○竹本委員 いま御説明いただいた
数字は、
あとでまたちょっと簡潔にメモにしてひとつ見せていただきたいと思いますが、お願いいたしておきます。
いまの
経済理論に関する限りは全くそのとおりだと思いますから、大体は一通りわかりました。
そこで、先へ進みますが、先ほ
ども申しました円の再
切り上げの回避策が間に合うかという問題に入りますが、・八
項目、七
項目、今度は十五
項目、その次は三十
項目といったように、
項目はたくさん出てくるわけですけれ
ども、この中できめ手になるものがあるのかという点についてひとつ心配があるわけです。私はやはりあまりきめ手がない、ただ概念整理として一応のそれぞれの
項目があがっておることはりっぱだけれ
ども、間に合うように、きめ手として役に立つかという点について非常に心配を持ちます。
そこで、それらのことを
一つ一つやろうと思うと時間がありませんから、
一つ二つポイントの重要な点について申し上げたいと思うのですけれ
ども、きょうは午前中私ちょっと中座をしたので十分聞かなかったのですが、
一つは、中曽根
通産大臣は、場合によって
貿易管理令の
発動も
考えるということの御答弁があったようです。そこで
大蔵大臣に
一つ伺いたいことは、
大蔵省として
貿易管理令、まあ形は
自主規制ということになるのかもしれませんが、そういうような形での
規制による
輸出の
調整、それと
輸出課徴金とか
輸出税とかいいますけれ
ども、こういうものは
閣議であるいは
関係閣僚
会議でもいろいろ御
論議があると思うのですけれ
ども、まとめて
貿易管理あるいは
自主規制といったようなものの方法と、それから
輸出課徴金あるいは
輸出税といったような、
大蔵省のお
考えのようでございますが、その
政策とどちらがより適切とお
考えであるかということを結論だけ聞きたい。
その前に、またあわせて
伺いますが、たとえば
貿易管理令というのは、法の制定が御承知のようにいまとは
経済段階あるいは
経済情勢が全く違うときにできた法律なんですね。すなわちドルが足らなくて困ったときに、どういうふうに
輸入を
規制するかということが出発点になっておる。あの法文を読んでみるとそういうふうに書いてある。ただ役人が備考にそうでない場合もあり得るように、法律の技術としては両方書いてある。しかしながら、全体の趣旨はドルが足らないときにどういうふうに
貿易を
規制するかということに
中心があったのでありますから、法律の根底を見る、あるいはその他条文の端々を見ればそれがはっきりしておる。そこで私は、本来ならばそういうドルが足らないときの法律でドルが余ったときの
規制をそのままやろうなんということは、それ
自体が
政府の怠慢である。いつか法制局にも私はその点は大いに質問したことがあります。調べてみると、最近でも
経済の復興なんということばがある法律が幾つもあるのですね。いま復興し過ぎて困っておるときに、
経済の復興ということを
中心にした法律で、しかもそれで
規制をするということは全くごまかしというか、なまけ者というかしりませんけれ
ども、はなはだ私は妥当性を欠いておると思うのですね。そういう
意味で、
貿易管理令でドルが余っているときに
輸入ではなくて
輸出を
規制するということは、法の根本義からいってもおかしいということが
一つ。
それから第二番目には、
貿易管理令とかいうような
考え方は、特定の品物、たとえば繊維なら繊維というものについてやるならばまだ事情が違ったというか、問題を別にすれば一応
考えられ得るのですね。ところが、今日問題になっておるのは、
日本の全体の
輸出が二十六億ドル九月にあったのは多過ぎるということが問題なんで、個々の品物を、繊維がどうだ、テレビがどうだ、あるいは自動車がどうだという問題とは違うと思うのですね。したがって、今度打つ手というものは、そんな個々のものを寄せ集めて並べてみれば対策になるというようなものではなくて、
日本の
経済全体の体制なりあるいはわれわれで言うならば
輸出中心主義の体質が問題になっておるときに、個々の管理令で押えてやっていこうということ
自体は、
政策目的を誤るだけではなくて、その
効果も非常に疑問である。そういう個々の品物をしかも
自主規制で押えていく、
貿易管理令で押えていくということは、法の趣旨からいってもおかしいが、一体どれだけの
効果があがるか。やはりいまの問題は、それこそ
輸出税というか円の再
切り上げというか、そういう
全般に
効果のある手、そういう手を打たなければだめだと思うのですね。その点について
大蔵大臣、
貿易管理令はそれぞれの個々のものを
中心にした大体のお
考え方であるし、それをまとめて
輸出税のかわりに管理令でやるということは、私は法律技術からいってもなかなかむずかしいと思いますし、また
効果の点からいってもはなはだ疑問だと思いますが、その点についてどうか。
それからもう
一つの点は、いまは資本主義
経済で、いわゆる自由
経済の原則に立っておる。もし今度の場合、中曽根構想か何か知りませんが、そういう
考え方で
輸出の
自主規制というものをやれば、全部の品物を押えて、しかもアメリカから文句を言われないところまで次々に
輸出を押えていこう、こういうことになれば、ものすごい、戦時統制
経済以上とは言いませんけれ
ども、それにも匹敵するような統制を次々にやらなければならぬ。自由
経済の原則に立っている自民党さんが、
経済学の知識が足らないでやるのか何か知りませんけれ
ども、方針を変えてやるというのではないでしょう、そういう
考え方でありながら、めくらヘビにおじずでやって、結果的に見ればとんでもない統制
経済体制に入ってしまったということになり得ると私は思うから、念のため申し上げるのだけれ
ども、そういうことの見通しを持ってやるのかどうか。
経済を知らぬで
経済を論ずる人が多過ぎるので困るのでありますが、結局は
経済というものは
一つを押えれば次々に全部を押えなければならぬ、しかも
貿易管理令のようなもので押えていこうと思ったら、
日本じゅうのあらゆる産業をめちゃくちゃに押えていかなければ、いまのアメリカの要望に沿うような
輸出のコントロールということは私はできないと思うが、そういう点からいえば、まだ円の
切り上げなりあるいは
大蔵省が言っておられるような
考え方のほうが
ベターだ。
通産大臣は、そういう
経済秩序の全体にそれがどの程度の打撃なり
影響なりを与えるかということを知って言っているのか、わからぬで言っているのか、その辺私はわからないが、
大蔵大臣としてはそういう点について少なくともどういう見通しを持っておられるか、その辺をちょっと
伺いたい。