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1972-08-10 第69回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年八月十日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 田中 武夫君    理事 始関 伊平君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 西田 八郎君       梶山 静六君    中山 正暉君       橋本龍太郎君    浜田 幸一君       村田敬次郎君    渡辺 栄一君       阿部喜男君    加藤 清二君       川俣健二郎君    土井たか子君       古寺  宏君    米原  昶君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 佐々木秀世君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 小山 長規君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  相沢 正文君         防衛施設庁総務         部施設調査官  伊藤 正武君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境政務次官  菅波  茂君         環境庁企画調整         局長      船後 正道君         環境庁自然保護         局長      首尾木 一君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         文化庁文化財保         護部長     高橋 恒三君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 岡部 祥治君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         林野庁業務部長 辻 良四郎君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業政務次         官       丹羽 久章君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    外山  弘君         通商産業省鉱山         石炭局鉱業課長 佐藤淳一郎君         通商産業省公益         事業局技術長  和田 文夫君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁次長 紅村  武君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 川崎 精一君         自治大臣官房参         事官      原  徳安君         自治省財政局長 鎌田 要人君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君     ————————————— 委員の異動 七月十七日  辞任         補欠選任   中島源太郎君    稻村佐近四郎君   藤波 孝生君     登坂重次郎君   村上信二郎君     渡辺 栄一君 八月十日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     阿部喜男君 同日  理事藤波孝生君七月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として登坂重次郎君が理事に当選した。     ————————————— 七月十二日  一、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等   に関する法律案島本虎三君外七名提出、第   六十八回国会衆法第一四号)  二、環境保全基本法案細谷治嘉君外七名提   出、第六十五回国会衆法第二号)  三、公害に係る被害救済に関する特別措置法   案(細谷治嘉君外八名提出、第六十五回国会   衆法第一二号)  四、公害対策並びに環境保全に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染  及び水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 田中武夫

    田中委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事藤波孝生君が去る七月十七日委員辞任され、理事が一名欠員となっております。この際その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によって委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中武夫

    田中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。それでは登坂重次郎君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 田中武夫

    田中委員長 この際、菅波環境庁政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。菅波環境庁政務次官
  5. 菅波茂

    菅波説明員 このたび環境庁政務次官を命ぜられました菅波であります。諸先生の御指導によりまして、私の職責を全うしてまいりたいと思いますので、よろしく御教導のほどお願いいたします。(拍手
  6. 田中武夫

    田中委員長 次に、同じく丹羽通商産業政務次官より発言を求められております。これを許します。丹羽政務次官
  7. 丹羽久章

    丹羽説明員 このたび通産政務次官を仰せつかりました丹羽久章ですが、今後ともよろしく御指導と御協力と御鞭撻のほどをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  8. 田中武夫

    田中委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島本虎三君。
  9. 島本虎三

    島本委員 まず環境庁長官に一応所信を承っておきたいと思うわけでありますけれども、その一つは、御承知のように、きのう、三井金属控訴棄却という、歴史的な判決があったわけでございます。それに対して、いろいろ所信の発表その他によって、おおむね私どもはそれを理解できたわけであります。しかし、いままでの経過を大臣、たどってみますと、いろいろな集積があるわけです。あるいは法律の制定、あるいは住民運動の発生、あるいはまた国会その他における討論、いろいろなことがございました。しかしながら、事態は必ずしも政府のほうが考えていたとおりではなかったわけであります。いわばこれは天の声だと思います。   〔委員長退席始関委員長代理着席〕  その判決内容四日市のあの裁判、先月の二十四日午前九時三十分、それから今回の、このたび三井金属控訴棄却判決、これらを見ますと、国、地方自治体、それから企業、この責任をはっきりうたって、そしてその判決の中には、これは司法だけの問題ではない、政治の問題点解決しなければならないのである、こういうようなことをはっきりいっているわけです。  すなわち、今後は、この判決の命ずるところによっても、環境庁長官は、内閣の中でも異常な決意をした上で指導性を発揮しなければならない立場に立ったものである、こういうように思うわけであります。この際、大臣のこれに対する決意をまず承っておきたい。
  10. 小山長規

    小山国務大臣 いまお話しのありましたとおり、四日市裁判あるいは三井金属被告になりました裁判などにかんがみまして、今後の地域開発にあたっては、これらの裁判並びにそのよって来たるところの世論、こういうものを十分に配慮した政策を進めていかなくてはならない。私もまた閣内におきまして、そういう立場から、あらゆる場をとらえて、今後の企業のあり方あるいは地域開発進め方については、これらの教訓にかんがみまして、その教訓をもとにして職責を尽くしてまいりたい、かように考えております。
  11. 島本虎三

    島本委員 当然今後重大なる関心を払わなければならない問題——いままでは生命と健康に対する判決であります。しかし、六十八国会において、御存じのように無過失賠償責任法なるものが制定されまして、ここに様相が一転してまいりました。そして、今後の課題を含めて、財産一般に関する被害の問題、土壌汚染に関する復旧の問題、こういうような問題が当然考えられなければならないはずであります。もうこういうように先取りをしながらも解決に挺身するのがいまの大臣立場じゃないか、こう思いますが、これらの問題についていかようにお考えでしょうか。
  12. 小山長規

    小山国務大臣 今後の被害者救済あるいは予防対策という点からいいまして、おっしゃるように財産被害をどうするかという問題に当然発展してまいります。ただこの財産被害のとらえ方あるいは基準と申しますか、その尺度のきめ方については、各方面の意見をいろいろ取り入れなければいけませんので、ただいまその準備を進めつつあるところであります。
  13. 島本虎三

    島本委員 進めつつあるということは、やはり財産一般に関する被害の問題を含めて土壌汚染に対する解決、こういうようなことに対しても進めているということは、解決のためにいま先取りをしているものである、こういうふうに考えていいのか悪いのか。進めているのはいままでも進めているわけです。また進めるということを前大臣国会ではっきり言明しているわけであります。いま大臣も、同じように進めるということだったら、いまの判決のあった前もあとも同じことになるわけです。一歩先に出なければならない重大な残された問題です。ですからこの問題に対して、あなたが重大な決意をしてここに臨むならば、もっとはっきりした答弁が出てもいいと思います。それは他の大臣と同じ答弁でありますが、少なくとも環境庁長官はもう一歩先に出ていないとだめなのです。この点でもう一回答弁を求めます。
  14. 小山長規

    小山国務大臣 いま進めつつある状況については、局長から申し上げます。
  15. 岡安誠

    岡安説明員 土壌汚染の問題につきましては、四十六年度におきまして、婦中町並びに富山市の一部につきまして七百三十ヘクタールにわたりまして調査を実施いたしました。すでに一PPM以上のカドミウムを含みます玄米も発見されておりますし、土壌中に相当量カドミウム量の堆積が見られております。四十七年度におきまして、さらに五百ヘクタールを追加いたしまして調査をいたしておりますとともに、七百三十ヘクタールにつきましても詳密の調査をいたしております。いま県と連絡中でございますが、なるべく早くこれらの地区につきまして土壌汚染防止法によります対策地域の指定をする。それからその地域につきましての対策計画を樹立いたしまして、土壌改良その他の対策事業を早急に実施するよう県ともども進めてまいりたい、かように考えております。
  16. 島本虎三

    島本委員 もう一つは第一次の被害者に対するいわゆる健康と生命に対する判決が出て、これは終わったわけです。しかし第二次、第三次、御承知のようにまだ残っているわけです。これらに対しても同様にまたその状態に応じて早く判決または結論を出して、そうして救済を早めなければならないし、そうするのが妥当であります。大臣はこれに対してどのようにお考えでしょう。
  17. 小山長規

    小山国務大臣 いまだんだんお話を伺っておりますと、いまの御質問の趣旨三井金属の問題のようでありますが、三井金属につきましては、先般社長を呼びまして、上告は断念したらどうかという勧告をいたしました。それを先方が受け入れたわけであります。その際に、現在訴訟中のものについてもできるだけ円満に解決したいと向こうが言っております。したがって、これは今後裁判所の和解という形でいくのかあるいはその他の方法でいきますのかどっちかはよくわかりませんが、裁判のことでありますから、被告側がそれに応じるという態度をとりました場合にも、原告側がどういう態度をとるのかという点がまだよくつかめませんけれども被告側に対しては円満にすみやかに解決するようにということを私は申し、それに対して被告側は応じたわけであります。
  18. 島本虎三

    島本委員 応じた、応じないということではないのです。残されている二次、三次、これはイタイイタイ病に関する被害者ですけれども、これは早く解決してやらなければならないから、応じた、応じないではなくてそういうように指導していくのだと前の大臣は言った。もう出たのですから、双方の間に立ってこれの早い解決指導してやる、こういう態度であっていいと思うのです、これより悪くならないのですから。ですから、特殊事態によってはこれよりもっと上積みがあるかもしれませんが、出た以上、やはり解決を早めてやるのが私は妥当だと思うのです。それに対して、もう一歩出ていただきたいということを強く要請しておきたいのです。これは要請にとどめます。  それと同時に、このイタイイタイ病、これに端を発したわけではないと思います。六十八国会でいわゆる無過失賠償責任法が通りました。ただし民法の特例法ということではなしに、残念ながら実体法の一部改正法案ということで成ったわけでありますけれども、その中でも救済に関する基金制度確立、これは本条の中ではっきりうたわれているのです。しかし現在千葉県、兵庫県その他の都府県でも救済基金を、政府のほうがはっきり態度がきまる前にもうすでにその制度確立して、全国的に政府に先行して行政的に手が打たれつつあるということを知ったわけであります。これは六十八国会法律ではっきり本条の中に入れていて、これをやるということを言明した以上、地方自治体のほうが先にこれをやってしまわなければならないということは、政府は怠慢のそしりを免れないのではないかと思うのです。私はこういうような点について、千葉県なり兵庫県なりこういうような被害者をかかえている県のほうが、実際的には苦しい中でも、政府のやらなければならない行政先取りしてやっている、これは政府としてはもっと反省をしなければならない、こう思うわけです。これは法律の中にもはっきりうたわれているのですから、はっきりやるべきです。現在どうなっているのですか。
  19. 小山長規

    小山国務大臣 被害者救済制度に関しましては、国会でもたびたび前大臣答弁しておると思いますが、それの問題点、その進め方については、事務当局から御説明いたします。
  20. 船後正道

    ○船後説明員 公害にかかわる被害者救済制度につきましては、去る四月に中央公害対策審議会特別部会を設けまして、さっそく検討を開始しておるところでございます。なおかつ、先国会で成立いたしましたいわゆる無過失法案におきましても、その検討政府に義務づけられておりますので、私どもは最重点事項として、現在検討を急いでおります。  問題は、いかなる被害に対しましていかなる原因者にどのような基準でもって拠出を求め、それをどのような基準でもって寄付するかという技術的な面があるわけであります。四日市問題を契機といたしまして、先生指摘のように、各地におきましてもそのような基金構想がございますが、環境庁といたしましては、これら各府県におきまして、具体的にどのような内容のものを考えておるか十分聴取し、衆知を集めましてりっぱな制度をすみやかにつくりたい、かように考えております。
  21. 島本虎三

    島本委員 すみやかにといっても、これは何年かかってすみやかなんですか。おそらく以前からこの問題の検討は進められていたはずじゃありませんか。やはり依然としてまだすみやかにこれを検討したいということは、やはりまだまだこれはスローモーションです。いま公害をかかえて、被害者の問題を前にしてスローモーションは許されません。許されなくてもできていないのですからしようがないが、もっと大臣これは早急に急がせるべきだ、こう思うわけです。  自治省来ておられますか。——千葉県、兵庫県、そこで救済基金制度確立を行ない、全国的にこれが波及するであろうということをいわれておりますが、自治省としてはこの点はいかように考えて今後指導しようとしておりますか。——来ていませんか。来ていなければ通産政務次官どうですか。
  22. 丹羽久章

    丹羽説明員 お答え申し上げます。  ただいまの問題はもっともなことだと思いますが、今後これを急速に進めるべく、すべての点の公害問題、さらに判決の言い渡されたもの等々につきましては、各省それぞれ連絡いたしまして、ただいま環境庁長官が申されましたように、すみやかにそうした犠牲者に対するいろいろの問題を解決すべく、あっせんの労をとれるところはとるように大臣考えていかれることだと思いますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  23. 始関伊平

    始関委員長代理 島本自治省が来ているようです。
  24. 島本虎三

    島本委員 呼んであるのですが、来ていないのです。——来ていなければ先へ進めましょう。  厚生省来ていますか。——それではお伺いしますが、厚生大臣が先般事務当局に対して産業廃棄物処理施設整備促進のために官民共同特殊会社の新設の検討を指示した、こういうことがいわれておるのでありますが、これは環境行政に対する企業責任というものに対して軽減になることになる、またこれはPPP原則に触れることになる、こういうようなことが考えられますけれども厚生省当局考え方は、六十八国会に出した、またそれも修正されたところのあの廃棄物処理及び清掃に関する法律のこの精神を逸脱するものじゃないか、こう思いますが、この検討はどうなってございますか。
  25. 浦田純一

    浦田説明員 たしか昨日の朝刊であったかと思いますが、いま島本委員がおっしゃったような構想厚生大臣の談話として発表されてあるわけでございますが、事務当局に対しまして、産業廃棄物処理をすみやかに進めるために、政府も出資して民間の資本を大いに導入できる、ような形でもって、特別な会社と申しますか、そこまで明確に言われてあるわけではございませんが、特別な団体をつくりまして、その促進整備をはかってはどうかという御下命がございました。私ども大臣の御意図を十分にお聞きしているわけではございませんが、廃棄物処理及び清掃に関する法律の中で、まず一般的には廃棄物排出者責任ということを規定し、さらに産業廃棄物につきましては、したがいまして企業側責任である、これを排出した者の責任であるということが明確にされているのでございますが、この構想をどのようにして進めるかという、その中身にもよりますが、私ども事務当局でただいま検討中でございますので、まだいろいろと問題の整理はされておりませんが、しかしながら、いずれにいたしましても廃棄物処理、ことに産業廃棄物処理につきましては排出者責任ということは、私どもとしては十分に原則は貫きたいと考えております。すなわちこのような施設を利用する場合には、その施設減価償却も含めまして利用者側から料金を徴するということによりまして、十分にPPの原則は貫かれるように考慮してまいりたい、このように考えております。
  26. 島本虎三

    島本委員 当事者でありますからこの法律内容は一番よく知っておられると思うのです。この法律では事業者責任による事後処理、これがまず第一義として義務づけられておる、そうでないものは都道府県がかわってやって実費を徴収する、こういうようなことになっているはずです。これが今後、あの発想によると事業者責任に対して国が国民税金の中から出資する、これは事業者責任を保護することになるのではないか。したがってPPP原則を逸脱するということでまた国際的な批判を受けることに相なりはしないか、この危惧が一つ国民生活環境整備よりも企業優先というこの考え方が先行するのではないか、この考え方一つ。こうでないということをはっきりさせないといけないと思うのです。そうでなければ法の精神を逸脱いたします。この点について厚生省としても十分考えてやってもらわなければなりませんが、その点はいかがでございますか。
  27. 浦田純一

    浦田説明員 御指摘廃棄物処理及び清掃に関する法律第三章の「産業廃棄物」に関する定めといたしましては、第十条で「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。」という規定がございます。また「一般廃棄物」の処理につきましては、市町村がこれを責任をもってやるという規定もあるわけでございます。  これらの規定解釈でございますが、実際上の問題といたしましては、たとえば一般廃棄物市町村における処理の実態を見ますと、これは最もこの市町村の責務を果たすのに望ましい形と申しますか、それをそのまま受けた形といたしましては、市町村がいわゆる直営という形でもってこの清掃事業遂行しているという形であろうと思います。しかしながら、必ずしも全市町村がみずからの職員を使っていわゆる直営という形で遂行されているのではございませんで、やはり実情に応じましては、場合によりましては委託、あるいは場合によりましては、これは歴史的な経緯もございますけれども、いわゆる業者というものによる請負という形が行なわれているのでございます。しかしながら、これらはいずれも法的に見た場合に市町村責任をもってやっておるというふうに私どもとしては解しているのでございます。  産業廃棄物のこの条文につきましても、私は実際問題として、みずから処理するという条理の解釈につきましては、やはり個々の会社責任者が自分で初めから終わりまですべての処理をするという意味では、必ずしもそういった意味解釈する、厳格にそのように実施するということではないと考えます。むしろ、その目的からいいますと、やはり産業廃棄物の形態に応じましては、それぞれの専門の処理業者の手にゆだねる。しかしながら、やはりそれの適正な処理というものに対する業者責任というものは、これはその根に厳然としてあるのだというように解釈し、運営していくことが私は実際に合うと思うのでございます。  また第二点の、産業廃棄物に対してのみ政府がこのようにまあ税金を使うということは、何と申しますか一般廃棄物に比べて片手落ちじゃないかといった御趣旨かと思いますが、一般廃棄物施設整備あるいはその事業遂行につきましては、それぞれ補助金あるいは交付税でもってその円滑な遂行に資しているわけでございますし、こちらの産業廃棄物、この施設整備につきましては、かりに財投のほうから政府資金が出るにいたしましても、これは決してこの資金を食いつぶすということではございませんので、その辺はおのずから軽重の差もございますし、むしろほかの例から見ましても、このような事業財投のほうから融資をするということは、決して私としては不当なものではないというふうに考えております。
  28. 島本虎三

    島本委員 それならば、公害防止事業団からの融資によってこれを業者にやらせるようになぜ指導しないのです。処理施設建設に対する補助制度、どれもできて、これさえも本年から運用されるようになっているじゃありませんか。産業廃棄物、この点については自治体自身がこれをやるか、そうでなければ業者に直接義務づける、こうでなければならないのに、そのいずれでもないのに、財政投融資の金を利用してまでも政府が別会社をつくってやってやる、これ明らかに、事業者責任に対して国が国民税金の中から支出をする、こういうことにつながるものであって、やはりPPP原則逸脱のおそれがある、こういうことを言われるのもやむを得ない。これは世界的にまた指弾を受けることになる。日本ではこのぐらいのことができないような業者ばかりですか。このやり方は厚生省自身も少し甘い。そうでなければ、自治省自身がどうしてこういうような公害防止事業団からの融資処理施設建設に対する補助制度、こういうものを利用して積極的にやるように都道府県をしむけないのですか。いま都道府県法律によって義務づけられておりますけれども、こういうような施設を持って運用しているところはありますか、これは自治省——これは結局ないから厚生省自身がこれをやらざるを得ない、やるにもまた世界的な指弾を受けるような方法でこれをやらざるを得ないのじゃないか。これは行政全体のまあ一つの怠慢ですよ。これはちょっと私は理解しかねる。自治省ではどういうような運営をしていますか。
  29. 原徳安

    原説明員 産業廃棄物処理につきましては、県がその実施の責任に当たることになっておるわけでございますけれども、現在大阪府等で公社をつくっていろいろ進捗をはかっておりますけれども、まだ具体的にそれが進んでおるとは聞いておりません。財政面につきましては起債その他で二十億を用意いたしまして、いつでもそれに対応できるよう措置をはかっているところでございます。
  30. 島本虎三

    島本委員 自治省自身もまだはっきりした対策がない。厚生省自身はやはり現在の状態でそれを早めるようなそういうような方法をとったのだろうと予想されます。しかし、いまのやり方以外にも方法があるわけですから、十分疑われないような方法指導すべきである。きょう大臣来れないということですからしょうがないのですが、本来ならば、産業廃棄物問題、明らかにこれは公害問題ですから、ここで十分検討しなければならないのでありますが、これは後日また再び——この問題だけは残しておきます。いままでの局長答弁だけでは納得するわけにはまいりませんので、これは私は保留をさせてもらいます。大臣によく伝えておいて、いやしくも法の精神を逸脱しないように運用すべきである、このことを十分に言っておいてもらいたい、このことを要請します。
  31. 浦田純一

    浦田説明員 何ぶんまだ検討の段階でありまして、各方面の御意見をまだ聞いておりません。この点は十分に関係省庁におきましても、また各方面の御意見も聞きまして、私どもは慎重にPPの原則に触れないように対処してまいりたいと思います。また大臣に十分にその旨お伝えいたしたいと思います。
  32. 島本虎三

    島本委員 では、そういうふうに強く要請します。  大体、イタイイタイ病判決の出たあと、いよいよ政治的な流れも今後行政の流れと一緒に変わってまいる時代になったわけであります。判決後の記者会見で、私どもはやはり裁判長の発言、このものをよく玩味すべきだ、このように大臣思うのです。というのは、裁判では限界があることを痛感した、こう言っております。そして、各界の力の結集こそ公害追放のきめ手になる、こういうようなことを言っております。すなわちこれは国、都道府県、それから財界を含めた業者、こういうようなものはそういうあらゆる面で責任を負うべきなのだ。もちろん第一の責任は企業者ですけれども、こういうようなことに対して、このものをはっきり意識しての発言であります。それと同時に、イタイイタイ病の患者に接して私は公害の悲惨なことが身にしみた、こうも言っているわけです。そして日本から公害が撲滅される日を楽しみにしている、こう結んでいるわけであります。したがって、七月二十四日ですけれども四日市裁判においても米本裁判長ですか、はっきりこの点についても同じようなことを繰り返しておったわけです。その中では、司法だけの解決には限界がある、あとは政治によらなければならないのだ、こうも言っているわけであります。そうなりますと、もうすでに企業から自治体から国の責任、ここまではっきりした以上、今後やはりその上に立って、政治が責任をもってこれの解決に当たるような方向に一歩踏み出さなければだめなんだということです。そういうふうにして見ますと、賠償だけでこれは解決したことにはもちろんなりません。それと企業政府、自治体、この責任において今後大臣としては公害の未然防止と被害者救済、この観点から対策を積極的に推進する、せっかくそうおっしゃっているのでありますから、この点については具体的に今後やっていかなければならないと思うのです。  私どもは、一班と二班に分かれまして、第一班は先般東北、北海道、いわゆる公害の未然防止という立場から、むつ小川原の巨大開発、北海道苫小牧のいわゆる巨大開発、この現地を直接見てまいりました。そして自然環境保全、こういうような点からして、こういうような状態に対しても十分視察してまいったわけであります。いまイタイイタイ病の、また四日市裁判判決が出た。そのあと行政と政治の流れが変わらなければならないその実態を踏まえて、いまことばはできておりまするが、実態がないことを私どもは身をもって体験してまいりました。それでどういうふうに考えておるのか。まず大臣自身の指導性をここではっきりしてもらいたい。というのは、行ったらすぐに出されたのが、企業そのもののほうからもう企業公害のない企業、このことをまっ先に打ち出しております。公害のない企業、ところが依然として公害を出しておる。公害原因者になっておる。ことばやそれはすぐそれを先取りしてやってしまう。以前は公害行政先取りするのは環境庁だった。このごろ逆に企業のほうがそれを先取りしてやっている、こういうような状態であります。  これから具体的に触れてまいりたいと思うのでありますけれども、まず企業が、またそういうような巨大開発地域に対して公害をなくするような指導公害を起こさないための施策、または日本列島の改造計画、こういうようなものと合わせてアウトラインは出しておるようでありますけれども、あれはアウトライン、現実の問題とは違います。この点に対して環境庁としてはどういうふうに指導しようとするのでしょうか、この点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  33. 小山長規

    小山国務大臣 四日市裁判やら神通川の裁判の反省の上に立ってどういう今後の施策を行なうかという御趣旨でありますが、まず第一は、新しく立地しようとする工業地帯の場合には一体大気の関係、水の関係あるいは自然関係で、人体に悪影響を及ぼさないその基準というものは何だ、これがまずきまらなければならぬと思います。そこで大気の基準あるいは水の基準というものは人体に影響のない基準というものをまず求める。これはわれわれ行政当局がかってにきめるのではなくして、各般の学識経験者からその基準を出してもらって、その基準に従って今後の立地を考え、工業の配置を考える、こういう態度で臨む覚悟であります。
  34. 島本虎三

    島本委員 そういうような覚悟と態度だけだったらいつでも同じじゃありませんか。いまから十年前に岡山の水島、あれも無公害を標榜してつくり上げたコンビナートだけれども、いまや公害発生の原点はあの辺の考え方、あの辺の行政なんです。ことばでは公害はないはずですという。それと同時に、いまの茨城県の鹿島臨海工業地帯、まだ四割くらいしかやっておらないといいながら、もうすでに公害の点では患者が出ておる。水もそれから空気もみな汚染されている。いまのようにして、大臣、ないはずの計画を進めていた。それがもうすでに出ているのです。ないはずの計画がもう公害の原動力にさえなっているのです。これはことばだけではだめだというのです。したがって、行政と政治の流れがもう変わらなければならないから、いまのようなことばだけではこれは公害の撲滅にもならない、防除にもならない、予防にもならない。どういうふうにして指導するというのです。ことばだけの指導だったら何にもならない。通産省はどう考えていますか。
  35. 小山長規

    小山国務大臣 私の言い方が悪かったのですかね。私どもは新しい基準をいま求めようとしているわけなんです。その基準とは何かといえば、人体に被害のない大気の基準は何か、水の基準は何か。これをいま公害審議会にその基準を求めているわけです。その求めておる基準に従って今後の立地計画なり工場の配置計画を立てますから、したがって、政府責任において今後は公害のない立地、公害のない開発というものを考える、こういうことなんです。
  36. 島本虎三

    島本委員 人体に被害のない基準、これをきめて、それを守らせるつもりだ、総量規制をするというようなことはこの意味ですか。それともこの基準によって何らかまた総量規制と関係を持たして別な考え方でもあるのですか。この点については、もし何でしたら事務当局からはっきり承っておきたい。総量規制と、いま大臣の言った人体に被害のない基準というものはどういうものなんですか。
  37. 岡安誠

    岡安説明員 いま長官から申し上げました公害のないという意味は、一つ意味といたしましては自然の自浄力といいますか、自浄能力の限界以下でなければ自然を破壊するわけでございますから、私どもはそういうものは一応環境容量と呼んでおりますけれども、環境容量以下のものでなければならないというふうに実は考えるわけでございます。環境容量以下に押えるためには、おっしゃるとおり容量規制といいますか、総量規制といいますか、そういうような考え方も導入いたさなければ、十分に環境容量内での企業活動というものはチェックできないわけでございます。私どもはその方向に向かいまして総量規制、または量的規制を極力早く導入する。一部ではすでにそういう考え方でもって規制をしておりますけれども、そういう考え方でもって私どもは極力早く進めたいというふうに考えておるわけであります。
  38. 島本虎三

    島本委員 むつ小川原、苫小牧の東部開発、現にわれわれは行って調査してまいりましたが、やはり無公害を標榜してやっておることは事実であります。しかし無公害を標榜しておりながら住民に立ちのきを強要しておるのはどういうわけなんですか。無公害であるならば立ちのかせる必要はないではありませんか。   〔始関委員長代理退席、委員長着席〕 むつ小川原を立ちのかせている、こういうような実態は、やはりことばでは言っても行政やそっちの面では必ずしもそういうふうにいっておらない、こういうことになるのじゃありませんか。具体的な問題——いま大臣局長もりっぱなことを言ったけれども、具体的にはそういうふうに立ちのきをやらして、いまのようなむつ小川原の巨大開発を進めようとしているのです。これは矛盾するんじゃありませんか。それならそこへ住んでいたほうがなおいいはずだ。ところが立ちのいてくれという、そのためにトラブルを起こしている。こういうようなことは、口では言っても、具体的な行政はそこまでいっておらないということになるのではないでしょうか。  それともう一つ、苫小牧の東部開発、これも同じようなこと、無公害を標榜しておる。そして公害がないと言っておる。それでありながら、国有林を切って、そしてそこに三十万都市をつくって、そこへ人口を移そうとしているのです。前回はそういうような計画は国有林を切ることに対しては規制する、調査する、こういうふうに六十八国会では言っておりましたが、今回調査すると、全部切るのは国有林になっている。これは少しおかしいじゃありませんか。環境庁を含めて、林野庁、こういうような無公害、また巨大開発はありません。実態といま大臣が言うのと合いません。これは一体どういうふうになっているのですか。林野庁来ていませんか。——こういうような状態なんです。前回は国有林、これを大規模に切って、そして三十万都市をつくる、これは国有林を切ってまでもそういうふうにして市民を移転させるような計画では初めから公害が出る計画じゃありませんかというのです。また保存しなければならない国有林、これを何のために切らなければならないのですかというのです。そしてこれは国有林を切らない、六十八国会の自然環境保護法を審議している際にはっきり林野庁長官が言明した。そのあと環境庁長官調査に行くと言った。しかし今度行って、現地で具体的に調べたところが何ら調査もされておらない、そして切るのは全部国有林である、こういうような答弁であります。行って、聞いてきた人もいるでしょう。一体これはどういうようなことになっているんですか。環境を保全するという名で、だんだん破壊しているじゃありませんか。これはだれでもいいからはっきり答弁してください。
  39. 首尾木一

    首尾木説明員 苫小牧の大規模開発と、ただいま国有林の問題でございますが、前国会におきましてその問題を島本委員から御質問がございまして、その問題については再検討をするというようなお話があったところでございます。  で、この問題につきましては、実は現地におきまして調査の際に苫小牧市当局の説明を通じまして、まだその問題についてあたかも既定方針どおりやるというようなことが言われたようでございますけれども、この問題につきましては前国会の御答弁もございますし、私どもといたしましても、経済企画庁においてこの計画については検討いたしておるところでございますので、十分今後検討いたしたいと考えております。
  40. 島本虎三

    島本委員 経済企画庁はこれに対して調査し、十分これに対する結論をつかんでおりますか。
  41. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  苫小牧につきましては、細部については北海道開発庁のほうで所管しておりますので、私のほうからお答えすることは不適当だと思います。  むつ小川原につきましては、私どものほうで関係省庁十省集まりまして、相談を始めております。現在のところは、まだむつ小川原については公的な土地の買収には入っておりませんで、ただいま県当局とプランの最終の詰めに入っておりまして、現在の段階ではまだ最終プランの作成が終わっておりません。
  42. 島本虎三

    島本委員 それならば下河辺総合開発局長、むつ小川原と苫小牧の東部開発と両方とも同じスローガンです、公害がないという。そして説明によると、緑を保存して、そして緑の中の工業地帯、インダストリアルパークにする、こういうことさえはっきりいっているわけです。そういうような中で、やはり考えられておるのは、そうまでりっぱにする計画でありながら、数カ所にわたって住民の移転する地域を設定してあるのです。公害がないような地帯にして、なぜ住民の移転をしなければならない地域を設定するのですか。初めから公害が出るということを想定しての、これは計画じゃないのですか。いま言ったように、その三十万人口を収容するような場所をつくるというようなのも、国有林を切り開いてやるというのもその一つです。このようなものは計画そのものの中にはっきりと、公害があるということを示しているのです。  またむつ小川原のようにはっきりと公害がないならば、なぜ住民の移転を強要しなければならないのですか。公害がないならば、なぜ国有林を切り開いてまでも住民を移転しなければならないのですか。その辺どうも矛盾しているんです。これはどうも困るんですね。大臣はこの点についてどうお考えでありますか。
  43. 小山長規

    小山国務大臣 これは、こういうことだろうと思います。  たとえば、狭い地域にある巨大な工場ができた場合に、そこに住民がおる場合には、当然被害が起こるかもしれません。そこで、その広大な地域で、先ほど申しましたように建物の許容量、自然の許容量ですね、それから水について言うならば、水の自然の許容量というものの範囲内で、いかなる工場あるいはいかなる規模の工場を立地させるかというプランがここにできたとします。その場合にある一部の人たちがそこにおる場合には、ひょっとすると被害が起こるかもしれない。そういう場合には、いま私が申し上げておることは、ある地域の全体の許容量を言っているわけですから。ところが全体の中には一部住民の——たとえば鹿島のような場合がありますね、一部住宅地域がある場合、そういう人たちを移転させることが望ましいのか、もうそういう移転させてまでやることは立地計画そのものからすでに無理なのか、そういう判断は伴うと思いますが、全体としては人体にもあるいは植物にも影響のない自然許容量がある。その場合に、一部の人たちをかりに移転させることができるならば、住民も移転することを許容するならば、そういう計画は成り立つ、こういうふうに考えるべきじゃないだろうかと私は思います。
  44. 島本虎三

    島本委員 残念ながら、大臣の言うことさっぱりわからぬ。もう少し歯切れよく言ってください。じゃ、公害があるということになるんですね、巨大開発は。ですから立ちのかせるんだ。一人でもそういうようなことがあったら困るからそれをやるんだということは、あるかもしれないということですね。だとすると、これはやはりあるということですね。
  45. 小山長規

    小山国務大臣 この問題は突き詰めていくと、島本さんがおっしゃるようなことになるんです。ですから、あとは判断の問題だろうと言っているわけです。ある非常に広大な地域にばらばらにたとえば住居地域がある、そうしてそこにはたとえば自然の野っ原がある、そういうときに、そこにたとえば一つの工場基地をつくろうとする場合に、その工場基地をつくることがいいか悪いかという判断をする場合に、かりに国の方向としてそこに基地をつくりたい。当然その場合には住民の同意が必要でありますから、その住民の同意を求めていく。そうしてその場合にその地域の住民の方々が移転をすることについて同意された、そういうような計画が成り立つ場合には、その他の住民には公害が発生しないわけですから、それは可能ではないだろうか、こういう話をしているわけです。
  46. 島本虎三

    島本委員 無過失賠償責任法法律論議じゃないんです。苫小牧というところは知っていますか、見渡す限り人はいないのです。そういうようなところにやっていても、もうりっぱに苫小牧市があるんです、そばに千歳市があるんです。住むところに好適な場所があるじゃありませんか。なぜそれを山の中にまで移さなければならない計画が必要なんだというのです。初めから公害がないことを標榜した、いわゆるインダストリアルパークでしょう、これは。それからむつ小川原の巨大開発でしょう、住民のための、住民が喜ぶ開発なんでしょう。それをなぜ立ちのかせたり、国有林を切ってまでもそこにやらなければならないのか。あくまでもこれは企業側に立った、住民のための開発じゃなくて、依然として環境庁考えは通産省と一緒になって、これはまだ企業寄りの考え方を進めようとするのじゃないか。これだったらもうすでに時代おくれだ。そういうような考え方こそ改めなければだめだ。
  47. 小山長規

    小山国務大臣 どうも舌足らずで恐縮ですが、私どもは先ほど言いましたように、地域の開発を進めるときには環境の許容量というものを定めます。その定めた範囲内でしか企業の立地も工場の配置も許しません、こういっておるわけですから、もう少し詰めた具体的な話は、それじゃ事務当局からいたさせます。
  48. 船後正道

    ○船後説明員 開発と移転という問題を考えました場合に、まず一つは、工業開発であれあるいは環境開発であれ、開発いたします場合にはどうしても既存の土地利用と競合するわけでございます。特に日本のように非常に国土が狭くて人が多いという場合には、無人の荒野というものは数少ないわけでございまして、どうしても競合する。そういった場合には、工場適地として考えられております地域がたまたま居住区ということに競合いたしますれば、当然住民の納得その他を求めまして、そういった移転を求めるということも起こってこようかと思います。  なお、公害との関係につきましては、その地域全般の環境の質というものを、人体に悪影響を生じない程度にとどめるということでもって今後の開発は進めるべきではございますが、しかしその地域の中でやはり特に弱いといった地点があるわけでございます。自然の自浄能力の中には希釈とか拡散というような能力もあるわけでございますから、工場のへいの隣に居住区があるといったような状態は、大気の汚染のみならず騒音といったようなことから考えますと、これは望ましくないわけでございます。この点は、特にいわゆる既汚染地域におきましては工場地域と商業地域あるいは住宅地域というものが非常に混在いたしておりまして、土地利用区分が明確でないというところに種々の社会問題が起こっておるということを考えますと、新たに開発する場合にはこういった土地利用区分というものを純化することが必要であろうかと思います。そういうことでもって公害なき開発ということは立地計画も含めて遂行していかねばならないものでございますが、当然そういった場合にはその土地は地域住民のものでございますから、開発の目的あるいは開発の意義、そういったことにつきましては十分地域住民の納得が必要である、かように考えております。
  49. 島本虎三

    島本委員 地域住民の納得が必要であるという前提なんですが、むつ小川原は立ちのきを前提にしてやっている。  なお、これ以上時間をかけるのももったいないから、先に進むために確認いたします。前回、六十八国会で言った林野庁長官並びに環境庁長官答弁、これは、再調査して、国有林を切るというようなことに対しては計画の変更も考える、こういうようなことだったのですが、これは前と変わらない、こういうように了解していいのか、今後全部切ってもそれをやるというつもりなのか、もう一回首尾木局長答弁を求めます。
  50. 首尾木一

    首尾木説明員 この計画を遂行いたします当局と十分検討をいたしたい、かように考えております。
  51. 島本虎三

    島本委員 十分検討するというのは、前回の答弁を実施するように検討するわけですか、変更するように検討するのですか。
  52. 首尾木一

    首尾木説明員 変更すべきかいなかにつきまして十分検討いたしたいと思います。私どもその問題につきまして十分検討いたしまして、計画を実施いたしますのは、これは経済企画庁なりあるいは北海道開発庁でございますので、私どもとしては十分私ども考え方を申し入れ、その結果全体として検討いたしたいということでございます。
  53. 島本虎三

    島本委員 どういう考え方を申し入れるのですか。
  54. 首尾木一

    首尾木説明員 それはやはり具体的な立地計画の中において、住宅地域というものをどういうところに張りつけるべきかということが具体的な問題として検討されなければなりませんので、そういう具体的な問題として、自然の環境を保全するということが一方においては非常に重要な問題でございますから、そういう観点から申し入れをやりたい、かように考えておるのでございます。
  55. 島本虎三

    島本委員 大臣、これは前からそういうようなことはさせないように、十分実地調査もした上で検討し結論を出すことになっているのに、まだ出ておらないのです。これはやはりそういうようなむちゃな計画はしないように、十分戒心してもらいたい。また疑われるような開発にしないように、また住民に怨嗟の声をもって恨まれるような開発にしないように、これだけは十分に考えの中に入れておいてもらいたい。そういうような開発なら私やめたほうがいい、こういうように思うわけです。また公害が出ないはずなのに国有林まで切ってやらなければならない、こういうようなのはまさに国民を欺く計画だ、こういわざるを得ませんので、この点に対してはいまの答弁はまことに耳ざわり悪いですね。以前はわりあいに耳ざわりのいい答弁が多かったのですが、このごろさっぱりわからぬ答弁が多くなった。自然環境保護の立場に立つ人が、何かわからない答弁をしている。あなた、切ったほうがいいと思うのか悪いと思うのか。環境保全とどういうような関係になるのか、あなた調べての答弁なんですか。もう一回はっきり答弁しなさい。
  56. 首尾木一

    首尾木説明員 私どもといたしましては、自然環境保全をするという立場から、この問題について関係当局に対して十分意見を述べたい、こういうことでございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 大臣、そういうようなわけですから、これは十分検討して、少なくとも自然環境を破壊するような、こういうような計画でないように十分調査して進めてもらいたい、このことを強く要請しておきます。  それと同時に、むつ小川原、それから苫小牧東部、ここに予定されてあるその開発地帯に両方とも同じような現象が起きました。それは開発の中心部というように思われる個所から縄文時代の文化財、むつ小川原からはいわゆるかめ棺が出た。そしてそれに類するような発掘もあった。これは六ケ所村というところであります。苫小牧でも同じようにこういうようなものが発掘されておるわけです。そういうようなものをブルドーザーによって排除してしまうと、あとかたもなくなる。こういうようなことではいけないと思うのです。この自然文化、ことに縄文時代のこういうような文化の保存のためにも、開発とあわせてこういうようなものが出た場合にはしかるべく保存を考えた開発でなければならないと思うのです。一度ブルドーザーでならされてしまったらもとに戻りません。自然環境と同じように破壊されたらもとに戻らない。そこを考えて十分この問題に対処していかなければならないと思いますが、文化庁ではこの問題をどういうようにしてやっておりますか。
  58. 高橋恒三

    ○高橋説明員 遺跡の保護と開発の調整の問題でございますが、まず遺跡の分布を把握をするということと、その遺跡の性格がどのようなものであるかということを事前に調査をいたさなければならないわけでございまして、こういったことについては十分とは言いませんけれども、非常に進めております。  そういうわけでございまして、そういった遺跡の分布図につきまして、各省庁その他関係方面にこれを配付いたしまして、開発に際しましてもできるだけそういった遺跡を破壊することのないように、それを避けた計画を立てていただくように要請をいたしております。  ただいまお話しの苫小牧あるいはむつ小川原につきましても、先生指摘のような遺跡があるわけでございますが、そういった部分についても私どもとしても十分注意をしてまいりたいと考えております。
  59. 島本虎三

    島本委員 大臣、この調査の中で委員長を中心にしてわれわれが驚いたことがまた一つあるのです。この問題に対してはことに通産省が指導的な役割りを果たしたのですが、岩手県の松尾硫黄山、露天掘りにしたまま、そのまま廃鉱になっている。雨が降っても降らなくても、地下水になって、それが全部北上川に流れるのであります。そして、北上川ではもうすでに汚染されているのであります。魚も住んでおらないのであります。そして、それをはっきりと中和させるためにまさに数億の金さえ使わざるを得ないような状態になっている。一度破壊されたこういうような自然に対しては、もとへ戻すのにはまことに金がかかるのであるということを痛感してきたのです。しかし、そのままにしておくことはどうしてもできません。したがって、これに対する対策は全般的に行なわなければならないと思っておりますけれども、最近の通産省では、カドミウムを重点的に総点検をするという話であります、カドミウムだけの。これは、いま裁判がこういうようになって、患者側が完全勝利になった。名古屋高裁の金沢支部からこのイタイイタイ病に対する判決が下ったということになると、すぐまたカドミウム。それはけっこうなんです。しかしこれは、カドミウムのほかのいわゆる重金属にも重点を置いて総点検をすべきじゃないかと思っておるのです。きのうの発表によると、これはカドミウムを重点に置くといっておりますが、こういうように硫黄山、ことに、これも露天掘りの、荒野を思わせるような状態で、山一つが全部まる裸になって、それが雨に、また雪にたたかれて、それが北上川に全部流入して、それによって被害を起こしている。また、起こさせないための中和剤をまくのにこれまた巨大な金を使っておる、こういうような状態であります。これはやはりはっきり対処しなければならない。日本全国を対象にしてこれはもうやらなければならないと思っておるのですが、この計画はおありですか。
  60. 久良知章悟

    ○久良知説明員 お答え申し上げます。  カドミウムにつきましては、先生指摘のとおり、昨日神岡の二審の判決が出たわけでございますが、この問題は、四十年代の当初からの問題でございまして、四十三年に厚生省の見解も出されたわけでございます。私ども、その当時からカドミウムの排出鉱山についての監督は強化をしてまいっておるわけでございます。ただいま、カドミウムにつきましては、排出基準が〇・一PPM、環境基準が〇・〇一PPMというふうにきまっておるわけでございます。その環境基準がきまる前から、これは内規といたしまして、鉱山保安監督の面ではそれに従いました監督を続けておりますので、現在稼行しております鉱山につきましては、カドミウムの排出については大きな問題はないというふうに考えておるわけでございますが、先生指摘のように、やはり休廃止の鉱山についてはいろいろな問題があるわけでございますので、四十五年から計画的に調査をしてきておるわけでございますが、その前の計画のスピードでは現在の時勢に合わない点もあるわけでございますので、その計画をスピードアップいたしますと同時に、環境に及ぼす影響の問題につきましては、環境庁、県とも協力をいたしまして、なお間違いのないように対策を強化していきたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  61. 島本虎三

    島本委員 調査人員が少なくてこれは全部できないという話ですが、調査人員は十分把握しておりますか。
  62. 久良知章悟

    ○久良知説明員 鉱山保安監督部全体の定員を増加するということはなかなか困難な面もあるわけでございますが、休廃止鉱山関係の調査の人員というものは極力増員するように努力いたしております。  それから、全国の監督部局に鉱害防止を専門にする課の増設に努力いたしまして、現在、北海道だけを除きまして、他には全部の配置を終わっておるわけでございます。来年につきましては、北海道についても実現をいたしたいと考えております。
  63. 島本虎三

    島本委員 なぜ北海道だけ除外するのですか。定山渓や上喜茂別や虻田等、こういうようなところにだってりっぱにある。そのほか四カ年計画にのせていない、リストアップした山以外にも、坑内排水とたれ流し、こういうようなものがあるのです。何のために北海道だけ除外している。それほど私が憎いのか。冗談じゃない。
  64. 久良知章悟

    ○久良知説明員 全国の休廃止鉱山の配置状況その他から優先順位をきめて配置していったわけでございます。
  65. 島本虎三

    島本委員 北海道が優先順位からはずれなければならない理由。
  66. 久良知章悟

    ○久良知説明員 これはやはり総体的に判断をしていったわけでございますので……(「違うな。予算がないからだ」と呼ぶ者あり)もちろん予算、人員等あれば北海道についても早急に実施をしたかったわけでございますが、全国的な立場からそういう順位になったということで御了解願いたいと思います。
  67. 島本虎三

    島本委員 じゃ、今後はどうする。
  68. 久良知章悟

    ○久良知説明員 先ほどお答え申し上げましたように、来年度についてはぜひ実現をいたすように努力をいたすつもりでございます。
  69. 島本虎三

    島本委員 いろいろありますけれども、まず調査を、山、それからもう一つは開発、もう一つは自然環境の保全、この問題に対する第一班の調査もやったわけでございます。大臣、この調査環境保全のためにもほんとうに必要だ、こう痛感してまいりました。ある北海道のいなかです。といいます。ここへ行ったら、その町長が、年間三千万人ほどの人たちが観光に北海道に渡っております、こういうことさえ言っておりました。もし三千万人とすると、来年あたり、ことに週休二日制なんか実施されたあとはもっとふえる。そうなりますと、当然これまたいろいろな意味考えなければならない問題も起きると思うのです。その一つに、海中公園の計画なんか、これも早く設定してもらいたいというような要請もありました。それと同時に、観光公害といわれるようなもの——ふだんの町民、村民だけならばいいのですが、わっと人が来ますと、そのための排出物並びにいろいろな処理廃棄物処理、こういうようなものが約百万円ほどかかるわけです。そして示達されるものがたった二万円ほどしかないということで、一部これを奨励しながらも、環境庁の施策に協力しようとするならば、村または町の財政を非常に圧迫するようなことに相なろうかと思います。今後こういうような計画を十分考えて実施するのでなければならないと思いましたけれども、海中公園の計画の決定、これは北海道に関してはどういうようなことになっているのか。強い要請もありました。それと同時に、いわゆる観光公害といわれるようなもの、廃棄物に対する処理、こういうようなものに対しては、地方財政を圧迫している重大な実態をわれわれ見てまいりました。この二つに対する対処を十分しなければならないと思いますが、お考えを承ります。
  70. 首尾木一

    首尾木説明員 北海道から申請になっております——申請といいますか、要望のごさいますニセコ積丹国定公園内の海中公園の設定の問題でございますが、この問題につきましては、各省と協議がととのいましたので、私どもといたしましては八月中にこの指定にこぎつけたいというふうに考えておる次第でございます。  それから観光公害と申しますか、観光者による地域の汚染といいますか、そういう問題につきましては、特に清掃等につきまして問題があるわけでございまして、これは先生のおっしゃいますように、確かに非常に重要な問題でございます。私どもといたしましては、従来から予算を計上いたしまして、国立公園等の地域におけるごみの処理施設でありますとか、そういったような施設の関係についての補助金等を計上いたしておりましたが、なおその管理等につきまして、現在の実態では、自治体、市町村が一応清掃の義務を持っておるということになっておりますので、そういう点で財政的な負担がかかっておるというような実態があろうと考えます。その問題につきましては、いろいろ今後十分検討をいたしまして、何らかの具体的な対策というものを考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 島本虎三

    島本委員 それで、同じ環境保全立場から冬季オリンピックの行なわれた恵庭毎の滑降コース、その頂上にまで上がって観察してまいりました。施設としてはりっぱな施設がある。おそらくはわれわれとしてもそれを残しておきたいとさえ思うような施設があるわけであります。しかしいろいろ考えると、もし残した場合には、それを利用し営業がされるようなことになれば当然自然の環境の破壊に輪をかけるようなことになるおそれもあるということを自省いたしまして、同時に、自然環境を一度破壊したならばそれほど多大なる賠償をしなければならないものであることをこれまた痛感してまいりました。それで植樹の点等についても、これは今後考えられると思いますけれども、万全を期してやってもらいたい。そして恵庭岳の復元を急いでおいてもらいたい。このことだけは強く申し上げたいと思うのです。それと同時に、それと関係のない個所もないわけじゃございません。これは下部の冬季オリンピックの集団施設あとでありますけれども、運営本部や宿泊施設や駐車場やヘリポート、こういうもののある個所でありますけれども、こういうようなものに対しては、やはり少年自然の村、こういうような構想で、少年の自然保護教育に活用のための計画として一考を要するのじゃないか、こう思われる点もないわけではございません。やはりこれは復元を急ぐべきである。それと同時に、そういうような少年のための施設はできるだけこの点については考慮しておいてもらったほうがいいのじゃないか、こうつくづく思ってまいりましたが、これは委員長等とも相談いたしました結果、その計画も考えてみたほうがいいのじゃないかということであります。大臣においてもこれは十分検討しておいてもらったほうがよろしいと思いますが、この点は聞いておられましょうか。聞いていなければ事務当局から答弁を願います。
  72. 首尾木一

    首尾木説明員 恵庭岳の冬季オリンピックの施設につきましては、環境庁といたしまして、従来からここの施設を許可いたします際に原状復旧ということを原則といたしまして、強い条件をつけてこの許可をいたしたところでございます。したがいまして、オリンピックが終了しました時点におきまして、組織委員会のほうに強く申し入れをしておりまして、組織委員会のほうにおきましてもこの問題の原状復旧ということについて万全の措置をしたい、こういうことでございます。  なお、先生のお話のございました後段の問題でございますが、私どもといたしましては、全体の施設の撤去ということを原則にいたしまして、したがいまして、その下部の問題も含めまして組織委員会に対し現在の段階においては撤去をしてもらいたいということを強く申し入れておったわけでございますが、今回当委員会調査もございまして、また私もそれに随行いたしたわけでございますが、その下部の施設だけを切り離しまして、下部についてそういう利用ということを考えることも一つの案でございますし、またこれは自然保護の教育といったような点におきましても有意義な点もあろうかと思いますので、その点につきましては今後十分検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  73. 島本虎三

    島本委員 それとあわせて国立公園地帯でございます支笏湖、この汚水、排水処理の問題について、われわれはよくそれを体験してまいりましたが、支笏湖は世界でも透明度もなかなか高い得がたい国立公園内の湖水であります。これに対して公共的な汚水の排水処理施設等も十分考えなければならないのではないかと思うのです。そうでなければ、瀬戸内海のあの赤潮発生のおそれがあるようなあの行為に相似たようなものをわれわれ体験してまいりましたが、その点は十分考えないといけないと思うのです。いま瀬戸内海のあの赤潮、この赤潮でもやはりあれは国立公園内です。同じ国立公園内でこれが発生するのであります。そうして赤潮が発生しておるこういうような場所、われわれもよくそれを見てまいりましたけれども、その辺では当然工場排水が海の中へ全部まぎれ込んでおります。タイがとれるという鞆ノ浦、タイの姿が見えなくてもタイをとっている。網を起こしている。網を起こしてといっても、あとからそっと見せるためのタイを放すから見れるのであって、それはそこでとれるのじゃなくてあとからそこへ入れて見せるので、うろこのとれたようなアカダイであります。こういうようにしなければならないような状態になっていま残っておるのが国立公園内、おそらく赤潮の発生、こういうようなことについても十分今後考えなければならないのでありますけれども、支笏湖の中にもやはりそういうようなおそれさえも出ておるということであります。十分考えないといけません。支笏湖内のこの対策、あわせて赤潮の対策、これに対しても環境庁や関係省庁で十分やっておりますか。この二つの点をお伺いいたします。
  74. 首尾木一

    首尾木説明員 支笏湖の水質の汚染の問題でございますが、支笏湖は御案内のように非常に水のいい湖でございます。しかし最近において観光客の激増といったようなこともありまして、若干、この湖におきましても、未処理の雑排水等の流入などによりましてこれが加速的によごれているいうような状態が発生しておるわけでございます。私どもとしましては、支笏湖は支笏洞爺国立公園の中におけるきわめて重要な地域でございますので、この水質を保全することについては今後万全を尽くしていかなければならないと考えておるわけでございます。当面新しい宿泊施設等につきましては、これは雑排水の処理等につきましても処理を行なうような施設を極力つくる、また旧来のそういう宿泊施設につきましてもそういう雑排水の排水についてはなまのままこれを出すというようなことのないような指導を行ないますと同時に、また道それから関係の市町村等とも協力をいたしまして、公共的な下水道の整備ということについて努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、赤潮の問題につきましては水質保全局長のほうからお答えいたします。
  75. 岡安誠

    岡安説明員 赤潮につきましては、やはりその予防その他を考えるにつきましては発生のメカニズム等を明らかにしなければならぬということで、四十二年から四十四年まで科学技術庁が調査をいたしまして中間報告も出ておりますが、さらに不明な点もございますので、四十六年から三カ年計画をもちまして現在調査を進めておる段階でございます。おっしゃるとおり海のみならず富栄養湖におきましてもやはり赤潮と同じような現象がすでに出つつあります。私どもは、赤潮の基盤になる燐、窒素の排出を極力抑制すると同時に、赤潮の発生の動機等につきまして解明をいたしまして、予防措置に万全を尽くしたいというふうに考えております。  なお、おっしゃるとおり現在赤潮等の発生していない地域につきましては、今後そういう発生のおそれがないように未然防止につきましては万全の力を尽くしたいというように考えておるわけでございます。
  76. 田中武夫

    田中委員長 土井君より関連質問の申し出がありますから、これを許します。土井さん、あと十分余りしか残っておりませんからそのつもりで……。土井たか子君。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま赤潮対策の問題が取り上げられて、質疑応答がございましたが、御承知のとおりに、ここ二、三日新聞紙上をにぎわしております問題に瀬戸内海の赤潮の猛威によりまして空前の被害が出ているという事実がございます。これは姫路、高松、洲本、鳴門、この瀬戸内海一円に起こっている事件でございますが、特に養殖ハマチによって生計を立てていらっしゃる家島かいわいにつきましては、この全滅によってこれからの生活自身が漁民の方々は非常に危ぶまれるというようなたいへん悲惨な状況を迎えているわけであります。そこで関連質問といたしましては、早急にこういう被害に対する対策をどのようにおとりになるおつもりであるかということをひとつお伺いしたいわけです。  近年この赤潮の発生については年々これが強くなっていく、非常にこれがふえていくというようなことが憂慮されておりますやさき、特に今回のこの空前の被害考えますと、ことし七月の台風の影響によるということも考えられなくはございません。そういう点からいたしまして、台風の影響によるということを考えたら、天災融資法の発動ということもおそらくは可能性があるのじゃなかろうか。一つはこの問題があるわけであります。この天災融資法の発動によるところのこれに対する援助、あるいはこれに対する救済、これをお考えになっていらっしゃるかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  78. 岡安誠

    岡安説明員 天災融資法を発動するかどうかは主管官庁でございます水産庁からお答えすべきことと思いますけれども、前段にございました今回の赤潮被害、これにつきましての御質問の中で、台風等によるのではあるまいかというお話がございました。確かに赤潮の発生につきましては、基盤といたしまして窒素、燐が相当海水その他に含まれてあるということが要件でございますけれども、それにいろいろな刺激が加わるということがいわれております。誘因物質といたしましてはビタミンのB12とかその他のものが存在すると同時に、誘因現象といたしまして、お話しのように真水が大量に流れ込むということによりまして、塩水と淡水との差ができた場合にそれが刺激になりまして、異常にプランクトンが増殖をするということもいわれております。今回もお話しのように台風によります大量の陸水があふれ出たということによる赤潮の異常発生ではあるまいかということもいわれております。それらにつきましては、現在水産庁においていろいろ検討中でございますし、また漁民の生計維持のだめに天災融資法の発動等につきましても検討しておるというふうに私どもは聞いております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 この天災融資法の発動については環境庁としてはいまどういうふうな態度で臨んでいらっしゃるか、そこのところをひとつ御説明賜わりたいと思います。  さらに、それ以上に農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫等々の制度金融についての特別の措置というのも考えられる余地があるであろうと思われます。この点についての御見解と、さらにこの養殖場の移動であるとかあるいは新しくいろいろ養殖場をつくるということに対しての補助金を出すということも考えられなければ、これから先の生活に対するめどが立たないのがいまの漁民の方々の実情ではなかろうかと私は思うのです。したがいまして、補助金をどういうふうな形で考えることが最も適切と思われるか、その点についての御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 小山長規

    小山国務大臣 天災融資法を適用するかどうか、これはいま岡安局長が申し上げたとおりの進め方をしておるのであろうと思います。  それから補助金を出すのかどうかという点については、これは政治の判断としては当然そういう、何か方法はないかと、こう考えるのでありますが、補助金というのは御承知のように関係法令というものがあるかどうかできまりますので、その辺のところは私承知しておりませんので、これはごかんべん願いたいと思います。
  81. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 お答えいたします。  赤潮の問題につきましては、実はまだ私のところまで地元の県のほうから相談に上がってまいっておりません。相談を受けましたならば、私どもといたしましては国の対策としてどういう措置が講ぜられるのか。地方団体自体といたしましても、ある意味におきましてはこれは被害者的な立場のほうが強いだろうと思います。そういった意味合いにおきまして私どもはやはり国の施策の動向を見ながら、国の施策の足らざるところを交付税なりあるいはものによりましては地方債、そういったもので補完をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、天災融資法の問題につきましては、私どもまだその問題についての具体的な見解を求められておらないわけでございますので、はなはだ不勉強で申しわけございませんが、実情に即した私どもの判断をまとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 今回の事件というのは、これはまさしく漁民の方々は被害者立場に立たれている事件でありまして、これはもともとは赤潮というものが一体どういうふうな状況で発生するかということを探ると同時に、今回の特異な現象ということについてもひとつしっかりと見詰めていただいて、天災融資法の発動ということについても憶せずひとつお考えいただきたいと思うのです。特に長官は現在そういう補助について、補助の制度が一体法制度の上でどういうふうになっているかということをよく知らないから、ひとつその点を調べた上でとおっしゃいますが、いつもこういう被害者については法律で定められていればそれに対する補助なり救済なりということのいささかの手段が講じられる。しかし法制度上定められていないものについては泣き寝入りのままで、行政の後手後手のために、あとへあとへ追いやられるというような事例がいままでにあったわけでありますから、ひとつこれを機会に現在の法制度上の問題もさることながら、やはり被害者の泣き寝入りということを徹底的になくするというような一例にぜひしていただく皮切りとしてお考え願いたいと思うのです。  ほかにもまだまだ赤潮の問題についてさらに詰めたいと思いますが、関連質問でありますし、特に十分しかないということでありますから、午後からの私の質問に譲ることにいたしまして、関連質問をこの辺でおきたいと思います。
  83. 小山長規

    小山国務大臣 いま申し上げましたのは、直接補助の話をいたしたわけでありまして、たとえば県の段階で県が何らかの措置をとったというような場合には、当然交付税の対象にもなるでしょうし、特別交付税の対象にもなりましょう。そういう点は法律の問題ではないわけです。私の申し上げたのは、直接補助の対象として現在法制があるのかどうか、こういうことで、将来そういう法律をつくるべきであるという点でおっしゃるならば、これは私もそういう方向で考えたほうがいい、こういうふうに思っております。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 しからばもうあと一問。  自治省のほうにお伺いしますが、今回のこの事件については兵庫県と連絡を密にして、この問題については被害者救済に万全を期するということをここで確約してくださいますか。
  85. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 県のほうに私のほうから実情の報告を求めます。それに基づいて県がどういう措置をとろうとしておられるのか。先ほど申し上げましたように、私はやはりこういう問題につきまして地方団体だけの財政負担に任ずべきものではないという気持ちを持っておるものでございますので、この辺のところもあわせながら、県自身がとられた措置につきまして、財政的に措置できるものについては万全の措置を尽くすということはお約束できると思います。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  87. 田中武夫

    田中委員長 島本虎三君、あと一問に限り許します。
  88. 島本虎三

    島本委員 大体一班の調査、この中で都市の形態は違いますけれども法律によって示されておりますけれども、それ以上に環境の保全のために行動したいという中都市が多いのにびっくりしたのであります。というのは、室蘭をはじめとして大気汚染防止法、これによると、二十五万以上の人口がなければならないというきびしい規定があるのです。それから保健所を持っていなければならないという規定があるのです。水質汚濁防止法の場合には、五十万以上の人口でなければならない。それでなければ政令都市指定が受けられないというきびしい規定があるのです。しかし自分は住民を守るためにやりたいのだ、これまでの規定には達しないのだ、こういうような悩みが中小都市にございます。指定されてもやりたがらないのがいままでの傾向です。しかし現在は、政治と行政の流れが変わる七〇年代においては、もうすでに、この基準にまで達しなくても、その必要によって、患者をかかえて、どうしても大気汚染防止法及び水質汚濁防止法に基づく政令市の指定を受けたい、こういうふうな市がありましたならば、積極的にそれを審査して、そして法にとらわれることなく、進んでその意を通すように、これは十分考慮してしかるべきではなかろうか。室蘭をはじめとして現実の問題として直面してまいりましたが、この点についても強くこれを申し上げておきたい、こういうように思うのでありますが、これは法の精神そのままを生かすことになります。しかし、あまりにもきびしいこういうような条件を緩和することは、なお国民のためにもなることでありますから、十分そこを考慮して行政を進められるように要請したいと思います。  大臣に最後にこの答弁を承っておいて、私はこれで終わります。
  89. 小山長規

    小山国務大臣 その方向でぜひ検討さしてみたいと思っております。
  90. 島本虎三

    島本委員 では終わります。
  91. 田中武夫

    田中委員長 以上で島本虎三君の質問は終わりました。  この際、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議
  92. 田中武夫

    田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  93. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸大臣がまだ入っておりませんので、その前に、所管の環境庁長官がいらっしゃいますので、赤潮問題について、先ほどもお話がありましたが、今度瀬戸内海の赤潮でハマチが八百万匹ですか、大量死している、こういうことは、環境庁がこの赤潮対策に乗り出したとたんに起こったというようなことでありますが、そこで、この救済もさることながら、私はまず海水の汚濁の原因ですね、これとそれから海水を浄化する方法、これについてどういう見解を持っておるか、ひとつ大臣あるいは所管の局長からでもいいですから……。
  94. 小山長規

    小山国務大臣 明細なことは局長から申し上げることにいたしまして、この間瀬戸内海の海上会議にも出てまいりましたが、やはり工場排水、それから家庭の汚水、それから屎尿の海中投棄、こういった諸般の原因があって、それにその他、何かわかりませんが、その他の原因がからみ合って赤潮の発生があったんだろうということは、大体わかるわけですけれども、明細なメカニズムが解明されませんために、それを防止するために一体どことどことどこを押えれば直ちに効力が出てくるのかという点がまだ解明されていない、そういう現況であります。  これは私どもとしましては、精力的にその解明にいま取っ組んでおりまして、今度の、いま作業部会でやっておりますマスタープランにも、それを織り込んで検討を命じておるところであります。
  95. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、大臣に提案ですが、科学技術庁の調査、こういうものによりますと、海水が自然浄化されている、それは浜べである、この浜べが、砂浜がどんどん埋め立てられて、そのために海水が浄化しないんだ、ここに大きな一つの原因があるんだという発表をしておりますから、私は長官として、これから海岸の埋め立て、これにはきびしい規制を環境庁で設けていかなければならぬのじゃないか。そうでないと、現在赤潮ができていないところ、こういうところも将来起こってくるのではないか。工場排水の規制、それから屎尿の海上投棄、こういうものは規制せねばいけませんけれども、最近とみに海岸の埋め立てが計画されている。それに対するところの規制がない。こういう自然環境を守るために、ぜひひとつ埋め立ての規制を環境庁でやってもらいたいと思いますが、その点いかがですか。
  96. 小山長規

    小山国務大臣 埋め立てが瀬戸内海をよごしている一つの原因になっておるのじゃないかという点、私もそう考えるのであります。それで、何らか埋め立てを規制する方法はないか、それをどういうものさしでやるか、これもあわせて検討をしていくつもりでおります。
  97. 岡本富夫

    ○岡本委員 瀬戸内海あたりはもう埋め立てしちゃいかぬのです。その点どういうふうな方法で規制するか。結局、ささえにしたいわけですからね。そういう環境庁の強い姿勢があればできなくなるわけですからね。その点もう一ぺん強く、どういうふうにしたらいいかということでなくて……。
  98. 小山長規

    小山国務大臣 こういうことです。われわれが何かものを言おうという場合には、当然、それを相手方が反論した場合には、それを論破するだけのものがなければいかぬわけですね。ですから、それのものさしといいますか、根拠になるものをわれわれのほうでつかんでおく必要がある、そういう意味で申し上げたのであります。
  99. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ長官、これは科学技術庁ともよく連絡をとって、すでにそうしたことがわかっているわけですから、調査した結果があるのですから、それを駆使して、海岸の埋め立てについては、特に淡路島の津名町、あそこに海岸の埋め立てを大きくやろうとしているわけです。こういうことをやりますと、またこういうことがさらに助長される。もう一ぺんそれを検討するかどうか。
  100. 小山長規

    小山国務大臣 具体的な問題は局長に……。
  101. 岡本富夫

    ○岡本委員 そういうように何をやっていても全然見当がつかないというような環境庁じゃ、これは話にならぬですよ。一つは、この淡路島の津名町にいま問題が起こっているのは、それを大きく埋め立てしまして、そこに重油の基地をつくろうとしているのですよ。これをやりますと、また砂浜がなくなってしまうわけです。ですから、この点については、ひとつ調査をして検討してください。
  102. 船後正道

    ○船後説明員 埋め立てが沿岸海域に及ぼす影響につきましては、科学技術庁の報告も承知いたしております。確かに、海洋の持っている自浄能力、特に沿岸海域の場合には、浅瀬の浄化能力というものが非常に大きなウエートを持っておるわけでございます。したがいまして、環境庁におきましても、自然景観の保存という観点と同時に、沿岸海域のそういった自浄力の保持という観点から、埋め立て問題につきましては、直接の権限はないわけでございますが、従来から、たとえば東京湾といったようなところにつきましては、事実上協議会というかっこうでもって各省——建設省、運輸省、こういった権限を持っておられます官庁と十分事前に連絡をとりつつ、埋め立て問題に対処してまいったのでございますが、ただいま御指摘の淡路島の問題につきましては、実は私は、正直に申しまして、実情を承知いたしておりません。さっそく実情を調べまして、関係省庁と、たとえば建設、あるいは通産といったところだと存じますので、さっそく調査いたしまして、埋め立て問題、並びに埋め立て後のいろいろな工場の立地の問題につきましては、そういった点につきまして環境保全に遺憾のないようにいたしたいと考えております。
  103. 岡本富夫

    ○岡本委員 ああいうおざなりな答弁じゃ話にならぬのですよ。  それで、要するに埋め立てを規制する権限がなければ、環境庁法律をつくって、ちょうど自然保護法のような、ああいうものをつくって、そうして今度は海浜の埋め立ての規制、こういうものをやらなければ、至るところにこういった赤潮問題が出てくると私は思うのです。要するに海水の自然浄化というものを、これをとめてしまえば——いかに工場排水を出すなと言ったって、出ます、あるいは家庭排水を出すなと言ったって、これは出るのですよ。これは、規制は大きくする必要はありますけれども、そういう点から考えれば、ぼくは、もっと長官の時代に抜本的な考えを持って、海岸の自然環境保護というような形か、そういった面で埋め立ての規制をやるという考えはないかどうか、これを提案しておるのですが、いかがですか。
  104. 小山長規

    小山国務大臣 いまの埋め立てというものは、いろいろな法律を前提にしてやっておるわけです。それで、それをわれわれの立場から全面的にたとえば禁止できる権限を持つかどうかということになりますと、おっしゃるとおり法律上の手段が必要であります。そこで、そういう法律上の手段を用いることがぜひとも必要であるという、そういう確信が出ましたときには、当然いたしますが、いま私まだ不勉強で、現在の法律なり、われわれが審議会その他に対して発言の機会を持っておりますので、それでできないかどうか、これをまず最初に検討してみたいと思っております。
  105. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、もう少し大石長官みたいに積極的な姿勢を示さぬと、いまの状態はどうか。できないから、いま権限はないからできないと言っているのじゃないですか。そのためにこういった赤潮問題がどんどん出ているのじゃないですか。ですから、この前の自然保護法でも、環境庁は相当林野庁とやり合った。またこれを環境庁がつくろうとすると、おそらく水産庁——水産庁はあまり関係ないな、特に通産省だ、ここが抵抗しよる。これをちゃんとしておかないと、日本列島改造論というのは日本列島めちゃくちゃ論になる。だから、長官、もうひとつあなたは勇断をもってこれを考えたらどうですか。いまの法律でいけそうだったら、あなたが旗をあげなければ、これは私はできないと思うのですよ。のらりくらりせぬと、しっかりやってください。
  106. 小山長規

    小山国務大臣 ここで、じゃそうしましょうと言うのは簡単です。簡単ですが、言った以上はちゃんとやらなければなりません。だから、ちゃんとやるだけのことを貫き得るかどうかという点などがやはり検討の対象になると思うのです。そういう意味で申し上げたのであります。
  107. 岡本富夫

    ○岡本委員 それを貫けないような長官だったら、環境庁だったら、これはもう必要なくなりますよ。だから、これはひとつ特にこの点について検討する、こういうあなたの前向きの答弁をもらいたい。もう一度。
  108. 小山長規

    小山国務大臣 そういう趣旨でありますなら、当然検討いたしますし、そうして実現の方向に邁進したいと思っております。
  109. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、この前長官にも申し入れをしたのですが、交通公害、排気ガスの非常に多いところ、たとえば東京の環七のところ、あるいはまた私がこの前言ったのは阪神の第二国道、こういったところの周辺の健康被害の方が相当おるわけですよ。ぜんそく、ノイローゼ、こういった人たちの調査をして、これも公害病に認定をして救済しなければならない時代が来たのではないか、私はこう思うのですが、その点についての御検討はいかがですか。
  110. 小山長規

    小山国務大臣 健康被害の実態については調査いたしたいと思います。それが公害病という範囲に入るのかどうか、私もよくわかりませんが、健康被害が起こっておるかどうか、これは確かに調査に値する、調査しなければならぬ事項であると思っております。
  111. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、それをひとつ調査して、原因がはっきりしてまいりましたら公害病として救済の中に入れていく、取り込んでいく、こういうようにひとつしていただきたい。
  112. 田中武夫

    田中委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 田中武夫

    田中委員長 速記を始めてください。
  114. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間があまりありませんから、次に大阪伊丹空港の問題について、ちょうど航空局長が見えていますから質問しますが、これは私が何べんも提案しておるのですが、将来成田空港ができたら、大阪の国際空港は必要じゃないんじゃないか。またそうしなければ大阪国際空港の周辺の住民を救うことができないと私は思うのですが、これについてひとつお答え願いたい。
  115. 内村信行

    ○内村説明員 ただいまの岡本先生の御説でございますが、それも一つ考え方かとは存じます。ただ、現実の問題といたしまして、国際線の乗り入れというものは、航空協定によってきまっております。現在大阪のほうには、そういうふうな国家間のきめによりまして約十三の国が入っております。したがいまして、そういうふうなものを一挙に切るということは事実問題としてなかなかむずかしい。  それからもう一つは、やはり大阪の空港を利用する方々、この方々は大部分が大阪付近、関西付近の方々、あるいは関西のほうに御用のある方々でございます。そういった意味からすれば、やはり地元の方々の御便宜も考えると、この際一挙にやめるというのは妥当ではなかろうと私は考えております。
  116. 岡本富夫

    ○岡本委員 国際線がなくなれば、いま一日四百五、六十便、このうちの三分の一が国際線ですから、これだけでも緩和してやれば、非常に伊丹は助かるわけです。  そこで、いまのあなたのお答えによると、地元の方の使用ということでありますが、新幹線もできまして、将来新幹線も一時間で通る、そういうことを考えると、今度新しく成田空港ができるわけですから、これ以上もっともっとあなたのほうは航空機をふやそうという考え方なら別ですけれども、これはいまで精一ぱいですよ。ですから、これ以上ふやされたんではたまったものじゃないというのが現在の姿です。ですから、将来これはひとつ考える。要するに大阪の国際空港を撤去して成田に移すということを将来考えられるかどうか、検討できるか、ひとつ……。
  117. 内村信行

    ○内村説明員 先ほども申し上げましたとおり、確かに一つの課題ではあると思います。しかし先ほど申し上げましたように、国家間の協定によって認めておるわけでございまして、したがって、たとえばこちらがアメリカに参ります場合には、ロサンゼルスにもニューヨークにもシカゴにも要求するというふうなことからいたしまして、国際空港というものを東京一本にしぼるということは、現実の問題としてなかなかむずかしい点でございます。しかし、おっしゃるような先生の御趣旨はよくわかりますので、今後の航空交渉その他につきましては、なるべく大阪のほうには持っていかない、できることならばなるべく成田でこなしていくというような方向をとってまいりたいというようには考えます。
  118. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、エアバスのテストがありましたけれども、この間私が地元の方と陳情したときに、あなたは、エアバスの使用は考えていない、まだきまっていないのだというお話でしたが、新聞報道によると、ハワイ会談で米国に対して具体案を提示する、そのときにはエアバス、ミサイル、こういうものを約六億ドルですか、緊急輸入する。この中にエアバスが入っておるわけです。これはどこに使うつもりなのか。あなたは大阪国際空港のほうにはエアバスは使わないのだというようなお話だったが、その点ひとつはっきりしてもらいたいと思います。
  119. 内村信行

    ○内村説明員 新聞紙上におきましてエアバスを何機購入するというふうなことがちらほら見えておりましたことは、私も承知しております。しかしその件につきましては、私ども何機買うというようなことはまだきまっておらないというふうに考えております。  そこで、大阪にエアバスを使うかどうかという問題でございますが、これは過日たしか先生にもお話し申し上げたかと思いますが、地元の御了解が得られなければ大阪では使えないだろうということを申し上げたつもりでございます。おそらく大臣もそういう趣旨で申し上げたと思います。ただ大阪に使えない場合に、エアバスというものが全部要らないかというと、必ずしもそうではございませんで、あるいは東京から北海道であるとか、あるいは九州であるとか、あるいは沖繩であるとか、そういう方面には使えるものであると思いますので、その辺もあわせて検討したい、こういうふうに考えております。
  120. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、エアバスは、騒音は確かにいままでの機種よりは低い、ただしYS11型と同じだということだったけれども、YSよりはまだ少し高いわけです。このほうの騒音のテストはやったけれども、多量に出てくるところの排気ガスの量あるいはそれによる被害、こういうもののテストは全然行なわれていないように思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  121. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生指摘になりましたように、排気ガスのテストはいたしておりません。  ところで排気ガスのテストでございますけれども、排気ガスはおそらく、その一機一機の飛行機がどうであるかということももちろんございましょうけれども、やはり問題になりますのは、マスとしてたくさんの排気ガスが集まった場合どうなるか。たとえば飛行場周辺の場合には、多くの飛行機から排気ガスが出る、それが集まるとどうなるかということが問題になると思います。したがいましてこの場合には、一機一機のものよりはむしろその全体をどう見るかというふうなことのテストのほうがより意味があるんじゃなかろうかと思っております。  ただ、と申しましても、一機一機が幾ら多くてもいいというわけではございません。これはなるべく排気ガスの少ないように、騒音も少ないようにということでこれからの飛行機は設計され、使われていくという方向に向かっておると思っております。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 なるほど全体の量ということが一番大事であるけれども、しからば、現在一日四百四、五十機通っておる飛行機の全部の排気ガスは調査いたしましたか。それと、今度はエアバスの入った場合のその量、こういう総量についてどういうふうにして調査するのですか。
  123. 内村信行

    ○内村説明員 その排気ガスの全体の量のテストでございますが、これはただいま先生言われましたように、現在一、二回やっております。その方法、時期については必ずしも理想的ではなかったというふうに聞いておりますが、今後もそういうものはさらに調査したいと思っております。  それからさらに新機種における排気ガスの問題、これは現在なかなかテストをするチャンスがございませんので、テストをいたしておりませんが、要目調査によって研究を進めたい、こう思っております。
  124. 岡本富夫

    ○岡本委員 局長、排気ガスの量といったって、やはり一機一機から出てきたものに対して全体がどれだけだということを調べなければ、全体の空気をつかまえて排気ガスがどれだけかを調べるわけにはいかないですよ。そうしましたら、やはりいままでの飛行機とそれからこれからのエアバスの量の差というものはどんなようになってくるか。あの姿を見たってものすごい排気ガスですよ。威圧感と両方ですが。やはりあなたは、一機一機じゃなしに全体の量、こうおっしゃるけれども、全体の量を押えるためには一機一機を調べなければこれははっきりしないのじゃないですか。そんないいかげんな答弁をしたのじゃ話にならない。
  125. 内村信行

    ○内村説明員 その点は先生のおっしゃるとおりでございます。それは調査いたしたいと思います。
  126. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃエアバスの排気ガスの調査についてはやる、こういうことですね。  運輸大臣見えましたから、運輸大臣にひとつ質問いたしますけれども、いま政府の姿勢としても、ただ経済発展あるいはまた産業発展ばかりでなくして、これからはこうした住民の健康、要するに住民の立場に立ったそういった政治に変わるのだというのが田中総理の言い方でありまして、七年前に聞いた話と同じですけれども、佐藤さんが池田内閣のあとで言ったこととまた同じことを言っていますが、今度はほんとうでなければならないと私は思うのです。  そこで、航空行政について私はいま申し上げておるのですが、この間もあなたに申し上げたように、大阪伊丹周辺、あの端の八つの市は騒音で非常に困っておるのです。そのために、国際線だけでもやめてくれれば三分の一減るのですね。中には一日だけ飛行機が飛ばぬ日をつくってくれ、アースデーのような一カ月に一日だけでもゆっくりさしてもらえる日がないだろうかという切ない訴えもある。そういう面から見ますと、航空行政について今度あなたの英断がなければならないと私は思うのです。だから大臣にいつも出てもらわなければ話にならないと思うのです。航空局ではどうしても安全とよけい飛ばそうという行政ですから、だからそれを押えてあなたのほうで検討する、そして今後の航空行政についてはこうするのだという明確な態度をひとつ打ち出してもらいたいと思うのです。  それから、いま一日四百五十機、そうすると一分三十五秒に一台ですよ。もうたまらない。ですから、この機数も減らさなければならないと思うのです。こういう検討。それからもう一つは、いま朝六時から晩の二十二時まで飛んでいるのですね。そのあとは郵便の飛行機が飛んでいるわけですが、これを少なくとも朝の八時から晩の九時までに、それ以降は安眠さしてもらいたいというのが住民の切なる願いなんです。これもあなたのほうにも申し上げたのですが、こういったものを含めて、今後の航空行政についてひとつ大臣の英断をお聞きしたいのですがいかがですか。
  127. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 岡本さんは航空公害に非常に御熱心で、私、運輸省に参りましてからも何回かお会いして、大阪空港の実情はよく身にしみていろいろお話を承りました。住民の方々もさぞお困りであろうということはよくわかります。ただ、こういうように時代が進んでおります今日、しからば航空関係を全部廃止するかというわけにもまいりませんので、先般お話ししたように、大阪は日本の経済の中心になっております。また、こういうような航空の発展した今日は、大阪から飛行機を抜くということは、世界の経済の中心になっております大阪の立場等も考えなければなりませんので、それらを勘案して将来の航空行政というものをやらなくてはなりませんし、さらばといって、住民が毎日困っている騒音とか振動の公害というものを無視するわけにもいかぬ。そこで、何とかこの飛行機の騒音について音の低いものがないかということで、この辺を考え、この間エアバスなんかを試験してみたのでありますけれども、ある程度騒音は低いとはいうものの、威圧感というものがあるので、これを直ちに採用するということはまだきまっておりませんし、またあのような住宅の中に飛行場を置くということがどだい無理なこともよく承知をしております。ただ、その発展をする過程が早過ぎまして、私はもちろん北海道ですから、北海道と東京の間なんかも、日航便をつくったときには最初月に四、五千人ぐらいしか乗らないだろうと思っておったのが、いまではあれは、一年に五万人であったものが三百万人おるのです。このように急速に発展をするとはだれも考えていなかったのです。そういうことから考えて、いま飛行場の設置を急いで、いまの大阪の町の中、家の中からの飛行場を移転させる、そうして住民に迷惑をかけないところを急速につくり直そうというので、それにいま全力をあげておるのであります。  しからば、それができたならばいまの伊丹の飛行場をやめるかという質問もこの間ございましたが、私はあそこの飛行場を全部やめてしまったのでは、やはり地元住民が非常な——ほとんど地元住民に大きな利用価値がございますから、やはりある程度の、騒音の低い、振動の少ない程度の飛行場としては利用価値があるのじゃないか、こう考えております。  私も、あなたともお約束しておりますし、言われることも十分わかっておりますので、近く現場をよく見せていただきまして、そしてあなたの御主張を十分入れるようなことにいたしまして、早急に対策を講じたい、こう考えております。
  128. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、大臣は現場をもう少しよく見てからということなので、ひとつそれをまた土台にして検討をしていただきたい。私もそのときにまた質問をいたしますから。  時間があまりありませんから、それでもう一つ聞いておきたいと思うのです。これは航空局長でないとわからぬと思うのですが、今度、報道によると、大阪空港に入る場合、要するに逆風時とかこういうときをいろいろ考えて、いままで進入路が一つであったのが二つになる。その一つは武庫川沿いに入っていくのだというような報道をしておるのですが、これはまことですか。
  129. 内村信行

    ○内村説明員 私、いまの点承知しておりませんので、よく調べましてから御返答いたしたいと思います。
  130. 岡本富夫

    ○岡本委員 航空局長が何もわからぬようでは困るな。だれかわかっている者はおらぬのか。
  131. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま電話で確かめます。
  132. 岡本富夫

    ○岡本委員 電話で聞きますか。——では、あとで確かめましょう。  そこで、大臣の都合もございましょうから。大臣、先ほど一つ言いましたのは、エアバスの排気ガスの量です。これはもうたいへんですから、これをひとつ調査してもらうことを約束しましたから、よろしくお願いします。  次に、新幹線の公害問題ですが、山陽新幹線は、東海道新幹線と違って、生い立ちが違うわけです。山陽新幹線は、東海道新幹線の騒音とかいろいろなものを踏まえて、今度はほんとうに公害のない新幹線をつくろうというわけで、国鉄の技術の総力をあげてやった。しかもいま、田中総理が全国知事会で今後九千キロの新幹線網をつくるというような構想を発表しておりますが、山陽新幹線はこのテストケースになるのではないか。あそこであんな騒音があればもう全国が反対してしまうということを考えますと、まずここで完全な、近所に迷惑をかけないところの新幹線をつくって、それで、こうなんだからひとつ全国の皆さんつくるのを応援してください、あるいはまた、どうですかというようにしなければならないのが山陽新幹線の運命であると私は思います。そこでこの前に、伊丹と尼崎と西宮、この三市を、速度を百キロに落とせば三分岡山まででおくれるのだが、これぐらいのところはしたらどうかということを私は申し上げた。その間に騒音のないようにいろいろな手を打つ。まず住民の皆さまを納得させる——納得させるというとおかしいですけれども、その被害から救済するという意味から、そうしたらどうかというようなことでお話をしました。環境庁長官にその話をしますと、それじゃ運輸省に対して、運輸大臣に対して勧告をします、こういうお話だったのですが、環境庁長官、なさいましたか。勧告してくれましたか。
  133. 小山長規

    小山国務大臣 騒音の問題については、たびたび申しますように、いろいろな対策がありまして、その中に速度制限も対策の一つとして考えられることは申し上げたとおりであります。そこで、この騒音対策についてどういうような基準を設けたらいいかということをいま審議会に諮問をいたしておるのでありまして、そういうことで、速度の制限というものもその中に含まれるのじゃないかというようなお話を、この間申し上げたわけであります。
  134. 岡本富夫

    ○岡本委員 それはちょっとおかしいですね。それならば、さっそくこの密集地帯だけはそういった勧告をすることができるのであれば勧告しよう、あなたのほうでそういう話だったのですが、いかがですか。
  135. 小山長規

    小山国務大臣 西宮なら西宮と限った局部的な話ですね。その話はまだ運輸大臣に申し上げておりませんが、それではいまこの場で申し上げます。ひとつ速度制限のことを考えてくれということを運輸大臣にこれから申し上げようと思います。
  136. 岡本富夫

    ○岡本委員 では運輸大臣、いま聞いておりましたね、こっちを向いて答弁しておったけれども……。これで勧告したことになるのです。  それで、私は運輸大臣にはこの問題を国鉄に対して指導してもらいたいということを申し上げた。指導してくれましたか。いかがですか。
  137. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 騒音の問題、これもさっきの飛行機と同じで、いろいろな市から同じように聞いております。これもお約束のように、現地に行ってよく調査しましょう、私、行きましょう、こういうことでした。いま長官から勧告は受けましたが、ことばでなくて、私、実際に聞かしてもらおうと思います。しかし、それでひどいなと思うことであれば、直ちに何らかの措置を講じなくちゃなりません。ただ、いままでの新幹線建設等につきましては、やはり地元市町村との覚え書きなどもございますので、その覚え書きをどの程度破っているのか、あるいはまたその基準をどれだけ超過しているのか、これなどの点についても十分に検討して、そしてできるだけ御趣旨に沿うように対処しなくちゃならぬ、こう考えております。  また、この技術の部面で、速度を落とせばこれだけの騒音が落ちるという岡本先生の確信のある御調査のようでございますが、これもまだ岡本さんからの御意見だけで、技術部面のほうからはまだ聞いておりませんので、これを両方合わせてみまして、それが正しいものであれば、またそれも一つの貴重なる御意見としてやはり考える必要があるのじゃないか、こう思います。   〔委員長退席島本委員長代理着席〕 また国鉄の方面では、やはり新幹線がいまのままということもありませんので、五十五年目当てに磁気浮揚などといってレールの上を浮いて走るような新しい研究もやはり進めておりますので、それらこれら総合的に考えて、要は住民のいわゆる騒音など迷惑にならないようなことを早急にやりたい、こういうことで御了承願いたいと思います。
  138. 岡本富夫

    ○岡本委員 大臣、これはこの周辺の人が、あるいはまた国鉄と各伊丹市長、西宮市長、尼崎市長、全部がこういった覚え書きを取りかわしているのです。そのときに全部、ホンはこれだけで振動はこれだけ、それからいろいろと被害を受けた人には一カ月以内にちゃんとしますという覚え書きもかわしているのです。こういうこともあなたは御存じだと私は思う。これから調査してからなんと言っておったのじゃ話にならないから、まずその初めに、覚え書きどおり約束した分まで落とすためには、本年三月十五日の試運転のときの速度まで落としてもらえば、そのときはみんな何でもなかったという、だから、そこから徐々に上げていくのならば、これならよろしいか、これならよろしいかということになれば、その間わずか三分じゃないですか。このことを運輸大臣指導できないようなことじゃ私はどうもおかしいと思うのですがね。
  139. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 それができないということを申し上げているのじゃないのです。それが、それだけ落とせば確実に騒音がそれだけ減って地元住民も了承いたしますということであれば、最善の方法だと思いますから、直ちにそれを採用することもやぶさかではありません。だけど、あなたとの約束は、おまえ現地に来てみなさいということですから、できるだけ早く現地に行ってそれを聞かしていただきましょうということでございます。  それから、覚え書きの点につきましても、いま申し上げたとおり、覚え書きを知らないというのじゃありません。覚え書きによって話し合いができているのでありますから、そのことは十分了承しております。そういうことであります。しかしまた、いま最後に申し上げたのは、それらの点については、この騒音対策というものについて政府がいままでやってきたことは、伊丹あるいは岡本先生の選挙区を中心としてあらゆることはやってきたのですけれども、その効果があまり薄いとおっしゃることだろうと思います。これからそういう点についてできる限りの措置をしたい、こういうことを申し上げているのです。
  140. 岡本富夫

    ○岡本委員 そのできる限りの措置の中には、まず速度を三月十五日のテストのところまで落とせばいいということは住民の皆さんはみんな知っているわけですよ。それは各市がみなはかっておるわけです。だから私は申し上げておるのですよ。だからひとつこれはもう一度あなたは国鉄に対して——調査してからと言うが、いつ来られるかわからないのです。これはいつごろ来るのですか。
  141. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 なるべく早くお伺いします。
  142. 岡本富夫

    ○岡本委員 それじゃ来月中くらいですか。
  143. 佐々木秀世

    ○佐々木国務大臣 日にちのことはなるべく早くいたします。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんないいかげんなことでは、毎日毎日被害を受けている人たちのことを少しは運輸大臣考えたらどうですか。  それで国鉄総裁見えてますか。
  145. 島本虎三

    島本委員長代理 内田常務理事が来ております。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうでは、この山陽新幹線をつくるときに、一つはこういうことを言っておるのです。五十ホンを基準にして、多くて七十ホン、それをするためには車の両側にスカートをはかせるんだ。いまはいていますか。どうですか。
  147. 内田隆滋

    ○内田説明員 車両のスカートの問題につきましては、目下検討中でございます。検討中というよりも実施設計中でございます。これは新しい博多まで通ずる新幹線の車両をつくるときには、現在の車両よりも側壁の側を長くしまして騒音の防止に役立てたいというふうに考えております。現在の岡山までの新幹線は従来どおりのもので運行をしておるということでございます。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたがこの現場にあたって約束をしたんではないから知らない、こうおっしゃるかわかりませんけれども、小林工事局長の前の吉村工事局長ですか、この人がそう言って皆に説得しているわけですよ、これをあれするときにね。山陽新幹線をつくるについてそういうふうに説得したのです。博多まで行くについての説得じゃないんですよ。それじゃ話が全然違うじゃないですか。それが一つ。  それからもう一つは、この六甲トンネルの入り口に今度五メートルの側壁をつけて吸音するということをやっておりますが、それでホンはどのくらい下がるのですか。
  149. 内田隆滋

    ○内田説明員 ただいまのところ八十九ホンぐらい。平均値で八十九ホン。それが八十ホンぐらいになる見込みでございます。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 それじゃ、最初の七十から七十五ですか、多くて七十五。七十というのと全然話が違う。まあいずれにしましても、先ほど言いましたように、速度のあれも問題がありますが、これでホンが十ホンも下がるということになれば、成功すれば全線に吸音板を、何かドイツの特許とかなんとか言っていたですけれども、つける考えはありますか。どうですか。
  151. 内田隆滋

    ○内田委員 先生も御承知のように、六甲トンネルの入り口というのは非常に特殊な場所でございます。ということは、トンネルの入り口でございまして、相当のいわゆる衝撃音がトンネルの入り口にぶつかって出る。それから、トンネルの入り口の特殊性でございますが、どうしてもカットになりまして、地形が、六甲隧道の場合は片側でございますけれども、土地が上がっている。そうすると、音のほうは普通の平地でございますと、音は全体に拡散いたしますけれども、スロープになっておりますと、音の減衰が非常に悪いということでございます。そういうような特殊性からして、ここは十分な防音壁をつくるということでございますので、通常のところは現在の二メートル程度の防音壁でもって大体八十ホン以下にし得るということでございますから、いまのところはこういうものを全線についてやるという計画は持っておりません。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 運輸大臣帰っちゃったな。運輸大臣にこれも……。  国鉄さん、あなたのほうは八十ホンくらいになりますよというような初めの契約ではないんですよ。七十ホン、そのくらいのところで市長にもあるいは住民の皆さんにも契約をして、そうしてこうやっているのですよ。それで、いま通ってからどうしようもない、もうみんな泣き寝入りだ、こういうことではひどいじゃないですか。いま大臣は、できるだけのことはしたい、こういうことです。それならば、いま八十ホン以上のところ、要するに町の密集したところだけ、山の中はいいですけれども、そういうところに対してはそういった音を吸収する側壁をつけるというのが、ほんとうに日本一、世界一の国鉄新幹線と言われるならば、それがあたりまえじゃないかと私は思いますが、その点あなた検討できないですか、いかがですか。
  153. 内田隆滋

    ○内田説明員 まず第一に、あるいは現場でそういうお話があったと思いますけれども、山陽新幹線の設計をいたします基準といたしましては、八十ホン以下に押えるということであらゆる施設をしたということでございまして、もしそういうお話がございますれば、ここでおわびをいたしたいと思います。で、三市とのお約束も、七十五ホンないし八十ホンになるようにできるだけ努力いたしますということでお約束さしていただいておりますので、まあ大体所期の目的を達しているんではないかというふうに考えております。ただ、場所によりましては、八十ホンを最高値でオーバーしている場所が相当数あることは、これは事実でございます。実際私たちのほうで測定いたしましても、同じ場所でもやはり車両そのものの特殊性によって音の高さが違う。ある列車は八十ホン以下で通るけれども、ある列車は八十ホンをオーバーするというようなことがございますので、これはミーンバリューでもって八十ホン以下に押えるということでお願いいたしたいというふうに考えております。  なお、いま先生のお話のございました、全線について五メートルの高さのものを考えたらどうかというお話がございましたのですが、われわれの実験によりますと、二メートルまでは非常に効果がある、それから上になりますと、高架橋の場合には、いわゆる拡散をいたしますので、地上に対しての効果は非常に薄いという結果が出ておるわけです。ただし、六甲トンネルのような場所でございますと、たもとの家が非常に高いところにございますので、高い防音壁が非常に有効であるということでございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたのほうで交渉したときにいろいろおっしゃったことは、テープにおさまっているのですよ。国鉄さん、そんな、いまになって、八十ホン以下に押えるように努力しますから、それで了解を得たという、そんないいかげんなことを言ってもらっては困りますよ。これはあなたもいま理事になったところですからわからないかもしれませんが、再調査しなさい。そんないいかげんなことを言うんだったら、私証拠のテープを持ってきますよ。  それからもう一つ、側壁はいま二メートルありますよ、あの横のやつは。しかしそれには吸音板がついていないでしょう。その音は通り越して、新幹線より五十メートルの付近の人たちまで非常に迷惑かけてるのですよ。しかも県営住宅だとかいう高い五階建て、そういうような住宅の、もうそこを通るのですよ。あなた一つも見てこないで答えてるんではないかと私は思う。  ですから、一つ提案ですが、いまここで言ってもしかたがないから、この側壁のところへそういう吸音板をつけて音を下げる、こういう検討できますか、いかがですか。
  155. 内田隆滋

    ○内田説明員 吸音板の問題その他につきましては、国鉄といたしまして、騒音、震動の問題につきましては、ごまかしでなく前向きに取り組むという態度で、いま盛んにあらゆる検討をいたしております。吸音板だけでなく、一ホンでも二ホンでも下げ得る方法先生のおっしゃられました新幹線の車両のいわゆる側板をおろすとか、そういう問題も含めまして、目下何が有効であるかということを研究しております。その中で、もしそういう吸音板が有効であるということであれば、採用をしてまいりたいと考えております。
  156. 島本虎三

    島本委員長代理 岡本君、結論をお急ぎ願いたいと思います。
  157. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、実害があったところ、要するに工事中あるいは工事が終わってから輸送したときに実害があったところに対しては、一カ月以内に調査をして手当てをしますという覚え書きがある。ところがいまだに行なわれていないところがたくさんある。しかも、行なったところで実害を値切ってるのですね。いいですか、実害を値切りますという覚え書きはないのですよ。ところが実害のそれを値切って、そしてできないようなことを言っている。しかもあなたのほうの書類を見ますとこうですよ。読みましょうか。昭和四十七年六月二十日付書留五百七十六号で要望がありました、それに対してお答えしますということで「家屋損傷補償につきましてはお申し出のとおり私共の補償の建前は工事着手前の原形に復することでございますが実際施行いたします場合は不可能と思います。」こういうように、新幹線が通ったためにあなたの家に非常に迷惑かけたという一つのおわびもないのですよ。市会に対するところの書類には、まことに御迷惑をかけておりますとある。ところが一個人のうちへいくときには全然。ほんとうのこれは官庁のやり方ですよ。これを読んでみんな頭にきておるんですよ。新幹線が通らなかったら家はこわれなかったし、こういうことはなかったんだ。ただあなたのところは、書留できたからこれに対して返事する、これだけでしょう。これではあまりにも事務的じゃないでしょうか。小林局長の名前ですよ。ひとつそういう面を考えて、この実害を値切ることのないようにしてもらいたい。これが一つ。  もう一つは、どうしてもそこにおれないという人がおるのです。そうたくさんはいませんけれども、移転を希望しておる。中には、ここは買い上げますからということで納得さしておいて、あとは知らぬ顔をしている、こういう件が多々あるわけです。それに対して私ども一つ一つ調査いたしましたから、この調査資料をあなたのほうに差し上げますから、一つ一つ総裁に言うて、全部検討して御返事をいただきたい。いかがですか。
  158. 内田隆滋

    ○内田説明員 沿線の皆さまに対する文書の書き方その他につきまして、いま先生の御指摘のとおり、非常に御迷惑をかけているにもかかわらずその誠意が文書にあらわれていないという点につきましては、今後もっと誠意のある文書を出すようにさっそく指示をいたします。  工事費の問題につきましては、われわれとしてはやはり国鉄でございますので、適正なる価格ということでまいっておりますので、その適正なる価格というものの考え方の違い等がございますが、できるだけ御要望の線に沿って処理するようにいたしたいというふうに考えます。  それから移転の問題につきましては、ただいま私のほうに参っております報告では、一件ございます。しかし、移転補償の問題につきましては、いろいろいわゆる官庁間の補償要綱というものがございまして、これはことしじゅうには改善するようにしておりますけれども、なかなか一件だけを移転するというのはむずかしいと思いますが、これも実情に応じまして前向きで検討いたしたいというふうに考えております。
  159. 岡本富夫

    ○岡本委員 その一件というのは西宮でしょう。
  160. 内田隆滋

    ○内田説明員 そうでございます。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 あとここに尼崎から二件……。
  162. 内田隆滋

    ○内田説明員 先ほどのは尼崎でございます。
  163. 岡本富夫

    ○岡本委員 西宮にもございますよ。こういったものを私どもは一件一件全部調査しております。そして私は総裁にも約束した。あなたのほうで調査なかなかむずかしいだろうから、私のほうで一件一件調査した分を、こういった資料を上げるから、それに立ってあなたのほうで人員を配置してやってもらいたいということで、前に資料を渡してある。これは尼崎の分です。あとまたここへ出てきておる。きょうこれをお渡ししますから、ひとつ適切なる処置をやってもらいたい。それでは要求しておきますが、いずれにしましても、ほんとうはこれ運輸大臣にこういうことを聞いてもらって、今後の指導をひとつしてもらおうと思ったのだけれども、いま出ていったからしかたがない。  環境庁長官、あなたも国務大臣としてこういった騒音の問題、今後の新幹線問題につきましては、これは全国的になってくると思うのです、それについてここが大きなテストケースになると私は思うのです、ですからあなたにも一ぺん来てもらって調査をして、現実に見て、そしていまみたいな、勧告を約束したのがずいぶん前で、それをいまここでやっておきますなんて、そんな安易なことでないように、ひとつ全力をふるってやってもらいたいと思うのですが、決意を伺って終わりたいと思います。
  164. 小山長規

    小山国務大臣 騒音の問題については、伊丹の問題もありますし、私も実地に行ってみるつもりで計画をしているところでありますので、その際に新幹線のほうも参りたいと思います。
  165. 島本虎三

    島本委員長代理 次に土井たか子君。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 水産庁、厚生省環境庁お見えになっていらっしゃいますか。
  167. 島本虎三

    島本委員長代理 厚生省、水産庁は見えています。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、午前中に島本委員の御質問の際に関連質問をすでにさせていただいた問題でありますが、その席には水産庁の藤村次長がいらっしゃいませんでしたので、重ねて一問だけまず水産庁の藤村次長にお尋ねをいたしまして、あと瀬戸内海の汚染対策の問題について質問を進めていきたいと思います。  水産庁の藤村次長、お尋ねいたしたいのは、もうですでに御承知のとおりに、瀬戸内海の赤潮の猛威によりましてたいへん大きな漁業被害が起きているという事実でございますが、いま水産庁のほうではその被害の事実についてどのように掌握をなすっておりますか、その辺からひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  169. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在、八月九日までの県からの報告を集計いたしておりますが、ハマチの被害につきまして、兵庫、香川、徳島、岡山の四県に被害がございまして、合計四十六億円という被害の報告を受けております。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 その被害の内訳については、具体的にもう点検は済んでいるわけでありますか。
  171. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 これにつきましては、県の報告でございまして、私のほうで直接に調査に参りましたものについて——これの裏づけをしているわけではございませんが、行ったところについては調査をいたしております。全県を調査してはおりません。香川県だけ調査しております。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 香川県ももちろんなんですが、最も大きな被害は、新聞紙上によりますと、兵庫県の家島かいわいというような報道もあるようでございますから、ひとつ現地調査をできる限り、これは可及的すみやか以上に全力をふるって調査を進めていただきたいと思うのですが、そのことについての御用意がありやなしや、その辺はいかがでございますか。
  173. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 実は本日、関係四県と私のほうの瀬戸内海漁業調整事務局が集まりまして、本庁から関係係官を派遣いたしまして四県と協議会をやっておりまして、それによりまして被害の実情を十分把握いたしたいと思っております。本日会合をいたしております。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 被害の実情と同時に、原因の究明についてはどのような手段がいまとられておりますか。
  175. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 赤潮の発生につきましては、かねがねいろいろ研究をいたしているところでございますけれども、都市排水、産業排水、屎尿投棄あるいは海底に沈積する有機物からの湧出によります海中の窒素とか燐が非常に豊富になるということが遠い要因になろうかと思います。そこでそういう富栄養化された海水において、直接的には異常な気象とか海象によりまして塩分が低くなったり水温が急に高くなったり、あるいは海水の流動がとまったというようなことで、急激にプランクトンが増殖するというのが原因だとされておりますが、この発生機構につきましては十分まだ究明されておりません。いままでに九大の花岡教授あるいは水産大学校の松井教授が中心になりまして研究をいたしておりますが、完全な発生機構の究明を終わっておりませんので、さらに赤潮の多発海域におきます環境条件の調査研究を続けておりますし、また赤潮の発生の予察技術の開発、といいますのは、こういう条件になったときにこういう起爆剤によって発生する、だからそういうものをいかにしてとめたらいいのかというような研究、あるいは直接赤潮を抑制する植物等がありはしないかという研究、それから、直接には漁業の被害を防止するための何らかの施設、たとえばいけすをつくるというような研究、あるいは赤潮を封じ込める、エアカーテンのようなもので赤潮を封じ込めることができないかというような基本的な研究をいたしておりますけれども、まだそれも基礎的な研究でございまして、これといったきめ手にはなっておりません。ただ本年から三カ年計画で、浅海の重要漁場に自動海洋観測装置を設置いたしまして、赤潮の情報の早期収集なり伝達なりをはかっているところでございます。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの御説明は、赤潮についての学識経験者が研究をされた結果の一般的な定義の中身と、それに対する対策ということになろうかと思うのです。  ところで、一般的な定義ということでなしに、赤潮が発生する機構そのものもさることながら、今回のこういうふうな史上空前の突発的な大被害という状況をつくり出した赤潮の発生状況については、どういうふうにお考えになりますか。瀬戸内の赤潮というのは、このところ年々ふえてきているということは事実でありますが、しかし今回のような突発的な史上空前の大被害というものが起こったということは、何らかのほかの要因がなければならない、そういうふうに一応考えられていいと思うのです。私たちは一応この問題について、いままで、私自身が兵庫県の人間でありますから、兵庫県かいわいでこのような大きな被害が出たという理由をあれこれと確かめた中身から申しますと、おそらく七月台風の影響によるところの赤潮の異常発生ということを一応考えなければならないんじゃないか。水産庁のほうは、今回の事件についてはどういう認識をなすっているか、その御見解を聞かしていただきたいのです。
  177. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいま御指摘のとおり、赤潮は、今回の台風の影響があると思われますが、まず第一に考えておりますのは、六月に集中豪雨が岡山県にございまして、淡水が多量に瀬戸内海に流れ込んだ、それが香川県のほうに波及いたしまして、そこで香川県に異常な赤潮が発生いたしました。その後逆に、今度は照り返しが続きまして水温が異常に高くなった。同時に異常高潮があらわれまして、現在でもありますが、異常に潮位が高くなっておる。そこに今度の七月の七号台風、九号台風が来たのが直接の原因ではないかと私ども考えております。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御説明の中身からいたしますと、いまお述べになった理由、それぞれ全部天災と一言で申してよかろうと思われるのです。これは天災によるところの被害という問題として理解できるかと思うのです。  そこでお尋ねいたしますが、まずはいま、こういう被害に対してどのように救助策、補助策が考えられなければならないかという問題だと思います。あとは長期的な予防対策なりあるいは長期的なある計画に従っての事後対策ということはありましょうけれども、しかし当面は、もう出てしまっておりますので、この被害に対してどのように救済するか、さらには立ち直りに対する補助をするかという問題だと思うのです。それからいたしますと、現行法の中に天災融資法というのがございますが、いまお述べになったところからいたしますと、それぞれ理由の中身はどうも天災と考えてよいという、そういう理解でおありのようですから、水産庁といたしましては、天災融資法というものを適用してこの被害救済に当たるという認識をいまなすっているかどうか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  179. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 先生指摘のように、私どもは、今度の災害は天災によるものというふうに考えておりますので、天災融資法の発動を検討中でございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 これについては検討中というのは、つまりそれを適用する用意があるというふうにお答えになったと私は理解をさせていただいてようございますね。さらに、この漁業被害については、水産庁としては、今後の立て直し対策について、金融面や助成面でいろいろと力添えをしていかなければならないというふうにお考えになっているだろうと私は憶測するのですが、そういうことについては、現行の制度金融についての特別の措置であるとか、あるいは補助金について、いろいろな養殖場を移転さすとか、あるいは新しく養殖場を設けるとかいうふうな問題についても、その用意がおありになるかどうか、その辺少しお聞かせいただきます。
  181. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 今回の災害につきましては、ただいま申し上げましたように、天災融資法の発動によりまして、天災融資法による融資で利子補給をはかっていきたいというふうに考えております。  将来につきましては、先ほど申し上げましたように、赤潮の来ますのをいかにして防ぐかというのを考えると同時に、場合によっては避難をさせるということのために、陸上に貯水槽を設けるというようなことも要望している県もございますので、そういう問題についても検討いたしたいというふうに考えております。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 そういうことについては、もちろん各自治体との連絡を密にしてお考えになるということでございますね。
  183. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 御指摘のとおりでございます。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 いまの補助、救助対策については、ひとつしっかりと取り組んでいただくということを、まず前もって申し上げて、さらにこういうふうな被害の問題については、いまの瀬戸内海の水質が汚濁したままで放置されていきますと、おそらく何度となく繰り返し起こってくるであろう事例だと考えられます。  そこでこれは、早急に打つべき救助対策、補助対策は、当然しなければならないことでありますが、さらに長期的な視野に立って、瀬戸内海の水質の汚濁に対する対策というものを、この際徹底的に講じなければならないのじゃないか。これはだれしもが考えるところだと思うのです。  そこで、赤潮対策を特にきょうは問題にしてお尋ねをさらに進めたいと思うのですが、先ほども水産庁次長がおっしゃいましたとおりで、学識経験者の間でも、赤潮の構成内容について、どのようにして赤潮ができ上がるか、どのようにして赤潮がふえていくかという問題については、まだ確とした研究結果というものがないといわれております。しかしながら、一応はいままでの経験なり研究なりの結果、考えられる一つの問題として屎尿の海洋投棄というものが原因になっているのじゃなかろうかというふうな側面があることは、先刻御承知だと思うのです。  先般、私は田中新内閣総理大臣に対しまして、質問趣意書を提出させていただいたわけですが、その中身は瀬戸内海の海水汚濁の対策に対する質問であります。お答えをいただいた中を見ますと、屎尿の海洋投棄については、廃棄物処理施設整備緊急措置法というのがございまして、これに従って策定する廃棄物処理施設整備計画で、昭和四十八年の四月一日以降は屎尿の投棄を瀬戸内海については全面的に禁止する、そういうことがすでに計画済みでありますが、しかし、これではちょっとおそいのじゃないか。これでは来年の四月一日までは投棄を相変わらず自由に認めるということでありますから、この整備計画の中身を少し再検討されて、早急にやる。瀬戸内海に屎尿投棄をやらないということを、計画の中身として再検討の結果、具体化していくというふうなことが、この節では考えられなければならぬのじゃないか。これは一つの素朴な問題でありますが、環境庁長官とされては、この問題についてはいまどのようなお考えを持っていらっしゃいますか、ひとつお聞かせください。
  185. 岡安誠

    岡安説明員 瀬戸内海に対します屎尿の投棄でございますけれども廃棄物処理に関します計画によりますと、大体これは昭和五十年度一ぱいで全国の屎尿のほぼ全量につきまして衛生的処理をする。大体陸上処理をするという計画になっております。したがって、瀬戸内海の沿岸におきましても五十年度一ぱいまでにはすべて陸上処理になるわけでございますけれども、それまでの間におきまして、なお瀬戸内海に屎尿投棄をしては、やはりこれは内海であり、交換の悪い瀬戸内海につきましては問題が多いという観点から、海洋汚染防止法の政令によりまして、瀬戸内海につきましては昭和四十七年度一ぱいまでの投棄を認めて、それ以後は禁止をするというような措置をいたしたわけでございます。  それは非常におそいのではないかという御質問でございますけれども、問題は、現在日量三千キロリットルにわたるような屎尿が瀬戸内海に投棄されております。投棄している市町村の数も非常に多いわけでございますので、これらの市町村が集まりまして、相当遠い外洋にこれを投棄しなければならない。このためには船をチャーターすることも必要でございましょうし、また、そのチャーター船は、各市町村の屎尿を積み込むということもございますので、一時の貯留施設その他の整備も必要でございましょうし、また、外洋に投棄する場合には、そのことによって外洋におきます漁業被害というものの防止をしなければならない。したがって、外洋におきます投棄地点の設定等も考えなければならないということもございまして、直ちに禁止をするというわけにまいらなかったという事情もございまして、最小限度、政令の上におきましては今年度一ぱい投棄を認めるということにいたしております。  ただ厚生省とも相談をいたしまして、できるだけ早く準備を進めまして、政令の期限は今年度一ぱいではございますけれども、できるだけ早い機会にこれを外洋投棄に持っていくということを指導してまいりたい、かように考えております。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 計画というものはつくれば済むというものではなくて、やはり実行性があるものでなければ困るわけですから、その辺は、先ほどおっしゃいました屎尿船をチャーターする必要があるとか、遠洋、黒潮に投棄すれば必ず起こるであろう漁業被害を予防していかなければならないというふうな問題は、もうはっきり予定された問題としてあるわけですね。そのことについての手をこのように打ちますということであってこそ計画というものは初めて実行性を持つ計画ということで出発するわけでありまして、計画がいろいろと練られている段階でそういう問題はもう先刻解消されていく問題でなければならないはずなんです。ところが、いまだに、屎尿船の問題を言われましたから、私はこのことを取り上げてお尋ねするわけですが、チャーターをするための財政措置が不十分なために、自治体がずいぶんこのことに対して苦慮いたしております。で、四十八年の四月一日以降は瀬戸内に投棄をすることを認めない、いまの計画どおりに事が青写真の上で進んだといたしましょう。しかしながら、実際問題としては、自治体に聞いてみると、なかなかこの屎尿船をチャーターするための財政難から、できるかできないかわからないという心細い返答もあるわけであります。やはりこの辺は、はっきりした財政的な裏づけがなければ困るわけです。財政措置について確たる自信がおありになるかどうか、この辺お答えいただきます。
  187. 岡安誠

    岡安説明員 実は、屎尿の処理一般につきましては厚生省の所管でございまして、厚生省からお答えがあってしかるべきと考えておりますけれども、私どもといたしましては、今回の海洋汚染防止法によります投棄制限の措置につきましては、従来からいろいろ御検討いただいておりました制限よりも非常にきつい制限を実はいたしたわけでございます。そこで、各自治体等が心づもりにしておりましたよりも遠い海域にこれを投棄しなければならないということになりましたので、各自治体におきましては、その対策を現在一生懸命検討しているという状態でございます。  お話しのとおり、従来のように沿海に投棄をしておりました状態より以上に近海に捨てた場合には経費がかかるということは事実でございまして、それらにつきまして、これを直ちに住民の負担にするか、中間的にそれを地方自治体その他でもって負担をするか、非常に問題がございます。それらにつきましては、厚生省が中心になりまして、現在各市町村と相談中というふうに聞いております。
  188. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃるとおり、直接にはこれは厚生省にお尋ねをしなければならない問題だと思いますが、やはりこういう問題については、環境庁あたりがんばってくださらなければ、事がもう住民サイドで動かないだろうと思うのですよ。環境庁とされては、こういうことに対してどれだけやる気持ちがおありになるのか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  189. 岡安誠

    岡安説明員 この点につきましては、私ども厚生省と一体となりまして、計画の推進、また地元との折衝等はいたすというような心づもりでおります。
  190. 土井たか子

    ○土井委員 厚生省と一体じゃなくて、厚生省のしりをひっぱたいていただきたいと思うのです。いままでの事情から考えまして、一体じゃ困る。やはり環境庁の存在意義というものはそういう点で発揮していただかなければ困る。意欲のある長官、がんばっていただいて、ひとつこの点はしっかりと取り組んでいただくということをくれぐれもお願いします。  それから、いまの屎尿の海洋投棄と同時に、やはり公共下水道の終末処理場の整備ということ、これはどうしても考えなければならないわけですね。いま公に知られておりますとおり、下水道整備緊急措置法に基づきまして第三次下水道整備五カ年計画がございます。ところが、この中身を見ますと、やはり二次処理ですね。二次処理方式がとられているわけで、いまの赤潮の原因と考えられます窒素や燐なんかを除去するためには、どうしても三次の処理が必要だというふうに考えられるのは常識なんです。この三次の処理を実施するための特別な研究あるいは特別なそれに対しての努力、検討、さらには財政措置についての用意、そういうことについてはどのようなところまでお考えになっていらっしゃるかということを、ひとつ聞かせてください。
  191. 岡安誠

    岡安説明員 実は、これも建設省がやっておることでございますが、私ども関係いたしますのでお答えいたしますけれども、おっしゃるとおり、現在の第三次の下水道整備計画におきましては二次処理が前提に組まれております。三次処理につきましては、この二次計画の後半までの段階におきまして、実用化をはかりましてやっていきたいというのが建設省の考えでございますけれども、おっしゃるとおり、内海、それから湖沼等の汚染の主たる原因は、窒素とか燐とかいうものの流出増加であるというふうにいわれておりますので、やはり超高級処理、三次処理によりまして、下水道の排水をきれいにするということが必要だろうというふうに考えております。二次処理では、BODについて二〇PPM程度でございますが、三次処理になりますと一〇PPM以下。なおかつ燐等につきましてこれを除去するということを建設省は考えておりまして、これにつきましてはできるだけ早く実用化をいたしたい。それができれば、現在の二次計画によりましては超高級処理内容といたしておりませんので、当然この計画の改定ということも必要でございましょうし、私どもは、一般的にできるだけ早く二次計画を改定し、三次処理を含めた、第四次になりますか、第四次の下水道整備計画をつくっていただくように、これも建設省にお願いをしているという現状でございます。
  192. 土井たか子

    ○土井委員 工場や事業所から出るところの排液あるいは排煙の問題については、操業をストップすれば排液も排煙も停止するというわけでありますが、人間生きている限り、排せつ物を停止するわけにはいきませんので、この点は非常に深刻だと思うのですよ。先ほどから、たとえば屎尿の海洋投棄の問題になれば厚生省、公共下水道の問題になれば建設省、それぞれ担当部局を異にする縦割り行政の悪弊というものは、こういう問題一つ取り上げても必ず出てくるわけで、これは屎尿処理をしたって、片一方を押えれば片一方が押えられない、片一方を押えればまた片一方に問題が出てくるということは、いままでもしょっちゅう繰り返し繰り返し出てきたわけですから、ひとつこういう点については、よほど環境庁がんばってくださらなければ困ると思うのですよ。瀬戸内海の海水の汚染対策については十分に取り組む、環境庁が中心になってやるということをひとつ明確にしていただいて、十分に決意を新たにしてやっていただきたいと思うのです。  さて、いまのは屎尿の問題ですが、工場、事業所から出るところの排気の問題あるいは排液の問題、排水の問題、これについては、いままで現行の大気汚染防止法で硫黄酸化物だとかばい煙発生施設ごとの排出量というものを対象にしておりますのは御承知のとおりで、排出基準というものは、環境基準を維持達成するために、地域総量の規制の見地から地域内の全対象施設の排出総量が一定限度以下になるように設定されております。  それと同時に、地域の実情に応じて各自治体が、条例でよりきびしい排出基準を認める、上乗せ基準というものも一応認められるわけですね。現在の水質汚濁防止法でも同様です。けれども、ここに一つの問題が出てこようと思うのです。この上乗せということが問題になりまして、いま瀬戸内海に面しております各府県を見てまいりますと、やはり基準内容というものが一定じゃない。それぞれがばらばらな取り扱い方をしているということが一応言えるかと思うのです。  私は、本来はこういう規制の問題についても、中央集権型については反発を感じておる一人であります。自治体ががんばってこそはっきりこういう公害対策が取り込めるということを考えている一人でありますが、少なくとも瀬戸内海の海水汚濁は、もう行きつくところまで行きついているというふうに考えなければならない。対策に対しては非常に緊急を要する問題だ。一刻も猶予がならない問題だというふうに私は考えております。  そういう点からいたしまして、全般について総量規制を含めた規制方式の可能性ということがどうしても考えられなければならない。総量規制ということについて、これを取り上げて具体化するところの特別法と申しますか、個別法と申しますか、そういうものを用意していく必要があるんじゃないかと私たちは考えるわけですが、このことについて環境庁長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。  それに付随して、現在の環境基準ではABCの等級による区別をやっております。ABCによる区別の中身についてもやはり再点検をしてやり直す必要がこの節あるんじゃないか。と同時に、そういうことを込めて内海全域の環境基準を長期的に立てるということを含めて特別立法というものを用意しなければならないのじゃないかということも含めて、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  193. 小山長規

    小山国務大臣 いま土井先生のお話しの点は、われわれかねがね考えておるところでありまして、そのためにこそいま瀬戸内海の汚濁の防止のためのマスタープランを練り上げておった次第であります。このマスタープランの作成の段階においては、特別立法をあわせ考えながら検討していこう、こういう考え方で進めております。ですから、マスタープランそのものができませんと、どういう立法をすればいいか、また、どういう規制をすればいいか、明細な点が出てまいりませんので、いま申し上げられることは、マスタープランを作成する段階においては、法律のこともあわせ考えながら検討する、そういうことで申し上げておきたいと思います。
  194. 土井たか子

    ○土井委員 慎重に検討なさるということはまことにけっこうで、それは慎重に慎重を重ねるということであってしかるべきかと思われますが、しかし、いつもマスタープラン等々のプランを作成するその段階で、刻々と汚染度は激しくなっていくという現実があるわけなんです。マスタープランというのは一体いつごろ作成される予定であるか、いつごろ完成される予定であるか、そういうことも一つはお尋ねしてみたいわけですが、しかしマスタープランの完成をもはや手をこまねいて待っているわけにはいかないような気持ちです。特に私は、現地の被害者立場からすれば、プラン、プランでいつまでたってもできそうにないプラン待ちというふうなことには、業を煮やして、どうにか早く打てるところから手を打ってもらいたいというのが本音じゃなかろうか。  私自身も瀬戸内海に面した場所に住んでいるわけでありますが、この内海は海水が汚染されて、夏になると海水浴がついこの間までできた場所ももう海水浴ができなくなる、そういう場所であったというふうに申し上げていいわけで、これは何とかもとの姿に復元するということを考えれば、一刻も早く手を打つ必要がどうしてもある。これを考えますと、早急にマスタープランの作成を急いでいただくと同時に、何らかいま手を打てることはないかということについてひとつお考えを進めていただきたいと思うのですよ。その一つ——マスタープランは一体いつごろできますか。それを先に聞きたいのです。
  195. 船後正道

    ○船後説明員 マスタープランは、瀬戸内海の環境保全という見地から、瀬戸内海の沿岸地域も含めまして全海域についてのいろいろ利用区分のあり方等々を検討するわけでありますが、これにつきましては、何よりも瀬戸内海の汚濁の現状、瀬戸内海の海流の現状、あるいは汚濁物質の流入の状況、赤潮の原因等々未解明の分野がかなり多いわけでございまして、それらの調査を現在やっておる最中でございます。したがいまして、私どもが自信のあるマスタープランというものをつくりますにはなおしばらく時日がかかる、かように考えておりますが、しかしマスタープランができなければ何ら手が打てないという性質のものではございません。この点は先生指摘のとおりでございまして、ともかくやるものはやっていくという方向でもって所要の施策は進めていかねばならない、かように考えております。
  196. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、それならばお尋ねいたしますが、やるものはやっていくとただいまおっしゃいました、やるものの、いま早急にやらなければならないことは一体何だとお考えでいらっしゃいますか。
  197. 岡安誠

    岡安説明員 早急にやらなければならないものにつきましては、昨年の暮れに瀬戸内海環境保全対策推進会議におきまして中間的な報告を得ておりますが、その概要を申し上げますと、まず環境基準を設定をするということ。まだ未設定の個所がたくさんあるものですから、それらを早急に設定する。それから、先ほどお話もございました上乗せ排水基準、これにつきましても全県がまだ設定が済んでおる状態でございませんので、すべての県におきまして主要な河川について上乗せ排水基準を設定をする、これは工場排水その他の関係だと思いますけれども。それから、屎尿投棄等につきましては、先ほど申し上げましたように、すでに今年度一ぱいでこれの投棄を禁止する措置も打ってございます。それから、下水等につきましては、これも計画をできるだけスピードアップいたしまして下水等の整備につとめる。その他、河川のしゅんせつ、港湾のしゅんせつ、それから廃油処理施設の増設等々の設備をできるだけ早くやるということがすでにきまりまして、各省連絡をとりまして現在その実施並びに予算措置等をいたしておるというのが現段階でございます。
  198. 土井たか子

    ○土井委員 まことに総花的で、いまおっしゃったことが全部並行してスムーズに進んでいくということならたいしたことだと思うのですが、いままでの実績を見ておりましても、なかなかそうはいかぬだろうという確信だけは私たちにあるのです。  そこで、これだけははっきりしてもらいたいという問題を一つ申し上げますが、いまおっしゃったのは、現にいま建っている工場なり事業所についての規制あるいは屎尿処理の問題でありますね。ところが、こういうふうなことをここで討議しております間にも、この瀬戸内の各府県においては工場誘致の問題などということが、もうあってはならないのだけれども、やっぱり問題にされている段階であります。特に、そのためにいろいろと公有水面の埋め立てなどという作業も進んでおります。そこで、この節どうしても早急にまずひとつ、ばしっと手を打たなければならないのは、重化学工業のコンビナートをつくる計画を、一切暫定措置として中止をするということをはっきりさせるということが大事じゃなかろうかと思うのです。これ以上いまの瀬戸内海に面した場所に工場をつくらせない、事業所を持ってこない、水面を埋め立てて、そこに新たな工場をつくって、さらにこれは常識からいたしましても、海に近いところにつくられる工場というのは、きたないものを吐き出すということで海に近くつくられるという、こういう立地条件というものがいつでも考えられて今日に及んでいるわけですから、埋め立てをしてそこに持ってくる工場というものは、空をよごし、海をよごし、水をよごすという、そういう工場の特徴を持っている、事業所の特徴を持っていると一応考えていいでしょう。そこで、これから重化学工業のコンビナートをつくる計画を一切中断する、そのために公有水面埋立法の改正をここで検討してみるという問題は、目下急を要する問題としてあるのじゃなかろうかと私は思うのです。そうして、現在ある、すでに建ってしまっている工場、事業所についての規制の方法をいかに徹底してやっていくか、また監視体制をいかに十分なものにしていくか、またそれに対する財源措置をどのように考えるか。さらに屎尿処理の問題についても、先ほどるる御説明がございました中身を、いかに十分に現実において生かすかという問題があろうかと思います。いま私が申し上げました公有水面埋立法の改正問題については、どのように長官はお考えになっていらっしゃいますか。
  199. 小山長規

    小山国務大臣 公有水面の埋め立てを禁止するかどうかという問題でございますが、いまおっしゃった問題は、何が緊急かということのほうが主題であったろうと思います。たとえば公有水面を埋め立てるとか企業をこれから誘致するとかしないとかという問題は、これはその段階で幾らでも押える方法があるわけです。計画の段階で押える方法が現在あります。ところが、緊急を要する問題となれば、現に操業しておる工場なら工場の排水基準をつくって、そうしてそれを押えていくことのほうが緊急ではないだろうか、かように考えるわけであります。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃるとおり、現に操業している工場についての排出基準、それをきびしいものにしてしっかり取り締まっていく体制も固める、これはおっしゃるとおり緊急を要する問題でありますが、しかし、そうしながら、片方新たな工場をそこに建設することをさらに認めていくということは、矛盾したやり方だと思います。新たな工場をそこに建設することをストップして、そしていまおっしゃった問題に取り組むという姿勢がどうしてもこの節必要じゃないか、このことについてどうお考えになりますか。
  201. 小山長規

    小山国務大臣 いや、その点は、だから同感なんです。ただ、いまの埋め立てをするとか工場を誘致するということは、それは法律を改めなくても、現に計画の段階において押える方法がありますと、こう申し上げたわけなんです。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 確かに、それはケース・バイ・ケースで押える方法はあると思うのです。いろいろ県のほうが許可したことに対して申請を持ってくる。その申請を認めないというやり方だってありましょうし、それからいろいろ具体的な問題についてのきめこまかい行政指導を通じてという、これもあるでしょう。しかし、この際やはり内海一円の問題としてこの問題に取り組むということであるならば、ケース・バイ・ケースということではどうしても私は不十分だと思います。網を大きく張って、やはり徹底した取り締まりをやるということをひとつお考えいただきたいという意味で、私はこの法律の改正についてまでも考えなければいけないのじゃないか。これがまず先立つ問題で、そうして取り締まらなければなりませんから、やはりそれはおっしゃるとおりケース・バイ・ケースでやっていくという面もあるでしょう。もっとやらなければならないことについて、かご抜けみたいにやってきているということだってありますから、そういうことを以後は許さないというき然たる姿勢でいろいろな規制をしていくということは考えなければならないのだけれども、現にある公有水面埋立法について、以後この瀬戸内海一円がこれだけ海水が汚濁されてしまっているわけですから、公有水面埋め立てについては認めない、それについては中断をする、計画については中断するという意味を込めて法改正までも考えるような措置ですよ。
  203. 小山長規

    小山国務大臣 土井先生は十分御承知だと思いますが、法律というものは日本全土に適用するための法律でありますので、瀬戸内海の埋め立てを禁止しようとすれば、瀬戸内海だけに適用する法律をつくらなければなりません。そういう意味で、私は先ほどマスタープランをつくる際には、当然埋め立ての禁止やら工場の誘致の禁止やらいろいろな抑制措置を講じなければならぬであろう。その前提としては、マスタープランをつくっておかなければならぬ。したがって、マスタープランの段階では、瀬戸内海に限っては、他の公有水面のいかんにかかわらず、ここでは禁止しますよというような法律をつくらなければならぬかもしれぬという前提でものを考えながらマスタープランを練っておるのだ、こう申し上げたわけであります。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 御答弁の御趣旨はわかりますが、しかし私がお尋ねしているところから少し察知していただきたいのです。これはすでに田中内閣総理大臣の答えの中に、海上埋め立てについては、公有水面埋立法の適用に際して環境保全の見地から免許条件等を厳格に適用してきたところであるが、今後、環境保全についてより一そう万全をはかるために、公有水面埋立法を実情に応じ得るように改正することも考えるという御答弁なんですよ。ですから、それは総理大臣答弁からすれば、もうそこまで考えていられるということでありまして、そのことについては、環境庁長官はやはり前向きで積極的にこれは考えていただかなければ困るのです。一体こういうことについての御認識はいかがですか。
  205. 小山長規

    小山国務大臣 その点の御意見は全く同じなんでありまして、これもたびたび申し上げていると思いますが、日本列島改造懇談会の審議の中には、われわれがこれに介入しまして、そして環境保全立場から、あるいは公害防止の立場から最初からこれに介入していく。そのために、おそらく国土の利用計画に関する法律をつくらなければならぬでしょうし、工場立地の規制をする法律もつくらなければならぬでしょうし、あるいはいまの埋め立てを禁止する法律もつくらなければならぬでしょう。その点は全く同感であります。
  206. 土井たか子

    ○土井委員 しからば、いまの御答弁を私はすなおに聞きます。新全総に対しての再検討が必要でありますね。
  207. 小山長規

    小山国務大臣 私も新全総そのままを実行したら、日本の環境の保全はできないと思います。したがって、今後の新全総の改定にあたっては、環境の保全、公害防止の立場から相当な修正を要する、こう考えます。
  208. 土井たか子

    ○土井委員 それは急を要する問題というふうにお考えになっていらっしゃいますか。したがって、新全総についての改定の時期等々についてはどのようになさる御用意がおありになるか、ひとつここではっきり御答弁いただきます。
  209. 小山長規

    小山国務大臣 この点については経済企画庁がすでに年内を目標にした改定計画を進めております。
  210. 土井たか子

    ○土井委員 その中に環境庁長官としては十分に意見を申し述べられるということでありますね。
  211. 小山長規

    小山国務大臣 そういうような仕組みをつくってもらっております。
  212. 土井たか子

    ○土井委員 仕組みだけじゃ困るので、仕組みがなくたって、そこでどうしてもそれは発言するくらいの気概を持っていただきたいと思うのですよ。そうでなければ、私はこれからの環境保全なんということは期すことができないと思っております。
  213. 小山長規

    小山国務大臣 仕組みをつくっているということは、発言の場所をつくっているということでありますので、その辺はひとつそうおとりいただきたいと思います。
  214. 土井たか子

    ○土井委員 それで、そういうふうな一つの新全総についての改定の意見を具体化させながら、環境庁長官、先ほどマスタープランの問題を申されましたが、最後に瀬戸内海のことについてお尋ねしたいのは、マスタープランをつくりながら、内海環境保全特別措置法、まあこれは仮称でありますが、そういう特別の単独立法というものをやはり用意していく必要があるとお考えになっていらっしゃるわけでありますね。そして、少なくともその時期については、おそくともいつごろまでということを心に期していらっしゃるか、ひとつその点はっきりさせていただきたいと思います。
  215. 小山長規

    小山国務大臣 マスタープランというのがいつできるかということについて、これはいま作業部会でやっておるわけです。そこでおおよそのめどとしましては、いま海洋の調査をやっております。いま第二回目をやったのだと思いますが、来年の一月にその拠点の調査が終わります。その終わりました時点から、それを基本にしましてこのマスタープランの作成に入りますので、大体来年の一月を起点にして、やはり一年ぐらいはかかるのじゃないだろうかというのが現在の見通しであります。
  216. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろな資料をもとにしてマスタープランというものはつくり上げられるということでありましょうから、時間がかかることはこれは理解できるわけでありますが、できる限り早く、できたら次の臨時国会、これは年内に召集されるであろうということはもうはっきりしております。この臨時国会に間に合わせるくらいの気持ちでやっていただかなければおそくなるだろうと私は思います。次の臨時国会にできたらそういう特別措置の法案を提案するというくらいの気がまえでひとつ取りかかってくださいよ。長官、いかがです。
  217. 小山長規

    小山国務大臣 土井先生はおわかりだと思いますが、法律をつくり何をやろうというときには、しっかりしたデーターがなければ国会において説明もできません。したがって、しっかりしたデータ、できるだけこれを急がせまして、そうして御期待に沿うようにいたします。
  218. 土井たか子

    ○土井委員 しっかりしたデータ、データというので、私たちだいぶこの公害委員会でもがっかりする場面をいままでたびたび味わっているわけでありまして、無過失賠償責任のあの法案なんというものはそれの最たるものであります。ずいぶんしっかりしたものをつくられるためにあれだけ年月をかけていらっしゃるのかと思ってふたをあけてみますと、それは単独法でなしに、大気汚染防止法並びに水質汚濁防止法の一部改正というかっこうでしか出なかった。そういう例もあるわけでありますから、時間をかけてしっかり取り組むということも大事でありますけれども、ひとつ、いま一番この内海の汚濁に対する対策として大事なものは何であるかということをはっきりと見ていただいて、できる限り、これこそ可及的すみやかにやっていただかなければほんとうに困ると思います。
  219. 小山長規

    小山国務大臣 ちょっと一言つけ加えるのを忘れましたが、瀬戸内海と申しましても幾つかの県があるわけです。その人たちのものの考え方が、私この間海上会議に出てみますと、開発のすでに終わっているところと終わっていないところと認識が違うわけです。そこでそれを一様に規制しようとしますと、しっかりしたデータをもって、これ以上汚染できないのだ、したがって開発途上の県もがまんしてもらわなければならぬというデータがなければ、おそらく規制法というものに対してはいろいろな意味の反対が起こってくるのじゃないかと思います。ですから、そういう意味で、何人も反対できないというようなしっかりした基礎調査が必要である、こう考えておるわけであります。
  220. 土井たか子

    ○土井委員 開発ということの中身が実は問題なんですね。したがってそれは、ここに工場をつくると必ず排液、排水のたぐいで海がよごされるというふうな前提をしっかり踏まえてやはりやらなければならないわけですから、それはおっしゃるとおり、これから開発が必要である県や府に対しての説得ということもあるでしょう。しかし、何といっても一番大事なのは、そういう開発よりも、環境が汚染されて人体に対する危機という問題でありますから、一体いずれが先であるか、いずれが大事であるかという視点をはっきりさせての行政指導こそ私は肝心だと思うのです。そこのところは見失わないで、ひとつしっかりとやっていただくということを再三再四お願いいたします。
  221. 小山長規

    小山国務大臣 ですから、私が先ほど、緊急を要するのは行政指導である、法律のほうはしっかりしたデータでやらなければならぬ、行政指導のほうは現在の法律でもできます、そのほうがむしろ先決じゃありませんかと申し上げたのは、いま土井先生のおっしゃったとおり、まことにそのとおり申し上げたわけであります。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 これは繰り返し繰り返し言うと水かけ論みたいになってしまいますから。それは、現に現行法に対しての適正な行政指導ができなくて、さらにより前進的な法案に対する作成は私はおそらく不可能だと思います。したがいまして、いずれが先であるかということになってくると、やはり実際問題に対して手を打つのは、現行法に従っての適正な、しかも現行法では不十分な点を十分なものにしていく行政指導でありましょう。だから、これについては私はいささかも否定はしていないわけでありまして、むしろそれを十分にやってもらわなければ困るということを念を押して言いながら、しかし立法政策というものを忘れてもらっては困る。ただ法律一本つくれば、何でもかんでもそれで規制できるというのは、これは私はもう間違った考えだと思います。法律一本つくりさえすれば万事片づくというのは間違った理解だと思います。しかしながら、現在の内海の汚染に対する対策の取り扱いといたしましては、やはりこれは特別法でもつくって、しっかりと抜本的に、ひとつ出発点に出直すくらいの気概でやらないと取り返しがつきませんよという問題を提起しているわけです。ひとつその点は御理解いただいて、先ほどのマスタープランについてもやはり早急にかかって、マスタープランというものが具体化する際には、特別措置法国会では審議になるこの法案作成ということでありましょうから、したがって、このことについても十分に留意をしていただいて、作業を早急に進めていただきたい、これを繰り返し申し上げているわけなんです。別に長官のおっしゃっていることと私は矛盾はしないと思います。ただ、やっていただかなければ困るということであります。瀬戸内海については、さらにまた時をあらためまして、具体的にこまかい問題をお聞きするということにゆだねたいと思います。  あともう一つ私がきょうぜひお伺いしたいのは、例のPCBの問題であります。PCBについては、現在PCB汚染対策推進会議がございますね。このPCB汚染対策推進会議が五月の二十九日にお出しになったいろいろな推進対策の中身を見ますと、食品別のPCBの安全基準の策定ということが述べられてあります。  私たちは、ものの本によりますと、アメリカで計算したところ、DDTを使用禁止にしても、からだの中のDDT量が現在の十分の一になるのには四十年かかるそうだという指数が出ております。PCBはDDTよりこわれにくいものでございますから、おそらくもっともっと長い年月、現在の十分の一になるためには時間がかかるのではないかと思われます。特に、いま私たちの体内には、PCBだけではなくてDDTもすでに入っていると考えなければならない、その他の農薬も入っていると考えなければならない。そうなってまいりますと、御承知のとおりに相乗作用ということも出てくるわけでございますから、実はこの食品別のPCBの安全基準の策定というのは、非常に深刻な、かつ私たちにとっては中身についてたいへんに心配される問題だと思うのです。  「分析方法確立および生体内の代謝毒性に関する調査研究を行なってきたところであるが、その調査研究をさらにすすめるとともに、食品中に含まれるPCBの安全基準検討するために、食品衛生調査会に設けられている特別部会検討結果をふまえて、六月末日を目途に食品について暫定的安全基準を策定する。」とここに書いてあります。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、この食品衛生調査会というのはどこに設けられているのでありますか。そして、現に作業はどのように進められているのでありますか。もう六月末日を目途に食品についての暫定的安全基準というものが策定されなければならないはずでありますから、現に出ていなければならないのですが、それは出ているのでありますか、どうでありますか、その辺お聞かせいただきたいと思います。
  223. 船後正道

    ○船後説明員 先生がただいま御指摘になりましたPCBの推進会議の資料でございますが、これはPCBに関する省庁が非常に多方面にわたっておりますので、環境庁が中心になりまして各省の施策を取りまとめるということをいたしておるわけでございまして、五月の末にきめましたのは、そのようなスケジュールでもって各省それぞれ施策を進めていこうという内容のものでございます。  御質問の食品の問題は、もっぱら厚生省の担当でございまして、食品衛生調査会も厚生省におきまして現在検討中でございます。当初水の排水にかかわる暫定指導指針とあわせまして六月末日ということを目途に作業を進めてまいったのでございますが、実際の作業に入りますと種々の問題点がございまして非常におくれておるのでございますが、私ども厚生省から連絡を受けております限りでは、来週早々には結論に達する、かように聞いております。
  224. 土井たか子

    ○土井委員 厚生省の岡部課長お見えになっていらっしゃいますか。——なぜそのように暫定基準について策定される作業がおくれたのであるか、その辺の理由を御説明賜わりたいと思います。
  225. 岡部祥治

    ○岡部説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、私どもといたしましては、六月末を目途に作業を進めておりましたが、毒性の問題、あるいは先生指摘の相乗作用の問題あるいは実態の問題等いろいろございまして、さらにこの基準設定に伴う対策等を考えまして、現在鋭意努力中でございまして、少なくとも来週中までには何らかの結論が得られる予定でございます。
  226. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁では、何が理由で策定がおくれたかということについてははっきりわからないわけであります。いまこれはもう常識化しているわけですが、PCBは体外に排出されない。これは残留性が非常に強い。しかしながら、人体から排出されるのに二つの経路がある。特に、その二つが二つとも、考えてみますと女性の場合でございます。一つは、女性の胎盤を通じて胎児に、一つは女性の母乳を通じて乳幼児にという二つの経路であるわけですから、私は特に女性の身にとりましては、この食品の中につきまして安全基準というものをどのように策定されるかということは、一日も早く策定されなければ安心できないというふうなのが、実際の心情であろうと思うのです。したがいまして、なぜその策定なさる作業がおくれにおくれていったかということについて、もう少しわかる御説明をひとつ賜わりたいのです。
  227. 岡部祥治

    ○岡部説明員 先生承知のように、毒性につきましてのデータが十分でないということから、ただいま先生おっしゃるような安全基準ということができない。したがって、とりあえずでもいいから、暫定基準をつくるということでございます。それで、それにつきましていろいろ議論がありまして、六月末までに結論を得るに至らなかったわけでございます。しかしながら、食品の汚染という現状を踏まえまして、さらにこれ以上食品汚染をさせないという目安をつくろうということで、現在鋭意作業中でございます。
  228. 土井たか子

    ○土井委員 これは何が理由になって具体的な暫定基準というものを策定することができないのか、まだわからないわけですが、この理由がありましてということをおっしゃいました理由の中身について実は聞かしていただきたいのです。というのは、もうすでに御承知のとおりにアメリカは、FDA、食品医薬品局の基準というものがございまして、これは策定されているわけですね。全くこういうことに対して策定が不可能ならば、なるほどこれは時間を要する問題であろう、先例が全くないので、そういうことに対して考えるめどが立たないということも私は理由としてあろうかと思いますが、もうすでにアメリカのほうでは、こういうことに対しての基準というものがあって、しかもその基準の中身もより一そうきびしくしなければならぬという作業が現在進行中であります。世界第一の汚染国であるわが日本において、この問題についてはもはや一刻の猶予も許されないのじゃないだろうか。アメリカのFDAというものを参考にするということもあっていいかもしれませんが、しかし、アメリカの条件をそのまま持ってくるというわけにはなかなかいかないでしょう。しかし、アメリカにおいてできたことが日本においてできないはずはないので、何でもアメリカのまねが好きな日本でありますから、こういう問題についてもアメリカでできたことを、日本でそれはできないというふうに私は見過ごすわけにはいかない問題だと思うのです。ひとつ、何が理由になっていまだに暫定基準というものができないかという点についてのお答えを聞かせていただきたいのです。
  229. 岡部祥治

    ○岡部説明員 食品衛生調査会の専門部会でございますPCB特別部会の中の先生方の御意見がいろいろございまして、その意見の調整等によりまして若干作業がおくれておるということでございます。
  230. 土井たか子

    ○土井委員 意見の調整でありますね。御意見の一番分かれているところはどの辺でありますか。
  231. 田中武夫

    田中委員長 土井君の時間がもう来ておりますから、的確な答弁をしてください。いまのような答弁だったら、幾らでも時間が延びますから、ぴしっと言ってください。
  232. 岡部祥治

    ○岡部説明員 食品別の基準を引く場合に、特に魚介類についていかなる基準を引くべきかということで議論があるわけでございます。
  233. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  それで、この魚介類について、現在は特にどういうふうな基準の引き方が問題になっておりますか。
  234. 田中武夫

    田中委員長 だから具体的に、あとで質問が続かないようにしてください。それでなかったら委員会の審議妨害だ。
  235. 岡部祥治

    ○岡部説明員 魚介類につきまして、その産地によりまして、特に沿岸物とそれから遠洋物とにつきまして、これを基準を変えてつくっていいんじゃないかという議論でございます。
  236. 田中武夫

    田中委員長 時間が来ておるからびしっとやってください。
  237. 土井たか子

    ○土井委員 遠洋物と近海物について基準を変えていいというふうにおっしゃる、その基準の変え方ですね。遠洋物についてきびしく、近海物についてゆるやかに、あるいは反対に、遠洋物についてゆるやかに、近海物についてきびしく、いずれでありますか。
  238. 岡部祥治

    ○岡部説明員 食生活の実態を勘案いたしまして、基準値といたしましては、沿岸のほうがゆるく考えております。
  239. 土井たか子

    ○土井委員 これはむしろ実情からすれば逆ではなかろうかと思われるのですね。特に瀬戸内海なんかについては、先ほどからるる討議をしてまいりましたとおりでありまして、ずいぶん海水汚染というものははなはだしいものがある。PCBによるところの汚染ということも、近海物についてはさらにあるのじゃなかろうかと考えるのが一般の常識だと思うのです。したがって、これについてゆるやかにというふうなことには何らかの理由があるわけでありますか。
  240. 岡部祥治

    ○岡部説明員 食生活の実態を勘案しておるわけでございます。
  241. 土井たか子

    ○土井委員 食生活の実際を考えれば考えるほど、私はむしろそれはいまの逆になるんじゃなかろうかと思うのです。お答えの中身からすれば、遠洋物についてはむしろゆるやかであってもいいんじゃなかろうか。近海物についてはむしろきびしくあっていいんじゃなかろうかと思うのです。ただ、ここで一つ問題になりますのは、時間の関係がありますから先に申し上げますけれども、やはり近海漁業でなりわいを立てていらっしゃる特に零細漁業に対するところの被害だと私は思うのですね。現にお魚がなかなかとれない。とれても売れない。売れないということになってくると勢い生活が苦しくなる。漁業で生計を立てていくということが、今後見通しが立たなくなるということが現に出てくるかと思うのです。しかし、こういう被害に対する補償という問題は別問題といたしまして、いま私がここで問題にしておりますのは、食品衛生上私たちの身体にこの食品を摂取することによってどういう被害が出てくるかという問題じゃありませんか。そのことから考えていくと、いまお答えになりましたことは、むしろ食品基準からいたしますと逆のようなことに思われるのですけれども、その辺いかがお考えでいらっしゃいますか。
  242. 岡部祥治

    ○岡部説明員 食生活上の摂取量を考えて、いま検討しておる最中でございます。
  243. 土井たか子

    ○土井委員 摂取量について検討なさった結果、それを測定した結果をどのように守っていくという体制をとるのか。これは一つのたいへんむずかしい問題だと思うのですよ。このことについてあるお考えがないことには、いまの摂取量の検討意味をなさないと思うのですね。そのことについてはすでにお考えがおありになりますか。どのように測定して、そしてどのようにその測定結果というのを守っていく体制をとるかということ、それを先にひとつ……。
  244. 岡部祥治

    ○岡部説明員 今後の対策といたしましては、特に近海物を重点にしてチェックをしていきたいと考えております。
  245. 田中武夫

    田中委員長 土井さん、時間が来ておるから結論に入ってください。これ以上聞いたってこの程度しかよう言わなかったら、厚生大臣を呼んでもう一ぺんやりましょう。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃこの問題については、時をあらためてお伺いすることにして、あと一問だけ。通産省わざわざ出て来られているわけですから、通産省に対して一問だけお伺いしておきたいと思います。  それは、いまここで問題になっておりますPCBが昭和三十二年にJIS規格品として認められているわけですね。このJIS規格品については、御承知のとおりにそれを規制する工業標準化法という法律がありまして、この法律に従って委員会でJIS規格というふうなことが認められるということになるわけですね。ところが、すでに昭和三十二年にPCBについてこれをJIS規格品とするという段階では、学者、たとえば熊本大学の野村教授なんかがすでに毒性を指摘していられるわけです。JIS規格として委員会で審査をなさる過程の上で、この毒性についての指摘というのがどのように取り上げられて、どのように問題にされたか。私はむしろそのあと三年たつたびごとに再検討を進められているという経過もあるわけでありますから、むしろこの点についてふしぎに思わざるを得ないのですが、委員の構成がここではむしろ問題になるだろうと私は思うのです。というのは、委員の中身を見てまいりますと、学識経験者ということが項目の中に入っているのですけれども、実は企業者代表と通産省側のこういう技術についての技官が寄ってこういう問題について御討議をなさるということがおおよそでありまして、やはり安全性、安全対策ということが現に先ほどの工業標準化法の中身を見た場合に出てまいりますのに、安全性の確保ということに対しての配慮というものがなかなか行き届いていないという側面がある。このことについてどのようにJIS規格について委員会で取り上げられていままで問題にされたかという点を、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
  247. 久良知章悟

    ○久良知説明員 JISにつきましては工業技術院の仕事でございますが、かわりましてお答えを申し上げます。  PCBのJISといいますのは、先生いま御指摘のように、不燃性の絶縁油のJISといたしまして昭和三十二年につくられたわけでございますが、トランス等に使います絶縁油につきましては、しばしば火災の原因にもなるわけでございまして、不燃性の絶縁油のいいものができれば、ビルの地下室でありますとか、鉱山の坑内等、それから船舶の中でも安心して使えるというふうな点から非常に渇望されておったわけでございまして、その目的のために、これはアメリカを中心といたしましてPCBを絶縁油として使うということが戦後広まったわけでございます。日本でも絶縁油のために不燃性絶縁油としてPCBを使う、このためのJISがつくられたわけでございますが、当時はPCBの毒性ということが全く念頭になかったわけでございます。むしろ絶縁油としてのいま申し上げましたような安全性を中心とした性能ということを中心にいたしまして、PCB電気機器のメーカー、それから使用者並びに学識経験者、こういう方々を中心にして専門委員会をつくりましてJISの制定の審議をいたしたわけでございます。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 いまのは御答弁になっていないのですが、しかし時間の都合がありますから、それじゃあとイエス、ノーだけを簡単にお答えいただくことにして私はこの質問を終わりたいと思いますが、一つは、通産省が自治体や関係省庁と連絡をとって、現にPCBを使用している全国の工場の総点検をしていらっしゃるはずですね。こういうことについてPCBの分布図をまずつくって、PCB回収処理データとするという御方針をすでに打ち出されたわけですが、この分布図はでき上がっておりますか、どうでしょうか、そのことが一つ。それから、あと三菱モンサント、鐘淵化学、この二つの製造工場の製造、さらに使用についても中止が現にありますね。ところが輸入についてはどうなっておりますか。この問題が一つ、この二つです。
  249. 久良知章悟

    ○久良知説明員 ただいまの御質問の最初の点でございますが、分布図につきましては、いま作業をいたしておりまして、あと約一月ほどかかる予定でございます。それから輸入につきましては、これは指導によっておるわけでございますが、原則として禁止をいたしております。輸入をしたものを使う面につきまして、電気機器の特殊なものについて管理それから廃棄の十分責任をもって行き届くというものだけに例外的に使用を認めておるわけでございますが、そういう特殊の用途以外にはこれは禁止をいたしておるわけでございますから、この点については輸入したものについても同様の取り扱いをいたすわけでございます。
  250. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ、管理、統制がきくという物品については明示をして、それは具体的にそれに対する取り扱いを指示なすっているということでありますか。
  251. 久良知章悟

    ○久良知説明員 さようでございます。特に責任をもって、使いましたPCBについては安全に処理をさせるということでございます。
  252. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ委員長、最後に資料を二つ通産省に要求いたしておきます。一つは先ほど申されましたPCBについての分布図、これは一カ月後には作成されるであろうはずでありますから、それをひとついただきたいと思います。それからもうあと一つは、どういう物品について管理がきくかということ、そしてそれについてのみは暫定的に使用を認めるということでありますから、その中身、ずっと項目別に書いていただいて、そういう資料をひとつ御用意いただいたものをいただきたいと思いますが、いただけますか。
  253. 久良知章悟

    ○久良知説明員 前者につきましては完成後すみやかに、後者につきましてはなるべく早くつくりまして御提出いたします。
  254. 土井たか子

    ○土井委員 PCBの問題、非常に大きいことでありまして、まだこれはほんとうに入り口の入り口程度であります。これからやはり通産省にもこの委員会にお出かけをいただいて、これからいよいよそれは本番に入るというふうなことに入っていきたいと思いますから、きょうはこの程度で質問を終えたいと思います。
  255. 田中武夫

    田中委員長 土井君の質疑はこれにて終了いたしました。資料は全員に渡るように委員会に出してください。  次に、川俣健二郎君。
  256. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まず最初に環境庁長官にお伺いしたいのですが、過日のそれこそ日本列島に猛威をふるった集中豪雨で、かなり国土が改造する前に洗われて痛んだわけですが、したがって、その災害復旧にかなりそれぞれの官庁に地元からの要請もこれあり、復旧工事も大わらわであるのが一カ月後のきょうこのごろであります。そこで、護岸工事その他、いろいろとあるわけだが、これは各官庁にまたがるわけですけれども、ただこういうような特殊な集中豪雨、初めは四国と九州に終わるものと思ったのですが、一たん日本海に抜けたもののしりが、逆にわざわざ北陸から秋田のほうに入ってきて、御丁寧にずっと列島を荒らして岡山、中国方面に行った。そこで非常に環境がよごされてしまったわけでございます。したがって、まず大臣に伺いたいのは、これは天災でよごされたのでありますが、環境をよごされたのは間違いないのだから、環境庁としては、今回のまれに見る集中豪雨で日本列島がこわされたことに対する環境汚染に対して、環境庁というのが生まれて間もないだけに、これにどういうような対処をしていくというお考えであるのかどうか、まず最初にその点を伺っていきたいと思います。というのは、それは建設省であり、それは農林省であり、それは林野庁であり云々ということになれば、それでは一体環境庁というのは何をやるのだろうかということになるので、やはり環境が汚染されたという問題になると、食品がよごされようが、水道がやられようが、やはり一応環境を整備するというたてまえから、私は私なりに、やはり環境庁が窓口になって、これは君のところでこういうような法律でやれ、こういう復旧工事でやれという、一つの入口のような気がするのですが、そのように理解していいのかどうか、その辺も含めてひとつ大臣から抱負を伺いたいと思います。
  257. 小山長規

    小山国務大臣 災害の復旧と環境の問題、非常に広範にわたる問題でありますが、むろん災害によってたとえば自然が破壊されたというときには、当然自然の復旧をしてもらうようにわれわれのほうからも当該の省庁に申します、それは当然のことであろうと思うのでありますが、どうもそれ以上のことを、どういうふうな言い方を期待されているのか、ちょっと私見当がつきませんので、この程度でひとつ。
  258. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それではいま少し深めたいと思う。今回の、それこそまれに見る水害で、一体どのようにやるかということを閣議なり、あるいは関係閣僚会議というものをなされたものだろうかどうかという点をあわせて聞きたいと思います。  それから二つ目は、さっきも申し上げたように単なる河川が痛んだ、山がくずれたということも一つあるのですが、もう一つは、くずれては困る毒物の入っているものがくずれて非常に環境をよごしたという問題と、二つあるわけですから、その辺も政府としてはこの日本列島の集中豪雨による環境汚染というものにどういうように対処するかということを、やはりあわせてもう少し聞かしてもらわないと、具体的に入らないのです。
  259. 小山長規

    小山国務大臣 集中豪雨によって、たとえば休廃止鉱山のようなものが非常に荒れておる、こういう事実があるわけでございます。こういう問題については、そのくずれたところから出てくるいろいろな鉱害を早急に防止する措置を講じなければならぬことはもとよりであります。閣議でどういう話が出たかということでありますが、閣議で主として出た問題は、今度の——今度だけではありませんけれども、災害の復旧にあたっては単なる原状復旧ではだめだ、当然改良復旧を伴ってやれ、こういうことで、これは総理からもそういう指示が出てまいりましたことをつけ加えておきます。
  260. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いま大臣から休廃止鉱山ということばが出ましたが、過日の災害の際に木村建設大臣に被災地を歩いてもらったのですが、休廃止鉱山ということばが出たので、休廃止鉱山をどのようにするかという特別な話が閣議にあったかどうか、その辺を聞きたいのですが……。
  261. 小山長規

    小山国務大臣 閣議の席で休廃止鉱山をどうするということが特別の議題にはなりませんでした。
  262. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ伺いますが、まず一般論として休廃止鉱山というのは、一昨年の公害国会以来非常にクローズアップされてきたわけですが、担当官庁の通産省に伺いますが、休廃止鉱山というのは一体それじゃどのくらいの数があって、これをどのように処理しようとするのか、どういう法律国会でつくってくれたので、この法律でこういうようなものは救済できるし、こういうものはまだ野積みのままになっておるといった面は官庁の中で審議されておると思います。その辺を少し聞かしてもらいたいと思います。
  263. 久良知章悟

    ○久良知説明員 休廃止鉱山についてお答えを申し上げます。  休廃止鉱山と一口に申しまして、休止鉱山と廃止鉱山を総称するわけでございますが、私ども休止鉱山といいますのは鉱業権を持っておりまして、一年以上操業を休んでおるという鉱山を考えておるわけでございます。現在の調べではその休止鉱山が二千百二十二、それから廃止鉱山と申しますのは操業をやめておりまして、しかも鉱業権について消滅の手続をとっておるというものが二千九百十五、合計しまして五千三十七というように考えておるわけでございます。  それから、そのほか稼行鉱山といたしまして一応数の上では二千百二という数をあげておるわけでございますが、この中で、いわゆる操業を継続してやっておるというものは千三、四百でございます。そのほかのものはただいま申し上げましたように一年以下の休止もしくは一年以内に再び稼行を再開するというふうな計画のもとに現在休んでおるというふうなことになるわけでございまして、これは金属、非金属鉱山、それから石灰石等の追加鉱物鉱山、それから石油鉱山、この三つの鉱山の合計と申しますか、を足した数字で申し上げたわけでございます。  それから稼行鉱山につきましては、これは稼行に伴いまして保安上の危険、それから公害の防止ということを念頭に置いて稼行する必要があるわけでございますので、私どももかなり厳重に監督をしておるわけでございます。  それから休廃止鉱山につきましてはただいま申し上げましたように非常に数が多いわけでございますので、その中の公害につきまして重点的にやる必要のあるもの約千五十鉱山につきましては計画的に調査をいたしておりまして、現在約四百鉱山について終了をいたしております。今年度末にはこのうちの約七割についての調査が終了する計画でおるわけでございます。そのほかの鉱山につきましては、これは県に委託をいたしておりまして、現在調査をやっていただいておりますし、問題のあるものについてはそのつど連絡をいただいておるわけでございます。  それからもう一つ、休廃止鉱山の問題につきましては、これは土呂久鉱山の砒素公害の問題が発生いたしましてから環境庁とも御相談を申し上げ、その協力を得まして一斉点検をやっておるわけであります。環境汚染の上で問題のあるものについてはその公害源にさかのぼりまして私どものほうで鉱山の検査をし、所要の措置を打つつもりでおるわけであります。  それからもう一つここで申し上げますのは、鉱業権がある山につきましては、もちろん鉱業法それから鉱山保安法によりまして公害防止関係の義務は鉱業権者にあるわけでございますが、鉱業権を消滅いたしました場合にも五年間につきましては鉱業権者に管理の責任がございますし、必要な場合には監督局部長が公害防止の措置について命令を出し得るという制度になっておるわけでございます。
  264. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうしますと、確認しますと、全く一年以上休んでおる休止鉱山、これは鉱業権者が放さない鉱山ですが、これが二千百二十二、それから全く鉱業権が消滅して、これは五年以内なんでまだたれ流しをしたものはあとを追っかけて押えるといえるものも含まれると思うのですが、これが二千百十五、それから現在大きな意味で稼行している鉱山が二千百二。そうすると七千あまりの鉱山があるわけです。それで一昨年からの公害国会で、これをかなり監督を強めアフターケアをせねばならぬということに追い詰めていったのだが、いま局長のおっしゃった土呂久というのはこの中でどれに適合しているわけですか。
  265. 久良知章悟

    ○久良知説明員 土呂久鉱山はいま申し上げました休止鉱山になっておるわけでありますが、操業は休んでおるけれども、鉱業権は保有されておるという中に入るわけでございます。
  266. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでいま七割方、ある程度調査が終わったというのは、七千余りの鉱山すべてを含めて七割くらいの調査が終わった、こういうふうに考えていいわけですか。
  267. 久良知章悟

    ○久良知説明員 休廃止鉱山が、休止が二千百二十二、廃止が二千九百十五でございます。全体で五千三十七になるわけでございますが、その中の千五十鉱山については四年計画で計画的に調査をしていこう、その中の約七割が本年度終わるわけであります。
  268. 田中武夫

    田中委員長 関連質問を許します。島本虎三君。
  269. 島本虎三

    島本委員 その休廃止鉱山の中へ石炭も入る——もちろん石炭は入らないかもしれませんが、石炭のそういうような場合にはそのままにしておけない状態であって、それを復活させるためにいまや石炭専焼の火力発電、こういうような発想が総理から出されて、それがもうすでに実現されようとしておる段階でありますが、これまた北海道の伊達市では伊達火力という一つの大きい騒動が持ち上がっております。油によるところの火力発電を強行しようとするかまえのようであります。それが北海道の湘南地帯といわれるその伊達周辺、室蘭から子供が避難して、そこへ一カ月おると二、三キロふえるといわれる景勝の地帯であり、まさに風光明媚、空気のいい場所でございます。そこへ油でよごそうとするこの計画を先行しようとするようであります。これはわれわれといたしましてはなかなか理解に苦しむのでありますが、一体どういう考えなのか、通産省……。
  270. 和田文夫

    ○和田説明員 お答えいたします。  御承知のように、北海道地区の電力需要の増加に対しまして、いま計画を進めている地点のほかに、昭和四十九年から五十一年までの三カ年に、水力二十万キロワットのほか七十万の火力あるいは原子力でもよろしいのでございますが、そういうような電源を完成させる必要がございます。それに対応いたしまして、時期が迫っているものですから、いまから石炭火力を考えますと時期的に間に合わない、時間的に間に合わないという点がございます。御承知のように、北海道の電力需要の一番集中いたしております道南地区に立地するのが一番いいだろうということで、数年前から立地地点をさがしていたわけでございますが、たまたま四十五年当時伊達町から誘致を受けた関係もありまして、伊達火力の計画を進めておる段階でございます。いまいろいろ地元の関係市町村の意見を道議会あるいは道庁等で取りまとめておるやに私ども伺っております。
  271. 島本虎三

    島本委員 これは道議会のほうでは、この電力需要は現在さほど切迫しておらない、こういうようなことが承認されておるようであります。片や切迫しておるという、道議会の答弁では切迫しておらないという、これはなかなか理解に苦しむ。  同時に、石炭専焼の火力発電、この問題については明らかにいまの総理が政策として打ち出したものでありますが、こういうふうな問題に対して逆にいくような通産省では、これはちょっと困るのじゃないかと思うのです。私どもはこの問題に対してはっきりと意見を聞いておきたいのでありますけれども、他のほうでもトラブルが起きております。それは虻田町のほうにまで行って、そうして調印させて協力を得ようとするような動きがあり、そこにもトラブルが起きておる。また、当然汚染されるものであるからそれに対する係争も行なわれんとしておるようにも聞いておるのであります。こういうような状態にしておいて、片や、休廃止鉱山は、石炭山を助けるためにやろうとする。こういうような要望に応じて当然それと反対のことをやろうとして物議をかもしている。こういうような指導が通産省にあるということはわれわれとしては了解できない。したがって、それに対してどういうふうに考えるべきなのか。環境庁長官、あなたもおいでなさるそうでありますが、とくとこの点調べてきてもらわなければいけない。  それと同時に委員長にお願いしておきますが、こういうふうに相矛盾した行政が行なわれているということはわれわれは了解に苦しむので、参考人として関係者を招致して十分この意見を反映させてもらいたい、聞きたい、こう思うのでありますが、委員長において善処願えないでしょうか。  この二つを時間のないあまり一緒に伺いましたが、まず環境庁長官から御意見を承り、あわせて委員長の御高見を承りたい、こういうふうに思うわけでございます。
  272. 小山長規

    小山国務大臣 いまおっしゃった地域には私は出張予定はいまのところないのです。ただ、いまの問題については北海道庁が所管をしておりますので、北海道庁の意見を私まだ実は承知しておりませんから、それを聞きました上で必要な措置をとりたい、こう思っております。
  273. 田中武夫

    田中委員長 島本君に申し上げます。  ただいまの伊達火力発電に関する問題についての参考人を招致することの申し出てありますが、事態の推移を見ながら、理事会において検討し、要望に沿うようにはかりたいと思っております。
  274. 島本虎三

    島本委員 そういうふうに要請いたします。  なお、苫小牧のほうへ参りましたならば、午前中の質疑もあったとおり、これを踏まえまして十分調査願いたいと思います。  それとあわせて、いま委員長の申しましたように、委員長においてもしかるべく措置をはかっていただきたいということを要請いたしまして、関連質問を終わります。  ありがとうございました。
  275. 川俣健二郎

    ○川俣委員 局長にさらにもう少し聞きたいのですが、五千三十七のうち千五十というものは五カ年計画に入れた、それの七割方やっとできた、こういうことなんです。それではどうにもならない。したがって、土呂久という鉱山は休止鉱山のほうに入っているのか廃止鉱山に入っているのか。  あわせて、この間秋田で問題になった宮田又鉱山はどこに入っているのか。  それから三つ目は、年次計画でやるつもりでいるようですけれども、この七千何ぼという鉱山に対して監督官の数が何ぼいるのかということ。  それから各県に委託しておるというのだけれども、どういう形で委託しておるのか、予算をある程度流して委託しておるのか、権限を全部委譲しておるのか、ただ単に見てこいというだけの委託なのか、その辺もあわせて聞かしてもらいたい。
  276. 久良知章悟

    ○久良知説明員 第一の土呂久鉱山でございますが、これは休止鉱山に入っておるわけでございます。  それから第二の宮田又鉱山でございますが、これは四十年の九月に鉱量枯渇のために休山をいたしておりますので、休止鉱山の中に入っておったのでございますが、たしか本年の一月でございましたか、鉱業権を放棄いたしましたので、現在におきましてはこれは廃止鉱山に入っておるわけでございます。  それから県の委託でございますが、私、委託とはっきり申し上げたわけでございますが、むしろ正確には依頼というふうに申し上げたほうがいいかと思いますが、来年度は予算をはっきり取りましてこれは正式に委託をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから監督官の数でございますが、現在公害防止関係に使えます監督官の数は、四十七年度、今年度におきまして百七十一名でございます。それからそのほかの監督局部におりまして動員をできる技官その他が六十三名ということで、合計二百三十四名でございます。
  277. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まずやはり問題なのは、これだけの休止鉱山、廃止鉱山が方々で野積みだ、山積みだというものが雨で流されておる、土壌汚染だといって金をかけて、何PPM以上の米は買わないということで困らしておる。これを二百三十何人くらいの監督官で、どういう年次計画でおやりになるつもりか知りませんけれども、これはとうてい間に合わない話なんです。  そこで、きょうは政府が見えてないので、こう言っては悪いのだが、あなた方は仕事をしている場合に、やはりこういったような予算なりこういったような監督官の数なりというものは希望しているのかどうか、いまの監督官の数で大体年次計画で処理できるというように考えておるのかどうか、あればこれにこしたことはないという消極的な程度なのか、その辺を、いま予算期であるだけにこの問題はあえて聞きたいのだ。
  278. 久良知章悟

    ○久良知説明員 監督官の数についてのお尋ねでございます。私どもやはり監督官については不足だということで増員に努力をいたしておるわけでございます。ただいま四十七年度が二百三十四名と申し上げたわけでございますが、これは四十五年が百七十五名、それから四十六年が百九十八名、二年間に五十九名、約三四%の増があったわけでございますが、私どもさらに監督官と申しますか、担当者の増員については努力を重ねていきたいと思っておりますが、御承知のように非常にむずかしい問題であるわけでございます。
  279. 川俣健二郎

    ○川俣委員 政府が見えていないから、その程度しか話にならないと思うのですけれども、一月に鉱業権を廃止した土呂久ということで、同じように一月に鉱業権を放棄することを承認していま問題になった秋田の宮田又鉱山、私はこういうふうに了解していますけれども、大体こういうアウトラインでよろしいですか。  この宮田又鉱山というのは、戦争中に帝国鉱発という、統制経済のもとで大蔵省が管轄した山の一つである。それが平和時になって、新鉱業開発株式会社という会社にこの山が移った。この新鉱業開発の山に秋田県の宮田又と山形県の高飛と二つかかえておった。ところが、四十四、五年になったら鉱量枯渇等でこれを会社更生法にかけて申請をしておる。それがこの七月三十一日の集中豪雨の二週間前の七月十五日に会社更生法の認可があった。こういうことなんです。したがって、この鉱山をだれがどのように処理するのかということがいま県知事をはじめとして住民がたいへん大ごとに騒いでおるわけでございます。  それから災害のほうをひとつ考えますと、昭和十四、五年からのいわゆる一億国民精神総動員の線に沿って掘って掘って、掘りまくった銅山が十三万立米という膨大な廃滓を谷間に捨てておった。ところがそれのうちの三分の一の四万立米がくずれた。なぜくずれたかというと、集中豪雨という雨に洗われただけではなくて、その上のほうの水をとる取水口のところが、まわりにある国有林の保安林をぶった切ったためにその取水口がふさがった。したがって、鉄砲水が全部廃滓のダムに流された。したがっていまくずれて、くずれて、三分の一くずれて四万立米、トラックで一万台、この四万立米を流して、それが川が全部廃滓の川になって、そして秋田県で一番大きい雄物川に流れ込んだというのが事実であるようです。大体そのようにつかんでいてよろしいですか。
  280. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 宮田又鉱山の経緯を申し上げたいと思います。  いま先生がお話しのとおりでございまして、宮田又鉱山はもともと帝国鉱業開発株式会社、これは戦前国策会社でございましたが、昭和二十五年の四月一日、新鉱業開発株式会社の設立と同時に鉱業権が移転されたものでございます。自来、同鉱山は金、銀、銅、あるいは硫化鉄鉱を産出して操業してまいりましたが、鉱量枯渇のために四十年の九月に閉山することになったわけでございます。  一方、新鉱業開発自体も一緒に持っておりましたところの高飛鉱山あるいは天生鉱山の閉山に伴いまして、退職金がそのたびに発生いたしまして、資金繰りが非常に切迫いたしまして、積年にわたるところの企業体質の虚弱もございまして、ついに四十五年の十二月二十一日に東京地裁に更生手続の開始の申し立てを行なうことになったわけでございます。その後四十六年の二月一日、更生手続開始の決定がなされましたが、それに伴いまして新鉱業開発株式会社をどうするかということで、実はこのほかに野田玉川というマンガンの鉱山がございまして、これはまだ鉱量もございますし、マンガンというのは国内においては大手はほとんど出しておりません。中小がほとんど一〇〇%出しているということもございますし、地域的にも過疎地帯でございましたために、地元の要請あるいは労働組合からの強い要請もございまして、経済鉱量もあることでございますので、一緒にいま言いましたような二山とともに閉山してしまうということは非常に忍び得ないことでもございましたために、いろいろわれわれのほうでも検討いたしましたし、裁判所からの御意向もございまして、一応これについて再建の方法をいろいろ検討いたしまして、その結果野田玉川だけを分離した形で一応残すという計画が最近認可されたという状況になっておるわけでございます。
  281. 川俣健二郎

    ○川俣委員 所管が違うから国有林の話はしなかったけれども、林野庁に聞きますけれども、木を切る場合にせっかくの、秋田の杉だといっても、これは保安林なんですよ。保安林をなぜこういうようにして鉱山のほうと全然連絡なしに、通産省の保安監督部というのは戦前にあるわけだから、そっちのほうにも連絡なく、県にも鉱務課というのがあるのだから、そういうものと全然連絡なく、地元になぜこれを払い下げたかということを聞きたいのだよ。
  282. 辻良四郎

    ○辻説明員 お答えいたします。  宮田又鉱山の隣接の国有林は秋田営林局の管内の大曲営林署部内にあります牛沢又沢八十七林班でございます。ここには林齢百五十年の広葉樹天然生林の国有林があるわけでございますが、その個所におきまして昭和十九年以来昭和三十七年までの間で五回伐採いたしております。  それから、この地区につきましては、ただいま先生から保安林ではないか、こういう御指摘があったわけでございますが、保安林等の指定はない地区でございます。  なお、伐採にあたりましては、現地の麺当主任がそのつど鉱業所の監督員と連絡をいたしまして伐採等は行なってまいったわけでございます。  以上でございます。
  283. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ここであなたと水かけ論をやってもしかたがないけれども、じゃ確認しますよ。この伐採した中に保安林が一切なかったということが確認できるかどうかということが一つと、それから鉱業権者に連絡をしたというのが事実かどうかという、この二つを確認しますよ。ここでこれを確認して、もし事実でなかったら、またやりますからね。二つをまず確認しておきます。
  284. 辻良四郎

    ○辻説明員 保安林等の指定はない、このように聞いております。  なお、伐採に関しましては、現地の主任が鉱山の監督者と十分連絡をとって伐採等を行なった、このように聞いております。
  285. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ、聞いておりますという資料でお話ししているから、私のほうでもさらに責任の所在をはっきりさせるのだけれども、やはり鉱業権者がそのように会社更生法にかかっておるだけに苦しまぎれに連絡がなかった、切ってしまった、水が流れた、がけがくずれた、水のとり口を全部つぶしてしまった、それが原因だ、こう言っているのだと思うけれども、その辺もあるのだと思うから、私もこの辺をさらに確認しておきますけれども、部長のほうもこの次の委員会までに確認しておいてください。
  286. 辻良四郎

    ○辻説明員 御指摘のようにさっそく調査いたしまして確認しておきます。
  287. 川俣健二郎

    ○川俣委員 公害委員会ですから、全般にお話ししますと、水田の五百ヘクタールが全部水をかぶって汚染されたわけです。これは単にどろ水じゃなくて、御承知のように銅も入っておるし、鉛が入っておるし、亜鉛が入っておる。さらに加えて、その下では県の調査ですけれども、これは現在の土砂くずれの前に、ダムが決壊する前に、もうすでに〇・五二PPMのカドミウム米だということで、準汚染米に指定されておるところです。したがって、今度はそれが全部田畑に流れましたから、五百ヘクタールのうち二百ヘクタールがもうだめだろうということが言われたわけです。部落にして二十部落、それから世帯にして四百八十世帯、こうなっております。それで農林省の食糧庁来ておりますか。米の問題ですが、どうですか。
  288. 田中武夫

    田中委員長 農林省は参事官が来ていますけれども、食糧庁は要求していなかったのと違いますか。
  289. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ農地局に伺いますが、この場合、まずこれがどこに責任があるかはこの委員会で大体明らかになると思うのだけれども、問題は流されたたんぼをどのようにするのかということと、それから米を買ってもらえなかった場合は農民はどうするのか。この救済方法等を、ちょっと農地局は畑が違うと思うのだけれども、その辺知っている範囲内において教えていただけませんか。
  290. 住吉勇三

    ○住吉説明員 お答えいたします。  ただいま県からの報告によりますと、宮田又鉱山よりも下流の無堤地帯でございますか、この地帯の水田が十二・八ヘクタール埋没したというような報告にいま接しております。現在、当時の雨量とか被災の状況等を調査検討中でございまして、その結果、異常なる天然現象による災害だということが明確になりました場合には、農地復旧の災害復旧事業としてこれを対象にしていきたいというように考えております。  なお、米の問題は担当外でございますが、ただいま水質とか土壌につきましてのサンプルをとりまして、県のほうで分析中だというような報告を聞いております。その結果によりまして、また環境庁、関係方面と連絡をとりまして善処してまいりたいというように考えております。
  291. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで、いま参事官に話しますけれども、県の報告の十二ヘクタールというやつは完全に埋まって稲穂が全然見えないやつです、これは埋没ですから。ところが、汚染米というやつは、御承知のように五センチ以上はそうなっておるわけだから、一切水をかぶると——重金属ですから、その辺も勘案して、県のほうの報告を、単に十二ヘクタールだけなんだということじゃなく検討してもらいたいのです。あなたにはそれだけです。  それから私が知事と一緒に現地に行きましたら、出先の秋田の行政管理庁の局長が来ていました。それで行政管理庁に伺いますが、行政管理庁はこういう事件に対して、こういった面は一体どのような権限と機能があるのか、ちょっとその辺を聞かしてもらいたいのです。
  292. 相沢正文

    ○相沢説明員 お答えします。  先生いまお話しの宮田又鉱山の被害の問題でございますが、行政管理庁としては政府部内のいわば行政運営の改善の推進を目的として存在しておるものでございまして、私どものほうとしては行政監察という機能を通じまして、ただいまの例で申し上げますと、鉱山保安監督行政なりあるいは鉱業権者に対する鉱業法上の指導監督権の行使、これは通産行政。それから林野行政につきましては、国有林のいわゆる植林あるいは防災上の行政、あるいは災害基本法に基づく防災の体制あるいは防災対策上あるいは災害復旧の問題、いわゆる行政機関が行なうところの行政分野に関しましては、それの行政の体制なりあるいは実施状況が真にその目的とするところに沿って、あるいは能率的に、あるいは適正に、あるいは国民の要望に沿った面で行政が行なわれているかどうかを調査いたしまして、改善をする必要がある事項があれば、これは勧告あるいは助言という形でもって相手機関に御意見申し上げまして改善をはかる、こういうような立場をとっているわけでございます。したがいまして、具体的ないまの問題につきましても、いわゆる異常災害時における防災体制の措置の問題あるいは国有林の保安の問題あるいは鉱山保安の問題、そういった面につきまして行管としては関係機関がいかようにこれらの問題に対して事前に、あるいは平常あるいは異常時において、あるいは災害発生したそのケースにおいてその後どういう救済なり指導なりそういう措置をとったかどうかという点について監視を行なっておる、こういう働きをすることになっているわけでございます。
  293. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もう少し前ぶれを聞きたいのだが、環境庁企画調整局長ですか、あなたにちょっと伺いますけれども、こういうような全貌はわかったと思います。その場合に、もう一ぺん環境庁長官責任と権限に入るわけだが、こういうような全貌がわかったときに、企画調整局の仕事というのは、さてこういう場合はどうするのかということなんです。どういう機能なんですか。企画調整局長というのは、どうやらこの辺が中心になって、君はこれをやれ、君はそっちをやれというふうにぼくが理解していいかどうかです。これがさつき一番先に聞いた環境庁の長官というのは何のために存在するだろうかということを理解する意味もあって聞きたいのです。
  294. 船後正道

    ○船後説明員 環境庁の任務は、もう先生も御承知のとおり、公害の防止と環境保全ということになるわけでございます。公害というのは、事業活動その他人の活動に伴って環境が破壊され、汚染されるということになるわけでございます。これがいわゆる天災と競合するというようなケースがあるわけでございまして、ただいま御指摘のように、先般の集中豪雨等に伴う問題は主として災害復旧の問題であろうと理解いたしておりますけれども、ただいま問題になっておりました休廃止鉱山の坑道が決壊するとか、あるいは工場の沈でん池が決壊して、その結果有毒物質が流出するというようなケースもあり得るわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、このような災害に伴うそういった公害あるいは二次公害ということにつきましては関係省庁と連絡をとりながらそのつど適切な対策をとってまいりたい、そのような方針で来ておるところでございます。
  295. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで時間もあれですから、通産省鉱山保安局に戻ると思うのですが、もう一回簡単にいうと、このダムというのは十三万立米ですからかなりのダムです。ところがちょうど坂になっている谷間を利用したダムですから、はっきり言って、現地に行ってみると上のほうから滝のように流れる水をそのダムの底をずっと流す排水口が入っているわけです。ところがその上のほうの取水口が、さっき言ったように、向こうは保安林ではないというけれども、みんな保安林だというから、それを切ったためにくずれて口を全部ふさいでしまったわけです。それでまず何はさておき、鉱業権がそのように会社更生法にかかってしまったし、それから国はどのようにしてくれるかという応急措置として、一応滝の水を途中の排水口のところへ穴をあけて、ちょうど人間の食道を通さないでこの辺の腸から管を入れて食べものを入れるという、ああいうやり方をしたら排水口からどんどん水が流れるということですから、ダムの底はやられてないということが確認されたわけです。ところがほっておくと、いま四万立米でとどまっているのだけれども、あとの残り八万立米以上のものがいまどんどんくずれていっているわけです。これを一番下のほうの谷間の下のほうで押えると百メートルの護岸工事、堰堤工事をしなければならぬわけです。こうなると、とても千万や二千万じゃなくて、まして会社更生法にかかった会社じゃどうにもならないので、億という金がかかるということは目算がついたわけです。そういう場合に、せっかく措置として昨年の国会で休廃止鉱山対策工事というのができたわけだ。なぜこれを適用しないかということになるのです。というのは、四十五年に更生法を申請して、四十六年の二月一日に管財人をきめたということは、更生会社だということでスタートして、四十七年の一月に鉱業権を放棄させておるのです。そして四十七年の七月十五日に会社更生法が適用になって、七月三十一日にこの事件だ、こういった場合に、これはやはり国の三分の二、県の三分の一という休廃止鉱山対策事業が適用になると思うのだけれども、どうだろうか。   〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕
  296. 久良知章悟

    ○久良知説明員 宮田又鉱山の廃石堆積場の崩壊につきましては、大体先生いま御指摘のありましたような原因なり経過なりで約三分の一のスライムが流出をしたわけでございます。スライムの堆積場を設計し、建設いたしますときに、私ども一番気をつけなければならないと思っておりますのは、一種の土堰堤でございますので、水がこのダムの上を溢流する、オーバーフローするということが一番こわいわけでございます。それを防止するために、先ほど先生おっしゃいましたように、ダムの周辺には山腹水路というものをつくりまして、山の上からの水はその水路を通しましてダムの外に落とす。それから谷川の水は排水口、コンクリート製のトンネルをつくりまして、それに適当に穴をあけて、その穴からトンネルをダムの下を通して外に出すという工事をしておるわけでございます。  御承知のように上流部の山くずれによる土砂によってそういう水路が全部ふさがれたということからオーバーフローが起こったわけでございます。これの回復にはやはり相当な金額を要するわけでございまして、ただいま先生指摘ありましたように、新鉱発自身としてはこれは更生会社になっておるわけでございます。会社自身で復旧をする能力というものはないわけでございます。休廃止鉱山公害防止工事補助金制度に乗せて復旧をやるということが第一に考えられるわけでございます。四十七年度の補助金につきましては、大体事業計画をつくりまして、すでに一部については動き始めておる時期でございますので、これを新しく追加をして入れるということにはいろいろな問題もあるわけでございます。この点につきましては大蔵省はじめ関係の省庁と至急前向きで検討を進めていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  それから更生会社でございますので、裁判所その他の機関ともこの点につきまして協議をさっそく始めたいと考えております。
  297. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでいま知事が対策本部長になって、おたくの窓口である通産省の仙台から呼んで、それから県の鉱務課というのがありますから、それから会社更生法にかかっても、例の希少価値のある野田玉マンガン鉱山というのがあるわけですから、そちらのほうの前の鉱業権者を呼んで、それから地元の町長を呼んで、ちょうどきょうやっているわけです。それでおそらく要請に来ると思うのですが、問題は緊急事業ですから、その辺をこの機会に私からもお願いしておきます。  それで一つ確認したいのは、どうも更生会社として認可したのと、それから鉱業権を放棄したあとの関係からいうと、それから野田玉というマンガン、これは確かに日本の国では希少価値だと思います。これは公審が起きないメタルですから非常に希少価値のある鉱山ですが、ただ、この無資力であるということの判定がこれはさっき言った課長のほうの分野になるのですけれども、鉱山というのはやはり徳川時代は幕府のドル箱、明治になってからは資本主義の基盤になって、そのかわりただ荒かせぎされて野積みされておるのが今日の日本の国であるわけですから、ほんとうにこれが無資力なのか、大手六社のどこかにひもがついている会社じゃないのかどうかということをこの機会に確認しておきたいのです。その確認がなければ、国の費用の三分の二というのはいろいろと引っかかるので、この機会に確認しておきたいと思います。   〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
  298. 外山弘

    ○外山説明員 おくれてまいりまして申しわけございませんでした。  ただいまの御指摘の点は、私の承知します限りでは全く無資力でございまして、いま御指摘のような特に大きな企業との資本系統という点もありませんというふうにお答えいたします。
  299. 田中武夫

    田中委員長 佐藤課長は補足ありますか。
  300. 佐藤淳一郎

    ○佐藤説明員 ただいま局長から申し上げたとおりの事実でございます。
  301. 川俣健二郎

    ○川俣委員 せっかくの委員会にこういう具体的な問題をつまんで質問するというのは本旨じゃないのです。というのはこの前たしか鉱山調査に回られたようでしたが、その際に田中委員長でしたか、鉱業法を改正するという段階じゃなかろうか。ということは、さっき言ったように、無資力であるものが鉱業権をかかえておるということです。それからいよいよだめになったら離す、離すまでは国の費用が投ぜられない、こういうことですから、やっぱり石炭のようにメタルもその先願主義を後生大事に基本にしないで、やはり能力のある——能力というのはやはりそのアフターケアの能力もなければだめだと思います、これからは特に。したがって、田中総理の列島改造論を読んでも、どうやら鉱業法を手直ししないとあの問題が実現しないように感じられるわけです。いま七千何ぼというやつは、七千何ぼのうちの九割は、資力があろうがなかろうが、山師であろうが、鉱山掘る用具があろうがなかろうが、先願主義だということでがっちりかかえておるところにこの不幸があるわけです。そうでしょう。土呂久もしかりです。この宮田又もしかりです。したがって、一応やはり鉱業法の改正というところに日本の鉱山界は来ているんだと思います。したがってこの質問は、その作業が進められておるのかどうかということが一つ。  それからもう一つは、私らはまだほやほやですから、かつて国会日本の鉱業法を改正するという改正版が十数年前に出された、こう聞いておるんだけれども、その場合にはどうしてこれが廃案になったのか知らぬけれども、その辺もあわせて、局長ならずっと鉱山界で鉱山関係の業務をやってこられたと思いますから……。この辺が私の結論です。
  302. 外山弘

    ○外山説明員 実は私まだ着任しまして一月ほどでございまして、御指摘のように鉱山界をずっとやっておったわけではございませんので、その点必ずしも十分な立場にはございません。いま御指摘の鉱業法の改正を検討すべき事態が来ているんじゃないかというふうなお話でございますが、この点についての御指摘というのは私も確かにこれから勉強すべき課題だろうと思います。ただ、いま作業を進めているかと言われますと、私、まだ来たばかりでございますが、いままでのところ作業を進めておるというところにはございません。ただ、御指摘のように、鉱業法という法律は大法律でございまして、ただいまのような事態の認識ということに伴いましていろいろな問題点考えることはもとよりでございますが、やはりいろいろなところで、古い法律であり、また同時に非常にオーソドックスといいますか、法律らしい法律といいますか、そういう点もございまして、これを一応改正いたします際に非常に大作業が要るというふうに聞いております。それは御指摘のように、昭和三十九年でございますか、数年間の検討を経まして、別途の審議会をつくりまして御提案を申し上げた経緯がございます。そのときにもいまのような点がどの程度入ったか、私ちょっとつまびらかにいたしませんけれども、ともかく改正法案を御提案して、不幸にしてそれが実らなかったというふうな経緯があることは確かでございます。私もその辺の経緯もよく勉強いたしまして、また今日の時代の要請の中でどういう点に問題があるかということをよく勉強してみたいと思います。その上でさらにそういうふうに時間がかかるならば、またその法改正というよりも公害防止というものは何よりも緊急の事態でございます。したがいまして、現行法の運用の強化という点でまだなすべきことがあるのではないか。あるいは現在起こっておりますいろいろな問題は、やはり運用の強化についてもう少しはかられていれば防げたんではないかというような問題点もあるのかもしれません。その辺も私十分勉強いたしまして、また慎重な検討を進めながら、御期待に沿うような方向に考えてまいりたい、こう考える次第でございます。
  303. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もう一度で終わりますけれども、これをなぜ言うかというと、まあ秋田なんか特に鉱山でだいぶかつてはかせいできた県だろうと思うのです。知事が言うように農業か鉱業かというくらいですから。ただその休廃止鉱山、無資力になったのは百五十あるというのですよ。現にこの宮田又鉱山と沢は違うんだけれども、別の沢から荒川鉱山という鉱山があるわけです。これはかつては二千人の鉱員を使った銅山です。これはただ、いまのところは三菱と結んでおるものですから無資力じゃないということで……。というのは、荒川鉱山のダムがこの間の集中豪雨でひびが入ったのです。それっというので、三菱ですからこれはやれたわけです。ところがこういうような無資力なところはやれないで、こういう状態の事件が起きるわけです。したがって、こういった面を考えると、まあ環境庁長官、先ほど公害保安局長が、もう四、五十人ふやしてもらえとか三九%の監督官をふやせとかいったって、七千何ぼの鉱山ですから、七千何ぼのうち五千余りは休廃止鉱山ですから、これを二、三百人で見回れといったってこれは無理だと思うのです。したがって、この辺をどのようにするかということを大上段にかぶらないと、単に水が来る、土砂が来るというのじゃなくて、内容に重金属が入っておるということを環境庁はぐっと考えなければならないと思うのです。したがって環境庁長官、ぜひこの問題は閣議にかけていただきたいと思います。声を出してもらいたいと思います。届かしてもらいたいと思います。そういうことを要望するのですけれども、最後に長官のこれに対する考え方をお示し願って、終わりたいと思います。
  304. 小山長規

    小山国務大臣 行政職員の増員については、わが政府は非常な厳重な制限をしておるところでありますが、いまお話しのような問題もあり、また実際問題としては調査は府県の職員に依頼しているんだろうと思います。依頼している部分が大部分であろうと思うのでありますが、府県の職員に依頼してもなおかつ本省職員をふやさなければならぬかどうか、私のほうはまだそこまでの勉強はしておりませんので、いまここで私の態度を申し上げることはできませんが、その辺のところを調べましてから私の態度をきめたいと思います。
  305. 川俣健二郎

    ○川俣委員 終わります。ありがとうございました。
  306. 田中武夫

    田中委員長 まあそこにすわっておってください。  私からこの席から関連質問を申し上げます。  通産省の久良知局長、先日当委員会において鉱業法を改正しなければならないんではないかというときに、改正しなくても処置できる、そのようにあなた答弁せられたと思うのです。先日、松尾鉱山を見てまいりました。現行法であの松尾の状態をどのようにして処置ができるのか、お伺いいたします。
  307. 久良知章悟

    ○久良知説明員 休廃止鉱山の問題、非常にむずかしいわけでございますが、特に松尾鉱山の問題、その規模が非常に大きい点、それから公害源として出ております坑廃水の量、それから酸性度の点から非常にむずかしい点があるわけでございますが、この解決につきましては、先日、私、鉱業法と申しますよりはむしろ鉱山保安法の改正の点について申し上げたわけでございます。休廃止鉱山対策を抜本的に強化をするためには、やはり法の改正も含めまして検討する必要がある、こういうふうに現在では考えております。
  308. 田中武夫

    田中委員長 重ねてお伺いいたします。  それじゃこの前に鉱業法及び鉱山保安法と、こういうことだったと思うのですね。当時、改正の要なし、改正しなくてもできますと言ったんだが、本日では改正しなければならないのだというふうに変わったのかどうか。もし改正しなくてもできるというのだったら、現行法で直ちにあれを処置していただきたいと思いますが、いかがですか。
  309. 久良知章悟

    ○久良知説明員 この鉱業法は御承知のように鉱山石炭局長の所管でございますので、当時鉱山保安法について考えるとお答えを申したつもりでございますが、鉱山保安法の改正もしくは休廃止鉱山対策を専管にやります組織の問題も含めまして、この場合は鉱山保安法よりはむしろ新しい法律になるのかもしれませんが、そういう点を含めまして検討をしておるわけでございます。
  310. 田中武夫

    田中委員長 それでは確認をいたします。  先ほど外山鉱山石炭局長は、鉱業法を検討の上改正の必要があらばやりたい、そういうような意味答弁がありました。そして鉱山保安法につきましては、いま久良知局長のほうからこういう答弁がありました。したがいまして両法を改正もしくは新法をもって休廃止鉱山の鉱害に対する万全の措置を考える、こう解釈してよろしいか、いかがです両局長
  311. 外山弘

    ○外山説明員 おっしゃるとおりでございまして、いま私は勉強をしてまいりたいと申し上げましたことと、その結果においていま委員長が御指摘のような必要あらば改正するというふうに、必要あらばという点、私まだ自信がございませんが、そういうふうに理解していただいてけっこうだと思います。
  312. 久良知章悟

    ○久良知説明員 すでに御説明を申し上げました方向で検討を続けておるわけでございますので、これを続けていきたいと思います。
  313. 田中武夫

    田中委員長 以上をもちまして川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。  古寺宏君。
  314. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に環境庁長官にお尋ねいたしますが、岩手県松尾鉱山の鉱毒によりまして、鉱害によりまして北上川というものは清流化を迫られております。これに対して環境庁は積極的に取り組むというお考えを現在お持ちになっているのかどうか、まず長官にお伺いしたいと思います。
  315. 小山長規

    小山国務大臣 この川の清流化については重大問題でございますので、私どものほうも積極的に取り組む決心でいろいろな調査をいたしておるわけでございます。
  316. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、この清流化を実現するためには、まず環境基準の当てはめということが絶対不可欠の要件でございますが、この問題については環境庁としてはいつごろまでに環境基準の当てはめを行なう考えか承りたいと思います。
  317. 岡安誠

    岡安説明員 北上川につきましては環境基準の問題、先般も御質問があったわけでございます。  水の環境基準先生承知のとおり二種類ございまして、健康項目に関します環境基準につきましてはすでにすべての公共用水域につきまして環境基準が設定されているわけでございます。  ただ、生活環境項目につきましては、これは当てはめによりましてそれぞれの河川につきましての環境基準が設定をされるということになるわけでございますが、北上川につきましての生活環境項目の場合、特にあの川の場合におきましてはP日が問題でございます。PHにつきましては、通常環境基準を設定する場合、その目標は農業、水産業その他影響のないような水質を保持するとかいうような目的でもって環境基準の設定が行なわれなければならないわけでございますが、現状におきましては、少なくとも岩手県下の北上川流域につきましてはわれわれの目標とします七前後のPHを維持するような状態には直ちにはなり得ないのではないかというふうに考えておりまして、私どもはその源といいますか汚濁の原因につきましてそれを改善ができる見通しを早急に立てたいと思っております。その見通しと相まちまして環境基準の設定をいたす、かようなことでございます。
  318. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、見通しが立たないうちは環境基準の当てはめは行なわない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  319. 岡安誠

    岡安説明員 対策の見通しが立ちませんと環境基準を設定いたしましても常に——常にといいますか対策が完成するまでの間環境基準違反というか目的が達成できないという状態が続きますので、私どもはそういう状態をなくす、そのためにはまず対策を講じるということが先決であろう、その対策の見込みを立てまして環境基準を設定をいたすということを考えておるわけでございます。
  320. 古寺宏

    ○古寺委員 長官にお尋ねしますが、先ほど清流化対策を積極的にお進めになるお考えをお持ちであるというお話がございましたが、いまの局長答弁によりますと、非常に長い調査期間、長い時間が必要になる、こういうふうに考えられるわけであります。そうなりますと、この清流化対策というものは、非常にこれから遠い先の話のように私ども考えるわけでございますが、こういう問題についてはいわゆる政府として、環境庁長官としては一体どういうふうに取り組んでいくお考えですか。
  321. 小山長規

    小山国務大臣 清流化対策に積極的に取り組むということは、根本原因を確かめて防除対策を講じるために全努力を払う、こういうことなんです。
  322. 古寺宏

    ○古寺委員 この根本原因は北上川の場合にははっきりいたしております。これは松尾鉱山であるということはもうはっきりいたしております。これに対するいわゆる抜本的な防除対策というものは早急に進めなければいけない、こういう問題なんでございます。根本原因の究明ということにつきましてはもうすでにはっきりしておるわけでございますが、それはわかっているのになぜやらぬのか再度お尋ねします。
  323. 小山長規

    小山国務大臣 ちょっと言いそびれましたが、根本原因ではなくて根本の防除対策、防除方法、それをいま究明しようとしているわけであります。
  324. 古寺宏

    ○古寺委員 次に建設省にお尋ねしますが、四十四田ダムにおきまして現在水素イオン濃度が常に四を下回っております。この四十四田ダムの構造につきましてはPH四以上を考えて設計をした、こういうふうに聞いておりますが、現在行なわれておる清流化対策あるいはいまの環境庁長官の御答弁から考えますと当然このダムの構造物に今後いろんな障害が出てくるということが考えられますが、その点についてはどういうふうに建設省は対策をお考えですか。
  325. 川崎精一

    ○川崎説明員 四十四田ダムは四十一年に完成したダムでございますが、このダムの建設時点におきまして非常にPHが低いということで、われわれもそういった面での対策にやはり問題がいろいろございまして苦労したわけでございます。その時点では松尾鉱山のほうでいわゆる廃水に対する処理をしておったわけでございます。建設を予定いたしておりますダムの地点で約PH四というのが現状であるということで、そういった現状を踏まえましてこのダムの設計をいたしたわけでございます。したがってコンクリートの橋架なりあるいはゲート、また発電関係の施設、こういったものにつきましても大体PHが四くらいであれば現状のままで十分維持管理ができるということで設計をいたしておる次第でございます。最近の水質の状況を見ますとそういったわれわれの期待を若干上回る面もございますが、こういったものについてはできるだけPHの四を維持するように私どもも努力をいたしたい。  なお先ほど来お話のございますように、抜本的なこれに対する対策の見通しが立ちますれば、さらに水質は改善されると、私どもも期待をいたしておるわけでございます。
  326. 古寺宏

    ○古寺委員 現在年間炭カルの投入が三億円を要する、こういうふうにいわれております。そのうち二分の一は、岩手県が負担をしなきゃならないわけです。こういうような抜本的な対策がないために、四十四田ダムでもってPH四以下の中和処理でもって三億円以上の経費を要するわけです。こういうような問題について早急に緊急にこの抜本対策を考えませんというと、これはただ単に地方自治体だけではなしに、この流域住民全体の問題になるわけなんですが、こういう点についてはやはりもっと積極的な取り組み姿勢というものが環境庁には必要ではないか、こういうふうに考えますので、もう一度環境庁長官からその決意を披瀝していただきたいと思います。
  327. 小山長規

    小山国務大臣 ただいま申し上げましたように、この防除対策の模索というと語弊があるかもしれませんが、これに真剣に取り組んでおるのでありまして、したがってできるだけその結論を急いでもらうように、あらゆる努力をするつもりでおります。
  328. 古寺宏

    ○古寺委員 今日北上川がこういうふうに汚染された元凶は、やはり鉱山行政のずさんな結果がこういうふうになったと思うわけでございます。  そこで鉱山石炭局長にお尋ねしますが、こういうふうな鉱害をまき散らしている鉱山、こういうようなものを今後絶滅を期していくためにどういうような指導、どういうような行政を今後お進めになるお考えか、お尋ねしたいと思います。
  329. 外山弘

    ○外山説明員 先生の御指摘のような事態が鉱山業の活動から起こっているという点につきましては、私どもも十分これに対する対策を今後考えていかなければならないと思います。もちろん鉱業法の立場から、あるいはその運用あるいは鉱山保安法の立場からそれぞれの手が打たれていかなければいけないと思いますが、私の所管する範囲で申し上げますれば、やはり当面一番大事なことは、鉱業法の運用でできる限りのそういったことに対する配慮をしていかなければいけない、こう考えます。したがいまして、先ほども指摘がございましたが、結局能力のない人が鉱業権を持っていること自体からくる問題が多いというふうな御指摘もございます。したがいまして、法の運用の上でそういった能力のない人がただ単なる先願だけで権利を得るということのないように、実はその認可にあたりまして地元の意見もよく聞くとか、あるいは鉱山保安法に基づきまする公害防止設備計画といったようなものについての厳重な監督をするとか、あるいはそれを場合によっては現地調査を行なって、そのチェックを厳重に行なうというふうなこと、あるいはその後も巡回指導を行ないながら、そういった施設が十分行なわれているかどうかというようなことについて十分気をつけて運用していくということが、とりあえずの強化論だろうと思います。  実は去年三月にも局長通達を出しまして、鉱業法の運用についてということで、各通産局長に指示をいたしました。こういった角度からさらに運用の強化をやってまいりたいということを指示いたしております。  同時に来年度も予算対策といたしまして、そういった現地調査をする費用も大幅にふやして、そして遺憾なきを期することを現行法の運用の範囲内で当面できるだけやってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  330. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほどからあなたは現行法の運用強化ということを何べんもおっしゃっている。私は、この前仙台へ参りました。山形県の長井市というところがございます。この長井市の吉野川流域においてカドミウムの汚染がもしあるならば私は首を切ってもらいます、こういう答弁をしておる。ところが私は現地に行きました。その長井市の森というところにマンガンの廃坑がある、たれ流しになっておりますよ。われわれが分析をした結果、カドミウムが出ておる、指曲がりの人も出ておる。水田も汚染されております。その場でもって新しいボーリングをやっているんです。こういうずさんな鉱山行政というものがいわゆる運用の強化だとおっしゃるならば、これはどこまでいったって休廃止鉱山の鉱害というものは絶滅できない。あるいは吉野川の朱山という休廃止鉱山があります。これの沈でん池その他を全部私は見てまいりました。これは全然鉱山側がやらないので、現地住民が血の出るような努力をして鉱害防止をやってきておられる。それが現在あの流域一帯を汚染しておりまして、現在南陽市においても環境庁あるいは山形県が調査をしておる地域以外に、ものすごく高い濃度のカドミウム汚染が出ておるわけなんです。そういうふうに現行法の強化だけでは、こういう問題の解決というのはつかないわけです。  先ほど田中委員長からも特に要請がありましたように、やはり鉱業法なりあるいは鉱山保安法というものを改正する、さらには新しい立法措置によってこういう問題を解決しないならば、この鉱山鉱害というものはなくならないと私は考える。これについてもう一度あなたから、もう少し積極的な前向きな答弁をひとつしていただきたいと思います。
  331. 外山弘

    ○外山説明員 私は、先ほど鉱業法の立場で申し上げましたものですから、若干先生の御要請に対して十分な答弁になっていないかと存じますが、鉱業法の運用にあたりまして、その側面からできる範囲のことを、先ほど運用の強化でやりたいというふうに申し上げたわけでございます。もちろん、そうしたことでは十分にいかないという制度上の問題があるとすれば、これはやはり鉱業法の改正ということに取り組んでいかなければならない、こう思います。  先ほど申しましたように法の改正につきましては、たとえば能力主義の採用というようなことが基本になるかと存じますが、この点につきましても過去に相当な議論をした上で御提案した経緯もあるようでございます。その辺の経緯も十分勉強したいし、またどういうふうな点にどういうふうな改善をしなければならないかということが広範な問題であるので、時間がかかるのではないだろうか、そういうふうなことも含めまして、当面法の運用の強化が私どもの鉱業法の立場では大事であろう。ただ鉱山保安法の問題は、別個に運用上の強化の問題もございます。したがいまして、これにつきましては久良知保安局長のほうから御答弁があろうと思います。
  332. 久良知章悟

    ○久良知説明員 鉱山の鉱害防止につきましては、問題を二つに分けまして、現在稼行しておる鉱山の場合と、それから休廃止、特に休廃止をしておりまして無資力になっておるものをどうするかという問題が中心になるわけでございまして、稼行しております鉱山、それから有資力の鉱山につきましては、現行法の運用強化ということでいけるわけでございますが、無資力の鉱山対策については、現在のやり方では十分でないと私ども反省をしておるわけでございます。これについてどうするかということを、先ほど申し上げました法の改正、特に新しい組織ということを念頭におきまして、現在検討いたしておるわけでございます。
  333. 古寺宏

    ○古寺委員 時間がないので、これはこの次にいたします。  次に、経企庁にお尋ねしたいのですが、むつ小川原あるいは苫小牧、この大規模工業開発については、現地においては開発の主体であるところの県あるいは道庁のほうでは無公害開発ということを盛んに言っております。こういうような無公害開発というものが、現段階においては新全総に基づく大規模工業開発というものは可能なのかどうか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  334. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 むつ小川原及び苫小牧におきます工業開発につきましては、特にむつ小川原につきましては経済企画庁、苫小牧につきましては北海道開発庁で取りまとめ役をやっておりますが、むつ小川原の場合について申し上げますと、公害があってはならないという基本的な方向についてはまさにそのとおりであると思いますが、事実上完全に公害を防止することについては、なかなかいろいろと困難な面があるというふうに認識しておりますが、公害があってはならないわけでありますから、現在関係各省と相談をしながらかなり基本的な調査を繰り返しておりまして、まだしばらくその基本調査の成果を待つ時期であると考えております。
  335. 古寺宏

    ○古寺委員 次に、大規模工業開発のいわゆる目的、これは一体だれのための開発だというふうにお考えですか。
  336. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 目的につきましては、まず最初に申し上げるべきことは、全国的な立場で石油その他の経済的な需給見通しがどうなるかというような観点から新しい基地が必要であるかどうかということもございますが、それだけではなくて、現在では石油基地その他が東京湾あるいは瀬戸内海等に群集しておりまして、そこでの環境問題がございますから、そこではどのように環境整備をしたらよいかということで、環境庁をはじめ作業を進めておられます。そしてさらに需要が増大する場合に、新増設に結びつくことについてはかなりの疑問があるということでございますので、私どもといたしましては、やはり新しい基地をいまから着実に用意しておく必要があるという観点を一つは持っております。しかし、当然むつ小川原におきまして開発が進みます場合には、そういった全国的な需要からのみではなくて、その地域におきます環境条件の基礎調査による結論を待つということが一つございますし、それからもう一つは、その地域の住民の方々の利益をいかにして守るかという観点が重要ではなかろうかと思っておりまして、そういった諸点についての総合調整を現在しておるところでございます。
  337. 古寺宏

    ○古寺委員 ただいまの経済企画庁の御答弁を一応お聞きしますというと、いま行なわれている大規模工業開発というものは、経済優先の立場、いわゆる企業優先考え方で進めているように考えるのですが、こういう点について環境庁長官はどういうふうにお考えですか。
  338. 小山長規

    小山国務大臣 むつ小川原の開発計画が進められておりますが、これに対して私どもは、四日市の例等もありますので、今後再びあのような住民に対する被害があってはならないという立場から、いわゆる環境アセスメントの手法によりまして空気の総量といいますか、あるいは水の総量その他を算定をして、その自然の浄化能力の範囲内におさまり得る工場数、工場の能力はどの程度かというような手法を用いてまいりたいということで、いま環境アセスメントについての手法についての開発の準備をいたしておるところでございます。
  339. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお尋ねしておるのは、こういう開発というのはだれのために開発をするのかということなんです。
  340. 小山長規

    小山国務大臣 だれのためといいますか、先ほど経済企画庁が申しましたように、日本の必要とする将来のエネルギーの需要量はどうであろうかということでございますから、当然日本国民のためということであろうかと思います。
  341. 古寺宏

    ○古寺委員 そういたしますと、地域住民はどういうふうになっても、日本のエネルギー確保のためには開発をお進めになる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  342. 小山長規

    小山国務大臣 さようなことを申しておりません。日本国民のための開発でありますが、当然その立地されるところの地域住民に被害が起こってはなりませんから、被害が起こらないような手法を開発しようとしているのだ、こういうことであります。
  343. 古寺宏

    ○古寺委員 現在むつ小川原の開発のための線引きが行なわれております。この線引きは先ほどの経企庁の御答弁によりますと、当然環境庁ともお話し合いをし、あるいはまた通産省が指導をしてこういうような線引きを県はお進めになる、こういうふうに私どもは理解しているわけでございますが、現在の線引きから見ますと、先ほど長官がおっしゃったところの環境容量、こういうようなものは全く無視されているというふうにしか考えられない。われわれのしろうとの判断でもってしても、いままでの公害の実態からいって、この線引きというものは非常に無理な線引きである、こういうように私ども考えるのですが、こういう点は一体どういうふうに環境庁は意見を申し上げているわけでございますか。
  344. 小山長規

    小山国務大臣 むつ小川原についてはまだ開発の計画の段階だと思うのであります。したがってその全体の開発の地域はどの程度かということはだんだん計画されておると思いますが、その地域に工場が立地する場合に、当初予定されたような、たとえば何十万バーレルというような工場が立地できるかどうかという点は、私どもの環境容量の範囲内におさまらなければだめだ、こう申し上げているわけです。したがって最初に非常な大規模な開発がかりに計画されておりましょうとも、環境容量の点からそうはまいりませんということをわれわれは言うつもりであります。
  345. 古寺宏

    ○古寺委員 今回私ども調査団として現地にまいりました。そこで六ケ所村の住民の代表の大半の人が、この計画というものを白紙撤回していただきたい、こういうことをひとつ政府に申し上げていただきたい、こういう強い要望があったわけでございますが、そういう点については長官は御存じでございますか。
  346. 小山長規

    小山国務大臣 私、まだ就任早々でございまして、そういう事情も聞いておりませんが、また近く政務次官がむつ小川原のほうに行く予定になっておりますので、その報告を聞きたいと思っております。
  347. 古寺宏

    ○古寺委員 経企庁はこういうことを御存じでしょうか。  それからあわせてお答えを願いたいのですが、現地には土地ブローカーがたくさん入りまして、農地をブローカーがたくさん取得をしております。こういう問題については、やはり今後いろいろな問題が発生してくるのですが、大規模工業開発を進める上において土地対策、こういう点については経企庁はどういうふうにお考えですか。
  348. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 第一点の村の住民の意向でございますが、非常に強い反対があることを十分存じております。それでその住民の方々の御意見にこたえていくことがわれわれの任務であると考えています。住民の方々の中には、具体的に買収価格が幾らであるのかあるいは移転を余儀なくされた場合にはどこへ移転を求めたらよいのか。行った先でどういう農業経営ができるか等々、たくさんの御質問をいただいておりまして、それに具体的にこたえていくことがなければ賛成が得られないということから、そういった点について他省庁間との話し合いを進めているというのが現状でございまして、まだ政府全体としてきめるというところまでいっていないということは先ほど申し上げたとおりでございます。  第二点につきましては、実はたくさんの民間の不動産業が入っているということを存じております。これを、乱開発になって土地の売買が行なわれることは不適当であるという判断から、実はむつ小川原総合開発会社という会社を設立いたしまして、そこで一元的に用地の買収をするという方針を定めまして、民間の方々にもむつ小川原総合開発についてはこの会社で一括買収をすることにしたいので協力を願いたいということの協力を要請しておりまして、会社ができました後におきましてはそう大きな土地の売買が民間不動産業で行なわれているとは、県の報告によりますと出ておらないというのが実情でございますが、長あるいは住民との話し合いが続いております過程でそのあたりに問題が出てくるかという危惧の念も持っておりまして、農地についての売買について、農地局とともにいろいろと対策を講じなければならないだろうということがいわれておりますが、先ほどお答えいたしましたように最終的なプランができますのには若干時間がかかるということもございますので、用地の取得については別途検討を進めておりますが、まだ私どもとして確定したお答えをする段階に来ておりません。
  349. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、先日われわれと一緒に船後局長も現地においでになって、いろいろと県側の説明あるいは住民のいろいろな要望等をお聞きになっていらっしゃると思いますが、このむつ小川原開発の現在の開発の手法について、現時点において環境庁としてはどういうふうにお感じになったか承りたいと思います。
  350. 船後正道

    ○船後説明員 先般、当委員会調査に随行させていただきました。私個人といたしましても非常に勉強するところが多うございました。  まず第一に地域住民の問題でございますが、開発はあくまでも住民の総意に基づいてやらねばならない、こういう意味から、今後住民の納得と協力を得るということにつきましては、これはたいへんなことであるという率直な感想がございます。  それから、やはり地元住民の一番の重要関心事は、開発公害の問題でございます。青森県は公害のない開発ということを根本条件といたしておりますが、これがほんとうにうたい文句に終わらないというためには、かなりの決意と努力が必要ではないか、かように考えております。  環境庁といたしましては、従来からこの開発問題につきましては事前のアセッスメントと申しますか、その地域の自然環境の浄化能力、許容し得る範囲内でどんな人間活動が営まれねばならないかという見地から、事前の調査を徹底的にやるということを申してまいったわけでございまして、むつ小川原につきましても、そのための基礎データの収集ということが何よりも急務でございます。この点は、先ほど下河辺局長も申しておりますとおり、現在青森県あるいは開発センター等と協力いたしまして、そのようなむつ小川原の自然的な条件に関する総データを収集し、あの地域にどの程度のどのような業種の工場が立地し得るかということを徹底的に調べる必要があると思います。私といたしましては、率直に青森県が考えております線引きの地域の範囲内で、はたして公害なき状態で二百万バーレルの石油精製とか一万キロワットの電力がはまり得るかどうか問題が多いと思います。したがいまして、環境庁といたしましては、今後こういった開発目標数字というものにとらわれないで、ともかくあの地域環境保全をはかるという見地からどういう開発計画が妥当であるかという検討を徹底的にいたしたいと考えております。
  351. 古寺宏

    ○古寺委員 次に環境庁にお尋ねしますが、千歳川と支笏湖周辺の水利総合開発計画というのがございます。こういうような開発計画によって支笏湖が非常に将来自然の景観が破壊される、環境保全ができないというような問題が出てくるわけでございますが、そういうような計画について御存じでしょうか。
  352. 首尾木一

    首尾木説明員 ただいまの具体的な計画については、環境庁として伺っておりません。
  353. 古寺宏

    ○古寺委員 そういう点についてはやはり国立公園の管理者として当然知っていなければならぬと思うのです。  そこで私は十和田湖の問題についてお尋ねします。   〔委員長退席、登坂委員長代理着席〕 これは前にも御質問申し上げたことがあるのですが、十和田の水を現在東北電力が水力発電のために使用しております。そのために十和田湖が最近は非常に汚染されましてどろ沼になろうとしておる。あるいは奥入瀬の渓流も自然破壊がどんどん進んでおります。こういう点について一体環境庁はどういうふうにお考えになっておるのか承りたいと思います。
  354. 首尾木一

    首尾木説明員 十和田の東北電力の取水の問題でございますが、これは昭和十五年に十和田湖からの取水を許可いたしておりまして、その際に十和田湖の水位の問題及び奥入瀬の渓流における景観の保全という問題、そういう観点からきびしい条件をつけましてこれを実施をいたしておるわけでございます。ただいまのところ水位の条件につきましては、一メートル前後の水位の範囲内で認めるということ。それから観光放流につきましても、期間と時間をきめまして十分それを実施させておるということ。それからさらにそういった状況につきまして報告を月ごとに求めておるというようなこと。そして、そういうようなことによりましてもし自然の破壊といったような問題が起きました際には、これについて十分な復元の措置を考えさせるとか、そういうようなことにつきまして条件をつけておるわけでございます。私どもといたしましては十分これを指導いたしておるつもりでございます。今後ともそういう問題が起きますれば十分電力会社に対しまして指導をしたい、かように考えておるわけでございます。
  355. 古寺宏

    ○古寺委員 現在そういう事態が発生しておるわけです。奥入瀬川に観光放流をいたします。水よりもバスのほうが速いのです。バスのほうが先に行ったところには奥入瀬川には水がないのです。日中だけ放流するわけなんです。冬季間は全く川に水を流さない。しかも湖の水位が二月には二メートルぐらい下がる。そのために青ぶなのほうから導水管でもって雪どけの洪水のような水を電力が水位を保つためにどんどんあの十和田湖に流す。それがどろなんです。それがどんどん下に蓄積されましてヒメマスがだんだんとれなくなってきておる。そういうことについては、私どもがこの前もお尋ねしますと乱獲だ、こうおっしゃる。実際そういうふうな電力の影響によって環境破壊が進んでおるということについては、環境庁は御存じないと思う。六月にまたこの契約を更新するため環境庁から許可が出ておりますが、こういうような実態を知った上でこういうことを許可していらっしゃるのですか。もう一ぺんお尋ねします。
  356. 首尾木一

    首尾木説明員 私どもとしましては、十分そういったような点を考えまして許可をいたしたつもりでございますが、十和田の地区につきましては私自身は現地の状態について把握をいたしておりませんが、十和田の実情につきまして、さらに今後とも十分調査をいたしまして、自然保護の上から遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
  357. 古寺宏

    ○古寺委員 いま苫小牧の大規模工業開発においては、千歳川あるいは支笏湖の水を十和田湖の水と同じようにこれを利用しようとしております。そうしますと、支笏湖も十和田湖と同じような結果になるわけですね。現在サケ・マスの問題もございまして、石狩川というのは非常に最近はサケ・マスが少なくなっているということで問題になっておりますが、支笏湖においても十和田湖と同じように、将来揚水発電計画あるいは支笏湖からの苫小牧に対する導水計画、こういうものが現在あるわけです。そういう点をやはり環境庁がきちっと押えて、これを規制しませんと自然破壊というものはどんどん進んでいくわけです。それで、今回オリンピックの滑降路の復元問題で恵庭岳に行ってまいりました。ところが、復元の問題については千歳市からこの一部分を少年のための自然の村として活用したいからこれを何とか活用さしてもらえぬか、こういう陳情が環境庁になされているようでございます。そういう問題についてはもう復元をしなければならぬのだ、そういう鉄則をどこまでも貫いていこうとされているわけですね。ところが一方では、この国立公園で、しかも世界的にも有名な十和田湖がどんどんどろ沼に変わって、奥入瀬はもうめちゃめちゃになって、あと十年もつかどうかという学者の先生もいらっしゃる。そういうものは放置をしておきながら、わずか八ヘクタールか何ぼの問題については発電所も何もみな撤去してしまいなさい。そういうような少年の自然の村というのはそれを全部復元してからこれは別個の問題として考えましょう、こういうような行政をお進めになっているわけです。これでは一体何のための環境保全なのか、何のための自然保護なのか、われわれもちょっと疑問に思うわけなんですが、こういう点について陳情が出ておったのに、なぜ全然回答をなさらぬのか、その点についてまずお伺いましす。
  358. 首尾木一

    首尾木説明員 ただいま先生からお話がございました恵庭の復旧問題のことでございますが、これは冬季オリンピックを開催するにあたりまして恵庭に滑降コースをつくろう、それに関連をする各種の施設をつくるということにつきまして、当時許可をいたしました際に、恵庭が自然環境の点から申しましても特別にすぐれた地域であるということから、自然公園審議会にもはかりまして、これを原則として復旧をしていただくという条件のもとに認めたという経緯があるわけでございます。私どもはやはりあの恵庭の地域のすぐれた自然の状態というものを残していくということが本旨でございますので、原則としてそれによってやっていくという方針でまいり、オリンピックが終了をいたしました際に、オリンピック組織委員会に対しまして、これを全体的な復旧をしていただくということをお話しを申し上げ、組織委員会のほうでもそれを受けてその復旧計画を現在検討をしておるというようなところでございます。ただし、恵庭の一部のふもとのところでございますが、現在そこにプレスハウス等の部分で利用できるものがある。たとえば少年のための自然の教室といいますか、そういうものとして使えるところがあるではないか、それを残してもらいたい、こういうような地元の御要望があるということは十分承知いたしておりますし、今回当環境委員会におかれまして御調査になりました際も、地元からそのような陳情がありました。その陳情に対しまして、当委員会の大方の委員先生方の御意見としてもあれは残すことが適当ではないか、こういったような御意見もございましたので、私どもさらにその点につきましては関係の組織委員会あるいは道庁、それから地元等と相談をいたしまして、その問題の処理については今後十分検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  なお、奥入瀬あるいは十和田湖、支笏湖の保護の問題ということにつきましても、私ども決しておろそかにそれを考えておるわけではないのでございまして、今後とも十分各種の汚染対策については積極的に実施をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  359. 古寺宏

    ○古寺委員 国立公園につきましては、十和田湖の場合で申し上げますと、付近の町村の非常に小さい自治体が、ごみの清掃あるいは美化対策として年間一千万円近い金を毎年使っていらっしゃる。それから下水道が完備されていないために湖水の汚濁というものがどんどん進んでおります。これは当然管理者として環境庁が下水道工事というものを進めるべきだ、こういうふうに考えるのですが、十和田湖にも支笏湖にも現在下水道工事というものはまだ進んでおりません。こういう点についてはどうお考えですか。
  360. 首尾木一

    首尾木説明員 十和田湖あるいは支笏湖等におきまして、たとえば雑排水等が未処理のままで流されておる、こういったような状況がございます。それが湖の汚染ということにつながるという問題があるわけでございますが、たとえば支笏湖等につきましては非常にきれいな湖でございますけれども、まだ一部にそういったような、なまのままの雑排水が流れ込んでおるというような状況がございますので、私どもといたしましては、従来からそういう雑排水等につきましても処理をした上で流すように指導してまいりまして、たとえば新しく施設ができるといったようなときには、そういう処理施設を必ずつくらなければそういうものを認めない、そういう形でやってまいりましたが、今後ともそれについては強化をいたしますと同時に、やはり下水道の整備ということが重要であると考えますので、関係行政機関及び地元関係者と協力いたしまして、この問題についてはぜひそういう方向で解決したいというふうに考えておるわけでございます。
  361. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで建設省にお尋ねしますが、建設省の都市局の中に下水道部というのがあるわけです。こういうような国立公園あるいは都市以外の町村等についての下水道工事の計画というものは現在お持ちになっておるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  362. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 都市計画法で都市計画区域として定める要件はいろいろございますが、普通はいわゆる市街地を形成しておるような、見た目に都市らしい地域でございますけれども、特に観光地などにつきましては人が集中する可能性があるという意味で、これを都市計画区域に指定することができるようになっておるわけでございます。そういう意味も含めました都市計画区域におきまして下水道事業を行なっているものですから、都市局に下水道部を置いているわけでございまして、御指摘のような観光地、湖沼地域等におきましても下水道事業は実施できると考えております。
  363. 古寺宏

    ○古寺委員 これは環境庁長官に特にお願いしておきたいのですが、こういう国立公園、自然公園の地域というのは非常に町村が多いわけです。そういう地方自治体に十億もかかるような下水道工事をやれといったってできません。一年の一般会計の予算が二億か三億そこらの町村に十億以上もかかる下水道工事をやれといったってこれは無理なんです。こういう点についてはやはり管理者である環境庁というものが十分に配慮して考えてあげませんと、こういう十和田湖であるとかあるいは支笏湖のようなものはみんな汚染されてしまう。こういう点について今後は建設省ともよく検討されて、積極的にひとつ汚濁防止を進めていただきたい、こういうことを特に要望したいと思います。  次に、今回千歳市に参りました。千歳市というのは北海道庁が騒音の規制地域にしたわけでございます。ところが、八月三日に騒音の測定をいたしましたところが、百ホン以上の回数が警察署の前では六十四回、それから市役所の前では九十ホン以上が百七十九回、これはわずか一時間の間の測定でございます。こういうふうに一方では北海道庁のほうが騒音の規制地域に指定しているわけですね。ところが一方では防衛庁あるいは民間機の騒音というものが全然規制されていない。こういうような問題についての調整、いわゆる基地公害というものに対しては環境庁としてはどういうふうに取っ組んでいくのか。私は基地公害対策基本法というものをぜひ別個につくらなければいけない、こういうふうに考えているのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  364. 山形操六

    ○山形説明員 お答えいたします。  現行の騒音規制法でございますが、これは工場騒音、建設騒音及び自動車騒音を規制の対象としておりますために、お話しの千歳基地のような航空機騒音が主要な発生源になっておる場所は騒音規制法の規制地域に指定されていないのが現状でございます。確かに御指摘のような問題が出ておりますので、私ども目下中央公害対策審議会騒音振動部会で御審議をいただいておるところでございますが、今後の問題として騒音規制法の中にこの航空機の騒音の規制の問題を取り入れるかどうか、これらの問題を含めて検討を続けていこうと思っております。  なお、それまでの対策といたしましては、運輸省並びに防衛施設庁と十分協議をして所要の措置を講じていく、こういう方針で作業しておる最中でございます。
  365. 古寺宏

    ○古寺委員 現在航空機の騒音防止法あるいは基地周辺整備法とかいろいろなものがございます。ところが補助することができる、こうなっておるわけですね。しかも特定の学校であるとかあるいは病院であるとか、そういうところの防音施設、こういうものはある程度やっています。しかしこれも遅々として進みません。私が前々からお話ししております青森県の下北試験場、こういうようなところは昭和三十四年から騒音で悩まされておる。ところが防音校舎が一つもないのです。しかも地域住民は生活権まで奪われて出かせぎをしなければならぬ、こういうふうになっておる。こういうような基地公害に対して、やはり政府が積極的に取っ組んでいかなければならない時期にいま到達していると思うのです。そういう点について環境庁長官に、いわゆる基地公害というものに対して一体政府はどういう姿勢で今後取っ組んでいかれるかという基本的な問題についてまずお尋ねしたいと思うのです。
  366. 山形操六

    ○山形説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたけれども、航空機騒音対策の基本となるべき環境基準と申しますか、こういう設定の問題について現在審議会で審議していただいておりますが、この答申を待って環境基準を設定するとともに各省庁と協議の上諸対策を推進していこうと思っております。騒音規制法との関係がやはり一番問題でございますので、特別な法律考えるか、あるいは現在あります騒音規制法の中に基地を含めたこの航空機騒音の問題を入れるかどうか、これらについては中央審議会の御答申を待った上で十分に審議していきたい、こう考えております。
  367. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど下北試験場のお話を申し上げましたが、先日仙台の防衛施設局へ行ってお尋ねしたところが、全くその対策が進んでいなかったのですが、その後どういうふうになっておるかお答え願います。
  368. 伊藤正武

    ○伊藤説明員 下北の対策についてでございますが、本年の三月現地局のほうで実態調査をいたしました。その結果に基づきましていま検討を行なっているわけでございますが、その概要といたしまして、発射音につきましては本年の三月二十一日から二十五日まで、それから五月二十三日から二十六日まで、この二回にわたりまして騒音測定をいたしました。その結果防音工事の対象となる騒音があるということが認められましたのですが、ただこれは個々の音の高さにおいて防音工事の対象になるということでございますが、年間を通じましての頻度その他についてはまだ検討する必要があるわけでございますけれども、目下砲座地区に一番近いところの小田野沢小中学校、これにつきましては防音工事を行なうことにつきましてただいま検討しております。でき得るならば四十八年度くらいにいたしたいというふうに考えております。それからその他の尻労小中学校、猿ケ森小中学校、田代小中学校、この三校につきましても前向きに検討いたしたいと思っております。それからそのほかの周辺の対策につきましては、ただいまの防音工事のほうでございますが、その他の周辺対策といたしましては、地元の東海村に対しましては従来から引き続きまして周辺整備法の適用につきまして誠意を持ってきめこまかな御説明を行なっているわけでございますけれども、まだ実際に具体的な事業、こういう事業をいたしたいと申しますような事案がなかなかあがってきておりませんので、これにつきましてもでき得る限り地元と御相談いたしまして、何とか成案を得ましたならばこれを事業計画としてまとめまして、同法に基づきまして処置をしたいというふうに考えております。
  369. 古寺宏

    ○古寺委員 いま騒音測定をおやりになったというお話がございましたけれども、やった日は一番音の低い日なんですよ。これは学校の日誌をごらんになってもわかりますし、住民がはっきりおっしゃっている。しかも最近においては、尻労の漁民が沖に行って操業している最中に沖合いに向かって、全然公示もしないで試験をやっているんですよ。こういう生命の危険さえ伴うようなことを平気でおやりになるという、こういうことでは、基地に対する国民の不満感というのはますますつのるばかりですよ。しかも、防衛費のわずか五%にも足りないような予算でもってこういう周辺整備をやっているわけですよ。住民は騒音でみな殺されてしまうじゃないですか。生命の危険さえあるじゃないですか。こういう点については、今後十二分にひとつ配慮をして問題の解決に当たっていただきたいと思います。  時間がないので急ぎますけれども、先日、青森県、岩手県の海岸に廃油が漂流いたしました。この問題について、廃油処理場が全然ないわけですね。また海上保安庁でも、そういうような事故が起きて相当あとになってから初めてそういうことを知っているというような実態でございますが、こういう油濁の問題について、海上保安庁は今後一体どういうふうに取り組んでいくお考えか、またコンブであるとか海藻に非常に損害を受けている漁民は、全然救済する何ものもないために、みんな泣き寝入りの状態でございますが、こういう点について水産庁はどういうふうにお考えになっているか、この二点について、まずそれぞれにお伺いします。
  370. 紅村武

    ○紅村説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃいました青森県と岩手県の間の廃油の漂着の事件でございますが、私どもの第二管区の八戸海上保安本部におきまして情報をキャッチいたしましたので、巡視船を二隻、それから陸路から係官を派遣いたしまして調査に当たらせたわけでございます。それで、私どもといたしましては関係の保安部署等の協力も得まして、当時付近を通行いたしました船舶の調査あるいは漂着油の採取、分析、これは大体重質油でございまして、船舶からの不法投棄のものであろうということが現在推定されておるわけでございますけれども、そういったものを分析いたすことによりまして、容疑船舶の割り出しということに現存全力をあげておるところでございます。  それから、今後どういうふうに取り組んでいくかということでございます。申し上げるまでもございませんけれども、海上保安庁にとりましても、海上公害対策の充実強化ということが最重点施策の一つでございます。それで、海上公害対策の充実という点につきましては、航空機、特にヘリコプターが非常に有力な道具であることも事実でございます。ただ、ヘリコプターだけではもちろん十分でございません。そこに巡視船艇あるいは陸上の調査員、こういった三者を有機的に連携をとらせまして、能率的に事務を遂行してまいりたい、こういうことでございますけれども、現在私どもの巡視船艇あるいはヘリコプターともに相当老朽のものが多いわけでございまして、今後早急に代替整備をしてまいりたい。また必要な係員、それから新しい器材、こういったものを整備してまいりたいということでございます。これは実は三管本部あるいは八戸本部だけの問題ではございませんで、海上保安庁全体の問題でございますけれども、海上保安庁全体を充実強化いたしまして、こちらのほうも充実してまいりたい、こういうことでございます。  それから、なお御承知いただいておることと存じますけれども、本年の六月二十五日から海洋汚染防止法が全面施行になりました。この海洋汚染防止法の周知徹底ということで、各地で説明会あるいは講習会といったようなことを実施いたしておりまして、今後ともさらにこういった周知徹底につとめまして、また一方、一斉取り締まりを実施するというようなことで海上公害事犯を防止する、あるいは起きましたときには検挙をしていく、こういうことに努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  371. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 このような加害者不明の油によります漁業の被害につきましては、先国会で成立いたしました海上交通安全法の附帯決議もございますので、国として何らかの救済措置を講ずるような必要がある、新しい制度を創設したいということで、関係各省と検討してまいりたいというふうに考えております。
  372. 古寺宏

    ○古寺委員 運輸省は廃油処理場はどうしてつくらないのですか。
  373. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 運輸省はおりません。
  374. 古寺宏

    ○古寺委員 それじゃ次に大気汚染の問題についてでございますが、八戸市の場合でございますが、医師会等で調査した結果によりますと、ある小学校で児童の一六・七%がぜんそくの患者になっている、こういうような事態が発生しておるわけでございます。八戸市の大気汚染について環境庁はどういうような対策をお考えになっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  375. 山形操六

    ○山形説明員 環境濃度の問題について申し上げます。  八戸地区の硫黄酸化物の汚染につきましては、現在五つの地点で常時測定されております。昭和四十六年度のデータでは、五つのうち第二魚市場の一地点、これが環境基準に不合格となっております。  排出規制のほうでございますが、排出基準は四十六年まではK値が一番ゆるい二六・三でございましたが、本年の一月から大幅にこれを強化いたしまして、K値を一四・〇、おおむね半分の数値にいたしたので、今後は硫黄酸化物の汚染は大幅に改善されるものと考えております。  なお、四十八年末に全国的にK値の見直しを予定しておりますので、この地区の汚染の動向を勘案して、必要あればさらに基準の強化をはかっていこう、大気保全局ではこのような方針で強化対策を考えております。
  376. 古寺宏

    ○古寺委員 四十六年のデータで私見たのでございますが、環境基準〇・〇五PPMで緊急時の措置を必要とする日が二十日間あるのです。年間の六・一%ですね。これは環境基準の三%を上回っております。それから緊急時の措置を要する日がございました。こういうようないろんな事態が発生するにもかかわらず、テレメーターがないわけです。ですから、全部事故になってから初めてわかる。燃料の規制もできない。また八戸は、御承知のように航空機との関係もございまして、煙突を高くできません。ですから、K値のランクアップをいたしましたとしても、やはり燃料の規制をやる以外にはないわけです。  そういう面について通産省は、非常にS分の高い燃料を供給しておるようでございますが、こういう燃料規制についてどういうふうに対処していくお考えか、承りたいと思います。
  377. 和田文夫

    ○和田説明員 八戸にはいろいろな工場、事業場がたくさんございますが、電力といたしましては八戸火力発電所がございます。ここのいろんな、先生おっしゃるような低硫黄化対策につきましては、八戸の汚染の実態からして最近非常に努力いたしておりまして、逐年燃料の硫黄分を下げる。それから緊急時に備えまして〇・八%程度の硫黄分の原油も用意しているわけでございます。今後とも環境汚染の実態を勘案いたしまして、低硫黄化につきまして総合的に前向きに指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  378. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 古寺君、結論をひとつお願いいたします。
  379. 古寺宏

    ○古寺委員 あなたのほうで指導するといったって、そういう油の配給、燃料の配給が足りないわけでしょう。青森県の原油あるいは重油の約八〇%を消費しているのは火力電力ということになっているんです。ですから八戸の公害の一番大きな汚染源と考えられるのが火力電力、それから先ほど申し上げました十和田湖をいま死の湖にしようとしているのも電力なんです。そういうような一方では自然破壊を行なう、一方では健康を破壊するようなことをやっている。やはりそれは通産省の指導が非常にいままで企業優先の姿勢できたからこういう結果になっていると思うのですよ。ですから先ほどの十和田湖の水力発電によるいわゆる自然破壊の問題、それから八戸の健康被害の問題、こういう面からいってやはり実態調査をして、そして強力な指導あるいは措置というものが必要であるというふうに考えられますので、もう一ぺん通産省のほうからお考えを承りたいと思います。
  380. 和田文夫

    ○和田説明員 おっしゃるような実態を調査いたしまして強力に指導してまいりたい、こう思っております。
  381. 古寺宏

    ○古寺委員 まあ時間でございますので最後に長官に……。  十和田湖を死の湖にしないためには、やはり環境庁は許可をしてはならぬと思うんです。こういう実態を無視しまして、いままでの慣例に従って安易な考えでこれを許可いたしますと、十和田湖というのはもうだめになってしまいます。それからもう一つは、八戸市のように大気汚染が起きておりましてもテレメーターすらない。住民は大気汚染の中にさらされているような状態なんですね。あるいはむつ小川原のような大規模工業開発においては、住民が白紙撤回を要望するような事態にまで発展しております。こういうような点について、今後環境庁長官はどういうような決意公害対策あるいは環境保全の問題に取っ組んでいかれるか。いまの個々の具体的な問題について決意を承って、質問を終わらせていただきたいと思います。
  382. 小山長規

    小山国務大臣 十和田湖は私も非常に好んで参る湖であります。こういう湖がいまおっしゃるような原因でどろがたまっていくということであれば、これはゆゆしき大事であります。したがって、いまのは東北電力ですか、東北電力との契約なりあるいは契約の実行がまずくてそういうことになっているのであるとするならば、これはおっしゃるように次の改定期には考えなければなりません。かように考えます。  それからいまの八戸のようなところにテレメーターがないではないかということでありますが、このテレメーターの予算は来年度、私どもとしては各地方団体の要望もありますから、測定器の購入補助予算をぜひ重点的な問題として取り上げていこう、こう考えております。  もう一つは……。(古寺委員「大規模工業開発です」と呼ぶ)大規模工業開発については、先ほど申しましたように既存の計画はどうであれ、われわれとしては自然の浄化能力の範囲内でしか工業の立地も認めませんという立場で臨みました。同時に住民の了解のないような工業立地はとうていわれわれとして応ずるわけにいきません、このように申し上げております。
  383. 古寺宏

    ○古寺委員 もう一ぺんお尋ねしておきたいんですが、十和田湖の水の問題につきましては、これは改定したばかりなんです。これを二年なり三年なり先に改定する時点において考えるとなりますと、これはもうたいへんな結果になると思うのですね。御承知のように奥入瀬川の渓流はもちろんそうなっております。一方では道路の排気ガスで渓流が汚染されておりましてね。非常に自然破壊が進んでいるわけです。ですからバイパス道路も考えなければいけないし、またこの水の対策は実態を十二分に調査をして、そうしてその改定期以前においてもこれは措置をする必要があると思う。ちょうどどろ水が流れてくる時期が三月とか四月でございますのでほとんどの人が知らないんですね。ですからそういうような実態を環境庁もよく調査をして措置をしていただきたい、こう考えますので、これは改定期を待たずにそういう措置をするという御答弁を再度ひとつお願いしたい。
  384. 小山長規

    小山国務大臣 われわれとしてはその実態を正確に把握したいと思います。それで、いまおっしゃるようにわれわれが行ったときだけりっぱなことであっては困りますので、たとえばいつごろには雪解けの水を流すとかいうようなお話がいまありましたように、そういう時期を選んでこちらが調査に行くとか、ほんとうに住民の人たちが困っておるという実態が中央官庁であるわれわれにもわかりますような方法調査をして、そうしておっしゃったようにどうしても守れないということであれば、改定期を縮めるというような措置までとらなきやならぬかと思います。
  385. 古寺宏

    ○古寺委員 じゃ時間ですから終わります。
  386. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 次に、米原昶君。
  387. 米原昶

    ○米原委員 私は実はこの委員会で、田中内閣ができましてから最初の質問をするわけです。で、いま委員からいろいろ質問がありましたが、ちょっと手のつけられないような問題がかなり多く出ております。ですから、やはり環境行政に対する根本的な転換をやらなくちゃならぬところへきているんじゃないかということを痛感するわけです。そういう意味で内閣のかわったこの際、環境行政についての根本的な考え方を私きょう質問したいと思うんです。  それを言いますのは、特に、昨日もイタイイタイ病のあの判決が出ましたが、最近行なわれているいわゆる一連の公害裁判、昨日のイタイイタイ病にしましてもその前の四日市のあの裁判にしましても、それから新潟水俣病の裁判にしましても、いずれも被害者住民の意見が正しいという結論が出されているわけです。特に四日市裁判の場合はいままでの政府行政のあり方、産業立地政策あるいは自治体の工場誘致政策というようなものにまで触れて、それを批判するような判決が出ているわけです。そういう点でも環境行政のあり方を大きく変えなくちゃならぬところへきている。ああいう裁判判決が終わりましても、住民のほうが勝ったといいましても、もう失われた生命が返るわけでもなければ健康の回復がかちとれるわけでもありません。そういう意味では実に悲劇的な事態になっていると思うのです。どうしてもこの裁判の結果から見ても、少なくとも政府被害者の完全救済ということと、もう一つはああいうような種類の悲惨な公害というものは何とか押えていく、押えるようにする。これはかなりの措置をとらないとできないのが実情ではないかと思うので、そういう点について大臣決意を聞きたいと思うのです。  特に痛感しますのは、住民の意見にもっと早く耳を傾けてほしかったという点なんです。いろいろ科学が進歩したといいましても、そう完全なものじゃありませんし、結局被害を受ける住民のほうが早く感じるわけなんです。ですから、それまでに政府がいろいろきめていましても、自治体がきめていましても、やはり住民の意見に耳を傾けるということが政治のあり方としては決定的に重要じゃないか。それをある意味で教えていると思うのですが、この点についてまず環境庁長官の見解を最初に聞きたいと思います。
  388. 小山長規

    小山国務大臣 おっしゃいます点、同感でありまして、何よりもまず住民の意思を聞くということが私どもに課せられた最大の義務だと思っております。そのためにも問題のありますところにはできるだけ出かけていきまして、その地域の人たちの不満なり心配なりを聞き取って行政に反映したい、こう思っております。  それから被害者救済についてはもとよりでありまして、原因者のわかっておる被害については、まだ相手方が資力がある限り対策は立ちますが、原因がわかっておっても相手方に資力がない場合もありますし、あるいは何人が原因であるかわからない公害もありますので、これらの被害者救済については、先国会以来衆参両議院で御決議になっておりますように、あるいは法律の附則に出ておりますように、被害者救済のための基金制度を何とかして早くつくりたいという決意でおります。  また今後の立地の条件、工場や工業の開発、今後も工業の開発はあると思いますが、それらの工業開発に当たりましては、ただ目的、つまり経済目的だけを追及するといういままでの態度では私は国民の健康を守ることはできないと思いますので、先ほど来しばしば申しておりますように、自然の環境の許容し得る限度内でしか工場の立地も認めないし、あるいは工場の数も認めないというような態度で今後の環境行政を進めてまいりたいと思っております。
  389. 米原昶

    ○米原委員 長官のおっしゃったことはたいへんけっこうだと思うのであります。いままで実際行なわれた点では、住民にかなりそういう声がありましても、いろいろないきさつもあるでしょうが、耳を傾けないということをむしろ強調する方も大臣の中におられたわけです。その点で通産政務次官に残っていただいたのですが、一昨年の十月七日にこの委員会で自民党の委員の方から、火力発電所の建設反対の運動が起こっている問題について実は質問があったのです。こういうふうに言っておられるのです。発電所の建設それから公害を伴うおそれのあるような重化学工業の立地に対する反対運動も起こっているし、知事や市長なんかも半ば公然とそれを反対だと言っているというような問題がある場合についての大臣の見解を、自民党の、与党のほうの委員の中から聞かれたのです。ところが、当時の通産大臣は宮澤さんのときですが、住民のそういう問題のとらえ方はしばしば情緒的であり、感情的である。つまり国策のあり方といいますか、そういうものに反するものがあるという意味でしょうが、理性的でないと言うのです。そういうことをおっしゃったのです。それでこれは私は全く憤慨したのですが、そういう考え方でこの問題に臨まれては困る。  もっと具体的に言いますと、同種類の質問は各党からいろいろな形で当時出たのです。公害国会の当時です。やはり一昨年の十二月、公害国会のときですが、参議院のほうで私たちの共産党の須藤議員や岩間議員が、これは予算委員会でも同じような質問があったと思うのですが、例の関西電力の宮津火力発電所の立地問題、この場合も確かにいろいろな複雑な事情があるのですが、この問題について聞かれた場合にも——この場合は一応宮津の市議会では誘致することがきまったという経過もあるわけですね。市長も誘致したいと言ったので、市民、住民の意思といわれても、市民の意思というものは結局市議会の決定とか市長の意思とかそういうものであらわれるのであるから、市議会の議決は市民の意思ではない、市民の意思はほかにあるというような議論には憲法のたてまえ上賛成できないのだという態度で拒否されたのです。しかし、憲法のたてまえということになると、やはり国民に主権があるということが根本だと思うのです。その立場から議会制民主主義というものもそもそもできている。議会で議決したということも、場合によっては誤った議決はしばしばあるわけですし、現に今度の四日市裁判では、議会の議決で誘致した、工場誘致条例にそもそもあやまちがあるのじゃないかというふうに裁判のほうから言っているわけですね。つまり形式的には、議会が議決してそれが一応住民の意思を代表するということはいえるとは思うのです。そういうものは尊重しなくちゃならぬ。しかし、事態が進展する中でそれと反対の住民運動が起こることもまた当然だと思うので、だからこそ直接請求権とか、あるいは議会を解散して総選挙をやるとか再選挙をやるとかそういうことは同時に含まれているわけですから、一ぺん議会で議決したらこれがもう絶対だということでいったのでは、住民の意思が発展し変わってきた場合には対処できないことになるわけです。こういう点を痛感するわけで、そういう点も含めて、たとえ議会が一応形式的には多数で議決した場合でも、明らかに住民の考え方が変化してくるという中で議会の議決と反対の問題が起こることはしばしばあると思うのですね。そういう場合にどちらが真の住民の意向を代表しているか判断するということが議会政治家の重要な任務じゃないか。  先ほど島本虎三委員が質問しました北海道の伊達火力発電所の問題、私たち昨日一人の、これは反対派の人ですが、伊達の市会議員の人から陳情がありまして、事情を聞いたのですが、確かに市議会では一応決議はした。しかし、反対の署名運動が二万幾らというのですから、とにかく調べてみると有権者のほぼ半数以上の署名がすでに集まっているような強力な住民運動が起こっているのですね。その場合に北海道の議会のほうでかってに強行採決なんかやってやるというようなことで火力発電所をつくるということになりますと、これはたいへんな禍根を残すことになる。そのあたりが実際の問題として、住民の意向を尊重する、尊重して、聞いて納得——実行する場合だって納得させなければなりませんが、一応市議会できまって、さらに今度は道議会でそれを確認したら、何でもかんでも強行するのだというようなやり方は、こういう問題では慎まなければならぬ点じゃないか。そういう点でひとつ——通産政務次官の前に通産大臣のほうがそういう発言もあったようですから、今度内閣がかわりまして、その点についてどういうふうに今後通産省はやっていかれるかを通産省の責任として答えていただきたいのです。
  390. 丹羽久章

    丹羽説明員 米原議員の質問に対しましてお答えを申し上げます。  本来なら通産大臣が出席いたしましてあなたの問いに対して十分な説明を申し上げるのがほんとうでありますが、きょうはどうしても都合ができないので、政務次官として私の考えておること、基本的な考え方を申し上げたいと思います。  それにあたりまして、いまいろいろとお話がございました、宮澤通産大臣当時には企業的なものが非常に優先したものの言い方であった。時代は大きく変わってきた。そういう意味から、やはり住民が反対するということについて、それは大きく尊重しなければならない。同時に、それを尊重して、それによって決定していくことが適当であろうと思うが、通産省はどう考えておるかというような質問だと私は受けとめたわけであります。ごもっともな御意見だとは思いますけれども、これにつきましては御承知のとおりに電源——これはもっと大きい表現をいたしますると、電源の問題だけでなくて、すべての工場公害そのものに対するあるいは大気汚染による公害等々は、きょうは環境庁長官がいろいろと環境の立場に立たれまして御説明をせられました。私はそうした意味からいきましても、関係する電源開発は通産省関係にありますので、これは小部分的な問題であろうと思っております。その意味におきましての電源立地というものに対しての考え方というのは、当然先生のおっしゃるようにきびしくいろいろとあらゆる角度から検討してそこを決定していかなければならぬと思っております。そういう意味におきまして、まず第一段階としては住民の意向を尊重し、そうして県知事なりその土地の市町村、そうした御意見を聞いてそれを審議会のほうに回しまして、審議会はこれを踏まえて、そうして決定をしていく、一応こういう手配、順序になっておることは先生も御承知のことだと思っております。そういう方向で今後も住民の意向もそこに反映せられてくることでありましょうし、そうしたことを受けとめて知事なり市町村が決定的なものをお出しいただく、これに審議会が——もう一度申し上げますが、受けとめて結論を出す、こういう慎重な態度で今後は進めていきたいという基本的な考え方を持っておりますので、どうぞ御了承をしていただきたいと思います。
  391. 米原昶

    ○米原委員 それではもう一問だけちょっとお聞きしますが、やはりいまの宮澤さんの発言のときに、もっと突っ込んだ議論が行なわれたのです。要するに公害反対の住民運動というのは感情的な情緒的なものだということだったので、では理性的とはどういうことなんだということが問題になりました。それに対してこういうことを言っておられるのです。理性的という意味は、基本的には規制の基準というものについて、ことに環境基準、排出基準基準というものに国民がそれを信頼すること、そうして基準そのものが守られるという慣行が確立すること、この二つがやはり前提になりますが、その上で許容される範囲での工業立地は住民にも地方団体にも認めてもらわなければならぬ。つまり、排出基準が守られるなら認めてもらわなければならぬ、こういう考え方でした。ところが、具体的には今度のたとえば四日市公害裁判の問題を見ましても、問題になった企業のほうは一つ一つ企業としては排出基準を守っているということを全部が強く主張しているわけですね。そしてああいう——もちろん民事責任と排出基準は別々の問題ですが、実際のところ、企業にそのような言いわけができるような排出基準だというのがいままでの実情だと思うのです。ですから、排出基準を守っていたから公害は起こらないというようなそんな排出基準じゃなかったわけです、事実が。だから排出基準をただ守ってさえいればどこに工場を建ててもいいというようなものではないというのが実情だったと思うのですよ。ただ排出基準を守っていても被害がどんどん発生してくるということの現実ですからね。だから、それを感じ取って住民が運動を起こすということは何もこれは感情的じゃなくて、むしろ理性的だと思う、住民運動はその意味では。そういう意味でどうも情緒的だとか感情的だという評価は当たってなくて、むしろいままでの規制方式、これを反省すべき段階にきておるというのが現状ではないかというふうに思うのですが、この点についていかが考えておられるかということをもう一度聞きたい。
  392. 丹羽久章

    丹羽説明員 住民のうちで全部が全部感情的でなくてということも、私は全部受けとめるわけにはいかないと思います。一部には、それは感情的になって、最初もっと穏やかに話してくれれば認めてもいいけれども、何の話もなくてそういう態度に出たというのは不届き千万だというようなことから、感情的になられた例も過去にはあったと私は思っております。しかし現在は、先生おっしゃるように、基準を守る、基準がはっきりしておるならば公害というものは全然ないわけでありますが、基準が守られておったはずだけれども病人が出たのだという事例はちゃんと出ております。それはもう裁判の結果でもそういうことがいわれておりますので、イタイイタイ病にいたしましても四日市の問題にいたしましても、政府は謙虚にこれを受けとめまして、今後の姿勢を直していかなければならない。同時に、環境というものに対する人命のとうとさというものに対しては十分今後は検討していかなければならぬという基本的な姿勢に今度はきちっと変わったわけであります。いつごろのことでございましたかわかりませんが、宮澤さんの当時であるというならばまだ三、四年前の通産大臣だと思いますので、その当時とはずいぶん環境問題は、国民全体の問題として真剣に取り上げられるようになってまいりました。これは国民運動としても行なわれております。電源問題につきましての今後のあり方につきましては、十分住民の意思は尊重いたしますが、それを代表するものとしては一応現在のところは県あるいは市町村の代表の方々がそうした書類をつけていただきまして、十分話し合いをしていただきまして書類が出てきたとき、これをもって審議会が、何度も申し上げるようでありますけれども、踏まえて検討いたしまして、そうして決定をするということになるだろうと思っております。それが政府の姿勢であろうと思います。またそれ以外にいろいろの問題が起きてきたときには、また別な問題として別な角度から検討する必要があろうかと思います。それが政府の姿勢でございます。どうぞ御理解いただきたいと思います。
  393. 米原昶

    ○米原委員 それでは政務次官、通産省のほうへの質問は事務官の方にお聞きいたしますから、御退席されてけっこうです。  いまの問題について環境庁長官にもう一度お聞きしたいのですが、環境庁のほうでは排出基準の強化ということと、総量で規制する方式をとろうというお考えがあることを新聞でも見ました。実は北海道に行きまして、先ほどから話のあった苫小牧の新しい臨海工業地帯の問題で道知事からも説明がありました。北海道では公害ゼロの開発をやるんだというパンフレットも出しております。その中で、いままでの排出基準ではだめだから、総量規制の方式でいくんだということもうたっておられるわけなんです。考え方としては、私たち前から主張しておるので非常にけっこうなことだとは思うのですが、総量規制方式というのはことばは簡単ですが、実際にやるのはたいへんむずかしい問題があると思うわけなんです。北海道で一体どういう形で総量規制をやられるのかということを質問したのですが、これは全然具体化してない。実をいうと、ことばだけなんです。それでがっかりしたのですがね。総量規制方式、これはぜひやってもらいたいと思うのですが、環境庁のほうでそれを考えておられるとすれば、大体どういう形のものを考えておられるのか、この点について聞きたいと思います。
  394. 山形操六

    ○山形説明員 大気の関係について考え方を申し上げます。  先生いまおっしゃいましたような総量規制ということばそのものがいろいろなふうに使われておりますので、その点で私のほうのいま勉強をしております考え方を申し上げますと、現在、大気汚染防止法で硫黄酸化物の排出規制を、御承知のとおりK値規制でやっております。これは施設ごとに硫黄酸化物の排出量を規制して、そして各地域の排出基準をK値できめまして、それで環境基準の達成を目途とする、こういうふうにして設定するわけであります。したがって、事実上はある地域の総量規制を導入しているという見方ができます。ただここで問題がございますのは、それでせっかく排出基準をきめましても、煙突を高くしてしまうとまたそこで操業ができる、薄めている、そういう点で現在の排出規制についての欠点の指摘があるかと思います。しかし一応地域総量規制をやっておりますので、K値をさらに締めていくといいますか、強めていけばいくほど地域総量規制が強くなってまいるという方針でやっていけるという考え方が依然残っております。  ただ総量規制の問題で一つの例を申し上げますと、東京都と神奈川県が実際に総量規制をやっておりますが、東京都のほうはK値方式を一応取り入れまして、ただ工場内の個々の施設の排出許容量を求めて、その総和に一定の低減率をかけまして、その量を工場の排出許容量ときめておるのであります。したがって現在、私どものK値と比べまして、これをオーバーしているというのはごくわずかしかございません。したがって、東京都の規制のしかたは、総量規制といっても、地域総量規制方式を入れ、それに低減率を乗じたものというふうに解釈しております。しかしもう一方の神奈川県の方式は、これがいわゆる総量規制と一番いわれやすいものだと思いますが、いろいろな計算式がございます。要するに神奈川県のやり方は、地域環境濃度と地域の排出量との関係が国と同様に比例関係にあるということから立っておりまして、かつ重油の使用量と硫黄酸化物の排出量は一定の関係にあるというふうに解釈して、工場の重油使用量等からその工場の排出許容量をきめる、こういうことでございます。したがって、油の使用量のほうの根っこを押えてしまうということでございますので、これがいわゆる総量規制としては一番強化されるものかと思います。ただし現状でこの総量規制が油のほうの使用量だけを押えるということになりますと、これは通産当局の低硫黄化計画と非常に関連いたしますので、これらとの調整を十分しませんと、燃料を押えるほうの総量規制というものは非常にむずかしいかと思います。  最後に私たちまだ問題にしておりますのは、総量規制を行なう汚染物質として重合的な汚染が生ずる。たとえば硫黄酸化物だけでなく、ばいじんだとか窒素酸化物等がまじってまいりますので、これらを一緒にして総排出量の算定ができないかという問題が出てまいりますので、それらを含めて勉強をしておりますが、いずれにしても、何らかの形でどの方式が今後とらるべき総量規制に合うかという点につきましては、それらの問題を踏まえて目下勉強をしておる最中でございます。
  395. 米原昶

    ○米原委員 いろいろな形があるでしょうが、根本は地域住民の生命、健康を守るという点が抜けたら困ると思うのです。どの程度以上には絶対に許さないのだという限度、その範囲に総量をとどめるという根本がないと、何とか工場はもっていきたいのだということのほうが先に立ったら、総量規制といっても実際は規制にならなくなってしまうのじゃないかという点を心配しているのです。特に一番地域住民と密接な関係を持っている地方自治体が排出基準、ことに硫黄酸化物の排出基準——硫黄酸化物の場合は地方自治体には実際上は規制の権限はないわけですが、これをやはり地方自治体に権限を持たせるべきじゃないか。室蘭の市長とも会いましたが、直接新日鉄の大気汚染で非常に困っているものですから、地方自治体にぜひ持たせてほしいということを言っていました。室蘭の場合ことにこういう問題もあったのです。政令で規制のできる都市の中に室蘭の場合入ってないけれども、議会で満場一致で決議して、ぜひああいう都市は政令で市当局がそういう権限を持てるようにしてほしい、そういう要請が環境庁のほうに出ているそうです。ただ、いままでの権限委譲の基準が、たとえば大気汚染の場合に人口二十五万、水質保全の場合に人口五十万ですか、そういうようなことがあって、室蘭は二十万そこそこですからはずされている。それから保健所は、道の保健所はあるけれども市営の保健所がないということからはずされているのだと言っておりましたけれども、実際には工場立ち入り検査をするのは道しか権限がないので、道はやってくるけれども結局一年に二回くらいしか来ない。おそらく市に権限を持たせれば、立ち入り検査でも一年に少なくとも数回以上やるのじゃないかと思うのです。そういう点を見ましても、かなり思い切って地方自治体に権限を持たせるほうが——住民はいま公害問題で非常に気を使っていまして、おそらくいまのままでは室蘭でも四日市と同じような訴訟が起こるだろう。いまそういう動きがあるらしいのですが、そういうようなことを言っておりました。私はそういう点を見ましても、地方自治体にかなり権限を委譲してやらせる必要があるんじゃないかということを感じたわけですが、その点について環境庁長官の基本的な考え方を説明していただきます。
  396. 小山長規

    小山国務大臣 水と同じように大気についてもやらせたいのです。ただ低硫黄の入手可能量というものがありまして、その辺をどう判断したらよいかという問題があるようであります。詳しくは事務当局から申し上げます。
  397. 山形操六

    ○山形説明員 御指摘の事務委任の問題につきましては、確かに法律制定当時は人口とか保健所設置とかいうのが要素になっておりましたが、御指摘のように、だんだんと県の指導のみならず市のほうにおいて自発的に力がついてきておるところもございます。したがって、これは私ども目下作業をしておる最中でございます。従来の傾向ですと、権限を持たしていろいろ測定能力あるいは立ち入り検査能力等々、調べますと、市のほうが非常に力が弱うございましたので、それらを勘案して一定のものさしをつくっておったのでありますが、だんだんと市の力がついてまいりましたので、これはつとめておろすように目下作業をしております。
  398. 米原昶

    ○米原委員 時間がありませんので、最後にもう一問だけ長官に質問しておきたいと思うのです。  それは環境庁長官が七月二十五日の参議院の公害環境特別委員会で、「環境基準についても、最新の科学的な見地から早急に見直しを行ない」たいという発言があったようであります。  そこで私要望として申したいのですが、厚生省で出しております、厚生省の編さんとなっておりますが、「大気汚染防止法の解説」という本を読んでみたのです。環境基準をきめたときのいきさつがその中に書いてある。そうして厚生省原案がつくられたけれども、産業経済界から激しい反対活動が当時行なわれて——そのとおりのことばが使ってあるのです。「産業経済界は激しい反対活動を展開した。」そういう中で著しい汚染地区において環境基準を達成する期間が十年以内というふうになり、基準自体もかなり弱いものになったといういきさつが出ております。私はこの点非常に今後の環境行政の上に重大な点で、もちろん大工場を持っておる財界、産業界の人たちが自分たちの経営に関係がありますから、反対運動をやることは必ず起こると思うのです。しかしこれは国民の生活の根本問題ですから、そういうことにとらわれないで、やはり環境基準をつくるという態度がないと、たとえ科学的にやろうとされても実際はそうでない中途はんぱなものができてくる。それが最後にはひどい結果を起こすことになるのです。この点で環境庁長官が腹をきめてかかっていただきたいということです。環境基準を見直されるとしたら、そういうことを今後は絶対許さない、あくまで科学的に検討して、住民の生活、健康を守るためには絶対必要だというものからまず出発していただきたい。もちろんそれが許される範囲なら産業の育成ということももちろん私たち無視するわけじゃありません。何としても国民の生活が第一だという観点を徹底的に貫くという姿勢が一番大切じゃないか、こういうふうに考えますので、この点について環境庁長官決意を聞きたいと思います。
  399. 小山長規

    小山国務大臣 環境基準の見直しをやるに際しましては、いまお話しのありましたような基本方針で国民の健康を守り得るというものさしをつくっていくという態度でいきたいと思っております。
  400. 米原昶

    ○米原委員 終わります。
  401. 登坂重次郎

    ○登坂委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後六時二十五分散会