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1972-04-25 第68回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十五日(火曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      羽生 三七君     和田 静夫君      鈴木 一弘君     上林繁次郎君 四月二十五日     辞任         補欠選任      白井  勇君     山崎 竜男君      鈴木  強君     小谷  守君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         松永 忠二君     副主査         山内 一郎君     委 員                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 山崎 竜男君                 鈴木  強君                 和田 静夫君                 上林繁次郎君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君    政府委員        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林大臣官房予        算課長      松本 作衛君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省経理局長  浅見 喜作君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      前田  宏君        外務省アメリカ        局安全保障課長  松田 慶文君        大蔵省大臣官房        参事官      上野 雄二君        大蔵省銀行局貯        蓄奨励官     藤澤  正君        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社経理局長    好本  巧君    参考人        日本中央競馬会        理事長      清井  正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議院  送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 松永忠二

    主査松永忠二君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、白井勇君が委員辞任され、その補欠として山崎竜男君が選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    主査松永忠二君) 昭和四十七年度総予算中、郵政省所管議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、公労協賃金紛争に関して電電公社総裁並びに郵政大臣から若干御所見を承りたいと思います。  毎年のことですが、当事者能力のない公労協賃金紛争というのはいろんな紆余曲折を経て結末に向かうんですが、ことしも同じようなケースをたどっていると思います。それで、昨日政府がとられました御措置、いわゆる国鉄を除く二公社現業有額回答が示されたのですが、そういう措置をとられたことについては私は敬意を表したいと思いますし、特にまあ所管郵政大臣としても何かと御苦労をいただきましたことについては心から感謝いたしますが、ただ、具体的に示された有額回答の中身については、非常に不満が多いんです。特に電電公社の場合をとってみましても、昨年から比べて百五十八円の実質的に額が減っておるんですね。こういう点も、これは具体的に一つの例でございますが、非常に不満が多い。けさは春闘関係のわれわれ関係者が集まりまして、きのう来の経過と今後の対策を協議いたしましたが、非常に不満が強いのでございます。一万七千円の要求に対して、郵政が四千五百七円、電電が四千三百三十円というふうな回答では、これは問題にならぬ。特に、昨年の六七六〇という最終妥結額等を考えましても、非常に額において低いではないか、こういう不満が多うございます。したがって、おそらくきょうはストライキに入っておるところもあるでしょうし、また団体交渉がこの有額回答では不満で決裂になって、調停委員会のほうに移されていくと思います。私はこの際いろいろ申し上げたいことはありますが、ただ一つここで総裁大臣所見を承っておきたいのは、昨年の妥結額等を見ましても、当初、第一次有額回答と申しますか、これが四千四百八十八円プラス定期昇給二千四十一円ですね、合計六千五百二十九円というものがこの第一次回答であった。ところが今回は四千三百三十円で、四千四百八十八円から見ると百五十八円のマイナスになりまして、昨年よりもダウンしている。それに定期昇給の二千百九十九円というものを加えて、合計において六千五百二十九円というような、こういう回答をしているわけですね。これは電電公社の場合ですけれども、ここいらに、額は百五十八円ではあっても、きわめて不誠意な態度が出ているんじゃないかということで、たいへんな不満が盛り上がっているわけです。昨年は、この六千七百六十七円というものが、調停段階において、おそらくこれは公益側委員から出されたものだと思いますが、六千七百六十円、それに定期昇給二千四十一円プラス八千八百一円と、こういうものが出ておりますから、調停段階で二千二百七十二円の上積みがなされているわけですね。おそらくことしも、調停段階にまいりますと、労使双方の方々が事情聴取で御出席になると思います。そういう場所を通じて、これからもいろんな客観情勢等も変わってくるでしょうから、そういう点も考慮して調停段階でいろいろ作業を進めてまいると思いますが、昨年妥結したのは八千八百一円でございますからね。いま鉄鋼にしても、あるいはいままで出ておるたくさんの組合の妥結額を見ましても、大体昨年よりも上回っているというのがこれはもう常識なんでございます。ですからして、そういう面からいっても、八千八百一円に対する今回の電電の場合四千三百三十円ということですから、あまりにも問題にならぬ、こういう意見が最初申し上げた不満として出ているわけです。したがって、公社総裁としては、今後調停段階において誠心誠意、いろんな諸般の情勢を考えながら、昨年の例等十分頭の中に置いて最善努力を尽くしていただきたい。また、おそらく政府当局としても、いろいろと御相談もあると思います。大臣としても、私の趣旨をぜひ御理解いただいて、最善努力をしていただきたい、こういうことを私はお願いしたいんであります。第一点ですね。
  5. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 鈴木委員が、ことしもまた電電公社のストは回避すべきだと、まあ事業の推進からいってそういうことは最も避けなくちゃならないことであるから、こういうような特殊の予算審議状態であるけれども、またそして民賃も出そろっていないけれども、何とか一日も早く有額回答をするように努力してくれという御趣旨をもたれまして、何度か私に非常に誠意を込めての御陳情をいただきまして、私も御熱意には感激いたしたわけでございますが、そこで私も私なりに、私は三公社現業のうちその大宗というべき郵政電電公社を持っておりますわけでございますから、御趣旨に従って努力はいたしたつもりでございまして、御承知のように、まだ予算成立を見ておりません、そして民賃もきのうの段階におきましては鉄鋼、造船、私鉄というようなものしか基準となるようなものとしましては出そろってなかったわけでございまして、しかしまあ御趣旨に従って一日も早く有額回答をやるべきだということで、労働大臣中心に、また官房長官もこれに参画いたしまして、いろいろ関係の閣僚で協議をいたしました結果、きのう、予算成立を前提としてということではございましたが、有額回答をいたしたわけでございます。それについては、金額がまことに遺憾であったという御指摘をいただいたわけでありまして、御主張はよく私といたしましてもわかりましたわけでございます。で、回答の内容は、御承知のとおり、ベアそのものは昨年に比べますと百数十円少なくなっておりますが、これに定期昇給を合わせまして昨年の第一回の回答と同じ金額になるというようなことにいたしましたわけでございまして、昨年と同額にしたということにつきましては、これはやっぱり民賃参考にしたことは事実でございまして、鉄鋼は昨年と同額であったと思います、それから船のほうは昨年より少なかったと承っておりますし、私鉄は昨年より多かったというようなことで、昨年と同額もあれば、多い回答もあれば、少ない回答もあるというようなことをいろいろ勘案いたしまして、三公社現業としましては、国鉄を除きましては、ベースアップ定期昇給と合わせて昨年と同額に提示しようというようなことになったわけでございますが、しかし、ただいま御指摘のように、今後残された問題でもございますわけでございますから、私といたしましては、電電公社総裁とよく連携を保ちまして最大努力をいたしたい、こういうように考えておりますことを申し上げておきます。
  6. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  電電公社といたしましては、特に昭和四十一年以来労使関係近代化路線というものを歩んでいるものでありますが、まあここまでいきました過程はいろいろございましたが、特にその中でベースアップ等の問題については、ここ三、四年来、形は仲裁裁定の形ではまいりましたけれども、実際に調停段階において事実上決着するということを政府にも強くお願いいたしましたし、また公社といたしましてもそれなりに努力してまいりました。今回有額回答が、全般的にまだ民賃が十分出そろわないし、また全般的に景気その他の状態もかなりシビアな状態でありますが、一応昨日有額回答を出した次第でございますが、確かに、おっしゃったように、額そのものについてはいろいろお考えもあると思いますけれども、今後これが調停段階等にまいりました場合にはさらにその引き上げにつきまして私なりに努力いたしたいというふうに考えております。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは私この質疑は最初予定してなかったのですけれども、私も昨晩ほとんど寝ておりません。ほとんど徹夜同然に自分なりに努力はしてまいりましたけれども、どうしても不満が盛り上がっておりまして、この質問をせざるを得なかったのでやっておるのですけれども、たまたま外務省吉野アメリカ局長に来ていただいて、他の委員会でも関係がありますから多くここで言うことはできませんが、いま総裁もおっしゃったように、ここ数年来積み重ねてきた団体交渉自主交渉によって解決しようという精神からいっても、百五十八円という金は少ないですけれども、定昇というのは定昇なんだ。ところが、四四八八というものが四三三〇になったということは、これはいままでのよき慣行をぶちこわすものですよ。そうしてトータルだけを六五二九で合わせているなんて、こんなインチキみたいなやり方はないですよ。どこでこういうことをやったか私はわかりませんけれども、非常に不満ですよ、これは。こういうところが、非常に電信事業のために、電話事業のために全力を傾けて、かつてない異常な、偉大な成果をあげてきた職員から見ると、まことに不満なんです。ばかにされた、何だという、そういう気持ちが露骨に出ていますよ、これは。はっきり出ている。だから、そういうことではなくて、やっぱり額はどうあろうと昨年並みというなら昨年並みベアの金を出すべきであって、トータル——当然定昇というのは込みなんですね——額を合わせるなんて、帳じりを合わせるなんて、こういうばかげたやり方は、われわれ絶対に納得できないですよ。生きた労働運動というのをどう理解しているのか、われわれ理解に苦しむ。それで、まあいまも大臣総裁から、今後調停段階において最大努力をすると、大臣非常に熱意を込めて言っていただきましたので、その点はよくわかりました。同時に、こういう問題が毎年繰り返されるのは、何といっても公労法上の団体交渉権とそれをはばむ給与総額制度が衝突しているのです。だから、当事者能力を持たせそということが基本にあるんですね。公社法の発足以来私たちはこのために毎年毎年苦労してきてもう二十年、まだ今日解決していない。だから、この公務員制度審議会等でも、池田元総理・大田元総評議長会談を経てこの問題は議題に供せられておるはずです。したがって、大臣といたしましても、そういう点をひとつ踏まえまして、今後できるだけ当事者能力を解決する、こういう点にさらにひとつ御協力をいただきたいと思いますがね。この点をもう一つ伺って、次に移りたいと思います。
  8. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御趣旨に従って努力をいたしたいと思っております。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 それでは次に、沖繩返還協定基地了解覚書C表の中に載っておりますように、復帰時に全面返還が約束されております沖繩石川市の石川ビーチというのがありますが、その石川ビーチの一部地域米車通信用ケーブルが埋設されていると、それで、この埋設されているケーブルアメリカ側復帰後も引き続いて使うと、こういう意向が最近になって明らかになったと聞いております。そうなりますと、同ビーチ全面返還というのは不可能になるのじゃないでしょうか、どうしてこういうことになったのか説明をしていただきたいと思います。同時に、沖繩復帰に伴って、米軍がいま持っております軍の通信ですね、通信用施設というのは一体どういうふうに処理されるのか、この点をひとつ聞かしてほしいと思います。
  10. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) お答えいたします。  御存じのとおり、沖繩には電話回線は、軍の電話回線とそれから民間回線が混用されてきたわけでございます。ところが、復帰後はこれを、米軍の管理する回線と、すなわち米側の自営する回線と、民間、すなわち電電公社が運営する回線に分離することになっております。米側回線につきましては、昨年六月の了解覚書Aの〈注1〉にもう明らかにされておりますとおり、地位協定に従い必要な措置をとるということになっておりまして、このような回線施設区域以外における延長は約四百キロであります。そのほとんどが公道の下に埋設されておりますから、したがって地位協定上は、いわゆる路線権としまして、その存在を認めることになっております。これは地位協定の三条に関する合意議事録の5に、そのような地下ケーブルを置くことができるということになっております。なお、私有地を通過している部分沖繩全体で約二十五キロありますが、これは土地の所有者契約によりましてその存在を認めてもらおう、契約に応じない場合には、やむを得ない場合には暫定使用法の対象にしようと、こういうことになっております。それで、石川ビーチ電話ケーブルは、このような米側電話線の一部がありまして、この長さが約六百七十メートルと承知しております。それで、これらの地下埋設線のほかに、沖繩全体で六カ所にわたりまして地上施設がございます。すなわち、これはハットというのですが、石川ビーチにもそのうちの一つがあるわけでございます。これらは施設区域として扱う。そこで地下線の場合には、大体それを中心にいたしまして幅三メートルにつきまして米側使用権を認める、すなわち地下ケーブルを埋設する権利を認める、こういうことにしていくことになっております。そこで、これが実は、石川ビーチにつきましても、先ほど申し上げましたように、六百七十メートルにわたりましてありまして、これにつきましては、その地主了解を求めてその使用権を取得する、こういうことでいま話を進めております。なお、この電話線は、結局地位協定上の取り扱いといたしましては、瑞慶覧に本部があります通信施設に接続しておりますから、結局沖繩全体の軍の電話線のネットワークの一部とみなしまして、瑞慶覧基地に所属する施設、こういうようにわれわれは理解をいたしております。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 あの局長ね、具体的に石川ビーチの場合ですね、六百七十メートルにわたって地下に埋設されているわけですね、ケーブルが。したがって、そのケーブルの、何といいますか、路線権といいますかね、そういうものは地位協定によってアメリカ側に認めなければならぬということになると思いますね。そうしますとね、それは認めたとしても、結局その権利を認めるとすれば、その六百七十メートルの地域そのものは、お話のように、もう一回地主賃貸借契約をしなければならないということですね。そうすると、この返還協定基地了解覚書C表ですね、復帰後全面的に返還するというこの問題との関連はどうなるんでございますか。結局、この場合はC表に入っていますからね、返還されたらすぐ日本に返ってくる、基地ではなくなると、こうことだったのですね。ところが、いまのお話ですと、また基地になるわけですね。そうだとすれば、どうして、国会に承認を求める場合、具体的な個々のケースについてそういう点を事前に調査をし、もしそういうことがあるならば、その辺の手続をして国民に納得できるような措置ができなかったんですか、国会に対してもちょっと背信行為のことじゃないですか。ちょっとうそをついたようなことになるんじゃないですか。
  12. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) この点につきましては、A表の注の一に、「日本国政府は、キャンプ瑞慶覧に接続する合衆国電気通信線に関して、地位協定に従い、合衆国軍隊による使用のため必要な措置をとる」、こういうように書いてございまして、電話線自身はすでに石川ビーチのところにあることをわれわれも承知しておりましたが、どの程度どういう形であるかということは、返還後いろいろ調べた結果ようやく明らかになってきたわけでございます。そこで、その意味で、返還時においては、とりあえずA表の注におきまして、その場合には「必要な措置をとる」、こういうことで、われわれとしても電話線があり得ることを予定して書いておるわけです。なお、石川ビーチそのもの全面返還になりますが、そのうちのいわゆるケーブルの入っておる部分だけは、とりあえず再び賃貸借で取得しまして、そして一応権利として保存する。しかしながら、その地上はもちろん自由に使ってよろしゅうございますし、それから要するにそのケーブルを棄損しない程度路線権を認める、これがその趣旨でございます。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 このケーブルはどういう種類のものかわかりましたか。
  14. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) 通常の米軍の使っております通信電話線でございます。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 時間がここでは制約されておりますから、詳しいことは言えないんですけれども、新聞報道なんかを見ますと、防衛施設庁石川当局に行なった説明が、従来まで示されておった地域施設庁側説明した実際の返還地域とに狂いが出てきてしまって、いろいろその食い違いの点を調べておる間に地下ケーブルが布設されているということがわかったというんですね——報道されておりますけれども、あなたのお話ですと、もうケーブルはあることは知っておった、ならもう少し防衛庁なり施設庁十分連絡をとってこういう行き違いのないようにすべきではなかったですか。
  16. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) 防衛施設庁に対しましては、われわれが米軍から受け取りました各資料を当時手交いたしまして、協力してその面積その他につきまして調査していただいたわけでございますが、まあ何ぶんこのケーブルの一部が道路に隣接して走っている部分もある、あるいはその下をくぐっている部分もあるし、それから道路から離れている部分もある、こういうことでございますから、正確な面積というのはやはり具体的に当たってみないとわからぬというのが実情じゃないかと考えております。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 防衛庁来ていますね。  防衛庁はごく最近になってアメリカ側からこういうケーブルがあるという事実を知らされたというんだが、これはほんとうですか。知らされたとすれば、いつ知らされたんですか。
  18. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) ただいまアメリカ局長からお話がありましたとおり、われわれとしては、一応通信電話線の走っている路線図をいただきまして、それでいろんな作業をやっておったわけでございますが、いろんな、道路の下に埋設されているとか、あるいはそれをはずれているとか、こういうことで、そういう、たとえば石川ビーチの場合のように面積の確定がおくれたということで、そこに電話通信線が走っているということは承知しております。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 いや、走っておったことは知っていたんだが、具体的に皆さん地元に言っておったところと違ったんでしょう、場所が。そういうことから問題が起きたんじゃないですか。その辺のいきさつはどうなんですか。
  20. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 地元側に行きまして、その電話通信ケーブルについての実は交渉もやっておるわけでございますが、当初のC表石川ビーチとそういう通信電話ケーブル部分地位協定に従って提供されるという点の説明が不十分であったために、そういうような地元で話が違うというような食い違いが起きたのかと思います。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 いずれにしても、皆さんの不手ぎわからそういうことが起きたことは間違いないですね。したがって、これはおそらく賃貸借契約の中でも、かなり地元の、約百人ぐらいの地主から強い抵抗が当然出てくると思いますよ。要するに、うそを言ったんだ。うそのかたまりの、何か沖繩協定も、吉野さん、たいへん失礼だが、こんな問題が国民が知らない間に進んでおったということも事実なんだね。ですから、これは地元理解なしにはできない。しかし、土地収用法的なものがありますから、それでおたくのほのではやろうと、こういうんだろうけど、そういう権力だけで押し切ることは、これはできないと思うんですよ。したがって、今後この問題については慎重にひとつ対処してほしい、こういうことを私は施設庁のほうに、それからアメリカ局長にもお願いしておきます。
  22. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) ただいまの鈴木先生の御指摘の点は、われわれも十分考慮いたしまして、電話線が確保され、かつ石川ビーチについては、返還地域満足のいくように、地元人たちに使えるように努力いたしたいと思います。なお、御承知のとおり、実は石川ビーチをはじめとして、沖繩返還基地の中には、相当返還そのものに無理があった、しかしながら、われわれとしてはできるだけたくさんひとつ返還してほしい、こういう趣旨交渉したものですから、このような事態も生じたのではないかと思っております。その点はひとつ御了解願いたいと思います。
  23. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 現在も契約交渉をいたしておりますが、いやしくも暫定使用法をたてに契約をしいるというようなことは避けまして、十分話し合いによって御満足のいく解決をはかりたいと考えております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、次に日米間のホットライン建設についてお尋ねしますが、ことしの一月にサンクレメンテで佐藤・ニクソン会談が行なわれました。その際、日米両国連絡を密にするために、東京の首相官邸とワシントンのホワイトハウスを直通で結ぶテレックス回線、いわゆるホットラインと申しますか、これを建設することが合意されております。聞くところによりますと、四月ごろに工事に着工しておるようですが、現在の進捗状況はどうなのか、それからまたそのシステムはどういうものか、まず最初に説明していただきたいと思います。
  25. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) このホットラインは、実は建設と申しましても、特に地下ケーブルとして新たに建設する分はないのじゃないかとわれわれは見ておるわけです。と申しますのは、これは、電電公社とアメリカ軍との間にいま行なわれています、電電公社とアメリカの電話会社との間につながっておる太平洋のケーブルを使いまして、それをそのまま最終的には首相官邸外務省を通じて首相官邸に入れる、こういうことでございますから、電話回線としましては特に新たな工事はほとんど必要ないとわれわれは考えております。しかしながら、そのホットラインを運営するための特殊な機械、そういうものにつきましては、特別な施設を施す、これが現状でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 この太平洋のケーブルというのは、電電公社じゃない、国際電電株式会社というところが持っている。だから、アメリカ局長はそのくらいのことはひとつ、最低常識として知ってないとこれはっとまらないですよ。  それで、あなたが申すまでもなく、現在ある海底太平洋ケーブルと、それから国内における電話ケーブルを使うでしょう。しかし、国内は電電公社がやるし、国際は国際電電株式会社がそれぞれ業務を運営しているわけです。したがって、おそらく国内については電電公社のほうにお願いしてやっていると思います。それから国際のほうについては国際電電のほうにお願いしてやっていると思いますがね。したがって、外務省がこれ何か中継基地になるそうですね、そして首相官邸、こういうふうになっているわけですから、やはり工事は必要なんですよ、部分的に。それからどういう機械を使うかわかりませんが、おそらくテレックスでしょうと思いますがね。そういうことを、あなたは局長だからこまかいことはわからぬかもしらぬけれども、だれかわかる人いますか。どういうシステムかということを聞いている。工事といったって、もちろん線を引っぱる工事をやれということじゃなくて、ホットラインが実際に使えるまでの付属的な工事があると思うのです。それがどこまでいって、大体いつごろになったら実際に通話ができるのか、そういうことを言ってくれなければ、私の聞いている趣旨に答えていない。
  27. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) ちょっと私から先に説明さしていただきます。いつごろ工事が完成するかという御質問につきましては、なるべく早く工事を完成し開通に持っていきたいと思っております。ただし、やはりこの運営については特別な技術も要しますから、そういう技術者の訓練等も時間がかかるのじゃないか。ただし、それほどかかる問題じゃないと思います。そこで、いまのところ大体われわれとしては、五月の半ばごろにこれが完成するんじゃないか、こういうような見通しでやっております。なお詳しいことにつきましては、ひとつ松田課長から……。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 もう少しポイントだけ。
  29. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 本来担当しております北米第一課長がただいまおじやましておりませんので、かわって御説明申し上げます。  御指摘のとおり、このホットラインといわれる回線は、国際電電ケーブルから入ってまいりまして、KDDから外務省間は電電公社の専用回線、さらにそれが首相官邸に延びるわけでございます。電信業務の特殊性及び工学上の特性から若干の中継機能を外務省等で把握することになりますが、もちろん端末はホワイトハウスと首相官邸ということになっております。所要経費は本年度予算で約一千万でございますけれども、先ほどアメリカ局長説明のとおり、ただいま主として端末機器及びそれに接続する専用回線の取りつけ工事等をやっておりまして、そう遠からず完了の上所要のテスト等を行ないたいと、このように考えております。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 五月十五日は沖繩返還の日ですね。したがって、いまアメリカ局長おっしゃった五月中ごろというのは、おそらくその日を意識してのことだと思いますね。ですから、大体十五日には完全に通話ができる、こういうふうに理解していいわけですね。
  31. 吉野文六

    政府委員吉野文六君) われわれといたしましては、特にこの開通の日を返還日に合わせる必要はないとは思っておりますが、しかしながら、一緒にこれが運営できるならばなおけっこうだと、こういうつもりでいま必要な準備を整えております。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 松田さんでしたか、これは専用回線ですけれども、どういうあれですか、テレックスでやるんですか、それとも電話で直接話ができるようになるんですか。
  33. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 御指摘のとおり、これはテレックスでございます。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それでは吉野さんけっこうです。  私はきょうは電電関係を主に質疑をしたいと思いますが、その前に若干郵政の問題でお尋ねをしておきますが、まず郵政大臣にお尋ねしたいんでございますが、いわゆる庶民金融ですね、この問題はその後どうなりましたか。新聞の報道するところ、あるいはまた情報をいろいろ私ども集めておりますが、なかなか大蔵省なり郵政省なりの間で御意見がうまくまとまっておらないというふうに聞きまして、きわめてこれは残念に思います。私はいろいろ地方を歩き直接住民の皆さんと接触をしてみてまいりまして、この庶民金融に期待しているところは非常に大きいものがあります。人間というのは、たとえ千円でも人から借金するということは、これはたいへんな苦労が要るものです、恥ずかしいものです。ですから、何とか頭を下げないで安直に金融できる道といえば、これは非常にいいじゃないか。たまたま積み立て貯金に十万円しておる、これは期限がこなければ下げてくれない。定期貯金に入れた場合もそうです。ところが、急に病気になって五万円の金がほしい、そういうときに、その通帳と判こを持っていけばすぐだれにも頭を下げないで貸してくれる、非常にこれはけっこうなことだ、ぜひやってくれという強い要望があるんですよ。それをどうして、これは大蔵省にもきょう来ていただいておりますけれども、うまく話が進まないのか、私には絶対納得できないです、これは。大臣に最近の状況をお伺いし、大蔵省のほうからも、どうしてこれに対して大蔵省は賛成しないのか。最初から私が反対しているというふうに認識しておるものですから、間違っておったらこれはひとつ訂正いたしますけれども、お答えいただきたい。
  35. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいま郵政省で考えておりますいわゆる庶民金融、正確に申しますと、郵便貯金の預金者貸し付けの問題でございますが、この問題は、私ども庶民の福祉を増進するにはきわめて有効な制度である、こういうように考えて熱意を燃やしておりますことは、御承知のとおりてございまして、ただいま鈴木委員が非常に深い御理解を持って御激励を賜わりましたことを感謝申し上げる次第でございますが、御指摘のように、私どもといたしましては、今度の国会政府提案で出したいという念願を持っておりますわけでございますけれども、なかなか関係省庁との連絡理解がいただけない状態で、まことに残念に思っておるのでございます。いろいろ大蔵省のほうからも御答弁があるかと思いますけれども、私どもに先に言わしていただきますれば、大蔵省は、第一に、郵便貯金の預金者に貸し付けをするということは、これは郵便貯金制度の非常に大きな変革である、たいへんな問題であるというようにおっしゃるわけでございますけれども、私は常に申しますけれども、それが国民、庶民の福祉につながっておるということでございますならば、この郵便貯金が従来は預入をもっぱらやっておったわけでございますけれども、これは何も神さまがつくった制度ではございませんので、こういう機会に制度の変革をすることこそ最も望ましいんじゃないかというように考えております。  それから次に、財投に支障を来たすということをおっしゃっておられますけれども、私はこれは全然当たらない話だと思っておりますわけでございまして、今度の制度を創設しなければ、預金者が生活上の不時の入費につきまして預金を引き出すということになりますわけでございまして、それを補助したい、そのために立てかえをいたしたいと考えるのでございますから、と申しますのは、郵便貯金というのは、御承知のように、長く預けておけばおくほど有利でございます。特に郵便貯金の大宗をなしております定額貯金はそういうような制度になっておりますので、預金者のためを思いますと、途中で引き出しをおやめなさい、そのかわり貸し出しをいたしますよという制度を設けたいという考えでございまして、不時の入費に預金を引き出すべきところを立てかえをするというわけでございますから、私は全然財投には関係ないと思いますし、のみならず、そういう制度を始めますと、郵便貯金もおのずからふえてくるということになりますわけでございますから、むしろ財投という立場から申しますと、全額がふえて好ましいことじゃないかというように考えておりますわけでございます。これまた当たらない反論であるかと思っておりますわけでございます。  また第三に、銀行業者の立場を大蔵省はお考えでありまして、銀行業者の民業圧迫になるんじゃないかということをおっしゃっておりますけれども、これまた、従来、御承知のように、銀行業者というのは、庶民の五万、十万、二十万という生活上の入費に対しましては、ほとんど貸し付けをいたしていなかったわけでございまして、不動産を担保に持ってこいとか、あるいは有力な保証人を立てよとかいうようなことをおっしゃって、銀行業者はなかなか庶民の生活を助けてやるということをいままでほとんどやらなかったのでございますから、そういうブランクを埋めるというところに私どもはねらいを持っておりますわけでございまして、でございますから、郵政省のこういう主張に対しまして、銀行業者が最近庶民金融を始めようというようなことを出していらっしゃるようでございますけれども、これまたきわめてけっこうだと思うのでございまして、銀行業者もそういうことをお始めになる、われわれもそういうことをやりますれば、両々相まって庶民の福祉を増進するということになりますわけでございますから、これまた当たらない御主張であるかと思います。  それからまた、郵便貯金は税制の面において特に優遇しているじゃないかとおっしゃいますけれども、これは銀行預金と同じでございまして、郵便貯金は限度は百五十万円までしか預けられませんので、百五十万円ということにいたしますと、銀行預金も百五十万円までは無税でいきますわけでございますから、特別に郵便貯金が優遇されているということもございませんし、そういうようなことをいろいろ考えますと、私は大蔵省のおっしゃっていることは当たらないというふうに確信をいたしております。また、農協方面からも反対があるようでございますけれども、農協の信用業務をなさっておられます方はあるいは御心配かもしれませんけれども、農民自体から申しますと、農協から借り入れられ、郵便局からも金が借りられるというようなことでございますから、私は先日連休に郷里へ帰りまして、私の選挙区はもうほとんどすべてが農民でございますので、たくさんの数の農民に当たったのでございますけれども、一人だって郵便局がこういう制度を創設することについて反対者はなかったようでございます。ますます自信を強くいたしましたけれども。まあこういうことで、諸外国でも郵便貯金をやっております国は、この貸し出しをやっております国が多うございますし、また公共的に営利を離れて貯蓄銀行というような経営をしておるところもございますけれども、そういう外国の貯蓄銀行は、これまた大部分の国が貸し付けもいたしておりますような事例もございますし、また国会では、昭和三十七年度からでございますか、四回にわたってこういう制度は創設するように検討をやるべきだという御決議も本会議でいただいておりますようなことでございますから、ぜひやりたいというように考えておりまして、いろいろ大蔵省に折衝を続けましたけれども、なかなかまあ大蔵大臣も忙しいというようなことで、ちょうど予算のための国会であったわけでございますから、まあ非常に御多忙であったと思いますわけでございますけれども、やっと最近、せんだって大蔵大臣と私との会談ができまして、まあ事務的にも話をひとつ更新して進めていこう——実は事務的には私どもは大蔵省にいろいろ資料を提供いたしまして御検討を願っておいたはずでございますけれども、大蔵省ではあまり御検討をなさっていらっしゃらなかったということであったと見えまして、事務段階からまた始め直そうじゃないかというようなことになりまして、幸いに今月の二十日から、事務段階から発足いたしまして、検討を、協議を始めることになったわけでございます。ところが、御承知のように、今度の国会も残り少なくなっておりますし、大蔵省の、まあ大臣が参議院の大蔵委員会で御答弁なさった御趣旨、また第一回の二十日の事務折衝の段階お話の状況から申しましても、どうも大蔵省は少し気長にお考えになっていらっしゃるようでございまして、どうも今度の国会中に関係の省庁お話が妥結いたしまして、法律案を国会提出というようなことになるには、非常におぼつかない、不安な感じを持っておりまして、私はまあ非常に焦慮をいたしております。これは全く私の微力のしからしめるところだと思って、非常にはずかしく思っておりますわけでございますが、微力ながら最善努力はずっと一貫いたしまして続けておりますつもりでございますけれども、どうもそういう域にまで到達しないことを申しわけないと思っております。これは国民に対して申しわけないという気持ちで一ぱいでございますが、幸いに野党の議員さんの間におきまして、政府がまごまごするならばわれわれも議員提案でも出そうかというようなことで御決議を賜わった政党もあるやに承っておりますわけでございまして、まあ私といたしましては、私どもの力が足らずして政府提案がどうしてもできないと、まだまだ望みを捨てておるわけじゃ決してございませんけれども、間に合わないというようなことでもなりました場合には、議員提案でお出しになって、幸いにそういうような制度を開かれるということになりますれば、私はけっこうだと思っておりますわけでございまして、とにかく私どもといたしましては、政府がやろうと、あるいは議員さん方がおやりくださろうと、こういうりっぱな庶民の福祉増進のための制度というものが、こういう道が開かれさえすればそれでよろしいという気持ちでございます。決してこれは責任を回避するわけじゃございませんけれども、最後まで努力いたしますけれども、そういう議員さん方の動きにも非常に大きな希望を持っておるというのが現在の段階でございます。
  36. 藤澤正

    説明員(藤澤正君) 先生御指摘の庶民金融でございますが、この庶民金融の推進につきましては、まことに私どもも同感でございまして、たいへんけっこうなことだと思っておる次第でございます。ただ、こういういわゆる庶民金融という個人に対しまする小口の金融でございますが、これにつきましては、従来からも、民間の金融機関におかれましても、それぞれの特色を生かしましてやってきたわけでございまして、特に最近におきましては、金融緩和をはじめといたしまして、金利を引き下げるとか、あるいはまた融資ワクを拡大しますとか、あるいはまた信用調査機関を近々つくるというような動きもございまして、それぞれ、庶民金融といいますか、庶民に対します小口の貸し付け制度につきまして御説明をする、あるいは改善をするという動きが非常に活発でございまして、私どもといたしましても、今後日本経済の進度に合いましたこういう民間金融機関の行き方に対しまして、まことにけっこうなことだと、今後ともその方向で指導していきたいと思っておる次第でございます。  まあ、ただいまお話のありました郵政省の庶民金融、いわゆる預金担保——郵便貯金を担保といたしまする貸し付けの構想でございますが、ただ、これにつきましては、ただいま郵政大臣から御発言がございましたように、いろいろな問題がございまして、私どもといたしましては、決してこれはもう頭からだめだとか、いいとかいうことをきめてかかっているわけではございませんで、いろいろな問題点がございますので、ただいま事務当局の間で話を詰めておる段階でございまして、つい先日も、郵政省と私ども、あるいは農林省の事務当局の間で、問題点の検討を行なったばかりでございます。さらに、近日中に再度また話し合うという予定になっております。今後とも多角的にいろいろな立場からじっくり検討しなければいけない問題だと思っております。決してこれがだめだとか、いいとかいう、そういう頭からきめてかかっている問題ではございません。もう少し時間をかしていただきたい、そのように考えております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。私、少し思い過ごしのところがありましてね、その点は失礼したと思いますが、まあ大蔵がそういう考え方であるならば、なおさら、いまさっき私が最初に申し上げたような国民の要望は間違いないですよ、これはね。で、農協なんかも、まあ大臣がおっしゃったのですが、私も農協の人たちにも聞いてみましたけどね、上の幹部の人たちは反対だというようなことを言っておるのですね。しかし、実際のその農協の会員というものはこれを希望しているのですね。私は、金融というけれども、金融というのがどうなのか、その辺ちょっと問題があると思うのですよ。要するに、自分が預金をしておるわけですからね。その預金を出せないものですからね、そういう便宜的な措置でもって払い下げてもらうと、こういうことだと思いますがね。その辺のやっぱり解釈がはっきりしないと、問題がなかなか進まないと思うのですよ。ですからして、財政投融資の面からしても、かなり郵便貯金というものは国家に寄与しておるわけですね。その中で、一応あれは千億でしたですか、あの全体の額は、融資額は。
  38. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 社会党のほうで試案を出していただいておるのが、一人三十万で一千億でございましたね。で、私どもの党のほうでは、十万で千億ということになっておるようでございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 いずれにしても、財政投融資から回してもらおうというのは一千億なんですね。ですからして、その程度のものが郵便貯金の福祉のために使われるっていうことは、私は当然だと思うのですよ。だから、まああなたにあまり言ってもしようがないと思うけれども、しかし事務レベルに移っているということですからね。特に、あなたの答弁でも、さっきからの私の意見も十分わかってもらえると思いますからね。今後この国会にできるだけ提案が可能なようにやっていただく、これが一つですよ。もし皆さんがぐずぐずしておれば、これは議員立法もやむを得ないと思います。私たちの党はもうはっきり、一人三十万ですね、こういうことで態度をきめておりますからね。そういうふうな動きもあるし、特に国会で議決をしているという事実は、これはゆるがすことができませんよ。このやっぱり国会の決議に沿って行政がやるということは、これは当然のことですから、そういう点も踏まえて、今後大いにひとつ努力をして国民の期待に沿えるような結論を出すように、あなた、まあ局長にも大臣にもよく話をしてもらいたい。やってもらいたいと思うんです。きょうは大臣出席要求したんですけれども、大蔵委員会があって出られないというものですから、政務次官は何か決算だというんですね、来られないんですね。局長も来られない。だからあなたに出ていただいたわけですから、よくきょうの趣旨を伝えていただきたいと思います。
  40. 藤澤正

    説明員(藤澤正君) ただいまの先生の御指摘の点は、十分帰りまして上司に伝えることにいたします。今後とも検討してまいりたいと思います。  何ぶん郵便貯金は、明治以来の伝統ある、長年続きました制度でございますので、私どもとしましても、一朝一夕にこれを改正するというのは短い時間ではたいへんむずかしい問題だと、今国会に間に合いますかどうですかわかりませんですが、相当ある程度の時間をかけませんと、いままで長年続きましたりっぱな制度でございますから、むずかしいかと思いますが、十分御趣旨を体しまして今後とも検討を進めてまいりたいと思います。そういうふうに伝えたいと思います。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 あなた事務当局ですから、私はすなおに聞こうと思うんですけれども、しかし、趣旨には反対か賛成かきまっておらないと、むしろいろいろと話を——たちの意見もわかってくれたわけでしょう。そうであれば、すみやかに実現できるように努力するのがあなた方の責務だと。ところが、郵便貯金の基本にかかわる問題であるからそう簡単にはいかない、期間かけにゃいかぬ、そこに問題があるんですよね。だからその点がどうか、もう少し詰めて聞きたいけれども、まあ時間がないからきょうは省略しておきますけれども、いずれにしてもひとつ実現できるようにあなたも最善努力をしてもらいたいんです。  それから、それは時間の関係でおきますが、次に郵政大臣、この郵便貯金の金利の引き下げの問題については、ことしの国家予算編成のときに、日本経済の景気刺激策、高揚策として金利引き下げということが昨年から公定歩合の問題とあわせてやられてきておるんですけれども、大臣はかなり頑強に郵便貯金の利子引き下げについては抵抗していただきまして、その点は私はりっぱだったと思いますが、それでその後そういうことも大きな要因になりまして全体の金利引き下げということが若干足踏みをしているんですけれども、また最近金利引き上げが頭をもたげてきたように思うんですが、郵政大臣としては従来の考え方はいささかも変わっておらないと、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  42. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) この前、金利の引き下げが、公定歩合の引き下げに伴って郵便貯金も引き下げてもらいたいという要請がございましたけれども、当時は短期の預貯金についての問題であったわけでございますが、私は、銀行預金は下げてけっこうだと、しかし郵便貯金はどうしても下げられないということを申しました理由は、双方の短期に例をとって比較してみますと、銀行預金は七割までが法人の預金でございます。つまり会社の預金でございまして、しかもその預金の平均の預託の期間というものが〇・四カ月というきわめて短期のものでございますけれども、郵便貯金は、九割九分六厘までが個人の零細な貯金の集積でありますばかりでなく、その預託期間は七カ月と——〇・がつかず、七カ月というような長期になっておりますわけでございまして、こういうようなことから考えましても、いかに郵便貯金が国民、庶民の、大衆の貯金であるかということ、生活資金であるかということがはっきりわかりますわけでございまして、現在のような物価高騰のおりから、この郵便貯金利率を引き下げるということは、いまですら物価の高騰の率に比べますと非常に低い貯金の率でございますから、これ以上に下げるということになれば国民に絶望感を与える。お金を持って貯金しても全くだめだと、希望も持てないということになりますわけでございますから、これ以上下げるということには絶対反対だということを主張いたしましたわけでございますが、それも、現在なおそれが通りまして、現状に及んでおりますわけでございますけれども、今度はおそらく長期を含めての問題になろうかと思いますけれども、双方長期を比較をいたしましても、銀行預金は大部分が、大半が会社の預金でございますが、郵便貯金はこれまた依然として九割九分何厘までが国民の貯金だという実質は変わりないわけでございまして、私は、銀行預金と郵便貯金というものは全く異質のものだと、こういうふうに考えておりますわけでございます。したがって、今度重ねて公定歩合の引き下げがあって、預貯金の利率を引き下げなくちゃならないということになりましても、私は現在の情勢から申しまして郵便貯金だけは利率を引き下げる必要がないというように考えておりますわけでございますけれども、これは諸情勢を勘案いたしまして慎重には考えなくちゃならないと思いますけれども、現在の状態から申しますと、私はいま郵便貯金の利率を引き下げる必要はないというように考えておりますわけでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 大蔵省は、郵便貯金だけじゃなくて、一般の預金金利ですね。これと、それから同時に、この郵便貯金に対していまどういう考え方をお持ちか、ちょっと説明してください。
  44. 藤澤正

    説明員(藤澤正君) 御存じのとおり、現在日本経済の現状から申しまして、金利の低下の促進ということが一つの要請でございまして、これは景気のすみやかな回復をはかりますとか、あるいはまた海外金利の動向、あるいはさらにまた国民の福祉の向上とか、あるいは社会資本の充実など、いろいろな要請がございまして、そういう長期的な観点からいたしますと、やはり金利の引き下げということは必要かと考えておるわけですが、まあそういった考え方から見て、昨年末に第五次の公定歩合の引き下げが行なわれたわけでございます。御存じのとおり、ことしに入りまして貸し出し金利の低下はたいへん急速でございまして、非常に下がっていっているわけでございます。したがいまして、出面は、今後貸し出し金利をますます一そう低下促進させるということになりますと、預貯金金利の引き下げも検討していかなければいかぬという状況になってまいるわけでございます。そうでございますけれども、ただいま御指摘のとおり、預金金利につきましては、これはたいへん国民大衆の貯蓄に関連いたしますので、たいへんこれも取り扱いがむずかしい問題でございまして、預金金利の引き下げにつきましては国民大衆に与えます影響を十分考慮いたしませんとなかなか結論が出ないものじゃないかと、今後全般的な金利動向とにらみ合わせまして十分慎重に検討してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 電波監理局長に極東放送とVOAの問題を伺う予定にしていましたけれども、時間もだいぶ経過しましたから、これはまた他の委員会で質問することにしまして、きょうは割愛をしたいと思います。  それから、今度は電電公社のほうにお尋ねをするわけですが、まず、四十五年以来、景気がだいぶ停滞をして、いわゆる不況だといわれているわけですが、そういう中で、電電公社の四十六年度の予算に示された収入目標ですね、予算額における収入額、こういうものは、まだ最終的な数字はわからないと思いますけれども、おおよそどの程度になるか、もしおわかりでしたら教えてもらいたいと思います。
  46. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  四十六年の事業収入の見込みでございますけれども、ただいま御指摘がありましたように、まだ三月分の決算が済んでおりませんので、ただいま一番新しい数字といたしましては四十七年二月末までの数字でございますが、おおむね事業収入の目標に対しまして九九%、約一%未達成であるというふうな状況でございます。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それから、昨年は景気刺激のために財政面からてこ入れをしまして、御承知のように、国家財政あるいは政府関係についても予算の面で上半期に大幅に支出をやられるような工事の促進をやったわけですが、電電公社の場合は途中で設備増等もありましてかなり無理もされたと思いますけれども、四十六年度から四十七年度に繰り越していくような工事量というのは大体どの程度ございますか、進捗率にしてお答えいただいてもけっこうですがね。
  48. 好本巧

    説明員(好本巧君) 四十六年度の建設勘定の予算現額の中で何億ぐらい四十七年度に繰り越すような模様であるかという御質問だと思いますが、ただいまの推定をいたしますと大体四百億程度予算現額九千百億余りに対しまして約四百億程度ではなかろうかというふうに見込んでおります。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 それから、これは公社総裁に聞くということよりも、大蔵が来ておりますか。——昨年の財政措置としての公共投資の繰り上げ支出、こういうものが日本の景気回復に対してどういう影響を与えたか、その点の分析がなされておりますか。
  50. 上野雄二

    説明員(上野雄二君) 財政支出の経済効果につきましては、おりに触れましていろいろな分析はいたしております。全体として申しますと、公共事業、あるいはいわゆる振りかえ所得、それからまた減税、それぞれ経済効果がございまして、比較検討いたしておりますけれども、結論的に申しますと、やはり公共事業による景気浮揚効果が一番大きい、支出額の二倍あるいはそれ以上になるという数字が一番多いようでございます。もう一つ、先生御指摘のとおり、公共事業費の支出ございますと支出の時期を早めることができまして、この点は税のように一定のスケジュールできいてくるものよりも早くきかせることができるということが言えると思います。ただ、昨年度中の公共事業の追加促進措置が具体的にどのくらいきいたかという数字は、実は私どもはっきり残念ながら把握しておらない現状でございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 これはやはり、ああいう財政支出の繰り上げをやったわけですから、それがはたして景気にどういう影響を与えたかという分析は、当然これはやるべきですね。これは経済企画庁でやるのか、その点はよくわかりませんけれども、しかし、そういう措置をとられるのは政府であり、大蔵大臣所管に属することですから、そういうメリットの面を、十分成果の測定をしておかなければならぬと思うんです。ですから、いまここで、まだ時期も四月の時期ですから、総合的な測定をするのは多少無理かと思いますけれども、できるだけ早い機会に、経済企画庁等も、あるいはその他の役所とも連絡をとりつつ、この効果に対する測定をはっきりやっておいていただきたいと思うんです。  それから、あなた大臣でないからちょっと無理かもしらぬが、四十七年度の場合はより積極的に公共投資をふやしたわけですね、国債の発行その他も含めましてね。だからして、それで足りるのか、なおその上に財政支出の面で昨年と同様な措置をとろうとしているのか、その点はどんなものですか。
  52. 上野雄二

    説明員(上野雄二君) 確かに、現在の問題は、いまの景気をどの程度の水準にみるか、そうしてまた、先生御指摘のとおり、現在のいろいろな御検討いただいております予算を含めた措置がその景気の現状を正常な姿に戻すのに十分かどうかということだと思いますが、私どもは、四十七年度中の政府支出が大体十七兆をちょっとこえる、こう考えておりますが、この水準は伸び率にいたしましても通常の水準をかなり上回っております。そういうことで、通常の水準を上回った部分がかりに景気の浮揚にかなり働いてくるとすれば、通常の年の予算の場合に比べてGNPをたとえば一ポイントなり二ポイント上げる、そういうことは期待しておるわけでございます。全体といたしまして政府見通しにございます七%台をこえる実質成長率には持っていきたいし、持っていけるのではなかろうかというふうに考えております。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 これは、新しい経済社会発展計画というものは手直しをされたものか。いま作業を進めているでしょう。ですから、そういうものとの関連で日本経済がこれからどう動いていくのか、やっぱり相当にこれは慎重に判断しなければならないですけれども、とりあえず四十七年度の経済見通しというものは予算編成時に比べてどの辺がだいぶ当時の予測からはずれてきたのか、軌道修正を多少やらなければならないのか、そういう問題とも関連がある。ですからして、もう少し詰めた検討をしていただいて、私がいま指摘をした、予算で配慮した景気浮揚、景気刺激の予算内容でいいのか、さらに財政支出の面で昨年同様の措置をとるところまで必要なのかどうなのかという判断は非常に大事だと思いますから、予算が通っていよいよ実行段階に入りますと、早めにそれをやらなければいけないでしょう。しかも四月は暫定ですから、そういう配慮を、大臣ともよく話をしていただいて、やってほしいと思います。  それじゃ、どうも時間がだんだん少なくなってしまいまして、最後になるかもしれませんが、電電公社の四十七年度の予算を見ますと、従来の政府保証でない債券というものは縁故債という形で発行されておったんですが、ことしは公募するんですね。事業債というものを発行されるように聞いておりますが、予算的に見ると、一応政府保証債でない縁故債を含めたものを特別事業債とかりに呼ぶとすれば、その発行額がたしか千二百八十億になっておると思いますが、この千二百八十億のうち一般から公募するいわゆる事業債ですね、これは幾らを予定されておるのでございましょうか。
  54. 好本巧

    説明員(好本巧君) いまの御質問の、政府保証のない公募債と、それから昨年まで縁故債と称しましたいわゆる非公募の特別債、合わせましてただいま御審議をいただいております四十七年度の電電公社予算案では千二百八十億円が計上されておるわけでございますが、その内訳につきましては、公募特別債をどの程度金額を出すかということにつきまして、まだ発行条件も今後のことになっておりますし、発行条件と公募特別債の年間の発行額というふうなものを関係方面の御指導をいただきましてこれからきめさしていただくというふうに考えております。ただ、この予算の千二百八十億円の積算といたしましては、一千億円を縁故債、二百八十億円を公募債というふうなことで、積算上はそういうふうにしておりますが、実際に公募特別債を幾ら出すかということは今後おきめいただくということだと思います。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 経理局長、これは予算が一カ月おくれておりますですね。少なくとも、予算国会に提案されて、まあ今月の何日かに通るでしょう。そういう段階で、まだ公募債の発行額もわからぬ、またその発行条件についてもきまっておらぬということは、ちょっと理解しがたいですね。関係方面と相談をするとおっしゃるのですが、少なくとも国会に提案して、われわれの質疑段階でまだそれがわからぬというお答えはどうかと思うのですが、これは総裁どうなってるのですか。
  56. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  ただいま経理局長が御説明いたしましたが、まあ縁故債につきましては、従来共済組合が引き受けるものと、それから公社に縁故のある団体が引き受けるものと、それからもう一つは、最近は銀行が直に引き受けるものと、この三つに分かれると思います。それから新しく設けられました公募特別債につきましては、われわれいわゆる事業債と通称呼んでるわけでございますが、これは利子あたりから見て、従来の政保債とそれから縁故債とのちょうどまん中辺にくるのじゃないかと一応想像しているのでございますけれども、なお利率や発行条件等につきましては、経理局が郵政省なりあるいは大蔵省といろいろ準備的に打ち合わせはしていると思いますけれども、公社といたしましては、まだ予算が正式に成立していないものですから、公社のそういうものをきめる機関において正式にまだ議題にはしていないと、こういう状態でございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 それはおかしいじゃないですか、そういう考え方は。予算が通っておらぬからまだきめておらないというのですが、要するに、二百八十億を積算根拠にして公募事業債を発行するということになれば、その発行条件なり額というものはおおよそきめて——予算が通らなきゃきめちゃいかぬというものじゃないでしょう、これは。そういう仕組みになってるのですか、これは。そんなことはないですよ。
  58. 好本巧

    説明員(好本巧君) 御指摘の点は、たとえば政府保証債であるとかあるいは従来の縁故債というふうなものと若干異にしておりますのは、政府保証債の場合は、御案内のように、政府のほうで予算成立いたしました額は全額最終的に引き受けが見込まれております。縁故債のほうも、もちろん予定でございますから、一〇〇%それが完全に消化できるかどうかということになりますと、一〇〇%とは言えないかもしれませんけれども、縁故債の発行につきましても、大体一〇〇%のことを十分予測を立てまして、そういうふうな金額をお願いするというふうなことだと思います。ところが、今回の公募特別債は、何せ電電公社といたしましては最初のことでございますし、実際の市中金融市場にこれを公募するというときに、やはり発行計画と実際の消化というものの間に若干の危惧がございます。もし予算におきまして公募特別債の発行の金額とそれから縁故債の金額というものを独立にそれぞれそこできめてしまうということをいたしますと、私どもといたしましては、もし年度間に公募特別債が、何せ初めてのことでございますし、ある意味におきましては一つの試行だと思いますので、そういう安全度というものを見まして、もしこれが計画どおりにいかないというふうなことが起こりましたならば、資金繰りに欠陥が起こるということも考えまして、そういった場合は、縁故債のほうは昭和三十八年度以来相当の経験を持っておりますし、公募債と比べますと非常な経験も持っておりますし、また弾力性といいますか、自由度というものも新しい今度の試みの公募債と比べればまだ持っておるというふうに判断いたしましたものですから、ただいまの御指摘の千二百八十億というものを、緑故債と公募債と一応予算の積算上は一千対二百八十としておりますけれども、実際の発行面につきましてはそこに弾力性を持たせまして、旧縁故債と新しい公募債というものとお互いは補完できるようなたてまえから、両方合わせて千二百八十億というワクをおきめいただきまして、今後、最初の試みでございますので、いろいろ関係方面、政府方面、あるいは金融市場の方面、いろいろと御相談をして、御指導いただきながらきめていくというのでおくれておるということだと思います。
  59. 松永忠二

    主査松永忠二君) 私ちょっと関連して聞かしていただきたいのですが、財政投融資計画の中の電電公社の二百億というのが公募債借り入れ金等に出ている。いまの一千億という縁故債と特別公募債二百八十億というのは、この中の、財政投融資計画のどこに入っているのですか。
  60. 好本巧

    説明員(好本巧君) 予算総則の第21条に、「電電公社法第62条第2項の規定による電信電話債券」の限度額が第一項に規定してございますが、その中でイ、ロ、ハとございまして、イが「政府引受債及び政府保証債」二百億円でございます。ロが「電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律」、の規定によるところのいわゆる受益者引き受けの加入電電債でございます。ハが「イ及びロ以外のもの」でございまして、千二百八十億円とございまして、その千二百八十億円の中で、積算の根拠といたしましては、一応千二百八十億円は政府の財政投融資計画の中には入っていないわけでありますが、電電公社の発行する限度願といたしましては、千二百八十億円はその予算の積算の根拠として二百八十億円と一千億というふうに分けて積算しておるということを申し上げたわけでございます。
  61. 松永忠二

    主査松永忠二君) もう一度聞きますが、そうすると、ここに電電公社の自己資金等という九千八百五十億という中にはこれは入っているのですか。  それからもう一つ、いまお話のあった総則というのは、政府関係機関の予算の総則にあるのですか、いまお話のあったのは。その二点ちょっと聞かしてください。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 松永忠二

    主査松永忠二君) 速記をつけて。
  63. 好本巧

    説明員(好本巧君) 公社の建設勘定の総額は、一兆五十億円でございますが。その中で政府保証債が二百億円、それから先ほど御指摘になりましたその他九千八百五十億円でございますが、九千八百五十億円の中には、千二百八十億円が入っております。
  64. 松永忠二

    主査松永忠二君) 入っているのですね。
  65. 好本巧

    説明員(好本巧君) それで先ほど予算総則といいましたのは、昭和四十七年度政府関係機関予算予算総則の第21条でございます。それに限度額がございますが、その内容を御説明したわけでございます。
  66. 松永忠二

    主査松永忠二君) ちょっともう一度確かめますが、そうすると、九千八百五十億の自己資金等の中に、いまお話のあった千二百八十億という金額は入っているわけですね。そうすると、この九千八百五十億というのはどういう金額を入れてあるのですか、その内訳は。
  67. 好本巧

    説明員(好本巧君) 内部資金といたしましては、減価償却引き当て金、それから資産充当、それから、債券発行差損償却引き当て金、それから外部資金といたしましては、加入者電電債券、それから電話を新しく引くときに加入者からいただきますところのいわゆる設備料、そういうものでございます。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 この債券を特に今年度発行を認めたことはどういう理由ですかね。これはまあ公社法によると、六十二条で郵政大臣の認可を受けて電信電話債券を発行することができると、この条項に当てはまると思うのですが、従来は加入者債券として一般公募といいますか、政府保証債の公募ですね、それから縁故債、こういう方法でやってきたのですけれども、今度いわゆる政府保証のない公募債、これを新しく公社に認めたということですね。その意義と、それから大体その発行するときに今年度どの程度の額を資金調達の一助として事業債に求めるかということは、当然郵政大臣としても相談受けたときにきまっておったのではないですかね。この発行条件とか、消滅、時効ですね。——これはちょっと違うか——これは違いますね。そういうふうな事業債発行の意義と、それからまた、それを発行した場合の大体の条件、こういったものもある程度その話の中で出なければこれは発行に踏み切れないと思うのですよ。ですから、ことしの金融がかなり市中にだぶついているという、いま株がどんどん上がっているというような、こういう中で、いますでにそういう業界や銀行がこの事業債をめぐってかなり激しい葛藤を演じていると、こういう事実がある。私はそれをあとから指摘しようと思っているのですが、ですから、早くその発行条件とか、そういうものを明示してやらないと、かえって混乱を起こすようにも思うのですよ。ですから、国会予算が通らないからということですけれども、私はそれとの関係でその作業を進めていかぬということでないと思うのですよ。ですから、当然発行するには、こういう条件でこれだけの事業債を発行いたしたいと思いますと、これについては消化はだいじょうぶですと、この額においてはと、そういう自信に満ちた国会に対する答弁がなければ、何かあやふやで、幾らやったら消化できるのかというようなそういう遅疑逡巡をするような、そういうことでは私はおかしいと思うのですよ。国会に対する予算審議説明としてはちょっとおかしいと思う。この辺をもう少しわれわれにわかるように説明してもらいたいのです。
  69. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私から郵政省の考え方、一般論と申しますか、そういうことを御説明してみたいと思うのでございますが、昭和四十七年度は、御承知のように、建設投資額が一兆五十億という非常に多額、まあ一兆円台にのぼりましたのは今度が初めてだそうでございまして、いわば画期的な建設資金であるわけでございますが、と申しますことは、電電公社の工事能力の許す限り最大限度に一般の電話加入その他の工事を進めたいという熱意電電公社にありますわけでございます。そうして国民の期待に沿いたいと、一日も早く積滞数をなくし、また即時化をはかりたいという熱願を持っておりますわけでございますが、そういうことを考えますと、まあ、資金源の多様化と申しますか、各種の方法で資金を確保しなければならないということになりますわけでございまして、そこで今度は新しい道を開きまして、従来縁故債でありますとか、あるいは政府保証のあります債券ということになっておったわけでありますけれども、大いに大蔵省を説得いたしまして、政府保証のない一般の公募債を俗に事業債と申しておりますが、そういうような道を開くこともきわめて必要であろうということで努力をいたしたわけでございまして、幸いにそういう道が開かれたということを喜んでおりますわけでございます。その受託銀行等の問題についてはまた後刻御質問がおありだということでございますから、そのときにお答えいたしますけれども、そういうようなとにかくあらゆる方途を講じまして資金源を確保したいという、多様化という見地からこういうような計らいをしたわけでございます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 それはよく私どもわかるのです。ただ、予算との関係で、千二百八十億というものが特別事業債として政府保証でない債券として発行する、その中に縁故債と事業債をどういうふうにやるかということはまだきまっていないようなんですね。まあ一つの積算として二百八十億だと、こうおっしゃっているのです。だからして、二百八十億を発行した、それが市中消化できるのかできないのかという判断をおそらくいましているのだろうと思うのですね。だけれども、予算を提案するに際して、二百八十億なら二百八十億というものが、一応消化可能であるという判断を持つならば、あらゆる角度から努力をして、せっかくのこの事業債を、積算根拠に示されているような形に消化する努力をいまからやらなければうそですよ。それには早く発行条件やいろいろなことを周知して、それで理解と納得を得て、証券界なりあるいは銀行界の納得を得てやるようなやっぱり手だてをいまからやっておかないとおかしくないですか。それが予算が通らなければ発行条件もきまりませんと、額もまだちょっときまりませんと、これではわれわれとしては国会審議する立場からすれば、まことにわれわれとしてはまだ何を考えてこの事業債を発行したのかということに対して若干危惧を持つわけです。危惧というか、疑問を持つわけですよ。もっと自信があって事業債発行に踏み切ったのでしょう。これは来年も再来年もやるものなんですか、ことしの年度でこれは終わりなんですか。それらも含めてやっぱりこれから十カ年間にたいへんな膨大な電話拡充工事をまたやろうというのでしょう。拡充法も提案されているわけでしょう。ですから、そういう従来過去二十年やってまいりましたその長期計画と財政調達の、建設資金の調達にさらにもう一つのくふうをこらしてこういうものが出てきたと思うんですよ。そうであれば、最初の年ですから慎重でなければならぬと思います。しかし、もう予算は四月から動いてきているんですし、暫定であるとか、まもなく予算国会を通過する段階でまだそういう基本的な問題がきまっておらぬということは私は理解ができないということで質問しているわけですよ。これはまあ公社でも大臣でもどっちでもいいですよ。
  71. 米沢滋

    説明員米沢滋君) お答えいたします。  先ほどこの発行条件につきましては政保債と縁故債との大体間になるだろうということを申し上げたんでありますが、おそらくという意味も、これは数字そのものはまだ固まっておりませんけれども、その中間くらいになるんではないかというふうに考えております。それから公社といたしましては、まあ昭和四十七年度は最初の年でありますので、この千二百八十億の千億がそれに該当するというふうには考えていないんでありまして、大体三、四百億ぐらいじゃないか、これは私の想像でございますが、その辺を考えてこれは確実に消化できるんではないかというふうに思っております。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 いまから私がお伺いすることを見ましても、まあ総裁のおっしゃったように、私もかなりこれは消化できると思うんですよ。自信持っていいと思うんですね。最近の特に電信電話債券の市場における動きなんか見ておりましてね。そこで、主査に制約されておる時間がもう越えていますから、私はいまここで問題点だけを指摘をします。今後ぜひそういう点も考慮して間違いなきを期していただきたいと思います。  まず、いま総裁がお述べになりました現在の金融市場の金融の動き等を見ました場合に、かなり緩和されておる。したがって、公社債市場というのはまさに品不足ですよ、極端に品不足なんですよ。したがって、いま電電公社が発行しようとする事業債に対して、財界や金融界なり証券界というものはいろんな動きをしていますよ。それで第一勧業銀行などの銀行はまず代用受託銀行になりたい、それから証券会社のほうでは主引き受けの幹事会社になりたい、それからシェアをできるだけ多くしたい、こういう動きが出てくる。これはまあ当然でしょうね、銀行の筋からしても、証券からしても。これは当然だと思うんですよ。この当然な動きがかなり熾烈だということはやはり需要、供給の点についてはだいじょうぶだということを裏書きしていると思うんですよ。そういう意味において私はかなり自信を持ってこれはやってしかるべきだと思うんですよ。したがって、早くその条件を整備しておやりになったらどうですかと、こういうことを言っているわけです。そこでいままで受託銀行とかあるいはシェアの争いなんかを見ておりますと、加入電電債というのは大体第一勧銀ですね、それから政府保証債のほうは興銀、これが大体受諾銀行になっているようです。まあそのいろんな理由等は私ここでは聞きませんけれども、また、その加入者電電債と政府保証債との関係でシェアがどうなっているか。これはまあひとつあとで資料で出していただきたいんですが、受託シェアなんかの場合は興銀のほうがかなり握っているように思うんですけれどもね。それぞれの銀行ができるだけわが社で多くやりたいという、そういう動きをすることは当然でしょうけれども、これはやはりその受託手数料というものの以外に、やっぱりその銀行が——いままで第一と興銀が加入者債券なりあるいは政府保証債なりを受託するという、その銀行の従来の姿というものを、事業債を発行してもそれもひとつやっていくのだという、そういうかまえの中で動きが出ていると思うんですよ。ですから、これはもう一番どこの銀行に預託したら大事な事業債を完全に保護できるかと、こういう立場に立って公社は考えていただいていると思いますから、そういったいろんな動きもある中で、慎重を期してやってもらいたい。それから、証券界につきましては四大証券会社というのが、これは野村、日興、山一、大和、ここいらが主引き受けの幹事会社になっている。そうしてこの四社はやはりわれに有利と、こういうことでおそらく動いてくると思います。ですから、これらの点についても慎重を期してやっていただきたいと思います。いろいろと——日本勧業、角丸会社が加入者電電債の集荷量においては二五%から三〇%のシェアを持っているとか、いろいろ世間では批判をしておりますけれども、その批判が当たるところがあればこれは直していただくし、無用の批判であればこれはお返しするというようなしっかりした態度でやってほしいと思います。いずれにいたしましても、最近の銀行あるいは証券界が事業債によっていろいろな動きをしておるようですから、公社としても慎重な配慮をして間違いなきを期していただきたい、こういうことをお願いしておきます。  それから最後に、広域時分制への切りかえの問題がございます。これはもう法律が昨年通りましていろいろ準備をされていると思いますが、やはりなかなかこのPRがうまくいっておるかどうかわかりませんが、各所でこの三分の打ち切りといいますかね、三分で電話を登算されるのはこれはたまらぬというような反対の意見も出ているようです。ですから法律に基づいて公社がおやりになるわけですから、そういう趣旨をよく理解をしていただくと同時に、この切りかえ工事が円満にまいりまして、われわれが心配をしておりましたいろいろな幾つかの点も申し上げるまでなくあるわけですから、それらの点に配意をして完ぺきを期しこの切りかえをひとつやってほしい、こういうふうにお願いをし、最後の点若干総裁の意見も伺って、少し延びまして主査申しわけありませんでしたが、これで終わりたいと思います。
  73. 米沢滋

    説明員米沢滋君) ただいま御意見ございまして、最初の点につきましては十分郵政省あるいは大蔵省の御意見その他を伺いながら慎重に処理したいと思います。  それから第二点につきましては、特にまあ広域時分制というものは一般の方にわかりにくい点もあると思いますので、地域の住んでおられる国民皆さんの十分理解と協力を得ながら十分慎重にこれもやりたいというふうに思っております。
  74. 松永忠二

    主査松永忠二君) 郵政省所管質疑は、本日はこの程度といたします。  午後一時三十分に再開することとし、それまで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後一時三十八分開会
  75. 松永忠二

    主査松永忠二君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  昭和四十七年度総予算中、農林省所管議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  76. 和田静夫

    和田静夫君 まず、法務省にお尋ねをいたしますが、昨年の十二月の初めから約二カ月間にわたって金沢地検が追及をした金沢競馬場をめぐる一連の不正事件の概要をお示しください。
  77. 前田宏

    説明員(前田宏君) お尋ねの事件は、ただいま御指摘のございましたように、昨年の暮れから本年の二月初旬にかけまして金沢地検で捜査をいたしました事件でございます。立件いたしました被疑者の数が合計で二十八名でございまして、処理の結果は、そのうちで起訴した者が十九名、不起訴にした者が九名、かようになっております。
  78. 和田静夫

    和田静夫君 この発覚の動機は何ですか。
  79. 前田宏

    説明員(前田宏君) 事実関係の詳細までは存じていないわけでございますが、金沢地検からの報告によりますと、御指摘の金沢競馬事務所におきまして臨時職員の方の給与と申しますか、そういうものについての支払い関係で不正があるというようなことから捜査が始まったというふうに聞いております。
  80. 和田静夫

    和田静夫君 これはいわゆる一般的にいって投書ですか。
  81. 前田宏

    説明員(前田宏君) 投書という形であるかどうか、ちょっとつまびらかでございませんが、関係者からの申し出ではなかったかと思います。
  82. 和田静夫

    和田静夫君 これは農林省にもそういう意味での申し出、投書が出ているわけですね。
  83. 増田久

    政府委員(増田久君) 農林省には残念ながらこういう投書はございませんでした。
  84. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、被疑者のうち一般の競馬場関係者が全員起訴されていますね。ところが県の職員は、まあ二人の起訴にとどまった。で、金沢地検の武安検事正は二月一日の午後の記者会見で、起訴しなかった職員については、すでに社会的制裁を受けており、さらに刑事責任を問うのは過酷だと判断した、まあ、こういう見解を示されておられますが、この見解はまあ差別起訴の理由として妥当なものであろうかどうかということなんですが、その点は一体どういうふうにお考えですか。
  85. 前田宏

    説明員(前田宏君) ただいま御指摘の検事正の談話と申しますものを詳細承知していないわけでございますが、私どもの聞いております範囲におきましては、いろいろと事実関係がたくさんございまして、それぞれについてまあ不起訴の理由といいますか、そういうものがあるわけでございます。したがいまして、その不起訴の中には、事案が軽微であるといいますか、そういうようなものもございますし、また、証拠の関係上、起訴するに足りる認定ができなかったというようなものも含まれておるようでございますので、一がいには言えないのではないかというふうに思います。
  86. 和田静夫

    和田静夫君 まあ、まさに常識的に考えて検察官の訴追裁量権の行使というのは、完全に自由なものではなくて、そこにはおのずから一定の基準が存在をする。で、公平な起訴というのは、その重要な要件の一つであると思うのですが、したがって、上位者に軽いときは下位者にも軽く、一般人に重いときには公務員に重くすべきであるというのが常識でしょう。これによって公務員が受ける社会的な制裁、行政処分というのは、公務員という職務の特殊性からくるものであって、刑事責任を問うことは、これとは全く別個の観点から決定されるべきものだと考えられますが、この点はいかがですか。
  87. 前田宏

    説明員(前田宏君) まあ、刑事事件を起訴する、あるいは不起訴にするという場合に、いろいろな事情を総合的に勘案しなければならないということは申し上げるまでもないところでございます。まあその場合に、事実の内容、さらにはその動機とか、いろいろと判断すべき要素がたくさんあると思います。したがいまして、上位者であるから重いとか、あるいは下位者であるから軽いとかいうようなことはまた言えないのでございまして、それぞれの事案に応じた内容、または情状というものを判断すべきものだと、かように考えております。
  88. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、農林省にお聞きをしますが、去る三月十日の衆議院決算委員会で農林省の増田畜産局長が行なっている答弁を実は読みました。そして、私はまあ正直なところあ然といたしました。高級官僚の国民のいわゆる公僕としてのメンタリティーの欠如がもうここまでいってしまったのかという感じを受けたのが実は率直なところでありまして、たいへん怒りを覚えました。したがって私は、この問題はどうしても再度、衆議院で取り上げられているが、参議院で機会を見て取り上げなければならないと思いました。  で、あなたは最初こう言っています。「新聞に伝えられるような事実ではなしに、現実に不起訴になっておるわけでございまして、その点は役人としての節度は十分守ってもらったものと確信をいたしております。」、こういうふうに言っておられる。で、不起訴にさえならなかったならば、それで済むみたいに聞こえます。で、これはあまりにひどいので決算委員長からたしなめられていますよね、あなたは。これは御存じのとおり与党質問です、この決算委員会の質問は。そうして決算委員長も与党の方です。で、その決算委員長からたしなめられた末、増田政府委員は、「私の本意、趣旨を誤解される点があろうかと思いますので、そういう点は取り消してけっこうだと思います。」と、こういう形になっている。そこで、畜産局長にお尋ねをいたしますが、前言のどの部分をあなたはこの機会に取り消されたのですか。
  89. 増田久

    政府委員(増田久君) もう一度私の本旨というものをこの際申し上げておきたいと思います。この事件で、確かに競馬というような特殊の世界の監督者としてこういう事件で取り調べを受けるということは、それだけで世間の多くの誤解を招くということになる、これはもう否定すべきことではないと思うわけでございます。したがって、そういう者のモラルと申しますか、そういうものは人以上重く考えなければならないという点は私は当然だと考えておる次第でございます。しかしながら、今度の事件でいろいろ新聞等で見ておりますと、さも何か職務上の便宜を与えたとか、そういうようなことで、いろいろ取りざたをされておったわけでございますが、われわれのほうもわれわれなりに厳重に調査をいたしました。そういたしましたところ、いわゆる職務関係というものはこの間に全然なかった、確かに不相応の供応を受けたという点は私も認めざるを得ないと思うわけでございますけれども、その間を聞いておりますと、こういうことを言うのはどうかと思いますけれども、向こうの部長とたまたま前々監督課長というものは高等学校以来の同期生であったというようなこともこの間の一つの事情としてあったのではないかというふうに感ずるわけでございますが、それはそれといたしまして、何ら職務関係というものはないという事実と、それから、帰京後直ちに相応の金銭を送金をいたしておるという事実があるわけでございますので、本人はその不相応な供応を受けたということに対しては十分に反省し、また、責任を感じているわけでございますが、それはそれとして刑事上の責任に問われるような事実はないのではないかと、こういう意味で私申し上げたわけでございます。
  90. 和田静夫

    和田静夫君 いや、質問に答えてくださいよ。
  91. 増田久

    政府委員(増田久君) 私の取り消しましたのは、何か隠して、突っぱねて部下を、何と申しますか、不当にかばったというような点をこの全体の語調の中から与えたということにつきましては、私としてそういう趣旨のことについて取り消したというつもりで申し上げたわけでございます。
  92. 和田静夫

    和田静夫君 あなたはその前言で、先ほど読みましたように、「新聞に伝えられるような事実ではなしに、」云々と言っているわけですね。この発言は、この事件で新聞に発表になった事実の中に何か誤りがあったというようにとれるわけですよ。で、どの新聞のどの記事が間違っていたのか。
  93. 増田久

    政府委員(増田久君) こまかい、どの記事でどうと、こういうことば残念ながら、まことに申しわけございませんが、記憶にございませんが、一般にある職務に関連して供応を受けた、ある便宜供与のために受けた、こういうような報道等がなされておったのを私は記憶をいたしておるわけでございます。そういう事実は全くない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  94. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、あなたが取り消された部分について、これは北国新聞でありますが、「昨年四月二十七日、午後五時ごろ、金沢競馬場の運営監査に来た月本道彦競馬監督課長(当時)ら二人と立花農林部長ら県と競馬事務所などの六人が一緒に山中温泉のよしのやへ行った。ひと風呂浴びて、六時半ごろから芸者四人を呼んで宴会になり、九時ごろから全員が階下フロアのスタンドバーに行って十時ごろまで飲んだ。農林省の役人二人は、高級ブランデーを飲んで上きげんだった。その晩は、農林省の二人は奥の貴賓室で泊まり、残りの立花部長らは数室に分かれてざこ寝した。立花部長は翌朝所用があると言って先に帰ったが、ほかの者は、午前八時ごろから安宅ノ関を見学、農林省の役人はそのあと動橋から東京へ帰った。」この事実に誤りはありますか。
  95. 増田久

    政府委員(増田久君) こまかい点については承知をいたしておりませんけれども、大筋としてはそういうふうに伺っております。
  96. 和田静夫

    和田静夫君 この部分については取り消されない事実がある。そこで、この中に出てくる月本道彦さん、当時の競馬監督課長、それから大越芳監督官、この二人はいまどうされていますか。
  97. 増田久

    政府委員(増田久君) 月本君は、この事件後間もなく水産庁にかわられまして、現在協同組合課長をいたしております。大越君はそのまま監督官をいたしております。
  98. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、言ってみれば、県の担当者というのは、どういう処分をされたか、おわかりになっていますよね。
  99. 増田久

    政府委員(増田久君) 承知をいたしております。
  100. 和田静夫

    和田静夫君 後ほど触れますが、免職になった人もいます。非常にそういう意味では気の毒なことになっていますがね。ところが、農林省のお役人だけはのほほんとして相変わらず出世街道にあるわけですね。農林大臣、こういう状態というのはどういうふうに理解しておりますか。
  101. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 非常に遺憾なことだと私は思っていますが、その後——私も事件の当時、ちょっと病気して入院しておって知らなかったのですが、出てきましてからその実情をよく調べて聞きました。聞きましたところ、確かに過分の供応を受けたと、こういう事実があったということも聞きました。しかし不相応だと、まあ農林省の職員も感じたのでございましょうか、金沢から帰ってから相応の金を送金した、こういう事実もあるということも聞きました。そしてまた、その供応を受けた金は返しましたが、その間に何か職務上の取引関係、いわゆる収賄的な関係があったかということを調べましたが、そういうことはなかったと、そこで起訴もされなかったというふうに聞きました。こういう諸般の状況を考えましたが、とにかく遺憾なことでございますので、世間の誤解も受け、また、公務員としての立場からそういう誤解を受けたということは私としてもまことに遺憾に存じまして、厳重に行政処分をしたのでございますけれども、その処分はしましたが、現在いま局長から話したように、現職におる者、あるいは職場がかわりましたけれども、その職場に勤務しておる者と、こういうような状況でございます。結論的に言えば、まことに遺憾であったと、私も考えております。
  102. 和田静夫

    和田静夫君 月本競馬監督課長のこの出張ですね。昭和四十五年四月二十七日時点の出張、これはどういう名目で行なわれたのですか。
  103. 増田久

    政府委員(増田久君) 私の記憶では、まず長野県に参りまして、長野のいわゆる畜産振興事業というのを現在やっておりますけれども、その事業の実施状況を視察の上、金沢の競馬場を視察し、さらにたしか京都だったと思いますが、京都の競馬場の監督に行った、こういう業務命令になっていると記憶しております。
  104. 和田静夫

    和田静夫君 これは旅費その他の調書、すべてあるということですね。
  105. 増田久

    政府委員(増田久君) それは全部現在書類はございます。
  106. 和田静夫

    和田静夫君 それはいただけますか。
  107. 増田久

    政府委員(増田久君) 後ほど提出をいたします。
  108. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、競馬監督官というのは、どういう任務を持った役職ですか。
  109. 増田久

    政府委員(増田久君) この競馬監督官という仕事につきましては、現在競馬法という法律がございまして、その競馬法に基づく監督業務を現実に行なっているということでございます。こまかく申し上げますと長くなるわけでございますが、それぞれの条文に従いまして、いろいろの監督業務をやっておるということで、若干の例を申し上げますと、たとえば地方競馬の施行に対する農林大臣の権限ということになるわけでございますが、たとえば、町村の指定についての自治大臣の協議を受けることだとか、あるいは都道府県の年間開催回数の上限を定めることだとか、一回の開催日数の上限を定めること、あるいは開催の日について制限を設けること、その他競馬法に基づいて、権限としては約十数項目にわたっての権限が認められている、こういうことでございます。
  110. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、農林省の監督官という役職ですね。いま言われた役職が、監督する側が監督される側から供応を受けても平気でいられる、そういうことですか。
  111. 増田久

    政府委員(増田久君) 供応を受けるということにつきましては、これはわれわれ日ごろから厳重に注意をいたしているところでございます。そういう点で、今度の事件につきまして、先ほど若干申し上げましたけれども、この事件につきましては、向こうの農林部長とたまたま月本君とが高等学校以来の同期生であったという事実がございまして、そういう関係の中で、この問題はやはり考うべき性質の点があるんではないかというようにわれわれ考えているわけでございます。
  112. 和田静夫

    和田静夫君 しかし多くの場合は、そういう関係で誤りが起こるので、そうすれば、たとえば金沢の町に高等学校時代からのお二人がお残りになって、それは飲み遊ぶというようなことは自然ですよ。そういうくふうというものは、それはお互いあることですから、当然なされてしかるべきでしょう。先ほど来あったような、読み上げたような事実というのは、あなたが取り消されない以上、厳然としてあった事実ですから、これは客観的にながめて、あなたがあとからつけられているような言い方で釈明をされようとしても、それはやはり通りませんよ。何も私は、そのことよりも問題は、たとえば、会計検査院が検査対象者、これにはやはり高等学校の同期生もいれば、あるいは役職の関係でいえば、先輩、後輩より情実で結ばれている関係がたくさんあります。しかし、そば一ぱいでもごちそうになってはいかぬ、どんな粗末な物を取ってもいかぬ、こういわれているのです。少なくとも、表面上はそういうことになっています。したがって、過日、私は決算委員会で雇用促進事業団が会計検査院の幹部をもてなしたことを取り上げましたら、御存じのとおりすぐ処分が行なわれました。もちろん、これは後日談があって、その後日談は、衆議院予算委員会の幾つかの分科会で取り上げられていますから、ここでは言いませんが、明確な贈収賄が成立をしていなくても、こういうような形でもって監督する側と受ける側との関係というものは、やっぱりきびしいと思うんですよ。とにかく会計検査院の場合はそういう形の処分をしているんですが、農林省の監督行政というのは、言ってみれば、いま言いのがれ的にいろいろの事情を述べられるがごとくきびしさがない。私はなぜこの二人が処分をされないのかということについて、大臣は厳重に処分をされたというんですが、どういう処分をされたのか、この機会に承りたいのでありまして、自治体の側はたいへんきびしい処分をしておるわけですよ。
  113. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 自治体とはだいぶ処分のあれが違うようでございますが、農林省としましては、いわゆる戒告よりも軽い厳重注意でございます。厳重注意を二月七日に文書をもってした、こういうことでございます。
  114. 和田静夫

    和田静夫君 一ぺん四十五年四月二十七日の会合に出席した者の一人一人の名前をあげてくれませんか。
  115. 増田久

    政府委員(増田久君) まことに申しわけありませんが、農林省から月本君と大越君が出たという以外、向こうの農政部長、それから競馬事務所の所長、それからたしか市の方とかいうことで、ちょっと人数名簿正確には覚えておりませんので、申しわけございません。
  116. 和田静夫

    和田静夫君 法務省わかりますか。
  117. 前田宏

    説明員(前田宏君) 具体的な出席者としてはちょっと把握しておりませんので、あるいは若干違うかもしれませんが、先ほど来御指摘の県の農政部長、あるいはその次長、それから当時の競馬事務所長、あるいはその事務所の職員という方が出ていたのではないかと思います。
  118. 和田静夫

    和田静夫君 そのほかに、いま言われた農林省の関係の二人ですね。そして金沢市の農林部長、それから金沢競馬土地会社の専務、これは武安検事正がインタビューで言われていることですから、明らかですが、これを見ますと、局長、いろいろのことを言われますけれども、ほとんどが事件の関係者なんですよ。監督に手ごころを加えてもらうような宴席が設けられたとしか客観的には思えませんが、いま大臣から承ると、厳重処分、履歴書にも残らなければ給与上も何の関係もない。ところが自治体の、たとえば山口良太郎事務所長は免職ですね。こういうような形ですね。これと対比してみて、私は農林省の行政処分というものに対してたいへんな疑義を抱かざるを得ません。大臣いかがです。
  119. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 農林省としても、いろいろ何といいますか、よくない事件を起こしておる例もいままでたくさんあります。そういうことの例にならって、大体この程度のものはこの程度の処分というようなことが、これはあったろうと思います。そういう関係で、その事件に関して何といいますか、複雑したことはない協応にあずかった。これは公務員としては刑事罰あるなしにかかわらず、行政官としてはよくないことでございますから、しかし、それも私が調査したところによりますと、供応を受けて帰ると、直ちにその相応の金銭も送金して何といいますか、悪かったという気持ちを送金するということによって自覚したというような点もあった、こういうふうに私も思います。そういう意味におきまして、農林省としてまことに申しわけないんですが、いろいろ事件もこれ以外にも起こしておりますし、そういう場合に、この場合はこの程度の何といいますか、行政罰というようなことでやっておった例があると思います。そういう意味におきまして書面による厳重注意、自治体の人とはちょっと均衡がとれていないようでございますが、そういう処分に出た、こういうふうに私は考えております。
  120. 和田静夫

    和田静夫君 現在二人は検察審議会にかけられているわけですから、しかもさきにみたように、公務員が行政処分を受けるという前提で不起訴になっているわけです。したがって、そういう意味では行政処分がたいへん手ぬるい、そうして考えてみなければならないのは、後ほど農林省の天下り問題少しやりたいと思うんですが、言ってみれば、農林省関係といいますか、中央官庁の人たちと自治体の人たちと同じような条件の中に置かれながら、片一方は免職です、懲戒免ですね。こういうような形になっていますね。片一方は厳重注意ですよ。何も厳重注意なんて、文書で示したなんて言っているけれども、そんなものは別に公務員に常識的にはたいした影響を与えていない。同じような形でちゃんと出世街道にいることは明らかですね。私はなぜ自治体がこういうきびしくなるかといえば、自治体はより住民と直結をしているからです。したがって、金沢市民なら金沢市民の言ってみれば怨嗟の声が、石川県民なら石川県民という政治の主人公の声が、たいへんな勢いで知事なら知事の耳に聞こえる状態、その政治の主人公の怨嗟の声が耳に聞こえる条件の中で知事は手続を経たと思う。ところが農林大臣はこの声が聞こえない。その前にもっと聞かなければならない局長は、この声が聞こえないがゆえに衆議院におけるような答弁が行なわれる、そういう状態が、こういう片寄った処分としてあらわれる、こういうふうになっていると思うんです。したがって、大臣はこの処分については、おそらく御存じなかったんだと思うんだが、あとから払いましたというなら、払った金額は幾らでどういうものだというようなところまで、つまらぬ論議にならざるを得ませんから、そんなことまで私はここで言おうとは思いませんが、この処分については、もう少し再検討をされてしかるべきだと思います。いかがですか。
  121. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 処分についての再検討というのはできません。できませんが、その事情については私もほんとうに詳しく徹底的に聞いてはおらなかったわけですから、その事情については、なお調査して聞くということはいたしますが、処分を取り消すとが、違う処分をするというような意味での再検討はちょっとできかねるわけであります。
  122. 和田静夫

    和田静夫君 後段の部分で触れられたような形で、大臣は御存じなかったわけですから、十分に調査をされて、調査された結果、すでに行なわれたところの処分というものが、非常に不当であったならば、調査結果に基づいてのやっぱり再考ということはあり得る、それは当然のことでしょう。前段的には処分というものについて再考はあり得ないんだというようなことで調査をされたところで、それはとにかく期待にこたえるということにはなりませんよ。
  123. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) とにかくよく調査してみます。
  124. 和田静夫

    和田静夫君 その調査の結果たいへん今日までとられてきている態度が不当であった場合においては当然そこにさかのぼったところの処理のしかたがあり得る、こういうふうに理解をし、また私はそのことを強く意見として述べておきたい。  次に移りますが、馬丁ストが泥濘化をしていますが、そこには複雑な事情が介在をしているようですが、少し説明をしてください。
  125. 増田久

    政府委員(増田久君) 具体的なストの内容につきましては、幸い中央競馬会の理事長が出ておりますので、理事長のほうから説明させていただきたいと思います。
  126. 清井正

    参考人(清井正君) 御説明申し上げます。  申し上げるまでもないことでございまするけれども、問題になっております馬丁さんは調教師の雇い人ということでございます。調教師が馬主から馬を預りまして馬丁を雇ってその調教をするということでございますので、雇用契約は調教師との間に結ばれておる。したがって、雇用契約に基づく労働条件等は調教師との間に毎年いろいろ折衝をいたすということになっているわけでございますが、ことに本年も例年のごとくにその問題につきまして現在紛争中でございます。問題は、馬丁さんの主張の中には経済闘争ということもむろんあるんでございますけれども、それ以外に馬丁さんのほうでいわゆる地位に関する闘争あるいは人権に関する闘争ということを言っておられるそうでございますが、そういう意味の気持ちがその経済闘争の中に含まれているというふうに私どもは判断をいたしております。と申しますのは、馬丁さんはなるほど馬丁ということば自体が非常におかしいことばでございます。その点につきまして、私どもも中では実は馬丁ということばを使っていないんであります。法律に馬丁と書いておりますのでやむを得ず法律上では馬丁と言いますけれども、われわれは馬丁さん方の気持ちも察するし、また昔のごとく馬丁というと、いかにもその中に一種独特な気持ちが入っておりますので馬丁ということば使っておりません、私ども内部では。馬手——馬の手でございます。馬手あるいは厩務員、厩舎の厩務員、そういうことばを使っております。そういうことにも端を発しまして、いわゆる馬丁さんの中にはそういった地位をもっと引き上げろと、こういう意味の要求が経済闘争のほかにあるものたというふうに解釈をいたしております。現に数次にわたって団体交渉を調教師と馬丁さんとの間にいたしておりまするけれども、いまだに解決に至らないんでございますけれども、実は、本日午後一時から現に私どもの事務所において団体交渉をやっております。そういうようなことで、私どもといたしましてはすみやかに解決してもらいたいものだという感覚を持っておるわけでございます。と申しますのは、御承知のとおり、その間にスト行為がございましたために競馬が開催が停止になっております。前後四日間停止になりまして、一日に三つの競馬場で競馬をいたしますので、四日間で十二の競馬がとまっているという状況でございます。私どもは競馬の開催の責任者といたしまして、すみやかに調教師さんと馬手との間の問題が解決しまして平常に戻ることを熱望いたしておる、こういう状況でございます。
  127. 和田静夫

    和田静夫君 私も馬手と言ったつもりで、馬手というと主のほうとちょっと聞きにくいと思って馬丁と言っているんですがね。そこで時間もありませんからあれですが、中央競馬会それから日本調教師協会ですか、それからいわゆる馬手組合ですね、この三者の話し合いを持って、その中から、かなり抜本的な制度改革を行なわないと、こうした事態が毎年繰り返されることになるのではなかろうか、そういう声が高まっていますし、いろいろの論調を読んでみてもそういうことを感じておるんです。これを農林省としてどうお考えですか。
  128. 増田久

    政府委員(増田久君) ただいま先生がお述べいただきましたように、馬主の問題のみならず——馬手の問題一つとりましても実は賞金制度だとか、調教師制度だとか、そういうもろもろの制度と実はからみ合ってくる問題だというふうにわれわれ理解をいたしているわけでございます。そういう意味で、競馬の今後のあり方は一体どうすべきかということにつきましては、実は、昨年度から競馬問題懇談会というものを設けまして、大臣の諮問機関でございますが設けまして、目下鋭意検討をいたしておる。そういう中で当然この馬手問題も一つの改革と申しますか、改善の対象として取り上げられるようになるだろう、かように考えているわけでございます。
  129. 和田静夫

    和田静夫君 四十二年度のあの大きな争議が終結をした際に、昭和三十五年二月中労委が出した、競馬会というのは、馬手労組に対する調教師会の使用者責任についてその担保責任があるというあっせん案が確認されておりますね。さらに、日本中央競馬会というのは、馬手との間に労使関係がある、こういうふうに——これは京都地裁の判決ですね、下級審の判決であります。これもある。そこで、中央競馬会はやっぱり馬手労組との話し合いの場に出ていくべきだと思う、こういうようなことからですね。大臣はそういうふうにお思いになりませんか。
  130. 増田久

    政府委員(増田久君) まことに恐縮でございますけれども、そういう労組の技術的な問題でございますので理事長から答えさしていただきたいと思います。
  131. 清井正

    参考人(清井正君) 先生御指摘のとおりでございます。かつて昭和四十二年にちょうど今回と同じような実は問題が起こりました。それで、私どもの当時の副理事長も中労委まで出まして、中労委のあっせん案といたしまして、三十五年の二月十九日のあっせん案第五項を確認するということを当時のあっせん委員から出されまして、それに対する確認書ということで私ども三者で確認をし合ったわけでございます。その点は先生御承知と思いますけれども、今後さらにそのあっせん案第五項を確認するとともに、今後さらに、労使関係の安定のために責任を持って積極的に努力するということでございます。そのあっせん案の第五項が担保の責に任ずるということでございますが、担保の責に任ずるといいましても、いわゆる非常に抽象的なことばでございますので、一体その担保の責に任ずるとはどういうことであるかということをその後私ども中労委の事務局ともよくその担保の責に任するということの意味を確定をいたしたわけでございますが、その場合におきます私どもの考え方といたしましては、とかく調教師さんと馬手との間には団体交渉いたしましても、なかなか一たん約束したことが実行できないということがよくありまして、馬手の労働組合の中に相当不満が実はあったという事実がございます。そういうことが端を発しましてただいまのようなことになったというふうに私ども理解をいたしておるわけでございますが、そこで、私どもは担保の責に任ずるということの意味は、ちょうど調教師は私ども免許権を持っておりますので、その免許権を有する私ども日本中央競馬会使用者である調教師をして協定の違反等の行為を行なわないように労働協約の債務履行について免許をする権利を持っている面から督励すると、こういうことをまあ確認をいたしておるわけでございます。文書はこうなっておりまするけれども、決して私どもここにあるからそのままだということでないんでありまして、事実ただいま申し上げましたとおり馬手がストライキをすれば、私ども競馬がとまるという実際問題もございますし、そうでなくても馬手さんが直接馬を扱って馬を愛して、そうして競馬に出るように調教するのは馬手さんの責任であり、その任務は非常に重大であるわけでございます。しかも人数も二千人近くおられるということでございまして、やはり馬手さんの地位というものをもっともっと確立すると申しますか、われわれ競馬サークルの中における馬手さんという地位をもっとしっかりしたものにする必要があるということは私どもも確認をいたしております。したがいまして、今後、いままでも若干やっておりましたものの、確かに不十分な点があったわけでありますけれども、競馬会と馬主さんとの間のコミュニケーションが少し足らなかったという点もありますので、今後そういう点を十分気をつけまして、馬主さんの意向がありますれば、その意向について十分聞いてまいりまして、馬手さんの地位の向上と申しますか、そういう意味のことを今後やってまいりたい、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  132. 和田静夫

    和田静夫君 私はなぜ農林省に聞いたかというと、監督行政の立場にある農林省として、大臣ここでやっぱり中央競馬会というのは馬手労組との間における団体交渉の場に出るべきだと、大臣が一言ここで言われることの影響というのはたいへん私は重要だと思うのです。そのことによっていま中央競馬会が答弁をされたような形で前進があり得ると思うんです。いまのような状態でコミュニケーションを、ここの答弁の技術としてコミュニケーションを回復していっているんだなどと言われていましても、それは現実なかなかそうはならない。そういう意味で大臣に答弁を求めたい、いかがですか。
  133. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 非常に監督庁として重要な立場にありますから、いろいろお話のような点などにも十分注意してまあ出るべきところは出る、そういうことにしなくちゃいかんと思います。
  134. 和田静夫

    和田静夫君 上級職の甲試験を通って農林省の幹部職員候補者となる人ですね、毎年何人ぐらいいらっしゃいますか。
  135. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ちょっと突然のお話でございまして、私数字を記憶しておりません。百名はこえておると思います。
  136. 和田静夫

    和田静夫君 その一人一人について、ポスト異動の状況というのは説明できますか。
  137. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいまのお尋ねは、たとえば去年なら去年入りました君名についてですか。
  138. 和田静夫

    和田静夫君 はい。
  139. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) それは全部履歴書がございますからできると思います。
  140. 和田静夫

    和田静夫君 それは、ここではできないでしょうが、昭和三十五年以降の一覧表をつくっていただけますか。
  141. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) おそらく千何百名かに達すると思いますので相当時間を要すると思いますが、つくって出します。
  142. 和田静夫

    和田静夫君 じゃそれをつくっていただきます。  そこできょうは、私のほうももちろんその異動状態が用意できませんでしたから、きょうは約束をしたいことが一つあります。それはこの国会始まって以来、実は自治大臣と地方行政委員会の論議を通じながら、ついには法制局長官、それから佐藤総理まで呼んでということで、総理はまあ予算委員会関係で結果的にできなくて——一定の政府見解との間で折り合ったところがあります。それはこういうことなんです。一つの問題は、農林省関係ありませんが、いままで戦後ずっと行なわれてきた自治省の採用が公務員法違反であったことについて、明らかにこれは陳謝をさせたわけですが、これは関係ありません。それは甲の試験に受かったので、自治省に置かずに二十名なら二十名を一挙に自治体に出して、そして二年後に吸い上げてきて二年間ぐらい輝いて、三年目にまた地方に課長ぐらいで出している。吸い上げてきて、次は部長、そして副知事というような形のことがありましたが、そこの部分は農林省関係ありませんが、次からの部分です。  まず、この幹部職員の採用については公務員法の原則に基づいて採用をする。これは農林省の関係でも約束ができますね。
  143. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 公務員法等の原則に基づきまして上級職を採用しているわけでございます。
  144. 和田静夫

    和田静夫君 二つ目は、自治省及び各省庁と地方団体との人事交流については公開の場で協議をする。このことについて、何ぶんにも人事のことであるのであまり早く公開をするとまともな話もこわれることがある。その点の配慮は一応はいわゆる人事権があるほうですることを留保的な条件としながら、要は各自治体にいるところの職員団体との摩擦を避ける、そういう努力はいたしますと。これが自治大臣との二つ目の——自治大臣との関係では三つ目ですが、いまあなたとの関係、農林省との関係では二つ目の約事ごとにしたいのですが、これはよろしいですか。
  145. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ちょっと私、公開の場というのはよくわかりかねるわけでございますが、ただいまのお話を伺っておりますと、あるいは私の聞き間違いかもわかりません、職員団体との摩擦を避けるというのは県当局の話ではないかと考えるわけですが、それでよろしゅうございますか。
  146. 和田静夫

    和田静夫君 そうです。
  147. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) その点につきましては、農林省が確認をするというよりもやはり県当局、いろいろ県によりまして事情があるいは違うかと思いますけれども、そこでの事情によろうかと思います。
  148. 和田静夫

    和田静夫君 いや、そのことはそういう理解ではないのだね。この裏にあるものは何かというと、いわゆる自治省官房長との間におけるここでの補足的な答弁、これは結果として、退職をして本人の行き場がなくなるというような事態は避けます、農林省を退職をして、しかし自治体では天下りに反対ですから天下り反対運動が起こる。その結果自治体は受けません。本人は農林省には帰れないということでは非常にお気の毒ですから、そういう意味では行き場所がないようなことにならないようにするということですね。結果的には、公開の場との関係において言えることは、あした四月一日だといえば、三月三十一日にならなかったならば、だれが来るのかさっぱりわからぬというような、そういう、言ってみれば、秘密的な天下り人事というものは今後行なうべきではない。それに対しては当然反対だ。行なわないところもありますよ、もちろん。起こるところもある、起こった結果において、その人の行き場所がなくなる場合がありますよね。そういう場合においては結果的には農林省が引き取られる。こういうことを内包をしておる抽象的な原則ですね、人事についての、いかがです。
  149. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 私もずっとその辺の人事をやっておったわけではございませんで、いろいろな的確な、あるいはそういう例があったのかもわかりませんが、普通は県知事さん、あるいは総務部長さんを通じまして、こういうような能力のこういう人がほしいという話がかなり事前にありまして、そこで御相談を申し上げ、農林省がこの人を出しましょうというようなことになるわけでございます。私の知る範囲では、前日向こうが引き取らないということで宙に迷って農林省に持ってきたということはないように思います。
  150. 和田静夫

    和田静夫君 ないように思うじゃなくて、今後起こり得るから、したがって、そういう状態というものが起こった場合においては、いま私が申し上げたような趣旨というものを確認をしていただきたいということです。
  151. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 私のほうといたしましては、ただいまもそういうお話を伺いましたので、そういうことがないようにまずこれはやらなければ、本人の今後にも差しつかえますし、そういうふうに考えます。
  152. 和田静夫

    和田静夫君 だから言ってみればないように努力をされる。そのことは結果的には先ほども申しましたように、本人の行き場がなくなるというような事態を避ける。慎重でなければならない、こういうことですね。そこでそれを前提とすると、こういう人事交流によって地方団体採用職員とのいわゆる人事の均衡が失する。その結果意欲が喪失をする。こういうことが起こらないことの保証をこの機会にしてもらいたいわけです。
  153. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいまのお話も、向こうへ、たとえば農林省の、ある、いわば上級職の課長なら課長が行きまして、向こうへ行きますと古い方がおられて人事の均衡を失する。あるいはそうでなくても県庁の職員が古い人が多い場合もそういう問題はあろうかと思います。ただ、この場合は農林省としまして、県知事さんの御要請、こちらとの話があって出すわけでございます。そういう人事の均衡を失するということであれば、県のほうがこちらに要請されないのじゃないかと思います。農林省のほうから人事の均衡を失するかどうかということにつきまして、それは確かめるにこしたことはないと思いますけれども、その辺は知事さんが判断された上でこちらに御要請があるのじゃないかというふうに考えております。
  154. 和田静夫

    和田静夫君 あなたの答弁について、あなたの答弁はちゃんと議事録に残っておりますから、千何名の一覧表が出たときに私は一つ一つ詰めていきますよ。あなた方、一覧表を出してくれば、あなた方が採用になって二年目にどこにだれが行って、何年組はどういう形で県を動いて、何年後にどう帰ってくるという人事配置があることなんか一覧表ですっと出てきますよ。要請々々なんという占い方はい衣ごろ通用すると思ったら大きな間違いなんで、だれがどういうふうな形で人事を配置することなんかがわからずにやってるわけじゃない。きょうはわずかな時間ですからそのことが触れられないだけでありまして、したがって、全体的に置いたように、三十五年以降の人事配置を見れば一覧表でわかりますよ、そんなことは。したがって、私がきょう確認をしておきたいことは、現実問題として、たとえば二十五歳くらいの農林課長なら農林課長が天下っていく。そのことによって自治体の中におるところの有為な人材が、やる気をなくするというようなことはたくさん起こっていますよ、現実には。そういう問題について起こらないようにする。いわゆる人事の均衡を失することによって、自治そのものがそういう形のものから混乱をする、知事がどう思っておるのかは別ですよ。現実の問題として職場の中に混乱がある。そういう状態というものは、知事との関係で、人事の配置についていろいろの相談をなさるときには十分注意をしなさいと。で、お互いが注意する努力をするべきだと、これはあたりまえのことでしょう。
  155. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいまのお話で、三十五年以降というお話でございましたが、これはあるいは若干の例外があるかと思いますが、農林省が出しております課長以上を見ましたら、少なくとも、三十五年以前のが大部分でございます。おそらくないんではないかと思います。それから、それ以下の若い人で県との交流というのは、よほどの例外以外は農林省は出していないわけでございます。そういうことでございますけれども、ただいまは、一般論とすれば、そういう県内での不均衡を起こしてまで農林省が押しつけると、こういうことは私もよろしくないと思います。
  156. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、中央開拓信用基金協会というのはありますか。
  157. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ございます。
  158. 和田静夫

    和田静夫君 何ですか、内容は。
  159. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 中央開拓信用募金協会というのがあるかというお尋ねですか。
  160. 和田静夫

    和田静夫君 いや、中央開拓信用基金協会というのは何ですか、どういうものですか。
  161. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 失礼いたしました。  財団法人中央開拓信用基金協会は、昭和二十六年にできまして、現在、開拓者に融資をした場合にその保証をし、その再保証をやっている中央の団体がございます。これは融資保証協会でございます。その融資保証協会に対する基金を出資しているのがこの中央開拓信用基金協会でございます。
  162. 和田静夫

    和田静夫君 それで、開拓融資保証法の附則第六項に基づいて、中央開拓融資保証協会に融資をしていると、その基金は幾らですか。
  163. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 九千五百万円でございます。
  164. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、その九千五百万円の出資をしているが、それ以外に、この基金協会というのは何か仕事をしていますか。
  165. 三善信二

    政府委員(三善信二君) その出資をいたしているだけで、それ以外の仕事はいたしておりません。全くの出資団体ということに御理解をお願いしてけっこうだと思います。
  166. 和田静夫

    和田静夫君 これは、四十六年の十二月二十一日の、いわゆる行管庁の抽出調査百七公益法人のうちの、問題法人の一つですね。この問題法人に対して、農林省はどういう指導をされていますか。
  167. 三善信二

    政府委員(三善信二君) この中央開拓信用基金協会は、いま申し上げましたように、出資団体でございまして、その出資金九千五百万円、その他、国等から出資いたしました中央開拓融資保証協会、ここの仕事が現在動いているわけでございまして、開拓者の融資の保証を、再保証をやっているわけでございます。その限りにおきまして、この出資団体も、出資だけしか仕事はしておりませんけれども、やはり重要な一つの仕事の一翼をになっているということになります。やはり、この中央開拓信用基金協会、まあ御承知のように職員もおりません。おりませんけれど、保証協会の職員が兼務いたしておりまして、一応その事務はやってもらっているわけでございます。そういう意味におきまして、この団体は、やはり現在においても、職員はいない、出資以外に何も仕事はしていないけれど、この出資をすることによって一つの重要な役割りを果たしているということで、やはり存続の必要性というのがそれはあるんだというようなことで、私ども行管のほうには回答をいたしているわけでございます。
  168. 松永忠二

    主査松永忠二君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  169. 松永忠二

    主査松永忠二君) じゃ速記つけて。
  170. 和田静夫

    和田静夫君 行管はね、問題法人だと言っているのですよ。そして、これは整理統合の方向というのが明らかになっているのだ。あなた方のほうは、これに対しては、いま言うような形で、たとえば事務所だって——もう時間がありませんからあれですがね、保証協会と一緒にいるわけでしょう。それから実際の仕事をやっているのは、保証協会の職員がやっている。それにもかかわらず、形だけは基金協会が必要なんだというような、屋上屋を重ねるような機構ね、こういうような形のものについて、せっかく行管の側は問題法人として指摘しているのに、何であなた方は、こんな不必要なものをいつもでも残しておくんだ、何で具体的な指導をされようとしないのか。私は当然、大臣ね、これについては、整理統合の指導が農林省として行なわれるのが当然だと思うのです。もう時間がありませんからあれですがね、いかがです、大臣
  171. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 一言よろしゅうございますか——。  この九千五百万円の出資金、この金は、開拓者が零細な資金を集めてこの協会をつくり、その金を出資しているわけでございます。しかも、それが結局は、開拓者に対する融資の保証の業務を行なっている基金のもとになっているわけでございまして、そういう意味におきまして、私はやはり、この信用基金協会の業務というのは、非常に縁の下の力持ち的な意味において必要なことだろうというふうに感じているわけでございます。
  172. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) まあ、不要とは言わなくても、いろいろそれだけの機能を発揮していない法人などもあると思います。ですから、行政管理庁で整理の注意があるもの、そういうものをそれぞれ大いに検討して、こちらの立場も説明して、存続する必要のあるものは、そういう勧告があっても了解を得るし、また、そういう勧告がなくても不必要なものは整理していくという方針で進めていきたいと思います。また、そうしてもおります。
  173. 和田静夫

    和田静夫君 まだこの問題についてはもう少し検討をされてしかるべきだと思いますが、それは大臣、よろしいですね。
  174. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) ほかとも一緒の中に入っていますから、十分検討していきたいと思います。
  175. 梶木又三

    ○梶木又三君 四十七年度の予算で、大臣が一番力を入れておられます農業団地でございますが、これは、いまの農業状態あるいは農村の状態から見まして、当然、積極的に大いに組織化しまして進めていく必要があると、これはもう私も痛切に感じておるところでございますが、農業地域といいましても、もう言うまでもございませんが、都市近郊ありあるいは過疎地帯、山村、純農村といろいろの地域があるわけでございます。  そこで、どんどんどんどん団地形成が進みますと、おそらく人手が省けてきますと、従来、人手が省けた場合は、まんべんなくといいますか、あらゆる農業の方々がまあ大体まんべんなぐ労力が減るから、それぞれの余暇に使ったりいろいろしておりますが、おそらく今度この団地を進めていきますと、ある一部の人に農業をまかして、自分は農業から離れるという事態が必ず起きてくるんじゃないかと、かように考えるわけでございます。まあそういうことで、都市近郊でございますと、団地だけをどんどん進めていただきましても、幾らでも収容できる、現金を得られるような道がそばにあるわけでございますが、過疎地帯あるいは山村というようなところになりますと、まあなかなかそういうものがないので、結局は、離農なり離村というような形に連なっていくんじゃないかと、離村までいかなくても出かせぎ状態が多くなっていくんじゃないかと、まあこういうふうに考えるわけでございます。そこで、いろいろの地帯でそれぞれに合った団地とともに、いろんなことをやっていただきたいと思うわけでございますが、さしあたって団地だけ進んだ場合、それが山村なり過疎地帯というところであれば、一時的には非常に生産性を高めて効果がございますが、長期の視点に立った場合には、むしろ過疎傾向を助長しまして、りっぱなコミュニティが形成できないんじゃないかというような気がするわけでございます。そういう心配を持っておるわけでございますが、これにつきまして大臣の御見解をお伺いいたしたいと思っておる次第でございます。
  176. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 理想的に全部団地化するということになれば、いまのお話のような形になろうと思いますが、現状から見ますれば、御承知のように、兼業農家が八〇%から八五%ぐらいになっております。   〔主席退席、和田静夫君着席〕 ですから、団地を進めて、そういう農外収入を得ている現状ですから、農外収入を得るためには、やっぱり団地がだんだん進んで労力が出てくると、兼業の機会といいますか、労働力をその方面に向けられる機会も多くなる、こういうふうに考えて、一方においては兼業農家の土地なんかも利用面に提供して、その団地そのものにおいて労働力を提供していくという面も出てくるんじゃないかと思います。  たとえば、非常に機械化が進んできて、機械の運転とか、それからいろいろな修理とか、そういう方面のことに労働力を向けられるとか、あるいは工業の分散というようなことで、出かせぎといって遠くまで出なくても、近くにおいて労働力をその方面に向けられるということにもなると思います。ですから、こう何といいますか、機械的に団地が進めば、もう労働力は余ってしまって、労働力が何か使うところがなくなるというふうには——私は、日本の産業構造も全体的にまだ進んでおりますから、高度成長じゃないとしても、そういうことにはならないと、適当な労働力の分配というようなことが出てくるんじゃないか、出てくることを期待し、また、そうなるというふうに私は考えています。
  177. 梶木又三

    ○梶木又三君 まあ適当な労働力の分配ということになるわけでございますが、四十六年から農村工業の促進もできましたが、まだ活発に動いていないような現状でございますが、こういうものも含めまして、いま大臣がおっしゃいましたような、うまく適正に労働力を平均するとなれば、どうしても収容できるようなものが農村にないと、私、どうしても、また、都市近郊に走っていくんじゃないかと、結局大臣がいまおっしゃいましたように、全体から見ますと、どこでも雇うような力をいまの日本経済は持つと思うわけでございますが、結局、それが出かせぎのような形になるかというような気がするわけでございます。農林省でもそういうことでいろいろな施策やっていただいております。特に、また、ことしから農村整備、これを大いに取り上げていただいておるわけでございますが、やはり荷づくりということで土地の高度利用、だから農業の生産対策、あるいは農業自身の構造政策というだけでなくしまして、もちろん、それが第一義的に一番大事なことではございますが、それを含めて、どうしてもこの長期の視点に立っていただきまして、地域開発というような観点で土地も、水も高度に利用していくと、そうしていなかのほうでも農業に従事しておる方方も、あるいはまた商工業の方々、まあいろいろな方がおられますが、そういうふうに農業以外の方々とうまく対立せずに調和のとれたかっこうの村づくりをやっていただきたいと、かように考えるわけでございますが、これは農林省の施策だけでなくて、医療の問題、あるいは通信、交通、文教、これあるわけでございますが、何といっても、農林省が先頭を切っていただきまして、いろいろなことをやっていただきますと、私必ずほかの施策もついてくるような感じがするわけでございます。ウエートが一番農林省の施策に多いんじゃないかと、こういうことでございますので、今後の進め方で農業団地とともにほかのことが必要だと思われるものはどんどんひとつ進めていただけるかどうか。もしか、私これがうまく進めていただきませんと、地区によっては、団地形成が非常に効果をあげますが、地区によっては、それほど十二分の効果をあげないというような感じもいたしますので、まあ同じような質問でございますが、これに対しまして大臣の御見解をいただきたいと思います。
  178. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 私ども考えておりますことは、いまの御説のような方向へ団地でも持っていく。農業エゴイズム的な農業団地だけじゃなくて、農業団地というものには、農業者にとって必要な施設や、ほかの業体もそれに導入して、一体となっての村づくりといいますか、そういうものは必要だと、そういうものを団地というふうな形で吸収したり、かかえ込んだり一緒になったりすると、こういうことが必要だと思うんです。ですから、工業などにつきましても、たとえば、よく昔から農村工業だということをよく言われておりますから、そういう工業なども導入して工業と農業で労働力もその方面に向けられるし、また、こういう時代は、ものの供給などもしたり、受けたり、こういう流通方面なども考えなくちゃならないし、交通面でも考えなければならぬし、そういう面で何といいますか、総合的なものとしての団地というような構想で進めたいと、ですからお話のような形でいきたいと、だから大きく——少し何というか、ほらみたいに言いますが、私は国土の開発というものはしなくちゃならぬ。  その国土の開発のしかたというのは、どういうしかたでいくべきかというと、自然都市の建設だと思います。都市の建設というものは、自然都市というような構想で、都市の中に、自然というものを入れていく。それからまた、農村というものは——自然というものが非常に農村というものにはあるのですから、自然農村の建設というようなことで開発をしていく、こういうことでやっていく。そのためには、団地的にやっぱり農村もやっていくべきだと、こういう考え方から、この団地という考え方を言っておるのですけれども、ちと大きく考えれば、そういうふうな自然都市の建設、自然農村の建設、そういう形になるような、開発もし、団地もつくっていくと、こういうふうな考え方でございます。
  179. 梶木又三

    ○梶木又三君 ぜひ、ただいま大臣がおっしゃいましたような総合的な方向で、ひとつ新しい村づくりというような観点に立って、高能率生産団地なり、あるいは営農団地、こういうようなものを推し進めていただきたいと思うわけでございます。  そこで、いま大臣から、いろいろ、農村の話とか、そういう総合的なもので、新しい村づくりに役立つようなお話がございましたが、農林省の予算書の中に、環境整備——四一ページの第六に、「農村の総合的整備開発と農業従事者の福祉の向上」と、こういう面を取り上げていただいておるわけでございます。いままでの、私、農業基盤も——もちろん農業基盤整備事業、いわゆる土地改良でございますが、これも直接的には生産手段、生産的な性格を持っておりますが、農道にしましても、圃場整備、あるいは排水路、いろんなものが環境整備等に、非常に役立っておる。それができなければ、ほかのいろんな近代化施設等を建てても、十二分の効果はできないわけで、一番根っこの仕事ということで評価されておったわけでございますが、そのほかに、この環境整備的なもの、あるいは福祉につながるようなもの、こういうものをひとつどんどんやっていただきたいと、かように考えます。  そこで、ひとつこれらの問題につきまして、具体的に政府委員の方々からお答えを願いたいと思うわけでございますが、四十六年度からでございましたか、過疎地域の農道、いわゆる過疎地域対策緊急措置法を受けまして、過疎基幹農道というのができておるわけでございます。私も山村、あるいはああいう過疎地帯をいろいろ歩きましてお話を承りますと、非常に要望が強うございます。それで、この過疎基幹農道が四十六年からやられたわけでございますが、何か具体的な採択の方針、こういうようなものが、あるわけですか、どうですか。
  180. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 過疎基幹農道につきましては、この予算は一般農道予算の中から充てるということで、現在運用をいたしております。ただ、具体的には、採択基準と申しますか、この過疎地域における農業人口、あるいは農家戸数、それから耕地面積の割合、それに基幹農道の配置状況といいますか、基幹農業率といいますか、そういったものを勘案して採択しているわけでございます。  そこで、四十六年度の予算事業費は五億六千万円でございまして、また、その地区数も非常に少なかったわけでございますが、現在、要求しております四十七年度の予算においては、大幅に、総事業費も、十七億というふうにアップして要求をいたしておるという状況でございます。
  181. 梶木又三

    ○梶木又三君 いま、お話しの農業人口あるいは農家戸数、それから耕地面積、これが全体の農村といいますか、農林省がいろいろ事業やっておられる、全農村ですね、全国の。これの農業人口、農家戸数、耕地面積、それに対して、この過疎地域でのそれぞれの比率というようなものはわかりますか。
  182. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは四十五年度の調査でございますけれども、農業人口につきましては、全体の二一%、それから農家戸数につきましては、過疎地域の割合が二一%、それから耕地面積につきましては、過疎地域の割合が二〇%ということになっております。
  183. 梶木又三

    ○梶木又三君 ちょっと、さっきの局長予算のワクですね、四十六年度が五億六千ですか、それから四十七年度の、ちょっと予算がわからなかったのですが、一般農道のワクで出すというお話しなんですが、そうすると、四十六年、四十七年、一般農道のワク、本土だけでけっこうですが、内地だけでけっこうですが、一般農道の全体と、過疎基幹農道の予算ワクといいますか、これをひとつお願いいたします。
  184. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 一般農道のことをちょっと最初に申し上げたいと思いますが、四十六年度におきましては、一般農道予算のうち二六%を一般農道として過疎地域に割り当てております。それから四十七年度も大体、おおむねそういう程度になろうかと考えております。これが一般農道の中の、一般農道としてのパーセンテージでございます。それにプラスして、先ほどの過疎の基幹農道について割り当てるということになりますから、一般農道全体のワクからしますと、三〇%以上になろうかと思います。先ほど申し上げました過疎地域の農業人口、農家戸数、あるいは耕地面積、その割合が大体二〇%程度でございますから、それに比較しますと、過疎地域に対する一般農道の中の、一般農道分プラス過疎基幹農道分、これのプラスした遁疎地域に対します農道の予算というのは三〇%以上になりますので、過疎地域に対して、私どもといたしましては、かなり優遇、優先的に扱っているというふうに考えてやっているわけでございます。
  185. 梶木又三

    ○梶木又三君 わかりました。私は、実は一般農道の中に、基幹農道——過疎基幹があるということで、それだけの勘定をちょっとしておったものですから、そうすると、一〇%か、 二、二%になるものだから、過疎に対して非常に少ないというような感じを持っておったわけですが、ちょっと、私のこれは勘違いでした。そのほかに、一般農道があるわけですね、過疎分のね。   〔主査代理和田静夫君退席、主査着席〕  そのように、できるだけ私はやはり農道というのは、もう何といいましても、ああいう地方での一番要望も強いし、また、効果が出る仕事と思いますので、ひとつ重点的に過疎地域あるいは山村地域のほうに予算の配分をお願いを申し上げたいと思います。  それから先ほどもちょっと触れましたが、農村工業の導入、これが昨年、促進法が出まして、農林省でも、実施計画を立てられておるというふうに聞いておりますが、何かその数字が非常に小さい。それからそれはこの間も聞きましたので、その点はいいですが、それに関連する基盤整備、これが四十六年度六億五千計上されておりましたが、執行されたのは幾らですか。
  186. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 農村工業導入に関連する基盤整備事業の地区数は四地区でございまして、四十六年度の年度の事業費としては約一億六千万ということでございます。
  187. 梶木又三

    ○梶木又三君 六億五千計上されておったが、実際に執行したのは一億六千と、こういうことですね。非常に差があるわけなんですが、この理由なんですが、これは、地元体制が時間的に無理があったのか、あるいは昨年来のドル・ショック等を受けました不況の結果なのか、それとも要望はあったけれども、土地改良法がまだ改正されてないために、実際問題として執行ができなかったのか、少なかった理由につきまして何かお考えがございますか。
  188. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 当初は大体百五十市町村において実施計画を立てる、そういう予定をし、それから六十五地区を採択する予定にしておったわけでございますが、御承知のように、農村工業導入促進法に基づきます基本方針、これが十二月——昨年の十一月二十五日でございますか、非常におそくきまりました。したがいまして、都道府県の基本計画あるいは市町村の実施計画、そういった計画の策定もおくれてきたわけでございます。そういう一般的なおくれと申しますか、それが主体となって結局は先ほど申し上げましたように四地区、予算も非常に少額になって実施をしたというような状況になっているわけでございます。
  189. 梶木又三

    ○梶木又三君 そうしますと、そういう理由でございますと、四十七年度には七億六千百万計上されていますね。これは大体実施計画も立て、それから町村からのいろいろな申請もあって、消化できる見込みはありますか。
  190. 三善信二

    政府委員(三善信二君) このおくれを取り戻すということと、おくれた分も含めて、四十七年度は、この計画どおりにひとつ実施をしていきたいというふうに考えております。
  191. 梶木又三

    ○梶木又三君 いきたいのじゃなくて、大体めどはありますか。
  192. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 最善努力をいたしますし、そのめども持っておるつもりでございます。
  193. 梶木又三

    ○梶木又三君 次には、自然休養村でございますが、これも非常に要望が多うございます。先ほど来申し上げますように、就業の機会の増大、あるいはまあ都市生活者に対しまして、いろいろな農山漁村のいいところを、ひとつ見せようというようなところで、山村の付近におきまして、何とか指定をしてもらいたいという、非常に希望の多い計画でございますが、この候補の指定にあたって、農業振興地域でないとだめだというようなことを聞いておるのですが、そういうことでございますかな。
  194. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 自然休養村の整備計画事業はただいま先生から御指摘がございましたように、農山漁村の自然環境及び農林漁業を国民的な休養娯楽の場として活用しようとするものでございます。したがいまして、その対象地域はいわゆる農村に限定されずに、山村漁村等も含まれておりますので、必ずしも農振地域であることを、候補地区指定の要件とはしていないわけでございます。しかしながら、現実の希望が農村的環境の地区に多いこと、それからその後の事業の実施が農業構造改善事業の運用等で行なうというような関係もございまして、都道府県の指導もあり、大部分の地区は農振地区の指定済みでございます。それからその他の地区も近く指定を受ける段階になっているものばかりでございます。それからややこまかいことを申し上げますが、私どものほうの出している通達におきましても、農業振興地域整備計画、あるいは山村振興計画、あるいは林業構造改善事業計画等との調整をはかるとともに、これらの計画との一体的な実施による相乗的効果が発揮され、地区の総合的な開発振興がはかられるよう配慮するものというふうにうたっておりまして、やはり総合的にやったほうがこうした事業の効果も非常にあがるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  195. 梶木又三

    ○梶木又三君 四十六年度の指定地区数と、その指定地区で農振地域、これが何地区ございますかな。
  196. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 四十六年度の指定地区は三十地区でございます。現在それらの市町村は、四十六年度中に自然休養村の整備計画の策定を終わっておりまして、私どもといたしましては、地方農政局との協議が完了次第、自然休養村としての本指定を行なう段階になっております。そこで、この三十地区のうち、二十三地区は農振地区になっておりまして、その他の地区も先ほど申し上げましたように、近く指定を受ける段階になっておるという状況でございます。
  197. 梶木又三

    ○梶木又三君 先ほど局長話されたように、いろいろな構造改善等と調和をとる、あるいは総合的にやっていくと、こういうことでございますから、大半、私、農振地域、これは当然だと思うのですよ。農振地域に指定されないところでも、都市でもなければ、何でもない、ほんとうにああいうやつをやっていただいて、その付近の方々が自然を親しみたい、こういう地域があると思うのですよ。だから、それは三十のうち二つでも、三つでもけっこうですが、必ず指定に入っておるか、あるいは将来指定に入らなければならないということでなくて、少しはそういう弾力を持たしていただきたい。かように考えるのですが、それに対する局長のお考えは……。
  198. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 先ほども御答弁申し上げましたように、必ずしも農村じゃなくて、山村も漁村もあるわけでございます。したがいまして、漁村等の場合には当然農業振興地域外ということもあるわけでございまして、運用につきましてはそういった点も考慮して運用するつもりでございますが、やはり事業の性質からいって、これは農村地域振興計画等々と結びついていたほうが、あとの事業もやりやすいというような面もございまして、極力そういった線でやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  199. 梶木又三

    ○梶木又三君 いま事業の話出ましたですが、確かに農振地域に入っておると、あとからいろんなことがやりいい、これはわかるわけなんです。ところがこの事業なんですが、いまのやつでは、これは計画だけを立てることになっておるわけですね。それで、指定を受けた市町村長さんの話を聞きますと、指定を受ければ、何かやっていただくんだという、非常に期待感を持っておるのですよ。皆さんそうおっしゃるのです。それで非常に希望されておるのですね。ところが、いろいろ聞きますと、これは、いまのところは、計画樹立だけだということになっておるわけですね。何か計画だけ立てて、もちろんだから基盤整備で追っかけて、もしかそういう計画が立って、農道なら農道をやるべきものは農道をやっていく、あるいは構造改善、二次構でやっていくならやっていく、これでもけっこうなんですがね。何かあとに約束できるようなものがありませんと、指定の受けっぱなしだと、計画の立てっぱなしだと、こういうおそれがあるわけですね。これに対して何かお考えはございますか。
  200. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この自然休養村整備事業のねらいは、自然の景観を都市の人に楽しんでもらうということと同時に、やはり当該地区の農民なり漁民の所得の向上ということもねらわなければならないというふうに考えておりまして、そういった意味で計画を立てたあとで、われわれといたしましては、農業につきましては、農業改善事業をはじめ現在いろいろございます農林漁業の助成施策を通じて、その中でやれる範囲をやっていきたいというふうに考えているわけでございます。特に、その場合に、問題になりますことは、たとえば、もぎ取り農園をつくったから同時にあわせて何か売店をつくるというような場合に、その売店まで持てるかどうかというような問題があるわけでございます。そうした点につきましては、何らかの形で、まあ融資の事業で見てもらうとか、あるいはものによっては、県の補助を受けてやるとかいうようなものがございまして、私どもといたしましては、構造改善事業中心にして、その中でいろいろな施策を講じていったほうが一番現実的なのではないかというふうに考えているわけでございます。
  201. 梶木又三

    ○梶木又三君 もちろん助成事業ですから、範囲のあることは、これは私もわかります。それからいまお話の売店までできないということもわかりますが、ところが、いま現行の、農林省に現在ある制度ですね。農業基盤なら農業基盤、なら構造改善、その事業には直接乗っからないけれども、しかし、自然休養村と銘を打って、それからいままでの農林省の仕事ということを、先ほど一番冒頭大臣お話にもございましたが、これからは観光をどんどんやれという意味ではないですけれども、そういう要素も含めて地域開発をやっていくという時代ですから、何かこう含めて、売店まで要りませんよ、個人的なものは要りませんが、いまの農林省の施策以外に残った分、残ってなおかつ下の売店とか削って、この間ですね。この間について一括して何かやっていただくような制度はできませんか。
  202. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まあその間も極力見たいと、構造改善事業でできればカバーしたいと思っております。たとえば、レジャー農園とそれに伴う土地基盤整備、これは当然、二次構でやれるのじゃないか、たとえば、釣り堀というようなものは、どうかという問題がございます。これも稲転に関連しておればある程度考えてもいいんじゃないかというようなことで、現在の農業構造改善事業の範囲でやれる程度のことをやれば、大体その農林漁業に末盤を置く自然休養村としての体制は整うのじゃないか。全然、観光一本で、たとえば、スキーのリフトと宿屋だけだというようなことになってまいりますと、これは、農業あるいは林業に全然関係がないわけでありますから、それは非常にやりにくいわけでございますが、農業なり林業に基盤を持った自然休養村ということであれば、相当のところまである程度の整備ができるのじゃないか、もちろん、ものによっては全然やはりそういった農業構造改善事業の補助では、できないというものもたくさんございますけれども、基礎的なものは、それでそろうのじゃないかというように考えておるわけです。
  203. 梶木又三

    ○梶木又三君 非常に期待をし、要望の強い自然休養村でございますから、ひとつできるだけ健全なそういうものをつくっていくというようなことで、積極的に前向きにひとつ取り組んでいただきたい、これを強く要望いたしておきます。  次は、山村振興について若干お尋ねしたいと思いますが、山村振興の対策審議会でもいろいろ勉強されまして、問題点を出しておられますが、何回も言っております過疎対策の一環、あるいはまた農産物、あるいは林産物、こういうようなものの供給、また、一番大事なのは私、水資源の涵養じゃないかと思うのですよ。国土保全も含めて水資源の涵養、これはもう私、これから大きな役割りを果たさなければならないと思うわけなんですが、国民経済が、どんどんどんどん発展をすればするほど、いまの要望が強いわけでございますけれども、何といいますか、先ほど言いましたように、人手がだんだんおらなくなりおると、管理が非常に困難になっておると、こういう状態ですね。で、山村振興ができまして、いろいろ指定をされているのですが、指定の状況についてもお尋ねしますが、四十年度できまして、今日まで大体どういう項目の仕事について山村振興でおやりになったか、これをひとつ指定の状況とあわせて御説明願いたいと思うわけです。
  204. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まず最初に指定の状況を御説明申し上げますが、昭和四十六年末において、振興山村に指定された地域を含む市町村数は千石五十五となっております。ことしが、四十七年度が指定の最終年度でございますが、さらに七十九市町村において振興山村の指定を予定しておりますので、合計千二百三十四市町村が指定される見込みでございます。  それから、どんな事業が多かったのかということでございましたが、過去における事業の実施を見ますと、まず生産基盤整備事業が約六割でございます。そのうち農業生産の基盤整備事業が五五・五%、林業の生産基盤整備事業が二・九%、漁業が二・四%、残りがいわゆる経営近代化の施設整備事業でございまして、これが二一・五%になっております。で、その中で農業の経営近代化施設の整備事業が一九・九%、林業が〇・八%、漁業が〇・八%、それから環境整備事業が一七・四%ということになっております。この数字は、四十一年から四十二年に事業を開始した八百四十二地区についての数字でございますが、全体の傾向としてはあまり変わってないんじゃないかというふうに考えております。
  205. 梶木又三

    ○梶木又三君 先ほど指定の数四十七年度で七十九ふえて千二百三十四というお話ですが、大体、これ振興山村として指定できる全体は、大体どのくらいあるのですか。というのは、これが何割ぐらいになっておるのか。もうほとんどこれで指定が終わるのか、あるいはまた、若干残るのか、その点について。大体でけっこうです、傾向で。
  206. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 大体、山村と指定されるところは指定されているということでございます。数につきましてはあとで資料として……。
  207. 梶木又三

    ○梶木又三君 先ほど局長が、農業基盤だとか、近代化施設、環境整備、いろいろお話がございました。これもやっていただいております。ただ、この事業規模がどうしても少ないという声があるのですよ。一つの村に重点的に——全村にやるというわけにいかないものだから、一つの部落にやるか、あるいは逆に全村的にまんべんなくやるかというようなことで、どこかに若干の不足があるようなんですね。非常にありがたい仕事なんだが、もう少しやっていただいたら相当効果があがるんじゃないかと、こういう町村が見受けられるわけなんですがね。  そこで、四十七年度から第二次山村対策事業というのが行なわれることになっておるわけですが、これは、そういういままでの事業費ワクが、もう少し足らないという声を受けられてやるのか、そうじゃなくて、全然新たな観点に立って山村の振興事業をやっていくのか、この点についてひとつ御見解……。
  208. 内村良英

    政府委員(内村良英君) これまで実施してまいりました山村振興事業が、事業規模が非常に小さかった、それで十分効果をあげてなかったんじゃないかという御質問でございますが、私どもそういう面があることも確かに事実だと思いますが、その反面、それなりの効果をあげてきた面ももちろんあるわけでございます。  そこで、ただいま御指摘がございましたように、いわゆる二次山村計画といたしまして、四十七年度、まあ四十七年度は実施計画だけでございますが、四十七年度から第二次の山村振興計画を始めるわけでございます。これにつきましては、第一次の事業を行ないましたが、現実を見ておりますと、やはり日本経済の成長によりまして、山村と他地域の所得のアンバランスが拡大するというような方向にいっておりまして、今後、山村の経済の問題というのは、やはりこれはほうっとくわけにいかないという認識から、二次の事業を開始するということになったわけでございます。そこで、これにつきましては、事業の規模は、従来の三倍の九千万円程度事業でやりたいというふうに考えておりまして、将来千百の地区についてこの第二次山村振興事業を行ないたいというふうに考えておるわけでございます。
  209. 梶木又三

    ○梶木又三君 従来の大体三倍ということで、相当今度の事業で充実されると思うわけですが、いままでも山村開発センターというのをやっていましたですね。あの事業がいまの九千万の中に含まれるわけですか。それともあれは別にまた進められるわけですか。
  210. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 現地の希望がある場合には、あれを含めることにいたしたいと思っております。
  211. 梶木又三

    ○梶木又三君 いやそうじゃなくて、あの山村開発センターも、山村から言わせると非常にこれはいい仕事で、やっていただいたわけですね。だから、それは、山村開発センターでという項目を残していただいて、それは別にどんどんやっていただきたい。これは私の希望ですよ。だから、九千万というワクで、ほかにやるべき仕事たくさんありますから、山村にはね。だから、六千万も七千万もあれに食われてしまうと、一地区九千万でも、あと残りが、ゼロになってしまうわけですよ、あとやる仕事が。だから、含めずに、九千万という新たな事業で、他のことをやっていただけないかどうか、こういうことなんですがね。
  212. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいま先生から御指摘があり御希望がございましたけれども、私どもはやはり第二次山村振興計画の中に含めてやりたいと思っております。
  213. 梶木又三

    ○梶木又三君 そうしますと、くどいようですが、九千万の内容、どういう仕事をやられるか、これについてひとつ。
  214. 内村良英

    政府委員(内村良英君) この点につきましては、現在関係各省とも相談中でございまして、まだこうするというところまで固まっておりません。と申しますのは、経済企画庁が非常に中心になってやっておるものでございますので、経済企画庁あるいは大蔵省等とも相談してきめなければならない問題でございます。  そこで、どんなことを考えているかという点でございますが、おもな事業としては、現在行なっている農業、林業及び漁業に対する生産対策及び環境の整備、これがまあ基本になるわけでございますが、そのほか、新たに緑地等の休養資源の活用、それから山村開発拠点施設の整備、これは山村センター等が入るわけでございますが、及び集落の整備というようなことをやりたいと思って、これから関係各省に相談してやるということになるわけです。
  215. 梶木又三

    ○梶木又三君 大体、山村振興につきましてお考えはわかったわけなんですが、私この一つの山村で、まあ農道なんか、あるいは林道、これは別の農地局なりあるいは林野庁等でやっていただくから、それは大きな農道あるいは林道そういうようなもの、それからまた大きな基盤整備、こういうようなものはこれは別ワクになりますから当然それでいいのですが、近代化施設とかいろんなものを含めてもし九千万の中に、山村開発センターが加わると、あとが非常にみみっちくなるような感じがするんですよ。そうすると、いままでの三千万でやっておられたのと変わりない。それよりも少ないということなんですね。やはり何かこれは山村開発センター、あれは非常に喜ばれておる仕事なもんですから、あれはあれで生かして、残して、ひとつ思い切って九千万は別の事業だと、別の山村の構造改善事業だというようなお考えに立てませんか。もう一ぺんひとつお答え願います。
  216. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 山村開発センターは、大体六千万円ぐらいの事業規模でやっておるわけでございますが、これを認めますのは、人口五千以上のやや大きな規模の町村に限ってやっていきたいと思っております。これを今後も——そういう方針でやってまいりましたので、これを今後も踏襲するといたしますと、これらの町村の標準事業費は一億ないし一億二千万円ということで、かなり大きな事業ができるのではないかというふうに考えております。
  217. 梶木又三

    ○梶木又三君 もう時間もまいりましたので、最後に、これは、現在農地局で御検討中でございますから御答弁は要りませんが、こういう問題があるということをひとつ頭に入れていただいて、これからの設計なり、計画樹立に御参考にしていただきたいと思うんですが、ことしから全体設計が始まります農村基盤の総合パイロット事業——総パ、これが一つの行政区域、これをとらえてやりますと、非常にばく大な金がかかる。だから、それを一部として取るということは、これは財政上からも、いろんな面からも私、こんなことはよくわかるんですわ。ところが、そういうことで、一つの市が単位になって、まあ市でも町でもいいですわね、農村基盤の調査を進めていって、全体がよくなるんだというムードの中にあって、一カ所だけが、旧部落といいますか、旧市町村というか、とにかく一つの区域だけが採択になった場合、非常なアンバラができるわけなんですね。だから、私もそれば財政上の規模からわかるんですよ。それから、また、一つの大きな、何百億もかかるような大きなものをとると、逆にいえば、ほかの市町村はできなくなる、当分の間できなくなるから、今度はもう一つの上の段階的においても、市町村間のアンバランスができるということもありますから、これは、わかるんだけれども。  だから、その辺が、どの辺でうまく一つの行政区域内で話し合いがつけられて、いまパイロットでやっておるからいいんですけれども、これは今後どんどん、冒頭、大臣お話もございましたし、これは進めていただきます仕事なんですが——そういうこともある。だから、とりあえず、いまのワクであれば、一カ所に集中してやるのがいいか、何か近代化施設のようなものは集中されると思うんですけれども、ほかのものはうまく一つの市なら市、一つの町なら町の中の連中にも何か効果が出るようなことにしませんと、市町村長、いわゆる理事者が非常に困る問題が起きておるんですわ。だから、こういう点もひとつ頭の中に入れていただきまして、いませっかく御検討中なもんですから、これに対してどうのこうの御答弁は要りませんが、ひとつそういうつもりで全体設計の樹立、これをやっていただきたいと思うわけでございます。  いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、ひとつこれからの農村はもうどうしても農業とほかの産業、これとうまくやっていって、商工業者も村におってくれませんと、自分の農業がよくならない、自分の農業をよくするためには、どうしてもほかのものをよくしていかなければならぬ。自分だけをよくしてほかのものがさびれると自分も滅んでいくのだ。こういう時勢になっておりますので、生産対策、構造政策上のいわゆる農業自身の問題も大事でございますが、一切がっさい含めて地域開発あるいは新しい村づくりだ、こういう観点に立ったお仕事をひとつ積極的に前向きにやっていただきたいと思うわけでございます。それで農林省でできないものも多分にございますが、農林省がひとつ先頭を切っていただいて新しい村づくりをやっていくのだ、こういうことを強く御要望をいたすわけでございますが、最後にそれに対して大臣の御見解を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  218. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 日本の国全体の状況から見ました経済的な観点、あるいは自然環境を保持するというようないろいろな点から考えましても、農業を中心として総合的に開発もし、農業も振興さしていかなくちゃならぬということは御説のとおりでございます。そういう方向に農業政策を進めていきたい、こう思っているわけでございます。
  219. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 時間も最後のことでございましてだいぶ過ぎましたので、単刀直入にお尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、昭和四十七年度の農林省関係予算の中に、自作農創設特別会計への繰り入れ分ですね、七億五千八百万円、これが計上されております。これはどういうような性質のものであるか、その点からひとつ御説明を願いたいと思います。
  220. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 自作農創設特別会計のこの七億の繰り入れの使い道でございます。これは自作農、この特別会計はやはり農地の売り渡し、買収事務をやるわけでございます。そういう場合の一つの事務費が主体になっております。非常に事務費としては多いように見えますけれども、実は国有農地の売り払いとその鑑定費と非常に多額の経費を要しますので、そういう事務費が主体になっております。
  221. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、自作農——自創法ですね、これが制定されたのが昭和二十一年ですね。その後農地法に移ったわけですけれども、それらによって買収をした、また譲渡をしたそういうものについては、この会計を通して、いままで、この代金の受け払いというものが行なわれておった、こういうことになるわけですね。そこで、国が買収した農地について相当無理がかかっておるということで、何らかの補償をしなければならぬというような問題も、私は、いままで起きてきたのではないか、こう思う。そういう場合の補償等、そういうものについては、これはこの会計を通して支払う、こういうような過去に例があったのかどうか。またもしそういうケースが今後あったとするならばどうするかという点ですね、その点についてひとつ。
  222. 三善信二

    政府委員(三善信二君) お説のとおりでありまして、この会計を通じてそういう場合に支払うことになります。ただ、その訴訟等で国が敗訴したというような場合が、その事例に該当するかと思います。
  223. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、それでわかりました。昭和二十一年、自創法制定以来、二十六年を経過したわけですね。この間に、自創法あるいは農地法によって買収した面積、それはどのくらいあるのか。
  224. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 自作農創設特別措置法で買収した面積が二百十四万八千ヘクタール。端数は切り捨てさせていただきます。それから農地法で買収いたしましたのが八万六千ヘクタール。端数は切り捨ててございます。
  225. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、自創法あるいは農地法で買収できる対象地ですね。それはどういう種類のものが対象になったのか、この点についてひとつ。
  226. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 対象は農地、それから採草放牧地、あるいは未墾地、こういうのを買収しております。それからまた付帯施設買収で、宅地等も買収をしております。
  227. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、この自創法でいきますと、いわゆる国の買収権を明らかにしてある条項ですね。自創法によれば第三条、それから農地法によりますと第九条ですね。この法律にあてはまるという対象地については、いままでこの二十六年間において全部買収されたのですか。
  228. 三善信二

    政府委員(三善信二君) お説のとおりで、全部一応該当するものは買収をいたしたことになります。
  229. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、この自創法によっての買収というのは非常にいままで問題があったわけですね。——うんとは言えないかもしれない。うんと言ったんでは、認めることになるから、うんとは言えないかもしれないけれども、相当問題があった。したがって、山林であるとか、原野であるとか、あるいは農地であるとか、こういう問題、その見分けですね、見分け方。それからその貸借関係、こういうような貸借関係の有無だとか、こういうものを見分けるということは相当困難だったんじゃないか。私はこういうふうに理解をしておるのですが、その点どうですか。
  230. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは終戦後の農地改革のときには、主として農地委員会がその事務を担当いたしましたので、買収いたします場合には、やはり一筆調査をするということをやりまして、地番、地籍等を確認いたしました上で買収をいたしております。
  231. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、自創法による買収については、いまおっしゃったように一筆調査をやる。こういうことなんですけれども、いままでに、局長がおっしゃった二百十四万八千ヘクタール、こういうものについて全部一筆調査をやったんだという確信がございますか。
  232. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 農地改革当時、御承知と思いますけれども、農地調査規則というのを出しまして、それによって一応一筆調査を行なってから、買収することにいたしておりますし、現実にこの一筆調査を行なっております。
  233. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そういうふうにはっきり局長さん答えられますか。一筆調査を全部やったのだと、こういうふうにはっきりお答えになるのですかどうですか。はっきり一筆調査全部やったのだと、こういうことになるんですか。
  234. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 以前のことでございますから、こういうたてまえに当然なっているわけでございまして、私が申し上げておりますのは、当然この一筆調査をやって買収をいたしたと考えております。現に一つ一つ私当たったわけではございません。一応たてまえとしてこれをやるということになっております。それからまた現地を確認する、そういうこともやっております。
  235. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 たてまえと現実というものは大きな開きがある場合が往々にしてあるということ、それは局長も認めるだろうと思うのです。いまあなたがおっしゃったのは、たてまえのことをおっしゃったのです。たてまえとしてはこうなっています——私が言っているのは、いわゆる現実にそういったその一筆調査なり現況調査、現況確認というものが、ほんとうに買収の事前にそれが行なわれておったかどうか、全部。ということになりますと、それはやはりなされていない、机上の上で計算されて買収になったというものがたくさんあるわけです。だからそういうことでいままでお聞きをしているわけです。そういうものがあるか確認の意味で局長にお尋ねしておるわけです。局長も農地法なり自創法なりによって買収される対象地について、あなたが全部確認をしたわけじゃないから、それはわからないということ。だから、現実的には、そういうものが行なわれないで、買収されたという事実がたくさんあるんだということを、まず私はあなたが認識をしないと、この問題解決というのは将来においてなかなかむずかしい。第一、局長がそういう答弁をすることそれ自体が、いつまでたってもその問題解決できない、こういうような原因になっていると私は思います。  そこで、そういう意味で相当私は問題になっているものがある。また、事実こっちも握っておる。ですから、そういった問題について裁判問題、あるいは裁判にはならないけれども、現在、国あるいは県の段階で問題になっておるという、そういう件数はどのくらいありますか。
  236. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 昭和二十二年以来四十六年まで、この訴訟として提起されました訴訟事件は一万五千四百三十七件でございます。
  237. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは裁判だけでしょう。裁判になっていないけれども、県あるいはまた国の段階で問題になっておるという件数は、どのくらいあるのかというのです。
  238. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 訴願とかの行政不服審査の請求とか、そういうのを含めますと、四十六年十二月末現在でございますけれど、訴願を受理した件数が六千六百九件、それから行政不服審査の請求を受けましたのが千百五十四件、合わせて七千七百六十三件という件数になっております。
  239. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、裁判になっておる——まあ裁判になっていない問題ということで、いまその内容について、それが全部じゃないであろうけれども、局長からその内容について話がありましたけれども、裁判になっておるという問題、その問題の内容、どういうケースのものが問題になっているのか、その点どうですか。
  240. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 訴訟事件の内容は、大まかに申し上げますと、農地等の買収処分、それから権利移動の制限、あるいは賃貸借の解約等に関する行政処分の違法また効力を争うというような問題がございますが、大部分は買収処分の違法が一番多いと思っていただいてけっこうでございます。
  241. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは私がこういう問題を提起をするということは、まああとで申し上げるわけなんですけれども、やはり国の立場というのは、国民権利を、またその財産というものをいわゆる守るという立場にあると私は思いますね。これは私が言うまでもなく、ごく初歩的な話になるかもしれぬけれども、そういうことである。基本です。そこで、そうだとするならば、国は国民に対してどういう姿勢で臨まなきゃならぬかということは、当然その点が基本になれば、あとはいわゆる国の姿勢というものはきまってくる。その辺がはっきりしないところにいろいろな問題が派生して、それが解決できない、長く尾を引いておる、こういう結論になるのじゃないか、私はこう思います。そこでその問題を解決するために、国はいままでにどういう調査を行ない、あるいはまた相手と話し合ってきたのかという、こういった点はどうですか。
  242. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 訴訟事件につきましては、私どもはやはり法務省といろいろ打ち合わせをしまして、その訴訟事件の当該する事件については、調査もやりますし、また裁判所の一つの和解勧告等もあって、和解をするというようなケースも、これは訴訟事件でございますからございますし、いろいろなケースがあるわけでございます。
  243. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ごくありふれたお答えなんですがね。その訴訟問題に至るまでに問題というものは提起されているはずなんです。そこで訴訟になっているから裁判にまかせればいいのだというものではない。それ以前にどういう、そこに至るまでにどういういわゆる調査をし、どういうふうに話し合いを続けてきたのかということが私は問題だと思う。そういう意味で先ほどの前置きをしたわけなんです。いわゆるそういう点での国の姿勢というものをはっきりと私はお尋ねしたいので聞いているわけですよ。裁判の問題をどうのこうのじゃないのです。
  244. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 訴訟になる前と申しますか、訴訟とは別の関係でいろんな紛争、トラブル、そういうのがあります場合には、私ども県を通しまして、いろいろ調査も頼みますし、また県でいろいろそういう調査を頼むし、県でやってもらっているというのが主体でございまして、直接行くような場合もこれはなきにしもあらずでございます。主体はやはり県を通していろいろ実情を聞き、調査をいたしているというような実態でございます。
  245. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ意地の悪い突っ込み方は幾らでもあるのですがね。まあ、いいでしょう。県を通して調査をしておる。したがって、いまの局長お話を聞いていると、県に調査をさせているので、その辺の詳しいことは国のほうはわからぬのだと、極端に言えば。そういうふうに感じられるわけですがね。そこでこれらの問題が生じた、裁判問題にもなっておる、そういうこれらの問題を生じた最大の原因になっているものはどこにあるんですか。
  246. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これらの問題が生じたと申されますと、先ほど私が申し上げました訴訟事件で、買収の違法の問題だとか、そういうのが多いということを申し上げました。そういった問題が現実にこれまでは多かったということでございます。
  247. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたの言っているのは、いわゆるこの買収問題とか、またそのほかのこういう問題だということなんですけれども、私から言わせれば、買収する時点で、そこにいわゆる国がとった処置について誤りがあったとかなかったとかいう問題も私はあると思うのです。そういった点については、あなた一つも触れていないわけです。そこで、それをいまから聞こうとは思いません。思わないけれども、そこで私は具体的な例をあげて局長にお尋ねをしてみたい。  船橋の——船橋といえば千葉県ですが、高根町三千二百六十一から三千二百六十八の二番地、約一万坪、それから船橋市の三和町所在の約一万六千坪、名前は、これはどうでもいいのですけれども、名前を言わないとちょっとあれですね、何かぼかしたような形になりますのではっきりしますけれども、所有者河端清太、それから川口常五郎、これは買収当初山林であったのか、あるいは原野であったのか、あるいは農地であったのか、その点いずれであったのか、ひとつ明確にお答えを願いたい。
  248. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは農地であったと私どもは考えております。
  249. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、農地であったということは、農地であるという確認がなされておらなければならない。その確認はどういう方法によって行なわれたのか。
  250. 三善信二

    政府委員(三善信二君) この二和町につきましては、その当時の三和町の農地委員会の担当の書記だと思います、その書記の小野喜之助さんという方が、農地委員会の補助員をしておられましたこの方が、これまでこの方の話を聞いてみますと、一筆調査を実施したということを言っておりますし、それから高根町の場合などは、これは航空写真等もございますし、そういうことでいろいろ確認をしてみますと、やはりこの買収当時の現況は農地であったということは私ども思っているわけでございます。
  251. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでは、局長はそう言うでしょう、そう言わざるを得ないと思うけれども、これは私は何も裁判の問題に触れようという考えはないのです。裁判以前の問題として取り上げる、こういうことなんです。そこであなたは、そういう人が確認をしたと言うけれども、この裁判の証言によりますと、そういういわゆる一筆調査がなされたという、そういう証言が何も出てこない。かえって、出てこないどころでない、あれを農地として、いわゆる既墾地として買収するということは考えられないという証言がここでちゃんとなされているんです。これを一々読むと、これみんな読まなくちゃならない。時間が幾らあっても足りないんで、そういう裁判でそういう証言があるということは、事実これはごまかしがないんですからね。ですから、そうなるとそこに食い違いがある。まあ裁判においていいかげんなことを話をしておるということも考えられないし、また、これは私がその当時、昭和三十年ごろから船橋の市議会におった、そういう立場でもある。したがって、あの辺の地理もよくわきまえておる。この問題をそのときから私は知っておるわけじゃないけれども、その後こういう問題を耳にして、なるほどここを農地として、既墾地としていわゆる国が取り上げたということは非常に無理があった、こういう感じがするので、これを取り上げているわけです。私も証人——裁判には出ていないけれども、その当時の状況というものを、私はその当時からの市議会に席を置いていた人間だけに、また現地の人間だけにどういうものかわかる。そういう立場から、またこの裁判の証言、これをもとにして、そういった既墾地であるという確たる証拠はあり得ないじゃないか、こういうふうに申し上げるわけなんです。ほんとうに確認が行なわれたのかどうか。そうだとするならば、裁判においても、あなたが言うようにそういう裁判になっているんですから、その人が、私がやったという証言があるはずだ。それはどこにある。
  252. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 小野喜之助という方は、これはやはり裁判における証人で、そういうことばを証言しているわけでございます。税務署の台帳を調べ、あるいは市役所の台帳を整合して調べたというよなことをはっきり裁判の上で証言をしております。これは二和町の方でございます。
  253. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、市役所の台帳をということを言っているのではない。実際に調べたのかどうかということを言っている。市役所の台帳だって、そんなもの当てにならぬじゃないですか。一筆調査をやる、現況確認をやるということは何のためにやるか、現況確認とは。現況を調査というのは、いわゆる現況ということが問題になる。台帳の上での問題ではないんだ。だからその点をお尋ねをしているわけです、ちょっとしつこいようだけれども。
  254. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 台帳に公図、図面等もございますし、そういうのを税務署の台帳を当たり、あるいは市役所の台帳を当たるということは、これは一筆一筆ずつの整合をするということでございますし、それも一つの調査の方法だと私どもは考えているわけでございます。
  255. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、あなたは一筆ということに、そのことばにとらわれているけれども、私は、それじゃ現況確認というのはどういうことなのか、現況確認というのは。現況というものを大事にするのか、台帳をいわゆる主体にしてやるのか。どっちがほんとうなんですか。
  256. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 両方調べるのがやはり  一番必要だと思います。
  257. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、その両方やると、それはわかりますよ。私の言っているのは、いわゆる台帳面を主体にするのか、いわゆる実際に現況というものを主体にしてこの決定をするのか、農地であるか山林であるか。ということは、どちらを重く考えるのかという問題になるわけです。そこで、この現況確認ということがほんとうにできているのかできていないのかということを言っているわけですよ。
  258. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 証言をされた方はいろいろございまして、まあ、もう一人の農地補助員で小池さんという方が、四十二年五月十五日、この方も証言をしておられますが、やはり二和町の地区については一筆調査をしたんだということを言っておられますし、まあ、ほかにも証言の問題でいろいろ言っておられますが、私どもは、この当該問題の買収につきましては、やはり農地であるということを確認した上で買収をしたというふうに考えております。もちろん付帯施設等、千何坪でございますか、そういうのは農地じゃございません。それは付帯設備の買収でやったわけでございます。そういったものを除いたものについては、やはり農地ということを確認して買収をしたんだというふうに考えております。
  259. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 農地として買収したんだというふうにあなたは考えるというのであって、農地であったと断定はできないでしょう。どうですか。
  260. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ここに、先生も御存じかもしれませんが、たとえば一つ高根町の航空写真がございます。これは昭和二十二年に米軍でとった航空写真でございます。それから三十二年に同じところをとった航空写真がございます。で、こういった航空写真等から見ましても、高根町のごときは、やはりこういうことから判断しても農地であったというふうに私どもは考えざるを得ないというふうに思っております。
  261. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたね、航空写真でもってそんなに、あなたが見て農地であるというふうに断定できますか、航空写真で。どの写真——じゃあ、ほかの航空写真持ってきて、これ説明してくれと言ったら、あなた全部説明できますか、航空写真見てそうだと思うなんと言うなら。それともう一つは、その航空写真いつ写したんですか。
  262. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 一つ昭和二十二年七月二十七日、米国の極東空軍が千葉県船橋市を撮影した写真でございます。
  263. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 局長ね、二十二年に写した、あなたね、二十二年のこの二和だとか高根、いまでこそ公団ができちゃっているけれども、そのところが二十二年で全部農地みたいなことを言うということは、あなた自体があまりにも認識がなさ過きますよ。  それでもう一つは、——そんなことで何回もやってもしようがないから……。そこであなた、それじゃあなたが農地であると言うことは、あなたが見たんじゃないからわからない、断定できないだろうと言うんですよ。その点は認めるでしょう。そうすると、あなたが、農地であるということを、こういうことによって農地というふうに判断するんだと、台帳だとか、あるいは一面ではこういう証言があるとか、あなたは一方的なんだよ。いいですか。じゃあ、その反面、こちらのほうにもまるっきり農地ではないよという証言があるわけだ。そのどっちがほんとうだということになるわけでしょう。だから、そういう時点で、あなたが、これは農地であったと、農地だと思って買収したというのならわかる。だけれども、農地であると断定できないじゃないですか。どうですか。これ、明確に答えてください。断定できないじゃないですか。
  264. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは、私が申し上げておりますのは、私自身が二十二年に見たわけではございませんから、したがって、いろんな証拠から見て当然農地であったであろうということを私は申し上げているわけです。そういう考えしか私はできないわけです。
  265. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、断定できないでしょうと聞いているんです。
  266. 三善信二

    政府委員(三善信二君) だけれども、いろいろな証拠、裏打ちするような証拠から判断すれば、そうであったに違いないということを申し上げているわけであります。私はその断定を、私が見て農地でありましたということは言っておりません。
  267. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 だから、いまだって断定できないでしょうと言う。
  268. 三善信二

    政府委員(三善信二君) いや、いままで訴訟問題で裁判で証言をしたり、裁判のその場でいろいろお互いに証言をしておられるわけでございます。そういう場で判断を最終的には、それはする以外に方法はないと思いますけれども、私が申し上げておりまするのは、その裁判の過程においていろいろ出た証拠あるいは証言等から見まして、農地であったであろうということを申し上げているわけでございます。
  269. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いずれにしても、だからね、あなたが裁判でもって持ち出す場合に、こちらもあるじゃないかと言うんです。どう判定するか、それは、あなたは裁判にまかせると、こう言うわけだ。私は、これを持ち出したということは、この裁判の問題をいわゆる主体に持ち出そうという腹ではない。いわゆる昭和二十二、三年当時買収した、その問題が無理があったのかなかったのかということを確認する意味でのいわゆる質疑をいま行なっているわけです、実際はね。そういったことなんで、そうなると、農地であるということをここで——その当時は農地だと考えて買収したということについてはわかりますよ。そうでなければ買収できないもの、それは認めると言うんですよ。だけれども、問題が発生して、いまの時点になって、それが農地であるというふうに断定はできぬのじゃないかということを私は言っているわけですよ。あなたのほうは証拠がどうだこうだと言うけれども、こっちにもこういう証拠があるとすればですよ。だから、そういうことを言っているわけです。ほんとうから言えば、農林省は、ほんとうはその問題については、農林省自体として農地であったかどうかということはわからないということを言えると私は思うんですよ。それについて、そのとおりとあなたは言わないよ、言わないけれども、そうだと言うんですよ、私は。  そこで、問題、次に移りますが、じゃ小作人というのはどういう資格を持った人ですか。
  270. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 所有権以外の権限による、何らかの権限に基づいて農地を耕作している人でございまして、これはこの契約が必ずしも文書によるものでなくてもけっこうでございます。口頭の契約でもけっこうでございます。
  271. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 じゃ、私がいま例にあげている土地ですけれども、譲渡を受けた人たち地主と貸借関係ですね、賃貸関係、そういうものがあったという証拠を示してください。
  272. 三善信二

    政府委員(三善信二君) その土地の大部分につきましては、先ほど先生言われました河端清太さんでございますか、及び広川宅一郎さんが共同して所有権を取得し、十五年以前から高橋吉蔵さんほか十六名が前所有者より賃借りをしておった、その後も、賃借りを解除され、また解約された事実もなく耕作をしておったわけでございます。そういう事実からしまして当然これは小作地であったであろう、これもありましたと私は申し上げておりません、あったであろうというふうに考えております。
  273. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 局長、あまりでたらめを言うと徹底的にやりますよ、これは。ほんとうに貸借関係があったとあなたは信じているんですか。
  274. 三善信二

    政府委員(三善信二君) そういう前所有者から引き続き耕作しておったということで、何も解約とか解除とかそういうことを受けていないで引き続き耕作しておられたということは、やはり何らかのそういう貸借関係があっただろうと私は思うということであります。
  275. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 前任者というのはだれですか。前任者から引き受けたというのは、前任者というのはだれですか、名前も全部はっきりしてくださいよ。
  276. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは昭和十五年以前から高橋吉蔵さんほか十六名、この方がずっと賃借りをして、所有者が変わってもその賃貸を解約されたとか解除されたとかいうような事実はないというふうに私どもは承知をしております。
  277. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなた、高橋さんという一人の名前だけ言っておるけれども、一万坪全体についてどうなんですか、あるいは一万六千坪について、二和の。
  278. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは二和町の例でございますけれども、いまの高橋吉蔵さん、それから武藤つぎさん、小池亀一さん、浜田峯吉さん、豊田茂さん等の方が賃借り人になっておられます。
  279. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 わからないことはわからないと言いなさいよ。それじゃ高橋吉蔵という人は前から借りておったのだ、引き続きなんだ、そのほかの人もそういうことなんだとあなた言うかもしれないけれども、その土地は当初はだれのものだったんですか、だれから借りていたんですか。その関係で貸借関係がほんとうにあったんですか。そういう証拠になるものを出してください。
  280. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 前の、高橋さんが借りておられました土地の所有者、それは林忠次郎さんが所有者になっておるわけです。それから武藤つぎさんも林忠次郎さんの所有、それから小池亀一さんは石井仙蔵さん、豊田茂さんは林忠次郎さん、こういう方が所有者にその当時なっておられました。
  281. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、それはいつごろからそういう賃貸借関係があったんですか。
  282. 三善信二

    政府委員(三善信二君) はっきりしないのもございますけれども、……。
  283. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いや、はっきりしてくださいよ。余裕を与えてやったのだから、はっきりしてください。
  284. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 私のほうで調べておりますのは、林忠次郎さん、これは賃貸借の開始が昭和六年、それから石井さんが昭和三年、それから林忠次郎さんが豊田さんに貸したときが昭和九年秋ということに私どもは調査しております。
  285. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それはだれが調べたのです。はっきり名前言ってください。
  286. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 千葉県と法務省のほうで調べました。
  287. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 千葉県のだれですか。私どものほうで名前わかってるのですよ。
  288. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 名前までは私申し上げられませんけれども、千葉県は農地課の方、それから法務省は訟務部のほうに調べてもらっております。この訴訟事件が提起されたころの資料でございます。
  289. 松永忠二

    主査松永忠二君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  290. 松永忠二

    主査松永忠二君) 速記をつけて。
  291. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで私は、その点については局長が幾らどう言っても納得しない。ということは、本人のいわゆる河端清太なり川口常五郎なり、これと小作人と称する人たちがどういう話し合いを、自分たちが確保してきたというならば、どのくらいの話し合いを——これが問題になるまでそんな話は全然ないのですから、また金を払った事実もないわけですから、地主に対して。あなた昭和何年なんていうことを言ってるけれども、これは昭和二十七、八年に問題提起されて、それからの問題をあげているわけだけれども、その間、昭和何年も前に、そんな早い時点から借りておったのだというならば、何らかの話し合いがあっていいはずじゃないですか。河端あるいは川口も何にもないじゃないですか。と同時に、この証言だって、これは当時の農業委員会委員長ですよ、委員長が、河端との貸借関係はないということを、それらしきものはないということをはっきり証言しているじゃないですか。ここで、その当時の農業委員会委員長というのか会長というのか、それがはっきり言ってるじゃないですか。それをあなたが、ああでもない、こうでもないと言うことは私はおかしいと、こう思いますよ。  で、私の言いたいことは、そこで、そういった事情なんで、あなたのほうとしてはそれを言ったのでは困る、はっきりそう言ったのではあとの影響があるからそれは言えない、そのことはわかる。わかるけれども、しかし、やはりこの無理があったならばあったように、そこのところはやはりすなおに認めるべきだ。何でもかんでも自分たちの立場が正しいのだという、いわゆる四次防の問題じゃないけれども、問題が明らかにされでおっても、それはあたかも正当のようなふうに話のつじつまを合わせてしまうようないき方、そういう政府の姿勢というのは、それは国民がかわいそうですよ。洗いざらい私はこれからやりますよ、あなたがそういう木で鼻をくくったような答弁をするならば。だから、そういう無理があることは間違いない。それを全然無理がないような言い方をするから、ぼくは腹が立つわけなんだ。そこで、そうなると、もしこれに、この買収——いわゆる小作人の関係が河端なり川口なりとの間になかったとするならば、これは第九条の違反ということになりますよ。私から言わせれば、明らかにこれは違反ではないかと、こういうわけです。ところが、あなたのほうからすれば、これはそういうふうに言ってしまえば、農地ということで買収したのだから、既墾地ということで買収したのだから、あとの波紋が大きい。だから、それは言えない。わかる、それはわかるけれども、それにしても、何でもかんでもあなた方のほうが正しいのだという言い方というのは、私は納得ができない。それじゃ、この小作人のことでとやかく言ってみたところで、あなたがそこをはっきり認めるとは考えられない。もっと詰めて詰められないことはないんですよ。だけれども、委員長もああいうふうに話をされているし、それに協力する意味で先にいきます。まだ問題はあとに残しますからね。そのかわりごっそりまた次の問題を持ってきましょう。  じゃね、この買収をするのにだれの名義で買収したのですか。少しピッチを上げましょう。
  292. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 二十二年には川口常五郎さんの名義で買収をいたしております。
  293. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それは共有じゃないんですか。
  294. 三善信二

    政府委員(三善信二君) あとで河端さんのほうから、これは共有であるという話が出まして、したがいまして農地法になってから、二十九年に共有持ち分権を、河端さんの持ち分権を買収したということになっております。
  295. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それではね、河端がいい思いをしたというのは二十七、八年です。その時点で登記簿、台帳はどうなっています。全部言ってください。だれの名義なんです。
  296. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 河端さんの共有持ち分権を買収いたしますときには、それまで大部分売り渡しをいたしております。これも農地法に基づいた売り渡しをいたしております。
  297. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、売り渡しをした、それで持ち分権とかなんとかという話はおかしいじゃないですか。全部売り渡したんじゃないですか。そうでしょう、昭和二十六年に。いいですか。河端君は、この自分の持ち分の土地を譲渡するために登記謄本を取った。そうしたら全部他人名義だったのです。二十六年ですよ。それで、その後に、あなたがおっしゃったように、二十八年八月十一日付で農業委員会から、おまえの河端持ち分は、これは買収してないんだという通知を、いわゆる更正通知を出した、農業委員会が。ということは、どういうことになるんですか。全部人の名義であって、おまえの分は買収してないというのはどういうわけですか、これは。
  298. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは川口さんと河端さんの共有でございます。共有の場合に、それを誤認して、川口さんの名義だということで国は買収した。それは、誤認したのは事実でございます。そこで、あとで、いま先生のおっしゃいましたように、それを売り渡したあとに、河端さんが、自分も共有持ち分権を持っているんだという主張をされましたので、二十九年に買収を農地法によってしたということを先ほどから申し上げているわけで、共有というのは、この土地全体に対して権利として持ち分権を持っているわけですから、川口さんの買収は、これは当然有効に成立しているわけです。ただ、河端さんの、あとの共有持ち分権を買収したことによって、完全にその法律行為が補完されて、これは共有者二人に対して完全に買収の効力が発生したということに法的にはなるわけでございます。そういう例は、私ども、訴訟をやっておりました場合に、やはり判例もございますし、実際上そういうやはり誤認して共有持ち分権の一人の方から買収したという例がございますし、判例も、その場合に有効であるということになっております。私は、この場合、先生おっしゃいますように、最初買収したのを、そのあとほかへ売っちゃって、そして、そのあとでまた残りの河端さんの持ち分権を買収したということはいかにもおかしいじゃないかと。これは、なるほど、おかしいといえばおかしいと思います。思いますけれども、法的な効力には、これは差しつかえはないというふうに私どもは考えております。
  299. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それが、いいですか、あなたがおっしゃったように、誤認なら誤認となぜ言わないのか。これ、いろいろあります、証言の中にも。誤認なら誤認でいいじゃないか。それを、いわゆる買収しておいて、ということは、川口単独名義で共有地を買収しておいて、そして、いわゆる共有の片一方の河端から異議申し立てがあって初めてがたがたしたと。そうしたところが、農業委員会は、おまえの分は買収してないんだということなんだよね。いいですか。どこかにそのあれありますよ。それさがしていると、ちょっと時間が食うようだから——あるんですよ、船農委第三百八十八かな、百八十八かな、ということで更正通知が来ているんですよ。その更正通知が来たときは二十八年八月十一日だ。その以前に、二年前に、昭和二十六年に、もうすでに全部名義が変わっちゃっているわけじゃないですか。それは全部わかり切ったことじゃないですか。わかり切ったことを、あえて、おまえのはいわゆる買収してないんだと。いまの局長の話で言えば、持ち分権どうのこうの、法的にはどうのこうのと言うけれども、自分たちの誤りを、いわゆる法律ではそうなっているからって、それにかこつけてやるということは、あまりにも、いわゆる国民を無視した行き方だ。ばかにした行き方だよ、そんなことは。法律で何のかんの、もうすでに二十六年には全部人の名義になっちゃっている。で、おまえの分だけは買収してないんだ、こういう更正通知だ、もっともらしく。買収してないんならば、当然その分だけは、他人名義になっているわけないじゃないですか。それが全部他人名義になっているじゃないですか。それを法的にはどうだこうだという、法によってごまかそうといったって、それは現実問題として許されるもんじゃないですよ。そうでしょう。それで共有地、当然、共有であるならば二人の名義で買収がくるのがあたりまえじゃないですか。それを片っ方の名義でもって買収しておいて、それで片っ方に全部金を払っておいて、こっちは何にも知らない、知らないでもって、自分の土地だと思ったら人のものになっていたと。それはおこるにきまっているぜ、あんた。あんただったらおこらないというんですか。おこるにきまっているじゃないか。そんなばかなやり方、こそくなやり方はないじゃないかと、こう私は言いたいわけですよ。  そこで、そうなりますと、その後に今度は農地法で買収をかけてきたんですよ。こういう話があるんですね。この証言の中に、いわゆる県との話し合いが、農業委員会で話し合いがついて、それで一応更正通知を出しておけと、こういうことなんで出したと、農業委員会は。こういう証言があるんです、この中に。これは証拠なんですな。出しておけと。それで、一たん買収したものなんだけれども、県がそう言うからやむを得ず出したという証言があるんですよ、これに。だから、それは間違っているということを言っているんです、ここで。そうなると、これは、いわゆる農地法で買収したということは、全部他人名義ですよ、全部他人名義になっているんだから。で、二十九年に農地法で買収してきた。じゃ、その買収してきた土地というのはどの土地を買収したんですか。全部人の名義になっているんですよ。
  300. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 共有持ち分権、共有の土地でございますから、同じ土地を買収するということになると思います。
  301. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あなたが法律でどうのこうのって言うけれども、一たん買収して、他人名義に全部なっているんですよ。受け払いも国としては終わっちゃってんですよ、だから、終わっているということは、何にもないんですよ、何にも。それをまた買収をかけてきたということは、今度はダブるじゃありませんか。ダブらないですか。
  302. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 確かに、二人の共有の持ち分があるわけでございますから、当初二人の名義にするのが、これが普通のやり方でございますが、まあ誤認したと申しましたのは、それは一人の名義だと、こう誤認したわけで、その誤認したことが、何といいますか、法的な効力、別に法的な効果の面では、最高裁の判例もございますように、効力は当然生じているんだと。最初の川口さんに対して買収をしたのは当然効力があるし、あとの河端さんに対する買収は、その持ち分権の半分について補完的行為として法律上買収をしたわけでございますから、その誤認というのが、間違って、違法とか無効とかいうような意味ではないというふうに法的には解釈をいたしておるわけでございます。
  303. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 あのね、法的に間違っているか間違っていないかわからぬけれども、だれが考えたってね、二十何年かに、二、三年か、単独名義で買収しちゃって、そうしてもうそれは、国としては、その分に対して金を払い、そうしていわゆるその土地も他人に全部譲渡しちゃって、あと残るもの何にもないんですよ。ね、本人が気がつくまで、本人がいわゆる異議申し立てをするまでほったらかしておいて、言うならば。それで、本人に言われて初めて、それはいわゆるおまえの分は買収していないんだと、県と農業委員会が相談して、ここにあるんだから、相談して、それじゃとにかくさらに買収してないということにしておけと、あと農地法でもって買収かけちゃうと、こういうことなんです。そんな、いわゆる国民をばかにした国の姿勢というものは、これは許せないということを言っているわけですよ。これは、あなたは法律でどうのこうの言うかもしれないけれども、一般常識として、一般的にそういったことは、なるほど法律ではそうなっているかもしれないけれども、これは正しいとだれても考えますか。全部売られちゃって、他人の名義になっちゃって、そうして本人——持っていた地主に対しては、おまえの半分は買収していないんだなんていうこそくな手段を用いて、そうして今度は農地法でひっかけてきた。だから、私から言わせれば二重買収だと言うんですよ。二重買収だと言ったって、あなたはまた法律がどうのこうのということを言うだろうと思います。いいですか。じゃ、もう時間も、まあ一時間多少過ぎますからと言ってありますからね、もう少しで終わるんですけれども。
  304. 松永忠二

    主査松永忠二君) 五時ごろまでに終わってください。
  305. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 はい。  私から言わせれば、いま言ったように、それは二重買収である。そんなこそくな手段を用いた県なり国なりの姿勢というものは許せない。自分たちの誤りを法律にかこつけて自分たちの責任のがれをやっている。全く国民無視という以外にないじゃないですか。  じゃ、先に進みますけれども、この土地代金についてはどういうことなんですか。土地代金。
  306. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 最初の川口さんに対しては、すでに面積分の土地代金を払っております。それから河端さんに、二十九年に農地法で買収をしましたときも、その同じ面積分についての土地代金を払っておる。これは過払いになっているということでございます。
  307. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それでね、まず代金は川口に全額払われたわけです、単独名義で、いいですか。これは認めますね。その後、農地法によってまた払ったと、農地法によって払った。それはいいですか。農地法で買収かけてきてまた払ったわけです。川口にはいわゆる二万数千坪に対して全額を支払ってあるわけですよ。それをまたいわゆる二十九年農地法で買収したときに河端分としてまた払ったわけですよ。ということはね、どういうことなんですか。一たん川口それから河端共有の約二万六千坪、その代金を全部いわゆる単独名義で、あやまって単独名義で買収して、本人に、全部川口に支払ったんじゃないですか。それじゃ、その土地代金はもう済んでいるじゃないですか。もうだれにも払う必要はないじゃないですか。それを農地法でまた買収かけて、そうしてこれに対して代金の支払いをしている。これはどういうことなんですか。
  308. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生、失礼いたしました。先ほどちょっと私の答弁に間違ったところがあったようでございます。川口さんに払いましたのは一応全額払い、それから河端さんには二分の一の持ち分権分を払いました。したがいまして、最初の川口さんに払った、全額払った分が、これが二分の一でいいのを全額払ったという、結論的にはそういうことになるわけです。で、それは確かにおかしいということは言えると思います。それは過払いになっておりますので、やはりその分については返していただくということにしたいと思っております。当然しなければなりません。
  309. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 おていさいのいい答弁しないで。じゃ、だれが返してくれるの。過払いはだれが返してくれるの。
  310. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 川口さんの承継人の方、川口さんなくなっておられますので、承継人の方から払っていただくことになるわけでございます。
  311. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そんなこと、ほんとうにできる。——だから、それは返す、返さないという今度は話になるけれども、その問題でなくて、私がこの問題を提起したということは、いわゆるその土地は二重買収でなかったか。その二重買収を、言うならば国が隠蔽するために、河端には、おまえの持ち分はいわゆる買収していなかったんだ、こういうふうに言っておいて、その場をごまかしただけだ。そうして、あなた方から言えば、がどうのこうのってすぐ言うけれどもね。それは私から言わせれば、ごまかしたと言う以外にない。だれが聞いたって、ごまかしたという感じは、それは強いと思う。そうしてもうその時点で、それを指摘された時点で、川口にはもうすでに全額支払ってあるのだ、で、こちらのほうは、それじゃ、おまえのはまだ買収していないのだ、買収していない以上、農地法で今度は買収したのだと、だからその分の代金なんだといって払うということは、これはそうしなければつじつまは合わぬものね。だから、どう考えても、国がそういうこそくな手段を用いたという以外にないんじゃないかと私は言う。また、それについて答弁を求めれば、あなたは、ああでもない、こうでもないと言うだろうけれども、それはだれが考えたってそう考えますよ。ですから、あれですね、二重買収であり、代金も二重支払いである、そういうこそくな手段をとってまでいわゆる国民の目をごまかさなきゃならぬのかということが言いたい。そういう姿勢では、これからの、いわゆるこの農地の買収ということはそんなに盛んには行なわれないかもしれないけれども、そういう農林省の姿勢というものは、結局農民を苦しめることになります。私から言わせれば、そうだ。  そこで、私は最後に、いままでいろいろと言ってきたけれども、最後に、私は大胆に申し上げたい。戦後二十七年を経過して、来月の十五日には沖繩がいわゆるアメリカの統治下から日本に返ってくる、こういう国際的な問題も、戦後二十七年という長い年月は国際問題までもいわゆる解決できるような段階に来ておる。にもかかわらず、こういう問題がまだいまだに相当件数この日本の国の国内には残っておるということ。しかもその問題は、局長はいままでああいう答弁をしているけれども、もういろいろなケースで、いろいろな問題がある。で、国のほうがだれが考えても無理だと、こういう問題もたくさんあります、それを一つ一つあげないだけの話で。あげろというなら、この次にあげます。だけれども、そういうふうに残っている。だから、こういう問題を、いわゆる国内の問題、この問題はもう戦後二十七年もたっておるのだから、農林省は誠意をもってこういう問題に取り組んで、そして処置をしていかなければならないのだと私は思う。この問題でも、私が取り上げなかったらそのままほっかぶりじゃありませんか、こういう問題でも。ですから、こういう問題がある。また、たとえば旧軍用地の問題にしても、日本の国内にあるわけです。大蔵委員会でもって聞いたところが、まだ三千三百件もあるのだと言う、問題になっているのは。それを一つも、ほんとうに積極的に取り組んで解決しようとする姿勢がない、国には。農林省もやっぱり同じです。言われるまでやらない。で、これはあくまでも裁判で結論が出ると、こう言うかもしれないけれども、これは裁判以前の問題として、やはり国の買収に無理があったんではないかという、こういうところに私は着眼すべきだということが言いたいわけです。そこで、こういう問題について一日も早く解決してあげるべきだし、この解決するための具体的な方策というものをどういうふうにお考えになっているのか、その点についてひとつ最後に大臣からお尋ねします。
  312. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) これはいろいろな事情があったと思います。私も関係者でしたが、農地改革ですから、全国の地主の土地所有者は、一たん国に買収して、そうして耕作者にそれをみんな売り渡すという革命的農地改革の一環としてこれは出てきた問題だと思います。それで、その中で、確かに、いま話を聞いていますと、それが農地であったか農地でなかったかという問題が一つあるようでございます。これは農地委員会に全部あれはまかしておいて、農地委員会が国の代理でもって、一たん国に所有を移すと。しかし国に登記を移したわけじゃございません。国に買収したという形ですぐ耕作者に売り渡したと、こういう手続でやっていました。それで、農地であったかどうかという問題の判定は農地委員会にあったわけであります。いま、それがまだ不明だというような上林さんのお話もありました。そういう点もあったと思います。それから、この土地は共有地であった、共有地であったものを一人の者から買収をした。これは国に登記したわけじゃないし、買収をしたと同時に耕作をしておった者と称する者にこれは売り渡しておった。そのあとで共有分が半分買収をしてなかったというようなことで、これはあとからその金を支払わなくちゃなりませんから、共有分の支払いということで支払ったものと思います。こういうふうな、いろいろまあ全国の地主所有の土地全部を一たん国のほうに移管して耕作者に売り渡すということでございましたので、御指摘のような、この錯誤かあやまちかのもとでこの旧所有者に迷惑をかけておる面もあるというふうに私もいまのお話から聞きましたのでございますので、これは実際の問題としてはできてしまったあとから、それを、もとのことを突き詰めても、あの制度が、地主から土地を国が買い上げて、そうして耕作者に売り渡すという、結果はそういうふうな結果に大体なっていますから、その全部をくつがえすというようなことはちょっと困難かと思います。でございますが、その途中において権利関係——たとえば過払いしておるというようなことなどは、これ是正していかなくちゃならぬ問題が残っていると思います。係争中の問題でありますから、権利関係その他の経過、十分法廷によって明らかにしなくちゃならぬと思いますが、国として農地委員会が全部やっておったといっても、国が一たん買収するという形で農地改革がなされたのでございますから、国のほうでも十分この点についてはなお検討をしなくちゃなりませんので、県とも相談してこれ対処していくというふうにする以外には私は現在ないと思います。そういうふうに御了承願っておきたいと思います。     —————————————
  313. 松永忠二

    主査松永忠二君) 委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木強君が委員辞任され、その補欠として小谷守君が選任されました。     —————————————
  314. 松永忠二

    主査松永忠二君) 農林省所管質疑は、はこの程度といたします。本日これにて散会いたします。   午後四時五十五分散会      —————・—————