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1972-07-27 第69回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年七月二十七日(木曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 伊藤宗一郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 松野 幸泰君 理事 渡辺  肇君    理事 千葉 七郎君 理事 合沢  栄君       安倍晋太郎君    江藤 隆美君       大竹 太郎君    鹿野 彦吉君       丹羽 兵助君    西銘 順治君       藤本 孝雄君    別川悠紀夫君       安田 貴六君    山崎平八郎君       田中 恒利君    中澤 茂一君       芳賀  貢君    松沢 俊昭君       瀬野栄次郎君    小宮 武喜君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 足立 篤郎君  委員外出席者         経済企画庁国民         生活局長    小島 英敏君         大蔵省主計局主         計官      山口 光秀君         農林省農林経済         局統計調査部長 中沢 三郎君         食糧庁長官   亀長 友義君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 七月二十七日  辞任         補欠選任   長谷部七郎君     芳賀  貢君 同日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     長谷部七郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、米価審議会答申について政府から説明を聴取いたします。亀長食糧庁長官
  3. 亀長友義

    亀長説明員 米価審議会答申につきまして御説明を申し上げます。  米価審議会は七月二十四日の午後から昨日まで約三日間にわたりまして、昭和四十七年産米穀政府買い入れ価格及び米穀政府売り渡し価格に関する基本的な考え方政府諮問につきまして御審議をわずらわしたわけでございます。その答申はすでに皆さんのお手元に資料で配付をしてございますので、これによりまして簡単に御説明を申し上げます。  「本審議会は、七月二十四日政府から諮問のあった事項について、次のとおり答申する。  一 昭和四七年産米穀政府買価格」これにつきましては私どもから試算を提出いたしました。  「(一) 政府買価格については、これを値上げすることに対し否定的な意見もあったが、大勢として値上げの方向において決定することはさしつかえないと認める。」という御結論でございまして、ただ、値上げ考え方値上げの幅につきましては必ずしも一致した結論を見出すことができなかったので、(二)に「その値上げについては、」ということで両論が併記された形に相なっております。  「(イ) 本来、据置基調を維持すべきであるが、昭和四十四年以来三年間に亘り生産者米価が抑制されてきている間の諸事情変化等をも考慮し政府試算の限度であるならばやむを得ないとする意見があり、  (ロ) これに対して、三年間に亘り生産者米価が抑制されてきた事情等にかんがみ、政府試算はその方法内容および値上げ程度において不適当、不十分であるとの意見があった。」このように両論が併記をされた形に相なっております。  御承知のように、政府試算は約三・〇三%の値上げでございますが、生産調整をやっておるおりからこの程度にとどむべしという御意見と、より上げ幅を大きく主張される意見とがございまして、(イ)のほうは主として消費者中立委員という方の意見が多く、(ロ)のほうは主として生産者団体を代表する方の意見が多かったわけであります。  次に、米穀の「政府売渡価格については、物価に及ぼす影響にかんがみて据置きの主張もあったが、物価問題のほか、政府買価格および自主流通米制度との関係等を考慮し十分検討のうえ措置すべきである。」ということでございまして、政府売り渡し価格につきましては、いずれ具体的にきめる場合には、別途米価審議会を開いて諮問をするという政府側立場でございました。今回は基本的な考え方だけを諮問をいたしたわけでございます。  これにつきましては、物価に及ぼす影響という観点から上げるべきでないという御意見もございましたが、もちろん物価に対する配慮も行なわなければならないけれども、現在、政府買い入れ価格政府売り渡し価格との間がかなり開いてきておる、いわゆる逆ざや等の問題がある、あるいは、自主流通米を促進するという見地からいえば、そういうものはないほうが、できるだけ少ないほうが望ましい、このようないろいろな御意見もございまして、こういう問題を総合的に十分検討の上措置すべきものであるという御結論でございます。  なお、そのほかに銘柄問題等についてもいろいろな御意見もございましたが、答申に記載されるには至っておりません。  以上のとおりでございます。
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  5. 仮谷忠男

    仮谷委員長 引き続き、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 本来でありますと、田中内閣が発足して足立農林大臣が就任されたわけですから、本委員会においても足立大臣農政所信をただすのが順序でありますが、田中内閣はいまだに本院において所信の表明を行なっておりませんので、その内閣国務大臣に対して基本的な政策をただすというのは順序が逆になると思うので、この際、米価問題に限って質問をいたします。  政府米審諮問された内容については二十四日、当委員会において諮問内容を聴取したわけでございます。昨夜ようやく米審意見がまとまりまして農林大臣に対して答申を行なったことは、いまの説明内容においても承知しておるところであります。そこで、農林大臣にお尋ねしたい点は、先般は諮問内容だけについて事務的な説明を聴取したわけでありますが、今回の政府米審に対する諮問というものは、明らかに食管法第三条第二項の趣旨を逸脱して、単に米の生産調整が継続中であるあるいは需給均衡をはかるためにということを主眼にして、すなわち四十六年産米価に対し、三%値上げの百五十キロ当たり二万一千九百五十一円、六十キロ一俵当たり八千七百八十円の試算米価を付して諮問をされたわけでありますから、この点から見ましても食管法趣旨に違反した諮問を行なったということは、これは議論余地のないことであります。しかも、三年間の据え置きあとでありますからして、値上げをするということになれば、食管法三条二項が示しておるとおり、生産費の実態、物価動向あるいは諸般の経済事情等十分価格に反映させて、そのことによって米穀の再生産が確保されるということを旨として、その方法についてはあるいは決定上留意すべき点についてはいかようにすべきかということを諮問するのが当然でありますが、この点が全く無視されておるわけです。したがって、それを基礎にして一部の者は三%程度値上げは容認する、生産者中心にした委員はこの程度試算米価では実質的な値下げということになるので了承するわけにはいかぬ、大幅に適正な引き上げをすべきであるというのが、答申の第一項の両論に分かれた内容であると思うわけであります。すでに答申が出たわけでありますからして、この答申を踏まえて政府としてはいかように対処するか、この点を明らかにしてもらいたいわけです。  従来のように、政府トンネル機関のような役割りですぐ与党自民党にこれを渡す、事前協議自民党のほうでこれに幾ばくの加算をするということを、いままでは極端にいえばなれ合い米価を処理してきたわけですが、ことしは内閣もかわったことであるし、いままでの古い手法を用いるわけにもいかぬと思うのです。そこで、この答申というものを受けてどのような取り組みを政府自身の責任でやるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  7. 足立篤郎

    足立国務大臣 お答えいたします。  芳賀さんも御承知のとおり、過去三年間生産者米価を事実上据え置きましたのは、異常な生産過剰を解決するために全国農民皆さんには非常に御無理なお願いでございますが、転作を奨励しあるいは休耕措置をとっていただきまして、いわゆる生産調整奨励金まで出しまして、本年度の予算ではこれが千八百億にもなっているわけでございまして、こうした無理をしてまいりました関係から、やむを得ずいわゆる増産ドライブをかけないような処置として涙をのんで私どもは三年間生産者米価据え置きをやってまいったわけでございます。  今回のこの米価決定にあたりましては、そうしたいわゆる米の生産過剰という基調は実はあまり変わっていないと私ども思っておるのであります。つまり米のとれ高は減っておりますが、いま申し上げたとおり、生産調整というたいへん無理なことをやり、国もばく大な財政負担をしょいながら、全国農民にも御無理なお願いをしながらようやく需給のつじつまを合わせつつある。これが転作が定着してまいりまして、完全に需給のバランスがとれるという見通しがつけばいざ知らず、そうでないいわゆる過渡期の時期に……(発言する者あり)いや、簡潔にやります。基本的な問題だけ申し上げているわけです。過渡期のときに、いま急に米価を非常に上げるということになりますと、これは何のために生産調整をやったか、国がばく大な財政負担をしたか意味がないことになる心配があります。特に農林大臣という立場でその点を非常に心配しております。  しかし、いま芳賀委員指摘のように、生産費所得補償方式をゆがめているじゃないかとおっしゃいますが、私どもは、今回の試算につきましてもその基本的なやり方はゆがめてはいないつもりでございます。ただ、いま申し上げたような需給事情経済事情を参酌して、これは法律にもあることでございますが、許される範囲でデータのとり方等を、手かげんをしたといえばこれはそのとおりだと思います。そうして割り出したのが三・〇三%、こういう諮問でございまして、先ほど食糧庁長官が御報告申し上げたとおり、米審では非常に真摯な、真剣な御討議が三日間続きまして、私も昨日各委員意見発表を聞きました。非常に参考になったわけであります。その結果ああいう答申を出していただきましたので、これに基づいて政府としてはなるべく早く生産者米価決定いたしたいと思っています。  与党のほうと、自民党とのなれ合いというおことばがあったが、これはちょっとおことばが過ぎると私、思うのでして、私も自民党議員でございますから、与党意見を聞くことは当然でございますし、与党了解を得ずに決定はできませんから、その意味でけさほど与党総合農政調査会それから農林部会合同部会に出まして経過を報告したわけでございまして、これからどういう形になりますか、与党了解を得次第米価決定したい、かように思っていますので、なれ合いで何か芝居を打つようなお話があったが、決してそういうことはございませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 なれ合い決定というのは、これは過去の実績がそうだということを言ったのです。ことしの場合には決定までのこれからの経過を見ればわかるわけですから、その論評はあとでまた当委員会ですることにします。  そこで、政府の三%昨年よりも価格を改定するというこの試算米価は、食管法第三条第二項のワク内でやったというように考えているが、これは事務当局の側はわかるわけですから、亀長食糧庁長官からこの点を明確にしてもらいたい。
  9. 亀長友義

    亀長説明員 食管法ワク内で計算をいたしたものと思います。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは長官にお尋ねしますが、このワク内の幅というのはどれくらいあるのですか。たとえば従来の各年度決定経過から見て、今回のだけが唯一のものじゃないと思うのですよ。昨年もまた据え置きのための米価試算した経過もあるし、それからその前の年も、毎年据え置きするために算定方式というものをことさらに変えておるわけだから、そこでどれくらいの幅があるか。食管法ワク内の算定価格上の幅ですね。
  11. 亀長友義

    亀長説明員 生産費物価経済事情、それぞれその年によって変動もあります。したがいまして、数字的にこの幅を御説明申し上げるということは私は困難だと思います。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ実例をあげて、昭和四十二年算定方式を用いた場合にはどうなんですか。特にこの際わかりやすい六十キロ、一俵単位説明してもらいたいと思います。
  13. 亀長友義

    亀長説明員 六十キロの計算はいま持っておりませんので、いま計算をいたしておりますが、石当たり百五十キロで四十二年産米価算定と同じ方式による場合には三万二千七百五十一円、かように相なります。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 それは何%になりますか。
  15. 亀長友義

    亀長説明員 これは五三・七%ということに相なります。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 これが最近時における食管法趣旨におおよそ合致した算定方式なんですよ。それ以降は捉え置き捉え置きで、毎年算定方式を変えておるから、これは妥当な算式ということにはならぬわけですね。だから、百五十キロとすれば三万二千七百五十円ということは、六十キロにすれば一万三千百円ということになるわけでしょう。そうですね。この価格は前年度米価に対して五三・七二%アップということに、これは長官の言ったとおりなるわけです。これも食糧管理法第三条第二項の規定に基づいた生産費所得補償方式による算定された価格じゃないですか。違うですか。
  17. 亀長友義

    亀長説明員 四十二年の時点におきましてはそのとおりでございます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、この算式を今回用いれば、このような数字になるわけでしょう。
  19. 亀長友義

    亀長説明員 そのとおりの数値を用いれば、先ほど申し上げましたような数字になることは事実でございます。ただ、私ども食管法の「経済事情」という中には需給事情というものも含んでおる。そういうことを申し上げたいのでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは次に、長官にお尋ねしますが、昨年の算定方式は、当委員会においても、従来の算式を全く無視した、食管法規定に基づかない算定方式であるという委員会としての指摘があったわけでありますが、そのような昨年の算定方式を使った場合、ことしは米価はどうなるわけですか。特に昨年度つかみといわれた調整費ですね、基準米価調整費、パーセントにすれば約三%、金額にすれば六十キロ五百八十円程度のものを入れて手取り米価計算しておるわけだが、その方法でやった場合には幾らになるのですか。
  21. 亀長友義

    亀長説明員 昨年の方式と申しましても、御承知のように、中身に調整費補正額というような額が入っております。したがいまして、昨年の方式による試算と申しましても、二通り考え方があるのではないかと思います。補正額に関しましては、これは据え置きのための補正額であるから、今回新しく、従来方式と申しましても、求める価格のベースで計算して、その価格が従来よりも上回るわけでございますから、補正額というものはその中に吸収される。それから良質米奨励金等米価の中で払うというたてまえで、その中へ吸収される。このようなたてまえをとりますと、四十六年産米価二万一千三百五円に対して五・二九%アップの二万二千四百三十一円という計算に相なります。しかしながら、補正額とかあるいは米価に組み入れました奨励金は、依然としてそれは存置すべきである、こういう前提に立って計算をいたしますと、それは一二・一七%アップの二万三千八百九十八円ということに相なります。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 つまり四十六年度方式計算すれば、ことしは十二・一七%値上がりするということになるわけですね。それで六十キロにすると、ことしは九千五百六十円ということになるわけだが、間違いないですか。
  23. 亀長友義

    亀長説明員 この補正額、組み入れ額を残すべきか、残さざるべきかというのは一つ考え方でございますが、私どもは、それは吸収されてしかるべきものと考えておりますけれども、もしこれを残すということであれば、二万三千八百九十八円の百五十キロでございますから、六十キロの計算はいま正確に計算はいたしておりませんから、九千五百六十円の御指摘数字かどうかすぐ計算をいたしております。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、中沢統計調査部長にお尋ねしますが、食管法による米価算定の場合は、まず算定の大きな要素としては、生産費物価ということになっておる。一番初めの生産費ということは、これは他の農産物の制度に基づく価格計算の場合にも、農林省統計調査部の行なった生産費基礎にするということになっておるわけですから、四十六年度生産費の結果はすでに公表されておれば、この原生産費なるものの家族労賃評価は、しばしば当委員会指摘しておるように、農業日雇い労賃を用いておるわけですから、米価をきめる場合には、製造業五人以上規模の平均賃金ということになっておるわけですから、先般公表された四十六年度生産費内容のうち、労賃部分について、米価決定に用いた製造業労賃にこれを評価がえをした場合に幾らになりますか。生産費上昇は前年に比べて一一・五%ということは承知しておるわけですから、労賃評価がえをやった場合にどうなるかですね。
  25. 中沢三郎

    中沢説明員 お答え申し上げます。  私のほうの原生産費におきましては、家族労賃評価する場合の評価単位が一時間二百十三円でございますが、一昨日、米価審議会に提出されました、食糧庁が本年度試算米価で採用しました評価がえ単価が三百四十七円九十六銭、いずれも男女込みでございます。まずそれで評価がえいたしますと、百五十キログラム当たり生産費におきましては一万八千三百五十七円でありましたものが、二万二千六百二十六円になります。  もう一つ、先生から資料の提出を求められまして計算したものにおきましては、米価審議会に提出されました資料にある毎月勤労統計調査、いわゆる毎勤統計の一時間当たり単価四百三十円三十九銭で計算いたしますと、百五十キロ当たり生産費が二万五千三百二十四円と、こうなるわけでございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 六十キロは。
  27. 中沢三郎

    中沢説明員 ちょっと計算いたしますので、しばらくお待ちください。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 そんなのは百五十キロに四をかければすぐ出るじゃないですか。一俵六十キロのほうがわかりやすいんですよ、国民は。いま中沢部長の、これが一番信用のできる生産費内容ですが、結局百五十キロでは二万五千三百二十四円、六十キロにすると、これは一万百三十円ということになるわけですね。  それで、次に食糧庁長官にお尋ねしますが、ことしの米価について農協あるいは農民組織から要求価格というものが内容を明らかにして提起されておるわけですが、時間の関係で数種類の要求米価に論及するわけにいかないが、まず農協米価要求価格というのは六十キロ幾らであるか、わかっていますか。
  29. 亀長友義

    亀長説明員 全国農業協同組合中央会全国農業会議所、両者の要求しておられましたのは、基本価格六十キロ当たりで一万一千八百六十三円、石当たり二万九千六百五十七円と承知いたしております。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 いままで各算定方式に基づいた米価というものが食糧庁当局からあるいは統計調査部長から示されたわけですが、四十二年方式によれば、五三・七二%上がっておる、政府計算してもこうなる。あるいはまた、昨年の方式でやれば一二・一七%上がる。それにもかかわらず、ことしまた昨年の算式をことさらに改悪して三%しか上がらぬようにする、こういうやり方というものは、はたして行政府として、特に法律制度を根拠にして適正な計算をしたということになるんですか、良心的に考えた場合に。一つ政治目的を持ってことしも据え置きにする、物価は七%も上がっておるわけですからして、物価上昇分というものは賃金にしても経済上昇率に対しても、結局、物価上昇率というものを差し引いてみなければ、実質的に所得あるいは賃金動向いかようであるかということは、これはわからぬわけですね。だから、三年据え置きといっても、三年間に二〇%以上物価が上がっておるわけだから、据え置き米価から物価上昇率の二〇%を引いてみなければ、実質的な米価というものが現在の経済時点においてどうなっておるかということが明確になっていないじゃないですか。そうすれば、本年においても七%程度値上げということになれば、それは名目であって、これから物価上昇率を引けば、ちょうど結果は実質的に据え置きということになるわけです。そうなれば、三%の据え置きということは、実質的に四%前年よりも米価を下げるという、そういう試算を政治的に意図的に策定して、それを御用的な色彩の強い米価審議会諮問するということになれば、少数の生産者委員以外はこの実質的据え置き諮問に飛びついて、その程度であればやむを得ぬということになると思うのですよ。そうでしょう。これは弁解の余地がないじゃないですか。だから、こういうものまでも食管法第三条二項の範囲に入るのかということを私は聞いたわけです。  そこで、次にお尋ねしたいのは、今回の政府計算は、昨年の調整費の指数にすれば、三%というものはこれは除外をして計算をしておるわけですからして、この分は当然政府の三%引き上げ米価に対して実績分としてもう議論なしに加算されるものであるというふうに考えられるが、その点は一体どうなんですか。
  31. 亀長友義

    亀長説明員 去年は、御承知のように、調整費というものがございました。これは当初の政府試算据え置き米価よりも下がるような数値が出ましたので、据え置きにするために、その間の補正額というものを加えたわけでございます。その前の年にも、金額は少しでございましたけれども、同じようにございました。  この補正額というものは、新しく米価算定がきまる、次の年の値段がきまるという場合には、少なくともこれは下がるものでない限りは消えていくべき性格のものだと私どもは考えております。したがいまして、本年産米価計算にあたりまして、昨年の補正額実績だとかいうふうに考えるような上積みはいたさなかったわけでございます。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 それだから、最初農林大臣、ことしもまた事前協議というか、一番わかりやすくいえば、与党自民党なれ合いで、この去年の調整費の三%は、これは自民党さんの努力でつけてもらった、ありがたかったという、そういう雰囲気をつくるためにやっておるわけでしょう。これがはずれて当然だということになれば、価格上からいえば昨年と同じになるんじゃないですか、そうでしょう。しかもあなたは正直だから、去年は算定した結果が下げ過ぎたので三%つけて——あなたは全く昔から正直者だから私は非難はしないんですよ。そうなると、去年は三%下げ過ぎたので補正をしました、ことしは昨年同様の算式を用いれば一二・一七%上げなければならぬにもかかわらず三%しか上げぬわけだから、九%下げ過ぎておるということになるじゃないですか。笑いごとじゃないですよ。そうじゃないですか。当然去年どおりやれば一二・一七上げなければならぬでしょう、黙っておっても。それを三%しか上げぬのだから、九%ことしは去年より下げ過ぎておるということになる。去年の三%の補正をしても、まだ六%足らぬわけだからね。だから、最近は、とにかく最後には自民党田中内閣もできたことだし、大体一二%——一二%というのは、これは六十キロとすると大体千円ですよ。そういうふうになるんだから心配するなという説も、米審中心にしてきのうあたり盛んに流布されておる、ある新聞のごときは、当然そのくらい上がるということを書いてあるわけだから、それは政府として主体性がないじゃないですか。一二・一七最後に上がるのであれば、最初から去年と同じ算定方式を用いてまともに米審諮問すれば、八〇%はこれは大臣の任命したお気に入りの御用委員ですからね。審議会議論が対立したというのは、これは食糧庁が陰に回って説得しておけば、主婦連の代表の婦人の諸君も納得するというものです。全く権威がないでしょう。あとはトンネル方式自民党へげたを預けて、私は上げるつもりはなかったけれども党の圧力で上がりましたというようなことでは、これは何のために農林省というものがあるか。農林省の看板をはずして、大蔵省へ行って大蔵省農林部くらいか農林局の看板をかけたほうがいいじゃないかと、これは数年前ほんとうにしんから忠告したこともあるわけですよ。いいですか。とにかく、委員会を通じて、去年のつかみの三%というものは実績なわけだから、当然これは政府として加算します、あとの積み上げ分については昨年の算定方式でできた答えを下回るようなことはいたしません——そのくらいのことは国会の中で明快にしたほうがいいじゃないですか。これは大臣からでもいいですよ。
  33. 足立篤郎

    足立国務大臣 米価算定方式は、私、率直に申し上げて再検討の時期へ来ていると思っております。昔、芳賀さんとも一緒にずいぶん苦労さしていただいた記憶がありますが、私も四年間ばかり米審委員をやりました。当時は例のパリティ方式でございましたが、パリティといえば、農業生産に必要ないろいろな物品の値上がり、それにスライドして判定するわけですから、機械的に出るはずですが、それでも米審は三日間くらいもみ、ひっくり返った記憶がございます。その後、パリティは昭和三十五年ですか、六年から生産費所得補償方式というので、結局、いわば政治米価といわれる米価がきめられ、増産ドライブをかけてきたわけであります。その当時は米を増産する必要があったから、そういう政治的な背景によってそういう算定方式がとられたわけでありますが、先ほど私が申し上げたとおり、昨今は過剰ぎみでございまして、この需給調整に苦しんできておるわけでありますから、増産ドライブをかけるような米価決定はできないという基本的な政治背景があるわけであります。ところが、増産ドライブをかけようとして三十六年から意識的にやったいわゆる政治米価の体系、生産費所得補償方式というものがあるものですから、生産費のほうは統計調査部からある程度機械的に出るといたしましても、所得補償方式のデータのとり方というものはまちまちで、別に法律できちっときまっているわけじゃございませんから、一つの慣例はありますが、それに準じてやってきた。そのデータのとり方をかげんをして、いまの需給事情に合わせたような、経済事情に合わせたような米価をはじき出そうとするところに、苦心惨たんしなければならぬところがあるわけであります。これは、しかし、正直に申し上げているわけです。ですから、いま芳賀さんがおっしゃったが、去年はデータのとり方を変えましたから、やってみたら前年度よりも米価が下がってしまった。そこで調整費をつけたということですから、この調整費は一時的な処置としてつけたものですから、これは既得権だというべき性質のものじゃないと思う。  算定方式を変えたことがいいか悪いかという議論は当然あると思います。本年はさらにそれに加えて、こまかいことは長官から必要があれば答えさせますが、たとえば災害農家のいままで二〇%以上というのを一〇%に下げた。あるいは都市労働者が通勤手当をもらっておる。農村では通勤する時間は作業時間に含んでおりますから、通勤手当を見るというのはおかしいので削ったというような苦心をいたしましてはじき出したのが三・〇三%。こういうことでございますから、私はむしろ、多年経験の深い芳賀さんにもひとつお願いしたいと思うのは、いろいろ知恵を出していただきまして、こういう需給事情、こういう経済事情のもとにおける算定方式、もっとはっきりとした、あまりデータを左右できない、そしてある程度きちっと、機械的にとは言いませんが、ある程度みんなが納得できるような算定方式、こういうものを考え出す時期に来たように思っておりますので、またひとつ教えていただきたいと思います。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 いま大臣はたいへんなことを言っておるのです。本人は気がつかぬようなつもりでおるが、これはあなたが農林大臣に就任した直後、食管制度に触れて、いまの食管制度は実態に合わない、直接統制あるいは全量買い上げというようなやり方はいまの時代に合致しない、だから、これは田中総理大臣の指示もあったので、食管法の路線を全面的に軌道修正をする、そして直接統制から間接統制に移行するということについて私の在任中に極力努力をするということをあなたは言っておるのですよ。いまの言い方も、表現は違うけれども、同じでしょう。私も二十年来国会で努力していますが、歴代の農林大臣の中であなたぐらい度胸のいい発言をしておる者はいないのですよ。いろいろ批判のあった農林大臣にしても、まっこうからいまの食管法は時代に適合しない、これを私の大臣としての一番の使命として在任中に食管法を改変してこれにかわる制度をつくるなんという、そういう度胸がいいというか、めくらヘビにおじずというか、しかも総理の指示を受けてというようなことを言っておるわけです。そうなれば、今度の田中内閣というものは佐藤内閣の亜流だということは国民は全部知っておるが、これは亜流に輪をかけて食管法を今度は全く取っ払っちゃって——何といっても食管法というのはいまだに日本の農政の柱ですからね。これを取っ払うということは日本の農業を全面的に破壊させるということにも通ずるのですよ。きょうは時間がないし、まだ田中総理大臣の国会における所信内容というものをわれわれは聞いていませんから、それを飛び越えてあなたと議論する考えはないのですけれども、これはたいへんなことですよ。しかも、増産刺激の食糧管理法の運営というようなことも、とんでもない話なんです。何か古典的な経済学というものが頭にこびりついておって、農産物にしても米にしても、需給均衡方式でやればいいというような思想が抜けてないのじゃないですか。需給均衡では困るからということで、この食管法というものは昭和三十五年から生産費所得補償方式ということに内容を充実して、十数年米価決定の基本的な要件としてすでに定着しておるのですよ。それをいまごろ需給均衡で、過剰傾向になればどんどん下がってもかまわぬ、足らなければ上がってもかまわぬというような、そういうコントロールのないような需給均衡方式でものを考えるということになれば、結局、あなたには農政はまかせるわけにいかぬということに当然なるのです。これは時間がないので答弁は要りません。  次に、食糧庁長官にお尋ねしますが、この際、昨年の単年度需給事情あるいは今年度生産調整の達成率というものはすでにわかっておるわけですが、そういうものを踏まえて、頻発する災害の事情等考慮した場合において、昨年は政府の買い入れ予定数量が七十五万トンも下回っておるわけだ。ことしの米穀年度の端境期においては、あなた自身が綱渡りのようなものだということを、これも正直に言っておるわけでしょう。おそらくことしも二百十五万トンの調整によると、一体単年度需給というものはどうなると考えているわけですか。  いいですか、食糧政策というものは、自分の国の国民にいついかなる場合においても絶対に心配をかけないということを要諦にして、人口食糧政策というものを政府が責任をもって進めなければならぬわけです。そういう危険な事態を踏まえて、たとえば農産物検査法によって米は国営検査をやっておるわけですが、今度は五等米、五等級を撤廃するとか、あるいは存置した場合においても五等米は買い入れ対象にしないというような論が流れておる。あるいはまた、先般発表しました食味の都道府県別の五段階制についても、こういう差別取り扱いというようなやり方というものが一体全国の農民やその地域の消費者に対してどういう影響を与えるかということも慎重にしてもらわなければならぬと思うのですよ。そんなテーブルの上にあぐらをかいて、過剰過剰で心配はない、農家のおまえさん方は一体どこを向いて一生懸命働いておるというような思想で農政や行政を進めたらとんだ間違いが起きますよ。だから、的確なことしの需給見通し、あるいはまた五等米を廃止するとか買い上げしないというような問題ですね、食味の五段階等を中心とした銘柄導入等の問題については、一体食糧庁としてどうする考えでおるのですか。
  35. 亀長友義

    亀長説明員 単年度需給均衡ということで生産調整を行なっておるわけでございますが、御承知のように、四十六年産米は作況指数の示すとおり不作でございましたので、百万トン古米を持ち越してローテーションをしていくという計画は御指摘のとおり七十五万トンほど相違を来たしております。もちろんこれが配給に支障を生ずるわけでは何らございません。この米穀年度末の持ち越しも二十五万トンある予定でございますし、さらに明米穀年度末におきましても大体五十万トンの手持ちにふえるということで生産調整のほうにも今年度は配慮をいたしておるのでございます。もちろん自然相手の産業でございますから、今後の豊凶ということもございます。また生産調整の度合いということもございますが、端境期と申しましても、一応そういうふうな在庫の手持ち予定をいたしておりますし、また、昔と違いまして、従来は新米は十一月一日以前には配給をしなかったのでございますが、実際の手持ちは二百万トン以上、多い年は三百万トンぐらいの新米の手持ちを持っておりますので、それを若干早く食べれば一切そういう不安はないわけでございます。需給均衡という考え方生産調整と米の確保という問題を予算で計画した数字どおり解決するということは、自然相手の産業でありますからなかなかむずかしいのでございますが、私どももそこのフレということには十分頭を置きながら操作をいたしておりますので、実際の配給に支障があるということではございません。  御指摘の五等米の問題、あるいは五分類で売っておるという問題でございますが、五等米をどう扱うかという問題につきましては、いろいろな御意見がございます。私どもとしても検討中でございますので、まだ明確な結論を持っておるわけではございません。  五分類にいたしまして売却をしておるという問題は、これは全く食糧庁と米の卸との取り扱い上の関係の話でございまして、卸なり米屋としてはどうしてもよく売れる米に集中して政府へ要求をしてくる。あまり評判がよくない米は売れない、買いに来ない。しかし、食糧庁は買った米はすべてこれは売らなければならない、こういうたてまえでございますから、大体米を五分類にいたしまして、各分類から公平に卸に一定比率で買ってもらう、そういう業務上の取り扱いをいたしておるわけでございまして、現段階におきましては、そのような食糧庁と米の卸の間の業務上の取り扱い、食糧庁が買った米をすべて、よい米も悪い米も公平にさばいていくために、そのような業務上の処置をとっておるにすぎないのでございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 これで質問をやめますが、いまの点が非常に大事な点ですから、それでは五等米は廃止する意思はない、五等米の買い上げをやめる意思はないということは、これは確認していいのですね。  それからもう一つは、食味の五段階制というのは、政府買い入れ米を払い下げる場合に、これらをどのように売り渡し上処理するかというような問題であって、これは生産者から政府が買い入れする場合にこういう食味区分とか銘柄導入ということは考えておらぬ、この点は大事な点ですから、長官、もう一回はっきりしてください。
  37. 亀長友義

    亀長説明員 五等米の検査規格を改定するかどうか、そして従来の一−五等をやめて一−四等ぐらいの分類にしたらどうかという意見はございまして、数年前から関係の団体等とも連絡をとりまして研究をいたしております。その一応の結論は出ております。しかし、これは本年産米から直ちにやる、四十七年産米から適用するという考えはございません。  五等米を買うか買わないかという問題につきましては、まだ結論は得ておりませんが、私自身率直に申しまして、いまのところ五等米を買わないということを前向きに考えていくというつもりは、本年産米に関してはございません。しかし、これは最終的結論とはいまだ申しかねます。  それから、五分類に分けて業務上米屋に売っております。これは現在では格差があるわけではございません。等級別はございますが、産地、銘柄、県によって差をつけておりません。  将来銘柄格差を導入するかどうかという問題でございますが、これは米審でもいろいろ御議論がございましたように、審議会審議の中では、やはり銘柄格差を導入する方向で慎重に準備を進めるべきであるという御意見がかなりあったように私は記憶をいたしております。したがって、この問題に関しまして食糧庁が慎重に研究を進めることは私どもの仕事であると思っておりますが、現在の五分類、現在扱っております業務上の売却のしかたそのものが直ちに銘柄の区分というものと結びつくものではございません。もし銘柄をやる場合には、もちろんそれも一つの材料ではございましょうが、もっと広い調査を必要とするであろう、かように考えております。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 第一の農産物検査法に基づく五等級の米、検査規格を廃止することを研究はしておるけれども、実行する意思はないということは、これははっきりしたのです。しかし、問題はもう今週中に米価はきめるわけでしょう。きめる場合に、等級別の格差というのはちゃんと公表されるわけなんで、その場合に五等米を買うか買わないかということについては、買わないということを前向きに考えておらぬなんという、これはどういう意味なんですか。大事な点だけは歯切れよく答えてもらわないとわからぬですよ。こんなものは政治答弁は要らぬですよ。事務的に五等米は続けて買いますということを言えばいいじゃないですか。
  39. 亀長友義

    亀長説明員 先ほどお答え申しましたとおりでありますが、米価の各等級の告示をするまでには若干の時間がございます。それまでの間に検討いたしまして結論を出しますが、私自身としては、その問題については、五等米をやめることについてはあまり積極的でないということを申し上げまして、いずれ結論を出したいと思っております。先生の御質問の御趣旨も十分考えながら検討いたしてまいりたいと思っております。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 長官これはあんた大事な点だよ。こういう点ははっきり言えば、なるほど亀長君はたいしたものだということになるけれども、事務的に答えられる点は、ことさら一体だれに遠慮しているのか。あなたが食糧庁の最高責任者じゃないですか。農林大臣にしたって、あなたに五等米を買うななんというおこがましい指示はできないですよ。何のために食糧庁長官のいすにすわっているのですか。私としては五等米という検査規格というのは存続します、米の需給が逼迫しておるときでございますからして、生産者はもう最大な苦労をして生産されて等級に入った米でございますからして、当然これは買い上げします、そういう心配は無用でございますという、これは言うだけの自信がある者が長官でなければいかぬですよ。そうじゃないですか。何も次長とか検査課長の顔色をうかがって、君、一体どうしますかなんというんじゃ、これはおかしいですよ。そんなすなおなことを言わぬあなたの後輩方、これはどこかもっと閑職に取りかえたらいいじゃないですか。——いや、ほんとですよ。くどいようだが、これは大事な点ですからね。五等米を買わぬなんということにもしなった場合には、これは一大騒動になるのですからね。この点は、くどいようだが、長官の責任で明確にしてくださいよ。
  41. 亀長友義

    亀長説明員 いずれこれは正式の告示なりをもって示すことになりますので、正式には農林省全体のしかるべき手続を経てきまるわけでございますので、数回私が御答弁申し上げましたことで御賢察をお願いいたしたいと思います。
  42. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほどの芳賀委員の、私の食管制度に関する発言の問題について弁明をさせていただきます。  話というものは伝わるとだんだんたいへんなことになるもんだなと思って、私、びっくりしていま聞いておったのでありますが、時間もございませんから簡単に申し上げます。  私が就任直後の記者会見で申し上げたのは、食管というのは三十年の歴史を経て、いろいろな使命があったが、現状で特に流通面等については、法律はあっても守られていない部分が相当ある、これは国民がみんな知っている事実もある、これは法治国家としていかがであろうか、やはり順法精神にも影響する問題である、したがって、これはすっきりとした姿に——農民もほんとうに安心できる、しかも需給がこれだけ安定していますから、消費者のほうも基本的には安心できるようないい方策はないだろうか、みんなでひとつ考えましょうや、こういう提言をしただけです。私は食管制度をやめてしまうとか、どっちへ軌道修正をしてどこかへ持っていくとか、そういうような具体的な発言は絶対にしておりません。まあ田中内閣は提言をするというので、私もその一閣僚でございますから、相当大胆に提言はいたしましたが、これは皆さんでお考えいただいて、お知恵をどんどん出していただきたい。どなたの意見も聞きます。こういう意味の提言をしただけでありますから、いまのお話は相当推測も入っておりますので、どうか誤解を受けるといけませんから、弁明をさしていただきます。
  43. 仮谷忠男

  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十七年産米の政府買い入れ価格等の問題について農林大臣に質問をいたします。     〔仮谷委員長退席、松野(幸)委員長代理着席〕  田中内閣成立以来、農林大臣農政に対する基本方針等をまだ伺っていないわけで、わが党としてもすでに質問主意書でいろいろ伺った点でありますが、本日は米価審議会あとを受けまして、緊急な問題でございますので、時間等の制約もございます関係から、直ちに米価問題に質問を展開してまいりたい、かように思うわけでございます。  先ほどからいろいろと質疑がなされておりますが、私は最初に今回の答申につきまして——農林大臣も各委員から昨日詳しくいろいろと御意見を聞いた、大いに参考になった、こういうふうに先ほどお話もございました。そこで、まず最初に、答申の中の第一番目の「昭和四十七年産米穀政府買価格」の中で、「大勢として値上げの方向において決定することはさしつかえないと認める。」こういうふうに答申が出ておりますが、この内容についてどういうふうな賛否の数があったのか、どういう内容で「大勢として値上げの方向において決定する」という意味答申になったのか、その点をもう少し詳しく、大臣がはだで感じたままをひとつ公開の席で御発表をいただきたい、かように思います。
  45. 足立篤郎

    足立国務大臣 瀬野委員も御承知のように、米価審議会は一応非公開で開かれております。私もなるべく出席をし、特にきのう午前中から午後へかけまして全委員意見開陳が行なわれました。これは終始聞いておりました。しかし、非公開の原則もございますので、どなたがどういう意見だったということは、メモはとっておりますが、申し上げるわけにはまいりません。  いまのお尋ねの件でございますが、生産者側、それから消費者側も、ほとんどの方が、生産者米価引き上げる、これは政府諮問より以上に引き上げるというような御意見が強かったのであります。これは私もちょっと奇異に感じたことは、消費者側は、生産者米価が相当大幅に上がれば、当然それは消費者米価にも響いてくるはずであるのにかかわらず、ほとんど純粋な生産者と同じような御意見が多かったことは奇異に感じたわけですが、まあこの方々の議論は、二重米価で割り切れ、どんなに逆ざやが出ても財政負担で補うべきであるという割り切り方をしていますから、そういう意見が出るのじゃないかと思って拝聴したわけでありますが、中立委員の方々の中にはいろんな方がいらっしゃいまして、私が聞いているうち、三、四人の方は、たしか据え置け、この際過剰基調で、これがいろんな意味農政を圧迫しておる、また消費者米価との逆ざやがどんどん大きくなる危険がある際に生産者米価を上げることはまかりならぬという御意見、はっきりした御意見の方も三、四人いらしたように思います。それから、まあまあそうではあるが、政府が苦心して出した三・〇三%程度ならば、本意ではないが認めてもいいというような方も相当数いらっしゃいました。したがって、まあ大勢として、答申にありますように、値上げの方向はほぼ一致したということでありますが、その上げ幅については二色に分かれた。答申はまことに正直に書かれているというふうに見ております。  以上であります。
  46. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 もう一点、農林大臣に、この答申の中でお伺いしておきますが、(ロ)のところの「三年間に亘り生産者米価が抑制されてきた事情等にかんがみ、府政試算はその方法内容および値上げ程度において不適当、不十分であるとの意見があった。」この中で、先ほど亀長長官からも、大幅値上げを言った人もあった、また不十分であるというふうなことがかなり意見に出たということでございましたが、この点も、大臣、もう少し明確に御説明いただきたいと思います。
  47. 足立篤郎

    足立国務大臣 私、先ほど申し上げた中にその点も概略含んだつもりでありますが、(ロ)の部分では、非常に不満であるという表現がなされたのは、主として生産者の代表の方々が、先ほど芳賀委員の御質問にあったように、いろいろな算定方式、過去の算定方式をとってみてももっと上げるべきじゃないかというような御意見が非常に強かったわけでありまして、まあ人によっては一二%なんというような数字をおっしゃった方もありますし、そこまでいかなくても、せめて七、八%くらいはというような感触の御発言もあったようでありますが、いずれにしても三・〇三%ではこれは問題にならぬという御意見があったことをその答申の中で反映をしておるものだと理解をしております。
  48. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、そこでもう一点お伺いしておきますが、従来から米価値上げというものは諸物価値上げに対する元凶であるということで、米価値上げされると諸物価値上げされる、すなわち公共料金等が上がってくるということで、しばしば政府答弁にもあったし、また巷間そういったことが国民の中にも言われておったわけであります。事実三年米価を据え置いて今日に至っても、物価は三年間に約二一%近く上がっておりまして、年間七%以上の物価値上がりをしておる。米価は事実上がってない。にもかかわらず物価は上がっているという現象が出ている。こういうことから踏まえまして、農林大臣としては、米価値上げ物価値上げの元凶であるということについては、そうじゃないというふうにお考えであるか。その点の御見解を承りたい、かように思います。
  49. 足立篤郎

    足立国務大臣 物価にはね返る、物価値上げの元凶だといわれたのは消費者米価でございますが、消費者米価はもうすでに四年間据え置きになっていますし、生産者米価は三年間据え置いてきた、こういう経過でございます。実は、三年間にわたる米審でも、いわゆる消費者側の代表、生活協同組合の関係者等は、消費者米価はびた一文上げては困る、それは単に消費者米価が上がって家計費に響くというだけではない、波及効果が起こって、ほかの物価を押し上げるから困るという御意見が相当強くございました。しかし、中立委員、学識経験者等あるいは生産者側の代表等からは、現在は生計費に占める米代のパーセントという毛のが、以前と違ってどんどん小さくなってきておる。三・六%とかいう話も聞きました。したがって、わずかの値上がりがありまして消費者米価が上がっても、生計費に大きな影響を与えるという心配はない。確かに物価引き上げにはなるけれども、それはわずかの指数であって、いまあなたがお話しのように、過去四年間消費者米価を据え置いてきているにかかわらず、他の物価は上がってきている、公共料金等も上がってきておるという事実を考えれば、何か昔は、米価をちょっといじると、物価を突き上げる張本人といいますか元凶のようにいわれてきたが、最近の経済事情はたいへんに違ってきているのじゃなかろうか。したがって、逆ざやで財政を圧迫し、農政を圧迫し、にっちもさっちもいかなくなってきている。こういう状況を長く続けることは、かえって日本の将来のためにマイナスじゃないか、特に農村のためにマイナスじゃないかという御意見も実は出たわけであります。この消費者米価の取り扱いは今後の問題でございますが、私としては慎重を期していきたいと思っております。そうした御意見も踏まえながら、今後いろいろ検討したい、かように思っております。
  50. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今回政府は三・〇三%の値上げ諮問して、答申も出たわけでありますけれども、赤城前農林大臣のときも、われわれが聞いている範囲では、最低少なくとも五%以下では諮問しないということでしたが、足立農相も赤城前農相のいわゆる意思を踏襲してやる、こういったことも新聞紙上等でも伺っているわけであります。また先ほども論議されましたが、七月二十四日、米審が始まる直前に、農林団体の陳情団を前に、足立農相は米審会場の玄関先で、政府試算であり、最終的なものではないというようなことで、私たちが記憶している範囲では、米審に示したのは単なる試算米価あと自民党と相談してきめるから安心してくれと言わぬばかりの説明をされたように、われわれは聞き及んでおります。農相みずから米審を形骸化したという感じを受けたわけであります。このような発言に象徴されるように、政治が、要するに、大臣のおっしゃるようなことが場当たり的な価格政策を生み出しておる、こういうふうに思われてもいたし方がないし、日本の農業の破壊に通ずると私は思うわけでありまして、実にがく然としたわけです。このときのあいさつがもし間違っておれば別でありますが、大臣はそのときにどういうふうなあいさつをしたか、十分御存じだと思いますけれども、私が申し上げたことに対して、何か反論があれば反論していただくと同時に、釈明をしていただきたい。  というのは、このような姿で諮問をしましても、結局、答申というものは政府の一方的な、強制的な諮問ということになりかねないともいわれますし、事実、政府から示したとおりの答申が出まして、米審は形骸化されている、こういうふうに国民から批判を受けてもやむを得ない。そしてトンネル式に自民党でこれが審議され、結局、最後には、五%とか六%とか七%とかいろいろうわさはされておりますが、けさのテレビなんか聞きましても、おそらく今週末には六%で政治米価として出るのじゃないか。こういうようなことがいわれまして、これはまことに米審そのものに対する冒涜である、またあってなきがごときものじゃないか、こういうふうにも思えてならぬのです。こういったことに対して、大臣としての見解をひとつ国民の前に披瀝していただきたい、かように思います。
  51. 足立篤郎

    足立国務大臣 お話の中で、赤城前農林大臣が五%云々というようなお話がありましたが、私も赤城さんから引き継ぎを受けたわけですが、赤城前農林大臣はパーセントなどはおっしゃっておりませんでした。三年間据え置きになって農民にもたいへん御迷惑をかけたからなるべく上げてあげたいという、農民に対する愛情からのおことばはございましたが、何%諮問するなんというお話はございません。  それから、三番町分室における二十四日のあの際に、私は農民代表と二十分間マイクで対話をやったのでありますが、御承知のような雰囲気で、三千人の人があの狭いところに入りまして、やじもあるし、怒号もありますし、また短いことばでやりとりいたしましたから、いま瀬野委員のおっしゃるようなことは、米審でも私、追及されました。米審諮問しておきながら軽視するような発言があったじゃないかというお話があったが、私は、それは何か誤解を受けるようなことばがあったかもしれぬ、あるいはことばが足りなかったかもしれぬが、米価審議会を尊重するという意味であえてああいうことを申し上げたんだ。というのは、私は独裁者ではありません。いま三・〇三%というものを米審諮問しているので、その御答申をいただいた上で、なるべくその趣旨を尊重して決定したいと思います。その際には、政党内閣でありますから、政府与党である自民党了解を得てやるつもりでありますという話をした記憶はございますが、決して米価審議会を軽視するような発言をした覚えはありませんので、その間の事情米審でもお答えをして、これは御了解をいただいておるわけでございます。ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  52. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米審でいろいろ問題になって、結果的には了解を得ておるということでありますが、大臣としては、当然、政治加算ということについては、十分これを考えるという考えで現におられるわけですか。その点ひとつ御説明いただきたい。
  53. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど来亀長長官もるる芳賀さんの御質問にお答えしておりますとおり、私ども生産費所得補償方式に基づいて、また最近における米の需給状況、経済事情等を勘案いたしまして手直しした面はございますけれども、それが正しいという信念でやっておりますので、その結果出ました三・〇三%——米審ではもっと上げろという強い御意見もございましたし、答申もある程度幅のある答申ではございますが、農林省としては、政府部内で大蔵省や経済企画庁とも調整をとった最終的な数字でございますから、でき得べくんばこれを実現いたしたいという気持ちでおります。ただ、与党のほうの御了解を得るために、けさほど総合農政調査会、農林部会の合同部会に出まして、私も経過説明し、長官からも詳細にわたって試算米価内容説明したわけでありますが、与党のほうの了解がどういう形で得られるか、これは私、いま予測はできませんので、政治加算を初めから農林大臣は考えておるかと言われれば、これはもうノーと申し上げる以外にお答えのしようはないわけでございまして、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  54. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は全くそのとおりだと思うのですが、そこで、大蔵省にお伺いしますが、三・〇三%値上げ諮問米価について、大蔵省はどういうお考えでございますか。
  55. 山口光秀

    ○山口説明員 三・〇三%の諮問をいたしますにつきましては、農林省、経済企画庁とも十分相談いたしまして、農林省の提案を了解した次第でございまして、私どもは、先ほど農林大臣が申し上げましたとおり、そういう線で米価がきまることを希望しております。
  56. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 さらに大蔵省にお伺いしておきますが、けさも実はNHKのテレビで、今週末にはおそらく六%に落ちつくのじゃないかというようなことをテレビ放送ではいっておりました。また、農業者団体は一〇・一%の要求をいたしておりますし、また昨年並みの試算米価でいっても五・三%は当然上がるということになっておるわけです。計算のしかたによっては一二・一七%ということにもなるわけでございますが、いずれにしてもこのままでは農民はまたわれわれも納得ができない。諸物価は、さっき言ったように、三年間に二一%近くも上がっております。こういったことから見まして、今回の米価は今後最終的にはもっと上積みされることは当然である。そうした場合に、巷間うわさされるように政治加算というようなことが当然考えられるということは公然の秘密のように流れておりますが、こういった問題について、政治加算が行なわれた場合、財政当局としてはどういうふうに考えておられるか、その辺のお考えのことも一応承っておきたい、かように思います。
  57. 山口光秀

    ○山口説明員 ただいま米審諮問いたしました三・〇三%の引き上げにつきまして、これをどう財政上処理するかということにつきましては、売り渡し価格との関係等もございまして、非常に苦慮しているところでございまして、私どもといたしましては、そのような状況でございますので、さらに上積みにならないように政府の最終決定の行なわれることを期待しておる次第であります。
  58. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣にお伺いいたしますが、今度の諮問の中身で、試算米価の中で生産費所得補償方式によって行なわれたことは当然御承知のとおりでありますけれども、これには二つの大きな修正が加えられておるわけであります。一つは、生産費を押えるために通勤手当相当額を削っております。もう一つは、昨年のあのひどかった北海道、東北、また九州の熊本をはじめ高原地帯の冷害、こういった異常災害にあった農家を算定の対象から除いておるということが大きな二つ目の問題になっております。従来は被害率二〇%をこえた農家を調査集計から除外しておりましたが、今回は一〇%に改めております。  こういったことから、結局五・三%アップ、当然これだけでもできるものを、こういったことを削ったためについに三・〇三%という諮問になってきておるわけでございますが、これを見ますと、米価を低く押えるためのいわゆるつじつま合わせである。小細工もはなはだしいというか、ごまかしもはなはだしい、こういうふうにいわれるゆえんもここにあるわけでございます。  新しく大臣も就任されて、いわゆる国民優先の経済を進めていくという新内閣のもとで、私は大いに期待をしておったわけでありますけれども、まさに期待はずれの諮問であったわけですが、こういったものについて大臣はこれをどう釈明されるか、大臣の御見解をこの件について承りたいのであります。
  59. 足立篤郎

    足立国務大臣 いま御指摘の二点でございますが、災害農家をどう見るかということ、従前は二〇%以上の被害を受けた農家は異常であるというので算定からはずす、今度はそれを一〇%以上ではずしたのはけしからぬというお話でございますが、これは見方によって、私も正直申し上げて議論は分かれると思います。しかし、最近の統計を見ますと、農家の災害率というものは年々非常に下がってまいっておりまして、もう平均が三・何%というところまで下がってまいっておりますので、そういう平均数字の中におきまして、一〇%以上の災害にあったという農家は生産費がたいへん高くついていることは申すまでもございませんので、私どもの判断ではもうぼつぼつ踏み切って、これは二〇%を一〇%に下げて合理的じゃないかというふうに実は考えたわけでございます。  それから通勤手当の問題は、正直申し上げると、都市労賃との均衡ということでそういうことをいままでやったのでありますが、これはむしろ従来が甘過ぎたといいますか、従来が間違っておったと私は思っておるのです。というのは、農家の作業は、自分の田畑へ通う時間は作業時間の中に入っているわけであります。通勤者は、通勤をするのにかかる交通費その他の手当を会社等から受ける。これはいわば実費支弁でございまして、所得ではないと私ども考えておる。したがって、税金の対象にもおそらくなってないはずであります。ですから、そういう点から考えると、むしろこの通勤費ははずして所得補償方式で置きかえるのが正しい方法だというふうに思っていますので、前段の問題は、これは議論余地があると思いますし、御意見は拝聴いたしますが、通勤費の問題は私はむしろ今度の処置のほうが合理的だ、こういうふうに信じております。  以上、お答え申し上げます。
  60. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣は、この意見については、第一点の問題は従来が間違っていた、こういう答弁がありましたし、第二点については、一〇%にするのが、生産費が高くついてくるので当然だという意味のことをいま答弁がございましたけれども、これらにしても従来はもちろん、諮問にあたっては当然必要であったから前大臣等もこれによって諮問をしているわけでありまして、大臣が多少かわったから、これは間違っておったとかどうだというようなことは、私はこれはどういうような引き継ぎを受けておられるか知らぬが、全く情けない。こういった問題はここで論議することはあほらしくてしようがないのでありますけれども、農民のために一度は聞いておかなければならぬと思って私はお伺いしておるのであります。まさしく、諮問をするためにこういった苦しい小手先の操作をしている、こういったこと以外の何物でもないと思うわけです。こういったことについて時間を費やしていろいろ言うのもどうかと思うのですが、こういったことでいわゆる半強制的みたいな諮問にして、そして米審にかけるということは、まさしく日本農業を破壊する、こういうふうに思うわけです。この修正が加えられなかったならば、当然試算米価というのは昨年に比べて、先ほどから何回も言いますように、五・三%アップできるはずであります。二万二千四百三十一円になるわけです。現に二万一千九百五十一円でございますから、かなりのアップになるわけですけれども、意識的に政治的にこれを押えた、こういうふうにわれわれは判断しているわけです。そういったことを大臣も十分承知しておると思うのですが、さらにこういった公開の席で明らかにしておきたい、かように思うわけです。  そこで大臣、この試算米価の問題で生産費所得補償方式を従来とってきましたが、先ほどの答弁の中に、米価算定方式は正直いって将来改定すべきである、こういったことを大臣は言っておられるようでありますが、その点についてどのように改定すべきであるか、どのように考えておられるのか。この算定方式はもうぎりぎりのところまで来たと思うのですが、これも聞くのもほんとうにどうかと思うのだが、ひとつこの機会に、大臣としても新しい意欲に燃えて就任されたと思うので、この際お聞きしておきたい、かように思います。
  61. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど瀬野委員もお尋ねの中で、私、通勤手当の問題は従来が間違っていたと、ちょっと言い過ぎたかもしれません。私は実は腹の中ではそう思っております。というのは、もう説明は省きますが、そうすると、いままでの大臣がみな間違ったことをやったことになりますから、いささか言い過ぎかもしれませんので、その間違っていたという点は訂正さしていただきます。  それから算定方式の問題でございますが、先ほども芳賀委員の質問に私、お答えしたのですが、昭和三十五年ごろまで米が足りなくて、大いに増産をやろう、いわゆる増産ドライブをかけたときに、だんだん考えだされたのが生産費所得補償方式で、都市労賃にも置きかえて、はずみをつけて大いに米をつくってもらおう、したがってこれは政治米価といわれたわけでありまして、年々米価がたいへん上がってまいりまして、現在では国際水準からいえばもう三倍近いというような国内の米の値段になってしまったわけであります。それはそれとして、昨今は、先ほど来申し上げておりますとおり、たいへん需給がアンバランスになって、むしろ供給過剰になってきた、これを生産調整という無理なことをやって、大きな財政負担をしながら調整をとってきておるという際でございますので、やはりこの算定方式は新しい方式を考えなければならぬと私も思っております。昔はパリティ方式物価にスライドする方式をとっておりました。それにプラスされたのが所得補償方式でございますから、増産ドライブをかけなければならぬ事情とはたいへん違ってまいりましたから、基本的にはパリティ方式に返るような形で考え直すべき時期に来ているように思います。しかし、私もいまこういう方程式でやるんだという具体案はできておりませんし、食糧庁もことしあたりから何とか算定方式を変えたいというのでずいぶん苦心をしたようでありますが、なかなかきめ手が見つからない。そこで、やむを得ず従来どおりの方式で、いま御非難を受けるようないろいろな手直しをやって需給事情に合わした、こういうふうなことでございますので、もう少しすっきりしたものに早くすべきじゃないかと私も考えておりますので、またひとついいお考えがあったら、ぜひお教えいただきたいと思っております。
  62. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま大臣は、今後の米価算定する方式については、現在、方程式等苦心して研究している、きめ手が見つからないとおっしゃったあとで、手直しをするために需給事情に合わして米価算定をやっている、こういうようなことの発言がございましたが、需給事情に合わせてやっておられるのですか。その点、もう一回明確にお答えいただきたい。
  63. 足立篤郎

    足立国務大臣 食管法にもありますように、「経済事情ヲ参酌シ」ということがございますが、これは需給事情等を当然含んでいるわけでございまして、先ほど来申し上げてくどくは申し上げませんが、たいへんな財政負担をしながら、全国農民にもたいへんいやな思いをさせながら無理な生産調整をやって、何とか需給のバランスをとろうという無理な政策をやっているわけでございますから、こういうときに、大いに増産をやってくれといった時代と同じようなものの考え方米価決定するわけにはまいらぬわけでありまして、それが需給事情という意味でございます。
  64. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣はたいへん苦しい答弁をしておられますが、議事録を見るとはっきりわかるわけだが、先ほど明らかに、米価算定にあたっては需給事情に合わせて行なうということをおっしゃったわけですが、そうなれば、これは答申諮問もへちまもないということになりかねないわけですね。その点、そういうことを当然含んでということがございましたけれども、もっと明確におっしゃっていただかないとたいへんなことになると思うのですが、需給事情に合わせてということになると、いろいろ問題が起きてきますぞ。どうですか。
  65. 足立篤郎

    足立国務大臣 私、いま申し上げたとおりの気持ちでございまして、重ねてのお尋ねでございますが、やはり食管法の中でこの需給事情を十分参酌してやるということは許されるものだ。いま、一方で生産調整をやりながら米をどんどんつくれというような米価を政治的に考えたら、それこそまた非難を受けるんじゃないかというふうにも思いますので、食管法の中で許される範囲で調整をとって出したのが今回の試算米価であるというふうに御理解いただきたいと思っております。
  66. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ここではっきりしておきたいのですが、食管法の三条二項によりまして、いわゆる生産費所得補償方式によって米価というのは当然米審諮問する、こうして生産費所得補償方式によってきめるということになっておりますけれども、そういった食管法の基本と、先ほどの答弁のいわゆる需給事情に合わせてということになりますと、これは大臣としてこういうことでいいのかという、もちろんそれは一部には含まれましょうけれども需給事情に合わせてということになると、たいへんなことになりますぞ。その点、大臣は訂正の必要はございませんか。あとで議事録を調べてみますけれども……。
  67. 足立篤郎

    足立国務大臣 生産費所得補償方式というのは三十六年から政府がとってきたやり方で、一つの慣例になっているわけでありまして、別段食管法にそれが明記されているわけではありません。食管法では、生産費物価、そうした経済事情を参酌してきめると書いてあるだけでございまして、その運用で一つの慣例になってきた、前例になってきた、こういうことでございますから、最近のように——先ほど来くどくなりますが、最近のような需給事情でございますと、増産ドライブをかけるような米価のきめ方は政府としてはどうしてもいたしかねます。一方、生産調整もやっていただかなければ米が余って困るという状況でございますから、その辺の手かげんは確かにいろいろな面で調整をとったということは、先ほど来正直に申し上げているとおりであります。
  68. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いずれまた議事録を調べた上で、この点については別途論議することにしまして、次に、今回の諮問の中で昨年の試算と違う点で、もう一点大きな要素があるわけですけれども生産費調査農家のとり方が一つの問題になると思います。  昨年から、生産費の高低順に並べて、生産費の低いものから、たとえば四十四年産については八〇%、四十五年産については九〇%というようにとっておったわけでありますが、これは政府が必要数量だけを買うがためのその説明だったわけであります。その計算でいけば、四十六年産は需要量七百六十万トンに対して供給量は六百六十万トンという、単年度で見ると百万トン近く足りなくなるということに計算上なるわけです。したがって、四十六年度は一〇〇%以上の比率をとらなければならないのに、試算は一〇〇%にとどめております。これを見ても、政府の都合によって生産費調査をかってに操作しておるといわれてもしかたがないのでありますが、この点についても全国農家の前に大臣としてどう釈明されるのか、明らかにしておいていただきたい、かように思います。
  69. 足立篤郎

    足立国務大臣 数字的な問題も含んでおりますので、長官から答えさせますので、御了承いただきます。
  70. 亀長友義

    亀長説明員 昨年来、必要量までの生産費をとるというような観点から、その年の配給に必要な量と過去三年の生産費をとりますから、過去三年の生産高の比率を算出いたしまして、それを生産費調査生産費の安いものから順番にとっておるわけでございます。  御指摘の四十六年の生産費のとり方につきましては、生産量のほうが必要量より少ない状況になっておりますから、一〇〇%を生産費調査の農家の中から採択いたしておりますので、生産費調査四千二百戸の中から採択いたします関係上、一〇〇%とればそれ以上のものは存在しないわけでございますので、一〇〇%が限度であるということで、一〇〇%をとっておるわけでございます。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 亀長長官にそれではもう一点お伺いしておきますが、「昭和四十七年産米穀政府買入れ価格試算」というのがありますね。この試算の二ページをちょっと開いてもらいたいのですが、二ページのIIの算定の三番に、うるち軟質三等裸価格、21、563円+233円−46円+143円=21、893円とこうなっておりまして、その下に約二万一千八百九十五円とこうあります。ここに二円の開きがあるわけですね。約二万一千八百九十五円とこうなって、端的にいえば、ごろ合わせみたいなことになっております。私たちが承知しておるところでは、百五十キログラムと六十キログラムの関係で端数切り上げでこうなっているやに一応聞いておるわけでありますが、この諮問のこの試算の算出の中で説明もないが、まあ不親切でもあるけれども、この貴重な米価値上げの問題が論議されておるこういった算定基礎に対して、こういうふうに二円という差があるわけです。これを計算するとたしか三・〇一か三・〇二ぐらいになるのではないかと思うのですが、三・〇三に乗せるためのこれはごろ合わせにしたのじゃないか、こういうふうにも思えるのですけれども、この点について亀長食糧庁長官からひとつ算出基礎を計数的に説明をいただきたい、かように思うのです。
  72. 亀長友義

    亀長説明員 諮問の二ページの二万一千八百九十三円を二万一千八百九十五円にいたしました趣旨は、そこにイコールでなくて、上下にぽつをつけまして、約という意味でございますが、約二万一千八百九十五円で二円切り上げております。これは御承知のように、政府買い入れ価格は百五十キログラム、石当たり算定をいたしておりますが、実際に生産者が売る場合には一俵六十キログラムあるいは紙袋であれば三十キログラム、こういう単位で売ってきますので、その際に政府としては六十キロ当たり価格を告示する、あるいは三十キロ当たり価格を告示するということに相なります。したがって、その際に端数が出るのでは困るのでございまして、この三等の価格に端数が出ないようにするために五円に、二円切り上げたということでございます。切り下げるということで合わすのはかえって問題があろうかと思いますので、切り上げて計算した、端数が出ないように措置をしたというのが二万一千八百九十五円でございまして、以上のような三等をもとに一−四等の平均価格を算出いたしますと二万一千九百五十一円になるわけでございまして、この一−四等の平均はこれは御参考に出してあるのにすぎないわけでございまして、三等裸価格、これが一切の基準でございます。この基準から一−四等を計算すれば生産者の手取り予定価格はどのくらいになるか、これは試算のまた試算になるわけでございます。それが二万一千九百五十一円になるので、前年と対比すれば三・〇三%アップになる。三・〇三%はそのようなむしろ結果の数字でございます。
  73. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは厳密に計算すると何%になるのですか、二万一千八百九十三円というのは。長官がおっしゃるようなことになると、一円二円というやつはこれはもう全部五円単位に上げる。普通四円以下を切り捨て、五円以上を切り上げというのが常識なんだけれども、この米価については三円でも切り上げということが行なわれるということになると、これは農民にとってはけっこうなことであるけれども、端数は、四円以下は全部五円に切り上げる、こういうふうに極端な論議も出るわけですけれども、そういった点はどうなんですか。いまのような説明だけでこと足りますか、長官
  74. 亀長友義

    亀長説明員 食糧庁が買い入れる際には、具体的に一等の価格、二等の価格、三等の価格、四等の価格というのを告示をいたすわけでございます。そこで、三等の価格というものを、これは百五十キロでここでは計算をいたしておりますが、一俵幾らという計算をするときに、端数が出ない数字である必要があるわけでございます。そこで、この三円を五円にいたしたのでございまして、三等の裸価格で昨年と比較をいたしますと、昨年は二万一千二百五円でございましたので、今回の二万一千八百九十五円と比較をいたしますと、三・二五%上がるという結果になります。しかし、一−四等平均、このような三等を基準にして御承知のように等級間格差がございます。さらに良質米奨励金にも格差がございます。これを基準に一等、二等、三等、四等の価格をきめまして、それが一体農家には一−四等平均としてどのくらいの手取りになるかということになりますと、出回り比率ということが問題になってまいります。そこで、いままでの出回り比率で一等から四等までが出るものであるという計算をいたしますと、農家の平均をいたしますとそれは二万一千九百五十一円になるということでございます。昨年のそのような平均と比較すると、約三・〇三%という結果になるということでございます。したがいまして、かりに今度三等ばかり出たというようなことになりますと、これは実質は三・〇三よりももっと手取りが多くなるわけであります。四等ばかり出たということでございますと、これは三・〇三よりも実質は手取りが下がる、こういうことに相なります。そういうのが一−四等平均の生産者手取り予定価格という意味でございまして、現在までの出回り比率をもとにして各等の米が出るものという計算をしてみると、こういうことになるということでございます。  以上でおわかりかと思いますが……。
  75. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣、もう一点この米審関係でお聞きしておきますが、先ほどからも申し上げましたごとく、物価賃金、公共料金がどんどん上がっている。こういうときに米価値上げは当然であるということは大臣も十分おわかりのことだと思うのですが、これまでの米審等の内容等を見ましても、いわゆるテクニック、小細工を弄しておるということはだれが見ても明らかであります。また、農家もこれでは納得ができないわけであります。  そこで、当然今週末には米価も最終的にきまるということになると思うのですが、政府の今度の諮問について、算定方式は将来当然いろいろ検討されるであろうということは想像にかたくありませんが、こういったような、いわゆるごまかしみたいな、米審を形骸化するような諮問でなくて、はっきりと米審諮問したならば、そのままそれが通るようなすっきりとした諮問はできないものか、こういったことをわれわれはかねがねから思っておるわけです。最初からそのとおりずばりで諮問ができないものか、こういうふうに思うわけです。今年もおそらく政治加算は、いろいろとうわさされておるように、NHKでも放送されておるがごとく、公然の秘密のように伝えられております。実に残念に思います。また、一説には総選挙が近いとか何とかというようなことまで取りざたされ、当然今回の米価は佐藤内閣によってきめるべきものであったものが、ああいう総裁選挙の渦中に巻き込まれて、そうして今回米価も次々におくれてきた。田植えも済んでおる。農家は当然田植え前に米価がきまって、そうして今年の田植えは、また農業の計画をどうするかということを立て、いろいろと検討すべきはずなのに、米価がことしは極端におくれてきている。まことに政府の怠慢、また自民党政府の政変によるこういった結果が農民を苦しめているといっても過言ではありません。すでに九州の鹿児島、宮崎、熊本の一部においても、また四国の高知等においても、七月の下旬から、八月の上旬ごろから早期の米の稲刈りが始まる。いわゆる品物を売っておいてあとで値段をきめるというようなかっこうで、まことに残念であります。こういったことは過去にも何回かあったわけです。まさに農民不在の政治といわれてもわれわれは何とも釈明できない、こういうふうに思うわけです。こういった面をとらえまして、大臣も相当責任を感じておられると思う。自分は新しく就任した大臣であるから、こういうわけにはまいりません——そういった背景をとらえまして、もう当然これは早くきめなければならぬ問題であるので、今週にはきまるといいながら、農家に対してもほんとうに申しわけない、かように思います。  しかも、今回はいわゆる両米価諮問になっております。これも過去に二回ほどありまして、今回で三回目です。これは画期的な諮問です。こういったことで私は生産者米価は上げるべきであり、また消費者米価については絶対上げるべきでない、かように大臣に強く訴えたいのであります。そういったことを踏まえて、今後の米審答申についてはもっとすっきりした線で、あとで政治加算を加えて云々でなくてできるようなことを、ひとつ十分考えて対処してもらいたい。そして、米価についても早く答申できるようにしてもらいたい。  昨年なんかは、私の記憶ではたしか四月の二十六、七日ごろに米審を行なって諮問しております。今年のような、米のとれるときになって値段をきめる、こんなばかな話があるか、こういう点を私は言いたいのであります。その点について大臣に猛反省を促すとともに、その辺の決意を全国五百三十万農家に対して心からひとつ大臣は釈明をしていただきたい。また見解を述べていただきたい、かように思います。
  76. 足立篤郎

    足立国務大臣 米価決定の時期でございますが、私も瀬野委員と全く同感でございます。私は実は七夕組閣といわれた七月七日に命を受けたわけです。それから急いでまず米価決定に集中しまして、全力をあげて政府内部の意見の調整をはかり、昨日答申をいただいた。これは自分としては最大限の努力をしたつもりでございます。しかし、時期的にはおくれていることは御指摘のとおり。本来は田植えの時期に少なくとも価格決定し——統制のもとにおきましては農民との一種の契約栽培でございますから、いまおっしゃるような措置をとるのが当然だと思っていますから、今後はできる限り努力をいたしたいと思っております。どうかひとつ御了承いただきたいと思います。
  77. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣としても十分ひとつ反省をしていただいて、今後はもうこういう農民に迷惑をかけるようなことのないようにひとつ注意していただきたい、かように思います。  そこで、大臣あと二点お伺いして、時間の範囲内で質問を終わりますが、食管制度について先ほど若干触れられましたが、私からも食管制度について大臣にお伺いしておきたいのであります。  足立農相が就任直後、記者団に食管制度の改変論を言明されまして、価格支持制度は維持するが、配給制度は実情に即して自由化する方向で検討を加えるというような意味のことを言明されました。この農相の談話というものは、端的に言いますと、すでに政府が進めている米の直接統制をなしくずし的にゆるめまして、間接統制に移行することを明らかにしたのではないかというふうにわれわれは受けとめざるを得ません。この際、農相の真意をひとつただしておきたいのが私の考えでございます。  御承知のように、従来政府は食管制度の根幹を堅持するということで、しばしば前大臣、前々大臣もずっと言明をしてまいられました。しばしば予算委員会あるいは当委員会等でもわれわれの質問に対してそのように答えてこられました。足立農相が根幹を堅持する方針であるのか、その根幹の堅持の方針を廃止する、変える考えであるのか、その点ひとつ明確に大臣からお答えをいただきたい、かように思います。
  78. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど芳賀委員からもその問題についてたいへん非難を受けましたので、私も弁明をさしていただいたわけですが、皆さんにもひとつこの機会に御理解願っておきたいと思うのです。  従前、大臣と名がつく者が何か発言をいたしますと、たいへん世間を騒がしまして、したがって、大臣のほうも用心深くなってしまって、めったには口をきかない。そして腹の中で十分もう準備万端整えて、根回しも十分して、そしてなおちょっとアドバルーンを上げてみて、気流の状況を観測して、そしてその後に行動を起こす、こういうようなことが通例になっておったわけでございますね。しかし、私が食管問題について発言をいたしましたのは、そうした従前のやり方を全く変えまして、これは田中内閣の政治姿勢でもございますが、田中総理は新しい意味でのリーダーシップをとりたいと申しております。それはどういうことかと申すと、自分が政策上いいと思ったことは大胆に国民に提言をしたい、国民のコンセンサスを得るように努力をしたい。しかし、政策というものはタイミングを失すると全く政策効果を失う場合も多いので、最善の策がとれない場合には次善の策をとります、その場合には決断をし、実行いたします。こういうことを申しているわけで、私もその基本的な姿勢をとる田中内閣の一閣僚でございますから、私も過去二十年間国会に議席を持ちまして農政をやってまいりました自分の経験から、今日の食管法、食管制度の中には事実上守られてない、はっきり申し上げれば形骸化してしまっている内容が相当ある。これは国民もみな認めておる。それは形骸化しておるものは、形骸化しておっても生産農民も消費者も別段不安はない。そうとするならば、法治国家でございますから、守れる制度にしたならばどうだろうか。そういうふうに衣がえをするのに農民の不安があってはいかぬ。消費者も不安があってはいけないから、どういう方法をとればすっきりした制度になって、全部が全部食管法に書いてあることが国民が忠実に守れるというふうにできるだろうか、こういう提案を実はいたしたわけでございまして、私は腹に一物あって、こうときめてかかって、食管法をぶっつぶしてしまおうとか、あるいは間接統制に移そうとか、そういうレールを考えてしまってアドバルーンを上げたわけではないのでありまして、率直に提言をいたしまして、何とか皆さんの御意見を伺って、コンセンサスを得られないだろうかという試みをしたわけでありますから、従前のやり方から、ああいうことを言う以上は、腹の中は相当まっ黒で、いろいろ考えているのだろうというふうに御想像になるのはもっともですが、私はその後記者会見でも、私の腹の中はまっ白でございます、白さも白し富士の白雪でございますと冗談を言ったのでありますが、ほんとに提言をしたのでございますから、それに対して率直な御意見を伺わしていただきたい、こう思っております。どうかひとつ御理解をいただきたいと思います。
  79. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点は了解しました。  最後に一点だけ簡潔に承って質問を終わります。実はこれは重要な問題なので、きょうの米価の問題と若干それますけれども、一点だけ簡潔に伺います。  沖繩の本土復帰に伴いまして、特別措置法で沖繩に対しては本土のいわゆる半額程度の低水準で米が据え置かれております。本土では東京では十キロ千五百二十円ということになっておりますが、約八百円であります。それが最近鹿児島県に逆移入をしてきているということで、すでに奄美大島、沖永良部で六トンの米が発覚して、鹿児島県知事等も食糧庁にこういった問題についてはたいへんな問題であるというので、ほかにもあちこちこういううわさがありまして、いま沖繩県警察並びに那覇地検等でも捜査に乗り出しておるという段階でございます。せっかく本土から特別措置法で沖繩に低水準の米を安く移出しておるのに、それを業者が高く売るために今度は沖繩から本土のほうに逆移出をする、こういうようなことがあってはならぬことであります。これはもちろん食管法に基づく農林省令などの本土への移送をきびしく制限しておる条項に明らかに違反でございまして、こういったことはゆるがせにできない。こういったことが今後あちこち行なわれたのではたいへんな問題になる、かように思うわけです。すでに食糧庁としても十分調査をされておると思いますが、時間も制約がありますので、これについてこの事件の真偽のほど、また調査をしておられるかどうか、どのように報告を受けておられるか、今後の対処方針、これについて簡潔に承って私の質問を終わりたい、かように思います。
  80. 亀長友義

    亀長説明員 御指摘のとおり、沖繩に本土より安く米が行っておりますために、本土への逆流を防止するということで、沖繩県の区域からの米穀等の移動禁止令を四十七年の農林省運輸省令第一号で制定をいたしております。この省令に違反した場合には、食管法第三十一条により刑罰を受けることに相なっております。沖繩県庁、食糧事務所等でいろいろな指導をいたしておりましたが、復帰後間もなく沖繩県の近くの沖永良部島の住民七名が、本年五月二十三日から六月十日の間に沖繩県へ旅行した際、沖繩市内の小売り店の米が安いのに目をつけまして、精米約十六トンを購入し、沖永良部島へ定期船で運搬の上、一般消費者に販売したり自家消費をした事実がありました。  鹿児島県庁は、事件発生後直ちに職員を現地へ派遣をし、現地の警察とともにその実情を調査いたしまして、関係者の取り調べを行ない、必要な措置をとった旨、農林省に連絡がございました。  一方、沖繩県におきましては、かかる事件の発生にかんがみ、米穀流通関係業者に対し、米を他県へ搬出することは違法である旨の通達を再度いたしますとともに、一般県民に対して同趣旨の公告を関係官庁連名で新聞紙上に掲載し、一般県民の注意を喚起しておる次第でございます。  御指摘のような事実でございますので、今後ともそのような事件がないよう最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 大臣、いまの件、お聞きになったと思いますが、大臣最後に見解を承って終わりますが、いま沖繩のこの問題ですね、ことしはかなり米が単年度需給が逼迫してくるという予想でありますが、九州もたびたび災害を受けまして、たいへんな問題となっております。そういったことがあってはなりませんが、十分監督指導されて、調査もしていただきたいと思いますが、大臣に御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  82. 足立篤郎

    足立国務大臣 沖繩の米が本土に逆上陸しているという話をいま私初めて伺いまして、びっくりしているのですが、おっしゃる点、まことに重大な問題でありますから、十分監督をさせます。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質問を終わります。
  84. 松野幸泰

    ○松野(幸)委員長代理 松沢俊昭君。
  85. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 いろいろとことしの米価をめぐりまして質問がございましたので、なるべく重複を避けながら御質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、私、お伺いしたいと思いますのは、この食糧管理法という法律ができたのが昭和十七年。それ以来連綿としてこの法律は続いてきておるわけなんであります。その間、足立大臣も、農政に対しましては非常に詳しいわけなんであります、米価問題等につきましてもそれ相当の見識を持っておられるわけであります。私も米価の問題につきましては、新潟でありますので、いろいろと関心を持ちながら今日まできております。パリティ方式という方式がとられ、その後におきましては、昭和三十六年から生産費及び所得補償方式、さらには、積み上げ方式という方式、指数化方式という方式、いろいろな方式がとられてまいりました。あるいはまた生産費のとり方にしましても、八〇%バルクライン、あるいはまた賃金等におきましても、最初は全規模であった、それが今度五人規模。あるいは反収の面におきましても、一シグマを差っ引くというような方式もあったわけであります。あるいはまたその後〇・五四になり、シグマもなくなってしまう。昨年におきましては、調整額というえたいの知れないものがそこにくっつく。こういうような変遷を経ております。ことしはまたその調整額というのがとられて、災害農家の二割以上というのを今度は一割以上、あるいはまた通勤手当を除外する、いろいろなやり方が行なわれてきているわけなんであります。しかし、まじめに、ともあれ客観的に議論が行なわれたというのは、これは昭和四十二年以前であったと思います。四十三年ころから、政府試算やり方というのは、全く先に答えを出して、あとから数字を、要するに入れたり出したりしながらかってなことをやってきた。だから、これはもう計算方式に値しないところの方式がずっとこの数年間とられてきている、こういうふうに私は考えるわけであります。  そこで、大臣に聞きたいことは、いわゆる食糧管理法の第三条の第二項、その中には「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こうなっているわけでありまして、要するに、需給事情というのは「其ノ他ノ経済事情」の中へ当然入るじゃないか。さっきお話がありました、米価をきめる場合におきましては、これはこの法律の許される範囲において操作をしてきめていくんだ、こういうことも言っておられるわけなんであります。しかし、私は何といたしましても、その「生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」というまくらことばはありまするけれども、「米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨」とするというこの基本をくずしては法律範囲を越えると思いますのですが、この点につきまして大臣はどうお考えになるか、お答えを願いたいと思います。
  86. 足立篤郎

    足立国務大臣 再生産を確保することは非常に重要な問題でございますから、それを抜きにして米の問題を考えるわけにはいかぬと思います。ただ、先ほど来いろいろ繰り返し御答弁申し上げたような需給事情でございますし、たいへん無理な生産調整をやっている時期でございますから、農林省としてはいわゆる増産にドライブをかけるような米価決定はいかにしてもできませんので、まあ算定方式の中でいろいろ調整する点は調整した、こういうことで、再生産を無視した価格だというふうには私どもは考えておりません。
  87. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私は、再生産を確保するというのが許される範囲の最大なものだと大臣はお考えになっている、こういうふうに理解して差しつかえございませんですね。いいですか。——それじゃ、それに基づきまして御質問を申し上げたいと思います。  ことしの試算の算出基礎になっておりますところの必要経費の問題でありますけれども、原生産費でありますが、昭和四十五年の原生産費というのは、これは十アール当たり五万一千三百一円ということになっております。ところが「米価に関する資料」というのをいただいておりますけれども、この「米価に関する資料」を見せていただきますと、これは一町から一町五反以下の農家というのは昭和四十五年におきましては五万二千六十四円、こうなっております。そうすると、この諮問されたところの三・〇三%引き上げ米価の算出基礎になりますところの四十五年の原生産費というものは、一町から一町五反の農家を無視した生産費がとられている、こういうことになると思うのです。  それからもう一つは、売り渡し世帯の問題でありますけれども、売り渡し世帯を申し上げますと、一町から一町五反以下の農家が七三・九%を占めているわけなのであります。したがって、大半の売り渡し世帯、これはこの算出基礎になるところのいわゆる原生産費から補償されないところの米づくりをやらなければならない、こういう状態になるわけなのであります。さっきの大臣のお答えといたしましては、再生産を確保するというのは、これはこの法律ワクの最大なものである、こういう答弁をしておられますが、ここに私は大きな食い違いがあると思うのですが、この点はどうお考えになるのか、お答え願いたいと思います。
  88. 足立篤郎

    足立国務大臣 具体的な数字の問題も含まれていますので、正確に長官からお答えさせますので、その上で必要があれば私からもお答えいたします。
  89. 亀長友義

    亀長説明員 統計調査部の平均生産費は、これは生産費調査の平均によっておるわけでございまして、食糧庁のほうも、その平均生産費基礎のとり方は、若干災害農家等で修正しております。さらに、必要量——配給に必要な生産農家をとるという違いはございますが、平均生産費価格をきめておるということには変わりはございません。  問題は、平均のところできめた場合に、必要なまでのそれより生産費の高いところをカバーしていないじゃないかというふうなお話だと思います。確かに平均生産費できめた場合には、数字的にカバーはしておりません。ただ、価格のとり方として、およそ価格は平均によって算定をするというのが通常のやり方だと私は考えております。非常に供給が足りないというような場合には、平均よりももっと高いところの生産費をカバーして生産を刺激するということがないわけではございませんけれども需給事情を考慮すれば、現在の状態では大体平均ということを基準にしてきめることが通常の場合であり、最も妥当だというふうにわれわれ考えております。もちろん、それ以下のところはコストがかかるわけでございまして、そういう部分に関しましては平均以上のところよりも所得が減る——所得であるとか地代であるとか、あるいは利子であるとか、本来自分の利益、利潤に帰すべきものが減るということはあるかもしれません。しかし、逆に平均より上回っておるところは、平均で考えられた所得、利潤というようなものよりも、より多くの利潤を得るわけでございますので、国全体から見れば、平均生産費できめることによって——各階層にもちろん利潤の差はございます、しかし、利潤の平均的なところもまた平均生産費でやれば平均的に織り込まれておる、かような考えから私どもは平均をとるのが妥当であろう、かように考えているわけでございます。
  90. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私はそんなことを質問しているわけではないのでありまして、いわゆる生産費の算出基礎数字を取り上げているわけです。五万一千三百一円になっておるわけです、平均生産費でいきますと。五万一千三百一円というのは、一町五反以下の農家の生産費を補償していない。しかも、補償していないどころの話か、今度米を売り渡すところの量からいたしますと、たいへんたくさんの量になって、農家そのものの数の七三・九%が補償されないじゃないかということなんです。補償されないということになれば、再生産はできないということになるのじゃないか。だから、大臣は再生産をさせる、再生産ができるというところの補償というのが許される範囲、こういうことを言っておられるわけなんだから、この米価というものはいわゆる食糧管理法規定いたしまするところの第三条第二項の米価違反じゃないか、第三条第二項の趣旨に反するところの米価なんじゃないか、こういうことを言っているわけなんです。きわめて簡単なのであります。
  91. 亀長友義

    亀長説明員 食糧庁が採用いたしております生産費、これはいま四十五年のお話がございましたから、私どもは三カ年平均でやっておりますが、その基礎になっております四十五年をとりますと、これは六万九千九百七十二円でございます。したがいまして、原生産費よりははるかに高いものを持っておりますから、六万九千九百七十二円で、各階層を見ましてもほとんどの階層はカバーされておるわけであります。また、私どもは、国の配給に必要な量を確保すれば足りるので、それ以上の生産費をカバーする必要はないと考えておりますが、そこまで申し上げませんでも、御指摘の一・五ないし二ヘクタールのところに五万一千百四十一円の平均がありますけれども米価算定は六万九千九百七十二円という、四十五年の平均生産費をやっておるということでございます。
  92. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それは価格決定評価がえの生産費、こうなると思うのですね。これは当然の話だと思う。それは直してもらわなければどうにもならぬということになるのじゃないですか。そんなしろうとをごまかすような答弁というのは誤りだと思うのですよ。問題は、基礎になるのは、原生産費基礎なんです。それを評価がえしていくのでしょう、これを修正していくのでしょう。当然な話ですよ。修正しなかったならば、三年も四年も前の生産費で米の値段というものがきまっていくということになるわけでしょう。だから、修正するのでしょうが。だから、六万幾らということになるのでしょう。問題は、その基礎になるのは何であるかということになる。基礎になるのは五万一千三百一円ということなんです。五万一千三百一円というものは昭和四十五年の一町五反以下の農家の生産費を補償していないということになるのです。しかもそれが七三・何%というところの数を占める農家、こうなるのじゃないか。そうすると、七三・何%という数を占めるところの農家が米をつくらなくてもいいという状態になった場合には、政府が必要な流通させるところの米を確保するところの用になるのかならないのかということになれば、これはまた明らかなとおり、ならないということになるのじゃないか。あなた方が七百五十万トンとか七百六十万トンとかいうところの米を集めようとしておっても、この農家が米をつくることができない、米をつくるところの補償がないということで、米をつくらないということになったならば、これは確保できないということになるのじゃないか。これもはっきりしておるのじゃないか。この点を私は質問しておるわけなんです。
  93. 亀長友義

    亀長説明員 食糧庁が採用しておりますのは、御承知のように、労賃は都市労賃評価がえをして原生産費よりははるかに高い水準で米価算定基礎にいたしておるわけでございます。したがいまして、原生産費の、先ほど御指摘の四十五年の例で申せば、五万一千という数字は確かに一・五ヘクタールの付近の生産費でございますけれども食糧庁でとっておるのは、それよりはるかに高い水準でございますから、それより以下のものは相当程度カバーし得る食糧庁米価計算であるということを申し上げておきます。
  94. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 長官、そういう修正をするのは、これは修正するところの理由があるから修正するのですよ。そうでしょう。五万一千三百一円を修正して六万九千九百七十二円、こうなる。これはパリティの関係で修正されなければならぬわけなんです。これは当然の話じゃないですか。それは当然でしょうが。当然のことを、さながら何か温情を込めて引き上げたように六万九千幾らに直していってもらうこと自体おかしいのです。そんなことはないでしょう。こうしなければ三年も四年も前の米価になってしまうでしょうが。ことしの米価をきめるのには修正する以外にないでしょうが。あたりまえの話じゃないですか。そんな詭弁をあなたが出しても私はどうしようもないと思うのです。  そこで大臣に聞きますけれども大臣は、いわゆる法律ワクを越えない範囲——越えない範囲というのは、米穀の再生産を確保するというものが越えない範囲だということになる。その越えない範囲を越えているじゃないかというのです。大臣はどうお考えになりますか。     〔松野(幸)委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 足立篤郎

    足立国務大臣 いま松沢委員食糧庁長官のやりとりを伺っていまして、松沢委員がどうしてそう激高されるか、私はちょっと理解できないのです。御承知のとおり、生産費所得補償方式というやり方でかつて増産ドライブをかけてまいりまして、したがって、政治米価といわれたわけであります。いまあなたがおっしゃるように、数字的に出るなまの数字から見れば、確かに所得補償方式で都市労賃に置きかえますから、それは上がってくるわけです。それを食糧庁長官は答弁しているわけであります。それが私はやはり温情でやってきた、つまり増産ドライブをかけるための一つの処置としてやってきたというふうに思っています。それが純粋な農村の現実の各地区における労賃ではじいたならば、これは当然だということがいえるのであります。したがって、それがどこまでカバーできるかということをいま長官が答えているのですから、私はどうも松沢委員が何であんなにおしかりになるかよくわかりません。それよりむしろ平均をとるのがけしからぬという御意向じゃないか、あるいはシグマとかバルクラインとかいろいろなことをやってきましたから、そういう意味じゃないかと思って聞いておったのですが、私の認識が間違っておったら、また訂正いたします。
  96. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 この(2)に出ていますが、「物財・雇用労働費は、米生産パリティ指数による昭和四十四年一月−七月平均に対する昭和四十七年一月−五月平均の変化率、昭和四十五年一月−七月平均に対する昭和四十七年一月−五月平均の変化率および昭和四十六年一月−七月平均に対する昭和四十七年一月−五月平均の変化率によって物価修正する。」ということでしょう。あたりまえの話じゃないですか、こんなのは。物価修正するんだから、あたりまえの話じゃないですか。物価が上がるからこういうふうに修正して、六万幾らにしなければいけないのでしょう。基礎になるのは、やはり何といいましても私が申し上げましたような、要するに五万一千三百一円というのがもとになっておるのじゃないですか。どうですか、大臣長官はいいですよ。長官に言ったって、東大の数学はそれでできるかもしれぬけれども、一般国民はそんな数学はできないのですよ。だから大臣から答弁してもらえばいいんですよ。
  97. 足立篤郎

    足立国務大臣 私は、数字的なことは着任早々でよくのみ込んでおりませんから、これは食糧庁長官から答弁させたいのですが、あなたは拒否されるものですから、やむを得ずここに立ったのですが、私もさっき申し上げたように、家族労働費は評価がえをいたしておりますし、それから物財・雇用労働費等は評価がえをいたしておりませんから、その間の食い違いといいますか、違いが出てきておるというふうに私は理解しております。
  98. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 とにかく大臣が非常にいい答弁をされましたので私は聞いているわけです。法律範囲を越えないというのは、米穀の再生産を確保するという、これは要するに法律範囲を越えないようにしなければならないんだ、こういうことを言っておられるわけですから、法律範囲を越えないということになれば、少なくともその七三%余りの農家が再生産ができる。もし政府が必要な量だけ買えばいいといっても、一・五ヘクタール以下のものを全部、要するに米をつくらせないということになれば、確保することができないということになるわけですから、いずれにしてもこれは誤りなんじゃないかというのです。
  99. 足立篤郎

    足立国務大臣 お答えになるかどうかわかりませんが、あなたの議論の根拠といいますか事の起こりといいますか、これはやはり平均生産費をとっては、それより生産費の高いものはカバーされない、それはひいては再生産につながらぬではないかという御議論のように思います。私どもはかつてはシグマ方式等をとり、ある程度生産費の高いところまでカバーできるような方式をとってまいりましたが、これは先ほど来申し上げているとおり、需給が逼迫しているときに大いに増産してもらおうという政治的な意図があって考慮された方式だと思っておりますので、普通の常識ではやはり平均生産費をとり、それを基準にして、しかしそうかといって、農民の生活を向上させるという意味から、都市労賃に置きかえるこの方式で私は正しいのじゃないかというふうに思っていますが、数字的な問題でもし御疑問があれば、さらに長官のほうから答えさせます。
  100. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 大臣、平均生産費でやっているところに私は無理があるのじゃないかと思うのです。長官のほうでは必要量を確保すればいいのだ。言ってみれば、要するに必要量を政府のほうで押えさえすればいいのだ、こういうことだと思うのです。しかし、このような平均生産費方式でいくと、必要量が確保できないというところに無理が起きてくるということを私は言っているわけです。だから、これは無理な数字なんじゃないか。要するに、再生産を確保するというところの食管法範囲を越えない金額ではないじゃないか、越えているじゃないか、こういうことを言っているわけですから、その点はひとつ大臣のほうでものみ込んでもらいたいと思うのです。どうでしょうか。
  101. 足立篤郎

    足立国務大臣 あなたのおっしゃることはわかりました。しかし、私どもは平均生産費で十分再生産ができるというふうに考えておりますので、これは意見の相違ということになるのじゃないかと思います。
  102. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 私は意見の相違ということになると問題があると思うんですよ。私は皆さんの御答弁のとおり承って、その答弁であるならばつじつまが合わなくなるじゃないかということを言っているわけです。つじつまが合えば、これは確かに意見の相違ということになると思いますけれども、そうでなしに、あなた方が答弁されているものを真に受けて計算していきますとつじつまが合わなくなるから、合わないものは直してもらわなければならぬじゃないか、こういうことなんですよ。どうでしょうか、大臣
  103. 亀長友義

    亀長説明員 私ども価格決定の際に、ある数量を確保するという際に、その生産費の平均生産費でやれば全体の生産量は確保されるという考え方に立っております。これは最初に御説明申し上げましたように、もしその必要量の中の一番低い線できめれば、すなわち一番生産費の高いところできめれば、ほとんどの農家が計算以上の利潤を得る印すべての農家がそれよりも能率がいいはずでありますから、非常にコストも高い。逆に非常に高い米価になる。これは農家にとっては利潤が多いかもしれませんが、通常形成される価格考え方とはかなりほど遠いものになる。平均できめた場合に、平均よりも生産費の高いところは若干利潤部分が薄れてくるし、それより安いところは利潤部分がふえるということがございます。しかし、国全体としては、公平な利潤を平均的なレベルで生産者に支払ったことになるという点で、平均的に扱うのが合理的だというふうに考えております。  理屈は別としまして、いま四十五年のお話が出ましたが、本年米価で四十五年の原生産費を見て、どの程度カバーしておるかという試算がいまございますので御披露いたしますと、政府米価は、御承知のように、原生産費に、家族労働については評価がえをして高くしております。そういう関係で、四十五年の原生産費分布曲線をつくりまして調査いたしました結果、戸数では約八三%、販売数量では約九三%をカバーする結果となっております。これは御参考までに申し上げておきます。
  104. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それでは聞きますが、昭和四十七年度の全体の需給見通しというものを食糧庁のほうでは出しておられるわけですね。それでその生産量、これは生産調整をやらぬ場合は千三百八十九万二千トンですね。それから必要量、需要量ですね、これが千百五十万トン、それから自主流通米が二百十五万トン、政府米が五百五十五万トン、農民の米は別としても、一般の国民に配給する量、政府並びに自主流通米として流通される米、これが七百七十万トン、こうなるわけですが、この七百七十万トンの米の中で、一町五反以下の農家が売る米というのは入っていないのですか。入っているとするならば、どのくらい入っているのですか。
  105. 亀長友義

    亀長説明員 これは一町五反以下の農家の米も入っております。その計算はいま持っておりませんので、後日また御報告申し上げます。
  106. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 それが入っているということになれば、この計算というのは誤りなんじゃないかということなんです。入っていないということであるならば、この七百七十万トンは、あなたが心配するように集まらぬということはございませんということをあなたは答弁してもいいのですよ。入っているということになれば、再生産ができなくなるじゃないか、そうすれば食管法第三条違反じゃないか、どうですか。
  107. 亀長友義

    亀長説明員 一町五反以下のところの米も私どもは七百七十万トンの集荷計画の中に入れておりますから、当然売っていただかなければならないわけでございます。平均生産費できめてはおりますけれども、当然それは、先ほど申しましたように、一町五反以下の農家の生産費を十分償うものであると考えております。
  108. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 まあ大体明らかになったと思いますので、その点はそれでやめますけれども大臣にもう一点聞きたいのであります。  賃金でありますが、賃金の要するに置きかえですね。評価がえの問題でありますが、これは一体どのようにして置きかえるのが妥当であるかというのが、いつでもやはり議論の対象になってきているわけなんであります。そこで、置きかえ賃金としましては、人事院が勧告いたしますところの国家公務員の賃金というのも民間企業の賃金に置きかえられておるわけですね。だから、言うなれば、米価の中に占める農民の賃金とそれから国家公務員の賃金というのは置きかえ賃金だということになると思います。ほかの企業は企業内でちゃんときめてあるわけなんですから、この二つのものが置きかえ賃金、こうなると思うのです。ところが、国家公務員の場合におきましては、百人以上の規模の企業の賃金、これに置きかえる、こうなっているわけです。ところが、農民の場合においては五人以上の製造工場労働者の賃金の置きかえをやっていこう、これも一つの矛盾じゃないかと私は思うのです。国家公務員と、それから主権在民でありますから、国民は国家の主人公であるわけなんですが、主人公の賃金だけは国家公務員の賃金とは違って安くなってもいいという理屈はないと思うのですが、この点はどうでしょうか。
  109. 足立篤郎

    足立国務大臣 生産費所得補償方式というやり方を始めました当時からいろいろと議論がありまして、御承知のとおりの現在の方式になっているわけでありますが、これは考え方だと思うのですね。百人以上という御指摘がありましたが、そうなると、いわゆる都市労働者でもきわめて高い賃金水準のものだということ。しかし、農村の一般の雇用労働費というものは比較的に低い。またそれも地域によってずいぶん差があります。私どもはやはり農村を全国一視同仁に見る場合には、そうしたアンバランスは認めたくないわけであります。そうかといって、一ぺんに飛躍しまして、とんでもない高い賃金にもっていかなければ、いまお話しの再生産ができないとか農家の生活が安定しないとか、それはちょっと無理ではないかと思いますが、結局それは政策の問題だ、どういうふうなとり方をするかということですから、いま五人以上の規模の平均賃金にスライドする、こういうやり方をとっているわけであります。これは議論すれば、幾らでも個人、個人の考え方は違いますから、議論はあると思いますので、松沢さんの御意見も伺いますが、そういう傾向があるということだけは十分御承知のとおりであります。
  110. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 賃金の問題でありますけれども、私は公務員賃金を調べてみました。大体本省の係長級で、平均しますと一時間当たりが二百六十八円。それから製造業の場合におきましては、男子と女子の差がものすごく開きがありまして、男子の場合五百円が、女子の場合は二百五十八円ということになるわけです。  大臣農業問題に詳しいわけでありますが、農村の婦人の労働というのは男の労働にかわったところの労働をしているわけであります。こういうような状態からいたしますと、賃金問題等につきましては、やはり男子並みの賃金という評価でいっても差しつかえないのじゃないか。もしそういうように単純にもっていけないにしても、込みにしたところで、どこを何%にしてどこを何%にするか。男子の賃金にウエートをかけるような、そういう考え方にしなければならぬじゃないか、こういうぐあいに私は思うのです。それから、最近は土建業に出ている人たちがたくさんいます。出かせぎ、日雇い、そういう点からいたしまして、土建業の場合におきましても一時間当たり四百二十五円程度になっているわけです。ところが、今回の米価賃金は三百四十九円九銭ということなんです。最も低いわけであります。こういうような状態であっては、当然のことながら米をつくるところの農家というものはなくなっていくのじゃないか。そして御承知のように、農業所得が農家所得に占める割合が五割を割ってしまう、こういう傾向になっているわけです。  それからもう一つの問題といたしましては、大臣は、御承知のように、まだ過剰基調は依然として続いておる、こう言っておられますけれども、昨年も約百万トン近く、政府の計画をされましたところの集荷量を割っているわけなんであります。そしてことしの十一月一日の古米持ち越しは大体二十五万トンというふうに想定しておられます。ところが、一一二%の生産調整達成率であります。去年は九八%。十二%よけい達成するということになると、大体二十六万トンぐらいになるわけであります。したがって、過剰ぎみの基調は依然として変わっていないという状態ではないじゃないか。しかもこの十年間、九十一万三千戸の稲作農家がやめております。その稲作農家のうちの四十三万戸というのは、据え置き米価が行なわれてからやめているわけであります。そのやめた農家のうちの二八・九%は一町五反以上の中堅農家であります。そういうようなことを考えますと、私は、いまの状態からすると、全くの米不足時代というのを迎えるというところの結果になると思いますが、そういう点は大臣からも十二分に考えてもらいまして、私は時間がございませんから、これでやめますが、要するに、そういう過剰ぎみの基調は依然として変わっていないなんというところの、とぼけたような答弁はやめてもらいたいと思うのです。たいへんな状態に入っているじゃないか、そういう情勢を踏まえながら米価決定をやってもらいたい、こう思いますがどうでしょうか。
  111. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほどの労賃の問題、いろいろのお話、私もよくわかります。しかし、農村のいわゆる労働賃よりずっと高いところへ置きかえているということは松沢さん御承知のとおりでありますから、まあここではこれ以上つべこべ議論はいたしませんが、ただ、いまの需給問題ですが、先ほど来お答えしているように、千八百億も予算に組んで生産調整奨励金を出して、全国の農民にたいへん御無理なお願いをして需給のバランスをとっているわけなんです。全部が全部転作が定着しているわけではございませんので、これが完全に永久転作等で定着したときならば、いまの松沢さんの御議論がそのまま当てはまると思いますが、いま相当無理をしてようやく需給のバランスをとろうとしておるその過程でございますから、いまのこの段階で一一二%生産調整が予想外に全国農民の協力を得たから、需給がそう楽じゃないじゃないか、過剰ぎみだという認識は改めろとおっしゃるが、いま前提がございますので、その点もひとつお考えをいただきたいと思っています。
  112. 松沢俊昭

    ○松沢(俊)委員 まだいろいろ質問がありますけれども、時間が制限されておりますのでこれでやめたいと思いますが、大臣からは定着していないからということを言われますけれども農業全体の生産量というのが下がっているのですよ。これは要するに米というのが基軸になったところの日本農業なんでありますから、米を痛めつけるならば全体が下がるということであります。自給率は私は農林省のほうに出してもらうように要求しておきましたけれども、きょうは時間がありませんので質問しませんけれども、全体が非常に下がっている。その点をやはり十分考えてこれから農政を担当していただきたい、こう思うわけであります。これで終わります。
  113. 仮谷忠男

    仮谷委員長 合沢栄君。
  114. 合沢栄

    ○合沢委員 私も米価問題に限りまして御質問申し上げます。  先ほど、大臣もまた長官も、米の需給についてはきわめて楽観したような御説明がございましたが、はたしてそのような楽観した情勢にあるのかどうかということをまずお伺いしたいわけでございます。  それは第一が、ことしの十月末には四十六年産の米は二十五万トンしか余らない。もしこれが二十五万トンしか残らないということによってことしの秋の配給操作は例年にないような苦労をするということじゃないかと思うのです。そういった面から見ても決して楽観すべき情勢にはない。さらにまた四十七年でございますが、生産調整から見ましても、当初予約よりも二十六万トンもオーバーしているというような事情にもある。特にまた産業気象の予報によりますと、四十七年の稲作についての気象は、昨年並みかあるいは昨年より悪いというような予報も出ておるようでございます。それを裏書きするように、六月、七月の豪雨等によるところの水稲の被害は非常に大きい、特にまたこの期間の日照不足というようなことからして、米の生育というものにも非常な心配が残っているということじゃないかと思うのです。それだけじゃなくして、大きい問題は、やはり米価の三年据え置きといったようなことからして、農家も非常に生産意欲をなくしている、同時にまた、品質が増産品種から非常に良質のほうの品種に変えると、自然反当たりの収量は減ってくる、同時にまた、農薬の規制といったようなものも影響していると思うのです。どちらにしましてもそのような諸条件からして、四十七年の米の生産というものが、私はおそらく政府の予想するようなことにならぬのじゃないかと思うのです。へまなことをすると、昨年同様に百万トンも下回るというようなことにもなりかねないと思うのです。一体そうした場合にはどのようにして四十七年の配給をするのか。先ほどの長官の話では、早期米によって何とか操作するという話のようでございますが、早期米によって操作するということは、やはり需給は決して楽じゃないということになろうかと思うのです。さっきも大臣は、千八百億も出して生産調整しているというようなことを申されましたが、千八百億は、これはどうして生産調整しなければならないかということなんです。決して米作農家そのものが好んでつくったものじゃないと思う。生産調整の責任は政府にあると思う。米が足らないからということで増産をあおったじゃありませんか。その結果多くなった。しかもそれを千八百億出してやっているというようなことは、まことに私は農家に対しては申しわけないことじゃないかと思うのです。そういった意味からして、私は、単年度、四十六年に見ましても、さらに四十七年を予想しましても、米の需給というものは決してそう楽観すべき内容じゃないというように考えるわけでございます。もし四十七年産米が百万トンも計画を下回ったというような場合にどうするのか。古々米を食わせるというようなことになりはせぬかと思うのですが、一体そのような見通しについては非常に危険なのじゃないか。特に一億の国民の主食をまかなう責任ある農林大臣として、この点は非常に注意すべき状態じゃないかというように考えます。  この点についてもう一度大臣の四十六年あるいは四十七年、こういった単年度におけるところの需給の情勢についてお見通しをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  115. 亀長友義

    亀長説明員 私から一応御説明申し上げたいと思います。  御指摘のように、四十六年産米の年度末持ち越しは二十五万トンになる予定でございまして、これは言うまでもなく四十六年産米の不作ということが影響しまして、当初計画よりも七十五万トン下回っている次第でございますが、端境期の操作といたしまして、私ども四十七年産米の新米が十月末までの時点には二百七十七万トン、毎年二百八十万トンくらい集荷ができる状況でございますので、実際の配給操作としては、もしこれが計画どおりいきます場合には、十一月一日までは必ずしも新米を配給しなくてもやっていける、かように考えております。しかし、四十八米穀年度、新米穀年度がどうなるのかということに相成りますと、結局、四十七年産米の作柄とか、先ほど御指摘生産調整の模様がどうなるのかということが影響するわけでございますが、それらが平年のとおりであれば、四十八米穀年度の終わりには五十万トンの持ち越しができるという計画でございますので、その予定集荷量の限度は五十万トンの余裕をもって操作ができるというふうに考えております。もちろん非常な例外、百万トン減産したらどうするのかというお話がございますが、一応五十万トン程度の余裕は持っておる、かような考え方でございますので、計算上は、仮定のお話でしょうが、百万トン程度の変動があれば、差し引き五十万トン不足になるわけでございます。その際には、さらに四十八年度産米の先食いをしなければならぬ、かような事態に相なるわけでございます。  そのような状況でございますので、当面私どもは、百万トンの減産ということは仮定の話でございますけれども、常に百万トンの不足が生ずるという事態でものを考えます場合には、逆に過剰の危険もある。しかしながら、政府が、年度末持ち越しはできるだけ百万トンに近づけるような計画で、今年、四十六年産米の不作により二十五万トンに減少しておるのは、逐次それは年を追って百万トンに回復をする、かような計画で進みたいと考えております。  本米穀年度末の端境期操作に関しましては、私どもはそういう点から見まして、もちろん過剰の時代の需給操作に比較すればそれは非常に忙しい操作になってまいりますけれども消費者に迷惑をかけるようなことにはならない、かように考えております。
  116. 合沢栄

    ○合沢委員 来年度の十月末の保有は、繰り越しは五十万トンと言ったが、生産調整が二十六万トンもいっているわけですから、そうならないんじゃないですか。二十五万トンになるんじゃないですか。
  117. 亀長友義

    亀長説明員 生産調整の現在進捗中の報告では、そのような計算に相なりますけれども、実際にどのような数字に落ちつくか、これまたもう少し模様を見てみなければ私はわからないと思います。いまの申告がそのとおり行なわれるということであれば、御指摘のようなことでございますから、それがそのとおり実現をすれば、明年度末五十万トンという持ち越しが二十五万トンになることは御指摘のとおりでございます。
  118. 合沢栄

    ○合沢委員 そういうことで、すでに二十六万トンばかりのものは決定しているわけですよ。これがふえるのはふえても減ることはないと思うのです。したがって、来年の持ち越しは、契約どおりの生産の場合が二十五万トンなんですね。だから、かりに四十六年度と同じように百万トンも不足する、生産が落ちるといったような場合には、たいへんな事態が起こると思うのです。特に好天が続いて豊作のあとというのは、必ず二、三年また続いて不作というか天候不良というのが続くようなことになっておるわけなんです。ことしもすでに御承知のように、今日の天気は決して稲作に恵まれた天気ではないというような事情もあるわけでございます。  一億の国民の胃袋をまかなう農林省がこんな心細いことでいいのか。もし百万トンも減った場合の責任はどうするのか。古々米を食わなければならぬという事態も起こってくると思うのですよ。その際の責任はだれが持つのか、どうするのか。私はきわめて重要な問題ではないかと思う。その辺について、どういった責任をとられるのか。特に問題は、低米価で、低米価のゆえは、きわめて需要が緩和しているといった予想、見解の上に立って低米価を押しつけて、そして生産意欲を減退させようとしているのですから、私は、この辺に非常に政治的な責任が伴う、たとえ天候不良のせいにしても、やはり政治的責任が必ず伴うのだというふうに考えざるを得ない。この辺、大臣、どのようにお考えになりますか。
  119. 足立篤郎

    足立国務大臣 いまの需給の問題は、長官がお答えしましたとおり、私どもは、いま合沢さんが御指摘になるような深刻な心配をいたしておりません。持ち越しの在庫も相当持っておりますし、古々米を食わせるのはけしからぬと言わんばかりのお話がありましたが、これは豚のえさと別にきまっているわけじゃございませんから、やり方によってはりっぱな食糧でもございますので——いま私がそういうことを言うと、不穏当な発言だというのでおしかりを受けるかもしれませんが、りっぱなお米でございますから、いまのところ需給の問題については私は全く心配をいたしておりません。  なお、先ほど、私、答弁に立たなかったのでありますが、生産調整をやったのは全く政府の責任だ、農民は迷惑しているというようなお話でございましたが、昭和四十年代になりまして、非常に一人当たりの消費量が減ってまいりました。それまで私もずっと農政自民党の中で関係しておりまして、農林委員長どもやらしていただきましたが、増産ドライブをかける当時、いわゆる生産費所得補償方式をとる時分、野党の皆さんもそうですが、学者なども、いまに日本人は米を食わなくなるから用心せよ、こんなに増産やったんじゃいまに困るぞと言った方は、実は一人もなかったのです。ともかく足りないから何とか増産しろ、これは国民的な一つの要請であったと私は思うので、あのときに増産政策をとったのは間違いだと私は思っておりません。ただ、私どもの常識では、国民一人当たり一年間一石、一石というのは百五十キロでありますが、それの消費量がどんどん減りまして、もちろんこれは動物たん白の需要がふえたということでありますが、最近は百キロ、九十キロも割る、こういうような状況になってまいりました。これは、国民生活がこれだけ上がったといえば喜ぶべきことではありますが、米の需給面からしますと、全く思わざる変化が急激に起こってきた。これが生産過剰になった一番大きな原因でありますが、すでに人口は百何万か毎年ふえておるのでありますから、これも全部政府の責任だ、政治の責任だと言われてしまえばそれきりでありますが、だれも予想しなかったことが起こってまいりましたから、いろいろ無理なこともお願いをし、農家の皆さんも御理解いただきまして、ことしは生産調整一一二%というような思わざる御協力をいただいた。これは政府としてはまことにありがたいことでありますが、逆にいま合沢さんが御指摘のような心配も出てきた、こういうことでありますが、私は、今年度に関する限りは、需給については深刻な心配はいたしておりませんので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  120. 合沢栄

    ○合沢委員 私は、生産調整の責任は農家にはないといったことを申し上げておるわけなんです。やはり政府も、もちろん国をあげてでしょうが、増産意欲をそそったということでありまして、その結果、農家は迷惑しておるわけなんです。決して農家の責任において増産したものじゃないということを申し上げておるわけであります。  それから、いま大臣の御答弁の中で、古々米の話が出ました。私は百万トン不足ということもあり得ると思うのです、四十六年は減産しているのですから。そういった場合に備えてやはり考えていかなければならぬじゃないか。ことしの米価が上がっても、これからの生産指導にあたっても考えなければならぬ問題じゃないかと思うのです。古々米があるから、あるいはその前の米があるからといって、需給はだいじょうぶだというような考え方は、私はきわめて危険な思想じゃないかと思うのです。特に四十六年産の米は五十三万トンしかないでしょう。なおこれも処分するのでしょうから、はたして来年の端境期までに五十三万トンの米があるとは限ってないと思うのです。そうなった場合に、もっと前の古い米を食わせなければならぬということも起こってくる。これは決していいことじゃないと思うのです。古々米を食えばいいんだ、そういった安易な考え方は絶対にいけないと思う。なるべく新しい米、せめて前年度の米くらいを食わせるというのが国民に食糧を供給するものの使命だと考えなければならぬと思うのです。そういった面で大臣考え方需給について甘い。特にこの前の米審の中で大臣はそういった気持ちを述べているのじゃないですか。私はそういうように聞いているのです。  それから、もう一ぺん申し上げますが、四十六年も四十七年もそうですが、今後どうするのか。政府の五十二年目標では、一人当たりの消費量が八十・三キロになる、全体の需要が千百万トン程度に落ちる、したがって、面積も三割くらい減らすんだ、二百二十七万ヘクタールにするんだということが指標に示されているわけなんですが、今後もそういった考えのもとに進めますかどうか。私は非常に問題じゃないか。いまみたいな米価政策を続ける限りにおいてはこれはたいへんな問題が起こってくるのじゃなかろうか。特に最近の政府の売り渡しの状況から見ても、四十四年度、四十五年度ともに政府売り渡しの数量は、一・八%あるいは二・六%というように平均して前年よりもふえてきているというような情勢にもあるようでございますし、昨年度もずっと見ますと、やはり前年度より上回っているという、そういった売り渡しの実績も出ていると思うのです。そういった面から見て、私はやはりこれは五十二年の米の目標一千百万トン、そしてそれをまかなうための面積が二百二十七万ヘクタールというようなことで米の生産調整なり生産を考えていくのかどうか。これは変更する必要があるのじゃないか。この前、四十三年につくったものは四十五年十二月に少し変更したわけです。その四十五年十二月につくったものをまた変えなければならぬというような事態が今日起ってきておると思うのです。特にこれは生産意欲の減退とともに、品質の改良も起こってきている、同時に農薬の問題もあるし、いろんなことから、むしろ単位収量は決して上がってこないと思うのですよ。そうした場合に、はたして五十二年目標でもって米の生産をどういうように考えるかが非常に重要な問題だと思うのです。この点再検討余地があると思うのです。決して、将来の米の需給というものは、いま考えるような安易な、そういうような需給でもって推移しないであろうというように私は考えるわけでございます。この点についてのお考えをお聞かせ願いたい。
  121. 亀長友義

    亀長説明員 昨年の作柄の関係もありまして、思わざる変動があったということは事実であります。本年産米なりあるいは明年産米がどういうようになるかということも、これはやはり自然を相手にする生産なので非常に予測しがたい、そういうような面もございます。また作付面におきましても、良質米をつくれば生産が減るのじゃないか、あるいは農薬の使用制限に伴う生産量に及ぼす影響、いろいろな見方があると思います。また、私どもの売却の実績等にも触れてお話がございましたが、これもなかなかいま自由米、やみ米等の相関関係もございますので、一がいに消費がふえたとも断定できない。家計支出調査等の関係で判定して考えていかなければいけないと思います。  いずれにいたしましても、先生ただいま御指摘のように、五十二年までの長期見通しというようなものをわれわれ数年前につくりました。基本的に日本の米の生産力が過剰であるという基調は、私は変わらないと思います。しかし、これをどの程度に作付制限をしたり、どの程度にまた消費の伸びを見ていくかということについては、当初立てた目標数字は目標でございますけれども、やはり実際の毎年毎年の動き、食糧の需給操作、天候のぐあいを見て現実的に対処していくのが一番実際的な行政であろうというふうに考えております。したがいまして、生産調整の大きさ、あるいは食糧庁の買い入れ限度というようなものにつきましても、全体の米の生産縮小をはかるという大きな筋は変わらないと思いますけれども、大きな目標の中での若干の動きというのは、むしろいろいろな需給の変化を率直にとらえて、政策の中に織り込んでいくべきであろう、かように私は考えております。
  122. 合沢栄

    ○合沢委員 そのように私は長期見通しも、やはりこれは変えなければいけないというようにいま考えるので、再検討を願いたいと思うのでございます。特にあのままでは、農家はやはり三割も減らすのだというような気持ちで、米に対する意欲をなくしておるわけです。もっとしっかりしたものをつくる必要があるというようにも考えるわけでございます。  なお、ことしの米価でございますが、先ほど来のお話もあっておりますが、何としても三・〇三%、これでは私は農家は納得できないだろうと思うのです。おそらく私は、大臣にしても長官にしてもこれでいいと思っていないだろうと思うのです。先ほど来三・〇三%の試算についてのいろいろな論議が出ましたが、私はこれは論議する価値もないものだと思っているのです。どうせ三・〇三%程度のものを初めからきめて、そしてつじつまを合わせたものに間違いない。そういったものを論議してもしようがない。しかし、はたして三年間も米価を据え置いて、そしてことし四年目に、物価は六%以上も上がっておる中で三%の米価値上げということは値上げにならない。むしろ反対ではないかと言いたいわけなんです。しかも農林省は、百五十キロ当たり生産費は一一・五%というような値上がりを試算しておるわけなんです。そういった面から見ても、何から見ても、私は、三%程度のものの値上げ諮問すること自体、非常に無理がある。おそらく大臣も、これで米作農家はいいのだと思っていないだろうと思う。やはり少なくとも二けた以上米価を上げなければいかぬという気持ちはあるだろうと思うのです。そうでなければならぬと思うのです。ただ、先ほど来の需給事情等に対する認識が甘いといったようなこと、さらにまた消費者米価の問題だとか、生産調整をやっておる、そのために千八百億も出しておるといったような、いろいろな事情を勘案して、これではまことに申しわけないが三%でがまんしてほしいというような立場で出されたものだと私は判断するのです。おそらく大臣自身も、あの試算には矛盾を感じておることは間違いないと思うのですが、大臣、どうですか、三・〇三%という試算について矛盾をお考えにならないですか。お気持ちをひとつお聞かせを願いたいと思う。
  123. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど来、いろいろな方の御質問に対して私も率直にお答えしてきたのですが、同じ答えになって恐縮ですが、大いに増産をはかってもらおうというときに、ある程度政治的に米価をつり上げてきた。これは所得補償方式でやってきたわけでありますが、その方式方式としても、データのとり方等は、やはり経済事情需給事情、そういうものによって左右されるのがむしろあたりまえで、弾力的に考えるべきものだと私は思います。一定不変の方式で、固定的な米価で、それでは余っても何でもかまわぬ、どんどん米をつくらせるということは政治ではないと思います。基本的にこれは生産費所得補償方式じゃないと皆さんがきめつけられるような、いわばインチキをやればともかくとして、やはり個々のデータのとり方等でかげんをするというようなことは許される範囲である、かように思っておりますから、結果として出た三・〇三%が間違いだというふうに私は考えておりません。まあ個人としては、いろいろな感じもございますが、私も長い間、農民の代表としてまいりましたから感じもございますが、これは別として、いまの試算米価が間違いだとは思っておりません。
  124. 合沢栄

    ○合沢委員 私も、試算米価——足したり引いたり、割ったりした米価が算術的に決して間違っていないと思う。算術的にはそのとおりだと思う。ただ、問題は、それに至る過程の操作というものは、私は決して納得できるものではない。しかも個人的には矛盾を感じておるというように私は感じるわけでございます。  特に私は、大臣にお伺いしたいのは、去る二十四日、大臣がこの委員会であいさつされました。その中で、大臣がおっしゃったのは、農山漁村の若い青年に、将来に希望を持たせるような農政をやりたいという意味の、こういった御発言をしておられました。まことに私は感心しまして、ぜひひとつ足立農政は、若い青年に希望を持たせるような農政を総合的に展開をすることを強力にやっていただきたいということを願うわけでございますが、この農村にも米作中心の農村もあるわけなんです。米にたよって生活する、そういった農村もたくさんあるわけなんです。一体そういった地帯の農村に、このような低米価でもってはたして将来希望の持てるような農業ができるのかどうか。二十四日におっしゃったごあいさつのことばと、米作地帯の農村の将来というものについてどのようにお考えになるのか、この点のところをお聞かせ願いたいと思う。
  125. 足立篤郎

    足立国務大臣 米作地帯に明るい希望をというお話、私もそうした考え方で、今後最善の努力をしたいと思っておりますが、根本は、やはり農家の規模の問題、構造上の問題、土地の問題、こういうものがからみ合っておりまして、現在のような耕作反別規模で全部の農家が他産業に劣らぬような所得を期待できるということは、これはなかなか困難でございます。ですから、やはり農村工業導入促進法等も前の国会で通していただいたわけでございますが、これは各県で、地域地域で、それこそ適当な工業等を導入し、そこに雇用の道も見つけながら、同時に農地の基盤整備、圃場整備、機械化ができるような基礎条件をつくって、協業化等の作業ができるような道を開いていきたい。これは私とも実は静岡県で——私は静岡県でございますが、私の地元でもこれは、いろいろな産業がございまして、水田農業というのは主たる産業ではございませんが、それでもやはり水田地帯で、この協業化により高能率、高生産農業を実現したいというので、若い人たちが気合いをそろえまして新しい町づくり等を考えまして、相当な成果をあげております。私も現地へ行って内容を調べてみて実は感心しているのでありますが、生産力でも相当あがっておりまして、十年前とは倍ぐらいな生産力をあげているという実績が現実に数量で出ているわけであります。そうした総合的な手段・方法を用いながら水田地帯の農業問題は解決していくということがどうしても必要だと思っております。同時にまた、農業基本法に示されている選択的拡大の道も開いて、まあ九州あたりでございますと、かんきつその他あるいは畜産、そういう方面にも伸びていただくために、国としてもできる限りのお手伝いをして構造改善その他を進めていく、こういうような行き方で総合的に解決をしていきたいというふうに思っております。
  126. 合沢栄

    ○合沢委員 私は、ことしの、三年米価を据え置いて、そして四年目の米価が三・〇三%では、米作中心地帯の農村青年は、それは大臣のおっしゃるようないろんなこともあるでしょうが、ほんとうに希望を持ってやれるだろうかと思うのです。特にこの米価というのは、大臣、私は米作農家の労賃だと思うのです。しかも、食管法によってよそに売ることができないわけなんです。したがって、米作農家の労賃というのは農林大臣がきめるということになると思うのです。ここ三年間米価据え置きということは、米作農家の労賃を三年間据え置いた、四年目に労賃を三%上げるということになろうかと思うのです。しかも、据え置くために、あるいはまたわずか三%の値上げをするために何をやってきたか。生産費所得補償方式という名前のもとに、次々に米作農家の労賃であるいろんな既得権を侵害してきたということなんです。もう侵害するものはないかと思ったら、ことしまたやったわけでございますが、次々にこの既得権を侵害してきた。これは労働組合があれば絶対に納得できないところだと思うのです。そういうことがやられてきているわけなんですね。生産費所得補償、名前はいいが、名前だけで、内容は次から次にこの三年間既得権侵害、そういったことをやってきておるわけなんです。この点、一体どのように考えるのか。しかも、物価労賃も全部上がってきている。大臣、お互いの報酬だって毎年上がってきているわけなんです。長官の俸給だって十何%年に上がってきている。四年間に何%上がりましたか。米作農家だけがこのように三年も四年も労賃が上がらぬでいいということが言えますか。確かにいろんな諸情勢から見た場合に、米価値上げは困難だと思うのです。しかし、ことしぐらいは少なくとも二けたの値上げというのは、私はこれは消費者も納得できると思うのです。国民も納得できると思うのです。あるいはまた米価以外の何らかの施策を講ずべきだ。それにもかかわらず、米価について、米作農家に何を講じているか。生産調整をやった。しかし、結して生産調整で利益を得ているわけじゃないわけなんです。マイナスなんです。特に、たとえば運賃が上がる。そうすると、農家の運賃は、農家の生産資材、従来は肥料とかあるいは農薬とか農機具といったような資材については特別な運賃になっておったわけでありますが、それも昨年十月に削られて、ことし十月になくなる。それだけでも、農家のそういったものに対する資材というものは高くなってくるわけなんです。もちろん物価情勢も上がっておりますが、そういったこともあったものさえ取り上げてきておるわけなんです。で、何らプラスはないわけなんですが、ひとりこの米価だけが米作農家のプラスなんです。それがこの三年間、四年間低米価に押えられてきている。農家の労賃というものが四年もほとんどくぎづけされておるということについて、どのようにお考えになりますか。私は、労働組合があったら、ほんとうにこれは絶対納得できないと思うのです。かわいそうに、そういった団体交渉権も米作農家にないわけなんです。そういう点、もう少し考えるべきじゃないか。  さらに、野党はあげてこの米価値上げを要求している。大幅値上げを要求しておる。また与党も、適正米価の懇談会においては、このようなととじゃまかりならぬというような強い意見もあるようでございます。私は、おそらく国会の過半数、相当多くの過半数の者が米価値上げを要求していると思います。そういった国会の空気、あるいはまたこの答申の中にも、(2)にございますが、この「三年間に亘り生産者米価が抑制されてきた事情等にかんがみ、政府試算はその方法内容および値上げ程度において不適当、不十分であるとの意見があった。」この辺のところも十分勘案されて、これからきめられるところの本年産の米価については、ひとつ十分な御配慮を心からお願いしたい。大臣の御所見を聞きたいわけでございます。
  127. 足立篤郎

    足立国務大臣 おしかりをいただきましてまことに恐縮でございますし、私も情におきましては、三年間据え置きになった今日、農家にもはづみのつくような米価にしてあげたいという個人的な気持ちはやまやまでございます。  ただ、私がはからずも農林大臣を拝命しまして、さっそくこの米審の準備をいたしまして、関係各省庁とも打ち合わせをいたしましたのですが、まあ具体的なことを申し上げるのははばかりますが、ある省では、生産者米価を若干引き上げることは認めるが、消費者価格との逆ざやですね、これを必ず解決してくれ、それでなければ生産者価格引き上げは、これ以上食管の赤字がふえて、荷もたれになって、同時にこれは農政への圧迫にもなっているわけなんでございますから、これをひとつ解決してくれ、こう言われる。ある庁へ行きますと、いや、消費者米価は絶対上げてもらっては困る、これは物価に悪影響がある、だから、生産者米価をごくわずか引き上げるということについては了承はするが、それは消費者価格は絶対上げないという前提でやってくれるのならば了承すると言うので、私は板ばさみで、これはどうにもこうにもならぬ。ようやく最終的にきまったのが今回の諮問案でございますので、なかなか政府部内においてもむずかしい。  いまの合沢さんの御意見を伺っていると、消費者米価消費者も納得するだろうというようなお話がありましたけれども消費者米価もある程度、この秋には上げて、その逆ざや等を解決してよろしいという御意見ならば、これはまだやりようがあるのでございますが、実際これは、私ども農政を預かっておって、いろいろやらなければならぬ。農政費はかかる一方で、もっと思い切って金をつぎ込んでもらいたいと思うのですが、一方では五千億、六千億というような食管会計の赤字の負担を毎年しょっていますと、なかなかこれは財政も伸びませんので、実は困っているわけでございまして、今後ともひとつ御鞭撻をお願い申し上げます。
  128. 合沢栄

    ○合沢委員 私はいま、消費者米価値上げ消費者は認めると言ったのじゃないんです。一〇%というか、まあ二けたの値上げについては消費者も納得できるのじゃないか、四年間もほとんど据え置きですから。そういった意味のことを申し上げたので、消費者米価値上げを認めると言ってはいないのです。その点、誤解ないように願いたいと思うのです。  それに関連して、大臣、一言申し上げたいのですが、六十八国会のときに長官は、参議院の予算分科会で、いまの米の配給の実態というか消費の実態に触れまして、質問に答えておるようですが、大体、標準米で買っているのは五一%だ、それから自主流通米が六%だ、そこで、自由米でやっているのが四三%だといったようなことを言っておられたように記憶しておるのです。そうすると、それをいまの政府の買い上げた配給するものに当てはめると、約二百万トンになるのです、この四三%はですね。そして、これが千五百二十円と——まあ売っている価格は二千円前後で売っているようですから、すると差額十キロ五百円。そうすると、一千億からのものが安く払い下げてもらって高く売っておるというようなことになろうかと思うのです。もちろん物統令は廃止されておりますので、幾ら高く売ってもいいわけでございますが、そのような問題ですね。この消費者価格と流通改善、こういった問題はどのように考えておられるのか。  また、先ほど答申の中のことについても解れて銘柄格差の問題も出ましたが、私はこれは非常に慎重にやらないと問題がある。米の検査をする検査員でさえも、米を見てこれはどの種類だ、うまいだとかうまくないだとかわかりゃしないと思うのです。とんでもない銘柄価格になる可能性がある。現に売っている米でいろいろ調べてみると、標準米のほうがよほどうまかった。特選米、特別自主流通米がうまいといっても、うまくないというようなことがたくさん出ていることは御承知のとおりなんです。消費者価格値上げの隠れみのになるという危険もあろうかと思うのです。そこで、私は、この銘柄問題はよほど慎重に扱わないとたいへんな問題が起こるだろうと思うのです。  同時に、消費者米価の問題に関連するならば、むしろ私は推定して一千億——まあ、あるいは長官はもっと少ないと言うか、もっと多いと言うか知りませんが、これは後ほど十分調査願いたいと思うのですが、そういった流通のむだというものをどうするのか、この辺は最も消費者米価をきめるにあたっての要諦でないかというように私は考えるわけでございます。これらの点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  129. 亀長友義

    亀長説明員 いま物統令廃止以後と廃止前の状態と比較してみますと、私どもは、確かに物統令というものは存在しておった、しかし、必ずしもそれが十分に守られておらなかったということも率直に認めざるを得ないと思います。  現在の事情は、標準価格米というものが従来の配給米にかわったようなかっこうでありまして、数量が五割、あるいは最近四割ぐらいというように報告されております。食糧庁政府売り渡し価格で適正なマージンをとって——どの程度が妥当かということは私はきわめてむずかしい問題だと思います。物統令がありました時分に、実際上配給米でありながら、その他として売っておるという事実を追及いたしますと、ここで申してはなんですが、配給業者のほうでは、政府の査定マージンが極端に低いからそういうことをせざるを得ないんだというような答えもはね返ってくるような実情でありました。むしろ現在のように米の需給が緩和した状態のもとにおきましては、やはり末端の価格法律で規制をする、刑罰を科して価格を守らせるということは事実上むずかしいと私どもは判断をいたしました。そこで物統令撤廃の契機とも相なったわけであります。  結局、私どもは、この正当なマージンが実現をして、消費者に迷惑をかけないということを実現するためには、やはりそういうものを実現する経済的環境をつくらなければならぬというふうに考えまして、物統令撤廃の際にもそういう措置をとったわけであります。  具体的に申しますれば、競争の少ないところでは新規参入を認める。あるいはできるだけ大型精米の小袋詰めというのを奨励して、流通原価の低減をはかるとか、一例を申しますれば、そういうふうな方策を講じて、経済的に不当な値上げが起こらないというふうな経済環境をつくるということを従来の物統令の法令による規制にかえてやっていく、かような考え方で現在までもやってまいりましたし、今後も問題があればそういう方向をさらに深めてまいりたい、かように考えております。
  130. 合沢栄

    ○合沢委員 時間が来ましたので終わりたいと思いますが、いまの私の質問に対する答弁になっていないのですよ。私が言ったのは、流通改善をどう考えるかということを申し上げたわけです。  私の推定では、一千億からのむだがあるんじゃないかと思っておるわけですが、それを長官は多いか少ないか、さらに検討されることだろうと思いますが、そういう点をどのようにお考えになるか。これは消費者米価との関係になるわけでございますので、その点をどのようにお考えになるか。物統令が廃止されたんだから、それはもうどうにもならないということで逃げるのか、どうするのかですよ。特に先ほどの米が余っているという状態の中においては、私はたいした問題はないと思うのですが、やはり米の需給がだんだん窮屈になっていくと思うのです、政府の施策もあるから。特に本年度あたり不作になると、これはもう必ず米の値段が上がってくる。間違いない。米の最終価格はたいへん上がるのじゃなかろうか。政府が卸屋におろす価格関係なしに消費者価格は上がっていく危険性がある。特に今日では、消費者の半数以上の者は千五百二十円の標準米を食っていない。みんな二千円あるいは二千八百円というような特別高いので買っておるところが半数以上なんです。そういう点を考慮してみる必要があるのじゃないか。特にその間におけるところの流通改善については全然手をつげないのかどうか、この辺を御質問したわけでございますので、その点についての見解をお聞かせ願いたい。
  131. 亀長友義

    亀長説明員 私は、流通改善に手をつけることによって不当な値上がりとかということを避けたいということを先ほど申し上げたつもりでございます。数年間やらなかった小売り業者の新規参入というものも昨年四月に、いろいろな抵抗がございましたけれども、あえて各都道府県知事にお願いをして実施をいたしております。大型精米で小袋詰めという制度に関しましても、これもかなり業界にも抵抗がありますから、だから三年間も機械の助成をしたりいろいろの方策を講じて、御指摘の流通改善にはもちろんまだやるべきことがあると思います、これらを今後研究して施策を進めてまいりたいと考えております。
  132. 合沢栄

    ○合沢委員 これで終わります。
  133. 仮谷忠男

  134. 田中恒利

    田中(恒)委員 各委員からそれぞれ御質問がありましたので私もダブる点もあるかと思いますが、それぞれの委員の質問の中で、なお私として詰めておきたい問題について二、三お尋ねをいたしたいと思います。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  特に足立農林大臣農政に対する基本的な考え方について論議をいたしたいと思いますが、そのことは時間がございません。ただ、米価の問題をめぐって今朝来いろいろ大臣の御意見をお聞きする中で、多少の輪郭的なものを私どもうかがい知るような気がいたします。多少赤城農政が持っておったものとニュアンスが違うような感じを私なりにいたしておりますが、具体的にそれらの問題についてはそれぞれの問題を通して論議をいたしたいと思います。  いま合沢委員のほうからも御質問がありましたが、私も今回の三・〇三%の米価という諮問が、農林大臣がこの委員会でごあいさつという形で表明をされた、農村の青年に希望を持たせる、そういう政策をやる、こういうことばと、現実にまず第一発として投げ出されたこの三・〇三%の米価諮問というものが、非常に離れておるような感じがいたしてなりません。いまそのことについて農林大臣のお気持ちを合沢さんはお尋ねになりましたが、あなたは明確に御答弁にならなくて、規模の問題とか構造の問題とか高能率・高生産、これはもう十五年前から農業基本法農政以来言っておることでございます。そういうことが現実に実のっていない、そこに今日の日本農業の苦悩の姿があります。その問題をどう改革していくのか。構造政策は確かに日本農業一つの基盤にならざるを得ないかもしれません。しかし、同時に価格政策がどう並行していくかということは、ヨーロッパ等の農業の発展の歴史においても明らかにされておる。ところが、日本の農政の場合は、食管米価というものについて特にこの四、五年来いじめにいじめ尽くすという傾向が非常に強いと私は思うのです。特にことしの三・〇三%の諮問に至っては、これはまさにめちゃくちゃな算定方式としか考えられない。昨今もまたそういう方向に目を向けておると思うのです。そのことについていろいろ議論があったわけですが、私は、大臣がほんとうにこの諮問米価で日本の農民に対するあたたかい農政というものが示されておるとお考えになっておるのかどうか、あらためてこの際お尋ねをしておきたいと思うのです。
  135. 足立篤郎

    足立国務大臣 田中委員がおしかりになるお気持ち、私もよくわかります。しかし、先ほど来るる申し上げ、各委員の御質問にお答えしているとおり、算定方式からはじき出しました数字でございまして、もちろん今日の米の過剰基調のもとにおける経済事情需給事情というものを考慮しながら調整をした算定でありますが、その三・〇三%というのは私が作為的に腰だめで出したものではございませんので、その結果につきましては、私としては忠実に従わざるを得ないと思っています。それでもう愛情を持ってないのかどうなのかときめつけられても、私にはちょっと答弁ができかねます。
  136. 田中恒利

    田中(恒)委員 算定方式から出された数字だとおっしゃるわけですが、大臣は、大臣に就任をした直後米価の問題と取り組んだ、そこで各省間の調整に入った、ある省においては逆ざやをどうしてくれるかということであった、ある庁においては消費者米価を上げてもらっちゃ困る、こういう話であった、非常に苦慮せられた、そういうお話をいまなされました。私どももこの間大臣からその話を聞いた。もっと突っ込んで、最終的に三・〇三%という数字を出すのに苦労をして田中総理のところまで話がいってやったんだというような話も聞いた。そういうことでこの数字が出たわけでしょう。三%台の諮問案というものは政治判断で、いわゆる農林、大蔵、経企、それに総理もどの程度か知りませんけれども、ある程度相談に乗ってきめられたという経過になっておるわけでしょう。この点どうですか。
  137. 足立篤郎

    足立国務大臣 私のほうでは、先ほど来長官からもお答えしましたように、データのとり方はやはりそのときの経済事情需給事情で変わるのはむしろあたりまえだと思っております。その算式は同じでありましても、データのとり方は変わる。それで出ました三・〇三%について・関係各省庁の了解を得るのに非常な苦労をしたということを申し上げたわけであります。
  138. 田中恒利

    田中(恒)委員 私どもの理解は三・〇三%がきまって、それから計算が始まっておる。ここに午前中来議論をされている矛盾が出てきておるのでありまして、そうでなかったら、常識的に考えても、これほど毎年毎年米価据え置きから始まって算定方式がぐるぐるウの目のように変わるなんというようなやり方が、食糧庁や農林省の米価算定内容として織り込まれるようなことを農民に言ったら、これはたいへんですよ。問題は、食管の赤字の問題とか、先ほどいわれた需給の問題とかいろいろ諸般の事情を勘案して、今日の田中内閣下の農林大臣としての判断は三・〇三%が妥当だ、こういう政治判断に基づいてこの方式というものがつまみ出されてきた、こういうふうに理解をする以外にない、これはお互い政治家ですから。あなた、この算定方式算定方式と言われるけれども、この算定方式がごまかしのインチキの算定方式だということを、もう米価審議会諮問した当時からマスコミだって書いておるじゃありませんか。私どもはそういうところに問題が——事情はわからぬことはありませんよ。われわれだってわからぬことはないので、そういう政治的な判断で私どもはこれがきめられたというふうに考えるのですけれども、そうじゃありませんか。
  139. 足立篤郎

    足立国務大臣 たいへんおしかりを受けるのですが、先ほど来、私、お答えしていますように、算定方式の中のデータのとり方で、新聞にも出ておりましたが、たとえば災害農家の基準を従来は二〇%以上を異常な経費がかかったものとしてはずした。今度は一〇%に下げた。さっきもお答えしたように、これは議論の分かれるところだと思いますが、最近の災害統計は非常に災害率は下がってきておりますから、一〇%以上のものが異常な経費がかかったものとして計数からはずすということは、絶対にこれはいかぬという論拠はないと私は思います。  また都市労賃に置きかえる場合に、都市勤労者の所得の中には通勤手当というものがある。通勤手当は一たんは所得のように見えますが、素通りをしてほとんど交通費になるわけでありますから、農村ではそうした交通費は要らないわけであります。ですから、置きかえるときに通勤手当をはずした。  これがめちゃくちゃなことをやった、私はこういうふうに言われる筋はないので、それ以外は前年度やり方をほぼ踏襲しているわけでありますから、それによって出た数字が三・〇三%である、こういうふうに御理解いただきたいと思うのであります。
  140. 田中恒利

    田中(恒)委員 災害農家の評価の問題をいま言われましたけれども大臣は農災の問題については御専門ですが、それなら農業災害補償に基づいて三〇%以上の災害というものは、それこそ災害の計数が三%以下に落ちて、米作については特に経営も安定してきておるし、災害の対応力というものも平均化してきたということであるならば、この三〇%というものをもっと下げる、こういう方針も同時に出るべきであるし、あるいは米の生産費調査調査約束というものがありますけれども、この生産費調査調査約束にも、いわゆる三〇%というものを災害農家と規定しておる。そういう調査約束がなされておる。こういうものも一〇%なり二〇%なり下げる、こういう一貫した農林省の農政の方針というものがあるわけですか。米だけ下げておけばそれでいいということですか。
  141. 足立篤郎

    足立国務大臣 おっしゃるとおり、私は農業共済制度を充実整備するために政治生命をかけてきた一人であります。内容についてはよく存じております。おっしゃるとおり、一筆引き受けの場合は三〇%以上の被害を被害として扱っております。それから農家単位の場合は二割以上の被害を被害としておる。しかし、果樹の場合は三割あるいは五割というようないろいろなやり方をとっております。しかし、これはいわゆる災害を受けて痛手を受けた農家に保険金を払う制度でございまして、掛け金をかけておりますから、災害がなければ掛け金がパーになる、こういうことでございまして、この二割なり三割なりというのは災害農家の一つの基準である、農林省がそういうことにきめているのだという性格のものとはおよそ性質が違うということを御理解いただきたいと思うのであります。  いまのコスト計算の場合には、生産費調査の場合には、災害を一割以上受けた場合あるいは二割以上受けた場合、いままでは災害の率が比較的高かったものですから、二割ということで、まあ大体この辺が常識だろうということでやってまいりましたが、その後、先ほどだれかの質問に私がお答えしたように、災害の率というものがたいへん下がりまして、昨今は年間平均三・二とかいうような程度まで下がってまいっておりますので、そういう平均数字になっているときに、一割以上の災害を受けた農家というのは、せっかくかけた物財費が実のっていないわけでありまして、分母が小さくなるわけでありますから、これは異常な経費がかかっている、そういうものも平均的コストだというふうには見られないという見方でございまして、これはいままで、去年まで二〇%以上を災害農家として扱ったのに、急に落としたのは作為的じゃないかと言われればそれまででございまして、議論の分かれるところだということは率直に、私、申し上げたとおりでありますが、それだから絶対に間違っているという理屈にはならぬというふうに思っております。
  142. 田中恒利

    田中(恒)委員 農災の災害の評価の問題は、これはまた何か機会があると思います。  ただ、これは大臣も十分御承知だと思いますが、それは掛け金をしておりますけれども、三〇%常襲地帯というものがいろいろ問題になって、農家単位で二〇%にしたという経過はありますが、そのこと自体の中にも、今日のいわれるように確かに災害の災害率が下がっておる中で、これについての批判が農業災害の共済金の支払い等についてはいつもあるわけですね。私が言っておるのは、米の災害を二〇%を一〇%にしたというのは、農林省の政策として、方針として、米についてそういう災害が安定してきたというなら、何もかも統一的に考えなければいけないのじゃないか。米価をきめるときに米の生産費のとり方にこの問題だけ抜いてやっていく、こういうところにちょっと私どもとして——最初申し上げたように、あらかじめ大きなワクがきまって、そこから数字をはじき出されてくる。農林省のお役人は非常に頭がよくて、いろいろいままで四、五年苦労してきた。生産費所得補償方式ではいじるところがなくなって、結局ここに手を入れてつじつまを合わせた、こういうところが本音だと思うのですよ。     〔熊谷委員長代理退席、渡辺(肇)委員長代理     着席〕 そうじゃないと言われるようですけれども、しかし、そうは言われましても、皆さんはそういうところに焦点があると見ておるわけですよ。だから、私はもっと率直にやはりこの委員会でも、大臣、お話しをしていただくし、経過を御報告していただかないと——私ども野党ですけれども、日本の農業がこれほどきびしい状態に追い込まれているときはないと思うのですね。そういうときですから、やはり大胆にお考えを言ってもらう必要があると思うのです。  さらにお尋ねをいたしますが、先ほどの各委員の質問にもありましたが、米審諮問のあり方についていろいろ数年来議論が出てきております。これは一つは、政府があらかじめ、私どもにいわせれば、政治的判断で数字がこの数年来、特に据え置き米価以来出てきて、そこで議論はやる、やりはしても、米審というものはただ審議をするだけであって、あと今度は党へ返っていく、党と政府との間の話で米価がきまる。それはもう必ず幾らか上積みが出てきておる。これはここに出てきておりますように毎年でありますから、ことしも大体同じようなこと。委員の人が言われたように三%プラス三%六%、中にはもう一%、百十億ぐらいつけて七%いくのかどうかというようなうわさも流れておりますが、そこまでいくかどうか知りませんが、常識として何%かの上積みが出てくるということは当然であります。やはりこういうやり方はもう一ぺん考え直してみる必要があるんじゃないかと私は思う。それは政党政治でありますから、自民党が政権を持っておるのだから、自民党農林大臣ですから、自民党意見を無視してそれは決定できぬでしょう。あらかじめ、米価審議会諮問をする前に、与党と折衝をして、そして諮問案の中にそれを織り込んでいく、こういう処置をして、米価審議会というものは国民各階層の意見を聞いて、ある程度個々の意見というものはだれが見ても反映されておる、こういう仕組みを、今日の食管法なり農林省設置法の内容からいってもとるべきだと思うのです。それが特に最近は政治判断が先にあって、米審があって、最後にまた与党政府の最終的な政治判断が出てくる、こういう繰り返しをしておるように思えてならない。こういうやり方をすると、これは米価劇だ、芝居だ、踊らされておる、こういう意見がだんだん農村にも強くなってきておる。われわれだってそういう感じを持ちますよ。こういう米価算定方式やり方についていろいろ議論をされたようですけれども米価をきめるまでの過程のこの流れや動きについて、私は新農相として十分再検討してみる必要があると思うのですが、この点についての御意見をお尋ねしておきたいと思うのです。
  143. 足立篤郎

    足立国務大臣 米価算定方式については、今日の情勢のもとにおいて私は再検討すべきだと思っていますが、いまお話しの田中さん御指摘米価のきめ方、米審へのかけ方、私は現在のやり方は決して間違っていないと思っております。党のほうで云々という政治加算というようなお話が先ほどから各委員からございますが、いままでの米審はいざ知らず、去る二十四日からゆうべまでお世話になった米審は、私も終始出ておりまして、きわめて真摯な議論が行なわれまして、私も非常に傾聴する点も多かったし、参考にもなりました。また答申も、去年は一部の委員が退席して答申が出なかったのでありまして、無答申のまま政府の思うとおり決定したということでありますが、今回はちゃんと筋目を通して答申をしてくだすっておりますし、特に生産者米価について答申が併記の形になっておりますが、方向は一致しているわけでございまして、三・〇三%でよろしいという御意見と、それ以上上げろという御意見と、いずれも引き上げの方向は一致しておる、こういうことでございますから、その答申を尊重して今後きめたいと思っておりますが、田中委員指摘のとおり、私も自民党の党員でございますから、党の了解を得ずにはきまりませんので、けさほど報告をし、これが党のそれぞれの機関へはかっていただいて、その決定を受けた上で最終的には政府意見調整して決定する、こういうことになりますので、私は米価審議会を無視しておるというふうには思いません。むしろ米価審議会政府のなまの考え方をおはかりして御意見を伺って、さらにそれにつけ加えるべき点があるかどうかという点を御判断いただくということは、米価審議会を尊重するゆえんじゃないかというふうにも実は思うわけでございます。
  144. 田中恒利

    田中(恒)委員 私も米価審議会を大いに尊重すべきだと思うので、最終的な政府与党間の意見調整を米価審議会の前にやって——私も与党無視とは言っておりませんよ。当然与党意見を聞かなければいけません。聞かなければいけませんが、なぜ米価審議会の前にそれをやって——米価政府がきめるのでしょう。政府が責任を持って米価審議会諮問をするわけでしょう。しかし、今日まで米価審議会諮問をして、米価審議会の意向をくんでとおっしゃるけれども、結果は米価審議会答申とみな違った点が出てきておるわけでしょう。政府もこれまでいつも、この二、三年基本価格とかいろいろ奨励処置等についてどうだこうだということをいってきたわけでしょう。政府自民党は一体化なんですから、いろんな法律を出されるときだって、事前にあらかじめ自民党と連絡調整をせられてそして出されておるわけですから、そういうルールをとられるのが妥当だと思うのですが、そうではなくて、いつも初めと終わりに何かこう政治的な動きがあるわけですね。これを前のように一本にしぼられたらどうかというのですが、それはだめでしょうかね。どこがいけませんか。
  145. 足立篤郎

    足立国務大臣 田中さんの御意見、私にはちょっと理解できないのです。というのは、事前に党ともよく話して政治的な米価を先にきめちゃって、それから米審にはかったら、米審からどんな意見があってもにっちもさっちも動かしようがないと思うのです。今度の場合、米審がそれじゃ全員そろって米価上げるべからず、こういう答申をしたのに、その後多少手直しをしたというならこれはおしかりを受け、米審無視だといわれてもしかたがないと思うのです。党のほうはどういうことになって落着を見るかどうか、私は党の会議に直接出ないからわかりませんし、いま簡単に余測はできませんが、今回の場合は米審も方向としてはさっき申し上げたような方向でございますから、やはり政府が考えたこれだと思った案をまず米審にかけて、米審意見を伺う。その結果によって米審意見を尊重しながら最終的決定をするというのが、私は米審尊重のゆえんじゃないかというふうに思います。
  146. 田中恒利

    田中(恒)委員 私の言うことがわからないということですが、私も大臣の言うことがよくわかりませんがね。ただ、政治米価だと言われたから、米価最後はいつも政治米価になっておるということをお認めになったんだ、こういうふうに理解をいたします。  時間がありませんから、若干算定方式の問題で私も一、二お尋ねをしておきたいことがあります。  一つは対象農家のとり方でありますが、昨年からこれにかわりましていわゆる需要量、予約限度数量——基準農家のとり方ですが、昨年から生産費の高低順に並べて、低いほうから累積販売量が総販売量の何%になっておるかということでとられたわけですね。今度は八〇%、九〇%、一〇〇%、こういうふうにことしはせられておりますね。この八〇%、九〇%、一〇〇%を出した数字の根拠をちょっと教えてください。
  147. 亀長友義

    亀長説明員 趣旨といたしましては過去三カ年の生産費をとりますので、四十四年、四十五年、四十六年につきまして、それぞれの年の生産量と四十七−九年に配給のために必要な七百七十万トンとの比率を出したものでございまして、四十四年は七百七十万トン対九百五十九万四千トン、これが約八〇%になります。四十五年は七百七十万トン対八百五十六万七千トン、これが約九〇%になります。四十六年は七百七十万トン対六百九十二万六千トン、これが一一一%になりますので、最高限度である一〇〇%という数字で八〇、九〇、一〇〇という数値を採用いたしております。
  148. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは私の持っておるのと多少——多少ですからあれですが、七百七十万トンというのは七百九十五万トンにはならないわけですか。
  149. 亀長友義

    亀長説明員 四十七年度におきます配給所要量は七百七十万トンでございまして、昨年採用いたしました七百六十万トンにかわるべきものは七百七十万トンでございますので、七百七十万トンを採用いたしております。七百九十五万トンと差がございますが、この二十五万トンは在庫調整のための臨時措置のような数量と考えておりますので、予約限度数量を七百九十五万トンにすることによって十分確保できるということで、予約限度数量は七百九十五万トンで配分をいたしております。しかし、経常的な数量から申せば、昨年の七百六十万トンが七百七十万トンに数値としては変更された、そのような考えで七百七十万トンを採用いたしておる次第でございます。
  150. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は在庫調整の二十五万トンをやはり入れるべきじゃないかと思うのですが、これはあまりあれできませんが、問題は一一一%ですね。一一一%というのは四十六年度の都市農家になっておりますね、これは一〇〇%にせられた。これは一〇〇%でもうぎりぎりだからというのですね。これはよくわかるのですが、そのことは先ほどの米価の平均反収の問題で議論があったわけですけれども、少なくともこの四十六年度の形から見れば、需給のたてまえからいって、限界反収というものに接近せざるを得ない、そういうものを意味しておるのじゃないかという気がするのですが、この点についてはどうお考えですか。
  151. 亀長友義

    亀長説明員 私ども統計調査部の生産費基礎といたしておりますので、これを一〇〇以上にとるということはできないわけでございますから、その数値は一〇〇をとった。ただ、現実に採用いたしました数値は、三カ年平均を見ますと、ことしの反収のほうが下がっております。これは資料でもございますように、今年産米価で採用いたしました十アール当たり平均数量の算定は、四十四、四十五、四十六年を平均いたしまして四百九十七キログラムという数値を採用いたしておりますが、昨年の試算米価と比較をいたしますと、昨年は四十三、四十四、四十五年の平均が五百六キロでございまして、昨年よりはその平均の反収を低く見ておる、こういう結果に相なっております。
  152. 田中恒利

    田中(恒)委員 いや、それは低くなるのはあたりまえだと思うのですけれども、これはやはり需給がだんだん緊迫をしておるということを示し始めてきておる数字だと思うのです。こういうふうに、毎年政府が必要とする量に対して生産量が追いつかないということになっておるわけですから、特に昨年あたり一〇〇%こしておるのですから、そういう需給事情というものは、いわゆる平均反収というものをとった状況とはまた非常に変わり始めてきておる、そういう理解に立ってしかるべきじゃないか、こういうふうに私は思っておるのです。それを平均反収から考えるとさっきあったから、いま私は聞くのです。何かあなたのところの諮問の中でも、非常に小さい問題のようだけれども、こういう問題は不統一じゃないか、こういう感じがしたので、いまちょっと聞きながら指摘をしたわけです。  それから、時間がありませんから走りになりますが、地代でありますが、なぜ支払い地代をとらないのですか。
  153. 亀長友義

    亀長説明員 地代につきましては、私どもは現在の統制小作料が——本来これは旧契約のものにつきましては五十五年までは有効と認められておる。新しくできる標準小作地はまだ非常に少ない。このような実態を考慮して、従来とも米価計算におきましては統制小作料をとっておるわけでございます。考え方としては、統制小作料が、小作地が本来まだ支配的であるということ、その際にはやみと申しますか、統制以外の小作料であるべきではなくて、統制小作料が支払われるべきである、かような考え方で統制小作料を採用いたしておる次第でございます。
  154. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は資料をいただいてどうもわからぬのですが、地代というものが、たとえば四十四年、四十五年、四十六年の地代を見ると、四十五年の原生産費は七千四百二十四円、四十六年は八千二百十一円ですね。これを評価がえして四十五年は四千七百九円、四十六年は四千六百六十一円、四十六年は地代は逆に減っておるわけですね。いわゆる農地法をかえて四十五年から統制小作料がなくなって、そしてこの地代、小作料というのは上がっておるはずなんですね。ところが、この評価がえの数字を見ると下がっておる。一体これはどういうことなんですか。
  155. 亀長友義

    亀長説明員 私どもの採用いたしておりますものは、自作地につきましてはこの統制小作料で評価をいたし、作付地以外の土地、これは最近の調査をもとにしてやっておるということでございまして、四千五百八十四円、四千七百九円、四千六百六十一円と若干変動がございますけれども資料のとり方を変えたわけではございません。これは地価の変動その他によって若干変動があった程度のことだと考えております。
  156. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは大臣、非常に小さいことのようですけれども、おかしくお思いになりませんか。いま土地問題というのは、地価というものがこれほどやかましくなっておる。従来から米の生産費の中に地代をどう評価するかという問題は、基本的に議論のあるところでありますけれども、いわゆる統制小作料を中心にやってきておりました。それはこの間から撤廃した、一応既存のものは十年間ということになっておりますけれども。ところが、この数字を見ると、地代が下がってきておる。数字は変わらないというのですけれども。しかも、全体的に米価を据え置く、三・〇三%しか上げないという状態で、農民は米価を押えていくという政治姿勢に対して非常に不満がある。地代が下がるということが常識的にどうしても考えられない。ところが、現実に下がっておるという数字をはじかれてきておる。これはあなたのところの調査の何であれだというけれども、私はこれはわからないのだ。
  157. 亀長友義

    亀長説明員 この資料の採用の方法並びに統制小作料で自作地等を評価する、作付地以外の土地は最近の実態調査基礎にして評価をするという原則はこの三年間変わっておりません。私がいま資料を見ましたところ、作付地の中でも自作地と小作地の比率、それから作付地以外の土地でも所有地と借り入れ地の比率等が若干変動いたしております。おそらくそういう要素がこの四千五百八十四円であったり四千七百九円であったり四千六百六十一円であったりという結果にあらわれておるのだろうと考えております。
  158. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは、米価審議会でも地代の問題の議論はちょっとあったようですけれども、そこまでのこまかいのは私は聞いていないのですが、私は常識的に考えてこれはおかしいと思うのですよ。数字でいろいろ調査の比率だの周辺の状況だと言われたけれども、ともかく地代が、統制小作料を撤廃して、小作料が上がっておるのですよ。それから原生産費の地代もずっと上がっておる。七千四百二十四円が八千二百十一円になっておる。評価がえした地代が逆に下がっておる。こういうことはまことに常識はずれの数字なんですよ。こういう点は、これから政府が最終的に米価決定するのでありますが、私は基本的に原生産費でいくべきだ。そうすると、これはまだ、幾らですか、八百円ぐらい上がるはずですよ。八百円上がるはずですが、もし政府価格修正のものでいくとしても、こういう数字を出すべきではない。これは、この数字はあなたのところはいままでの調査資料に基づいて出したのかもしれないけれども、これは国民的常識として認められないと思うのですね。
  159. 足立篤郎

    足立国務大臣 地代の問題、御指摘ありました。私も率直に言って田中さんと同じような感じを持っています。私が着任早々食糧庁長官からこの積算の基礎をいろいろ聞きましたときに、私自身も実は指摘をいたしました。     〔渡辺(肇)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私も率直に意見を言ったのですが、小作地はこの前農地法の改正でおっしゃるとおりやりましたが、統制は撤廃しましたけれども、十年間は既契約はそのまま継続するということですから、実質はほとんど大部分が統制小作料で小作地は小作料を納めているわけでございますね。ところが、これは全体のわずか六%。九十数%は自作地で自分の土地でありますから、それをどう評価するかということでございますが、結局これは資本利子等で還元をするしかないと思うのでありますが、これも地価というものは実にまちまちでありまして、案外反収の低い都市近郊でろくに米もとれぬようなところが逆に地価が高いという矛盾もございまして、非常にむずかしいというので、従前の扱い。ただ、いま御指摘の、若干ことし下がっているというのは、これは別に農林省が米価を下げようと思ってわずかばかりちびって入れたわけでもないと思うのです。統計のほうのどうかいう理由でそういう数字が出たと思いますが、しかし、これは作為がないと私も思います。しかし、確かにおっしゃる点、矛盾もありますから、今後の問題として検討したいと思っています。
  160. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間が参りましたので、いろいろありますが、以上で終わります。
  161. 仮谷忠男

    仮谷委員長 津川武一君。
  162. 津川武一

    ○津川委員 共産党ですが、米価のことで私たちのところにたくさんの手紙、はがきが来ているのです。きょうも八十枚から来ているのですが、この中の一枚だけ読んでみますから、大臣、これにひとつ答えていただきたいと思うのです。「拝啓。今年も又米価運動の時期と成りました。ここ二—三年米価が据置かれ、私達農民は最低生活も出来ず、子供達の教育費にも事欠く有様です。秋に成れば主人は出稼です。三人の子供と年老いた母、それに病弱な私を残して主人もいやいやながら出て行きます。子供達はお父さんと泣いてはなれず、それをふりきって行くのを見て、おばあさんや私もとてもつらい思いです。長男は今四年生です。去年の冬も(出稼に行ったお父さん)と言う事で作文をかいてお話大会に出てよんだ時は皆んな泣いて聞きました。子供達でもこんな事を考えているんだと思ってびっくりしました。もう少し米のねだんが上ったら親子そろって暮らせると思いペンを取りました。何分よろしくお願い致します。」五所川原市高野、福士きね子という農村婦人からです。大臣はこの婦人に何と答えますか。
  163. 足立篤郎

    足立国務大臣 私も、率直に言って、出かせぎをしなくても農村の生活が安定するような努力をいたしたいと思っております。先ほど来いろいろな方の御質問で私もお答えしたのでありますが、なかなか農業基本法に示された規模拡大というのは土地の問題がガンでございまして、いまもお話があったとおり、なかなか人の土地を買って自分の土地をふやして規模を拡大するということはできませんので、さきに国会で通していただいた農村工業導入促進法等を活用しながら、一ぺんに日本列島改造とまでいかなくても、逐次じみちな方法をとって働き口を農村にもつくり、あるいは協業化によって浮いてくる労働力を専業方面に、たとえば施設園芸とか畜産とか果樹とか、そういう方面にも伸ばして安定をした農業に持っていきたい。出かせぎしなくてもいいようにしたい。これは農林大臣としての私のビジョンでありますし、ぜひ努力をしたいと思っております。
  164. 津川武一

    ○津川委員 日本列島改造論は後刻また機会をあらためて大臣にお伺いするとして、いまこの婦人が求めているのは米価なんです。米価のことで何とかしてくださいというので、この点を重ねて大臣に答弁を求める。  時間が十五分なんで、次の質問も重ねていきます。それは、大臣は先ほど食管法を改正する必要があるという提案をした。これは私、聞きました。そこで、食管は法律です。これを守るつもりがあるのかどうか。この二つ、答えていただきます。
  165. 足立篤郎

    足立国務大臣 乱暴なことを申し上げるとまたあとからおしかりを受けるわけですけれども米価だけでいまの出かせぎをしなくてもいいような農村の生活を安定するということは、いまの規模、構造の問題等から考えますと、なかなか米価だけでは——それじゃ米価を倍にすれば農村は左うちわかというと、必ずしもそうでもない。つまり日本人は勤勉でございますから、ずいぶん努力をし、土地生産性は世界一あげてきましたが、何せ労働生産性の低い、旧態依然たる農業をやっておりますので、この問題、構造上の問題を根本的に解決しないと、なかなかいまおっしゃるような御期待に沿うことができないというふうに思います。  それから、食管制度の問題は、私はこういうふうに食管制度を改めるということを申し上げたのではないのです。これは決して弁解でも何でもない。ともかくいま相当矛盾が露呈されている。守られない法律をほっておいたのでは法治国家としてどうであろうか、何とかこれを、衣がえということばを使ったのですが、きれいな姿にして、生産者消費者も納得のできる、一般国民も納得できるような制度にしたらどうだろうか、それにはどういうお知恵がありますか、今後皆さんのお知恵をおかりしたい、こういう発言をしたのでありまして、食管法を無視するとかなんとかということを申したわけではございません。
  166. 津川武一

    ○津川委員 そこで、食管法法律、農林基本法も法律、これをお守りになるつもりでございますか。国の法律大臣としていかがでございます。
  167. 足立篤郎

    足立国務大臣 現在あります法律は全部守ります。ただ、食管法の問題は、法律にあっても、国民が守らなくても平然となってしまっている部分があるということもこれは事実でございますから、その点を指摘したわけであります。
  168. 津川武一

    ○津川委員 国民はどうであっても、大臣としては守るつもりですね。  そこで問題は、食管法にある米の再生産ができるかどうかという問題ですが、私たちは日本の農業、日本人の主食を日本の農民の手でつくっていただくと考えている。このためには、この主食をつくる農民に価格を保障してやってやらなければいけないと、こう考えているわけです。そこで、価格を保障してやっていく。また憲法に規定された文化的で健康な生活、農業基本法でいっているそういう生活、これをやるのにいままで三年続けて据え置いてきたわけです。そのために出かせぎに出て夫婦、親子離散、これでは私は文化的な生活はできないと思います。出かせぎに出て病気やけがでなくなっている人は、秋田県でも青森県でも毎年百人からになっております。これは不健康だと思う。そうなってくると、これはどうしても三年据え置いた分だけ、それからその次にことしだけでも生産費が一一・二%、去年、おととし、さきおととしと三年間やると三〇%ばかりこしていると思います。ここのところ、それを保障してやらなければ再生産できない。大臣はもちろん答申にあるように、政府諮問だけでは、試算米価だけでは不十分だという項目のほうを賛成してあげると思うのですが、こういう立場から必要な値上げをする必要があると思いますが、いかがでございます。
  169. 足立篤郎

    足立国務大臣 先ほど来お答えしているのですが、私も農民の代表として長年農政に関与してまいりました。いま津川さんのおっしゃる気持ちはよくわかります。しかし、やはり算定方式というものもありまして、政府の財政上の問題もございますし、農林大臣になりますと、そう自分の個人の考えだけでわがままかってはできません。合理的な算定で出したのが、津川さんからおっしゃれば、もうふらち千万だとおっしゃるかもしれませんが、三・〇三%ということで諮問をいたしました。まあ今後党とも相談をし、党の了解を得た上で、政府部内で調整をして最終的に決定をいたしますから、その結論がどうなるか、いまにわかに申し上げる段階ではございません。
  170. 津川武一

    ○津川委員 そこで、大臣、三年据え置いた。据え置いた期間とことしと経費が上がっている。この分だけは十分考えて農政を担当する大臣としてやるべきだと思います。そこで、大臣、政治的な加算をやるとか、さっきからいろいろ論議になっていましたね。取引をやるとか政治的なことをやるというわけですが、大臣は国政を担当して農政を担当するので、農政のサイドからかなり厳格に考えてこの値上げを処理すべきだと思うのですが、こういう考え方はございますか。
  171. 足立篤郎

    足立国務大臣 津川さんの御意見は御意見として伺いますが、いまの御質問に私の立場では軽々にお答えできない事情もございますので、御了承いただきます。
  172. 津川武一

    ○津川委員 大臣はそうするとロボットなわけですか。  これは抜きにして、そこでもう一つ視点を変えます。いま生産調整大臣はむちゃだといって、私もそう思います。この生産調整で全国で一一二%の減反率。わけても北海道は二一九%、青森一七二%、鹿児島一六一%、高知一五六%。米づくりをやめて出かせぎに行っているのです。もっとひどいのは青森の三厩というところは七二五%の減反です。佐井という村は六五九%、例のむつ小川原の六カ所は三九六%という減反。米をつくる意欲がなくなっている。米をつくって先がどうなるのか、全然暗やみでわからないと言っている。したがって、日本の農政の基本である米がこうなったら、私は農業破壊に続くと思うのです。そこで、農政を担当する農林大臣としては、日本の農業をふるい立たせる立場からいうと、この人たちに希望を与える、七〇〇%という減反をやめさせる、この基本がやはり生産者米価値上げだと思うのです。  重ねて、この立場から生産者米価値上げをどう考えているか、お答えをいただきます。
  173. 足立篤郎

    足立国務大臣 いま青森県の二、三の町村の例をおっしゃいまして、私も拝聴してびっくりしたのですが、そういうふうな極端な生産調整といいますか減反、これは私は本来の姿ではないので、まことにどうも申しわけなく思うわけであります。しかし、やはり根本は高能率の農業を実現する。それからさっき申し上げた規模の上で非常に不利な日本の農業を、このままではとうてい希望の持てる農業にはできないと思いますので、これから協業化等を進めるためにあらゆる手段をとっていきたい。政府もできる限りの誘導政策をとり、金も使って基盤の整備をやったり、協業化を進めていく。それによって高能率・高生産農業を実現したいというふうに思っていますし、同時にまた、余った労働力を吸収するような工場の誘致計画やあるいはその他の農業の面でも専業方面に伸びていっていただくような誘導政策をとっていきたいというふうに思っています。
  174. 津川武一

    ○津川委員 大臣、極端な例と言うけれども、北海道は二一九%ですよ。青森県一七二%、それから鹿児島一六一%、高知が一五六%、一五〇%をこす県は十何ぼある。極端でも何でもない。佐井、三厩の七〇〇%というのは事の本質をあらわしている。ここのところ極端だなどと言わないで、高能率・高生産なんていうお経でなく、現実的なことをしてほしいと思うのです。  そこでもう一つ、視点を変えて、今度消費者米価——去年物統令から米を除外してから一ころ十キロ三千円の米が出ました。いま二千七百円。ここにありますが、特選米十キロ二千七百円と、ちゃんと店頭で飾っている。こういうふうに消費者米価は上がっております。その次に、国民の四割ばかりを占めているあの配給米、標準米、これはこのごろまずくなっちゃった。かつての配給米から仕分け米のいいほうを取って、取ったほうは千七百円です。千五百二十円で東京で売られている。それはまずくなっちゃった。この点が実際に値上がりしているわけなんです。そして千二百円の徳用米がある。私たち共産党は、消費者にうまくて安い米を提供するためにいろいろなことを考えてきたし、要求してきた。そこで、この四〇%を占める配給米を食べていた人にだけでも値段を上げないで——田中総理はこれを上げると言っている。そして昔どおりのおいしい米を食べさせる。これは私は大臣の政治のかなめだと思うのです。これが一つ。  第二番目には、今度の答申からいうと、物価が上がっている、政府買い入れ価格を上げる、自主流通米が上がっているから上げるだろう、十分検討の上措置すべきだといっておりますが、これは私は、検討して上げるべきではないと思うのです。ところが、上げるとか上げないとかいろんな議論があります。ここで、大臣のいまの気持ちとして、売り渡し価格消費者米価影響する売り渡し価格を上げるのか上げないのかはっきりさせないと、消費者が迷うと思うのです。この二点をお伺いします。
  175. 足立篤郎

    足立国務大臣 消費者米価は、恒例によりまして、秋、大体十一月一日から上げるかどうかということをその事前にきめるわけでございまして、もし上げるということになれば米価審議会をもう一度開いてはかるつもりでおります。まだ全然上げるとも上げないともきめておりませんが、きのう米価審議会委員意見を聞いておりますと、この際、食管に非常に大きな赤字が出て、これがいろいろな面で圧迫材料になっておる。これはさっき津川さんおっしゃったような出かせぎをしなくてもいいような農村をつくるための農政——私どもは総合農政といっておりますが、総合農政に、そういう文句はきらいだという人もおりますけれども、われわれは真剣に取り組もうとしているのです。そういう農政費を予算の面で取る上におきまして、食管に五千億も六千億も赤字が積もりますと、非常に大きな圧迫材料になるということから、きのう、学識経験者等の米審委員の方々の中には、この際逆ざやは解消するように消費者米価はむしろ上げろ、生計費に占める米の率も下がってきているので、わずか三・六%の率になっているので、これを少々上げても非常に物価影響するという理由にはならぬというような、もうはっきりした御意見も多数私、伺っております。だから、私はいますぐ決心をして、じゃ秋上げましょうと申し上げるわけでもない。  また、いま標準米がまずくなったというお話もありますから、これはよく食糧庁にも注意させますが、もしほんとうにまずくなって困るというのなら、私は将来値下げをさせます。  だから、これはもう少し推移を見まして決心をしたいと思いますが、消費者米価をいますぐ上げるということはきめておりませんので、どうかひとつ御了承いただきます。
  176. 津川武一

    ○津川委員 大臣大臣ことばというのは非常に民衆に影響する。民衆、奥さんたちが運動するにも非常にまた混乱するので、大臣のいまのお気持ちとして上げるつもりがあるのか、上げないつもりがあるのか、これを明確にしていただきたい。これが一つ。  それから次の質問は、今度の生産者米価試算に五等米がないでしょう。これは五等米をつぶすつもりなのか。それで、実際上、卸は五等米を買うのをしぶっている。だから、売る側の食糧庁は、これは五等米は買い入れない、検査からはずす、こういう気持ちがあるらしく見えるのですけれども、これははずしちゃいけない。大臣、これはどうでございますか。
  177. 足立篤郎

    足立国務大臣 消費者米価は、いま申し上げたように、まだ上げるとも上げないともきめておりませんから、いまこの場でどうするということは言明できません。  それから、五等米については、先ほどほかの委員からも御質問があり、食糧庁長官が答弁をしておりましたが、本来は私ども歓迎しません。しかし、災害その他のいろいろな事情で、とれた米を政府が買わないといえば、食管法で売りようがないという仕組みになっておりますから、これはそうした事情が起こる場合には買わざるを得ないというふうに私は思っています。もう少しよく推移を見まして、これは決定いたします。
  178. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、五等米は、政府が買い上げる規格の五等として残す、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。  もう一つ最後の問題は、米の需給情勢がかなり逼迫してきている。府政が考えたときよりも減反率が強くなっている。それにまたうまい米で減産する。今度の水害でまた少なくなってくる。こうなってくると、食糧庁は福井と石川の早場米、高知の早場米で埋め合わせるといっているが、最悪の場合は外米をもう一回入れるんじゃないかという疑念が持たれております。入れるはずはないと思いますが、大臣、どうでございますか。
  179. 足立篤郎

    足立国務大臣 外米の輸入は全く考えておりません。
  180. 津川武一

    ○津川委員 終わります。
  181. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、公報をもってお知らせをいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十二分散会