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1972-10-11 第69回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月十一日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 野呂 恭一君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       菊池 義郎君    近藤 鉄雄君       中村 弘海君    葉梨 信行君       木原  実君    横路 孝弘君       鬼木 勝利君    東中 光雄君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国家公安委員会         委員長     木村 武雄君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      角田礼次郎君         国防会議事務局         長       海原  治君         警察庁警備局長 山本 鎭彦君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         外務省条約局長 高島 益郎君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省道路局次         長       中村  清君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十八日             補欠選任              近藤 鉄雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  先般、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査のため、委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員からの報告を求めます。坂村吉正君。
  3. 坂村吉正

    坂村委員 愛知県、石川県、富山県の国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、坂村吉正伊藤惣助丸、和田耕作東中光雄の四委員で構成し、八月九日から十二日までの四日間の日程で、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査目的として、航空自衛隊第三航空団小牧基地)、名古屋営林局名古屋防衛施設局航空自衛隊第六航空団小松基地)、陸上自衛隊金沢駐とん地、石川行政監察局北陸郵政監察局北陸郵政局北陸電波監理局航空自衛隊第二三警戒群輪島レーダーサイト)、伏木海上保安部及び富山陸運事務所をそれぞれ視察調査いたしました。  調査内容の詳細につきましては、時間の関係上、口頭報告を省略し、委員長手元に提出いたしました報告書会議録に掲載されるよう、委員長においてお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。また、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。
  4. 前田正男

    前田委員長 次に野呂恭一君。
  5. 野呂恭一

    野呂委員 中国及び近畿地方国政調査の結果を御報告申し上げます。  派遣班は、野呂恭一加藤陽三鈴切康雄の三委員で構成し、八月九日から十一日までの三日間の日程で、行政機構並びにその運営自衛隊及び公務員制度実情調査目的として、人事院中国事務局中国管区行政監察局海上自衛隊呉地方総監部海上自衛隊江田島地区機関及び部隊呉防衛施設局大阪航空局並び川崎重工神戸工場をそれぞれ視察調査いたしました。  これら調査内容につきましては、時間の関係上、口頭による報告を省略し、委員長手元に提出いたしました報告書会議録に掲載されるよう、委員長においてお取り計らい願い、それによって御承知をいただきたいと存じます。また、各機関より受けました資料等は、当委員会調査室に保管してありますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 前田正男

    前田委員長 おはかりいたします。  派遣委員調査報告書は、これを会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――    〔報告書本号末尾に掲載〕      ――――◇―――――
  8. 前田正男

    前田委員長 国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤陽三君。
  9. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 去る九日、政府は第四次防衛力整備計画を御決定になったと承知いたします。たいへん当初の予定よりおくれられたようでございますが、御決定になったことに対して敬意を表するものでございます。  この問題について若干の御質疑をしたいと思うのでありますが、まず、私、政府の発表せられたものを読みまして、情勢判断につきましては大体同感できるものでございますが、まず防衛構想から質問を始めていきたいと思います。  その第一は、今度は第三次防衛力整備計画防衛構想を引き継いでおるわけでございますけれども日米安保条約に対する期待度というものは、第三次防衛力整備計画のときに考えておられたのと大体同じようにお考えになっておられるかどうか。その後、ニクソン・ドクトリンに基づきまして米軍撤退が続いておるわけでございますが、その辺をまず最初にお伺いしたいと思います。
  10. 増原恵吉

    増原国務大臣 四次防における日米安保条約に関する期待度――期待度ということばを使いますけれども、三次防におけるのと大体同様であるというふうに御理解をいただいてけっこうでございます。これは、このたびの情勢判断及び防衛構想の中に申し上げておりまするのが、そういう表現をいたしておるわけでございます。三次防における期待度と同様の期待を、安保条約に対しては期待いたしておるというわけでございます。
  11. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 たとえば、具体的にお伺いしたいと思うのですが、第七艦隊及び太平洋空軍そのものはあまり減っていないように思うのですが、地上部隊は明瞭に減っておるわけでございます。三次防の際でも、ある程度、有事の場合の地上部隊の応援ということも考えておったのではないかと思いますが、三次防のときに、数年前に考えておったのと同じような考え方でいいのであろうか。アメリカでは、御承知のとおりFDL構想というものもありまして、必要な兵器資材を船で運んで、人員飛行機で送って、ある地点で結合させて軍事行動に入るというような考えもありますけれども、少なくとも地上部隊についての考え方というものは違うんじゃなかろうかというふうな気がしてならないのであります。その点はいかがでございますか。
  12. 増原恵吉

    増原国務大臣 陸上の力に対する期待度は、仰せとおり、米軍アジア地域から順次撤退をしておるという状況でありまするから、具体的には三次防時におけるような期待はできないという、そういう事実上の変化というものはもちろん考慮に入れて、これは三次防時代におけるような期待はできないというふうに考えております。
  13. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 私もそうではないかと思うのでありますが、そういたしますと、今度の四次防でも防衛構想できめておられますが、「万一、侵略が発生した場合には、間接侵略および小規模の直接侵略に対してはわが国が独力で、それ以上の規模武力侵略に対しては米国の協力を得てこれを排除する」、こういうふうに防衛構想でおきめになっておるわけですね。この「間接侵略および小規模の直接侵略」というものの考え方は、三次防のときよりか広くなっているのか。えらい理屈ばった質問で恐縮なんですが、わが国が独力で対処をするという点についてお聞かせを願いたいと思います。
  14. 増原恵吉

    増原国務大臣 右の点、防衛局長から御説明いたさせます。
  15. 久保卓也

    久保説明員 防衛庁原案、昨年四月に発表しました場合の考え方からいたしますると、十年後の長期目標を設定しまして、その際、防衛能力ということを出しました。したがいまして、いまお話しの問題については、四次防原案の場合には、具体的なオペレーションリサーチもやった上での数字が出たわけでありますが、今回は一応三次防の延長ということでありますので、具体的な数字目標にして、小規模なものについて独力でやれるという数字を出したわけではございません。しかしながら、それでは必ずしも十分でありませんので、われわれの要求の中から、査定をされました減少した兵力でもってどういうことができるかということは、別途研究してみたいと思います。しかしながら、大ざっぱに申し上げまして、三次防当時に比べて、わが国周辺諸国能力というものは高まってはおりますけれども総体的には若干上回っているであろうというふうに見ております。具体的な数字はいずれ十分な検討をした後に御説明申し上げたいと思います。
  16. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 まあきょうはその辺でけっこうです。  その次にお伺いしたいのは、これは一般的に、今度の四次防が三次防の継続であるといいながら、予算が二倍以上にもなっている、どうしてこんなに予算規模がふくれるんだろうかということは、素朴な疑問として多くの人が抱いていると思うのです。この辺、三次防の継続でありながらこんなに予算がふくれるということについて、どういうふうにお考えでございますか。やむを得ないのかどうかということでございます。
  17. 増原恵吉

    増原国務大臣 この問題、計数的な問題の御説明がなされなければならないのでございます。経理局長から御説明をさせます。
  18. 小田村四郎

    ○小田村説明員 四次防の総経費見積もりにつきましては、一昨日の国防会議で御決定をいただいたのでございますけれども、こまかい分析につきましては、まだ決定早々でございまして、十分なことができておりません。ただ、御質問に十分お答えできるかどうかわかりませんが、若干の御説明をさせていただきますと、まず、三次防の経費見積もりは四十二年度の予算基礎にしてできております。それから四次防の今度の経費見積もりは、四十七年度の予算、これが基礎になっておるわけでございます。両者比較いたしますと、四十二年度の防衛費が約三千八百億円、四十七年度の予算が約八千億円、つまり二倍以上にそこで伸びておる。これは人件費物件費等上昇もございますし、内容的にも変化があるわけでございます。そこで、各初年度の経費基礎といたしまして伸び率を等比ではじいてみますと、三次防の場合は年率一〇・三%の伸び、それから今回の四次防の場合は約八・三%ということで、伸び率自体は低くなっておるにもかかわらず、基礎が大きいためにこの金額自体としては大きくなっておる、こういうことでございます。  この要因を考えてみますと、一つは、この五年間におきますところの人件費及び物件費上昇があげられるわけでございます。それから第二には沖繩の復帰という事実がございます。これに伴います経費の増ということが考えられるわけでございます。それから三つ目には、三次防期間中は航空機の減耗比較的少ない時代であった、四次防の期間中はこれがかなり大きくなるという事情がございます。  そういうようなことが考えられるわけでございますけれども、三次防の二兆三千四百億円と四次防の四兆六千三百億円を比較いたしますと、一・九八倍ということになっております。このうち、防衛本庁つまり基地対策あるいは基地借料等関係を含みます防衛施設庁関係を除きました純粋の防衛力整備という面から見ました防衛本庁経費比較いたしますと、一・九二倍になるわけでございます。この防衛本庁経費につきまして、三次防で計画いたしました人員に四十七年度の人件費積算いたしますと、約九千億円経費をプラスしなければならぬ。つまり、三次防の防衛本庁見積もり額約二兆二千億円が約三兆一千億円、こういうことに相なります。それと、四次防におきますところの防衛本庁経費見積もり四兆二千二百億円と比較いたしますと、一・三六倍、つまり三六%の伸び、こういうことでございます。この三六%の中には先ほど申し上げました物件費値上がりがございます。ただ、物件費がどれくらい上がっているかというととは、三次防の計画と四次防の計画内容が違いますので、厳密な比較ができないわけでございますが、五年間におきます値上がりがございます。さらに自衛隊沖繩配備に伴う装備あるいは人員等所要経費が含まれております。そういうものを考えますと、実質的な両者比較ということで考えれば、その増加率というものはきわめて少ないものではないか、かように考えられるわけでございますが、その積算はなかなかむずかしいので、大体の感じとしてはそういうところで私ども考えておる次第でございます。
  19. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いま大体のお考えはわかりました。ことしが八千億円ということを土台に考えれば、五カ年間で四兆円ですから、四兆六千億円、なるほどなという気もするのですけれども、やはり政府としては、国民に対してよく納得のいくような御説明をお考えいただきたいということを要望しておきまして、次の問題へ移ります。  次は、新聞で拝見しますと、国防会議議員懇談会田中総理が、平和時における防衛力限界と申しますか、そういうものについて検討するようにという御指示があったようでございます。前回の当委員会におきましても、私が増原長官防衛力限界についてお考えを伺ったわけでございますけれども、今度もそういうふうな御指示が出たこと自体は非常にけっこうなことだと思うのですが、私は、平和時の防衛力限界ということばがよくわからないのですが、いまは平和時ではないのでしょうか。どういう事態を考えて平和時の防衛力限界ということを打ち出されたのでしょうか。その点が私わからないのでお伺いしたいと思います。
  20. 増原恵吉

    増原国務大臣 平和時における防衛力限界総理が言われまして指示を受けたわけですが、これは現在の状態が私は平和時という総理のお考えと思います。いまのような状態相当期間続くという前提のもとに、この前ここで御質問があったときも、私ども、たとえば日米安保条約はこれを保持していく、あるいはいまのいわゆる緊張緩和状態が当分続くということ、その他の前提を置いて一応防衛力限界考え得ると思うので、その作業をいたしますというお答えをしたわけですが、そういう意味で、いまの平和時というのは、現在のようないわゆる緊張緩和状態が当分続くという前提限界考えてみよう、そういうことであると私ども了解いたして、そのつもりで、これはこの前ここで申し上げたことと同じことであると思います。そういう意味でこの限界をひとつ策定をしてみようということでございます。これは、申し上げましたように、いままではまだできておりません。年内にはそういうものをひとつ作案してみようというふうにいま考えているわけでございます。
  21. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その点は了解いたしました。私はやはり、平和時というのは、将来の極東の緊張緩和をし日米安保条約の問題もだいぶん変わった形になった場合を想定しての防衛力策定かと思ったのでありますけれども、いま長官のおっしゃるようなお考えなら了承できるわけでございます。  そういたしますと、長官、今度の四次防でも、漸進的に防衛力整備するというふうなことが三次防の引き続きとして書いてございますが、昭和三十二年にきめられました「国防基本方針」には、第三項に、「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する」と、こうあるわけですね。「国力国情に応じ」、非常にこれは広い意味ことばでございますが、「国情に応じ」というのはわかりますけれども、いまの平和時における防衛力限界をきめようという段階になりますと、国力に応じて防衛力を漸進的に整備していくというこの「国防基本方針」と少し抵触すると言ってはなんですが、変わってくるのじゃないかというような気がするのですが、その点はどうお考えになりますか。
  22. 増原恵吉

    増原国務大臣 「国力国情に応じ」と申しますることばは、当時考えられる「国力」というのは、やはり経済力というものが内容における相当大きいものと考えられておったと思います。それが現在は経済伸びGNPが大きく伸びた、これからも相当伸びていくということであるから、「国力国情に応じ」ということでは、たいへん大きく伸びていくのではないかという御心配が出てくる。そういうことから防衛力限界を示せという御要求も出てくると思います。したがいまして、「国力国情に応じ」という「基本方針」をここで変える、その「国力」というものを変えるという方向よりも、私はやはり、防衛力限界をお示しするとか、あるいは基本的にシビリアンコントロールが適切、活発に作用をしていくような方向考えるというふうなことがしかるべきことではないか。「国力」というものを全然取ってしまうというあれもいきませんし、これに形容詞をつけることもなかなか困難、これが私がいま考えておるあれでございます。そういう意味で「国力国情に応じ」ということで、私どもは、GNP比率はあくまでいまのままで保持してうんと大きい整備をやりたいというふうに、この「国防基本方針」をたてにとる気はないというふうに考えてまいりたい、こういうふうに思います。
  23. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 まあよく御検討いただきたいと思います。  その次に、少し大綱重要項目関係についてお伺いしたいと思います。まず最初装備のいろいろな調達考えられておるわけでございますが、問題はやはりいろんな装備稼働率なんですね。どれくらい稼働させるかということをまず考え装備調達をやるべきじゃないかと思うのです。四次防においては、三次防のときにおける、たとえば戦車とか飛行機とか艦艇というものの稼働と同じような稼働率考え装備調達をやっていらっしゃるかどうかということを、まずお伺いしたいと思います。
  24. 増原恵吉

    増原国務大臣 その点、防衛局長からお答えいたさせます。
  25. 久保卓也

    久保説明員 稼働率は、この計画内容のたとえば装備機材でありまするとか、そういったものが全体的に策定された後に計算できまするけれども、現在の段階では、大蔵省から正面装備数字などが策定された直後でありまするし、装備機材などの詳細な積算がまだできておりませんので、稼動率がどうなるかということは、いまちょっと計算できません。しかしながら、いずれそういったものができました場合に計算するわけでありますが、一般的に申しますると、三次防段階までは米側供与品あるいは古いものが相当残っておりますので、今回、減耗更新を中心にいたしまして計画を練っておりまするので、全般的に申せば稼動率相当向上するという見込みでおります。
  26. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これも私は大事な問題だと思うのですけれども、この次の議論に譲りたいと思いますが、稼動率の問題に関連いたしまして、この前から政府の一部で、いまの三次防ができてもあまり自衛隊は役に立たぬじゃないかというふうな議論があったやに私は聞いておるのです。これはやはり、後方補給の問題、弾薬とか燃料というふうなものとの関係での発言でもあったように思いますが、今回の四次防においては、弾薬とか燃料補給については三次防と同じように考えておられるか、あるいはどの程度変わった考え方を出しておられますか、お伺いいたします。
  27. 久保卓也

    久保説明員 燃料は三次防段階でも相当量確保しておりますので、この点は問題ないと思っております。弾薬は三次防から引き続いてやはり問題がありますが、この計画におきまする弾薬調達量が三万二千二百トンでありましたか、その間に射耗量がやはり三万二千トンばかりありますので、総体ではわずかに数百トン程度ふえるだけであります。したがいまして、期末におきまする備蓄は約六万二千八百トンであります。したがって、総体程度ではほとんどふえておりませんけれども、若干、機種の整理その他によりまして、同じ量でありましても幾らかでも持ちぐあいのよさということを向上しようとしております。それから機材関係につきましては、これは相当量、五十一年度までの必要量については大体調達できる見込みでおります。  弾薬一般につきましては、経費が非常に高くつくという関係もありまするし、それからまた所要量を全部満たす、平和時も満たして持っておることが適当であるかどうかという問題もございます。それからまた、弾薬はいかに重要であるからといって、急激にそういうものをふやすことが実際的であるかどうかという問題もありまするし、また四次防期間中における防衛力意味合いというものが何であるか、そういった議論もございましょう。つまり、いつ何どきでも有事即応体制に置くべきであろうか。あるいは、いまのような比較的平和の見通しのあるときには、要員の訓練、そういったところに一定の経費のワクの中で重点を置くべきじゃないかといったような問題もあります。したがいまして、そういうことを総合的に考えました場合に、一応、ベストではございませんけれども四次防の中では従来の備蓄量をほぼ満たしながら、ただその中身の改善をしていく、そして弾薬備蓄についてはまた今後の整備計画の中で検討してまいる、そういう方針に立っております。
  28. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 結局、この弾薬ミサイル燃料等備蓄考え方は、防衛根本思想なんですね。やはり平和時における防衛力の建設ということになると、弾薬というものはどれぐらい持ったらいいのか。まあ有事即応ということになったら別でしょうけれども、この辺はやはり政府部内において割り切って、こういう考え方弾薬ミサイル燃料備蓄はやるんだという方針は、はっきりおきめになることがぜひ必要だと私は思うわけであります。まあ、いまのお話を聞き、考えは大体はわかりました。  その次にお伺いしたいことは、大綱の中で「次の諸点に留意する」として、二に「陸・海・空自衛隊有機的協力体制を進め、三自衛隊総合的運用効果を高めるよう配慮する」。これは私は非常な大事なことだと思うのです。これは、今度の主要項目決定の中には、この配慮はあらわれておるのですかどうですか、お尋ねをいたします。
  29. 久保卓也

    久保説明員 その文言は、三次防の大綱の中で実は私自身が取り入れて書いたわけでありますが、四次防に引き続きそれを採用いたしております。これは、具体的な装備の量というよりも、同じ装備整備する場合に、そういう精神でもってやっていかなければいけない。まさに大綱あるいは方針そのものを強調する意味で取り上げたわけでありまして、それに対応する装備が具体的に必ずしも出てまいりません。特に主要項目中身に取り上げるものとしては出てまいりません。しかしながら、いまの四次防の中でそれに該当するもの、そういうような方向で該当するものとして取り上げてみれば、以下申し上げるようなものであります。  もちろん、いまの方針に基づいて行なわれるべきことは、私がいまから申し上げるもののみに限らず、全般を通じてそういう精神でやるべきであろうということでありますが、具体的な項目として申し上げれば、たとえば統合骨幹通信網整備する。これは、陸、海、空の通信系を別々にしないで、一応、骨幹通信については陸、海、空が共同に使用するというような方向で漸次整備してまいりたいということであります。それから気象中枢、これにつきましても、陸、海、空とばらばらにやっておりましたのでは不経済でありまするし、十分の効果があがりません。一定の経費の中で効率をあげるためには、統合気象中枢というのを航空自衛隊の中に置きまして、府中になろうと思いますけれども、その末端施設を海、陸の航空部隊、もちろん航空自衛隊部隊の末端にまでそれを継いで、そして中枢におきましてはコンピューターを取り入れまして、気象の解析、予報、そういったものも行なってまいりたい。それから統合訓練を充実してまいるという問題もあります。それから救難体制。これも従来統合救難体制をとっておりまするけれども、その中身を充実する意味で、陸、海、空にそれぞれバートルあるいはMU2といったような航空機を整備してまいろう。それから輸送体制関係では、これはやはり、同じ輸送機でありましても、陸、海、空がそれぞれの必要に応じて使えるわけでありますが、航空自衛隊における輸送機、あるいは海上自衛隊におけるきわめて小さな輸送艇をやめまして、二千トン、千五百トンクラスの輸送艦を整備しよう。これでもって陸、海、空の共同演習、共同運用というものを高めてまいりたいといったようなところが装備としては目立つところであろうと思います。
  30. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それから次に、これは新聞でずいぶん書かれておりましたのでちょっとお伺いするのですが、T2とFST2改、これの調達を国産にするかあるいは輸入にするかということで、政府部内でたいへん御議論があったようでありますが、結局、国産にきまった。これは長官、どういういきさつでございましょうか。
  31. 増原恵吉

    増原国務大臣 防衛庁といたしましては、このたびT2の関連は、相当以前からの研究開発の結果、T2という高等練習機をつくりまして、これがだんだん固まる段階において、近い将来になくなりまするF86を使っておる支援戦闘機の代替も、このT2の型で支援戦闘機をつくることが適当であるということになりまして、T2は明瞭にこれを定め、予算にも計上をして御審議を願ったという段階になり、FST2改としての支援戦闘機のほうも、防衛庁としては国産のT2改でいくような考え方で進んでまいりました。来年度の予算としてはそういう形で要望をしておるという段階でございまするが、このたび御承知のように、日本における円対策がたいへん重要な問題として取り上げられるに至り、せんだって大蔵大臣がIMFの会議に行かれまして帰ってからの御報告でも、円対策というものをよほど具体的にしっかりやらなければいけないというふうに感じてきたという御報告があったわけでございます。そういうことで防衛庁としても、円対策に協力できる、いわば日本のドル減らしに寄与できるようなことを考えてくれということで、現在考えておりまする予算形成の中でそういうものを綿密に洗いまして、いわゆる円対策というか、ドル対策に協力するための輸入というものを洗い直して、輸入できるものをふやしていくということをやったわけでございます。これが、このT2問題の四次防策定における最後の段階で、T2あるいはT2改を含めてこの面でいわゆる円対策としての考慮をやってくれという要望が、防衛庁と大蔵省の間の折衝で大蔵省側から強く出されたということでございます。  私のほうも、この要望は、防衛庁の防衛目的達成のために忍び得ることであるならば、やはり協力いたさなければならぬというたてまえで、部内としてはたいへん困ったことではありまするが、一案を練りまして、練習機のほう、これは二十機はすでに四十七年度予算に計上され、目下凍結をされておるのでございますが、そういう状況でもあるので、二十機の練習機はこれを購入をする。これは高段階の練習機として使用をして、残りの練習機はこれを輸入をする。そうしてあと支援戦闘機はやはり国産のFST2改でまいりたいという案をつくり、これをもって大蔵省と折衝をいたしたのでありますが、前にも話をしておったのを、実質三日間ばかりにわたりまして熱心な精力的な折衝をしましたが、両者意見一致を見ないということになりまして、最後に国防会議懇談会及び国防会議において審議をされ、やはり支援戦闘機を輸入にすることは防衛庁の見地としてとるべきではあるまいということで、支援戦闘機及び練習機――初めから練習機については、予算にもう計上されたという形で完全にスタートを切っておるからというので、これは大蔵省側も国産だというふうな意見でありましたので、そういうこともありまして、この相当長いむずかしい協議の結果、国防会議において両者とも国産にしよう。これは、防衛目的と円対策というものを両者考え合わした末の決定をしてもらった、こういう経緯でございます。
  32. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは、私の質問、ちょっと中断いたします。
  33. 前田正男

    前田委員長 この際、文民統制強化のための措置等に関して、内閣官房長官から報告を求めます。二階堂官房長官
  34. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 ただいま内閣委員長から御指示がありました件につきまして、御報告を申し上げます。  その一つは、本年二月二十五日の衆議院議長あっせんの第三項、第四項に従いまして、政府は、十月九日の国防会議で文民統制強化のための措置を決定し、引き続き閣議決定をいたしましたので、その概要を御報告申し上げます。  第二、政府は二つの措置をとることにいたしました。第一に、国防会議の構成員を増加することとし、従来、慣例に従って出席されておりました通商産業大臣、科学技術庁長官内閣官房長官に加えて、国家公安委員長国防会議の議員とすることとし、その必要な法改正を行なうことといたしました。  第三は、その第二でありますが、内閣総理大臣は、今後、防衛予算の編成等に際して、次の事項を防衛庁設置法第六十二条第二項第五号の重要事項として国防会議にはかることといたしました。一つは自衛隊法の改正を要する部隊の組織、編成の変更であります。二つには自衛官の定数の変更であります。三つには戦車、主要ミサイル兵器、作戦用航空機、護衛艦、潜水艦等の主要な装備の新型式のものについての種類及び数量。  以上のことを決定をいたしましたことを御報告申し上げます。
  35. 前田正男

    前田委員長 これにて報告は終わりました。引き続き質疑を続行いたします。大出俊君。
  36. 大出俊

    ○大出委員 官房長官に御出席をお願いをいたしまして、お忙しい中を出ていただきましたけれども、大きな問題を二、三承っておきたいのです。  一つは、いま相模原の総合補給廠で、輸送されずに現在置かれております戦車並びに兵員輸送車等々の車両の問題、あるいはまた修理機能の問題等につきまして、政府から官房長官名で、善処する、あるいは努力するという趣旨の前向きの回答はいただいておりますが、ただ、それだけでは事態がなかなか進展をいたしませんから、もう一つ御努力をいただいて、何とかこれを混乱を避けて話し合いの方向へという気持ちがございました。これが一点であります。二点目は、いま御報告をいただきました、文民統制とはたして言えるかどうかという気が私はするのでありますけれども国防会議の構成員をふやしたという点につきまして、二、三疑義がございます。ここらの問題。できればT2の問題につきまして、輸入ということで官房からのアクションがあったわけでありますが、時間があればこの点について質問を申し上げたいのであります。  まず第一の戦車の問題でございますが、経緯は申し上げません。新聞等の発表いたしておりますところによりますと、大使館あるいは米軍、いずれになるのかわかりませんけれどもアメリカ側とのやりとりが幾つかなければならぬと思える節がある。それはどういうことかといいますと、B52の先例等もあって、B52が沖繩に飛来をした。このときに、政府、内閣、当時は竹下官房長官でございましたが、あるいは外務省等が対米折衝を何回かおやりになって、そして口頭の話し合いあるいは了解という形が出てきている。エンジントラブルであるとか、あるいは台風避難であるとかいうことに限られるという形で話が進んだわけであります。これはたいへんな政府側の努力であったと評価をいたしますが、似たようなケースで、これはおそらく共同通信がお流しになったのではないかと思うのでありますが、神奈川新聞等を見ますと、ベトナムに送らないというふうな問題をめぐって、政府は対米折衝の中で何らかの口約束、口頭における約束を取りつけたい、こういうことが政府の意思であるというふうにここに明らかになっているのであります。おそらく新聞がこういうふうに伝える限りは、外務省あるいは官房を中心にされて、何かやはりそういう形のものがあったのではないかというふうに思うのであります。  もう一つは、二年以内に修理機能の縮小あるいは停止という問題でございます。これは閣議了解のはずでありますが、これについても、四十八年の三月ですか、四十九年の八月ですか、こういうふうなことまで書いてあるのもありますけれども、これはやはり何らかの心証を得ているという意味の新聞報道がある。そこで、横浜市長並びに相模原市長の出しました文書に基づく質問に対しまして、官房長官名で回答が出ております。この中身は、例の外務大臣の統一見解と閣議了解あるいは官房長官談話というものに対する関係を聞いているのでありますけれども、閣議決定はごうも変わらない。そして閣議後の官房長官の発表も、これは政府の意思なんだということを明らかにされて、大平外務大臣の、質問に対する条約解釈という意味の答えは、たまたま質問があったからこれは条約の解釈論として答えたのであって、そのことは閣議決定とはおのずから別個であるという、そういう趣旨の回答をいただいているのであります。  そこで、いま一番の問題点は、新聞報道に見られる機能停止あるいは縮小、この問題について心証を得ておられるとすれば、一歩突っ込んでその間の経過というのをやはりここで少し明らかにしていただきたい。これは市民感情というものが非常に強くございますから、その点が一つであります。  それからもう一つは、私がすでに申し上げました、新聞報道に基づく、ベトナムに送らない、この問題の努力過程につきまして、対大使館あるいは対米軍、どういうかっこうになっているかわかりませんが、そこらと折衝がなければならぬと思うのでありますけれどもつまりそういう政府の前向きの努力の過程を、やはりここでつまびらかにしていただきたい。これが横浜市長、相模原市長が代表する沿道七市町村の住民感情だろうと思うのであります。そこらにつきまして、官房長官のほうでひとつできるだけ前向きに現在の実情をお示しをいただきたいのであります。
  37. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 大出さんのいま御質問になりました戦車あるいは兵員車輸送の問題は、もう長い間の問題でありますし、また、関係しておられます大出さんをはじめとして、横浜の市長、相模原の市長さん、また私ども、こういう事態がいつまでも続いて市民の間に好ましからぬいろいろな感情の対立が出てきたり、あるいは不測の事態が出てくるということは好ましいことでございません。  したがいまして、今日までいろんな角度から御協力願っておりますことは多といたしますが、私ども政府の立場といたしましても、この戦車輸送等の問題に関しましては、両市長のほうからもいろんな抗議もありましたし、あるいは申し入れもございました。そこで、私どもは、九月の十二日でございましたか、相模総合補給廠における戦車修理機能についてはその縮小ないし停止を検討する、ということを閣議了解事項として申し上げました。そのことは通知を申し上げたのでございますが、これは私はやはり、安保条約のたてまえ上、いろんな協定上、こういうものの施設は当然義務として履行しなきゃならないことはよくわかりますが、先ほど申し上げたとおり、やはり好ましからぬ市民感情というものが出てくるということはよくないので、そういうこと等から考えまして、単にそういうことはそれとしても、政治的にも、私は外務省を通じて米軍当局と前向きで話をすべきだということを考えておりますので、そのことは外務省当局を通じまして、あるいは次官、あるいは大臣にもお話をいたしまして、鋭意前向きで検討してまいりたい。そういうことは、やはり安保条約のたてまえ上も、国民の協力を求めていかなきゃならない問題でありますから。ですから、そういうたてまえから申しますと、やはり前向きでそういうことはひとつ検討すべきだということで、閣議了解事項のあとでも、私の見解としてそういう話は申し上げたのでございますが、そのことは閣議了解事項とはなっておりません。私はそのあとで、こういうこともあわせて前向きで検討いたしますということを申し上げ、なおこのことは新聞記者会見においても申し上げましょう、ということを申し上げておいたのでありますが、このこととうらはらになって、委員会において、安保条約上の法律論、条約論のたてまえから御質問があって、それに対して外務大臣が、安保条約のたてまえからいって矛盾しないのだということを申し上げましたが、これはあくまでも純然たる条約上の見解でありまして、しかし、それを越えて政治的に、先ほど申し上げました、前向きでやはりこういうものは検討すべきじゃないかというたてまえは、私も、先ほど申し上げましたとおり、閣議で正式でありませんが、閣議了解事項をとりつけたあとで、私は記者会見において申し上げておるのでありまして、私ども考えておりますことは、条約上のそういう見解が明らかになったとしても、政治的にこういう問題はもっと前向きで取り組むべきだという考え方には、決して変わっておりません。これははっきり申し上げておきます。  その後、両市長のほうからも、先日、私の手元に、「米軍戦闘車両の輸送について」という要望書も来ております。その中にもそういうことは書いてございますが、これについては、あらためて私のほうから、別に文書でもって回答しろとは書いてございませんが、私はそういう前向きの姿勢で今日までやっておりますから、そのことを文書でもって私は御回答いたしたいと思いますが、ここで申し上げておきたいことは、私は、要望書をもらったその前日でありますが、外務省の法眼次官も呼びまして、こういうことがいろいろまだ問題が残っておって、当局に立っておる人がいろんな苦労をしておられるから、また私の申し上げた、閣議了解事項以外の、政治的に前向きで検討するということもあるから、やっぱり引き続いてやっておるか、またやってもらいたいということを、今週の月曜日にも次官を呼びまして、ちゃんと申し上げてあります。これは、法眼次官を私も呼んだのですから、申し入れておりますし、そのとおり私ども米軍当局に、外務省といたしましても折衝を続けていきますということでありました。  また私は、さらに昨日も、外務大臣が十五日からアメリカに行かれるということでございましたから、私は空港に出向きまして、この問題についてさらに、いろんな条約上の責任を果たさなきゃならぬということは政府としてもよくわかるが、こういう市民感情もありますし、このことについては特に外務大臣からも、アメリカの国務省なりしかるべきところに、こういう要望もあるし、これについては前向きでと、こういうことを私も言っておりますから、善処してもらいたいのだということは、外務大臣にも昨日私は空港でお話を申し上げておる。  私も、その条約上のたてまえはどうあろうとも、これは政府としては政府の立場もありますから、そういうことは申し上げても、やはりこれは、先ほどから繰り返し申し上げておりまするとおり、いろんな方々、特に、横浜とかあるいは相模原とかいうところの関係当局者の、それは市民の間にいろいろな問題が起こると心配されることはわかりますから、そういうことを十分踏まえて、なおかつ今後も政治的にも、こういう問題は外務省を通じて引き続きそういうつもりで折衝を重ねてもらうように努力をいたしたいと私は思っております。  まあ、いろいろなことでいろいろ御議論がありましょうけれども政府としてはそういう立場を繰り返し申し上げて、いろいろなことをしておるということを、この委員会で大出さんに明確に申し上げておきたいと思います。
  38. 大出俊

    ○大出委員 たいへん前向きな御答弁をいただきましてありがたいわけでありますが、私も実は陰ながらいろいろ外務省と連絡もとったりいたしてはおりますけれども、法眼次官を月曜日に官房長官がお呼びになって、外務省は、ああいう政府の姿勢を示したのだからそのとおりやっておるか、かつまたやれと、こういう指示をしているということについて、これはいま初めて聞くわけでございます。さらにまた、飛行場まで官房長官が出向いて、その場所でも外務大臣に、これは昨日というお話でございますが、今後もこのことは政府の政治姿勢としてやっていくのだから、そういう意味で、この問題はアメリカ側にも、そういう国民感情もあるので協力してもらいたい、こういうことを外務大臣からもはっきり申し上げてくれと、こういう話をしているということ、これまた実は初めて承るわけでございます。  ただ、私はたいへん残念に思っておりますのは、いまここの手元にありますものをながめても、LST117、三百トン、これは排水量でございますが、これが九月末にノースピアに入ってきております。そして九月の十七日に南ベトナムのニューポートから入港した。これは船でありますが、こういうふうなものがあったり、あるいはLST629というものがございますが、これは十月二日に入ってきているのでございます。これは九月二十八日に英語読みならクィニオン、フランス読みならキニョンになるのでしょうけれども、ここから入ってきているわけでございます。さらにゴッハーステートという船が九月三十日に入ってまいりまして、これは九月二十二日にニューオリンズから入ってきた船でありますが、いずれも積み荷その他の中身の予想からいいますとベトナムに直送する、こういう船なんですね。だから、ここで輸送が再開すれば、船が待っているわけでありますから、それでいきなり南ベトナムに持っていってしまうんだろうという市民感情があるのは当然なんです。M113にしても、M48にしても、あるいはM548にしても、市民の皆さんはわからぬわけですから、そう明確に区別ができない。船が着いている、四はいも来ている、それがいずれもニューポート、ダナンに行く船である。新聞がそう書く。そうするとこれは、いま輸送が再開をすればそこへ行ってしまうんではないかということが、みんなの頭にある。  そこでもう一つは、日本政府が善処する、努力するというふうに考えて、政治姿勢をお示しになった。それを市民もそういうように受け取っておる。だが、そこから先、相手方に対して、大使館なりあるいはアメリカ側に対して政府の側はこういうことをやったのだ、こう言ったのだという実証が表に一つも出ないのですね。ただ逆なことだけ出てくる。インガソル大使がせっかく話をまとめようと思って、苦心惨たんしている諸君がある中に、ほかに外務省の法眼次官とかがいる。そして何とか早く協力してくれとやっている。そうすると、新聞に出るのは協力を約したというのが出る。そうすると、せっかく政府が前向きで、できる限り何とか市民感情、国民感情を踏まえて好ましい方向に持っていきたい、こう考えておってもこわれてしまう。これはまことに残念なんですね。向こうから来たやつだけが新聞に出る。そして皆さんのほうで協力してくれという。いま官房長官がおっしゃるようなことは何も載らない。こういうことになっているところに、どうしても市民感情のおさまらぬものが今日ある、こういうわけです。  だから私も、外務省があり、大使館があり、米軍がある。たとえばM48戦車が五台Uターンをするについても、それは外務省の皆さんがずいぶん苦労して大使館にものを言っている。アメリカ大使館が軍にものを言っている。軍がいろいろな相談をしてこの回答が返ってくる。大使館の回答の中に、何しろ巨大な米軍でございますからそう簡単に結論が出ませんで、というようなことが延々と続く。そういう隔靴掻痒の感のあるやりとりは知っている。苦労されていることも知っている。だがそれにしても、やはり政府側が努力をしたことが形になってあらわれてくれないと、いまの世の中、なかなか市民、国民は納得しない。特に沿道七市町村の諸君が納得しない。こういうわけでございまして、ぜひそこのところは、形にあらわれるようなものを表に出していただいて、かくて政府は努力をしたが、しかし、なかなか相手があって、これで納得するということで全部が全部そううまくいくとは限らない、そこのところは理解し得るのです。ただ、言ったことがやらないんではないかという、それが一番先に出てしまうところに、ものごとがすなおに通じない。まことに私は残念だと思っているわけですが……。だから、その衝に当たる相模原の市長にしても、横浜の市長にしても、心中どう考えておろうと、そういった市民感情に、市長である限りはやはり受け答えせざるを得ない、こういう立場になっている。それを何とか前に進めるためには、政府の努力というものを表に出していただく、これを私はやっていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  39. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま大出さんのおっしゃることは、私もよくわかります。私どもがやっていることがもう一々新聞に大きく出してくだされば、なるほど政府もやっている、二階堂もやっているなと、こう御理解をいただけるかもしれませんが、なかなかそれにしても、いまおっしゃるような具体的な例というのは、私もそこまでいろいろ調べているわけではありませんが、お聞きしておるわけであります。だから、そういうこともありますから、重ねて私もアクションを示せということです。そうでなければ、アクションがないから戦車がベトナムに行くということばかり出てくると、市民感情を刺激する、やりにくい、こういうことはよくわかるのです。だからこの戦車の問題はむずかしい。  条約論から言いますと、米軍が持っている車、戦車に対して、この車は、この戦車はどこへ行け、ここへ行っちゃならぬということまで言えるという権限はないようであります。私も条約論はよくわかりませんが、ないようであります。しかしそれにしても、いまおっしゃるようなことで、現に戦車が国内にあって、あるところにあって、それが修理をされる、それがまたベトナムに行くということになりますと、市民としては、何で行くのかと、こういうことにならざるを得ないと思いますが、私もそういう事実は詳しくはありませんが、多少聞いております。そういうこともありまして、きょうも申し上げたとおり、外務大臣にも、そういうことがありますからということを申し上げたその上で、外務大臣にそのことをお願いしておるわけでございますが、しかし、なかなか相手のあることでありますし、安保条約というきびしい条約の規定、政府が負わされている義務というものもありますので、なかなか私どもの立場も非常にむずかしいことはひとつ御理解を願いたいと思いますが、しかし、それにしても、おっしゃるとおりのことがいつまでも続くと、問題はベトナム戦争が済んじゃうのが一番いいことですけれども、済むように、日本政府も、またアメリカ当局もいろいろやっておると思いますが、これがなくなると、そんな問題はなくなるのです。一番手っとり早い解消の方法だと思いますが、これまた、私どもがとやかく言っても、なかなかこのような状態でありますことは御承知のとおりでありますが、いまおっしゃったようなことは、私もいろいろ心配をしておることでもございますから、なおそういうことをひとつ頭に入れて、今後、大出さんのおっしゃるとおり、何かアクションを出さなければ市民は納得しないんだ。一方においては条約のたてまえもございますから、政府の立場もわからぬでもないが何かそういうものをひとつ示せと、こういうことは私もよくわかりますから、そういうことをよくきょうはさらに頭に入れて、今後もひとつ外務省を通じてお願いをいたします。それ以上ここで、私があなたにそうしますと言っても、相手のあることでありますし、アメリカの軍があることでもありますし、安保条約のたてまえもありますから、私も力は及びませんけれども、十分そういうことも踏まえて今後ともさらに努力いたしますということだけを申し上げておきたいと思います。
  40. 大出俊

    ○大出委員 いまの件でもう一点だけ簡単につけ加えておきますが、市民感情の最たるものは、直接支援基地にしたくない、修理、補給、輸送という形の直接的な基地であってはならないということ。これはかって四十一年でございましたが、椎名さんが外務大臣のときに、国際法の解釈その他を言って、そういうことが事実行なわれているという意味では日本はベトナム戦争に対して中立ではない、だから国際法の原則からいけば、論理的には攻撃をされることもあり得る、こう答えたこともありますが、別な意味も含めまして、市民感情というのは、直接支援基地であってはならない、この気持ちが強い。だから、ともかく国内世論、基地問題、いろいろお聞きになっているわけですから、アメリカの皆さんだって、日本の国内世論を政治的に考えれば、何も無理をしてベトナムに持っていかなくたって、グアムだって米国の領土なんだから、向こうへ持っていったっていいじゃないかという気持ちがある。これは私どもそう言われたときに、これは無理だよとは言えない。安保条約、地位協定があっても、そこのところをお考えいただいて、政府はそういう努力をしている、言ったのだからやっている、それが表に出してもらいたい中心点でございます。  もう一つ、南ベトナム援助計画というのが米軍にあるのは私も知っている。そうすると、相模原に一個師団になんなんとする戦車があったり、何百台のM113やその他の輸送車があるという現実。おくれているのだから手当てをしたいというふうに米軍考えられたこともわからなくはない。政府は、全体として結果から見れば、努力の結果は、大多数はほかに行っているじゃないか、落ちこぼれがベトナムに行ったのじゃないかということを言いたいという気持ちもあるかもしれない。だがしかし、それにもかかわらずまず努力をしてもらう。アクションとおっしゃいましたが、そうでないとその政府の努力がのみ込めない。だから、これはどうしてもひとつ表に出していただいて、そのことの上に立って相模原、横浜両市とお話を願い、かつ、さっき要望書に対して回答するとおっしゃいましたと思いますが、これはどうなさいますか。ぜひそこのところははっきりしていただいて努力をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  41. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま、先ほどからおっしゃることはよくわかりますと申し上げておるわけでございますが、いろいろ問題がありますので、努力はいたします。  それから、要望書は要望書でございますので、私は、いま申し上げたようなことも含めて、これは回答いたしたいと思っております。文書でもって回答いたしたいと思います。別に文書でもって回答は要らぬということですけれども、私の誠意が許しませんから、私は、私の意のあるところ、誠意だけはひとつおくみとり願いたいと思います。日本の政府の立場もありますから、何でもかんでも政府のやっていることはけしからぬ、けしからぬじゃ、政府の立場もこういうことはあるということは、大出さんのような聡明な方は、やはり自分の選挙区や市民の方にも伝えてもらわなければ、何でも私どもが悪い悪いということでは、どうもやはりなかなか困ることばかりでございますから、そういうことがないようにひとつ御協力を願いたいと思う。私はお願いをこの際申し上げておきます。
  42. 大出俊

    ○大出委員 努力すると繰り返しおっしゃっているのに悪いと言えた義理じゃないが、私は悪いと一言も言っていないのでありますから、そこのところは御理解いただきたいと思います。アクションをお出しいただければ話し合いの筋道ができるだろうと、そう申し上げておるわけであります。  そこで、もう一点だけ伺っておきたいと思いますが、先ほど御報告をいただきました国防会議のメンバーの追加を四閣僚なさったのでありますけれども、これはいずれもどうも解せないわけでありまして、この中に、中曽根さんがいまやっておられるのだろうと思うのでありますが、これは科学技術庁長官、原子力委員長、あるいは宇宙開発委員長を兼ねておられる方だ。まして中曽根さんという名がなお悪いのですね。アメリカに行って濃縮ウランの買い取りから始まって、アメリカに行く前、八日の日にこの席上で、例の核拡散防止条約をめぐりまして質問が同僚委員から出ました。将来安保条約がなくなったら核の問題はどうするのだ、フリーハンドで行く、こういうわけですね。国家至高の利害に関係する場合にはこの条約から離脱することができるという立場に立って、そうなればフリーハンドで行くというようなことをおっしゃる。行って、新聞記事を見ると、濃縮ウランの技術提携なんということが出てくるというふうなことまであって、平和利用をたてまえとする原子力委員会委員長、あるいは原子力基本法、あるいは宇宙開発、こういう形の方々が国防会議に入っていくということは、学術会議のみならず、私どももこれは賛成できない。通産大臣という形になると、これはどうもそうでなくたって、T2の問題はあとからこまかく質問いたしますが、どうも産、軍、政の癒着ではないか、防衛産業サイドから圧力がかかっていたのじゃないかというような社説まで毎日新聞等に載っている。そういう、そちら側の肩を持たざるを得ない通産大臣が入っていって、はたして文民統制という名前に値するかという問題が出てくる。  それからもう一つは、国家公安委員長を入れようとする。この国家公安委員長も、また防衛庁にこれはあとから承りたいのでありますが、治安対策という意味での軽戦車を四次防で研究して、五次防に相当数何とかしようなどと考えている時期でございますから、そういう時期に国家公安委員長などを入れるということは、どうも治安対策ということが焦点になっていく。そうなると、これまたいずれ文民統制を強化するなどという筋道に進む筋合いではない。何としてもこの点は私ども賛成できがたいので、そこらの点について、どういうことをおやりになるつもりなのか。  特に最後につけ加えるわけでございますが、中曽根さんは、必ずしも科学技術庁のやっていることは平和的な問題だけではない――つまり、そうなれば軍事的な問題があるということになる。穏やかならぬ発言であります。あわててあとから取り消して言い直してみたり、忙しいわけでありますが、そういうことでは、やはりこれは言いわけとして、四次防をぽっときめてやるアピアランスとしてお出しになったのではないかという気がするけれども、言いわけとしてまことにまずい演出ではないかと私は思うのでありますが、そこらの真意はいかがでございますか。
  43. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いろいろ新聞等で見まして、私もここへ引き出されると、このことがまた質問になるのではないかと思っておりましたが、案の定あなたから質問がございましたが、これは従来の国防会議ですか、これにオブザーバーとして出ておられたことも一つの理由であります。私も竹下官房長官もずっと出ておった。正式のメンバーになっていない、こういうことで、今度は正式のメンバーに、これは法律の改正が要ることでしょうが、加えていただくことになりました。その中に、中曽根通産大臣が科学技術庁長官としてけしからぬとか、あるいはある人は木村国家公安委員長がけしからぬとか、名前をあげての反対でありますが、本人と中に入った職責との関係は別でございまして、これは肩書き……(「やめてもらおうじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、私はまじめに申し上げておるのですが、私はいろいろ言われてもなかなか、さてこれはどういうふうに説明したらいいかと考えておったわけですが、いま突如として言われまして、答弁に困っているわけでもございませんが、率直に申し上げますが、従来オブザーバーとして出ておった方々を今度は加えたわけです。ところが、中曽根さんの考え方は間違っておるとかどうとかおっしゃいますけれども、中曽根さんを考えて、わざわざ皆さんがおっしゃるようなことをひとつ尽くしてもらおうと思って国防会議のメンバーに加えたわけじゃございません。私も科学技術庁長官をいたしておりましたが、原子力の開発なんというのは、平和、民主、公開、こういう原子力基本法にのっとってやらなければならぬことは法のたてまえでございますから、あくまでも平和利用でございます。そういうたてまえで、中曽根長官も、今後文民統制も強化しようということがしきりにいわれておるときでございますから、私は何も、いままで言われておることをさらに考えを強くしてこの国防会議に意見を述べようということではないと思います。取り消しておられると言われましたが、そういう意見がほんとうの正しい考え方であるとかたく信じておりますが、この議長はやはり内閣総理大臣でございますから、内閣総理大臣は、もうそういうことは絶対にやらないという考え方を明らかにしておられますから、この議長のもとに、また私もその中に入っておる以上、私はいまおっしゃるようなことは毛頭考えておりませんし、また文民統制のやかましいときでございますから、その趣旨、その意見を十分踏まえて今後やはりこの防衛という問題については取り組まなければいかぬと思っておりますが、その中にあって、科学技術庁長官考え方がどうであるとか、木村国家公安委員長考え方がどうであるとかということをいろいろかみ合わせて言われることは、私には理解できないのであります。これは御意見は御意見として十分承って、今後ひとつ、きめたことでありますから御承認をいただきまして、そういうことがないようにするということがいわゆる文民統制の実をあげるゆえんではないかと思いますから、いろいろ議論はございましょうが、しかし、そのことはそのこととして、私どもは、この防衛問題というものは、文民統制、昨年の予算委員会のときもずいぶん問題になりましたが、私は頭のすみのすみまでこれは入っておりますから、そういうことを踏まえて真剣にまじめにこの問題に今後ともひとつ取り組んでまいりたい、こういう考えであります。
  44. 大出俊

    ○大出委員 これでやめますが、中曽根さんの名前をあげたり――私は木村さんの名前はあげませんが、官房長官があげるからあげさせていただきますが、あげざるを得ぬですよ、よけいなことを言うから。黙っているなら制度論だけでいい。ところが現職の方が言う。ここに書いてある。「科学技術庁がかかわる仕事のすべてが平和目的とは限らない」。平和目的で科学技術庁はやっているはずでありまして、委員会もそういう方向で確認をして進んでいる。あわててこれを言い直した。言い直したが、またつけ加えてあとが悪い。「従来、自衛隊は、ともすれば失業救済対策的なマン・パワーに頼ってきたが」――これは自衛隊が失業対策ですか。中曽根さんがいないところだからしょうがないが、官房長官政府の大番頭がいるから聞きたいが、「従来、自衛隊は、ともすれば失業対策的マン・パワーに頼ってきた、」失業対策的に自衛隊員を雇ってきて、そのマン・パワーにたよってきた。だけれども、「これを改めて自衛隊の近代化をはかる上からも、科学技術庁長官国防会議にはいることは意味があるのではないか」、こう言われた。やれミサイルだとか、短SAMだとか、一ぱいつくっているのですから。もちろん科学技術庁は宇宙開発やいろいろなものをやっていますけれども、失業対策ではうまくない、人だけじゃまずい。どうもそうなってくると、自衛隊は失業対策で、そこらふらふらしている人をみんな集めてくることになる。昔は上野の地下道から連れてきて困った、というような前科があるからそういうことを言うわけですけれども、しかし言っている意図の中には、非常に危険な要素がある。平和利用との関係で軍事利用に協力したらかなわぬです。  それから木村さんも木村さんです。まことにけしからぬことばかり言っているんですが、大体国家公安委員長というのは二級品だから、おれは付録で建設大臣をつけてもらったなどということを言い出したり、社会党や共産党まで取っつかまえて、天下の公党を三派の学生諸君と一つも変わらぬなんということを言い出すわけですから、そうなるとこれはあぶなくてしょうがない。治安対策というものが優先をするという考え方が出てくるようでは困る。だからこういうものは撤回を願いたいというのがわが党の考え方です。だから、おきめになったというが、法律改正が出てくるのですから、法律改正をしようとして通らぬ以前にあっさりこれは問題が起こって、学術会議その他からもいろいろな文句がついているわけです。私は、この席に木村さんいらっしゃったら、おやめいただきたいと実は言いたいのです。かってなことばかり言い回ってどうにもならぬ。相模原に集まっている連中なんというのはやじ馬が三分の二だなんと言う、行ったこともないくせに。そういう方には私はやめてもらいたい。  その方々が、いまやっている国家公安委員長であり科学技術庁長官だから、名前がここに出たわけでありまして、制度論からいっても賛成できがたいので撤回を願いたいというのが私の考えです。長官がお口にお出しになったから、念のために申し上げます。
  45. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 撤回を願いたいということでございますが、私どもは、こういうことで国防会議できめたことでございますから、いま私は撤回をするなどということは考えておりません。いずれ法律改正のときには、またいろいろ御議論があろうと思いますが、自衛隊に関する中曽根通産大臣の御発言とか木村長官の御発言、これはいろいろおっしゃるとおりのこともございますので、木村長官に対して私も申しました、あまりいいかげんなことを口にすべきではないと。総理からも、厳に口を慎め、こういうことを言い渡してあるのです。それはほんとうの真意じゃないと思うのです。それはかつて防衛庁長官をされた中曽根さんが、自衛隊が失業対策なんということを言われるはずはないと思うんです。ただ、どういうことでそういうことを発言なさったか、真意を私は聞く由もございません。ございませんが、先ほど申し上げたとおり、この防衛という問題、特にまたこれに関連する文民統制の問題というものは、国民の大きな関心を持っている問題でもありますし、国としても大事な問題でございますから、私が先ほど申し上げたようなことで、これに対しては真剣にまじめに取り組んでまいりたい、こういうことでございますから、そのワクをはずして、科学技術庁長官も木村長官も、防衛に拍車をかけるようなことは発言もなさらないと思いますし、また誤解を招いている点があるならば、それは率直に言うべき機会を見て説明をなさるでございましょうが、そういうことでございますから、御質問の趣旨は私もよく了といたしますが、いま撤回をするという考えはございません。
  46. 大出俊

    ○大出委員 これで終わりますが、文民統制は、しょせん政治優先でございましょう。したがって、国会という場が必要になってまいりますし、かつ最終的には国民のコントロールでございましょう。そういう意味で国会の野党各党が反対をするとか、あるいは新聞論調がすべてそういう方向に動くとかいうような形で、私はあえて制度をいじろうとしてみても、中心が政治優先であり国民のコントロールである限りは、その政治の場で大多数の野党が反対をする、あるいは国民が反対をするというものをあえて前に進めようとしても、これはシビリアンコントロールの本質をはずれるから、そこらは十分御検討をいただきたい。やがて法案が出るわけですから、いまそこから先は申し上げませんが、そういう気持ちがあります。したがって問題を取り上げた、こういうわけです。  以上でございます。
  47. 前田正男

    前田委員長 次に、伊藤惣助丸君。
  48. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 官房長宮に御質問いたします。時間もあまりないようでありますので、シビリアンコントロールに限って質問をいたしたいと思います。  いまも同僚委員からいろいろ質問ございました。まず第一にこの国防会議の構成のメンバーでありますが、いままで出ておったメンバーだからそのまま今度は正式メンバーにしたい、こういうお話でありましたが、いままでのメンバーの中には、少なくとも国家公安委員長が入ってなかったことは事実ですね。ですから、その点でどういう考え方から国家公安委員長を構成委員のメンバーにするのか、この点についてまず伺いたいと思います。
  49. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 国家公安委員長が入ったというのは、国内に侵略が万が一起こった場合、やはりこれは自衛隊と警察は協力して国の治安に当たらなければならぬ、こういうことは、私は理屈上からいうと、そうならざるを得ないと思うのです。そういうときのことなどを考えますと、やっぱり国内における治安。国内に侵略があったときには、それをおさめるのは、自衛隊と、それから警察でなければいかぬ。そういうことがいまあるとかないとかいう問題ではないでしょう、たてまえから言うと。そういうことがありますから、やはりこの治安というものには協力が必要だ、この協力はやっぱり警察と自衛隊協力しなければいかぬ、そういうこともありますから、そういうたてまえ論からいって、国家公安委員長が入るのが筋じゃないか、こういう考え方になった、こういうふうに私は理解をしております。
  50. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま治安対策のためにというお話でありますが、私は反対です。いまはっきり申し上げますけれども。いわゆるこの治安問題に対して、いままで自衛隊がそういうことを想定して国民の反対を受けて、いまもって治安行動教範のようなものはない。できておりません。ですから私は、やはり国民の感情といいますか、自衛隊に対するこの本質の問題について、まだまだ国民が理解できない、理解してない面がたいへんあるわけであります。ですから私は、この国防会議の構成メンバーについては、たとえ自民党、与党が数多くの議席を持って、そして皆さんの考えを一つの国防会議という中で、国防問題についていろいろな面を検討する、シビリアンコントロールというものを考えていくという面で考えていくならば、私はやはり、この構成委員のメンバーというものはきわめて大事でありますし、同時に、政党に全く関係のない識者、いわゆる民間人、こういう者を会議の構成メンバーに入れるべきではなかったか、こういうふうに思うのですが、まだ法律も出てないことでありますし、まだ閣議決定段階でありますから、私はこの構成メンバーについては、なお一そう検討する必要がある、すべきではないかと思うのです。  また科技庁長官でありますが、これはどういう趣旨からいままで非公式に参加し、またどういう考え方でこれからも国防会議の構成のメンバーとしていくのか、その点についていま少し明らかにしていただきたいと思います。
  51. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 文民統制のたてまえを強化していくということが昨年の佐藤内閣のときの国会でも問題になりまして、メンバーをもっとふやします一そのときにも、何人ふやすということは言っておりませんが、ふやすんだということを申し上げておりましたから、それを受けて今度、先国会のときにもそういうことを言っておるからふやす。これは文民統制の実をあげるのだ。そのメンバーについていろいろおっしゃいますが、いま先ほども大出さんの質問にお答えいたしましたが、人をふやした、その中で国家公安委員長が入っているのはけしからぬという御指摘でございますが、やはり国内の治安というものは政府が責任を持たなければならぬものですから、いろいろ議論があって、もう少し、政府以外はどうか、あるいは自民党員以外はどうかとかおっしゃる、これは一つの議論だと私は承りますが、やはり最終的な国内の治安というものをどうして維持するかという責任は政府にある。これはもう当然だと思います。そういうたてまえから申しまして、私はやはり、そういう政府の責任の持てる立場にある者が入って、そして治安の責任を確保するんだ、こういうことから申しますと、やはり先ほどからも申し上げましたような理屈で、私は、国家公安委員長がやはり一枚加わることが妥当じゃないか、適当じゃないか、こういうことでああいうことをきめたわけでございます。  科学技術庁長官がどうしていままでオブザーバーに入っておったのか、こういうことでございますが、中曽根さんも、この科学技術の面が、先ほどの議論を聞きますと、かえって防衛を拡大するような方向にいくんだ、そういうものに使うんじゃないか、記者会見の話を聞いてもそうじゃないかとおっしゃいますが、私はそうじゃないと思います。これは原子力の開発にしましても、平和利用に徹するということを言っております。また医療とかその他民生安定のためにも、科学技術の今日の開発の段階考えますと相当の寄与をしている面があります。アイソトープのいろいろな食糧の問題にしましても、医療の問題にしましても、これはみな原子力開発の問題として出てきている問題でありますが、そういう問題等は大いにやはり役立つ面がありますから、私はそういう意味でも、今日までいろいろなアドバイス、意見を述べる。正式の述べる立場にはなかったとしましても、やはりそういうことで今日までオブザーバーとして入っておられたんじゃないか。今度入ったから、今度逆にどんどん、いわゆる原子力も持とう、何も持とうというために入ったんだ。どうも先ほどの議論を聞いておりますと、そういうことではないかというように受け取れますが、そうじゃない。そうじゃないというたてまえで私どもも入ってもらっておるということでございます。
  52. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは私は官房長官に対して、いろいろ問題があります。ですから野党の言うことを全部聞けない面もあるでしょうけれども、やはり国防会議というのは国の防衛に関して議論する場所である。しかもそれをシビリアンコントロールというたてまえから、制服すなわち防衛庁がいろいろ原案をつくっても最後にはここでチェックするという機関でありますから、私はやはり、これはむしろ自民党のものではなくて国民のものとしてこの会議そのものは置くべきではないか、こう私は考えるわけです。ですから、これはまだこれからどんどん問題になる点でありますし、法案が出ればわれわれもまたわれわれの見解を申し述べますが、ぜひこの点は考えていただきたい。  さらに科学技術庁の問題についても、私は、原子力の平和利用、あるいはまた科学技術というものが平和のために利用されること、非常にいいことであります。しかし、そのことが直接軍事問題とは関係ない。それを国防会議という中で意見を聞くとかなんとかするならば、私は、ただそのときに限って呼んできて意見を聞けばいい、こういうことになるのじゃないかと思う。ですから私は、科学技術長官国防会議の構成の正式メンバーにすることについても反対ということを申し上げておきます。  そこで、それについて、長官、御意見があれば答弁いただきたいのですが、大体、佐藤内閣の最後のときに、今度の問題については、十七日間ですか、国会がとまっておったのが、この議長あっせん案によって国会が再会されたわけですね。そしてこれは第五項までありまして、特に第三項目と第四項目については、国対レベルあるいは議運のレベルでこの与野党の中にあって、あるいはまたシビリアンコントロールとか重要事項ということについては、官房長官が当該委員会である内閣委員会などに来まして、理事懇談会なり、あるいはまた何らかの形の中で皆さんの意見を聞きながらきめるということであったと思うのですがね。それが今回は、そういうこともなしに、まっすぐに閣議決定しましたからというので、きょう突然また官房長官からそれの発表があったわけであります。ですから、これまた、きょうの議運委員会などでも非常に問題になるんじゃないかと思いますが、そういう経緯について、官房長官、どう理解されておりますか。
  53. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私も昨年の予算委員会におりましたから、このいきさつは十分聞いて、今度は間違えないようにいたしたいということで、知恵をしぼっていろいろなことをやってきたつもりでございますが、この四次防というような計画をきめるのは、やはり政府がきめることではないかと思うのです。それをきめる前に国会に意思を聞く、これは当然どうしても問題になりますから意見を聞くわけですが、国会に一々相談して、そして今度は政府がきめるということになりますと、やはりこれは立法府の行政権に対する問題も起ころうかと思っております。まず政府がきめて、そして国会においていろいろ御批判をいただくということがたてまえじゃないか。議長あっせんの内容も私は十分承知をいたしておりますが、決定したならばそれを議長に報告する。そして議運とか内閣委員会のほうに――委員会の審議の最中にはいろいろ意見があったようでございますが、そういう御意見をいろいろ検討して、いずれ理事会なり委員会なりに御報告申し上げたい。こういうことで、私はそういう理解をしておるのです。また御意見があれば承りますけれども、そういうたてまえで私はやりたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、文民統制というのは、やはり一番大事なことは、もっと国会でほんとうに防衛とか国防というものを議論する何か特別委員会なり常任委員会というものを設置していただく。これは従来から問題になっていることでもございますが、先日の党首会談のときにも、私どものほうの橋本幹事長等のほうからも、あるいは総理大臣のほうからも、そういうものをしっかりしたものをつくって、そして防衛に関する問題をそこで真剣に取り上げていただく、そして国民にも理解をいただくし、また国会の議論も十分聞いていくということが文民統制の実をあげる最善の方法じゃないかということも申し上げたことは御承知のとおりでございまして、そういうものを一ぺん提案されると思いますから、ぜひつくっていただいて、そこでこういう問題をもっと真剣に――私ども真剣に考えておりますが、なおやはり文民統制の一番最高のけじめをつけるところは国会だ。国会でそういうものをほんとうに真剣に議論する委員会などをつくってもらいたいということを申し上げておりますから、その節はひとつよろしくお願いしたいと思っております。
  54. 前田正男

    前田委員長 関連して大出君。
  55. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと関連で一問だけ聞かしていただきたいのですが、いまの議長あっせんに基づく凍結の問題は、その解除の方法について、増原さんに私は、日にちを申し上げますが、八月十七日の閉会中のこの委員会でございますが、相当こまかく聞いたつもりなんです。私が、自動的に凍結解除、つまり国防会議が開かれて四次防がきまったら、それは自動的に凍結解除になるのか、それならそれではっきりとしていただければ、私のほうも考え方があるんだ、そのつもりにならなければいかぬのだ、だからはっきりしてもらいたいということで、国防会議が開かれて四次防がきまったら自動的に凍結解除というふうに受け取っておられるかと詰めたところが、増原さんの答弁は、「決してそういうことではありません。議長あっせんのあれから言いましても、国防会議できめたことを議長が確認をするということも明確にあるわけです」、これが一つ。さらに、「この問題についての国会における質疑応答等もいろいろございます。そういうことを踏まえまして、いま官房長官のところで検討をするので、これが国防会議できまったら自動的に解除になる、ことに二十七億が解除になるなんということは全然考えておりません。国庫債務負担行為の九百億が解除になるというだけの問題でありますが、それも自動的に解除になるというふうには、もとよりわれわれは考えておりません」という答弁で、結局、官房長官のところで、まあ国会の質問を踏まえて考えるとおっしゃっておりますが、そこらをどういうふうに進めるかを最終的には検討する、こう答えておられる。議長の確認行為が一つある。それから国会で当然質問等もあるだろう、それも踏まえる。そこで二十七億なり国庫債務負担行為の九百億なりというものがもとより自動的に解除になるなんとは思っていない。したがって、そういう手続をどういうふうにとるかということを官房長官のところで検討してもらう、こういうことなんだ、こうお答えになっている。これは議事録ですから、読み上げたとおりです。したがいまして、私も心配だからこれは念を押しておるのです。防衛庁長官は当事者ですから。そういう意味で、官房長官、ここらのこともおくみ取りいただいて御討議をいただきませんと、これはちょっと簡単に、私はそうですかと言って引き下がれない問題がございます。議事録にあるのですから、その点ひとつお考えを承っておきたい。  それから、せっかくおことばが出ましたから申し上げますが、防衛委員会あるいは安全保障委員会という問題は、三矢問題のときに石橋さんがるる述べております。私、議事録を読んでおりますがね。皆さんの気持ちの中に二つあるのですよ。いま消えてはいますけれども、かつては、内閣委員会に法案を持ってくると、防衛関係の法案はなかなか通らない。厚生大臣をおやりになった内田さんが内閣委員でおられるころ、文書を出しておられるのですよ。だから、これは分けてしまえ、何か防衛委員会みたいなものをつくって、防衛関係の法律は向こうに持っていけ、こういう考え方が根強くある。もう一つは、国防省昇格という問題がある。常任委員会をつくられると、当然防衛庁の国防省への昇格という問題が出てくる。私は九年国会の経験がありますけれども、何回か出てきている。新聞でいろいろ書き立てたこともある。そういう経験もありますから、そういうふうに持っていかれることは本末転倒なんです。シビリアンコントロールというものの根底が国民であり議会である限りは、政治優先である限りは、確かに委員会が必要である、その理論もわからなくはない。だがその前に、まず自衛隊の現状が、大体年次計画というのはどうなっておって、どういう計画で訓練をやるか。その防衛力整備という問題についてのみ三次防、四次防という形でやってきている。防衛計画が別にあって防衛力整備をやっている、これが四次防ですよ。防衛計画そのものではない。そうして、その防衛計画というものは一体どうなんだということについて、一つも明らかにしたことがない。かつては一段階、二段階、三段階のアラートというものがあった。これらについても一つも手を出さない。自衛隊の何たるかがわからぬままに、国民にコントロールといったって、議会でコントロールといったってできない。だからその意味では、自衛隊調査特別委員会というような形にして、そこで、自衛隊というのはこうなっているんだということを言ってもらう、明らかにしてもらう、そういう形のものであるならば、法案審議なんということではなくて――国防省じゃないのですから、あくまでも防衛庁なんですから、現在は外局なんですから、そういう意味の特別委員会をつくって、名づけて自衛隊調査特別委員会でもいい。調査が悪ければ別の名前でもいい。自衛隊研究特別委員会でもいい。そういう形で自衛隊の本質をはっきりしてもらう。いままで何にも言わないんだから、探り出すのに骨を折っている。それではわからぬ、コントロールしょうがない、そういうふうに私ども考える。  だから、まず第一点の凍結解除の問題については、これは官房長官からお答えいただきたい。あとのほうは、官房長官が発言をされたから申し上げた、こういうわけです。
  56. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 内閣委員会の速記録は、私はいま初めて承りました。私は多少竹下前官房長官から聞いておりました。私はいろいろそのことについてもお聞きをしておったわけでございますが、まあ、きまったら一応議長に報告する、議長はしかるべきところと相談をして解除をするということになるだろうということでございます。いま皆さんに御相談を申し上げて、議論をしていただいて、それでよかろうということになって初めて解除されるというような議論があったことは初めて承りましたが、私がいま理解しておるのは、とにかくきめたものを議長に報告する。きょう午後議長のほうの都合を伺いまして、両院議長のほうに報告をするわけでございます。それによってどういうことになるかは別としまして、一応私は、たてまえとして議長のほうに、こういうことが決定されましたということを御報告申し上げたい、こういうことでございます。  それから、特別委員会をつくる、防衛省昇格の問題が出るという御議論がございますけれども、私は、内閣委員会国防の問題あるいは自衛隊の問題がいろいろ議論されてまいりましたことも承知いたしておりますが、なかなかほかの法案等に十分に時間がかかっちゃって、ほんとうに防衛問題についての議論をする時間がないというようなことがあったことは、私も三矢事件のときにも関係しておりますから、よく承知しております。しかし、そういうことだけじゃなくて、今日は特に、防衛の問題、国防の問題、あるいは文民統制の問題、非常に議論があることは私も百も承知しておりますから、そういうたてまえから申しまして、ほんとうにそういうことをもう少し一つの委員会で検討される機関が必要ではないか。党利党略などによってこういう問題はおろそかにすべき問題ではない、これはもう私もそう思っております。そういうたてまえからそういうことを、自民党のほうからも、政府のほうからも申し上げたのでございまして、どうも内閣委員会じゃ都合が悪いから、そういう簡単なことでそういうことを申し上げておるわけではございません。これはしかと申し上げておきたいと思います。
  57. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ですから、凍結の問題とシビリアンコントロールの重要事項、こういうものの決定については、前竹下官房長官も機会を見て、この内閣委員会理事懇なり、あるいはまた内閣委員会に来ていろいろ相談をしたいということを非公式に話し会ったことも、これは与党、野党の理事みんな知っていますね。ですから私は、この凍結解除の問題についてはここで議論しませんけれども、たいへん問題があるということをここで指摘申し上げておきます。  そこで、聞くことはたくさんあるんですけれども、しぼりますけれども、やはり一つは、いまも出ましたが、常任委員会の問題です。シビリアンコントロールの実をあげる、それについては、与党である皆さんのほうは、再三常任委員会を提唱されているようであります。私たちはやはり、社会党さんの構想もあるし、また安全保障という問題は、いわゆる武力といいますか、軍事力だけ、その面にしぼった委員会、いわゆるバランス・オブ・パワーといいますか、こういったような相対の中における議論というものを展開することは非常に問題である、安全保障全般の面から議論すべきである、そういう点から安全保障特別委員会というものを申しているわけです。しかもこれはたとえて言うならば、内閣委員会のメンバー、外務委員会のメンバー、経済関係のメンバー、あるいはまた財政、大蔵関係のメンバー、こういう方々が入って、一軍事力という問題ではなくて、それを広げて議論する特別委員会、これを私たちは提唱しているわけです。いま考えていらっしゃる政府あるいはまた与党の皆さん方の考え方は、一方的に常任委員会ということでありますが、この考えはだいぶ前からあるわけでありますから、どこまでもその考えに固執する限りは、私は国会でなかなかできないと思うのです。ですから、社会党さんの言うように――社会党さんは、委員会の設置は賛成だ、しかしそれは自衛隊特別調査委員会とかいう名目でありますけれども、私たちは、何らかのこの委員会というものをつくって、内閣委員会の設置法のたくさんあるその片隅で防衛論争をやるというのではなくて、国家予算の一割近くも使う防衛費なんですから、これをやはり特別委員会などというものをつくった中で議論する。安全保障特別委員会とするか、名前はどうでもいいと思うのです。そういうものを早急につくって、わが国の安全保障問題について議論すべきじゃないか、こう私は思うのです。その点についていかがでしょうか。
  58. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私が先ほど申し上げた考え方基礎もそういうことでございます。先ほどおっしゃいましたとおり、安全保障という問題は大きな問題でありますし、その中に、外交とか経済とか、全部ひっくるめて国の安全保障というものは考えなければなりませんから、小さな問題じゃないですから、そういう議論する場所をひとつ機関として国会につくっていただくことは一番いいのじゃないか、私はこういう考え方で先ほど申し上げたのでございまして、伊藤委員のおっしゃるような考え方でございます。
  59. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 確認しておきますが、常任委員会ではなくて、その前の安全保障特別委員会のような委員会、こういうことが官房長官もいいということですか。
  60. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 どういう形の委員会にするかということは国会でおきめになることでございますから、私はただそういう機関が必要だということだけにとどめさせていただきまして、こんなものをつくれということは、政府として申し上げる権限もないと思いますから、国会においていかようにでもきめていただけばいいと思います。
  61. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 四次防がきまったわけですが、どの新聞の論調を見ましても、たいへん批判がきびしいわけですね。そこで、この四次防の問題も閣議決定したわけでありますが、国防会議でも決定したわけでありますけれども、やはり国民が一番いま心配しているのは、幾ら予算を少なくしたとしても、規模とすれば三次防の約二倍ですね。そしてまた、日中国交回復などを含めまして、国際情勢というのは非常に緩和方向に向かっている、これはもう国民大多数の認識だと思うのですね。しかしながら四次防は大体予定どおりきめた、しかも急いできめた。なかなかきまらなかったわけですが、ここにきて、すぐぱぱっと決めたわけですね。  そこで私、官房長官に伺いたいのですが、私は前から申し上げておりますけれども、これはやはり、自衛力の限界、平和憲法のたてまえというものがあるのです。平和憲法には、御存じのように、もう陸、海、空の三軍は持たない、あるいはまた、武力を背景とした外交交渉は行なわないとかといいまして、戦力不保持の精神が九条にありますね。そのからみと、そして今度の四次防という中で武力が一方的に増強されてきたということについて、国民はほとんど疑惑というか、疑問を持っております。しかもその負担は国民がするということでありますから、そこで私は、こういった問題を決定をする場合に、やはり基本として、歯どめとして防衛力限界を明らかにしておいてこの四次防というものを策定すべきではなかったか、こう思うのです。その点についての長官考え方、いかがですか。
  62. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 防衛力中身の問題につきましてはいろいろ議論があるでしょうから、これは政府としても、やはり国民の前に、これをきめた以上、こういう理由で内容はこうでございますということを、国会を通じて私は明らかにすべきだと思っております。そういう議論もまた十分やっていただきたいと思います。政府としても、こういう考え方でこれだけのものをきめたのだということは、これはもう防衛長官もおられますから、はっきりされると思います。  その議論は別といたしましても、やはり幾らでも防衛力をふやしていいという議論には私は賛成いたしておりません。これはやはり限界があるべきだ。その限界をどこに求めるかといえば、従来から申しておりますとおり、GNPの一%以下に押えます。これは、だんだんその規模が大きくなれば、それに応じて防衛費というものはふえてくるのじゃないかという議論もあるでしょうが、一応やはり、予算規模もふえ財政力もふえてくる、あるいは社会保障費もふえてくる、いろいろなものがどんどんふえてきておるときでありますから、そういうものとの相対的な立場において比較もして議論もしていただかなければなりませんが、そうかといって、どんどんふやして歯どめをなくしてもいいというものじゃございません。だから総理国防会議議員懇談会で、平和時における防衛力限界というものは一体どの程度がいいか検討してみなさい、こういうことも言われました。これはやはり限界というものはおのずからあるべきだ。一般的な考え方としては、GNPの一%以下に押える、こういうことが一つの従来主張してきておった考え方の基本でございます。中身については、政府がこういうわけできめました、内容についてはこうでございますということを申し上げて、また皆さん方のいろいろな議論をやはりお聞きしなければならぬと思っておりますから、こういう議論はまたいずれ、ひとつ専門家同士の話として議論を繰り返していただきたいと思います。
  63. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後の一問になりますが、このいわいる重要事項ですね。重要事項というものがここに三つばかりございます。「自衛隊法の改正を要する部隊の組織、編成の変更、」それから「自衛官の定数の変更」、また「装備の新型式のものについての種類及び数量」、これは新規開発する兵器のことだろうと思うのですが、そこで私ちょっと申し上げたいのですが、この中で私たち公明党としては、一つはやはり、部隊の編成あるいは組織というものの変更のときには、これは当然国防会議決定事項にするべきだと思いますが、同時にこの部隊の配置転換、たとえば具体的に申し上げますと沖繩などの部隊の配備、こういう配置転換。いま現在沖繩でたいへん問題になっておりますけれども、こういう部隊が新しく移動する場合にはやはり重要事項にすべきじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、この中で公明党が指摘しておりますけれども、兵器の国産化という問題については、いま事務次官通達の中でやっておりますけれども、兵器を国産化する企業は、政府の確たる兵器国産化の方針がないために非常に迷っているということも申しておりました。こういったことが、国防会議の重要事項、検討事項にならないということが私は大問題だと思います。部隊の配置の転換、もう一つは、国産化の整備大綱とか基本方針とかというものを国防会議の重要事項にすべきじゃないかと思うのです。ですから、こういった問題について実は私は国防会議にいろいろ考え方があったわけです。そのことは今後いつも問題になりますし、あるいはもう一つは、兵器の輸入の問題、FXという次期戦闘機の選定問題、こういうことも含めて、あるときはそれが国防会議の重要事項であったり、あるときははずされたりした例があるわけですから、はっきりそうした点も重要事項として、これは国防会議主要項目あるいは重要事項として取り上げるべきではなかったかと私は思うわけであります。その点の問題を指摘しまして、官房長官の見解を伺いまして終りたいと思います。
  64. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私から答弁を申し上げるより防衛庁長官から答弁していただいたほうがもう少し明確になると思いますから、防衛庁長官のほうにひとつお願いをいたします。
  65. 増原恵吉

    増原国務大臣 いまの伊藤委員のお尋ねは私から答えたほうが適当じゃないかと思います。  これは今度国防会議にかけるようにきめました。かける中に、御承知のように、部隊の編成、配置がえになるようなものは、法律として出す前に法律事項として国会に出すわけですが、その前に国防会議できめるのだというふうなものを今度ふやしたわけです。ですから、部隊の組織、編成あるいは配置がえ、これは陸であると師団単位、空は航空団というようなものですが、そういうものは国防会議にかけるということでありまして、いかなる小さいものでもかけるということにはしておりませんが、重要な問題は国防会議にかけるということでございます。  それから、国産の問題と関連をして、重要な装備等は国防会議にかけるほうがいいというお話でございますが、これも御承知のように、今度の国防会議にかける事項の増加の中に重要装備は入っているわけです。その装備国防会議にかけてまいります場合には品種が出るわけですから、これは品種のあらわし方で、国産であるか輸入であるかということはおのずから明らかになる、そういう意味のものになるわけでございます。これはまた一方、長期防衛力整備計画という形でも国防会議にこれはかかってきまるわけですが、その際に、そういうものはいわゆる重要項目として国防会議決定項目になっているわけでございます。そういう意味でも国防会議にかかるようになった、こういうことでございます。
  66. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これで終わりますが、要するに、師団が動かないときにはそれは国防会議決定にしないなんというのは、師団といったら大体いま七千人師団と九千人師団ですから、そんなに多くがばあんと動くときというのはあまりないですよ。初めて新基地、初めて新しい拠点を持つときには、これはやはり国防会議の重要事項として検討すべきだと私は思います。これは意見として言っておきます。  それからT2の開発の問題にしても、これはあとでまた防衛庁長官にじっくり質問しますけれども、それはやはり国防会議で結論を出すべきではなかったか。輸入するほうがいいのか、あるいは国産化をやればいいのかということについてはいろいろ議論がありますが、しかし、一番重要なことは、国民の立場からものを考えなければいけない。最初のT2というのは、開発のときにどんなに物価指数が上がっていっても大体五億か六億でとまるといったものが、実際にそれが国産化する段階になったら十五億になった。防衛庁の見通しの誤りです、これは。しかしもう向こうに言ってしまった、だからどうしてもこれを通さなければ、防衛庁としてのメンツ、あるいはまた兵器国産化全体にいろいろな悪影響を与える。そういう意味で真剣になったのかどうかわかりませんけれども、そういう問題がある。  国民の立場から考えてみるならば、F5Eなんというのはこれはもう九億円。だれが見ても七億円安い。しかし性能といったって、これは電子機器だけの問題です。電子機器を搭載すればいいだけの問題です、これは。しかもT2はまだまだ完全とはいえない。これから性能の段階でまだまだ改善されなければならない問題がある。F5Eという、そういういま現在の戦闘機は、性能においてはもう完ぺきに近い。ただ搭載機器、いわゆる電子機器だけが問題なんです。そういったことを考えた場合、私はこういう問題については国防会議の重要事項として取り上げるべきだ、こういうとこを申し上げまして、私の質問を終ります。
  67. 前田正男

    前田委員長 関連して和田耕作君。
  68. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、きょう官房長官に御質問するつもりじゃなかったのですけれども、先ほどの質疑の中で、防衛委員会というようなものを設けて本格的に審議をするようにありたいものだという御発言がありましたので、それについて、社会党の大出君、あるいは公明党の伊藤君からいろいろ党の立場の話がありましたので、一言御質問申し上げてお答えいただきたいと思うのです。  国防会議のいま出されておる問題、決定されておる問題は、一つの、しかも小さなシビリアンコントロールの問題ですね。一番大事な問題は、やはり国会でどのような形で国防予算を検討するかというところにあるわけです。したがって、国会でこの問題を扱う場合には、防衛委員会のような責任のある委員会をもってやるということも一つの重要な問題である。その他いろいろありますけれども、この問題について、官房長官、これは国会できめることですけれども政府あるいは最大の与党として、この近くの臨時国会あるいは通常国会でこの問題を強く相談をするような手続をする御意思を持っておるかどうか。この一点だけをお伺いしたい。
  69. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先ほど申し上げましたことは、先日の党首会談でも、私の自民党の幹事長からもそういう話がございましたし、総理からも、そういう考えがあることを党首にお伝えしたわけでございます。どういう形の委員会になるかは別としまして、安全保障に関する大きな問題をもう少しく国会のほうで御審議願ったほうがいいじゃないかということを申し上げたわけでございますが、この臨時国会に早急に出すには、少しまだ準備不足じゃないかと思います。そういう考え方であることだけは正式に各党を通じて申し入ればいたしたい。党から申し入れをするだろうと思っておりますが、国会のほうにおいても、そういうことは意思は明確にいたしておきますが、この臨時国会に早急にそういう法律を出すか出さぬかについては、いましばらく検討いたしてみたい、こういう考えでございます。間違いないところは、通常国会にはぜひ出したい、こういう考えでございます。
  70. 和田耕作

    和田(耕)委員 私どもの党は、長年にわたって、そういう防衛委員会のようなものを設置すべきだ、そうしないと責任のある質疑がなかなかできないのだというようなことを申してきたわけなんですけれども長官総理もそういうお気持ちのようですから、この問題だけは少し腹をきめて設置されるような方向に動いていただきたい、このことをお願いいたしておきます。
  71. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 承知いたしました。
  72. 前田正男

    前田委員長 次に加藤陽三君。
  73. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは質問を続けます。  先ほど、T2及びFST2改の採用の事情につきまして、長官から御答弁がございまして、大体私も了承いたしましたが、T2のほうは予算に二十機計上されておるのですから、そのあとF5Eを購入するということはいかにも不経済のように思われてなりませんが、FST2改につきましてはそういう問題はありませんので、このFST2改を輸入するということはまた一つの案じゃないかというふうに思われるのです。T2のほうは予算に二十機計上されておりますから、これを変えるわけにはいかないですね。あとの五十何機を輸入するというのは、これは不経済だと思うのですが、FST2改についてはそういうことはありませんので、新しく考えてもよかったと思うのです。これを御採用になったにつきまして長官のお話がございましたが、FST2改とF5Eとの性能的な問題について御検討になったいきさつについての御事情を少し承りたいと思います。
  74. 増原恵吉

    増原国務大臣 その問題、さっき一応の経過をお話をしましたが、国防会議においてきめていただくとき、論議は懇談会という形で進めておりましたが、これは一つは、最後の決定のときの理由は、やはり練習機T2というものと支援戦闘機、実戦機が一連のものであることがより望ましいということも一つの理由です。そうしてまた、日本はいまの国情からしまして、周囲の地理的条件その他もあるわけですが、多目的目的比較的よく達成できるようなものがやはり国情に合っておるというか、適当であるという意味で、いわゆるF5EとFST2改を比べてそういうことであるということも一つの理由です。もう一つは、防衛局長説明をさせまするが、性能の比較というようなことを考えました。防衛局長から説明させます。
  75. 久保卓也

    久保説明員 練習機と、それから実用機であります支援戦闘機の体系の問題としては、ただいま長官から御説明申し上げました。そこで、性能の面について申し上げますると、F5は本来アメリカのT38という練習機を改良して戦闘機タイプにしたものであります。そして、特にF5Eの場合は空対空のいわゆる要撃を主任務にするわけで、第二次的に支援戦闘機としての任務も付加しておるということであります。そしてこの八月に初飛行をした飛行機でありますが、性能的に見ますると、たとえば目標の探知能力という面で見ますると、F5Eの場合は目視、目で見てやるわけでありますが、このT2改の場合には下を捜索するレーダーがついております。したがいまして、地上の目標あるいは海上の目標に対しまして非常に捜索しやすいという点がございます。  それから、航法能力つまりナビゲーションでありますが、このことにつきまして言いますと、F5Eの場合は、地上の航法施設、いわゆるタカンとかそういう航法施設を使って、それに誘導されながら行動するわけでありますが、支援戦闘を任務とする場合には低空飛行をやる。そういたしますと、山なんかの障害がありまして、そういう航法施設が使いにくい場合が非常に多いわけであります。また海上に出ますと、地上のそういう航法施設が使えない。そこで、このT2改の場合は慣性航法装置をつけておりますし、それから電波高度計というものを持っております。F5Eの場合にはこれらがありませんで、いま言いましたような地上器材でやるのと、それから高度をはかる場合には空気圧を基準にしながら飛ぶわけでありまして、そういった面で精密な位置の確定ができないわけであります。  それから行動半径の面で見ますると、爆弾を八発積みましてT2改の場合には約三百マイルばかり参ります。それに対してF5Eの場合は、二百マイル強、約二百十マイル程度でありますが、運用上の面から考えてみますと、二百マイルで足りるような地域で運用いたします場合にはF5Eで足りるわけでありますが、わが国防衛構想の面から見まするとやはり三百マイル程度はほしい。たとえば一例を申し上げてみますると、北海道地域を考えてみますると、支援戦闘のための基地としましては、北海道の第一線に置くよりはやや後方の地域、つまり東北の北部に置くほうが適当であります。そういう観点からすると、東北の北部に支援戦闘機の基地を置く場合には、T2改ならば北海道の全域がカバーできますけれども、F5Eの場合には北海道地区のほうに進出せねばならない、そういった面がございます。  それからまた訓練の場合に、訓練機のときにはやはり安全を非常に重んじまするので、訓練中、常にオールタネート、つまり代替飛行場を予定しまして、いざというときにそこに行けまする燃料を持っていなければならない。そうすると、国内の基地の間隔が大体百マイルから百五十マイルでありまするので、相当量燃料をリザーブしておかなければなりません。したがいまして、それを考えますると、実際の訓練の場合に、訓練飛行時間が非常に短かくなってまいります。その点、T2改の場合には余力があるということになろうかと思います。  それから全天候攻撃能力という点が実戦闘機としては非常に重要でありまするが、先ほど申し上げたように、F5Eの場合には目視による攻撃をするわけでありまするので、雲なんかがありましたり、あるいは雨なんかが非常に強く降っている場合にはそれが適当でない。ところがこのT2改の場合には、慣性航法装置、あるいはレーダー、あるいは電波高度計というものがあることに加えまして、管制計算機をつけました爆撃照準装置を持っております。したがいまして、天候が悪くても爆弾を投下することが可能であるのみならず、精密な攻撃ができるといったようなこと。  さらにやや小さい問題ではありまするが、安全関係で言いますると、実用機でありまするので、うしろから攻撃された場合に、それを発見するためのレーダー警戒装置を持っております。これはちょうど自動車でいえばバックミラーのようなものでありますが、そういうものをT2改の場合には備えておる。そのほか、自動的にゼロ高度、ゼロスピードから発射できる射出装置とか、あるいは車輪のすべりどめ装置とか、そういったものもあるわけであります。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  そこで、一がいにF5Eが絶対だめでT2改が絶対よろしいというところまで強調するわけではありませんけれども、F5Eというのは、おのずからその飛行機に従った運用をされるような、そういうところでは望ましいわけであります。したがいまして、現在F5Eが使われておりますのは、アメリカから軍事援助を通して外国に輸出されているものでありまして、たとえて申しますると、韓国、台湾、あるいはギリシア、ヨルダン、スペイン、タイ、トルコ。南ベトナム、これはまだ供与されておりませんが、供与の予定ということで、こういう周辺諸国の軍事能力、あるいはその国の面積、そういったようなことを勘案して適当なものということは言えましょうけれどもわが国の場合は、いま申し上げた運用構想の面から見ますると、F5Eは必ずしも適当でありませんで、FST2改のほうが運用構想上きわめて適切であるというようなところの違いがございます。
  76. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 いまのお話で大体はわかったのですが、これはF5EとFST2改の性能の比較を資料として出していただきたい。これをお願いします。  その次に、主要項目を見ますと、「民生協力」という項目が新しく入っております。これは事柄としては私けっこうだと思うのですが、これで四十八年度予算要求は変わってくるわけですか。
  77. 小田村四郎

    ○小田村説明員 お答えいたします。  国防会議で今回御決定いただきました主要項目の中の「民生協力」につきましては、施設部隊装備を充実するということがうたわれております。四十八年度の概算要求で、施設関係の器材の要求は、これは記憶でございますので、間違っていたら訂正させていただきますが、四十七年度の十六億円に対しまして約二十四億円、かなりの増加を見込んで要求をいたしております。  四次防の期間中の施設部隊装備経費でございますが、これは私どもの試算でございますと、大体百三十億ということでございます。その百三十億円の中には、たとえば普通科連隊の施設器材の一部を装備するというようなことも含まれておるわけでございまして、現在のところ四十八年度の要求を変更する必要はないと考えております。
  78. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 その次にお伺いしたいのは、備考のところで、一に「自衛隊員の生活環境の整備充実、技能訓練の拡充等処遇改善のための施策を推進する」、これも非常にけっこうなんですが、技能訓練の拡充ということにつきましては、前々から在隊中の自衛官に公の資格をとらせるべきじゃないかというふうな意見も申し上げておったわけでありますが、これはやはり訓練項目内容まで変えていくということになりますかどうですか、その辺ひとつお伺いしたい。
  79. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 自衛隊員におきまする公資格目標の問題、その他技能訓練の実施につきましては、従来からいろいろといわれておるわけでありますが、四次防におきましては、特にこれを格段と充実整備をするという方向でございまして、いまお話しの点につきましては、たとえば自衛隊の教育訓練を通じまして直ちにその資格のとれるもの、それからその自衛隊の教育訓練を通じて習得したその技能が、一般の社会における技能試験を免除されて、学科試験だけ受ければよろしいというような段階のもの、それから自衛隊の教育訓練そのものが直ちに一般社会の公資格の受験資格にそのままつながるというようなもの、いろいろございまして、そうして教育時間の不足につきましては、一つ一つ調べまして、教育訓練の中で補充、補備を考えております。  一方、ここに書いてある「技能訓練」といいますのは、曹または士、あるいは幹部も含まれますけれども、退職前におきまして、一般社会に出る場合に自衛隊におったために非常に不利であるというようなことのないように、技能を身につけて、そして世の中に出ていくということに重点を置いておりまして、その内容は、四次防におきましては格段と整備する方針で、部内でできますものにつきましては部内で教育訓練を施す、たとえば自動車の整備とか自動車の運転免許、これは国家公安委員会の運転免許の試験場の認定を受けまして、これは技能試験は免除されるというような体制にしていくとか、それからまた、部内的にないものにつきましては、たとえば自動車の整備ども部隊の近傍にそういった施設がないというような場合には、部外に出まして、そして国または都道府県、または労働省の例の職業訓練の施設等に通ずるようなところにおきまして、各種の技能を身につけるというようなことも考えております。それで、退職時におきましては、大型の自動車の免許証などは、希望があれば全員とれる。それからその他の技能の訓練につきましても、希望者にはできるだけ、ほとんど大部分できる計画でありますけれども、そういったことで実施をしていきたい、こういうふうに考えております。
  80. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これはいいことですから、大いに、しっかりやってもらいたいと思います。  国防会議の事務局長にちょっとお伺いしますが、この国防会議の閣議決定の「文民統制強化のための措置について」、この二項で重要事項は国防会議にはかるものとするとありますね。その重要事項の中で、三に「左に掲げる装備の新型式のものについての種類および数量、ただし」云々とありますが、そうしますと、たとえばT2にしましても、C1にしましても、まず開発をやるわけでしょう。開発が済んで試作をやるわけでしょう。試作が済んでから採用するかどうかをきめるわけですよね。そうすると、この国防会議にはかる時期というのはどの段階をお考えですか。
  81. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの具体的な事柄につきましては、関係各省の間でまだ打ち合わせが終わっておりません。しかし、先般の国防会議議員懇談会で、この問題点についての御説明をいたしております。  その一つに、研究開発とそれの具体的な装備、これは切り離していくべきものである。というのは、研究開発に着手をするとそれが当然装備されるというふうに考える。関係部局としては当然そういう期待を持ちますから、そういう傾向がございますのが従来の例でございますけれども、しかし、これまた何ぶんにも、いろいろな装備が新しいものでございますし、みんな高うございますから、研究開発を進めてまいりましたその段階で、われわれの仲間ではチェックと言っておりますけれども、その見返し検討の時期を置く。そこで、研究開発をして一応終了しました段階において、それが具体的に装備されるとすればどういうことになるのかということの検討をすることにこれは話し合いがついております。したがって、それはこれから先のいろいろな研究開発項目につきまして具体的にきまってまいりますから、いま申しました方針としてのおきめは、国防会議の議員の方方の御了解を得ておるわけであります。そこで、特に九日の国防会議の懇談会の了解事項につきまして、これから先の開発につきまして一つの申し立てといいますか、あるいはすでに御存じと思いますが、そういうことがございますので、具体的ないわゆるケース・バイ・ケースでやっていきたいということがいままでのところの総括的な結論、こういうように私は見ております。
  82. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 これはいまお答えのとおりで、実際、開発を始めますと、やはり人情として、その開発したものをものにしたいという気持ちになるのは当然だと思うのです。あながち悪いことだとは言えないと思うのです。しかし、やはり国のためを考えて悪いものは捨てなければいかぬと思いますので、ですからこれは重大な決定だと思うのです。その段階をどこできめるかということは、たいへんむずかしい問題だと思います。ですから、ひとつよく詰めていただきたいということを希望として申し上げておきます。  それから最後に一つお伺いをしておきたいのですが、今度の四次防の決定は非常にけっこうなことなんですが、決定の経緯を見ておりますと、整備計画の基本のようなものは政治がまずきめまして、あと事務的な詰めを役所にやらせるということでないと、なかなかむずかしいなという気が前から私しておったのですが、今度、四次防の決定に伴って、各新聞の中にも、そういうふうな批評がだいぶ出ております。私も全く同感なんでございますが、事務的に積み上げていったあとに情勢判断防衛構想をつくる、これはまことに失礼な話でございます。こういうことになりがちだとは思うが、やはり情勢判断防衛構想を先に政治がきめて、これに基づいて作業させる。これはまた変わることがあるかもしれませんが、作業の初めはそうあるべきじゃないかという気がしてならないのでありますが、長官どうお考えになりますか。
  83. 増原恵吉

    増原国務大臣 防衛庁の立場ということで私からお答えするということになりますが、現在の日本の状態考えまする場合に、積み上げたものがきまってしまって、あとで整備計画の基本がきまるというふうな形になることはまずないかということは、まことにそのとおりでございまするが、そういう形をとるように見えるいまの計画でも、やはり基本構想については、いろいろな形で国防会議の意見も落ちつくところがそんたくできるというか、これは、一ぺんかけてあれをしないというと大きく違うおそれがあるというふうなときには、私どもはやはり、この整備計画を出す防衛庁としても、適当な形で国防会議議員懇談会なり何なりにおはかりをしてきめてもらうということにするつもりでございまして、あらかじめ国防会議でそういうものをきめてやるというふうに必ずしもやる必要はないのではないかといま思っておりまするが、なおその点はよく検討をさせてもらいたい、こう思います。
  84. 加藤陽三

    加藤(陽)委員 それでは私の質問はこれで終わります。
  85. 坂村吉正

    坂村委員長代理 佐藤文生君の関連質問を認めます。
  86. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 長官質問いたしますが、最近、私、部隊二、三カ所に行きまして四つの問題が出ましたので、この機会に質問をいたしたいと思います。  その第一点は、渡河作戦をやっておる演習を私は見たのですが、私の目から見ると、日清、日露の戦争から進歩が全くないような渡河作戦の演習のような状況に見えるのですが、こういうことでいいのだろうか。これに対して、具体的に近代戦に対応できるような渡河作戦ができる近代装備整備することが第四次防衛計画の中に入っておるのかどうかというのが第一点。  第二点は、これは別府の自衛隊に、ある記念式典がありましたので行きましたら、砲を牽引をする行動をする予定になっておった。ところが中止になった。理由を聞いたら、牽引車が故障で砲を引っぱることができないという事態が起こることを知りました。こういうことでいいのだろうか。  第三点、これは福岡のある自衛隊に参ったのですが、終戦直後、米軍から貸与を受けました修理車を修理している。非常に老朽化しておる。航空機はどうだ、艦船はこうだと言っておるけれども、こういう小さいところの問題は一体自衛隊はどのようになっておるか。   〔坂村委員長代理退席、加藤(陽)委員長代理   着席〕  第四点、隊員が清新はつらつとして、希望を持って毎日訓練されているということはよろしいことだと思うのですが、曹クラスの幹部といろいろ話す機会があるのですが、私は絶対に五十四、五歳以上に停年延長をすべきである。四十八、九歳ぐらいから、もう自分の生活はどうなるかという不安の中におとしいれることでいいのだろうか。私個人の考え方としては、停年制というか、少なくとも曹クラスで能力、体力ともにある者は思い切って停年を延長させて、そういう心配をなからしめる、最後まで自衛隊員としてがんばるように年齢を延ばすべきだ、そういうぐあいに考えていますが、この四点について長官質問いたします。
  87. 増原恵吉

    増原国務大臣 問題がだいぶ具体的でありまするので、関係局長から……。
  88. 久保卓也

    久保説明員 最初の渡河作戦の面でありますが、この面については、従来の装備は必ずしも十分でありません。そこで、現在の四次防の中に入りまするもののうちでは、たとえば新しい型の戦車が百六十両、それから新しい型の装甲車が百三十余両入りますけれども、これについては、渡河用の浮航性、つまり浮いて渡河能力を持たせるという機能を、従来のものと違って保有することになります。それから、従来も整備しておったものがありますが、戦車橋、戦車を通す仮設の橋、あるいは自分で橋の機材を積んで移動できる浮き橋、自走浮橋でありますが、この点についても部分的には入っております。そういうようなことで、総体のワクの中では必ずしも多い量を占めておりませんが、逐次整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから牽引車の件でありますが、これも全般的にアメリカからもらった牽引車を持っております。そういう関係でこれの整備がなかなか進んでおりません。二次防段階では米側からもらったものを持ち、三次防では牽引車を自走化するという計画はございませんでした。そこで今回の案の中では、この主要項目の中にも入っておると思いますけれども、自走火砲として九十門を入れております。これも経費関係上、急にふやすわけにまいりませんが、逐次ふやしてまいりたいということであります。  それからいま修理車の修理のお話がございましたが、現在われわれのほうで戦車改修車などを持っておりますが、どういった部門が問題になったか、私、存じておりませんけれども、具体的にまた伺った上で御回答申し上げたいと思いますが、いま実態を私、知っておりません。  それから停年延長は、人事局長からお話いたします。
  89. 高瀬忠雄

    ○高瀬説明員 現在、曹の停年は五十歳であります。二佐まで実は停年五十歳ということになっております。その間におきまして、停年を延長したらどうかという話があることも承知しております。この問題は、防衛上のいろいろな編成の問題とか、それからあとは肉体的な問題とか、いろいろ関係する部面が非常に大きくなりますので、私どものところで停年を担当しておりますけれども、私どものところだけで考えるというわけに必ずしもまいらぬと思いますので、関係のところと勉強さしていただきたいと思います。
  90. 佐藤文生

    ○佐藤(文)委員 修理車のところがちっょと……。  私、修理車を見たのですけれども、通信器材を整備する修理車もありました。それから自動車、戦車を修理する修理車も見ました。それが全部老朽化して、その修理車を修理するために一週間も十日もかかってやっておるわけです。ですから、全然もう精強な部隊とは私どもの目から見ては見えない。それから渡河作戦の実態も、ほんとうに太平洋戦争の時代と同じような状況でやっておる姿を見て、一体何をやっているんだろうかという印象を受けましたので、これは私、第四次防衛計画の中で相当考えていると思いますけれども、私はさらに、これは突っ込んだ考え方をしないといけないという印象を受けましたので、念のために申し上げておきます。  以上です。
  91. 増原恵吉

    増原国務大臣 御趣旨十分承りまして、検討いたします。
  92. 加藤陽三

    加藤(陽)委員長代理 午後一時三十分より委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十五分開議
  93. 前田正男

    前田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国の防衛に関する件について質疑を続行いたします。大出俊君。
  94. 大出俊

    ○大出委員 委員長質問。予定は一体どうなっているのですか、皆さんの出席の。
  95. 前田正男

    前田委員長 先ほどの理事会でお話ししたとおり、きょうできるだけやっていただきまして、残った場合はまた……。
  96. 大出俊

    ○大出委員 やっていただきましてと言ったって、いなくなればやれぬじゃないか。防衛局長は何時に出るのですか。
  97. 前田正男

    前田委員長 防衛局長が五時半ごろ、それから海原事務局長は四時半ごろに出たい、こういう予定だそうでございます。
  98. 大出俊

    ○大出委員 あとの方々だって事務局、呼んでいるのじゃないですか。
  99. 前田正男

    前田委員長 だから、どうしても間に合わないときは、また後ほど理事会で相談させていただいてお願いしてやるということで……。政府委員のおる間ぜひお願いして、あとまたひとつ御相談しまして……。
  100. 大出俊

    ○大出委員 幾つも問題があるのですが、いま委員長がお話しになったような、防衛局長がいなくなって、局長の答弁の分も増原さんがすべて引き受けてお答えになるというのなら話は別ですけれども、先ほど来の答弁を聞いていても、少しこまかいことになれば局長答弁でなければならぬことになるので、したがって、時間を気にしてやっている委員会ですから、やっぱりそこのところは御答弁なさる方が出てもらわぬと困るのです。そこで、あとの方の質問もありますから、やむを得ず中心点の幾つかの質問にしぼりますけれども……。  そこで、「情勢判断」というのがありますが、これはどこが立案したのですか。立案したのは外務省なら外務省に聞きますし、どうなんですか。新聞は外務省と書いてあるのだが。
  101. 海原治

    ○海原説明員 国防会議で御審議をいただきましたものは、事務局のほうで取りまとめて上に上げてございます。そこで、立案はどこかということになりますと、立案のことばが問題になりますが、みんなで相談をしてやったということでございます。
  102. 大出俊

    ○大出委員 みんなで答える、こういうことですか。この「情勢判断」ですが、これはまことに判断に苦しむわけでありまして、そういう意味で幾つか聞いてまいりたいのですが、「かつての厳しい東西対立期を脱し」、こうあるのですけれども、ただ「かつての」といわれてもたいへん迷惑でございまして、いつごろの時点を対象に「かつての厳しい東西対立期を脱し」、こういう理解になるのか、まず承りたい。
  103. 大河原良雄

    ○大河原説明員 ただいま御指摘のありました「かつての厳しい東西対立期」と申しますのは、戦後いわゆる冷戦時代というふうに称せられております東西対立時代のことを頭に描きまして考えたわけでございます。
  104. 大出俊

    ○大出委員 いつごろまでの時点をさしますか、千九百何年ごろまで。
  105. 大河原良雄

    ○大河原説明員 具体的に何年というふうにしぼれという御質問に対しましては……。最近の国際情勢はということで、この二、三年特にその情勢が非常に進んできている、動いてきている、こういうことを念頭に置いて考えたというふうに御理解いただきたいと思います。
  106. 大出俊

    ○大出委員 まあ何となくそんなことになる、こういう答弁になるのですがね、いまの言い方からすると。まことに的確性を欠くわけでありますが……。  そこで、「その間にあって緊張緩和傾向も見受けられる」、こういうわけでありますが、これは多極化というものを前提にしてですね。これはもう少し具体的に言うと、この緊張緩和傾向というのは一体具体的にはどういうものをさしますか。
  107. 大河原良雄

    ○大河原説明員 この数年来、世界情勢の多極化ということがいわれておりますけれども、具体的にはアメリカとソ連の関係の新しい展開、それから昨年以来のアメリカ中国との対話の開設、あるいは欧州におきます東西間の各種の接触、交渉、こういうふうなものに具体的にあらわれております情勢を緊張緩和傾向と、こういうふうに考えたわけであります。
  108. 大出俊

    ○大出委員 その点を踏まえて、「日中国交正常化もアジアにおける緊張緩和に役立つものと考える」、こううたってあるのですが、これは防衛庁の見解が従来からありますけれども、ここにうたわれているように、「緊張緩和に役立つものと考える」という程度の考え方なんですか。
  109. 大河原良雄

    ○大河原説明員 これは、先般の北京におきます日中共同声明にもうたってありますように、また、田中総理並びに大平外務大臣が公の場で明らかにされておりますように、国際緊張、特にアジアにおける緊張緩和に寄与すること大なるものである、こういうふうな認識でございます。
  110. 大出俊

    ○大出委員 それなら、そのとおり「寄与すること大である」と書いたらどうですか、「役立つものと考える。」じゃなくて。いまあなたの御答弁は「寄与すること大である」であった。「緊張緩和に寄与すること大である」となぜ書けないのですか。
  111. 大河原良雄

    ○大河原説明員 国際情勢判断というかっこうでここに簡潔なことばをもちましてあらわします段階に、こういう表現が各省相談の間にでき上がったものというふうに私は心得ております。
  112. 大出俊

    ○大出委員 私は、立案は外務省じゃないかと言ったら、立案者はどこにだっている、みんなでやったと言っていたが、答えはあなたがみな答えて、結局、外務省がしたんだ。そうでしょう。海原さん、あなたもいいかげんなこと言ってはいけませんよ。そんなことはっきりしている。立案者がはっきりしているから立案者が答えている。そこに問題がある。  これはなぜかというと、防衛庁は防衛白書も以前に出している。防衛白書の中でとらえている現象とここで書いていることとはたいへんな違いがある。なぜかというと、新聞がみんな四次防の決定は急ぎなさんなと書いてある。国際緊張緩和というものがきわめて顕著で、寄与すること大であると、いみじくも大河原さん口にしたでしょう。暗記するほど頭に入っている。寄与すること大であるからこそ急ぎなさんな、こう言っておる。国民に説得力を持つ中身にしなければならぬと書いておる。どの新聞論調を見たって納得していない。国民も納得しないだろうと書いてある、この「情勢判断」では。寄与すること大であるという認識が世の中にある。新聞論調もすべてそうですよ。それをわざわざ「緊張緩和に役立つものと考える。」とうたっている。四次防というものは国民にとって大きなものである。それだけのものをきめようというのだから、新聞論調はいま私が言ったようになる。それをなるべく「情勢判断」というものの中で、まさに冷戦構造というものが変化しつつあるけれども、それは定着していないのだとここに書いてあるけれども、そっちに持っていって、なるべく判断を薄めていって、つまり四次防というものをきめる論拠をつくろうというふうに見える。だから説得力がない。答弁がここにあるのと全然逆な方向にいく。寄与すること大であるならば、それに応じて四次防を考えなければいけない。あたりまえのことでしょう、私の言っているのは。こんなことは常識だ。そういうちぐはぐなことをなぜやるのですか。だから事ごとに食い違う。判断と防衛庁の旧来の見解、四次防をめぐっての論争とみな違う。  もう一つ例をあげます。「米・ソ・中三大国の利害が依然複雑にからみ合い、全体として安定した緊張緩和状態に至っているとはみられず」、これも一つの伏線がある。複雑にからみ合っている。だがしかし、一体いかなることが起こりそうかという将来の展望について、寄与すること大であれば、これは大規模な紛争というものは起こり得ないということにつながる。そういう書き方をすればいい。  あとのほうにまたもう一つ、「大規模な武力紛争が発生する公算はさらに減少しつつあるものとみられる」とあるけれども、これは大河原さんどういう意味ですか。さらに減少するというが、大規模な武力紛争というのがいままであったのですか。ないでしょう。さらに減少するというならば、以前何かなければならぬ。初めてこんなものを書いて、さらに減少するといったって、この防衛に関してあなた方何か書いたのですか。何も書いたことないでしょう。初めてでしょう。それでさらに減少するのですか。
  113. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほど「日中国交正常化もアジアにおける緊張緩和に役立つ」ということについて御指摘がございましたけれども、私は、北京の共同声明の中に、「アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである」ということを日中国交の正常化に関連してうたっていることを念頭に置いて御答弁申し上げたつもりであります。  さらに、大規模な武力紛争発生の公算減少という点につきましては、戦後二十数年間の冷戦構造の中におきましても、東西間において絶えず緊張の過程におきましても、大規模な武力紛争というものについては、双方の共存というかっこうで押えられてきておりましたし、それが前段にございます国際的な緊張緩和傾向というものを反映いたしまして、この「公算はさらに減少しつつある」、こういう認識をうたったものであるわけでございます。
  114. 大出俊

    ○大出委員 防衛白書が出されたわけでありますが、この防衛白書の中で一番大きな論点というのは、ここには「中共」という表現を使っておりますが、いまは国交回復したのですから、おそらく中国とおっしゃるでしょうけれども、中共とソビエトの現状認識、現状分析、これが中心になっていますね。ここは、「特に中共および北朝鮮は引き続き硬直した対外姿勢を堅持しているが」――硬直した対外姿勢を堅持しているが、いまはしていないわけですね。「堅持しているが、アジアにおいて核兵器を開発している唯一の国である中共の動向」、こううたって、最後の結びにつながっておる。「今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものとみられている」、こういう分析をしている。アジアにおいて核兵器を開発している唯一の国である中共、中国、これが硬直した姿勢を持っている。それが、「今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものとみられている」、昭和四十五年の現状分析はこうだった。そうでしょう。この防衛白書を通じて一番のポイントはここにある。仮想敵国ということばこそ使わないけれども、これを読めば、だれが見たって中国だということになる。ここでいう「中共」ということになる。最大のポイントです。私はこれは中曽根さんに質問したんだ。そのときの認識もやっぱり、中共というのは敵対国だという考え方は持っていないけれども、現状分析をすればこうなっているんだと言っている。  そうすると、周辺の軍事力というものに対して一体日本の防衛力をどう考えるかという問題になってくるんだから、その焦点であるこの中国との関係が正常化した、こういう結果になっている。それはここでいうところの「緊張緩和に役立つものと考える」という程度のものではない。寄与すること大であるという程度のものでもない。そういう認識をしなきゃならぬ筋合いじゃないですか。この防衛白書というのは防衛庁が立案したのでしょう。そういう見方はおかしいでしょう。ポイントじゃないですか。いかがですか、増原さん。
  115. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま御指摘のところは、「特に中共および北朝鮮は引き続き硬直した対外姿勢を堅持しているが、アジアにおいて核兵器を開発している唯一の国である中共の動向や、さらに英国軍のアジアからの大幅な撤退とソ連海軍の進出、ベトナム問題の処理のきすう、米国軍の動向等は、アジア地域における今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものとみられている」、こういうふうに書いてあるわけでありまして、アジア地域における今後の紛争生起の可能性に大きな影響を与えるものがここに数項目あげてあるわけでございます。そういう認識を、これを書きました四十五年十月において持っておったということでありまして、日本と中国との国交正常化というものが、アジアにおける緊張緩和に大いに役立つという状況は、いまにおいてわれわれも認めるところであるということであります。その点においてのこれは情勢の変化というふうに考えてしかるべきものである、こういうふうに考えます。
  116. 大出俊

    ○大出委員 特にこれは中曽根防衛庁長官と論争したところでありまして、増原さんは当時内閣委員会にも席を置いておられたのでないですから、いまそこをあけてお読みになって、そういうふうにおっしゃるのはまことに形式的な話なんですが、増原さんとしてはそれでいいです、おいでにならなかったんだから。だけれどもこれは論争している。「特に」と、こうここに項目をあげて、「特に中共および北朝鮮は」とあって、あとは「さらに」とこうなっている。つけ加えている。これは一体どういうことなんだとやりとりを私はしている。結論はどうかというと、日本と中国との間に国交正常化がない。北朝鮮との間にもない。ソビエトとの間には国交が樹立されている。当時は中国は国連にも入っていない。相変わらず、だから硬直した姿勢なんだ。ただ、これを論議していきますとどこにぶつかるかというと、事中国と日本との関係というよりは、当時、中国アメリカ関係にひそむ危険があるのですよ。つまり安保条約というものは、中国を封じ込めるという思想が明確にある。そういうものの出発からすると、ここに「特に中共および北朝鮮」と書いてある。この二つの国ともに国交回復をしていない。国連加盟もしていない。こういう状況のもとにこの文章は成り立っている。だから、「さらに」ということでソビエトをあげているけれども、問題はアメリカ中国の間に当時緊迫した情勢というものがあって、ベトナム戦争を仲介にして米中戦争の危機まで叫ばれる時代であった。だからこういうやり方をしている。ベトナム戦争がだから入っているでしょう。  ところが、ニクソン大統領の中国訪問がありて、アメリカの下院の外交委員会でジョンソン国務次官が言っているように、アメリカのとった対中国政策が、日本の総理を変えたというのです。福田になるべきものが田中になったと言っている。米中接近というものが日本の世論を変えたんだと言っている、議事録を読んでみると。つまり、米中接近というものはそれだけ大きな意味があった。しかもその以前に中国は国連に入っている、こういうわけでしょう。そして日中国交回復という時点にいま立った。  だとすると、単に外務省が通り一ぺんに書いている、「緊張緩和に役立つものと考える」というのではなしに、この防衛白書の分析からいけば、決定的な要因と目していい。一番てっぺんに「中共および」と、こうなっている。この問題が米中接近並びに日中国交回復という形になってくるのですね。寄与するところ大なんです。だからこそ、そうとらえなければいまの情勢分析にならぬじゃないですか。私は冒頭に、一体どっちが立案したのだと聞いている。防衛庁が立案したのなら、この情勢認識を踏まえて立案しなければならぬ。表に出しているのですから、似ても似つかぬものを書かれても困る。それを、外務省の起案に基づく事四次防に関する「情勢判断」の中に――さっきお話を聞いていれば、日中共同声明か何かの中身が頭にあって書いたと言うが、そういう筋合いのものじゃないですよ。そこに、そもそも国民が考えていることと全く反対方向の分析をする、なるべくそれを薄めていこうとする、四次防決定の必要の度合いを何となく高めようとする、そういう見せかけの論法というのは私は間違いだと思う。  そこで、「全面戦争ないし、それに発展するおそれのある大規模な武力紛争が発生する公算はさらに減少しつつある」、これはさっき大河原さん答弁なさいましたね。大河原さんもアメリカ局長におなりになったのはつい最近なんだから、この防衛白書当時の認識などはあなたの頭にはない。この防衛白書では、第二次大戦以後大規模な戦争に拡大した紛争は一つもなかったということが前提になっている。そして結論は、「第二次世界大戦のような大規模なものは抑止され、局地的な制限戦争の可能性が多いであろう」とあって、「抑止され」と言い切っているのです。大規模戦争は起こらないという分析をしている。つまり、いま増原さんがいみじくも読み上げましたが、四十五年当時は、中国は国連に加盟もしていない、米中の接近は行なわれていない、日中国交回復は樹立されていない、ベトナム戦争はなお激化している最中。そういう時期であっても、「第二次世界大戦のような大規模なものは抑止され、局地的な制限戦争の可能性が多い」こういっている。  それを何か、この「さらに」の背景がわからないけれども、「大規模な武力紛争が発生する公算はさらに減少しつつある」。これは起こる可能性ありということです。つまり、この防衛白書でいっているほうが、大規模戦争の起こる可能性をより強く否定している。そういうちぐはぐな、この防衛白書の出たときの国際情勢というものと、言ってみれば百八十度違う情勢になっているのに、以前の防衛白書の時点で「第二次世界大戦のようなものは抑止され」、こう言い切っているにもかかわらず、今度のこの「情勢分析」の中では、「さらに減少しつつあるものとみられる」となっている。みなで討議してきめたのなら、何で一体防衛庁はこの大きな相違点等についてものを言わないのですか。増原さんどうですか。
  117. 増原恵吉

    増原国務大臣 これは、防衛白書にだいぶ簡潔にそういう点をあらわしているようでありまして、「公算はさらに減少しつつある」ということばは適当かどうかわかりませんが、「強く抑制されている」ということを受けるとすると、「公算はさらに減少しつつある」ということばはあるいは適当でないかもしれませんが、その強く抑制されておる状況がさらに強くなっておるという意味でありまするから、私のほうでも特にこれに異議を唱えるということはいたさなかったわけでございます。
  118. 大出俊

    ○大出委員 増原さん、「日本の防衛」なんというものについてあなたは熟読玩味している時間もおそらくないのだろうけれども、あえて異を唱えなかったと言うけれども、いまの答弁からすれば、異議を唱えるにも何も、そこまで考えていなかったということになるのですよ。答弁になっていないじゃないですか。これは長々と書いてあるのですよ。防衛白書というものは初めてですよ。私もこの九年間に、防衛白書というものをどうするんだ、防衛庁がこの際国防を担当する責任ある庁の立場として、国際情勢というものを、現状認識を国民に与える意味でも、どう見るのかというような点は、理論的に詰めて明らかにしておかなければならぬ筋合いだということを何べんも言っている。増田甲子七さんのときに私が本会議質問したら、防衛白書をつくることを指示しましたと答弁した。久しくそれができなかった。よかれあしかれまとまったものにしたということに意味がある。これは冷戦構造その他をめぐる力の防衛という問題もあり、あるいは脅威からく認識という意味考えている論理もある。あるけれども、今回こんな全く申しわけ的に、こういう無責任な、何行あるのですか、これは。四次防をきめるにあたって新聞のどこの社説でもみんな書いておりますよ、これは。私が言っていることと、突き詰めていけば同じような趣旨のことを。これじゃ説得力も何もないじゃないか、国民が納得するはずもないじゃないかと、口をきわめて各新聞が唱えている。あたりまえでしょう、それは。国民がこれをながめてわかりはせぬじゃないですか、そんなことは、これじゃ。そういうものの考え方、これはそもそも今度の四次防の最大の欠陥ですよ。  中国に行って、中国側が、周恩来が、どうも安保条約について、あるいは日本の自主防衛という意味における防衛力の増強にあまり悪い顔をしなかった、しなかったから自信を持ったというような、そんなことを言えばやはり追随外交になってしまう。戦後今日まで日本の政治に対する国民の政治不信というものは、追随外交、追随政治だからですよ。これは最大の政治不信の原因です。にもかかわらず、このせっかくのこれだけのものをおきめになるというのに、こういうふざけた情勢判断で、しかも外務省にぽんと書かせて、しかも、それが日中共同声明にそういう文言があることを頭に置いて書いたなんということじゃ、防衛とは全く離れている。だから私は冒頭に、これは一体どこが立案したと聞いたのだ。話にも何もならぬじゃないですか。増原さんの答弁はまるっきり論争にも何もならぬ。論議がおもしろくない。まずあなた方がそれっきりお答えにならぬで黙っているのですから、黙っているんなら、あまりしゃべる気ないですか。黙っていますか。
  119. 増原恵吉

    増原国務大臣 情勢判断をする場合に、わがほうとして防衛白書にある情勢判断をしっかり比較検討しながらやるということはしなかったと思います。しかし、ここにあらわれておりますものを見て比較検討すると、いま御指摘になった、「公算はさらに減少しつつある」というようなことばの使い方は、これは私も比較してみますると適当でないと思いまするが、これは強く抑制されておるということでありまするから、さらにそういうことばの使い方をすべきであると思いますが、あらわれておるこの情勢判断として見た場合には、発生する公算がさらに少なくなるという状況はそれでいいというふうに考えて、こういう情勢判断防衛庁としても賛同をした、こういうことであるわけでございます。
  120. 大出俊

    ○大出委員 聞くだけ聞いておきましょう。  さてそこで、「地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない」、こういうのですが、具体的にはどういう国を相手にどういう問題を想定をして、地域的な、あるいは期間的な限定された武力紛争の生起する可能性は否定できないのですか。具体的に言うとこれはどういうことになりますか。何が起こるのですか。
  121. 久保卓也

    久保説明員 ここでは特定の国についてどうであるということを申しておるわけではございませんで、全般的な武力紛争が発生する公算は一般的に減少している。これは私ども考え方ではほとんどないと考えておりますし、ただいまあげられました「日本の防衛」の中では「強く抑制されている」、この実態を私どもは実は同じように感じております。したがいまして、文言が若干違ったことによってニュアンスが違うではないかという、あるいは御意見もあろうかと思いますけれども、実体的には同じことだと考えております。  そうして、この「限定された武力紛争」というものの考え方は、実は一般論、一般的な趨勢を申すわけでありまして、第二次大戦以後については、全面的な長期にわたる戦争というのは、朝鮮戦争とベトナム戦争、しいて言えばビアフラですかの紛争がありましたが、それ以外は、特定の目的のために紛争が生じている、そういった事態は世界各地域においてもないと思います。第二次大戦後四十数個の武力紛争が行なわれておるといわれますが、この二つないし三つを除けば、すべて地域的あるいは期間的に限定される、あるいは侵略の態様が限定される、そういったような紛争が従来生じておる、そういった紛争の将来起こる可能性を否定することはできない、そういう趣旨であります。
  122. 大出俊

    ○大出委員 これは日本の防衛考えているので、そうなると極東の範囲の問題まで蒸し返さなければなりません。これは日本の防衛考えている。ベトナム戦争がどういう方向づけを持つかということはまだわかりません。わかりませんが、関係ある各大国を含めて終息の方向に向かおうという意思は強烈に動いている。これだけは否定はできない。きょうも二階堂官房長官が、戦車問題にからんでいみじくも、ベトナム戦争が早く収拾できるように日本という国も含めて努力しなければならぬ、そうなればこれは解決するのだと言っておりましたが、日本といえどもそうなんだ。これはそうすると、限定されたある意味の局地的な紛争というものがどっちを向いているかというと、解決の方向に向いているに違いない。人類の知恵がそうさしているのだと思う。そうでしょう。そうすると、ここでいっている四次防というものは何のためにきめるかというと、これは日本の防衛なんでしょう。そうだとすると、日本の置かれている地理的条件の上に、ここでいうところの、具体的にしからばその地域的な、あるいは期間的に限定された武力紛争というものがどう起こるかということがなければ、ベトナム戦争に触れて、いまあなたが一般的な説明だとこう言ってみても、安保条約自体が極東の範囲に限られてものを考えている。そうでしょう。そうでなければならぬのですよ。そうすると、そちらのほうに紛争が残っているとしても、先ほど来申し述べておりますように、冷戦構造の大きな変化が国連加盟以降今日に至るまで、日中国交回復に至る米中接近を背景にした動きというもの、つい最近における周恩来総理の台湾に対する見解の、アメリカ記者に対してものを言った中身なんかも、決して急いでいない。だからその意味では、武力紛争を考えてはいない。そう受け取れるものの言い方をしておられる。南北朝鮮の話し合い、これも歴然たる事実です。  そうだとすると、ここでいっている「地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない」。日本という国が置かれておる地理的条件に立ってものを判断する、単なる一般論では済みませんよ。四次防というものを前提に踏まえての情勢分析なんですから。そこはどうなんですか。
  123. 久保卓也

    久保説明員 私どもは、世界の大勢としては平和の方向に進んでいる、また極東という地域をとりましてもそうであるという認識に立っております。したがって、当面われわれが予想し得る段階においては、平和の方向に進んでいくであろう、しかしながら、世界の情勢というもの、あるいは極東についても同じかもしれませんが、国際の情勢というものは絶えず流動的であり、またいつ変化するかわからないという認識に立つわけであります。したがって、またこの国際情勢の判断というものは往々にして間違えやすい。われわれも間違うかもしれないし、相手方も間違うかもしれない。そういった誤判断の実例というものは、過去の歴史的事実の中にたくさんあります。私どもは平和の方向に進むであろうと考えるわけでありますが、将来にわたって何が起こるかわからない。したがって、将来についてはある種の備えというものを、平素のうちから、あるいは平和のときのうちから準備をしておくことが必要であろうということで、当面は平和な見通しを持っておりますけれども、将来のそういった流動的あるいは変化の可能性のある事態に対して考える。そういうような事態を想定すれば、世界各地で「地域的ないし期間的に限定された武力紛争」がある事柄が、日本については絶対に起こり得ないという論拠はないのではなかろうか。そこで、否定することはできないというような認識に立っておるわけであります。
  124. 大出俊

    ○大出委員 本来、防衛というものは将来の可能性を想見をしてものを考える、そういうことでしょう。そうすると、可能性が減少しているとこの情勢分析は書いているでしょう。そうでしょう。防衛白書の時点から比べてみると、きわめて不明確な書き方である。たとえば日中国交回復というものは、白書の面からすれば、「特に」という形で一番表に出した中共の動向というものが決定的に変わってきた。米中接近なんて予測していなかった。私どもだって当時から、アメリカだって一つ間違えば日本の頭越しに中国と話し合う時期だって出てくると、これは北欧における動き等を想定してものを言ったことはある。あなた方はしきりに否定しておられた。しかし現実にそうなった。引き続いて日中国交回復が行なわれた。アメリカ議会でジョンソン国務次官が証言しておりますけれども、ここで日中国交回復が急がれれば、いわゆる自由陣営は混乱をする。それはなぜかといえば、日中国交回復に引き続いて西ドイツ、豪州、フィリピン、さらにタイなども含めて中国との国交回復をやってしまうという路線が考えられる、そうすれば、自由陣営は結束が乱れてアメリカと台湾が孤立をするということ、議事録を読んでみますとここまで言っていますよ。だから、自由陣営の結束を乱すなという言い方を日本に対してした。これは皆さん御存じのとおりです。そうでしょう。  そうなると、日中国交回復は、単にここに書いてあるように「役立つものと考える」という程度のことではなくて、すでに西ドイツの外務大臣は、大平さんに会ったのですか。中国に招かれて行くのでしょう。そこまで来ている。やれ十月の末だというようなことをいわれている。あと次々にそっちの方向に向かおうとしておる国際情勢でしょう。そうだとすると、近い将来の可能性という中で、つまり紛争生起の可能性というものは非常に減少してきている。だとすれば、その時期にきめようとする四次防なんだから、新聞が論調をそろえて、あせるなということも当然ですよ。国民がそう考えることも、これまた当然ですよ。何で一体こんなに急がなければならぬのか。全く中国から帰ってきたらおっ取り刀でものを片づける。背景に凍結などという問題もあって、防衛庁がばたばたしておるのは私も知っておる。だが、そんなことで、日本の将来の安全保障というものを含めて、防衛というものを考えるわけにはいかない。もっと基本的なものを、国民に説得力を持って論議をする、相談をする、あるいは国会で論議をする、その必要はある。そうでないところに、次々に新聞がものを書くことになる。国民が不安を感じることになる。ここらあたりが私どもにしては納得できない。  そういう情勢で将来の可能性を展望してみて、それが非常に減少している歴然たる事実。読み違えもあると言うけれども、近い将来という意味の可能性からいったらたいへんに減少している。ただ単に、防衛というものは常日ごろやっていなければいかぬのだからということで、三次防の倍額のものを考えるという、そういう飛躍は私は許されぬと思う。つまり、何でそこまで急がなければならなかったのか。私は、田中内閣の防衛に対する路線というものがもっと明確にあってしかるべきだと思うのですが、それもない。そこらは増原さん、一体どう考えますか。
  125. 増原恵吉

    増原国務大臣 「情勢判断」に書いてあるとおりの判断をしておるのですが、いま防衛局長も申しましたように、「地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない」、これは一般的に言ってそういうことでありまするが、もちろん日本に全然影響のないようなものをさしておるわけじゃありません。中国との関連における――これは日中だけでなしに、いろいろな国が中国との国交正常化をしておるという状況においては、まさに御指摘のとおりでありまするが、われわれは、大規模な武力紛争が発生する公算はない、さらに減少する、そういうものはもうほとんどあるとはいま考えていないという方向でありまするが、「地域的ないし期間的に限定された武力紛争」というものがないとは言えない。どこにあるという言い方をしておるわけではないが、そういうたてまえで四次防というものが計画をされ、これはもう情勢の変化によりまして、最初防衛庁原案をつくりましたものは、もちろん、経済、財政的な要因等も含めて大きく削減をいたしてあるわけでありまするけれども、そういう立場に立ってやはり四次防というものをつくっていこうというので、最近になって特に急いだというよりも、問題をきめるべきものがおくれてきておったものと私どもは見ておるわけであります。特に急いでこの時期に取りきめたという考え方ではない、こういうことでございます。
  126. 大出俊

    ○大出委員 新聞などに書いてありますように、艦ができたらミサイルがなかったり、ちぐはぐなことばかりになっている。F4Eファントムにだって、これは一飛行隊できるのでしょうけれども、載っける兵器がない、凍結されているから。そういう皆さんのあせりとかいろいろなものがあるけれども、それは枝葉末節ですよ。そういう問題で四次防をきめられたのでは、たまったものではない。  あなたは、いまいろいろおっしゃるが、情勢分析というものを離れて四次防というものは存在し得ない。では、一般的にこう書いたんだ、どこにあるかわからないが、地域的ないし期間的にそういう武力紛争の生ずる可能性を否定はできないのだ、そういう言い方ならば、この「情勢判断」は要らないのです。国の防衛に必要なんだといって四次防を組めばいいのです。それにしては四次防というものは大き過ぎるから、あなたは気がひける。気がひけるから、ここに何かこう書いておかなければならぬ。書くとなると、防衛白書と対比して書いたのではぐあいが悪い。だからあなた方は、防衛白書に書いてある、あのときにあなた方はこう書いているじゃないか、いや、今度は外務省が書きました、そういうやり方で、これは見せかけをこしらえても通用しない。もう少しフランクにものを考えなければいけませんよ。だから一々ちぐはぐな話が出てくる。  大規模戦争というものについて、ここにあるのは「さらに減少しつつあるものとみられるが」だが、防衛庁の側からすれば、ほとんどない、強く抑止される、こういうことです。それなら、これはほとんどない。ほとんどないというのと、「さらに減少しつつある」ということとは、これは大きな違いですよ。そうでしょう。あなたは同じだと言うけれども、国民にはわかりはしないじゃないですか。ほとんどないといえばほとんどないのだから、「さらに減少しつつある」、そういういいかげんなことではだめです。強く抑止されるというふうに防衛庁が言い切るならば、国民がそう思うでしょう。そうすると、ほとんどない、抑止されてしまうというのに何で四次防なんというものを考えるんだ、こうなっては困るから、あなた方は外務省をしてこういう書き方にする。これでは私は論議にならぬという気がする。  だから、私はこれは、外務省で「情勢判断」をかってに書いておきなさい、防衛庁は防衛庁で前からの方針がある、しかしまあ少しは減らさないと、四兆八千億だなんて言っていると、ベース改定その他を入れると五兆三千億くらいになってしまって、二千億かそこら減らしておかなければぐあいが悪いということになって減らしたんだということになってしまう。だから新聞の書き方は全部そうだ。私もそう思う。そうなんじゃないですか、増原さん。ぐあいが悪いからちょっと減らしておこうじゃないかという、そうなんじゃないの、ほんとうのところ。まあちょっと外務省書いておいてくれ、まあいいやその辺で、あまりぴしゃっと書いてしまうとぐあいが悪い、まあ「減少しつつある」くらいにしておいてくれ。何か出てくれば、防衛庁は、久保さんではないが、抑止される。だから同じことなんだ。四兆八千億じゃうるさいから、少し減らして四兆六千三百億くらいにしておけばいいだろうというのじゃないの。
  127. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうことではありません。書き方がことばの一つ一つにおいてさらに吟味すべきではないかという趣旨においては、そういう点、私も了承いたしますけれども、全体としてこういう「情勢判断」はわれわれの賛成するところであるということで、こういうふうになったわけでございます。  そこで、申し上げましたように、いわゆる防衛庁原案というものは四兆八千億といわれたものですが、これはその後、沖繩配備関係で約一千億、それから四十六年から七年におけるベースアップ、これはすでに行なわれているので、そういうものを加味して今度の防衛計画が行なわれておる。四十七年以後は入っておりませんが、四十六年のものは決定されたものとして、これは約二千億の増。千億と二千億、約三千億の増というものは、いわゆる原案における四兆八千億としては五兆一千億程度のものになっておったという計算のものを、御指摘になったようないろいろなことを考慮いたしまして削減をした、そして四兆六千三百億ということになったわけでございます。おっしゃるように、そういいかげんにやったということではないわけでございます。その点は御理解をいただきたいと思います。
  128. 大出俊

    ○大出委員 大体防衛庁は前科があるからだめですよ。中曽根さんはアメリカに行って、一生懸命そのとき英語でしゃべったのですね。当時私はあとから質問したのですが、日本は防衛努力はしない。金を使わぬじゃないかとさんざん言われたものだから、一昨年、中曽根原案でベース改定分まで後生大事にわざわざ全部入れて五兆八千億、こうやったわけでしょう。これだけ日本は努力している。ところが、五兆八千億に世の中たまげて、これはでか過ぎるんじゃないかと大騒ぎをした。海の向こうからもクレームがついて、日本は軍事大国の道を歩むと言われ、アメリカの下院の調査団なんかもお見えになって、これは日本の軍国主義復活と報告した。あれは四月の二十七日ですよ。大騒ぎになったでしょう。今度は、皆さんのほうでお出しになったものは、どこかに書いてありましたが、ベース改定分を抜いてわざわざ小さくした、世の中がでけえでけえと言うものだから。海の向こうのアメリカさんのほうで、防衛に金を使わぬというふうに言われたら、ベース改定を入れて五兆八千億と言ってみて、今度は世の中が、緊張緩和の要因が目の前にたくさんあるものだから、国民もこんな時期にと言うものだから、新聞もそう書くものだから、今度、ベース改定を抜いて四兆六千三百億と書いてあるところは、前と場所が違うでしょう。参考だか備考だか、とんでもないところに書いてある。何でそういうことまでしなければいけないのですか。
  129. 増原恵吉

    増原国務大臣 この五兆二千億といって、ベースアップを入れれば五兆八千億という数字を発表したこと、そのとおりでございますが、われわれのほうは五兆二千億に相当するものを基礎としてやる。これは御承知のいわゆる国際通貨不安といいますか、ドル・ショック、ニクソン・ショック、経済的な相当の変動が出てきて、景気の伸びが予想したよりも悪くなるという大きい見通しが出てきて、経済見通しがやっと九月に入りまして、経済企画庁が、これからの見通しは一応四次防の期間として見て七ないし一〇ということをそのとき示してくれるというような状況でありまして、最初の原案ができたときには一応そのときの見通しとしての経済見通しを立てて、それによってベースアップは約六千億という計算がそのときにはすんなりできたわけです。私どもが今度やる場合には経済のダウンで、経済企画庁も九月になってそういう見通しを立てた。それも七ないし一〇という形で立てておりますことともからんで、私どもはベースアップを幾らということを言わなかった。しかし、しいて聞かれればどの程度ということは、これは大蔵省とも相談をして大体の大きな見当は立てられるわけですけれども、そういうことを特に言うことは必要なかろうということで申したので、数字をえらくそこらでごまかそうといったって、こんな簡単明瞭なことですから、そうごまかせるわけのものでもないと思うのであります。おっしゃるような意味で私どもはベースアップを除いたということではないわけであります。
  130. 大出俊

    ○大出委員 それは理由はあとからつけようと思えばつきますが、事実はあくまでも変わらないでしょう。中曽根さんのときにはベースアップを入れたんでしょう。今度はあなた方は抜いたんでしょう。この事実は厳として存在するでしょう。なぜ前に入れておいて今度は入れなかったかという問題が残るでしょう、どう理由をつけようとも。そうでしょう。いま最後にお答えになった答えだって、これは私がこの資料で当時質問したら、中曽根さんお認めになっているから言うのだけれども、四十六年度の七千六百九億円を起点として考える、当時の五兆八千億はこれを起点とする。これを五十一年度までに平均一八・八程度ずつふやしていくという計算をすると、五カ年間のトータルの数字はおおむね五兆八千億になる、こう説明しているでしょう。こういう方式を当時すでに説明してあって、それを今度はあなた方はお変えになったわけだから、世の中から見れば、私の言うような立論になる。新聞だってそう書いている新聞がたくさんある。そういう細工みたいに料理することを次々におやりになるから、ものの本質が少しはずれかかったように見える。私はこれは、非常にこそくでよくないと思うのですよ。だが、あとの質問者の方もあり、きょうはいささか私も腹が立ってお二人にわんわん言ったのだけれども、待っている人間の気持ちにもなってもらいたいのでお許しいただきたいのだが、そこで時間がありませんから先に進みます。  さて、この四兆六千三百億ですか、これは一体限界という意味でものを言えば、あなた方のほうはGNPの何%が出てくるのですか。一体防衛力限界というものはお考えになっていないのですか。
  131. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま防衛力限界として取り上げているものは、大体GNPの一%以内というのを一つ取り上げております。それに対して、それでは、日本のようにGNPがどんどん伸びていく国では、そういう歯どめでは不適当ではないか、したがって、防衛力限界なりめどなりというものを示すべきだという御意見もありました。これは私は委員会でもお答えをいたしましたが、私どもでも何か一つ若干の前提を置かなければならぬと思いまするが、そういうものをひとつつくってみましょう、大体年内にはそういうものをつくってみましょうと申しておるわけであります。総理からも国防会議の懇談会で、平和時における防衛力限界というものをひとつつくってくれという要請があったわけであります。ですから、その一%だけで限界が十分だなどと私どもも思っておらぬわけでございます。それはまた少し全般的な立場から言えば、いわゆるシビリアンコントロールの制度をもっと具体的に有効なものにする。国防会議人員の増加なんということも一つでありますが、そういうことをいろいろ考え合わせて、歯どめも単なるGNPだけでないものをこしらえる。一番一応の歯どめとして説得力のあるもの、平和時における防衛力限界防衛力のめどというふうなものを、ひとつつくるということをいたしてみたいというふうに考えておるわけであります。
  132. 大出俊

    ○大出委員 それが実は逆じゃないですか。いまになって国防会議でも総理から、平和時における限界というのはどうなのかということを明らかにしろと指示をされた、新聞にはそう書いてある。先ほど二階堂さんとのやりとりの中でもそれが出てきておる、平和時ということまで入って。ところがこれは逆なんですね。国民が三次防の時点から今日までに久しくものを言ってきているところですよ。中曽根原案が出たときから三年かかっているでしょう、四次防そのものも。そうだとすると、国民の世論にこたえて、平和時における防衛力限界というものはこういうものだということが表にまず出されてきて、その上で四次防というものをこう考える、これがあたりまえでしょう。きのうやきょうの論争ではない。ところが、四次防というものを表に出して国防会議できめてしまう。きめてしまうにあたって総理いわく、防衛庁長官、君ひとつ平和時における防衛力限界考えてみてくれ。それではこれまた、四次防という各新聞論調一切反対しているものを、急ぎなさんな、大き過ぎますよと反対しているものを、限界がありませんぞと言っているものを、防衛庁原案が出ているのだから、それをきめるにあたって、何かそこで言わなければかっこうがつかない。そうなれば、これまた見せかけですよ、そういうやり方というのは。さっき私が幾つか冒頭から申し上げているけれども、すべてそこに結びついている。そういうやり方では全くもって説得力のない決定になり提案になります。まして国防会議議員懇談会までいかない途中で、国防会議のさなかに、いろんな機関を開いているときに、むしろ会議の中から防衛庁に対して限界を示せという言い方があった。あなた方は、限界というのはそう簡単にできないと言われる。私、島田次官に雑談のときにものを言ったのだけれども、むしろ示したがらない。新聞はそう書いている。そういう過去の経過があるにもかかわらず、いまになって決定してしまってから、どうせ質問が出るんだから、そうしたら、いや検討することになっているんだという、そういうやり方は、うるさいからこの辺でそうしておけということに、これまたなる。それではこれはまともな論議にならぬでしょう。増原さん、自分でそうお思いになりませんか。一生懸命あなたお粘りになって、凍結を早く解除しろなんということで、けつに火がついているというようなことで急がれたんじゃ、たまったものではないという気が私はする。  そこで、いまの限界ですが、GNPとおっしゃるが、歴代内閣、歴代防衛庁長官がそうころころ変わっちゃ困る。予算なんというものは問題にならぬと言っている長官もいる、三次防決定にあたって。時が変わるとすぐそういうことになる。ここに例がありますから申し上げておきますが、松野防衛庁長官、このときに佐藤総理がお答えになっていますが、自衛力の限界防衛力限界というものが国会で議論になっている。ここでは、羽生三七さんが質問している、だいぶこまかい中身がございます。  ここで松野さんが言っているのは、日本の防衛力というものがまだ限界に達しているかいないかという問題が一つある。だが、それをはかるについて、予算、したがってこの予算の二%ならどうだとか三%ならという議論ではないと私は思う。この中身は、つまり予算というふうなものは問題にならぬと言っているのだ。予算の問題で限界なんというものはきめられないのだという答弁をここでしている。予算の金額というものは、これはもう問題になっておりません。二%ならどうだとか三%ならどうだとかいう議論ではないと私は思う、これは限界にならないと言っている、御本人が三次防のときに。三次防のときに防衛庁長官が私に、向こう岸が高くなったからこっちも岸を高くしなければならないと、しまいには詰めたらこう言った。参議院ではこういうふうに答弁をしている。予算に触れたから、GNPその他に触れたから、そうしたら、そういうふうなものは、やれ西ドイツが四%とかフランスが四%という話が出てくるけれども、本来予算なんというものは問題にならぬ、防衛力限界はそこにあるんじゃないと言っている。いまになると皆さんは、一%以内なんというようなことを今度は言い出す。そうころころ変わっちゃ困るので、そこでもう一つ承りたいのですけれども、戦力というのは皆さんはどういうふうにお考えになっていますか。増原さんに承りたい。
  133. 増原恵吉

    増原国務大臣 戦力という問題は、従来、憲法の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」という意味における戦力というものがどういうものかということで論議をされたのでございます。単なる戦う力というふうな意味合いのものではないというふうに普通いわれております。そういう意味で、憲法九条二項にいう戦力というものは、当時はだいぶ昔のことですけれども、一項との関係において戦力という定義がなされておった。結論としては、日本における自衛力というものは憲法九条にいう戦力であるとかないとかいう問題でなくて、一応これはやはり国の基本的な自衛の力を持ち得るという意味において、自衛の範囲では武力へ力というものは持ち得るという意味でいまの自衛力を考えておるということでは、自衛隊がこの憲法の九条二項にいう戦力であるかどうかというふうな問題は、一応何というか、関係づけなくてもいいという形で、私どもはいま憲法九条二項の戦力というものは理解をしておる。私どもは、憲法における自衛隊というものは、本来国の持つ自衛力としての自衛の力、そういうもので、これは憲法に指定するものではないというふうな意味において戦力ということを考えておる、こういうことでございます。
  134. 大出俊

    ○大出委員 これは増原さん、たいへんな御答弁をなさるので、これは公式な席でございますから、いまのお話からすると、憲法九条にいうところの戦力放棄、その戦力は事自衛隊、自衛だから憲法と関係づけなくてよろしい、自衛力なんだから戦力とは関係がないのだ、こういう考え方で私どもは進めておりますと、こうあなたはお答えになった。――待ってくださいよ、しゃべっているのですから。ということになると、あなたは昔おやりになったときのやつも入っていますが、私は歴代内閣のものを全部読んである。私は高辻さんとかつて大きな論争をしたことがある。途中で彼は資料がなくなって、待ってくれと言って取りに行ったことがある。だから、そんなことならば法制局長官をやめてしまえと私は言ったことがある。全部私は読んでいるのです。  いま松野さんのを出したのは、佐藤さんにおなりになったとき、佐藤内閣の戦力の定義をここに答えているからなんです。そんなことをあなたは言つちまったら、「国防基本方針」にいう「国力国情」の国情とは一体何をさすのかということになりますよ。国情というのは、平和憲法を持っている日本という国の国情、まずこれが入っているのですよ。あとは国民の世論動向、これも入っているのですよ。私は何べんも質問してある。「国防基本方針」に憲法との対比の上で国情という問題が入っている。関連づけなくてよろしいなんということはどこにもない、いままでの論争の中に。  おまけに、御存じの砂川判決というのがございますね。これは最高裁ですが、同条二項、いま言う憲法九条二項は、「いわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」、いいですか、「自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」――わかりますね。憲法九条二項にいう戦力、その戦力の定義は、自衛のための戦力、それまで否定しているかどうかということを別として、と、たな上げしたのですよ。この憲法裁判の論争というのは、つまり憲法九条二項にいう戦力、ここにたくさんその答弁例がありますけれども、自衛力であってもそれが戦力でありたら一体どうなるかという論争なんですね。戦力である限りは戦力不保持の原則からして違憲である、こういうことになる。だからだんだん進んできている、大きくなってきている日本の自衛力というものが戦力とどうからんでくるか、どこまでを戦力というかという、そこの論争をしているわけです、これは。そこで、その焦点について最高裁は逃げたわけだ。憲法解釈を逃げたその逃げ方が、「同条二項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」。だから、自衛のためならば戦力の保持はよろしいということになるとするならば、自衛隊は合憲なりという判断を下すことになる。あるいは、自衛のためであっても戦力である限りは、不保持の原則に抵触するから、今日の自衛力というものは戦力不保持の原則に抵触するという結果を出せば、自衛隊は憲法違反になる。この有権解釈が最高裁にない。  だから私どもは、曲解をすれば――曲解ではない、正解かもわからぬが、田中さんが幹事長のときに、これは皆さんが御存じの外務省の条約局長をおやりになった下田武三さんなんかを最高裁判事にしたが、今度の衆議院選挙は、来月十五日解散になればマル・バツをやるわけだ。私は下田さんにバツを書こうと思っているけれども、有権解釈を一本とればいいという考え方なんだ、あなた方は。それはつまり自衛力であれば、これは戦力であっても九条はこれを許容する、こういう判決が一本出れば、自衛隊は幾ら戦力を保持しても憲法に照らしてまさに合憲である、こういうことになる。そうでしょう。そこらを非常に私どもは、そういう判決でも出させようという意図がいまの総理に、時の幹事長田中さんにあったのではないかというたいへんな危惧を抱いている。敗戦、軍国主義の一つのけじめになるから、私はそう思っている。それだけの問題を、あなたはいま、戦力というものは九条二項にあるが、これは、われわれは自衛力なんだから関係づけて解釈をする必要はない、関係ないということで考えておりますということになるとすると、これはえらいことになりますよ。いいですか、あなた。
  135. 増原恵吉

    増原国務大臣 ことばが足りなくてたいへんその点は恐縮ですが、言い改めるというか、はっきりさせたいと思います。  もともとこの問題は、私が申し上げることは適当ではなくて一法制局長官にはっきりしたことを言ってもらうのが一番いいのですが、私が申し上げたのは、いまの日本の自衛隊というものは自衛のための措置であって、これは量においても質においても、わずかのものであっても、質的に他国を侵略できる、し得るような性質の装備は持てない、そういう個々のものは持たなくとも、量的にまとまって他国に脅威を与える、侵略をするようなものは持てないという憲法上の明確な制限のあるものがいまの自衛隊である。そういうたてまえで自衛隊というものがいま整備をされつつあるわけであります。これはわれわれは憲法九条二項にいう戦力であるというふうに考えない、そういうものではないというたてまえでやっておるというのが私の申したいところでありまして、そうでないというような言い方をしたとすれば、それはひとつつつしんで訂正をさせていただきたい。私は、自衛隊は戦力であっても九条二項にいう戦力ではない、そう言ったつもりでありませんので、そういうように聞こえたら、その点は取り消させていただきます。
  136. 大出俊

    ○大出委員 そういうふうに明確におっしゃったから、うしろから声があったわけですよ。これは大事なところですからお気をつけいただかないと困るので、つまりいまの再答弁からすれば、自衛のためのものであるが戦力に至らざるものという解釈をされている。いまの自衛力は戦力に至らざるもの、そういう御解釈、他国に脅威を与えないという例が一つあがっている。これは先ほど私が取り上げた松野さんのお話も、いまおっしゃられたのと似た趣旨のことを言っておられる。これは一番新しい論争の一つなんですが、つまり相手方から見れば脅威を感ずる、こちら側から見れば脅威を与える、つまり兵器体系からながめてみてこの基礎にもう一つある。  これはかって、いまの人事院総裁の佐藤達夫さんが法制局長官の時代、この時代に法制局が一つの統一見解を出している。これは私は高辻さんとだいぶ論争して、彼は記憶薄れがあるとこうおっしゃいましたが、あとになって、そういうことを内部できめたことがあります、それは質問があってそれを表に出したことがございます。出したならば統一見解になったことではないか、結果的にはそういうことです。そうなっておる。昭和二十七年十一月二十五日、内閣法制局、それが戦力解釈を統一をした。これは高辻さんと私は正規にここでやり合って議事録に残っているのですからいい。ここで、「右にいう戦力とは近代戦争遂行に役立つ程度の装備、編成を備えるものをいう」、これは定義の一つなんです。あといろいろなことがありますけれども、これが以後ずっと、高辻さん答える近代戦争遂行能力、こういう議論になっている。  そこで問題は、私は、近代戦争遂行能力とはしからばいかなるものかということが、より具体的なやりとりになって詰まっていかなければならないものだと考えている。だからF4Eファントムを採用するかいなかのときに、石橋さんと増田甲子七さんの論争があった。足が長いものを持たない、敵に脅威を与える戦力というものにからんでくるから、こう言ったところに大きな騒ぎになった。本会議で私は佐藤総理のときに質問したのだけれども。だからそうなると、一体、今回の四次防というものは三次防体系の引き継ぎだと、あなたはさっきの加藤さんの質問に答えて言う。書いてありますから正確に申し上げておきますが、先ほど加藤さんが質問したのに対して、三次防の継続という考え方で進めてきた、こうおっしゃった。三次防の継続。三次防の延長ということばもお使いになっている。三次防の延長であり継続ならば、予算が二倍になったのはどういうことかと国民が心配しているから、解明をここでしておこうという御意図で質問なさったのだと思う。そこで、三次防の引き続きだ、延長だと言うにしては、今回の四次防の装備というものは中身が非常に違い過ぎる。そうすると、そのことは戦力との関係においてどう考えたらいいか。敵に脅威を与える、こう私は理解するから。松野さんの論法もそうだ。向こうが脅威を感じた、これはこちら側が脅威を与えたことになる、そこに一つの限界があります、あとは日本という国を防衛する、その能力というものと戦力というものとの限界があります、こう答えている。そこで問題になるのは、たとえば今回の例をあげれば、F4Eファントム一つつかまえても、塩原さん、小松飛行場にファントムならファントムを配置した場合に、北朝鮮の平壌まで八百キロしかないのですよ。ファントムの速力で行けば、これは二十分かからない。たいへんに足の長いものです。そうすると、この兵器というものは、率直に言って、松野論法からするならば、相手は脅威を感ずるし、こちら側からすれば脅威を与える結果になるという意味で、今回り幾つか例をあげておきますが、装備上明確に大きな変化がある。あとからT2の問題に触れますが、このT2一つをとっても――T33というのは御存じのとおり前の練習機ですね。これが全重量、これはいいですけれども、念のために申し上げておぎますと、T2は九千キログラム、T33が六千八百五十、乗員が二人ずつで、エンジンがT2が二基、T33が一基、時速がT2は千七百キロメートル、最大速度一・六マッハですね。ところがT33は時速八百五十二キロ。これは一例ですが、そういう大きな装備上の違いがある。だが、T2は足が短いからというお話が出るかもしれぬ。それからRF4Eにしても、これは一々申し上げてもしかたがないが、二マッハに対する〇・九マッハでしょう。三次防体系でいけばこれはRF86Fですね。これは〇・九マッハ。今回のRF4Eの場合には二マッハ、時速は二千百二十六メートル、実用上昇限度一万八千メートル。ところが86Fは一万四千というふうに、たいへんな差がある。こういうふうに、今度の兵器体系の幾つかをとらえても、三次防と四次防装備というものとの間にはたいへん大きな開きがある。戦車にしてもシュノーケルなんかくっつけて、前の61とはだいぶ違う。完全密閉式ですから。そういう大きな極端な違いがある、こう見なければならぬわけです。そうすると、そこらの問題とあわせて、戦力との関係というのは、ぼつぼつこの辺で、一体どの辺のところまでを押えるかという、国民に説得力のある限界をほんとうに表に出さなければならぬ時期に来ている、・こういうふうに私は思っている。この防衛白書の中でいう、憲法上持てる兵器、持てない兵器なんというものがありますけれども、もっとより具体的に、敵に脅威を与える、与えない戦力、近代戦争遂行能力というものを基礎にして、久しく国会で法制局を相手に論争された近代戦争遂行能力というものを中心にして考えると、この辺にやはり限度があるという、そういうところまではっきりしないと、これは世論的におさまらない。だれでも、限界、そんなものあるはずないよ、どこまでいってしまうかわからないと、こういう見方をみんながする。皆さんが口にする専守防衛がほんとうならば、この際ははっきりしなければならぬ時期に来ている、こう思うのですよ。いかがですか、その点。
  137. 増原恵吉

    増原国務大臣 仰せの趣旨はよくわかりまするが、少し具体的なこまかいことから申しますと、ファントムというものは三次防で採用したわけでございまするが、自衛力というものはある意味において相対的の面を持っておる。ですから、86で有効なファイターとしての防御ができる時分には86でよかったのですけれども、それでは近隣における備えとも比較をして防御の実があがらないということになって、これが104になる、今度はファントムになるというふうに展開をしてきたわけであります。そういう意味では、やはり相対的なものとしての兵器の進歩がなければならぬという意味はあると思います。ですから、私どもが三次防の延長、継続と申しました場合は、そういう意味における一つ一つのものが大きく性能が向上しておるということはあるわけでございます。そういうものが三次防と同じような種類の護衛艦なり航空機を持つという意味ではないわけでございます。これは御理解いただけると思います。そういう意味における兵器の改善、改良というものがあっての継続、延長という意味で申しておるわけでございます。したがって、そこでそれでは限界というものはあるではないか。これはしかし、ぴたりと具体的でないといううらみはございますけれども、やはり基本的には日本憲法のたてまえであるわけですが、やはり自衛、防衛ということに徹する量、質というものに観念としては明確な限界がある。これは一つの経費的な面でいえば、GNPの一%というようなことも、ルーズな限界かもしれませんが、一つの限界にはなり得ると思うわけですが、のみならず、いま御論議になりましたように、わが国において専守防衛という立場における自衛力の限界というものをひとつわれわれも計算をしてお示しをする、御批判をいただくということもやろうといま考えておるわけであります。そういう意味での限界もそこでつくってもらう、あるいは国会における論議ということでも、その限界というものはまたつけてもらう、国防会議における審議というものも、さらに有効、的確にできるようなことを考えてもらう、そういうことを全部もちまして、憲法の明確に定めております自衛、防衛ということの備えをするということになるというふうに考えておるわけでございます。
  138. 大出俊

    ○大出委員 しばらくぶりで私はまじめにものを言っているのです。たいへんおとなしい話をしているのですが、いまの議論でいけば、向こう岸が高くなればこっちも高くするという理屈になるのですよ。向こうが近代的な装備を備えればこっちも近代的な備えをしなければならぬ、改良されたものを持っていくということになる、この論法でいくと。四次防艦だって潜水艦は五隻でしょう。ところが、これも燃料電池が間に合うかどうか、これはわかりませんけれども、より近代化されたもの、そういう解釈になっていく。F4Eファントムの三次防の途中におけるFX論争でもそうでしょう。さっきも足が長いというか、増田さんが石橋さんに押えられて、足の長いのは持てないとなったのです、持てる持てないで。だからそういうことになってしまう。だからこそ限界論争が各新聞に出てくるわけです。だから、もしあなたのほうで限界というものを何とか明示をしたいとおっしゃるなら、本来それが先に出なければならぬものがおそくなっているのですから――あなたのほうで全く無検討のはずがない。たとえば、どんなところに限界を求めようとしているのか、何に対する限界なのかという、そういうアウトラインくらいは、せめてこの際国民に示さなければならぬ。総理国防会議の席上で、国防会議議長として、平時における限界をなんということを言ったって、こんなものは、いつも人が忘れたころになって出てくる話ならば、まさに見せかけでしょう。そういうふざけた見せかけじゃ困る。あなたは、さっき見せかけだと言ったら、そんなことはない。なければ一体どの辺のめどで、四次防を論議しているのですから、何に対する限界であるのか、どういうところの見当でそういう限界をまとめようとお考えになっているのか。これは増原さんがぐあいが悪ければ久保さんでけっこうです。久保さんのほうが詳しいですから、久保理論としてこの辺のところを解明していただけませんか。どういうところをとらえて限界を明示しようとなさるのか、このくらいのアウトラインは言ってもらわなければ、対応して調べるものも私どもは調べようがないわけです。
  139. 久保卓也

    久保説明員 私も先生方から御教示を受けたいわけでありますが、現在、庁内でこれから検討を始めようとしているところであります。私個人の考え方はもちろん持ってはおりますけれども、具体的な内容は、いずれ庁内のコンセンサスを得られたところでお示しをしたいと思いますが、従来いわれていることと、それからプラスアルファがあろうと思います。  従来いわれていることはあまり繰り返しませんけれども、たとえば憲法上の制約でありますとか、あるいは人員の制約もございます。これはどの辺に見通すか、今後十年以上にわたって見通さないといけないと思います。それと、あまり触れられないところは、施設上、土地の取得ということで、かりに飛行場がほしい、あるいは艦艇の基地がほしいといっても、簡単に得られるものではありません。そういったところからくる制約もあろうかと思います。それから、先ほどGNPの一%というお話がありました。これはまた松野長官が言われたといわれますように、予算的なものが限界ということは実は当たらないと思います。論理的には当たらないと思います。しかし、田中総理が言われましたのは、政策としての限界であろうと思います。したがって、政策として一%以内におさめろというのが出れば、これは一つの限界と受け取ってよろしかろうと思います。この辺が従来いわれていることでありますが、もう一つは別の観点から言いますと、総理が言われましたのは、平和時における防衛力限界、こういうことばがついております。  そこで、従来の考え方は平時と有事という思想でありまして、有事がどういう事態であるか、これは必ずしも明確ではありません。しかしかりに、朝鮮半島でありますとか、あるいはヨーロッパでありますとか、そういったところが、有事であるか、あるいは戦時であるかは別といたしまして、少なくとも緊張状態にあることは間違いなかろうと思います。緊張状態があればこそ、予算の上で一〇%あるいはそれ以上、GNPにしても三%ないし四%に近い、そういった国柄と日本とは違うのではないか。今日、日本の置かれている情勢は違うのではないか。それをかりに平和時を取り上げてみれば、必ずしも先ほどの両岸論でなくても、わが国に直接侵略しようという国を想定しないならば、一応そういった平和な時代において、ある種の意味合いを考えて――意味のない防衛力を持ってもしようがありませんから、その意味を見つけることはなかなかむずかしい問題でありますが、そういう意味を持つ防衛力というものであれば、平和なときにおいて大体この程度持っておればよろしかろう。そしてまた兵器については、ある分野については一流のものが望ましいし、ある分野については二流でがまんすべきものもあり得るのではなかろうかというようなある程度の分析も可能ではないか、そういうような方向考えてみたいと思っております。
  140. 大出俊

    ○大出委員 一つのワクを、めどをそういうところに置いて検討してみたい、こういう意味ですね。時間がありません。海原さんをお待たせしておりますから、二、三承りたいが、その前に、大蔵省の方がお見えになっておると思いますから、念のために承っておきたいのですが、さっき防衛庁長官から、四兆六千三百億、こう言ったのだが、大蔵省と相談をして人件費伸び率を算定することができる、こういうお話があった。世上、五兆一千億ぐらいになるのではないかというめどが一つあります。したがって、大体そこらを算定していくと、何か中曽根原案のときには算定されていた五兆八千億、今度はそれがなくなってしまった。意図的ではないかと言ったら、考え方が変わったのだ、こういうことで言ったので、特におっしゃるような意味で変えたのじゃない、こういうのです。理由はどうでもつくけれども。そういう意味で念のために、大体四次防末を想定した場合に、人件費伸び率をどのくらいに押えていけばいいのかという点。つまり世上いわれる五兆一千億になるのかどうか、そこら辺いかがですか。
  141. 長岡實

    ○長岡説明員 四兆六千三百億のワクが国防会議で大体きめられました際には、私ども事務的に議論をいたしました段階では、一つの大きなめどは、三次防の二兆三千四百億の二倍以内であるべきだという議論が一つあったわけでございます。二兆三千四百億の三次防の規模につきましては、ベースアップその他は含めておりません。先ほど中曽根原案のときのあれから今度変わったとおっしゃいましたけれども、私どもがいままで承知しておる範囲内では、三次防、二次防等きめてまいりますときには、ベースアップ等は入れないで全体の規模議論しておったように聞いております。四兆六千三百億のめどをたてる場合には、いま申し上げましたようなことで大体きまってまいったわけでございますけれども、いまの時点で今後五年間のベースアップ率を想定することはたいへんむずかしゅうございます。おそらく経済企画庁のほうで、今後の長期経済計画をこれから策定されまして、そのフレームとも申し上げるべきものが、大体GNP伸び率が実質的には七ないし一〇の間におさまるであろうということは示されまして、その結果、この四次防の規模もきまったわけでございますけれども、その程度の想定のもとに今後どの程度の人件費上昇率を見込むかということは、現在のところ自信のある数字はございません。かりに三次防期間中ぐらいの実績率ということになりますと、やはり五千億とか六千億というオーダーになりまして、巷間伝えられる五兆一千とか二千というところあたりが一つのめどであろうと思いますけれども、これは私どもいまのところ全く自信を持っておりません。
  142. 大出俊

    ○大出委員 それから、もう一つ落としておりますので承りたいのですが、久保さん、先ほどのようなめどで限界を示すにしても、四次防論争が始まったわけですから、そういう意味では、私は早くなければならぬと思う。大体まとめるめどをどのくらいにお置きですか。
  143. 久保卓也

    久保説明員 防衛力限界ということばは、昔から国会で議論されておりまして、防衛庁側から提示されたことはおそらくございません。ただ、昨年の通常国会で、中曽根長官の十年後の目標ということで出たものがありますけれども、これは十年後の目標であって、いわゆる防衛力限界というものではありません。したがいまして、しかく容易なものではなかろうと思います。また、個人の意見を述べることは容易でありますが、庁内あるいは全般、各省庁との調整ということも相当かかりましょうから、楽観はいたしておりませんが、私どもとしましては、実は通常国会に間に合わせるように年内に何とかまとめ上げたいという気持ちで、私自身は努力しております。
  144. 大出俊

    ○大出委員 それではたくさんございますが、時間を冒頭からつぶしておりますから、T2に関する問題を少し承りたいのです。これの事の起こりと申しますか、四十一年だと思うのでありますが、これはたしか海原さんが防衛局長時代じゃないかと思うのです。四十一年に次期高等練習機XT2を輸入するか国産にするかという論争があった。私もこの論争に参画したことがあるのでありますが、このときの一機価格というのはたしか四億円だったと思うのであります。このときはたしか輸入、国産のいろいろな論争があって、国産、こうなったのではないかと思うのでありますが、そこのところを、どなたでもけっこうですけれども、お答えをいただきたい。
  145. 海原治

    ○海原説明員 私の名前が出ましたので、まず私に関することを申し上げますと、私は、国会でF5についての御説明はいたしておりません。その前のケースであるT38、これは練習機、あるいはF104Jの目標機として航空幕僚監部のほうで保持したい希望がある、これを来年度予算に計上いたしております、こういうことを御説明したのでございます。ただしこれについては、大蔵省のほうの同意を得られませんでしたので、T38はその後予算要求にも計上されておりません。その後いろいろと次期戦闘機の選択との関連におきまして、私個人がF5をたいへんに支持しておったではないかという大出先生からの御質問がありましたので、私はそういうことはございませんということを、個人としてそういうことのできる立場ではございませんということもお答えをしたことがございます。以上、二件が私に関する限りの国会における答弁でございます。
  146. 大出俊

    ○大出委員 そこで、ほかの方々に承りたいのですけれども、このXT2問題、次期高等練習機の問題は、四十一年当時国産ときまった、こういう経緯がございます。つまり国産ときまって単価四億円ということになった。このときの、輸入すべきである、国産すべきであるという理論、どういうわけで国産ということに踏み切ったのか、そこをまず承りたい。
  147. 久保卓也

    久保説明員 当時の、三次防決定の前の情勢であったと思いますが、高等練習機を輸入するかどうかという問題がありまして、輸入か開発国産かという問題が議論されたようであります。結局、結論としまして、開発を進めて国産をするということにきめられましたが、当時の推算によりますと、F86Fの減耗の程度、それから国内開発ができ上がります時期との間に若干のギャップがある、したがって、その不足分については輸入をする必要があるかもしれないということで、機数は忘れましたが、機種をきめませんで、一定金額をまるい数字で三次防の中に入れておいた、こういう経緯であったと思います。
  148. 大出俊

    ○大出委員 これは当時、メーン契約者が三菱重工になりまして、そしてサブ契約者が富士重工と川崎重工です。エンジンは石川島播磨重工、そこが受け持つ。英国のロールスロイス・ツルボメカのエンジン、エンジン「アドーア」といわれているものでありますが、このライセンス製作、これは六十五億円という額が研究開発費に投じられていますね。そうでしょう。いかがですか。
  149. 黒部穰

    ○黒部説明員 そのとおりでございますが、そのほかになお試験がございますので、総体費約八十五億円になっております。
  150. 大出俊

    ○大出委員 ところで四十六年四月に、いまおっしゃる試験機ですか、試作第一号機ができましたのが四十六年の四月です、これは。それから試作の二号機、これができましたのが四十六年の十一月。これは完成です。そこで航空自衛隊の実験航空隊でテスト飛行をやったわけです、試作機について、この一号機、二号機の。ここで承っておきたいのですが、T2の実験飛行機の完成、実用試験完了というのは、私は当時質問をして、ここに記録してあるのに基づいて申し上げますと、四十八年までかかる、実はこういう御答弁になっております。資料もそうでございました。ここのところはどうなっていますか。いま変わりましたですか。
  151. 岡太直

    岡太説明員 T2につきましては、現在、技術試験、実用試験を実施しておりますが、開発の完了は四十八年末でございます。
  152. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いま試験はやってないのですか。試作機はできたでしょう。これは違うかどうかはっきりしてくださいよ。いいかげんじゃ困る。四十六年の四月に試作第一号機ができている。十一月に試作の二号機ができている。開発完了じゃないですが、できていますよ。私はその点、質問しているのですから。
  153. 岡太直

    岡太説明員 四十八年末まで開発がかかるということを申し上げました。そして第一号機は四十六年の七月から初飛行、それから二号機は四十六年十二月完成いたしまして、それから飛行を実施している。現在飛行試験を実施しております。それから三号機につきましては四十七年の四月、四号機につきましては四十七年七月完成いたしております。これはいずれも現在飛行試験を実施しております。
  154. 大出俊

    ○大出委員 開発が四十八年までとおっしゃるのですが、試験飛行の完了はいつまでになるのですか。
  155. 岡太直

    岡太説明員 やはり四十八年末でございます。
  156. 大出俊

    ○大出委員 そうですね。私はさっき一号機を四十六年の四月、こう申しまして、二号機が十一月、こう言いましたが、当時私が防衛庁に聞いたら、そういう御回答でございました。そのとおり申し上げたのですが、ズレが多少あったということですな。四月が七月になって、十一月が十二月になった、こういうことですな。資料も私持っているのですよ。当時出していただいています。
  157. 岡太直

    岡太説明員 私は、四十六年の七月二十日というのは、これは初めて飛行しました初飛行のことを申し上げました。先生はおそらく工場完成のロールアウト、その辺の違いかと思います。
  158. 大出俊

    ○大出委員 こまかいことを言うようですが、当時、私が調べたり、資料を提出をいただいたり、記録をしたりしたいきさつがあって、違っているとすると、みずからの記憶に自信を失いますから聞いたのです。いまのお話でよくわかりました。そこで、研究開発と生産というのはおのずから私は別だと思っております。つまりT2は、昨年末試験飛行をおやりになったときでございますけれども、エンジントラブルが起きまして片肺着陸、こういう事故があった。これも私、調べております。これはエンジントラブルというのは常にあるのだ、こういうお話なんですけれども、やはり事故のあったということは、これは厳然たる事実であります。間違いないことであります。そうなると、ここで防衛庁に一つ承っておきたいのですが、装備品等の制式に関する訓令というのがございますな。ありますでしょう。
  159. 黒部穰

    ○黒部説明員 装備品等の制式に関する訓令はございます。
  160. 大出俊

    ○大出委員 この装備品等の制式に関する訓令に基づきますと、こう書いてありますね。装備品を採用する場合には、「制式を制定した後でなければ部隊の使用に供してはならない」と、第六条でございますが、そうなっておりますが、いかがですか。
  161. 黒部穰

    ○黒部説明員 字句の一々、正確に記憶いたしておりませんが、おおむねさような趣旨になっております。
  162. 大出俊

    ○大出委員 次に、同じ制式ですが、実用試験を完了しなければ装備審議会に諮問することができない。これは第十六条、第十七条でございますね。これもおそらくそうなっているはずだと思いますが、いかがでしょう。
  163. 黒部穰

    ○黒部説明員 先ほどの第六条かと思いますが、部隊装備の前には制式としなければならないという規定がございますが、それに二つほど例外規定が入ってございます。それから、技術試験、実用試験を終わったあとで長官報告が出されて、それで制式の手続に入るわけでございます。
  164. 大出俊

    ○大出委員 つまり、そうたいして変わったことをお答えになっていないわけでありまして、そういうふうになっている。そこで、装備審議会に諮問しなければ制式採用の可否は定められないことになっていますね。これは十七条、十八条。つまり装備審議会に諮問しなければ制式採用の可否、これはきめられない、こういう事態が十七条、十八条。ここはいかがでございますか。
  165. 黒部穰

    ○黒部説明員 そのとおりでございます。
  166. 大出俊

    ○大出委員 そうですね。私はまずわからないのは、いま御答弁がありましたように、試作機ができた、これは完成が、四十六年の四月一号機、十一月二号機。そのあと、いま御答弁ございましたが、三号機が四十七年四月、四号機が四十七年七月、こうなった。実用試験の完了というのは四十八年末というのが、私がかつて防衛庁に承った中身でしたが、そのとおりだというお話でございます。そうすると、これは実用試験完了いたしませんと、つまり装備品等の制式に関する訓令に基づく取り扱いに入っていけない、こういうことになりますね。そういう意味で、つまり研究開発というものと採用というものとはおのずから違う。明確なんですね。幾ら研究開発をしても、それがまずければ制式化できない、つまり採用できない、こういう筋道ですね、訓令から読んでいけば。これは前に別なところで私が一ぺん御質問申し上げたことがありますけれども、そのときにも明確にそういう御答弁がありまして、そうですとお答えになったのです。これは議事録にあります。そこで、さっき私が例にあげましたエンジントラブルがあって、T2の試験で実はいささか失敗があった。このときに輸入論というのが再燃しているんですね。T2の国産化の実験失敗、そういう面から輸入論がもう一ぺんここで問題になったことがある。なかなかT2は思うようにいかないのではないか。つまりエンジン「アドーア」等のライセンス国産をやっているんだけれども、どうもエンジンがうまくないということ。それで最高一・六マッハというんだが、どうもそこまで出ない、減速しそうであるというふうな問題が当時は問題になった。私も実は防衛庁にいろいろ調べたことがあります。そういうことを前提にすると、四十八年に試験飛行が完了する予定になっているのに、つまりまだ制式化できないのに、何で一体、このT2を何機であるとか、やれ国産であるとか、やれ輸入であるとか、あれだけ大きな論争があったのをいま急いでやらなければならないのかという点、私には理解ができない、何と言われても。いま資料を全部出しておりません。あらためてまた予算かどこかでやらなければならないですからね。表街道だけすらっといま言っているのだけれども、それでも、いまずっとお聞きしていくとそこにぶつかる、四十八年ですから、つまり、どっちにいくかということについては、実験飛行の見通しは立ったにしても、終わらなければ制式化できないのですから。長官がみずから出している訓令です。これはいまでは責任継承の原則でございますから。訓令というのは増原長官の命令なんです。そうでしょう。御自分の訓令を自分で踏みつぶすわけにはまいらないわけであります。そこで承りたいのでありますが――久保さん、御心配なさらないように。そんな一々増原さんに助言なさらぬでもだいじょうぶ。そこで承りたいのですけれども、今回、大蔵省の皆さんが、ここにドルがあるからという意味かもわかりませんけれども、輸入をすべきである。輸入対象はいま海原さんからお話が出ましたが、F5Eをさすのだろうと思うのでありますが、これはFST2改との関係等もいろいろございましょう。だが、どっちをするにせよ輸入論法が出てきた。これは二転、三転する過程で、新聞によりますと、国防会議の事務局からと、こう書いてあるのでありますが、国防会議の事務局からこのT2についての欠陥の指摘があった、こういうわけですね。そこで二つ承りたいのですが、大蔵省の皆さんに、つまり国産でなくて輸入すべきであるということになった論拠、これを承りたい。それからもう一つ、国防会議の海原さんの側に、エンジン不調、スピード低下という問題を取り上げておられるわけでありますが、私は私なりに調査したものがございますけれども、海原さんのほうでは、国防会議事務局は、一体どういうふうに、このエンジン不調、スピード低下という問題を、つまり欠陥機であるということになるのでありますから、おとらえになったのか。そこのところを御説明いただきたいわけであります。
  167. 長岡實

    ○長岡説明員 大蔵省といたしましては、第四次防衛力整備計画がきめられますに際しましては、別にT2型をあげてということではなくて、先ほど先生もおっしゃいましたように、現在置かれております国際収支問題といいますか、日本の国際経済のもとにおける立場もいまたいへん微妙でございまして、ともすれば世界の孤児になりそうであるという非常に緊迫した情勢にあるという強い認識を持っておりますので、主要装備等につきましては、国産を輸入に切りかえることを検討してほしいという一般的な要請を申し上げたわけでございます。
  168. 海原治

    ○海原説明員 いま先生が引用されました新聞記事は私も読んでおります。どうしてそういう記事が出たのか、実は私のほうは存じません。これはT2とT2改でございますか、この関連で輸入とか国産とかという問題につきましては、国防会議の参事官会議でも問題にいたしておりません。そういう技術的な問題につきましては、直接の責任者であられる防衛庁、それから財政的な面の大蔵省、この両者間での話し合いにおまかせいただきたいということを私が参事官会議の席上で申し上げまして、いわゆる国防会議事務局としては全く関係いたしておりません。
  169. 大出俊

    ○大出委員 海原さんが防衛局長をおやりになっている時代から、どうもいろいろなことがにぎやかに出てくるので、渦中に引き出す気があってお呼びしたのじゃないけれども、しかし、これだけ記事が明確に載っておりますと、これはやはり何かそこになければ、全く架空の記事が出てくることは予測できない。中身を読んでみますと、私の持っております資料なんかともほぼ一致している。だから、そうなりますと、これらの資料をやはりどこかから表へ出したことになる。そういうことになる。あれだけ時間がかかってもめたことも事実なんです。ほかのある新聞の関係の記者の方に聞いても、やりとりの中ではそういう話が出ていると言う。そうなると、単に、中曽根さんが海原ざんをさしたのか、国防会議事務局長をさしたのかは別として、妙な言い方が昔あったのだけれども、何か最近はすっかり引っ込んで、海原さんおっしゃらぬようになりましたですね。ほっといてくれというような顔をして、まことに衛生上よくないですよ。思うことを言わざるは腹ふくるるのわざでございましてね。しかし、まあどうしてもおっしゃらぬというなら本筋で承りますが……。これは、かつて私が調査をし、資料もここにありますが、片肺飛行になったテスト時代のいきさつもある。エンジンがどうもライセンス生産の結果よくないというので、輸入論が台頭している時期があった。こういうことになりますと、このロールスロイスのライセンス生産、「アドーア」の問題については、速力その他、防衛庁はこれはお逃げになると困るのですが、新聞関係の方が行って聞いた。最高速度マッハ幾つになっているのに、たいへんどうも原則に合ってないじゃないか、欠陥機じゃないか。いや、エンジントラブルというのは、エンジンのそういうのは間々あるので、常態に近くいつもある、だから常に研究開発をしていくことになるのだ、たいしたことはないのだということをおっしゃったと、直接聞いた方から私は聞いている。そういう問題がなければ、防衛庁に聞きに行く記者もなければ、防衛庁が答える必要もない。海原さんは口を緘して語らずといえども、そこに事実がある限りは、どこかから耳に入ることになっている。そこで、そこはこういうことなんだ、だから心配ないなら心配ないでいいから、心配があるならそれでいいから、それを率直に言っていただけないか。国民の疑問を解くべきだと思うから、私は承りたい。
  170. 海原治

    ○海原説明員 私が黙して語らずというふうにおっしゃいますけれども、これは常に真実を申し上げておりますので、事務局の議事全部ございますから、お調べになっていただけばわかりますけれども、T2の輸入、国産問題は国防会議事務局では議論しておりません。これははっきり冒頭のところで申し上げております。私、別に腹ふくるるようなことをやっておるわけではございませんので、その点は私の御説明をそのとおり御了解いただきたいと思います。
  171. 大出俊

    ○大出委員 これはあとからまた少しものを言わなければならぬ場面があると思いますので、読み上げておきますが、国防会議事務局側から指摘されたもの、新聞はこうなっているのですね。これは海原さんという意味ではありませんけれども、事務局側ですから、事務局にはいろいろな人がいるのでしょうから。それも御存じないですか。
  172. 海原治

    ○海原説明員 それも私は知りません。新聞を読みまして、一応三人の参事官がおりますので、すぐその参事官に当たってみましたが、だれもそういうことを言っておりません。
  173. 大出俊

    ○大出委員 ちょっとこれは切らしていただきまして、せっかく木村さんお見えになりましたので、木村大臣にちょっと承りたいのです。大臣があんまりあちこちでいろいろなことを言うものですから、きょうは一日それが出たのだろうからあまり言いたくないのですが、いいかげんで大臣をおやめになったほうがいいんじゃないかと、よほど口まで出かかったのですけれども、いま顔を見ますとそうも言えないのですが、だけれども、どうも国家公安委員長は二級品で、だから付録に建設大臣をもらったんだとか、相模補給廠前にたむろした人間の三分の二はやじ馬だとか、社会党や共産党までどうも三派式のことをおっしゃられたのでは、せっかくものごとをまとめようたって、まとまりませんですよ。戦車問題を、私は、うしろのほうからはおこられるけれども、市民を巻き込んでも困る、けが人が出ても困ると思えばこそ、ずいぶん私はペテンにかかったと言われながら努力してきたつもりですよ。閣議了解もできて前に進もうということになっているさなかなどに、いろいろあなたのそういう話が出てくると、これはますます問題が複雑になる。火をつけてくれているようなものですね、これは。そこで、やはりこの辺で火消しをしてほしいのですよ。この間も申し上げたように、市の職員を逮捕したわけですからね。しかも道路監理員という、道路法七十一条に基づき市長が任免をしている、権限のある人間がチェックに行ったものを、おたくの所管する警察の方々がグリーンベルトに押し倒す。それでも職務に忠実で、声をあげて、チェックしに来たんだと言えば、ぐずぐず言えば逮捕する。そういうことが起こってしまったのに、単に逮捕した人間を起訴しないで済むものではない。責任の所在を何らかの形で明らかにしなければ、まとめたくてもまとめようがないのだということを申し上げたはずです。そこで大臣は、至高の政治的配慮をもって解決をいたしますと、実はこういう明快な御答弁をいただいた。私はそのときに、しからば現場の皆さんの関係の方々にお話をいただいて、どういうふうにしたら片づくかという具体的な相談を願いたい、こう実は申し上げている。そうさせます、こうなっていた。ところが、いまだに、どうなっているのかどうもさっぱりわからぬということでは、まことにこれは困る。したがって、今日それが一体どういうことになっておるのか。あれからたいへん日にちがたっております。先月の十七日のことですから、これは。だから、そういう意味で大臣のほうから、二階堂さんも石橋書記長に、木村大臣を通じて解決をいたさせますと答えているわけですから、その点を踏まえて……。せっかくきょうは官房長官にお出かけいただいて、戦車問題を少し前に進めたくものを申し上げまして、政府の具体的努力、つまりアクションを表に出す、私の力量の限界はあろうけれども、私は努力します、だから横浜、相模原両市長の要望書に対してもその点を含めた回答をいたしましょう、ここまでものを言っておられるわけですから、あるいはそちらのほうは前進をするかもしらぬ。そこで最後に難関になるのがいまの問題でございます。そこをひとつ承っておきたいのであります。
  174. 木村武雄

    ○木村国務大臣 この前、相模原の市職員の逮捕問題につきましては最高の考慮を払う、こう言いまして、そいつはいまだに変わっておりませんし、その点は、私がそういうことを申し上げましたから、御安心なさってよろしかろうと私は思います。申し上げたことにつきましては、いささかの狂いもありません。ですから、どうぞその点は御了解願いたいと思います。
  175. 大出俊

    ○大出委員 しかし問題は、ものが片づかなければしょうがないので、警察庁の方はほかにお見えになっているんだと思いますが、警備局長入ってなかったですか。――大臣はそうおっしゃっておられるので、御心配なくということなんですが、つまりどういうことになるのですか。
  176. 山本鎭彦

    ○山本説明員 ただいま大臣の言われた趣旨を体しまして、捜査を慎重、適正に進めておる段階でございまして、もうしばらく――終結をして最終的な判断を加えるというように神奈川県のほうで言っておりますので、来週にははっきりするというふうに考えております。
  177. 大出俊

    ○大出委員 来週にはっきりする……。
  178. 山本鎭彦

    ○山本説明員 というふうに神奈川県のほうで言っておりますので、そういうことで待っておるわけでございます。
  179. 大出俊

    ○大出委員 これは問題を前に進める、本質を前に進める、その問題とからむのですよ。市長といえども判こをつけませんからね、片づかないと。だから、来週はいいけれども、この委員会を終わると、国会は二十七日まで開かれぬ。どういう方向で解決をつけるわけですか、来週。どんな方向なんですか。
  180. 木村武雄

    ○木村国務大臣 この前お答えしたとおりでありますから、その点は御了解されてけっこうだと思います。どういう結果であるかということは、ここでは申し上げられませんけれども、御期待に沿わないことはやりませんから、どうかその点は御安心ください。
  181. 大出俊

    ○大出委員 じゃ、和田さんからも関連質問があるそうでございますので、私ここでもう一、二点ちょっと承ってあと関連質問していただきますが、いまの点は、それならばそれでいまの答弁を了といたしまして、局長、来週早々とおっしゃっておるので、何とか早くしていただきませんと、今度はそれだけの問題に詰まってしまいますから、ほかのほうが片づいても。したがって、そこのところを前向きでお進めいただきたいのです。そこでもう一点。車両制限令の特例であるとか、これは建設省の高橋さんが、たしかそういうことはお考えになっていないということをお答えになっておりますが、それをもう一ぺん、いろいろ耳に入ることがありますから、承っておきたい。特例をおつくりになる気があるのかないのか。もう一つ、この横浜市の道路、この市道を国道に編入するなどという法的に手続がとれますか。この二つ、お答え願いたい。
  182. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 車両制限令の特例を設けるかどうかについての御質問でございますが、先般のこの委員会で、設けるつもりはないという御答弁を申し上げたのでございますが、その時点におきましては、われわれ道路関係者は、国以外の各道路管理者におきましても、道路法に照らして技術的に合理的に判断して車両の通行を許可するものというふうに判断しておったわけでございます。またそのように期待しておったわけでございますが、その後の情勢を見てみますと、必ずしも道路法に従って判断するとは思えない向きもございまして、そのために、われわれ部内におきましても何らかの検討を加える必要があるのではないかというふうに、ただいま考えております。したがいまして、検討を始めていると申し上げたほうが正しいかと思います。それから、第二点の国道の指定ができるかどうかでございますが、国道の指定は道路法に基づいて行なうわけでございますが、ただいまの道路法から判断いたしますと、国道に指定することも不可能ではございません。ただし、われわれ自身、ただいま現在においては、国道の指定は考えておりません。
  183. 大出俊

    ○大出委員 いまの二つの問題は非常に重要なんですが、第一点は、これは戦車問題で重量制限がやかましくいわれて、国内法というものをたてにとった形でとめられたんだ、だから特例をつくって逃げ切ろうという考え方は前からなくはない。だから私はあなたに質問したら、その意思はないと答えた。にもかかわらず、検討中と申し上げたほうがいいということになりますと私はその焦点が米軍の輸送にあると申さざるを得ない。ある道路管理者は必ずしも道路法に従ってやっていないこうおっしゃる。そうでしょう。それは横浜なり相模原なりをさすことになる。そうすると、そこまで一体、末端の市長の権限というものを侵してまで米軍協力しなければならないのかということになる。国内法を守るたてまえというものがある以上は、これも皆さんが私の質問にお答えになってしまったのだから、いまさらひっくり返せないとすると、抜け道はそこにしかない。ないから、それをやって米軍の輸送に協力するとすると、国民的な立場からすると、そこまでのことをして米軍協力しなければならぬのかという世論が起こりますよ。国に、これは国道指定してくれと言ったって、めったに取り上げもしない道路について――取り上げれば国が責任を負わなければならぬのですから。管理費もかかるのですから。それをまた、いまのところはない、こうおっしやるからいいのですが、いまのところはないと言ったが、先へ行って、この間はああいうふうにお答え申し上げましたが、いまの車両制限令の特例と同じで、いまは検討中と申し上げたほうがよろしゅうございますなんと言われたら迷惑です。めったにとってもくれないものを、事この際戦車というものをとらえて、あるいは兵員装甲輸送車などをとらえて、さて横浜市の村雨橋、有名になりました千鳥橋も、例の横浜の市道を国道編入などということをもしお考えになるとすると、これまたあなた方が予測しがたい混乱が起こります。ベトナム帰りの米艦船に対する飲料水が全部とまってみたり……。これはとめなくてもとめる方法がある。しかも、これは水道法の適用除外という理解を、法的には私どもは法律家を集めて研究している。だから、そこらの問題を含めて、海上における紛争まで起こる。だからそういう意味で、特例は設けないとおっしゃったにもかかわらず、今日検討中と言う。ならば、いま国道編入の問題について、できるけれどもいまは考えていないと言うが、これも信憑性が薄い。ほんとうのところはどうなんですか、その二つは。
  184. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいま答弁したとおりでございます。
  185. 大出俊

    ○大出委員 そういう答弁が出てくると、そこから先はものを言えない。つまり検討中であると言う。だいぶ具体性がある、これは。大臣、そういうちゃちなことを考えてはいけませんよ。正道は正道なんですから。これは横浜市に対して、私道を市道にとってくれと言ったって、市は、経費がかかるから、市費がないからと言って、めったにとりやしませんよ、議会できめていて。それを横浜の市道を、わざわざ問題の戦車をとめたところなんというのを国道編入といったら、これは大きな騒ぎが起こりますよ。起こしていただくのはけっこうですけれどもね、皆さんがおやりになるならば。だがそういうことは、いまの車両制限の特例を含めまして邪道です。そうお思いになりませんか、大臣。
  186. 木村武雄

    ○木村国務大臣 大出委員のおっしゃったことは、私の一番心配しておることなんですよ、ほんとうに。そういうようなことはしたくない、そういうような場面はつくりたくない、そういう点で一番心配しておることなんでありまして、どうしたらいいかというときには、やはり考えさせてもらいまして、いろいろなことを考えなければならないと思っております。
  187. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、これまた検討中という答弁ですな、大臣は。
  188. 木村武雄

    ○木村国務大臣 いま局長がああいう話をいたしましたから、私はそいつを受けて御答弁したのでありまして、私は私なりの考えを持っております。
  189. 大出俊

    ○大出委員 だから、これはさっぱりわけがわからぬ答弁をなさるから聞くんだが、検討中ということでいいんですかと聞いておる。はっきりしてくださいよ。
  190. 木村武雄

    ○木村国務大臣 さっぱりわけがわからないようなんですけれども、わかっておるんですよ、私は。この点はわかっておるのです。ただ、そいつを言えないだけのことなんであります。言うよりも言わないほうがつらいということも考えてくださいよ。
  191. 大出俊

    ○大出委員 だけれども、大臣、よくも言ったりと思うことをずいぶんさんざん並べてきて、国家公安委員長なんというのは二級品で建設大臣は付録でもらったんだとか、相模原に集まるやつは三分の二がやじ馬だとか、社会党、共産党をつかまえて三派とたいして変わらないとか、何ですかあなた、そういうことをかってに言ってきて、肝心なところで何で言わないのですか。そういうことは田中総理は注意してないでしょう、放言を注意しているのですから。言ってください。どっちなんですか。御検討なさっているんでしょう。
  192. 木村武雄

    ○木村国務大臣 いまのところは検討していないと思います、そいつは。それは下のほうでやっているんであって、やっておったとすれば、なお聞いてみて、しかりおくことはしかりおかなければならないだろうと思いますが、そいつはまだ聞いておりません。
  193. 大出俊

    ○大出委員 大臣おかしな話をなさいますな。いろいろ知っているんだけれども、知っていることを言えないということはなかなかつらいことだと、あなたはおっしゃった。今度はあなたは知らないとおっしゃった。下のほうでやっているんだろうとおっしゃった。目の前で二枚舌を使ってはいけません。どっちがほんとうなんですか。下のほうでやっているのですか。
  194. 木村武雄

    ○木村国務大臣 そいつはやっていないと思いますがね。そこを非常に追及されると、結果が悪いものになるといけませんから、私はその点で非常に心配しておるんですよ。そのことは大出先生はおわかりになると思うのですがね。ほんとうに配慮しているんですよ。これは真剣に配慮していますよ。
  195. 大出俊

    ○大出委員 それじゃこういうことですか。そういう検討は末端のほうで、下のほうでやっているようだが、私としてはできればそういうことはしたくない、こういう意味ですか。それならそれでいいですよ。
  196. 木村武雄

    ○木村国務大臣 私の心を見抜いてくださいまして、ありがとうございます。
  197. 大出俊

    ○大出委員 見抜いてくださいましてありがとうございましたとおっしゃるなら、これは私の言ったとおりだということでよろしゅうございますね。末端で検討なさっておられるけれども、私としてはやりたくないという気持ちがあってここで言えない、こういうことだったというわけですから、まあ、それはそれでいいです。ひとつ問題をわざわざ火をつけてお歩きにならぬように、またこの問題、一つ間違うとまた大きな火になりますので、そういう火になることを総理がおそらく注意をしたということなんでしょうから、十分この点は慎重にひとつお願いをしておきたいと思います。先ほど私、官房長官にいろいろやりとりいたしましたが、そういう政治的な面も十分これは御考慮いただいて、かつ、美濃部さんが自衛隊の問題について新聞記者会見をしたときに、何か国が特例だとか妙なことをいろいろ考えているようなんで、自治体の管理者の手の及ばぬことになっては困るから、来年はということで本年は認めた、こう言っているわけですね。あまりこれはおどかさぬほうがいいですよ。おどしに乗る人と乗らぬ人がおるのだから。幾らおどかしてみても、やるならやってみろと開き直っちゃう人もいるのですから。美濃部さんみたいに、そうですかと言う人ばかりおらぬわけですから。ですからそこら辺は、ひとつ慎重に御配慮いただくように要望いたしまして、関連がございますので、かわります。
  198. 前田正男

    前田委員長 関連して和田耕作君。
  199. 和田耕作

    和田(耕)委員 建設大臣、この月のしまいに防衛庁で陸上自衛隊の観閲式をやることになっておるわけですけれども、それに富士の演習場から戦車が例年来ることになっている。ところが、今年は陸上の輸送は数カ所にわたって国内法に違反するということで、海上から輸送してくるということになっているわけですけれども、私はこの問題は、考えてみると非常に重要な問題だと思うのですね。つまり戦車は日本の陸上自衛隊の中心の兵器ですね。この四次防でも何百両かつくろうというものなんですけれども、これが国内法によって通れない国道が幾つもあるということは、考えようによれば、これはゆゆしい一つの問題だと私は思う。  そこで、この問題については、つまり輸送できない国内法を改正をするか、あるいはまた、その国内法の運用に問題があれば、この運用の問題について考えるか、あるいは、使えないものなら戦車なんかつくってもしようがないわけですから、いろいろなことを考えなければならない問題だと思うのですね。この前のときも、道路局長にいろいろこの問題ただしたのですけれども、制限があるような、ないような、ことによっては全くないような感じの答弁もあるわけですが、建設大臣としてこの問題をどのようにお考えになるのか。適当でない法規があれば直そうと思うのか、あるいは運用を考えようと思うのか。つまりこの問題は、自衛隊の一番中心の兵器が使えないわけですから、ひとつそのことについて、これだけの御答弁を聞かしていただきたい。
  200. 木村武雄

    ○木村国務大臣 米軍の戦車の問題を通していろいろな問題が出てきたのです。そのあとにおける自衛隊の問題なものですから、やはり運用で摩擦を起こさないでやってみたいというのが、私の気持ちなんですよ。それを、ことさらにいろいろな法の改正をやってみたり何かいたしますと、それはそれなりで終わらない。そういうことを大きく判断するのがやはり政治家じゃないだろうか、私はこう思いまして、そういう点で配慮してみたい、こういう気持ちを持っておるのでありまして、それを進めていきたい、こういうことなんであります。
  201. 和田耕作

    和田(耕)委員 もう一点、その問題についてこの前に道路局長といろいろ質疑をしたのですけれども、実際に重い、たとえば八十トン以上の戦車が通ると、自衛隊の場合はそれほど重くはないようですけれども、物理的にあぶないという橋が幾つかあると思うのです。そういう橋を全国的に、特に国道に関しては点検をする必要があると私は思うのです。この橋ならだいじょうぶだ、この橋なら直さなければならないということを点検しなければならぬと思うのです。私はこのことを強く希望するのは、見せかけの自衛隊じゃないわけであって、また使えない兵器をどんどんつくったってしょうがないわけです。そういう面から、私は四次防も再検討する必要があると思うのです。そういう点で、特に現在の日本の道路の状況が、現在、自衛隊の持っておる戦車、これの運行についてぐあいの悪い道路があるかないか、全国的にひとつ点検してもらいたいと思うのです。どうでしょうか。
  202. 木村武雄

    ○木村国務大臣 自衛隊の戦車が通る通らないということでなく、やはり橋の悪いものはほんとうに危険ですから、これは徹底的に点検いたしまして直しておかないとたいへんなことになってくると思うのです。そんなことでけが人なんか出したらたいへんですから、総点検させて修理させたいと思います。
  203. 和田耕作

    和田(耕)委員 ありがとうございました。
  204. 大出俊

    ○大出委員 続けます。  先ほどのT2ですが、私は、まあ制式決定ができない形のもの――四十八年に終わるのですから、これがいま、輸入するしないというようなことで論議していること自体、まず問題が一つある。さらに実は、海原さんはとうとう言わないのだけれども、まあいいです。あまり海原さんを期待したくないのでいいのですけれども、先に進めて、またそこへまいりましたら質問をいたします。  そこで、ちょっとこれは事実に即して伺っておきたいのですが、一機四億円のはずの見積もりが、四十五年十月、この四次防経費の試算の段階で一機十億円になりましたね。そうでございましょう。一つずつ聞いていきたいのですが……。
  205. 黒部穰

    ○黒部説明員 四億円というのはよく言われるのですが、実はそういうことについては何らの試算がございませんで、四十二年に一応六億円という試算はございます。四十五年の案をつくるときにあるいは十億円というのがあったかどうか、私ちょっとこれから調べます。
  206. 大出俊

    ○大出委員 あなたはそう言ってもだめですよ。私のところに蒲谷装備局長がお持ちをいただいた。青い、ゼロックスでとったのですか、鉛筆で写したようなのがあるのですよ。私はそれをノートに写してあるのですよ。だからあなたはそう言っても、それはだめなので、必要なら部屋にありますから持ってきますけれども、おまけにT2の写真まで載っけて私のところにお持ちになっているのです。いろんなのがありますが、御指摘の点はこれでございますとお持ちになったのです。蒲谷さんがここにいないのだからしようがないけれども、これはだめです。まああなたは、そういう試算があったか知らぬ、これは調べるというのだからいいと思う。お調べください。  そこで、四十六年ツルボメカの親会社のロールスロイスが倒産した。そこで特別発注をする、こういうことになった。これも私、確かめてあります。そこで、エンジン価格が当時大体幾らだと私、聞いたんですが、防衛庁はお答えになっておりますけれども、さっきみたいなことをおっしゃるので、今度はあなたに聞きます。一体、この特別発注のときのエンジン価格は幾らでございますか。試作機四機までつくっているんですから。
  207. 黒部穰

    ○黒部説明員 特別発注という意味は、量産ではなく試作機に使ったエンジンの価格は幾らかという御質問かと理解いたしますが、試作一号機、二号機ともエンジン価格は同額でございまして、これは四十四年度契約でございますが、二台で一号機、二号機は一億八千七百万円でございます。三号機、四号機は四十五年度契約でございますが、二台で二億三千万円になっております。
  208. 大出俊

    ○大出委員 この一億八千七百万というのは二台分の価格ですか。
  209. 黒部穰

    ○黒部説明員 さようでございます。
  210. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、先般の四十七年度予算でまいりますと、一機当たり十四億円になっておりますね。もちろんこれは工ンジンは二基ございますから、いま二台分というのは四基になりますよ。いまの一億八千七百万というのはエンジン四つ、一機に二つついているんですから四基分になります。そういうことになりますけれども、それでいいんですか。
  211. 黒部穰

    ○黒部説明員 四十七年度の予算要求価格は十四億ではございませんで、十一億七千八百万円でございます。これに初度部品を入れまして十四億何がしになるわけでございます。それから、先ほどのエンジンは二台で、つまり航空機一台分のエンジン二台で一億八千七百万円でございます。
  212. 大出俊

    ○大出委員 二基ですかと聞いたら、一号機、二号機二機分だとおっしゃるから、それでは計算が合わぬです。一機二台分でしょう、エンジンについて言えば。そうでしょう。そこのところをはっきりしてくださいよ。
  213. 黒部穰

    ○黒部説明員 私、申し上げたのは、一号機も二号機もエンジンは同じ値段でございまして、一号機に二台、二号機に二台のエンジンを積むわけでございますが、それぞれ二台当たりで一億八千七百万円でございます。それから三号機、四号機になりますとかなり高くなっているわけでございます。
  214. 大出俊

    ○大出委員 幾らですか。――言わない。これはそのほかに予備一基がございますね。予備が一基あって部品がございますね。そこらのものが入って十四億ですよ。これは、この前の国会のときに確かめたんですから。だから私の言っている十四億というのは、一機当たり単価というのは、この予備の一基が入り、部品が入り計十四億、こうでしょう。
  215. 黒部穰

    ○黒部説明員 十四億のほうにはエンジンは二台入りますが、補用エンジンは入れてございません。
  216. 大出俊

    ○大出委員 補助エンジンは、じゃどうなるんですか。
  217. 黒部穰

    ○黒部説明員 補用エンジンは補用エンジンで、また別に計上をいたしております。これも凍結を受けました。
  218. 大出俊

    ○大出委員 なるほど。これはあれですか。通常、ロールスロイス社が英国で販売をしている販売価格というのは、エンジンは幾らですか、「アドーア」は。
  219. 黒部穰

    ○黒部説明員 正確に申せば、ロールスロイス・ツルボメカという英仏共同の合弁会社でございまして、これが英国並びにフランスに売っているわけでございます。これの値段に関しては、詳細はわかりかねております。
  220. 大出俊

    ○大出委員 これは、日本の円に直して七千二百万ですよ、売っている価格は。あなたのほうで調てください。いずれにしても、これは特別発注で何%か高くなるだろうと思いますけれども、これはたいへんに高いものです。さっき四億ではない、六億だと出発はおっしゃったが、これはそこまで譲ってもいいですよ。別にこれは固執しませんが、私のほうは、蒲谷さんにお持ちいただいた価格計算をしてある資料に基づいて申し上げているのです。前装備局長から提出を願った資料です。それは四億からになっている。あなたは六億からとおっしゃるが、それでもいい。いいが、これはたいへんな高いもの。しかも、これはロールスロイス・ツルボメカ――ロールスロイスの子会社ですよ。これが国内販売価格あるいはフランスに売っている一機当たり単価等を、これも前装備局長に出していただいた資料で計算をしますと、七千二百万円になる。ですから、特別発注だということであっても、これはたいへんに高いものになる。そうすると、欠陥があり云々という形で指摘をされて新聞に出ておりますが、海原さん知らぬと言うけれども、私が一つ例にあげた、試作の時点で片肺飛行が行なわれたりなんかした例がある。これはもうすでにお認めになっている。だから、そういうふうなものを、事ここまできて、何で一体強引に国産という形に持ち込まなければならぬのかという点に、私は非常に大きな疑問を持つ。しかも、制式の訓令からいきまして、まだ営業というところまでいかない試験段階にある。試験段階にあるにもかかわらず、しかも欠陥が指摘されているにもかかわらず――この欠陥も承っておきたいのですが、この新聞等にございますように、どうも最高速度その他から見てたいへんにやはり欠陥があるように見える。ここらのところを含めて、その間の事情を御説明願いたい。
  221. 黒部穰

    ○黒部説明員 エンジントラブルにつきましては、後ほど担当の参事官から詳細に、いかなるものであるかということの説明があろうかと思います。それからエンジン価格につきましては、確かに、当初考えておりましたよりもはるかに高いものになりまして、この点につきましては、かつて予算委員会質問がありまして、理事会において、その詳細のデータを御提出申し上げて、御説明申し上げた次第でございます。なお、装備審議会との関連のことでございますが、自衛隊で使っておりますところの航空機につきましては、実は全部制式の手続をとっておりません。これは先ほど、第六条に例外規定としてございますところの、二つございますということを御説明いたしましたが、一つは、米軍の援助によって供与された装備品、並びに長官の承認したもの以外は制式をとらなければならないということになっているわけですが、航空機につきましては、かつては米軍の供与であったという経緯もあろうかと思いますが、その後わがほうで開発いたしましたものにつきましても、全部長官承認という手続をとりまして、制式という形にいたしていないわけでございます。これは航空機の場合は、一応の形ができ上がりましても、常に技術革新で内部の装備品を新たにしていくという場合がございます。ところが制式というものの制度は、どちらかといいますと、一たん、このシステムで、あるいわこの部品できめるということになりますと、十年ないし十五年はもうほとんど細部に至るまでもいじらないという形でありますために、どうしても航空機のように日進月歩の場合にはなじまないという点があるわけでございますので、これは別途長官承認の形ということでいたすわけでございます。ただし、基本要求性能、基本要目というようなものにつきましては、これは装備審議会で十分なる審議をいたすことになっておりまして、T2につきましても、C1につきましても、過去何回か審議を経た上で装備審議会で決定しているわけでございます。
  222. 大出俊

    ○大出委員 そこがきわめて不明確で、ここに社説がございますけれども、「今回は決定まぎわまで、航空自衛隊の高等練習機、支援戦闘機を国産とするか輸入するかで紛糾した。結局は双方とも国産とすることになったが、この紛糾の過程に不可解なことや不明朗な要素が多く印象づけられれた」、これは毎日新聞の社説ですよ。まさにこれは、私が前から何べんかさらってきていますから、わかっているわけでありますけれども、どうにもこれは理解に苦しむ。この単価の上がり方一つつかまえても、あなた、予算委員会理事会でと言うけれども、その資料も私、持っておりますので、その資料を検討しても、全くもって理解できない。何でこんなに上がったか、全部説明がない。ただ、物価が上がったとか何か、いろいろなことを言う。たとえば親会社が倒産したからというけれども、国内販売価格があるのだから、たいへん大きな差がここに出てくるというのは不可解です。納得できない。だからこの社説にありますように、「とりわけ、防衛産業界からの圧力が強く働いたのではないかという疑問さえ生じさせている」。新聞の社説に、天下の毎日新聞が「疑問さえ生じさせている」と書く以上は、私どもも気がつくことがある。  さらにもう一つ、「国産化問題は、防衛産業の育成と関連し、今後の防衛政策を進めるうえで重要な要件である。そうした決定には従来ともすれば政界と防衛産業界との黒い霧が取沙汰されたことがあるが、それこそ国民の不信感を助成することになり、十分につつしまねばなるまい」、こうなっている。社説でここまで書く以上は、私どもがかって例のバッジの問題を、川崎さんが問題にされたり、山口さんがなくなったりという時点に、蒲谷さんの前に森田さんがなくなったりという時点で、増田さんに質問したことがあるのですけれども、増田防衛庁長官の答弁は、ああいうことはないと言えば言うほど上がっていく、言えば言うほど単価が上がる。防衛庁長官答弁です。これは私に対しての予算委員会答弁です。そういうかっこうで、これは限りなく上がってきている。そうなると、一体頭金なんてどこに行っちゃったんだということになる。そういう疑問さえ、まさにこの社説じゃありませんけれども、抱かざるを得ない。こういうまことに不明朗なやり方を、これは長官どうお考えになりますか。国民に印象づけていると、ここに書いてありますけれども、それにしても何とも見ていられぬ気がする、この争いというものは。これは何をどうこうという以前の問題です。これは長官自身どうお考えになりますか、ここのところは。
  223. 増原恵吉

    増原国務大臣 これは、私が参りましてあれしたのは七月ですが、それ以後の段階において、以前のこともいろいろ経過を説明は聞いております。私が知る限り、経過を聞く限りにおいて、そういう何というか、いまお読み上げになったようなことがあるようには、どうしても思われないというふうに私はいま考えておるわけでございます。
  224. 大出俊

    ○大出委員 これは十月十日の毎日の社説をいま読み上げたのですが、ほかのほうにも散見できます。だが、きょうは臨時国会が始まったわけではございませんで、休会中の審議ですから、あらためてこれはもっとこまかく承りたいと思っているのですが、きょう時間もありませんから、抜き読みさせていただきました。  そこで、外務省の方もまだおいでになるので、最後にもう一つ承っておきたいことがあるのです。横須賀の空母の母港化という問題について外務省の局長に承りたいのですが、何か横須賀の市長さんがおたくに出かけていった時点があったのですね。そこでいろいろとやりとりをおたくとされた。この中で幾つか承りたいのですが、まずSRFなるものは、艦船修理部なるものは、一昨年十一月か十二月だったと思いますが、共同コミュニケが二国間にございますが、そこらを踏まえてどういうことになるのですか。まずそこから承りたい。
  225. 大河原良雄

    ○大河原説明員 横須賀の艦船修理部の点につきましてまず御質問がございましたが、これは御指摘のとおりに、一昨年の十二月二十三日に日米安保協議委員会におきまして日米間の合意ができたわけでございます。その後、事情の変更がございまして、若干の経緯がございましたことは、大出先生よく御承知のとおりであります。現在、艦船修理部の処理につきまして、関係者と鋭意検討中でございます。
  226. 大出俊

    ○大出委員 関係者は防衛庁なんですが、防衛庁はどうなんですか。ここのところはどうなっているのですか。
  227. 長坂強

    ○長坂説明員 この三月三十一日に外務省から発表がございましたように、一、二、三号ドックにつきましては自衛隊が使用するような方向で、それから残余の部分につきましては民間の使用にゆだねるような方向で検討するということで、そういう体制がこの中で、いわゆる米軍のいわば優先使用と申しますか、どういうような場合でも米軍が使えるというような事情、状態というものが確保される、そういうことを趣旨にいたしまして関係者間で打ち合わせをしておりまして、それでこの民間の使用のことにつきまして、特にその米軍の優先使用の件も含めまして、これは外務省、運輸省、米軍というところで協議を続けております。いまのところそういう状態でございます。
  228. 大出俊

    ○大出委員 もう少し突っ込んで承りたいのですが、大河原さん、九月の十四日ですか、エンタープライズは寄港しないという確約を得た、こういうのですが、そういうことをお話しになったのですか。
  229. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私、着任いたしまして間もなく、横須賀の長野市長があいさつにお見えになりました。その際に、横須賀の空母の寄港、空母の家族の居住の問題についていろいろ御質問がございました。それに対しまして、私が従来承知しております点を一般論の形で御説明いたしましたけれども、エンタープライズはどうだろうかというお話に対しまして、私が承知している限り、米側はエンタープライズを日本の港に寄港させる考えはないということを申し上げております。
  230. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、米側はエンタープライズを日本の港に寄港させることはない、こういう米軍考え方承知しているということを伝えた。間違いないですな。それから、この母港というのは、具体的に言うとどういうことが母港ということになるのですか。
  231. 大河原良雄

    ○大河原説明員 米海軍が考えておりますように、寄港の一つの態様といたしまして、具体的には航空母艦の家族を横須賀なら横須賀に居住させたい、こういう考え方承知をいたします。
  232. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、いまいわれている母港というのには、この攻撃型空母の母艦というのは何隻くらいで、一体どういう形になるか。いまの家族問題を含めてどう考えておられますか。
  233. 大河原良雄

    ○大河原説明員 これも、私どもが現在承知いたしております限りでは、空母一隻の乗り組み員の家族について、いま申し上げましたようなことを考えたいという希望を持っている状況でございます。
  234. 大出俊

    ○大出委員 それは将来ともに一隻ですか。
  235. 大河原良雄

    ○大河原説明員 私どもが聞いております限りでは、一隻というふうに承知いたしております。
  236. 大出俊

    ○大出委員 将来ともに……。
  237. 大河原良雄

    ○大河原説明員 将来といいますか、米海軍が考えております形としては、そういうものだということのようでございます。
  238. 大出俊

    ○大出委員 次に、久里浜海軍航空隊を含む旧軍事施設の返還という問題、この問題についてはどういう話になったのですか。
  239. 高松敬治

    ○高松説明員 久里浜でございますか。
  240. 大出俊

    ○大出委員 もう一ぺん言いましょう。久里浜の海軍航空隊を含む旧軍事施設の返還の問題です。
  241. 高松敬治

    ○高松説明員 ちょっと、私その話を承知いたしておりません。
  242. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、制限水域を含む地先埋め立ての問題はどうなんですか。
  243. 高松敬治

    ○高松説明員 この地先埋め立てにからむ制限水域の解除については、いまいろいろ米側と交渉しておる状態でございます。
  244. 大出俊

    ○大出委員 これは大河原さん、横須賀の市長がアメリカ局長に会ったときのやりとりの中で出ているように承るのですが、そこのところの話は出ていないのですか。
  245. 大河原良雄

    ○大河原説明員 御指摘の点は久里浜の地先埋め立ての問題であろうかと思いますけれども、横須賀の地元として、前々から追浜の地先埋め立ての問題について非常に強い関心があり、これが大事な問題であるという話は伺っております。
  246. 大出俊

    ○大出委員 大事な問題であるという話は承った、だがその話は進行していないというのですか。そこはどうですか。承っているというのではなくて……。
  247. 高松敬治

    ○高松説明員 制限水域の解除につきましては、かなり話を煮詰めております。ただ、まだ結論が出る段階には至っておりません。
  248. 大出俊

    ○大出委員 かなり話は煮詰めているが、まだ結論ということには至っていない……。そこで、この母港化の時期ですが、来年の三月という米側説明があったというのですけれども、そこのところはどうなんですか。
  249. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先般、外務大臣が同じ内閣委員会におきまして御答弁いたしておりますけれども、いま御指摘の点につきまして、米側からいろいろ話のあることは確かでございますけれども、具体的にどういうかっこうでという話には至っておりません。
  250. 大出俊

    ○大出委員 これはお隣にいる増原さんに承っておきたいのですが、ここの出身議員その他が長官にお会いになったときの話じゃないかと思うのでありますが、安保条約上まあ母港化というのはやむを得ない、そういう長官の言明が表に出ているわけでありますが、ここのところは、長官のほうではどうお考えになりますか。
  251. 増原恵吉

    増原国務大臣 十月二日に、関係の国会議員さんと地元横須賀の市議会の議長、副議長であったと思いますが、お目にかかって、この問題についての――この問題が主たるものではありませんが、御要望がありましたときに、この問題にも触れました。そのときに私は、本件は外務省の所管であって私のほうから特に意見を申せないというふうに申し上げたので、次の日の新聞に二、三記事が出ました中で、一つだけ、私がやむを得ないと言うたという記事がありましたが、あとは私が申したとおりに載っておった。特に、やむを得ないと言うたという記事に対して、私は訂正を申し込んだりなんかはいたしませんでしたが、私の申したのは、外務省所管であって、私から特に意見を申せないというふうにそのときは申したのでございます。
  252. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ聞いておきますが、さっき外務省答弁がございました、また施設庁答弁のありました一-三号、これは地位協定の二条四項の(a)です、つまりここに書いてありますのは、米軍管理下の共同使用という形で、米軍自衛隊が共同使用したいと述べた、こうなっておるのですが、長官は一号ないし三号というのは共同使用で見切り発車といいますか、四、五のほうがまだはっきりしないように思いますけれども、詰めているというのでありますが、これは共同使用という方針をおきめになって、いつからおやりになるのか。
  253. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま申し上げたことの話の主たるものはその話であったのです。一-三号を見切り発車みたいな、米軍の使用に供したものを自衛隊がとりあえず共用をする。とりあえずといいますか、いま返してくれ、自衛隊に引き渡してくれというのではなくて、米軍の持っておるものを自衛隊が共用するということの話が進んでおるわけですが、それをそういうふうにしないでくれ、これはあと四号等が片づくときに一緒にしてくれという御要望があったのです。それで御要望は承りました。しかし私のほうでは、見切り発車をするというのは心持ちではないけれども予算もついておることであるし、一-三号を自衛隊で使うようにさせてもらいたいんです――見切り発車をしますとは申しませんが、そういう私どもの意向、そうしたいのですということをそのとき申し上げたということです。
  254. 大出俊

    ○大出委員 二つ聞いてやめます。長官、いまの点は、そうすると、いつから共同使用に踏み切られるおつもりか。時期的な判断、これを承りたい。それから、外務省、防衛庁を通じまして、母港化には賛成ということを認めざるを得ないという立場、こういうことになりますか。その場合に艦載機がたくさん載ってくるわけでありますから、厚木の飛行場を当然使う。修理工場がありますから。旧来、上瀬谷なんかでもそうでありますが、艦載機が何べんも落ちて事故が起こっておる。騒音の問題もある。単に横須賀だけの問題ではない。だから、大和にしても、綾瀬にしても、あるいは厚木にしても、全部関連をする各市町村にからむ問題、こういう問題なんですが、そこらも踏まえて、母港化なるものはしかたがない、安保のたてまえ上認める、こういうことですか。その二点だけ承りたい。
  255. 増原恵吉

    増原国務大臣 いつまでにというふうにあれはしておりませんが、私どものほうで地元と申しますか、これは市長ですが、市長も、いま申し上げた時期に議長、副議長が参りまして、市長の意向として国会議員の皆さんと一緒にそういう要望があった。私どものほうでは、やはり地元の了解はとってやりたいと思っておりまするので、私のほうではやらしてもらいたいということをそのとき申し上げた。いつまでにやる、承知してくれなくてもやるというふうな申し方はしておらない。したがって、いつとはきめておりませんが、なるべく早く了解を得て使いたい、こういう気持ちでおります。
  256. 大河原良雄

    ○大河原説明員 横須賀の問題につきましては、従来もアメリカ海軍の航空母艦がわりあい定期的に横須賀に寄港いたしております。御指摘のような、いわゆる母港化という措置がとられました場合におきまして違ってまいります形は、乗り組み員の家族が横須賀周辺に居住するというのが一つの違った形でございますけれども、地元の協力を得られる、地元の理解を得られるということが大事な点でありますので、慎重にこの問題を検討しておる、こういう状況でございます。
  257. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、いま二つの質問に対してともに地元の了解を得て、こういうふうになりますね。長官も地元の了解を得てやりたい、こういうわけですね。また大河原さんのほうも、違った形になる、それは地元の了解を得て慎重にやりたい、こういうわけですね。念を押しますが、よろしゅうございますね。
  258. 増原恵吉

    増原国務大臣 了解を得てやりたいということで進んでおります。
  259. 大河原良雄

    ○大河原説明員 むずかしい意味におきまして、米側が事前に日本側に協議をしなければいけないという性格のものではありませんけれども、地元の理解が得られるということは大事な点でありますから、この点は顧慮していきたいど思っております。
  260. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。
  261. 前田正男

    前田委員長 次に伊藤惣助丸君。   〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  262. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、文民統制の問題、それから四次防の問題、さらに相模原などの戦車輸送問題兵器の国産化問題、たくさん聞きたいわけでありますけれども、時間の関係もあり、また政府委員のほうにおいてもだいぶ都合が悪いような方がいらっしゃいますので、そのうちの何点かにしぼりまして質問したいと思います。初めに文民統制の問題であります。午前中は、こちらの問題点について簡単に官房長官から答弁いただきましたが、さらに二、三の問題について伺いたいと思います。  まず、国防会議事務局長の海原事務局長に聞きたいのですが、今回のこの凍結問題は、何か聞くところによりますと、議長に通告し、そして議運にはかればその凍結が解ける、またそういう手続で解いたというようなことでありますが、この凍結問題についてはどういうふうに考えておられるか。
  263. 海原治

    ○海原説明員 この件は、実は私ども事務方の問題でございませんで、どう申しますか、もっぱら各党との関係の、党並びに政府関係のことであります。内閣のほうでは、官房副長官がもっぱら御連絡の役を果たしましていろいろお話を進めました結果、きょう議長に対して確認の手続をとり、そのことで一応了承された、こういうふうに承知いたしております。
  264. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは午前中にも少し触れたわけでありますけれども、前々国会において、十七日間ですか、国会がストップした。議長あっせんが出まして、その五項目をあっせんの条件として国会が軌道に乗ったのですね。特にその五項目のうちで、三項目と四項目、一つは、主要項目重要項目としてきめるということ、もう一つはシビリアンコントロールの実をあげるために何らかの措置を講ずる。この点については、やはり、政府が一方的にやるのではなくて、各当該委員会――この問題は内閣委員会関係があるわけでありますから、内閣委員会理事並びに専門の委員会にはかって、そこでその話をきめる。政府がきめるわけです。私たちは立法機関のものでありますから、行政権に対して介入するというのではなくて、いわゆる文民統制の強化のために、政府決定する前にいろいろな意見を聞くという一つの条件がついておったわけであります。ところが、突然にこれを解除した。きょうの話でありますから、私は、この問題はこれで終わったわけではなくて、当時の経緯から、もう一回出発して問題になるんじゃないかと思うのです。そこで私は、そういう国対ペース、あるいはまた議運からの話もありまして、わが党としては、その問題について、少なくともシビリアンコントロールについては協力しようという面から、われわれはわれわれの案をいつも手にしまして、いつになったら話があるかなということを考えてきたわけであります。しかし全然なくて、一方的にそれがきまってしまった。しかも内容を見ますと、たいへん簡単であります。しかもいまも同僚委員から質問がありましたように、兵器の国産化問題についても、これはきわめて重要な問題であります。現在、重要な問題となって審議されていること、それが一つは重要事項からはずれているということ。さらにもう一つは、沖繩自衛隊の配備の問題で非常にこれまた問題になっておる。にもかかわらず、この問題についてもやはり重要事項になっていない。防衛庁長官に聞けば、防衛庁長官は、一師団、こういうものの移動については当然これはそうなる、しかし小さなものについてはいいけれどもという。私はやはり、小さなものであっても、新しく基地を設ける場合、たとえ一人でも二人でもそこに派遣するということについては、これはきわめて重要事項でございますので、これは単に行政府の一つの業務計画の中で認めていくのではなくて、やはりこの問題などについても、国防会議の少なくとも重要事項として扱うべきである、こう考えておるのです。   〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕 まず、そういった点について、はずした根拠、理由はどういうものですか。
  265. 海原治

    ○海原説明員 いろいろと御意見のありますことは私も承っておりますけれども、先ほども申し上げましたように、今回このような決定を見ましたにつきましては、私、自分の立場でどうだこうだということの経緯を御説明すべきものでないと思いますので、その点はまず御了解を得たいと思いますが、事務的に検討いたしました段階におきます考え方を申し上げますと、いま先生が心配されましたような部隊の配置、移動でございますか、これにつきましては、先ほどもお話がありましたように、ないしは、前回でございますか、私からも申し上げましたが、一応法律の改正を要するといろことになりますと、陸上自衛隊では師団の配置、司令部の設置場所の変更でございますか、そういうもので一応の筋を引いたらよかろうではないか。小さな部隊の移動まで一々国防会議でこれを検討するということになりますと、行政庁長官としての防衛庁長官の責任、権限との関係が出てまいりますし、国防会議それ自体が内閣総理大臣が議長でございましての諮問機関でございますから、その辺のところに、まあ事務方としてどの辺に筋を引くかという問題があるわけであります。そこで、各省とも御相談した結果が、まあまあこの辺のところではなかろうかということで、一応の御決定を得たというふうに考えられます。また先生の御意見につきましては、私また上司に報告いたしまして、これは何も絶対的なものではございませんから、それをどうするかということは将来の問題にしてみたいと存じます。それから沖繩のことについて御指摘がございましたが、私ども沖繩という日本の施政権の外にあったものが帰ってきた場合、そこにてどういう部隊を配置するかということにつきましては、御指摘もございまして、あらためて国防会議で御決定になったわけでございますけれども、そのようなことは将来まずなかろうという気持ちでおりましたし、先ほど申しましたような、部隊の配置変更については大体師団単位でいいのではないがということがございましたのでさほど深く考えることなしにこのような決定をしていただいたということでございます。
  266. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私、この海原局長考えの中で、部隊の移動ということが頭にあるのじゃないかと思うのですね。だから移動する場合は、これは確かに師団以下の部隊がその地域に行き、そしてある期間そこで防衛の任に当たる、そしてまた引き揚げる、それならば差しつかえない。ただしかし、沖繩以外でも新しい基地を今後取得し、そしてそこに常駐する、こういう問題は、沖繩だけではなくて今後も起こり得ることである。そういう問題があったときには、やはりこれは重要事項ではないか。こういう点について明確にしておくべきではないか。いわゆる重要事項というのは、国民がいろいろな面で心配している、また国会においてもチェックしたい、しかしながら業務計画の中でどんどん進んだ場合になかなかチェックできない、こういうことからこの間も問題になったわけであります。ですからこれは当然、新基地の設置などについては、やはり国防会議においての決定事項とすべきではないか、こう思うのです。それから防衛庁長官に伺いたいのですが、現在、国防会議のあり方は、先ほども申し上げましたいろいろ問題がございます。われわれも意見がたくさんあります。しかしその中で大事なことは、国防会議というものが防衛庁の一機関として存在している。われわれはこれは独立していくべきではないか。いまから十数年前ですか、安保国会のときに、これは将来検討するということで、まずとりあえずはこの国防会議自衛隊法の中に入れておくというような背景があったようであります。私はこの際に、やはり国防会議の存在についてはもっと明確にして、現在の自衛隊法というもとに置くのではなくて、独立した機関に置くべきではないか、こう考えられますが、この点いかがですか。
  267. 増原恵吉

    増原国務大臣 国防会議は、伊藤委員おっしゃるとおり、これは防衛庁の付属機関ではもちろんございません。ただ、それが設置されまするときのいきさつと便宜から防衛庁設置法の中に入ったという経緯でございます。したがいまして、このたび、シビリアンコントロールその他で国防会議の強化その他が議題になりました際、国防会議の議員の皆さんも、議員の数をふやすということの基本的な前提としては、やはり名実ともに何か防衛庁のために防衛庁の上にあるというふうなものでなしに、防衛庁とはちゃんと離れて、もっと基本的に突っ込んで、広い意味で安全保障問題というものを考えるのがいいという意見が出ましたし、そうして、おりから議員の数をふやすという具体的な問題もあったので、議員の数をふやそう、ふやす際は法律を変えねばいけないので、そのときはやはり防衛庁設置法からはずして単行法にするということも十分考えてやろうというふうな話になっているということでございまして、伊藤委員のおっしゃるような方向でいま考えられておる。これは防衛庁の考えということではございません。そういう意味考えられておるということでございます。
  268. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは確かに、長官だけではなく国防会議議長である総理が決断してきめられることであると思います。しかしやはり事務当局として、この問題は野党からも言われていることでもありますし、相当に前向きに検討しなければ、なかなかいまの体制を変えるわけにいかぬと思うのですね。その点前向きで、その点も考えるのではなくて、実行に移すように要望します。もう一つ、先ほど言いましたように、私は、閣議決定したから、これ以外には当分考えないなんという、そういう硬直した考え方はうまくないと思うのですね。新しい基地の建設等について、これはまた、沖繩が帰ってきましたし、その後はないだろうという考え方に立ってそのことは重要事項としては考えなかったという、いま局長の話がありましたけれども、あとではなくてこの際ですから、やはりそういった問題も追加して国防会議の重要事項として、今後この問題も明確にすべきじゃないか、こう私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  269. 増原恵吉

    増原国務大臣 その点は、いま国防会議事務局長からお答えをしたとおりなんでございまして、沖繩への配備は御承知のように国防会議できめてもらったわけです。それで、重要事項の中に入れませんでしたのは、沖繩配備みたいなことがまた将来あるとも考えてないものですから、あればまた、今度のように、そのとき国防会議にかけるということになると思うのです。そういうことで、配備についてどこか新しいところにやる、それは沖繩というようなことを考えてのあれは入れなかったのですね。現在も一体となりましたどこかへ新しいものを置く場合に、いわゆる小さなものを置く場合に、これは法律にも書かなくてもいいわけですから、そういうものについて国防会議の議を一々経る必要はあるまい。法律に書かなければいかぬような事項を大体国防会議であらかじめきめてもらう、こういうふうにしたわけでございまして、沖繩問題に関連する事項は十分考慮に入れて、そういうことでああいう重要事項の決定をしてもらった、こういうことでございます。
  270. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 防衛庁長官は結局、また沖繩のようなことが起きれば、そのときに重要事項として取り上げるということなんですね。
  271. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうことでございます。これからは、沖繩も一体になりましたから、若干の小さい部隊沖繩にできる、あるいは東京付近にできるというふうなことまで、これは法律にも書かぬでいいわけです。そういう問題については国防会議の議を経ることは必要あるまい。そういう考え方に立っておる沖繩配備というふうな種類のものであれば、国防会議にまたかける、こういうことはいまちょっと予想できぬものですから、そういうことは重要事項の中には入れなかった、こういうことであります。
  272. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこが防衛庁長官、やはり問題なところなんですよ。一つは、国防会議議長が重要事項と認めた点についてはこれは国防会議にはかるという、非常にあいまいだったわけですね。あいまいだったから、あいまいはうまくない、それをはっきりさせるために、じゃその重要事項はこの点とこの点とこの点である、あるいはまた主要項目はこの点とこの点とこの点であるというふうなことになってきたんですから、何も沖繩前提にものを言っているわけではなくて、やはり部隊が移動するには二通りあると思うのですよ。それは長官考えるように、小部隊が何らかの防衛任務に不定期に行く、また引き揚げる、こういうことなら私はそれでいいと思うのです。大きな師団でも行かない限りは、そのことはいいと思うのです。ただ、恒久的に、半永久的に、あるいはまた、新しい基地を取得してそこに建設する場合、これは当然私はたいへんな重要事項だろうと思うのです。ですから、いまはないけれども、一つの例ですけれども、たとえば奄美大島にミサイル部隊を置く、そういうふうになった場合は、これは業務計画の中でそれは重要事項でないといってやることができる。そうじゃなくて、新しい基地の建設、新しい基地の取得、こういう点についてはやはり重要事項として検討すべきではないか。それを、その問題が出てからとか、あるいはあとになってそのことは検討したいというのでは、やはり問題をあとに残すということになるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  273. 増原恵吉

    増原国務大臣 これは御趣旨について反対しておるつもりはございませんが、いまおっしゃった例で考えられるのは、たとえば奄美大島にいまどういうものを置くかということでございますが、これは相当の人数のもの、相当装備を持ったものというようなものが行くということは、ちょっと考えられないと思うのですね。だから、ごく少数の部隊がそこへ行く。これは人数をふやして行かなければいかぬのだったら、法律によってやらなければいけません。法律で皆さんの御審議を経るということになるわけです。ですから、そういうものでないもの、法律にかけなくてもいいというふうな種類の部隊の編成なり配置がえというものは、国防会議にかける必要はあるまいという趣旨なんでありまして、重要なもの――おっしゃるものが重要なものであれば、それは国防会議に特にかけなくても、ちょっとそういうことが予想があまりされないものですから書かないということで、重要なものについて何でもほおかぶりでいこうという、そういうあれは持っておりませんという趣旨ですから、その点は御理解をいただきたいと思います。逃げようというつもりはございません。
  274. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ちょっと長官、ぼくの言っていることが半分わかって、半分わからないような気がするんですよ。海原局長に聞きたいんですが、私の言うことわかるでしょう。それで、説明がへたならもう一回言いますけれども、要するに、いまいろいろ問題になっておるのは、ホークとか、あるいはナイキハーキュリーズがそこにつくという場合、たいへんこれは問題になります。しかしこれは、いままで国防会議決定事項ではございません。ですから、それの土地を取得したり、あるいはそこに向かうことによってどれほどいままで問題になったかわからない、こういう例が実はありますよね。また沖繩の問題を考えてみた場合に、新しい基地の取得ですよ。あれはそうでしょう。私は人間の移動のことを問題にしているんじゃないのです。やはりそこに新しい基地を設ける、しかもそれがシビリアンコントロールという線からはずれて、一つの業務計画の中で行なわれていくという、これは今後のこともありますよ。沖繩だけじゃなくて、ナイキとかホークというものは、これからどんどん取得する計画があるから、必ずこれは問題になりますよ。ナイキハーキュリーズ、ホークというものは、やはりこれはシビリアンコントロールという面から考えた場合は重要事項です。絶対に問題になりますからね。ですから、そういう問題については重要事項としてなぜ入れなかったのか。また、そういうことは当然起こり得ることなんですから、あとになんかされたのでは、また同じように問題が出てくるということなんです。いかがですか。
  275. 海原治

    ○海原説明員 おそらく先生のおっしゃいますことは、防衛庁におきまして、年度の業務計画で各自衛隊につきましてのいろいろな事項を実施しておる例をあげられました。ナイキ部隊の設置につきましても、かりにこれは四カ所に置くとしても、二カ所については問題があって土地を取得できない、そうしていろいろ問題が起こる、そういうことについてはやはり内閣全般の問題になるんだから、あらかじめそういうことにおいて内閣としての全体の考えをきちっとしておくのがいいんではなかろうか、こういうような御趣旨だろうと思うので、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、私ども事務的に処理をいたします段階では、国防会議という諮問機関で扱っていただく事項と、行政庁長官としてのお立場での専権の権限とも関係なきにしもあらずで、いろいろと意見が分かれてまいりますので、そういうことは先ほど申しましたように、私どもとしては、一応そこまでは考えなくてもいいんではないか。そういう点につきましては、全く防衛庁長官が御自身の権限と責任においてやられることであって、国防会議にこれは一々議長から――事務的に申しますと諮問を書くわけであります。何々の事項について諮問をする、そういう形で、それを受けて国防会議が開かれます。それを受けて答申をする。答申されたものは大体において閣議の決定ということになります。あるいはまた閣議の了解という形において事務が進んでまいりますが、このような現実の事務の運びから考えますと、ナイキの部隊、ホークの部隊の配置等を議長の諮問という形にするのは、いかがかという感じがいたしておりますけれども、先ほど申しましたように、そういう御意見がございますので、あらためてまた、これは上司あるいは関係の方とも相談をしてみたいと思います。
  276. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するにそれは、防衛庁、行政府の専権事項として認めてくれというなら、何でまたこんなものをきめたということになるんです。そうでしょう。いままでの主要項目にしたって、それを専権事項としたところに問題がある。シビリアンコントロールとして見た場合に、これをコントロールできなかったということを反省して、与野党でこの点を検討することになったわけです。ですから私は、そういった点をやるべきだ、これは申し上げておきます。  それで、あなたわかっていて、つい落としたからそうおっしゃるかもしれませんけれども、だからこそ、こういった問題を含めまして与野党が、シビリアンコントロールは強化する必要があるというふうに意見が一致したわけですから、それで議長がそれをのんだのですから、凍結解除については、こういった事務のプロセスにしても、皆さんから御意見があれば、また要望があれば、われわれはそのつもりでいたわけですよ。それで、前委員長にしても――大体、自民党から始まりまして、自民党のシビリアンコントロールに対する考え方、そこまでは実は理事懇談会であったわけですよ。そして社会党、公明党、各政党が理事懇談会の中でいろいろな主張を言いながらそれをまとめ、そして最後にはそういった問題を含めて、今度はシビリアンコントロールについていろいろ結論を出していこう、これが途中挫折しているわけなんですよ。そして一方で来たわけですよ。だから私はこれを問題にしている。これはしょっぱなから臨時国会の最大の焦点になります。ですから私は防衛庁長官に、この点は慎重に御検討いただきたいということを申し上げておきます。  そこで私、意見を申し上げておきますけれども、そのほかにも、国防会議決定する事項というのは、「国防基本方針」、「防衛計画大綱」、三番目に「前号の計画に関連する産業等の調整計画大綱」、四番目に「防衛出動の可否」、五番目として「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、これがあったわけですね。シビリアンコントロールの強化のために重要事項を三つに分けまして、このプリントにございますように、「自衛隊法の改正を要する部隊の組織、編成の変更」だとか、「自衛官の定数の変更」だとか、あるいはまた「左に掲げる装備の新型式のものについての種類および数量」、これは新機種の開発だと思います。新しい機種、あるいはまたミサイルなどを含めたそういうものの開発とか種類も含んでいると思うのです。ですから私は、こういったことが重要事項なんだというわけですから申し上げるわけでありますけれども国防会議の中で一番大事な兵器の国産化問題について触れていない。これは私は前々から言っている。いままでは国防会議の第三項目にある「関連する産業等の調整計画大綱」、この中で兵器の国産化の問題を取り上げると言ったら、そうではない、全く関係ないという国防会議事務局説明も過去にあったわけであります。ですから、今後の防衛というものは、特に防衛産業というものは、兵器の国産化が、今度の四次防などにおいてもわかりますように、全体の八割だとか、あるいはまた六割とか七割とかいう非常に高い率の兵器の国産化のレベルアップがあるわけであります。この問題については、武器の購入ということ、あるいはまた武器の輸出ということ、それに加えて兵器の国産化ということ、こういったことについても、重要事項として国防会議の議題にすべきではないか、こういう考え方があるわけであります。その点いかがですか。
  277. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの点につきましては、実は私ども事務的な検討の段階では、国産か輸入かというふうにいまお述べになりましたが、これは当然入ってくるという考え方です。と申しますことは、第三に「左に掲げる装備の新型式のものについての種類および数量」と書いてございますから、どのような種類のどういうものかということになりますと、いま先生がおっしゃいましたような、いわゆる国産かどうかという問題におのずから触れてまいります。この問題につきましては、実は国産ということばはきわめてあいまいなことばでございます。これは私も、前に防衛庁におりますときに御説明しておりますが、一般に国産国産と申しましても、その国産の中身が、大事なところは完成品輸入、エンドアイテムでそのまま持ってきまして、それをそのまま組み立てる場合の国産もあるわけであります。それから、原材料から一貫してほんとうに全部つくっていく国産もありますし、その辺のところを規定いたしますことは非常にむずかしゅうございます。したがいまして、一般にいわれますところの国産ということば意味が、事務的には必ずしも明確に整理し得ないということもございまして、ここに書いてありますような「装備の新型式のものについての種類および数量」ということになりますと、いまの問題も当然に検討されるというふうに私どもは解釈しております。したがいまして、たとえば主要項目につきまして、これは新戦車を新型戦車と書いてありますが、事務的の検討の段階では、この新型戦車をどういうものにするか、どういう形で調達するかということは当然検討されるというふうに一応私どもは了解しております。そういうことでございますので、あえて国産か輸入かというような、いわば調達方法ということになりましょうか、そういう字句を入れますことは非常に整理しにくくなりますので、多少法律的な事務的な整理のしかたになっておりますけれども、いまの御質問の点は当然入ってくるもの、こういう了解でございます。
  278. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 基本的に防衛庁長官に伺っておきたいのですけれども、将来、兵器というものは輸入から国産化に全部するという方向考えているのか。将来ともに、やはり兵器は輸入もするし国産化も考える、並行でいくのか。あるいはまた、将来国産化の兵器が問題になれば輸入に切りかえるというような考え方なのか。その点いかがですか。
  279. 増原恵吉

    増原国務大臣 兵器は原則として国産でいきたいというふうには考えておりません。しかし、兵器は全部というか、大部分は輸入でいくんだという考え方もとるべきではないと思います。国産か輸入かということで一つ相当大きい問題は、価格の問題が――まあ近ごろ、輸入といいますと大部分アメリカあたりから持ってくるのですが、アメリカあたりでは、従来の技術が進歩している上に、つくりますものが多量である。そうしてまた、そのうちから外国へ売るというものもあるということで、したがって相当単価が安くなるということがあるものですから、国産か輸入かという場合に一番ひっかかる問題は、価格が高い国産をやるかという問題が一つの重要な問題になります。これはもう若干とも輸入が安ければ輸入をするんだというふうに一般的に原則で触れることは、私は無理じゃないか。許容される価格の差、高い価格というものはやはり考え得るのではないか。したがって、いま事務局長も申しましたように、そういうものは今度の重要事項の中に入るわけでございまして、国防会議でもきめてもらう。その上になお今度は、国防会議懇談会の了解でございますが、こういう国産か輸入かという問題は、国防会議にそういう専門家の会議を設ける等の方法で慎重に検討をしてきめるという了解がこのたびできました。そういうこともあって、そういう費用対効果としての、若干の値上がりがあってもこれは国産をするほうがいいということもあり得るというふうに一つ考えます。もう一つは、やはり兵器というふうなものは、おおむねですけれども、おおむね、ことに重要なものについては、自分でつくればその後の補修なり補給なりというものが輸入をするよりも非常に便宜がある、緊急増産というようなことも可能であるというふうなことがありますので、そういう点では、やはり国産ということも、そういう観点からも考えてしかるべきである。もとよりその価格の問題がそこで十分考慮されなければならない。やたらに高いものをあれする……。また兵器というようなものは、ますますいわゆる科学の粋を集めて優秀なコンパクトなものをつくっていくということになります。これは、そういう意味における日本のいわば科学技術といいまするか、そういうもののいい兵器がそういう形でできますると、波及効果があるということもいなめないことでございまして、そういうことも一つの要素としては考えるべきものであるというふうなことで、原則として兵器は国産化とは決して考えておりません。しかし値段が安ければもうそれで全部輸入をするというふうに考えることは適当ではない。いまのような国防会議に専門家会議を置く等の方法で検討してもらうというようなことで、防衛庁で考え防衛庁で研究開発をしたら、まあ大体は、これはどうしても国産してくれという形にいままでおおむねなったのですけれども、そういうことはやめる。ちゃんとしたチェックポイントであれをして、全体をよく考えた上で輸入か国産かをきめるという手続きを今度とるように了解をしておる、そういう形でいかしてもらいたい、こういうふうに考えております。
  280. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに併用するというわけですね。将来ともに国産化にしぼるわけではない、輸入もあり得るし国産化も推進する、こういう考え方ですね。私、そういうふうに見た場合、それをやはり専門家会議できめるというくらい、長官がおっしゃっていますように了解ができておるということですが、きわめて重要なことですよ。それを、ちょっとこの文章を見ますと、「左に掲げる装備の新型式のものについての種類および数量」、この中にあるのだと言ったって、ちょっとこれは事務局長、わかりませんよ。法律的にあるのだと言ったって。だから、そういうふうにいままでもわれわれは、あなた方のおっしゃるように、いろいろな意味があると言うから、つい長い期間――この国防会議決定事項の第三項目の中で「関連する産業等の調整計画大綱」というのがあるでしょう。これが兵器の国産化に対する問題だとわれわれは思っておったわけですよ。これは事務次官通達で昨年はできましたよ。この兵器国産化とか電子兵器の開発とかミサイルについては力を入れてやるという一つの基本方針があります。しかし私も、T2生産についてその実態を見、あるいはまた試作した飛行機にも乗ってきましたよ。だけどやはり、この国産化が高いといわれるけれども政府の確たるこの国産化に対する基本方針なり整備大綱がない。それが不安で投資もできなければどこまで力を入れて開発していいかということがいつも不安がつきまとうと言っているのですよ。これはT2を開発している三菱重工ですか、あそこの重役さんの言っていることだ。そして現在のそういう飛行機の生産については、いわゆる通産省にある航空機製造の法律でやっている。実際には防衛関係飛行機のほうを八割以上もつくっているけれども、ほんの二〇%くらいしか民間機をつくっていないのに、民間の飛行機をつくるその一つの取りきめでこのいわゆる防衛産業の飛行機、航空機、こういうものが制限を受けている、そこが実は問題なんだ、そう言っているわけですよ。私が直接聞いてきた話をやっているわけです、これは。ですからやはり、こういった問題を皆さんの立場に立って考えてみた場合でも、兵器の国産化とか輸入の問題を併用してやるとか言っても、これはきわめて大事な問題でありますから、やはり一項目あげて重要事項にしたほうがいいのではないか、これが私の考え方です。
  281. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうことについての内容は、もうさっき海原事務局長から説明しましたように、おっしゃるとおりになっておる。ことばのあらわし方ということになると思うのでして、これはやはり国産かどうかという、この法文に書くときのあれもあるというふうにいま説明をしたわけですが、実際はもうちゃんと入っておる。今度でも、T2であろうが、FST2改であろうが、国防会議にかかったわけです。ただ、国防会議にかけるということの前に、いまのような専門家会議でひとつやるというのが、今度新しく、伊藤委員おっしゃるように、より正確に、的確にやることとしての了解になったということでございまして、その点はいまのあれでおっしゃるようにできる、御心配ない、こういうふうにお考え願っていいと思うのです。
  282. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私も時間ありませんので、その問題はまた別の機会に質問するときがあるかと思いますが、私は考えていることを申し上げたわけでありますけれども……。まず第一に簡単に伺いたいのですけれども、四次防決定というものを急いだわけでありますけれども、きまったわけでありますが、いわゆる国際情勢、日中国交回復、こういった問題があって、非常に四次防が問題になってきている。にもかかわらず早期に決定したという理由は何ですか。要するに、急ぐべきではなかった、しかしながら結果的にはもうつくってしまった理由は、どういうところにありますか。
  283. 増原恵吉

    増原国務大臣 これは防衛庁といたしましても、国防会議といたしましても、急いできめたというふうなことではないのでありまして、御承知のように、もう去年のおそくとも年度末までには決定をさるべきもので、用意はもう去年の四月にできておる。そうして内々の下審議みたいなものは始まっておったものが、いろいろな事情で延び延びになった。そうして四次防の基本方針国防会議できめていただいたのは二月七日でございます。しかし何か重要項目をきめることができなかった。したがって、四十七年度から四次防が始まるというたてまえを国防会議基本方針としてきめたのでありまするが、内容はまだ国防会議重要項目がきまらぬから、四次防のそのものは中に入れないというたてまえで、それが、T2とかC1とかファントムとか、これは四次防の先取りではないかということで凍結問題が起きたということは御承知のとおりであります。これはわれわれとしては特に急いだという考えではありません。その間に、いわゆる米中の関係、最近にはまた日中の関係等、そういう変化、最も明瞭にあらわれた緊張緩和方向があるということでございます。この緊張緩和は、十分私どもも了承をして情勢判断を申し上げておるとおりでございまして、緊張緩和は大いに進んでおる、重大な戦争、国際的な重大な大戦みたいなものは起こる公算はますます少ないというふうに――この表現がまずいじゃないかといま御指摘をいただいたりいたしましたが、考え方、基本は私は間違っていないと思っておるわけでございます。そういう状況であって、やはり全体としてのそういう国際情勢の把握の中で、われわれとしては、やはり最小限必要な――何しろ日本は、戦後、一度武力は、自衛力というものは全然なくなって昭和二十九年から発足をしたという形で、整備段階でありますので、いま緊張緩和方向にある、だからこれをもう減らさなければいかぬというふうな時期ではまだないという情勢判断は、申し上げたようなことを見ておりまするが、この際われわれとしては、なお必要限度に達しない防衛力整備は行なっていくべきだという判断のもとに、従来からずっと引き続いて懸案になっております四次防の策定をやっていただいた。急に急いだということはないわけでございまして、これは十分御理解をいただけるのではないかと思います。
  284. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 情勢判断でもいろいろ考え方がある。これを見ますと、前段では、確かに防衛長官おっしゃったように、「緊張緩和傾向も見受けられる」と、そこでは一応評価しながら、「しかしながら」ときて、結局は「米・ソ・中三大国の利害が依然複雑に」からみ合っている、だから結論的には変わっていないんだという認識だからこそ、四次防をそのまま策定したということになるんじゃないでしょうかね。この問題、また実体面から皆さんに質問する機会があると思いますけれども、私はその問題はその問題として、この中でちょっと聞きたいのですけれども、「整備方針」の中で「わが国整備すべき防衛力は、通常兵器による局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする。この目標を漸進的に達成するため」四次防をきめた、こういうわけですね。そうすると、漸進的に達成する目標はいつに置いて整備していくのですか。
  285. 久保卓也

    久保説明員 この当時までの思想におきましては、具体的にいつごろ目標を達成するという発想はございません。しかしながら、国力国情に応じまして防衛力を漸増するという場合の意味合いというものは、ここに書いてありますように、「局地戦以下の侵略事態に対し、最も有効に対応しうる効率的なものを目標とする」のである。そういった目標を将来に掲げながら国力国情に応じて漸増する、いわゆる漸進的に整備するのであるというたてまえ、あるいは方針をうたったものであります。したがって、この目標をいつに設定し、どのような規模のものにするかということは、従来から答えられておりません。それが今回総理が指摘された事柄であろうと思います。
  286. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ここがやはり問題だと思うのですね。私は、二つありまして、期間と量、質、こういうような問題だと思うのです。これを早い機会に出さないと国民は理解できないということだと思うのです。だから私は、先ほども午前中申し上げましたけれども防衛力限界というものを明確にしておいて、そしてその限界の中でこうすべきだという、国民だれでもが思うことについて防衛庁が前向きな態度を示さないということは、私は問題だと思う。だから私が申し上げておるのは、四次防などというものは急ぐべきではなく、そういうものを先にして、それからきめるべきではなかったかということを申し上げている。これを年内、通常国会には出したいとおっしゃいましたけれども、私はそういった点やはり明確にすべきではないだろうかと思うのです。あいまいではなくて明確にする。この項目の中に入っているのだなどと、さっきの国防会議じゃないけれども、全くわからないような、ことばの裏にあるなんというのではなくて、もっと具体的に明確に、国民が茶の間で聞いていてもわかるような、そういうものにしていくべきだと思うのです。長官、その点いかがですか。
  287. 増原恵吉

    増原国務大臣 今朝来の議論でその点出たわけでございますが、いままで私どもが、いわゆる防衛力、自衛力の限界というものをようお示し得なかったというのは、われわれとしてわれわれなりの理由があったわけですが、しかしそれは、きわめて明確にあれをするということは、実は防衛力というものはなかなかそういかない本質を持っておるという点が一面にあると思います。それで私どもはなかなかお示しできないということを言ってきた。しかし、具体的なお話は、いわゆる防衛庁原案で、十年後の事態の想定とそのときの自衛力の想定をして、それに基づいて四次防を五年間の計画にしたということがありました。この十年後のあれを一応いわゆるめど、限界ではないかというふうにおとりになっておるという向きもあるので、そういうふうな考え方限界なりめどを考えるということは可能である。  前提を若干設けるようになりましょう。ことに、総理の示された平和時における自衛力の限界というふうな、緊張緩和という現在の事態は続いていくという前提考えるというふうなことでありますと、私どもとしても作業が可能であるということで、これはもうこの前の委員会で、そういうことをやりますということを私はお答えをしたわけですが、そう簡単にはできませんので、年内くらいは余裕をいただいて、通常国会の審議には間に合うようにということでそれをつくってまいりたい。それはできるだけおっしゃるように明確なものとして――明確にできないところもあるかと思いますが、できるだけ明確なものとしてお示しをいたしたいと思います。
  288. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、四次防というものは福祉還元すべきだという立場に立っているわけですけれども、それは、国際情勢の緊張緩和とか、あるいはまた日中国交回復などを考えまして、年次計画ではなくて単年度予算考えるべきじゃないかと私は思っております。それで、いろいろな武器の調達、あるいはまた設備投資などによってなかなかいかないでしょうと思いますが、やはり国民が不審に思っていて、また納得のできない点については、前向きで防衛庁は態度を明らかにすべきだろうと思いますね。ですから、いまおっしゃったように、中曽根原案と違って、あなたの考え方では十年間くらいをめどとしていろいろ考えたいということのようですけれども、中曽根原案と違うわけでしょう。また中曽根原案を参考にして、十年ぐらいをめどにして考えていきたいということですか。
  289. 増原恵吉

    増原国務大臣 いや、私は十年というのを目標にしているというつもりではございません。中曽根原案というものはそういうものであったということで、そういうものが一つの限界であるというふうに受け取っておいでになる方もあるという意味で、私ども限界をお示しすることも、そんなにえらくむずかしく考えるものでなくて考えていいというふうなことを申し上げたので、十年先をあれしているという意味ではございません。やはり平時における自衛力の限界という形で作業をし、お示しをしたい、こういうわけであります。
  290. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、やはり目標というものは、各周辺国、あるいはまた各国が、日本の防衛力を見て、軍国主義が復活したとか、あるいはまた軍事力偏重で経済大国即軍事大国の道を歩むのじゃないかという誤解、あるいはまたそういう認識を与えることをおそれるわけでありますから、私は、急がずに、平和時においては相当期間目標を設定し、あるいはまた、相当期間にわたって一つの構想を立てることも、あるいは国民から見た場合いいという線が出るかもしれません。私はそういうことを賛成するわけではありませんけれども、ただ単に、漸進的にその目標に向かって整備する、それはいつなんだと言ったって、それは言えないとかいうようなことでは、これは納得できないわけです。ですから私は、むしろ皆さんがそういった土俵の中で考えてもはっきりすべきじゃなかろうか、そう申し上げておきます。それで、時間がないから申し上げますけれども、民生協力ということについて。田中総理は、自衛隊の民生協力相当力を入れて、四次防の目玉にしたいという話があったとかなかったとかいう話がありますが、具体的にはどういう面での民生協力考えておられるか、伺いたいと思います。
  291. 久保卓也

    久保説明員 民生協力の中では、主として施設工事の分野であります。これは同時に、災害派遣についてもまた適用されるわけでありますが、具体的に申し上げますると、施設能力を持っておりまするのが施設部隊でありますが、この施設大隊について、従来の防衛庁の案では、機材の充足を定数――一定のきめられた定員に対する者の数を定数と申しておりますが、そういったものについて、従来八〇%程度のものを予定しておりましたが、今回の案では、これを一〇〇%にまで引き上げたい。それから普通科連隊が四十七個ありまするけれども、この中に作業小隊というものがあります。これにやはり施設作業能力を付与いたします。四十七個連隊が各地方にばらまかれておりまするので、非常に作業能力が地方のすみずみにまで行き渡るという分野が特徴的かと思います。それから特科大隊というものがありますが、これもやはり臨時構築をする関係上、小さな規模ではありまするが、作業能力を一部には持っておりますが、こういったところにブルドーザーその他を配置するということで、全般的な建設あるいは土木工事というものは、予算比較的つくような大きな規模のところには事業が集中するでありましょうけれども、いなかのほうのあまり予算がつかない、たとえば学校でありますとか、厚生施設の関係でありますとか、あるいは地方のへんぴな道路でありますとか、そういった、私のことばで言うならば、落ち穂拾い的なところをできるだけ優先的に取り上げれば、一般の本筋である建設、土木工事以外に、かゆいところに手の届くような政府の施策に寄与することができるのではないか。もちろん全部をやれるわけではありませんが、そういう事柄を行ないます能力が、三次防末に比べまして、いま言ったようなことを行ないますと、大体五割ぐらいアップするというような事柄で考えております。それが民生協力という事柄の中の主たる施設関係内容であります。
  292. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 具体的に言うと、道路建設とか鉄道建設などにも協力する、そういうこともあり得るということになりますか。
  293. 久保卓也

    久保説明員 鉄道の建設でありますとか、道路でも幹線道路でありますとか、そういったところは、私どもの及ぶところではございませんし、また、それらはそれぞれの主管官庁がやるべきところでありましょう。ところが、たとえばいなかの小学校の校庭をどうするとか、あるいは地方の山地帯の道路がなかなかうまくつけてもらえないとか、あるいは厚生関係の施設で政府からなかなか金が回ってこないとか、そういった、はなばなしい土木事業の中で忘れられたようなところについて、われわれが働く場があるのではなかろうかというふうに思っております。
  294. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 時間がありませんから、外務省を呼んでありますので、外務省のアメリカ局長に伺いたいのですが、戦車輸送の問題ですね。これは非常に大きな問題になっておりまして、たとえ安保条約上それが可能であったとしても、やはり日本国民、地域住民の生命と財産を脅かすような提供のしかたはやめなさい。たとえそれが条約上可能であったとしても、条約上の義務があったとしても、住民感情を無視しては、真の安保の精神からいったら反するのではないか、こういう点、長いこと私たちは指摘をしてきたわけでありますけれども、今度の相模総合補給廠における米軍戦車等の修理についての統一見解、これを見ますと、非常に後退しているわけですよ。一時官房長官は、住民の感情を考慮に入れてそれは国内法を優先させる、またたとえ条約上の義務があったとしてもそれは考える、という前向きの発言をしておったわけであります。さらにまた外務大臣についても、やはりそれは検討させてほしいということであったわけでありますけれども、この委員会においても、そのことは外務大臣が言っておられました。しかし統一見解を見ましたら何も変わっていない。これは、古い態度、もう一回いままでの考え方を書き出したにすぎない。それで、一つは、たとえば日本の国内で戦車等が修理後ベトナムに使われることがあったって、それは安保条約上排されるものではないとか、あるいはまた、わが国の施設、区域の使用について、それが米国本土に行ったりほかの地域の米軍に行っても、またそのための輸送をすることがあったとしても、それは安保条約上問題がないなんといって、きわめて後退した見解を出したわけであります。これはアメリカ局長、どういうことなんですか。これは、外務大臣の発言や官房長官の発言に対して、一歩も二歩も後退した考え方です。
  295. 大河原良雄

    ○大河原説明員 九月十九日に出されました政府の統一見解というものにつきまして、これは従来の考えから見ると後退である、こういう御指摘でございますけれども、私どもはそうは考えておりません。経過的に申しますと、八月二十四日であったと思いますけれども、参議院の内閣委員会におきまして、社会党の委員から、政府がこの問題に対してどういうふうな見解を持って対処しているのか、その統一見解を示せ、こういう御要望がございまして、九月十九日がたまたま参議院における内閣委員会最初の場でございましたために、外務大臣といたしまして、野党側から前回の委員会におきまして御要望のありました政府の統一見解をその場で発言された、こういうことでございまして、この統一見解は、米軍戦車等の修理に関します条約解釈を政府の見解として申し述べたものでございます。その間、九月の十二日に閣議におきまして、相模補給廠の戦車修理等につきまして閣議の了解を求めた上で、官房長官は、この問題について善処するということを言っておられまして、けさほど以来、官房長官は、政府は重ねてその考えで対処する旨を申されておりますけれども、この九月十九日の見解は、条約解釈上の見解、こういうふうに御承知願いたいわけであります。
  296. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 条約上の解釈問題は、じゃこれでいいとして、やはりどこまでも国内法尊重、そして住民感情を考慮に入れて起きた問題については対処する、こういうことが望ましいわけでありますが、その点、確認しておきたいわけです。
  297. 大河原良雄

    ○大河原説明員 その点につきましては、けさほど官房長官から政府の御方針を御発言になっておりますので、私ども官房長官の御指示に従いまして対処いたします。
  298. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に防衛庁長官に伺いたいのですが、次の技術研究開発の問題で一言だけ伺っておきたいのです。これは対潜哨戒機及び早期警戒機の開発の問題ですが、このことはやはり、国産か、あるいはまた輸入するかということで問題になっておるわけでありますけれども、この四次防期間中に技術開発をする機種の問題について、基本的な問題でありますので、国産化をはかるか、あるいはまた飛行機を輸入して、そこに電子機器を載っけるか、その問題なんですが、基本的にはどういう考え方ですか。
  299. 増原恵吉

    増原国務大臣 この国防会議議員懇談会で申し合わせをしました対潜哨戒機と早期警戒機は、これは防衛庁としていま開発をやっておるというものでございます。しかし、防衛庁の計画としましても、これがいわゆる国産化されるのはだいぶ先でございまして、四次防のあれでは国産化されるようには、防衛庁の計画でもなっておりません。しかるところ、今度申し合わせがありまして、いままでやはり防衛庁が一生懸命開発をやっておる――開発の経費大蔵省からもらうわけですが、やっておって、それがりっぱな所望の開発ができたら、これは国産だというふうに大体なってくる、そういうことではいかぬ。今度はこの二つについては国産化の問題は白紙にする。だからそれはあと、高度のこういう技術的判断を要する問題は、国防会議事務局に専門家の会議を設ける等によって慎重にやってきめる。だから、すらすらとうまいこといったからといって国産じゃないぞというふうになったわけでして、この防衛庁の計画どおりでも四次防で国産にはなりませんが、次の段階になりましても、これは国産にいくというようなことはきまっておらぬ、こういうことでございます。
  300. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 たとえばAEW、早期警戒レーダー機、これは輸入すれば六十億程度でできるものを、国産化すれば百億ぐらいになるだろう、こういうことが前々からいわれておりますので、これも国民の高い税金を使うわけでありますから、そういう高い機種の選定などについては十分検討されて、国民から疑惑の出ないようにしていただきたい。なお、四次防期間にこういったものの配備は行なわないということですか。
  301. 増原恵吉

    増原国務大臣 防衛庁の計画としても、これはもう防衛庁限りの計画、いままで持っておった計画でも、それをそのまま実行するとしても、四次防中に国産に移るものではない。それは別にしましても、これはもう国産は白紙ということになったわけです、今度の議員懇談会の了解で。
  302. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 輸入も考えられる……。
  303. 増原恵吉

    増原国務大臣 それで、これを輸入するかどうかということは専門家会議できめる、こういうことであります。
  304. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 終わります。
  305. 前田正男

    前田委員長 次に東中光雄君。
  306. 東中光雄

    東中委員 防衛庁長官にお伺いしたいのですが、四次防の策定に関連して、防衛力限界をこの秋をめどに煮詰めて、その限界を数量で明示するというふうな防衛庁長官考えがあるように報道されたこともあるわけですが、六日の国防会議議員懇談会田中総理から、平和時の防衛限界を示すよう検討してほしいという指示もあった。四次防では示されていないわけですが、先ほど来の質問にもありましたが、数量で防衛力限界を示していくというふうな考えはお持ちなのかどうなのか、お伺いします。
  307. 増原恵吉

    増原国務大臣 数量の点も考えたものをというつもりでおりまするが、防衛局長から少し詳細に申します。
  308. 久保卓也

    久保説明員 防衛力限界というものは、そのことばどおりの意味であるならば、本来出るものではありません。世界で防衛力限界論というものは、おそらく行なわれておらないと思います。ところが日本の場合には、憲法のたてまえからいいまして、必要最小限度の自衛力という解釈がありますので、そこからして何らかの限度が出てくるのじゃないかという問題が、ほかの国と違ってあるわけであります。そこで、実際に日本を守るために数量的にはどの程度の最小限の自衛力が要るかということは、やはり周辺諸国の自衛力との関連が出てまいりますので、そういう意味では出てまいりませんが、いま申し上げましたように、平和な見通しを立てまして、そういった事態におきましてどの程度のものを持てばよろしいかということは、一定の考え方のもとに一定の防衛力を数量的に明示するということは、おおよそ可能ではないだろうかというふうに思っております。
  309. 東中光雄

    東中委員 日本国憲法のもとで、しかも平和時におけるという前提防衛力限界を数量的に示すということが可能だというのじゃなくて、そういうお考えがあるのかどうかということを長官にお聞きしておるわけです。
  310. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま防衛局長が申しましたような意味で、東中委員が申されましたような意味において示す作業をやろうということでございます。年内くらいまでにやろう、こういうことでございます。
  311. 東中光雄

    東中委員 第二回目の防衛白書でも出してという、そういう御意向ですか。
  312. 増原恵吉

    増原国務大臣 防衛白書も年内にできれば出したいという心持ちを持っております。いろいろの事情がありましてあれですが、年内にできれば出したいというつもりでおります。これと一緒にするかどうか、これはもう少し作業をしてみてから、一緒にするほうがいいかどうか、検討してみたいと思います。
  313. 東中光雄

    東中委員 GNPとの関係で、たとえば一%以下あるいは程度というふうな考え方、要するに限界として、今度は抽象的にですが、いまどういうふうにお考えになっているか。
  314. 増原恵吉

    増原国務大臣 GNPの一%というのは、ある意味では限界と言えると思いますが、いま皆さんが要望されておるのは、そういうことでは不十分だという意味限界だと思うのであります。年々の増強がGNPの一%以内におさまるというようなことは、私どもとしてはやはり一つの目標にして、一%をこえるような形にはしたくないというふうな意味では、これは残りますが、それとはある意味で離れて、いわゆる平和時における自衛力の限界というものをつくりたい、こういう考えでございます。
  315. 東中光雄

    東中委員 次に移ります。今度発表された四次防の中での情勢判断についてでありますが、ここには、「アジア地域においては、米・中・ソ三大国の利害が依然複雑にからみ合い、全体として安定した緊張緩和状態に至っているとはみられず、また、その他の諸国間においても種々の緊張要因が存在している」、こういうふうにいっていますが、「その他の諸国間においても種々の緊張要因が存在している」といわれているのは、具体的にはどういう問題についてどういうふうに把握をしておられるのか、お聞きしたい。
  316. 久保卓也

    久保説明員 「その他の諸国間においても種々の緊張要因」のところでありますが、主としてそれぞれの国におきまする経済的、社会的あるいは政治的不安定性、それらに関連するところのいわばある種の外国からの干渉といったような事態も存在しております。それから、民族問題あるいは思想問題等、そういうものがこれらの国に介在をしておるというような状況、そういうことも含められております。それからまた、朝鮮半島あるいはベトナムに関連いたしまして、いわば分割国家と申しますか、そういうものがまだ存在をしておる。そういうことの関連で、特にインドシナ地域についていろいろの問題があるというような事柄、そういう事柄をここでは意味しておると思います。
  317. 東中光雄

    東中委員 朝鮮あるいはインドシナ地域における問題も、具体的な問題としてつかんでおられるのですが、「このような情勢下にあって、地域的ないし期間的に限定された武力紛争の生起する可能性を否定することはできない」と、「可能性を否定することはできない」というふうにいっているのですけれども、現にベトナムでは、非常に長期間にわたって、第二次大戦よりも、たとえば落とした爆弾の量で見れば倍以上にもなっている、こういった戦争が、「武力紛争の生起する可能性を否定することができない」どころか、現に起こり続けられている。しかもそれは、安保条約によって米軍が、いろんな意味での基地としての役割りを日本を舞台にしてやっているという状態と見ると、これはあまりにも何か作文に過ぎるのじゃないかと思うのですが、どういうことですか。
  318. 久保卓也

    久保説明員 その辺がたいへん特徴のあるところでありまして、第二次大戦後に四十幾つかの武力紛争が起こっているというふうにいわれます。その中で主たるものは、朝鮮戦争とベトナム戦争、それを除きますと、ここに書いてありますようないわゆるリミテッド・ウォー、限定戦争あるいは制限戦争の形をとっております。そこで、朝鮮戦争、ベトナム戦争は、いわば一つの民族が分裂をしまして、その中での統一をめぐっての紛争ということが考えられるわけでありますが、この種の事態は比較的長期間継続するように思います。しかし、その他の問題につきましては、つまり国対国の紛争という形であらわれまする場合には、いわゆる限定戦争といった形を生じておる。ここでは「地域的」「期間的」と書いてありますが、手段の分野でも、あるいはいわば武力攻撃を行なう場合の目的、それが限定をされておる、そういったような戦争事態というものが一般的である。つまり言うならば、第二次大戦後における戦争様相の特徴である。日本においては、全面的な戦争、大規模な戦争はまず起こるまいけれども、そういった限定的な戦争が、ほかの地域についてはたくさん起こっているのですが、日本については絶対に起こらないということは理論的には言えないのじゃないか。また当面、世界的にも、また極東についても、そういった平和の方向に進んでいるけれども、将来どういうように情勢が変わるかもしれない。国際情勢というものは本来流動的である。したがって、いつかの将来についてもし起こるとするならば、こういった限定的な武力紛争であろうし、そういう可能性を否定するという具体的、明確な論拠はないのではなかろうかというのがこの判断であります。
  319. 東中光雄

    東中委員 いや、私の言っているのはそういうことじゃなくて、現にアジア地域において戦争が起こっておるじゃないか。アメリカが第二次大戦を上回るような攻撃をしておるじゃないか。これは「アジア地域においては」ということで書いてあるわけですね。そういう状態があって、しかもそれが日本を前線基地として、あるいは補給基地として、あるいは中継基地として使って現にやっておる。これは文章には書かれてないけれども、そういう前提があっての第四次防じゃないですか。そういう情勢というのは、もう全部ネグレクトしているということなんですか。
  320. 久保卓也

    久保説明員 もちろん、ベトナム戦争がいまおっしゃるような状況で起こっておることは確かでありまするが、一応ベトナム戦争も、アメリカの介入という形での紛争としては終息の方向をたどっているであろう。言うならばいずれローカルな戦争になっていくでありましょうが、そういった事態がまだ存続しておるということは、必ずしも四次防そのものとは関係がない。やはり日本の防衛について考えるならば、戦争の一般的な態勢としてどういう態様があるか、そういう態様を日本に言うならば適応させる。日本について可能性として考え得るならば、世界的な一般的な傾向の分野であろう。ベトナム戦争があることは確かでありまするが、それが四次防の前提であるわけではなし、また、ベトナム戦争が日本の防衛について直接一つのタイプ、モデルになるであろうということは発想しておらない。したがって、そういうような意味でベトナム戦争については触れられておらない、こういうふうに御理解いただいたらどうかと思います。
  321. 東中光雄

    東中委員 ここでは具体的に、米、ソ、中三大国の利害が依然複雑にからみ合っている、そういう事実。それから「その他の諸国間においても種種の緊張要因が存在している」、これはそういう事実についての情勢判断をしておるわけですね、アジア地域において。私たちの考えるところでは、戦後アジア地域における最も大きなアメリカ侵略戦争、これはベトナムでやっておる。それから朝鮮でやった。それと日本が無関係だというなら、これは話が別ですけれども、現に安保条約に基づいて、今度の四次防の中でも安保を堅持していくという。これが防衛の一つの体制なんですから、それが安保条約を軸にして展開されているという事態があるわけですから、この場合は全く無関係というふうにもし言われるのだったら、アメリカが極東の平和に寄与するという目的からいって、ベトナムの状況は無関係とはいえないからといって、安保条約の範囲内に入るという論理を政府側がとっておられるわけですけれども、そういう論理をここでは使っておられることになるというふうに思うのですが、どうなんでしょうか。
  322. 久保卓也

    久保説明員 もちろん、ベトナム戦争と、それから日米安保条約を結節にいたしまする日本の米軍基地との関連があることはあるわけでありますが、そのことは、政治あるいは社会上の問題、もしくは外交、国際政治上の問題は関係はありましょうけれども、日本の安全保障については直接の関係はないというふうに踏んでおるわけであります。たとえば、議論といたしましては、ベトナム戦争に何らかの形で協力をしているということが日本に対する攻撃を誘発するのではないか、というような発想も国会で再三議論されておりまするが、私どもはそういうような発想はとらない。つまり政治的その他の関連はいろいろありましょうけれども、日本の安全保障、日本の防衛、特に四次防ということからは直接の関係はないということで、特別ここには取り上げておらないというふうに思います。
  323. 東中光雄

    東中委員 長官にお伺いしておきたいのですが一月末の安全保障にはベトナム問題というのは関係がないというふうに長官としてはお考えになっておるわけですか。それだけ確かめて次に移りたいと思います。
  324. 増原恵吉

    増原国務大臣 日本の安全と平和に関係がない、そういうふうな考え方をすることが適当でない問題ではないかというふうに思います。この安保条約という関係においては、日本というものは、日本にある基地、兵器廠から、そういう装備や何かを、いままで日本へ心持ってきて修理して持っていった。これは条約上は、向こうへ持っていくことについて、それはいけないとは言えないという外務省の統一見解を申し上げておるわけです。しかし、官房長官も申しておるように、そういうことはやらないようにしたいという日本としての政治的な判断、行動は、それでやっていきたいということを申しておるわけです。そういう意味安保条約という関係において、日本に関係があることはまさにそのとおりであります。しかしそれは、四次防、日本の安全保障という問題で、この日本で四次防で防衛力整備されたら、何かそれが若干はね返って向こうの力になる、向こうへ持っていかれる――持っていかれないことは申すまでもありませんけれども、そういうような日本の四次防とは関係ないという意味でありまして、安保条約というたてまえで日本がいわゆる関連があるかといえば、それは言えないことはない、こういうことであろうかと思います。
  325. 東中光雄

    東中委員 時間がありませんからあまり申し上げませんが、たとえば沖繩ではB52の給油にKC135が飛び立っております。当然ベトナム側から攻めてくるのに対して、日本の防衛の発想方法からいえば、それを攻撃することだってできることになりますやそういう場合に、今度は日本の自衛隊は、この四次防で沖繩に配備されて防空を担当する。KC135に対する攻撃があった場合には自衛隊が発動していくわけでしょう。現実の問題としてそういう関係があるわけです。それを「情勢」から完全にネグってしまって、そしてしかも戦前は沖繩には軍隊はなかった、しかし今度は送っていく、こういう四次防になっているわけです。だからこれは、「情勢」の中では一方で落としておきながら実際には進んでいく、こういう関係になっておるように私は解せざるを得ないわけですが、その点を指摘をしておきたいわけであります。それで、「防衛の構想」について、日米安保体制の堅持と、そしてわが国みずからも有効な防衛力の保持をする、米国の核抑止力に依存をする、こういう形になっておるわけですが、この位置づけでありますけれども、ことしの二月十五日のレアードの国防報告によりますと、いわゆる総合戦力構想が発表されております。これとの関係で、今度の四次防、それから自衛隊というものをどういうふうに位置づけされておるのか、お聞きしたいと思います。
  326. 増原恵吉

    増原国務大臣 総合防衛力構想といいますか、ニクソン・ドクトリンといいますか、これはわれわれに関連する形でとらえますると、米国としては、いままで与国に対して、武力においても経済力においても、大きな寄与、援助、協力を与えてきた。それが戦後の推移の中で、経済力においても、だんだんそういう大きい力がなくなるし、また武力の点においても、関係国との比例の関係においては、そう大きい力が比例的にはなくなったというような形もあって、いままでのように大きく、米国は武力なり経済力などで与国を援助するということはできなくなった、できにくい。したがって各与国は、自分でできるだけのことは、自分を守るために努力をしてもらいたい、そしてまた近隣の諸国相寄って集団安全保障というような形もひとつやってもらいたい。それでなお足りないところは、米国が条約を順守してその防衛に援助を与える、そういう考え方でありまして、そういう点においては、わが国はそういうことと直接関係を持って考えておるわけではありませんで、やはり日本の国は安全保障条約というものを一つの大きい背景といいますか、に持って防衛考えていきまするけれども、自国でできるだけのものは、これはもう最小限の必要という限度でありまするが、自国でできるだけの自衛力はこれを整備をしていくという方向を従来もとっておるということでありまして、米国の総合戦力構想とかいうものの中でわれわれが四次防を考えていくという性質のものでは決してない、こういうことでございます。
  327. 東中光雄

    東中委員 たとえばレアードは、総合戦力計画は「米国はじめ自由世界の所要に対処するために利用し得るあらゆる軍事資源と関連資源を最大限に動員することである」と、こういう説明をしています。まさに四次防は、三次防の倍の規模で、レアードの言う「動員」されておることになるわけですね、そういう対応をしておるわけですから。ニクソンの昨年の議会の外交教書でも、「米国は日本がアジアの軍事戦略の中で、より大きな役割を果たすよう望んでいるが、その一つとして、日本周辺水域における米第七艦隊のいくつかの任務を日本が引受けることを希望している」というかっこうでいっておりますし、ことしの外交教書でも、日本は「今後数年間にわたって通常兵器による防衛能力を強化する計画策定しつつある。これはより大きな責務を引き受けるために、日本が自己依存と準備を増大していることを反映するものである。この歓迎すべき傾向に伴って、米軍事施設の整理統合と日本と沖繩における米軍の削減が進められてきた」、こういう形で提起を外交教書ではいっています。結局、より大きな責務を引き受けさせる、アメリカの全体の総合戦力構想の中で。そして最大限に動員すると言うている線に沿って――これはもう明白に結果は沿っているわけですね。縮小しているのじゃなくて、緊張緩和だと政府は言っておりながら倍にふやすわけですから。そういうふうにとれるのですが、米国は、米軍の補充部隊的なそういう位置づけをして、ニクソンにしても、レアードにしても、公式にそういう見解を発表しています。それに対応するように、あるいはそれに即応するように、四次防というのは拡大されてきておる、こう思うのですが、その点はいいかがでしょう。
  328. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういうことを申しておることは承知しておるのですが、そういうような意味のことをわれわれのところへ申してきたことはございません。アメリカの総合戦力構想というものは、あくまでも私どもは、それぞれの与国が、だんだん経済力の発展した国もあるし、防衛力整備できるようになっている国もあることであるから、それで自分のほうは、方々の防衛あるいは経済援助等をまかなうようにはなかなかやり切れないから、自分でできることはやってくれということをわれわれに言ってきておるというたてまえでございます。そういう意味アメリカの立場に立って表現すると、いまおっしゃったようなことになるのではないかと思うのでありまして、われわれは、米軍がたとえば沖繩から引いていくというようなことも、本土に復帰をしたという時点においての引き揚げであり、まだ引き揚げが、安保体制というものがすぐに大きく転換をなかなかしにくいところもありましょうから、われわれが考えるほど減少しないというようなこともあって、これはわれわれとしても、だんだんとさらにあそこにある米軍の兵力というものは縮小をされ、あるいは基地が整理をされるというようなことを期待をしておるという状況でありまして、日本の四次防というものは、そういうこととは関係なく、日本の国は安保体制というものが一つの背景をなしておる。いま考えられる近い時期の将来において、日本が自力でやれるということは考えられません。また、いまのような国際的な防衛情勢の中ではなかなか考えられないという意味で安保体制を背景にしまするが、その中で、しかし日本として、いわゆる経済力その他の上昇国力の増進に従ってできるだけのことはやるべきであるというたてまえで三次防、四次防と防衛力整備していく。それはもとより、最小限の日本の憲法のたてまえにおける日本の自衛力の範囲内のものでありまして、そういう意味における自衛力の限界というものはお示しをしようということを先ほど来申しておるわけですが、そういうものとしての整備を、日本の独立国としてのたてまえとして整備をしていこうというので、アメリカの目から見ると、そういうふうに整備されたものによって、日本がいままではアメリカの力にたよっておったという部面が自分で分担をしてくれるというふうな見方はもちろんできるわけで、そういう言い方をしておるものというふうに私は解釈をしております。四次防がそういうアメリカの言うような形で遂行されるというものではない、こういうことでございます。
  329. 東中光雄

    東中委員 去年の十月二十七日の米上院外交委員会公聴会の中でロジャーズ長官の証言がありますが、チャーチ議員が「日本にたいして軍事力の近代化、軍事予算の増大を求めることはアメリカ方針か」という趣旨の質問をして、ロジャーズ長官は「そうだ。なぜならば、われわれは過去において、世界のこの地域の安全保障のために多くの資金と人を投じてきたからである。……日本の経済発展とわれわれがかかえている国際収支面での問題にかんがみ、われわれは日本が同地域の安全保障のための負担をより多く分担することはきわめて重要であると考える。そして、われわれはかれらにたいし軍事予算の増額を勧奨しているのである。かれらはそれを実行するとの保証を与えた」。これが「ニクソン・ドクトリンの全般的推進方針と合致すると考えるか」、そうだというふうに答えているわけですが、ここでは明白に、軍事予算の増額を勧奨しているのである、軍事予算の増大を求めることはアメリカ方針である、こういうように言っているわけですが、長官の言うのは、かれらはそういうことを一方的に言うておるので、直接増額しろということを言うてきたことはない。しかしこれは、公式の発言でロジャーズ長官はそう言っているわけです。これもかってに言っておるということになるわけでしょうか。
  330. 増原恵吉

    増原国務大臣 私が防衛庁へ参りましたのは最近ですが、いままでも防衛庁のほうでは、そういう勧奨なり何なりなどということは聞いておらないようでございます。しかし、そういうふうなことを米国として言うことが、期待するとか希望するとかいうことがあり得ないことではないというふうに私も考えます。防衛庁としてはそういう勧奨を、いまも聞いてみましたが、聞いておらないということでございます。
  331. 東中光雄

    東中委員 先ほど言いましたニクソンの外交教書の中で、「第七艦隊のいくつかの任務を日本が引受けることを希望している」というのがあるんですが、それに照応するようにこの四次防大綱の中でいわれておる整備方針の留意点の第一項ですが、「とくに周辺海域防衛能力及び重要地域防空能力の強化ならびに各種の機動力の増強を重視する」という線が出ておるわけであります。久保防衛局長が出られるそうですので……。この問題で、前の三月三十日の予算委員会で、中曽根防衛庁長官防衛水域一千海里と言っているのを、江崎長官は数百海里に縮小するのだ、こういうふうに言われた。しかし、中曽根長官の言っているのは東京から一千海里で、この間お聞きしたときには、それは日本列島の周辺数百海里ということなんで、沖繩から数百海里といったらうんとまた広がるわけですね。縮小どころではない。そういうことについて聞きましたときに、防衛局長は、「具体的な周辺海域というものは今度の四次防の検討の過程において検討してまいりたいと思います」という答弁をされているんですが、数百マイルと言われておった場合に、どういう海域ということではないのだ、おおよそ日本列島の周辺数百マイルあるいは五、六百マイルということでありますということで具体的には検討するのだ。もう四次防が策定されたわけですので、検討されたと思うのですが、どこからどういう周辺海域というものを考えるのか、明らかにしていただきたい。
  332. 久保卓也

    久保説明員 周辺海域と言うときは、この大綱の中に「周辺海域防衛能力」と書いてあります。それと海上交通の保護というのを別に書いてありますが、中曽根長官のころは、何べんも中曽根長官からも答弁されましたように、南西諸島から沖鳥島、南鳥島を結ぶ海域内、したがってそれを本土からの距離をはかってみれば大体一千マイルであるというのが当時の御説明でありました。西村長官のころから少しずつ変わってまいりまして、数百マイルと申しました。そこで数百マイルというのは、たとえば五百マイルである、あるいは四百マイルであるというふうに特定にきめてしまうのは、必ずしも実情に合わない。といいますのは、たとえば四百マイルのところには相手方の潜水艦はいないけれども、五百マイル先のところのどこかの島あるいは航路の周辺に蝟集しているといったようなときに、それは除外されるというのもやはり適当でないということで、数百マイルという発想というものは変わらないのじゃないか。少なくとも非常に広い範囲ということではなくて、おおよそ数百マイルという範囲内で相手方の艦、潜水艦の出ぐあいに応じて防衛海域、重点海域を定めるというふうに考えるべきであろう。たとえば最も可能性の多い海域は、実は、数百マイルというよりも、あるいはもっと本土に接近した海域に潜水艦が蝟集する可能性のほうが、実戦においては多いかもしれません。そういうようなことからいいまして、大体数百マイルというような程度の発想のほうが適当であろう。それから南西諸島のほうは、南西諸島から数百マイルというよりも、南西諸島の南西端から以北、大体そんな感じ。あるいは現在の台湾のバシー海峡でありますか、そういったところから北両岸、片方で百マイル、あるいは片方で二、三百マイル、そういったところが実際的であろうというふうに思います。いずれにせよ、特定のマイル数をそこで指定するというのは、必ずしも適当ではないのではないかと考えました。
  333. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、中曽根防衛庁長官が言うた、南は沖鳥島ですか、東は南鳥島から、西は南西諸島、こういうふうに言った範囲からいうと、広くはなっても狭くはなりませんね。
  334. 久保卓也

    久保説明員 私が申し上げたことから言いますると当然狭くなります。つまり沖鳥島、南鳥島、それから南西諸島を結ぶ線が大体千マイルになりますから、それよりも中側に入ります。ですから、千マイルの海域の中で数百マイル、たとえば五、六百マイルとすれば六割程度の海域ということになります。ただ、こちらの南西諸島のほうの海域はあまり変わらない。変わらないと言いますよりも、南西諸島と沖鳥島とを結ぶわけではありませんので、そこのところが切れるということになれば、そこのところがまた少し狭くなるということになると思います。
  335. 東中光雄

    東中委員 それはおかしいのじゃないですか。千マイルというのは東京から計算しての千マイルでしょう。だから、沖繩から計算して数百マイルといったら、ずっと広くなるじゃないですか。南西諸島は日本列島でしょう。そこから計算して数百マイル。必ずしも数百マイルではないとしても、それは百マイルであるとしても、南西諸島と言っておったのは、中曽根さんの千海里説の具体的内容です。その南西諸島からまた付近へ何ぼか出るわけでしょう。あなたの言われているのでは、防衛庁が検討された四次防の確定されたものというのは、南西諸島だけではなくてその周辺に出るわけでしょう。数百マイルという形で広くなるじゃないですか。
  336. 久保卓也

    久保説明員 沖鳥島、南鳥島のほうはおわかりいただいたと思いますけれども、南西諸島のほうは、ここに図面があればたいへんよくわかるわけでありますが、南西諸島のところだけでその前後幅を見ていないかというと、必ずしもそうではありません。やはり南西諸島を含んだ若干の幅というものを当時からも考えておりました。ですから南西諸島に関する限りは、その点、当時と今日とでも変わっておりません。ただ、以前は南西諸島と沖鳥島と南鳥島との外縁を問題にしておったわけでありますが、その外縁を結ぶという発想をもう少し内輪目にする。どの地点とどのポイントということは必ずしも適当でないかもしれませんが、いずれにしても内輪目に周辺海域として考えることが適当であるというふうに思いますから、やはり当時の発想よりも縮小されておるように私は思います。
  337. 東中光雄

    東中委員 前に言われておることは、東京を中心にして一千マイルで半径を描くといっているのではなくて、中曽根さんの表現のしかたが非常にオーバーだったけれども、沖鳥島あるいは南鳥島を、いま策定された四次防の考えでいけば、そこは除外しておくということではないでしょう。そこまで入るんだということでしまう。少なくとも中曽根さんの言った範囲は全部入っている。それより広くなる可能性はあっても小さくはならないのじゃないですか。太平洋のまん中一千マイルということを中曽根さんが言っているわけじゃないのだから。
  338. 久保卓也

    久保説明員 ちょっと図面がないので空の議論でおかしくなりますが、いずれ図面で御説明申し上げます。いずれにせよ外縁を結んでおりました線よりは内へ入るという感じでつかんでまいりたい、こういうふうに思っております。
  339. 東中光雄

    東中委員 中曽根構想とあまり変わらない、むしろ西側では広くなってくるというふうに、いまの説明を聞いておって私は思うわけです。いずれ地図ではっきりとしていただきたいと思います。それともう一点だけですが、制海確保、航空優勢ということを四次防の大きな目玉として中曽根さんは言われました。今度の四次防ではその点はどうなっておるのか。どういうふうにお考えになりますか。
  340. 久保卓也

    久保説明員 昨年春に出しました四次防原案の中で、「制海を確保、」「航空優勢」という文言が入っております。いま考えてみますと、あの文章全体がやや誤解を与えやすいと思う次第ですけれども、なぜかと申しますと、あの原案そのものは、長期目標つまり十年後の長期目標を達成した後においてこういう能力を確保したい、こういう能力を保持したいという目標が書いてあります。したがって、四次防というものがそこに書かれてある能力を持つものということではなかったわけであります。ところが、四次防の計画の中にそういった能力が書かれているので、四次防の能力目標であろうというふうな見方を往々にされるわけでありますが、その点は違っております。いずれにせよそういうことで、もとの四次防原案でも制海の確保というようなものができるわけではございませんでしたが、今回はそういった目標を一応取りやめました。十年後の目標といったものを取りやめまして、二次防で整備しました防衛力を近代化していくということを主たる柱にしておりますので、三次防当時の能力を近代化により維持していく。若干の実力の向上ということはありましょうけれども。そういうことの結果、たとえば航空の優勢とか制海の確保とかいうようなものが、四次防原案よりも少なくなった兵力でとうていできるものではございません。四次防原案でも、それはそういうことを考えたわけではありませんから、それより以下の防衛力でありますので、そういった考え方は今回は全くとられておりません。
  341. 東中光雄

    東中委員 四次防原案は、そういうふうに原案としてのことがなくなったので、長官にお聞きしておきたいのですが、これは閣議了承を得たあの防衛白書です。ここでははっきりと、「わが国およびその周辺り海域や空域における航空優勢、制海の確保に努め」ということが五〇ページに載っています。これは閣議了承を得たものであります。それについての長官のお考えは、将来の防衛力整備方向として、これは防衛庁がかってに書いたのではなくて閣議了承を得たものだということをはっきり言われておるわけですから、その点はどうなんでしょうか。
  342. 増原恵吉

    増原国務大臣 航空優勢、制海の確保等は、いま防衛局長が申したようないろいろな経緯において出たものでございまして、今回の四次防は、原案にあります四次防よりは、もとより空、海等において充実がスローダウンされておるわけであります。そういうこともあり、われわれとしては、空において、海において、制海の確保、航空優勢というふうなことを四次防において目ざすということはできないことであり、しておらないということでございます。もとより周辺においての空の防御力を整備、強化をする。ファントムがだんだん入ってくるというようなこともございますし、護衛艦その他が建造されるというこどもありますから、周辺の空及び領海等における防衛力が強化されるということであり、それを期待をしておるということでございます。
  343. 東中光雄

    東中委員 私が長官にお聞きしておるのは、今度の四次防については、制海、航空優勢ということは入りていないというふうに、ことばの上では言われているけれども、これは私たちから見れば、実際はそれを目ざしてやっていらっしゃるのではないか。というのは、閣議で了承された防衛白書にはっきりとそれは出されておって、それが方針として出てきておるわけでしょう。それを国防会議でかってに変えるというわけにはいかぬのじゃないか。そういう点から言うと、この防衛白書で出されておった航空優勢なり制海権確保ということにつとめるというふうにいっておる方向は、これは当然堅持されているだろうと思うのですけれども、これは大きな根本的な問題ですから、これが訂正されたのだったら、訂正した、こう言われたら、それはいいですけれども、単にそれは原案を変えたという問題だけじゃない。閣議で了承された、すでに四十五年十月に公表された文書の中に書いてあるということを申し上げているわけです。それについてどういう方向をとられるか。
  344. 増原恵吉

    増原国務大臣 私も、その条項をいまさがしてもちょっと見当たらぬので、はっきりしたことは言いかねますが……。いまことばがはっきりわかりましたが、「直接侵略が起こりた場合には、防衛に必要な限度においてわが国およびその周辺の海域や空域における航空優勢、制海の確保に努め、その事態から生ずる被害の局限化をはかり、侵略を早期に排除することをはかる」、こういう目標を持っておるということは、これは必ずしも排除する必要はない、これを四次防で達成するということではなくなった、こういうことでございます。
  345. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、四次防ではこの目標を達成するわけにはいかぬが、この目標を達成するということは堅持しておるということになると、四次防のあとも、防衛に必要な限度において、わが国だけでなくて、その周辺の海域や空域における航空優勢、制海の確保につとめる。だから四次防の次に航空優勢、制海確保ができるような体制をやはり続けていくということになるわけですね。
  346. 増原恵吉

    増原国務大臣 これができましたのは四十五年十月でございまして、これは四次防をつくる前提という形で書かれたものではないということでございます。そうして四次防の中にこういう「航空優勢、制海の確保」というようなことばが出ておるのは、先ほど防衛局長が言いましたように、四次防は一応十年後の事態を想定し、そのときの自衛力、防衛力というものを相当綿密な計算もやりましてはじき出した、これを十年後には一応達成をしたい、その五年間を四次防という形で整備をしていくということでありましたから、その場合のことばの中に、航空優勢とか制海の確保ということにつとめると書いたのは、やはり十年後ということを、一つの目標にしたものではないか。どうもちょっといま防衛課長でもよくわかりませんが、そうこうことであって、今度の四次防ではそういう目的がなくなったとは申しませんが、そういうことばで四次防の整備段階目標を示すことは適当でありませんので、使っていない。そういうことはもうこれからやめたという意味を必ずしも持っておるわけではありません。
  347. 東中光雄

    東中委員 ですから、今度作成した四次防では、航空優勢、制海確保ということは実現できるようにはまだなっていない、だからそれは書いていないんだ、原案にはあったけれども書いていないんだ、原案にあったのは、十年計画だからそういうものが入ってきたんだということが一つ。もう一つは、この防衛白書に書かれている航空優勢、制海確保、しかも国内におけるじゃなくて周辺の海域、空域においてもつとめるという方針は、いま排除しているわけじゃないということになったら、その方針は生きておって、そして四次防では実現されないのだから、四次防の次にこの方針を実現するようにやっていく、そういうことになるわけですね。その点だけ確認しておいてもらったらそれでいいのです。
  348. 増原恵吉

    増原国務大臣 ちょっと話の方向がかみ合わないようですけれども、御承知のように、いまのは、前に「防衛力限界」というんで、「憲法上の限界」とか「政策上の限界」とかいうものがあり、そのことが(6)として「侵略の抑止と排除」――これは、日本の防衛力整備ということについての「防衛力限界」であるとか「侵略の抑止と排除」というふうなことで述べておる方針であるので、防衛庁原案の場合でも、この四次防において、こういうことと直接の関連があるとは思われないものであるというふうに考えるのであります。四次防の際にうたったのは、十年後ということを目標にしておったので、その際の一つの目標という形でうたわれたもののように思います。なおひとつよくあれをしてからお答えをしたいと思いますが、防衛局長がいなくなりましたので、このところ、私もしかとなにを理解しておりませんから、そういうことでお許しを願います。
  349. 東中光雄

    東中委員 私の言うのは、防衛白書の中で示された方向というものは排除されていないというふうに、先ほど長官はっきり答弁されましたから、そして今度は、四次防原案には十年の展望で書いてあったからそれは載っておったけれども、今度策定した四次防は、これは五年だから入っておらぬけれども、しかし防衛白書に出されている方針というものが貫かれている以上は、今度の四次防だけではできないということになったから、その次には制海確保、航空優勢というものを実現して、「努め」と書いてあるんですから、それに見合うような計画というものは次の計画へまあ延ばした、こういうふうに聞いていいのかどうかということをお聞きしているわけで、むずかしいことは聞いてたいのです。
  350. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういう意味でなら、そういうふうに御理解をいただいてもいいように思います。その前に、防衛力限界、憲法の問題、政策上の問題ということもちゃんと書いてあるわけでありまして、それを一貫して読むべきものでございまして、そういう意味で将来の目標として一応こういうふうなものを掲げておる。それはあくまでもいわゆる防衛、自衛ということに徹するという形のものでなければならぬし、他国に脅威を与えるというようなものであってはならないというものをちゃんとかぶっておる。そういう意味において制海の確保、防空のあれをやるという目標を持つというふうに解釈すべきものだと思います。
  351. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、結局、制海確保、航空優勢を確保するためにつとめるという方針は変わっていない。四次防ではできていないから五次防あたりでそれを実現していくように、「努め」と書いてあるんだから、その方針が変わってないと言われるんですから、そういう方向を目ざしていくということになるわけですね一それでよろしいわけですね。
  352. 増原恵吉

    増原国務大臣 そういう意味ではありません。将来の目標として持っているんで、あと五次防で――五次防というのは、普通考えれば大体五年間でしょうが、次の五年間の五次防でそういうものを考えるというふうな意味まで持つものではございません。
  353. 東中光雄

    東中委員 時間がありませんので次の問題に入りたいのですが、五次防で考えるということまでは言ってないけれども、制空――いや、制空といわずに航空優勢といっていますけども、それから制海確保、そういうことにつとめる方針はいまも変わっていないということだけははっきりされたように思いますので、その程度でおいておきたいと思います。それで、もう一点の問題点をお聞きしておきたいのですが、防衛施設庁が昭和四十七年六月十五日、告示第十二号で「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条の規定によりアメリカ合衆国が使用を許されている施設及び区域について、新規提供及び共同使用等が昭和四十七年五月十五日次のとおり決定された」ということで、官報に告示をしています。  その中に訓練区域(水域)でホテル・ホテル訓練区域、インディア・インディア訓練区域、マイク・マイク訓練区域、それから訓練区域(空域)、新規提供でやはりホテル、ホテル訓練区域、インディア・インディア訓練区域、マイク・マイク訓練区域、ゴルフ・ゴルフ訓練区域、その他、沖繩北部訓練区域、沖繩南部訓練区域があります。これはいずれも公海もしくは公海に及ぶ、あるいは公空もしくは公空に及ぶ地域の施設、区域の提供ということになっております。さらに昭和三十六年の四月十九日の調達長官の告示第四号、これは本土関係でチャーリー区域あるいはフォックストロット区域、ゴルフ区域、それからリマ区域、その他ありますけれども、こういったものはいずれも公空、公海区域であります。それが、先ほど長たらしく読みましたように、安保条約六条に基づく施設、区域、地位協定二条の規定によってアメリカ合衆国に使用が許されているということで告示をされています。公海、公空を地位協定や安保条約によって施設、区域として提供することはできないということは明瞭なことでありますが、一体どういうふうになっておるか、防衛庁のお考えをお聞きしたい。
  354. 大河原良雄

    ○大河原説明員 海上演習場に、つきましては、領海内のものと公海上のものと両方ございますけれども、領海分につきましては、地位協定の二条に基づいて提供された施設、区域という形で提供をいたしております。それから公海分につきましては、地位協定上の施設、区域と同じでないことはもちろんでございますけれども安保条約目的に照らしましてこういう演習を認めておるわけでありまして、その区域を確定することによりまして一般航行の安全をはかるということをいたしております。
  355. 東中光雄

    東中委員 法制局から来ていただいたと思うのですが、公海、公空を安保条約に基づく施設、区域としてアメリカに提供することはできるんですか、できないんですか。法律的な見解を明らかにしてください。
  356. 角田礼次郎

    ○角田説明員 公海、公空に属する分を安保条約に基づく施設、区域として提供することはできないということはもう明らかでございます。
  357. 東中光雄

    東中委員 施設庁長官にお聞きしたいのですが、法制局は、明白に提供することはできない、こう言っています。アメリカ局長もそれと同趣旨のことを言っておりますが、先ほど読み上げた防衛施設庁告示第十二号は、これまた明白に「第六条に基づく施設及び区域並びに、日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条の規定によりアメリカ合衆国が使用を許されている施設及び区域について決定された」ということで官報に告示をしています。これは、明白にやれないと言っていることをそういう形で告示しているのは、どういうことですか。
  358. 高松敬治

    ○高松説明員 いまそれぞれ答弁がございましたが、確かに海上演習場の一部である公海の部分というのは、施設、区域として提供された区域にはならないことになっております。そのことは昭和三十五年当時の法制局長官の国会における答弁でも、これは施設区域ではない、したがって、たとえば刑事特別法の適用云々ということは生じないのだ、こういう御答弁がございます。それで、こういうふうに公海の指定水域を指定して海上演習場としてやっておりますのは、こういうふうに演習の行なわれる区域を確定することによって、漁業の操業あるいは一般航行の安全をはかる、こういう意味でやっているわけでございます。確かに御指摘のように、官報でその施設、区域云々ということばを使って出しておるのはちょっとおかしいのでありますが、これは、ここだけ、この公海上のものだけではなしに、沖繩の復帰に伴いまして数多くの施設、区域をずっと一連に書き連ねて出しておる、こういうことで、この中にそれが含まれておるということであると思います。そういう点で私どもも、これが安全保障条約に基づく施設、区域として、ほかの施設、区域と同じような形で告示をしている点については、これはいささか形を違えてしかるべきものであろうか、かように思いますが、実態はそういうことで、演習の行なわれる区域を確定することによって漁業の操業等一般航行の安全をはかる、こういう目的でその地域の中に指定をして入れているわけであります。
  359. 東中光雄

    東中委員 これは官報にわざわざ告示をしているわけです。しかも施設、区域でないものを安保条約六条に基づく施設、区域、あるいは地位協定第二条に基づく云々と、そう書いて入れてあるのです。これは全く違法行為ではないですか。この施設、区域でないものを、明文上米軍の基地でないものを基地だといって提供をする行為、その法的な根拠はどこにあるのですか。
  360. 高松敬治

    ○高松説明員 いまほど申しましたように、一つは従来の形をそのまま引き継いできているということ、それからもう一つは、沖繩の復帰に伴って、多数のほかの施設、区域とともにこれを一括して告示をしているということ、そういうふうなことでなったのであろうかと思いますが、この点につきましては、確かに御指摘のようにおかしい点があると私は思います。この告示の形式については将来検討をしてまいりたい、かように思います。この点については日本側でも今後大いに検討をしてまいりたいと思います。
  361. 大河原良雄

    ○大河原説明員 補足的に御説明をさせていただきます。沖繩の復帰に伴いまして、本年五月十五日に日米合同委員会が開かれまして、その合同委員会の合意といたしまして、日本側が米側に地位協定に基づいて提供いたします施設、区域について合意をいたしております。その合意内容は、沖繩におきまする陸上施設、区域、これが大部分でございます。その一部に海上演習場も含まれておる、こういう形になりまして、いま申しましたようなお話の措置がとられておるというふうに私は思います。
  362. 東中光雄

    東中委員 日本国の領土、領海でない地域について施設、区域として提供するというような合意を日米合同委員会でやっているわけですか。公海についてそういう合意ができたというのは、安保条約の何条にそういう根拠があるのですか。
  363. 大河原良雄

    ○大河原説明員 先ほどの私の御答弁が若干表現不足でございましたので訂正いたしますけれども、地位協定第二条に基づきまして提供いたしました施設、区域は、日本の領域内にあります施設、区域でございまして、公海上にございます海上演習場につきましては、日本側が米側の使用について合意した、こういうことでございます。
  364. 東中光雄

    東中委員 その日本側が公海を米国が使用するについて合意をしたのは、それは何に基づいてどういう根拠で合意をされて、そして告示をされることになるんですか。
  365. 大河原良雄

    ○大河原説明員 公海は自由でございますから、自由に使えるのでございますけれども米側が演習のために公海上に演習場を設けたい、それに伴いましてその海域の航行その他を制限をされまして、日本側としましては、航行上の問題、あるいは漁業上の問題、こういうことがございますので、この公海上の使用についての地域の画定について合意した、こういうことでございまして、施設、区域の提供とは性質を異にいたしております。
  366. 東中光雄

    東中委員 旧安保条約の三条では、できるかできぬかは別として、「アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する」、こういうかっこうで、「その附近における」という形でぼかされて広げられていた。しかし、安保条約第六条は、「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」と、明白に安保条約から言っても、日本国においてのことなんであって、公海なんていうものは、安保条約上、そういうことを義務づけられることは何にもないわけです。だから、米軍がかってに、日本の近くで演習をしたいと一方的に言うてきておるということについて、別個に協力する、合意をするというだけのことであって、それは日米安保合同委員会なり安保協議委員会なんかで話をしてきめる性質のものではないんじゃないか、安保条約からいったらはずれてしまうじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  367. 大河原良雄

    ○大河原説明員 御指摘のとおりに、旧安保条約におきましては、日本並びにその周辺、付近という表現があったかと記憶いたしますけれども、地位協定におきましては、日本国においてというふうに明確な限定をいたしております。したがいまして、安保条約並びにそれに伴います地位協定におきまして日本側が米側に提供いたしておりますのは、日本国における施設及び区域に限られるということになりますけれども安保条約精神に照らしまして、公海上における海上演習場につきましては日本側が米側の使用に合意をいたしておる、こういうことでございます。これはもっぱら航行上の安全、漁業上の関係、こういうことに基づくものでございます。
  368. 高島益郎

    ○高島説明員 先ほど旧安保のことでちょっと言及なさったので、お答え申し上げたいと思います。旧安保におきまして周辺とありまして、今度の新安保では周辺ということばが落ちておりますけれども、国際法上日本が使用をアメリカに許し得る範囲、これは、何と表現がありましても、日本の主権のもとにある地域、つまり日本の施政のもとにある地域、つまり領土、領海、領空、これに限られます。したがいまして、どういう規定でありましても、これはその範囲でのみ日本が米軍へ提供する施設、区域になり得る範囲でございまして、それ以外の公海、公空、これはいかなる場合でも日本が米国に有権的に使用を許すことはあり得ません、このことは明確であります。
  369. 東中光雄

    東中委員 アメリカ局長、何か誤解をされておるようで、条約局長と言い分が違うようでありますけれども、要するに地位協定でなくて現在の安保条約で「日本国において」ということになっておるので、「附近」なんてことば安保条約にはない。それから、かりにそれがあった旧安保条約のもとにおいても、そんなことは公海について約束できる性質のものではない。これはそういう点ではきわめて明瞭なんです。それを先ほど言ったように、防衛施設庁が、安保条約六条に基づき、地位協定に基づきと、こういう形で基地としてやっておる。特に高知沖のリマ海域については、高知の漁民はたいへんだということで、県議会では四回も決議をしております。リマ海域をなくせということの決議をしておる。日本は安保条約上、アメリカの演習をやるリマ海域を提供しなければいけないような立場にはないわけです。安保条約上根拠がない。だから、県民の漁業を守るという立場に立つならば、これは、県議会で四回も決議をし、意見書を出したりしているわけですから、そういう演習をやめさせるべきだ、こういうことにいくべきだと思うのですが、安保条約上の義務もないものを、安保条約に基づいて提供したような告示をして、そうして、しかたがないのだという形でほっておくというのは、私はこれは許されないと思うのです。防衛庁長官、これは施設庁長官という告示でそう出ているわけですから、これは当然すぐに改められるべきことだと思いますし、演習場の設置そのものについて、これは対米交渉をやるべきことだ、こう思うのですが、防衛庁長官、いかがでしょうか。施設庁の告示ですから、防衛庁の最高責任者として長官の御意見をお聞きしたい。
  370. 高松敬治

    ○高松説明員 先ほども申し上げましたように、公海の上で演習をやることは自由でございます。しかし、それが自由に行なわれますと、あるいは漁業の操業なり、あるいは一般の航行なりについての危険が起こる場合がある、そういうことで、公海の上についても一定の区域に限って、そこで米軍は演習するのだというのがこの取りきめであると思います。そういう点から申しまして、ほかのものと一括して告示をしておりますために、形式的には確かにおっしゃるとおり非常におかしい点があると思います。この点については、私どもも将来検討してまいりたい、かように申し上げているわけでございます。  それで、問題の中心は、そういう場合の他国民の保護、あるいは自国の漁船なりあるいは船の航行の安全をはかるために、一定の区域に限ったほうがよろしいのか、あるいは公海の上はどこでもやってよろしいということでやったほうがよろしいのか、こういう問題に相なろうかと思います。
  371. 東中光雄

    東中委員 もう時間がありませんから結論を聞きたいのですけれどもアメリカアメリカの沿岸でやればいいじゃないですか。何で高知沖でやらなければいかぬのか。何で房総沖でやらなければいかぬのか。安保条約上、そういうものを提供しなければいけない義務があるのかどうかはっきりしてほしいわけです。アメリカがやると言うたら、それを動かないものとして航行の安全をはかるというのはとんでもないことであって、だから第一点に聞いておきたいのは、海上演習地域をアメリカに提供――「提供」ということばを使っているわけですが、提供する安保条約上の義務があるのかないのか、これをまず第一点として答えていただきたい。
  372. 大河原良雄

    ○大河原説明員 公海における海上演習場を提供する義務があるかと言われますと、これはございません。提供いたしておりません。米側は公海上で演習はできるわけでございますけれども、どこでもかってに演習されては困りますから、あらかじめ区域を画定する、そういうことについて日米間の合意ができている。義務づけられているわけではございません。
  373. 東中光雄

    東中委員 義務づけられていないということがはりきりしました。もう一つ言っておきますが、日本の漁民なり沖繩県民も、先ほど言ったように高知県民も、あるいは房総地域の人たちも、その演習のために、義務づけられておるわけでもないのに、政府が合意をすることによって非常に被害をこうむっている。一定の補償をされているけれども、これはまた別の意味での補償であって、防衛庁としての行動という点から言うならば、あるいは外務省として言うならば、県民の利益を守るという点からは一もっと外でやりなさい、こんなところではやめて趣きなさいということを、私は当然言っていいことだと思うのです。県民の立場に立つならば、あるいは国民の立場に立つならば、当然言うべきだと思うのですけれども、そういう方向で検討されないかどうか。それでもアメリカがここでやると言うたら、むやみやたらやられたら困るからと言う。何も日本の漁民が行くところでやらなくてもいいのですから。リマ海域地域は、黒潮が流れてきて非常な漁場なんですね。そういうところに設定していくということはないと思うのですが、その点、義務がないんだったら、そういう点で国民の立場に立って交渉される意思はないのかあるのか、この点だけひとつお聞きしたいと思います。
  374. 大河原良雄

    ○大河原説明員 たびたび繰り返しになりまして恐縮でありますけれども安保条約上あるいは地位協定上、提供を義務づけられている性質のものでないことは、私どもそのとおりに理解いたしております。したがいまして、これが公海におきましていろいろ不便を来たしておるという事情につきましてもよくわかります。従来とも削減、縮小ということについていろいろ検討が行なわれておりますけれども、今後ともその点に十分留意してまいりたいと考えております。
  375. 東中光雄

    東中委員 じゃ、質問を終わりますが、少なくとも告示はすぐに訂正されないと、これは、そういうことを告示する根拠もありませんし、事実に反することだし、義務がないのに義務があってやっているみたいな告示になっているというのは、これは少なくとも国民を惑わすことになりますから、すぐに変えられる、そういう方向でやってほしいと思いますが、長官、どうですか。
  376. 増原恵吉

    増原国務大臣 仰せの趣旨で急ぎ検討して、適切な措置をとります。
  377. 東中光雄

    東中委員 じゃ質問を終わります。
  378. 前田正男

    前田委員長 次に和田耕作君。
  379. 和田耕作

    和田(耕)委員 もうだいぶん時間も過ぎましたから、要点だけの御質問にいたしたいと思います。防衛庁長官、今度の四次防の策定にあたりましての「防衛の構想」という基本のところに、「米国との安全保障体制を堅持しつつ、わが国みずからも有効な防衛力」云々とあります。この書き方は、前の「第四次防衛力整備五カ年計画大綱」と文字がだいぶ違うのです。前の場合は、「日米安全保障体制を基調として」と、こうあるわけですね。今度の場合は「米国との安全保障体制を堅持しつつ」と、こうある。これは何か、アメリカとの関係が若干変化した、あるいはそういうふうな意味の表現と受け取っていいのですか。
  380. 増原恵吉

    増原国務大臣 安保体制を「堅持しつつ」と安保体制を「基調として」というのは、意味は変わらないということでございます。同じことを意味している。その中に実質の変化はないと思います。
  381. 和田耕作

    和田(耕)委員 変わらなければ、たとえば今度の四次防も三次防の延長ということばを使っているのですけれども、特別にこういういままで使ってきたことばを変えるということも必要でないと思うのです。何もほかに意味はないのですか。特に中国との国交回復以後の日本とアメリカとの関係で……。
  382. 増原恵吉

    増原国務大臣 この「基調として」というのは「国防基本方針」に載っておることばだそうです。三次防でこの構想を考える場合には、やはりこのことばは「堅持」するということばを使ったそうでありますけれども、そのときのどういういきさつかはちょっと係にもわかりかねるということですが、意味は変わっていない。三次防のときも、この「堅持」ということばを構想としては使った。「国防基本方針」のときには「基調として」ということばを使ったということのようでございます。
  383. 和田耕作

    和田(耕)委員 今後この日本の防衛問題を考える場合に、アメリカとの関係が従来どおりに継続していくものであるか、あるいは何らか違った関係に立っていくものであるかというこの問題についての的確な見通しというものが必要だと思うのですね。私はここで、いままでは「日米安全保障体制を基調として」ということばがあって、これを基本にして、そうして日本の防衛考えるということですか、それをずっとやってきたわけですね。今度の場合は構想として一安保条約を「堅持しつつ」日本の防衛をきめるということですから、中国との国交回復、あるいはそれ以前の経済的な新しいアメリカとの関係、あるいはニクソンの新しい方針、あるいはベトナム問題が今後いろいろ変化していく状態、こういう問題を見てみると、当然、戦後二十数年間続いてきたアメリカと日本との関係変化していくというふうな見通しが成り立つわけですね。これは日本の防衛を建設的に責任を持って考える場合にも、そういうふうな問題を見落としたのでは、四次防にしても何次防にしても、今後の防衛の問題の中心点がぼやけてくると私は思うのですね。その点、長官、どうでしょうか。今後、現にこの数年間のうちに、日本とアメリカとの関係、特に防衛の問題についての関係変化しているとお考えになるのか、変化していないとお考えになるのか、あるいは将来はどういうふうにお考えになるのかという点についての御所見をお伺いしたい。
  384. 増原恵吉

    増原国務大臣 安保体制というものを基調とするにしましても、堅持するにしましても、その点においての日米の協力関係という意味の抽象的な考え方、概念は将来とも変わりません。ただしかし、現実には、日本ができるだけのことは自分の経済力その他の増進に従ってやっていく。旧安保のときにはまるがかえといいまするか、守ってもらったわけです。いわゆる現在の安保条約になりましても、三十五年当時からいままでと比べてみますると、アメリカのたとえば陸などは、もうほとんどいなくなったということもありまするし、空にしましても、日本のほうで、本土のほう等においては、スクランブルも自分でやるというふうなことでありまして、そういう意味で、内容の程度の違いというものはずっといままでもあるわけですが、将来はやはり、日本が自衛力を自分のこととしてできることは増強していくというたてまえをとりますから、そういう意味における内容変化は当然あるというふうに考えます。  「堅持」とか「基調」とかいうことばが変わらないというのは、全体としての日米安保条約のたてまえ――われわれとしては抽象的なことばで書いてありますけれども、やはり、国内における内政干渉的な騒乱みたいなもの、あるいは小規模の直接侵略に対しては、今度の四次防でもこれは自分で処置をする、それ以上のものに対しては米軍の援助を期待する。これは、小規模がどれくらいだということは、なかなか明確に申し上げられないものですけれども、小規模が日本の防衛力が増強するに従って大きいものに、大きい小規模になるということは、当然変わる、たてまえは変わらないという意味に私ども考えております。
  385. 和田耕作

    和田(耕)委員 長官のおっしゃりたい点もわからぬじゃないのですけれどもつまり中国というのは、やはり日米安保条約の無言の一つの目標物であったことは間違いないことですね。これは、そういうことを言うと言わぬとにかかわらず、中国との平和条約を結ぼうとする、たぶん結べるだろうというような友好関係が回復をしたということが一つありますね。もう一つは、これは非常に重要なことだと思うけれども、日本とアメリカとの経済関係は、もういままでのような、長官もおっしゃった、いわゆるまるがかえのような状態ではないですね。もうはっきり対抗、競争関係と言っていいほどの緊張と競争があるということですね。そういう面からも、安保条約の中の経済条項の内容というものが、非常に大きくその背景は変化しているというふうにも見られるわけですね。そしてまた、ニクソン・ドクトリンという問題がいままでいろいろ展開してきているのですけれども、ベトナム等の問題が今後解決するにつれて急展開してくるということになれば、つまりこの三つの大きな変化する要素に取り巻かれておる日米安保条約というものは相当変化しなければならない、また変化するものとして日本としては検討してみる必要がある、私はそういうふうに思うのですけれども長官、その問題をどのように評価されておられるのか。
  386. 増原恵吉

    増原国務大臣 いま申された点、私も全くそのとおりに考えます。そうして安保条約は、よく御承知のとおり、日米友好ということを大きい基調にしておる。経済関係の調整というふうなことをうたい、そして防衛についての米国の協力を得る、日本が米国の防衛協力するというたてまえばとっておらぬということでございます。そして、それがおっしゃるように、経済関係はこれから明らかに競争的な関係に立つ。しかし、それにもかかわらず、やはりこの経済関係の調節を、われわれは、安保条約の前文その他にうたってあるように、十分心がけていかなければならぬし、友好関係の保持ということはやっていかなければならないし、抽象的な言い方による日本の自衛力だけでは足りない自衛については米国の協力を得る、そういうことはありまするが、その実体としては、おっしゃるとおり大いに変わるということでございまして、そういう点では、毎々、和田委員のほうでは言われておりまする、有事駐留というふうなことば意味される方向にだんだん向かっていくのじゃないかというふうな考え方もされるわけであります。そういう意味変化があるということは、お説のとおりでございます。
  387. 和田耕作

    和田(耕)委員 私いま、直接、有事駐留という、駐留なき安保という問題を、一つの要素ですけれども、それよりほかにやはり、いままではアメリカに庇護された日本という関係から、日本は自分の運命は自分で責任を持つという方向に大きく転回を始めておるということを重視したいと思うのです。その情勢認識というものが、現段階で日本の防衛問題を考える場合に、非常に重要な要素を持っておるということを申し上げたいわけなんです。また、そういう問題のほかにいろいろと問題があるので、まだ将来不確定要素がたくさんあるわけだから、この際あわてて――あわててということばは語弊があるのですけれども、急いで日本の五カ年の非常に重要な防衛計画というものを、中国から帰ってきて、中国があまり文句を言いそうにないからきめようなんという形に見えるのですけれども、もともとあれは八月の末にきまるのが、中国との話し合いで中国を刺激してはいかぬからということで延ばしたらしいのですけれども、向こうで話をしてくると、一応向こうのほうがあまり文句は言わないらしいということでとっさにきめるなんて、こういうきめ方は軽率じゃないかと私は思う。  つまり、いま申し上げた日本を取り巻く情勢というものは、大きく変化をしつつある。アメリカというものの位置づけもまた、これは相当違った状態になってくる。日本がアメリカとソビエト、中国という強大な国の中におって、どの国にもべたっと寄りかかることのできないような関係ができつつあるという大きな変化があるわけですね。現在その変化のさなかにあるわけです。まだ、はっきりした見通し、これだというようなことは言えない状態にある。こういう時期ですから、もう少しこの状態について点検する時間が必要ではなかったのか。将来五カ年間にわたって日本の防衛力のあり方をきめるこの計画を、こんなに急いでやる必要はないのではないか、そういう感じがしてならないわけなんですね。そして、またみずからの運命をみずからで責任を持つということになりますと、当然ここらで、この過去二十年にわたる日本の防衛努力というものがどのような実を結んでおるのか、どのようなところに欠陥があるのか、その欠陥を直すのにはどうしたらいいのかという問題も、これは冷静に検討する必要がある時期じゃないでしょうか。私いままで何回か質問をしておりますのは、主としてその点と関係しておるのです。  いままでせっかく努力しておられますけれども、しかし、その努力が思うような実を結んでいない、形だけではないかという感じのところがある。けさ建設大臣に対して道路との関係を特にきびしく質問したのもその意味なんです。今度の四次防でも、戦車を百何台もつくろうとしておるわけなんですけれども、この戦車をつくっても、いまのような問題がそのままにあって、これはもう身動きができないということになると、何ともならない。つまりこういう問題も、いままでは日本の防衛の問題をアメリカにおんぶしておる、まさかのときはアメリカがやってくれるから、あまり突き詰めて考える必要はないのだという気持ちがどこかにあるから、そういう問題を不問に付しておる。これは、いま海原さんいらっしゃらないからあれだけれども、日本の弾薬の問題でも、航空自衛隊弾薬はわずか一週間くらいしかないということらしい。真偽を聞こうと思っておるのですけれども。しかし、そういう問題があっても、それをほとんど意に介さないと言ったら言い過ぎですけれども、あまり神経質に考える必要がなかったというのは、つまりアメリカに庇護されておる、まさかのときは日本が出る前にアメリカがやってくれる。事実そうでしょう。そういうふうな状態のもとではそれでよかったのです。日本は陸上十八万つくりました、海上はこれこれ、空軍はこれこれつくりましたということをアメリカ報告するだけでよかったのだけれども、もう今後はそういうことではぐあいが悪いでしょう。おそらくここ数年間のうちにそういう状態が出てくるでしょう。日米安保条約というのが重要な意味を持っているのは、核兵器の問題、核のかさという問題はあると思います。しかしそれ以外の問題は急速に状態が変わってくる、こういうふうなことが現に起こりつつあると私は思うのです。一等先にその問題を指摘申し上げたのはそういうことを申し上げたいためなんです。そういう点からごらんになって、いまの四次防というものを、今後何らかの策定をする必要があると思います。思いますけれども、この段階で、今後アメリカと日本との新しい関係をどういうふうにしたらいいのか、ソビエトあるいは中国とはどういう関係になるのか、あるいは、いままで二十年間積み上げられた日本の防衛努力というものが実際にどういう点に欠陥があるのかという等々の問題を、もっと真剣に点検をした上で、そうして新しい今後の新情勢に向かっての計画をつくり上げていく、そういうふうな心がまえといいますか、進め方といいますか、そういうことが必要なのではないのか、こういうように思えてならないのですけれども、どのようにお考えになるか。
  388. 増原恵吉

    増原国務大臣 和田委員の申された御趣旨は、たいへん私もよくわかりますし、基本的に非常に御同感できることが多うございます。しかし、私どもがいまやっておる四次防を急いでつくるというつくり方をしたわけではないのです。われわれとしては、おっしゃるとおり、いままで最初の安保のときなどは全くの庇護の状態にあった。新しい三十五年の安保改定以後であっても、初期はまるがかえに近かった、だんだんと整備をされてきた、そうして整備をしていかなければならぬという形において私どもは四次防を考えておるということであるわけですが、そうした中で、やはり過去のまるがかえからだんだんと転移してきたということの欠陥というか、そういうものが十分に払拭されていない、そういうことについての配慮、政策が不十分ではないかという御指摘は十分拝聴しなければなりません。そういう点は、今度の四次防においても十分検討をして、そういう欠陥があることをも承知をしておるところが多いわけです。多いわけですが、いわゆる正面の装備その他の充実と後方の整備、大ざっぱにいえばそういう問題について相当検討もし、また国防会議における段階、参事官会議、幹事会議等において、事務局長である海原君の指摘などもありまして、そういう点は十分に配慮し考えまして、この計画の充実、改定をしたようなところもあるわけです。そういう点は、おっしゃるとおり十分に気をつけてやらなければなりませんが、そういうことを私ども考えた背景においての日本の防衛力の充実、これが一次、二次、三次とまいってこの四次という段階になった。これは去年あたりからああいうふうにいろいろの理由があってもめました段階で、五カ年間というものをつくらぬでもいいじゃないか、一年ごとで、ことしは一年でやる、あるいは二、三年間一年計画でやるというようなことでもいいじゃないかという御議論もありましたが、やはり防衛力整備という観点は、日本のように、一応国情に応じた所望のものが整ったという段階でありますと、一年ごとということが相当有効にできると思いますけれども、まだ最小限の日本の自衛力というものには相当に及ばないという現在の段階におきましては、やはり三次防の次に四次防という五年くらいの計画策定をしませんと、装備の問題にしても、ことに最近むずかしくなって指摘を受けておりまする人員の充足の問題におきましても、これはやはり五年くらいの経過において考え、とらえていきませんと、計画ができにくいということで四次防を策定をした。作成をしたときに、ニクソンの訪中発表、その後における訪中、最近の日中国交正常化というものがありまするし、一面にはドル・ショックとかニクソン・ショックとかいう経済の大きい変動というふうなものがありまして、そこで、この四次防というものをいわゆる防衛庁原案のような形でやることは適当でないぞという批判が出ました。これはわれわれもそのとおり拝聴をして、全体としての計画としては、原案の考え方を修正をして、十年間の目標にかんがみて五年の計画を立てるということを改めまして、三次防の延長という形でこれをつくったということであります。こういう考え方における四次防の策定は、取り急ぐことをしたわけではありませんで、したがってここで、四次防策定はもうちょっとゆっくり考えて一年延ばしてもいいというふうには、やはり私ども考えられないということでやったわけでございます。したがいまして、この六月三十日にそれまでの四次防を決定するという段階でありましたものができなくて、延び延びになったので六月三十日には、大体夏以降なるべくすみやかに、その含みは八月末ということで決定をしたいということになった。その時期に私が防衛庁長官になりまして、従来の経過をよく聞きまして、やはりこれは大体予定のごとくきめてもらうことがよろしい、必要であるというふうに考えまして、そのとき着任をしますると、すぐに総理に申し上げて、前の国防会議できめていただいたように、大体八月末を目途ということでこの準備を進めたい、参事官の会議なり幹事会議なりというものを進めてまいりたい、よろしゅうございますかということで伺いを立て、よろしい、それでやれと言われて七月七日着任後進めてきた。これが八月末あるいは九月初めにできませんでしたのは、当時の関係閣僚の出張が前後に重なったというようなことで、ちょうど九月の六日ごろから一週間くらいの間にやらないと九月中旬ころまでにはきまらないというふうなことになり、それから、仰せになるように、総理中国へ行きまして国交正常化の話をするというような日程もきまったということで、その間に四、五日間で国防会議を何回か開いてやるということは、これは無理であるという意味で十月に持ち越そうというふうなことになったわけでございます。  で、今度向こうへ行かれまして、日米安保条約というものがあることについて、中国もそんなにこれに対して神経をとがらしているわけではないというふうなことは、もとよりこれは一つの四次防決定についてのいい材料ではございまするけれども、もともと四次防が中国に対して、中国が、日本軍国主義というか、あるいは日本からの侵略があるかもしらぬと思われるような四次防でないことは、これはもう私は中国にはよくわかっておったと思うのでありまして、そういうことでおくれまして、今度中国から帰ってこられた段階でこれを進めてもらう。これも九日にきめていただいたのは、十日からまた外務大臣やなんかが出張するというようなこともありまして、ああいう九日にきめてもらうことになりましたのは、全体としての経過から見て、取り急いでやったということではありませんで、安保条約考え方なり、日本ができるだけ自分の力で自分の防衛はやっていくという和田委員のお考え方は、私どもも全く同感でございます。そういう意味考えて運んできた、特別急いで四次防をきめたということではない、こういうふうなつもりでおります。
  389. 和田耕作

    和田(耕)委員 その問題は長官の御説明を拝聴することにいたしますが、今度のきめる過程で例の国産問題があるわけですけれども、国産問題の取り扱いを見ても、政府の中で日本の防衛というものの現段階での意味がはりきりしてないなという感じを、私は非常に強く受けるわけです。結局、この二つの機種を国産にするという決定は、非常にりっぱな決定だと思います。つまり緊張緩和しておる状態であればあるほど、国産でゆっくりりっぱなものをつくり上げていくという態度が正しいわけであって、また、今後の日本の防衛に対する基本的な姿勢からいっても、やはり国産の努力をしていくということは正しいわけですね。あれは総理が裁定をしたということですけれども、私はあの裁定はりっぱだと思います。  しかし、この間に、当該自民党の中の有力な幾らかのボスたちが、あるいは大蔵省といわれておる人たちに、安易にこれを輸入するという考え方が非常に強くあったようですけれども、これはどういう根拠に基づいた主張なんですか。大蔵省もお呼びしようと思ったのですけれども、いろいろな都合で防衛庁の経理部長さんが、推測ということであれば答えられるということですけれども、その点、お聞かせ願いたいと思います。
  390. 増原恵吉

    増原国務大臣 今度の高等練習機及び支援戦闘機は、大体の経過は御承知かと思いますけれども、開発にかかりましてからいま練習機の段階でありますが、実験機が四機できまして、試験飛行その他の過程に入っておる最後の段階でございます。したがいまして、従来からの経過にかんがみ、四十七年度予算をつくります場合に、二十機は練習機T2のほうをつくる。これが、四次防がきまらぬのに四次防の中にある重要項目といいますか、その先取り問題として凍結問題を起こしたということは御承知のとおりでございますが、そういうことで国産をするという形の予算がついたという段階になっておったわけであります。  そしてそのことは、防衛庁としては、これから支援戦闘機としての装備その他の問題についてなお研究開発があります。エンジン、機体その他は、高等練習機と支援戦闘機は同じものでありまして、練習機が操縦席が二つあるのを一つにするとか、部分的に、爆弾なんかを積むために翼その他を強化するとか、そしてあとは支援戦闘機としての諸種の機械を積み込まなければいかぬというふうなことであるので、これは練習機と支援戦闘機という実用機が一貫されることが望ましいということもあります。日本の国情といいますか、防衛国情に即した、非常にいい性能を持ち、多くの目的にかない得るものとしてこれを支援戦闘機にも使いたいということでまいっておった。  一応そういうことが受け入れられる形で大蔵省とも折衝をしておったのですが、そこへ御承知のように、日本の円問題というものがたいへんむずかしい情勢になってきた。それで、これはだいぶ前から防衛庁でも、アメリカから輸入できるものはどれくらいあるか、そういうものを防衛庁の目的達成に沿うた形においてふやせるものはふやしてくれという要望がありまして、そういう努力をしたこともあるわけです。それが今度、大蔵大臣がIMF総会に行かれて帰ってこられて、やはり円問題というのはたいへんむずかしい段階に達しておる、日本としてもこの問題はいままでより以上に真剣に、深刻に考えて措置をしなければいかぬというような報告が閣議であったりしました。相当進んだ段階大蔵省のほうから、やはり円対策、通貨対策に協力する意味において、支援戦闘機と高等練習機全部とは言わないが、その一部分を輸入に切りかえることはできないか、それは防衛目的を大きく阻害しないで円対策に協力できるという考え方でそういうことを考えるつもりはないか、こういうことであったわけでございます。これはもう四次防決定の最終段階に近いところでございます。  そこで、われわれとしても、そういう要請が強く出され、できればわれわれも円対策に協力をすべきだということで案を練ったわけです。しかしなかなかいい案ができない。それで、きまっております練習機の二十機、これはいま凍結しておりますが、これが解ければすぐ発注をするという段階で、これはちょっと動かすことはできないが、その他の練習機を輸入する。そして支援戦闘機のほうは、さっきちょっと申し上げましたように、日本の国情に合った支援戦闘能力を持ったものとしてできておるので、これは予想される輸入機と比べてはるかに目的にふさわしいものである、これはどうも輸入に切りかえるわけにはいかないというので、練習機の二十機を除いたものを輸入するという案を一つつくったのです。これで大蔵省と話をしたのですが、大蔵省のほうでは、もうこの二十機は予算化されておるくらいで、はっきりときまったものであるから、これを改めるということはやはりぐあいが悪い、だから支援戦闘機のほうを輸入してくれないかということになりまして、これは最初、話をしましたあれから言いますと、もう三日間にわたりまして深夜にわたって論議、協議をしたわけです。それで終わりの段階では、四次防をまとめるということの非常に重要な最後の争点になったものですから、国防会議のほうでもこれに入ってきまして、三者でいろいろ協議をした結果がどうしても話がまとまらなかったということで、これはもう国防会議で裁断をしてもらうということにならざるを得ぬということになって、そうして国防会議に持ち上がった。そこで国防会議で裁断をして、やはり練習機と実用機、支援戦闘機が一つの系列であるということは非常に望ましいことである。また日本の国情から言うならば、アメリカでつくるものは、やはりああいう国でありますから目的があまり多くない、専門、専門のものをつくるという形で、予想されておるF5というのは、BにしてもEにしてもできておるということで、日本の国情に合った優秀な多目的という意味でやはり支援戦闘機はT2改のほうがよろしい、そしてまた、申し上げたような支援戦闘機という性能もよろしいということで、両方ともそれでは国産とすることにしようというふうにきめていただいたという経緯でございます。私どものほうも、非常にむずかしいことではあっても、できればやはり円対策というものに協力をすべきものだというのでその一案を考えた。それがしかし、大蔵省も、最後の段階では国防会議のほうでも、やはりその案には賛成できにくいというようなことで、両案を持っていくというようなことになって裁断をされた、こういう経過になっておるわけでございます。
  391. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは日本の自衛隊の一つの中心になる武器の問題ですから、そしてまた、いよいよ状態が逼迫して急いでおるというときなら、それは輸入をという考えが出てもいいと思うのですが、緊張緩和しておる、ゆっくりそういう問題は考えられるという時期ですから、やはりこれは国産という問題を考えるということが正しいことであって、産業と自衛隊との結びつきとかいろいろなことにあれされないで、私は正しい決定だったと思うのですね。しかし、そういうふうな問題をきめるにはああいう騒ぎをするという中に、日本の現在の防衛という問題をどういうふうに考えるかということについての考え方が、まだ非常に不安定な状態にあるという感じを受けてならないのです。  ところで、いま海原さんお見えになったのですけれども、いまのは国防会議の問題と関連いたしまして、最近文民統制の問題で御決定になったこの二項目、そして別紙の内容というこの項目なんですが、ここにあげられた問題は、四次防とか長期計画ができるときに大体きまってしまいますね、この相談しなければならぬという項目は。あえてこれをあげなくても、たとえば総理が、しばらくこんな国防会議なんかやらぬでほっておこうということであれば、佐藤さんのときと同じように、やらないでも済むようなものじゃないですか、もう長期計画内容がきまってしまうと。その問題をひとつ……。
  392. 海原治

    ○海原説明員 いまのお尋ねの点に関連いたしましては、二つの問題があると思います。  一つは、そのただし書きに書いてございますように、いま先生御指摘のように、長期計画のあった場合にはかけないでいいんじゃないかということになりますと、先ほどちょっと申しましたけれども、今回の主要項目でも「新型戦車」とあります。具体的にどういうものを採用するかということになりますと、それはあらためてかけるわけでございます。したがって、長期計画できまっておりましても、さらにその実行の過程においてかける必要がございます。これが一つでございます。  それから、たとえば一次防と二次防の間に、長期計画としました場合の空白がございますが、ああいうときには、当時も師団の改編の問題とヘリ空母の問題をかけましたが、そういう間に合わない場合もございます。二つございますから、長期計画があればいつもいいわけでもない。さらに長期計画の実行の過程においておかけいただくこともある。さらに万一の場合にという、二つございます。
  393. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、これに欠けておる重要な問題は、日本の防衛考える場合の重要な情勢の変化という問題が、当然国防会議の議題になるべきである。その他、あなたが言うことに入るかどうかわかりませんけれどもつまり当然日本の防衛の背景になる重要な状況の変化、たとえば、中国の問題、あるいはニクソン・ドクトリンが出てきたとか、そういうようなことになると、必ず防衛会議決定しなければならぬというものだと思うんですね。そういうことがあって初めて防衛についてのシビリアンコントロールという問題が達成されるわけじゃないですか。これはお二人からちょっとお答えいただきたいと思うのですが……。
  394. 増原恵吉

    増原国務大臣 今度シビリアンコントロール、文民統制の強化ということが重要な問題になっておりまして、その一環として国防会議の議員の増員というものが出ておるわけですが、その際にやはり、国防会議というものを従来のようなことでなく、もっとひんぱんに開いて、防衛の問題、重要問題について審議、協議をしていくということの必要性が述べられております。そういうふうにやっていこうという形になっておるわけでございます。いま仰せになりました重要な情勢の変化というものは、やはり防衛問題としてたいへん重大なものでありまして、アメリカの安全保障会議のように、そういう問題は時に応じて敏活に会議を開いて審議していただくということは、これはきわめて大事な必要なことであるというふうに考えます。これを国防会議に付議すべき事項として法律改正の中に入れるかどうか、これはなお検討をしていかなければならぬと思いますが、どうせ今度は、会議議員の数をふやしますと法律改正が要るわけでございます。その際に、これは発足の当時の経緯がありまして、いまのように防衛庁設置法の中に入れておくのは適当ではないんじゃないか、単独法にすべきものじゃないかというようなこともございますし、法律改正が議員の増加において必要であります。その際にやはり、国防会議に付議すべき事項についてさらに検討をするということも、これは必要なことではないかというふうに、私、考えております。
  395. 海原治

    ○海原説明員 ただいま御指摘の点は、けさほど御説明いたしましたように、情勢判断というものを国防会議で御決定いただく、幹事会からずっと国防会議を開いて御決定いただく、かつそれを一般に公表したのは初めてでございます。それがいまの先生の御趣旨ではないかと思います。それなら、この重要事項の中になお入れるべきじゃないかということになりますと、実はいささか事務的な言いわけみたいになりますが、この重要事項というのは、例のことしの春の予算先取り問題に関連して、重要装備については重要事項としてかける、そちらのほうにいわば焦点が合っておりましたので、その形の整理をしたということでございます。なお御説明いたしますと、これは別紙の事項は重要事項としてはかるということをきめたのでございまして、重要事項はこれだというふうに限定はしてございません。そこで、いまおっしゃいましたようなことは、今回、国防会議で正式に情勢判断の御決定があった一つの先例でございますから、当然それに基づいての変更ということになりますと、これは当然のこととして国防会議で御決定になる、こう私も考えるわけでございます。ただ、それをこれに書かなかったということは、これは議長あっせんの事項の内容との関連においてこういう整理をした、こういうことでございます。
  396. 和田耕作

    和田(耕)委員 ぜひひとつ善処をいただきたいと思います。若干これは私どももそういう感じがありましたし、あるいは国防会議のメンバーの人たちにもそういう感じがしないかと思うのは、同じ総理が議長で、そうして閣議よりは少ない人数であれするんだから、やってもやらぬでも同じことだというような感じをお持ちになっている人があるんじゃないかと思うんですね。前に佐藤さん、何かそういうことを漏らしたことがあったんですが、しかしこれは、四次防問題が大きくなったそのきっかけの一つだというふうに私も聞いているんですけれども、前の木村企画庁長官が、日本の経済の見通しという問題、立場から、四次防に待ったをかけたということが事実なようです。つまり、閣僚の責任のある立場で国防会議という場で考えてみれば、普通の閣議とはまた違った立場の意見が出るし、出なければならない。また木村さんも、経済の見通し、ドル防衛問題の波及の結果、日本の経済がどうなるかもわからないという観点に立って、四次防をちょっと待ってくれ、こういう発言が国防会議の場合には重要なんですね。これは、総理がその気になって運営すれば、十分シビリアンコントロールの一つの役目を果たすことができると思うのです。一つの役割りであって、これで全部できるなんということはむろんありませんけれども。そういう場合に、情勢の変化、特にいま大きく変わろうとしておるわけですから、先ほどの防衛庁長官のおことばにもかかわらず、私はこの二、三年のうちに非常に大きく変わってくると思うのです。特にアメリカの位置づけといいますか、日本とアメリカとの関係といいますか、ソ連あるいは中国との関係といいますか、いろいろなことが三国間のこれにもあります。微妙な一つの利害関係の錯綜する中で、あるいは、武力的な一つの威嚇的なものが、ある国からある時期に来るかもわからないし、あるいはまた協力申し入れのようなことがあるかもわからない。そういうふうなことが盛んに行なわれることが予想されるわけです。したがって、国防会議というものを形だけのものと考えないで、メンバーは自分で責任を果たして、そして日本の防衛というものを考えてみるというふうに運営していただきたいと思うのです。ほんとうを言ったら、総選挙が間近いわけですから、ちょうどいい時期ですから、日本の防衛の基本的な問題を提起して、これは今度の四次防の決定がそうなるかもわかりませんけれども、国民を信頼して、私は日本の国民は非常に良識のある判断をこのごろいろいろな例で示しておると思うのですけれども、国民に対して、こういう問題もどうしたらいいだろうかということをもっとあけすけに聞いていく場を、国防会議の一つの何かの連なりでそういうふうな場を考えてみたらどうだろうか。成案があるわけではないのですけれども、私どもは、国防会議というものを独立のもっと有力な機関にしろという提案をしているわけでありますけれども、そういうことを背後に持っているわけです。どうか国防会議というものを、形だけではなくで、ひとつ実質的なものとして動かしていただきたいと思います。海原さん、ちょうどいい機会ですから、朝の加藤さんの質問にもありましたが、日本の航空自衛隊弾薬というのは一週間か二週間でなくなるというような状態ですか。
  397. 海原治

    ○海原説明員 これは、私よりもむしろ防衛庁のほうからお答えしていただくのが筋かと思いますが、私も個人的にいろいろそういう点を書いておりますので、私の知っておることを申し上げますと、これは、いまの御質問でも、有事の際にということと、一週間かそこらでということばがありましたが、相手があるわけですね。したがいまして、どのような状態での行動を前提にするかによって、私の判断では、とても一週間もたぬと思います。それは、たとえば陸、海、空それぞれに用意は違っておりますけれども、戦闘機が一日一回何機飛び立つかということの計算もございましょうし、外敵の攻撃があった場合に一日に一回でいいのか。あした空襲されましたら、その空襲があってからでもできるだけ飛び立つ、数回ということになりますと、とても一週間なんか飛べないという判断を私はいたしております。しかし、この辺のところはいつも、相手がどのような状況で来るかという一番大事な点を、まず前提を確定しないで結論だけがぼっと出てくる。したがって、一週間もつ場合もありましょうし、一時間か二時間で終わる場合もありましょう。  たとえば、F104の飛行基地は四カ所しかございませんから、この滑走路が全部同時にこわされましたら飛べない。あるいはレーダーサイトがつぶされますと、帝都防空のためのレーダーサイトは佐渡と輪島にございますけれども、この二カ所をつぶされますと飛べない。いろいろなことがございます。そういう具体的な例を申し上げませんと、どのような前提のもとでの答えになるかということでございますので、一般的に、いまのようなことでどの程度かということは、実はお答えできないかと思いますけれども、私はきわめて貧弱な状態であろうと思います。  そこで、このことは、実は四次防の大綱と三次防の大綱を見比べていただきますとおわかりだと思いますけれども、三次防の大綱のときには、「有事の際すみやかに事態に対処し、行動能力継続的に維持しうるよう弾薬の確保等後方体制の充実を図る」。今度の大綱にはこういうことはございません。ということは、こういうことはできないという判断があるわけでございます。
  398. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは、専門家の海原さんから重要な意見だと思うのですけれども長官、いまの問題は、自衛隊の現在の戦力といいますか、どういう飛行機が何機ある、どういうタンクが何台あるということのほかに、実際に使える状態にあるかどうかという立場から一ぺん全面的に検討なさってみたらどうでしょうか。朝の道路の問題もその重要な面だと私は思うのです。それからレーダーサイトの問題も、私は、全くのしろうとが初めて見てそういう感じを受けるわけですから、稼働というのですか、つまり実際に使うという立場から見て、どういう点に欠点があるのか、どうすれば直るのか、これをこの際に徹底してひとつ全面的に点検をしていただく、これは必要だと私は思うのですね。御感想をお伺いしたい。
  399. 増原恵吉

    増原国務大臣 この点は、防衛庁としても検討はしたつもりでありますし、国防会議の参事官会議なり幹事会議なり、また事務局長の、ずっと継続的なわれわれに対する意見なりをもとにしまして、そういう意味での検討もいたしたわけであります。結局この決定に至りまするときの考え方は、やはり平時編成とか戦時編成とかいうようなことばが使われたり、有事即応ということばが使われたりしておりますが、いままでのことばではどうも適切でないのですけれども、いわゆる有事即応、いま不幸な事態が起きて、すぐ日本が防衛出動をしてやらなければいかぬということを考えて、その際に、陸、海、空ともまだ増強の段階であるが、いまの形でそういういわゆる弾薬その他後方関係――後方関係ということばは適当でありませんが、即応して戦えるという形にいまの兵員その他をもととしてやるということに重点を置くか、まだまだ兵力、航空機、艦艇の数等において足りない時期であるから、そういうものを一方において整備をして、そしてこの要員というものがむしろ必要でありますが、そういうものの訓練をして武力、兵力としての整備をやる。それで、すぐ戦えるための弾丸であるとかミサイルであるとかいうふうなものは、いまの想定される日本の状況においては、突発的に事態が来るとは一応思えない、若干のリードタイムがあるだろう。リードタイムで、たとえば人員などは足りないのは、大体、陸においても二士とか一士とかいう階級であります。これは、緊急募集という形でも若干のものは補って、基幹であるところの曹であるとか士長であるとかいうふうなところがあれば、そういうものを補うというようなことも、人員についてもそういうことも考える。弾薬その他のものについては、ちょっとそれよりはむずかしいですが、若干のリードタイムがあれば補充をすることができる。そういうふうな面を考え合わせて、この際は、いまの陸、海、空の兵力で有事即応にするという点に重点を置くよりも、やはり装備その他を漸増してちゃんと訓練ができるということでなければ、兵員にしてもいけないのであります。それは、ちゃんと訓練が十分できるという兵員、そういうための後方はもちろん整備をするということでいこうということに、今度の四次防のあれがなったわけであります。  したがいまして、これは海原事務局長などは、前々からやかましく指摘をされておりますが、いわゆる後方ということばでは適当でありませんが、そういう整備はこの段階においてもしっかりやっていく。しかしそれは今度は不十分である。しかし、それをあえて覚悟してもある程度の装備の拡充というものをやる、そして訓練その他はしっかりやることのほうがいいという判断になったわけであります。したがいまして、その点については検討いたしましたが、漏れのないようにさらに検討を加えていって、ほんとうに有事の際にりっぱに防衛の実をあげられるような形のものを整備するということを、目標をしっかり忘れないでやっていくというつもりで今度の四次防は策定をした、こういうことでございます。
  400. 和田耕作

    和田(耕)委員 今度の四次防で、戦車が二百八十両、うち新型戦車百六十両、こうあります。この新型というのは、道路との関係で朝の問題をちょっと補足して質問したいのですが、どれくらいの重量があるのですか。あまり正確なものでなくていいのですが……。
  401. 黒部穰

    ○黒部説明員 全備重量は三十八トンでございます。
  402. 和田耕作

    和田(耕)委員 いままでのやつはどれくらいですか。
  403. 黒部穰

    ○黒部説明員 現在のは61戦車でございまして、空車重量は三十二トン四七でございます。全備重量は三十五トンでございます。
  404. 和田耕作

    和田(耕)委員 建設省の道路局の関係の方は来ておられますか。
  405. 前田正男

    前田委員長 次長が来ております。
  406. 和田耕作

    和田(耕)委員 私、いまだにどうかなと思うのは、いまの車両制限、重量制限のあの規定というのは、非常に弾力性があるものなんですね。たとえば、この前、私、道路局長質問すると、二十トンのものが十台並んだら二百トンになるわけですね。だから二百トンでも通れる橋を二十トンの制限としておるというふうなところがありますか。
  407. 中村清

    中村説明員 先般、道路局長がお答えしましたのは、いわゆる二十トンというのは、普通橋梁設計をする場合の設計監理といいますか、それが、一般の道路、橋梁につきましては、一台当たり大体二十トンということを目標にして、それを基準にして設計いたしております。たまたま、いま先生御指摘ございましたように、ある橋梁を通るといたしまして、その中心に二十トンの車が通る、その前後にびっしり車が並んだような場合でもある程度持ちこたえ得るというふうな基準で道路、橋梁の設計を考えております。
  408. 和田耕作

    和田(耕)委員 それでは、私はきょうは、ここのあたりを建設大臣に、自衛隊の中心の武器である戦車が自由に通れないような国道が、富士山とこことの間に数カ所もあるというようなことをほったらかしておいたのでは、何がために自衛隊装備があるんだということになるので、至急に全国的に点検してもらいたいということを申し上げたわけですけれども、これは点検して直さなくても、いまの大部分の国道にかかっておる橋や活路はだいじょうぶなものじゃないですか。
  409. 中村清

    中村説明員 点検をいたしました結果、現にいま御指摘がございました富士と東京の間におきまして、これは国道ばかりじゃありませんけれども、橋梁といいましても非常に古いもの、明治の時代に設計してつくられて、現在はそれを手直しをしながら使っておる、ものによっては改良していく。したがいまして、一般的に最近つくったものはだいじょうぶでございますけれども、昔つくったいわゆる古い橋、老朽橋梁といいますか、こういうものにつきましては、建てかえといった措置も今後必要になろうかと考えております。
  410. 和田耕作

    和田(耕)委員 じゃまあ、老朽のもの以外は大体だいじょうぶだというふうに考えていいんですか。戦車ぐらい戦車ぐらいといって、大体八十トンから百トンぐらいのものであれば。
  411. 中村清

    中村説明員 これは一般的には一がいに、だいじょうぶだ、あるいはだいじょうぶでないということは言い切れません。戦車を乗っけますトレーラー型式でございますね。それから通行方法。たとえば非常なハイスピードで橋の上を走る、そうすると橋に与えるショックは非常に強うございますから、そういう場合には、状況に応じまして何らかの措置をするというふうなことで条件をつけるわけでございます。したがいまして、通行方法によっても、だいじょうぶであるか、だいじょうぶでないかということが相当左右されてまいります。
  412. 和田耕作

    和田(耕)委員 長官、この次の二十七日でしたかの観閲式、あれに来る富士演習場の戦車を、陸上では運べないので海から運ぶという御決定はほんとうですか。
  413. 田代一正

    ○田代説明員 お答えいたします。  いろいろ検討いたしました。陸路、道路運送業者に委託しましてトレーラーで運ぶという方法、それから第二には貨車輸送するという方法、第三には海上輸送、いろいろ考えたわけでございますが、建設省といろいろ相談いたしまして、陸路もだいじょうぶである、貨車輸送の方法もだいじょうぶである、こういうことで、実は一昨日、陸路で運ぶ場合でも、貨車輸送する場合でも、朝霞に行くものにつきましてはよろしいということで許可をいたしました。
  414. 和田耕作

    和田(耕)委員 それじゃ、もう今度は陸路を運ぶわけですか、いまの方針としては。
  415. 田代一正

    ○田代説明員 昨日、陸幕から来ましたものによりますと、大部分は貨車輸送ということになろうと思います。御殿場から王子、途中やはり道路を通りますけれども、そういう形になろうかと思います。
  416. 和田耕作

    和田(耕)委員 それでは私はそう問題ないと思うけれども、こういう問題に注意を喚起したという意味で、私、非常にいい経験だったと思うのですね、今度の道路と戦車あるいは兵員輸送車の問題は。こういうことが問題にならないのは、長官これは悪いけれども、やはりほんとうに使うというような、そういう状態があっちゃ困るのですけれども、そういうことがなかったからじゃないんですか、こういう問題が長年不問に付せられたということは。しかし、これは幸いに、橋がほんとうに耐えられないものを運んでおったんじゃたいへんだったのですけれども、そういうことでもないのだということになればいいことですが……。  まあ、ひとつまとめといたしまして、先ほど申し上げたように、ひとつこの段階では、あまり量ばかり物をつくるという形よりも、実際に使える、実際に使う場合にどういう措置が必要なのかということをよく点検をしていただいて、そして将来拡張するなら拡張するという方向に結論になれば、これはそのときにいろいろ国民と一緒にあれするとしても、そういうような努力が必要な時期である。そして情勢の変化に対しては、特にアメリカのいままでの役割りというものが変化するわけですから、そういう問題についての基本的な点検というものが必要だ。この二つの問題を今後とも防衛庁として広く国民にもアピールしながら点検をしていっていただきたい、このようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  417. 増原恵吉

    増原国務大臣 仰せのこと十分考えてやります。いままでの戦車の問題は、道路法、車両制限令で通知だけすればよかったということであって、いままで自由に通っておるものですからこういうことになった。これは、今度法令が変わったということでこういうことが出てきたのですが、これはおっしゃるとおりに、十分こういうことは改めまするし、全体としても、御趣旨のように、実際に動けるという、防衛の力を発揮できるということを眼目に置いてこれから整備をしていくというふうにいたしたいと思います。
  418. 前田正男

    前田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十三分散会      ――――◇―――――