとするという規定になっていることにかんがみ、この規定に違反する措置は米国政府としてはとり得ないが、その他の側面で最大限の御協力をいたしたい。たとえば、日中、日本当局がお調べになるときには、本人を日本側の当局へ引致してまいって、そこで取り調べを受けるようにさせたいということを含めまして、全面的協力の意向を示した次第でございます。  なお引き続きまして、御承知と存じますが、九月二十二日、米国大使は公式声明を発しまして、ただいま御報告申し上げましたことと要旨同一の米国政府としての公式の陳謝と、裁判権が日本側にあることの事情と、捜査に対する協力とを大使館声明の形で発表いたしました。
  30. 川村清一

    川村清一君 本問題に関しまして開発庁長官にお尋ねいたしますが、お留守の間に、私は、キャンプ・ハンセンにおけるベンジャミン事件についてお尋ねしたわけでございまして、これについて法務省並びに外務省から、それぞれ御答弁をいただきました。  そこで、復帰後の沖繩県にかかる事件が発生していることについて、沖繩行政の最高責任者である開発庁長官として、どういう見解を持っていらっしゃるか、本件発生によって、県民感情は極度に悪化しております。悪化するのは当然でございます。これは、米軍に対してだけではございません。何か事件が起きると、常に米軍側に立ってものを言っている日本政府に対しても、怒りに燃えているのでございます。要は、日米安保条約を廃棄して、アメリカ兵の完全撤退によるしか、沖繩のこのような問題の解決は根本的になし得ないと私どもは主張しておるわけでございますが、開発庁長官としては、どのような御見解をお持ちになっていらっしゃるか、この際、ひとつはっきりしていただきたいと存じます。
  31. 本名武

    国務大臣本名武君) 復帰後の沖繩県を、平和な繁栄の県につくり上げるという大きな仕事をかかえているわけでございます。そしてそれを実現するためには、やはり県民の気持ちがほんとうに本州と一体になって開発を促進し、住みよい沖繩県をつくるということにいかなければならないと考えておりますが、今次のベンジャミン事件のようなことが、しかも復帰後において起きたということは、まことに遺憾のきわみでございます。返す返す残念なことでございます。同時にまた、これがわれわれとしても、直接の担当省ではないにいたしましても、開発庁として、それぞれ法務省あるいは外務省、防衛施設庁等々に対しまして、文書をもって、また口頭をもって、厳重に解決方の申し入れをいたしたわけでございます。同時に、先ほど御報告のありましたように、まず第一に、裁判権を日本側において行使することになったということ。あるいはまた、その結果、日本の裁判によりまして公正な裁きがなされるということ。そして、明確な刑事責任が確立されまして、この事件を処理するということは、まことに遺憾な不幸なできごとではございますが、せめてもこれだけはぜひ完全に実施をしていかなければならないというふうに考えております。なお、自余の問題、補償問題等々が当然起きてくると思いますが、これは民事裁判で行なうのか、あるいは話し合いで行なうのか、これは今後の問題として、つとめて善処いたしてまいりたいと思います。
  32. 川村清一

    川村清一君 最後に、私は安保条約廃棄の問題に触れて大臣の御見解を尋ねたわけでありますが、大臣は、意識的にお触れにならなかった。いずれこの問題についてはあらためて本委員会なり、あるいは臨時国会の場においてお尋ねすることにいたしまして、私の質問は、最後でございますので、いままで質問いたしました結びとして開発庁長官にお尋ねするわけでございますが、私は、今日の委員会で四つの問題について質問いたしました。これは、過日委員会から派遣されて沖繩実情調査してきた事柄の中から、早急に解決を要する問題についてお尋ねしたわけでございますけれども、ところが長官お聞きになられたように、私の質問の相手は通産省であり、建設省、厚生省、法務省、外務省でございます。沖繩県民が当面緊急に解決してほしいと念願し、陳情、要望しておる問題について、沖繩開発庁は何ら関知しておらないと言ってはオーバーでございます。オーバーでございますけれども解決の能力を持っておらないことは事実ではないかと思うわけでございます。結局、大事な問題をお聞きしたいと思いましても開発庁ではわからない。それぞれ関係の省庁になってくるわけでございます。そうなりますれば、例の、沖繩総合事務局というものを設置するあの法案審議の際に、私どもはいろんな立場から意見を申し上げて議論したわけでございます。で、あの総合事務局の組織、機構の中には通産も建設も厚生関係もあるはずです。そして、それは総合事務局長のもとに統括されておって、その上に開発庁長官があって指揮命令を行なうことになっているんだと、私は思うわけでございます。ところが、実際は総合事務局にそういうものがあっても、開発庁長官に指揮命令権がないんです。それぞれ通産大臣、建設大臣、各省大臣の指揮下にある。つまり、すべてが縦割り行政になっておる。したがって、大事な問題について、沖繩のいわゆる行政を担当されておる開発庁に聞いても何もわからない。それぞれ関係省庁にお尋ねしなければならないということになっておるのです。こういう問題がある。これでは何のために総合事務局などというものを設置したのか、わけがわからなくなる。そこで、沖繩の問題は、みんなが認識しておるように、復帰したことによって解決したのではなくて、これから沖繩の問題が大切である、かように考えておるわけであります。そうであるならばあるほど、沖繩の行政の担当機関である開発庁の組織、機構、権限、こういうものを沖繩の今後の行政の上に非常に効果のあるような、そういう形にしていかなければならないと私は思うわけであります。  そこで、本名大臣は開発庁長官に就任されてから三カ月おたちになりまして、行政を担当されて、いろいろ経験を持ち、見解もお持ちになっていらっしゃると思うわけでありますが、あなたが担当されておるこの開発庁の組織、機構あるいは権限というものはこれでいいのかどうか。沖繩の行政を強力に行なって、県民の希望されておるそういう行政というものを早急に、強力にやっていくためには、いまのような姿でいいのかどうか、私は再検討すべきだと思うわけでございますが、あなたはどうお考えになるのか、長官のお考えをお聞きして、本日の私の質問はちょうど時間になりましたので終わりたいと存じます。
  33. 本名武

    国務大臣本名武君) 率直に申し上げまして、私個人的に考えますと、いま御指摘のように、開発庁計画、調整あるいは予算要求等々の仕事だけではなく、やはり自主権をもって現地において事業をみずからが行なうということがいいのではないかということを、たびたび思い起こしていたのでございます。しかし、やはり本州におきましても、それぞれ省庁の縦割りによって仕事が推進されている。同時に、かりに開発庁が自主権をもって行なうといたしましても、開発は一方において急を要し、日々促進しなければならない。しかし、そこに行政機構を変えるということが一つの大きな問題、あるいは時間的な問題がありまして、なかなか容易ではない。したがいまして、いまのところ従来の開発庁設置法その他の規定にございますように事を進めまして、実施することにあたっては各省が現地にまかり出まして、ばらばらにその実施をするということではなく、総合事務局を設けて、そこでまとめて現地の仕事の実行に当たるという体制のほうが、いまのところはむしろ便利ではないか、現実には便利ではないかというふうに考えているわけでございます。冒頭申し上げたように、御指摘のように、やはり計画、立案、予算獲得あるいは実施と、一連の仕事をやることは、ほんとうに理想のようにも見えますし、また、そういうことも考えられないことはないのでありますが、現実はなかなかそこにいかないのと同時に、いまやっておりますことが密接な連携のもとに調整並びに予算の移しがえ等によって事業を実施いたしますならば、そう支障はなく促進をしていけるのではないかと考えております。
  34. 藤原房雄

    藤原房雄君 過日の本委員会沖繩派遣委員の一員に加えさしていただきまして、各地をつぶさに視察さしていただきまして、地元からのいろんな要望事項、また、私どもの気のついたこと、いろんな問題がございました。短時間でもありますので、一つ一つ申し上げる時間もございませんが、おもなことにつきましては、ただいま同僚委員からも質問ございました。私も二、三の点につきまして、本日、長官並びに関係省庁の方々の御見解をお伺いしたいと、このように思う次第であります。  最初に、ただいま沖繩開発庁の組織のことについてお話がございましたけれども、発足してまだ数カ月でございます。そういうことからいたしまして、まだ軌道に乗らない面もあろうかと思いますが、組織自体につきましても十分検討しなければならないこともあろうかと思います。  特に、最近日本列島改造の中に行政機関の一本化ということがうたわれております。そうなりますと、これは仮称ではありますけれども、総合開発庁とでも言うべきものが置かれて、その中でいろいろな問題が処理されるという、こういうことも言われているわけであります。そうなりますと、沖繩開発庁というものがその総合開発庁の中の一部局になるという、こういうことも考えられるわけであります。日本列島改造という日本全体の見地の上から行政機関を一本化するという、こういう考え方、それは一つの考えではあろうと思いますが、まだ復帰して半年早々、まあいつからそれが施行実施になるか、一年や二年でもしこれがこういう形になるとするならば、非常に立ちおくれております沖繩の開発というものが、一部局で沖繩県民にこたえられるような推進ができるかどうか、やはり機構の改革というものは、年を追い、また、国の大きな推進の中で考えなきゃならないことではありますけれども沖繩の特殊な事情の中から、また、沖繩の地域住民の立場に立って考えるならば、こういう問題につきましては相当検討が必要ではないかという、このように私は考えるわけでありますが、これはまだ具体的に問題が持ち上がったことではないかもしれませんが、こういうことが巷間話し合われている昨今でございますので、こういう機構のあり方につきまして、ひとつ総務長官の所信を最初にお伺いしたいと思うのです。
  35. 本名武

    国務大臣本名武君) いまお話ありましたことについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、特に日本列島改造論関連して総合開発庁という声もあるというお話でございましたが、それらを含めてやはり考えなきゃならぬことは、総合開発庁が、かりに言われるようにでき上がったといたしましても、沖繩を含めまして日本全体の行政の形からいきますならば、やはり私はたとえ国の直轄事業でありましても、それぞれの県に直接関係することであり、また、反面においては、自治権を尊重しながら地方行政の御意思というものを体してやらなければならぬということになると、全体としては、従来の本州において行なっているような方法がいいのではないかとさえ思うのでありますが、ただ問題は、本州と沖繩を比較いたしますと、やはり従来もありました特殊な開発促進を必要とする北海道、あるいはまた別な意味で首都圏とか近畿圏、中部圏等々のように、やはりいろいろ種々雑多な各省庁にまたがる事業を統轄して、調整あるいは計画、立案することも必要になってまいりますので、そういう機能を持ったところが必要だ。したがいまして、沖繩は、私は卒直に立ちおくれを認めるとするならば、やはり本州の他の府県と変わった方向をとることが当然である。そして一歩進んで調整機能を持たす開発庁によってそれぞれ関係省庁の機能を十分に調整し、また予算の総合的な要求、獲得、確保というような道を講じて、それぞれの予算を移しがえして実行にあたってもらうということのほうが一歩前進であるというふうに考えております。
  36. 藤原房雄

    藤原房雄君 先月の当委員会でいろいろ御質問いたしました基地給水問題につきましては、先ほど厚生省のほうから、今月の末ごろ大体国内法水道法をもとにして解決のめどをつけるというお話がございましたので、これはひとつ早急に解決をしていただきたいと思います。  そのほか、立ちおくれた沖繩を豊かな、そしてまた住みよい沖繩県にしていこうということで私どもが眼を開くならば、いろいろな問題が山積しております。開発関係のことにつきましては同僚委員からお話もございましたので、私は、地元でもいろいろ要望のありましたことの中で、県民の生命、健康に関する医療の問題、厚生関係のことについて二、三お伺いしたいと思います。  最初に、目に見えてどんどん開発されていく問題と、目には見えないかもしれませんが、県民の生命を守り健康を守る厚生問題というのは非常に重要なことだろうと思います。それで、この問題につきまして御質問するわけでありますが、いま一番、まあ沖繩県にとどまらず、国全体として、また国会として問題になっておりますことにつきまして、二、三お伺いしたいと思います。  最初に、政府管掌保険の赤字の増高ということが非常に問題になっておりますけれども、この政管健保の現在の赤字の状況見通し、それからこの赤字解消のためにいま政府が考えております健康保険法の改正案、臨時国会に出すか出さないか、これも当面非常に大きな問題でございます。まずこの点について最初にお伺いしたいと思います。
  37. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) 先生御承知のとおり、健康保険のことにつきましては、すでに前国会におきまして健康保険の財政対策法案を提出いたしたわけでございまして、それに伴いまして、四十七年度の予算も組んでおったわけでございますけれども、現在の財政見通しを見てまいりますと、まだ推計でございますけれども、単年度で千二百億円ばかりの赤字が本年度生ずるのではないかというふうに考えられるわけでございます。これに対しまして、本年度の予算で予定いたしました法律は廃案になったわけでございますので、前年度と同額の程度の国庫補助ということを考慮いたしますと、約一千億円の赤字ということになると思うわけでございます。したがいまして、従来の赤字分二千億円と合わせまして三千億円の累積赤字になる見通しでございます。なるべく早い機会にその対策を講じたいのでございますけれども、お尋ねの法案の取り扱い等につきましては、臨時国会の会期等いろいろな問題もございますので、与党とよく相談いたしまして対処いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから問題になりますのは医療制度の抜本改正ということでありますが、医療の抜本対策につきましては、医療保険制度それから医療制度、これは車の両輪のようなものでありますが、これはいずれにしましても医療制度の抜本改正、抜本検討というものがなされなければならない、これはずっと叫び続けられてきたわけでありますが、これにつきまして、現在どのように厚生省では考えて進めているのか、この点基本的なことをちょっとお伺いしたいと思います。
  39. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) 先生指摘のとおり、保険の問題も医療制度全体の問題としてとらえなくてはならないことは仰せのとおりでございまして、この問題につきましても、さきの国会に提案いたしたわけでございますけれども、廃案に相なっておるわけでございます。特に、最近、医療従事者、お医者さん、パラメディカルの方々の供給不足を来たしておるわけでございます。そういうことに対応いたしますためにも、総合的で、また、長期的な計画を持った医療基本法というものが——医療基本法と申しますか、そういう全体的な制度というものが緊急に必要なことはもちろんでございますけれども、先ほど申しましたような結果に相なっておりますので、今後ともこの問題については、将来におきまして、あるいは関係方面とも十分に協議をいたしまして、提出をいたす機会を考慮いたしておるところでございます。
  40. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから本年の七月ですか、保健所問題懇談会で報告書が出されております。この中には幾つかの問題が提起されておりますが、確かに、医療というものも、疾病治療という時代から健康増進、リハビリテーションの一貫体制への方向転換、こういう点、また地域の特殊性を考慮するとか、何点かにつきましてこの中では論じられておりますが、この保健所問題懇談会の報告書に対しまして、厚生省としてはどう受けとめ、今後これに対処していくお考えか、基本的なことをお伺いしたいと思います。
  41. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) 過日の懇談会の基調報告書によりまして、いわゆる今日の保健所の立場、あるいは存在価値と申しますか、そういうことにつきましてたいへん進んだ高邁な御意見を御指摘いただいたのでございまして、私ども、保健所のあり方につきましては、そういう線に沿って具体化してまいりたいというふうに検討をいたしておるわけでございます。ただ、これは基調報告でございますので、具体的に何と何をしろという、いわゆる行政事務的な御指示はございませんから、今後の検討にまたなければならないわけでございますが、少なくとも、保健所が各県にございます衛生試験所でございますとか、その他のいろいろな施設と緊密な連携をとって、いわゆる地域ぐるみの保健をしていく、これは従来からもそういうことがなされなければならなかったわけでありますが——若干いたしておるわけでございますけれども、そういうことをはかるために、地域保健の実態調査というものを実施して、どういう地域にどういう具体的な問題があるのか、的確な把握をするということはまず最初に手がけてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ新しい時代に即応した問題でございまして、これは保健所の運営ということだけではなくして、基本的に新しい時代を示唆する問題がこの中にもあろうかと思います。それで十分に検討して、即応した方向に進んでいただきたい、こう思うわけでありますが、特に沖繩の問題でございますが、沖繩における保健所、これは今日までの異民族支配の中にあって非常に異なった役割りをになわされてきている。いま本土復帰いたしまして、すぐ本土並みの体制にはいかないかと思いますけれども、この沖繩の問題につきましては、非常に真剣に取り組んでいかねばならないことがあろうと思います。保健所法の中にも、保健所の機能として、第二条ですか、予防、公衆衛生活動の業務が中心となるべきことがうたわれております。第四条に治療も行なうことができるとありますけれども沖繩では保健所は治療が中心になっている。こういうことからいたしまして、本土の保健所法そのものとは非常に差があるわけでありますが、本来保健所の業務に専念する方向さらにまた、さきの保健所問題懇談会のこの報告書の中にあります趣旨からいきましても、これは十分に検討しなければならないと思うわけでありますけれども、この沖繩に対する保健所の今後のあり方について、どのように考えていらっしゃるか。また、それに対する今後の計画、そういうようなものがございましたらお伺いしたいと思います。
  43. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) この点につきましては、全く先生指摘のとおりでございまして、私ども就任いたしまして、本土の保健所と比べまして、全く診療所のような性格を持っているのではないかというように思うわけでございます。したがいまして、本来の保健、公衆衛生並びに予防衛生につきましての業務が、本土に比べますと多少おろそかになっているということはいなめないと思うのでございますけれども、しかし、御承知のとおり、沖繩におきましては、まだ診療所、病院その他の医療体制の整備が十分でございませんので、いますぐこのような各種の診療、治療を行なうことを取りやめるということもいかがかというふうに思われるのでございます。したがいまして、今後はそういう医療機関の整備をできるだけ早くはかりまして、そのほうに治療が回っていくということによって、保健所本来の任務、それを果たすことができますような方向で、積極的に、ほんとうに迅速な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 藤原房雄

    藤原房雄君 医療施設の整備を早急にして、保健所の本来の任務を十分に発揮できるようにということでございますが、これは沖繩の医師不足、また施設の不足というものは、私がここで一々データをあげるまでもなく、すでに御存じのとおりであります。それに関連いたしまして、医師の養成機関を早急に設置する。また、医療施設にしても早急に対策を講じなければいけない。もう本土復帰になったわけでありますから、早急に対策を講じなければならない、こう思うわけでありますが、琉球大学に医学部を設置するということにつきましても、これは前回から、沖繩国会以前から、相当叫ばれておったことであります。本土の大学に来た方もなかなか沖繩にお帰りにならない。それには、やはり研究機関がないとか、医療施設が不備であるとか、あるいは研究者として、またその立場に立つ人としまして、研究施設や医療施設の充実していないところにはやはり戻ってこない、どうしてもこの環境をつくることが大事じゃないか。これは前から叫ばれておったことでありますけれども、四十七年度ですか、これにつきましてもまだはっきりしないようでありますけれども、この琉球大学の医学部設置のことにつきましては、現在どういうことになっておりますか、その点についてお伺いしたいと思います。
  45. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) いろんな経緯がございまして、とりあえず保健学部がスタートしまして、現在四年生が在学中でございます。そういう背景で、かねてから医学部を琉球大につくりたいというお話がございました。現在のところ、四十七年度予算に、琉球大学に医学部を設置するためのいろんな調査をするという必要経費を五百万程度組んでございまして、文部省におきましてこれを執行するように、現在いろいろと検討しておる最中でございます。これは余事にわたりますが、現在、沖繩を含めまして十五県が無医大県でございまして、医師不足、医師の偏在、医療の増大等々、いろんな関係から、もっともっと医学部をつくれと、それはぜひ国公立でやるべきだという強い御要請もございまして、そういうものとの関連において、特に沖繩のかねてからの経緯にも徴し、特別に取り上げるという形で進めたいと考えております。
  46. 藤原房雄

    藤原房雄君 調査費がついて調査しているようでありますけれども、これは地域の特殊性からいたしましても、まあ沖繩の類似県といわれる県が何県かあるようでありますけれども、それらについても、差しおいてというわけにはいかないかもしれませんが、沖繩のこの立ちおくれた医療体制のためには、医学部の設置、医療従事者の養成機関、また医療施設の充実ということがどうしても急務だろうと思います。文部省といたしましても、ひとつこれは積極的に取り組んでいただいて、地元の人たちの要望にこたえていただきたい。特にいま医師の数、それからベッド数、それから患者の数、こういうどのデータを見ましても、日本のどの県から見ましても、非常にこれは最悪の状態であります。とかくに類似県の平均、これをデータでよく言うのでありますけれども、本来ならば、全国平均でどうなっているかと、こういう比較のしかたをしなければならぬと思うのでありますが、この全国平均で見ますと、これは話にならない。二十七年の長きにわたって異民族の支配の中にあり、いろいろな事情があったろうと思いますけれども、人間の生命、健康にかかわる大事な問題でありますので、ひとつこの研究機関、医療施設のことにつきましては、特に医学部設置につきましては積極的な姿勢で臨んでいただきたいと思うわけであります。  それに伴いまして、医介輔の問題もありますが、これも沖繩の医師不足を補ってきたことは事実でありますが、やはりこの新しい時代に即応した医療制度というものが、いろいろ技術がどんどん進んでおりますので、こういうことから医介輔の再教育というか、こういうことにつきましても十分に行なわなければ、やはり地元のいろんな要望にこたえ得ないのではないか、こういうことをたいへん心配するわけでありますが、この医介輔の問題については、その医介輔の再教育ですか、そういうような問題については何かお考えがありますか。
  47. 山高章夫

    説明員(山高章夫君) 医介輔についての御質問でございますが、沖繩では僻地、離島医療の確保のために、医師法の特例措置といたしまして、一定地域について、しかも一定の範囲内で医療行為を認めているわけでございます。医介輔の実情を申し上げますと、先生も御承知のとおりでございますが、平均年齢が五十八・二歳になっております。それからまた、学歴の点でも尋常高等小学校の卒業生が七一%ということでございます。そういう現状からいたしまして、こういう方々の再教育で沖繩の医療を確保するということは、一面では医師法の上からも問題がございますし、私どもはむしろ医師の確保のほうに努力してまいりたいと思っているわけでございます。
  48. 藤原房雄

    藤原房雄君 医師の確保も、現在もう医師の数にいたしましても、ベッド数にいたしましても、また離島、これらは非常に悪条件の中にありまして、早急な対策は望み得ない。ならば、現在これも医介輔の方々に大きく依存しているわけでありますけれども、再教育といいましても、それは程度はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり日進月歩に進む現在の医療の中にありまして、それに即応した知識を与えるということは必要であろうと思います。それをどの程度にするか、現在の年齢の点や学歴の点だけお取り上げになって再教育はたいへんなことだという言い方ですけれども、私は激しい時代の流れの中にありまして、これはやはり考えていかなければならないことだと思いますけれども、これは最小必要限度のことにつきましては考えるべきではないか、こう私は考えているのですけれども、その点についてはどうですか。
  49. 山高章夫

    説明員(山高章夫君) 現在、医介輔につきましては、重症患者に対する診療の禁止とか、あるいは入院治療を要する患者に対する制限、あるいはらい患者等に対する診療の禁止、それからエックス線検査、エックス線療法、大手術、外科手術的抜歯、そういったものについて診療の制限がしてございますが、それ以外の診療につきましては、これを行なうことを認めているわけでございます。それで医介輔のできる行為の範囲内で十分その再教育については、先生の御意見もこれありまして、再検討させていただきたいと思います。
  50. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから問題なのは、沖繩復帰と同時に一日も早く皆保険制度を充実しなければならないということでありますが、十月一日から十三市町村、二十二万人が対象になったと報じられております。しかし、これでも全対象者の五三%ということでありまして、残りの三十四市町村につきましては、来年一月実施ということも聞いておりますけれども、病気の患者の多いこと、人口対比でも出ておりますけれども、人口対比で本土の大体二倍の患者の数、そういうことからいたしまして、風土病等を考え合わせますと、憲法十三条、十四条、二十五条で保障されておりますいずれにも差別をされない、それからまた「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、こういうように言われながら、今日まで異民族の支配のもとで苦しい年月を送ってきたことは皆さんも御存じのとおりでありますが、今日、復帰後もなおかつこのことが続くということであれば、県民に豊かで暮らしやすい沖繩をつくるということをどんなに口をすっぱく言ってみても、これは現実の問題としてはあまりにも隔たりがあろうと思います。いまだ国民健康保険に入ることができない人たちに対しましても、厚生省といたしましても、一日も早くこれらの方々の対策を検討しなければならないと思います。特に離島や僻地五町村につきましては実施のめどが立たないとも言われておる。こういうことを考えますと、これはまことに憲法違反と言わざるを得ない。まあいろんな隘路があろうかと思いますけれども、これは国民の健康と生命を守る厚生省といたしましては、何をさておいても、この沖繩県の皆保険体制を一日も早く樹立する強力な体制が必要ではないか。私はこう思うわけでありますけれども、この点につきまして明快なる回答をいただきたいと思います。
  51. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) いわゆる沖繩復帰政令で、国保を昭和四十九年の四月一日までに全島、全県実施するという規定になっておるところでございます。幸い、那覇市ほか十二市町村で十月一日から実施されるわけでございますので、それにならいまして、もちろん厚生省のほうでもその四十九年を待つまでもなく、できるだけ早い機会にそのような状態になりますよう、極力実施の指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  52. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ非常に離島が多い、それから僻地につきましても、どういうシステムでこれらの患者に対して対応するか、いろんな検討がなされておりますが、その一つとして医療情報管理センターの構想が県でもいろいろ検討されて、私ども行ったときにも財政面や技術面の特段の配慮を願いたい。これはもう沖繩としましては、まことにどうも現状からして、これは早急にしてあげなければならないことだろうと思います。本土といたしましても、僻地に対する対策として、この医療の情報センターの体制というものがいろいろ考えられておるようでありますけれども、そのためにはいろんなことをなさなきゃならない。一つは基幹病院を整備するということや、離島、僻地に対するヘリコプター、または巡視艇による巡回診療とか、こういう問題もあろうかと思いますが、こういう医療施設、医療制度の充実の問題。また、この医療情報管理センターの早期実施、こういうことがどうしても沖繩には必要なことだろうと思うわけでありますが、こういうことを実施するにあたりまして、特にまあその自治体に多くの負担が課せられるということで、国の高率の補助と言ってみても、現在沖繩ではなさなきゃならないことがたくさんありまして、県民の健康と生命を守ると言ってみましても、そういう多方面にわたる仕事をしなきゃならないことから、国の高率補助でもなかなかこれは実施し得ない。そういう沖繩現状にかんがみまして、まあできることならば全額国庫負担でこの体制の整備というものをしてあげなければならないのじゃないか、こういうことを私どもは痛切に感じてまいりました。この問題につきまして、厚生省としてどう考えていらっしゃるか。  それからもう一つは、救急病院という指定を受けている公のものが、現在のところはないように承っておりますが、沖繩でも非常に交通事故が多い。特に三年後には右から左側に変わるということからいたしまして、救急医療体制というものにつきましても早急な体制を確立しなきゃならない。いずれにいたしましても沖繩におきましては、こういう人間にとって大事な問題であります厚生関係のことが非常に立ちおくれておる現況にかんがみまして、相当な決意を持って臨まなければ、県民の健康と生命を守る施策というものが、依然として立ちおくれてしまうのではないか。これらのことを総括しましてどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  53. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) いまの御質問の順序を、逆で申しわけございませんが、救急医療センターにつきましては、本年度一カ所、補助率四分の三で五千五百万円ということを考えておるわけでございまして、仰せのとおり、交通体系が変わるのでございますから、その辺の必要は最優先されるべきであろうと思うわけであります。  いま一つの、医療情報センターと申しますか、そういう電算機を導入しての情報センターというものも、私どもも積極的に考えておるわけでございますけれども、その施設ができましても、十分な機能を発揮いたしますためには、それに従事せられます方々、あるいは医療機器そのものにも、いろいろな構造的な改善を行なわなければならない問題もあるということがございますので、特に、私ども厚生省の仕事で一番問題になりますのは、機械施設よりも従事する専任スタッフの問題でございますので、その点、目下検討を急いでおるところでございます。さしあたりまして、これは沖繩に限らず、日本中の過疎地帯あるいは離島に関しましては、当面、電話回線を利用いたしまして、僻地の保健婦その他から親元病院に病状の電送装置を電話回線に装置いたしまして、それによって親元病院が的確な判断あるいは医療上の指示ができるというような方法をまず考えてみたいというふうに、目下考慮いたしておるわけでございます。来年度はそれらにつきましての若干の予算の要求もいたしておるところでございます。
  54. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、いろいろなことを伺いますが、もう時間もありませんであれですが、沖繩で精神病患者が非常に多い。人口対比で大体本土の二倍と言われております。そうして、ベッド数が全国平均の三分の一と言われておる。非常に危険といいますか、いろいろな問題、社会問題が起きております。御存じかと思いますが、敬老の日の前日に専属殺人があったと言われておりますけれども、私は精神障害者、精神異常者を野放しにしておることは、やはり社会的にいろいろな問題を起こすことであり、沖繩にとりましてはこれは特に十分な対策をしなければならないと思います。  最近、聞くところによりますと、国立精神病院ですか、国立の療養所が設置されるということでございますけれども、ベッド数をふやし、そうした方たちに対する対策を十分にしてあげなければならぬと思います。それで、具体的なことになりますけれども、金武村に結核診療所と精神病院とあるわけでございますけれども、これが今度国立療養所になり、宜野湾のほうに移り吸収されるということでありますが、これはさらに充実した施設になるということで、それはそれでけっこうでありますけれども、この金武村から移るということになると、ここのあとをどうするのか。ここをもし完全に吸収して移転してしまうということになりますと、金武村は無医地区になってしまう、無医村になってしまう。こういう問題もありまして、あとの問題についてはどうなるのか。地元の人たちもたいへんな心配、いろいろな要望もあったわけでございますけれども、この点につきましてはどうなっておりますか。精神病対策について、またこの金武村のあとの問題。
  55. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) 精神障害者の方の率が、約全国平均の倍になっておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、病院の数をふやすことも緊急な問題でございますけれども、当面その設備が、入院ベッド数が充足せられるまでの間は通院の人にも入院患者と同じように公費負担で診療をいたそうというふうに考えておるところでございますし、また、従来から、復帰以前から医師の派遣その他を行なってまいったのでございますから、それも医療設備が、あるいは制度全体が完備せられるまでは続けてまいりたいというふうに考えておるところでございまして、詳細にわたりましては担当課長から御説明いたさせます。
  56. 永井好望

    説明員(永井好望君) 医療対策といたしましては、特別措置といたしまして、復帰の際に琉球政府負担によって医療を受けていた者につきましては、従来どおりの公費負担を実施いたしております。さらに当分の間は、新規の通院患者につきましても特別措置によって公費負担を行ない、適正な医療の普及をはかっておるわけでございます。  次に、沖繩には現在二千床程度の精神病床がございますが、復帰後、公的精神病院の充実をはかりますため、施設整備費の補助率のかさ上げを行なうこととしております。さらに、地域におきます精神衛生対策の充実をはかりますために、保健所におきます在宅精神障害者の訪問指導等の業務の充実強化をはかっておるところでございます。
  57. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは大事なことでありますので、ひとつ予算要求の大事なときでもありますから、取り組んでおりますとかどうとかじゃなくて、ひとつ具体的に早急にこの対策、解決のための施策をお願いしたいと思います。  時間もありませんので、次で終わりたいと思いますが、海上保安庁の方いらしていますね。——最初川村理事の派遣委員報告の中にもございましたけれども沖繩における廃油ボールがたいへん問題になっておりまして、私どもが八重山に行ったときにも、この問題にぜひ早急に対処していただきたい、こういうお話がございました。現在、海上保安庁としてどう取り組んでいらっしゃるのか、法案もできておるわけでありますけれども、なかなか広範囲にわたってたいへんなことだろうと思いますけれども、現在の状況、また今後の対策について一つお伺いしたい。  それからもう一つは、北方問題のことでありますけれども、北方領土云々につきましては、これはまた後日いろいろお伺いしようと思いますが、安全操業ということ、今日まで北洋、近海の安全操業、どちらかというと、四島を中心にした考え方が非常に強かったわけでありますが、最近海流の変化、また漁場の北上といいますか、そういうことが言われております。そういうことで、この四島よりも以北のほうに漁に出かけるケースが非常に多い。そこで、安全操業の問題も当然出てまいりますし、それに対する海難防止、その一つとしましては現在函館にある宗谷ですか、砕氷船、これもやはりそれに即応したものにしなければならないと思いますし、巡視船も根室にある三千百トンクラスのですか、やはり大型の巡視船で、大型化、高速化ということが、それに伴って要求されると思います。まあ時間もありませんので、一つ一つ申し上げるわけにまいりませんが、そういう時代の変化といいますか、最近の様相の中から早急に考えなければならないこの巡視船の大型化高速化、そういう巡視船を根室を基地として対応できるような体制をとっていただきたい。それから砕氷船の問題、それから山中長官が来たときにホーバークラフトのお話があったそうでありますけれども、こういう新しい時代に対応する救難体制というものを海上保安庁は真剣に考えていただかないと、あす、あさってすぐできることでございませんので、また予算要求の大事なときでありますので、この問題については真剣にひとつ取り組んでいただいて、具体的な対策を講じていただきたい。沖繩県のこととこのことにつきまして、二点お伺いしたいと思います。
  58. 貞広豊

    説明員(貞広豊君) まず第一点の廃油ボールなどの沖繩の汚染の防止についてお答えいたします。  この廃油ボールは、海上保安庁で過去おおむね一年ぐらいかかりまして、廃油ボールの発生状況等について調査いたしました結果、廃油ボールはおおむね日本からイランのほうに向けて原油を積み取りに行く船が、台湾東方または南方海域などで掃除をしたあとのよごれ水を捨てる。それが波にゆれて、潮流に乗って沖繩の沖を通って、遠くは関東付近まで来るという大体の推定ができました。その推定経路に基づきまして、いま沖繩に配置してございまする船と、それから小型でございますがヘリコプター、こういうものに計画的に警戒させまして、巡視哨戒させまして、廃油ボールの流れてくる以前において発見し、これの防除措置をとるとともに、厳重な取り締まり体制をしているところでございます。それからさらに、羽田にYS11型が二機ございますが、この飛行機を計画的に沖繩県南方及び北、南海域に哨戒飛行させまして、沖繩列島に対する汚染の予防というふうな体制をしいてございます。  それから次に、第二点の北方海域における安全操業対策と申しますか、体制でございまして、その中で巡視船艇、航空機等の整備はどのようにしているのかということにしぼってお答えいたします。海上保安庁では全国的に巡視船艇、航空機を配備してございますが、その数は、巡視船が九十三隻、巡視艇が二百八隻でございまして、その中で問題になりますのは、巡視船のうち四十四隻、約半分近くが二十五年近くなるいわゆる老朽の船でございます。それから巡視艇のうち七十二隻約三五%がこれまた老朽船でございまして、これを計画的に四十八年以降、七カ年でもって代替することといたしておりまするが、その代替建造過程におきまして、高速化あるいは北海道についていえば砕氷能力を付与する、このように計画いたしております。さきに宗谷の問題が出ましたけれども、宗谷はいましばらく代替建造時期にはまいりませんけれども、代替時期にきたときには、北洋海域の海洋結氷状況等を勘案の上、これにはさらにすぐれた砕氷能力を付加することとして考えております。
  59. 春日正一

    ○春日正一君 私は、沖繩米軍との水道契約問題について、これはわが党も非常に重要な問題と考えて、八月二十九日の参議院の社労委で小笠原委員が、それから九月十二日の衆議院の社労委で寺前委員が、この問題について質問して、やはり日本水道法に基づいて早急に解決してほしいということを要望もし、また塩見厚生大臣も、これは一刻も早く解決すべき問題であるし、水道法に基づいてやるべきものと考えるというような答弁がありました。しかし、これは非常に大事な問題ですから、私、実はきょうは、その後政府がどういう努力をされたのか、それから進行状況がどういうふうになっておるか、どんな解決上困難な問題があるか、いつごろをめどに解決されるのかというようなことをお聞きする予定でいたわけです。しかし、これは先ほどの川村委員の質問に対して厚生省のほうから、今月末をめどに水道法に基づいて解決したいというような答弁がありましたから、私はこの質問はきょうのところは保留にしておいて、政府の努力、それをしばらく見守らせていただきたいというふうに思います。  そこで次に、同じ水道の問題ですけれども政府沖繩国会のときに、沖繩協定によって水道公社と軍の水道事業、ごく一部の例外を除いては基地内のものも含めて、全部日本側に引き渡されるというような答弁をしておったわけであります。ところが、最近いろいろ調べてみますと、実際には返還されないものがかなりたくさんある。現地の人に聞いてみますと、水道料金取れば月に一億円取れるだけの水を使う分が除外されているんじゃないかというふうなようにもいわれている。実際いまのわれわれの調べた表でも、奥間レスト・センターとか、伊江島補助飛行場、その他ずっと十幾つかあるわけですけれども、一体これはどういうことなのか、何でこんなものを残したのか、どういう性格のものなのか、説明してほしいのです。これはどこですかね、答弁していただくところは。なぜ残したかというのは外務省のほうですか、管轄の厚生省のほうですか。
  60. 浦田純一

    説明員浦田純一君) 復帰前の琉球水道公社施設と、それから米軍側が有しておりました民間事業関係のある水道の基幹施設をすべて返還する、それで市町村への水道用水供給事業の業務遂行に何ら支障を生じないようにするということが復帰前、復帰後の水道事業のあり方に対する考え方でございまして、したがって、民需等を考えまして差しつかえがないという、あるいは民需を考えて残すことに差しつかえがあると判断した場合に、リストアップして引き継いだはずでございます。また別のことばで申しますと、基地内の米軍のいわば専用水道と申しますか、こういったものにつきましては、米軍のほうで引き続き設置、管理するのが妥当であるといったようなことで仕分けしたのでございまして、私どもはその仕分けに従って、復帰後の水道事業のあり方について、当時の琉球政府あるいは琉球水道公社に対しての指導を行なってきたのでございます。その時点では、返還を要求する必要は、少なくとも米軍の専用水道についてはないのではないかというふうに判断したのでございます。
  61. 春日正一

    ○春日正一君 いま民需に関係のある云々ということを局長言われましたが、私が沖繩国会で質問したときには「アメリカ軍に水を供給する量も、県全体の計画のもとで当然制限するということも私は可能だと思うし、できるはずだと思うんですけれども、その点、どうですか。」、つまりアメリカ軍にやる水を全部沖繩県のものとして、アメリカに売ってやるというようにしなければいけないのだという質問をしたわけです。そうしたら山中長官は、「結論から申しますと、そのとおりでございます。区営浄水場の中の、米軍がわずかな自給自水をしておる、ポンプ二つ、区営浄水場というものを除いては、基地内のものも全部琉球政府の管轄する水道供給公社になるわけでありますから、したがって、仰せのとおりの結論になるということになります。」、こういうりっぱな答弁をいただいているのです。だから私は非常に安心しておったわけです。ところがいま局長の言われること、民需に関係があるというようなことで、民需に関係なければアメリカも取りほうだいと言わぬばかりの答弁になっている。これはひとつ違っているという点がありますけれども、私、時間がありませんから、そこにこだわってあれしません。しかし、とにかく専用水道だというようなふうに言われているのですけれども、そこで、そういう形で残された水道というものが全体で幾つあって、個々にどこに所在し、どういう名称で、水源はどこから取っておって、一日の給水量どれほどだということを私は実態的に知りたいわけです。私のほうで調べたのでも十一ぐらいリストを持っております。しかし、そのほかに——これは私が外から調べたものですから、当然政府としては、アメリカと返還協定のときに、これは残す、残さないということでリストはつくっておいでになるはずですから、正確なものを出していただきたいと思うのですけれども、どうですか。
  62. 増岡博之

    説明員(増岡博之君) 厚生省のほうが引き継ぐべく受け取ったリストはあるはずでございますから、その分に関しましては後日提出いたしたいと思います。
  63. 春日正一

    ○春日正一君 そこのところですね、厚生省のほうがと言われたんですけれども水道の問題は初めから全部厚生省がタッチしておやりになったのか、あるいは施設庁のほうですね、あるいはもっと、さっき言った外務省のしかるべき部局でおやりになったのか、とにかくあれはきちっとした提供リストというのはあるはずでしょう。だから、それを出してほしいんです。どうですか、これは。防衛庁来ていますか。施設庁。施設庁にありますか。
  64. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 水道の移管、あるいは残置といいますか、存置の問題につきましては、当時必ずしも施設庁はタッチしておりませんでしたけれども、われわれ承知いたしておりますのは、先ほど厚生省の局長がお答えになったような趣旨で、専用水道施設として幾つか残しておかざるを得ないものは残しておくんだというふうにいま承知しておりまして、現在われわれが把握しておりますのは、これは後ほど資料で御提出いたしますが、名前で申し上げますと、奥間レスト・センター、それから伊江島の補助飛行場、八重岳の通信施設、恩納通信所、ボロー・ポイント、屋嘉レスト・センター、キャンプ・ハーディ、キャンプ桑江、南部弾薬庫、与座岳陸軍補助施設、それから慶佐次通信所、これが大体基地米軍専用水道施設として保留されておる、こういうふうに承知いたしております。
  65. 春日正一

    ○春日正一君 それでは、それを先ほど言ったように、名前と所在とそれから水源、それから一日のそれぞれの給水量ですね、どのくらいの水を使っているところなのかという点をひとつはっきりさせて資料を提出してほしいと思います。
  66. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 先生指摘のような資料をなるべく調査の上あれしたいと思いますが、正直申し上げまして、まだ那覇局で必ずしも全面的に把握してないものがございますので、その辺は先生のほうに御説明にあがりたいと思いますが、できる限り調査の上、可能な限りの御指摘の資料を出したいと、こういうふうに思います。
  67. 春日正一

    ○春日正一君 じゃあそれはそういうことで資料を出していただくとして、私のほうで調べたのでも、地図その他によって調べると十一あるうち、基地内で水源を持ってまかなっておるものですね、これが六つある。ところが基地外から水を取っておるものが三つあるんですね。それから水源を村民と軍が共用しておるというものが二つある。そうしますと、一体そういうものについて国内法による手続というものは完了しておるのかどうかという点をお聞きしたいんです。たとえば水道法に基づいて専用水道の確認がされておるのか。あるいは河川法に基づいて水の利用その他の許可というようなものがやられておるのかですね。そこらの辺を教えてほしいんです。
  68. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 私のほうは水道法、河川法の関係は所管でございませんので、前段の、先生の御指摘基地内か外かということで、われわれ把握いたしておりますのは、いわゆる取水の、川でございますね、川が外だというふうに考えられますのは一カ所というふうに考えております。これは奥間レスト・センター、あとは基地内というふうに、現在の、きょうの時点では把握しております。  後段のほうは私どもの所管でございませんので、申し上げられません。
  69. 浦田純一

    説明員浦田純一君) 施設または区域内の専用水道、いわゆる基地内の専用水道につきましては、水道法の附則の第十条によりまして、「日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条第一項の施設又は区域内における専用水道については、適用しない。」という除外規定がございますので、適用がございません。
  70. 春日正一

    ○春日正一君 私もそれは知っているわけですよ。いま局長が読まれたように、いわゆる施設・区域内の専用水道について、こういうように規定されているのですね。ところが、いま施設庁も一カ所と言いましたけれども、奥間レスト・センター、これは比地川という二級河川ですね、相当大きな河川ですが、そこから水源を取っておる。基地の外から取っておるということで、基地内じゃないのですよ。水源は基地の外にあって、外から取っている。私のほうの調べたのでは、これはあともっと正確に詰めてみないとあれですけれども、八重岳の水源施設、これは海岸のわき水から取っている。それから読谷ボロー・ポイント、これは長浜川といって、地図その他で見ると基地外から取っておるように思われる。この点はあとで確かめますけれども、しかし少なくともそういうものが現にあって、一つでも二つでもあれば、それは当然水道法の適用にならなければならないのではないかというように思うのですが、この点どうですか。
  71. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、施設・区域内におきまする一定の行為につきましては、地位協定第三条第一項にございますとおり、米側が俗に言う管理権を持っている。それに対応いたしまして国内法上も諸般の特別措置を設けられているということでございますが、先生御承知のとおり、地位協定には合意議事録があわせて合意されておりまして、地位協定の三条のいわゆる管理権に関しまする合意議事録におきまして、米側の管理は施設・区域のいわば境界線の内側に固定されるわけではなく、軍事上必要といいますか、その施設・区域の提供の目的等に従いまして、場合により、事案により、施設・区域の外側に及ぶことあり得べしということが合意ができておりますことは御承知のとおりであります。
  72. 春日正一

    ○春日正一君 知らないです。初めてだ。たいへんなことだ。
  73. 松田慶文

    説明員松田慶文君) そうですか。それではもう少し丁寧に申し上げます。  地位協定第三条に関しまする合意議事録におきましては、合衆国が地位協定第三条に基づいてとり得る措置は、「この協定の目的を遂行するのに必要な限度において、特に、次のことを含む。」と書きまして、六項ばかり例示してございますが、この各項列記は種々の分野に分かれますけれども、一定の限度で施設・区域にたとえば隣接し、たとえば近接するものについても、日米間の合意があれば一定の行為をなし得るという権利が認められております。米軍施設の専用水道と申しますのは、その主たる施設及び利用者が米軍基地内に限られるということを言うのではないかと考える次第でございますが、その一部が基地外にたとえばパイプが延びていて水を取っているという、ただいま先生指摘の点につきましても、全体的な専用水道の態様が施設・区域内のものであるという実態があり、それが施設・区域の運用上必要であるという限度におきましては、パイプ等が施設・区域外に延びることは許されるものと考えております。なお奥間レスト・センターにつきましては、合同委員会におきまして施設・区域協定の合意をいたします際に、施設、区域外にそのような取水のためのパイプが出ること、そしてそのパイプのための土地の使用につきまして、地位協定で申します路線権を設定することにつき日米間の合意ができ、所要の手続をいたしております。
  74. 春日正一

    ○春日正一君 私はこの問題については、黙ってそうですかと言えないものがあるわけです。法律では、施設・区域内の「専用水道については、」というふうにはっきり規定しておる。で、それが必要だからそうなっておる。そうして地位協定で言っても、そういう施設というものが日本の法律の範囲内で、法律に基づいて提供するというようなことがいわゆる原則になっているはずです。日本の法律をどう破ってもかまわぬというようなことにはなっていない。ところが、それを合同委員会というようなところでもって、かってに外へはみ出してもかまわないというようなことになったら、あなたたちが国の権益を左右するというようなことになってしまう。だから私は承知できぬけれども、しかしこれはここで議論しているとこれだけで終わりますから、水道——本題に入るために、質問はこれは残しておきますけれども、しかし、先ほどあなたの読まれた合意議事録のそこのところですね、そこは資料として出してもらえませんか、読んで聞いただけじゃ素通りしますから。いいですね。
  75. 松田慶文

    説明員松田慶文君) 当該部分を含めまして、地位協定に添付されております合意議事録の全文を先生にお届け申し上げます。
  76. 春日正一

    ○春日正一君 そこでもう一つの問題。水道法のほうはいまのように附則十条というものがあります。しかし、これは建設省にお聞きしたいんですけれども、河川法にはこういう除外規定はないわけですね。そうすると河川法はどうなるのか、適用は。
  77. 川田陽吉

    説明員(川田陽吉君) 基地内からの河川水の取水の問題につきましては、ただいま外務省の担当課長がお答えされましたように、地位協定ないしは合意議事録、このものの運用で、これは河川法の手続を必要としないというふうに私ども解しております。それから基地外からの取水につきましても、いま御答弁がございましたとおりじゃないかと実は考えておる次第でございますが、われわれ自身どのような一体手続が行なわれているかというものについての具体的な調査を、先生からのお話がございまして早急にやった次第でございますが、いまのところそのような資料は見当たりません。
  78. 春日正一

    ○春日正一君 この問題はさっきの水道の問題と一体みたいなものでね。一体、基地の中の河川に対して河川管理者の管理権というか管理義務というか、そういうものが及ぶのかどうか。もし及ばないとすればどういうことが起こるか。たとえば、河川の中流を基地で占めてしまって、上流と下流は基地外だと。災害が起こる。水源その他いろいろ問題がある。そうすると、河川管理者とすれば上から下まで全部管理しなきゃならぬが、それができないというような問題も含まれております。だからこれはたいへんな問題で、私はどうしても問題にしなきゃならぬと思いますけれども、まあ水道の問題ということでいまの問題に関連して、これ残しておきますけれども、こういう問題どうしますか。たとえば、先ほど言った水源を共同で使っておる、こういうものがあるわけですね。一つの水源を米軍も水源として使っておる、民間も水源として使っておる、しかもそれは米軍の専用水道だと言っておる。その一番の例を見ますと、伊江島ですね。ここにあります伊江島補助飛行場、ここの水源は湧出と言われておって、これは島でただ一つしかないわき水だと私は聞いております。そして戦前からずっと村のこれは共有財産として使われてきた。それが、御承知のように米軍が上陸して強引に土地を取り上げたときに、この水源地を囲い込んでしまった、基地の中へ。そして、米軍はここから優先的に取り水する。その施設も、私は行ってみませんけれども現地からの報告によりますと、水のわき出る一番中心のところに米軍の取り水パイプが行っておって、水の出る限り米軍は十分取れる。ところが伊江島の庶民はその余り水をもらうような形で、はじのほうから取り水をしておるために、結局水が足りなくなるというような事態が起こる。使用量は米軍が一日に百立米、村側が一日に三百立米になっておるのですけれども、しかし、米軍は六十人しかいないのですね、そうして村民は六千人おる。つまり一%の人間が四分の一の水を使っておって、しかも先ほど言いましたように、一番水の出る中心にアメリカの取り水のパイプが行っていますから、だから渇水時なんかには、米軍は必要量は全部先に取ってしまう。そのために村民は水不足に非常に苦しんで、いわば渇水のしわ寄せは全部村民に行ってしまう。そういう結果、海の水をまぜて使ったり、あるいは水が足りないために天水を使わなければならぬような状態に置かれておる。こういう状態のものを、米軍の専用水道ということで米軍に好きなようにやらせるということを許すということはできるのか。これは大臣にお聞きしたい。国の政治の姿勢として、伊江島の村民が先祖代々の共有財産としてきたただ一つの水源、かわりがないのです。これを占領の結果、取られてしまって、いま施政権が返ってきたということになれば、当然村民が以前持っておった村有財産としての権利と言いますか、そういうものは生きてこなければならぬはずだ。ところが、それをそのままアメリカにいままでどおり渡してしまって、村民はこれから基地のある限りアメリカの余り水を使わなければならぬというような状態になっている。これを専用だからと言えるのか。一つの水源からアメリカが先に取ってしまう。その点、大臣ひとつ考えを聞かせていただきたい。
  79. 本名武

    国務大臣本名武君) たいへんうかつで申しわけないのですが、伊江島の水道につきまして、いま春日先生から詳しくお話がありまして、実は先ほど来それぞれ担当者で御説明がございましたが、いま具体的に伊江島の例をお聞きいたしまして、私どももそれなりに検討はしてみたいと考えております。しかし、協定その他に従いまして処置をなされていると信じておりますけれども、御指摘内容を私の立場でも一応検討してみたいと考えております。
  80. 春日正一

    ○春日正一君 私の考えでは、先ほど建設省に河川法と言ったのは、河川法を適用されれば、河川管理者の水利用その他についての許可ということが必要になって、できるようになってきますし、五十三条では、渇水時における水利使用の調整ということで、渇水のときにはそこから取っておる関係者が相談して調整する、あるいはそうして調整させるということが河川管理者の権利としてあるわけですわ、法律に。そういう立場からすれば、伊江島の場合、干ばつがあったら、アメリカだって六十人なんだから百立米取らぬで半分に減らせとか、三分の一に減らせ、そうして村民のほうも全部は取れないけれども、いままでよりはよけいもらえるというような形に当然できるはずです。ところが、適用がないということになると、そうなる。そこで、私、長官に希望しておきたいのですけれども、当然水源を村に返して、米軍が村から水を分けてもらうというたてまえにして、ここのところは個別の問題としても至急アメリカと談判する必要があるんじゃないか。いまだって沖繩基地は減らしましょうという話にもなっているのだし、本土の米軍基地だってこれから減らしていきましょうという話になっているのですから、この間協定が発効したばかりだからと言ったって、実際に具体的に見て、だれが見たって不公平だし、屈辱的なものだというものがあれば、これは返してくれ、直してくれということは言えるはずだと思うのです。そうやっていただきたいと思う。その点ひとつ長官のほうの考え方、やっていただけるかどうか、そこらをお聞きして、きょうのところは私、この問題での質問を終わります。
  81. 本名武

    国務大臣本名武君) ただいま具体的に伊江島の御指摘がありました。また先ほど来、基地外のいわゆる河川から取水をいたしまして基地内で専用する水道についての問題点の御指摘があったわけでございますが、これは実は私どもも非常に関心をもっておりまして、原則は、前回にもお答えいたしましたとおり、やはり国内の水道法によって処置すべきであるということが原則であります。ただ特殊な、基地内に取水し基地内で米軍のみが使用するというものについては、特別の扱いで、取りきめがあるので、その点はいまの時点では当然だと思いますが、先ほど来のお話を承りますと、率直に申し上げまして、私自身にもちょっと疑問に思う点がございますので、伊江島の問題を含めまして、一応私は私なりに検討してみたいと考えております。
  82. 星野重次

    委員長星野重次君) 喜屋武君、時間がきめられているから、時間内にお願いします。
  83. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 沖繩問題一ぱい申し上げたいことがありますが、時間の制限——きわめて少ないのでございますので、私は三つの問題にしぼって、できるだけ私の説明はくどくど申し上げませんので、明確なお答えを願いたいと、このようにお願いいたします。  まず、先ほど来論ぜられました水道料金の問題、あるいは国道三百三十一号線の解放の問題、あるいは栄野川君の射殺事件の問題、あるいは復帰に向けての目玉商品といわれた那覇空港の、これは特に海洋万博にも関連する実に重大な問題でありますが、P3の居すわりや、あるいは最近米軍演習による山火事の問題、また最近きまりました例の東海岸の高速道路、これの開通に伴うキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、あの基地との関連、どれ一つとらえても沖繩問題はたいへん重大な問題であります。  ところで私は、そういった問題とも関連いたしますが、特に復帰後における外人事件の激増、これも私この間沖繩、郷里に帰りましたときに、復帰前の一カ年の外人事件と復帰後の事件を比較いたしまして、復帰前一カ年で七百九十六件、復帰後三カ月で、たった三カ月で四百三十六件、ところが最近の新聞によりますと、これは八月十四日でありますが、八月末までの調査で、さらにたいへんにふえておる状況であります。このような外人犯罪の激増、これはもう黙視するわけにはまいりません。  そこで第一点、特殊事情下における沖繩の治安維持についてどのような対策を持っておられるか、このことをまず、これは警察庁に私お尋ねするつもりでありまするが見えておりますかね。もし見えていなければ、関係のどなたか答えてください。
  84. 敷田稔

    説明員(敷田稔君) 御説明申し上げます。沖繩におきまして復帰後五月の十五日から八月の末までに発生いたしました事件は五百八十四件でございますが、将来この種の事件をどのように取り扱う所存であるかという御質問でございますので、これにつきましては、本土と同様に厳正に捜査、処理を遂げてまいりたい、このように存じております。
  85. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) このことについてもなおお尋ねしたいのですけれども、いま基本姿勢を承りましたので、実はこれも結局米軍基地があり、外人がおるところから起こる事件でありますが、私は最近ヨーロッパ、中近東、東南アジアを視察いたしまして、実は英国における、西ドイツにおける、タイ国における外国基地実情調査してまいりました。ところが、この調査書にもはっきりあらわれておるように、日本の五十五倍の基地を西ドイツは提供しておるわけなんです。そういった膨大な基地の中でもそういった事件とかトラブルがあまりない。こういう実情から、私は沖繩基地実情と照らし合わせてみまして、何ゆえに沖繩がそうなっておるのか、このことについて根本的に日本政府はきびしく反省してもらわなければいけない、こう私は思いますので、まあそれに対するお答えは求めませんが、これは強く要求しておきます。  そこで私お聞きしますが、実はそういった国々においては基地問題対処機関が設置されておるわけなんですが、そういった問題が起こった場合に、たとえば基地司令官、イギリスならば英軍の連絡将校、あるいはアメリカならアメリカの連絡将校、それからその地域代表、このメンバーによって委員会が結成されているのです。そういう機関で適正に、また未然にそういったことが処理され、あるいは防止されておる、このことを私ははっきり知ってきたわけでありますが、そのことについて、もしお答えができますならば——もしお答えができないとするならば私は強くそれを要望いたしておきます。
  86. 敷田稔

    説明員(敷田稔君) 御指摘のように、犯罪の発生を防止いたします上にはたくさんの方法があろうかと存じまして、そういう方法はとれるものはすべてとられるべきであると考えるわけでございますが、法務、検察といたしましては、現に発生いたしました事件は厳正に捜査いたしまして、一般犯罪、一般予防及び特別予防的な効果をあげていきたい、このように考えております。
  87. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 第二の問題に移ります。  これはさきの沖繩国会からの続きの問題でありますので、そのことが一応現段階においてどうなっておるか。それは旧日本軍による沖繩住民虐殺問題についての事件であります。いわゆる久米島の鹿山事件を中心とする沖繩で行なわれた戦争中のあのいまわしい事件であります。このことについてはすでに国会論議の中で、法務省は法制上の見解を、すみやかに最終的結論を出すとか、あるいは厚生省は遺族援護法の運用上の幅を広げて考えたい、こういうことで、積極的にしかも公平を期して、徹底を期して検討してもらっている、こういう回答を得ているわけなんであります。さらにこのことにつきましては、佐藤前総理も、法的にはどうあれ、道義的立場からも最大の努力をし、理解と愛情をもって報いると、はっきり御答弁くださっております。国会の中でその方針に基づいて時の山中総務長官を中心として調査し、その対策を講じていくということがすでに回答されているわけなんです。それが、積極的に検討してもらっておるという、その現段階は一体どうなっておるか。  さらに私は、それに関連して証人喚問を要求して、これも理事会で検討をするというところまでは回答を得ておりますが、それがその後どうなっておるか、それを承りたい。
  88. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいまの御質問の中で久米島事件のことについて、刑罰法令適用の面から御説明申し上げますが、その点につきましてはいろいろとなお検討を要する問題もないわけではございませんが、刑罰法令適用の面からいたしますと、いわゆる実体法の問題、あるいは手続法の問題、両面ございますわけでございます。そこで一応の見当でございますが、実体法の適用につきましては、結論から申しまして、いわゆる日本、現在では適当かどうかと思いますが、いわゆる本土の刑法その他の刑罰法令の適用があるというふうに一応考えられるわけでございます。しかしながら、そういう刑罰法令が適用になるということを前提といたしました場合でも、手続面でいろいろな問題がございまして、特に公訴の時効の問題がございます。その点につきましては、こまかい点は省略いたしますが、一番重い罪でありますところのかりに殺人罪ということを考えました場合でも、公訴の時効というものは十五年で完成するというふうに刑事訴訟法上なっておるわけでございまして、そういう点を考え合わせますと、当面久米島事件につきましてはすでに時効が完成しているというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) この件はどうかひとつあの言明のとおり、これは解決するまで私徹底的にそれを要望し、追及していくつもりでありますので、そのつもりでひとつ一日も早く解決をしていただきたい。さらに久米島事件というものにしぼりまして、そういう久米島事件を焦点とする幾多の事件がありました。「これが日本軍だ」というこの資料を当時私は各大臣にも関係者にもお配りしてあります。それで、総理府なら総理府の立場からまた調査をするという、こういう事件でありましたので、これも参考にしていただいて、ひとつ一刻も早く処理をしていただきたい。沖繩に帰るたびごとにこの事件をうやむやにしてはいかぬぞということを私は県民から絶えず警告を発せられておりますので、これも申し添えておきます。  最後に、沖繩における軍事基地の縮小ですね、返還、これはいまさら申し上げるまでもありません。昨年末の沖繩国会で、非核兵器並びに沖繩米軍基地の縮小整備に関する決議が行なわれたことは申し上げるまでもありません。その中で、政府に対して、非核保有とすみやかなる沖繩米軍基地の縮小整備が要請されている。また現地のたびたびの要望に対して、政府は、基地の縮小、撤廃、撤去に努力する、このように再三再四言明しておられます。これはもうしごく当然のことでありまして、本土並みということでまとめるとするならばこれは当然のことでありまして、そういうことがいまどのように具体的に計画をされ、そしてその計置に基づいて米軍が、相手側がどういう回答をしておるか、どういう段階にあるのであるか、まずそのことをちょっと承りたい。
  90. 薄田浩

    説明員(薄田浩君) 問題が施設関係でございますので、お答えいたしますが、御指摘のように、沖繩における米軍基地の占める割合はたいへん多うございまして、沖繩県振興開発等を阻害していることはわれわれ十分承知しております。それから、かつ、本土並みということで、当然地位協定の二条二項及び三項に基づきます日米双方の絶えざる検討をするという課題がございますので、沖繩も含めまして、現在合同委員会の下部の施設委員会というもので検討いたしております。  それで、いろいろ基地の整理統合につきましては勘案すべき諸要素がございまして、当然地元の要望、それからあるいは地域開発、特に沖繩の場合には海洋博がございますが、そういう問題等も含めて、われわれで検討いたしております。現時点の検討状況を、内地も含めまして防衛庁内部の事務次官を長といたしまして基地総合調整本部というのを設けて検討いたしておりますと同時に、過般沖繩局に、局長を長といたしまして、特に沖繩だけを先行させまして、いわゆる先生のおっしゃいました基地の返還、これは全部、一部を含めてでございますが、それから基地の整理統合、これは内地ではいろいろいま、リロケーションという、ある施設をある施設に集約するというようなことをやっております。  そういう観点から、いま局長のところで、先ほど申し上げましたいわゆる遊休施設、都市計画との関係、国体あるいは海洋博との関係、それから沖繩全般の開発計画、こういう幾つかのテーマに分けまして検討をさせておりまして、それが本庁のほうに上がりました設階で、いわゆる施設委員会で提案される、こういう形になっております。現在作業をさしております。
  91. 喜屋武眞榮

    委員以外の議員喜屋武眞榮君) 最後に一言要望しまして、終わります。  この基地の縮小というのは、当面海洋博を成功さしていくためにどうしてもここにぶつかってくる具体的な問題であります。これをどうしても優先して解決しなければいかぬ、これは当然です。さらに市町村の開発という面から、またそれぞれの市町村においていろいろな要望があるのも御存じだと思います。ところがその中で、特に私はこの機会にあらためて申しますと、いままでも再三訴えたのでありますが、北谷村の解放、あれは沖繩全県的にみんなが検討されましても、不急不要と言いたいこういった地域がドーナツ的にそれが一部解放された。そうして非常に困った情勢にあるということを皆さんよく御承知だと思います。あの北谷村の解放、一番市町村単位に困っているのは私は北谷村だとこう思っております。そういう切実な要望、最近もなされてまた近くくるはずでありますが、私もこの前も催促されたのでありますけれども、どうかひとつそれを念頭に入れておいていただいて、特に沖繩の窓口でありますところの開発庁長官にも、私がいままで述べて要望しました点に対するひとつ御見解と御決意を承りまして、時間になりましたので終わりたいと思います。
  92. 本名武

    国務大臣本名武君) いろいろ御指摘をいただきまして、担当省庁においてそれぞれ善処しておりますこともお聞き及びのとおりであります。特に開発庁といたしましても、御指摘がありましたが、いま開発計画策定中でございますが、それらに関連いたしまして、海洋博等については関連事業にも非常に関係が深いので、御趣旨のような意味でつとめてこれが解決のために努力していきたいと考えております。
  93. 星野重次

    委員長星野重次君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時九分散会      —————・—————