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1972-08-08 第69回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    七月十二日  伊能繁次郎委員長辞任につき、その補欠とし  て前田正男君が議院において、委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和四十七年八月八日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 野呂 恭一君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       伊能繁次郎君    奧田 敬和君       山村治郎君    木原  実君       安井 吉典君    横路 孝弘君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      本名  武君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      濱野 清吾君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増原 恵吉君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    渡辺 哲利君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府人事局長 宮崎 清文君         警察庁刑事局保         安課長     関沢 正夫君         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         行政管理政務次         官       山崎 竜男君         防衛政務次官  古内 広雄君         防衛庁長官官房         長       田代 一正君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛施設庁長官 高松 敬治君         防衛施設庁労務         部長      平井 啓一君         外務政務次官  青木 正久君         外務省アメリカ         局長事務代理  橘  正忠君         建設省道路局長 高橋国一郎君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 七月十七日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     中村 弘海君   天野 公義君     三原 朝雄君   鯨岡 兵輔君     中馬 辰猪君   塩谷 一夫君     野呂 恭一君   園田  直君     菊池 義郎君   辻  寛一君     奧田 敬和君   湊  徹郎君     赤城 宗徳君 八月八日  辞任         補欠選任   中山 利生君     山村治郎君   土井たか子君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   山村治郎君     中山 利生君   安井 吉典君     土井たか子君 同日  理事塩谷一夫君七月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として野呂恭一君が理事に当選した。     ————————————— 七月十二日  一、行政管理庁設置法等の一部を改正する法律   案(内閣提出、第六十五回国会閣法第二八号)  二、労働省設置法の一部を改正する法律案(内   閣提出、第六十五回国会閣法第九二号)  三、法務省設置法の一部を改正する法律案(内   閣提出、第六十八回国会閣法第一一号)  四、航空事故調査委員会設置法案内閣提出、   第六十八回国会閣法第四四号)  五、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案   (内閣提出、第六十八回国会閣法第五四号)  六、行政機構並びにその運営に関する件  七、恩給及び法制一般に関する件  八、国の防衛に関する件  九、公務員の制度及び給与に関する件  一〇、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  公務員給与に関する件  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今回、はからずも当内閣委員会委員長に就任いたしました。はなはだ微力短才でございますが、委員各位の御交誼と格別の御協力によりまして、円満かつ適正な委員会運営を行ない、その責任を全ういたしたいと存じます。皆さまの格別の御協力と御鞭撻を心からお願いいたしまして、ごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 前田正男

    前田委員長 次に、理事補欠選任に関する件についておはかりいたします。  理事塩谷一夫君が去る七月十七日委員辞任されましたことに伴いまして、現在理事一名が欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事野呂恭一君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 前田正男

    前田委員長 次に、公務員給与に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出委員 公務員賃金勧告が間もなく出ることになるだろうと思いますが、いまのところ、大体十五日ごろというふうに考えてよろしゅうございますか。
  7. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体、おっしゃるとおり、八月十五日をめどにしていま準備をやっております。
  8. 大出俊

    大出委員 一時期十一日ごろという話がちらついたのでございますが、事務的なズレはいつもございますから、十五日、こういうことに考えてよろしゅうございますね。——そう考えてよろしいようでございますから、中身について少し承りたいのでございます。  まず第一は、ここのところ足かけ三年と言っていいのかもしれませんが、実施の時期の問題が、公務員皆さんの間で、また新聞その他を通じましても、非常に問題になっておりまして、総裁も前向きで検討をなさる、こういうことで今日まで至っております。この件につきまして分けて承りたいのですが、総裁旧来お話によりますと、十一年間五月と言ってきたのだ、したがってそれにはそれなりの理由があった。だから、五月を四月に踏み切るについては、具体的に言ってしまえば、政府なり与党方々なり、あるいはまた新聞その他が代表する世論なりというものが四月を期待するという形になってこなければ、人事院も十一年間五月と言ってきたのだから、そうにわかに四月に踏み切るわけにいかない、こういうことだったと思うのであります。  そこで、その態度がつまり条件になっておりました政府与党皆さんの側、総理、総裁田中総裁でありますから、そこで官房長官二階堂さんなり、与党幹事長あるいは副幹事長なり、あるいは総務長官なり労働大臣なりという中心になるべき方々の間で、私、いろいろお目にかかったりして話しましたが、まあ予算的な問題はあろうけれども、一カ月ぐらいずつ前進させてきた過去の経緯もあり、四月ということで人事院勧告をなされば受けて立とうじゃないか、こういう空気でございます。私は直接聞いたわけでございます。そこで、最後に残った新聞の論調というお話があったのですが、どうやらこれも、いいじゃないかというところにきている感じがするわけであります。特に読売新聞皆さんのごときは、今日不況といわれる経済現象の中で、むしろ公務員給与が一カ月前進をするということは、景気刺激対策のある意味で一部だということで期待する向きも多い、こういう表現までお書きになっているわけでありますから、そうなると、総裁理由とされていた四月に踏み切りがたい各種条件は、曲がりなりにも私はもう満たされたというふうに理解ができると思うのでございます。  そこでこの際、賃金中身ならば、勧告という時期がございますから、なかなか承りにくいのですけれども実施時期というものは、五月勧告をなさってもなかなか政府実施しないで今日に至っている経緯もこれあり、ある意味では行政措置という形のものも背景にはあるわけですから、そういう意味で、ここまでくればこの点に関する限りは少し明確にしていただいていいんではないか、こう思うのであります。私は四月実施にお書きになるというふうに確信をいたしておりますけれども総裁のその点に関する旧来経緯を総括して申し上げて、御回答いただきたいわけであります。
  9. 佐藤達夫

    佐藤説明員 踏み切ることについていろいろ有利な情報を御提供いただきまして、ありがたく存じます。しかし、いずれにせよきめるのは、われわれの責任においてこれはきめるべきことでございますので、そういう情報も、あるいは条件もわきまえながら、従来の例に従って着実に前向きの検討を進めてきたわけでありますが、だんだん日も迫ってまいりまして、多少ピッチをあげなければなるまいか。この間、参議院の内閣委員会あとでしたか、その前でしたか、ある新聞に、着実にというのが確実に、こう出ておりまして、ちょっとほほえましく思ったわけですけれども、確実にきまりますのは、御承知のように、これは五か四かという問題でありますから、あと一字の問題でありますから、これは十四日かその辺のところになります。しかし、それをこの際はっきりさせなければならぬという気持ちを持ちながら、着実にということ、あるいは着々とと言いかえてもよろしいが、そのぐらいのテンポで検討を進めております。
  10. 大出俊

    大出委員 これも総裁勧告が出ておりませんから、なかなか言い方がむずかしいのだと思うのでありますが、私がここで勧告中身を端からしゃべっちゃうわけにいきませんので、私のほうも長いですから、尾崎さん横のほうにおいでですから、勧告中身がどうなっておるのかぐらいのことは、頭越しで大体わかるわけでございまして、だから、もうちょっといまの点は、前に進めてものを言っていただきたいのですけれどもね。総裁よく使うことばの中に、いい線をいきますということばが出てくるわけですけれども、私どもは、四月実施と書いてくれ、こう言っているのですけれども、この実施の時期についてもいい線を出していただきたいのですが、いかがでございましょうか。
  11. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いい線を出せばそれにこしたことはないという気持ちでおります。
  12. 大出俊

    大出委員 出せばそれにこしたことはないと言ったって、人事院がこしたことはないのではなくて、勧告をながめた公務員皆さんが、いい線を出してもらえば、これはありがとうございます、こうなるわけだから。そうでしょう。それにこしたことはないと、他人行儀なことを言ったってしようがないのですよ。あなたが出すんだから。いい線でいいのでしょう。いかがですか。
  13. 佐藤達夫

    佐藤説明員 長年勧告をやっておりますけれども、いまだかつて、ありがとうございますと言われたことは一度もないので、そういうことは期待しておりませんけれども、なるべくいい線に持ってまいりたいという気持ちは持ちながら進めておるわけであります。
  14. 大出俊

    大出委員 だいぶ近づいてまいりましたな。なるべくいい線にまいりたい。そうすると、ことしは四月と書きました、ありがとうございましたと申し上げますよ。長年言ったことはないと言うけれども、四月実施に関しては、ありがとうございますと言います。だが、いままで言われたことはない、だからことしも言わないだろうということについては、実施時期じゃないところに問題があって、そっちのほうでけしからぬと言われるだろうという予測をあなたが持っているから、そういうことを言う。管理職皆さんの二割、一割という二段階を、わざわざ、二五%をこしらえて、二〇をこしらえて、一〇をこしらえれば、三つになるのですからね。そうでしょう。おまけに公務員一般のほうは期末手当ゼロでございますなんということになると、これはおこりますよ。そういう予測があって、あなたは、いやそんなことは言わないだろうというようなことを言うのだけれども実施時期に関してはありがとうございますと言いますから、安心してお答え願いたい。まあ、いい線にまいるつもりでやっております、その辺まではいいでしょう。いかがでございますか。
  15. 佐藤達夫

    佐藤説明員 すでにわかっているものを言えと言われる場合に、たとえば格差は何%になるかというような御質問あとあと用意されているかどうか、これは知りませんけれども、それはわれわれはわかっておるわけです。いまわかっておらぬと言ったらうそになります。しかし、わかっておりますけれども申し上げられません、これが正直な答えです。ところが、いま研究中のものでどたんばになって四か五かをきめますという前段階にありますから、前段階は前段階を、こういう段階にありますということを申し上げるのが一番正直なお答えであろう。しかし心組みは、いま私も口ばしりましたけれども、そういう心組みは持ちながらやっておりますよということを申し上げております。
  16. 大出俊

    大出委員 いい線にいこうという、つまりそういう心組みを持っておやりになっている。わかっていることを質問された場合にというのが前段階にありますので、私も、総裁が四月とお書きになる御決意であることをわかっておるつもりなんですよ。つもりなんですが、もうここまできましたから、実はいい線でものを言っていただいたほうがいいだろう、たくさんの公務員方々が期待しているのだからというつもりで、わかっていることを聞いているのですよ。総裁が、わかっていることを質問された場合にとおっしゃいましたから、大体いい線だろうということだと思いますから、実施時期の問題は、四月実施とお書きになる、こういうことで前に進みたいと思います。  ときに、これは尾崎さんに承ればいいわけでございますけれども公務員方々の総平均賃金というのは、今回の調査の結果として、どのぐらいにまいりましたですか。まあ八万三千三百円、ちょっとそれを端数で上回るかもしれませんけれども、そのぐらいにはいっているのではないか。まあ八万三千五百円ぐらいかなと思ったら少し低いという感じなんですが、いかがでございましょう。
  17. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 約八万三千三百円程度、こう考えております。
  18. 大出俊

    大出委員 八万三千三百円程度端数でちょっと上に出るかどうかということだろうと思うのです。  そこで年齢でございますけれども、三十九・二歳ぐらいだったはずでありますけれども、これもひょっとすると四十歳弱ぐらいにいっているのではないかという気がするのでありますが、そこらはいかがでございますか。
  19. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 平均年齢は、昨年、全体としまして三十九・〇歳でございましたが、ことしは少し進みまして、三十九・二歳ぐらいになっているはずでございます。ただ男子平均は、大体四十歳ぐらいということになっておるようでございます。
  20. 大出俊

    大出委員 旧来、私ここの質問で、三十九・二歳ぐらいではないかと聞いてまいりましたが、まあそんなところだというお話で、男子の側が四十歳弱ぐらいになっているだろう、こういうことでございますから、おおむねそう間違った見当で見ていたわけではないという感じがするのであります。  さてそこで、官民格差つまりどの程度格差があるかによって、かくてこの格差を埋めるために何%の勧告をするというのが旧来の例でございます。そういう意味でまいりますと、大幅にして高額とは言えぬ、しかしいい線にいきますよ、というようなこの間の総裁答弁のはずでございます。このいい線の目安として公労協水準というのが一つあるわけであります。この中で、国鉄が三百十二円金額において昨年よりふえておる、こういうわけであります。そこの辺をにらんで、大体、最低限三百十二円乗っかった程度、それを下回ることはない。これは昨年も、公労協を下回らないというところで押えて御答弁いただいたんですけれどもつまり、いい線をいきますというのはそういうことだと私は理解しているのでありますが、その辺はいかがでございますか。
  21. 佐藤達夫

    佐藤説明員 先ほどの予感がだんだん現実のほうへ向かってまいったように思いますけれども、われわれの得ましたデータによれば、そんなに世間相場から見ておかしな数字だということにはなっておらないと思っております。
  22. 大出俊

    大出委員 つまり、上げ幅、勧告中身官民格差という点から見て、世間相場からながめてあまりおかしな数字にはならぬという見方である。世間相場ということになりますと、労働省は一五%という数字を出しておりますけれども、これは定昇込みでございますから、公労協が一番いつの場合も比較的近い関係にあるという意味で、昨年の金額プラス三百十二円というのが国鉄数字でございますが、大体それが最低ではないか、こういうふうに申し上げたのですけれども、ほぼそれに近い御答弁と受け取りたいのでありますが、いかがでございますか。
  23. 佐藤達夫

    佐藤説明員 私ども調査は、これは絶対に自信のある調査でございますから、この調査に出た数字というものは、これは間違いのない数字だと思い込んでおりますが、しかし、かくして出た数字について、世間さまが、一般相場から見てばかに高いなとお感じになったり、ばかに安いなとお感じになったりすると、ひいてはわれわれの調査に対する疑問も浮かびかねないというような気持ちは率直に言って持っております。それはそういうところから多少気にはしておりますけれども、その結果、まあまあさっき言ったようなことであるということになるわけです。
  24. 大出俊

    大出委員 この総平均賃金端数を入れて多少変わってきている点がございますから、いまのお話でいきますと、この三百十二円というものを昨年の金額におおむね乗せるということになりますと、昨年が一一・七四でございますか、したがいまして、昨年の金額にこの三百十二円を乗せて大体八千八百九十円くらいになる。だから、そういうことになりますと大体一〇・六七%くらいになると、先ほどの冒頭に申し上げました公務員の総平均賃金が八万三千円見当に進んできているということで計算をいたしまして、大体国鉄並み、こういうことになると思うのであります。一〇・六七、これで八千八百九十円くらいになる。先ほど尾崎さんがお答えになりました新しい公務員の総平均賃金でまいりまして、こういう数字が私の手元では出てまいります。つまり八万八千三百六十九円くらいの総平均賃金として計算をして、昨年の一一・七四、これに合わせて、この金額をとらえまして三百十二円乗せる。つまり八千八百九十円。そうすると、これは新しいベースでいきまして一〇・六七%くらいの数字になる。これは最低だというところが、実は世間一般から見ておかしな数字ではないという一つの基準になるのじゃないかと、こう実は私は思っているわけでございまして、これがひょっとすると、私はこれは最初に押えてものを申し上げるのはおかしいのですけれども、中の配分その他を考えてみても、どの公務員方々も昨年の金額に三百十二円くらい乗っかっている、それを下回る人はないというような形の配分をすると、実は私は、あるいは一〇・六七でおさまらずに、一〇・六七%プラス〇・〇五%くらいは足さないと……。  きょうはもう時間を長く使ってもしかたがありませんし、勧告中身を私は大体わかっているつもりでありますから、長い質問はいたしません。中身説明は省略いたしますけれどもつまり手当その他いろいろはね返り等計算して抜いていって、本俸が一体どのくらいになるかというところから計算していきますと、国家公務員だれでも、昨年の金額プラス三百十二円、これを下回らない、こういうふうな配分を考えますと、そこでどうも少し、〇・〇五くらいは乗せなければならぬという気がするのです。そうしますと、どうも落ちる人が出やせぬかという心配がある。だから一〇・六七と、総裁の言う世間さまから見てあまりおかしな数字ではない。これでいくと一〇・六七ですけれども、ひょっとすると一〇・七一か七二くらいのことになるのじゃないかという気もするのでありますが、ここでひとつお願いをしておきたいのは、どなたも三百十二円は乗っている、その線に乗ってきている、そういう水準、そういうところを確保願えないかという気がするわけであります。  そこで中身を少しここで承っておきたいわけであります。大体、以上のようなことで、まず、はね返りというのをどのくらいに、尾崎さんごらんになっておりますか。たいへん妙な聞き方ですがね。ぽっと聞いてみたのですが、いかがですか。
  25. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 はね返りと申しますのは、調整額とか、あるいは地域給でございますとか、調整手当とか、あるいは隔遠地手当、そういうふうな率できまっておるものに対して、本俸を上げた場合のはね返りと申しますか、そういう部分がございます。それは、本俸をどれだけふやすかということによりまして、そのはね返り分が変わってくるということは当然でございますけれども、したがって、そういう割り振りの関係で、本俸をどれだけふやすかということによってそれがきまってくるという形になっております。
  26. 大出俊

    大出委員 専門家尾崎さんですから、そうですな、四百十円か二十円くらいじゃないか、というようなことをおっしゃるだろうと思って聞いたのですけれどもはね返りと申しますのはと、定義を話し始めまして、気息を整えて、というものでございますと、中身はない。かろうじていまお逃げになったけれども、実は私は、はね返りを〇・五くらいに見ておりまして、パーセントでお答えいただいてもいいのですけれども。そうすると、さっき申し上げた総平均賃金から見て、総裁のおっしゃる、世間さまから見ておかしい数字ではないとなると、まあ最低限度一〇・六七くらいのことになる。そうすると、はね返りというのは〇・五%くらい見ると、四百円ちょっとこえる四百十円か二十円。勧告に出てくるような正確な端数を申し上げるわけにいきませんから、幅を持たせて申し上げておきますが……。  そうしてもう一つ問題は、医者初任給調整手当、このあたりいま八万円でございましたかね。そうでございますね。これはまるい数字くらいに上げるつもりでございますか。
  27. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 医者初任給調整手当と申しますのは、本俸以外に初任給のほうに非常に格差がございますので、そういう初任給のほうから手当を積み上げる、そういうことで医者に対して出している手当でございますけれども、その関係は、たとえば昨年の場合には官民格差が四五%もありますので、その関係を大体半分くらい積もうかということで、四五%のうちの二二、三%を改善するということで、そのうち一〇%程度本俸であり、残りの二一、三%程度初任給調整手当で埋めたということでございましたのですが、そういう意味で昨年は非常に大幅にやったわけでございます。ことしの場合には、したがって、その大幅にやったあと格差医者としてどの程度出てくるかということによりまして、その初任給調整手当の増額のしかたも変わってくるわけでございますけれども、昨年相当な改善を医者に対してやったものでございますから、したがって、官民格差は大体ことしはやや縮まっているだろうというような感じで見ておりますけれども、そうしますと、初任給調整手当の乗っけ方というのも、そういう点では幾ぶん昨年を下回るということになるのじゃなかろうかというふうに、いまのところ考えております。
  28. 大出俊

    大出委員 となると、やはり二万円程度乗っけるということになるわけですね。大体八万円ですから、十万円くらいにはなっていくということになりますね。だから、これを全体に引き直してみると〇・一五見当になる。  ところで、もう一つ扶養手当ですね。これは私は、どうも人事院のいまの計算をしているあり方から見て、率直に申し上げて少し不満です。中身がわからぬでそんなことを言うたって、と言うかもしれませんけれども総裁さっき、四月実施についてはわかっていることを聞くなと言ったのだから、わかっていることを質問された場合には云々という御答弁ですから、これもわかったつもりで聞いているのですから、あまりはぐらかさないでお答えを願いたいのです。  扶養手当、妻は二千円、一子、二子が六百円、六百円となっている。先般来申し上げているように、民間のモデル賃金に基づく扶養手当ということは申し上げませんけれども、おそらく中労委のモデルから見れば半分ぐらいなんですね。だから私は、これを二百円乗っけるとか三百円乗っけるとかいう検討をなさるようでは、いささかもってこれはどうも筋が違いはせぬかという気がする。たとえば、妻に三百円乗っけたら二千五百円である。一子六百円に二百円乗っければ八百円、二子六百円に二百円乗っければまた八百円、こういう乗せ方をもしおやりになるとすれば、私はこれは少し実情にそぐわないのではないかという気がする。かつて扶養手当を上げる勧告が出たら、政府はこれを当時実施しなかった経過もこれあり、このあたりは、今回、現状の家庭生活の中で考えてみると、もう少し思い切って手を加えるべきではないか。といって、全体の配分という問題とからみますから、そこに人事院のつらさがあることはわかる。  そこで、いま私が申し上げたようなことをお考えだとすると、あるいは妻二百円、一子二百円、二子二百円ぐらい乗っけるというふうなことになるとすると、これが大体全体にならして〇・三%ぐらいの原資になってくる。というふうに考えてみて、はね返りが四百十円か二十円か、ひょっとすると三十円になるかもしれない。その辺、計算して〇・五ないし〇・五二ぐらいになるわけです。そして医者初任給の調整、これが八万が十万ぐらいになると、一人頭にならしてみると百五十円ぐらいになるから、だから〇・一五。そこでさて扶養手当、これがいま私が例にあげたようなことでいきますと、金額で大体ならして二百五十円、だから〇・三ないし〇・三一ぐらいになるだろうということになると、大体この辺が今回人事院が手をつけようとなさっている考え方のポイントである。そうすると、先ほどの上げ幅、世間てい、どこからながめてもそうおかしい数字ではない、三百十円くらい乗っかるということになると、本俸で大体九・九六あるいは九・九八、一〇まではいかないだろう、こういう気がするわけであります。  そうなると、その辺で実はこれは中身配分ということになるわけでありまして、だからさっき私申し上げたように、やはりこの際、最低限度平均数字がどの方にも乗っかるぐらいのところに押えていただけないか。そうでないと、やはり配分の面でいろいろ混乱も出てくるという気がするわけであります。そこらは、勧告前だから言えぬということになるかもしれぬが、大体の流れがあると思うので、そういう意味で何かお答えを願いたい。
  29. 佐藤達夫

    佐藤説明員 格差問題は、これは数字できまっておりますけれども、いまお話しのような、本俸とかあるいはその他の手当関係は、まだ流動的な段階であって、いま勉強中でございますので、いい御意見は、とくとこの際に承らせていただきたいと思います。
  30. 大出俊

    大出委員 どうもなかなか最近はうまい答弁をなされます。昔からかもしれませんが……。そう言われると二の句が継げぬことになるのですが、流動的だということになると、これはまだわからぬということになるわけです。しかし、ここまで来て流動的というのは困るので、大体の傾向、流れがあってやっているのでしょうから。尾崎さんの頭のことですから、行きつき先を考えてやっているのだろうと思うのですけれども、ただ困るのは、尾崎流の、こっちをちょっと押えたり、こっちをちょっと上げたり、先憂後楽なんていうことを総裁よくおっしゃるのですが、先にけしからぬということを言うと先憂後楽ということを言われるのでありますが、あなたそう言われるけれどもあとで下のほうを上げればいいじゃないかというのがすぐ出てくる。そういう影響のしかたで流動的ということばが出てくると、ちょっとこれは困るわけです。  冒頭申し上げたように、管理職皆さんの一種二〇%、二種一〇%というのを一種、二種、三種にして、これは風のたよりですが、一番てっぺんの一種を二五%、二種を二〇%、三種を一〇%というものの考え方があるとすると、これも流動的ですか。いまの質問に関連して……。
  31. 佐藤達夫

    佐藤説明員 一番流動的なのは私でございまして、おそらく給与局のほうでは、これは間に合いませんから、最小範囲やっていると思うのです。しかし、まだ私のところに出てまいりませんから、そのときにぴしゃっとやれるように、いまのうちにいろいろ御意見を承っておくとやりやすい。したがって、何でも御意見はこの際に聞かせていただきたいということを申し上げたわけでございます。
  32. 大出俊

    大出委員 では、時間がございませんから、もう事務的な問題だけを先に聞いておきましょう。  初任給、これはどうなさいますか。民間は一七%ぐらい伸びておるのですね。そうしますと、民間が一七%とすれば大体五千五百四十九円。ところでそうなると、やはり五、六千円という、少し幌があり過ぎるけれども、そのくらいはつけておいていただかぬと、人を採るのに困る。そんな見当はいかがでございますか。流動的でございますか。——流動的だと思うから、だから五、六千円と言っているのですが……。
  33. 佐藤達夫

    佐藤説明員 それは、初任給が依然として相当な上がりを続けて今日に及んでおるということは、御推察のとおりでございます。したがって、相当手当てをしなければならぬということは、おっしゃるとおりでございます。ただ、それがいま、私はちゃんとメモをしたのですけれども、五千六百円ということになるかならぬか、これも私、この控えを大事に持ち帰りまして、ひとつ給与局の案に−…。
  34. 大出俊

    大出委員 えらいみんな流動的で逃げますな。答弁が流動的ではないですか。  ところで問題の、どうもありがとうございますというのが言われそうもない、これは総裁に先入主があると思うのです。四月実施総裁が言ったら、ありがとうございますと言って、人事院のまわりをかねや太鼓をたたいて歩き回ったりはしませんが、ありがとうございますと申し上げようと思ったのですが、どうもそう言われそうもないというのは、私は、期末手当官民格差の上で格差なしということを、おそらくことしは言いかねないと思うのですね。〇・〇七なんというものは切り下げろということになるから、だからことしは、格差がないということになると、一般の職員には——指定職だの、一等級だの二等級だのは別として、三等級以下ぐらいの方は、本省では課長補佐以下から下は期末手当もくれない、ところが本省にいる課長から上のほうはたいへんどうも大幅にふえる、こういうふうなことになると、どうもありがとうと言いたくても言えないということになる。これは総裁の腹を割ったところを聞いているのですから、答弁のしかたももう少し気をつけて言ってくれてもいいじゃないですか。妙なはぐらかし方はしなくったっていいじゃないですか。そのくらい総裁笑われておられれば、これは胸のうちを聞いているということになるじゃありませんか。だからそこらのところを、先憂後楽でもいいけれども、やはりどう考えているかというぐらいのことは言わなければいかぬですよ。これはいかがですか。
  35. 佐藤達夫

    佐藤説明員 だんだん、ありがとうという影が薄れてまいりまして、ちょっと心配しておりますけれども、私どもの立場は、大蔵大臣にありがとうと言ってもらってもこれまた迷惑ですし、組合代表者からありがとうと言ってもらっても迷惑なので、私ら、ありがとうということばは、売りことばに買いことばと言っては語弊がありますけれども、そういう気持ちで申し上げただけでございまして、私は何もそういうことを期待いたしません。ただわれわれは、良心的に正しいと信ずるところの線を打ち出せばいいのであって、これに対する批判はまた別である、そういう気持ちでおりますから、どうぞ御心配なく……。
  36. 大出俊

    大出委員 御心配なくと言って、聞いていることに対してあなたは答えないじゃないですか。えらい方々というか、上のほうの方々が、二種が三種にふえたりしてしまって、二〇%が二五%になったりして、また上がっていってしまう。にもかかわらず、これは私、気になることは、こういうことなんですね。物価との関係で、平均物価上昇率、これを大体下回らない程度のものの考え方をしたいという一つの基礎がある。で去年は、事務次官は二万円ぐらい上がったのですね。すると、ことしの皆さんのやり方からすると、これまた三万円ぐらいになってしまうのではないかという気がする。ところが、片一方そこから下のほうは、平均物価上昇もカバーできないようなことになるのでは困ると思っているんですよ。だから、そういうたいへんな差のつくことをおやりになるのかどうかということを聞いている。そのものずばり答えてください。
  37. 尾崎朝夷

    尾崎説明員 指定職の関係で、本俸としてどの程度積み上げるかといったような問題。それから期末手当につきましても、昨年いわゆる期末、勤勉手当の算定方法の改善措置ということをやったわけでございますけれども、そういういわば管理職員につきましての給与措置につきましては、民間においてどの程度支給されておるかという点を絶えず注意をしまして、下のほうの職員の場合も同様でございますけれども、それぞれにつきまして、やはり民間の状況をよく注視いたしまして、適切な改善措置を考えたいというふうに思っております。
  38. 大出俊

    大出委員 やがて勧告は出るのですから、きょうは時間の関係もございますから、あまり深追いはしないつもりで出てきたので、一生懸命、流動的、流動的と総裁お逃げになりますけれども、まあ長年私もやっておりますから、見当がつくところはついております。  そこで、ひとつ締めくくりをしたいのでありますが、一つは、民間の今回の平均で見ますと、ことしの春闘で上がりましたが、昨年の賃上げ額と比べてみて、民間の場合には、大体金額でいって昨年よりは平均三百円ちょっと上がっている、こういうわけです。これはもろ労働省が認めているところです。そうだとすると、民間は昨年の賃上げ額に三百十二円上がっていると私さっき申しましたが、との辺のことを、扶養手当配分だとか本俸配分だとか、そういうふうな中で、どの公務員方々にもその辺のものは乗っている、それを下回らないという程度のことには私はしていただきたい。これは勧告が出るにあたっての私のお願いなんですよ。  そこで、その観点からすると、これは流動的とおっしゃいますけれども、やはり上げ幅と、スタンドポイントになる、つまり公務員の現状の総平均賃金ベースですね、これをとらえて、さて人事院が手をつけておられる改善措置というのは何と何と何だろうか。これは大体、総平均に対してパーセントを出していきまして、さて本俸の改善率、こう出てくるわけですね。さて配分、こう言ったときに、いつも人事院がおやりになる筆法で、こう押えてこっちをやったらいいと尾崎流でいろいろやりますけれども、それは公務員が迷惑することもある。その尾崎さんの流儀を頭に入れて考えてみて、尾崎流の戦法を考えてみて、さあこまかく計算をすると、多少原資が足りないんじゃないかという気もする。そこらのことなどを考えて、あるいは〇・〇五くらい乗っけなければいかぬかもしれぬという気がするが、しかし、なおかつ、三百円ちょっと上がっているという民間のそのくらいの額は、どの公務員にも乗せておいていただきたい、これが実は総括的に申し上げての私のお願いなんです。おわかりになりますか。
  39. 佐藤達夫

    佐藤説明員 よくわかります。私どもの立場も、もうこれは、かねがねいろいろ御薫陶を受けた結果ではありますけれども、たとえば初任給がどえらい上がりを示した、それに気をとられていると、今度はいわゆる中だるみの問題が出てきて、そうして標準生計費の関係ども問題になってくる。御承知のように、標準生計費は不要論さえ一時はありましたけれども、しかし、何人世帯のところでこれを押えて、そして、いまのその辺の世帯のところを一つのささえにこれを持ってくれば、またその使い道はあるということで最近やっております。そういう点も勘案して、そして俸給表そのものを、いまお話がありましたように、手当等もあるいは総合的に考えて、これならだいじょうぶというところに、やはり配分の問題としては持っていくべきであろう。基本的な気持ちについては、全くおっしゃるとおりでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 もう一つ、夜間業務に関する手当などについて、航空関係のメンテナンスの問題を私、取り上げていろいろ申し上げました。これは理由が明確にあるのでありまして、きわめてあぶない事故も最近起こりかかっている例もまた聞いております。そういう意味で国民注視の危険感を持つ問題でありますから、まあこれは人事院がいろいろおやりになる中で、縁の下の力持ちみたいな感じもしますけれども、やはりやるべきことはやるべきだという趣旨でお伺いしたのですが、そこでまあ看護婦さんの問題もございますし、あるいは最近道路の夜間作業なんかもたいへんあぶないことをやっておりますから、横浜市なんかでも、そのためにけがをしたり不具になったりという例もございます。そういうふうなことなども考えまして、やはり夜間作業の問題についてはお考えを願いたいのですが、そこらについての御配慮はいただけるものと思っておりますけれども、いかがでございますか。
  41. 佐藤達夫

    佐藤説明員 いろいろ特殊勤務手当は従来も改善につとめてまいっておりますが、今回も、そういう点についてもう一度また再検討して、改善すべきものは改善するということにいたしまして、いつも勧告の際に私ども説明で、きめこまかな配慮をしたということを書いておりますが、そういうことをことしも書けるようにありたいものだというふうに思っております。
  42. 大出俊

    大出委員 大体わかるように御答弁をいただきまして、あまり深追いをしたくないのですが、もう二つだけ承りまして終わりにいたします。  実は交通用具の関係ですね。バイクその他でありますが、私のところにも、横浜に上大岡というところがございまして、そこから鎌倉のほうに向かって行く街道に、新しくいろいろできていますが、そこに公務員の宿舎ができた。そこの方が組織の皆さんにものを言っておられるのが、一つ耳に入りました。それは御存じのとおり、二千八百円をこして半分、これをカバーしているのが通勤手当でございますし、限度が四千二百円。その限度しかくれないわけであります。ところが聞いてみると、御本人はバス、京浜急行に乗る。これ本人の計算によりますと、月額七千円かかっている。そういう特殊な例もある。この辺のことと、いま前段でちょっと前置きいたしました用具関係ですね。これは九百円、僻地で千四百円でございますが、きめこまかなということにつけ加えまして、こういう点もきめこまかく拾っていただけぬかという気がする。まあ九百円、千四百円というのを多少何とか手を加えるとか、いま私が例にあげました、上大岡からバスに乗って鎌倉のほうの公務員宿舎に帰っていく人のような場合に、つまり、具体的にその人の払っている交通費が月額七千円になっている、ところが四千二百円しかカバーされていない、こういう現実がある。今度の勧告に間に合う間に合わぬという問題もあります。なぜならば、国鉄の運賃が上がる上がらないという問題もございますから、そこらも含めて、この辺のところを少し御検討おきいただけないかという気がするわけであります。  ついでに言ってしまいますけれども給与法十五条に給与の減額措置がございますね。正当な組合活動に従事した期間、つまり組休、これを認めておって、勤勉手当で影響がある。ここらはどうもちょっと不合理な気がする。参議院でも何か質問が出ていたようでありますが……。それから勤勉手当そのものについても、一時間についてカットするというシステム、つまり一時間も三十日も同じ引き方をするという形のものも、これはいささか不合理ではないかという気がする。そこらも、いまおっしゃる、きめのこまかいという意味でもう少し御検討いただけないかという気がする。ここらのところを、尾崎さんいまいろいろやっておられる最中だと思うのでありますが、時間がありませんからずらっと並べたのですけれどもお答えをいただきたいと思います。
  43. 佐藤達夫

    佐藤説明員 初めの通勤手当関係の問題は、御承知のように、今回、民間調査で調べております。したがいまして、その結果とにらみ合わせながら、それこそ、きめこまかな検討をやっておる最中でございます。  それから組休の問題は、これはかねがね問題になっておるところでございますし、われわれとしては筋のわかるところはございます。したがいまして、これは前向きの検討をしておるというところが正直なお答えでございます。
  44. 大出俊

    大出委員 それで、勧告がやがて出ますので、おおむねわかったことを聞くなというようなお話も冒頭ありましたから、これから中身に入ることは、きょうは勧告前でございますから差し控えさせていただきます。  そしてあわせて給与でございますけれども防衛施設庁の労務部長の平井さん、ちょっと承っておきたいのですが、沖繩の軍関係皆さんの、どうも何をやっておるんだと言いたいぐらいなことになっておる。間接雇用になったとたんに給料を遅払い。これは私、何と言われても納得できないです。ましてや沖繩で、恩赦だなんて選挙違反まで片づけて、それで今度は、沖繩の軍労働者なんかの方々について、これは私もこの数字を見ましてびっくりしたのです。いいですか、こんなものをほっぽっておくなら、私、覚悟がある。五月分の給料、つまり復帰の月、これは十日までに払えということになっている、基本労務契約では。これは私も長い間やっておりますし、平井さん、あなた連絡調整官をやっておったんだからおわかりでしょうが、五月の給与を六月の十日までに払わなければならぬ。ところが七月の三日に払う。六月分の給料は七月の十日までに払うべき筋合い。ところが七月二十五日。七月分の給料は八月の十日までに払わなければならぬ。それが払えそうにない。聞いてみると、八月二十日過ぎるだろうという。賃金の遅払いですよ。皆さん生活しているのですよ。しかも給料袋の中身を見ると明細書がない。これはどういうわけだと聞いたら、何と、扶養手当、超勤等、払っていないのですよ。払っていないから明細書を入れられない。そんな意味では概算払いです。そういうふざけたことで、安心して復帰してくださいとかなんとかいって、沖繩開発庁なんというものがあるのかないのかわからないのですけれども、まことにもってけしからぬ話だと思う。これは人道的な問題です。労使関係以前の問題。これは政府なんですからね。こういうばかげたことが起こっている。夏期手当がまずそうでしょう。夏期手当が、六月五日に払われるべきものが六月二十三日です。これも概算払い、明細書がない。そういうばかなことを何でやっているのですか、承りたいのです。
  45. 平井啓一

    ○平井説明員 沖繩の駐留軍関係従業員の沖繩復帰に伴いますところの切りかえ措置と申しますか、御存じのように、直接雇用であった姿を復帰後間接雇用に切りかえるということに伴いまして、諸般の手続あるいは給与条件その他、不利にならないように復帰前から十分といろいろと準備をしてまいったつもりでございます。御指摘のとおりに、復帰後、まず給与、夏期手当の支払い遅延というたいへんな事態を生じたことは、私まことに遺憾なことだと思っております。いろいろ悪条件が重なったと思いますが、まず一つの大きな理由は、復帰後、沖繩の米軍の組織、編成が大幅に変わったということ。それから、現地における日米双方の給与支払い手続を担当する機関の事務のふなれ、台帳の整備の遅延、そういったものがいろいろ重なりまして、予測せざる給与の支払い遅延の事態というものを生じたものと考えられます。  ただいま御指摘のありました数字につきまして、若干、これは別に言いわけがましい意味ではございませんが、夏期手当が支払われましたのは六月の十八日でございます。それから五月分の給与が支払われましたのは七月の一日と三日でございます。それから六月分の給与は七月の二十一日に支払われました。それから七月分給与につきましては、いまできるだけ常態に持っていこうと努力しておりまして、海軍関係と空軍関係につきましては、何とか八月の十一日には間に合わしたい、間に合わすことができるのじゃないかというふうに考えておりますが、陸軍の関係、海兵の関係の資料が沖繩県のほうの労管事務所のほうに届くのが若干おくれておりまして、支払いが十八日ごろになろうかと思います。  非常に遺憾な事態でありますが、こういった事態を考えまして、先般、私どものほうから、私のほうの調査官を長といたしますところの現地調査団を派遣いたしまして、こういった事態の起こっている原因、ネックがどこにあるかということをつぶさに調査してまいりました。この調査の結果に基づきまして、それぞれの問題点を至急改善すべく、現在、日米、あるいは日本側内部におきましても、現地で実際に仕事をしていただく沖繩県とわれわれとでせっかく改善に努力しておるところでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 沖繩防衛施設局の責任者は銅崎さんでしょう。私は銅崎君に電話をかけたいくらいな気がするのですよ。というのは、彼のところに全軍労の諸君などが行ったら、責任は私どもにはございません、県の労務管理事務所でございます、こういうふざけた答弁。これはけしからぬ話です。いま調査をおやりになっておわかりになったのだと思いますけれども、米軍が資料を出さないのですから、県労管が幾ら急ごうと思ったって、資料がなければ急げないでしょう。事務のふなれもヘチマもない。  もう一つ、あなた理由としておられたけれども調査団を何のために派遣したかわからない。これは米軍の指示に基づいて、労管はコンピューターでやれと言われている。ところが労管はコンピューターを入れて自分でやるのじゃないのですよ。コンピューターセンターに持っていく。これはアメリカは、なるべくコンピューターを売りたいほうだから。自由化しろとやかましく言っているのだから。センターに持っていくと、手で、そろばんでやれば三日でできるのが、十日も十五日もかかる。それでもそれをやれと義務づけられている。そういうことだから、資料は出てこないわ、コンピューターセンターに持っていった、持っていったら返ってこない。やりようがないのです。資料が出てこないことも、コンピューターを使えということも米軍が言っているわけですから、その限りでは施設庁の責任でしょう。そうでしょう。県は出てきた資料で事務的に計算するだけです。人が足りなければ屋良さんに言ってふやせばいい。そういう責任転嫁はいけませんよ。  しかもあなたは、日にちが何日か違うと言いわけがましいことをおっしゃるかもしれませんけれども、そんなことを言ったって、扶養手当も超勤も払っていないでしょう。その責任はどうするのですか。利子ぐらい払いますか。利子をつけたって、生活は一日一日でやっていくのですからね。そうでしょう。大赦でないにしても、沖繩恩赦なんて、そこらじゅうのけちな選挙違反まで消しちゃって、喜んで安心してお帰りください——安心して帰るもないでしょう。こういうことでは困るのですよ。責任をもって片づけてくれますか。
  47. 平井啓一

    ○平井説明員 御指摘のとおり、たいへんな問題でございます。いま、とにかく全力をあげて、まず給与の支払い体制というものをできるだけ早く、一日も早く通常の状態に持っていくように努力しております。  ただ、コンピューターの問題は、実はいわゆる歳出外資金諸機関関係の方を除きまして一万五千名ほどの従業員の方がおられるわけですが、これを手計算で二つの労管事務所でやるということになりますと、たいへんな作業になります。そこで実は、沖繩に関しましてはコンピューターを導入したわけでございますが、ただ、御指摘のコンピューターが非常におくれました原因というものは、最初に入れましたところの入力データにいろいろ間違いがあって、何回かやり直しをしたという初期の非常に初歩的な不手ぎわがあっておくれたわけでありまして、これもできるだけ早く台帳を整備して入力データを正確にすれば、やはりコンピューターによる事務処理が支払い促進の原因になろうと思います。いずれにいたしましても、一日も早く常態にもっていけるように努力いたします。
  48. 大出俊

    大出委員 これは陸軍関係が従業員が一番多いわけですよ。それがおくれるなんて、もってのほかだと思うのです。御指摘のように、この陸軍財政部並びにペイロール関係、ここを解雇しちゃったり、配置転換やっちゃったりして、なくなっちゃった。座間に統合しちゃったでしょう。そういうことをしておけばどうなるか、わかっているのですから。そういうことをやっておいて、資料が出せないしわ寄せは、全部、従業員、生活をかかえている方々にいく。そういうことは、間接雇用に切りかえて日本政府責任においてやろうという段階で、捨てておけないです。だからほんとうに責任を持って解決を願います。いつごろまでにやりますか。いつごろまでに正常にできますか。
  49. 平井啓一

    ○平井説明員 先ほど御指摘のありました、扶養家族の手当、あるいは通勤手当、住宅手当、こういった問題は、米軍のほうの処理の問題とは関係なく、日本の国内側の認定の手続の問題であります。これも実は残念なことに非常におくれております。こういったものも台帳整備を行ない、米側のそういったペイロールのいわゆるルーチンワークと申しますか、流れを通常にもっていくということで、私どもいま考えておりますのは、この八月、九月、来月一ぱいかけて一応正常な状態にもっていく。したがって給与の支払い時期は、来月は通常予定されておるところの十日を期して行ないたいと思いますが、ただ、その中に手当分が完全に入った完全支給ができるかどうかは、ちょっと来月までには間に合いかねるかもわかりません。目標としましては、八月、九月をかけて十分な体制を整えるように努力したいと思っております。
  50. 大出俊

    大出委員 超勤手当を払わぬ。かつて私は、組合をやっておる時代に訴えたことがある。石田博英さんが労働大臣で、裁判を取り下げてくれと乗り込んできまして、一ぺんで即戦即決、ぱっと片づいた。こんなものはやればできるのです。全逓は当時二十四万もいたのですから、乗り込んで来て、訴えを取り下げてくれ、みっともない、政府責任なんだからというので、一挙に片づいた。どんな苦労しても片づいちゃった。あなた方にやる決意があれば、そんなのは簡単に片づく。わかっていることでしょう。人が足りなければ人をふやせばいい。増員すればいい。だから来月間に合わぬなどとばかなことをほっとけますか。五月からいままで、六月、七月、今度は八月に払うのでしょう。あなたは九月という目途を立てていて、九月も扶養手当、超勤手当が払えないなんという人道上の問題です。そんなことはだめですよ。必ずやりなさい。  総務長官、あなたは沖繩の窓口なんで、間接雇用だから、所管の大臣がここにおいでになりませんから、防衛庁長官もおいでにならぬのですが、沖繩の軍関係の労働者の皆さんが、復帰して五月分の給料を六月十日までに払うことに基本労務契約できまっているのが、払えないで七月一日。六月分を七月十日までに払うべきものが七月二十一日というのです。七月分が八月十日、これまた二十日近くに延びるかもしれません。九月にやり切れるかといったら、しかもこれは、長い月日、扶養手当も払っていない。超勤手当も払っていない。給料袋に明細書が入ってない。そういうふざけたことをやっておって、九月という月、ここまでたっても扶養手当、超勤手当も払えないかもしれない。そういうふざけたことは日本政府責任ですよ。  これは大臣、いまお見えにならなかったから内容がおわかりにくいかもしれぬが、いま申し上げたとおりなんで、これはぜひ御相談願って側面的に御助言を願いたいのですよ。沖繩担当の窓口をお持ちでございますので、所管が違いますけれども関係は全くないわけじゃございませんから、ぜひひとつこれは本名さんのほうでも、事、人道上の問題で、奥さん、子供さんをかかえているのに、超勤も扶養手当も、復帰からいままで一銭も払っていない。明細書も給料袋へ入れられない。しかも支払いの日にちは、各月十日までに払うことに基本労務契約できまっているのに、二十日も半月もみんなずれている。遅払いなどということを許しておくわけにはまいりませんから。しかも理由は米軍側にある。資料を出さない。ペイロールあたりの組織がえをしてしまって、七十六名か何かいた人間がいなくなってしまって、解雇をした、配置転換をした、座間に統合したなどということが陸軍関係はあるのですから、その責任を個々人の従業員が負うなどというばかなことはない。これはいま例をあげましたが、早急にひとつ、今度の支払いにはこの点は一切解決をする、こういうことでお進めをいただきたいのですが、いかがでございますか。御助言願いたい。
  51. 本名武

    ○本名国務大臣 御指摘のように、直接私の所管ではございませんが、しかし事は沖繩のことであり、また復帰後の諸般の対策の中でも一つの大きな課題でもございますので、私のほうもこれを看過するわけにはまいりません。また、御指摘のように、特に生活に関係のある事態でもございますので、施設庁の御方針を一日も早く早急に実現できるようにひとつ協力してまいりたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 わかりました。  これは一言お答え願いたいのですが、さっき私は、沖繩恩赦などということを口にしましたが、二つのケースがございます。  復帰前に三十五日ストライキをやりましたが、そのストライキの時期に入ってしまったわけでありますけれども、八名解雇がございました。空軍関係が四名。それから那覇の第二兵たん司令部ですね、通称コマンドといっている、ヘイズ少将が率いるコマンドですが、ここで四名。この解雇について、いまだかつてないまことにふしぎなことがあるのですね。五月の四日に予告をしまして、五月の十七日に聴聞会が行なわれて、司令官の決裁が五月の三十日なんですね。十五日復帰なんですからね。そうすると現地は、これは復帰前の法令でやったのだから関係ない、こういうふうに逃げられたわけです。これが一つ。それから、時間がありませんから簡単に言いますけれども、第二兵たん司令部のほうは、五月二日に四名解雇予告をしているのですね。五月十二日に解雇を、こういうことで予告があった。ところが五月の十一日からストに入ってしまった。で、このストに入ったとたんの交渉で、解雇延期、調査をする、こういうふうに話が進んだ。ところが十三日に聴聞会をやって五月の十四日になって——十四日というのは日曜日なんです。日曜日に組合の役員の書記長の自宅に電話を入れてきまして、それが解雇通告だ。自宅に、しかも組合の役員。本人じゃないのですよ。書記長が何も契約を結んでいるのじゃない。書記長に電話で解雇通告をした。だから、本人の耳に入ったのは、本人に知らされたのは十八日なんですね。十五日には復帰してしまっているのですから。  いまのケースは、長い間沖繩におられる軍関係皆さんの解雇の歴史の中に、いまだかつて一度もないケースです。まさに、十五日復帰前にやっておこうという、そういうやり方なんですね。こういうことはいけませんよ、わずか八名の方々のことだけれども。だからいまだにこれは退職手当も何ももらっていない。こういうばかなことはないです。だから宙に浮いてしまっている。  これはやはり、沖繩の皆さんに安心してお帰りくださいと言ったのですから、まして本名さんは、三十二億の円切りかえの犠牲資金といいますか、金を出そう。大蔵省は、そういうものは済んだはずで、いささか受け取りがたいと言っているような話ですけれども。これも一言承りたいのですけれども、できるだけひとつ何とか見てあげようということで、公務員の例だって、特別昇給制度一五%を使ってずいぶん前向きにお互いに努力して、大蔵省も最後に八億も金を出してくれてやっているのでしょう。だから、十五日を待たず、その十四日に電話でなんというようなこと。それから片方は、司令官決裁は三十日になっているものを五月に——これは旧令に基づくでなくて、やはりこういうものはあっさり引き取っていただいて、基本労務契約の第八章の処理手続に従って、違反行為の報告調査、違反行為の嫌疑、B側、つまり日本側の調査、協議及び臨時措置というぐあいに一カ月くらいかかるわけですけれども旧来のルールにこちらが乗せてあげてあたたかい措置をしていただけませんと……。円・ドル問題だってずいぶんひどいことになっているのですから、物価の上昇の度合いも高いのですから、せめてこのくらいのことは日本側で引き取ってくださいよ。いかがでありますか。一言聞けばいいのですが……。
  53. 平井啓一

    ○平井説明員 御指摘の復帰前に起こりました那覇及び嘉手納におけるこの事案につきましては、当初、当時の十分な事案の詳細なデータがわれわれなかったわけです。その当時アメリカ側と話しましたときには、アメリカ側は、この事案そのものは復帰前の問題であって、復帰前の軍の規則に従って制裁解雇をしたのだから、間接雇用下になった復帰後の問題としては扱えないと実は突っぱねたわけでございます。その後われわれもいろいろ調べましたところ、御指摘のような解雇の時点の問題、あるいは事件の内容に関しまして事実関係上いろいろ問題があるようでございます。また、現在そのときに被害者になりました二人が、実は誣告罪で訴えられておりますので、この問題の推移等も十分ながめながら米側とこの問題について善処していくつもりで、現在もすでにいろいろ交渉は行なっております。
  54. 大出俊

    大出委員 必要なら私も調査に参りますが、ひとつできるだけ本土法令に乗せてあげて、どういう結果になるかわかりませんけれども、手の届く解決をしてあげる、そういう処理手続をとっていただきたいと思います。  長官、例の円・ドル問題の新聞で見た限りの長官のお考えというのは一体どういうことなのか。さっき私が口にいたしましたが、そこら、最後に、簡単でけっこうでございますが、御説明いただいておきたいのです。
  55. 本名武

    ○本名国務大臣 復帰後におきまして、ドルの円への切りかえについて混乱が一部に起きましたことは、まことに遺憾でございます。同時に、昨年の十月八日、九日の切りかえ措置によりまして、一応の手当てはいたしたのでありますが、その後、五月十五日までの復帰実現に至るまでの間の現地における経済事情、生産性等々勘案いたしますと、これはやはり正常な筋道を立てて、当然お返しすべき格差は補償すべきであるという考えが基本になっております。しかし、これを処置いたしますのに、技術的にいろいろな問題があるので、おそらく前長官もこれを解決できずして終わったと思いますが、しかし、この本質からいたしまして、私はこれを受け継ぎまして、ぜひとも実行せねばならぬという覚悟で鋭意いま検討いたしております。ただ、前長官のおっしゃったあの方法でいくかどうかは、いまのところ申し上げるわけにはまいりませんが、その前長官の方法等も含めまして検討いたしております。
  56. 大出俊

    大出委員 終わります。
  57. 前田正男

    前田委員長 次に伊藤惣助丸君。
  58. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 人事院総裁質問します。  いま同僚委員からいろいろ質問が出ておりましたのを聞いておりましたが、やはり一つは、八月の十五日ごろですか、勧告を出すその前であるので、なかなかほんとうのことが言えない苦しい答弁があったようでございますが、私は先ほど総裁の話を聞いておりまして、八月十五日ごろ、しかも例年のごとくというようなことでございますが、何か例年のように同じようなものが出るのではないかと感じられるわけです。八月十五日以前にもう少しすみやかに出せないものかどうか、それがまず第一点。その辺からひとつ……。
  59. 佐藤達夫

    佐藤説明員 例年のごとくと申しましたのは、例年のごとく順調にという意味で、そのはかどり方を申し上げておるわけであります。これは実は早いにこしたことはありませんので、私どももそのことを望みますけれども、これは何ぶん御承知のように、勧告をごらんになりますとおわかりのように、非常にこまかい数字の積み重ねで、なかなか一朝一夕に仕上げられることではございません。したがいまして、慎重にしかも早くということでやっておりますので、十一日というのも考えられますけれども、何も無理して、給与局に病人まで出して十一日に仕上げなければならぬというものでもなく、まあ十五日あたりというのが一応ほどのいいめどではないか、そういうことで、そこをめどにしていま着々準備を進めておるということでございます。
  60. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一つはこの実施時期のことでございますけれども、この点については先ほども、いい線が出ておるようなお話がございました。この実施時期については、公務員皆さんは、早く四月からやってほしいということを強く要求しておることは、総裁御存じのとおりだと思います。そういう点からいいまして、いい線ということになりますと、それが期待できるのではないか、そう私も思うわけであります。その点について、もう一回明確に総裁答弁を願いたいと思います。
  61. 佐藤達夫

    佐藤説明員 きまっておることと、きまっておらないものとございまして、たとえば今度の格差は何%になるかということは実はきまっておるわけです。きまっておりますけれども、これは申し上げられないということでございますが、いまの実施期日の面は、先ほどもちょっと触れましたように、どたんばまでわれわれとしては十分検討を詰めていきたいという気持ちでおりますので、きまっておるとはまだ申し上げかねます。しかし、いい線にいきたいものだなと思いながら作業をしておるというのが、率直なお答えでございます。
  62. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総務長官に伺いますが、実施時期が四月になるということがいい線として考えられるというわけでございますが、その場合、前総務長官は、常に人事院勧告を尊重する、人事院が五月あるいは四月と言えば直ちに総理府としても考えていく、というふうに言われておるわけでありますが、いい線が出て四月実施ということであれば、当然、前長官の発言からすれば、実際に事実関係として四月からと考えられるのではないか、こう思うのですが、その点長官の答弁をお願いします。
  63. 本名武

    ○本名国務大臣 前回の本委員会においても申し上げたのでございますが、既往二カ年間人事院勧告を尊重いたしまして完全実施をしてまいりました。今日において、私の考えとしては、四月の勧告が出ましても、不完全実施というような姿にする筋合いは、私自身はないと思っております。また政府の見解といたしましても、私は当然、四月の勧告が出れば四月完全実施の線で解決する、処置をするということは重ねて申し上げておきます。
  64. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いい線が出て四月という勧告が出れば、総理府としてはこれを完全実施する考えである、そうおっしゃるわけでありますけれども、もう一回人事院総裁に最後に、このあと防衛問題の質問がありますので、まとめて伺いますが、諸手当の問題でいろいろな問題がございます。人事院として特に時間をかけてまた慎重に検討した項目と問題は何ですか。
  65. 佐藤達夫

    佐藤説明員 大体、諸手当関係は、昨年の勧告まででおもな問題はもう解決済みと考えておりますけれども、しかし、客観情勢が刻々変わっておりますし、したがって、ことしの民間調査に際しましては、扶養手当と通勤手当調査いたしております。それらのデータももう出てきておりますので、これを、先ほど触れましたように、きめこまかに十分検討を進めておるということでございまして、ほかにあまり目ざましい目玉商品というようなものは、今度はどうもちょっと思い当たるものがございません。
  66. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今度の勧告は、昨年から見まして、また民間調査によりますと、それほど期待が持てるといいますか、むしろ逆にスローダウンするのじゃないか、そういう感じも心配するわけであります。そこでやはり人事院としては、その点について、公務員の期待に反しないように、前向きで人事院としての権威を持って勧告をしていただきたい、このことを要望申し上げます。  総務長官に最後に伺いますが、人事院とは立場も違いますけれども、どうか勧告に対しては完全実施するように重ねて要望しまして、質問を終わります。
  67. 前田正男

    前田委員長 次に、和田耕作君。
  68. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先ほどの大出君、伊藤君の質問で大体わかりましたけれども、民社党を代表しまして、やはり四月実施という点は理論的にいっても正しいことだし、公務員給与を配慮するという点でもやるべきことですから、ぜひともこれは実施していただきたい。そしてまた、実施勧告がもし出ましたら、これを政府は完全に実施するための心組みを持ってもらいたい、このことを一つ最初に要望したいと思います。先ほど答弁をいただいて聞いておりましたから、答弁は重ねて必要はないと思います。  ただ、一つ質問したいのは、田中総理は、秋の臨時国会を開かないようにしようじゃないかというような発言があるようですけれども、臨時国会を開かないで年内に勧告実施するという方法がありますか。
  69. 本名武

    ○本名国務大臣 田中総理はかつて、臨時国会は開かないということでございました。しかし給与の問題は、せっかく人事院勧告をいただき、しかも政府が完全実施をするということをお約束申し上げているからには、一日も早くお手元にお届けするのがわれわれの仕事だと思っております。ただ御案内のとおり、国会の議決を必要といたします等々があり、臨時国会は開かないといいましても、十二月に入れば通常国会を開く道もございますから、やはり通常国会を早期に開催していただいて、何とか給与支給を早急に行ない得るように希望をいたし、また総理にもそのことをお願い申し上げたい。ただ私自身は、臨時国会召集の権限と申しますか、私の意見でどうこうなるものでもございませんので、その辺はまた、特に給与関係から私から総理にも御相談してみたいと思っております。
  70. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 総務長官の御答弁を拝聴しておりますと、臨時国会は開かないという、総理のそういう意向を政府も尊重しておる、でき得べくんば通常国会を繰り上げて開いてもらいたいというようなお気持ちですか。つまり臨時国会はもう大体やらないだろうというようにお考えになっておられますか。
  71. 本名武

    ○本名国務大臣 先ほど申し上げましたように、かつて田中総理が言われたように、臨時国会を開かないということが現実となってあらわれるような場合には、私の立場としては、十二月に開会できる通常国会を十二月に入ったならば早急に開きまして給与問題を解決したい。私の立場からそう要請をいたすということを申し上げたわけであります。
  72. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 よくわかりました。  人事院総裁、四月実施の問題は、きのう同盟の諸君が参りまして、ぜひともこの問題は、実施してもらうように御配慮いただくように強く要望しておいてくれということですから、最後にこの要望をいたしまして、質問を終わります。      ————◇—————
  73. 前田正男

    前田委員長 この際、濱野行政管理庁長官及び山崎政務次官、並びに増原防衛庁長官及び古内政務次官より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。濱野行政管理庁長官。
  74. 濱野清吾

    ○濱野国務大臣 過般の田中内閣組閣につきまして、行政管理庁長官を拝命いたしました。行き届かぬものでございますが、委員長はじめ委員の皆さま方に将来お世話になることと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
  75. 前田正男

    前田委員長 次に、山崎行政管理庁政務次官。
  76. 山崎竜男

    ○山崎説明員 このたび行政管理政務次官を仰せつけられました山崎竜男でございます。何ぶん非力なものですが、皆さま方のあたたかい御協力によって大過なく任務を全うすることができますよう、この上とも御指導、御鞭撻を賜わりますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
  77. 前田正男

    前田委員長 次に、増原防衛庁長官
  78. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 このたび防衛庁長官を拝命をいたしました増原でございます。本委員会皆さんには格別これから御指導をいただかなければならないと存じます。何ぶんよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  79. 前田正男

    前田委員長 次に、古内防衛庁政務次官。
  80. 古内広雄

    ○古内説明員 このたび防衛政務次官を拝命いたしました古内広雄でございます。非力ではございますが、増原長官をお助けいたしまして、重大な責任を全うすべく全力を尽くしたいと存じます。皆さま方委員各位の御協力を心からお願いする次第でございます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  81. 前田正男

    前田委員長 引き続きまして、高松防衛施設庁長官の発言を許したいと思います。高松防衛施設庁長官
  82. 高松敬治

    ○高松説明員 六月二十日付で防衛施設庁長官を命ぜられました。よろしくお願い申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  83. 前田正男

    前田委員長 それでは、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  84. 大出俊

    大出委員 きょうは外務大臣がまだおいでになっておりませんので、事、M48の戦車のベトナム輸送に関する直接の所管が外務省でございますので、そういう意味で、外務大臣がお見えになりましたときに、質問を残さしていただきまして、再度質問をさしていただきたいと思います。  という前提で質問をいたしますが、横浜市が戦車の輸送につきまして、特にM48でありますが、道路法に基づく申し入れを、防衛庁長官、施設庁長官、また出先の防衛局長等にいたしましたのが七月の二十日であります。  そこで、当時の横浜市なり、あるいは横浜の私どもの考え方は、相模原から横浜のノースピアにM48なる戦車を先般七十数両送ったことがございまして、たいへんこれをめぐって沿道の住民がわきまして、夜の夜中に地震かと思って飛び出したら戦車が運ばれていた、子供が目をさまして泣き出すという騒ぎになる。それを繰り返されているのだけれども、日本の国内ではないのか。にもかかわらず、こういうことが常時行なわれるというのはどういうわけでしょうか、どう考えても納得いたしかねる、そのたびに起こされる、たいへん大きな音がいたします、地響きがいたします、実はこういう電話が、私のところにもいまでもひんぴんとかかってまいります。かつ横浜市にもたくさんの陳情が出てまいります。これは、直接のそういう沿道の住民のみならず、別な角度からは、安保条約、地位協定というものがあることは知っているけれども、ベトナム戦争のエスカレート段階で、ベトナムで戦争に使われた戦車が送り返されて修理をされて、またベトナムへ出ていくことについて、日本という国はそこまでの協力をしなければならないのか、だから何とかひとつ自治体の機関というものを通じて国にものを言ってくれ、こういう陳情が横浜市に殺到しているわけであります。そういうことをとらえて、私はここの席上で、実は相模原の総合補給廠でいつごろから戦車修理が始められたかということについて、米軍の資料がここにございますが、資料に基づきまして、福田さんが外務大臣をおやりになっておるときに、ずいぶんこまかく指摘をいたしました。それなりに、国内法の順守ということも含めて米側といろいろ話をしたいという前向きの話が幾つか出てきているわけであります。  私はここで、一九六八年から南ベトナム国軍というものができまして、南ベトナム国軍という籍の戦車、これは白い星がついておりません。それから米南ベトナム派遣軍、これは白い星がついておりますが、それらの戦車の仕訳のしかたから、送ってくる命令経路から、また修理の予算の仕訳から全部克明にあげて、この席上で明らかにしたことがあります。新聞も大きく取り上げました。したがって、そのときも何べんか実は国内法との関係にも触れたわけであります。赤信号を無視して突っ走ってしまう戦車は住民が見ているわけです。しかし、ここまでくるともうほうっておけない、こういうことで、実は横浜市が文書を、先ほど申し上げたように、七月の二十日に道路法に触れて差し上げたわけであります。それで新聞でごらんのような事件にまで発展をしたわけであります。  そこで、まず承っておきたいのは、いま相模原にM48なる戦車は何台ぐらいあるのかということ。そして本年度の修理予定というのをどのくらいに見ておられるのかということ。まず、ここのところから承っておきたいのでありますが、いかがでありますか。
  85. 高松敬治

    ○高松説明員 私のほうでは承知いたしておりません。
  86. 大出俊

    大出委員 承知いたしておりませんというのは困るんですな。そういうことならば、先般この委員会で、相模原の戦車問題に関して合同調査をやろうじゃないか、こういう実は話が進んでおったわけでありますが、国会の関係等もございまして、たいへん混乱いたしましたのでそのままになっておりますけれども、私はぜひこれは各党相談をしてやらなければいかぬ。この期に及んでどうもその辺を御存じないということになると……。  四十数台ございますが、ここらの問題等について、また本年度の修理予定が七十両をこえておるわけでありますが、これは米軍予算をごらんになればおわかりになると思いますが、明確なんです。初めに七月からの予算年度でワクがきまる。きまって、これが国務省予算の場合と援助費と、仕訳は二つに分かれております。台数がきめられる。そういうわけで、これははっきりしておる問題ですから、そこらがおわかりにならぬというのじゃ困るので、これはお調べ願えませんか。いかがでしょう。
  87. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 ここに出ております者が承知しておらぬ。私も承知いたしておりません。取り調べてお答えするようにいたします。
  88. 大出俊

    大出委員 これは皆さん御存じのように、相模原の補給廠は金網ですから、伊藤さんのほうから塩素ガスの問題を取り上げたことがありますが、塩素ガスは外から見える。同じ意味で戦車だって外から見える。M48というのは重戦車ですから、これは見ればわかるのです。そこらのところは、防衛施設庁は所管でございますから、ちゃんと把握しておいていただきませんとたいへん遺憾だと思うのでございますけれども、住民がたいへん気を使っておる問題でもございますので、ぜひひとつお調べおきいただきたいと思います。  そこで、防衛庁、特に施設庁の高松さんに承りたいのでありますが、横浜市当局にいたしましても、また横浜市に籍があります私どもにいたしましても、事を好んだわけではないのです。これは誤解をしていただきたくないから申し上げるのですが、事を好んだわけではない。橘さんもおいでになりますが、事を好んでやろうとしたのじゃない。つまり住民の皆さんの声が高い。そこまでの協力をしなければならないものか、住民生活が安眠ができないようなことになっていてもいいのか、信号無視を平気でやるようなことでいいのか、国内法はどうなっておるのか、そういうととでございます。  そこで、実はここにもございますが、これは文書でございます。これは三回目なんですけれども、   道路法第四十七条第一項の規定に基づき制定された政令(車両制限令)第三条の基準を超える米軍車両の横浜市道通行について(依頼)   ご承知のとおり、車両制限令第三条で、車両の幅等の最高限度が定められており、これを超える車両の通行については、道路法第四十七条の二第一項の規定により道路管理者の許可を要することとされておりますが、米軍の相模総合補給廠から本市に所在するノースドックへ運搬されている積荷及び車両については、新聞報道等によれば道路管理者の通行許可を要するものと思料されますので、在日米軍司令部当局に対して、貴職より、 貴職というのは防衛庁長官防衛施設庁長官でございますが、  貴職より、道路法所定の条項を遵守するよう伝達されたく依頼いたします。   なお、本市内の通過橋梁である村雨橋、千鳥橋については、本市が道路管理者として総重量四十六・九トンを上まわらないものについてのみ通行を許可しています。  これは、科学的な算定を専門家にさせまして、 耐荷重量四十六・九トンという重量が科学的に出ております。それを限度にしておる。これは何も米軍車両だけでない。これは市の考え方であります。  これをきめて発送した日に、まだ文書が着いてないが、私は心配しまして、自分で横浜防衛施設局の次長さんにお目にかかりました。時ちょうど高松さんが横浜においでになって、地方巡視で横浜防衛施設局長がついていってしまって、お待ちするわけにいかぬので、私は次長にお目にかかりまして、この文書がまだ着いてないのだけれども、市から私は持ってきた。これがきょう発送されている。やがて着きます。これが出ると、戦車が出てきたら、もう住民の声が高過ぎて押えるわけにいかぬということで、どこかで共闘会議の諸君等がこの戦車をつかまえたということになった場合に、これは非常に大きな政治問題になる、だからあらかじめお伝えをするんだから、ぜひひとつこれは関係各方面と相談の上で善処を願いたい、対策をお立て願いたい、こう私申し上げた。そして次長さんの席の電話を借りまして、防衛施設庁に高松さんおいでにならなかったわけですから、やむを得ず高島調査官でございましたかね、高島さんに、私、電話を入れまして、あした時間はないかということで打ち合わせをいたしまして、私がお伺いすると言ったら、お見えいただけるということでございましたから、四、五人の方に翌日私の会館の部屋においでをいただきまして、この文書をお見せして、こういうものが横浜市から出された、きょうあたり着くはずだ、ついては、ここまでのことは市当局が明らかにしたにはそれなりの理由があるんだから、戦車がどこかで、これはどこがとめるかは別として、つかまえたなんということになると、さて排除はできず、何回もものを言っているわけですから、対アメリカ、対米軍ということになる。事が非常に大きくなる。で、そういう事を起こすことがわれわれの目的ではないのであって、そういう制限重量をきめられているものを、危険な橋を渡すなどということをしてもらいたくないからものを言っているのだから、そういう意味で対策を早急にお立ておき願いたい、こういうふうに申し上げた。  これは七月二十日のことでございまして、施設庁本庁の高島さんに私が話したのは二十一日のことでありまして、きょうは八月八日でございますから、私のほうは、そういう事前の心配もございましたから、念のためにそういう足を運んでおるのでございますが、ところが文書は行ったけれども何も返答もない。そうなると、ないまま、行政長官である横浜市長といえども、住民に対してものが言えない、市民にものが言えない、こういう立場になります。  まして、ここにございますが、これは五月六日付けでございますけれども、さきの横浜防衛施設局長高村さんあてに横浜市助役名をもって「ノースドックにおける戦術的兵器の搬出入について」ということで文書が出ておる。それからまた六月五日に、福田外務大臣、江崎防衛庁長官、島田防衛施設庁長官あてに飛鳥田横浜市長から、「横浜市内所在米軍基地における米軍兵器等の搬出入について」ということで、これまた文書が出ております。さらにもう一つ、在日米陸軍司令官ウエルボン・G・ドルビン中将あてに、六月十二日に横浜の飛鳥田市長から、「ノースドックにおける兵器等の搬出入について」ということで文書を出しております。これらの手続をずうっとやってきた上に、いま私が申し上げた、市当局は書類を出すし、私は市の役人ではございませんけれども、横浜市に選挙区を持っておる国会に議席のある人間という立場で、あらかじめ、出ないうちに行くわけにまいりませんから、発送をしたということを確かめて、私、実はお伺いして対策をお願いした。こういう実は経緯がございますが、この辺のところは、防衛庁長官あるいは施設庁長官、お聞きになっておりますか。
  89. 高松敬治

    ○高松説明員 七月二十日付けの横浜市長からの書類は私も見ました。それからその前後におけるいまお話のありましたようなことにつきましては、私も報告を受けました。  そこで、具体的にそれならばどういうふうにやればいいのかということで、何日だったか記憶いたしませんが、横浜施設局の者と、それから本庁からも出しまして、横浜市役所に行きまして、具体的にどういうふうにすればいいのか。たとえば許可願い、許可を出した場合にどういうふうな条件で認められるのか。それから四十六。九トンということも、いままで何回か現実には通っている、そういうことからいって、どういうことから出てくる問題であろうか、計算であろうか。米軍に話を聞くにいたしましても、その辺のことをよく明らかにして、こういうふうになればいいんだということになれば、そういうふうにやってくれということにいこうということで、話し合いを進めてきたことも事実でございます。  ただ、まことに申しわけないのですが、その辺から少しテンポが私のほうがおそくなりまして、それで今度のような事態が起きまして、これはまことに申しわけないことだと思っておりますが、私どもとしては、全然放置していたわけではございません。それから、いろいろな条件で通れるのではないかという、横浜市役所との話し合いのときにも、そういう空気がだいぶあったようでございます。それならばその条件を早く煮詰めたほうがよろしい、こういうようなことでやっておったような次第でございます。
  90. 大出俊

    大出委員 私は、相模原の総合補給廠にM48の戦車が四十数両ある、だからやがて出てくることになる、修理している以上は直れば出てくるに違いない、そのことを指摘いたしまして、こういうものが出ているんだから、トラブルが起こらぬようにということを考えて前もって申し上げるのだがと、こう申し上げている。四日の日に出てくる。私どもにさえ四日に出てくることはわかった、十七両。それで、さっき私、承ろうと思ったら、あそこに戦車が何両あるか、全く知らないとおっしゃる。所管でございますよ、皆さん方の。だからまして、四日に出てくることも御存じなかったんだと私は思う。そうでしょう。いつ出てくるかわからぬけれども、やがて出てくる。出てきたらさあつかまえるという体制が、十六号線共闘会議というのができていましてね。七市町村あるんですよ。その沿道住民がわいわいわいているわけですから。しかも相模原というところでは、三十分かかつてとめているのですから。どこでやるかわからぬけれども、長い道のりですから、どこかでそれがあったら困るから、それに対する対策をと申し上げた。ほんとうならば、いつ出るかということを、やはり対米折衝なさってキャッチしておいて、さあそうなるとトラブルが起こることになるのだから、いつごろ出そうだということが事前にわかれば、その時点で対策を協議するのは当然、あたりまえのことなんです。私どもが知ったのはその日になって知った。その日の朝、きょう出るという連絡が入った、相模原から。皆さんが調べればもっと早く先にわかっているはずだと私は思う。その時点でおやりになる必要があったことです、私に言わせれば。ましてこの道路法は四月に改正しているんでしょう。  そこで、もう一つこの際承っておきたいのでありますが、建設省の皆さん関係、お見えいただいているはずでありますが、道路局長さんでございましたかね。建設省は、この道路法の四十七条一項の規定に基づく政令、車両制限令、通称そう言っておりますが、この扱いについて、道路管理者である市長なら市長に許可の申請が要る。市長が措置命令が出せる。協議という問題等ありますけれども。そういう点については、市長権限であることをお認めになっていたはずでありますけれども、そこらはどういうふうにお考えでしょう。
  91. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 市道につきましては市長の権限であると考えております。
  92. 大出俊

    大出委員 きょう運輸省お呼びしておりませんが、運輸省も大体似たような見解を出しております。それはどういうことかと申しますと、ここで御披露しておきますが、安保条約、地位協定があるから特殊な車両を米軍がつくることは可能である。しかし特殊な車両、つまりまあトレーラーを抜きますと、旧戦車の六一式戦車あたりでも三十五トンございますから、大体四十六・七トンぐらいがM48戦車の重量だろうということでございますが、こういう特殊な車両等の修理が可能である。がしかし、その特殊な車両を修理する、つくるということと、さて道路を走る、運送するということとはおのずから別個のことである。したがって市道については市長の権限である、こういう言い方、これは運輸省であります。建設省とそう変わった御見解ではない。  さらに、外務省に承りたいのでございますが、この問題についての外務省の見解、これもあったはずでありますが、いかがでございましょう。
  93. 橘正忠

    ○橘説明員 ただいま、施設庁の長官、あるいは先生御指摘の運輸省の見解、それから建設省の御見解、私どもそのとおりだと思っております。
  94. 大出俊

    大出委員 警察庁に承りたいのでございますが、警察庁も見解を述べておいでのようでございますが、いかがでございましょう。
  95. 池田速雄

    ○池田説明員 国内法令を順守する義務があるのは当然のこと、こういうふうに考えております。
  96. 大出俊

    大出委員 実は、事前に用意をいたしまして、私どものほうから警察庁の見解をただしたわけでございますが、一番いいかげんな——いいかげんというのはちょっとおたくを前に置いて恐縮ですが、訂正しておきますが、いいかげんというか、うまい逃げの回答を警察庁はお出しになっている。各省の回答が全部ここにございますが、これは結論を言うと、外務省と相談するというのですよ。そう書いてある、外務省と相談すると。明確な見解を出してない。私は警察庁がそういう御見解では困ると思うのです。やっぱり警察庁の立場で、取り締まりの衝にあるのですから、ぴしっとした回答を出して、逆に外務省にものを言うという姿勢が私は必要だと思っております。そこらどうお考えでございますか。
  97. 池田速雄

    ○池田説明員 国内法令の順守義務があるのは当然だと考えます。ただちょっと、御質問の趣旨をあるいは取り違えておるかもしれませんが、恐縮でございますが、おそらく、もしそういうものを出しておるとしますならば、ただ刑事裁判権につきましては問題がございますので、現実の運用につきましては非常に慎重にというような考慮からそういうことを言っておるのじゃなかろうか。推測でものを申しまして恐縮でございますが、そういうふうに考えております。
  98. 大出俊

    大出委員 ここであまり警察庁を追及するつもりはありません。ありませんが、ここにございますから、必要ならば、おたくの見解だけれども、後ほど差し上げてもけっこうでありますよ。  これはいささか遺憾なんです。わざわざこっちは例をあげまして、信号無視まで出して言っておるのです。米軍のことだから外務省と相談するというのですよ。米軍だろうと何であろうと、これは警察庁が明確にしていただかぬと困るのです。私どもがとめましたら、現場の責任者の方、何とおっしゃるかと思うと、いや先生、アメリカがやることでございますから、そんな手落ちなんてことはあるはずがございませんというのです。アメリカさんはあまり手落ちがないなどといって信用されてしまっても、これは困るのでありまして、何の許可申請も出ていない。そうしたら、これは訂正されまして、いや政府が米軍と相談してやることだから手落ちなんてあるはずがない、こういうお話なんですよ。ほんとうに言い切れますかと聞いたら、いや、あるはずがないと思う。許可申請は出ていると思いますか、出ているのだろうと思う。だろうじゃ困るじゃないかということになったのですけれども。だから、すみませんけれども、この辺は、やっぱり警察庁として、傘下の警察の責任者の方々に、国内法を守るのは当然のことだとおっしゃる御見解を私は明確にしていただきたい。  かつて横浜の「は」地区の埋め立てをつくるときに、米軍の荷物の陸揚げ所があった。それを移転をする。つまり入り口を長くするわけです。建物交換。その場合に、米軍が必要なときに赤信号を十五分くらいつけておくという案がありまして、公安委員会検討して、国内法順守のたてまえから、国内法と違った扱いをして赤信号十五分つけておくなんということはまかりならぬという見解が出ている。つまり先例は幾つもある。だからそういう意味でこれは明確にしていただきたいと思います。別に悪意で申し上げているのではございません。  実は、防衛庁長官に以上のようなことをなぜ申し上げているかと申しますと、突発的に、かつ不用意にああいう事件を起こした、あるいはああいう結果になったというのじゃない。前もって、いまここで御説明いたしましたように、道路法の扱いについても各省の意見を全部克明に聞いてある。しかもここに、まとめたものまでこしらえてある。その上でせっかく私ども別な立場からお願いを申し上げたのだが、しかし、それが何らそれらしい対策がなくて遷延をしているところに戦車が出てくるということになった。そうすると、こういうものを明らかにしている以上は、新聞にもこれは発表しているのですから、市の行政長官として、対市民ということで、米軍だから、一般の業者だからといって差別はできない、だからやめてくれ、こう言った。言うについても、まず米軍に傷つけたくないという配慮で業者を呼んだ。業者を呼んで、日通の責任者や何かに、この日通のトレーラーにM48を載っけてくるということになると七十トン近いものになる。セミトレーラーでも二十トンあるのですから。そうすると、村雨橋、千鳥橋は科学的にトン数計算をさせてみたけれども、四十六。九トン以上のものはだめです、こういう見解が専門家の立場から明確に出ているから、それを通すということになると法令違反になる、だからそういう仕事をお引き受けいただいては困りますということを申し上げた。だから輸送業者は全部手を引いてしまった。引いてしまって請け負わぬというなら自分で運ぶというので、米兵が米軍のトレーラーでM48を自分で運んでくる。傍若無人です。業者がみな、こういうことですと市に言われて検討したけれども、確かにこれは法律違反、重量制限違反になる、だから運べませんと断ったものを米軍が自分で運ぶ。明確に法令無視です。植民地じゃないのです、主権国家ですから。  そういうふざけたことに、さすがに私ども腹を立てまして、そこまでやられては、横浜にも社会党という党があるのだから、ほっておける筋合いかということになって、それでは、市道に入ってきたらとめようということになった。だからおかしなとめ方をしたのではない。国会、県市会の議員の皆さんが五、六十人まず集まって、それに、その日にわかって出てきていてくれた党員の人だけ百人ばかり集めて、そして市道に入ってくるところをとめた、こういう実はいきさつですよ。決してむちゃをやろうと初めから考えたのではない。ここまで手を尽くしても政府側はお取り上げにならぬということであっては、自治体が自治法の趣旨にのっとって考えたときに、対市民ということでこれは相すまぬ、もし橋が落ちたらどうするのだという問題が出てくる。けが人が出たらどうするのだという問題が出てくる。もうこの村雨橋という橋も一両年でかけかえなければならぬという専門家の見解が出ているのですよ。そういう橋を、いままで通ってきたからいいじゃないかという言い方はない。もう捨てておけない、こういうところにきているということなんです。  だから、今回のこの問題について新聞方々がいろいろ書きましたが、そういう意味ではB52の事前協議の問題なんか毛あります。国内法規、たくさんの法規があります。それと地位協定に基づく、弾薬その他を含めまして米軍の移動なり輸送なりという問題もございます。そこらでぶつかる法令が、検討しますといろいろあります。ですから、事前協議及び国内法の洗い直しという角度、観点から、これは一ぺん真剣に議論する必要がある問題だ、こう私は考えているのです。  地位協定をお扱いになる防衛庁長官の立場からいたしまして、五条というものがございます。五条で基地間の移動その他施設間の移動ができるようになっている。その意味では協力義務があることになる。ところが、地位協定の十六条という条項は、米軍の軍人、軍属、構成員、この方々が国内法を守らなければならぬという前提になっているのですね。  なぜこの十六条ができたかというと、これは長官がよく御存じだと思いますけれども、当時の岸内閣のときに、不平等条約を直すのだという見解だったのですから、主権の尊重という立場でわざわざ入れた。主権国家の中にほかの軍隊が入ってきているということですから、主権との関係は当然問題になるので、そういう意味協力義務をこっちにきめているけれども、主権の尊重ということで国内法規は守らなければならぬということを十六条に入れた。したがって、五条にいう協力義務というのは、国内法規を守るという前提に立っての協力義務である、この見解が正しいと私は思う。これについて、これは長官から一ぺん御答弁いただきたい。
  99. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 大出委員のお述べになりました趣旨、私も全くそのとおりと思います。地位協定に基づいて相当行動の自由が与えられておりましても、これはもとより、国内法を順守するという前提の上で行なうべきこと、そのとおりと考えます。このたびの事故の発生と申しますか、実は長官の立場におりながら、いまあなたのお述べになった経緯は知らぬでおった。私にこういうことが十分に伝わらぬようであったということは、まことにこれは申しわけない、おわびをいたします。将来ともそういうことのないように、あなたの述べられました法理論なり筋、そのとおりでございます。私はそのとおりの方向で、こういうことが起こりませんように十分督励をいたしまして取り運んでいきたい、かように考えます。
  100. 大出俊

    大出委員 おわかりを願えて、これはたいへんありがたいのですが、せっかく私、心配をいたしまして、よほど慎重に御検討いただき対処を願わぬと、不測の事態が起こったときに皆さん口がきけませんよとまで念を押しておりますので、決して皆さんに御迷惑をかけるということを考えてやったのではないのでございます。そうでなければ、みずから私が出かけていくなんということはいたしません。そのことはぜひ御理解をいただいた上でお考えをいただきたい。  そこで次の問題でございますけれども、これは四月に改正された法律でございますね。その後、外務省の御回答にございますけれども、外務省の見解にこう書いてございます。つまり「外務省見解」、この一番最後に、「特殊車両の通行に関しては、道路管理者の意見を尊重するよう地位協定第三条に基づき日米合同委員会に対して申し入れをした」、こうなっております。外務省の皆さん、この申し入れ、並びに申し入れに対する米側の態度というものについて、どういう申し入れであり、かつどういう相手の態度であったかという点、これを明らかにしておいていただきたいのであります。
  101. 橘正忠

    ○橘説明員 先生ただいま御指摘の点は、一つには、六月八日に行なわれました日米の合同委員会における、日本側の米側に提出いたしました一種の、俗にいえば注意喚起という文書のことだと思いますが、その機会に、ただいま三条というお話ございましたが、たぶんこのときは五条であったかと思いますが、道路管理者の意見をよく尊重してくれよ、それから俗称車両制限令というものもありますということを米側に注意を喚起してございます。それに対しまして米側から、特に検討さしてくださいということで、その後の返事は参っておりません。なお、つけ加えさしていただきますれば、その後、七月三日に、いわゆる安保条約の実施に関する日米間の随時に開いておる協議のようなものをいたしまして、その節にも、過去における交通規則の無視といいますか、そういう行為がありましたので、やはり交通関係、道路関係の法規を尊重してよくやってくれよということを重ねて米側の注意を喚起した例はございます。それに対しまして、日本側の法令は尊重しますということを言ってはおりました。ただ、それがその後の実施段階でこういうことになりましたので、その点は非常に遺憾な点があったと思っております。
  102. 大出俊

    大出委員 もう一つこの際承っておきたいのは、高松施設庁長官の御見解が新聞等にございました。これは、一口で言ってしまえば、法令違反は米軍だ、こういう趣旨なんですね。つまり、国内法に従っていないのだ、米軍がそうなんだという趣旨です。これは横浜の記者の方々が、どうも田中さんの内閣になったからああいうはっきりしたことが言えるのかな、ということを最後においでになって私に言いましたのですが、こっちで電話を入れて確かめてもらいましたら、やはりそういう趣旨のことをおっしゃったようだ。たいへん回転の早い、しかも明確な見解であったというので、これは田中さんの内閣になったので、決断と実行ということで、いいものはいい、悪いものは悪いということでぽんとこういうことを言ったのだろう、前はとてもじゃないが、待ちの政治家は待っているだけが能だから、上が待っているのに下で待たないわけにいかないということになったのだろう、という実は雑談が出ました。そこで、警察庁のその所管においでになったからだろうと思うのでありますが、この辺でひとつ、私は施設庁長官に警察庁のトップの方がおいでになるということは、いささかいかがなものかという気分で内心おりましたが、この種のことでそういうふうに的確に言っていただけるということは、私の判断が逆にたいへんまずかったということになるのでございますが、その辺の御見解をもう一ぺん明らかにしておいていただきたい。
  103. 高松敬治

    ○高松説明員 新聞あるいはテレビで私の見解というものが出て、私もちょっとびっくりしたのでございますが、この問題につきまして、特に地位協定の解釈、それから国内法との解釈につきましては、私は主管は外務省であると思います。したがいまして、私がそういう見解を正式に言うのは、これはまことに越権のさたでございまして、正式にそういうことを申したつもりはございません。ただ、個々の記者諸君と話しておりましたときに、どうかと、こういう話が出て、これは私の個人的な見解では当然そういうふうに理解すべきものだ、私はそう思う、こういうことを申し上げたのでございます。そういう意味で、プライベートな見解であるということを御承知いただきたいと思います。
  104. 大出俊

    大出委員 施設庁長官がプライベートに見解を持っているということである、ということは、私は、官庁機構というものは、その責任ある地位の方の考え方で変わってまいりますので、たいへんこの問題に関して前向きにお考えなんだろうという理解をいたします。プライベートな御見解だそうですが、けっこうでございます。  いま私ここで質問をいたしましたが、建設省の皆さんも、長官も、あるいは外務省の皆さんも、高松さんも、国内法尊重というたてまえと、移動に関する限り重量制限——もちろん幅員もございますが、そこらの法令に関する権限は市当局にある、ここまで皆さんはお認めになったわけであります。そうなると、ここで一つ問題が出てまいりますが、さっき私が申し上げた米軍のやり方、つまり業者が法令違反だから手を引いている。法令違反と言われて手を引かれて、それじゃ米軍が自分で運ぶからというので、軍人が運転して出てきた。こういうあり方について、これは政府として、外務、防衛両当局としてそのことを認めるということになるとすると、これは国家主権というものはどこへ行っちゃうのだということになる。きょう、「毎日」でございましたか、社説で、主権の尊重という点をこれは十分徹底していく必要がある、特に主権国家の中にほかの国の軍がいるのだから、こういうふうにお書きになっている社説がございました。私まさにそのとおりだと思って、これ読んでいますが、毎日新聞でございますね。「米軍は日本の主権を尊重せよ」、まさに皆さん同じことをおっしゃっているわけでございまして、そうすると主権尊重の立場から、皆さんからもう少し、国民が、市民が、県民が安心できるように、今回の件については積極的にものを言っていただく必要が私はあると思うのです。  まして、Uターンをして相模原補給廠に帰る戦車が、新聞記者の方があとを追ったら、全くもって、踏切も一時停止をしない、赤信号もかまわず突っ走って相模原まで行っちゃったのです。そういう問題が起こって、主権尊重の立場から国内法令に従うべきだというやりとりがあって、五十時間近くもあそこでもんちゃくが起こったのに。しかも私どもがいろいろな面からお話を承りましたが、帰りに青木橋という橋を渡れば、これまた制限トン数からいきますと違反です。だからといってとやかく申し上げる気はない、だからお帰りくださいだった。何もする気はない。にもかかわらず、それはどういう気持ちだったかわかりませんけれども、一切信号無視、交通法規無視で相模原まで突っ走る。それも市民が見ているのですから。まだ十一時という時間ですから、ほかの車両もたくさん通っているのですから。そういうことになるとすると、これは全くわれわれは、日本という国を、日本国民を、米軍の当局あるいは米軍諸君はどう考えているのだ、まだまさに占領中のような感じでいるんじゃないかという、そういう声がたくさんあがっている。このことは政府責任においてただすべきだろうと思う。そこはいかがでございます。
  105. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 その点まことに仰せのとおり、管轄から申しますると、外務省のほうで管轄をしてもらいまして、そういうことを申し入れることが適当であろうと思いますが、私どももその点について、将来遺憾のないように、十分私どもの立場としての意思表示なり折衝なりをするつもりでございます。
  106. 大出俊

    大出委員 防衛庁増原長官はいまのようにお答えになりましたが、所管の外務省、きょうはまだ大臣がお見えになりませんので、大臣への質問は保留さしていただきますけれども、アメリカ局長代理をなさっておられる橘さんのお立場で、いまの増原さんの御見解について、大臣でございませんので、どの程度答弁いただけるかわかりませんが、可能な限りの御答弁をいただいておきたいと思います。
  107. 橘正忠

    ○橘説明員 大臣がおいでになりまして、また大臣の御見解はあるかと思いますが、一応事務方としてできる限りの御答弁をいたしたいと思います。  今度のことが、いろいろの手続上の不備等もございまして、こういうことになりまして、現地でああいう立ち往生の時間が長く続き、米側においても、法規その他について下部に徹底していなかったこともあるかと思うのであります。それで長い時間あそこに立ち往生をしておったということでございます。しかし、ようやくその間に、問題の所在、彼らとしても瑕疵のあるところもあったということがだんだんわかってまいりまして、とにかく引き揚げようということになったわけでございます。あるいはその帰り道において、そういった非常に特殊な状況に置かれた連中なものでございますので、帰りがゆっくりと必ず行っておったかどうか、私ども詳しく存じませんが、あるいは、ところによってそういうようなことがあったかもしれません。こうしたことも含めまして、そもそもからの問題とあわせて、米側に、第五条のあれはあるけれども、国内法令というものも尊重するのが義務であるということをよく徹底させるということを重ねてこの機会にして、こうしたことの再発を防ぎたいと思っております。
  108. 大出俊

    大出委員 時間も、ほかの方々もおいでになりますので、これから急ぎますが、実はけさ方、飛鳥田横浜市長から私に電話がかかってまいりまして、どうも非常に残念な口頭の通告が米軍当局から来たんだというのであります。神奈川新聞が掲載をしておられるけれども。実は横浜市はこのことを発表しないつもりでいたんだ、その理由は、あまりどうもおとなげなさ過ぎる、こういう感覚でおられるのはまことに困る、こういう気持ちがあるので、ものの考え方は違っても、日米関係というものもこれあり、発表しないつもりで事務当局にはそう指示をしておったんだ、ところが新聞のほうで先にお気がつきになって掲載をしてしまった。これはもちろん神奈川新聞だけであります。ほかには何も載っておりませんが、さすがに地元の新聞でございましょう。  そこで、この新聞ではそこまで書いておりませんが、市長のほうから具体的なお話が出てまいりました。どういう口頭の通告なんだと市長に聞きましたら、昨日の午後四時、これは市長は会わなかったようでありますが、渉外関係の諸君が会っているようでありますけれども、金子という座間の陸軍司令部の米軍の技術主任をやっておられる方がお見えになって、要点二つである、上司の命令で通達をする、これが出足だそうでございます。例の事件で米軍はたいへん硬化している、かたくなっている。これは悪い意味の硬化ですね。そして、岸根基地の解除がきまった、そのあとで今回横浜市が措置をとった、ということは米軍にとって不信の念を禁じ得ない、これが第一であります。早い話が、岸根を返してやった、にもかかわらず、すぐそのあとで、重量制限違反だといって文書を出しておいて、認めないということを市が言うことはけしからぬ、米軍はおこっている、簡単に言えばこういうわけです。  第二番目に、村雨橋という問題の橋でありますが、この測量の必要がある。これもかってに測量されては困るのです、横浜市が道路管理者ですから。村雨橋の測量の必要上モータープール移設についての協議は中止をする、これが二番目であります。このモータープールというものは米軍の車両を一括していっぱい入れているところでありまして、近所住民あるいは通行する人たちがたいへん迷惑をするというようなこともあり、かつ横浜市の下水処理が、人口が急増いたしますのでたいへん紛糾しておりまして、金沢区、保土ケ谷区、鶴見区、西区、この四区にわたるのでありますけれども、この四区の住民が住民大会等、連合町内会主催でおのおの開きまして、与野党なく各党の市会議員が全部出て超党派的に、モータープールを移設して、そしてそこに南部下水処理場をつくるという、ここのところ四、五年にわたる動きがございまして、昨年これがきまりまして、そしてきまったあと、建物のつくりかえ、これについて市のほうで協力をしてくれということで、協議その他をやることになっていた。話はすでに防衛庁のたいへんな御努力もいただいてきまっていた。これを早い話が返さないぞというわけですね。そのことを口頭で通告をした、こういうわけです。  これはどうも私が考えましても、市長は行政長官ですから、そうやぼなことは言っておりませんでしたが、ちょっと市長の口の端にもありました。あまりといえば子供じみておる。物でもくれてやったようなことを言うのですね。パンをやった、言うことを聞けというのですね。そういう調子。まさにもって、日本人に対する侮辱のみならず、占領軍の米軍という感じであります。だから地元の新聞は何と書いたかというと、「米軍、横浜市に”報復”」という、こんな大きな見出しです。法令違反が明らかであり、政府皆さんがすべて、国内法尊重のたてまえを明確にされている中だから、法令違反だというのはあたりまえですよ。横浜市は住民の立場に立つのですから。市民の立場に立つのですから。沿道の市民はほんとうに寝られないというので、どこの党でもいいからとめてくれ、何なら学生を呼んできてとめたいんだということを言う諸君もおる。私の親しいすし屋のおやじさんなんというものは、町の中にいてかんかんになっている。そういう住民の声というものに乗って、何とかしなければならぬというのが行政長官の立場です。それを法的に瑕疵なく——瑕疵のあるのは米軍、米側ですから、瑕疵なくやったことに対するこういう出方、あり方というものを私は放置はできないと考える。  この件に関して、大平さんお見えになりましたから……。  これは、いま例の横浜市における戦車輸送、M48輸送の問題について申し上げているのですが、米軍のやり方について、また私どもがとったやり方について、ずっといま御説明をしてまいりまして、M48戦車が、重量制限その他もあるのだから、危険な個所もあるのだから、このコースは通らぬでくれ、やめてくれということを行政レベルで三回も言っておるし、在日米陸軍司令官にも文書を出しておる。こういう中で業者も呼んで、業者にも、法令違反の輸送だからお考え願いたいと市が言った。だから、日通が運んでおりましたが、日通その他も、米軍に対して法令違反だからといって一切お断わりをした。そうしたら、業者が運ばぬというなら軍が運ぶというので、軍のトレーラーに乗っけて強引に運んできたという今度のケースなんです。  しかも七月二十日に横浜市が文書を防衛庁長官、施設庁長官等に差し上げるにあたって、市が文書を出したことを確認をいたしましたから、私は防衛庁または現場の防衛施設局の責任者に直接お目にかかって、相模原には戦車がある、やがていつかわからぬが出てくる、出てきたときに、先般三十分相模原でとめている、再びどこかでとめることになった場合に混乱が起こる、だからしかるべく対策を関係各方面と協議の上でとっておいていただきたい、このことを申し入れてあるんです。決して何の話も皆さんに申し上げずにやったんじゃない。防衛庁に承ってみると、M48が相模原の補給廠に何台あるかも御存じない。しかも四日に出てくることも知らなかった。業者が断わったにもかかわらず、四日に出てくることを私どもが知って、沿道の住民が騒ぎ出して、しかもたいへんに心配をしてものを言ったが、はねつけてしまった。橋のほうも専門家調査をして、四十六・九トンしか耐荷重量がない、一両年でかけかえなければならぬという専門家の結論が出ているところを引き続き運ばせることにはいかないという立場でああいうことに発展をしたということなんでありまして、国内法令尊重という地位協定十六条のたてまえもこれあり、その上で五条の協力義務というものは存在をすることになる。これらの点について皆さんに御確認をいただきましたが、増原長官以下皆さんが、国内法令尊重、これは当然である、それがたてまえである、その上に立っての協力義務に五条というのはなるんだ。しかも建設省の方も、外務省の方も、防衛庁の方も、皆さんそろって、この道路法というものについての見解は、権限は市長にある、このことをいま明確にされているわけであります。  そこで、いまここで承っておきたいと思いますのは、いまここで申し上げましたが、実はけさ横浜市長から私に電話がありまして、昨日四時ごろに米軍の座間の陸軍の司令部、ここから金子という米軍人でありますが、技術主任、この方が横浜市にお目えになって、口頭で以上のことを通告をされた。一つは、いまここで申し上げたのですが、繰り返しますと、今回のこの件で米軍が非常に硬化している、こういう前置きで、上司の命令で通達をする、こう言うんです。第一に岸根の米軍の野戦病院、これは実は横浜市の運動公園をつくる予定地でございまして、つまり期限も切れておって返還になっておる。この岸根の基地、これの解除がきまったあとに今回のようなことを横浜市がやるということは、これはたいへんけしからぬことだ、米軍は不信の念を禁じ得ない、こういうことをまず一項申しまして、二項目で、したがってこの村雨橋という問題の橋の測量等の必要もこれあり、モータープールの返還移設については協議を中止する、簡単に言えば返さない、こう言うのです。これは横浜市内の四つの区の住民が、連合町内会長主催の区民大会を開いて、米軍の車両がいっぱい入ってくるところですから、これをどけてくれ。それで、いま横浜市が困っている下水道の処理について、どんどん地域に人がふえますので、ここに南部下水処理場をつくってくれということで、区民大会が各区で開かれまして、バスで防衛庁にお願いをしたという数年来の経過がありまして、防衛庁もお骨折りいただいて、ここに南部下水処理場をつくる、モータープールを移設するということはさまっている。きまっていて、移設のしかたについての話をすることになっている段階でそういうことを言ってくる。通告であります。だから地元の新聞一社だけ書きましたけれども、ここにございますが、「米軍横浜市に”報復”モータープール移設協議は中止」、これではまるっきり、パンをやったのだからなぜ言うことを聞かないんだという、まさに占領下の観念に類するものの考え方であろう。子供じみているという以上に、たいへんけしからぬことだ。間違ったことを市当局はやっているわけじゃない、こういうことになると思う。  この辺、直接の所管は外務省、外務大臣でございますが、帰りには信号無視で、一時停止もせずに赤のままに相模原に突っ走った話も含めて、今回あらわれた米軍のものの考え方については、それぞれ所管省等を通じて、米側に国内法尊重のたてまえをなお厳重に話をすることにしたいという御答弁をいただきましたが、こういうことまでやられたのでは、これは明らかに筋が違いはせぬかという気がするのであります。この点についての外務大臣の御見解をいただきたいのであります。
  109. 高松敬治

    ○高松説明員 大臣の御答弁の前に、いまの問題について私どもいま報告を受けておりますことについて御説明を申し上げたいと思います。  本日の神奈川新聞にこういう記事が報道されまして、それで横浜防衛施設局から座間の米軍司令部に対して、どういうことかということでその間の事情を聞きました。座間の米軍司令部の話は、本日予定されていた横浜市とのモータープール移設工事に関する技術担当者会議を延期したい旨を昨日横浜市に申し入れた。これは従来から担当の技術者の会議というものをやっておったようでございます。この会議の延期を申し入れた。これは米軍側に緊急に技術的検討を要する問題が出たためである。双方のそれぞれの都合によって予定されていた技術担当者会議を延期したことは過去にも数回ある。それからモータープール移設工事に関する技術担当者会議は、今後とも継続して行なわれるということでございます。いまほどお話しになった、市長の了解されていることとかなり中身が違うのでございますけれども、私ども防衛施設局に対する米側の回答はこういうことでございまして、したがって、このモータープール移設が中止になったのだというようなことにはなっていないように私どもは思っております。
  110. 大出俊

    大出委員 これは、いま高松さんがおっしゃるようなことであるとすれば、当然なことですから、そうでなければならぬことになるのでありますが、きのう四時に金子という人が来て言った中身というのは、まことにもって報復措置ととれる言い方をしているのです。ただこのことがけさ新聞に出て、「米軍、横浜市に”報復”」という新聞記事になった。新聞というのは、やはり一つのそういう意味の社会性を持っていますから。  先ほど、お貸し願いたいと言うから皆さん方に貸しましたが、おそらくそれで連絡をおとりになったのでしょうが、ここまできますと何か言いわけをしなければならぬということに座間のほうではなると思いまして、だから取り上げているのです。取り上げることによってそういう派生効果が出てこなければ困るので申し上げているのですから、それはいいのですが、とにかく紋切り型、上司の命令で通達する、こういう出だしなんですよ。冗談じゃありませんよ、横浜市は軍じゃないのですからね。かってに通達されてはかなわぬです。それは、直接に会った横浜市の渉外部長その他によりますと、えらいけんまくで、せっかく岸根をくれてやったのにこんなことをするならば返してやらないぞ、たいへんなことだというわけだ。硬化しているという。しかし、そういうことはおとなげない、子供じみたことになるのですから、国会なら国会という場所で取り上げて新聞に書くということになりますと、座間のほうだって困るのですよ。それはいま高松さん、いいタイミングで御答弁になったのです。それが一番最後にそうなればいいのですけれども。  しかし、いずれにせよ、こういう米軍の姿勢というものを直す必要がある。あまりといえば傍若無人。日通その他天下に有名な輸送関係の大企業が、法律違反だということを認めて、輸送いたしませんということを言って断わった。だから米軍だって、法律違反だということは百も知っている。それじゃ軍が運ぶからと、軍のトレーラーを持ってきていきなり戦車を運んで来る、こういうことを平気でやるということになると、そこの米側のものの考え方を外務省という所管の省がどう受け取ってどうしなければならぬかという問題がそこにある。  だからその意味で、事前協議という問題もそうです、沖繩のB52の問題もあります。あとから一言それも申し上げますが、この問題と、さらに国内法の洗い直し、この問題について、私はこの際はっきりさしておく必要がある。各種国内法にいろいろな形で抵触する問題があります。私のところに資料が幾らもありますが、そういう立場でものを言うということを申し上げているのですけれども、この辺のアメリカ側の態度に対して、これは外務大臣ひとつはっきりしていただきたいと思うのであります。つまり、地位協定十六条というものは現存するのでありますから、国内法尊重のたてまえは明らかになっているのでありますから。それが、岸内閣のときの不平等条約の解消という面であえて入れた条項であることも歴史的に明確なのでありますから、そこらのところをはっきりさしていただきたいのでありますが、いかがですか。
  111. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私どもの立場は大出委員も御理解いただいておると思いますが、安保条約に基づきまして、米軍が施設、区域間の移動をしようとする場合、それを保障して差しあげなければならぬ立場にあるわけでございますが、一方、御指摘のように、それにはそれなりの国内法上の制約というものを心得てやっていただかなければならない。それを米軍側に十分理解していただき、適正に事を運んでいただかなければならない、そういう状況を保障する責任が私どもにあるわけでございます。したがいまして、今度の問題も、この両者をどのように調和させて円滑な運営が可能になるかということについて、日米双方十分各機関において話し合いいたしまして、解決してまいらなければならぬと考えております。  いろいろ御指摘がありましたように、米側におきましても、膨大な軍でございまして、いろいろな意思の疎通が十分でなかった点もありはしないかと思いますが、わが国側におきましても、中央と地方並びに各関係法令の所管官庁を異にいたしておりますので、その間の連絡が間然するところなく行なわれたと言い切ることはできないと私は思っておるわけでございまして、この事案の解決ばかりでなく、今後この種の問題が、いま大出委員が御指摘のように、冷静な処理でなくて、双方が若干意地になるとかというようなことになりますと、たいへん不幸なことでございますので、そういうことのないように、精力的に各機関と意思の疎通を十分はかり、米軍にも十分の理解をしていただきまして、円満な解決に持っていきたいと念願しておるわけでございます。  ただ、いま正直に申しまして、それでは確たるめどが立っておるのかと言われますと、まだそこまで申し上げる自信がございませんので、いましばらく時間をかしていただきたいと思います。
  112. 大出俊

    大出委員 そこで、この国内法を守る、これは地位協定十六条でありますが、米軍人も軍属も構成員も守る、これが十六条のたてまえ。五条で移送その他についての協力義務がある。だから、国内法を守るというたてまえに立って協力義務がある、こういう解釈になると思うのですが、さっきお認めいただきましたから、これはいいのでありますが、大平さんがおっしゃっていることも、ほぼそれに似たようなことをおっしゃっておられますので、その件については、これ以上申し上げることを差し控えます。  そこで、けさの新聞を見ますと、いささかどうもおさまりがたい問題が出てきております。それはどういうことかと言いますと、「米戦車に便法検討」というのですね。これは建設省にまず承りたいのですが、便法を検討する、つまり道路法四十七条一項に基づく車両制限令の特例を設ける。これは火災だとかなんとかという場合に消防車が入っていくというようなことは、つまり、耐荷重量二十トンなら二十トンの場合も、それ以上あるものも走っていく。前に蓑輪さんが建設省の道路局長だったと思いますが、環状七号線なりあるいは横浜−羽田線にある鋼製橋梁、この耐荷重量は二十トンのはずだった。今日走っている車というものはそれをこえているのがあるじゃないか、だから環状七号だってあぶない。蓑輪さんはあぶないことをお認めになった。いずれも重量オーバーなんだ、何とかしなければなりません、こういうわけです。つまり、そういうようなこともいろいろあって道路法の改正を四月におやりになっている。なってまだ幾らもたたないのに、今度は、特例が十五、六項目ありますが、あのワクを広げて、そこに風袋含みで七十トン近いものを運び込める特例をつくるなんということをもしやるとすれば、これは一体何のための法治国家だということになる。これは国民無視です。こういう意味の便法などということをもし考えているのだとすれば、これはたいへんなことだと私は思うのですが、そういうお考えはあるのですか。
  113. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 全くございません。
  114. 大出俊

    大出委員 ほかの各省の関係のところにございますか、外務省、防衛庁を含めまして。
  115. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 これはいわば道路行政の問題でございますので、われわれのほうが特別にこの問題について意見を言う立場にありません。防衛庁としてそういうことを考える必要はないと思います。
  116. 大出俊

    大出委員 時間のようでございますから二、三点で終わりますが、けさの幾つかの新聞に「米戦車に便法検討 政府車両制限令の特例広げ」、一項をつけ加えて米軍車両を入れられるようにするという考え方なんですが、こういうこそくな手段、ごまかしをおやりにならぬと私は思いたいのでありますが、建設省はやらないとおっしゃる。ほかの関係各省にもその気はないとおっしゃる。検討していないとおっしゃる。これははっきりしておいていただきたいのであります。  それから、先ほど施設庁長官がお話になった座間の態度につきまして、先ほどここでお述べになったことを、そのまま受け取ってよろしゅうございますね、防衛庁長官。これは、大平さんは先ほど、感情的になっては困るというお話だったのですが、感情的と受け取れる態度、感情的と受け取れることばを使われて、まさに、モータープールの移設協議を上司の命令で中止する、米軍は硬化しているぞ、現場でのやりとりはそうなんですけれども、いまの高松さんのお話によるとそうじゃないというのです。連絡はしたが、そうじゃない、いまは中止したのだけれども先に行ってやるのだ、都合で中止したのだ、検討事項があったから、他意はない、こういう御答弁があったのだが、そう受け取ってよろしいかと念を押しているのです。
  117. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 そのとおりです。
  118. 大出俊

    大出委員 そこでもう一つ。そうすると残る問題は、時間をかしてくれという外務大臣の御答弁なんですが、さて、ほかの方法ということになると、輸送経路の変更もしくは橋の補強工事という問題になる。村雨橋というものを、あるいはその先の千鳥橋というものを、重量制限を上げるためには、一ぺんに言ってしまいますけれども、橋の下から補強のささえをしなければならぬ。あの地域は河川法の準用地域で、管理者は横浜市長であります。下の船舶の通行がございます。子安の漁業関係その他の方々がたくさん通っております。そうすると、その利用者の承諾がなければ工事ができないことになっております。そうすると、承諾を得るのには当然補償が伴います。それらの措置を全部やらなければ、実は補強工事はできません。したがいまして、その意味では相当な時間がかかることになる。だから、にわかにそこを通せと言われても、これは法律のたてまえ上市長としては通せない、こういう問題になる。さて、それじゃひとつ別のほうを通っていこうということになるのかもしれないのですけれどもつまり搬出経路を変える、積み出す港を変える、あるいは空輸する、こういう問題が出てくる。空輸の場合は基地から行ってしまいますから別でございます。ただ、横田へ行くのなら横田に行くまでの問題が出てくる。そういう場合に、これは、正規の法手続きに従って皆さんがお進めになる場合は、とやかく申し上げる筋合いのものじゃない。この問題は法律に従わないから問題になる。だから今後の問題として、もし別なことをお考えになるとしても、それはやはり正規な——たとえば国道、県道、市道というのがある。車両制限令は、国道は建設省が所管です。県道は県知事が所管です。市道は市長が所管です。このたてまえは皆さんお認めになっているのですから、当然、それならば国、県、市という段階に許可申請が出されなければならぬ。協議という問題は必要ならばございます。もしそういう場合には、正規の法令に従って手続をおとりになるのかどうか。やみでやられると迷惑です。また不測の問題が起こりかねない。また住民に対する姿勢という問題からも、それはできるはずがないと私は思いますが、そこらの点いかがお考えでございますか。
  119. 橘正忠

    ○橘説明員 こういうことがございまして、むしろこの機会に、戦車がとまって地が固まるというふうな事態に持っていかなければならぬと思っております。したがいまして、先生仰せのとおり、今後の処理は、国内の法令を尊重するというたてまえを米側にもよく徹底させ、関係の法令にもいろいろの規定はございまして、裁量権の入っておるような規定もございますが、いずれにせよ手続的にも、国内法令を尊重したたてまえと事実というものに基づいて処理していきたいと考えております。
  120. 大出俊

    大出委員 外務大臣が直接の所管でございますので、くどいようでございますが、今回は、しかるべき法に定められた手続を全くおとりになっていないというところに、非常に大きな瑕疵がございます。そのこともまた紛争の中心にもなっております。したがいまして、今後の問題について、いまアメリカ局長代理橘さんがお答えになりました。いずれにせよ正規に法律の手続に従っていくように米側に十分話もし、そういうふうにさせる、そうする、こういうお話なんですが、大臣、そう受け取ってよろしゅうございますか。
  121. 大平正芳

    ○大平国務大臣 そのように努力してまいります。
  122. 大出俊

    大出委員 それでは、時間がございませんから、最後に二点ほど承りたいのですが、B52、これはさっき、事前協議と国内法の洗い直しについてという言い方をいたしましたが、再三、私、質問してきておりますので、中身は全部わかっているのでありますが、だんだん外務省の言うことなどもワクが拡大をされてきている。つまりB52が沖繩の嘉手納の飛行場に発着陸をすることについてです。  そこで承りたいのですが、五月二十日の例の三機来たときには、気象条件、これが中心であった。そして最後に兵員の休養というようなこと。その中間に補給、こういう問題があって、天候は悪くないじゃないかと言ったら、いや補給だと、こうなった。これは現場の上原代議士が当時折衝いたしましたが、現場でそういう回答でございました。悪天候というけれども、悪天候じゃないじゃないか、いや補給なんだ。その場面では、KC135の空中給油にしても、あれは空だから割り切った考え方をするといって、福田外務大臣が、事前協議の対象にならぬ、こう言った。割り切ったって、どこが割り切ったと言ったら、外務省が割り切った。外務省が割り切ったって、国民が割り切らなければ困るじゃないかと言って、どこから来てどう行くのだと言ったら、どうも西のほうから来たようでございます、東のほうに行くようでございます、西はベトナムでございまして、東とはつまりグアムでございます。つまり帰りだというのです。この委員会で問題になりましたね。  あのとき同僚委員から追及がありまして、戦闘作戦行動というものに帰りは入らぬか、そうだ。冗談言うな、行ったきり帰ってこない戦闘作戦行動があるかということになって、行って帰ってくるというのが戦闘作戦行動じゃないかということになった。これは時間をかしてくれ、事前協議というものはこう考えているけれども、時期を見て、米側とそこらを、国民の不安をなくすためにともかく詰めてみたい、こういうお話になった。それから今度二十六機やってきた。このときは台風避難。どうも台風避難というけれども、天候は悪くない。兵員の休養だという話が出てきた。今回またやってきまして、ここにございますが、八月四日の新聞でありますけれども、今回は兵員交代というのです。これは、青木さんおいでになりませんけれども、政務次官の話です。ところが、わがほうの川崎国際局長が、アメリカ大使館のシュミッツ参事官に会っている。このシュミッツ参事官の言い分は、アジアにはB52があふれている、いざというとき一番近いところは沖繩なので、そこにおりなければならぬ。そうすると天候でもなければ何でもないのです。これはアジアの、つまりフィリピンにしても、あるいはウタパオその他にしてもB52があふれている。いざというときにおりなければならぬ。そこにおりられないとすると、一番近い沖繩になる。それなら沖繩基地をB52はそのために使うということになる。しかもほんとうの意味の兵員交代なら、直接戦闘要員が沖繩にあるいはいるのかもしらぬということになる。これはあと皆さんは一生懸命訂正をして、B52おのおのの中に副操縦士なんかもいるから、そういう交代だ。そんなことは理屈にならぬのです。つまりだんだん沖繩にB52がおりてくる理由というものが拡大をされてきている。たいへん複雑な理由があるのでという話が、外務省から最後は出てきている。一体ほんとうのところどういう理由だと皆さんお思いになるのですか。そこで、どういう理由なのかということと、こういうふうに理由が次々に拡大されてきているのを一体どう考えておられるのか。  二十六機も来るようになっていると、将来も来ないとは言えない。これから台風シーズンに入るからしばしばおりるだろうなんて、のんきなことを政府に言われてはかなわぬという現地の事情もある。つまり事前協議というものをここで洗い直さなければならぬだろうと思っている。福田さんもそれに類することを言った。竹下さんもそれに類することを言った。とたんに外務省にがしゃんとやられて、だいぶ後退して、外務大臣と二人来て、ここの席上でたいへん微妙な答弁をなさった、そういう経緯がある。大平さんになられて、まさに決断と実行じゃございませんが、どういうふうにお考えになりますか。大平さんあまり知り過ぎているから、質問しかねるのだけれども
  123. 大平正芳

    ○大平国務大臣 最近のB52の嘉手納基地飛来の問題につきまして、いま大出委員から、必ずしも天候にかかわりがないじゃないかとか、あるいは兵員の休養または交代のにおいがするじゃないかとか、それから、だんだん飛来が定型化の傾向をたどっていはしないかというような御指摘があったのでありますが、私がこの問題につきまして究明いたしましたことと、いま大出委員が御指摘になられたこととは、相当事実認識に違いがあるように思います。私どもは、緊急事態とやむを得ないという場合の飛来につきましては考えなければならぬと考えておるのでございますが、そのワクをいろいろな角度から検討してみたのでございますけれども、これを踏みにじった行動が米軍によってとられておるようには理解していないのでございます。  たとえばグアムの天候が、日航機が離着陸できるような天候であったにもかかわらず、あの天候状況のもとで一部B52がグアムに着陸しないで嘉手納に来たということは、一見非常にふしぎなように思うのでございますけれどもあとでよく調べてみますと、これはもう大出さんがよく御存じの上での御質問かと思いますけれども、グアムの周辺に台風があった。したがって、日航機の離着陸はできましても、ベトナムから帰ってまいる通路において台風が存在しておったという事情から推しまして、グアムに十分着陸できるにもかかわらず嘉手納にわざわざ来たというようには、私どもは理解していないのであります。  それから、兵員の交代とかいうようなことが、一部新聞にも、外務当局から、どなたかの役所におけるお話し合いの中で出たという新聞があったのでございますが、私もあとですぐ調べてみたのでございますけれども、そういうことは外務省のほうからは出ていないのでありまして、兵員の交代とか休養とかで嘉手納を使うというような意思はアメリカも持っておりませんし、そういう場合に私どもが黙っておるつもりはないわけでございます。ただ、天候等、緊急やむを得ない事態とわれわれが申し上げておるのは、わざわざ等ということを言わざるを得ないのは、これはエンジンのことでございますから、いつどういう時期に故障が起こらないとも限らない。あるいは給油が不成功に終わるというような場合も、人間のやることでございますから、たまにあり得ることだと思うのでございまして、そういう場合、真にやむを得ない場合だけに限ってのことと理解しておる。  いわんや、これがあなたが御心配になられておるように定型化するというようなことは、国民感情から申しましてももとよりでございますけれども、われわれ外務省の者といたしましても、そういうつもりは毛頭ないわけでございまして、それは私、着任早々でございましたけれども、米大使をお招きいたしまして、その点、念のために申し上げましたが、それに対しまして、米大使におかれましても、その点心得ておる、定型化するようなつもりは毛頭ないのだということでございますので、このB52の嘉手納飛来に関連いたしました一連のプロセスをずっと検討いたしまして、私としては、特に軌道をはずして拡大したとか、定型化への歩みを踏み出したとかいうような事実は発見されないのでありまして、その点、御理解をいただければしあわせに思います。
  124. 大出俊

    大出委員 これでおしまいでございますが、二十六機も一ぺんにエンジントラブルが起こるはずはありません。そうでしょう。二十六機も一ぺんにエンジントラブル、事故が発生することはない。幾ら悪天候下の偶然であっても、そういうことはないはずであります。たとえば六機が来て、六機が六機ともエンジントラブルだということはない。たとえば三機編隊が飛んできて、いずれもエンジントラブルだということもない。エンジンの故障ということなら、一機くらいふらふらと来るということはあり得ても、編隊を組んでいる三つなら三つが、全部エンジンが故障することはない。そう考えなければならぬでしょう。  だから、兵員の交代、それは理由にならぬとお認めになったですね。休養、これも問題にならぬ、だめだとお認めになった。そうすると、台風避難等という複雑な事情、緊急な事情ということの中に明確に出てきたのは、エンジントラブルなんですね。エンジンのことでございますから、事故はある。そうすると、いまのお話では、ほんとうの台風避難とエンジントラブルということになる。  つまり私は結論として言いたいのは、事前協議の論争をどこかでもっとしなければなりません。なりませんが、国民感情として、このベトナム戦争をながめて、B52が果たしている役割り、あるいは堤防を爆破したり、アメリカ国内でも反対の世論が強いわけでございますから、まして日本人がそう思うのはあたりまえであります。戦車の問題でもそうであります。ベトナム戦争に相当な人的な被害が出ている、無筆の老若男女に至るまでたいへんな被害が出ているという悲惨な現実を知っている日本人が、その意味で、何で一体ベトナム戦争にそこまでの協力をしなければならないのかというのが根底にあるのですよ。人間の根底にある。そこから出てくる問題が数多い。だから、そこのところをお考えになって、どういうふうにアメリカとの間で話をきめるかということ。何となくやってきちゃったのだからしようがないという、なしくずしのいまのあり方というものは、どうあってもこれは直していただかぬと……。絶対にこれは沖繩に来てもらっちゃ困るということです、沖繩の県民を含めて。だがしかし、政府の側で、少しでも説得力ある、納得し得る、そういう態度をおとり願いたい。内閣もかわったのだし、そういう意味で、何かそこにアメリカ側ときちっとしたものを、これは違反だぞという前向きのものをお出しになる必要が私はあると思うのですが、検討なさるお気持ちはございませんか。
  125. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ベトナム戦争に対してわが国はどういう態度をとるかということは高度の政治の問題でございます。私ども政府といたしましては、いまありまする安保体制を適実に運用してまいらなければならぬといういわば責任を持っておるわけでございまして、その場合、しかし国民感情を無視してやっていいというように、私どもは毛頭考えていないわけでございます。さらばこそ、ただいま日米間で了解がある事前協議のフレームの中では、当然アメリカ側にとりまして権利として留保されておる領域に対しましても、沖繩をはじめ日本国民の国民感情を十分御勘案いただいて自制をしていただくために最善を尽くしておるわけでございまして、そういった点にまた米側も相当の理解を示していただいておると私は思うのであります。で、大出委員から言われますと、いや、まだそのやり方はなまぬるいという批判は私はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、そういう意味で血も涙もある行政をやってまいらなければならぬと考えて、一生懸命に対処をしておりまするし、今後もそうしていくつもりであります。
  126. 前田正男

    前田委員長 次に伊藤惣助丸君。
  127. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いままで同僚委員から相模原の戦車の輸送問題で質問がありました。私も、これはたいへん重大なことでございますので、政府の見解を伺いたいと思います。  いままでの議論で明らかなように、国内法を尊重する、これはいまさら言うまでもなく、三十五年の六月十二日の参議院安保特別委員会で当時の林法制局長官がこのように言っております。合衆国軍隊も、日本にある間において日本の法令を尊重すべきであることは当然である。さらにまた、地位協定の第十六条に明確にこのことは書いてあります。「日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である」、このようにいわれております。したがって、本来ならばいまさら問題にするものではない。しかし、今回の勇気ある人々の実力行動によって、初めてこれが取り上げられ、Uターンした。聞くところによれば、この七年間に二千回もの国内法を破って運ばれてきた、こういう事実があるわけであります。日本の法律を尊重し、そしてまた、いままで外務大臣はじめ防衛庁長官からの答弁がありますとおり、今後この問題についてはアメリカに厳重に注意を喚起していくということはわかるのでありますけれども、それではこの七年間に二千回にも及ぶというような日本の国内法を破ってやってきたことについては、政府としてはどういう認識をしているのか。わかっておって認めておったのか、野党が言わないから。全く知らなかったのか。その辺はいかがですか。
  128. 橘正忠

    ○橘説明員 道路法の関係は、どちらかといいますと建設省の主管でございますが、建設省帰られたようでございますので、かわってお答え申し上げますが、特に道路法の重量の関係が制限がきびしくなって、特に一定の重量を越えるようなものについては道路管理者の許可を要するというふうになりましたのが、ことしの四月からでございます。その前は、重量物運搬についての規制といいますか、そういうものが、四月以降に比べますと比較的ゆるやかであったという点はあったかと思います。したがいまして、その辺で四月以降の変わった事態における国内法令ということの認識というものが、先ほどここでの話もございましたように、十分徹底しておらなかったという点があっだかと思います。したがって、そういう意味において、本件は前向きに処理をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
  129. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 あなたのおっしゃることは、要するに重量制限という面からいえば、確かに道路法が四月に改定になっていままでの届け出制から許可制になった。そういう意味で許可をとらなければできなくなった、だからとおっしゃいますが、しかし、戦車輸送については、信号無視、スピード違反、これがあったじゃありませんか。その点について警察は、一回、二回ならともかく、数回ならともかく、二千回にも及ぶというようにいわれているわけです。そういう点についてどういうような認識をしておったか。警察庁の方から……。
  130. 池田速雄

    ○池田説明員 道路輸送の実態につきましては、残念ながらよく把握しておりませんが、今後十分に把握してまいりたいと思っております。
  131. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務省に伺いますが、要するにこういう事例というのは、さがせば幾らでも今後出てくる問題だと私は思うのです。沖繩が返還になりましたけれども、沖繩が返還になっても、いまだに米軍はいままでと同じような基地の使い方をしている事実もあります。  質問の順序でいろいろ伺っていきますけれども、やはりこういうことについては、一つは、今後は日本の法規は完全に守る、これをまず外務省なりあるいは施設庁なりから米軍に申し入れるべきじゃないかと思うのです。その点はいかがですか。
  132. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほど大出先生からの御質問の際に御答弁申し上げましたように、これは最近の事象でございますが、信号を無視したというようなケースもございましたので、先ほど申し上げましたところでございますが、六月二十八日の日米の合同委員会でも、あるいは七月三日の日米間の安保についての事務的な随時の打ち合わせでございますが、その機会にも、米側に事実を指摘してその注意を喚起したという事例がございます。過去において千回とか二千回とかいう数字もあるようでございますけれども、私どもその事実は、十分確認はそのつどはしておりません。そのつどそういうことが起こったとも思えませんが、いずれにしましても、最近、特に信号を無視したケースについては、申し上げましたように、米側の注意を喚起し続けておったということでございます。今後よくこの点も米側の協力を得たいと思っております。
  133. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 米側に注意を喚起し続けておったというけれども、じゃアメリカは聞かないでいままでのように繰り返してきた、こういうことですか。
  134. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、向こう側も新しい規則が十分末端まで徹底してなかったというようなこともあったかと思います。したがいまして、こういうことが契機となって、一そうこれが米軍内部にも徹底をするということになろうかと私どもは期待しております。
  135. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ですから、もし今後、注意を喚起し続けながらも、そういう規則を守れないときには、警察庁あるいは道路管理者の側からきびしくそれを取り締まり、そして違反行為としてどんどんやるということにもなるわけですが、警察庁はどういう考えなのか、その点も伺っておきたいと思います。
  136. 池田速雄

    ○池田説明員 その辺の順守につきましては、中央の段階だけでもございませんで、地方のそれぞれの段階におきましても強硬に申し入れをやっておりますので、今後も、具体的な事案を踏まえまして、そのつどさらにまた警告等をいたしまして、必ず順守させるようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  137. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 基本的な問題ですが、国内法尊重ということばをおっしゃいましたが、これは古い問題かもわかりませんが、やはり憲法と国際条約の関係がまず大事になってくるわけですね。米国は安保条約上の義務をどこまでも日本政府に要求する。それは、日米間にあって地位協定の五条の取りきめ、あるいはまたよく見ていきますと地位協定の三条にありますね。そして地位協定の三条の中で、日本国政府は施設及び区域の問題について、「合衆国軍隊の要請があつたときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範囲内で必要な措置を執るものとする」、こういうところも実はあるわけですね。ですから、こういう一つの根拠法によって向こうが要求し、また、わがほうにおいても協力をしているということだろうと私は思います。  ただ問題は、たとえば国内法規にある、あるいはない、そういうことに関係なく、安保条約上の義務でどんなことがあってもやらなければならないんだ、どんなことがあってもそれを米軍は行使する権利があるんだということで、今回の米軍のトレーラーの輸送も実はあったと思うのですね。ですから私は、この件について先ほどからの質問は繰り返しませんけれども、今後は断固きびしい姿勢で対処するという方向の答弁でありますので、これはもちろんやるべきであろうとは思いますが、ただ問題は、常に国内法規に優先して国際条約はあるんだという考え方が外務省にありますと、今後もこういう問題が起きてくるということなんです。その点では外務省はどう考えておりますか。
  138. 橘正忠

    ○橘説明員 一般論はさておきまして、たとえば、いま例として先生御指摘になりました地位協定の第三条でございますが、その第一項の中に「施設及び区域に隣接し」云々というところがございますが、それも「関係法令の範囲内で必要な措置を執る」ということがございます。したがいまして、日本の関係法令という、わがほうの政府のとり得る措置の範囲というものが明記されております。そういうわけで、条約というものが直ちに国内法と抵触するという問題でなしに、この場合では明らかに、関係法令というもの、その範囲内でございますということが明記されてございます。違ったケースの場合でも、一般的に、今度のような場合でも、地位協定上、移動する権利というものは認められておるが、それを実施する態様については国内法令を尊重しながらやってもらう。  それから、問題になりました国内法令といいますのも、今度の場合は手続的にまずちょっと問題があったということでございますので、手続については国内法令にのっとった措置をやってもらうということを徹底したいと思っております。その関係の国内法令の内容については、いろいろ裁量権の問題もございますので、これはその範囲内であれば、国内法に実質的には沿った措置ということになる点もあるかと思います。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 その議論を進めますと、それだけでも時間を終わってしまいますから、この国内法の範囲とはどういう法律をさすのか、また裁量権についてはどういうふうに政府は考えておるのか、これはまた別な機会にじっくりやりたいと思います。  いずれにしても、現在の米軍との関係において、たとえば、横田基地であるとか、北富士演習場の問題であるとか、いろいろ現在契約が切れまして問題になっております。しかしながら、その契約が切れたからといって、すぐにそれが、日本の国内法で言うならば、本来ならば自動的に、地主とか、あるいはまたその権原を持つ国や都に返還されるべきなのに、実態はそうではない。このことはやはり、条約上の義務が国内法に優先しているという考えがあるからこそ、契約が切れても、何となくいまのようなあいまいな、話し合い中であるというような実態になっているのではないか、こう私は考えざるを得ないわけであります。  そこで私は、戦車を日本において修理をしたり、または日本国内から、そういうふうに、国内法を無視しながら、または住民の感情に刺激を与えながら輸送する、こういうことはもう根本的にやめるべきだという立場です。しかし、そうは言ってもなかなか政府の立場はそうはいかないでしょうから、私は政府の土俵の中でいろいろ話をし質問をするわけでありますけれども一つは今後考えられることです。たとえば、どうしても米軍はノースピアからベトナムに戦車を運ばなければならない、しかし、道路管理者である横浜市、あるいはまた車両制限令によってあの村雨橋を渡れないということになりますと、どんな方法を考えて日米間の協力をしようとしているのか。その方途については具体的にどんなことが検討されているのか。まずそれを伺いたいと思います。
  140. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほど外務大臣より御答弁ございましたように、米側の安保条約上の立場、また同時に安保条約をわが国政府としての立場から実施する、こういう立場、それから国内法令の関係、それらを勘案いたしまして、その調整をはかりつつただいまいろいろな可能性は検討しておりますが、その内容についてはまだ申し上げる段階に立ち至っておりませんので、御了承をお願いいたします。
  141. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 幾つかの内容を、新聞などは四通りも五通りもあるというふうにいっているのでありますが、建設省道路局長に伺いますが、先ほども聞きましたけれども、この村雨橋の問題ですが、大体、戦車というのは四十六・七トンですか、トレーラーが二十トン、合計六十六・七トンという重量のものですね。しかし現在は二十トンに耐え得るそういう道路の整備を一般的にしているということですね。そうしますと、たとえば、修理、補強をしてそれが輸送可能な状態になるためには、どのぐらい時期がかかるのか。あるいはまた、今後、道路管理者としてこういうことを、合法的であれば建設省としては認めるのか。その点について見解を伺いたいと思います。
  142. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 いま御指摘のとおり、通常の道路は設計荷重二十トンということで、二十トンといったものにつきましては十分に通行できるということになっております。ただ、御承知いただきたいのは、二十トンを設計する場合には、橋の上に自動車がびっしり並んだ状態でもってフル荷重で計算しております。したがいまして、二十トンをこえるものにつきましては、そのつど申請いたしまして、チェックいたしまして許可しておるわけでございます。たとえばトレーラーみたいなものになりますと、先ほど横浜市が約四十六・九トンでございますかまで、対雨橋につきましては許可するような方針を出しておりますが、トレーラーというのは車軸の間隔が長うございます。すなわち車輪との間隔がございます。したがって分布する荷重が違います。それをそれぞれによってチェックいたしまして、そういう荷重になるわけでございます。ちなみに、この橋は昭和三年に架設されておりまして、設計荷重は大正十五年の設計基準になっておりますので、かなり古い橋でございます。おそらく、先ほどの線はぎりぎりだと私は思います。  技術的に申しますと、それだけ疲労が早くなりまして、寿命が短くなってまいりますが、それは目に見えておりませんのではっきりわかりませんが、また、もし万一事故があるかないかの保証は、ちょっとできないわけであります。そういうふうな状況になっております。  いま御指摘の件につきまして御説明申し上げますと、どのくらい補強にかかるかと申しますと、私も詳しく現地を知りませんし、また詳しく事情を聞いておりませんけれども、全部やりかえるということになりますと、やはり完成まで一年とか長い期間になりますが、単なるピアを補強する、中間にささえるものを置きましてさらにスラブを補強するということになったら、あるいは数カ月でいいかと思います。それにつきましては、現地に即して調査してみないとわかりません。
  143. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、私たちもそういった点について検討をしましたけれども、たとえば、あるコースを通らないで横浜へ出るとか、またほかの道を通って横田に行くとか、いろいろ考えてみたわけでありますが、なかなかこれがむずかしい問題で、そういう実際の実態が明らかにならない以上は、政府としては米軍に対しても協力ができないということではないかと私も思います。  それはそれといたしまして、問題になりますのは、先ほどから言いますように、一つは、やはり国内法と条約の関係の上において、それはどこまでも条約上の義務、これを優先して考えているのか。あるいはまた、どこまでも国内法というもの、憲法というものを優先に考えているのか。基本的な問題、それを伺っておきたいと思います。いかがですか。
  144. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほどの繰り返しになりまして恐縮でございますが、この場合も、あるいは先ほど御説明申し上げました地位協定の条文などを見ましても、いきなり国家間の条約が国内法と抵触する云々ということではなくして、ただいま具体的に起こっております問題は、そういう条約関係におけるいろいろな認められた事項について、これを国内法令の関係の規定というものと調和させながら調整させて、これをどうやってやっていくかということに、ただいまの具体的な、かつ基本的な問題があるのであろうと考えておりますので、条約には明らかに国内法の範囲内ということが書いてある場合もございますし、そうした意味で、両者の調整をはかって実施していくことが当面の問題と考えております。
  145. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、どこまでも国内法を立てる、それを考えていくということになりますと、一応国内法というものを優先に考えているように私はとるわけですけれどもね。ただその場合、どうしても国際上の義務を果たすために、今度は特例を設けて逆に、車両制限法ではなくほかのものを便法として考えて、国内法的に合法化しようということがいわれておりますが、その点はどう考えておりますか。
  146. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 米軍だけ車両制限の上で特別扱いをするかどうかという御質問でしたら、そういうことはいたしません。
  147. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 ほかに方法を考えておりますか。
  148. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 補強して通させる以外にないと思います。
  149. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それじゃ横田基地の問題ですが、施設庁長官に伺いたいのですけれども、これは契約が切れたわけですね。横田基地の中にある東京都の水道の通っているところですが、どういうことになっているのですか。
  150. 高松敬治

    ○高松説明員 横田基地の飛行場の中の東京都有地の問題だと思いますが、これにつきましては、本年二月に東京防衛施設局長から東京都に使用許可の申請を行ないました。それに対して八月五日、東京都から、「四十七年度以降許可できませんので通知します」、こういう文書が参っております。
  151. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そのとおり東京都が言った場合には、施設庁としてはどういうふうに考えていますか。
  152. 高松敬治

    ○高松説明員 これは、横田の基地、滑走路も含めまして、そこに水道管が地下十数メートルのところに敷かれている、その上の土地が東京都の土地であるということでございます。私どもとしては、この水道用地が飛行場の中にあるために水道を通すのにたいへん支障があるんだ、こういうふうなことはないように思われまするし、それから東京都が、どういう理由で許可ができないと、こうおっしゃるのか、まだよくわかりません。そこで私どもとしては、当面、再度東京都に対して使用の許可をお願いするということで、さらに交渉を進めてまいりたい、かように思っております。
  153. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは美濃部都知事が、東京都にある米軍基地については再契約は基本的にしないということを都議会で発言しているわけですね。そういう基本的な理由があるわけですよ。そして、横田基地に限らず、たとえば山王ホテルであるとか、ほかに幾つかの基地がありますね、そういうところの契約も実は拒否しているわけですね。これに対して、報道によりますと、施設庁は、たとえば東京都が訴訟を起こしても受けて立つ、こういうふうにおっしゃっておりますが、そういう考えはあるのですか。
  154. 高松敬治

    ○高松説明員 私どもとしては、都と国のことでございますし、あくまでも話し合いで解決をはかってまいりたい、かように思います。  それから私どもとして、たとえば自治法による異議の申し立てをしようにも、理由がわからなければこれは非常に困るわけでございます。したがいまして、そういう点についてどういう点でお因りなのか、どういう点で東京都は不許可ということをお考えになっているのか、その辺もいろいろ伺いまして、また御相談しましてあくまでもやっていく。私がそういうことを申しましたのは、東京都のほうで、場合によっては何か明け渡し訴訟を起こすんだという、新聞社の人がそういう話を聞いてまいりました。そこで、そういう明け渡し訴訟を起こされたらどうするかと言われますから、私はそういう訴訟を起こされれば、私どもとしては、これは受けてやるよりしようがないということを申し上げた。たてまえとしては、あくまでも話し合いでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  155. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 東京都の考え方は、もう米軍基地というものを東京都に置くべきでない。非常に狭いところに、世界一の過密化という中で、非常に公害の問題で困っているわけですよ。そして横田基地に行くと非常に緑が多いし、羽田飛行場の二・七倍も広い土地を使って、極東最大の基地に使われている、それは好ましくない、そういう立場からすでに東京都は表明しているわけですよ。ですから、あなたのいまおっしゃるように、どういう理由だかわからないと言われても、そういうことをすでにおっしゃっているわけですから、当然これは大きな問題になるんじゃないかと思います。  そこで私は、防衛庁がいま、この基地の問題について、別に基地問題の対策委員会のようなものをつくられたようでありますけれども、こういう際に、都会にある基地というものの扱い方、またその基地については、これはもう地方自治体に今後はまかせて、そして返還させる、縮小させる、こういうことが非常に大事じゃないかと私は思うんです。その辺にいきますと話はずれますから、私はそれ以上はまた別の機会に申し上げます。  いずれにしても、横田基地に限らず、ほかの基地についても返還要求される。特にまた北富士の問題についても、現在、契約が七月二十八日に切れている。しかも、これもいまだに話し合いがついていない現在、どうするのか。これについて、防衛施設庁はいろいろなことを言っておるようでありますけれども、最終的には強制収用といいますか、条約をたてにとり、あるいはまた、いろいろ強い態度を示しているようでありますけれども、こういう基地の再契約に対して、高松長官の基本的な考え方について伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  156. 高松敬治

    ○高松説明員 基地の整理統合につきましては、防衛庁としてもすでに対策本部を発足させております。防衛施設庁としても一つの対策本部を発足させておりまして、現在いろいろ検討いたしております。  それから東京都では、そういうことでだめなんだ、こういうお話でございますけれども、条約を順守するということは憲法に定められておることでございます。この点につきましては、国だけではなしに市町村あるいは都道府県というものも、条約というものはやはり順守すべきものであろうと思います。そういう点からいきまして、東京都なり山梨県なりというものの御協力を得ることは、全く不可能だというふうにはとうてい考えられません。いろいろ話し合いを進めていって、何とかそこに一つの妥結点を見出してまいりたい、北富士のほうもそうでございますけれども、そういうふうに考えまして、私どものみならず、防衛本庁としても、あるいは内閣としても、その問題を取り上げて目下折衝を続けておるところでございます。
  157. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これも、今後またたいへん大きな問題になるのじゃないかと思いますが、いずれにしても、政府とすれば、条約上の義務を果たすために、住民感情を無視し、日米関係の親善にひびの入るような、そういう措置だけはとるべきでない、私は強くその点を指摘しておきます。  ところで、外務大臣に伺いますが、先ほどの例から申し上げましても、国内法を破ってスピード違反、あるいはまた重量違反でもっていままでこういう輸送がなされてきた。同じような意味で、沖繩が返還になって、私は一番この点を問題にしたいのでありますけれども、いままで使っておった軍用地が国土になります。嘉手納周辺には県道一号線と十六号線が走っております。そして知花弾薬庫と嘉手納基地は県道をはさんであります。十六号線によって分断されております。しかし米軍は、ミサイルのたま、あるいはまた大量の爆弾を、県道十六号線を軍のパトカーで遮断していつも輸送しているのです。こういった点については、どういうふうに政府としては御存じですか。
  158. 大平正芳

    ○大平国務大臣 いま伊藤委員から、沖繩における県道の交通状況、それと交通規制との関連がどうかという御質問がございましたが、これは、本来まず警察当局によりまして処理されるべき案件で、警察当局で所要の措置がとられるべき性質のものだと私は思います。米軍といたしましても、基地を置いておる以上、その地域の住民の理解と協力がなければ輸送し得ない状況であることはよく承知しておると思うのでございまして、そういう案件につきましては、まず警察当局で所要の措置がとられてしかるべきものだと私は考えます。
  159. 池田速雄

    ○池田説明員 ただいまの御指摘のお話でございますと、一般的に考えてみますと、道路を通常の状態で走行する場合になりますと、一般のルールに従う、こういうことになると思いますが、そういう特殊な使い方でございますと、特別使用というふうな観点になろうと思います。特別使用ということになりますと、道交法の規定によりまして、公安委員会の許可が要る、こういうことに一般的に相なっております。もしそういったような事態でございますと、やはり公安委員会のほうで何らかの措置をいたしまして、交通の安全を確保しながら、そういったような、一般交通あるいは特別交通と申しますか、特別な道路の使用形態との調和をはかってまいる必要がある、こういうふうに考えております。
  160. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう時間がない、時間がないと言われておりますので、非常に質問がとぎれとぎれになって申しわけないのですが、いま私が申し上げた点は、県道をいま米軍は遮断して使っているわけです。これはいままでも使っておりました。返還後の現在も、もうわれわれが行っても完全にシャットアウトですよ。その使うことが、あなたのおっしゃるように、公安委員会の決定というならば、そういう決定があって使っているのかということです。いかがですか。
  161. 池田速雄

    ○池田説明員 御指摘の事案につきましては、まだ私どものほうで資料を持っておりません。至急に調査をしてみたいというふうに考えております。
  162. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、私の調査では届け出していないのですよ。それこそ、知花弾薬庫、これは一番大きい弾薬庫ですが、県道十六号線をはさみまして、嘉手納飛行場にしょっちゅう弾薬を輸送しています。昼といわず夜といわず。そのときは自動的にMPが立ちまして遮断されるのですよ。これは相模原の戦車輸送と同じように、もう日本の国内法を全く一方的に無視してやっているのが事実じゃありませんか。私が先ほど言ったように、戦車だけじゃない、そういうことなんですよ。     〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 あるいは辺野古地域にある米軍の海兵隊が、日本の車をシャットアウトしながら、演習場のかわりに集団行動しているじゃありませんか。だからこういう国内法の無視の姿があるということですよ。私はもう時間がありませんから、それ以上申し上げませんが、それは早急に調査の上、国内法を尊重するというならばきびしく取り締まっていただいて、そして沖繩の県民を守っていただきたい。強く要望しておきます。  それから、ハワイにおいて九月ですか、日米会議が行なわれますね。新聞によりますと、日米安保については協議しない、こういう話が載っておったようでありますけれども、沖繩国会または六十八通常国会においても、事前協議の問題、あるいはまた米軍のベトナム戦争への協力の問題、第三国による戦車、兵器の修理の問題、これが数多く問題となって指摘されているわけですね。そして福田外務大臣は、満身創痍だ、そう言いながら、国会が終わったらなるべく早い時点で、日米間において、この安保の問題、特に運用の問題については協議すると言っております。われわれは、それをいつやるのか、いままで関心を持っておりましたけれども、何回かの通常の日米協議はやっているようでありますが、しかし、国会であれだけ問題になった、われわれが指摘した点についての協議は行なわれていない、こう私は思わざるを得ないのであります。  そこで、外務大臣も一緒に同行すると思いますけれども、この安保の問題をめぐっては、たとえ合法的とはいえ、安保条約の一つのワク内とはいいながら、沖繩の県民感情をいたずらに刺激し、あるいはまた、日本本土の補給廠近くに住む住民の感情を刺激するような、そういう関係においての基地の提供は好ましくない。そういう点で、こういった問題を前向きに外務大臣から協議していただきたい、私はこう思いますが、その点、外務大臣いかがですか。
  163. 大平正芳

    ○大平国務大臣 来たるべき日米首脳会談におきましてどういう問題を議題にするかという点は、いま日米間で協議いたしておりまして、まだ最終的にきまっていないのであります。しかし、限られた時間帯の中で行なわれる会談でございまして、こまかい技術問題に入る余地はないのじゃないかと私は考えておるわけでございますが、問題は、やはり御指摘のように、日米間の信頼基盤がちゃんとしていないと、すべての約束ごとがうまくまいらないばかりか、両国にとりまして不幸なことでございますので、御指摘のような点は、私といたしまして十分心して会談に臨みたいと考えます。
  164. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最後に一問。沖繩における米軍の問題については、公安委員会ではっきりと許可をする、あるいは、しない限りは弾薬の県道横断は認めるべきじゃない、私はこう思いますが、いかがですか。その点を伺って終わります。
  165. 池田速雄

    ○池田説明員 実情を早急に調べまして、御指摘のような点がございましたら、善処するようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  166. 前田正男

    前田委員長 次に、和田耕作君。
  167. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今回の横浜に起こりました事件、ベトナム向けの戦車を輸送するという事件なんですけれども、けさ大出委員からも詳しい質問がございました。私それを聞いておりまして、これは非常に重要な事件、特に新しい内閣ができたという段階で、非常に重要な問題を持っている事件だという感じを深くしているわけでございます。政府各省の関係官の方々は、今回の問題が、アメリカ側が日本の国内法を無視あるいは軽視したという点について遺憾の意見を述べると同時に、何らかの形で反省を求めたいという御意向の御答弁のように承っておるわけでありますけれども、これはぜひともひとつ、新しい段階に立って、新しい気分でその御意見を実行していただきたいと思うわけです。  先ほど来の質疑の中で、二つだけ問題を指摘しておきたい点がありますので申し上げたいと思うのですけれども大出君の話で、村雨橋は四十六・九トンの重量の制限、しかもこれは最高の点まで認めた場合の制限だ。そして建設省の係の方は、私もそう思うということだったのですね。しかもこの市からの通告は、防衛庁のほうに二週間も前に出されておるわけですね。つまり四十六・九トンというものが最高限度だとする。トレーラーに載せたタンクが七十トンだという。これを本気に防衛庁が受け取っておれば、明らかにたいへんな事故を起こす可能性があるわけですね。つまり、本気にその横浜市長の提案を受け取っていないから、そういう問題が不問に付せられたと同じような結果になってしまった。これは私たいへん重大な問題だと思うのです。私、このうちで四十六・九トンという問題について、政府がその実態を調べたかどうか質問したいと思ったのですけれども質問する前に、伊藤君の質問に対して建設省の道路関係の人から、私もそう思う、これは最高限度だと思うということを聞きまして、特にその感を深くするのです。そういうふうな重大な問題を含んでおるのに、従来からのアメリカとの交渉においては、まあ言うことは聞かないからしようがないというふうな感じ、その惰性がずっとある。これは肯定しているわけじゃないですよ。それは日本国民だれしもそういう感じがする。そういう惰性があり、そういう気持ちがあるから、こういう問題を不問に付したと同じような取り扱いになったということじゃないかと思うのです。  そういうふうな意味で、内閣もかわり、国際状態も大きく変わった現在において、日米間の問題、特に安保条約関係の問題、基地協定の問題等については、ひとつ神経をとがらして、いい意味で身がまえをして当たっていただきたいと思うのです。特に外務大臣はその責任の立場におられるわけでございまして、この点は特に要望しておきたいと思います。  それから第二の問題点は、四月に道路法の改正が行なわれたその段階で、六月の八日に日米合同委員会で外務省のほうからこの問題を指摘した。七月の三日の日にも、合同委員会ではないけれども、それに準ずるような会合でその問題を外務省として指摘した。最初の場合は返答がなかった。あとの場合は承知しましたということだったのですけれども、こういう重要な問題を含んでおることには、私はもっと外務省として確答を得るべきだと思うのです。指摘したけれども、何ら返答なしにそのまま問題を置いておくという態度はいけないと私は思うのです。そういうふうな従来からの惰性という問題、これは日本国民だれしも多かれ少なかれ持っておる惰性というものがあるということですね。幸い今度はああいう抵抗を市民——市民とは言えないかもわからないけれども、抵抗があった。それでこういう問題が出てきたわけですけれども、事故があったらどうします。しかもこれは、そういうふうなことを起こさす要因を持っているわけです。  そういうことで、特に外務大臣、そういう問題を踏まえて、日本とアメリカとの従来までの隷属的な心理状態、それは確かにあったわけです。そういうふうなものがあったということが前提になって、これを直そうというのがいまの外務大臣の大きな任務なわけですから、今後ともぜひともひとつこの問題を真剣に取り上げていただきたいと思うわけでございます。  そういうことで、先ほどもありましたように、たとえば相模原にはアメリカの戦車がおる。これはベトナムの戦場で使うことが必要であるということですから、何らかの方法でこれはベトナムの戦場に送らなければなりません。これを送らさないということもできますけれども、これはいろいろな点からぐあいの悪い問題があるかもわかりませんが、送る場合にも、いまの特例法を設けるとかなんとか、そういうふうな事務的なあるいは便宜的な方法ではなくて、やはり日本の独立国としての立場がしっかり立つような、しかもアメリカとは友好関係にあるのですから、何もかもアメリカをチェックするということは適当でないでしょう。そういう方法を見つけ出していただきたいと思うのです。  そこで外務大臣、先ほど橋を補強しなければしかたあるまいという御意見もあったのですけれども、そういう問題について、アメリカの大使とすでにもう接触を始められておりますか。
  168. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事務当局がいま大使館当局と接触いたしておりまして、私自身はまだいたしておりません。  それから、いま和田さんの御指摘の中で私が心配いたしますのは、安保条約の運営にあたりまして国内法との抵触が出てくる。それを文字どおり厳格にやること、これは大事なことだと思うのでございますが、実際は双方の話し合いによりまして円滑に運営してまいって、国内におきましても、中央、地方を通じましてお互いに理解を持ってやることが一番望ましいと考えておるわけでございまして、問題を権利義務という非常にかわいた世界の問題にして、ぎしぎししてまいりますと、これは安保条約の運営自体たいへん心配になってくるわけでございますので、先ほどからも申し上げておりますように、安保条約上のわれわれの責任と国内法の順守との間をできるだけたんねんに調整いたしまして、お互いに意地っぱりにならぬように、権利だ義務だということにしないように、そういう方向で問題を解決しなければならないのじゃないかと私は考えて、せっかく時間をかしていただいて努力してみようと思っています。
  169. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いや、お気持ちよくわかります。ただ、先ほどの伊藤君の最後の質問にあったように、今度ハワイでニクソンさんとお会いになるということもありますけれども、やはりこの数年来の、特に昨年来起こっておる、事前協議の対象になるべきものが実際はなってはいない。しかし、問題になっているのは事前協議の対象にしにくいものばかりですね。戦場への戦闘部隊なり戦闘の機材が行く問題ですから、事前協議が非常にしにくい問題ばかりだと思うのですけれども、そういう問題が現実にいろいろ問題になっている。いまの戦車の問題もそういうふうなことのワクの中に入る問題なんですけれども、やはり今度のお話し合いの中では、事前協議というのを、三百代言のように、出るときは任務がなかった、洋上で任務ができたとか、そんなようなことではなくて、もっと効果のあるようなといいますか、実質的といいますか、そういうふうな意味の事前協議になるように、何らかそういうふうな事前協議の問題をアメリカ側と話し合いをすることが必要だと私は思うのです。佐藤内閣のときから、佐藤さんにも福田さんにもこの問題はしばしば述べてきたわけですけれども、何か一般国民から見ていると、わけのわからぬような、とってつけたような議論をしておるということは、これは全く政治に対する不信になるという感じがするので、そういうふうな状態にまで、安保条約のいろいろな項目が、特に事前協議の項目がなってきているということをお考えになっていただいて、事前協議の相互の理解、運用のしかたについて、ひとつ新しい条件のもとで話し合いをしてみていただいたらどうだろうかというようなことも思うのです。まあ時間がありませんから具体的なことは申し上げませんけれども、もっと別の機会に外務省の担当の方にも申し上げたいと思いますから、そういう問題を含めて、あまり無内容な答弁をしたり、私ども質問もしたくないしという、そういうことのないようにぜひともひとつ配慮をしていただきたい。  いまの戦車を送るということについても、できたら、アメリカのベトナム向けの戦車は、おるものは行くんだ、しかしもうこれからはお断わりだ、こういうような種類のお話し合いですね。いま直しているものは送るけれども、これからはもう日本へ持ってきなさんな、そういうふうな内容のある話し合いをしていただかないと、事前協議というものが空洞化してくると私は思う。そういうふうな配慮を外務大臣にぜひともお願いしたいと思うのです。
  170. 前田正男

    前田委員長 次に、東中光雄君。
  171. 東中光雄

    ○東中委員 最初にM48戦車の問題で聞きたいのですが、道路法の四十七条では、一項、二項で、車両制限令できまっている基準を越す場合には、道路を通行させてはならないという原則がうたわれております。しかもその目的は、道路の構造を保全し、または交通の危険を防止するため、直接国民の利害に関係する問題として法改正がされ、全面的禁止をやって、その上で特別な事情があれば許可という問題になるわけですけれども、今回の場合は、トレーラーとM48を含めますと約七十トン、六十七トンぐらいで、こういうものを申請なしにかってに運び出した場合は、国内法の解釈として建設省はどうされるのか。道路法上明白に許されないというふうになっているわけですが、建設省の見解を簡単にお聞きしたいと思います。
  172. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 道路法は米軍には及んではおりません。ただし、地位協定によりまして国内法を守る義務が米軍にあるわけでございますので、当然米軍からもこちらのほうに許可の申請をなさるべきものというふうに考えております。
  173. 東中光雄

    ○東中委員 そういうことを聞いているのではなくて、たまたま相手は米軍ですけれども一般の国民の場合はどうされるのかということを聞いているのです。
  174. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 基準を越えるものにつきましては、それぞれ道路管理者に申請をいたしまして、道路管理者が、その橋ごとにそれぞれの荷重の制限がございますので、チェックして、支障のないものにつきましては、特別に許可をいたしております。
  175. 東中光雄

    ○東中委員 申請もしないで現にやっている。四十七条の二項からいえば、申請をしないでそういうことをやった場合は、国内法関係でいえば明白な違法行為でしょう。その点、明白な違法行為だということをはっきり建設省としては認識されるのか、認識されないのか、そこのところを聞いているのです。
  176. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 そういう違法行為があった場合、道路管理者が発見した場合には、交通を取り締まる警察当局に告発いたしまして、警察当局のほうから取り締まってもらっております。
  177. 東中光雄

    ○東中委員 日本の国内法令の範囲内でしか、地位協定上も米軍は道路使用ができないわけですから、明白にこの適用を受けるわけですから、警察はこの問題について具体的にどうされたのですか。いま建設省が言っておるような違法行為が現に、白昼堂々でもありませんけれども、約四十八時間そこにとまっておったわけですが、何かされたのですか。
  178. 池田速雄

    ○池田説明員 行政的な説明につきましては、ただいま建設省のほうからお答えのとおりでございまして、措置そのものにつきましては、道路管理者のほうでおとりいただくということになっておろうかと思います。  それから警察の立場といたしましては、先ほどの御質問の趣旨でございますと、刑罰法令がついておるじゃないか、それの措置をしないじゃないか、こういう御質問の趣旨であろうかというふうに推測いたしますけれども、御案内のとおり、米軍の公務上の行為につきましては第一次的な裁判権はございません。したがいまして、要は法令を順守させるということが先決であろうかと思いますが、そのやり方につきましてはいろいろな方法があろうかと思いますので、当該の問題につきましては、米軍の現実に運転しております者は軍の命令によってやっておるわけでございますので、その命令者に対しまして措置をとるように、中央、地方等を通じて措置がされたもの、こういうふうに考えております。
  179. 東中光雄

    ○東中委員 明白な地位協定三条の侵犯であると同時に、国内法的にいえば違法行為を、国民の交通の安全なり、あるいは道路の保全なりをはかるための実力を持っておる警察が、結局は犯罪——現に犯罪であることは間違いないわけで、米軍に対しての裁判権が及ぶか及ばぬかということはまた別の問題ですが、そのまま放置されておったというふうな状態であったと聞かざるを得ないわけです。  もう一点、別の問題でありますが、六月二日に佐世保の米海軍針尾島弾薬集積所から三万三百キロの砲弾と薬筒五千キロ、火薬が相当たくさんあるわけですが、積み出されて、静岡県の御殿場の滝ケ原の米第三海兵師団八百人が演習中のキャンプ富士へ、大型トラック五台を連ねて運び込んだ。この火薬の扱いでありますが、警察はこういう危険物の扱いについてどういう措置をされておるのか。危険物の規制に関する規則、あるいは政令、あるいは火薬類取締法があると思うのですが、六月二日運び出されて六月四日に入れ込んだ、この問題について内容を当然知っておられると思うのですが、どうされておりますか。
  180. 関沢正夫

    ○関沢説明員 いま御指摘の事実については承知しております。先生御承知と存じますが、火薬類取締法第十九条によりまして、火薬類を運搬しようとする場合には、それぞれの都道府県公安委員会に届け出る、そして運搬証明書というものをもらう、こういう手続になっております。  いま御指摘の六月二日の佐世保からの米軍の弾薬類の輸送につきましては、これは一般の業者に委託して輸送した場合でございまして、これにつきましては、従来の扱いとしまして正規に届け出をしまして、それで証明書を持って輸送した、こういうことでございます。五月三十一日に米軍から委託を受けました運送業者から、長崎の早岐警察署に対しまして申請がございました。それで一般的な取り扱いにつきましては、届け出がございますと、通過する関係都道府県にまず電送を打ちまして手配いたしまして、意見を聴取して、それで申請書を審査いたしまして証明書を交付する、こういうことになっております。  それで、本件につきましては、六月の二日に審査した上で運搬証明書を出しまして、それで六月の四日に静岡の御殿場の富士演習場に到着した。到着した場合には証明書を到着地の公安委員会に返すことになっております。それで着いたということを確認されるわけであります。それで、その途中でありますが、運搬計画書の中で点検の場所というものを指定しまして、本件の場合には、京都府警の管内の国道百七十一号線の大山崎検問所というのがございます。そこで検問をやっております。  お答えが前後いたしましたが、基地から積み出したゲートのところで、所轄の警察の係員が運搬上の積載方法、それから梱包の状況につきまして確認いたしまして、それからさらに、いま申しました京都府警の管内で点検をした、こういうことで、そのほか、関係警察官を沿道に配置する等のそういう警戒措置をとっております。
  181. 東中光雄

    ○東中委員 火薬類取締法に基づく危険物の規制に関する規則、その四十四条では、この火薬の数量、品名、あるいは化学名、これを表示することになっている。ところが、現実に運ばれております写真がここにあるわけですが、そういう表示は一切してない。ただ赤いところに白でマル火と書いてあります、こういう形で走っている。現場の署長も、新聞報道によると、どうなっておるのかわからない、中は見てないから品質なんかもわからない、こういうふうに言っておる。全くこういう点でもこれはまかり通っているわけですね。国内法上の措置がやられないままで、そしてそこのけそこのけと言わんばかりにまかり通っておるというのが現状でございます、  それからもう一点指摘しておきたいのですが、戦車がベトナムから運び込まれる。それにはずいぶんどろや草なんかがついているということが現場の労働者からも言われております。土の移動については、私が申し上げるまでもないわけですが、国内法上これは入れることは許されない。実験用の場合以外は禁止されております。これもそのまままかり通っておる。防疫上の立場から見ても、あるいは植物防疫法も、植物に有害な動植物を駆除し、またその蔓延を防止する、こういう目的をもってつくられておるわけですが、植物防疫法の第七条で、土または土の付着する植物は輸入してはならない。施政権が返ってくる前の沖繩の高校の選手が、甲子園に来て土を持って帰ろうとしたが、それさえいかぬということだった。ところが、ベトナムのあの戦場からキャタピラについたまま入ってくる。これもそのままであります。それが通過しておる。要するに国内法を無視して、あるいは直接国内法で国民の権利なり安全なり福祉なりを保護しているものを無視してまかり通っておるというのが、いまの米軍の実情だと思うのであります。それが今度の場合典型的に出てきた。外務大臣は先ほど、調整をする、こう言われましたけれども、安保条約の運用について調整をする。それは、安保条約を認め堅持するという立場をとっておられる田中内閣としては、そういうことになると思うのですけれども、安保条約並びに地位協定によってきめられておる、国内法を守り国内法の範囲内でということになっておる、その在日米軍の権利を実は侵犯しておるわけです。明らかに国内法が無視されておるわけです。これはその存在を認める立場に立っても、調整の問題ではなくて、存在が侵犯されておるのですから、抗議し、なくしてやめさせるという姿勢に当然立たるべき性質のものではないか、こう思うのです。単なる調整ではなくて、こういう国内法をあらかじめ注意を喚起してやる、しかもなおそれをいわば侵犯しておるという状態に対し抗議される意思はないか。こういうことを即時やめさせるための具体的な処置というものを、どうお考えになっておるか、お聞きしておきたいと思います。
  182. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私は、国内法を侵犯していいとは言っていないわけでございます。問題を安保条約ないし国内法のワク内におきまして円滑に解決してまいるためには、双方の理解と信頼が要るわけでありまして、権利義務というかた苦しいところへ持っていかぬで解決してまいるように指導するほうが適切じゃないかと言っているわけでございまして、国内法を侵犯していいというようなことは毛頭考えておりません。
  183. 東中光雄

    ○東中委員 もう一点、防衛庁長官に伺っておきたいのですが、地位協定三条で、いま外務大臣も最後には、国内法を無視していいとは一つも考えていない、こうおっしゃったわけですけれども、私、先ほどあげました二、三の例でも、これは実際上侵犯をしておるわけで、国内法に従っていない。そうするとそれは、安保条約を堅持するというのだったら、国民の側の立場からいっても堅持をしてもらわなければいけないので、地位協定三条を破って無制限にということになっているわけですから、これはそういう立場で当然抗議をし、直ちにやめさせる。調整の問題ではない、侵犯しているものを戻すということだと私は考えているわけであります。その上であとどうするかというのは、私たちは安保条約を廃棄しなければ、これは基本的には解決がつかない問題だと考えています。その点についてとりあえずいまやらなければいけないのは、安保条約堅持と言われておって、その堅持するためにも、その条約を侵犯しておる米車の行動に対して、直ちにもとへ戻されるということで対米折衝をされるかどうか。そういう点についての防衛庁としてのお考え、あるいはまた国務大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  184. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 国務大臣としての立場からお答えを申し上げます。  私は、いま外務大臣が言われたように、侵犯をしておるという言い方は適切でないように思います。米軍も地位協定に基づく諸種の権限はあると同時に、国内法を尊重していかなければいかぬということでありますから、国内法を尊重をしていない事例がある場合、これは当初にも申し上げましたが、国内法を順守してもらうように、順守されるようにわれわれとしても十分の申し入れをし、折衝をするということでまいるということにいたしたい、かように考えます。
  185. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、国内法を尊重するという一般的命題ではなくて、地位協定三条というのは関係法令の範囲内でである。だから明らかに規制されておるわけであります。一般的に尊重するという問題ではなくて、その範囲内でしか行動ができない。その範囲内で行動できるということを認めておることに、私たちはそれはよくない、廃棄すべきだ、こう考えておりますけれども、認めておる範囲内を逸脱した部分について、これはき然とした立場をとるべきではないか。主権にかかわる問題であります。注意を喚起しておっても申請書も出さぬで進んでいく。たまたま事故が起こらなかったけれども、法の趣旨からいえば、道路の保全あるいは交通の安全という立場、国民のそういう権利、具体的な問題が現に侵犯されておるわけであります。事故が起こってからでは、これは何をしておったかということになるわけでありまして、そういう点で、これははっきりと抗議し、やめさせるという姿勢を強く要請をしておきたいわけであります。  質問を終わります。
  186. 前田正男

    前田委員長 次回は、来たる八月十七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時二十四分散会