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1972-10-26 第69回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年十月二十六日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 相沢 武彦君    理事 田中 六助君 理事 地崎宇三郎君    理事 岡田 利春君 理事 鬼木 勝利君       荒木萬壽夫君    鹿野 彦吉君       金丸  信君    三原 朝雄君       山村治郎君    細谷 治嘉君       松本 七郎君    八木  昇君       池田 禎治君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         労 働 大 臣 田村  元君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     幸田 正孝君         通商産業政務次         官       丹羽 久章君         通商産業省公害         保安局長    青木 慎三君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部鉱         害課長     篠島 義明君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君         日本国有鉄道旅         客局長     伊江 朝雄君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 八月十九日  辞任         補欠選任   進藤 一馬君     荒木萬壽夫君 十月二十六日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     金丸  信君   有馬 元治君     山村治郎君   伊藤卯四郎君     池田 禎治君 同日  辞任         補欠選任   金丸  信君     阿部 文男君   山村治郎君     有馬 元治君   池田 禎治君     伊藤卯四郎君 同日  理事伊藤卯四郎君同日委員辞任につき、その補  欠として伊藤卯四郎君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取  当面の石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 相沢武彦

    相沢委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。田中六助君。
  3. 田中六助

    田中(六)委員 大臣の時間が非常に限られておりますし、それに六人の質問ということで、私、簡単に質問を申し上げたいと思います。  貯炭対策あるいは鉱害の問題などもございますが、同僚議員が同じ問題を質問すると思いますので、大臣にはひとつこういうことを御質問申し上げたいのです。  石炭対策石炭全般の問題はもう非常に錯綜しておりまして、このままではどうにもできない。すでに五次答申が出ておりますけれども、五十年度に二千万トン以上ということになっておりますが、これとても非常にあぶなっかしい。しかも、今度は逆に、貯炭が非常にたくさん出てきておるというような変な現象もございまして、これはやはり一つ石炭体制の中に内蔵する諸矛盾があらわれておるからだというふうに考えるわけです。したがって、わが自民党の政策とは全く異なるのでございますが、生産体制変更、つまり私企業ではどうにもならないということから出てきているんじゃないかと思うのは、たとえば産炭地振興問題にいたしましても、鉱害対策にいたしましても、個別企業のレベルではこういうことを処理するのはどうも不可能だ、そういう見解が当然生まれてくるわけです。したがって、これを一元化する。石炭機構、運営とか、そういうものを全部ひっくるめまして、販売から全部やりますと、これはもう私企業というもの——私企業でもいいんですが、それを一元化するという方向考えられるわけです。したがって、それを発展させますと国有とか国管とかいう面にもなるわけでございますが、生産体制変更ということについて、しかも石炭エネルギー資源を二千万トン以上確保するというようなことと関連をしまして、私企業では、いまのようなばらばらの私企業形態では限界があるのじゃないかと思われるのですが、大臣はこの点どのようにお考えでしょうか。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現在の経営形態を早急に変更するということは、いろいろ摩擦もでき、かつまた、企業経理あるいは国益全般の面から見ましてどうかと思われます。この間の第五次答申の線を守りまして、あの答申を実行するように努力していくべきだと思います。
  5. 田中六助

    田中(六)委員 これで終わります。
  6. 相沢武彦

  7. 細谷治嘉

    細谷委員 通産大臣に二点ばかりお尋ねしたいのです。  第一点は、この前の石炭対策特別委員会で、工業配置について産炭地優先だ、こういう大臣のおことばは承ったのでありますけれども通産省工業配置についての案というのが、当初と比べますとだいぶ変形したと思うのであります。こういう中において、いわゆる移転促進誘導地域等のバランスから産炭地はどういうことになってくるお見通しなのか、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 産炭地振興ということは、通産省がやっておる政策の中でも非常に重要な政策でございます。それで、工業配置という全国的視野から見ましても、これが産炭地振興と結びつくということはきわめて望ましいと思いますので、その再配置の際に際しましては、できるだけ産炭地振興と結びつくように通産省も積極的に努力していきたいと思っております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 この工業配置法ができる観点において産炭地域振興と結びつくことが望ましい、こういう大臣のおことばでありますけれども、事実は、立法の経過なり趣旨からいっても、産炭地の問題を、望ましいのではなくて、結びつけて重要な柱として考えて、この問題に対処していく、こういうことではないかと思うのでありますけれども、望ましいということになりますと、あの変形した通産省案というのがだんだん変わってきたいきさつからいいますと、まさしく事実は、従来の産炭地振興というのがもっともっと後退してしまうのじゃないか、こういう気がいたします。もう一度御答弁願います。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 産炭地域を優先して取り扱うように努力してみたいと思います。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 ぜひそういうふうに進めていただきたい、こう思います。  第二点は、せんだって私ども石炭対策特別委員会北海道九州を視察したわけであります。私は九州の班に参加いたしまして、いろいろと石炭問題について問題点があるということを感じ取ったのでありますけれども、そのうちの一つとして、第五次答申、二千万トンを下らない、こういうのが柱になっておるわけでありますけれども、行ってみますと、私は、この二千万トンという第五次答申も、いまの通産省の姿勢では、これはもうやはり四次と同じように途中で崩壊してしまうのではないか、いわゆる石炭産業というのはもう壊滅してしまうのではないかという感じを抱きました。  具体的な問題といたしましては、電発開発いたしましたいまの若松火力、これは石炭専焼として火力発電所がつくられたわけですけれども、今日のスケールからいきますと、ややもうスケールメリットのない小さなものでありますけれども石炭専焼火力として低品位炭を使うということでいきましたけれども、いまやもうほとんど石炭を使っておりません。端的に申し上げますと一〇%以下だ、こういう状況であります。あとは全部重油に切りかえておる。そうして、工場側責任者に聞きますと、石炭を使おうという意欲はきわめて消極的である、こういうことでありました。  もう一つは、大牟田市に、昭和三十四、五年くらいと思いますけれども九州電力火力発電所が、新鋭の十五万四千というのができました。いま、一号機、二号機とありますから、三十万八千あるわけでありますけれども、その十五万四千の一号機は、石炭専焼火力として大体石炭を六十万トンぐらい年間消費しよう、こういうことで建設されたわけです。二号機については、その後の情勢で、重油を重点に使う、こういうことで設計され建設されておるわけであります。その一号機がいまや完全に重油専焼に切りかえられていっておる、こういう状況であります。  こういう点で、御承知のように、工場誘致等の問題で地方団体がやったのも、地元で産出する石炭を活用してもらいたい、こういうことで奨励金等も支出をしておる、こういういきさつがあります。今日になってみますと、石炭専焼火力として五、六十万トン石炭を消費しようとしたのが全部重油に切りかえられていっている。これは九州電力のあれであります。  こういう事態を考えてみますと、そして理由というのは、石炭ばいじんがあって公害が困るから。これは若松も同様であります。若松は、日炭高松の廃鉱、こういう問題が一つ理由になっておるようであります。石炭専焼として電発がやったならば、これは克服できないことはないわけだと思うのです。それが全部イージーな重油に切りかえている、こういうふうに思います。これでは、とてもじゃないが、二千万トンの需要というのは確保することはできないのではないか。したがって、どんどん重油に切りかえられて、石炭は、第五次答申ももはや文章にすぎない、こういうことになるのではないかということを憂慮しております。現地でいろいろな関係者の意見を聞きますと、やはりその点が一番憂慮されております。  でありますから、私は、電発石炭専焼という形でつくられたものは石炭をたいていただく、これからもひとつ石炭専焼のものをつくっていただく。幸い硫黄分の多い三池炭について、三井アルミが独自の方法を外国の技術も導入いたしまして開拓して、いまのところ順調にやっております。硫黄の問題も、あるいはばいじん問題等についても克服しながら、そういうことで石炭火力でやっております。でありますから、私はやはり電発等中心にして石炭需要を確保していくということに積極的に取り組まなければならぬ、こう思うのでありますけれども、ひとつ大臣、この問題について、どういう決意で石炭需要を確保していくのか、そして第五次答申というものを、二千万トンを最低としてここにかんぬきを入れて守っていくのか、重要な一つポイントでありますから、お答えいただきたいと思うのです。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 産炭地域振興のために、特に火力発電の建設につきましては、通産省といたしましても前向きに取り組むようにいま鋭意努力しているところでございます。  問題点は、いまも御指摘がありましたように、日本石炭サルファが高いということ、これに伴って粉じんあるいはサルファ公害の問題を提起している、こういうことのようであります。この点はできるだけ公害防除の施設を国が力をあげて発展せしめる、改良せしめることによりまして、できるだけ早急にこれを解決するようにして石炭火力をふやしていきたい、そういう希望を一持っております。これは一応民間がやるということでございますので、そういう点についていろいろこれを勧奨し、誘導していく、そういうことで積極的につとめていきたいと思っておるわけでございます。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 その答弁ではちょっと納得できないのです。私どもが視察した際に、福岡通産局あたりでも、産炭地域石炭火力、しかもそれは電発でという計画案を持っておりまして、地元の新聞にもかなり大きなスペースをさいて報道されております。でありますから、いまの大臣ことばではこれはいかようにもとれるわけでありますので、産炭地域石炭火力電発の手でつくる、そして石炭需要を確保する、こういう一つの基本的な態度をここで明らかにしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 電発をしてそういう努力をさせておるところもすでにございます。原則として電発等は政府のお金も入っておるわけでございますから、そういうことはやりやすい面もございますので、そういう点については積極的に努力してまいりたいと思います。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 ひとつ電発で積極的に需要確保努力していただくように要望をしておきたいと思います。  時間がありませんから、簡単に最後に一点。いろいろと現地に行って聞きますと、第五次答申というのがレールに乗って具体化する、それまでがたいへんだ、こう言っております。それについて具体的な対策を講じていただかなければ、第五次答申は到達できない、こういうことを石炭協会関係者なりあるいは地元でも、切なる声として言っております。こういう問題は確かにそのとおりでありますが、これについて大臣、具体的にどういう問題を取り上げていくのか、お尋ねいたしたい。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ことしはすでに三百数十万トンでございましたか、滞貨が出ておりまして、その滞貨の問題というのが一つ頭の痛い問題でございますし、それから、引き取り価格につきまして関係需要先との価格交渉の問題がまだ解決しておりません。前者の問題につきましては、支払い延期であるとか猶予であるとか、いろいろそういう措置を講じながらそういう問題を打開するようにいたしていきたいと思いますし、後者の問題につきましては、私は直接関係業界にも電話なんかをかけまして、積極的にそのネゴに応じて、石炭側要望をのんでくれるようにということを依頼しております。いままでは膠着状態でありましたのが、そんなこともありまして、話し合いが始まりまして、いま価格をどの程度で妥結させるかという点で両者が動き出しておるところでございます。そういうような努力をいたしながら、何とかこぎつけていきたいと思います。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣から具体的なポイントをお示しいただいたのですけれども支払い延期ということになりますと、大臣、いまの石炭会社支払いというのは、中小企業泣かせなんですね、物が入ってから手形を切るのが半年以上かかって、払うのがその手形を切ってからまた半年以上というような形ですから。とてもじゃないが、支払い延期なんということは具体的な問題じゃないと思うのですよ。ですから、それにかわる、たとえばつなぎ融資等の問題、こういう問題も考慮してやらなければならぬじゃないかと思います。  時間がありませんから、きわめて不本意な質問でありますけれども、きょうのところはこれで終わっておきます。
  18. 相沢武彦

  19. 鬼木勝利

    鬼木委員 時間が十五分に制限されておりますので、あまり詳細にお尋ねはできないが、その前に一つ大臣要望しておきます。  われわれがきょう委員会をやったというのは、あすから開会にでもなれば非常にお忙しいだろうというので、特に開会前にわれわれは委員会を開いておる。大臣の御都合を十分尊重してやったのですから、次回からは十分ひとつ時間をとってわれわれの相談に応じてもらいたい。特にこの点を要望しておきます。その点をまず大臣から御答弁願いたい。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 できるだけ時間をとって委員会に出席するようにいたします。
  21. 鬼木勝利

    鬼木委員 そこで、時間もありませんので本間に入りますが、大臣も御承知と思いますが、いま石炭業界貯炭に非常に苦しんでおる。これはすでに御承知と思います。全国的に四百万トン以上の貯炭になっておる。これは私の地元のことを言うのも恐縮ですけれども三井鉱山のごときは二百万トン以上の貯炭である。これは非常に困っておる現状でありますが、公害の問題で石炭が売れない。これは排煙あるいは脱硫設備整備促進ということも不可欠な大事な問題でありますが、これに対して国の援助がない。それは私企業ですから、自分でやれといえばむろんそうなんでありますけれども、それでなくても非常に困っておる。そこで、一般炭対策のために、先般も大臣に申し上げましたように、三井アルミなんかは脱硫装置が非常に成功している。そういう面から、私は、どうしても一般炭をはかすためには火力発電をつくらなければいけない。これも前回大臣にも十分その点をお願いしたのですが、電源開発のための石炭火力発電所を、これはわれわれ委員会としても全員超党派によってお願いをしている。北海道それから九州にぜひこれをつくってもらいたい。先般来私ども調査団調査に参りました。非常に皆さん要望が多くて、ぜひこの火力発電所をつくってもらいたい、こういう切なる要望で、なおまた、これが一般炭需要を可能ならしめる大きなかぎだと思います。これに対して通産大臣は積極的にやってやろう、解決にはこれ以外に道はない、全く同感だ、このようなお考えのもとにおやりになるのか、まだ勉強中だとかこの前おっしゃっておったが、そういうことであるのか、ざっくばらんにひとつその点通産大臣お尋ねしたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 石炭火力の設置ということは、いまの石炭問題を解決していく一つの有力な手段であると私も思います。ただ、公害問題というような問題等もあり、そういう問題を解決するということもまた非常に緊要な問題にもなっておりまして、できるだけ早く公害問題を解決しつつ、いまのような方向で、おっしゃるように石炭火力をふやす、そういう方向政策を進めるように努力してみたいと思います。
  23. 鬼木勝利

    鬼木委員 幸いにしまして大臣とわれわれの考えは全く一致しておる。有力なる田中内閣における実力者である中曽根通産大臣が、諸君の考えと同じだ、これから前向きに大いに努力する、こういうふうに答弁していただいた、こういうように理解いたします。よろしゅうございますか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 けっこうでございます。
  25. 鬼木勝利

    鬼木委員 このように話がうまく一致していくと、時間が短くてもスムーズにいきますけれども……。  次にお尋ねしたいのは、これは先ほど理事会でも非常に問題になりました、いまお話しました貯炭の問題ですが、そこで、具体的に、第五次石炭政策に至るまでのつなぎとして、これも先ほど申しましたように非常に陳情がありまして、その一つをここへ持ってきておるんですが、第五次石炭政策が実施されるまでの緊急措置をお願いしたい。つまり、つなぎですね。現在が非常に困っておるんです。山は資金繰りにどこも困っておるんです。そこで、これは炭価を引き上げるとか、あるいは近代化資金返済猶予するとか、そういうことをやってもらいたい、あるいは再建資金貸し付け制度を活用してもらいたい、いろいろ陳情があっておりますが、具体的にそれをどうこうといま大臣に言ってもお答えはできぬかと思いますが、いずれにしましてもつなぎ融資という点において、昨年もやっていただいたんですから、本年も何とかしてこの危機を救ってもらわぬと、これはもう年末を控え、年越しができぬというようなことになります。というとたいへんな問題になるんですね。ですから、この点において、炭価一般炭が百五十円、原料炭は三百円上げるというようなことは、来年度はそういうことになるかもしれませんが、本年度の問題として、詳しく具体的にこういう手を打って措置をやるということは、もし御答弁ができなければ、この年末、本年度資金繰りはどうとかして救済いたしましょうというお考え大臣にあるかどうか。あれば、あとは事務的の問題ですから、できるわけだ。そこに石炭部長も見えておるから、部長にもお尋ねしたい。大体非常に人情家である、あたたかい温情家である中曽根大臣だから、十分お考えはいただいておると思いますけれども、その点ひとつお尋ねいたします。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、当面はその炭価交渉を早く成立させる。それができますと、銀行の融資のめどもつくだろうと私は思います。それからもう一つは、どうしてもやむを得ないという場合には返済猶予の問題、これもそういう場合になったら取り上げざるを得ないだろう、当面はそういうことを考えております。
  27. 鬼木勝利

    鬼木委員 結局、決定的なお話ではないけれども、何とかして、この非常に危機に面して困っておる業界に対して十分考えておる、考慮する、安心しておっていいですよと、こういうふうに解釈してようございますね。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 一緒努力して解決いたしましょうということです。
  29. 鬼木勝利

    鬼木委員 一緒努力するというのがわかりませんけれども、われわれは徹底的にそう救済しなければいけないという気持ちですから、その気持ち一緒と、かように私理解しますので、どうもありがとうございました。  次にお尋ねしたいのは、これも前委員会通産大臣お尋ねをした問題なんですが、鬼木同じことばかり言うじゃないかとおっしゃるかもしれぬけれども、できるまでは二回でも三回でも四回でも、うまずたゆまず私は申し上げたい。というのは、例の大牟田有明炭鉱の再開発の問題、これは御承知のとおり、かつては三池炭鉱によって大牟田はいんしんをきわめた。炭鉱マンにあらざれば人にあらず、こういうふうに繁華をきわめた、不夜城とまでいわれた大牟田市が日一日とさびれておる。こうしたときに起死回生の妙薬というのは、私は有明鉱開発以外にはないと思う。しかも、優秀なる原料炭が採掘されるのでございますので、たびたびわが当委員会も視察をいたしております。調査もしました。なお関係地域の方々の切なる陳情もございます。条件も非常にいいようでございます。その点、この前お尋ねしたところが、前田中大臣は、いまの総理ですな、いや非常に意欲的で能動的で、けっこうだ、可能であればぜひそれはやりたい、こういう前大臣の、田中総理お答えでした。ところが前回通産大臣お尋ねしたところが——これは何もあなたを責めているわけでもなければ、あなたの言われたことに対して私はどうこう言うわけじゃないのですよ、言うわけじゃないけれども、時の流れに従って、その時の推移をよく見きわめて善処したいと思いますとか、企業者出資者等動向も把握いたしまして、いまおっしゃったことを尊重して処理するようにつとめますとか、なお今度は、あとのほうで大臣は、まだ私は勉強が足りませんので、よくこれは勉強して必ず御趣旨に沿うようにいたしたい、こういうようなこともおっしゃっております。  そこで、企業者あるいは出資者動向も把握してとか、時の推移をよく見きわめて、こういうことをあなたはおっしゃっておるが、もうあれからだいぶあなたも勉強していらっしゃると思う。これはあなたが勉強しておらないと言っているんじゃない。あなたがそうおっしゃったから。まだ勉強があまり足りぬから、これからよく勉強して、よく実態を見きわめて、時代の推移というものを勘案して、そしていたしましょう——もちろんこれは私企業ですから、合弁会社でやろうと、こういうわけなんだから、こちらで一方的にきめるわけにはいかぬ。それはおっしゃった。だれか事務当局からそういう説明をしている。それはむろん私はそうだと思う。だけれども通産大臣が主体となり中心となって、早くこうしてこうしてこうやりなさい、ああやりなさい、こうやったらどうかという指導、補導、助言、これは私はぜひ大事だと思う。それは大臣通産当局皆さんが、これはこういうふうにやったらいいでしょう、話はここまできまったんだからこうやりなさい、石特委員会では再開発をするということは全部一致している。決定した事項なんです。決定した事項なんだから、ですから、その線に沿ってどうだ、どんなに話が進んでおるか、どういう点が困っておるか、なるほどそういう点が困っておるなら、われわれがひとつ応援しようじゃないか、この点はどうだというふうに、少し能動的にやっていただかぬと、これはいつまでたったって解決しないと私は思う。それはもう超党派で、全部やったほうがいい、地元地域全部そうなっている。これに反対者が一人でも二人でもあるというならまた考えなければならぬけれども、全員やってもらいたい、こういうことになっておるのですよ、実態は。田中総理日本列島改造論なんてうまいことを言っていますけれども、これは改造論は別途また私は大いに論議したいと思うが、炭鉱はいまからつくるのじゃなくして、もうあるんですから、それによってこれを再開発してみながやろうと言っているのだから、それをやらせる。これは地域開発の、もう日本列島改造論の先取りなんだから、先にできているのだから、ですからそういう点を、卓越したる通産大臣は今日まで拱手傍観とまでは言いません、言い過ぎだと言われるから、拱手傍観とまでは言わぬけれども、黙して語らずで、わかっておるのかわかっておられないのかわからんじゃ困る。大体、有明鉱の再開発はこのようになっておるぞと、大臣から私はお話を聞きたいくらいな気持ちなんです。われわれは全部意欲満々だ。ここにも細谷先生がお見えになっているが、地元に参りますと、まだか、まだか、きょうか、あすか、こう言っておられるのですよ。その実態をひとつよく通産大臣はお考えいただきたい。要すれば、日鉄有明を通産大臣もひとつ視察に来てもらいたい。いつでも御案内いたします。万全のおぜん立てを早くつくってもらって——具体的でなくても、大体一応のおぜん立てはできておるのですから、その点ひとつ、大臣お答えを願いたい。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 本件につきましては、通産当局としましても従来側面的にいろいろ協力して話を成立させるようにやってまいりました。最近の情勢によりますと、話し合いが成立する方向に進んでおるようで、喜んでおります。これをできるだけ早く成立さして、われわれのほうでも協力していきたいと思っております。
  31. 鬼木勝利

    鬼木委員 大体話はできる、操業開始までに前向いておる、非常にわれわれも喜んでおるという大臣のお話でございますが、ただ喜んでおる、喜んでおるだけではいけませんので、ほんとうに握るまで、くどいようですけれども大臣、いつでもあなたにお願いに参りますから、よろしくひとつ。ようございますか。あまりそんな渋い顔をしないで、ときにはにこっと笑うぐらいなことをやらないと、話がうまくいかぬじゃないですか。われわれはこういう問題、超党派でやっていますからね。しかも絶対私は大臣を信頼していますから。長年、あなたとは特にじっこんの——私だけじっこんで、あなたはじっこんでないかもしれないが、そういうところでひとつよろしくお願いします。  それじゃ時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  32. 相沢武彦

    相沢委員長 岡田利春君。
  33. 岡田利春

    ○岡田委員 初めに、田中通産大臣は、工業配置促進法の審議にあたって、公団が発足をして過密地帯から工場を配置する場合には北海道の美唄を第一号にします、私が委員会で聞いているだけで六回お伺いいたしております。すでに公団が発足をし、今年度百五十億の予算でこれから進められてまいるわけですが、この点については中曽根通産大臣としても同じ気持ちを持っておられるかどうか。公団がすでに発足をいたしておるのでありますから、もう具体的なめどがあってしかるべきではないか、私はこう考えるのでありますけれども大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 前通産大臣の方針を踏襲してまいりたいと思います。
  35. 岡田利春

    ○岡田委員 今日、具体的なめどがあるんでしょうか。結局十月から発足をして三月末で一応今年度が終わるわけですから、四月閉山以来もう相当時間もたっておりますので、私は、何らかの裏づけがあって田中総理通産大臣時代に言われたのではないか、また現時点では当然ある程度具体的なめどがあってしかるべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 この間公団が発足をいたしまして、線引きもようやく終わりました状態でございますので、まことに残念なことでございますが、特に具体的に進んでいるというふうには、私、思えません。しかし、今後とも積極的に努力してまいりたいと思います。
  37. 岡田利春

    ○岡田委員 これがもしできないとすれば、通産大臣から総理大臣になった田中総理はまさしくうそつき総理だということを天下に証明することになるのではないか。こういう意味で、特にいま大臣から、まだきまってないという答弁でありますが、もう一度、重ねて押して指摘をしておきたいと思います。  第二の問題は、先ほど火力発電所の問題について大臣は触れられておりますが、いまの石炭専焼火力の技術で、第一にはサルファ問題、第二には粉じん防止の問題、第三には最近問題になってまいりましたNOXの問題、公害問題は大体この三つが考えられるのではなかろうか。もちろん石炭については、それぞれ諸外国の基準も、アメリカの場合を見ても、他のエネルギーと格差をつけて基準は設定されておりますけれども、そういう面から考えますと、産炭地石炭火力をつくるという場合には、これはもう北海道の場合ですと、油よりもむしろサルファが少ない。今度の伊達火力は  一・七%、北海道石炭をたけば〇・五、六%のサルファで非常に少ないわけです。九州の場合ですと、三池のように脱硫装置をつけなければいけないということになるでしょう。粉じんの場合には、これは磯子でたいておるわけでありますから、さらにこれが強化の方向に向かっておりますし、その対策は十分とれると私は判断をするわけです。あと問題はNOXの問題になっていくんだと思うのです。そういう意味で、公害問題というよりも石炭対策という視点と、それから国際的にやはりエネルギーというものは相補っていく。アメリカでもいま十億トンの石炭を掘るという一応の計画を検討せざるを得ない状態になっておるわけです。こういう角度から見ても、私は、特に産炭地火力という点については、現在の貯炭の現状にかんがみてテンポを早めて結論を出すべきではないか、そのことによって石炭の五次政策はどっちに行くかということがおのずからきまってくると思うのでありますけれども、そういう私の考え方についていかがでしょうか。
  38. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、石炭火力の推進については努力してまいるつもりでおります。
  39. 岡田利春

    ○岡田委員 前委員会で私との間には本年度できるだけ早く検討して結論を出すということになっておりますが、最近の動向を判断いたしてみますと、何かその面が実際の下部のベースでは後退しておるのではないか、こういう心配を私は実はいろいろいたしておるわけです。せっかく大臣答弁でありますから、少なくともそういう印象やそういうようなことのないように十分責任をもって進めていただきたいと思います。  第三点は、いま有明開発について鬼木委員質問いたしましたけれども、二千万トン体制における三池炭鉱のウエートというものはきわめて高いわけです。五百六十万トンの出炭規模、そういう意味で四分の一強の出炭をいたすわけです。有明開発三池炭鉱の関係において有明開発を展望する、含む三池炭鉱の出炭規模をどう想定をされておるか。この前提がなくしていわば開発の議論というものは私は成り立たない、こう思うわけです。この点はもし大臣がおわかりでなければ、事務当局としてもどう考えておるか、承っておきたい。
  40. 外山弘

    ○外山説明員 有明港の開発に伴います需要の問題というのは、当然のことながら三池のあの付近の炭全体の需給の問題という角度から考えられるべき問題でございまして、まさにその辺の問題もございますので、有明港の開発に伴ういろいろな協議というものもその辺を重要視して進められているわけでございます。先ほど大臣からお話がございましたように、大筋で合意が成立しつつございまして、現在細部を詰めておりますが、大体その需要の見方についても一つ考え方が出ていると思います。実は私まだ地域別の詳細の需要見通しというものを数字的につかんでおりませんけれども、先生御指摘のようにそういう点については十分な見通しのもとにやるということは私どもとしても当然のことだと考えている次第でございます。
  41. 岡田利春

    ○岡田委員 当初計画の有明の出炭規模は二百五十万トンということを最終的に想定をいたしたわけです。そこでいま三池の出炭規模が五百六十万トン、まあ五百五十万トンでもけっこうですが、それをそのまま維持するとすれば、これはもう実に八百万トンの出炭規模になるわけです。五十一年には二千万トンにするというわけですから、この石炭が出れば、三池一炭鉱で半分近く石炭が出るということになる。いわばこれからの五次政策の全体の政策に重大な関連を持ってくるわけですが、私は主体的にいまの三池炭鉱の炭、有明炭鉱の炭、こういうものを比較しますと、当然その石炭原料炭でありますけれども、低サルファという特徴もあるわけですから、ですからそういう視点を明確に定めてもらわなければ、今後の石炭政策の上に重大な影響を与えるし、また不安動揺を与える要因でもあることをこの機会に指摘をし、そういう点を明確にひとつ検討をし結論を出されるように要望をいたしておきます。  第四点に、いままで第一次肩がわり、第二次肩がわりが進んでおるわけですが、最近の動向として、肩がわりが去年、ことし進んでおるのに対して、その担保の解除は実績が最近出ておりますかどうですか。事務当局でいいです。
  42. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 詳細にちょっとわかっておらない点もございますけれども、あまり担保抜きはされておらないのじゃなかろうかと思います。
  43. 岡田利春

    ○岡田委員 炭価の問題について、先ほど大臣が述べられましたけれども、私の承知しておる範囲では、原料炭一般炭ともに解決する場合には、一般炭の場合には百五十円の炭価の値上げは合意に達しておると判断しております。問題は原料炭の問題でございますけれども、いまはせっかく交渉中と言われたのでありますが、これは先ほどから議論しておる問題と非常に関連があるわけですから、そういう意味で、一体いつごろを目途に本件は解決しようと考えられておるか。もちろん相手があるわけですから、いつ解決すると簡単には言えないでしょうが、この段階ではもはやめどが立たなければならない時期にきている、こう判断いたしますので、この点をお伺いいたしておきます。
  44. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 来月初、中旬ぐらいまでには解決していきたいと思います。
  45. 岡田利春

    ○岡田委員 今日の石炭政策は、いわば政策需要によって需給関係のバランスが保たれておるわけです。にもかかわらず、最近の貯炭動向を見ますと、ここに問題がやっぱり出てきておるんではないかといわざるを得ないわけです。これはもう漸次二千万トン体制にいくのにかかわらず、需給バランスというものが常に変動があるとするならば、第五次政策にプラスしなければならない政策がある、こういわざるを得ないと思うのです。そういう意味で、最近の異常貯炭というものは、需要の円滑化がやはり欠けているという面も当然見のがすことはできないと思うわけです。このファクターは一体どういう程度になっておるのか、こういう把握をなされておるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  46. 外山弘

    ○外山説明員 先ほど来お話が出ておりますように、最近の貯炭のふえ方、数字的に申しましても、前年の同様の時期に比べましてかなり多いというような実情でございます。特に原料炭については多いわけでございます。この辺、確かに御指摘のように、石炭政策の基本がやはり需要の確保ということにございます以上、その点の分析が非常に大事でございます。ただ、私どもが現在承知しております限りでは、やはり当面のいろいろな問題点がかなり影響しているというふうには思います。その辺が、たとえば海外の原料炭の買い付け予定というものがございますが、それはやはり国際摩擦を避けるというふうな意味からいいますと、そう急には減らせないという問題もございましょう。あるいはそういった鉄鋼業界の協力なしに全体を円滑に進めるということもなかなかむずかしい。したがって、意に反してかってにふえる貯炭のふえ方からくる海外炭の減少ということを、恣意的にやることもむずかしいということもございましょう。あるいは鉄鋼業界全体の需要が最近は若干回復しつつございますけれども、いままでは少なくとも停滞ぎみだという点もございましょう。あるいは技術進歩による石炭比の低下というふうな理由もございましょう。いま申し上げた中でも、一時的な問題、それからやはり将来尾を引くのではないかという問題も、両方ございます。いま御指摘の点を十分頭に入れまして、現在の貯炭並びに今後の需給見通——五十年度は一応はっきりしておりましても、経過的にそれがどういうふうな推移を示すかということ、実際に生産する面と実際に需要が起こる面とのギャップが経過的にどういうふうになるのだろうかという点を、よくこの機会に私ども勉強するということをお約束しておきたいと思います。
  47. 岡田利春

    ○岡田委員 前中間答申の場合には、原料炭が不足をする、したがって原料炭を戦略的に位置づけてこれからの石炭政策をやるのだという答申のもとに、そういう政策をとり、ささえ方についても十分配慮をし、今日までやってきたわけですから、その場合の鉄鋼業界はぜひひとつ国内の原料炭をとってもらいたいという強い要請があって、委員会はこれにこたえておられる。私はいま鉄鋼業界を非難をするとか、そういう気持ちはありませんけれども、そういう経緯というものをやはりお互いに尊重して長期的なものごとを考えなければならぬではないか。そしてそういう観点に立てば、現在の消費量から判断し、いろいろないま述べられた趣旨はありますけれども、解決は可能であるという私の判断でありますので、そういう点を、特に局長の答弁でもありますので、今後のより前進的な検討をお願い申し上げたいと思います。  そこで、いま後段のほうを私が質問したというのは、貯炭融資の問題といいますか、資金が貯炭のために非常に圧迫をされているということがるる各委員から述べられておりますが、私はいまそういう資金対策というものを考えるとするならば、一体、一次、二次の肩がわりの担保が抜けないのか、この段階でも抜けるという余地があるのかないのかということが当然検討されなければならないのではないか。炭価の問題については、先ほど大臣が来月上旬解決する努力をするという答弁でありますが、これがまた確定すれば、作用を大きく働かすことは当然だといわなければならないと思うのです。それと同時に、それ以外に必至であるという場合、今日の石炭政策の制度からいってどういう方法があるのだろうか。別に融資をするなんという制度はないわけですよ、いまの特別会計制度には。そうすると、やるやるといっても何をやってくれるのだろうかということをむしろ具体的にわれわれは考えざるを得ないと思うのですよ。  一つには住友方式だと思う。住友が非常に苦境に立った場合に、通産の積極的な行政指導も相まって、そしてグループがこれに対して援助をした。そういう面で、一次的な第五次政策、このものがもうすでに出されておるわけですから、そういうことを担保にしてグループの金融機関が協力をする、住友方式的に通産省が積極的に打開をしていくという、民間ベースが一つ考えられるのではないか。  あと、第二のベースは現在の近代化資金、合理化事業団が貸し付けしているものをある程度繰り延べするとか、何か弾力的に扱う以外にない。私の頭ではそれ以外にないのではないか、いまの制度から考えてそれ以外にないのではないか、こう思っているわけです。  前段で述べた点が解決されれば後段の対策のウエートが軽くなってくるという意味で、総括的にものを考えるべきでありますが、それで解決できないものは、私はその二点をあげておるのですが、それ以外にいままでのケースあるいはまた現時点で何かの対策考えられる余地があるかどうか、承っておきたいと思います。検討対象項目として何かあるかどうか、承っておきたい。
  48. 外山弘

    ○外山説明員 基本的にはやはり需要というものとよく見合いながら採掘をすることでございましょうし、それからやはり長期の見通しに立って生産計画を進めるということが基本的には大事でございましょう。しかし、今後の推移考えますと、やはりいろいろ先ほど御指摘のような問題が起こるということはあり得るわけでございます。従来の方式につきましては、二点御指摘がございました。民間の金融による分と、あるいは合理化資金の返済猶予という問題、そういったことで従来は推移してきたことも事実でございます。私どもから見まして、さらにこれに加えて新しいそういった運転資金的なもの、資金繰り対策といったもの、そういうものの対策を講ずる余地があるかどうか、この点は、いまの私ども考えております限りでは、これがそのまま当てはまらないとは思いますが、今回五次答申には、適正厳正な条件のもとに運転資金の制度を考えるということもございます。適正厳正な条件のもとにこれをやるということが当然でございますから、需要に見合った、たとえば貯炭があるから運転資金が出てくるというふうなわけには、機械的にはいかないと思います。しかし、いまよりは少しは異常な原因によるそういった事情に対する対応策にはなるか、こういうふうに考えている次第でございまして、この点は来年度からの発足ということで、現在大蔵省と条件を詰めているというのが現状でございます。あえて御指摘に対してお答えするとすれば、その制度をできるだけ実情に合わした運用にしたい、答申趣旨を尊重しながら、かつ実情に合わした運用をしたい、こういった形で少しでも解決の一助にしたい、こう考える次第であります。
  49. 岡田利春

    ○岡田委員 時間がありませんから、また午後に質問を譲りますけれども、最後に通産大臣に……。  現在のエネルギーの消費構造は急激な変化があるわけでありますけれども石炭の場合でも、特に一般の産業供給の場合には比較的安定し、その流れもはっきりわかるわけですけれども、一般的なハウスコールであるとか軽暖房用、こういうものについての流れは、一体これだけ産炭構造が縮小し、大きく変わっているのにどうなっていくかということの把握をなかなかしていないのではないかと私は思うのです。あるいはまた、単に石炭だけでなく、油についても急激に油の需要が伸びているわけです。ガソリンとか産業用はそう問題はないでしょうけれども、これから油が主要なエネルギー源になる。そういう面から見ると、そういう流れについて、流通問題について、特に通産省は総括的にもう少し掘り下げて抜本的に検討する段階に来ていると私は思うわけです。だから、どうもそういう点が不十分である。最近、通産省も反省の上に立って流通局などをつくってはどうかという検討が進められていることは非常にけっこうな視点だと私は思うのですが、しかし、エネルギーはやはりガスも含めて、一切を含めて一つの基本でありますから、特にこの面の流通というものが単なる一般商品とは違うわけですから、必需品なわけですから、そういう意味で、この関係をぜひ十分調査をされ、深く検討されて、やはり一定の適正マージンでずっと水が流れるように、事エネルギーに関してはそういう体制を築くように私は要望いたしたいと思うわけです。特に大臣の御意見があれば承っておきたいと思います。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省といたしましても、総合エネルギー政策を確立するための部局の設置というものを検討させております。
  51. 岡田利春

    ○岡田委員 終わります。
  52. 相沢武彦

    相沢委員長 田代文久君。
  53. 田代文久

    ○田代委員 ただいま通産大臣が部局の統合のことを御答弁なさったのですが、それに関連してまず第一番にお尋ねしたいのですが、大体四十八年度中にエネルギー部門を一本化するというその具体策として、エネルギー庁というようなものの構想があるやに聞いておりますが、そういうことになるのでありますか。
  54. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いろいろな構想がございまして、その中の一つに、そういうエネルギー庁という試案もございます。それも検討しております。
  55. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、このエネルギー庁なるものはまだ確定的なものではないという御答弁ですが、とにかくそういうことが一本化する方向でいるということで私どもが危惧するのは、そういう場合に、石油とかその他原子力とかいろいろエネルギーが統合的にされる場合に、石炭がその中にまま子扱いされるのじゃないかといういわば心配ですね、そういう点は十分保証されるような方向でされるのかどうかという点をお尋ねしたいと思うのです。
  56. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 もちろん石炭は第五次答申の線に沿って大事にしていきたいと思っております。
  57. 田代文久

    ○田代委員 第五次答申方向で対処されるという方向、これは当然だと思うのですが、現在の工業配置の大きな政策などから考えまして、産炭地振興部門、したがってそれと関連する石炭部門というものがこれに巻き込まれるというようなことになると困るわけですが、そういう点は全然心配ありませんか。  なお最近、日中国交の正常化の中で、中国の石炭日本に輸入するという方向も出ているようですが、そういうことがそのまま発展しますと、現在すでに二千万トンを割るような状況になりつつある石炭産業がますます壊滅の方向をたどるのではないか。そういう場合に政府としては唯一の民族資源である石炭産業の確保のために、また確保から発展のためにどういう施策をとられるのか。あるいは関税の問題とかいろいろあるわけですが、そういう構想についてお話し願いたいと思うのです。
  58. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 工業配置に際しましては、産炭地域を優先して考えていきたいと思っています。  それから総合エネルギー対策の中の石炭という部分におきましても、先ほど申し上げましたように、第五次答申を尊重して、その線で実行していきたいと思います。  中国との石炭問題等につきましても、いま第五次答申の線に沿いまして、これは将来出てくる問題かもしれませんが、適切に調節していきたい、そう考えます。
  59. 田代文久

    ○田代委員 現在のところは、抽象的な方向では、そういう御答弁なんですけれども、現実問題としては、実際に石炭産業を確保し、発展させるという問題については、非常に消極的な方向へ、ジリ貧になるというような傾向が出ていると思うのです。それにまたそういう外国炭の問題が出てくるというようなことになりますと、全体がそういうしりつぼみになると思うので、特に政府としては石炭産業のむしろ積極的な開発、発展という線は堅持するということで対処していただきたいということを一応要望しまして、次の質問に入ります。  この工業配置政策に関連して、たとえば産炭地域振興事業団などが筑豊地域、日本の最大の産炭地ですね、その未利用地の利用計画というようなものを出しております。それの詳細につきましては、あとから局長なりあるいは部長なりにお尋ねしたいのですけれども、大きな問題として、私は第一番に危惧するのは、そういう計画を進める場合に、現在地方自治体が非常に財政的に破綻状態になっているわけですね。そういう場合に、地方自治体の財政負担が増加して、実際に産炭地によって、工業がくるということは、それそのものは非常に大歓迎であるけれども、現在の人口が減るというような中で、工業が再配置されるということになればその地方自治体が潤おうというような単純な考え方から、非常に自治体としては工場がきてほしいという要望が出るのは当然ですけれども、しかしそれをやったはいいが、地方自治体の負担がとにかく非常に重くなってにっちもさっちもいかなくなるというような現状が非常に起きているわけですね。それで地方自治体自身の機能というものが非常に低下するというような形にもなっているのですが、この工業配置あるいは産炭地域振興計画を進める中で、地方自治体の財政負担にはめんどうをかけないというような方針を堅持されるのかどうか。また、こういう方針を立てられることによって地方自治体における財政負担は増加するのかどうか、その大きな方向を御答弁願いたいと思うのです。
  60. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 誘導地域に指定されました場合には、いろいろ税法あるいは補助金、そういう面における特典が出てくるだろうと思います。たとえば、固定資産税はある程度減免するという場合に、その誘導地域における市町村の収入が減るということがないように、その際もちろんわれわれは考慮しなければなりません。そのほか誘導した部分については、誘導を助長するという意味においてインセンティブな手段を考えておるわけでございます。そういう面からいたしまして、特にその市町村の負担が過大になるということはあり得ないと思います。
  61. 田代文久

    ○田代委員 負担が過大になることはあり得ないとおっしゃいますけれども、それから、実際にこれは私どもがそのままもろに受け取るわけにいきませんけれども、団地の造成にいたしましても、またいろいろ誘導地域あるいは促進地域の関係で税制上あるいは財政上の利点というものはしてありますけれども、現実問題として、実際にその負担が何%かふえるということになれば、地方財政を圧迫することは当然のことなので、それを地域の自治体は非常に危惧しているわけです。そういうことは一切やらせない、交付税なりあるいはその他の資金面、あるいは財政面におけるあれをして、地方自治体の財政負担を拡大するということは絶対にあり得ないという方針を堅持されるのかどうかという点です。
  62. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 工業配置に基づく誘導地域という意味は、先ほど申し上げましたような奨励策としてやるわけでございますから、いままでよりも負担が過分にかかる、そういうことを避けるということは当然でございます。われわれといたしましては、関係市町村の負担が軽くなるように、むしろ恩典が与えられるように、そういう方針に沿って努力してまいる所存であります。
  63. 田代文久

    ○田代委員 そういうことだけに受け取るわけには実際いかない。現実にこれをして、あるいは学校もつくるし、道路もつくるし、また公園もつくるということになりますと、いま大臣がおっしゃったようなそういう面だけから、地方自体は潤うのだ、むしろ地方自治体は豊かになるのだというようなふうにならないと思うのです。しかし、まあいずれにしましても、その点ではとにかく、地方自治体の財政負担を、赤字をかりに百円でも千円でもふやすということは、これは絶対にやらない、逆な方向でするのだという方針を堅持されるという方向をとっておられるというふうに納得して質問を進めたいのですが、この場合、いろいろな問題が非常に発生しておると思うのです。ただ、政府はとにかく、こっちは工場を持っていく、こっちは受け入れるというふうに上からの線引き——ほんとうの地域における住民、農民の方にしましても、あるいは地域における中小の零細企業などにしましても、問題があるわけですね。そういう場合に、いまトラブルが発生しつつある。また、その可能な方向としては、ほんとうの地元の、直接利害関係を持っておられる地元の意見を最大限に聞いて、その上で処置される。上からの線引きというようなことで簡単に処置するということはやらない。したがって、土地の収用などの問題におきましても、地元なり関係の農民の方々なんかが十分納得されない場合には、いわゆる土地の強制収用をやるとか、そういう方向は絶対とらないという保証のもとにやられるかどうかお尋ねしたいと思います。
  64. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 工業配置は、地元の御協力を得て、その納得の上で行なうものであります。
  65. 田代文久

    ○田代委員 それから、この筑豊の場合で申しますと、あとからこれは詳細に、大臣がおられればそれにこしたことはないのですが、おられなければ質問したいのですが、勝野・小竹の誘導地域に非常に大きな工業団地をつくるという方針を振興事業団が出しているわけですね。これは、実際において、この列島改造論の趣旨としては、過疎と過密を同時に解決するという方針ですけれども、事実は、筑豊において、ある一定の地域に非常に大きな団地が造成される。しかも、それは炭鉱で陥落した地域につくるということになった場合、かりに、そこはとにかく工場が来ることによって過疎が解決するとしましても、同じ筑豊の、たとえば田川とかあるいは山田とか、嘉穂とか、鞍手とか、遠賀とか、非常に隣接しながら、あるところはますます、過疎になるのではないかと思われるのですが、そういうことはないような確信がありますか。また、そういうことがないような、いわゆる地域における過疎と過密というものが非常に平均して、そうしてうまくいくという方向のもとにこれは立てられておるのかどうか、伺いたいと思うのです。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本列島のバランスのある発展ということがこのねらいでございますから、地域的にもそういうバランスのある発展をとるように努力していくべきだと思います。
  67. 田代文久

    ○田代委員 それは全くの抽象論で、実際において、たとえばそこに大きな工場が来る。たとえば山田で、御承知のように、日本一の過疎地帯ができているわけですね。そこに大きな工場団地ができて、二万人くらいの労働者を収容する地域ができるというんです。そうすると、たとえば筑豊地区は、北は北九州方面、これはまた私は賛成で弐ないんですが、周防灘計画、非常に大きな計画がそこにある。その間にあるところですね。そうすると、二万人くらいの工場をつくるところに地域の人が集中して、そこから五キロなり十キロ離れた地域は過疎がますます拡大することは事実間違いないです。だから、抽象的にバランスをとる方向をとるのだとおっしゃっても納得できないです。いずれにしましても、もしそういう計画をなされるとすれば、全国的なバランスは当然なことながら、その全国の中の地域のバランスということをほんとうにやらなければ、これはとにかく趣旨に沿わないと思いますので、そこは十分考慮していただきたいということですね。  それから時間がないからあれしますけれども、私はとにかく工業配置もけっこうですけれども、筑豊にある日本一の大鉱害、いわゆる金へん鉱害、土地の陥落とかあるいは水が出ないとかいうような問題、こういう問題がある。きょうも金田の地域の方が陳情に見えて、私も伺いましたけれども、地域の炭鉱の採掘による鉱害からくる地域住民の被害者の苦労というものは、実に全く惨たんたるものです。数十年にわたってもまだ解決しない。今度もとにかく新しい十年計画で直すとおっしゃいますけれども、この範囲に入ってない部分が実にたくさんあるんです。ですから、これは私は基本的には、現在の臨鉱法、こういう法律自身を十カ年延長というような方向は出しておりますけれども、これではほんとうの鉱害に苦しんでおられる被害者の救済には十分ならない。なぜなら、地域の住民の方は非常に正直な方で、みんながとにかくがまんしておるんです。早く解決してくれればいいのだけれども、いまもってますます深刻な問題、ちょっと水が出れば、とにかく鉱害のために水が引かずに継続しておるという深刻な問題がずっと続いておるのです。したがってこれは大臣に対して、大きな方向として、現在の臨鉱法の不十分な点、不備な点を改正して、そういう地域の方々の苦しみを一日も早く解決するという方向での法律の新しい改正なりそういうことをとられるかどうか、そういう点を伺いたいと思います。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 事態に即しまして適切な政策が行なわれるように検討してみたいと思います。
  69. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから終わります。      ————◇—————
  70. 相沢武彦

    相沢委員長 ただいま委員長の手元に、田中六助君外三名より、当面の石炭対策に関する件について決議せられたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたしたいと存じます。田中六助君。
  71. 田中六助

    田中(六)委員 ただいま提出されました決議案につきまして、自民党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、提案の趣旨を説明申し上げます。  まず案文を朗読いたします。    当面の石炭対策に関する件   政府は、石炭鉱業をとりまく厳しい事態に対処し、第五次石炭施策を実施するまでの間、炭価問題の解決、需要の円滑化を図るとともに、特に異常貯炭をかかえ、経理的圧迫に苦慮している現実にかんがみ、これの資金ぐりが円滑に実施されるよう特段の措置を講ずべきである。   右決議する。 以上であります。  内容につきましては、質疑の過程で種々論議されておりますが、炭価問題の解決につきましては、先ほど一般炭は約百五十円のアップは予想されておりますが、原料炭につきましても、中曽根通産大臣が先ほど、来月の初旬かあるいは中旬には解決したいということを言っておりましたので、この問題も希望が持てるわけでございます。  ただ、需要の円滑化でございますが、これはユーザー側の問題でございます。しかし、鉄鋼業界もだんだん上向いておりますので、この点、ユーザー側の問題も徐々に明るい方向にあるとは思いますが、政府のさらに一そうの善処方を要望するわけでございます。  特に、異常貯炭でございますが、これは九月末現在で全国の貯炭数が四百三十一万七千トンもあるわけでございまして、これは確かに異常で、昨年度の同期を見ましてもはるかに多くなっておるわけでございます。したがって、石炭の持つ特殊性、こういうものを考えまして、石炭はいままで他の産業よりも徹底的に近代化、合理化をはかってきたにもかかわらず、現実の経済情勢の大きな変動によってどうにもならない状況にございますので、いままでのような経理的な圧迫、これはグループによる金融機関の援助、つまり市中金融機関の援助なども考えられますし、それから先ほどから申されておりますように、合理化資金の返済延期、そういうものに加えまして、先ほど鉱山石炭局長が運転資金につきましても考慮してもらえることをほのめかしておりましたが、そういう点、十分な御配慮をお願いしたいと思います。  以上、私どもの決議案の趣旨でございますが、政府の十分なる行政指導というものをお願いいたしたいと思います。何とぞ委員各位の御賛同を賜わりたいと思います。
  72. 相沢武彦

    相沢委員長 本動議についてほかに御発言はありませんか。——別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。  田中六助君外三名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  73. 相沢武彦

    相沢委員長 起立総員。よって、田中六助君外三名提出の動議のごとく、当面の石炭対策に関する件を本委員会の決議とすることに決しました。  ただいまの決議について、政府の所見を承ることにいたします。中曽根通商産業大臣
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を尊重いたしまして措置をいたす所存でございます。
  75. 相沢武彦

    相沢委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 相沢武彦

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  77. 相沢武彦

    相沢委員長 質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  78. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣時間の制限があるそうでありますから、私は実は昨日社会党の調査団で、御承知のように昭和三十八年の十一月九日に三池の大爆発がありまして、やがて満九年を迎えるわけでありますが、その間CO立法がなされましたので、現状はどうかということで調査に参りました。いろいろと問題点がございますけれども、時間の関係もありますから、ごく簡単に幾つかの点だけを御質問いたしたいと思います。  第一点は、一酸化炭素中毒患者八百二十七名でありますが、そのうち治癒認定された人が七百四十四名、それから経過観察者が五十七名、長期療養者が二十六名ということであります。その中で、経過観察者が当初五十七名でございましたけれども、再発して経過観察をした人が七名おります。合計いたしますと六十四名ということになります。そのうち四十一名が長期療養をいたしておりまして、いわゆる経過観察者の二十三名が治癒認定をされたわけです。その治癒認定をされた方の中に、職場に復帰した人と、約一年間程度メンタルリハビリテーションをやっておる方があります。このリハビリテーション等にもいろいろ問題がありますけれども、そのうちいまメンタルリハビリテーションをやっている人に、一日五百五十円がリハビリテーションの資料代とか通勤費とかという形で支給されております。会社のほうから幾ら出すかということについては労使間の交渉ということになっておるわけです。  五百五十円で訓練を受けながら実際問題として生活できるかできないか、これを大臣ひとつ率直にお答えいただきたいと思います。
  79. 田村元

    ○田村国務大臣 おっしゃる御趣旨は私にもよくわかりますし、実は労災関係の給付単価とかあるいは対象、そういうものをもう一回再点検しようということで、もうきわめて近い将来から、これは年内という意味でございますが、労働省内でそういう機関をつくりまして、検討するということになっております。これは私が労働大臣を拝命してすぐに指示したものでございますが、そういうことで再点検をすることになっておりますが、率直に言いまして、五百五十円というものが十分のものであるとは考えておりません。まことにお気の毒な面もあると存じております。
  80. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣現地の基準局長にも聞いたんですよ。五百五十円は生活費が入っているかと言ったら、いや生活費は入っておりません。いわゆるリハビリテーションの資料代とか通勤費とかあるいはいろいろな関係のもので最近五百五十円としたのであって、これは生活費は入っておらぬ、これでは食えないですということなんです。そこで、労働省の言い分というのは、労使間で交渉をしているので、その交渉を待って労働省としても考えたい、こういう考えのようであります。問題は七月に起こっているわけです。そして依然としていま解決していない。これはいろいろこじれた点がありますから、双方に不信感があるものですから、なかなか片づかぬ。ところが七月以降ずっと五百五十円という状態なんですよ。それだけに、労使交渉の上で労働省も指導もしようし、考えようということでは——五百五十円ではもうどうにもならないということは明らかで、現実にはやはり三万円とか四万円をみな借金して、そしてやっておる、こういう状態であります。でありますから、私はやはり労働者の生活なり福祉というものについて責任ある省、労働者の唯一のたよりになるのが労働省でありますから、この辺のことについてはやはり積極的にある程度先手を打って、解決するまでの措置、いまの石炭政策についての融資じゃありませんけれども、そういう点をお考えいただく必要があるのではないか、こういうふうに痛感をいたしました。田村労働大臣、非常に積極的に労働行政に取り組んでいらっしゃるわけでありますから、ひとつ前向きなお考えを示していただきたい、こう思います。
  81. 田村元

    ○田村国務大臣 申し上げるまでもなく、こういう方々はまだ雇用関係が継続しておるわけです。でありますから、労使間のお話し合いというものをわれわれは横目でにらまなければならぬこともまたおわかりいただけると思います。しかしながら、改善すべき点は、これはもう改むるにはばかるなかれでございますから、われわれとしても前向きにやらなければならぬことは当然でございますけれども、なお経過をわれわれとしてもやはり横にらみしなければならぬということも御理解願いたい。  それから、この問題につきまして担当者から具体的に現状等を御説明させることにいたしますが……。(細谷委員「時間がないから」と呼ぶ)時間がありませんか。それでは、たいへん言い方が妙でございますが、しばらく、ということは長期間という意味じゃございませんが、私に検討の時間をお与え願いたいと思います。
  82. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣おっしゃるように、これは雇用関係がございますから、もうおっしゃる原則はそのとおりです。そういう原則で労働省も指導してきた。しかしこの問題がなかなか決着しない。そして七月から今日まできておる。そして現実には三万五千円程度の借金をしなければどうにもならない。こういうことであります。しかも現地の基準局長も、五百五十円というのは生活費じゃありません、こういうことです。事実生活費でないわけですから、ここまで至れば何とかやはりあたたかい手を労働省として差し伸べて、そして問題が原則的な点において片づいたところで、またその問題についてはきちんと精算をしていく、こういうこともいいと思うのですけれども、やはり何らかの手を打っていただかなければどうにもならない。いろいろな過去のいきさつはあります、そういうものは全部止揚いたしまして、この段階ではやはり労働省としてそういう指導なり対処をしていただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。  それから第二点は、実はもう、あの三十八年の十一月九日の大爆発がありましてから、今日すでに九年を迎えるわけであります。この中毒患者の中に定年退職者が出てきておるわけです。現在は約八十名、約一割が定年退職になっておるわけであります。この一酸化炭素中毒というのは、神経を、脳細胞をやられるわけでありますから、なかなかどうやったってもとには回復しないということは明らかなんです。そしておのおの程度が違うわけです。この八十名については、五十五歳で定年になりますと、どなたもいま五十五歳で定年してそのままのんきに暮らせるなんという人はいませんで、全部がやはり再就職していっておる、こういうことであります。ところが、一酸化炭素中毒患者だということでありますから、どんなところも雇わない。普通の人以上にどうしても体力が衰えておる、動作もにぶい、こういうことでありますから雇いません。もともとこういう問題については、労働省なりあるいは会社等で積極的にこういう人たちの就職についてはあっせんする、こういうことが解決の際の了解事項、こういうことになっておるわけでありますけれども、現実にこの八十名程度の人はどうにもならない、こういうことであります。この八十名にもいろいろとまた軽重の度がありまして、そのうちの十六名ぐらいの人は事実上肉体労働に従事することができない程度の後遺症が残っておる、こういうことなのであります。しかし、それならそれは厚生省の生活保護のお世話になったらいいじゃないか、こう言ってしまえば、これは労働行政には身もふたもないわけでありまして、やはりそういうものを何らか労働行政の中で救っていただく、しかも八十名全体については何らかの職場を与えてやる、こういうことが必要であろうと私は思うのです。たとえば一般失業対策事業は門戸をふさいでしまってますから、これははいれない。そういたしますと産炭地域開発就労事業、こういうことになるわけでありますけれども、これだと、一体肉体的にそれが可能なのかどうか、こういうことが一酸化炭素中毒患者だけに心配があります。そうかといって、じゃ、どこかのところで草むしりぐらいということになってきますと、それでは一体生活が立っていくのか、これもまた問題があります。そういう点で、これはもう一酸化炭素中毒になった以上はもとのからだに返らないという特殊な事情でありますだけに、この問題でわざわざCO立法をしたという経緯にかんがみて、こういう問題に対する何らかの具体的な職場をつくるということを考慮いたさなければならぬのではないか。現現八十名でありますけれども、これが年々ふえていきまして、中毒患者八百二十七名もおるわけですから、やがてはいずれそういう人も定年になっていくわけであります。この段階で見直してやるということが必要じゃないか、こう思います。これについてどうお考えなのか。
  83. 田村元

    ○田村国務大臣 そういう方々まことにお気の毒でございます。開就で働いていただくということは、これは不可能だと思いますから、そこでまず、健常者に比べれば不自由の多い方という、その人々の個々の精神的、肉体的環境に見合った職場等をあっせんする、それも極力一生懸命にあっせんするということ、それからもう一つは、企業において採用基準を緩和してもらう、そういう方々に対して働いていただきやすいように、つまり就職していただきやすいように、そういうことで職業安定機関に全力をあげるように指示しております。全力を職業安定機関があげてなお解決できないような場合には、何らかの方法を考えなければなるまいというふうに実は思っておる次第であります。
  84. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣答弁、現状では、きょうのところではそれに尽きるかと私は思うのでありますが、事実は、この問題については職安も会社のほうも積極的に取り組まぬ、もっと言いますと消極的にも取り組んでいない、ほったらかしておる、こういう状態であります。しかも一酸化炭素中毒患者でありますから、後遺症がどうしてもあるわけでありますから、私は、雇うほうもなるべく雇いたくないということは、これはもうあたりまえだと思うのですよ。そうなってまいりますと、そういう人たちが開発就労に働くことができないとするならば、たとえば職業訓練機関なりあるいは炭鉱労働者がどこかに就職し得た場合に、一人について何らかのやっぱり奨励金を上積みして、会社の犠牲をやわらげてやる、こういう方法も現実にあるわけですね。その辺のことも考えてやりませんと、現実問題としては、雇うほうが、どう言っても、やはりより元気な、より能率の上がる人をということになるのは、これはもう理の当然でありますから、その辺をひとつ御検討もいただかなければならぬと思うのであります。  私は、開発就労事業などでも、たとえば道路をやっている場合に、白い旗と赤い旗を振るくらいならこれはできると思うのですよ。できるけれども、それは女の人がやっているので、雇うほうでは、これはもう民間の建設業者でありますから、それは迷惑がかかるわけですから、その迷惑を何らかの形で具体的に緩和してやる、こういうことも一つの手法ではないか、こう思います。この点、担当者はどうですか、大臣は前向きにやると言っているんですから、よく御存じの事実問題として。
  85. 桑原敬一

    ○桑原説明員 先ほど大臣お答えいたしましたとおりでございますけれども、事務的にちょっとお答え申し上げますと、就労になられました方は、就職されます場合に非常に問題点がございます。したがって、それぞれの症状のいろいろな型、程度によって就職をあっせんしないと、御本人も非常に御迷惑になりますし、会社側にとっても長続きしないということになりますから、その辺が非常に私ども気を使っているところでございます。結局適職にやはり紹介するということになると思います。その場合に、先生のおっしゃいました奨励金をつけるという問題は検討に値する問題だと思います。現在はたしか対象になっておりませんので、そういう点については検討いたしたい、こう思います。
  86. 田村元

    ○田村国務大臣 それから、先ほど細谷さんのお話で、職安なんか前向きでないじゃないかという御発言があったわけですが、これは私からあらためてきょうにでもきびしく指示をいたします。
  87. 細谷治嘉

    細谷委員 私も、この問題はよく御存じですから、また労働省もずいぶん取り組んでおりますから、大臣、しつこく質問していないんですよ。きわめて私は中立的な立場で、労使の間でどっちにも寄らないで、見たところありのままを質問しているわけですから、ひとつその点で対処していただきたい、こう思います。  もう一つ、この問題とは直接関係しておりませんけれども、やはり石炭問題で、労災法は昭和二十二年にできたわけですけれども、私は今日根本的に改正をしなければならぬ時期に来ているのではないか、こう思います。  これに関連いたしまして、せんだって朝日新聞の十月十九日に「戦時労災に救済の手を」ということが書かれていますが、この記事を見ますと、福岡県の嘉穂郡稲築町の人でありますけれども、「昭和十八年に炭坑で落盤にあって脊椎骨折で下半身麻痺、その後三十年間寝たきり。」こういうことであります。そうして現在、障害年金を十八万円もらっておるけれども、治療費で六万円、通院費で四万円、雑費で三万円、国民健康保険料一万円を差し引きして、残り四万円で一年間食っていく、こういう悲惨なことが紹介されておりました。  もう一人の人は、これは飯塚の病院に入院しておる五十歳の人でありますが、それが労災法ができる、いわゆる施行される二カ月前に落盤にあって、そして結局、この法律の適用を受けておりませんで、毎日毎日暗い生活を送っておる。結婚をしてから三年目に、労災法が施行になる二カ月前に落盤にあって、二十五年間、青春を捨てて、病床に横たわっておる、こういう記事であります。  すでに大臣、御承知と思うのでありますけれども、たとえば宮崎県の土呂久の鉱害、これは亜砒酸鉱害、松尾鉱山の硫黄の問題——土呂久のほうは労災ができる前に廃山になって、松尾鉱山は労災ができてからやりましたけれども、労災施行前にこの労災を受けておる方もあるわけであります。  それから私どもの八女郡の星野というところに、戦争中に金を掘りました金山がございました。それは昭和十八年にやめておりますが、ここに最近、けい肺患者というものが五十数名、久留米大学の教授によって指摘されております。  こういうような問題で、二十二年に労災法ができて、大体その前のものというのが全然救われないわけですね。労働省でちょっと事務担当者に聞きますと、それは救われないのだから法律改正するか、あるいは県のほうで見てもらえばいいじゃないか、こういうことであります。これでは大臣、やはり労働省としては、積極的な、大臣の言う労働行政ではないと思うのであります。これはやはり何とかしていただかなければならぬ。たとえば、法律の附則を改正してこういうものの救済の方途を講ずるか、あるいはこういうものについて単独立法をするか、何らかの形が必要であろうと思う。特に昭和二十年以前というのは、戦争中の混乱期でありますし、その間に非常に報われない、しかも過重な労働の中で、国のために奉仕した人なんでありますから、私もこの点について非常に心配しております。大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
  88. 田村元

    ○田村国務大臣 労災保険の適用を受けることのできない人たち、なかんずくかつて働いておった事業所がなくなって、その権原を承継しておる事業者もない、これはまことにお気の毒なことでございまして、結論的にいえば、何らかの手を打たなければならぬ、こういうことになるわけです。健康保険だけで何とかというのも、これは身もふたもない話で、そこで、現在私が指示いたしておりますことは、労災で何とか拾えないだろうか、少なくとも療養に関する面だけでも何とか拾えないだろうか、これを一ぺん検討するようにと言って検討事項で、下におろしてございます。先般の朝日新聞も拝見いたしました。実はこのことで私が何とか前向きに取り組まなければならぬという決意をしたのは、土呂久の問題からであります。そういうことで、いま具体的にどうということを申し上げる段階ではございませんが、鋭意検討するようにきびしく指示しておるということをもってお答えといたしたいと思います。
  89. 細谷治嘉

    細谷委員 これはひとつ田村労働大臣の手で、埋もれた非常に苦しい人たちでありますから、何らか早急に救っていただく手だてを講じていただきたい、こう思います。  それから最後にもう一点でありますけれども、実はあの一酸化炭素中毒者がたくさん出たために——大牟田市に労災療養所というのがございます。これは国立病院銀水園という結核療養所が、その近くの会社でつくっておった療養所を買収してやっておるわけでありますが、木造のために貧弱、したがってアフターケアあるいはリハビリ等もきわめて不十分であります。でありますから、たとえば各病院に散らばっておっても、そこに行こうとせぬ。きわめて施設が悪い、そういうことであります。あんな労災出張所なんという形でごまかして、当時緊急のためにやったわけでありますけれども、この際やはり、あの労災療養所かあるいは病院を、名前はけっこうでありますけれども、やはり施設を整備いたしまして、病人がここなら行っていい、こういう程度のものに早急に改造をしていただく必要があるのではないか、こう思います。そういうことも労働省で計画なさっておるようでありますけれども、やはり問題は三年先とかなんとかということじゃなくて、直ちにそういう問題に取り組んでいただきたい、こう私は思いますが、この点いかがでございますか。
  90. 田村元

    ○田村国務大臣 いま事務当局で検討をいたしておるようでございます。しかし、おっしゃることは当然のことでございますから、早い機会に改築をするように私から命じます。これはここでお約束していいと思います。
  91. 細谷治嘉

    細谷委員 終わります。
  92. 相沢武彦

  93. 鬼木勝利

    鬼木委員 労働大臣には質問する点が非常に多いのでありますが、時間が一時までだということで、私の時間がわずかですが、その前に、労働大臣に一言要望しておきます。  先ほど中曽根大臣にもお話しておいたが、われわれこの委員会は、再三話し合いをしまして、国会開会中はむろんやらなければなりませんけれども、実は先般閉会中に私ども調査に行ったわけなんです、山口からずっと九州一円——そういう点についてぜひ委員会をやらなければならぬ、しかし、労働大臣通産大臣もお忙しいだろう、あなた方のことをよく考えまして、前日の二十六日ならば大臣も何とか繰り合わせがつくんじゃないかというようなことで、再思三考しましてきょうに決定した。ところが、わずかに労働大臣は一時間くらいしかおれない、通産大臣も一時間半くらいしかおれない。石炭産業に対する軽視とは申しませんけれども、われわれはあなた方のことを十分考えてやっているのですから、あなた方も十分ひとつわれわれの意のあるところを尊重していただいて、もう少し時間を余裕をとっていただいて、万障繰り合わせて、万難を排してこの委員会に出席していただいて、十分話し合いをしていただきたい、このようにつとめていただきたいということをまず最初に要望しておきます。その点について、ひとつ大臣の見解を承りたい。
  94. 田村元

    ○田村国務大臣 いま、国会を前にしまして、特に予算編成期が近づいておりまして、私のみならず国務大臣はたいへん忙しいと思います。けれども、そういうことを理由にして国会を軽視するわけにまいりません。私も国会議員であります。でありますから、国会に対しては私どもは十分の敬意を払って、可能な限り、それこそ万難を排しても出席し、審議に加わることにいたしております。きょうも、率直に申し上げればたいへんな多忙な日でございますが、万難を排して、一時間は少ないかもしれませんけれども、その一時間も万難を排してここにお伺いして、国会に対しての敬意を表しておる次第でございます。国会軽視の考え方は毛頭ございませんし、私も国会議員であるとの自覚は十分に感じておるところでございます。
  95. 鬼木勝利

    鬼木委員 大臣のお気持ちは大いに了といたします。どうぞ今後一時間は二時間、二時間は三時間と時間をさいていただきたい、かようにひとつお願いします。  そこで本論に入りますが、今日エネルギー革命によって石炭産業がだんだん衰微してきた、これは万人周知の事実であります。第五次政策も出ましたが、これすら非常にみな危うんでおります。二千万トンがはたして可能であるかというように非常に皆さん危惧していらっしゃいますが、要は労務者を確保する、つまり労働条件がよくなければいけない。あんな地下数千メートルも下で額に汗して、他産業に比較しまして非常な苦労をしておられるその労働者諸君の賃金が非常に安い、他産業と比較しまして非常に安い、低賃金だ、こういう点からいたしまして、もう少し抜本的に、炭鉱に従事していらっしゃる労務者の方々の労働条件をよくしていただく。これは抽象的には大臣も、十分考えております、気の毒に思っておりますと、必ずそう答弁されると思う。では具体的に、どのように他産業と比較をして、どうしてあげたい、どうしなければいけないか、このように考えておられるか。これはもうだれに聞いたって、それは気の毒だ、十分考えております、ようしなければならぬ、こう異口同音におっしゃる。その点を具体的に、もう年末も控えております。他産業の年末賞与、世間でいうボーナス、これに比較しましたときに約六割程度ですね。もっと低いかもしれない。そして二千万トンを確保するのだ、しっかり働け、これは私は無理だと思う。住んでいる住宅は軒は傾き、かわらは落ちておる。そういうところでもう少し労働条件をよくして、環境をよくする、あるいは厚生施設なんかも十分整備してあげなければ、さあ第五次政策をつくった、ぜひ二千万トン以上は確保するんだ、しっかりやってくださいと言いようがないのです、そういうことでは。だから根本は、この労働条件、賃金をよくする。なるほど炭価を、先ほども話があっておった、一般炭が百五十円、原料炭は三百円上げるのだ、これで解決できるのだ、そんな簡単なことでは、むろんこれは解決をする重要なかぎではありますけれども、これのみでは解決ができない。もっとあたたかい労働大臣のお考えによって特別の措置をとっていただかなければ救いようがない。何にもいい条件がない。これを労働大臣に承りましょうか。  炭鉱労務者はこういう特権があり、他産業と比較した場合にこういう特典がある、こういういい点があるというのがあったら承りたい。何にもない。その点、田村労働大臣は労働行政に非常に精通しておられる、研究もしておられるというならば、田村労働大臣の時代に炭鉱労務者はこのように救われたという何かそこに特色がなければ、従来の労働大臣のように次から次にかわって、同じようなことばかりやっておったのでは、何のための労働大臣か。きょうは時間がないから、私言いたいことはあるのですが、そういう点について具体的に私はこうやります、その点を承りたい。そうしたら全国の炭鉱労務者はどんなに喜ぶか。大いに意欲を持って、よし、まだ炭鉱はだいじょうぶだぞ、こういう気持ちになると思うのですよ。何か田村労働大臣がお考えになっておることを承りたい。私はただ通り一ぺんのことを聞いているんじゃない。いかがですか。あなたを期待し、信頼すればこそ、私は申し上げておる。その点をひとつ……。
  96. 田村元

    ○田村国務大臣 炭鉱労働者対策として私が今日までやってまいりましたこと、またやらなければならぬこと等を若干申し上げますならば、まず通産大臣に対しては、少なくとも二千万トンを上回る需要を確立してもらいたい、これは答申の二千万トンというだけでも心もとないのですから、この点はよほどの努力をしてもらいたいということを、通産大臣にお目にかかって申し入れました。  それから、炭価改正がおそらく来月の中旬ごろには出てくると思いますが、そのアップ分をでき得る限り給与のほうに回してもらうということの努力をしていきたい。  それから、第一におっしゃったとおりのことでありまして、労働者の定着を考えなければなりません。とりわけ若年労働者の定着を考えなければなりませんから、労働省としては、御承知のように労働省の予算は乏しゅうございます。ここに一つの労働対策の壁があるということになりましょうが、それにしても、とにかく労働福祉面ででき得る限りの対策を講じていく。御承知のようにレクリエーション、スポーツ等の施設をつくりつつありますが、それも従来のようなことでは問題になりませんから、こういう点に重点を置くと同時に、先般炭労の方々にもお目にかかっていろいろ実情を聞きました。御要望も聞きました。そして新しい問題としては、炭鉱労働者のための住宅、これを失業保険で建てろ、こう言って私は指示いたしまして、その方向にいま進んでおります。いずれにいたしましても、労働省としてはでき得る限りの労働福祉面の充実ということを考えつつ、対策をしつつ、賃金その他の配慮をしていきたい。つまりそういう努力をしていきたい。  それから、不幸にして離職された方々に対しては万全の対策を講じていきたい、こういう考え方で担当者にきびしく指示をいたしておるところでございます。  先ほど申し上げたように、先般炭労の代表の方々にお目にかかりましたが、いろいろと問題点の列挙もございました。私も非常にお気の毒にも思い、また参考にもなり、その趣旨に沿って努力をいたしていくことの決意を御披瀝申し上げた次第でございます。
  97. 鬼木勝利

    鬼木委員 大体おっしゃるようなことは、われわれが常日ごろいつも要望しておることであって、いまあなたのおっしゃった二千万トンを上回るようにしてくれ、なるほどそれはまことにありがたいことをおっしゃっていただいたのですが、これはもうわれわれの要望であって、これが当委員会でも論議の焦点だったんです。第五次政策の二千万トンを下回らないこと、下回らないということは上回るのだ、二千万トンは一歩も切ってはならぬぞ、これはもう十分論議を尽くしたところで、この点を皆さん心配なさっておる。それはもう大臣から通産大臣に話してもらった、まことにありがたいことです。あるいはまた炭価の引き上げ分は労務者の給与に回せ、こうおっしゃっていただいた。じゃ、炭価の引き上げた分を労務者に回して、そうして労働者の給与条件が現時点とどれだけアップできるか、どれだけよくなるのか、そういう点は計算してありますか。
  98. 田村元

    ○田村国務大臣 それはまだ予測できません。どれだけ上がるのかわかりませんから予測できませんが、労働省としては、炭価のアップ分が重点的に給与に注がれていくことを期待しております。また努力もしなければなりません。
  99. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから、そういうところを私は言っているのですよ。幾ら上がるかわからぬ、それはわからぬですよ。あすのことはわからぬですよ。あすあなたがなくなるかもしれぬ。あす総理大臣になるかもしれぬ。あしたのことはわからぬですよ。だけれども、想定ということはあり得ることなんですよ。大体、一般炭は百五十円というふうに一応われわれはめどを立てている。原料炭は三百円。これだけ上がった場合に、それを労働者の給与に回した場合、全部回したらどうだ、八〇%回したらどうだ、これだけよくなるというような資料、そういうことを下僚にぴしっとやらせなければ、あなた、具体的な話はそういうことじゃできぬじゃないですか。ただやりますやりますでは、そういうことでは画餅であって、それでは私は話ができないのです。ようございますか。だから、おれは今度こういうふうにしたい、だからこういう点で、このような案を、一案、二案を持っている、その次は福祉施設をよくしていく、炭労とも会った、話し合いもした、で、具体的にどうする、失業保険で住宅を建てろと言っております——言っておりますじゃ困ります。だから、こういうふうな予算を立てて、本年度は毎月来年度はどれだけ建てるようにしている、これは失業保険で建てるようにぴしゃっとやっている、いままでの労働大臣はやらなかった、おれは今度こうやるのだ、それを聞きたいと私は言っているのです。そういう具体性を持ってやらなければ、これは何もあなたをやかましく言っているのじゃありませんけれども、いままではだれでも、どの労働大臣も、そんなことばかり言っているのです、同じことを。離職者対策に対しては万全の措置をとります、だれでもみな言ってきたのです。それだったら、これは必ずしも有能な卓越した田村労働大臣がならぬでも、だれでもなって、テープレコーダーでも持ってきて答弁すればそれで終わる。そういうことでは困る。だから、あなたのそうした卓越したいいお考えを、具体的に、おれはこういうふうに来年度予算の概算要求にも組んでおる、こうやるのだ、このようにやるようにしているから諸君もひとつ御協力願いたい、こうやっていただけば私はわかる。大臣、私が言っているのがおわかりになりますね。そういうことを申し上げておるのです。何かありましたら……。
  100. 田村元

    ○田村国務大臣 炭価の想定につきましては、これは通産省がおやりになるでしょうから、われわれが幾ら上げるべきだとか、幾ら上がるであろうとか、こういう場合にはどうとか、これは百家争鳴になりますから、私は所管上慎んだほうがいいと思います。  それから、炭鉱労働者の住宅でございますけれども、失業保険の金を回してこれをやるんだということを申し上げましたが、全く新しい試みでございますから、初年度に大きな金額をつけてということは、行政の現実なかなかむずかしい問題がございます。そこで、現在われわれが考えておりますことは、四十八戸一億一千万円、これは全く新しい試みでわれわれの計画を立てております。ただし、全体から見ればたかの知れた戸数でございますから、私が大いばりでここで御報告するほどの勇気を持ち合わせません。しかし、そのような方途を開こうとしておるということは、ひとつ意のあるところをおくみ取りを願いたいと思います。  なお、歴代労働大臣はたいへん有能かつりっぱな方々でありましたから、私のような浅学非才の者がそのあとをりっぱにやっていくとは思いませんけれども、ただ私なりの考え方、私なりの意見というものを強く反映した、言うなればきわ立った姿の対策を講じていこうという決意をいたしておる次第であります。
  101. 鬼木勝利

    鬼木委員 歴代労働大臣も非常に優秀なりっぱな方であったとは思います。しかしながら、われわれが納得するようないい答弁は得られなかった。その点においてはまことに意欲満々、しかも優秀な新進気鋭の田村労働大臣ですから、われわれ大いに期待しております。ひとつよろしくお願い申します。  次に、大臣は一時までということですし、まだあと質問者がありますので、時間がありませんが、あとまた事務の方にでもお尋ねしたいと思います。  実は、先日私ども調査に行きました。たくさん要望事項があるのですよ。回りまして、みなまとめておるのですが、ことに新明治三鉱、炭鉱が三つ閉山する。それに対する閉山の処置がどのようになっておるか、大臣お尋ねしようと思っておりましたけれども、しかし、大臣のあたたかい温情主義は皆さんにも全部通じておると思います。この寒空に、年末を控えて、私はまことに気の毒だと思うのです。何ぼ働けとか、何ぼいいところに世話してやるとか言っても、何といっても衣食足って礼節を知る、衣食が足らなければほんとうにこれはよくならないことだと思いますので、そういう点においてまたあと大臣のお留守にお尋ねします。よろしくどうぞ。  たいへん時間がなくて、まだ意を尽くしませんでしたけれども、またこの次あたりに、今度はたっぷり大臣に時間をとっていただいて、高邁なる労働行政の一端を承りたいと思います。
  102. 相沢武彦

    相沢委員長 田代文久君。
  103. 田代文久

    ○田代委員 労働大臣に、産炭地域における労働政策について質問したいのです。産炭地域は労働政策上特殊な面を持っておりますが、新しく、いわゆる日本列島の中心的な内容として、ことし工業配置促進法が通りまして、それの具体化が——具体化というよりは、とにかくそういうことのプランが立てられつつあるのですが、それとの関係、いわゆる産炭地域における労働政策について伺いたいのです。  たとえば筑豊、これは全体が石炭産業の閉山によって過疎地帯ですね。ところが、その一地域に、特殊地域にいま出ておるあれでは、御承知かどうか知りませんけれども、たとえば貝島大之浦炭鉱と古河日尾炭鉱というのがあって、それの地域としては勝野、小竹というような地域があるのですね。それに、これは午前中にも通産大臣工業配置の面から伺ったのですが、大体二万人見当の大工業地帯をつくるというプランがいま進められつつあるのですね。ところがその中に、内容をちょっと聞きますと、半分は地元の労働者を吸収するというようなことが書いてある。そうすると一万人見当ですね。実際においてそれが可能かどうか。それからまた、最近でも漆生炭鉱とか平山明治鉱なんか閉山になるという方向が出ておるのですね。そうすると、新しく炭鉱の失業者が出るという状態ですね。それから御承知のように、あなたが四苦八苦されておる例の中高年の失業者、いわゆる炭鉱の閉山に伴って余儀なく失業者となられた方々がたくさん滞留されておる。こういう問題の処置ですね。したがって、新しくそういう二万人も収容されるような工業地帯をつくる。それから労働力の半分は地元から吸収する。そうすると、要するにこれは青年労働者を予想されておるのか、あるいはそういう中高年の労働者も吸収するという労働政策のもとに工場が誘致されるのか、そういう点をまず伺いたいと思うのです。
  104. 桑原敬一

    ○桑原説明員 現在問題になっております工業団地の労働力対策の問題でございますけれども、労働省といたしましては、やはり筑豊地域におきましては、先生おっしゃいますように、中高年を中心とした失業者が相当たくさんおられるわけでございますから、そういう方を中心に雇用していただくように期待をいたし、また努力をしてまいりたい、こう考えております。
  105. 田代文久

    ○田代委員 いま政府当局は、とにかく新しく工場を誘致して、そこで生産を開始するという場合に、筑豊地域に滞留しておられる中高年の労働者も含めて、これを最も有効に活用するという方針を堅持するということを御答弁になったのですが、そのとおりですね。私はそれを頭にしみ込ましておきますから、ぜひやっていただきたい。  それとの関連で質問したいのですけれども、例の中高年者の対策として、国会で法案が通過いたしましたね。あの処置によって、失業者が、これは失業者の労働組合である全日自労の調査によりますと、実際においては、いわゆる自立のための一時金という名目で、五万数千人がそっちのほうへとにかく一時金を支給されて変わられたということになっておるのですね。そうしますと、それが実際にどういう形で自立をされておられるのか。私の承るところによりますと、自立されているというパーセンテージは非常に低い。あとの、高いそういう失業者の方々はどうなっておるのか。また、どう処置をされるような方針をとられるのか。そういう点を伺いたいと思うのです。
  106. 桑原敬一

    ○桑原説明員 私どもが現在把握いたしております現実を申し上げますと、先生御指摘のように、約五万人の方が就職もしくは自立されておる。比率を申し上げますと、就職された方が三割五分、それから自営業につかれました方が六割五分、六五%、そういうような比率になっております。  で、この自立、就職の促進は、昨年だけでございませんで、もう十年ぐらい前からやっておるわけでございます。特に去年は積極的に進めたわけでございますが、特に特徴的なことは、去年の五万人の方は、特に自立よりも就職を中心として失対から出ていかれたというのが特徴的でございます。  それで、常用就職されましたおもな職種を申し上げますと、やはり、失対事業は主として建設業でございますので、土工とかとびとか、そういうような職種が比較的多うございます。それから比較的お年をとられた方は、清掃その他の軽作業につかれます方が相当たくさんございます。それから管理人とか守衛とかいった職種に相当数ついておられます。  それから自立の関係は、やはり製造販売に主としてつかれておるようでございます。大体製造販売で約過半数を占めております。  先生御指摘の、その中で自立あるいは就職に失敗された方が相当いるんではないかという御指摘でございますが、私どもが地方から調べまして現在手元に持っておりますのは、現実に安定所においでになりませんとなかなか私ども掌握しにくい面がございます。そういった意味で、その後うまくいかなかったということで、安定所にもう一回就職活動をしたいということでおいでになっておる方が、二百二十九人来ていただいております。そういう方たちにはできるだけの対策を私どももとっていっておるようなわけでございます。
  107. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いまのお話伺いますと、いわゆる中高年者の失業者の対策としては、あの法案が通過した後において、一時金や何かの形で自立あるいは就職ということで大体順調にいっておる、そういう結論のようですが、そうなんですか。
  108. 桑原敬一

    ○桑原説明員 私ども自立、自営をされますときに、就職をされます場合に、十分職業相談なりあるいは自立についての相談をいたしまして進めたわけでございます。それで失対しか働けない人は失対事業へ、この際、就職なり自立をしたいという方はお申し出くださいということで、積極的なそういった御希望によってこの問題を進めてきたわけでございます。したがって、そういう自立意欲の非常に高い方が出ていかれたわけでございますから、私どもが現在承知しておりますのは、先ほど申し上げましたように、困っておいでになられました方は、三百人近くの方が安定所に来ておられます。したがって、その他の大半の方は、特に過半の方が失敗されて困っているということは聞いておりません。また私どもは、ほんとうにお困りな方は積極的に安定所に来ていただくようにということを、地方を通じて指導いたしておるようなわけでございます。
  109. 田代文久

    ○田代委員 そうすると、先ほど、就職された方は大体全体の三五%、それから自立されている方が六五%、この数字を伺いますと、大体一〇〇%が就職あるいは自立されているということで、これは非常にりっぱなことだと思いますが、これは事実追跡調査なさった結果こうなんですか。
  110. 桑原敬一

    ○桑原説明員 六割五分、三割五分という数字は、ことしの四月、つまり半年くらいたったところで調べた数字でございます。それで、その後またたちましたので、そういった調査をいずれしなければならぬと思っておりますけれども、いま申し上げましたのは半年たったあと実態でございます。
  111. 田代文久

    ○田代委員 これは失業者の方々の一番大きな、非常に伝統的な活動をやってこられた全日自労が追跡調査された結果とは非常に開きがあるのですね。そうすると、事実いまおっしゃったその方向が出ておれば、私は非常にうまくいっていることになると思うのです。しかし、事実は、非常に反しているんじゃないか。実際に組合としては追跡調査をされた。ただいまのあなたの御答弁の中にも、非常に甘い考え方が上なでされた形で出ている。というのは、この形では、そういう失対事業から離れられた、それは自立意欲が旺盛なためにというようなお話がありましたけれども、そんなものじゃないですよ。それはあまり世間知らずですよ。非常に借金をかかえている者とか、とにかく三十万円なり四十万円なり、一時金というものが——非常に長い間苦労して生活が苦しいから、失対事業から排除されるということは、あとから非常に生活不安はあるけれども、とにかく目先の幾らかの金でもほしい、借金の穴埋めをしたいということで、自立意欲が旺盛なためにというようなことでなくて、そういう追い込まれた形でなさっている方が大部分じゃないですか。もしあなた、これは自立意欲のためにとにかくこれだけもらって出ていって、そして自分で自立して商売始めるとかなんとか一本立ちになっておられるというような形で考えられたら、労働対策なんか立ちゃしませんよ。どうなんですか、その点は。自立意欲が旺盛なために出ていかれたという、そういう判断なり見解というものは正しいのですか、どうですか。
  112. 桑原敬一

    ○桑原説明員 昨年の中高法の成立によりまして、失対事業は、新規には入ってこないけれども、残したわけでございます。そして失対事業でしか働けないという方はひとつ失対事業で働いていただきたい、しかしこの機会に就職なりあるいは自立をしたい方はひとつ御希望を出してください、こういうことで進めたわけでございます。したがって、なかなか民間へ就職するというような自信のない方は、十三万人の方が残っておられるわけですから、そういう意味では、私どもはあくまでも、積極的にこの際失対から離れて民間にいって就職したいという方たちを中心にしてこの対策を進めたわけでございますから、私どもは当然に自立意欲の高い方が来ておられる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  113. 田代文久

    ○田代委員 一部そういうこともあることは否定いたしません。けれども、いまあなたがおっしゃったような、とてもそういう考え方じゃないと思うのです、現実は。実際その一人一人に当たって調べてごらんなさい。ですからそういう点で、これは現在政府の炭鉱失業者あるいは産炭地域におけるそういう失業問題に対する考えは、根本的に基本の考え方のベースから狂っていると思います。ですから、ほんとうに正しい労働政策は立たない。これは大臣ひとつはっきり腹の中に考えておいていただきたいと思うのです。しかし、その点はともかくといたしまして、とにかくそういう形で、いわゆる失対事業から五万数千人の方がいま出られておりますけれども、そのあと追跡調査をやった結果から見れば、あの法案の実行はこれは明らかに失敗である。その証拠には、追跡調査はあなたの言っておる六五%、これは自立していませんよ、実際に。また三五%も就職をはっきりされておられるということになっておらない。もしそれがなっておるなら、もう一度資料をはっきり出してください。何月何日の現時点において実際に就労された方は何%で、自立された方は何%でこうだというものをひとつ出してください。いまのところでは、私はこれは信用できない。
  114. 桑原敬一

    ○桑原説明員 先ほど申し上げましたように、ことしの四月に調査したデータでございます。その後期間もたっておりますから、先生のおっしゃるような事例も出てきておるかと思います。ただ、自立されました方はなかなか調査がしにくいという点もございます。これは、先生も先ほど引用されました組合の調査も非常にむずかしかったというあれもございます。ちりぢりばらばらになった方たちの調査でございますから、お世話された就労者団体も非常にむずかしかったというお話でございますし、非常にむずかしいと思いますけれども、そういう点の調査は引き続きやっていきたいと思います。
  115. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから、最後に詰めの一点だけを伺いますが、いずれにしましても、実態はあなたたちが考えておられる上澄みの、上っつらのそういうものではない。非常にたくさんの人がそれによってほうり出されて、結果的には失対事業の数が、二十万近く、十九万幾らかあったものが十三万幾らかに、確かに数の上では減っている。だからうまくいっているという、こういういわば官僚的な独善的な判断がとにかくそういうことになっていると思うのですけれども、現実にはそういう人たちは一つも救われておらない。一時金は食ってしまっているというようなことになっているのが非常に多いと思うのです。ですからそういう失業者を今後どういう形で救済するか。私どもはやはりこれは失対事業にどんどん吸収すべきであるし、それからまた緊就、開就、このワクを拡大すべきであると思う。ただ失対事業あるいは緊就、開就のワクを縮めてしまえば、政府としては、これは労働行政に成功しているというような考え方は全く形式的で、ほんとうに国民の失業した苦しい、そういう方々に対する施策にならないのじゃないかと思うのです。まして産炭地域における労働政策としましては、もう少しあたたかい、ほんとうに血の通った立場でやるべきであるし、簡単に申し上げますならば、失対事業に帰りたいという人は実際においてどんどん入れるべきだと思うのです。労働大臣、その点どうですか。やはりいまやられておるような政策をずっとやられて推していこうと思いますか、それを最後に質問して終わりたいと思います。
  116. 田村元

    ○田村国務大臣 私は、かつてちょうど十年前に労働省の政務次官をいたしました。そのときにも失対問題とぶつかったわけでありますが、その後の失対についての労働政策が誤っておったとはいま思っておりません。しかしながら、先ほどの全日自労の調査のお話もございますから、なお労働省として早急に追跡調査をしたいと思います。それから職安に対しては、きめこまかい配慮をするようにということは申しております。いずれにしましても労働省で労働省自身の調査を一ぺんして、その上で判断をしたいというふうに思っております。
  117. 田代文久

    ○田代委員 終わります。
  118. 相沢武彦

    相沢委員長 午後二時再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————    午後二時九分開議
  119. 相沢武彦

    相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  さきに本委員会より、北海道地区及び宇部、九州地区に石炭鉱山等の実情調査のため、委員派遣をいたしましたので、派遣委員よりそれぞれ報告を聴取することにいたします。  まず、北海道地区について、岡田利春君。
  120. 岡田利春

    ○岡田委員 さきに実施されました石炭対策特別委員会現地調査北海道班における調査の概要を御報告申し上げます。  私ども一行は、九月十八日現地におもむき、札幌通商産業局並びに札幌鉱山保安監督局より管内概況の説明を聴取し、さらに北海道当局及び関係諸団体、労働組合代表より要望を聴取した後、同月二十一日に至る間、美唄市、歌志内市、三笠市及び夕張市等を訪問するとともに、住友赤平鉱業所、三井芦別鉱業所及び北炭夕張新鉱開発事務所に参り、それぞれの実情を調査し、さらに需要家側である北海道電力株式会社奈井江火力発電所、新日本製鉄株式会社室蘭製鉄所等を視察してまいりました。  なおその間、産炭地域振興事業団の造成する団地の進捗状況をあわせ調査してまいりました。  この調査に参加されました委員は、現地参加を含めて七名であります。  まず、北海道における石炭鉱業の現状を申し上げますと、昭和四十六年度の生産実績は約一千七百五十九万トンで、全国生産量の五五・四%を占めております。なお、四十七年度実施計画においては五七・八%となっており、北海道が占めるウエートは年々高まってきております。このうち原料炭は七百七十九万トン、一般炭九百八十万トンとなっており、原料炭比率は四四・三%であります。ちなみに、四十七年度実施計画においては、北海道の出炭量は一千五百九十万トンで、四十六年度実績の約一〇%減となっております。  次に、労務状況を見ますと、実施計画の二万八十人に対し、七月末実績では二万三百五十九人と計画に見合った人員が確保され、移動状況も少なくなっております。しかし、各炭鉱とも若年労務者に比べ老齢者の定着化が進んでいるため、年齢構成は年々老齢化する傾向にあり、今後さらに生産性の向上等をはかるためには、若年労務者の確保が大きな問題となってきております。  次に、四十七年度需要の見通しについて一言申し上げます。  需要見込みは、原料炭六百五十一万トン、一般炭八百三十六万トンとなっており、前年度に比しそれぞれ百二十八万トン、二百五十八万トンという大幅な減少が見込まれているのであります。  なお、道内需要についてみると、北海道電力株式会社用炭三百三十万トン、鉄鋼向け百二十五万トン、暖房用炭百三十三万トンで、需要の大宗をなすこれらの部門の石炭消費が減少し、道内需要は七百二十六万トンとなり、対前年比百三十九万トンの減少が見込まれております。  なお、道外向けは七百六十一万トンで対前年比二百四十一万トンの大幅減少が見込まれ、この結果、貯炭状況は、四十七年八月末に百四十五万トンとなり、平常貯炭の一・七倍に達し、四十八年三月末には、過去における最高貯炭量二百六十二万トンを大幅に上回ることとなり、関係者は大量貯炭処理対策に苦慮しているところであります。これらの数字によっても、来年度以降の需給バランスの不均衡が考えられ、石炭鉱業の安定の見地からもまことに重大なことと存じ、需要の確保にさらに努力されたいと思います。  今回の現地調査に際して特に感じましたことについて申し述べますと、第一に、稼行中の鉱山、すなわち、赤平、芦別、夕張等におきましては、きびしい石炭鉱業を取り巻く環境のもとに、労使一体となって生産性を向上していこうという意欲が十分感じとれましたことであり、まことに心強く思いました。私たちは関係者の労苦に対しても、石炭需要の確保、労働条件の改善等の施策を十分に講ずる必要があると存じた次第であります。  第二は、終閉山に見舞われた産炭地域の惨たんたる実情であります。つい最近まで栄えていた産炭地も、一たび閉山に追い込まれるや、旬日を出ずして廃墟と化する姿を目のあたりにし、胸の迫る思いがした次第であります。  鉱山に携わっていた関係者はもちろん、産炭地市町村、中小商工業者等の皆さまの御苦労が心より推察された次第であり、石炭にかわる企業の誘致を中心とした産炭地域振興施策が強く要望されましたが、これは産炭地域の方々の心からの叫びであると受け取った次第であります。  したがって、工業配置計画の実施にあたっては、これら産炭地域について十二分に配慮する必要があると存じ、政府に強く要請しておきたいと存じます。  なお、現地において要望されました事項等につきましては、書面をもって委員長のもとに提出してありますので、よろしくお取り計らいを願いたいと存じます。  以上、報告を終わります。
  121. 相沢武彦

    相沢委員長 次に、宇部、九州地区について、田中六助君。
  122. 田中六助

    田中(六)委員 国政調査委員派遣九州地区報告。  さきに実施されました石炭対策特別委員会現地調査九州班の概要を御報告申し上げます。  日程は、九月二十六日より三十日に至る間、山口県、福岡県及び佐賀県の産炭地域におもむき、石炭鉱業の現況について調査を行なうとともに、各関係者より要望等を承ってまいりました。  なお、参加されました委員は、現地参加を含め十名でありました。  初めに、石炭の需給について申し上げます。  本年の九州地区における四月から七月までの生産は、三百八十四万トンで、これは合理化実施計画に対し一〇五%でありまして、順調に推移しております。しかしながら、最近の九州地区における最大の問題は、需要の減退による貯炭の増加でありまして、特に、三池鉱業所における貯炭は、本年九月末で約二百二十万トンに達しておりますが、これは、昨年九月末の約百二十万トンに比べ、一年間で百万トン増加したもので、今後もなお増加を続ける見通しであります。本年度末の九州地区における貯炭見通しが約二百三十三万トンでありますが、この大部分は三池炭となっているわけであります。これは、単に三池鉱業所のみの問題ではなく、これをこのまま放置するならば、来年度から始まる新政策に大きな影響を及ぼすおそれがございます。  したがいまして、第一には、需要を拡大する必要がありますが、硫黄酸化物の排出基準の強化によりまして、現状のままでは困難であり、国策による石炭専焼火力発電所の新設、あるいは排煙脱硫装置を設置するものに対する国の十分な排煙等について、すみやかに検討する必要があろうと存じます。  第二には、当面の措置についてでありますが、年末、年度末等を乗り切り、新政策につなぐために、緊急に運転資金対策を講ずることが必要でありましょう。第五次答申によって石炭の位置づけが明らかにされたところであり、国内資源の有効利用、さらには関係産炭地域の安定確保の見地から、必要な措置は講じなければならないと存ずる次第であります。  次に、鉱害対策につきましては、鉱害二法の延長により、今後十年間で、完全復旧を達成することになったのであります。これが総合的、計画的かつ迅速に実施されることを望むのはもちろんのことでありますが、過去に行なわれた金銭賠償等による打ち切り補償の中には、完全に効用が回復されたとは思われないものがあり、しかも、これは一応鉱害復旧が終了したことになっているため、復旧工事の再実施については、現行法上困難な問題があります。今後は、これらを含め、また被害者の意向も反映して、鉱害の完全復旧について検討する必要があろうかと存ずる次第であります。  なお、九州地区の石炭鉱業の実情、現地における要望等の詳細につきましては、別途書類を委員長に提出しておりますので、よろしくお取り計らいを願いたいと存じます。  以上、まことに簡単ではありますが、報告を終わります。
  123. 相沢武彦

    相沢委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。  派遣委員各位はまことに御苦労さまでございました。  なお、ただいま御報告がございました各班の派遣委員から、内容の詳細について、調査報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 相沢武彦

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————
  125. 相沢武彦

    相沢委員長 午前に引き続き質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  126. 田中六助

    田中(六)委員 石炭問題を各面から質問したいのですが、私はきょうは鉱害問題だけにしぼって質問を申し上げたいと思います。  鉱害、これは石炭鉱害でございますが、現在石炭鉱害の全体の鉱害量はどの程度と見積もられておるか、この点お聞きしたいと思います。
  127. 外山弘

    ○外山説明員 現在全国には、四十七年度価格ベースで千五百億円の鉱害が残存しております。これらの鉱害について早期完全な復旧が望まれているわけでございまして、前国会で御承認いただきました鉱害二法の延長ということをもとにいたしまして、今後これに対して積極的に取り組んでまいりたい、その復旧計画につきましても十一月の初旬には策定し、そしてはっきりと今後の方針を示したい、こういうふうに考えている次第でございます。
  128. 田中六助

    田中(六)委員 全国で、四十七年度の価額に見積もって千五百億円ということでございますが、これはどの程度——鉱害法は十年間延長になったわけですが、消化能力、消化計画と申しますか、そういうものをもう一度ちょっと。
  129. 外山弘

    ○外山説明員 ただいま申し上げました鉱害二法の延長が十年ということで行なわれたわけでございますが、それに基づきまする鉱害復旧計画というのを十一月初旬に策定いたしまして公示する予定でございます。それで、十年間の要処理鉱害量というものを、いま申し上げました鉱害量等を参考にいたしまして策定いたしたい、それによって復旧計画の基本的な事項を示しまして、今後の復旧の基本指針に資したい、こう考えている次第でございます。
  130. 田中六助

    田中(六)委員 非常に抽象的で、私は二回繰り返して聞いたのですが、それ以上のことはいまのところお答えできないんだと思います。  鉱害実態を私ずっと考えてみますと、金額にして千五百億という数字が出ているわけです。そうすると、これを認定並びに認定しようとする中で、これは千五百億だと見ます、その鉱害ということを認定するのに、どういう方法をとっておるかということをちょっとお聞きしたいのです。
  131. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 採掘をいたしまして鉱害が起きるわけでございますが、それらにつきまして、一般的には通産局のほうで認定をいたしておりますけれども、いろいろむずかしいケースがございます。それらにつきましては、学識経験者の専門の方にお願いをいたしまして、科学認定調査というようなことをいたしまして、その結果に基づいて認定をいたすというようなことをいたしております。
  132. 田中六助

    田中(六)委員 認定は、あくまで学識経験者その他の人たちによる科学認定、それをもとに認定をしておるというお答えですが、私も実は産炭地の筑豊のどまん中の出身で、小さいときからいつも認定方法に非常に疑問を持っております。鉱害というものが科学認定でいつも認定されておるというが、鉱害防止という仲介者がおって、その折衝の強度——強い、弱い、その圧力、そういうものによっていまおっしゃる科学認定の結果認定されておるという見解からはおよそかけ離れた認定が行なわれているんじゃないか。ちょうど商売人で言えば、小売り商人が大福帳式な経理をやっておって税務署につかまるというようなことが多いのです。つまり、大福帳式な、およそ非科学的な鉱害の認定があちらこちらで行なわれているんじゃないかという気がするのですが、そういう点についての、たとえば福岡通産局なら通産局の管轄で、そういう実情というものがあるんじゃないかという懸念があるのですが、そういう点は聞いておりませんか。
  133. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先生がおっしゃいますように、いろいろ鉱害につきましては紛争もあるように聞いております。したがいまして、法律に基づきまして、和解仲介の制度等がございますので、そういう和解仲介というような形でもやっておりますし、それから、先ほど申し述べましたが、科学的にいろいろむずかしい問題がございますので、それらにつきましては、学識経験者の方に科学的に御認定をいただくというようなことでいたしておりますが、私も以前福岡に勤務したことがございますけれども鉱害についてはいろいろ御意見があるように聞いておりますが、つとめて現在科学的に事を処理するという方向でいたしております。
  134. 田中六助

    田中(六)委員 そういうことのないように、一部の圧力によって鉱害が認定される、およそ非科学的なことのないように、もちろん役所としてはつとめておるでしょう。私もそういうふうに望みますが、なかなか現実問題としてそういかなくて、非常にトラブルがあちらこちらで起きているのを私も聞きますし、この臨時石炭鉱害復旧法の第一条の目的のところをよく読んでみると——私はいつも思うのですが、これは法律に準拠する法治国家であったならば、一応何でも法律に返って見る、その精神を忘れなければトラブルは非常に少なくなってくる。ただ、いままで日本は、戦前までドイツ法でもって非常にぎりぎりの線で法律解釈をやっておった関係から、非常にシビアな面もありますが、戦後の英米法を取り入れれば非常に弾力的にできるのですから、そこを私は皆さんに望みたいのです。  たとえば、総則の目的の第一条を読んでみますと、「この法律は、国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、あわせて石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達に資するため、鉱害を計画的に復旧することを目的とする。」と、「国土の有効な利用及び保全並びに民生の安定を図り、」とあるが、はたして鉱害問題をいろいろやっておってそれが民生の安定になっておるかどうか、むしろ民生に不安定を起こさせていないかという反省が一つある。  それからもう一つは、「鉱害を計画的に復旧することを目的とする。」というあれがありますが、そうなると、鉱害を、非常に部分部分をやって少しも計画的にやらないために、大きなそごを来たしたり、要らぬトラブルを起こしたり、要らぬ摩擦を起こしたり、それから役所関係、事業団関係の人たちにもまた神経を使わなければいかぬ。石炭関係が非常に非科学的なのか、鉱害関係がおよそ合理的じゃないのか、非合理的な問題なのか、そういう一つの性格的なものはあるかもわかりませんと、実は反省もいたしております。  それから、石炭を掘ることそのものが、地上から三千尺も離れた地底の奥深いところにあって、これは飛行機に乗ってもそうですが、訓練をやっておると、地上の七〇%も脳が働けばいいほうで、地下でも気温の関係とかいろいろなことでそういうことが起こり得る。  そういうことで、石炭の持つ一つの特殊性はあるとしましても、この鉱害問題についても、およそ非合理的な非科学的なことを、近代二十世紀も後半になっておるのに、旧態依然たる方法でやっておるのじゃあるまいかということを考えるわけです。そういう点はどうでしょうか。
  135. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 最初に御指摘がございましたように、臨鉱法の目的でございます国土の有効利用、民生安定、石炭鉱業、亜炭鉱業の健全な発達という点でいたしております。  それから、いま御指摘がございましたが、計画的にやっておるかどうかというお話でございますが、つとめてそのようにつとめておったわけでございますけれども、過去には、たとえば筑豊炭田について見ますと、相当炭鉱が林立をいたしております。掘っておる最中でございますと鉱害はなかなか安定しないという面もございまして、計画的にしようといたしましてもなかなかやりにくかった点も実際にはあったわけでございます。現在は炭鉱の数も少なくなってまいりまして、どこで掘っておるということ、それから採掘が終わったところというのがきわめて明確になってまいりましたので、先ほど局長がお答え申し上げましたように、最近精密な鉱害調査をいたしましたところが、四十七年度ベースで千五百億円という数字がはっきりいたしましたので、今度はこれに基づきまして、十年計画で、大体十年間に事業量としては均衡といいますか、ならした形でいたしたいと思っておりますが、これを計画的に復旧をしてまいるということにいたしたい。また、そういうことが前よりもずっとやりやすくなってきたというふうに思っております。そのような方向でやらせていただきたいと思います。
  136. 田中六助

    田中(六)委員 まあ過去においてはいろいろなことがあったとしても、これから計画的にやっていきたいというお答えで、まさしくそのようなことをしてもらうことが当を得たことで、財政主導型で社会資本の充実とかいっているわけでございますが、私ども鉱害というのはある程度経済的なものも含まれておりますけれども、社会的な大きな要素も控えておるわけで、そういう点でも財政主導型でいろいろな金がそちらに使われるといたしましても、結論は国民の税金でございますので、計画的に効率よく復旧をやってもらいたいというふうに考えます。  それから、そういう点につきまして、この前九州にわれわれ行きましたが、そのときに、夕方電灯をともしていきました福岡県田川郡金田町などにつきましても、それが計画的にやられておったならばまた違っただろうという気がするわけです。したがって、そういう点を部分復旧をずっとやっていけば、計画的にならないし、それがランダム的な計画だといえば別ですけれども、やはり大きな計画を立てて、そうしてやっていくということがトラブルを起こさない理由にもなると思います。  それで、もう一つ鉱害復旧をする場合に、これはまあ法律に基づいてやるわけですが、どういうふうにして鉱害復旧を実施して、つまり計画をして認定をして、その認定までにどういう——科学認定をするわけですが、今度はそれを実施する場合にどういうことにして実施しておりますか。
  137. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 二つございまして、一つは鉱業権者がおります場合、これが一般の場合ですが、鉱業権者がみずから復旧をいたすわけでございます。その方法と、それから鉱業権者がなくなりまして、または前の鉱業権者がなくなられた中で無資力になったようなケースがございます。そういう場合には鉱害復旧事業団がかわって復旧をいたしているわけでございます。いずれの場合にいたしましても、通産省の監督のもとで——実質的には地方通産局でございますが、監督のもとで実施をいたすということをやっております。
  138. 田中六助

    田中(六)委員 つまり、石炭部長お答えになったのは有資力、無資力のことでしょうが、この有資力、無資力は、大きく分けて二つに分けられますね。しかし、これを実施する場合には、事業団にまかせて、その事業団がだれにも相談せずに、たとえばその自治体の意向というものを十分参酌しているかどうか。もちろん相手側の一たとえば金銭賠償の場合は別ですが、これももちろんそうですが、相手側の家をどうする、動かすという場合、相手側の意向を聞くのは当然でしょう。しかし、自治体とかその他相談しなければいけない部分があるのじゃないか。そういう点はどうです。
  139. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 以前から実質的には地方公共団体等と相談申し上げたわけですが、特にさきの国会で法律を改正していただきまして、それで基本計画などは特に地方公共団体の御承認といいますか、承認ということではなくて御相談をしてきめていくということに変わりました。法律的にもそれらの方法でいたすわけでございます。
  140. 田中六助

    田中(六)委員 基本計画を地方公共団体の人たちと相談するということは、今度の法改正でなった。以前は非常にあいまいだったということも含まれているわけですが、そうすると過去において、部分復旧とかして計画的でなかったことも含めて、地方自治第と相談しておれば——これは私は頭がいま金田町のことにあるからそういうことなんですが、金田町の例をとりましても、自治体の責任者と相談をしておるならば、あるいはおったならば、そういうものと相談していったならば、まだ町民の納得とか、あるいは被害者の納得、あるいは被害者でない非被害者、そういう人たちも納得できるのじゃないかという気がするのですが、金田町だけの例をとって非常に恐縮ですけれども、そういう点の反省はどうでしょう。
  141. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 金田町の件につきましては、相当以前の採掘でございまして、復旧をしたりというようなこともだいぶ前のことでございましたので、その点があるいは十分でなかったケースもあるのじゃなかろうかというふうに思いますが、今後は、先ほど申しましたが、そのようなことがないように万全の策をとってまいりたいと思っております。
  142. 田中六助

    田中(六)委員 これからはできるだけ計画的にやって、過去のようなことがないように万全の措置をとりたいという石炭部長の責任のあることばでございますので、私もそれを多といたしまして、これから私も一緒になってそういう方向に持っていくことについての、微力ですけれども、御助力はしたいと思います。  それで、金田町の場合にもう一つ。ここでひとつ町全体の復旧計画を立ててみたら、問題が早く解決するのじゃないかといま私申し上げましたが、こういう点で金田町について町全体の復旧計画を早急に立てるという考えはないでしょうか。
  143. 篠島義明

    ○篠島説明員 お答えいたします。  われわれといたしましては、先生よく御存じのとおり、金田町の鉱害復旧については、先ほども理事会関係者から陳情がございましたが、鉱害掛軸の問題が前々から争われておりまして、浅所陥没については、われわれとしても鉱害と認定しておるわけでございまして、町全体がいわゆる浅所陥没以外に相当深いところを掘っておったために地盤が相当沈下しておる。したがって、全部をかさ上げをするという形での鉱害現象があるということにつきましては、まだそうではないという、これは四十一年、四十二年に科学認定調査をやりまして、そういう結論が出ておりますので、そう判断しておるわけであります。したがいまして、いまのところ金田の町の鉱害問題につきましての処理方針といたしましては、あれを鉱害地として認定して鉱害復旧するということではなくて、あの金田の問題になっております地区に近接しておる金田農地あるいは宝見の農地等との関連もございますので、そちらのほうの工事との関係で金田町に何らかの被害が起きるようなことになりますと問題があるので、そういうほかの工事との関係で障害が起きないような配慮、これは具体的には町に排水路を設けるということを考えておりますけれども、そういう形での工事をやったらどうかというふうに具体的には考えております。
  144. 田中六助

    田中(六)委員 金田の町の当局者を代弁するわけじゃないのですが、現在の部分復旧そのものでずっとやっていきますと、いま課長のおっしゃった排水路、それからその他の農道などを町では受け取ることはできない。つまり維持費が膨大で町でまかない切れないということもあるのです。だから、そういうことも勘案して、やはり鉱害課長がおっしゃるように、町全体をということはなかなか問題があるでしょう。それから、現実に科学認定をしなくてはいかぬのですから、部分計画、部分復旧じゃなくて、全体的な復旧計画を立てるという、そういう大きな網の中からひとつ町全体のことを考えて、トラブルのないように、そうして町当局の維持管理という面も十分考慮して、早急にこの復旧計画を練ってみたらと私は思うのですが、この点についての御見解をはっきりしてもらいたいと思います。
  145. 篠島義明

    ○篠島説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれといたしましても、先ほどの法律の趣旨に即して鉱害復旧をやっておるわけでございます。したがって、たとえ鉱害が実際に起きていないところにつきましても、いわゆるほかの近接地域との関係で、そちらのほうの工事をやったために何か被害が起きるということは非常に問題があるわけでございまして、そういうことのないようにやると同時に、その具体的な配慮につきましては、もちろん地方公共団体あるいは被害者があとあと迷惑を、非常に膨大な負担をしょわなければならないというようなことがないように、十分話し合いをした上で、合理的な解決をできるだけ早くはかっていきたい、こう考えております。
  146. 田中六助

    田中(六)委員 鉱害課長が責任のある答弁をしてくれましたので、この問題はこれで打ち切りますが、一つ私が非常に疑問に思いますのは、鉱害全体につきまして、いま言った第一条によって、国土の保全、有効な利用、それから民生の安定ということになると、第二鉱害につきましてもこの法律で何とか解決できそうなものだ。つまり、金銭賠償は済んだ、あるいは土地復旧の賠償は済んでおってもまた陥没したりしたときは、この臨鉱法では二度と再びそれはできないのだという解釈をしているのですが、やはりこれはそういう解釈をしたほうがいいのかどうか。
  147. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 すでに復旧をいたしておりますもの、あるいはまた金銭賠償がすでに済んでおりますもの等につきましては、鉱業法上の鉱害賠償の関係が完了いたしておりますものですから、臨鉱法による再復旧ということはできないわけでございますけれども、農地等につきましては、いろいろなケースがございまして、復旧後にほかの要件で、たとえば地下水が上昇するというようなことで、一回直しましたけれども、その土地が湿田化するというようなケースもございます。そういうやむを得ない場合には、追加工事ということで、一部再復旧というようなことでいたしております。  それから、一回賠償あるいは復旧等が終わったものにつきましても、その後、いわゆる別のところとか、あるいはほかの鉱害でまたダメージが起きるというようなケースもございますので、この場合は、もちろん新しい問題として復旧をいたすというふうにいたしております。
  148. 田中六助

    田中(六)委員 最後に、鉱業法の百十四条に「損害賠償の額が予定された場合において、その額が著しく不相当であるときは、当事者は、その増減を請求することができる。」こういうのが前段にありますね。これはいわゆる第二鉱害などには適用できないのでしょうか。その点はどうでしょうか。それが一点。  それからもう一つは、第二鉱害というものがあらゆる地区であるわけですね。そうすると、法律を新たにつくっていろいろやることのほうが得策か、あるいはまた臨鉱法を改正したほうがいいのか、このこともついでに……。時間もありませんので、前段の百十四条の問題と、それから新しく法律をつくったほうが、あるいは改正したほうが、非常にスムーズにいく、というのは、役所も被害者も、それをめぐってけんかばかりしているわけだから、それよりもすかっと、端的にいえば、法律でおまえこうしろといったほうがいいのか、その二つについて……。
  149. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 お答えいたします。  先ほど御指摘ございました鉱業法の百十四条の問題でございますが、これは新たに、たとえば第二鉱害等が起きましたような場合には、前の額等を検討いたしまして、あとのほうが多く出さなければいけないというようなケースは、当然あとのほうで出すようにいたしております。  それからいまの第二鉱害発生云々というようなことでございますが、これはきわめて大きな問題でございますし、ただいまここでお答えがなかなかできない状況でございます。十分検討いたしまして、よりよい方向にいたしていきたいと思います。
  150. 田中六助

    田中(六)委員 まあ、これは重大な問題だから答えられないのでしょうが、これを直していったほうがいいような気がしますので、これからはそういうことを中心にひとつ十分検討してもらいたいと思います。  私の質問を終わります。
  151. 相沢武彦

    相沢委員長 岡田利春君。
  152. 岡田利春

    ○岡田委員 初めに、厚生省のほうから質問をいたします。  かねて本委員会で、石炭鉱業年金基金の問題で、最近の鉱山労働者の数の減少からいって、ことし十月から年金が支給されるわけですが、これを見直しをし改正をすべきだ。大体計算は七月に終わって、これが支給時期の十月にはほぼ結論が出るだろう。実際の支給は来年二月になるわけですけれども、その間の検討と結果について、この機会に承っておきたいと思います。
  153. 幸田正孝

    ○幸田説明員 石炭鉱業年金につきましては、本年の三月末現在で年金財政の財政再計算を実施いたしたわけでございます。その結果は、出炭能率の向上その他によりまして、現在の掛け金の範囲内でもかなり財源上の余裕が見込まれるという結果になりましたので、それを財源にいたしまして給付の改善を実施することにいたした次第でございます。  具体的には、石炭鉱業年金基金からの申請によりまして私どもが認可をいたしたわけでございますけれども、その内容は、本年六月の石炭鉱業審議会の答申の線に沿いまして、当面発生をいたします年金受給者に重点を置いた内容になっております。で、石炭年金基金が発足をいたしましてから五年以上十年未満加入をいたしました坑内夫につきましては、現在月額二千五百円でございますけれども、これを四千円に引き上げる、それから十年以上十五年未満の加入者につきましては、現在月額四千円でございますけれども、これを四千五百円に引き上げるといったような改正内容でございまして、当面年金を受給される方々に重点を置いて改善を実施することにいたしたわけでございます。
  154. 岡田利春

    ○岡田委員 先般厚生年金の審議会のほうから答申が出されておるわけですが、特にそこで私は問題点があると思いますのは、いまの公務員関係の共済年金と厚生年金では、支給開始は、共済年金は五十五歳、厚生年金は六十歳、坑内に限っては五十五歳ということにすでになっておるわけです。なかんずく坑内の場合に、五十五歳から年金が支給されるわけですが、しかし月収二万以上の年金適用職場に働いた場合は、坑外の六十五歳と同じように、六十歳から五年間対象になりませんから、六十五歳まで対象にならないということになるわけです。坑外の場合でも六十五歳までは対象にならない。労働人口が満六十四歳までだという一つの原則に立っておることは間違いないのでありますけれども、しかし石炭鉱業の最近の動向、あるいはまたこれからの五次政策方向から考えて、老齢者の雇用という問題は非常に、これは石炭鉱業から出る老齢者のみならず、全体的に問題であるにかかわらず、特に地域ぐるみで閉山をする、そうした疲弊した地域に点在をするという状況の中では、きわめて多くの問題が今日出ていると私は思うわけです。しかし、これらについては、今度の答申においては触れられていないわけですけれども、その二万円の額を五万円に引き上げるのか、そういうことはこれから詰めて検討されるのではないかと思いますが、少なくともこれらの問題は、ある暫定的にはむしろ撤廃をするといったぐらいの考え方に立ってはどうなのか。  一方、労働省のほうでは、老齢者の雇用対策で、特に石炭の場合には、特別会計で雇用奨励金を企業に払うとか、住宅の金を払うとか、あらゆるいろいろなことをやっておるわけですね。これをやはり政府として包括的に考え対策を立てれば、相当効果が上がるのではないか。しかも、それが結果的に地域経済に資する面が出てくるのではないか、こういう点が全然触れられていないわけです。  特に坑内労働の場合には、五十五歳から支給するという意味は、それだけ体力の衰えとかを科学的に計算されてそういうことになっておるわけですから、当然五年間たったら、六十歳からは、年金と働いている職場の賃金が両方得られるというような形にするか、それからさらに抜本的には、この五年間というものについては、当面、老齢者雇用対策という側面から、むしろある一定の所得を高めて五万なら五万、六万なら六万以上でなければ併給をするという点をやらなければ、今度の改正というものは一本抜けたことになるのではないか。特に石炭鉱業にまつわる面については、石炭鉱業年金制度もつくっておるのでありますから、そういう意味で、特例として検討されるべき事項が多いのではないかと思いますが、この面の見解を承っておきたいと思います。
  155. 幸田正孝

    ○幸田説明員 在職者に老齢年金を支給するかどうかという一般的な問題になるわけでございますけれども、現在の日本の年金制度は、おしなべまして、退職を要件とするということを原則といたしております。したがいまして、在職者全体につきまして一般的に、ある年齢に達しましたならば年金を支給するということになりますと、非常に影響するところが大きいわけでございます。世界の各国の年金制度を見ましても、六十五歳以上といったような年齢になりました場合には、退職あるいは在職といったようなことの要件は問わないという国もございますけれども、六十五歳未満の場合におきましては、おおよそ世界の各国の年金制度は、退職を要件といたしておるというのが一般的な傾向でございます。私どもといたしましては、そういった事柄から考えまして、御指摘のとおり、定年制の昨今のいろいろな動き等との関連ももちろん十分に考えなければなりませんけれども、御指摘の問題については、十分慎重に対処をしなければならないというふうに考えております。  ただいま先生から御指摘のございました明年の厚生年金の改正につきまして、この十月十七日に社会保険審議会の厚生年金部会から意見書をいただきましたけれども、この意見書の中でも、いまの問題につきまして、六十歳に達した場合には退職、在職を問わず老齢年金を支給し、さらには五十五歳以上の者については希望によって額を減らした減額年金を支給すべきであるという御意見がありましたのと同時に、むしろ昨今の定年制等の動きにかんがみ、支給開始年齢を現在よりも引き上げてはどうかという御意見と、二つの御意見が、この厚生年金保険部会でも併記をされておるわけでございます。私ども、そういったことを踏まえまして、今後、明年度の厚生年金の改正の具体的な検討に入るわけでございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、先生の御指摘の点は、年金制度のいわば退職を要件とするという問題に触れる問題でございますので、十分慎重に検討いたしてみたいと思っております。
  156. 岡田利春

    ○岡田委員 その場合、厚生年金の場合には六十歳が原則なんですが、特に坑内労働、地下労働——わが国の地下労働の現状ですね、石炭のみならず、もうメタルの山もまさに崩壊の一歩手前である。円再切り上げがあれば、さらにこれは深刻化する。しかも僻地に相当の鉱山が存在をして、地域ぐるみ崩壊をする。このことは、進んでいっても、とまることはちょっと考えられない深刻な状態にあると私は思うのですね。しかし、これは地下労働という部分なものですから、あまりこの面に部会等でも意見というものが出ないのではなかろうかという気がするわけです。そういう意味で、特にいまの検討される中で、やはり地下労働の場合には特に五十五歳から支給開始、しかも五十五歳で定年制は、これはさらに延びるなんていうことは地下労働の場合には考えられないという状況でありますので、そういう状況も判断して、その場合といえどもなお、五年間繰り上げて支給している精神をあらゆる面に生かすべきではないのか、こう私は思いますけれども、この点はいかがですか。
  157. 幸田正孝

    ○幸田説明員 確かに御指摘のとおり、現在、坑内夫につきましては五十五歳から支給開始ということになっております。女子につきましても五十五歳から支給開始ということでございまして、その他の一般男子が六十歳から支給開始、この点は、御指摘のような坑内夫といったような地下労働の特殊性あるいは女子労働者の特殊性というものに着目をして設けられた制度であると、かように考えますけれども、その問題と、在職をしている場合に年金を支給するかどうかという問題ということになりますと、これはまたおのずから別な問題であろうと私は考えます。やはり日本の年金制度の場合、支給開始年齢が五十五歳、六十歳、これは、社会的な事情によると思いますけれども、他の国々に比較いたしますと、かなり低い年齢で支給開始されているわけでございまして、そういったことも勘案をいたしますと、やはり在職をしている場合には、原則として年金は支給しないといういまのたてまえは、現在の支給開始年齢が五十五歳、六十歳ということである以上は、私どもはその原則は守るべきものだというふうに、現在のところは考えている次第であります。
  158. 岡田利春

    ○岡田委員 結局、そういう原則にこだわると、パートタイマーというような、適用職場でない職場に臨時でとにかく働きなさいということを奨励するということになるわけですね。ですから、わが国の政府は一つなんですから、労働政策と相まってその間の調整は今日絶対しなければ、国民の福祉を考えるとかなんとかいっても実情に合わないのではないかという、この点の指摘をして、それ以上の答弁はなかなかむずかしかろうと思いますので、これにとどめておきます。  それから同時に、特に坑内労働の災害率は、他の産業に比べて非常に高いわけですね。ところが、坑内でけがをする。公傷ですね。そうして認定をされて、その結果、坑内労働が不向きであるから、途中坑外に上がる。もちろん坑内部分はある程度計算はされますけれども、そのために年金支給開始がおくれるのですね、やめるときに坑外夫になっていたから。そういう面が、実はまた今日、新しい問題として出てきておるわけです。ですから、これは病気の場合、私傷の場合は別にして、公務災害で身障者になって、そのために結局坑外夫にならざるを得ないという場合については、障害年金等の問題もあるという、こういう答弁もあるかもしれませんけれども、これまたきめこまやかな、どうせ年金を抜本的に検討するならば、この点も含めて検討してしかるべきではないかという私の意見ですね、この点はいかがでしょう。
  159. 幸田正孝

    ○幸田説明員 ただいまの問題は、坑内で災害を受けまして、そのため坑外夫になったというケースの場合には、六十歳にならないと老齢年金が支給されないではないかという御指摘ではないかと存じます。現在でも、いま先生からも御指摘のございましたように、坑内夫につきましては、実際の在職期間を三分の四倍いたしましてこれを優遇をいたすということにいたしておりますし、また厚生年金の男子の場合、四十歳以上十五年間の加入期間があれば老齢年金の資格がつくということになっております。したがいまして、坑内の場合には、実際の期間は十一年三カ月で老齢年金の資格がつくということになっております。そういった関係もございますし、それから、先ほどのお話にもございましたように、坑内で労災を受けた、公務災害を受けたということになりますと、これは労災としての障害年金と同時に、私どもの厚生年金からも障害年金が出る、そういったような、これは併給調整という問題が若干ありますけれども、そういう意味では保護が加えられております。そういった諸般の事情から見まして、御指摘のございましたものについて、単に坑内にいたからという理由で特別な扱いをするということはちょっとむずかしいと思います。十一年三カ月といったような坑内の実労働期間がございますれば、これは五十五歳から当然に年金支給の対象になり得るということでございますので、そういった事情も兼ね合わせて御了承願いたいと思います。
  160. 岡田利春

    ○岡田委員 坑外労働であれば、災害を受けても別に変わりないわけですから。ただ、まあ坑内というものを優遇している。確かに十一年になればば五十五歳から支給され、また換算されますから五十七、五十八で受ける方もおるわけですけれども、さらにまた労働災害という災害率等をも勘案する場合に、まあ傷害保険があるからといったって、これはまた微々たるものでお話にならないわけで、諸外国の例を引けば、災害を受けて身障者になれば、老後は心配ないだけの給付はある。西ドイツの炭鉱でけがして帰ってきた方は、西ドイツが死ぬまで保障するわけですが、物価が上がればちゃんとスライド制でやるわけですから、ぜひひとつこういう面も、坑内だけは特別になっているという点を忘れないで、抜本改正には十分検討してもらいたい。これについてはまた意見を述べてもらいたいと思いますので、きょうはこの程度にしておきたいと思います。  次に通産省にお伺いいたしますけれども、すでに大蔵省に対して予算要求が行なわれておるのですが、その中で炭鉱整理促進予算を見ますと、三百万トンの閉山ということになるわけです。従来と違ってこれからは閉山規模というのは実質、生産規模から閉山規模を引いたものが生産規模になるという非常に単純明快な方向に進んでいくんではないか。来年多少あるかもしれませんけれども、そういう方向に私はなるんではないか。いままでの場合にはビルドの関係とかいろいろあったわけですから、そう簡単にまいりませんけれども、来年度の展望ではそうなるんではないか、こう思うわけです。しかし、来年度の三百万トンに限っては、三百万トンを実質生産規模は下回るものである、こういう理解が正しいのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  161. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 第五次答申をいただきまして、それを実行する段階でございますので、明確に来年度の閉山規模を想定することはなかなかむずかしゅうございますけれども、おっしゃいますように、一応予算といたしまして三百万トン分を計上いたしております。と申しますのは、本年大体二千七百五十万トンの生産でございました。来年度一応二千五百万トンということで想定いたしまして、残ります山の若干の増産等考えまして、閉山規模として一応三百万トン分の予算を要求するということで、実質的にはもう少し詰めてまいりたいというふうに考えております。
  162. 岡田利春

    ○岡田委員 私の質問のとり方が違っておると思うのですが、仮説ですから、三百万トンの山が閉山して、これに閉山交付金を出すわけでしょう。いまわが国の露頭出炭は二百万トンあるわけですね。そのうち特に大型の残っていく露頭炭もありますから、これを差し引きますと大体百万トン近いものがある。それを二年間で五十万トンずつ減らすという前提に立てば、交付金を支給しない生産規模の縮小というものが五十万トン近く、来年、再来年は見込まれるのではないのか。ということは露頭採掘についてはこれを規制していくという方針をすでに指示をしておるし、とっておるわけです。五十年度二千万トンの対象にするとすれば、結局三百万トンの交付金を支払って閉山させれば——もちろん多少ビルドの増産分もあるでしょうけれども、プラス五十万トン近い露頭炭鉱の整理というものがあるんではないのか。だから従来の観念と違って、閉山規模プラスアルファが来年からはあるはずだというのが私の見解ですが、その点はいかがですか、こう聞いているわけです。
  163. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 露頭炭でございますけれども、露頭炭につきましては現在のところ掘りやすいところとそうでないところとございますので、なかなか一がいにまいりませんのですが、片やまた鉱害問題等もございますので、それらをひっくるめまして、そういう意味で規制をするという方向でいたしております。実質的には本年度なんかよりは少なくなってまいるというふうに思います。
  164. 岡田利春

    ○岡田委員 何か十分理解が深められてないと思うのですが、そうなると思うんですよ、私は。含めて検討してもらいたいと思うのです。そういう意味で、従来の閉山規模の考え方と変わってくる面があるのだという点を指摘をしておきたいと思います。検討してもらいたいと思います。  それと同時に、来年の炭鉱整理促進費の交付については、新しい五次答申の精神が採用されるわけです。そういう面から考えますと、一応示されておる内容、方向というものは従来とは全然観点を変えていくわけですから、もしこれを来年度から切りかえるとすれば相当混乱が起きることは間違いがないわけです。したがって、かつて特別閉山は二年間という猶予期間を置いたわけですが、私は来年度一年間は当然猶予期間を置かなければならないというのが私の見解ですけれども、この点はもうそろそろ詰めておかなければならない問題であるという気がしますので、この点どういう方向で詰まっておるのか、承っておきたいと思います。
  165. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 第五次答申で御答申をいただきました線に沿いまして、閉山交付金の交付のしかたを来年から変えたいと思っていま準備をいたしておる最中でございます。これは、石炭合理化臨時措置法の改正をいたさなければなりませんので、いずれ国会のほうで御審議をお願いしたいというふうに思っております。  それから先生御指摘のように、旧来の制度と新しい制度をある日を限って切りかえた場合に、混乱が起きるのではないかという御指摘でございますが、そういうことも考えられますので、新しい制度の施行時期を若干ずらすというのも一つの方法だと思いますし、それからある期間、とても多くの期間はだめと思いますけれども、半年間というふうな期間を両制度併用ということも考えられるのじゃなかろうかと思います。ただし、この場合にも法律的にいろいろ問題はございますので、なるべく混乱がないような方向に、かつまた法律的にもうまくいけるような方向にと思って目下検討いたしております。もう少したちますと国会に御審議を願うというようなことになろうかと思いますが、なるべく混乱の起こらないような方向でやっていきたいと思って検討いたしておる最中でございます。
  166. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、いまの石炭政策の現状から考えて、やはり受けざらは相当余裕があったほうが混乱はしない、こう思うわけです。問題は逐次計画的に、しかもスムーズに持っていくのには、やはりいろいろな行政指導その他の方法もあるのではないかと私は思うのです。ところが受けざらが、期間が窮屈だとどうしてもばたばたするから、結局炭鉱は生きているわけですから、そのために金融が枯渇して混乱が起こる、順序よくいかないという弊害が起こると私は思うのです。そういう意味で多少猶予をもって、そしてその中で、地域経済にも関連ある問題ですから計画的になだらかに持っていく。二年も三年もという意味じゃありませんから、その点、短い期間ですと必ず混乱が起きると思うんですよ。特に最終的な方向を出すにあたって十分検討してもらいたいということをいまの問題についてつけ加えておきたいと思います。  次に、坑内骨格構造の関係でありますけれども、新しく炭層の探査、ボーリング、坑外からのボーリングがつけ加えられておるわけですが、先般芦別に参りましたときに、いわゆる充てんをしなければ採掘が技術上むずかしい。しかもそれは相当遠い距離から充てん材料を運ばなければならぬという特殊な急傾斜採炭の悩みというものが出てまいったわけです。これを保安のほうでは受けられないかということで、鉱山保安確保事業費補助金の面で見ますと、充てんの関係、ボタを有効に活用処理するというような面で受けられないかと見ると、これもなかなかむずかしいのではないかという感じがするわけです。問題は、もしやるとすれば、いずれかで受けなければならぬ問題だと私は理解しているのですが、第五次答申の精神の中にも、いまはその格差はつけられないけれども、五十一年になれば検討しなければならぬ課題であるという一応精神というか、方向は暗に認めている流れになっていると思うのです。そうしますと、結局骨格構造等の中にボーリングとかあるいは揚水加算金、これと全く同質のもの、大体同水準のものとして理解できるんじゃないかと思うのですが、そう大きな予算でもありませんし、これから予算要求しても、特別会計ですし、相当詰めた検討もできると思うので、いずれかでこの問題は消化すべきではないか、こういう感じを非常に強く持って陳情を承ってきたのですが、この点何らかの検討が加えられておるかどうか承っておきたいのです。
  167. 青木慎三

    ○青木説明員 ただいま先生御指摘の問題につきましては、充てんの補助金の制度に関連することでございますが、いまの充てんの補助金の制度は、充てんする作業そのものに対する補助の制度でございまして、この部面に対しましては、補助率のアップとか単価の引き上げというようなことで手当をすることを現在財政当局と交渉中でございます。ただ、よそから持ってくる費用につきましては、保安の観点からの補助金にはなじみにくいのではないかというふうに保安局のほうでは考えております。
  168. 岡田利春

    ○岡田委員 石炭部はどうですか。
  169. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 私も北海道の国政調査にお伴をして参ったわけでございますが、ただいま公害保安局長から御答弁がございましたが、私たちのほうも公害保安局と十分相談をして検討いたしたいと思っております。
  170. 岡田利春

    ○岡田委員 石炭鉱業再建交付金の問題でございますが、再建交付金及び元利補給交付金それぞれ一次、二次行なわれてまいったわけですが、この一次、二次、俗にいう肩がわりの債務のとった期間というのは、私は三月末残高で処理をしたという記憶があるわけですが、この点私の理解に間違いがあるかないか承っておきたいと思います。
  171. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 過去の第一次の元利補給契約のときには、四十一年の三月三十一日以前において借り入れた部分というようなことになっておりまして、第二次の再建交付金の場合は四十三年九月三十日以前においてというようなことで、第一次のほうは三月三十一日で、第二次のほうは九月三十日現在で出しております。
  172. 岡田利春

    ○岡田委員 第五次答申の第三次、俗にいう肩がわりの場合、伝えられるところによると、いまの第一次より第二次の方向でその期限をとりたいというようなことがいわれておるわけですが、それはそういうことに固まっておるのかどうか、そういう方針なのかどうかということと同時に、その対象にして大体六百八十四億円、このうち合理化事業団が四百九十億円、開銀が五十六億円、鉱害事業団が四十二億円、市中銀行が九十七億円と推計されているように聞いておるわけです。ただ、そこで問題なのは、厚生年金の住宅とか産労の住宅、政府系の機関から借りて炭住、厚生施設等が建てられておるわけですね。そして、すでに閉山になった炭鉱を見ますと、どうにもならなくて、りっぱな建物が先般視察をしても奔別の場合に残っておる、雄別の山の中だって残っておるわけで、どうにもならぬわけですね。あとは地方自治体が弾力運用で肩がわりしておる。改良住宅等もあるいはまた鉱内住宅等もあるわけですけれども、これが一体含まれるのかどうか、その対象になるのかどうかということで、産炭地政策とずいぶん関連が出てくると私は思うわけです。したがって、伝えられるところによると、七百億程度の六百八十四億、いま申し上げましたが、すでに残高があるわけですから、ほぼ対象外になるということに理解せざるを得ないと思うのですが、この点は深く詰まったのかどうか、そういう問題について議論が終わったのかどうか、承っておきたいと思います。
  173. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 ただいま先生から御指摘がありました件も、石炭鉱業再建整備法の改正を要する問題でございます。目下この改正のためのいろいろな準備をしている最中でございます。もちろん現在まだきまっておらない状況でございます。ただそのときに、たとえば厚生年金の住宅等について入るかどうかというお話でございますが、さっき申しましたように、きまっておらないわけでありますが、現在再建整備法の中では金融機関というものを特別に指定しておりまして、これこれの金融機関というふうに定義づけておりますが、その中に現在入っておりません。したがって、われわれのいま検討しておる最中では、厚生年金の住宅資金は入らないということで検討いたしております。
  174. 岡田利春

    ○岡田委員 そのことは、結局いまの政府施策の上で窓口を閉ざす結果になるのではないかという心配があるのです。いまもやはり住宅の関係の資金は貸しておるわけですから、厚生関係では、今度はこれを対象にしないのだ。しかも問題点は残っておるわけですね、建物があるわけですから。そういうことであるならば、これからもビルドの炭鉱にもなかなか金は出せない、非常にむずかしくなってくるのではないかという気もするのです。しかし、それは政府系ですから、調整してやるということもいえるかもしれませんけれども、実際問題としてはむずかしくなってくるのではないか。それと同時に、炭鉱のなくなったあと対策として、住友のような場合には、炭山をつぶしても会社が残っておるわけですから、一応これらの債務があるということになっておるわけです。企業ぐるみとしては、雄別とか明治とか麻生とか杵島——杵島にはあるかどうかわかりませんけれども、そういうところには残っておるわけです。地域の中心になっているわけですから、どうにか処理しなければならぬわけです。どうしてこれを処理させるのか。これはやはり政府の施策上政府系の資金なわけですから、当然これを含めて最終的な結論を得られなければならないのではないか。これも第四次、第五次、肩がわりが行なわれるという甘い期待はできないわけでありますから、この第三次の場合、ここ数年間で起きたそういう現状にかんがみて、今度の場合にはそれに対する明確な結論を出すべきだというのが私の意見ですけれども、いかがでしょう。
  175. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先ほども申し上げましたように、現在まだきまっておらないわけでございますので、検討させていただきたいと思います。ただ、さっき現在まで入っておらないというふうに申し上げましたが、金融機関に入っておらないという問題が一つと、それから契約を改定——いろいろな肩がわりいたしますときには、先生御承知のとおりに、契約を改定いたしまして、若干繰り延べてそれを肩がわりするというふうにいたしておりますが、住宅関係の資金はうんと長うございまして、反対に圧縮しなければならないというふうな技術上の問題もございましてそんなふうに申し上げたわけでございますが、この肩がわりの中でやるか、ほかの方法でやるか等も含めまして検討させていただきたいと思います。
  176. 岡田利春

    ○岡田委員 いずれにしても肩がわりで単純にやるというようなことだけでなくてもけっこうなんですが、この機会に第五次政策の出発にあたって、いま私が指摘した問題をどう扱うか、活用するにはやはりすみやかに活用したほうが、私は国益上非常に有効だと思うわけです。そういう点、直接的なものではない、サブの問題なので、なかなか力が入らぬじゃないかという気がするのですが、第五次政策を実施するにあたって、この面、何らかの結論というものをぜひ出してもらいたいということを要望いたしておきたいと思うのです。  さらに、石炭鉱業安定補給金の問題ですが、第五次答申では、坑道掘進補助金の乙類を廃止をするかわりに安定補給金を引き上げるという一応の精神がうたわれておるわけですが、来年度、この安定補給金の問題については単価の問題がまだ解決しておらないからという意味もあるのでしょうけれども、原則的には大体従来どおりでいく考えかどうかというのが一つ。  それと、第一次、第二次肩がわりを受けてないけれども、第三次肩がわりを受けた場合には、従来の一次、二次、あるいは二次だけの肩がわりの場合と同じように扱うという方向なのか、この面も検討されておると思いますけれども、結論が出ているかいないか、承っておきたいと思います。
  177. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 安定補給金につきましては、第五次答申におきましても、引き上げの検討、また将来的には内容も変更するということも検討しろという御答申でございますので、その線に沿って検討いたしておる次第でございますが、来年度の関税収入の問題あるいはほかの施策等との関係で、四十八年度に引き上げができるかどうか、現在なかなかむずかしい問題がございます。なかなか予測がつきにくいというのが現在の状況でございます。  それから、第三次肩がわりを初めてする炭鉱についての安定補給金の問題でございますが、これにつきましては現在まだ結論が出ておりません。第一次、第二次の肩がわりを受けたところと同じように若干低く、同じ支給にするかどうかという点につきまして目下検討している最中でございます。
  178. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、やはり第三次肩がわりと安定補給金を今後五次政策の中でどのように方向づけるかということと無縁ではないという理解なんです。いま、第三次肩がわりを受けるかどうかをいろいろ検討されておる個々の炭鉱もあるんじゃないかと思うのですが、たとえば安定補給金を増額していくという場合に、いまの一番高いところに平準化していくという政策をとれば、そういうような考えがある程度展望にあればまた変わってくるし、いまの格差をそのままつけていくんだ、原料炭一般炭、肩がわり、非肩がわりの段階をそのまま固定化するのだという前提で、三次肩がわりをやるということになれば、それもまた違うだろうし、結局、毎年毎年とにかくその情勢で検討するんだということになると、何が何だかわからぬということになってくるわけです。問題は、これからの安定補給金の考え方を一体どう方向づけていくのか、従来どおりの固定した考え方をあくまでも貫いていくのかどうかという面がある程度詰められることが必要ではないかという気がしますので、この点も含めてひとつ検討していただきたいと思います。  次に、石炭増加引き取り交付金の問題でありますけれども、増加引き取り交付金でまた予算を組んでいるのですが、引き取りが減るのにどうして増加引き取り交付金か、私はわからないわけです。マンネリ化している予算費目ではないか。これは来年減るわけですよ。引き取りが減るのに増加引き取り交付金では、これは減るためにやるのであって、名前がおかしいと思うのです。だから、特別引き取り交付金といいますか、何か名前を変えないと、必ず減るということがわかっているのになぜ増加引き取り交付金ということになるのか。これはだれが見てもおかしいということになると思うのですが、どうですか。
  179. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先生御指摘のように、需要業界のほうでいろいろ努力はいたしておりますけれども、実際的には引き取り量が減ってまいっている現状でございます。そのときに増加引き取りというのはおかしい、まさに私もそのように存じますけれども、一方、一般炭にいたしましても原料炭にいたしましても、国内炭と海外の競合燃料と相当の格差がございますので、そのときに予定量を需要業界に引き取ってもらおうという場合には、何らかこういうものがないとなかなかむずかしい現状でございます。したがいまして、これをなくするわけにはどうしてもまいらないというふうに思いますが、先生御指摘のように、増加引き取りという名前はおかしいと思います。内容といたしましても、何らかの形で需要業界のほうを補てんするというふうな運用のしかたが必要ではなかろうかというふうに思います。
  180. 岡田利春

    ○岡田委員 その場合、特に一般炭の電力消費の場合ですが、かつて水力、火力の発電所があった場合には水火調整金というものがあって、渇水あるいは増水等の関係で、火力と水力と調整をするというような制度も電力内部であったわけです。そういう面から考えますと、この際電発を含めて十電力——北陸はいままでも石炭をたいたことがないというのがありますけれども、そういうこまかい問題は別にして、電発を含めて引き取り量は減っているわけですから、第五次政策でまさしく需要業界の意向もあって下がるわけですから、そうすると全体の面で油と石炭の調整という面を考えなければ、これは石炭産炭地でたけといっても、やはり将来は無理がくるのではないかという気がするわけです。いままで電力内部でいろいろ操作をしてきたわけですから、今度電発でたけということになると、ストレートに来年も百五十円炭価が上がれば、百円は補給する、五十円は電発の中で電力会社との交渉もして解決しなさいというようなことで予算要求されているわけですけれども、これがそのままでいいかどうかということについては、やはり第五次政策を展望する場合に再検討が加えられるべき問題ではなかろうか。まして原則は、第五次答申は、いままでの価格差は別にして、油が上がれば石炭価格もそれに見合うくらいは上げて協力をするということで、いまの炭価交渉もやっておられるわけですから、この際、第五次答申以降、この面については深く検討して、何らかの方向を出すべきではなかろうか。そうすると、いろんな全国的な公害対策考えながら、また石炭政策考えながら、また電源開発も調整しながら、あらゆる面で連帯的な関係で消化をしていくことができるのではなかろうかというのが、私の考え方なんです。そうでなければ、最後は北海道九州電発でだけということに、そう言っているわけですからなるわけですね。そういう点で、私はこの際発想の転換をすべきだという意見を持っておるのですが、この点についてはどういう見解でしょう。
  181. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 現在の名前の増加引き取り金につきまして、特に一般炭につきましては、本年は電発とそれから常磐共同火力について出しております。現在のところ、来年度からは電発、火力についてのみ出すことにいたしまして、先生先ほど御指摘のように、値上げ分の何割か相当部分を補てんするというふうなことも含めまして、電発に増加引き取り金——増加という名前はおかしいのでございますけれども、それを交付していくというような形にしていって、電発一般炭をたいてもらうというような方向でやっていきたいと思っておりますが、先生の御指摘もございましたので、なお検討させていただきたいと思います。
  182. 岡田利春

    ○岡田委員 いまの保安監督行政と産炭地振興鉱害防止事業——事業団と本省との関係もありますけれども九州北海道の産炭構造、単位炭鉱の数というものが変わって、地理的な要因もずいぶん変わってきておるわけです。先般も北海道では産炭地の公団支所の人員配置が、九州と比較すると北海道は三分の一くらいだという指摘があって、ぜひ体制を整備し直してくださいという意見も出てきたわけですが、この際公団に新発足したわけですから、この面はこれからの事業の展望等を含めて、早急に是正されるべきだと思うわけですが、是正するというお気持ちがあるのかないのかというだけでけっこうですから、一点聞いておきたいと思います。  それと、鉱山監督の監督官の配置についても、この点はいまの体制で大体のバランスがとれておるという理解なのか、それとも適正配置という面で再検討を加えられておるのか、この点をこの機会に承っておきたいと思うのです。
  183. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 今度産炭地域振興事業団が工業配置産炭地域振興公団になったわけであります。それから、先生御指摘がございましたように、北海道産炭地域振興の問題が従来よりもウエートが高くなってまいっております。したがいまして、まず公団のほうで適正かどうかということを検討いたしておりまして、おそらく北海道のほうを増強するということになるのではなかろうかと思います。まず公団のほうで検討してもらって、そのあと相談するというふうにいたしたいと思います。
  184. 岡田利春

    ○岡田委員 保安はどうですか。
  185. 青木慎三

    ○青木説明員 石炭の保安監督面につきます監督の人員の配置でございますけれども、これは炭鉱が減ってくるに従いまして、保安の人員の再配置ということは当然あるわけでございますけれども、現在なお検討中でございまして、結論を得ておりませんので、きょうのところは答弁を控えさしていただきます。
  186. 岡田利春

    ○岡田委員 来年度労働省関係の予算で、従来の費目であります炭鉱離職者援護対策費及び産炭地域開発雇用対策費、いずれもそれぞれの予算概算要求というものがきめられておるわけですが、これは開発就労費というのは、人件費の単価が上がっても従来の人員をそのまま継続するという思想に立っておるのではないか、こう私は理解します。それから援護対策費については、先ほど年金の場合もああいう形で実施をするわけですが、特にいままで失対との関係とかいろいろありまして、問題が出てきておったわけなんですが、この点については、これからの閉山というのは大型閉山になる。従来と非常に違った側面が出てくる、こう予想されますが、この面に、何らか特に来年度検討する新しい政策があるのかないのかということをこの機会に承っておきたいと思います。
  187. 桑原敬一

    ○桑原説明員 炭鉱離職者対策の柱といたしましては、いま先生の御指摘のように、開発事業とそれから援護事業の二つになると思います。開発事業のほうは、できるだけ事業効果のある仕事をしながら、地域の開発に役立てる。あわせて就労者の就労の確保をはかるということで、その考え方をさらに進めていきたいというふうに考えております。それから援護対策につきましてはいろいろな関連がありまして、いろいろな単価の引き上げが若干おくれの感じがございます。したがって、来年度は特に促進手当を中心にして大幅な引き上げをはかっていきたいということを考えております。もう一つは、今度の答申にございますように、労働環境の整備というのが非常に強くうたわれておりますので、いままでも若干やっておりますけれども、特に産炭地の福祉施設を中心に相当思い切った整備をはかっていきたい。もう一つは、きょう午前中に大臣が申し上げましたように、産炭地の炭住が非常に問題があるということもございますので、これは予算要求でございますのでどうなるかわかりませんけれども、労働省としては住宅のほうにも積極的な芽を出していきたい、こういうようなことで考えております。  いずれにいたしましても、これからは非常に年齢の高い、しかも地域が片寄ったところで閉山がございますので、そういう実態に合った離職者対策をしてまいりますと同時に、労働確保の面についても一段と努力していきたい、こういう考え方でございます。
  188. 岡田利春

    ○岡田委員 私、先ほどいろいろな質問も出ておりましたけれども開発就労も、やはり新しい政策が出て発想転換というか一つの経過を踏まえた区切りですから、もう少し検討する面があるのではないかという気がするわけです。  これは私の持論なんですけれども、結局産炭地に就労するわけですから、しかも九州、常磐、特に福岡が圧倒的に多いわけですが、そういう面から考えると、一方鉱害復旧は鉱害復旧で十年計画でやる、こういうことでやっている。産炭地は一回就労しますと人間優先の政治をしなければならぬわけですから、減らすということはなかなかできない問題です。実際そこに雇用されておるわけですから、ある程度継続的に持っていかなければならぬ。一方において産炭地振興という問題がある。これが同じ石特会計から出ておるわけです。しかも同じ産炭地なわけですから、この連関性というものはできないんだろうか、こう思うわけです。われわれから考えると、これはできるんだと思いますけれども通産省、厚生省、労働省、先ほど年金の問題もいろいろ話しましたけれども、どうもその点が、やはり実際問題としてはこの通関性が持ち得ないで今日まで推移してきているわけです。  ですから、そういう意味で、鉱害復旧の事業を開発就労でやるということになれば、ある程度鉱害復旧に資することもあるし、効率的に使われるし、その地域の復旧をしながら雇用を確保できる、こういう筋が通ると、よりこの予算運用というものはいいのではないか。第三者が見れば、だれしもそういう感じを非常に持つものだと思うわけです。しかし鉱害事業団は十年間で、しかもこれまたいろいろ制度があって、自治体の負担だ、鉱業権者のあれだと、それだけで固定してしまっているわけですが、継続的にやるものは、あるいは新しいものは話し合いでそういう方向に向けていく、こういうことがあって、そこに働いている者を恒常的に開発就労でそういう連関性があればなお安定的に雇用できるのではないかという気がする。十年間やるといっているわけですが、十年間でやるといっても、延びる可能性はあっても縮む可能性はないと私は思うのです。そういう長期の展望で法律も十年間延長しておるわけです。あるいは産炭地の法律も十年延長しておる。産炭地といえども事業団といえども、そういう面を十分考えながら地域振興なり団地造成をやっていくということが望ましいと思います。  そういう意味で、これはできるかどうか。いままでやってもできないから、できないと思ってあきらめていいのか。やはりこの機会に第五次政策の出発にあたってもう一度三者で、ことしはすぐできなくても来年にそういう準備をして持っていくとか、そういう点をぜひ検討してもらいたいと思います。だれから聞いたらいいでしょうか。
  189. 外山弘

    ○外山説明員 先生の御指摘になっておられますように、石炭対策、しかも労働の問題に限って見てもいろいろに分かれているのではないか、もっと一元的な運用が財政面でもできてしかるべきではないか、こういう御指摘だろうと思います。私どもから見ましても、石炭対策に必要な金というのは、生産面であろうと救済面であろうと、あるいは労働でもすべて含めまして、財源がどこにあろうと必要な金は出してもらうというたてまえが一つあると思います。しかし一方、財政当局のほうの要請から見ますと、たまたま特別会計で出してほしいという点は、財源の関係から見てもこういう性格のものに限ってほしいというふうな要請もあると思います。その辺の両様性をかみ合わせて現在のような考え方が従来から行なわれておる。現在の中でもたとえば生産面の対策産炭地鉱害復旧のようなものとは分離すべきじゃないか、石炭の中でもそういうふうな分け方で別途の会計にすべきであるという意見もあるように聞いておりますが、いろいろな要請をかみ合わせた妥協と申しますか、従来の経緯から見ての一つ考え方がすっきりしないままに現在に至っているのではないかと思います。同時にその歴史を見ますと、いま御指摘のようなことを抜本的に進めるというのは非常にむずかしい問題ではないだろうか。なおこれを機会に関係省とも打ち合わせする気持ちは失っておりませんけれども、非常にむずかしい問題ではないか、こういうふうな感じがいたします。
  190. 岡田利春

    ○岡田委員 ぜひひとつ、おそらく地域によってはそういう関連を考えて、効率をあげることができるのではないかという気がしますので、できるかできないか、心もとないいまの局長の答弁ですけれども、検討してもらいたいと思います。  と同時に、やはり近代化資金で住宅の改善をやる、いま労働省からもそういう御意見があるわけですが、そういう面も兼ね合わせて福祉施設の充実をはかっていくという面についても、やはり何かもう少しフランクに話し合われて、その部分をまとめた考え方を出すことが望ましいのではないかということを御指摘申し上げておきたいと思います。  あとこれ以上言っても、またあらためて新しい解散後の国会でなければ話が進まぬでしょうから、きょうはこれからの作業についてのさわりだけを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  191. 相沢武彦

    相沢委員長 田代文久君。
  192. 田代文久

    ○田代委員 午前中に通産大臣に筑豊地域の未利用土地利用計画、産炭地域事業団の計画についてごく一部質問いたしましたが、その問題について端的に伺いたいのですが、予算総額は大体幾らで、いつから着工して、完了はいつするかということが第一点と、それからもう一つは、地方自治体がこの計画の実行の中で負担する分はどのくらいあるかという点について、お答え願いたいと思います。
  193. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先生御指摘、御質問の点は、勝野地区の工業団地のことと思いますが、先生御承知のことと思いますけれども、このいま計画をしております団地は、福岡県の小竹町でございまして、ちょうど筑豊地域の振興中心都市でございます。直方と飯塚の両市の中間のところにあります。ちょうどここは、かつて石炭が盛んにありましたときに投資したり蓄積しました道路やあるいは鉄道等がございまして、そういう社会資本がいろいろございますし、国鉄も筑豊線に近接をいたしております。国道にも近接しておるというふうな立地に恵まれた地区でございまして、そういうところでございますので、筑豊地域は御承知のように相次ぐ閉山によりまして疲弊が著しいものでございますから、ここに団地をつくろうという計画をいたしておる次第でございます。  それで、ちょうどこの地区は、これも先生御承知と思いますけれども、いわゆる鉱害地区がわりあい多いところでございまして、しかもわりあいひどい重鉱害地区でございまして、これも昨年の臨時鉱害復旧法の改正でいわゆるみなす工事……。
  194. 田代文久

    ○田代委員 途中ですけれども、そういう事情は私はよく知っておりますから、さっき言ったこれについての予算総額、それからこれはいつ着工して、いつ完了して、地方自治体の負担はどうかという点を、ひとつ端的にお示し願いたい。
  195. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 わかりました。  それでは、先生の御承知のことでございますので、その辺のところは省略させていただきます。いま計画だけでございまして、まだうんと詰まったわけではございませんので、現在の段階での案を申し上げます。  一応面積は三百五十万平方メートルぐらいを予定しておりまして、事業費といたしまして六十七億円を計画をいたしております。そのほかに、先ほどちょっと申し上げかけたわけでございますが、臨鉱法によるいわゆるみなす工事というふうなことで、臨鉱法によるいわゆる復旧のほうの費用ということで三十五億円を予定をいたしております。それから工期でございますが、一応四十八年から五十二年度にわたってやりたいというふうに思っておるわけでございます。  ただこれも私たちが考えておる段階でございまして、もう少し詰めた検討もいたさなければなりません。それから財政当局ともまだセットした案ではございません。それからもちろんこれをやりますには地元の市町村等とも十分な連携をとらなければいけません。御了解を得なければならないというふうに思っておりますので、これは私たちの一応の青写真と申しますか、という段階でございまして、これからまあ詰めていくという段階でございます。これは団地の造成でございますので、先ほどの六十七億円と臨鉱法による公害復旧のほうのお金の三十五億円という、両方でやっていきたいというふうに思っております。
  196. 田代文久

    ○田代委員 いまのお話だとまだ青写真でありますけれども、実際においては県なりあるいはこの事業団が現地のたとえば自治体に対して説明会か何かやっているのじゃないですか。そうしますと相当煮詰めた案として、こういうことでできますということになるのですが、そういうことはやってないのですか。簡単にひとつ言ってください。
  197. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先ほどお答え申し上げましたように、まだ実は青写真の段階でございまして、財政当局とも十分話がまだ煮詰まっておらないわけでございます。でも片や全然できないというようなことを財政当局と話しても困りますものですから、アンケートというようなことで地元の関係の方といろいろ御相談をいたしておる最中でございますけれども、それで終わったということではございませんで、それはむしろ予算を確保すると申しますか、そのわれわれの青写真をもう少し軌道に乗せるために、いろいろ現地で事業団を通じて——公団になりましたが、お聞きをしておるような段階でございまして、予算がとれ、本式にやろうとするような場合には、あらためて関係の方の御意見を伺い、御相談をしてやっていきたいと思っております。
  198. 田代文久

    ○田代委員 そうするとそういう青写真でも、これによって地方自治体の負担が大体これとの関係でどのくらいになるかという計算はできていますか。またそれはできるはずですね。それはどうなんです。
  199. 佐伯博蔵

    ○佐伯説明員 先ほどお答えいたしましたように、団地をつくることそのものにつきましては、工業配置産炭地域振興公団のほうから出ます費用と、臨鉱法のほうの関係の費用とで、市町村には御迷惑をかけずにやってまいりたいというふうに思っておりますが、先ほど午前中大臣への御質問の中にもございましたように、それに関連した学校とか何とかいうようなことになりますと、それは市町村のほうにお願いしたい、県のほうにお願いしたいというようなことになろうかと思います。団地そのものは、公団と臨鉱のほうの金でやってまいりたい。
  200. 田代文久

    ○田代委員 その費用はわかっていますがね、いずれにしましても地方自治体の財政が非常に苦しいのですから、これは造成が地方自治体の負担なくしてできましても、その後において非常に負担がかかれば、どんなに持っていくといってもこれはごめんだ、そういうことになりますから、それはまず計算してやっていただきたいと思います。それからこの問題、これは青写真とおっしゃるからあれですけれども、私はこの計画で見ますと、農業の破壊ですね。実際あの地域にしましても、こういうことをじゃんじゃんこのままやられますと、農民諸君はどうなるかという問題ですよ。いまとにかく米を全く目のかたきにして、農業はそういう形でまま子扱いにされている。だからこの際土地は陥落させて、それを利用させて、逆用させて団地をつくっちゃって、ということになると、祖先代々農業をやっている農民の方々、相当の人たちがおられると思いますね。その人たちはやはり農業をやりたい、しかも農業、何も米をつくるだけが農業じゃありませんから、いろいろとにかく果樹をつくるとか蔬菜をつくるとか、あるいは家畜を養うとかいう、こういう非常に多角的な効率のある農業に日本の農業を持っていかなければならないと思うのですね。そういう点から、この計画はさっきちょっと見ましたけれども、全く農業と農民諸君をまま子扱いですよ、実際のところ。こういうことによって、農民諸君をそれこそその地からほっぽり出してしまう、家も立ちのきなさい、こういうことをやられたんではとんでもないことです。それからまた、根本的に現在の陥落した農地をとにかくこういう形で復旧して、それを宅地造成やら工業団地のほうに持っていくということで、全く右から左にやらせるということになれば、農地、農業問題としてこれは根本的に大問題だと思いますね。この点を十分——まだ青写真の段階とおっしゃいますからいろいろ追及はいたしませんけれども、十分考慮していただきたいということを申し上げておきます。  次に、さっき出ました筑豊の全地域における鉱害の復旧の問題ですね。さっきから同僚田中議員が金田の復旧の問題を聞きました。私はとにかくこういう大企業が小竹地区に工業をつくるということはともかくとして、これほど大きく残って、しかもこれは十年計画とおっしゃいますけれども、率直にいって、私はこれは十年では片づかないと思うのです。いま千五百億とおっしゃっていますけれども、このほかに私ははみ出るものがたくさんあるのじゃないかと思う。そうすると、こういう問題をずっとほっておいて解決せずして、さっきおっしゃるように、とにかく民生の安定とか国土の有効利用とかなんとかいうことをことばだけでうたったって、この地域の住民の方々は満足されるわけはないと思います。ほんとうに民生の安定なら、私は地域の住民の方々が実際に安心するように、炭鉱を掘ってこんなになった、このようにどんどん予算もかけるし、そういうふうに復旧してくれということをまず第一番にやり抜いてもらわないと困ると思うのですね。  ところがその中で、金田の問題は私は見に行ってほんとうによかったというのはちょっとおかしな言い方ですが、当然これは見に行くべきですけれども、あまりにもこれはひどいですね。あなたも実際にごらんになったでしょう。とにかく政府は見ておられると思うのですね。とにかく復旧した地域と復旧しない金田の例の町、これくらい川一筋で、こっちはこんなに上がった。水はこっちから当然こっちのほうに流れるのが、逆に流れるという状態で排水溝ができておるわけですね、実際において。こういうふうに三つ子でもわかるようなばかげた工事をやって、責任を果たしたというようなことは許されるかというのですよ。ですから、先ほどの話を聞きますと、ポンプで水がたまったらあげるというようなことについても処置するということをおっしゃいます。それからまた、非常に浅い地域で穴があいたという点については、鉱害対象として復旧するのだということが出ておる。深いところのほうは、これはできぬというのか知らぬというのか。そうするとどうしますか。実際においてこっちは上がっておる。それから鉄道は上がっておる。とにかく鉱害の有無は別として、認定するかいなかは別として、現実の客観的な事実として、こっちはこう上がっておるでしょう。こっちの側、みぞ一つ越えてこっちはこんなに上がっておる。その理由は、ここに鉱害が起こったという認定のもとに上がっておる。こっちはもとのとおりのレベルで、もともと低かったでしょう。ところが現実においてはこっちはこんなに差がついておる。その問題を科学的な認定とかひっぱったとかおっしゃいますけれども、これはどうしますか。金田の町民の方々が、非常に政府はよくやってくれておる、これで安心だということが言われましょうか。先ほどから科学的な認定とかなんとかおっしゃいますけれども、科学的でも何でもないですよ。こういうことをやって、科学者は、こっちは鉱害だから直しなさい、みぞ一つでこっちは鉱害というべきものではないから直さぬでいい、認定できないということを実際言っておるけれども、これはばかですよ。科学者でも何でもないですよ。そうしてまた、そういう御用学者といいますか何か知りませんけれども、間違った学者が科学的な認定をやったとかなんとかいうことによって、現実にこんなに問題になっておることをなぜ政治によって解決できないのですか。政治とは一体何なんですか。科学者が何と言おうとかんと言おうと、目の前にこういう悲惨な苦しみがある。しかも浅い部分においては上げた、鉄道だけは上げている。その中間においては鉱害はないということをある科学者が言った。だから認定できない。水は逆流してもそれは黙っておきなさい。しかし特別の措置をしてポンプであげてあげましょう、こういうことでしょう。政治でも何でもないじゃないですか。どうしますか、はっきりおっしゃてください。
  201. 篠島義明

    ○篠島説明員 私、この前の国政調査に先生と一緒に同行いたしまして現地を見てまいりましたが、確かにおっしゃるように、あそこの先生の御指摘になっておる段差があるという地域は、宝見農地と通称いっておる地域のことでございますが、かつてと宝見農地の傾斜が逆になっておるという点はおっしゃるとおり事実でございます。私の聞いておりますのは、あの傾斜につきましては、宝見農地自身実は鉱害があったためにやった工事ではなくて、そのさらに横に通称芋団地という金田の農地がございまして、そこの鉱害との関係でそちらを上げたために、排水をうまく処理しなければいかぬということとの関係で、宝見の傾斜が逆になったような工事をやりまして、これまでと違う新しい水路をつくりまして流すことにしたということでございます。芋団地はいわゆる鉱害地、それから宝見農地はそれの関連で復旧された土地、それからさらに問題になっております金田は、宝見農地との関係で水が逆に流れるような現象を起こすのだということで問題になっておる地域でございまして、金田のこの前の陳情のありました地区につきましては、これは事業団の技術的な設計によれば、水路をつくることによって一応金田に鉱害と関連して今後水害が起きることが防げるという自信を持っておるわけでございます。ただ地元といろいろ話をしました結果、地元のほうではどうも不安が残るとおっしゃるものでございますから、この春以来、それじゃ学者を入れまして、具体的にはたしてさっきおっしゃた宝見農地の勾配を逆につけることとの関係で、金田の土地を上げる必要があるのか、あるいは事業団が設計をしておる排水路を一本新しくやることで解決できるのか、十分議論しようじゃないかということで、通産局としては被害者といいますか、金田のほうからもしかるべき学者、先生を推薦してもらって、それでみんなで相談をしようじゃないかということで、いま申し入れをしておる段階でございますので、今後金田の地区を鉱害との関連で水害が起きないようにどうするかという点につきましては、専門家を入れまして十分合理的な具体策を考えたい、こう思っております。
  202. 田代文久

    ○田代委員 いまの御説明自身、もう非常に鉱害対策に対して非科学的な処置がなされているということがいまの説明ではっきり言われておりますよ。たとえば芋団地のほうはとにかくここまで上がっておる。これを上げた。芋団地と金田の宝見地区とは以前どうだったんですか。レベルだったでしょう。そして排水とかなんとかということは、実際に炭鉱が始まる前の事情においてはうまくいっていたのですよ。そう思いますよ。そう思わざるを得ない。ところが実際においてそこが上がった。それからいま言った宝見のほうはかりに鉱害でなかったとしましても、みぞ一つでこっちが上がって、こっちのお非さんのほうとこっちは下がっておる。こっちは水が入ってくるということを政府は、これはいまからともかく二、三百年前の徳川時代なら知りませんが、いまどきこんなことをして、これで水害が防げるというようなことは、国民に対して顔向けができますか。実際できないと思うのですよ。私は少なくとも、最低限のあれですけれども、宝見をレベルにすべきことは、これは文句ないことだと思う。もしそれに対して法律がない、現在の法律ではやれないというのだったら、こういういまの法律は役に立たぬから、臨鉱法でも特鉱法でもその他もっと改正をして、民生の安定のために尽くすという方針を、なぜあなたたちはお出しにならないのですか。私は大臣にそれを言ったんですけれども、もしこれをやれないということなら、いままでの法律が不十分であるしするんだから、しかし現実にはそういう悲惨な、がまんのできない事実が起こっておる、これを救済し、政府は責任を果たすためには何をなすべきかという点で、法律の改正ということが当然出てこなければならぬじゃないか、結論としては。ところが、あなたたちの御意見を聞いていると、現在のままでこれを押えつけてしまうということでしょう。もう少し、政治なら大きく目を広げていく、政治はそういうものでしょう。やってもらいたいと思います。どうです。とにかく現在の法律は非常に不十分である。したがって、千五百億とおっしゃって十年という方針を出しておりますけれども、私ははっきり、しろうとの目の子算でも十年では完了しない。十年たって、ひとつ勝負しましょう、もしあなたたちがすると言うなら。どうです。その点では、法律の改正その他根本的にメスを入れるという方向について考慮なさるのかどうか、それとも、現在の金田はもうしようがないから見殺しにするということをおっしゃるのか、どっちかひとつ御答弁願いたいと思うのです。
  203. 篠島義明

    ○篠島説明員 ただいま先生のおっしゃった法律の問題でございますが、これは御承知のように、前回の国会で十年間延長して、十年間で完全に処理をするということで御審議いただきまして、法律ができたばかりでございます。先ほど局長も申し上げましたように、この十一月には、新しい法律に基づきまして十年間の長期計画をつくるということになっております。その基本的な処理の考え方についても、あわせて計画の内容として固めることになっております。したがって、われわれといたしましては、現在の段階では、この前の法律の趣旨に従って、十年間にどうやっていま残存しておる鉱害処理をやっていくかということに全力をあげて考えていきたい。また、将来何らかの事情によりまして、新しい情勢を解決しなければならぬというような事態が起きました場合には、あるいは法律改正という問題も出てまいるかと思いますが、現在のところはそういうことで、新しい法律に基づき、この前の法律に基づいていかにやっていくかということに力を尽くしたい、こう考えております。  それから金田町の問題でございますが、これにつきましては、実は鉱害の認定にしても、それから具体的な復旧計画をどうするかということにつきましても、技術的にいろいろむずかしい問題があるわけでございまして、われわれとしては、公平な第三者である、しかも十分技術的な知識経験を持っておられる専門家の方々の御意見を徴して問題を処理していくということにたよるほかないわけでございまして、本件につきましてもそういう方向で、専門家の皆さん方の意見を十分取り入れながら処理していきたい。それで、現在の法律そのものが、金田の問題を処理する上で何か非常に障害になっておるというような具体的な点については、私はそれほどないかと考えております。
  204. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんからこの問題は打ち切りたいと思いますが、今年度皆さん方が予算要求なさっておる額は、前年度要求額より大体一〇%ふえておる、大体そういう見当かと思います。もう少し大きく予算要求をしてください、これは私もバックアップしますから。そして鉱害問題なんかぼんぼんやってもらいたいと思います。そうしなければ、こういう問題が片づかないと、実際、日本列島改造もくそもないです。  それで、一応時間があれば大いにあれしますけれども、次に国鉄当局に質問をいたしますが、つまり、今度の日本列島改造論なりあるいは産炭地振興計画なり工業配置の新しい政策、これによりますと、九千キロも新幹線を新しく増設するという問題とからめて、いわゆる地方線を切り捨てごめんにするというような方針でないという方向は実際に出ていると思います。その点どうですか。
  205. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答え申し上げます。  いまのお話の新幹線とローカル線の問題でございますが、御承知のとおり新幹線網は、全国に張りますと大体九千キロというのが、私どもの輸送の立場からいってのものでございます。これは全国のほとんどの都市が、こういう九千キロの網を張りますと、少なくとも一時間以内でどちらかの新幹線に到達するということでございまして、全国が一日行動圏に入る、これが目標でございます。  それから一方ローカル線は、新幹線と新幹線を結びますフィーダーの役目と申しますか、連携輸送をいたします路線になるかと思いますが、これは現在走っておりますいわゆる在来線の中で、純然たる地方ローカル線というのもございますけれども、こういった問題につきましては、いわゆる列島改造論の過密過疎のない、つまり国土の均衝ある発展のためにどう取り組んでいくかという問題につきましては、先生御承知のとおり、国鉄の財政再建計画の中で基本的にこの施策をつくっていこう、こういう段階でございますので、いま私の答弁の中で、これをやめるとかというようなことはちょっと申し上げられないと思います。  以上のような実情でございます。
  206. 田代文久

    ○田代委員 新しい運輸、特に鉄道輸送問題については、非常に積極的な方向が出されておるわけです。そういう点で、過去においてその役割りを非常に果たしてきた筑豊線、現在のそういう工業配置とかあるいは産炭地振興日本列島改造という方向が出るならば、むしろ筑豊線は非常に重要視し、単線を——あそこは単線部分はあまりないのですけれども、複々線にするとか、むしろこれは充実拡充する方向ということならわかるのですよ。しかし、実際においてはこれは逆の方向をとられつつあるということになれば、政府のそういう運輸政策というものは、鉄道に関する限り全く矛盾し逆行するということになるわけです。と申しますのは、これはおそらく中央で出されたと思うのですけれども、門鉄の労働組合あるいは地域の自治体に対して、はっきりではないけれども、一応方針を出されたのを私は聞きました。そうすると、筑豊線のたとえば貨物を扱う駅、いま各駅で当然当たっております。ところが、それをたった五つにしてしまう。若松と折尾と直方と新飯塚と後藤寺、あとの駅は全部手荷物、小荷物を扱わないというような方向とか、あるいは無人駅にするとか、あるいはその間国鉄の労働者は現在の勤務員を三分の一に減らす、そういう方向での近代化というようなことが打ち出されておる方針だ。それで、すでに御承知のように、ことしの運賃値上げ法案あるいは赤字財政の合理化のときに、国会で大問題になって、それで間引き運転やら廃止の問題については、国民の大反撃を受けてきたわけですね。そういう点、いまだかつてなく——一部は手直しされました。待ち合い時間を幾らか短くするとか、あるいは間引き運転を数分復活させるとか、快速がとまらないところをちょっとばかりとまらせるという改正をされましたけれども、これはけっこうなことですけれども、それはごくちょっぴり手を入れただけで、方針としてはいま申し上げましたようなそういう方針が打ち出されつつあるというようなことになりますと、いわゆる工業配置産炭地振興の基本的な理念、考え方、これに合わないように思うのですね。ですから、門鉄がいま持っている——当然これは運輸省なり国鉄本社がそういう方針を出されて、それを下部機構である門鉄なりあるいは九州総局がそういうことを出しているのじゃないかというふうにも考えられますけれども、これは非常に間違っているんじゃないかということを、私も地域住民の方と、門鉄へ行って交渉してまいりました。その結果、現在そういう貨物駅とかあるいは従業員の人員を三分の一に減らすとかというような方向は、これはことしじゅうはやりませんというようなことを、門鉄当局は、私どもに回答いたしました。しかし、私どもは、そういういわゆる近代化方向というやつは、これは、いま言った政府がとろうとしておる基本方針にも矛盾しておるし、今年度だけでなくて、ずっととるべきでない。むしろ、これは佐々木運輸大臣が、北海道の一日十八人しか乗らないという駅をストップさせているのを、これを通すようにしたというようなあれが出ていましたが、これは当然そうですよ、現在の日本列島改造政策からいいますと。そうすると私は、筑後においても、たとえば絶えず地元の方々が要望されておりますあの篠栗線の桂川と臼井を結びつける。それから油須原線が、ほんとうの完全なところまで通っていない。これはたいした金じゃないし、現在、とにかく路線を引いてからペンペン草をはやしておるというところがあるのですね。そうすると、油須原線を通すということ自体が産炭地振興の精神にも合うし、あるいは福岡からずっと行橋のほうにつなぐということによる産業発展の路線にもなると私は思うのですよ。そうすると、いま申しましたような路線、篠栗線の桂川を臼井に延ばして、それを油須原線にして、これを発展させるというような方向、これをいままでどおりに、やはり依然としてやらないという方向なのか、少なくとももう少し積極的にやりたい、やるべきだという方向なのか、これを伺いたいと思います。北海道であんなことはやられておりますからね。当然こういうところはすっすとやるべきだと思うのです。以上、お答え願いたいと思います。
  207. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答えいたします。  問題の御指摘が二点あると思いますが、第一点は主として筑豊地区、これは一つの例として先生おあげになったと思いますが、ローカル線の輸送というものに対して、列車回数その他を住民の便になるようにすべきじゃないかというふうな御質問だと思います。もう一つは、駅その他、貨物の集約と申しておりますが、そういったことによるところの荷主への負担の増ということをどう解決するかという問題と、それから新線の建設問題。  前段の問題にお答えいたしますけれども、実はローカル線と申しましても、輸送量の非常に多いローカル線と、それからお客さまの御利用の非常に少ない路線とがありまして、はっきり申し上げましてローカル線と申しますのは、実は一本の列車の定員の面から申しますと、それの一〇%程度というのが普通にローカル線を走っているわけです。それに対しまして私どもは、列車を全部なくしてしまうということはなかなかできませんので、列車を一本減らすかわりに次の時間のいい列車に増結をいたしますとか、あるいは列車と列車の間の、三本ある列車といたしますと、一番乗客の多い列車に集中して前後の二本を消してしまうとか、そういうことになりますと、私どもの申しております要員的にも非常に節約になる。しかもお客さまにはそう御不便をかけなくて済むという方向でやってきてまいっております。私ども、そういったお客さまの流動、御利用の状況に応じまして、毎日実は報告をとって検討しておりますが、そういった状況に基づきましてのそういうふうな計画でございますので、結論として申し上げますならば、一部手直しはございましたけれども、全体的にはさほど御不便はかけていないのではなかろうかというふうに考えております。それから駅の配置でございますが、これは国のほんとうに交通体系の総合的な立場から判断いたします場合に、鉄道輸送でいいのかあるいはその他並行する道路輸送でいいのかという、やはりその地域の合意をいただかなければならぬのではないかというふうに考えております。その合意を得るために、どこどこの駅を貨物は集約するとか、あるいはどこどこの駅はバス停留所と同じような停留所の方向にするとか、そういうふうな地域的な合意をいただく段階できめてまいりたい、かように考えておりますので、実は今後ともそういうふうな方向で御不便をなくし、と同時に私どものほうの労務を生産点のほうへ配転をする、こういうことでまかなっていかないと、これからなかなかやりにくいのではないかと思います。これは先生おっしゃいますとおり、そうした総合交通体系の立場から検討しないといけませんので、いわゆる地域的合意ということを私どもは前提として取り組んでまいりたいと思います。  それから後段、第二点の新線建設の問題、これは実は私どもの所管ではございませんで、運輸省の計画に基づきますところの御指示をいただきまして進める性質でございますので、ちょっと私からお答えは申し上げにくいと思っております。
  208. 田代文久

    ○田代委員 これで質問を終わりますが、大体いま政府が、いわゆる田中内閣が非常に売り出しておる方向とは——いまおっしゃったようなことは、もうすでに、ことしの法案が出たときに、私たちも耳にたこができるくらいやりましたよ。しかし、それから前進しているとは思われません。ですから、私が言っているのは、現在田中内閣が出そうとしている方針ですね、その方針どおりにやったらどうか。実際において北海道は、十八人しか乗らぬというような汽車が通るようになったじゃないですか。これはけっこうなことですよ。だから、そういうことをとにかくやってほしいということです。なお、これは地元の住民の御意見を聞いた上ということですから、私も地元の一人ですから、これはそういう方向が出るように徹底的にいきますから、よろしくお願いします。      ————◇—————
  209. 相沢武彦

    相沢委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事伊藤卯四郎君が本日委員辞任されました結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  210. 相沢武彦

    相沢委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は、伊藤卯四郎君を理事に指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十八分散会      ————◇—————