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芳賀委員 いま
大臣はたいへんなことを言っておるのです。本人は気がつかぬようなつもりでおるが、これはあなたが
農林大臣に就任した直後、食管
制度に触れて、いまの食管
制度は実態に合わない、直接統制あるいは全量買い上げというような
やり方はいまの時代に合致しない、だから、これは
田中総理
大臣の指示もあったので、
食管法の路線を全面的に軌道修正をする、そして直接統制から間接統制に移行するということについて私の在任中に極力努力をするということをあなたは言っておるのですよ。いまの言い方も、表現は違うけれ
ども、同じでしょう。私も二十年来国会で努力していますが、歴代の
農林大臣の中であなたぐらい度胸のいい発言をしておる者はいないのですよ。いろいろ批判のあった
農林大臣にしても、まっこうからいまの
食管法は時代に適合しない、これを私の
大臣としての一番の使命として在任中に
食管法を改変してこれにかわる
制度をつくるなんという、そういう度胸がいいというか、めくらヘビにおじずというか、しかも総理の指示を受けてというようなことを言っておるわけです。そうなれば、今度の
田中内閣というものは佐藤
内閣の亜流だということは
国民は全部知っておるが、これは亜流に輪をかけて
食管法を今度は全く取っ払っちゃって——何といっても
食管法というのはいまだに日本の
農政の柱ですからね。これを取っ払うということは日本の
農業を全面的に破壊させるということにも通ずるのですよ。きょうは時間がないし、まだ
田中総理
大臣の国会における
所信の
内容というものをわれわれは聞いていませんから、それを飛び越えてあなたと
議論する考えはないのですけれ
ども、これはたいへんなことですよ。しかも、増産刺激の
食糧管理法の運営というようなことも、とんでもない話なんです。何か古典的な経済学というものが頭にこびりついておって、農産物にしても米にしても、
需給均衡方式でやればいいというような思想が抜けてないのじゃないですか。
需給均衡では困るからということで、この
食管法というものは
昭和三十五年から
生産費・
所得補償方式ということに
内容を充実して、十数年
米価決定の基本的な要件としてすでに定着しておるのですよ。それをいまごろ
需給均衡で、過剰傾向になればどんどん下がってもかまわぬ、足らなければ上がってもかまわぬというような、そういうコントロールのないような
需給均衡方式でものを考えるということになれば、結局、あなたには
農政はまかせるわけにいかぬということに当然なるのです。これは時間がないので答弁は要りません。
次に、
食糧庁長官にお尋ねしますが、この際、昨年の単
年度の
需給事情あるいは今
年度の
生産調整の達成率というものはすでにわかっておるわけですが、そういうものを踏まえて、頻発する災害の
事情等考慮した場合において、昨年は
政府の買い入れ予定数量が七十五万トンも下回っておるわけだ。ことしの
米穀年度の端境期においては、あなた自身が綱渡りのようなものだということを、これも正直に言っておるわけでしょう。おそらくことしも二百十五万トンの調整によると、一体単
年度需給というものはどうなると考えているわけですか。
いいですか、食糧政策というものは、自分の国の
国民にいついかなる場合においても絶対に心配をかけないということを要諦にして、人口食糧政策というものを
政府が責任をもって進めなければならぬわけです。そういう危険な事態を踏まえて、たとえば農産物検査法によって米は国営検査をやっておるわけですが、今度は五等米、五等級を撤廃するとか、あるいは存置した場合においても五等米は買い入れ対象にしないというような論が流れておる。あるいはまた、先般発表しました食味の都道府県別の五段階制についても、こういう差別取り扱いというような
やり方というものが一体全国の農民やその地域の
消費者に対してどういう
影響を与えるかということも慎重にしてもらわなければならぬと思うのですよ。そんなテーブルの上にあぐらをかいて、過剰過剰で心配はない、農家のおまえさん方は一体どこを向いて一生懸命働いておるというような思想で
農政や行政を進めたらとんだ間違いが起きますよ。だから、的確なことしの
需給見通し、あるいはまた五等米を廃止するとか買い上げしないというような問題ですね、食味の五段階等を
中心とした銘柄導入等の問題については、一体
食糧庁としてどうする考えでおるのですか。