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1972-08-03 第69回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月三日(木曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 相沢 武彦君    理事 大坪 保雄君 理事 神田  博君    理事 田中 六助君 理事 地崎宇三郎君    理事 岡田 利春君 理事 鬼木 勝利君       松本 十郎君    村山 達雄君       吉田 重延君    細谷 治嘉君       田畑 金光君    田代 文久君  出席国務大臣         通商産業大臣  中曽根康弘君         労 働 大 臣 田村  元君  委員外出席者         通商産業政務次         官       丹羽 久章君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部鉱         害課長     篠島 義明君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 七月十二日  辞任         補欠選任   三池  信君     田中 六助君 同月十七日  辞任         補欠選任   藏内 修治君     中村 寅太君   篠田 弘作君     廣瀬 正雄君   菅波  茂君     藤田 義光君 八月一日  辞任         補欠選任   伊藤卯四郎君     田畑 金光君 同月三日  辞任         補欠選任   進藤 一馬君     松本 十郎君   中村 寅太君     村山 達雄君   山崎平八郎君     吉田 重延君 同日  辞任         補欠選任   松本 十郎君     進藤 一馬君   村山 達雄君     中村 寅太君   吉田 重延君     山崎平八郎君   田畑 金光君     伊藤卯四郎君 同日  理事藏内修治君七月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として田中六助君が理事に当選した。 同日  理事伊藤卯四郎君同月一日委員辞任につき、そ  の補欠として伊藤卯四郎君が理事に当選した。     ————————————— 七月十二日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 相沢武彦

    相沢委員長 これより会議を開きます。  この際、田村労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村労働大臣
  3. 田村元

    田村国務大臣 このたび労働省を担当することになりました田村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  これからの国政は、経済の拡大から、国民生活充実福祉向上という方向に進まなければなりませんし、時代の趨勢もそういうことであります。その中で、労働行政の果たす役割りはいよいよ重要の度を加えております。私は、今後の労働行政の推進にあたりまして、その責任の重大さをいよいよ自覚いたしまして、勤労者生活充実労働環境労働条件向上のために一身をささげる決意を新たにいたしておる次第でございます。  とりわけ、石炭産業につきましては、環境があまりにもきびし過ぎます。労働省といたしましては、このたび出ました答申を十分尊重いたしまして、その精神に沿うように、万全の措置をいたしていきたいと考えておる次第でございます。これから委員長をはじめ委員皆さま方にはたいへんお世話になることと存じますが、どうぞよろしくお願いいたしますとともに、石炭対策につきましても、労働省の担当する部門が功を奏しますように、格段の御協力とまたいろいろとお教えも賜わりたく、心からお願いを申し上げる次第でございます。  とりあえず、委員長はじめ皆さま方就任のごあいさつと所信の一端を述べまして、お願いことばにかえる次第でございます。どうぞよろしくこれからもお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 相沢武彦

    相沢委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  まず、石炭鉱業審議会答申について、政府より説明を聴取いたします。青木鉱山石炭局石炭部長
  5. 青木慎三

    青木説明員 去る六月二十九日に、石炭鉱業審議会におきまして、長期石炭対策につきまして答申を得ましたので、その審議経過並びに概要についてかいつまんで御説明申し上げます。  この長期石炭政策につきましては、石炭鉱業審議会で、昨年九月体制委員会を開きまして、今後の長期的な石炭対策検討を行なうことになったわけでございます。その間、本年の三月三十一日の総会で、昭和五十年度の国内石炭需要量を二千万トンを下らないものとするとの趣旨の決議が行なわれております。今回の体制委員会は、昨年の九月より体制委員会を十一回、同じく小委員会を十二回、合計二十三回の委員会を開きまして、最後の二十九日の総会で決定を見たものでございます。  次に、内容につきまして簡単に御説明申し上げます。  答申はお手元にお配りしてあるとおりでございますが、はしがきのところは一応審議経過でございますので、省略させていただきます。  まず、四ページに、需給規模ということがございますが、先ほど審議経過で御説明いたしましたように、将来のわが国の国内石炭需給規模を、昭和五十年度を基準時点といたしまして二千万トンを下らない水準とするということをきめたわけでございます。このような需給水準をきめました理由は、この四ページ以下に書いてございますが、前回の答申では必ずしも明らかに将来の見通しを、需給規模を決定しておらなかったわけでございますが、そのために種々いろいろな弊害も生じておりますので、今回はこれを明確にいたしまして、これをベースにいろいろの議論をしたということになったわけでございます。  さらに九ページに参りまして、対策期間の点でございます。今次の対策期間昭和四十八年度から昭和五十一年度までの四年間とするということをきめております。なお、この問題の長期的な本質にかんがみまして、昭和五十二年度以降についても所要石炭対策が引き続き策定、推進されるものとするというふうにきめてあるわけでございます。  次に、ページに参りまして、関係者努力という点がございます。今回、国の対策拡充強化いたしますと同時に、需要業界協力基本前提といたしまして、何よりも石炭企業における労使の一体となった最大限の自己努力が必要であるということをここで強調しておるわけでございます。さらに労働者定着、緊急時の援助等に果たす役割りにかんがみまして、地方公共団体に対しましても特段の努力を要請しておるわけでございます。  次いで対策内容に入りますが、二ページの下のところからでございますが、まず生産、資金経理につきましては、第一番目に第三次債務肩がわり実施等をきめております。石炭企業長期借入金債務につきましては、第一次及び第二次の債務肩がわりに準じまして、新たに財政による第三次債務肩がわりを実施することにいたしております。それからなお第一次、第二次債務肩がわりにつきまして、市中借入金債務肩がわり期間の一部の短縮を行なうことを同時にきめております。  それから、二番目は各種助成改善でございますが、次の諸点について大幅な改善を行なうことにいたしております。その第一は、坑内骨格構造整備拡充等補助金及び保安確保補助金補助率引き上げるという点でございます。(ロ)では、石炭鉱業合理化事業団融資につきまして、そのうち坑道、ボーリング等につきましては補助金への移行、設備等につきましては融資比率引き上げをはかるということをきめております。(ハ)は安定補給金単価引き上げでございますが、安定補給金単価引き上げについて考慮することにしておりまして、なお二千万トンの水準に落ちついた時点後の問題といたしましては、炭鉱条件により補給金単価の差等を設ける案につきましても検討することといたしております。  第三番目は運転資金対策でございますが、特定の限定された範囲の運転資金につきましては、新たに一定の厳正な条件のもとにその調達が可能となるような方策を講ずるということになっておるわけでございます。  一四ページに参りまして、需給価格、流通でございますが、その第一は、大口需要業界における国内炭引き取り量の確保でございます。需要業界昭和五十年度において次に述べるような数量を誠意をもって引き取るということを要請しております。電力につきましては、八電力が三百五十万トン、電発が三百二万トン、その他の電力が百九十三万トンでございます。鉄鋼につきましては八百万トン、ガスにつきましては九十一万トンの引き取りを要請することにいたしております。なお、長期的な問題といたしまして、産炭地石炭火力についても検討することが望ましいということにいたしております。  それから次のページに参りまして、合理的な炭価改定のルールの確立でございますが、競合エネルギー価格の推移を基準といたしまして、年々の炭価改定を行なうということをきめております。具体的には、必要に応じ、政府及び中立学識経験者のあっせんのもとに、需給業界の協議によって、毎年、その年の炭価改定額を決定するようにいたしております。これに対応いたしまして、政府及び石炭業界は、国内炭価格競合エネルギー価格価格差が現状より開かないような措置をとることにいたしております。  それから、三番目は需給調整委員会の設置でございますが、需要に見合った供給の調整需要業界との統一的な話し合い、閉山等の際の需給上の混乱の防止、貯炭対策等を必要に応じて随時検討し実行する自主的機関として、石炭業界需給調整委員会を設けることにいたしております。  さらに一八ページに参りまして閉山産炭地域振興でございますが、閉山交付金の算定の合理的な改善をはかるということと、今後の閉山地域中小商工業者に対する融資助成をはかる、それからさらに産炭地域振興臨時交付金単価引き上げをはかる、それから産炭地域市町村公共事業に対する補助率引き上げ方式改善等のことを定めております。  それから鉱害復旧につきましては、昨年の審議会答申趣旨に即して、所要対策を推進することにいたしております。  二〇ページに参りまして、炭鉱離職者対策でございますが、第四次対策についての答申以降において新たに炭鉱労働者となった人に対しまして、炭鉱離業者求職手帳発給を行なうため、在籍要件に関して所要法改正を行なう、それから就職促進手当改善をはかるほか、その他炭鉱離職者援護対策事業の一そうの充実をはかる、それからさらに、産炭地域振興開発のための諸施策充実をはかって、これらの地域における雇用の安定に資するというようなことが定められております。  若干飛ばしましたのでもとへ戻りますが、一六ページ保安等のことが書いてございまして、自主保安原則のもとに、保安確保補助金補助率引き上げ補助対象事業拡大企業における保安管理体制整備保安監督充実等に万全の努力を払うということになっております。  それから、一七ページ労働のところでございますが、他産業とのバランスをも考慮しまして、適正な労働条件確立及び労働環境改善をはかることが重要であるということになっております。今次対策による国の助成の大幅な拡充及び年年の炭価改定の実現は、この観点からする労働条件改善に資するものと考えるというふうになっております。また、炭鉱における住宅環境施設福利厚生施設等の一そうの整備拡充をはかるとともに、石炭鉱業年金についても、年金低額受給者給付額を増額するように要望するということに相なっております。  それから、二一ページにまた戻っていただきまして、管理体制でございますが、石炭業界の中に、先ほど申し上げましたように、需給調整委員会をつくるとともに、業界自身による自主的な調整機能の発揮を前提としながら、このような自主的努力を国の助成運営の面でも援助し得るような制度面の仕組みといたしまして、石炭鉱業合理化事業団に国の各種助成原則として移管しまして、これらの各種助成の一元的な運営を可能ならしめるとともに、これを背景といたしまして、上記の業界内需給調整委員会及び炭鉱の自主的な活動に対する適切な助言指導を行なう機構といたしまして、有識専門家からなる管理委員会を同事業団に設けるということに相なっております。  最後に二二ページでございますが、財源確保について規定しておりまして、政府において所要財源、これは対策期間中、すなわち四十八年度から五十一年度までの間に四千七百億円ないし五千億円程度という財源確保につとめるとともに、需要業界炭価改定協力することを要請するということで、財源の点をうたっておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、答申内容について概略御説明申し上げました。
  6. 相沢武彦

    相沢委員長 これにて政府説明は終わりました。      ————◇—————
  7. 相沢武彦

    相沢委員長 石炭鉱業審議会答申を中心に、石炭対策基本施策について質疑を行ないます。  質疑の申し出がありすので、順次これを許します。鬼木勝利君。
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員 ただいま第五次石炭対策に対する答申説明を拝聴しましたが、問題は、第五次答申をどのように実施し、どのように生かしていくかということが大事なことでございます。特にきょうは労働大臣がお見えになっておりますし、先ほど労働大臣所信も承りました。新しく労働大臣をお迎えしましたので、私どもも新しい気持ちでいろいろ労働大臣お願いをしたい、かように存じております。  そこで、時間が非常に制約されておりますので、なるべく簡潔にお尋ねしたいと思います。ただいま第五次答申説明も聞いたのでございますが、炭鉱関係労働者、いわゆる炭鉱労務者の今日置かれておるところの位置というものは、非常に気の毒な状態なんです。あらゆる観点からいたしまして、全く同情にたえないのでございますが、この答申にもその点が十分にうたってあるようでございます。ところが、答申を私どうだこうだと批判するわけではありませんけれども、従来これは十分言い尽くされたことで、適正な労働条件確保をはかるとともに、住宅環境施設福利厚生施設等整備拡充をはかる、こういうことはいままで私ども十分労働大臣にも皆さんにもお願いしたことなんです。ところが、これがなかなか容易でない。今度の答申では、炭価引き上げましょう、石炭の位置づけもはっきりいたしましょう、非常によくできておると思うのですが、はたして労働大臣はこれに対してどのように具体的に意欲を持っていらっしゃるか、なおまたこまかいことは事務当局の方でなければおわかりにならぬかと思いますけれども、そういう点、あるいはこれも大事な問題で、委員会等で盛んに論議されたところでございますが、石炭鉱業年金低額受給者給付額を増額する、あるいは延長する、十月一日に資格ができると思うのですが、そういう点について、ただ事務当局まかせでなくして、労働大臣は新しく就任されて、石炭産業に対し、また労務者確保、保護ということに対して、的確などういうお考えを持っておられるか。従来のように、労働者を大事にするんだ、福祉厚生施設をよくするんだというような、ただ抽象的なその場限りなことだけでわれわれはもう承知できない段階に入っている。ですから、私が労働大臣就任した以上、こういうことをいたしますという的確な答弁を承りたいと思う。  離職者対策にしましても、これはまたあとでお尋ねしますが、九州に豊州炭鉱というのがある。これは現在までは黒字なんです。黒字炭鉱でございますが、これが九月のたしか十一日だと思いますが、閉山通告することになった。なお長崎に福島炭鉱というのがある。これがまた近く閉山する。これも黒字なんです。ところが、それに対するところの離職者対策ということにはたして万全を期しておるかどうか。これは、労働省事務当局諸君も非常に一生懸命取り組んでやっておられることは、私は認めます。ところが、ここでお話を聞くのと現地調査するのと非常にそごしている。一例をあげますと、たとえば、昨年私ども北海道を視察しました。こちらでお話を聞けば、ほとんど九〇%就職はできております。ところが、現地に行きますと、私どもにはごうごうたる悲痛な叫びで、事実就職ができていない。非常に困っている。そういう事例もある。ですから、今度の福島炭鉱並びに豊州炭鉱のごときも、一体どういうふうになっておるのか。これは石炭局のほうにも関係がありますけれども、またあと石炭局のほうにお話しいたしますが、これが予告閉山であるのか突然閉山したのか、そういう問題も残っておると思う。大体私は事情は知っておりますが、そこで、そういう点につきまして——具体的にこまかいことは事務当局でけっこうです。大体労働大臣姿勢を承りたいと思うのです。そうしなければ、これはいつまでたっても労務者環境整備環境をよくするというようなことはできないのです。  そうしますと、今度の第五次政策で二千万トン確保と言っておりますけれども、それだけ掘れないということになったらたいへんなことになる。一方では閉山して、労務者は安心して掘ることができない、こうなりますと、せっかく第五次答申という、こういうりっぱな答申が出ておっても、これははたしてこのとおりできるかどうか。通産大臣も昼から見えるそうですけれども石炭産業に対してやはり労働大臣が大いに意欲を燃やして、石炭産業の将来に対してはおれが請け負ってやるというぐらいの考えを持ってやってもらわぬと——だからといって従来の労働大臣がどうだこうだと私は申し上げるわけじゃないけれども難事中の難事であるがゆえに、ひとつ格別の労働大臣決意を促したいと思う。そういう点について、できる限り具体的にお話しをしていただきたいと思います。
  9. 田村元

    田村国務大臣 今次の答申は、あらためて石炭産業を取り巻く環境のきびしさをわれわれに認識させたわけでありますが、同時に、非常によい内容であると私自身も思っております。そこで、この答申に基づいて、とにかく現実的なきめのこまかい施策をとっていきたいということで、私は担当局長以下にきびしい指示をいたしました。  実は私は先年、党におりますときにたまたま北海道開発委員長というのを二回ほどやりました。でありますから、私自身の郷里には石炭関係はありませんが、まあ石炭産業のむずかしさというものについて幾らかでも知っておる者の一員と自分では思っております。私はまず就任のときに、いわゆるいろいろなスローガンはありますが、最大のものとして、官僚マンネリズムを廃止する、これをチェックするということを実は申しました。まあ局長以下前に置いて言うのはおかしいのでありますが、実は役人が私のところに報告してまいりますことは、ときにきれいごとがございます。たとえば昨日も、雇用促進事業団理事長に、訓練所の教材があまりにも気の毒な状態であるということで、ふんだんにこれを回すようにと実はきびしい警告をしたところでありますが、いまおっしゃったような現実の姿は、いろいろと政府が申しております——政府といいますより、むしろ役人が申しておりますこと以上にきびしいものがあろうかと存じます。でありますから、一つ一つを私は的確に報告を求め、かつ同僚、先輩の国会議員の各位からも実態を伺って、そうしてまずこれを知っていくということから始めたい、このように思っております。  労働省が受け持ちますのは、とにかく石炭産業労働者定着の問題が一つであります。高齢者はもちろんでありますが、とりわけ若年労働者定着を求めることは、非常に大切な問題であります。でありますから、前々からそういうことを言いながら実行していないではないかというお話ではありませんけれども労働条件労働環境改善というものについては、あるいは住宅の問題にしろ何にしろ、一つずつ私自身がチェックして労働者諸君の要望にこたえ、よってもって、斜陽産業とでもいえましょうが、このきびしい石炭産業を取り巻く環境に対処していきたいと実は決意しております。  いま一つは、離職者の問題であります。当然、単価の増、その他いろいろございましょうし、求職手帳発給のあり方について再検討しなければならぬ。これは答申もそれを求めております。これについて結論的に言えば、実行したい、私はこのように考えております。個々の問題についても、局長以下にきびしい指示を与え、かつ、従来は指示だけであったかもしれませんけれども、私は労働大臣初めてでございますので何とも言えませんけれども指示を与えた以上、答えを求めております。そうして、その答えを示し、実行していくという姿勢で今日おるわけでございます。石炭産業を取り巻く非常にきびしい環境を直視しながら、この答申の意義、重大性というものを認識して、現実に尊重をしていきたい、これが私の基本姿勢でございます。
  10. 鬼木勝利

    鬼木委員 新労働大臣記者会見その他新聞紙上等のあまたの御決意、抱負を承って、私もそれはよく存じております。たいへん、平たいことばで言えば、いい大臣を迎えたなと、実際の話、私は思っておるのですよ。しかもまだまだお若いのだから、よぼよぼした大臣とは違うのだから、ひとつしっかり、いまおっしゃったようなことを具体的に、これはやりたい、一々チェックしていきたいと言われるが、全くそのとおりやってもらわないと、ただこれを羅列しておるだけでは、私は効果がないと思うのです。たいへん言いにくいことですけれども、第一次、第二次、第三次、第四次と答申はありましたけれども、みんな途中でこわれてしまう。あるいは時宜に適しないというか、ちょうどあとからあとから追っかけていくような、ノミの飛んだあとを押えていくような——これは答申にけちつけるわけじゃありません。答申はりっぱだけれども、それを実行に移さないから、いささかも効果があがっていないと言ってもはばからないと私は思う。でございますから、いま大臣がそのようにおっしゃったから、この答申に出ておりますところの問題を、この点はこういうふうにやるんだ、こういう点はこのようにやるということを、ひとつ事務当局によくお命じなさって、それを私らに明示していただきたいと思う。答えはこう出したのだということを。  時間がありませんけれども、たとえば先ほど私が読み上げましたような労務関係の点は、ここにもはっきり出ております。あるいはまた離職者対策の問題もよく答申に出ております。それをどのようにやるんだ、このようにやる、そういうことを出していただけば、私らまた委員会で十分検討します。大臣はこのように考えている、事務当局はこのように考えておる。じゃわれわれはこれに賛成か、あるいはもっとこういうことをやってもらいたい。そういう場がいままでなかったんですよ、実際の話が。まあ私、かつて委員長の重責をにないながら、これは私も責任があるわけで、私が微力であったためによくなかった。まことに申しわけないと思っておりますが、そういう機会やそういう場がなかったですね。答申にこう出ております、この点についてはこういたします、皆さんにおはかりします、いかがでしょうというような検討や討議のあれが十分尽くされていないのです。これでは何ぼいい答申が出ても、石炭産業の将来ということに対して期待が持てないと私は思う。それは体制委員会もむろん大事です。大臣が諮問しておる以上は、これはむろん大事ですけれども、それにおんぶしておるだけではいけない。やはりこの場において、私ども事務当局皆さん方、執行部と十分衆知を集めてこれを実行に移さなきゃならぬと思う。その点をこれから私は意欲的に、全部シラミつぶしに、こうして出ているこの点に対してはこうするんだ、この点に対してはこうやる、この点に対してはこうやるんだというようにやってもらいたいのです。労働大臣でも通産大臣でもお忙しいでしょうけれども石炭対策特別委員会でやるといったって、労働大臣通産大臣を追跡するのにたいへんなんです。一度ぐらいあなた方のほうから、おれはいつ時間がある、いつやるからひとつどうですか、話し合いをやってひとつやってくださいよというくらいな意欲があってほしいと思うのですよね。非常に他動的なんですよ。もう少し自動的にですね。私はそれが大臣の責務だと思う。どうですか、その点。
  11. 田村元

    田村国務大臣 実は私は、就任いたしましたときに、田中総理から、問題があって自分でこれはやらなければならぬと考えたときには必ず答えを出せ、これが指示されております。特に私の場合、御指摘のとおり若輩者でございますから、まあそれだけに年輩の人と違って蛮勇があるかもしれませんから、そういう指示があったのかもしれません。  そこで、私は個々の問題について、単に局長や部長から、こういう問題がございますという報告を受けるのみならず、私自身気のついたことを、これはこのようにしろ、こういう線で検討しろということを実は申しております。この答申を読みまして、この答申は、事労働問題につきましては非常に具体的なんです。ですから、この線に沿ってこういうふうに改定したらどうか、このようにして報いたらどうかということを、実は私自身指示しております。この委員会を通じまして、石炭産業労働者諸君にお報いするお答えを、私はきわめて明確に近い将来に御報告申し上げて、そして御批判を賜わりたい、このように思っておる次第でございます。とにかく実行はいたす決意でございます。
  12. 鬼木勝利

    鬼木委員 もう少し具体的にお尋ねしたいのですが、もうすでに時間が来たので、あとの先生方に御迷惑をかけますので、私のいろいろお尋ねしたい意を尽くしませんが、午後もあるそうですから、また午後も……。  ただ一言、これも午後にまたお尋ねしたいのですが、労働省関係の当局はすでに手配をしておられると思いますが、福島炭鉱閉山、それから先ほど申しました豊州炭鉱閉山ですが、これに対しての離職者の問題ですが、相当の人数でございます。大体の御計画はございますか。配置転換あるいは退職をされる方とかあるいは他県に就職するとかというようなことが、あらかじめ大体の見通しがついておるかどうか、これは私調査してきておりますので、現地で調査しましたので、資料はたっぷり持っておりますが、遺憾ながらちょっと時間がありませんので、また午後でもお尋ねしたいと思います。  それからなお青木石炭部長にお尋ねしたいのだが、福島炭鉱もこれは前からいろいろちらちらお話があっていると思うが、豊州炭鉱のごときは、ある意味においては突如こういうことになったのだ。まあこれは予告閉山ではないと私は解釈する。あるいはまた、ここに大坪先生もお見えだが、明治三山、福岡とそれから佐賀に二山あるようですが、明治三山のごときも、かねてから閉山近きにあるというような話もわれわれ聞いておる。しかし、その間の事情が何もわからないのですね。そういう点も石炭部長にお尋ねしたいのですが、どういう事情でどうなって、どうなっておる、現在炭鉱状態はこのようでございます、いま危うきにあるのがここ、ここ、ここでございます、やがてこれはこうなりますというようなことも、日ごろわれわれにいろいろ連絡をとってお話をしていただかないといかぬ。明治三山もそうだと思いますが、福島炭鉱のごときも、これはかねてちらちら話があっておったようです。しかし、あなた方から何も聞いていない。豊州炭鉱のごときは、突如今度は郷里に帰りましてそういう話を聞いて、これは意外だ——あそこは黒字ですからね、むろん経営がだんだん差し迫っておることは知っております。これは昔から、私は何回も行って調べたことがあります。よく事情も知っておりますが、そういう点も、石炭委員会に対して執行部の皆さん方が隠しておるのか、言わないのか、気がつかないのか、忘れたのか、人間のことですからそれはまあ責めるわけじゃないけれども、もう少し、石炭産業の現時点においてはこういう状態だ、このように方向はなっておりますというようなことを知らせていただきたいと思うのですよね。そうしないと、われわれ現地に行って、いきなりばんと新聞記者なんかから尋ねられて、何もわからぬようなことでは、はなはだもって立場上困るわけなんですよ。そういう点についても、時間がございませんので、労働省の問題も午後ひとつお尋ねしますから……。なおこまかいことについては、また次々先生方が御質問なさるので、私は時間が来ましたのでこの程度にしておきます。
  13. 相沢武彦

    相沢委員長 岡田利春君。
  14. 岡田利春

    ○岡田委員 時間がありませんので、端的にお聞きいたしたいと思います。  今度の答申は二千万トン体制でありますから、まあ大体九州、常磐含めて九百万トン程度、北海道が千百万トンというのが、昭和五十年の一応の落ちつきではなかろうかと私は判断をいたしておるわけです。まだ地域別に出炭規模が発表になっておりませんけれども、そう分析を実はいたしておるわけです。そうなってまいりますと、いわば、いま鬼木委員からも出ましたけれども、九州の中小炭鉱閉山は前半非常に加速的に進む。北海道は中小並びに大型がございますから、五十年までにセットされる、こういう傾向で閉山が進んでいくと判断されるわけです。そこで田村大臣はかつての自民党の北海道開発委員長として北海道については詳しいわけですが、いまの労働省の予算を分析しますと、大体石炭特会では百億円、このうち開発就労、緊急就労に約六十億円、あとの四十億ちょっとで全体の統一的な対策を立てたい。しかし、この答申はこれから北海道の閉山の量が非常に大きくなるという意味でありますから、北海道の地理的な情勢に適応したいわば離職者対策、こういうことが機動的にとられなければならないのではないかと思うわけです。そういう意味で、労働省、通産省あるいは厚生省、新たな観点に立って、北海道のこれらの対策をもう一度練り直す時期に来ているのではないか、こう判断を実はするわけです。  御承知のように、現在厚生年金炭鉱労働者の場合は五十五歳から支給されるわけです。しかし、実際地元で就職する場合には、月収五万円程度の職場はあるけれども、それ以上の職場はない。特に中帯年齢層にはそういう傾向が出てくるわけです。まして五十五歳以上の定年層になってまいりますと職場がない。しかし田中総理は、一千万人の人口に北海道を育てていこうというのでありますから、そういう面から考えて、やはり地元の中小企業定着させることも考えてみるべきではないか。このためには、国家公務員であれば年金と給与は併給されるわけですけれども、民間の場合には併給されていないわけです。しかし、いずれの制度の場合も、炭鉱離職者に対する制度というものは大体いままでの労働省政策が発展をしていっている、こういうことから考えて、十分厚生省と打ち合わせて、審議会等もやっておるようでありますけれども、そういう点を考えていかなければならぬのじゃなかろうか。  第二には、やはり北海道独自のこれらの対策を具体的に進めていく、官民総合的な機関を充実していくという点が第二点として考えられるのではなかろうか。  第三点としては、産炭地域振興の問題でありますけれども、これは通産省の所管ですが、閉山時一年以内に緊急に進出し、工場に着手するものについては、その炭鉱の持っている社会的な蓄積を生かして、そういうメリットがあるわけですから、これに対しては融資比率を思い切って上げるとか、あるいは減税措置をもう一歩進める、そのことによって炭鉱の持っている社会的な蓄積というものを生かしていくというようなことを今後考えていかなければ、その対策はなかなかむずかしいのではないか。いわばそういう意味において、通産省の産炭地振興と労働省政策と、それから厚生省の厚生年金の併給、こういう三つの観点を組み合わせて北海道の離職者対策というものを考えていくべきではないか。もちろんこれは単に北海道のみならず、九州でも適用されるでしょう。私は常日ごろ、これからの対策はそういうきめこまやかな方向で行かなければ、労働省だけではなかなかむずかしいのではなかろうか、こういう判断をいたしておるのでありますけれども、この際大臣所信を承っておきたいと思います。
  15. 田村元

    田村国務大臣 いまのお話のお答えは、その多くを中曽根さんから申し上げるべきものでございましょう。ただ言えることは、通産、厚生、労働の横のコミュニケーションというものがいま一番必要なときだということが言えると思うのです。お役所というものは、お互い役人経験のない者には割り切れないことなんですが、縦割りで非常にセクト主義が強いわけですね。ですから、むしろやらなければならぬことは、役人の段階で具体的な問題を話し合うということも必要でありましょうけれども、大本についてはやはり通産、厚生、労働の三大臣が直接トップレベルで話し合うということが必要ではないかと思っております。  それから年金問題、これは厚生省の問題でございますけれども、いい機会でございますので、私の個人的な考え方を若干申し上げますならば、いま私が精魂傾けている問題に定年制の延長がございます。ところが定年制の延長ということをやろうと思えば、当然現在ある年金制度の抜本改正をうらはらの問題として必要とするわけなんです。率直に言って、いまの年金制度がいわゆる定年制延長というもののささえになるとは私は思っておりません。でありますから、そういう面も含めて、厚生大臣等とは、とりわけ大蔵大臣等とは話し合わなければならぬ、このように思っております。  それから離職者就職問題でございますが、これは労働大臣として申すのもどうかと思いますけれども、御指摘のように、開発委員長を長らくやっておりました経験から申して、町村さんが知事時代にもずいぶん言っておられてなかなか実行できない問題でございますけれども、何とか北海道で公共事業の冬季施行ということができないだろうか、これは私自身も一生懸命取り組んでまいった問題でございますが、そういうような面までも幅広く再検討して、そして離職者対策をあらゆる面から積み上げていくということは必要じゃなかろうか、これは私見でございますけれども、私はそのように思っております。いまの御趣旨全く同感でございまして、関係閣僚で相談をいたしたいということのみをまずお答えしておきたいと思います。
  16. 岡田利春

    ○岡田委員 この答申の中で読み取れるのは、炭鉱離職者臨時措置法の中におけるいわゆる黒い手帳の発給の資格要件については、法律の改正をする。ただ私は、従来の例からかんがみて今日の情勢を判断しますと、炭鉱労働者年金が支給されるのが十月から初めて支給される、こういう時期を迎えておりますので、そういう面も考慮して、この資格要件は来年の通常国会できまるものでありますけれども、十月一日に遡及すべきである、従来も先例があるわけです。このことを特に検討事項として申し上げておきたいと思います。  それと同時に、この中に盛られていないのは、いままでも実績は少のうございますけれども、自営業に対する制度があるわけですが、実際これはほぼ運用されていない、こう言ってもさしつかえない内容に実績はなっています。したがってその場合、特に自営業の対策が従来までの方法でいいのかどうか、こういう点について深く掘り下げて検討してもらいたい。これはいますぐ別に答弁を私は求める気持ちはありませんので、申し上げておきたいと思います。  それでいま労働大臣が申し述べられた定年制の延長にからんで、もう一つは時間短縮という問題がこれからの労働省の重要な施策一つです。労働史をずっと調べてまいりますと、大体時間短縮というものは、地下労働者から時間短縮をするのが普通常識なわけです。しかし、石炭のみならず、いまわが国の金属地下資源労働者の現状を見ましても、これまた非常に困難な状況に立たされている。したがって、労働者側もこれが要求事項になるかどうかという点についてとまどいを感じているというのが、地下労働者のおそらくいつわらざる状態でなかろうかと思うわけです。しかし、オーストラリアではもう週四日半制に踏み切っておるわけですし、ほかは週休二日制に踏み切っておるわけですが、この地下労働者の時間短縮、いわゆる週休二日制という問題については、こういう答申を今日出さなければならぬ状況をかんがみて、大臣としてはどういうお考えを持っておられるか、この機会に承っておきたいと思います。
  17. 田村元

    田村国務大臣 労働時間の短縮問題は、すでに御承知と思いますが、週休二日制を中心としていま検討しておるところでございます。いま御指摘の地下労働者の場合は、率直にいって、いまそこに的をしぼって私が局長あるいは部長と話し合っておるという段階には至っておりませんけれども、当然、労働時間の短縮ということになりますならば、そういう特殊の仕事に携わっておられる方々はアクセントを強めて検討しなければならぬのじゃないかと私自身思いますけれども、御趣旨十分体しまして、一度十分検討いたしたいと思っております。
  18. 岡田利春

    ○岡田委員 これから具体的な事態の推移に合わして、われわれも積極的に具体的に提案をしてまいりたい、こう思っておりますので そういう意味で、先ほどごあいさつもありましたけれども、ぜひ検討して、できないものはできない、できるものはできるという率直な労働行政を進められるように、私のほうも積極的に具体的に提案をしますので、この点特に御要請を申し上げておきます。  時間がありませんから、通産省に一つだけ承っておきますが、現在の貯炭の状況は一体どうなっているのか。いわゆる第五次政策を実施する以前の問題として、今年の貯炭の状況は、海員ストライキもございましたけれども、当初見込みとはどうなのか。  本年度計画と三月末では合うという確信があるのかないのか、これが第二点です。  第三点として、今日の異常貯炭に対する対策をどうするのか。炭価の問題はほぼ結論が出ておるように承っておりますけれども、この貯炭融資、すなわち第五次答申では二カ月分程度の貯炭見合いの運転資金、言いかえれば貯炭融資という性格があるのだと思うわけですね。これを宣言することによって、いわば今年度分の貯炭の融資ができるような体制、あるいはもう一歩進めれば、何か金融制度で、事業団の運用で、あるいはまた電炭会社の運用で、実際上二カ月分くらいの貯炭融資の道を切り開いていく。いずれにしても炭価の問題とこの問題は、来年度第五次答申を実施する以前の問題として解決を迫られておる、こう私は判断をするのでありますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  19. 青木慎三

    青木説明員 一番最初に、貯炭の状況でございますが、本年度当初に需給計画で定めました貯炭に比べて、若干の増がございますのは御指摘のとおりでございます。ただいま手元に完全なる数字がございませんが、まず生産で申しますと、見通しに比べまして、四、五月分を中心に申し上げますと、見通しが四百五十八万トンに対しまして、実績が四百八十七万トンでございまして、生産の増分が約二十九万トンございます。これに比べまして、需要でございますが、原料炭につきまして鉄鋼、ガス、コークスを合計いたしますと、見通しでは二百三十四万トンの需要を見ておりましたけれども、四、五月の実績では約二百万トンでございまして、三十四万トンの需要の減がございます。一般炭につきましては、見通しで約二百二十九万トンの見通しでございまして、実績が二百二二万トンでございますので、約七万トンの減少でございます。一般炭に比べて原料炭の需要の減がやや目立っておるわけでございます。こういう結果、この差額が、貯炭が当初予想しましたより多くなっているというのが現状でございます。  これに対しまして、私どものほうとしましては、極力この需要につきましては、需給計画を策定しました当時の線を維持してもらうように、今後需要業界に働きかけてまいるのが第一次であろうと思います。ただいま現在価格交渉をいたしておりますので、ある程度この価格交渉にめどがつきました段階で、強力な折衝をしてまいりたいというふうに考えております。現在、一番需要が落ちておるのが鉄鋼業界でございますが、鉄鋼の生産の見通しが当初の予想よりも落ちておりますし、輸入炭のほうを抑制はしておるのでございますが、これも若干貯炭増になっているというような圧迫原因もございまして、なかなか困難な交渉かと思われますが、第一次的には私どもは、当初の需給計画の需要確保してまいりたいということを第一にいたしてまいりたいと思います。  この貯炭増によりまして、御指摘のとおり、企業の経理状況は非常に逼迫いたしますが、この資金対策につきましては、まず第一に、現在やっておりますのは、需要業界に対しまして炭価アップの交渉をしておりますので、この炭価アップの交渉をいたしますのを第一にいたしてまいりたいと思います。これがある程度見当がついたところで、もう一ぺんはね返しまして、企業の資金状況を十分調べまして、その間のつなぎをどうするかということを考えるのが第二段階でございます。私どもの現在まで把握しているところでは、少なくとも大手につきましては、ここ二カ月くらいの間は資金的に回らなくなるという状況ではございませんので、炭価アップ等の結果を見た上で、今後の資金状況をもう一ぺん洗い直しまして、対策を練ってまいりたいというふうに考えております。その際どういうことをするかということにつきましては、現在特別会計の資金は一ぱいでございますので、その中でどういう方法があるのかということを今後検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 岡田利春

    ○岡田委員 今度きまった期末手当の支給についても、大体これを順調に支払えるという企業はないように思うわけです。窮余の一策で、労働者が、労働金庫を通して企業に立てかえで借りて資金需要をまかなうというのが現状なんです。これも調べられればわかる問題でありますので、この点特に精査を願いたいと思います。  もう一つお伺いをいたしておきますけれども、来年度の石特会計の予算規模の見通しについて、どう把握をされているのかというのが第一点です。  第二点は、閉山制度については、答申で、これを変えるべきであるという答申がなされ、閣議決定をされているわけであります。この問題は、単に来年度法律改正や、あるいはまたそれに伴っていままでの省令を変えていくということであっては、やはり問題があると思うわけです。なぜかならば、中小、大手いろいろあるわけでありますから、これがどう変わっていくのかということによって、中小の閉山が、あるいは中小の現在のどうしたらいいのかという不安が、つきまとっていくのだと思います。ですから、そういう意味では、この閉山の方針だけは上期中に明確に示すべきではなかろうか、この答申に基づいてどういう閉山制度を採用するのか、でなければ、中小が先んじてむしろ閉山をするという可能性すらも私は存在しておる、こう判断をしておるわけです。したがって、答申趣旨を生かしていく意味からいっても、閉山制度については一体政府はどういう内容にするのか。これは予算の問題にもちろん関係はございますけれども、制度的には別に法律事項ではないわけですから、十分できるわけです。そういう意味で、この限界を明確に示す必要があると私は判断しますけれども、この点についてはどう考えられておるか、承っておきたいと思います。
  21. 青木慎三

    青木説明員 まず、来年度の予算規模につきましては、現在予算作業で積み上げ作業をやっておりますので、ただいまここで明確な数字を申し上げるわけにはまいりませんけれども、新しい長期計画の初年度でございますし、いわゆる従来の十二分の十の歳入だけでは十分な財源をまかなうことができないと思いますので、現在の私ども考えでは、特別会計法を若干修正していただきまして、ある一定の限度において借り入れができるような仕組みをつくった上で、全体の規模をかさ上げしてまいるという必要が初年度についてはあろうかと考えております。この計数については、現在、積み上げ計算中でございますので、数字を申し上げるわけにはいかないことを御了承願いたいと思います。  それから、第二番目の御質問の閉山制度でございますが、これも現在検討いたしておりまして、必ずしも法律事項じゃございませんので、なるべく早くその考え方をとりまとめたいと思っておりますが、現在までに事務当局としての検討の結論を得るには至っておりません。問題点だけを申し上げますと、大体、閉山に伴う企業の債務と申しますのは、大きく言いまして、一つは金融債、それから労務債、そのほかに一般債と、地域によっては鉱害債務、大かたこういう四つくらいのカテゴリーがあるかと思いますが、このうち、金融債につきましては、第三次肩がわりをいたすことによりまして、新しい計画が出発する時点におきましては、非常に少ないものになるかと思います。あと残りは、一般債と労務債と鉱害債務でございます。これが、従来の計算方式によりますと、山山によって、こういう債務の状況と現実に計算されて渡ります閉山交付金の間が必ずしもパラレルになっていないという欠点がございますので、この点は修正してまいりたいという大体の方向ではございますが、具体的にどういう計算をするかという点につきましては、現在検討中でございますので、なるべく早い機会に皆さんにおはかりできるような事態まで持ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  22. 岡田利春

    ○岡田委員 終わります。
  23. 相沢武彦

    相沢委員長 細谷治嘉君。
  24. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣にお尋ねしたいのですが、先ほど大臣のおことばの中に、行政府、官庁の縦割り行政というものが非常に強いんだ、こういうおことばがございました。私もそう思うのです。そこで、今度のこの答申の一六ページに「炭鉱における保安の確保は、今次対策の推進においても、何にもまして重視すべき重要課題である。このため、自主保安原則の下に、」云々とこう書いてあるわけですけれども、一体炭鉱の災害というのは、この国会が済みましてからわずか今日までの期間の間にも、私の記憶では、すでに二回炭鉱の事故が起こっておるわけです。幸いなことには、そこでたくさんの死傷というのが起こらなかったわけですけれども、言ってみれば、これは紙一重であります。  そこで私は、この段階で、いわゆる、石炭の抜本対策という第五次答申というものを進める場合に、何にも増してやはり重要な課題の一つは、保安対策であろう。労働省というのは、申すまでもなく労働者の生命の安全と、それから労働条件の維持改善というものを本務としてできておるわけでありますけれども、今日までの炭鉱災害を見ますと、やはり生産と保安というのが一体化しておって、そして生産第一主義という形にどうしてもおちいりがちであります。でありますから、私は、生産というものを進めるのを、別の人が、これはどこの工場でも同じなんですが、保安という面でチェックしていく、こういう機能がなければならぬのではないか。ところが残念なことに、炭鉱保安については、労働省はくちばしをいれることはできない。勧告等をすることができる程度であります。これではいかぬのであって、何にも増して、やはり縦割り行政の弊害というのを大臣自体お考えになっておるようでありますから、この保安の確保ということについて、抜本的な対策、具体的にはもっと労働省がその鉱内保安についてチェックできるような、法制的な権限というのを持って進める必要があろうと思うのであります。ちょうど大臣、非常な意欲を持って大臣就任したばかりでありまして、そういう縦割りの行政の弊害というのを御存じであって、それをなくそうという意欲もお持ちなんでありますから、この保安体制の抜本的な確立ということについて、私はもっとやはり労働省がタッチするように、法制的なあるいは現実的な体制を整える必要があるんじゃないか。でありますから、通産省の権限の一部というものを保安面については労働省が握る。これは何も我田引水で、縦割り行政の弊害だと言っておいて、自分のほうが何でもかんでもふところへ入れる、そういう意味じゃないのですよ。そういうことが必要じゃないかと思う。ですから、鉱内保安の行政の一端というものを、ひとつ労働者責任持てるまでやったらどうか。その辺から聞きますとだめですよ、これは。大臣のひとつ率直な御意見をお聞きしておきたい。
  25. 田村元

    田村国務大臣 結論的に申せば、全く同感でございます。労働省という役所は、せんじ詰めて言うならば、労働者のしあわせをつくり守っていく役所であります。でありますから、とりわけ人命に関する問題については、これはきびしい態度で臨まなければならぬ。人間一個の命は地球の全体より重いとまで言われておる今日の姿でありますから、これはもう当然のことでございます。いま局長にちょっと聞きましたのは、勧告ということしかできないのかと言って実は聞いたわけです。そうしたら答えは、勧告ということでございますという答えだったのです。そこで、勧告といいましても、いろいろと勧告のやり方によって違うと思いますが、少なくとも保安問題については、これは炭鉱であろうと何であろうと、労働省が相当くちばしをいれることができるようなことは、これは望ましいことだと思うのです。でありますから、幸いにして通産大臣は中曽根さん、非常に将来の政治家としてのあり方にも意欲を持っておられるし、進歩的な面もお持ちの方ですから、一度よく通産大臣に、御趣旨を体して私からもものを申してみようか、いまふとそういうふうに思いました。たいへん思いつきのような、ふと思いましたと言って恐縮なんでございますけれども、いまの御要望が現実にたとえどれだけでも強く生きてくれば幸いなことでございますから、いまの御要望の趣旨を体して、ものを申してみたいと思っております。
  26. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はちょうどこの第五次の答申が出たという時期的なもの、それから大臣自体がおっしゃっておる、通産大臣は中曽根さんだ、労働大臣は官僚のつらに全く関係のない意欲的な田村労働大臣だ、これは非常に私どもの長い間の問題点、しかも炭鉱の保安問題を解決する絶好の条件がそろっておる時期じゃないかと思うのですよ。でありますから、思いつきなんということをおっしゃらないで、この問題にぜひ、ある意味では絶好のチャンスなんですから、ひとつこれを実現して、毎回言われながら、若干の法律の改正をしながら、依然としてこの保安問題というのは、解決へアプローチすらもしていない、こういう状況でありますから、ひとつぜひやっていただきたい。こういうことが一つ。  もう一つ。従来の保安による、たとえば一酸化炭素等による被害というものが、時がたつに従って忘れられ埋もれていっております。こういう点もひとつ労働省として掘り起こして、万全の対策を講じていただきたい、こういう点であります。時間がありませんから、問題の提起と要望だけをいたしておきたいと思います。  それから、第二番目の問題点でありますが、この一七ページ労働問題に関連いたしまして、この春、英国の炭鉱労働者がかってない歴史的な炭鉱ストライキをやりましたね。そして英国経済界の根底がゆらぐ、こういう事態が生じたわけです。根本的な原因というのは、かつて炭鉱労働者というのは英国の産業の中でも一番目か二番目か三番目ぐらいの賃金水準にあったわけでありますけれども、あのストライキをやる直前については、すでに順位からいうと二けたのしかも後半のほうの賃金になっていた、こういうことがあの大ストライキを生んだ、こう言われております。それだけ労働者の結束はかたかった、こういうことなんであります。他産業とのバランスも考慮してということでありますが、日本においても、炭鉱労働者がどんどんやはり離山をしていく労務倒産、こういう形が起こっておるのは、労働条件において他産業と比べて全く魅力がない、かつて戦後傾斜生産をやっておったときには、賃金の問題ばかりではなく、いろいろな福祉の問題、食糧問題等についても、炭鉱労働者については特別な対策が講じられておった、それが全部なしに、しかも賃金が低い、しかも保安が紙一重で生か死か、こういう段階に問題があるわけでありますから、こういう点についてやはり少なくとも他産業に劣らない賃金水準、そして昇給等が可能なような体制を整えるということが重要な問題ではないか。  もう一つは、数年前にできました炭鉱年金制度、これは他産業にない制度でありますけれども、こういう問題をもっと充実してやる必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。この点いかがでしょうか。
  27. 田村元

    田村国務大臣 まず前段のくだりでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、非常に今度の答申が出ましたいい機会でございますから、通産大臣と、保安問題について労働省がもっと強くものを申すことができますように、話し合いたいと思います。  それから、ただいまのお話でございますけれども、率直にいって、私当然のことだと存じます。先ほど鬼木委員にも申しましたように、具体的に一つ一つの問題を私のところに持ってこいと実は局長以下に申してございます。私、まだ就任して一月になっておりませんから、きめこまかい具体論まで入ることが物理的に不可能でございまして、いまここで、このようにとかあのようにとか申すほどの準備もできておりませんけれども、とりわけ石炭産業問題は、具体的に答えを持って来い、それからまたいろんな改善問題等も、一応役人段階で改善策をつくって持って来い、それに対して私はチェックすることがあり得る、こう実は申しておるところでございまして、意のあるところはひとつ御了承願いたいと存じます。
  28. 細谷治嘉

    ○細谷委員 一言しゃべりましたら時間が来ましたのですが、もう一つお願いします。  私の手元に、六月五日に、熊本県の荒尾市議会の議長から陳情をいただいております。ほかにもたくさんの陳情をいただいておりますけれども、同じような内容でありますから、具体的にお尋ねしたいのであります。  いまの産炭地の離職者について、答申の二〇ページにも書いてあるわけでありますけれども、開発就労事業というのと緊急就労事業というのがございます。これに関連してお尋ねしたい点は、緊急就労事業というのは、実は法律はたくみに書かれてありますけれども、事実上は法律事項ではないわけです。予算措置でここ数年ずっと続けられてきておるわけです。この段階において、とにかく五十年度二千万トンを下らないという形で石炭というものは今後ずっと維持していこう、こういう方針が答申されておるわけでありますので、これを何年も続けて——二年、三年ならともかく、何年も続けて予算事項で閣議了承という形でやるのではなくて、昔のように法律に基づいてやるということが、高齢者が多い離職者対策事業としては適切ではないか。実は私はこの問題で、この春の予算委員会で前労働大臣にお尋ねしたのでありますけれども、前労働大臣も、その辺は検討してみよう、こういうことでありました。やっているのでありますから、二、三年のことならともかくとして、四十八年までというのがあとまだずっと続いてやるわけでありますから、かつて法律でやっておったわけでありますから、法律事項にすべきではないか。これが離職者が安心して緊就事業に就労できる非常に重要な点ではないか、これが第一点であります。  もう一点は、いずれの陳情書を拝見いたしましても、それへの吸収人員——私は実は、これがどうなったならば、この答申が行なわれた場合にはどういう離職状況が起こるかということから問いただしたいわけでありますけれども、そんな時間がありませんから、結論だけ聞いているわけです。吸収人員、いわゆる吸収ワク、それから補助率——実は緊就事業というのは五分の四の補助率、八割の補助率でありますけれども、実際の地方公共団体の手出しというのが四割五分から五割ぐらいになっているわけですから、事実上の補助率というのは二分の一ぐらいになっておるというのが現況であります。でありますから、法律の裏づけをして、そして吸収ワク、それから吸収単価あるいは実質的な補助率、こういうものについて改善をしてやることが、離職者対策事業として、あるいはこの閉山地域における問題として非常に緊急な、しかも重要な問題ではないか、こう思うのであります。これについてどう対処されるのか、お尋ねしたいと思います。
  29. 田村元

    田村国務大臣 前大臣の答弁された速記録を実は私読んでおりませんので、何とも申し上げられませんけれども、まあ法律事項にすることの是非ということもさることながら、これはたしか四十九年までというようなことではなかったでしょうか。やはり現状に見合って、特にこういう非常に緊迫感を持った環境悪化のときでございますから、これを時宜に適して延長するとかいろいろなことは、やはり考えなくてはならないのじゃないかというふうに思っております。  それからいま緊就のお話であったかと思うのでありますけれども、せっかく手帳の交付をいたしておりまして、その手帳のいわゆる受給交付者といいますか、受け取る側において、いろいろな施策が講ぜられておるわけでございますから、そういうことを中心に、たとえば訓練手当にしろいろいろな問題にしろ、そういうものを中心にしてやはり考えていくことがむしろオーソドックスではなかろうかというような感じが私いたすのです。けれども、だからといって緊就を打ち切ってしまうとかなんとかいうことは、やはり現実問題としてできることではないんじゃないかというふうに思います。  それから吸収率も、これはまあ役所のお役人の報告でございますから、現実にはまた細谷先生あたりからお教えを願わなければならないのですけれども、大体八五%あたりを吸収しておるという報告を私は受けております。でございますから、吸収率としては満点ではないにしても、ある程度は吸収されておるのではなかろうかというふうに思います。  いずれにいたしましても、そういう問題も含めまして改善すべき点は改善しなければなりませんけれども、私自身の判断といたしましては、せっかく離職者の手帳が交付されております以上、その面でむしろ意欲的に再就職をする、その他のオーソドックスな方法にむしろ力点を置きたい、私自身はそのように考えております。
  30. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう時間が来ておりますけれども、オーソドックスはけっこうですよ、私もそのオーソドックスでいいと思うのです。けれども、世の中はオーソドックスでは解決できない問題があるのですね。しかも八五%ぐらいオーソドックスな形で解決できておる、ものをやっておるとおっしゃいますけれども、実態は残りの一五%が深刻な問題なんです。ということは、実際上は他に出て働くというチャンスが全くないところにそういうものが起こっているわけで、ですから、極端に言いますと九八%の吸収率でも問題があるということだけは、ひとつ大臣頭にとどめておいていただきたい、こう思います。
  31. 田村元

    田村国務大臣 よくわかりました。
  32. 相沢武彦

  33. 田畑金光

    田畑委員 私は初めに、大臣にまず基本的な姿勢についてお尋ねをしたいと思うのでございますが、先ほど来いろいろ質疑がありましたように、第五次答申、これによって石炭産業産業として安定させたい。そのための各種の措置が講じられようとしておるわけであります。石炭石油特別会計の延長措置あるいは昭和四十八年度から五十一年度までに四千七百億ないし五千億の財源措置を講ずる、また第三次の肩がわりあるいは補助金の強化、運転資金融資措置等々、多面にわたってこれからの石炭産業を何とか安定させたい、これが答申の骨子でありますが、いまの石炭にこれだけの金をつぎ込むのが妥当であるかどうか、こういう批判的な論説なども、間々、あの答申の出た当時は見受けられたわけでありますが、大臣として、あるいは田中内閣として、この答申を一〇〇%尊重して今後のきめこまかな石炭政策充実する用意があるのかないのか、この点が第一点。  さらに私は、今回の答申を実施するとしますならば、おそらく次の国会等では石炭石油特別会計法あるいは石炭鉱業再建整備臨時措置法、あるいは石炭鉱業合理化臨時措置法、炭鉱離職者臨時措置法等々の法律改正も当然なされてこなきゃならぬ、こう思いますが、その用意があるかどうか。  さらに、すでにこの答申を受けて、佐藤内閣は七月四日に、石炭対策についての閣議決定を見ておるわけであります。七月四日というと田中内閣発足の直前でございますが、田中内閣もこれを受けてやるであろうと信じておりますが、政府として、また労働大臣として、この答申を一〇〇%尊重してやる、こういう意思があるのかどうか、ここでまず明言を願っておきたいと思います。
  34. 田村元

    田村国務大臣 経済効果だけで五千億の金を投入することの可否を論ずることは、私はナンセンスだと思います。私は、当然その程度あるいはそれ以上の資金が石炭産業をささえるために使われてよいと考えております。この答申は、私、拝見いたしまして、非常によくできた答申だと感心をいたしておりますが、とにかく尊重をして、実行できるものはどんどん実行していきたい、この答申の精神を受けて実行していきたいと考えております。  なお、法律改正につきましては、所要法改正は当然国会に求めるつもりでございます。
  35. 田畑金光

    田畑委員 私はいまの答弁を聞いて了承いたしました。ことに私は、この答申を求めるその過程において、田中通産大臣がやはり石炭鉱業審議会等に対してもそれなりの見解を述べながら、この前向きの答申が出てきたものと考えておるだけに、いま労働大臣のお答えのとおりに、この答申を一〇〇%尊重されて、四十八年度以降等の石炭政策に反映をさせていただきたい。  ことに、もう一つ私はこの際念を押したいと思うのでございますが、今度の答申は、第五回目の第五次答申でございますが、いままでの答申と違って、どこに今次答申の特色があるかと申しますと、その一つの要点は、この四十八年度から五十一年度の四年計画でやっても、その時点になってくれば、五十年時点になってくれば、また社会経済情勢の急激な変化に応じて石炭政策を見直す必要性が当然出てくるであろう、こういう想定のもとで、この答申の中では、五十二年度以降についてもその時点で十分慎重に検討の要がある、こういうことをはっきり言っておるわけであります。私は通産大臣にこれをお尋ねするのが本来とは思いますが、労働行政の面から見ましても、要な中身を含んでおりますだけに、この際、田村労働大臣のこの点についての所信を承っておきたいと思います。
  36. 田村元

    田村国務大臣 この答申が一応の区切りとしてつけております五十一年度で能事終われりと申すものではないと存じます。おそらくその後もいろいろな変化に伴って、率直に言って、一難去ってまた一難という問題が石炭業界にはあるでございましょう。これはもう当然われわれ労働省としては、労働者を守る立場から、現実的にきめこまかく、しかも息長く対処していきたい、とりあえずはこの答申を十分に生かすように努力をしていきたい、実行していきたい、このように考えております。
  37. 田畑金光

    田畑委員 労働大臣就任後、いろいろの今後の労働行政に臨む施策を述べられて、それが国民の関心を非常に集めておるわけでありまするが、ちょうどこう見ておりますると、前内閣の大石環境庁長官が就任されていろいろな公害に取り組む積極的な姿勢を示してこられた、それが国民から非常な好感を持たれた。だが、一年にして今度は内閣改造でおやめになった。野に下ってはさっそくベトコンの隊長になられた。田村労働大臣はあれ以上積極的に前向きに明るい労働施策を進めるのではなかろうかという期待を私たちはここに持っておるわけでありますが、その一番大きな問題として、定年制延長の問題、私たちは当面六十歳を目標にというような考えを持っておりましたが、大臣は六十五歳、こういうような目標のもとに、これから高齢者社会に臨む労働行政のあり方を転換させようという前向きの姿勢をとられておるわけであります。それで、けさほどの新聞等でも、次の通常国会に、失業保険の改正法等の関連の中で、定年制延長の問題について具体的な一つの方向を樹立しよう、こういうことでありまするが、大いにけっこうであります。ただ、けっこうでありますけれども、具体的にどうしてその方向に誘導するか、これが私たちが一番注目しておる問題でございまして、問題は、ただ単に大きな構想を述べたからそれで解決するのじゃなくして、かりに公害の問題でも物価の安定の問題でも、佐藤内閣八年間の経過を振り返ってみるならば、解決どころか、むしろそれを悪化させたという結果を考えてみましても、私は、労働大臣が今回定年制延長の問題、あるいは先ほどは週休二日制の問題等々について触れられておりましたが、この大きな問題について今後どのように具体的に一歩一歩アプローチされていかれるのか、このあたりについてひとつ考え方を承っておきたいと思います。
  38. 田村元

    田村国務大臣 まず私が冒頭申し上げたいことは、決断と実行をスローガンとする庶民宰相の第一次内閣の労働大臣に任命されたしあわせを感じております。つまり、労働行政はとりわけ現実を踏まえながら理想を追求しなければなりません。でありますから、その意味で私は、田中第一次内閣の労働大臣として田中内閣の労働行政の目ざす方向をみずからの手でつくっていくしあわせを感じております。そういうことから、とにかく決断と実行ということを私自身もスローガンにして、しかも労働省は、先ほど申し上げましたように、労働者のしあわせをつくり守っていくのだ、この精神にもう徹していきたい、このように考えております。  そこで、定年制延長の問題でもいろいろな難問題がございます。いわゆる賃金体系の問題も一つでございましょう。先ほど申し上げましたように、年金制度の抜本改正というものもうらはらの問題でございます。どうしてもこれと組み合わせていかなければならぬという問題もございましょう。それからまた週休二日制も、零細企業に及ぼす影響もやはりありましょう。そういうことでいろいろな問題点はございますけれども、私自身、閣議の始まる前等に各大臣に個々に会って要望もしておりますが、とりあえずは、関係閣僚のお集まりをいただいて、官房長官あたりに招集を願ってお集まりをいただいて、私どもの意見を述べて御協力を願うということからまず第一歩を踏み出したい、このように思っております。それには労働省なりの具体的なきめのこまかい試案をまずつくらなければならぬ。そこで私は労働省の絆部に対して、その試案をつくれ、しかも早くつくれということを求めております。そういう姿勢の上に立ってとにかく実行したい。先ほどちょっとお話がありましたように、近時、大臣の任期はきわめて短い風潮がございます。長いのは総理大臣だけで、平大臣の任期は短い風潮がございます。でありますから、私の任期もおそらく短うございましょうけれども、私のときにとにかく緒につけていきたい、これだけは非常な不退転の決意でございます。どうぞひとつ応援方をよろしくお願いする次第でございます。
  39. 田畑金光

    田畑委員 私も社労の委員の一人でありますので、この問題は、いずれまたそういうようなところで掘り下げた議論がなされると思います。非常に次元の商い構想でお取り組みになるわけでありますから、願わくは、単なる構想を世に問うただけでなくて、アドバルーンを上げただけに済ませる問題ではなくて、どう具体的にそれに誘導していくかというその具体策をすみやかに世に問われることを切に願いたい、こう思います。  たいへん具体的な問題に入りますが、労働問題についての今回の答申を見ましても、たとえば炭鉱労働者の賃金の問題一つとらえてみましても、炭鉱労働者の賃金は、その実態から考えてみましても、少なくとも他の主要産業並みの賃金水準を維持すべきであって、そのための毎年のベースアップ等は、主要産業の定昇込みの引き上げ額に炭鉱労働者の賃金も肩が並べられるようなものでなければ、石炭産業労働力の確保というものはとうてい不可能だ、こう私は思うのです。四十六年度の炭鉱労働者の賃金のベースアップというのは、こまかくなりますが、一方当たり二百四十六円、平均基準額で七千八百円、基準外を入れて九千六百円前後だと見ておりますが、たとえば一公社五現業において、額において一番大きい国鉄を見ましても、基準内ベースアップが八千九十七円、定昇を入れますと一万百六十二円、こうなっておりますが、炭鉱労働者のそれは一二・二五%、国鉄のベースアップは前年に比べて一二・八九%の引き上げ措置が講じられておる。私は、こういうような問題等について、これはもちろん労使の交渉によってきめる賃金ではございますが、いままでは炭鉱労働者の賃金については、もっぱら通産省が指導調整するというような姿勢できておりますが、こういう問題等について、労働大臣としてももっと念頭に置かれて、指導調整に当たることが必要であると思いますが、この点についての考え方いかん。  それからもう一つ。時間ももう来ておりますので……。この答申の中にも出ておりますが、労働大臣の言われる定年制延長の問題は、即年金関係と不離一体のものだと見ております。それだけに、年金の問題についても労働大臣は相当な見識を持たれておるやに、私は新聞を通じて拝見いたしております。厚生年金の問題、国民年金の問題等々は厚生省の所管でございますが、先ほど来議論されておりますように、炭鉱労働者にも石炭鉱業年金基金法という法律があるわけであります。これについても改善措置をはかるべしという答申が出ております。しかも、それはことしの十月から給付が始まるというところにきておるわけであります。ところが、いまの炭鉱年金基金法では、もちろんこれは厚生年金保険プラス炭鉱年金基金ということになるわけでありますが、坑内夫が二千五百円、坑外夫は千二百五十円、一体これで年金基金という名に値するのかどうか。老齢福祉年金の額も、ことしの十月から三千三百円、来年は間違いなく五千円になるでしょう。そういうことを考えてみますと、地下産業に働く労働者の特殊な労働条件や、それをめぐる労働確保のために、年金基金制度が特別に炭鉱労働者のために設定されたにかかわらず、月額二千五百円や千二百五十円、一体これでどうするのかという問題、これは私は労働大臣としても、当然この問題については、閣議において、あるいは厚生大臣にしかるべく御意見を述べられて当然だと思いますが、この点についてのお考えいかん。  第三点といたしまして、先ほど来いろいろ議論されておりますが、石炭特別会計における労働省関係の予算というのは、毎年ふえていっておるわけです。四十六年度が九十億余、四十七年度は九十九億余。一千億予算の中で一割は労働省関係の予算、これが石炭特別会計の中に占める労働行政の予算です。この中を見ますと、先ほど来議論されておる離職者緊急就労対策事業、あるいは産炭地域開発就労事業、これだけでもすでに七十億の予算措置を講じておるわけであります。これに対して、労働大臣が前向きに取り組んでいこうと言われた炭鉱離職者の援護対策事業等については、十五億五千万円にすぎないわけであります。ほんとうに大臣の答弁のとおりに、離職する人方の前向きの施策に重点を置こうというのであるならば、労働省のこの百億にのぼる石炭特別会計における予算の運用等についても、もっと思いをこらすべき問題ではなかろうか、このように見まするが、この点について、あわせて労働大臣の所見を承っておきたいと思います。  この三つの点、具体的な問題でございますが、御答弁を願います。
  40. 田村元

    田村国務大臣 まず第一点の給与の問題でございますが、当然労働省としては、可能な範囲内においての最も恵まれた給与を労働者に与えてくれることを希望するものであります。労働省としてはもちろんそういう意思表示あるいは指導等もしなければならないと存じますが、民間のことでございますから、公務員の給与をきめるのとはだいぶ意味が違いますけれども、私自身、いまおっしゃったようなお気持ちを全く同感と心得ておりますから、そういう姿勢で今後も歩んでいきたいと思っております。  それから、年金の問題でございますが、いま、他の省の所管による年金問題も含めまして、先ほど申し上げましたように、私、検討中でございます。これはもう非常な猛勉強をしておるところでございます。われわれの意見を何とかして通したい。労働者をしあわせにするには、働ける間はともかくとしても、老後のしあわせをつくって差し上げることが最も大きな問題だとすら私は思っております。でございますから、年金問題は、ひっくるめまして目下検討中でございます。当然、先ほど来私の申しましたように、前向きでわれわれも意欲満々の姿勢検討しておるということを申し上げておきたいと存じます。これは年金全般にわたっていま検討しております。  それから予算の問題でございますが、いま労働省各局で予算要求の骨子を作業中でございます。私は先般も省議で申したのでありますが、一応各局単位で予算要求案を組んで私のところへ持ってこい、だけれども、場合によったら、異例のことかもしれないけれども大臣の段階でそれに対してチェックすることはあり得るよということを申しております。援護費の問題が妥当であるか妥当でないか、そういうことも、当然きょうの御発言の御趣旨をきょう帰りまして担当者にも申し渡しておきますが、一応予算の要求の案ができてまいりましたときに、私自身検討してみたい、このように思っております。
  41. 田畑金光

    田畑委員 これで質問を終わりますが、ひとつ大臣の御健闘を切に願って、いま御答弁になったような構想に基づいて積極的に進められることを強く希望申し上げておきます。
  42. 相沢武彦

    相沢委員長 田代文久君。
  43. 田代文久

    ○田代委員 十分間でやれと言っていますけれども、とてもこんなことはむちゃな話なんですが、とにかく新しい労働大臣、大いに御本人も張り切っておられますし、期待するわけです。今度の第五次案によりますと、大体二千万トンというところへワクを設けているわけですね。現在すでに非常に縮小して二千七百万トン見当ですね。少なくともこの計画の中では七百万トンの減ということが大体見通されているのです。そうすると、七百万トンの減ということは、労働者としてはどれくらい縮小されることになるのか、これをまずひとつ数字でお答え願いたいと思うのです。
  44. 田村元

    田村国務大臣 実は数字につきましてまことに不勉強でございまして、私自身まだ掌握しておりませんが、具体的な問題、これは事務当局から答弁させます。  私としましては、二千万トンをとにかく上回ってもらいたい、そして離職者をどれだけでも少なくしていきたいという非常な悲願でございます。
  45. 桑原敬一

    ○桑原説明員 四十七年度が二千七百五十万トンという計画になっております。これを昭和四十八年、四十九年、五十年の三年で二千万トンになだらかに落としていく、こういうのが答申の骨子であります。したがって、約七百五十万トンの閉山になるわけでございます。現実には私ども通産省とよく相談をしまして、どこの山がどういうふうになるかということがはっきりいたしませんと、数字が明確にできないわけでございますけれども、過去のデータから見て推算いたしますと、四十六年が六百八十万トン閉山になっております。そして、私どもの対象になりました離職者数が一万二千名、四十五年も六百四十八万トンで約一万二千九百名というような数字になっておりますので、一応こういった数字を私どもの行政の対象として把握しながら十分な準備をやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  46. 田代文久

    ○田代委員 非常に大臣はこの第五次答申案を評価されておりますが、私は簡単にそう言うわけにいかない。失業者が新しく出る。いまのこの説明によると、大体一万二千人以上は新しく二千万トンベースで出るのではないかという見通しになるわけですが、これはたいへんなことなんですね。現在もうとにかく三、四万人になっているのです。それをまた新しく一万人以上削減されるという方向、これは全くゆゆしい問題だと思うのです。  そこで私は労働大臣にお尋ねしたいのですけれども石炭産業が現在のような全く惨たんたる状況になっているというのは、私どもはやはり施策の誤りなり不十分であると見ざるを得ないのですが、その点は別の機会に質問し、御意見を伺うとしまして、先ほどから保安問題あるいは炭鉱労働者労働条件の問題が同僚議員からも質問されておりまして、全くこれは衆目の見るところの内容なんですけれども、現在の政府のとっておるいわゆる労働行政から見るならば、結局、過去においてもそうなんですけれども石炭産業というのは労働力の面から崩壊せざるを得ないのじゃないかという危険を非常に感ずるわけです。実際において、いまわずかに残っておられる数万の炭鉱労働者は、ほかの企業労働者に比べて高齢でおられるわけですね。しかし石炭産業自体というのは非常に激しい労働で、若い青年的な、そういう質の高いといったら語弊がありますけれども、そういう労働力が必要になってくるのです。ほんとうに腹をきめて労働者をここへ吸収するという政策を立てなければ、二千万トンベースといっても、労働行政の面からこれは崩壊するのじゃないかという危険をも感ずるわけです。ですから、そういう点で、ほかの同僚議員がいろいろ言われておりますけれども労働者に魅力のある産業にどうしてするかということが根本問題になると思うのですが、とにかく労働条件ですね、賃金の問題にしましても、あるいは環境の問題にしましても、あるいは離職後における政府施策にしましても、あるいは住宅とか、いろいろこういう面での措置が、思い切ってこれこそ決断と実行によってなされないと、とにかくそういう労働の面からも山はたいへんなことになるのじゃないかと思いますので、いわゆる労働面から、少なくとも労働大臣として、とにかく石炭をより危機に追い込むというようなことは断じてさせない、そういう見通しがあるのじゃないかと思うのですが、それだけひとつお聞かせ願いたいと思います。
  47. 田村元

    田村国務大臣 いわゆる企業的な面からの対策、これは通産省がおやりになられましょうが、われわれのほうの希望をもちろん申し述べなければなりますまいけれども労働行政としては、先ほど申し上げましたように、まず労働者定着を求めなければなりませんから、そのためには他産業に劣っておるとすら言われておる今日の労働環境労働条件等をとにかく改善していかなければならぬ、これはもう当然のことでございます。でございますから、先ほど申し上げましたように、ちょうど時期が予算案の要求を出す時期でございまして、各局においていま作業中でございますが、この点は重点的に考えるようにということを申してございます。  それからまた、離職者対策にいたしましても、先ほど来申し上げましたように、手帳の発給にいたしましても、より一そうきめこまかくしなければなりますまい、それから内容改善しなければなりますまい、このように考えております。これも目下作業中でございますが、私としましては、担当者に、とにかく何人からも改善をしたと言われるような改善をしなさいということを、そういう案を持ってきなさいということを申し渡してございます。
  48. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから、もう一点だけ質問いたしますが、離職者対策の問題ですね。非常に過酷な、劣悪な条件のもとで働いた炭鉱労働者の方が、自分の意思に反して失業されるという状態でほうり出されるという状態になっている問題ですね。先ほどの大臣の答弁によりますと、それの対策なり処置というのはオーソドックスな形でやっていく、これは当然そうでしょうけれども、しかし実際においては、そのオーソドックスの処置によっては解決し切れないというところに、緊就問題あるいは開就問題あるいは一般失対問題というものが起きているわけですね。福岡県だけでも緊就、開就の現在の対象はたしか五千人くらいおられるわけですね。ほんとうに自分の孫子の末まで、自分はとにかく、炭鉱に骨を埋めるというような形で働いてこられた方が、一様に余儀なくされている。そういう労働者の諸君に対して、これは全くほんとうに、それこそ社会問題としてもあたたかい処置をしなければ私は政治じゃないと思うのです。これはそういう点で、この緊就、開就問題につきまして、一部ではもう打ち切れというような話があったというようなことを仄聞いたしておるわけですが、しかしこれはもうもってのほかと思うのですね、実際問題として。先ほど細谷委員からこれは法制化せいというお話がありましたが、とにかく法制化までいけば私は非常にけっこうですけれども、しかし、打ち切るなんぞということは、これは冗談にも言うべき性質のものではないと思うのです、政府として。ですから、もう一度大臣に確かめたいのですが、福岡県だけでも五千人もいるというような、そういう炭鉱における犠牲者の方々で、いま緊就、開就に働いておられるという方は、当然これは非常に不十分。賃金も非常に安いですから、二千二百円ばかりの賃金で、しかもまるまる一カ月働けるというような状態でないわけですから。ですが、こういう緊就、開就は地方自治体も要望されているのですね。地方自治体は、それに対する負担を感じながらも、それでなければ見ちゃおれぬということで、これはやっぱりされているわけですから、当然この緊就、開就については法制化までいく、いかぬ、そこまでは別として、当然いま打ち切るとかなんとかやるべきでない。ないとすれば、これは何年ぐらいとりあえず延長するかというような御所見をひとつ伺っておきたい。  それからもう一つ、これは時間がありませんが、緊就、開就外における一般失対といわれているもの、これは実に賃金がひどいですね。千二百円にならないのです。千百八十数円くらいでしょう。しかもそれが三十日働きたいといっても、実際においては二十二日しか働けぬ。そうすると大体幾らになるかというのです。それで暮らしが立てられるかという問題になりますね。ですから、少なくともこの問題につきましては、旧法の緊急失対法のときには、緊就、開就の八〇%の賃金を保障するという線までいっておったわけです。しかし、実際の緊就、開就が非常に安い。二千二百円ぐらいじゃ非常に安いですね。それの八〇%にもいくどころかこれは五十数%。さっき言いましたように、一日働いて千百八十余円というような、こういうことですよ。ですから、これは生活保護が高いというわけじゃありませんけれども生活保護の一家の所得よりも、とんとんかそれに類するというようなことじゃ、これは生活保護自体社会保障としても非常に低くて引き上げなければなりませんけれども、実際に働いて、しかも地方自治体としては、この人たちが路面を舗装するとかあるいは側溝をつくるとかなんとかいうことは、これは非常に公的にも必要な重要な労働になっているわけですね。そういう方々に対する賃金が千円そこそこじゃ、とても考えられない、当然これは引き上げるべきだ、少なくとも緊就、開就の八〇%くらいまでやるべきだという線を出していただくように、大臣の確答をひとつ願いたいと思うのですが、その点いかがです。
  49. 田村元

    田村国務大臣 まず緊就、開就の問題でございますが、四十九年三月末で終わるというたてまえですね。たてまえはそういうことでございますが、こういう特殊の環境下でありますし、少なくとも私自身は打ち切る意思を持っておりません。いつまでやるか、これはちょっと先のことでございまして、昭和何年とか千九百何十年までと、そこまでは私としても答弁いたしかねますけれども、少なくとも四十九年三月末の現実が緊就、開就を求めるものならば、私は打ち切るべきでないという考え方を持っております。  それから、一般失対の問題でございますけれども、実は私は失対の指導者である——指導者であるということが言えると思いますが、中西五洲君とは中学からの友だちでございまして、いつも中西君にこのことで訓示を食らっております。実は町も同じ松阪市の出身でございまして、私の町は特に失対事業の盛んなところでございます。そういうことで、いつも訓示を食らっておりまして、失対の内容はある程度、熟知まではいかないにしても、詳しいほうの一人かもしれません。でありますから、構成人員の年齢の高齢化とかあるいは賃金の問題とかいろいろなことを、門前の小僧ということではありますけれども、存じておるつもりでございます。おいおいとベースアップはしておるようでございますけれども、賃金が安いということは、これは何人といえども認めざるを得ない。高賃金であるとは少なくとも言えない姿でございます。こういう点についても、開就、緊就の八割がいいのかどうかということをまだ私がここで申し上げる段階ではございませんけれども、まあその答弁を求めておられるお気持ちはよくわかりますけれども、まだ私も就任間もない大臣でございますので、そこまでラッパを吹くわけにはまいりませんけれども、私なりの検討をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  50. 田代文久

    ○田代委員 終わりますけれども、予算編成期に入りますから、ひとつ十分大臣の腕力をふるっていただいて、一般の失対の要望も通るように、ひとつ奮闘願いたいと思います。
  51. 相沢武彦

    相沢委員長 この際、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後一時三十三分開議
  52. 相沢武彦

    相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、中曽根通商産業大臣及び丹羽通商産業政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  53. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 このたび通商産業大臣就任いたしましたので、一言ごあいさつを申し述べます。  最初に、最近北海道地区の赤平炭鉱と空知炭鉱におきまして自然発火等による災害の発生を見ましたことは、所管大臣としてまことに遺憾に存ずる次第でございます。政府といたしましては、今後とも保安行政の充実につとめ、石炭鉱山の保安確保に一そうの努力を払う決意でございます。  石炭対策は、通商産業省が所管する行政の中でも、石炭鉱業に対する各種援助、石炭鉱山における保安の確保のほか、鉱害の復旧、産炭地域の振興等、広く地域経済の振興、民生の安定等の見地からする広範かつ総合的な対策としての性格を持っており、私といたしましては、今後国会をはじめ関係各方面の御支援をも得まして、これらのむずかしい諸問題に誠心誠意取り組み、適切な対策の推進に万全の努力を傾ける所存でございます。  すでに御存じのとおり、去る六月二十九日には、現行のいわゆる第四次石炭対策にかわる新しい長期的な石炭対策につきまして、石炭鉱業審議会から答申が行なわれております。政府といたしましては、この答申を受けまして七月四日には、答申を尊重し、昭和四十八年度から新しい石炭対策を強力に推進する旨の閣議決定を行なっております。答申の具体化につきましては目下鋭意検討作業中でございますが、来たるべき通常国会におきましては、関連の法律案等につきまして御審議賜わることとなろうかと存じます。  当石炭対策特別委員会におかれましては、従来から石炭対策の推進に格別の御協力御鞭撻を賜わっております。  ここに厚く御礼申し上げますとともに、今後とも変らぬ深い御理解と御支援を賜わらんことを心からお願い申し上げまして、ごあいさつの結びとさせていただく次第でございます。
  54. 相沢武彦

  55. 丹羽久章

    ○丹羽説明員 一言ごあいさつ申し上げたいと思います。  このたび、中曽根大臣のもとで通商産業政務次官を仰せつかりました丹羽久章でございます。今後何かと御指導、御鞭撻のほどを心からお願い申し上げまして、簡単でございますが、ごあいさつといたします。     —————————————
  56. 相沢武彦

    相沢委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。田中六助君。
  57. 田中六助

    田中(六)委員 質問をお願いいたします前に、大臣と政務次官にお願いがあるわけでございますが、石炭に対する考え方が、ともすれば私ども他の同僚からいろいろ聞きますと、年間に一千億に近い予算をとるのはどうかという疑問をいつも投げかけられるわけでございます。それをちょっと聞いてみますと、炭鉱の坑内外の関係者は四万人くらいであるのに、一千億前後の国費をこれに充てるのは全くおかしいという意見があるのは事実をつかんでいない、御承知のように、原油関係の十二分の十を予定しているわけでございますが、これは全くの誤解でございまして、たとえば筑豊地帯だけをとりましても、対象が約七十四万人おるわけでございます。七十四万人と申しますと、福井県とか、鳥取、島根、そういうところの県民に類似するわけで、そういう県を想定しますと、一千億という金はどうかということは直ちに回答が出るわけでございまして、筑豊地帯だけではなくて、石炭関係は北海道、常磐その他あるわけでございますので、その点石炭というものに対する考え、産炭地あるいは鉱害、そういうものを含めましてそういう予算になっておるということが一つでございます。  それから、国内のエネルギーという観点から考えますときに、私どもほとんど輸入の石油、揮発油、原油によっているわけでございますが、たとえば出光興産の出光佐三さんに言わせますと、自分は石油に関係があるが、石炭が日本国内にあるという事実は、OPEC諸国のわがままを牽制する意味においても非常に助かるということを、佐三さんなども言っておるわけですが、私はこれに対する価値判断は、どちらがどうかということは自分自身疑問に思うわけでございます。しかしエネルギーが国内にあるということ。すでに御承知のように、イギリスでも一億四千万トンあるいは西ドイツは一億一千万トンという予定の石炭を掘っております。春に行なわれましたイギリスの石炭労務者のストライキにおきまして、長いストライキをしたわけですが、そのときにこれを国民がサポートした。その理由の一つをあげますと、国内でエネルギーがあるのに、しかもそれが、労賃が安い外国から輸入すれば安かろうが、せっかく国内でとれるものがあるのにわざわざ国外から買う必要はないというような観点から、イギリスの国民は労働者のストを支持したわけでございます。そのように国内で産出されておる石炭エネルギー、そういうものに対する考えが、先ほど申しましたように、出光さんとか、あるいはイギリスではそういうような考えを持っておるというような考え方があるということ。先ほど申しました日本全国の石炭の産出状況と、そういう見解があるということ。もう一つは、これも筑豊地帯の例を引いて恐縮でございますが、大臣は一兆円の補正予算を組むと大きくおっしゃっておるようですが、そういうはなばなしい反面、だから予算を組む必要もあるのでしょうが、二軒半に一軒生活保護者が産炭地におるという町が幾つも幾つもあるという現実。日本は国民総生産もあるいは一人当たりの国民所得も非常に上がっておりますが、生活保護者が二軒半に一軒ある町が筑豊地帯に幾つも幾つもあるという認識をなさってくだされば、この石炭問題に取り組む心がまえとして、大臣や政務次官にこれから多少でも参考になるのじゃないかというふうに考えますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから具体的な例に入りますが、今度の答申は五回目でございますが、その中の需要者、つまりユーザーの意見をかなり取り入れなければならないわけでございまして、これの引き取り手がなければ、私ども考えております出炭量はうまくいきませんので、この点ユーザー側の気持ち、あるいはそのメンタルなところに非常に左右されるわけでございます。現在、電発が火力の発電所を設けようということを考えておるようですし、答申の中にも長期的な火力発電所の建設ということをうたっております。この点、大臣はそういう火力発電所の設置についてどのようにお考えでしょうか、お聞きしたいと思います。
  58. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石炭政策の重要性につきましては、全く共鳴しているところでございます。石炭火力の建設の問題につきましては、審議会審議の過程でも十分慎重な検討が行なわれましたが、当面の問題としては建設期間の問題、経済コスト、それから石炭供給の長期保証、立地問題、公害対策等解決すべき問題が多く、むしろ需要確保のための当面有効な対策としては、現存の石炭火力における石炭の使用をできるだけ維持することが先決とされているものであると言われております。  他方、産炭地方火力が実現すれば、地域需要確保に有力な役割りを果たすことは事実でありますから、答申にもありますとおり長期的な問題としては、産炭地域における産業開発の問題とも関連して引き続き検討努力していきたいと思います。
  59. 田中六助

    田中(六)委員 石炭の出炭の確保とそれから産炭地の発展のためにも、大臣答申の方向で考えたい。私も大臣がその方向で施策をお進めくださることを重ねてお願いしたいと思います。  それからもう一つは、炭鉱の経営者、これは即、労務者にもいろいろ賃金の面ではね返るわけでございますが、ずっと資金面で、まあ担保に入っておりますし、銀行は、炭鉱斜陽産業であるというようなこと、それから、いままでどちらかといいますと、はっきりしたことを言いますと、いかに葬式をするか、炭鉱をいかに減らしていくかということが私は心の中の施策じゃなかったかと思うのです。表面上そういうことは言えないのですから言わないわけですが、いかにして減らそうか、そういう発想法だと問題が違ってくるわけでございまして、私は、やはりエネルギー資源を確保するという一つ観点に立つならば、むしろ維持するにはどうしたらいいかという全く違った発想法が生まれるわけでございまして、そういう点からしますと、いま現実融資先の銀行あるいは金融機関はほとんど炭鉱融資するのをちゅうちょしているわけでございます。したがって、運転資金その他いろいろな点でかなり困っておるのですが、そういう点で、金融面で具体的に何とかしてやろうということについて、長期的にあるいは短期的にどのようにお考えか、お願いしたいと思います。
  60. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 最近答申をいただきまして、七月四日に閣議決定をいたしましたが、その線に沿いまして、現在の石炭政策を進めていくつもりでございます。  その中には、いわゆる肩がわりの政策も含まれておりまして、やはり銀行関係においても石炭鉱業に対してある程度の見通しと安心感を与えるということが、当面の政策としても必要であるだろうと思います。そういう意味においても、あの答申の中でそれぞれの政策がうたわれていると思いますので、あの答申を誠実に守っていくように努力していきたいと思います。
  61. 田中六助

    田中(六)委員 大臣のおっしゃるように、第三次肩がわりをこの答申の中にうたっております。第一次、第二次をやってきたのですが、なかなかそれがうまくいっておりませんし、第三次がかなり円滑にいくならば石炭産業の大きな助けとなると思いますので、この点も十分の御配慮をお願いしたいと思います。  最後にお聞きしたいのは、有明鉱の開発の問題でございますが、これは、実は大臣御存じないと思いますけれども、百一億か百五億ぐらい投資をいたしましたところが、出水で中止になりました。これは原料炭が出るわけで、炭質も非常にいいし、サルファも少ないわけでございますが、百億も投資したこの炭鉱を出水ということでストップしております。それからもう一つは、五千七百万トンというものが長期契約になっておる。そういう影響もあるわけでございますが、いずれにしても大きな金を投じてそのままにしておる。それから、日本の炭鉱の技術というのは世界においても非常に進んでおりまして、これが無視されるということももったいないことでございますし、それから、技術的にいろいろ調べますと、この炭鉱あと五、六十億、まあ多くて七十億ぐらいかければ、出水も排除できてりっぱに出炭でき、これがまた大きな貢献をするのじゃないかという気持ちもしますので、この有明炭鉱の再開発ということについて、政府に何かお考えがございましたら、局長あるいは石炭部長でもけっこうでございますから、お答え願いたいと思います。
  62. 青木慎三

    青木説明員 有明炭鉱の開発につきましては、四十三年三月以来、出水その他の事情によりまして開発工事を中断して現在に至っていることは、御指摘のとおりでございます。この間、再開につきまして鉄鋼業界、それから日鉄鉱業、技術を提供いたします三井鉱山、この三者の間で長らく協議が進められてきたわけでございます。今回の答申によりまして、石炭需要の状況、政府対策の大綱が大体明らかになりましたので、現在、この計画の見直しを関係者の間でやっておるように聞いております。そこで、需要の見通しなり、生産コスト、資金収支、資金確保、それから三池炭鉱の硫黄対策との関係についても、現在詳細に再検討しているところと聞いております。したがいまして、政府といたしましては、この検討が進み、十分開発の見込みありということで関係業界の間で意見が一致いたしますならば、それ相応の助成をして、援助してまいりたい、こういうふうに考えております。
  63. 田中六助

    田中(六)委員 いま三点について質問いたしましたが、大臣石炭にひとつ理解を示そうという御態度でございますので、この石炭というのは非常にむずかしい問題とは思いますが、できるだけ十分な御検討お願いして質問を終わりたいと思います。
  64. 相沢武彦

    相沢委員長 岡田利春君。
  65. 岡田利春

    ○岡田委員 初めに中曽根通産大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、六〇年代のわが国のエネルギー政策の基本と、七〇年代のわが国のエネルギー政策の基本というものは当然大きく変わっていると思うわけです。そういう意味で七〇年代のエネルギー政策は、多様、かつ国際的な環境もいよいよきびしさを加えている、こういう趨勢にあるのではないかと思うわけです。私は、六〇年代のわが国のエネルギー政策は低廉かつ安定、こういうことが基本であったと思うわけです。しかし、七〇年代のエネルギーの政策の基本は、安定かつ良質、そして低廉——低廉という問題は、三の次、四の次にずんずんなっていく、このことはいなめない国際的な趨勢だと判断をするわけですが、この機会に、通産大臣として、わが国のエネルギー政策の基本について所信を承っておきたいと思います。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 お説のとおり、七〇年代におきましては、国際化、それから多方面化という面が要請されてくるだろうと思います。それは、産業のセキュリティーという面から見ましても、必要資源をある部分は手元に確保しておく、あるいは一方に偏在させない、そういうことが要請されてきていると思います。そういう面から、石炭の問題も、日本の産業上のセキュリティーという面から考える部面が多々あると私思っております。それからもう一つは、やはり石炭産業に従事している人たちの現実生活問題というものもございまして、これも軽視できない大事なポイントでございます。そういう総合的な考えをもちまして、燃料体系の中における石炭の位置づけというものを社会的に見ても適切に位置づけて、政策を進めていくということが大事であると心得ております。
  67. 岡田利春

    ○岡田委員 いずれまた、あらためて具体的な問題についてお伺いする機会があろうと思いますので、きょうは時間がありませんから次に進みますが、今度の第五次答申は、私に言わしめれば、結局石炭の問題意識をそらした答申、こう言わざるを得ないと思います。もちろんそのことは、第五次答申でも体制問題について触れておりますが、これを今度の答申の中で基本的に解決はできなかった、しかし私は、この答申に隠されているものは、やがて第五次政策が終わる段階、すなわち昭和五十一年には根本的な体制問題というものを意識しておる、こう実は理解をしておるわけですが、いずれにしても、この体制問題から離れたということがやはり第五次答申の最大の欠陥ではなかろうか、実は私、こういう判断をいたしております。田中通産大臣はかつて、二千万トンを昭和五十一年度で下回らないという意味は、これは最低が二千万トンである、だから、二千万トンにかんぬきをかけたのであって、したがって、五十一年以降も当然長期的に二千万トンを維持する政策である、実はこういう答弁がなされているわけです。答申では、二千万トンを下回らないと、こう書いておりますけれども、この意味は、二千万トン以上の規模を確保するということと全く同義語であると私は解釈しますけれども大臣のお考えはいかがですか。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 答申の表現と田中通産大臣の表現と食い違っているとは私思いません。つまり、二千万トンを割らないという目標をはっきり明示しておるものであると思っております。
  69. 岡田利春

    ○岡田委員 今日、一炭鉱平均六十万トン程度の出炭規模になっておるわけです。しかも、地下でありますから、非常にリスクが多い産業でもあるわけです。ですから、二千万トンを割らないという意味は、二千万トンを確保するという意味は、結局は、大体一割程度の、二千二百万トン程度を意識しないと、二千万トンを割るという結果になるのではないか、私は、専門的に考えましても、そう言わざるを得ないと実は思っておるわけです。そういう意味で、二千万トンを割らないということは、五十一年度、雑炭を含めて二千九十万トンというのが通産省の試算のようでありますけれども、そのことは、それにあまりこだわらないで、二千万トンを割らないということが基本であるから、その意味では二千万トン以上の、ある程度の弾力的な態度をもって運用するということがあってしかるべきだと判断をいたしますが、この点はいかがですか。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 二千万トン以上ということで私は了解いたしております。それ以上多々伸びればますますけっこうなことである。環境改善いたしましてそういうところへ持っていくようにつとめたいと思っております。
  71. 岡田利春

    ○岡田委員 第四次政策は、石炭のいわゆるなだらかな撤退方式、こう言っていいのではないかと私は思うわけです。第五次答申は、もちろんなだらかな撤退を含むが、いわゆる石炭の位置づけ論というのが二千万トンで初めて行なわれた、この点が、第四次政策と第五次政策の大きな違いであると私は判断をいたしておるわけです。そういう意味で第五次答申が今回組まれておるわけですが、ただ私が心配するのは、特に合理化事業団の中に管理委員会を設置する、この管理委員会が、石炭の安定のための管理委員会なのか、二千万トンに縮小するためにむしろ機能するほうが非常に大きいのではないか、非常にその点心配を実はいたしておるわけです。したがって、この管理委員会というのは、そういう意味で石炭産業を安定をするというのであるならば、合理化事業団そのものが、もう合理化とは何ぞやということになりますから、石炭鉱業安定事業団なり、そういう方向を明確にすべきだ、そういう意図がこの答申の中にあると私は判断をするわけですが、そういう点についてはいかがですか。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 管理委員会事業団に設けられるということはあの答申の中に書かれておりまして、また、政府の決定もそれを受けているわけでございますが、その思想は、二千万トンを割らないという思想のもとにああいう諸般の施策が打ち出されているだろうと思います。したがいまして、管理委員会努力目標も、その二千万トンを割らないという、それを目標にして努力が行なわるべきである、私はそのように心得ております。
  73. 岡田利春

    ○岡田委員 答申の中で一番問題になりましたのは、いわゆる需要確保ということが最大のポイントであったわけです。ただその場合に、一応それぞれ指標を出しておりますけれども、特に原料炭の場合には長期契約が五千七百万トンという非常に膨大なもので、その間の調整ということが非常に問題ではありますけれども、量的な消化は可能な体制にあることは御承知のとおりであります。ただ一般炭の場合には、新しい火力発電所の設置は長期的な視点で考えていく。長期とは一体何ぞや、こう私は自問自答せざるを得ないわけです。第五次答申は少なくとも昭和五十一年度までの四年間の政策である。その長期という意味は、この四年間の中で火力発電所をつくるかどうかを決着をつけるという意味なのか。それが五十一年になりますと、大体二年半から三年火力発電所をつくるのに時間を要するわけでありますから、これがそれ以降であるということになりますと、きわめてこれまた問題だと思うわけです。最近北海道でも、道議会あたりでも石炭専焼火力発電所の設置という問題は相当具体化され、知事側もこれに対して同意をし、現地のほうでも、北電を含めて意見の交換をする、あるいはだめな場合には道営石炭火力発電所の設置を踏み切らざるを得ない、こういう機運が盛り上がってきているわけです。そういう意味では、やはり火力発電所の踏み切りは、結局四十八年度中に結論を出すべき問題ではないか。なお九州の場合においても、それぞれいろいろ意見が出されておるわけです。特に九州は、大牟田の三井アルミの火力発電所は、公害対策を十分考えて脱硫装置の設備をした。電力会社はいままでは乾式方式を研究しておったのであるが、三井アルミの場合には湿式方式をとってこれが成功している。そうすると、やはり考え方を変えて、結局九州においても、非常にサルファの高い炭が偏在をいたしておりますが、この脱硫装置をつければ公害対策は可能である。こう考えてまいりますと、九州にも、若松もしくは響灘一帯を想定をして火力発電所の設置をしていいのではないか。もし長期的ということばを使うのであれば、私は、将来原料炭だけわが国が確保することは困難な情勢になってくる、むしろ、併産される一般炭もある程度抱き合わせで引き取らなければならない事態も考えられると思うわけです。ですから、石炭エネルギーは世界的に、アメリカのエネルギーの消費量で換算をすれば、その資源量は三百二十年分あるということが定説であるわけですから、量的には一番多いエネルギーであります。したがって、いま国内政策として石炭専焼の火力発電所をつくっても、将来のわが国のエネルギーのバランスからいえば、この炭の供給は可能である。問題は、立地を考えればいいではないか、あるいは、すでに油と石炭の混焼だきもあるわけでありますから、そういう多面的な検討の中からこの火力発電所の問題を考える場合に、そうむずかしい問題ではない。問題は、踏み切ってやるかどうか、この決断にかかっていると私は判断をするのでありますけれども大臣の所見を承っておきたい。
  74. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 たしか私の記憶では、四十八年度において検討しなければならぬ問題であるように記憶しております。石炭火力の問題は、やはり地域の繁栄の問題、住民の生活問題等とも関係しますが、他面においてはまた、いまお説のように、公害問題との関係、経済問題との関係もございます。このエネルギー関係の国際環境や国内条件をよく見定めまして、私らといたしましては、できるだけ国内炭を消化するということが答申趣旨にも沿う線でございますから、そういう方向に沿って努力していきたいと思うわけでございます。
  75. 岡田利春

    ○岡田委員 わが国の石炭産業の常識では、まあ、最後まで残る炭鉱といえば三井三池炭鉱、こう言われておるわけです。先ほど質問がありましたように、有明開発も含めて考えられておるわけでありますから、そういう意味で、特に現在の三池及び有明を含めてあのサイドを考えますと、まあ、国際的な炭鉱であり、しかも最後まで残る炭鉱ということが言えるのだと思うのです。ただ、残念ながら、天は二物を与えないで、非常にサルファが多い。サルファが多いから、結局重点的な対策を立てるということは、全体の中で占めるウエートが、二千万トンになれば、もう四分の一の出炭量をこえるわけでありますから、それだけを考えても、三池炭対象の専焼火力、あるいはまた松島炭鉱の池島を含めて、高サルファを対象とするいわば石炭専焼火力、このくらいにしぼって考えていいのではないか。もちろんこれには、答申にもありますように、公害防止対策については所要の資金手当てもする、補助金も出すという趣旨が載っているわけでありますから、それを含めて考えれば、このことはもう決断つくのではないか。もちろん九電力でやれと言っても非常にむずかしいのではないかと思うが、これを電発でやるという場合には、要は決断いかんにかかっているという判断を私はするわけです。あそこの場合には、臨海地帯でございますから、当然混焼だきの設備をつくるならばできますし、また、ほかから輸入することもできるわけでありますから、問題は、そういう決断が今日非常に大事である。まして松島炭鉱の場合も、なかなか電力側は引き取らないわけです。三池には二百三十万トンの貯炭が今日あるという現況であるわけでありますから、こういう点については早晩踏み切ってしかるべきだというのが、私の持論であるわけです。  そういう意味で、いま大臣は、四十八年度じゅうに大体こういう問題については方向づけなければならないだろうという御認識のようでありますけれども、ぜひひとつ九電力及び電発を含めて、そういうサイドでやはりこの位置づけをするということが考えられなければならないと思うわけです。そういう意味で、私は九州の高サルファ炭対策の火力発電所、それと、北海道の良質な、多くて〇・六%以下の一般炭でございますから、これも一基つくるという中で、この需要確保の面については何ら心配のない体制に入る。それと、先ほど大臣が言われた問題点として、供給に不安があるという電力会社等の意見があるわけですが、この点をわれわれは非常に問題にしてきたわけです。残念ながら業界内に需給委員会をつくるという程度に答申は終わっているわけです。これもやはり体制的な問題の解決ということをそらした一つのあらわれであるわけなんですが、供給が不安であるとするならば、それはユーザーを含めてもう少し強力な需給調整機関というものをむしろつくり上げていくという姿勢が大事ではなかろうかと思うわけです。  そういう点を含めて、私のいまの提案といいますか、考え方についてお答えをいただきたいと思います。
  76. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 情勢の推移をよく見詰めながら、御趣旨の線をよく検討してまいりたいと思います。
  77. 岡田利春

    ○岡田委員 次に、産炭地振興の問題についてお伺いしたいのでありますが、次期通常国会にはこの産炭地振興法の改正案がおそらく出されるのではないか、こう思うわけです。問題は、十一条をどう扱うかということになってくるわけですが、ただ私は、最近の傾向から見て、特にこの産炭地というのは、工業再配置法からいえばいずれも誘導地域です。そういうかね合いから見て、また、産炭地振興並びに工業再配置が、一つの公団になる、十月に発足をする、こういう組織体系から見て、また、工業再配置法審議にあたって修正された趣旨、すなわち、産炭地振興というものが特に大きな要素として本文にも明確に修正されたという審議状況の傾向から見ても、この際、産炭地振興についてもう少し発想の転換をすべきではなかろうか、こういう考えを持っておるわけです。  たとえば炭鉱閉山をする。最近、厚生住宅とかそういう社会的な、一社一山、一社会体制ですから、蓄積があるわけでありますから、この蓄積を全部崩壊さしてしまって、そこへまた工業を配置するとか振興をやるといっても、これはたいへんなロスではなかろうか、そうしますと、やはり手っとり早くこの社会的な蓄積を生かしながら、企業の配置、振興をはかるということが最も得策だと、政策をトータルで見てそう考えるわけです。そういう意味では、この指定地域閉山が行なわれる、特に一年以内にそこで工場建設に着手するものについては、二年後三年後——土地を買っておいて、せっかく工業団地を買って、それは自分で買って、三年たってやらない場合には国に返すとか、五年まで猶予があるという制度にいまなっておるわけですから、一年以内にとにかくその指定地域企業建設に着手したものについては、思い切った融資比率を、いまの制度を上げる、あるいはまた、税制についてもある程度思い切った措置をとるという中で、地方雇用考え、社会の蓄積を生かしながら産炭地域振興考え、これに産炭地域振興と工業再配置を連動させる、こういうダイナミックな産炭地域振興政策が提案されてしかるべきではなかろうか。そういう意味で、法律改正の場合にはそういうことも含んで明確な方針を出すべきだというのが私の意見でありますけれども、この点について通産大臣の見解を承りたいと思います。
  78. 青木慎三

    青木説明員 ただいま先生の御指摘の点は、閉山後一年に限り、融資比率を上げるとか税制上の優遇措置をとったらどうかという御提案だと思われますが、私ども現在やっておりますのは、六条地域を重点としまして、なるべく早く適正産業を誘致するように努力しているところでございます。特に閉山地域につきましては、原則融資比率四〇%を特に五〇ないし六〇に上げまして、早急に企業の進出ができるように配慮している次第でございます。また、税制上の優遇措置としましても、固定資産税、不動産取得税を減免することとしておりますが、さらに前国会で、事業税をもこの対象にするように法の改正をやっていただいたわけでございます。こういうものの総合的な運用によりまして、また、工業再配置法の運用とあわせまして、私どもは現在運営しておる次第でございまして、特に一年に限って高い優遇措置をするよりも、むしろ現行制度を十分生かして使っていくという方向で努力してまいりたいというふうに考えております。
  79. 岡田利春

    ○岡田委員 この点、特に内部として相当深めた議論をしてもらいたいということを、特に強く要望をいたしておきたいと思います。  それと、まあこれは余分でありますけれども、これも要望だけでとどめておきますが、石炭のみならず、わが国の地下資源産業は、全体的にいま衰退の状況にあり、それぞれの大手メタルマインにおいても、第二会社、あるいはまた三百年の歴史のある鉱山を閉じるという傾向がラッシュのように続いておるわけです。大臣も御承知のように、群馬県ではかって硫黄鉱山があったわけですが、いずれもこれは閉山になって、白根がわずかに操業している。これももう退職金も払えないで、何とか油のほうから金を出してもらって整理をしたというのがいきさつであるわけです。したがって、産炭地域振興のような組織はございませんけれども、工業再配置公団が今度発足するわけですから、特に石炭を除くメタルマインの場合についても、この公団を活用していくという姿勢があっていいのではないか。こういう点もやはり昨今の状況に合わして、きわめて適切に運用されることを、この問題もあわせて期待をいたしたいと思います。これは要望にとどめておきたいと思います。  時間がありませんから、最後にもう一つお伺いいたしたいのでありますが、先ほど質問もいたしておきましたけれども、いま、第五次政策までいくつなぎとして、一つには、炭価の値上げを最終的に解決するということ、第二には、何とか需給バランスはそうくずれないという見方をしておりますけれども、私はそのことを願っておりますが、ある程度需給バランスがくずれる可能性というものは依然底流としてあるという認識を実は持っておるわけです。そういう意味では、来年度行なわれる貯炭融資前提としたような運転資金制度、これは大体二カ月分をめどにするというのが五次答申内容でありますから、これをできるだけ早い時期に、こういう制度でやるということを宣言をする。それに対してユーザーあるいは金融機関の協力を仰ぐということが、最も肝要であろうかと思います。それでも問題がなかなかうまくいかない場合には、もう少し電炭会社を活用する等を考えて、原料炭とは違いますけれども、一般炭の場合には電炭会社を活用して、五十億のワクをふやすとか、そういう意味で、実はぜひ弾力的に対応してもらいたいということを強く要望をいたしておきます。  同時に、先ほど大臣のあいさつでも触れられました、最近赤間、さらにその前には赤平、続いて平和炭鉱の自然発火という問題が出てきておるわけです。いずれも自然発火で、重軽傷者が出ておるわけですが、この対策としてやはり考えなければならぬのは、常設の救護隊というものはそれぞれの炭鉱に存在をしております。しかし、常設という意味は、それぞれの班組織が構想されているという意味であって、常備消防のようにこれは常設されているものではないわけです。そういう意味では、最近の災害等のあれを分析しますと、機動的に第一班が出れる体制というものがどうしても必要になってきているのではないか。特に自然発火しやすい鉱山はきまっておるわけでありますから、そういう意味で、保安監督室あるいは保安課というものもあるわけですから、この一組が点検に入れるという結果、やはり人命救助等も可能になってくると思います。保安問題についても答申で触れておりますので、そうむずかしい問題ではない、こう思いますから、この点について来年度ぜひひとつ検討して、五次政策の具体化の一環に含めてもらいたいということを、この機会に、これもまた御要請申し上げておきたいと思います。  そういう意味で、石炭産業そのものも非常にまだ多くの問題点を持っておりますけれども、私はやはり、いま政府が、結局はスクラップ・アンド・ビルド、スクラップする場合のスクラップジャッジ権というものを持ってない、そして政策は全体的にこれは与えるというだけであって、こういうなまっちょろい政策をとっている国はわが国だけであって、そのほうが責任のがれで、そのほうが結局やりいいのだということにしかすぎないのではないかと思うのです。ベルギーあたりでも平層の鉱山をたくさん持っていて、事業団がスクラップジャッジ権を持っていて、このとおりやらなければ政策を与えませんよというところまでやって、産炭地域振興とのかね合いをやはり考える、経済に対して事前に計画的に対応する、こういう姿勢確立をされておるわけです。これがないところに問題があり、これがないということは、結局石炭問題の意識体制を確立してないというところに尽きるんだということを常に持論として持っておるわけでありまして、相当山も少なくなってきておりますから、大体間違いのない、八〇%なり八五%の見当がつく段階に今日入ってきておる、そういう意味で、事前の計画的な地域経済への対策というものが容易に考えられる体制に入ってきておる、こう思います。特に、北海道はこれから閉山が相当集中化する情勢です。田中通産大臣は、一千万人にむしろふやすという日本列島改造論を打ち出して、最近総理大臣談話としていろいろな構想が新聞紙上をにぎわしておるわけですが、そういう意味からすると、北海道の三大産業一つである石炭産業が撤収する場合においても、それが何らかの形で生かされていかなければ、北海道の対策は成り立たないような気がいたします。そういう意味で、特にスクラップジャッジ権は持っておりませんけれども、ただなま殺しで殺すよりも、殺すなら殺す、そのかわり対策は立てるというほうがむしろ親切である、それが勇断と責任のある政治であると私は思うのでありますが、第五次政策の運用にあたって大臣の所見を承っておきたいと思います。
  80. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 石炭産業の存在というものは、先ほど申し上げましたように、資源の確保産業上のセキュリティー、そういう面も看過すべからざる要素であると、私、心得ております。そういう考えもありまして、今度の答申も、また政府の決定も、行なわれているものであると確信しております。したがいまして、関係炭鉱あるいは労務者皆さま方が心配がないようにできるだけ措置してあげることがわれわれの責任であると思いまして、いまお話しをいただきました線をよく検討いたしまして処置していきたいと思います。
  81. 岡田利春

    ○岡田委員 終わります。
  82. 相沢武彦

    相沢委員長 細谷治嘉君。
  83. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、二、三まとめて御質問をして、それに対してお答えをいただきたい、こう思います。  いま、大臣と岡田委員答申をめぐってのやりとりをお聞きいたしまして、率直に言って、大臣のこの答申に対する受けとめ方はかなり消極的ではないか、こういう印象を受けました。私自身長期石炭対策については満足できるものでない、こういう観点に立っております。  そこで質問の第一点は、先ほど来の話で、産業上のセキュリティーという形で石炭問題をとらえる、こういうことでありますが、実はことしの六月一日に、北炭の萩原さんを中心といたしまして、「見直される石炭産業」という小冊子が私の手元に届けられております。その第一は、「我国のエネルギー海外依存化への反省」というのが第一点としてあげられております。第二に、「世界はすべてのエネルギー源を必要としている」、第三番に、「輸入エネルギー資源が安かった時代は終った」、第四番目に、「世界は石炭を見直している」と各国の事情を述べております。第五に、「日本の石炭政策は転換されねばならない」、第六に、「日本の需要家は石炭を見直さねばならない」、こういうふうに指摘をいたしまして、結論として、近々答申されるであろう第五次石炭政策は、この世界エネルギー情勢の変化をふまえ、現時点で生産可能な二千八百万トンを最低の出炭規模として位置づけろ、これが北炭グループの結論であります。この問題のほかに、たとえば産炭地等のいろいろな陳情が、この答申の出される前に相次いで行なわれたわけでありますが、その際にも、昭和五十年度に二千五百万トンを確保してほしい、こういうことが述べられております。そういう点で、この答申によりますと、昭和五十年にはエネルギーにおける石炭の位置づけというのは三%程度になってしまう。現在が六%程度、こう言われておるわけで、そうなってまいりますと、いわゆる産業面のセキュリティー、エネルギーの安全保障、こういう点からいって、この答申は問題点があると私は思っております。これについて大臣、どう受けとめておるのか、これが第一点であります。  第二点は、石炭を一千億掘ろうとするのに、国費で大体一千億程度これから投入していこう、こういうことでありますから、もはや産業政策ではなくて、ある意味では社会保障的な性格あるいはエネルギーセキュリティー、こういう形で問題がとらえられておるわけでありますが、そうならば、いまの私企業体制の流れを変えて、そしてやはり体制上の対応できるものをつくり上げる必要があるのではないか。体制上私企業でまかせ切って、いまもちょっと質問がありましたけれども、それで産業面のエネルギーの安全保障、こういうことを言っても、あるいは新聞の論説は当時、ほとんどの論説が取り上げたように、石炭問題というものはもはやいわゆる産業政策を通り越しているのだ、こういう指摘があったわけでありますが、それにこたえられないのではないか。これが第二点であります。  第三点は、私は、長い間石炭長期答申について検討をされたということは、先ほど通産省から御説明をいただいたのでありますけれども、たとえばこの答申の一九ページから二〇ページに、「産炭地域市町村公共事業に対する補助率引上げ方式の改善」、そしてカッコして、「(またはこれと実質的に同様の効果をもつ措置)」、こういううたい方をしているわけですね。これはそれならば、補助率引き上げ方式の改善等を行なう、でごまかしておけばいいのに、カッコし「(またはこれと実質的に同様の効果をもつ措置)」というのは、この委員会でいろいろ議論して通産大臣答えたことを、そのままこんなカッコに入れている。石炭鉱業審議会というのは通産省ペース、石炭局のペースで動いておる。だからこんなカッコに入ってきたのですね。この辺に私は問題があろうと思うのであります。  先ほども相沢委員長から、一体、歌志内の炭鉱——住友が閉山になったので、いま人口幾らですかと聞いたら、一万三千人だという。隣の町は一万四千人だというのであります。歌志内というのは市が始まったのがおそらく三万五千とか四万という形で市になったわけですね。それはもうかなり前。いま一万三千。私は福岡県でありますけれども、福岡県には山田市という一番ミニ市だと言われているところがありますけれども、それは、それでも現在一万六千ぐらいでしょう。それも、山田というのは早く閉山がありましたから、かなりの時間かかって一万六千、歌志内は急激にいまや一万三千だ、隣の町より人口は少ない、こういうことであります。それだけに、石炭プロパーの保安の問題なり、労働力の確保の問題なりも重要でありますけれども、同時に、やはり産炭地域の振興というものが重要であろうと思う。  これに関連して私がお尋ねしたい点は、産炭地域振興法というのがあり、そしてそれを推進する事業団というのがございました。ところが、この間の六十八国会で、その事業団というのが工業再配置・産炭地域振興公団、こういうふうな名称に変わってまいりました。したがって、それに対する会計等もいままでとは変わってまいりました。ところが、田中総理ができまして、工業再配置というものから、さらに発展いたしまして日本列島改造論、こういうものがいま政治の中心に置かれております。その日本列島改造論を具体的に推進するのは、工業再配置、これをもっと充実して、この間の立法の問題はほんの氷山の一角、これからどんどん出てくるのだ、税制上の問題あるいはその他のいろいろな措置が出てくるのだ、こういうことになりますと、この工業再配置・産炭地域振興公団というのは、もはや産炭地域というものは忘れられていって、日本列島改造論という中に埋没してしまうのではないか、こういう感じがいたします。  工業再配置そのものについて、私どもはその法律には賛成したわけでありますけれども、この辺を非常に懸念もしておりますし、私は心配しております。でありますから、当時議論されましたように、産炭地域というのは、この産炭地域振興についての答申も出ておりますけれども、すでに長い間かかって事業団で土地の造成等をしたわけでありますから、一番工業再配置に受け入れ条件が整っているところでありますから、優先的にこういうものに工業再配置法をのせていってほしい。いきます、これが通産省側の考えでありますけれども、日本列島改造論でもはやこの辺も埋没したのではないか、消えてしまったのではないか、こういうことを懸念いたしておりますが、こういう点について、大臣としてどう対処なさっていこうとするのか。  以上三点についてお尋ねしたいと思います。
  84. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 非常に大事な問題につきましていろいろ御教示いただきまして、まことにありがとうございます。  まず二千万トンを割らないというその需要量の問題でございますが、私は、これは通産大臣になる前から、産業上のセキュリティーという点をずっと考えておりました。通産大臣になりましたから、その点もやはり政策の中に深く入れていこうと思っているわけです。ですから、資源の面におきましても手持ちの分ということを忘れてはならぬし、また、供給部面を多元的に各方面に分布させる、そういうことも非常に重要であるし、また、それを国際分業あるいはジョイントベンチャーという形で入り組んでやるということも非常に大事なことであろう、こう思っておるわけでございます。しかし私、聞いてみますと、二千万トンという数字を出すについては、審議会でも非常に苦労なすって、実際は、需要者側の積み上げをやってみると、もうせいぜい千五百万トンくらいであった由聞いております。私、ほんとうかどうか知りませんが、事務引き継ぎのときの説明では、そういうような話を耳にいたしたと記憶しております。やはりこれは、需要者というものがあって供給というものが実は資本主義経済においてはあるのだろうと思いますけれども、それでもセキュリティーあるいは社会問題、あらゆる面を考えて二千万トンを割ってはいかぬ、そういう強い決意でこの答申はできたのだろうと私は思っております。したがって、この線を割らないという答申及び閣議決定の線を、私は厳重に守っていくように努力してみたいと思っております。  第二番目は、体制の問題でございますが、そういう野党側のお考えも考慮に入れて事業団の中に管理委員会をつくった、というふうにも承っております。つまりこれは、単に経済的効率性のみを考えるのではなくして、あらゆる部面の配慮をもってやる意味において管理委員会をつくっておる、そういうふうに承っております。しかし、現在資本主義社会で自由競争をもとにしている経済体制でございますし、そういう中でやはり見のがすべからざるものは、需要者側の存在というものであろうと思います。需要者側の協力を得てできるだけその出炭を割り当て、さばき、消化させていくということが、実は石炭政策の中でも非常に重要な部面になるのではないかと思っております。そういう面から見ますと、国が強制的に割り当てて使えということは、なかなか現在の資本主義社会においてはやりにくい面であると、正直に申して申し上げられると思うのですが、そういう現段階における自由競争あるいは個人企業のバイタリティーを尊重する、そして能率的なことをやって自由を維持していく、そういう面との調和点において管理委員会というものができておるのではないかと思います。私は、当分この程度のラインが適当であろうと思っております。一挙に社会主義的な政策までこの問題について突っ込んでいくということは、摩擦と混乱が大きくあり過ぎはしないか、こういうように思います。  第三番目の産炭地域振興の問題でございますが、おそらく産炭地域と工業再配置というものと名前が一緒になったのは、産炭地域というものの重要性が非常に頭にあって、それで工業再配置の第一目標は産炭地域にあり、そういう意味もあってやったと思います。もちろんあまり政府関係機関をふやしてはいかぬという経費節約上の問題もあるでしょうけれども、産炭地域を誘導地域として、これを原則的にみんな目標の第一順位にあげる、そういう基本姿勢はあくまでわれわれは堅持していきたいと思います。したがって、工業再配置あるいは日本列島改造の中に産炭地域が埋没するということは毛頭考えておりません。
  85. 細谷治嘉

    ○細谷委員 終わります。
  86. 相沢武彦

  87. 鬼木勝利

    鬼木委員 中曽根通産大臣は防衛関係でたいへんお世話になりました。今度また石炭関係であなたにお世話になります。あなた、なかなかいつも新しいいい考えを持っておられるので大いに期待しておりますから……。  先ほど岡田委員からお話もあったようですが、これは第五次答申にも載っておりますから、大臣は四十八年度からぜひどうとかしたいというお話ですが、北海道と九州に電発を誘致したい。これは前田中大臣のときにも十分私ども要望しまして、現在の石炭産業を何とかしていかなければならぬ、これはもう皆さん御同様そういう気持ちであります。  そこで、公害問題というようなこともありますけれども、サルファが高ければ高いで、これを少ないようにするためにはいろいろなやり方があるわけなんで、脱硫装置もあるわけで、サルファが高いからだめだ、高いからいけない、こういうような考え方では私はいけないと思うのですよ。高ければ高くないように、あるいは混炭の方法もあるし、あるいは脱硫装億をすれば——現に三井アルミというのは、御承知かもしれませんけれども、これは成功しております。私は何回も見に行きましたが、非常にうまくやっておる。それには国の助成が必要だ。結局、金の問題になると思うのですけれども、ただ手をこまねいて何もやらないで、これはいけないいけないじゃ……。ですから、先ほど大臣がおっしゃっておったように、これは地域の発展並びに地域の方々に非常に寄与するところが大きいと思う。地域開発の点から、あらゆる観点から、あるいはまた公害というような問題もいま言うように解決しようとすればする方法はあるのです。でございますから、四十八年度からと自分は聞き及んでおるというようなことでしたが、早急にこれはひとつはっきりした計画を立てていただいて、北海道と九州に——これは全国民の要望ですから、陳情は殺到しておるのです。通産大臣になられて日も浅いから、おれはまだそういうあれは受けておらぬとおっしゃるかもしらぬけれども、現在までの経過からいいますと、将来の石炭産業を救うにはこれ以外に手はない、それはたくさんほかにもありましょうけれども、さしあたってこれが一番大事なことだと私は思う。いろいろ資料もあって、申し上げたいのですが、時間が二十分と制約されているので詳しいことは申し上げかねますが、その点をひとつはっきり大臣所信を承りたいと思います。
  88. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 通産省といたしましては、帳炭地火力の問題は前向きに取っ組んでいくつもりであります。
  89. 鬼木勝利

    鬼木委員 前向きに進むということは、結局これと意欲を持って取り組んでおる、こういうことだろうと思いますけれども、大体中曽根大臣は非常におことばがうまいから、私は防衛関係であなたには閉口したんだ、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うでなかなかじょうずだから、抽象論ではなくてはっきりとやってもらわぬと、これからまた長くおつき合いしなければならぬから。よろしゅうございますね。  それから、いろいろたくさん第五次政策に対して私は意見があるのですが、来四十八年度はこれは手当てもあると思いますが、さしあたって四十七年度、本年度の炭鉱は、御承知と思いますけれども、みな資金繰りに困っておる。先ほど岡田理事もおっしゃっておったようですが、私、先般十日ばかり前ですが、三池の鉱業所にも行って所長あるいは幹部と会ってきた。ところが、貯炭が二百三十万トンある、ことしの暮れごろまでには二百五、六十万トンの貯炭になるだろう、こういうことを言っておる。これは各炭鉱ともそうなんです。したがって、資金繰りに非常に困っておる。面接のさしあたっての資金繰りに対して、中曽根大臣はどのようにお考えになっておるか。これは何とかして助けてやらなければ……。四十八年度は考えてあると思いますけれども、さしあたって四十七年度が、私が聞いたところそういう御配慮はあっていないようである。それを山元ではひとしくみな心配しておる。でございますから、五十一年度までは二千万トン確保するんだ、これは需給関係も的確にやっておる、先ほどお話もあったように、需給調整委員会もつくろう、管理委員会もつくるんだ、引き取り先もはっきりしている、きょう部長も説明しておりました。だけれども、さしあたって本年いまどうするんだ、それまでもてないということになると、たいへんなことになる。そういう点において、資金繰りの問題に緊急救済の措置をお考えになっておるかいないか。もし考えていないということになれば、これはとんでもないことだ。責任者として通産大臣に私はっきりそれをお尋ねしたい。
  90. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 四十七年度中の資金経理については、現在第一・四半期が経過したぐらいでありますので、今後情勢を見る必要があると思いますけれども、確かに企業によっては先行き資金不足を生ずるおそれもあるところもあると予想されますので、その対策としては、当面需要業界に対して炭価引き上げを要請するとともに、今後の石炭企業資金経理状況をよく機動的に把握しながら、新対策のもとで生きていけるであろうものがつぶれることがないように、できるだけの努力をやってみたいと思っております。これは、ある意味においては通産省として、業界に対していろいろ内面指導その他の力を発動してやらなければならぬことは、現実問題としてあると思いますが、最善を尽くしてみたいと思います。
  91. 鬼木勝利

    鬼木委員 そのようにあなたはお考えいただけておるということならたいへんありがたいのですが、ぜひその点はいまおっしゃるように……。それは方法はあるでしょう。炭価引き上げとか、安定補給金引き上げとかいろいろあると思いますけれども、結局するところ資金繰りでいま困っておるんですよね。時間がありませんから、私は各山元のいろいろの陳情を聞いておるのを全部データ持っておりますけれども……。そういうことですから、その点は先ほど大臣のおっしゃったような、非常に便利のいいことばだが、前向きでひとつやってもらいたいと思う。  それから、これも岡田理事からちらちらっと出たのですが、かねてお開き及びと思いますが、九州の大牟田に有明炭鉱というのがある。これがいま保坑いたしておりまして、中止しておる。これは有力なる原料炭で、かつてこの石特委員会におきましても超党派で決議をしまして、再開をしよう、むろん合弁会社で三井あるいは新日鉄あたりと、そういうことで、じゃやろうということはすでにこの委員会においても決定した。前田中大臣もこれには非常に能動的で、しっかり旗を振った。旗だけ振ったけれどもあとはその旗がどっちいったかさっぱり明らかでない。お隣の田中理事なんかもそのころ理事でしたね。一生懸命になって超党派でやった。地元や業界もこれはもうほんとうに干天に慈雨を望むがごとく、みなぜひやってください。これは詳しくお話しするといろいろありますけれども、私どもも二回も三回も現地調査へ行きました。かつていんしんをきわめた大牟田が、ああしてだんだん疲弊しております。しかし、ここにまた有明鉱が再開発されるということになりますと、往年の大牟田市まではならなくても、地域社会の開発ということには大きなプラスになる。日本列島改造論なんと田中大臣がうまいことを言って、工業再配置、なかなかうまいが、必ずしも再配置しなくても、現にやればそれより以上に手っとり早い地域開発ができるわけです。これに対してやはり大臣がひとつしっかり先頭に立って旗を振ってもらわぬと困る。前大臣はそうであったけれども、わが雅になったら、おれは考えが違うなんと言われては困るので、その点をひとつ中曽根長官——あなた前に防衛長官をしておられたから、長官のような顔をしておられるものだから、すぐ、長官、長官と言うが、ようございますか、その点をひとつはっきり承りたい。
  92. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 これは私企業のことでございますから、出資者、企業者、おのおの相当数の方々が意見が一致しないと、こういうものはなかなか前進しにくいものであると思います。しかし、いままで有明炭鉱開発についての経緯もございますから、私はよくその状況を調査しまして——率直にいって、どういう人たちがどういう出資ぐあいで、どういう話になっているかということをまだつまびらかにしておらないのです。そういう問題があるということは聞いておりました。一々、その企業者、出資者等の動向も把握いたしまして、いまおっしゃったことをよく尊重して処理するようにつとめたいと思います。
  93. 鬼木勝利

    鬼木委員 いまおっしゃるとおり、問題があるから今日までまだ実施になっていないのです。問題がなければやっていることだ。どうもあなたわかり切ったような答弁をなさるので、問題がなければやっておるのです。話し合いも私企業のことだから当然です。先ほど私が言いましたように、新日鉄、三井等、話し合いはもう再三やっておる。やる気はあるのです。だけれども、やはりユーザーの問題もありますし、そこに問題もあるので、私企業だから、おれがどうだこうだ——しかし、そこは通産大臣が旗振りをして推進力になっていただかないと、全然国は関係ないということじゃないのですから、物心両方面にわたって通産大臣のお考えが大きな考えになるのですから、その点は田中大臣は非常に意欲的でしたが、あなたがあまりうまいことを言って逃げなくても、われわれは決してあなたをどうだこうだ言うのではないですから。おれはまだいまなったばかりで、調査の上だ、ごもっともです。よく調査していただいて、時の推移をよく見きわめてなんということをさっきもあなたおっしゃっておったけれども、なかなかうまいことを言う。また岡田理事はおとなしいから、それで黙ってしまわれたけれども、推移を見きわめるなんということはだれだって言わぬでもわかることで、それを能動的にやっていくのが大臣なんです。時の流れに流されるばかりが大臣なら、あなたのような実力者じゃなくても、だれでもできる。ようございますか。あなたが実力者であるがゆえに、その時の推移を見るばかりじゃなくして、能動的にやってもらいたい。時をあなたにつくってもらいたい。(「そうだ」と呼ぶ者あり)どうですか、同意見の方がおられるでしょう。いかがですか、大臣
  94. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まだ勉強不足でありますから、いま申し上げましたように、よく実情を把握いたしまして、自分で判断してまいりたいと思います。
  95. 鬼木勝利

    鬼木委員 時間がありませんので、まだこれから長いから、大臣にまたゆっくりお尋ねするとしまして、公害保安局長も見えておるようですが、先般の水害で、わが福岡県に非常な災害がありました。幸袋というところがあるんです。ここのボタ山ですが、ここに田中先生もみえておるが、ボ夕山の中心地にいる人なんだ。そのボタ山を、これは鉱害の問題と保安の問題、おのずから分けられると思うが、ごちゃまぜに私は言っておるわけじゃないけれども、ボタ山委員会をきょうかあすやるというので、私は福岡の現地通産局にわざわざ行ったんですよ。ふざけたことを言うな。流れてしまって、危険で終わって、防災委員会とかボタ山委員会やって何の意味がある。学識経験者を集めて、大学の先生なんか集めて——それはりっぱな先生、大学の先生を私は否定しているんじゃない。しかしそういうボタ山が八百からあるんですね。そのうちに最もあぶないのが四百個だ。それをもっとしぼって二百ばかりボタ山がある。それをまたABCに分けているんだ。その中に入っていないというのがおかしい。どこを基準にそういうことをやっているのか。だから私、別に学者を否定しているわけでも何でもない。それは学者は学者でたいしたものだろうけれども、しかしながら、机上の空論で実際に役に立たぬようだったら、何がボタ山委員会だと、私は通産局でやかましく言ったんだ。ボタ山委員会をいまから開いてやることにしております、そんな事が起こったあとで。先ほども岡田先生からも話があった。北海道だって同じだ、住友赤平が、それからまた空知がやっておる。そしてその火をとめるのに、実際に保安の皆さん方が監督局から行って指導して、それでたいへんな被害が起こった。どんなことをやっているのか。何が監督か。自然発火ということはいわゆる自然発火であって、なかなかわかりにくいかもしれんけれども、指導しながら火をとめておって、みんなそれが災害にひっかかる。何のことをやっているのか。これは私、久良知局長は、あなた優秀な方でかねがねからよく知っているけれども、何ぼえらかろうが、何ぼ局長であろうが、そんなことをやったんじゃ、人命尊重とか何とか言うけれども、何が人命尊重だ。これは幸袋だって、もう一回集中豪雨がきたらあれは全滅します。家屋がたくさんあるんです。それを危険区域、危険ボタ山としてABCに分けております。それに入っていない。どこをABCに分けておるのか。どこがどうなっておるのか。何が委員会を開いてやっておるのか。金がない。これはむろん県知事がやるんでしょう。工事は、主体は県知事だと思う。しかし、国が三分の二の補助を出しているんだから、そういう点を聡明な久良知局長ならばもう少し的確に、保安体制を私は整えてもらいたいと思う。  鉱害課長が来ておられるならば、鉱害課長からボタ山の整理をどのようにやっているのか伺いたい。きょうも盛んに鉱害の問題が大坪理事からお話が出ておったが遅々として進まない。ことし調査にも行きますけれども、鉱害課長来ておったら鉱害課長から。そしてその二人からひとつ答弁。  それから労働省にきょう昼前宿題を出しておいたんですが、それと局長にも宿題を出しておいた。予告閉山と抜き打ち閉山と、やや抜き打ち閉山に似ている糒、豊前、豊州炭鉱、それから福島炭鉱(長崎)、あれは予告閉山と言えば予告閉山だが、何ら石特委員会のわれわれは承知していない。その点を順次ひとつ簡潔に……。
  96. 久良知章悟

    ○久良知説明員 鬼木先生からボタ山災害防止の関係、それから最近起こりました自然発火による重大災害について御指摘があったわけでございますが、ボタ山につきましては、先生御指摘のとおり、非常にたくさんの数のボタ山があるわけでございまして、その大部分のものが現在鉱業権がすでに消滅に至っております。それからさらに鉱業権者、その他の管理責任者がある場合でも、大部分無資力ということになっておるわけでございます。約半数につきましては、すでに鉱山保安法の所管外になっておりますので、私ども地方の自治体にも協力をいたしまして、鉱害防止に努力いたしておるわけでございますが、数が多いということと、それから直接の所管にないということで、非常にむずかしさがあるわけでございます。先ほど御指摘のように、危険度の判定について、緊急を要するもの、それから緊急ではないが長期にわたって対策を講じてないものという点の仕訳について、若干の問題があるように御指摘になったわけでございまして、この点につきましては、なお実態に応じまして、私どもも相当努力を重ねなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどの重大災害に関連したことでございますが、これは御指摘のように、札幌の監督局の指導のもとに作業をしておったわけでございます。監督局から出しました指示が的確に守られてなかった。特にその作業の終了の時期、それから終了後の措置につきまして、若干遺憾の点があったわけでございますので、これはやはり、鉱山の保安に従事する人の資質と申しますか、技能について、まだまだその向上をはからねばならないというふうに考えておるわけでございまして、なお、この点についての詳細については、時間がありますれば、また後ほど御報告をさしていただきたいと思います。
  97. 鬼木勝利

    鬼木委員 これはまたあとでゆっくり聞きますが、福岡の通産局の監督官なんかもなっていませんよ、ああいうことじゃ。自衛隊が出動してやったからあれは助かったけれども、もし自衛隊が出動していなかったら、あそこはたいへんなことになっておったですよ。危機一髪ですよ。この次集中豪雨が来たらたいへんなことですよ。通産大臣にも前もって予告しておきますから、(中曽根国務大臣「どこですか」と呼ぶ)幸袋です。(中曽根国務大臣「どういう字を書くのですか」と呼ぶ)幸いの袋です。(「袋の中に幸いが入ってないじゃないか」と呼ぶ者あり)あれは不幸袋と言わなければならない。だから私が言っているんです。防災委員会とか、ボタ山委員会とかいうものがあるんだ。しかも学者なんかがいらっしゃるんだ。それに基準が一メートル平方にどのくらい降ったら、何百ミリ以上、何ぼ以上降ったらどうなるんだというようなことを、あらゆる場合を想定してやらなければ。どこを基準にやっておったか、こう私は申し上げたいのです。だから、そういうところをもう少し的確に把握してもらいたい。これはまた後日御相談する。  その次、労働省、簡潔に。労働省はかねがねよくやってもらっておるから……。
  98. 桑原敬一

    ○桑原説明員 第二豊州炭鉱閉山でございますけれども、四百六十四人の方が在職しておられますけれども、七月の二十五日と八月下旬と二回に分けて離職されることになっております。最初の離職は、閉山の予告を受け取りましたのは二百六十八名でございます。七月十七日に私ども閉山の連絡が事前にございましたので、さっそく求職者のそれぞれの御希望、県外に行きたい、県内にとどまったい、あるいは訓練所に入りたいというような動向調査をやりまして、いまそれぞれの対策を立てつつございます。特に山から山へ就職したいという方がございまして、その方が約六十五名いらっしゃいます。現在山に関する求人を百三十五名とりあえず用意いたしておりまして、この方たちに御相談をしながら、山においでいただく方はそのほうに御紹介申し上げる、こういうふうにいたしております。それから県外、県内の御希望がございます方につきましては、さっそく七月二十一日、閉山の二、三日前でございますが、各県に連絡いたしまして、いま求人を集めております。そして、できるだけ賃金その他労働条件の見合うところに御紹介申し上げております。  それから職業訓練につきましては、十月からの入所時期でございますから、その辺を十分手当てをして、必要によっては訓練外施設もこれを確保しながら、十分希望に沿うようにいたしてまいりたいと思っております。それで順次八月四日、八月十一日、八月十八日というような形で予定を組みまして、具体的に求職者と面接をしながら求人を御紹介をして、それぞれの就職のほうに結びつけていきたい、こういうふうに思っております。  それからもう一点の長崎県の中興鉱業福島鉱業所の件でございますが、労使の間に話が七月二十九日につきまして、九月十一日に閉山になるというような状況であります。これにつきましては、  いま多少時間がございますから、先ほどの豊州炭鉱と同じように、求職者の御希望を事前に十分とりまして、具体的な対応策を立てていきたい。特にこの辺はへんぴでございますので、必要によっては臨時職業相談所をつくって具体的な御相談のしやすいようにしてまいりたいと思っております。もちろん全機関をあげて再就職に万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  99. 鬼木勝利

    鬼木委員 ただ、私が注文しておきたいのは——あなた方は非常によくやっていただいておるからそれは大いに敬意を表します。ただ問題は、私らが現地に行った場合、あなた方のデータと現地のそれが非常にそごしているのですよ。あなた方はこうしてこれだけ世話した、これだけやった。ところが現地に行ってみると、必ずしもそういっていない。そういうところのあとの追跡調査なんかもしていただきたい。その点をひとつよろしくお願いしておきたいと思います。
  100. 青木慎三

    青木説明員 第二豊州と中興の閉山の事情でございますが、第二豊州につきましては、昭和二十八年から操業を開始いたしておりまして、最近の生産ベースは約十五万トンの規模でございます。現在持っております採掘区域がほぼ終掘するに伴いまして、会社のほうは新しい区域に移行することを検討しておったわけでございます。ただ、この新しい区域につきましては、問題が二つございまして、一つは、公共物権あるいは田畑等地上物権に対する鉱害問題が非常に予想されますので、この鉱害問題に対してどういう手を打っておくかという問題が一つござざます。それからもう一つは、これは骨格構造の展開を行なっていくことによって新区域内の断層にぶつかりまして条件が非常に悪くなったというようなことがございまして、急遽閉山決意したようでございます。この点につきましては、閉山の意思の決定から閉山までの間が非常に短いという意味で、ある意味で突然の閉山というようなことでございますが、会社側としましては、おそらくいろいろな方法をことしの初めから新しい区域の展開について検討して、最終的にどうもまずいという結論に達したものと私どもは思っております。  一方、中興のほうでございますが、これは生産量約三十七万トンでございますが、この山も、現在掘っております区域は、大体四十七年中には終掘することとなっております。そこで、今後続けるといたしますと、四十八年度以降につきましては、深部を新たに開発しなければならないということもございまして、これのためには非常に大きな資金が要りますのと、それだけ深く掘りまして、いろいろ計算をしますと、ペイする採掘がなかなかむずかしいということが一つございます。それから今度は新しい採掘区域は離島地区から九州の本土地区に移りますので、これにもやはり鉱害問題等ございまして、いろいろの考慮を払いまして閉山決意された模様でございます。このほうは、私どもが非公式に聞いております範棚内では、大体本年の三月末ぐらいから決意をいたしまして、組合とも非公式には接触しておったようでざいます。それで、組合の希望により、いつまで操業するかというようなことをずっといろいろ相談しておったわけでございますが、ただいま、労働省のほうの情報にございますように、ある程度組合との話もつきまして、九月に閉山するということになったものと思われます。この点に関しましては、比較的早くから閉山の意向が示されまして、労働者との間の話し合いも比較的早い時期から始められているという実情にあると思われます。  それから先ほど触れられました明治三山でございますが、明治三山も、再開いたしますときから、大体ことしの秋ぐらいまでというめどはついておったわけでございますが、これも非公式には組合との間でいろいろ条件の話し合いをしているようでございまして、これは若干閉山交付金もからみますので、私どもは比較的早くから相談を受けておりまして、大体の閉山時期はことしの秋ごろということはわかっておったわけでございます。  それで、これからの閉山の情報につきまして私ども非常に苦慮いたしますのは、実際の経営者なり、これは労働組合も含めてでございますけれども、一般的に外部に早く情報が出ることを大体においてきらう傾向がございます。と申しますのは、閉山があるということがきまりますと、事業の遂行にいろいろそれなりの差しさわりがあるというようなことも含めまして、あまり一般に公開されることをきらうという事情がございますので、なかなか個々の山についてのいろいろな情報を外へ漏らすわけにいかぬというような私どもの立場もございますので、その辺もひとつ御了承願いたいと思います。
  101. 篠島義明

    ○篠島説明員 ボタ山につきまして、鉱害復旧観点からお答え申し上げます。  先ほど保安局長から御答弁申し上げましたように、ボタ山のうち危険なものを被害が起きないように防止するということにつきましては、これはまあ保安の観点からやっておるわけでございまして、そうした防止工事をとりながらも、あるいはそれほど危険でないというがままに放置されて、こうした自然の災害によって何らかの鉱害が起きたという場合には、もちろん現在の臨鉱法の復旧の対象としてできるだけすみやかに復旧工事をやるというたてまえにしております。  それで、先ほど先生もおっしゃられましたように、何よりも人命なりあるいは財産なりに対する被害が生ずる前に、できるだけ未然にそういうことが起きないように処置するということが本義でございますから、鉱害の復旧をやることはもちろんでございますが、われわれの立場といたしましては、有資力の鉱業権者に対しては低利の融資をして、そうしたボタ山についての防止工事をやらせるということを政策としてやっております。まあこうしたことにつきましては、今後も保安のほうの責任ある部課と十分連絡をとりまして、こうした被害の起きないように、災害の起きないように措置したいと考えております。
  102. 鬼木勝利

    鬼木委員 それでは最後に、鉱害課長に資料をつくってもらいたいんですがね。大坪理事からけさほどから理事会で非常に要望があっておったのですが、御承知のとおり、千三百億からの鉱害を十年間でやる。ですから、本年度四十七年度なら四十七年度あるいは四十八年度の計画でどのように鉱害処理をしていくかという、それを資料として出してください。これは保安の面も両方ありますけれども、鉱害の処理のほうの面としてあなたのほうでその資料を出してもらいたいと思うのです。そうしないと地元が承知しません。またことしも回りますから、ことしは鉱害を主として見ようということになっておる。地元の方々の要望にこたえるようにしていただきたい。それの資料を出していただきたい。
  103. 篠島義明

    ○篠島説明員 ただいまの先生の御要求の点でございますが、現在御承知のように、この前の法律改正によりまして、十年間で全部鉱害を完済するということで長期計画を立てております。目標といたしましては、年次計画を含めて大体ことしの秋ごろにつくることになっておりまして、したがって四十八年度、来年度計画もそこである程度具体的に固まるわけでございますから、現在必ずしも、予算要求との関連もございますし、またそういう長期計画との関連もありまして、四十八年度については十分な具体的な計画にはなっておりませんけれども、その点、御了承いただきたいと思います。
  104. 鬼木勝利

    鬼木委員 これで終わります。
  105. 相沢武彦

  106. 田畑金光

    田畑委員 初めに大臣にお尋ねいたしますが、振り返ってみますと、昭和三十七年から昭和四十七年の十年の間に、石炭政策について五回にわたる答申が出ておるわけです。二年に一度です。第四次政策昭和四十四年に出まして、そうして、四十八年度をめどに出炭規模は三千六百万トン、こういうことでございましたが、すでに四十七年度の出炭予想が二千七百五十万トン、このようになっておるわけです。なぜこのように五年計画でつくった答申が二年やそこらでくずれてきたのか、ここらあたりを十分念頭に置かれて今後の石炭政策を進めていただきたいものだ、こう私は考えております。  今回の答申は、従来のそれに比べますと、石炭の位置づけと申しましょうか、先ほど来議論なされておりますように、昭和五十年には二千万トンを下らない石炭確保する、その前提でいろいろなこまかな施策が手直しを求められておるわけであります。私は、今日の石炭産業がこのようになってきたというのは、やはりいまの自然環境を破壊し、公害を発生さした政府の経済成長中心、輸出第一主義のやり方が、石炭についてもこのような著しい崩壊をもたらした原因だと思っております。すなわち、あくまでも経済性、コストをどう下げるか、対外的な競争力をどうつけるか、こういう立場に立ってエネルギーの問題についても取り組んできた、大事な国内資源を守ろうという気持ちがさらさらなかった、これは保守政党の資本主義の理念の上に立つ経済運営からきた結果である、私はこう見るわけです。ヨーロッパの国々を例にとる必要はないと思いますが、先ほど来大臣は、産業のセキュリティーという立場から、あるいはその他、地域計画やあるいは地方自治体や、そこに働く人方の立場から、この答申については十分尊重する、こういうようなお話でございました。私は当然この答申に基づいて、四十八年度には第一年度の予算措置、それからまた関係法の改正等が整備される、こう思っておりますが、ことにまた私は、今度の第五次答申の中で特色ある中身は、今度の答申をつくる過程において、もうこれが最後だ、もう石炭政策はこれが最後だ、こういうふれ込みでいつもやってきたが、振り返ってみると、先ほど申し上げたように、二年のうちに別の答申を出さねばならぬ、こういうようなことであったわけで、今回の第五次答申は決してこれは最後のものではないので、いまの状況下においてこれから四年先を見通しするとこういうことである、こういうことだと思うわけであります。そういう意味におきまして、この答申の中においても、五十二年度以降については、その時点で新たな立場に立って再検討することが望ましい、してもらいたい、こういう明確な意見が述べられておりまするが、新大臣は、石炭問題については初めてであるというようなお話を先ほどから答弁なさっておりますだけに、きちんとして石炭政策に今後取り組んでいただきたい。  この答申が出たときに、一、二の中央紙の社説等で、もうここまで来れば産業政策ではないのじゃないか、社会政策じゃないか、このような指摘もなされておりまするが、社会政策という立場から見るならば、それはもう石炭をスクラップする前途において講ずればよろしいわけで、しかし、石炭産業はあくまでも産業として維持していこうという決意であるとするならば、私はいろいろな見方があるにいたしましても、この答申を忠実に守っていくところに通産大臣の使命がある、こう考えておりますが、この点について大臣の所見を承っておきます。
  107. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 田畑さんお説のとおり、この答申を忠実に守っていくところに通産大臣の使命があると心得ております。先ほど来申し上げましたように、産業上のセキュリティーの問題やら、資源の多面的確保あるいは住民の安寧、幸福、そういう総合的な観点からこの答申ができていると思います。そういう意味におきましても、この答申をよく守って実行していきたいと思います。
  108. 田畑金光

    田畑委員 そこで私は、具体的な問題に二、三入りますが、この二千万トンに持っていくまでには、二千七百五十万トンから昭和五十年には二千万トンに縮小する、そういたしますと、一つの問題として五十年度最低二千万トンを確保する、じゃあそれまで二千七百五十万トンを二千万トンにスローダウンをさせていく具体的な措置は一体どういうようなやり方でいくのかというのが一つの問題だと思います。これは石炭部長でけっこうです。  第二の問題として考えられますことは、二千万トンを下らざる石炭確保すると申しましても、今後具体的に年次計画等が当然なければならぬわけでありまするが、需要と供給をどうバランスをはかるかというような問題、しかしその場合、当然この需給関係というものは、炭種あるいは炭質別にトータルで見ただけでは済まされないと思いますが、それぞれの炭種、炭質別にどういうようなプロセスを経て昭和五十年度二千万トンの線に持っていくのかという、具体的な今後の進め方についての問題が出てこようと思っております。今度の答申によれば、そういう問題について業界を中心とする需給調整委員会、この中でこのような問題と取り組んでいくということにしておりまするが、閉山を伴うようなこういう問題について、業界の自主的な調整委員会にまかせてそれができるのかどうか。私はそこに何らかの第三者的な介入と申しましょうか、調整が当然これは必要になってくると思いますが、この点についてはどういうようにお考えになっておるのか、これが第二点。  第三点としてお尋ねしたいことは、これは先ほど来質問なされておる問題でありますが、五十年以降も長期的な立場に立って二千万トンを下らない石炭確保する、こういうことは大臣はっきりと約束されております。しかしこの間、これから四年間を振り返って展望してみますと、この四年間にいろいろ老朽化された石炭火力のスクラップ化も進むでありましょうし、いろいろまた経済状況も変わってくる、こう見るわけでありますが、四年後も二千万トンを下らざる石炭確保するためには、やはりこの答申の中にも出ておりますように、私は新規の産炭地の石炭火力の建設という問題を抜きにしては、やはり大臣のこの答弁が責任を裏づけにした答弁であると受け取るわけにはまいりません。北海道であるとか、あるいは先ほど九州について、石炭火力の建設が早急に必要であるという議論はなされておりますから、私は繰り返しませんが、それを五十年以降考えたのでは間に合わないと思います。それまでにすみやかにこの問題については結論を出さねばならない、このように私は考えるわけでありますが、この問題について、石炭火力建設の問題について、大臣の所見をもう一度はっきりお示しを願いたい、こう考えております。  第四点として私お尋ねすることは、二千万トンに縮小せざるを得ないもう一つの制約要因というものは、財源対策の面から考えておるわけであります。それは裏返しますと、今後の二千万トンを確保するためには、石炭特別会計の存続は申すまでもございませんが、当然この答申の中にありますように、その予定財源には、石炭価格引き上げによる毎年毎年の財源措置が見込まれておるわけであります。聞くところによると、昭和四十八年から五十一年まで、毎年原料炭については三百円、電力用炭については百五十円、この値上げで四年間に六百十億という試算が出ておるわけでありますが、五次政策炭価アップルールをほんとうにひとつ行政当局の努力によって需要者にも協力願い、四年間に六百十億以上の財源対策がつかなければ、二千万トンの石炭確保財源の面から破綻するわけでありますが、この点について私は、この大きな問題は、大臣の政治力なり大臣が鉄鋼や電力、ガス需要業界等との話し合いでもってなされるのでなければ、私は炭価の上積みをこれから毎年進めていくことはむずかしいと思うし、されば、それができなければ、この答申に基づく二千万トンの確保は不可能である、このように考えておりますだけに、この点についても大臣の所見、お考え、これを承っておきたい、こう思います。
  109. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 まず産炭地火力の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、できるだけ前向きにこの問題と取っ組んでいきたいと思っております。  それから価格交渉の問題につきましては、これまた関係業界に対しまして、必要あらば私も出動いたしまして、いろいろ要請いたしたいと思っております。
  110. 青木慎三

    青木説明員 五十年度二千万トンに至る過程の問題でございますが、これは今度の答申をつくるに際しまして、一応五十年度二千万トンを下らないという数量の確保需要確保を行なっておるわけでございます。この中間の年次につきましては、特に年次計画というものはこしらえてございませんが、一方、答申の中で、極力地域に及ぼす影響を緩和するためになだらかに持っていくということになっておりますので、おおむね私どもの頭の中には、大体年々同じ程度の閉山でいくというような姿を一応描いております。ただ、これは明確な年次計画にはなっておらないわけであります。その二千万トンになりました場合の地域別、炭種別の計画でございますが、これは一応試算は行なっております。この試算によりますと、現在、全国で二千七百五十万トンの生産計画が四十七年度でございますが、これの炭種別原料炭が千四百万トン、一般炭千三百五十万トンでございます。これが五十年度になりまして、いわゆる精炭を抜きにして、雑炭でございますが、雑炭で申し上げますと、二千二十七万トンの出炭を見込んでおりますが、それの炭種別の内訳は原料炭が千六十五万トン、一般炭が九百六十二万トン、こういう試算をつくっております。需要量とのバランスは、答申で要請している数量を前提とすれば、原料炭についてはおおむね問題はないと予想しております。一般炭につきましても、全体としてはおおむねバランスがとれることになっておりますが、地区別では北海道地区の生産量、特に高品位炭が道内の需要量及び電発需要量を若干上回ることも予想されますが、これは九州炭の硫黄対策の面からも、ある程度東京地方以西に供給が必要となる場合も予想されますので、全体としてのバランスを炭種別、地域別に分解いたしましても、おおむねバランスがとれているというふうに見ております。それに至る過程でいろいろ需給のアンバランスが生ずることにつきましては、先生御指摘のとおり、需給調整委員会で、業界の内部調整で極力この需給のバランスをはかっていくという努力をしていただくわけでございますが、これだけでなかなかうまくいかないことも予想されますので、その場合には、合理化事業団にこしらえます管理委員会のきめのこまかい指導も必要になってくるであろうかというふうに考えております。  以上でございます。
  111. 田畑金光

    田畑委員 次に一括してお尋ねしますが、この資金経理対策の問題について二、三お尋ねします。  第一次、第二次債務の肩がわりについて、肩がわりの進行によって生ずる余剰担保の担保抜き、これを極力推進する、こうなっておりますが、言うまでもなく、炭鉱の物件というのは、ほとんど鉱業財団担保ということで幾重にも抵当権がついておるわけであります。これをどのような形で抜いて、そうして担保の余力をつけて市中銀行等の融資を受け得るようにするかということは、なかなか容易なことではない、こう思うのであります。しかも今度の答申によれば、一定の厳正な条件のもとで運転資金融資制度も取り入れるようになっておりますが、これの具体的なやり方はどうなのか。またどの程度の担保を抜いて、そうしてそれが今後の炭鉱の資金面にプラスするのか、そのあたりをどのように試算されておるか。これが一つ。  同時に、第三次の肩がわりというものは、四十七年三月末なのか、四十八年三月末を考えているのかという問題、ことに私はお尋ねしておきたいのは、昨年の四十六年十二月十日に、体制委員会の決議で、四十六年の緊急対策の一環として石炭鉱業合理化事業団の近代化融資の返済の猶予措置がとられているわけです。これによって、昭和四十六年十二月一日から四十七年三月三十一日までの間に返済期限のきておる、大手、中小入れますと十四億八千一百万を、返済猶予しておりますが、こういうものも当然肩がわりの対象に入るものであると理解するが、そのように理解してよろしいかどうか。  それからもう一つ、これは第四点としてお尋ねしたいのは、保安対策の面で保安確保補助金補助率引き上げ補助対象事業拡大考えられておりますが、補助対象事業拡大と関連して注目したいことは、坑内の充てんについて、私は、やはりこの際坑内の完全充てんの実施、これを徹底することが、作業の面から保安の面から採炭の効率化の面からいっても大事であると考えておりますが、坑内の完全充てんを奨励して、そういう立場から助成措置を講ずる準備があるのかないのか。  最後にお尋ねしておきたいことは、答申の中に、業界自体の需給調整委員会、それからもう一つは合理化事業団の中に管理委員会を設ける、こうなっておりますが、この両者の関係はどういうことになるのか。この権限の競合なり調整なりが必要になってくると思うが、この点についてどのように考えておるか。  さらに私は、この答申の中で、五次政策の実際の運営に当たってくるようになる管理委員会の問題、構成メンバーの問題をどうするのかということ、それから実際事務体制はどこでやるのか、こういうような問題等が当然ここに出てくるわけでありますが、こういうような問題についてひとつこの際明らかにしていただきたいと思います。
  112. 青木慎三

    青木説明員 ただいまの御質問のうち、保安の部分は後ほど公害保安局のほうからお答えいただきますが、その他の点についてお答えいたします。  第一番目の第一次、第二次肩がわりの担保抜きでございますが、これは各社の担保の入り方その他で非常に入り組んだ関係にございますので、計算をしたり予想したりするのは非常にむずかしいわけでございますが、従来までの実績で申しますと、年々二十億から四十億程度のものが実際上抜けているようなかっこうになっておりますので、大体そういう姿で推移すると思いますし、個々の担保抜きにつきましては、各社別、各金融機関別にいろいろ事情を聞きまして、極力担保抜きが行なわれるような行政指導を行なってまいりたい、こう考えております。  それから運転資金につきましては、これはまだ内容を、どういうやり方で貸し出しをするかについて現在検討中でございまして、事務的な成案はまだ待ておりません。ただ、規模といたしましては、最高限が生産量の約二カ月分と申しますから、約二百億程度のものを最高限としたいというふうに考えております。  それから、第三次の肩がわりの時期でございますけれども、これもまだ、いま検討中でございまして、内容について、対象の債権、金利、それから返済期間その他いろいろな条件がございますが、この条件についても検討中でございまして、事務的な成案はまだ得ておりません。ただ、御質問の、昨年の十二月からことしの三月まで合理化事業団に対する返済資金の繰り延べをいたしましたけれども、この繰り延べにつきましては、条件といたしまして、そのときに支払うべき債務を繰り延べまして一番うしろへつけてあるわけでございます。したがいまして、おおむねの債務につきましては、四十八年度以降に返済時期の参るような繰り延べが行なわれていると了解できますので、大半はこの肩がわりの対象になるものと考えられます。  それから、業界需給調整委員会管理委員会関係でございますが、需給調整委員会は、業界の中で石炭炭価の交渉、それから全体の需給をどう調整するかという業界の中での自主的な調整を行なう委員会でございます。それに対しまして、これと管理委員会との関係は、管理委員会のほうは、合理化事業団のいろいろな助成策を実施するにあたりまして、業界の実情をよく把握してこれを指導助言するという立場にございますので、この関係は、両者が協力することによりまして業界全体の調整がうまくいくという関係になっていると思います。  管理委員会の構成メンバーについては、これは立法過程で具体化してくると思いますが、現在まだどういう人をメンバーにするかについては成案を総ておりません。ただその事務体制につきましては、合理化事業団に賢くわけでございまして、合理化事業団の中にしかるべき組織を設けて、この事務機構をつくる必要があると考えております。
  113. 久良知章悟

    ○久良知説明員 充てんの強化についてお答えを申し上げます。  今後保安対策の中で強化すべき項目といたしまして、私ども、自然発火、ガス突出、それから環境整備、鉱害の防止というふうな点を重点的に考えておるわけでございます。御指摘のありました、坑外から土砂を坑内に持ち込みまして石炭の採掘あとを完全に充てんするということは、直接自然発火、それから環境整備、鉱害防止に役立つことでございます。それから、ガス突出につきましても間接的な効果があるわけでございますので、私ども今後の対策といたしましては、補助金を強化すべき対象といたしまして充てんをいたしていきたいと考えております。
  114. 田畑金光

    田畑委員 私は、いろいろなこまかな点については質問もございますが、時間も過ぎましたからこれで終わりますが、特に私は、冒頭に申し上げたように、中曽根通産大臣にひとつ——田中通産大臣のときにこの答申は出たわけでありますが、私は、この答申が出るまでについては田中通産大臣としても相当影響力を与えられて、それが石炭鉱業審議会答申の中にも反映しているのじゃなかろうかなという感じも受けるわけであります。ことに田中通産大臣は、石炭国管の時代から石炭問題についてはいろいろタッチして、石炭についてはだれよりも関心を持ち愛着を持つ、こういう気持ちで取り組んできたということは、私はいなめない態度であったろうと、こう考えるわけなんです。田中内閣のもとにおける中曽根通産大臣、これはまことにいい取り組みだ、こう見ておりますが、それだけにひとつ今後の石炭問題については、中曽根新大臣、先ほどお話しのような考え方のもとにおいて、将来とも不安のない石炭産業として成り立ち得るような施策を講ぜられるものと期待しておりますので、どうかひとつそういうふうな立場に立って御努力を賜わりますことを切に願って、私の質問を終わります。
  115. 相沢武彦

    相沢委員長 田代文久君。
  116. 田代文久

    ○田代委員 時間が非常におそくなっておりますので、簡潔に質問いたしますが、この第五次答申案を見まして、現在の田中首相が通産大臣のときに、私どもの質問に対して、石炭政策というものは、全くいままでは、あとを追うような場当たり的な絶えずぐるぐる変わるようなものであった、そういうものではならない、だから今度つくる基本政策というものは、少なくとも二十年、三十年変わらない、そういう石炭対策としてはっきりした基本的なものをとにかく出すんだ、こういうことを明言されました。その政策というものは、現在でも変わってはならないし、また変わってはおらないし、ちゃんとこれは速記録も出ておると思うのです。実際の第五次案なるものは、そういう性格のものかどうかということをまず第一番に質問したいと思います。
  117. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 その審議会答申は、十カ月ばかりかかっていろいろ関係方面を調整してつくったということを聞いております。おそらく田中通産大臣の意図も内面的にはずいぶん入れられて、最善を尽くして表に出てきておるのであろうと私は思います。
  118. 田代文久

    ○田代委員 最善を尽くされたということは問題ではなくして、あらゆる場合に最善を尽くすことは当然であります。つまり、この答申で見ますと、四年後にはまたこれをいじるといいますか、再計画を立てるとか、何かそういうふうな表現になっておるようですね。ですから、結局とにもかくにも四年間のこれが見通しだ、それから先は先のことで、また何とか手を打ちましょうという印象しか実際に受けないのです。しかもこれが、非常に前向きの、石炭産業を積極的に開発するという方向ならまだしも、どうもにおいとしては、消極的な方向をとるような、そういう表現にもなっております。また、事実そういう内容であろうかとも思います。それからまた、中曽根通産大臣石炭対策としてはだんだん摩擦の少ないような形で縮小するという形をとるのじゃないかということを新聞か何かでおっしゃったということを聞いておりますが、もしそういう姿勢であれば、これは田中通産大臣が前おっしゃったこととは全然違った方向になっているのじゃないかという印象を受けますが、そういう点どうですか。
  119. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 私が摩擦の少ない形で縮小すると言ったような事実はございません。私は、この答申を着任早々拝見いたしまして、この答申を誠実に実行していこう、こう考えておるわけであります。
  120. 田代文久

    ○田代委員 いずれにいたしましても、答申自体は非常に消極的なのですね。日本の石炭産業を前向きに積極的に、政策としてとにかくこれを持っていくというような方向ではなくて、消極的な政策としかこれは受け取れない。これは私が間違っていれば非常に幸いです。  そこで一応、ただいまの御答弁は非常にあいまいなのですが、大体通産大臣はわが国のエネルギー対策、全体的に、石油からあるいは原子力からガスから含めたエネルギーの全体の対策、それからその中に占める石炭エネルギー、石炭産業の位置づけ、これをどのようにお考えになっているか御答弁願いたいと思います。
  121. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 国際情勢の変化及び科学技術の進歩等もございまして、わが国におけるエネルギーの評価というものは、最近非常に変化したわけでございます。何と申しても、石油が非常に著しく進出してまいりました。しかし、石油につきましては、近来公害の問題等も出てきております。原子力がこれを補うように後続してまいってきておりますけれども、原子力の問題も、ある意味においては発電所建設のサイトの問題等も出てきつつあります。そういう問題で、わが国のエネルギー問題というものは、わが国立国上相当大きな重大な問題にもなりつつあります。また、いまのようなテンポで日本経済が伸びていきますと、たとえば石油にいたしましても、五年後には世界じゅうの石油を日本とアメリカが争奪戦を演じなければならぬということにもなりかねまじき情勢でもあります。そういう意味において、やはり国際協調のもとに、お互いがうまい分業体制をつくり上げながら、しかもできるだけ国際協力のもとに資源を効率的に使う、しかもわが国のようた場合には、非常に多面的にそのソースを持っておる、また手持ちの資源につきましても、将来性をよく考えて、開発すべきものは開発し、リザーブすべきものはリザーブする、そういう配慮が必要であるだろうと思います。この答申を拝見いたしますと、そういうあらゆるポイントも考慮に入れて、現時点においてよく考えてつくられた答申であると思いまして、私はそういう観点からもこれを守っていくつもりでおります。
  122. 田代文久

    ○田代委員 これはわれわれ国民としましては、日本の唯一最大の地下資源、これは非常にとらの子みたいな大事な資源ですから、これをどのように活用するかということは、採算も考えなければなりませんけれども、単なる経済ベースだけで処すべき性格のものでないことは、もう明らかなわけなんです。ですから、そういう基本的な立場に立ちますと、またこれは、実際炭鉱に直接タッチし、自分の生活と生命をかけておる労働者諸君労働組合の諸君あるいは業者の方々から見ましても、二千万トンを下らないというようなことでは満足できないというのが大体の定評になっているようです。少なくともこれをはるかに越す——非常にわずかでも、二千五百万トンなら二千五百万トンというような線を出すということで、やはり政府としてはどんな努力を払ってもやるという意気込みを示すべきじゃないかと私は思うわけなんですが、そういうことを要望するわけです。  実際にまた石炭というものは、石油と対比などして、いろいろな面で、とにかく価格からいっても、あるいはそういう公害とかいうような関係からいってもまずいというふうな評価が何か定説みたいになって、だからこれは縮小してもしようがないというようなことになるのですけれども、そういうことは私は間違っておると思う。むしろ私は、そういう日本のエネルギーの中の重要な資源をどのように開発し、発展させるかというために、これはあらゆる努力を払うべきであると考えますけれども、実際のいままでの政府施策としては、私どもにはそのようになっているとは受け取れない。なお言えば、とにかく石炭を、原料炭であろうと一般炭であろうと、どのようにますます利用度の高いものにするかという点についての努力、あるいは、たとえば具体的に申しますと、火力発電所をつくるという問題も一つでありますけれども石炭のそういう利用度を高めるための技術開発というような方面について、生きた金が使われているかどうか。と申しますのは、これはほんのわずかしか使われていないと思うのです。予算も組んでおられないと思うのです。ですから、そういうサルファをなくするとか軽減するとか、それからもう少しほかに生きた利用度はないかというような点についての積極的な意図ですね。したがって、予算面においても、そういう技術開発というものについては十分やるというような方針をお持ちかどうか、御答弁願いたいと思います。
  123. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 公害防止の点はもとより、また石炭の有効利用という面から見ましての、混焼であるとかいろんな面もあるかと思います。そういう技術開発につきましても、力を入れていきたいと思います。
  124. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから、これは要望だけになりますけれども田中通産大臣が工業再配置促進法の審議の中で、先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、この法は、何といっても産炭地域に一番最初に重点的にこれを活用したいということをおっしゃっておるわけです。当然そうだと思って、みな受け取っておるわけなんですが、もうこの工業再配置の促進法というのは国会を通っておりますし、ですから、当然予算措置を講じていくという段階に入っておると思うのですが、これは要望としまして、今度の予算を編成する段階で、産炭地域の振興のためにいままで投入されておる予算から、明らかにこれは大きく予算の面からもふえているという形が出てきませんと、ただ抽象的に工場再配置をし、産炭地域に優先的にこれを活用することになりましても、これは何ら意味がないし、また、産炭地の地域の自治体にしましても、住民の方にしましても納得されませんから、十分この点は予算編成の段階で考慮していただきたいということですね。  それから最後に、これは鉱害の問題ですが、先ほど鬼木委員が幸袋災害の問題を言われましたが、あれは一例で、実際に日本の石炭産業の発祥の地である遠賀川流域が今度の水害でほとんどどこも大被害を受けておるわけです。しかしそれは、単純な雨が降ったということではなくて、いわゆる遠賀川流域における災害というのは、石炭の採掘による鉱害からきた、それと組み合わされた水害被害なんですね。したがって、これは、この遠賀川流域あるいは全国そうだと思いますけれども石炭災害との関係できている水害ということを重視していただく必要があるのです。私どもこれは通産局、現地の福岡県などにも連絡しまして、そして実際、これはあなたたちから見てもらって対処しなければ、実際の石炭産業を発展させるとかなんとか言っても、こういうことで荒らし回ったような形でしたのでは、とても石炭産業の発展に協力するというような地元の意見もなかなか出ないだろうし、誠意あるそれを示される必要があるのではないかということで、これは県のほうからも、通産局のほうからも調査に来られるわけです。さっきの話を承りますと、いわゆるボタ山対策会か何か開かれたというのですが、これは非常に私はけっこうだと思うのですが、先ほど鬼木さんが言われていましたけれども、幸袋以上にたとえば高松炭鉱あと、それから中間の大辻炭鉱あと、あるいは貝島炭鉱あと、これは県道をボタ山がくずして、そして地山を押しまくって、土砂を県道に流してつぶしてしまっている。それから、さっきおっしゃいました幸袋とか、あるいは庄内町とか、あるいは嘉穂町、桂川とか、実際遠賀川の流域は至る所やられておるのですね。ですから、つくづく思います。この中で政府としては、この鉱害地域における水害というのは単なる水害ではないということを第一番に考えていただいて、そうして特に気がつきますことは、家屋の復旧が非常におくれておる、象屋の復旧が非常におくれておるために、普通なら二日か三日で水が引くのが、その倍もかかって水が引かないで、しかも水洗のトイレがあるわけではないから、そういう汚物が床下にずっと四日も五日も浮いておる、こういう衛生上からも許されない状態が起きておる。それから中間市において市長さんもこれはたいへんだとおっしゃっておりましたが、これは福岡の通産局も見られたと思うのですけれども、曲川という川にボタのくずれたのが入りまして、そうして大辻炭鉱のボタくずれによって家は立ちのき、そこが危険だというようなことがあったし、その家の下を突っ切って前のたんぼは全部ボタで埋まって、もう田面の稲作は完全にできないというような状態が起きております。それからまた中間市のメーンストリートの水害というのは、そういう曲川にボタやら泥なんかが入って、そのために川底が非常に浅くなって水はけが全然悪いというようなことで、そのためにメーンストリートが水につかってしまって、そうしてそれが長い間の水害の困った状態が続いておる、こういうことになるので、したがって、これは現地の通産局なりあるいは地方自治体としましては、こういうことが繰り返されてはたまらないということで予算を組んで、こういう予算で早く処置してもらいたいという年次計画も立てておられるようです。ですからそういうのは、本省においては積極的に取り上げていただいて、現地へそんなにめんどうをかけぬでも本省においてもちろんそういうことはどんどんやる、そうして地域住民の方には迷惑をかけない、こういうところに生きた予算、金をつぎ込んでいただきたいということを要望したいと思います。  家屋の復旧を急ぐということと、それからボタ山対策というのは非常に大事な問題であると思いますが、こういう点についての中央の御見解を伺って、地方の人たちが安心されるようにしていただきたいということを要望したいと思うのです。
  125. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ボタ山その他、いまもお話しにありました遠賀川流域の点につきましては、通産局にもよく指示いたしまして、重ねてよく検討を加えまして、万全を期するようにいたしたいと思います。
  126. 田代文久

    ○田代委員 終わります。      ————◇—————
  127. 相沢武彦

    相沢委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事藏内修治君及び伊藤卯四郎君が委員辞任された結果、現在理事が二名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 相沢武彦

    相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長は、田中六助君及び伊藤卯四郎君を理事に指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会