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1972-07-12 第69回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年七月十二日(水曜日)     午前十一時五十八分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 内海 英男君 理事 小沢 一郎君    理事 古内 広雄君 理事 吉田  実君    理事 米田 東吾君 理事 和田 一郎君    理事 小宮 武喜君       天野 光晴君    有馬 元治君       奥田 敬和君    仮谷 忠男君       坂元 親男君    塩谷 一夫君       田村 良平君    中山 利生君       羽田  孜君    細田 吉藏君       森  美秀君    卜部 政巳君       川村 継義君    辻原 弘市君       松浦 利尚君    大橋 敏雄君       古寺  宏君    瀬野栄次郎君       中野  明君    広沢 直樹君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      本名  武君  委員外出席者         総理府総務副長         官      小宮山重四郎君         内閣総理大臣官         房参事官    杉岡  浩君         警察庁警備局参         事官      丸山  昂君         厚生省社会局施         設課長     新津 博典君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         林野庁長官   福田 省一君         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局河         川計画課長   飯塚 敏夫君         建設省河川局砂         防部長     阿座上新吾君         建設省河川局砂         防課長     谷   勲君         建設省道路局国         道第一課長   大島 哲男君         自治大臣官房参         事官      福島 栄造君         消防庁次長   山田  滋君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ————————————— 委員の異動 七月七日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     仮谷 忠男君   川崎 秀二君     有馬 元治君   坂井 弘一君     大橋 敏雄君   川端 文夫君     合沢  栄君 同月十一日  辞任         補欠選任   芳賀  貢君     松浦 利尚君 同月十二日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     古寺  宏君   桑名 義治君     瀬野栄次郎君   津川 武一君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     桑名 義治君   古寺  宏君     中野  明君   山原健二郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   中野  明君     大橋 敏雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年六月上旬からの断続した豪雨によ  る災害対策  閉会中委員派遣に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十七年六月上旬からの断続した豪雨による災害対策について調査を進めます。  まず、去る七月十日、被害状況調査のため高知県に委員派遣を行ないましたので、現地に派遣されました委員から報告を聴取いたしたいと存じます。吉田実君。
  3. 吉田実

    吉田(実)委員 昭和四十七年六月上旬からの断続した豪雨による被害状況調査のため、去る十日高知県に派遣されました委員を代表いたしまして、調査のあらましを御報告いたします。  派遣委員は、自民党の坂元親男君、私吉田実日本社会党内藤良平君、公明党の広沢直樹君、民社党の小宮武喜君及び日本共産党津川武一君の六名でありまして、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、土佐山田繁藤地区発生した山くずれによる被害中心現地実情をつぶさに調査してまいりました。  まず、被害状況について申し上げます。  七月四日早朝から五日早朝にかけて、土佐山田繁藤地区は、降雨量が約七百四十一ミリメートルという異常な集中豪雨で、この七百四十一ミリメートルと申しますのは、四日の九時から五日の九時の一昼夜でございまして、高知県の年間降雨量が大体三千ミリということでありますから、一昼夜に三カ月分ぐらい降ったとこういうことであります。七月五日、午前十時五十五分ごろ、同地区追廻山東側山腹で山くずれが発生、五十九名が生き埋めとなるという大惨事発生いたしたのであります。  県当局説明によりますと、同日午前六時二十分ごろ、同地点で小規模な山くずれが発生消防団員一名が生き埋めとなり、それを救出するため、約百二十名の町関係者消防団員一般協力者等救出活動等を行なっておりましたところ、午前十時五十五分ごろ、高さ約八十メートル、幅約二百メートル、長さ約二百五十メートルにわたって約十万立米の山くずれが発生、五十九名が生き埋めとなり、住家十戸を流失国道三十二号線及び土讃線の線路を埋め、おりから繁藤付近に停車中のディーゼル機関車等を押し流し、穴内川を埋め尽くすという惨状であったとのことであります。  被害者の内訳は、町会議員一名、町職員二名、消防士五名、消防分団員十三名、国鉄職員四名、その他救助作業協力していた一般の人々、取材中の新聞記者等三十三名で、大部分の方々救助活動中に被災するといういわゆる二次災害であります。  県当局では直ちに繁藤地区豪雨災害対策本部設置、県警、四国地建等協力陸上自衛隊等の応援を得、夜を徹しての懸命の救出作業を行なったとのことであります。  十日正午現在、遺体収容状況は三十五名を収容したのみで、残り二十四名については、その捜索に困難をきわめており、視察当日もようやくにして二体を発見するという状態でありました。  現場は、四国山脈吉野川上流穴内川流域で、土讃線国道三十二号線が重なっているような狭い地形で、穴内川に埋まった遺体捜索するため、自衛隊員約百名が一列に並びシャベルで土砂を排除しており、押し流された機関車や客車がほとんど原形をとどめず、山くずれのすさまじさを物語っておりました。遺体安置所となっております繁藤小学校講堂では、突然の災害で働き手をなくし、涙もかれ、放心した遺族の方々にお見舞いを申し上げてまいりましたが、何と言って慰めてよいのかことばも出ず、調査団一同胸詰まる思いでありました。何としても、このような惨事を再発させてはなりません。このような災害の再発生の防止こそわれわれに課せられた責務であり、これがとうとい犠牲に対する唯一の償いであると派遣委員一同胸に刻み込んでまいりました。  今回の災害はきわめて特異なものであるだけに、現在の災害対策の根幹に触れる幾つかの問題点があるように思います。以下、具体的提案を踏まえ、若干の所見を申し述べてみたいと思います。  第一は、地元当局が山くずれなどの危険を感じていない場所発生した災害であるということであります。  従来の砂防工事等は、破砕帯にはさまれた古生層場所を優先して行なわれてきたようでありますが、関係省庁の懸命の努力にもかかわらず、最近の異常集中豪雨では既成の考え方が当てにならないということが証明されております。少なくとも時間雨量が五十ミリメートルに達する集中豪雨発生すれば、かなり場所が危険であると思わねばなりません。したがって、いままでの危険個所対策は根本的に考え直さなくてはならないと思います。早急に危険個所点検の発想と方法及び森林の伐採方法等、複合的な問題にも再検討を加えるべきであります。  第二に、集中豪雨対策についてであります。  ここ数年来、自然災害による死亡者の約八〇%は、集中豪雨原因とするがけくずれによるといわれております。集中豪雨は凶悪な殺人鬼にほかならないのであります。これに対する原因予測等研究対策は、一刻もおくれることは許されません。十分な予算があればかなりな成果をおさめることができると関係者から聞かされておりますが、いまや、この集中豪雨対策国家的事業として取り組まなければなりません。  第三は、消防防災活動のあり方についてであります。  今回の惨事は、消防団員救助活動の二次災害という最悪の災害であります。日ごろの消防訓練の中にがけくずれに対する訓練はどの程度組み入れられていたでしょうか。今回の惨事の反省に基づき、十分に検討されたい問題であります。また、今後集中豪雨等に対する防災活動として、一定の雨量等の条件によって、危険個所等には避難命令早期に発令する等、施政者人命に対して十分な防災措置を講ずるべきであります。  第四は、今回の災害原因究明についてであります。  まことに特異な災害だけに徹底的にその原因究明がなされるべきであります。この惨事原因究明することによって、これに類似の山くずれの防災対策にどれだけ役立つものであるかはかり知れないものがあると思います。政府、県、町等一体となって、遺体捜索災害復旧等の早急な実施とあわせて科学的な原因究明を行なってほしいと思います。  第五に、当面する山くずれ対策として、地方自治体に対して地すべり警報機設置を指導し、それに対して国庫補助等措置を講ずることを検討すべきであります。  第六は、本委員会構想されました災害弔慰金制度についてでありますが、本日の新聞によりますと、本年度から実施をされるようでございますが、さらにその金額検討されますとともに、災害時における救助等協力者死亡に対しても十分な配慮を講ずるよう特に要望したいと思います。  次に、県及び町当局からの要望事項を取りまとめまして重点的に申し述べます。  第一は、災害犠牲者に対する補償等について万全を期せられたいとのことであります。また、今回の災害で組合の運営が困難となるため、長期低利資金融資措置を講ぜられたいとのことであります。  この町の状態を申し上げますと、今回の消防団員等措置につきましては、大体五年間に一人というふうな計算の基礎のもとに行なわれておるわけでありますが、一度に五十名、六十名近い者が出るということになりますと、一億数千万円のお金が要るということでございまして、こういった点につきまして、別途これは、ただいま申し上げました長期低利資金等をはじめとしまして、何か対策が講ぜられなければならぬのではないかと思います。  第二は、繁藤地区国道三十二号線及び土讃線早期復旧、並びに山くずれに伴う道路鉄道、山どめ及び河川対策について関係省庁間でよく協議の上、復旧工事を緊急に実施されたいとのことであります。  第三は、町当局遺体捜索等に要した災害対策経費等に対する財源措置に特別な配慮を講ぜられたいとのことであります。  なお、同町では、今回の集中豪雨のため、神母木地区の香我美橋の橋梁が流失、通行不能となっており、また、物部地区山田堰被害を受け、これらの早急な復旧について強い要望も受けてまいりました。  その他、県当局から、国道三十二号線の現状にかんがみ、四国横断自動車道を優先して建設すること、今次災害激甚法を適用すること等々について要望がございました。これらの要望につきましては、政府は可能な限りの援助措置を講ずるよう、重ねて要請いたしておきます。  本年は、この災害に引き続き、熊本天草地区等で未曽有災害が続発、とうとい人命が次ぎ次ぎと失われております。  災害対策最大の目標は、申し上げるまでもなく人間の生命を守るということにあります。政府関係者が、山くずれ等の危険個所対策ナショナルミニマムとして認識する必要があることを最後につけ加え、今回の調査に御協力いただきました関係各位に謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
  4. 高田富之

    高田委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 高田富之

    高田委員長 次に、昭和四十七年六月上旬からの継続した豪雨による災害対策について、その後各地において発生した被害状況及び政府においてとった措置等概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務長官小宮山重四郎君。
  6. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 私、このたび総理府長官に任命されました小宮山でございます。  初めに、昭和四十七年七月上旬の豪雨による災害について御報告いたしますが、この報告に先立ちまして、各地でおなくなりになりました方々の御冥福を祈るとともに、被災された方々に対しまして、一日も早く復旧されますことを心から願っております。  さて、七月五日に高知土佐山田繁藤地区発生いたしました土砂くずれにつきましては、去る七月六日の本委員会におきまして御報告いたしましたが、その後、四国大雨を降らせました雨域九州方面に広がり、九州中部及び南部に局地的大雨を降らせました。このため、四国九州各地に山くずれ、河川はんらん等被害発生いたしました。また、七日には、三日から六日にかけて西日本一帯局地的大雨を降らせた非常にしめった気流が北上して、東北地方北部中心北日本に流れ込むようになりました。また、このころから北上していた梅雨前線活動が活発になり、低気圧の通過に伴って七日夕刻から八日昼ごろにかけて、秋田、岩手、青森の各県に大雨が降り、河川はんらん等被害発生いたしました。その後、梅雨前線は南下し、北日本大雨は九日昼前にはやみました。  さらに、梅雨前線関東付近から九州北部にかけて停滞し、再び活発な活動を始め、関東以西の各県に局地的大雨が降り、山陰地方各地被害発生しております。  これらの各地豪雨による被害で、現在までに判明いたしております被害は、次のとおりでございます。  まず、一般被害といたしまして、警察庁で取りまとめましたところによりますと、——委員皆さま方にお配りしましたのと違いまして、本日の九時現在の被害状況を御報告申し上げます。  死者が二百十六名、行くえ不明が五十八名、負傷者が三百二名、建物の全壊、半壊、流失が千五百六十三棟、床上浸水が二万三百六十八棟、床下浸水が六万三千五百五十九棟、罹災者数が十万一千八百八十人となっております。  次に、施設関係被害といたしましては、県等からの報告によりますと、七月六日の本委員会報告いたしました被害額を含めまして、公共土木施設約六百十三億円、農地等約二百七十五億円、農作物等約百三億円、その他合わせまして千二百六十三億円となっております。  このように大規模、広域にわたる災害に対処し、国として総合的、計画的に応急対策を推進するため、政府といたしましては、災害対策基本法に基づき、去る八日の持ち回り閣議により非常災害対策本部設置し、八日及び十日の二回にわたり本部会議を開催し、被害状況下省庁における応急対策等について情報を交換するとともに、必要な対策検討、指示したところでございます。  本部において指示した主要な事項をあげますと、次のとおりでございます。  まず第一に、各省庁において早急に現地調査実施し、被害実情に即した対策実施することであります。  第二は、第一とも関連することでありますが、災害復旧事業早期査定事業実施につとめることであります。  第三は、農業災害共済金早期支払いを行なうことであります。  第四は、激甚災害の指定、天災融資法発動等を、この災害による被害総額が判明し次第早急に行なうことであります。  第五は、台風が接近し、再度の災害発生のおそれがございますので、危険地域の監視を強化し、特に住民に対する避難の指示の強化に配意することでございます。  次に、非常災害対策本部報告のありました各省庁における現地調査状況について御報告申し上げます。  建設大臣は、八日、九日の二日間にわたりまして、高知県、熊本県の被災現地を視察するとともに、本日は、青森県及び秋田県を視察いたしております。  農林大臣は、本日から高知県及び熊本県に参る予定でございますけれども、交通機関関係でいま途中で待機している状況でございます。  厚生大臣は、明日から高知県に出かけるということになっております。  私、副本部長でございますので、九日の日曜に鹿児島県と宮崎県を視察いたしてまいりました。  その他関係省庁担当官現地に急行し、現地調査及び応急対策の指導に当たっております。  各地方公共団体におきましても、高知県をはじめ十二県百九十市町村災害対策本部設置し、警察、消防自衛隊海上保安等協力を得て、行くえ不明者の迅速な捜索道路鉄道等早期復旧防疫等応急対策につとめております。また、福岡県高田町をはじめ四十八市町村災害救助法を適用し、避難所設置、たき出し、被服、寝具の支給等を始めております。  なお、この際、先ほど吉田委員からの御報告の中にございました災害弔慰金補助制度の件でございますけれども、これは繰り上げて実施しようということでございます。  災害による被災者への見舞金制度につきましては、去る五月二十四日、本委員会におきまして災害弔慰金構想が取りまとめられ、政府といたしましても、昭和四十八年度よりこの構想の趣旨に沿った国庫補助制度を創設すべく積極的に取り組む意向を表明したところでございますが、死者、行くえ不明が多数に及んだ今回の災害実情にかんがみ、昨日の閣議において、この実施時期を繰り上げ、今回の災害から適用することに決定いたしました。  また、高知土佐山田町の被災現地において強い要望の出ております、救助活動協力従事中なくなられた民間の方々に対します補償問題につきましても、昨日の閣議におきまして、消防団員に準じて賞じゅつ金を支給する方針を決定いたしまして、その対象者範囲、今後の災害取り扱い等の点で、不均衡を生じないよう至急結論を出すべく、関係省庁において鋭意検討を進めております。  以上でございます。
  7. 高田富之

    高田委員長 これにて政府からの説明は終わりました。     —————————————
  8. 高田富之

    高田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有馬元治君。
  9. 有馬元治

    有馬委員 私の地方は、ちょうど一月前の六月十一日から、前後四回にわたって集中豪雨がございました。その結果大きな被害を生じておるのでございます。死者が十一人、流失家屋が百二十むね、被害総額が百四十億、現在まで判明しておるだけでも膨大な被害を生じておるのでございます。先ほど副長官からの御報告にもありましたように、去る九日には、鹿児島県と宮崎県に政府調査団を派遣していただきました。副長官が団長となって現地を親しく御視察いただき、また御激励をいただきましたこと、地元の皆さんになりかわりまして厚く御礼を申し上げます。  私は、昨年の七月豪雨並びに十九号台風のあとで開かれました本委員会におきまして、九月一日でございましたが、同じような質問を繰り返しておるのでございますが、まず第一点は、先ほどの副長官報告にもございましたように、個人災害に対する救済制度、これにつきましては見舞金制度を創設され、また賞じゅつ金制度を決定されたという御報告がございました。いままでやりたいやりたいと言っておった問題を、ようやく実施に移されました。田中新内閣といたしましてはたいへん大きな前進だろうと思います。ただ私は、内容等について、金額適用範囲、これはまだまだ満足すべきものでもないと思いますが、これだけのことを実施していただくことになりまして、たいへん感謝をいたしております。  つきましては、この二つの制度概要と、それからいままで総理府中心検討されてきました共済制度の今後の扱い、見舞金制度共済制度は取りやめにするのか、なお引き続いて共済制度も、全国的な規模検討した上に実施をしていくのか、この二点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  10. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 災害弔慰金制度につきましては、決定いたしましたのは、補助対象市町村については、自然災害による災害救助法適用基準に該当する被害が生じた場合、国は十万円を限度といたしまして二分の一補助する、都道府県が四分の一、ですから十万円でございますと、市町村が二万五千円、県が二万五千円、国が五万円ということになります。そういうことで、今回の災害発生したということで、四十八年度から発足するものが今回適用しないというのはおかしな話ではないか、ですからこれは繰り上げて今回の災害に適用しようということでございます。  それから、個人災害補償制度といいますか、それについてはいろいろな問題がございますので、鋭意検討中で、まだ今回の本部では結論が出ておりません。  ただし、先ほど申しましたように、土佐山田のような災害については、協力者に対しては、消防団員あるいは一般協力者についてもこれに準じて速急に結論を出すということで、閣議の了承を得ておる次第でございます。
  11. 有馬元治

    有馬委員 次に、建設省にお伺いいたしたいのでございますが、鶴田ダム操作の問題でございます。  昨年も私は、この委員会で同じことを繰り返して質問しているのでございますが、昨年は、上流の洪水に対しましては、ダムの効果的な操作によってまずまず危機を切り抜けた。しかし、ダム下流に対しましては、さらに支流の二河川について新しい防災ダムを建設する必要がある、こういうふうなお答えがございました。  私は当時から、現在の操作規程によります制限水位百四十六メートル五十センチ、これを守り続けておる限りにおいては、流域住民の不安はぬぐい去れない、どうか百三十メートルまで引き下げて、発電犠牲にしても人命と財産を守ることに重点を置いたダム操作をやってもらいたいということを御要望申し上げたのでございますが、今回の大災害にあいまして、現地ダム所長にもお会いいたしました。山田所長は、最善を尽くしたけれども、今回の上流地域における降雨量からすれば、この結果はやむを得なかったんだ、こういうふうな説明を私にいたしたのでございます。なるほど、現在きめられております制限水位でございます百四十六メーター五十センチというのを守り続けておる限りにおいては、今回の措置は、第一線所長としてはやむを得なかったと思いますけれども、問題は、このダム操作規程の立て方にあると思うのでございます。  私が建設省当局からお聞きしました七月五日、六日、七日の時点におけるダム操作状況を見ておりますと、五日の午前六時現在においては、規程どおりの百四十六メーター五十七センチの水位操作を開始いたしております。その後の異常な降雨によりまして、最大ピーク時は一秒間に二千二百六十トン、流入量と同じ量を放流しておる。これによって、数キロ下流にあります湯田地区温泉街が一瞬のうちに百二十戸流失してしまった、こういう大惨事を起こしておるわけでありますが、これを見ましても、もし七月三日から降り始めたこの三日の時点、あるいはその前から、水位を百三十メーターあるいは百三十五メーター、その辺に下げておきますならば、発電犠牲にしてでも下げておったならば、こんな大きな災害は生じなかったと思うのでございます。現に、第一線ダム所長に与えられておる権限は、百四十六メーター五十センチから最高の百六十メーターまでの操作権限でございまして、その下の水位、すなわち百四十六メーター五十センチから百三十メーターまでの水位については、電発の発電所長がゲートの開閉についての権限を持っておる。鶴田ダムは西日本一のダムだと称せられ、これができれば流域住民は水害から免れる、安心して生活ができるというふれ込みでつくったダムであるにかかわらず、ダムがあるために災害を起こし、現地の被災住民は、ダムをぶちこわせということを叫んでおるのでございます。これは現地調査をされた副長官も十分御承知のことと思いますが、ことほどさように、ダムについては流域住民がふだんから不安を持っておるのでございます。これは、結局百三十メーターから百四十六・五メーターの十六メーター五十センチに及ぶ、調節可能水量としては四千万トンになんなんとするこの大きな調節水量が、一私企業であります発電所の所長権限にかかっておる、建設省側は発電を押えて防災一本の体制がとり得ないという状態になっておるところに、今度の大災害を引き起こした大きな理由があったと思うのでございます。  私は、この際、発電犠牲にしても、六月、七月あるいは八月といった集中豪雨の時期と、さらに台風が参りますシーズンだけでもけっこうでございますから、安全な水位まで水を落としておく、ダムをからっぽにしておく、いつ異常な降雨があっても地域住民が安心して生活できる、こういう状態にしておくべきではないかと思うのでございます。  くどいようでございますが、本省がきめたダム操作規程があるために今回の大災害が起きておるということは、われわれ身をもって体験をいたしておりますので、どうかこの際、いろいろと関係の筋はあろうかと思いますが、人命、財産を守るという防災本来の姿に立ち返って、電力を犠牲にしても水位を最低まで下げ得る権限第一線ダム管理所長に与えていただきたい。今回異常な降雨量があったといいますけれども、後背地に降った雨量は、宮崎県側を含めましても二億五千万トン程度でございます。もしこれを百三十メートルまで水位を下げておったとするならば、八千万トンの調節能力を持っておるわけでございますから、今度の異常な降雨量に対しても、これほどまで大きな災害は引き起こさずに済んだものと私は思っておるのでございます。いろいろ数字をあげて御説明をなさいますけれども、いまや数字で納得するような状態ではないのでございます。そういう意味で、ひとつ思い切って発電犠牲にしながら水位を下げて、大きな災害を避けるようなダム操作規程を新たにつくっていただきたい、これがわれわれの切なる願いでございますので、どうかこの点について建設省御当局のお答えをいただきたいと思うわけでございます。
  12. 川崎精一

    川崎説明員 ただいまお話しの鶴田ダムは、昭和三十五年に着工いたしまして、四十一年に完成したダムでございます。その後、川内川筋はかなり出水の頻度が高うございまして、四十四年にも災害を受けたわけでございます。四十六年にもやはり二度災害を受けたわけでございますが、そういった最近の出水の状況を見詰めまして、できるだけ雨量の実態に即した操作方法をとろうじゃないかというようなことで、現地九州地方建設局長の判断と指導で操作をいたしまして、昨年はどうやら大災害にならずに済んだわけでございます。  やはり今回も同じような考え方で現地所長操作をしたわけでございますが、御承知のように非常に降雨の時間が長くて、しかも末期になってからまた予期しない大雨になった、こういったようなことで、鶴田ダムの洪水の調節機能がなくなりまして、結果的には先生のお話しのように、調節機能を失って、自然の流入量だけを放流するといったような事態になったわけでございまして、そのために下流にずいぶんたくさんの被害が出たということは、私どもとしても非常に残念に思っておる次第でございます。  できるだけ早急に、昨年も申し上げましたように、下流の左右の支川の夜星川あるいは穴川、こういった流域にダムをつくりまして下流の安全をはかりたいということで、昨年から直轄の区域延長をいたしまして、そういった調査体制も進めてまいったわけでございますが、今回現実にこういった大量の雨が降ったという事実を踏まえまして、それぞれ電力事情等の問題はございますけれども、私どもも、この際できるだけ治水優先の思想で対処をいたしたいということで、実は通産省あるいは電源開発株式会社等関係方面がございますが、折衝を重ねまして、基本的には、事前の予備放流はすでに了解に達しております。したがって、去る十日の夜でございますが、鹿児島地方大雨注意報が出ましたので、緊急な予備放流体制を整えまして、十一日の零時から予備放流を開始して、六時には一応一千万トンばかり、先ほどお話しの制限水位より下げまして、洪水の待機姿勢をとらせたわけでございます。結果的には、南部のほうはたいした雨にならなかったということで幸いでございました。  さらに、今後このダム操作をどのようにするかということでございますが、御承知のように、やはり電気の面からいっても、これは建設時点で、多目的ダム法に従って共同の目的を果たすために建設されたダムでございますので、これは長期的な操作とすれば、私どもの一方的な緊急判断というわけにもまいりません。しかし、まだ出水期を控えておりますし、今後の改修の進みぐあい、あるいはダム調査なり建設の進みぐあい、こういったものも十分考えますと、私どもの立場では、やはり治水容量をできるだけたくさん確保したい、したがって制限水位をできるだけ低く保つようにしたい、こういうことで、現在関係省庁あるいは電源開発会社、こういったところと折衝を進めておるところでございますが、できればすでに電気で専用されております、いわゆる制限水位以下の約三千五百万トン程度でございますが、そういったものが、予備放流等の措置も含めて、できるだけ異常の事態には治水に十分役立つような措置をとりたいということで、現在鋭意折衝中でございまして、早急に結論を出すように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 有馬元治

    有馬委員 ただいま河川局長の御答弁で御当局の考え方はよくわかるのでございますが、このことは大事でございますので、昨日も建設大臣に私は直接御陳情申し上げ、御要望の線に沿って善処する、こう言っておられるのですから、これはやはりこの際思い切って水位を下げるように操作規程その他を改めていただきたい、これは重ねて御要請を申し上げたいと思います。  次に、いまのダムの問題とも関連するのでございますが、直轄河川でありません川内川が、毎年集中豪雨あるいは台風の際に大荒れに荒れるのでございます。これはダムから下流のみならず上流についても大きな被害を生じておるのでございますが、この際思い切って上流下流を通ずる全水系の抜本的な改修計画を、政府においては樹立していただきたい。われわれも地元において、この抜本計画を遂行するためのいろいろな協力体制、これはぜひつくってまいりたいと思っておるのでございます。河川の問題はいままで、専門家にまかせておけ、数字が出てくるし、予算が出てくるから、地元住民では手に負えない問題だ、こういうふうに考えられがちでございましたけれども、中小河川を含めていろいろな災害状況を考えてみますと、やはり地元の故老といっては悪いのですが、お年寄りの方々が長年の経験から割り出した河川に対する知恵、これはいろいろな場面で治水対策の上に生かしていくべきだと思うのです。したがって、この協力体制の中にはぜひ地元の意見も十分くみ取って、抜本的な治水対策を樹立願いたいと思うのでございます。その際における土地の問題、土地補償の問題、いろいろ難問題がございますけれども、そういう協力体制を整えるならば、住民も喜んで協力するはずでございますから、この際建設省御当局におかれては、抜本的な治水対策をぜひ樹立していただきたい。そしてこのための事務費、調査費をこの際つけていただく。これは五年かかり、十年かかる問題だと思いますけれども、地元住民は、災害におののくと同時に、災害復旧だけやっておるいわばこう薬ばり的なやり方に非常に不信を持っておりますので、ぜひこの際抜本的な治水計画を樹立して、そのための調査費その他は準備するということをお考え願いたいと思うわけでございますが、河川局長の御意見を承りたいと思います。
  14. 川崎精一

    川崎説明員 お話しのように、川内川につきましては四十四年、四十六年、そしてことしと、連年のように災害を受けておるわけでございまして、私どもとしましても、ダム操作に伴う非常な問題、それから河道のはんらんによる被害、こういったものを見ますと、いまや全国の一級河川の中で一番問題の多い川ではなかろうかということを痛感いたしておるわけでございます。したがって、在来この計画につきましては、主として川内市といったような下流部を考えて改修がなされてきたようでございますけれども、やはり全川を見渡して、それぞれ抜本的な適切な改修計画を立てる必要があるんじゃなかろうか。もちろん、先ほど先生からの御要望のございました鶴田ダムの今後の治水容量をふやす措置、こういったこともその一つでございますが、さらに上流の治水ダムあるいは下流ダム、こういったものも含めて、それからあるいは河道につきましては、これは築堤等も抜本的に、川幅を広げて築堤する必要があるんじゃなかろうか。また、あの地域は地形的に非常に制約のある地域でございますので、そういった点からは、単に川を狭めておさめていくということは非常に困難じゃなかろうかと思います。そういった点では、むしろ逆に堤防を広げると同時に、計画的な遊水作用を持たせながら、そして被害の軽減をはかって水をおさめる、こういったような考え方も新しく取り込んでやる必要があるんじゃなかろうかと私は考えておる次第でございます。現地にすでに係官等も派遣をいたしておりますので、当面の処置等については支障なく進めるつもりでございますけれども、やはり根本的に十分な調査をいたしまして、その上で川内川につきましては、特にわれわれの予算その他の措置につきましても重点的に考慮いたしていきたいと思っております。ただ、何しろ私どものほうで試算をいたしますと、全国の河川を概成いたしますのに約三十六兆ぐらいの予算が要るわけでございます。こういったいろいろな問題がございますが、十分お話しの点を私どももよく理解をいたしておりますので、御期待に沿うように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 有馬元治

    有馬委員 時間がございませんから、あと一点だけお尋ねいたします。  再々の災害を経験しておるのですが、原形復旧では、また翌年堤防が破壊するというような事例が多いわけでございますので、この際、最小限度の改良復旧は同時に考えていただきたいと思うわけでございます。いろいろな例がございますが、私の足元の高城川、これは昨年も決壊をいたしました。ことしも同じところが決壊をいたしております。これは原形復旧だけでは十分でないということはよくおわかりだと思いますので、この点のお考えをお尋ねいたしたいと思います。  それからさらに、具体的な問題でございますが、上流のほうでは湯之尾の温泉街が、これはもう今度の災害一カ月の間におきましても、四回か五回軒下まで水につかっておるわけでございますので、これはバイパス計画がおありのようでございますが、早期に着工をしていただいて、この地区の水害を最小限度に食いとめていただきたい。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  16. 川崎精一

    川崎説明員 災害早期復旧とそれから改良を加えた復旧、こういった点につきましては、私どももここ数年、ただいま先生のお話のような趣旨で進めておるわけでございます。したがって、個々の被災個所等につきましてはできるだけ、再度の被災にあってもこわれないというような趣旨で、現在災害復旧費の中で約二四%程度は改良部分の費用になっております。そういった点では、私どもも十分心がけて指導はいたしておるつもりでございますが、なおお話の高城川等につきましては、これはいわゆる災害個所だけではなくて、むしろその下流の改良を引き続いて進めないと、また同じような災害が来る、こういうことかと思います。そういった点につきましては、できるだけ災害の助成事業等によって復旧なりあるいは強化の範囲を広くする、それでも足りないときにはさらに一般河川改修費をつぎ込む、こういったようなことで、それぞれ被災河川につきましてはそういった考えでできるだけ一貫して、また次々連続して関連の個所がやられるというようなことのないように配慮していきたいということでございまして、高城川等につきましても一応まあ基本的な一定の計画を早急に立てさせて、期限等も見通しをつけた上で実施をしたいと考えておる次第でございます。  なお、湯田あるいは湯之尾の温泉街、こういったところにつきましては、先ほど申し上げました川内川全体の改修計画の中でやはり非常に急がれると思いますので、そういった方針をきめました上で、お話のようにできるだけ早く着工できるように努力をいたしたいと考えております。
  17. 有馬元治

    有馬委員 ありがとうございました。
  18. 高田富之

  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 副長官にお尋ねしておきますが、まず第一点、けさのNHKのスタジオ102で総務長官が、きょうの災害特別委員会に出席をして災害問題について努力をする、こういう発表をなさっておるのに、マスコミを使って朝早々と打ち上げておるにかかわらず、きょうなぜ出席しておられないのですか。私は、副長官が出席しておられることについて不満を述べているわけじゃないのです。これだけの被害が出ておる段階で、しかもNHKという機関を通して発言をなさっておるにかかわらず御出席しなかった理由、この点をはっきりしていただきたいと思うのです。
  20. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 いま、大臣、本省で労働組合の方々と会談をいたしております。いま入るというニュースが入っておりますので、いましばらくお待ちいただきたいと思っております。
  21. 高田富之

    高田委員長 松浦君に申し上げますが、間もなくこちらに見えます。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 間もなく来られるそうでありますから、できるだけ早く御出席いただくということでけっこうだと思います。その点はいいと思います。ああいうように言っておられるわけですからね。  それで、副長官にお尋ねをいたしますが、あなたが率先して現地を見て回られたんですが、見て回られた感想として、今回の災害は、これはあくまでも天災である、あるいは事前にもっと手を打っておけば防げたんではないか、そういう面ではある意味で人災である、どういう判断をされたか、現地を直接見られて。その点を責任者としてお答えいただきたいと思います。
  23. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 私が見ましたのは、鹿児島の宮之城と宮崎のえびのでございます。  特に感じましたのは、この両地域においては警察官の指導がよかったということで、ほとんど人命被害がなかった。そういう点は、二重遭難があったような土佐山田とは違った点、非常にその点、警察官の方に感謝を申し上げております。  それで、人災か天災かというような問題、これは一つ、防災方面においてもなかなか十分でなかった点もございます。確かに人災か天災かという討論をしますとたいへんな問題でございますけれども、鹿児島県の例をとりますと、川内川の流域については、上流、中流、下流というような問題を見てみますと、中流地点についてはほとんど河川工事がされていない。まあそういう意味では、非常に砂防工事あるいは河川改修がおくれているという点でそういう被害が出たということを認めざるを得ないだろうと思います。  それで、先ほど有馬委員のおっしゃっておりました鶴田ダムについても、権限規定その他もございますけれども、そういうことではなくて、やはり人命尊重という面で早く放流しておれば、こういうような災害が未然にある程度は防げたのではないかという感じも持っております。ただ、土佐山田などを見ておりますと、山くずれの起こると思われない地点に起きたという問題もございます。  これをすべて防ぐということはなかなかむずかしいことでございますけれども、建設省のほうの砂防その他を見てみますと、百年に一度というような基準を設けておるようでございますけれども、今度の豪雨は三百年に一度といわれる集中豪雨でございます。そういう意味でも大きな被害が出たのではないかということでございます。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は今度、土佐山田現地を実際に党の調査として見てまいりまして、ある面で人災という面が多分にあるのじゃないか。それは、御承知のようにあの土佐山田の地すべりをした地点ですね、あれは民有地ですけれども、実際にあそこにはえておる樹木ですね、これがまる伐方式で全部一ぺんに切られておった。しかも地すべりしたところは幼木であった。大体樹齢十年ぐらいの幼木であった。ところが、崩壊しておらないところにはりっぱな樹木が立っておるわけですね。結局まる伐方式による林野庁の伐採ですね、あるいは民間の伐採、こういったものが、現実に地下水の調整機能というものをなくしてしまっている。多量に降ったときには一度に出てくる。あるいは山くずれ、地くずれを起こす、こういう現象が起こっておるというふうに私たちは現地で見たのです。副長官が見られて、そういったことは全然感じませんでしたか。
  25. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 土佐山田被害等については、私まだ現地を見ておりませんけれども、えびの市でございますと、五十年生、二十年生というようなたいへん古い樹木がある。これは、そういう大きな木を切ったから山くずれがあったということだけではない。えびの市の場合でございますと、地層に相当関係があるようでございます。そういう原因追及を、いま担当官を派遣いたしまして調査中でございますので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは林野庁に私はお尋ねをしておきたいのですが、現在のまる伐方式ですね、全部山を切ってしまう。そうしてあとはもちろん植林しておりますけれども、現在のようなまる伐方式、これは全山を一ペんに切ってしまう。何区何区と林区がありますね、それを全部切ってしまう。奥地の開発、要するに伐採、こういったのが進行したために鉄砲水が出る、地下水の調整機能がなくなってしまう、こういうことが最近被害を非常に大きくしてきておる、このように思うのです。ですから、私はこの前の委員会でも申し上げましたけれども、災害を防止する——起こってしまったのではもうおそいわけでありますから、災害を防止するという意味から、こういった乱伐といいますか、まる伐方式といったようなシステムはやめるべきだ、治山治水という面からもやめるべきだ、このように考える。そういう点について、林野庁の考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  27. 福田省一

    ○福田説明員 御指摘のように森林の伐採につきましては、従来はややもしますと木材の増産、しかもそれを能率よく出すという考え方から、大面積の伐採ということが行なわれておったところでございます。しかし、これは非常な急斜地であるとか保安林についてはもちろん制限をしたものでございますけれども、御指摘のように、こういうふうな災害が出ますと、たとえそれが何十年に一回というような雨量でございましても、できるだけそういったようなことが起こらないように、伐採のやり方については規制をしてまいりたいと思っております。  そこで、四十七年に入りましてから、この二月に、特に国有林の問題につきましては、伐採の面積は、皆伐する場合におきましても最高限は二十ヘクタール、特に傾斜のきついところとか土壌の条件の悪いところ、そういったところにつきましては禁伐あるいは択伐の方式をとるというふうに制限をいたしておるところでございます。  いま問題になりました高知山田地区につきましては、実は従来、民有林でございまして、災害は全然なかったところで安心しておったところでございますけれども、突然こういう異常な降雨によって被害を生じたということは、一部には、上部のところに造林してからまだ二年にしかならない、二年生の造林地が〇・一ヘクタールくらいございます、下のほうは十年以上たっているわけでございますけれども、あるいはこれが原因したのではないかというような批判もございますので、林業試験場の防災部それから土壌部から調査団を出しまして、ただいま検討しておりますが、これらの結果を見まして、これらの地区につきましては保安林に指定する等の制限を行なってまいりたい、かように考えております。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 現実にえびのは国有地ですね。国有林の山地崩壊によってあれだけの被害が出ておるわけですね。それから土佐山田の場合は、先ほど言われたように民地ですね。民地によってあのような被害が出ておる。ですから、国有林たると民有林たるとを問わず、乱伐といったものはある程度規制を加えていかないと、奥地開発が進めば進むほど山林崩壊に伴う災害が激化をする、このように考えるのです。ですから、そういう意味では、この委員会でも災害が起こるたびに指摘をする。同じことをまたわれわれはここで議論しなければならぬ。国民から言わせれば、何だ、同じことばっかりしてひとつも実効があがらぬじゃないか、こう言われるのが落ちなんです。ですから、この際、そういった山地崩壊に対するまる伐方式とかあるいは乱伐とかこういうものについて、ある程度規制を加えざるを得ないのじゃないか。そういう意味で、担当大臣である長官がいまおいでになりましたから、この山林の伐採のあり方、こういうものについて、治山治水の立場から何らかの形で規制を加える、こういうことについてのお考えをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  29. 本名武

    ○本名国務大臣 たいへんおくれてまいりまして申しわけございません。  お答え申し上げます前に、ちょっとごあいさつ申し上げたいと思います。  今回、はからずも総務長官を拝命いたしました。今後委員の先生方にたいへんお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、ただいま御指摘ありましたように、山林の荒廃が災害をもたらす大きな原因の一つであることは、私も承知いたしております。したがって、今次の災害が山くずれによる被害が非常に多かった、川の増水その他も原因はございますけれども、山くずれが非常に悲惨な被害をもたらしたということは、特に御指摘がありましたような点にいかに留意するかということが大きな問題であろうと思います。  さてそこで、山を切り過ぎたからこの災害が起きたのではないか、したがって山の伐採その他に対する規制を行なう必要がありはしないかという御意見でありますが、すでに山林につきましては、それぞれその使命に応じまして、保安林制度等によって伐採の制限あるいは半強制的な造林をいたしながら山を守ってまいったのでありますが、今次の災害は、実は非常にまれに見る大きな雨量でございまして、したがって、ちょっといままでの考え方では予測できないような雨量であると同時に被害発生したというところに特色があろうかと存じます。しかしながら、予測できようができまいが、国土を保全し、あるいはまた災害を未然に防止するという立場からいたしますならば、私は第一にやはり山に対する、森林に対する政策というものが充実されなければならないと考えております。その充実するためにははたしてどういうような規制をいたすのか、あるいは規制の上に立っていかなる体制をつくり上げるか、ただ単に防災工事を施すだけでは足らないのではないか、あるいはまた防災工事といえども、財政その他の関係から全国土一斉に行なうわけにはいかないというような実情も勘案しながら、これからはひとつ被害をこうむりそうな山に対しては、いままでのような見方とは変えて、全面的に根本から再検討をする必要があろうと思います。その上に立って御指摘のような点についてもいろいろと配慮を加える必要が生じてくるのではないかと思われるわけでございます。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 今度の場合、御承知のように宮崎のえびのの場合も熊本の天草の場合も、あるいは土佐山田の場合も、危険地域に指定されておらなかったところが崩壊をしておるのですね。  それでは土佐山田の場合、これは国鉄当局にお尋ねをするのですが、この土讃線について、非常に雨に弱い線路である、こういう立場から、地質の調査を専門的に三十九年にやっておられるわけですね。そのときに国鉄当局は、この繁藤駅周辺については崩壊の危険度、落石の危険度はCである、Cであるということは危険度が小さな個所である、しかし総合判定では安全地帯だ、こういう結論を出して、ここは国鉄当局も安全な場所という指定をしておられた。ところが、これは現地でもいろいろと話があったのですが、あの四国山脈の関係破砕帯である。非常に地質が弱い。そういう意味では、極端な言い方をすると全部が危険地帯なんで、そこにことさらに危険地帯でないというところを設けたところにそもそも問題があるのではないかという御指摘もあるわけです。  それで、国鉄当局にお尋ねをするのですが、国鉄当局自体、この土讃線の危険度分布一覧表をつくられるときに、地質調査等をなさったときに、繁藤はほんとうに安全だ、こういう判定をなさったのか、それともこの一覧表にあるように、危険度が小さい個所であるけれどもまあまあ安全だろうということで結論をつけられておったのか、その点をひとつはっきりさしておいていただきたい。
  31. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答えいたします。  土讃線は、先生御指摘のとおり、過去において非常にひどい災害を受けております。特に昭和三十七年の二月に、約四十日間不通になりました。それを受けまして、三十七年の五月に土讃線防災対策委員会というものをつくりまして、各系統の学界あるいは技術者の権威者を集めまして、それぞれ三つの部会に分けて検討していただきました。その三つの部会と申しますのは地質、土質、対策の三専門部会でございます。地質専門部会といいますのは岩質及び地質を専門的に見て判断していただく、土質部会は地すべりを主体にして判断していただく、対策専門部会というものは、それらを受けましてどういうような列車の安全運転上の措置をするかということで検討をしていただいたわけであります。  約二年間にわたりまして、阿波池田−繁藤間全線にわたりまして、線路を中心として幅五百メーターの間の岩石と地質構造を詳細に踏査していただきまして、二年たちまして昭和三十九年十二月に答申がなされております。その答申がいま先生のおっしゃったとおりでございまして、この答申では、確かにその結果百二十八カ所の危険地帯が摘出されましたが、この中にはすでにルート変更された個所とか、あるいは線路から見ますとある程度距離的に離れておる、したがって、さほど危険が感じられないというような個所も含めておりますので、これらを総合的に判断しまして、対策専門部会のほうで対策が指示されたわけであります。特に繁藤に最も近い個所は、繁藤から約五百メーター高松寄りに追廻トンネルというものがございますが、これは追廻トンネルの南方斜面から阿波池田にかけて非常にあぶないというように指摘を受けております。繁藤の構内は今回は崩壊いたしましたが、過去においては地すべりの経歴は全然ございません。また当地区は、四国山脈の中でも一番の多雨地帯でございまして、年間三千四百ミリという記録が毎年出ております。土讃線沿線の平均は二千五百ミリでございますから、過去において相当洗礼を受けてきておりますが、災害がなかったということも受けまして、おそらく専門部会のほうで答申をいただいたと思います。  その答申の結果、私のほうは、大歩危—土佐岩原間に二カ所の迂回のトンネルを掘り、大杉—角茂谷間に一カ所の迂回のトンネルを現在工事中でございます。あわせまして、のり面とか排水設備を十六カ所全部施工完了いたしました。したがいまして、この委員会では、繁藤は大体線路の中心から——国道がございまして、国道から民家がございましてのり面ということになっておりまして、その間の距離が約四十メーターくらいの余裕がございます。したがいまして、過去においても地すべりがないということで、ある程度安定した地質、しかも四十メーターの線路までに余裕があるというところから、この専門部会では、繁藤の北二百メーターのところを始点として阿波池田までを指摘されたということでございます。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官にこの際お聞きをしておきたいのですが、国鉄が地質調査をして安全地帯だと、こういうふうに判定をここでしておられる。建設省は——もう時間がありませんから建設省の御答弁は省略をいたしますが、三十二号線の調査については地質の調査をしておられない。逆に言うと現道舗装で繁藤あたりは終わっておる。地質の調査というものは一つもしておられない。しかも人家というものは山に張りついておる。学者あたりは破砕帯で非常に危険な個所だと、こう言っておる。いま、もしかりに国鉄なり建設省なりどこかが、ここは危険個所であるということを指摘をしておったら、私は二次災害は防げたと思うのです。危険なところで人命を失った人たちを発掘する場合、監視員がついて二次災害を防ぐというのは、これは消防団の常識、救助作業の常識なのです。ただ、いま言われたように何百年間安全だったという、そういう感覚が私は二次遭難を引き起こして、とうとい人命を失ったと思うのです。そういう意味で、私は危険個所の指定のあり方について抜本的なメスを加える必要がある。建設省建設省、国鉄は国鉄、各省庁がばらばらではなくて、もっと密度のある危険個所の総点検というものを抜本的にやり直す必要がある、私はそのように思うのです。そういう意味で、長官のそういった方針についてのお考え方をこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
  33. 本名武

    ○本名国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、実は今日まで二回にわたりまして、関係省庁といろいろ打ち合わせをいたしました。そして、今次の災害がどうも常識、と申し上げると変でありますけれども、従来の災害とは異質なところがある。その第一は、いま御指摘のようなことでございます。危険地区の指定につきましても、従来の観念やあるいは目で見た地形等々から判断いたしますとそれは誤りであるぞということを、はっきり教えられたと思うのであります。したがって、先ほども申し上げましたが、これを機会にひとつ全国の危険地域というものを再検討する、その再検討にあたりまして従来の観念や、あるいは百五十年、二百年を基準とした水量の測定のもとにいろいろな施工を行なうというようなことなぞも、もう一度あらためて検討する必要があろうと考えておりまして、関係省庁に対しては、その再検討とあわせて、そういうことについても留意するようにということで申しつけてあるわけでございます。しかし、それをどう扱ってどう実現するかということは、ただいまここで申し上げる段階まで立ち至ってないことははなはだ残念でございますけれども、御趣旨をよく理解いたしまして、今後積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間がありませんから、各省庁の方たくさんおられるのでお願いしたいことものりますが、しかし基本的なことだけ質問さしていただくわけでありますが、いずれにしても、いまの議論を聞いておりましても、やはり天災だ、何百年に一回の降雨量だったということで、いつの委員会でも、すべてこれは自然現象に責任をなすりつける。ですから、いま長官が前向きの答弁をなさったが、私は、やはり事前の防災体制を確立しておけば人命は救うことができる、災害を防止することができる、そういう立場に立ってあくまでも防災というものは進めていただきたい、そのことを希望として申し上げておきたいと思うのです。  最後に、これは要望になりますが、その一つは、建設大臣熊本のほうに行きまして、法律のワクを越えてどんどん金は使え、もう幾らでも出す、こういう発言をしておられる。私はその意気込みは買うべきだと思うのです。そういう前提に立つならば、私は——いままでどうも、激甚災害の指定あるいは天災融資法の発動といったようなことは、ある程度査定官の査定を待たなければ発動しない、非常に時期おくれになってくる、その間にまた二次災害が起こる。また台風も来ておるわけでありますから、そういう意味で、この際長官の前向きの答弁として、今回のこの災害について、梅雨前線全体をひっくるめて激甚災の指定にする、天災融資法の発動をするのだ、こういう方針で罹災者なりあるいは罹災の市町村に対して激励をする、法律的にも木村大臣が言っておることの裏打ちを早急にしてやる、そういうことが私は必要だと思うのです。そういう点についてひとつ長官の発言をいただきたいと思うのです。
  35. 本名武

    ○本名国務大臣 御指摘がありましたとおり、激甚災の指定並びに天災融資法発動等は、これは罹災者の方はもとより、今後の生活並びに生業のことを考えますならば、いっときも早くしなければならぬと思っておりますが、台風の場合ですと何号台風災害といって、かなり短期間のうちに災害の査定ができるわけでありますけれども、今次のような梅雨前線の停滞ということになりますと、一たん起きてまたどこかに行って大雨を降らして、さらに二次災害が起きる、あるいは三次災害、四次災害さえも予測されるのではないかという気象状況がうしろのほうに待ちかまえているということを考えますと、この査定もなかなか容易でないのでありますが、ここで御指摘がありましたので私申し上げたいと思いますけれども、このように長期にわたる累次の災害に際しましては、少なくともいま定められております査定基準に到達といいますか、それを上回る被害のあった場合には、全部の災害査定が終わらなくても、その途中においても指定並びに発動はすべきではないかと考えております。しかし、これは事務的にはいろいろな困難があろうと思いますが、災害に対応する施策としては当然あってしかるべきだと思う。激甚災の指定を行ない、天災融資法の発動をいたしましても、即刻ただいま金が出るとかつくとかということではないにいたしましても、地元をはじめとして国のいろいろな施策、工事についても前向きに、しかも早急にかかれるという点からも、また住民被災者に対しても心の上で安堵の一部でも与えられるならば、ぞひそういう措置をとっていきたいと考えているわけでございます。  そういうような意味から、ただいま建設大臣熊本における御発言もございましたが、さっき副長官から御説明があったかもしれませんけれども、災害をこうむった方々に対する弔慰金の問題であるとか、あるいは消防団員、御協力いただいた方々一般人に対する賞じゅつ金の問題等は、昨日大体方針を決定して、これを即刻実施するという運びに至りました。このようにして、災害については特に迅速を期するということを旨としてまいりたいと考えております。
  36. 松浦利尚

    松浦(利)委員 前向きの御発言ですが、積極的に激甚災の指定、天災融資法実施していただきたい、早急にやっていただきたいということを、またくどいようですが、要望として申し上げておきたいと思います。  その次に、各県から要望がたくさん出ておるわけでありますが、この問題についてもぞひ実現をはかっていただくことは当然でありますけれども、その中で一つ重要な問題は、えびのの場合、集落が土砂によって流されてしまいました。約三十万立米近くの土砂で流されてしまって、実際にそこでまた集落を編成するといってももう不可能です。あるいはそこで耕作を続けるといっても、原形に復旧させるための工事というものは非常に多額の金を要してむずかしいと思う。そういう意味で、先ほど宮崎県の副知事も話しておりましたが、災害に伴う集団移転ですね、もうもとのところに戻れないわけだから。だから、そういう場合には別個のところに集団移転する。そういうものに対して、土地購入資金とかあるいは建築資金とか、こういったものをある程度積極的に法制化する、援助する、そういうことがこれから必要になってくるのではないか。過疎対策に伴う集落移転等の手続はありますけれども、これも自己負担が二割あって、なかなかまとまらない。そういう事情でありますから、こういう災害に伴って集団移転する場合の措置、こういう点についての大臣の所見を承りたいと思うのです。
  37. 本名武

    ○本名国務大臣 御指摘のように、えびのなどは典型的な、いわゆる村落ぐるみたいへん悲惨な目にあった。したがって、二度とえびの地区における村落の形成は困難である。ひいては全員が離村しなければならないというようなことも考えられないわけではございません。また、そのような例が天草方面にも見受けられるようであります。ごのことは非常に重大なことでありまして、いま御指摘のように、移転先に対する対策ももちろんとるべきであろうと思います。  またさらには、第一に避難住宅をはじめとして、いままでどおりその部落に残って生業が続けられるような体制をつくるという意味からも、住宅に対する、プレハブ等応急であるにいたしましても、何らかの措置を講じて、安定できるようなことも考えていく必要があろうと考えておりますが、そういう意味からも、御指摘に対して、関係省と十分速急に打ち合わせの上検討いたしまして、善処してまいりたいと考えております。
  38. 松浦利尚

    松浦(利)委員 与えられた時間が参りましたからくどくどと申し上げませんが、また台風が襲来をしようとしておるわけですから、人命だけは損傷しないように、少なくとも避難措置は的確にやる。土佐山田の事故も、避難措置が的確であればあるいは防げたかもしれない。そういう意味では、人命尊重の立場からそういった避難対策を的確に、自治省等を通じて各市町村に指示をする、こういったことについてぜひ御配慮いただきたい。  それから同時に、これは自治省関係消防関係になると思いますが、土佐山田一般の方の事故については、いち早く政府が弔慰金等の措置をしていただいたから、これはけっこうでありますけれども、御承知のように、過疎地帯ではもう消防団に入る人がおらない。土佐山田の場合には、ほかの部落の方が応援に来ておってなくなられたわけです。土佐山田町のほかの字から来て人命をなくしておるわけですから、この措置を誤ると、私は今後の防災活動に重大な影響を与えると思うのです。そういう意味では、御承知のように消防法なり消防組織法あるいは消防団員等に関する弔慰金等の政令、こういったものをある程度手直ししていただいて、そういった一般人の協力に対しても即座に発動できるという法体系に進めるべきだ、常設消防のないところには特に必要なことだと私は思うのです。それについて自治省なり消防庁から、最後に的確な答弁をいただきたいというふうに思います。
  39. 山田滋

    山田説明員 ただいま御指摘がございました点につきましては、先ほど総務副長官からお話がありましたように、今回の内閣の方針といたしまして、消防等の協力者に対してぜひ特段の措置を講ずべきであるということで、現在私どもと大蔵省と鋭意内容を詰めております。本日中にも最終結論を出す予定でございます。  御指摘のように消防は、特にそういった山間僻地等におきましては、協力者の援助なくしてはその成果があがりません。まして同じような災害に際しまして協力をいただいておるわけでございますから、できる限りこれに手厚く措置をいたしたい、かように存じておりまして、現在努力中でございますので、よろしくお願い申し上げます。
  40. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後になりましたが、今次災害でなくなられた方の冥福をお祈りすると同時に、被害を受けられた国民の皆さんに心からお見舞いを申し上げるわけであります。現地では一生懸命災害復旧等に努力しているわけでありますが、何といっても遺体があがらない。現実にまだ遺体があがっておらないところがたくさんあるわけでありますから、そういう意味で早急に遺体を発掘していただいて、遺族の気持ちを少しでもやわらげるように格段の御配慮をいただきますことを心から期待をしお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  41. 高田富之

  42. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和四十七年六月ないし七月の断続して発生した梅雨前線豪雨による災害について、本名総務長官をはじめ関係当局に質問いたします。  今次災害犠牲になられた方が数多く、また遺体の発掘が済んでいない方もたくさんあるわけですが、まずもって心から御冥福を祈ると同時に、数多くの重傷、軽傷者の方の一日も早い御全快と被災者の皆さん方の早急な御再起を、心からまずもってお祈りいたす次第であります。  私は、特に今次災害最大の人的被害を受けました熊本県について重点的に質問をいたしたい、かように思うわけであります。  私も、去る六日の夜から九日に至る四日間急遽現地へ参りまして、熊本県下一円並びに鹿児島の一部等つまびらかに調査をいたしてまいりました。   〔委員長退席、川村委員長代理着席〕 本日の当委員会の冒頭においても、熊本県小山副知事並びに沼田県会議長からの陳情もございまして、詳細は省略をいたすことにいたしますが、長官が出席されましたので、要点をちょっと申しますと、熊本県だけでも十九市町村災害救助法が適用されまして、死者が百十三名、行くえ不明八名、計百二十一名という未曽有犠牲者を出したわけであります。目下自衛隊協力を得て遺体の発掘に全力をあげてやっておる次第でございます。全半壊が九百十二戸床上床下浸水が四万五千戸、被害はまだいまから増加をしていく状況でございます。被害総額が現在で三百十七億になっていますけれども、天草の激甚地をまだ調査しておりませんので、これらの調査が進めば五百億に達するという、こういうような現状でございます。  明日は衆議院の災害対策特別委員会現地調査団を派遣していただくということで、現地は心から待ち望んでおるところでございます。  そこで、さっそくでございますが、時間の制約もございますので、簡潔に質問をしてまいります。  まず、本名総務長官にお尋ねしますが、六月から七月にかけて、ただいまも断続的に雨が降っておるわけでありますけれども、激甚地災害の指定並びに天災融資法早期発動をやっていただきたいのでありますが、五月にも一部雨が降っております。こういったものを一括して、すなわち一体化して指定をされる方向であるか。また、これらの見通しについてはどういうふうに考えておられるか、冒頭明快にお答えをいただきたい、かように思います。
  43. 本名武

    ○本名国務大臣 先ほど松浦委員にもちょっと申し上げましたが、御指摘のとおり激甚災の指定等は一日も早いほうがいいことは、私も承知いたしております。ただ、お話にありましたとおり、六月から今日に至るまで累次の災害をこうむっております。そんな関係で、いわゆる指定基準の調査につきまして非常に困難をきわめている状態であります。今日のところ、これが基準査定に至りますその以前の調査が十分にまとまっていないというのが遺憾ながら現況でございます。しかし、さっきも申し上げましたように、この段階においてまとまったものから一応検討を加えて、でき得るならばさらに進んで、あとの災害を想定されましても、指定基準に達するものについては何とか指定する方法はないものかと、いま一生懸命そのことを検討いたしておるのでございまして、御指摘のように、でき得る限り努力をいたしまして、指定がすみやかに行なわれるように善処いたしたいと考えております。
  44. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ぜひひとつこれらの指定を急いでやっていただくように、特にお願いをいたす次第であります。  さらに、この災害復旧に関する緊急査定の実施及び査定設計の簡素化の問題ですが、冒頭熊本県の副知事からも要請がありましたように、テンポがおそい。しかも台風が六、七、八号とまた北上しつつあるという現況から、二次、三次災害も起きる可能性もございますので、緊急に査定等実施して、今後応急復旧等をやっていかなければならないということになるわけですが、当然事前工法協議で査定なしでやるという方法でやれるわけでありますし、河川決壊、道路決壊等、応急復旧をやっていかなければ物資の輸送あるいはまた救助も困難を来たすという状況でございます。そういった点についてもどういうふうに、今後次々に起きる災害に対して当局はお考えであるか。  さらには、私が聞くところによると、本省における査定官が二十名ぐらいしかいない。実際に県、市町村段階でいわゆる被害額調査が進んで本省へこれを要請し、査定に来ていただくということになるわけでありますが、このような査定官では足りるかどうか。こんなことでは全国的な災害に対してとても充足できないというふうにも思うわけです。こういったことからたいへんおくれるのではないかというふうに心配をするわけですが、この点については本名総務長官はどういうふうにお考えであるか、対処されるか、その方針を承っておきたい。
  45. 本名武

    ○本名国務大臣 いろいろ具体的に査定についてのお話がございましたが、先ほど申し上げましたように、査定に至りますまでにはそれぞれの手続がございます。町村をはじめ県の責任においてお仕事をいただかなければならない。また中央におきましてそれを集計して、それぞれ査定作業を行なわなければならないと考えております。それらにつきまして、関係者のほうからひとつ詳しく御説明するようにいたします。
  46. 川崎精一

    川崎説明員 お話しのように、私どももできるだけ早急に査定を完了いたしたいと考えておるわけでございますが、当面やはりとりあえず道路復旧、あるいは河川等でございますとかりの護岸復旧、こういったものが非常に急がれるわけであります。そういった意味で、私のほうも応急復旧のための工法指導、こういうものに対しましてすでに高知県のほうは大体終わっております。それから熊本につきましては、天草を終えまして、現在八代その他の方面に査定官を派遣いたしております。なお近く、山陰方面の災害がございますので、こういったもの、それから東北関係も急いで派遣をする準備をいたしております。したがって、応急的なものについてはまず心配はないかと思いますが、なお本査定につきましては、お話しのように査定官が数が限られておることは確かでございますけれども、これは私どものほうで地方建設局が八つございますので、かねがねこういう場合に備えまして、一応災害の事務取り扱いの研修等も行ないまして緊急時に備えるようにいたしておりますので、昨年もやはり同様でございましたけれども、できるだけそういったところから査定の応援を出しまして、早急に完了するようにいたしたいと思います。  なお、県並びに市町村等におきましては、やはり設計その他に追われるわけでございますが、設計書等のできるだけ標準化、簡素化、こういったことにつきましては昨年以来かなり努力をいたしておりますので、そういった意味ではだいぶ前進をしておるのじゃないかと思っております。  なお、むしろ県なり市町村に、大災害のために人員なりそういったものがかなり不足しておるのじゃないかというようなことを、私も先般天草等に参りまして痛感をいたしましたので、もしそういった点で不足があれば、私のほうでも全国的に他県からの協力も考えられるからというようなことで、十分知事並びに土木部長等にはそういった趣旨を伝えておいた次第でございますので、御希望に沿いますようにできるだけ努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  47. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、個人災害救済制度についてでありますが、災害弔慰金は一件十万円で国が二分の一補助ということで、総理府から先ほど発表があって、長い間懸案であった個人災害に一歩前進ということでございまして、今後制度の拡充また法制化、整備につとめなければならぬということは当然でありますが、これらについてはまた今後ひとつ政府当局も努力していただくということにしまして、こういった個人災害救済制度について、今回熊本県においても百二十一名、また他県においてもたくさんの方が現在もなくなられつつあります。この個人災害救済制度災害適用範囲、これは五月、六月からの断続した雨についての被災者等も考慮されるものか。今次災害というのはいつからをさすか。災害による即死者は当然のことでありますが、災害原因でその後なくなられた方も当然入るというふうに了解していいのか。当然だと思いますが、はっきりひとつ長官から承っておきたい。さらに、行くえ不明者は当然入るというふうに了解しておりますが、そのように理解していいか、ここで確認をいたしたいと思いますので、長官からお答えいただきたい、かように思います。
  48. 本名武

    ○本名国務大臣 ただいまお話ございました個人災害に対する問題は、かつてこの委員会におきまして四十八年度から実施するということの構想をおまとめいただいたわけでありますが、実はこのような大きな災害がその前年である今回起きて、今回の個人災害をそのままにしていいとは考えておりません。したがいまして、時間的に委員会に御相談する余裕はございませんでしたが、前回おきめいただいた四十八年度から実施するというその御構想を今年からひとつ生かしていきたいということで、急遽本部におきまして相談をいたし、昨日の閣議においてこれを提起いたしまして、一応その方向で進めるということに閣議は決定いたしました。直ちに財政当局その他関係筋と相談をいたしまして、今年度からこれを実施することにいたしたわけでございます。したがって、これは六月から今日に至るまでの個人災害あるいは今後想定される——不幸なことでありますから想定はいたしたくありませんが、もしあったとするならば、それらを含めて、個人には、十万円の弔慰金をお払いになった地方団体に対して国は二分の一の補助金を支出する。なおつけ加えて、この対策は行くえ不明者にも適用いたしたいと考えております。
  49. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間の制約がございますので、あと若干各省に質問をしましてお答えをいただきたい。答弁は、時間の制約がございますので、簡潔にお答えをいただいてけっこうであります。  今次天草の災害の起きました特に激甚地を見ましても、天草の山というのは、山から海に、いわゆる海岸に直結しており、この山自体が特殊な地層を形成しており、頁岩といういわゆる岩石の上に表土があり、その下にまたやわらかい砂利層があるということで、これが重なっております。そういったことで、今後この抜本的な山腹工事あるいは治山工事等をやらなければ、とても普通の工法ではいかない。すなわち既成の考え方ではとてもだめじゃないかということが今回明らかになっております。そういうことで、今回山からくずれた泥が海に流れ込んで、漁場をいわゆる堆積土によってこわすというような状況が起きております。こういったことから、事情はよくおわかりだと思うし、また現地をよく見ていただきたいのですが、今後こういった天草のような頁岩による特殊地帯に対する治山工事、予防治山についてどういうように考えておられるのか。また、たくさんの漁港が堆積した泥土によって埋まっておる、これらの漁港の復旧についてはどういうように考えていかれるか。また、激甚法の適用をしていく考えであるのか。さらには、これらに伴ういわゆる建設省関係道路その他についても当然今後工法を考えなければならぬということになります。こういったことについて簡潔にお答えをいただきたい。  さらに、今回の災害で農業関係が、熊本県でも百ヘクタールの水田が冠水によって腐敗し、また土砂によって埋没しております。いまから急げば、品種によっては苗を植えかえることができるわけですが、こういった植え直し苗の確保については見通しがあるのか、お考えをお聞きしたい。  もう一点は、熊本市内を貫流している一級河川白川の水がはんらんしたために、昨年も調査していただいておるのですが、明日もまた現地を見ていただくことになりますが、白川のはんらんによってたいへんな被害を受けております。早急に白川ダムの建設をしなければならない。そういうことで、青写真等できておるのか、来年度から着工できるかというようなこと、白川の抜本的な改修をしなければ、まさに熊本県は水害戦争というような異名をとるような状況になっております。また、毎年同じところが浸水するということで、県民も国の手ぬるい対策にあきあきするという状況になっております。よって、根本的には水害常襲地帯の解決には白川の改修の促進をはかることが大事で、さらに護岸立ちのき、河川敷にある建築物の移転問題を急いで解決していただきたい。こういうことについて簡潔にお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 福田省一

    ○福田説明員 では、治山のほうからお答えいたします。  天草の上島は地質的にも白堊紀より第三紀に属しまして、主として頁岩、砂岩の互層からなっております。この山地における崩壊は二種類ございまして、一つは平面の面的な崩壊、これは二、三ヘクタールのもので、三カ所程度になっております。その他の大部分は木の枝のような、つまり樹枝状の崩壊をしておるものでございます。  この面的な崩壊地に対しましては、一番下の部分を基礎としたコンクリートによって土どめ工、これを数段施工しまして、さらに雨水及び湧出水、これを安全に排除するために排水工を行ない、それから崩壊面全面に対しましては、この土地に適しました草あるいは樹木を山腹工事として行なう、こういうふうに考えておるわけでございます。また、木の枝の状態になっておるいわゆる樹枝状の崩壊に対しましては、大量の降雨水の急速な流れによりまして浸食により生じたものでございますので、溪床勾配の緩和と両岸の山腹の安定をはかるために谷どめ工を施工してこの復旧をはかりたい、こう考えておるわけでございます。  なお、今後荒廃の危険のあります山地に対しましては、保安林に指定しまして林分を改良するとともに、予防治山によりまして谷どめ工、いわゆる土どめ工を施工しまして山腹面の安定をはかり、荒廃の未然防止につとめてまいりたい。  なお、以上の点につきましては、関係建設省その他とも十分連絡をとって実施してまいりたい、かように考えております。
  51. 川崎精一

    川崎説明員 お答えいたします。  白川につきましては、昨年も先生に御説明申し上げましたように、四十六年度の予算は六億八千万くらいでございましたが、補正を約九億九千万、さらに四十七年度は八億、こういったことで、私どもといたしましては全力投球をいたしておるつもりでございます。  なお、いろいろ用地等の問題もございますが、御承知のとおりでございまして、できるだけ地元市県と一緒になりまして、早急に移転を含めまして解決をいたしたいと考えておる次第でございます。  なお、白川ダムにつきましては、これはいろいろ国立公園あるいは環境の問題、こういったものがございまして、実はまだボーリングもできないような状況でございます。しかし、私どもといたしますれば、何とかしてああいったところにダムの建設を急がないと、とても白川の安全性を守れない、こういう立場でいろいろ折衝をいたしておりますが、最近ようやく県の当局も積極的に動いていただいておりますので、近く本格的な調査に入れるのではないかと思います。したがって、そういう調査の結果を待って早急に着手できるかどうか判断をいたしまして、できるようであれば、私どもも予算要求に問に合わせるようにしたいと考えておる次第でございます。  なお、天草につきまして、私が十日に参りまし  たが、自衛隊協力を得まして、あと二、三日程度で大体主要幹線は復旧できるようでございますので、あとあと資材とか大型の機械も各町なり部落に入ってくるのではないかと思います。まず第一にそういった道路復旧を通じて今後の根本的な対策を立てていきたいと考えておる次第でございます。  なお、災害がずいぶんたくさん出ておりますが、私が見ました範囲では、どうも土石流に伴う災害ではないかというふうに思いますので、これにつきましては、先ほど林野のほうからもお話がございましたように、近く私どものほうと共同で係官を出しまして、それぞれ所管の分担等を行ないまして、できるだけ円滑に敏速に復旧に努力するようにいたしたいと考えておる次第であります。
  52. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  第一点の、被害を受けました水田についての再移植の問題についての苗しろの確保の問題でございますが、ただいまのところ、現地から受けております報告によりますと、ほぼ周辺で確保できる。たとえば熊本でございますと、イグサのあと地の苗しろというようなことによって可能であるというような報告を受けておりますが、なおその確保については、国といたしましても十分指導、協力をいたしたいというふうに思うわけでございます。  なお、漁場についての土砂流入の問題でございますが、われわれといたしましても、天草の姫戸町その他にその事例があるというふうな報告を受けましたので、水産庁関係から急遽現地に人を出しまして、その状況なり復旧方法その他について、早急に結論を出したいというふうに考えております。
  53. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で終わります。
  54. 川村継義

    ○川村委員長代理 次に、古寺宏君。
  55. 古寺宏

    古寺委員 私は、総務長官並びに河川局長が二時に御退席なさるという御連絡がただいまございましたので、最初にまとめて御質問申し上げたいと思いますが、ただいま瀬野委員のほうから、個人災害共済制度についての質問がございました。この問題につきましては、昭和四十三年以来国会で問題になりまして、四十五年、四十六年とすでにもう調査の段階を終えているわけでございますが、今日なお実現を見ていないわけでございます。先ほどの御答弁は、今回の災害によって犠牲になられた方々に対する弔慰金に対しての御答弁はございましたが、個人災害共済制度に対する確たる御答弁はなかったわけでございます。毎年のように、国会答弁あるいは新聞等によって、この個人災害共済制度を発足させるという、今日までたびたびの報道があったわけでございますが、今日なお実現を見ていないわけでございます。  今回の災害を見ましても、台風大雨というものは毎年の年中行事でございまして、当然この災害というものは未然に防止できる。しかしながら、現在の災害原因を見ますと、河川の改修その他に対しましても、非常に無防備の状態になっております。  河川局長にも一緒にお伺いしておきたいのですが、今回、秋田青森集中豪雨災害を見ますと、米代川水系あるいは青森県の岩木川水系、こういうものの堤防決壊が見られているわけでございますが、秋田県の米代川水系におきましては、昭和十一年以来この直轄工事が進んでおりますが、現在まだ二〇%足らずでございます。青森県の岩木川を見ましても五〇%にいっておりません。さらに青森県の例で申し上げますならば、第一次改修を要する河川の目標に対して、現在の進捗率はわずかに三〇%でございます。今回被害を受けました中村川あるいは追良瀬川、赤石川、こういう河川については全くの原始河川でございます。  こういうような無防備な危険な日本列島、こういう上に立って、国民は毎年のように被害を受けなければならない。その被害に対して何ら政府が責任を感じないのかどうか、非常に疑問に思うわけでございますので、総務長官からは、この個人災害共済制度の発足については、一体政府はどういうふうに今後取り組んでいくお考えか。  第二点は、田中総理は、日本列島の改造論を盛んに唱えております。決断と実行ということも盛んにPRいたしております。総務長官としては、この災害の危険列島、この上に一億国民は常に危険にさらされているわけでございますが、この日本危険列島を今後いかに改造して災害から国民を守るお考えであるか。  この二点について総務長官にはお尋ねします。  また、河川局長については、このように災害に対して無防備な日本の河川行政、特に米代川あるいは岩木川、そして中小河川に対する今後の対策についてお尋ねしたいと思います。
  56. 本名武

    ○本名国務大臣 まず、個人災害に対する共済制度の問題でありますが、お話のとおり、数年来この検討を真剣にいたしてまいりました。  検討を進める過程におきまして数多くの問題点があったわけでありますが、第一は、加入の方式についていろいろなむずかしい点が出てきたわけであります。こういう種類の共済でありますから、これは当然強制加入の道を選ぶのが必然だろうと思いますが、強制加入のその実態というものをつぶさに検討いたしますとなかなか容易なことではないのでございまして、したがって、共済制度そのものの成立というものが非常に困難であるということに相なったわけであります。しかしながら、個人に対して何らの処置もしないということは、これはまことに不都合でありますので、先刻来申し上げましたように、今回、個人災害に対する弔慰金の形でとりあえずこれを実施に移していこうということにいたしたわけであります。  それから第二点の、災害に対する今後の処置、特に災害を未然に防止するということでありますが、災害は起きることを期待いたすものではありませんが、起きないために、その根幹を断ち切るための努力はたゆまずやらなければならない。同時に、今次の災害によっても示されたとおり、災害というものは思わざるところに、しかも思わざる大きな被害をもたらすということでありまして、これはむしろ、公共事業やその他数多くの緊急を要する事業がたくさんございますが、それと同様に、私は防災に対する総点検、洗い直しをいたしまして、その上に立って防災体制というものをまず確立することが第一であって、災害が起きた場合の救済策は、ともにその後にそれと関連して考えていく。災害による救済対策をどうするかということ、これは災害が起きましたときには当然処置しなければならないことでありますが、やはり原因究明すると同時に、幾多多様な原因に対して、あるいは災害の実態に対して、それぞれ対応できる根本的な基本的な施策を講じていくということに全力を尽くしてまいりたいと考えているわけでございます。
  57. 川崎精一

    川崎説明員 私どもの所管しております一級河川、二級河川、全延長で申し上げますと約十一万五千キロ程度ございます。そのうち要改修というような区間が約七万キロ弱、そういったことでございますので、非常に膨大な改修費を必要とするわけでございます。現在の進捗率が大体、直轄河川で平均いたしますと約三割程度、それから中小河川でございますと一五%強といったのが全国の平均かと思います。したがって、米代川その他につきまして、先ほど来先生のお話は、まさにわれわれの治水事業の道の遠きを思わせる、確かにおっしゃるとおりの数字であろうかと思います。  特に米代川につきましては、これは下流のほうは一応暫定的な改修を終わっておったわけですが、報告によりますと、計画水位をさらに約七十センチも上回っておったというようなことで、かなり異常な降雨の結果とは思いますが、そういったものでも、さらに安全を持たすために、私どもも調査し工事を急がなくてはいけないと考えておる次第でございまして、河道の改修、堤防のかさ上げ、同時に上流にはダム計画、こういったものも含めまして、ひとつ早急に米代川等は見直して、根本的な改修計画のもとに事業の促進をいたしたいと考えております。  なお、今回、四十七年度から私どもも、全体の治水事業を促進する、こういった意味で第四次の治水事業五カ年計画の策定に踏み切ったわけでございますが、こういった計画を踏まえて、むしろ計画以上に促進するぐらいの意気込みで私どもも取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
  58. 古寺宏

    古寺委員 いま総務長官から御答弁をいただきましたが、個人災害共済制度につきましては、これは当然財産被害というものも含まれるというふうに私どもは判断しているわけでございます。   〔川村委員長代理退席、委員長着席〕 今回の災害におきましても、家財道具を流されたり、いろいろと被害は窮乏に追い込まれているわけです。こういう方々に対する救済してあげる方途というものは、現在何らございません。そういう補償制度を確立してあげるということは、当然政府としてはやらなければならないことです。私が前にこの委員会で、前の総理府長官にお尋ねした際には、必ずこの個人災害共済制度をスタートさせる、こういう御答弁をいただいているわけでございますが、先ほどの長官の御答弁によりますと、何かしら後退したような感じを抱くわけでございます。個人災害共済制度の任意加入あるいは強制加入の問題はともかくといたしましても、四十五年、四十六年の総理府調査によりますと、すべての国民がこの制度の実現を希望しているわけです。こういうような国民の要望になぜこたえられないのか。これは大蔵省あるいは自治省等とのいろいろな折衝もございましょう。しかしながら、先ほど私が申し上げましたように、田中総理のおっしゃるいわゆる決断と実行、このモットーを大臣の一員として実践なさるならば、当然前向きの答弁があってしかるべきもの、私はそういうふうに考えておったのですが、先ほどの御答弁は、いままで総理府が取り組んできた個人災害共済制度に対する考え方については後退のそしりを免れない、こういうふうに感じた次第でございますので、この点については再度御答弁願いたいし、さらに、日本列島改造論の中にどのようにこの災害防止というものを位置づけて改造していくかという根本的な姿勢、これがまだはっきり御答弁に出てこないわけでございます。いま河川局長からお話がありましたように、全国の河川を改修するとすれば三十六兆円もお金が要る。そういうような予算措置は、当然これは急速にはできないとは思いますが、非常に原始河川も多い。ダムもおくれている。河川の堤防の決壊危険個所というものは全国至るところにございます。こういうような無防備なままで、災害に対してどういうふうに今後予防していくのか、そしてこの日本列島の上に住んでいる日本国民のこういう不安をどういうふうにして解消してあげるのか、この点について明確な御答弁をもう一度お願いしたいと思います。
  59. 本名武

    ○本名国務大臣 先ほどことば足らずで失礼いたしました。  共済制度については、今日までいろいろ検討してまいりました。したがって、その検討過程中ではございますけれども、関係省からは、四十七年度予算としてたしか四十数億の要求をしたわけであります。しかしながら、先ほど申し上げました加入方式の問題であるとかあるいはこの制度存続に必要な基金の取り扱いの問題であるとか、いろいろな解決しにくい問題を残したままで予算を確保することができなかったわけであります。したがって、今後におきましてもこの制度についてさらに検討していくことは当然でございます。同時に、それができ上がるまでは何もしないんだというようなことではいけないので、今日の措置によって可能な、個人に対する見舞金と申しますか、弔慰金の制度だけは、今年からひとつ実施に移したいということにいたしたわけであります。  それから、日本列島改造論につきましては、これはいろいろな御批判があろうと思いますけれども、いかなる目的のもとに日本列島の改造をするかということの中には、おそらく防災に対する考え方というものが当然含まれなければならない。これを忘れては意味がないと思うのでありまして、今度のあの田中総理構想に対して、実質的に肉づけのできる施策を今後において実行に移していくことになろうかと思います。したがって、その中における防災対策については、基本的なやり方の変更の上に立って、それこそ基本的な防災改革の上に立って処置をしていくようにいたしたいと、努力いたすつもりでおります。
  60. 古寺宏

    古寺委員 どうもはっきりした御答弁がなくて残念でございますが、時間でございますので、次に移ります。  農林省にお尋ねしますが、秋田の場合で申し上げますと、仙北地方、ここに農林省の農業水利事業として、玉川というところに頭首工をつくる予定になっておりましたが、この工事がおくれているために今回非常に大きな災害をこうむったわけでございます。こういうような農業水利事業が非常におくれているということが一つございます。頭首工がなければ当然農民は困るわけでございますので、これに対しては今後どういうような対策をお進めになるかということが第一点。  もう一つは、青森県には六月以来、黒星病というリンゴの病気が流行いたしておりまして、これに対しては緊急防除の問題がたびたび出まして、農林省にも再三陳情がなされたわけでございますが、今回の水害によってさらに被害が大きくなって、この水害が終わったあとでさらに蔓延する危険が多分にあるわけでございます。これに対して農林省はどういうような対策をお考えになっているか。  この二点について承りたいと思います。
  61. 住吉勇三

    ○住吉説明員 ただいま御指摘のございました、農業水利事業の頭首工等が非常におくれておるというようなお話でございましたが、全国的に見まして、農業水利事業の地区によりまして、地元の問題とか用地問題とからみまして、非常に順調に進んでおる地区とおくれておる地区のあるのは事実でございます。しかしながら、着工いたしまして、ただいまお話しございましたように非常に遅延しているということは、事業効果を一刻も早く発生するという面から見ましても、効果の発生が非常におくれておるわけでございますので、今後は着工地区、特におくれておる地区につきまして重点的に事業の促進をはかりまして、一刻も早く効果を発生させるという方向でただいま努力しておるところでございます。
  62. 内村良英

    ○内村説明員 リンゴの黒星病の点についてお答え申し上げます。  御承知のとおりリンゴの黒星病は、本年新しく青森県の一部、いままでなかった地域等におきまして新発生を見ているわけでございますが、この一病気は六月の中旬から七月の初めまでに出まして、温度が高くなると一応終息する。しかし秋になるとまた出てくる病気でございまして、私どもといたしましても、今度の梅雨前線がこの黒星病にどういう影響を与えるかということを心配いたしまして、県のほうにも照会したわけでございますが、いままでのところは雨の影響はあまりないというような報告を得ております。  いずれにいたしましても、この病気につきましては、この際緊急に防除措置をとる必要がございますので、農林省といたしましても、今後の蔓延及び被害の防止に必要な防除農薬費並びに調査指導費について補助することといたしまして、現在関係県と密接な連絡をとりながら、発生面積の確定等、補助金の支出について必要な事務を詰めております。私どもといたしましては、今後八月、九月につきまして、秋の発生というものを押える意味で防除作業が必要になりますので、その点について補助をしたいということで現在作業を進めておる段階でございます。この点につきましては、極力早く決定して関係県に通知したいというふうに考えております。
  63. 古寺宏

    古寺委員 時間がございませんので、きょうはこれで質問を終わらしていただきますが、残っている部分につきましては次回に質問をさしていただきたいと思います。
  64. 高田富之

  65. 中野明

    中野(明)委員 今回の一連の災害、けさほどから御報告がありましたとおりでございますが、私は、高知県の土佐山田繁藤の山くずれ事故、それに関連いたしまして、やはり同じく七百ミリ以上降った雨のためにたいへんな水害を受けました安芸あるいは野市、その方面に関連して、焦点をしぼってお尋ねしたいと思います。  しかも、いまなお遺体が二十余体確認されておりません。こういう災害、史上まれに見る二次災害、もう現地に参りまして何とも言いようのない感情で一ぱいでございますが、とりあえず総理府にまずお尋ねをしたいことは、災害発生いたしましてから、人命救助のために各方面からいろいろ応援をいたしてもらっているわけでございますが、一番に私感じますことは、この災害人命の救助並びに復旧作業、これにつきましてのいわゆる指揮命令系統、これが各省各部署でばらばらでございまして、ちなみに申し上げてみますと、まず自衛隊が二百二十人、警察が二百四十人、消防が二百七十五名、建設省関係が五十人、国鉄関係が百六十人、日赤十三人、電電公社二十人、県側が六十人、町の側が三十九人、建設業者が百名、たき出しの人が百十名、合計千三百名もの人たちが出動をしているわけでありますが、現地に派遣団も来ていただきまして、つぶさに実情はおわかりと存じますが、国鉄はやはり国鉄の復旧を優先に考えているような傾向が見えますし、建設省国道を早くということで、地元災害対策本部長、県知事が本部長になっておりますが、私、今後の問題といたしまして、総合指揮本部長のようなものを制度上確立されて、そしてそのもとに総合的に打ち合わせをして復旧作業に当たるのが一番効率的ではないだろうか、このように痛感をしたわけであります。こういう特殊の事故でございますから、特にそういうことが目立ったのではないかと思いますが、県知事のほうも、それぞれ所管の省が来てやっている関係で、なかなか命令を出すということもできませんし、地元とのトラブルが絶えないという実情であります。遺族の人たちは一日も早く遺体の確認、これはもう心情まことにやむを得ぬものがあると私どもも思いますし、そういう関係でたびたびトラブルが起こっておるような現状でございますので、この点中央防災会議におかれまして、緊急処置として、災害が起こった場合の指揮命令系統の確立と申しますか、そこら辺を制度上何とかしていただくことが、今後の災害が起こった場合に復旧作業がスムーズにいくことになるのだと私も思うわけであります。最初にこの点お尋ねいたします。
  66. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 お答え申し上げます。  中央には、今度の災害に対しては非常災害対策本部というのを設けまして、総理府長官が長になっております。各都道府県に対策本部が設けられ、またその下に町村の対策本部が設けられております。政府といたしましては、防災体制の整備に遺憾なきを期しているのでございますけれども、いま先生のおっしゃいましたような各省間の連絡が不十分というようなことがあれば、これはたいへん申しわけないことでございますので、速急に、今後ともこういうことのないように、もう一度対策会議あるいは私自身各省に通達いたしまして、遺憾のないようにさしていきたいと思っております。
  67. 中野明

    中野(明)委員 いまの御答弁一応了承しますが、いわゆる地元災害でございますので、県知事が災害対策本部長としておるわけでありますので、その知事のもとでいろいろと総合的に相談をしながらやっていくというふうな制度災害のときだけ確立されれば一番スムーズにいくのではないか、私どももそのように感じるわけでありますので、今後検討方をお願いしたい、そういうことであります。  それからもう一点は、今回高知だけではございません、全国的に災害が起こっているわけでありますが、特にこういう特殊の異例な災害につきまして、県とか市町村では陣容も不備でございますし、なぜこのような悲惨な事故が起こったかという原因究明、これについては防災会議原因究明班のようなものをつくっていただいて、今後の災害の助けにしていただくということを、ぜひ私はこの際考えていただきたいということであります。  なおもう一点、この災害で異例の緊急処置として、個人災害の問題あるいは応援に行った人たちのことについての処置につきましては、一応私どもも前向きに評価をいたしておりますが、まだまだ不十分でございます。その点、今後の問題としてぜひ十二分の補償対策をお願いしたいということとあわせまして、これは現地に行ってみると痛切に感じますが、新聞、テレビで写真にも出ておりますが、二十軒ほど並んでおった中で十軒ほどがくずれたわけです。あと残っている十軒について、ここは全然被害災害も受けていないのでありますけれども、連日千五百名になんなんとする人たちが応援に参りまして、徹夜で不眠不休の作業をしてくれております。そういう関係で、その隣接しているところの各家は、災害は受けておりませんけれども、いわゆる災害に関連して、もう災害以上にたいへんな騒ぎであります。もちろん仕事はできません。家はもう自分の家か人の家かわけのわからぬような状態になっておりますし、道具類も、小さなことを申し上げるようですけれども、次々にあれを貸せこれを貸せということで、ほとんどもう災害にあった以上にたいへんな被害を受け、家族もろくに寝ていないというような現状であります。しかもこれから、全遺体が発見されるまで何日続くかわからないというような現状でございます。こういう人たちに対しても何かの救済措置と申しますか補償の措置、これをぜひ考えていただきたい、私たちはそのように思うわけであります。限界が来ているような気もいたしますけれども、そうかといって、痛ましい遺族の人たちをしり目に仕事に行くわけにもいかない、こういう現状であります。そこら辺の考え方を今後の問題としてお聞きしておきたいわけであります。
  68. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 災害関係については、ただいま担当官を派遭いたしまして原因調査に鋭意努力いたしておりますけれども、これが出てまいりましたら十分吟味いたして、今後の防災上の措置を十分していきたいということでございます。  また、原因調査だけではなくて、今後、梅雨前線がまだ停滞しておりますし、六号、七号、八号の台風が接近してくる状況でございますので、非常災害対策本部にいたしましても、この台風等が参りましても最小限の災害に食いとめたいということで、第二回の対策本部では総点検を本部長から命じたところでございます。  第二番目の御質問は協力者に対しての問題でございますけれども、これは、なくなられた方々に対しては消防団と同等の取り扱いをできるようにしようということで、いま大蔵省で検討中でございますし、閣議でも、総理が緊急命令として大蔵省に命じております。  ただ、第三番目の御質問でございますけれども、確かに何の災害も受けなかったけれども、その付近災害によって協力をされ、家業を休むあるいは勤務を休むというような状況の方が大ぜいさんいらっしゃることも私存じておりますけれども、まず第一に私たちいま考えておりますのは、罹災した方々をどうするんだということが第一点でございますので、この点についてはぜひもう一度検討させていただく時間をいただきたいと思っております。  ただ、鹿児島県の宮之城あるいはほかの熊本でもさようでございますけれども、宮之城の例を言いますと、営業をされて、水害でたいへんな水浸しになった、しかし激甚の指定がございませんので、それを復旧するにもなかなか金が借りられないというような場合、私としては、激甚指定が、総計が出ませんと、またこれから出ますと、この激甚指定に入らないこともございますので、ある一定期間猶予をいただかなければいけませんけれども、そういう御商売をやられている方々に対しては、いま融資をし、あとで金利等で激甚災害のもので利子を還元できるようなことができるのではないかということで、通産省にその研究方を依頼いたしております。  以上でございます。
  69. 中野明

    中野(明)委員 時間が制約を受けておりますので、はしょって申し上げます。  農林省と厚生省に一言ずつお尋ねをしておきたいのですが、ちょうど安芸市、野市町方面はたばこの刈り取り時期でもありましたし、しかも今回の山くずれが非常にたくさんありまして、耕地にたいへんな被害を受けております。これらの人々に対するいわゆる制度資金の貸し付け等についての今後の考え方、それからもう一点は、林道関係が、県道とか国道と違いまして、いわゆる制度上少し問題があるように私感じるのですが、国道、県道では、地元対策本部長が専決処分でどんどん復旧をいたしましてあとから査定を受ける、こういうことを安心してやっておるようでありますが、林道は、一応法のたてまえ上査定を受けてからというようなことで、非常に復旧がおくれております。しかし、御承知のように、僻地に参りますと林道は生活道でありまして、奥地との交通がいまなお途絶しておるのが現状でありますので、この林道の問題につきましても地元災害対策本部長がどんどん処理できるように、ぜひこの機会に考えていただきたい。この二点が農林省であります。  それから厚生省につきましては、水害のあとの防疫対策に要した費用につきましては——御承知のとおり伝染病が発生いたしますと、全額国がたいへんなめんどうを見なければなりません。それを予防するための措置でありますので、こういう点については、別途薬品の実費だけでも特別に支給するというふうな制度をつくって、地元市町村が十二分に防疫対策ができるような考え方、これをぜひ実施していただきたい、このことを二点申し上げたいわけであります。
  70. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  制度資金の点につきましては、これら関係農家の方々のすでに借り受けている資金につきましての制度資金の償還猶予措置等につきましては、従来の災害の例にならいまして応急に措置いたしたいというように考えておりますし、また、先ほど来るるお話が出ております天災融資法の資金なりあるいは自作農維持資金の災害資金等につきましても、災害金題を早急に把握いたしましてこれを措置いたしたいというふうに考えております。  なお、林道等につきましても、たてまえは県道、町村道と同じように応急の工事なりあるいは査定前着工というものについて十分指導しておるつもりでございますが、先生の御指摘のような向きがございますれば、なお徹底いたしまして、遺憾のないようにいたしたいというように考えております。
  71. 新津博典

    ○新津説明員 お尋ねのございました現地防疫体制でございますが、災害のあとで一番心配される伝染病の予防のことでございますので、全力をあげて手落ちのないようにということで指示してございます。  まことに申しわけございませんが、担当の防疫課長ないしは代理の者が来ておりませんので、ただいまの件は、帰りましたらさっそく公衆衛生局に伝えまして、しかるべき方法のきまり次第、県のほうに連絡してまいりたいと思います。
  72. 中野明

    中野(明)委員 最後に、国鉄関係とそれから自治省関係建設省関係をまとめて申し上げて終わりにしたいと思います。  先ほど松浦委員も申しておられましたように、土讃線は毎年のように事故に見舞われておりまして、ぜひこの際、国鉄の将来の考え方をはっきり聞いておきたいのですが、今回の事故は、幸いにして列車の中に乗客が乗っておりません。おりたあとであったから幸いしたわけですが、もしあれが満員に通勤者、通学者が乗っておれば、それこそたいへんな大惨事になっておったろうと、私どもはいまなお寒気がするわけであります。そういうことで、毎年事故が起こるたびに——あの高松−高知を結ぶ土讃線は、国道と国鉄が並んで走っている区域が非常に多いわけですが、両方ともやられております。ですから、他の方面では、大歩危のほうも大杉のほうもトンネル工事が進捗しているようでありますが、ぜひ国道と並行して走っている路線、あそこはトンネルを抜いて国道と分けるようにしていただきたい。そうすることによって、災害後のいわゆる交通あるいは輸送、その面も一応は確保されるんじゃないか。いまでは全面的に通行禁止でありまして、国鉄も、そして国道も一切だめです。今回はいわゆる土讃の関係もだめになりましたし、室戸を回っていく国道五十五号もだめになりました。それから、先ほど調査団長の報告にありました山田町の神母の木の香我美橋もだめになりまして、徳島に抜ける幹線もだめです。ですから、高知はいよいよ陸の孤島という形になりました。高松に行くにも松山を抜けていかなければならぬという、三角形の二辺を回るようなたいへんな状況になっております。そういう点について国鉄の考え方をぜひこの際明らかにしていただきたいことと、大歩危、大杉のトンネルの工事の進捗状況説明してもらいたいわけです。  なお自治省には、安芸市におきまして公営事業の水道がたいへんな被害を受けました。この復旧にはばく大な金がかかると私は見ておりますが、これを地元にまかせますと、必ず水道料金の値上げということになりまして住民にはね返ってまいりますので、こういう特殊の災害にはいわゆる長期の起債を認めるなりして、ぜひ水道料金の値上げにはね返ってこぬように、自治省のほうで特別な配慮検討していただきたいということであります。  最後に建設省でありますが、建設省は、急傾斜地の法律ができましたけれども、これは地元の申請によって指定をしておられるようでありますが、こういう事故を検討してみたとき、国からぜひ調査費をつけていかないと、地元の、特に過疎地域の市町村というものは財政が非常に乏しくて陣容も不足しております。そのためにやはり十分なことができないんじゃないかという心配もしておりまして、今回の繁藤の場合は、そういう地域の指定も受けていなかったところであります。これは急傾斜地域指定のための調査費をぜひ建設省のほうでも検討してもらいたいということ、それから中小河川の改修工事がおくれたために水害になっているということで、野市町に私参りましたが、香宗川、鳥川という川の改修がおくれたための今度の被害ということで、住民からたいへんな苦情が出ております。この香宗川と鳥川の改修の見通し、この点をお答えいただいて、終わりたいと思います。
  73. 篠原良男

    ○篠原説明員 いま先生から御指摘のありました三点についてお答えいたします。  土讃線につきましては、先生のおっしゃるとおり非常に多雨地帯でございまして、昭和の初期から災害を相当受けております。したがいまして、先ほど松浦先生の御質問でお答えしましたように、土讃線防災対策委員会というものを設置いたしまして、斯界の学者あるいは技術者から答申をいただきまして、建造物で——はっきり申し上げますとトンネルですが、トンネルでルート変更してその災害地帯を逃げる、あるいは排水坑、山の水を、地下水を下げるという意味で水位を下げるとともに、実は運転規制というものをやっております。  当繁藤の地区は、時雨量が二十ミリに達し、連続雨量が七十ミリに達しますと第三種警備、これは保線区員をして巡回で変状の調査をさせます。時雨量が三十ミリ、連続雨量が百ミリに達しますと第二種警備、保線区員の三分の二を招集いたしまして当地区に点在させます。時雨量が四十ミリ、連続雨量が百五十ミリになりますと第一種警備、保線区員全員を非常招集いたしまして、要注個所に固定警戒及び徒歩巡回警備をいたしております。  御承知のとおり、こういう梅雨前線の場合には、あらかじめ連続雨量が想定できませんが、降り出してから、測候所あるいは気象庁の予報によりまして一種警備その他の措置をとっております。したがいまして、この繁藤で、今回は五日の朝四時から再び豪雨となりまして、五時から六時の間は百二十五ミリに達しております。したがいまして、自記雨量計というものを現地設置しておりまして、ブザーが鳴りまして運転規制をしております。列車は全部とめております。この区間では時雨量が四十ミリに達しますと運転を規制いたします。五十ミリに達しますと列車をとめます。したがいまして、繁藤では、朝六時に列車を管内運転規制をいたしまして、全列車を停車させました。したがって、当被害を受けた列車は朝六時十分に繁藤の駅に入りまして、待避線に待避中十時五十分に災害を受けたわけでございます。したがって、その間四時間ばかりの間にお客さんは退避いたしまして、あるいはその他の措置をいたしまして警戒に当たっておりました私どものほうの保線区職員と、列車に乗っておりました車掌、合わせまして四名がその災害を受けたわけでございますが、そういうような措置で、一応物理的なトンネルあるいは土どめ擁壁、そういうような工事を施工するとともに、列車のお客さんに対して万一の事故がないように運転規制及び固定警戒というもので措置をしてございます。  それから、現地は現在鋭意復旧を急いでおりますが、何ぶん遺体が二十一体まだ残っております。しかも線路上に三万五千立米の土が堆積いたしまして、これは本日現在では全部取り片づけいたしました。ただし、それから約百メートルぐらい高松寄りに五千立米の線路が陥没しております。いわゆるレールもろとも路盤が持っていかれております。そこにまだ遺体があるのではないかということで、土木機械を使って復旧工事ができませんので、目下人力によりまして遺体捜索をお手伝いしながら復旧工事をやっておる実情でございますが、これは日曜日、現地で知事が本部長対策委員会がございまして、土工機械で工事を急ぐよりもまず仏の捜索を先行してもらいたい、こういう申し出かございまして、私どものほうもそれにのっとりまして復旧のペースを立てておる実情でございます。  それから第二点の、従来どの程度トンネルを施工してきたかと申し上げますと、六カ所やってまいりました。昭和二十六年から六カ所トンネルをやってまいりまして、トンネルの延長が約十二キロでございますが、最後に残っておりますのが大杉−角茂谷間で、大杉トンネル、延長約二キロ六百メートルのトンネルを現在施工中でございまして、四十八年の二月には完成いたしまして、この新しいトンネルのほうにルート変更する予定でございます。  繁藤付近もトンネルでどうかという先生のお話でございますが、トンネルでは、お客さんを扱う駅の設備が非常にむずかしゅうございますので、繁藤の駅に、どうしてもお客さんに便利なところに停車場をつくるという位置からあの場所に持っていかざるを得なかったということでございまして、今後山側にある国道との関係から、建設省とよく協議いたしまして、土どめ工あるいはその土砂崩壊に対する防護工等について協議させていただいて措置をとっていきたい、かように考えております。
  74. 福島栄造

    ○福島説明員 公営水道の復旧事業に対する起債措置についてのお尋ねでございましたが、これにつきましては、起債ワクを十分確保いたしまして事業が円滑に遂行されますよう十分配意してまいりたい、かように考えております。
  75. 谷勲

    ○谷説明員 急傾斜地崩壊危険区域の指定についてでございますが、指定につきましては、法第三条によりまして都道府県知事が指定することになっておりまして、現在のところそれがおくれるのは、私権の制限が著しいということによりまして指定事務がややもすればおくれがちであるというような実態でございます。  なお、指定の促進につきましては、実情調査してみますと、調査費ということでなくて、むしろ私権の制限との関係で、土地所有者等々の了解に時間を要しているような問題がございます。したがいまして、今後地元民に十分急傾斜地の実情をPRいたしまして、この点よく検討してまいりたいと考えております。
  76. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 ただいま先生御指摘の香宗川、鳥川でございますが、これらの中小河川につきましては、第四次治水五カ年計画におきましても、中小河川については特に重点を置いて改修を進めるという予定にしているところでございます。  具体的に、香宗川につきましては、あの辺の地形が、海岸部が非常に地形が高くて内陸部がやや低いというような状態で、いつも溢水はんらんを見ているわけでございますが、これを抜本的に改修するために、現在海に向かって湾曲しておる流れを直角に、まっすぐに海に放水路を抜くという計画で現在工事を進めておるわけでございます。四十六年度約七千万円でございますが、四十七年度にはそれを大幅に伸ばしまして、一億八千万円の予算で鋭意放水路の工事を進めて、早期の完成をはかるようにしておる次第でございます。  なお、鳥川につきましては災害、がございましたので、災害関連等の事業費あるいは他の局部改良費の事業費等を合わせまして、現在鋭意工事を進めておるような次第でございます。
  77. 中野明

    中野(明)委員 時間がございませんので、あとまた台風が追いかけてきておるようでございますが、中央防災会議におかれても、今回の措置、緊急に手を打っていただきまして、万遺憾のないように、特に遺体の収容作業については中央からも督励をお願いして、終わりたいと思います。
  78. 高田富之

  79. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、この土佐山田町の繁藤地区災害につきまして三日間参ったわけでありますが、ちょうどここが私の出生地の嶺北地方でもございますし、また、あとで質問をされます田村先生も、この地域から出ておられるわけでございます。  私が参りましたのは、十時五十五分にこの事故が起こりまして、ちょうど十二時近くにかけつけたわけでありますが、そのときにはまだ、機動隊が遺体捜索を始めたばかりのときでありまして、また情報が全くまちまちでありまして、一体だれが犠牲になっておるのかもわからないという、家族にとっては全くぼう然たる状態にありました。二回目に参りましたときには、遺体が少し発見をされ始めたころでありまして、多少地元方々が勢いづいておったときなんです。三回目に参りましたときには、遺体がなかなかあがらないという状態と同時に、懸命の努力をしてまいりました各団体の方々が、疲労こんぱいの色が濃くなっておるときでありました。  しかし、この中で感じましたことは、この災害の全貌がどうしてもつかめないという状態です。たとえば、現在犠牲者の数が五十九名というふうに、ほぼ確定的にいわれております。現地の警察もそう言っております。また、県側もそう言っております。そして、ここの委員会におきましても、ほぼ五十九名というふうな、確定的な犠牲者のような形になっておりますけれども、私は、まずこれに対しても疑問を持っているわけです。たとえば、ここは国道三十二号線でありますから、かなり交通量が激しいわけですね。また、目撃者の話によりますと、この崩壊地域に大体十数台のマイカーあるいは大型トラックも入っておった、こういう話も聞くわけです。そうすると、この五十九名というのは、土佐山田町の方々が五十九名の名前が出ております。国鉄職員の方は一名だけ、高松の方のようにお聞きしておりますけれども、町外の方あるいは県外の方は全く入ってない。ここに私は一つの疑問を感じておりまして、たとえ一人でありましても、犠牲者が別におるとするならば、人命の問題でありますから、これは重大な問題であって、この辺の確定ははっきりさせておかなければならないとまず思うわけです。この点について、警察庁のほうでは大体どういう把握をされておるのか。五十九名というふうに確定をしておるのかどうか、まず伺っておきたいのです。
  80. 丸山昂

    ○丸山説明員 実は私も、私どもの公安委員長現地視察にお供いたしまして現地を見てまいったわけでございますが、ただいま当方で把握をしております数字は五十九名でございます。もちろん先生のおっしゃるように、土佐山田方々以外の方々が含まれているという可能性が絶対にないとは言えないのでございます。それで、その以外の方がもし含まれておるとすれば、できるだけ早くそれを知りたいということで、隣県についてそういう措置をとっておりますが、いまのところ五十九名という数字が、私どものほうで把握しておる人間でございます。  それから、当時第一回目の土砂くずれがございまして、大体国道の長さにしまして約百七十メートルくらいのところでございますが、両端で交通規制をしておりましたので、おそらく車は中に入っていないというふうに判断をしておりますけれども、その規制漏れと申しますか、そういう形で、中に全然入っていないのだという確信もいまのところ持てない状況でございます。  いずれにいたしましても、私ども現在わかっておりますのは五十九名でございまして、このうち遺体が発見されましたのが三十八名の方々でございまして、一名身元がまだ確認をされておりませんが、三十七名の方については身元を確認いたしまして、それぞれ御遺族の方にお引き渡しを申し上げております。したがいまして、現在未確認は二十一名でございますが、この二十一名につきましては目下鋭意捜索を行なっておる、こういう段階でございます。
  81. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほども申しましたように、これは人命の問題ですから……。かなり遠くからマイカーで旅行に来ておる人もおるかもしれません。そういううわさものるわけです。この点は一日も早くはっきりさす必要があると思いますので、その点は強く要請しておきたいと思います。  さて、本論に入りますけれども、今度の場合にしましても、異常な降雨量惨事を起こした原因だという言い方ですね、これによって、避けることのできない天災だという言い方、これはしばしば私ども聞いてきたところでありますが、しかも今度の熊本宮崎の例をとりましても、過疎地帯、そうして中小河川における災害が起こっておるのが一つの大きな特徴ではないかと思うのです。土佐山田の場合は、御承知のように断層地帯であります。危険性は常に言われておる場所であります。この辺一帯はそういうことなんです。しかし、危険地域としての指定は行なわれていない。それから天草の場合を見ましても、たとえば砂利の乱暴な採取ということが問題になっています。宮崎のえびのの場合にしましても、これは営林局を通じての乱伐あるいは川内川の場合はダムの問題、こういうふうに考えてみますと、これは一がいに天災といって片づけることのできる問題ではなくして、今日過疎地帯が置かれておる現状というもの、それと政府がとってまいりました高度経済成長政策との関係というものがこの中に出てきておるのではないかということを感じているわけです。この点について、簡単でけっこうですが、副長官のほうから答弁をいただいておきたいのです。
  82. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 天災であるか人災であるかという討論でございますけれども、確かに砂防、防災工事が全部行き渡っていない。また、それをやるならば、先ほど建設省からお答えのように三十二兆円かかる、そういうふうなこともございますけれども、私たち、とりあえず今後の災害に対して万全を期するということに尽きるわけでございます。  ただ、過疎、過密の問題でいまお話がございましたけれども、これは別の観点からも、先ほどどなたか委員がおっしゃっておりましたけれども、日本改造論というような、新しい総理が打ち出しておる政策、これはやはり日本全体に一律に人が住めるような形に持っていこう、それに対して、その地域の開発もやっていく、防災もやるということでございますので、今後ともその方向に向かって作業をしていく必要があるかと思います。人災等があるかどうかは別といたしまして、私たちとしては、今後こういうような災害発生しないように万全の努力をする覚悟でございます。
  83. 山原健二郎

    ○山原委員 日本列島改造論につきましては、これは論議をここでする時間はもちろんありません。けれども、これが今までのような自由民主党の行なってきた大資本本位の政策であるならば、これはさらに災害を多発する可能性を持っておるというふうに私は考えているのです。この点について、ここでこれ以上申し上げるつもりはありませんけれども、たとえば今回の繁藤地区の場合、これは人災的要素あるいは政災的要素というのはずいぶんあるわけです。その点を少し、幾つかの例をあげて申し上げてみたいと思います。  まず第一番に土讃線というもの、これは国鉄当局にも十分お考えいただきたいと思うのですけれども、ドシャン線といわれているのです。土砂くずれが毎年毎年あるわけですね。毎年毎年不通になるという状態、しかも、その土讃線という鉄道と三十二号線という国道とが密着して通っている、こういう状態にあるわけです。だから、三十七年に土佐岩原で起こりました大崩壊、これによって二人の国鉄職員犠牲になっておりまして、その一人の遺体はいまだにあがっていないのです。遺体があがっていないにもかかわらず、鉄道は通っているわけですね。これに対する地元民あるいは国鉄従業員の不満というのはあるわけです。この崩壊に何を学んだかという問題ですね。先ほど出されました、三十七年の崩壊を契機にしまして、日本国有鉄道土讃線防災対策委員会調査を行なっております。ところが、この調査の中では、やはり問題は指摘されているのです。たとえば繁藤地区のような現在危険性はないところでも、「危険度の少ない箇所については斜面の風化・施設の荒廃に注意し、検査体制の確立・災害予知装置・警報装置等今回検討開発された技術の活用等により、輸送の安全を確保しつつ、防災投資の時機について検討されるよう要望する。」というのが出ています。さらに、この報告書の最後には、この研究の後「反覆検討を加えて災害防止に関する施策の充実に努め、かつまた、本委員会の審議過程において見出された課題については、あらためて適当な機関の設置等により成果の拡充をはかることが望ましい。」こういうふうに述べているのです。この教訓にどうして学ばなかったかという問題が私は残るのです。この点では国鉄当局も、この土讃線に関する限り、きわめて怠慢であったと私はいわざるを得ないのです。  さらに、その後において穴内川ダムの放流が、いまから三年ないし四年前に行なわれておりまして、それによって繁藤地区が重大な被害をこうむりました。そしてそのときに、おそらくこの放流によりまして穴内川の河床も変化しておると思うのです。これは三年前のことです。しかも、このとき鉄道はまた不通になっております。鉄橋の一部が破損しております。土砂がくずれています。これは繁藤地区なんです。  さらにその次に、昭和三十九年に三十二号線国道の拡張、拡幅が行なわれております。これは建設省にお伺いしたいのですが、この三十二号線の拡幅のときに、現在土砂くずれのために崩壊し全壊をしておるところの家屋を、さらに山側に移しておるではありませんか。なぜここの、三十七年の崩壊あるいは調査の結果に学んで——わざわざ危険な、今度崩壊をしましたところのあの追廻山のふもとに人家を移しているのです。そのときに、この追廻山の足元を掘った形跡はないのですか。これは建設省にお伺いいたしたいのです。  さらに、その次に森林の伐採が行なわれておるのです。これは先ほども松浦委員からも出されましたけれども、これが二年前です。  しかも、二年前から国鉄は、この繁藤駅を無人化しております。常時監視する者はいなくなっているわけです。しかも、この繁藤駅というのは列車の待ち合い駅になっています。急行列車が通るときには、普通列車は十分ぐらいここでとまっているんです。国道によって人家は山側に移され、山の木は切られ、しばしば崩壊が起こっておる。そういう現実がありながら、この鉄道を守るところの、保全すべき鉄道の職員が一名もいなくなっている。だから、このとき、この嶺北地方の人々は、この無人化は困るということで、国鉄当局に対して強く要請をしてきているわけであります。  こういうことを考えてみますと、全く過疎地域のこの繁藤というさびしい、現在残された村に対して、建設省も国鉄当局も、あるいは林野庁も何ら手を打っていない。しかも警告はすでに発せられておる。しばしば崩壊が起こっておる。しかも、そばには破砕帯がある。こういう状態なんです。だから今回のこの事故というのは、地元の方たちは——二年前のある人の日記が、今度の土砂の中から出てまいりました。その土砂の中から出てきた日記の中には、二年前に、地元の人はあぶないということを予知しているわけですね。こういうことがいままで放置されてきた。この責任は一体だれがとるのか。この際、今後こういう事故を再び起こさせないためには、これについては厳密な検討が加えられるべきであると私は考えますが、その点について、まず建設省並びに国鉄当局の見解を伺っておきたいのです。
  84. 大島哲男

    ○大島説明員 三十二号線は、建設当時県道があそこにございまして、それを両側に広げるという方法をとって現在の道路ができておるわけでございます。当時五戸の家を移転ないしは引き家をいたしました。そのときに、ただいまの御質問でございますけれども、うしろの山をいじったかどうかという点でございますけれども、それにつきましては、いまのところ確とした資料がございませんので、後日また資料としてお届けしたいと思います。
  85. 篠原良男

    ○篠原説明員 お答え申し上げます。  三十九年に土讃線防災対策委員会対策事項が出まして、これにのっとりまして、トンネルあるいは防災工事を施工してまいりましたとともに、先生の御指摘の防災設備につきましては、繁藤の駅には時雨量計を設置してございます。この時雨量計は、この地域は先ほど御説明しましたように、二十ミリになりますと三種警戒、三十ミリになりますと二種、四十ミリになりますと第一種警戒と、保線区員全員を要注意個所に配置いたします。しかも繁藤は、営業的には切符を売ったり貨物を取り扱いいたしませんが、いわゆる防災の立場からいきますと、検査班というものがございまして、常時保線の専門家、防災の専門家を配置してございます。今回の場合にも、朝五時から六時までの間に時雨量が百二十五ミリに達しております。したがいまして、これは三十分くらいで警報機が鳴りまして、自動的に列車を抑制し運転を中止しております。その後、災害発生しました十時五十分までに、約四時間半ですが、列車はとめております。そういうような意味での予防措置につきましては十分とってございますし、防災センターというものを総局に置きまして、計器、たとえば地すべり計を配置したり、変状調査を十分やらしてございます。
  86. 山原健二郎

    ○山原委員 危険個所の指定を申請するということは、これは脆弱な資力しかない市町村にとっては非常にむずかしい問題があるわけです。その点は責められるべきではありますけれども、しかし、これだけ国の機関がそばを通っているわけですね。国鉄あり、国道が通っている。ああいところでありますから、これは土佐山田町というひよわい自治体を責めるよりも、これは当然国としてこの問題は考えなければならぬ問題だと思うのです。  私は、時間がありませんから、いま早口で幾つかの事例を申し上げたわけでありますけれども、これは副長官にお伺いしたいんですが、私の言ったことは、これはこの狭い谷合いの、山がそばまで来ておる、しかも下には川がある、鉄道が通り、国道が通っている、しかもこの国道を拡幅するために家を山側に移しているというような、そういうことが一つ一つ行なわれるたびに、災害の問題についての検討といいますか、それが当然私はなされるべきだと思いますし、なされなかったのが意外なんです。この点について私は、当局としては当然責任があると思います。また、その辺が綿密に検討されなければ、こういう問題の再発を防ぐことにはならぬと思います。今回の事件の不幸というものをほんとうに幸いに転ずる意味におきまして、そういう点については、これはき然たる態度を総理府においてとってもらいたいと私は思いますので、これについての見解を伺っておきたいのです。
  87. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 がけ下に住居を置く、非常に災害のおそれがある地域については、先生のおっしゃいますように、望ましい状態ではございません。私、宮崎県で見てまいりましたけれども、そういう地域に対しての移転等をやっておる、これに対して国が補助しているという話を聞いております。この方法をもっと推進していく必要があるように感じております。
  88. 山原健二郎

    ○山原委員 次に、気象庁のほうへ伺いたいのですが、その前にちょっと、いま中野先生のほうから安芸の問題、野市の問題が出ましたけれども、これなども、調べてみますと、安芸市における今度の災害の一つの原因に、阿佐線の鉄道敷設の堤防ができているのですが、その排水孔というのが非常に小さい。これについても地元の農民からは要請があったはずです。もっと大きくしてもらわなければ、水が出たときにこれが溢水してしまうから困るんだと言ってきたわけですが、そのパイプが小さい。それがみごとに今度証明をされまして、これが安芸市にいままでにない災害になっているわけですね。  それからもう一つ、野市の場合はどういう状態かといいますと、いわゆるスカイラインの建設というのは非常に乱暴な工事が行なわれておるといわれているのです。そのために山がくずれるという災害が起こっております。これらのことを考えますと、開発というものと防災というものと、どういうふうに接点をつかまえるかということは十分今後考えていただかなければならぬ問題だと思うのです。  さらに、気象庁の問題でありますけれども、気象庁の方々も、今度も調査をしましたところでずいぶん苦労しております。たった六名くらいで、もう三日間も寝ていないというような状態であります。ところが、この高知県のような多雨地帯ですね。室戸岬にレーダーがありますけれども、このレーダーは南の海上四百キロを把握することができるわけですね。ところが、四国山脈の一番の多雨地帯の方向についてはほとんどキャッチすることができない。こういうような状態に置かれておるということを聞いております。さらに雨の監視用レーダーにつきましては、これは気象庁は全く貧弱、むしろ関西電力あるいは東京電力の持っておりますものがはるかに優秀。だから、結局気象庁としてはこういう場合には、雨の問題についてはこういう企業側に聞かなければならぬという状態が起こっているんじゃないんですか。そして結局、気象庁の今度の合理化によりまして、昔はこの嶺北地方に測候所があったのですけれども、これはいまもうなくなっているわけです。こういう形の合理化の中で、実際、雨量を正しく常に把握することができない、そういう状態にあるのじゃないか。これは防衛庁の気象観測と気象庁の人員とを比較した場合、気象庁が四名とか六名とかいう少数の人間でやっておるときに、防衛庁のほうは十数名持っておるというようなことを考えましても、日本のこれからの防災を含めた気象問題について、今日の気象庁の体制でよいのかという点についても、気象庁の見解を伺っておきたいのです。時間がありませんから、簡単に申してください。
  89. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 ただいまの先生の御指摘に対してお答えしたいと思います。  最近は非常に集中豪雨が問題になりまして、それを予知しあるいは警報を出すには、雨量の観測をすることが非常に大事でございます。これにつきましては、従来は区内観測あるいは県内の測候所あたりのデータを集める、そういうふうな方法をやっておるわけでございます。  しかしこれでは不十分なので、現在やり方を少し変えていく必要があるのじゃないかということを考えているわけでございます。その方法は、雨量の測器を各地におきまして電話線で集めて、そうしてそれを地方気象台なり何なりで監視する、こういうやり方を考えているわけでございます。と申しますのは、乙種観測でございますと、県内の篤志家などにお願いしているわけでございますけれども、こういたしますと、肝心の、たとえば夜なんかでございますと、その観測した結果が来ないようなこともございますし、そういう点不十分でございますので、ただいま申したようなことを考えておるわけでございます。  それからレーダー関係でございますけれども、確かにレーダーにつきましては非常に有力なんでございまして、大体それによりまして集中豪雨なり何なり予報をやっておるわけでございます。ただ、山の陰なんかになってまいりますと、とかくその雨量を監視することができない点がございますので、そういうところにつきましては、いま申したような伝送と申しましょうか、テレメーターと申しましょうか、そういったような機械で補っていきたい、こう考えておるわけでございます。  それから現在、そのレーダーに関しましては、先生御指摘のように、一日原則的に四回観測することになっておりますけれども、こういう集中豪雨の場合につきましては、特別に臨時観測をいたしまして万全を期するように心がけておるわけでございます。  なお、これにつきましては人員が不十分でございますので、現在、今年度もそうしたわけでございますけれども、さらに人員を増加いたしまして観測を八回にして、そういったような監視をさらに強化していきたい、こういう計画で現在進んでいるわけでございます。  大体、以上のようなことでございます。
  90. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に。木村建設大臣現地へ参りまして、かなり積極的な発言をしております。この際、災害対策基本法を改正をしまして、風水害に対する万全の措置をとるということ、また山林の伐採、砂利等の乱掘に対しましてこれを規制するということ、さらに災害復旧にあたりましては、これは現在三年ということになっておりますけれども、年度内にこれを解決していくというふうな積極的な策をとることが、建設大臣の発言を裏づけるものだと私は思うのです。この点について最後に副長官の見解を伺いまして、私の質問を終わります。
  91. 小宮山重四郎

    小宮山説明員 この点につきましては、非常災害対策本部で、今後の調査を待ちまして、どういう方法が一番よろしいかということで検討をしていきたいと思います。  また、基本法の改正につきましては、私たちも大いに今後とも検討をいたしますけれども、本委員会でも検討していただくことをお願いいたします。
  92. 高田富之

    高田委員長 田村良平君。
  93. 田村良平

    ○田村(良)委員 質問に先立ちまして、このたびの香美郡土佐山田町の繁藤は私の生まれ故郷でございまして、災害発生と同時に、国会のほうとしては衆参両院の災害対策特別委員会の皆さん方、また木村建設大臣はじめ各方面の方々の御視察をいただきまして、現地住民も非常に感謝をいたしておりますことを、まずもってごあいさつ申し上げたいと思います。  時間もありませんので、また、それぞれの委員方々から非常に適切な御質問等をいただいておりますので、私は特に郷里でもありますし、次の点を御質問を申し上げまして、当局の具体的なそして積極的な災害の防止に対する新しき制度をおやり願いたい、こういうふうに考えます。  私が山田町の現地で見ておりますものは、町の職員が二人、消防署の職員が五名、国鉄職員が四名、町議会議員が一名、そうして報道関係で担当された地元高知新聞の香長支局長一名、計十二名でございまして、このほかにレギュラーの消防団というのが十五人でございます。したがって二十八人。こういう方々は一応それぞれの立場において、いろいろと災害に対しあるいは犠牲に対します援護措置が講ぜられております。残りの三十一名のうち十二歳と二歳の二人の子供がございますが、これは一番関係の少ない人々であります。昨日の閣議でさっそくに、一般方々にも何らかの救援対策を講じようではないかと大蔵省と検討を始めさせた、こういうことでございますが、ここで議論の応酬をする時間がございませんので、ずばりそのものを申し上げますと、本職の消防団には法律制度の裏打ちがありますが、消防団でない者が、目の前に十万立米という土砂の崩壊、そして近隣の家が埋没した、たいへんだということでそれに協力した場合に、私は、最低少なくとも消防団と同じような災害救助の援護措置を講ずべきである、一般人だから少なくていいというものではないと思いますし、しかも、第一次災害で救援をしておる途中に第二次災害が起こったのでありますので、おそらく全国でも、事故としても異例の事故ではないかと思います。これにつきまして単刀直入に、当局のお考え方をひとつこの機会に承っておきたいと思います。御答弁願います。
  94. 本名武

    ○本名国務大臣 今次の災害におきまして、消防団員の非常な御活躍は申すまでもなく、さらに地元一般民間の方々消防団に非常な御協力をいただきまして、しかもとうとい人命を失ったということは、まことに遺憾のきわみでございます。同時に、いま御指摘がありましたように、当然これらの方々については、その仕事の目的と活動とそして不幸な目にあわれたことは、団員と何ら変わるところがないと思います。ただ、残念なことには、制度そのものが充実いたしておりませんために、たいへん御心配、御迷惑をおかけしている、こういうことではほんとうに申しわけないということで、私が災害対策本部長になりましてから、いろいろと関係各省集まりまして相談をいたしました。そうして昨日の閣議におきましては、特に担当大臣と私からいろいろと御説明、御報告を申し上げまして、閣議において何とか対策を打とうということで、一応財政当局を中心関係省庁が打ち合わせをしたわけでございます。  その結果、御案内のとおり報償金につきましては一応の対策がございますが、賞じゅつ金については全くゼロという形でございます。そこで、賞じゅつ金についても消防団員並みに取り扱いたい。しかし、それぞれ立場やいろいろな関係がありますので、一応消防団員に準ずる措置として、わずか数十万円ではなくして、少なくとも三百万から百万の間において消防団員と同様の、これに準ずる扱いをいたしたいということを相談いたしまして、その方向で進むことに決定を見たわけでございます。  ただ、この取り扱いにつきましてはいろいろの問題が出てまいります。消防団の依頼の実情、あるいは依頼者と認定できるかどうかという問題、取り扱いについては非常にむずかしいところがあるようでございます。さらにまたこのことが、予想してはいけないことでありますが、新しく起きた災害に波及いたしまして、逆に、心からお慰め申し上げたいということが悪用されるようなことがあってはならないという、たいへん失礼な取り越し苦労もしなければならないという実情もございまして、実はいま申し上げますように、賞じゅつ金については消防団員に準ずるという措置をとることを決定いたし、その具体的な取り扱いについて関係当局間でそれぞれ打ち合わせをし、確たる取り扱い方法を決定いたす準備をしているわけでございます。
  95. 田村良平

    ○田村(良)委員 本名長官にはまことにお気の毒でございまして、たいへん恐縮でございますが、私、年来申し上げてきたことは——明らかに危険個所がわかっておるのであります。実は私のこの繁藤の隣の大豊村というのは建設省、農林省の地すべり指定地域であります。したがいまして、何で地すべり指定地域に指定されたかということは、危険な個所があるからであります。そうすれば、毎年危険のないように、災害が忘れたときに来ても、その災害は未然に防ぐ措置がしてある、これが国土保全の原則であります。これはいままでわれわれが何ぼ言っても、政府はお取り上げいただけません。したがいまして、きょう私は直接——十号台風のときは、立場をかえて、私もそこで御答弁申し上げた人間であります。今度は人が五十九人全部一緒に死んだ。しかも、二十一人の遺体は出てこない。そして、私がここでどんな質問をして、当局がどんな名答弁をされましても、死んだ人の命は生き返りません。もう毎年ある。すでに梅雨前線が御承知のように日本列島を襲いまして、九州から北海道あるいは東北に、また舞い戻って九州に、いまや梅雨前線は関東から以西、西日本全部を埋めております。これ以上の災害が、まだ報告はないが起こっておるかもしれません。そういうときに、われわれはGNP世界第二、第一ということを誇るだけではなくて、高度経済成長の中で、この山村繁藤には消防分団わずか六人しかおりません。大災害が起こったら間に合わない。そうすると土佐山田町の全域の消防団の動員をかける。来た消防団はよその地区から来て死んだ、こういうことになっておるのであります。このように人命が目の前で災害で失われていく際に、これは他山の石ではなくして即刻取り上げて、この際、私が申し上げましたように、消防団であれば法律、制度上の裏打ちがあるが、その裏打ちのない国民が犠牲になった場合には、当然最低消防団と同じ措置をすべきであるということでないと、この三十一人の一般人が区別をされますと、おそらく遺族は——死んでも死に切れないと思います。私は、消防団員であっても、最近は過疎でおりませんから、そういうことを考えてみますと、もはや質疑応答でなくして、政府は真剣にこの問題を取り上げまして、国土の完全なる保安対策とは何ぞやということを、国鉄だとか、農林省だとか建設省だとか、おれのところの責任じゃないというようなことでは済まされないと思います。私も三日間連続繁藤に参りまして、もはや人間として耐えられないので、きょうは時間をかりて緊急質問に立ったわけであります。  私は、この機会に即答してもらいたいと思いますことは、このように災害対策、つまり日本の法律は、災害発生しないとアフターケアがありません。人が死ぬか土砂崩壊で家がこわれる、そうすると初めてやる。なおかつ激甚災というものは、当該災害の所属する年度の、そしてその平均税収の何%以上にならないと財政援助は講じられない。したがって、全国の都道府県は、激甚災に入れてくださいということで一生懸命なんですね。しかも死んだ人一人、つぶれた家一戸は、お隣の家が何万戸つぶれようと関係ありません。被害被害であります。したがって、国民の生命、財産に対する天災に対してはすみやかに防災対策基本法をつくるべきだ。そして災害復旧はもちろんでありますが、危険個所に対しては毎年改良予算を組んで、年がら年じゅう災害個所の防止につとめる。それから起こったものは私は天災と言えると思います。  ただいま、建設省も農林省も御存じであり、地元消防団も警察も、物部川、仁淀川、四万十川、どういう危険個所があるか、もちろん知っております。知っておりながら、大蔵省は予算を切ってくれないのです。一億の堤防でなくちゃならぬものが六千万円であります。頭から手抜き設計であります。それから設計、河川技術を持った人が一生懸命大臣に要求しても、それが案外通っておらない。したがいまして、復旧だけではとてもだめであります。つぶれたのと同じ内容の堤防が残っておりますと、同じような圧力がかかりますと古い堤防はくずれます。でありますから、改良を含めて災害は未然に防ぐ、国民の生命、財産をいかに守るかというのは、いまや政府の責任である。そうすれば、このようなほんとうに身の引き締まる——私自身が、まだ二十一人の遺体が発掘されておらない郷里の出身の代議士であります。私は国会議員としても非常に恥ずかしいと思います。衆議院議員が出ておって何もできない。陳情しても金が来ない。毎日毎日雨の中で、千二百人の人が一生懸命やっております。ブルで突いてくれるな、おれの子供の死骸がこわれるじゃないかということで遺族の人がおこるので、作業をする人が手掘りでやっておりますから、とてもじゃないが、二十万立米を手掘りで掘ったのでは能率があがりません。  そういうことを考えてみますと、この痛ましい現状に対して、われわれはもはや質問をして追及をするとかなんとか、当局の責任のがれの、検討をしようとかということでなくて、お互いに自分の妻子が、お互いに自分の部落がつぶれたときに、地元選出の国会議員として、政府の役人としてどういう対策をとらなければならないかということが、私は本来の目的だと思います。  私は、以上申し上げましたことを、ひとつ長官から閣議で真剣にもんでもらいたいと思う。そして、ただ中央防災会議の責任だとか、建設省の手抜かりだとか、農林省の農免道路がどうとかいう問題じゃないと思います。これは許された予算でしかできておりませんので、天災に対抗するようになっておりません。ここら辺で私はそろそろ、GNPが二番だ三番だといって政府が胸をたたいていろんなことを申されるよりか、国土の平和と安全をどう守るかという、国民の生命、財産の保全に関する政府御自身の緊急対策が必要であると思います。したがって、災害復旧法の改正ももちろんでありますが、私は、この機会に防災対策基本法なるものをつくっていただいて国土の保全をはかる、これには積極的に予算を組む、これは大蔵省も査定をしない、こういうことで、お金で人間の命を切らないという方向に行かなければ、毎年、あすもまたこんな質問が行なわれるかもしれません。長官の御答弁をお願いします。
  96. 本名武

    ○本名国務大臣 おくれて参りまして、田村委員のお話を十分聞くことはできませんでしたが、ただいまお話をるる伺いまして、目のあたりに悲惨な状況、また遺家族の方々及び一般罹災者の方々のお気持ちが手にとるようにわかってまいりまして、ほんとうに感銘をいたしました。同時にまた責任の重大を痛感するわけであります。  消防団に対する協力者については先ほど申し上げたとおりでございますが、一般災害に対してまず基本法をつくれということでございますが、災害対策基本法はすでにできておりますけれども、今次の災害に数多く教えられるところがありますので、あらためて政府におきましてもこの災害対策基本法の手直しを、改善を検討してみたいと考えております。  それから、御指摘のように、やはりこの災害原因は何であるか、雨が思いがけなく多量に降ったから、安全なはずの防災施設も破壊されてしまったのだというようなことでは済まないと思います。私、就任早々この対策本部長に命ぜられまして、直ちに関係各省全員にお集まりをいただいて第一回の会議を開きました。そのときに申し上げたのであります。この会議災害に対する対策会議である、しかしながら、忘れてならぬことは、同時にぜひこの原因究明してくれ、山がくずれたとかあるいは畑が流されたとか雨が多く降ったからという原因ではなくして、そこに人為的な欠陥かあるいは人為的な足らないところがあったに違いない、これはひとつどういうことであるかを究明してほしい、同時に、災害対策とあわせて、この根幹を改善する措置をこの本部においてはやりたいと思うから、関係省においては直ちにこの意味を含んで、ひとつ現地調査並びにその後の処置をとっていただきたいということを私からお願い申し上げ、特に昨日の閣議におきましては、私から、まずこの災害被害調査するとか実態を把握して対策をとるとかいうことだけではなしに、ひとつこれからその調査とあわせて日本全土の再点検をやろうではないかということを、閣議報告を兼ねて申し入れをいたしておきまして、関係各省大臣はこれに対して善処していただけると思いますが、当面話し合いとしての責任ある本部会議におきまして、今後引き続き何回となく行ないますので、いま田村委員の御意見を十分尊重いたしまして善処いたしますことをお約束申し上げておきます。
  97. 田村良平

    ○田村(良)委員 本会議になりますのでこれで御遠慮いたしますが、申し上げましたように、どうかひとつ山林のあるいは海岸堤防のこういうものが、もし技術者の方々検討の結果、一応一億の堤防であれば、あるいは二億の砂防工事であれば技術的には完全に災害が防げるということが技術屋御自身にはわかっておっても、査定をせられてお金が出ないのであります。そういうことで金が少ないために人の命を落とすということは、これはもはや前近代的な対策だと私は思います。したがいまして、いま長官からありがたい御答弁をいただきまして、これ以上追及をいたしませんが、これはやはり質疑応答というものではなくして、政府御自身が国民の生命と財産をいかにして守るかという謙虚な姿勢に立ち戻らなければならない。まあできるだけ安上がりで済むならいいというものではないと思います。どうかこのことを十二分に御理解いただきまして、災害は、現地の私どもにとりましてはほとんど申し上げることばもございませんが、これから新しい国土をつくる上におきましても、この災害をいかにして防ぐかという基本的な法律案をおつくりいただいて——おそらく全党が賛成すると思います。こういうことは私は二度と繰り返してはならぬと思いますので、重ねて御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
  98. 高田富之

    高田委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  99. 高田富之

    高田委員長 この際、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、おはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中に設置いたしました災害対策の基本問題に関する小委員会につきましては、閉会中もなお引き続き存置することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任を願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十七分散会