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1972-04-26 第68回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      工藤 良平君     小谷  守君      戸叶  武君     西村 関一君      西村 関一君     上田  哲君      小谷  守君     羽生 三七君      杉原 一雄君     和田 静夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         平島 敏夫君     副主査         木島 則夫君     委 員                 高橋 邦雄君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 若林 正武君                 小谷  守君                 西村 関一君                 和田 静夫君                 鈴木 一弘君    国務大臣        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     尾崎 朝夷君        総理府人事局長  宮崎 清文君        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   野本 松彦君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        文化庁次長    安達 健二君        建設大臣官房会        計課長      山岡 一男君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        人事課長事務取        扱        佐橋 宣雄君        記 録 部 長  西村 健一君        庶 務 部 長  上野山正輝君        管 理 部 長  前川  清君    衆議院事務局側        事 務 総 長  知野 虎雄君    国立国会図書館側        館     長  久保田義麿君    説明員        大蔵省主計局給        与課長      岡島 和男君        大蔵省主計局主        計官       海原 公輝君        会計検査院事務        総長職務代行   鎌田 英夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、予算委員異動に伴い、戸叶武君の補欠として西村関一君が選任されました。また、杉原一雄君が分科担当委員を辞任され、その補欠として和田静夫君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 昭和四十七年度予算中、国会皇室費及び会計検査院所管を議題といたします。  これら事務当局側説明は、これを省略し、会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、まず国会所管及び皇室費について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 和田静夫

    和田静夫君 非常に限られた時間ですから、答弁は結論的に簡単にいただきたいと思います。  そこで、大蔵省に聞きますが、今年度の行(一)の移行数が、衆・参・図書館とも、昨年と比較して減っているばかりではなくして、移行当初と比べると逓減傾向になっています。この理由はどういうところにありますか。
  6. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 速記をとめて。   〔午前十時五分速記中止〕   〔午前十時二十五分速記開始
  7. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 速記をつけて。  主査から一言申し上げます。  昨日以来、大蔵省関係主計官及び給与課長に対しては御出席を連絡しておいたはずで、非常におそくなったという、これはたいへん皆さん方が迷惑されることでございますから、今後、こういうことのないように御注意を願います。
  8. 和田静夫

    和田静夫君 再度申しますが、今年度の衆・参・図書館、この行(一)の移行数が昨年と比較をして減っているわけですね。同時に、移行当初に比べるとずっと逓減傾向であります。たとえば四十一年が、衆議院で四十八だったのがことしは二十、あるいは参議院が三十一であったものが十二、図書館が十四であったものが六などというような形ですが、この理由は何ですか。
  9. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 従来、いわゆる移行問題につきましては、衆議院参議院及び国会図書館のほうから要求が出ておりますけれども、毎年相当数移行をやってまいりまして、われわれといたしましては何と申しますか、移行につきましておのずと限界があるので、その限界にだんだん来ておるのではないかと、まあこういうこともございましたし、それで衆・参両院国会図書館のほうとも十分相談いたしまして、その程度の数字にいたしたわけでございます。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 何、その移行数を少なくするという了解が成り立ったというわけですか、いまの答弁は。
  11. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 移行数を少なくするという了解が成り立ったということを言ったわけでございませんで――移行数を四十七年度はこうするということについて私どもがそういうふうに申し上げ、衆・参両院及び国会図書館事務局当局とそのような形でまとまったということでございます。
  12. 和田静夫

    和田静夫君 これは国会当局とも、四十七年度というのは適用職員全員移行要求を出したはずですね。
  13. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 要求全員だったというように聞いております。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 それが通らなかった理由は……。
  15. 岡島和男

    説明員岡島和男君) それは行(一)への移行と申しましても、従来から、行(一)というものにふさわしい仕事があるということがないと、行(二)から行(一)への移行というのは本来どうかという議論があるわけでございます。そういう点から考えまして、われわれといたしましては、相当数移行した暁においては、もう何と申しますか、おのずと限界があるのではないかというような観点に立ちまして、そのような線でいろいろお話し申し上げている、こういうことでございます。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 いや、本来あるといったところで、この国会の毎年度の第一分科会予算論議を通じて、行(二)の撤廃方向というのは、もう約束されているわけですからね。したがって、あなたが前段に述べられた、本来そぐうかそぐわないかというような論議は別問題です。要求に対して、削られた正当な理由は何か。
  17. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 予算要求の査定でございますから、いつも御要求どおり全額できたら、財政当局というのは何をしているかということでございまして、なかなかそうはまいらないわけでございます。われわれといたしましては、先ほど申しましたように行(一)と行(二)の本来的な性格からかんがみまして、移行するものにはおのずと限界があるのではないか、こういうことから、衆・参及びそれに引き続き国会図書館のほうにそうお話を申し上げて話をまとめたと、そういうことでございます。
  18. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、大蔵省限界があるという見解に立った。ところが、衆・参並びに図書館の、総長館長皆さん方とはそれぞれ約束が成り立っていますよね。特に久保田事務総長は四十二年に、三年以内には行(二)の撤廃約束されている。すでに、それから五年たっているわけです。大蔵省の論法でいくと、皆さん方三人は、今度のこういう措置について了解を与えたということになるのですが、そういうことですか。参議院総長さん。
  19. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 行(二)の移行につきましては、いまから七年前、議運関係、なかんずく庶務小関係の各議員さんの御高配を賜わり、また国会から選出しておられる政務次官の御高配を賜わり、特にまた大蔵・財務当局から格段の御協力を得て、七年間われわれは行(二)の縮小につきまして努力してまいったわけでございまして、私ども参議院におきましても、当時、出発時におきましては二百名の行(二)定員がございましたが、逐次移行を認められまして、本年昭和四十七年度におきまして法制局一名、事務局十一名、計十二名の移行が認められた結果、残存は二十九名ということになりまして、二百名中の一四・五%という現勢に相なっておるわけでございます。  当時、第一回の移行にあたり議院運営委員会におきまして、当時の議運委員長であられる田中議員議運委員会報告なすったのを、ちょっと冗長でございますが引用いたしますと、国会関係の行(二)だけを切り離して単独に、大蔵省のほうで他の官庁関係なしにこれを解決することは困難である、それで問題を、将来前向きの姿勢で、他官庁との関連も考慮しながら国会関係の行(二)撤廃について十分慎重に検討し、前向きの姿勢努力したい。こういう御報告がなされておりますので、われわれといたしましては、ただいまお名ざしで図書館長久保田事務総長の発言を引用せられましたが、あの当時は、まあわれわれは要求の立場でございますので、全廃とか撤廃とかいろいろ強いことばで申し上げましたが、多少その間には、この田中委員長報告にあるようないきさつがあったわけでございます。私らといたしましては、この漸減の傾向をたどってまいりますのは、大蔵省担当官の御説明のおことばをお借りいたしますと、行(一)的色彩の濃厚な分からということで逐次移行を認められてきたわけでございまして、具体的に申しますれば、われわれの職場で申しますと用務課職員、これらの点につきましては一番多数定数が残っておるのでございまして、これらの点につきましては、国家の組織としての運営上、私個人の意見ではなはだ申しわけございませんが、人事院等におきまして行(二)問題の徹底的な御解決を早くしていただきたいと、こう考えておるような次第でございます。はなはだ論理が合いませんが、気持ちだけを申し上げました。
  20. 和田静夫

    和田静夫君 お二人とも、大体いまの参議院総長答弁で――あまり長い時間をとるとあれですが、よろしいですか。
  21. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 衆議院におきましても、行(二)の移行につきましては、毎年残っております全員を一応概算要求では要求いたしますが、本年二十名ということで、大蔵省と相談をしまして私のほうときめたわけでございます。
  22. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) 行(二)の撤廃につきましては、かねて私は、いま和田先生が申されましたように強い意思を持ってこれの解決努力するということを、決意のほどを示しましたが、これもいろいろと交渉の相手のあることでございますし、また、事情の変更等いろいろなこともございまして、私のほうの図書館につきましても、順次(二)に移行されまして、おかげをもちましてすでに七十六名が移行して、現在は十四名が残っておるということで、本年六名の移行ということで一応了承をいたした次第でございます。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 今年了承されたことについて、いま時間がないから云々しませんが、そこで今後とも撤廃努力をされるという参議院総長の最終的な答弁ですね。これは図書館長、よろしいですね。今後とも努力をされる。残っている、たとえば図書館でいえば、十四名残っていますね。
  24. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) もともと行(二)の撤廃ということにつきましては、これは行(二)職員優遇ということも大きな要素でございました。次第にやってまいりまして、現状を申し上げますと、この十四名と申しますのは、採用後まだ非常に期間の短い方、あるいは庁仕の方でございますが、現在この欠員が三名おるわけでございまして、十一名が実員でございますが、この関係も、いずれ上位のほうから、行(一)のほうの欠員等を勘案しますと、新陳代謝を一、二年あるいは三年ぐらいでしてまいれるのじゃないかと、このように私は考えております。  それともう一つは、新しく採用するという場合に、私が積極的な時代といまと――行(二)に対する待遇改善というものが非常に行なわれまして、その点は、昇給間差の問題あるいは初任給決定の場合の職歴加算の問題というものが、非常に(二)も有利になってまいりました。そういう点を考えますと、この残り全部を撤廃することが必ずしも最初の、行(二)の職員優遇という問題との関連においてどうかという点が出てまいりました。  そこで、こういう点を考慮しますと、一応この辺で事態の推移を見守ることにしてはどうかというように、ただいま考えております。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 その答弁はいただけません。それから、同じような意味では、衆議院予算委員会で述べられた、衆議院総長答弁もいただけない。この論議はやっているとたいへん長くなりますからあれですけれども、そういうことにはなりません。結論的に言って。理解に不足があります。私は、久保田館長衆議院総長時代約束をされたこと、そのことをやっぱり、少なくとも予算委員会を通じての約束ですから守っていただく。当然働く人たちがその方向を求めていて、そうしてあなた方と合意をしたわけですから、しかも衆議院総長も昨年、同じこの場所で私の質問に対して、とにかく撤廃を認めるということを約束されているわけですから、行(二)の格付けその他がよくなってきているというのはあなた方の推量であって、そういうふうにわれわれは踏まえていないわけですから、したがって、いままで約束をされてきたことについてこれから踏襲をしていただく、そういう努力を続けていただく、こういう考え方を私たちは持ちますが、それでもだめだと言われますか。
  26. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) どなたか答弁せられますか。
  27. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 本年、参議院といたしましては十二名の移行を認められまして、人事課におきましては、この七月一日を境といたしまして人事の操作をやるわけでございまして、次年度の懸案についてはむろん大いに研究はしておるでございましょうが、私たちといたしましては、この成果を議運報告いたしましたとき以後、この問題を論議する正式な場は持っておりません。そういうわけでございまして、ただいま衆議院並びに国会図書館等についていろいろな御議論のあることは漏れ承っておりますが、そういうものを踏まえまして、私としては善処いたしたいと思っております。
  28. 和田静夫

    和田静夫君 これは特に衆議院総長館長に申し上げておきたいのですがね、いわゆる行(二)の初任給が有利であるというような言い方をされますけれども、それは、その行(二)の撤廃約束されたときにすでに存生をしておったことであって、そんなこと、いまさら理由にならないのですよ。そのことをやっぱりよく十分にわきまえながら、少なくとも、これまで長い間かかってこの問題というのは煮詰まってきているわけです。しかも久保田さんは、いや五年なんて言わない、三年ぐらいで解決するんだと答弁されているのですから、三年でいけば、もうとっくにあれされていなきゃならぬわけです。したがって、そこで約束されたことが一方的にほごになるということにはなりませんから、状況の変化というものはありません。よって、過去におけるところの約束事を十分に果たしてもらいたい。同時に、そういう形の要求について、大蔵省はもっと真摯にこたえてもらう。こういうことを希望したいのですが、特に反論がありますか。検討されるのは当然でしょう、約束していることを一方的にほごにするなんということにはならぬわけですから。どうですか。
  29. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) 私が最初決意をいたしましたころは、行(二)というものは行(一)に比べて非常に不利で、三十八年、九年、四十年のころでございますが。そうしまして、四十一年に、大蔵省との折衝で行(二)の移行というものができました。そのころになって、大蔵省のほうで、行(二)の初任給その他の点についての是正があったわけでございます。非常にこれは難航をしておった問題でございまして、私は、相当決意を持たなければこの問題は解決しないという、ほんとうの決意を持ってそのことを申し上げたわけでございますが、それは確かに努力目標でございましたし、そして私の本志も、行(二)の職員優遇性ということを私は特に考えて、そのように申しておったわけでございます。その後、経過を見ておりますと、ただいま、私のほうで申しましても十四名ぐらいのところまで来た。そこで一応の目的は、私の決意も実ってきたのではないか、私はそう思っております。  ところで、ここで私が、この行(二)の十四名というものについて冷たい気持ちを持っているということではなしに、われわれが実際に運営してまいります場合に、この初任給を、たとえばこの職種方々では若い人はなかなか採用できない、中高年層になる。そのときに、学歴は見るわけにいきませんので、どうしても職歴で大いに見たい、こういうことになりますと、行(一)の職歴表では、この人たちに見る限度というものは、同種の職歴でなければ見るわけにいかないという一つの原則があるわけです。ところが、行(二)のほうでは、相当この点はゆるく見る、そういう意味では高く採ってあげることができて、それによってわれわれのその職種欠員補充ということも可能なのであります。そして、この方々がある程度のところまで行かれたときにまた行(一)に移行していくという考え方、そういうふうにしたほうが、ただいま行(一)のままで高い給与で採りますと、同じ行(一)の系列の中で、同じようなケースの方々との間にまた新しい問題が持ち出されるであろう、私はこう思いますので、そういった運営上の問題、または本人の有利という点も考えますれば、この程度のことはやむを得ないのではないか、一応ここで私は推移をながめたい、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
  30. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ具体的に聞きます、そういう答弁をされるなら。  初任給が有利だと、こう言われるわけだ。それじゃ高卒の人で行(二)の五の十七で採用される人、これは一体幾つぐらいですか、年齢は。
  31. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) 具体的に私その表を持っておりませんが、目算でございますが、約四十歳ぐらいじゃないかと思います。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、その人が行(一)表の給与初任給を格づけされると、幾らになります。
  33. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) ちょっと、その計算表を私いま手元に持っておりませんが、この場合に、私は、行(一)のほうだと職歴関係――その職種にもよりますけれども、その職種で違ってまいりまして、行(二)のほうでとりますれば、この方の前歴といいますか、前歴のものが加算されますから相当のところにいく。ところが、行(一)のほうの職種でそれをとりますと、その同一の職種だけになりますので、たとえば運転手を想像してみます。運転手として採用するというときは、運転経歴というものが行(一)の場合は加算になりますが、行(二)の場合はその他の、ほかの仕事についていた場合も加算をしてこちらが決定をしていく、こういうふうに、抽象的でございますけれども、そういうふうな場合、有利に計算してあげることができると、こういうふうに考えます。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん、ぼくは無理があると思う。だれがあなたに耳打ちしてやっているのか知らぬけれども衆議院総長にしたって同じことで、いまの問題については、正確な答弁は御両者ともできないと思う。  大体三十八歳で採用になります。これをやってみると、やっぱり(一)と(二)では大体六千五百円ぐらいの差が出ますよ。そうすれば、あなた方が言われるような形にはならないわけですよ。したがって、私は、ここで打ち切るなどというような答弁はいただけないと言ったのはここにあるのであって、十分な検討を加えながら、いままでこう積み上げてきた努力というものをさらにやり続けられるのがあたりまえであって、自然であって、たいへんな激変もないのに無理やりこじつけるというような形でもって、多くの期待感を持っている諸君を失望させるというのは、人事管理上から言ってもあなた方にとって得策ではない、そういうふうにお思いになりませんか。たいへん言い方はあれですけれども、少なくとも非常にこう良識ある皆さん方ですからね。
  35. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 和田先生からいろいろお話がございましたような点もあるだろうと思いますが、いま図書館長が大体申し上げましたような理由で、私どもも、衆議院におきましては大体この程度でまとめたいというふうに考えておるわけでございますが、衆議院の場合でございますと、自動車運転員でございますと、大体採用いたしますのが、経験年数を十年ぐらいやっぱり持っておりませんと、大事な先生方運転をする人でございますので、大体三十ぐらいで十年ぐらいの経験を持っております。用務員の場合でも、大体私のほうで過去何年間かの採用を見ますると、やっぱり平均年齢が四十くらいでございます。  それで、自動車運転員の場合で十年といいますと、大体、当初行(二)撤廃をいたしましたころに比べまして二号くらい高く採れるようになっておりまして、現在でいいますと、大体四万八千円ぐらいで採れるかと思います。これが普通の高校卒で十年の経歴を持つ者として採りますと、行(一)の八の八ぐらいでございますから三万九千円ぐらいで、かなり大きい開きが出てくるというふうな事情がございまして、衆議院の場合でございますと、本会議場でございますとか委員会室でございますとか、どうしてもやはり自分のところの用務員でやらなければならぬような仕事もあります。それから運転員につきましても同様でございますので、そういう人を、まあ中年齢と申しますか、そういう人たち採用する必要上、これだけのものを残しておくほうが、われわれの採用という点からいいましても、また、初めて入ってくる人たちの利益というふうな点からいいましても、いいのじゃないかというふうなことで、ただいま図書館長が申しましたような考えのもとで、私ども衆議院も、大体六十人くらいに減ってまいります、減ってまいりまして、目的を達したとは言えないかもしれませんけれども、大体趣旨に近づいてきたというふうなことで、一応これくらいにとめたいというふうに申し上げておるわけでございます。
  36. 和田静夫

    和田静夫君 御両者とも前提が違うのでね、前提が。たとえば人事院規則なら人事院規則というものを頭に置いて、大蔵省と一緒のペースでもって国会職員のことを判断していくというところに、そもそも間違いがある。その辺のことはもはや前提的には間違いなので、行(二)撤廃という形のものは、最初久保田事務総長の発想のときにそういうことがやっぱり基底に、意識されたか、されないかは別として、基底にあったんですよね。そのことをやはり前提的にしておかないと、一般的な国家公務員諸君との対比においてこれを判断していくと間違いが起こる。そういうふうに思うのですよ。このことが一つです。  そこでちょっと飛びますが、まず総理府人事局人事院に伺いますけれども、もし国会が独自の給与制度をつくる、あるいは特にいま議論になっている行(二)表撤廃をする――これは、私は国会職員にはあまりなじまないものだと思っておるのですが、もちろん、長い経験からいって、給与表が割れたことについて私たちは基本的には反対ですし、ああいう形のことは決していい形ではないと思っておりますけれども、特に国会に出てきてみて、国会職員がこういう形になっていることはなじまない。そこで、行政官庁と異なる初任給格付けを行なった場合に、あなた方は反対されませんでしょうか。
  37. 尾崎朝夷

    政府委員尾崎朝夷君) 国会職員につきましては、それぞれ担当の人事部局があるわけでございまして、やはりそれぞれの職務内容に即しまして適正な給与を払うことが望ましいと思います。  私どもが一般職につきまして行政職(一)表、(二)表というふうに分けておりますのは、それぞれの職務の特殊性に応じまして、やはり民間における実情との均衡をとって、それぞれの職種にふさわしいような給与をきめるというたてまえでやっているわけでございます。  すなわち、一般事務職員につきましては、比較的に相対的に低い初任給からスタートをしまして、職階に従って上に上がっていくという感じがあるわけでございますけれども、技能職あるいは労務職のような職種につきましては、民間の実態を見ましても比較的に、たとえば運転手さんの諸君をとってみますと、民間の実態は年齢の、たとえば二十歳代の方も三十歳、四十歳代の方もそう違わない感じになっておるわけです。したがいまして、行政職(二)に対しましては、やはり若い方につきましても相当初任給を高くしておきませんと、若い運転手さんは採用できないという状況になるわけでございますので、現在、たとえば初任給につきましても、高卒で入りました場合には、運転手さん等の場合には四の四、三万四千八百円で採れるという形になっておりますし、行(一)の選考の場合には三万一千円ということで、三千円から四千円、そして二十歳代には大体六千円ぐらいの違いをつけまして、若い運転手さんも採れるという形でやっておるわけでございます。そのかわりに昇給カーブは、行政職(一)に比べて相対的にどうしても少ない間差額で昇給するといったような形になっておりまして、やはり、そこは民間における実情、職種の実態、そういう職員採用できるかどうか、こういう観点から適正な給与表をつくっていくということが私どもとしては必要だと考えておるわけでございますけれども国会職種につきましては、私ども直接存じておりませんので、ここでは差し控えたいと思います。
  38. 宮崎清文

    政府委員(宮崎清文君) 国会職員も広い意味では公務員であるわけでありますから、私たち一般職、それから国会職員を除きました特別職の給与を担当しております部局の者といたしましては、相互に均衡が保たれるということが望ましいことだとは存じます。ただ、ただいま人事院のほうでも申し上げましたように、国会職員の具体的な職階・職務の内容等につきましては、私たち直接所管しておりませんので、その点の特異性というものがあるとすれば、その点は、その限りにおいてはやむを得ないのではないかと存じます。
  39. 和田静夫

    和田静夫君 なくなられた山本伊三郎さんとの論争の中でも、増子政府委員は、国会当局の意見を尊重するというような答弁をされていますよね。したがって、三者の皆さん方は独自性をお持ちになっていいんですよ。何も大蔵省に気がねすることもないし、しかも片っ方、人事院人事局に気がねすることもない。独自性をお持ちになっていい。その独自性をお持ちになるということが私は久保田発想だったと思うのです。  それで、その限りにおいて、経過的には皆さん方努力に対しては敬意を払っております。それなりの敬意を払っておりますけれども、どうしてもやっぱり考えておかなければならないのは、この国会という特殊な職場に働く皆さん方というのは、職種は違っていても一様に、国政をつかさどっているところのわれわれ議員を補佐して、その寄与するところは同じですよ。そういう点で他の公務員とは違っているのだという理解というものがやっぱりあって、したがって、その待遇問題について努力がずっとされてきたのだと思う。行政官庁職種ごとに分けているところの給与表というのは、そういう意味では国会になじまないんだ、そういう発想がやはり基本にあった。したがって久保田図書館長の、言ってみればたいへんな、あの当時における勇断が生まれたのだ、こういうふうに理解してもいいと思うのです。  これだけに時間をとるわけにいきませんから――あなた方の御答弁、あの御答弁はいただけませんからね。ともあれ、じかに国会でやりとりをしてきた過去の経過がある。それから、現実には職員の皆さんがつくっているところの職員団体がある。それらとの関係において、十分にこの問題については職員側の意見というものをくみ取りながら今後対処をしていく、こういう形の答弁で集約をしたいと思いますが、それはよろしいですか。
  40. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) この問題につきまして、職員の意見を十分聞くということはそのとおりだと思いますが、ただ衆議院におきましては、一応行(二)の問題につきましては、本年度六十名になりました、そういうところで大体運用していこうということにいたしておりますので、今後も職員の意向は十分聞きながらやりたいとは思っています。
  41. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 参議院におきましても、組合の意見は、過去におきましても、また将来におきましても、十分聞いていくつもりでございます。正式な庶務小委員会におはかりいたしまして、善処いたしたいと思います。
  42. 久保田義麿

    国立国会図書館長久保田義麿君) 私のほうも、職員との話しは常にやっておりますが、なお十分話し合いはしていきたいと思っております。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 知野さんの答弁だけが一言多いのでちょっと気にかかるのですが、その六十名なら六十名というのを固定化するということではないということ、衆議院でどういう答弁をされたか、私まだ知りませんが、少なくとも昨年あなたと私とがここで約束をしたことは、撤廃への努力という約束でありますから、ことしは、ちょっと私どもが少し引いたような形になっておりますけれども――時間の関係でしかたがありませんが、ともあれ現実に、期待感を持ってずっと来ているところの人たちがいるわけです。したがって、その人たちが納得のできない形で打ち切るということであってはなりません。そういう意味で申し上げているわけです。  ともあれ、構成をされているところの職員団体の代表との話し合いというものを尊重しながら、そうして両者の歩み寄りで、そこで得られたところの結論というものでやっていく、こういうことになるわけですね。したがって、あなたの言われるように六十名でこれを固定するのだというような――そう言われたのか言われないのか別問題として、一言多い部分については取り消しておいてもらいたい。
  44. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 職員の意向は、今後も十分に聞いてまいりたいと思います。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ、そこはそれで……。  そこで宮坂総長に伺いますが、参議院は、四十八年度の行(一)移行につて、具体的にどのように予算要求をされるおつもりでいまいらっしゃいますか。
  46. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これは当然な過程といたしまして、庶務小委員会におかけして要求いたすわけでございますから、他の案件と一緒になって論議されると思います。そこで御審議を願うことになると思います。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 これは、行(一)移行の問題というのは、事務当局ばかりでなくて、いま答弁にありましたとおり、議運委員長はじめ議員関係をして推進をしてきた問題ですからね、したがってそういう答弁になろうと思うのですけれども、そこでは、いままでずっと踏襲されてきたことを基本に置きながら話し合いが進むわけですから、それに対しては、参議院の場合には残っている二十九名という、これらが、当然、四十七年度予算要求で起こったと同様に、四十八年度予算要求では全員切りかえへの、そういう発想というものが、参議院の場合は事務当局から出てくる、こういうふうに理解しておいていいですか。
  48. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) だんだんのお話ですけれども、ただいまお聞き願ったとおり、衆議院図書館においても客観的情勢が変わっているわけでございますから、それらも取り入れまして、庶務小委員会で十分に御審議願って結論を出そうと、こう思っております。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 その、衆議院図書館で見解がもう非常に飛躍してしまったということにならないのです。そのために先ほど統一的ないわゆる約束をとったので、これから職員団体の皆さんと一緒に話し合いを進めながら、まあ言ってみれば、交渉をやりながら進んでいくということですからね。いま衆議院図書館で変わってしまったと、あなたは――ここはちょっと聞き取れなかったのですが、意見が変わってしまったのだということを前提にして議運にかけていくのだ、庶務小にかけていくのだというような答弁だったら、ちょっとこれはあれがありますからね。さっきの、ここで約束をしたことを前提にしながら今後というものをはっきりしておいてもらいたい。
  50. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいま、だんだんの御発言があったわけですが、それらのものを速記録でよく調べまして、それらが間違いのないように議運の小委員会に報告いたしまして、善処いたしたいと思います。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 次に、せっかく行(一)に移っているわけですけれども、たいへんりっぱであった久保田発想というのが、どうも現実を調べてみますと、いろいろの行き詰まりがある。それは何といっても、総括的に言って技術職員というワクを設けていることが、行(一)表に移ってからも弊害になってるよいうな感じがするのです。  そこでその点に移っていきますが、行(一)移行後の昇格ですが、この行(一)に移行した職員が、予算定数上、技術職員というワクに縛られているわけですね、現実に。行(一)に移ったのですから、一般の行(一)職員との差は何もないわけですよ。それを、わざわざワクを設ける意味が全然わからないわけです。私たちが調べてみてふしぎに思うのは、行(一)に移行しても、行(一)基準でいわゆる昇格をしない。行(一)で採用された人の昇格よりも非常におくれているわけですね。行(一)へ移行したのだから行(一)の人と同じ条件、そういうペースで昇格するのが筋だと思うのですけれども、これは技術職員というワクを、先ほど来言うように設けて、そのワクの中で運用しているからではないか。したがって、このワクの撤廃というのはやっぱりやらなければならない。  当局はしばしば、行(一)移行が終了した段階で行(一)移行者の昇格を検討する、それまでは暫定措置であるため技術職員のワクを設けている、こういうふうに何回か言明をされてきていますが、これはどうですか、四十八年度から、級別定数の表からいま言ったワクを撤廃されたほうが賢明だと思うのですが、参議院事務総長
  52. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この行(二)から移行した職員を技術職員と呼んで、その取り扱いにつきましては、いま暫定的に、先生のお述べになったような処置をとってきているわけですけれども、しかし、先ほどから御論議がありまして、移行定数も、満足とは言えないが、大方の移行を見た今日でございますので、これらの点につきましては早晩、資格・昇格等の基準表をつくらなければ相ならぬことはこれは当然でございますが、いまいろいろな御論議があったとおり、行(二)の優遇されてきた最近の改革等も考慮いたしまして、これは配慮いたさなければならぬことでございますので、われわれといたしましては、これらの点につきまして、われわれ単独ではこれは設定ができないわけでございますが、大蔵省とも十分御連絡をとりまして、りっぱな資格・昇格基準ができるように努力いたしたいと思っております。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 これは早晩、やっぱりなくしていく努力をする、そういうことですか。
  54. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これは、たとえば自動車運転手の一例をとってみましても、先ほどお話がございましたが、これはやっぱり行政庁におきましてもそういう職種を持っておるわけでありますので、国会単独にどうこうというようなことは、あるいはできないのではないかと思うのでありまして、これらは人事院等の知識を拝借いたしまして、われわれはその間に適正妥当な基準をつくっていかなければならない。これが四等級の昇格の問題ともからんでおるだろうと思いますので、非常にむずかしい問題であるわけでございますが、専門家の御意見をぜひ伺いたいと思っております。
  55. 和田静夫

    和田静夫君 それは人事院に、専門家だから意見を伺われることはけっこうですけれども、そのときに国会職員が持っておるいわゆる独自性というものも十分にお忘れなく、そうして、いま言われたとおり後段の、ともあれ技術職のワクというものをなくしていく、そういう意味での努力というものを続けられると、こういうふうに理解をしておきたいと思います。特に異見があれば別ですが、よろしいですね。
  56. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これらの点につきましては十分努力する考えでございまするが、先生のような御経験の深い方の御協力もぜひお願いいたしたいと思っております。
  57. 和田静夫

    和田静夫君 いや、私は協力をするような能力はないのですけれども、行(二)にいたよりは不利にならないということをよく聞くのですけれども、ところが、行(二)に比べて行(一)の昇給額が、わずに二百円だけ有利な例が幾つもあるのであります。そこで、これは大蔵省に聞きたいのですが、この技術職員の、四等級のいわゆる定数要求があったと思うのですが、あなたのほうで認められなかったように仄聞をいたしますが、その理由は。
  58. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 国会の場合には非常に、先ほどからいろいろ御議論がございますように、職務の特殊性ということを認めてきているわけでございますけれども、また、そういう職務の内容というものを考えますと、まあ特殊性を認めつつも、他の一般の技術職員というものとの権衡というものをやっぱり考えていかなければならない、こういう立場もおのずからあるわけでございます。したがいまして、そういうことを考えていった場合に、たとえば一般職の行(一)の四等級というのは、課長補佐または本省係長ぐらいの等級になるわけでございますけれども、そういうことろに当たります等級に、何と申しますか、技術職員の方の職務を同一に評価するということはなかなか議論のあるところというふうに考えておりますので、いろいろ国会の事務当局のほうとお話しして数計をきめたと、こういうことでございます。
  59. 和田静夫

    和田静夫君 それはちょっとね……。問題は、その人事院の四等級標準職務表に該当しないという概念ではないでしょうね、それは。そういう意味ではないでしょう。
  60. 岡島和男

    説明員岡島和男君) その、人事院のきめております等級そのものに該当しないからという単純な理由ではございません。それは、国会の特殊性というものはあるわけでございますけれども、しかし、おのずと一般の行政官庁につとめている職員との権衡というものも考えなければならないという立場にあるわけでございますので、そういう点を考慮したわけでございます。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 それは、何も全然考慮をしてはいかぬなんというふうな非常識なことを言うつもりは全然ありませんけれども、ただ、大蔵省が定数を認めなかったというのは、いまの理由だけでは非常に納得ができないわけです。しかし実際問題として、全然認めていないわけじゃないでしょう。衆・参両院を通じて全然認めていないわけじゃないでしょう。
  62. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 技術職員につきましては、四十七年度は、定数の増加は認めておりません。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 いやいや、そういう意味じゃない。いままでです。
  64. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 従来は、数はございます。従来は多少ずつ認めてきたように、記録がなっております。ちょっと私、前年の計数につきましてよく知りませんけれども、定数がございますから――失礼しました。四等級につきまして、技術職員を認めてきたことはございません。五等級、六等級、七等級というところでございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 これは知野さん、ありませんか。
  66. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) ただいまの点は、移行しました技術職員につきましては五等級、六等級でございまして、四等級の定数というものは認めてないと思います。  ただ、衆議院なんかで言いますと、運転員は百六十人ぐらいいるわけでございます。まあ一人一人運転をしているとはいいますけれども、やはり先輩の運転員の中には、多くの運転員の模範といいますか、たばねをいたして、いろいろ指導したり何かするような立場の人もおるわけでございまして、そういう場合には、われわれは運用でもちまして、ほかの四等級を使って昇格をさしておるということでございまして、定数上はございません。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 定数上は現実はないでしょう。しかし、いま衆議院総長答弁されたように、運用上はやっぱりちゃんとね。これは、運用上そのことが起こり得るということは、そのことは決して不当なものではないんだ、一定の妥当性を持っていると、こういうことがやっぱり前提にあるんですよ。したがって、これはやっぱり定数化の努力というものは当然されなきゃならぬと思う。で、余分なことを言いませんが、どうです。
  68. 岡島和男

    説明員岡島和男君) 一般の公務員につきましても、暫定定数というのを認める場合がございます。したがいまして国会の、ただいま御議論になっております場合についても、そういう例があるわけでございますが、暫定定数というのはまた、そうたくさん認めていいかというと、あくまで暫定でございますものですから、そうたくさん認めるわけにいかない。それで一般公務員の場合にも、暫定定数というものは一般の公務員の昇進とかいうような問題とからみ合わせまして認めておる場合があるわけでございますので、この問題につきましては、私は基本的にはなかなか問題があると思いますけれども国会の特殊性というものと、それから一般公務員とのバランスというものを私どもあくまで考えなければなりませんものですから、そういうこと等いろいろ考えあわせまして検討してまいりたいと思います。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 検討の約束をされたわけですから、ぜひ検討していただきたいと思うんです。  参議院の河野前事務総長が、行(二)の撤廃理由の中で、行(二)の適用職員は私どもが予想した以上に処遇において恵まれない、こういうふうに言っていらっしゃる。行(一)へ移行しても、行(二)より不利にならない程度というようなことでは移行の趣旨に反するわけです。現在、五等級に在職の技術職員のうち、マル特直前の二十一号が四人もいるわけです。あるいは二十号の人が二人いる。あるいは十九号の人が七人もいるという状態です。これは大体、私の調査と人事課長との間で数字は合っているはずですが、この人の一年の昇給間差はいずれも千三百円です。マル特直前で、間差がわずかに千三百円では、これはもう仕事に覇気がなくなりますよ。  で、今年度、二等級まで課長補佐の範囲が拡大された。いままでの四等級は実質的には課長補佐から係長、こういうところになってきたのですね。そうすると、事務職と技術職のバランスから見ても、現実のままでの四等級というのは、いわゆる国会事情の中からいって私は当然であると思うんです。大蔵なり当局考え方の中に、級別定数なり昇格というのは標準職務表の判断が一つある。特に大蔵の場合は、そのことを無視することができない立場にある。しかし半面、職場環境あるいは人事管理上の問題も勘案して決定をするわけですから、これは何といっても原則だと思うんですよ。とすれば、マル特に突入する職員待遇改善も、あるいは人事管理上から見て考慮をして、そして級別定数を決定するのが大蔵なり当局の態度だと思うのです。  で大蔵の態度は、検討されるという約束があったのですが、当局側はいかがですか。
  70. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 本院の職員におきまして、現在すでにマル特になっておる者、それから、いま先生のおっしゃいましたようにすでに最高号俸に達しておる者、これはいずれもございます。こういった職員につきまして、確かに私どもにおきましても標準職務なり、等級の決定方法というものはございます。しかも、これは一般職を引いておるわけであります。そういう意味で、いま大蔵省から御答弁がございましたが、一つには、そういう形で解決する方法はなかろうか。あるいはまた、もう一つ別に、現在私どものほうでも行政的な配慮を加えまして、自動車運転手をやっておりました者について、昨年度二名、一昨年二名、四等級の定数に移行と申しますか、昇格させた者がございます。そういった意味で能率の向上とか、あるいは勤務に支障を来たさないというような考え方で、何らかの方法を考えて処置していかなければならぬと考えておるわけでございます。
  71. 和田静夫

    和田静夫君 これは、当局の担当者との間で何らかの方法で措置をするということですか、いまの答弁は。
  72. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 実は上位等級に進みますには、それなりの資格なり、あるいは職務評価と申しますか、そういうことがございませんと、なかなか昇格はいかないわけでございます。しかも一方においては、そういった意味での係長とかあるいは課長補佐というものの定数も、これは定められておるわけでございます。その辺のところの調和をどういうふうにとっていくか、その辺が一つ解決策であろうかと思います。一つには暫定定数ということもあると思いますが、それから、職務の評価を考えるという面では、これは私どもの内部で処置し得る面もあると思います。
  73. 和田静夫

    和田静夫君 とにかく、この四十七年度の技術職の級別定数については、これは非常に不満の声が大きいわけです。これは人事課長よく御存じだと思うが、総長も十分に知っておいてもらいたい。たいへんこれは不満な声がある。で、この行(一)移行後の昇格は、行(二)の撤廃関連する問題で、移行しても、こういう形でマル特やあるいは四等級の昇格が阻止されるということでは、これは残念ながら何のために行(二)撤廃久保田発想があったかということを疑いたくなるわけですね。したがって、今後も行(一)移行後の昇格については、いま言われたとおり善処をする、そういう努力をしていただきたいし、私自身も注視をしていきたいと思う。  で、次に移りますが、アンバラの問題ですね、従来から分科会職員給与のアンバランスがたいへん問題になってきています。で、四十三年度からアンバラ是正が開始をされていると聞いていますが、どの程度まで進んでいるのか。これは是正の対象と内容を説明してもらいたい。
  74. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 御質問のアンバラの問題につきましては、これは数年前から本分科会においていろいろ議論がなされまして、その結果、私どもで処置をいたしましたのは、四十二年の四月一日時点を押えまして、そのときの初任給基準とかあるいは昇格、昇給基準というものを、職員採用時にさかのぼってかりに適用した場合にどういう数字が出るか、ということの作業をいたしたわけでございます。  この問題につきましては、山本伊三郎先生のいろいろお知恵も拝借をいたしまして、勉強したわけでございますが、その結果、いまの方法でやりました結果、現在受けておる職員給与との比較をいたしまして、すんなりと基準どおりいった場合、それよりすでに職員の受けておる給与が高いという場合につきましては、全然見る必要がないわけでございますが、それより低い者につきまして、さらにもう一つの方法、すなわち初任給基準というものを採用時に一応さかのぼりまして、あとの昇格とかあるいは昇給というものは実態そのままでころがしてみたわけでございます。それによって四十二年四月一日時点の給与を導き出しまして、それと本人が受けておる給与というものを比較をいたしまして、そこに差があった場合に特別昇給という制度を利用いたしまして調整を加えるということで実施をいたしたわけでございます。  で、この措置は、本年の一月一日の措置によりまして完了いたしておりますが、人員で申しますと百七十五名、特昇号数にいたしますと百九十一号の調整をいたしておるわけでございます。
  75. 和田静夫

    和田静夫君 当局が実施したアンバラの是正は、衛視の前歴加算を中心に、制度変更に伴うそういう措置がたいへん多かったようですね。で、確かに当局が実施したアンバラ是正というのは、私はそれなりの理由があると思う。職員の長年の懸案であったアンバラ是正を、宮坂総長が決断をして是正に取りかかったことについても、私は一応の評価をしたいと思うんです。しかし、四十三年度のアンバラの是正開始まで、あるいはまた開始されてからも、組合と当局の間で、是正の対象号俸でどうも意見が合わなかったところがあるというふうに仄聞するのですが、意見の不一致はありませんでしたか。
  76. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 私、その時点でまだおりませんでしたので、的確に御答弁できるかどうか、ちょっとあれでございますが、その時点で、かりに当局側と組合との話し合いで問題になり意見の一致を見なかったというものを、まあ私なりに判断をいたしますと、それは、おそらく臨時職員の問題ではなかったかと思います。
  77. 和田静夫

    和田静夫君 これは総長、どうですか。いまと同じ質問です。
  78. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) アンバラ是正の点につきましては、昭和四十三年十月の昇給期から始まったわけでございまして、優に四年を経過しています。この点につきましては、われわれ当局といたしましては、人事課長の異動等も押えまして専心これにかかってもらったわけでございまして、ただいまそれなりに御評価されるというおことばは、私はもうつつしんで承っておるわけでございます。  その点について、臨時職員あるいは衛視の前歴その他の点についていろいろな議論がございましたが、そのつど、組合の諸君とも懇談いたしまして、できることは取り入れたわけでございますけれども、残存の、まだ解決しない問題が多々あると思いますが、これは何もただいまでアンバラの是正を打ち切るわけじゃございません。アンバラというものは、いろいろの経過に従って、いろいろな客観情勢等に従いまして出てくるのでございますが、それらを一括いたしまして、人事課といたしましても常にアンバラ是正に努力しておるわけでございます。  ただいまま一番問題になっておりますのは、臨時職員の期間、いわゆるその待機期間、それらの配慮につきましては人事課でも相当な苦心をいたしておりますが、これらは、ただそこだけ見ると、それをすぐ是正しなければならぬというようなふうに私ども直感いたしますが、しかし、これらは、ほかの状況とも十分バランスのとれた是正をしていかなければならぬのでございまして、非常に時間がかかり、研究の過程も複雑になってくるわけでございます。しかし、いかに複雑でございましても、われわれは逐次そういう方面の解決努力していく、一年、二年のお約束はできませんけれども努力していくということで御了承をお願いいたしたいと思います。
  79. 和田静夫

    和田静夫君 一、二年の約束はできないというところの一言がなければ、ここでやめようと思っていたけれども、それがあると、ちょっとあれですがね。これは、従来の分科会の議事録を持っているんですが、山本伊三郎さんとあなたの論議をこの分科会会議録で読んでみますと、アンバラ問題についていわゆる中だるみの是正が論ぜられていますね。この中だるみ是正も含んで宮坂総長は次のように述べられています。「特に御指摘の行政職第一のアンバランスの問題につきましては、参議院事務局衆議院に比較いたしましても特に問題のあるところでございまして、」「初任給の格段の処置がとられてき、しかも上のほうがまた特別給を支給した現法制下におきましては、特に六等級の上部、それから五等、四等そこいらの辺につきましては、いわゆる中だるみというようなことばで表現せられているところがございましょうが、これらの点につきましては、われわれのところでできるだけのことは――特別昇給その他の点で、昇格その他の点について努力はいたしておりますが、」「それらの節にはまた御高見を拝聴いたしまして、十分職員の期待に沿うような制度を打ち立てていきたいと、はなはだ長くなり」――まあ途中で省略しましたが、「恐縮でございますが、こんなように考えております。」――「制度を打ち立てて」いく、これは、読むと、事務総長が救済をしたいと言ったことに反して、実際に行なわれているアンバラ是正というのは不十分なんですよ。これは御自身もお認めになると思う。したがって、総長約束は実現をされていない、こういうふうに思うのです。おそらく、あの山本さんのことですから、賃金問題にはすぐれた専門家ですから、かなりきびしくあれされた、結論的な質問で。私の質問についてはごまかすことができても、彼の質問はやっぱりなかなかごまかすことができなかっただろうと思う。  そこで、聞くところによると、今後、四十三年度から開始されたアンバラ是正の対象からはずれた職員を救済する、そのために組合との間で話し合いが行なわれているということですが、宮坂総長分科会約束をされた、この中だるみの是正ですね、これを中心にいま明確に答弁してもらいたいのは、今後とも職員給与のアンバラのいわゆる是正を継続されていく――余分なことばは要りませんから、継続されていくと……。よろしいですか。
  80. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいま昔の速記録をお読み願ったのですが、山本先生には非常に御指導いただいたわけでございまして、あのときの情勢は、いまからしますと、当時、制度そのもののアンバラということを非常に各方面で論議されていたときかと私は思います。それで、そういう点につきましては、初任給なり上のほうの給与の格上げというような中に、はさまって、四、五、六という点で、たるみがあるんだという、内閣委員会でも本格的な論議をされそうな問題であったわけでありますので、それらの点につきましては、私としては力及ばずして、そういうことにはできないのであるが、参議院独自の、たとえば臨時期間が長過ぎたとか、あるいはいろいろなケースがあるので、われわれとして解決できる点は大いに解決いたそう、こういうふうに私は考えて御答弁を申し上げたと思いますので、いまもその点については変わりはございません。
  81. 和田静夫

    和田静夫君 変わりがない、いわゆる給与のアンバラ是正を継続していく、こういうふうに確認をされたわけですね。そこで、現在検討しているといわれるこのアンバラの内容と、それをどういう方向で是正をしていこうと考えてらっしゃいますか。
  82. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 現在問題になっておりますあれは、要するに、昭和二十四年ごろから昭和三十七年までの間に、これは当時の社会情勢なり、あるいは予算事情なり、いろいろの事情があったと思いますが、本院のみでなく、各省においても行なわれておりました臨時的な採用職員期間を有し、かつ、その後に本院の職員に引き続いてなっておる者、この臨時職員期間をどういうふうに扱うかというものに、いま、しぼられておるわけでございます。要求として私どものほうに出ております問題は、臨時期間を一〇〇%見る――この一〇〇%と申しますのは、職歴で申します一〇〇%ではございませんで、一年を一号でという意味になっておると思います。それから臨時でございますので、国会開会中限りの採用ということで、間があいてまいります。その間を待機期間ということで、通常の、一般の経歴加算よりも有利に扱えという要求が出ておるわけでございます。いま私どものほうで、基本的に申しますと、臨時期間と申しましても、これは同じく前歴期間であることには実は変わりないわけでございます。この前歴期間につきましては、これは人事院の定めを私ども受けておりますが、十八カ月一号で見る。この内容につきましては、官庁歴あるいは民間歴、これらいずれも期間としては十割、ただ、それを換算いたします場合には、十八カ月をもって一号と見るという方法がとられておるわけでございます。したがいまして、本院の臨時期間のみをそれより縮めるということでやります場合には、同じく他の官公歴なり民間歴なりを持っておる者について、これをどうするか。この辺のところに一つの問題がございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げました第一次のアンバラと申しますか、アンバラの調整によって、職員間では一応のバランスがとれてきておるわけでございます。そういった第一次のアンバラでやりましたものの中で、特にさらに抜き出しまして調整を加えるということが職員内部に与える影響というものを十分考えていかなきゃならぬかと思いますが、要するに、問題は、うちの臨時職員期間というものを、これを十八カ月一号という線をくずし得るかどうか、ここのところに判断の問題があると思います。それにつきましては、まだ実は昨年末にそういう要求が出てきておりまして、その後いろんな事情もございまして、まだ基本的な検討はいたしておりませんが、総長の御発言の次第もございまして、これをどうするか、国会の終わりました時点からでも考え方を詰めていってみたいと考えております。
  83. 和田静夫

    和田静夫君 言われたとおり、一言で言えば、臨時期間の経験者の救済。それで、臨時職員制度というのは、これは昭和三十五年以前のたいへん失業者の多い時代に、使用者が人件費の負担を押えるために採用していた、まあけしからぬもので、私も昭和三十年代初期、当時の自治庁の長官川島正次郎氏と全国的にこれを解決をした。そういう経験を持っていますからね。川島さんが持っておった政治力といいますか、判断力というのは、少なくとも臨時職員の解消問題に関して、やっぱりたいへんすぐれたものを持っていたと思う。したがって、非常な勇断が要りますよ、これは。事務的に処理をすることだけを考えていますと、とてもできるものじゃありません。その辺のことをやっぱり前提に置かなければいかぬ問題です。参議院では職員と全く同様の仕事をさせながら、国会が終わると、とにかく首を切るんですね。私も出入りして、ふしぎに思ったのは、つき合っておって国会が終わったらいなくなるという人がいる。そして、次の国会が始まると、またあらわれておる。病気でもしておったのかと思ったら、いやそうじゃない、首を切られておったんだと、こういうことですね。これはやっぱりたいへんな問題ですよ。しかも、期待感がありますからね。次ぎ、ちゃんと採用できるわけだから、なかなか、その間にどこへでも行っていいんだ、自由ですよと言われたって、そんなものは簡単に――もちろん、労働市場の問題がありますけれども、そう簡単にできるわけじゃありませんから、したがって、本来なら、ぼくは待機期間だって一〇〇だと思うのです。しかし、そういうことばかりも言っておられませんから、こういう不安定な雇用関係を繰り返していることについて、基本的にやはり考えてみなければならぬということもあるでしょう。ありますが、当面、とにかくこれによって起こっておるところの非常なアンバランスですね、これの解決努力というものを、何としてでもやってもらわないと困ると思うんです。  そこで、いま、この国会が終わってからすぐにでも始めたいという言われ方でありますから、そうすると、大体六月ですか。まあ、それは国会が終わる時期は予測できませんが、ともあれ、それは佐藤さんがやめたくないと言って延ばしたら別だけれども、大体六月、区切ってみれば六月ごろからこの問題については開始をされる、そう判断してよろしいですか、いまのところ。
  84. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 国会のいろいろな事情もございますので、なるべく早くその検討を開始したいと考えております。
  85. 和田静夫

    和田静夫君 ともあれ、この国会と次の国会との間には仕事は開始されている。何月なんて予測できませんでしょうからね。
  86. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この点につきましても、先ほど申し上げましたとおり、いろいろな関連事項がございます。人事課といたしましても非常な努力が要るんじゃないかと思います。前回の経験に徴しましても、発足するまでにずいぶん長いこと職員に残業等をやってもらいまして、全職員のデータを集めまして、実態ころがしとかいって盛んにやっておったわけですが、そういうこともございますので、ただそこだけの解決でないので、他にいろいろな条件もありはせぬかということで研究いたしますものですから、さっき私が申し上げましたように、六月終わったらすぐかという御質問ですけれども、六月終わりますれば七月一日付の人事の発令もやらなければならぬ。なるべく早く――まあ暑中でごさいますけれども 夏ごろ組合とも十分話し合いまして、大いに努力いたすと、こういうことで御了承願いたいと思います。
  87. 和田静夫

    和田静夫君 どうも総長、肝心なところだけ声が小さくなるものだから困るんだけれども、いわゆるこの国会が終わって次の国会、もちろん、七月に人事異動があったり、いろいろ忙しいでしょうが、次の国会までの間、この間には始まると……。それは臨時国会なんということは――いま言っているのは通常国会です。通常国会は十二月に召集しなければなりませんとなっているんですから、したがって、その辺までに始まるといえば、いま人事課長の答弁では大体六月ごろが考えられますけれども、その中間をとったって十月ごろには始まっているということになりますね。その辺はいいんでしょう。
  88. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 御趣旨を承りまして十分努力いたします。
  89. 和田静夫

    和田静夫君 私の趣旨を十分に取り入れて努力をする、そういう答弁ですか。
  90. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 和田先生の趣旨を十分了承いたしまして努力いたします。
  91. 和田静夫

    和田静夫君 ここで繰り返しますが、アンバラの是正というのは、参議院職員が、非常な切実感、それから最も関心を抱いている問題です。国会という小さな職場の中での給与の格差、あるいは特に昇給昇格等のおくれというのは、職員の不満をかもし出す最大の原因になっています。人事管理の面から見ても問題があります。当局として職員給与のアンバランスを生じさせない努力というのは、いま約束があったとおりですが、早急に十分になされなければならないと思うんです。万一アンバランスが生じて職員から不満が出たときは、すみやかに不満を解消する方策というものを今後ともやっぱり考えるべきです。是正につとめるべきです。これは、いま御答弁になりましたから、そういう意見を述べておきます。  次に、甲問題です。これは参議院独自の問題で、率直に言ったら、なぜ衆議院に学んだ解決をされないか、こう思うわけです。普通のことは大体衆議院と歩調を合わせていきながら、これだけ参議院が独自性を持っておるということはちょっとわからないんですが、アンバラ是正で議論をしてきましたけれども総長は、旧アンバラを是正する一方、新たなアンバラの発生を見のがしていると私は思うんです。それはいわゆる甲問題です。これは、従来から何度もこの分科会で取り上げられてきておりますし、私自身も昨年取り上げましたが、一向に改善されないわけですね。人事院の試験合格者と、そうでない参議院独自試験合格者、いわゆる大卒ですね、との間では、給与上も待遇上も極端な差がついておる。これは明らかに不当な差別だと思うんです。宮坂総長人事院との約束ということを言われたんですか、過去にそういう言い方をされましたね。で、差をつけられるのは、課長補佐行(一)の四等級までといわれておりますが、それまでの給与差はどれだけあるとお思いになっておりますか。昭和三十年採用者を基準にとりますと、現在の給与額で見ると、甲は三の七です。甲以外の大卒者で標準的な人は四の七です、大体平均的に調べてみましたら。完全に一ランク違うわけですよ。ここまで差をつけなければならない理由は一体何なんですか。
  92. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいまお述べになった甲乙の差の出る点につきましては、先生もすでに御承知であろうと思います。なぜ甲の試験の合格者を採用するかという点につきましては、私どもといたしましては、千二百人の職員のうち、特に知識程度の高い職員採用しなければならない困難な業務がたくさんあるわけでございます。たとえば、最近では調査室、それから議事部、そういったいろいろの部門に、ぜひとも優秀な識見の高い職員採用しなければならないという必要に迫られ、最近、調査室の室長の任期の点について、先生方の御会合がたびたびあるわけでございますが、そのときも総長に対して、優秀な人材を調査室に入れなければならぬという強い批判的な御要望があるわけでございます。そういう点につきましては、私どもといたしましても、もちろんこれに全力を尽くさなければならないわけでありますが、いま日本の現段階におきまして、公務員を志望している大学卒業生を採用する場合には、どうしても――人事院が多額の費用をかけて、北は北海道から南は鹿児島まで、その地域的な条件等を平等にいたしまして、りっぱな試験等をやっておられる、その成果を分けていただかなければ、私ども事務局単独の試験と申しましても、費用もあるわけではないし、試験委員もそろっているわけではない、そういう点につきましては、私どものほうだけで一つの新聞に募集広告ぐらい出した程度では人材は集まらないのでございまして、やむを得ず、ごく限られた数だけは人事院にお願いして配分を受けておるわけでありまして、この差のある制度がいいとか悪いとかいう点につきましては私が申し上げることではないことでございますが、国家の制度としてこういうふうに打ち出しておるものでございますから、人事院試験の甲の合格者を私どものほうで配分を願って、違う待遇をしてこれを処理するということはできかねるわけでございます。しかし、そうかと申しましても、乙と申しまして本院採用試験でございますが、それとの差をなるべく縮小しようと考えまして、採用した甲の職員につきまして厳格な昇級基準テスト、そういうものをやっておりまして、これに沿わない者はどしどし昇格を排除しておるわけでございます。また、乙の本院試験に合格した者で優秀な者があれば、どんどん人事課において甲と同じように抜てきをしていく、そういう点については人事課が長年配慮しておるわけであります。いまの日本のこの客観的な情勢におきまして、どうしても人事院試験の配分を受けなければ優秀な人材を採れないという状況をひとつ御勘案いただきたいと思います。
  93. 和田静夫

    和田静夫君 総長の言われていること自身、たいへん矛盾に富んでいると思う。そうしたら、衆議院採用されている人はたいへんお粗末なんだということになる。逆に言えば。人事院試験、人事院に依拠してないから。それだったら知野さんがおこっちゃう。そんなことにならないでしょう。それから、あなた自身だって独自試験をやっていて、そしてあなた方幹部が責任を持って採用されているわけです。そうなれば、国会職員としてふさわしい、こういうふうに判断をされているのですから、それはもう将来性を十分に考えていらっしゃるわけでしょう。  それから、調査室長の人事の問題がいろいろ出ましたが、それはあなたの理解のしかたがずいぶん違うんじゃないかという感じがする。長い惰性に流れて仕事をしているような人では困りますということであって、いわゆる調査室が持っておるところの機能を十分に発揮する人であったならば、それは、いわゆる甲であろうが乙であろうが、そんなことは別に何の関係もないことであって、そんなことで人事について、いままでいちゃもんがついているはずがないと思うのです。その辺のこともやっぱり考えてみると、理由にならないです。  ともあれ、人事院試験の採用者を差別して扱うというようなことは、これはもう、やっぱり矛盾を感じなければなりません。衆議院の大卒者の採用方法と、そして人事院採用した場合の待遇、こういうものをひとつ教えてもらいたいこと、あるいは衆議院を引き合いに出さなくても、現に、この参議院の中で法制局は独自試験を行なっているわけでしょう。それで甲と同様の措置をとっているわけですから、事務局が同様の措置がとれないということにはならないんじゃないですか。時間がありませんから、この問題をひとつ答えてください。  それから、もう一つは、行(二)の撤廃のところでも言ったのですが、国会職員の特殊性というやつですね。仕事は違っても、国政をつかさどる議員仕事を手助けするという点では同じなんですから、だから給与法もできる限り同一にして、待遇も同じにしていきたいという、そういう基本原則があった。仕事が同じでありながら給与が同じでないというのは、こんな不自然なことはないのであって、もちろん、そこには経験、職責の重さは当然考慮されることを否定はしませんが、しかし、私がいま問題にしている甲乙問題というのは、調査室は御存じのとおり職種仕事の質も全く同じですよ、それは。甲で入ってこようが、乙で入ってこようが、質は同じですよ。そして消化能力は、そこにおけるところの、言ってみれば、努力をどうされるかによってきまるのであって、採用のときどっちの試験受けたかによってきまるんじゃありませんよ。一つの例をあげると、委員部、これだって同じ業務に従事しているわけでしょう。同じ年齢、同じ年に参議院に就職しながら、運用で給与に格差がつけられている。これはもう、まさに差別ですよ。それ以外の何ものでもない。とにかく、待遇を一本化することが大切です、国会の中の運営というのをずっと見ていまして。そのためには、早急に参議院の独自試験一本で採用することが、この問題の唯一のいわゆる解決策です。そういうふうに少なくとも思う。そういう解決への努力というものをされるべきだと思うが、一挙にそこまでいくという答弁が、きょう、さっきの答弁から類推をして、できるとは思わぬけれども、ともあれ、総長としては検討に値する事項であることは間違いないと思うのですが、いかがですか。
  94. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいまの御高見、十分承りました。確かにおっしゃるとおりの理由は、われわれとしても認めておるわけでございますが、何と申しましても、これは国家の制度として打ち出されておるわけでございまして、われわれといたしましても、早急にそれを打破していくというような、何と申しますか、立場にないものであります。それで、八の三の問題あるいはその他の点についても、たとえば、ある方の御意見を承りますと、国会人事院みたいなものをつくったらいいじゃないかという御議論もあったわけでありますが、それらの点につきまして、われわれといたしましてはその設置の意見もごもっともでございますが、さしずめ、いまの段階においては、人材を繰り入れるという点につきましては、どうしてもこの試験に依存しなければならぬということを御了承願いたいと思います。
  95. 和田静夫

    和田静夫君 そう言ったところで、総長、ゼロでしょう。四十七年はゼロ、四十六年は四十五年に続いて一名でしょう、ゼロに等しい。無理にそんなものに固執している必要は全然ないじゃありませんか。
  96. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) それらの点も十分考慮して配慮いたしたいと思います。
  97. 和田静夫

    和田静夫君 その点を配慮をして、やっぱり検討されるわけですか。
  98. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 承知いたしました。
  99. 和田静夫

    和田静夫君 いま速記録に載りましたかな、承知いたしましたというのは。どうも肝心のときの答弁は小さな声だから。それじゃ、私が言ったとおり御承知なさったわけですから、検討していただくと。  それから速記職ですがね。これは前々からのことで、また同じことを、去年と一緒のことをやることになるのですが、いわゆる抜本改善、それは速記職の給料表が行き詰まっている関係から、当局はこの分科会で再三言明をされてきました。そうして、昨年、両院において速記職の給料表の抜本改善のためのいわゆる検討委員会が設けられて、八月の概算要求期に間に合わせるべく検討、努力されてきた。その過程で、両院の職場代表ですね、組合員、これは二十回くらいに及ぶ打ち合わせ会を開いて検討を行なった。また、衆参おのおのの検討委員会の中では、職場側から当局に対して多くの説明資料を提出した。私はそれを資料として持っていますが、にもかかわらず、概算要求のための成案を得るに至らなかった、この責任は当局にあると考えます。この責任は当局にあると思うが、ここだけ答弁してください。時間がもうないものですから、経過のところは、あとでもっと説明しますから、考え方をいま少し。
  100. 西村健一

    ○参事(西村健一君) ただいまの御質問でございますが、私が記録部長であり、かつ、この検討委員会の座長をつとめておりました関係で、お答え申し上げるわけでございます。ただいまの御質問の中で、去年の経緯について当局の責任云々という御指摘があったわけでございますが、私、この検討委員会を主宰しておりまして、この話し合いの場と申しますか、ここではやはり、出席しておる者がざっくばらんにお互いの考え方を述べ合って、そこで一つの一致した結論を得るということが望ましい、そういう意味におきましては、速記職の代表であるとか、あるいは管理職あるいは当局側であるとか、そういった関係を抜きにしても、お互いにひとつ率直に話し合うべきだと、こういう考え方でやってきたつもりでございます。しかしながら、いろいろ過去の長い歴史を持ちます速記職の内容の検討もありましたので、時間的にかなり無理がございまして、そのために、ただいま御指摘のような点が結果的には一部に出たのではないか。と申しますのは、この検討委員会では、まず、速記職の職務の分析というところから入りまして、速記職の代表、あるいは記録部のほうからいろいろ資料の提出なり、説明なりをいたしまして、それに対して当局側からいろいろまた質問をしたりしたわけでございますが、遺憾ながら、当局側がその考え方を述べるという段階の前にタイムリミットが来てしまったと、こういう状況でございます。
  101. 和田静夫

    和田静夫君 あんまり答弁を長くしてもらわなくても、わかっているんですから、結論だけ言ってもらえばいいんです。  そこで、なぜ当局が構想なり考え方を発表できなかったか。今日なお、長い間かけてきたけれども、そういう構想なり考え方をお持ちにならないのか、それが一つ。それから二つ目は、それがもしないとすれば――構想がないとすれば、ネックは何なのか。それは衆参当局の意見の不一致なのか、あるいは参議院の中だけの管理職の意見の不一致なのか、これを簡単にちょっと答えてください。
  102. 西村健一

    ○参事(西村健一君) 必ずしも当局考え方が述べられないということではなくて、先ほども申し上げましたように、時間的にその段階に至らなかったというふうに私は考えております。
  103. 和田静夫

    和田静夫君 そうしますと、いまならばもう考え方が述べられますか。
  104. 西村健一

    ○参事(西村健一君) その点につきましては、内部の事情を申し上げて恐縮ですが、昨年の後半に人事課長もかわりましたし、私は記録部長としてずっと在職しておりますけれども人事課関係等は幾らか準備も要るかと思います。しかし、いずれにせよ、私としてはこの委員会の主宰者として、いまの御指摘の点についても遺憾のないように努力していきたいと思っております。
  105. 和田静夫

    和田静夫君 そうすると、いま大体準備が整っている段階だというふうに理解をしますが、そこで、総長にちょっと伺いますが、昨年、概算要求を見送る段階で、引き続き検討を行なうための条件として当局から三項目の確認事項案が示された。その第二項は、「本問題について、今後も、双方、建設的合理的具体案を出し合い検討を継続する。」、こういうことになっています。ところが、残念ながらタイムリミットが来たという説明ですが、当局側は建設的合理的具体案を必ず出すと約束をしなかったために確認事項とならなかった。参議院では検討委員会がその後開かれていない。当局がほんとうに誠意をもって抜本改善を行なう気持ちがあるならば、当局側が具体案を示すべきであります。ところが、その気配すらなかったと言っていいと思います。しかし、いまの答弁で、とにかくその気配はあるようです。  そこで、これに対して、総長は、どういうふうに考え、どういうふうに認識されますか。やっぱり早急に具体案を出させて、やらせますか。
  106. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 一応、ああいう結末で終えたのでございまするが、われわれといたしましては、速記職給料表の抜本的改善については終始変わらない努力をいたすつもりでございますので、国会の繁閑を利用いたしまして、特にまた閉会と相なりますれば、さっそく検討委員会を再開といいますか、一応引きあげられた組合とか職場の職員にも、きん然参加をしていただいて、再出発して、大いに努力をやらせたいと、こう思うわけです。その点につきまして、特に再開の場合に、いろんな条件を両方で持っておるだろうと思います、私が承知するところでは。ただいま和田先生お話にあったように、当局側が案を出さなきゃいかぬという御議論もあるでございましょう。しかし、当局側としても、そう決定版というようなものもないわけでございまするから、たたき台としての案は出すべきでもあるし、また、それに乗ってお互い検討してもらわなければならぬわけでございますが、組合も、そういう点につきましては十分認識を深めておるだろうと思います。御協力を願えるものと事務総長としては確信しております。そうでございますので、国会が閉会になりましたら、さっそく検討委員会を再開してもらうように、両方に私からお願いしたいと思います。
  107. 和田静夫

    和田静夫君 当局側から素材を提供される、そういう形で検討を開始をされる、そういうふうに理解をいたします。ぜひ早急に、非常に期待が強いわけですから、やらなければならぬことですから、やっていただきたいと思います。  あと七、八分になったんですが、議警職の問題について一言。  議警職の給与についてですが、現在議警の二等級の在職者三十九名のうちの十一名、これは昇給間差が小さい十五号給以上に分布をしております。中には二十一号になっている人もあって、昇給間差はわずかに千六百円です。二等級が行き詰まっていることは明白であって、これをどういうふうに打開するかということを一つ聞きたいのです。  それから、打開策として二等級の号数をさらに伸ばす方向では私は改善にならぬと思う、もしそういう答弁であるならば。やはり現在暫定で一等級にいっている衛視副長を定数化する、つまり、衛視副長を一等級に格づけを変更する、そうしてワンランク・アップの措置以外に解決できないと、実は私はそういうふうに調査をしながら思ったのですが、いかがですか。
  108. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 議警の二等級の問題につきましては、号俸分布の問題は先生のおっしゃったとおりでございます。この問題につきましては、過去、昨年も御答弁申し上げておるわけでございますが、議警職は一方におきまして執行職の系列というものがございますために、定数をそれで獲得する、上位等級を獲得するということが非常にむずかしい事情がございます。したがって、この辺のところの給与の改善といいますか、というものをどう考えるか、そこに焦点があるわけでございますが、いまこれを衛視長に格上げするという考え方はまだ詰めて持っておりません。率直に申しまして。半面、実はこの給与面について何らかの改善を考えなければならぬという意味で、昨年の給料表改定の際に、二等級の上位につきまして若干の改善を加えたわけでございます。現在、それ以上の問題、一ランクアップ的な考え方というものは、まだ、率直に申しまして、持っておりません。
  109. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、私は、参議院のように、衛視の定数が二百五名――小さい職場ですね。勤続年数も長い。新陳代謝も少ない職場でしょう。ここでピラミッド型のきびしい公安職の給与体系を準用して……。ここにそもそもの無理があるのです、これは。ここに入ってきて、この給与表を見て、ほんとにそう思った。そこに無理がありますから、ここにやはりメスを入れざるを得ませんよ、これは。したがって、速記職と同様に、抜本改善をすべきですよ。そういう検討をすべきですよ。それはすべきだと思うのですが、そのことは異議がありませんでしょう、検討はすべきだと。
  110. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 議警職の給料表につきまして、公安職を引くについての御議論もあろうかと存じますが、これを行一の給料表というものと、かりに比較をしてみますと、議警の二等級というのは、ちょうど一般職の四等級にほぼ匹敵をいたしております。四等級と申しますのは、先ほどもございましたが、本省の課長補佐である。そういう意味で、必ずしも給与額そのものについて、それほど不利になっておるというふうには思えない面もあるわけでございます。ただ、いろいろ内部の不満なり、そういったものを解消することが人事行政の一つの要諦でもございまして、その辺のところについては、これも慎重に考えてみたいと思います。  なお、このことにつきましては、私どもだけの問題ではございませんので、衆議院とも十分協議をした上でなければ、この辺の措置はとりにくいわけでございます。そういった意味で検討は十分いたしていかなければならぬと思っております。
  111. 和田静夫

    和田静夫君 「いたしていかなければならぬ」まで聞こえて、あと聞こえない。いたしていかなければなりませんね。「イエス」と、こう、ちょっと……。
  112. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 繰り返して申し上げますが、検討をしていかなければならぬと考えております。
  113. 和田静夫

    和田静夫君 すぐ検討しなければならぬと思います。しかし、現在の段階では、職務の等級に対する格づけを変更して、それで給与改善をはかるのが私は次善の策だと思っております。したがって、私の述べている意見も十分くみ入れていただきたいと思いますが、くみ入れる用意がございますか。
  114. 佐橋宣雄

    ○参事(佐橋宣雄君) 検討を進めます段階におきまして、先生の御意向をも一つの、何といいますか、基準と申しますか、考え方の基礎として検討をしていきたいと思います。
  115. 和田静夫

    和田静夫君 最後です。あと三分ありますから。  週休二日制、この週休二日制は、御存じのとおり、最近非常に議論をされています。これは、ある意味では、国会で実施をするのが、かなりやりやすい条件があるのではないかという感じがするんです。国会活動に重大な支障がない限り、週休二日制を考えてはどうかというふうに思います。で、週休二日制というのは時代の趨勢ですから、どこが積極的に取り組む問題だろうかと私は思うんです。もちろん、公務員全体としての労働時間の問題もありますが、国会は幸いに週休二日制の採用を、くふうしてやれば、あるいは重大な支障を来たさない条件というものは、やはりあると思う。国会が先頭に立って週休二日制を採用するのは、むしろ、現在種々論議されておるこの問題に一つの決着をつけることになる。そういう意味では積極的に取り組んでみてはどうかと思いますが、具体的には、初期の段階では、たとえば閉会中に実施をするとかいうような、あるいは隔週にするとか、いろいろなことがあると思うのですが、この点については、総長、これは何か検討されたことがありますか。
  116. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 二、三年前から、いろんな方面から週休二日制についてのお話を承ってまいりまして、機会あるごとに御意見を承っておりますが、何ぶん、これは時代の趨勢をお考えになっての御質問でございまして、非常に次元の高い点から解決をいたさなければならない問題でございますので、私といたしましては、この場から国会にそれがどう適用になるかというような軽はずみの答弁はちょっと差し控えたいと思いますが、趣旨を十分尊重いたしまして、これから将来の問題として研究いたしていきます。
  117. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  118. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 速記を始めて。  それでは、和田君の質疑は終わりましたので、次に西村君の質疑をお願いいたします。
  119. 西村関一

    西村関一君 私は、四十七年度の宮内庁の歳出予算要求について幾らかしさいに検討をさしていただきました。それらのこまかい点について触れますよりは、ひとつ、大事なことと思われます点について、宮内庁次長さんからお伺いをいたしたいと思います。  それは、日本国憲法において規定されております、天皇は日本国の象徴であるという点につきまして、これをどのように御理解になり、また把握をされ、その上に立って宮内庁長官としての任務を果たしておられますか、その点について、まずお伺いをいたしたいと思います。
  120. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは憲法第一条の解釈の問題でございますが、憲法第一条に、天皇は日本国の象徴であり国民統合の象徴である、そのことは主権を有する国民の総意に基づくというような規定がございますが、そのことだと思いまするが、象徴という形は、これは、終戦前の明治憲法では、天皇は元首にして統治権を総攬する、というようにありました。しかし、そういう表現ではなくなっております。しかし、日本の長い歴史を見ますると、いわゆる権力をお持ちでなくて、その国の最高の地位におられて、国民の中心におられたというような時代のほうが長いわけであります。藤原摂関政治のとき、あるいは幕府政治とか、そういう時代が非常に長いわけでありますから、したがって、この象徴というこの表現は戦後初めて出てきた新しいことではなくて、長い歴史の上で、いわゆる統治権を総攬されるというような権力の中心にはおなりでなかった、そういう時代のことが、そのことがここに表現されているものと思います。しかし、これは国民の総意に基づくということでありますので、そういうようなことで、われわれは、一般の国民もそういう天皇をいただいて進みたいという気持ちを持っておられる点を十分考えて、日本国における天皇のそうしたお立場を考えながら奉仕を進めていきたいと、こう思っております。
  121. 西村関一

    西村関一君 私は、天皇が終戦のときにマッカーサー司令部においでになりまして、自分はどういうふうになってもよろしい、ただ日本国の安泰と国民のしあわせがもたらされるならば自分はどうなってもよろしいという意味のおことばを出されたというふうに聞いているんであります。そのことは、陛下の心の底からの平和を願い国民の安泰を求めておいでになるそのお気持ちのあらわれだと思うのであります。私は、もしあのときに、マッカーサー司令部によりまして日本の天皇制というものがくつがえされてしまったならば、この憲法にうたわれておりますところの国民の総意が、まとまるところがなくなってしまう。日本国の長い歴史から考えまして、この点は不幸中のまことに幸いであったというふうに考えているものであります。それだけに、天皇は平和を願っておられるところの象徴であるというふうに考えるのでありますが、その点、次長はどういうふうにお考えでございますか。
  122. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 天皇陛下が戦後マッカーサーにお会いになったときのお話どもわれわれ聞いておりますが、平和を深く望んで進んできておられるという点も、われわれも、いろいろ文献、また、いろいろなことを通じて承知いたしております。したがって、いま先生が言われるような象徴というお立場、それがまた平和を象徴されるというようなふうにお考えいただくことも、これも一つの考えかと思います。
  123. 西村関一

    西村関一君 現行日本国憲法の精神、そのときにお出しになりました勅語があったですね。その中には、「国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によって確定されたのである。即ち、日本国民は、みづから進んで戦争を放棄し、全世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平和が実現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて国政を運営することを、ここに、明らかに定めたのである。」というふうに仰せになっておられるのでございます。昨今、日本国憲法はアメリカから押しつけられたものであるというような論をなす者がありますが、これは、当時の総理幣原喜重郎氏が沈思黙考されて現行憲法の草案を書かれ、私は、これは押しつけられた憲法ではない――そのことは、憲法調査会の会長でありました高柳賢三博士と私はたまたまジュネーブの国際会議で同席をいたし、ホテルも一緒でございましたので、その間の事情についていろいろ伺いましたが、まさしくそのとおりであるという、押しつけられた憲法でないということを、高柳博士はいろんな文献を調べ、また、いろいろなその他の資料によって、そういうことを私に言われたのであります。   〔主査退席、副主査着席〕 その憲法の制定されましたいきさつにつきましては、いま私はここでせんさくをするつもりはございませんが、私は少なくとも、時の総理幣原喜重郎氏が陛下の意を体して深く沈思黙考されたということは否定することができないと考えるのであります。象徴としての天皇は、平和を象徴するところの天皇であるというふうに私は理解をいたしておるのであります。いま次長からお答えがございましたが、それも一つの解釈であるということでございますけれども、天皇陛下におつかえになっていらっしゃる官内庁の方々といたしましては、陛下の御趣旨がどこにあるか、どこを念願としておいでになるかということについて十分な理解と御支持がなければ、ほんとうにおつかえすることができないと私は考えます。平和主義者としての天皇さまのあり方、そういうものをどのように国民の間に表明していくことができるかということを念頭に置いておつかえにならなければならぬじゃないか。あの終戦のときの詔勅もございますが、私は、戦争の責任を一身に負うて、自分はどうなってもいいということを言われ、あのような憲法発布のときの詔勅をお出しになった、その天皇の御意思を十分に御理解の上で日常のおつとめをなさることが必要じゃないかと思いまするので、重ねてその点についてお伺いいたします。
  124. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いま先生のおっしゃいましたお気持ちは十分わかるのでありますが、よく、いまの陛下のなさっておりまするお役割りというのをどういうことかということについて、こういうふうに解釈する方もあります。われわれもそうかと思いますが、その一つは、国際親善に寄与しておられる、そのもう一つは、国内的に国民が相和して団結していくように寄与しておられるという、大きく言えばこの二つの点だというふうに言われておりますが、その前のほうの点が、いま先生のおっしゃる部分だと思います。で、いろいろのことをうたっておりますが、一々具体的に申しませんが、おわかりのとおりでございます。なお、あとのほうの国内的な面がもう一つある、こういうことだと思います。
  125. 西村関一

    西村関一君 両方とも、私は、天皇陛下こそは平和に徹しておられるという、かりそめにも戦争への道を、再びそのあやまちを繰り返そうとお考えになっていらっしゃらない、どこまでも国際的に平和である、国内的にも平和的な精神が満ちあふれてくるようにということを願っておいでになると私は考えるのであります。国際親善ということにつきましてはもちろんでございますが、今日のむずかしい国際情勢の中にあって、日本国の象徴であられるところの天皇陛下が国際親善に当たられる場合においては、この憲法の精神に従っておやりになるということはもちろんのことだと思うのでございますが、同時に、国内的にも、もしも日本国民の中にあやまって平和に逆行するような思想や行動がありますならば、陛下はこれを憂いとなさる、このような考え方をためていこうとなさる、そういう願いをお持ちになる。直接、政治の面には携わられないことに憲法においてはなっておりますけれども、そういう陛下の願いを願いとし、陛下の憂いを憂いとしていくということが宮内庁の皆さん方のうちに十分になければならないんじゃないかと私は思うんでございますが、重ねてそういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  126. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いまのお気持ちの点もよくわかります。ただまあ現在の憲法上、天皇陛下の御立場というものを十分考えていかなくちゃならないので、あまり国政に関与するようなふうになってはいけないということを十分反省しながら儀礼的に、徳義的にいまおっしゃったような気持ちというものはわれわれも持って、この奉仕の職務につとめたいと思っております。
  127. 西村関一

    西村関一君 私は二つ目に、天皇陛下が科学者であられる、自然科学を愛好され、その御研究に当たっておられる、その御成果は相当海外にも認められている、こういう一面に対して宮内庁としてはどのようにお考えになっておいでになりますか。
  128. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 天皇陛下は科学者として特にまあ生物学の関係においては深い御造詣をお持ちであります。しかしまあ陛下もおっしゃっていますが、これは私の趣味としてやっているのだ、専門の学者になるつもりで特にやっているのではないとおっしゃっておられます。しかし、他の学者の方から聞きますと、ほんとの専門の高い位置に達しておられるようであります。これは陛下がいろいろと御公務も相当お忙しいわけですが、その御公務の間をぬって生物の御研究をなさいますのは趣味としての時間でありまして、まあ気分を転換され、またお疲れを休められることにもなっている。また別の面で深い一つの人生観とか世界観とか自然観というものも、そういうものを通じておくみ取りになって、御修養にもなっているようでございます。したがって非常にいい御趣味をお持ちのこととわれわれは心から敬服をいたしておるわけであります。
  129. 西村関一

    西村関一君 陛下の御趣味であれ、それはまことにたっとい御趣味だと思うんであります。自然を愛好し、自然を深く理解する者にとりましては、これはやはり自然のなりわいを通じて平和主義にならざるを得ないと私は考えるのであります。そのことはともかくといたしまして、陛下が趣味として自然科学の御研究をなさっていらっしゃる、これは全く公務の余暇になさることであるという、いまのお話でございますが、それでありましてもその貴重な御研究を幾らかでもお助けしていこうという考え方になるのは国民のだれもがそうだと私は思うのであります。こういうことに対しまして宮内庁としてはどういう配慮をしておいでになりますか。私の聞いておりますところでは、前から生物学御研究所というのがあるやに伺っておりますが、きわめて木造の簡素な建物の中で御研究をなさっていらっしゃるということでございます。こういう点、どういうふうに宮内庁ではお考えになっていらっしゃいますか。
  130. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 陛下は生物学御研究所へは特別の御公務がない限りは月曜日の午後、それから木曜日の午後あるいは土曜日の午後あたりはおいでになっておりますが、その研究所の建物は、これは国有財産の皇室財産であります。その中のいろいろの器具なんかは、これは陛下のほうでお買いになっております。内廷費などでお買いになっているわけです。そのところにお手伝いをする職員もおりますが、これは国の経費ではなくて陛下の御趣味の関係上、内廷費でそういう人をお雇いになっていらっしゃるわけであります。しかし、その施設あるいはお手伝いの人で事を欠いているとは現在思っておりません。なお、御研究は生物の分類学の点が多いものですから、よく外へお出になりますと、特に那須の御用邸へおいでのときなんかは、植物をいろいろずっとごらんになりましてそれを記録なさっています。それが御本になっています。また、葉山の御用邸へおいでのときには相模湾においでになって、海底の生物を御採集になって、これをいろいろ研究なさって、これも御本になっておるわけであります。そういうような御本をお出しになったりする経費は、これは国の経費じゃなくてやはり内廷費で、お手元金でなさっておるわけでありますけれども、しかしながら現在のところその点で特に御不自由をかけているとは思いません。こういうことをなさりたいということはなされるようになっております。
  131. 西村関一

    西村関一君 全部内廷費でまかなわれているということで、それは天皇陛下の御意思がそこにあって、自分の個人的な趣味であるから公費を使うべきでないというお考えから出ていることだと思います。それはまことによく理解ができるところでありますが、この建物は国の建物でございますね。国の予算でもう少しく完備したものをおつくり申し上げるということはできないのですか。
  132. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 建物は国の予算でできました国有財産でございますが、数年前にいろいろ標本類を貯蔵なさいますのに御不便な点がありまして、そのわきのほうへ鉄筋、鉄骨の倉庫を、これもやはり国の経費で建て増しをいたしましたり、必要な点は改善をいたしておるわけでございます。
  133. 西村関一

    西村関一君 天皇陛下が国際親善のために、また国民和合のためにお立ちになっておいでになるという上から、私は今度の新宮殿がまことに宮殿としてふさわしいものであるということを感じておるものでございますが、宮殿だけでなしに皇居内の林泉につきまして――庭園でありますとか水の流れでありますとか、そういう点について、なお十分な配慮をなされることがふさわしいと思うのでございますが、水がだんだんかれつつあるということを伺うのです。それは私ども、外のお堀の水を見ておりますと、そのことを感ずる。外のお堀の水と皇居内の林泉にある水とはやはり共通のものでございます、地下水から出るものでございますから。そういう点に対しては、外のお堀は環境庁の所管でありますけれども、水は共通しておりますから、そういう点、宮内庁としてはどういうふうに処置しておいでになりますか。
  134. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この皇居の全般的な整備という点は、十分考えていかなきゃいけないのでありまして、宮殿ができました後も、皇居内の一般的整備ということを引き続いていろいろ進めております。その一環として、いまお話のありましたような庭園とか水の関係の整備という問題もございます。特に、水の関係につきましては、昨年度予算で皇居内の水の調査を行なってまいりました。専門の学者、研究家等五名の方に特に委嘱いたしてやってまいりました。その結果の報告はまだ伺っておりませんけれども、それによって水がどういうふうにしてあのお堀にたまるか、それがどういうふうにして流れていく、あるいはどういうふうにして漏れていくか、そのきたなくなっておるのはどういうふうな原因だろうか、水の低くなっているのはどういう原因だろうかということを、いろいろ究明していただきました。これに基づいて、さらにそれに対する対策を考える必要があると思います。たとえば水の漏れておる点がはっきりすれば、その点を補強して、石がきのところから漏れないようにする。そうしますと、水位がある程度保てるというようなこともありますが、その具体的な点は、総合調査の結果の御報告をまだ受けておりませんので、中間のを聞いているだけでありまするから、御報告を聞いた上で、さらにそういう対策を講じていきたい。これは一つの例でありますが、いま申されたような点を、今後いろいろ努力して、皇居全体の整備につとめたいと思っております。
  135. 西村関一

    西村関一君 先ほど次長は、天皇陛下は国際親善、もう一つは国民親和、和合のために、ことばは違うかもしれませんけれども、そういうことのためにお立ちになっておいでになるということでございますが、いま皇居内に外国の賓客をお招きになるとともに、国民の代表、各界の代表、できれば国民の数多くの階層の人々が皇居内にお招きを受けるという機会が多いほどいいと思うのですが、この点はいかがですか。
  136. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新しい宮殿ができまして、仮宮殿のころに比較いたしますと、国内の各面の代表の方をお招きになる数は幾らかふえております。たとえていいますと今週の土曜日・四月二十九日は天皇陛下のお誕生日でありまするが、その際、国内のおもな方を招かれますが、その場合、仮宮殿の場合ですと御主人だけでありましたが、新宮殿には御夫妻、それから特に公務員とか国会議員とかいう方のほかに、民間の実業界とかあるいは社会事業関係のような方、そういうような面の代表の方もお招きになるというようになっております。今後いろいろの機会にそういう点は十分考えながら進みたいと思っております。
  137. 西村関一

    西村関一君 私がなぜそういうことをお尋ねするかといいますと、国民と遊離してしまわれるような天皇陛下では、これはそのお気持ちにそぐわないと思うのでありまして、そういうことについて、国民の中においでになる天皇、国民とともにおいでになる天皇、また世界各国の国民の中においでになる天皇、世界各国の国民とともに歩んでおられる天皇、それが天皇陛下の御趣旨だと私は思うんでございます。そういう点に対して、官内庁の皆さんといたしましては、そういう心がまえで御勤務になっておられると思いますけれども、さらにその点を踏まえていろいろなお仕事を進めていただきたい、こういうふうに思うのでございます。こまかいことを質問する時間がありませんので、以上で私の質問を終わりますが、最後にもう一度次長さんからその点に対する心がまえを伺っておきたいと思います。
  138. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 天皇陛下は国民との親和を一そう深めていかれるということ、これはこのさきの日本国の象徴、日本国民の統合の象徴というお立場においでになることから見ても、これは当然そうした面にわれわれとしても力を入れていかなくちゃいけないということを考えております。宮中でのいろいろの催しにできるだけいろいろな方をお招きするとか、あるいは参観の機会なんかも多くするとかいうようなことも考えなければいけませんし、また地方のいろいろな催しの場合にお出かけになりますが、そうした場合にも地方の方とできるだけ接触を深められるということも考えていかなければいけないと思っております。ときによると、何か警備が厳重で皇室と国民との間を隔てているようなきらいがありはしないかというような批判を受けることがあります。これはわれわれといたしましても、警備という点は最小限度にとどめていただきたいということを警察にも申しておりますが、ただ最近いろいろの治安の状況が悪い関係で、裏面でいやな情報もときどき入ってまいりますものですから、そういう点でやむを得ず警備という点がときに目につくこともございますけれども、しかしながら、これは常に最小限度にとどめていただいて、皇室と国民との間の隔たりのないように、今後も相親密に結ばれていくことが日本国のためにいいことだと思っております。
  139. 木島則夫

    ○副主査(木島則夫君) 以上で西村君の質疑を終わります。  続いて鈴木一弘君。
  140. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 最初に伺いたいのは、参議院の改革案というのがいろいろ出されております、議長のもとへ。河野新議長になってからこれが叫ばれてきた。またその提案もなされている。各党からも出ております。そういう点で私どもは非常にこれはよいことだと思っておるんです。今回の予算書を見ても、たとえば、傍聴人用のエレベーターを新設をする、こういう費用がついたということは非常によかったと思うんですけれども、エレベーターをつけるとか、鉄格子をはずすとかいうことじゃなくて、さらにこれは、当然改革案の中には庶務小等でやらなければならないものがかなりあると思います。たとえば、委員会の編制がえの問題であるとか、あるいは大臣を参議院から出さないとかいうような、こういうことは別問題でありますけれども事務局として当然なすべき改革もあるだろうと私は思うのです。その辺の改革案というものを、どういま考えられているか、それをひとつ伺いたいと思います。
  141. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 前回の選挙の前後を通じ、自来参議院制度についての各界の批判が非常に熾烈であって、河野新議長が出ましてから、ここに参議院問題懇談会がつくられまして、言論界、学者、それから議会運営の経験者、評論家、新聞記者というような構成をもちまして、回を重ねて審議の結果、答申案ができたわけでございまして、これは半歳にわたる、参議院に対する国民の批判を的確に表現したものであるという、各党の御決議があるわけでございまして、われわれといたしましても、十分この懇談会の申し合わせの趣旨にのっとりまして、事務局といたしましても善処いたさなければならないことは当然でございます。  私たちは、外部的な設備等の点につきましてお気づきの点を御注意をいただきまして、改革の資に供するために、エレベーターその他、傍聴人、参考人の取り扱い、その他従来もやっておりますが、さらに一そう民主議会にふさわしいように事務局としても運営をいたしたいと思っておるわけでございまして、これ以外に私たちといたしましては、先ほども議論がありましたのでございますが、どうしても事務局職員の資質を向上していかなければならない、これが私は事務局として一番考えなければならない問題ではないかと思うわけでございます。むろん、新国会開設以来いろいろな機構の改正はしました。むろん合理的な、運用の能率のあがる機構にそのつど改善していくことは当然でございますが、その根本に横たわる職員の資質の向上、すなわち、ことばをかえて言うと、人材を事務局に持たなければ、機構など幾ら改組してもだめだということを私は従来から考えておりますので、これらの点につきましても、現在の就職状況等を見まして、われわれは十分参議院事務局に人材が入ってくるように努力いたしておるわけですが、これからも大いに努力しなければならないと思うわけでございます。それで、むろん各部局は議員活動のお助けをするわけでございますが、とりわけ知識程度の高い補佐を申し上げなければならない調査室とか、あるいは議事部、そういったところに人材を擁して、議員の立法活動の能率があがるようにいたさなければならない。こう考えておりまして、せっかく努力いたしておるわけでございます。
  142. 木島則夫

    ○副主査(木島則夫君) なお、その前に申し上げます。答弁者はなるべく大きなお声でお答えください。
  143. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 だいぶ聞こえにくかったんですけれども、人材の養成ということ、登用ということ、これは非常に大事なことだと思うんです。そういう点もありますし、その点でちょっと聞きたいこともあるんです。  それからもう一つは、いろいろの改革がいわれているけれども、これは議員サイドから、各党サイドから出ているだけではしようがないんですよ。やはり事務局として、昔の貴族院以来ずっと続いている、そういうようなのになれてしまっているようなものも、これはあるだろう。そういうものも直していかなければならないし、いろいろな点を事務局としても本気になって考えてもらいたい。これは当然のことだと思うんです。  それが、議員のほうからいろいろ出ていながら片方のほうからは出てこないということになると、何となく新しい議長のもとで一生懸命やっていないんじゃないかという印象を受けてしまう。これはまずいと思います。  その点でいろいろあるんですけれども、ひとつ最初に伺いたいのは速記の問題であります。記録をいろいろ速記をする。はっきり申し上げて本会議のは官報に出ております。一般頒布ということが、言われているとおりになっていますけれども、しかし、各委員会における議事録というのが、秘密会の議事録でないわけなんですけれども、これは現実の扱いとしては公開という扱いなんでしょうか、非公開という扱いなんでしょうか。
  144. 西村健一

    ○参事(西村健一君) 委員会議録の配付につきましては、ただいま御指摘のように一般に頒布いたしておりません関係上、参議院では、これを希望者に対して実費でお分けするというような方法をとっております。
  145. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 希望者に対して実費で分ける――これは憲法第五十七条の冒頭に、「両議院の会議は、公開とする。」ということがはっきり出ているわけですね。この原則から言ったらば、希望者だけというのもおかしいのです。その希望者というのは、いかなる人をも問わずということでしょうか。
  146. 上野山正輝

    ○参事(上野山正輝君) ただいま鈴木先生の御質問でございますが、これは現在頒布しておりますのは、この参議院の中に、外郭団体として財団法人参友会というものがございまして、そこで頒布しているわけでございます。  そもそもこの財団法人参友会ができました経緯と申しますのは、御存じのように、各議員さん方には会議録を一部ずつ無料で配付しておりますが、議員さんの中で特に増刷を希望される方が多い。これはどうも国費ではなかなかまかない切れないということから、参友会というものをつくりまして御便宜をはかるという趣旨で設立されたわけであります。それがだんだん発展いたしまして、現在では各官庁あるいは地方の議会、それから学校、報道関係等から申し込みがございますと、そういうところに配布しております。それから特に、一般の方でも議員さんの御紹介によりますれば配布する、こういうことで現在やっておるわけでございます。
  147. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、これは憲法の上から見ても、公開がたてまえなんですから――といっても全国の、一億の国民全員に議事録を無料で頒布するということは不可能と思います。しかし、各地方議会等には、当然これはすべてやっていいんではないかという感じがするのですね。いまのところ地方議会、官庁、報道関係等から、申し込みがあったものに頒布していると言うのは、これは全部参友会に対して申し込みがあったものでしょう、これははっきり申し上げて。全部有料になるわけでしょう。だから、せめてそのぐらいの予算措置はとれるのじゃないですかね。金額はそんなに膨大なものになるわけじゃないだろうと思う。全国で十万も二十万もの市町村があるわけではありませんし、都道府県があるわけではないのです。そういう点で、やはりこの点は、中央で論議していることはそのまま地方住民にも直結している問題ですよ。そういうものが、申し込みがなければ手に入らない。これが一つふしぎな点です。  もう一つは、議員の紹介がなければ一般人は手に入らない。これは二つ目の奇妙な点です。議員の紹介がなくても、議事録をほしいといったら、これは希望者には分けてあげましょうというようでなければならない。その点の考えはないのでしょうか。こういうことは、私は参議院は特にいま改革が叫ばれているから参議院のことを最初に申し上げているのですけれども、国民の前にすべてをさらしていくということが非常に大事だ。こういうことから始まっていくんだろうと思うのですよ。その点はいかがですか。
  148. 前川清

    ○参事(前川清君) ただいまの御質問、御意見で、地方議会等に無料で頒布してはいかがかといい御意見がございましたが、その点、当然相当予算を伴う問題でございまして、各地方議会等においてその要望が非常に強いというのであれば、われわれとしてもそういう方面のことも当然検討しなければならないかと思っております。
  149. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 このは希望が強い、強くないの問題ではないと思うのですよ、私の言っているのは。希望が強いじゃなくて、公開が原則です。参議院の改革が叫ばれているからには、当然それは知らせるのがあたりまえです。どういうふうに国会論議されているのか、報道で目にしたり新聞等で知るのは、その一部分ですよ、はっきり申し上げて。そのときのユニークな問題だけ、あるいはトピックな問題が大きくクローズアップされるだけであって、実質的には一体何をやっているのかという論議が絶えずあるわけです。国民の間にも、もちろん地方議員の中にもある。そういうことになれば、私は少なくも地方議会全部に対しては無償で送ったってたいした金額でもないと思うし、半分持ってもらったって、それはたいしたことはないと思いますからね、それぐらいのことはやってほしいんじゃないかということ。  それからもう一つは、議員の紹介でなければ希望者に対して出さないという、そういうことは、それではこれは憲法の精神とは反しているし、せめて改革を叫ばれている参議院なんですから、これはやるべきじゃないかということです。
  150. 上野山正輝

    ○参事(上野山正輝君) 鈴木先生のただいまの御質問でございますが、これは実は議員が紹介しなければ出さないという原則ではございませんので、参友会というものが院内にございますために、これはPRということも不足ではございましょうが、一般の方々が参友会の存在をあまり御存じない、また院内通行等のこともございましょう。あるいは会議録を必要となさる方が、特に議員の方とお知り合いの方が多いために、心やすだてに議員さんを通してお願いするというようなことで、現実問題としてはいまのところ、わりに一般個人的なお申し込みがなくて、議員さんを介してのお申し込みが多い、こういうことを申し上げておるわけでございまして、先生のおっしゃるとおりの趣旨でございまして、私ども、一般の方々のお申し込みを決して拒否するということではございません。その点を御了承願いたいと存じます。
  151. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 総長、この速記録公開ということはどうなんですか。はっきり言って、田中彰治事件についても何にしても、この速記録にあったことが公証力を持っていたわけです。ですから、そういうような非常に重要な文書でもあるわけです。それだけに、国会での発言がそのまま速記録に残っているそのことが、地方を運営していくについても、あるいは国民の生活を左右することも全部、ここできまってくるわけですからね、方向が。そういう大事な問題だけに、どうしてもこれは公開を早くさせるべきだと思うのですよ。その点で、四十七年はこれはもうどうもならぬかもしらぬ。これは補正予算でできればけっこうでありますけれども。そういうことを考えられませんか。強く要求したほうがいいんじゃないかと思いますが。
  152. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この委員会の速記録の問題につきましては、過去ずいぶん御議論がありまして、多少本会議とニュアンスは異なっておるということを種々論じられておりますが、もう民主議会の運営でございまするから、公開的な取り扱いをいたさなければならないという鈴木先生の御意見は十分承っておきまして、衆議院のほうとのこともございまするので、十分連絡をとりまして、研究いたしていきたいと思っております。
  153. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは絶対やっていただきたいですね。そうしなければ、改革改革と言っても、第一歩の国民と直結する面の改革が、エレベーターをつけたり格子を直すだけじゃしょうがないと思うのです、はっきり申し上げて。やっている中身の問題が一番大事なんですから。そういうふうに一歩、歩を広げてもらいたいと思うのです。  これは知野総長に伺いたいのですが、片方の衆議院のほうは、これはどういうふうになっているのですか、公開の問題は。
  154. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 会議録の問題は、鈴木先生が御指摘になりましたように、本会議会議録につきましては、憲法上、これは公開をして一般に頒布するということがきめられております。委員会の会議録につきましては、御承知のように委員会は、議員のほか、委員長の許可した者が傍聴することができるということになっておりまして、衆議院規則、それから参議院規則も同様であると思いますが、「委員会議録は、これを印刷して各議員に配付する。」ということが両院の規則で定められた法規でございます。そういう点で、これは一般の配付ということまではいたしておらないわけでございますが、これを、国会予算をとってみずから関係のところに配付するのがいいのか、あるいは必要である地方公共団体その他がしかるべき方法でこれを入手してやるのがいいのか、それらは国会法及び衆議院規則等の関連もありまして、今後の検討事項になろうかと思います。
  155. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それは、国会法云々の問題はあるいはあります。確かに国会法には、「議員の外傍聴を許さない」と、第五十二条にございますよ。ですが、やはり憲法の中で、委員会のことを公開しないなんということは一つも述べてないですからね、はっきり申し上げて。どこにもございませんよ、憲法には。そういう精神をくんでいけば、委員会といえどもこれは記録については――委員会の部屋のほうは、傍聴は特別に許可をした者でなければ入れないというのはわかりますけれども、少なくも議事録については公開をするというのが憲法の精神だと私は思うんですよ。そういう点の改革がなされないということはよくないと思うんですね。この点を、これは大きな宿題だと思いますけれども、これで民主国家だなんて言ったって話にならないと私は思うんです。その点を十分、これは事務局のほうから出すべき案でもあろうと思いますよ、予算を伴う問題でもあるし、考えてもらいたい。  それからもう一つは、記録の問題、速記の問題でありますけれども、現在は、ここにも見られるように手で書いていろいろやっていらっしゃるわけでありますが、それで翻訳もする。すでに裁判所等では機械速記から、これの翻訳のほうへの資金も出しているわけですね、その予算も組まれております。この点は、裁判所やそのほかとの連絡等とられながら、機械速記であるとか、その翻訳へのいわゆる研究開発であるとか、こういうことはいかがなものなんですか。考えはないんでしょうかね。
  156. 西村健一

    ○参事(西村健一君) ただいま御指摘の件につきましては、一昨年だったかと思いますが、公明党の沢田委員から機械化の問題として御質問があったように記憶しております。したがいまして、私どもといたしましても、この問題については以前にもまして真剣に検討を続けてまいったわけでございます。ただいまお述べになりました裁判所のいわゆるソクタイプと申しますか、こういったものについても部内に委員会を設けましていろいろ検討いたしてまいったわけでございますが、ただいまのところはやはり手書きの速記がベターである。したがって、いわゆるソクタイプ的なものは用いないで、従来同様手書きでもって速記は行なう。しかし録音機その他、いろいろ最近発達してまいっておりますので、そういったものを補助として使うことによって、より迅速に、より正確な会議録を作成したい、かように考えているわけでございます。
  157. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは衆議院ではいかがですか。
  158. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 速記の機械化の問題でございますが、これは一つは日本語の非常にむずかしいという問題もあろうかと思いまするし、また裁判所のことも承ってはおりますけれども、両院の速記の数量というのは非常に膨大なものでございまして、はたしてその機械化をしたほうが、速記会議録になるのにどっちが早いかというふうな問題を現在の段階で検討いたしますと、両院の速記者というのは非常に優秀な速記者がそろっておりますし、現在の段階では、少なくともいまの速記者の速記にまさるものはないというのがわれわれの感じでございます。ただ将来、機械というものが非常に発達をしていくというふうな段階で、それにまさるものが生まれるような段階になれば、もうそういう開発が可能になるということであれば、そういう問題も検討しなきゃならぬ時期がくるのではないかと思いますけれども、現在の段階では、私は両院の速記者のほうがはるかにすぐれていると思っております。
  159. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それじゃ、なぜ裁判所等はそういうソクタイプのような機械速記を入れたり、翻訳のために開発の費用というものを組んだりしておるのか、ぼくはわからないわけですよ。膨大な量というけれども、裁判所だって膨大な量です、はっきり申し上げて。あの裁判記録をごらんになればわかると思いますけれども、ものすごくこまかいわけですよ。そういう両面から見ますというと、やはりこれはよく連携をおとりになったほうがいいんじゃないですか。その点は、何か連携するような機関なり会議なりというものは持たれないんですか。
  160. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 衆議院の場合についていいますと、年間、大体延べ二千五百時間ぐらいの速記をいたしております。これは、裁判の記録が印刷物になって出るのと、国会の記録が印刷物になって出るのとどっちが早いか、そういう検討までは私ども実はよくしてはおりませんけれども、いま、本会議につきましては、両院とも六体一日ぐらいでできておりますし、委員会につきましては大体一週間ぐらいでできております。いまの段階では、裁判所のほうが国会よりもそういう印刷物が早くできるという確証が実はございません。ただ将来の問題としまして、機械というものが幾らでも発達しそうな状況でございますから、そういう勉強だけはしなきゃならぬかと思っております。
  161. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、そういう点でいろいろ検討してください。検討なさらないで、現在のままでいいでしょうと――はっきり言って、速記のほうは本会議なんかにしても人力作戦ですよ。そうして、どんどんどんどん翻訳をしてということが現在行なわれている。ぼくらが見ていてわかるわけですよ、そういうことが。必要な委員会のがなかなか翻訳にならないで困ることがあるわけですよ。そういう点からもこれは考えていただきたいと思います。  それからいま一つは、これは参議院の問題なんですけれども、参友会で頒布をするんですけれども、これは私ども発言をして、あとになって十部ぐらいほしいなと思うときにはもう間に合わないんです、いつだって。発言をしたその日か翌日の朝あたりに、十部なら十部余分にもらいたいといわなきゃ絶対間に合わないんですね。これはどういうふうになっているんですか。
  162. 上野山正輝

    ○参事(上野山正輝君) これは、委員会が終わり、その会議速記録が、翻訳され原稿として印刷局に回されまして、印刷を完了いたしますまでの申し込みの分については、御注文を受けておるわけでございます。印刷が完了後の申し込みにつきましては、これは現実問題としてなかなか増刷りをするということがむずかしいわけでございます。この解決策といたしましては、あらかじめそういうことを予想して余分に印刷しておけばよろしいのでございますけれども、もし売れなかった場合には、それだけ参友会の負担になります。参友会といたしましてはその負担に堪えませんので、ただいま申し上げましたように、印刷の可能な範囲内の申し込みのみを受ける、こういうことをやっておるわけでございます。
  163. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは記録部で速記をして、翻訳をして、翻訳したのが印刷局に回りますね。そのときの部数は参友会のほうで指定するんですか、そうすると。
  164. 上野山正輝

    ○参事(上野山正輝君) 印刷局のほうへ必要な部数を申し込みますのは、参議院として申し込みます分と、それから参友会として申し込みます分と、二通りになっておるわけでございます。ただいま申し上げましたのは参友会の分だけのことを申し上げたわけでございます。
  165. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはわかりました。  いずれにしても機械速記の問題、翻訳の問題、それから公開の問題等、ほんとうに本気になってやっていただきたいと思うんです、二年も三年も叫んでおるわけですから。河野議長も、速記録の公開については非常にいいことだという賛意が出ておるような話もちょっと聞きました。これはほんとうかどうか知りませんけれども。だから、そういうのが出ているとなれば、これはなおのことやらなきゃならない問題だと思うんで、その点は本気になって取り組んでもらいたいと思います。  それからいま一つは、職員の資質向上の問題にからんでくるんですけれども、これはいま速記者の養成所がありますね。参議院衆議院おのおの養成所があると思いますけれども、一年間に何人ぐらいずつ養成しておるんですか。
  166. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 衆議院におきましては、十五名でございます。
  167. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 参議院も同様でございます。
  168. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 四十六年度の実績はいかがですか。
  169. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 大体十五名のうちから、半分ぐらいは衆議院速記者として採用しておりまして、その他は新聞あるいは雑誌、地方議会等に行っております。
  170. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 参議院におきましては、本年七名採用になっております。
  171. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは十五名ずつで、合わせて三十名でしょう。衆議院で十五名、参議院で十五名。別々に養成所を持たなければならぬという意味はどこにあるんでしょうね。私は先ほどのときに、参議院の改革のところで職員の資質の向上と言われたから、それならそれでこういうのを、十五名ずつの養成所、わかりますけれどね、やはり一本にしていってある程度権威を持たせるような、そういう方向に持っていくべきじゃないか。もちろん裁判所等でも養成しなきゃならぬでしょう。そういうもの一切をひっくるめて、少なくも速記の必要なところについてはこれはまとめていくというような考えはございませんか。
  172. 知野虎雄

    衆議院事務総長知野虎雄君) 一般的な考えとしては、確かにおっしゃる点はわかりますが、速記養成というのは、実は大量の養成になじまないと言われておるわけでございまして、われわれのほうでも、十五名をもう少し増したらどうかということを検討させましても、専門家から言いますと、それ以上はなかなか、かえってむずかしいという点が一つございます。もう一つは、衆議院及び参議院それぞれ、衆議院職員あるいは参議院職員として予定してこれは養成しております。一緒に三十名ぐらい養成しますと、一番が衆議院に行った、二番が参議院に行ったというようなことになりまして、なかなか採用もむずかしいかと思いまして、そういうような意味で現在まで五十年間、別々の養成所で養成しておるという状況でございます。
  173. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、一番が参議院に行った、二番が衆議院に行った、こういうことじゃなくて、初めから参議院職員として十五名、衆議院のが十五名というふうに入れていけばいいわけですからね。それで、行くところはきまっておるというふうにしておけばいいんです、それから裁判所と。こういうことにして、はっきり言えば事務大学のようなかっこうにまでだんだん権威を高めていかなければならない。というのは日本の速記は、御承知のように国会速記というのが、これが最高のものと言われているわけですから、世界にも例がないんですから、それだけのものがありながら、いつまでもいつまでもそういうことでは――やはりただの養成所というんじゃなくて、何か大学であるとか、事務大学のような形にするとか、もちろんそれには、これから先のプログラマーの養成も必要になってきますし、どちらにしても、衆議院においても参議院においてもコンピューターを入れてプログラマーを使わなければならないときがくるのは、もう目に見えていますよ。そういうものの養成もやらなきゃならないんです。そういうことから考えていくと、これは一つの、自治省には自治大学があるんですから、同じような考え方をぼつぼつ持つべきときが来ていると思うんですね。こういうようなことが一つの大きな改革じゃないか、こういうふうに考えられる。ところが、これは参議院だけで大学をつくる、衆議院だけで大学をつくるわけにはいかないから、そういう点はまとめられて考えるというふうな方向はとれないかということですから、この辺は意見にしておきますよ。  それから、時間がありませんから最後に委員関係予算の問題で一つ聞きたいんですけれども、調査員の件でありますが、調査員の旅費の問題ですが、この調査員一人当たりの単価は、この五年間でどのぐらいになっておりましょうか。
  174. 前川清

    ○参事(前川清君) 調査室の旅費につきましては、幸い本年度四十七年度に約二〇%の増額が認められまして、現在総額で二百四十九万四千円ついておりますが、これは調査員一人当たりの単価にいたしますと一万九千円ほどになります。これを昨年度に比較いたしますと、昨年の当初予算では約一万五千円ほどでございましたが、それが約二割近くアップされたわけでございます。
  175. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 四十七年で二百四十九万四千円。そのうち調査室分はどうなるのですか。この委員山会関係予算額の中の諸調査旅費ですね、いま言われたのは。調査室分は幾らですか。
  176. 前川清

    ○参事(前川清君) それが調査室の旅費の額でございます。
  177. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 全額ですね。
  178. 前川清

    ○参事(前川清君) はい。
  179. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 まあ二〇%値上がりということで、一人当たりが一万九千円ということになってくるわけでありますけれども、今度でせっかく二〇%上がっても、また国鉄の運賃が上がる、航空運賃も上がる、いろいろ上がりますね。そういう点ではちょっと私どもほんとうの調査をしてもらおうと思うときにはこれは非常に不便じゃないかということを感じるわけです。この点の増額、これはもう明年度ははっきりしてもらいたいと思うのですけれどもね、その点について。
  180. 前川清

    ○参事(前川清君) 調査室の旅費につきましては、従来からも不足がちであるということが言われておりましたので、従来から増額要求は毎年しておったわけであります。幸い今年度増額要求が認められたわけでございますが、なお必要に応じては、来年度以降も増額要求をしなければならないかとも思っております。
  181. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 最後の一問は、これは参議院事務総長には前に私、立ち話で申しました。例の、ちょうど議事堂のまん中の七階の問題でありますが、あそこは参議院の所管だということですが、あそこに昔の玉座がそのまま残っているわけです。あの玉座を早いところ、憲政記念館もできたことでありますから、そちらのほうに渡したらどうかという話を私申し上げたことがあるのですが、その辺はお調べになったと思いますけれども、どういうふうにするつもりですか。
  182. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 御指示の点は、早速私、警務部長と同道いたしまして、七階と申しますか、塔に上がりまして何年ぶりかの調査をいたしましたのですが、外来者に傷つけられている以外は、かなりきれいに保管されておると思っております。これらの玉座等につきましては、貴族院以来のものでございますから、貴族院以来残っております肖像画等も一緒に考えまして、できることなら憲政記念館のほうに御移管いただければいいかと思っておりますが、あそこは衆議院事務総長の所管でございますので……。
  183. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 衆議院でございますか。
  184. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) あの憲政記念館は……。まあ御協力を得てやりたいと思っております。
  185. 木島則夫

    ○副主査(木島則夫君) 以上で鈴木君の質疑は終了しました。   〔副主査退席、主査着席〕     ―――――――――――――
  186. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 分科担当委員異動について御報告いたします。  工藤良平君及び西村関一君が分科担当委員を辞任され、その補欠として小谷守君及び上田哲君がそれぞれ選任されました。     ―――――――――――――
  187. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は皇室関係の質問に入る前に、一つ山中総務長官にお聞きをしたい点がございます。実は、二十四日の参議院予算委員会第一分科会で、わが党の栗林委員の質問に対しまして、山中総務長官は憲法は押しつけであるという発言をなさいました。国務大臣であるあなたは、どんなことがあっても私は厳然として憲法というものを尊重し、そうして国民に周知徹底、理解をさせなければいけないお立場にあるはずでございます。にもかかわらず、あのような発言をされることは、私見であるとはおっしゃいますけれど、これはたいへん重大な問題だと思います。衆参両院の内閣委員会の中で弁明はされましたが、問題が問題だけに、私は陳謝だけで済ましていただきたくない、こういうふうに考えております。過去においても、この憲法問題に触れまして現職の大臣が辞任をされた例もございます。しかし山中長官の場合、日ごろの言動は進歩的でたいへん好評でございます。それであるだけにまことに残念でございます。この際、憲法は押しつけであるという、さきの発言をお取り消しになる用意がございますかどうでしょうか、ここでお聞きをしたいと思います。
  188. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 当分科会において、栗林卓司委員の質問に対して私が答えました憲法に関する問題、これについて、私見であると断わったとは申しましても、ただいまの御指摘のように、国務大臣の憲法九十九条に定められた厳然たる職責にある身から考えて、きわめて不謹慎であったと自分で思っております。したがって、ただいまの御示唆でございます、そのことについて取り消すべきであると思うがどうかという点については、私もその後考えまして、やはり取り消すべきであると思っておりますので、当席で、当分科会のできごとでございますから、民社党の同じ御質問に対して明確に、憲法に触れた分は取り消すということを御答弁申し上げたいと思います。
  189. 木島則夫

    ○木島則夫君 了解いたしました。  それでは、皇室費関係の問題に入りますので、長官どうぞ御退席下さい。
  190. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) どうも御迷惑をかけました。
  191. 木島則夫

    ○木島則夫君 まず、私は両陛下の御外遊に関連をしてのお尋ねをしたいと思います。最初に、天皇、皇后の昨年の秋の初めての御外遊について、宮内庁はその成果についてどういうふうに判断をされ、また、どういう反省を行なっていらっしゃるか、この点から伺いたいのです。
  192. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 昨年の秋の両陛下のヨーロッパ諸国御訪問のことは、それらの国との親善を深めるためということでお出かけになりまして、その親善を深めたという点の成果は上がったことと思います。国によりますと、たとえばオランダですとか英国あたりで、ちょっとどうかなというような事故もございましたが、しかしこれは、その国の一部の人の気持ちがそこに表現されたものでありまして、しかし、そういうことがありましても、両陛下は真剣に、その国において一般の方との親善を深めるための御努力をなさっておりまして、そういうような点で、全般的に見て親善のためには大いに御寄与になったというふうに思っております。反省という点でありますが、これは、私はお供しなかったのですが、お供した者からいろいろ聞きますと、まあ各国とも、日本へ外国の元首級のお客さんが国賓として見えたときよりも、いろいろ一般国民が歓迎しておられる、その点がまあ総合的に見て盛んであったように考えられた。したがって、日本に将来国賓を迎える場合には、さらにそういう点で考えていかなければいかぬじゃないだろうかということを聞いております。その後、日本へ外国の元首で見えている方がありますが、ある程度は改善の実もあげているようであります。しかし、まあこれは一般の国民の方が旗を振ってお迎えをするというのは強制すべきことでもないものですから、そういう点は何か御訪問先とはちょっと日本では違うようでありますけれども、強制的になってもこれはいけませんけれども、そうでない点で自然にできるような点には一そう力を入れるようにしてまいっております。そういう点でございます。
  193. 木島則夫

    ○木島則夫君 実は、先だっての御外遊については、ほんとうに国民こぞってたいへん好意的にこれを受け取っております。非常によかったという声が圧倒的なんです。新聞の論調も確かにそうだったと思います。国際親善という面でも大きな役割りを果たされた。しかし一方、反省すべき点も私は多々あったのじゃないかと思います。そのうち、私が指摘したい最大のものは戦争の傷あとという面に対する配慮であると思います。  新聞の社説の一つをここで抽出をいたしますと、「日本人がともすれば水に流しがちの過去がそこには生きていた。ご訪欧が発表されてから実現までの半年の間、政府当局はこのような情勢の分析に甘すぎるところがあったのではないか。そうでないとするなら、もっと洗練された配慮が見られたはずだ。一例をあげれば、陛下が各国で読み上げられた声明文は余りにも通りいっぺんの儀礼的なものだった。当事者にとって忘れることのできぬ戦争について、どうしてもっと心のこもった表現を盛り込むことができなかったのであろうか。この点、御訪欧を演出した「裏方」は鈍感にすぎたといわざるをえない。」、私がいま一つ抽出をいたしましたこの社説は、まだまだ私はそれほどきびしい批判をしていないと思います。戦争責任をいかに日本国民が感じているかにつながる、これは大事な問題です。  さっきもちょっと瓜生次長のお口から出ましたけれども、各国で戦争に対する問題に対してちょっとお触れになりました。聞くところでは、イギリスでの公式歓迎会の席上、女王陛下から、両国の過去の不幸な事態ということでお触れいただいたのですけれども、天皇陛下のおことばのほうは戦争のことには一言も触れられなかったと私は伺っている。国民としてみますと、陛下のお気持ちとしては、当然女王陛下のおことばに対してやはり反応があってしかるべきなんだというふうに期待していたとみるほうが私は正しいと思う。つまり、国民の象徴である陛下ならば、国民が感じて、国民が言ってほしいという気持ちをそのままストレートに伝えていただくことが、国民と天皇の距離が一番近いのだという意味で私は申し上げている。この点について、あらためて宮内庁当局の御意見を伺っておきたい。平和国家という日本の立場からしても、これはたいへん重大な問題でございますので、さっき次長はちょっとどうかなというような表現であった。私はそういうことばじりをとらえるつもりは毛頭ございませんけれども、そういうことばから表現される受け取り方が本質であるならば、私は問題だと思いますね。いかがでしょうか。
  194. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この陛下の各国御訪問の際のごあいさつの点を主におっしゃったようでありますが、このごあいさつの原稿といいますのは、実は、これは、最後はわれわれから陛下に伺うわけでありますけれども、最も現地の空気を知っている大使館のほうから一応原稿が出てまいりまして、それを拝見して、一部まあちょっと語尾を直したりしたところがありますけれども、大体それを基礎にしてきまったのがあのごあいさつの原稿でありますけれども、それが過去の戦争のことにあまりお触れになっていないという点がありました。しかし場所によっては、たとえば英国でもウエストミンスターあたりではちょっと触れておられます。その他の場合にもお触れになっている場合があるのですが、英国女王が御主催になりましたあの晩さん会の際のごあいさつには、それに触れておられませんでしたけれども、これはあらかじめ女王さんが、ああいうふうなごあいさつがあることがわかっておれば、またそれに応じて、それはあとからなさるごあいさつですから、原稿を考えたほうがほんとうだったというふうに反省はされますが、しかし、あのごあいさつも、どういうごあいさつをなさるかというのは、晩さん会の席上二時間くらい前に初めてわかって、もう陛下がなさるごあいさつも一応刷りものもできて、皆さん方に配るくらいになっていたものですから、まあそのままで通されたというのが、裏話というと、おかしいですけれども、真実でございます。まあその両方の点でどうかなというような感じをお持ちになった方もあるいはあったのじゃないかと思いますが、しかし戦争責任とか云々の問題になりますと、触れ方によりますと非常に政治的になる場合もあるし、儀礼的に親善を深めていかれるという点で、あまりそれに深くお入りになるようなことはおっしゃらないで、触れられてもちょっと簡単に触れられるという程度でちょいちょいなさっていたわけです。そのことについての御批判はあるかと思いますが、将来さらにもしおいでのときには、外務省あたりともよく打ち合わせをして万全を期したいと思っております。
  195. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、その結果に対してとやかくあげ足取りのようなことを申し上げているのでは決してございません。つまり、陛下が国民の象徴として国民と一体であるならば、国民の気持ちというものを率直に表現をしてくださることが一番いいわけですね。そういう意味で、最初に、たとえばイギリスと非常に深い関係が日本はあります。その女王の、過去いろいろ不幸なことがあったけれどもという発言に対しては、あらかじめそういう原稿――あいさつ文がこちらに伝わっていないからといって、そのままで済ましていいか。聞くところによると、何かその間に二時間の余裕があったということでございますね。私、そういうところの二時間をほんとうにきめこまかく埋めていくのが、やはり国民と天皇を一体にしようとする宮内庁の一番大事なお役目じゃないかと思いますね。この辺はとっても大事ですよ。ですから、こだわるわけじゃないのですけれども、もしその二時間が有効に使えていれば、もっともろと今度の御訪欧がすばらしかったという意味で、何かその辺、私残念に思うのですけれども、いかがでしょうか。
  196. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) そのおっしゃいますお気持ちはわかります。将来はさらにもっと万全を期した配慮が必要であるということは、十分われわれも反省すべきだと思いますけれども、しかし、まあ過ぎましたことでございますので、その点は、またこれをあまり言いますと、英国に対しての悪い点も出るものですから、そういう点のちょっと遠慮もわれわれはいたしたいと思うのであります。
  197. 木島則夫

    ○木島則夫君 ほんとうにこの問題については、あまりしつこく私もお伺いをしたくございませんので、ひとつ前向きな検討をお約束してくださいませんでしょうか。これはお答えはけっこうでございます。  こういう反省点から、ひとつ私、御提案をしたいことが実はございます。と申しますのは、皇室会議のいまのあり方についての検討なんです。私は皇室外交ということばにはちょっと抵抗を感じて賛成できないのですけれども、これを機会に今後天皇の御外遊の機会がふえて、国際親善の役割りもさらに広がるのじゃないかというふうに思います。そこで、こういう実施の裏方といたしまして、何か宮内庁だけでは――と言っては失礼な言い分かもしれないけれども、荷が重過ぎるのじゃないか。政府が前面に出てくるのは政治がぎらつきますから、これも私はよくないことだというふうに思います。そこで、現行の皇室会議のあり方を再検討をしまして、皇室会議にこういうような役割りを果たさせてはどうだろうか。現行の皇室会議というのは、もう私が御説明するまでもなく、現在の皇室典範が制定されたいきさつから、時の占領軍の意向によって、法律に定められた権限だけを行なうというふうに規定されております――皇室典範第三十七条。討議事項が非常に、何というか、範囲が狭くて、しかも硬直的なんですね。ですから、こういう規定をもし改正できるならば、皇室会議が、つまり皇室のたいへん大事な重要事項について積極的に検討できるようにすべきじゃないんだろうか。現行の皇室会議は、内閣総理大臣が議長で、その構成も立法、司法、行政の最高メンバーを網羅する構成でありながら、いままでほんとうに数少ない回数しか開催をされていないというふうに聞いております。この皇室会議というものを活用をして、次はどこどこに御外遊になるんだというようなことを討議されてはいかがでしょうか。つまり、事務的な問題は宮内庁の段取りで私は十分だと思いますけれども、さっきの世界の世論みたいなものをほんとうに吸収できてお話ができるような、もう一つ高い次元での皇室会議の内容をさらに硬直化しないようなものにするためにも、私のいまの提案というのはどういうふうにお受け取りでございましょうか。
  198. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この皇室会議につきましては、現在も皇室典範でその審議すべき事項が限定をされておりますことは御承知のとおりでありますが、やはり皇室会議の性質上、これは皇室典範できめられている点は要するに皇位継承ですとか、皇族方の身分の関係ですとか、身位的なことを中心に、大事な場合にそこにはかるというものでありまして、この皇室のいろいろ行政的な面でなさるようなことについてはかるというような性質の会議じゃないわけでありまして、行政的な面でどういうふうになさるかということにつきましては、たとえば外国御訪問のような場合ですと、この関係は内閣の責任においていろいろ考えるわけでありますが、内閣の下部機関として外務省もあり、宮内庁もあるということで、主としてそういう問題ですと外務省と宮内庁で事務的に連絡をいたしますが、この最後のところは閣議できめていただくということで、事実、宮内庁長官が外務大臣とか、それから総理なんかともちょいちょい会って話をしておられます。大事な問題は宮内庁の事務レベルだけではきめていないわけでございます。そういうようなことで、やはり内閣の責任において行なわれておりますから、大事な場合は内閣ベースのところでいろいろ考えていただくという現在のたてまえはやはり守るべきではないかと思っております。
  199. 木島則夫

    ○木島則夫君 私が申し上げておりますのは、せっかく皇室会議というものがありますけれども、これは占領軍の意向によって限られた権限のみについてだけの話しかそこでできないというふうになっております。日本もやっぱり時代が変わって、自主性をきちんと持っている国ですし、そして、これからもいろんな社会情勢が変化をしていく。そういうものにやっぱり対応できるように、そこにもう少し流動的な幅があってもいいんじゃないだろうかという意味で私は申し上げましたので、そういう点も踏まえて、もう一度ちょっと御意向を伺わしていただきたい。
  200. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) やはりさっきも申しましたように、皇室典範のたてまえから皇室会議が設けられておりますので、皇室典範というのは、皇位は世襲とする、その世襲の関係についての規定を設けるということでできておりますものでございますので、やはりそのたてまえからいきますことが現在のところは正しいんじゃないかと思っております。しかし、宮内庁が狭い考えで何でも進めていくということがいいとは思いません。いろいろ相談すべきところは相談をし、意見を聞くべきところは意見を聞いて、広い視野のもとに、将来いろいろなことを進めていくべきだというようなことは考えております。
  201. 木島則夫

    ○木島則夫君 次の事項に移らしていただきますが、ヨーロッパ御訪問中に、外電で、陛下は御外遊を終えて帰国をなさった暁には御退位されるんじゃないかというようなことをしきりに取りざたされております。この退位問題について、私お伺いをしておきたいのです。  私がいま問題としたいのは、陛下御自身の問題としてではなくて、制度の問題として、現行の皇室典範を立案する際も、実は天皇の退位制度の功罪についていろいろ検討があったようでございますけれども、まだその結論は得ておりません。最近の医学の進歩とか、いろいろなことから総合をいたしまして、最近では平均寿命が急速に延びております。これはもう当然です。今後こういったような状態がずっと続いていくだろうと思われる。そうであるとするならば、これから皇太子が皇位につかれるころは、すでに壮年を過ぎてしまって、あるいは――これはあるいはですが、五十歳をこえられる場合も出てくるんじゃないだろうか。こういうことを考えますと、やはり私は制度として検討をしなければいけない時期にきているんじゃないだろうかということを真剣に私は検討問題にしたいと思います。  それからもう一点、この退位制度は、これは憲法には抵触をしないで皇室典範を改正すれば可能であると宮内庁では解釈されているかどうか、この二点についてお伺いをしたいと思います。
  202. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この陛下の御外遊中、御退位説が一部から流れて外国の新聞に載りましたのですが、あれは全く根拠のないデマであったわけでありまするが、しかし、いまおっしゃるような制度として何か考えたらどうかという考えでありますが、現在のところ陛下は非常にお元気でありまするし、もし何か心身にお事故があるような場合においても摂政の制度があるわけでございまして、やはりずっとお位においでになるという現在のたてまえは尊重すべきであると思っております。何か、そこらあたりにまた政治的な動きが出てもいけない場合もあると思いまするし、やはりもうずっとお位におつきになっているという現在の制度は守ったほうがいいと思います。  なお、もう一つの、第二の点で、何か皇室典範を改正すればそういう御退位も可能かということでございますが、純粋の法律論から言えばそうだと思います、憲法には規定がないわけでありまするから。しかし、そういうようなことをいろいろ論議することも、いまお元気な陛下のお立場を考えますと、あまり愉快なことではないように私も思います。外国では皇太子で五十、六十までずっと北欧あたりでは長くおいでになる例もございまするし、そういうようなことのためにここでその問題を話題にすることも何か遠慮したいような気持ちが強い点をおくみ取りいただきたいと思います。
  203. 木島則夫

    ○木島則夫君 これは誤解を招くといけませんので、私の率直な気持ちを申し上げさしていただくと、とにかくいまの陛下はいろいろな意味で御苦労をなすっていらしたということですね。そうして御外遊を終えてお帰りになったのだ。これは国民すべての声でもあると私は思います。余生をほんとうに好きな生物の御研究に没頭をされる、そうして山野を跋渉されながら皇后陛下と皇室御一家と仲よく、ほんとうに平和に余生を暮らしていただけないだろうかという、そういう国民的な感情の上に立ってこれは申し上げておりますので、ひとつその点は誤解のないようにここでしていただかなければいけないと思います。確かにこの制度としての退位の問題を考える場合も、即位のときも、それじゃ自由意思でおつきになったわけではないんだから、御退位も自由意思でこれはされないのが当然であるというようなそこに議論も当然ございましょうね。しかし、じゃ、その国民の声として、日本人の総意が、陛下ほんとに御苦労さんだったと、もう陛下はほんとに気の向くまま御自由にゆっくりなさいと、こういうふうに国民の総意というか、気持ちがそうであっても、なかなか制度がそうでない場合には、その国民の気持ちというものが通じかねる。その国民の気持ちがそうであるという前提に立っていかがでしょう。まあ純粋な法律論とか、そういうものもけっこうですけれど、もっともっと、天皇が国民の象徴なんだというたてまえの上に立っての、その国民感情をそれじゃ次長はいまどういうふうにお受け取りになっておりますか。
  204. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 国民の中に、いま木島先生のおっしゃるような所見の方があることも、われわれ聞いております。しかしまあ、御苦労でありますからというようにおっしゃるお気持ちはわかるわけでありますが、また、陛下のいまの御様子を拝見いたしますと、非常にお元気でありまするし、で、やはり国家、国民のためにお尽くしになるというところにまた大いに張りを感じておいでになるわけでありますから、それがまたお元気のもとでもあるようにも拝察いたしまするし、で、これは総理大臣のようなああいう激職ではございませんので、やはりまあ象徴というお立場ですから、御公務はたくさんおありになりますけれども、そう激職ということでもございませんし、で、かえっていまのお立場で国家、国民のためにお尽くしになるという、そのお気持ちでお進みになるほうが、御健康のためにも大いによろしいんだとわれわれは拝察を申し上げておる次第であります。
  205. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ宮内庁のお立場、陛下のほんとにおそばにおいでになる皆さんのお気持ちとしては確かにそうだろうと思いますね。しかし、それこそ一般の国民の、つまり庶民の気持ちとしてはさっき私が申し上げたとおりだと思います。次長は、そういう方もおありになるというふうに表現をされましたけれど、私は、圧倒的にそういう方が多いという表現をしたい。この辺の受け取り一方の違いはあると思いますけれど、まあお立場上なかなかむずかしいと思いますけれど、もう一度その点について触れてください。
  206. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) まあ国民の中にそういうお気持ちの方があるということは、私はそう多くはないと思いますけどね。ぼんやりしたお気持ちで、何かもっとお楽にしてあげたらばいかがかなというお気持ちの人は相当ありましょうけれども、しかしながら、何かその、いわゆるこのお位を云々というようなところまで考えている方はごく少数だろうと思います。
  207. 木島則夫

    ○木島則夫君 いや、何かこういう問題であまりこだわるというのは私も本意ではないんですけれど、そういうお考えの方はごく少数だろうと、先ほどよりももっと限定をされたおっしゃり方をされておりますけれど、まあ私もこれは新聞社の世論調査であるとか、そういうどっかの機関が世論調査をしたその結果に基づいて私も発言をしておりませんので、その辺は私もさだかなデータの上に乗っかっていまこの発言をしているわけではございません。しかし、受け取り方としては、ごく少数がそういうふうに考えているというその受け取り方自体が、何か私は宮内庁の一つの、宮内庁を象徴するような受け取り、表現としていま私には響いた。陛下というのは国民とともにあるわけですね。宮内庁は国民がどう考えているか、それを色めがねをかけずに、自分たちの都合の悪い意見は切り捨ててしまうという選び方でなしに、私は反映をして陛下にフィードバックして、いろいろ御意見なり、国民全体の生活感情なりというものを、私は御報告申し上げる義務があるという意味で、もしそういう受け取り方をされているのだとしたら、これはやはりちょっと私はひっかかるところがありますね。どうなんでしょうか。その、陛下よかれ、このままの状態でお元気なんだ、お仕事をされることが、国事行為をされることがそのまま陛下の御健康につながっていくことなんだという見方も、私は一方でなされていいと思うのです。しかし、大方の国民というのは、ほんとうにさっき申し上げたように、陛下の好きな生物学の研究に没頭される、そうして余生をおくられる。そういう自由を早く陛下にお与えしたいのだという気持ちのほうが、私は圧倒的に強いのだろうと思います。で、そういう気持ちが、それじゃあ次長のおっしゃるように、いまの制度の中で阻害されていないと言われてしまえば、私も間近に陛下とお話しをしたわけではございませんから、引き下がるよりしかたがない。――宮内庁というのは、一体向こう向いているのですか、こっち向いているのですか。
  208. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁としては、国民の中の御意見がどういう点であるかという点を常に注意をして見ているつもりでございます。で、その至らぬ点があればいろいろまたお教えをいただきたいと思いますが、さっきごく少数と言ったのが悪ければ、私も正確な基礎に基づいたわけではありませんものですから、これは不正確だったということで取り消してもよろしいですけれども、しかし、われわれがいろいろな方に接しますときに、いろいろ聞いている範囲でさっきのようなことを一応申したのです。われわれが接している範囲というと、またそう広くないじゃないかと言われますとそうかもしれませんし、そういう点はございます。  なお、いろいろの御意見がありました際には、これはいいことも、悪いことも宮内庁の長官を通じて、おりに触れ天皇陛下には申し上げております。こういうような委員会の話なんかも申し上げているわけでありまして、それで、あまりこう何か社会に目をつぶったような状態ではいけない、目を開きながら皇室の今後の国民とともに進んでいかれる道を考えていかなければいけないというふうに思っております。
  209. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま陛下にはありのままという表現をお使いになりましたかどうか、ちょっと私さだかではないのでありますけれども、こういう委員会のことも御報告を申し上げているということでございますね。私、宮内庁のお立場として非常によくわかることは、やはり陛下のお気持ちを悪くするようなこと、いわゆる宸襟を悩ますような、そういうことはできるだけ触れたくはないお気持ち、とってもよくわかります。よくわかりますけれども、たとえば、それじゃきょう、この委員会で木島という委員からこういうことを質問をされたというふうにありのままに次長は御報告なさいますか。やはり取捨選択をなさると思う。いかがですか。
  210. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この皇室に関し、特に陛下に関連したいろいろの御質問、御意見というのは、私、直接申し上げることは少ないのですけれども、これを宮内庁長宮に報告し、そして長官がそれを従来も申し上げております。これは委員会の席のことのみならず、あるいはよく記者会見なんかもいたしております。そういうときも忌憚のない意見が記者の各位から出る場合もあります。そういうようなこともお伝えしています。また陛下のほうからも、長官に対して、最近何かないかとお尋ねになる場合も多いようでありまして、そういう点は、どちらかというと、宇佐美長官はもういいことも、悪いことも申し上げているが、時によってはどうかなと思うようなことも申し上げていると言っております。
  211. 木島則夫

    ○木島則夫君 私もマスコミの人間でございます。で、私、直接記者会見はいたしませんけれども、私の親しい記者の人たちからの話を総合いたしますと、陛下はアドリブがたいへんおじょうずだと、とてもユーモアもお持ちになっていらっしゃる。で、座談をしているときの陛下というのは実に生き生きとされている。で、そういう生き生きとされている陛下の特徴と申しますか、そういうものがさっきのメッセージではありませんけれども、非常に硬直したものになってしまう。陛下のお人柄がもっと出てほしいのだけれども、それをそういうふうにためてしまうというか、そういうことが宮内庁がそういう、ためる役ばかりとは言いませんけれど、ためてしまうならば、私はもう一つ何か国民との接点が欠けるように思います。これはお答えはけっこうでございます。私の意見として言わしていただいてお話を先に進めたいと思います。  とにかく両陛下の御外遊というのは、もう私もはっきり言って、テレビに仕事以外はかじりついて、ほんとうに、陛下がタラップをおおりになるときに、ちょっとよろけられたような場面では、やはり家族の者と一緒に、あっというような声まで出して見守りながら、やはりあの陛下のそういう外国での御行動に対して私関心を持ち続けている一人といたしまして、確かに今度の御外遊は成功であったと思う。しかし一方、陛下の国内での公式の御旅行ですね、たとえば植樹祭にいらっしゃる、あるいは国体関係にお出かけになる。で、終戦後ずいぶんいらっしゃった、いわゆる国民生活の御視察でございますか、どうも最近はそういう国内旅行を――万博とか国体とかにはわりあいにいらっしゃるけれども、国民にもっと普通の形で接触をする、そういう御旅行が少ないようにも私思うのですけれど、その辺はいまどういうふうになっておりますか。もしお出かけになる機会が減っておいでになるとするならば、それは陛下の御健康の理由であるのか、あるいは国民感情なり国情なりというものをどういうふうに宮内庁が受け取った上での御措置なのか、その辺もうちょっとお聞かせいただきたい。
  212. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 国内の御旅行のことにつきましては、毎年まあ定例的においでになりますのは春の植樹祭、それから秋の国体ということで、そのお出かけの際に、その開催の県、場合によってその付近の県をお回りになって御視察になることもありますが、そのほかに何か特別の場合があれば、たとえば先ほどおっしゃいましたように、万博の場合、あるいは北海道で北海道開道百年の何か祭りがあるとかいうときにいおでになったこともあります。特別のことがあっておいでになることがありますが、その他、特に何もないのにお出かけになるというのは最近はありません。終戦後は、この戦後の復興状況をごらんになるという意味で、ずっと各県を、何もなくても御巡幸になりましたけれども、ああいうことは最近はございませんです。で、何か機会があればおいでになることは、これはけっこうだと思いますけれども、いろいろまたお願い出のある向きがあっても、その行事が天皇陛下がおいでになるのに必ずしも適しないというような場合もあります。あまりこう部分的なものですと、それにおいでになると、今度また別のほうにもおいでにならなくちゃならぬ。そうなりますと非常に多くなり過ぎる。まあ公平にとなりますと多くなり過ぎるということもありまして、お控えになるような場合もありますが、まあ定例の植樹祭、国体以外にも特に意義のある場合にはお出かけになっておるわけでございます。で、なおまあ、そういうふうに一応計画しておくことも、一年間のいろいろの行事を進めてまいる上からもある程度これはさまっていませんと――特に外国のお客というのが最近非常に多いものですから、そういうような場合に、この植樹祭とか国体とか、きまっているところは、もうそこは避けていただくというようにあらかじめ話をしたりもいたしております。そういうようなこともあることを御了承いただきたいと思います。
  213. 木島則夫

    ○木島則夫君 私、どこどこにいらっしゃったから、あとまたおいでにならなければいけない、公平を期す意味で一ところに行くと、あとこれはきりがないと、これもよくわかるのです。だけど、戦後はいわゆる国民生活が非常に苦しかった。そういうものをお励ましになる意味でもずいぶんまめにお出かけになりましたね。それじゃ、いま国民生活がすっかり落ち着いちゃって、これで何もすることがないのか、何もしないでいいのかということになると、必ずしもそうではない。やっぱり豊かになればなっただけに、公害の問題であるとか、自然破壊の問題であるとか、陛下がやっぱり自然に取り組んでいらっしゃる、そういう意味での材料というのは――やっぱりお目に触れていただきたい材料というものは、私はあるような気がするんです、実は。それが政治的につながってしまうことを宮内庁としてはいろいろ配慮なさるお気持ちもよく私はわかるのですけれど、あっちも立て、こっちも立てて、結局どこにも行かなくなっちゃう、どこにもおいでになれなくなってしまうということが陛下の御本意なのかどうか。その辺が、陛下を大事に大事にされるがあまり、陛下の御自由なお気持ちと相反する結果になっていやしないだろうか。だから、その根本的な判断というものは、いま国民が何を求め、何に一番関心を持っているか、そうして常にそういう国民の関心を持っているところに陛下にやっぱりおいでになっていただいたのだということが、私は、さっきからくどく申し上げている、いわゆる国民の象徴である天皇としてわれわれが望ましい形じゃないだろうかと、こういう意味で実は申し上げているわけですよ。もちろんもう七十をお過ごしになっておりますね。こえていらっしゃる。ですから、それが過労になってもいけないし、過激になってもいけないという御配慮は、私どもよりももう宮内庁の方々のほうが十分にその上に立ってのことだろうということはよくわかりますけれど、何かあんまり問題点を出さない、何か問題を起こさないというような、そういうやり方自体が、ほんとうに陛下の人間性をためてしまって、皇室というものを、ある殻の中に押し込めてしまうのじゃないか。そうすることが、つまり国民との交流、パイプが切れてしまう――そういう芽ばえを知らず知らずのうちにつくっているのじゃないだろうか。そういう反省もひとつ込めて、私のお話が的をはずれた言い分であるかもしれませんよ。しかし、私もそう間違ったことをいま言っているつもりはないはずです。ひとつ聞かせてください。
  214. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) ただいまの御意見はよくわかるわけであります。ただ、お出かけの機会をある程度に現在はとどめておられますが、しかしその反面、皇太子殿下、他の皇族殿下が相当お出かけになっております。まあ地方にお出かけになる数からいきますと、天皇陛下の場合より皇太子殿下のほうが多いと思いますけれども、またそういう方で国民との接触を深められ、またいろいろな点の御視察もなさることがまた将来のためにもよろしいということもあるわけでありまして、そういう点で、願い出があって、その点はひとつ皇太子殿下にお願いしたならばというので、皇太子殿下にお願いしたりしたこともよくございます。そういうようなこともあるのでございますが、いずれにしてもいまおっしゃるように、皇室が何か、からの中に入ってしまったということではいけません。これは憲法にもありますように、国民の総意に基づいておられるわけですから、国民の総意に常に結びついて親密になっていかれること、そのことがまた象徴としてのお役割りを果たされる上に大切なことだろうと考えておりますので、われわれもいろいろ今後も十分考えながら、まあ至らぬ点もございましょうが、またお教えを願って、しっかりやりたいと思っております。
  215. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ今後の問題よりも、私はいまの現在の問題として、将来あまり時間をかけて検討しても、それはやっぱりいまの問題としてでなければほんとはいけないのですね。まあそれはそれでけっこうです。だから、もう少し気軽にというか、横井庄一さんなんかの謁見についても、何かもっと気軽に取り運ばれないものだろうか、こういうふうに私は思うのですけれど、次長、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  216. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) まあ横井庄一さんが拝謁されるかどうかという問題が一つございましたですけれども、その際にやはり、横井さん自体も特にそれを考えられておったわけではないようでありましたし、しかもまた、いろいろわれわれのところへ入ってくる声もございまして、やはり横井さんは非常に御苦労されて、その点は大いに評価すべきですが、また多数の戦死された遺族の方で割り切れない気持ちがある、横井さんだけをあまりちやほやいたしますと。そういう声もわれわれの耳に相当入ってまいりました。最近横井さんあたりが何かテレビで会見したときもそのことを言っておられまして、自分だけがあまり何か大きく浮かび上がらせられることは遺族の方々にもすまぬし、英霊に対してもすまぬというふうにおっしゃっているような点もございまするし、そういうふうないろいろな点を考慮いたしますと、あまり無理をしないほうがすべての方のためにいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。
  217. 木島則夫

    ○木島則夫君 どうも、私なんかのこういう考え方じゃ、とってもじゃないけど宮内庁にはつとめられませんね。まあ、それはそれとしまして……。  結局、陛下がもしお会いになっていただいて、横井さんが自分だけ陛下とお会いをすることは、いろいろの遺族の方、そのほかの関係の方にすまないんだということをその場でおっしゃることが、これはすばらしい感動につながって、遺族の方のそういう心の何かがあるならば、私はすっ飛んでしまう。そういうものを陛下自身もお持ちだろうという意味で申し上げているわけです。まあ、いろいろそちらのお立場もあることは、重々私も承知の上で申し上げております。  そういうふうに、わりあいに宮内庁の――いま私がずっと質問をして知り得たことは、まあまああまり事を起こさずに、やっぱり現状維持で問題がないように、ないようにというような配慮をなされている一方では、われわれの聞く範囲で、どうかなと思うようなこともずいぶん実はあるんです。というのは、これは私自身の話ではないんで、この間、主婦の集まりがありました。そのときに週刊誌の問題が出まして、主として女性週刊誌の話でしたでしょうか、必ず皇室の記事がございますね。それからグラビアというか、とてもきれいなすばらしい写真が載っております。だけど残念ながら、その主婦が言うんですよ、残念ながら――エロとセックスと皇室が同一の雑誌の中で一緒になってページがとじられているというのはいいんでしょうか、ここまで皇室が民主化されたんでしょうか、というたいへん皮肉な質問が出たんです。私は、写真の提供ということを拒まれる、そんなことはないと思います。そうしてはいけないと思います。むしろ雑誌の編集の側に私は問題があるという意味では、マスコミの出身ですからよくわかるんですけれど、どうでしょうか、何か非常に割り切れないものがある。皇太子御一家の楽しい写真が載っかっていると思うと、一枚めくると、何というか、ヌードの写真がその裏側に出てくる。別に悪いことじゃないと思いますけれど、その辺では意外に何か、ず太い神経と言っちゃ悪いですけれど、そういう措置をおとりになっていらっしゃる。矛盾というふうにはお感じになりませんでしょうか。
  218. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 一部週刊誌で、皇室の方々のお写真なんかの扱いで、悪い点のあるのはおっしゃるとおりの点があります。で、私のほうの総務課というところがそういう仕事もやっていますけれども、そこが雑誌協会のほうとも連絡をしながら、皇室の方の品位をあまり傷つけるようなことについては、直接、雑誌社に注意をするとともに、雑誌協会のほうへも、こういうのはどうかと思うということは通じています。で、雑誌協会と総務課の間で、こういうふうな扱いをしようというような申し合わせも一応あるわけです。しかしながら、それは現在、表現の自由があるもんですから、なかなかそう神経過敏にもできない点があるので、そういう点は抜け道があるのかもしれませんけれども、ある程度はそういうふうに申し合わせいたしております。それらに対して、今月、「噂」とかいう雑誌に、何か、ある程度宮内庁が雑誌のほうに干渉するのはけしからぬというふうなことが書いてありましたけれども、そういうこともあるわけであります。
  219. 木島則夫

    ○木島則夫君 そういう雑誌にそういうものが同列に載ることが私はいけないというふうに否定しているのではございません。つまり、そこまで大胆にもし割り切っていらっしゃるとするならば、もっともっとやっぱりそれと同じように庶民の間にも接点をお持ちになっていただきたい。そういう意味でいま一つ例を取り上げたわけです。  もう時間が幾ばくもございませんので、次にこういう問題を伺いたいと思います。実はせんだっての高松古墳の発掘を契機にしまして、にわかに文化財としての古墳の問題、そこから発展をいたしまして、つまり陵墓の発掘――陵墓の発掘へと何か目が向けられています。このところ新聞も、あるいは雑誌関係でも、そういった記事を多く取り扱っております。三、四日前の新聞論調には、なるほど文化財的に見れば非常に発掘ということは大事なことではあるけれども、むやみやたらに、単なるやじ馬的な、また好奇心から陵墓の発掘というものをするべきではないし、また学者の個人的な自己満足のためにもそういうものをしてはいけないのだと、現にきびしい最低の線というもので戒めております。私も全くそのとおりだろうと思います。しかしここでひとつ文化庁の方もおいでになっておりますのでお伺いをしたいと思うんですけれども、どうでしょうか。文化財保護審議会あるいは学術会議あたりから、陵墓の文化財としての意義づけをするために調査の依頼、そういうものが積極的に出ているかどうか、まずこの辺からちょっとお聞きしてみたいと思います。
  220. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 陵墓の発掘につきまして、文化財保護審議会あるいは学術会議等から積極的な要請があったかということでございますが、現在までそのような要請は受けておりません。なお、文化財保護審議会につきましては、先般、非公式ではございますが、この問題についての意見をお伺いしたわけでございますが、審議会としては陵墓の発掘はすべきではないと、こういう御意見でございました。
  221. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま文化財保護審議会あるいは学術会議からは積極的な調査依頼はないというようなお答えがございましたね。そして非公式ではあるけれども、発掘をすべきじゃないという、そういうふうなお答えがあったわけでございますね。――いかがでございましょうか。陵墓というものは、いわゆる文化財保護法でいう「文化財」に適用されるんでしょうか、されないのでしょうか。この辺、私はちょっとわからないものですから、一応しろうと的な質問になるかもしれませんけれども、伺っておきます。
  222. 安達健二

    政府委員(安達健二君) いわゆる陵墓といわれるものの中でも「古墳」に該当するものが百件ほどあろうかと思います。そのほかのものは、特に文化財的なものというよりは、もっとほかの意味だろうと思うのでございますが、事を古墳という面を有する陵墓に限って申しますれば、文化財保護法でいいますところの「遺跡」というものに一応該当するとは思います。
  223. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう一回言っていただきたい。古墳という面を有する何でしょうか。ちょっとそこのところが非常にむずかしい。もう一回おっしゃってください。
  224. 安達健二

    政府委員(安達健二君) もっとも陵墓の中にも、最近の天皇、皇后をお祭りしているような陵墓もございますから、したがいまして、文化財保護法でいう「遺跡」に当たるというようなものは、おそらくその中での「古墳」というのに該当するような、古代の方々の陵墓であるという意味で、そういうようなものにつきましては文化財保護法にいうところの「遺跡」という概念に該当するものであるということを申し上げたわけでございます。
  225. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、そういうものについての調査はしていいんだという御見解でございますか。
  226. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 文化財保護法のたてまえといたしましては、文化財を保護するということに――保存するということに一番の力点を置いておるわけでございます。そして、それをどういうふうに活用する、こういう両面を文化財保護といっているわけでございますが、その中でも何よりもできるだけ現状のまま保存をするということに最大の力点を置いておる、こういうことでございます。そういう意味での保護の対象になる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  227. 木島則夫

    ○木島則夫君 現状のまま保存をするということは、それが非常に文化財として大きな価値があっても、一般の目に触れることなく、土の中であるとか、お墓の中で現状に保たれるということが、それを保護するということになるわけでございますか、そういう意味でおっしゃったんですか。
  228. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 貴重な文化財は、その現状において保存をするということがたてまえでございます。
  229. 木島則夫

    ○木島則夫君 たとえば、こういう声もあるんです。もちろん陛下の御遺体と申しますか、玉体というものを発掘するなんていうことは、こんなことはあり得ないことですね。こんなことはとんでもない、考えられないこと、これはあたりまえです。だけど、たとえば副葬品に非常に文化財的な価値があるというようなものも当然存在するはずです。そして、それがまた日本の歴史というものを解明をしていく上で大きな手がかりになるものがある、これも当然だろうと思います。そういう場合に文化庁のお立場では、この辺まではやっぱり発掘をさしてほしいなというものがございましたら、具体的におっしゃってくださいませんか。
  230. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 陵墓は歴代天皇あるいは皇族の方々のお墓といたしまして、現に宮内庁におきまして保存をされ、また同時に祭祀――お祭りの対象とされておりまするし、また地元住民その他国民の畏敬の対象になっておるものでございます。したがいまして、そういうものにつきましては、学術的目的でもってしても発掘調査の対象とすることは適当でない、こういうのが基本的でございまして、その場合に、陵墓につきまして、その御遺体の部分と副葬品とを別に考えるというわけにはいかない、一体のものではないかと私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、陵墓を御遺体と副葬品とに分けて、副葬品はどうかというお尋ねにつきましては、やはりそれは両者一体をなすものであって、両者を分けて、一方は対象になり、一方はならないとなすべきものではない。そういうふうに分けるべき性質のものではないと私どもは考えます。
  231. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、学術団体、あるいはそういった種類の団体から発掘の依頼というか、そういうものがあった場合でも、これはとうてい許されないのだというふうに断定をしてよろしゅうございますね。
  232. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 私ども、そのように考えております。
  233. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう先に文化庁のお立場を伺いましたので、宮内庁のお立場も大体私わかるんですけれど、念のために、最近の発掘に関係をしまして、宮内庁のお立場というものを鮮明にここでされておくことがいいと思います。いまいろんな意味で問題になっておりますだけに、きちっとした宮内庁のお考え、姿勢――陵墓の発掘の問題について、古墳の発掘の問題について、きちっとしたやっぱり見解をお出しになっておくことがこの際大事だと思います。お聞かせください。
  234. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この陵墓は皇室の古い御祖先が安らかにしずまります所でありまして、そこで御命日等にはその御祖先のためのお祭りが行なわれている厳粛な場所でございます。したがって、宮内庁といたしましても、静かに休まりますようにお守りをするという任務を持っておるわけであります。したがって、一般の古墳とは違うと思います。一般の古墳はそのあとこれをお祭りする方もない。どちらかといえばお墓のあと、死んでいるお墓、陵墓は現在生きてあられるお墓であります。で、これを単純に、学術調査のためということで発掘したいと言われることに対しては、どうもわれわれは賛成がいたしかねる次第でございます。で、将来修理等の際に、場合によりますと、一部いろいろ調査をすることもあるかと思いますけれども、そういう場合も文化庁と十分連絡をとり、専門の学者の協力も得まして慎重にやっていく、その結果は学会にも発表するというようにしてまいりたいと思っておるわけであります。そういうような考えであります。
  235. 木島則夫

    ○木島則夫君 最後に一点だけ伺います。陵墓はいわゆる国有地の上につくられていますね。国有財産である。そうすると、国有財産の中にある陵墓というもの、それは私の言い方が間違っていたらあとで御訂正ください。何か、すべて国民のものであるというふうに考えがちなんですけれど、そうじゃなくて、皇室家ということばがあるかどうか、妥当であるかどうかは別としまして、陵墓というものは、むしろ国有財産の中にある皇室家の財産なんだ、精神的な財産なんだというふうな世俗的な表現をしてよろしゅうございましょうか。
  236. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 陵墓は国有財産であって、皇室用の国有財産というふうに現在その土地についてはなっております。やはり国の象徴というお立場におられる、そういう御祖先の方という意味国家的な立場から国有にしますが、皇室用の国有の土地、その中のほうの関係になりますと、たとえばさっきお話のありました副葬品とかいうのは、御葬る御遺体と一体になっておりますものについては、これは皇室のものであるというふうに考えております。
  237. 木島則夫

    ○木島則夫君 御一体となっていないものにはどういうものがございますか。それは皇室の財産ではないということでございますか。そこのところだけ念を押して、私の質問を終わります。
  238. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いろいろ副葬品などは、これは御一体となっているものと思います。御一体となっていないものといいますと、これは国のほうの施設がございます。施設の関係になりますと、必ずしも御一体になっていないものがあります。
  239. 木島則夫

    ○木島則夫君 御一体となっていないものと思われますというふうに、ちょっと表現がそこのところで少し後退をされたような感じがしないでもないのでございますけれど、私の持ち時間はもう限られてしまいましたので、この辺でやめますけれど、私は、何も皇室のこういう問題を持ち出したからといって誤解をしていただきたくないことは、さっきから何度も申し上げているように、国民と皇室というか、天皇というものは一体なんだ、象徴なんだという上に立って、ほんとうに宮内庁がわれわれの気持ちというものをよく陛下なり皇室の方々にお伝えをしていただいて、一体の中にすき間がないようにしてもらいたい、そういう意味で先ほどから申し上げてきたわけでございますから、この点誤解のないようにお含みをいただいて私の質問を終わります。  どうもお手数をかけました。ありがとうございました。
  240. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  241. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 速記をつけて。     ―――――――――――――
  242. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 次に、会計検査院所管について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  243. 小谷守

    小谷守君 会計検査院の皆さんは、膨大で複雑な国の経理を点検していただいておるわけでありまして、たいへんな御苦労だと思います。初めに敬意を表しておきます。  先刻、皇室費の問題に関連して、木島先生からいろいろ御質問がありました。会計検査院は憲法による独立機関でありますが、私はその立場は十分尊重しなければならぬと思いますけれども、かといって独善におちいってもらっては困るし、閉鎖的であっては困ると思うのであります。  最初に少し苦情を申し上げますが、皆さんが発表される検査報告は少しかた過ぎるのではないでしょうか。まあ、こういうしきたりだということでしょうけれども、もう少し国民にわかりやすいものにしていただきたい。何とはなしに閉鎖的な感じがしてなりません。こういう点については一挙にはまいらぬでしょうが、もう少し改善の余地があるように思います。まず最初に、そういうことをひとつ注文をしておきたいと思います。  そこで、国の予算は毎年毎年一七、八%の勢いで膨張していく。またあなた方の検査対象団体というものも非常にふえていく趨勢にあるわけでありますが、検査院の今日の定員でこれに対応でき得るのかどうか、こういう心配をいたします。ここ数年、会計検査院の定員増ははかられていないようであります。これについて私はたいへんな心配をいたしますが、実情はいかがでございますか。
  244. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 最初にちょっとおわび申し上げておきます。本日、事務総長出席いたすべきところでございましたけれども、近親の不幸がございまして、私、代行といたしまして出席さしていただきました。  先生の御質問にお答え申し上げます。たびたび国会におきまして、検査院に対して非常に理解のあるおことばをいただきまして非常に感謝しているわけでございます。  おっしゃるまでもなく、国の行政内容は年々複雑化いたしておりますし、財政規模も膨張いたしまして、二十年前あるいは十年前と比べまして非常に膨大な予算規模のものになっておるわけでございます。これに対しまして、検査院といたしまして検査上これに対応するということでございますが、必ずしも本院といたしましても十分であるとは思ってはおりません。まあ毎年、人員あるいは検査旅費、そういったものを要求いたしておるわけでございます。しかしながら、本院と申しましても、やはり国家機関の一つであるという立場がございまして、定数の増加を抑制するという国の方針には協力せざるを得ないというような立場もございまして、なかなか定員の増加ということが実現しないわけでございます。ただ、定員は増加いたしておりませんけれども、実質的にその検査の中枢となる調査官の数というものは、年々これをふやすように認めていただきまして、ふえております。そういう調査官の増大、あるいは調査官につきましての研修、あるいは勉強、こういったものを中心にいたしまして、量的な検査の能力の増大というものは多少制約は受けますけれども、質的な面ではかなり二十年前、十年前と比べまして向上しているのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
  245. 小谷守

    小谷守君 定員の量的なことだけではなしに、いま質的というおことばがありましたが、そこが最近特に大事な点のように思います。検査対参の多岐複雑化、とりわけ検査院のスタッフの中に高度の技術調査官というものが要請されると思うのであります。たとえば後ほど触れますが、防衛庁を見ましても、どんどん新しい兵器が用いられておる。また国産化がどんどん進んでおる。建設省関係の建設の技術にいたしましてもどんどん進んでおる。それに対応するだけの、これをチェックし得るだけの技術調査官の確保については実情はどうでありますか。どのような努力を払っていらっしゃいますか。この点が一番気がかりな点だと思います。
  246. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 技術系の職員の問題でございます。現在、会計検査院には技術系の学校を出ました者が約百名おるわけでございます。先生はいま、たとえば防衛というふうにおっしゃったわけでございますが、防衛関係の検査課、これを合計しますと、九十四名ぐらい職員がおるわけでございますが、そのうち技術系の職員が二十一名というふうに、検査院で平均いたしました率よりも、防衛関係という部門につきましては、かなり技術系のそういった知識のある人間を配置しておるわけでございます。現状はそういうわけでございますが、技術系職員の増員、採用、こういう点になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございます。特に現在の社会情勢におきまして、技術系の職員が各方面に非常に引っぱりだこであるというようなことがございまして、なかなか役所のほうに技術系職員の来る人が少ない。特に会計検査院というような、いわばじみな役所につきまして、特に技術系の職員が参りまして、その技術的能力を発揮できるかどうかというような点にも、おそらく本人たちに危惧があるんだろうと思いますが、たとえば四十七年の四月一日に私どものほうも新卒業生を採用したわけでございますけれども、これも応募者といたしましては技術系職員が参ったわけでございます。そして私どものほうもこれを採用したいというような態度であったわけでございますが、実際ふたをあけてみると、どうもやはり同じ官庁ならばやはり建設省なら建設省のほうへ行きたいと、こういうようなことがございまして、なかなか技術系職員の充足というものはむずかしい状態でございます。したがいまして、現在も、文科系統の職員が大半以上を占めるわけでございますが、こういった人間もみずから努力いたしまして、いろいろ図書で勉強する、あるいは検査院といたしましても文科系の人間であろうとも技術系のところへ派遣して講習させる。こういうような手を打っておりまして、あるいは大学あたりに委託学生を送ると、こういう手を打っておりまして、りょうりょうと、その数は少ないんでございますけれども、なお技術系の職員の確保あるいは技術的な検査の能力の向上というものには努力しているわけでございます。
  247. 小谷守

    小谷守君 皆さんの御苦労願う場所は全国の各現場に散って、御苦労になっているわけですが、調査官の機動力のもとになるところの旅費、超勤、そういう問題は、本年度のお示しになっておる予算では十分でありますかどうか。
  248. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 旅費でございますが、これも累年大蔵省要求をいたしましてふえております。現在のたとえば四十七年度の旅費予算金額で申し上げますと、現在の定員、これはふえておらないわけでございますが、この定員でございますと、まあほぼ満足すべき――満足すべきと申し上げますとちょっとことばが過ぎるかと思いますが、職員の生理的な限度――検査に参りますが、これは非常に苦痛が伴います。長期の検査を何回もやるもんでございますので非常に肉体的にも疲労するわけでございますが、そういう生理的な限度を考えますと、まあまあという線ではないかと考えております。それから超勤の点でございますが、これも毎年増加していただくように要求しておるわけでございまして、特に四十七年度につきましては相当ふやしていただいておると、こういう状況でございます。
  249. 小谷守

    小谷守君 皆さんが経理を点検していただくについて、先般出されました四十五年度の決算報告、これを拝見して非常に奇異に感ずる点は――この報告の中には皆さんが検査をされた結果の不法事項、不当事項の指摘が数多くあります。いろいろ御苦労になったこれは結晶だと思います。ところが非常に奇異に感じますことは、防衛庁関係についてはただの一点も不当事項の御指摘がない。これは私どもも非常にふしぎに思いますし、国民もこれはふしぎに思う点ではないでしょうか。不当事項が一つもなかったということであればこれはけっこうであります。しかし実情はどうでしょう。この国会におきましても、防衛庁関係では数々の不当と目される事柄が露呈しておるではありませんか。二、三の例をあげてみましょう。私が先般、決算委員会で問題にいたしました自衛艦「きくづき」の修理費の問題、これは本来、メーカーである三菱造船が持つべきものであります、そういう強い指摘をした結果、しぶしぶ半額を三菱に持たせるというふうに、江崎防衛庁長官は指摘を受けてそういう計らいをされた。あるいはまた、これは衆議院でございますか、F86F、これが岐阜県の各務原の基地で二十八機も油づけにしてほったらかしにされておったという問題、あるいはまた衆議院の決算委員会で明るみに出た問題としては、欠陥魚雷の問題、権威ある会計検査院は防衛庁関係について一点の不当事項も指摘してない、にもかかわらず国会論議の中からは、このような、だれが見ても歴々として不当であるという事柄が指摘をされる。ここに私は非常にむなしいものを感ずるわけであります。こういう点については会計検査院はどういうふうにお考えになっておるか、御所見を承りたい。
  250. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 防衛庁関係の膨大な予算につきまして、当然検査院もこれに対する検査には超重点的な組織を講じ、また人員も配置しておるわけでございます。特に課の機構で申し上げますと、四十一年度までは防衛関係は二課で検査いたしておりましたのが、四十二年度になりまして三課というふうに、またその後におきましても、分担をどういうふうに配備するのが一番能率的な検査ができるか、あるいは内容のある検査ができるかと、こういうような点を考慮いたしまして、現在では陸、海、空とそれぞれ一課が担当するというような構成になっております。また、各課の中の機構でございますが、これも航空機あるいは艦船あるいは一般兵器、電子兵器と、こういうような非常にむずかしい部門につきましてそれぞれ長年経験してきた人間を配置して同じ目で統一的にあちらこちらを見ると、こういうような組織で検査いたしておるわけでございます。ただ、先生おっしゃいますとおり、防衛庁関係の不当事項というものは昭和四十三年度以降おっしゃるとおり一件もございません。膨大な予算を使ってなぜ一件もないかと、この御疑問は当然と感ずるわけでございますけれども、しかしながら私どもといたしまして、先ほど申し上げましたとおり、防衛関係についてはかなり重点的な検査を実施して、なおかっこういう状況であると、つまり相当綿密な検査はいたしておるわけでございますけれども、そしてその過程におきましては、全然いろいろなこまかい問題がないというわけではございませんけれども、ある程度は問題点を指摘し、提起しているわけでございますが、やはり検査院全体の判断と申しますか、そういうものから申し上げますと、不当と断定するまでの事項がなかった、こういうふうに申し上げるよりほかにないかと存じます。  なお、いま先生が具体的におっしゃいました、たとえば「きくづき」の事故の問題、あるいはF86戦闘機が余っているという問題、それから魚雷が回収されないというような問題でございますけれども、こういう点につきまして、担当の第二局長も参っておりますが、もし御必要がございましたら担当局長から説明申し上げようとも思いますが、これらの点につきましても簡単にここで申し上げますと、たとえば「きくづき」の問題その担保期間を延ばすべきであるというような御意見もあるかとは存じますが、これを延ばしますと船価にはね返るというようなことも聞いておりますので、なかなかむずかしい問題が内蔵されている、こういうふうに考えるわけでございます。  また、戦闘機の問題でございますが、これも事故が少なくて――こういう表現がいいか悪いか存じませんが、当初購入計画を立てるときに予想した事故がそれほどなかったということも現在残っているという一つの原因かと思われます。これは三十三年から三十五年度あたりに調達されたというふうに存ずるわけでございますが、調達当時において過大調達であったというふうには私どももなかなか断定しがたいと存じます。ただ、この戦闘機の問題につきましては、本院といたしましても厳重にその後の保管状況、あるいはこれからの利用の可能性、そういったものを監視していきたい、また、現にしておるわけでございます。  それから欠陥魚雷の件でございますが、これも先般、担当局長が決算委員会で御説明申し上げたと聞いておりますが、検収の面あるいは物品管理の面、これには問題はないというふうに聞いております。ただ、設計上の問題はなお検討いたしたいと、こういうふうに検査院も検討するし、また防衛当局ももう少し検討してほしいということであると、こういうふうに聞いております。
  251. 小谷守

    小谷守君 私は、いま三つほどの例をあげましたが、これについて一々の弁解をきょう短い時間で伺わなくてもいいと思うのです。私が壁頭に申し上げた、憲法上の独立機関であるということの上にあぐらをかいて、国民感情と隔絶した姿勢でおっていただいては困るということを申し上げたいのです。いま三つの例をあげましたが、どの一つをとってみても国民はこれを不当と思うでありましょう。世論はこれを不当と思うでありましょう。しかし、あなた方は不当事項とは思わないと言う、ここに私は隔絶があると思うのです。今後の検査方針の問題として、十分ひとつ御留意を願いたいと思います。  また、いまやはり一番注意を要する問題は、兵器の多様化、そしてこれは兵器だけじゃありません。防衛庁の場合は、糧秣、衣服、装具、たいへんなものだと思う。これを一々監視をし、チェックをしていくということについてはたいへんな御苦労だと思うけれども、国民のためにあえてそれをやってもらわなければならぬと思います。同時に私は、防衛庁の装備局長がおいでになっているようでありますが、防衛庁自体としての自己監査の体制をしっかりしてもらわなければいかぬ。自己監査――議会でやかましくいわれている、あるいは会計検査院で指摘をされたからどうということ以前に、防衛庁自身としては、これらのたくさんの問題について、まだまだ国民の中にはたくさんの疑惑があると思う、これに対して自主的にどういう監査体制をとっておられるか、将来とろうとされるか。簡略に伺っておきたい。
  252. 黒部穰

    政府委員(黒部穰君) 先生御指摘のとおり、防衛庁におきましては巨額の資金を使っているわけでございます。したがいまして、特に防衛庁あるいは自衛隊に対して世上の批判がきびしいおりからでもございますので、万々不正なことの起きないよう、自己監査につとめている次第でございます。  内部におきましては「防衛庁の会計監査に関する訓令」というものもつくってございます。これに基づきまして、毎年度当初に「監査基本方針」というものを定めまして、この方針に基づきまして各自衛隊及び付属機関――付属機関というのは調達実施本部並びに技術研究本部、それから防衛大学校、こういうものはこの方針に基づきまして年間の計画を立てて、それによって内部監査をするということになっているわけでございます。  中のシステムを概略申しますと、まず内局には経理局の監査課というものがございまして、防衛庁全般の監査方針の策定及び監査の実施状況についての監督、指導をいたしているわけでございます。陸上自衛隊は、幕僚監部の中に会計監査班を設けるとともに、特に独立いたしまして会計監査隊という組織がございます。この会計監査隊が陸上自衛隊傘下の現場につきまして逐次監査をやっているわけでございます。なお、四十五年度におきましては、陸上自衛隊は二百二十九カ所につきまして内部監査をいたしてございます。海上自衛隊もほぼ同様な組織をいたしておりますが、まず幕僚監部に監査課を置き、かつまた各地方総監部に監査課を設けまして、これによりまして内部監査をいたしております。昭和四十五年度の実績といたしましては、海上自衛隊は百二十五カ所につきまして内部監査をいたしたわけでございます。航空自衛隊におきましては、航空幕僚監部の中にやはり監理課というものを設け、かつまた各航空方面隊司令部の中にも、監査担当の幹部を配置いたしております。昭和四十五年度におきましては、航空自衛隊は四十四カ所につきまして内部監査をいたしたわけでございます。昭和四十五年度の三自衛隊の合計では四百八カ所につきまして内部監査をいたしております。なお、このほかに別途警務隊というのもございまして、何らかの不正事項のおそれでもあるような場合は、特別の命令によりまして、内面的に調査もするというようなことによりまして、極力不当、不正事項の起こらないように、絶無を期してつとめているところでございます。
  253. 小谷守

    小谷守君 ひとつ自己監査ということを、やはり厳にやっていただきたいと思います。  防衛庁とあわせて、本年公共事業の量というものがたいへんなふえ方であります。   〔主査退席、副主査着席〕 四十五年度の御報告を拝見しても、数々の不当工事というものが指摘されておる。私は、これを拝見しましてですね、一、二の例をあげてもよろしいが、もう時間がありませんから……。これを拝見して、こういうことを感ずるんです。中には、府県やあるいは国鉄等の設計がよろしきを得なかった、監督がよろしきを得なかったと、こういう事例もあります。しかし、明らかに土建業者が良心的でないという、そういう事例も散見される。こういう点については、私は、頂門の一針で、悪質な業者に対しては指名を停止するぐらいなきびしい措置に出るべきだ。もとよりこれは、そこまでいくことは会計検査院の権能の範疇ではないかもわからぬ。建設省あたりは頂門の一針ということです。そのぐらいきびしく出るべきだと思う。特に、本年度組まれた予算におきましても、公共事業、建設関係の占める領域というものはもう膨大なものです。いま大手土建業者の中では、談合ということがもう何か常識化されてしまっている。話し合って適当な金額の札を入れる。裏では特定の政党に政治献金をしておけばいいと、こういうことでありましては、この膨大な建設関係予算というものは、国民の福祉にはつながらずに、大きな土建屋とその周辺を潤すだけのことに終わってしまう。こういうことを非常に心配をいたします。今回指摘されたような中には、歴々として業者が悪いという分については、いま申し上げたような、指名を停止するぐらいな決断をすべきだと思うが、どうお考えになりますか。
  254. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) いま先生から御指摘をいただきましたけれども、建設省といたしましては公共事業費の約七割を担当いたしております。しかも、そのうちで九八%以上を請負でやっております。したがいまして、入札の適正をはかるということは、われわれきわめて重大な任務であると考えております。その場合に、いま先生のお話もございましたけれども、積算、設計の適正化、発注までの予定価格の秘密の管理、それから指名の適正というようなことが基本になるかと考えております。そのいずれにつきましても、現在、会議、通達等を通じまして厳正にやるよう指導につとめておるところでございますが、最後に先生のおっしゃいました、特に談合等の問題につきましては、あらゆる業界等の会合等につきまして、大臣等からも、そういうことがないように、それは重ねて申してまいっております。ただ、現在の指名の手続といたしまして、相当明確に、客観点数、主観点数というのは、まあ内部のことでございますが、いろんな格づけをいたしまして、AからEまでに、業者を五段階にランクいたしまして、そうして、それぞれ請負事業の価格に対応いたしまして十社以上選定するということにいたしておりますけれども、その際の、十社の選定につきましては、ある特定業者に偏しませんように、いろいろな段階でチェックの段階をつくっております。特に二億円以上の工事等につきましては、本省が必ずタッチをするということにいたしております。本省の大臣決裁の前には、事務次官、技官、関係局長等が入ります指名審査委員会というものを設けましてチェックをするというようなことを、現在やってまいっております。  なお、そういうことの実行の適正化をはかりますための内部的な監察のシステムといたしましては、本省に、局長クラスの総括監察官というものを長といたします九名でございますけれども、監察官と若干の補助者を置いて内部の監察をいたしております。なお、直接の仕事をいたします地方建設局におきましては、課長クラスの主任監査官というものを置きまして、そのほかに数名の者がそれについておりますが、そういうものが常時内部の監察を実施いたしております。  それから、公団等の関係におきましては、大臣が直接任命いたします監事が内部の監察をいたしますとともに、それぞれ監査室というふうなものを設けまして、それぞれの内部監察を励行いたしておるという状況でございます。
  255. 小谷守

    小谷守君 まあ、こういうことをやっておりますというふうな、事もなげなことではなしに――にもかかわらずどんどん不正工事も起こっておる。不正な入札も行なわれておる。私は、四十七年度が公共事業について画期的な年であるだけに、建設省としても、自己監査の体制について画期的な配慮を払われなければいかぬと思う。同時に私は、先ほども頂門の一針ということを申し上げた。まずいのは、やっぱりみせしめに切るべきだ。エコノミックアニマルと言われておるが、このごろ建設業アニマルというものがはびこっておる。たとえば、こういうことを私は仄聞するが、あなたはどうお考えになるか。公共事業全般について請け負うのは――第一次請負契約をするのは大手の業者である、著明な業者である。しかし、それはふところ手をして下請、孫請、ひどいのは五段階ぐらいまで下げてしまう。もちろん、下請の規制については一応の法律はあるけれども――包括的な下請はできぬようになっておるけれども、それをくぐって、部分的の姿をとって下請をどんどんさせておる。ほんとうに汗をかいて工事をするのは中小、あまり仕事をせずに、名義料だけで、汗もかかずに大もうけするのは大手だ。その間の、請け負うものと実際に末端で仕事をするものとの工事契約の金額には、三割の間差額がある。これが建設業界における常識だと仄聞しておるが、そういう点については当たっておるか、いないかどうか、差しつかえなかったらお答え願いたい。
  256. 山岡一男

    政府委員(山岡一男君) 先ほどちょっと答弁漏れがございましたけれども、先生のおっしゃいました指名停止のことでございますが、実は、おっしゃるとおりあまり励行いたしておりませんでした。ただ、内部的にきめております取り扱いといたしましては、汚職、賃金不払い、それから大きな現場事故、不当工事を行なった者にたいしましては指名の停止を行なうこととしておりますので、今後はさらに厳重に行なってまいりたいと考えております。  それから、いまおっしゃられました下請の段階等につきまして、私ども担当の委員会でもいろいろな御指摘をいただいております。実は私、直接担当しておりませんので、実情について、どうこう自分の意見としては申し上げられませんけれども、私どもが仄聞しておるところでは、そういうことは全然ないということはないと思います。逆に言いますと、あろうかと思っております。そういう点につきまして、ひとつ、今後については戒めてまいりたいとわれわれは考えておる次第でございます。
  257. 小谷守

    小谷守君 会計検査院に申し上げますが、特に私ども気がかりであって、あなた方、会計検査院に四十七年度姿勢を正して厳に監視をしてもらいたいのは、どんどん膨張してくる公共事業、また、多様化し非常に複雑になってまいる防衛庁の関係、これについては、それぞれの当局において自己監査を十分やってもらうと同時に、私は会計検査院の検査方針に対して容喙をしようとは思いませんけれども、やはり、これは検査の一つの大きな重点として、国民のために疑義を残さぬように御苦労を願いたい。このことを特に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  258. 黒部穰

    政府委員(黒部穰君) 先ほど、小谷先生の御質問の御指摘の中に欠陥魚雷という点がございましたが、これは先般の衆議院決算委員会におきまして、鳥居先生から質問を受けまして、私が答弁を申し上げたわけでございます。そのとき、十分に御説明ができなかったものですから、一部新聞には欠陥魚雷浮上せずというような見出しで出たわけでございますが、私どもといたしましては、マーク44という魚雷につきましては、何ら欠陥あるものではない、その一番いい例が、いい理由といたしましては、マーク44というのは自由諸国十七カ国で使われておる魚雷でございまして、それ自体は何ら欠陥はないわけでございます。ただ、訓練魚雷は浮上させるような仕組みになっておりますが、これが百回撃って百回とも上がってくるというふうにはなかなか作動しない点がございます。これにつきましてはいろいろ理由がございます。いずれ何かの機会にまた陳弁させていただきたいと思います。
  259. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) ただいま先生からいろいろ御質問いただきまして、また御鞭撻をいただきましたわけでございますが、会計検査院といたしましても、先生の御趣旨あるいは御鞭撻の趣を上司に申しまして、会計検査院といたしましても、決して憲法上の独立機関ということの上にあぐらを組んでいるわけではございませんが、なお足らざるところは反省いたしまして、四十七年度――これからやるのは四十六年度の検査でございますが、今後団結いたしまして、十分な検査をやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  260. 木島則夫

    ○副主査(木島則夫君) 以上で小谷君の質疑は終了いたしました。鈴木君。
  261. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 検査院に伺いたいのですが、年度初めの検査のことについて、農林省であるとか建設省とか、こういうところでは年度初めをはずしてもらいたい、シーズンのあとにしてもらいたい。こういうような要望が出ているという話ですが、四月、五月の決算の時期をはずして、はたして検査の目的が達成できるだろうかということが一つの疑問として残ってきます。また、仕事の量が、そのように年度当初にやらないということになりますと、下期のほうに重なってくるという場合がございます。これは労働強化にもなるわけでございますが、そうして調査のタイミングの点等の問題もありますので、一体どういうふうに対処なさるつもりか、それをひとつ伺いたいと思います。
  262. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 御承知のとおり、四十七年度におきまして、公共投資の増大の関係がございまして検査の時期をずらすと、こういうふうな事態になっております。これは関係各省庁の要望がありましたわけでございますが、私どもといたしましては、これに対しまして、検査の実行計画がそごを来たさない範囲で協力できる面は協力しようと、こういう立場に立ちまして協力すると、こういうことでございまして、従来から実地検査の期間は、大体九月あるいは十月の初めに入るということもあるわけでございますが、そのころまでで実地検査の実施計画を線引きいたしましてやってみますと、どうにかできるというような点、それから四月、五月が最も効果があがると、こういうわけでもございませんので、四月、五月――五月の半ば過ぎでございますか、それまで検査を延ばすと、こういうふうにしたわけでございます。  なお実際、検査の実施面につきまして御要望がございましたら、公共事業の大部分を持ちます建設省関係を担当いたしております局長も参っておりますので、局長のほうから説明申し上げてもよろしいかと存じます。
  263. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは、実施面においては、実際面では差しつかえがないということですね、はっきり申し上げて。そういうことならばそれはけっこうですけれども、ここで話題が変わるのですが、技術専門官の話でありますが、現在何人いるんでしょう。
  264. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 技術専門官でございますが、これは四十四年度に一人設置が認められまして、現在、弱電関係の技術専門官でございますが、これが一人いるだけでございます。
  265. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 検査には技術的な面が非常に必要じゃないか――私がエンジニアだからそう言うわけではないのですけれども、非常に必要だろうと感ずるわけです。アメリカなどでは、そういう関係の技術知識者の問題が――技術知識者というんですかね、そういうことが問題になっているわけであります。だから、その点で、専門官というのはこの対象を広げていくべきではないか、いまの弱電関係だけということになると、土木関係等についてはどうしても弱くなるとか、いろいろな面が出てくるだろうというふうに感ずるのですけれども、その点はどういうふうな構想を持っておりますか。
  266. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 先生おっしゃるとおり、最近における技術の進歩に伴いまして検査の徹底強化が必要になります。なりますと、当然土木、建築あるいは機械あるいは強電のほう、もっとむずかしくなりますと、原子力関係というような分野も専門官がいてほしいということは、検査院としても重々おっしゃるとおりでございます。しかしながら、これも先ほど来申し上げました定員増ということにもなりますし、なかなか関係方面の御了解も得られない。検査院といたしましては要求はいたしておるわけでございますけれども、なお実現を見ないので、今後、なお一そう強力にこの実現を推進したいと、こういう考えでおるわけでございます。ただ、専門官と申しましても、なかなか人材を得ると申しますか、これが非常にむずかしいわけでございまして、外部から知識を持った人が役人の給与ではなかなか来てくれない。あるいは検査院に来ても、ほんとうに自分の技術を伸ばせないというようなこともございまして、痛しかゆしというような面もあるわけでございます。
  267. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 その定員の問題等は、先ほども出たそうでありますけれども、防衛庁関係、いまこれを調べている技術職員、これの充実の問題でいま伺っているわけですが、防衛庁を担当しているのはいま何人ですか。
  268. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 防衛庁関係を検査いたしておりますのは三課ございまして、全員で九十四名でございます。
  269. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 九十四名。二局の中の三つの課ですね。
  270. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) はい。
  271. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この九十四名――約百人ということですけれども、いろいろ兵器の問題、むだづかい、いろいろな指摘というものをされておりますけれども、九十何人でこれだけの指摘があるのですから、実際問題としたらば、専門的な人が少ないためにまだまだ漏れているのじゃないか、こういう心配をわれわれはするわけですけれども、その点はどうなんですか。
  272. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 確かに技術的な面、こういうことになりますと、決して私どもの検査体制というものが十全であるというふうには申し上げかねると思います。ことに防衛庁関係――あるいは航空機であるとか特殊な車両であるとか、あるいは魚雷とか――魚雷と申しますか、そういうような特殊な兵器は、これは調達に際しまして――われわれは普通一般の検査に際しましてはその対象となるものを十分比較検討するものでございますが、そういった、たとえば戦車なら戦車で、防衛庁ではこの戦車を買っているけれども、ほかのところではこういう戦車を安く買う、あるいはこの戦車のほうが材質がいいのだというような比較ができないわけでございまして、なかなか、兵器その他につきましてはむずかしい面がございまして、私どもの検査といたしましても十全であるとはなかなか申し上げかねると、こういう状況でございます。
  273. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 ですから、どうしても専門官というのが必要になるだろうと思うのですね。で、いま日本の戦車の話がありましたから、私は戦車のたとえでいいますと、日本の戦車だけを見ているのではなくて、フランスのも、あるいは西ドイツのも、またアメリカのもと、こう見てこなければ、一体これはむだなのかむだでないのかなんということは全然わからないわけです。そういうことになりますと、これは兵器の専門家でなければならない。そういう点の充実に力を入れないということは、これは私はこわいような気がするのですね。そういう点で、やはり先ほど定員の問題がありましたけれども予算のほうが、大体毎年七、八%ふえているでしょう。じゃあ人数のほうは毎年何%ずつぐらいふえておりますか。
  274. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 予算はふえておりますが、検査院全体の定員はふえておりません。
  275. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いつごろからふえていないのでしょうか。
  276. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 三十九年の七月一日現在で千二百十二名でございまして、現在四十七年度の定員も千二百十二名で、変わっていないわけでございます。
  277. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そういうことでは、これはまずいと思うのですね。予算のほうは、三十九年の予算から四十七年の予算へという場合には、これはもう十倍近くになっているわけですよ。しかも、公共事業は、先ほども指摘がありましたように、膨大にふえて兵器関係予算もふえてきた。それだけじゃなくて機種がふえてきている。こうなりますと、千二百十二名で全然変わらず、予算が膨大になってきても検査機構は変わらない。こうなってくると、会計検査院がだんだんやっていく場合にも、抽出で調べなければならない。うまいことばで言えば――合理的に能率をあげてということばで言えばそれきりなんですけれども、私は、ことばのごまかしは聞きたくないわけですから、能率的とか、合理的にということよりも、やはり千二百十二名で三十九年度を見ていたときよりも、四十七年度の千二百十二名のほうが、これは見落としが出てくるのはもう歴然だということにならざるを得ないのじゃないか、という気がするのですね。そういう点から見ても、これは検査の対象がだんだん粗略になっているということが指摘もされてきているわけですが、この人員増のことを、これは本格的に考えなければいけないと思うのですけれども、これは概算要求ではふやすように要求したのですか。
  278. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 四十七年度予算要求に際しましては、増員の要求をいたしました。
  279. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 何名ぐらい要求したのですか。
  280. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 調査官二十六名、調査官以外の事務官――一般職員でございますが、これを二十四名要求したわけでございます。
  281. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 要求も少ないから削られるのですね。とにかく三十九年度で千二百十二名、それが現在も千二百十二名。要求は両方合わせても五十名でしょう。それだけの要求じゃしょうがないのじゃないですかね。ほんとうをいえば、五割増ぐらいまでするぐらいの気持ちがなければ、とてもいけないだろうと思います。そういうところは、これは本気になって考えなければいけないと思うのですけれども、明年度はどのくらい要求するつもりですか。
  282. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 明年度要求は、これからのことでございまして、まだ事務総局といたしまして検討をいたしておりません。ただ、増員ということは、やはり先生のおっしゃるとおり、われわれの念願でございますので、これは御趣旨もありますし、われわれ自体といたしましても、強力に実現したいと、こういう考えでございます。
  283. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いろいろな公団――住宅公団であるとか、いろいろな公団があります。公団の不正工事、あるいはいわゆる粗略な工事であるとか、そういうことが国会のほうでもって先に指摘されてしまって、会計検査院のほうで指摘がないなんということもたびたびあるわけです、いままで。そういうようなことでは、これは会計検査院として不当事項摘発ということが私は非常に足らないというか、努力が不足している。その一つの原因がいまの人員だと思うのです。もう一つは質の問題になるわけです。昔は天皇の直属ということであったというようなことであったのですけれども、現在独立の機関であります。そういうような独立性というものをきちっと持っているだけに、今度逆に、検査官の身分保障、こういうものについては、裁判官の独自性と同じようなものを、これは考えるというふうにさせなければいけない。   〔副主査退席、主査着席〕 確かに総理大臣の任命というものもあります。ありますけれども、それだけでは権威というものは保てないのじゃないか。そういう点で、身分保障というものが十分ないから、検査官になり手がないなんということにもなりかねないわけでありますし、そういう点はいかがお考えですか。
  284. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 会計検査院が十分な検査をやって、国民の皆さんの期待にこたえる、あるいは検査院の職員が公務員の中で格別に清潔な節度をもって検査に当たると、こういうことは、当然現状におきましても、われわれ心に戒めてやっていかなければならないことでございます。そういうわけで、これは検査官会議事務総長もその点はやかましく指導しているわけでございますが、まあ、このような環境の中で職員が困難な検査を実施していく、そこに当然起こってまいりますのは、やはり待遇の改善、あるいは身分保障というような問題があるわけでございます。まあこういった身分保障なり待遇改善ということにつきましては、検査院におきましても当然これをいま検討いたしているわけでございまして、官房の審議室に課長を一名専担させまして、何らかの方法で、職員が権威を持って、しかも十分検査できるような体制を整えたい。そういうことを検討しております。
  285. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そういう点がはっきりしていかないと、ときどき検査のときの手抜きがあったとか、物品の贈与があったとか、つまらない話を聞かされるわけですよ。そういうことをなくしていって、国民の目から見ても、ほんとに安心できるというようにするには、身分保障とか給与の問題とか、当然人員の増大、こういう点を本格的に考えていただきたい。これはもう答弁は要りませんけれども、ぜひやってもらいたいわけです。で、ほんとうに、検査院からの「国の決算と検査」でしたか、何かそういった雑誌がございますが、報告が――ああいうものを私ども見ていても、われわれが摘発して追及したのを、今度検査院があとを追っかけてやっている――営林署の問題がございました。こういうようなことでは、これはしようがないと思うんですね。この検査方針も、四十五年決算の検査方針を私拝見しましたけれども、この検査方針を作成して年間検査の計画をつくるわけでしょう。そうして、どういうふうにやっていくんですか。抽出でやっていくのか、全部が全部できるわけじゃないでしょうけれども、どういう選び方をして検査をなさるわけですか。
  286. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) この重点事項と申しますか、検査にあたりまして方針をきめるわけでございますが、その実際面にあたりましては、やはりそのどこに――たとえばある課がございまして、そこでその課の重点事項は何と何だというような場合がございますが、どっちのほうにウェートを多く置くかということを一応きめるわけでございますが、それによりまして実施いたします場合に、実地検査に参りまして、やはり全体としては抽出になりますけれども、抽出の密度が濃い薄い、こういう結果になろうかと存じます。
  287. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これはどういうところで決定するんですか。
  288. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) これは各課、局、こういうものが立案いたしまして、事務総局で最終決定をいたしまして、これを案として検査官会議のほうにお見せいたしまして決定するわけでございます。
  289. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 一つの具体的な例ですが、この四十五年決算に関する検査方針、この中で、上席調査官第三部門担当で、日本航空機製造株式会社がやっておりますYSnの量産の事業ということの、これは検査方針の中に入っているわけですが、このYS11が非常に事故が多い、メーカーから受け取ったときの検収、そういうものが不十分ではないかと、こういうことがいわれているんですけれども、現在これはどういうふうな検査をしておりますか。
  290. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) YS11はいろいろ事故があるわけでございますが、この事故の原因という面につきまして私ども現在のところタッチいたしておりません。ただ、YS11の量産事業をやっております日本航空機製造株式会社、こういったものにつきましては検査を当然しているわけでございまして、検査にあたりましては、この飛行機の製造原価の分析検討を行なう、あるいは量産計画の終了がもう予定されて、四十七年度で終わるわけでございますが、なおこれに関連いたしまして、納入までに長期間を要する資材があるわけでございますが、そういう資材の購入計画が妥当であるかどうか、あるいはその契約内容について検討を行なう、あるいは航空機製造株式会社が販売いたしました飛行機についての、既往の債権の確保の適否、そういったものを見ているわけでございます。
  291. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、そういった個々の例はあると思いますけれども、やはりメーカーでは、検収をしたときにはたしてきちんとできたのか、できなかったのかまで見てあげなければ、事故などはなくすということは不可能だろうと思います。  ここでもう一つ、私は検査が十分でないだろうというおそれを抱いている一つは、会計検査院のいわゆる検査対象団体がありますね。そういうところに検査院の局長以上の職にあった人が勤務している、そういう実態、その天下りの実態でありますが、一体どういうふうになっておりますか。
  292. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 実態、これを一々申し上げます。  日本住宅公団に事務総長でやめました者が一名、日本てん菜振興会に局長でやめました者が一名、住宅金融公庫に局長でやめました者が一名、以上三名は監事でございます。それから日本中央競馬会に局長でやめました者が顧問としていっております。それから雇用促進事業団に局長でやめました者が監事としていっております。それから海外移住事業団、宇宙開発事業団、これにそれぞれ局長でやめました者が監事でいっております。それから日本鉄道建設公団に事務総長でやめました者が監事として、京浜外貿埠頭公団に局長でやめました者が監事で、中小企業振興事業団に局長でやめました者が理事で、それから住宅金融公庫に事務総局次長でやめました者が理事で、それから一つ落としましたが、やはり事務総局次長でやめました者が国家公務員共済組合連合会に理事でいっております。そういう状況でございます。
  293. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 これは監事、顧問、理事というのは全部有給ですね。
  294. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) いずれも有給と伺っております。
  295. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 この監事というのは、これはどういう役目ですか。各公団あるいは振興会、こういうところに監事として入っておられますが、監事というのはどういう役目のものですか。どういう仕事をやるんですか。
  296. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 監事と申しますのは、それぞれの団体におきまして業務なり会計経理なりの適正をはかるために存置されている、また、決算にあたりましてもこれを十分監査いたします立場にある。こういうふうに存じております。
  297. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は、これを見ていて非常に疑問に思うんです。この検査院からいただいておる資料に名前まであがっている。いま御答弁のとおりでありますけれども、四十年に二人、四十一年に一人、四十二年に二人、四十四年に二人、四十五年に四人、四十六年に一人と、こういうふうに天下っているわけです。しかも、その中で監事をやっているのは八名ですね。そのほか理事。どちらにしても、監事というのは、いまの話のように、その執行しているものが、はたして決算にあたっていいか悪いかも調べるわけでしょう。それをさらに検査院が見るということになっているわけですね。それが確かかどうかということも調べるようになるでしょう。しかも理事もいる。検査院の局長以上の職にあった者――総長とか、総局次長とか、局長とかという、こういう方々がこういう団体に入るということ自身が非常に心配だと思うんです。検査のときに、これはこのようにいった方が、会計検査院の検査のときにうろちょろされたり、監事として一緒に立ち会っておられたりしたら、どうしたって、これは国民のほうから見れば、不正はございませんと言っても、何だか変だ、なれ合いじゃないかというふうに見られることになるんじゃないですか。私は、そういう点は非常に慎まなければいけないと思うんですが、どういう方針で臨んでいきますか、これから。
  298. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 公団、公庫に転出している者がいるわけでございまして、先生御指摘の面もあるわけでございますが、これは私どもで申しますと、先輩にあたる者でございますけれども、それぞれ多年の経験を持っております。そういう面で、嘱望されまして出ていったというようなことでございまして、私の立場で、これを何と申し上げますか、どうあるべきであるというふうにちょっと申し上げかねると存じます。ただ、検査の面に影響があるんじゃないかという御懸念でございますけれども、監事にいたしましても、これはあくまでも公団、公庫の内部の監査をやっておるわけでございまして、われわれはそれに対しまして、会計検査院法に基づく外部からの検査をやっておるわけでございまして、たとえそこに先輩がおりましても何ら情け容赦なくやる、雑なことばで申し上げますと。そういう立場で臨んでおるわけでございまして、決して、そこになれ合いとか癒着、こういうものがあるというふうにはわれわれは考えておりません。
  299. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 あなたのことばに矛盾があるのです、はっきり申し上げて。こういう先輩の方々がこういうところに行った、そういうことについてどうこうと言うことについては、私どもから言いにくいから言えないというような言い方をしておいて、一方では、そういうのに遠慮しないで私どもはやれるんですと、非常に矛盾をしているんです。私は、この中央競馬会なんというものは、はっきり言って伏魔殿なんということばまで使われている場所ですよ、これはときどき。そういうところへ検査院からのこのこと行ってしまうということ自身が、これは姿勢としてよくないんです、はっきり言って。住宅公団にしても、金融公庫にしてもいろいろございます。鉄建公団、宇宙開発事業団にもいろいろある。検査院からいけば当然指摘事項もあるでしょう、現実に。これはある所では、検査院が行っているときにそばにはいないけれども、その近所をうろちょろうろちょろ、はっきり言うと天下った人がやっている。また公然とそばにいる。こういうことになったのでは、これはどう考えても、なれ合いがないと――あるなんという答弁だったら、たいへんなことになってしまうんです。ないというのは当然でしょうけれども、私は、国民としては最大の疑惑を持たざるを得ない。こういうところへ――局長以上の職にあった者を、会計検査院が検査の対象としている所へ行かせるということは、これは問題だと思うんです。こういうことは絶対に慎まなければならないことです。その辺はっきり御答弁がないようじゃ、これは検査院の検査それ自体を、われわれ国民の目から見れば疑わざるを得ないんじゃないですか。だから、そういう点について、はっきりした今後の方針はどうなのかと、私は聞いているんです。
  300. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) そういう団体に検査院から天下るべきではないという御趣旨承りました。今後どうすべきかという点につきましては、私、事務総局次長の立場で、本日は総長職務代行で参っておりますけれども、いま直ちに申し上げかねますので、御趣旨の点は、帰りまして十分上司に報告いたしまして、今後の方針をきめていただく、こういうふうにいたしたいと思います。
  301. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それでは、ここのところは、あなたから答弁が出ないようですから、いいか悪いか、どう思っているかということが一つ――是か非かという問題。それから今後の方針。この二つを予算委員会の総括質疑中にお答えをいただくように、これは主査からのお取り計らいをいただきたいと思います。早急に結論を出していただきたい、そのように取り計らってもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
  302. 鎌田英夫

    説明員(鎌田英夫君) 先生の御趣旨は、帰りまして上層部に伝えまして、総括質疑のときに、御質問がありました際に答弁いたすように計らいたいと思います。
  303. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 他に御発言もなければ、国会皇室費及び会計検査院所管質疑は終了したものと認めます。
  304. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 以上をもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府のうち防衛庁、経済企画庁及び科学技術庁を除く部分、及び法務省の各所管並びに他分科会の所管外事項に対する質疑は終了いたしました。  これをもちまして本分科会の審査を終了いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 平島敏夫

    主査平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。これにて散会いたします。   午後三時四十七分散会      ―――――・―――――