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1972-09-08 第69回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月八日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 天野 光晴君    理事 大野  明君 理事 葉梨 信行君    理事 服部 安司君 理事 山本 幸雄君    理事 阿部 昭吾君 理事 小川新一郎君    理事 渡辺 武三君       大西 正男君    梶山 静六君       亀山 孝一君    野中 英二君       浜田 幸一君    吉田  実君       井上 普方君    佐野 憲治君       浦井  洋君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君         建 設 大 臣 木村 武雄君  委員外出席者         経済企画政務次         官       木野 晴夫君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         通商産業省企業         局参事官    三枝 英夫君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省道路局長 高橋国一郎君         住宅金融公庫総         裁       淺村  廉君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     東  貞三君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 九月八日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     吉田  実君   山下 徳夫君     大西 正男君 同日  辞任         補欠選任   大西 正男君     山下 徳夫君   吉田  実君     小沢 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 天野光晴

    天野委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本日御出席を願いました参考人は、日本住宅公団総裁南部哲也君及び同理事東貞三君であります。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  3. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 木村大臣大平外務大臣お尋ねをしたいのでありますが、いまの、米軍相模補給廠からベトナム戦線向け戦闘車搬出する問題について、道路のいろいろな法令等々の関連でこの搬出がチェックされておる。ところが建設大臣はこれに対して許可を与えられております。このいきさつを簡潔に御説明をいただきたいということと、それから、これとの関連で、建設大臣相模補給廠というものを廃止をする、こういう申し入れをなさった。ところが外務大臣のほう——外務大臣直接かどうかわかりませんが、とにかく外務省が、それはいかぬ、こういう意思表示をなさっておる。この辺の経過、これもぜひひとつ外務大臣のほうから簡潔に御説明をまずお願いしたいと思います。
  4. 木村武雄

    木村国務大臣 アメリカ輸送車の問題でありますけれども、二とおりになっております。一つ兵員輸送車のほうと、それからもう一つ戦車と、こうなっております。兵員輸送車のほうは道路法にも何にも違反しない、だから許可したほうがよろしい、こういうわけで許可したのであります。それから戦車のほうはいろいろな点でまだそのとおりにまいりませんから許可はしないでおります。こういう状態です。  それから、相模補給廠でいろいろな問題が出ておりまして、問題が出ること自体、非常に私は不愉快に思っております。そうでありまするから、その存在そのものについて私はどうのこうの言えるような資格を持っておりませんです、外務大臣でもありませんし。ただ問題があるものですから、その問題を取り除くにはどうしたらいいだろうか、こういう相談ぐらいはできるだろうと思いまして、そして相談をやってみた程度でありまして、基地をたとえば撤廃せよだとか縮小せよだとか、そういうような具体的な内容には少しも入っておりません。ただ、あんな場所で、あんな問題でいろいろないざこざの出ることは非常に不愉快だったものですから、そういう点でどうしたらそういうことをなくすことができるだろうかと、こういう話をしてみたんでありまして、外務省のほうからは何らの制約もそれから制限もありませんし、それは私の自由意思でやってみたことなのであります。
  5. 大平正芳

    大平国務大臣 いま建設大臣から御答弁がありましたとおり、兵員輸送車につきましては、国道につきましては国の道路管理当局の御許可をいただきましたが、地方公共団体のほうからまだ許可をいただいておりません。私といたしましては、なるべく早く御許可を得たいと期待をいたしております。  それから相模補給廠の問題につきまして、これまた建設大臣からいまお話がありましたとおりでございまして、建設外務当局間に意見の相違があるわけではございません。建設大臣が仰せになりましたとおり、こういう不幸な問題が起こらないようにするにはどうしたらいいかという点についていろいろ御心配をいただいていることに対して、私といたしましては感謝いたしております。
  6. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 木村建設大臣は、私の個人的な自由なる判断で、こういう事態が起こることは不愉快だからしたがって相模補給廠はやめさせよう、こういう意思表示をなさったということでありますが、新聞報道によれば、外務省は、それはいかぬ、建設大臣のそういうようなお考えはいかぬと、こうはっきり外務省指摘をしておるというふうに報道しておるのであります。したがって、最初の間は木村大臣相模補給廠廃止、これを高高と打ち上げたが、外務省の横やりが入ってだんだんとしりすぼみになってしまった、こういう新聞報道をしておるのであります。したがって、いま大平大臣は、建設大臣のその態度、お考えは全くありがたかったみたいなお話なんでありますけれども新聞報道とは違うのですけれども、その辺はどうでしょうか。
  7. 木村武雄

    木村国務大臣 私は、その相模補給廠の問題が出ない前にアメリカ側とちょっと話をしてみたいことがあったのですよ。沖繩に参りまして、沖繩海洋博覧会があるのですが、その海洋博覧会沖繩の県民と知事が主張されるとおりに実行をするためには、アメリカとの間に二つ問題点があるのです。一つは、高速道路をつくろうとすると基地を通るのですよ。その基地をぜひ通れるように御高配をお願いしたい、こういうことが一点なんです。それからもう一つは、前の軍道国道に編入されたのですね。そして一カ所基地を通っておる国道ができたのですよ。ところが住民感情からすると、国道になったのだから即座に使わしてもらいたい、こういう切なる希望があるのですね。だからその道路が返るときにはその基地の中に設備をして、設備が完了して後、日本人に使用させる、こういうような約束があるのですね。それでその基地の中に設備をしなければならない。どういうような設備をしてもらいたいという注文が、アメリカ側のほうがなかなか出てこないのですよ。それで外部では非常にもたもたしておったのです。それでその二つの点について、これは建設大臣として会う必要があったので、アメリカ側に直接会いましてその話をしてみよう、こういうわけで面会を申し込んでおったのですよ。かたがた相模原の問題が出てきたものですから、それが当面の話題になった、こういうことなのであります。私個人の考え方からすれば、私も日本人なものですから、外国の基地があったほうがいいかないほうがいいかと、こう言われれば、ないほうを好むのであります。だからといって、安保条約があったりいろいろなものがあるにかかわらず、そんなものは全部通り越して即座にそんなものをなくせなどというほど私もおっちょこちょいじゃないのですよ。そういう点で非常に慎重に、相模原でああいうような騒ぎのあることは全く不愉快なことであるから、それをなくすには一体どうしたらいいのか、こういうような相談をしてみたというだけのことであって、開き直って、基地を撤廃せよだとか、それから縮小せよなどという気持ち一つもなかったのでありますけれども基地周辺に起き上がる問題についていろいろな話をしてみよう、こういう考え方で話をしてみたのであります。そういう点で外務省のほうから制約も何もなかったのであります。
  8. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大平大臣の時間の制約があるようでありますので、わがほうの井上委員、公明党の小川委員関連お尋ねをしたいということになっておるのであります。そこで、次の御答弁のときに、さっき外務大臣答弁では木村建設大臣のお考えにたいへん私は喜んでおる、こういう表現がございましたが、このこともあとで私はもうちょっとお尋ねしたいと思います。
  9. 天野光晴

  10. 井上普方

    井上委員 木村大臣、先ほどの御答弁を承っておりまして、どうも納得ができない点があるのです。といいますのは、兵員輸送車道路法上違法じゃないとおっしゃいましたが、そうなんですか。それじゃなぜ許可なんということが要るのです。
  11. 木村武雄

    木村国務大臣 前任者のときに、何かいままでは許可も何もなしにやっておったらしいです。ところが今度は許可制になったのだそうであります。向こう側では何も許可なんて要らないのじゃないかという解釈をしておるらしいけれども日本立場に立ちますると許可制になった、こういうことであります。それで、こういうものの通行許可できる、こういうものの通行許可できない、こういうようなことでありまして、それを調査した結果、建設省としては許可してもよろしい、こういうことで許可したのですけれども建設省だけ許可しても、(井上委員「わかっています」と呼ぶ)おわかりでしょう。両側に市道があるものですから、市道のほうも御許可にならないと国道だけがまん中で浮き上がってしまって通れないものですから、飛鳥田市長にも会いまして、どうか御協力をお願いしたい、こう言ってみたのでありますが、まだ御協力は得られないようであります。非常に残念に思っております。
  12. 井上普方

    井上委員 木村大臣、こういう公の場ですから、ことばだけははっきりしていただきたいのです。らしいとかいうようなおことばはひとつ慎んでいただきたい。これは明らかに道路法上違法なんです。兵員輸送車も、新聞報道の伝えるところによると、幅が六センチか七センチ、規定よりもオーバーしておる。だから許可が要るんでしょう。道路法上の問題、車両制限令等々で何も制限がなければ、その範囲内であれば許可なんていうのは要らないはずだ。しかもこの道路法はことしの四月に改正になっておる。その間にともかく違法なる、すなわち国道管理者あるいはまた市道、県道の管理者許可なくして、無許可で走っておったところに国内法違反の事実がたくさん出てきたわけなんです。ここらあたり国内法違反しておる事態を十分御認識の上でやっていただかなければ困る。あなたのお話だったら、いままでの前任者のときだったら無許可で通っておったのだ、あたかも人ごとのごとくおっしゃられるけれども、そのことが国内法違反しておるのです。だからこれに対して、国道管理者である建設大臣は当然チェックしなければならなかった。それをいままで怠っておった。その責任というものは——まあ私、外務大臣質問いたしたいので、しばらくこの問題はおきますが、ともかくそういう御認識の上に立ってこの問題に対処していただかなければ困る問題だと私は思います。  そこで外務大臣、これはいろいろ条約上の問題になるかもしれませんけれども戦車あるいはまた兵員輸送車等々を、わが党の調べによりますと、カンボジア軍が使っておった、あるいは南ベトナム軍が使っておった。ひどいのになるとNATO戦車等々を相模原修理しておるということが私どもの党の調査で明らかになっておるのであります。そうなりますと、御承知のように安保条約に基づいて地位協定というものができておる。ところがその安保条約の目的となるものが極東の安全と平和のためということが明確になっております以上は、極東範囲の問題でございましょうが。とりあえずまずはっきりいたしておりますのは、北大西洋軍に対しての戦車等補給がなされておることに対して、政府としてはどういうお考え方で臨まれるおつもりか。私らは明らかにこれは安保条約違反であると考える。したがって、これらのアメリカ軍の行為というものは、これは重大な問題を引き起こしておると考えるのですが、いかがでございますか。
  13. 大平正芳

    大平国務大臣 井上議員の御質問に入る前に阿部議員の御質問に対しまして一言お答えしておきます。  外務省立場は、相模補給廠機能を直ちに停止するとか廃止するとかいうようなことは考えていないわけでございます。ただ私どもは、御承知のように、基地が設けられましてからその周辺の変化が、都市化進行に伴いましてたいへん激しくなってきておりますので、基地あり方というような点につきまして、全体としての基地整理統合というようなことは政治の問題として当然考えなければいけないことと考えておるわけでございまして、木村大臣所管外のことであるにかかわらずいろいろ御心配をいただいたこと、あるいは飛鳥田横浜市長をわざわざおたずねいただいた、そういうことに対しまして私はたいへん感謝しておるわけでございまして、そういうことを申し上げたにすぎないわけでございます。  それから井上委員の御質問でございますが、守保条約は、極東の安全に関連いたしまして米軍基地並びに米軍の活動のルールをきめたものでございますから、その趣旨から申しますと、NATO関係戦車修理することがその基地において行なわれたということは、厳密に申しますとその趣旨からはみ出ていないと私は強弁することはできないと思います。ただ、たいへんすぐれた修理機能を持っておる補給廠がある場合に、その修理機能米軍が便宜依存してまいりました節が若干ありましたことは御指摘のとおりでございます。厳密に申しますと、井上議員の御指摘について強弁することはできませんけれども安保条約運営といえどもこれは両国の信頼の上に立って運営しておるわけでございますので、まあ、しゃくし定木と申しますか法律一点ばりというか、そういうような運営一点ばりでもいけないところがありますことも御理解をいただければたいへん幸いと思います。
  14. 井上普方

    井上委員 大臣は私の申したことに対して強弁はできない、こう仰せられる。明らかに日米安保条約違反であることをお認めになったと思う。その上に立って、日米親善関係の上に立ってひとつここらは目をつぶってくれという御意見だろうと思います。しかし、これは私どもは目をつぶれない問題であります。日米安保条約そのものの性格が非常に国内において両極端に分かれておることは御承知のとおりです。その中において、このような南ベトナム軍戦車修理、はなはだしきに至ってはNATO軍戦車修理まで引き受けておることが極東範囲から離れておるこの事実、一方私ども安保条約が現存することを認めても、こういう条約上の不届きなことが行なわれておることに対して、アメリカに対して日米親善のためだからひとつ目をつぶってくれということではわれわれ納得できないのであります。また外務省当局は、南ベトナム軍戦車相模原修理することは、これは条約上当然なるごとく言っておられますが、この点はどうなんですか、大臣、あなたのお考え方は。
  15. 大平正芳

    大平国務大臣 目をつぶってくれということばが適切かどうかわかりませんけれども、つまり、日本にすぐれた修理機能を持った施設がある、その場合、普通の場合でございまするならばアメリカ軍日本民間業者修理を委託いたしまして、これは日本のサービスの輸出という形で行なわれるのがノーマルなあり方だと思うのでございますが、たまたま自分の所有の戦車をたくさん相模原修理しておるということに事実上便乗したことになっておるわけでございまして、それが非常に重大な、安保条約根幹に触れる非常に重大な事件でございますならば厘毛も許すことができないに違いないのでございますけれども、そういう事実上の修理基地で便宜行なわれたということでございまして、別に悪意があってやったわけでは決してないわけでございまして、民間に委託してお願いするということもできるわけでございますけれども、たまたまほかの戦車修理しておったところへお願いしたということでございますので、そのところは実態に即して御判断していただければ私はしあわせ、ということをお願いしたわけでございます。  それからベトナム向けの問題でございますけれども、これは安保条約極東の安全ということにかかわりがないとは言い切れませんので、私ども立場といたしましては安保条約上の許された行動と見ておるわけでございます。
  16. 井上普方

    井上委員 まあ、戦車修理についてNATO軍の場合は日本民間でできるのだなんということにつきましては、これはかなり問題が大きゅうございますので、後ほど問題にいたしたいと思います。しかし、いまおっしゃられました、条約上はおかしいのだけれども日米親善のためにともかくやっておるのだと言われるようなことでは、これはやはり日米安保条約根幹に触れる問題だと私は思います。と申しますのは、日米安保条約極東の安全、しかも極東範囲ということは、昭和三十五年の国会においてきびしく極東範囲が問題になったことは御承知のとおりです。あの極東範囲の中にはベトナム地域は入っておらなかった。しかもいま大臣が言われました、南ベトナム軍戦車修理について安保条約上問題がないなどとおっしゃることは私どもは納得できません。きょうは大臣の時間がないそうですから、いずれあらためてじっくりとこの問題について私も討論をいたしたいと思います。しかしながら、大臣もお考え願いたいのは、現在日本基地内において南ベトナム軍戦車修理を行ない、また北大西洋軍戦車あるいは武器の修理をやっておること、これについて日本国民が非常に、何と申しますか、不愉快と申しますよりも憤激しておるという事実をひとつお知りになっていただきたいのであります。その上に立って、国民気持ちをもって対処していただくことを強く私は要求いたしておきたいと思います。時間がございませんのでそれだけ申し上げておきます。
  17. 天野光晴

  18. 小川新一郎

    小川(新)委員 関連で。  南ベトナムからアメリカ軍が撤退してしまいますと、今後補給基地相模補給廠修理をするということは、ベトナムに行くことは、完全にこれは南ベトナム作戦部隊の、南ベトナム軍戦車修理補給ということに理解できますが、そうなった場合には、大平外務大臣といたしましては、今後こういう問題についてはアメリカに対してどのような態度をお示しになりますか。
  19. 大平正芳

    大平国務大臣 各委員から御指摘がございましたように、基地存在、その機能をどのように活用してまいるかということにつきましては、基地存在する地域住民感情、生活、そういうことを十分踏まえてやらなければなりません。その場合に、ベトナム戦に対して基地住民が怒りの感情を持っておられるというようなことも、これは私どもとして考慮しておかなければならぬことだと思うのであります。ベトナム戦争が終りまして、ポストベトナムを迎えた段階におきましては、いままでありましたようなこと、現に進行中のようなこと、そういうことが潮が引いたようにだんだんとなくなっていくと思うのでございます。そういう状況に応じまして、私どもといたしましては相模補給廠あり方という問題につきまして、阿部委員最初に御指摘になりましたように、検討していかなければならぬと考えておるわけでございまして、いま鋭意検討中でございまして、遠からずお示しができる段階になるのではないかと考えております。
  20. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、相模補給廠機能停止基地の移転、こういう問題については私どもは十分期待してよろしいのでしょうか。これは、大臣は確実にアメリカにそういった問題を国民の総意のもとにぶつけて解決をはかるというふうに理解してよろしいのかどうか。それが一つ。  二点目は、道路法違反しなければ、明らかにベトナム軍に給与する戦車であるということがいまわかっている時点においても、搬出をするということについては反対をしないで、このまま許可をさせる方針なのかどうか。この二点についてお尋ねいたします。
  21. 大平正芳

    大平国務大臣 前段の御質問につきましては、遠からず政府のほうのまとめた見解を申し上げますので、それで御了承いただきたいと思います。  それから第二点の問題はどうも私の所管の問題ではないようでございます。道路管理当局のほうの問題だと思います。
  22. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと、大臣がお出かけになるので……。  私はこの大事な、南ベトナム軍戦車であるということがいまはっきりわかった時点において、その戦車修理ができ上がりまして搬出をするのに、たとえ道路法施行者である建設省許可をした、そうしてそれが道路管理違反してない、ちょうどマッチしたように分解して運んだ、そういう場合には外務省としては何らその問題に対して、米国に対して勧告、もしくは停止をするような要求を出す意思がないのかということを大臣お尋ねしたわけなんです。
  23. 大平正芳

    大平国務大臣 いま修理しておりますのは米軍戦車承知いたしておるわけでございまして、南ベトナム軍戦車であるとは私は承知いたしておりません。ただ、いま修理を終えて、これはなるべく早く搬出をしていただきたいという気持ちは一ぱいでございます。道路管理当局のほうで許可が得られますならば、早急に始末をいたしたいと考えております。
  24. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 大臣、時間がありませんので、おる間に……。  これは答弁はあえて求めませんが、たとえばいまの御答弁でも、なるべく早く戦車兵員輸送車、そういうものを送り出させたい、この認識はちょっと私ども違う。いけない、こう思うのです。木村建設大臣が言ったことに対しては、いま大臣も早々の間に外務省としての方針をまとめる、それで御了承をということなんですが、国民はやはり木村大臣の言った、相模補給廠は不愉快だから廃止をさせようと申し入れをしたい、これにはみんな拍手かっさいを送っている。新聞によると外務省はこれに水をぶっかけておる。これは国民感情にほんとうに対立をする外務省態度ということになると思うのであります。したがって、間もなくこの問題に関する外務省方針をきめられるということなんでありますが、私はやはりしっかりとした国民世論——木村大臣方針にはみんな拍手を送ったが、外務省が水をぶっかけて木村大臣がしゅんとなったというような記事が出てくるものですから、田中内閣外交方針、これもあまり当てにならぬなという気持ちをみんな持っておるように私ども思います。そのあたりをしっかりと踏まえられて最後のまとめた方針を出されるように希望したいと思います。
  25. 天野光晴

  26. 井上普方

    井上委員 そこで、外務省がいなくなりましたので建設省当局に、国道管理者としてお伺いいたしたい。  まず、道路法改正がことしの四月行なわれてからいままで、アメリカ軍が当然道路法許可をとらなければならないものがあったにもかかわらず許可をとらずに、すなわち国内法違反をして戦車等を運んだ事例は一体何件あるのですか。
  27. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 ことしの四月の車両制限令改正以来という御質問でございますが、相模補給廠とノースピアとの間を二回、それから北富士演習場と沼津の海岸との間を一回というふうに記憶しております。
  28. 井上普方

    井上委員 国内業者車両制限令違反して物を送った場合、いかなる処置をとっておられますか。
  29. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 四月一日から車両制限令が強化されたために業界に相当のショックを与えておるようでございまして、主として行政指導によりまして改善をするように指導しております。ただいまの事態におきましては、告発しまして警察に取り締まらせた例はございません。
  30. 井上普方

    井上委員 それでは車両制限令改正になる以前の事件としてはどういう処置をとってきましたか。
  31. 高橋国一郎

    高橋(国)説明員 改正前におきましては直罰の——直罰という、見つけたものを直ちに罰することができない状態でございましたので、その時点において注意を喚起いたしまして、さらに従わない場合には警察に告発するという手順になっておったわけでありますが、非常に大型な荷重の重いものであるとか、あるいは著しく幅ないしは高さをオーバーしたものにつきまして摘発された例はございますけれども、非常に数が少のうございます。
  32. 井上普方

    井上委員 いままでおたくのほうが、道路管理者が告発した事例もございますし、かつまた警察当局自体が、車両制限令違反しておるということできびしく制限しておることは事実のとおりであります。ところがこういうことが、アメリカ軍に関する限り、その前におきましても車両制限令にやはり違反しておったはずだ。ただ許可を得るか得ないかを道路管理者にするという改正だけのはずであります。     〔委員長退席、大野(明)委員長代理着席〕 したがいましてこれらの、いままでにもノースピアに対しましては二回、北富士に対しましては二回ですか一回ですか——一回というお話でございますが、これらに対しましてはやはり厳重なる警告をもって臨まなければならないはずであります。ところがそれが、建設省当局は占領ぼけとい  いますか、アメリカ軍に対しましては非常になになるがために、卑屈なあまり、この重量戦車をトレーラーの上に載せるというのは重量違反であるということははっきりしておるにかかわらず、それについての処置というものはできておらない。ただ地方自治体が、自治体の長が気がついて、調べて、けしからぬじゃないかということによって初めてこれが公になるということは、国道管理者としては私はまことに怠慢といわざるを得ないのであります。こういうようなところ、また建設大臣の先ほどの、兵員輸送車車両制限令違反しないというようなおことばでは、まことにもって御認識がはなはだしく欠如しておるといわざるを得ないのです。こういうような問題についてもう少しやはり——国内業者につきましてはきびしい取り扱いを行なっておるのであります。アメリカ軍に対しましてはやっておらないというのは、私ども国民感情としても納得できない問題であります。大臣、今後こういうような問題につきましてはどういう処置をとるお考えでございますか、ひとつお伺いいたしたいのであります。
  33. 木村武雄

    木村国務大臣 車両制限令という制限がありますから、その制限令に違反するものは国の内外を問わず、やはりきびしくしなければならない。今度の問題で、車両制限令に照らしまして許可してもよろしいという、こういう判断を下したものですから許可したのでありまして、アメリカであるがために許可したということじゃないのです。ただそういう点で思い切って、そういう法律、政令のある以上はあらゆる面から厳重にしなければならない。特にそういうような制限令を犯してやったことに対しましてなんかは、取り締まりできないというのではたいへんになりますから、そういう点もこれからは厳重に取り締まってまいりたい、こう考えております。
  34. 井上普方

    井上委員 私は、まだまだアメリカ軍国内法を守っていない、しかも道路関係の法律を守っていない例を知っております。この問題はいずれまたあらためて、きょうは警察当局が来ておらぬようでありますので、ひとつ提起してみたいと思っておる次第であります。いずれにいたしましても、横浜市当局の処置につきましては、国民拍手かっさいをもって臨んでおると思うのであります。しかるにもかかわらず、ベトナム行きの、ベトナムでたちまち人殺しをする兵器そのものを、建設省当局道路管理者の立場に立って許可を与えたいということは、私ども国民感情の上から許すわけにはいかないと思います。木村大臣は戦前からの政治家で、まあ新聞では古武士然としておる——然ですよ、古武士然としてとかいうことを伝えられておるのでございますけれども、古武士然とした、ともかく古武士としての態度をもって、国内法はあくまでも守らすのだということで臨んでいただきたいと思います。相模補給廠の撤去をアメリカ軍申し入れたいと言った、官房長官から横やりが入る、とたんに手のひらを返すがごとき言動を吐かれるようでは、これは古武士といえません。風貌のみ、然としておるのではこれは何もならないのであります。このことをひとつ十分お考えの上で今後処置をとられんことを強く望んでおきたいと思います。  続きまして、私は木村大臣にお伺いするのでありますが、木村大臣は田中総理の生みの親といたしまして非常に御活躍になって、今日建設大臣の栄を獲得せられたやに承っておるのであります。そこで、田中総理が総裁選挙前に、また総理指名前に発表せられました日本列島改造論なるものは、問題が非常に数多いと思います。したがいまして大臣にお伺いいたします。特に国土省ともいうべき性格を持つ建設省の長として今後御精進あられるのだろうと思いますが、日本列島改造論をお読みになって——私もびっくりしたのでありますが、田中総理は、本が発行せられて一月ぐらいして、えらいたくさんの人に読まれているんだな、わしもひとつ読んでみようかなとおっしゃったそうで、新聞でいわれまして、私どももあ然といたしたのでありますが、ともかくそれはそれといたしまして、中身について、いままで建設省か゜とってきた方針で改めなければならない点はどういうところがあるか、あるいは今後どういうような方針で臨むか、また日本列島改造論の根幹となるものは一体何なのか、木村大臣の御認識を承りたいと思うのであります。
  35. 木村武雄

    木村国務大臣 私は、田中内閣総理大臣の提唱されました日本列島改造論には二つの面から賛成なんです。一つは、いやしくも一国の指導者が指導的地位につかんとする場合、国民に向かうべき方向を示さずしてその地位につくことは、多年、おこがましいと思っておったのです。そういう過程において、堂々と一国の指導的地位につく田中総理大臣がまずもって国民に向かうべき方向を示されたという点で賛成しております。敬意を払っております。それからもう一つは、大ざっぱにいいまして、ほんとうに過疎地帯というものは過疎の問題に非常に悩んでおるのですよ。これは、私も山形県に生まれまして、阿部君なんかと同様に、山形県の人口が年々一万人ずつ減っておる。その減っております人口を分析してみますると過半数が農民なんですよ。そうでありまするから農村が崩壊しつつある。その崩壊しつつある農村というものを崩壊させないようにするにはどうしたらいいんだ。やはり農業そのものではとても農村で包容しておる人口は収容しきれなくなってしまったという事実の上に立って、やはり工場というものを持ってきて、農と工を一つにした新しい社会組織をつくり上げなければ過疎問題は解決できないと切実に感じておったのですよ。     〔大野(明)委員長代理退席、委員長着席〕 それから過密地帯なんですけれども、何らの準備なくして不当に膨張しておる、その結果いろいろな現象が出ておる、そういうことに対処する方針を講じなければならぬ。したがって、過疎過密問題というものは同時に解決する必要があるということをひとつ切実に感じております。その点について非常に大胆に触れておりますることが賛成であります。それからもう一つは、太平洋海岸が非常に発展しておる、それに比して日本海岸のほうが発展がおくれておる、こういうようなものもやはり平等に発展していくようにしなければならないだろう、そういうようなことも大賛成なんです。したがって、日本列島改造論そのものに対しても賛成をしておる。  ただ、在来と違うことが一つあるのじゃないだろうか。いままでの国土建設は、高度経済成長の中で国土開発をやろうという計画があった。新全総なんか大体そういう傾向だったのじゃないかと思いますよ。しかし、今度の日本列島改造は高度福祉国家の建設をやるのだ、その意味の国土開発、こういう点で私は傾向が、日本列島改造では少し——少しどころじゃない、大いに違ってきているのじゃないか、こういうように自分は見ておりまして、これを推進していくことが日本のためである、それから日本国民のためである、こういうように考えて賛成しておるのであります。
  36. 井上普方

    井上委員 私がお伺いしたことに対してまともにお答えになっておらないと思います。  経済企画庁からは能吏の政務次官が来られておりますから、先ほどお伺いいたしました日本列島改造論の特徴は何か。そしてまた、いままでとり来たった新全総に基づく国土開発の方向とどの点が違うのか。この点についてお伺いいたしたいと思います。
  37. 木野晴夫

    ○木野説明員 田中総理の日本列島改造論が出まして、国民の皆さん方がこれを中心に論議を戦わされておること、これはもうただいまおっしゃったとおりでございます。私たちも一生懸命勉強いたしておるところでございますが、日本列島改造論というものを読んでみますると、私なりの読み方でございますが、一つは、田中総理は前からこの問題を考えておったということでございます。そのもとは都市政策大綱でございますが、それから始まっておるのでございます。もっと縁起をたずねますと、国土総合開発法、あの当時から自分は唱えておったのだ。そうしてそれがあるいは道路法改正になったり、水資源問題の法律になったりしておるのだ。ずっと考えておる問題であって、古くしてかつ新しい問題であり、非常に幅の広い問題だ。このことをまず言いたいというのが一つあったと思います。それからもう一つは、あの本を読んでみまして教育問題、精神面の問題、いろいろあるわけでございますが、それを含めて考えていきたい。その一つの項目としてあれがあるのだというふうにとってもらいたいというふうなことを書いてあると思うわけであります。そしてそれをば十年とか二十年というのじゃなくして、いま何をやっていくか、実行しなければだめだということで閉じておると思うのでありますが、やはり実行しなければだめだ。ことし何やるか、来年何やるか、これで行こうということが出ておるというのが私なりの読み方でございます。  それから、ただいま井上先生から話がございました、それでは経済企画庁でやっておりますいろいろな計画がありますが、それはどうかということになってくるわけでありますが、御承知のとおり新経済社会発展計画というのがございます。それは経済計画をつくっているわけでありますが、実は少し前に諮問を出しまして、われわれといたしましても、生産第一ではいけない、国民の福祉とそれから国際経済協調の面からとるべき方策いかんというふうに諮問を出しておりまして、実はその経済計画の面からいきましても、従来の生産第一から国際経済の協調、それから国民福祉の向上からもう少し考え直さなければいかぬということで、経済企画庁のつくっておりますところの経済計画につきましても、実は観点を変えて見直しというのをいたしております。それから国土総合開発法というのがございまして、それを受けまして全国総合開発計画というのがございまして、そしてまた四十四年ですか、新全総というものができておりますが、この新全総の見直しというのをいたしております。昨年の十二月に、環境問題、その他の問題を中心としてこれを見直さなければならぬということで、これの見直しをいたしております。したがいまして、日本列島改造論が出たからというのじゃなくして、出る以前から、生産第一主義ではいけない、見直さなければならぬということで経済計画もいたしておりますし、また新全総の見直しもいたしておりまして、徐々でございますが、日本列島改造論が出まして、このほうもさらにわれわれも気持ちを新たにいたしまして取り組んでおる、これが現状でございます。
  38. 井上普方

    井上委員 ただいま御答弁いただきましたが、この日本列島改造論の持つ内容につきまして、高度成長下で国土改造をやるのはだめなんだ、あくまでも高度福祉国家を目ざさなければならないという木村大臣お話である。過疎過密を解消するんだ、こういう内容なんだ、こう仰せられましたけれども、それはいかにも入っております。入っておりますが、力点はそこにあるのかといいますと、私はそうじゃないと思う。ここらあたりは、おそらく工場の分散を考える、工場分散を考えるために二十五万都市をつくる、二十五万都市を地方に分散するために、一日経済圏をつくるがために鉄道をつくり、あるいは道路を整備するのだ、こういう考え方が根本であろうと思うのであります。私どもはこの問題でいろいろと改造論そのものに対して批判を加えております。この問題は後日に譲るといたしまして、きょうたちまちの問題といたしましては、この日本列島改造論の中にある、日本の国土建設をやるに際しては、まず第一番に行政機構の改革をやらなければならないということが書いてございます。それが前提だということが書かれておる。そこで大臣にお伺いするのですが、大臣はかつては行政管理庁の長官としてやられた。しかも今度は国土省ともいうべき建設大臣としてやられている。しかも日本列島改造論に対して全面的に賛成である、こういう立場でございましたならば、国土開発省として行政機構をいかにしてやられるのか、どういう方針で臨まれるのか、お伺いいたしたいのであります。それが前提になっておるのですからお伺いいたしたいと思います。
  39. 木村武雄

    木村国務大臣 建設省立場に立って、いま日本列島改造を具体化しよう、こう思って取り組んでおるのです。同じような気持ちで通産省も取り組んでおるのです。それから同じような気持ちで自治省も取り組んでおるのです。そして最高の能力を発揮しようと思っていま競争いたしておりますが、その競争の過程から見まして、やはり行政機構の改革は必然じゃないだろうか。どのようにどう改革するかということはまだ具体的にはきまっておりませんけれども、行政機構の改革はそういう面から見て必然じゃないだろうか、私はこういうふうに思っております。そしてそれが必然であったならば当然行政機構の改革が行なわれる、こういうふうに自分は判断をいたしております。
  40. 井上普方

    井上委員 これにもそれは書いてあるのです。あなたはかつて行政管理庁の長官として、しろうとじゃない。でございまするので、一体どういう方向でやられようとするのか、その点を伺っておるのです。それを承りたいと思います。
  41. 木村武雄

    木村国務大臣 必要によって行政機構の改革をやる。そして、必要とは何だといえば、まとまるものは一つにまとめる、こういうことなんでありまして、必要によってであります。
  42. 井上普方

    井上委員 禅問答みたいなことをおっしゃられては困る。これには明確に、やらなければならないと書かれておるわけですよ。しかも、書かれておるどころか、それに対してこれから問題が起こればそれをやっていくんだ。あるいはまとまるものは一つにまとめるのだというばく然としたお考えでは、そういう見方からいたしますとこれはなかなか、あなたのは声ばかりでどうも実行の面においてはなはだ心もとないと申しますか、実行する意欲が乏しいと申し上げても過言ではないと思うのです。といいますのは、行政機構の改革をやり、財政の改革をやらなければこれはできないのだということが書いてある。その方針もなくして、具体的なお気づきの点につきましてはこういうように改革したいのだというところがなくてやられることに対しては、はなはだどうも心もとないし、熱意を疑わざるを得ないと思います。この点を申し上げておきたいと思います。
  43. 木村武雄

    木村国務大臣 誤解しないでください。田中内閣の一番のスローガンは何だといえば、それは決断と実行でございまして、その決断と実行を田中内閣から欠いたならば存在の価値がなくなってしまいます。  それからもう一つ、機構改革は、お役人の好むような機構いじりに終始したくない、こういう考えを持っておりますから、必要があれば必要に応じて行政改革をやる。その行政改革をやる機関は、残念ながら建設省ではないのです。建設省も場合によれば改革される対象になっておるのでありまして、改革する機関は行政管理庁でありますから、行政管理庁のところで改革すべきものはまとめて発表されると思っておるわけであります。そういうときには、建設省としては十分意見を述べながら、行政機構改革には率先垂範してみたい、こういう考えでおります。
  44. 井上普方

    井上委員 それではお伺いいたしましょう。政治家木村武雄としてこの行政改革をいかに進めるべきかということをお伺いいたしたいのであります。といいますのは、この新国土計画は、開発行、政を強力に推進するため新しく中央行政機構を設置する、こういうことが前提になってでなければできないということを書いておる。まだほかにもありますが、これがまず内閣としては手がけるべき問題であると思います。でございますので、あなたはまた行政管理庁長官としてやられて知識のある方でございますので、それで私はお伺いしておるのです。
  45. 木村武雄

    木村国務大臣 自分も行政管理庁の長官をした経験もあるものですから、人の仕事に対してよそのほうから要らざる発言をしたくないのです。それがかえって機構改革を阻害する危険があるのじゃないか、こう思いまして、若干知識があるものですから、そういう点については非常に慎重なんです。行政管理庁としても、きょうも何かの新聞に出ておったようですけれども、いろいろな動きの中で想を練っておることだけは間違いない、自分はこうお答えする以外にないのでありまして、私が行政管理庁の長官であったならば大胆に発表申し上げますけれども、残念ながらそうでないことを遺憾に思います。
  46. 井上普方

    井上委員 私は実は本日の委員会に行政管理庁の長官を要求しておったのです。そして木村大臣とお二人の間で御相談の上で発表していただきたいと思ったのです。でありますが、何か都合があって来られないからひとつ御了承をということでありました。はなはだ残念に思っておるのであります。しかし、木村武雄という政治家が、しかも経歴の古い方が、いまの矛盾は十分に御存じだろうと思います。それがこの場において公にできない、あるいはよそを見て他人の仕事に口を出すなどということはなかなかできないというようなお話であります。決断と実行を表面に掲げておられる内閣の有力なる、生みの親ともいうべき政治家木村武雄がそういうような右顧左べんしておる状況を見まして、まことに決断と実行の看板に偽りありと思わざるを得ないということをはなはだ私は残念に思う次第であります。  その次に、これをやるには財政も変えなければならないということが書かれております。財政も根本的にやり直さなければならない。それはそうでしょう。何年でやるか知りませんけれども、いまのお話を承っておりますと三十年先か四十年先か存じませんが、ダムは一千カ所つくる、あるいは新幹線は九千キロつくる、道路網は三万キロ延ばす、新高速道路もやるというのですから非常に金がかかる。しかしこの中に流れておる一貫した思想というものは、受益者負担の考え方が貫かれておると思われてならないのであります。私は、改造論なるものが受益者負担の考え方で貫かれておるように思われてなりません。そこで受益者負担の考え方でいくならば、国民の声、住民の声というものを当然反映したものでなければならないと思うのであります。ところがこの計画を見ますと、そういうような機会をつくるところが書けておりません。すなわち国民の声を聞く場所というものがはなはだ少ない。上からの天下り的な計画を押しつける可能性が私はあるのではなかろうか、このように思われてならないのであります。大臣いかがでございますか。
  47. 木村武雄

    木村国務大臣 日本列島改造論はあくまでも論ですから、決定的なものじゃありません。それで広く国民に問うて、国民からいろいろな批判をお聞きしたい。そしてそこで最善と思われるものを実行する、こういう考え方であります。その点は御了承ください。あくまでもいまのところはその本は論なのであります。その論に基づいて各省庁で具体案をいまつくりつつあるのであります。  それから、先ほどもお話がありましたけれども、行政機構の改革が前提になっておるのではないか、こう言われましたが、そういうことはどうか思い切って声を大にして言ってください。そういうことを言ってくださいますと、私はそのとおりにいくことを非常に喜んでおるものですから、そのとおり言ってください。  それから、どのような問題でもやはり国民の声というものを広く聞かなければなりません。特に反対論などというものは心で合掌して私は聞いております。そして、そういうようなものはすべてその政治の中に反映させていきたい、こういう考えでおりまするから、国民の声を聞く機関が少かいのじゃないか、こういうお話でありましたけれども、どうかこういう点で、こういう場所でこういうことを聞く、こういうことを具体的におっしゃってくださいますと、それらはすべて受け入れまして、国民の声を聞きながら国民とともに日本列島の改造をやっていきたい。それから期限は何十年なんて長いことは考えておりませんよ。やはり十年という期限がついておるんですから、非常なスピードで、悪くいいますると——これは悪くでありますから誤解しないでください。敵前作業でもやるような気持ちで取り組んでおる、こういうようなことでありまするから、のんべんだらりとは決してしていないのであります。
  48. 井上普方

    井上委員 国民の声を合掌しながらお聞きになる、まことにけっこうなことだと思います。仏さんのように、国民の声をひとつ聞いていただきたい。私ども会議員は国民の代表であります。したがいまして、国会で論議されることは、これはあなたも合掌して聞かなければならない。ところがどうです、臨時国会を開いて国民代表の声を聞こうとしないじゃありませんか。私どもたちまちこれを要求しておる。ところが田中内閣は議会を召集しないじゃありませんか。もう生まれてからこれで一月、やがて二月が過ぎる。このときにまだ臨時国会を開いて国民の声を聞こうとしないじゃありませんか。あなたは田中総理の有力なる側近の一人ということであります。おそらく田中総理もそういうお気持ちであるなら、あなたは少なくとも臨時国会をお開きになるように進言し、聞かせる責任があると思いますが、どうでございますか。
  49. 木村武雄

    木村国務大臣 いろいろな点でまだ勉強しなければならないことと思いますよ、それは。そうですからまとまるものが出るまで——開くとか開かないとかいうことを言わないのじゃない、私の考えはですよ。開くとも言いませんけれども、開かないとも言いません。目下勉強中、こういうことだと思いますよ。
  50. 井上普方

    井上委員 大臣、あなたはいま、日本列島改造論に敵前作業のごとく猛烈に進んでいるんだ、こうおっしゃるわけですよ。しかも一方においては、国民の声は合掌しながら極力聞いて取り入れたいとおっしゃる。であるならば、国民代表の国会の意見というものはすみやかに聞く必要がある。また聞かなければならないでしょう。ところが、まとまらなければというのはどうも私らは納得できません。あなたはいまともかく敵前作業のつもりでやっておられるのだから、しかもそれには国民の声を聞かなければならない。国民の声といえば、われわれ国民の代表の声をまず聞く必要がある。それにもかかわらずまだ臨時国会を開いてない。これはあなたのおっしゃることとはなはだ矛盾するのです。どうです。
  51. 木村武雄

    木村国務大臣 矛盾しておるとも思いませんがね。しかしやはり矛盾があるとするならば、一つの矛盾を克服してまた矛盾が出て、またそれを克服していくとやはり進歩があるようにも思いますがね。そうですから、国会を開いて皆さんの意見を広く聞くことも非常に必要だとは思いますけれども、その開く前に内閣のほうでも準備して、広く受け答えする態勢を整えて開くということもまた必要なんじゃないだろうか、こういうように私も考えておるものですから、矛盾だと一がいにきめつけられないで、矛盾もあるだろうし、その矛盾を克服し、また矛盾が出るまた矛盾を克服するというようなことで進んでいくこともまたあり得る、こういうようなことで、そこのところを臨時国会を早く開けなんて追及されると……。まあその程度ですな。
  52. 井上普方

    井上委員 ここで木村大臣から毛沢東理論を聞くとは思いませんでした、矛盾が矛盾を生んでということで。学識の広い木村大臣が毛沢東理論を読んでおることにまず敬意を表したいと思うが、それはともかくといたしまして、とにかくあなたのおっしゃる国民の声がこれに反映する機会がない。それはいかにも審議会なんというので百名近く、えらい多く任命したようであります。それよりもまず国会の国民の代表が一体どういう意見を持っておるか。しかも大臣は、反対の意見というものを神の声として合掌しながら聞くんだと言われた。こういうお気持ちならますます国会を開く必要がある。このことは田中総理にひとつ進言してやっていただきたいことを強く要求いたしておきたいと思います。  それから受益者負担の考え方、これについてはどうでございますか。私はこの考え方に問題が非常にたくさんあると思うのであります。たとえば道路をつくれば道路を利用する利用者がガソリン税で払えばいいんだというような考え方、ここらには一つ大きな問題があると私は思う。しかし、いまたちまちの問題としてこの考え方が進んでおるならば、私が大臣に要求いたしたいのは、道路をつくっていま一番もうけておるのはだれかといえば、利用者もさることながら、その道路周辺を買い占めておる、土地を投機の対象としてやっておる法人の土地取得に対して手きびしいことをやらなければならないと思うのであります。私どもは、木村大臣建設委員をやられておる当時から、道路をつくると周辺の土地がぽんと値上がりする、その利益は開発利益の還元として吸収しなければならないということを強くいつも申しておったところであります。しかしそれをやらずに今日まできたところに、先般の建設省調査によりましても、法人が土地の買い占め、思惑買いをやっておるこの実態がある程度明らかになってまいりました。これを放置することは許されないと思うのであります。この日本列島改造論にも土地政策につきましてはどうも明確に出されておりません。田中総理は登場早々に、土地政策はおれはやるんだと言われたけれども、何ら目新しいものが構想としてもまだ出てきておらない。大臣はこの土地投機に対してどういうように考えられるか、決意のほどをひとつお伺いいたします。
  53. 木村武雄

    木村国務大臣 この土地問題、一番頭を痛めておるんですよ、どうしたらいいかと思いましてね。それで土地利用制度というものを建設省としてはまず確立をしてみたい。そして全国をおおよそ四つぐらいに区分してみたい。そこで、たとえば建設省の必要とする道路の土地だとか、それから新しい都市をつくる場合における土地だとか、そういうようなものを利用制度の中で確立して、土地に対してはこういう考えで臨んでみたい。これはまだ素案ですけれども建設省として決定したものでありませんけれども、非常な広範な土地を必要とするものですから、買うんじゃなくて借りる方針をとる。必要な土地は買うよりも借りる方針をとってみたい。その借りる場合における土地の借地料ですか、かりにお百姓さんであったならば、反当百万円を取っておったと仮定すれば、それに対して一割ぐらいを付加したもの、百十万程度で借りてみたい、こういう考えなんです。それから、どうしても全体をまとめて買ってもらいたいという人からは買う方針をとるが、公債で渡してみたい。そして現金を何ぽかほしいという人には、やはり一割とか二割とかはその制度をつくってみてもいいじゃないだろうか。それから土地の時価相場というものをきめるために機関を設けまして、そこで相場をきめまして、その相場に基づいてすべてやります。あなたのいまおっしゃったような法人の投機的な土地取得というものは、全国で話を聞きましてもあまりにも多過ぎると思うのです。それに対してはまず借りるという方針をとります。借りるやり方は、その土地を使わないで値上がりするのを待っておったとすれば、その土地を買ったときの価格によって土地を借りる値段をきめる。そして全部買ってもらいたいというときには、十年前に買ったならば十年前に買ったときに比較して現在の値段で買いますけれどもそれは思い切ってあらゆる税金を含めて九割くらい課税してみたい、こういう気持ちでいま土地のことは考えております。そうでもしないとなかなか進まないことじゃないかというように考えておりますから、保守党としては最も大胆なやり方で、こういう考え方であります。
  54. 井上普方

    井上委員 いまのお話を承りまして、土地政策なるものがはなはだばく然としておるように私は思われてなりません。しかも、田中総理は土地政策だけはすぐにでもやるのだとおっしゃるが、かけ声ばかりのように思われます。いまの大臣お話を承っておりまして、わかることとわからぬことがあるのです。たとえば土地取得をする場合に交付公債を出すのだというような点は私らにもわかります。ストレートにわかりますよ。いや、耳の中に入るのです。ところが、借りるということになると一体どういうことになるのか、ここらあたりどうも、もう少し詳しく聞かなければ私はわからないと思います。それは案がまとまったときにひとつ承りたいとは思います。  しかし何を言いましても、これだけの国土建設をやろうという方針が出ました。金融緩和と相まって、現在企業、法人が土地の買いあさりをやっておる。これは先般も私申したのでありますが、岡山県なんかに行きますと、六年前に山林を一坪当たり百円で買い占めた。過疎地帯です。そこにレジャーランドをつくるのだから、わしらをここで雇ってくれるのだということで、川上郡備中町でございますが、全部売り渡した。ところがしばらくするとそこに中国縦貫道が通って、インターチェンジができる。となりますと今度はそこで大々的に、丸紅飯田がやっておるわけでありますが、坪百円で買い占めたものを、やがてのこと、関西の軽井沢と称して高級別荘地として売り出している。坪当たり二万五千円です。こういうようなありさまが社会正義上許されるかということです。これがいま公然と行なわれているのです。つくるのは国民の血税です。つくって、その情報を早く得た企業が買い占めて、そしてそれを何十倍にも売ってもうける。この土地が投機の対象になっておる。この現状を社会正義の上からも許せるかということです。こういう問題もひとつ真剣に取り上げていただきたい。それには何を申しましても、金融緩和と相まって現在法人が土地を買いあさっておる、これをチェックしなければ、幾ら日本列島改造論で道路をつくろう、あるいは鉄道をつくろうといたしましても、これも無理でありますと同時に、それよりも重大なることは、国民が住宅用の土地を手に入れようといたしましても、年々暴騰して手に入らない。この状態を解消するためにどうすればいいかといえば、やはりこの土地の買いあさりをし土地の高騰を来たさせておる直接の犯人である法人の土地投機に対してメスを加えなければならないと思うのです。これはもう、あなたがいまおっしゃられましたが、九割くらいの税金をかける、そのとおりであります。それほどできればいいと思います。すみやかにやらなければ庶民大衆は住宅用の土地は現在でも手に入らない。一生の間手に入らない。このことをひとつ中心にお考え願いたいと思うのです。  それからもう一つの問題といたしまして、私がはなはだ奇異に感じておりますのは、二十五万都市を百カ所くらいつくるというのでありますが、先般も私どもは当委員会で新都市計画法なるものを成立させました。それから続いて建築基準法というものもこれまたつくりました。そこで市街化区域内における用途地域というものは現在自治体及び建設省当局において、ここは第一種住宅、第二種住宅あるいは工場地帯、あるいは準工場地帯といって、全部張りつけがまさに終ろうとしておる時期であります。そのときに新しく二十五万都市の構想が出てきて、これから張りつけがまた行なわれる。そうなりますと、一体地方自治体並びに住民は、この二十五万都市という構想でどういうように変わるか。当然変わってこなければならないのです。といいますのは、二十五万都市というものは工場を分散する、あるいは学園都市を分散するとおっしゃっているのですから、当然いまの計画と変わってこなければならぬ。ここで建設省あるいは国の朝令暮改を国民から非難せられるのは当然であります。ここらあたり、すなわち都市計画法、建築基準法と二十五万都市構想とのかね合いはどういうようにお考えになっておられるか、この点を伺いたいのです。
  55. 木村武雄

    木村国務大臣 土地に対する問題でありまするが、井上委員のお怒りは、これは井上委員だけではない、国民全般の怒りだと思っております。それから建設省立場に立っても非常に不愉快なことでありまして、土地の買いあさりということに対しては私も非常に怒っておるというとあれでありますが、不愉快になっておるのであります。土地では自今もうからない、もうけることはやめようじゃないか、こういうような気分を起こさせるようなやり方をしてみたいと思って、いま一生懸命になって考えておるときなんであります。具体的なものができましたならば発表いたしまして、またそれを皆さんに批判してもらいまして、そして直すべきものは直してまいりたいと思います。  それから、この前の国会で建物法だとかそれから新都市計画の法律ができ上がった、今度の新しい二十五万都市は朝令暮改になるのじゃないか、こういうようなお話でありますが、その関連は、私もいま指摘されたものですから、これからどういうように考えていくかということは、あとで考えをまとめてからひとつ発表させてもらいたいと思います。
  56. 井上普方

    井上委員 私はこの点は非常に住民にとりましては問題があると思うのです。この日本列島改造論を読んでみますと、過疎過密をなくすために二十五万都市を地方へ百カ所ぐらいつくる、一日経済圏をつくるために道路、交通の整備をやるのだということが中心になっておると思うのです。ところがそれについて、二十五万都市と新都市計画法並びに建築基準法との関連いかんということになれば、これはまだ十分に御勉強になっておらないというのは私ははなはだ残念であります。しかしながら、いま進んでおる建築基準法によってもう新市街地は全部色分けされつつあるのです。そこへもってきて新しく二十五万都市というのが——二十五万都市も都市計画法で指定になった地域にほとんどが含まれておるということは先日建設省から承っております。そうなってくるとその作業がまた変わってくるということで、非常に住民あるいはまた自治体は悩んでおるのが私は実情であると思います。これらについて、もう少し真剣にやはりお取り組み願いたいということを強く私は希望いたしまして、時間もございませんそうですから、これで質問を終わりたいと思います。
  57. 天野光晴

  58. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私は一つだけ。それは、第七次の道路整備五カ年計画を目下建設省は鋭意まとめられつつある。いまも、この日本列島改造政策の中でいろいろな見直しをやる、いままでの生産第一主義、それからいろいろな見直しをやって、特に国際協調と福祉、あるいは環境、こういう問題に力点を移そう。これはそれなりに確かに現代の要求されておる国民的な課題であることはそのとおり。そうだとすると、道路局長、きょうは大臣から基本的な点でお伺いをしたいのでありますが、従来のわが国の道路政策は、高速道路国道、これにあらゆる力点を置いてきたということが明瞭であります。それも確かに重要です。しかし、今度の第七次五カ年計画の中に、福祉なり生活関係なりというものを重視をするという新しい日本列島改造の路線に従えば、地方道、県道、特に市町村道、これの整備に対して相当大胆な力点を置かなければならぬ段階に来たと、こう思っておるわけであります。したがって、いま新聞紙上等では第七次五カ年計画の骨格やいろいろな考え方がよりより出されておる段階でありますが、第七次計画の中では特に地方道整備、特に財政的に困難な状態にあります市町村道の整備、ここに大いに力点を置いてもらわなければならぬように思うのでありますが、この点について大臣の所信をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  59. 木村武雄

    木村国務大臣 御期待に沿いたいと思っております。
  60. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で私の質問を終わります。
  61. 天野光晴

  62. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣お尋ねいたします。  日本列島改造を目ざす各省庁の重点施策が次々に発表になっております。     〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕 建設省でもたくさん出ております。これは官房長にお願いしておくのですが、田中内閣発足以来、建設省日本列島改造に伴うところの関係する法律案、この次の国会に提案するであろうところの法律案は、現在までどのくらい用意されているのか。次の国会にはどういう点を重点的に出すのか。これはいまお答えをいただきます。調べておいてください。  そこで、経済企画庁、聞いていていただきたいのですが、建設省、通産省、自治省、経企庁、運輸省、農林省、環境庁と、ばらばらの計画がたくさん出ておりますが、これを一体どうやって調整するのか。建設省が主体になるのか、それとも環境庁のように特別な省庁をつくるのか、この辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  63. 木村武雄

    木村国務大臣 関係閣僚が集まりまして、そこで調整いたします。
  64. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、きょう濱野行管庁長官の談話が新聞に載っておりましたが、国土開発庁というようなものを、一本化するようなものをつくるという考えは、いま政府の間では具体的には考えられていないのですか。
  65. 木村武雄

    木村国務大臣 国土開発庁というものの考え方は、日本列島改造論が出たから云々ということでございませんで、私が行政管理庁の長官をつとめておったときからそういう動きがあったんであります。濱野行政管理庁長官とそのことについてまだ話はしてみませんですけれども、内容がどういう内容であったか、在来のものをそのまま継承したのであるか、新しい構想をもって継承せんとしておるのであるか、これを聞いてみないとわかりません。それですから、聞いてみてお返事申し上げます。
  66. 小川新一郎

    小川(新)委員 経企庁次官にお尋ね申し上げますが、内閣に総合企画庁を置くという計画はおたくのほうで考えていますか。
  67. 木野晴夫

    ○木野説明員 日本列島改造につきましては内閣あげての問題でございます。それにつきまして総合企画庁というのを、さらに力強いものをつくったらどうかという意見もあることはあろうと思いますが、私はいまそういった点は聞いておらないのでございます。それで、経済企画庁で国土総合開発法というのがございまして、それは内閣から、関係各省集まりまして閣議といたしまして諮問いたす。審議会がそれに対して答申するということでございまして、その辺で経済企画庁が担当いたしておりますが、内閣全体の問題としてとらえているわけでございます。したがいまして、経済企画庁だけでやっているのではなくして、この国総新全総につきましては内閣全体として諮問し、それをまとめておるのが経済企画庁という意味で御理解願いたいと思うわけでございます。さらに力強いものをつくれということで、権限を持たせた役所、総合企画庁という構想は、言う人はあるかもしれませんが、いまのところ具体化しておらないと思うのでございます。  それから、小川先生も御存じかと思いますが、日本列島改造がやかましくなりまして、内閣に日本列島改造問題懇談会というものが設けられました。これは総理の私的な機関——制度としての機構ではございませんが、私的な機関といいますか、ブレーン的なものとして懇談会ができまして、現在、委員が九十名でございます。その九十名の方々がいろいろな御意見を出されるわけでございますが、第二回がこの二十日にあると聞いております。第一回の総会におきまして、各委員意見を出されるということで、現在、内閣審議室におきましてその意見を取りまとめ中でございますが、近くまとまるものと思います。それを受けまして第二回、二十日に開かれるわけでございますが、その懇談会の運営は制度的なものではございません。それからまた分科会とかいろいろ聞いて縦割りでやっていってはいけませんので、むしろ総会中心に、いろいろな面から大所高所に立っての御意見を聞くということで、そういった運用をいたしておりますが、私は、この日本列島改造につきまして懇談会形式でやっているということは、ある意味におきまして効果があるのじゃないかと思って期待しておるものでございます。
  68. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣に重ねてお尋ねいたしますが、そうすると現在内閣では、このような多角的な運営のしかたにおいては非常に問題があるので、一本にまとめて、開発庁のようなものにまとめてやっていくということについては間違いない事実なんですか。
  69. 木村武雄

    木村国務大臣 一本にまとめるかどうかということはまだ決定したものじゃありません。これからの作業において一本にまとめねばならない必要があったならば一本にまとめる。二本にまとめる必要があったならば二本になるかもしれません。それはまだ決定したものじゃないと思っております。これからの作業の過程だと、私はこう見ております。
  70. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はなぜこういう問題を聞いておりますかというと、濱野行政管理庁長官が独自のあれを内閣に出すということを聞いておりますので、主体であるところの建設省または経済企画庁、きょうお二人の政府の首脳が集まっておられるところでこういった問題を聞いておるのであって、行管のほうでは非常に具体的に、総合開発庁という問題の名前まで提起してその問題を提起しているのに、建設省のほうにもそれがはっきりしてない。経済企画庁のほうでもはっきりしてない。これから検討だなどという段階では、内閣のそういう日本列島改造に伴う足並みが非常に不統一である。そして、先ほど問題になっております、これだけの大きな仕事をやるのに、行政上、またいろいろなそういった財政上、こういった面が統一されない限りはできないということは各方面から指摘されております。この問題については、はっきりするのはいつなんですか。
  71. 木村武雄

    木村国務大臣 必要で決定したい、こう思っているのですよ。最初から意図したものを持たないで、必要な段階において決定してみたい。したがって、最初からこういう行政機構をつくって、この行政機構にこういうように当てはめてみたいなどというような官僚的な統制はしてみたくない、こういう考えでいまやっております。したがって、目下は百家争鳴のごとく見えまするけれども、まとめるときにはきわめて簡単です。まとめるときにはきわめて簡単にまとめまするから。また、濱野行政管理庁長官が国土総合開発庁ですか、そういうようなものにまとめてみようという考え一つ考え方だろうと思います。しかし、だからといってそのとおりになるというものではない。これからほんとうに、何せ前代未聞の仕事をやろうとしておるのでありまして、たいへんな大作業でありまするから、いたずらにお役人式な機構でものごとを束縛するというようなやり方はしてみたくない、こういうことであります。
  72. 小川新一郎

    小川(新)委員 たとえば都市づくりの二十五万都市。これは、いま日本列島の太平洋沿岸ベルトに五千万から七千万集まっている、これじゃ過密であるから過疎地帯に二十五万都市を散在させるのだ。その余剰人口が一千五百万である。それを二十五万で割りますと六十になる。昭和六十年現在の人口の伸びを一千五百万と見ても、これを二十五万で割ると六十個だ。合計いたしますと、昭和六十年までに両方で二十五万都市を百二十個つくらなければならない。そのためにいまから準備であるところの法律案を整備するということなんですが、通産省ではこの問題に対して新二十五万都市構想というものをつくっている。建設省では地方中核都市整備法案というのを出されるというように聞いておる。それから自治省では新都市圏整備、これは大体人口二十万から四十万ぐらいの都市を全国六十から八十カ所に、地方に分散させる。それから運輸省ではモノレール法案というのを出そうとしている。農林省では農村総合開発整備構想というものを出して、農村人口が二十五万都市に吸収されて過疎化することのないようにするんだ。ちょっと出ただけでもこれだけの問題がありますので、まとまるときにはまとまるというお話でございますが、私はそれの前提として、たとえばいま濱野行管の長官がいっているように一つの機構というものをつくらなければそういった問題が、一つの二十五万都市の問題だけでも整備ができないのじゃないか。そのために、先ほど私が言いました総合開発庁というものをつくるということなんですが、これを出されているのに、いまだにその関係の建設大臣がその点でまだはっきりとわからないんだ、二本にいくんだか一本にいくんだかということさえもまだ明確でないということは、私は、行管が先ばしっているのか、それとも新都市のつくり方についてまだまだ難問題があるからできないのか、こういう問題に理解しているのですが、私はその点すみやかにはっきりしていただきたいということをいま申し上げているのです。
  73. 木村武雄

    木村国務大臣 ありがとうございます。方向が違っておりませんから、まとまるときには簡単にまとまると私は確信をしております。     〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、機構の統一をはかったほうがいいものやら、機能の統一だけでいけるものやら、そういう点はこれから、しゃくし定木でなく、お役人式でなく、官僚的でなく、私は事実によって解決してみたい、こういう気持ちを持っておるんです。そうでありまするから、その点についてまだきまったものはない。機構を統一しなければできないとも思われない。機能を統一しただけでもできるのじゃないだろうか、かえってそのほうが能率が上がるのじゃないだろうかと、こういうふうにも考えておりまするから、いまだに決定的なものは持っていない、こう申し上げているのであります。
  74. 木野晴夫

    ○木野説明員 日本列島改造につきましての諸施策は各省にまたがる問題でございますが、現在の機構のもとにおきまして経済企画庁はこれを総合調整するという大きな役目を持っているわけであります。私といたしましては、各省とよく連絡をとりまして、その実をあげていきたいと思っているわけであります。  それから行政機構につきましては、各省なわ張りの弊といいますか、縦割りの行政の弊害が出てまいるおそれがありますので、これにつきましては厳にやめるようにしまして、一つの目的に進んでいきたい、こう考えております。  それから総合計画庁でございますか、それにつきましてはただいま大臣から申されたとおりでございますが、私の段階ではまだ具体的に聞いておりません。
  75. 小川新一郎

    小川(新)委員 土地問題についての次期国会に提出する予定の法律案はどういうものが準備されておりますか。
  76. 大津留温

    ○大津留説明員 現在建設省でいろいろ検討の段階でございましてあれでございますが、まだ事務当局考えておるものというふうに御理解いただきたいと思います。土地対策に関連いたしますものとしましては、土地利用計画法案、地方中核都市整備法案、広域生活圏整備法案、特定の土地取引の抑制に関する法律案、地価公示法の一部改正案、人口急増市町村等における公共施設等の整備のための特別措置法案、都市開発公団法案、都市における公園緑地等の整備保全に関する法律案というようなものでございます。
  77. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、瀬戸山大臣は、土地は商品でないという語録を残されました。大臣は、土地ではもうからないものであるという語録を今回残されました。これは土地の神話を打ち破る一つのユニークなことばであると同時に、いかに土地行政がおくれていたかという一つの証左でございますが、この土地問題について大臣は、私権の制限を大幅にするんだ、憲法第二十九条第一項の私有財産権の問題に抵触してくる、こういう問題を踏まえた上で、いまの土地問題がたくさん出てくる。特に私は、先ほど社会党の議員がおっしゃっておったように、企業の土地の買い占め、たとえば東証一部に上場されているところの会社五百七十何社について調べてみた。含み財産が五十四億ある。一千三百社が日本列島三十七万平方キロの一・五%。これは市街化面積に匹敵するのでありますが、そこに人口が約五千万人以上住んでいる。そうして〇・三%の工場土地がある。合わせて大体二%。これに大体日本の人口の大多数が住んでいる。それに匹敵する一・五%を一千三百社の会社が買い占めているという実態が和光証券の調査により、また経済企画庁の土地の大企業買い占め調査により、また建設省の今回の企業の土地の買い占め実態調査により判明いたしました。そこで、いまお聞きしました中に、企業がなぜ土地を買ってもうけるかという、こういう問題にメスを入れるために総合所得と分離課税の問題がありますが、この問題についていまお聞きした法案の中にはないやにちょっと見受けられたように思うのでございますが、企業に対する土地の利潤追求の歯どめ——先ほど大臣はいみじくも申されたように、土地ではもうけられないものである。そして不愉快なものである。この日本列島改造がいま批判されている一つの中に、土建屋的発想である。そしてなぜこういった問題が批判されているかという問題を思い新たにして、大企業すなわち企業の譲渡所得の差益についてどのような歯どめを建設省は行なうのですか。これをまず一点お答えしていただきたい。
  78. 木村武雄

    木村国務大臣 その土地問題なんですけれども、私は不愉快なだけでなくて、そういう行為は唾棄すべき行為だと、こう自分はいま思っておるんです。そうでありまするから、土地ではもうからないものである、土地ではもうけちゃならないものであるというようなものの考え方を、どうしたならばみんなに持ってもらうことができるかということを中心にして、ほんとうにいま考えておりまするが、分離課税をすることにしておったんじゃないかな。——そうだと思いますよ。こっちはそういう考え方ですけれども、大蔵省に目下要望しておる。いまだ大蔵省から返事がない、こういうことです。いまだ大蔵省から返事がない。返事がないということもあまり愉快なことじゃない、こういうことです。
  79. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵省、きょう来ていますね。——はなはだ不愉快であり、おもしろくないということ。聞くところによると大蔵省は何かブレーキをかけているやに聞いているのですが、そんなことはなくて、建設省のこの国民的総意であるコンセンサスを盛り上げるためにも、企業の土地の譲渡におけるところの利益、これは分離課税して個人と同じようにしていくのだ、こういうユニークな画期的な建設省の英断に対して、まさか大蔵省は反対しないと思いますが、いかがですか。
  80. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 お答えいたします。  土地税制の問題につきましては、ただいまお話がございました法人による土地の投機抑制を主として目的といたします譲渡所得に対する課税のほかになお、保有課税あるいは取得時の課税、いろいろな方法が考えられております。したがって、現在では土地の保有課税を強化することが土地税制としては最もオーソドックスな方法だと一応考えておりますけれども、なおこの点につきましてはいろいろ弊害もございますので、この点についてなお慎重に検討をしている段階でございます。  なお、ただいまの主としてお話のございました法人の土地投機に対する分離重課の問題につきましては、分離課税という問題についての法人税法上の技術的な困難が若干ございます。それからデベロッパー、あるいはこれがまあ個人の場合もございますし法人の場合もございますし、それからそういうのでなく、全く投機を目的とした場合の法人の土地所有、これが売却された場合、こういうもののバランスをとりながら課税することがなかなかむずかしい点がございます。それからまた、譲渡所得課税を重課いたしました場合には、土地価格にその税が転嫁されるというおそれもございます。これらの点を全部ただいま慎重に検討を続けております。決して建設省の御意見に対して反対申し上げるような気持ちは全くございません。慎重にかつ十分に検討を進めている段階でございます。御了承願いたいと思います。
  81. 小川新一郎

    小川(新)委員 土地の問題について、法人の土地買い占め状況はもう目に余るものがあるということは、これは全部周知の事実ですね。なぜ、じゃ法人が土地をそんなに買い占めたかというと、日本にいま余っているものは御存じのとおり三つある。一つは銀行の預金が余っている。一つは外貨が余っている。三番目に大企業の設備投資によるところの機能が余っている。なぜ、じゃ銀行に金が余っているかというと、国民はささやかな預金をしながら、自分たちのマイホーム建設のために土地や住宅建設の準備をしている。余った金を大企業が借りて土地を買い占める。そしてその結果においては土地が高騰する。こういうことを繰り返しておったのではいたずらに、その土地の利ざやをもうけるのは、その企業の目的を逸脱した各会社の不動産部によるところの利益の追求にもうおぶさっていくことになる。そこで私がいま聞いている問題は、建設省がこのような問題を出したのに対して慎重かつ十分検討するということですが、大蔵省としてはこの問題については慎重かつ、ということは、前向きにこれを検討し、この問題を十分理解した上で建設省案というものを取り入れるんだ、そして四十八年度の一般会計予算の中にそれを繰り込むんだ、こういうことに理解していいですか。
  82. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 ただいまお話のありましたような点につきましては、われわれも、ただいま法人の土地の投機が非常に盛んで、これが国民経済品に非常に問題だということは十分承知しておりますので、それを十分含みまして、その方向で、またただいまの御意見等も十分参考にさせていただいて検討を続けてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  83. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の決意をひとつ……。
  84. 木村武雄

    木村国務大臣 大蔵省を叱吃勉励してやらしてみたいと思っておりまして、まあこのごろ非常にやっぱり土地に対する限りは私権は制限したほうがいいのじゃないかという声が世論になってきたものですから、そしてそういう世論をおつくりくださったものですから、非常にやりやすいと思っております。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 土地収用法の改正考えておりますか。
  86. 木村武雄

    木村国務大臣 考えておりますけれども……。もう一ぺん考えさしてください。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 考える、二回考えるということは、土地収用法を強化する、そして公共事業を遂行するために必要な処置を講ずるための考え方なのか、それとも土地収用法を弱めるための考え方なんですか。
  88. 木村武雄

    木村国務大臣 とにかく土地を取得しやすいように、何でも考えますよ。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 それは憲法第二十九条の私有権の制限に議論が到達しても、乗り切る考えなんですね。
  90. 木村武雄

    木村国務大臣 世論を背景にして、やるだけのことをやってみたいと思います。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 それ以上のことは責めません。それではまた法律案が出たときに検討するといたしまして、沖繩の土地の企業の買い占め実態は、今回の建設省の企業の買い占め調査の中から、はずれている理由は何ですか。
  92. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 今回の企業調査は、御承知のように東証の一部、二部上場会社についてだけ行なったわけでございまして、沖繩につきましては上場されていませんから、なかったわけでございます。
  93. 小川新一郎

    小川(新)委員 なぜ沖繩のような、新しく沖繩県となって、土地の利用計画が明確でないところ、土地利用区分が明確でないところ、こういうところの調査をはずしたのですか。
  94. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 さっき申し上げましたように、上場された会社だけを対象にしたわけでございまして、沖繩の会社については、先生の御趣旨のように実態調査をする必要があれば別途にする必要があろうかと存じます。
  95. 小川新一郎

    小川(新)委員 沖繩の土地の買い占め企業は、東証に上場されてない会社が買い占めているという理解の上に立ってあなたは調査をはずされたんですか。そんなことないでしょう。三井にしたって三菱にしたって、あらゆる大きな会社は全部東証に上場されている。その会社がダミーを便って沖繩の土地の買い占めをやっている。沖繩は土地の利用区分が明確でない。石垣島なんか何%買い占めされたか。これを調査しなかったら沖繩の土地利用計画はもうめちゃくちゃになっちゃう。この点について……。
  96. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 ちょっとことばが足りませんでしたけれども沖繩の会社、そういう感じで私お答え申し上げたのであって、その上場会社が沖繩において一定のそういう期間におきまして土地を取得したものについては、これはもちろん入っているわけでございます。それがたまたまそういうケースはないということでございます。
  97. 小川新一郎

    小川(新)委員 沖繩の土地のいまの荒廃ぶりは、大臣一ぺん調査をなさったら……。たいへんな問題でございます。わが党はこの問題については別途、いま国土の土地の売買総点検をやっておりますので発表いたしますが、大体いま本土の業者が、日誠総業、三井、三菱、また名鉄、伊藤忠その他の会社がもう殺到しております。そして八重山群島石垣島などはほとんど買い占められた状態であります。それはいま土地の利用区分を明確にしないからこういうことになるのであって、土地の買い取り禁止地域とか買い取り制限地域というものを設けて、無制限で買い占めておるところの沖繩列島について何らかの手をいま打たなければならない。行政処分も辞さないというくらいの考えに立たなければこれはたいへんなことになると思いますが、大臣、この沖繩列島の土地の企業の買い占め作戦の防止についてはどのようなお考えを持ち、それの手を打たれようとしていらっしやいますか。
  98. 木村武雄

    木村国務大臣 至急に、まず大至急にほんとうに調査をさせます。そういううわさは聞いておったのですけれども小川委員の御指摘のようなことだとたいへんな問題だと思いますので、最高、最大、どういう処置が可能であるかということも大至急考えてみたいと思います。
  99. 小川新一郎

    小川(新)委員 国及び公共団体の土地の先買いについては、先国会において土地の先買いの法律が出ましたが、この問題では非常に弱いのであります。先買い制度について、沖繩のようなところ、また小笠原諸島のようなところ、それからまた二十五万都市をつくるところの内地においても岡山県の津山市とかいろいろと発表になっている地点においては、どのように先買い制度をこれから強化するという考えですか。
  100. 木村武雄

    木村国務大臣 先買い制度はほんとうに必要だと思いますから、県や市町村とも打ち合わせをいたしまして、政府で援助するものは援助しまして、ほんとうに早くやらせなければならないと思っておりまするが、どういうようなやり方があるか、こういうようなことは私まだわかりませんから、これも相談いたしまして……相談というのはただ逃げ口上の相談じゃありませんよ。自分で納得いかないと私は返事できないのですよ。そうですから十二分に相談いたしまして後刻御返事申し上げます。
  101. 小川新一郎

    小川(新)委員 日本列島改造の問題で一つ問題点になっているのは、田中総理大臣が総理大臣でないとき、通産大臣の時代に出された本である。しかし総理大臣になった。総理というものは一国の最高の権威者として、男を女に変える、女を男に変える以外のことは何でもできるといわれているくらいの権力を持っている。だから、土地の利用というものを明確にしておいてからその地名をあかすのがあたりまえなのです。ところが先に開発地域の名前をあげておいて、あとから土地の問題に取り組むということで、いたずらに総理大臣の名によって、何々市は二十五万都市をつくる、何々市は工場を誘致する、何々市はどうするということをあの列島改造の本の中に明記されております。すなわち、五十万トンタンカーを入れるところは、北は苫小牧から南は大隅半島の志布志湾まで六カ所ある。そういう地点を明確にしてしまったために土地が急騰しておるわけですが、こういうことについて大臣どのようにお考えになりますか。西欧諸国においてはこういう先例があるのですか。特にイギリスやイタリアにおいてはこういうことをやったのですか。非常に明快を欠いておる。特に私が言いたいのは、昭和四十四年に閣議決定を行なった新全総、その以前にもう下北半島の開発が業者に漏れている。そのために下北半島の買い占めが行なわれている。何のことはない、総理大臣は、あの地域は買っておけ、この地域は買っておけ、ここは発展するぞということを日本じゅうの業者に教えてやって、あとから法律をつくるのであっては、いたずらに土地が上がってしまうのではないか。だからそういう土地については国の網を敷いておいて、土地の先買い制度で国なり公共団体が土地を買いやすくした上で、その以後において民間デベロッパーの土地の買い取りについては自由であるという考え方ならまだしも、そういう手は何も打たないで、土地の先買いの夢と希望を全国国民にばらまいて、土地対策がおくれているというところに今日の土地の高騰という原因がある。おそるべきは、日本列島改造論が発表になってからとんでもない地域で土地が上がってきたということですね。いままでは見向きもしなかった地域で急速に七倍にも上がった地点がある。これをどう思いますか。こういう点についてどのように建設大臣としてお考えを示されるのか。
  102. 木村武雄

    木村国務大臣 田中総理大臣が具体的にその地域まで発表されたということは、私は正直でいいだろうと思っております。しかし、そういう正直な政治に比して財界人の道徳はあまりにも堕落しておる、困ったものだと私は思っておりまするから、何とか、土地は買い占めしておっても、買い占めしてみたからといって、もうからなかったという事実をどうしてつくってやろうか、こういう考えで私はいまおります。何とかして、買い占めしておっても何にもならなかったという事実をつくるにはどうしたらいいだろうか、こういうことで私は土地問題とこれからも取り組みたいと思っております。
  103. 小川新一郎

    小川(新)委員 具体的にはどういう法律案を用意されているのですか。
  104. 木村武雄

    木村国務大臣 極端にいいますと、基本的な考えなんですけれども、具体的なことは申し上げません。私まだわかりませんけれども、やはり皆さまの御協力を得たならばそれ相当の法律はつくれるのじゃないだろうか。御協力なくしてはつくれませんけれども、御協力を得られるような、そして国民感情に合うような法律というものを考えてみたいけれども、やはり具体的に、基本線なんですけれども、私はこういう考えで臨んでみたいと思うのは、国家を形成しておるのは人民と土地ですから、人身売買ができないと同じように土地の売買もするというようなものの考え方、この際はそういう考えで……(小川(新)委員「何だかわからないです、その辺のところは」と呼ぶ)その辺のところはことさらにぼかしたのでありまして……。そういう決心でこの土地問題と取り組んでみたい、こういうことです。
  105. 小川新一郎

    小川(新)委員 人身売買を禁止すると同じように、土地売買も禁止するようなモラルを打ち立てたい、こういうふうに理解していいですね。そのために、それに近づくような法律案を用意したいのだ。ぼかさなければこういう表現になるわけですね。——でありますから、いまの土地問題が人身売買にも匹敵するくらいに、土地というものは日本国民のものである。三十七万平方キロを一億の人間で割りますと一人三千三百何十平方メートルになる。その半分の土地が国の土地、公共団体の土地となりますと千五百平方メートル、そのまた半分が山や川や野原でありますと、大体一人が二百五十坪になるという計算になるのですね。田中角榮さんの財産のことを言っちゃ申しわけないですが、目白の邸宅は三千三百平方メートル、そして軽井沢に九千坪、約一万坪の別荘がおありになる。その方が、三十坪の土地も買えない国民の悩みというものがわかるのだろうかと私はいま非常なる疑問を持っております。素朴な疑問を持っております。その中に立って日本列島を改造なさる。私は、大臣がいまいみじくも申された人身売買にも匹敵するというこの問題提起、この大きな木村語録というものは、将来の名政治家の語録の中に残していきたい。こういう考えの中でいま私は質問戦を展開しているわけでございますので、どうかひとつそういった大所高所から土地問題に臨んでもらいたいのです。  そこで、具体的には第二次住宅建設五カ年計画を改定するお考えがあるのかないのか、どうですか。
  106. 木村武雄

    木村国務大臣 第二次五カ年計画なんですけれども、何としてもいまの住宅建設の進捗のしかたがおくれておるものですから、これは思い切って早めなければならないと思いまして、当局を叱咤勉励、督励しておるのです。それが現在のままでむずかしいということであったならば改定の必要があろうと思います。
  107. 小川新一郎

    小川(新)委員 むずかしいとあれば改定も必要である。私は、公営住宅、公団住宅の賃貸住宅が百十万戸足らず、九百五十万戸の実に七分の一足らずでございますので、どうかひとつ改定をぜひお願いしたい。  そこで、時間がありませんので、公団に五点お尋ねいたします。よろしいでしょうか。一つ、団地サイズの解消は来年度から行なわれるのか。その際公団家賃の値上がりにはならないか。三番、公団住居について家賃の抑制をはかるため資金コストの何%、一%もしくは二%の引き下げをぜひ実現してほしいと思います。足なし団地、欠陥団地の解消についてどのように予算化され、計画をされているのか。この四点をお尋ねして私の質問を終わらせていただきます。
  108. 南部哲也

    南部参考人 お答えいたします。  団地サイズの解消につきましては、ここ数年来段階的にずっと実施してきております。来年度で完全にこれを解消したいということで、現在予算のほうは御要求を申し上げておるという段階でございます。団地サイズを解消すればそれだけ家は広くなりますので、その点についてその分だけの家賃の増はございます。そこで家賃の引き下げでございますが、私どもといたしましては来年度の予算の最重点はこの家賃を引き下げる。現在五%で計算しております資金コストを四%ないし三%という線でこれに主力を置きたい、このように思っております。すでに民間資金あるいは政府資金が三厘だけ下がりました。これは資金コストに連動しております分譲住宅につきましては九月一日から引き下げを行なっております。従来の七分五厘を七分二厘というふうに連動いたしております。それから、足なし、欠陥住宅等につきましては、従来の経験にかんがみまして、これがこのようなことのないようにということはわれわれも必死になって考えておりまして、足の問題につきましては国鉄、運輸省のほうとも懇談をいたし、さらに工事における欠陥につきましては、設計を直すところは直すということで、その分だけ高い単価の予算を現在要求いたしております。コストの引き下げにつきましてはぜひ諸先生方の御協力と御援助をお願いしたい、こう思っております。
  109. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に、川口市に二十七階だか二十九階の超高層団地をつくるという計画でございますが、地元公共団体から反対の声があがっております。二十七階だか二十九階なんといういまだかつてない、そんな高いところに住んだことのない団地をつくることでございますが、一体これは実現するのでしょうかしないのでしょうか、この点だけをお尋ねしておきたいと思います。
  110. 南部哲也

    南部参考人 川口の問題につきましては川口市当局と十分に話し合いをつけまして、ただいま二十五階の線で進めております。二十五階というのは、あらゆるデータを計算いたしまして、現在のところ最も経済的単位といたしまして、高層をはかる場合量高に経済性があり、しかも建築上の安全性があるという確信をもって私どもは提案いたしておるわけでございます。ただ、これを実際に実施するにあたりまして、川口市並びに蕨市と十分に話し合いをしなければいけませんので、現在川口市とは一昨日、さらに蕨市とは明日から折衝をするということで、ぜひ実現をしたい、かように考えております。もちろん地元のもろもろの御要求につきましては、われわれできる範囲のことは全部するという覚悟で進めていきたいと思っておるのでございます。
  111. 小川新一郎

    小川(新)委員 以上、終わります。
  112. 天野光晴

    天野委員長 渡辺武三君。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣お尋ねをいたしますが、大臣は御就任以来いろいろなことについて新聞に発表をしておられます。先ほど来お聞きをいたしておりますと、いやしくも一国の総理に就任する場合はその考え方国民に示すのはしごくもっともなことであるとか大切なことであるとか、さらに国民の声は合掌をして聞かなければいけないとか、いろいろなことをおっしゃっていますが、残念なことに、大臣が御就任になって以来、われわれ建設委員会の場において所信を表明をされたことがございませんね。前回の委員会で確かに御就任のあいさつは二、三十秒なされましたけれども大臣に就任をされて今後どのような建設行所を行なっていくのだ、こういう方針は実は残念ながらまだ示されておりません。にもかかわらず新聞には、あれをやるのだとかこれをやるのだとか、いろいろなことを申されておるわけですが、言われておりますように、いわゆる国民の皆さま方に考えを示すあるいは国民考え方を聞くということは新聞に発表することで事足りるのかどうか、そういうふうにお考えになっておるのかどうか。あるいは、いやしくも国会の建設委員会、これをどのように理解をしておられるのか、実ははなはだ疑問に思いますので、この際ひとつ明確にしていただくと同時に、所信の表明を承りたい、かように考えます。
  114. 木村武雄

    木村国務大臣 建設委員会は一番と尊重いたしております。それから私は新聞だけでいろいろなことを発表しておるのではありません。自分で建設行政について、住宅の問題であったならばその現場を見るとか、それから道路であったならばそれをまたたずねるとか、全部回って歩きまして、事実を確かめながら私は自分の意見を述べておる、こういうことでありまして、ただ何にもしないで新聞だけで発表しておるのではありません。それから建設行政全般に対して施政方針的なことをやれ、こういうお話でありまするけれども、やればこれにこしたことはないと思いまするが、やはりやるときにはやるようにまとまったものをもちまして、そして準備をしましてやるつもりでおりまするが、まだそこまでは考えておりません。
  115. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 よくわからないのですがね。考えておらぬにかかわらずあちこちでお述べになっておるということはどういうことなんですか。建設委員会ではしゃべることはないけれども新聞にはこれからも幾らでも発表していくのだ、こういうことなんですか。建設委員会のようなところでしゃべるには相当しっかりしなければしゃべれないので、建設委員会ではまだしゃべれないが、ほかではしゃべるのだ、こういうことですか。
  116. 木村武雄

    木村国務大臣 そういうように、建設委員会ではしゃべらないけれどもほかではしゃべるのだという意味でほかでしゃべっておるのじゃありませんよ。そういうような事実があって、事実を発表しておるというだけのことであって、その事実というものについてはいろいろな角度から話をしておるというだけのことでありまして、何だかほかを尊重して建設委員会を尊重しないように、そういうようなものの考え方なんかはいささかも持っていないということだけは、どうか御了解してくださるようにお願い申し上げておきます。
  117. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いろいろ歩いてみてその事実を知って、その事実だけを発表しているのだ、こうおっしゃいますが、そうじゃないでしょう、新聞を見たって。新しい政策がどんどんと発表されているのですよ。これは事実といえるのですか。私の考え方はこうなんだよということをどんどん発表されているのですよ。大臣が外をお歩きになって実際にごらんになって、いやこういうふうだった、そういう事実だけを発表されているのじゃないですよ。将来に向かってのいわゆる建設省としての政策を各面にわたって発表されているのですよ。私はあなたが就任以来の建設行政に関していろいろ発表なされた新聞を全部スクラップして持っております。これは政策じゃないのですか。事実ですか。
  118. 木村武雄

    木村国務大臣 どうもそういうものをお持ちくださいましてありがとうございます。一つ建設行政というまとまった構想を持ちまして、その構想に基づいてこうだああだといって、たとえばそういうことは建設委員会で発表すべきものであるけれども外で発表すべきものじゃないというようなことでないと私は思っております。私がそのつどそのつど話し合いをいたしましたのは、大体その事実によって話し合いをしたのであって、たとえば下水道の問題であったならばこういう考えを持っておるとか、道路であったならばこういう方針でいってみたいとか、こういうようなことでありまして、きちっとまとまったものじゃない、こういうことなんであります。その過程において発表したものである、こういうことなんであります。
  119. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 お考えがまとまっていないにかかわらずいろいろ断片的に発表されるということは、そのお考え方自身がまた変わること等もありまして、たいへん遺憾なことが出てくると思うのです。建設大臣はこう言ったじゃないかということが当然あとからいろいろ出てくると思うのです。にもかかわらず実際はいろいろの面についてもうすでに発表されておるのです。ところが、人間ですから、一たん発表しますと、あとからいろいろ意見を聞きましてもどうしても自分の意見を通したがる弊害が現実には出てくるのですよ。だからその辺も相当注意をしてもらわないと、新聞に出まして、建設省方針でこうだといわれますと、私ども建設委員会の委員ですから、いろいろ国民の皆さん方からこれはどうなっているのだと聞かれる。ところが肝心の委員は全然わからない。それで、新聞に発表したことについて私ども建設省に資料を要求いたしましても、新聞の発表よりももっと大ざっぱな資料しか私どものほうは手に入りません。たとえば具体的な道路五カ年計画にいたしましても、私がいただいた建設省の資料よりも新聞のほうがうんと詳しいのです。なぜ新聞に発表して、議員に渡されないのですか。
  120. 木村武雄

    木村国務大臣 道路問題について詳しく私が話をしたということはあまりないようですか、どういう内容の問題をたとえば建設委員の方がお聞きになりまして、建設省に問い合わせをされて、それを建設省が資料も出さない、それより以上のことを私が話をした、こういうことでありましたならば、どういうことを私が話をしましたか、そこ、でちょっと話をしてみてください。
  121. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臨みずからが言われないことでも、あるいは建設省として言っていることもあると思うのです。私が問題にしておるのは、そういう考え方がずっと流れておるから問題だということであって、たとえば建設省が第七次の道路整備新五カ年計画というものを、これは発表されたからか新聞記者がキャッチしたか知りませんが、いずれにしても新聞に掲載をされておる。しからば第七次道路整備五カ年計画なるものをいただきたい、こういうふうに要求をいたしますと、たいした資料は私どもには来てないのです。まだ最終的に固まっていないからと、いまの大臣答弁とまるで同じことなんです。
  122. 木村武雄

    木村国務大臣 新聞以上のものが建設省にありまして、そいつを委員から要求されて提出しなかったなんということは許されないことですよ。そんなことは私はさせておりません。そうであったならば即座道路局長にその話をします。あなたが要求されて新聞以下のものしか渡さなかった、事実があるにもかかわらず、そんなことは許されないことです。そんなことがあったとしたら……。そんなことがありましたか——ありませんか。
  123. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いま大臣がおっしゃっておるように、その過程において断片的にやっているのだ。大臣の姿勢そのものがそうなんだから、結局向こうも、問い詰めていけば、その過程において断片的なものなので全部まとまっておらないのだから、確定的なものじゃありませんから全体的な資料は出せないのです、こういうことになってくるのですから、大臣がとっておる姿勢と同じことなんですよ。
  124. 木村武雄

    木村国務大臣 そんなことは許されないことなんですよ。あなたのことばはですよ、その新聞記事に発表した以上のものがある、あるにかかわらず、委員から要求されて、建設省委員の要求にこたえなかった。そんなことは許されないことなんです。そうですからそう私は申し上げておるのです。そんなことが一体あったのですか。あったならばあったとおっしゃいよ、抽象的でなく。委員というものは一番尊重しておるのですから、新聞以下の資料しか渡さなかったなどということはたいへんなことですよ。それは私の精神に反しますからね。もしもそんなことをした者があったならばそいつは許しませんよ。
  125. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 これは七月二十四日の毎日新聞に載った道路整備新五カ年計画、新聞のスクラップです。私がその記事を見まして建設省に要求いたしました資料がこれなんです。この二枚だけです。この内容を見ますと実は新聞のほうが詳しいのです。私が要求して、もらった資料はこれだけなんです。
  126. 木村武雄

    木村国務大臣 それは確かめてみます。
  127. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 確かめなくても事実です。そのまま持ってきたんだから。ぼくはうそを言っているわけじゃないのです。
  128. 木村武雄

    木村国務大臣 うそを言っているわけじゃないでしょうけれども、その辺はもう一ぺん話をしてみます。
  129. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 ですから私は、大臣の姿勢として、そういうことを基本的な問題としてお聞きをしておるのです。そういう方向でいろいろお話しになっておるものが、われわれ建設委員会の席上ではまだ何らお話しになっておらない。ところが大臣いわく、それは断片的に過程において発表したんだから、あるいは新聞記者がキャッチしたんだから、まだ実はまとまっていないのだ、いわば発表する段階ではないのだ、こうおっしゃるわけです。これもそういう精神と同じことなんですよ。
  130. 木村武雄

    木村国務大臣 それは私の精神について疑われるのであるならば、私はどうしてもあなたに申し上げておかなければなりません。私は道路については、たとえば高速道路は何本にしなければならない、それから国道は何本にしなければならない、市町村道はどうしなければならぬということ全体について、私自身は意見を述べたことはありませんよ。そして、高速道路というものは、日本列島改造論によりますと十年の間には、六十年までには一万キロにしなければならない、現在では七千六百キロである、二千四百キロは足さなければならない、そういうことについてどことどこを足すべきであるかというようなことは、私自身が私の足で歩いて確かめてみよう、こういうことで歩いております。そして一万キロにしなければならないという意見は述べたことはありますよ。しかしどことどこをどうしなければならないとか、国道についてはどうであるなんということを言ったことはありませんよ。新聞記事がどこからどういうようにそのことをキャッチされてきたか知りません。その新聞記事というものが決定的なものであるかどうかということも私はいまのところわかりません。しかしあなたに対して建設省が、新聞記者に話をした記事よりも不親切であったとすれば、それは許されないことである。私はそんな気持ちで国会議員とおつき合いいたしておりません。それを、君の精神はそんな精神かなんて、私の精神が疑われるのであるならば、私はそれはあくまでも解明しなければなりません。そんな気持ちは持っておりません。ほかのことであったならば別ですよ。こういう点で失敗がありはしないか、こういう点で間違いがありはしないかと言われるなら別です。しかし私の精神について疑われるのであるならば、私はどこまでも釈明しますよ。
  131. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そういうことがないんだとおっしゃっておりますから一応信頼をしておきますが、事実は、こういうことはきょう始まったことじゃないのですよ。実際いままでいろいろなことが新聞に出てしまう。建設委員会は全然知らなかったということが従来も往々にしてあった。従来も問題になったことがあったのです。建設委員会の議事録をひもといてみればわかります。それが依然として続いておるということを私はいわざるを得ないのです。大臣自身がいま盛んに弁明しておられるようなことは、今回あらためて起こった問題ではない。いろいろ従来もあった。何とかそういう方向は変えていかなければいかぬ、こういう気持ちを私ども持っているのです。たまたま大臣は新しくなられた。新しい気持ちでこれから建設行政に取り組んでいこうとなさっておられる。ところが、委員会が開かれた、大臣の所信表明はいつまでたってもないわということですから。いまおっしゃっておるように、大臣一つ一つこまかい点にまで実際に足をお運びになって、それを確認をされて、それから政策を決定されていくということはたいへんけっこうなことだと思いますが、ところが現実には、そういうこまかいところまで一々大臣が行かれることは不可能なんですね。方針としてお示しになることはあると私は思うのですよ。それから具体的にそれが肉づけをされていく。その方針すら実際にはまだお述べになっていないわけですね。そういうことを私は言っているのですよ。確かに「四十八年度建設省重点施策」というものは私は拝見をいたしました。ところが肝心の建設委員会では大臣からは何も御発言がなかった。どういうふうにやっていくんだということは資料としていただいておりますが、これは一体だれに向かっていっておられるわけですか。
  132. 木村武雄

    木村国務大臣 私は委員会に臨みまして、質疑に対してお答えしておるのですよ。そうですから、建設行政に対する所信を表明せよ、こういうことでありましたならば、お答えするような、質疑応答という形でなく、全体の構想を述べながら、そして全体にわたって自分の所信を述べなければならない。そういうことが必要であったならば、私は準備いたしまして、それはやりますよ。しかし、委員会というものはそういうものじゃなかったんじゃないだろうか。質疑に対して答えるのが大臣の責任だったんじゃないだろうか。質疑に対して答えなかったならばおしかりをこうむってもけっこうなんですけれども、全体の建設行政に対する抱負経綸を述べよ、述べないのはけしからぬ、こういうように言われますると、述べなければならない必要があったならば、ほんとうに準備をして述べさせてもらいますよ。そのかわりそれは長くなりますよ。
  133. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣がおかわりになったときとか、新しく年度がかわって四十八年度の方針がどうだとか、これは常識的にそういう方針をお述べになるということが普通だと私は思うのですよ。たとえ年度の途中でおかわりになっても、新しい大臣はこういう方針でいきますよ、これが私は普通の状態じゃないかと思うのですよ、実際は。その必要性があるかないかすら疑わしいというような大臣の御発言は、私はちょっといただけないと思うのですよ。現実にもう前の大臣とおかわりになったわけですからね。新しく就任されて以来、私はこういうことにひとつ重点を置いてやっていきますよというお話は、残念ながらまだお聞きしていないのですよ。だから、大臣委員会の質問に答えさえすればいいんだ、答えなかったらそれは重大問題だけれども、所信表明までやる必要があるかどうか、こういう感覚は私ちょっと理解に苦しむのですよ。前佐藤総理の考え方のように、政治は継続しているんだ。確かに継続はしておりますが、やはり重点施策なりいろいろな方向というものが変わってくるわけでしょう。それが証拠に、冒頭に申し上げて指摘をしておりますように、これからの建設行政の施策の方向を従来と非常に変わった方向、あるいはより強化したような方面にもっていく、そういうものが断片的に述べられておるわけですから。そうでしょう。だから、少なくとも大臣がおかわりになれば、当然冒頭に所信表明をなさるのが普通の状態じゃなかろうか。実はこの前の委員会で問題になった。なったんだけれども大臣は非常に時間があれだし、委員会の都合もあって、あの日は就任あいさつだけにとどめてもらいたい、こういうような意見もありまして、わずか二、三十秒だけの就任あいさつで終わったと思うのです。きょうは大臣就任の所信表明、新しく大臣になられた大臣のこれからの建設行政に対する所信表明が当然なされるものだと思って実は出席してきたのです。ところが何もない。こういうことですよ。どうなんだろうかということでお聞きしておるわけです。
  134. 木村武雄

    木村国務大臣 あらためて所信表明をやらしてもらいます。
  135. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 総理もそういうことで、準備ができていないから臨時国会は開会しないとか、所信表明はしないとかいうことで今日まで延びております。いろんな御都合があろうかと思いますが、いずれにしても、少なくとも意欲を持って政権獲得のために努力をされたはずなんですよ。だとするならば、われもし政権を獲得せばどういう方向でいくんだということは事前にわかっていなければならぬ。政権を獲得してから、これから勉強するんですよとか、いろんなものを歩いてみなければわからぬとか、そういうのはいわば詭弁ですよ。そう思いませんか、大臣
  136. 木村武雄

    木村国務大臣 私は詭弁だとは思っておりません。それは建設省がつくったものをそのまま棒読みするのであったならば、そんなものは簡単ですよ。しかし、そうであってはいけないと思っておるのです。いやしくも政治家がそういうような地位についたならば、やはり自分で確かめながら、これは確実だと思って、そして信念を持って、自信を持って述べるのが正しいことであると思っておりまして、ただ単にお役所のつくったものを棒読みするのであったならばそんなものは意味ない、こう思っておりますから、自分は自分なりの努力をして自信のある政治をやってみたい、こういう考えでおるのでありまして、そういう点では人並み以上の努力を払っておるつもりなんであります。それを詭弁であるなどと言われるのであったならば、私といたしましては非常に心外なことだと思っております。
  137. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 ことばのあやでやりとりしておってもしようがありませんが、いやしくも、建設省が、お役人がつくったものをそのまま棒読みするとかなんとかいう、そのこと自身、実は私にはわからないのです。少なくとも大臣が新しく就任されたんだから、これから建設行政はこういうふうにしていきますよという方針を示される。その方針に従って、建設省のお役人がそれを具体化するためにいろいろ肉づけしていくのではないですか。その方針が示されておりませんよということを言っておるのです。事務当局とは関係ありません。それとも方針まで事務当局につくってもらうのですか。そうじゃないでしょう。少なくとも大臣のお考え方が骨子になって一つ方針として出されて、その方針を具体化するためにこれから事務当局は働いていくのです。だから大臣が基本的な方向を早く示されるべきじゃないか、それに基づいて事務当局が具体化をしていくものだと私は思っておるのです。事務当局の具体化してきたものを総合して、それからその上に大臣方針がつくられるとするならば、これは本末転倒ですよ。何も事務当局の作文を棒読みしてくださいなどと言っておりませんよ。少なくとも新しく大臣に就任されて、これから建設行政の基本はこうしていきますよ、こういう方向を何らかの形で示されるということはあたりまえじゃありませんか。
  138. 木村武雄

    木村国務大臣 ありがとうございます。そういう線で私の方針をこの次に述べさせてもらいます。ただ、自分は自分の方針示したからといって、そのとおりに行なえるかどうかということを確かめてみたい。そして自分の方針はこうであったとしても、それが現実に合わなくてそのとおりにいかなかったとすれば、方針方針倒れになってしまいますから、そうでないものにしてみたいと思って自分は努力しておるだけのことなんであります。そうでありますから、自分が自分でからだで当たりまして、そして自分の考えどおりいくかいかないかという問題について、言いかえれば建設行政に対する施政方針というのですか、そういうようなものはまとめまして、後刻意見を述べさせてもらいます。
  139. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 その問題は次回の委員会で述べられるということですから次におきまして、次に移りたいと思います。  いろいろ断片的であるにせよ、大臣がいろいろな面で新聞に発表されております。私は、少なくとも目下の緊急事は、建設行政に関する限り、やはり住宅問題であろう。その住宅問題の前提として土地問題があるのではなかろうか、こういうふりに考えておるわけです。そこで、過日来新聞紙上にあらわれました新大臣の方向等を拝見をいたしていきますと、地価の抑制等々の施策は、いわゆる法人の土地買い占め等に対しても、何とか分離課税をして、先ほどもお話があったと思いますが、その利益には九〇%近くの課税をしていきたいのだ、こういうことを言っておられます。ところが反面、田中総理自身は、基本的な気持ちとしてどうか知りませんが、ことばの上であらわれてくる問題は、法人税をペナルティー的に使ってはいかぬとか、いろいろなことを言っておられるわけですよ。暗に、建設大臣が言っておられますこの構想に対して、われわれが見ればきわめて消極的であるというふうにしかとれないような発言をなさっておるわけですね。御存じですか。大臣自身は、法人が土地を取得して売買した場合には、従来分離課税がなされていなかった、これを分離課税にして、九〇%、相当高額な税金を課していきたいのだ、こういう方向をお述べになっておるわけですが、総理自身はそうは言っておられないのですね。総理自身は、法人税をペナルティー的に使うということについてはやはり問題だ、こういうことを現実に言っておられるわけですよ。その総理の考え方建設大臣考え方が、土地の分離課税の面で大きく食い違っておるのではないか、こう考えるのですが、その辺はいかがでしょうか。
  140. 木村武雄

    木村国務大臣 総理に聞いてみませんからわかりません。
  141. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 あまりぶっきらぼうな答弁で何ですが、現実に新聞にそういうことが載っておるのですよ。だからこの辺が非常に問題ではなかろうか、こう思うのです。建設大臣としては少なくともこういう考え方でいくのだ、先ほど答弁しておられたと思いますが、そのお考え方には変わりございませんか。たとえ総理の反対があろうともこういう考え方を貫いていくのだ、こういう解釈でよろしゅうございますか。
  142. 木村武雄

    木村国務大臣 私の話をしたことについては責任を持ちます。
  143. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 責任をどういうふうにお持ちになるか知りませんが、少なくともこれは、先ほど大臣が基本的におっしゃったように、断片的な中の考え方なんだから——私はそういう意味で追及しているわけじゃありませんよ、確定的なものとして。断片的な中の考え方なんだから、あるいは変わることもあり得るでしょう。しかし総理はこう言っておられます。にもかかわらず建設大臣としてはこういう方向でやはりがんばっていかれるお気持ちですかということを聞いているのですよ。もう少し親切に答弁してください。
  144. 木村武雄

    木村国務大臣 自分の述べたことに対しては自分が責任を負う、こう言っておるのでありまして、軽率に、責任を負わないようなものを、それから途中で変更するような意見は、やはりこの立場に立って述べられませんから、それは責任を負う、こうお答えしたのであります。
  145. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そうすると、具体的にこの分離課税の九〇%取り立てというものもその範疇に入るのでございましょうか。
  146. 木村武雄

    木村国務大臣 そういう考えで、ぜひそういうように立案してもらいたい、こういうことは事務当局に指示しております。
  147. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 建設省考え方としてはわかるわけです。また、そうやっていただきたいと思いますが、なかなかそれは大蔵省なりいろいろなところの意見も入ってまいりまして、最終的にどうなるか本来わからぬわけですね。建設省はこういう方針で進んでいくのだ。これはそう進んでもらいたい。われわれもそう思っております。したがって、いろいろ横から入ると思いますが、とにかくそういう方向で地価抑制のためにひとつ十分に努力をしていただきたい。私どもはこれだけではまだまだ実は不十分だと思っておるのです。地価の抑制という問題は、こういう税でもって、所得税あるいは法人税に限らず、税によって地価の高騰を押えていこう、いわば地価の抑制をしていこうということが本来的に効果があるかどうか、これは従来の経過から見ても実は非常に疑問に思わざるを得ない。税金をたくさん課税をされれば、最終的にやはりその土地を必要として三十坪なり、五十坪なり、最も自分の家を建てるために最小限必要としている人々が結果的には全部負担をしてしまう。中間の人が幾ら税金を高くかけられても結果的にはそういうことになってくるというのが現実に従来の例です。したがって、税だけで地価の抑制ができるかどうかというのは非常に疑問ですし、まだまだ本来的にもっと根本的な問題としてやはり考えなければいけない問題が私はあるのではないだろうか、そういう面についてもやはり十分にひとつ御研究をいただきたい。  こういう問題は前々からいろいろいわれておりまして、地方公共団体の土地の先買い権だとかいろいろなことがいわれておりますが、依然としてやはり地価の高騰は抑制されておりません。普通の物価の四倍も五倍も実は上昇が激しいわけなんです。土地さえ買っておけば銀行に金を預けておくよりももうかる、こういうのがいま実際の姿なんですね。したがって、そういう状態を何とかしなければならぬ。これがやはり一番困っておる庶民の住宅、これに一番大きな問題になってくるのです。一生懸命にこつこつと働いて貯金をして、もう十年先、十五年先を見通してお金をためていっても、その時点にくれば残念ながらもう建たないのですよ。そういう状況なんです。だから、いまの計画で何年後には建つようになるのだ、こうおっしゃっておっても、なかなかそうではない。これは建設省がお立てになっている住宅計画を見ましても、実際に地方公共団体がつくっておる公共住宅、これなんかも、いろいろ割り当てがいきます。予算がつきます。ところがもう建設しておるうちにいろいろなものが上がってしまって、当初の計画ほど建たない。実際にはこれが実情なんですね。しかも、建設省が定めておる建設単価というものは一般の実勢価格よりも低いところにある。その実勢価格よりも低いところに建設省の価格があって、それによってお金が出されてきますから、実際にその工事主体者となって公共住宅を建てる地方公共団体はいわゆる超過負担に悩んでしまっておる。現に昨年度の予算編成にあたって、東京だとか神奈川だとか愛知だとか大阪の地方公共団体建設省がお呼びになって、地方で建てる公共住宅をもっと促進をしてもらいたいという要請をなさったはずですが、いずれもノーという返事が出ているはずなんです。なぜノーになるか、結局はそういう問題があるわけですよ。もう負担にたえ切れない。無理をして建てようと思えば非常に高額な土地を買わなければいかぬ。とてもそれまでは建設省は補助を出してくれない。地方財政が破綻をしてしまう。こういうところに私は大きな問題があるのではないだろうか。  そういうふうに考えていきますと、これはやはり土地問題というのは相当重要な問題である。それにはやはり一日も早く相当画期的な政策が確立をされていかなければいけないのではないだろうか。そういう意味でもやはり一日も早く方向というもの、方針というものが具体化をされなければいけないと思うのです。この「昭和四十八年度建設省重点施策」というパンフレットを見ましても、あまり従来と変わった方向は出されておりません。はたしてこの地価公示制度そのものだけで、現在高騰を続けておる地価が抑制できるだろうか、はなはだ疑問と思わざるを得ないのですね。確かに書類の上ではこれでいいのだということができるかもしれませんが、現実の問題として、やはり売買をされるときには表の金と裏の金というのがある。私もしろうとでよくわかりませんが、表は何ぼで裏は何ぼですよと、こうやっているのですよ、公然と。もう空洞化しているのですよ。またそう裏金を払わなければ土地が入手できない。だから、書類の上では土地公示価格制度というものがあって、適正な土地価格を公示をしてやればそれに見習って地価の高騰は押えられていくんだと、こう言えるのですが、現実はそうじゃないのです。ここは坪一万円ですよ、ただし裏金は三万円ください、こういうふうで実は現実には売買がされておる。大臣、御存じですね、そういうこと。
  148. 木村武雄

    木村国務大臣 知りません。知りませんけれども、そういうことですかね。——ちょっと答弁してみてください。実際問題、うそでない答弁をしてもらいたい。そういうことがあるとすれば、そういうことがあるなりに考えなければならぬのだから——
  149. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 地価公示制度につきましては、いま地価公示をしている価格は正常価格ということになっております。正常価格というのは、いろいろな売買にあたりましては特殊な動機というものがございます。早く買いたい、早く売りたい。たとえば地方に転勤するから一週間以内に売らなければいけないとか、どうしても駅前のこの土地を買いたい、そういう特殊な動機というものを除いたその価格がいわゆる正常価格といっております。仲値ということばでもいわれておりますけれども、そういう価格を地価公示ということで公示をいたしております。御承知のように、この公示価格は公共用地の所得にあたりましてはこれを規準にするということで、実態調査をいたしましても、現在公示されておる地点におきましてはすべて規準にいたしておるわけでございます。不動産鑑定士の鑑定評価からもそういうことになっております。しかし、先生の御趣旨は、一般の取引にあたってはこれはあまり利用されないじゃないかということだろうと思います。この点につきましては法律上も単に目安ということであって、これを規準にして取引をすることが義務づけられていないわけでございます。そこでこれをどうするかという問題でございますけれども、私どもといたしましては、来年度以降早急に全国土にわたりましては、地価公示制度というものを拡充強化するということによりまして、これを規準にして、その重点施策にも書いてございますように、公的ないろいろな評価、課税上の評価その他も出してまいりたい。そういうことによりまして土地有効利用に資するという意味の土地対策を推進する。同時に今後の地価対策——四十八年にはそういうものの整備が重点になりますけれども、そういうものが全国的に整備されました二、三年あとにおきまして、これをもとにして、これをいかにして守らせるかということにつきまして、これはなお検討事項でございます。来年度ただちには、これは地価公示制度が完全にできない間はできませんけれども、たとえば土地高価譲渡所得税というものをつくりまして、この地価公示制度というものとリンクさせまして、実際の価格がこの地価公示価格以上であったらそれを法律によって課税するということによりまして、この地価公示価格を守らせる、そういうようなことができるわけでございます。その前提としましてまず地価公示制度を拡充強化したいということでございます。それからもう一度先生の御質問の点を繰り返しますと、価格そのものが正常価格ということでございますから、取引によりましては、特殊な動機によりまして違うこともあろうかと存じます。
  150. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 地価鑑定士がございますね。これは非常に人数が少なくて、その資格を取るためには国家試験があってなかなかむずかしいわけです。私はよく知りませんが。したがって、私が三重県を視察したときに、三重県に何人おるのですかと聞いたときにも、一人しかおりません。一人の人が三重県じゅうの土地を全部知っておるわけではございません。どういうふうに具体的にやられているかというと、その資格を持った人が出張してその土地へ行って、いわゆる不動産業者を回って歩くわけです、十人か十五人。一体この辺の地価は幾らでしょうかと聞いて歩いて出たものの平均値が、何のことはない、地価公示価格だ、こういうことになっておるようですね。たまたまその不動産業者がその辺の聞かれた土地を持っておるやつだとなるとたいへんなんですよ、さあこのときだとばかり多少上のせして言いますから。そういうのが十分に見抜けて、十分に実情がよくわかって、そしてほんとうに公正にやられるならばいいのですが、むしろその制度が逆用されて地価が公示されたためにかえって土地の騰貴を招いた、こういう例も実はあるわけですよ、残念ながら。これはデメリットとしてあがってきておる。だからそういう欠陥を十分に御承知になって——ほんとうにこの地価公示制度だけで地価の騰貴が押えられるものかどうか、私は非常に疑問に思わざるを得ないわけです。だからもっとやはり別な角度でこの土地騰貴という問題については取り組まなくちゃいかぬじゃないか。これは何回も同じような質問が出ているわけですけれども、これが十分に行き渡ってやっていけばいいんだとおっしゃっております答弁も私は知っておりますが、しかしいままでの経過から考えてみて、私どもはそれだけでは土地の騰貴を押えることはできない、残念ながら。だからここに新しく何らかの強力な方向が出されなければいかぬじゃないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  151. 高橋弘篤

    高橋(弘)説明員 先生のいろいろな御趣旨、よくわかります。土地対策につきまして何らかの効果のある施策を講ずる必要があるわけでございます。先ほど申し上げました点は、地価公示制度の拡充と、これをどういうようにして守るような方向になる政策が講じられるかということについて申し上げたわけでございます。  もう一点それについて申し上げますと、さきにも申し上げましたように、地価公示制度が全国土に行き渡りましてこれができ上がりますと、課税の評価もこれによって一元化される。そういうことによりましていわゆる保有課税というものが適正に評価される、適正に課税されるということによりまして、大規模な土地所有、先ほどから問題になっております法人の大規模な土地所有、空閑として、利用されないで土地を保有している、そういうものにつきまして税が適正に課税されるわけでございます。そういうことによって、先ほどから大臣がいろいろ申されておりますように、土地を投機的に、利用しないで持っていることが得でない、そういうことにこれはなるわけでございます。つまり、法人が土地を保有する場合におきましては、銀行からお金を借りるということによって買うことが多かろうと思います。いわゆるそういう金利とそれから地価の上昇との比較、関連の関係で、土地の保有が得だということでそういう土地買いが多くなるわけでございます。この点につきまして、これは税その他の負担が非常に多くなりますと得でなくなるわけでございます。そういう相当の金利によりましてお金を借りて、そうして土地を保有しても、税金その他の経費でこれは得でなくなるということが土地対策上非常に効果があろうか、土地の有効利用上効果があろうかということがもう一点一言えるだろうと思います。  同時に、この方法以外に、先ほどからいろいろ問題になっておりますところの、何かそういう土地の投機的な取引というものに即効的に効果のあるものが必要であるという意味から、これは詳しく申し上げませんが、第一点は法人の譲渡所得に対しまして高率の課税をするという方法、それによりましてやはり投機的な土地の買収及び譲渡というものが得でないということにいたしたいということと、もう一点は、そういう一定規模以上の土地取得にあたりまして、これの届け出制度というものを設け、届け出に基づいて、その取引が不要不急であるとか土地利用の目的に合致していないときはこれを中止勧告する、その他の規制の方法も目下検討いたしておるわけでございまして、そういう方法は来年直ちにこれは成立させまして、そういう関係方面に私ども努力をいたしまして、投機的な取引の抑止をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  152. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 問題は残りますが、時間がありませんのでその次に移ります。  住宅金融公庫の方々に来ていただいておりますので若干御質問申したいと思いますが、これも七月十日の日に、これは大臣が就任早々だったと思いますが、従来の住宅金融公庫の融資限度額を三百万から四百万程度に引き上げたい、こういう構想をいわば新聞発表しておられるわけです。そこで、従来住宅金融公庫が貸し付けをしておりましたのは、昨年度、法改正になりまして百五十万、老人のある者に対しては百七十万でしたか、これが限度として貸し付けられておるわけですが、その場合に、現在の住宅の実勢価格というものがあると思います。そこで標準家屋で一体どの程度の——二DKなら三DKという一つの標準家屋が出てくると思いますが、その実勢価格とその開きが相当あるわけですね。今回この四百万にかりに引き上げられた建設省計画は、土地の購入費も含めて四百万ということですから、実際にはまだまだこれは相当問題が残ると思います。そこで、住宅金融公庫側から見た従来の貸し付け限度額で一体どの程度の所得階層がこれを利用しておられたか。これはまあ非常にむずかしい問題だと思いますが、わかっておりましたらひとつお聞かせ願いたいということと、それから、これは前にも申し上げておきましたが、一応予算がきまって、それからでないと住宅金融公庫はいわゆる融資の申し込みを受け付けない。受け付けば先にやるかもしれませんが、実際の審査はそれから開始なさる。したがってそれが決定するまでには相当な年月——年月とはいいませんが、月日がたってしまって、実際に借りられるのか借りられないのか、この辺がまずはっきりしない。しかも早く契約しないとどんどん値が上がっていってしまうというような場合、たいへん利用者が困っておる場面が多いわけです。そこでこの前私が提案しておきましたように、つまり、予算はきまらなくても一応前から受け付けて、そして審査を済ましたらどうだ、予算がきまった時点でそれが早急に決定通知が出せるような方法、こういう方法をひとつとってもらいたい、こういうふうに申し上げておいたわけですが、その後住宅金融公庫としてはどのような方策でこれに対処しようとなさっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  153. 淺村廉

    ○淺村説明員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫の融資額はおかげさまでだんだん伸びてまいっておりまして、ただいまお話がございましたように、現在のところでは都市におきまする木造住宅は百五十万円、それに、これもお話が出ましたとおり、老人対策といたしまして、申請があればさらに二十万上のせできる、こういうことでやらせていただいております。しかしまだまだこれでは不十分でございまして、いろいろと私どもも今後努力をいたさなければなりませんが、来年度の予算の要求といたしまして、ただいまお話がございましたように、トータル四百万円の貸し付けを行なうことにいたしたい。これは全力をあげてひとつこの線を確保したいということでただいまやっております。もちろんこの場合も老人対策というものがつけ加わります。これは要求としてはさらに十万円ふやして三十万円、全部乗せれば四百三十万円というものを都市の木造住宅の場合は融資額にいたしたいということでやっておるわけでございます。その四百万円も、先生ただいまお話ございましたとおり、いまのところは百五十万円、これは住宅に対する建設資金でございます。これは土地費を入れておりません。その百五十万円を今度は二百五十万円に上げよう。そのほかに土地費として百五十万新しくお貸しをしよう。こういうことで合計すると四百万ということになるわけでございます。  そこで、これは仮定でございますからまことに権威のない数字でございますけれども、私なりにいろいろ試算をいたしておりまして、たとえば土地を買って家を建てる、こういう場合に一体どういうことになるのだろうか。これはいま非常にやりにくいことでございまして、特に先生いま御承知のとおり大都市周辺ではこのようなことはどんどん困難になってまいっておりますが、かりに都市で土地を買って住宅を一軒建てるということにすると、少なくとも八百万円ぐらい持っていなければできない。これはそのぐらいでできるかというような意見がすぐ出るのでございますが、平均的にものを申しまして八百万ぐらいなくちゃならぬだろう、そういうふうに私は考えます。そうしますと、現在は百五十万しか融資いたしておりませんので約二割弱にしか当たらない。そうするとお客さんは別の金融機関からまた借りなければならぬということがございます。これが四百万に上がりますとちょうど半分の五割になり、お客さんも非常に楽になる、こういうことでございます。それから土地は相当前から持っておって家だけ建てたいので貸してくれ、こういうお客さんに対してはどうするか。現在そういうお客さんが多いのでございますが、今度は百五十万の住宅に対する融資額をただいま申し上げましたように二百五十万に上げようというのでございますので、これもだいぶ楽になる。そうすると、住宅一軒当たり三百五十万から四百万というところじゃなかろうかと思います。そういうことを考えますと、百五十万円のときは約四割であったものが、今度来年、予算の折衝がうまくいきまして予定どおり四百万ということになりますれば、住宅の部分は二百五十万でございますので、住宅について比較をいたしますと約七割ぐらいの融資になる、こういうことで非常に楽になってくるのではなかろうか、こういうことを私も考えております。したがって申し込みもたいへんふえてくるものと——数字の点はまだ予想できませんけれども、相当大幅な需要の増になってあらわれてまいるものと思っております。  それから、ただいまお尋ねの住宅金融公庫はどのような階層に対して融資をしておるかというお尋ねでございますが、これはたいへんむずかしい調査でございまして、実は絶対正確だとも言い切れませんが、一応調べております数字を申し上げますと、これは四十六年、昨年の私どもの扱いましたものが一体どの程度になっておるかこれはいろいろございますけれども、六万円から八万円ぐらいの月収の方が一七%ぐらいおいでになっておる。数字がこまかくて恐縮でございますが、ちょっと申し上げますと、八万円から十万円ぐらいの方が二一%いらっしゃっておられるそれから十万円から十二万円が約一八%来ておる。十二万円から十四万円が十三%、かような数字でございます。結局六万円から十四万円ぐらいまでの層が六九・二%と過半数を占めておるわけでございまして、かねがね私ども国民大衆を相手にする、特に中堅所得層を対象にした住宅融資を行なう機関であるといわれておりますので、そのようなところが私どもの需要層であればまあまあいいところではなかろうか。しかも、もうちょっとつけ加えますと、結局私どもにおいでになりますいろんな層のお客さんの平均の月の収入は大体十一万七千円ぐらいでございます。それから総理府の統計調査で、これは四十五年でございますけれども、全国の勤労者世帯の実収の平均が月に約十一万三千円と出ておりますので、まあちょっぴり私どもは高いようでございますけれども、まあまあのところをいっておるんじゃないか、かように考えております。これが最初の御質問に対しまする私のお答えでございます。  それからもう一点は、実は先般も先生から私は御指摘を受けております。そのときもるるお答えを申し上げておきましたが、実は先生のおっしゃいますように、毎年どうせ予算がつくんだから、予算のつく前から、前年度から仮受け付けをやって、資格審査をやっておいたらどうかという、まことにごもっともなお話でございますけれども、しかし私どもはそうまでいたしませんでも、金融機関に受託業務を委託しておりまして、その金融機関が大体心得てやっておりますので、私どもとの間にいろいろな書類の往復だのいろいろございますけれども、そういうものは早くやっておいて、そうして私どもから、さあ受け付けてくれと言ったときにはすぐ受け付けられるような体制に金融機関を置いておくということで私は十分ではなかろうかと考えております。一歩進めて、お客さんに対して予算のきまる前から受け付けを開始していろいろなものを出していただきましても、ただいまお話し申し上げましたように、貸し付け額につきましても予算で大幅に増加を要求しております。きまりますと従来とはうんと変わってしまう。まあいろいろございます。そういうのはそのとき直せばいいということがあろうかと思いますけれども、やはり全国に三千五百ぐらいの金融機関の窓口で全国的に扱っておる仕事でございますので、あまり複雑にいたしますとかえってお客さんに迷惑をかける。そこで、私どもは受け付けについては、やはり予算がきまってから受け付けを開始する。ただその開始の時期が、予算が四月にきまって五月に入るというようなことではこれは申しわけないと思います。ことしは実は予算の関係、法律の関係がございましたので、五月の二十日に受け付けをいたしました。しかし昨年は四月の二十日に受け付けております。これもずいぶん私ども急いでやったつもりでございますが、さらにこれを急ぎまして、二十日といわず十日あるいは五日ぐらいに受け付けてしまおう、どんどん前向きにやるように私はいま考えております。それから今度は、お客さんが申請書をお出しになったあとの、お貸ししますというまでの時間がかかるじゃないかということも従来よく言われたことでございますが、これも手続をどんどん簡素化しておりまして、ただいまは、これはお客さんが一応銀行の窓口に申し込み書をお出しになる。そうすると私どものほうに連絡がありまして、それで信用十分なお方ということであればすぐさまお貸しいたしますという御返事をするわけです。ただお客さんはその設計のほうを審査してもらうという仕事が残ります。これを公共団体に私どもいまやってもらっております。これも公共団体が非常に急いでやってくれておりまして、それでそういうものがすべて整いますと直ちに私どもは正式の貸し付け契約をするわけでございます。それにいまのところ、一番長くかかって三週間ぐらいになっております。しかしこれをもう二週間ぐらいに縮めようとか、もっと縮めようとか、いろいろ努力をいたしておりまして、おっしゃいますようにこれはどんどんサービスを改善いたしまして親切にすべきものと思っております。今後ともなお検討いたしてまいりたいと考えております。
  154. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 あと一点だけお尋ねしますが、いわゆる住宅金融公庫は個人融資がすべてではなくていろいろなことをおやりになっておるわけですね。たとえば中高建築の民間デベロッパーに対する融資、これもおやりになっておると思います。この中高建築の民間デペロッパー等が借りられる額というのは、建築費の何%くらいまで融資がされているでしょうか。
  155. 淺村廉

    ○淺村説明員 これは私どもの計算では大体六割か七割というくらいなところを目安に置いております。なお、いまお話のございました民間のデベロッパーが建設をしてそのあと分譲するという場合には、今度はその分譲価格の頭を押えております。千二百万円以上のものではいけない。私どもの融資額は一戸に対して二百万円を限度にする、そういう結果になるように、全体最初から、融資をするというような操作も加えておりますが、大ざっぱに申しますと六割から七割くらいのところにいっておると思います。
  156. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それは従来の融資額でそうなっておったわけですね。いわば個人貸し付けは百五十万というときにそういう割合になっておる、こういうことですね。
  157. 淺村廉

    ○淺村説明員 さようでございます。ただ、いまの個人貸し付けと申しますのは木造住宅でございまして、個人の場合でも木造でない家をお建てになる方もございます。これはいろんな計算がございますけれども、二百万円近く現在もお貸しをいたしております。そういうようなことで大体このバランスをとりながらやっておるわけであります。
  158. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、いまお聞きのように、中高建築の場合は従来とももう建築費の六、七割は融資しておるわけです。ところが一方個人住宅の自分で家を建てる人たちは、住宅金融公庫から全額融資をもらっても三割か四割——四割も満たないと思いますが、現実にはその程度しか融資がされてないのですよ。それを業としておる人たちはたくさん融資があって、実際に自分の家を建てようとする人は非常に少ない融資しかない、こういう現実です。いま構想をお持ちになっておる四百万がまるまる通ったとしても、実際はまだ五割に満たないわけです。そういう実情ですから、大いにがんばって、必ずこれは実現するようにしてください。要望して終わります。
  159. 天野光晴

    天野委員長 浦井洋君。
  160. 浦井洋

    ○浦井委員 建設行政全般についてはひとつ大臣の所信表明を期待して待って、そのあとでやりたいと思うのですが、それがやられない前でも、多くの国民は緊急に何とかしてほしい、特に建設行政にかかわる問題でたくさんの要望を持っておるわけです。そこできょうはその中の一つの問題を取り上げてみたいと思うのです。  それは土地区画整理事業の問題。四十七年の建設白書に、土地区画整理事業についてこういうふうなことが書かれております。「既成市街地における生活環境の整備」、それから「新市街地における良好な住宅地の大量供給」、さらに「新市街地における開発の誘導などを目的として、今後の市街地整備の主導的役割りを」土地区画整理は果たすのだ、こういう表現になっております。これはあとでも申し上げたいと思うのですが、田中総理の日本列島改造論の中でも、土地区画整理事業というのは相当重要視されておるわけなんです。私自身も、この建設白書に書かれておるようなたてまえと内容とがきちっと一致しておれば、決して土地区画整理事業に反対をするものではないわけなんです。これは日本で半世紀以上にわたる歴史を持った非常に練り上げられたやり方だというふうに考えておるので、全面的に否定はするものではないのですが、ところが実情は、現在特に既成市街地における土地区画整理事業、こういうものに対して、それに関係のある住民から相当強い批判であるとかあるいは反対運動、こういうようなものが最近とみに強くなってきておる。少し古いですけれども、一昨年の暮れの統計では、私が調べたところでは、全国的に組織がはっきりしておるところで、約二百くらいの団体はこういう面開発の土地区画整理事業にいろいろ批判的な運動をして、事業も滞っておる、こういう結果が出ておるわけなんです。そこで大臣に総括的にまずお聞きしたいのですけれども、本来そういう住民の住環境を整備するということでなければならぬ土地区画整理事業を実施していく上で、なぜこういうような現象が起こっておるのか。住民の抵抗が非常に強くなっておるのか。この辺について総括的な大臣の御所見を最初にお聞きしたい。
  161. 木村武雄

    木村国務大臣 まあいろいろな事情があると思いまするけれども、額面どおりにいかないということですね。     〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 それも一つじゃないかと思います。それから、担当するお役人の不親切も関係するのじゃないかな。そういうようなものはケース・バイ・ケースで一つずつ取り上げて、その場所で解決してあげたいものだ、こういうふうに思っております。とにかく無理をしないことですね。そういう考えで私はそういう問題と取り組んでいきたいと思います。
  162. 浦井洋

    ○浦井委員 額面どおりにいかない、それから個個のケースについてお役人が不親切だ。まあ当たっておる面もあるだろうと思うのですが、また必ずしもいまの区画整理事業の円滑でない真因をついていないという面もあるように私思うわけです。そこでひとつ大臣に具体的に知っていただきたい問題があるわけです。というのは、私ここにちょっと地図を持ってきたのですが、これは兵庫県の加古川市が施行者になって、そして事業の名前をいいますと、東播都市計画事業新野辺南土地区画整理事業というものがやられておる。これは区画整理方式でやるということで、四十四年の三月の二十日にここで区域決定をやっておる。そして事業計画の認可は四十七年の一月の五日なんです。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、この区域決定をやった四十四年の三月二十日の直前、四十四年の三月十一日に、この中のまん中の部分ですね、赤で塗ってあるところ、ここを用地買収をやったということで、市長はこの権利者、地主と契約書を取りかわして、ここへ道路をつくってしまった。この道路は四十五年三月の三十一日にもう完成しておるわけです。この道路は、この南側に神戸製鋼の加古川工場があるんです。膨大な敷地です。神戸製鋼のこの正門の前から国道二百五十号線に至る別府野口線、幅員二十メートルの道路、こういうことになる。問題はそれだけではなしに、さらに市議会では四十三年度の決算で、この道路用地の買収費用として九千九百万円余りが払われたということで認定をしておるわけです。ところがこの道路の権利者、地主ですね、地主と市長の間で取りかわした契約書を見てみるとこういうことが書いてある。簡単にやりますけれども、日付は四十四年の三月の十一日ですね。市長はこの道路の用地買収の代金を支払わない。支払わないが、土地所有者、権利者はその代金を受け取ったという受領証を市に提出する。これが第一。第二に、そのかわりに地主、権利者は全体の区画整理事業が行なわれるときに、相当分の換地を市長より受け取る。それから、この九千九百万円余りの用地買収費は管理者負担金として市が使用する。こういうような、区画整理法という法律を無視してといいますか、軽視して、しかもそれに悪乗りをするような強引なやり方が四十四年の三月十一日に行なわれているわけです。  そこで私は尋ねたいのですけれども、一体こういうことがまかり通ってよいものかどうかという問題なんです。具体的にいいますと、この区域決定をやる前にここを買収して地主と契約を結んでおるわけですが、その契約の中で、区画整理をやった暁には換地をいたしますよという約束をかわしておる。こういうようなことが一体法的に認められるのかどうかという問題、これはひとつ都市局長にお聞きしたいと思うのですが、そういう問題がある。  それからもう一つ、現実にここの土地区画整理がやられたという場合に、この道路用地以外の権利者はやはり減歩されるわけですね。この道路用地分を含めた全体の減歩率に応じる義務が一体こういういきさつから見てあるのかどうかという問題、これが第二。  第三に、これはもう全体として明らかにこういうやり方は区画整理法の第一条といいますか、第二条といいますか、に全く違反しているというふうに思うわけでございますけれども、この点についてひとつ建設省としての見解をお伺いしたいと思います。
  163. 吉田泰夫

    吉田説明員 ただいまお話のございましたような詳細は、遺憾ながらまだ承知しておらなかったのでございますが、もしお話しのように、区画整理の用地の中で、先に道路用地をいわゆる買収という方法によって地主と売買するというような、仰せのとおりのようなことでございますと、これは法的に非常に問題だと思います。普通は、区画整理の事業の中で管理者負担金として道路用地分を道路管理者から受け入れ、これは個々の地主に渡さないで事業の費用に入れ、一方、急ぐところの道路だけは区画整理の中の事業として早目に始めるというようなことをやっておることはございます。そういうことは許されるわけでございますが、いまおっしゃるようなことで処理しているとすれば非常に問題だと思います。したがいまして、二番、三番の御質問につきましても、実態は、そのような道路管理者の負担金を入れて区画整理をやったつもりで、それに合うような処理をするつもりであったかと思いますが、実際に買収価格として金を渡さずに受領証を取って、それは区画整理事業ではないということであれば、その分は区画整理から実体上はずれておりますから、それも含めた減歩に応ずるというふうには法律上も仕組まれておりませんし、全体として非常に問題のある処理だと思います。
  164. 浦井洋

    ○浦井委員 わかりました。この点はひとつ建設省としてもよく調査をしていただいてやっていただきたいと思うのですが、さらにまだ悪いことがある。というのは、神戸製鋼の加古川の工場のすぐ北側に二万二千三百坪のグリーンベルトがあるわけです。そのグリーンベルトは当初土地区画整理事業の範囲内に入っておったわけです。ところが四十六年の三月に、市は公害防止に使うという名目でこのグリーンベルト地帯を神戸製鋼に無償提供をしたわけなんです。ここで時価約十億円だというのです。こういう場合、全体としては区画整理事業の中の住民は二五%の減歩に応じなければならぬといわれておる。だからグリーンベルトが入っておればそれだけ住民の負担というのは軽くなるわけなんです。神戸製鋼から清算金も取れるだろうし。それをこのグリーンベルトをはずされたために、区画整理事業の区域が非常に狭くなって、ここの住民は非常に過重な負担に泣いておるわけなんです。さらに、そういう便宜を加古川市の都市計画担当者がやったために、その中に醜関係があって、ここに神戸新聞の切り抜きを持ってきておるのですが、「どこまで腐る加古川市都市計画でもゆ着」ということで、ここでこういう特別な配慮を市が大企業にやってやったために、その中に汚職が発生しておる。これは課長は逮捕されて懲戒免職になった。こういう事態が発生しておる。ところがさらに、神戸製鋼は市から公害防止という名目で譲り受けたこのグリーンベルト地帯の一部分に営利を目的とするボウリング場を建設して、いま営業中なんです。こういうむちゃなことが日本の国でまかり通っておるわけなんです。大臣、一体どう思われますか。さらに言うならば、この根は深いわけなんです。昭和三十六年の十一月の六日に、工場誘致条例によって兵庫県と加古川市と神戸製鋼の三者の間で誘致に伴う三者協定を行なっている。その中の十四条には、兵庫県及び加古川市は、神戸製鋼の工場誘致に伴い、加古川市の都市計画を実施するものとする。工場誘致を核にして、それを基本にして都市計画を実施するというようなことをやっている。こういうことがいまから十年前に協定が行なわれておる、こういうことなんです。こういう実情を一体大臣はどのように考えられますか。
  165. 木村武雄

    木村国務大臣 いいことじゃないと思います。
  166. 浦井洋

    ○浦井委員 都市局長、どうですか。
  167. 吉田泰夫

    吉田説明員 内容も私ども十分承知しておりませんでしたが、やはりおっしゃるような実態がそのままであればかなり問題だと思います。かりに善意に解釈すれば、神戸製鋼に提供した市有地——市有地だと思いますが、その分は区画整理の事業費に市費として入れるということで、区域内住民への負担はないと市は考えたのかと思いますが、とにかくやり方が——区画整理の中での土地を単独で売るということもできないはずですし、かりに善意に解したとしても、その手段、やり方に非常に問題があると思います。
  168. 浦井洋

    ○浦井委員 それが実情です。そこで、私はこういうけしからぬことはもう絶対に許せぬ。建設省がこの点について強力な指導をしなければいかぬ。そこでいまこの区画整理の区域決定をされた住民は、こういうようなむちゃな区画整理事業は反対だ。住民も自分たちの地域は整備しなければいかぬとは思っているのですよ。整備をしなければいかぬけれども、こういうむちゃなやり方には反対だということで、もう一度計画を白紙に戻せという住民運動が、それこそ燎原の火のごとく広がっている。だから国としてもこの意向を十分に受け入れた善処をひとつ要求したいというふうに私思います。時間がないので、一言だけその点について答えていただきたい。
  169. 木村武雄

    木村国務大臣 十分に調査いたします。お話をお聞きいたしますると、不法でもありますし、不当でもあります。そういうことについては建設省だけでなく自治省とも相談いたしまして、十二分に考えさしてもらいたいと思います。考えるということは、考えておくだけじゃありません。それは何らかの形で表明しておきたいと思います。
  170. 浦井洋

    ○浦井委員 そこでもう一つの例をあげたいのですが、これは既成市街地を私は申し上げたいのです。既成市街地で行なわれておる区画整理事業というものに非常に問題があるわけなんです。先ほども建設白書を私読み上げましたけれども、本来区画整理事業というのは生活環境が整備されるというのが目的であるはずです。それが、区画整理事業をやったために生活環境が悪化するような例がたくさん出ておるわけなんです。これは大臣も十分御承知だと思う。というのは、たとえばここに一つ例を持ってきたのですが、これは神戸市の国際港都建設計画で、そして東灘山手地区土地区画整理事業、こういう事業があるわけなんですが、神戸市の「神戸の都市計画」というパンフレットを見てみますと、この区画整理事業の目的というのは生活環境の整備でなしに、「山手幹線の貫通をおもな目的として」区画整理をやりますということをここに書いておるわけなんです。だから、こういうように考えていきますと、一体現在既成市街地でやられておるところの区画整理事業というものは何なんだという矛盾に私逢着せざるを得ないと思う。大臣、御承知かどうかわかりませんけれども、この神戸市の東灘山手のほうは、これはもう日本でも芦屋などと並んで屈指の住宅地なんです。そこへこういう形で幹線を通して、そうしてそれより少し狭い道路を縦横に通すという計画ですから、これはいろいろな害が出てくる。減歩によっていままでよりも密集し、高層化するだろうし、そうするといろいろなプライバシー問題であるとか、あるいは日照権の問題も出るし、それから車が多うなりますから、騒音、排気ガス、振動、さまざまな公害が出てくる。だからここでもやっぱり「東灘山手地区環境を守る会」というのが、一流企業の部長級も含めて住民の全部を集めて、この区画整理事業に反対しておるというような事態が起こっておるわけなんです。  これは二つの例をあげただけなんですけれども、一度この辺で区画整理事業というものの本来の趣旨、こういうものに立ち返って、いまはやりのことばで言いますならば原点に立ち戻って、大臣、もう一ぺん再検討すべきではないか。全国的に総点検して、そうして特に既成市街地で行なわれておる区画整理事業というものをもう一ぺん再検討すべきではなかろうかというふうにさえ私は思うわけなんですけれども、その問題についてひとつ大臣お答え願いたいと思います。
  171. 木村武雄

    木村国務大臣 おっしゃるとおり、それは再検討する必要があると思います。その二つの例から推して、大体そういうような傾向にあるのじゃないだろうかとほぼ想像がつくのです。それで、今度の日本列島改造はそういう高度経済成長の中の国土建設じゃありません。高度福祉国家の中の日本改造、こうなっておりますからそういう観点から立ってもやはりそれは再検討する必要があると思いますので、それは再検討させてみます。全体について再検討させてみます。そういうような御指摘、事実ですから、ありがとうございました。お礼申し上げます。
  172. 浦井洋

    ○浦井委員 日本列島改造論が出たのですけれども、その中で見ますと、日本列島改造論は区画整理を非常に重要視している。この方式で都市の再開発をやる。そして先ほど私、神戸のここで言いましたように、もっと高層化をはかって、そして七階以下の低層は制限するのだというようなことを書かれておる。さらにこの区画整理の期限が切れて民間が実行できないときには都市開発公団がこれを代行するというようなことで、いまの区画整理方式、手法といいますか、これを非常に重相して、これでやればどんどん公共用地はでき上がるのではないかということを謳歌されておるのが私は日本列島改造論ではないかと思うのですが、その点について大臣どうですか。
  173. 木村武雄

    木村国務大臣 私はあながちそういうふうに解釈していないのです。やはり大都市の再開発にいたしましても、新しい都市の建設にいたしましても、人間が住みよい社会をつくるということが願いですから、私は日本列島改造はそう解釈しておりませんから、あなたの御指摘のとおりに在来の区画整理というものには欠点があるのではないか、こう想像いたしますので、そういう点で再検討しまして、改めるべきものは改めさせなければならない、こう思います。
  174. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一つつけ加えますと、区画整理で交換分合をやって、そして減歩をやるということで、いままではそれでその地価が上がって、そして等価交換になるというような理屈で減歩が合法的にやられておったわけです。しかしこの神戸のこういう密集地帯、既成市街地なんかで幹線道路が通って、そこを一日何万台もの自動車が通るというようなことになってまいりますと、現実に阪神間ではこういうところは軒並みに地価は停滞しておるか、あるいは低下しておるわけです。だから減歩の一番の根本の理論である等価交換というようなことがここで破綻をしておる、こういう点も大臣ひとつ考えていただいて、強力な手直しを私は期待し、要求したいと思うわけです。  そういうことでもう一つの問題は、よく区画整理、都市計画について私ここでお話をしたときに、建設省側は、都市計画についても区画整理事業についても、縦覧期間も置き、意見書も出せるようになっておる、審議会も委員を選挙して、そこで十分民主的に住民の意見を聞くような仕組みになっておりますという答えが返ってくるわけです。ところが大臣も実際に御承知のように、決してそれが十分なものではないわけなんですよ。現実にいよいよの局面が来たときに初めて住民が事態を知るということで、非常に形式的になっておるということはいなめない事実なんです。だから今後は、大臣、そういう発言をされたわけですから、ひとつ形式的でなしに実質的に住民の意見を聞いて——住民、そこに住んでいる人がその地域をどう改良していったらよいかということを一番よく知っているわけです。そういう意見をもとにしてこの計画をずっと積み上げていく、決して上から都市計画あるいはそれの一手法としての区画整理事業というものを押しつけないという考え方をひとつ貫いていただきたい、このように私要望したいわけです。ここでひとつお答えを願います。
  175. 木村武雄

    木村国務大臣 もちろん住民の意見を聞いて、そして住民の意見をその区画整理に生かさなければならない、生かすということが一番正しいことである、こういうふうに自分も考えております。ただ、いま主での行政から見てなかなか行き届かない。ほんとうに行き届かないのですよ。お役所なんか最も親切であるべきなんですけれども、それが逆な面がたくさんにあるものですから、そういうような場所をあなたのほうで発見されましたならば、どうか遠慮なくおっしゃってくださると非常にけっこうだと思います。そういう点でやはり喜ばれる生きた政治をやっていきたい、こういう考えでやっておりますから、どうかひとつ何なりとも遠慮なくおっしゃってくださるように……。
  176. 浦井洋

    ○浦井委員 最後に、通産省、来ておられたら、これは簡単になにしますから。  前国会で工場再配置促進法が成立をして、そして地域指定がやられるということになっておるわけですけれども、私はこの地域指定の場合に自治体なんかの意見を十分に聞かなければならぬのではないか。そしてその地域の実情に合ったような指定をやるべきではないかということを要望したいわけなんです。その実情をひとつお答え願いたい。いままでの地域指定の作業の実情、段階ですね。これが一つ。  それから具体的に、これも神戸の問題で恐縮なんですけれども、神戸は今度通産省の案でいきますとほとんど全域が移転促進地域に指定されるというようなことになっておるわけです。これは市長なりあるいは市議会のほうから要望書が出ておると思うのですけれども、こういう指定のやり方は不適当だという意見が強いわけです。具体的には北神地域であるとかあるいは臨海埋め立て地、こういうところは除外して、いまやられている近畿圏の工場制限法、これのとおりにやってほしいという意見が出ておる。これをひとつ要望しておきたいと思います。御意見を賜わりたいと思う。それから第二には、神戸市が現在造成中の西神地区工業用地については誘導地域に準ずるものとして取り扱ってほしい。それから第三には税制等による立地規制が行なわれる際には、都市立地を必要とする都市工業、特に地場産業、港湾関連業種並びに経営基盤の弱い中小企業については規制対象から除外するよう特別の措置をとってほしい。こういうことはもうすでにそちらにいっておると思うのですが、この四点について最後に通産省の御意見をお聞きしておきたい。これで私の質問を終わりたいと思います。
  177. 三枝英夫

    ○三枝説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問のまず第一点の移転促進地域につきましての設定の手順でございますが、先般通産省で、これは前国会で御審議過程におきましても地元の意見をよく聞いてということでございますので、それにつきましての一応たたき台的な原案は御提示しなければいかぬということで、法律の趣旨に即しまして、大都市及びその周辺の地域の工業の集積の程度が著しく高く、当該地域内にある工場の移転をはかることが必要な地域ということで、事務的な考え方のもとに各通産局を通じまして各府県に御連絡申し上げ、それに基づきまして御意見をいただきたい、こういう手順を踏みまして、現在各地からその御意見が集まっておるという現状でございます。そこであとこれをどう持っていくかということでございますが、その中にはいろいろ、まだ県あるいは市と御意見の合わない点等もあるやに聞いておりますし、さらに関係省庁、特に圏域官庁等の御意見、この辺も踏まえまして、いま鋭意調整をはかっておるところでございます。  御質問の中の神戸市に関連した御要望、これも私のほうで十分伺ってございます。まず第一点の、移転促進地域につきまして近畿圏の既成都市区域の工場等の制限に関する法律、これによって定めております工場等制限区域に限定すべきではないか、こういう点でございますが、これは神戸の実情等よくいろいろ承ったわけでございます。もちろんこれは神戸だけの問題ではございませんで、そのほかの大阪、東京あるいは名古屋というような点との関連、横のバランスの問題等もございます。ただ、いろいろお話を承った際に、たとえば中小企業を市中の過密のところからそういう臨海に出すとか、いろいろごもっともな御説明の点もあります。ただ、全般的にここら辺の事情をそのほかの各地のものも承っております。その辺あわせまして、これもやはり圏域官庁及び関係省庁十分御連絡、調整の上決定してまいりたい。十分尊重してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから二番目に、神戸市の西神地区の工業団地の問題でございますが、これは誘導地域には入らない、白地地域、あるいはとり方によっては移転促進地域というようなかっこうになるわけでございます。この辺につきましては準ずる取り扱いで手厚い支援措置ということになりますと、この地区そのもの以外に白地地区というのはあるわけでございますが、いわゆる白地地区の相当部分のところというのは、中立的に置いておきましても相当やはり立地条件のいいところが多うございまして、相当工場の移転集中あるいは集積というものは進むわけでございますので、さらに列島改造論の基本的なねらいでございます太平洋ベルト地帯から非常に過疎の裏日本中心の方向へ大きく、大筋論として振り向けていくという観点で手厚い施策を進めるということにかんがみまして、遺憾ながらそれと同じような施策対象にこれをのせておくというわけにはちょっとまいらないんじゃないかというふうに考えます。もちろんそれが中小企業の集団でもってやる団地であるとかというようなことになりますと、これは現在も中小企業振興事業団その他で、団地造成のために非常に安い二分七厘という金利で助成手段はございます。さらに来年度もまたそういう点をねらいまして施策を手厚くするということを考えられておりますので、そちらのほうの施策に期待していくことになろうかと考えております。  第三の税制等による立地規制の具体的なもの、これは来年度税制問題をどうするか、この辺はいろいろ構想の段階でございまして、政府部内で最終的な統一した方針というのは出ていない段階でございます。したがいまして、本日お答え申し上げますのはあくまでも通産省として構想として描いておる工業再配置税というような観点で、構想としてのお答えということで御容赦いただきたいと存じますが、神戸市からいろいろお話を承っております中で、移転促進地域、白地地域において立地している既存工場はもちろんはずせということは、白地のほうはいろいろの考え方も別にございますが、少なくとも移転促進地域について既存工場をはずせ、新規増設だけという御趣旨だろうと思うのでございます。これはそういう大きな目的のために、もし税ということを考える場合には、その立地工場はそういう地域に立地しておりますいろいろな集積のメリットを受けておるわけでございます。そういう点に着目いたしまして既存工場は少なくとも対象にせざるを得ない。これはそう申し上げざるを得ないと存じます。白地地域につきましては、その中で全域を課税対象にするというような誤解がだいぶあるように私ども承っておりますけれども、これは白地地域のうちのごく一部、移転地域に準ずるようなかなりの稠密な傾向を持つところを、たとえば調整地域というような名前にして、そういうところにつきましては増設だけを対象にするというような形が望ましいのではなかろうかという構想でおります。それから、お話の中にございました地場産業あるいは中小企業等の関係でございますが、この辺はいかなる形で税を組む場合におきましても、特別の配慮ということは当然考えなければならぬというふうに考えておる次第でございます。  以上でございます。
  178. 天野光晴

    天野委員長 次回は、来たる十月十一日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会