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1972-09-08 第69回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月八日(金曜日)    午後一時七分開会     —————————————    委員異動  八月二十八日     辞任         補欠選任      楠  正俊君     木村 睦男君  八月二十九日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     楠  正俊君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         星野 重次君     理 事                 稲嶺 一郎君                 鬼丸 勝之君                 川村 清一君                 藤原 房雄君     委 員                 今泉 正二君                 楠  正俊君                 鈴木美枝子君                 藤原 道子君                 松下 正寿君    国務大臣        国 務 大 臣  本名  武君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        沖繩開発政務次        官        中津井 真君        北方対策本部審        議官       大屋敷行雄君        外務省アメリカ        局外務参事官   橘  正忠君        厚生省環境衛生        局水道課長    国川 建二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する  調査  (沖繩及び北方問題に関する件)     —————————————
  2. 星野重次

    委員長星野重次君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  委員異動に伴い、本委員会理事が一名欠員となっておりますので、これより理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 星野重次

    委員長星野重次君) 御異議ないと認め、それでは理事稲嶺一郎君を指名いたします。     —————————————
  4. 星野重次

    委員長星野重次君) この際、国務大臣本名武君及び沖繩開発政務次官中津井真君より発言を求められておりますので、これを許します。本名国務大臣
  5. 本名武

    国務大臣本名武君) 私は、先日の田中内閣の発足にあたりまして、はからずも沖繩開発庁長官を拝命いたしました。生来の不敏なものでございますが、何とぞ御指導鞭撻を賜わりますよう、心からよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  6. 星野重次

  7. 中津井真

    説明員中津井真君) 私、はからずも沖繩開発政務次官を拝命いたしまして、その責務の重大さを痛感いたしておるものでございます。もとより浅学非才でございまして、委員長はじめ委員の諸先生の御指導鞭撻と御協力を賜わりまして、大任を果たしてまいりたいと思います。よろしくお引き回しくださいますよう、心よりお願いしてごあいさつといたします。     —————————————
  8. 星野重次

    委員長星野重次君) 次に、沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次発言を願います。
  9. 川村清一

    川村清一君 田中内閣組閣にあたりまして、北海道選出本名武代議士総理府長官として入閣されましたことは、党派は違いましても、同じ北海道選出国会議員として、私は率直にお祝いを申し上げます。とともに、今後の御健闘を心から期待しております。  さて、本名さんは沖繩開発庁長官として、沖繩県振興開発行政最高責任者になられたわけですが、いまさら申し上げるまでもなく、沖繩は五月十五日、二十七年にわたる異民族支配から離れて祖国復帰し、名実とも沖繩県というわが国の一地方自治体に生まれ変わったわけでございます。佐藤前総理大臣は、沖繩祖国復帰のため政治生命をかけて努力してまいったと言っておりますが、復帰した沖繩の姿は、必ずしも——百万県民を含むわが国民の要望し続けてきた姿とはほど遠い隔たりがあったことは否定できない事実であろうと思うわけであります。したがって、沖繩実態の中には今後解決しなければならない問題が山積みされておりますし、沖繩問題はむしろこれからが大切である。百万県民の期待にこたえて、われわれ政治家は真剣に取り組まなければならないと思うわけでございます。この重大な問題を解決する行政最高責任者就任された本名沖繩開発庁長官の基本的な考え方をまずお尋ねしたいと思います。
  10. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のございましたとおり、私もこの重責につきましてたいへん気にいたしましたこと、また非常に大きな課題であると考えましたことは、国民の期待する復帰はでき上がったといたしましても、今日まで長年にわたる施政権下にあった沖繩実態、それからまた、日本経済成長の中にあって他府県と沖繩との相違、格差考えますときに、このときこそ、今後においてこそ、容易ならぬ沖繩開発の重大な課題と同時に、この課題を解決する努力が払われなければならないということを痛感したわけでございます。そしてそれが実現のためには、私の姿勢といたしましては、就任早々にテレビを通じて記者会見をいたしましたが、その根幹は、あくまでも地方自治を尊重し、地方の創意と御努力もとに立って、国はそれに報い、またさらに足らざるを補いつつ、この格差を一日も早く是正し、そして百万県民ほんとう福祉と繁栄の県づくりができ上がるように、生活ができるようにということを念頭に置いて、今後も一そう努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 川村清一

    川村清一君 ただいま長官お話にもあったわけでございますけれども本名長官は七月の二十二日から二十五日まで沖繩県就任後初めて視察されたようでございますが、二十八日の閣議でその視察報告をされました中で、沖繩地方行政の姿が必ずしも十分でないと報告された。さらにその後の記者会見では、沖繩県地方自治体として意欲が足りない、このままでは政府施策も十分に行なわれないので、もっとやる気になってほしいと、沖繩行政のあり方についてきびしく批判したと新聞は報道しておるわけでございます。この記事をそのまま文面どおり受け取れば、長官発言は、あまりにも、沖繩県民の今日まで二十七年間にわたる苦労の実態に対する認識や同情心のない、冷たい発言ではないかと私は思うわけでございます。長官真意はどこにあるのか。二十七年間の歴史と経験を持つ他の都道府県と、地方自治体になったばかりの沖繩を同じレベルにおいて評価することがそもそも間違いではないかと私は思うのでございますけれども長官の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  12. 本名武

    国務大臣本名武君) ただいまお話のございました最後のほうに、本州都道府県同一に評価することは不合理ではないかというお話がございましたが、私もまさにそのとおりであると考えております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、本州との比較において立ちおくれを取り戻し、さらにはよりよき福祉と安らかな生活のできる県づくりをするということのためには、何といっても、やはり地元方々ほんとう意欲を燃やしていただきたい。同時に、その意欲にこたえるばかりではなくして、それを補う以上にさらに国としてはその立ちおくれを取り戻すために一そうの、特別の、本州には見られない措置までもしてお世話をしなければならないというような決意でいたわけであります。そこで私は、さっきも申し上げましたが、やはりその前提になるのは、地方自治体政府ほんとう思いを同じうして立ち上がるところにお互いの目的も達し、また、国の施策も行ないやすくなるということを踏まえて、いろいろとお話し合いを現地でいたしたわけでございます。県知事をはじめとして県の幹部の方、あるいは市町村の方その他各界の代表の方にもいろいろお目にかかりましたが、お目にかかるたびごとに私はそのことを申し上げ、また、特に皆さんの長い間の、二十七年の施政権下にあったその実態というものを踏まえるならば、お気の毒ということばどころではなく、これを一体いかなる方法で立ち直るために姿を変えていかなきゃならぬかということも、私としては非常に心配をしているのであります。だから、皆さんひとつ元気を出して、意欲を燃やしてふるい立っていただきたいと。それに対して、もし何か疑問の点や、あるいはおわかりにならないこと、知りたいこと等があれば、政府としては何もこだわることなく、一生懸命に御相談に応じますからということをずっと申し上げてきたわけであります。それで、行っていろいろとお話し合いをいたしておりましたが、復帰後一カ月、二カ月の間に、いかに有能な方でかりにあったとしても、本土の行政そのものとぴたりとくる御処置はなかなかなされないということは十分承知いたしておりましたので、そこで、特に自治省を中心にいたしまして、行政機能等については自治大臣にお願いして、懇切丁寧な御指導を賜わりたいということを帰ってきてからお願いしたわけであります。  そういうようなことを閣議報告をいたしました、と同時に、記者会見をいたしたのでありますが、どうも、私の申し上げたことは、限られた紙面でありますから全部は書けないわけでございまして、その中の一部分をお取り上げになって、先ほど御指摘のような、ことばはそのままであったかどうか不祥でございますが、一応その一部分のことが報道され、そのためにたいへん御迷惑あるいは誤解を招いたということは私の不徳でありまして、非常に遺憾に思っている次第でございます。しかしながら、私の気持ちとしては、もうそれにたがうことなく、今後とも一そう地元と密接な連携のもとに、また地元意欲をつとめて尊重申し上げつつ今後事に処してまいりたいと私は考えております。
  13. 川村清一

    川村清一君 ただいまの大臣の御答弁によって長官真意理解できましたが、まあ、私はきょうは長官といろいろと議論する気持ちはないわけでございまして、長官初めての委員会でございますので、長官の今後の行政の衝に当たる基本的な考え方——姿勢をお聞きしたいという意味で立ち上がっておるわけでございます。  そこで、繰り返して申し上げるようでございますけれども、われわれは沖繩復帰の原動力は何であったかということを考えてみなければならないと思うわけであります。政府政府の力で沖繩は返ってきたんだと、かように自負されていると思いますけれども、私は政府の力だけではない。むしろ百万県民が異民族支配屈辱から解放を要求し、祖国復帰を叫び続けて、あるときは銃剣と対決して戦い続けてきた火の玉のような戦いの成果が、沖繩復帰として実現したものであると考えておるわけでございます。アメリカ施政権もと、四分の一世紀の歴史の中で日本人の教育を守り育ててきたのは沖繩教師たちであり、子供の親たちであったことなどを思ってみるときに、沖繩県民にこそ最も強い自治意識が定着しておる、かように考えております。自治体としての意欲が足りず、やる気があるのかないのかわからない、もしそういうお考え長官のどこかにあるとするならば、それはとんでもない誤りだと私は指摘しなければならないと思うのであります。もし、形式的な、あるいは実務的な行政進め方に問題があるとすれば、またそれは当然あると思うのでありますが、それは今日まで沖繩を放置してきた政府責任であることを反省しなければならないと私は思うのであります。実務的な面も十分知ってもらうため、あたたかい手を早急に、しかも強力に沖繩に差し伸べてやらなければならないと思います。そして、真の地方自治の精神とは何かという問題について、政府はもう一度よく考えてもらいたいと思うわけでございますが、くどいようですが、この点につきまして最後の、沖繩の問題では最後でございますが、長官真意をお聞かせいただきたいと思います。
  14. 本名武

    国務大臣本名武君) まさに沖繩復帰が一応実現いたしましたことは、これは最も関係の深い沖繩県民皆さん方が、長きにわたってあの耐えがたい屈辱から一日も早くのがれたいというそのお気持ち、そして日本人としてのやはり一億同一国民としての生活を期待して、熱意を持って返還の御要求をなさってこられたことは十分承知をいたしておりますし、またそのとおりであったわけであります。  したがいまして、私自身は政府の力によって復帰実現したとは考えておりません。ただ、復帰後におきまして、冒頭にもごあいさつ申し上げましたが、幾多の矛盾あるいは行政やあるいは実務の上に幾多の問題をかかえているという事実も現実に否定することはできません。  したがいまして、それらの問題を今後一日も早く解決するために努力をして、ほんとう復帰を喜ぶ沖繩県民になっていただくために政府は最善の努力をしなければならないという考え方で今後対処してまいりたいと存じております。
  15. 川村清一

    川村清一君 次に、北方対策本部長官として、北方問題の行政責任者を兼任されておる本名長官に、北方領土の基本的な問題について若干お尋ねいたします。  八月の三十一日、札幌市において北方領土復帰促進道民結集大会が開催されまして、本名長官も御出席になり、ごあいさつをされたと聞いておりますが、道民結集大会でありますので、全道民意思を結集するためには、当然全道民を代表する広範な組織、機関の参加することが好ましいことは言うまでもございません。しかるに、結果的には社会党共産党、全道労協等革新団体が参加せずに、革新抜きの集会であったことは、長官御存じのとおりでございます。  そこで長官にお尋ねしますが、この大会出席された長官として、この大会の姿についてどう感じられたか、率直にひとつ長官の御意見を承りたいと存じます。
  16. 本名武

    国務大臣本名武君) お話のとおり、私も出席いたしまして、しかも社会党共産党、あるいは全道労協方々が不参加であったということを非常に残念に思いました。同時にまた、それだからこそ私どもは今後においても政党を問わず、団体を問わず、国民がひとしく同じ思い北方領土問題の解決に当たる態勢を強化しなければならないということも痛感してまいったわけであります。まあそういうようなことで、八月三十一日の北海道における大会は遺憾の点もございましたが、それだけにまた私の所管いたします外交によるソ連との平和条約締結をやがては見ようとする今日でございますが、やはり領土問題についてもその大きな要素前提要素にもなる大きな問題を解決するためには、私の立場からも皆さん方の御同意を得て、ぜひ強力な国内体制をつくり上げていきたい、そのために私どもの所管いたします、いわゆる国民の啓発あるいは啓蒙等についてさらに一そう努力をしなければならないということを痛感いたしてまいりました。
  17. 川村清一

    川村清一君 なぜあのようなかっこうになったのか、問題点は何か、今後の北方領土返還運動進め方について重大な問題でありますので、あえてお尋ねしたわけでありますが、私は、大会を開くまでの手続上の問題と、返還要求する北方領土範囲の問題と、二つあると思うのであります。この大会共催団体には全道労協等の名が掲げられておりますが、聞いてみますと、事前に社会党にも全道労協にも何らの話し合いがなかったと、こう言っております。このような全道民結集大会と名を打ったあの大会を開催するにあたりまして、天下り式な、官僚的なやり方では大衆運動は成功しないと思うのであります。したがって、今後こういう大会あるいは国民大会等を開催するにつきましては、十分注意しなければならない問題だ、かようにまあ考えておりますので、対策本部指導に当たられますが、その点については、今後十分ひとつ注意していただきたいということを要望申し上げますとともに、この復帰要求する範囲の問題が、これがまたきわめて重大であります。ここで私は長官議論する気はないのでありますから、現状をただ申し上げて、長官の善処をひとつ考慮していただきたいと思うわけであります。それは北方領土返還要求することについては各党とも何ら異論がない。この点につきましては、国論は完全に統一されていると私は思うのであります。ただ、しからば、北方領土とはどこかということになれば、必ずしも意見は一致しておらない。政府自民党は国後、択捉、歯舞、色丹はわが国固有領土であり、この四島の返還要求するということを主張し、意思は統一されております。しかし社会党は、固有領土はこの四島だけではないと、千島列島全部がわが国固有領土である。したがいまして、全千島返還実現しなければならない。ただし、これに至る経過としては、平和条約促進、あるいは日米安保条約の廃棄、こういうようなものを行なう過程において、段階的にこれを解決するのだと、こういうことを主張しておりますし、他の政党も、まあそれぞれ自民党とは違う考え方を持っているわけであります。この実態を踏まえないで、政府自民党は自分の主張だけが正しいといったようなかっこうで政策を押しつけ、一方的にどんどん進めているのでございますけれども政府の方針はこうだ、こうきめたのだから国民は全部ついてこいでは、この運動は全国民運動として発展はしていかないと思います。全国民的な運動に発展しない限り、北方領土復帰実現しない。領土問題というのは決して簡単な問題ではなく、これは古今東西歴史を通じて見るとき、きわめてめんどうな問題であります。でありますから、国論を統一することが大事なことであって、政府はこのためにこそ最も努力しなければならないと思うわけです。しかるに何もやっていない。田中総理大臣は、組閣後、今後は各党首とひんぱんに話をしたいというようなことを発表しておりますが、この北方領土の問題について国論を統一する、各党意見をできるだけここにまとめる、こういうようなことを考えて、ひとつ政府がその主導権を持って、各党と忌憚のない意見交換をしてみるべきではないか、私はそう考えておるのでありますけれども就任後の本名長官として、私がいま申し上げましたような、そういうようなことに話を進めてみるお考えがないかどうか。この点、きわめて大事なことですが、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 本名武

    国務大臣本名武君) 北方領土領域につきましては、いろいろ国内、特に政党間において必ずしも意見が一致していないということは承知いたしております。そしてまた、その意見の一致を見るために努力をしなければならないことも当然のことであると考えております。したがいまして、今日までも、御指摘のありました党首会談の形式ではないにしても、いろいろお話し合いの場はあったのではないかと考えておりますが、それはそれといたしまして、やはりこの時期におきまして、特にソ連側から平和条約話し合いを始めようというお声がかりもあり、また、日本政府はそれを受けて、それじゃあいたしましょうという共同の話し合いも成り立ったわけでございますから、この機会には、やはりさらに前進して領土問題を解決するという努力が払われなければならぬわけであります。  そこで問題は、領域の問題でありますが、私はなるほど、北千島列島を含めてわが国固有領土であるという、御主張なさる意味もわからないではございませんが、ただ問題は相手のあることであり、また、サンフランシスコ条約その他、国際関係からいたしましても、一応相手に対して理解を得られる線は一体どこかということも検討する必要があろうと思います。  また、日本国民の中にも、それはやはりこの南部四島がしかるべきであるという御意見も相当あることも承知いたしております。特にこの南四島につきましては、国際関係もさることながら、やはり歴史的にも、地理的にもわれわれの祖先の地として長い経過をたどっている、この事実もまた考えなければならない。そういうようなことを踏まえて、私はやはりこの四島で国民の御理解をいただくということに努力することが、いまの段階では最も適切であろうということを考えて、これに向かって努力をいたしているわけでございます。  さらに、そういうようないろいろな御意見があるわけでございますから、それを党首会談の場において話し合いをしたらどうか、こういうことでございますが、総理に私はこのことはまだお話しいたしておりません。御指摘のように、党首会談においてこの意見の統一をはかるための話し合いをしたらどうかということは申し上げておりません。おりませんけれども、いま御指摘のありましたとおり、ほんとうにこれは大事なことであり、国民コンセンサスは、やはりまずもって政党間のコンセンサスが必要でございますから、この点は私も総理に申し入れるつもりでございます。ただ、そのことによって解決されるということの見通しについては、これはむしろ総理党首皆さま方との話し合いの結果でございまして、見通しをつけるということは、私からは申し上げる筋合いではございませんが、そのことも一つ方法であろうと。私ども一つの目標のもと国民に対していろいろなお訴えをすると同じように、党首間においてもお話し合いをしていただくということは、私個人的には賛成でございますので、総理にはひとつその意味も含めて申し入れをいたすつもりでございます。
  19. 川村清一

    川村清一君 私は党首会談と申し上げましたが、ただし、党首会談だけにとらわれているものではございません。先ほど申し上げましたように、各政党意見が違う。まあしかし社会党主張しておることは、または、われわれは、これは歴史的に考えてみても、地理的に考えてみても、あるいはサンフランシスコ条約、さらには、あの条約を批准する国会議論、こういったようなものを全部調べて、その経過の上に立ってわれわれはわれわれの主張が正しいという、そういう見解主張をしておることは了解されると思うわけでありますが、そこで、われわれがわれわれの考えをまたここで重ねて申し上げておりますれば議論になりますし、時間がかかりますので、それはいたしませんが、いずれにいたしましても、国論が分かれておっては、この重大な問題を解決するということはできないと思うわけであります。したがって、何とか各党意見を一致して、そうして統一した大きな力で、全国民のこの運動を背景にして、やはり返還要求をしていかなければならないと思いますので、ひとつ、形にとらわれませんけれども、どうかひとつ各党意見が一致されるように本名長官努力していただきたいということを要望するわけであります。  最後に私申し上げたいのは、この北方領土返還実現のためには、何といいましても日ソ両国親善友好を強力に進めていく。そして平和条約をすみやかに結ぶと、こういう中で領土返還実現する、そういう交渉を進めていかなければならないと思うわけであります。つまり、領土返還運動平和条約促進運動というものにならなければなかなかむずかしい。日ソ親善友好運動と分離した形で、片面的な領土復帰運動は、いたずらに反ソ運動につながったりしてソ連政府を刺激し、領土復帰を困難ならしめるものであると私は判断しております。でありますから、表は領土返還運動である、同時にそれは友好親善運動であり、平和条約促進運動である。こういう形でとらえで運動を展開していくように、この対策本部の御指導を私は願いたいと思うわけであります。そして、いよいよこの秋から日ソ平和条約締結について外交交渉が開始されると聞いておるのでありますけれども、一体この交渉というものは現在どのような形で進行しているのか。まあこれは外務大臣のやることでありましょうけれども長官はどう現在の姿を存じていらっしゃるのか、この点についてお伺いして、私の本日の質問は終わりたいと思います。
  20. 本名武

    国務大臣本名武君) お話のございましたとおり、やはり大前提は日ソの親善がいかように進展し、そしてそれが実を結ぶかということが大きな目標であり、また、われわれも心からそれを願いつつ、今後も一そうの努力をしなければならないことは当然でございます。同時にまた、平和条約領土返還につきましては、これはやはり話し合いの過程におきまして、平和条約が調印されるときには当然領土問題も決定するという運びに至ることはまことに望ましいことであると考えております。したがいまして、御指摘のように、反ソ的な考え方に立つというようなことがごうもあってはならないという考え方で推し進めていかなければならないと考えております。同時にまた、幸いに今月から一応平和条約締結への話し合いの、しかもその地ならしと申しますか、下相談の第一歩が展開されようといたしていることはまことに喜ばしいことであると同時に、ただいま御指摘のありましたような点に十分留意をして、でき得るならば、今年中にかなりの話し合いを進めていき、また、九月のソ連との接触はおそらくはソ連大使を通じての話し合いから始まると思いますが、時を追いまして、あるいは下話の進展いかんによっては、それぞれさらに上の責任者との接触も深めていって、一日も早い機会に平和条約締結へのめどをつけたいという気持ちで、外務省ともいろいろと連絡をとりながら進めている状態でございます。
  21. 藤原房雄

    藤原房雄君 本日は、川村理事からもお話ございましたように、就任されて初の委員会でございます。また、十一日から沖繩に私ども委員派遣で行ってまいりますので、そういうことを考え合わせますと、本格的な議論というのは、実際に沖繩に行って、現地のいろいろな事情を聴取したそのあとになるかと思うのでございますが、当面する問題、何点かにつきましてお伺いしたいと思います。  最初に、新聞社の世論調査等からみましても、復帰してよかったというのは五五%、よくなかったというのが二二%ですか、その他が一三%、よかった理由として、日本祖国だからというのが二〇%、そのほか渡航の自由とか、異民族支配から脱却したとか、日本国民としての基本的な人権の回復とか、こういう理由をあげているという、このようにデータが出ておりますが、沖繩県民の心というものは、端的に、復帰した一月余りの後に世論調査がなされたようでございますけれども、私どもとしましては、非常に考えさせられる問題があると思います。いずれも当初復帰によって考えられた現実というものはなかなか夢であって、道が大きく開くということにはならない。復帰してよかったということも、精神的なものに大体は重点が置かれている。それだけに、今日まで復帰努力した山中前長官、また県民の皆さまはもちろんでございますけれども、山中長官努力もさることながら、復帰後の今後のこの県民にこたえる長官としての立場というものは非常に重要であろうかと思うのであります。これがまた本土の私どもはあたたかく迎えようという、こういう標語で当初はずいぶん叫んだわけでありますけれども、実際今後私どもはどういう取り組み方をするかということは、県民としては非常に関心の深いところであり、それだけに本名長官の決意というものもなみなみならぬものがあろうかと私は思います。それらのことをあわせまして、本日最初に本名長官の決意といいますか、今後のあり方につきまして最初にお聞きしたいと思います。
  22. 本名武

    国務大臣本名武君) 復帰実現いたしまして、率直に申し上げて県民皆さんにはいろいろなそれぞれのお立場、あるいは生活環境、生業等によっていろいろなお立場で感じ方が違うと思うのでありますが、違うということ自体が私は決していいことではなく、むしろ不幸なことであるとさえ考えております。しかしそれはなぜそうなったかということはもういまさら申し上げるまでもございませんが、やはり具体的には今日の日本全体の中における沖繩生活の基盤や、あるいは経済、産業の基盤等々はやはり相当おくれているということがわれわれは見のがすわけにはいかない。したがって、これらのことを一日も早く解決しつつ格差をなくし、そして沖繩県民がひとしく豊かな平和な福祉生活ができる状態をつくり上げなきゃならぬということをまず念頭に置いて、それに向かって努力をしなければならないと思うわけであります。特に私は、日本本土の中におきまして沖繩の持つ特色というものは、これはちょっと本州ではなかなかまねることのできないものもあるということ、それは大いに生かすべきであるということも考えております。亜熱帯地帯であるとか、あるいは東南アジア諸国に最も近い地形にあるとか、あるいは海をはじめとしておかも、とにかく本土の、特に太平洋地帯に見るようないろいろなわだかまりはまだそうはないんだ、こういうようなところへもってきて、やはり私は沖繩の持つ伝統的な歴史というものをりっぱに生かしていくような姿も残していかなきゃならぬじゃないか、育てなきゃならぬじゃないか。これらのことは本土でまねしようと思ってもなかなかまねしにくいところがたくさんある。これらの特色を生かすためには一体どういうような処置をしたらいいかということであります。それにつきましては、ただいま御案内のとおり、県におきましては振興開発計画を御策定中でございます。それらの成案と相まって、さらに具体的な施策を講じて、これらの目的を達成するために努力をしてまいりたいと考えております。
  23. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま長官がおっしゃっておりましたけれども、まことに本土とは違った沖繩には沖繩の特色があります。これを新全総等、本土と同じような考え方で網をかぶせてしまってはならない。やはり現地の現況というものをよく勘案しなければならない。特に最近自然破壊や公害の意識というものが非常に高まり、この公害のために悩む人たちもだんだんふえ続け、当初大きな規模の工業の導入というようなことも考えられておったようでありますけれども、最近はやはり沖繩は、現地の声としましては、観光事業やまた農業、牧畜、水産業というものも度外視してはならないという、こういう意見が非常に強くなっておる。こういう点、ひとつ振興開発計画をなされる段階におきまして十分に配慮して進めていただきたいと思うのであります。  次は、沖繩にはいろいろな山積した問題がございまして、一つずつ申し上げる時間はとうていございませんので、後日、視察を終えてまいりまして、それらの問題につきましては取り上げてまいりたいと思いますが、やはり総括して考えますところ、復帰後いろいろな隘路になっておる問題、その打開のために何が足りないのか、そしてまた現地の方々県民の声としまして、やはり国と県と、そこに米軍という存在、三者の問題が必ずつきまとってくる。基地を除いて、また米軍の問題を除いて沖繩の問題は考えられないというほどこれは大きな問題だろうと思います。復帰になってから非常に不便といいますか問題になりますことは、直接に交渉相手である地元沖繩に駐留する米軍との交渉ではなくして、外務省を通じて在日米大使館、それから防衛庁を通じて在日米軍、こういうルートでやらなければならない。B52の飛来や米軍軍人の犯罪、それからまた基地の労務者の問題等山積する問題があるわけでありますけれども、こういう問題のスピーディーな解決のためには、やはり現地に協議会のようなものを設けて、地元の問題は早くに処理のできるような姿というものが必要ではないか。総合事務所等、政府機関いろいろありますけれども、現在沖繩の置かれた立場としまして、どうしても現地で処理のできる問題は早急にできるような体制というものが考えられなければならないのではないか。当然これは外務省をさておいて、防衛庁をさておいて、地元だけでということでは私は決してない。そうではなくして、やはり現地の意見というものがスピーディーに解決する、こういうものを考えるべきじゃないかと思うわけでありますけれども、この問題につきましては長官どのようにお考えになっていらっしゃるか、今後の構想等お考えがございましたらお聞きしたいと思います。
  24. 本名武

    国務大臣本名武君) 御指摘のように、復帰後におきましては、沖繩の特殊な事情である非常に膨大な基地が各地に点在し、それも全面積に占めるシェアが非常に大きいということは、まさに本州とは相当の違った、しかもある意味では非常に困難な問題もたくさん内蔵するであろうということは十分に承知いたしております。したがって、私どもは、まず前提となることは、やはり適当な時期に基地の返還を求めて、それを有効適切な、いわゆる公共的な、あるいは住民福祉のために、その他有効な活用をはかるということにも努力しなければならないと思うわけでありますが、これらに関連しても、いわゆる米軍との関係におきましても、復帰後において数多くの問題が横たわっておることも承知いたしております。これらはやはり二十七年間の施政権下にあった歴史を踏まえながら、現地の皆さん方のお考え、あるいは現地の皆さん方のこの問題解決に対処する態度、方針等を十分に承知した上、政府としてもこれに対して大いに力を入れて助力しなければならない。また、内容によりましては、政府みずからが解決しなければならぬ問題もあろうと思いますが、それはそれぞれの問題について今後解決をすみやかになし得るように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  25. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もありませんので概括的なことしか聞けませんが、スピーディーな解決、なんといってもこれが待たれるわけであります。それに伴いまして、いろいろ問題があるわけでありますが、その前に海洋博の成功というものも沖繩県民の、今後の沖繩の発展のためにはどうしてもりっぱに成功させなければならない。これは私が云々するまでもないと思いますが、しかし、いろいろ伝えられるところによりますと障害があるようであります。先ほど長官からもいろいろな問題について足らざるところは補うということばがございましたけれども、この海洋博の成功、これが大きな沖繩の発展につながるということからいたしまして、本土から総力をあげて応援、バックアップして、みごとなる成功ができるように鞭撻といいますか、すべきではないかと思います。  それと先ほどのスピーディーな問題の処理のために努力するということでありますが、一向に解決していない問題もたくさんありますが、その中の一つとしまして米軍の水道料金の問題です。これも先月の二十日前後ですが、それ以前から問題があったわけでありますけれども、外務委員会でも問題になりまして、外務大臣からもこの問題につきましては紛争の起きないように解決に努力するという、こういう答弁もあったわけでありますが、それからもう半月ほど経過いたしました。こういう問題をいつまでも解決せずに置くということ自体が、県民にとっては納得のいかないことであり、こういうことの早急な解決ということが県民に対してまた大きな力を与えることになろうかと思います。この問題につきましては、大きく取り上げなければならない問題で、十分や十五分で審議が尽くされる問題ではございません、まことに残念ではありますけれども。まずこの米軍の水道料金の問題につきまして外務省、開発庁、厚生省もいらっしゃっていると思いますけれども、それぞれの立場で現在までの経過といいますか、どういういきさつになっておるのか、そうしてまた今後に対する対策等につきましてどう考えていらっしゃるのか、まず最初にその見解をお伺いしたいと思います。
  26. 国川建二

    説明員(国川建二君) 沖繩におきます米軍に対する給水の問題で、今日までの経過でございますが、御承知のように、復帰前米軍が有していました水道施設と琉球水道公社の施設、これは復帰に伴いまして沖繩県に承継されまして、即日沖繩県が市町村に対しまして水道用水供給事業を創設して今日に至っているわけでございます。  で、現在そういう給水の問題に関しまして、米軍のほうは従来どおり県営水道から給水を受けたいという希望を申し出ているわけでございます。県並びに市町村のほうはそれに対して意見を提出しているわけでございます。で、私どもこの問題につきましては、復帰前よりこういう問題があるいは起こるかもしれないということで、復帰前にこれを円満に解決することができると思いまして、かねてから指導してまいったわけでございますが、復帰前後を通じましていろいろな他の業務との関係がございまして、今日なお完全に解決していないわけでございます。  この水道の問題につきましては、当然水道法という法律のもとに沿いまして措置することになろうかと思いますので、私どもも早急に県並びに市町村に対しまして、関係当事者間との協議を進めまして、できるだけ早くこれが解決するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  27. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは先月の二十二日ですか、外務委員会外務大臣発言があったんですけれども、その後外務省としては何かこの問題について処置したことがございましたら……。
  28. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま厚生省のほうから御説明がございましたように、この問題につきましては、復帰前における沖繩の米軍の水道の状況、それから返還に際しましての返還協定に基づく法律的なたてまえ、それから返還後におきます水道法等、国内法令との関係、それから復帰後におきます水道の給水の実情等々、非常に関連する問題も多いようでございます。したがいまして、ただいま厚生省のほうから御説明がございましたように、実際の仕事に携わっておられるところにおいてこれらの問題を勘案して、なるべく早く実態、実情も踏まえながら何らかの解決をはかるように、せっかく御努力中のところと思いますので、外務省といたしましても、そうしたものには、特に外務省の関係では返還協定と、あるいは地位協定というような問題も踏まえながらお力添えをしていきたい。米側との関係もそういう形で、正式にこの問題が上で論ぜられる、米国との間で、上の正式のレベルで論ぜられる段階になりますれば、またその場でも外務省としてのお力添えをして解決の促進をはかりたいというふうに考えております。
  29. 藤原房雄

    藤原房雄君 長官はどうお考えですか。
  30. 本名武

    国務大臣本名武君) ただいま厚生省、外務省、それぞれ所管の事項につきまして御見解の発表があったわけでありますが、基本的に私どもは、やはりこういう問題は生活基盤の一番の根幹をなす問題でありますから、いっときも早くこれは解決しなきゃならぬということで考えておりました。たまたま、今月の初めのころでありましたが、正式に知事さんから、こういう問題があるので、これに対して善処してほしいという申し入れがありました。したがいまして、私のほうとしては、やはりいま両省からお話がありましたことが根幹ではございますけれども地方における県と市町村との関係において、まずしっかりしたお打ち合わせをいただいて、その上に立ってこれが解決にあたるようにいたしたいと思いますが、ただ私ども考えとしては、外交上のいろいろな、たとえば返還協定でありますとか、地位協定の問題もありましょうけれども、本土に復帰したからには、やはり前提としてはこれは水道法によって実施しなければならないというたてまえはくずしたくないという気持ちで、それに向かって解決をしたい。たまたま折衝の窓口であり、また所管の省である厚生、外務省にも、その後におきまして開発庁としても接触を重ねておりまして、先ほどお話があったような状態になっているわけでございます。
  31. 藤原房雄

    藤原房雄君 復帰前からこういう事態が起こるかもしれないという、そういうことで指導してきたという先ほどのお話でございました。外務省ではまだ外交レベルで話し合うまでには至っていないということのようでありますが、当然厚生省の管轄として、復帰前から行政指導、また、その準備に当たってきた厚生省が十分な準備が進められないために、今日このように問題がよけい大きくなったというこの責任は非常に重大であろうかと私思います。いろいろな複雑な問題があって解決しないんだということで終わっておりますけれども、どういう問題がからんでいるのか、これはもう私どもの毎日の生活に欠かせない水の問題であります。しかも、市町村の自治体としましても、財源として非常に重要な位置を占める、この不払いというものはたいへんな支障を来たすことは、私がくどくど述べるまでもないことだと思いますけれども、それだけに早急な解決を待たなければならないと思うんですが、何が一体この問題を解決し得ない障害になっているのか、複雑な事情というのは一体何なのか、この点国民の前に明らかにすべきじゃないかと思うんですがどうですか、厚生省。
  32. 国川建二

    説明員(国川建二君) この問題につきましては、琉球水道公社の施設を県が引き継ぎまして、県が初めて水道用水供給事業という事業を行なうことになるわけであります。県にとりましては初めての事業でもございますので、県と市町村との関係、あるいは従来から続けておりました米軍への給水の方法、そういう形態につきまして、あるいは問題が残るということではございませんで、私ども復帰前に、復帰の時点におきまして十分合理的なと申しますか、円満にかつ合法的に措置ができるということを考えておったわけでございまして、このようなことになるとはもちろん予期していなかったわけでございます。そういう観点から、かねてから当時の琉球政府等に対しましてもいろいろ助言してまいったのでございまして、まあ予期しない結果になったわけでございますけれども、複雑な事情と申しますのは、施設の形態が当時の、当時と申しますか、引き継ぎました県営水道と市町村への分水の形態、いろいろ基地も先ほども話がございましたけれども、かなり数が多うございまして、市町村の行政区域にまたがるような場合等もございますし、それぞれの具体的なケースにつきまして給水方法等を詰める必要があるということから従来指導してまいったわけでございまして、そういうことが現在なお残っておる部分もございますので、県並びに市町村との間でいま鋭意問題を煮詰めている、問題と申しますか、この作業を煮詰めている段階ということでございます。私が申し上げました事情はこういうことでございます。
  33. 藤原房雄

    藤原房雄君 そうすると、返還協定の六条の第一項に引き継ぐべき義務が存在するかどうかという問題、まずこの書簡、いわゆる五月十日付の給水契約についての書簡の効力の問題とか、これは一つ一つ申し上げなければならないと思いますけれども、大づかみに申しますと、この問題と、それから日本国に引き継がれる権利義務の問題とか、こういうことではなくして、いま厚生省のお話ですと、施設の形態という、こういうことで市町村と県との間の話し合いがつけばこれは解決するということですか。どうですか。
  34. 国川建二

    説明員(国川建二君) そういうものもあると申し上げたわけでございまして、実態的にはやはりそういう給水の方法等を事務的にも詰めていく必要があろうということを私ども考えておるわけでございまして、水道法と申しますか、水道法に基づきまして県営あるいは市町村の水道が営まれるわけでございますので、その辺をまず手初めにと申しますか、まずそういうことから作業を進めていく必要があろう。そのほか先ほど来外務省のほうからお話ございましたような関連につきましても、問題についても解決をはかっていく必要があろうと思っております。
  35. 藤原房雄

    藤原房雄君 復帰の二、三日前に一片の書簡で、その書簡の持つ効力といいますか、力というものがどういうものであるか、この点につきましてもいろいろ議論したいところでありますけれども、それが一つの米軍の言う、主張する根拠になっているわけであります。いま厚生省の答弁は、厚生省を中心にした施設の形態云々ということで、それもまああるという、本名長官、先ほど私申し上げましたように、水の問題一つ取り上げてもそういうこともあるけれども、私のほうはこうなんだという、こういう言い方ですよね。厚生省としては自分の担当のこと、そのほかにも外務省の関係のことも、返還協定についての云々のこともあるでしょう。ですから開発庁がよほどリーダーシップをとってこれを調整しなければ、いつになったって解決しないということですね。復帰前からこういうことが予測されたいという。復帰前には沖繩国会といわれてあれだけの日数をかけて準備はだいじょうぶか、問題は起きないかといって各委員が入れかわり立ちかわりいろんな問題を提起したはずです。また、行政当局もそれに対しては十分な体制を整えますと、まありっぱな答弁をしたはずであります。ところが復帰してまだ二月、三月の間にどうも大事な水の問題、沖繩で水の重要なことは私が云々するまでもないことでありますが、しかもこれが市町村の財源として、また市民の水を確保するためにそれが大きな財源になっていくことを考えますと、これはたいへんな問題だろうと思います。これがいまちょっとわずかな時間でありますからあれでありますけれども、なかなか解決し得ないところに沖繩の問題があろうかと思います。まあこういう問題をスピーディーに解決するためにこそ沖繩開発庁があろうかと思いますけれども、これはひとつ沖繩にとりまして、沖繩だけのことではなくて、あたたかく迎えるといった本土の私ども責任とも考えなければならないと思いますけれども、早急にひとつこの問題の解決のために、詰めなければならないなんて、そんなのんきなことを言っているのではなく、復帰以前からそしてまたこの問題提起ももう前から言われているわけでありますから、ひとつ早急な解決、これはひとつ内閣として全力投球で取り組んでいただきたいと思いますが、長官どうですか。
  36. 本名武

    国務大臣本名武君) 先ほど申し上げましたように、水の問題はひとりこの基地用水にとどまらず、先ほどお話のありました海洋博を初めといたしまして、緊急に対処しなければならぬ問題でございます。したがって、水の問題、給水全体から考えますと、基本的に水源から始まって給水に至るまでのいろいろな措置をとらなければならないことは当然であります。したがって、私どもの今後の水の始末については、それぞれ計画及び予算に計上いたしまして処置をいたしていくつもりでありますが、先ほど簡単に私は水道法によって事を処理すべきであるという見解だけは申し上げましたが、さてこの問題につきまして、御指摘の問題につきましては、先ほど来お話もありましたとおり、復帰前、五日前に調印されたその約束事は一体どうなのかということから始まりまして、実質的には市町村の維持、管理、所有にあるべき水道施設というものが、円滑にそれが行なわれているかどうかということも、実は早く解決するための手段として早急に見きわめなければならないことだろうと思うわけであります。そういうようなことについては、私ども外交上の問題、あるいは水道法の運用については直接口をいれることはできないかもしれませんけれども、関連のあることでありますから、これの問題解決のためには私どもの立場から関係省に対して強く申し入れをし、また、いまのところは事務的にはそれぞれ折衝いたしまして、早期解決に努力をいたしているようなわけでございます。それ以上さらにその関係省の話が進んでまいりまして、問題点が明確になり、同時にそれを早急に解決するためには、御指摘のように政治問題として取り上げるようになるかどうか、あるいはまたその時期がいつかということにもなりますが、いずれにいたしましても、早急に解決されるように私どもとしては一生懸命努力をいたすつもりでございます。
  37. 藤原房雄

    藤原房雄君 この国内法の樹立ということにつきましては、相模原の問題以来、米軍のいままで占領時代の意識というものが残っておって、いろいろなところに問題を提起しておる。この水の問題にいたしましても、結局は国内法を守らせるかどうかという政府の強い姿勢というものがここにやはり出てくるのではないか、そう思うわけであります。そういうことからいたしまして、特にこれが沖繩での問題であるだけに、いま長官からお話ありましたような強い決意でこの解決にひとつ一そう努力をお願いしたいと思います。  もう時間もまいりましたので、最後北方領土のことについてもちょっと触れたいと思います。  私も北海道出身でございまして、長官が今度総務長官になられたということは非常に今後のこの沖繩返還の後に残された北方領土の問題と取り組むためにはまことに喜ばしいことだと思います。北方領土には実際人は住んでいませんけれども、問題はたくさんあります。残された方々、旧居住者に対するあたたかい対策というものも十分に考慮しなければなりません。現在一万二千人ですか、元居住者の方々がいると言われておりますけれども、それらの方々に対する施策外交上の問題につきましては、先ほど川村理事からもいろいろお話がございました。これはまた大きな立場で推進するとともに、総務長官としてなし得られる問題につきましては、いままで歴代の総務長官もいろいろな努力をなさったことは、これはもちろんでございますけれども、当地を地盤とし、当地の事情をよく御存じの本名長官がいままでのどの長官もなし得ないようなきめのこまかい施策というものをぜひとも進めていただきたい。これを私は心から願うわけでありますが、いろいろな問題がございますけれども、時間もありませんので一、二だけ申し上げますが、やはり北方領土問題対策協会の法律が一部改正されまして、貸し付け金の限度または利率、償還期間、こういう問題については、六十八国会ですか、これでだいぶ緩和されたようでありますけれども、しかし、まだまだ現実にそぐわないいろんな問題があります。住宅資金にいたしましても、現在百万や二百万の家なんか建つわけもございませんし、こういう現実を踏んまえて、やはりこの元居住者、元島民の方方の生活に必要な資金としまして、やはりこれらの方々が十分に老後を楽しんでいけるような施策が必要ではないか。現在、ほとんど旧居住者の方々は年配になっていらっしゃいます。それらの方々に対しての十分な対策を講ずべきであろうと思います。特に、大体根室市それから根室支庁管内に集中的にいらっしゃるわけでありますけれども、根室市へ行きますとおわかりのように、マッチにしましても、はがきにしましても、PRには相当心を使って、乏しい市の財源の中からこのPR活動をやっておるわけであります。まあ国は相当大きな予算を組んでおりますけれども、それほど目立たない。しかし、根室市、支庁としましても、道としましても、実にきめこまかなことを積み上げてやってきておりますが、こういう啓蒙運動に対する援助、また安全操業、遭難等ありますと、その家族に対して市としましても独自にいろいろ財政的にもバックアップしておるわけでありますけれども、こういうものに対するやはり市の乏しい財政の中からもいろいろなさっている現況を踏んまえて、これらに対してもう少しあたたかく見てあげるべきじゃないか。また、地方交付税の基準財政需要額の算入の問題につきましても、これはやはり一つ考えるべき問題だろうと思います。  それから、この北方領土問題対策協会の市町村貸し付け資金ですね、この融資事業適用範囲の拡大、これは前の国会のときに当委員会で山中前長官に私いろいろ説明を申し上げまして、前向きで検討するというお話もございました。ぜひひとつ本名長官のときに、まあ根室に元居住者の方が多いわけでありますし、それらの方々が特に多い町内があるわけでありますけれども、そういうところに対してやはりこの老人センターとか、福祉センターとか、保育所の建設とか、こういう身近な問題について十分な配慮をするということで、貸し付け融資事業の適用の範囲を拡大するという、こういうこともぜひ必要ではないかと思います。根室市といたしましても、東の端で、これという大きな企業もあるわけでありません。やはり国がそれ相応にバックアップしていかなければならないんじゃないか。そのほかいろいろなことがございますけれども、どうかひとつ、本名長官もこの北方領土の元居住者の血の叫び、これをまのあたりに見ていらっしゃり、詳細に実情を知っていらっしゃる長官、どうか地元方々の納得のいくような方向で、この問題を一つずつ解決し、推進していただきたいという、このことを心から願うわけでありますけれども、これに対するお考え最後にお聞きして終わりたいと思います。
  38. 本名武

    国務大臣本名武君) お話のございましたとおり、北方領土問題の解決以前の問題として、やはり旧島民の方々や、あるいは旧漁業権者、あるいは拿捕、抑留者の問題等々、安全操業に関連していろいろな問題があると同時に、やはり旧島民に対する手厚い処置をなさなければならないということで、今日まで処置をしてまいったわけでありますけれども、どうも考えてみますと、これだけでは満足どころでない、ほんとうに何といいますか、寸足らずで、表現は悪いのですが、むしろ御迷惑じゃないかというぐらい非常に貧弱だと私も痛感して、陰ながら今日までいろいろ政府に申し入れてまいったんでありますが、お話にもありましたが、今回私がこの責任を負うということになりまして、これらのことについてひとつ改善をやろう。したがって、融資の条件であるとか、あるいはその用途の制限であるとか、たとえば保育所、老人ホーム等々についてもぜひ検討を加えたい。さらに、総じてこれらの問題に対する予算といたしましても、実はいろいろ財政当局の要求の制限はございますけれども、前年度の三倍に近い要求をいたしまして、いま御指摘のようなことにできる限り充足をしてまいりたいと思っているわけでございます。内容等につきましては、審議官のほうから御説明させたいと思います。
  39. 大屋敷行雄

    説明員(大屋敷行雄君) 旧島民の方だとか、あるいは旧漁業権者の方々に対する援護につきましてはいろいろございますが、その中心になるのは、やはり北方領土問題対策協会がやっております融資事業、これが中心になっておるわけでございます。それで、この措置につきましては、先日の通常国会で法律を改正しまして、いわゆる長期融資の制度というものを導入しまして、対策協会が他の金融機関から借り入れし得ると、こういう制度を初めて導入したわけでございます。それに対しまして、いわゆる利子補給というのを政府の補助金でやっておるわけでありますが、この措置によりまして、従来一億七千万程度の融資ワクが本年度は四億程度に拡充しておるわけでございます。この方法によりまして、ただいま先生からいろいろお話がございました住宅資金とか、あるいはそのほか漁船の建造とか、あるいは奨学資金とか、そういういわゆる事業資金、なお生業資金といいますか生活資金、そういうもののワクを大幅に引き上げまして、本年度は現地の皆さま方の需要に応じ得るだけの措置はまあ講じてあるつもりでございますが、しかし、この資金の需要関係といいますのは、やはり物価とかあるいはその時代時代の経済事情を反映しますので、この四億円というものを固定しないで、やはり現地の御要望に応じまして今後も検討、改善いたしたいと、こう考えております。
  40. 星野重次

    委員長星野重次君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会