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1972-09-12 第69回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年九月十二日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 細田 吉藏君    理事 江藤 隆美君 理事 佐藤 守良君    理事 徳安 實藏君 理事 山村新治郎君    理事 内藤 良平君 理事 田中 昭二君    理事 河村  勝君      小此木彦三郎君    關谷 勝利君       塚原 俊郎君    金丸 徳重君       久保 三郎君    斉藤 正男君       中谷 鉄也君    松本 忠助君       宮井 泰良君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 佐々木秀世君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   竹岡 勝美君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       小林 育夫君         通商産業省重工         業局自動車課長 中村 泰男君         通商産業省鉱山         石炭局鉱業課長 斎藤  顕君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       小林 正興君         運輸省自動車局         整備部車両課長 飯塚 良政君         運輸省航空局長 内村 信行君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 九月十二日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     中谷 鉄也君 同日  辞任         補欠選任   中谷 鉄也君     斉藤 正男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(過疎地域私鉄事業に関する  問題及び自動車排出ガスに関する問題等)  航空に関する件(航空路線の開設に関する問題  等及び新関西国際空港建設に関する問題)  日本国有鉄道経営に関する件(財政再建に関  する問題)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 細田吉藏

    細田委員長 これより会議を開きます。  先般、陸運海運航空日本国有鉄道経営及び港湾等に関する実情調査のため、島根県、鳥取県及び大阪府に委員を派遣いたしました。  これより派遣委員から報告を聴取いたします。徳安實藏君。
  3. 徳安實藏

    徳安委員 委員派遣に関する調査結果について御報告申し上げます。  派遣委員細田吉藏君、田中昭二君、小峯柳多君、井野正揮君金丸徳重君、松本忠助君、内海清君及び私の八名であります。  派遣期間は、八月二十一日から二十四日までの四日間であります。  松江市及び鳥取市におきましてそれぞれ島根県、鳥取県の運輸事情及び運輸省出先機関業務概況を、米子市におきまして日本国有鉄道米子鉄道管理局業務概況を、また大阪国際空港におきまして輸送状況等説明をそれぞれ聴取いたし、なお大山隠岐国立公園観光事情もあわせて調査いたしました。  視察のおもなものを申し上げますと、西郷港、別府港、国賀港、境港、鳥取港の輸送現況及び港湾整備状況出雲空港隠岐空港鳥取空港大阪国際空港輸送現況及び空港整備状況出雲日御碕灯台業務概況並びに鳥取高架化工事状況等であります。  なお、調査の詳細につきましては別に報告書委員長手元に提出しておりますので、それをごらんいただきたいと存じます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  4. 細田吉藏

    細田委員長 この際、おはかりいたします。  提出されております調査報告書は、これを本日の会議録に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なり」と呼ぶ者あり〕
  5. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 細田吉藏

    細田委員長 陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  7. 久保三郎

    久保委員 大臣は間もなく来るそうでありますから、その前に……。これは鉄監局長にお伺いするのが筋かと思うのでありますが、国鉄仲裁裁定実施することになりましたが、その事後処理というか、そういうものはどういうふうにされて実施することに相なったのか、この点、まず第一にお聞きしたい。
  8. 秋富公正

    秋富説明員 今般、仲裁裁定実施につきましては、六月二十三日の閣議におきまして、これを完全実施するようにすみやかに財政上の措置検討する、こういう決定があったわけでございます。さき国会におきまして再建法運賃法法案廃案になりました結果、国鉄財政上にはいろいろと重大な影響を及ぼしておるわけでございますが、損益勘定面におきましては約九百三十二億の収入欠陥を出しておるわけでございます。  これにつきまして、いわゆる裁定に必要な金額は七百五十二億でございましたが、私たちといたしましては、再建債に相当いたします長期借り入れ、これは運用部資金から八百三億借り入れるという措置をとったわけでございます。  第二は、いわゆる工事費補助金の受け入れでございまして、ことしから一般平均金利と四・五%の差額までを補給するということにしたわけでございます。昨年までの五・五%と四・五%との差額が三十七億でございまして、この工事費補助金を投入するということにいたしましたのが第二でございます。  なお、それ以外に、経費節約等約九十二億、これをいたすことによりまして、損益勘定不足額九百三十二億円について財源措置を講じ、これによりまして予算上可能と認めましたわけで、今回閣議了解を取りまして、また閣議決定をいたしまして、国会に御通知申し上げた次第でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、全体として今年度予算はどういうふうになる予定でございますか。それを大ざっぱでけっこうですから。
  10. 秋富公正

    秋富説明員 ただいまは損益勘定の面を申し上げたわけでございますが、これが工事勘定のほうに及ぼす影響が大きいわけでございます。と申し上げますのは、当初の予算におきましては、損益勘定から資本勘定へ千七百十九億繰り入れる予定にいたしておったわけでございますが、この千七百十九億と申しますものが資本勘定へ繰り入れができなくなったということが一つあるわけでございます。なお、これ以外に一般会計への出資金が六百十六億予定いたして、予算上もさき国会でお認めいただいておるわけでございますが、これもまだ出資できない状態でございます。合わせまして約二千三百億と申しますものが、工事勘定におきます影響といたしまして、これは私たちが今年度当初五千五百億の工事考えておりましたのに比べまして、約四割の不足という状態が生じておりまして、これにつきましては私たちは鋭意今後この工事のおくれがないように、工事不足にならないように、財政当局と今後もなお積み上げをやっていきたい、こういうふうに考えております。
  11. 久保三郎

    久保委員 いまの、先般の廃案になった法案による六百十六億の出資はどうしてできないのか。どうしてできないのかというのは、なるほど再建法に基づいたいわゆる工事経費工事資金に充当するというひもつき出資はもちろんできないかもしれない。しかし、一般的に日鉄法によって政府出資することができるのでありますから、この六百十六億には色はついてないはずです。ですから、当然この六百十六億は予算に組んであるはずだ。一般会計から国鉄出資に振り向けるべきだと私は思うのです。その辺は大蔵省との間でどんな話になっているのか。
  12. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま久保先生の御指摘のとおり、日本国有鉄道法によりましても出資ができるわけでございまして、現に四十六年度におきましては三十五億の出資をいたしたわけでございます。再建法によりまして新しく、毎年国鉄出資することができる、こういう規定を入れたわけでございまして、この点につきまして、御指摘のとおりどこまでが日国法に基づいてできるものか、どこから先が再建法でないとできないかという法解釈問題並びに全般的な再建問題とのからみ、こういうことにつきまして、財政当局のほうといま十分に打ち合わせを進めておるという段階でございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 あなたもしろうとでないので、いろいろ申し上げる必要はないと思うのですが、どうして法的の解釈に疑義があるのですか。再建法でなくちゃこの六百十六億はできないという規定はどこにあるのか。予算を組むときに、それは法律がなくても予算措置はできるのですよ。そうでしょう。そういうのにかかわらず、いまのよう財政当局との間に話が合わぬというのは世間をばかにした話じゃないかと思うのです。それじゃ、財政当局はどうしようというのですか。そこまで話はしてないのですか。
  14. 秋富公正

    秋富説明員 話が合わないとまで言っている段階ではございませんで、先般十六条の問題処理いたしました時点では、この出資問題といわゆる十六条の問題は別個でございましたために、切り離して検討を進めたわけでございまして、これにつきまして全く意見が対立しておるという事態ではございませんで、この問題はただいま申し上げましたように、国鉄工事がおくれを来たさないようになお鋭意話し合いを進めているという状況でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 そんなに熱心に話をする必要はないと私は思う、単純かもしれませんが。なるほど法案が通っていれば文句はないかもしれません、きちんと書いてあるのですから。だけれども日鉄法によってこれはできることになっているので、予算はあるのですから、これは出資しますという一言で、もういいのじゃないですか。少ししつこいのじゃないですか。これは大臣レベルお話ししたほうがいいのじゃないですか。もはや次の通常国会も間もなく来ようという段階に、六百十六億が宙にぶら下がって、国鉄財政というか全体としてはまだ見通しがきかぬ。いまの御報告だと、大体四割の工事費はストップというか、押えております。それはいい、それはいいけれども、あと四割を解除するのかしないのかわからぬでは仕事のやりようがないじゃないですか。そういうことを言うと、何か議論しているのか——どんなつもりで議論しているのか。日鉄法で出すのか出さぬのかということですよ。そういうことだと思うのですね。まさか再建法でなくちゃ出さないという理屈でいるわけじゃないと思うのですね。これは大臣御存じだと思うのですがね。六百十六億の出資は、予算措置はできている。それが再建法というのに具体的に、工事費に充当するために出資をすると書いて、その法案がパアになった。だから出せないというよう理屈だろうと思うのです。しかし、御承知のとおりそれ以前に日鉄法という法律がありまして、当然、いまさらじゃなくてもっと早くから、国は国鉄に対して出資すべきというのがあるのですね。その条項で何ら差しつかえないのに、いまだにきまらぬというところにわれわれは何かいこじになっているようにも思うし、こういうところこそ、決断実行というのはだれのために決断し、だれのために実行するのだかわかりませんけれども決断は早いほうがいいです、いいと思ったら。いかがでしょう。この六百十六億なんというのは、国鉄だってちょっとやりようがないじゃないですか。もっとも最近の国鉄、六百十六億解除してもらってもなかなかうまくいくとは思いませんけれども、それでも六百十六億が使えるものだということになるとならぬではだいぶ違うと思うのですね。いかがでしょうか。
  16. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 御承知のとおり国鉄財政再建に対しましては、当委員会において前国会からいろいろ御審議を願い、しかも皆さま方の御好意によって衆議院は通過し、参議院であのような結果になって、おそらく全体の問題に対して、いろいろな問題に対する話し合いがただいまやられていることだろうと思うのです。私はまだ就任して二カ月そこそこで、詳しいいきさつはまだよく存じておりません。しかし、何とかして先般参議院で流れました再建法についてはあらためて御審議を願わなくちゃならぬということで、それらの問題について詳しく検討を始めたい、こう思っているやさきでございますので、いまこの六百億ですか、この問題等処置については十分まだ検討しておりませんので、私から確固たるお答えのできませんことを遺憾に思っております。
  17. 久保三郎

    久保委員 これは鉄監局長、もう大臣まで上げる段階ですよ。もっとも小さい問題だから、六百億ぐらいの金ですから、何千億という金じゃありませんから、大臣の手をわずらわす必要はないのかもしれませんけれども、まだ上げておらぬというのだけれども、これは少し、あまり事務当局でさわり過ぎますよ。もう強引に決断して実行するのですよ、田中内閣だから。これはそうやらなければいけない。あらぬ誤解を生んでいる。現場の末端でもあらぬ誤解を生んでいる。これまで妨害したのかなんて言っている。そういうことがあるし、国鉄の職員の士気にも関係しますよ。金は、予算はあるんだけれども、使えませんでしたなんということがあっては困りますので、こういうのはもはや大臣のところまで持ち上げて、大臣から大蔵大臣に一発やってもらうのですな。もう時期だと思うのですが、大臣いかがでしょう。
  18. 秋富公正

    秋富説明員 ただいま、国鉄工事契約状況でございますが、いま債務負担行為、これの活用をやっていきますと、大体十月の下旬までは現在と同じよう契約はできていくわけでございます。しかし御指摘のございましたように、この工事の発注がおくれるということは、国家経済的にもあるいは国民経済的にも、またその士気にも関する問題でございますので、私たちといたしましても鋭意努力はいたしますが、また大臣にもひとつ高いレベルで御判断いただくということも考えなければいけない、こういうふうにも考えております。
  19. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから先に参りましょう。  次には、これは大臣にお尋ねしたほうがいいかもしれませんが、今後の国鉄再建計画というか、そういうものの方向について伺いたいのでありますが、先般の国会で提案された方向というものは、言うならば最近の田中内閣の特に特徴的な日本列島改造論、こういうものとの関係では多少違う面があるのですね。だから、いまお手元でお考えになっているようでありますが、その国鉄再建計画というのは前に出したものと方向は大体同じであるのか、変わるのか。特に日本列島改造論との関係でどんなふうに大まかに言えば変わるのか、いろいろお聞かせいただきたいのです。  そこで、多少注釈というか、私どもの見方を申し上げますると、日本列島改造論は、御承知ようGNP昭和六十年度大体三百兆円を目標にしていろいろ計算をするというのが日本列島改造論の骨子、仮定、設問ですね。これに応じて新幹線網は九千キロだ、こういうのですね。再建計画のときに、非公式でありますが出てきているものは、大体七千キロくらいだろうということなんですね。われわれか賛成しているのは——ども社会党は七千キロには賛成していないのです。いま実施中のものについては、既設線区の改良、線増という意味でこれはやらざるを得ないだろうから、新しい輸送機関としての新幹線でやることは賛成である、こういうことなんですよ。ところが今度は、七千キロがどうかと思うのに九千キロを出してきたんですね。片や国鉄財政問題はもう御案内のとおりでありまして、話は飛び飛びになって恐縮でありますが、新全総というか、それにもゆがみが出てき、あるいは間違いがあったということで、いま反省期に来ているわけですね。われわれもっと反省したいのは、新しい総合開発というものをちょっと中断しようじゃないかという考え方、ことばはちょっと変でありますが。というのは、新しい高度成長にささえられた成長政策というものでやられてきて、過密過疎が出てきた。生活環境が破壊されてきた。地域生活そのものが破壊されてきている。あるいは産業構造そのものにも大きな問題が出てきている。だから一つ一つ産業構造なり経済構造なりについて手を加えていって手直しすることが先決ではないか。そういう意味では、全産業の中におけるところの国鉄という企業の体質その他を手直ししなければ、もはや先に出られないという考えをしているのですよ。何か新全総というか列島改造論でいきますと、手直しのほうはあまり問題にしていないのですね。結局線路を敷こうということなんです。線路を敷くのも否定はしません。しかしながらいまの体質なり経営自体の改善がなくてこのままやっていけば、この矛盾というか、ゆがみというか、ひずみというか、そういうものがだんだんエスカレートしてくるわけですね。去年よりはことしと、まさにエスカレートしているのですよ。そうでしょう。だから、この間出した計画でも、五年計画は出なくて十年計画というので、十年計画でもそろばんは合わなかった。やっと計算上のそろばんとして、十年目に一〇%運賃値上げしてそろばんが合います。十年計画なんというのは、この法案審議のときにも申し上げましたが、とてもじゃないが、いまの経済や社会の状態の中からいって、これは言うなら絵にかいたもちだと思うのです、はっきり言って。少なくとも五年計画がめどだ。そうして、実行計画というものは二年ないし三年計画でやっていくというのが筋である。それが証拠に、運輸省自体で持っている各種の五カ年計画をごらんください。五カ年計画を出しておいて二年目ないし三年目にはみんな改定でしょう。港湾空港もそうじゃないですか。そういうことを考えると、国鉄だけそういうことで何からち外に置いたかっこうでいくこと自体私は問題だと思うのです。だから、ここで申し上げたいのは、なるほどGNP三百兆円で計算して、六十年までに九千キロ敷くこともいいかもしれません。てっぺんから否定はしませんけれども、いまの国鉄経営なり企業なり、そういうもののあり方についての再建方策がなければ、九千キロと言ったってそんなものは夢に出てくるような話ですよ。とうてい持ちこたえられるものではありません。そういうことを考えると、一つ日本列島改造論に即応して再建計画をお立てになるのかどうかということをここでちょっとお聞かせいただきたいのです。  それからもう一つ、時間もありませんから言いますが、先般出した再建計画は、赤字ローカル線は従来どおり撤去する方針です。ところが新大臣になってから、それまで関与しなかったどこか北海道の線も、乗客が十七人か幾人か知らないけれども——もっとも汽車を走らせなければ乗りませんし、朝夕二回往復じゃないかと思うのですが、そういう線を御開業になったそうであります。これが開業することがいい悪いは別にして、方針は前とだいぶ変わったのじゃないか。それから監査報告日本列島改造論と同じことを書いています。地方閑散線区については監査委員会答申を受けられているわけですから、それはどういうふうに処理されるのか。もしも監査委員会答申どおりあるいは報告どおり、さらには日本列島改造論に即応するというと、てまえどもが言っていたとおり、新線建設についてはもちろん慎重に扱わなければいかぬ、いわゆるローカル線の扱いについては、やはり有用なものは残していかなければならぬというわがほうの方針にそこだけはなっているんですね。しかしそれだけでは国鉄再建になりませんで、財政的な裏づけをどうするのかという問題を忘れていたのでは、これはどうにもならぬことなんですね。だから方針が変わっていくのか、変わっていくなら変わっていくに応じた対応策というものは、財政的にも制度的にもきちんと整理してもらわなければいかぬですね。だからそういう点で、日本列島改造論や最近の国鉄監査報告書に見られるよう方向転換をおはかりになるのかどうか、この点はいかがですか。
  20. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 久保先生お話しように、新幹線の九千キロなんというものも、もちろん日本列島改造論総理の御主張のもとから出ておりますし、七千キロという新全総案との調整をはからなくちゃならないのじゃなかろうかと、ただいま私自体検討いたしております。昨日の全国知事会議におきましてもその問題が出されまして、たまたま総理から八千五百キロということばも出たよう状態でありますから、九千キロ必ずしも絶対動かすべからざる数字だとも考えておりません。あるいは七千キロでなければならないというのは、動かすべからざる理論だとも思っておりません。やはりお話しように、経済的な面から申しましても時代は常に変わっていくのでありますから、その点の問題は今後ともに調整をとらなくてはならないのじゃなかろうかと思います。しかしながら日本列島改造論の中にありますように、六十年になりますと人的輸送が二・六倍、あるいはまた物の輸送が五倍ないし六倍になるということになりますと、トラックやあるいはまた自動車輸送だけでは、道路整備その他から考えましても、現在の輸送状況ではとうてい間に合わすことができない。そうした実情から勘案いたしまして、何としても新幹線というものにたよらなくちゃならぬという結論になっておりますので、日本列島改造実施するためには、いろいろな障害がありましょうとも、九千キロ、ある程度の変動はありましても、それを目途として実施すべき方向に現内閣は進まなくてはならぬと思います。しかし、それをやるにいたしますと、お話しよう新幹線だけの予算で百兆からの財源を必要とするのでありますから、いまのような非常な赤字を持っております国鉄自体ではとうていこれを処理をすることができないと私は考えます。そのためには政府といたしまして思い切った財源処置を講じなくちゃなりますまい。その点につきましては、先般国会に提出いたしました国鉄財政再建等問題は、おまえが運輸大臣になって根本的に変わるのかというお尋ねでございますが、おそらくいろいろな人の英知をしぼって提出いたしました財政再建法でありますから、これを根本からくつがえすような、変化をした法案を提出するというようなことには相ならぬと思います。しかしながら、やはり情勢が刻々と変わっておりますし、それからいま新幹線問題一つ取り上げましても、九千キロになるのか、八千五百キロになりますのか、あるいはトラック輸送汽車輸送との関係などにおきましても、先般来われわれの手元にも——まあことにわれわれのところにまいりますのは、北海道問題が多うございますが、最近木材なんかの輸送にいたしましても、一時トラックに切りかえたが、いろいろな事情で、やはり道路の混雑とかで、また国鉄輸送にかえてもらいたい。そのためには貨車を、一カ月このくらいの計画輸送をしたいから何とかならぬかなどという陳情がたくさんまいっておりますので、これもやはり事態の変わり方というのは常に変動があるのだなあということもありますので、これらの点も考慮いたしまして、十分たくさんの人のお知恵を拝借して、来たるべき国会に提出する財政再建法律というものは、大きくは変わりませんが、ある程度の知恵をお借りした、従来の形に幾ぶん手直ししたよう法案を出すような結果になるのじゃなかろうか。しかし、お説のようにどこまでもやはり国の責任において国鉄健全性をはかっていくということにおいては、私も久保さんも同じ考えだろうと思います。  また閑散線やその他のお話もございましたが、あるいはローカル線問題等がありましたが、私の、最近営業許可をした問題どもからんでおりましたが、これに一々お答えは申しませんけれども、やはりわれわれのような、いなかに長く住んでいる者からいたしますと、たまたま黒字路線に対してはそう異論はございませんが、赤字路線をなお一そう続けるのだとか、赤字路線をまたやるのかとか、きびしい御意見をちょうだいいたしますけれどもローカル線などというものは地方開発というような大きな意味のもとに建設された路線が多いと私たちは信じておりますので、ただ単に赤字だ黒字だということだけで廃止するとかあるいはこれを撤去するとかというようなことは、建設した当時の意味合いからいたしますと、必ずしもこれが適当でないと私は判断をいたしておりますので、もう開発の意味、目的が達成した線路はいざ知らず、相当の開発使命がまだ残っているところはやはり国民の御理解をいただいて、赤字路線でありましょうとも今後残していかなくちゃならぬ、こういう考え方を持っております。  その他いろいろな問題がございますけれども、以上のよう考え方で今後この国鉄問題に対処したい、こう考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 後段のお話は、意見としてはぼくらと同じなんです。最近政府でそんなことを言い出してきたのですよ。あなたが大臣になるのがおそかった。そうかもしれませんね。私どもは、閑散線区だから、赤字だから、黒字だからといっての、そういうものさしでこれを撤去するぞというのではなくて、これはやはり国民的に有用なものであれば、それは実施しなければいかぬ。ところが、この監査報告にも書いてありますが、ローカル線の列車のダイヤの問題にもめずらしく言及しているのです。最近、監査委員会も刺激になったのじゃないかと思うのですね、いろいろ勉強して。ローカル線も単に経営問題だけからダイヤを組んではいかぬとか、少し四囲の状況、国民的な生活状態、やはりそういうものを考えてと、そういう意味でしょう。そういうことをいわんとしているのでしょうが、歯切れが悪いですけれども、そういう話をしている。そのとおりなんです。  ただし、それには裏づけが必要だというのです。裏づけがなくて、おまえらしょっていけといっても、これは無理なんですね。いままでの再建計画というのは、裏づけがなくてひっぺがす、極端なことを言えば、そういう論法です。新線建設なんかもてまえどもの提案をごらんいただいたかどうかわかりませんけれども、国家的に見てやらなければならぬものは、赤字であろうが何であろうか、建設するのですよ。しかしアクセサリーじゃないのですから、道路で間に合うところはもちろん道路で、建設は途中でもぶった切ってやめるという勇断が必要だと思う。いずれにしても、そういうものに対しては裏づけを必要とするというのかわれわれの提案なんです。  そこで九千キロの問題、いや八千五百キロに減らして、何かきのう言ったそうでありますが、これは六十年目標で貨物の輸送は大体どの程度ふえていくのだろう、一兆三千二百億トンキロ。半分、内航に持たせるというのでしょう。どういう計算から半分内航に持たせるのかわかりませんが、それであと道路と鉄道だが、鉄道は大体六百億トンキロぐらいしか運べないだろう。だから九千キロやって、道路のほうは一万キロですね、それにパイプライン七千五百キロ。こういうものであとの半分を輸送していこうじゃないかというのですね。  まずこのものの考え自体に二つある。このまま経済を伸ばしていくのがいいのかどうかという問題についてわれわれは疑問を持っている。なるほど、多いほうがいい場合があるし、でっかいほどいいことがある場合もある。しかし、そうばかりも言っていられない。だから、なるほどGNP計算か何かでいまのままでずっといけば、三百兆じゃなくて、もっとになるかもしれません。そういうものの考え方について疑問がある。しかしその疑問は別としても、そういうふうな一兆三千二百億トンキロぐらい六十年には貨物の輸送需要があるという場合に、いま九千キロやって、既設の線路も貨物の輸送に充当するということは、なるほどものの考え方はそのとおりなんです。しかし、そのとおり貨物を鉄道に持ってくるかどうかという問題なんです。これはなかなか乗ってこない。いま貨車では足りないからというお話がありましたが、北海道−本土間の貨物輸送力というものは、国鉄は少ないのかもしれません。これは伝統的に少ない。青函のネックがありますから、これは新幹線、青函隧道を掘ればうまくいきましょう。しかし全体として貨物輸送力は余っているんじゃないですか。やれば、もっと輸送できる。ところが自動車輸送はどうかというと、一ぱいになっている、公害と事故と過重労働とそれから過積みと。それが混在している。本来ならば、これは道路から鉄道の貨物にこなくちゃいけない。こないですよ。  ところが、総合交通体系というのをやった。やったが、この輸送分野というのは、国鉄は中長距離の大量貨物だという、そういうものを輸送しましょうといったが、ただ唱えるだけでは、きません。どういうふうにしてこさせるかというと、国民の選好にまかせる。好みにまかせて、マーケットにおける競争によって荷主の好むところによって分野をきめていこうなんて、どこかの夢の国の論文を書いたような総合交通体系、そういうものでは国鉄再建も陸上全体の輸送秩序もできないということを私は再三この席で申し上げているわけです。  だから、一点申し上げたいのは、なるほどそういう構想もいいかもしれない。しかしいま第一にやってほしいのは、国鉄の貨物をもっと有効に使うことができないものか、そこに政策の焦点をしぼれということを言っているのです。これはただ単に鉄監局だけではなくて、自動車局もそうです。新しい自動車局長考えるだろうけれども、前の局長考えないでどこかへ行っちゃった。いずれにしても、そういうことを考えないで九千キロやって、いまある線路は貨物に使うのだなんということは、それは小学校の教科書に載っけるなら別でありますが、政策としてはお粗末だ、はっきり言って。  それからもう一つは、国民経済的に見て、赤字であろうが黒字であろうが経営していくのだという大きな観点からやるのなら、九千キロも、それから高速道路の一万キロも、いいですよ。これはけっこうですよ。パイプラインの七千五百キロもけっこうですよ。しかしながら、いまの企業というものを土台にしての経営考えていくのなら、これはやはりいまの国鉄を見てもらわなければいかぬですな。赤字でもいいからおまえやれと言ったら、つんのめっちゃうですよ。建設はおっしゃるとおりできますよ。どこから金を持ってきてやる。いま国鉄経営問題があるのです。新しい工事問題があるんじゃないのです。新しい設備投資に問題があるんじゃないのです。設備投資のほうは、政府で財投その他でもってめんどうを見てくれるから、これはやっていけますよ。経営自体問題があるのですから、そこらのところをひとつ考えていただかなければならぬと思うのですが、これはどうでしょうか。経営自体にメスを入れてもらわぬと、日本列島改造論を振り回してみましても、足はよたよたで胸から上ががんじょうだなんというふうになってしまって、どうにも足腰立たないというのがこのかっこうではないか。いかがでしょう。これはここでいやみを言っているわけじゃなくて、ほんとうにそういうかっこうなんですよ。だからそういう点、ひとつほんとうに大臣ももう少し詰めてお考えをいただきたいと思うのです。だれだって九千キロ、おまえのところも新幹線引いてやると言えば、今度の選挙なんか当選確実ですよ。しかし、そんなことは五年たち十年たって先になれば、ばけてくるんです。その前に国鉄がどうなるかわからぬというのでは、政治家としては少し考えてもらいたいということを私は一人の政治家として考えている。どうでしょう。
  22. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しように、九千キロもの大きな新幹線を建設するのは、何とかかんとか資金をくめんしても借金してもできるであろう。しかし、つくったあとの運営やあるいはその他の問題で、いまの国鉄ではどうにもならぬでないかというお話、私もそのとおりだと思います。もともと私は、久保先生ような専門家じゃございませんから、考え方はあるいは幼稚かもしれませんけれども、運輸省に来てみて初めて、これでいいのかなと——たとえば国有鉄道でありながら独立採算制、しかも、その独立採算制というものは、やはり自分の経営の努力によってまかなわなくてはならぬものが、いろいろな点を考慮いたしますとまかない切れないような形の中で運営している。国有鉄道なら国有鉄道、昔のように、赤字が出たら赤字一般会計から入れる、黒字が出たら一般会計に持ち込むというような昔のやり方のほうがいいのじゃなかろうかなどという、これは全く個人的な考えでありますが、そういう考えをたまたま現在でも起こします。そういう考えが起きますので、これらの問題はただ単に目先の赤字だ黒字だということだけでは済まぬと思いまするので、いろいろな方々の英知をお借りして国鉄のあり方というものを今後ともに十分検討してまいりたい、こういう考えでおりますことを御了承願いたいと思います。
  23. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんので、それじゃ、最後になりましたが、磯崎総裁せっかくお見えでありますから、いままでの話は、ほんとうは磯崎総裁の御意見も聞きたいのでありますが、こういう席でありますから、別にお話を聞いたほうがいいと思います。大臣がやってやろうと思っても、やりたくなくなってしまっても困るし。ただ、きょうのある新聞に出ていました論説というか社説をごらんになったと思うのでありますが、私も国会議員の一人としてあの論説をやはり感銘深くけさ読んできたんです。というのは、なるほど労使双方にそれぞれの言い分と立場があることはわかっている。しかし、どこかでやはり決着をつけなければいけないと思うんですね。そうでないと、いつまでも不信感だけがつのっていって、もはや収拾つかなくなるというふうな印象を内外に与えるようでは、これはうまくないですね。たとえば同じ争議行為をするにしても、あるいは同じ処分をするにしても「対外的には対立じゃなくて敵対だというふうなところまで与えるような形は、これは何としてもうまくないのではなかろうかと思う。ついては、このことについて、大臣からもあとからお聞きしますが、何か考えはないのか。特に磯崎総裁には、ごらんになったとするなら、この論説に対してどういうふうにお考えであるのか。簡単でけっこうですから、答えていただきたいと思います。
  24. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私もけさほどの新聞を見てまいりました。問題は、やはり国鉄が非常にいま企業経営としての困難な時期、それがあらゆる問題のバックにあることは私、事実だと思います。私どもといたしましても、実は、先般当委員会を通過いたしましたあの二法案がああいう結果になるとは全く予想もいたしませんで、すべてあれをスタートラインとして新しい事態考えておったのでございますが、不幸にしてこういう事態になりました。私どもといたしましては、先ほど先生と大臣の間でいろいろお話がございましたが、私の立場自体も最近非常に誤解されておりますし、また、きょうの社説の中でも若干誤解がございますので、その点だけをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。  私は、先般当委員会で御決定願いましたあの再建法運賃法、すなわち国鉄財政再建を、国鉄自体の企業努力、政府の援助、国民の協力、この三つでやろうという思想には、これは絶対変わりございません。また、どう考えてもそれ以外にはないと私は思います。したがいまして、私はあの三本柱でもって——もちろんその中のウェートの置き方は若干違う場合もあると思いますけれども、あの三つでもっていく以外に、これは世界のどの例を見ましても方法がないというふうに考えます。そういう考え方でもって国鉄のいまの企業財政再建していくということは一番必要なことだと思います。  それに対しまして、最近のいわゆる日本列島改造というふうな国土再開発の見地から鉄道をいわば見直すというふうな空気が出てきているのだと思います。それは過般の再建計画の中でも、たとえば新幹線は、あのときには昭和五十年が九州、それから五十二年が東北、上越と、こういうことで、それ以外は計算に入れておりませんでしたのは御承知のとおりでございますが、いわば裏から申しますれば、国鉄輸送力の必要とする限度あるいは国鉄財政の許す限度でもって新幹線考えるという考え方であったことは御承知のとおりでございますが、いまいわれておりますことは、そういう国鉄の企業経営のワクをはみ出したと申しますか、ワク外の国土再開発という見地から、九千キロか七千キロかというものをつくる必要があるという論議でございます。私は、それは私のほうが必要であるとか必要でないとか言うべきじゃなくて、国会なり政府なりがきめられることであって、もしそれをおきめになれば、喜んでお引き受けいたしますし、運営もいたします。しかし、当然これは相当大きな赤字が出てまいります。それをこの間の十年計画の中に押し込むことは、私は無理だと思います。不可能だと思います。したがいまして、まあ非常に俗なことばで申しますれば、それの建設につきましても、また運営につきましても、あの再建計画財政計画と別途の、いわば特別会計的なものでもってこれをつくり、これを運営するという考え方を持ちますれば、これは国の要請にも合うし、国鉄財政再建というプリンシプルを傷つけない、そこなわないでいけるのじゃないかというふうに私は思うわけでございます。  また、ローカル線問題も同じでございまして、やはり鉄道というものの物理的な性格から申しますれば、ある一定以上の輸送要請がなければこれはむだなことはわかりきっています。しかし、それは全然違った国土再開発——いままでは国鉄経営とその地域輸送という二つの面からローカル線の整理をしてまいったわけでございますが、これから新しい都市をつくる、あるいは工業再配置をするというような、全然私どもの予期しなかったような国家的要請でもってローカル線が生きてくるというケースがあり得るのだということがいまいわれておるわけでございますが、もしそうだとすれば、その限度において私どもローカル線を廃止することはいたしません。しかしながら、それは当然当分の間大きな赤字を伴います。したがって、これはやはりいわば別途会計のような形でもって国鉄経営の範囲外の問題として、補償なり何なりという措置でもって運営をしていくという考え方でなければいけない。すなわち、あくまでも再建すべき現在の企業体、それからそれに新しい次元でもってつけ加わってくる新幹線あるいはローカル線問題は、建設、経営問題は大いにお引き受けいたしますけれども、その財政問題は別途の問題として処理しなければ、先ほど先生のおっしゃったように、両方がごっちゃになりますと、これはもう元も子もなくなってしまうといいますか、めちゃめちゃになってしまうと思います。したがって、先般御審議願った財政再建財政再建としてきちっとやっていく。そして、それにつけ加えての必要な新幹線なりあるいはローカル線の存続という問題は別途の問題として、プラスアルファの会計として考えるというふうにさい然と区別していきませんと、将来、いまの二万キロの運営自体が、先ほど大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、がたがたになってしまうということが考えられます。  私は、そういう次元に立ちまして新幹線問題ローカル線問題処理すべきものだというふうに思っております。これはただ私の考え方で、運輸省の御了承を得たものではありませんが、いま現時点においては、そういう考え方に立っております。
  25. 久保三郎

    久保委員 国鉄問題は、もう一言大臣からお答えいただきたいのですが、これから先どうしますか。先ほどちょっとお話があったようだけれども再建二法というか、運賃法再建のあれは、この前の国会廃案というか、だめになりましたが、そうすると、十カ年計画というのはどうなるのか。聞くところによれば臨時国会もあるそうでありますが、臨時国会ではなかなか腰が落ちつかぬだろう。そうなると、来通常国会にでもお出しになるのかどうなのか。いまそれでどういうふうな作業をお進めになっておるのか。いや、大体様子を見ているのだということなのか。いかがですか。
  26. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しように、もう相当な期間御審議を願っても通らなかった大きな問題でございますから、臨時国会ではたして成立さしていただけるものやらどうかということについては、私も長い間国会運営のほうをやっておりますから、短期間で御審議を願って通してくれというような無理なことはできないと思います。ただ、御承知のとおり、野党のほうから臨時国会の要求があれば開かなくてはならぬという義務づけられた御要求でございますから、おそらく政府としても臨時国会を開くでありましょう。しかし、日程を見ますと、なかなか、総理が中国にいらっしゃるとか何か、こう計算してみると、臨時国会の長期会期ということは私自体計算しても考えられないような気がいたしますから、こんな調子で参りますと、次の通常国会ということになるんじゃなかろうか、いまのところ私はそういう計算をいたしております。通常国会になるか臨時国会になるかということはこの場ではっきりお答えできませんが、いずれにいたしましても、適当な機会に、先の国会で御審議を願ったあのままの形ではありますまいが、いろいろな御意見を十分取り入れまして、そして国鉄再建問題をひとつ御審議を願うということには変わりございません。しかし、皆さんの御意見を十分検討した上で善処したい、こういう考えでおります。
  27. 久保三郎

    久保委員 時間がありませんから先へ参りますが、この前出した法案の中身、まあ骨子は変わらないようなお話もあるようですが、多少手直しぐらいかもしれませんが、それでは通らぬですね、これは。というのは、あの二つの法律をなぶることによって問題は解決しない。それ以外の政策的なものもお忘れになっては再建にはならないだろうというのが、この前の各党の議論の、大体大筋で合っているところであります。ですから、そういう意味を含めて御研さんをいただきたい。次に、中国との間の国交回復に伴っての民間航空路の開設についてのお見通しと御意見を伺いたいのであります。  すでにもう、臨時便というか、こういうのがどんどん行っておりますし、航空局の関係係官もそれぞれやっているようでありますが、この見通しというか手順はどういうふうに考えられておるか、それが大ざっぱにいってですね。  それからもう一つは、すでに中国との間に乗り入れをきめられている第三国、たとえばフランスとかあるいはパキスタンもそうですかな、そういうものが上海かどこかに乗り入れる。これはビヨンド上海、東京ということで、やるとすれば出てくるだろうと思うのですね。そういうものの扱いはどういうふうにされるのか。  第三点目は、日航と全日空との問題があります。もちろん日航は、これはナショナルキャリアとして国際間を中心にやらせるわけでありますから、先般の航空政策の改定にあたりましては、全日空にも近距離のチャーター便をやらせるということになりましたが、チャーター便をやることもさりながら、近距離の国際線はダブルトラックという方式をとることも一つの方法ではないのか、こういうふうにも考えるのだが、これはどうなのか。  それだけ、さしあたりお答えいただきましょう。
  28. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 航空法や何か詳しいことについては局長のほうから答えていただきますが、大まかなことだけをお答え申し上げたいと思います。  中国との航空問題は、御承知のとおり、上海舞劇団が八月十六日に帰国されるのを機会に、それぞれの機関あるいは団体を通じまして、間接あるいはまたその後直接、政府の立場において技術的な交流がなされたりいたしました。幸いにいたしまして、今回田中総理が中国訪問ということになりましたので、日本の飛行機が先般初めて北京に乗り入れをしたというようなことで、この機会をとらえて日本と中国との航空路を開設したい、こういう意欲を私も運輸省関係者もみな抱いております。しかし、長い間の国交が開けておりません関係もございますので、いろんなむずかしい問題もあろうとは存じておりますが、ただいま全力をあげて航空路の話し合いが早急にできるような努力は続けております。  ただ、お話しように、そういうことになりますと、全日空と日航との関係とかということも具体的に出てまいりますが、よく局長あるいは担当官に聞きますと、こういう問題については、航空事業分担について、昭和四十五年ですか、十一月二十日の航空企業運営体制に関する閣議了解というのがあるんだそうでございます。それに基づいて、国際航空は原則として、定期航空は日本航空にやらせる、こういう閣議了解があるそうでございます。しかしこれはどこまでも原則ということでございますから、あるいは多少の余裕なりあるいは情勢の変化によっては、必ずしもこれが絶対に変更できないんだというようなことではなかろう、こう考えております。もちろんチャーターなどというものはいままでも日航以外の全日空においでも行なわれておりますので、これらの点は以上のよう閣議了解のもとに現在は考えております。  それからまた第三国の航空企業ですね。中国を通って日本に乗り入れするという問題だろうと思いますが、お話しように、いろいろな国からそういう動きがあるそうであります。しかしこれはやはり当事者間の話し合いが、まず中国と日本との航空協定がしっかりできてしまってからどうするかという問題でありまして、いまのところはまず中国と日本との航空協定なり航空路の開設、それが先決であって、第三国との問題も具体的な考えはいまのところ持っておりません。しかし、いずれその問題は当然来ると思いますので、検討を要する問題だと思います。  その他こまかいことについては局長から答弁させていただきます。
  29. 久保三郎

    久保委員 時間がないからいいです。  後段の第三国の扱いについては、その御方針でけっこうとかと思うのであります。ただ問題は、アメリカとの航空協定ではビヨンド東京というのは無制限になっていると思うのですね。この扱いはそう簡単にあなたがおっしゃるようなわけにはまいらぬ。アメリカと中国との間に航空協定ができますれば、当然ビヨンド東京は日本は拒否権はないと思うのですね。だからこの際、やはりアメリカとの航空協定は、これを契機に一ぺん原点に返って洗い直しをする必要があると思います。  それだけ時間がないから申し上げて、希望しておきます。これは間違いないですね。無制限ですね。
  30. 内村信行

    ○内村説明員 無制限でございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 そういうことでありまして、パキスタンやフランスとはちょっと違うのでありますからこれは扱いは慎重にやってもらいたいと思います。  それから、時間がなくなったのでありますが、お許しをいただいて……。この間、田中さんはホノルルへ行ったとき、緊急輸入十一億ドルをやられました。これで買い物をなさるので、一番大きい買い物としては、役所関係では運輸省が一番大きいのかもしれませんが、いろいろヘリコプターを買うために運輸大臣苦労をされておるようでありますが、その中でエアバスをお買いになるそうですが、これはいままでの航空政策というかあるいはそれぞれ航空企業の業務方針、そういうものとこれはマッチしているかどうか、これは簡単に答えてもらいたい。それと同時に、この鶴見・インガソル会談では各企業が買うとなれば、日本政府はめんどうを見るということになるのですが、どういうふうなめんどうを見るのか、そういうことです。それで簡単にいえば、何で無理して買っているんだ、無理して買うのもときと場合ではしかたがないけれども、いま一番やらなければならぬのは何だろうか。安全の問題だ。しかも大型のエアバスを入れていく前に、そういう計画に合った施設や保安関係はどうなのかという問題が出てくる。乗員の問題もそろっているのかどうか。もっともあした来るわけじゃないのだろうけれども、そういう心配をしているのですね。無理して買ってきたものをどうするのか、そういうことをちょっと簡単に聞きたい。  それからもう一つは、楢林元航空局の事故調査官が運輸大臣に公開質問状を出したそうでありますが、公開だからあとで公開してもらいたい。その週刊誌を読むと、羽田のC滑走路は危険であるという。ICAOでは大体これを三年か五年前に滑走路のすべりどめをやりましょうという決議になっているわけですね。ところが日本ではやっと一年ぐらい前にこの話をやっているそうであります。問題は飛行機の事故、つい最近もあったのだが、こういう問題についての対策はどういうふうにしてあるのか。もう時間がないのですよ。二点だけ。
  32. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 エアバスの問題に対しては過去のいきさつもあるそうでありますから、局長から答えさせます。
  33. 内村信行

    ○内村説明員 まず第一のエアバスの問題でございますが、これはまず航空政策として、エアバスの導入その他について今回急にねじ曲げたのではないか、こういうような御質問かと思いますが、そうではございませんで、私どもこの緊急輸入の問題が始まる前から大型機材については全日空、日航ともいろいろ話をいたしまして、四十九年度からこれに就航させようというふうな考え方を持っております。そこで今回の問題でございますけれども、ただ現在の段階においては、まだ機材も機種もきまりませんし、まだ具体的に発注の段階になっておりません。いますぐ発注の段階になっていなかったわけでございますが、今回このよう問題も出ましたので、大ワクといたしまして、昭和四十七年度及び昭和四十八年度において約三億二千万ドルの大型機を含む民間航空機を購入する。これは発注ベースでございますが、購入する計画を持っておるというようなことを鶴見・インガソル会談において話し合いました。その三億二千万ドルでございますが、これにつきましては航空会社とも十分協議いたしまして、将来の輸送需要、四十九年度の輸送需要はどのようになるかというようなことを航空会社の意向も十分聴取した上、これならば適当な量として導入してしかりということできめたわけでございます。したがいまして、民間航空会社に強制したとかいうふうな筋合いのものではないというふうに考えております。  それから同様の鶴見・インガソル会談におきまして、「日本政府は、購入契約が締結され次第、これら航空機の購入を容易ならしめる意向である。」旨を表明するということがございますが、これはこういう意味でございます。と申しますのは、従来アメリカから航空機材を買います場合には、EXIMといっておりますが、アメリカに輸出入銀行があります。アメリカの輸出入銀行が全体の四〇%、それから残りの四〇%をアメリカの市銀の協調融資としまして、八〇%のあと払いについてはいま申しま上げたような金融方法を講じておったわけでございます。これが金利も約六分、比較的安い金利で融資をしておりました。ただ今度いろいろ外貨の問題が出てまいりますと、こういったEXIMを切るとか切らぬとかいう問題が一方に存在いたします。これはまだはっきりときまったわけではございませんが、かりにこういう融資条件が変わりますと、こういったエアバスその他の購入につきましても相当条件が変わってまいりますので、かりに高い金利の融資を受けなければいかぬということになりますと、やはり機材その他についても少なくするとか、会社の経営上はやはり再検討しなければならぬというようなこともありまして、そういった意味で私どもといたしましては、そういった金融の融資条件が変わってくる場合には前と同じような融資条件に何らかの国内金融措置をとってもらいたいということを要望いたしまして、関係当局も原則としてそういうことの必要性は認めておる、こういった意味のことをあらわしたものでございます。それがエアバスの問題でございます。  次に例の楢林氏の質問状の問題でございます。これは大体の趣旨を御説明いたしますと、羽田のC滑走路のゴムが付着して、これがすべる原因になっているのではないか。したがってこのゴムをしっかり取ったらいいだろう。なお取り方その他につきましては公開をしろ、こういうお説ですが、少なくとも関心のある人には見せて、そして客観的にそれならいいという取り方をしたらどうか、こういうことが大体質問状の要旨でございます。  そこで滑走路面に付着するゴムでございますが、これは従来から羽田、大阪におきましては年に一回ぐらい取っておりまして、それでその後ジャンボ機等が就航いたしまして、付着数量も若干はふえております。そういうことで、今後といたしましては滑走路面の摩擦係数というようなものを測定いたしまして、それによって一回で不十分ならばさらに回数も考えるというふうなことを検討してみたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  34. 細田吉藏

    細田委員長 久保さん、時間です。
  35. 久保三郎

    久保委員 時間ですからやめますが、いまのお話は急いで聞いたからよくわからぬところがある。しかも安全の問題だから、これは何か書いたものがあるようだから、その書いたものをあとで見せてもらいたい、公開質問状と対策について、そういうふうにお願いしたい。それからあと聞きたいのは、日航が東亜から精算してもらうのは——もらわないままで運輸大臣がかわる前に新しい方針を出したそうだが、その方針をあとから示してほしい。この場所でなくてもけっこうです。  以上です。ありがとうございました。
  36. 細田吉藏

    細田委員長 河村勝君。
  37. 河村勝

    ○河村委員 きょうは私も、日本列島改造論、それから交通政策の関連を大臣にお聞きしたいと思っておりましたが、たまたま久保さんが国鉄再建計画との関連で質問をされたので、時間の節約上一応ポイントだけをお伺いしたいと思います。  大体のお考えはわかりましたが、一番大きな問題は、この日本列島改造論というのは、さっきも話が出ましたように、昭和六十年で三百兆のGNPを前提として、それでいろいろな需要予測をして、それに基づいていろいろな計画を立てているわけですね。ところが、昨年運輸省あるいは経済企画庁、全部総合してでありますけれどもつくられた総合交通体系は、六十年で二百兆です。二百兆のGNPを前提にしているんですね。三百兆と二百兆ではたいへんな違いなんです。しかも、GNPの中身からいえば、この三百兆も二百兆もいずれも従来の産業構造がそのままずっと持続されるという前提で計算をしてあるのですね。ところが、日本列島改造論でも、作文だけはちゃんと書いてあるけれども、これからは従来の資源多消費型の産業を減らして、知識集約型の産業をふやしていく、こういう考え方ですね。そうしますと、かりに同じ二百兆であっても輸送需要は変わってくるのですよ。大臣、何かさっきの御答弁を聞いておりますと、総理大臣がつくられたものだから、大体そういう線でいくのだ、こういうふうな御答弁に受け取るのですが、そういう基本的な問題があるのに、総合交通体系との間には完全な矛盾があって、いま国鉄再建計画のみならず、その他港湾でも道路でも、すべてそういうことでつくられているのです。そうなると、全く変わってこなければならぬはずだと思うのですが、その点はどうですか。
  38. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 私さっきお答えいたしましたのは、一応の現在の試案としてはその方向でしょうけれどもお話しように、現在の経済情勢にしても、あらゆる総合交通体系を私も先般いろいろ聞かしてもらったのですが、総理の言われている生産中心的な日本列島改造論の形は、相当変わっていくということだけは、私も認識できます。
  39. 河村勝

    ○河村委員 変わっていくであろうでなしに、三百兆と二百兆とたいへんな違いなんですよ。しかも、その中身は変わってくる。そうしたら、三百兆に賛成するのはどう考えてもおかしなことになりやしないか。その点大臣はこれをどう消化されるつもりであるか。
  40. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 いま二百兆、三百兆がどう変わっていって、それのどちらに私自体が意思の統一ができるかという判断をまだいたしておりません。
  41. 原田昇左右

    ○原田説明員 補足して御説明させていただきます。  先ほど三百兆、二百兆のお話が出たわけでございますが、三百兆につきましては、日本列島改造論にたしか三百兆になる予想であるというのが述べられておりますが、政府としましては、いままで六十年の経済規模を予想いたしましたのは、新全国総合開発計画において百五十兆という水準が出ておるだけでございます。なお、運輸政策審議会におきましては一応二百兆ということを予想いたしまして、今後の経済情勢によってこの予想が変わることはあるべしということで、一応の試算をいたしたものが御指摘のとおり出ておるわけでございます。それから、その場合の産業構造につきましても、一次産業、二次産業、三次産業の比率が、たとえが運輸政策審議会では、四十年には一次産業が一一・二%、二次産業が三六%、三次産業は五二・八%でございましたのが、六十年には一次産業五%、二次産業四〇%、三次産業五五%というように、一次産業の比率が次第に低下していくということを予想しまして、なお、工業の中で申し上げますと、材料部門と加工部門と組み立て部門の三つに分けて考えますと、その中におきましても組み立て部門、加工部門の比重が急激にふえていくという予想のもとに計算いたした数字でございます。  それから、政府経済企画庁が中心になって取りまとめました総合交通体系の考え方におきましては、総合交通体系を固定的なものと考えずに、長期的展望に立って目標を達成するための諸方策を総合化、体系化していく、そういうことで一応総合交通体系の考え方をまとめたものでございまして、交通施設への投資配分その他につきましては、今後つくられます経済全体のフレームの中で検討さるべきであるというように述べてございます。
  42. 河村勝

    ○河村委員 いま大臣に結論的な御返事を聞くのは無理だと思います。しかし、前提にこれだけ大きな違いがあるのですね。ですから、たとえばさっきも話が出ました九千キロの新幹線網、これにつきましても、やはり前提が変わってきますと大半は先行投資になって、まるっきり成り立たないものになることは間違いないのですね。その点、さっきの大臣の御答弁でははっきりしなかったのですが、そういう部分について岳国鉄再建と背反しないように、全く別の考えで建設をする。  それから赤字ローカル線問題、これについても、去年まので考え方は、当面少なくとも三千二百キロの赤字路線の廃止を前提として、それで五年間めんどうを見る、こういう考え方だったのですが、もしその発想が変わって国民経済的な見地から残すということになれば、それでは済まなくなるのですね。ですから、これも、もし変わるならば変わるで完全にめんどうを見る。五年といわずに終始めんどうを見なければならぬ。うんと将来は別ですよ。とにかくそういう赤字ローカル線状態が続く限りはですね。そういう考えでなければならぬと思うのですが、その点は割り切って運輸大臣はお考えになっておられるのかどうか、それもちょっと伺っておきます。
  43. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 新幹線の九千キロ、七千キロというような膨大な構想を実現するためには、先ほどからお話しようにたいへんな予算を必要とする問題でありますから、現在の国鉄財政状態ではまかない切れるものじゃないと考えております。これを特別会計でするか、あるいは他の方法でやるか、あるいはこれを全部政府の助成でやるかというようなことはこれからの問題だと思いますので、十分検討いたします。御趣旨の点は私もよく理解できますが、ただいまの国鉄財政だけで処置できるのもじゃないということだけは認識しております。  それから、赤字路線の収拾策につきましては、一昨年以来の考え方と幾ぶん変わってきていることは事実でございます。河村さん御存じのとおり、自民党の総務会あたりにおきましても、地域住民の意向を尊重して、この理解のもとでなければ撤去したくないという決議もございますので、ある程度変わってきているということは事実でございます。
  44. 河村勝

    ○河村委員 具体的な問題はいずれまた機会を改めてお伺いすることにいたします。  そこで大臣に、国鉄ではなくて私鉄の問題過疎地域の私鉄ですね。これもやはり国鉄赤字線と似たような傾向でもってだんだん成り立たないところが徐々にできつつあります。過疎バスほどではないけれども、過疎私鉄も相当これからふえてくると思います。こういう私鉄の取り扱いについて、赤字でどうにもならぬ地方私鉄について、一体大臣はどうお考えになっているか、方針をお伺いいたします。
  45. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 いろいろな方法を講じられておりますが、過疎化されている現状は想像以上のものがございますので、いままでのような助成措置だけではとてもこの過疎地帯、ことに私鉄あるいはバス、これらの問題を救うことができないと考えております。昭和四十六年度のこの対策予算と四十七年度の予算とを比較いたしますと、約三倍くらいの予算を計上したという記録がございますけれども、この程度ではとてもとても現在の過疎の進みぐあいからいたしましてどうにもならないのじゃないかと思いますので、明年度におきましては思い切った助成措置を講じたい、こう考えておりますが、具体的な問題については局長からひとつお答えさせます。
  46. 河村勝

    ○河村委員 鉄道軌道整備法というのがありますね。これは一体どういう目的でつくられた法律ですか、鉄監局長
  47. 秋富公正

    秋富説明員 先生御承知とおりそれぞれに鉄道軌道法、鉄道法ございますが、いずれも、その使命にかんがみまして助成をはかるとともに、その経営並びに運行の安全の確保をはかる、こういう趣旨で制定されております。
  48. 河村勝

    ○河村委員 この軌道整備法は中身は助成と補償と両方あるのですけれども、しかし、補償というのは国鉄との並行線の赤字補償だけであって、ほかは全部助成ですね。これは私鉄や何かが過疎状態によって困るということを前提とした法律じゃなくて、主として施設の工事費の助成を考えているのだと思いますが、そうじゃありませんか。
  49. 秋富公正

    秋富説明員 ちょっとさっき失礼いたしましたのは、地方鉄道法を軌道法と間違えましたので失礼いたしました。確かに先生の御説のとおりでございます。
  50. 河村勝

    ○河村委員 それで、昔はそれでよかったと思うのですが、しかしこれから先だんだんそういう過疎私鉄みたいなのが出てきますと、この整備法の運用で多少やっておられる面もあるようだが、しかし法律の性格からいってまるきり違うので、これをほんとうに新しい問題に適応できるように法改正をすべきだと思うのですが、そういう意思はありませんか。
  51. 秋富公正

    秋富説明員 私のほうも実は毎年中小私鉄、ことに地方におきましてはいわゆるモータリゼーション、これに伴いまして通勤、通学の客貨というものが鉄道軌道から減ってきておりまして、毎年このところ約百五十キロくらいずつ廃止してきているというのがここ数年の傾向でございます。私たちといたしましては、いわゆる鉄道軌道の特性でございます大量輸送に適したものにつきましては、従来ともこれに対しまして、欠損補助あるいは近代化補助あるいは踏切補助ということによって存続をはかるとともに、一方その輸送量がきわめて少ないものにつきましては、やはり時代の趨勢でございますので、これはいわゆるバスへの転換ということを、並行道路問題あるいは代替交通機関の確保、こういった問題を見計らいながら、進めてきたというのが従来の情勢でございます。しかし、いま申し上げましたように、毎年百五十キロを廃止してきているという状態でございますので、やはりいま大臣が申されましたように、国鉄の地方閑散線と同じように、鉄道としての将来を残すべきものについては、先生御指摘ように新しい見地からこの助成というものを見直すべきではないかという問題もございまして、実は来年の予算要求におきましては欠損補助は、現在二社二線でございますのを四社四線程度にいたしておりますが、今後これでいいものかどうか、もう少し抜本的に、先生の御指摘よう法律の改正まで考えていくべきかどうかということにつきましては、十分検討さしていただきたいと思っております。
  52. 河村勝

    ○河村委員 現行法でいうと、一体どの法文を引用してそういう赤字補てんをやっているのですか。
  53. 秋富公正

    秋富説明員 地方鉄道軌道整備法第三条でございます。
  54. 河村勝

    ○河村委員 第三条のどこです。
  55. 秋富公正

    秋富説明員 第三条の、第一が「天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線」、これが新線建設の……。
  56. 河村勝

    ○河村委員 だから、そういう赤字私鉄の補助に、赤字補償をやるのはどの条文かということです。
  57. 秋富公正

    秋富説明員 第三条の第三号の「設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道であって、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの」……。
  58. 河村勝

    ○河村委員 ですから要するに、設備が老朽してしまってだめだから、その老朽した施設を新しくするのに金がないから、それを補助してやろう、こういうことでしょう。ですから、実際いかに近代化に努力してもだめになったというものに、だめで成り立たないから赤字補償してやろうというものには、ほんとうは合わないわけですね。そうでしょう。そうじゃありませんか。
  59. 秋富公正

    秋富説明員 ちょっと先生の御趣旨が……。
  60. 河村勝

    ○河村委員 設備が老朽してでなくて、ちゃんと経営しておっても、いかに努力してもだめだ、赤字が出る、そういうものに対して赤字補償してやろうというのに、設備の維持が困難で老朽した地方鉄道というのじゃ、これは全然法律の趣旨とは合ってないでしょう。
  61. 秋富公正

    秋富説明員 まさにそのとおりでございます。
  62. 河村勝

    ○河村委員 この法律自体がもう時代と合わなくなっているのです。ですから、法律国会でつくるのですが、政府で提案されるのが至当だと思うのですが、いかがでございます。
  63. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 いま御質問と答えとを聞いておりますと、やはりだいぶ時代と違っているよう法律だなと考えておりますので、関係者と協議して検討してみたいと思います。
  64. 河村勝

    ○河村委員 そこで具体的な問題一つだけお伺いしたいのですが、先般運輸委員会で業務視察に行った際に、島根——運輸委員長の地元だから委員長が一番よく知っているのでしょうけれども、一畑電鉄というのがありまして、これは宍道湖畔でかなり古い鉄道でございますが、これがいま赤字を理由にして、新会社をつくって業務委託をして、それによって従業員の労働条件を半分くらいに切り落として、しかる後に段階的に解消しようということを考えていて、そのために労使間で紛争が起きているという事実は、運輸省としては御存じでありますか。
  65. 秋富公正

    秋富説明員 この問題につきましては、会社自体のほうからは直接何らの話がございませんが、地元の住民のほうからは、これに対する反対の声は承知いたしております。
  66. 河村勝

    ○河村委員 そこで運輸委員のメンバーがみんな知っているのに、運輸省の直接の監督の衝に当たる局長が知らないのは少し怠慢じゃないかと思いますが、その業務委託のやり方がどう考えてもふに落ちない面がある。会社側から提示されております委託の条件というものが、営業と運転の管理を行なう者だけを数名残して、それによって営業と運転は現在の電鉄会社がやっているというたてまえにして、そして新会社をつくって、それに作業委託みたいな形であるが、事実上全部新会社に仕事をやらせてしまう。したがって、営業と運転は旧会社でやっているから、運輸省に断わらずともよろしいということのようであります。そういうものは、一体地方鉄道軌道整備法の精神からいって許せるものか、許せないものか、そこをちょっと聞きたい。
  67. 秋富公正

    秋富説明員 いわゆる管理及び運転の管理ということにつきましては、地方鉄道法の二十六条におきまして規定をしておるわけでございます。この法の趣旨を申し上げますと、営業の管理の委託と申しますのは、営業者の名とその計算におきまして、委託者にかわって鉄道の経営管理を総括的に行なわせるといいます場合がいわゆる営業の委託でございます。これは運輸大臣の許可になっておることでございます。なお、これ以外に単に個々の業務を委託する場合、たとえば出札とか改札を委託するという場合は、これは営業の管理の委託というわけではないわけでございますが、ただ運転の管理、これはいわゆる鉄道運送の安全と適正を確保するという意味におきまして、きわめて鉄道本来の本質的なことでございまして、この運転の管理の委託、これは陸運局長の許可にかかわらせておるのでございます。したがいまして、ただいま先生から御指摘の一畑電鉄の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、新会社自体のほうからは、こういった管理の委託あるいは運転の委託というよう問題は出ていないわけでございますが、この問題につきましては、地元のほうからもそういった意見を拝聴いたしておりますので、十分に会社のほうを呼びまして実態について調査の上、慎重に検討してみたい、こういうふうに考えております。
  68. 河村勝

    ○河村委員 事情がわからぬと言われればそれっきりだが、仮定の問題として、会社でいえば、本社の二、三人の営業、運転を担当しておる人間を残して、あと営業所、運転所、現場の運転機械なんか、出札や改札を委託するのではなくて、まるごと残して別会社にやってしまう、こういうものであれば、それは脱法行為でしょう。どうです。
  69. 秋富公正

    秋富説明員 個々の具体的ケースについては、実情がそれぞれのケースによって分かれてくる問題でございますが、一般的に申しましたらそういうことでございます。
  70. 河村勝

    ○河村委員 まだ正確な報告を受けていないということであるからこれ以上聞きませんけれども、しかしわれわれみんなが知っている限りにおいては、脱法的な手段でなしくずしに鉄道事業をなくしてしまおうということであることはほぼ明白のようであります。だからそういうものをほったらかしておくというのは、これは監督官庁として重大な責任だと思うのです。実際営業係数を見ても一一二か三くらいで、そうべらぼうな赤字でもないのに、法網をくぐってなしくずしにやってしまうというようなことを許したのでは、これから先各所に同じよう問題が起きると思います。どうか大臣、そういう事情でありますから、調べていただいて、私が言ったような事実であったら、会社のそういう独走を許さない。いまの段階で明確に脱法だと御返事できなくても、疑いがあるのですから、とにかくいまやりつつあることをストップしてすぐ調べるということだけ御返事いただきたいのです。
  71. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しように地方鉄道法の第二十六条ですか、はっきりした法律があるのですから、その脱法行為であるかどうかについては十分実態調査をいたしまして、そして適当な処置を講ずるようにいたさせます。
  72. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  73. 細田吉藏

  74. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょうはまず最初に車の排気ガスの問題について少しお尋ねしたいと思います。  車がたいへん世間の注目を集めて、車に対するいろいろな問題が山積しておるわけでございます。特に車が出します排出ガスによりますところの大気汚染、これは一昨年の公害国会でも強く取り上げられたわけでございますが、そのときにはそのときなりの、大気汚染を何とかしなければならないという方向での答弁もあったようでございますけれども、それから二年になろうとしておる段階でたいへんに心もとない。そうして実際は大気がよごれてみんなが困っておる、被害が続出しておるというよう事態になっておることは、私がここでるる述べる必要はないかと思います。大臣も御承知のことだと思います。ただ北海道と東京はちょっと違いますから失礼な言い方でござい  ますが、私も九州でございますけれども、九州でも東京並みのよう状態はいま見えません。そういうことで私はこの問題をおろそかにしてはならない、こういう観点に立ちましていまから話を進めていきたいと思います。まず、先月でございましたか、中央公害対策審議会の中間答申が出されたわけでございますが、これはおそきに失したというくらいに世間からもいわれております。この中で、いわゆる車の排出ガス問題は運輸省が当然先頭に立って解決しなければならない問題だという答弁もさきにいただいておりますし、この中間答申が提出された時点において運輸省はどのような受けとめ方をしておられるのか。またこれに対しては自動車メーカーがそれぞれ反対の意見みたいなことも言われておるようでございますが、運輸省はどのよう自動車メーカーの考え方を把握しておられるのか、私はこういう問題からまずお尋ねしたい、こう思います。
  75. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 この排気ガス問題については審議会のほうから中間答申をいただきまして、先般新聞や報道機関においても運輸省おくればせながらという記事がありましたが、お話しように、決意をする態度がおくれているということについては申しわけございません。しかし重大な問題でございますので、ただいま積極的にこれに対処いたしております。ただ排気ガスの毒性などの専門的な検討にわたってはそれぞれの機関を通じて検討いたしておりますし、事これからの方法については詳しく局長のほうから答弁いたさせます。
  76. 小林正興

    小林(正)説明員 今般環境庁より自動車排出ガス対策といたしまして、昭和五十年、昭和五十一年におきます自動車排出ガスにかかわる許容限度について中間報告があったわけでございます。これは自動車排出ガス中の汚染物質を現在の水準の約一割まで削減するというきわめて画期的なものでございますので、今後環境庁において告示等の措置がされると思いますが、そういった場合にはその後の具体的な規制対策につきまして、技術的な内容を検討いたしまして規制基準を改正いたし、それによりまして排出ガス対策に十分努力をいたしていく考えでございます。
  77. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が質問申し上げた中で、まだ一つ足らない、不足したことがありますけれども、時間の都合で一とおり質問いたしてお尋ねしたいと思います。  次に、アメリカのマスキー法でございますが、これに対してアメリカでも自動車メーカーからは、やはりたいへんだというようなことで一応延期申請が出たと聞いております。ところがアメリカ政府は断固これを拒否しまして、不可能とか可能とかいう問題ではないのだ、人間の健康が害されているのだから、これは早急に研究開発もやって、このマスキー法に合うような体制でやれというようなことが含まれて、政府が拒否した、こういう点があったと聞いております。  そこで、私も専門家でございませんが、このマスキー法の対象になっております車というのはエンジンが大体三千CCクラスまで。そのくらいのクラスの車が、アメリカでありますから当然だと思いますが、そういう車が対象になっておるように聞いております。ところがわが国はたいへん小型な車が多い。これははっきりした数字ではございませんが、しろうと考えで見ましても、大体千CCから二千CCくらいの車が多い。かりに千CCの車といいますと、出すガスの量もそれに応じて違うはずであります。そうしますと、その絶対量というものは、アメリカとわが国とはたいへんな差が、いわゆる三対一という差がある、こういうふうに簡単に考えることができると思うのです。そういうことになりますと、確かにこのアメリカのマスキー法よりも日本のほうが有利である。いまはガス全体の絶対量をどうしようかという方向になっておるわけでありますから、その全体量が日本の車は少ないのですから、当然アメリカよりも日本が有利である。そうして考えてみますと、今度の中間答申は世間で騒がれておりますけれども、マスキー法案をそのまま翻訳したようなものであって、決して答申案は実現不可能なものではない、こう私も思いますし、そうではなかろうか、そういう点をお聞きするわけでございます。いかがでございますか。
  78. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 私も毒性ガスの問題については全然しろうとなものでございますから、先般来いろいろ設明は聞いております。こういう炭酸ガスが出ると、こういう水素ガスがどうなるとかいうことは聞いておりますが、とんとわかりません。しかし、私の指示しておりますのは、米国のマスキー法よりも厳重な処置をとりなさい、このことだけは指示しておりますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  79. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣がしろうととおっしゃいますが、私もそれ以上にしろうとでございまして、経験も浅いし、なにでございますが、いまおっしゃったようにたいへん傾聴するお考えだろうと思います。マスキー法よりも厳重にやっていかなければならない、その点は感心するわけですが、いま私が申し上げたのは、厳重にする場合の、わが国の車が走っている状況とアメリカの状況とは違う、その違ったところに合うような厳重な方法をやってもらわなければ困る、こういうことでございますが、その点だけもう一ぺん大臣から……。
  80. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 そのとおりだと思います。
  81. 田中昭二

    田中(昭)委員 ところで、もう少しその点を具体的に申し上げますが、大臣もお聞きとっていただきたいと思いますが、アメリカに比べ日本は車の平地面積当たり、単位面積当たりと申しますか、これが八倍も多いそうでございます。環境庁から出ております参考資料の中にもそういう数字が出ております。そうしますと、このことから考えましても、いま大臣がおっしゃったようなマスキー法以上に強化すべきであるという意見が、いまの大臣お答えの前にいろいろな報道関係でも報じられておりますが、私は、そういうことを考え大臣は厳重にしたいとおっしゃったというように受け取るわけでございます。  そうなってきますと、わが国の状態では車の密度がたいへん高いということが裏づけとしてあるわけでございまして、密度の高い車一台から出す排気ガスというものを、いま大臣がおっしゃったようなことに従ってアメリカのマスキー法よりも規制を強化しなければならないという当然の意見になってくるわけです。この辺について、ここでいつもでございますが、一生懸命やるといって、その実——事務局としては一生懸命やっておるつもりでございましょうけれども、私が二年前に公害国会指摘した問題も、いまもってはっきりしない、説明もないということがあるのです。でございますから事務当局は、いま私が申し上げました、車の密度が多い、その密度の多い中で車が一台から出すガスをどのようにマスキー法以上に厳格にしていくかということに対する努力目標でもいいですから、具体的にその辺の中身を教えてもらいたい。
  82. 小林正興

    小林(正)説明員 大臣からただいま御答弁がありましたとおり、非常に画期的な基準でございまして、そういった基準を担保するためには、技術的に今後相当検討開発が必要かと思います。そういった過程におきまして、御指摘のとおり、いろいろな自動車の車種による違い、あるいは走行の実態というものもアメリカとはまた異なっておる点があります。今後そういったいろいろな車種についてそれの走行モードに従ってこれからの規制の対策を考えていくというのが私どもの立場でございまして、かなり基準が高いわけでございますので、そういった点で今後開発、研究、検討を要すべきものがたくさんあることは事実でございますが、大臣の答弁にありましたとおり、何とかそれを達成すべく、技術的に検討を開始したいと思っておるわけでございます。  詳細な点につきましては技術的な問題にわたりますので、主管の課長からお答えさせたいと思います。
  83. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 中央公害審議会の答申が出まして、昭和五十年、昭和五十一年の自動車排気ガス規制の許容限度というものが示されたわけでございますが、これにつきましては、内容は非常にきびしい規制でございますけれども、運輸技術審議自動車部会、そういうふうなものをこれから開催いたしまして、新車については一体どういうふうな対策をとっていったらいいか、たとえば新型の審査にはどういう対策をとるか。それから中古車の数も非常に多いものですから、それに対しましてはどういうふうなリバイズをつけるとか、どういうふうな清浄化方式をとったらいいかというようなことを検討して、中央公害対策審議会の答申に沿った対策を早急に講じていくという作業をすでに開始しております。
  84. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまのことでつきましてはもう少し時間があれば詰めていきたいと思いますが、その次に問題は、それを受けましてか、いまの話の中に出てきましたが、今月の八日でございますか、運輸技術審議会の自動車排出ガス対策専門委員会に運輸省は諮問をしておりますね。その諮問は大体どのようなものか、まず少し具体的なことを大臣にもわかるように聞かしてもらいたい。
  85. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 運輸技術審議自動車部会は昭和四十五年の七月に、自動車の安全並びに公害対策についてと技術的な方策についてということで一般的な諮問をしておりまして、それまでに公害の中間答申と、本年の八月に安全規制の長期計画答申をしておりますが、その後、中古車に対する排気ガス規制はどういうふうな方法でやったほうがいいだろうかというふうな重大な問題がございまして、その問題に焦点をしぼりまして、自動車部会の専門委員会をこの九月八日に第一回を開催したわけであります。そしてこのテーマとするところは、中古車の数が非常に多いんですけれども、そういうふうなすでにもう使用過程に入っている車につきまして、今後排気ガスを正常化するにはどういうふうな正常化方式をとったらいいかというふうな問題現在、大体正常化する方式には四つくらいございまして、一ぺん排気ガスをまたエンジンに戻す排気ガス還流方式という方法と、それから点火時期をおくらせまして、そして燃焼温度を低くして排気ガスの悪い成分を少なくするという方法と、あとはエンジンの中に水を噴射しまして燃焼温度を下げます、そういう方式をとる方法と、それから触媒を使って排気ガスの正常化をはかるというふうな四つの方法がございますけれども、この方式のうち一体どれが、たとえば気筒容積どの程度の車にはどういう方式がいいのか、そういうふうな方法のメリット、デメリット、それから、その使用する人が一般のオーナードライバーでございますから、使用上の注意事項等もこれからはっきりと打ち出して使っていただかないと、所定の効果が期待できないというふうな点がございます。そういうふうなことと、あと排気ガス正常化の規制数値といいますか、そういうふうなものを一体絶対値できめたらいいのか、あるいは減少率できめたらいいのかというふうな、大体この二点について現在会議を開いております。そして大体今月一ぱいあるいは来月に少しかかるかもしれませんが、その時点で一応中間答申を得て、あとは規制をするよう方向で進んでいきたいというふうになっております。現在、中古車規制につきましては諸外国ではほとんどしておりませんで、何せこれは初めてのことでございますので、非常に短期間のうちに問題を煮詰めていくというふうなことで鋭意検討しているところでございます。
  86. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま事務当局からお答えになりましたけれども、そういうことは大臣、もう二年前から私たちは言ってきておるのですよ。そこで、この問題は私は二つあると思うのです。そういうことを言っておったのでは大気の中に自動車の排気ガスが充満してなくならないという点が一つですよ、はっきり言ってしまえば。排気ガスを出すおもなものは、中古車で使用過程車だということはわかっておる。その使用過程車に対していろいろな浄化装置を義務づけなければいけないというふうなことまで、もう二年前に論議しておるのです。大臣大臣なら、そのときの整備部長からそういう方向検討しますという答えまでもらっておるんですよ。だから、私が最初に言いましたけれども、ほんとうにそういうことについてはやる気があるのか、マンマンデーじゃないか。こういう点を私たちはほんとうに残念に思うわけなんです。  それで、使用過程車がいまの問題で、それじゃ、現実に国がやらないならば、——東京都はこの九月の議会で義務づけを考えておるんです、このいわゆる浄化装置のですね。そういうことを考えてみますと、いま担当課長から言われたことも、私はそれなりにやってもらわなければいけないと思います。しかし、いま私が言うたようなことと、いま事務当局がやっておるようなことは、いままでの排気ガスの中では一酸化炭素を規制して少なくしようという方向できたのです。そのほかの二つの物質があることは御存じだと思います。これについては年度をきめてこれも規制しよう、こういう方向があったわけです。ところが、今度の九月八日に運輸省が諮問したものを見てみますと、一酸化炭素だけを規制していてはいまの光化学スモッグ等の対策にはならない、簡単に言うと。そういうようなことで、あとの炭化水素、窒素酸化物についても早く対策を立てなければならないという方向での——それをするためには、いま言ったような触媒方式なりいろいろ四つの方法があるということも聞いております。こういう方法を運輸省はいま専門委員会に諮問したということでございまして、これをここで議論してみてもあれでございますから、一応そういう方向でCO、一酸化炭素だけを規制するのではなく、そのほかのいわゆる光化学スモッグの原因ではなかろうかといわれる炭化水素なり窒素酸化物も規制していかなければならない、そういうふうなものではないかと私は理解しておるのですが、これは間違いないですか。そういう方向であるかないかだけでけっこうです。答えてください。
  87. 小林正興

    小林(正)説明員 そのとおりでございます。排出ガスの中に先生御指摘のとおり、一酸化炭素と炭化水素と窒素酸化物、この三つあるわけでございますが、従来一酸化炭素につきましてはすでに規制済みでございまして、今後一番重点を置きますのは、光化学スモッグの原因といわれております炭化水素と窒素酸化物、これは技術的にもまた非常にむずかしい問題でございまして、これに全力を注いでいきたい、こう思っております。
  88. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、いま大臣お聞きのとおり、現在までやってきたことは、一酸化炭素だけを規制するのじゃなくて、その他の二つの物質を何とかしてやりたい。そこで出てくるのは、現在時点では浄化装置をつけてやる以外にない、こういうふうに思うわけですが、そのとおりだといういま御答弁でございますから、その次の問題に入りますけれども、この浄化装置が問題でございまして、先ほど課長さんのほうからお話がありましたが、この浄化装置を取りつけることについてこういう現時点になったということについては、私も二年前に公害国会でいろいろ論議しましたことがございまして、それが二年後にこのようにもう直面する重大な問題になってきて、その方向にいったということについては、その姿勢を一応私は評価するわけですけれども、これも何回も言うようでございますが、もう二年前からこういう問題は言っておったんだということを私は申し上げておきたいわけです。  そこで、現時点におきますところの浄化装置について、さっき四つくらいの話がありましたが、この性能も考えてみますと、いま中公審からいただいた中間答申の、いわゆるマスキー法並みの規制にしましても、今後いろいろ研究されると思いますが、この浄化装置で満足できるものであるかどうか、これは技術的なことでございますから、担当課のほうからお答願いたいと思います。
  89. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 マスキー法並みと申しますか、その規制は非常にきびしいものでございまして、先ほど局長からもお話がございましたけれども、従来の一割程度にまで減少するというふうなものでございますので、この四つの方式、これは中古車規制でございますけれども、この方式を使ってはたしてその目標値まで達し得るかどうかということにつきましては、まだまだ技術的な詰めは要ると思います。それは現在中公審の答申でも、昭和五十年以降の規制でございますから、一年ほど前かそれくらいまでに結論を出せばいいわけですので、この辺のところはまだいろいろ実験もしなければならないでしょうし、そういうふうなことだろうと思います。またかなり実験が必要である。ただ中古車規制につきましては、新車並みの規制ということは技術的には不可能でございますから、中古車につきましてはそういうふうな数値は新車に比べればもっと甘い数字だろうと思います。そういうふうな数値はこの中古車規制の四つの方式の一体どれを使えば、あるいはどれとどれとを組み合わせればいいのかというふうなことは今月中に方向を出してしまおうということでございます。
  90. 田中昭二

    田中(昭)委員 そこでマスキー法並みにするにも新しい浄化装置とか無公害車のエンジン、そういうものを開発しなければいけない、こういう両方あると思うのです。何も浄化装置だけじゃないと思います。そうなってきますと、それを強力に進めることが、まずいま排気ガスを出している主要原因の中古車の問題の解決になることなのですよ。それにいま担当課長はそのようにやってきたと言われますけれども、二年やってできないものが、いまから四年後には完全に中古車も規制しようというときに、いままでのことをカバーできるのだろうか、こういう心配もあるのです。一応目標も立ててできる方向でがんばっているようでございますから、それはそれとしますが、私はどうしても四年後には——これは一年も延ばすことはできない。ほんとうならもう少し早くやりたいのです。完全に実施できるような体制を整えるための最大の努力をすることは、いま大臣がおっしゃったきびしくすることのもう一つ前の事柄としてある。それは必要であろうと思います。  そこで、何べんも繰り返しますが、いままでの運輸省のやってきました研究開発といいますか指導といいますか、そういう姿勢ではたいへんに心細いし、また行政というものは、そういうことを考えればほんとうに若干の疑問を抱かなければいけない、こういうように思うのですが、これはひとつ技術的なことよりも政治的に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  91. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 お話しように、いままでのマンマンデーのじれったさは田中委員指摘のとおりだろうと思いますし、過去の運輸省のとってまいりました行政的なやり方については、もちろん政党政治でありますから、自民党内閣としてその責任をとらなくてはならぬと思います。しかし同じ政党でありましても、内閣がかわり、人がかわり、それに対する決意だけは十分持っておりますので、いままでと違った考え方で、しかも田中内閣が即断即決でやろうとするこの姿勢をどうかひとつおくみ取り願いたいと思いまするし、またこういう問題はわれわれしろうとがいろいろこうするああするということを先ほどから申し上げることができないのが遺憾でありますが、これで万全だということにはなかなか結論が得られないと思います。万全にやることは当然でありますけれども、しかしこの程度でも従来よりも市民のために、国民のために健康を守るためにやらなくてはならぬという結論が出たときには、早急にこれを実施するという方向でやりたい、こう考えております。
  92. 田中昭二

    田中(昭)委員 確かに私はこういう問題こそ田中内閣決断実行がすぐできる問題であろうと思うのです。技術的な開発については公害研究所なりいろいろなメーカー等でもやっておりますから、それはそれなりにいいと思うのです。  ここで私の提案みたいになりますけれども、いまの大臣のおことばそのままを受けて、いままでの状況の中から一つ申し上げておきますが、いまこういう問題について、たとえば一つの企業、自動車メーカーなら自動車メーカーだけで解決できるものじゃないと私は思うのです。その証拠にヨーロッパでもアメリカでもいろいろな機械メーカー等まで動員しまして、触媒にしましても浄化装置にしましても、機械の問題、水の問題いろいろな問題知恵を集めて技術開発をしている。ロータリーエンジンでもそうです。ドイツの一博士がつくったというように聞いております。そしてそれに対して国がたいへん助成措置をやったり、また補助金をやったり、開発すればそれを買い上げてくれたり、そういうことをやっているのです。ところがわが国にはそういうことがないのです。そこは私は行政の問題だと思うのです。同じ金を使うのであれば、いいものができることがわかっているのですから、当然そういうものに金を使わなければいけない。ところがいま申し上げますように、わが国はほとんどただ自動車メーカーまかせですね。自動車メーカーとしては、それはいままでどおりのほうがいいです。ことさらコストが高い性能の高くなる浄化装置をつけようなんということは、私ははっきり申し上げまして進んでやることじゃないと思います。やらなければならないのですけれども、利益をもとにした企業であれば、私はそういう点は一つ考えは持っておかなければならない、こう思うのです。  そこで、一つの企業単位メーカーでまかせておる開発では、どうしても限界がありますし、むずかしい。それかといってお役所の公害研究所ではおそらく微々たるものです。前委員会で、前大臣のときだったですけれども、車の公害研究所なんか行ってみますと、ちゃちなもので町工場みたいなことをやっておる。ここで一ぺん問題にしました。それだけでもたよりにならない。そういうことを考えますと、先ほど言いましたいろいろな機械メーカーなり一発明家なり町の発明家等の技術というものが、世間にはたいへん埋もれておるような気持ちもするわけでございます。そういうことを掘り起こしてやることが、利用することが、そういうことを効率よく助成してやることが、運輸省の一つの仕事ではなかろうか。大事なことである。これらの新しい技術は、先ほど言いましたようにアメリカあたりではこれを開発した場合には買い上げる、また研究費の助成をする。そういう姿勢が行政の上でとられなければならない。こういうことを考えますと、こういう点につきまして今後運輸省はどのよう考えを持って指導をし、また研究助成をやっていかれるのか。そういう点について即断と実行で、事務局もあまりいままでのからにこだわらぬで、一つ知恵があればお聞かせ願いたいと思います。
  93. 小林正興

    小林(正)説明員 確かに技術的に非常にむずかしい問題でございますので、単に私どものところの技術陣営だけで問題が解決するとは思われません。そこで先生の御提案がありますとおり、運輸省の部内におきましても運輸技術審議会という場におきまして、東京都関係の専門家あるいは学界における専門家、業界、きわめて総合的に各分野の専門家をこの運輸技術審議会の委員に委嘱しておるわけでございまして、そういった面も今後十分活用してまいりたい。  それから民間に対します研究開発の補助金でございますが、従来やはり金額的には確かに微々たるものであったわけでございますが、今後の低公害車の開発というようなことにつきましては、運輸省は運輸省といたしましても、都市交通用の低公害車の開発というようなことを現在考えておりまして、来年度も積極的に予算要求をしてまいりたい、こういうつもりでやっておるわけでございます。先生御指摘のとおり運輸省自動車局自体のこの公害に対する技術陣営というものがきわめて微々たるものでございまして、私どもはむしろ先ほどの先生御指摘のとおり、あるいは大臣の御指示によりまして、そういった各方面における研究をよく取りまとめていくということによりまして積極的に進めていきたい、こう思っておるわけでございます。
  94. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体来年度の予算にもそういうものが組めるのだったら組みたいという事務局からの話かありましたか——組んでいるというような話だったかどうか知りませんが、大臣ひとつ思い切ってこの際ここで議論いたしまして、いいことはいまやらなければ、ほんとうに東京の光化学スモッグに対して東京都のやっておること等考えた場合に、私はもう少し国の積極的な姿勢を示さなければいけない、こう思いますから、ひとつぜひ来年度の予算についてはこういうふうにしていきたいという方向だけでもけっこうですし、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  95. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 明年度予算につきましては、九月一ぱいで従来この関係予算は大蔵省に提出しておりますが、公害関係、排気ガスの問題は運輸省の重要事項として明年度予算に織り込むつもりでございますから御理解願い失いと思います。
  96. 田中昭二

    田中(昭)委員 ぜひ期待しております。  そこでこういう排気ガスの問題をいろいろ——それをただこのちょっとの時間だけの論議では私は事足りませんし、ここで時間もございませんから一つの提案みたいなかっこうになりますが申し上げておきたいことは、車というもの全体に対するいろいろな考え方といいますか、行政上の手当てといいますか、そういうものがあるわけでございますけれども、私はここでひとつタクシーの小型化、バスエンジンの小型化、こういうものをいろいろ勉強したわけでございますが、こういうことは専門家がお聞きになればもう十分おわかりいただけると思います。先ほど言いましたように、確かにエンジンの小型化によって有害成分の排出量も半分なり三分の一になるというようなことでございます。それからまた、いまガソリンを燃料としておりますが、この燃料についても、わが国の資源の状態から考えてみましても、天然ガスをもう少し使えばいいんじゃないか、こういう気持ちがします。これになりますと、確かに三つの、一酸化炭素をはじめほかの二つの物質もたいへん少ないようでございますし、この天然ガスの材料というものもわが国にもたくさんあるように聞いております。現実にそれは発電所等で使っておりますし、またそういうものも、いいものであるならば、さしあたって公共機関の車、都営バス、そういうものからでもまずそういう燃料でも使っていくということをやれば、現在交通機関が赤字に悩んでおります経費の節減にもなりますし、それからガスもよけいに出さないし、そして車体も、エンジンを小型化をすることによって小さくなりましょうし、交通渋滞の問題も幾らか解決する。まだまだございますが、現在まで自治体がやっております交通事業を見ましても、一番問題はやはり金の問題です。何をやるにも金でございます。こういうことから考えれば、こういうふうなタクシーの小型化なりバスのエンジンの小型化ということについての事務当局の意見をまずお聞きしておきたい。
  97. 小林正興

    小林(正)説明員 公害問題について直接技術的な解決方法につきましては、先ほど来いろいろ御質問があったわけでございますが、ただいま先生の申されますもう少し広い視野から、たとえば交通全体の流れをよくすることによって公害を少しでも減らすというようなことも一つ必要だろうと思います。  そういった観点から運輸省で考えておりますのは、いわゆるマイカー対策といたしましても、これをできるだけバスに置きかえていくというようなことによって公害対策の一助にもなる、あるいはそういった際の都市交通用のバスについては、ミニバスと称しまして、従来の型よりも若干小型である。その小型化にふさわしいようなエンジンというようなものを低公害車として開発したいというよう考えも持っております。  それからまた、一般的に車を小型化する問題については、確かに御意見のよう問題があろうかと思います。タクシーについて、現在中型車あるいは小型車というようなものが全国的に行き渡っておりますが、これはやはり運転性能、特に運転手の労働条件というよう問題とも直接関連いたしますので、直ちにタクシーは小型車であるべきだというように即断はいたしかねると思いますが、確かに公害対策についてそういう使用車種というふうなものをくふうするというようなことが一つ方向だろうと思っておるわけでございます。なお、公害対策というのは、ただ単に技術的な解決ということでなくて、そういった面の車両の小型化とかあるいはバスへ転移させる方策とか、あるいは全体としての交通対策、交通規制というようなもの全体によりまして公害対策を進めるべきだと思うわけでございまして、ただいま御指摘の御意見につきましては今後十分そういった方向検討もいたし行政も進めてまいりたいと思います。
  98. 田中昭二

    田中(昭)委員 私がいまここに唐突に申し上げたからなかなか納得のいかないことがあったと思いますが、先ほどから言いますように、いいことは即断実行だから、もう少しタクシーの問題で、例をとって話してみたいと思うのです。  東京ではタクシーが四万台くらいあるかと聞いております。大臣北海道ですから大体おわかりと思います。私は九州ですが、九州を走っているタクシーは小型です。東京では四万台の車が一日三百何十キロの走行キロ——二千CCの車ですよ。この車が一台当たり三百六十キロで四万台走っているのですよ。平均大体何人乗っていますか。それを、いま私が申し上げました千五百CC、千CCでもいいでしょう。こんな東京の平地が多いところですから、九州や北海道で走っている小型でもいいでしょう。そして料金をいまのまま押えたならば、いまの労働条件の問題なんか一ぺんに解決しますよ。おそらくタクシーの運賃値上げは毎年やらぬでいいのです。かりに千五百CCの車を使ったとすれば、マイカ−の車の五万台分に匹敵する節約ができるのですよ。いまこの東京都内で、マイカー、自家用車が一ぺんに五万台減ったとしたらどうでしょう。その五万台をかりに交通規制のほうからでも考えてみる。いま東京都内の交通規制を、車庫規制とか駐車違反の規制なんか警視庁のほうでやっておりますけれども、たいへんなんです。どうですか。警察庁も来ていると思いますが、いま駐車とか車庫規制等をやって、どのくらいのマイカーの規制ができるのですか。参考にちょっとそれを聞かせてください。
  99. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 大体都心三区で駐車禁止規制を全面的にかけまして、これの取り締まりをしっかりやった場合は、大体マイカーの一割四、五分のものが規制できるというふうに考えております。
  100. 田中昭二

    田中(昭)委員 一割四分というのは台数で何万台ですか。
  101. 竹岡勝美

    ○竹岡説明員 マイカーの都心三区に入るのは、朝の時間帯でいうと二時間で六万台でありますから、朝の時間帯の二時間だけの六万台ですから……。
  102. 田中昭二

    田中(昭)委員 二割にして一万二千台ですね。——大臣、いまお聞きのとおり、六万台の自家用車のたった一割か一割四分しか規制できないというのですよ。いま中型の東京都内のタクシーを千五百CCのエンジンに切りかえて小型にするだけで、その何倍かの交通問題の解決ができるのです。そうしていま申し上げたようにその経費の節減等もできるでしょうし、ガスも少なくなるでしょうし、幾つもあると思うのです。それが一つのものに対する、運輸省が車なら車というものに対する総合的な考え方でなければならない。かりにその一つ一つは、公害、経費節約、そういうもの数%のメリットがあるとするならば、デメリットというのはないのですから、利用者から見れば、お客さんが乗るのに中型車に一人乗っておるのと小型車に一人乗っておるのと、そのくらいの相違でしょう。その数%ずつのメリットをかりに十重ねると、一つ三%のメリットが三〇%になるのです。いまマスキー法でもガスを九〇%減らそうとしているのです。それを一つのことでやっていこうとするからできない問題があるのです。できるものから積み重ねていくならば総合的に解決できる問題があるということをなぜ考えないだろうか、こっちがふしぎがるくらいです。自動車については専門家でいらっしゃるし、私がただ思いつきみたいに考えたことも、いいことであるならばそれこそ即断実行してもらうことが、大臣がおっしゃるいままでのやり方と違って今後はやりますということの方向性だけでも見つけるものでなかろうか、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
  103. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 非常に貴重な御意見だと承りますので、私の運輸行政の中の、ことにタクシー行政の参考にさせていただきたいと思います。
  104. 田中昭二

    田中(昭)委員 一応参考として聞いてもらうだけでも私はいいと思うのですけれども、どうか今後運輸省が一皮も二皮もむけてりっぱに実行してもらいたい、こういうことを重ねて希望しておきます。  そこで、話は全然変わりますが、最初の排気ガスの問題から私が二年前に指摘したことに、大気汚染の中にあります、車から出します有害物質はそれだけじゃなくて、この東京の空が曇ったようにかすむというよう問題、これは浮遊粉じんといいますか、そういう問題があります。これはまた車からだけの問題じゃないと思います。ところで、これだけ道路を車が走っておりますと、車のタイヤというのは相当な摩耗をいたします。このタイヤのごみの物質というのは相当有害ではなかろうか。いろんな学説を聞いてみましても、これはたいへん有害であるというようなことをいわれることがございますし、その問題について一昨年提案しておきましたけれども、そのときの運輸省のお考えは、そんなことは聞いておるけれども全然何もやりませんというような御答弁だったのです。ここにございますが、ふしぎがっておられるから少し読んでみましょうか。これは四十五年の十二月の公害国会のときですが、私がタイヤの摩耗のことについて聞きましたときに、運輸省の整備部長さんは、「研究問題としては、非常に重大な問題ではございますが、いまのところまだ緒についていないのが実情」ということです。再度聞きましたら、「私たちのほうとしてはやっておりません。」そのほかちょっとありますけれども、これはたいした事柄じゃないのです。こういうことなんです。これは通産省来ておりますか。通産省は少しこれについて具体的な話をしておるのですが、自動車技術研究所で今後総合的な研究をやっていきます、そういうお答えになっておるのです。この二年間、この問題についてどのようになさいましたか。それぞれからお聞きしたいのです。
  105. 中村泰男

    ○中村説明員 通産省では、直接の試験研究機関ではございませんが、財団法人の自動車研究所でタイヤの総合研究をさしております。ただ、いまのお話のタイヤの摩耗によります公害問題につきましては、本日突然の御質問でございますので、私その研究がどうなっておるかというようなことはここでお答えする段階でございません。また調べまして後ほど御報告いたします。
  106. 飯塚良政

    ○飯塚説明員 総合問題についてはいろいろやっておりますけれども、タイヤの摩耗による粉じん、これが大気中に浮遊してどういうことになっておるかということは、現在測定方法についてうちの交通安全公害研究所等で基礎的な研究を多少やっておる程度でございまして、その測定方法もわからないというようなことで、今後こういう問題についても検討することに一生懸命やっていきたいと思います。
  107. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、こういうことなんですよ。測定方法がないというけれども、測定方法がないというなら開発していくのが仕事じゃないですか。測定方法がないからといって健康を害する物質をばらまく車を野放しにしていいのですか。これは車だけじゃないですよ。御存じかと思いますが、さっきもちょっと問題が出ましたけれども、飛行場に行きますと、飛行場の滑走路には黒いごみがばっとついているのです。いつも私たちは滑走路を見ますと、飛行機がおりるときにぱっとタイヤから火花が出ますね。相当な減耗なんです。私も心配なものですから聞いてみたところが、タイヤをものすごく摩擦しますものですから、何か着陸を六回しますと全部かえなければならないというのです。そのくらい摩擦するのです。日航でも全日空でもこのタイヤをかえる費用というものはばく大なものです。何十億となるのです。修理はできないのですから新品にかえるのです。かえるということは、そういうタイヤの摩耗によって生じた粉じんが放出されるということになるわけでしょう。そういう問題を提起しておきながら、その緒につかないとか現在になって測定方法がないからやらないとか、それは環境庁のほうはそういうことをいってもいいでしょう。しかし発生源の主体である飛行機のタイヤなり車のタイヤの問題については当然通産省なり運輸省なりが話し合って取り上げなければ、国会でこれだけいろいろ論議しても何の意味もないじゃないですか。そのときの厚生大臣は、私も困っております、もう少し運輸省と通産省が話し合ってこういう問題はやるべきであります、こういう発言までしておるのです。そのときは内田厚生大臣です。どうしたらやるのですか。こういう問題については真剣に取り組んでいままで研究をやったといいますけれども、研究をやったら通産省もデータを出してください。今度は引っ込みません。うちの機関じゃないからよそにやらしているというようなそんな態度じゃ自動車産業を甘やかして、そうして人殺しをするようなものです。人殺しのために通産省金を使うのであったらけしからぬ。ですからデータを出してください。運輸省は測定方法がないならないで、指摘しておるのですから、当然この問題についてもう少し真剣な討議なり検討なりデータなり、説明がなければならぬと私は思うのです。大臣、いかがでしょう。こういう問題も含めて、ひとつ佐々木大臣のときにこの問題をきちっと方向づけをしていただきたい、こう思うのですが、いかがです。
  108. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 公害の発生原因になるあらゆるものに対しては容赦なく研究を進めなくちゃならぬし、また結論が出たら、これを除去するための方策は早急に講じなくちゃならぬと思います。  ただいまのお話で私はびっくりしているのですが、たいへん貴重な御意見だと思いますし、これはもう運輸省だけでなくて、われわれ北海道なんかでもたいへんなことだと思いましたね。なぜかというと、いまから十月、十一月になりますと、北海道あたりの各部落では、霜対策といって古タイヤをどんどん燃やすのです。たいへんな古タイヤを燃やします。だから着陸したときの摩滅度というのですか、それによってタイヤから粉じんが出るということになれば、もちろん当然これを焼却する場合になんかたいへんな公害が出ると思いますから、これらも重大だなと思ってさっきからびっくりしております。何らかの方法を講じなければいけないと思いますが、ただ、いま通産省あるいは運輸省のそれぞれの担当官のほうで真剣な検討に入っていないというよう状況ですから、役所に帰りまして十分協議してみたいと思います。
  109. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一、二提案したいものがございましたが、時間が参りましたから、ただいま大臣にゴムタイヤの摩耗について認識していただいたということで、私はきょうは終わりたいと思います。どうかひとつ事務当局も真剣にやっていただきたい、こう思います。
  110. 細田吉藏

  111. 中谷鉄也

    中谷委員 関西新空港問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。と申しますのは、前回、いわゆる部会の聴聞会が行なわれたわけであります。大阪、兵庫の関係者諸君が聴聞会に出席をいたしまして、そうしてそれぞれ賛否の意見を述べたようでありますが、和歌山県はついにこの点についてのお呼び出しがなかったようであります。一体どういう事情でそういうことに相なったのか。地元においては、和歌山版は連日のようにこの空港問題、はたして神戸沖なんだろうか、泉南沖なんだろうかということで不安を感じ、この点について注目をいたしておる、こういう状況でございます。  そこでまず私は、航空法の問題について、次のようなことで大臣の御所見を承っておきたいと思います。航空法及び航空法施行規則でありますけれども、時代の進展と申しますか、航空機の発達に伴いまして、航空法施行規則を私しろうとながら見てまいりましたけれども、例年この施行規則は改正に改正を重ねておるようであります。昭和四十六年でも二回ばかし規則が改正をされておる、そういう状態。そこで聴聞会の関係においてお尋ねをいたしますけれども航空法三十九条には、前回行なわれた聴聞会とは違いますけれどもも、次のよう規定がある。これをまず読み上げておきたいと思います。三十九条の二項でありますけれども、「運輸大臣は、飛行場の設置の許可に係る前項の審査を行なう場合には、公聴会を開き、当該飛行場の設置に関し利害関係を有する者に当該飛行場の設置に関する意見を述べる機会を与えなければならない。」こういうことに相なっております。そうして航空法施行規則の八十条が利害関係人とは一体何か、この点についての規定をいたしておるわけであります。すなわち利害関係人とは、「許可の申請者又は認可の申請をした公団」「飛行場の区域、進入区域又は転移表面、」以下省略しますけれども、「の区域の土地又は建物について所有権、地上権、永小作権、地役権、採石権」云々「に関する権利を有する者」その他第三、第四とあって、第五「飛行場を利用する者」、こういうことに相なっておるわけであります。これだけ航空法施行規則、例年のように改正に改正をされているわけでありますけれども、第八十条にいわゆる環境権というふうな考え方、すなわち公害対策基本法でいうところの騒音であるとか悪臭であるとか、そういう被害を受けるところの公害についての利害関係人という観点が若干抜けているのではないか。当然利害関係人という中には、住民というか、公害被害者というものが関係人として出てきてしかるべきではないか、こういうふうに私は考えるわけであります。  そこでお尋ねをいたしたいのは、和歌山が聴聞会に呼ばれなかったということを前提にしての話はあとで申し上げますけれども航空法、特に航空法施行規則八十条を公害防止、公害という観点から改正をされる御意思を大臣お持ちであるかどうか。私はぜひともそういうふうな改正の観点に基づくところの作業をしていただきたいと思うのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  112. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 どうも中谷さんのよう法律の専門家からの法律問題を含めた御質問は私は非常に苦手でございまして、航空法第三十九条第二項による聴聞会ですが、これについての御意見のようでございますが、おそらく公聴会を開くにあたって和歌山県の方々をお呼びしなかったということは、直接この利害には関係ない、こういう判断をしたのじゃないかろうかと思います。これがいい悪いはまた別であります。そのためにこの公聴会にお呼びしなかったのじゃなかろうか、こう思います。もしお話しように地元の人たちの強い御要請がございますならば、今後この点を改めることに決してやぶさかではございません。  それから環境権という問題でございます。いま航空法を改正してというようなお話でございますが、この点に対しましては私まだ勉強不足でございます。今後どうしたらいいのかこれから勉強いたしたいと思いますが、私この航空法ということについては、しろうとながら、かって、いまの都立大学の教授をしておりました杉山先生からいろいろとそれなりの個人的な教えをこうむっておりますが、まだいまのようなお話がはたして妥当であるかどうかということの結論を得ておりません。またもしそういうものがぜひ必要ではなかろうかという中谷先生のような強い御意見があるならば、法律的にこれからも——自体は直接勉強できなくとも、幸い私のせがれも弁護士で、そのほうの中谷先生のお世話になっていると思いますが、せがれからおやじが教えをこうむることもまた時によっては必要かと思いますので、これから十分勉強させていただきまして対処したい、こう考えております。
  113. 中谷鉄也

    中谷委員 いやいやどうも。大臣たいへん率直な御答弁で、むすこさんが非常にりっぱで、佐々木弁護士のおとうさんが大臣になったといって、むすこさんのほうがだいぶ有名なようでございます。  それでお尋ねをいたしますが、これは航空局長ひとつお答えください。アメリカの資料でありますけれども、アメリカ運輸省の連邦航空局では、空港建設については次の事項について検討する必要があるのだというふうなことで、空港の要件、位置の選定、それから空港計画財政計画などということをずっと出しておりますね。そうして特に空港の要件の中に、環境に関する調査というのが必須のものとして出されていること、これはもう局長御専門でありますから、先刻御承知のことであります。  そこで重ねてお尋ねをいたしますけれども、この規則八十条には、公害対策基本法の典型公害の被害を受ける者、これが利害関係人として理解できるのかどうか、そのような者が利害関係人として想定でき得る規定なのかどうか。それからそれが非常にあいまいだということであれば、私はこの規定の中に入れることが、まさに新しい空港建設の是非が論ぜられているときに、当然まず第一に取り上げなければならないのはそのことではないか、利害関係人としての最大のものじゃないか、私はこういうふうな感じがするわけでありますが、質問を整理をいたします。利害関係人として、八十条の利害関係人の中に公害対策基本法にいう典型公害による被害を受ける人たち、その典型公害の影響を受ける地域の住民、これは利害関係人であり得ること当然だと思いますけれども、八十条からは直ちにそのことが導き出されないと思います。この点についての改正の意思なしやいなや。私は当然改正すべきだと考えますが、環境庁とも打ち合わせいただいたと思いますけれども、どうでしょうか。
  114. 内村信行

    ○内村説明員 先生御指摘ように、法律の三十九条におきまして、飛行場設置の場合には、許可の審査の場合には公聴会を開くことになっておりますて、その公聴会の際の利害関係人を意味するもの、これにつきましては、先生御指摘のとおり第八十条によって規定してございます。ここを見ますと、先ほど先生お読みになりましたからおわかりのように、直接騒音関係ということは規定しておりません。しかし、現在の実態からいいますと、ともかく飛行場を設定する場合の利害関係人と申しますのは、その趣旨から申しますと、その飛行場設置によっていろいろな影響をこうむる、それによって利害関係が大きく影響されるということを対象にしておる趣旨でございます。かつてこの航空法制定当時は騒音というものがそれほど大きくございませんでした。現実にそういうふうな公聴会でもそういうことはございませんでした。最近はそういう問題が大きくなりまして、いずこの公聴会においてもそういう御意見がございます。そういう場合には私どもこれは却下いたしませんで、騒音の問題についての利害関係人の出席を含めまして聴取しております、事実問題として。しかし先生おっしゃるように、この条文が読めるかといいますと、必ずしも読めないと思います。したがいまして、これにつきましてはこういうふうな客観情勢になりますと、これはやはり前向きに検討いたしまして、これを明文として含めるのが妥当だと思います。ただ、それをどういうふうに含めるかということになりますと、ただ騒音といいましても、どの程度までの騒音か、その範囲はどのくらいかというような、いろいろ技術的にむずかしい問題がありますので、そういった点もございますので、それにつきまして前向きにこれを慎重に検討した上で要すればその改正をはかりたい、こういうふうに考えております。  なお、その典型公害といいますものには悪臭とか振動とかいろいろございますが、空港にとりましては、まず騒音の問題が一番問題だろうと考えております。
  115. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣御退席になるようでございますので、では一点だけ大臣に、先ほど御答弁をいただいたのでありますけれども、お尋ねをといいますよりも要望をいたしておきたいと思います。  要するに、先日行なわれましたところの聴聞会、これは法に規定するものではないことは承知いたしておりますが、これに和歌山県が呼ばれなかったことについて地元の中においてはかなり不満と不安があります。そこでとにかく部会長が、和歌山が、公害、いわゆる航空機騒音あるいは飛行場による、どこにきまるかは別として、あるいは飛行場が設置されるかどうかは別として、そのことによる直接の利害関係がないのだというふうに判断をしたならば、そもそも、大体兵庫県も大阪府もお上にまかしておいていいものなら、公聴会、聴聞会なんというものは開かなくてもいいという考え方が出てくるわけです。住民がぜひともわれわれの意見を述べたいといっている、こういうことであります。これは東京で開かれたわけでありますけれども、私は、ぜひとも将来の手順として航空法の三十九条の、とにかくそういう申請があった云々という、その以前の聴聞会をあらためて関西で開いていただいてしかるべきじゃないかと思う。そういうようなことで、そのときには和歌山県知事、和歌山市長あるいは和歌山市のその他の周辺の商工会議所その他団体などが出席をして、賛否いずれかの意見を述べる人がおると思います。いずれにいたしましても、そういう意見を述べる機会が与えられなければ、私はこの問題について和歌山として全くつんぼさじきに置かれているということだと思うのです。だから、これは航空法以前の聴聞会等についても大臣のほうから部会長に対して、和歌山のほうではそういう不満がある、したがって部会のほうで和歌山県関係なしというふうなことではなしに、不満があり不安があるなら、公聴会、聴聞会、どんな名前でも、これは法に規定されたものではありませんけれども、和歌山県に意見を述べる機会を与えてしかるべきだということを大臣から御指示をいただきたい。この点を御答弁いただいて、御退席いただきたいと思います。
  116. 佐々木秀世

    佐々木国務大臣 騒音関係、また航空公害の問題は住民の非常に重大な関心事になっておりますから、公聴会、聴聞会、これらについてはお話のような万全の処置をとりたいと思います。私から、こういう公聴会を開きたいと思うから和歌山県から出ていろいろな意見を述べていただきたいというような指示でなくて、広告をするなり何なりの方法を講じますので、県知事なり何かの方法でお申し込みをいただきたいと思います。それを従来のような形で拒否するというようなことはいたしません。利害の濃度はありましょうけれども関係のあるものとして十分意見を聞かしていただくような方法を講じたい、こう考えております。  それからまた、現地でやるかやらないかということは、きょう直ちにここで御返答申し上げることができませんので、時間をかしていただきたいと思います。この問題、私はことに重大に考えまして、来たる十六日土曜日に関西空港問題で現地に参りまして、よく住民の声を聞かしてもらったり、現状がどうなっているかということの現地調査を私自体いたしたい、こう考えておりますので、そのときにでもいろいろ御意見等を地元の人から拝聴したいと思います。
  117. 中谷鉄也

    中谷委員 大臣、そういうふうに十六日においでいただくならば、私はさっそく和歌山県知事等にも伝えますし、当然この点は報道されるだろうと思いますから、ひとつ和歌山県知事、市長等にも時間をさいていだだいて、ぜひとも会って意見を御聴取いただきたい。これはひとつお約束と申しますか、大臣の政治姿勢からいえば当然のことだろうと思いますけれども、申し上げておきたいと思います。  そこで航空局長さんにお尋ねしますが、八十条からは直ちに騒音問題が出てこないということでございますね。悪臭、大気汚染も出てこないということになれば、現在のたたき台でけっこうですから、入れるとすればどういうふうなかっこうの入れ方をするか、入れるということについて前向きに検討とまでお話があったのですけれども、それが確定的なものでなくてけっこうですから、このあたりにこういう文言を入れてみたらどうだろうというふうな点について御答弁をいただきたいと思うのです。  その前に、環境庁の自動車公害課長さんにおいでいただいておりますので、自動車公害課長さんのほうはこの問題について御所管と申しますか、特殊公害についての御所管でありますから、航空法及び施行規則改正については環境庁としてはどんな考え方をお持ちでしょうか。
  118. 小林育夫

    小林(育)説明員 ただいま所管であるというお話でございましたが、実は私は自動車公害課長でございまして自動車が専門でありまして、特殊公害課長、本日支障があって出られませんので、かわりに参りました。その点、御了承願います。  私どもといたしましては、先ほど先生のお話にありましたように、地域住民の意見を聞くということは当然なさるべきことであろうかと考えておりますけれども、それをどういう形で法律なり規則なりに盛り込んでいくかということにつきましては、これは主として運輸省さんのほうでお考えになることで、その過程におきまして私どもといたしましても十分協議の上、そういうことの実現がはかられますように考慮してまいりたい、そのよう考えております。先ほどからお話にありましたように、法律に定めはございませんでも、現在実質的にそういう住民参加の形が行なわれているということで、私どもといたしましてはそういう点についてはまことにけっこうなことである、そういうふうに考えております。
  119. 中谷鉄也

    中谷委員 航空局長に御答弁いただきます前に、ですから一応、騒音問題というのが伊丹においても今度の泉南、神戸においても非常な大きな問題になっておる。聴聞会においてもその問題が、住民が受ける被害の最大のものとして出されておる。そういうことの中で、そのことが法にきめられないところの聴聞会でも問題になった。そうすると、法に定められておるところの公聴会で、八十条からは直ちにそのような騒音問題という典型公害、特に騒音等の問題についてのものが、利害関係人としては出てこないということは、これはまあ言うてみれば、その法の欠陥、不備と言っても私は過言ではないと思うのです。  ことに、先ほど冒頭に申しましたけれども、時代の流れの中で、航空法施行規則というのは、どんどん改正をする、また改正をしてしかるべき規則だと私は思うのです。そういうような点から言って、私は、そういうことで当然改正されるということについての御答弁をいただいたと理解いたしまするが、入れるとすればどういうかっこうで入れるか、この点について御答弁をいただきたいということであります。
  120. 内村信行

    ○内村説明員 先生の御質問でございますが、具体的にどういう形かちょっと私いま頭にございませんので、ごかんべん願いたいと思います。  ただその場合に、八十条の中には飛行場の区域とか進入区域とかいろいろな表面の下にあるもの、その下にある「土地又は建物について所有権、地上権、永小作権、地役権、採石権、質権、抵当権、使用貸借又は賃貸借による権利その他土地又は建物に関する権利を有する者」でございますから、そういう方々は相当の広範囲になりますので、その方々のテーマが騒音であろうとあるいは排気ガスの問題であろうと、相当広範囲に利害関係人の中に実際には入ってくると思います。ただ、騒音の場合には相当範囲が広く出ますので、必ずしもこれではおおい切れないものがあるのじゃないかというふうな感じもいたします。そこで、やはりその騒音というものにつきまして、騒音によって何らかのある程度以上の影響をこうむる地区内の方々、そんなようなことで入れたらどうかというのが、私のいまの思いつきでございますけれども、そんな感じでございます。
  121. 中谷鉄也

    中谷委員 そういうことであれば、当然利害関係人ということには——公害の広域化、ことにいま飛行機というのは大阪の上だけを飛ぶわけじゃないので、私しろうとでよくわかりませんが、たとえばグリーン81がああいうふうにとにかく潮岬のところを走っておる。それが結局大阪のほうに空港ができれば、こういうふうに北のほうへ北上してくるということになるわけでしょう。ということになれば、当然和歌山県はこれに引っかかってくるということになりますると、公害の広域化というふうな問題あるいはまた当然和歌山県の上空になるというふうな問題などで、和歌山は当然利害関係人ということに相なるだろうと私は思います。その点についてお答えをいただきたいことと、それから前回の騒音調査について、測定点を二十幾つか選んでおやりになったときに、たいへん私たち憂慮をいたしましたのは、和歌山県の加太海岸について空欄になっておった。これは聞いてみますると、いろんなその他の雑音が入ったために測定不可能であるということでありまするけれども、その後、昭和四十七年八月、「関西国際空港候補地における航空機騒音調査結果」においては、和歌山市加太海岸はどのような騒音の結果が出ておるか、これはひとつ、運輸省のほうから資料をいただきましたけれども、またお答えをしていただきたいと思います。
  122. 内村信行

    ○内村説明員 まず初めの問題でございますけれども、つまり騒音の影響下にあるものというものをどういうふうに限定するかという問題でございます。その場合には、航空路の下にあるものが全部影響下にあるということになりますと、これはたいへんなことでございます。実察にはそう大きくはございませんので、したがってそこまでは含められない。実察問題として飛行機が、飛行場の周辺におきまして、飛行場から飛び上がるとき、あるいは飛行場に進入してまいるとき、これはだんだん低高度をとって入ってまいりますから、そのときには騒音がその下付近で発生いたします。そういうふうなものについては、いわゆる騒音のある程度以上の被害者というふうに考えられるわけでぼざいます。和歌山の場合におきましては、これは播磨灘と淡路島の場合はあまり関係ございません。かりに神戸沖にとりましても、泉南にとりましても、私ども考え方といたしましては、進入経路は海上を通ってくるというふうなことから、騒音の影響というものは、ある一定程度の範囲内に押えられる。実際上いわゆる大きな被害にはならないというふうなことから、この辺につきましてはそう詳しい調査はしてございません。  それから例の公聴会のときにも、そういった観点から利害関係人として特にお呼び申し上げなかったようなことが実情でございます。  ただ、先ほど先生がおっしゃいましたそのデータにつきまして、いま私手元に持っておりませんので、申しわけございませんが、後ほどまた……。
  123. 中谷鉄也

    中谷委員 この資料を見ると、和歌山が一番高いんじゃないですか。
  124. 内村信行

    ○内村説明員 失礼いたしました。どうも拝借した資料で申しわけございませんけれども、それによりますと、和歌山県の加太海岸、これが暗騒音以下になっております。それから岬町多奈川海岸、これは加太ではございませんが、和歌山の付近だと思います。これば暗騒音が四十八、それから実測が五十八、第二回目は、実測が暗騒音以下ということになっておるわけでございます。
  125. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると結局その表によりますと、多奈川と和歌山では一体どちらが騒音被害が高いのですか。
  126. 内村信行

    ○内村説明員 これは和歌山の加太の場合には暗騒音が六十七でございます。それからはかった場合には暗騒音以下でございますから、わからなかったわけでございます。暗騒音以下、ですから、どのくらいかわからないわけでございます。それから岬町の多奈川海岸では暗騒音が四十八、風のピークのときが五十六でございます。実測が五十八でございますから、暗騒音よりは少し上であった。それから第二回目の実測では、暗騒音は四十九でございますが、暗騒音以下で、わからなかったということでございます。和歌山県の加太海岸の場合には暗騒音が六十七でございます。比較的多いものでございますから、実際どのくらいあったかわからないということでございます。したがいまして、実際には多奈川海岸と和歌山の加太海岸ではどちらが実測騒音が多いかということはこれでわからないというのが実情でございます。
  127. 中谷鉄也

    中谷委員 ですから、お手元に出した資料においても——私、この前運輸省の対策課の方にも来ていただきまして、かなり長い時間をかけてお話を伺いましたけれども、和歌山の騒音については、とにかく飛行機が海上を飛ぶのだからたいしたことはないだろうというお話はあったけれども、いわゆる騒音について、たとえばロンドン空航その他においてずいぶん詳細な調査をやったというようなお話を聞いております。こういうふうな資料も運輸省からいただきましたけれども、いわゆる和歌山についてどの程度の騒音被害があるのだろうかということについての徹底的な調査というものが、私は必ずしもなされておらないと思うのです。そういう点は、私は、地元住民が非常に不安を持つ点ではなかろうかと思います。それから測定点を何点か選ばれて飛行機を何回か飛ばされたというのですけれども、そういうふうなことだけではたしていいのかどうか、さらにもっと徹底的な騒音調査というものがなされてしかるべきではないのかというふうに考えるわけなんです。さらにやはり騒音対策の観点から、まだいずれともきまっておらないという前提、いわゆる必要なのかどうかということがいまなお地元においてはきめかねておるという前提を立ててのお話でありますけれども、騒音調査についてはことに和歌山等が欠落をしておるということについては、地元は不満でございますので、徹底的に御調査あってしかるべきだと思いますが、この点について、調査をするという御答弁をいただきたいと私は思います。
  128. 内村信行

    ○内村説明員 ただいまのところ、先生から拝借しました資料でもごらんのように、和歌山県の加太海岸では暗騒音以下というのが実積でございまして、この資料から判断する限りにおきましては被害はなかろうということでございます。しかし騒音の問題につきましては、皆さん非常に関心の多いところでございますから、今後また実測を、調査をいたすこともございますので、その際は和歌山についてもあわせて実測の調査をいたしたい、こういうふうに考えます。
  129. 中谷鉄也

    中谷委員 私、先ほど航空地図を持ってまいりましたけれども、和歌山市の河西地区、紀ノ川の北部付近、その辺でとにかく座談会などをやっておりますと、かなりときどき相当騒音と感ずるような飛行機の音をわれわれ感じます。そういうことは局長御存じですか。それはそういうことはあるんだということを認識といいますか、それはもう当然のことなんだということなんでございますか。結局アンバー1から分かれてこう入っていく、この航路にちょうど和歌山が当たっておりますね。この、アンバー1というのだと思いますが、とにかくこうなっておって、そうして話をしておってもときどきかなり耳にこたえるような騒音を感ずることがございます。ましていわんや、これは伊丹ですが、ここにこういうふうに泉南にかりにできた場合に、一体どういうことになるのだろう、こういうふうに不安を感じておりますけれども現に和歌山だって騒音を感じておるのです。そういう点については絶対にそういう事実はないとおっしゃるのですか。その点についてはいかがですか。
  130. 内村信行

    ○内村説明員 私、和歌山において、現在の伊丹の空港に入ります飛行機の発する騒音がどの程度であるということははっきり存じておりませんけれども、おそらく何がしかの騒音はあるだろいと思います。ただ今度の場合におきましては、神戸沖にいたしましても泉南沖にいたしましても、陸上から約五キロ離したところに持っていくということでございますので、それに入ってまいります場台にも、海上を通って進入あるいは出発ができるということになりますので、現在のように陸上を飛ぶことはないだろう。その意味におきましては、新しくできた空航に入る場合あるいは出ていく場合のほうが、現在よりも騒音は少ないのではないかというように私は考えます。
  131. 中谷鉄也

    中谷委員 時間がないようでございますので、では私次のようなことを質問しておきたいと思います。  全体の問題でありますが、かりに泉南に国際空港ができると仮定いたしまして、伊丹と泉南空港との距離が大体四十キロから四十五キロというふうに見てよろしいわけですね、この二つの空港の距離が。見てよろしいわけですね。そういたしますと、安全性の配慮についてはいろいろなことをお聞きいたしましたけれども、これはたとえばニューヨークなどで起こったような、二つの大きな空港が接近しているというような点について、ニアミスについての心配はないかどうか。これはやはり私はパイロットの操縦が完ぺきであるという一つの前提があり、計器や器材等の故障がないんだ、狂いがないんだということを前提とした場合には、とにかく事故の起こりようがないと思うのですけれども、しかしパイロットの質も決して私はだんだん高くなるとは思えない、むしろ、とにかく需要の増大の中においてその質が下がってくる可能性だってあるそうして機械のことですから、計器の故障があるということも考えられる。こういうような場合に、ニューデリーの日航機の事故は空港の手前二十キロのところで起こった事故でございますね。こういうふうな安全性の問題については一体どういうことになるのだろうか、こういう点はやはり地元の和歌山としても非常に心配であります。この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。  まとめて質問をいたしますけれども、次に、航空法の施行規則八十条については、私は和歌山は利害関係人だということを主張し、大体そういうような御答弁があったわけですけれども、和歌山県の上空が待機空域になるというようなことはないわけでございますか。この点は飛行機のことですから、待機空域にならないのだと言ったって、上をくるくる回るのじゃないか。くるくるというのは私の、しろうとのことばですけれども、待機空域になるんじゃないのかということは私聞いておきたいと思います、騒音に関係ございますから。
  132. 内村信行

    ○内村説明員 まず待機空域でございますが、今度の新しい新関西空港ができました場合、その待機空域につきましては、海上を待機空域にいたしたいこう思っております。  それから伊丹空港との関係でございますけれども、進入経路あるいは出発経路あるいは航空路、これを完全に分離いたしまして、あるいは横に分離する、あるいは交互に分離するということにいたしまして、完全にセパレートをつくりまして、計器にいたしましてもVOR、ILS、レーダー等をつけてまいりますので、その点につきましてはまず問題はないと思っておりますが、なお先生御指摘ようなニアミスにつきましては十分注意を払いたい、こう思っております。
  133. 中谷鉄也

    中谷委員 とにかくニアミスが起こったらたいへんであって、いろいろな処置考えられることはもうあたりまえのことでありますけれども、たとえば日航とパンアメリカン航空とのニアミスというのは、どちらかの高度計が狂っておったからああいうことが起こったのだろうと思いますし、その点については地元としては非常に心配であります。航空管制当局の、いわゆる考えられないケースというのもしばしば起こるわけでございますね。  それからもう一度お尋ねいたしますけれども、待機空域を海上にするということについては、これは厳密に守られることなんでしょうか。私はこの点も非常に不安があるわけなんであります。この点についてもひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。  あと質問をまとめて申し上げます。  航空局長に最後にお尋ねしておきたいと思いますけれども、要するに空港をつくるという場合のデメリットとしては——メリット、デメリットいろいろあるでしょうが、デメリットとしては空港をつくるに至るまでの経過を含めてどんなことが考えられるでしょうか。これは通産省の人にきょう私、特に来てもらったのは、和歌山の現状を申し上げておきますけれども、まず国際空港の埋め立て、現在和歌山で問題になっておりますのは北部臨海工業地帯、住友金属二百四十三万平米の埋め立てをしようとする、丸善石油が百三十万平米の埋め立てをしようとする、そのほかというふうなことで、和歌山の山の土砂がなくなってしまうのじゃないか、でこぼこになってしまうのじゃないか、環境破壊もこれはきわまれりということになるのじゃないかという心配があるわけであります。これは採石法については通産省すでに御承知のとおり、われわれ議員もまたずいぶん苦労いたしまして採石法の改正をいたしました。その他宅地造成に対する規制の法律もございます。砂利採取法もございますけれども、一体こういうふうなものの中でこれは大改正をしたのだから土砂採取その他において心配は要らないのだ、ベルトコンベヤーで運ぶのだからだいじょうぶだといえるのかどうか、こういう点もデメリットの一つとして考えているわけでありますけれども航空局長から、空港建設に至るまでのデメリットとして住民が迷惑をこうむるのはどんなものとどんなものがあるのだということを私素朴にお聞きしておきたいと思います。通産省もお答えしてください。
  134. 内村信行

    ○内村説明員 御質問は二点あると思います。  一つは、ホールディングパターンと申しますか、待機空域が完全に守られるかどうかということでございます。私どものケースといたしましては、西のほうから入ってまいります場合は播磨灘の上空に置きたい、それから南から入ってまいります場合には友ケ島よりももっと南のほうに置きたい、こう考えておりますので、相当大きな海域がございますから、陸のほうにはまずかからないだろうというふうに考えております。  それから次にデメリットのほうでございますけれども、これは通常いわれておりますことはまず騒音の問題がございます。それから排気ガスの問題がある。排気ガスの問題は、飛行機自体についてはいままでの調査によってわれわれそれほど大きくはないと思っているのでございますが、ただ空港があるとその辺に道路がつく。道路がつくと自動車が通る。その自動車の排気ガスがたまらぬぞという御説もございます。そういうふうな点が懸念されております。それから工事施行に伴いまして自然破壊が起こるのじゃないか。先ほど先生がおっしゃいましたような、山土をとると自然破壊が起こる、あるいは工事をすることによりまして海の中が荒らされる、これは経過的なものかもしれませんけれども、そういうふうなことがいわれております。それからこういうものができることによって潮流が変化しやしないだろうか。それによって汚染状況と申しますか、かりに流れが停滞いたしますとそこに汚染が起こりやしないかというようなこと、こういったようなことが大体デメリットの懸念として巷間言われておるところでございます。
  135. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 関西国際空港、住友金属鉱山製錬所の拡張、丸善石油コンビナートの拡張、これらに要する骨材の量は約千五百万立米というふうな数字をいただいておるわけでございますが、現在の近畿一円がそれらの骨材の供給圏になると思われるわけでございますけれども、現在の近畿圏の生産量は年間約四千万立米でございます。したがいまして、ごく短期間に需要が集中するというふうなことがないようにすれば、これはまかない得るというふうに私ども考えております。  なお、保安の問題でございますが、採石につきましての採石場の保安につきましては、先生の御指摘の御質問とちょっと違うかと思いますので省略さしていただきますけれども、もちろんこれらはいろんなところで掘られました骨材がこれらの現場に運ばれてくる場合の運搬という行為があるわけでございます。主として貨車であるとかあるいはダンプカーであるとかで運ばれてくるわけでございますが、これらに関する保安につきましては、これらの工事全体に関するあらゆる保安対策という面の中で講じていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。私ただいま申し上げましたのは、採石場自身の保安の問題ではございませんが、もし間違っておりましたら、もう一度採石場自身の保安についてもまた御説明さしていただきたい、こういうふうに思っております。
  136. 中谷鉄也

    中谷委員 質問を終わりますが、ちょっと計算が違うんじゃないでしょうか。住友金属だけで二百四十三万平米でしょう。そうしたら、結局埋め立てが水深平均十メートルとしましてそれだけで二千四百三十万立米、だから千五百万立米とおっしゃったのは、これは鉱津バラスを引いていくのですか。そういうよう問題もありますし、まして空港本体の埋め立てというのは水深二十メートルといっておるから、千五百万立米とおっしゃったのは単位が違いませんか。質問をやめようと思ったけれども、どうも私気にかかるので。  それから私が言っているのは、だいぶわれわれが苦労して超党派で採石法を改正しましたけれども、あれをとにかく十分に運用してもらわないと、あっちを掘りこっちを掘りというようなことでは山がでこぼこ穴だらけになってしまいます。これらについて十分ひとつデメリットの一つとして留意をしてもらわなければ困ります、こういうことを申し上げているわけなんです。ちょっと単位が違うので、私いま質問を終わろうと思ったけれども、いまの単位で間違いありませんね。
  137. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 ただいま私の申し上げました単位は埋め立ての面積でございまして、埋め立ての範囲でございますので、これに要する骨材、そしてこれらの建設計画につきましては私ども実はまだ詳細を説明を受けておらないので、どの程度のいわゆる骨材が年間あるいは最もピークな時期に要るかというようなことは、私どもとしてまだわからない状態でございます。したがいまして、これらの数字も関係のところからいただきまして、なお和歌山県での生産の限界ということも御指摘のとおりあると思います。しかし近畿圏では年間約四千万立米というような骨材が現在採掘されておりまして、またこれらがこれらの工事に運ばれてくると思います。これらを十分検討して、御指摘よう問題が起こらないようにいわゆるデメリットの発生を防ぐという方向考えさせていただきたいと思います。
  138. 中谷鉄也

    中谷委員 だから心配要らないという答弁は、まだ調査してないからそういう答弁ではなくなったわけだね。
  139. 斎藤顕

    ○斎藤説明員 そういうわけでございます。
  140. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  141. 細田吉藏

    細田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会      ————◇—————