運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-09-12 第69回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十二日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 谷垣 專一君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 山本弥之助君 理事 小濱 新次君    理事 門司  亮君       岡崎 英城君    砂田 重民君       中山 正暉君    丹羽喬四郎君       綿貫 民輔君    山口 鶴男君       横山 利秋君    桑名 義治君       林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣         国家公安委員会         委員長     木村 武雄君         自 治 大 臣 福田  一君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安課長     関沢 正夫君         警察庁交通局交         通企画課長   寺尾  繁君         警察庁警備局長 山本 鎭彦君         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         外務省アメリカ         局外務参事官  橘  正忠君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省行政局長 皆川 迪夫君         自治省財政局長 鎌田 要人君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方行政地方財政及び警察に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 谷垣專一

    谷垣委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。     〔委員長退席塩川委員長代理着席
  3. 塩川正十郎

    塩川委員長代理 先般、地方行財政及び警察行政に関する実情調査のため、第一班を兵庫県及び広島県に、第二班を高知県及び愛媛県に、委員を派遣いたしました。  この際、両班の派遣委員より報告を求めます。第一班、谷垣專一君
  4. 谷垣專一

    谷垣委員 委員派遣の第一班は、兵庫県及び広島県について調査を行ないましたので、便宜私からその結果を御報告申し上げます。  この調査目的は、第一に広域行政問題、第二に過疎問題、第三に大都市問題、第四に公害問題、第五に道路交通及び風俗営業取り締まり実態と、その問題点であります。  派遣委員は、小濱新次理事及び中島茂喜中山正暉横山利秋、林百郎の各委員に私の六名であります。なお、兵庫県では砂田重民委員が現地参加され、調査に協力されました。また、調査室からは、崎川謙三主任調査員及び石田淳調査員が同行いたしました。  調査は、八月一日から同四日までの四日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局から説明を聴取したのち、現地調査を行なったのであります。  第一日は、朝東京を立ち、午後、兵庫県庁におきまして、県当局より、広域行政につきましては、広域行政現状動向、並びに広域市町村圏計画及びそれに基づく事業実施状況とその問題点を、過疎問題につきましては、過疎地域における人口及びそれに基づく事業実施状況とその問題点、及び過疎対策に対する行財政上の要望事項を、公害問題につきましては、公害現状対策、並びに公害防止対策事業とその地方行財政への影響を聴取いたしました。  また、兵庫県警本部からは、道路交通取り締まり実態とその問題点、並びに風俗営業取り締まり実態とその問題点について説明を聞き、兵庫県一谷副知事から国に対する要望を聴取いたしました。  第二日は、午前、神戸当局より、市勢の概要大都市行政問題点大都市財政実態及び問題点、並びに地方公営企業経営状況及び問題点を聴取したのち、神戸港並びに三宮市街地改造状況を視察いたしました。  正午前神戸を立って広島に向かい、二時半過ぎ、広島に到着後、広島県警本部において、県警当局から、道路交通取り締まり実態とその問題点、並びに風俗営業取り締まり実態とその問題点について説明を聴取いたしました。  第三日は、広島県庁において、県当局より、まず、七月集中豪雨被害状況とその対策を聞き、ついで、広域行政については、広域行政現状動向、並びに広域市町村圏計画及びそれに基づく事業実施状況とその問題点を、過疎問題については、過疎地域における人口及び産業等動向問題点過疎地域振興計画及びそれに基づく事業実施状況とその問題点、並びに過疎対策に対する行財政上の要望事項を、公害問題につきましては、公害現状対策、並びに公害防止対策事業とその地方行財政への影響について説明を聴取いたしました。  ついで、黄金山より広島市内を展望した後、平和公園に参り、午後、足を伸ばして広島県西端の大竹市をたずねました。大竹市長から、大竹市及び周辺の公害発生状況について説明を聞き、また、広島宮島町長からは、宮島におけるマツクイムシの被害状況とその対策を聴取いたしました。  ついで、大竹市内工場地区を視察した後、岩国海上保安署桟橋から巡視艇岩国大竹両市の海岸を一巡して、工場排水による海水の汚濁状況調査し、海上大野沖に出まして、岩国大竹両市からの大気汚染によるともいわれている宮島の松の大量の枯死状況を遠望いたしました。  第四日は、八時宿舎を出まして広島を立ち、夕刻東京に帰着した次第であります。  これらの調査内容の詳細につきましては、時間の関係もありますので省略させていただき、委員長のお手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取り計らいを願い、それによって御一覧いただくことにしたいと存じます。  以上をもちまして報告を終わります。
  5. 塩川正十郎

    塩川委員長代理 次に、第二班中村弘海君。     〔塩川委員長代理退席委員長着席
  6. 中村弘海

    中村(弘)委員 委員派遣調査の第二班は、高知愛媛の両県について調査を行ないましたので、便宜私からその結果を御報告申し上げます。  この調査目的は、第一に広域行政問題、第二に過疎問題、第三に県及び市町村財政問題、第四に災害問題、第五に公害問題、第六にその他地方行財政上の問題点調査することであります。  派遣委員は、大石八治理事山本弥之助理事門司亮理事綿貫民輔委員の各委員に私の五名でありますが、高知県では大西正男議員が現地参加されました。なお、調査室からは直江鷹郎及び栗山正行の両調査員が同行いたしました。  調査は、八月一日から同四日までの四日間にわたり、それぞれ関係当局から説明を聴取するとともに、現地調査を行ないました。  第一日目は、正午過ぎに高知市に到着し、昼食後直ちに、芸西村役場において、村長から集落移転計画現況について説明を聴取した後、集落移転先極楽住宅団地及び岡本公営住宅団地を視察いたしました。  その後、高知県庁において、県当局から、県勢概要をはじめ、過疎問題、広域行政問題等について説明を聴取し、また、県下の町村長会からは、災害問題等について説明を聴取した後、それぞれから要望を聴取いたしました。  第二日目は、午前、桂浜及び五台山を視察した後、一路南下し、午後、中村市の幡多文化センターにおいて、中村市長をはじめ関係市町村長から、幡多広域市町村圏概要説明並びに関係市町村要望を聴取いたしました。  その後、同圏域における観光及び大リクリエーション基地であり、足摺(ずり)国定公園中心地でもある足摺岬及び臼碆海岸を視察いたしました。  第三日目は、午前、わが国初海中公園として指定された龍串地区を訪れ、海底館等を視察した後、宿毛市において、台風九号の災害復旧対策についての要望を聴取し、高知県における調査を終了いたしました。  牛後からは、愛媛県の調査日程に入り、同県南宇和郡一本松町を経由して西海町に到着し、宇和島地区船舶職員養成講習所において、宇和島市長及び関係町村長から、宇和島地区広域市町村圏についての説明及び要望を聴取いたしました。その後、同講習所を視察し、宇和島市を経由して松山市に到着いたしました。  第四日目は、午前中、愛媛県庁において、県当局から、県勢概要をはじめ過疎問題、広域行政問題、公害問題等についての説明及び要望を聴取いたしました。  午後は、愛媛県立果樹試験場において、研究業務概要及び要望を聴取し、試験研究の成果の状況等を視察した後、愛媛生活保健ビルにおいて、衛生研究所公害研究所及び生活センター概要説明を聴取し、諸施設を視察して、今回の調査を完了いたしました。  両県とも、新たな産業開発社会開発のための施策を積極的に講じておりますが、急激な人口流出に伴う地域問題をかかえ、これが生活産業行政等、あらゆる部門に影響を及ぼし、とりわけ、産業面においては、若年労働力確保の問題が深刻化しております。  現地調査を行ないました両広域市町村圏においても、公共施設整備あるいは生産と生活基盤整備の立ちおくれが著しく、そのため、各地方都市核集落、町の整備を軸に、都市農山漁村を一体とした豊かな魅力ある生活圏づくりを推進しておりますが、関係市町村財政基盤そのものが弱体であります。  激しく流動する経済社会情勢に対応するには、行政水準の向上及び住民生活に密着した行政が行なわれるべきであり、そのためには、地方財源を充実確保することが第一条件であることを痛感した次第であります。  なお、これら調査内容の詳細につきましては、委員長のお手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるよう取り計らいをお願いいたし、それによって御一覧いただきたいと思います。  以上で報告を終わります。     —————————————
  7. 谷垣專一

    谷垣委員長 ただいまの報告者申し出によりまして、第一班及び第二班の調査報告書は、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 谷垣專一

    谷垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     〔報告書本号末尾に掲載〕
  9. 谷垣專一

    谷垣委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。山本弥之助君。
  10. 山本弥之助

    山本(弥)委員 昨年の公務員ベースアップにおきましては、たまたまアメリカの貿易、財政に関する緊急措置ということで、景気が非常に落ち込んだわけであります。それに関連いたしまして、昨年は、補正予算等におきまして、地方財政の危機に対する対策が講ぜられたわけであります。ことしは、景気は順次立ち直りかけておるというのが常識になってまいったわけであります。したがいまして、年度途中における地方財政対策につきまして、昨年ほど深刻な状況ではないと思うのであります。もっとも四十七年度地方財政計画におきましては、きわめてきびしい不足財源に対する起債に依存せざるを得ないという臨時応急対策が講ぜられたわけでありして、本年度地方財政計画はそれだけでもきわめてきびしいわけでありますから、昨年のような年度途中におけるきびしい見通しにはないと思うのでありますが、最近、人事院勧告に基づきまして、国家公務員ベースアップにつきましては、四月一日から勧告どおり実施するということが閣議決定になりましたので、地方公務員につきましても、当然国家公務員に準じて措置せられることになると思うのでありますが、それにいたしましても、やはり当初の財源見込みからいいますと、一〇・六八%のベースアップに対応するだけの財源計画に十分盛られていなかったと思うのであります。それらに関連いたしまして、この際、財政局長から、四十七年度地方財政見通しといったものにつきましてお聞かせ願いたいと思います。
  11. 鎌田要人

    鎌田説明員 結論的に申し上げまして、地方財政の、ことしの、これから先の見通しでございますが、私ども、去年と比べて、そう目に見えて明るい要素があるというふうには必ずしも考えておらないところでございます。と申しますのは、御案内のとおり、景気は逐次回復してまいっております。先般来新聞等でも報道されておりまするように、たとえば九月期決算日本経済新聞あるいは東洋経済新報の報道では、日本経済新聞は、東京証券取引所の第一部上場三百八十社対象でございますが、対前年三月期に比べまして売り上げは四・六%伸びるであろう、しかし、海員スト等関係がございまして、全体として経常利益は三・一%の減、税引き後の利益におきましては二・五%のプラス、こういうことでございますが、製造業に限定をいたしますと増収率が三・六%のプラス、あるいは経常利益が四・五%のプラス税引き後で六・二%のプラス、ということのようでございます。そのほか、日本長期信用銀行等調査等によりましても、景気の諸要素は逐次上向きつつあるということでございまして、その点につきましては私どもも非常な期待をかけておるわけでございますけれども、これが特に府県の場合の税収の半分を占めておりますところの法人関係税、こういったものが目に見えて業績が好転して税収がふえてくるということにつきましては、もう少し時間の経過を待たなければならないのではあるまいか。率直に申しまして、八月末日におきまして普通交付税の本算定を行ない、それからいろいろ御配慮をいただきました三千五百億の地方財政対策のための起債、これも配分を終わりまして、地方団体全体といたしましては小康を得ておるところでございますけれども、この給与改定財源、この点につきましては、従来のように、たとえば地方交付税なり、あるいは法人関係地方税自然増収、こういうものでそっくりまかなえるかどうかということにつきましては、これはなかなか困難であろうというふうに思っておる次第でございます。  すでに御説明を申し上げておるかとも思いますが、先般の人事院勧告に基づきまして、この所要財源総額は二千七百九十億ということでございますが、この中で、既措置分を除きまして、財源不足額が八百十億と見込んでおるわけでございます。この八百十億の中で、交付団体が六百十億、不交付団体分が二百億でございます。ちなみに、前年におきましては、この財源不足額が九百一億でございまして、交付団体分が七百億、不交付団体分が二百一億でございます。去年に比べまして額は百億ほど減っておるわけでございますけれども、ただ、去年におきましては、御案内のとおり、交付団体分でございますと、七百億の不足分のうちの百五十億、約二割程度のものは節減して自己努力で出していただきまして、残りを交付税特会の借り入れでその再算定を行なったわけでございます。結局、交付税先食いというかっこうになっております。ことしにおきましては、先ほど御指摘になりましたように、地方財政の非常にきびしい財政環境のもとでございましたので、当初から例年の五割アップの節減例年ベースに比べますと約百億くらいの節減というものをすでに織り込んでおります。  したがいまして、今後節減してどれだけのものを生み出せるかということにつきましては、やはり私ども慎重な精査を遂げなければいくまい、それに、あと法人関係税自然増収というものがどれくらい見込めるか、これは国税との関連におきまして、やはり九月決算の推移を見なければなるまい、と思います。そういうものでなお埋め切れない分につきましては、これはやはり例年のような措意というものによりまして、地方財政運営に支障のないように適切な措置を講じてまいりたい、こういうことで、先般の八月末の閣議決定におきましても、そういう趣旨で御決定になっておるところでございます。
  12. 山本弥之助

    山本(弥)委員 何としても、給与改定財源、ただいまお話がございました交付団体の六百十億という問題につきましては、何らかの措置配慮願わなければならぬではないかと考えるのでございますが、昨年の場合は、地方税減収も千三百億以上、あるいは地方交付税確保あるいは政策減税等によりまして相当の減収を来たしたわけであります。そういたしますと、いまの見通しで、楽観は許さないけれども、この地方税減収あるいは交付税落ち込みということにつきましては、大体当初計画確保できるという見込みになっておりますかどうか。  それから、昨年はやはり景気浮揚策というようなことで、公共事業を推進するという国の政策によりまして、地方公共団体負担も千五百億というような負担が出たわけであります。今回はまだその辺のことは明らかになっていないのですが、これを、所得税減税あるいは需給の格差を穴埋めするために思い切った公共事業をさらに追加しなければならぬというようなことが新聞に散見はいたしておりますが、そこまでいわゆる需給ギャップに対しての手当てをしなければならぬかどうかというような議論もいろいろあろうかと思います。そういたしますと、これら地方税あるいは交付税見通しは、いまの段階ではおそらくまだ見込みは立ちにくいことだと思うのでありますが、あるいは公共事業追加問題等考えてみますと、いまのところは、給与財源確保ということに重点を置いてお考えになっておられるのか。その辺のことで一応本年度は切り抜けられるのかどうかということにつきまして、さらにお聞かせ願います。
  13. 鎌田要人

    鎌田説明員 地方税地方交付税につきましては、現状のまま推移いたしますならば、地方財政計画において私ども見込みました数字は確保できる。これは間違いないと思うのであります。ただ、たとえば去年のような年度内減税ですが、昨年は、御案内のとおり、年度内減税は千六百五十億でございまして、それで交付税で五百二十八億の落ち込みを生じたわけでございますが、そういうことになりますとこれに対する国の一般会計からの措置手当てというものが、これは当然必要になると思います。そういうものがございませんならば、いまのままの経済状況をもって推移いたしますならば、これは十分確保できるということははっきり申し上げられるのではないかと思います。  それから、公共事業追加ということになりますと、これは当然国の補正予算がらみの問題に相なってまいるわけでございますが、現在の段階におきましては、私ども公共事業追加の問題は次の問題といたしまして、当面の問題といたしまして、この給与改定のための財源、これを精査の上、どの程度のものをどういう形の措置をするかということに当面全力をあげておる次第でございます。なお、公共事業追加ということに相なってまいりますれば、これに対しまする財源手当といたしましては、やはり地方団体に対して起債をもって充当する、その場合に、できるだけ政府資金を手厚く充当する、こういう問題が次に控えてまいろうか、続いてまいろうか、こういうことでございます。
  14. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いまのところ、財政局長のお話しのように、いわゆる急激な変化がない限りは、地方財政といたしましては、給与改定財源をどうするかという対策にしぼればいいというふうな見通しのようでありますが、できるだけその点について一般会計からの繰り入れで処置をするということで、私ども自治省で十分御配慮を願いたいと考えております。  なお、この機会に、給与改定関連いたしまして、地方公務員給与問題でありますが、従来、貧弱市町村等におきましては、いわゆる地方公務員給与水準に達しない、非常低水準給与体系であったと思うのでありますが、一面、また、一部の大都市、あるいはこれに次ぐ都市におきましては、国家公務員との関係におきましては、ある程度まで、その当該都市実情といいますか、労務管理あるいはいろいろな意味で、これは国家公務員と違いまして、地方公務員の場合は、私ども経験をいたしておりますが、超勤の関係あるいは人員確保ができないというような関係その他から、国とは若干優遇せられたような給与体系ということを配慮せざるを得ないという実情にあろうかと思うのであります。これらが常に問題になります。また、私どもはっきり聞いておりませんけれども新聞等に報ずるところによりますと、自治省自体でも、地方公務員給与問題に対する研究会等で検討を加えておられるという話も聞いておるわけであります。それらの結果、国家公務員地方公務員との関係において、ある程度まで是正すべき点があるという積極的な意見等も出ておるように聞いておるわけであります。これら一連の国家公務員地方公務員給与体系関連につきまして、いまはどういうふうにお考えになっておりますか。お聞かせ願いたいと思います。
  15. 鎌田要人

    鎌田説明員 私、ただいま財政局長でございまして、公務員部を所管いたしておりませんので、的確なお答えを申し上げられるかどうかという点を危ぶむ次第でございますけれども、私は、端的に申しまして、地方公務員給与というのは国家公務員に準ずるというたてまえはやはりくずすべきでないという感じを持っておるわけでございます。そういう点から考えますと、地方公務員給与現況におきまして、たとえば四十三年のラスパイレス指数でございますが、都道府県でございますと、国に比べまして八・一%高い。大都市でございますと二四%高い。市において七・九%高い。町村の場合、私が公務員部長をいたしておりました時代から比べますと、かなり改善をされておるようでございまして、八九・四%というところになっておるようでございます。  地方公務員給与水準というものはいかにあるべきかということにつきましては、いろいろな意見がございます。地方団体それぞれその団体の中におけるいわゆる民間給与との対比というもので申しますと、これはまことに千差万別でございます。むしろ、それぞれの地方団体、あるいは地域的な経済社会事情を共通にするようなところ、そういったところの、いわばブロック的な広さということで、それぞれの地方公務員給与というものは独自にきめられるべきではないか、こういう意見もございます。他方におきまして、公務の同一性類似性というものから見まして、一番近いものは何かということになりますと、やはり国家公務員給与というものが一番手近な手がかりになるのではないか、こういったようなことがありまして、この第一次の給与問題研究会での結論といたしましては、国家公務員に準ずるという基本的な考え方が確認をされたように思っております。  ただ、その場合におきまする、たとえば現在の都道府県給料表、こういったものの構成というものが現実に即してどうであるかといった点について、先般の給与問題研究会の答申があったようでございます。この点につきましても、私ども内部で検討いたしておるところでございますが、基本的には、やっぱり国家公務員に準ずるという基本の原則というものを立ててもらいたい。最近五年ほど、地方財政全体的にある程度余裕を持ったものでございますから、給与等におきましても、私ども聞いておりますところでは、いわゆる給与基本的な考え方に反する一斉昇給、期間の短縮とか、あるいはプラスアルファといったものがふえてきておるといったようなことも耳にいたしておるわけでございまして、そういった給与の問題については、私は、地方団体も、適確な、堅確措置というものをやはり基本に置いてもらいたい。私ども財政運営なりあるいは財源確保ということで、これは広い意味での国民の税金を国と地方とで分けて使うわけでございますので、国から財源を、ことばは悪うございますが、取ってまいるといったような場合にも、やはり、その辺のところの適確堅確行政運営というものがございませんと、私ども非常にやりにくい。  そういったような点もございまして、給与のあり方の点につきましては、行政局長もおりますので、そちらのほうからお答えがあるかと思いますが、財政の面から申しましての私の気持ちといたしましては、そういうことで、むやみに国家公務員と比べて給与が高い、こういったところについては、その原因を十分に検討して、改めるべきところはやはり勇断をもって改めていただきたいという感じを持っておる次第でございます。
  16. 山本弥之助

    山本(弥)委員 行政局長、何か……。
  17. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 ただいま財政局長から、財政の観点からいろいろと御説明申し上げたわけでございますが、給与そのものを考えました場合におきましても、もちろん、基本的には、多種多様な地方団体がございますので、どういう給与水準がぴたっと適正のものであろうか、なかなか判断のむずかしい点もあろうかと思いますが、やはり、国家公務員に比べますと高いんじゃないか、こういう批判は私は率直に受けなければならないものがあろうかと思います。  いま、給与問題調査会等でいろいろ御検討をお願いしておるところでございまして、基本的にはそういう考え方でおります。
  18. 山本弥之助

    山本(弥)委員 何か、自治省のほうでも、地方公務員の部長クラスが、いま本省の課長クラスに格づけされているんですね。これらの問題につきまして、本省の部長クラスその他の格づけ等についての検討をしておるというふうないろいろの新聞記事を私は拝見いたしましたけれども、その辺のことはどうなっておりましょうか。その新聞の伝えるところと同じような御検討をなすっておられるわけでございますか。
  19. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 これは、この前の給与問題調査会の勧告にもあるところでございまして、発足当時国の課長相当と合わせて実施いたしたわけでございますが、その後、国におきまして、指定職等がいろいろできてまいりました関係上、一等級上げたほうがいいんじゃないかという勧告を受けておるわけでございます。
  20. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いろいろ来年度予算の編成に関連いたしまして、地方公共団体財源確保意味で、税制調査会なり、あるいは近く地方制度調査会も招集されると思うのでありますが、ちょっとお聞きいたしましたときには、この前大臣に御質問申し上げました当面問題になっております区長公選問題、さらに地方財税制に関しての、さらに深く立ち入った答申を求めるべく招集されるんだと聞いておるわけであります。この前の委員会にもちょっとお聞きしたわけでありますが、地方公共団体財政なり税制なりの、ほんとうに自主的に地方自治体が住民福祉のために仕事が推進できるんだということについての配慮というものが、いつまでたっても暫定的な腰だめみたいなことでおやりになっておるのですが、ことに、最近の新聞等を通じまして、また、政府の発表等を通じまして、私不安を感じますのは、国のベースで地方財政が左右される、あるいは地方の税制等も、ほんとうに地方税制をどうするか、国と地方との配分で考えるということなのかどうかということに非常に疑問を感ずるような政府の発言もあり、あるいは新聞等に出ておりますところを総合いたしますと、そういう感じを深くするわけです。本来じっくり取り組んでいかなければならない地方公共団体が、そのときそのときの時の流れによって、せっかく地方自治というものについての財政や税制を考えていこうというやさきになると、今度は、中央集権的な色彩によって、国の従属的な立場に地方公共団体が置かれるというような趨勢になっておるわけでございます。最近も私はそういうことを非常に心配しておるわけでございます。この際、いつまでもそういう考え方ではなくて、税制調査会にいたしましても、地方制度調査会におきましても、今後の長期にわたる展望に立っての地方自治体をどうするか——ことに、企業優先から生活優先に切りかえるのだと、前の佐藤総理ですら、先般の通常国会ではそういう話をなさり、また、いまの田中総理も、生活優先に切りかえるのだと言いながら、地方自治体というのは市町村の合併も進めるのだ、府県のあり方も検討しなければいかぬのだ、経済の広域化に順応した地方自治体の変革もやらなければいかぬのだというふうな考え方ですね。これは、生活優先とか、地域住民のための地方自治だとかいうことを言いながら、一方、依然としてやはり経済に従属した機構の問題が問題になっておる。これでは、いつまでたっても、地方自治体というものは、ほんとうに地域住民のための地方自治体に自主的に育っていかぬのじゃないか、伸びてくるやつの芽をつまれるんじゃないかという感じをするわけなんです。  御承知のとおり、公害問題にいたしましても、その他生活環境整備の問題にいたしましても、今日、末端の市町村における市民は、大都市ほど、ややもすれば隣は何をする者ぞというふうな体制で、そこに住むというだけで、その地域をどうしていこうかといういわゆる住民自治の観念が薄れてきておるわけでありますが、そういうさなかに、最近は、むしろ市民運動とかなんとかいうものは、その地域の自治を確立するのだという方向に向かっておるわけでありまして、私は、これはいい傾向だと思うのです。そういうときに、自治省こそ腰を落ちつけて、地方自治はどうあるべきか、財政はどうあるべきかということをじっくり考えていただきたい。この前はまだ検討中だという御答弁がありましたが、この点は、財政局長なり自治大臣からお聞きしたいと思うのです。もうぼつぼつ諮問をせられるわけでありますから、こうあるべきだという考え方をお考えになっておられるんじゃないかと考えるわけでありますが、この機会に、調査会に依存するという考え方でなくて、自治省の、地方自治体をどう見るかという考え方をお聞かせ願いたいと思うわけです。  私、これは自治大臣に何もいやみを申し上げるのじゃないのですけれども地方自治体に対する自治大臣の姿勢という意味で申し上げたいのでありますが、過般の福岡市長選挙の応援に行かれたと思うのであります。そして、これは私ども直接お聞きしたわけではありませんし、また、応援に行かれて、自民党の有力な閣僚として、自民党の候補を応援するということは当然なことでありまして、全力を尽くされることは当然だと思っておりますが、ただ、私は、自治大臣の立場ということをお考えにならなければいかぬと思うのですけれども、その機会に——これは風評でありますので、風評であればはっきり御否定していただきたいと思うのでありますが、選挙になりますと、かつて、小林法務大臣でしたか、国会を無視するというような放言がよく出てまいったわけでありますが、自治大臣も、進藤市長が実現すれば、自治省は補助金その他で何でもしてやれるのだというような意味のことをお話しになったということを漏れ承っておるわけなんです。佐藤総理も、かつて、東京都知事選で、美濃部さんじゃ協力できないというような選挙演説をなすったことがあるのですが、自治大臣というのは、通産行政みたいに、補助金を出すという補助行政ということよりも、むしろ、補助金は総括的な交付税の増額というようなことに切りかえて、自主的運営をさせるという方向にいくのが当然なわけでありまして、補助金を出すのと交付税に手心を加えるというような考え方は、これは地方自治体に対する基本姿勢の問題だと思うのです。通産行政とは趣が違うということを御認識願って、実質的に地方自治体が強くなるように育成願いたいということが言いたいわけでありまして、大臣のことばじりをどうのこうのと深く追及する意思はないわけであります。それがなければ、地方自治体の権限なりあるいは財源というものはいつまでたっても強化しなくて、地域住民の生活優先の政治をやると言われても、それはなかなかできないわけでありまして、いつまでも中央に対する陳情政治に自治体が堕するということになるわけであります。その点、自治大臣としての決意を十分固めていただきたい、かように思うわけであります。  どうも余分なことをだいぶ申し上げて時間をとりましたが、一応財政見通しについて、来年度どうするか——国も、いわゆる国税の収入にだいぶ苦慮しておられるようでありますが、相当大きな十五兆円予算というようなことに拘泥せられまして、国も税源を見つけておるというさなかに、地方公共団体の税源までかまっておれるかというような考え方になると、これはたいへんなことであろうと思うのであります。その辺ひとつ、お気持ちだけでけっこうでありますから、私は時間をわずかしかいただけませんでしたので、それをお聞かせ願いたい。
  21. 福田一

    福田国務大臣 ただいま、自治行政の本質についての御質問でございまして、ごもっともな御趣旨であると私も思っております。  それは、何といっても、政治は国民のものであり、また、自治体の中に住んでいる住民のものでございまして、うまく住民の福祉が増進され、また、平和が守られるというような姿を推進することが本体でなければなりません。そういう観点からいたしますと、自治行政という立場から見てもも、地方の住民の皆さまの希望ができるだけいれられるようなくふうをするということは非常に大事なことでございます。それをやりますのに一番必要なものは、何といっても資金、金でございますから、地方自治をほんとうに充実していくには、まず財源確保が必要だが、それはいろいろの形があるでありましょう。いわゆる中央から持ってくる財源もあるでありましょうし、地方が自分でとり得る財源というものもありましょう。あわせてこれを充実する方向を示していかなければなりません。その意味で、いわゆる各種の調査会にいまいろいろの諮問をいたしておる段階でございますが、その前に一つの基本の方針を出せとおっしゃるようなふうに御質問を受け取りましたが、それは、先ほど申し上げた根本方針ではそういうことでございますけれども、いやしくもものごとを諮問するときに、こちらでもう態度をきめてかかるというわけにはまいりません。したがって、答申が出ましたならば、その答申を十分に検討させていただきまして、そして、取るべきものは十分にそれを取り、足りないものはなおそれに追加するという姿勢でやらなければならないかと思っておるのでございまして、私といたしましては、いま申し上げたような趣旨で、これからも地方自治というものを順次強力に推進をしていくという方向でやってまいりたいと思っておる次第でございます。
  22. 山本弥之助

    山本(弥)委員 具体的な答弁がありませんが、福岡市長選挙のときの気持ちはいかがでございますか。
  23. 福田一

    福田国務大臣 私は、福岡の市長選挙に参りまして、確かに応援演説はいたしてまいりましたけれども、私は自民党でございますけれども、ほかの党の人がどうすればどうとか、そういうものにはあれをしないとか、また、特に政策的に措置をするというような考え方を申し述べたつもりは決してございません。
  24. 山本弥之助

    山本(弥)委員 その問題は、先ほど申し上げましたとおり追及をいたしません。ただ、自治大臣の立場を十分堅持されるということはお忘れのないように私はお願いしたいと思います。  なお、詳しい財政対策も、満足のいくような御答弁をいただけないのですが、私は一例を申し上げます。たとえば、来年度におきましての住民税、これは、府県税にいたしましても、市町村税にいたしましても、いろいろな意味負担の軽減という問題が考えられなければならない。また、固定資産税にいたしましても、来年は固定資産税をどうするかという体制が出てくると思うのであります。その場合に、固定資産税について、ほんとうに生活に結びついた固定資産税という配慮が必要ではないかということですね。さらには、法人課税にいたしましても、今日、法人は、証券を買ったり土地を買いあさったりして、いろいろ地価のつり上げをやっておるわけであります。法人課税について、地方税においても強化しなければならぬ。それから、建設大臣がおられるわけですが、いろいろ、大都市における追い出し税といいますか、事務所・事業場に対する課税、これらを国税で考えておるというふうに考えるわけであります。大都市における今日の都市行政需要、公害をはじめいろいろな生活関連した需要、それらについて、あくまでも大都市生活環境を整備するという意味の税制は地方税でなければならぬ。そういった基本的な地方税の中心の税に対する方針をはっきりしていただきまして、国税との関連にあたっていただきたい。おそらく、間接税は増額になる趨勢にあろうかと私は思うのであります。現在、税収の七割は国税なわけです。三割が地方税。これをある程度まで地方税をふやすという方向に向かわなければならぬという見地からいいましても、私の申し上げた問題につきましては、自治省としてははっきりした税体系で来年度予算編成に臨むべきであると考えるわけでありますが、十分御配慮をいただきたいと思います。  時間がだいぶ少なくなりましたが、土地対策ですが、最近の土地対策については、政府は全く無能ではないかと、かように私は考えるわけであります。むしろ地価のつり上げをやっているのではないか。本年の通常国会で、公有地の拡大推進法というのが、私ども賛成で通過をいたしたわけであります。これはおそらくまだ施行になっていないので——早くて九月一日ごろからだろうと思いますが、これは内容がきわめて不十分なものでおります。先買い権といいましても、相手がいやだといえば買えないという、きわめて不十分なものである。しかも、当時、私どもは、金融が緩和しておる、大企業は設備投資をしないという体制下において、大企業が本来の事業以外の不動産の買い占めについて狂奔しているじゃないか、銀行の貸出しもふえておるじゃないか、大蔵省は十分これを取り締まるべきであるということをこの法案通過の際に申し上げたわけでありますが、最近になってどうですか、東京証券の上場株の六百幾つかの会社で、いままでにすでに国土面積の一%を所有しているということを建設省の調査でも発表されている。しかも、都市というものはそう簡単につくり上げられるものではないのです。市制施行になりましたかつての市の、消長はございますけれども、長い年月をかけて健全な発達を遂げている市でも、年率二%とか三%の人口の伸びという市が、施設もでき、順調に伸びてきているわけなのです。それらの市が、簡単に二十五万都市をつくるとか五十万都市をつくるとかいうようなことででき上がるものではないのです。かりに人口だけがふえたとしたら、御承知のとおり、大都市周辺の教育施設はプレハブで、上水道も下水道も十分ではない。市町村長は、団地の来ることを、ある程度までみずから公共施設整備しなければお断わりするというような、そういう苦しい状況に追い込まれているわけなんです。国が考えているように、地方都市が、十万や二十万都市が健全な発達を遂げるということが、国の方針でそう簡単にでき上がるものではないわけです。現に、市街地区域だけの整備も、早くて十年かかるということは建設省の答弁で言われているわけですね。中央から見た、そういうきわめて安易な考えでは困る。地方のそれぞれの地域、市町村の健全な発展について無関心であっては困る。やはり地域住民の要望に即した発展を考え、これを国がめんどうを見るのだ、これを推進するのだということに努力するべきで、思うままに、市町村のあの都市は二十万にする、この都市過疎地域でほっておくというようなあり方は許されないのだ。現に、太平洋ベルト地帯の兵庫県にいたしましても、広島県、岡山県にいたしましても、あれだけの工業が集積しても、いまだに過疎地域をかかえておって、それは、一家離村というような、もう土地の価値がないような状態に現在なっておるわけであります。これを国土全体に及ぼそうということになれば、よほど慎重な態度でかからなければならぬと、かように私は考えるわけであります。それを、そういうふうな地方都市の問題を、建設省なり自治省、通産省が、それぞれかってな意見を簡単に発表せられまして、具体的な地名も出す。かつて、新産都市や工特の場合は、いたずらに土地の値上がりを来たしまして、一般の住民はささやかな住宅用地の確保すら困ったというにがい経験があるわけであります。それを、候補地まで指定せられて、そこにまた不動産業者が土地の買い占めに集中してくる。いわば、かってなことをお話しになって、地価のつり上げをいろいろな方面からはかっておる。いわば、不動産業者や大企業の利益を擁護しているというような言動に見えておるわけであります。それらをあと追いで税制で吸い上げるというようなことをおやりになっても手おくれだという感じが私はするわけであります。今後、土地税制の問題あるいは地価の抑制という問題は、予算ぶん取りでなくて、よほど真剣にお考えにならなければならぬ、かように考えるわけであります。  この点につきまして、自治大臣、建設大臣の御意見を承りまして、質問を打ち切ります。
  25. 福田一

    福田国務大臣 まず、第一に、われわれの自治省といたしましては、住民税の問題については、何らかの軽減措置考えなければいけないといって、いませっかく研究を続けさせておるところでございます。  また、土地問題につきましては、申すまでもなく、土地の買いあさりをしておるというような場合において、国民一般の、いわゆる土地を持っておらない者、また、持とうとする者の利益をこれが不当に害することになっておるのでありますから、われわれといたしまして、これに対しては適当な法的な措意を講ずるなり——法的というのは、税制関係で講ずるなり、あるいは行政面において法律をもって規制をするなり、等々のくふうをいたすべきである、かように考えております。
  26. 木村武雄

    ○木村国務大臣 土地が投機の対象になっておりまして、そして、特に、最近、法人が不当な買い占めをやっておることは御指摘のとおりでありまして、非常に遺憾だと思っております。何とかそれを抑止する方法がないものかという点で私も頭を痛めております。それで、土地というものはもうからないものである、もうけられないものであるというような、そういう原理にのっとったような対策が何かないものだろうか、一つでなかったならば、二つ、三つ、四つ集まってそういうような結果が出るような方法がないものだろうかと思って、いま一生懸命になって私も勉強しておるところなんであります。  御指摘のとおりに、私は、土地を投機の対象にしてもうけておる者に対しては非常に不愉快な気持ちをもっていま見ておりまして、対策を一生懸命でやっておるところでありますが、いまだこれぞというものを持っておりませんけれども、いずれ、そのうちに、これぞというものを発見して、お話し申し上げまして、御協力を仰ぎたいと思っております。
  27. 谷垣專一

    谷垣委員長 小濱新次君。
  28. 小濱新次

    ○小濱委員 時間の制約を受けておりますので、問題の一点についてこれから御質問をしていきたいと思います。  まず、最初に、山本警備局長にお尋ねしていきたいと思いますが、米軍戦車、車両の輸送阻止闘争が起きてから、本日で一カ月八日になっております。相模原市の米軍相模総合補給廠前でのデモ、集会も一段と緊迫の度を加えつつあります。いまも毎夜のように集会が続いておるわけでございます。四日の夜も、集会を終えてデモの中の中核派と革マル派がついに正面衝突、激しい投石戦が始まって、けが人が続出して、新聞によると、四十九人が検挙されたというふうに報道されております。そのあおりで、市民の負傷も相次いで起こっております。全国民注目の米軍相模補給廠における戦車問題はいよいよ混乱と不穏な事態に突入をしている。こういう状態になっておりますがが、まず、警備局長にお尋ねしたいことは、住民と警察官とが受けた被害それからけがの内容等について、これは新聞でしか見ておりませんので、ひとつ記録をこれから御報告を願いたいと思います。
  29. 山本鎭彦

    山本説明員 お答えいたします。  去る八月四日の米軍戦車輸送阻止事件以降の負傷者でございますが、一般市民は三十八名、警察官百八十二名、計二百二十名の負傷の報告が入っております。  それから、その他の被害として、一般の関係で、車両二台が破壊され、窓ガラス二十七枚がこわされた。それから、住民の中には、自分のうちの庭に入られて庭石をこわされたというような被害の届けも出ております。  警察関係といたしましては、車両八台が損壊されたのを含め、その他七十六点の被害が出ております。  それから、横浜線の電車が九回にわたってこれらのデモその他の関係で停車させられ、補給廠に出入りする民間の車両等がその進行を一時阻止されるというような被害も発生しております。  負傷者の、特に負傷の状況でございますが、警察官の被害は、負傷百八十二名のうち、一週間以内の者が大部分で、百十八名ということで、一週間から二週間が五十八名、二週間以上一カ月以内が四名、一カ月以上が二名ということになっております。  一般市民の関係では、二週間未満が九名、二週間以上が二十九名、このような報告が入っております。  以上でございます。
  30. 小濱新次

    ○小濱委員 いま、内容について御報告をいただいたわけでございますが、こういう状態が相模原に起こっているわけでございまして、よくひとつ御認識をしていただきたいと思います。  これは国家公安委員長にお尋ねしたいと思いますが、補給廠正門前の市道、緑地帯を、不法占拠といいますか、このテントの数は、約四十の過激派、各派のテントがひしめいているわけでございます。私も地元でございますので、よく現地視察はしておりますけれども、警備本部も非常に強固な体制を整えて、あるときには百五十人、集会デモのあるときには千人をこすというような機動隊員が警戒体制をとっておる。期間が長いために、夏休みも返上しての連日の警備ということで、さすがに疲れは隠せない、こういう市民の方の声もございます。で、警察といたしましては、過激派の暴走に一般市民を巻き添えにはできないということで、長期戦にかまえてがんばっている。そういう姿になっております。ところが、日を追って激化する一方のデモ隊と機動隊との対立で、商店街は大きな迷惑をこうむっておる。さらに、ガラスを割られる民家が続出をしておる。いま御報告のあったような内容のとおりでございまして、政府の収拾策に、地元としては大きな強い期待を持っているわけでございます。  以上のような内容でございますので、国務大臣として、国家公安委員長としての御見解をひとつ承りたいと思います。
  31. 木村武雄

    ○木村国務大臣 アメリカの戦車だとか兵員輸送車などの問題につきまして、取り締まるほうも、それから取り締まられるほうも同じなのでありますけれども、日本人同士の間にけが人を出すということは全くばかばかしいことである、非常に不愉快なことであると私は思っております。そこで、何とかしてそういうような事態が起きないようにしてみたいと思いまして、政府としては、車両制限令によって許可してみたのですよ。それは兵員輸送車に限るのであります。しかし、まん中に国の道路がありまして、両端は市が管理をしておるものですから、両方の市が許可してくれないと兵員輸送車は通れない。そうすると、相模原の補給廠にそういうものがある限りはそういうような騒ぎが続くだろう、けが人も出すだろうし、それから住民にもえらい迷惑をかけるだろう、こういうように思いまして、許可する前に、私はほんとうに全体の安全を考えまして、飛鳥田市長にも話をいたしまして、そして御協力をお願いしたような次第であったのであります。それから、相模原の市長にも、電話で、そのたびごとに連絡を申し上げまして、御協力をお願いしたような次第なのでありまするが、いまだ両市長の賛成を得られない。したがって、兵員輸送車がそのままそこにとどまっておる間は、ああいうふうな騒ぎが繰り返されておるところである。日本人同士でそんなことをやらないで済むような聡明なやり方が何かもっとないものかと思いまして、その点で非常に頭を痛めておるのであります。  まあ、持久戦とおっしゃいましたけれども、全く持久戦のようなことになってしまったのでありますが、許可が両市長からおりましたならば、問題になっておるものを片づければ、なくなれば、ああいうような騒ぎもおさまるだろう、こういうように考えておる次第でございます。
  32. 小濱新次

    ○小濱委員 とにかく、非常に期間が長いということで、どうしても政府の責任において解決してもらわなければ、これはもうどうにもならない実態、内容になっておるわけでございます。  いま大臣の御答弁をいただきましたが、さらにお尋ねしたいことは、いつ火炎びんが飛ぶかわからない、傷害事件、火災がいつ起こるかということで、まあ一触即発というふうに言われているわけです。そういう騒然とした中で、市民は不安と恐怖におののいているという実態でございます。あそこは、御存じのように、駅の付近で、商店街でございまして、朝から夜まで人が非常に集まってくる地域でございます。それがまた、群衆心理となってえらい騒ぎを起こしているという事例もあるわけなんです。いまのままで、たとえば一台の戦車が出ても、これは血の雨が降ることは間違いございません。これはひとつ厳重に注置していただきたいと思いますけれどで、市民のとうとい生命と財産を守るために、相模原市の安寧秩序を維持するために、おくれればおくれるほどこの惨事は避けられないだろうというふうに私どもは見ているわけです。いまこそ政府の腰を据えた事態収拾に対する見解を承っておきたいと思うわけですけれども、いまもお話がありましたように、横浜、相模原の両市長も非常に努力を重ねております。国にもいろいろと申し入れ、お願いをしております。また、地域の住民の方々も、総理官邸に陳情に来たり、国会に参ったり、もう目まぐるしいくらいこの問題解決のために努力をはかっている。そういう姿がございます。ここまでくると、事態は、一地方機関の力ではもう収拾不可能だなという感じをわれわれは受けるわけです。そういう局面に立ち至っておりますので、政府の力強い決意、見解を求めるわけですが、いま一度お答えいただきたいと思います。
  33. 木村武雄

    ○木村国務大臣 どうしたならば事態を比較的円満に収拾することができるか、こういうわけで、横浜市の感触、それから相模原市の感触それと神奈川県の感触などを打診いたしまして、それからそういう表明もありましたので、政府としては、きょうの閣議で基地に対する政府の態度を決定したのであります。  それで、相模原の補給廠は縮小の方向へ持っていき、将来は撤廃する、そういうような方向で進む。そしてそのことについてアメリカ側と外務省が折衝したのです。折衝した結果、そういう政府の立場もアメリカは了承いたしまして、そういう方向に進むということで、きょう、閣議で、基地に対する政府の態度を決定いたしましたから、その決定によって、事態が比較的円満に解決するのじゃないか、私はこういうようにいま見ておるのであります。それでありまするから、両市長から市道を使用してもよろしいという許可証が出たならば——早く出るだろうという予想を立てておりますが、出ましたならば、御期待に沿うように解決していきたいと思っておるわけでございます。  きょうは、閣議で、そういうような基地に臨む政府の態度を決定いたしましたから、それが政治的解決となりまして、事後の事務的な問題でものごとの処理が進むだろうと見ております。
  34. 小濱新次

    ○小濱委員 政府の見解が一日も早く出ることを待ち望んでおったわけでございます。大平外務大臣も前に委員会でそういう発言もございまして、きょうの日をどんなにか住民も期待をし、そして希望を持って待ち望んでおったかしれないのでございまして、きのうも現地からだいぶ参りまして、そのことを心から望んでおりました。  できれば、具体的にもう少し内容について御説明をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。でき得ればそういうふうな御発表をお願いしたいと思います。
  35. 木村武雄

    ○木村国務大臣 具体的というのは、相模原補給廠の機能の縮小ですね。それから、撤廃の方針で政府がアメリカ側に交渉をする。そのことについて事前に外務省とアメリカ側が折衝した結果、それを了承した。こういうことでありまして、それが具体的な内容なんであります。
  36. 小濱新次

    ○小濱委員 ぜひひとつ、一日も早い解決のために一そうの御努力をお願いしたいと思います。  そこで、その解決の内容、見通しについて、これからの経過があるわけですけれども、これは警備局長にひとつお尋ねしてみたいと思いますが、基地前の西門通り周辺の、治安維持のための、過激派学生のテント小屋、看板などの全面撤去という問題、これは急務であると思います。社、共、地区労の三者に対しましては、治安維持の面で、撤去を要請し、協力を求めているわけです。ところが、残る過激派のテント群は、市の警告に応じる見通しがないわけです。したがって、強制撤去という事態になるのではないか、それに踏み切るのではないか、こういうふうに言われておるわけですが、この場合、道路法に基づく撤去は、法律上市が直接できないので、代執行の方法をとらなければならない。だが、代執行は、これまでの例で、公示など事務的手続に一カ月以上もかかってきたという例があるそうでありまして、警察権による排除にならざるを得ないのではないかと見られているわけですが、道路交通法に基づく警察の介入が可能かどうかという問題ですね。テント村撤去決定についての、どうすれば合法的に問題なく解決ができるかということ、そういう見通しについてひとつお答えいただきたいと思います。
  37. 山本鎭彦

    山本説明員 お答えいたします。  ただいまお話しのように、道路管理者のほうで、テント、看板等の撤去について強い要請をしておるようでございますが、さらに、そういういまのお話しのような関係について、何とか撤去を求めるという話し合い、これを管理者はもっとやれという話でございますが、ただいまお話にありましたように、極左のほうのテントについては、なかなかそういう話し合いには応じないという見通しがございますので、管理者のほうとしても、そういう段階に至った場合は、いま言った強制的な力でやるよりかしようがない、こういうふうに考えておるようでございますが、そういうことでで、その段階警察に協力の要請があれば、われわれとしても、管理者と協力して、具体的な問題を詰めて、なるべく問題の起こらないような形で、しかし、最後にどうしても聞かない場合は適正な措置でこれを撤去したい、管理者の要請にこたえたい、こういう考えでございますが、法律的にどういう手続で具体的に進めていくかということは、交通局のほうの係も来ておりますので、そちらのほうでいま検討しておる結果を御説明いたしたいと思いますので、お答えいたします。
  38. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 ただいま、道路管理者のほうを第一義的に措置をしていただくということについて御説明したわけでございますが、道路交通法としてはどうかということがございます。私ども道路交通法としてもこの対象になるということは考えております。しかし、道路の占用の物件でございますので、できるだけ道路の立場でやることが円満ではないかということで、いよいよというときには道路交通法の適用もできないことはないということでございます。ただ、実際的な面では、違法だというだけですぐやるということではなくして、警備上のいろいろな問題を考えて実施していくことになりますので、この点につきましては、事態の推移を見て考えてまいりたい、かように考えております。
  39. 小濱新次

    ○小濱委員 ひとつ、事態の推移を見て十分努力をしていただきたいと思います。  これは高橋道路局長にちょっとお尋ねしたいのですが、今月の一日ですか、懸案の米軍相模補給廠と横浜のノースピアとの間のM113、この兵員輸送車の国道十六号線の通行を許可いたしましたね。あのときには、市と米軍と警察、この三者でいろいろとそのチェック体制があらあら進められておった事態なんです。ところが、その正式な回答が米軍側から来ないときに、建設省から、これは大臣の責任になるのだろうと思いますけれども、さっと発表がございました。そのことについて、横浜も、相模原も、その輸送車については、合法的に米軍から要請があれば許可せざるを得ないであろう、そしてまた、横浜と相模原は同時に認めていくような体制で、ということで話を進めておったわけですね。そのときに建設省の許可が出てしまいましたので、現地では非常に疑問を持っておるわけです。われわれの努力を踏まえてくれているのかどうか、これはわれわれの努力を全く無視した態度ではないのかということで、一部批判があるわけでございます。  そこで、行政を預かる自治体に対して御相談があったのか、あるいはまた自治体のほうで拒否されたのか、その辺のいきさつをひとつここで解明をしておいていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  40. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 八月の二十五日に、兵員輸送車の許可申請が国と両市に出されたわけでございますが、その時点におきまして、国から両市に対しまして、純粋に道路管理上の問題からこれを処理するならば、全く許可せざるを得ない事態でございますので、当然そうすべきじゃないかということを申し入れてございます。その後、建設大臣の御指示を得まして、九月の一日に、国が許可をすることが決定したわけでございますが、その時点におきましても、国といたしましては、車両制限令上これは当然許可すべき物件であるから許可いたしたい、両市もできるだけ早く許可するようにというふうに両市にそれぞれ連絡いたしまして、許可をいたしたような次第でございます。
  41. 木村武雄

    ○木村国務大臣 二十五日に申請書が出されまして、車両制限令その他に基づいて、許可すべきであるという判断を下して、即座に許可しよう、こういうような考えだったのですけれども、それはちょっと待ってくれ、そいつは両市長が協力しないと国道だけが浮き上がってしまう、何にもならないということで、私が飛鳥田市長に会いましてて、そして協力をお願いかたがた感触を伺ってみよう、こういうことだったのです。  そういうことで、向こうに出かけてまいりまして、そして飛鳥田市長とも話をしてみた。そうしたら、きょうあすということにしないでくれないか、二、三日待ってくれないか、その間に、政府のほうから、何らかの基地に対する態度表明があれば非常に幸いである、こういうことだったのです。それで、私は、アメリカのスミス代理大使にお目にかかりまして、そして、外務大臣じゃありませんから、基地の撤廃とか、そんな話はできない、申し込みも何もできないけれども、国家公安委員長として、騒ぎがあれば責任がある、それから、建設大臣として、道路上でいろいろ騒ぎがあれば、これまた自分の責任になってくるのだ、だから、そういう話はできない立場だけれども、と言って、米軍側といろいろの話をしてみたのですよ。そして、自分も非常に得るところがあったと思います。それで、その日に許可を出した。こういうことでありまして、だしぬけに許可を出したというわけじゃないのです。それは尽くすべきものが非常に粗漏だったかもしれませんけれども、自分は自分なりに尽くしてみたということなんでありまして、そういう点で、だしぬけに建設省が許可したというように解釈されますと、必ずしもそうじゃなかったということを申し上げておきたい。  私は、非常に万全を期していた基本線は何かといいますと、日本人同士がこんなところでけが人を出したくない、いさかいなんか起こしたくない、という気持ちが私の根本精神になっておるものですから、そういうふうなやり方をしてみたのであります。しかし、なかなか思うようにはまいりませんでしたけれども、きょうの政府の態度などがあらわれたことは何よりであったと喜んでいる次第なんであります。
  42. 小濱新次

    ○小濱委員 よくわかりました。政府の見解をもとにして、地元では、さっそく全協を開いて、そして、その態度の決定をしていきたいという体制になっているようでございますので、地方自治体の努力というものをおわかりいただいておりますが、これからもひとつなお一そうお気持ちをくんでいただきたいと思います。  さらに警備局長にちょっとお尋ねしたいのですが、米軍の合法輸送申請が出た。これはやむを得ない。M113の輸送許可は出さざるを得ないという体制、見解を持っているようですから、この許可が出た場合に、おそれることは、徹底阻止を願って、グループがそのテント村にいま立てこもっておるわけです。さあ、はたしてスムーズにこの輸送ができるかどうか。その数等も調べてまいりましたけれども、それは省略させていただきますが、過去に、羽田、成田、あるいは王子の野戦病院等において、混乱を生じ、死傷者を出した例がございます。そういう前例がありますので、十分気をつけていただきたいと思いますが、いま、町の声は、こういう不穏な空気になっているのですがね。町にあるびんがよく盗まれているわけです。商売のうちのびんも何もみんな盗まれていく。  これは、各所においてそういう変な動きが起こっているわけですけれども、あきびんは、これはもう当然ですけれども、ガソリンも盗まれている。こういうことからも、これは火炎びんをつくっているのだな、時に備えて装備を整えているのだなという感じを受けるわけです。これはたいへんな問題ですから、十分気をつけていただかなくてはなりませんが、警察として、住民に迷惑をかけないための、流血事件を起こさせないための、この搬送対策といいますか、これについて、警備局長はどういうふうなお考えをお持ちになっておられるか。許可が出た。さて、それから、搬送をいかに事故なくスムーズに進めるか、その対策。いま、町ではこういう不穏和な空気が起こっているという中で、どう対処していかれるか。お答えをいただきたいと思います。
  43. 山本鎭彦

    山本説明員 搬送の許可が出て、運送業者のほうから具体的にいつ運ぶというような話がありますれば、警察といたしましては、神奈川県の警備力を十分検討いたしまして、それで反対勢力、阻止行動を十分制圧できるかどうか検討して、もしそれで不十分だということになれば、近県の警察部隊の応援を求めて、警備力のほうでは遺漏のないような力をもってこれに対処したいと思います。  それから、ただいまお話のありましたような不穏な情勢があるとすれば、これらについて、十分地元警察を督励いたしまして、そういう情報を収集して、そういう火炎びん等のつくられている場所なり、そういう企図を未然につかんで、それをそのような事態にならないように取り締まりをしていきたいと思います。  それから、環境の整備と申しますか、そういう石とか、投げるもの、こういうものもできるだけその付近から撤去するというようなことを市その他の行政当局と話し合って、そういうことの起こらないような環境をぜひともつくっていきたいと考えております。  それから、そういう警備実施の根本は、いずれにしろ、住民に被害を与えない、負傷者を出さないというのが基本原則でございますので、そのためには、これまでの、さっきお話のありました成田なり、王子なり、そういう事態をおさめた経験をすべてこの場合に適用、活用して、一人でもけが人がないように、いつでも物的損害が起こらないように、住民に被害をかけないようにという、そういう基本原則を徹底するために、市当局、住民の代表者、そういう方とも十分話し合いをして、円満な警備、完全な警備ができるように、最後の段階まで詰めて努力して、御期待に沿うような警備を実施したい、このように考えております。
  44. 小濱新次

    ○小濱委員 事は急でありますので、ぜひ、早い時点でその解決が無事故で終わるように、一そうの努力を要望したいと思います。  それから、最後に一点だけお尋ねしたいのですが、この戦車問題について、先ほど、市民の被害に対するいろいろな御報告がございました。この損害、補償という問題について伺っておきたいのですけれども、先ほどの御報告以外に、この事件で失明をしたという人が何人かあるわけですね。それから、伊藤病院、これはあのまん前にある外科救急指定病院ですが、この病院は、診察室の大きな外国製のガラスが破られているわけです。これはなぜ破られたのかと、私いろいろ調べてみたところが、あのデモ隊と警察が対峙したときに、情勢判断をして警察隊がぐっと下がっていったのですね。ところが、下がっていった後方に伊藤病院があったのですね。そこへ投石があってこわされた。病院では、警察が下がってくれなければこういう被害はなかったのにという、そういううらみのことばがあるというふうに聞いているわけです。そのほか、ハラ線を張ってうちのまわりを囲んでいる、金網を張っているというような姿がある。それから、商売にならないので、同じ市内ですけれども、田名というところに移転をしていったという中古車の商売をしておった方がある。それから、自動車の修理工場があそこにありますけれども、被害が甚大で、特に外人客なんていうのは一人も来ないそうですね。それで、二十五人から三十人ぐらいの従業員がいまは六人ぐらいでやっているという、そういう話も伺っている。旅館では、一般客はあそこに全然来ないというのですね。すぐ前に旅館がある。それから、パーマネント屋でも、夜なんかは婦人客は全然来ない。民家は投石による被害が起こっている。こういうことがありますし、騒がしくて眠れないとか、子供も、好奇心を持って飛び出していって勉強はしないというし、特に、びろうな話ですが、小便公害があそこに起こっておる。もう二千人、三千人が来るわけですから、これはもうみんなあの辺で立ち小便をやっている。商店街ですから、そういう悪臭がいろいろ商売に影響を及ぼしておる。そういう問題がある。一般家庭にカンパにくる人もおりますし、それから、署名を無理に要求してくるような人もいますし、非常に物騒な地域になっているわけです。商店街、PTAの会、文化人グループ、連合自治会等が特に被害防止を要望しているわけですけれども、市民の被害ということと災害の補償について、政府はどういう見解を持っておられるのであろうかと思うわけですが、これは、地方行政をあずかる自治大臣にお答えをいただいたほうがいいと思います。こういう問題、無視はできませんよ。
  45. 福田一

    福田国務大臣 この問題で、被害を受けられたお方が非常に気の毒な立場にあるということは、私も承っておりますが、この被害の補償をどこでどういうふうにやるかということについては、まだ、実は、われわれ打ち合わせもしておりませんし、それから、これは自治省という立場だけで処理できる問題でももちろんありません。  まあ、せっかくの御提案がありましたから、政府のほうでも一応検討させていただきたいと思います。
  46. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは外務関係は質問はしないつもりでおりましたけれども、今度の問題は、これは一自治体の問題として解決はできないと思います。これはやはり安保に関係してくるでしょうし、地位協定、事前協議ですか、大平大臣も——ここに私は新聞を持ってきておりますが、いろいろと疑義があるという見解も出ております。そういう立場から、この問題については、政府間において断固処意すべきであると私ども考えているわけです。そういう立場から、いまの自治大臣の御答弁は少し御認識が足りないんじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでございましょう。もう一度お答えをいただきたいと思います。
  47. 福田一

    福田国務大臣 これは、全学連の騒ぎがございましたね。あのときの経緯等を見てみますと、結局被害者は泣き寝入りになっている場合が多いですね。そういうこともにらみ合わせまして、今度の場合、事情がいささか違っておると思いますけれども、なかなか困難な問題だと思っております。
  48. 小濱新次

    ○小濱委員 いまお話を聞いておりまして、内容は困難な問題かもしれません。まあ、十分検討はしなければならない問題かもしれませんけれども、これは、政府に、米軍との関係という、そういう関係性から見て、重大な責任があると私ども考えておるわけです。  そこで、これは今後のために十分配慮を願わなくちゃならぬと思いますのでお尋ねするわけですけれども、いまのような御答弁では、地域住民の被害をこうむった方々は何ら理解ができないであろうとわれわれは見ているわけですが、国務大臣としてもう少しあたたかみのある見解、御説明があってしかるべきではないかと私は思うわけです。ひとつ、きょうは、国家公安委員長も国務大臣でございますから、御相談を願って、いま一度最終的に御答弁をいただきたいと思います。
  49. 木村武雄

    ○木村国務大臣 相談いたします。
  50. 小濱新次

    ○小濱委員 御答弁は短いけれども、私は、大きな期待を持ちまして、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 谷垣專一

    谷垣委員長 門司亮君。
  52. 門司亮

    門司委員 時間が非常に少なくなっておりますので、私はいろいろ聞きたいことがきょうはたくさんあるわけですけれども、ごく簡単に申し上げますので、ひとつ当局も簡単に御説明を願いたいと思います。  一つは、これはお二人に聞いたってよくわからないと思うのですが、先ほどから、政府は一応の見解が出ているということを聞きましたが、例の戦車の輸送問題ですが、あの程度の政府の見解はもうあたりまえのことなんですね。だれが考えても、これから先基地が拡大されて、戦車をよけい持ってくるなんということは考えられないことであって、将来これを縮小するなんということはおよそ答弁にも何にもならぬと思う。政府の態度にもならぬということなんですね。むしろ、政府は、この際、これらの不安を除こうとするならば、基本的なものの考えの上にもう一ぺん立ってもらいたいと思う。  それは、いまの戦車がベトナムの戦争に使われたものであり、さらにまたベトナムに返されるということになると、安保条約できめた極東の範囲を出ているということですね。あのときの論議の詳しいことをきょうは申し上げる時間がございませんが、ベトナムは必ずしも極東の範囲には入っていないということなんです。そうすると、これは事前協議の対象にならざるを得ないということなんです。そういうことが忘れられて、ずるずるべったりに、まあいままでやっておったんだからというようなことで、結局、何か、ベトナムのものについても、条約の六条からくるいわゆる取りきめの中の五条の2項ですかの適用がされている。いわゆる基地から基地に運ぶものはさしつかえがないというような条項が書かれておる。これが適用されておると思うのです。だから、相模原の基地からアメリカの基地であるノースピアに運んだからといって協定には触れないという、こういう解釈でいままでやってきたと思うのですけれども、やはりこの際もう少し基本的にものを考えて、ベトナムに送る戦車である限りにおいては、これは極東の範囲を越えてのアメリカの明らかな軍事行動、いわゆる作戦行動に基づくものであるということに考えたほうがよろしいんじゃないか。ことに、ベトナムで戦争をしていることは事実でありまするから、これは明らかなアメリカの作戦行動によるものであると考えたほうがよいと思うが、その辺の解釈は閣議でもなさらなかったのですか。
  53. 木村武雄

    ○木村国務大臣 そういうような話は閣議ではなかったんでありまして、閣議で官房長官から発表されましたのは、先ほどお答えした範囲内であります。
  54. 門司亮

    門司委員 閣議でそういうものが話題にならなかったということになれば、これは何をか言わんやということにならざるを得ませんが、私どもとしては、やはり解釈はそういう解釈の上に立ってものを考える必要がある。したがって、この種の問題をなくしようとすれば——いま極東で戦車を使用しているところはないはずなんです。台湾まで入れましたところで、別に戦車は使っていない。朝鮮の戦車はとっくになくなっておりまするし、ときどきどこかで、演習でもしてこわれたのがあるいはあるかもしれないが、しかし、実際問題としては、戦車のこわれるような場所というのは戦争をしている場所なんですね。そこから持ってきて、日本でこれを修理して、また戦場に送るということは、私は、現在の日本の置かれておる国際的の地位から考えれば、これをやすやす入れるということがどうかと思う。そうして、閣議で、将来補給廠の機能を縮小するからなんというようなことでは済まされぬのであります。むしろ、ベトナムのそうした戦車等については、もう今後入れないという強い姿勢でアメリカ側に交渉すべきではないかと考えるのですが、これは木村さんに言ってもあるいは無理かとも思いますけれども、閣議でそういう話が出なかったということになると、それ以上議論する勇気もなくなりますけれども、私にはどうしてもそう考えられるのです。それのほうが正しい解釈だと思うのですが、所感があれば、一応この際聞かしておいていただきたいと思います。
  55. 木村武雄

    ○木村国務大臣 閣議では、先ほどお話ししたとおりでありまするが、そういうような結論を出すにあたっては、外務省と内閣官房、それから防衛庁というようなところの間では、そういうようなことも含めて、いろいろな話し合いがあったと私は思っています。そうして、表現は非常に簡単なものになったのではないかと思いまするが、私は、いま門司さんがおっしゃったようなことを基本にして、そういうような問題がこれから発展していくのじゃないだろうかというように見ております。  今度の発表は、表面に出たものはそれだけでああったということです。
  56. 門司亮

    門司委員 どうも、私は、いまの答弁でわかったようなわからぬようなことになるのですけれども、この種の問題は、政府がもっとき然とした態度をとる必要がありはしないか。かつて、病人を運んできて、それが既成の基地などの野戦病院にたくさん収容されたことがありますが、これらの問題も、当時われわれとしては非常な疑問を持った。戦場で負傷した者を野戦病院という形で——彼らは野戦病院と言っておったのでありますが、そういうような形で日本のもとに置くということは、ある意味において、日本が戦場に巻き込まれるといっても差しつかえないような状態である。今度の戦車の問題も、私は、それとたいして変わらぬと思うのです。したがって、大臣はこの点については、私は、もう少し閣議ではっきりした態度をとってもらいたいということを一応申し上げて、協定をするなら、この戦車については、将来持ち込ませないというような強い態度で政府はぜひ臨んでもらいたい。ということは、これは、安保条約のどこを見ても、あるいは六条に基づく米軍の地位協定等の条文を見てみても、どこを見ても、いまの戦車がベトナムに使われている戦車であり、またベトナムに送るということになると、どう考えても、この条項に当てはまるとは考えられないのですね。したがって、一応の問題だけをきょうは提起するみたいになりましたが……。  それから、その次に一応聞いておきたいと思いますことは、いろいろな問題はあろうかと思いますが、国内法に基づく米軍の地位協定に基づくあり方というもの、これの関連はどうなっておりますか。五条の二項によっていまのようなことがされておると思いますが、しかし、その他の条項を見ると、やはり、アメリカ軍隊といえども日本の法律は守る義務があるということになっておると思いますが、その辺のかね合いは、政府はどういうふうに解釈されておりますか。
  57. 木村武雄

    ○木村国務大臣 日本人だけでなく、アメリカ人も日本の国内法は必ず守らせる、こういう態度は変わっておりません。
  58. 門司亮

    門司委員 そうだとすれば、先ほどから話がされておりますように、道路の管理権を持っておる市長が通さない、困ると言えば、それで国は強制する権利があるかないかということが次に出てくるのですが、国が認めても、地方の自治体の長である管理者がこれを認めない場合には、その処置がどうなるかという疑問が出てくるわけです。それはどういうふうに解釈すればいいのですか。
  59. 木村武雄

    ○木村国務大臣 強制し得ないと考えております。強制しておりません。それで御協力をお願いしたのであります。ただ、その、道路法に基づく車両制限令ですが、それに当てはまるものはいつまでも許さないというわけにはいかないのじゃないだろうか、こういう態度で見ておるだけのことでありまして、強制は少しもしておりません。
  60. 門司亮

    門司委員 それで、いまの道路の管理権の問題が、横浜市の場合、市長が管理権を持っておりまするし、相模原の場合も、第一義的には市長である限りにおいては、市長が持っておると思います。しかし、相模原の場合、その他の場合においては、県道である場合には、あるいは国道であっても、一応の維持管理というのは、知事が一応責任を背負っておると考えられる。そこで自治法との関連が出てくる。自治法では、御承知のように、国の一つの施策に基づいて仕事をされる場合に、これは知事に限っておりまするが、当該知事がもしそれに服しなかった場合には、総理大臣は罷免権を発動することができる。これは地方自治法上の、唯一の国の権限と地方の権限のかみ合わせになっております。しかし、これは裁判の結果でなければ出ないということになっておるが、総理大臣は罷免権を発動することはできる。最高裁における判決でなければ具体的にはわからないのですが、一応裁判を起こすことができるようになっておるが、この辺の関連はどうなりますか。こういう問題が出てきて、そういうことまで発展するということになると、非常に大きな問題にならざるを得ない気が私はするのですが、この辺は、自治大臣としてはどうお考えになりますか。
  61. 福田一

    福田国務大臣 国の施策について一応の方針がきまって、それについて地方長官が反対の立場がとるということになればそれができるという趣旨になっておるわけでございますが、私は、この点は、やはりその方針を守っていかざるを得ないのではないかという考え方を持っております。しかし、国の言っておることに対して反対をするとか、あるいは否定をするとか、抵抗するとかいう内容、それから、そのときの事情、こういうことがやはり法適用の一つの大きな判断材料になると思うので、いま門司先生が仰せになりましたように、そういう措置を受けた場合にはもちろん行政訴訟の対象にはなり得る、かように考えております。
  62. 門司亮

    門司委員 行政訴訟の対象になり得ることは当然でありまして、法律にそう書いてあるのですから、そうならざるを得ないと思いますけれども、問題が問題だけに、問題がそこまで発展するということになれば、これは日本の国で初めての一つの大きな問題にぶつかるわけであります。しかし、これ以上きょうここで議論をする時間を私は持ち合わせておりません。あと五分くらいで出かけなければならぬのですが、したがって、この問題は、一応の問題の提起だけで結論を得ないようでありますが、私としては繰り返して申し上げておきますが、ベトナムの戦争で使っておるというような品物、しかも極東の範囲から出ておるこれらのものをもはや日本の国は入れないという方針をはっきりとってもらいたいと私は思う。その上で基地の縮小なり基地の撤廃なりをすることは当然でありますが、一つの段階としては、そうしないと、やはり住民が安心しないのではないですかね。政府の態度を了承しかねるのではないですかね。  それからもう一つは、いま言いましたような、国と地方とのこういう問題が起こった際の政府の態度というものは、やはり慎重にとってもらいませんと、知事や市長は住民感情を無視するわけにまいりません。国がこういうことを言ってきたからといって、地方の住民から選ばれた知事であり、市長である限りにおいては、やはり住民感情というものを無視するわけにはいかぬと私は思う。そういう問題がどうしても派生してきょうかと思いますので、ひとつ御注意を願いたいと思います。  それから、補償問題その他についても、いま小濱君からお話がありましたが、しかし、これ以上私の時間がないので、お聞きはいたしません。  最後に、一つだけ自治大臣に、要請というか、お聞きしておきたいのですが、沖繩における自治権というより、むしろ自治体の仕事の問題等については、政府が干渉するわけにはいかぬと思うが、もう少し何とかならないか。ということは、きわめて抽象的ですけれども、たとえば具体的に言えば、水道の問題がいま起こっておりますね。軍は前の水道公社に約束しておる。しかも、水道公社と軍の取りきめた約束の時間というものは五月の十日でしょう。十五日にはもう帰ってくることがわかっておる。十五日には水道公社がなくなることがわかっておるわけですね。その時限で話し合ったことが、いまだにおれのほうは権利があるのだと言って主張しておる。沖繩の市町村から言わせれば、それは違う。もうすでに水道公社はなくなっているのだ。そうして、水道の給水権は大体県庁が持っているのだ。県に移管されている。県に移管されているが、それが現行の日本の水道法によれば、県が直ちにこれを給水して売るわけにはいきませんので、結局市町村にそれは委託されてくる。だから、形の上では市町村から給水するという形になってくる。ところが、水道料については、これは非常に大きな差がありますので、アメリカとしては、高い水道料を払いたくないから、前の公社と約束しているのだから、そんな高い料金は払うわけにはいかないということで、三カ月も払わないのだ。事水道でありますから、これをきめるわけにはいかぬし、これはどうにもならないのです。そういう問題がどこで起こったかということをここで私が明らかにしたり、究明したりする気持ちはありませんけれども、そういう問題がある。  それから、いま海洋博の準備をやっておりますけれども、これらの問題についても、これは国がやる仕事ですから、副知事の宮里君は、行ってみると、ほんとうに血みどろと言っていいほど受けて立ってやっております。やっておりますが、それでもなかなか思うように進んでおらない。そういうところなどを考えてみると、長い間、沖繩県としての立場でなくて、ああした半身不随のような行政を行なってきただけに、まだ十分に行政になれていないと言うほうがいいと私は思うのだが、そういうことで実は困っておると思うのです。だから、私は、干渉するわけにいかぬと思うのです。法律も憲法もそれを許しませんから。自治省が干渉されては困るのだが、自治省が主になって、もう少し沖繩の自治行政が円満にいくようにしていただかぬと沖繩の住民が困りはせぬか。それから、自治体が困りはせぬか。水道は一つの例です。あとの問題等も幾つかありますが、そういう点について、この際自治大臣から——沖繩の米軍との関係の問題を解決するには、これは米軍の関係ですから、ある意味においては施設庁が関係するかもしれません。それから、総理府の管轄になるかもしれない。しかし、総合すると、やはり沖繩は地方行政であることに間違いないので、これらの問題を、やはりどこかでもう少し親身になってやるべきではないか。  たとえば全軍労の問題等にいたしましても非常にやかましい問題が起こっておりますけれども、これを施設庁の諸君がいろいろ言っておりますが、まだ給料も払っていない。そして首を切られる。概算払いでもらっていて、あとはどうなるか見当がつかないというようなことが現実に行なわれている。アメリカさんのほうに聞いてみれば、アメリカさんのほうは、わしのほうの手続はこうなっているからというようなことで、向こうさんは向こうさんでかってにやってきている。日本のほうは日本のほうで、やはり法律に基づいて仕事をしようとする。その行政の食い違いというものがそういうものを出してきている。賃金も二カ月も三カ月も未払いで、概算払いでほうり出されておる。その間に首になっていく人があるというような、実に、本土では考えられないような問題が起こってきている。こういう問題は、沖特のほうの委員会でよく審議をし、さらに施設庁その他との話し合いをすることが適当だと私は思いますけれども、個々の問題というより、むしろ、総括的の沖繩における行政の担当はやはり自治省にあるわけだ。が、同時に、施設庁の問題の代理行為をしておるのは県知事さんであります。これは本土においても同じことであって、神奈川県においては、やはり津田知事が一応施設庁、日本政府の代表者として米軍との折衝等も行なうわけでありすから、そういう面がどうも何かぎこちないというか、何か欠けているような気がする。したがって、そういう点等について、自治大臣に、これは何度も申し上げますけれども、干渉されては困るけれども、何とかひとつ政府のお考えをまとめてもらって、——これは総理府の総務長官と言いますけれども、直接の経験があり、直接の担当はやはり自治大臣であることに間違いがないのであって、その辺、もし御意見があれば、この際ちょっと聞かせておいていただきたいと思います。
  63. 福田一

    福田国務大臣 仰せのように、返還の終わりました段階——沖繩自体が、内地の行政といいますか、われわれの行政組織との関係その他においてまだほんとうに十分連絡がとれておらないというか、いろいろの意味でまだふなれな点がございまして……。われわれのほうへそういうことが通知されておれば、みなそれはできるだけ取り上げて応援をするようにということにいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のありました水道の問題につきましては、ただいま厚生省と外務省——外務省は米軍の関係でございますが、法制局、これは水道法の適用の問題あるいはその返還時の問題等も含めて、いまどういうふうに措意するかということを具体的に研究をいたしておる段階であります。なるべくすみやかにこの問題の処理をいたしたいと思いますし、いま門司先生が御指摘になったようないろいろの問題があると存じますが、自治省としても、できるだけそういう面も努力して、立ちおくれた、二十七年もなじまなかった日本の行政というものにできるだけ早くなじませるように、ほんとうに親切に骨折っていかなければならない。こういうつもりで各局とも対処しておるようなわけでございまして、御趣旨を今後十分生かすように努力をいたしたいと存じます。
  64. 門司亮

    門司委員 これで私は質問を終わりますが、何しろ、受けるのは、全部やはりなれない沖繩の県の県庁ですから、実にそれはどうにもならないのです。いままでの慣習がまだ米軍には十分残っておりますし、なれない県庁ではなかなか処置がしにくい。私も行って驚いちゃった。そんなことは知事限りで片づくじゃないかと言うのだけれども、向こうさんでは片づかないと言う。弱っていますので、この点は十分ひとつ御留置を願っておきたいと思います。
  65. 谷垣專一

    谷垣委員長 林百郎君。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 自治大臣は時間の都合があるそうですから、一点だけ自治大臣にお聞きして、自治大臣はこの席から退席していただいてけっこうでございます。  先ほどから問題になりました基地の問題でありますけれども、最近、基地の存在自体が、自治体が都市計画や地域開発計画を進める上で重大な障害になっている。また、基地の被害、基地の公害等も多く、基地と住民、基地と地方自治体の矛盾が非常に激化してきておることは御承知のとおりだと思いますが、そういう中で、地域住民の利害を、最も責任ある立場で閣内で負っておられる自治大臣が、この基地の返還、縮小等について、もう一度これは洗い直してみるというような見地に立てないものかどうか。あるいは、自治大臣としてはどういうようにお考えになっておるのか。北富士の問題もありますし、相模補給廠の問題も先ほどから出ておりますけれども、ひとつ自治大臣にこの見解をお聞きしたいし、きょう、閣議で、基地の問題についての何か決定もあったそうですから、国務大臣の一人としての自治大臣に、そのことの報告も兼ねて、あなたの見解を聞いてみたい、こういうように思います。
  67. 福田一

    福田国務大臣 一般論で申し上げますならば、防衛上の問題とか、あるいは国際的な関係とかということに関連して、政府が一応の約束をしておるということがありますというと、それと相反したといいますか、これに対していろいろの異議が申し立てられたり、あるいは何かありました場合においては、直ちにそれだけを取り上げて問題を処理するということは困難であると思います。しかし、いま先生が言われたように、基地の問題等々については、できるだけ縮小の方向というか、あるいは住民にそういう希望があればそういうものを縮小するようなくふうをしてはいかがかということは、これはもちろん条約の問題とも関連はいたしますけれども、順次その方向に持っていくということはきょうの閣議においても取り上げられておるわけでございまして、今後の問題として、基地は順次縮小していく。しかし、縮小するといっても、具体的に住民が希望しているところがはたして縮小されるかどうかという問題が起きてくると私は思うのです。縮小はされるけれども、ほんとうに反対しているところは縮小されないで、ほかが縮小される場合もなきにしもあらずでありますが、そういう場合においては、先ほど申し上げたような原則も踏まえながら、できるだけ住民の気持ちも考えて処理をしていく。こういうふうにいたすことにわれわれとしてはやってまいりたいと思っておるわけでございます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 もう一点。  反対する立場にあるかどうかの違いは、大臣と私との間にありますけれども、たとえば安保条約がありますし、地位協定のあることも知っておりますけれども、しかし、現在相模補給廠に持ち込まれている戦車がベトナム政府の用いる戦車である、要するにNATOの戦車だということも明らかなんですね。こうなりますと、これはもう安保条約、地位協定の範囲からはずれているものが、アメリカがそれを管理しているということだけで治外法権的にそれが許されている。これは安保条約にすら違反しているわけですね。安保条約に対する態度は、私とあなたと立場が違うにしても、その安保条約にすら違反するようなことが公然と相模補給廠で行なわれている。戦車の修理をやらされている。そして、その戦車は直接ベトナム戦争に加担している。こういう基地、これは当然廃止されるべきものだというように考えます。いま、自治体や国民の多くが米軍基地の返還、縮小を強く求めております。特に、都市化や過密化が急速に進む中で、基地公害も激増して、都市計画や地域開発を進める上で大きな障害となっている。そういうときに、基地をかかえている地方自治体、特に、こういう安保条約の立場や地位協定の立場から言っても違法なことが行なわれているような相模補給廠も含めて、基地をもう一度点検し、そして、返還を要求すべきものは要求すべきものだというように思いますのですが、地域住民が望んでいるものが必ずしも返還されるかどうかわからないという、そういう消極的な立場でなくて、地域住民がどういう立場で基地の返還を要求し、そして、その基地ではどういうことが行なわれているかということを、自治大臣としてももう一度点検をしてみる必要があるのではないか、そして、最大限度地域住民の要求にこたえていくという責任があるのではないか、こういうように考えますが、いかがでしょうか。
  69. 福田一

    福田国務大臣 あなたの仰せになるお気持ちは十分よくわかります。わかりますが、機構の関係からいって、自治省がそこまで踏み込んでやれるかどうか。私は、安保条約の問題適用の見地から、そういうふうに、できるだけ基地を減らしていくという方針をとっていくということはわかりますが、自治省が積極的に、各基地の所在地の市町村に対していろいろの調査をするとか、そういうことはちょっと私の範囲を越えておるように思われてなりません。ただ、基地を持っておる市町村からわれわれのほうにそういう要請があった場合には、われわれとして当然これはしかるべきところに連絡をして、できるだけ住民の意思が通るようなくふうをして差し上げる必要はある。これは自治省としては考えなければならないと思いますが、基地全般をここで私らの自治省の手で再検討する、調査するということはいかがかと思います。ただし、これは国務大臣としての立場で申し上げれば、もちろん、いま仰せになったような問題は、政府自体がいままででもずいぶん調査をしておると私は思います。これからもその方針で調査をし、不必要な基地はできるだけ返還してもらうという態度を貫いていく。私はさように考えておるわけでございます。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 それから木村建設大臣にお聞きします。  あなたの発言に関連してお聞きしますが、きょうの閣議で決定されたことですね。これは、相模補給廠の基地のことだけがそういうように具体的に進められたのですか。それとも、日本の国土の中にある基地について、田中内閣としてはもう一度検討をし、調査をし、縮小すべきものは縮小し、返還を求めるべきものは求めるということになったのでしょうか。それとも、相模補給廠の問題だけが閣議として問題になって、先ほどあなたの答弁に出たようなことになったのでしょうか。その辺を答弁願いたいと思います。
  71. 木村武雄

    ○木村国務大臣 全体の基地に対する政府の政治姿勢、そういうものの中で取り上げられた、こう私は解釈いたしております。  具体的に言いますと、相模原の問題を取り上げていつどうするかという話は、全体の中で取り上げて、それだけは少し話が煮詰まったようにちょっとお聞きいたしておりましたけれども、そういうことであります。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 まあ、われわれの立場と政府の立場とはおのずから政策的にも異なる点があるわけなんですけれども、たとえば日本列島改造論というものがありますが、それによれば、新しい二十五万中核都市をつくるとか、あるいは列島の改造をするとか、そういうような計画を立てても、それをかりに政府の立場で実行するにしたとしても、このように基地が方々に散在していれば、そのことがおのずから重大な制限になるわけなんですね。だから、かりにそういう政府の立場に立って、日本列島改造なら改造をやるとして、そして、太平洋ベルト地域のコンビナートを拡散する、あるいは疎開させるというような見地に立った場合に、この日本の国の中にある基地の問題との関係をどうお考えになっているのですか。そういうことは点検してみなくても、それはそのままにしてやっていくわけなんですか。
  73. 木村武雄

    ○木村国務大臣 私のものの考え方なんです。私は、基地があったほうがいいか、ないほうがいいかというと、ないほうがいいという立場をとっておるのであります。そして、なるべくすみやかになくなることが、日本列島改造事業を行なうにしても、非常に必要なことである。こういうように思っておるものですから、そういうような動き、特に政府の意思表示なんかある場合には、非常に善意に解釈するほうなんであります。そうでありまするから、日本の本土のことは、どこの基地をどういうように縮小さして日本列島改造事業にふさわしいものにするかというような具体的なものはまだ持っておりませんけれども、沖繩について言えることが一つあります。それは、沖繩で再来年度海洋博覧会がございます。そして、高速道路をつくる。その高速道路を西回りにするか、東回りにするか、どっちでもいい、建設省は御協力申し上げよう、屋良知事のおきめになるとおりでよろしい、こう言っておいたのです。そうすると、屋良知事は、東回りとおきめになったのですよ。東回りとおきめになりますると、米軍基地を二つ通るのであります。そういう点で、高速道路でさえも米軍基地を二つ通らなければならない。米軍基地の存在というものは、そういう点でもやはり非常に問題になるのですよ。そうですから、そういう方面では、私はじかにアメリカのスミス大使に交渉してそういうことをやっておりますから、いまあなたのお伺いになったように、日本列島改造を全国的に推進してまいりまする場合には、幾多そういう問題にぶつかるだろうと思うしそういう点で、私は積極的にものを考えております。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 日本列島改造論については、もちろん、私とあなたの立場は違う。われわれはあれに反対しているわけです。いま言ったような日本列島改造論の中にある、ネットワークである。高速自動車道路、さらには新幹線、あるいは航空路、あるいは通信網、こういうネットワークを考えてみても、これは、基地があるということがもう決定的な障害になる。かりにあなた方の立場に立ったとしても、ですね。だから、これについては、積極的な基地の縮小、返還というようなことについては、ことに、日本の国の国土の改造について最高の政治責任を持つ建設大臣としては、将来考慮していかなければならない問題だと思うわけです。  そこで、時間がありませんので質問を続けていきますが、地位協定によっても、道路法と道路交通法と車両制限令等は、これは米軍に適用になると考えておるわけなんですけれども、このことについては、今度は国家公安委員長の立場から、どういうようにお考えになっているのでしょうか。
  75. 木村武雄

    ○木村国務大臣 適用になりまするし、法は、日本人たるとアメリカ人たるとを問わず、守ってもらわなければならない。それから、守らせる方針を私としてはとっております。そうでありまするから、法を犯す者に対しては考えるが、法を守るる者は擁護する、こういうことであります。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 では、かりに、米軍側が道路法あるいは道路交通法、車両制限令等に違反した行為があった場合には、どういう措置をとっていくのでしょうか。これは国家公安委員長としての立場のお考えを聞きたいのと、警察庁へも具体的にお聞きしたいのです。
  77. 木村武雄

    ○木村国務大臣 具体的な話を申し上げますると、一番最初に、戦車が立ち往生したことがありますな、横浜で。そのときには、警察としては、やはり車両制限令に違反しておるから引き揚げてもらいたいという忠告を外務省を通じてやらしております。そうでありまするから、法はいつでも守らせる方針をとっております。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 警察庁はどうですか。もしそれに違反するような行為を米軍がした場合には、どういう方法をとるのですか。
  79. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 大臣がお答えになったとおりでございますが、なお、実際に道路交通法に違反しているような場合については、軍隊として行動している場合、いろいろの場合がございますけれども、個々の違反については、場合によって指示をし、警告をし、場合によって反則金を切るといったような手続をしております。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 いま答えられたのは寺尾交通企画課長ですか、じゃ、具体的に寺尾さんにお聞きしますが、これは大臣に聞くまでもないと思いますが、九月五日の午前十時過ぎに、米軍のトラックの十台が、さらに同日の午後四時ごろさらに二十台が相模補給廠内に搬入されましたが、この際、国鉄横浜線の踏切があるにもかかわらず、そこに一時停止もしなかった。これは道交法で一時停止しなければならないことは明らかですけれども、いずれもノンストップで、しかもフルスピードで走り抜けたということを、目撃した多数の人々が証言しているわけなんですね。しかも、正門前にはぎっしりと機動隊が詰めていた。こういうことがもう明らかになっておるわけなんですが、こういう事実を御存じですか。あるいはこれに対して何らかの処置されたんでしょうか。
  81. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 一応調べましたところが、そういう報告は受けておりません。ただ、しかし、事実ということになりましたならば、そういう場合であるならば、前にも信号無視の問題がございましたけれども、おそらく、署長から基地の司令官等に対しまして警告をするということになるだろうと思います。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、この点はさらに調査をされて、もし、やはりそういう批判があったら、これは道交法がアメリカとの地位協定によっても適用されるわけなんですから、米軍側に、日本の警察の権威にかけても警告を発する必要があると思いますから、調査して適切な措置をとってもらいたいと思います。  もう一例、具体的な例を申しますと、いま言ったほかに、スピード違反だとか、積載制限に関する届け出無視などが非常に行なわれている事例がいろいろあるようですから、これは常に心がけていただきたいと思いますが、具体的には、いまの例と、それからもう一つ、九月の六日に、沖繩の本島の北部の名護市の——これも警察調査してもらいたいと思うのですが、名護市の辺野古弾薬貯蔵所から中部具志川市の昆布桟橋まで、爆発物の表示をつけた弾薬が輸送されておる。こういう事実が現地から報告が来ているわけなんですが、これは火薬類取締法の第十九条によって、届け出をして、そして承認を得なければならないはずだと思います。これは火薬類取締法の十九条に規定がありますが、こういう手続をちゃんと踏んでこういう火薬の運搬をしているかどうか。沖繩では依然としてかつて米軍が占領したときと同じような事態で、治外法権的な行為をかってに米軍に行なわせているようですけれども、これは一つの例でありますが、いま言った九月六日の事例についても、ひとつ十分調査をして、そういう事例があったら、届け出がちゃんとしてあるかどうかということをちゃんと調査し、さらに今後、そういう危険な火薬を市内を運搬するんですから、ちゃんと火薬取締法の命ずるところに従うようにという警告を発するべきだと思いますが、そういうことも警察当局では知っているかどうか。知らないとすれば、そういう警告を発するべきだと思いますが、その点についての見解をお聞かせ願いたい。
  83. 関沢正夫

    ○関沢説明員 いま御指摘の点につきましては、九月六日にそういう事実がございます。それで、具体的に申し上げますと、届け出が九月一日に名護警察署にございました。それは、日本業者に委託して米軍の弾薬を輸送するわけでございます。正規に届け出をいたしまして、これは届け出てございますから、許可するとかしないとか、そういう問題ではございません。一応届け出を受けまして、所定の運搬証明書というのを交付して、それに基づいて輸送しているということでございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 では、九月六日の点については、答弁のとおり聞いておきます。  しかし、このほかに、沖繩では、信号無視、スピード違反、積載制限に関する届け出無視というような事例が非常に多いという報告を聞いておりますので、当然これは国内法の、火薬類取締法あるいは道路法、道路交通法、車両制限令等が適用になるわけでありますから、そういうことについては、沖繩の自治権、さらには治外法権的な日本の国に対する米軍の態度を許さないというような措置、これを十分講じていただきたいと思うわけです。  最後に外務省にお尋ねします。そして、建設大臣に対する質問はこれが最後になりますので聞いておきますが、相模補給廠で南ベトナム政府の使っておる戦車を修理している。これは国内法の取り締まりを受けると同時に、地位協定あるいは安保条約自体から言っても、日本の国は、南ベトナム政府の戦車を修理する義務というものはないわけなんですね。そういうことをどうして許しているのかということと、それから、そういうことを許しているような補給廠については、もうこの返還を要求するのが当然だと思います。きょう、木村建設大臣からも、縮小、返還の方向にこの問題については煮詰まってきつつあるという話もありました。これについて、外務省側ではどうお考えになっているか。外務省側の見解を聞いて、あわせて、それに関連して木村国務大臣にお尋ねをして、木村国務大臣は時間の制限があるようですから、私の木村大臣に対する質問をこれで終わりたいと思いますが、一応締めくくりのために外務省の見解を聞いておきたいと思うのです。
  85. 橘正忠

    ○橘説明員 ただいま私どもが承知しております相模原にございます米軍の車両類、これは米軍の所有しておるもの、米軍の所有にかかわるものと承知しております。ベトナムの紛争というのも、安保条約の極東の平和、安全というものと無関係ではないという意味で、日本における米軍の基地をその関係で使うことは、安保条約の上でも許されておると思いますが、この問題につきましては、参議院のほうでも御質問がございましたので、政府としても、見解をまとめまして、近い将来にはっきり御返事を申し上げたいと考えております。  これらの点を総合されまして、先ほど建設大臣のほうからお答えがあったように、相模補給廠の戦車修理機能の縮小あるいは停止ということについて検討するという閣議の決定があったものと了解しております。
  86. 木村武雄

    ○木村国務大臣 林委員の御指摘のとおり、米軍のものであるかどうかということは、私聞いていないのです。そうでありまするから、なお確かめてみたいと私は思っております。そうして、確かめた後に、今度は、外務大臣ともとくと話をしてみなければならないと考えております。ただ、相模補給廠のようなものは早くなくなってもらいたいと思っております。
  87. 林百郎

    ○林百委員 外務省の橘さんにお聞きしますが、これは米軍の所有だということもあなたは言われましたが、米軍の所有なら、それがベトナムの戦争に使用されていても、それが安保条約の地位協定の対象になるという、そういう拡大解釈をあなたはとっておられるのですか。そうしてさらにもう一つ。それはさっき木村大臣も言っておられたんですけれども、ベトナムのものであるか、あるいはアメリカの所有のものであるかは確かめると、大臣までそう言っているのに、外務省では、米軍の所有であるということをもう確かめられたんですか。確認をされたんですか。その問題が一つ。  かりに米軍の所有だとしても、ベトナムの戦争に関与している戦車が、安保条約の米軍の地位協定に基づいて、南ベトナムのかいらい政権に提供されて使用されるわけなんですから、その戦車を、米軍が使用しておる戦車として、かりに所有権がどういうことになろうと、それを安保条約の地位協定に基づいて日本の国が便宜を供与しなければならないということは非常な拡大解釈で、そのことは違法な解釈に通ずるものじゃないですか。どうお思いになりますか。
  88. 橘正忠

    ○橘説明員 この点につきましては、かねて当委員会あるいは参議院においてもいろいろ御質問がございまして、政府の答弁もあったと思います。これまで私どもが承知しておるところでは、米軍の所有にかかわる車両が相模の補給廠に来て修理をされておる。(林(百)委員「確かめてみたんですか、外務省のほうでは。」と呼ぶ)米側に聞いて、米側の回答がそのようになっております。なお、米側と南ベトナムとの間のいろいろなこまかい取りきめがあるようでございますが、ただいま問題になっております車両につきましては、いずれも、貸与するという方式で、一時南ベトナム側に使われるものも入っておる、米軍が自分で使うものもあるというような説明でございました。その際も、所有権は米側にずっと留保されておるという説明を私どもは承知しておる次第でございますので、その点を御説明申し上げたわけでございます。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 確かめられたと言うのだから、どういう回答があったのか、文書で確としたものを見せていただかなければわれわれも納得できませんけれども、かりに所有権が米側にあったとしても、それがあなたの言うように、南ベトナムのかいらい政権側に供与されて、そうして、要するに南ベトナムのかいらい政権の戦車としてベトナム戦争に使用されている。それの補給あるいは修理を、日本の地位協定に基づいて、日本の国の義務としてこれを修理しなければならないという理論は、安保条約や地位協定からは出てこない、こういうように私は考えます。したがって、安保条約に対する態度のいかんにかかわらず、こういう態度は安保条約にも違反しているものだと私は考えます。  これの論議をしていますと時間がありませんので、次に進みたいと思いますが、相模補給廠に修理のために持ち込まれている米戦車及びトラック等にベトナムの土やどろが付着している、それが相模補給廠に持ち込まれておるという、こういう事実を農林省は御存じですか。
  90. 福田秀夫

    福田説明員 まだ確認いたしておりません。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 先月の三十一日に、わが党の岩間議員が、参議院の内閣委員会で、現物を農林省に示して質問したら、農林省は、この土を分析してみます、その結果をお知らせしますと言っておりますが、それならば、このことは行なっておるのですか。
  92. 福田秀夫

    福田説明員 お預かりいたしました土は、いま、農業技術研究所において分析中でございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 それで、その結果はまだ出ておらない。いつ出るのですか。
  94. 福田秀夫

    福田説明員 結果は、まだ私どものほうには参っておりません。農業技術研究所のほうに問い合わせてみませんと正確なことはわかりませんが、もうそろそろ出てくるものと思います。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 相模原の補給廠に搬入されておる米軍のトラックや戦車に土がついておらないなんということを、農林省が、しかも植物防疫法の主管省である農林省がまだ知らないなんということは、これは全く職務怠慢だと思うのですよ。一度あなたも行ってごらんになりたらいいですよ。そんなことを言っているから、日本の国が、事アメリカに対しては治外法権みたいなことになってしまうわけです。  それでは、こういう事実も知らないのですか。去る九月五日の午前十時過ぎに、米軍のトラック十台が相模補給廠に搬入されたが、この五トントラックの車体は砲弾で大きな穴があいて、赤くさびついている上に、タイヤやバンパーにどろがべっとりついていた。これは目撃した市民や民主団体の人が証言しておる。もしこういうことが事実だとすれば、これは植物防疫法の第七条の対象になるということはお認めになりますか。
  96. 福田秀夫

    福田説明員 事実だといたしました場合に、植物防疫法は米軍には適用にはならないということを聞いております。ただし、日米合同委員会の合意に違反していると思います。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 日米合同委員会の合意にどういうことがあるのですか。
  98. 福田秀夫

    福田説明員 日米合同委員会の合意といたしまして、土は輸入を禁止するということがございます。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 それならば、こういう土がどのように相模補給廠の中で処理をされているかということも、農林省として知らないのですね。問い合わしたこともないのですか。そういう声があるけれども、戦車やトラックに土がついたまま運び込まれている事実はあるかどうか。合意書まであるわけなのですからね。問い合わしたことはあるのですか、ないのですか。
  100. 福田秀夫

    福田説明員 御指摘のようなお話が新聞紙上その他でございましたので、現地の植物防疫所長をいたしまして、現地米軍の司令官に問いたださせました。その結果、現地の司令官といたしましては、日米合同委員会の合意があることを知っている、したがって、土を日本に持ってぐることがその合意に違反していることも知っているので、日本に入れる前にその土を洗い落とすというような措意をとっておるということでありました。洗い落としの処置をとっておるという返事を得ておりますが、わが方の植物防疫所長は、洗い落としというような処置をとっておると言うけれども、しかしながら、一般に土が入っておるやのうわさがあるではないか、そういう点はどう思うかと問いただしましたところ、米軍からは、洗い落としておるはずだけれども、そういうような話もあるので、さらに徹底して洗い落とさせるように確認指示すると、こういうような返事をいただいております。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 一九五二年の日米合同委員会の合意事項の中で、あなたのおっしゃるように、土または病菌がついておる植物は輸入禁止品として取りきめておる。これはもう明確ですね。あなたの答弁の中で、そういう話もあるので、さらに厳重に洗い落とすということを米側が答えているということは、土の付着したトラックや戦車が暗々裏に相模補給廠の中へ運搬されているということを疑わさせるに十分な証言になるのじゃないでしょうか。だから、農林省は、現地に行って調べなければだめですよ。電話で問いただしているだけではだめです。そのことが日本の国の国家公務員としての重大な責務じゃないですか。  それでは、私が事実を申しますから、一度あなたも問い合わせをした上で調べてもらいたいと思いますが、戦車やトラックに付着して持ち込まれた土やどろは、相模補給廠の中で洗い落とされているわけですね。そして、それが基地外の川に流し込まれているわけです。言うまでもなく、これはあなたが知っていると思いますが、ベトナム等の亜熱帯地域の土は、日本にない病原菌や害虫の卵、あるいは日本の植物を害するような植物の種などを含んでいるということが、これはもう常識として言われているわけですね。その土が相模補給廠の基地で洗い落とされて、そして、境川という川がありますが、その流域に流し込まれる。それによって神奈川県一帯にまき散らされるということになるわけですね。これはたいへんなことなんですね。要するに、ベトナム等の亜熱帯地域の土は、日本にないような病原菌や、害虫卵や、あるいは植物の種子等を含んでおる。それが相模補給廠の付近の川を通じて境川流域に流されて、神奈川県一帯にまき散らされるという事態。これらの地域の人たちは、いま、はっきりそのことを言っておるわけですね。  もう少し詳しく申しますと、戦車のキャタピラの部分、車体の底など、至るところに赤茶色の土がへばりついている。それが非常に固くこびりついているために、大きなかたまりはハンマーやたがねでたたき落とさなければ落ちないように固くくっついている。さらに、水をかけてふやけさせた上で、高圧蒸気を吹きつけて、水で洗い流す。この洗浄作業を現場ではクリーニングと呼んでいる。この洗い流された水が、暗渠の排水口を通じて裏門のゲートから、さっき言いました神奈川県一帯に被害をまき散らす結果となる境川に流し出されておる。それから、ハンマーやたがねでたたき落とされた土が、戦車一台から大体バケツに二、三ばいは出てくる。それを集積場に捨てている。これらの土も、雨水などによって境川に流れ出す。また、風に舞って周辺の民家や畑に飛んでいく。こういう事態になっているわけですね。こういう事態をあなたはきょう初めて聞くわけですか。こういう事態の中から、亜熱帯地方の、いままで日本になかったような、いろいろの害を及ぼす植物の種だとか、あるいは害虫の卵だとか病原菌がまき散らされるという結果になるわけですが、あなたはこういうことをきょう初めて私から聞くわけですか。
  102. 福田秀夫

    福田説明員 いま御説明がございました点は、けさ、きのう付の新聞で拝見いたしました。それが初めてでございます。  なお、先生御指摘の、現地に行ってみろ、電話で問い合わせたくらいではいけないという御指摘でございましたが、そのとおりでございまして、実は、電話ではなくて、現地の植物防疫所長を現地に何べんか派遣しておりまして、おそらく本日も行っておると思います。そして、相模補給廠の中に御指摘のような事実があるかないかの確認をわが方にさしていただきたい旨の申し入れをやっていると思います。そのような指示をいたしておりますので、きょうあたりそういう話をしているのではないかと考えております。  一方、外務省と連絡をとりまして、合同委員会の合意に違反しておりますので、この点に関して外務省とも協議して正式に申し入れをしたいというような準備をいたしております。先ほどお答えいたしました土の分析の結果が出てまいりますれば、直ちに外務省を通じまして合同委員会のほうへ申し入れをいたしたい、このように考えております。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 新聞に出たからやっと係官が行って、それで調査をする。いままでも若干はしていたけれども、緻密な調査はこれからするということでは、これはだれが見ても農林省の怠慢だと言わざるを得ないわけです。ことに、亜熱帯地方というほかに、ベトナムにおいては、戦場ですから、人体にどんな被害を及ぼすかもしれないようなものがこの土にまじっているかわからないわけなんですから、それが日本の国へ持ち込まれるわけですから、植物防疫法によってそういうことは厳重に禁止されており、合意事項の中にもあるわけですから、農林省としては、その点をすみやかにかつ厳重に取り締まる方法を一そう強化して、違反のような事実があったとするならば、これは厳重にアメリカ側に申し入れをされたいと思うのです。この点については、また後ほどの機会に質問いたしたいと思います。  最後に、環境庁にお伺いいたしたいと思うのですけれども、いま指摘したような状態で、ベトナム等の亜熱帯地域の、ことに戦場の土で、病原菌や害虫卵を含む可能性のある土が水と一緒に神奈川県を流れて、境川の流域や周辺の畑等にまき散らされているとしたら、これは環境衛生上から言っても重大な問題になると思いますが、環境庁としては、きょうも新聞にも出ている実態なんですけれども、そういう措置をおとりになるか、これをお聞きしたいと思います。
  104. 山村勝美

    ○山村説明員 ただいま御指摘のございました南ベトナムの土その他に起因する環境汚染の問題でございますが、実は、私、水質担当でございまして、大気汚染的な視点はちょっとできませんけれども、現在のそういう排水の規制につきましては、御案内のとおり、水質保全法、水質汚濁防止法に基づきます排水規制が行なわれております。水質汚濁防止法によります排水規制は、一律規制というのがありまして、さらに県の条例で、上のせというきびしい規制がございます。神奈川県は特にきびしく規制いたしております。その規制の範囲から判断いたしますと、ただいままでのデータ、たとえば六月一日の調査によりますと、とりあえず排木基準には合致しておるという結果が出てきております。これはただ一回のデータでございますので、なお県に実態調査をするよう指示いたしておるところでございます。  なお、ただいま申し上げました水質汚濁防止浜における規制の水質項目と申しますか、対象の中には、ただいま農林省のほうにも、害虫卵であるとか植物を害する種であるとか、その他有害物質があるのじゃないかという御指摘がございましたが、一般に日本で問題になっております重金属等は規制対象に入れておりますけれども、その種のものを規制するような規則になっておりません。したがいまして、今後農林省とも相談しながら、実態をよく聞きまして、その後善処してまいりたい、かように考えております。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 環境庁としても、この相模補給廠の排水口と、それから、それと接着している境川におけるところの、あなたも言われておりましたけれども、病原菌、害虫卵、それから植物種子というものを——水質汚濁については、あなたから聞かなくとも私も知っておりますから、これを特に至急調査されて、農林省と一体となって、警告を発すべきものは発せられたい。こういうように強く要望しておきます。  これで私の最後の質問ですが、外務省としてはどういう措置をおとりになっているのですか。きょう新聞にまで出ておるのですから、こういうものがまき散らされているということについては一応の調査があってしかるべきだ。そして、もし事実だとすれば抗議する。これは橘さんもおっしゃるように、合意事項があるわけですからね。これはどういうお考えですか、このまま放意しておくお考えですか。
  106. 橘正忠

    ○橘説明員 先ほど農林省から御説明がございましたように、ただいま事実関係調査が行なわれておるところでございますので、その結果によりまして、もしそれが合同委員会の合意に反しているようなことであれば、所定の手続によって米側に注意を喚起するという措置がとられると思います。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 それではこれで終わりますけれども、一言、農林省、環境庁、外務省に要望しておきますが、いずれもこれは日本の国の、大きく言えば主権に関する重大な問題です。要するに、アメリカが守らなければならない法律を守っておらないというようなことに関係して、そういう治外法権的な無法ぶりを許しておくことは、日本の国の主権にかかわるし、日本の国の権威にかかわる問題でありますから、厳重にこの点は調査されたい。と同時に、いま言ったような、具体的な、相模補給廠において、ベトナムから持ち込まれておる戦場の土がたれ流しになっている問題に対して、早急に厳重な調査をして、アメリカ側に抗議をちゃんとして、そうして県民や国民の健康と生命を守る処置もあわせて行なって、日本の国の主権を十分守るような処置をとられたい。このことを農林省、外務省、環境庁に要望して、私の質問をこれで終わります。
  108. 谷垣專一

    谷垣委員長 本日は、これにて散会いたします     午後一時二十八分散会      ————◇—————