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1972-04-22 第68回国会 参議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十二日(土曜日)    午前十時五分開会     ————————————— 昭和四十七年四月二十一日予算委員長において、 左のとおり本分科担当委員を指名した。                 小笠 公韶君                 川上 為治君                 熊谷太三郎君                 内藤誉三郎君                 矢野  登君                 山本敬三郎君                 羽生 三七君                 矢山 有作君                 安永 英雄君                 三木 忠雄君                 渡辺  武君     —————————————    委員の異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      矢野  登君     土屋 義彦君      安永 英雄君     須原 昭二君      羽生 三七君     竹田 四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         内藤誉三郎君     副主査         矢山 有作君     委 員                 川上 為治君                 土屋 義彦君                 山本敬三郎君                 須原 昭二君                 竹田 四郎君                 羽生 三七君                 安永 英雄君                 三木 忠雄君                 渡辺  武君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        国 務 大 臣  木村 俊夫君    政府委員        公正取引委員会       事務局経済部長  三代川敏三郎君        経済企画政務次        官        木部 佳昭君        経済企画庁長官        官房長      吉田太郎一君        経済企画庁長官        官房会計課長   下山 修二君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        計画局長     矢野 智雄君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        経済企画庁調査        局長       小島 英敏君        大蔵大臣官房会        計課長      山崎 一男君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        福間  威君        大蔵大臣官房審        議官       中橋敬次郎君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君        大蔵省理財局長  橋口  收君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        食糧庁長官    亀長 友義君        特許庁長官    井土 武久君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       森谷  要君        大蔵省銀行局総        務課長      磯辺 律男君        厚生省年金局資        金課長      特永 和見君        通商産業省企業        局次長      斉藤 英雄君        日本専売公社総        裁        北島 武雄君    参考人        日本銀行理事   渡辺 孝友君     —————————————    本日の会議に付した案件主査及び副主査互選昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————   〔羽生三七君主査席に着く〕
  2. 羽生三七

    羽生三七君 ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして私が主査及び副主査選任につきその議事を主宰いたします。  これより主査及び副主査選任を行ないますが、選任は投票によらず主宰者の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽生三七

    羽生三七君 御異議ないと認めます。  それでは、主査内藤誉三郎君、副主査矢山有作君を指名いたします。     —————————————   〔内藤誉三郎主査席に着く〕
  4. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいま皆さま方の御推挙によりまして、主査をつとめることに相なりました。皆さま方の御協力を得て、その責務を果たしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係予算中、防衛庁経済企画庁外務省大蔵省及び通商産業省所管審査することになっております。二十六日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、主査といたしましては、二十二日午前を大蔵省、午後経済企画庁、二十四日防衛庁、二十五日外務省、二十六日通商産業省という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) この際、参考人出席要求についておはかりいたします。  本日、昭和四十七年度総予算中、大蔵省所管審査のため、日本銀行理事渡辺孝友君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和四十七年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。  まず、慣例では政府から説明を求めるのでありますが、説明を省略し、お手元に配付してあります資料をごらん願うことといたしまして、直ちに質疑に入ります。  また、説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 財政投融資計画に関連する問題でちょっとお伺いしたいんですが、まあ、時間が制約されておりますので、御答弁いただく場合に簡明にお願いしたいと思います。  まず第一にお伺いしたいのは、厚生年金国民年金などは掛け金を徴収されるということになっておるようですので、その積み立て金を全部財投資金に回さないで還元融資をするということになっておるように聞いておりますが、四十年度以降の厚生年金国民年金還元融資実情がどう  なっておるか、お知らせいただきたいと思います。
  11. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) じゃ、年度と還元融資額を読みます。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 四十年度とそれから四十六年度、四十七年度の予定ぐらいを聞かしていただけりゃけっこうです。
  13. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四十年度で九百三十八億円、それから四十六年度で二千九百四億円、四十七年度で三千六百七十八億円、これが厚生年金国民年金還元融資額合計でございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 いまお聞きしまして、大体私の調査によりましても金額のほうは年々相当ふくらんでおるようです。で、これだけを見ますと、したがって、還元融資はふえた、拠出者のための施策も充実していく方向にあると、こういうふうに表面的には説明できるだろうと思います。しかし、還元融資はほんとうに拠出者福祉を高めるということを重要な柱として使われておるかどうかということについて、ひとつ厚生省のほうではどういうふうにお考えになっておるか、伺いたいと思いますのと、あわせて厚生年金国民年金還元融資機関別の内訳を四十年度、四十六年度、それから四十七年度の予定というふうに分けてお知らせいただきたいと思います。
  15. 特永和見

    説明員特永和見君) お答え申し上げます。  年金積み立て金還元融資につきましては、被保険者福祉増進に直接役立つ施設整備に充てることになっております。そういう意味から、年金福祉事業団地方公共団体に対する特別地方債、そういうものに重点的に配分をいたしておる状況でございます。なお、残余のものにつきましても、還元融資資金を充てるにふさわしい機関でございます医療金融公庫でございますとか、社会福祉事業振興会、そういったものに融資をしております。  御質問還元融資機関別融資状況でございますが、四十年度還元融資総額九百三十八億でございますけれども、そのうち年金福祉事業団が三百七十億、地方公共団体が四百六十九億、その他が九十九億になっております。  それから四十六年度は、年金福祉事業団が八百四十億、地方公共団体が千五百七十五億、その他が四百八十九億でございます。還元融資総額は二千九百四億でございます。  四十七年度の計画でございますが、四十七年度の計画は、年金福祉事業団が八百五十億、地方公共団体が二千九十六億、その他が七百三十二億、還元融資総額は三千六百七十八億でございます。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 その他の内容もちょっと教えてくれませんか。質疑の進めぐあいもありますので。
  17. 特永和見

    説明員特永和見君) その他の中身でございますけれども昭和四十年度九十九億のうち、医療金融公庫が七十億、社会福祉事業振興会が六億、国立病院特別会計が十三億、公害防止事業団が十億、こういうことになっております。  それから昭和四十六年度でございますが、昭和四十六年度は四百八十九億、そのうち医療金融公庫が二百十九億、社会福祉事業振興会が五十一億、国立病院特別会計が五十八億、公害防止事業団が百六十一億ということになっております。  四十七年度はその他が七百三十二億円でございます。医療金融公庫二百七十三億、社会福祉事業振興会が八十四億、国立病院特別会計が六十一億、公害防止事業団が三百十四億でございます。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 ここで私、こういういまお聞かせいただいた数字を見て感ずることなんですが、たとえば公害防止事業団がこの七年間で三十一、四倍ですか、一番急激な伸びを示しておるんですけれども、これは還元融資本来の趣旨から見て、私はどうも適当ではないんじゃないかと——まあこれだけ急激に年々こういったものが伸びてくるのは——そういうふうな感じがしておるんですが、どうでしょう。
  19. 特永和見

    説明員特永和見君) 公害防止事業団に対する還元融資でございますけれども、先生御承知のように、最近の社会情勢推移というものは深刻な公害問題を提起しておるわけでございまして、そういう関係からまあ健康と福祉を守るという意味での公害対策は最も重点的な政策課題一つだろうと、かように存ずるわけでございます。そこで公害防止事業団を通じまして、公害防除のための公園でございますとか運動施設でございますとかグリーンベルト、そういった共同福利施設、あるいはまたばい煙処理とか汚水処理とか、そういった共同公害防止施設、そういう二つの整備あるいは施設の推進というものは確かにある程度高い公共性が認められる事業でございます。こういう意味還元融資資金を投入する、こういうことになっております。そのことはまた被保険者福祉あるいは健康の増進のためにも適当だというふうに考えておるわけでございます。そういう意味から還元融資資金を充てているような状況でございます。
  20. 矢山有作

    矢山有作君 自治省、見えておりますか。まだですか。  じゃこれは大蔵省わからないかね、例の特別地方債のほうも最近相当ふえてきておるようですが、特別地方債のその融資先のおもな事業、どういうふうになっておるか、わかりますか、大蔵省のほう。
  21. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) わかります。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 わかりましたら、これは四十三年度、四十六年度、四十七年度ぐらいをお知らせください。
  23. 橋口收

    政府委員橋口收君) 特別地方債計画の額の推移でございますが、四十三年度から申し上げますと、四十三年度は住宅が七十五億円、病院が二百億円、厚生福祉が二百億円、一般廃棄物処理が百四十一億円、簡易水道四十二億円、屠畜場十二億円、それから下水道が四十七億円、上水道百四十億円、合計八百六十一億円でございます。  それから四十六年度でございますが、住宅が八十億円、病院が三百億円、厚生福祉が三百億円、一般廃棄物が二百十九億円、簡易水道が九十四億円、屠畜場が十一億円、産業廃棄物処理が十億円、同和対策百億円、下水道百五十六億円、上水道三百億円、合計千五百七十五億円。  四十七年度でございますが、住宅が百八億円、病院が三百五十億円、厚生福祉が三百五十三億円、一般廃棄物処理が三百七十八億円、簡易水道が百二十八億円、屠畜場二十三億円、産業廃棄物処理十億円、同和対策百五十億円、下水道二百四億円、上水道三百九十二億円、合計二千飛んで九十六億円でございます。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 時間の関係がありますので、限定してお伺いしたいんですが、先ほどおっしゃったように、確かに公害がなくなれば拠出者福祉も高まるという理屈、これは私もわかります。しかしながら、還元融資対象をそこまで広げてよいものかどうかということについては、私はやはり疑問を持っているわけです、還元融資ということの性格上。それから特別地方債もいまお伺いしましたように、住宅事業だとか、それから厚生福祉施設などに回される金額というのは停滞をしておるようですね。それに反して一般廃棄物処理の問題とか、あるいは下水道処理施設だとか上水道事業、こういった分野が伸びとしては非常に著しいわけです。これでは私は、名は還元融資でありましても、その実態というのは普通言われておる社会資本整備あるいは生活環境整備で、これはその他の財政投融資の金の使われ方と差はないんじゃないかと、こういうふうな気がするわけです。で、還元融資は大体二五%程度充てられておるんだろうと思いますが、その還元融資対象、そこまで私は拡大してよいと判断しておられる行政当局に対して、先ほど言いましたようにどうも疑問を持たざるを得ません。こういう実態拠出者が知ったら、私はやはり意外な感を受けるんじゃないかと、こういう気がするわけです。その点、大臣どういうふうにお感じになりますか。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 還元融資は特に拠出者に一番関係のあるものに配意をしたいというふうに考えて、いま言ったようなところへ使っておるわけでございますが、一方財投計画のほうも同じように国の生活環境に関連したものへ使うというような方針となって、企業へのいままでの融資というような方向を切りかえてきましたので、実際においては運用される方向が同じような方向へ両方とも向いてきているというようなことでございますので、したがって、よく還元融資についてもう少しこの二五%を増せというような意見もしょっちゅうございますが、年金伸びる率はわりあいに多いんですから、そうしますと、その一定率還元融資の比重が財投計画に比べて年々大きくなっていっているというようなことでございますので、これをいつも同じものへ、対象を同じにして運用するというと、同じ福祉部門であっても一方のほうへ片寄り過ぎるといって均衡を害する、福祉政策の間の均衡が害されるというようなことが起こってきますので、したがって、やはり還元融資対象というものは国民生活関係のある限りは少しずつ広げていくというほうが実際には不均衡の是正になるような気がしますので、そういう形でこの範囲は拡大されていっているのが実情だと思います。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 私が、大臣そうおっしゃるんでしたら、ひとつまあ厚生年金国民年金などについてもこれまで衆参両院で繰り返されてきた附帯決議がありますので、これを申し上げてみますから、そういう立場でひとつ、いま言ったような還元融資の使われ方が私は適当かどうかということに対してもう一ぺん御判断願いたいと思うんです。  たとえば厚生年金については二十九年の四月二十二日に衆議院では附帯決議でこういうことをいっております。「老人ホーム等収容施設及び療養施設を増設して年金受給者年金により老後生活を営み得る方途を講ずること。」、まあこういうようなことをいっているし、それから同年の五月十一日の参議院でも附帯決議で、「厚生年金積立金を大幅に還元融資し、老人ホーム児童保護施設医療施設及び住宅等を増設して、被保険者福祉増進を図ること。」、まあこういうことをいっているわけです。同様の趣旨附帯決議厚生年金についてもやっぱり三十五年の三月にも衆参両院で同じように行なわれている。  それから国民年金につきましては、三十四年の三月に衆議院でこういう附帯決議があります。「積立金運用については、一部を資金運用部資金として運用するほか、一部は被保険者利益の為に運用する方途を講じ、努めて被保険者にその利益が還元されるよう特段の配慮を加えること。」参議院でも大体同じような趣旨附帯決議なんです。これらの一連の国会決議考えられることは、明らかに拠出者の身近に還元融資を役立たせてもらいたい、こういう趣旨だと思うんです。したがって、実質的には国の財投と同じ内容融資を、ただ単に還元融資でございますと言えば事足りるという私は趣旨ではないと思う。還元融資ということばからも当然そうなければならないのに、公害が防止されることが拠出者福祉のためになるんだとかまあいろいろな理由をつけて、直接拠出者の身近なものに出すということよりも、むしろその他の財源で補うのが適当だと見られるような方向にこれが使われていくというのは、私はやはり衆参両院附帯決議還元融資の使われ方に対する趣旨から言えば、いささか拡大にし過ぎるのじゃないかと、こういう感じがするんですがね、もう一度お聞かせいただきたい。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはそのとおりだと思います。一般投融資と同じ方向にこれを使われるというのだったら還元融資意味はございませんで、これは特に生活に直結した部面に使われるというところに還元融資意味があるんですが、いま実際に現在使われておりますのは、年金福祉事業団とか公害防止事業団社会福祉事業振興会というような、そのためにつくられた事業団を通じて使われているんですから、これはもう還元融資の目的に沿っているんだろうと思います。その中には、いま言った生活関係するものというのがなかなか多種多様にありますので、当初きめたものよりも範囲がだんだんに広がるということはこれはやむを得ないだろうということをさっき申しただけであって、一般投融資方向を全く同じにするという意味じゃございません。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 ですからね、私は還元融資ということの性格から、あまりこの対象を拡大して、本来なら他の財源をもって充てるような方向にあまり広げないほうがいいんじゃないかと、なるべく直接拠出者につながった、拠出者の身近の方面に重点的に金を出していただくようにしたいと、してもらいたいと。そういう点で言うなら、公害防止事業だとか清掃事業だとかあるいは下水道処理事業だとか上水道事業、こんなものに私は還元融資を充てるべきじゃないと、こんなものはその他の財源をもってやってもらいたい、こういうことをまあ今後特にお考えを願いたいということで重ねて御要望申し上げておきます。  で、なぜ私はこのようなことを言い出したかといいますと、財投運用実態が、大蔵省中心とした官僚と、それから古手官僚中心に、政府の出資や融資を受けてつくられた事業団公団、こういうものの間だけで行なわれておりまして、国会審議対象になっておらぬわけです。したがって、その使われ方というのは国民の目には明らかになっていないわけですね。そういう点で、私どもはかねがね財政投融資計画国会議決案件とすべきであるということは主張しているわけでありますけれども、その早急な実現が望ましいんだということを示すための一つの例として、還元融資の問題を取り上げてみたわけなんです。で、この前のあれは一般質問の中だったと思いますが、社会党の松井委員財投計画について質疑をいたしましたが、そのときに大蔵大臣も、私の記憶するところでは、財投計画国会議決案件とするということについては多少前向きの姿勢を示されたと私は受け取っております。で、財政民主主義を尊重するという立場からするなら、私は財投計画国会議決対象にされるように希望するものです。  そこで、私は一つ提案を申し上げてみたいと思うんですけれども財政審議会大臣が言っておられる財政投融資計画国会議決案件とすることは二重議決の問題を生ずることになり採用できない、まあこう言っておられるんですが、これは、現在の三本の予算案ですね、一般会計特別会計、それから政府関係機関、この三本の予算案とそれから財投計画を重ね合わせるからそういう問題が起きると思うんです。したがって、私はそれを重ね合わせなきゃいいんじゃないかという気がしますので、そのためには、現在の財政投融資資金融資を受けておる機関のうちでおもなものを政府関係機関予算の中に組み入れたらどうだろうか、これならすぐやれるんじゃないか、こういう気がするんです。で、現在の政府関係機関予算には、御存じのように、三公社、十公庫、二銀行が入っておりますが、これに限らなければいけないという理由はないだろうと思います。また、公団事業団等特殊法人の中には、事業の規模、それから資金量等から見て、現在の政府関係機関予算書に掲げられておるものよりもまだ重要なものがたくさんあるような気が私はするわけです。で、そうした、先ほど言ったような措置をとれば、二重議決を避けながら、財投計画もいま以上に国会のコントロールのもとに置かれることになってくる。そういうふうな改善というのをすみやかにはかられる御意思はないだろうかということで私はお尋ねしているんですが、どうでしょう。
  29. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは前から答弁しておりますように、いま財政審議会法制部会で検討願っている問題でございますが、この財投計画そのものを全体として国会議決事項にしようというときにはこれは二重議決の問題が起こるんですが、それを全体をするというからそういう問題が起こるんですが、起こらないようなくふうのしかたというものは、おっしゃられるとおりいろいろあると思います。で、いまでは、この還元融資の問題にしろ財投計画にしろ、ただ単なる資金の安全確実、有利な運用というような性格のものではなくて、もう財政資金の配分的な性格を持っておるんですから、何らかの形においてこれが国民の前にはっきりする必要がございますので、その点のくふうをどうこらすべきかということで、中間答申は御承知のとおり出ておって、さらに続いて秋までには答申をくれるということでいま続けておりますので、私どもも、大蔵省自体でもここで知恵を出して、議決案件ということになるか、あるいはそれにかわることになるか、いずれにしろ、こうしたらという、いまのようなことではなくて、もっと国会において審議していただける形のものを考え出そうといっていまやっているところでございますので、私はこの次の予算編成期までには必ず結論を出すつもりでおります。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 その答弁は松井委員にもされておったのでよく承知しておるんですが、私は、全面的に一〇〇%だということにならないでも、いま私が申し上げたようなのは実質的に財政投融資計画というものを国会議決案件にするという点においては数歩前進だと思います。しかも、いま言ったようなことは、これは二重議決の心配は起こらぬはずですからこれはやってやれないことじゃないと思うんです。政府の決断次第だと思いますので、これはぜひとも、財政審にまかせきりというのでなしに、政府のほうでそういう方針を出されて、来年度予算からでもやっていただけるように格段の御配慮が願いたいと思うんですが、どうでしょう。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ、そのつもりでやっております。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 それじゃ、少し時間がありますようですので次の質問をもう一つ申し上げてみたいと思います。  円切り上げに伴う外為会計と日銀の為替差損額と、それからわが国企業の受けた差損額、これはどのくらいになっておりますか。
  33. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 外為会計の為替差損額について申し上げますと、大体四千百十七億円でございます。これは外為会計法第八条の規定に基づきまして外国為替資金の貸借対照表上の評価損として計上する、この法律に基づきましてそういう整理をいたすつもりでございます。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 日銀のほうは……。
  35. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 便宜、私からお答え申し上げますと、日銀のほうは、今期の、今期と申しますか、四十六年度の下期におきまして差損として見込まれますものが、ほぼ四千五百八億円ぐらいになるかと思います。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 それから民間企業のほうのは見当ついていませんか。
  37. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) これも通産省からの数字でございますが、民間企業のほうは、いろいろ、税法上の問題、会計原則上の問題その他で具体的になかなか、どういうことに処理をされますか問題でございますが、ざっとした数字を申し上げますと、大体、差損額で四千二百億程度、そのほか若干差益金がございますので、それを差し引きますと、ほぼ三千九百五十億円ぐらいになるのではないか。これは、政府なり日銀のと違いまして全くの推定でございます。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 民間企業の受けた差損のうちで、たしか、税制その他の措置で救済をするような処理をされたと思うんですが、これはどういうふうになっていますか。どのくらいの額が救済される見込みですか。
  39. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) ただいま国際金融局長からお話しいたしました約三千九百五十億円の為替差損に対応いたしまして、今回の国会で成立いたしました租税特別措置法によりまして処理をいたしますものの対象でございますが、それは、約三千九百五十二億円のうちで千五百億円が一応対象になる勘定になりますけれども、その中で、また税法上の制度として乗り得るものを推定いたしますと、その半分ぐらいと見込みまして約七百五十億円という数字が一応出るわけでございます。ただ、その中では、企業といたしまして——ちょっと制度を御説明しなければなりませんが、時間がございませんから省略さしていただきますけれども企業としまして、この制度——税法上の特例に乗らないで単純に企業会計上の損として計上いたすものもございますから、今回の税制上の特例措置として純粋に乗りますものはまたその半分ぐらいの約三百七十五億円と見込んでおります。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 これを全部合計してみると大体一兆三千億から四千億ぐらいになるようですが、これは国民の血税で直接出されたわけではないにしても、やっぱり歳入減という形をとって国民の負担にはね返ってくるということはこれは確かですね。
  41. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) 先ほど申しました三百七十五億円に対応いたしまして今年度法人税が減収になる金額百二十五億円というのは、今年度につきましてはおっしゃるとおりでございます。ただ、これは税法上もいずれかのときには現実に損になるわけでございますから、そのときには何らの制度、特例を講じなくても法人税の減収として生ずるわけでございますから、その減収になる時期が早いかおそいかという問題でございまするので、その点に関しますれば国民の税金をそれだけ減らしたということにはならない勘定になります。
  42. 矢山有作

    矢山有作君 大臣ね、まあ技術的にはああいう説明もできるんでしょうが、いずれにしても円切り上げに伴って外為会計、日銀合わせて八千二百億ですかね、これだけの差損が出た、それから民間企業についての差損についても、税制上の措置でこれを救済したということになると、いずれにしても国なり国民としては大きな損害をこうむったわけです。これは私はやはり国の政策として、政策担当者としては責任のある問題じゃないかと、こういうふうに思います。しかし、これを責任追及したところで、これはしかたがないんじゃと言われればそれまでの話ですからそれ以上申し上げませんが、やはり政策運営上の責任というものは私は免れぬだろうと思うんです。  そこで、質問を次に移しますが、円の切り上げで利益を受けたところも私は少なくないと思うんですね。そこで、時間の関係で一まとめに申し上げますのでお答えいただきたいんですが、外国債等で円切り上げによって円債務が減になった分という表現でいいんですか、まあ得をした分ですね、これはどのくらいになるか。  それから、国鉄や道路公団などが政府保証で外国から借金をしておると思います。これらが円切り上げによってもうけたというのか、為替差損というのがどのくらいになるのか。  それから、民間企業においても外資審議会の許可を得て長期借款をやっておるものがあると思いますが、これらがどのくらい得をしておるのか。たとえば民間企業の場合ですと、丸善石油の為替差益は七十億円だというようなことが新聞にも出ております。そういったような問題。  それから、その次の問題としては、この間通産大臣も言われておったと思いますが、短期債務というやつがあるだろうと思うんですね。これらのものについてもやはり円切り上げによって為替差益が出るはずですが、これらのものが一体全体どれくらいあるんですか。
  43. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま数字のほうはあとから事務当局に言ってもらいますが、その前にいま損という話でしたが、もし得をしたいというなら、円の切り下げをやったらこれはそういう筆法でいったらえらい何千億の得ができるんですが、円を弱くするんじゃなくて、強くなって切り上げたために、今度は輸入物資が下がって国民がそれでどれくらい得をするかというそういう計算をしたら、これは損であるか得であるか、政府はえらい損をしたから責任持てと言うんですが、その点私どうしてもちょっと、じゃ切り下げたらえらい得をして、国民がほめてくれるかということですが、それはちょっとおかしいと思うんですよ。
  44. 矢山有作

    矢山有作君 得をした分の話はまたあとでしますが、いまのようなお話は、私は大臣の御発言とも思えないんですよ。それは円の切り上げに追い込まれたということは、やはりいままでの政策上、円を切り上げざるを得なくなったと、こう言ったわけですから、その円切り上げの結果いまのような問題が起こったという時点でものを申し上げておるわけですから、いまのようなおっしゃり方というものはちょっといささか大蔵大臣の反撃にしては少しおかしいんじゃないですかな。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この議論はあとにしまして数字を申し上げます。
  46. 橋口收

    政府委員橋口收君) 昭和四十六年十二月末現在の外貨債を従来の邦貨換算によりますと五百二十一億円の残高になりますが、これを新しい邦貨で換算をいたしました場合には四百八十八億円となります。したがいまして、三十三億円の減少となる計算でございます。  それからもう一つお尋ねがございました政府保証つきの外債がどのくらいあって、それの差益がどのくらいかということでございますが、これは通貨別に計算をいたさなければなりませんので正確な数字を持ち合わせておりませんが、昨年の十二月末現在における政府保証づきの外貨債の現在高は邦貨に換算して千三百三十七億円でございます。これはいま申し上げたように、通貨別に計算しませんと正確な差益が出てこないと思います。
  47. 矢山有作

    矢山有作君 それから民間企業のほうは。
  48. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 民間企業のほうは先ほど申し上げました約三千九百五十億円という差損額はこれは純差損額でございまして、これは差益のほうはおそらく四千二百億円くらいの差益が、評価益が出るであろうという推計でございますが、それに対しまして純差益額が二百五十億円くらい、それを差し引きしまして先ほど三千九百五十億円くらい見込まれるということを申し上げたわけであります。つまり二百五十億円くらいが長期債券に基づきまする差益でございます。その差損のほうは四千二百億円くらいであろうというふうに見込まれますので、純差損額として先ほど三千九百五十億円ということを申し上げたわけでございます。したがいまして二百五十億円くらいではないか。  それから短期につきましては、実は非常に計算がむずかしいので数字がございません。
  49. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、長期の分は結局四千二百億から二百五十億引いて先ほど三千九百五十億と言われたんですね、純差益という意味で言われたんですね。それから短期のほうはわからないんですか、これは調べようがないんですか、そんなことはないでしょうね、短期債のほうは。いまわからないんならわからないでよろしいんですが、調べようがないということはないでしょう。
  50. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) 短期につきましては差益額が期中においていろいろ決済が行なわれるわけでございますが、それが三百六十円で決済が行なわれるか三百八円で決済が行なわれるかということでございますから、その期中の勘定から全部短期分を抽出するということは事実上不可能ではないかと思っております。
  51. 矢山有作

    矢山有作君 長期の分はわかりますね、これは計算をしていただけば。
  52. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) 長期につきましては、先ほど国際金融局長から申しましたように、差益分は約二百五十億円でございます。
  53. 矢山有作

    矢山有作君 いや長期ではなくて、取り消してちょうだい。政府保証債、いま十二月末現在で千三百三十七億あると言われましたね。
  54. 橋口收

    政府委員橋口收君) これは先ほど申し上げましたように、通貨別に計算をすれば出てくると思いますが、現在手元に資料がないので……。
  55. 矢山有作

    矢山有作君 またあとで資料を出していただけますか。
  56. 橋口收

    政府委員橋口收君) はい。
  57. 矢山有作

    矢山有作君 私はこういう問題を実は持ち出したのは、先ほど来の話でおわかりいただけましたように、円切り上げの損失はほとんどこれは国に集中させて、私は結局は国民の負担になっていると思うんですが、ところが円切り上げに伴う利益のほうはこれは何にも手を打っておられないんではないか、だから損について先ほど来のような手を打たれるなら差益のほうについてもこれは私は国に集中させて国民に還元するのがいいんではないか、こういう気持ちがしたのでいまこの問題を出してみた。円切り上げに伴う利益には二つありますのです。先ほど大蔵大臣はえらく何をしておられましたが、一つは輸入物資のコストが下がるという点であろうと思うんです、先ほどちょっと大蔵大臣言われたように。これは私は流通市場の整備を通じて価格関係によって国民に還元されてくるものであろうと、こういうふうに思います。もちろん現状においては必ずしも国民に還元されていないということで物価論議の中でいろいろ出ておるようでありますが、それはさておいて、いずれにしても価格を通じて国民に還元してくる、そういうものであろうと、こう思っておるわけです。ところが、いま一つの円の切り上げに伴う為替差益についてはこれは国民に還元する道筋というものが全然いまつくられておらぬということになるのじゃないか、この点どうお考えになりますか。
  58. 中橋敬次郎

    政府委員中橋敬次郎君) 差益分につきましては特に取り上げる方法を講じたらどうかというお話も実はございましたけれども、私どもとしましても税の立場から申し上げますと、もちろんこれは三六・七五%の法人税の対象にひとつなるわけでございますから、ことさらそれを特に別の税という形をとる必要はないだろうという考え方を持っておりますが、基本的には先ほど矢山委員も御指摘になりましたように、むしろ差益によりますところの利益というのは価格を通じまして国民に還元すべきではないか、それを取り上げるよりはむしろ一般に還元するようにだんだんもっていかなければならぬじゃないか、十分それが行なわれていないという御批判はありましょうけれども、基本的な態度としてはそういう観点から税金の問題も考えて特別の措置をとらなかったわけでございます。
  59. 矢山有作

    矢山有作君 おっしゃることが全然わからぬこともないのです。どういう形でそういう差益を取り上げていくかというのは技術的に非常にむずかしい問題があると思います。しかしながら、おっしゃるように、流通を通じて価格関係によって利益を還元するのだということもいまの政府の施策で見ておると、口先では言ってはおるけれども、現実の問題として一つも効果をあらわしておらぬわけですね。これはやはり国民から大きな批判が集中しておるということは大臣も御承知だろうと思うし、事務当局も御存じだと思う。しかし、そういうことのある中で、しかも大企業の為替差損に対しては税制の面を通じて救済措置を、多かろうが少なかろうがとると、あるいは私の聞いているところでは、輸銀資金等の返済についてもこれは六年か十年ぐらいですか、返済を猶予するというような措置でこれはまた救済していくというようなことをやり、さらに税制上見てみると、個別的な産業保護をねらいとした特別な減税措置等がいろいろとられておるようです、電力に対してとか鉄鋼に対してとか電子計算機に対してとか、個別企業をねらい打ちにしながらそういう措置をとられておる。ここらのところを考えると、やはり私は、これだけ問題が起こっておるのに政府の姿勢は口ではなるほど福祉型経済への転換だということを言われながらやっぱり大企業立場を重視しておられるのじゃないか、不況対策だということで大企業立場を重視しておられるのじゃないか、この面からもそういう感じがするわけです。その他公共事業の問題とかいろいろの問題についてはすでにこれまでの質疑の中で出されておる問題ですけれども、そういう感じを私は持っておるのですが、大蔵大臣の御所見を伺って私の質問は打ち切っておきたいのですが、どうですか。
  60. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただ為替差益だけが出る企業というのは少なくて、差損と差益で計算すると、差損のほうが多くて差益だけが特に出るという企業が事実上はあまりないということもいま税制で特に考えなかったという一つ理由になっておると思いますが、その点で問題にされれば電力、これは電力債というようなものを持っておりますのでそういう点も実はありますが、これがやっぱり税制の検討のときに、それに税をかけることと電力料金の問題とからんでおって、その問題と料金の問題もからむし、ここをもう少しと考えておる程度のことであって、そのほかはこの差益について特に特別の税をかけるということは必要ない、またこれは適当でないという議論は正しいと思いますが、一、二点問題は私はまだ残っておるというような気がいたします。
  61. 羽生三七

    羽生三七君 最初にお尋ねしたいことは、昨日、田中通産相が先日来問題にしております第二外為についてまた新しく今度証券ということでありますが、構想を示されたようで、それに対して昨日の閣議後の記者会見で大蔵大臣が見解を述らべれて、予算措置が必要なので本年度中に実施すれば現在審議中の四十七年度予算を複雑なものにする云々として、終わりのほうで、かりに実施するとしても外資と円を切り離す方法は考えていない等々、見解を述べられておるわけですね。私は率直に申し上げて、専門家ではないので利害得失を論評するほどの知識を持っておりませんが、しかしいずれにしても、こういう構想が持ち出されてそれに対して昨日の記者会見で、大蔵大臣が、一応の見解といいますか、予算審議中に問題を混乱させたくない等々、見解を述べられておりますので、この際ひとつ基本的なお考えを伺わしていただきたいと思います。
  62. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) きのう私記者会見で述べたかどうか、予算委員会では述べましたが、予算委員会で言いましたとおりで、この問題の具体的な点というものがまだどこからも出ておって固まっている問題でもなんでもございません。が、そういう構想についてはどうかどうかという質問がたくさん来ますので、それについてこういうことも考えられるが、しかし、もしそういう方向考えるとするとこういう問題でむずかしさがあって、この見当でまだ全然結論の出ている問題じゃないということをきのうは申したのでございますが、いまのところはまだこの問題についてはそういう段階でございます。
  63. 羽生三七

    羽生三七君 そうするとあれですか、条件、つまり大蔵当局が考えておるような条件が整えば今国会中に具体化するということなんですか、今国会中は無理というのか、どっちにウエートがあるのですか。
  64. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私は、非常に合理的な、これは確かに日本の経済政策にもなるし、かたがたこれが外貨の活用ということにもりっぱになるのだということでございましたらちっともこれは悪い構想ではないということになろうと思います。しかし、検討すればするほどなかなかこれにはむずかしい問題がありますので、問題はこの国会の会期のいかんによることでございまして、普通の会期だとすると、いまからこれを検討してこの会期にこういう問題をまとめて国会に出せるところまで成案が得られるかどうか、これは私は疑問だと思っております。会期が長ければこれは結論を得て手続をとるということも可能だと思いますが、会期のぐあいだと思います。
  65. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、その問題はそういうことにしまして、この前、総括質問の際に少し触れたことですが、これは全くの私が出した試算ですが、実質成長率を八・五%ないし九%程度、名目を一三・五%程度と見て、一般会計予算伸び率を四十一年から四十六年度これを平均して一七・一%程度と考えて租税負担率の自然上昇、これを五年間に一%、年間に〇・二%程度と見込んでも公債発行必要額は五十二年度で約五兆八千億円ないし五兆九千億円、それから四十七年度から五十二年度までの公債発行額の累積は二十一兆九千億くらいとなるという、こういう計算が出るわけですね。それで、もしこの場合新税等を導入して——まあ新税の賛否は別として、新税等を導入して、現行税率を引き上げて、租税負担率を政策的に一%くらい上げた場合でも、公債発行必要額は五十二年度で四兆五千億程度、それから累積額は十八兆四千億くらいとなる、こういう計算が出てくるわけです。この推定はどうですか。前提条件もあることですが、そう大きく違わないと思うんですけれども、どうでしょうか。お感じとしてはいかがでしょう。本年は二一・八%ですからね。それを五年間平均一七・一%と見てです。  ついでに申し上げますが、そこで、経済企画庁が、先日、「ワク越え国債発行」と、「租税負担率上げも」ということで、このままでいくならばたいへんな赤字が見込まれると。その赤字がどのくらいになるかという数字もずっと出ておりますが、これは時間の関係で省略いたしますが、そういうことで、いま私が言ったようなことに近い見解を述べているわけですね。ですから、いま私が申し上げたことはたいへんな間違いなのか、そうたいして違わないのか、ひとつ感じを述べていただきたい。
  66. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はまだそういう自信のある計算をしておりませんが、いまお話を聞いた範囲で私の考えを言えということでございましたが、私は日本経済の今後の伸び率というものは、いまおっしゃられた平均まではいかないというような気がします。と申しますのは、いままで高度成長の中でなれておりましたから、もう八%程度の伸びになってもむしろ不況感を強く持つというようなことでございますが、ここまで大きくなった日本経済の今後ということになりますというと、私は今度のいまのこういう国際通貨の円高による不況停滞状況を契機にして、私は何か日本経済がこれで先進国型の道をたどって、大きいいわゆる経済成長率というものは見られないところへ今後定着していくんではないか。で、福祉政策への転換というようなものをかりに真剣にやっていこうとする限りは、当然またそういう方向へ、そういう姿になるべきだというふうにも思いますので、そうしますというと、いまの計算の基礎になっている成長率というようなものは、私はもう少し少な目に見ていいんじゃないかというような気がいたします。
  67. 羽生三七

    羽生三七君 そうするとですね、問題は、私がいま出した数字よりもっと深刻になるんじゃないでしょうか。実質八・五%ないし九%の成長率と見て、税の自然増を五年間で一%と見て、いまのような数字が出てくるんですから、それより成長率がさらに低いということになり、しかもその上に福祉政策のために出さなければならない経費はさらにふえるわけですね。したがって、もし何らかの新税創設等あるいは税率の引き上げ……、いい悪いは別ですよ、等の手段を講じない限り公債発行必要額はいま私が述べた数字よりももっとふえるのじゃないですか。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) もっと財政事情はきびしくなる、したがって、これが公債の発行にいくのか、国民負担の増にいくのか、その負担の増にいく場合でも負担のしかたというものについてこれから慎重な考えをしなければならないだろうと思っています。そこで、まず私は一つ考え方としましては、いわゆる受益者負担というようなものの合理化というようなものはこれから急務であって、ここがはっきりしないで国家財政の中から非効率な赤字を出しておくというようなことをほうっておいたら、とても福祉政策なんて実行できない。まあ一つの例をあげますと、私ども予算編成をやっておりまして、この福祉の向上というのでしたら、どの部分にもっと政策を厚くしなければならぬかという、すべきものをたくさん持っているときに、たとえば米で一兆円の金を、赤字を出して、国民負担にすることがいいのか悪いのかということを考えると、米以外でこの国民のためにすべき仕事がたくさんある。たとえば金持ちには、もう少し生産米価と消費米価にあれだけの差を置かずに、金持ちからはもっとコストだけの米を食べてもらうということにして、ほんとうに困る人たちに米を安くするというようなことをしたら、この一兆円の赤字というものは出ずに済むのですから、そうしたらこれが福祉政策にほんとうに有効に役立つということになったら、国民負担というものはこれでもう相当部分が解決するということになりますし、さらに健保においてしかり、国鉄においてしかり、利用する人が、若干受益者がある程度負担するという原則がはっきりして、その部分からは余分に国民に負担をかけないということがきりっとするのでしたら、私はまだ財政は苦しくてもこれから福祉政策へ転換してもやってのける余地というものはこの大きい膨大な経済の中からは出てくると思いますが、こういうものでとにかく国鉄が一兆二千億、やれ米が一兆円の損、健保の三千億とか、こういう赤字の出しっぱなしをやって、これを国民負担にするのだということにしたら国民は変なところへ負担させられておって、ちっとも福祉政策のバランスがとれていない、不均衡なことをやっているのだということになりますので、こういう点からきりっと私は今後直していくとするのでしたら、この不足する財源を全部国債にばかり依存しなくても済むというようなことは十分やれましょうし、国民負担のあり方というものについて、これからやりようによって私は経済成長率をそう多く見て、そしてわりあいこれなら楽だというような財政見通しを無理に立てなくても私はいいのじゃないかというような気がします。
  69. 羽生三七

    羽生三七君 まあ私がいま述べた八・五%、実質ですね、ないし九%の成長率は無理だとすれば、大体この数年間を予想して蔵相はどの程度とお考えになりますか。
  70. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ私は一番先に池田内閣のときで所得倍増政策に関係したとき、あのときは八%というのが私どもの予想でございましたが、それどころじゃなくて、一〇何%になって今日まできたんですが、やはり八%からちょっと少し下がった七%、それ前後でほんとうに定着させるということを一応目標にしましたら、経済の内部を固めて、質のいい経済計画ができるんじゃないかというような気がいたします。
  71. 羽生三七

    羽生三七君 そこで米や健保や国鉄問題、そういう問題で受益者負担というようなことにすれば、これは問題は公債発行を無限にやらなくても済むと思いますけれども、これは野党われわれもそう簡単においそれとは許しませんから。そこで、なかなか私、公債発行はそう簡単に脱却できないと思うのですがね。そこで、しかし、当面公債なしでもまたやっていけないわけですね。そこでこの間、先日の予算公聴会で、下村さんが来られて、公債を大いに出せというお話がありました。そこで、私はこういう質問をしたわけですね。ちょっと聞いとっていただきたい。公債発行を必要とする場合に、ある一定の時点に達すれば、それを必要としないような条件の創造が可能かどうかと、ある一定の時期においては、公債発行を不断に必要とするような条件をカバーできるような、そういう条件、そういう体質ができ上がることが必要だと思うわけである。つまり、いままでのような高度成長でなくなっていく場合に、ある一定の成長力が必要であることは当然であるが、高度成長のような税の自然増収というものは期待できない、にもかかわらず、毎年の予算の規模は漸次拡大していくという場合ですね、一方においては大幅な減税——これは所得減税ですが、しなければならない、そこで公債発行が必要となるわけですが、全体として分母が大きくなるので、先ほどお話があったように——これは下村さんのことですが、公債発行の毎年の発行額は、発行額そのものをとってみれば、それほどたいした影響はないかもしれぬが、しかし、年々同じ条件が繰り返されていった場合に、ある一定の条件が整えば、そういう状態から脱却できるのかどうか、これが問題である、こういう質問をしたわけですね。これに対して下村さんは、まあある一定の条件ができれば、国民生活が高まってくるから、豊かになってくるから脱却できるだろうと、十年か十五年先だと、こういうことです。いま私五年間でも累積額二十一兆何千億ですね、あれほど低く見積もってもこれ十年、十五年したらたいへんなことになると思うのですがね。ですからその辺で公債政策が脱却できる条件があるとお考えになりますか、いまの国民の負担増等をやらないで。
  72. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はなかなか脱却はむずかしいというふうに思っております。と申しますのは、まあ公債政策というのは、これは御承知のとおり本来の機能を持っているものでございますが、もう一つ最近公債発行には新しい意味が出てきて、やはり国民資源の合理的な再配分というための手段としての機能というような意味が公債発行にはあるということでございますので、そういう意味から言って、しばらくまだなかなか公債から脱却できる状況にはならないだろうというふうに考えられます。まあたとえば四十四年度の話をするとまたあれですが、ちょうどあの四十四年度のようなときに、景気がよくて国際収支がよくなったというときで、ちょっといままで経験しない型の経済にぶつかったんですから、薄気味が悪くなってとりあえず締めておけば安全だということだったんですが、あのときに政府事業と民間事業を競合させてもかまわないというので、政府があの瞬間に私はむしろ国債を出して、民間資金を活用して、さらって公共投資に入れるということになると、民間投資のほうが押えられてきて、資源配分が公債発行という手段を通じて行なわれたかもしれぬ。そうすると、生産力は伸びなくても、そちらのほうの投資によって不況をいまのようにしなくても済んだというふうにも考えられますし、そういう意味で公債が資源配分をするのに大きい役割りを持っているということから考えますと、いま福祉政策に転換するといったときですから、できるだけもとの姿に戻さぬためには、おくれた社会資本を取り戻すというために公債政策を活用しなければならぬという必要性も一部あるんですから、経済がよくなったに伴って依存率を低下させるということはこれはやらなければなりませんが、それに限度があって、思い切って公債をだんだんになくするというのに、相当政策上からくる、いま言ったような意味からくる限度があるというふうに考えますので、なかなか脱却できないんじゃないかという気がいたします。
  73. 羽生三七

    羽生三七君 私、野党ですが、一体四十八年度はどうなるのか。四十七年よりもっとむずかしいんじゃないかという気がするし、一体、日本財政の将来はどういう形のものになるのかということをおりおり考えるわけですね。そこで、そう簡単に公債政策から脱却できるとは思わないけれども、そうなるとどうしたって新税の導入とか、あるいは税率、企画庁がほんとうにそういうことを考えたのかどうか、新聞にはそう出ているんですが、引き上げ、そういうことを考えざるを得ないようなことが起こってきますですね。そうすると、物品税の全面的な洗い直し、再検討が考慮されているようですが、これは付加価値税導入とは全く無縁なのか、そのための地ならしというような意味なのか、その辺はどうなりますか。この間、大蔵大臣言われましたね、物品税を洗い直すと。その辺のところはどうでしょう。
  74. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま一般から物品税の洗い直しを求められておりますが、この意味は、付加価値税とは一応無縁な要請であり、役所も、大蔵省も物品税についていろいろ検討事項としてやっておりましたが、一応は付加値税と無関係の検討をしておりましたが、しかし、いま言ったような将来の問題を考えますと、かりに付加価値税というものを取り入れるというふうなことを考えなければならぬとしますというと、物品税の改正のしかたもそういうものと全く無関係な改正のしかたをいまやるということは大きい支障をつくることでございますので、考えなければならぬだろうという立場から、またいま一ぺん検討してやった物品税の洗い直しを、そういう意味からもまた二度検討し直しているという現状でございます。
  75. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、付加価値税はいつやられるかどうかは別として、これは昨年の補正予算のときに質問をしたら、そういうことをやると選挙に負けるようだから、軽々にはしないというお話だったけれども、しかし、だんだんやられるという方向のほうが強くなってきたような感じがするのですが、その場合、物品税をとりあえず手直しを先にやって、それをやる過程で付加価値税の創設も考えていくということなんですか。その辺はどうなんです。
  76. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 付加価値税はまだ案もできておりませんし、まだ実施するまでには相当時間を要する問題だと思いますが、物品税のほうはもうその前に何かの手直しをしなければいけなくなっておることは事実でございます。その場合に、手直しを主張する中には、もうこういうものを奢侈品として扱う必要はないのだからこの物品税を取ってしまえとか、あるいはこの税率を下げろとかいろいろあるし、これはもっとぜいたく品として物品税をかけていいというような主張も当然物品税の改正にはついてきている意見でございますが、従来の物品税の考え方ならそれでもいいと思いますが、もし将来付加価値税というようなものを考えるということを考えましたら、この際は物品税の増強ということよりも薄く対象を広げるというような方向考えておかないと、将来の税制改革とは衝突するということになりますので、その辺にむずかしい問題が残っております。
  77. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、この付加価値税をすぐ取り入れるかどうかはこれは別の問題として、物品税といいますか、付加価値税にしろ物品税にしろ、間接税を洗い直したりあるいは創設したりする場合に、いま大蔵大臣がお話になったように、その選択のしかたですね、対象についての選択のしかたが非常に私は問題だと思うのです。そこで結局問題は、もしいわゆる大衆課税的なものになって低所得者が非常な負担を加重されるような形のものになるならば、そうすると私はあの答弁の基本的な政策と非常な矛盾を起こすことになると思うのですね。個人の消費支出をふやさなければいけないわけですね。それが逆の結果になってはいけない。いまのようなぜいたく品について課税をする、あるいは実際の必要品については薄くするなり無税にするという場合は別ですが、もしその辺の選択を誤るというと非常に大きな私問題になると思いますが。  そこで、これはある程度言われたことですけれども、個人消費支出の構成比を池田内閣時代と佐藤内閣時代と比べた場合に、たとえば三十六年度——三十九年度の平均、これ四年間ですね。これでいくと、池田内閣のときには実質で五六・八%。それから佐藤内閣の場合は四十年から四十五年度で実質で五二・九%です。たいへん低いわけですね。佐藤内閣になってからのほうが低いわけです。これは欧米との比較も、これは参議院予算委員会分科会になる前にだれかから指摘された問題ですけれども、イタリーの六三・六%、イギリスの六三%、アメリカの六一・二%、フランスの六〇・八%、西独の五六%に対して日本が、これは三年前のものですが、五二・七%。先進国で最低ですね。したがって、いまの税制洗い直しをやる場合でも、大衆の負担を軽減するというような意味のものでないと、個人消費支出を伸ばさなければある意味においては当面の不況の脱却に役立つようなことにならないわけですね。当面だけじゃないですね。これは恒常的な意味での日本経済の新しい姿にもつながる問題だと思うのですが、そういう意味でこの物品税あるいは付加価値税等というものについて基本的な考え方を持っていないと、ただ、米や健保や国鉄問題について際限のない現状のような政策を続けておっては将来の財政があぶないということだけであの問題を考えられては困ると思うのです。この辺はいかがですか。
  78. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物品税、消費税の問題については、将来税制と関係して非常にむずかしい問題がございますので、実はこの間も申しましたように、消費税のほうの専門家である欧州の専門家を日本に招聘して、近く来ることになっておりますので、物品税の洗い直しといっても簡単な問題じゃございませんので、そういう問題で来年度の税制改正までにはこれは真剣な検討をしたいと思っておるところでございますが、なかなかむずかしい問題でございます。
  79. 羽生三七

    羽生三七君 欧州、特にフランスあたりから招聘されるようですが、それは四十八年度の予算編成前に何らかの税制改革をやり、それに間に合うようにということも含まれておりますか。
  80. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いや、別にそういう期限を切った問題ではないのですが、やはり付加価値税を中心とした問題の掘り下げた勉強をもう少ししたいということで、フランスの主税局次長が来ることになっております。物品税の取り扱い方いかんによっては将来の税制に非常に影響を与えますので、そういう意味で物品税も軽々しくは扱えないのです。
  81. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、とりあえず物品税を洗い直して何らかの再発足をして、その情勢を見ながら付加価値税と、こういうことですか、理論的にいえば。
  82. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いずれにしろ、来年は物品税を少しいじらなくては済まぬ情勢にいまなっておりますので、ことしはもう一切物品税はさわらないということで手を触れてございませんので、いろいろ不合理な問題もたくさん出ておりますので、一応来年若干の訂正をしなければならぬと思っておりますが、御承知のように物品税の性格上、少し手を入れたら全面的に広範囲にこれが手直しをすることにならざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。
  83. 羽生三七

    羽生三七君 いずれにしても経団連あたりでは付加価値税創設必至と見て標準税率一五%なんて打ち出しているわけですね。ですからおそらく大蔵省としても、無限に公債政策を続けるんなら別として、そうでなければ、税率の引き上げとか、新税の創設、特に物品税の創設等も考えられるのじゃないかと思いますが、その場合私たちはそういうやり方よりもほかにやり方があると思うけれども、いまの日本のいわゆる輸出第一主義から福祉型経済へ転換していく場合の基本的な問題はそもそも何かという原点に戻って問題を考えていただきたい。だから通産省のいう第二外為云々という問題もあるようですが、しかし、この前も総括質問の際に申し上げたように、本来外貨がたまってからあわてて対策を打つのでなしに、たまらなしにいくようなオーソドックスな経済財政政策が必要だということだと思いますね。しかもその場合に、いまの成長率は必ずしも多く期待できない。しかも福祉のために予算はたくさん要る。公債は無限に発行することはできない。それなら一体日本の財政はそもそもどうあるべきかという基本的な問題を真剣に考えなければ——しかも大衆課税をするわけにはいきませんから、真剣に考えなければならぬところへ来ておると思います。これはひとつ私の意見ですから、これだけ申し上げておきます。  それから四十六年度の税収が補正後の見積もりを上回って不況下ではあるけれども、約千億円近い自然増が見込まれると、こういわれておりますが、年度内の所得税減税はやりませんか。これは確実に千億くらいになるんじゃないでしょうか。
  84. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四十六年度の年度内……。四十七年度……。
  85. 羽生三七

    羽生三七君 いやいや、四十七年度です。税収自然増が四十六年度なんです。所得減税は四十七年度。これは考えていいんじゃないでしょうか。
  86. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだ四十六年度の自然増も、私は正確な数字は知りませんが、もし相当な自然増があるとしますれば、これが再来年度の歳入になるのか、あるいは今年度予想されておった公債の発行額を減らすのかというような問題が今年度の問題としては起こるかもしれません。ですから、それと四十七年度の問題は別になりますので、四十七年度は、まだいまは本年度の予算が発足していないときでございますから、これがほんとうに動き出した結果どういうことになるかを見ないと、年度内にもう一度減税ができるかどうかという予測はいまのところつきかねると思います。
  87. 羽生三七

    羽生三七君 私は、もし予想されるような自然増があるならば、四十七年度でいまから予測できないということでなしに、もう腹をきめて所得減税をやるくらいでなければ——私、実は最初に質問しようと思ったけれども、最近の輸出入の基調というものは若干変わってきて、非常に好転しておるようなことを言っておる向きもあるけれども、私は必ずしもそうは思わないので、これは一時的な現象とも思われる節もありますから、この基調が定着するかどうかわからぬと見ている。そういう場合にはむしろ年度内の減税をやったほうがいいんではないかという感じがするんですが、何もそんなに審議中だからといってこだわることはないじゃないですか。
  88. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただ、ほんとにまだ予測はできないというだけでして——。年度内減税、どうですか、その、やるといって、その次、やらなかった、やらなかったというから、来年度にとっておいたほうがいいような気がする。(笑声)
  89. 羽生三七

    羽生三七君 これはお楽しみより早くやったほうがいいですよ。そういう趨勢じゃないですか、日本の経済の現状が。私はそう思いますね。
  90. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ、御意見として承っておきます。
  91. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、時間もあまりないようですが、先ほど矢山委員から、この日銀の円上げの差損問題、これは日銀というよりも一般的なことですが——問題に触れられましたが、これに関連して、日銀の円上げ差損が四千五百八億円といわれておるわけです。そこで、この四十六年度、日本は外貨の著しい急増を招いたことはこれは言うまでもないことですけれども、まあ受け取った外貨は外為会計を通じて日本銀行が買い取り、日銀の資産となるわけですね。そこで、四十六年度の日銀資産勘定の著しい変化は、対外資産勘定が対前年度比で三兆二千百七十五億円の増加となっておることです。これはまあ言うまでもなく例のドル買いの増加によるものだというわけですが、それでいいですね。これは日銀の資産勘定ですよ。対前年度比三兆二千百七十五億円の増加となっているが、それはドルの買い取り増加によるものと見ていいわけですね。
  92. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういうことだろうと思います。そういうことです。
  93. 羽生三七

    羽生三七君 その場合、日銀の資産は、日銀券の裏づけ資産がこれ必要になると思いますね。日銀券を発行する場合にその裏づけの資産が必要となると思いますが、そのとおりですね。
  94. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) はい。
  95. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、これは日銀法の三十二条に規定がありますが、そこで、海外資産勘定はそのほとんどがドル資産と思われます。さきのドル売りに伴って日本銀行が買い取ったドルを、おもにまあ米国の国債や短期証券に運用していると思うわけですが、言うまでもなくドルは世界的に見て不安定な通貨であるし、昨年度日本銀行の資産はそうした不安定なドル資産が三兆円も増加したと、こう言えるんじゃないかと思うのですね。それはこの日銀券の裏づけ資産がそれだけ悪化しているという、そういうことにはなりませんか。本来ならもっとこんな不安定なものでないものを持っておらなければならなかったのに、ドルに集中したために、先ほどの三兆二千百七十五億円の増加ですね、海外資産勘定の増加は、逆に言えば日銀券がそれだけ裏づけ資産が悪化しているという、ドルが中心ですから、そういうことになるわけですね。
  96. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) そのとおりでございます。
  97. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、日本銀行の資産勘定の合計額に占める海外資産勘定の比率は、四十五年度が二四・五%、四十六年度が六八・六%、たいへんなまあ相違が出ておるわけですね。この日銀券の裏づけ資産となる日銀資産勘定のそれぞれの資産の間にバランスをとる必要があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。こんなに片寄っていいのかどうか。もっと均衡のとれたものにする必要があるように感じますが、いかがでしょうか。
  98. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) ただいま先生御指摘のとおり、現在日本銀行券を発行いたします保証資産といたしましては、地金銀、それからSDR、つまり特別引き出し権でございます。それとか、国際通貨基金に対する貸し付け金そういった、主として地金銀と、それから国際通貨的なものが第一番目の順位になっておりまして、その他国内の手形とか、あるいは貸し付け金とか、国債、政府に対する貸し付け金、これは現在ございませんけれども、まあそういったのが逐次充当されていくわけでございます。現在、日銀券、これは三月末で申し上げますと、発行高が五兆六千八百六十二億円ございますが、それに対します保証充当というのは、大部分地金銀、それからSDR、あるいはそういった外貨資産、それから国内の手形、国債、そういったもので充当されております。大体現在の日銀券を発行いたしますときには、どうしてもやはりまあ金あるいは——銀はございませんけれども、金等が第一順位になるというのはこれはまあ当然でございますし、それからまた、外貨資産あるいは国際通貨基金に対する貸し付け金、こういった国際的な流動性を持っておる、そういったのがどうしても優先的に充当されるというのはやむを得ないかと思っております。
  99. 羽生三七

    羽生三七君 それはお話もわかりますがね、その資産勘定の七割近くが不安定な海外資産で、それが米ドルだということですね。これは私、将来やはりいまのドルの趨勢から見て、たとえばここに流動性が集中しておるということもあるでしょうが、やはり日銀券発行の場合の裏づけとなるべき資産勘定からいうならば、私は米ドルに対してもっと節度ある運営のしかたが望ましいと思いますが、どうですか。
  100. 磯辺律男

    説明員(磯辺律男君) これは必ずしも外国為替の中には米ドルだけではございませんで、ポンドであるとかあるいはマルクであるとか、いろいろなそういった外国資産が入っております。したがいまして、ただいまにおいては、昨年の大幅な輸出超過ということになりまして、いわゆる外貨準備の中のドル資産が非常にふえたと、その結果こういうふうなかっこうになったわけでございますけれども、従来ドルというのがやはり国際通貨としての主流をなしておった、そういった意味におきまして、日銀券の発行に対する保証資産というものがドルに片寄ったということはやむを得なかったと思いますけれども、ただ、ドルの保有につきましても、できるだけこれを有利に運用するとかいうことによって、その価値の下がらないように、あるいはまた、その保証資産としての有利な運用ができて、必ずしも日銀券の発行資産として不足するということのないように日銀としては十分気をつけてやっていると思っております。
  101. 羽生三七

    羽生三七君 これは、私は円の再切り上げ云々なんということを言うことは好かないから、そういうことは言いませんが、やはり将来のこともいろいろ考えて、損得はさっき矢山委員大蔵大臣との間で話がありましたが、そういう場合に、つまり常識的な意味において損をしないようなやり方、その裏づけとなるべき資産勘定についても十分な配慮が要るということだけを申し上げておきます。  時間の関係であと一点だけ伺いますが、最近景気は——これは本来経企庁かあるいは通産省に伺うべきことかもしれませんが、ついでにちょっとお伺いしておきたいのは、景気は底入れ段階に入ったというような、そういう説があるわけですね。しかし、よく調べてみると、民間設備投資は依然として回復のきざしはない。個人消費支出も伸び悩んでおると。わずかに公共投資部門が若干景気をささえておるという感じがするんですが、大蔵省としては、現在の状態が、底固めというのですか——底入れと言えるかどうかしらぬが、底固めと言えるような段階とお考えになるのかどうか。
  102. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ鉱工業生産指数で見ましても、三カ月前月比がずっと上がってきている状態、それから在庫指数の状態、そういうものを見まして、経済指標にあらわれた限りでは、去年と姿が変わってきておりますので、大体これ以上景気の落ち込みは少なくともないというところへきているということは間違いないと思います。で、特に日本銀行がこの問題について最も敏感で、現地の情報を総合して支店長会議をやってこの問題の検討をいつもするんですが、ここの結論も、大体底固めができたという、政府需要を中心としての商品市況の事情から見てもそういうふうに見られると、それにはやはり去年の年末の減税とか、あるいは去年の補正予算というようなものが実際において相当有効に働いているというようなのが結論でございまして、大体これ以上もう悪くならないという各方面の見通しが一致するということは、一応景気の底入れができたと見てもいいんじゃないかというふうに思います。
  103. 羽生三七

    羽生三七君 これでやめますが、底固めができたかどうかは別として、これ以上は悪くなりそうもないというそれはわかります。わかるが、この前も私申し上げたように、大型の補正予算なり、昨年度ですね、それから四十七年度の本予算の場合も相当大型なものを組んで、公共、いわゆる政府主導型の、財政主導型の予算を組まなければ景気がささえられないような状況でしょう、これ。
  104. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうです。
  105. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、民間設備投資なんかもそんなに伸びるとは思えませんから、四十八年度もそんなに急激に景気が回復して急上昇というようなことは考えられないと思いますね。また四十八年度もかなりの大型予算を組まなければならぬと、しかも財政的にはいろいろ困難があるということ等を考え合わせて、先ほど来私が申し上げてきた日本財政の今後の姿というものをいろいろな角度から検討をして、しかも福祉型へ軌道修正をしなければならぬときに、いわゆる高福祉高負担でなしに、高福祉低負担で済むような方法はないか。それは私、税制のやり方で、たとえば法人税の問題もあると思います。それから租税特別措置法を改廃する問題、あるいは交際費課税の問題、あるいはギャンブル課税の問題いろいろありますですね。そういうような問題をもう一度考え直して、それからもっと社会党の持論から言うならば、防衛費なんかもっと徹底的に削減していくとかね、そういうことをまじめに考えなければ、いままでの惰性だけではもうやっていけなくなるんではないか。特に四十八年度は私は最もきびしいような感じがするんです。そういうことで十分お考えおきを願うことにして、私の質問はこれで終わります。
  106. 三木忠雄

    三木忠雄君 それじゃ、専売公社の総裁がまだ着かないので、その前に何点か大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  大蔵大臣、物価問題から考えた場合に、輸入の自由化がどんどん推進されてくる、しかしながら、それにつれて、たとえば一例をあげますと、チューインガムは自由化に伴って関税が値上げされて五%アップされる、こういうふうな体質になり、あるいは関税率が全然変更されない、こういう関係で、物価に対する影響というものは全然消費者のところまで届いてこない、こういう点についての関税政策を、もっと消費関連物資に対しては抜本的に改めるべきじゃないかと、こういうように考えるのですが、いかがですか。
  107. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私もそのとおりだと思います。自由化と同時に関税の引き上げをやったりするようなことをやったら、自由化の意味を没却することでございますので、問題は、国内産業との関連でいろいろやっていることでございますが、この国内産業との関連を、もう少しやはり消費者の立場から踏み切るものは踏み切るということによって、この問題は避けなけりゃならぬと私ども考えておりますが、これは、問題は、率直に申しまして、関税は大蔵省の管轄でございますが、関税率をきめる場合には各省との関係できめますが、なかなかこれがむずかしくて、この調整に苦心している問題でございますが、自由化によって一時関税は上げたと、上げてももう輸入が非常に多量になったというために値段が半分に下がってしまったというようなことで、事実上自由化したことは国民生活には得になっておるというものも相当ございますが、そうでなくて、自由化と引きかえに高い関税をかけているものもまだございますので、これは今後考えなければならぬことだと思います、特に私は、対米交渉を八月からやっておって、牛の、なまの子牛の自由化をやったが、一頭四万五千円の関税をかけたということについて、これはもうさんざんこの問題はひどい目に会ったんですが、それと同じようなことがまだいまの関税の中にございますので、これは逐次直したいと思います。
  108. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、まあ関税を逐次直すという問題ですが、その関税のほかに、輸入自由化にならない問題については、たとえば雑豆とかあるいは食肉等については課徴金制度がある。この問題もやはりもう一ぺん、まあ何品目かだと思うんです。これは洗い直すべきじゃないかと思うんですね。まあ輸入は自由化になった、関税をかける、あるいは輸入自由化にならないものには課徴金で、生産者の保護だと、こういう美名のうちに課徴金が一部の団体、業者に回されているという、こういう制度で消費者に全然影響はない。こういう課徴金制度についてももう一ぺん、これは大蔵省の管轄でない部分もあると思うのですが、やはり農林省関係にそういう物資が非常に多いのですね。そういう点は考え直すべきじゃないかと思うんです。その点はいかがですか。
  109. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはやはり輸入割り当てをどんどんふやすということによって事実上課徴金の出る余地がなくなるという方向へ持っていくのが本筋だと私は思います。
  110. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあそこはその輸入の自由化が、なかなか輸入をふやす量が、一部の手に輸入割り当てがされてしまって、現実的にその輸入の拡大が行なわれない。そこに課徴金が生まれていって、たとえば食肉の問題等については、数十億円の課徴金が一部の流通団体といいますか、そういう団体にもう食われてしまっておる。それ自身が消費者に流れていくところの安い、値下りしなければならない問題が、そういう一部の団体のところの培養体になってしまって現実的に消費者の物価をつり上げているという結果になっている、こういう点はもっと積極的に洗い直しをするなり、あるいは通産、農林等と交渉をして積極的な輸入拡大を進めていくべきじゃないかと、こう思うのですがね。この点いかがですか。
  111. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ輸入割り当てがあるから特権的にここに差益が出てくる制度ですが、この制度自身をやっぱり直さなければならぬと、私はこの差益金が出るような制度を直すという方向へ踏み切らなければこの問題は解決しないんじゃないかという気がします。
  112. 三木忠雄

    三木忠雄君 それが実際、現実的に関税収入で入ってくれば、一般会計の中だからいろいろ会計監査等もある。ところが、課徴金制度というのは、もう特別な公益法人とか一部のところで、目の届かないところで、生産者の保護だという名目はいい名目なんですがね。全然行き届かないところにその金が流れてしまっているという、実際に畜産振興事業団ですら、もう現実に指摘を受けているわけですね。いわんや一般の公益法人等については、そういう問題は全然目が届かない。こういう点がかえってこの流通機構を複雑にし、物価つり上げの元凶になっているのじゃないか。この点についてやはり関税とあわせてこれは大蔵省はもう少し積極的に取り組むべきじゃないかと、こう思うのですが、この点もう一度お伺いします。
  113. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはこの間三木さんから貴重な資料を示されて、あれは非常に私はいい資料ではなかったかと思うのですが、以後あれを使って日本の流通過程の中に改善すべき余地というものは、こういう問題はどうするのだというようなことで、大蔵省は相当いまのような方面に熱心にいまなっておるところでございますが、まあ、あまりに、かりに自由化した場合にしても、流通過程にああいういろいろな団体が介在しておって末端消費価格を下げないような仕組みになっていること自身、これを直さなくては切り上げをやった効果云々というようなことを言っても問題になりませんので、まずその辺から私は直していきたい。
  114. 三木忠雄

    三木忠雄君 それにつけ加えて大蔵省それから農林省、通産省等から補助金が実質的には支払いされておるわけですけれども、これを助ける意味調査費とかいう名目とか何か補助金等相当な財源の支出があるわけですね。これは実際の公益法人あるいはそういう団体を育成する一つの根拠となって位置づけられているという点もあるわけです。こういう点も、やはり補助金制度といいますか、こういう点をもう少しメスを入れていくべきじゃないかと思う。それがやはり問題になって一つのあちらからもパイプをつくり、こちらからもパイプをつくる一つ財源確保のパイプになって、それが一つの培養体になり、物価の流通機構を複雑にしていると私は思うのです。この点もう一歩大蔵省として考えるべきじゃないかと思うのです。
  115. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは大蔵省だけでございませんで、この次の物価の閣僚協議会ではこの問題がおそらく真剣に討議される問題だと思います。
  116. 三木忠雄

    三木忠雄君 それではたばこのほうの問題について、時間も限られておりますので、何点か御質問したいと思います。特に円切り上げによって輸入たばこが五月一日からか値下げされる、こういうふうに発表されているわけでありますが、この値下げ幅の算定の基礎ですね、どの程度下げるのか、何を根拠としてこの程度になったか、あるいはこれが国内生産のたばこに影響する問題あるいはその外国製たばこを販売している販売店の販売利益とどういう関係になってくるのか、この点についてお伺いしたい。
  117. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) ことしの三月三日の物価の閣僚協議会でも、円切り上げに伴う為替差益を消費者に還元するという御決定がございましたので、その御趣旨に基きまして定価改定をいたすわけでございます。標準的な銘柄、たとえばアメリカからの輸入たばこを例にとりますと、大体現在一箱百八十円というのが標準的な値段でございます。そういたしますと、円切り上げの一八、六六%ということになりますと、いままでの原価、買い入れ値段に対しては六円何十銭という実は為替差益ということになるわけでございます。ところが、端数をつけまして百七十四円とか百七十三円何十銭ということは、これはもう現在の慣習から考えまして適当ではございませんので、やはり十円単位に刻まないとぐあいが悪い、こういうことで為替の差益以上にひとつ十円単位で引き下げるということにいたしまして、標準的な銘柄百八十円のものを百七十円とする、こういうふうにいたしたわけでございます。これに伴いましてどの程度外国たばこの消費がふえるかどうかという点はなかなかむずかしい問題ではございますが、来年度、もう本年度になりますか、昭和四十七年度におきましては大体十四億本程度の売り上げがあると見ております。それに対してそう大した影響はないんではなかろうか、こう思います。  それから、小売り店のほうにつきましては、従来どおりこれは六%の割引手数料、こういうことになっております。これも消費は四十六年度よりも四十七年度、それでなくてもふえる見込みでございますので、この点は償いがつくんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  118. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、専売公社自身としては減益になるわけですね。
  119. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) さようでございます。
  120. 三木忠雄

    三木忠雄君 この分は現実に小売り手数料とか、そういう方向には響かないで、専売公社自身のひいては専売納付金の減少と、こういう考えになるわけでございますね。
  121. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 差益以上に値下げをいたした部分は、結局は納付金に食い込むと、こういうことになるわけでございます。
  122. 三木忠雄

    三木忠雄君 それから、国内たばこの中に輸入葉の葉たばこですね、これは相当最近は率がふえてきているんじゃないかと思うんです。これに対する円切り上げ効果もだいぶ出てくると思うんですね、まあどの程度かわかりませんけれども。こういう問題等を考えて、現在の国内葉たばこと輸入葉たばことの比率、あるいはその円切り上げによる国内たばこに対する波及効果はどうですか。
  123. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 現在専売公社で製造しておりますたばこ全体を通じますと、そのうち外葉が二割入っております。外葉二割のうち、一番為替差益の出るところは、これは米国からの輸入でございますが、輸入のうちの約六割がこれはアメリカからということになります。したがって為替差益が出るわけでございますが、御案内のように葉たばこといいますのは、収穫いたしましてすぐ使うものではございませんで、二年間寝かしておきまして、成熟さしてその上で使わないと使えないわけのものなんです。したがいまして、これから輸入いたしましても、それが現実に使用されるのは二年後ということになりますと、二年後の原価に若干の影響が出てくるということでございます。もちろん公社にとってはプラスの要素ではございます。一方また、これから二年の間に労務費の関係、その他材料費の問題もございますので、二年ぐらいたって初めてそのときに、結局公社にとってはいい影響にはなるわけでありますが、現在直ちに小売り定価に響くと、こういう問題ではございません。
  124. 三木忠雄

    三木忠雄君 その輸入たばこの輸入状況なんですがね。これはいろいろ比率、資料ももらいましたけれども、これは生産地にもいろいろ原因があると思いますけれども、アメリカがもう大多数と、これは深い商社との関係も私はきょうは論及しませんけれども、具体的に米国の輸入葉のほうが大多数を占めて、あとは東南アジア、将来中国等も考えられると思うんですが、こういう東南アジア等のほうからの輸入というものは案外削減されているんじゃないか。アメリカ一辺倒のこの輸入政策をとっているんじゃないかという感じを強く受けるわけです。この点についていかがですか。
  125. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) アメリカ葉は、主として製造いたしますたばこの香喫味——味つけの原料として非常に重要な意味のあるもので輸入いたしておりますが、最近のようにできるだけ緩和な葉っぱということになりますと、これはやはり東南アジア方面のニコチンの低い葉っぱを求める必要ありということで、現に昨年バンコクにも事務所を開設いたしましてタイ、インド葉の購入等をいたしておりますが、まあ今後もできるだけ東南アジア方面でニコチンの少ない、しかも適正な値段で買えるものがあればこれは今後の公社のたばこの低ニコ化のために必要であるから買い進めていきたいと、こう考えております。
  126. 三木忠雄

    三木忠雄君 この外国葉の開発は何かしているのですか。新製品の開発とかそういう問題についてですね、生産地の新しいところを見つけに行くとか、あるいはその開発輸入といいますか、そういう点についての計画はどうですか。
  127. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) この点につきましては、将来どうしてもやっぱりニコチン、タールの少ないたばこを製造しないとぐあいが悪いということでございますので、公社といたしましてはまあ国内葉についてまずこれを低ニコ葉を開発していくとともに、外国の産地についてできるだけ広く調べておいて将来に備えようということで、昨年度相当調査団を派遣いたしまして各国の状況をいま調べております。
  128. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは一例ですがね。中国にも調査に行かれたと思うのです。私の聞くところによりますと、インドネシアなんかで相当安いたばこがあるのですね、葉たばこが。これは専売公社のほうではないと、こういう言明しているらしいですがね。現実にまあアメリカのほうの商社が強い関係なのか、輸入制限をしているのか、どういう関係かわかりませんけれども、西ドイツ等の低ニコチン、低タールのこういう葉っぱをインドネシアのほうから相当輸出しているわけですね。こういう点に目を向けないで、どうもアメリカのほうからばかり輸入して、東南アジアのほうから買い付けをしようというこういう意欲が専売公社欠けているのじゃないか、こう思うのですがね。
  129. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) これはもう私どもといたしましてはできるだけ低ニコの葉を広くめっけて、そうしてしかもできるだけ適正な値段で買おうと、こういたしておりますが、インドネシアはもちろんその一つの大きな候補でございます。ただ調査いたしました結果、現在のところでは技術的にはまだまだという点がございますので、今後私どもが技術援助いたしまして、そうしてしかるべき葉っぱにやっぱり仕立てていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  130. 三木忠雄

    三木忠雄君 現実にいまアメリカのこの葉たばこは一キログラム二ドル八十セントぐらいですよね。インドネシアだと五百八十円程度、まあこれは品質等いろいろな条件が加味されてくるとは思いますが、そういうところからどんどん輸入していけば、低タール、低ニコチンのたばこの生産ができると思うのですね。そういうほうの開発ということに対する公社の面というのは非常に弱くて、どうもいままでの既成商社とのつながりというか、これはまあきょうはそんなことこまかくやりたくありませんのであれですけれども、なかなかその方向を変えようとしない。この点はまあ今後の中国問題も出てくるでしょうし、積極的にやはり国益にもつながるわけですね、考えてみりゃ。そういう点を無視して、一辺倒にいままでどおりのひもつき輸入みたいな感じを改めるべきだと私は思うのです。
  131. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 昨年度からの公社の活動をごらんいただけるとおわかりかと存ずるのでございますが、今後の外国の、しかも東南アジア方面の低ニコ葉の開発、私どもが開発するというとたいへん失礼なのでございますが、これはやっぱり開発なさるについて私どもは技術援助というような方向で、できるだけ将来そういった方向で低ニコ葉が安く公社に入るように大いに努力すべきだと思っておりますし、またそのつもりで心がまえその他準備いたしております。
  132. 三木忠雄

    三木忠雄君 それでは次の問題で、たばこ事業を取り巻いてくる国際情勢というのは非常にきびしくなってきたのじゃないかと思うのです。まあわが国の専売事業制度の見通しですね。あるいはこの国際経済の協力推進と相まって、この七〇年代の専売事業をどういう方向に持っていこうと考えられているかですね、この点についてお伺いしたい。
  133. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) たいへんむずかしい問題でございますが、これは私どもとしてどうしてもやっぱり将来を、先を見通して仕事をしなきゃならぬと思っております。まあただいままではやはりどうしても国内ともに閉じこもりがちであったということは何としても認めざるを得ません。国内の三千万の消費者だけを相手にしておった、これではやっぱりいけない。将来を考えますと、いろいろ貿易の自由化等に備えて外国のたばこにも対抗できるようなたばこをみずから開発し、あるいはまた他と提携して開発していく、そうしてできるだけ外国にも伸びていこうと、こういった心がまえが必要だろうと考えます。これは短時日にできることではございませんけれども、地道に、力強く推し進めていく必要があろうと、こう考えます。
  134. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的にフランスとかイタリー、オーストリアですね、こういう各専売に見られるように、国内市場独占のこの中にあって、競争原理を持ち込もうというわけで、七一年ごろからそういう問題が、非常に競争力を強めるために各国はいろいろ方法を講じられていると思うのですね。そうなると、ガットからでもいろいろ日本のたばこの専売についてもいろんな指摘を受けていると思うのですね。これはフランスあるいはイタリー等がそういう方向になればますますきびしい批判を受けると思うのです。こういう問題についてやはり日本の専売制度をもう少し検討し直さなければいけないのじゃないか。閉鎖的なそういう専売制度では続かないのじゃないか。国際環境から好ましくない状態がいろいろ生まれてくるんではないかと思うのですね。こういう点でやはりもっと積極的に、まあ日本の専売公社自身がもう親方日の丸的な考え方ではなしに、もう少し競争原理を導入していく、あるいは技術の開発をする、こういう点にもっと積極的に取り組んでいくべきじゃないか。あるいは開発の問題等も含めてもっと競争原理というか、もう少し意欲を燃やす体質にしていかなければならないんじゃないかと思うのです。この点いかがですか。
  135. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) まことにお説のとおりでございまして、私どもそのとおりに心がけておりまして、現在そういった方面で極力全社をあげてそちらのほうへ持っていこう、こういった努力をしております。
  136. 三木忠雄

    三木忠雄君 具体的に、外国製のたばこは十円から五十円ぐらい安くなる。それ以外に、ライセンス契約をやるともっと値段が下がるという話を私はいろいろ耳にしているわけです。こういうライセンス契約の問題がいま相当専売公社等にも申し込みが来ているのじゃないかと思うのですね。こういう問題について一部の——どこから手が伸びているか知らないけれども、こういう国際的な問題をもっと積極的に考えて、やはり国益あるいは国民利益考えた場合にはもっともっと積極的に開発計画、あるいはライセンス契約に取り組んでいくべきじゃないか。このことによって日本の国内たばこ、あるいは消費者に対するサービスという問題も、あるいは輸出の方面にも相当伸びていくのじゃないか。あるいは国内の消費者が外国製たばこを購入する場合でももっと安い値段でいいものが入るのじゃないか。こういうライセンス契約を専売公社が取り入れていかないというのは何か原因があるのかどうか。
  137. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) たいへん心強い御鞭撻をいただきましてありがとうございます。  実はライセンス契約につきましては、いまから大体五年ぐらい前から公社にアプローチがございまして、いろいろ交渉の結果取り上げるということになりまして、私のほうといたしましては一方的なライセンス契的では困ると、専売公社が他の外国の会社の銘柄をつくるとともに、同時にその会社は専売公社の銘柄をつくってくれる、いわゆるクロスライセンス契約でなければ困るというようなことでやっておりました結果、大体だんだんしぼられてまいりまして、かりに外国の銘柄のたばこを専売公社でつくる場合におきましても国産葉をできるだけ使っていく、初めのうちはそのイメージを損じては困りますから当初は向こうの銘柄を葉組みには使いましたが、次第に国産葉の利用を高めていくという努力によりまして国産葉の利用を推進するとともに、技術の開発も今後大いにやるというつもりで、ただいまその方向で進んでおります。ただ、耕作者団体等につきましては十分なる理解がないとこれはやはり結局あとで禍根を残しますので、現在そういった方面の団体に対して十分話し合いを進めている段階でございます。
  138. 三木忠雄

    三木忠雄君 確かに耕作者団体にはよく理解を与えて損害にならないように私はしてもらいたい。これは当然でありますけれども、やはりそれがあまりにも趣旨をはき違えた方向に持っていっているんじゃないか。一部のそういう間違った意見のもとに競争原理を、あるいは国内の利益になる問題をはき違えて考えられているんじゃないかという点を私は懸念するわけなんです。専売当局としてもっと積極的にやはりこのライセンス契約の問題は取り組んでいくべきじゃないか。まあこのライセンス契約、クロスライセンスを結んだ場合のメリットというか、この問題はどうなんですか。
  139. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) メリットはいろいろ考えられるわけであります。まあ最近の喫煙と健康問題と、それから国際的にも緩和なシガレットを要求するということになると、これに対応しましてどうしてもやっぱり外国のそういった方面のすぐれた技術を専売公社に導入し、そして共同で専売公社の技術も入れて、世界に負けないようなシガレットをつくっていくというのが必要であると思います。これがまず第一点の私はメリットと思います。  それから第二点といたしてましは、先ほどお話ございましたように、やはり自由化という問題はこれは防ぎ切れないものでございます。専売公社は、いままで外国のシガレットを極端に制限いたしておりましたが、こういった状況はなかなか続くものではないし、だんだん外国のシガレットの輸入の制限はゆるめていかなければならない。その場合に、かりに外国のシガレットがそのまま入った場合にいたしますと、全部が外国の葉っぱ、それから外国のローンにより、外国の資本によってつくられたたばこが入ってくるわけであります。これに対しまして、ライセンス契約でございますと、とにかく国産葉も相当使用できる。そうして専売公社のローンも使って、専売公社の工場でできるわけでありますから、これは私どもはそのほうがはるかにメリットがあるんじゃないか、こういったことを考えております。それからまた、クロス契約でございますから、外国の会社につくってもらう場合におきましても、国産葉はやっぱり使ってもらう。国産葉をある程度持っていかなければなりませんので、国産葉の輸出にもなる。こういった点でメリットが大いにある、こう考えております。
  140. 三木忠雄

    三木忠雄君 そういう点から考えまして、現実にいま日本のたばこの輸出というのは限られているわけですね。このライセンス契約等結べば相当たばこも輸出産業として伸びていくんじゃないかということを私は考えるのですが、それと同時に、やはりいい製品が国内にも販売できるように態勢がなるんじゃないかと思うのです。これはやはり総裁としてもう少し早く踏み切るという方法を考えるべきじゃないかと思うのですが、その決断はいかがですか。
  141. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) もう専売公社は踏み切っております、やろうという。ただ、何といっても国内的なコンセンサスを得てその上でやらないと、やはりすべての面においてぐあいの悪い面が起こる。今後に耕作者の方々も不安を持っているわけです。外葉がだんだんふえていくんじゃないか、国産葉はどうしてくれるんだというお気持ちが中にあるわけですから、そういった点について、じっくり話し合って、そうして将来の日本の国内産葉の方向、そういったものの位置づけなどをしっかりのみ込んでいただいて、クロスライセンスの利点について十分御理解願いたい、こう思って現在努力いたしておるところであります。
  142. 三木忠雄

    三木忠雄君 国内産の葉を相当使えるようになるんじゃないですか、現実にクロスライセンスにしますと。その点がやはり宣伝というかよく話し合いができていないんじゃないかと思うのですけれどもね。
  143. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) お説のとおりで、そういう点は確かに国産葉の利用になるわけでありますから、その点も十分話してはおるわけですが、それよりもっと大きな問題の不安が耕作者の方にありそうでございます。クロスライセンスはその一環であります。国内産葉を将来どうしてくれるんだ、専売公社は。そういった御不安の念がある。この点は十分話し合って、そうして日本の農業全体に関連する問題ではございますが、その一環としてのたばこ産業のあり方、たばこ耕作のあり方について十分ひとつ御納得いただいて、クロスライセンス契約の解決につとめたいと、こう考えております。
  144. 三木忠雄

    三木忠雄君 耕作者の問題については、よく納得のいくような方向で私は策を講じてもらいたいと思うのです。  次に、たばこの有害表示の問題が最近専売公社から、いろいろ健康に注意して吸い過ぎないようにというそういう表示が出されておりますけれども、これは一年間答申からおくれたという理由は何か特別にいろいろ配慮があったんですか。
  145. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) これは実は専売事業審議会の答申大蔵大臣にされたものでございまして、大蔵省の御指示が一昨日ございましたので、その御指示に従っていたすということになったわけでございます。
  146. 三木忠雄

    三木忠雄君 大蔵大臣、これは何か特別におくらした理由は、やっぱり専売納付金が少なくなるというんで、相当影響を考えておくらしたんですか。
  147. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 専売審議会のほうの答申は、ニコチン、タールの量を表示するというだけでいいということでありまして、専売長官もそうしたいというお話でございましたが、従来のいきさつがございましたので、一応衆議院の大蔵委員会においてこの問題を特に扱いたいからというので、そこで扱ってもらいましたところが、非常に議論が出まして、やはりただそれだけでは意義がないと、何かよその国の例にもあることなんで、たばこの吸い過ぎはあなたの健康を害するとか、何かほかに表示する方法はないかという議論が国会委員会に出ておりまして、長い間結論がつきませんでした。しかし、これは長くほうっておくことはできませんので、私どもの大体考えでこの際たばこの吸い過ぎはやめましょうというような程度の表示でよかろうということを公社の総裁にお願いしたということでございます。
  148. 三木忠雄

    三木忠雄君 どうも歯切れが悪いんですよね、これ。日本は注意で、アメリカやヨーロッパ等においてはもっと強い警告を発しているわけですよ。それから比べると、相当納付金を意識した上の考え方ではないかと私思うんです。これはもっと積極的にその国民の健康を守るという意味から考えたならば、いわんや政府自身が福祉経済のほうに転換していこうという方向から考えたならば、国民の健康を害してまで専売納付金を上げようという考え方はこれはちょっと方向が違うんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  149. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 有害表示をすべきだというんですが、はっきりとこれは有害であるという表示をすることはどういうものであろうかということが、非常に議論になりました。心理学者まで動員してこの問題の検討をしましたが、また有害とはっきりわかっているものを国がこういう形で売ることも問題であるし、問題はやはり健康上のもので、この吸い過ぎがいけないんだと、強度の喫煙が健康を害するとか、あまりこれは吸い過ぎないほうがいいという注意にとどめる程度でよくはないかというのが最後の結論になったわけでございます。
  150. 三木忠雄

    三木忠雄君 アメリカあるいはイギリス、西ドイツ、日本、この四カ国の比率を計算しましてもだいぶニコチンの量とあるいはタールの量は日本のほうが相当多いんじゃないですか、現実に。総裁どうですか。
  151. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 西ドイツが一番少ないんでございますが、ちょうどわが社の製品は英国程度のものであろうと。アメリカは平均しますとわが社よりもちょっと低いんじゃないかと。いろいろ銘柄が多いもんですからなかなか平均がむずかしいんですが、ただ毎年緩和葉、外国の葉っぱを輸入いたしまして、そしてできるだけ目下ニコチンの低減につとめておるわけでありますが、ただそれだけでなくて、国産葉自体もひとつニコチンの少ない葉っぱにしようと、こういうことで本年から第二黄色種の相当部分につきましてMCという大体いままでよりもニコチンが四割ぐらい少ない葉たばこに転換することにいたしたわけであります。それから製造方法にもいろいろ問題がございますが、とにかく育種の面から、栽培の方法から、製造の面から、加工の面から、あの手この手を加えましてできるだけニコチンを少なくしていっております。
  152. 三木忠雄

    三木忠雄君 これはチェリー程度であれば私は納得できるんですけどもね。これ両切りになってくると相当ニコチンが、これはアメリカ、イギリス、西ドイツと比べものにならない、三倍くらいニコチン量あるいはタール量が含まれているわけですね。したがってフィルターつきと同じような一律の表示方式ではなしに、もっと富士とかあるいはピースの十本入りとか、こういう問題についてはニコチンが二・二ですね、あるいはタールが二十六です。西ドイツのたばこから比べると、もう三倍以上のニコチン量あるいはタール量を含んでいるわけですよ。こういう点から考えると、やはり注意程度ではちょっと弱いんじゃないかということが考えられるんですがね。これは今回注意にまず踏み切って、いつごろ警告かあるいは有害表示に変わるのか、その点はいかがですか。
  153. 福間威

    政府委員(福間威君) 昨年三月に専売事業審議会のほうからいただきました答申の中に、本件の性質にかんがみましても、医学的な検討を加えておるわけでございます。その検討によりますと、喫煙と健康の関係というのはまだ簡単に結論づけられる問題ではないというふうになっております。したがいまして私どもは、今後につきましてはそういった医学的な研究の発展、そういったものを眺めました上で考えていきたいというふうに考えております。
  154. 三木忠雄

    三木忠雄君 なかなか答弁はいいようなこと言うんですけどもね、現実に、じゃ専売公社自身の予算を見ましても宣伝費が二億六千万ぐらい使っておるわけですよ。ところが、この健康についてのいろんな調査委託というのは六千万ですよ。これは言うこととやることがだいぶ違いますわね、現実に。だから何か隠れみのをつくっているみたいな感じであって、国民の健康を守るという点から考えてみると、ほど遠い予算の問題でも考えられるんじゃないかと思うんですがね、この点総裁いかがですか。
  155. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 委託研究費自体は六千万円でございますが、これは数年間ごらんになりますと急激にふえております。しかし、委託研究だけでなく、公社内部における低ニコ化の努力の経費、これを合わせますと相当なものになるわけでありまして、委託研究費だけでなく、ひとつ全体を、公社いまの全体の姿勢が低ニコ化に向かっておる、こういうことにひとつ御理解いただきたいと思います。
  156. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ時間も限られていますからそれ以上深くあれですけれども、現実に先ほども言いました吉に、ライセンス契約とか、いろんなニコチンあるいはタールの製品の開発とか、こういうことにもっともっと積極的に取り組んでいくべきじゃないかと思うんです。ただ専売納付金を上げることばかり、まあ今年の予算を見ましても。また二百五十億くらい高く見積もっておるわけですね。こういう関係から考えても、やはり国民福祉という方向、あるいは健康を守るという方向から、ある意味では逆な方向へ専売公社あるいは大蔵省考え方がいっているんじゃないか。この点はもう少し明確にやはり開発費とか、あるいは研究費等によって国民の健康を守るという方向にもっとこの姿勢を改めていくべきじゃないかと思うんです。この点いかがでございますか、大蔵大臣
  157. 福間威

    政府委員(福間威君) 申すまでもなく、たばこの専売事業は財政収入を安定的に確保するということを一番の目的にしておりますが、最近いろいろ先ほど先生御指摘のように、国民福祉というものを大事にしなくちゃいけないというような時代になってきておりまして、その関連で公害問題とか環境問題とか、そういう問題と並んで健康問題も十分考えていく必要があるというようなことになっております。まあそういった背景のもとに、私どもといたしましても、確かに専売事業は財政収入を上げることが一番の目的でございますが、そういった健康問題という側面につきましても今後とも十分考えていかなければならぬというふうに思っております。公社におきましても従来からそういう努力を相当やっておると承知しておりますが、今後ともそういう努力をさらに続けるように私どもとしても十分指導していきたいと思っております。
  158. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま言ったとおり、今後とも努力をいたします。
  159. 三木忠雄

    三木忠雄君 じゃあ、けっこうです。
  160. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  161. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 速記を起こして。
  162. 渡辺武

    渡辺武君 私は、去る十一日の総括質問の際に、現在の物価値上がりの大きな要因であるインフレーションの実情と、そのおもな原因を明らかにしてまいりました。大蔵大臣出席しておられたので逐一お聞きいただいたと思いますけれども、それを要約しますと、インフレーションのおもな原因としてあげられることは、第一に、大企業が自己資本比率を急激に低下させるほどに銀行借り入れなどをふやして、このいわゆるオーバー・ポローイングによって高度成長を続けてきた。そして、大企業資金需要をまかなうために銀行がいわゆるオーバー・ローン、すなわち過度な信用創造を行ない、さらには日本銀行が貸し出し政策など放慢な金融政策によってこれを支えてきたというところにあると思います。  それからまた、第二に、いわゆる財政インフレーションであります。つまり、日本銀行が国債、政府保証債など、財政上の赤字をまかなう証券を担保にして貸し出しを行ない、さらに公開市場操作と称して、これらを購入して通貨信用を供給してきたこと、これが第二の要因だと思います。  第三は、いわゆる外貨インフレと呼ばれているものでありまして、昨年、外為会計の払い超が四兆四千億円に及んだことにあらわれておりますように、ドルの流入が急増して、これが通貨膨張の重大な要因になっていること、以上がおもなインフレーションの要因だと思います。私はこのような、前回の質問で明らかになった点に立ちまして、きょうはインフレ抑制対策、これをどうすべきかという点を、質問を通じて明らかにしていきたいと思います。  そこで、まず、通貨、信用政策の基本目標について日本銀行に伺いたいと思いますが、かつて佐々木日本銀行総裁は、通貨価値の安定が日本銀行の政策の目標であると答えておられますけれども、この立場は現在も変わりはありませんでしょうか。
  163. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 日本銀行の通貨金融政策の基本についてでございますが、いまのお話のとおり、かつて佐々木総裁がお答え申し上げた通貨価値の安定、維持ということに変わりはございません。
  164. 渡辺武

    渡辺武君 佐々木総裁は、前回の私の質問に対して、消費者物価が上昇していることとの関連で、現在通貨価値が低下している、安定していないだけじゃなくて低下しているというふうに答弁しておられます。このことは、日本銀行が通貨、信用を過剰に供給してきたということを示していると思います。  私、前回の質問のときに詳しく数字を明らかにしましたけれども、実質GNPの増加率と、そして総通貨の供給の増加率、これを比べてみますと、実質GNPの増加率よりも総通貨の供給の増加率のほうがはるかに早いんですね。ですから、たとえば昭和三十五年に実質GNPに占める総通貨の割合がわずか二一%にすぎなかったものが、昭和四十六年には実に四六・三%、二倍以上にふえているということで、つまり、経済の成長よりもはるかに急速に通貨量が供給されてきたということをはっきり示していると思う。こういう、過剰に供給してきた、それが通貨価値を下落さしている根本の原因だろうというふうに私は思います。また、この間の質問のやりとりの中でも、その点が私は明らかになったというふうに思っております。  そこで伺いたいんですけれども、日本銀行は、通貨価値が安定しているかどうか、したがって、通貨供給量が過剰か適正かの基準をどこに置いておられますか。
  165. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 通貨価値と申します場合に、前回も総裁がお答え申し上げたと存じますが、対外価値、対内価値と、両面があると思います。対外価値、すなわち為替相場にあらわれるわけでございますが、この点は非常に強く、むしろ価値が上がって、切り上げを行なうということになったというふうに考えられるのでございます。対内価値につきましては、それが表現されますのが、一方において卸売り物価であり一方において消費者物価であると思います。卸売り物価は、御承知のとおり、きわめて安定いたしており、ややまだ下がっている、最近におきましては下がっているような状況がございます。前年度に比べまして下がっておりますが、消費者物価は確かにやや——ややと申しますか、かなり上昇を続けてきているわけでございます。しかし、通貨価値と申します場合に、これらを総合してどう判断するかということでございます。消費者物価の上昇には金融政策だけでまいらない面がある。私どもの金融政策で影響を及ぼす、端的に影響を及ぼし得ますのは卸売り物価でございまして、またそれを通じて消費者物価の安定に資するということでありまして、それらを総合いたしまして、これがインフレになっているというふうには私ども考えていないのでございます。
  166. 渡辺武

    渡辺武君 インフレになっているとは考えていないとおっしゃいましたけれども、日本銀行がそう考えているといないとにかかわらず、現実には通貨量が経済の発展よりもはるかに急速に増発されて、そうして、この前の質問の中で明らかにしましたけれども、現在の日本銀行券は不換銀行券、その不換銀行券が過剰に増発されれば貨幣価値は低下する、これは当然のことです。経済学のイロハです。ですから、あなた方が考えていないと言っても、客観的現実はすでにインフレーションは進行している。さて、その点で問題になるのは、あなた方が通貨価値の安定というときに、物価の安定を考えているとおっしゃりながら、特にいわゆる対内物価の問題については、まず直接的に影響がある卸売り物価に影響を与える、そうしていわば間接的に消費者物価の安定ということを考えておられるというふうな御答弁だと私は伺いましたが、そう理解していいですか。
  167. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 影響力の及び方の強さという意味では、直接的には卸売り物価だというふうに申し上げたのでございまして、全体として、総需要の管理という意味合いから消費者物価にも影響が及び得ると思います。ただ何と申しましても、端的には卸売り物価を通じてという効果のほうに期待しなければならないと、そう考えておる次第であります。
  168. 渡辺武

    渡辺武君 私はそこに大きな問題があると思うんですよ。物価の安定、これがこの目標だと言っておられながら、実際は国民生活にとって最も重要な消費者物価のほうは二の次になっている。そうして、理屈はあなた方もつけておられるんですね。消費者物価はほかの要因でも上がるんだという理屈はつけているのだけれども、しかし実際やっておられることは卸売り物価の安定をやっておられる。卸売り物価の安定を通じて消費者物価に影響を及ぼすなんということはできないことは、いままでの事実が示しているんじゃないですか。日本の物価統計を見ればはっきりしております。卸売り物価指数が下がったときでも消費者物価指数は上がっている。ですから私は、そこにあなた方が通貨金融政策を間違っている一番重要な点があると思う。その点はひとつよくお考えいただきたいと思う。これは私が申し上げているだけじゃない。物価問題懇談会が昭和四十一年の十月十八日付で「物価政策と財政政策及び金融政策について」と題した提言を行なっております。この提言の中の「(財政と金融の協力)」という項がありますが、そこにどういうこと書いてありましょう。ちょっとその最初のほうをお読みいただきたいと思います。「(財政と金融の協力)3」と書いありますね、アラビア文字で。
  169. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 財政金融政策のカッコの三でございましょうか。
  170. 渡辺武

    渡辺武君 時間がないから、それじゃ一ぺん私、読みますが、いま申し上げた点はこう書いてある。「通貨価値の安定を目指すことは、金融政策の最も重要な使命である。この場合通貨価値の安定とは消費者物価の安定でなければならない。従って、国際収支の均衡を主たる目標として運営されてきた従来の金融政策は、今後消費者物価安定の観点をも考慮して再検討される必要がある。」、昭和四十一年の段階でこういう提言がすでに出ている。つまりこれは言外に、日本銀行が物価の安定と言いながら実は現実には卸売り物価の安定を第一にしている、ということに対する批判を含んでいると見て差しつかえないと私は思う。これは非常に重要ですよ。  そこで、大蔵大臣に伺いたいのですけれども大蔵大臣は三月十日の大蔵委員会での私の質問、つまり私はこう質問しました。「今後の通貨金融政策は、」「消費者物価の上昇を押えるというところに政策の重点を置いてやるべきだというふうに思います。その点どう思われますか。」と伺いました。大臣は「それは賛成でございます。」と答えておられる。いまもその立場はお変わりございませんか。
  171. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 一応そう思います。
  172. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、日本銀行の通貨、信用政策を根本的に変えていかなきゃならぬ。先ほど申しましたように、卸売り物価指数と消費者物価指数というのは、これはもう全く乖離して動いている。本来卸売り物価というのは大体大企業の製品が主になるのです。非常に急速に労働生産性は上がっている。だから、卸売り物価指数というのは本来は横ばい状態じゃなくて、ほんとうは労働生産性の高まるに従って下がっていくのが当然ですよ。消費者物価指数の中には大企業製品もあるけれども、同時に、中小企業製品や農業製品、農産物、これらが大量に含まれております。したがって大企業製品ほどに急速な労働生産性の上昇もなく、物価の値下がりもこれは緩慢であろうと考えられる。本来ならばそうなるべきですよ。ところが日本銀行はどうしているかといえば、卸売り物価指数がちょっと下がり始めると早速金融をゆるめて金をつけちゃう。そういうことで卸売り物価のいわゆる安定横ばい状態を維持する。だから下がるべき卸売り物価が下がらない。そうしてその金が回り回ってどういう形になるかといえば、消費者のところで消費者物価指数が、ほんとうならばわずかに下がるべきものが急速に上がる、こういう現象が出てきている。いまあなたは、消費者物価は通貨金融政策とは別の要因でも上昇するのだとおっしゃいました。私はそれを完全に否定するわけじゃない。しかしいまの消費者物価指数の急速な上昇の主要な原因は、あなた方のいま申しましたような通貨金融政策にあるということははっきり認識していただきたい。卸売り物価指数は横ばい状態、消費者物価指数は上昇、こういう現象が出てきているのはあなた方の放慢な金融政策からきている。何よりも、いま言ったように物価の安定というめどを消費者物価指数の安定に置かないというところからきている。その点根本的に転換するおつもりありますか。
  173. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 先ほどから申し上げておりましたのがちょっとことばが足りなかったかと存じますが、卸売り物価と消費者物価と分けて、卸売り物価だけを問題にするということでは決してないのでございまして、通貨価値と申します場合に、対内価値、対外価値。対内価値では、一応卸売り物価、消費者物価両方、それらを総合して考えるというのが基本でございます。そこで、先ほど御引用になりました物価安定推進会議の御提言の総需要の管理ということでございますが、金融で総需要を管理するというのはどういうことか、いまさら申し上げるまでもございませんが、結局そのときそのときにおいて経済全体をどういうふうに持っていったらいいのか、その生産、投資等の動きをどう調整していくか、具体的にはそこから金融を締めるべきだとかあるいはゆるめるべきだというようなことが出てまいるわけでございます。私どもとしては、もちろん消費者物価が上がらないことが望ましいのでございますけれども、そのときそのときに適応した総需要の管理ということに努力してまいったつもりでございます。
  174. 渡辺武

    渡辺武君 そんなこと言っておられるから、だからインフレはますます高進するばっかりなんです。物価の安定を大事にする大事にすると言いながら、現実には卸売り物価の安定をはかっておられる。だから消費者物価は上がるのです。あなたのいまおっしゃったことは、日本銀行自身が出している「日本銀行−その機能と組織−」という本がある。日本銀行調査局の出した本です。ここに「金融政策の目標」というところで、いまの物価の問題を論じていますが、その立場よりももっと後退していますよ。こう書いてある。九ページ。「国内物価についても、消費者物価と卸売物価とが乖離する場合がある。そういう場合、どちらの安定をより重視すべきかということが問題になる。現実の事態においては、卸売物価は安定しているかあるいは小幅の上昇にとどまっているのに、消費者物価はかなり上昇するという傾向がみられる。こういう事態についていえば、まず卸売物価の若干の下落と消費者物価の若干の上昇という形で総合的に物価を安定させ、さらにできれば消費者物価を安定させるようにすべきであると考える。」そういうふうに書いてある。あなた方は、この消費者物価を安定させるという立場さえも放棄している。いままでずっと消費者物価は安定していなかったでしょう。あなたが言っているようにかなり急速に上がってきた。それにもかかわらず、通貨金融政策の根本を少しも変えないでいままでやってきた。ここに日本の消費者物価値上がりの非常に大きな原因の一つがある。通貨がどんどん増発される、そうして物価が上がる、こういうことなんですよ。その点真剣に考えていただきたい。検討するおつもりありますか。
  175. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 先ほど来私から申し上げておりますのは、いま御引用になりました私ども調査局で出しております「金融政策の目標」に書かれておりますことと全く変わりございません。そういう考え方でこれまでもやってまいり、今後も努力してまいるつもりでございます。
  176. 渡辺武

    渡辺武君 少しも変わりがないと言っても、変わっていることを言っているんですよ。さっきも申しましたように、卸売り物価の安定を第一にして、消費者物価の安定を二の次、三の次にしてきたこと、その現実が消費者物価の急速な上昇となってあらわれてきた。その現実をきびしく見ていただきたい。国民の希望から言えば、卸売り物価指数というのは生産性の上がるに従って下がってほしい、そうして消費者物価指数も生産性の上昇に伴って下がってほしいというのが国民の希望だ。まあ消費者物価指数が下がらないまでも、少なくともこれが横ばい状態で安定してほしいというのが希望です。それがそうなっていないところにあなた方の責任があるんですから、その点はひとつよく検討してほしいと思う。検討していただけますか。重ねて伺います。これは国民の声だ。
  177. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 考え方として、従来からそういう方向考えているつもりでございます。  ここで、ちょっとよけいなことかも存じませんが、卸売り物価安定は、これまでのところは若干の下落というところにきておるのでございます。いろんな要因がございまして、諸外国ではこれほの安定を見ているところはない状況でございます。ただ卸売り物価を第一に、消費者物価を第二にという考え方ではございません。これらを総合して常に考えなければならない。ただ、影響力を端的に——質問は卸売り物価を通じてという面が強いという意味合いで申し上げただけでございます。
  178. 渡辺武

    渡辺武君 時間がないので何回も押し問答してもしょうがないけれども、あなた方そういう態度じゃいかぬですよ、はっきりと現実が物語っているわけだ。卸売り物価が安定しているから安心だというようなことじゃだめだというのですよ。そうでしょう。消費者物価が上がっている。そこのところをまず第一に考えてほしいということです。そんな感覚でもって金をどんどん大銀行につけられたらかなわぬですよ、それは。それがインフレの原因なんだから、検討してほしいと思う。重ねて伺います。
  179. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 私どもは消費者物価のことも十分考えてやってまいりたいと存じます。ただ、かねがね申しておりますことでございますが、この点につきましては各種の総合対策をぜひあわせて講じてやっていただきたい、そう思っておる次第でございます。
  180. 渡辺武

    渡辺武君 日本銀行自身はどう努力なさるのですか。
  181. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 結局金融の状態を常に適切に維持していくということであると思います。
  182. 渡辺武

    渡辺武君 処置ないですね、実際。そんなことでインフレが解決しますか。あなた方の責任ですよ。日本銀行の貸し出し、これはあなた、大銀行にどしどしやって、そうして銀行にオーバーローンの状態を維持さしてそうして大企業にたっぷりと金をつけた。その金が回り回ってインフレとなって、そうして今日のような消費者物価の上昇を招いてきておる。大体通貨金融の責任のある立場にある人が、現在通貨価値は安定しておりません、通貨価値は下落しておりますなんということを国会でぬけぬけと答弁するということ自身が問題だ。少しは責任を感じなさいよ。  それじゃ時間がないので次に移りますけれども、目標はいま言ったとおり消費者物価の安定というところに目標を置いてやっていただきたいと思うが、しかし、それを実現するのにそれじゃどういう具体的な政策をとるのか、その問題に次に移りたいと思いますが、さしあたって、インフレションの最近における新しい要因としてのいわゆる外貨インフレ、これに対する対策をどういうふうにとるかというです。これについてはひとつ大蔵大臣から御答弁いただきたいのですけれども、外貨が急増して、外貨が流入して、そいつを外為会計が買い入れて、その見返りとして四兆四千億円も昨年一年間だけで金がばらまかれた。そしてこれが大きないまのインフレの新しい原因になっているわけですが、こういう外貨インフレをどう防いだらいいと思っていらっしゃいますか。
  183. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 外貨が入ってきて国内の金融が緩和するというときには、日銀がこれを適当に金融調節をする。現在、いままでのオペレーションにより、あるいは貸し出しの調整により、今度はまた準備預金制度ができましたのでこういうことによって、この調整を適宜すれば別に心配ないことだというふうに考えます。
  184. 渡辺武

    渡辺武君 日本銀行がいろいろな金融調整政策をやったということことについては私も伺っております。いままで大銀行に出していた貸し出し金、これをほとんどもう返させた。ゼロに近い。それからまた、盛んに売りオペをやって資金を吸収した。これも統計上はっきりあらわております。しかしそういうことをやったのにもかかわらず、昨年一年間の通貨の増発状況はどうですか。ものすごかったじゃないですか。吸収し切れなかった。ここに先ほどの統計があります。昨年一年間実質GNPはどのくらいふえたか。六・一%ふえております。通貨のほうはどのくらいふえたか。二九・七%もふえている、一年間で。この二九・七%の通貨量の増加というのは、ここ十年間見られなかったような現象です。いろいろやってみたけれども、外為会計の払い超を中心とする通貨の増発は押えることはできなかった。そういうことがはっきりとあらわれている。そうしてそれがいまの物価の値上がりになっている。あるいはまた、これは午後に問題にしたいと思いますけれども、株式投機、土地投機、そういうところにぐっとその金がいま回っている。そして物価値上がりをあおっている。こういう状況でしょう。これはどういうように防ぎますか。
  185. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 外貨が昨年大量に入りまして、そこで金融市場がゆるむ傾向が出ておったことは事実でございまして、それに対しましては、先ほど大蔵大臣から御答弁のありましたように、日本銀行としては適度に金融の緩和を維持するという見地に立ちまして調整を行なったものでございますが、その通貨増発量との関係でございますけれども、現金通貨に関する限り、やや比率が高くなってはおりますものの、名目GNPに対しましてはおおむね七%前後ですか、これは数字のとり方によっていろいろございますが、大体その比率はパラレルに動いているのでございます。いまのマネー・サプライにおきまして特に昨年度が高くなりましたのは、いわゆる、主として預金通貨という分に属するのでございますけれども、これはかなり時期的なズレもあると思います。一時的なものもあると思います。要するに、いま金融緩和が必要である。したがって、金融緩和に従って企業の手元資金が豊富になっている。かつて非常に不足であったものが補充され、あるいはなお余裕目に手元資金が置かれている。そういう関係があるのでございまして、問題はいまの金融緩和基調をとっていることがいいかどうかという問題に帰着するのかと存じます。経済が行き過ぎて過熱になるおそれがあるというようなときには、こういう手元流動性を大いに圧縮しなければならないと思いますけれども、いまの金融緩和政策をとっている限り、こういう手元余裕分は続くという状態であり、かつ、いまの状態としては、それで特に経済の過熱を来たすというようなそういう弊害を生ずることはないというふうに考えておりまして、そういうような意味で、ちょっとこのところ、おっしゃるとおり預金通貨の伸び率はやや異常に高いというふうに存じますが、そういう、現金通貨と預金通貨を含めたものが高くなっているので、その通貨がふえていることが物価上昇を来たしたというふうに必ずしも言えないのじゃないか、私はそう考えております。
  186. 渡辺武

    渡辺武君 それは無責任きわまりない答弁ですよ。あなた方が、いまの不況下だけじゃないのです。いままでだってそうですよ。日本銀行貸し出し金、これを種にして銀行は猛烈な勢いでもってオーバーローンをやってきている。これがまずいということはあなた方自身だって気づいておられるでしょう。いままであんまりこの国会でも論議はなかったけれども、しかしこういう状態が、これがインフレをあおって消費者物価を上げてきているのです。その点をあなた方はあらためて痛切に認識しなければならぬですよ。いままでの金融政策をその面から再検討しなきゃならぬと思うんです。いまの不況下の問題だけを言っているわけじゃないんです。いまのしかし不況下の問題でも、何であんなに株式投機に金が回るんです。何で土地投機に金が回るんです。資金がダブついているからそういうことになるんだと、新聞でもちゃんと書いてある、あなた方もそういうことを認識しているんじゃないですか。時間がないからその問題に深くは触れられませんけれども、そう載っている。そうしてそういう状況がまた一般消費者物価の上昇をあおっているんです。その点はっきり見ていただかなきゃならぬと思うんです。  さて、この点と関連して大蔵大臣に伺いますが、今後為替管理政策はどうなさいますか。原則自由化というような話も聞いておりますけれども、そういう方向で行かれますか。
  187. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) できるだけ為替管理を自由にするという方向で行きますが、しかし短資の流入については、為替管理措置というものは、これは当分自由にはできない。この点は管理を強化する必要があると思いますが、そのほかについてはできるだけ自由化の方向でいきたいと思います。
  188. 渡辺武

    渡辺武君 けさの朝日新聞に、大きく一面のトップに出ておりますが、「ユーロダラー債国内売出し認可」という記事が出ております。こういうことをもうお始めになるわけでしょうか。  それからまた、それと関連して伺いたいんですが、かつて稲村国際金融局長の御答弁を伺いましたら、日本は国際金融市場のアジアにおける中心にしていく予定だというような御答弁もありましたが、そういう方針でございますか。
  189. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 日本の国際金融市場としての今後の問題としまして、いま積極的に何か特別なあれを講じまして、アジアの金融市場にしていきたいというようなことで、特に具体的な問題を考えておるわけではございませんが、方向といたしましては、当然のこととして、アジアの大きな国際金融市場として、まあ直ちにという問題ではございませんが、将来の方向としてはそういう方向にいくのが自然ではなかろうかというふうに考えております。
  190. 渡辺武

    渡辺武君 その朝日の記事はどうですか、朝日の記事は。
  191. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) どういう記事であるか正確にはあれでございますが、おそらくこれは、いわゆる居住者の対外証券投資、これにつきましては昨年の七月に原則として自由化をいたしました。その際に、この上場されております証券につきましては全部自由化をいたしました。ところが、上場されていないもの、と申しますのは、おそらくこの問題は上場されるに至る前の段階の、したがってまだ上場されていないものであろうと存じますが、それについては、これは国際収支の面から申しますと、そういうものもどんどん自由に買えるというようにするのが適当であろうと思いますが、同時に国内の証券行政と申しましょうか、投資家保護の観点からの証券行政との関連がございまして、いわばその両方の観点から種々検討をいたしておったわけでございますが、それがいまの投資家保護の観点で支障ない限り、やはり上場されるものに限らず、こういうものにつきましても居住者の対外投資を認めるのが適当ではないか、こういう方向のことであると存じます。
  192. 渡辺武

    渡辺武君 それはもう認可したんですか、二十一日認可としてあるが。
  193. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 事実関係につきましては、ただいまちょっと調べてお答えいたします。
  194. 渡辺武

    渡辺武君 それでは、質問を続けますからその間に調べてください。  それで、とにかくいまの新聞記事に出ておりますように、国内で外債の募集があった。そうすると、百六十六億ドルもドルがたまっておるので、そのドルで応募する。いわば、これはユーロダラー債というふうに朝日は書いているわけですが、そういうことになれば、先ほど大臣は短期資金の流入はできるだけ押えるんだとおっしゃっておったが、しかしこれはもういまのこういう資本主義の経済ですから、だから国内でユーロダラーを使って外債に応募ができるというようなことになれば、これは外貨減らしどころかユーロダラーを取り入れる条件を逆につくっているということになりゃしませんか。それから、なおついでに伺いますけれども、いま非上場公社債の自由化もするというような向きのことをおっしゃいましたが、ほんとうにそうですか。
  195. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの第一の点でございますが、これは先ほども申し上げましたように、この居住者といたしましては円で買うわけでございますから、したがってそのためにユーロダラーを借りてくるということではございませんので、これは対外的な資本輸出、資本が出るほう、流出のほうになることであると思います。
  196. 渡辺武

    渡辺武君 流出なんだけれども、外貨減らしになるんだと書いてある。
  197. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) それはいわゆる長期資本の流出になりますから、したがって当面国際収支のほうでは、払いのほうになるわけでございます。
  198. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことじゃないんですよ。かりに円で買うにしましても、外債ですから、外債に投資するわけでしょう。これはドル建て外債ですよ。そうでしょう。ドルを使わなければならぬじゃないですか、どうですか。
  199. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ドル建て外債でございますから、円をもってドルを、応募される方は買いまして、それで払い込むという意味で外貨の流出になると申し上げたわけでございます。
  200. 渡辺武

    渡辺武君 結局ドルが出るということですね。  それから、もう一つのほうの非上場公社債の自由化ですね、それからあわせて、長期資金として問題になるのは、インパクト・ローンの自由化をやるかどうかという問題が問題になろうかと思いますが、その二点、どうなさるおつもりですか。
  201. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 非上場の公社債の対外投資、つまり対外投資におきます非上場の債券の、まあ公社債に限らないかと存じますが、債券の取得に関しましては、これは方向といたしましては次第に自由にしていくという方向のことであろうと存じますが、先ほども申し上げましたように、これは外貨——国際収支という私のほうの観点からだけでなくて、投資家保護という別途の観点がございますので、その点におきまして現在証券局におきまして検討を続けておるところでございます。国際収支の観点からすれば、そういうものも早く自由化してしかるべき問題だと存じますが、同時に投資家保護という観点のこともございますので、その点の検討を続けたいというつもりにいたしております。  それからインパクト・ローンでございますが、これは先ほど大臣がお答えになりましたように、まさに外貨の流入になります。これにつきましては、現在インパクト・ローンを大きな純増にならないように、返済がございますから、ネットでは大きな増にならないように、全体としてのきびしい管理を続けておるわけでございますが、これは当面の問題といたしましては、しばらくはやはり規制を続けざるを得ない、続けるべきであろうというふうに存じております。情勢がもっと緩和してまいりますれば別でございますけれども、現在の情勢では、これを緩和するというわけにはいかないのではないかというふうに存じております。
  202. 渡辺武

    渡辺武君 そうしますと、いまちょっと伺っておりますと、為替は原則として自由化する、短期資金あるいはインパクト・ローンのような長期資金の流入ですね、これについては若干の規制はしつつも、しかし原則としては自由化する、将来は日本は国際金融市場として育っていきたいということですね。そういうことになりますと、さっきのユーロダラー債の問題もそれに関連しますけれども、円を出して外債の募集に応じても、その円を出すその円資金、これは当然のことながら、ユーロダラー債ですからユーロダラーを外国から取り入れて、それを売って円をつくるということも、これは為替銀行しょっちゅうやっていることですね。外銀借り入れをやって、それを売って円資金をつくるということ、そういう可能性に道を開くことになるんじゃないかという感じがします。私の申し上げたいのは、そういうことになってまいりますと、昨年一年間にドルの流入が急増して、そうしてそれと見返りに円が国内に払い出されて、そうしていわゆる外貨インフレがずうっと高進していったけれども、一体為替が原則的に自由化されるということになってくれば、どうしてもそういう状況が、これは昨年ほど急激なものではないにしても、これは起こってくるということは避けられないと思うんですね。特に外国から入ってくる長期資金にしても、短期資金にしても、これは国内の再生産過程の外から新たに入ってくる資金ですよね。そうでしょう。こういうものが入ってきたために円が増発されるといことになれば、これは国内の再生産の発展とまた別の要因で円がずっとふえてくる、外貨インフレになってくる可能性はあります。これどういうふうにして防いでいかれますか。特に私、時間節約の意味で伺いたいのは、先ほど大蔵大臣が準備預金制度を活用するという趣旨のことを言われましたが、その点を含めて御答弁いただきたい。
  203. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま御指摘のように、外貨の流入を今後相当自由にしていくということになりますと、御指摘のような問題が確かに起こってくると存じますが、先ほど将来の方向としてできるだけ東京の国際市場を発展させる方向考えていきたいと申しましたのは、むろんそういうようなことを十分に考えながら、先生御指摘のような弊害が生じてはいけませんから、したがって、そこに当然、遠い将来の問題としてはそういう方向に国際金融市場としての発展ということを考えていきたいとは存じますけれども、さしあたっての問題としては、いろいろいま御指摘のような問題がございますので、この点はなかなか非常にそういう方向にすぐには進み得ない。したがって、今後、たとえば最近の問題といたしまして、非常にわずかなところでございますが、短期のドルのコール市場というものを今月から始めたわけでございますが、これは全く短資の流入とは、関係ない、いわば東京にすでにあるドルを短期に需要と供給を合わせるというだけの問題でございまして、これはいまの御指摘のような難点がございませんから直ちに実施できたわけでございますが、今後さらに、いわば日本と外とのかきねと申しますか、ことばは悪いかと存じますが、それを取り払っていくということによって、もしこの国際金融市場というのを東京で発展させていこうということにいたしますと、まさに御指摘のような問題がございますから、この点はこの方向を今後検討していくにあたりましての実は一番大きな問題でございます。その点は十分に注意しながら、弊害のないことがはっきりしない限りはなかなか進みがたいというふうに存じております。
  204. 渡辺武

    渡辺武君 準備預金制度は。
  205. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 準備預金制度の活用につきましても、ただいままで日本銀行貸し出しの回収という形で行なわれてまいりましたわけでございますが、ただいま御審議をお願いいたしております準備預金制度の改正ができますれば、これを発動して、ただいま御指摘のような方向で役立てたいと考えているわけでございます。
  206. 渡辺武

    渡辺武君 どういうふうになさるのです。
  207. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) ただいま御審議いただいておりますような形で成立をいたしますれば、率をどうするかということを具体的に定めまして、それによりまして実効をあげてまいりたいと考えております。
  208. 渡辺武

    渡辺武君 あのね、質問時間も少ないのだから、やっぱり端的に具体的に答えていただきたいと思うのですよ。そういう抽象的な答弁じゃ何回も聞き返さなければ事実が明らかにならないということになります。いま国会に、まあもう参議院は通ったわけですけれども、いま衆議院に行っている準備預金準備制度ですか、あれの一部改正案、私、読んでみまして、外貨が、特に短期資金などが流入した場合、流入額に一〇〇%準備率をかける、その分だけ円を預託しなきゃならぬ、こういうことになるわけですな。私、これは一つの手段だというふうに思います。で、しかし、これをもっと強化しなければ、これは今後為替自由化するということに、原則自由化ということになりますと、西ドイツはもうそれで痛切な経験を経ていることは皆さん御存じのとおりでしょう。為替を原則的に自由化した、さて、短期資金、長期資金がだあっと入ってきて、それが原因で典形的な外貨インフレが進行している。そのわだちを踏まないようにする必要がある。そのためには、この準備預金準備制度、これを使って外貨の流入をきびしく規制するような措置を講ずべきだと思うのですね。その点で、私時間がないから端的に申します。いま政府考えているのは一時的な撹乱的な形で短資などが入ってきたときには準備預金準備制度で防ごうとしておられる。しかし、私は先ほど申しましたが、短期資金にせよ長期資金にせよ、外国から資金が日本に入ってくる場合は、国内の再生産過程とは別のところから入ってくる。そのことが要因となって円が増発される。それ自体としてインフレの要因になってくる。その立場から規制してほしい。どうですか。
  209. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 外国からの資金の流入に対しまする準備預金の関係の問題でございますので私からお答え申し上げますが、外国からの資金が多量に入ってくるというものを防ぐ一つの手段として、先般お願いをいたしまして御議決をいただきましたこの準備預金の制度でございますけれども、これは先般も大蔵委員会において御答弁を申し上げましたように、内外金利差を調整するという点においては効果がございますけれども、通貨不安その他のそれ以外の情勢によりまする短資の流入につきましては、準備預金の制度だけでは十分ではございませんので、これにつきましては、先般も答弁申し上げましたように、直接的な為替管理、現在やっておりますような為替管理をやはりそういう情勢が続く限りは置いておかざるを得ない。先ほど申しました将来自由化の方向で検討したいということは事実でございますが、それはそういう実際の現実の事態との関連を考えながら、そういうことの支障がないという限りで自由化をしてまいりたいということでございます。  それからドイツとの関係でございますが、準備預金の制度はこれは銀行部門だけでございますから、御承知のとおり銀行以外の一般企業につきましては適用いたされません。で、ドイツにおきましては、まさに御指摘のとおりその点が大きな抜け穴であったわけでございまして、それで現金預託制度というようなことが検討されまして実施に移されたわけでございますけれども、この点につきましては、日本におきましては為替管理でこれをコントロールするということをやっておりますので、この点はドイツの制度とは違いまして、いわば為替管理ということを維持しておりますので、その点においてはドイツと違ってその抜け穴がないということでございます。
  210. 渡辺武

    渡辺武君 あのね、それは為替管理制度を多少残そうとしていることはわかりますがね。しかし、この為替管理の自由化という問題については、これは経団連からもはっきりといわば完全自由化という要望も出ている。外国からの圧力も非常に強い。いずれにしてもこれは自由化せざるを得ないだろう、いまの政府では。そう私は思う。さて、その場合ですよ、どうするかということなんです。これはもう遠い将来のことじゃない、近い将来のことですよ。その場合に、国民生活、物価値上がり、これをどう防ぐかということを私は問題にしている。したがって、準備預金準備制度も、外貨の流入に対しては原則一〇〇%かけて、そうして入ってきた分だけ円を預けさせるという制度にすれば通貨の増発がそれだけ防げる。その点、おやりになるつもりがあるかどうか。それからもう一つ、西ドイツで民間——銀行以外の企業にやっているという現金預託制度、これはやはり、かなり有効なものじゃないかと私は思う。それを検討し、考慮して、採用するおつもりがあるかどうか、その点も伺いたい。
  211. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 西ドイツでやっております現金預託制度につきましては、私のほうといたしましてもいろいろと詳細に検討をいたしました。ただ、日本におきましては、当面、先ほども申し上げましたように、その流入を防ぐ、コントロールするという意味での為替管理は当面これを緩和するというわけにはまいらない情勢であるということは、先ほども申し上げたとおりでございまして、この点におきまして、急に、その片方の為替管理は撤廃する、あるいは非常に大幅に自由化してしまう、そこで、さらに片方でこの現金預託制度のような制度の採用の必要が起こるというような事態はさしあたってはこないのではないか。ただし、そうは申しましても、御指摘のような点もございますので、現金預託制度につきましては西独の制度を詳細に研究はいたしております。しかし、元来が為替管理のない西独におきまして、抜け穴になっておりましたところを防ぎたいということでございまして、その後の運用のあれを聞いておりますと、必ずしも西独の制度にも問題がないわけではないようでございますから、そういう点もあわせまして検討は続けたいと思っております。
  212. 渡辺武

    渡辺武君 問題は、つまり大企業が、銀行であろうと銀行以外の企業であろうと、短期、長期の資金を取り入れて、それが原因で今後この外貨インフレが一そう高進するという危険が十分にある、その点に立ってこの十分な対策を講ずべきだということなんです。ひとつ、その点は、どうもいまの答弁を聞くと、国民にとっては非常にこれはもう不安な状況を想定せざるを得ない。そういうことじゃいかぬと思う。もう少し国民生活ということも考えてやっていく必要があると思う。大蔵大臣、そういうおつもりはおありですか。
  213. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) その点につきましては、まさにいわゆるポリシーミックスの運用を最もよくやるべき分野であろうかと存じます。すなわち、片方において為替管理、国内的にはいわゆる伝統的な三手段と称せられておりますオペレーション、金利政策あるいは準備預金政策、それらのものを併用いたしますことによりまして、ただいま御指摘のような事態には十分に対処していくように心がけてまいるべきであろうと考えております。
  214. 渡辺武

    渡辺武君 そういうことをいままでやってきたけれども、何の効果もないから私は言っているんですよ。  時間がないから次へ進みますが、次に、インフレーションのもう一つの根源である大企業のいわゆるオーバーボローイング、自己資本比率が一六・何%に下がっているというような状態で、いわば自己蓄積の六倍近い金が銀行借り入れその他でもって企業に取り入れられている。そうしてまた、それをささえるものとして大銀行のオーバーローンが行なわれる。さらにまたそれをささえるものとして日本銀行の貸し出し政策が行なわれてきた。こういう事態をどう是正するか。そういう問題に移りたいと思います。日本銀行の貸し出し政策については、時間があればあとでなお検討したいと思いますが、さしあたり大銀行のオーバーローンですね、過度な信用創造、これをどう是正されますか。
  215. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) オーバーローンの問題でございますが、大銀行と日銀との関係でございますが、これは戦後、経済復興の過程におきまして、先生のおっしゃったとおり、大銀行が日本銀行から巨額の借り入れをしておったという状態が続いたのでございますが、私どもとしては、その過程においてやむを得なかったと考えてはおりますが、昭和三十七年以来、その点を極力圧縮するということで新しい金融調節方式をとったのでございます。特に昨年一年度におきましては、外貨の流入による外為会計の支払い超過が巨額にのぼりましたので、その点は、日本銀行との間の関係は、オーバーローンはもうほとんど解消したというふうに申し上げてよろしいかと存じます。  オーバーローンの問題でございますが、個々の金融機関として当然その資金範囲内でやっていくということが、貸し出しとか投資は預金の集まった範囲内でやっていくというのが金融の原則でございます。そういう措置ができてきているわけでございますので、今後そういう資金のポジションをできるだけよくしていくというふうに個々の銀行に対しては指導してまいりたいと、こういうふうに思います。  また、金融市場全体に対しましては、通貨の供給を買いオペレーションでやるか、あるいは貸し出しでやるかという問題が起こるわけでございますが、そういう点にも、そのときの状況に応じて、オーバーローンを来たさないように全体の資金需給調節もやってまいりたい、そういうふうに考えております。
  216. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) さっきの朝日新聞の問題ですが、いま、許可の方針は大体きまってきましたが、許可した事例はないということでございます。
  217. 渡辺武

    渡辺武君 いま日本銀行から御答弁がありましたが、そんな指導するなんておっしゃっても、いまの、あんた、土地投機、株式投機一つ規制できないような事態じゃないですか。金融がゆるんでいるいまこそオーバーローンを是正する絶好のチャンスですよ。ところが、その金が、どうですか、みんな投機資金に回っている。こういう事態でしょう。そんなことで規制できますか。私はできないと思う。時間がないから端的に私の意見を言いますが、準備預金準備制度、これを活用したらどうですか。これは銀行が取り入れた預金の何%かを日本銀行に預け入れるというものでしょう。それがいま、実情どうなっておりますか。最高限は一〇%と法律できまっている。しかし日本銀行は、たとえば大銀行の要求払い預金については何%設定していますか。
  218. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 一・五%でございます。
  219. 渡辺武

    渡辺武君 最高限一〇%ときまっていて、しかも実際は一・五%しか準備預金をさしていない。こんなことをやるからオーバーローンが起こるんですよ。そうでしょう。預金を取り入れた。それを単純に計算しても、大蔵省の指導基準八〇%ということになっているけれども、それをはるかに越えてじゃかすか貸し出しをやる、こういうことが起こっちゃんですよ。最高限一〇%、今度の法改正案では二〇%に最高限が引き上がる。だとすれば、現実の準備預金準備率を、これを大幅に引き上げたらどうですか。まさにいま金融緩和の状況です。ちょうどいい時期です。外国では大体どうですか、一〇%から二〇%程度というのが実際の適用準備率でしょう。日本だけが異常に低いんですよ。だから、日本だけが異常な形で消費者物価が上昇するんです。どうですか、おやりになるおつもりありますか。
  220. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 現時点で日本の準備預金制度の準備率が低いということは御指摘のとおりだと存じます。外国に比べて著しく低いのでございまして、これは、ただいま申しましたように、オーバーローンの状態に過去にあった状況からいたしましてはやむを得ないところであったろうと思います。問題は今後でございますが、これは全く状況次第、そのときの金融の状況をどういう状態に置くべきか。引き締めるべきか、緩和すべきか。どの程度に引き締めるべきか、どの程度に緩和すべきかということでございますが、今後一般に市場に流動性が増加してまいりますれば、この準備預金制度の、一般的に言えば、活用は大いに考えなければならないところであろうかと、将来の問題としてはそう考えておる次第でございます。
  221. 渡辺武

    渡辺武君 そのときどきの金融の繁閑に応じてどういうふうに対処しろと言っているんじゃない。根本的に、外国に比べたって非常に低い状態でオーバーローンを許してきているんだから、根本的に準備率を引き上げるということでこのインフレを押えるべきではないか。これは大蔵大臣、指導監督の立場にあられるのですから、大蔵大臣どういうお考えですか。大臣にお願いしたい。
  222. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは流動性の過小なときは十分にこの制度は活用できなかったと思いますが、この状態が去ったんですから、今後はこの制度が十分活用できると思います。
  223. 渡辺武

    渡辺武君 だから準備率を引き上げますか。
  224. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう方向でこれは活用されると思います。
  225. 渡辺武

    渡辺武君 時間がなくなったんで、なおインフレ対策については幾つかの点を伺いたいと思っておりましたが、最後に一、二点だけ伺いたいと思います。  いまの現行の日本銀行法、これは御承知のとおり、昭和十七年、太平洋戦争遂行のために当時のナチスドイツの制定したライヒスバンクに関する法律を典拠として制定されたものですね。その内容は、総力戦遂行に役立つことを使命として、そうして政府への日銀からの貸し付け、それからまた国債の応募や引き受け、当時戦費調達のために日本銀行が役立てられた。そういう規定がちゃんと残されている。それからまた、政府の非常に強い監督下に置かれている現在の日本の情勢、状況とは適合しないきわめて危険な内容が含まれていると思います。日銀法を改正する意図がおありかどうか、その点伺いたい。
  226. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 日銀法は、ただいま仰せになりましたように、昭和十七年に制定された法律でございまして、御指摘のとおり、表現その他現状にそぐわない点が多々あることは否定できないところでございます。その意味で、現に金融制度調査会におきましても検討がなされた経緯があるわけでございますが、ただ、その際にもいろいろ議論がございまして、十分まとまらなかったことと、もう一つは、とりあえず現状においてすぐに不都合を生ずるという点もないということで、そのまま今日に至っているわけでございますが、したがって、ただいますぐに改正案が日程にのぼるということはないにいたしましても、常に問題として意識され、また検討が加えられていくということは、そのとおりでございます。     —————————————
  227. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま、安永英雄君が委員を辞任され、その補欠として須原昭二君が選任されました。     —————————————
  228. 渡辺武

    渡辺武君 それからもう一つ日本銀行について伺いたいのですが、日本銀行は国の通貨金融事情に決定的な影響を及ぼしている特殊法人ですね。このような機関は、普通いわれる政府からの中立性ということはあり得ても、しかし国権の最高機関である国会から中立的であってはならないと思うんです。ところがいまの日本銀行予算、決算、それから主要業務の基本などは、これは国会議決事項になっていない。私はやはりいままで指摘してきたように、日本銀行の通貨金融政策が国民生活に非常に深刻な影響を持っているという見地からしても、この日本銀行予算、決算、主要業務の基本を国会議決事項にすべきだというふうに思いますけれども大蔵大臣、この点はどうですか。
  229. 近藤道生

    政府委員(近藤道生君) 日本銀行の業務は、御承知のように日銀法その他の法令の定めるところに従いまして、一定の事項につきまして大蔵大臣の認可等を要することにいたしておりますほか、業務運営に関します重要事項は、政策委員会の決定を経るということになっております。その政策委会員の構成委員は両議院の同意を得て任命されておりますことは御承知のとおりでございまして、そういう形で両議院の同意を得た構成員からなる政策委員によりまして業務運営に関する重要事項が決定されるということが一つ、それからまた、日本銀行の業務は、そのときどきの金融情勢、経済環境に基づきまして機動的、弾力的に運営されるということがきわめて必要になっております。そこで、個別の業務につきまして初めからワクをはめるというような形でありますことは、金融政策の弾力性をそこなうおそれもございますので、日本銀行予算などにつきまして国会議決を要しないというたてまえにされておりますのは、そういう意味合いからであろうかと考えます。  なお日本銀行の決算等につきましては、これはもうよく御承知のように、日本銀行の政策委員会による国会に対する年次報告、それからまた予算の添付書類、これは財政法の二十八条で定めておりますが、こういう形で国会にも御報告をいたすということになっているわけでございます。
  230. 渡辺武

    渡辺武君 最後に一問。先ほども申しましたとおり、インフレ対策についてまだいろいろ詳しく伺いたいことがありますが、最後に一点だけ伺ってやめたいと思うんです。それは、普通いわゆる財政インフレといわれているインフレ、これをどう防ぐかという問題です。先ほどおことばもありましたが、日本銀行が買いオペレーションで買っているもの、それと引きかえに円を出している、これは国債及び政府保証債ですね。それからまた日本銀行が貸し出しの場合に担保としているもの、これまた国債、政保債及び地方債ですね。つまり、日本銀行の通貨供給の二大経路——貸し出し政策、そうしてこの買いオペレーション、これの引き当てになっているものは全部これは国債、政保債など、財政上の赤字をまかなうために発行された証券ですね。こういうものを基礎にして通貨が増発されるから、だからインフレーションが起こってくるんじゃないでしょうか。これは時間がないから、私簡単に説明しますと、こういうことなんですよ。たとえば、一兆五千億の予算、これは全部税収でまかなわれたとしましょう。そうすると財政支出を幾らやっても国内に存在する通貨量というのはそのことによっては変わらない。税収で一兆五千億取って一兆五千億払うだけですよ。ところが国債が発行される場合には、十一兆五千億じゃなくて、十兆円だけは税収で入ってくる。しかしあとの一兆五千億は国債で出される。その国債が回り回って日本銀行の手に行って、そうして新たな通貨が出されてくる。そうすれば通貨の増発になる。そうしていわゆる財政インフレと俗にいわれているインフレーションの高進の原因になっている。ですから、日本銀行はこの貸し出しの担保にこういうもの、財政の赤字をまかなうために出された証券、これを充てることはやめるべきだと思う。そういうことをいままでやってきたためにずっと貸し出しが累積してきた。貸し出しなんというものは金融の繁閑に応じていわば一時的に出したり減ったりするのが普通の姿です。それがそうなっていないのは、これは国債、政保債などを、地方債までを担保にして貸し出すということからきている。買いオペレーションでもそうです。そういう形でもって国債なんかを買って通貨を増発するからインフレーションになっている。そうでなくて、商業手形をオペ対象にするくらいにして、国債、政保債などをオペの対象にするということはやめるべきだと思う。これは国民生活の安定のために必要です。この点、日本銀行としてそうなさるおつもりがあるかどうか。それから、こういうことが日本銀行にやられるというのは政府がそもそも赤字公債なんか出すからです。ですから、財政健全化という見地から、もう今後赤字公債と名づけようと建設公債と名づけようと、財政の赤字をまかなうために出される公債ですからそういうものはおやめになっていただきたい。どうでしょう。それからまた、政保債の発行などをきめる財政投融資計画、これは国会議決事項にすべきだと思いますが、その点もあわせて御答弁いただきたい。
  231. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) まず、日本銀行が国債、政保債を担保とし貸し出しを行なったりあるいはそれを買いオペの対象としているので、そこから財政インフレが起こるのではないかという点について、私ども考え方を申し上げたいと存じます。私どもとしては、たとえば一年度をとりまして、昨年四十六年度中に七千億円、正確に言いますと七千百億円の日銀券の増発があったわけであります。これが適正であったかどうかということになりますと、先生には御批判があろうかと思いますけれども、とにかく実質的に少なくとも経済成長をしている限りにおいては、必要通貨に相当する信用を日本銀行は何らかの形で出さなければならない。その出すときに、その担保としあるいは買い取るものを何にするかということは、それがたまたま国債であったから財政インフレになるとか、あるいはそれがかりに社債を買ったならば民間企業の投資を通じてインフレになるというふうには考えられないのでございまして、私どもといたしましては、そういうぐあいに最も信用度の高い、最も健全な資産という見地から選択をいたしまして、そうなりますと、国債、政保債その他金融債、それから商業手形も、貸付担保といたしましては、あるいは割引き対象として同格の扱いをいたしておりますけれども、全く同格に考えている次第でございます。  財政インフレの問題については私どものあれではございませんが、私どもとしては、何よりも財政の規模とか、それから国債の発行のしかた、つまり市中消化の原則を守るか守らないか、それから将来の問題といたしまして国債管理をどうやっていくか、そういうことの問題かというように考えます。
  232. 渡辺武

    渡辺武君 大臣、どうですか。
  233. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私も同じで、いま赤字公債ということでしたが、私は赤字公債は出さないとがんばって建設公債を出したのですから、その点は問題がない。  もう一つは、やはり日銀引き受けの公債を出すということでしたらいろいろ問題があって、あなたの御意見の問題はあると思いますが、市中消化を原則とするという限りでは、さような問題はないんじゃないかと思います。  それと、政府保証債の国会議決すべきものだということでございましたが、これは予算総則において国会の承認を求める事項になっておりますので、この点は問題はないと思っております。
  234. 渡辺武

    渡辺武君 この問題については、私はこの前のときも申しましたが、日本の財政金融の歴史ですね、これは大臣、よくひとつ考えていただきたい。それは確かにいま直接日銀引き受け発行ということにはなっていない。しかしあの満州事変のとき高橋是清が日銀引き受け発行というのをやって、そうしてあの戦費の調達でインフレーションということになった。いまは、一年あとで買いオペレーションという形で同じことが行なわれているのです。名前は建設公債とつけようと何であろうと、あるいは日銀引き受けという直接的な形で行なわれようと何であろうと、いまは別の形でそういうことが行なわれているのです。その点は大臣、ごまかすわけにいきませんよ。
  235. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 以上をもちまして大蔵省に関する質疑は終了いたしました。  午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十三分休憩      —————・—————    午後二時三十五分開会
  236. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。  分科担当委員の異動について御報告いたします。  本日、矢野登君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君が選任されました。     —————————————
  237. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 昭和四十七年度総予算経済企画庁所管を議題といたします。  午前の会議と同様、政府からの説明を省略して本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  239. 羽生三七

    羽生三七君 今月十八日の日経新聞に、「財政主導型へ赤字対策洗う」ということで、経済企画庁が、困難な財政下におけるさまざまな問題の検討を始めたと、こう出ております。これは正式に経済企画庁が作業をして、結果として発表したものとは思いませんが、その中で、午前中にも大蔵大臣ちょっと触れたことでありますが、「財政主導型経済の一つの事例として政府投資伸び率を年平均一八%、民間設備投資を同六%とした場合、年々恒常的な財政赤字の発生が見込まれ、その規模は昭和五十年度に約四兆円、さらに五十五年には十二兆円に達する見通しとなっている。また今後の景気の回復ぐあいにもよるが、四十八年度予算で、税の自然増収は大きく期待できないうえ、所得税の大幅減税への期待も強いので、歳入面では直ちに付加価値税でも導入されない限り相当制約がある。」その中間は省略します。「したがって四十八年度の歳入不足は四十七年度以上に拡大するのは必至と経済企画庁では予想している。」こうなっております。  そこで、そういうことから、ワクを越えた公債発行、あるいは租税負担率の引き上げ等も考えなければ、今後の財政運営は非常に困難になるということを言っておると思います。したがって、いま私が申したことは、新聞に出ていることが経済企画庁の作業の結果ではないにしても、そういう方向で問題を検討していることは間違いないと思うし、検討しておらなかったらまたおかしな話だと思いますが、一応これに関連して今後の見通し並びに対策についてお考えを承わりたいと思います。
  240. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま御指摘のありました記事でございますが、これは三月七日の同じ新聞に載りました記事との関連がございますので、もし時間を拝借できれば御説明いたします。  御承知のように、これは経済審議会、経済企画庁におきましても、来年以降の長期経済計画というものをいま策定準備中でございますが、その中で、その作業の過程でいろいろな計量モデルを出しております。その中の一つ、しかもこれはもちろん経済企画庁の正式のものでもございませんし、はっきり申し上げるとミニ・ミニ・モデルという程度のものでございます。そこで、こういう試算でございますから、今度つくります新しい計画のフレームワークのものとして提供するというような性質のものではないというようなものでございますが、しかしながら、当然そういうものは検討しております。そこで、その際に、これも実は一部に報道されておりますが、いろいろなモデルを出しております。たとえば一つは、従来の趨勢でいけば一体どうなるかという趨勢型、あとはたとえば福祉型の一つの、第一、第二、第三というような三つのモデルを出しております。そういうモデルに基づいて試算したときに、一体わが国の財政がこれについてどういうふうな姿でいくべきか、また、いくであろうかということをいろいろやっておるわけでございます。その結果、どうもそういう財政主導型で、しかも福祉型でいかざるを得ないわが国の経済運営でいくと、どうしても財政上いろいろと問題点が出てくる。たとえば、いま御指摘のような赤字財政に行かざるを得ないというようなことも一つの検討課題でございましょう。そういうような、あるべき可能性を、あらゆる可能性をいろいろあげて、その一つの見通しを作業しておると、こういう段階ですが、その一部がこの新聞に出たというわけなんです。経済企画庁、機密文書は一つもございませんので、そういう意味で、これが出たということで、たいへんお目にとまったんで、またいろいろ後ほど御説明したいと思いますが、そういうような点で、現在検討中であることはおっしゃるとおりでございます。
  241. 羽生三七

    羽生三七君 実は三月七日のやはり同新聞による「成長は減速、福祉への道」、「企画庁試算」というのは、実はこれは昨年の秋の補正予算の際に、私が、いわゆる高度成長から福祉型へ軌道修正をする場合に、成長率はどのようになるかと、つまり、高度成長を低成長にするという意味でなしに、福祉型に軌道修正をした場合に出てくる成長率の可能性、可能性といいますか、あるべき姿はどんなもんだろうかということを試算しているかいないか、いなかったら試算してくれよ、という御注文をつけまして、そういうこともあって、企画庁として正式におやりになったのか、その中の一部局か知りませんが、試算をされたと思うんですね。そこで、それに関連して、実は午前中にも大蔵大臣にちょっとお尋ねをしたし、それから総括質問の際に私はお尋ねをして、時間切れになって、大蔵大臣の答弁だけあって、企画庁長官の答弁がなしで時間切れになったことがございますので、午前中質問したことを一点だけ繰り返さしていただきますが、それは、この趨勢型とそれから福祉型の場合の一、二、三の、四つですね。四つのモデルを描かれたわけですが、その場合、その場合というよりも、それでいくというと、成長率がかなり低いものか高いものか、いろいろありますが、私は今後五年間を実質八・五%ないし九%と、実質成長率を、ちょっと高いかと思いますがその程度と見て、名目で一三・五と見て、四十七年度の対前年度比予算の伸べ率は、ちょっとこれは大き過ぎますから、過去五年間の平均をとってみると一七・一%になるわけですね。一七・一%と見て、租税負担率の自然上昇を五年間で一%、毎年〇・二%、このぐらいで見ていくというと、五十二年度には公債発行額は五兆八千億ないし九千億、それから五十二年度の累積額は二十一兆九千億と、こういう試算が出てくるわけですね。それから、もし新税等を導入したり、現行税率を若干引き上げて租税負担率を政策的にかりに一%上げたとします、五年間で一%です。そうすると、公債発行必要額は、それでも五十二年度には四兆五千億、それから累積発行額で十八兆四千億ということが出てくるわけですね。そこで、それの及ぼす影響のことは別として、この私の推定は大きく違っておると思われるか、思われないか、大体そんなところとお感じになるかどうか。
  242. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) どうも私まだ判断する能力はないんですが、おおよその見当としては大体その辺でなかろうかというような感じがいたします。  それからもう一つ、この際ちょっとお断わりしなければならぬのは、この四つのケースですね、モデル、これはちょっと、経済企画庁から出た資料のくせに私が言うのはおかしいんですが、どうもこの成長率がちょっと大き過ぎるんではないかという感じがいたします。ということは、いままでの生産函数で、いままでのモデルでやっておりますから、だから実際のもっと正式な正しい中期モデルというものは、この六月ごろにやっとでき上がるわけなんです。それによってこれを計算すれば、こんな成長率は出てこまいと思いますが、やや福祉ケースの一、二、三の成長率は少し大き目ではないかという感じがいたします。これをまずお断わりしておきます。  いまお話のようなことは、私は判断する力はありませんけれども、およその感じとしては、まさにそのとおりではないかと思います。
  243. 羽生三七

    羽生三七君 実は、先ほど委員会のあと大蔵省のある人が、廊下で私に、たぶんあのとおりだと思いますと、そう言っておりました。もしそういうことでいきますと、公債発行をどんどん続けていくということなら別ですが、そうでないと、今月十八日の新聞に出されたようなことをやらなければならぬことになるわけですね。つまり、付加価値税の導入なり、あるいは、まあそのほかのさまざまな、つまり公債発行か、そうでなければ租税負担率を上げるとか、付加価値税を創設するとか、そういうことをやらなければならぬということをこれで言っているわけですね。決定的なあれでないにしても一応の作業をされているわけですね。その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  244. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そのほかに、財政支出のいろんな効率化というのもありましょうが、これにあまり期待できるものではないとすれば、いま言われたような二つの点ですね。したがって、将来税制といいますか、付加価値税には限りませんけれども、たとえば財政負担率というものを上げなければならぬとか、あるいは間接税にウエートを移行するとかいうことが必要になってくると思います。それで、もしなおも財政上どうしても足りなければ、やはり公債政策というものを取り入れざるを得ないということになるわけですが、ただその際に、私どものマクロの経済計画では、それを直ちに建設公債のワクと結びつけて、赤字公債をとるべきだというところまでは、実は政策的にわれわれとしては決定する段階ではございませんけれども、まあおよその考え方としては、いま羽生さんおっしゃったとおりの道をたどらなければならぬという感じがいたします。
  245. 羽生三七

    羽生三七君 私は、公債発行が当面すべて悪とは言わないんです。ほかに手段がなければ、当面それで現状をカバーしていく以外にないと思いますがね。それはとにかく、それじゃ無限に続けられるかということになると、先ほど申したような、かなり低目に見積もる成長率でも、低目とも必ずしも言えませんが、中ぐらいの成長率を見積もってもああいう数字が出てくるわけですね。したがって、無限に公債発行を続けられないとするならば、いまのような租税負担率を上げるとか、あるいは新税の創設とかいうことが起こってまいります。ところが、これも先ほど大蔵大臣に言ったことなんですが、いわゆる輸出優先型経済から福祉型経済へ移行するとすれば、個人消費支出を伸ばさにゃいかぬわけですね。そうすると、個人消費支出を伸ばすのに租税負担率を上げたり、あるいは、間接税で大衆負担を過重するということになると、本来の基本的な政策、要求されるべき政策と背反するわけですね。ですから、その場合に、その課税、つまり税率を上げていく場合の対象はだれなのか、あるいは累進的にどういう形をとるのか、あるいは間接税にしても、ぜいたく品と大衆の必需品との区別をどうするのかという、そういう決定的な作業を伴いながらの構想でなかったら、これは福祉型へ転換する場合の重要な条件が、大衆の個人消費支出をもっと高めるということなんですから、全く矛盾するわけですね。日本の経済の趨勢を見、財政の趨勢を見るというと、先ほど来私が申し上げるような非常な矛盾にぶつかるけれども、今度、それを何とか解決しようとする場合の政策手段を誤るならば、場合によったら、本来追求すべき問題とは逆の結果を招来することになる。そういう矛盾があるので、非常に政策の選択というものはむずかしいと思うんです。  そこで、その趨勢型——一、二、三と、四つのケースを考えた場合に、この場合に、先ほどもお話がありましたように、これは成長率が非常に私は高いと思います、全体として。大蔵大臣は、午前中、望ましき成長率はほぼこのくらいだということを言いましたが、企画庁長官としてどうお考えになりますか。あらかじめ想定するというのもおかしな話ですが、しかし、望ましいということはあってもいいと思います。
  246. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私も、実は、あらかじめ成長率を設定しておくということは、もう、私自身もそう考えません。むしろ、望ましき政策を、経済運営をやって、その上で成長率はどの程度かというのが私は順序だと思います。かりに、そういう望ましい政策をやって、どの程度が望ましい成長率か、あるいは、およそ、その見当になるであろうということから申しますと、大体——これ、私、まだ個人的見解として申し上げますが、まず八%から九%という辺になりはしないか。とても一〇%というのはそう続くものではないという気がいたします。  それから、先ほどおっしゃった個人消費をふやさなきゃならぬ、これはもう当然、国民福祉からいえば、当然の話かもしれませんが、私は、あるところまでまいりますと、むしろやはり国民の価値観というものも、意識もだいぶ変わってきておりますから、むしろ、個人消費の面ももちろん大事ですけれども、やはり社会的消費といいますか、生活関連の社会資本の充実をむしろ国民は望むことになりはしないかということからいって、このモデルケースでも、個人消費支出はわりあいダウンしておる。
  247. 羽生三七

    羽生三七君 そうですね。
  248. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そういう意味では、私、ちょっと羽生先生のおことばを返すようではないんですけれども、やはり、社会的消費というものも、今後は相当増してくるのがわが国のこれからの姿ではないか、こういうような気がいたします。
  249. 羽生三七

    羽生三七君 実は、これも午前中申したんですが、なぜ私が個人消費支出を比較的重要視したかというと、池田内閣時代の平均成長率は実質で五六・八%なんです。佐藤内閣になってからは、四十年から四十五年の平均が実質で五二・九%で、約四%下がっておるわけですね。欧米に比べても、もう日本が最低ですね、先進国の中で。最低です。でありますから、まだ企画庁長官の言うところへいくには時間があると思うんですね。そういうことを前提にして考えるんですが、先ほど、大蔵大臣は、望ましき今後の成長率はたぶん七、八%じゃないか。いまの長官の言われる八、九%と一%ほどの差があるわけですが、ほぼ、そういうところを想定されておったようです。  そこで、簡単にいたしますが、先ほどの四つのケースを一応試算されたわけですが、私の率直な批評もさしていただきますと、趨勢型は別として、第一の場合は、新経済社会発展計画のワク組みと同じタイプであって、福祉型とは必ずしも言いがたい。それから、第二の場合は、社会保障に重点を置いた点は望ましいと、これはまあ年金の充実等も入っておると思いますが、望ましいが、固定資本の形成が少ないのではないかと思います。第三の場合は、前提条件の週休三日というのは、いま二日すら実現していないんですから、これはちょっと早計ではないかと思うわけですが、この三つのケース、このケースのほかに、さらにこれ以外にも——これはとりあえずやられた一応の試算で、まだそれ以外にいろいろなケースを試算されると思いますがね、一体、一番の問題は、選択の基準をどこに置くかということですね。これは非常に大きな問題になると思いますが、これはどういうふうにお考えになっておるのか。何を基準に作業をするかということですね。
  250. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) その前に、私、この趨勢型というのは、実は、経済企画庁で作業をしているんですが、これは私は意味がないと思うんです。こういうものは将来あり得ないことで、こういうモデルはつくらぬほうがいいと思いますね。  そこで、いま御質問なんですが、まあ基本的には、いつも私が申し上げているとおり、長期計画の基本的方向として、やはり一言で言えば、内外の均衡を達成する。いわば国内的な均衡、また、対外的な均衡、結局、国民福祉と国際協調というものを、これは二本の柱にしなければならぬと思います。それに従って、今度は、具体的にどういう政策をそれで肉づけしていくかという問題になりますが、まあ国民福祉といえば、結局、生活関連社会資本、それと社会保障、この二つが一番おくれておりますから、それに当然重点を置かなければならぬでしょうし、また、国際協調の推進といえば、いまの日本の非常に、何といいますか、ある意味では国際的エゴイズムの訂正と申しますか、輸出についての秩序あるこれからの行き方、それからまた、経済協力といいますか、従来のようなああいう経済協力のビヘービアではいけないので、とにかく、私はよく言いますが、ある意味じゃ、対内的にも福祉主義だが、国際的にもやはり国際的福祉というものを頭に置いていくべきではないか。こういうようなことから、経済協力の量もさることながら、質的な面でこれを改善していくべきだと。その第一歩が今度のUNCTADの日本の提唱になっておると思いますが、そういうようなものを大きな柱に置いて、長期計画を策定していくということで考えております。
  251. 羽生三七

    羽生三七君 十年か二十年先にいけば、先ほど長官からお話しがあったように、いまでも、それは社会資本の充実は要求されておるけれども、また、社会資本の拡大が個人の福祉につながることは当然ですけれども、当面、しばらくの期間を想定するならば、私は、狭義の社会福祉といいますかね、たとえば年金の充実とか医療の充実、あるいは給与の改善とか、そういう個人の所得面での福祉、それを拡大することが当面しばらくの私は要請ではないかと思うんですね。それは社会資本の拡大は、回り回って個人の福祉につながるには違いないけれども、いま要請されておるものは、個人消費支出をさらに伸ばすという——もしそれをやらなかったならば、これは通産省にむしろ関係のある問題ですから、多くは申し上げませんが、結局、外貨のたまり過ぎをチェックすることは非常に困難だと思います。だから、外貨のたまったあとにまた、あわてて円切り上げをどうするとかこうするとか、第二の外為創設とか、そういうことをあわててやらんならぬことになるわけですね。ですから、私は、当面、均衡のとれた、国際的にも均衡のとれた経済運営をやっていこうと思うならば、いま言ったことが、私申したことが重点になると思う。そこで、選択の基準は、私はあくまで福祉中心としてここしばらくは年金の充実とか、いま申し上げたような問題が優先されるべきだということ、これが第一。  時間がないんで簡単にしますが、第二点は、先ほど申し上げたように、基本的な方向をだれが選択するのかということです。たとえば従来のように、財界や官界が自主的な決定を行なって、政府答申を受けて閣議決定をするという、そういうやり方ですね、従来は、いま試算をされておるけれども、それは審議会なんかに出すための試算、それは向こうにまかせるわけですね。そうでなしに、重点を設定をして、こういうことで試算をやってみろという、そういうことでないと、従来の計画と実績との乖離ですね、実績が計画を六割も上回った。今度は逆に、経済社会発展計画のように、実績が計画を大幅に下回った場合もある。こういう驚くべき実績と計画との乖離を生じておるわけですね。ですから、先ほどの私の第一に申し上げた基準の問題と、今度のような場合、新しい経済計画を策定される場合には、若干の作業をして、あとは審議会にまかせるのでなしに、政府自身が決定的な基本方針をきめて、これで作業をしてくれと、出てきたものの中でどれを選択するか、それを政府なり国会が十分論議をして私は最終決定するようなことにしなければ、また、計画と実績との乖離が依然として起こるんではないかと思いますので、その辺のひとつお考えを承りたいと思います。
  252. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は全く同感なんです。そこで、いま経済企画庁で経済審議会と非常に密接な連絡をとって、もうほとんど一体化して作業を進めようということにしておりますが、まあ普通の審議会ですと、きわめて抽象的な諮問案を出すんですけれども、今度この長期計画にあたりましては、相当、いま羽生先生がおっしゃったような方向、私は方向感覚が一番大事だと思いますから、そういう基準ないしこれからはどうあるべきかという政府自体の基準的な方針、そういうものを相当具体的に示して、その上で作業をしていただきたい、こういうようなことで諮問をするつもりでおりますが、御趣旨は十分その中に取り入れていきたいと思います。
  253. 羽生三七

    羽生三七君 そこで、もう一つ、それに関連して、そういう福祉型に移行した場合に、これは私も全然自分の意見がないんですが、物価はどうなりそうなんでしょう。
  254. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) この物価の問題いままでの何度かの経済計画、どうもあまりこういい成績、実績を示しておりませんので、その点は非常に私ども関心を持っておりますが、ただ、問題はそういう長期計画の中で、大体五年計画なら五年間に消費者物価をどの程度に安定させるべきかということで、まだこれは実際私ども具体的に構想は固めておりませんが、もう当然これは五%以上の物価上昇というものを初めからその中に織り込んでは、これは長期計画になりませんので、やはりある安定的な上昇率といいますか、どうしたってやはり三・五%から四%というものは設定せざるを得ませんが、さてそこへ持っていくために一体どういうような総合政策をやるべきかということになりますと、まだまだこれから検討する段階で、いまのところ私ども具体的にそういうものを申し上げる自信はございません。
  255. 羽生三七

    羽生三七君 これで終わるわけですが、最後に、先ほどちょっとお話があった社会資本充実型、私の言うように、狭義の意味福祉型ですね、個人所得の増大を含めての。新しい計画ではそのどっちにウエートをおかけになるつもりでしょうか。これは従来の新経済社会発展計画と、それからそれが到着した現在の矛盾と、新しい将来の展望と関連して一つの骨格になると思うのですが、どうお考えでしょう。
  256. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 先ほどちょっと、従来の実績をいろいろお触れになりましたが、御承知のとおり、経済成長が非常に急激かつ高度であったものですから、その中における功績となりますと、個人消費支出もあるいは振替所得も非常に伸びが少ないようですが、絶対額では相当各国に比べて大きな伸びを示していることは御承知のとおりなんです。さて、これから経済成長率がいままでのごとくでないということになって、その中において一体社会資本と社会保障、振替所得をどちらに重点を置くか、たいへんむずかしい選択なんですが、原則的にはやはり社会資本という面に重点を置くという考え方でいまやっておりますが、しかし、これは先ほど申し上げたとおり、やはり社会的消費というものを、今後国民のやっぱり価値意識なんかがだんだん変わるから、むしろそのほうへ重点を置くべきじゃないか。所得水準は、平均的な所得水準はもう大体西欧並みに上がっておりますから、これからむしろ各階層間、その所得の格差というものの是正といいますか、したがって、むしろ社会保障で振替所得を増大していかなければならぬのですが、その数量的な比較になりますと、やはり生活関連の社会資本のほうに重点を置かざるを得ないのではないかという考えをしております。
  257. 羽生三七

    羽生三七君 いまの点は、私は若干時間的なズレを含めての御意見ならばわかりますが、これは時間的には私問題があると思いますが、それはそれとして、この新しい計画が実際にでき上がって、実際に政府の政策として出発するのはいつごろになりそうですか。
  258. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まず大体私どもの作業の順序といたしましては、九月ごろにこの諮問をしたいと思っております。諮問いたしまして、それまでに作業はどんどん実質的に進んでおりますから、九月の下旬あたりあるいはもっと早くなるかもしれません。八月の下旬あたりには諮問をして、実際の作業はどんどん進んでおる背景において諮問するものですから、そこで大体のアウトラインは、まず九月の上旬あたりに経済審議会からいただいて、その上で、これをまず審議会の答申を分離してやっていただくか、あるいは政府の決定と答申とを同時にやるか、まだ実はそのスケジュールはきめておりませんが、まず十一月の下旬から十二月には総体的な計画は策定したい、こう考えております。
  259. 羽生三七

    羽生三七君 それは四十八年度予算編成の際に間に合うということですか。
  260. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そのとおりでございます。     —————————————
  261. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。  ただいま羽生三七君が委員を辞任され、その補欠として、竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  262. 竹田四郎

    竹田四郎君 食糧庁長官おいでですか——食糧庁が十四日まとめたお米の追跡調査ですか、これを発表されておられるんですが、これはどういうふうな結果が出ましたか。
  263. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私どもで物統令撤廃後の米価の動向につきまして、調査を行なっておりますが、先般四月第一週の調査結果を公表いたしました。これによりますと、米の小売り価格は安定した水準を保っていると私どもは判断をいたしております。具体的に数字で申し上げますと、三月の十四日に調査をいたしましたものと四月の調査とを比較いたしてみますと、上、中、下というふうに三段階に分けておりますが、上のものは各店舗の最高価格を集計する、こういう考えであります。中のものは大体中ぐらいのもので、下というのは標準価格米の値段以下で販売されておるもの、こういうふうなことで集計をいたしておりますが、両者を比較いたしますと、上で二十八円値下がりをしておる。中で二十九円の値下がりをしておる、かような結果が出ております。三月十四日の調査は、これは各県庁所在地の四十六都市において行ないました。四月の調査は、これをさらに拡大をいたしまして、県庁所在地を含む百八十一都市において行ないましたので、若干調査対象は拡大をいたしております。その間、若干の連続しない点はございますけれども、大筋から判断をし、また、自由米価格等の動き等も、これは新聞等で報道いたしております。そういうものも考えまして、私ども米価の水準というものは少なくとも両者の間にほとんど差はない、かように判断をいたしておるわけでございます。
  264. 竹田四郎

    竹田四郎君 最近、これ一週間に一回ぐらいの追跡調査をしていると、新聞ではいっておりますけれども、一番最新の調査結果もいまと同じですか、変わりないですか。
  265. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 四月の第一週につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、四月の第二週の調査結果を実はまだ細部の点検をいたしておりますので、近く公表することにいたしておりますけれども、四月第二週の調査も、ほとんど第一回と変わりがないというふうに私考えております。数字的に申し上げますと、先ほどの、私が二十八円になっておる——上は二十八円差があったというのが、今度の数字では二十七円になっております。中のほうでは、前週の差の二十九円が三十二円に変わっておるという程度のようでございまして、なお第二週目については、詳細、再集計、念を入れておりますが、大体そのような結果は、第一回の計算の結果は間違いないと思いますが、そういう点から判断いたしましても、第二週についてもほとんど変動がないというふうに思います。
  266. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは、あとでひとつ各週の調査結果、各県別のこの調査結果をひとついただきたいと思いますが、同時に、私ども物統令が廃止になってからの米価の動きというものは、当然私ども非常に関心がありますから、ひとつ今後も、少なくとも私には、ほかの方は御要求があるかないかしりませんが、私にはひとつ各週ごとの、しばらくの間、ひとつお送りいただきたいと思います。  そこで、たいへん食糧庁の長官は上がっていないということをあえて強調しているようですけれども、まあこのいまのお話でも、この一番下の値段の米というのが大体いままで、三月までに内地米の配給米と称せられていた価格、これとだいぶ近いわけですね。各県別に見れば若干そこに差はありますけれども、大体東京で見ますと、千五百二十円、十キロ当たりということになりますと、いままでの配給の米の価格、こういうふうに私見ていいんじゃないかと思うのです。そうしますと、結局いままで配給されていた米というのは、この統計で見ますと一番下等の米だと、食糧庁が発表した数字の中ではですよ。こういう発表のしかたというのは、私は一つ問題があるのじゃないか。おそらくこれは食糧庁とすれば、その三月末までの米の基準と、それから四月の物統令が廃止になってきてからの米の基準といいますか、品質というのか、どういう言い方するかわかりませんけれども、これは変わったから比べようがない、こういうふうにいまお答えになると思うのですが、私はこういう数字の、こういう形の発表というのは、むしろ常識的には、おれの食っていた米はこれは下級米だと、ひとつ上げようじゃないかという形に、実質的には自分たちの食っている米を引き上げていく、こういうあり方しか私はないと思うのですが、その点、食糧庁長官ね、こういう形の発表というのは、私はあまり感心しないし、むしろ米の価格を引き上げるというような形へ持っていこうという意図があるのかないのか知りませんが、私から見れば、こういう形で必然的に米の価格を引き上げていく、こういうふうな形になるんではないだろうか。いままでの数字から見ていきましても、そういうような傾向というものは出ているわけですね。これは家計調査から出した数字でありますけれども、たとえば家計消費支出における公共料金の割合という中で、内地米(配給)ののは四十年度においてはそのウエートは五〇四になっている。四十五年、これはまだ配給米を実施しているときです。そのときは二四一になる。このことは、米の消費量五〇四から二四一でありますからこれだけ見れば消費量が半分になったということですが、私は半分になっていないと思うのですね。その減った分の米というのは、やみ米や、あるいは自主流通米——自主流通米はできたのは四十四年だと思うのですけれども、結局、そういう方向に流れていく。自主流通米と配給米と、味の点でいけば一体どっちがうまいかということになれば、これは個人の主観が左右する問題ですから、必ずしも自主流通米のほうが内地米の配給米よりもおいしいということは言えないと思う。今度の発表も、私はこういう発表のしかたというのは、それと同じように、おれの食っていたのはどうも下級米だから、今度はひとつ一級上げようかと、こういうような消費者行動というのが私は行なわれるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  267. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) まあ私ども調査のことでございますから、やはり意図的な調査というものはいたすつもりは毛頭ございません。  ただ、上、中、下と、これは値段の高い低いで言えばそうなるので、上、中、下とやっているわけでございまして、もちろんこれ以外にも、特用米とか、その他の低品位米は調査対象外にもさらにございますわけですから、上、中、下という名前の点につきまして、私どもどうも最近これは上、中、並みぐらいにしたほうがいいのじゃないかと、いろいろ内部では相談をいたしております。別に、しかし、さらに低品位米の調査も加えまして、上、中、並み、下というふうなのがいいのじゃないかというふうに最近感じて検討もさせておりますが、別に御指摘の、意図的に消費者が高いものを買うというような、そういうつもりは毛頭ございません。
  268. 竹田四郎

    竹田四郎君 ぼくは、食糧庁の長官、そういうことをおっしゃっているのですが、この前も一般質問においてあなたはそういうことは言っていない、新聞の間違いだと、こう言っておりますが、実際にはスーパーあるいはデパート、そういうところの業者を集めて、とにかく十円以上引き下げるということはうまくない。ということは、要するに、下げるな、米は自由になったけれど下げるな、こういうサゼスチョンだと思うのですね。そうしてまた、こういうような発表のしかたということになりますと、私は、必然的に米価は上がっていくし、食糧庁としては、管理会計の問題もあるでしょうから、なるべく赤字を食いとめようということ、そういう行政目的のあることはわかりますけれども、そういう行政目的と、米の値段を上げるという問題とは私は違うと思うのですが、これは経企庁の長官にお伺いしたいのですが、私、こういう発表のしかたというものは、十分に慎しまなくちゃいかぬと思うのです。こういう形にしていけば、私はこれはずっと、一、二カ月ずっと追っていけば、やはりこれは私だんだん高い米へ消費者は行くと思うのですよ。いろいろ輸入物資についても、高級品イメージということばが盛んに出てきております。やはりこういうことをしていけば、高級品イメージと同じような消費者行動というものが、だんだん私はできていくと思うのです。ですから、経企庁としては、まあ長官も物統令の廃止についてはかなり抵抗されたことは私も十分承知をしております。承知をしておりますけれども、こういうような発表のしかたをさせるということになりますと、物価担当の経企庁としては、私はこういうものを見のがすということはたいへんいけないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  269. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私は、やはり消費者心理というものは非常にデリケートだと思いますから、そういう面についての配慮は必要だと思います。いま食糧庁長官が、むしろ上、中、下より上、中、並みのほうがいいではないかと言っておりますが、できればそのような措置をとってもらいたい、こう考えます。
  270. 竹田四郎

    竹田四郎君 ただ私は、そういうようなことだけでは米価というのは、私ども心配していたように、物統令がはずされた、そういうことによって、米価は必然的に上がっていきますよ。それに最近は輸送の問題等もありまして、これはぐんぐん上がっていく。一回上がれば、これはなかなか下がるものじゃないと思うのです、こういう管理価格的なものですから。ですから、この辺はやはり政府として、ただ調査結果がこうだからこうだという形で、単純に物価値上げを招くようなおそれのあるやり方、こういうものについては、もっとひとつ慎重にかまえてもらわなければ、いくらあなたのほうで五・三%ですか何ですか、知りませんけれども、上がらないようにと努力しても何にもならないと思うのですね。政府みずから上げるようなやり方をするというのは、これは十分考えてもらわなければ、私、経企庁の長官としても、責任を持ってもらわなければいかぬと思うのですよ。あれだけ強い、国民の物統令廃止に対する反対の世論があったわけですからね。どうですか。
  271. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私自身も非常にこの問題については重大な関心と同時に、責任を感じておりますので、当然これは、米価というものは今後上がるではないかという御意見に対しては、私はそうは思いませんが、十分な配慮をしていかなければならぬ。また、その中には、当然、もし万一かりに上がるような場合には、あらゆる手段を講じてこれを防止するということが含まれなければならぬ、こう考えております。
  272. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ、実際にはこれ上がり始めているわけですね。この数字で明らかなように、東京、京都付近においては上がり始めている。いまもあなたは、上がればどういう手段を通じてもこれを下げさせなければいかぬというのですが、おそらく食糧についての実権は農林省が握っていると思うのですけれども、具体的に上がっておるわけですよ。どういうふうに下げさせますか。
  273. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 経企庁長官としては、別にそういう権限問題はございませんけれども、米の問題、これは一経企庁とか農林省の問題ではないと思いますので、これは内閣、政府全体の問題でございますので、もし万一そういう事態が生じた場合には、もちろんいま申し上げたような手段、これはすでに大消費地には調整ワクもございましょうし、また、非常に緊急な異常事態が生じた場合には、政府の手持ち米を地方公共団体を通じて消費者に直接売り渡すこともあるべしと、こういうこともございますし、あらゆる手段を講じて、そういうことのないようにつとめなければならぬと思います。
  274. 竹田四郎

    竹田四郎君 災難とか交通麻痺とか、そういうことによって異常に上がるときは、それは何か緊急輸送して下げさせるということはわかるわけですが、これは食糧庁で今後出してくれるそうですから、わかると思いますが、私はだんだん上がると思うのです、間違いなく。そして、ただこの調査があるというだけでは、長官、それは困りますよ。調査が上がっていくというだけでは困るのです。実際、国民がどの価格の米をどのくらい食べているかという、価格と量とのこの関係をつかんでくれなければ、これは困るわけですよ。だから、いま長官がおっしゃられたのは、何か急速に上がったときには何とかすると、これはわかりますよ。その他の、ほかでどういうふうにするのですか。その辺、少しはっきりしておいてくれなければ、米は上がっていく。しかし、経企庁の長官に言っても、この物統令の廃止と同じで、何回か足を運んでも、それはどうもはずされてしまう。まあそのほうはいいとしても、米の問題については、これは待てないわけですね。それがずるずる上がっていく。これで具体的に国民が、ああ、そうしてくれれば少し上がってもこれは下がる機会があるのだなということがわかるのですが、いまのお話では、どうも逃げたような答弁としか私は受け取れないのです。国民もこの点はおそらくわからぬと思うのですが、もう少し国民にわかりやすいように、こういうことのときにはこう処置する、こういう何かはっきりわかるような——これは国民が毎日、毎日自分の口にしているものであるだけに、これは少しの上昇というものも私は大きいと思うのですが、もう少しこの点はっきりしてください。
  275. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあ、おっしゃるとおり、私は価格の問題だけではなしに、質の問題、これが監視が行き届くかどうかという問題は、非常にむずかしいと思います。しかしながら、価格の点で、もしそういうような事態が生じた場合、これはもう食糧庁長官からお答えしたほうがいいと思いますが、監視体制は、今度は非常に十分ではないかと思います。ことに東京都のごときは、まだ新規参入ができておりませんから、全販売業者の約二割になるくらいな新規参入が出てきて、それが非常に信用性がある、信用の高い販売業者であれば、そこにおのずから自己、お互いの自主牽制と申しますか、そういう問題あるいは需給の問題等々が、消費者自身の選考の問題もありましょうし、私は、非常に楽観的だといわれるかもしれませんが、竹田さんがおっしゃるほどは私は実は心配しておりません。まあ詳しいことはまた食糧庁長官からお答えしたいと思います。
  276. 竹田四郎

    竹田四郎君 おそらくそういうたいへん楽観論を流すということは、国民の心配にあまりこたえていないということじゃないかと私は思うのです。これは、考えの前提が違いますからね。あなたは上がらないと見ているし、私は上がるだろうと見ているのですから、しかたがないといえばそうですけれども、食糧庁の長官も、これは上がらないという主張のようですけれども、上がってきたら、じりじり上がってきたら、あなたとしてはどういうふうに措置しますか。
  277. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私ども、いまのところ米価が上がるという徴候はございませんし、先ほど企画庁長官のお話にございましたように、新規参入のあった地区には、必ずスーパー等では標準価格米を安く売っている、自主流通米を安く売っているという事情もございまして、むしろ私どもは、既存の小売り業者があるいは倒産をするかと、経済苦境におちいるとか、むしろそのほうの陳情処理に実は追われているという状況でございまして、現在のところ、御指摘の心配はないと思います。ただ、将来、何らかの様子が変わって上がった場合にどうするのかということでございますけれども、従来とも、物統令というものがありましたけれども、これは政府の配給米にしか適用がなかったわけでございまして、自主流通米に関しましては、とっくに物統令がはずれているわけでございます。不作その他によって自主流通米のある特定銘柄が非常に不足するということがあれば、それは上がる可能性というものは従来からあったわけでございます。ただ、そういう場合に、実際問題どうするのかというと、私どもとしては、やはり標準価格米というものを国民の皆さんにできるだけ食べていただく、これについては、現在でも千五百二十円の価格が守り得るように、政府では措置をしているわけでございますから、標準価格米をできるだけ食べていただくようにお願いする。それについては、無制限に、現在の配給基準量のワク内であれば、請求に応じて米屋に常置さしているわけでございます。私どもとしては、当面そのような措置で十分ではないかというふうに考えております。
  278. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、そういうことを幾ら言われても、どうも信用できないのですね。たとえばこの資料、先ほど申し上げました資料で、内地米の配給が昭和四十年度にはそのウエートが五〇四だったのですね。四十五年度には二四一です。半分に減っているわけですね。そうすると、農林省の売り渡しは、当然配給米の全国消費量がそれだけ減っているのですから、売り渡し量というものも私はほぼこれに見合って減っているはずだと思うのです。ところが、減っていないでしょう。減っていますか、この割合で。減っていないでしょう。減っているはずないでしょう。
  279. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) それは米の消費、家計調査におけるウエートでございますから、米の価格は、配給米も一般の値段もむしろあまり変わらない。しかも、食べる量はどちらかが減っていく、逆に家計の支出のほうは、全体としてどちらかがふえるから比重が変わるというふうに私は了解いたします。
  280. 竹田四郎

    竹田四郎君 違いますよ。家計調査には、配給とその他の自主流通米とはちゃんと分けて書いてあるのですよ、あなた。家計調査調査を見たことないですね。自主流通米とかやみ米とか、ちゃんと書いてあるのです。それをいま食糧庁がそういうような答弁をやっているようなら、もうこれは私は論議のしようがないと思うのです。これは何を意味しているかというと、食糧庁が売り渡した米、それがどこでどうなるか、私は詳しくは知りませんけれども、途中で配給米として配るべき米が自主流通米に転化をしている証拠なんですよ。それ以外には考えようがないのです。やみ米になることもあるでしょう。そういう形で、いままでも配給米として配給すべきものを、それをやみ米や自主流通米という形でほかに流していたわけです。そしてそっちのほうで買わす、出すもとは同じだ、これがこの結果ですよ。確かに幾らかそれは米を食う量は少なくなっているとは思いますよ。しかし、配給米がこんなに減るということは、これは考えられないですよ、配給制度があったとき。この辺の数字を考えてみたら、私はますます米屋に行けば、奥さんこっちのお米を買いなさい、こっちのほうがおいしいですよ、と言ってそちらを奨励していきますよ。場合によっては、強制的にそちらを買わせるようにするかもしれません、いまの米屋の力というのは大きいですから。決して米屋がぶっつぶれたという例は聞いたこともないし、いま食糧庁の長官は米屋がつぶれるから心配で陳情があると、こう言ってるのですが、そんなことはあり得ないです。ですから私はこの問題は非常にそういう意味では国民の納得を得られないやり方だと思うのです。そういう実情を私は食糧庁の長官も知らないと思うのです。あるいは知ってて知らないふりをしているか、どっちかだと思うのです。これは経企庁長官、私のいまのような主張というのは、私は大いにあり得ると思うのですが、どうですか。これは一回調べてみてください、経企庁として。過去の数字をずっと洗っていただければ、過去にどういうことをしていたか、米屋さんがどういうことをしていたか、卸屋さんがどういうことをしていたか、私はその点ははっきりわかってくると思う。一ぺん、これは過去のことですが、調査をしてください。どうですか。
  281. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私も的確にいまお答えする自信がございませんので、勉強さしていただきますが、いまの数字でちょっと国民生活局長からお話をしたいと言っていますが。
  282. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) いま御指摘の点は、大筋において大体そういうことだと思います。特に、家計支出調査のほうで出ております年間消費量で見ますと、非配・配給米、全国で見まして四十三年が全体の六六・五%。それが四十四年に五八・一%、四十五年に五一・八%というふうに、配給米のウエートは下がっておる。それで非配給米のウエートがこれに大体見合って上がっておる。これは食糧庁長官の御説明になったとおりであります。そういう形でございますが、全体として消費者物価指数の中に入ってくるウエートということで、四十年度と四十五年度とこれ比較してみますと、配給米は四十年が四九八というウエートが、四十五年で二二五に下がっております。非配給米は四十年度が二二九、これが四十五年のウエートでは二〇四。このほかに四十年ウエートでは自主流通米が三五入っております。したがいまして、全体として見て、米のウエートが、モチ米も入れまして、数字でありますと七四八から四七九に減っておる。これはやはり家計支出全体の伸びに対して米に対する支出の伸びが小さくなっておる、こういうふうに見るべきだと思います。その中においては、先ほど御指摘がございましたように、やはり配給米のウエートが減ってきつつある。これは自主流通米の創設ということもございましょうが、自由米のウエートがふえてきておるということはやはりわかると思います。
  283. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も国民生活局長の大体の方向ですね、これはもう数字の上に出ていることでありますから、私はそれを否定はしません。しかし長官、これね、実際政府が配給米として売り渡したのと、それが下へいってどう使われているのかというのは、数字を合わせればある程度はわかるのです。これはひとつはっきり調査をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  284. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) そのようにいたします。
  285. 竹田四郎

    竹田四郎君 ひとつ米の問題はそういうことで、今後も私は注視していきたいと思いますから、よろしくお願いをしたいと思います。  四十六年度の消費者物価の上昇率の最終見通しは幾らと見ておりますか。
  286. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 四十六年度でございますね。
  287. 竹田四郎

    竹田四郎君 はい。
  288. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 実績見込みが大体六・一でしたが、それを下回りまして、五・七%でございます。それに大体確実になりました。
  289. 竹田四郎

    竹田四郎君 私ども生活をしていて、四月分のCPIの上昇率というのは、おそらくまだ出ていないだろうと思うのですけれども、どうも私は自分の生活範囲で、かなり上がってきたように実は思うのですけれども、これは経企庁としては、四月分はおそらくどのようになりそうだというふうに予想しておりますか。私は、かなり上がるのじゃないかと思うのですけれども
  290. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私もその点非常に心配をしておりまして、しかし、御承知のように、ちょっと野菜をとりましても、気候がやや不順である。それから春闘の影響等もありまして、実際の四月のCIPは御承知のとおり来週二十八日に大体出てまいります。これは東京都区部が出てまいりますが、その大体の傾向はまだわかりませんけれども、上旬、また中旬の一部をおよそとってみますと、私どもがちょっと心理的に考えたほどではないというような結果です。どうも十一日、十二日、十三日、これは野菜ものをとりましてもだいぶ上がっておりますけれども、これが十八日以降になりますと、相当また落ち着きを取り戻しているというようなこともありまして、四月全体からいいますと、これは野菜ものだけの問題ですが、あまりいままでと変わった、騰貴するような傾向ではない、こう考えております。
  291. 竹田四郎

    竹田四郎君 野菜は天候にかなり支配されますから、必ずしも野菜の上下というものがその国の物価政策を示しているとは私は思いませんが、この四十六年度というのは、この夏野菜が非常に下がりましたから、四十七年度の物価というのは、私はかなり上昇するのじゃないかという心配があります。去年野菜が非常に安かったから今度野菜をつくるのが少なくなる。そういう意味で心配ですけれども、しかし、私が指摘しているのは、野菜よりもその他のやはり加工的な、加工された消費者物資、これがかなり上がっているように私は思うのです。その原因は何かというと、私はやはり政府の物価政策というものがここで上げようという考え方にありますから、そういう点で私は、政府も物価は上げてもいいのだということを私は示しているのではないだろうか、こういうふうに思いますけれども、今度本年度に予想されるところの公共料金の値上げが消費者物価にどのくらい影響をいたしますか。これは前に三月一日付けの資料を私どももいただいたことがありますけれども、そうした状況とはかなり変わってきております。まあ国鉄運賃、四月一日からではございませんので、いつになるか、これはわかりませんけれども、六月ごろと見込まれているとして、大体どのくらい消費者物価の上昇に影響を与えるのか。それからバスなんかもおそらくかなり、これは載っておりませんでしたけれども、おそらく本年度にはあちらこちらの公営私営のバス料金というようなものも値上がりがあるだろうと思います。この企画庁の考え方の中には、私立大学あるいは私立の高校の授業料の値上がりというようなものは公共料金の中には入れておりませんけれども、私はこういうものも本来公共料金の中に入れて考えるべきものだ、まあこういうふうに、この間の一般質問のときにおいても、どうも経企庁の考えている公共料金というのは、なるべく消費者物価への影響度を低く見積もっているということをこの間も指摘いたしましたけれども、こうした問題も私はこの中にはつけ加えるべきである、こういうふうに思うわけでありますが、そういうものは今後論議をしていくとして、本年度の公共料金が消費者物価に一体どのくらいの影響を与えているか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  292. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) すでに上がりました公共料金の診察料、これは直接効果として〇・二四%、これは前に申し上げたとおりでございます。郵便料が〇・〇四、電報料が〇・〇一、それからタクシー代が〇・〇七、それから先ほどおっしゃったとおり国鉄運賃、これは国会でいつお認め願うかわかりませんが、かりにこれが六月からといたしますと、〇・三四と見込んでおりましたのがマイナス〇・〇六となりますので、これが〇・二八になりますか、それから国立大学の授業料、御承知のとおり十月実施に予算上できております。これがそのとおり予算が御決定願えれば〇・〇一、十月実施によって減りますから、そうこういたしまして、それを全体合わせますと〇・七三と見ておりましたのが〇・六六というような数字になっております。
  293. 竹田四郎

    竹田四郎君 バスの問題はどうですか。大体三十円が五十円くらいになるというのが何か一般的ですね。それで、この秋あたりにそうしたものが上がっていくという可能性がかなりあるように私どもは承っておりますけれども、公営、私営のバス料金がその程度上がるということになれば、それはどのくらいの影響度が出てきますか。
  294. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 経済企画庁として、まだそういうバスの運賃を上げる上げないという態度を決定しておりませんが、その数字面については局長からちょっと。
  295. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) バスにつきましては、私どもが関与いたしますのは、特に閣僚協で問題にいたしますのは七大都市のバス料金でございますが、御承知のように、公営バス等について、あるいは民間もありますが、申請が出ております。その申請のままで一応見ますと、これは各市によっていろいろ違っておりますけれども、〇・〇八ぐらいの数字になるのではないかと、こういうことになっております。もちろん、これは申請でございますから、すでに前提が変わってしまったものもございます。これ以下になると思います。
  296. 竹田四郎

    竹田四郎君 これらのものを合計いたしまして、その波及効果を考えてみればどのくらいになりますか。
  297. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) なかなかこの波及効果といいますか間接効果の計算、産業連関表を用いていろいろ計算いたしますが、まあ、ものによりましては、いま御承知のように供給力過剰の時代ですから、これを価格に転嫁することは非常に困難という客観情勢もありまして、あまり私どもはそれを大きく見る必要はないと思っておりますが、かりに、それが全体として、もう総体的に波及したといたしましても、これが〇・一九%程度ではないだろうかと思います。
  298. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう点で、おそらく景気が悪い中で公共料金主導型の物価上昇というものがあらわれてくるだろうと思いますけれども、ところで政府は、もう過去三回ですか、公共料金一年間ストップ令を出したのは。しかし、このストップ令を出してストップはするけれども、それが解除されたときにはぐんとウナギ登りの情勢を示しているわけですね。ことしは、ほかの物価が上がらないからということではずしたようでございますけれども、しかし、公共料金ストップをするという意味ですね、ただ一時的に鎮静をするということなのか。私は、一年なり一年半なりストップさせておくということは、その間に何らかのそれに対する方針というものが同時に出なくちゃならぬと思うのですね。で、一年間ストップあるいは一年半ストップして、その次にはぐんと上がる、こういうことを常に繰り返しているにすぎないと思うのですがね。こういうことをいつまでも続けていては私は困ると思うのですが、ストップしたならば、その次の料金の上がり方がゆるやかになっていく、こういう裏側の施策というものが常に行なわれていなくちゃストップしても意味ないと思うのですね。短期間ストップしても全然意味ないと思うのですね。こういうものはもう少し考えてやるべきである、何らかもう少しストップさせている間に施策を進めるとかなんとかしなければいかぬと思うのですがね、この辺はどう考えていますか。
  299. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあ公共料金抑制政策といいますか、その極端な例はストップ令だと思いますが、その目的に二つあると思います。一つは、一般物価が非常に急上昇するときに、そに抑止力を、ストップをかけて一つの緊急避難的な心理的、社会的効果をねらう、そういうメリットがまず一つと、まあそういう面では私は効果はあったと思うのですが、ただその反面、いま御指摘のように、その間に、次に公共料金を上げなくてもいいように、また公共料金を上げるにしても幅を少なくするような何らかの政策措置がとられなければならない。これはおそらく御指摘のとおり、構造対策のことを示しておられると思いますが、私はそれは全く御意見のとおりだと思います。したがって、何もしなかったわけではございません。その体質改善といいますか構造対策についていろいろ政策努力はいたしましたが、かりに国鉄にすれば、合理化努力あるいは財政措置を強化する。タクシーにいたしましても、なかなか経営状態が不健全かつ複雑でございましたが、その中で、運輸省の指導のもとに業務上の改善もやりましたし、またサービスの改善もいろいろ御批判ありましたけれども相当努力はいたしました。また郵便、電報にいたしましても、郵政省、電電公社で省力化と申しますか、そういう企業の合理化の努力をいたしておりますが、何にせよ、とにかく社会経済情勢の変化が非常に急激で、なかなか一年や一年半のそういう構造対策では追いつかないというのが正直言って事実でございます。そういう意味で、政府のストップ令とともに、その目的とした第二のメリットというものは、御指摘のとおり、決して十分なものではないということは認めざるを得ません。
  300. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、もう一つ、この公共料金に関して、政府の仕組みですね、これは非常にこれからは、国民福祉を充実していくという柱を立てている以上、抜本的に改正してもらわなければいかぬと思うのです。これは公共料金でありますから、地方自治体あたりの交通問題にいたしましても水道問題にいたしましても、あるいは下水道の問題にいたしましても、結局、この前も指摘いたしましたように金利のかかる金を非常に使う。だから、これは返さなければいかぬし、金利がつくし、しかもそれが質的な問題からいけば政府資金よりも一般公募債を非常に多く使う、ですから非常にコストがかかる。ですから、ほんとうに国民福祉というものを充実し、同時に、公共料金を上げない、上げるにしてもその上げる割合を低くするというためには、こうした公的企業の財政的な資金ですね、これをひとつ転換をしてもらうということが私は何より必要だと思うのですよ。それが四十七年度の転換期における予算の、公共料金の分野においては、私は、一番大きな転換をしなくちゃならぬことだと思うのです。ただそれを、まあ国鉄については少しばかり手当てを四十七年度でしましたけれども、全面的にその辺を見直して、公共料金の上がっていく仕組みというものを私は変えるようにこれは経企庁あたりが努力をしてもらわなければ困る。ひとつこの点は七二年後の宿題として考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  301. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私も全く同感です。国鉄はわずかながらも、わずかとは言えませんが千百億を上回る財政援助、これでも私はまだまだ足りないのではないかと思います。タクシーのような私企業これはいたしかたありません。これは財政援助できませんが、今後の福祉政策を推進する上においては、こういう公共的な事業、公共財といえなくても公共財に準ずるようなそういう公共事業には、これからのわが国の行き方としては、財政援助を強化していくという方向が私は正しいと思います。
  302. 竹田四郎

    竹田四郎君 公共料金の問題は一応この辺で切り上げまして、次に輸入品の価格、この問題に移っていきたいと思いますが、経企庁も通産省も、去年の年末からことしの円切り上げになって以後において二回にわたって追跡調査をしたと思うんです。この二回にわたる追跡調査の総括といいますか、それはおのおのどのように考えておられるか、それに対してどういう対策を打つべきか、総括と、今後こうすればこの点は改善されるという対策、これをひとつ両省からお示しいただきたい。
  303. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 円切り上げ、私は、これは円切り上げだけでなしに一連の輸入対策の効果も混合的に働いておりますが、その結果として、小売り価格の値下がりしたものも相当ございます。レモン、グレープフルーツ、バナナ、コーヒー、紅茶、ウイスキー、万年筆、乗用車、エアコン、ゴルフクラブ、書籍、ネクタイ、パンティーストッキング——これは別ですけれども、パンティーストッキングも値下がりしておりますが、一面、また値下がりが見られないものが、牛肉とか砂糖とか、あるいは腕時計、化粧品、安全かみそり、ライター、チョコレート、チューインガム、カラーフィルム、パイナップルかん詰め、こういうものがございます。これは大体私どもがいままで追跡調査をしたものの結果でございますが、特にこの中で目立ちますのは、やはりいろいろ値下がりをしないでいるもの、これが一番大きいのは、まず流通段階における問題であろうと思います。特に総代理店の制度をとっておりますもの、これがなかなか値下がりを拒否しております。また、その中で、消費者の高級品イメージがじゃまをしてなかなか値下がりを見せないというものもございます。また、当然原料品はまだ加工段階でございますから、実際の製品価格にはまだ反映していないものもございます。そういうようないろんな原因が混合して、いま申し上げたように大体半分半分ぐらいの実績を示しているわけでございます。しかし、今後のやり方としては、いま申し上げたような点、特に、流通段階における円切り上げの効果を減耗しておるような要因、これは一番取り除かなければならぬと思いますので、通産省とも連絡をいたしまして、総代理店制度というものに対して、公取ともいろいろ協議をいたしまして、その面においてメスを入れなければならないと思いますし、また、取り扱い業者をふやすことも通産省で考えてもらいたい。そういうことで、まだまだ追跡調査を続けていかなければなりませんし、これはやはり個々の品物について、品目について、ある意味では根気よく続けなければならぬと思います。また、単なる追跡調査の発表だけでなしに、業者に対する指導の強化、そういう面もあわせてやると同時に、これはやはり消費者の協力を得て、それに対する公表、情報の提供その他による措置がまた必要であるかと思います。
  304. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産省、何かございませんか。
  305. 斉藤英雄

    説明員(斉藤英雄君) 通産省におきましては十一品目につきまして調査を行ないました。二月の中旬から三月にかけましての輸入業界等でいろいろ調査した結果でございます。この十一品目を調査いたしました結果、おおむねその半分程度でございますが、たとえば乗用車、エアコンディショナー、万年筆、書籍等でございますが、そういうものにつきましてはいろいろ円切り上げ幅の問題、あるいは、逆に相手国の輸出価格の上昇といろいろ原因がございまして、値下がり幅はいろいろございますけれども、それらのものは値段が下がっておるというのが私ども調査の結果でございます。なお、これに反しまして、化粧品等につきましては相当部分のものは下がっておりますが、なお下がらないものもかなりあるという結果でございます。それからライター、安全かみそりのかえ刃などにつきましては、現在のところ値下がりが見られておりません。それから、なおカラーフィルムにつきましては、一応円切り上げによりまして値下げをしました。ところが、最近に至りまして、五月一日から値上げをするというこういう発表をいたしております。それらにつきましては、やはりいろいろな原因があろうかと思いますが、相手国の輸出価格自身が上がってきたという問題もあります。それからあるいは欧州通貨でございまして、米ドルと違ってその為替差益が少ない、そういう問題もまたございます。それから先ほど長官からお話がございました、高級品イメージという問題もあろうかと思います。なお、一部の商品、たとえば安全かみそり等につきましては、円切り上げ以前の在庫品がたくさんあるというふうにいろいろ原因がございまして、そういういま申し上げましたような品物につきましては値下がりが見られておらない、これが現況でございます。  それで、私ども、こういうものについてどういうふうに考えるかということでございますが、先ほど長官からお話がございましたような方向考えたいと思います。なお、私どものほうは輸入通商関係の担当省でもございますので、輸入の自由化の問題、それからなお輸入ワクの拡大の問題等につきましても、私どものほうは前向きの方向考えたいというふうに考えております。
  306. 竹田四郎

    竹田四郎君 たいへん下がった下がったということをおっしゃっておられるのですが、私、調べてみても、一つ一つの品物はあげませんけれども、確かに円の切り上げ幅がドルとかその他マルクとか、その他のものによってドルと同じではありません。したがって、一様にドルに対する切り上げ幅だけ下がっていないものもあるのは当然ですけれども、しかし、いずれを見ても、明らかにドル建てでやっているものにいたしましても、下がったといっても一〇%下がっていないのですね。本来なら、切り上げたときであれば少なくとも一六・八八%は下がらなくちゃいけない。下がった下がったとおっしゃっても、せいぜい一番多くて一〇%くらいなものです。平均六%くない。これはどこかにそれだけの利益が吸収されてしまっているということが一つ。それからもう一つは、通産省でおっしゃられたように、向こう側が上げてくる、そのために下がらない。この要因もかなり私が見た分ではあると思うのです。  それから先ほど長官が根気よく追跡調査を続けるとか、あるいは指導強化をするとか、消費者に協力すると、こういうふうにおっしゃったのですが、私はこんなことをしたって下がるとはちっとも思いません。おそらく、この中で一番私は大きい問題になるのは総代理店制の問題だろうと思う。この総代理店制をどう直していくか、また、日本の法律だけでそういうことが直せるものなのかどうか、これはどのようにお考えですか。
  307. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) これは公取委員会のほうからお答えしたほうがいいと思いますが、まあおっしゃるとおり、なかなか総代理店の制度にメスを入れることはむずかしい問題がございますが、しかしながら、当然継続的な取引契約というものは公取で届け出をとっておりますが、それをもっとひとつ厳格に励行していただいて……
  308. 竹田四郎

    竹田四郎君 厳格にやれば直りますか。
  309. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 監視を強化して……
  310. 竹田四郎

    竹田四郎君 監視をして直りますか。
  311. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあその上でこの輸出総代理店制度にどういう一体指導をするかということについて、これはなかなかむずかしい問題だと思います。
  312. 竹田四郎

    竹田四郎君 公取のほうで何かその点についてお答えできることがあったら……。
  313. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) 総代理店契約につきましては、これ自体、直ちに独禁法上問題があるということは必ずしもできないかと思いますが、問題の有無は、むしろ、主として契約内容によって判断しなくちゃいけないのではないかと思います。それで外国事業者が契約によりまして国内の事業者に一定の地域におきます独占的な販売権を付与するような場合に、この契約に付随しまして、たとえば再販売価格でありますとか、あるいは販売先の拘束でありますとか、あるいはほかの商品の抱き合わせ、そういったような公正な競争を阻害するおそれのあるような条項を契約内容に規定している、そういうような場合には独占禁止法上の問題が生ずることになるかと思います。
  314. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、この総代理店制を日本側から一方的にこれを改めるということはおそらくできないと思うのですね。おそらく、日本側からの改善というものは私はできないと思う。あえてすれば、大体一品種一代理商ということですね、これは複数ではないわけです。これを指定するのはアメリカならアメリカなんですね。ですから、まああえてこれを直すというならば、日本の国内の法律で、総代理店制は複数にしろというようなことぐらいしかできないと思うのですが、これは生活局長、何かできそうなような顔をしているのですが、何かうまい知恵がありますか。
  315. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 私は、別に知恵があるわけではございませんが、今度の輸入品価格の調査の最近のものについてこういった点についての指摘がございます。特に、この総代理店の問題でございますが、おっしゃるように、同一の商品といいますか、似たような商品がいろいろあるもので、その商品についてたくさんの総代理店ができている、たとえばスコッチウイスキーの例なんかそうでございますが、こういった場合には、かなり競争をさせるような方向でいろいろ行改指導なり、あるいは公取のほうのこの契約内容に対する指導なり、そういうことでやれる面もあるのではないか、乗用車とか、そういったものもかなり考えられると思います。あるいはレモンの場合なんか好適の例でございますが、サンキストというものが非常に強い。このサンキストに対する国内総代理店があるわけでございまして、これは一社でございますが、それが支配してしまうのですけれども、最近南アフリカ共和国から植物防疫法上輸入できるようになりました。これが入ってくるということで、これはかなりやはり影響がございました。イスラエルあたりも問題があるそうでありますが、そういうように地域別に少し分散していくということもこれから大いにひとつ考えていくべきだと思います。まあそうはいいましても、先ほどカラーフィルムの例がございましたが、ああいうのになるとなかなかどうも手がつかぬ、さすが強力な通産省でもあまりどうもうまい知恵がないようでありますから、こういうのはやはりいろいろ考えなくちゃならぬ、こういう感じを持っております。
  316. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官、これはこれだけ国際的にもう自由化の体制というものがある程度進んできております。最近は、必ずしもそれに対する反対的な傾向もなきにしもあらずでありますが、これはガットの規定が一つあると思うのですけれども、国際的にも不公正な取引というものは、これはお互いにやめていくような形にしないといけないのじゃないか。たとえばサンキストの例なんかは、日本に売り込む価格とほかへ売込む価格とはだいぶ差がある。こういうのは私は船賃とか、まあその国の関税とか、いろいろなそういうものはこれはしかたがないと思うのですよ、そのほかであれば、日本には特に高く売りつける、こういうようなものをお互いにやめさせていくような国際的な取りきめというようなものも、私は日本の消費者を守っていく上に、また経済企画庁ではこれから消費財をうんとふやして欧米並みの三〇%ぐらいにしたいという方針も出しておられるようなんで、そういう中で、こういうことがあればその消費財を外国から輸入したものを使うということはこれは国民なかなかできないと思うのですよ。ですから、そういう点については、私は、この点はどうも国内だけで解決がなかなかできない問題である。国際的にそういうことをやはりやっていくようなイニシアチブを当然日本あたりはこの際とっていくべきではないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
  317. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあいままでの通商交渉では、そういうところまで触れた問題は提起されていないと思います。まあこれからお互いにフェアな貿易をやろうという時点において、やはりそういうところまで立ち入ってそういう交渉をするということもこれから必要になってくると思います。
  318. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ言うはやすく行なうは非常に問題であろうと私は思うのですけれども、特にこうした問題については、ひとつ政府の力を十分に発揮してもらわなければ消費者は満足をなかなかしない点だと思うのですが、逆に、日本が輸入している原材料関係ですね。これはメーカー段階に渡されるときに一体かなりの値引き、下がっているのですかどうですか。
  319. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 私のほうで四品目ぐらいとってみますと、大体七%から一二%輸入価格が下がっております。いまその品目を、羊毛、綿花、鉄鉱石、原油、この四つについて見てみますと、羊毛は下がっております。
  320. 竹田四郎

    竹田四郎君 それはあとで資料でください、時間がありませんから。
  321. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 資料を差し上げます。
  322. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう時間がきたそうですから、やっているわけにいきませんけれども、そこで、これは小麦については長官かなりお力を入れていただいて、何らかの措置をとるそうですから、まあこれは私たいへんこういう中でいいことだと思いますが、たとえば大豆なんかアメリカかちの輸入が多いだろうと思います。こういうものは当然その油の価格が引き下がるべきだと思うのです。これはひとつ引き下げるというと、また金額が一円五銭だとか九十八銭だとか、こういう数字が出てしまって、なかなか売るわけにいかないということですが、国民的な、国民立場から見ると、同じ輸入品でも、自分たちが直接輸入して——いや、さっきの安全かみそりみたいなのですね。自分たちがすぐ使える中で加工段階があまりないというものはけっこう高いものを買わされている。円切り上げによってちっとも利益を得ていない。しかし大きなメーカーは、これはたいへん値下がりによって利益を得ている。しかし、それが加工されて消費者の末端にいくときには下げられない。これはたいへん国民にとっては私は不満の多いところで、むしろ怒りに燃えざるを得ないところだと思いますね。この辺は、何らか私考えてもらわなくちゃいかぬと思うのですよ。為替差損で損をした連中については、いろいろその損を埋めるような税制あるいは金融措置がとられる。利益を得た者はこれはもうけっぱなしだと、あとは法人税の中で幾らか取られる程度のものであって、もうけっぱなしだと、こういうようなことはどうも私は理解ができないのです。公平の原則もこれは欠くと思うのです。だから、原材料で入ってきて、それが末端消費者価格を安くしているようなものについては、それは正当にその分だけ安くなっているのですから、途中で利益を吸収していないわけですから私はこういうものはいいと思うのです。消費者価格に影響のないようなもの、こういうものは私は別に税金をかけるべきだと思うのです、もうかっているだけ分離して。そのくらいのことをしなければ国民は私は承知しないと思うのですがね。どうですか、経企庁の長官、これは税金かけるほうじゃないと思うのですけれども政府として、そのくらいの勇断をここでふるってもらわなければ私はいけないと思うのですが、どうですか。
  323. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) まあなかなか課税の技術その他、私どもお答えする自信はございませんが、国民の公平感からいえば、確かにそういう気持ちが出るのももっともだと思いますが、まあ税制のことですからちょっとこの場ではお答えしかねますが、先ほど御指摘になった食用油、これは確かに大豆の輸入価格が下がっております。下がっただけ一体小売り価格に反映しているかというと、そこまではまいりませんが、卸売り価格はすでに下がりつつありますし、まあ一般の小売り店でも漸次値下がりの傾向でございます。
  324. 竹田四郎

    竹田四郎君 これで終わりますけれども、ひとつその辺を十分監視をしていただいて、片一方で国民が損をしているときに、いい顔をしてもうかっているという者に対しては、私はやっぱり何らかそういう税金なり何なりで余分にため込んだ利益というものは吐き出さすべきだと思うのですよ。これはひとつ政府としても、特にこの点については私は強く要望して終わりたいと思うのです。
  325. 三木忠雄

    三木忠雄君 長官、すわったままで、私もすわったままで質問いたします。  輸入物価の値下がりの問題について、私も重ねて質問したいと思うのです。特に、輸入の自由化の問題あるいは輸入ワクの拡大の問題あるいは関税等の問題については、通産とかあるいは大蔵で一部質問しましたが、まあ一番問題は、私は、先ほど竹田委員からも御指摘になったような総代理店制の問題、それからもう一つは、やはり商標権の問題、これがやはり輸入の問題としては大きな問題ではないかと思うのです。したがって、きょうは時間が限られておりますので、商標権の自由化の問題について各省庁にいろいろお伺いしたいと思うのです。特に物価対策の上から、経企庁としてこの商標権の自由化の問題に対してはどういう考えを持っていらっしゃるか、それをまず最初に伺います。
  326. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) すわったままで……。  まあむずかしく言えば、真正商品の併行輸入と申しましょうか、総代理店が商標権を持っている場合に、にせものとかそういうものは別として、真正商品が入ってくる場合、御承知のとおり、いままでのわが国の特許庁の考え方としては、これは属地主義という面もあるでしょう、これは関税定率法の二十一条にも規定もございますし、これはもう禁止しております。したがって、もしそういうものを侵してくるなれば、これは商標権者たる総代理店からそれに対する訴訟が提起されるわけですが、まあしかし各国の実情を見ますと、非常にまぎらわしいものとか、あるいはにせものになれば別として、大体においてもう真正商品の併行輸入というものは認められるような慣行になっておりますし、またこれも、御承知のとおり昭和四十五年の大阪地裁の判決を見ましても、いまやそういう点で再考すべきではないかということもございますが、まあいままでの判例その他がそうなっておりませんので、物価政策を担当する私どもにおいては、いままでの考え方、やり方について、特許庁に前向きにぜひひとつ再検討してほしい、こういう申し入れをしております。
  327. 三木忠雄

    三木忠雄君 それで、この問題について、まあ申し入れではなしに、やはり各国のいろんな状況から判断しても、日本の商標権のこの問題についての取り扱いがきびし過ぎるのではないかと思うのですがね。何か業者保護のほうに向いて消費者のほうに向いてない、こういうふうに考えられるのですけれども、その点いかがですか。
  328. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま申し上げたとおり、まあいままで昭和四十五年の大阪地裁では初めてああいう判決が出ましたが、従来の判決もございますし、そういう面で、ひとつ特許庁のほうからお答えしたほうが適当かと思います。
  329. 井土武久

    政府委員(井土武久君) 真正商品の併行輸入の問題につきましては、ただいま木村長官からも御答弁がございましたように、従来の判例は、これを商標権の侵害であるとする判例と、侵害をしないという判例と、ケース・バイ・ケースによりまして両方ございます。したがいまして、これは具体的なケースによりまして商標権の属地主義をどの辺、限界まで適用するかというきわめてむずかしい法律問題でございますので、われわれといたしましても、このような判例の動向を十分に踏まえまして、今後検討をしてまいりたいと考えております。
  330. 三木忠雄

    三木忠雄君 今後検討するという問題でなしに、いろんな圧力があったり、なかなかできない、特許庁としてもいろんな判断に苦しんでいるという点は私は十分うかがえるわけですけれどもね、これは、今後考えますではなしに、地裁の判決も出ているわけだし、こういう輸入製品の問題が非常に話題になっているとき、もう少し特許庁としてのはっきりした見解を早く出すという方向にお考えになればどうでしょう。
  331. 井土武久

    政府委員(井土武久君) この問題は、具体的なケースによりまして判例も両説に分かれております。したがいまして、具体的なケースが出てまいりました場合に、この判例の動向を踏まえまして検討をしてまいりたいという趣旨でございまして、現在具体的なケースがまだ出ておりませんので、出てまいりましたら積極的に検討をしてまいりたいと考えております。
  332. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、一例をあげますと、パーカーの問題ですね、大阪地裁でああいう判決が出まして、こういう問題については、たとえばアメリカからではなしに、香港から同種製品が別商社を経由して入ってきたという問題で大阪地裁で判決が出ておりますね。こういうケースは今後認められると、こう考えていいですか。
  333. 井土武久

    政府委員(井土武久君) パーカーの、大阪地裁の判決におきましては、商標権の真正商品併行輸入問題につきましては、商標権の本質に立ち返ってこれを検討すべきである、すなわち商標権の出所表示機能あるいは品質表示機能をこれが侵害するかどうかという観点から検討すべきであるという判決の趣旨でございまして、この趣旨にはわれわれも全く賛成でございます。このような趣旨からわれわれも今後検討をしてまいりたいと考えております。
  334. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、こういう検討をすべき品物は七十品目程度あると、こういうふうに私聞いているんですけれどもね。こういう問題の具体的な特許庁としての考え方は煮詰まっておるんですか。
  335. 井土武久

    政府委員(井土武久君) 現在、具体的な問題はわれわれのほうに伺っておりませんので、具体的な問題が出てまいりますれば、それに応じまして具体的に検討してまいりたいと考えております。
  336. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、大蔵省に伺いますがね、大蔵省いらっしゃいますか。大蔵省として、この商標権の問題に対して、関税業務でですね、何か七十品目ぐらい税関でストップしていると、こういう話を聞くんですがね、この問題についていかがですか。
  337. 森谷要

    説明員(森谷要君) 私どもの組織、末端の組織に税関がございますが、そこで、先ほど経企庁の長官からも話がございました二十一条という法律を運用いたしておるわけでございます。で、その中に商標権と無体財産権が入ってきた場合には、しかもそれが侵害するというかっこうで入ってまいりました際には、それを輸入を禁止する、そして輸入しようとする人に対しまして、積み戻しないしは没収あるいは廃棄と、こういう規定になっているわけでございます。で、税関のほうといたしましては、真正な権利者、つまり商標権者ないしは専用使用権利者から輸入の差しとめ申し立て書があらかじめ出されておるわけです。で、それの数がいま御指摘の約八十件でございます。それに該当する輸入物品が入ってまいりました場合には、税関の第一線におきまして、それは該当侵害物品であるということで輸入を禁止いたしておるわけでございます。
  338. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、大蔵省考え方は、極端に考えれば、一方面の輸入業者、商標権を持っておるほうのですね、そのほうの考え方に立って税関でストップをしておるという、こういう観点からいうと税関業務の何か逸脱みたいな感じを受けるんですがね、一方側に立った税関業務に立っているんじゃないか。新しい人たちが別なルートから輸入しようという問題に対して、何か差しとめをするという、税関業務とちょっと離れているような感じがするんですがね、この問題いかがですか。
  339. 森谷要

    説明員(森谷要君) ある物品が輸入されようとする際に、はたしてその物品に付されている商標が商標権を侵害しているかどうかという問題につきましては、私どもといたしましては、特許庁の見解に従っておりまして、事務を処理いたしておるわけでございます。しかし、先ほど来お話が出ておりますように四十五年の大阪地裁の判決がございます。あの判決の内容から察することができますように、一体、最近の情勢に照らして、商標権の侵害ということをどういうふうに解釈すべきかという問題につきましては、私どもも、国際貿易の拡大あるいは国内におけるところの公正な価格競争の喚起というような観点から若干疑問に思っている向きがあるわけでして、内々特許庁と事務的には意見の交換をいたしておるわけでございます。
  340. 三木忠雄

    三木忠雄君 大蔵省としまして、この問題、まあ八十品目と、こう具体的にあがっておりますけれども、これは一々この八十品目私聞く時間がありませんけれども、現実にこの問題が、いままでの商標権の侵害という問題に受けとめるんではなしに、いま考慮中だという話ですけれども、これ自身がやはり手ぬるいと私思うんですね。もっと積極的にこの問題に取り組むことが、やはり消費者の保護というかね、こういう観点に立っていけるんじゃないかと思うんです。一たん考えてみれば、輸入業者側に立った税関業務をやっていると、これしか考えられないんですよ。だからこういう点は、やはりもう一歩突き進んでこの問題解決に早く当たるべきじゃないか。この八十品目というものはやはり国内商品の中で非常に高く値上がりしている物品だと思うんです。これは競争原理が全然導入されてない。このためにやはり輸入物価が上がっているという一つの大きな私はガンになっていると思うんですね。この問題に対して、大蔵省として、もっと積極的に早く取り組んでいくというその姿勢を示してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  341. 森谷要

    説明員(森谷要君) お説のおっしゃる点は、私ども非常にもっともなことだと考える点もございますし、今後よく特許庁ともども慎重に検討していきたいと思います。
  342. 三木忠雄

    三木忠雄君 通産省いらっしゃいますか。通産省帰っちゃったかな——じゃしょうがない。これは、大蔵省のほうもあれですがね、通産省はやはりこの商標権の自由化によって、これは長官にもお願いしておきますけれども、非常に業者の保護という面に対する手厚いあれをやっているわけですね。したがって、この問題がはたして消費者保護なのか産業保護なのかという、こういう面が分かれる重大な問題だと思うんですね。これはやはり政府の輸入物価に対する姿勢の一つの私は問題だと思うんです。いま現実に輸入物価の保護に対して、業者のほうに手厚い保護をとっているという感じしか私たちは受け取れない。この問題については、やはりもっと積極的に政府自身が、特に、物価担当である経企庁がこの問題の先頭を切って、やはり自由化の問題に対してあるいはこの商標権の問題に対してすみやかな手を打つべきではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  343. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま特許庁、大蔵省から慎重なお答えがありましたが、実は非常に前向きに取り組んでいただいております。私どもも、どうしてもやはりこれは一手販売的な、競争制限的な仕組みになっておりますから、そういう意味で、この一角をくずすということばはいけませんけれども、やはりこれにメスを入れるべきだ、大蔵省にしましても特許庁にしましても、やはり商標保護あるいは関税定率法という法律の問題ございますから、単にこれを政策的に左右することはなかなかむずかしい。したがって、政府としても、そういう一定の政策方針をきめて、それで特許庁あるいは大蔵省にそのような措置をとってもらうということが順序であろうと思います。
  344. 三木忠雄

    三木忠雄君 この問題、具体的にいつごろと言っちゃ、これは期限はきめられない問題かもしれませんけれども、これは非常に消費者にとっても関心の深い問題だと思いますし、他の輸入業者との問題も非常に関心の深い問題だと思うのですけれども、これはいつごろの見通しでこの問題の結論が出るかということですがね。
  345. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) この問題、いま長官からお答えいたしましたように、事務的には特許庁のほうや大蔵省とわれわれのほうもいろいろお話し合いをしているわけでございます。しかし、何ぶんにも問題の性質が法律的な専門的な問題でございますので、大阪地裁の判決がございますが、ああいった例だけではない、いろいろなケースがあるわけでございまして、したがいまして、全体としていつまでにこれを片づけてしまうというようなことを申し上げる段階にはまだ至っておらないわけでございます。いろいろの面からひとつ十分検討して、前向きでやっていきたいということで取り組んでいる、こういう状態でございます。
  346. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは長官、具体的にいいまして、経企庁、それから公取も前向きだと思うのです。それから特許庁も私は前向きだと思うのです。それから大蔵省も前向きなんですよ。ひとつ問題は通産だけなんですよ。これがやはり政府一つの大きな姿勢だと私思うのです。だから通産省を呼んでいたのですけれども、どっか行っちゃったんです。そういうやはり産業保護というか、企業、業者保護という姿勢が、輸入製品一つ調べてみましても、政府の姿勢がはっきりと、この一点見ても私は手ぬるいと思うのです。こういう点は、法律解釈で、特許庁のむずかしい点も私は十分わかりますけれども、やはりこの点は積極的に国民の負託にこたえていくべきじゃないかと、それがやはり政府の物価政策だと思うのですね。ところが全然そういう問題が手ぬるい。結局、考えてみれば、そういう点で国民に物価政策こうだとかいろいろ追跡調査していると言っても、元凶になっている輸入の商標の問題がなかなか手が打てない、政府でやらなければならない問題が手が打てないというのでは、幾ら追跡費用をかけてみたって、なにしたって、話にならないと思うのですね。この点はもっと積極的にやってもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  347. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 通産大臣とよく話をして進めます。
  348. 三木忠雄

    三木忠雄君 時間もあまりないので、あと公取に総代理店の問題で伺いますけれども、輸入業者に対する総代理店制にメスを入れるといっていろいろ提出書類等をとっていると思うんです。何を観点にしてこの競争制限の契約条項を見ているのかどうか、その具体的な問題について伺いたい。
  349. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) 先ほど竹田先生にもお答えいたしましたように、総代理店契約、総代理店制制度それ自体、直ちに独禁法上の問題だというわけに参らないので、契約内容を届け出をさせまして、契約内容をよく検討いたしまして、その契約内容のうちに不公正な取引方法に当たる点があれば、それを是正させるようにいたしたい、このように考えて鋭意努力いたしております。
  350. 三木忠雄

    三木忠雄君 しかし、契約内容を見てみると、おそらく一つも競争条件の問題で取り上げられている品目はないと思うのですよ。ただ届け出をしている程度であって、その契約内容から見て、はたして競争制限が行なわれているかどうかという点はこれは判断しにくいのじゃないかと思うのですね。したがって、総代理店制に対するこの問題を、公取として具体的にどういうふうに手を打ってメスを入れていく考え方なのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  351. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) いままで、最近におきまして、輸入代理店契約につきまして不公正な取引方法にわたるものにつきまして指導いたしました。たとえば改良技術につきまして非常に制限している、そういうものが一件、それから競争品の取り扱いを制限している、それが九件、それから原材料や部品の購入先を制限しているというものが一件、それから販売先を制限しているというものが一件、それから再販売価格の制限をしているものが五件、そういったようなものについて、いままで指導により是正させるように努力いたしてまいりました。
  352. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、そういうたとえば何点か出ておりますけれども、具体的なそういうふうなものが取り上げられた場合の罰則規定ですね、これはどういうふうになっていますか。
  353. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) 不公正な取引方法を内容といたします再販維持契約につきましては、不公正取引方法自体につきましては罰則がございません、十九条。したがいまして、六条のそういったものを内容とする国際的契約につきましても罰則の適用はございません。
  354. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうすると、破棄せよと言うだけですね。その程度に終わってしまって、何かそのことによって競争原理が導入されるかと思うと全然導入されない。ただ、もうそういうものを見つけて監視をしたという程度にすぎない公取の監視になってしまうのではないかと私は思うのですが、この点いかがでございますか。
  355. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) 具体的に問題が起こりますつど、そういったものは是正することによって独占禁止法の運用をできるだけ効果あらしめるようにいたしたいと思っております。
  356. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは幾らあれしてもあれなんですけれども、実際に公正取引委員会がそういうふうに摘発をしましても、具体的に見つけても、なかなか物価の値下がりには役立たないということなんですよね。現実にはそれだけの権限がないと言ってしまえばそれまでかもしれませんけれども、したがって消費者には、公正取引委員会がほんとうにそれをつかまえて、あるいはいろいろ状況を判断をして、不公正な取引であるという、こういう問題を見つけても、現実には消費者に対する隠れみのであって、消費者に還元されるというか、むしろ物価値下げに連なるというような結果というものは出てこないのじゃないかと思うのですけれども、独禁法上ではそこまではいけないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  357. 三代川敏三郎

    政府委員三代川敏三郎君) 仰せのとおり、直接物価に対して公正取引委員会がどうこうするという権限は持っておりませんが、しかし、公正かつ自由な競争を促進するということが物価の引き下げにも役に立つのではないかというように考えております。
  358. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは時間がまいりましたので、長官にもお願いしておきますけれども、やはりこの問題は、独禁法をもう一ぺん政府自身が検討すべきではないかと思うのですけれども、私は絶えずこれ言っているんですけれども、いつになっても独禁法は、いろいろ業界からの強い圧力があるのか何か知りませんけれども、なかなかこういう問題点が手が入れられない。やはり消費者の隠れみのになってしまっているということにすぎないのではないかと思います。これをもっと前向きに、消費者保護という立場から公正取引委員会がもっと具体的な活用ができるように政府としても取り組んでもらいたい、これを要望申し上げまして質問を終わります。
  359. 内藤誉三郎

    主査内藤誉三郎君) 以上をもちまして経済企画庁所管に関する質疑は終了いたしました。  次回の分科会は、二十四日午前十時二十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会      —————・—————