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1972-08-10 第69回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————    委員異動  七月十二日     辞任         補欠選任      佐田 一郎君     塩見 俊二君      平島 敏夫君     長田 裕二君  七月二十六日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     黒住 忠行君  八月八日     辞任         補欠選任      伊部  真君     辻  一彦君  八月十日     辞任         補欠選任      辻  一彦君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         長田 裕二君     理 事                 江藤  智君                 鬼丸 勝之君                 木村 睦男君                 森中 守義君     委 員                 稲嶺 一郎君                 黒住 忠行君                 山崎 竜男君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 瀬谷 英行君                 辻  一彦君                 藤田  進君                 三木 忠雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  佐々木秀世君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        人事院事務総局        給与局次長    今村 久明君        人事院事務総局        職員局参事官   後藤 敏夫君        行政管理政務次        官        山崎 竜男君        行政管理庁行政        監察局長     小林  寧君        防衛庁防衛局運        用課長      上野 隆史君        法務省刑事局刑        事課長      根岸 重治君        運輸政務次官   加藤 六月君        運輸省港湾局長  岡部  保君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  中村 四郎君        運輸省自動車局        長        小林 正興君        運輸省航空局長  内村 信行君        海上保安庁長官  野村 一彦君        労働省労政局長  石黒 拓爾君        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君    参考人        日本物理探鑛株        式会社技師長   渡辺  健君        日本民営鉄道協        会理事長     佐藤 光夫君        全国霊枢自動車        協会会長     久後治之助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (残存機雷によるしゅんせつ船爆発事故に関  する件)  (民営鉄道経営に関する件)  (身延線の合理化問題等に関する件)  (航空行政に関する件)  (霊柩自動車運営に関する件)     —————————————
  2. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  先般、運輸委員長選任されました長田裕二でございます。経験も乏しく、非才でございますが、皆さま方の御協力、御支援をいただき、私自身も努力いたしまして、この重責を果たしたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)  なお、木村委員長からごあいさつがある予定でございましたが、都合により本日は登院されないということ、また、委員長在任中、委員皆さま方の御協力に対し、厚く御礼申し上げる旨の連絡がございましたので、御報告いたします。     —————————————
  3. 長田裕二

    委員長長田裕二君) まず、委員異動について御報告いたします。  塩見俊二君、伊部真君が委員辞任され、その補欠として黒住忠行君、辻一彦君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  4. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 次に、理事に一名の欠員が生じておりますので、補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事木村睦男君を指名いたします。     —————————————
  6. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 佐々木運輸大臣及び加藤運輸政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。佐々木運輸大臣
  7. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいま委員長より御紹介をちょうだいいたしました佐々木秀世でございます。  たいへん時期がおくれまして申しわけございませんが、先般の田中内閣の誕生にあたりまして、私が運輸行政を担当することに相なりました。  ちょうどいまから二十一年前に運輸政務次官という仕事を一回やったことがあるんですけれども、何せ時代の急速な進歩は、当時とはすっかり運輸行政が変わっておりまして、一年生から勉強しなければならないというような変わり方でございます。しかも、私はそれ以来、長い間、皆さん御承知のとおり、国会対策がほとんど私の仕事でございましたので、運輸行政はずぶのしろうとだと言ってもよいかと思います。  現下運輸行政は非常に大きな問題をかかえておりますので、今後とも皆さま方の力強いひとつ御支持、御協力によりまして、万全を期したいと思いますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。  以上、はなはだ簡単でございますが、ごあいさつを申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手
  8. 長田裕二

  9. 加藤六月

    説明員加藤六月君) 加藤六月でございます。  今回、佐々木運輸大臣のもとに政務次官を仰せつかりました。浅学非才でございますが、先輩の皆さま方の御指導をいただきまして、佐々木運輸大臣のもとに一生懸命勉強していきたい、こう思っておる次第でございます。よろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 長田裕二

    委員長長田裕二君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日、残存機雷によるしゅんせつ船爆発事故に関する件について、日本物理探鑛株式会社技師長渡辺健君。民営鉄道経営に関する件について、日本民営鉄道協会理事長佐藤光夫君。霊柩自動車運営に関する件について、全国霊柩自動車協会会長久治之助君を、それぞれ参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 長田裕二

    委員長長田裕二君) それでは、運輸事情等に関する調査を議題とし、残存機雷によるしゅんせつ船爆発事故に関する件について調査を行ないます。  渡辺参考人には、御多用のところを御出席いただき、まことにありがとうございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 去る七月十七日の十時五分ごろ、北九州港で、グラブしゅんせつ船第二十七瀬戸塩号が、投下機雷により爆発いたしましたので、その爆発事故について、その概況説明を求めます。
  14. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの御指示に従いまして概況を御説明申し上げます。  お手元に資料を配付申し上げたと存じますが、これによりましてかいつまんで御説明いたします。  まず、先生おっしゃいましたように、事故発生日時は、昭和四十七年七月十七日午前十時五分ごろでございます。  事故発生場所は、北九州港、門司区の部崎を回りまして九州の東海岸に曲がったところでございますが、太刀浦という地区に現在水深十二メートルの岸壁を築造いたしておるところでございますが、この岸壁予定法線より十三メートル前面の付近事故発生したわけでございます。  この事故発生の状況は、第四港湾建設局が、先ほども申しました太刀浦岸壁を築造いたしておるところでございますが、この岸壁工事のうち、床掘り工事と呼んでおりますが、岸壁の基礎をつくり上げるという、現地盤を掘ります工事でございますが、この床掘り工事施行中の瀬戸田海事工業所属の第二十七瀬戸塩号が、グラブを巻きおろしまして海底に接地させた瞬間に、海底に残存していたと見られる機雷に接触して爆発したわけでございます。このために、このしゅんせつ船は大破いたしまして、さらにこのしゅんせつ船に近接いたしておりました土運船が小破するという事故が起こったわけでございます。またしゅんせつ船の乗り組み員二名が重傷、二名が軽傷を負った次第でございます。これに関連いたしまして、この付近を通行いたしておりました船あるいは民家等の被害はございませんでした。  この事故原因でございますが、現段階、いろいろと第七管区海上保安本部調査をしていただいておるわけでございますが、関係者の証言並びに事故現場付近海底陥没孔の発見及び機雷の部品である磁気コイルが揚収されたことなどからして、機雷爆発によるものと推定されております。  この事故に伴いまして、発生後の当面の処置といたしましては、四十七年の六月八日に港湾局長通達で、機雷等探査を行なう場合には、従来どおり、まず磁気探査実施いたしまして、異常の感じられた個所については潜水探査を行ない、異常物除去した後に、さらに安全を確認することとしておったわけでございますが、今回の事故にかんがみまして、機雷探査の場合の潜水探査を行なった後の安全の確認方法といたしましては、再び磁気探査を必ず実施するという方法を採用しなければ非常に危険であるということが、今回の事故で明らかになりましたので、機雷除去を、こういう方法によりまして確認いたした上で工事に着手するというように、七月の十八日、私より各港湾建設局長あて指示をいたした次第でございます。  またこの磁気探査の問題でございますが、昭和四十六年度の運輸省科学技術補助金の交付を受けまして、日本物理探鉱が開発いたしましたポータブル型の磁気探査装置を、早急に製品化するように同社に対して要請をしているところでございます。  一応、以上が事故の次第でございますが、工事概要について若干触れておきますと、次の「工事概要」というところにも記載してございますが、この工事は、先ほども申しましたように、第四港湾建設局が発注いたしました直轄工事でございまして、請負人三井不動産会社でございます。そのうちの、この床掘り工事について、一部下請若築建設という会社実施をいたした次第でございます。そこで、このしゅんせつ船は、若築建設瀬戸田海事工業の船をチャーターいたしまして実施した工事であるというところでございます。  以上、非常に概略でございますが、爆発事故についての概要を御説明いたしました。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 その後、海上保安庁事故原因調査と、それから関係者捜査並びに調査をやっておられるようでありますが、その概要について御説明を求めます。
  16. 野村一彦

    説明員野村一彦君) ただいま港湾局長から御説明申し上げましたような事故が起こりまして、私ども事故発生後、直ちに門司本部を置きます第七管区海上保安本部が、爆発原因究明のための現場調査及び関係者からの事情聴取ということを行なったわけでございます。その結果、これはやはり過失という疑いが非常に濃厚になってまいりましたので、七月二十二日、第七管区本部内に捜査本部を設けまして、本格的に捜査を開始いたしたわけでございますが、若築建設九州支店など九ヵ所を捜索いたしました。そして同日、すなわち七月二十二日でございますが、若築建設会社門司工事事務所現場主任業務過失激発物破裂、これは刑法第百十七条の二に該当するわけでございます。及び同じく業務過失傷害、これは刑法の第二百十一条でございますが、の疑い逮捕をし、七月二十四日身柄とともに福岡地検小倉支部に送致いたしました。引き続き小倉支部におきまして捜査をされたわけでございますが、八月八日、その現場主任処分留保のまま一応釈放されております。  なお、第七管区において捜査を続けておりました結果、爆発原因及び過失責任の所在について、いろいろと捜査をいたしましたところ、八月七日、同じく若築建設門司工事事務所長、これに対するやはり容疑というものが濃厚になってまいりましたので、また同人を任意で調べるということにつきましては、証拠隠滅等のおそれがあったということから、八月九日に身柄とともに工事事務所長逮捕して福岡地検小倉支部に送致いたしております。小倉支部におきましては、いろいろと捜査をしておられますが、私ども第七管区のほうにおきましても、検事の指揮を受けて、ただいま補充の捜査をしておる、こういう実態で、ただいま捜査の進行中でございます。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 法務省からいまの捜査概況について御説明を求めます。
  18. 根岸重治

    説明員根岸重治君) ただいま海上保安庁のほうからお話がありましたように、福岡地方検察庁小倉支部におきましては、七月の二十四日に若築建設現場主任一名の事件送致を受けまして捜査いたしたわけでございますが、八月八日、勾留をして調べておりましたが、処分留保のまま釈放しております。この釈放いたしました理由は、他に関係者もありまして、まだ処分を最終的にきめるまでの捜査が完了していないという理由で釈放したわけでございます。さらに昨日、八月九日に至りまして若築建設門司事務所長を、やはり逮捕のまま事件送致小倉支部で受けまして、現在捜査中でございます。  以上でございます。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 もう一点法務省に質問いたしますのは、新潟で海麟丸爆発事件がありました。なお関門航路などにも、過去に数例投下機雷による爆発事件が起こっております。ところが、いままでは刑事事件として扱っておらないわけです。なぜ今回は刑事事件として捜査をされておるのか、その考えをお聞きしたいと思います。
  20. 根岸重治

    説明員根岸重治君) まことに申しわけありませんが、いまお示しの前の事件のこと私存じませんので、ちょっと申し上げられないのでございますが、今回の事件につきましては、最終的な事実関係確認は別といたしまして、ごく簡単に申しますと、問題の個所機雷が埋没している疑いがあるのであるから、それを十分に探査をして、その危険を避けるように工事を進めなければならない、床掘り工事を進めなけりゃならないのに、その指示等をせずに、不注意があったという点におきまして、業務上の過失疑いがあるということで事件が送致されてまいったわけでございます。さらに罪名といたしましては、機雷業務過失によって破裂させたことが刑法百十七条の二の業務過失激発物破裂罪に当たると、さらに四名の者をけがさせたことが業務過失致傷に当たるというふうな疑いがあるわけでございます。したがいまして、前の事件は存じませんが、今回につきましては、その疑いが十分あるということで、海上保安本部から私どものほうへ、検察庁のほうへ事件が送致されてきたものであるというふうに了解しております。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 海上保安庁長官、いまの発言ですが、いままで過去数例ありまして、海上保安本部としても刑事事件として扱ったことはない。なぜ今回の事件で、初めて二十八歳の青年の現場監督者過失業務致傷疑い逮捕されたかお聞きしたい。
  22. 野村一彦

    説明員野村一彦君) 今回の事件刑事事件として扱いましたその根拠でございますが、これは現場爆発現場付近磁気探査をいたしまして、また潜水探査をしていろいろと工事施行者あるいはその下請機関において調査をされたわけでございますが、特にガウスと申しますか、機雷等爆発のおそれのある個所が幾らか発見された中で、特にガウス度の高い場所が二カ所発見された。これはもう工事施行者によって確認されておるわけです。そのうちの一カ所につきましては、異常ガウス発生原因と思われる機雷を拾い上げてこれを海上自衛隊に頼んで処理をいたしております。あと一カ所の地点異常ガウス場所があったわけでございますが、これに対する安全の確認ということについて、当然異常に高い数値のガウスが出ておりますから、その第一の地点と同じような探査をやって、念には念を入れてこれを除去するということをやるべき、業務上の何といいますか、責任というものがあるわけでございますが、それを怠っておる。十分そういう注意をして業務を遂行しなければならない、そういう理由というものが現に現場において確認されておるわけです。ところがそれを怠っておると申しますか、あるいはきわめて不十分にしかやっていないということで、やはりこれは重大な過失をしたのだ、業務遂行に関連して。そしてその結果人を負傷させておるという判断でございまして、いままでの事例に比較いたしまして、もう非常に場所がはっきりしておる、それから具体的な原因というものが相当わかっておる、にもかかわらずそれに対する十分責任ある調査探査あるいは除去措置というようなことをやらなかったという証拠を得た。そういうことから刑事事件として扱ったというのが私ども考え方でございます。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 この工事請負をやらせ、発注したときの港建考え方を言っていただきたい。いろいろ問題ありますけれども、時間が少ないものですからはしょってずっと質問しますから、要点要点質問しますから。  そこで、この工事港建から発注しまして元請、下請孫請にいっているわけですが、まずその工事契約方法をちょっと御説明ください。
  24. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの御質問でございますが、工事を発注いたしました第四港湾建設局といたしましては、まずこの工事に至ります前提といたしまして、昭和四十六年度末までにこの付近磁気探査を完了いたしております。これは第四港湾建設局が直接に実施をいたした次第でございます。そこで工事発注にあたりまして、第四港湾建設局はこの磁気探査結果の異常点潜水探査及び最終の安全確認請負工事に含めて発注いたした次第でございます。この工事は金額二億八千四百万円でございまして、工期は昭和四十七年六月十七日から昭和四十八年三月二十五日で、三井不動産との契約を締結いたしたわけでございます。そこで今回の事故下請人でございます若築建設岸壁床掘りしゅんせつ工事の作業中に発生したものでございますが、第四港湾建設局三井不動産との契約に際しまして、危険海域における工事安全施行というものを確保するために、一般の仕様書以外に特別の仕様書と申しますか——特記仕様書と呼んでおりますが、特記仕様書の中で、床掘り施行に先立ち、磁気探査成果による異常点個所二万九千四百五十六平方メートルを潜水夫等により探査を行ない十分安全を確認するよう指示しているところでございます。請負人がこれによります潜水探査等を確実に実施したかどうかという点については、先ほども御議論ございましたように、今回の事故問題といたしまして現地において調査中であると申さざるを得ない次第でございます。  また、今回の機雷爆発事故に関しまして、国の監督職員の当然問題はあるわけでございますが、この契約のときの契約書仕様書及び設計書により、必要があるときには工事施行に立ち会いまして、工程の完備、材料の検査または適切な指示を行なうというのが国の監督職員の任務でございます。そこで監督立場といたしまして、特にこの問題に対しましては非常に危険があるから十分やれということを、これは監督職員と申しますか、監督職員補助員でございますが、現地におきまして相当に詳しく指示をいたして、再三再四潜水探査で十分探査するようにという指示をいたしております。しかしながら潜水探査というものの実情がどうであったかということについての問題点は若干残っておると思いますが、一応こういうような段階で、特に元請から下請との、いま先生のおっしゃいました関係あるいは国の監督職員現場関係等については、一応私ども考え方では、できるだけのことは国の立場としてしたのではないかという考え方に立っております。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 そこで磁気探査をやられましてガウスによって危険個所というものをちゃんと指定をして発注してあるわけです。そうして一カ所は機雷が出ています、探査の結果。同じガウスで一カ所は鉄パイプ等、小さい管が出ましたという報告で、これは関門港長、いわゆる保安部長に届けてあります。それをもって一応もうその探査及び機雷撤去終わりという報告をして、そして五日あと工事に着工して爆発しているわけですね。そこで海上保安庁長官、もう一回聞いておきますが、以前からこういう爆発がありましたものですから、あぶないところは港長なり、あるいは運輸省なりあるいは請負業者なり、ちゃんと集まって協議して、安全を確認した上で仕事をせいと通達が出ているのですね。そこでこれ、同じようなガウスで片っ方は機雷が出たのだからもう一回再検査をするというときには、港長にも報告が出ていますしね、保安部長にも出ております、現場から。あるいは港湾建設局ではちゃんと前もってわかっているのですからね。同じガウスでこちらが機雷が出たからこちらでももう一ぺん探査するということは、そんな第三請負現場監督者責任というよりも、むしろ私は国の責任じゃないかと思うのですが、いかがですか。これは保安庁長官とそれから港湾局長の両方から聞いておきたいのですがね。
  26. 野村一彦

    説明員野村一彦君) 海上保安庁立場からお答え申し上げますと、御指摘のように門司海上保安部長というのが関門港長を兼務いたしておるわけでございます。したがいまして、港則法に基づいて工事許可を、条件及び指導事項をつけまして許可をいたしておるわけでございます。それに基づいて探査をされ、それからいろいろと潜水探査とか磁気探査が行なわれております。で、事故が起こりました現在いろいろ反省いたしてみますと、探査報告確認という面について、結果としてこういう事故が起こったわけでございますから、いろいろもっと十分なチェックということができなかったかということはございます。ただ関門港長といいますか、港長港則法に基づいてやっております許可は、いろいろの条件をつけておりますけれども、これは書面に基づきまして審査をして、そして現実に海上保安庁としては、そういう現場でみずからこれを探査するとか調査をするという仕組みになっておりませんので、書面審査の結果こういうことが起こったわけでございまして、そういう点については、私ども監督行政立場港則法監督行政立場からいって今後改善を要する点があると思います。そこでこの点につきましては、冒頭に港湾局長が答えられましたように、今後は原因除去を行なった後も再度磁気探査をする、こういう方針を再確認をして、そしてこれをぜひ工事施行者あるいは監督者に励行していただくようにやりたいという考えでございます。そういう点が第一点でございます。  いずれにしましても、港長の権限というものは許可を与えるということでございますが、この点については書面審査ということで許可を与えざるを得ないし、それはまた、この体制というものは、私はこれはこれでやむを得ないと思います。したがいまして、実際に工事施行される主体あるいはこれを監督される立場の方、そういうような方が十分関係行政官庁で取りきめをいたしました線に沿って、再度の安全確認をするということをぜひ励行してやっていただきたいというように私どもも反省をすると同時に、また関係の機関にも要望をして、それを実行していただきたい、かように思っております。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 ちょっと港湾局長、重ねて答弁してもらいますから、一緒に質問します。この工事港湾建設局から三井不動産に注文されています。工事契約書はここにあります、二億八千四百万。そしてその工事若築建設という会社下請されています。その若築は、磁気探査については、もちろん、別にあとで質問しますけれども、ほかの会社を雇って磁気探査するし、潜水夫を雇って探査するわけです。以前からあれだけ問題になっています投下機雷爆発事故を、なぜ特記仕様書としてそういう下請あるいは孫請にやらせるのか。言うならば、このような重大なものは国が磁気探査し、国が機雷を撤去して、もうここはだいじょうぶだから工事をやれと発注するのが至当ではないか、再三再四この委員会でも問題になるんですから。孫請孫請にやらしといて、そしてそれを再度国として確認をしないで事故が起こっている。そういうところにこの事故原因があると私は思うんです。だから、港湾局の通達は見ました。事件発生通達が出てますけれども通達をやりましても、磁気探査やりなさい、再度やりなさいといいましても、それがまた今度は下請孫請にやらせますと同じ結果ですよ。そして、そのときに現場におりました現場監督者を刑事責任として引っぱるようなことは、私はこれはもう本末転倒じゃないかと思うんですよ。そういうことも含んで御答弁願いたい。
  28. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの先生のお話でございますが、第一点の問題につきましては、先ほど保安庁長官のお話とほとんど私ども考え方が同じでございます。繰り返して言わしていただくならば、私ども非常に現在反省いたしております点につきましてはっきり申し上げますと、事前の磁気探査が有効であった。そこで潜水探査をいたしまして、それで明らかに異物を除去して、そのあとでその安全を確認するという段階、ここの段階に対するわれわれの考え方が確かに甘かった点がございます。この点は非常に深く反省しているところでございます。そこで、今後といたしましては、事後の安全確認というものに対しまして、どうしても磁気探査をもう一回やるという方針に踏み切ってこれから実施いたします。  そこで、第二点の御質問の点でございます。まあ元請、下請等の関連、これは別といたしまして、現実の問題といたしましては、今後の私ども考え方をはっきり言わせていただきますならば、まず事前探査は当然工事の発注者である国が直接にいたす考え方で、これは従来どおりでございます。そこで、次にその安全確認磁気探査を使用するというところも、今後は発注者である国の立場でいたすことに方針をきめる予定でございます。そこで、ただこれを実際にどういう異物があるかという潜水探査の件でございます。この問題につきましては、非常に現実の工事の発注のテクニックといたしまして、これはおことばに反するようでございますが、今後とも、むしろ工事に含めたほうがいいんではないかという考え方を持っております。と申しますのは、今回の件でこういう事故が起きたわけでございまして、そこであえてこういうことを申し上げるのははなはだ変な話でございますが、実際に工事実施する業界、これがほとんど自分のところで絶えず使っております、あるいはまた孫請的なことでありましても、ほとんど系列化しておると申しますか、いつも使っておるもぐりを使うということが一番現実の問題としては扱いやすい、また仕事の指揮命令系統もわりにしやすい体制だというふうに私ども考えております。ただ、そこで今回の問題にからんで申し上げますならば、この安全確認を国の立場でもう一回やる、それでやはりまだガウス数非常に高いじゃないか、この異常点はおかしいじゃないかということで、さらにその潜水探査を続けさせるべきである、こういうふうに私考えておる次第でございます。したがって、今後もそういう方法実施をいたす所存でございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 いまの考え、いまの発言をもう一度確認しておきます。いままで探査をやったと、今度発注するときは特別に業者のほうに探査と、もし機雷があれば撤去をやらしておったけれども、再探査は国がやりますと、これをやりますということは、直接国がやるということですか。また下請孫請に請け負わせれば同じ結果です。その点いかがですか。
  30. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの点についてはっきり申し上げますが、潜水探査工事に含めて業者にやらせます。それからその再度の結果の確認、これはその工事と別に国が直接に発注をして実施するということでございます。
  31. 小柳勇

    小柳勇君 いまのやつ、これは潜水探査の失敗ですよ。探査の結果はガウスで数字が出ていますね、磁気探査では。潜水探査やりまして、入ったところが、まず第一発見したのは、潜水夫がおりていったら、たまたま棒を差し込む前に足で自分が踏んだというわけですよ。その機雷の胴体を踏んだから、これは機雷だということであげたと。今度は別のほうのやつも同じようにやってみたと、一メートルおきにやっていきますからね、棒で突いていくんだから。それはみたけれども棒は当たらなかったと。たまたまそこに鉄パイプがあって、小さい管があったから、たぶんこれだろうと思って、それでOK、という報告が出ているんです。それを今度は、そういうときは国が直接潜水探査下請業者にまかせば同じことです。高低があります、あるいは荒波がある、曇りがあれば磁気探査できないのですよ、これはあと渡辺さんにお伺いしますがね。そうしますと、工期がありますしね、まあ大体これで鉄パイプがあったからよかろうということでやっている。それが事故原因ですからね。直接やらなければ、これはもう業者にまかすんでなくて、潜水夫を国が雇うとか国が養成するとか、あるいは海上自衛隊に頼むとか、あとで掃海艇の能力についても質問しますけれども、国が責任を持ってやらなければ、結局同じじゃないかと思うんですよ。その点について結論が出てなければ検討すると言ってください。結論が出ていればもう一回聞いておきます。
  32. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの点、御疑問の点はあると存じますけれども、私ども考えは、潜水探査をやったと、この結果がほんとうにガウス数がなくなったかどうか、異常点ではなくなったのかどうかということを確認しなかったことがこの問題の非常に大きな点であるという認識に立っております。したがいまして、潜水探査をいわゆる業者にやらせるということは、そのままで今後も考えたいと存じますが、そのあとで、ただいま先生のおっしゃいましたように、波があったり何かして結果の確認ができない、まあいいじゃないか、もう工事を始めてしまえということが一番問題だと思いますので、そこを絶対に再確認しなければ、それを国が直接発注いたしまして磁気探査をして、それで異常点がなくなったということを確実に確認しなければその工事は着工させないという考え方、これで今後進みたいという考え方でございます。
  33. 小柳勇

    小柳勇君 いまおっしゃるようなことを工事契約書に書いてあるんですよ、今度の工事契約書には。現場で、港建から甲が出て、それから請負業者から乙が出て、そして監督はちゃんと甲がやります、問題があったら甲のほうに相談しなさいと、ちゃんと工事契約書に書いてある。いまあなたがおっしゃるとおり書いてあるのです。それを完全にしたかしなかったか。それで、完全におたくから出ている監督者がやっておれば、あの事故はなかったでしょう。ところが、それはもう現場監督者が、いやもうこれいいですよ、やりましたと言ったのか、あるいはやったけれどもあとガウス出ませんでしたというのか、そこのところが焦点でしょう。これはいま検察庁が調べていますから、そこのところは私もいろいろ検察庁の人とも話をして聞いておりますから、少し問題があるようですから、ここでいま発言しません。そういうところはいまおっしゃったとおりにしているわけです。それでなお事故が起こっている、そこに問題がありますから、まあこれはあとで……。  まずそこで、現在の磁気探査についてはどうか、潜水探査については一体どうかと、これが非常に不安だと言っているわけです、現場では。それは船に行きました。海鵬丸にも乗って聞いてきました。あるいは現地の皆さんからも聞いてきています。いまの磁気探査及び潜水探査方法では、完全によしこれでOKだからやれと言われても安心できませんと言っている。そこで、その問題ちょっと横に置きまして、海鵬丸は、あの五月二十六日の海麟丸事故以来休んでおります。これはいろいろ組合との関係もありまして、安心がならない、安心あるまでは、このドラグサクションのしゅんせつはできないということで休んでおるのか。そうであるならば、なぜ民間にはやらせるのか。役所のしゅんせつ船は休ませておいて、民間のほうには、なぜ工事請負を発注したのか。この点はいかがですか。
  34. 岡部保

    説明員岡部保君) 確かに海鵬丸は現在工事をストップさせておりますが、これは別に海鵬丸が国の船であるからその工事を休ませておるということではございません。そのほかにも、たとえば関門航路あるいは北九州の地域で、大体しゅんせつ工事が、現段階で十二件今年度の事業として工事がございます。そのうち工事に支障がなさそうであるという判断ができておりますのが二件ございまして、したがって、十件は一切工事をストップいたしました。で、現段階でさらに探査をいたし等々で、ごく最近にこの十件ストップしておりますうち、四、五件——これはちょっと現時点で何件かというのははっきりいたしませんけれども、大体四件か五件、工事を再開するということに踏み切ったわけでございます。それでまだ残りの五件ないし六件は、まだ工事ストップいたしております。さらに探査をいたしておる次第でございます。
  35. 小柳勇

    小柳勇君 いま動いている工事はどこどこですか。
  36. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま再開いたしましたと申しましたのが北九州の洞海の本航路で、これは直営で長門号、奄美号等が従事いたしております。この本航路のしゅんせつを八月一日に再開いたしました。それから関門航路で六連と大瀬戸との間の航路を掘っております九州丸、鎮西丸等の従事いたしております部分が八月四日に再開をいたしております。それ以外に、請負でかかるところも、だいぶただいまストップをいたしておる次第でございます。
  37. 小柳勇

    小柳勇君 開始された八月一日の直営、八月四日の直営については、その周辺の磁気探査あるいは潜水探査など一切完了して、これからも発生した場合は一切国の責任であると言明できますか。
  38. 岡部保

    説明員岡部保君) そのとおりでございます。
  39. 小柳勇

    小柳勇君 ストップしているような所は、いつまでストップするのですか。
  40. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま探査中でございまして、最終的には十月ぐらいまでかかるかと存じますが、八月中に大体現在ストップしておりますのの半ばぐらいは再開できるのではないか。それで、一番おそくても、十月の上旬からは再開できるという考え方で現在作業を進めております。
  41. 小柳勇

    小柳勇君 港湾整備五カ年計画が着々進捗しつつあるのですから、いつまでもストップするわけにはまいりませんでしょうが、現在、なお国が認めた残存機雷の数でも約六千発ありますね。関門だけでも二千発残っているのですけれども、これを徹底的に本格的に探査をして、機雷を撤去し、爆弾を撤去しなければ、安心してしゅんせつ作業ができないのではないかと思うのですが、いかがですか。
  42. 岡部保

    説明員岡部保君) お説のとおりだと存じます。  そこで私ども先ほどもちょっと事故てんまつを御報告申し上げましたときに申し上げたのでございますが、何と申しましても、海域で一番工事もありましょうし、現実に使われるということで一番危険の起こりやすい個所というのは港湾区域内の海面かと存じます。工事に先立っての探査等はもちろんでございますが、今回の事故にもかんがみまして、今後港湾区域内のこういう機雷探査というものは、むしろ港湾サイドとしてこれを発見し除去するということで、危険海域の中にございます港湾区域、これは全面的に機雷除去探査実施していこうという考え方で、この点につきましては現在検討中でございますが、来年度の予算にも、財政当局にもお願いをするという考え方で現在作業中でございます。
  43. 小柳勇

    小柳勇君 その問題にいまちょっと集中して質問しますが、現在までの磁気探査方法なり潜水探査方法によって、もうこれで至上である、ベストである、そうお考えですか。あるいはその能力なり、あるいは進捗状態なり——能力というのは正確度とそれからスピードとありますけれども、そういうものについての見解をお聞きします。
  44. 岡部保

    説明員岡部保君) まず潜水探査でございますが、潜水探査につきましては、これは一般的に申しまして港湾工事の泣きどころでございます。と申しますのは、非常に上からのその潜水夫の実際の仕事というものの確認ができにくいことでございます。ただ、これにつきましては、非常に潜水夫の、言うなれば良心と申しますか、そういうものにたよるほかはないわけでございますが、これは従来の工事実施面から見て、これを信じて、しかももちろん質の向上ははかりながらやっていってもらうほか私はないと思います。  ただ、磁気探査のほうの問題につきましては、これは専門家が本日参考人でおいでになっておりますので後ほどお話があるかと存じますけれども、私どもは現段階で日本物理探鑛でやっていただいておるあの磁気探査が、もうベストの方法ではないと考えております。したがって、先ほどもちょっと触れましたが、昭和四十六年度に技術研究の補助金を運輸省も出しまして、いろいろ改良をしていただくということで、研究を会社にお願いしたということもございます。それで、これは実際の機械の操作と申しますか装置と申しますか、そういう本質的にも変わった考え方をとっておられるようでございますし、その辺技術的には私よくわかりませんが、新しい考え方をとっておられるようでございます。またいまの船で引っ張っていくということを、ある意味ではポータブルなもので、これを潜水夫が持って歩いて、上で異常点というものをつかまえ得るというような装置も考えられそうでございますので、そういうような改良は大至急やっていかなければならないという考え方で、たまたまこの研究補助金によって成果をあげられました改良型の機器もこの九月ごろにはだいぶ製作できるという話も伺っておりますので、こういうものを今後活用していきたいという考え方を持っております。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 磁気探査方法についてはもうちょっとあとで質問いたしますが、その前に工事の発注のやり方についていいか悪いかを質問いたします。  これは親請が受けましてあと下請にやっていますね、その下請がまた発注していくわけです。そういうようなこと、これはもう方々いままでもやっておられるでしょうし、全国的にやっておられるでしょうし、将来またそういう構想であるのかどうか。いま直営と請負工事との比率はどのくらいあるのかお聞かせ願いたい。
  46. 岡部保

    説明員岡部保君) 直轄事業のうちで請負事業が九二%、直営事業が八%のウエートでございます。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 こういうところにも問題があるんじゃないですか。国が責任を持ってやりますといいながら、潜水探査にしましても請負業者にやらせる。しかもそれは、指名業者というちゃんとこのランクがありますけれども、元請から下請ぐらいまではそうでしょうが、その孫請ぐらいになりますともう指名業者でも何でもない人ですね。あるいはもう潜水夫になりますと、潜水組合にいって組合から派遣してもらわなきゃならぬ。そういうような工事のやり方で、国が責任を持ってやりますということがいえるでしょうかね。一番問題は私はそういうところにあると思うんです、一つの大きな問題は。磁気探査の問題はちょっと置きますよ、これはあとで質問しますから。こういう請負の方式ですね、請け負わせ方、そこに監督責任の所在とか国の責任の所在というものが明らかでないのではないか。検察庁あとずっと調べられるでしょうが、刑事責任を問うにいたしましても、一体どこに責任を持っていくかなかなかこれはたいへんじゃないかと思う。その一番の元凶が、直営が八%、あと請負九二%でございます、こういうことにあるんではないかと思うんですよ。したがって、それは潜水作業などについては、これはやむを得ぬかもしれませんね。ただ機雷探査、撤去作業まで請負、しかもそれは指名業者でも何でもないようなところに請け負わせるところに、どんなきれいな通達を出しましても年々歳々機雷爆発が起こる、事件が起こる原因があるんではないかと思いますが、この点いかがですか。
  48. 岡部保

    説明員岡部保君) いまお話ございました前段でございますが、確かに元請と下請あるいは孫請という問題で、こういう工事責任の所在が不明になるんではないかという点は、これは一港湾工事だけではございませんで、いわゆる建設工事に伴う一つの問題点でございます。  で、きれいごとを申し上げますれば、私ども契約する以上、この元請との契約、これが法的にも結ばれたものであると。したがって元請を通じてその下へいろいろな意味での監督の目が行き届いていくということが形式的には言えるわけでございます。ただ実態的に申しますと、現地監督をしておるその場合に、その現地で働いておる下請あるいはうっかりすれば孫請というようなものに対して実質的に監督をするというかっこうになってまいります。ただ、このむずかしい点はございますが、現実に現地での監督というもの、これがどこまで、何と申しますか、ほんとうの意味の監督ができるのかどうかというあたりが実態的な問題点だと思います。したがって、私どもの直括工事の体制といたしまして、これはいろいろな意味で、現段階、たとえば人員のなかなか増加は無理であるというような問題がありまして、等々の意味から、確かにお説のとおり請負工事が非常に多くなってきております。ただ、これのむしろ監督業務というものをどういうふうにしていったらほんとうにできるのか。これが確かにいままで直営が比較的多かったのが近年ぎゅっと減ってきている。したがって、こういう請負業務に対する監督職員の養成というのが非常にむずかしい点ございますので、現在それを何とか教育もし、目の行き届くような監督をしていくという体制にいま持っていきつつあるところでございます。したがって、一般的に建設事業の実態から申しまして、こういういささか不可思議な形態がございますが、それをむしろ克服して、現場監督できるという体制に持っていかなければならないんじゃないかという考え方に立っております。  磁気探査の問題についてはちょっと省略させていただきます。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 今度は保安庁長官に質問しますが、こちらの工事請負契約書は元請の三井不動産港建ですね、港湾建設局。こちらのほうの工事許可願いは下請若築建設株式会社がおたくのほうの保安部長書面を出しているわけです。だから工事契約で、いまさっきおっしゃった特記仕様書というのは、元請会社のほうにあるわけです。港建と元請会社がやっておる。それに基づいて作業をします下請会社のほうが、こういう作業報告をして、そうしてこうやりますよ、そして完了しましたよという報告保安部長に出しているわけです。それでもうこれだけで、潜水探査の結果も出ておりますがね、これで工事よろしいかと、で、よろしいということで、これに印ばんを押しているわけです。保安部長許可が出ているわけです。そうしますと、そんならば、もし私が会社側に立って言うならば、この元請会社はこれでやりますけれども下請会社のほうは元請会社から書類が回ってきて、それを見ておるのですね。その内容をずっと見ておってそしてこのとおりやりましたと、それで今度はもうその責任下請会社がとりまして保安部長に届けてこれで完了。実際仕事をやっているのは今度はまた別の会社ですね。そういうような、まあ形式はこれでいいかもしれませんが、それだから監督に行きましても、言うならば港長だって書類がこれだけ出ているんですから、もう完了しましたという書類が出ているんですから、それでこれこれのガウスでは一つは機雷が出ました、これこれのガウスでは一つは鉄パイプと小管類と書いてある。それなら関門港長としてもこれはおかしいぞと、もう一ぺん見て工事完了OKと言わなければならぬのじゃないかと思うのですがね。その保安部長が、今度片一方の民間の業者を逮捕しているわけだ。何か主客転倒しているような気がしますね。そういう点どう考えておりますか。
  50. 野村一彦

    説明員野村一彦君) 特定港内におきます工事あるいは作業をする場合には港長許可が要るということでございます。したがいまして、私どもこの許可をする対象というものは、現実にその特定港内において工事をするとか、あるいは作業をするというその責任の主体、実際のその実施者というものがこの港則法の三十一条にいう申請の対象になるものだと考えておりますし、従来もそのように現実に作業をする人が申請をして、そしてそれに対して許可を与えてきたというのが実情でございます。そういう意味で、これは若築建設株式会社でございますか、それが申請者であるということでございます。ただその許可のしかたにつきましては、先ほども申し上げましたように、従来書面審査でやっておりまして、この点については私ども関門港長としての審査港則法に基づく作業あるいは工事許可審査というものは、これはまあ書面審査によるほかはないと思います。ただ現実におきまして、先ほど申し上げましたように、こういう事故が起こったわけでございますから、いろいろ反省をしておるわけでございますが、今後の問題として私ども考えておりますのは、いわゆる本工事をやる場合の事前の潜水探査とか磁気探査という、いわば予備といいますか、前提となるような作業と、ほんとうの港湾を掘る港湾作業、そういうものと分けて、今後はそういう前提になりますところの探査という予備的な工事あるいは作業というものは、ひとつ切り離して許可を与えて、そしてそれが十分確認されたという、先ほど港湾局長が申しましたような方法確認をされたという公的機関の確認を待って、本工事港則法に基づく許可をするというように指導をしたいというふうに考えております。  それから、ただいま先生のおことばでございますが、これは報告を、あるいは事実上出ているかもわかりませんが、報告を出したり、許可をしたりするというのは港長でございまして、保安本部長ではございません。したがいまして、私どもがこれはもう法律に基づいて港長がやるわけでございます。
  51. 小柳勇

    小柳勇君 へ理屈だよ、それは、同じ人だから。
  52. 野村一彦

    説明員野村一彦君) いや、この事件捜査は元来は保安部長がやるべきところですが、これは関門港長を兼務しておりますので、より公正な捜査を期すために一段上の上級の機関の保安本部でやっておるわけです。そういう意味で、許可をした人が逮捕をしたということではございませんので、この辺はひとつ誤解を解いていただきたいと思います。
  53. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。私は同じ人だからと、そう思ったのですけれども、わかりました。  もう一つ、この航行というのは、ただずうっと本航路を航行する船、これはもちろん航行ですが、今度はその少し浅瀬のほうを作業のために航行するのも、これはやっぱり航行でしょう。航行の安全でしょう。それから今度は少しとまってしゅんせつする、これもやっぱり艦船の海上における作業、したがってその安全については海上保安本部としては確保しなければならぬということは確認していいですか。
  54. 野村一彦

    説明員野村一彦君) 港則法は港内における交通の安全及び整とんをはかることを目的にしております。ただ工事——先生いまおっしゃいました、船が通行するというのは工事とか作業ではございませんが、工事または作業については港の境界付近、つまり港外であっても、今回の場合はたまたま港域の外であったわけですが、まあ、これらの対象になる、そういうことでございます。したがいまして、海上保安庁及びその出先機関は一般的な船の航行の安全ということについては当然責任を持つべきである、そういうことであります。
  55. 小柳勇

    小柳勇君 この責任問題もこれから明らかになるでしょうが、あまり限らないで、海の上で作業をしておって事故が起こらないようにするのが海上保安本部仕事であるという見解に立ちますならば、これだけのガウスがあるのだから、もう一ぺんひとつ検査せよということを海上保安本部も、あるいは港長も——港長は当然もう一ぺん書類を突き返して検査を要求するぐらいのことは必要じゃないかと思いますが、いかがですか。
  56. 野村一彦

    説明員野村一彦君) 御質問の趣旨はよくわかります。したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、今後はそういう予備的な調査工事というものと本工事とを分けて、そして、その予備的なそういう探査というようなもので安全性が確認されなければ本工事許可をしない、ということによって安全性を高めていくようにしたい、こういうふうに考えております。
  57. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  次は磁気探査の能力なり現状なりについて参考人から御意見を聞きたいと思います。委員長、お願いいたします。
  58. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 渡辺参考人お願いします。
  59. 渡辺健

    参考人渡辺健君) やり方につきましては、先ほどお配りいたしましたものをあとで御説明申し上げます。  まず会社の内容について御説明いたしますと、私ども会社昭和十七年に設立いたしまして、現在資本金が七百五十万円、従業員約百名でございます。それで物理的地下探査、それから地質調査というのを業務として発足いたしました。  それで、物理的地下探査というのは、昭和の初めころから始まった仕事でございまして、従来研究所とか大学でやっておりましたのですが、私どもの社長の渡辺貫という人が初めて会社組織で始めたものであります。  設立当時は鉱山とか土木、地下水等いろいろな仕事をやっておりましたが、第二次大戦後は土木工事調査、地質調査が盛んになりまして、主として弾性波式地質調査をやっております。で、現在に至っております。  この間に、独自の調査法とか解析法を研究開発いたしまして、実用に供しております。また、そういったものを論文として発表いたしまして、技術者が理学博士とか何か学位も次々にとっておりまして、もう現在、理学博士六名、技術士八名というようなことになっております。  機雷とか爆弾の探査につきましては、昭和三十年代に入ってときどきお問い合わせがありましたけれども、そのころはそれに適した測定器がありませんので、一応お断わりしておったわけです。そのうちそれがたび重なりますので、昭和三十六年ころから、それではひとつ測定器を開発しようということになりまして、私がちょうど地球磁気のほうをやっておりました関係から、担当して開発したわけであります。  それで、昭和三十八年に運輸省で海鵬丸をつくられるに際しまして、今日のような型になったわけであります。そのころはまだ仕事量は非常に少なくて、年間通してやるほどの仕事ではありませんでした。その後爆発事故とともに仕事量がふえまして、ことし初めころには十個班全国で稼働しておりました。新潟の事故以後急激に需要が多くなりましたので、ほかの部門をやっておりました技術者を動員いたしまして、十五個班にして現在進めております。この間に測定器の改良を進めてまいりましたが、特に昨年からは観測船の大型化とか、あるいは自航式観測船の試作等を行なってまいりました。  で、磁気探査の技術的内容につきましては、原理は埋没物によってできる磁場の異常を測定するというやり方でございます。そういった器械は鉱山をさがす方面にはいままでもございましたけれども機雷とか爆弾のような小さなものをさがすというものがなかったわけであります。特に対象物が小さいということ。それから埋没物による異常の値が非常に小さい。それから鉄のくずというのはいろいろありますので、ある程度の大きさも区別したい。それから海の上で広い面積をやるのにすみやかな測定が必要であるというようなことから、いままである器械ではうまくいかないということで、いろいろ考えました結果、現在使っているような磁気傾度計が最もよいのだという考えに立って開発したわけであります。ただなかなか、感度を高めてありまするために、調節が困難であるとかいうような微妙な問題がございました。  で、実際の測定方法はいまお配りましたパンフレットを開いたところにございますが、海上で船を二隻使いまして、うしろの船から測定器械をつり下げまして、それを海底上一メートル以内ぐらいのところを引いて走り回るわけであります。普通は器械を五個使いまして、それを横向きに二メートル間隔に並べまして、探査海域をくまなくさがすという方法をやっております。その結果出ました異常点について読みとり解析をいたしまして異常個所というものの位置と深さ、それから磁気量というものを報告しております。磁気量は表面に測定された振幅ではなくて、埋没物についておる磁極の強さというものを計算いたしまして報告しておるわけであります。こういうことをずっとやってまいりまして、実際にかなりの数の機雷が現実に発見されました。現在までにもう大体、私は正確にはわかりませんが、二、三十本見つかっておるのじゃないかと考えております。ただし、これで問題がないかということでございますが、一つには機雷がいつでも同じような値を出すかどうかということに問題があるわけであります。現在われわれ機雷を何回か実際に測定いたしまして、それに基づいて言っておるわけですが、これでこれ以外にもっと小さい値を示すものがあるかないかということを絶えず心配して、機会があるたびにそういった測定をやっております。つい先日も自衛隊のほうにお願いして、いろいろ実験をやらせてもらって、まだその結果は出ておりません。  それから、測量上の問題があると思います。これは陸から遠い海域になりますと、やはり測量の誤差というものがあるのじゃなかろうかということも問題になっております。  それから、波とか海底の状況とかによって雑音が生ずることがあります。こういう場合にはやはり多少問題があると思います。それがはっきりわかっておる場合には、こういうような疑問があるということをつけて、報告もいたしますが、ときにはそれが、はっきり探査している者もわからないというような場合もときにはあるようでございます。  それから、一日の探査能力としましては、条件のいいときには非常に広くできますが、またやりにくい場所というのもずいぶんあるわけでございます。平均しますと、月に大体二十ないし三十万平方メートルくらいを一個班で探査しております。それから非常によくできる場合には、一日に六万から——天気のいい日だけですが、六万平米くらいできる日もあるわけであります。  それから、これからもっと改良してはどうかということでございますが、これはわれわれも絶えずいろいろ新しい方法はないかということで研究しておりますが、まだ現在のところ本質的にはやはりいまの方法でかなりいいんだと、ほかの方法に比べてかなりいいんだということを考えております。ただし、船だとかあるいは測量方法とか、そういったものはまだまだ改良する方法があるだろうと考えまして、船のほうは大型化あるいはその絵では二隻でやっておりますが、これを一隻で非常にうまくやる方法とか、あるいは観測船を分解いたしまして陸上輸送する方法とか、そういったものも少しずつ試作をしております。  それから、天候でも波のある場合には、これはやむを得ないといたしまして、休まなければしかたがないといたしまして、視界が悪いために休むという日がずいぶんありますが、それについては電波測量をもっと採用すればよかろうということを考えております。  それから潜水探査後の確認作業について、いま申しましたような船上でやる方法と同じ器械でいままでやってきたわけでございますが、これはわれわれがときどきやっておったわけですが、非常にやりにくいという状況がありまして、そういうことで、昨年研究費をいただいて、そういった目的のための器械を開発したわけでございます。これはいま実用的な器械を約十台つくっておりまして、これが九月にできまして、実際に使ってみたい、それがよければまたあと続けてつくりたいというふうに予定を立てております。  以上でございます。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 いまの、最後のほうに話されました一そうが引っぱって一そうが観測しているんですけれども、それでなくて、一そうで掃海艇のようなものがあるんですか、ないんですか。
  61. 渡辺健

    参考人渡辺健君) いま、あとの一そうで船上探査をやる船でございますね。これは一隻、実際につくりまして稼働しております。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 一隻幾らぐらいする船ですか。
  63. 渡辺健

    参考人渡辺健君) ちょっと正確なあれはよくわからないんですが、おそらく数百万だと思っております。
  64. 小柳勇

    小柳勇君 天候が悪い日は観測は休んでいるんですよ、磁気探査できない。それは地点をただひとりでにらみながら自分の地点をきめていきます。それから波の荒い日は底との一メートルの間隔がとれないから、これも観測できない。したがって、観測についての正確度というものについて、この絵を見ましても、いまどきこんな方法しかないかなあと、私はしろうとですけれども、そう思いました。海鵬丸に行きまして、船長や、あるいは乗組員諸君にいろいろ聞いてみますと、私どももそう思いますと、私どもはもう悪天候でもレーダーで船は動かしますのに、いまどきこういう磁気探査方法で、しかも天候が悪ければ休むというような方法で、港湾建設なんて本気で取り組めましょうか、そういう声も聞きました。これは船員ではないですよ、ほかから。そういうことについて港湾局長、どうお考えですか。
  65. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま私どものほうで、いま先生のおっしゃいましたと全く同じような考え方に基づきまして、何らかこういうものができないか。で、まず第一点に、視界が悪くて休んでしまうというような問題、これは非常に大きな問題だと思います。そこで、これは幸いに関門地区等にはいわゆる船位を測定するということで、電波によっての船位測定装置を船に備えれば船位が測定できるという装置もございますので、こういうものと、それからいまおっしゃいましたように、一ぱいの船で、言うなればうしろにアームを出して、そうしてそこに探査の器具を備えつける、それが船上に上がってきて、船上でそれの位置並びにガウス等をキャッチできるというものを、ひとつこれはつくらなければいかぬという考え方に立ちまして、私どもの中で現在検討中でございます。これはまず、でき得れば来年度の予算で実際に建造をしようという考え方にただいま固まりつつあります。それで、いま申しました電波の測域と申しますか、位置測定できるというのが伊勢湾、大阪湾、それから四建の関門地区で、すでに測量船を、必要としますそういう装置をただいま持っております。そういうものを生かして、この船にそういう位置測定をつけてやるということを考えております。ただ、これになりますと相当な金額になります。たとえばこれは全くの試算でございますが、船長二十メートル程度の、言うならば、いまのよりはずっと大きくなりますけれども、そう大きな船じゃございません、この船位測定装置等々を合わせますと二億をこすんではなかろうかという現在考え方を持っております。
  66. 小柳勇

    小柳勇君 自衛隊のほうの掃海艇についてちょっと説明を求めますが、掃海艇は磁気探査をやって、機雷の存在位置を確認して、機雷を撤去するのが任務だと思うんですけれども、現在の磁気探査方法ですね、日本物理探鑛がやっておられる磁気探査方法について、比較して、掃海艇の力について御説明を願います。
  67. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 海上自衛隊の持っております機雷の掃海能力でございますが、これは結論から申し上げまして、海底に埋没しております機雷については、現在海上自衛隊はその探査能力を持っておりません。これはすでに御承知と思いますけれども海上自衛隊の持っております機雷の処理能力と言いますのは、機雷の種類によって違うわけでございます。それで機雷の種類を申し上げますと、大きく分けて、係維機雷、これは触発式の機雷でございます。それから沈底式機雷と申しまして、海底に沈めておいて、そうして感応する機雷、これは何に感応するかといいますと、たとえば磁気でありますとか、音響でありますとか、水圧でありますとか、あるいはこれらの複合したものというような機雷があるわけでございます。そうしてこの係維機雷につきましては、これは掃海艇が切断機のついたワイヤーを曳航いたしまして、そして係索を切断して海面に浮上させる、そしてそれを銃撃処分するということでございます。それから、感応式機雷につきましては、そのうち磁気機雷につきましては、これは掃海艇が強力な電流を通しました電線を曳航いたしまして、そして海底に敷設されております機雷を磁気に感応させまして爆発させるということでございます。それから、音響機雷につきましては、これはやはり同じく掃海艇が発音体を曳航いたしまして、そして海底に敷設されております機雷を音響反応させて爆発させるということでございます。これらいずれも海底の上に乗っておるものにつきましては有効でございますけれども海底の泥土に埋没しておるものにつきましては有効でございません。
  68. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、まだ日本海の沿岸にたくさん残存機雷がある。しかも、それが地下何メートルにあるわけです。泥土の下、あるいは陸上にもあるかもわかりませんが、それを、そのまましようがないといっておっては、いつまでもこのような事故は絶えないですね。しかも、未掃海地域が二千四百平方キロある。これは、この前の国会の証言です。未掃海地域だけでも二千四百平方キロあります。いまの日探のほうの一日の二十万平米の能力でやりましても、何年もかかります、完全にやるには。そこで、さっき港湾建設局のほうでも特殊の船を建造、予算化したいと言っておられるようですから、早急に十ぱいくらいつくって各建設局に配置して探査するという決意をしてもらいたい。これは大臣おられぬから政務次官からひとつ決意を聞いておきます。国の方針として予算をとってもらわなければならないから。そして、安心して仕事ができるようにしなければならぬ。それがもうわかりますと、機雷がわかりましたあとは自衛隊に頼んで掘り起こしてもらう、これはいままでも例がありますから。その決意をしていただけるかどうか。きょうの一つの一番大きなポイントですから、これはひとつ政務次官から発言願いたい。
  69. 加藤六月

    説明員加藤六月君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、わが運輸省といたしましても、こういうものは早急に除去しまして、港湾等海域の安全を確保すべきだという考えは持っております。したがいまして、こういった海域のうちとりあえず運輸省としましては、機雷による危険度の高い港湾区域の全域につきまして機雷探査実施することといたしたいと、そして具体的な計画につきましては、先ほど港湾局長よりふしぶし答弁がありましたですが、九月末を目途として必要な処置をとりまとめるという指示を事務当局にいたしております。この計画に基づきまして、できるだけすみやかに実施に移すように努力いたしたい、こう決意いたしておる次第でございます。
  70. 小柳勇

    小柳勇君 ただいまの九月末に必要な措置をとるとおっしゃいました。その必要な措置の内容について港湾局長から説明を求めます。
  71. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま政務次官の申しました、九月末までにこういう措置をとるという意味でございますが、来年度予算の要求の姿、これを、こういう問題について一体どういうふうな予算を要求するかという問題、これは先ほど申しましたような探査船の建造、あるいは、たとえば港湾区域で急いでやらなければならない、ただこれは港湾工事と伴わない面もあるわけでございますが、そういうものに対する予算的な措置等の考え方をとりまとめまして、九月末までには大蔵省に持ち込みまして、来年度の予算で実施できるということの考え方をまとめるという意味でございます。
  72. 小柳勇

    小柳勇君 それから防衛庁には、現在の掃海能力、それから本年度の計画の実施状況並びにこれからの掃海の計画及び未掃海地域の掃海終了はいつになるのか、このことについての御説明を願います。
  73. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) 現在——現在と申しますのは、本年三月三十一日末現在で九三%の掃海を完了しております。九三%と申しますのは、危険海域が三万四千三百三十三平方キロと推定しておりますが、そのうちすでに三万一千九百三十九・一平方キロの掃海を完了したということでございます。それで、現在残っております残りの七%の掃海海域は、これはいずれも水深がきわめて浅いところ、おおむね四、五メートル程度のところでございまして、そういう水深の浅いところにつきましては、いわゆる中型掃海艇は入れません、三百トン前後の中型掃海艇は入れませんで、四十トン程度の小型掃海艇しか入れないということでございますが、ただ、そういう浅海面は、たとえば海産物の養殖とか、そういったようないろいろ漁業権その他の問題が非常に入り組んでおりますところでございまして、そういう関係の向きとの調整がなり次第、逐次やっていくということでございます。ただ、何分にもそういう浅海面につきましては、養殖等が盛んでございまして、なかなかそこの、そういうものを撤去しなければならないということもございますし、それから、港湾につきましては、そこの船の通行をとめなければならないというようなこともございます。そういういろいろな問題でもって、関係の地元、その他関係者との調整がつき次第どんどんやっていくという姿勢でおりますけれども、なかなかその調整がつかない、むしろやらなくていいという御要望のあるところを、しいてやるというわけにはまいりませんで、しかも、そこにある機雷につきましては、戦後すでに二十数年たっておりまして、発火機構がすでに死滅しておるというものが大部分であると思いますし、電池その他が摩滅、消耗している、したがって、そこにずっと置いてある分には安全である。ただ、それに強い衝撃を加えると、あるいはしゅんせつ等で強い衝撃を加えますと爆発するということでございまして、そういう危険がないところにつきましては、しいてそこにある養殖その他のものを取り除いてまでやるという必要性はいかがかと思いますので、そういうようなことで調整がつき次第やるということにいたしております。したがいまして、残りの七%につきましていつ終わるかという問題につきましては、いつということは申し上げかねる状況でございます。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 防衛庁長官を呼んでこなければならぬと思うのですが、運輸省はどうですか、関門だけでも二千個残存機雷があるから、直轄工事に従事する労働者の諸君は不安でしようがないということです。特にこの直轄工事のほうの船は休ましておいて、民間のものの人命は軽いのか、そうはまいらないですね。民間の方はそれの探査までやって、潜水探査やってやりなさい、金は幾らつけます。そういうことではならぬと思うんですね。この未掃海地域がこれだけ現存しております。しかも残存機雷が五千六十二個残っております、はっきり表に出ております。港湾局長、あなた着任早々だけれども、どう決意されましたか。
  75. 岡部保

    説明員岡部保君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、決して直轄だから、直営工事であるから云々というようなことは考えておりません。私どもといたしましては、従来も一生懸命探査等いたしておりましたのですが、こういういままでのような考え方、進め方では、とても、いつまでたっても危険を完全に除去するということはできないという不安感がございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、少なくも、たとえば工事の量が多い、あるいは船の航行の多い港湾区域内につきましては、至急に全面的に、磁気探査をもう信用いたしまして、この磁気探査危険個所をまずさがし出す、で、そこにほんとうに危険なものがどういうふうにあるのかということを探査いたしまして、それでこれの処理はまた防衛庁にお願いすることになりますが、その上でさらにこれの探査を進めまして、これはもうだいじょうぶなんだというような確信を持つ区域を早く広げたいという決意でおります。したがって、先ほど申し上げましたような予算措置も、特別に来年度以降措置をしていくということに、私どもとして十分努力をするつもりでおります。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 持ち時間が残り少なくなりましたから、具体的に問題を質問してまいりますが、人事院から忙しいところわざわざ来てもらっておりますから、そのほうからお尋ねしていきます。  人事院のほうに、公務員の災害補償についてこの前も質問いたしましたが、担当局長が見えないので運輸大臣がかわって答弁されて、国家公務員の災害補償については引き上げるように検討しなければならぬという御答弁がありましたが、その後どのように具体的に検討されておるか御答弁願いたいと思います。
  77. 後藤敏夫

    説明員(後藤敏夫君) 国家公務員の災害補償につきましては、御承知のとおり社会一般の情勢に適応させなければならないという、国家公務員法の情勢適応の原則というものもございますし、また労災保険法等によります補償の実施との均衡をとらなければならないという問題もございますので、鋭意検討を進めておりますけれども、特に民間企業の場合には労災保険法等による給付のほかに、いわゆる弔慰金、見舞い金等と称する法定外給付というものがかなり広範に行なわれておるということもございますので、私どもといたしましては、民間の法定外給付の実態等を調査いたしまして、さらに給付の改善について検討を進めたいという所存でございます。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 いつごろそれは結論出るのですか。
  79. 後藤敏夫

    説明員(後藤敏夫君) ただいま申しました民間の法定外給付の調査につきましては、年内にこの調査を行ないたいというふうに考えております。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 民間の調査はいいですけれども、公務員のほうはいつそれが結論出ますか。
  81. 後藤敏夫

    説明員(後藤敏夫君) 現在は労災保険法等の補償の給付と均衡をとっておりますので、法定内給付につきましては、労災保険法等の改善とにらみ合わせながら国家公務員も改善を進めていくということでございますけれども、ただいま申しましたのは、民間企業等におきましては、内部の社内規程等によりまして法律に基づく給付のほかに見舞い金、弔慰金等かなり支給されておるという実態を聞いておりますので、その実態を調査いたしました上で、そういう制度を公務員の補償制度の中にいかように取り込んでいくかということを将来検討さしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 この前の答弁——大臣答弁からそのとおりなんですよ、だから国会の答弁に、これで進んでまいりますでは、いつまでも実態がよくならぬのですね、半年すれば、この聞こう答弁しましたからこうなりましたと、現在検討の段階はこうですという、何らかのあれがありませんとちっとも変わらぬのですよ、答弁が。時間がもうほんとうに無意味ですね、せっかく皆さんも公務員給与の勧告で忙しいのに来てもらったのですから、もう少し実のある答弁がほしいわけです。でないと、その答弁ならこの前にちゃんと答弁してあるわけです。もうちょっと何か決意のほどを、何かもう少し見通しをはっきり言ってくださいよ。
  83. 後藤敏夫

    説明員(後藤敏夫君) 繰り返すようで恐縮でございますけれども、やはり民間の実態というものを正確に見きわめませんと早急に改善に取り組むというわけにいきませんので、ただいまのところは民間調査を具体化するための計画を立案中の段階でございまして、この調査を年内に進めたいというふうに考えております。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 その民間調査の立案文書ぐらいもうできているのですか。
  85. 後藤敏夫

    説明員(後藤敏夫君) ただいま調査の計画を内部で立案中でございまして、まだ文書等にはなっておりません。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 この春闘で各企業が、各労働者が退職金なり災害補償金で相当の実質的な積み上げがなされておるわけですよ。それにからんでの要求があるわけです。国家公務員の中でですよ。だから、公務員といえども労働者ですから、人事院はそれが仕事ですから、だからひとつ早急に結論を出していただきたい。もう何べん言ってもしようがないようですから。  もう一つは、人事院規則九−三〇の特殊勤務手当の中の二十九条の危険水域しゅんせつ手当の問題と、その引き上げ。それから、たとえば監視船とか、あるいは曳航船とか、これと同じような仕事をする船員に対する適用方ですね、それを拡大していただきたいという要求ですがいかがですか。
  87. 今村久明

    説明員(今村久明君) ただいまのお尋ねの点でございますが、危険水域しゅんせつ手当と申しますのは、これは職員の勤務の特殊性に応じて支給されます特殊勤務手当の一つとして設けられているものでございまして、現在運輸省港湾建設局工事事務所に所属しております職員で、しゅんせつ船または土運船——土を運ぶ船でございますが、土運船に乗り組みまして人事院の指定する危険水域においてしゅんせつ作業に従事したときに支給される手当でございます。現在人事院がその危険水域の指定を行なうことにつきましては運輸省からの申請に基づいて行なっておるわけでございます。これは特殊勤務手当の性格上、勤務の特殊性につきまして明確な資料を検討しなければなりませんので、そのような資料としましては、所管部局からの提出資料というものが最も適当であろうということでそうしておるわけでございます。でございますので、この関係につきましては運輸省のほうの申請を待ちまして私ども検討いたしてまいりたいというふうに思っております。  それから、ただいま額の問題といたしまして、危険水域しゅんせつ手当の額のアップはどうかというお話がございましたが、現行の単価は、これは昭和四十二年の額を基準といたしまして昭和四十六年、昨年でございますが、他の特殊勤務手当の率が平均三〇%アップいたしましたので、その際若干有利に改正したものでございます。ただ、この手当は他の特殊勤務手当、たとえば爆発物取扱手当というような特殊勤務手当がございますので、こうした他の特殊勤務手当との均衡において考慮していく必要があるということでございますので、現在直ちに改定するということは考えておりませんけれども、昨年一回アップしておりますので、いますぐということは考えておりませんが、またそのうちに適当な時期におきまして適当な改善をしたいというふうに考えております。  なお、特殊勤務手当の額につきまして、現在一日の作業が六十円ということになっておりますが、一般的に民間におきます特殊勤務手当の額というものを私ども考慮して定めておるわけでございますが、従来の調査によりますと、民間のほうの額は案外低うございまして、月額で千五百円程度というような数字でございますので、大体そのような低額であるということも勘案しておるわけですが、今後、なおそういう民間の動向にも留意して適当な改善をしていきたいということは考えております。  それからもう一点、しゅんせつ船土運船以外の引き船、押し船あるいは監督船というようなものでございましょうか、こういう船についての乗り組み員についても支給範囲を拡大したらどうかというお尋ねでございましたけれども、現在このしゅんせつ作業手当というものが、このしゅんせつ船と、それから土運船に限っておりますのは、しゅんせつ作業に伴います機雷爆発等の免険性というものの直接性を見たわけでございまして、引き船、押し船、監督船というような場合には、その危険性がやや間接的ではないかということで除外しておるわけでございますが、ただ、似たような状況があるのかどうか、そういうようなことについては、運輸省からのお話を伺いまして、なお調べてみたいというふうに思っております。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。  それではもう一つ、いまのに関連して、危険水域の問題です。これは港湾局長に。  いま、磁気探査船などが完全になって、もう安心ですと、磁気探査して安心ですということがまだ十分言えないのですから、もう作業する場合は、ほとんどこれは危険水域だと考えてやらなければならぬのではないかと思うんです。したがって、いろいろ指定してあるようですけれども直轄工事でも、あるいはそうでない工事でも、いまの段階では、全国でこれだけの残存機雷があるのであるから、一応作業する場合は危険水域と考えるというのか、何かその危険水域の指定の中にそういうワクを入れてもらって、もしものことがあった場合は、危険水域で作業しておったということ、そうしますと、見舞い金にいたしましても、災害補償にいたしましても、あるいは算定基礎が違うんじゃないかと思うんです、私まだそこまで調べていませんが。したがって、いま人事院としては、危険水域の指定は運輸省にまかしてあるとおっしゃいますから、いまの段階では、このしゅんせつ作業については、非常に危険であるということで、危険水域の拡大についても考慮していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  89. 岡部保

    説明員岡部保君) 先生のおっしゃいますとおりでございまして、危険水域の範囲の拡大あるいはこの手当の増額という問題については、現在も私ども事務的に検討中でございます。なるべく早い機会に人事院に実情をお話し申し上げて、これを広げ、また上げていただくという方向に進む所存でございます。  なお、ちょっと蛇足かもしれませんが、危険水域と申しまして、これをたとえば磁気探査をして、一応クリアになったと申しましても、いまの磁気探査方法では、掘りますとまたその下の層ではあぶないというおそれもございます。なかなかクリアにしにくい問題もございますので、そこの辺も含めて今後考えていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 それから、危険なために作業を中止している船、これは直轄工事の諸君でありますが、実質的には低下するわけですね、船がもう作業しませんから航海手当もありませんでしょうし。したがって、機雷があることによって、完全に探査できないからということで作業を休んでいる者についての生活補償といいましょうか、そういうものについてはどういうふうになっていますか。
  91. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの御質問の点は非常にむずかしい問題でございます。確かに危険がありますので、危険防止をするために海上作業を中止する。したがいまして、たとえばオーバータイムでありますとか、そういうような実質上の給与の減収ということは事実考えられるわけでございます。ただこれを、いわゆる表向きの給与体系でこういう減収を補償するということは実質上不可能かと思います。したがって、私ども考え方では、乗り組み員に対して、こういう休止をしている間に別の作業に従事してもらって、別の作業によって何らかそういう面を見ていけないかということが一つの救いの手と考えております。ただ、こういう問題につきましては、いわゆる労働組合の考え方もございますし、何と申しますか、いわゆる常態外勤務に対しては、ある意味で抵抗がございます。したがって、たとえば、船員であるのにおかに上がって仕事なんというのができるかというような考え方もございます。そこの辺で、現実には非岸にむずかしい問題でございます。ただこれは、何らか、ほんとうに同意を得られるならば、そういうような措置によって少しでもカバーしていかなければいかぬのじゃないかという考え方でございます。
  92. 小柳勇

    小柳勇君 その点は、組合とよく交渉してもらって納得のいく線でひとつきめてください。  それから、今回の事故に対する見舞い金といいましょうか、まだ責任の所在が明らかでありませんから、見舞い金はっきり出ませんでしょうが、工事契約などを見ましても、工事中の保険など、やっかいな問題があるんじゃないかと思うんですよ。潜水夫の保険にいたしましても、工事中の保険にいたしましてもね。特に大きな会社の場合は災害補償も十分出るでしょうけれども、ほんとに小さい、二、三人でつくっているようなものは完全な補償もないんじゃないかと思うのですが、そういうものについてはどう考えているんですか。
  93. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいままでの段階では、どうも、先ほども長官からもお話ございましたように、その原因等の問題もございますので、見舞い金等の問題はまだ一切手を触れておりません。今後の問題といたしまして、これをどういうふうに考えていくかというのは、もう少し時間をかしていただかなければならないかと存じます。
  94. 小柳勇

    小柳勇君 それは検討しておいてもらいましょう。——何かわかっていますか。わかっていたらおっしゃってください、いま耳打ちされたですから。
  95. 岡部保

    説明員岡部保君) いまの打ち合わせは保険の問題でございまして、保険は予算の中に含んでおるということでございます。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 その保険の予算は見ていますけれども、それが少ないのじゃないかと思いましたもんですから、潜水夫など完全にやっぱり作業せぬ——まあそれじゃ悪いけれども、保険が少ないから十分の仕事ができぬのではないかと思ったもんですから質問しているわけですから、その点はひとつ検討していただきます。  もう一つは、名古屋で海龍丸が動いているんですね。伊勢湾でも残存機雷が五十五あると、ここに、防衛庁が発表しているこの表にありますよ。だから、職員が黙っていれば不安なところでも動かせるというような姿勢ではいかぬのではないか。海鵬丸はいま整備中でもありますけれども、まだこれは十分探査しなければならぬということなんです。海龍丸のほうはやっぱりドラグサクションで動いているわけです。これはなぜですか。
  97. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいま海龍丸が伊勢湾で工事をいたしておりますのは危険区域外のところでございます。伊勢湾ではやはり危険海域がところどころございます。現在実施いたしておりますのは、危険海域外であるということで実際に動かしておるわけでございます。したがって、全国的に申しまして、必ずしも関門地区だけではなくて、裏日本あるいは大阪湾等でやはり工事を中止しているところがございます。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 それではこれで最後にいたしますが、未掃海区域、さっき言いましたように、二千四百平方キロ、しゅんせつ計画は五年間に五億七千平米、これはこの前の国会答弁です。このしゅんせつ計画と掃海計画というのがばらばらなんです。だから、しゅんせつ計画を五年間に五億七千平米とするならば、それに相応する掃海体制というものが必要ではないか。防衛庁長官がきょうおられませんから、防衛庁のこの掃海に対する計画についてはまた別途聞きます。海中だけはいいけれども海の底ではだめなんでは、ほんとうのこれは掃海にならぬのじゃないかと思うんです、将来の防衛計画でもですね。したがって、これはまた別途長官に聞きますから、おたくのほうの運輸省関係のしゅんせつ計画に対する掃海計画は一体どうか。  それから、磁気探査研究に対して研究費を千三百三十二万六千円組んでありますが、こんなものは効果が出たのか出ぬのか。まあ、このくらいじゃとても完全な研究できていなかったでしょうけれども、その点はどうか。この二点ですね。
  99. 岡部保

    説明員岡部保君) 第一点の問題は、先ほども申しましたように、しゅんせつ工事の問題につきましては前回答弁申し上げましたとおりでございますが、むしろ、しゅんせつ工事だけに限らず、ちょうど危険海域に属しております、その区域に入っております港湾区域というのが約十三億平方メートルございます。この十三億平方メートルの海域につきまして、先ほど申しましたように、これはもちろん能力もございますし、最も危険そうである、あるいは危険の招来しやすい、要するによく使われておるような地域を優先させますが、こういう問題について、全面的に当方で磁気探査を中心にした探査をしていくということをこれから計画するところでございます。  それから第二点につきましては、確かに御説のとおりでございまして、むしろ今後とも検討してまいりたいと申し上げるほうがほんとうだと思います。
  100. 小柳勇

    小柳勇君 これで最後です。  きょうの私の質問に対しまして結論を導き出したかったのが二つありまして、一つは工事請負方式というものについて検討する必要があるのではないか、港建工事契約する人、その他下請孫請、あるいはその孫請というような、こういう工事形式と監督との関係ですね、これは普通の建設とも同じですけれども、その点について、特にこれら機雷探査機雷撤去の問題は、そのような請負方式ではやるべきではなかろうと、それが一つです。  もう一つは、現在の磁気探査方式及び潜探方式というものは、これはもう時代おくれである。もっと近代的な、しかも全天候方式で、ここは一週間でやろうと思ったら一週間のうちにできると、さあそれじゃ、あとこうしようと、こういうように全天候方式で、しかも信頼がおける、そうしてあとは潜水夫がこうやって銅の棒でやるようなことでなくて、ちゃんと地下二メートルか三メートルでも、その所在が明らかにグラフで出るような方式があるのではないかと、そのために金をかけて、しかも早急にやって、そうしてこの日本列島の周囲を短時間のうちに探査してもらいたい、この二点を言いたかったわけですが、これに対する、大臣おられませんから、きょうは港湾局長から聞いておきまして、また大臣の決意を、政務次官もいらっしゃるけれども、大臣から聞きますから、まず港湾局長は当面の責任者ですから、この二点をひとつ見解を聞いておきたい。
  101. 岡部保

    説明員岡部保君) ただいまの二点の問題につきまして、私どもも一番これから本気になってやらなければならぬという点と考えております。まず第一点の工事請負形式と監督関係でございますが、これは機雷探査機雷掃海と申しますか、そういうものに限って言わせていただきますならば、先生の御趣旨全くよくわかりますし、そういう方向で進みたいという考え方でございます。ここで、先ほどちょっと誤解をなさったんではないかという感じがいたしますのですが、私ども考え方は、やはりいまの段階では、この磁気探査、これは第二点のほうで申し上げますが、もちろん改良はするべきですが、磁気探査という方式が、現在の段階では私どもの目的に最も合致しておる探査方式であると信じております。したがって、この磁気探査方式、これは改良されるにいたしましても、こういう方式を国みずからが実施する、あるいは公的な立場でこういうものを実施するということを考えております。それで、ただこれが誤解を招いたんではないかと心配しておる点でございますけれども、実際の危険地点が発見されまして、そこにどういうものがあるかというようなことは、いわゆる現段階ではどうも潜水探査という方法を併用せざるを得ない。それでそういうものの実施というものは、先生のおっしゃっておるのとちょっと食い違いがあると思います。私どもはむしろ工事と一体に考えていいんではないかという考え方でございます。ただ、そのあとでまた再確認するという磁気探査は、これはもうあくまでも国自体あるいは公的な立場探査ということで実施をするという考え方でございます。  それから、第二点の探査方式の近代化は、先ほど参考人のお話もございましたように、あるいはこの九月末までにまとめます来年度予算の要求の姿でもまとまりましたら、また御説明をさしていただきますが、何らかこういう、いやな言い方でございますが、組織的にこの探査というものを進めていくということを検討いたしますし、実施をする決意でございます。ただ、これが能力が非常にあげ得るのかどうかというのは、まだどうもいろいろわからぬ点もございますので、もう少し検討さしていただきたいと存じますが、いまの能力よりははるかに高めるということは私ども信じておる次第でございます。
  102. 小柳勇

    小柳勇君 それであるなら、もう一問聞いておかなければいけませんが、六月八日の港湾局長通達で潜探後の安全確認というのが出ています。具体的にこの基準を示しておきませんと、書類が幾ら出ましても、下部では実行できないのです。もう一つは、「残存機雷等に関する通達集」というのをもらいましたが、たくさんありますよ、どれを見てやったらいいかわからぬから、一本にさっとまとめて、だれにもわかるように、役人もわかるし請負業者もわかるようにもっとまとめてください。古い通達は省略をして、全部これは要らないと廃止して一本にまとめてやってください。たくさんあります。私自身見ておって、どうなっているかわからぬです。こういうところがやっぱり爆発する原因じゃないかと思いますから、これ、ひとつまとめてください。その二点いかがですか。
  103. 岡部保

    説明員岡部保君) どうもこれは先生にしかられるのも無理からぬ点でございますけれども、役人の通弊でございまして、こういうのはとかく順々につづるくせがございます。ただ、確かにこういう安全の問題というのは非常に大問題でございますので、御趣旨のようにわかりやすくこれは改定さしていただきます。  それから、第一点のほうでおっしゃいました安全確認の手段というものでは、これはこの前の通達のすぐあとに課長名で、やはり補足文書として出しましたものがございます。これでは「安全確認の手段としては、書類検査、再磁気探査、再潜水探査または、これらの重複実施考えられるが、」云々という表現を使っておりますが、ここがやはり問題があった点だと思います。したがって、この点は今回の実例にかんがみまして改めまして、再磁気探査をするのだというふうに、はっきり口頭ではございますが指示をもうすでにいたしております。この点もあわせて今後わかりやすいものにまとめてまいります。
  104. 森中守義

    ○森中守義君 関連して、ちょっと最後に希望なりお尋ねしますが、たしか五月の中旬の委員会で、例の新潟事件のときですよ、あのときに、いま小柳君と同じような質問が行なわれて、また答弁もありましたが、当時こういうことが大体約束されておったと思う。いま会議録を持っておりませんから、もう一回確認の必要がありますが、一つは、なるほどその探査能力が現在のところ十分でない、つまり各海域ごとに残存数をずっとチェックした、数字を出しまして。その数字については質問者側と当局が持っているものと大体符合いたしました。しかし、それも必ずしも完全じゃなかろう、ついては古い話であるが、アメリカ側ともう一回照合してみたい、その結果をもう一度報告をしてくれ、こういう約束が一つある。これが一体どうなったか。  それと、浅瀬であるいは機雷が相当深く沈下しているおそれがある。だからこれを、当時の江崎防衛庁長官との質疑の中で、放置するわけにはいかない、さればといって目下防衛庁にも、あるいは運輸省にも保安庁にも探査能力がない、だからここで科学技術庁なども含めて探査能力の持てるような機器の開発をやったらどうだ、これも大体約束された。  それからいま一つは、関係の各省庁にかなりまたがっていますから、質問者のほうでは、一回総理府あたりを中心に総合的な探査組織といいますか、あるいは機関、そういうものを編成をしたらどうだ、こういう質問に対しまして、そのように善処したい、こういう答弁があった。これは当時の私の記録からいけばやや前向きに、しかも積極的に取り組むという意思で当時は了承しておる。きょうの答弁を聞いていますと、その辺のことが全くあいまいである、ちっとも前進したように感じないんですね。ことに、防衛庁の上野運用課長ね、さっきの答弁で非常に困るのはこういうことですよ。終期がいつのことかわからない、それは言えない、こういう答弁でしたね、さっきのあなたの答弁は。ところが当時の江崎防衛庁長官は、極力すみやかに絶滅すると、こういう約束をしているんですよ。会議録に出ているんだ、これは。だから、いま私どもがそういう答弁を聞いて感ずるのは、閣僚の答弁、当局の答弁というものが委員会のたびごとに適当に答弁をしている。実際きまったことが下のほうにおりていかない、つまり実行に移されていない、こういう感じを私は受ける。ですから、長官が答えたことを運用課長によって否認されたのではかないません。人がかわられたかどうかしらぬけれども、当時の会議録を防衛庁もよく読んでみて、少なくとも現状で担当の課長が、いつのことかわからない、それは言えないということは、長官の国会における答弁とはずいぶん違っている。それをこのまま会議録として残していくというわけにはいきません。だから、午後理事間で相談をして防衛庁長官来てもらいますけれども、その点ははっきりしておいてもらいたい。
  105. 上野隆史

    説明員(上野隆史君) ちょっと私の先ほどの御答弁がことば足らずであったと思いますけれども、私が先ほど掃海する最終時点がわからないと申し上げましたのは、浅海面、先ほども申し上げましたけれども、海産養殖物等をやっておりますようなところ、そういうようなところは一応危険海面として防衛庁がまだ掃海をしていないところでございます。そういうようなところにつきましては、関係の権利者、関係官庁との御相談をしてやらなければならないところでありますから、そういうようなところは御相談がなり次第すみやかにやりますという意味で申し上げました。現在この委員会で問題になっております埋没機雷につきまして、これをどうするんだということにつきましては、あるいは私、先ほど小柳先生の御質問を聞き落としたのかもしれませんけれども、ちょっとなかったというふうに存じましたので、それには触れずにおったわけでございます。それでいま問題になっておりますのは、埋没機雷につきまして防衛庁はどうするんだということにつきまして、江崎長官が、これは四十七年五月三十日の委員会でございますけれども、「防衛庁としてはどうも今度の場合は手の届かないところにあったというふうに考えておるわけでありまするが、そうかといって、これは終戦処理の重要な一環でありまするので、今後二度とこういうことの繰り返しがありませんように、現在の予算措置では埋没機雷を探知するという施設は持ち合わせておりませんが、今後はこれはやはりなお総務長官等々を中心にいたしまして検討の要あり、こういうふうに考えておるような次第であります。」という答弁をなさっております。これにつきましては私ども十分に承知しております。長官からもそういうようなお示しがございまして、これは関係各省庁と十分やっておるところでございます。その点はひとつ誤解のないように小柳先生にもお願いしたいと思います。
  106. 森中守義

    ○森中守義君 そういったように話がおりておればそれは承知いたしましょう。それと、その探査機能というか、機器の開発をやるということまでも当時は議論が進んでおった。そういうことが全体を通して少しも連係的なものになっていない。この辺が問題なので、いまあらためて運用課長の補足された説明であれば、それはわざわざあとで防衛庁長官を呼ぶ必要はありませんけれども、そういう趣旨で、ちょっとやっぱり当時から比べると非常に後退しておる、こういう感じを私受けたものですから特に念を押したわけです。  それと、機能その他の問題でちょっと運輸省から答えてもらいたい。
  107. 岡部保

    説明員岡部保君) 森中先生のお話でございますが、先ほど申し上げましたように、この機雷除去あるいは危険の防止という問題、これが一般的に申しまして責任がどこにあるかということで、どこの役所がこの責任をとってどうするという議論を、私自身しておってもあまり意味がないんではないかと、意味がないというのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、むしろほんとうに安全を確保するということに、実体的にもっと進むべきではないかという感じが私自身しておるわけでございます。  そこで、一番そういう海面で危険の起こりそうな港湾区域に関しましては、これはどこの責任とか、そういうことではなくて、実体的にこれの探査をするということを運輸省として第一に踏み切る必要があるという考え方で、いわゆるいままでの考え方で申しますれば、港湾局としては港湾工事に伴う探査というものだけに限定して触れておったわけでございますけれども、今後港湾区域内の海面に対する探査というものを、ひとつ全面的に危険海域においてはやろうじゃないか、それによって危険なポイントが見つかりましたらそこをさらに探査除去をしていただく、これは実際上防衛庁にお願いするということになりますが、そういうような実体的な進め方をもっとしなければ切りがないという感じになって、きょうの私の答弁の中心がそこにあったわけでございます。したがって、何と申しますか、実体的に少しでも早くしなければならないということで、前回いろいろ御議論がございました問題、もちろん今後とも、たとえば機器の開発であるとか、そういう問題についてはこれからも絶えず科学技術庁であるとか、あるいは専門の業界の方であるとか、そういうところと御相談しながら、少しでも改良は進めてまいりますが、さしあたり、いま申しました現段階で利用できるものをまず利用して、一刻も早く、何と申しますか実施に移したいという考え方でございます。
  108. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 渡辺参考人には、御多忙の中をどうもありがとうございました。  ほかに、御発言もなければ、本件に関する午前中の調査はこの程度といたします。午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時五十分開会
  109. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、民営鉄道経営に関する件について調査を行ないます。  佐藤参考人には、御多忙のところを御出席いただき、まことにありがとうございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 辻一彦

    辻一彦君 私、きょうは過疎地帯また準過疎地帯における住民の足確保と、そういう観点から私鉄の問題について若干の質問を行ないたいと思います。  まず第一は、大都市のほうは、もうこれは言うまでもないことですが、過密に追われてたいへんな交通の混雑をしているということは言うまでもありません。ところが一方において、過疎地帯あるいは準過疎地帯において、たとえば私の県は福井県でありますが、まあ人口七十五万という小さな県ですが、人口がわずかに減るとか、あるいは横ばいをやっておる。こういう地方において私鉄が赤字と、こういうことを理由にして路線を、電車の線路をどんどんまくっていくわけですが、こういう場合に過疎地域における住民の足をどういうようにして確保していくか。こういう点から考えて、この廃線の基準といいますか、どういう場合に廃線をするのかと、そういう一つの考え方、こういうものをまず伺いたいと思います。
  111. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) お答え申し上げます。  地方鉄道のうちで、中小私鉄と申しております地域交通に貢献しております鉄道について申し上げますと、この現在の道路状況、それから自動車の発達に伴いまして中小私鉄の輸送需要につきましては年々漸減いたしておりまして、また沿線人口の減少ということもこの傾向に拍車をかけております。したがいまして、この中小私鉄の中で非常に輸送量が激減いたしまして、また沿線の道路事情がバスに適しておるというような状態になっております場合には、中小私鉄を廃止いたしましてバスで代行運行、代替輸送をすると、こういう考え方でまいっております。これにつきましては、非常に沿線住民の方から鉄道存続の御希望も多いわけでございますが、地方鉄道を経営している側からいきまして、単に赤字ということでございませんで、輸送需要の動向なりそれから営業収支の状況、それからまた廃止した場合におきます代替輸送につきまして、道路条件その他の条件が整っておるのかどうか。それから地元の動向というものを参酌して対応してまいってきておる状況でございます。
  112. 辻一彦

    辻一彦君 じゃあ若干具体的になりますが、すでに質疑のときに通告をしておいたのですが、福井県の福井鉄道というのがあります。で、これは武生から大体福井二十二キロ、あるいは武生から織田と、南越線、鯖浦線、福武線と三つに分かれておりますが、この廃線問題について運輸省のほうでいろいろ調べられた状況、企業のほうからどういう申請が出ており、それをどう処置する考えであるか。その場合どういう観点から処置をするのか、それらの二、三点お伺いいたします。
  113. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) ただいま先生が申されましたように、福井鉄道について申し上げますと、本線と申しますか、この会社の動脈として運行されております路線は、福武線と申しまして武生から福井を結んでおる十八・一キロの線でございます。この線を中心といたしまして、途中の水落というところから織田まで運行しております一七・一キロの鯖浦線というのがございます。それからもう一本武生から分岐いたしまして粟田部というところまで八・七キロ、この鉄道を経営いたしております。現在福井鉄道から当省に対しまして廃止の申請が出ておりますものは、この鯖浦線のうち途中に西田中というところがございますが、西田中——織田間の廃止申請がことしの二月に当省に提出されております。この場合には、鯖浦線の輸送状況と申しますと、四十四年に比べまして四十六年の定期、定期外合わせます輸送量は七九%というふうに漸滅いたしてまいっております。また営業収支の面から見ますと、この輸送量に対応いたします運輸収入、それから営業経費の中の人件費の部分、これを償う状況に至っていないわけでございます。したがいまして、この鯖浦線の場合に年間の輸送量は四十六年度で百五十万人程度でございます。この申請に対しましては、地元の動向といたしまして、先生御存じのように二町一村あるわけでございますが、この二町一村のうち二町につきましては、この鉄道の経営状態なり輸送状態から見て西田中までの部分についてはやむを得ない、こういう御意向でございます。ただ、まん中にございます宮崎村につきましてはまだ御意向がはっきりいたしておらない状況でございます。  で、この西田中−織田間、鯖浦線の途中の区間になりますが、この区間の道路状況につきましてはバス運行が可能な状態になっておりますし、また輸送状態から見ますとバス輸送力をもって対応できるような状況になっております。したがいまして、配置転換の問題等円滑に進む状況を見きわめまして西田中−織田間の廃止申請の処理を考えたい、かように考えておりますのが現状でございます。
  114. 辻一彦

    辻一彦君 いま申請があった点については道路の事情、バスの代行の可能性あるいは配置転換等が円滑に進むというような考えで、これについては大体やむを得ないだろうと、こういう見解なんですね。  じゃ、続いていまお話のあった南越、鯖浦線のほうはこれはひとまず置いて、いま一番福鉄線で重要な動脈線は福井−武生間二十二キロ、たくさんの通勤客、通学生がこれを利用している非常にもう欠くことのできない交通機関になっておりますが、この福武線はいままで運輸省のほうで残すべき線に何か指定をするとか、あるいは助成をするとかそれらのことはお考えになっておるのかどうか、それらの点はどうですか。
  115. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) この福井鉄道の本線でございます福武線につきましては、まず輸送状態でございますが、一般的な人口減少傾向を反映いたしまして、この本線である福武線につきましても、定期、定期外合わせまして、四十四年が八百二十二万輸送いたしておったわけでございますが、四十六年度は約八五%、七百四万人程度に漸減いたしてまいっております。で、この福武線の営業収支について申し上げますと、収入に対しまして支出がオーバーいたして、その結果、経常損益では約一億の欠損を生じておるのが現状でございます。で、この福武線につきまして、当省としてはかつて欠損補助という措置をとったことがございますが、現在におきましては、この福武線が輸送量におきまして、四十六年度、先ほど申し上げました七百四万人で、一日約一万九千人程度を運んでおりまして、この線についての省力化、経費を節約するという観点から、鉄道を近代化するための施設整備につきまして、現在補助を若干でございますがいたしておる状況でございます。
  116. 辻一彦

    辻一彦君 具体的にどのぐらい年度別に補助を出しているか伺いたい。
  117. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 地方鉄道軌道合理化設備整備費補助金、これはかつてそう申しておりますが、現在は近代化設備整備費補助と申しておりまして、四十四年度、四十五年度、四十六年度と、四十六年度におきましては約四百万程度補助をいたしております。
  118. 辻一彦

    辻一彦君 四十五年度は。
  119. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 四十五年度は百八十三万円でございます。
  120. 辻一彦

    辻一彦君 具体的に、まあ金額は四百万というとたいへん少額で、それでもって何ができるかという、言うならば問題にならないような額ですが、しかし国がこの近代化資金を出すという意味は、これは幹線の線路として今後近代化をし、残していかなければならないという、そういう考え方で出しておるのかどうか、その点はどうなんですか。
  121. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) いま申し上げましたように、一日の輸送量が一万九千程度の線でございますので、この線を維持するためには、まず第一に利用者にも御負担をいただいて運賃を是正していく、こういう方法と、それから経営者の自主的な経営努力はもちろんでございますが、営業収支につきまして、経費面の減少ということをはかる必要があるわけでありまして、そのために設備を近代化しよう、こういうことに対して国としてもそれを一部助成する、こういう考え方でこの線の運営会社が行なっておるわけでございます。
  122. 辻一彦

    辻一彦君 じゃあ重ねてお伺いしたいけれども、国がこの近代化資金を出すということは、これは将来めくるというか、まくるようなものに大体出すのじゃなくて、やはりこれは幹線で大事だから、一日二万の通勤通学が通っておるわけですね、だからこれは大事だから近代化をして、この基幹線路として残していかなくちゃならない、そのために近代化をしなきゃいかぬ、こういう意味で出しておるのかどうか、その点を確認をいたしたい。
  123. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 現状におきましては、いま申し上げたような輸送状態でございますが、この福武線の将来の輸送需要の見通し、また他方、営業収支の見通しというものがからみ合いまして、これが将来とも存続可能であるかどうかということについてはにわかに断定できませんが、現状におきまして、施設を整備して、そして経費を幾らかでも削減いたして、そして営業収支のバランスをとろう、そして鉄道の輸送を全うさせよう、こういう考え方でございます。
  124. 辻一彦

    辻一彦君 将来の長い先のことは一応別として、今日政府が資金を幾らかでも出しているという意図は、これを近代化してバランスをとって、少なくもこの維持をしていかなくちゃいかないという、今日においてはそういう意見ですね。これは確認できますね。どうですか。
  125. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 会社から、まだこの線を廃止するとか、あるいはそれに類した意思表示は当省関係については出てきておりませんので、私どもとしてはこの娘がいま申したような措置を講じまして運営されるというふうに考えております。
  126. 辻一彦

    辻一彦君 そこで私は、一番福井鉄道では大事な福武線の、私たちのほうから見た実態を若干お話をして見解を伺いたいと、こういうふうに思うわけです。  で、これはまあ調査をされて御存じと思いますけれども、いま問題になっておるのは、この夏の手当をめぐりまして、労使の間に年間の臨給の問題があって、それがまあ去年は二十八万円出ておった。ことしは三万円しか出さないと、こういうことでいろいろ問題が起きて、その中で合理化の問題が出てきたわけですね。ところが合理化は先ほどのような南越線の一部であるとか、いま御報告のあったようなことであれば別として、会社は全線を廃線にいたしたいと、こういうことを団体交渉等の中で提案をしてきたわけですね。私はこれはこの地区における住民の足確保という点から非常に重大な問題であると。したがって、これは地方の新聞を見ましても非常に社会問題化しておるという状況にあるわけです。  で、先ほどお話がありましたが、大体一日に二万人の通勤、通学の人たちが大体乗ると、そうしますと、この福井市は、現在小さい町ですが二十二万、その次の鯖江市が五万、武生市が六万という、こういうものの一つの幹線になるわけですね。しかも武生市は、これは、田中総理の日本列島改造論は大いにわれわれ異論のあるところですが、その中に一応あがっているのは、地方都市二十五万というような一つの考え方が出されている。とすれば、武生−福井間は福井のあの地域においては重要な基幹都市になる。この間を結ぶ大事な線路である、こういうことに私はなると思うわけなんです。ところがこれを先ほど言いましたように、全線をまくるという、こういう提案が出ましたが、もしもこれを廃線にするとすれば、鉄道によるか、あるいはバスによるか、あるいは自家用車によるか、その三つで運ばなければならない。それでその可能性をいろいろ検討してみると、三ついずれも不可能だと、こういうような私たちは見方になるわけです。一つは、鉄道はこれは御存じのとおりですが、いま金鉄局は通勤用の列車を非常に削減をして、非常に住民は困っておる。あの近くの坂井郡という大きな穀倉部、通勤者が多いのですが、ここでは全部の町村長が一緒になって金沢鉄道局に通勤車をこんなに削られちゃかなわないという、こういう抗議を申し入れているという状況です。列車によってこれだけの人を、二万人の人を運ぶということは、これは普通、ダイヤの点からいっても考えられない。第二には、これはバスの問題ですが、七十人乗せるバスを二万人を運ぶために計算をすると、これはまあ往復として計算すれば、百五十台程度は少なくともバスが七十人乗りで要ると、この一台五百万くらいのバスを少なくとも百五十台要れば、七億五千万からのこういうバスを会社が買うにしても経費がかかる、これも容易では私はないと思うのですね。あるいはこれは走らす一体道があるかというと、旧国道は昔の武生、鯖江の町中を通って、非常に狭くて大量の輸送にはあわないという状況であります。なるほど新国道八号線がありますが、これもいまバス通勤時間は、二十二キロの問を大体時速十二ないし十三キロの、バス通勤時間で一時間半ぐらい、ラッシュ時に通勤にかかるという、こういう混雑の状況ですね。そこで、もしもここにバスを走らす、これもなかなか容易でない。じゃマイカーでやった場合に、少なくも二万人の一万人、半分としても五千台の自動車が要る。それを二人乗るとしても二千五百台、これは武生から鯖江を通って坂井町という、ずっと向こうのほうの町まで並べても続くような量になるわけですね。こういう点を考えると、この二万人の通勤者や通学者をほかの方法によって運ぶということは、ほとんどよほどの変化がない限りは不可能と言わなくてはならない。こうなると、やはりどうしても福武線によって運搬といいますか、運送すると、こういうことをしなくてはならないと、こういうことは私は明らかと思うのですね。ところが、こんな問題をわかりながら、地元の福井県、福井市、武生市、鯖江市ですね、そういう関係市町村の、あるいは県に何ら相談もなしに、直接労使の臨給といいますか、夏の手当という問題の中にこういうものを出して、これがのめるなら臨給を出すぞと、のめないならこれはだめになっちゃうんだと、こういうやり方というものは、いわゆる私鉄というものが公益性を持つという点から考えて、その態度、その考え方というものは非常に問題があると私は思うのですが、その点をひとつ部長からお伺いしたいと思います。
  127. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) いま先生申されましたように、もしもこの線を廃止した場合にどうなるかという点については、現段階におきまして、私どものほうでまだ検討をいたしておりません。しかしその問題点としましては、御指摘のように、代替輸送——これにかわる輸送をやる場合に、この国鉄線なり、あるいは道路輸送、こういうものが取り上げられることは御指摘のとおりだろうと思います。ただその場合に、道路状況と申しましても、もちろんお話のように、交通量なり混雑状況を踏まえました道路状況というものを私ども他の事案の場合にも見てまいっておるわけでございます。そこで、会社内部におきまして、年間臨時給の問題とからまりまして合理化の問題が出ていると、こういうお話でございますが、それは会社内部としまして検討を行なっておるもんであろう、かように考えております。
  128. 辻一彦

    辻一彦君 いや、私の伺いたいのは、こういう地方鉄道の公益性、公共性から考えて、こういうような無謀な提案をする企業の態度というものが、私は私鉄の経営者としても非常に問題があるのじゃないかと、こういう考え方や態度をどういうように監督官庁といいますか、行政の指導に当たる官庁としては考えるか、これを伺いたいのです。
  129. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) おそらく会社といたしましては、この鉄道線の将来につきましてある見通しを持って、それでその上で現在の営業収支、これらをにらんで、それで代替する場合にどうかと、この辺まで深く検討した上で、社内で、労使でそういうお話し合いの場に出したということかどうか、その辺つまびらかでございません。ただ、先生おっしゃるように、それがもしも、そういう深い検討なしにその話が出ているという仮定をいたしますれば、その点について、やはり地域交通を担当し、足を確保していくという使命を地方鉄道業者は持っているわけでございますので、そういった気持ちの上に立って事業経営を遂行することをわれわれとしては願っているわけでございます。
  130. 辻一彦

    辻一彦君 実際は、十分な私は検討はされていないと思うんですね。というのは、企業の立場が非常にぐらついている。福井の駅前からしばらくの距離、広場を電車が通っておりますが、そこを福井市が都市計画のために払い下げてほしいというか、あるいは広場に使いたいからその線路を廃止してほしい、こういうのに対して、ここはドル箱だから渡せないと、こういうことを一面において言いながら、片面においては全線を廃止すると、こういうことは私は非常に矛盾をした企業の言い方だと思うんですね。そういうことをお考えになってどうお考えになるか、いかがでしょう。
  131. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) いまお話のように、ある面につきましては、鉄道存続を前提とした話をし、ある面においては、これと逆行する話をしていると、こういう状況でありますと、会社といたしましてもしっかり実情を踏まえた一つの案として考えているかどうか、若干疑念を持つわけでございます。
  132. 辻一彦

    辻一彦君 私は、一つの県で一番中心的な私鉄、しかも一番基幹動脈である線路は、安易に全線をめくるというようなことを言えば、その地方の住民に非常なショックといいますか、いろいろな影響を与えると思うんですよ。そういう意味で、非常に福井県においては、これは社会的な問題として取り扱われているんですが、こういう企業の態度について、民鉄協会の理事長の佐藤さんに御出席いただいているんですが、参考人としてどうお考えになるか、ちょっと参考に伺いたい。  それから大臣に対して、こういう状況の中で線路がまくられていくことについて、住民の足確保からどう地方の交通政策として考えるか、この答弁をお願いしたいと思うので、出席をお願いしたいと思う。
  133. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  134. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  135. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 地方におきます中小私鉄でございますが、先生御指摘のように、経営状態においては、最近特に赤字に大部分の会社が悩んでいるというのが現状でございます。したがいまして、経営的な見地からいたしますと、何らかの方法でこれが健全な経営になるように努力するということを各社ともやっているわけでございますが、しかも依然として赤字の状態が続いているというのが御承知のとおりの現状でございます。そこで、この原因といたしまして、各社の経営努力の外にあります、たとえばマイカーの問題、あるいはその他の輸送機関の発達というようなことが、どうしても宿命的に影響しているということも申し上げられると思うのでございます。われわれ民営鉄道経営者協会といたしましては、できるだけこの経営が維持できるようにということに日夜努力をいたしておるわけでございますが、なおかつ、こういうような赤字になる状態をどういうふうにするかということで頭を悩ましているということが、率直に申し上げて現状でございます。  そこで、実際に現地におけるいろいろな問題、いま御指摘のような点もあるかと思いますけれども、われわれといたしましては、やはり地方の交通体系というものを政策的によく考えていただきまして、どうしても経営的には成り立たないけれども経営上、地方交通上存置をしておく必要があると政府等でお考えのものについては、それなりの必要な対策をお考えになられたい。また、すでに代替交通等が十分にありまして、もうこれで十分いけるのではないかというようなものにつきましては、できるだけ順調にその代替交通機関に移行できるような措置を考えていただきたい、こういうことをお願いしておるというのが現状でございます。
  136. 辻一彦

    辻一彦君 いや、私のお伺いしたいのは、こういう住民の過疎地帯、準過疎地帯で足を確保する大事な役割りを公共的に持つ地方の私鉄というものが社会的な責任といいますか、公共性と、こういうことを何かおろそかにしているのではないか、そういう企業の態度について民間の企業の代表者であるあなたがどうお考えになるか、このことをひとつお伺いしたいのと、もう一つは、どうしても存置が必要な場合には必要ないろいろな処置と言われますけれども、具体的にどういう処置をとることができるのか、この二点をもう一度お伺いしたい。
  137. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) われわれ地方鉄道事業者といたしましては、その社会的使命にかんがみまして、使命を完遂をしたいという気持ちで日夜努力をしておるということを申し上げておるわけでございまして、社会的責任を十分自覚して各企業はやっておられるというふうにわれわれは考えております。さらにその場合に、実際必要であってもなかなか経営的に成り立たない場合にどうすることを、おまえのほうでは要望しておるかというお尋ねでございますが、これはすでに先生御承知かと思いますが、先ほども話が出ておりますが、中小民鉄に対しましては近代化補助あるいは経営費補助、それから若干性格は違うと思いますが、踏切の補助、こういう三つの補助制度がございますので、われわれとしては、この内容を今後とも十分に整備拡充をしていただきたいということを常にお願いしておるところでございます。
  138. 辻一彦

    辻一彦君 先ほど中村部長から伺った四百万や二百万の近代化の程度ではこれはとても問題にならぬと思うのですが、いまあなたのほうでお考えになっているのは、額からいうとやはりそういう内容なんですか。
  139. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 私どもといたしましては、先生御指摘の近代化補助につきましてはできるだけ内容を整備していただきたいという希望は持っておりますが、これはやはり政府の財政的な御事情もございましょうし、他の補助制度との関係もございますので、まあそういうような中でも、できるだけ内容を充実していただきたいということをお願いをしておるわけでございまして、現在、今年度予算におきましては総額八千六百万円程度が認められておりますが、来年度はこれを少しでも金額をふやしていただくように現在お願いをしておるところでございます。
  140. 長田裕二

    委員長長田裕二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  141. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 速記を起こして。
  142. 辻一彦

    辻一彦君 いま、大臣ちょっとお見えにならなかったのですが、中村部長と、それから佐藤参考人のほうからお伺いしたのは、地方の私鉄が赤字だという点で線路をどんどんめくっていく、その場合に、どうしても大事な線路が赤字ということでまくられれば、過疎もしくは準過疎地帯——私は福井県ですから非常に、七十万という小さな県で横ばいの状況ですから、そういうところでは大事な線路が、電車がなくなれば非常に困ると、現にいま部長の答弁のように二万人の人が福井−武生の間に通勤、通学をしている、こういう線路がいま福井鉄道の当局が言うように全線まくられたのでは住民の足が確保できないという、そういうことについて、赤字という理由だけでそういうものを全部まくってしまうことについて、地方の交通政策として政府ではどうお考えになるか、その点をまずひとつ伺ってから質問に入りたいと思います。
  143. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいま御質問の点につきましては、私から申し上げるまでもなく、地方交通機関、ことに民鉄と言わず国鉄と言わず、地方鉄道はいま非常に経営難におちいっていることはよく承知しております。これは過疎地帯の結果そうなっていることでございましょう、しかしながら、やはり地方鉄道というものはそれなりの地方開発とか地域住民の福祉を守るという使命を持っておりますので、ただ単に赤字だからといって撤去したり、それを廃止したりするというようなことには、直ちにこれは賛成するわけにはまいりません。そのために政府といたしましてもその対策として毎年それ相当の予算を組んでまいっておりますが、田中内閣といたしましては、これらの、いわゆる地方赤字線などについては、ことのほかその目的を十分果たせるだけの対策を積極的に講じていかなくちゃならぬ、こういうような考えを持っております。
  144. 辻一彦

    辻一彦君 まあ田中総理の、そういう私はお考えであればけっこうですが、具体的にどういうようにされるのか、たとえば私は一つ指摘したいのですが、総理は最近外貨がたくさんだまったと、こういうことで外貨減らしということにいま非常に熱心でありますが、アメリカから買えるものであれば何でも買って外貨を減らそうと、減らしたいと、こういう点で運輸省に何かいい案がないかと、こういう指示を大臣は受けられたということを私は新聞で拝見をしました。大都市においてこれだけ交通地獄があり、地方の過疎地域においては住民の足というものが全くくずれようとしている、そういう中で、国民の汗の蓄積である外貨が、ただ余ったからおおばんぶるまいをやってどこかで減らせばいいというような、私はこういう政治感覚というものが非常に問題があるのじゃないかと思います。そこで、外貨とこれは性格は違うということはわかりますが、少なくとも国民の蓄積した、こういう汗を流して蓄積した富が、もっと大都市のああいう交通地獄の解消あるいはわれわれのようなこういう過疎地域における交通、地方の交通政策を確立する、こういう方向に回されなくてはならないと思うのですが、田中総理が言われるようなそういう見解をお持ちであるならば、担当の大臣として、それを具体的にどういうように展開をする考えであるか、このことをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  145. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) まだ私、就任一カ月で具体的なお答えはいたしかねますが、たとえば過疎地帯のバスなどの報告を受けておりますと、昭和四十七年度の予算は六年度予算の三倍の予算を要求いたしまして、過疎地帯の交通対策を講じているというような報告も受けておりますので、明年度はこれらをもっと積極的に、やっぱりバスの購入費とか、あるいはまた融資の問題とか、あるいは税金の問題とか含めて考えるようにということを指示しておりますので、勢いこれらの問題が地方鉄道にも当然これは関連する問題だ、こう思っておりますので、明年度予算につきましては、ただ単に金だけの問題ではないとは思いますけれども、いろいろな経営に問題のある点を指摘いたしまして、御趣旨のような点に進みたいとこう考えております。
  146. 辻一彦

    辻一彦君 まあちょっと抽象的な内容で、これから内容的に固まると思いますが、これは、先ほどの答弁でも、佐藤さんのほうから、今年度は八千六百万円の地方の鉄道の近代化に対する援助だと言いますけれども、こんなものでは、たとえば福井鉄道が赤字を出してやっているああいうようなところへ四百万円程度の助成金があったからといって、そんなもんで近代化になるというようなことは、とうてい私は考えられないと思うんですけれどもね。あるいはバスも、なるほど明年度は若干経費というものはつくかもわからないけれども、その程度では、とても過疎におけるあの住民の足を守るということはできないと思うので、この点、これから総理のお考えを内容的にぜひ大臣で確立をしていただいて、本格的にどうしても取り組んでいただきたい。これをひとつ強く要望いたしたいと思います。  で、参考人に私必要に応じて聞かなければいけないので、もし都合があったら、一ぺん聞いていただきますかね。
  147. 小柳勇

    小柳勇君 いまのに関連しまして。  大臣の考え方、根本的に私と違うんです。それは民間のバスと、いまの地方鉄道とは切り離して考えませんと、もう経営は全然根本から違うと思うんです。バスの経営については、これはまた別途論議していいんですが、いま私どもがここに参考人に来てもらっておるのは、民間鉄道、レールの経営を一体どうするかという問題。諸外国では、ほとんど、国鉄も民間鉄道もつくるまでは国がひとつめんどう見ようと。あと、車買って、人を雇って運転するのを会社がやってくれという方向ですね。もう全部、世界各国、レールは赤字ですよ。しかもそれは、へんぴなところからへんぴな土地へ、あるいは山間僻地をレールでつなぐという国策、基本的な考えがありますから、したがって、レールは生かさなければならぬが、それは経営上は成り立たぬから、したがって、これはもう国がめんどう見ようという方向にあるわけです。  いま私は、これから参考人に聞きたいんですが、いまの国鉄、そういう方向にありますが、民鉄で、レールで黒字のところがあるのかどうか、大手、中小企業を加えまして。私どもの調べでは、レールではほとんどもう黒字じゃないんですよ。赤字経営です。しかし、やっぱりレールを経営しなきゃならぬ、そういうことと思うが、あと、十四社から運賃値上げ申請されておりますので、この問題を関連いたしまして聞きますが、現在の経営で一体どうかということと、それから、これから五カ年計画で七千七百億円の建設のための計画が考えられておりますが、こういうものについて、一体民鉄としてはどう考えるか。大臣の考えあとで聞きますから、まず参考人から意見を聞こうと思うんです。
  148. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 御質問の第一点の中小私鉄の経営状態でございますが、先生御指摘のように、大部分の会社は償却前あるいは償却後赤字の状態でございます。例を、ちょっと資料が古くて恐縮でございますが、四十四年度の中小私鉄九十五社について見ますと、黒字はわずか十八社、それ以外は全部赤字会社、こういう状態でございます。  それから、第二の点の大手の会社の状態でございますが、大手十六社につきまして、私どものほうで試算をいたしました数字でございますが、そのうちで、先般運賃改定の申請をまとめていたしました大手十二社でございますが、四十六年度百九十三億というような赤字を出しておる状態でございます。したがいまして、概括して申し上げますと、大手、中小を問わず、経営状態においては大部分のものが赤字というふうに申し上げられると、こういうことでございます。
  149. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、大手十四社の運賃値上げ三〇%平均を申請してありますが、この建設費に対しても、運賃値上げによって大部分をまかなっていこうというようなことですが、それでは間に合わないのではないか。これからの人の動きですね、物の動き、したがって、民鉄としては、ことしの予算編成期に、政府に対して、もっと建設なり経営に対する補助、援助を強くしてくれという要求を強くしておられるかどうか。やったとすれば、いつどういう形式で政府に要求してあるのか、お聞かせ願いたいです。
  150. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 中小の問題につきましては先ほど触れましたので、大手について御説明申し上げますと、先生御承知のように、先般の国会でたいへん皆さん方の御審議、御検討をいただきました、鉄道建設公団法による建設という道が開かれましたので、この道を来年度においてもさらに整備拡充をしていただく。これによって、大手の、都市における急速施工を要する鉄道建設を推進していただくということをわれわれとしては考えているわけでございます。ただ、残念なことに、この予算規模は、いわゆる利率低減効果といいますか、原価に対する働き方は、まだ制度が始まったばかりでございまして、必ずしもこれが十分働き得る状態になっておりませんので、来年度以降におきましてはさらにこの予算規模を整備をしていただく。あるいは、これは非常にむずかしい問題がいろいろあるかと思いますが、一般の金利低減の傾向にありますのにかんがみまして、その辺についても御配慮をお願いできないだろうかというようなことを現在まだわれわれのほうで検討をして、近くそういうような趣旨のことをお願いしようということを考えておりますということでございます。
  151. 小柳勇

    小柳勇君 関連でありますから、これであれですが、大臣、いまのとおりです、私鉄は大手も中小企業も赤字経営です。レールはもう一般的にそうなんですね。だから、過疎地域のバス対策はまた別途これは論議いたしますが、これは切り離して論議しなければいかぬと思うんです、ぼくは。したがって、レールの問題について、鉄道建設公団のやつはこの間法律通しましたが、あと経営に対する援助など根本的に考えませんと、あと、辻君が言っているような、具体的な地方線の問題がもうばらばら出てきますね。その問題を、大臣としては、ちょうど予算の編成時期でありますが、どう根本的にお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  152. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 先ほど申し上げましたとおり、鉄道、ことに過疎地帯の鉄道の問題のように承っておりますが、いま参考人からのお話のありました大手のほうに対しましては、御承知の建設公団などによる政府の援助はある程度効果をあげていると思いますが、過疎地帯にはこれといったまだ積極的な対策もないようでございますから、明年度予算編成時期でもございますから、十分その置かれている立場を検討いたしまして、対策を講じていきたいと、こう考えております。
  153. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ私、第二に、福井のようなこういう地方に、名前をあげれば名鉄という大きな資本が進出をして、実質的には福鉄を吸収したということですが、こういう地方私鉄の吸収の大きな資本のあり方について二、三伺いたいと思うのです。  これは、福井鉄道の場合ですね、従来名鉄の資本が協力をしておった。しかし、四十三年の春闘といいますか、争議で、これが一度手を引いた形になったのです。そこで、福鉄では、社長から重役が不在で三カ月間組合員によって電車を動かしたという歴史があるわけです。当時の運輸大臣はたしか中曽根大臣だと思いましたが、仲介によって、名鉄が乗り出して、そうして福鉄の資本を吸収をした。このときには、福井県の政財界では、名鉄が乗り出してくれるならば、地方のこの過疎対策に、住民の足を守る上においてかなり努力をしてもらえるのだと、こういう期待が実は私はあったと思うわけですよ。しかし、現実にその名鉄資本が福鉄資本を吸収して、株の三分の一を取得して経営権が移った。何が行なわれたかといえば、目立ったことを言えば、五億円をかけてボウリング場ができているということ、あるいはそのほかということになれば、結局ボウリング場による資金繰り等が苦しくなって償還金に追われるということで、夏の手当のほうにしわ寄せがきている、こういうような問題がいま起こっているわけです。そこで、千五十人おった従業員が、三百五十人の人員整理によって、いま七百人ほどになっておる。さらに、いま百七十名を人員整理をしよう、こういう計画が出されておる。そしてあまつさえ、先ほど問題になりました福井−武生間という基幹の動脈線全線を廃線にしたいという、こういうような私は動きがあるとすれば、一体こういう大きな資本というものは、過疎県に入って、地域の住民の利益とか、こういうことをどう考えておるのか、地域住民が単に犠牲になるというような形というほかはないんじゃないか、こういうように私は思うんですが、バスの一番いいところだけは名鉄傘下にバス路線をおさめて、それだけは吸収して、あとは食い散らしてしまう、こういうような形では、先ほどから大臣が言われましたが、過疎地の住民の足は私は守れないと、こう思うんですが、こういう資本の進出のしかたに対して、まずひとつ中村部長のほうから第一に伺って、あと参考人と大臣からそれぞれお考えを伺いたいと思います。
  154. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 四十三年だったかと思いますが、福井鉄道の経営陣が全員やめられた。その後、いまお話しのように、名鉄が三三%ほどの株を持って経営に当たっておるわけであります。私どものほうとしまして、いまのボウリング等の経営いかんによって、そのしわ寄せが他の経費に及んでおるという点についてはつまびらかでございませんが、会社全体のあれを見ますと、その他兼業面におきまして——鉄軌道、自動車以外でございますが、そこで約一億三千万ほどの収益をあげて全事業に幾らかでも貢献しておる、こういうような姿がこの会社全体の収支になっております。
  155. 辻一彦

    辻一彦君 参考人からひとつ考え方を伺いたい。
  156. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) たいへんむずかしい御質問で、われわれの立場で一般的なお答えを申し上げるわけでございますが、一般的に申し上げまして、ある民営鉄道が他の民営鉄道に資本参加をし、あるいは経営をするということは、われわれとしてはとやかく、それは非常にいいことであるとか、悪いことであるとか申し上げる立場にないわけでございまして、むしろ経営参加したあと経営のあり方の問題であろうかと思うのでございます。現実には、地方の非常に小さな私鉄が経営的に非常に苦労しておるという場合に、その必要な資本を供給される、あるいは施設の整備をするというようなことの可能性が出てまいりますので、そういう点からいいますと、大きな資本が地方の企業をバックアップするという意味で効果があるわけでございますが、現実にいま御指摘のような問題が、地方には経営単位の中でそれぞれあると思いますので、それはいま中村部長が申されましたように、その経営自体が、どのような態度で地方鉄道事業者として経営をしておるかという問題と同じであろうかと、こういうふうに思っております。
  157. 辻一彦

    辻一彦君 それなら、もう少し私、ほかの関連事業で一億三千万からのお金がつぎ込まれてたいへん潤っているということですが、その面も否定はしません。しかし経営体がいま六億五千万という赤字をかかえている、こういうものをどういう方向で解決をしていこうか、こういう中に、私は経営の十分な責任が果たされておるかどうか非常に疑問に思う点があります。その点について申し上げて尋ねたいと思うのです。たとえばいま御指摘のように、四十六年の下半期決算で六億五千万円の累積赤字がこの福鉄にあるということが出ております。これをどういう形で解消しようかという構想が出されておるかというと、一つは、退職金の支給をいままで八五%であったのを六五%と二〇%落とす、これで大体三億円程度浮くことになる。第二は、八月の末までに百人の人員整理を行なって、退職金を入れれば、一人百三十万として大体一億三千万、これが第二。第三に夏期手当、これをことしは三万と、こう言って、これ以上譲れないと言っているわけですが、昨年少なくも臨給で年間通して二十八万、夏ならば十万程度と見れば、七万くらいが削減されておる、だから七百人おるのですから、これで五千万、これが三つ目。四つ目に、七十人をさらに人員整理をする、これで先ほどの計算でいけば一億円ということになる。そして電車の線路をまくってこの六億五千万の大体赤字を始末をしようという。これを私考えてみると、なるほど五億円のボウリング場によって、これはいろいろなプラスの面もあろうと思います。しかし逆の面では、ことしすでに一億数千万の償還費をボウリングのために追われて、これが非常に経営自体を圧迫しているという事実があります。こういう点を考えると、私は、公共体といいますか、公共性を持つ私鉄の経営者が、まだまだなすべき努力というものをされていないのじゃないか。一番簡単な人員整理をして、それから退職金を切り下げて、住民の足をはずして、これで解決をできるなら、私は公共性というものはなくなってしまうんじゃないか、こう思うのですが、こういうやり方が地方の私鉄においてどんどんいま行なわれておる。こういう方向というものが許されるのかどうか、いいのかどうか、この点をひとつ、たいへん参考人お話ししにくいようでありますが、もう一度お伺いをして、大臣にもひとつ御見解を伺いたいと思う。
  158. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 私は、具体的の内容、計画等については承知をしておりませんが、経営体自体が労使協議をされて必要な経営内容の改善をしていくというような方向であるならば、そういうものもあり得ると。したがって、いまお話しの点が、非常に方向としていいとか悪いとかいうようなことを一がいには申し上げられない、こういうふうに申し上げたいと思います。
  159. 辻一彦

    辻一彦君 大臣ひとつ考え方を聞かしてください。
  160. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 福井電鉄の問題については、私は残念ながらきょう初耳でございますので、その内容はよく承知しておりませんが、お話のようなことが事実だといたしますと、本来の使命でありまする地方交通機関の使命を怠っているような感がいたします。監督行政の任にあるわれわれといたしましては、そういうことが事実であるといたしまするならば、十分調査をいたしまして、誤りのない指導をしなければならないと、こういう感じを深くいたしました。
  161. 辻一彦

    辻一彦君 それでは、その観点からいえば、現実に三カ月から争議も続き、しかも住民の足が奪われたことで、非常なショックというか影響が出ている、こういう中で、大臣答弁のようであれば、名鉄を少なくも呼んで、そういう実態について事情を聞くとか調査に政府として当たるべきであると思いますが、その点どうですか。
  162. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 方法についてはおまかせ願いたいと存じます。いろんな点をよく相談いたしまして善処したいと思います。
  163. 辻一彦

    辻一彦君 特に私はその答弁になお要望しておきますが、やはり名鉄は中部圏の大体交通網を私は掌握しておると思うんです。事実福井、石川、富山の北陸三県が、大体名鉄資本の交通関係では掌握のもとに入っている。そうすればこことの事情を調べたり、そのやり方について政府の行政指導であるとか、あるいは必要な対策というものがなければ、こういう地方だけではなかなか問題は解決しない。その点から、いまのひとつ答弁に立って、具体的な対策をぜひ立てていただくようにお願いしたいと思います。  それからちょっと関連して伺いますが、中村部長、福鉄で前回運賃をどのぐらい具体的に上げておるのか、その点をちょっとお伺いしたい。
  164. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 前回の運賃改定は、昨年の九月に改定されておりまして、その場合旅客運賃収入の増収率としまして、三七・四%ということにいたしております。
  165. 辻一彦

    辻一彦君 じゃその問題、いま労政局長が見えておりますから、あとでまとめて若干質問いたしたいと思います。  三つ目に、私、地方交通網政策についてなお若干引き続いて伺ってみたいと思うんです。佐藤参考人のほうで地方の私鉄の場合に、大体幹線としてはどのぐらいの距離が最低必要だと、こういうふうに考えておられるかお伺いしたいと思います。
  166. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) これは実際の沿線の状態その他もございますので、あまりわれわれのほうでこの程度が必要である、あるいはこの程度以下ではだめだというような結論を出しておりません。ただ、抽象的に言えますことは、あまり短距離の鉄道の場合には、現在御承知のように、いろいろな付帯的な建設施設その他の問題もございまして、経営的には非常に苦労がある。距離が長くなるに従って、ある意味で経営上のゆとりができてくる。少なくも非常に短距離のものは逐次廃止をされていく傾向にあるということは申し上げられると思います。
  167. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、私は福井の具体的な例で申し上げたいんですが、たとえば福井の武生から福井を通って、そうしていま臨海工業地帯を建設しようとする三国までの距離を見ると、五、六十キロという距離があります。それから武生から福井を通って大野に至る距離を見れば、これも五、六十キロという距離がある。ところが、これをもし一本につなぐことがそれぞれできるなら、かなり私は経営の状況というものは変わるんじゃないかと思うんです。ところが福井県のような小さな県に、南と北に京福と、そうして名鉄というように資本が分かれて、それぞれ割拠した形で、分割された形でこの路線がそれぞれ確保されていると、こういう点を考えると、この小さな県で別々にやっているこういう間を、何か調整をして将来の展望を開くと、こういうことが考えられないのか。たとえば武生が地方工業都市として将来の展望が二十五万人と、こういうふうな目標があげられておりますが、福井が二十三万、そうして三国の臨海工業地帯、こういう線を結べば、かなりこれは私鉄としてもやっていける可能性が出てくるんじゃないか。ところが二つに分かれておるから、いまそれぞれで言えば、赤字が出るからこういう形で全部廃線にしていく。こうなれば、将来ある展望があるとしても、いま全部赤字廃線、こういうことになってしまっては将来の展望を開くということが私はできないと思うんですが、こういう間は、企業ですからむずかしいと思いますが、調整といいますか、あるいは将来の計画というか、こういうものを何か助言をするか、あるいは指導するか、そういうことが考えられないのかどうか、この点中村部長にお答え願いたいと思います。
  168. 中村四郎

    説明員(中村四郎君) 地方鉄道につきましては、いろいろの事情からその地域に沿革的に発生した会社それぞれの事情があるわけでございますが、いまお話のように、ある地域を総合的に見まして、その間に所在しておる地方鉄道が連係をとり、あるいは一体的に、総合的に経営していくということが、全体的にはそれぞれの会社経営収支を好転させるかどうか、これはなかなか大きな問題でございまして、現在のところ、総合的に、一体的にした場合に収支が好転するか、あるいは一体的経営のための新規の投資、それぞれの鉄道を連係するというような点については、いろいろの条件を考慮いたしまして検討させていただきたいと思います。
  169. 辻一彦

    辻一彦君 いま二つの地区に分かれておって、それがそれぞれ赤字だというので簡単に廃線にしてしまうと、こういう傾向というか方法がいま続いておるわけです。しかし住民の足確保という点になると、これをやめれば、先ほどから言っておるように、結局排気ガスの公害とか車の混雑とか、たいへんなことになっていくわけだから、将来ある展望が地域で考えられるならば、そこらの調整といいますか、こういうものを私は政府としてもひとつ具体的に考えてもらいたい、いまの発言をぜひひとつ検討してもらいたい、こういうように思います。  それから労政局長がいま見えておりますので、先ほどのにあわせて伺いたいんですが、先ほどの論議を聞いておっていただかないので若干困るんですが、かなり福井鉄道において、廃線という無理な形が進められようとしておるということ、こういう点はある程度理解をいただいているんじゃないかと思う。そこでこういう無理な合理化といいますか、全線廃線と、こういうものを組合に押しつけて、そしてそれに対して抵抗する組合と長期の争議に入っておると、こういうことがいまの状態であると思うんです。そこでこの福井の地労委が七月二十一日に職権をもってあっせんに入ったわけです。ところが、このあっせんに入りましたが、企業側、私鉄側の態度が非常に強硬で、地労委としてはあっせん案をまとめる確信が持てないということで一応手を引いた、こういう状況にいまなっておるんです。そこで大きな資本を背景にして、たとえば名鉄から福鉄のほうに四、五人の社長以下の重役を送っておる、その人たちを何とかささえていけば会社のほうはがんばっていくことができるが、この組合のほう、従業員のほうは、そういう点で一つの弱さといいますか、なかなかそう長くがんばり切れないという面も私はいろいろあろうと思うんです。こういうことを見ると、たとえば飛騨の高山で、濃飛バスがこれと非常に似た形で、七百人の従業員が三百人になって組合がつぶれたような形がありますが、私はこのやり方を見ると、背後に組合をつぶしていこうというような秘められた意図がどうもあるような感じがしてならない、こう思うわけですよ。こういう形で組合を押えてつぶしていくようなやり方、こういうことを労政局長として、まずどう考えられるか、これをひとつ伺いたい。
  170. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 私、濃飛バスの状況につきましてはよく存じませんけれども、福井鉄道につきましては、会社側がたいへん思い切った合理化案を出しておって、非常に交渉が難行しておることは承知いたしております。この問題は労使関係としてもきわめて複雑困難な問題でございますが、それ以上に、一般住民の足という非常に大きな問題がございますので、公益の立場から、両当事者が十分良識をもって対処してもらいたいと思っております。いわんや、合理化といったようなことを表に掲げまして組合をつぶそうと試みるというようなことは、もちろんこれは法律の禁止するところでございまして、そういうことはあってはならないものと考えております。
  171. 辻一彦

    辻一彦君 私は、労働省のほうも、こういう私鉄企業の公益性という点から考えて、いま非常に住民の間に問題が出ている、社会問題に発展をしている、こういうものに対して行政指導をやる用意はあるのかどうか、その点どうですか。
  172. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 実は、昨日の朝、福井の労政課長が上京いたしまして、ここで、私初めて福井鉄道の状況を聞いたという次第でございます。で、先ほど申し上げましたように、単なる労使間の問題にとどまらず、地域住民に非常に大きな関係のある問題であるから、県庁として、この問題の合理的な解決のために一そうの努力をしてもらいたい、ということを県に要望したわけでございます。で、県の努力を私どもといたしましても、できるだけバックアップしたいと思います。
  173. 辻一彦

    辻一彦君 その場合には、県に労働省としては要望する程度しか行政指導というものは発揮できないんですか。
  174. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 労政局といたしましては、御承知のごとく、労使関係について特別の権力を用いるという手段は持っておらないわけでございます。したがいまして、あくまでも当事者の納得ということを求めなければなりませんが、私といたしましては、県の一そうの努力を要望すると同時に、この問題につきましては、運輸省ともすみやかに御相談申し上げたいと思っておるところでございます。
  175. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、大体以上のような点を通して、かなり福鉄の問題が、合理化案としてもかなり無理なものが出ておるし、それから非常に社会的な問題に発展をしておるということは大臣も理解いただいたと思うんです、そこで、もしかりに、この福鉄から福武線の基幹線路を全線廃止したいと、こういうふうな申請が出たとしたら、やっぱりこういう諸般の状況、いろんないまの質疑の論議を踏まえて、大臣としてはこれを許可する考えなのか、あるいはこれをしない考えなのか、そこらをひとつ伺いたい。いかがですか。
  176. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) こういう申請が出たからといって、直ちにどうこうするということは、やはり地域住民との関連も深うございますから、あらゆる方面のやはり考え方、実情、これらを調査しなければ、早計に答えは出せないと、こう考えております。慎重に扱わなきゃならぬと思っております。
  177. 辻一彦

    辻一彦君 きょう論議をされた段階において、このたった一つしかない武生、福井、鯖江、この都市を結ぶ線路がはずされるということは、私は、先ほど大臣が単なる赤字だけでその問題を考えちゃならないという、それがほんとうであれば、許可をしない考えであるというように私は思うんですが、その点どうですか。
  178. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) それらを含めて慎重に検討したいと考えております。
  179. 辻一彦

    辻一彦君 これは、少なくも福井県における住民の意向ということを十分ひとつ考えて、ああいう地域で、ほんとうに住民の足が守られるように、担当の大臣としてぜひ努力をいただきたい、こう思います。  時間がもう迫ってきたのですが、労政局長が見えておりますので、ちょっとこれ、ほかに関連する問題でありますが、二点だけお伺いをしておきたいと思うんです。これは質問の通告をしておきましたが、簡単に伺いたいと思います。  それは福井市の中小金属の組合ですね。それから、その企業の中で中防という鉄鋼関係の産業があります。それから富永という産業がありますが、こういうのが五つ六つ合わさって、協業化によって政府資金を受けて、そしてこの金属関係の協業組合をつくるという動きをしておるわけです。ところが、それはまあけっこうなんですが、政府資金を受けてそういう協業化をはかりながら、片方においては、従来あった組合ですね、労働組合、この人たちを、ある意味においては、明らかに組合をつぶすようなやり方が行なわれていると見られる。具体的にいえば、たとえば新しい会社に全部一ぺん退職をして就職をする、そのときに労働条件がひとつ切り下げられる。それから二つ目に、上部団体への変更を強要するという問題。三つ目に、中心的な活動家を差別していくという、こういう形ですね。いうならば既存の組合をつぶそうという私は動きが読みとれると、こう思うのですね。政府資金を受けて、そして協業化を進める片方において、こういうような動きを、私は労働省当局として見すごすことができるかどうか。その点どうお考えか、お聞きしたい。
  180. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 福井の鋳造の協業組合の関係につきましては、いろいろ零細企業が統合をするということで、むずかしい問題があるように聞いております。この場合に、組合活動家を差別待遇するというようなことがあってはならないことはもちろんでございます。それから労働組合加入の関係につきましては、福井協業組合がユニオンショップ協定を結んでおるということになっておる。したがって、ユニオンショップ協定の効力がどこまで及ぶかというむずかしい問題がございますが、個人的に新たに採用されたものというのは、一応ユニオンショップ協定の適用を受ける。ユニオンショップ協定の効力というのは、非常に判例、学説もまちまちでございまして、むずかしい問題がございますが、この辺につきましては、関係者の良識と話し合いによりまして、円満な解決がされることを望んでおる次第でございます。
  181. 辻一彦

    辻一彦君 これで終わりますが、まあその円満な解決ができないから、こういう問題を私はいま出しておるのであって、だからこれは、県を通してでもけっこうであると思いますが、やはり行政的な指導とか助言とか、そういうことを通して、何らかの方法によって、こういう不当な労働行為というものがあるとすれば、行なわれないように、きちっとぜひしてもらいたい。そして、まあ突然の質問ですから、十分な調査も私はないと思いますから、この実態をひとつ福井のほうで、県当局を通して調べて、あと資料として私のほうに状況を提出いただきたい。お願いできますか。
  182. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) さっそくに調査いたしまして、御報告いたします。
  183. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、時間がまいりましたので、これで質問終わりますが、われわれのような、過疎の小さな県においては、赤字ということで線路がまくられれば非常に住民が困るということは、これは十分おわかりと思うので、この点をひとつ、これからの方針の中あるいは具体的な政策の中で、十分考えて努力をしていただくように、特に要望をして質問を終わりたいと思います。
  184. 小柳勇

    小柳勇君 関連いたしまして、私鉄経営で。  きのう大臣に通告しておきました問題で、公共性の問題は、いま辻君から質問いたしましたからもうこれはやりません。私鉄大手十四社の運賃値上げの問題について、佐藤参考人と大臣に聞きます。  まず佐藤参考人に聞きますが、私鉄大手十四社が平均三〇%の運賃値上げを要求して、七月一日に一斉に申請がそろいました。その内容を見てみますと、安全と混雑緩和と快適化と新線建設でありますが、新線建設はさっき言ったように、鉄建公団のほうがこれからやります。したがって、四つのうち一つはそのほうに回ってまいります。それから私鉄十四社の経営実態を調べてみまして、ここに四十六年度の下期決算が出ておりますが、レールのほうは赤字が多いが、その他の営業によってほとんど黒字なんです。にもかかわりませず、これから五カ年計画の再建計画を中心にして七千七百億円をつくるというのが眼目で三〇%平均の運賃値上げ要求をされておる。この点について、佐藤参考人はどういうふうな見解であるかまずお聞きしたい。そのあと大臣からの見解をお聞きしたいと思います。
  185. 佐藤光夫

    参考人佐藤光夫君) 先生御承知のように、各会社で出しております決算書は、事業別の決算といいますか部門別の事業を書きまして、そのほかに営業外収支を別に計上してございます。したがいまして、先ほど申し述べましたように、われわれのほうで鉄軌道部門が負担すべき営業外収支等を含めますと計算上百九十三億の赤字になる、四十六年度におきましてこういう計算をいたしておるわけでございます。  そこで御指摘の将来の投資といいますか、われわれの第四次計画で考えております安全、混雑緩和、快適化、新線建設というものはどういう形になるかといいますと、安全で一番問題になりますのは踏切等の整備あるいは諸般の安全対策ということになるわけでございまして、それに対して全体といたしまして相当の額の投資を必要とするわけでございまして、特にその中で鉄道の高架化及び地下化あるいは踏切の立体化というようなものが相当の経費の割合を占めるわけでございます。それから混雑緩和といたしましては、車両の増強をはじめとして全体の輸送力をつけるということでございます。快適なサービスということで、特に現在、御承知のとおり、この蒸し暑い状態において通勤をされる方々のために車両の冷房化というものを大いに推進してまいりたいというようなことでございます。したがいまして、これらのものに対する資本費の増加ということを計算いたしますと、平年度におきまして収支計算で約六百四十八億というような赤字計算になっておる。これをもちろん先ほど申し上げました鉄建公団方式等によります救済もあるわけでございますが、やはり利用者の方に負担をしていただかざるを得ない。それを計算いたしますと約三〇%の運賃改定をお願いせざるを得ないということで申請を提出した次第でございます。
  186. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 数字の問題もございまするので、個々の事務当局からの報告によってお答えいたします……  大手私鉄の現行運賃の問題だろうと思いますが、四十五年十月に二三・一%の改定が行なわれましたが、鉄道部門の収支は四十四年度百九十七億円、四十五年度二百六億円の赤字でありまして、四十六年度は運賃認可申請書によりますと二百二億円の赤字となっております。現在各社より提出されている申請事案の処理にあたっては収支状況、合理化状況等について詳細に検討する必要があるので、前回改定からまだ一年十カ月しかたっておりません、これらの経緯から考えまして、今後十分にこれらを慎重に検討いたしまして態度をきめたいと、こう考えております。
  187. 小柳勇

    小柳勇君 それでは慎重に検討していただきたいと思います。運賃値上げの問題はそれで終わります。  そこで、午前中に大臣はおられなかったから、投下機雷の処理の問題で大臣の見解を聞いておきたい。それは新潟県で五月に起こりました海麟丸爆発事件のときに丹羽運輸大臣がここで決意を表明されました。その中で、もう二度と再びこのような事故は起こさぬ、それには掃海地域でも完全に掃海いたしまして、もうだいじょうぶというときにしゅんせつ工事をいたします、そう言明をしておられる。なお防衛庁長官のほうにもよく連絡をとって、もう一回安心するように掃海をやらなければならぬ、そういうふうなことまで言明されております。にもかかわりませず、今回また北九州関門海峡で機雷爆発した。したがって、再々問題になります、防衛庁が出しております残存機雷が各港にありますという数があります。このことを大臣はまずお認めになって、これからこれを掃海する予算をとらなければならぬわけです。まず存在を探査して、そうしてこれを取る。取るのはこれは防衛庁ですね。探査も防衛庁と運輸省とやらなければなりません。しかも短時日のうちに日本列島の周囲をやらなければなりません。したがってまずこの残存機雷の数を、前の大臣も確認されましたが、あなたも御確認になるかどうか、これが一つ。確認されたとするならば、これはもう危険区域ですから、その数があるところは危険区域として早急にこれを掃海しなければならぬ、それが第二。それまでの作業は、これは危険区域を作業するものとして労働者を使わなければならぬ。午前中に人事院からも来てもらいました。危険水域の指定なども局長に言っておりますから聞いてください。で、しかもそれを早急にやらなければならぬですね。でありませんと、港湾整備五カ年計画は完全に実施できませんというわけです。したがって、大臣としては、この港の投下機雷の不安を取り除くためにどういう決意でこの予算編成に取り組まれるか、決意を聞きたいのです。これが第一です。
  188. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 最初に、小柳委員から機雷のただいまの状況を認めるかどうかということでございますが、信頼する担当官からの報告小柳委員同様の報告を受けておりますから、私はその報告をそのまま認めます。そうして、それに対処するこれからの方策を、これはもう機雷といえば最も危険物でございますから、慎重に、しかもこれは真剣に当たらなければならないと考えております。それにつきましてはやはり機雷の、何といいますか専門的なことばはあまりわかりませんが、探索ですか、探知ですか、探索についてはどこまでもこれは政府が責任を負わなくてはならぬ問題だ、こういうふうに私は了解いたします。  明年度のこれに対する対策はどうするかというのでございますが、この間から事務当局に具体的な計画について指示を与えております。それは九月末を目途に必要な処置をまずとること、これは早急にとること、それからこの計画が、これはやはり危険物でありますから、時間的に早急にこれをやらなくてはならぬと、こういう大きな二つの方針を定めると同時に、予算的な処置については、私が責任をもって事務当局の計画したものに対しましては予算は獲得するつもりでございます。これは事務当局に、現在のところ、直ちに先般の事故が起きましてからすぐ指示をいたしております。
  189. 小柳勇

    小柳勇君 第二点は、防衛庁との連携の問題です。この前江崎長官もここに見えまして、江崎長官も、未掃海区域の掃海及び掃海された区域にもなお流れてきてあるようだと、したがって、もう一回捜査しなければならぬ面もあろう。ただ、いま掃海艇が、中型、小型、四十二隻ありますけれども、この問題もまだあります。しかも、この問題は泥土の中では捜査できない。海中にあるやつは捜査できますけれども探査できますけれども、どろの中にあるやつはだめだとおっしゃっている。そういう問題もありますから、防衛庁とも緊密な連絡をとって、未掃海区域の掃海及び掃海された区域もさらに、航路だけじゃなくて、岸壁のほうも早急に探査し直すという決意がおありかどうか、これが二点です。
  190. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいまの点につきましても、事務当局からの強い要請がございますので、防衛庁とも緊密なる連絡をとりながら万全を期したい、こう考えております。
  191. 小柳勇

    小柳勇君 第三点は、少し具体的な問題ですけれども、現在磁気探査方法があります。これは日本物理探鑛株式会社が日本では一社です。午前中にそこの技師長に来てもらいました。そして、その探査能力なども聞きました。ただ、私ども現地へ行って調べてみまして、ここにこの会社のカタログがありますけれども、前に引き船がおりまして、うしろのほうに観測船がありまして、観測船から電線をおろしまして、そこに五つの磁力線発射の器械を置いて、それがはね返ってくる、そして前の引き船と連絡をとりながらやると言われましたが、この定点を観測するのがトランジット、地上と二点をはかりながら自分の地点を観測していきますから、曇天や雨の日やおかが見えなけりゃ観測できない。それから、海底から一メーターのところにこれがちょうどいきましてね、うまく電磁波がとれるわけですからね。これが上がり下がりしますと不正確なんです。それから波のあるときはなかなか不正確なんです。観測船が小さいから上下するわけです。したがって、これは現地の、おたくの海鵬丸の船長や乗り組み員その他専門家からも意見聞きましたけれども、先生、いまごろこんなものでやること自体問題じゃないでしょうかと。だから、午前中、新しい船を設計して、これでひとつ、少なくとも三隻か四隻つくって、おもなる局には配置したいというようなことも聞きましたが、それには予算が要ります。一隻幾らぐらいかと聞いたら、二億前後だと言うんです。十ぱいつくりましても二十億ですね。まあきざな話ですけれども、ジェット戦闘機が四十億ですね、あれ。その半分で十ぱいの船ができると言うんです。なぜそれをいままでやらなかったかということに私は問題があると思うんです。したがって、それを早急にやりますということを港湾局長は言明されました。これには金を伴いますから、これを大臣は早急にことしつくると、しかもその予算はまかしておけとおっしゃるかどうか、この点が第三点です。
  192. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 先ほどからのお話、そのまま先ほど担当官から私のほうに話がありました。小柳先生から新船をつくって、新しい方法でやるようにというお話があったと。それはもっともだろうと、そういう方針でやりなさいということを先ほど私は申しつけてありますから、それに必要な予算は、先ほどお答えしたとおり、含めまして獲得するように努力いたします。
  193. 小柳勇

    小柳勇君 最後の問題は、これは請負契約工事契約の方式の問題、これは建設省も同じようなことですが、港湾建設局が親会社に請け負わします。これ、工事契約があります。この親会社下請会社に請け負わせます、その工事の一部を。全部じゃありません。全部はだめですと書いてありますから、全部はやらない。一部をやります。それから今度その会社は、潜水夫の組合あるいは観測船の組合など、下のほうに請け負わす。そうしてそこの下請のところのものの責任がいま問われているわけですけれども、そういうことでありますから、責任の所在が非常にあいまいなんですね。だから、工事契約者と港建と施工主と請負者が、がちっとやって、そのまま直接監督でやりますともっと安全ではないかと思いますけれども、いまここで港建磁気探査をやり、潜水探査をやりますと、ここまでいくと四段階くらい契約がなされていくわけです。そういう問題がありますから、請負方式というもの、工事契約方式というものについて検討する必要があるんじゃないかと考える。まあ午前中港湾局長は、磁気探査については自分でやりますけれどもあともう一回確認して、あった場合、掘り起こして工事することはやっぱり請負会社にやらしたほうがいいとおっしゃいますけれども、その場合に、現在の直轄工事と民間工事との割合は、民間工事は九二で、おたくが直接やっているのは八%だと、こういうところに問題がありますけれども、私は、いままでの終戦処理、二十七年間かかってなおやってないようなものは、みずから探査して、防衛庁と一緒になって、機雷を取るまでを国が全部直轄工事でやったらどうかと、そうしてもうここは安心だから、さあひとつしゅんせつ工事を請け負ってくれというのが国の責任のあり方ではないかと思うのですけれども港湾局長と私、少し意見が違いますけれども、この点について、工事請負契約の方式と監督のあり方ですね、そういうものについて非常に問題がありますから、この点について、これは法務省との関連もありましょうし、あるいは防衛庁との関連もありましょうし、おたくの部下である保安庁長官港建との関係もありますから、十分検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  194. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) この問題につきましても先ほど報告を受けました。従来、何か磁気探査のやり方については国が責任を負い、いよいよ工事に入りますと、下請が潜水夫を使って仕事をする現場を再度探索するんだというお話でしたが、そのいろいろな契約のことやシステムの点について、私まだ十分のみ込んでおりませんので、これからまた十分報告やあり方を聞いて、改めることができますれば、先生の御意見を十分尊重して改めていきたいと存じます。ただ、従来のやっぱり慣例などもありますから、その慣例が善例であればよろしいのですが、悪例であれば改正することにやぶさかではございません。
  195. 小柳勇

    小柳勇君 あともう一問です。この前、丹羽運輸大臣に私は、海麟丸が爆破されて二名なくなられたときに、その死亡者にかわって責任をとりなさいと言いましたよ、責任ですからと。いまやめられましたが、安全だと思ってやるのですから、もしまた起こりましたら、大臣はひとつ責任をとるぐらいの決意はおありかどうか聞いておきたいと思います。それで私の質問を終わります。
  196. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 運輸行政は、人命をあずかる仕事でございますから、事これだけではございません、全般の運輸行政には責任をとる覚悟で当たるつもりであります。
  197. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。     —————————————
  198. 長田裕二

    委員長長田裕二君) この際、委員異動について御報告いたします。  辻一彦君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  199. 長田裕二

    委員長長田裕二君) それでは質疑を続けます。鈴木強君。
  200. 鈴木強

    鈴木強君 前置きは一切省略をして、具体的な問題について二つだけお尋ねをしたいと思います。一つは、甲府と東海道の富士をつなぐ身延線の合理化問題。もう一つは、甲府の駅舎の近代化問題、これはいわゆる俗に言う民衆駅の問題ですが、この二つについてお尋ねいたします。  身延線の合理化問題につきましては、すでに数年前から、国鉄当局におきましていろいろと準備を進めてまいっておるようでございますが、どうも、われわれがいままで何回か質疑をいたしてみますと、いまも辻委員から御質疑があったのですけれど、国鉄の公共性ないしは採算性ということの板ばさみにあることは私たちもよくわかっておりますけれど、どうかすると、財政が非常に苦しいということから、サービスをダウンしてまで合理化をしようという、そういう考え方が強く出ております。すでに、まあ中央線なども甲府から東、西ですね、静鉄管内はそういう形でやや力で押し切ったような形で合理化が進んでおります。いま私が指摘をする身延線もそういう方向でいま計画が進んでおるのでありますが、非常に国鉄の存立価値にも影響するような問題でありますから、この際、私は新大臣にぜひ御所見を承り、少なくとも国有鉄道である限り、国民から背を向けられるような合理化をやめていただきたい、そういう気持ちを持ってお伺いをしていきたい。  実は、私が、ことしの四月二十四日の本院予算委員会第三分科会で、この問題について、計画はどうなっているか、実施の時期はどうかということをお尋ねしたのですが、当時はまだ計画中ということで明らかにしていただけませんでした。ところが先般、六月の十九日に、管轄の静岡鉄道管理局から身延線合理化案というものが提示されました。その内容を見ますと、実施は本年の九月二十日、それから計画の内容は、まず営業方式から見ますと、職員を配置しております駅が十九ございますが、これを十六にして、三つの駅を無人化ないし業務委託する、こういう内容です。それから営業の範囲を見ますと、小荷物を取り扱っている駅が現在十九ありますが、それが九になりますから、十の駅は手小荷物は取り扱いを廃止する、それから車扱いの駅が現在十ありますが、これが四つになります。それから小口扱い十四の駅が五つに減ることになる。この内容ですと、合理化という名前を使ってサービスダウンし、利用者にしわ寄せをしていくという、言うなれば改悪的なものであると見るわけです。ですから、山梨県は知事を先頭にして、この案はとうてい受け入れられないというので反対をしているわけでございます。このいきさつについては私はここでは申し上げませんが、そういうわけで、どうも国鉄の合理化というのは一体何なのか、国民に背を向ける、サービスダウンするのが合理化というのか、こういう非常に激しい不満が出ております。特にあの地帯は過疎地帯でございまして、確かに乗客等が多少減っていることは事実でございます。しかし、何と申しましても、身延線はあの沿線の住民にとりましては大事な足でございますから、この足を国鉄本来の姿でやってほしい、そういう気持ちがあるだけに、今回の提示に対しては相当強い憤激をしておるわけでございます。  そこで、私はお伺いしたいんですけれども、できればこういうことはおやめになったらどうかと思うんですが、国鉄が財政再建の面で非常に苦労をしていることは私たちもよくわかっております。ですから、それはそれとして、また政府も本腰を入れてやっていただかなきゃならぬと思いますし、またわれわれも協力できることはしなきゃならぬと思っております。ただ、現実にこういう問題を進めてまいりますと、どうも赤字だからやむを得ないというようなことも、ことばの端々にうかがえるようなこともありまして、そういうことがかえって住民には逆の刺激を与えていることもございますし、ですから、何とか合理化によってみんなが喜んでいただけるようなものができないだろうか、私はそれが合理化だと思うのです。   〔委員長退席、理事江藤智君着席〕 したがって、この計画をお取りやめになって、少なくとも無人駅にするとか、現在のサービスをダウンするようなことはやめたらどうかというのが私の気持ちでございますから、これはひとつその利用者にかわりまして、きょう大臣に伺いたいのですが、いかがでございましょう。
  201. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 先生、前段のお話には、私も同感であります。決して国鉄が国民に背を向ける考えもございません。また、赤字路線の廃止につきましては、地域住民の了解を得るように、今後も努力するつもりであります。  ただ、身延線の問題につきましては、具体的な問題でありますから、担当部局のほうからひとつ答えさせたいと思います。
  202. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 合理化全般の問題として、ただいま先生からお話ございましたが、私どももちろん合理化をやるにあたりまして、国民に背を向けてというおことばでございますが、そういう気持ちは毛頭ございません。ただ、昔と同じような体制でなければいけないのだということもまたないというふうに思います。したがって、合理化、営業体制を近代化する場合には、やはりできるだけ不自由のないように、また、もちろん危険のないようにというふうな観点からやっておるわけでございます。  身延線自体の問題につきましては、それと同じような線区について、相当、同じような合理化、近代化をすでにやっておりまして、私どもも身延線自体の重要性はよく知っておりますし、山梨県と静岡県を結ぶ非常に——昔は私鉄でございましたけれども、重要な路線であることはよく知っておりますが、重要であるけれどもまた単線である、あるいはやっと静岡口が複線になっただけだというふうな状況でございますので、合理化、近代化と、いっか先生から、やはりCTCの御質問があったと思いますけれども、それらも含めまして、やはり新しい体制に持っていく、それにある程度は国民のほうでもそれに納得していただく、やはりそういう方向の合理化、近代化を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  203. 鈴木強

    鈴木強君 どうも、おっしゃっていることと、実際に背を向けないと、こうおっしゃいますけれども、それは当然でしょうね、背を向けるなんということは国鉄としてはあってはならぬことですから。ただし、具体的に示されたこの内容を見ますと、すべてがサービスダウンでしょう。この中に一つでも、みんなが見てなるほど近代化、合理化してわれわれの利益になるというものがあれば、私は私の背を向けるということばを撤回してもよろしゅうございますけれども、そうじゃないのじゃないですか。みんなが手荷物を扱ってもらいたいと思っているのに、今度は二つも三つも先の駅へ持っていきなさい、これはいかにも不親切じゃありませんか。いままで駅員がおった所が無人になってしまうということになると、これはやはり乗る人から見ると、現状よりもサービスが悪くなっていくわけでしょう。国有鉄道がただ赤字だからということで、採算制だけにとらわれてやれば、これは国有鉄道の価値は私はなくなると思いますね。だから、いまの国有鉄道の負っているいろいろな困難ということは、私たちもよくわかっております。だから、そういうことも、これともう切り離すことのできない大事な要素だということは、私も知っております。百も承知で私は申し上げているわけですから、若干酷のような気もするのでございますけれども、しかし、やはり国有鉄道である限りは、採算だけを考えてやるということは、これは間違いだと思いますね。これは国鉄が昭和二十八年に、赤字は一切国のめんどうを見てもらわなくてもよろしゅうございますと、黒字は国鉄に使わしてもらいますという、そういう予算上の制度の体制を変えたときから、この問題はわれわれは心配しておったわけです。それまで赤字が出れば国が見ておった。それは税金で見るか、利用者に負担させるか、いろいろあります。ありますけれども、いずれにしても、独立採算だけを国鉄にしいてやらせるということになれば、これはおそらく経営者側から見れば、赤字になれば何とか赤字をなくするためにサービスダウンになっても駅員を置かないで無人化するとか、手荷物も小荷物も扱わないようにするとか、こういう方向に走りがちになることもよくわかります。だから、ここで一つの国鉄が転機にきておるわけですから、きょうは実は大臣の御所信をはっきり伺って、その上で私は質疑をすればいいのですけれども、どうも田中内閣成立以来、国会を開いてみたけれども、所信表明をしないで、もう国会は終わってしまったわけですから、われわれはやむを得ず質問主意書を出して基本問題だけは伺いましたけれども、大事なこの国鉄問題については、なかなか伺う機会がなかったわけです。きょう初めて大臣にお尋ねするわけでございまして、ほんとうはこれから国鉄をどうするか、   〔理事江藤智君退席、委員長着席〕 この再建計画そのものが、前国会でもああいうふうな状態になっておりますので、早急に方向を生み出すことは必要だと私も思います。ですから、そういうことが具体的に聞けておりませんから、公共性とは何なのかということについても、いまここで私が一方的にものを言うようになって恐縮ですけれども、私の言っているのは、いろいろ身延線は大事な線ですから、近代化、合理化をして便益を増進するということをおっしゃるんだが、内容を見ると、そうでなくて便益を増進してないんですよね。だからこういう合理化はないでしょう。合理化というのは経営する経営者も、それから使わしていただく国民も、そこに働いている労働者も、みんながまあよかったというようなものがほんとうの意味の合理化だと私は思っておりますからね。だから、これはちょっと国民のほうにしわ寄せしてひどいじゃないかという気がするもんですから。基本論争みたいなことになってしまうのですが、だからもう一回これは大臣、まあ国鉄はそういう重大な転期に私は来ていると思います。ですから、そういう転期に立つ国鉄をどうするかという基本方針をおきめになるのが今度の大臣の大事な責任だと私は心得ておりますから、まあこういう国民から反対されるようなものは、一応もう一回再検討して、あと回しにしたらどうですか。そのほうが大臣の株も上がるし国民も喜ぶわけで、それが一番私はいいと思うんですがどうですか。
  204. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 御趣旨はよくわかりました。十分勉強させていただきたいと存じます。
  205. 鈴木強

    鈴木強君 だから、勉強する過程の問題とこれは関係がありますからね。だからこれをどうですか、身延線は少し延ばして、もう一回基本線を確認をした上で土台をつくって、それからどうするかということを考えたほうがいいじゃないですか。いま土台がゆれているときにこれをやってみても、ちょっとうまくないですよ。
  206. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 私、就任以来むしろ公共性は強く主張している運輸担当者だと心得ておりますので、いまここで身延線の問題は、これはまあまあやめてしまえということは直ちに御返事できませんが、御趣旨の点は十分了解いたして対処したいと思います。
  207. 鈴木強

    鈴木強君 磯崎総裁ね、いまあなたのおっしゃったことに対して、私が少し反論的なことを申し上げたんですけれども、実際にあなたのおっしゃったことがわからないのですよね、論理の矛盾を来たしておりまして。言っているおことばと実際に出されている計画とは全く相反するものじゃないですか。ですから、もう少しみんなが喜ぶような近代化をおやりになったらどうかというのが私の考え方ですから、九月二十日という実施期日を明示しておりますけれども、これを少し延ばされたらどうですか。
  208. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) この問題は、前国会におきましても先生から御指摘がございましたが、私どもといたしましても、合理化するために合理化するということでなしに、国鉄全体の運営能率を少しでもよくしようと。かりに政府から、もちろん現在独立採算でやっているわけじゃございません、ことしも千数百億の赤字を出しているわけでございますので、いずれこれは政府にしりぬぐいをお願いすることになると思いますが、それにしても、やはりいま全般的に許される合理化あるいは国鉄の経費の節減というのは、私は経営者としてやるべき義務があるんじゃないかというふうに思うわけでございます。しかし、そのためにいろいろ危険が増す、あるいは非常に国民、たとえば列車が全然利用できなぐなるというふうなことは、これはもう慎むべきことで、身延線の例にいたしましても、旅客駅をやめるんでなしに、駅員を配置しないというふうな方法でいきたいと。まあ貨物駅は集約しないと貨物のスピードが上がりませんから、これはまあ当然といたしましても、旅客についても駅を廃止するんでなしに、駅は残しておくけれども、職員を配置しないというふうな考え方でいっているわけでございまして、私のほうも赤字経営だからということでなしに、やはり新しい時代に即応した鉄道の運営をしたいというふうな気持ちでやっているわけでございます。まあパスとは違うかとも思いますけれども、私どものほうでやっている東名高速バスなどにいたしますれば、輸送力はうんと大きいのですが、全然駅員なしでやっているというふうなこともございます。ですから新しいやはり何か営業体制というものをつくってまいりませんと、いままでと同じ営業体制でやるということは非常に全般として無理があるというふうに思います。ただ先生のおっしゃったとおり、何か私のほうで、身延線についてもっと大きな投資をして、たとえば複線化をするとか、まあ全線できないまでも部分的に複線化するとかいうふうなことがあれば、もっと列車回数はふやせるというようなこともございます。いずれそういうことは考えなければならないと思いますけれども、御承知のとおり、さっき先生は、いみじくも土台がゆれているとおっしゃいましたけれども工事費自体の見当もついていないというような情勢、何とかそういうふうな、身延線も南のほうは御承知のとおり複線化したわけでございます。全然手をつけていないわけじゃございませんので、そういう方向で、ああいう二つの県を結ぶような大事な線路は増強していくということは、私は忘れないでやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  209. 鈴木強

    鈴木強君 それは、私の質疑の手順があったもんですからあとに、現状、身延線の改善すべき点についてはこの前もあなたに申し上げましたけれども、あるのです。非常に車両が古かったとか、ダイヤがなかなか通勤事情に合っていなかったり、いろいろな問題がありますから、それはまた私あとでお願いしたいと思っていたんですけれども、非常に総裁としても含みのあるような話はするんですけれども、何といったって現状よりサービスダウンするということはこれはもう間違いないことですからね。そういう面に対して、たとえばおたくのほうで、複線化工事はわれわれれから言われない前にやるとか、あるいはいまの、四両連結の車両を運行しておりますけれども、これは日本じゅうで一番悪いのですね、車両は。もう木造でぎちぎちしておって、実際に乗っておっても非常に不安ですよね。とまっても自動になっていませんからね、手であけるのです。閉めるときだけ自動になるのですがね。それから甲府の駅で一時間も通勤をする人が待たなければ次の列車に乗れないような、こういうような、現状でも利用者はうんと不満があるわけですから、ですからもう、南のほうは富士宮から富士までは複線化されているんですから、たとえば身延までは複線化するとか、そういうふうなことも積極的にこれはやることは、もう皆さんの責務ではないかと私は思うのですよ。そしてあんな古めかしい車両はもう取っかえて、四両を五両にしてあげて、ラッシュアワーのときなんか、ほんとうにたいへんなすし詰めになっているのを緩和してやるとか、それからダイヤも、五時にひけて二十分くらいまでにはみんな乗れるようなダイヤに編成してあげるとか、そういうようなことをやるのが先じゃないでしょうか。そういうことは全く放置しておいて、その上にさらに加えて無人駅をつくり小荷物を廃止するとかね、そういうことでは、私は国鉄としてのやり方が非常にまずいし、こういうやり方ではいけないと思いますよ。そして乗降客がどうとか、貨物の扱いがどうとかおっしゃるけれども、たとえば市川大門という駅なんか、この前も町長が言っておりました、静鉄の局長のところへ行って。私も同席をしておりましたけれども、実際に貨車を回してくれといっても四日も五日も一週間もかかるというのですね。あそこは御承知のとおり和紙の生産地ですよ。ですから国鉄が貨車さえどんどん回してくれれば、どんどんとその貨車でやったほうが安くて比較的早いのですから、やりたいのだけれども貨車を回してくれない。ところが、そういうデータをもとにして回してくれないから扱い数が少ない。その扱い数の少ないものをデータにして、市川大門の駅は扱い数が少ないから貨車扱いはやめるというような、こういうようなことをやっている。ですからもう少し、実態を二年かかって調べたということを静鉄は言っておられましたけれども、われわれが聞いておると、過疎地域ですからいろいろと各町村とも思いをめぐらして、いろいろな村の振興の計画を持っているわけですね。そういう問題も、どうも聞いておると十分に把握しておらない。ですから、町村の言っていることと静鉄局長の言っていることの中身はかなりの開きがありました。ですから私はこれではいけない、もっと、その実態を二年かかって調べたとおっしゃるけれども、もう少し実態を調べていただいて、だから九月二十日にこだわらずに、もう少しその問題を詰めてやってほしいということを申し上げたんですけれども、九月二十日ぜひかんべんしてくれ、やるんだという、こういう強いかまえでおられるように私見受けました。ですから、それではそれこそ地域の人たちが完全に納得するということはむずかしいけれども、もうちょっと理解と納得の上にこういう問題はやらないと、あとあと国鉄に対していろいろな批判が集中するだけであって、この計画というのは全く悪い点だけを残して実施されていくというようなことになるから、もうちょっと時間をおいてやったほうが私はよかろうと、こういう意味で、大臣にもさっき基本問題をちゃんとするまでは、これはひとつたな上げしておいたらどうですか、こういうことを申し上げたのです。ですから国鉄総裁としても、私の趣旨が全く間違って、ピンぼけのことであれば、私はかぶとをぬぎますけれども、そうでないわけですから、私としてはやはり国民を代表し、あなたに言う私の責任がありますから申し上げておるわけでして、もっと、なるほどそうかと、そういう点もあったのかと、それではひとつわれわれ不満であるけれども協力しようというような感じの片りんすらうかがえませんよ。何かこれをやるのに対して、いま私が申し上げたような現在の不満ですね、輸送改善を含めた、車両を含めた、そういうものの一体改善をどうするのか、それから複線化についてはどういう計画を持っているのか。そういうことあるでしょう。あるならひとつみんなに発表して、そして、こういうふうに一面ではやります、だからこの点は多少御不便をかけるかもしらぬけれども、ごしんぼういただきたいというような、条理を尽くした姿でやはり計画はつくるべきだと私は思うのです。そうでなければ、とてもいまの計画では受け入れられないと私は思うのです。
  210. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 身延線全体をよくする問題につきましては、過般流れました再建計画の中でも、御承知のとおり七兆の投資をさせていただきたいということをお願いしたわけでございます。この七兆の投資の中には、いわゆる幹線の複線電化ということが相当大きく取り上げてあることはすでに御説明いたしましたが、私どもがいま新内閣のもとで、七兆をさらに大きくして、いわゆる幹線というものの範囲を広くして、そして、たとえば飯田線とか高山線とかいうものまで含めた複線電化をぜひやろうじゃないかというふうなことを実は考えておるわけでございます。これは新内閣のもとで鉄道というものの使命をもう一ぺん見直すという立場から、ぜひ私どもはそういうようなことを今後お願いしたいということを、いまいろいろ考えておるわけであります。その他、そういう大きな問題は先の問題になりますけれども、さしあたり問題としまして、いろいろ考えておることがございますので、担当の常務から御説明いたさせます。
  211. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 身延線の輸送改善といいますか、これにつきましては、この十月二日、時刻改正をいたしますその際にいろいろ考えておるわけでございます。で、先ほど先生、車両が非常に古い、きたないというお話でございますけれども、この点につきましても、従来からいろいろ検討しておって、急行列車「富士川」というのですか、二本の往復の急行については、比較的一六五系という新しい性能の車両を使っておりますが、これがいま二往復しかございませんが、これを十月二日の時点から六往復にしよう。これは地元から、ローカル列車もさることながら、急行で本線のほうに早く行くという輸送サービスの要請が非常に強い、それにこたえるための一つの計画でございます。その新しい急行は全部一六五系という新しい車両でやるわけでございます。なお急行の間合いでもって、少しでもいい車両でもって使えないということで、間合い使用において、一般の列車についてもその新性能車をできるだけ使いたい、こういうことで検討して、具体的に多少使えるところもあるのじゃなかろうか、こういう状況でございます。なお、この車両が一ぺんに全部新しくならないということにかんがみまして、せめて修繕費でも投入して、内装だけでもきれいにしたいということで、これも数両ずつでも内装をきれいにしてやっていく、こういう心がまえでやっておるわけでございます。  それから通勤の問題につきましても、先生ちょっと触れられましたけれども、これも本数において、あるいは乗数といいますか、輸送力において、現状とそう変わらないということで幾つかの計画はいたしておりますけれども、先般先生から御指摘ございました、甲府を十七時三十五分に出る七三〇Mという電車でございますが、これが少し延ばせないか、こういうことにつきまして、その後検討いたしまして、あの時点ではたしか私は甲斐岩間地区までしか延ばせない、こういうことを御答弁申し上げたと思いますけれども、これを身延まで延ばすことが十月二日には可能になる、このように考えておるわけでございます。  その他、貨物列車におきましても、いろいろ具体的には、貨物の駅が集約されるということに伴ういろいろな問題がございますけれども、それによって、いま申し上げましたように、急行列車が増強されるということのほかに、貨物による輸送時数の短縮ということも具体的に実現できる、こういうこと等々、先ほど来のいわゆる駅の体制を近代化すると、これとバーターと、こういう意味じゃ決してございませんけれども、昔のままにしておくのではなくて、新しい情勢に合ったような体制でもって合理的にやっていくと、こういう観点からいろいろとくふうしておるわけでございます。  以上具体的に、いま十月二日から考えておる内容を若干申し上げた次第でございます。
  212. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、この前懸案になっておった一般車両についても、いま直ちには新しい車両に変えられないけれども、内装くらいはせめて整備したいというようなことでございますが、急行列車は確かに速いし便利ですから喜ぶと思いますが、一面急行が通りますと一般の列車にしわ寄せがいきまして、これは単線の関係だと思いますが、したがって、私のところなんか甲府から一時間十分で行ったのですけれども、このごろは一時間二十分から二十五分くらいかかるのですね。ですから十五分くらい待たされるのですね、途中で。そういうふうなことで、急行のおかげでローカル線が、ローカルのダイヤのほうがしわ寄せを食って、不満が出る。これはなかなかむずかしいところですけれども、そういう点を何とかダイヤをくふうして、できるだけ待ち時間がないようにしていただく。十月の二日から新しいダイヤになるというお話ですけれども、何かきょうの地元の新聞を見ると、新しいダイヤの発表が近くあるといいますけれども、いろいろと流布されておる中に、日中はもう二時間も三時間も、極端に言うと電車が通らぬようなダイヤだというような心配をして、きょうも電話をかけてきたんですけれどもね。まあそのダイヤの内容については、いまここで時間がありませんから置きますけれども、そういうことはないでしょう、少なくとも。現在のダイヤよりか悪くするということはないでしょう、よくすればこそ悪くするというようなことはないでしょう。それはどうですか。
  213. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) いま手元にダイヤがございませんので、具体的にお答え申し上げられませんですけれども、トータルの数字といたしましては、輸送力として落ちていない、落とさないということで考えております。  ただ、いま申し上げましたように、急行が六本と、いままでよりも四本ふえるということになりますと、どうしても輸送施設の関係から、いろいろダイヤ上、変更せざるを得ないという問題点が出てくることは当然でございます、先生御指摘のとおりでございまして。しかし、まあ輸送力としては差し引き決して落ちないと、こういうことで計画いたしております。
  214. 鈴木強

    鈴木強君 この甲府発の十七時三十五分、これはたしかこの前のダイヤ改正のときに十分くらい延ばしていただいたんです。それで南甲府というところから出発するわけですね。そのためにどうにか間に合うということでした。これを身延まで延ばしていただいたことは、これはありがとうございました。これはもうほんとうに感謝します。そういうふうに、みんながありがたいというのは、こういうものはやっぱりやるべきでしょうね。あまり、あなたきらわれるようなことはやりなさるな、私はそう思いますよ。それでね、一ぺんにはいかないでしょうけれども、いま言ったような点で、徐々にではあるが、現在の輸送改善なり車両の改善等もしていただけるということですから、もっとこれをスピードを上げてやっていただくということを特に強くお願いしておきますが、その中で一つだけね、これはいま七兆でしたね、複線化の問題を出したけれども、これは通らなかったというお話でした。それで、その中に身延線が入っているわけないでしょう。その七兆は、五カ年計画なり十カ年計画のうちだと思うのです。その中には入っているのですか。身延線の複線化の問題はどうなりますか。
  215. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 身延線は七兆のときには入っておりませんでした。身延線は七兆のときは。しかし、今度私どもは、七兆では新内閣の御方針にもそぐわないじゃないかということで、いま実は運輸省、大蔵省と、それをもう少し大きくする、それでまあ私個人としては、せめて十兆くらいの投資を十年間にさしてほしいというふうに考えております。そうしますと、たとえば高山線でございますね、身延線、そういう日本の横割りの、輪切りにしている線については相当金が入れられるようになるというふうに思っておるわけでございます。ということは、新幹線綱ばかりつくりましても、新幹線の直接恩典に浴さないところがあるわけでございます。そこには、やはりなるべく新幹線の駅から早く行けるようにという意味で、いわゆる日本を輪切りにしているような線路に力を入れて、複線電化をやっていきたいという気持ちを実は持っているわけでございまして、まだどの線が入ってどの線が落ちるということはいま考えておりませんけれども、私どもといたしましては新しい情勢に即応いたしまして、もう一ぺんここで鉄道を見直してもらうんだという前向きの意欲に燃えて、いまそういうことをよりより政府にお願いしているところでございます。
  216. 鈴木強

    鈴木強君 佐々木大臣ね、いまのようなお話ですね、確かに各地とも単線のために、急行が通りますと、その辺は便利なんですね、とまる駅の人たちはいいですけれども、逆にしわ寄せを一般の列車が食ってしまうということで、できるだけ複線化を促進してもらいたいという、そういう強い意向があります。七兆を十兆にという総裁の御方針もあるようですけれども、ひとつぜひ新大臣として、総裁の言われたような趣旨に沿って、ローカルの複線化ということを積極的にしていただきたいと思いますが、御所信を承りたい。
  217. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 国鉄総裁も新しい構想に基づいて、国鉄財政再建を含めて新しい決意を持っているようでありますから、それに沿うた、内閣としても一緒に国鉄の再建をはかりたいと、こう考えております。もちろんその中には、かつての七兆を十兆にするという案も私も賛成でございます。
  218. 鈴木強

    鈴木強君 国鉄再建というのはなかなか運輸省が、政府が積極的にバックアップしてあげないと、国鉄当局だけではたいへん至難な仕事です、これは。さっき言った会計制度の問題もありますしね。ですから、ぜひ新大臣のもとで、国民から喜ばれるような、いわゆる国有鉄道としての性格をはっきり持った企業で、今後も進んでいけるようにぜひつくってもらいたいと思います。  時間がありませんが、あと合理化問題、いまお話を聞いてみますと、いろいろと理屈をつけて何とか押し切っていきたいというような、そういうような空気が私には受け取れるんですね。大臣は検討していただくというような、多少含みのあることをおっしゃいましたけれども、総裁もここであまりはっきり言わないで、もう少し、かりに九月二十日にしても、まだ一カ月以上あるわけですから、われわれが国会を通じてお願いする、あるいは意見を述べる、そういう意見をひとつ十分にくみ取っていただいて、意思の疎通が当局と地域の間にあるならば、これをもっと埋めていただくような努力だけはしていただいて、もっともっと私は詰めていただきたいということをお願いしておきたいのです。  それで、山梨県側のほうですと、いま反対の中で一番大きく問題になっているのは、井手という駅がありまして、この駅を完全無人化するということでございます。これにつきましては、知事あるいは関係の市町村長から、静岡鉄道管理局のほうには何回も何回も連日陳情しておるわけですけれど、この井出駅というのは富士川をはさんで富沢町という町の向こう側にあるんですね。したがって、非常に富沢町にとっては表玄関で、どうしてもなくてはならない駅だというので、いままでそこには永久橋をつくることについても、県にもお願いし国にもお願いして、やっと一億数千万円かけて、富栄橋という橋が完成しておりまして、言うならば絶対的な表玄関なんですね。ところが、たまたま五百何人しか乗降客がないから、これを無人化するという線が出てきているわけです。あと久那土の駅とか、無人化になりましても業務委託によって利用者には不便をあまりかけないようにする、そういう配意がありますけれども、ここに限ってはそれがないわけです。これは地元からも、これ時間があれば、だいぶ陳情が来ておりますから、ここで全文読み上げたいんですけれども、時間がありませんからやめておきますけれども、たとえば富沢町婦人団体連絡協議会というのが、昭和三年にこの駅ができて今日まで、ほんとうに地元の灯台として町民にとってなくてはならないものであった。そのためにいろいろ努力をして橋もつくった。そしてかわいい子供たちを学校に通うのにも、永久橋ができて、そして安心しておれる。駅員さんがおって、何か子供がおそいときには、電話をかければ、いま列車がおくれていますとかなんとかということも知らせてくれると、たまたま富士川の上に橋がありますけれども、ちょっと、距離が千メートルくらいありまして、夜間なんか心配なところがあるんですよ。そういう意味で、街灯なんかも、町のほうで金を出したりしてつけたりしているんですけれども、駅員さんがおればいろいろな意味で便利だった。それが今度駅員さんがいなくなって、そういうこともできなくなってしまってたいへん心配になるとか、いろいろとここに書いてあります。それから、ここから通勤をしている方々がたくさんございますけれども、そこの通勤通学者の連盟というのがありまして、そこからも、無人駅になるということを聞いてたいへん当惑していると、どのくらい経費が節約になるか知らないけれども、何とか人を置くようにしてもらえないかというような強い陳情も出ておりますし、また、身延町高校生保護者会というのがありますが、そこからも同じような趣旨のものが出ておりまして、無人化だけはぜひやめてほしい、こういう強い意見があるわけです。これは私も静岡鉄道管理局長のところに参りまして、とくとお願いをしたんですけれど、どうもその後、県当局と静鉄局とのいろいろな折衝を仄聞しますと、静鉄側では無人化という線は一歩も譲らないというようなことも言われておりますけれど、これだけはひとつ大臣、血と涙のある国鉄当局の施策として、完全な無人化にするということだけは私はやめてもらいたいと思うんです。できれば大臣も一回現地を見てもらいたいんです、どういう状況にあるか。これは党派を乗り越えて、私は社会党でございますけれども、自民党も社会党もない、これは。おそらく自民党のほうからもそういう強い意見が出ていると思うし、私もまた負けないで一生懸命やっているわけですから、そういう点くらいはこの際配慮をしていただかなければ、今後、国鉄に対して山梨県の人たちは完全に非協力的な態度になることは必至でありますから、ぜひひとつその辺はしんしゃくをしてもらいたいと思うのでございますけれども、これは国鉄総裁と大臣からぜひ御所見を承りたいんです。
  219. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 実は、先ほども静岡の局長と直接電話で話をいたしまして、ちょうどいま県並びに地元といろいろお話し合いをしているようでございますので、もうしばらくちょっとその趨勢を見たいというふうに思っております。いまここで明確にお答えできませんけれども、きょうも何かお話し合いをしているようでございまして、お話し合いをするということは、いろいろ新しい話も出てくるかと思いますので、もうしばらく模様を見させていただきたいと思います。
  220. 鈴木強

    鈴木強君 大臣にもお答えをいただく前に、現地のほうは、さっき私が申し上げましたように、二年間かかっていろいろと実情を調査したとおっしゃいましたよ。しかし、現実に町長の言う意見とかなり食い違いがあるんですよ。ですから、もうこれは静岡鉄道管理局長にまかせておったってだめですよ。だから、私がここで取り上げたのはそこにあるんですよ。したがって、もう少しその実情を把握されて、そしてあの井出という駅が、一体どういう地形の上にあって、歴史的にどういう歩みをしてきて、いま富沢町にとってなくてはならない表玄関である、その表玄関を締められるということはもう死ねというのと同じではないかと、足をとられるのと同じだと、こういうくらいの強い不満を持っているわけですから、ぜひひとつ、これは国鉄総裁としてもう少し善処してもらうような方向をとってもらわないとだめですよ。その点、大臣、いまここで、おそらくそうしますということを国鉄総裁が言えないような状況ですから、それは管理局長に権限をまかせてやっている面もあるでしょうから、そういう点も考慮して総裁もおっしゃっていると思いますから、この点は私もわかりますから、あえて無人駅をやめて有人にするということをここで言えということは申しませんけれども、いま私が申し上げましたような事情がございますので、大臣としては、ぜひひとつ総裁ともよく話し合いをされ、また現地もよく視察できればしてもらいたいのだが、大臣だからそういうところまでなかなかお行きになれないでしょうから、できればどなたか係官でもやってもらうとか、何かそういう方法をとってまでも実情を把握して、何とか地元の声を生かしていただきたいということをお願いするわけですから、大臣としてはひとつ十分検討してわれわれの趣旨を生かすようにしてもらいたい、いかがでしょうか。
  221. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) こういう問題で、全国から私のもとにもたくさんの陳情がきておりますので、一々具体的な問題のイエス、ノーを私がいま申し上げることにはいろいろ差しさわりがあると思います。せっかくいま国鉄総裁が現地との話し合いを進めておるようでありますし、また、何か聞いていますと期待が持てるのじゃないかというようなこともうかがわれますので、地元の声が達成されますことを祈っております。
  222. 鈴木強

    鈴木強君 祈っているだけじゃこれは話にならぬですからね、大臣、大臣は国務大臣であり運輸大臣ですから、少なくともあなたは最高の権限持っているのでしょう、これは。ですから、国鉄総裁とよく相談をされて、そしてひとつ何とか地元の意見がかなえられるようにやっていただく。祈るだけじゃなくて、そういう努力をひとつやってもらいたいと思います。
  223. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) もう少し交渉の過程を見守らしていただきたいと思います。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 そして、趣旨に沿って努力してもらえますね。
  225. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) はい。まあ方法考えます。
  226. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、もう時間がわずかしかございませんので、ぜひもう一度、くどいようですけれども、合理化ということがみんなに喜ばれるようなものに内容を変えてもらいたいということをお願いしておきます。  それから、もう一つの点は、甲府の駅の近代化のことですけれども、これは非常に、ごらんになるとわかりますように、甲府の駅はもう老朽化しておりまして、これを新しくしていただきたいということで地元の住民からも強い要望が出ておりまして、すでに国鉄のほうにもそういう趣旨のお願いがいっていると思います。具体的には甲府駅近代化調査委員会というのがございまして、それが長年かかって一つの結論を出しました。これは時間がありませんから省略します、総裁よく御存じですから。  そこで、先般この調査委員会というのが促進委員会に切りかわりまして、甲府の駅長さんとか、あるいは知事以下関係国会議員等も全部入って、そして積極的に推進のために努力しようということを誓い合って、第一回の会合がその後また開かれたようですけれども、いずれこのブロックプラン等も具体的には示されると思いますが、前回の予算委員会で質問したときにも申し上げているように、貨物駅を竜王寄りにもっていって、敷地の確保等について地元と十分協力します。それから駅ビルができることによって現在の駅前の商店街の方々にどういう影響を与えるか、これは大事なことですから、商工会議所の会頭が中心になってそれぞれの対策を練っていただいております。そして、甲府駅は山梨県の、貧弱な県ですけれども、県の玄関口でございまして、いま行くとわかりますように、前のところが非常に狭隘でして、ですからあそこも少し立体化して地下などをつくっていただいて、どの程度予算がかかりますかその点も含めて、もうすぐ総裁のところにも大臣のところにもそういうまた具体的な要請が出ていくと思いますけれども、前回も運輸大臣は非常にけっこうだと、私はぜひ協力したいということを力強く言っていただいているのです。それはおそらく、一々引き継ぎが新大臣にあったかどうかわかりませんけれども、そういういきさつもございますので、ひとつ国鉄総裁も、ぜひこの問題については本腰を入れて実現のために努力していただくこと。それからもう一つは、大臣のほうも、佐々木大臣として、また協力をしていただくことを、もう一回ここで再確認の意味で伺っておきたいのです。特にその際、いまの身延線のホームは中央線のホームと離れておりまして非常に乗りかえに不便をしているわけでして、これを何とか中央本線の中に入れて、乗りかえが便利になるようにしてもらいたいという意見もございます。そういう点も含めて、地元の要望をいれて実現のためにひとつ御協力をいただきたいと思いますので、そのことをお二人からお伺いをして、私は質問を終わります。
  227. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 甲府の駅の問題につきましては、すでに私も御答弁申し上げたことがございますが、具体案を見まして、ちょっと何か採算ベースに乗るか乗らないか少し問題があるようでございますが、そういった問題も考えまして、私のほうからいえば、たいした大きな出資ではないと思いますが、場合によっては私のほう自身が出資をするということも考えられますので、いまの案、単なるショッピングだけでいいかどうか、もう少し、何かいわゆる気のきいたと申しますか、もう少し何か違ったことができないかというようなことも考えまして、よく地元の方々と、いずれ私、まだお目にかかってないものですから、いずれお目にかかって御相談いたしたいと思っております。
  228. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) お話のように、地元の方々の総意であり、また前の丹羽大臣も御賛成のような問題のように承りましたので一私が反対するはずもございませんから、総裁のお話のような点について、問題点が解決されましたらば、私も大いに賛成であります。     —————————————
  229. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 次に、霊柩自動車運営に関する件について調査を行ないます。  久後参考人には、御多用のところを御出席いただき、まことにありがとうございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  230. 森中守義

    ○森中守義君 たいへん委員長恐縮ですが、航空局長が日中の航空関係で要人と会談のようでありますから、長い期間がかかりませんから、都合さしてやらせていただきます。  質問に先立ってちょっと大臣に申し上げておきます。本来ならば、当然この委員会で、新任の大臣として所見の表明があり、それを受けていろいろお尋ねするのが至当だと思います。ところが先般来、臨時国会から今日に至るまで、総理以下の主要な方針の表明が行なわれておりませんから、まことに変則ですけれども、やむを得ず、事態が事態ですので大臣にお尋ねすることといたしますが、このことは、ひとつ閣議の席上でも特に主張していただきたい、内容等は御存じのとおりでございます。  そこで、航空局長、長い時間とりませんからちょっと先に聞かしていただきたい。大臣、ホノルルの首脳会議ですね、これには、おそらく閣内でもどういう案件を処理していくかまだ固まってはいないと思う。そこで、しばしばこの委員会で問題にしてきましたのは、日米航空協定、これは御承知のように、あまりにも不平等、二十七年に締約をされて、自来、航空関係者の努力で逐次改善はされておりますけれども、まだまだ不平等性というのは解消しておりません。ところで、今日のようにわが国の航空産業が異常な成長期に入り、しかも国際航空というものが、これよりもっと躍進の時代を迎えるということになりますと、どうしても日米のみの独特の不平等性というものを解消していきませんと、日本と他国との間に結んでいる協定にも非常に大きな問題があります。こういう意味で、国益をあくまでも守っていく、こういう意味で、ホノルル会談にぜひ日米航空協定の不平等性を除去するための交渉ということを総理との間に話し合いできませんか。
  231. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) ただいまのところ、ホノルル会談に総理が対処いたします具体的な問題については、何らの話し合いを閣議ではいたしておりません。しかし、お話しのような点については、日本の航空問題としては重要な問題でありますから、時間を見つけまして、閣議の席上という約束はまだできませんけれども、何らの形で総理との話はしてみたいと思っております。
  232. 森中守義

    ○森中守義君 してみたいということですから、その以上申し上げる必要もありませんが、これは先般の大気圏問題等、依然として非常に重要な問題、これは事務当局の定期的な交渉ではやっぱりまとまりませんよ。だから、どうしてもトップ会談に持ち込んで、一つの方向をこの際はきちんとされる必要がある。こういう意味で、私は、今日運輸省が所管をする国際的な重要問題の一つとして、ぜひホノルル会談にこの案件を討議できるように、大臣の特段の奮起を求めておきたいと思います。  それから次は、やはり国際問題で、昨年グアテマラ議定書というものが成立しました。これは、すでにアメリカでは十万ドルの補償金というものはあまりにも低額過ぎて問題にならないという、こういう世論が非常に強いようです。ですから、もう一回これを再修正をしようという話もあるようですけれども、とにかくその辺の経過をたどりながら、一応批准が終わったように聞いております。今日のように、経済成長が一番か二番かとよく胸を張っている日本の政府ですから、こういうことも早くひとつ批准をしてもらいたい。特に、先般来打ち続く航空事故のために、補償問題がもう非常に大きな社会性を持っている。願わくは次の通常国会あたりにこの批准を行なう意思があるかどうか、これを二番目に聞いておきます。
  233. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) グアテマラの問題については、私まだよく存じておりませんので、航空局長からお答えさせます。
  234. 内村信行

    説明員(内村信行君) ただいま御質問のグアテマラ議定書でございますけれども、これは御承知のように、従来ありました国際航空運送における運送人の損害賠償等の責任についてきめている条約でございます。従来はワルソー条約あるいはヘーグ条約というものがございまして、そこでもって、運送人の賠償責任の限度を、あるいは三百万あるいは六百万というふうにきめております。ただこの場合に、従来から、それでは低きに失するのではないかという意見がだいぶございまして、特にアメリカあたりは、そういう額では低過ぎるということがございまして、この金額を上げるというのが一つのポイントでございます。そこで、先生御指摘のように、旅客の損害賠償、旅客の死傷の場合の損害賠償の責任限度額、これを三千六百万円というふうにいたしました。  それからもう一つの特色は、従来は何らかの意味におきまして、損害賠償につきましては、過失というものを前提としていたわけでございます。故意または過失を前提。ところが、今度の場合には無過失責任制度というものを導入いたしまして、過失があろうとなかろうと損害賠償責任発生するのである。しかもその場合に、責任限度額は三千六百万、こういうふうな非常に新しい意味の形を持った議定書が成立したわけです。そこで、これにつきまして現在署名した国は、アメリカ、イギリス等を含めまして二十二カ国ございます。しかしまだ批准した国はございませんで、各国は、やはりアメリカの批准待ちというふうなことが一つの態度のようでございます。  それから、さらにわが国といたしましては、先ほど申し上げましたように、私法上のいわゆるいままでの損害賠償原理というものが変わってまいりました。そういった意味で、国内法制の面からも、これは、他の損害賠償制度ともからみ合わせて検討する必要がございます。そういったことで検討しておるわけでございますけれども、批准の問題は外務省の問題でございますから、私のほうとしてどうこう言うわけにはまいりませんけれども、航空当局といたしましては、こういったものが批准されて、はっきりと責任限度額も上がるし、故意、過失によらず一定の場合には無過失責任制度というふうなものをとることは、航空につきましては望ましいことではないかというふうに考えておりますので、私ども立場といたしましては、促進いたしたいと、こういうふうに考えております。
  235. 森中守義

    ○森中守義君 これは、あまり時間がありませんので、項目だけ並べるようであれですが、またいずれかの機会にもっとこの内容を掘り下げていきたいと思います。  次に、昨年の二月五日に閣議了解された第二次空港整備計画、これはおそらく新全総が来年度あたりは見直しの時期にきているというのが一般的な常識になっております。したがって、二次計画は、新全総それ自体を受けたとは言い切れないけれども、やはりこれと無関係ではあり得ない。そこで、いまちょうど予算の概計の途中でもありますしね、おそらく五千六百億という整備計画で、はたして五カ年間の整備ができるかどうか、私はかなり問題があると思う。そこで、単なる債務負担行為等を中心にした整備計画ではまずいと、こう思う。金額を明示するだけでは。なぜかと言いますと、たとえば千五百メートルを千八百メートルにした、あるいは二千メートルにしたということになりますと、逐次やっぱり型が大きくなっていきますよ、離発着のね。そうなるとまた狭くなる。また広げなくちゃならぬ。まあこういうイタチごっこを続けるようなもんだと思う。ことにエアバスをひとつ入れようかという話になっておりますが、そういうようなことを考えますと、この整備計画というのは、もうともっと中身のある、しかも将来を展望したものでなくちゃいかぬ。これが私の平素の持論です。  それで、おそらくは来年のいずれかの時期に新全総が立て直しの時期になれば、必然的に二次計画も変更せざるを得ないだろう。そういう一つの想定を私は持っておりますから、できるならば、この際、いま申し上げるようなことで、包括的に二次整備計画というものを洗い直すお考えはないかどうか。しかも、その中に幾ら設備をつくってみても、整備してみても、人がこれに付随していなければだめです。ところが、一次計画であれ、現行の二次計画であれ、人の問題全然閣議了解になっていない。各年次ごとに、財政当局あるいは行管と、たとえば管制官の数をふやそうじゃないか。百名要るというのを三十名に削られたりということで、なかなか簡単にいきませんよね。しかも、かなり高度な技術、そういう訓練が必要ですよ。そういうことを考えていけば、当然要員計画というものも整備計画の重要な一つの柱として盛り込んでおかないと、これは話にならない。こういう意味で、そろそろ一つの概計の詰めの時期でもありますから、そういう趣旨に基づいた整備計画の再検討をお考えになりませんか。
  236. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 御承知のとおり、田中内閣、日本列島改造論、これを国民の前に掲げて、これが実行のために明年度予算を編成しようとしています。しかし、お話のような、この日本列島改造論のうらはらになりますのが、新全総の草案がございまして、これとの調整を考えながら明年度の予算を組まなくちゃならぬと思います。勢い、空港整備の問題、飛行場の問題、これらが実は土曜日の日に私のもとに局のほうから提示されることになっておるので、まだ具体的な局の考えを聞いておりません。局長からその点を、もしきょう答えられたら、一応ここである程度の考えをお答えいたしまして、そしてそれを私も見せていただきまして、お話のような方向にひとつ考えてみたいと思います。
  237. 内村信行

    説明員(内村信行君) ただいま大臣がお話し申し上げましたように、まだ大臣まで説明が行きついておりません。私まだ大臣の御承認を得たわけじゃございませんが、現段階における事務当局の考え方を申し上げたいと、こう思っております。  まず第一に、第二次空港整備五カ年計画、これは五千六百億というものを整備費に充てております。はたしてこれでいいのかどうかという御議論がございます。おっしゃるように、新全総も今後また手直しはあるかもしれませんし、例の新経済社会発展計画、これにつきましても、その後手直しというものがもうすでに着手されているわけであります。したがいまして、そういうことになりますと、当時予想いたしました全体のフレームもまた変わってくるかと存じますので、そういうことによりまして、要すれば空港整備につきましても手直しが必要ではないかというふうに考えております。そこで問題は、幸いにして空港特会ができ、あるいは受益者負担制度ができまして、お金の面のほうは、ある程度これは実際計画したとおりの金が、裏づけがあると、こう思っております。しかし問題は人でございまして、先生の御指摘のとおりでございます。幾ら金がつきましても、この建設いたします、またそれを保守運用してまいります要員がおりませんと、これは実際に何にもならないということは事実でございます。そこで要員につきましては、比較的行管あるいは大蔵省の御理解がありまして、ほかと比べますと相当程度の人間をつけていただいております。たとえば四十七年度につきましては、保安関係の要員で四百二十八名程度の増員をしていただいておる。そういうことで、わりに見ていただいておりますけれども、やはりおっしゃるとおりに、できるならば五カ年計画の中に要員の面も含めて盛り込めれば、これほどいいことはないと思います。そういうことで、要員につきましては、今後五カ年の間に、なおさらに必要な要員というものも大体わかっておりますので、そういうふうなことによって計画的に定員をつけていただく。それから、またもう一つの問題は、せっかく定員がつきましても、実際これを運用するのは技術者でございます。したがいまして、相当な練度がありませんと、実際定員はあってもワクに埋まらないということになりますので、やはり私どもといたしましては、これの研修をいたしまして、練度を上げてまいるということをぜひとも考えてまいりませんと、せっかくできた空港整備五カ年計画も内容のないものになってしまうということでございますので、特に定員の獲得と、それからその要員の研修、訓練というものにつきましては、重点を置いて進めていきたいというふうに考えております。そういった点も今後大臣に御説明申し上げたいと、こう思っておるわけであります。
  238. 森中守義

    ○森中守義君 それから、局長はこれから中国の要人との会談に行くというのは、これは政府間交渉がすでに始まった、そういうふうに見てよろしいですか。  それから、長年日中の航空機の相互乗り入れを主張してきたこの委員会としましては、何か徴候として非常に好ましい方向にある、この限りにおいては非常にけっこうだと思う。そこで、全日空あるいはJAL社長もかなり姿勢を改めるというのか、前向きの姿勢でいろんなことを処理しようということのようですが、全日空及びJALの乗り入れについてはどういうお考えですか。いつか私は遠距離の国際線は日本航空、近距離の国際線は全日空と、こういう主張をしたことを記憶しておりますが、何かそういったような背景でもあるのかどうなのか。その辺どうですか。
  239. 内村信行

    説明員(内村信行君) 一応私から御説明申し上げまして、要すれば大臣からお話しになると思います。  まず第一の、本日これから会うことにいたしておりますけれども、これは政府間交渉というものかという御質問でございますが、これはそういうわけじゃございません。これは全然そうではなく、日航、全日空等が主宰する集まりにおもむきまして、どちらかといえば私どもは、いわゆる航空関係の技術者というふうな意味でお会い申し上げたい、こういうふうな気持ちでおります。  それからその次の、中国に対する日航、全日空の乗り入ればどうであろうかという御質問でございます。これにつきましては、先般四十五年でございますか、運輸政策審議会でいろいろ議論いただきまして答申を得、それを閣議了解をいただきました方針がございます。それにつきましては、国際線は原則として日航が当たるのである、それから、ただし近距離の国際線のチャーターについては全日空もこれを行なう、これは日航と協力をして行なうというふうなことがきめられておりまして、それ以後その方針というものは変更されておりません。したがいまして、現在のところにおきましては、その方針にのっとって進めていくというふうなことが現在のたてまえであろうかと存じます。まあいろいろな国には、いろいろな国の相手のいろいろな考え、問題もありましょうと思いますから、その模様によっては流動的に対処する必要があるかと存じますが、現在のところはこういった考え方考えております。
  240. 森中守義

    ○森中守義君 大臣のお答えの前に。そこまでは私もよく知っているわけです、それから先が問題なんです。もう一回審議会に再諮問をする、答申をもらうというお考えがあるのかないのか、いままでのとおり進んでいこうということかどうか、それはどうですか。
  241. 内村信行

    説明員(内村信行君) 事務的に申し上げますと、その後も特にそういう方針を変更すべしというふうな議論は出ておりませんので、現段階におきましては、特段に変えようという気持ちはございませんが、しかし情勢は非常にいろいろ流動的な問題がございますから、今後の情勢いかんによって、それは大臣の御判断によって、必要ならば伺うこともあるかもしれません、あるいは伺わないかもしれません、というふうなことになっております。
  242. 森中守義

    ○森中守義君 お聞きのように大臣、非常に重要な政治判断を伴います。しかし、これはしばしば言われておるように、すでに国内の企業の再編成であるとか、あるいは沖繩の南西航空をどうするかとか、いろいろな問題があるようです。そういうものをもう一回洗い直してみる。むろん近距離、遠距離という国際線を分離したほうがいいかどうかいろいろ問題はあろうかと思いますが、いま国内の各企業とも、いわば一種の成長期に入っているわけです。私は必ずしも国際線というものは日本航空に限るということではない、そういう意味で、これはひとつペンディングにしておいてもいいのですけれども、一応何かお考えがあれば述べてみてください。
  243. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) これは非常に微妙な問題でもありますし、また中国との問題はまだ国交も回復されていない時期でもございますので、いろいろな方面の御意見なども承り、あるいはまたいままでのいきさつなども検討いたしまして、きょうのところはいずれかというようなお答えをするのは、まだその時期ではなかろうかと思いますので、もっともっと慎重に対処したいと、こう考えております。
  244. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃ航空問題の最後になりましたが、先般の運賃改定ですね、これは本来ならばこの前少しお尋ねする予定でしたけれども、機会がなくていよいよ上がってしまいました。そこでね、三社が出してきた要するに値上げの申請ですね、これに対する措置の結果ですが、どうもこの前成立をした航空燃料税、これを肩がわりしたという、こういう印象が私は非常に強い。実際問題として燃料税が九・八五%くらいですね。それで実際の値上げが九・五%にしたということになると、航空燃料税とは航空機の所有者が払えと、こう言っている。それを三社が運賃の改定の申請をした、燃料税をそれじゃ利用者に全部転嫁しようじゃないかというわけです、すりかえたという感じがする。これはそうじゃないと言われてみても、九・八と九・五、〇・三しか差がない。どうもやっぱりそういうことじゃないのかというように思います。もしそうなってくると、四十八年度で一万四百円です、それから四十九年度で一万四千円、あと二回経過措置がありますね。そうすると、残された二回の経過措置に依然として航空燃料税アップ分だけは運賃にはね返るという、こういう計算をしているのかどうか、どうなんですか。
  245. 内村信行

    説明員(内村信行君) まず申請でございますけれども、大体二三%アップ、これが申請でございました。それから、結果、私どもの認めましたのは、先生御指摘のように約九・五%アップでございます。と申しますのは、申請の内容といたしましては、先生御指摘の航空燃料税、それから航行援助施設利用料のほかに、諸物価の高騰等によるコストアップがございましたということが内容でございまして、そういったものをひっくるめると、二三%アップしなければやってまいれませんというのが申請の内容でございます。それに対しまして私ども考え方は、結果といたしましては先生御指摘のように、燃料税とそれから航行援助施設利用料という分のみを見た。そのほかのコストの上がりというふうなものは合理化によるべきものであるとして見なかったというふうなことが実情でございます。したがいまして、先生の御指摘のように、ちょうど肩がわりしたというふうな御表現がございましたが、それが実態かもしれません。  そこで、なぜ航空燃料税あるいは航行援助施設利用料という制度をつくったかということでございますが、先ほどの五カ年計画との関連がございますが、私ども従来五ヵ年計画というものをたびたびつくっております。しかし、それが成就したためしがいままで絶対なかったわけです。五年かかっても六〇%、ひどいときは五〇%というのが五ヵ年計画の実情でございます。私どもとしてはそういうふうな五カ年計画じゃ困るので、やはり五カ年計画を立てる以上、そして航空の安全あるいは飛行場の整備というものを確保するためには、実際に裏づけのある五カ年計画でなければならないというのがわれわれのかねてからの考えでございまして、そういった意味では、いろいろと財政上の考え方といたしましては、一般の税金による負担ということも考えられますし、けれどもこの場合は、そういった財源の的確なる確保というふうな意味もこれあり、また航空機というものの現状から見まして、これを受益者負担制度に相当部分仰ぐのがいいのじゃないかというのが、いろいろ御批判もございましょうけれども、私ども考え方でございます。その結果、その受益者負担の方法といたしまして、航空燃料税あるいは航行援助施設利用料というものを創設したというのが実情でございます。したがいまして、そういうふうな新たな制度によって新たな負担を課するものにつきましては、やはりこれはその部分を見るべきである。特に航空会社というものが、そういうふうなものを見なくても、全部これを吸収してなお余りあるというふうな財政状態ならば上げる必要もないかもしれませんが、現実の問題といたしまして、航行援助施設利用料あるいは航空燃料税を取りますと、会社は、まあ日航あたりは相当減益になりますが、まだ赤字にはなりません。しかし、全日空にいたしましても東亜にいたしましても赤字に転落するというふうな状況でございましたから、それやこれやを見まして、ただ長期的に見ますと、いままでにおきましては運賃値上げをしなくても何とか大型化その他によりまして、合理化をして運賃値上げをしなくても済んだという状況もございますので、そういった新しい制度による航空燃料税あるいは航行援助施設利用料の分を値上げの動因にいたしまして、ほかの部分については査定をして落としたというのが実情でございます。
  246. 森中守義

    ○森中守義君 そうすると、あと二回分はやるわけだね。
  247. 内村信行

    説明員(内村信行君) お説のように、ただいまのは四十七年度が五千二百円、それから四十八年度が一万四百円、それからその次が一万三千円、以後ずっとそういうふうに続くというかっこうでございますので、今回のは五千二百円ベースでございますから、もう一回やらなければいかぬと思っております。理論的に申しますともう二回ということになりますが、それは利用者をひっくるめて時期を調節いたしますと一回で済みます。それでもう一回はやらなければいかぬというふうに考えております。
  248. 森中守義

    ○森中守義君 大臣、もう出発の時間のようですから、航空問題はこれで終わりますが、ひとつお聞きのようなことなどは、とりあえず航空界の非常に大きな問題、あとたくさんあります。ですけれどもあとに回しますけれども、ひとつせっかくの大臣ですから勇断をふるって事態の解決に大いに努力してもらいたいと思います。
  249. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 先生お話しのように、航空問題は非常に重大な問題であり、ことにまたいろいろな国際問題もからんでおりますので、お説のように十分慎重に取り組んで、しかも勇断をもって臨みたい、こう考えております。
  250. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 久後参考人から御意見を聴取した後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。久後参考人
  251. 久後治之助

    参考人(久後治之助君) 私は、大阪市で株式会社公益社の代表として霊柩自動車運送事業を経営しており、全国霊柩自動車協会の会長をつとめております久後治之助と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。  本日は、私どもがかってないというところの強いショックを受けております軽自動車に関する御審議にあたり、公述の機会を与えてくださいましたことを厚く御礼を申し上げます。  まず最初に霊枢輸送と申しますものは、一生のうちにまれに発生する運送でありますので、一般はなじみの浅い輸送であり、しかも平素はあまり口にすることを好まないタブー的なこともありますので、そっとして敬遠されるような傾向のある輸送事業であります。そこで、御承知願っておる先生方も多いと存じますが、少しこの事業のアウトラインと特異性について申し上げたいのであります。  御承知のとおり、わが国の経済は年々一〇%を上回る高度成長を遂げてまいりましたが、これに伴い貨物自動車数も飛躍的に増加してまいっておりまして、約九百万台にも達しておりますのに、私ども霊柩自動車数は、本年一月現在で二千二百八十五台で、常に横ばいにひとしい状態を呈しておるのが実情であります。何としても一般貨物の場合は、原料として工場へ、工場から製品となって倉庫へ、倉庫から消費地へと、幾度か輸送されるのに霊柩、すなわち遺体におきましては、原則として自宅から火葬場へのただの一回の輸送に終わってしまいます。この霊柩自動車運送事業の輸送件数は、御案内のとおり人口の増減並びに死亡率によって左右されるものであります。ちなみに過去十年間における人口の増加状況と死亡率の推移をみてみますると、次のとおりでございます。すなわち昭和三十五年九千三百四十一万八千人、死亡者数七十万六千、死亡率〇・七六%。昭和四十年九千八百二十七万四千人、死亡者七十万人、〇・七〇%。昭和四十五年一億三百七十二万人、七十一万人の死亡者数でございます。  以上の数字は国勢調査の結果によるものでありますが、過去十年間を通じて、わが国の人口は、年間平均一%程度の増加にとどまっております。また死亡率のほうも、日本人の平均寿命が伸びている関係どもございまして、逐年死亡率はわずかずつではありますが減少しております。大ざっぱに申しますると、大体千人に七人弱といったところでございます。ごく最近の例で申しますと、昭和四十六年中の死亡者数は約七十二万人ですが、この中には乳幼児も含まれておりますし、地方によってはいまだに土葬の習慣が残っているところもございますので、正味霊柩車の輸送対象となるのは、全死亡件数の七〇%程度でございます。たいへん長々とこまかしい数字を並べたてて恐縮でございますが、私どもの霊柩事業は一般トラック事業などに比べますと、きわめて輸送需要の乏しい、しかもあまり伸びる余地のない事業であるという点を、何とぞ御理解いただきたいのでございます。したがいまして、霊柩事業者は、ことし七月現在で民営七百七十四、公営三百八十九、合計千百六十三でありまして、その保有車数は二千二百八十五台であり、一事業者当たり一・九台という計算になり、全体の六〇%は一台持ちでございまして、大都市を除き全般にきわめて零細企業者のみであります。なお、霊柩車一台当たりの輸送距離は、都市部と地方部とでは若干の差異はありますが、平均いたしますると一回当たり十二、三キロどまりで、これ以上の輸送はこの事業の性格上走る必要がないわけであります。輸送回数も一台当たり月間二十回程度にとどまりまして、稼働率は全般に五〇%にも満たない現状であります。  私ども霊柩自動車運送事業が、以上御説明申し上げましたように、数々の特異性を持っている点につきましては、運輸省御当局におかれましても、従来から十分御理解をいただいておりますし、行政面でも、一般の区域トラック事業と同列に扱うべきでないという考え方に立って、いろいろと御指導を賜わってまいりました。運輸省御当局がこれまで霊柩事業をどういうふうに見てこられたかということを御理解いただくために、去る四十五年六月十五日付で自動車局長が地方陸運局長あてにお出しになった依命通達がございますので、その原文の一部を読ましていただきます。  「貨物自動車運送事業の免許及び認可申請等の処理について」という表題ですが、この中で次のような一節がございます。「一般区域貨物自動車運送事業及び一般小型貨物自動車運送事業、路線事業以外の事業(特定事業および霊柩事業を除く)」途中でございますが、実はこのカッコを設けていただいた点が重要なところでございます。続けさしていただきます。「(特定事業および霊柩事業を除く)については、現在の段階で特に新規免許を抑制する必要性は認められず、できる限り競争原理を導入することが利用者へのサービス向上からみて効果的であると考えられる。したがって今後は、不況期等の特別の場合を除いては、免許処理を促進することによって当該申請地区での需給関係が著るしく影響されるものでないと考えてよい」という一節がございます。  実はこの通達を契機としまして、一般のトラック事業に対する従来の免許や認可に関する方針が、大きく軌道修正されることになったわけでございますが、私ども霊柩事業については、一般の、トラック事業と同じ軌道修正はなさらずに、従来通り、免許は厳密に、事業規模は一般区域トラックの公示車両数に満たなくてもよいという特別の取り扱いが残されたわけでございます。このことは、先ほど私がるる御説明申し上げました霊柩事業の特異性と、この事業の持つ公共的使命の重大さというものを、運輸省御当局が的確に御判断いただいた結果であると私どもは確信し、深く感謝申し上げております。  私どもといたしましては、こうした御当局の適正な指導方針を体しまして、かりにも免許事業としての体面を汚したり、法規に反して一般利用者各位に御迷惑をかけるようなことのないように、全国の事業者が機会あるごとに自重自戒を申し合わせてまいりました。また、何分にも大部分が零細な事業者の集団でございますので、経営の合理化、近代化をはかることは非常にむずかしい仕事ではございますが、各地域ブロックを中心としまして、全国一丸とした、全国霊柩自動車事業協同組合を民営業者で結成し、資材車両等の共同購入や金融のあっせん、利用者に対するサービスの講習会、運転無事故運動など、およそ手のつけられる事業については、きわめて意欲的に取り組んでまいった次第でございます。  このような状況のもとで、私ども霊柩事業者は、今日まで地域社会への奉仕をモットーにいたしまして、ひたすら誠実にこのささやかな事業を守ってまいりましたが、昨年の通常国会で道路運送法の第二条が一部改正になり、昨年十二月一日より実施されましたが、これによりまして、軽トラックによる事業の営業免許は撤廃されました結果、全国各地に相次いで軽トラックによる野放し霊柩車が出現し、まことに憂慮すべき事態が発生しております。その実態につきましては、目下詳細な調査を進めておりますが、今日までに判明したところだけでも、それぞれディーラーへの発注を含めますと、九州地区百二十台、しかし、けさの報告で百六十一台が実動車であるという報告を受けております。北海道地区百三十九台、中部地区百三十五台、近畿地区二十五台と、すでに四百台をこえる車両が確認されております。  全国の霊柩車の総数は、先ほど申し上げましたように二千二百八十五台でございますが、すでに二〇%に近い無免許霊柩車が、先ほど申し上げました四地区を中心に横行し、横行しようとしているわけでございます。しかもこれらの車は、マツダ、三菱、ダイハツの自動車メーカーが、それぞれの系列に、販売店がキャラバンを組み躍起になって売り込みを策しておりますので、将来ますます増加していくだろうと予想されます。このような現象は、平均一台程度の霊柩車をもって細々と営業を続けております免許業者にとりましては、まことに重大なるショックでございます。ことに普及の早かった九州地区におきましては、前年に比べて二〇%から多いところでは六〇%も仕事が減って、壊滅的な打撃を受けておるような実情でございます。まことにゆゆしい問題といわねばなりません。  およそ利用者の利便、公共の福祉が何よりも優先する昨今の社会風潮に照らしまして、私どものことは二の次といたしましても、わずかの間に、多くの利用者を相手にさまざまな弊害をもたらしておるようでございます。すなわち、この事業の運賃は認可を受ける必要がありませんので、事業者の意のままに要求し、利用者はこれに服しておるのが実情でございまして、九州の宮崎地区では、私どもの認可によりますと、普通車で標準運賃二千六百円のところを、何とか理由づけをしておりますが、二万五千円という破天荒な金額をぼったくられている事実がございます。さらに運転保安の面から申しますと、無理な設計によるものか、五月二十三日宮崎県日南市で転落事故を起こしておるのを、幸い通りかかった霊柩の免許事業者が助けておりますし、七月七日には宮崎県諸方郡で、火葬場で一時間もドアが開かないで困ったという話でございます。  これらの詳細については、もっと調査を進めるつもりでございますが、私どもが最も危惧しておりますのは、こうした野放しグループの雲助行為が、霊柩事業者全体に対する社会的信用を失墜し、ひいては免許事業者本来の使命にもとるような公害を、全国に流布する危険性が多分にあるという点でございます。これら軽車両運送事業者も、道路運送法第三十条による「輸送の安全」及び同法第三十二条「公衆の利便を阻害する行為の禁止等」については、これを順守しなければならないのに、おそらくは、この人たちは道路運送法の何たるやも知らずに無法営業を続けており、おそらく道路運送法は「あっしにはかかわりのねえことでござんす」とでも考えておることでございましょう。かような状態では、施主の足元につけこんで不当な料金をぼったくるケースが、将来ますますふえていくだろうと思われます。いまにして、これら無法のグループに対する対策を講じない限り、やがて数々の弊害が常習化し、私どもが過去半世紀にわたって、営々として築いてまいりました順法精神とよき慣行が、根底からくつがえされるおそれがございます。  この軽自動車による霊柩車は、九州地区において発生したものでありますが、これに驚いた九州ブロックにおいては福岡陸運局に、また運輸省自動車局に陳情し、これが善処方を要請してまいりました。さらに何回も御当局に陳情を続けておりますが、去る五月十一日に、私どもの全国事業者大会の席上、来賓として出席された小林業務部長さん、現在の局長さんは、当局でも対策を考えるから業者も対策委員会をつくるようにという御慫慂をいただきました。続いて九州ブロックの代表が当時の野村自動車局長に陳情した際にも、必ず歯どめをするという力強い確約をいただきました。にもかかわらず、今日に至るまで何ら適切な処置を講じていただけないのはまことに残念でございます。繰り返し申し上げますが、この問題は、単にわれわれ霊柩業界の浮沈にかかわる問題だけではなく、一般市民の生活にも新しい公害の種を内臓しており、いまにして適切なる対策を講じない限り、利用者各層にさまざまな弊害をもたらすことが憂慮されます。道路運送法第一条の精神に照らしましても、運送業者は利用者の利便を確保し、公共の福祉を確保することが至上命令であることは申すまでもないところでございます。  仄聞いたしますると、運輸省の幹部間でも、今日のような軽車両による霊柩車の蔓延ぶりについては、夢にも予想しなかったという感じを漏らしておられるようでございますが、私ども業界にとりましても全く同感でございまして、まさに晴天のへきれきとも申すべき事態に驚いております。しかしながら、事は早急に具体策を必要としますので、何とぞ事情御賢察をいただいて、一日も早く抜本的な対策を実施くださるよう、切にお願い申し上げる次第でございます。  なお、せっかくの機会でございますので、御列席の皆さまの御高配を切望することについてつけ加えさせていただきたいのでございます。  御案内のとおり、民法の思想は人とものとに区別されている関係から、道路運送法では、尊厳なる遺体も一個のものとして一般貨物の範疇に入れられておりますが、私どもといたしましては、その持つ特殊性から、宿がえの荷物やくず鉄と同列にみなされていることに対し義憤を感ずるものでありまして、道路運送法の公布以来、この霊柩輸送事業を貨物自動車運送事業より独立して、旅客自動車運送事業、霊柩自動車運送事業の三本立てにしていただき、この霊柩業種にふわさしい形の法的処置をいただくよう繰り返して陳情してまいっております。どうぞこの事業の輸送対象が、遺体であるという特殊性と公共性を御参酌くださいまして、私どもの宿願である霊柩事業という事業種別を法制化してくださるように、衷心よりお願いいたします。  たいへん長い間公述いたしましたが、以上申し上げました数々に対して、諸先生並びに御当局の方々の御賢察を賜わりますよう、重ねてお願いいたしまして私の公述を終わることにいたします。ほんとうにありがとうございました。
  252. 長田裕二

    委員長長田裕二君) どうもありがとうございました。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  253. 森中守義

    ○森中守義君 大臣もお聞きのとおりですが、約半歳余にわたりましてたいへんな問題、それでいま参考人のお話にもありましたように、当事者間でだいぶ話が進んでおるようですけれども一向に歯どめという歯どめにならない。その間にだんだんだんだん軽による浸食が慢性化している、こういうわけで、ついに事態がここまで発展してきた経過をよく御了承願いたいと思う。そしてまた、きょうはこのことを承知された全国の代表が、約八十名近くこの席上に傍聴においでになっている。つまり一千数百名の免許事業者がまさに危機に瀕している、こういう現状に立ち至っているわけです。ですから、そういうあまりにも緊急かつ危険な状態であるということを念頭においていただいて、これを少しくお尋ねいたしますので、すみやかに処置をされるようにまず最初に要請をしておきたいと思う。  自動車局長、これはなぜこういう結果になったのか。これは昨年の許認可に関する整備法ですよ、これがこういう結果をもたらした。だから私ども運輸委員会としては、こういう法案というものをなぜ運輸委員会に持ってこないのか、それ自体が問題だ。いま私は、にわかでしたけれども、昨年の内閣委員会の会議録を両方見ているのです。この中で特に注目すべきものは、四十六年の四月十六日の衆議院の内閣委員会の会議録ですよ。ここで委員の大出君と、それから野村局長といまのあなたとの間にかなり深刻な意見の対立を見ている。つまり国会側では、これは私の言い方からするならば、明らかに政策条項だと、政策条項であるものを単に許認可の整理法案ということで一緒くたにまとめて出すということは穏当でない、こういう趣旨のことを言っておりますよ。言うならば、許可認可の簡素化をはかるために実は一緒にまとめて出しました、それが与える影響全くありませんというふうな言い方をしておるのですね。しかし、委員との問答の中ではずいぶん苦しい答弁をまたしております。委員の追及も非常に激しい。この中で、特に一節を引用すれば、当時の局長が政府委員としてこう言っているのですね。「重大な影響、変更による影響があるかどうかということについて慎重に検討いたしました結果、今回成案を得たものに限ったわけでございます。」、言いかえるならば、重要なものじゃない、簡単なものだ、こう言っておる。そうしてこうも言っておるのですね。第二条第二項の点で、「貨物自動車のうち軽自動車、これは道路運送車両法で大体大きさあるいは排気量できまっておるわけでありますが、積載量といたしましては超小型であるわけでありますが、そういうものは運送事業用の自動車としては特に規制する必要はないということで、それを簡素化の観点からはずしたわけであります。」、こう言っている。さらに続けて「はずしましたが、そういった軽自動車につきましては全く規制をしないということではございませんので、現在人力、馬力」、馬力というのは馬車の意味なんだろうね、「馬力程度でございましても軽車両事業というものがございますので、そういったものに合わせたということでございまして、新たに軽車両等運送事業、そういったものをあらかじめ考え出そうという積極的な意図は毛頭ないわけであります。結果的に条文整理といたしましてこういうように整理した、こういうことでございます。」、「条文整理」と、こう言っているわけです。それで委員の中で、何を言うのだと、明らかにこういうようなものは予見をされる弊害がある、条文整理ではない、だからこういう一連の許認可の整理法案として出すべきじゃない、むしろ道路運送法の改正案として出すのが筋だと、こう言っているわけです。もう一回あなた読み直してごらんなさい。あなたが言ったことだよ。  そこで、これは少し勘ぐりかもわからないけれども、中曽根さんが運輸大臣のころね、運輸省の行政整理、こういうことをしきりにこの委員会でも強調しておりましたよ。それと相前後するように臨時行政制度調査会というものが答申をした。その中に、行管が中心になりましてね、よく問いとってくださいよ、政務次官。行管が中心になって、各省で許認可事務で簡素化できるものがあれば出してこい、おそらくこういう指示をしたと思う。それを受けて、運輸省では数多い許可認可の制度の中からどれを出したらいいかということで目をつけたのがこれじゃないかと、おそらく経過としましてはね。だから、行管にこれを出した。行管がまとめて出した。しかし、実態としては、あくまでも軽車両を除くというこの一条項を挿入したということは、明らかにこれは政策条項だ。簡素化じゃないですよ。だから、大出君あるいは公明党の鬼木君との間にかなり深刻な議論がかわされている。委員側ではあぶないと、こういうことは。内容が十分に理解されていない。内閣委員会に何もかにも込みにした許認可の整理法案ということでは当を得ない、何としてでもこれは道路運送法の改正にその答えを求むべきだ、こう言っておりますよ。それを運輸省のほうでは、いやこれは条文の整理です、この一点ばりで逃げ切っているじゃないですか。経過を思い出しませんか。はたせるかな、予見されたとおり、いまや千百六十三の免許事業者が一体これから先どうなるか、こういう深刻な場面を現在現出しているわけです。だから、許認可制の整理になぜこういうものを求めたのか、その見通し、その根拠、いわんやそれによって生ずる法律効果、行政効果、そういうものは何であったのか、思ったとおりきているかどうか。おそらく実態は全然裏目になった。その責任は現在の自動車局長にありますよ。どう思いますか。
  254. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま御指摘のありました自動車運送事業から軽自動車を省いたいきさつ等については、おおむね御指摘のとおりでございますが、自動車運送事業につきましては、従前、画一的にすべて免許制をとってきたわけでございますが、自動車運送事業のそれぞれの事業の実態から見まして、免許制という規制が非常に強過ぎるではないかという批判は関係方面からつとにあったわけでございます。また、事業の性格から非常に免許申請事案が多いわけでございまして、これの免許事務の促進というようなこともまた強く一般から要請されておったわけでございます。こういったことを背景といたしまして、行政事務簡素化の観点から、昨年の国会で、許認可整理法として道路運送法の改正をいたしたわけでございます。当時、許認可整理全般の見直しをいたしまして、非常に慎重にいたしたということは、数年かかりまして、閣議決定まで、項目としていろんな問題を整理した上で決定されておったわけでございます。したがって、われわれといたしましても、慎重に手続をし、さらにこういった問題につきましては、関係業界等にもむしろ積極的に案をお示ししておったわけでございます。緩和の——緩和といいますか、許認可整理の中身といたしましては種々ございますが、本件と関係のあります免許制の緩和といたしましては、一つは、特定の事業者に対する免許制は、これは今後許可制とするということ。それから二番目に無償事業、これもまた免許制であったわけでございますが、こういったものも、無償事業については届け出制にする。それから三番目に、軽自動車につきましては、その輸送機関、輸送力、そういった点にかんがみまして、免許制からはずして、むしろ一般の軽車両と同じような範疇にすると。こういった免許制の緩和といたしましては三つの方針が出されまして、そうしてこれについては、先ほど申し上げましたように、関係方面にも十分案の段階ではかられておったわけでございます。国会に提出された当時といたしましては、主として無償事業の届け出制についての議論、これが確かに非常に多くございました。私、当時業務部長でございましたが、そういった点での業界の御意見あるいは国会での御意見というようなものでいろいろ討議したことは記憶に新たなところでございますが、軽自動車に関しましては、そういった点について、専門の業界におきましても、また法制関係を扱っているわれわれの関係者の仲間におきましても、軽自動車というようなものを免許制からはずした場合のいろんな問題というようなものについてはほとんど議論されたことがございません。こういった点は先ほど参考人の申されておったような状況であったと思います。  それから第二点の、国会の内閣委員会で取り上げられたという問題については、先生の御指摘のとおりでございまして、運輸委員会に付託すべきか、あるいは連合審査すべきかという取り扱いの問題で、内閣委員会の委員からいろいろな御質疑があったということも、これまた記憶いたしておるわけでございますが、こういった点については、十分論議された結果、内閣委員会において慎重に御審議され、反対なく可決されたとこういうふうに承っておるわけでございます。  なお、先ほど自動車局長の答弁云々というようなことについては、当時の速記録を見ませんと、私の答弁自体であるかどうかについては若干つまびらかでございません。
  255. 森中守義

    ○森中守義君 これは問題がないと言われたこと、内閣委員会では通ったと、その事実は法律ができたわけだから否定はできない。だけれども、その間における、おそらく予見をされる問題の発生ということは全部言われておる。逆説的に言えばですよ、軽をはずしていなかったから問題がなかったわけだ。いいですか、そこを勘違いしてはいけませんよ。だから、こういう法律を修正したならばどういう問題が発生するかということまでも読み上げておかないと法律改正になりませんよ。ちょうどここにこういうことも言っておりますね。「今日までの輸送の実態の流れから見まして、今日では軽自動車だけで運送事業をやっておる例はないわけでございます。もちろん集配等に付帯して使いますこういった軽自動車も事業者が持っておるということはございます。そういう自動車はございますが、こういった軽自動車だけの運送事業というものはないということで、実態に合わせるべく簡素化いたしたわけでございます。」、こう言っておる。これは何かと言えば、きちんと規制をされているから発生しなかった。はずしたから雨後のタケノコのように続生したわけです。その辺の読み方は間違っておりますよ、そう思いませんか。全く見通しを誤っている。見通しを誤っているし、臨時行政制度調査会の答申で、各省に、画一的にどこも一つ出せ、あそこも出せと、こう言ったから出したということだろうけれども、それ自体が軽率で、なぜ道路運送法の中に軽自動車を包括して規制をしておったのか。おそらく昭和二十七年、道路運送法制定の際に十二分にそのことが論議をされて、軽自動車も入っていたはずです。それを行政簡素化、なぜはずさなかったのか。実態に合わせる——合わせるということは、法律で規制をしているからなかったということです。はずしたからできたのです。その辺の読み方が間違いですよ。それだけに責任がある。これは何も業者の責任でもなければ、あるいは軽自動車を売りまくろうという業者の責任でもない。一言で言うならば、すべて自動車行政上の責任、しかもなお、道路運送法の改正にゆだねるべきものを、必要であるならば、それを許認可制の法律改正に求めるとは何ですか。私ども運輸委員は、こんなもの全然あずかり知っておりませんよ。いわば国会の盲点をつくようなことで内閣委員会にこれを持ち込んでいる。この責任は大きいですよ。これは行管の政務次官もよく聞いておって、長官に言ってくださいよ。あとで監察やってもらわにゃいかぬのだから。  そこで少し先に進みますが、そういったような法律改正の背景をもっていま責任をのがれようとしてものがれられない。始末つけなさい、自分で。しかもなお問題なのは、実態に合わしたと、こういうことなんだけれども、その裏にあるものは何なのか、これがまた一つ問題です。いま経済企画庁の物価政策課に出向しているようだけれども、金丸純一君という事務官がおりますか。まだ二十五歳の、採用二、三年目の若い人らしい。この人が「軽自動車による貨物運送事業の解説書」というものを出しておる。日付も入っていない。発行所も入っていない。この人と、社団法人全国軽自動車協会連合会、この連名で解説書が出ている。知っていますか、知りませんか。そこでこれを大別してみると、何かこう裏側にぴんとくるようなものがある。「はじめに」という前書き、中身何と書いてあるかといいますとね、「従前、一般小型貨物自動車運送事業に含まれていた軽自動車は、昭和四十六年十二月一日から施行された道路運送法の改正規定によって、従前の許認可手続きの必要はなくなり、簡易に運送事業をはじめることができるようになった。これによって、1商店や協同組合などが軽自動車を使って貨物運送事業をはじめることが可能となった、2貨物自動車運送事業者も軽自動車を手軽に運送事業用に使えるようになった……など各方面で軽自動車による物的流通の合理化が促進されることとなり、軽自動車の需要拡大も大いに推進されることと期待される。」、こういう言い方をしている。いいですか、軽自動車がうんと売れる。法律改正では簡素化だという。しかも実態として、もはやその許認可は必要でないからやったのだという言い方をしながら、裏側では、おそらくこれはその直後に出たものでしょう、こういうことをしたのだから、うんと軽自動車のユーザーを求めてどんどん売りまくれ、つくりまくれということだ。これはどういう関係になるのか。少なくとも、私はこれには因果関係があるのかないのか、その因果関係をはっきりさしてもらいましょう。
  256. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま御指摘の解説書でございますか、これは私も昨日承りまして初めて知ったわけでございますが、内容並びに金丸事務官という者が出ておるということにつきましても、その後きょうにかけて若干調査いたしたわけでございます。それによりますと、この法律が出た直後、やはり通常、法律改正をいたしますと、いろいろ役所で説明会というようなものを計画いたすわけでございます。また、一般的に、法律の解説書の執筆を依頼されるという例は非常に多いわけであります。当時、貨物課で担当しておりました金丸事務官が、ほかにも幾つか解説を執筆したようでございます。また、本件につきましては、軽自動車協会でございますか、この発行元から執筆を当初依頼されたようでございますけれども、あるいは監修というようなことも相談があったようでございますが、そういった点につきましては、当時貨物課で、直接役所の関与することではないということではっきりと断わっております。その結果、こういった内容の解説書を軽自動車協会におきまして執筆し、専門家の金丸事務官に内容上の誤りがあるかどうかというようなことを目を通してもらった、こういうことでございます。したがって、ここに出ておりますように、執筆というようなことばが入っているという点については、私が調査した限りにおいては食い違っておる、こういうように見ております。
  257. 森中守義

    ○森中守義君 いま言われることは、各省庁とも重要な法律改正をした場合には、地方の機関に対して説明会をやったり、あるいは関係の団体等に説明会をやることは、それは私も百も知っている。それは必要ですよ。しかし、筆が走り過ぎているのかどうかわからぬければも、何といってもこれはメーカーかディーラーに手をかしたようなことになりますよ。それに金丸という人物をむろん私は知らない。けれども先ほどちょっと問い合わしてみたところが、四十四年ぐらいの採用らしいですね。こういう重大な法律の改正の解説書を、全然上司が知らない。それは私どももたとえば給与法の問題であるとか、その他いろいろな法律の改正に伴って市販をされている書物も見たことはある。けれども、それには、たとえば監修というそういう人があってみたり、あるいは一局の責任ある地位の人が、実際は下僚が書くにしてもも、そういう責任ある人が出すのです。これなどは、これはもう全く日付もなければ発行所もありませんよ。ただし、運輸省自動車局業務部貨物課運輸事務官金丸純一、社団法人全国軽自動車協会連合会、この連名で執筆をしたことになっている。そこで、こういうものが出れば、役所の機構であるとか、その人であるとか、はなはだ口幅ったい言い方だけれども、だれもかれも知っているはずがありません。しかし、運輸省という看板、自動車局という看板が出れば、一応これは権威のあるものになる。これはどういう影響をもたらすか。特定の団体と提携をしてこういう文書を出せば、これはみんな飛びついてくることは間違いない。その間違いない結果にどういう事態が発生したかといえば、これはごく最近のことのようですが、大阪の日工自動車株式会社はこういうパンフレットを出している。あとで見せますよ。何と書いてあるか。「軽自動車ライトバンで寝台車・遺体運搬車の営業が許可されました」、こういう大きなタイトルで「従来より寝台車又は遺体運搬車の営業許可が至難とされ、お店の運営上ご不便をおかけしておりましたが、当社におきまして、数年に亘り運輸省陸運局に研究、検討を重ね、軽自動車ライトバンに特殊架装を施こしまして、たび重なる許可の申請をいたしておりましたところ、今般、軽自動車ながらも、営業ナンバーにて、しかも特殊ナンバー0番の登録が出来ることになりました。」これ見てごらんなさい、こんなのが出ている。九州、ことに熊本、宮崎あたりではもっとものすごいのが出ております。みんな運輸省許可した、認可した、こう言っているわけです。しかも、この関係の業界紙によれば、これを受けて全国にメーカーあるいはディーラーがさあ売れ、買えということで通達を出しておる。新聞にこれ出ておりますよ、見てごらんなさい。もうたいへんな誤解というのか、こういう一事務官の手によって解説書なるものが出た、これが今日のこういう問題を実は発生させておるわけです。予測しましたか、こういうことを。  私は、こういう問題は単に霊柩業界だけじゃないと思うよね、こういうことは。他の業界にも波及してくる、おそろしい結果を招いたということに私はなっていると、こう思う。だから、許認可の整理法によってこういうものをしたばっかりに、それまでは押えられていたのがとんでもない大混乱を起こしている。むろん免許制、許可制、認可制という制度それ自体に私は、固有な意見は持っております。けれども、実際は道路運送法で許可制というものが存在している以上、それが運送秩序を守っている以上不謹慎ですよ、やることが。いまこういう状態が発生してどう思いますか。予見しましたか、当時。しかも、全国陸運局にこういったようなものが出始めたぞという連絡がきているはずだ、知りませんか。この前宮崎からも私手に入れている。それはちゃんと自動車局に渡っているはずだ。こういうのは直ちに撤回させる、まさにこれは虚偽の広告ですよ。許可でないでしょう、許可は必要ないでしょう、許可したと言っていますよ、みんな。ほっとけますか、これは。もうこういうものが手に入って数カ月になろうというのに、どういう手を打ちましたか。ほったらかしにしているんじゃないですか。それならば、金丸君が出したのはこれは局長も知らぬとは言わせない、当時の部長も知らないとは言わせない。だから、こういったように単なる条文の整理ということにかこつけながら、裏のほうではメーカーと結んでいる、ディーラーと結んでいる、販売行為に手を貸した、こういったように疑られてもしようがないじゃないですか、どうですか。
  258. 小林正興

    説明員小林正興君) だいぶきびしいおしかりでございますが……。
  259. 森中守義

    ○森中守義君 あたりまえだよ、当然だよ。
  260. 小林正興

    説明員小林正興君) 因果関係といいますか、その点私もちょっとはっきりいたしませんが、こういった自由になったという法律の解説そのこと自体は、これは内容において別段中身で間違ったことはないんじゃないかと。これは問題は、販売店協会といいますか販売店の協会あるいは軽自動車協会でございますか、そういったところにおきまして、営業政策に場合によっては役所の監修等の名前を使い、あるいは許可という全く実体のないものを広告した、使っておるということについては、はなはだもって遺憾だと存ずる次第でございます。そういった点がはっきりいたしました点については、もうすでに熊本において役所の認可、あるいは許可という非常に不正確な用語を使ったパンフレットについてそういう申告がございましたので、これについては回収させるという措置を直ちにとったわけでございます。  それから先ほど、役所として監修等の手続をすべき場合にルーズではないかという御指摘でございますが、当然、自動車局あるいは貨物課というようなところで監修いたします場合には、上司の決裁を得て監修等の名義を使用させるということをいたしておるわけでございます。この件については、全く個人的に中身の検閲をしてもらったというふうに聞いておるわけでございまして、そういった点、私どもは最高幹部といたしましてももちろんでございますが、当然、貨物課においてもそういった監修の点については、はっきり断わっておるということでございます。
  261. 森中守義

    ○森中守義君 まあ私は、金丸何某という人をどうせいこうせいという意味じゃないけれども、一連の流れから考えるならば、因果関係がないとは言えない。さっきから、整理法の中に入れた趣旨は単なる条文の整理だと言っている。解説ではそうじゃない。つくれ、売れということを慫慂している。この辺の関係が全然無関係とはいえないのですよ。しかも、二十五歳といっても、一定の厳重な資格試験に合格して自動車局に採用された少壮国家公務員が——むろん係員ですよこの人は。係長とか、補佐とか、課長とか上司の了解も何も得ないでこういうものを書こうとは思えない。知っているんじゃないか、実際は。あとで問題になっちゃかなわぬというので金丸に書かしたんじゃないのか、これは。これ、知らないとは言わせないよ。だから、因果関係をはっきりしてくれと言っている。
  262. 小林正興

    説明員小林正興君) たびたび申し上げますとおり、役所といたしましては、監修の名義については断わっておるわけでございまして、こういった解説書が出たのも、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、昨日私は知ったのが事実でございます。  それから、因果関係等についておことばでございますけれども、道路運送法の改正が行なわれた直後において、軽自動車協会といいますか、そういったそれぞれの関係の方面で、これを今後の販売政策においてどういうような施策を考えるかというようなことについては、全くそういった民間の団体、あるいは会社というようなところで考えたものでございまして、ただ、先ほど申し上げました間違えた、事実でない広告というようなものについては、私のほうでわかり次第直ちに撤回さしておるわけでございます。
  263. 森中守義

    ○森中守義君 どうも話が少しあれこになるけれども、聞いていると、出てきたから押えた。一体、この姿勢が私は問題だと思う。私も、長年ここにいて、こういう特殊な問題が発生した場合には、やはり行政上はよくないことを予防しなければいけませんよ。これは行政機関の責任ですよ。いいですか、たとえば他の省庁でもどっか一カ所何かおかしなところがあった、へたするとこれが他に直ちに伝染するような可能性、類似行為が発生する可能性がありという場合には、地方の機関に対し画一的に指示を落として規制を加工えるのが、これが行政当局のいやしくも中枢部のやることですよ。いま自動車局長の話を聞いていると、出てきたから押さえた。これじゃ話になりません、これは。予防にならない、そういうことでは。それは自動車局がそういう姿勢を持っている。そういうことをぬけぬけと国会で言うから、因果関係があるぞと私は言うわけだ。しようがないよ、そう言われても。そうじゃないですか。もうすべてが消極的です。こういうものが出ても、言ってこなければ黙っているというならば、やはり販売行為に手をかしている、こう言われてもしかたがないじゃないですか。これは、少なくとも一部局の長として適当な措置じゃありません、そういうやり方は。北海道から九州に至るまで全部の陸運局長に、九州発生したそういう事件があったならば、直ちにみずからの所管をする庁の長のほうに対して、どこそこでこういう事件発生した、この種事件は直ちに予防すべきである、直ちに行政指導を行なうべしであるという、こういう通達を出すのが、これが私はあたりまえだと思う。話を聞いてみると、熊本で発生したから押えた。いま私は大阪を差し上げたから、今度は大阪を押える。これじゃ全く消極的じゃないですか。これでよく自動車局長がつとまるものだ。大臣どうですか、いまのような答弁聞いて、私の言うのが無理ですか。まあ、かなりことばはきびしく言っているけれども、筋としては私は、間違ったことは言っていないと思う。やっちゃいませんよ、自動車局長は。あっちで出たから押える、こっちで出たから押える。出てくるのを待って、しかたがないから押えていくという、そういう言い方ですよ。いいですか、大臣、そういうことで。出させなさいよ、直ちに。どうでしょう。
  264. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 非常に不愉快な事件だと思います。よく調査いたしまして、善処したいと思います。
  265. 森中守義

    ○森中守義君 自動車局長、画一的な通達は出せませんか。もはや、さっきの参考人のお話でも、ひとり九州だけではない、首都にもその影響はもう始まっている。そこで売るほう、つくるほう、いろいろな手段を用いてやるでしょう。しかし、そのことが不当に運輸省の自動車局の名前を用いたり、あってならないことまで言われて黙っておれますか。出しなさいよ、それを。
  266. 小林正興

    説明員小林正興君) 私の説明がちょっと舌足らずだったと思いますが、私は、消極的に対処しようということではございませんで、そういったものが出た場合に、間違ったものについては直ちにこれを矯正させた例として熊本をあげたわけでございます。そういった意味合いにおきまして、大阪あるいは北海道というような問題につきましても、私どもが積極的に、販売店がどういう宣伝をしているのかということを調査いたせれば、それは最もいいと思いますけれども、こういった点について、過般の霊柩業者大会におきましても、そういった実態については、霊柩業界自体で細部にわたるまでいろいろな点について承知しておるはずであるから、そういった点についてはどしどし出してもらいたい、こういう趣旨で、直ちにできることは直ちに取り上げて対処する、こういう意味で申したわけでございまして、全般的に通達を出すべき問題については、出すことにやぶさかでございません。
  267. 森中守義

    ○森中守義君 どうも私は、行政官としての自動車局長の感覚がわからない。何回言っても、画一的に出そうという意思はないのですか。たまたま熊本を例にあげたと、こういうことだけれども、もうすでに全国的に発生しているということは、だれよりもあなたが知っているはずだ。箱根での総会の席上にあなたは出ているのでしょう。どういう議論が出ましたか、どんな報告がありましたか。だれよりも知っているはずです。しかもそれと同時に、霊柩業界にそういうものがあれば話してくれとは何です。自動車局は自動車行政を扱っている。地方の局もあれば、陸運事務所もある。そういう機関に対して、どこそこでこういう実例があったから、その管轄の中において、もしもそういうものが発生しちゃいけないから、進んで目を配るように、好ましくない方向に発展しないように手を打てという全国的な通達をどうして出せないのですか。ちっとも自動車局が出すのにおかしな話じゃない。それがまた官庁の慣例である、中枢部のやるべき仕事でもありますよ。それをどうして出せない。そういう答えをするから、ますますわからぬようになる。わからないということは、どうもやっぱり因果関係があるのじゃないかなというように勘ぐってみざるを得ないじゃないですか。  この問題に積極的に取り組む姿勢がある、しかも自動車局のほうでは、許認可整理法にかけたことは間違いないと、こう言っているようだけれども、これは明らかに間違い。運輸委員会に出すべきだ、道路運送法の改正に求むべきですよ。そういうこともやらないで、勝手にこそどろのようなことをやっておいて、しかも、実態に合わない。実態に合うようにします、こういうことを言いながら、問題はこういうふうに発生している。発生した事件を押えろと言っても押えない。出てきた怪文書的なものを未然に防止したらどうかと言っても、業界に教えてくれというんじゃ、ますますもってこれは不愉快千万で、不可解千万な話ですよ。  これは大臣、よく聞かれて、全国一斉に通達を出させなさいよ。小林君の言うことではだめだ、これでは話にならない。どうですか大臣。もう局長相手にこんな話しても時間がたってしまう。どうですか、全国一斉に、こういう予防になるような——実例が幾つもあがっているわけだから——地方の局長に通達出させませんか。調査するじゃだめですよ。
  268. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 森中委員お話しのように、慣例ということばがありましたが、慣例をよく調べまして対処いたしたいと思います。
  269. 森中守義

    ○森中守義君 それからね、宮崎で、先ほど参考人のお話の中にあった転落事故の問題ね、このナンバーを調べてみたところが、宮崎0れの2こうなっている、その転落した軽がね。いま局長の手元に差し上げた大阪の場合にも0の青ナンバーと、こうなっている。これは、現在の現行法の中のどれでこういうことができますか。  自動車登録規則というのがありますね。この中に別表第一、第二、第三というのがある。この別表の第二の中で0というものは、「自動車抵当法第2条ただし書に規定する大型特殊自動車」これが「0及び00から09まで」こうなっている。これに該当しますか、これが一つ。  それから「れ」というものを用いているのは、これは別表三の三項に該当するね。つまり三項によれば、「道路運送法第一〇一条第2項の許可を受けた自家用自動車」と、こうなっているわけです。どれに該当するのです。
  270. 小林正興

    説明員小林正興君) 私も、専門的にもう一度じっくり法令に当たって調べてみませんと、的確なことはあるいは直ちに申し上げられません。  まず、事業用のナンバープレートであるという点につきましては、現在、ナンバープレートが自家用の場合には白と、それから事業用の場合には緑色と、こうなっておるわけでございまして、先ほど若干御説明ございましたが、自動車運送事業から軽自動車がはずされて、今後は「軽車両等運送事業」という範疇に移ったわけでございます。これは、いわゆる白ナンバーの自家用ということではございませんで、免許制を要しない軽車両運送事業ということでございますので、当然ナンバーの色は事業用の緑である。  なお、0ということ、あるいはそのほかナンバーの区分等につきましては、それぞれ規定があってやっていると思いますが、まあ私の承知しておる限りでは、霊柩用に使うというようなものにつきましては特種自動車である、こういうように聞いております。
  271. 森中守義

    ○森中守義君 自動車局長ね、むろんそれは、しろうとだというのは私のことを言うんだ、私のことを。いいかげんなことを言いなさんなよ。あんたが別表第二、第三を知らぬはずがあるかね。少し無礼だよ。自動車局で育って、地方の陸運局長をやり、肝心な業務部長をやり、自動車局長まで昇進した人が、みずからをしろうと呼ばわりとは何ですか。不都合だよ、そういうことば。別表第二、第三を知らないはずはない。私はしろうとだから、くろうとのあんたに聞いているんだよ。しろうとの私が見て、第二表、第三表のどれに該当するんだ。第二表のゼロナンバーというのは、0というのは、これは十項の、「自動車抵当法第二条ただし書きに規定する大型特殊自動車」、これが0を用いることになっている。これに軽は該当するかどうか、私はしろうとだから該当しないと、こう見ている。いいですか。「れ」というものは——別表三の3にある「れ」と「わ」というものは、道路運送法第百一条に規定をする自家用自動車と、こうなっているんだよ。これ以外にあるの、何か。ないならば整理法のときに、政令並びに規則等の改正も一緒に出ているはずだから、当然こういうものが修正をされなければならないと、こう言うんですよ。どこに該当する。改正されていないから、当然現行でいかざるを得ない。いくならば、二表、三表のどれにも該当しない、だからおかしいと、こう言っているんですよ。あんたくろうとだよ。わしによく教えるべきなんだ。そのしろうとの私がちょっとこういうものを引っぱり出してみて、どうもおかしいから、これはどうですかと、こう聞いている。私の判断では該当しませんよ、二表にも、三表にも。それで、軽自動車のこの種行為あるものはどれにはまるのだ、こういうことですよ。教えなさいよ、ていねいに。
  272. 小林正興

    説明員小林正興君) 私は、しろうととか、そういうことを申したわけではございませんで、現在的確にお答えできる自信がございませんので、ナンバープレートのナンバーをどういった区分で0あるいは「れ」というようなことを用いたかについては、さっそく的確に調べまして、間違いのないところをお答えしたいと思います。事業用のナンバーということにつきましては、当時業務部長としてそういった記憶がありますので、お答えをしたわけでございます。番号の記載のしかたにつきましては、正確を期するために調べさせていただきます。
  273. 森中守義

    ○森中守義君 それはもう正確を期するために調べるのはけっこうだけれどもね、現認をしたナンバーですよ、これは。いいですか。私が想像で言っているのじゃない。事故現場に立ち会った人、通りかかった人、その人から私は書類を送ってもらった。現認したナンバーが0れ2だ。それを調査してから返答するというんじゃ話にならぬ、それは。すでに二表、三表を私は用いているわけだから、かりにあなたの答弁が親切であるならば、私の言うことを前提にしてという言い方でもいい、全く肯定しなくてもいい、それは。そこまできめつけない。けれども、仮定の話としてでもこれのどれに該当するかぐらいの答弁をしなさいよ。無礼だよ、そういう答弁は。仮定の話としてでもいいよ。
  274. 小林正興

    説明員小林正興君) 宮崎で事故を起こした車のナンバープレートに、私は、現地の陸運局で間違えた番号指定をしているとは思いませんが、あるいはその根拠に照らしてそれが間違っているかどうかということについて調べたいと思います。
  275. 森中守義

    ○森中守義君 これは陸運事務所の仕事でもない、地方の陸運局長の仕事だ。むろんそれは地方の陸運局長は繁雑な仕事を持っているから、一々そこまでは目が届かぬだろうけれども、法令上は陸運局長が確認することになっている。参事官で来た真島君、彼が本来ならばきちんとこれを確認すべき立場にある。いるだろう、聞きなさいよ。だめだ、そういういいかげんなことでは。
  276. 小林正興

    説明員小林正興君) 若干時間をいただきまして、専門家に調べさせたいと思います。
  277. 森中守義

    ○森中守義君 それじゃ、それは時間をかしてあげよう。けれども、もし私の言う0れ2が間違っていたならば、即座に私は陳謝をするし、謝罪もする。けれども、仮定の問題としてでもいいから二表、三表のどれに該当するかを言ってください。仮定のことならいいだろう。
  278. 小林正興

    説明員小林正興君) その、当該自動車が0れ2という問題については調べますが、先生御指摘のように、別表第二で自動車の範囲によって分類番号がきまっていることはそのとおりでございます。別表第二に「0及び00から09まで」、これは「自動車抵当法第二条ただし書に規定する大型特殊自動車」、こういうことになっておりまして、また「れ」というのは、別表第三で「道路運送法第一〇一条第2項の許可を受けた自家用自動車」、こういうことになっておりますので、その両方を組み合わせますと、0れというようなことであるならば、大型特殊自動車であって、百一条の許可を得た自家用自動車ということに当然なろうかと思います。
  279. 森中守義

    ○森中守義君 そういう説明を最初からしてくれれば問題ない。そこで、そういうことになれば、すでに軽は、該当する事項はここにないわけだから、当然いま改造車によって行なわれている遺体の運搬霊柩業務というものは、違法じゃないけれども、違則だ。そうなりませんか。違則であれば、当然これは中止せしめるべきものでしょう。さもなければこの規則を改正するか、いずれかによらなければ処理できませんよ。どうします。
  280. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま先生の御指摘になっているのは、自動車の登録番号表でございますが、軽自動車のナンバー指定については、はたしてどういった根拠でなっているのかということを正確に調べましてお答えしたいと思います。
  281. 森中守義

    ○森中守義君 調べなくちゃわからないじゃないんだよ。仮定でいいから言いなさいと言ったから、あなたはいま言ったね。そうでしょう。それで、このどれかに、つくらなければはまってきませんよ、これでは。どれに入れるの。二表もしくは三表を、軽自動車かくかくだということを新設をしなければ、もしくは改正しなければできませんよ。どこに入れるの、これを。それが問題だと私は言っておるんだ。だから、いま地方の陸運局長あるいは陸運事務所でどんどんナンバーを与えているということは、明らかに違則をこれは犯しているということになる。この辺の統一した見解、統一指導というものを中枢はやるのか、やらないのか、やるというなら、規則の改正までまた、すべきだ。いままでやったものは、あてはまらない、該当項目がないのにやっているわけだから。そうやった行政官というのは、処分しなければいけませんよ。どうするのですか、それを。そういう点をはっきりしなさい。
  282. 小林正興

    説明員小林正興君) 私たち、軽自動車に対して登録番号が間違っているとは思いませんが、その根拠として、この自動車登録規則の、ただいま先生の御指摘の別表、第二及び第三が、軽自動車の登録ナンバー標をつける根拠であるかどうかという点について、非常に疑問があるわけでございます。軽自動車については、自動車と別に、道路運送車両法がとらまえているので、あるいは別の根拠が、ほかにあるのかというような点について調べたいと思います。
  283. 森中守義

    ○森中守義君 局長ね、私がくろうとみたいになっているんだよ。あなたが、わしを教えなければいかぬよ。どこにあるのか、二表、三表以外に。道路運送法、車両法、それに付随している省令、規則、どこにもないですよ。二表、三表で分類してあるわけだから、これ以外にはない。だから、ここで何とかひとつ逃げ切ろうといっても、逃がさないんだ、おれは。だめだよ、そんなこと言ったのでは。どこにあるのか、そんなこと。
  284. 小林正興

    説明員小林正興君) 先生御指摘の第二表及び第三表に定める番号標の基準を、軽自動車に照らした場合に、非常にこれは大型特殊自動車であり、かつ自家用自動車であって、百一条の許可を得た自動車であると、こういうことは私はおかしいと思います。ですから、ここでいう自動車登録令の根拠は、おそらく自動車の登録制をとっておりますのは、軽自動車は現在省かれており、登録制をとっておりません。したがって、先生御指摘の第二表、第三表は、軽自動車に対する根拠規定であるかどうかについて、私自身、疑わしいと思っておりますので、その辺を、軽自動車についての根拠規定を調べたいと、こう申し上げておるわけでございます。
  285. 森中守義

    ○森中守義君 それは、人間もそうであるように、戸籍を持たない車なんかないよ。局長、戸籍を持たない車なんかないのだよ。どれかに該当しなければ走れないのですよね。適用除外というのは車にはないのです、いかなる場合でも。適用除外がないということは、二表、三表によらなければならないということですよ。そうではないですか——ちょっと待ちなさい。それでこれはまたあとで、もう少し、終わったあとで詳しく聞くけれども、そういうように、何かしらこの問題については、真剣に取り組んでいない。話を聞けば、地方に聞いてみるとか、そんなことでどうしますか。国は、あなたに、自動車行政をまかしておるわけだ。そんないいかげんなことではまかされない。かえなさい、大臣。だめだ、こんなことでは。いいですか。これ以外にはない。戸籍を持たなければ走れないということです。そこで、これは、百一条に該当するならば、ちゃんと免許を持たなければだめなんです。免許を持たなければだめなんです、いいですか。  そこで、大臣も時間がないそうだから、もう一つ、大事なところですから、大臣、聞いておってくださいよ。宮崎県で、宮葬という、軽を扱っているところがあるらしいのだな。そこで料金を一万五千円取っておる。いま霊柩事業者は、適正な料金を取って、しかも全国統一されておる。それなのに一万五千円です、一万五千円。これはちゃんと領収証まで持っておる。あまりにも高過ぎるというので、五千円払って、一万円は借金をしている家がある。大体宮葬というのは一万五千円だね。こういうようなことが横行している。これで適正な事業といえますか。だから、これから免許をはずしたということ、軽自動車を除いたということが問題になる。これですよ、問題は。それは不幸があって、もう前後不覚に陥ったような遺族に行って、さあ乗りなさい、連れていきますよ。しかも料金を出せ、一万五千円。これは、本来なら公取にも来てもらわなくちゃいかぬ。全国至るところに、こういうものが発生しますよ。これが運送事業秩序を正確に守っているといえますか。この適正な料金の問題、どう思う。一万五千円取っている。
  286. 小林正興

    説明員小林正興君) まず最初に、先ほど来登録番号標のことがございましたが、私どものほうの担当の者に調べさせましたところ、軽自動車につきましては、先ほどの登録令及びそれに基づく登録規則によるものではなくて、これは届け出制になっておるわけでございます。届け出制になっておりまして、道路運送車両法施行規則によって、番号指定の基準を各陸運局長に通達してございます。その通達の中で、たとえば四輪の貨物であれば6とか、四輪の乗用であれば8であるとか、特種と申しまして、特殊の用途に使うものは0、こういうことで、番号指定をさしておるわけでございます。したがいまして、一般の自動車とは、軽自動車につきましては、登録という制度ではないということで御了解願いたいと思います。  それから第二の、ただいまの運賃の問題でございますが、軽自動車で霊柩運送をやっておる事業者というものは、確かに免許を要しなくなりましたので、いわゆるそういった面では自由営業、また、運賃の規制もかぶらないということで、あるいは高くあるいは安く取ることは、自由になっておるわけでございます。まあそういったことについて、むしろ大型の普通の霊柩車による場合よりも、高く取っているというようなことについては、確かに条理上おかしいもんだとは思うわけでございますが、そういった点につきましては、やはりそれだけに、各地にまだ霊柩事業というようなものが、正規の霊柩事業が行きわたってないと、したがって、そういう間隙を縫って、高い運賃を取るような霊柩屋さんがあらわれておるというようなことでございまして、やはり需給関係が完全に保たれて、認可運賃が守れるように、全国の霊柩事業というようなものの免許処理というものは、やはりやらなきゃいかぬと思っておるわけでございます。
  287. 森中守義

    ○森中守義君 大臣ね、あともう少し続けますがね、よろしいですよ……。  それでね、これはひとつ、非常に問題が問題でね、たいへんなんだ。だから、さっそく協議してもらってね、直ちに措置をとってもらいたい。そのお約束してください、これは自動車局長何回頼んでもしないから。しないからこういうことになる。前の局長以来ずっと続いた問題です。私も、たいがい片をつけるだろうと思ってある程度信頼しておった。当事者間もよく話をされておるしね。ところが、絶対といってもいいぐらいに手をつけようとしない。それでしびれを切らして、きょうは参考人も来てもらい、私も六カ月以来のこの問題ですから、少し口ぎたなく言っているけれども、それは実際自動車局のやっているのは不当ですよ。まあそういう意味で理解してもらって、直ちに指示をしてもらいたい。
  288. 佐々木秀世

    国務大臣佐々木秀世君) 私も、こういう重大な問題であり、また、全国の直接関係のある方々が、こんなにも大ぜい見えておるんですから、非常に深刻な問題だと受けとめております。また、森中委員先ほどからの御発言も、一々うなずきながら聞いておりますが、だいぶ自動車局長との間に、どちらがどうかわかりませんけれども、質問と答弁との間にしっくりいかない点もありますので、それだけに、めんどうな問題じゃないかと思いますが、しかし、これは何とかしなくちゃなりません。私、きょうのこれからの御質問、あるいは答弁を、よくひとつ後ほど承りまして、最後までおればよろしいんですけれども、何せ先に約束したものでございますから、たいへん失礼ですが、お許しをいただきまして、失礼さしていただきますが、十分もう慎重にひとつ対処したいと思います。きょうはどうもありがとうございました。
  289. 森中守義

    ○森中守義君 もう政治判断の時期ですからね。  小林局長、いま宮崎を例にあげた場合に、正規な霊柩事業者が行き届いていないから、こういうものが発生するのであろう、こういう御意見、これは、どうしてもいただきかねる。私の調査では、さっきもちょっと申し上げたけれども、全国で事業者の数は、民営が七百七十四、公営が三百八十九、合計千百六十三業者。間違いありませんか。
  290. 小林正興

    説明員小林正興君) はい、けっこうです。
  291. 森中守義

    ○森中守義君 それと、参考人の言われた中にも、ずいぶんこの辺のことも触れられておりましたけれども、四十六年度の実績を見ると、正規な、霊柩車の一両当たり遺体の搬送数は、何と三百件にすぎない。年間、一車両当たりわずかに三百人ということである。まさに、三百六十五日のうちに、三百人ということだから、一日一人と平均をとった場合、六十五日は仕事がないということです。この状態をどう見ますか。  そこで、どちらかというと、むしろ私は供給過剰の状態にあると見るのが当然ではないかと思う。そう思いませんか。一年間で三百人も一車両が運ぶということになれば、六十五日は遊んでいますよ。そのことはすでに千百六十三というものがおそらくマキシマムな数であろう、むしろ過剰供給と、こういう見方を私はすべきだと思う。それは、これから先の議論として、私は、出そうと思ったのだけれども、その需給をどう見ているのですか、自動車局としては。
  292. 小林正興

    説明員小林正興君) 霊柩事業についての新規免許処理にあたって、需給関係をよく見るということになっておるわけでございまして、ただ、その際、全国的な事業者の数ということだけ、あるいはその稼働率だけというわけにまいりませんのは、一つはやはり非常に全国各地、特に最近霊柩車を要請するような地域というものは、だんだんと、何といいますか、地方にいきつつあるわけでございます。そういったことを反映いたしまして、やはりその地域にとりまして、隣の村に免許事業者がかりにあるといたしましても、やはり、ない村におきましては、ぜひとも一台持ちたいのだというような趣旨の申請が非常に多うございまして、やはりそういった際に免許処理にあたって非常に困りますのは、隣の事業者の稼働率が、まだ低いから、そちらに行くべきであるという断定も、地域のとり方によっては、なかなかしにくいわけでございます。そういったことを反映しまして、現在、先生おっしゃったような事業者数がすでに全国にあるわけでございますが、昨年、一年間で、申請が全国で百六十五件、一割五分の申請があったわけでございます。このように、免許申請は、それぞれの地域の特殊性を反映いたしまして出てきておるわけでございますから、その点は個々の地域に当たって、先生のおっしゃる需給というようなものをよく見て、そして免許を、あるいは却下というような処分を慎重にいたしていきたいと思います。
  293. 森中守義

    ○森中守義君 これは、先ほど参考人のお述べになりました中に非常に重要な点がある。つまり、一般区域貨物自動車運送事業及び一般小型貨物自動車運送事業、路線事業以外の事業、特定事業及び霊柩事業を除く、こういうことが、かつて自動車局長から通達が出た。つまり、免許事業としての霊柩事業を、むちゃくちゃに免許をおろしちゃいかぬと。つまり、需給状況はどうなのか、あるいは業者の運営、運行状態はどうなのか、サービス提供の状態はどうなのか、こういうものが基調になって、こういう自動車局長の通達ということに私はなったと思う。このことは何かと言えば、結局、需給問題や業者の動態、こういうものからして、おおむね妥当な数字として千六十三が私は出ていると思うんですよ。なるほど、日本列島の全体に、それは町と町との間が数キロのところもあろうし、隣接のところもあろうし、それは一がいに言えないと思う。一がいに言えないと思うけれども、実際の免許基準によって免許をおろす際に、一定の資格、一定の条件が伴っているということであれば、この局長通達というものは、そういう意味で私は非常に有効な手段であると思う。そういう考え方が過去にありながら、いま一体何なのか。百八十度回転しているわけだ。それが問題だというんですよ。それと、さっき言われるように、何か一万五千円とか不当な料金取っていても、それはまああずかり知らぬというような、そういう意味合いのことのようだけれども、これは黙視できませんよ。これは黙視できない。  やはり運送事業、認可・許可に基づいた事業じゃなくしても、走る車によって、そういう対価をとっているというならば、これはやはり自動車行政の一環ですよ。ある意味じゃ公取の問題になるかもしれない。あるいは完全に刑法に該当するかどうかわからぬけれども、極度に不当であるというこの事実をとらえてどうしますか。だから、ずっとお答え願っている中で、ちっともこの問題に対する実情を把握してない。現状というものを理解していない。その辺に、むしろ、この問題に取り組んでいる自動車局長それ自体の姿勢が、私は問題だと思う。きょう、こういう委員会があるんですから、もう少し正確に全国の状態を見てきておきなさいよ。だから、問答やっていてもぴんとこないんだよ、言うことが。全くぴんとこない。少なくとも、実際の現場の状況というものは、どうであるかぐらいのことは把握してもらわないと、何も委員会でやかましく言うのが能じゃない。少なくとも前向きに物事を処理したい。千百六十三名の業者の直ちに茶わんと、はしの問題ですよ。こういう勢いで、どんどん軽が、いったらば、数年を出ずして壊滅するでしょうね。壊滅するでしょう。何のために免許を与えているか。事業免許とは何なんですか。だれが守らなければならぬのですか。そこをよく考えてほしいと、こういうわけですよ。いまの不当料金の問題等は、ちゃんとやった人もきまっているわけだ。いま、見てくれたでしょう。調べなさいよ。その話はちゃんと耳に入っていると思う。明らかに秩序を乱している。公共の利害にそむいていますよ。そう思いませんか。おそらく、事業免許の中で、免許者の中では、その場合には二千四、五百円が適正な料金とされている。それを一万五千円取ったのを、ほうっておけますか。そういう悪質な業者は直ちに停止しなさいよ。どうしますか。そのくらいのことやらなければだめだよ。
  294. 小林正興

    説明員小林正興君) 法律のたてまえで、軽自動車が自由営業になったと、こういうたてまえから見ますと、一万五千円という料金は違法であると、つまり、役所の権限に基づいて何らかの措置ができるかという点につきましては、非常にその根拠について問題があろうかと思います。私は、むしろそういった高い料金で霊柩の運送が行なわれるということは、やはりまだ正規の霊柩事業というものが、すみずみまで行き渡っていないというような点が根本問題であろうかと。ただ、現実的な問題として、いろいろな利用者の方がございますから、そういった方があるいは不慮の大きな損害を受けると、こういった、たとえば悪徳の事業者にかかって、非常にばく大な料金を請求されたというようなことについて、その被害者の保護というような立場から、できるだけの行政上の措置というようなものは講じていきたいと思います。
  295. 森中守義

    ○森中守義君 どうもひっかかるね。すみずみまで行き渡っていないとはどういう意味ですか。さっきから、ちゃんと言っているわけだ。一両で三百人しか運ばないと、ただし、地域の状況によっては遠隔な地もあろう、けれども、行き渡っていないということで、これは逃げ切ろうとしてもだめですよ。絶対そんなことありませんよ。むしろ、さっき手元に渡したような過当な宣伝、過当な客引き、しかし利用者のほうは、一年に一回とか、二年に一回という、そういうもんじゃないんです。こういうことは、できるだけ数少ないほうがいい。そこへ、ちゃんと軽を新しく始めた人が、客引きに行って、サービスしますよ。こうしなさい、ああしなさいと言えば、みんなあまり経験がないので、実は、私も経験がない、霊柩車は、どうすれば来てもらえるのか。そういう一般的な利用者の知識というものはないんです。ないところへもっていって、軽でできますよ、私のほうがうんとサービスいいですよ、そういったような過大な宣伝広告、あるいは勧誘をやれば、経験のない人は乗りますよ、みんな。むしろ現状は、そういうことだと理解すべきじゃないですか。それなのに、霊柩車が行き渡っていないから、こういうことがあるんだということでは、それは現状をあまりにも知らなさ過ぎる。それが私は問題だと言うのです。宮崎県の代表おられるだろう、ここに。これは、発言の機会があれば、むしろお聞きしたいんです。いま九州で、この種問題の発生地、宮崎、熊本は特にひどいんですよ。ディーラーが車を売り込んでいる。何とかいう会に入れ、入らなければ車のあっせんをしないぞ、入ったら一万円は奨励金にやるよ、こういうことで、宮崎では奨励しているんですよ。この状況見ればね、いわゆる既存の業者が届かないから、そういうものが出る。それで一万五千円、金が取れるという、そういう見解は、全く自動車局長間違いだ。これはひとつ久後参考人、実際の状況をお示しになってください。いま局長が言うように、行き届かないから、そういうものが発生するという、そういう事件なのかどうなのかね。むしろ、これは業界にお聞きしたほうがいい。
  296. 久後治之助

    参考人(久後治之助君) いまおっしゃるこの霊柩車の普及状況というものは、もう全国大体、最近起こってきているのは、山間の僻地で、最近火葬場の集約ということが行なわれております。集約をすると、霊柩車でなけりゃいかぬというのが、そういうところの申請がありまして、各都市なんかは、もうほとんどどの都市でも霊柩車は飽和状態以上になっております。そこで、宮崎市は、ちょうど宮崎市としては七台の霊柩車を持っております。人口十七万に七台の霊柩車でございまして、十七万としますと死亡者数は大体年間八百四十人、月に六十人ぐらいですから、七台ありますと一台の車が十回ぐらいしか走らない。宮崎はわりあいに霊柩車の多い、非常によく整備できたところでございます。しかしながら、いまの、なぜ宮崎にこういうことが起こってくるかということは、やはり業者自体が非常に、いま、先ほどおっしゃるように、この仕事というものについての、非常に多いから食いついていくということが、こういうことになったと思います。で、だれでもほんとうに、先ほど委員さんがおっしゃったように、だれも何も知らぬ。大体いまの、車を一番よく使われるのは、大体病院から、なくなった病院から取り下げるという場合に一番よく使われるのでございます。普通いままでは、死ぬ場合は、うちへ帰って死なしてやりたいと言うておったのが、最近は、死ぬなら病院で死なそう、それで病院でなくなる人が非常に多くなっております。病院から取り下げてくるということが非常に多い。取り下げてきたのを、同時に、その死体を私のほうで葬式をさせてくれ、こういうぐあいに食いついてくる、そうすると、一介の知り合いだから、じゃあお前のところに頼もうかということが非常に多くて、このごろは、たとえばほんとうに、病院でなくなった人の争奪戦というのが非常に激しい。それだから、自分のところのいまこの車で家に運びますとか、どうとかということを、非常にいろいろ宣伝してやっているのが実情でございます。実際は霊柩車がないから、よけいとられたのだということとは、絶対に違うと思います。
  297. 森中守義

    ○森中守義君 局長、これはもっともっと問題があるけれども、おそらくこの状態で進んでいった場合、千百六十三の業者がほんとうに潰滅状態になったらどうします。どういう方法を講じますか。
  298. 小林正興

    説明員小林正興君) 軽自動車が自由に使えるようになったという段階において、今日のような状態、さらにただいま先生のおっしゃる今後非常に軽自動車が多くなって既存の霊柩業界が破産のような状態になるというようなことについては、これは何としても避けなければならぬ問題でございますが、問題は今日また将来そういった非常に憂うべき事態というものを起こさないために、しからばいかなる措置があるかということでございますが、やはり基本的には立法政策の問題でございますし、われわれとしては、現在いろいろな各方面について、かりに根拠法令については、若干疑わしくても、できるだけの知恵をしぼりまして、先ほど来のお話がありましたような、極端に悪質な事業者については、そういったものについての取り締まりを強化をする、あるいはそういった不慮の損害にあわないような、周知宣伝というようなものにつきまして、霊柩業界と一緒に、輸送秩序の維持をはかってまいりたい。問題は、霊柩事業、霊柩車を軽自動車業界が自由に販売するという問題については、これを役所の権力でどうこうというような性質のものではございませんので、そういった点については、やはり業界の全体としての問題としまして、いわば、大所高所に立った、大きな立場から、関係の業界を指導していくというのが、当面考えられる措置だろうと思います。  それから、もう一つは、安全性の問題等にもございますが、これまた車両法におきまして、軽自動車については、来年の十月からでないと、いわゆる新規検査ということも始められないわけでございまして、これまた法的には、軽自動車というものに対処する根拠がないわけでございますが、まあ、こと安全の問題でありますので、現在考えておりますのは、安全確保の観点から、軽自動車を霊柩に使う場合の問題というような問題につきまして、役所が調査し、これがチェックをする方法について、現在検討をしておるわけでございまして、そういった万般の考えられる手を打ちまして、先生の御指摘のような、現在の既存業界が破滅の状態になるということは何としても防がにゃあならぬ、こう思っておるわけでございます。
  299. 森中守義

    ○森中守義君 まあそれは、いままでの今日以前、同じようなことを何回も聞かされてきたわけです。ちっとも新しい話じゃない。あくまでも概念であり、常識の域を出ていない。  そこで、さっき参考人からは、一つの具体的な提案があった、これをどうするかという問題。それと、私は、自動車局が真剣に責任を感じなくちゃならぬのは、冒頭に言った昨年の許認可の整理法です。あのときに、くどいようだけれども、これはもう専業にやっている業者はいないのだと、こう言っているわけでしょう。専業の業者はいないという当時の認識というものは、法律によって規制をされていたから、業者がいなかったということですよ。そうでしょう。きちっと押えていたからね。それを今度はずしたから、ぽっと出たわけだ。出たということは——整理法に基づいてこういう措置をとっても、不測の事態、そういうものは予見されないと言っているわけだ、ここでは。予見されないという見通しを持ちながら、実際はそうじゃなく、逆になっている。審議の際には、起こり得る、遠からず大問題を発生するぞということを警告していますよ。それをあえてやったというところに問題がある。業界の責任でも何でもないですよ、これは。許認可制を、整理に名をかりて政策条項を削った。これが問題なんだから、みずからがつくり上げたそういう不手際に対しては、当然周知をすべきですよ、これは。それはさっき大臣もそういう意見を聞いていたと思う。だから、どういう、では、整理の仕方があるのかということになれば、具体的に参考人から提起された問題をどう扱っていくか。つまり、最後の中で言われておるように、貨物自動車運送事業より霊柩輸送事業を独立さして、その地位、位置づけ、性格をはっきりさしてくれと、この性格と位置づけをはっきりすることによって大体きまりはしませんか。それは法律にゆだねるもよし、それができなければ、さしずめ政令あるいは規則等のどっかの条項に一行盛り込めば大体これは片がつく。その理由はあるんですよ、これは十分。私は、今日は霊柩業界だけだけれども、その他の運送業界にもずいぶんこの問題は波及してくると思いますよ。そうなったら、運送業界の秩序はもう大混乱、秩序の維持なんかできやしませんよ。それを思うならば、つくり上げたのは自動車局だから、みずからがその責任をとって立法措置を講ずるか、あるいは省令、政令等の改正を行なうか、業界の意向を満たしてあげなさいよ。もうそれ以外に方法はない。  それと、途中でいろいろ問題に出した具体的な実例としての過大な広告、虚偽の広告、こういうものはびしびしと取り締まったらどうか。直ちに通達出しなさい。地方局でも、広島の局では改造申請を受けつけていないらしい。最近ちょっと変わったようだけれどもね。福岡の陸運局あたりはどんどんこれをやっているわけです。地方局それ自体が統一した見解を持っていませんよ、これは。だから、ここまで重大な問題に発展したんだから、大臣もちゃんと聞いていたし、直ちに地方局長会議でも開いて、招集して、この辺の見解の統一をまとめたらどうですか。収拾しなさいよ。そういうことがとりあえずとるべき方法だと思う。いま全く地方局長あたりも一体どうしていいのか個々ばらばらに受け取っているでしょう。一元的な統一的な自動車行政になっていませんよ。来月とか再来月とか言わないで、こういう問題のときに緊急に地方の陸運局長を集めて、大臣も交えながらぴしっとした見解の統一をまとめる、それで適正なる行政指導を行なう、このくらいのことは私は当然やるべきだと思う。それが誤った、道路運送法の改正を提案すべきであるにかかわらず、整理法にかけたという、そのあやまちを、その責任をみずから処理することに私はなると思う。こういう具体的に地方局長の会議を開け、適正な検討を加えろ、歯どめをやれ、過大な広告等はびしびし取り締まれ、しかも霊柩業界を、霊柩事業を一つの柱として立てろ、こういうことに対してどうですか。むろん、大臣もさっき非常に深刻な問題だから直ちに検討を加えるという答弁をしておりますから、それ以上のことを言う必要はないけれども、事務当局の責任者としてはどう思いますか。
  300. 小林正興

    説明員小林正興君) 本日、具体的な提案として、霊柩自動車運送事業というものを貨物運送事業から独立して、法的に明確にしたらどうか、こういう御提案があったわけですが、私も先ほど来、思い切った措置がなかなかとりにくいようで、先生の御不満を買っておるわけでございますが、やはり根本はそういった立法政策の問題でございますので、こういった点については、今後世論の動向、識者の御意見等を十分勘案いたしまして、立法政策として検討していくべき問題であろうと思います。しかし、こういった立法政策の問題につきましては、これは相当な時間がかかることも考えられますので、現状においては、行政上法律的な根拠がなくても、なおかつやり得る事柄、こういったものについて現在検討しておるわけでございまして、たとえば、先生御指摘の間違えた広告というようなものについて、これを直ちに回収させる措置を講じたわけでございますし、また、そういった点について、なお全国的にこういったものを強制させることについては、行政上やり得ることでありますので、そういったやり得ることについては、積極的にやっていきたいと思っております。
  301. 森中守義

    ○森中守義君 局長会議——全国の陸運局長を集めてやる……。
  302. 小林正興

    説明員小林正興君) 全国の陸運局長で、考え方が違うので、この問題についての取り組み方が違うということでございませんので、やはり根本は、法的な根拠がなくて、そうして業界を指導するというような場合には、とかくどこまでが行政の限界であるか、たとえば、極端にいきますと、営業の自由と申しましょうか、そういったものに抵触するわけでございますので、われわれとして、できる限界というようなものが、非常にむずかしいわけでございますので、各陸運局において若干強弱の点について差はあろうかと思いますが、そういった点については、中央において考えられる最も強力な行政指導と、合理的な、また、合法的な行政指導考えていきたいと思っております。
  303. 森中守義

    ○森中守義君 まあ、どうも、前段の二、三は当然過ぎるほど当然なことですが、私はやはり、なるほどこれがきめ手だということになれば、これは法律による以外にないですよ。しかし、いろいろな、たとえば輸送の秩序を乱すとか、公共の利害にそぐわないとか、そういう問題が指摘をされている。しかもそういうものは、規制しようとすれば、道路運送法もしくは車両法の中にあるわけです。いいですか。そういうものなども当然これは中心に、地方の局長を一回集めて、この問題の取り扱いに対する見解の統一をまとめる必要がありますよ。会議は一日で終わるわけだ。そのくらいの措置はとったっていいじゃないですか。  それと、なるほどこれは、法律に再度修正を加えていこうとするには、時間がかかるでしょう。その間には、きょうといわず、あしたといわず、熊本でも、福岡でも、宮崎でも、東京でも、どんどんこれはもう伝染病のように広がり始めているわけだ。そう待てません。時間的に待てないのをどうするかということになると、一日も急ぎますよ。ですから、政令あるいは規則の改正等は必ずしも法によらなくてもいいですよ。根拠法規というのは、どこかにあるわけだから、それはちゃんと、それこそ専門家が調べなさい。そういうものを、一つの根拠に置きながら、規則あるいは政令等改正をやったらどうですか。そういうふうなことを直ちにやらなければ、もうどうにもならない。この秋から来年の春にかけたらおびただしい数になるでしょう。おそらく業界では、臨時総会でも開いて、この対策を立てなければ、始末がつかないような状態になりはしませんか。そこまでくると、今度は、むしばんできたのが次に移ってきます。他の運送業者に必ず移る。そうなれば、これはたいへんな問題になりますよ。しかも不当な料金など、どんどんとられたのでは、これはたまったものじゃない。そういう意味で、直ちに全国の局長を集めなさい。全国の見解をまとめたらどうでしょう。
  304. 小林正興

    説明員小林正興君) 全国の陸運局で、違った考え方で行政をやっていることは非常にまずいことでございますから、そういうことのないように、全国の局長会議等には、この問題については、重要な議題の一つといたしまして、十分討議いたす予定にいたします。
  305. 森中守義

    ○森中守義君 どういう意味ですか。集めるということ——集めるね。緊急に局長を集めて見解をまとめるということ……。
  306. 小林正興

    説明員小林正興君) 近く陸運局長会議等も予定されておりますので、そういった際に十分討議いたしたい、こういうことでございます。
  307. 森中守義

    ○森中守義君 予定しているので、ついでにやろうじゃ困るよ。これは早く繰り上げてでも、この問題だけでも集めなさいと、こう言っているのです。大臣と相談してください。非常に深刻な問題として受けとめているから、直ちに措置をさせると言っているから、その措置の一つですよ。近く予定されているからついでにやりましょう、それじゃ、この趣旨とは全然合わない。待てませんよ、そういうことは。これはやりますね。これは大臣と相談してすぐやってもらいたい。
  308. 小林正興

    説明員小林正興君) はい、できるだけすみやかにやりたいと思います。
  309. 森中守義

    ○森中守義君 それから行管の政務次官ね、あなたも運輸委員の一人だから、この事情十分わかったと思う。大体考えてみて、行管もよくないよね。それは臨時行政制度調査会をつくったのはいいけれども、そこで許認可事務を簡素化する。各省幾つかずつ持ってこいと、それを一緒くたにまとめて、それで整理法なんというものをつくるから、こういうことになる。呼びかけるほうも呼びかけるほうだし、出すほうも出すほうだ。運輸省もだいぶ困ったろうとは思うよ、何を出したらいいかと。何もそれを道路運送法に求めなくたっていいよ、これは。それは衆議院でも、参議院でも内閣委員会で、これは整理法にかけるような筋合いのものじゃない。ちゃんと固有の、単独の法律があるんだから、なぜそれの改正に求めなかったと言われている。それが本筋ですよ。そういう意味で、行管も二度と再びそういうことをやらせないように。これは、点数にならぬのだ、こういうことでは。かえって社会を混乱させる。各省庁のやり方を混迷におとしいれる。こういう意味で、幸いにして政務次官も運輸委員の一人だから、肝に銘じてこういうことは措置してもらいたい。同時に、監察機構があるわけだから、一体その結果が整理法に基づいた整理の結果どうなったか、これはひとつ直ちに監察してもらいたい。どうですか。
  310. 山崎竜男

    説明員山崎竜男君) 森中委員の御趣旨は十分理解できますので、十分に実態を究明いたしまして、その結果、必要な対策はなるべくすみやかに実行させるようにいたしたいと思っております。
  311. 森中守義

    ○森中守義君 よくわかりました。  監察局長、一度ひとつ直ちにその整理法に基づく道路運送法関係がどうなったか、だいぶ長い時間聞いてもらっていますから——ひとつ特別監察でもやってみたらどうですか。その結果をできるだけ早い機会に、ひとつ教えてください。おやりになるなら、九州、このあたり非常にひどいから、全国的にずっとあれしておりますから、ひとつすみやかに地方の監察局も総動員してもらって、行政監察の特別監察を直ちに実行していただきたい。いかがでしょう。
  312. 小林寧

    説明員小林寧君) 多くは答弁いたしません。ただいま御指摘のような点で、私、いままで聞いて、驚いていたわけでございます。特に運輸関係ということでなくて、いま聞きました霊柩車の問題は、非常に行管の事、志と違って、私のほうでも直ちに現地の局のほうに指令いたしまして、実態をまず把握いたしまして、特に霊柩車の各事業の方あるいは団体の方、そういうところの方からもよく伺いまして、今後どういうことをするかというような対策等についても、政務次官が申しましたように、運輸省とも協議し、その結果については、先生のほうに御報告するようにいたします。
  313. 森中守義

    ○森中守義君 ぜひひとつ行管のそういう特別の措置を心から期待します。  それから業界にちょっと強く要望しておきますが、たいへん御心配であろうと思います。それで運輸当局からもお聞きのような一応の答えが出ました。むろん私は満足じゃありません。しかし大臣が離席にあたりましてかなりきつい表現で決意を述べておりますが、何ぶんの急速な答えが出ると思います。そこで業界で、企業の体質改善ということが一つの方針として、年次計画出ておりますね。これをひとつ急速に実行にお移しになるように、そして相なるべくは地方なりあるいは中央なりで、あと運輸省がいつの時期にどういう答えを出されるのか、これも枯れ葉の落ちる時とか、雪の降る時まで待つわけにいきませんから、私ども極力促進いたしますけれども、ひとつどうぞ自重自愛をされまして、事態の処理に御協力をいただきたいと思います。
  314. 久後治之助

    参考人(久後治之助君) どうもありがとうございます。いま、われわれのこれからやるべき仕事ということは、まあ近代化の、基本法に基づいて企業の近代化の推進として指定業種になるということについては、もう前から、四十二年から四十六年の間にこれもだいぶやかましく言っているのですが、ことしは近代化基本計画の終了後、目下構造改善計画、推進計画、具体的な実施の目的で、霊柩自動車運送事業者は、協業組合を推進中でございます。おそらくいずれ、なかなか、この最初の陳述でも申し上げたように、われわれ業者が小さいので非常にむずかしいところもございますが、われわれの力でできるだけこれを推進したいと思います。どうもありがとうございました。
  315. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと委員長。  もう一つ、自動車局長ね、大事なことを忘れたけれども、安全基準の問題、型式認定の問題、これも、改造車はどう考えてみても適当だとは思えない。要するに、これをごらんいただけばわかるけれども、ドライバーのあとに右手に二席ある。左手にひつぎが乗りますね。すると、右手に三席だから、おおむね一人平均六十キロとしても百八十キロ乗りますよね。そうするとずっと右傾することになります。こういう改造のしかたというものは、型式認定には予想できないような構造の重大なる変化ですよ。これで安全性が保たれているとはいえない。そのことがさっき御指摘がありましたように、宮崎では右傾をしてめり込んだ。熊本でもそういうことがあった、カーブを切るときに。そういう問題などもありますから、これはひとつ型式認定、安全基準の問題でも十分検討してもらって、歯どめの一つにしてもらいたい。これもひとつさっそく検討していただきたい。これは私はもう毎日のようにこれ見ているから頭に入っている。あなたにちゃんとあげておく。
  316. 小林正興

    説明員小林正興君) ただいま御指摘の改造車の安全性の問題、これにつきましては、当面とり得る措置として、先ほども若干触れたわけでございますが、最も目下考えております当面の措置としては、これについての対策を考えておるわけでございます。ただ、来年の十月以降、新規改造車についての検査というような体制ができるわけでございますが、それまでの間については、行政指導で何らかの措置をいたしたいと、いまその措置の具体的な中身について鋭意検討を進めております。近く成案を得たいと思っております。
  317. 長田裕二

    委員長長田裕二君) 久後参考人にはどうもありがとうございました。  ほかに御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十二分散会