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国務大臣(
水田三喜男君) 外貨問題はきょう午前中にちょっとお答えいたしましたが、いま活用策はもうすでに実施されております。もう一ぺん申し上げますと、いま流動性を確保して保持しておるのが百十億ドルぐらいと。この半分ぐらいをとりあえず活用したいという方針のもとにいろいろやっておりますが、やはり七、八十億ドルの短期の対外負債がございますので、それが外貨のかさ上げになっていることは事実でございますので、今後外貨がどんどんこれ以上ふえないということと、そうしてこれが少しでも活用されて減るということを
考えるとするならば、これは為銀に預託して、そうして、これが返済の肩がわりになるというような方向で活用することは、これは非常に意味のあることでございますし、同時に中期、長期の外債によって資本輸出の促進ということに活用されることであったら、これもいいことでございますので、それもやっております。いろいろなことを現在やっておりますし、さらに材料備蓄、原材料の問題につきましても、外貨を預託することによってユーザンスの期限を非常に伸ばして、そうして
約束の品物は外国からみな引き取れるという道も、やはりこの外貨の活用の
一つの
方法として
実現していることでもございます。そのほかに外貨を直接に貸せいという要望が財界から非常にございますが、御承知のように、この
政府や日銀が保有している外貨というものは、これは民間の保有するドルを求めによって円対価によって
政府が買い取ったものであって、そうして、今度は民間の希望する場合には、いつでも売り戻さなければならないという、これは公的な資産でございますので、この公的資産というものを民間に直接貸すということは、どういうことかということになりますと、しょせんこれを借りる意味というものは将来の危険
——リスクを免れるということについては、これを借りる人に相当のメリットがあることでございましょうから、したがって、
政府にそういう要望があったにしても、それじゃ、どういう範囲に貸すかといったら、やはり民間の一部の人にこのメリットを与えるということは、公的資産の運営
方法としてはあまりいいことじゃございませんので、そういう形で外貨の運営をするということは、私
どもは避けたいということでございます。そうしてまた、いま通産
大臣が言われましたように、今度は民間にそれを直接貸しをするというようなことで活用するのでなくて、
政府自身がこれを活用する
方法があるかということは、やはり
一つの問題でございまして、これを
考えるのには、いまの現行法ではいけませんので、ここでいろいろなことを
考えなければいかぬ、法的な準備もしなければいかぬ。そういうような点でいろいろいま両省でも検討しておる最中でございます。むずかしい問題は別にそれはございませんが、
政府自身がやるということでしたらむずかしい問題はないと思いますが、問題はドルという、いま
政府の持っている外貨というものは、外貨がそれ自身単独に
政府の手にあるのじゃなくて、この
背後にはみんな円を出して、円が市場に出て、その結果
政府の手にドルがあるのですから、それをそのままにしておいて活用するということは、やりそこなうというと、これは大きいインフレの原因もつくりますし、その辺において非常にむずかしい問題がございますので、相当慎重を期した活用
方法を
考えなければならないだろうと思います。また、対外
援助の必要がございますので、
援助の方向において活用されるということも必要でございますので、そうなりますというと、いまの輸銀法とか、それから基金法とかというものも、これはある程度手を加えないと十分な機能を発揮させるということはできないだろうということで、問題は、そこまでもくる問題でございますので、国会にお願いして、立法を必要とするような問題だけがいま残されて、そのほかの形においてはいま相当広範にわたって活用されていると言ってもいいのではないかと思っております。で、御承知のように黒字幅の縮小の気配というものは、いま見えてまいりましたが、しかし黒字基調というものは依然としてまだ続くものと思われます。そうすればいまの保有量に対して、さらにまだ今後しばらくの間増加するということも
考えられますので、したがって、外貨の活用法も私
どもは
考えなければなりませんが、それよりもいま各国で問題になっておるのは、きょうも海外に行っている
日本の
政府関係者が帰ってきて、報告を聞きましたが、米国においても欧州の諸国においても、問題は
日本の、ドルがたまることについて、みなそう大きい憂慮はしていないと、これは通貨調整があっても、一年、二年の間はそう急に変わるものではないので、しばらくの間
日本に黒字基調が続いて、外貨の蓄積がある程度続くだろうということについては、みな了承しておって、これは
心配しないと、しかし、何カ月たっても貿易収支の姿が変わらないで、いまのまま進んで黒字幅が広がるようなことであったら、これはたいへんだと、みんなその点に非常に関心を持っておる
状態なんでいま円の切り上げを迫る国なんというものは、実際において、公的な場で
一つもない。そういう問題はないけれ
ども、
あと、ことしの末とかというまでに少しも
日本のいまの姿が変わっていないということは、国際摩擦の大きい原因になるので、したがって、たまった外貨について活用というよりも、そういう無制限にたまってくる姿を直すことが当面の急務だ、ということになりますというと、いまの予算が、早くこれが動き出して、そうして景気回復への機能を発揮し出すとか、そうして、そのほかに自由化、また関税の引き下げとか、いろいろなものが機能を発揮してくるというようなことによって、対外均衡、対内均衡が回復してくるということが、やはりこの問題の一番の解決策になると思いますので、やはり
政府の
努力すべきおもな方向というのは、そういう方向であろうと
考えまして、たまった外貨の活用策と、一方、外貨がそういうようにたまってくることをやはり合理的に防ぐ策というものとを並行して
考えなければならないだろうと
考えています。