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1972-04-14 第68回国会 参議院 予算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十四日(金曜日)    午前十時二十七分開会     —————————————    委員の異動  四月十三日     辞任         補欠選任      須原 昭二君     神沢  浄君      野末 和彦君     喜屋武眞榮君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 白井  勇君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 初村滝一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 矢山 有作君                 鈴木 一弘君     委 員                 小笠 公韶君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 細川 護熙君                 矢野  登君                 山崎 竜男君                 山本敬三郎君                 山内 一郎君                 上田  哲君                 大橋 和孝君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 杉原 一雄君                 竹田 四郎君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 松井  誠君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 塩出 啓典君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君                 中沢伊登子君                 小笠原貞子君                 河田 賢治君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木村 俊夫君    政府委員        総理府統計局長  関戸 嘉明君        近畿圏整備本部        次長       朝日 邦夫君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        環境庁長官官房        長        城戸 謙次君        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省経済協力        局長       大和田 渉君        外務省条約局長  高島 益郎君        外務省国際連合        局長       影井 梅夫君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君        厚生省医務局長  松尾 正雄君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        食糧庁長官    亀長 友義君        水産庁長官    太田 康二君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省道路局長  高橋国一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  まず、一般質疑の取り扱いにつきまして御報告申し上げます。  一般質疑の日数は七日間をめどとし、その実質総時間は九百九十分とすること。その各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党はそれぞれ三百六十分、公明党百二十分、民社党及び日本共産党はそれぞれ六十分、第二院クラブ三十分とすること。  質疑の順序は、お手元の刷りもののとおりとすること。  以上のように取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、これより一般質疑に入ります。西村関一君。
  5. 西村関一

    西村関一君 まず、外務大臣にお伺いいたします。  ベトナム戦争がいよいよ苛烈な様相を示しております。何としても、一日も早くベトナム戦争はやめるべきであると思うのです。外務大臣としては、どういうお考えでございますか。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ベトナム戦争につきましては、かねてから申し上げておりますが、わが国といたしましては、一日も早く南北間に和平が到来するように、こういうことを念願をいたしておるわけなんです。  ただ私は、米中会談、これが、アジア全体といたしますと、確かに和平というか、緊張緩和、そういう空気をかもし出すというふうには考えたのですが、局所局所では別の反応というものが起こりそうだと。その中で一番心配しておったのは、このベトナムなんです。北越は、米中会談をかねて強く批判をする態度をとっておる。また北越と深い関係にあるソビエト・ロシア、これも米中会談につきましては、かなり警戒の態度を示しておる。そういうようなことが、この会談からどういう影響南北ベトナム問題にもたらすか、これは実は私としては非常に心配をしておったのですが、その心配どおり事態が起きてきておる。  私はしかし、事ここに至ったこと、これはもうしょうがない。しかし、これから先を考えてみますると、一日も早く和平をというふうに考えまして、わが国でできることがあれば、その方向のお手伝いをしなければならぬかなと、こういうふうに考えておるわけですが、何せ、わが国戦争の当事者でもなし、また、その背後にある、いわゆる背後大国でもありませんから、なかなか、そういうよすがにつきましてはむずかしい状態でありまするが、何とかして、そういう少ないチャンスでもありますれば、その少ないチャンスでもとらえまして、お手伝いをすべきじゃあるまいか、そういうふうな気持ちでございます。
  7. 西村関一

    西村関一君 どのような方法ベトナム和平が到来するというふうにお考えでしょうか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どのようなというか、これはまことに予測し得ない問題でございます。しかし、私の希望というか、私の、かくあるべしという考え方は、やっぱりパリ会談を再開する、そうしてジュネーブ協定の精神に従った解決が行行なわれることである、こういうふうに考えるわけでございます。
  9. 西村関一

    西村関一君 ジュネーブ協定の原点に返るということは、両方とも言っているのでございます。さらに、パリでやろうということも言っているのです。それなのに、なぜパリ会談がいまだに開かれないでいるか。三年有余にわたって継続されてまいりましたリリ和平会談がストップして、苛烈な爆撃が繰り返され、血なまぐさい戦闘が進行している。一体、なぜパリでやれないのでしょうか。その点、大臣はどう考えておられますか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ベトナム半島の今回の状況の急変、これの背景につきましての私の見方、それは、ただいま申し上げたとおりなんですが、私は、パリ会談というのは、かなりいいところまできたと、こういうふうな感じを持っておったのです。また、南北ベトナムにおきましても、私どもの総合した情報を検討いたしますると、戦争はもう飽き飽きだ、何とかこの辺で終止符をと、こういう気分のようです。ですから、私といたしましては、パリ会談というものに深い期待を持っておったわけなんです。しかも、このパリ会談が、かなり煮詰まったような段階にきておる。これはひとつパリ会談というものに期待が持てるかなと思っておったやさきに、こういう不幸な、戦闘の激化というような事態になってきておるわけでありますが、世界じゅうの国が相協力いたしまして、この戦闘をとにかく早くやめるんだ——これは両方に私は責任があると思うんです。この戦闘状態を、世界じゅうのそれぞれの国が協力してやめさせるところの努力、そうしてこれを話し合いの場に持っていく、つまりパリ会談の再開というところに持っていく、こういう経過をたどることが私は望ましいのじゃあるまいか、そういうふうに見ております。
  11. 西村関一

    西村関一君 私も、福田外務大臣の、意見に全く賛成なんであります。ただ問題は、ベトナム問題に関するところの和平提案が幾つかなされておる。GRPの側からも、アメリカ南越側からも、北越の側からも。また、GRPが二項目続いてさらに詳説する提案が出されておる。これは、この資料によっても明らかでございます。これを見ますというと、両方提案が、四者あるいは二者の提案が、いまお話しのように、ある程度まで煮詰まってきておる。どこに争点があるか、どこに煮詰まらない争点があるかということを、詰めていくことが必要だと思うのでございます。そういうことをやる場所は、パリ以外にはないと私は考えるのでございますが、その点、大臣も同意見のようでございますが、どういう点が最後に残っている、煮詰まらない点だとお考えでございますか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 戦闘行動の問題、それに関連する撤兵の問題、それからさらに捕虜の問題、その辺に一つの問題があり、一つ南越政府、これに対する見方、この南越政府をどういうふうに見ていくかという、その辺に問題は煮詰まってきておる、こういうふうに見ております。
  13. 西村関一

    西村関一君 七項目提案に対しまして、ニクソン氏が八項目提案を一月二十五日に発表いたしました。それは、形の上ではかなり七項目提案に答えているていさいをつくっておりますけれども、内容的には、いろいろ問題がある。それゆえに、その問題点について、北越側がさらに提案をしたということのようであります。それは私の考えでは、煮詰まっておりまする点は、この撤退中身問題——地上部隊撤退する期日をきめる、撤退捕虜釈放とは同時に始めて同時に終わるということはいいのですけれども撤退中身の問題、ただ地上部隊だけを撤退しても何にもならない、空軍も海軍力もこれは撤退すべきである、つまり行使しないことであるということであり、また、アメリカの軍の圧力のもとにおけるベトナム化政策平定計画というものをやめなければいけない、さらには、好戦的な政権北側が言っておりますところのチューをやめてもらうならば、チュー以外の者であるならば、平和、民主、中立、和解の政権を南につくろうというならば、その政権とも話し合う用意があると。ここまできているのでございますが、その点、外務大臣はいかがにお考えになりますか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まさに問題点の限られたものの一つは、その米軍撤退の内容の問題ですね、そこにもあると、こういうふうに思います。しかしそれが、どちらの主張がいいので、どちらの主張がどうも間違っている、こういうことは、私どもといたしますと、なかなか言いにくい問題なんです。問題点はそういう点にも一つあるということだけは、私も意識しておりまするけれども、それを、私どももその是非について判定をするという立場にもありませんし、何かその判定めいた意見を申し上げることは妥当ではないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  15. 西村関一

    西村関一君 外務大臣が、どちらが是である、どちらが非であるということを判定することはむずかしいと言われるのは、やむを得ないと思います。私は私なりの考えを持っておりますが、外務大臣としてはそういうことをおっしゃるのも、無理からぬことだと思うのでございます。  とにかく、パリ和平会談をやるべきである。問題点がここまで煮詰まってきているのでありますから、秘密折衝であれ、オープンの、表向きのパリ和平会談であれ、やるべきであると思う。相なるべくは、秘密折衝というものは避けるべきである。それからアメリカは、秘密折衝をやった、キッシンジャー氏が十何回もやったということを発表しておりますが、その中身については発表しないという約束でありましたのにかかわらず、約束を破ってニクソン氏が発表したということに対する、アメリカに対する不信感北越側あるいはGRP側に強く出ておるということも、これはいなめない事実なんであります。そういう不信行為だけじゃなしに、その中身のことを問題にしているのでございますが、いずれにいたしましても、パリに帰って和平交渉をすべきであるということについては、大臣も私も同意見なんでございまして、これをどのようにしてそうさせるかということは、これはアジアのためにも、ベトナムのためにも、またアメリカのためにも、世界の平和のためにも、ぜひそれをやらなければいけない時期にきておるというふうに考えるのでございます。  そのためには、日本政府といたしましては、何らかの意思表示を、パリに帰ってひとつ和平会談を続行するようにということを、諸般の情勢を踏まえながら、アメリカにアドバイスするということが必要じゃないか。大臣がそういうお考えであるならば、ぜひそのようにやってもらいたいと私は思うのでございます。  その際、私は、アメリカ首脳部アジア人の心を知らない。ポーター主席代表のごときは、パリにおいて傲岸無礼な言辞を弄したということが、もっぱらパリにおいて伝えられております。この無法者、この野蛮人というようなことばさえ使ったと言われております。そういう態度では、これはまじめに外交交渉することはできないと私は思うのでございます。そういうことじゃなしに、やはり双方対等な立場に立って、まじめに真剣に和平を探求していく、真摯な謙虚な態度が必要だと思うのでございまして、ベトナム歴史は、私がいまさら申すまでもなく、四千年にわたるところの民族抵抗歴史であります。そのような歴史と伝統を持っている国の代表に向かって、野蛮人というようなことばを使うことは、もってのほかだと私は思うのでございます。そういうアメリカ姿勢の問題、言うことを聞かなければ爆撃をやるぞと、八項目提案あとにはそういうことが書いてある。そういう態度、そういう姿勢を改めなければ、私は平和を求める者の姿だとは言えないと思うのです。  いずれにいたしましても、日本政府といたしましては、爆撃はやめるべきであるし、北爆はやめるべきであるし、双方話し合いによって和平を果たすべきである、パリに帰ってまじめに交渉すべきであるという、何らかの意思表示をしてもらいたいと思うのでございますが、その点いかがでございますか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その点につきましては、西村さんからお話を伺うまでもなく、ベトナム問題に触れる場合におきましてはパリ会談だと、こういうことを常々申し上げておるわけです。また、近くキッシンジャー大統領補佐官もやって来る。そういう際には、そういう意見を交えながら情勢話し合いをしてみたいと考えておるわけでありまして、今後とも私どもは、そういうアメリカへの提言を含めまして、あらゆる努力をささやかながらしてみたい、さように考えております。
  17. 西村関一

    西村関一君 現在まで、日本政府ベトナムに対してどのような経済技術協力をしてこられましたか。これはもちろん、現在の段階においては南のベトナムサイゴン政府でございますが、そのあらましについてお述べいただきたい。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 南につきましては、これは民生用のいろいろな経済協力をしてまいってきております。  それから、北に対しましては、人道上というか、そういうような立場に立ちましての援助という、これはごくわずかでございますが、国交がございませんものですからそういう状態にならざるを得ない。しかし最近におきましては、気持ちよく、わが国のそういう人道援助を受け入れるような状態になってきておることを、私は喜んでおります。  なお詳細につきましては、政府委員のほうからお答え申し上げます。
  19. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 南ベトナム政府に対しまして、最初に行なわれました経済協力は、一九五九年に締結されました賠償協定に基づく三千九百万ドルの援助でございます。これは一九六五年に終了しております。そのほか、無償の資金協力によりまして、難民住宅建設チョウライ病院改築計画協力をいたし、それからさらに、ケネディラウンド食糧援助、それから緊急援助ななども行なっております。さらに借款で、サイゴンディーゼル発電所建設、それから技術協力といたしまして、チョウライ病院サイゴン病院などに対する医療協力、それからカント大学の農学部に対する研究協力、主としてベトナム国民民生の安定と福祉の向上ということに焦点を合わせまして、いままでやってきております。ちなみに、六九年から七一年までの援助の実績を平均いたしますと、年間約二百八十六万ドルでございます。
  20. 西村関一

    西村関一君 北に対してはどうですか。
  21. 大和田渉

    政府委員大和田渉君) 北に対しましては、先ほど外務大臣が御答弁になりましたように、政府間の、つまり外交関係がないものでございますから、政府間レベル援助というものは行ない得ない状況でございます。ただ、人道上の問題というようなことに関しまして、昨年、日赤を通じまして一万ドルの援助をいたしております。
  22. 西村関一

    西村関一君 いま伺いましたところによっても明らかでございますが、南に対して相当な援助を、協力をしてこられたのであります。これを、外交関係がないとは言え、北側に対しても同等に、あるいは同等以上に行なっていこうという御意思がございますでしょうか。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北越におきましても、わが日本に対する期待というものが、だんだんと出てきておるようです。先般、西村さんも北越を御訪問なさり、外務省課長訪問をしている。こういうような状態であり、また、それにこたえるかのごとく、いま通商関係者日本視察団が参っておるようなわけであります。そういうような交流が逐次これから行なわれるだろうと、こういうふうに思います。そういうような交流人的交流あるいは経済交流、そういうものを背景にいたしまして、北越との他の部面の接触もだんだんと始まっていくのじゃないか、そういうふうに見ておるのですが、そういう状況推移ともにらみ合わせ、かつ、南北の今日のこの不幸な事態、これの推移、そういうものも見まして、私も前向きで考えてみたい、こういうふうに考えております。
  24. 西村関一

    西村関一君 外務省南東アジア第一課長三宅氏が、外務大臣の了解のもとに、北越訪問せられたということにつきましては、私はすなおに、これを評価するにやぶさかではございません。そういうことを通して、日本政府姿勢も逐次変わりつつあるということ、私は、ファン・バン・ドン首相に会ったときにも、そのことをはからずも申したのでございます。そのことが証明された。私の行ったあと、何の打ち合わせもなしに全く突然、三宅課長が行った。私は帰りに、途中でそのことを知ったのでございますが、そのことがまた、私の言ったことが間違いでなかったということをあらわす一つの証左であると見ております。そこへ十四名の有力な、伝え聞くところによりますと、閣僚名簿にも名前を連ねている方が二名も、十四名の代表の中に入っているという、いまだかつてなかった大型の代表団が、代表団と申しますか、使節団と申しますか、日本に来ている。いまなお日本にいるということでございますが、そのような、小さな細いパイプでも、北越との間に政府はつけられた。そのパイプを徐々に大きく広げていこうというお考えがおありかどうか。  そのことのためには、私は北越立場ベトナム民主共和国正義立場に立って抵抗している、侵略者に抵抗している、あくまでもその立場を貫いていこう、独立と自由ほどたっといものはないということを合いことばとして、彼らは、独立と自由は正義だという考え方のもとに立って、戦いと国づくりをやっている。そういう立場に対する理解を持ちながら、そのパイプを広げていこうという、お考えをお持ちになることができますか。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 北越政治的主張に対しまして、あるいは政治的立場に対して理解を示すということになりますと、これは南越立場を否定する、こういうことにつながってくる。そういうことを考えまするときに、政治的な意味における北越立場理解する、これは私としてはなかなかむずかしい問題です。  しかしながら、私ども立場はそうじゃない、南北両国にはそれぞれの主張はありましょう、ありましょうが、とにかくその主張を乗り越えて、そして和平実現してもらいたい、わが国アジアの一国といたしまして、その和平実現というものには、細々ながらでも努力をいたしてみましょうと。また北越のほうでも、私はそういう気分があると思うのです。日本アジアの友邦じゃないか、何かチャンスがあったら和平実現につとめてみたらどうだろうという気分があると、こういうふうに私は見ておるのです。これは、西村さんなんかの影響もあるかと、こういうふうに思います。南越のほうでも、日本が黙って見ておる、こういうのはどうだろうかという気分もある、そういうふうに私は見ておるわけであります。  したがって、私どもは、この南北の争いに対しましては局外者でありますが、しかし、人道上というか、あるいは世界の平和のためにと、こういう立場に立ちまして、和平実現することをこいねがっておるということでございまするし、しばしば申し上げておるように、わが国はこれから世界の平和のために、脱イデオロギーイデオロギーを乗り越えた外交姿勢を打ち出そうと、こういう考え方をとっておるわけです。ただ、南北で非常にデリケートな関係がありまするから、それに即した現実的な方法というものを選ばなければなりませんけれどもアジアの平和、また、ひいては世界の平和という立場、それからアジアの一国という立場、そういうものを踏んまえまして、北越との関係、これには、これから逐次現実的にかつ前向きに取り組んでいくというのが、私の考え方でございます。
  26. 西村関一

    西村関一君 私は、北越立場を支持しろということを政府に要求いたしたのではない。ぎりぎりの線があると思います。しかし、十分な理解を持つということがやはり必要じゃないかということを申し上げたので、これは答弁は要りません。  さらに、私がいま申し上げました、細いパイプでも、そのパイプを広げていこうというお考えはございますか。
  27. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 細いパイプでも、これを大事に育て上げて太くしていきたい、こういうふうに考えます。
  28. 西村関一

    西村関一君 次に、いま開かれております国連貿易開発会議につきまして、UNCTADと略称言っておりますこの総会が十三日から開かれるということで、わが愛知代表も出発をせられたというふうに伝えられております。これに臨むわが国の基本方針はいかがですか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) UNCTAD会議に臨むわが国考え方は、これは、この会議を非常に重要視しておるということであります。つまり今日、三極時代でありますとか、五極時代だとかいわれますけれども、そういう見方だけでは、世界に対する見方というものは私は足らないと思う。やっぱり開発途上国ということ、これを常に、世界政策を論ずる場合におきましては頭に置かなければならぬ。いま、UNCTADの会議はどういう性格のものであるかといいますると、南北関係の調和、融和の場である。こういう認識に立ちまするときに、わが国が、軍事力は持ちませんけれども経済力をたくわえてきた、そういう国柄といたしまして、この会議における立場というものが非常に重要である、こういうふうに考えておるわけであります。  まず第一に、わが国は軍事力は持ちませんけれども、しかし、よって生ずるところのその余力をもちまして、世界の国々に協力をする。そういう形を通じまして世界の平和繁栄に貢献するのだと。日本はもう、経済大国ではあるけれども、軍事大国にはならぬ、福祉平和大国であるということを世界の方々に知っていただく、特におくれた国々の方々、接触の少ない国の方々によく了知してもらうということが、まず基本の姿勢でなければならぬ、こういうふうに考えております。  で、この会議では、正式の議題というと、具体的にいろいろなものがありますが、ごく大別しまして、問題とされる点が三つあるのです。一つは通貨の問題です。一つは通商の問題です。それから一つは、おくれた国々に対する援助の問題であります。  まず第一に、この通貨問題につきましては、昨年通貨調整が行なわれたそのときに、いわゆるGテンというか、先進工業国だけであの体制をきめてしまった。その通貨調整には、おくれた国々がほとんど発言する余地がなかった。この不満がある。それからさらに、SDRを創設いたしましたが、そのSDRの創設につきましても、開発途上国の意見というものが入れられない、また、このSDRの創設によって得るところがほとんどない、そういうような不満がある。この問題が問題になる、こういうふうに思います。その際におけるわが国立場は、開発途上国の立場に立って、理解ある態度を示していくということであります。  それから第二は、通商の問題であります。これにつきましては、すでにわが国も積極的な協力をいたしまして、特恵関税が施行されているわけでありまするが、関税外におきましてもいろいろな問題がいま提起されておるわけであります。これらの問題につきまして、わが国も積極的な姿勢を示してやるということ。それからいわゆるアンタイイングという問題ですが、この問題につきましても、わが国もまた開発途上国の側に立っての態度をとってやろうと、こういう考えです。  それから第三に、これが一番大きな問題になろうと思いますが、対外経済協力つまり開発途上国に対する経済協力問題です。これにつきましては、量の問題と質の問題がありますが、量の問題になりますると、わが国はすでに、一九七五年にGNPの一%の援助をいたすべしという開発途上国側の期待に対しまして、もうことしは一九七二年でございまするが、〇・九五%まで実行できた、昨年はできたというところまで行っているので、これはまあ胸を張ることができると思うのですが、質の問題になりますると、これは身を少しかがめなければならぬような状態にあるわけでありますが、いい機会でありますので、この機会に、私どもはそれらの質の問題の改善、これの意思を、はっきりした政策意図を宣明し、そして後進国の理解を得たい、こういうふうに考えておる次第でございます。その他、条件の問題とかいろいろありますが、それらにつきましても、いい機会でありますので、この会議の場を通じまして要望をよく承り、それに対しましては前向き積極的に、また勇気ある態度をもって対処していきたいと、かように考えております。
  30. 西村関一

    西村関一君 開発途上国に対する経済技術援助のあり方なんでございますが、ただ相手国の経済成長を来たらせるということだけでなしに、相手国の中にありますところのいろいろな問題、たとえば生活水準のアンバランス、近代工業と土着産業の関係経済の二重構造、いわゆる所得の格差が拡大されておるというような点から、相手国の社会正義が貫かれないような援助のしかたではいけないという議論が出てるわけなんでございまして、この点につきまして、通産大臣はどういうお考えでございますか。
  31. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) いま外務大臣が述べましたように、量的な援助につきましては、先進工業国で二位というような状態にございますが、質的には、まだ水準にも達しておらないということでございます。今度のUNCTADの総会では、五十年までに〇・七%という程度まで引き上げようということでございますが、一番むずかしいと言っておるのがアメリカでございます。アメリカは国民総生産に対する援助の比率はだんだん低下しておりますし、後進国援助の一〇%削減を打ち出しておりますので、アメリカが一番むずかしいという状態でございますし、フランスも比較的に困難性を表明しております。  で、そういう政府援助という面は、御指摘のように、ひもつきでないもの、その国の自由意思によって、レベルアップができるように使われる資金というものにしてもらいたいということを意味するわけでございます。しかし、この間から各国からまいりまして、その代表が言いますのは、やっぱり二次産業比率を上げるという、ちょうど日本の明治初年から、明治、大正にかけて日本考えたような、就職の場を与える、工業技術を国民自体が身につけたい、その意味では国際分業というものをどうしても進めてもらいたい、アメリカ日本との間に国際分業を進めるというよりも、日本と開発途上国の間に画然とした産業の国際分業を進められるような援助が望ましい、こういう要求が非常に多いようであります。ですから日本考えておるような、社会開発的な一般的な環境整備を行なって生活環境レベルアップをするということの考えよりも、まず職を与えよ、われわれがつくるものは安い品物が出るはずであるから、やっぱり世界の需要の面に対してわれわれが供給できる分野を与えろ、そのために技術協力を行ない、資金援助を行ない、われわれ自身の国民の水準を引き上げるようにという、非常に強い要求があるということで、現時点においてはそのような方向でございます。
  32. 西村関一

    西村関一君 その大筋の点については私も理解ができるのでありますが、私がお尋ねいたしておりますのは、相手国の経済成長を促進させるということとともに、相手国の社会正義が貫かれていく、そういうものが相平行し相調和し合って、これはむずかしい問題でございますが、相調和し合いながら協力の実があがっていくということでなければならぬと思うのでございます。  で、それに関連いたしまして、先日来、本委員会における通産大臣の御答弁の中で、私が少し気にかかることがあるのです。それは何かと申しますと、日本では近代産業は公害で困っている、しかし、いままさに明治維新のような状態にあるところへ日本の産業を移すならば、公害など問題でない、とはおっしゃらなかったと思いますけれども、何かそれに類するような、日本では公害で困るけれども、開発途上国であるならば、そのようなことの心配は薄いというような意味の御発言があったように記憶するのでございます。そういうことは、日本政府の有力な閣僚の一人としてそういう御発言をなさるというと、やはり、あとから触れる問題でございますが、環境外交、ストックホルム会議においても、かなりこのことが問題になると思うのでございますが、私は、公害ダンピングという非難を世界各国から受ける心配がある。そういう御発言がもしあったとするならば——私は速記録を調べておるわけじゃないのです。私の耳に残っておるだけで言っておるのです。もしそういう御発言でなければけっこうです。その点、この機会にはっきり田中大臣の御見解を承っておきたい。
  33. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 公害輸出ということは絶対やってはならないということは、もう、私も当然そう考えております。  ただ、申し上げられるのは、先ほども述べましたように、国連加盟国百三十二カ国ございますが、その中で中進国以上、工業国といわれるもの二十カ国、それと開発途上国との国民総生産を比べますと、十三分の一という非常に低位にあるわけでございます。特に日本に対して要求してまいりますのは、日本は鉱石だけを採掘をして、日本に持っていって製錬をする。そういうことではなく、現地で、せめて半分でも製錬をしてもらわなければ、輸出に対して協力ができないというぐらいに強い要求もあるのでございます。これは特に開発途上国だけでなく、カナダで、銅鉱石を日本に持っていくことに対して、半分はカナダの現地で製錬をしてもらわなければ、法律をつくれという動きがあるわけでございます。  ですから、そういう意味で、日本にすべてのものを持っていって、そして日本で製錬をして、その製品を買うということよりも、相なるべくは、少しでも多く現地で製錬をし加工してもらいたいということで、私は、去年七月通産省に参りましてから、イランにおいて、パルプの工場とか、また石油の採掘に対しましては、石油化学の工場を合併で現地につくることを、長期的経済協力の一環として認めたであります。  そういうのが非常に多いのです。ですから、そういうような意味で、開発途上国から鉱石や原材料だけを日本に入れるということではなく、現地との合弁会社その他をつくって、現地で生産が上げられるように、その国の要求に合わせるようにしなければならないと思います。  もう一つは、その要求と同時に、日本においては産業構造を、重化学工業主体のものから知識集約的産業に移していかなければならない。それは五十年になってみますと、いまから幾年でもありませんが、石油はいま二億二千万トンも入っておるわけですが、これが五十年には三億トンになる。六十年には七億トンになる。七億トンよりも、計算するともっと多くの、十億トンくらいになるのじゃないかという感じであります。これを全部、日本に持ってきてしまって一体やれるのかどうか。その意味で、この間もここで御答弁を申し上げましたが、アルミナを製造する工場というものは、これからもう全部現地でつくってくれという要請を入れて、アルミナをつくるまでの工程は現地で行なうようになりますと、これはもう産出国の要求なのでありますから、ですから、そういう意味で国際機関でも、なるべく現地で製造して、二次製品まで現地でつくるようにしてもらいたいということでありまして、それは日本が、全くそういうことになるとアメリカの海外投資や西ドイツと同じようになって、国内が非常に困るような状態にもなりますが、しかし、やっぱり現地の要請にもこたえなければならない、こういうことでございます。それが結果的には、長い重化学中心の産業構造であったものが知識集約的構造に移らなければならない過程においてそういう事態が起こっておりますので、新しい国際協力の方向としてはそうなります。日本においても公害除去、公害防除というものに対しては、法制上、制度上、あらゆる措置がとられているわけでありますし、技術開発が行なわれておるわけでありますので、これからつくられる新しい工場施設というものが、いま批判を受けておる日本の重化学工業というようなものではないということはもちろんでなければならない。あくまでも公害輸出などというものを前提にしておるわけじゃありませんし、日本が困るからもっと広々としたところでやればいいんだ、砂漠や大洋のまん中で核爆発の実験をやると同じような考えは、毛頭ないということをここで言明いたしておきます。
  34. 西村関一

    西村関一君 いま田中大臣からきわめて力強い御発言がありまして、お隣の環境庁長官もストックホルムに行かれるときに、おそらくいまの御発言は大いに激励になると思うのでございますが、私も、そのような方針で進められることを強く期待をするものでございます。  それから、この間、本委員会の公述人の公述の中で、下村治さんが開発途上国に対する援助の問題に触れまして、日本政府は百億ドルをIMFか国連関係のところに寄託をして、日本の手持ちの外貨の中から百億を寄託をして、その利子でもって開発途上国の援助に充ててはどうかというような御発言があった。私は非常に興味ある御発言だと思うのでございますが、その点、通産大臣なり大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  35. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 下村発言も、私は新聞で承知をしたわけでありますが、一つのアイデアだと思います。また、今度のUNCTADの会議等で、新しい協力のやり方というものは当然討議されるべきものだと思います。  それは、IMFとか世銀から第二世銀に資金を融通する、その原資をどうするか、私も三十九年、日本が八条国に移行するときに大蔵大臣の職にあったわけでございますが、そのときに提案をしまして、新通貨と国際流動性の問題が議題になり、新通貨はめんどうにしても、国際流動性の問題に対しては、先進工業国の自由市場で世銀資金を調達して、将来は第二世銀に、第一世銀から資金を供給すべき事態がくると思いますので、ということを発言し、これは採用されたわけであります。  日本銀行は、年間三億ドル以上の世銀債を引き受けております。そういう意味で今度は、その国連の下部機関であるこれらの機関を存続するとすれば、やはり金・ドルの交換性をどうするのか、SDRをどうするのか、SDRを低開発国の援助に振り向けるような制度をつくるのか、新しくアジア開銀のようなものを拡大していくのか。これはやはりひもつきではない融資というものに対しては、どうしても機関をつくり、制度をつくらなければならないということに対しては、一つのアイデアであると、評価をしておるわけでございます。しかし、百億ドルというものをIMFに寄託をするにしても、いまのIMFの制度では受け取れない、また、出資ができないという状態になっております。これは国際機関で規約の改正をするのか。いろいろな問題が解決されなければなりません。  ただ、私ここで一つ考えておりますのは、この百七十億ドルに近い外貨というものが、一体ほんとうに日本の外貨なのかと、こう考えますと、これは大蔵大臣とは意見はまだ調整してございませんが、通産省当局から見ますと、百億ドルぐらいがほんとうの外貨である、あとの七十億ドルに近いものは制度上の問題、たとえば内外金利差等により日本に集まった外貨だという感じがいたします。日本の輸出輸入業者は外国銀行から金利の安いドルを借りて商売をしておるわけでもございますし、そういう意味では、どうもこの両建ての借金と手持ち外貨の相殺をすると、七、八十億ドルは相殺ができる。そうすれば、百億ドルというのが現在の日本の真の外貨ではないか。九十億ドルじゃないかとも考えられるわけであります。  そういう意味で、余っておるから、うんと積み増しされたから、百億ドルをIMF等に出してしまうというなら——これは政府援助をするとか、いろいろ援助を前向きで行ないます、行ないますが、通産省の立場からいいますと、これは原材料のほとんど九〇%、一〇〇%を外国に依存しておるのでありますから、これはやはり石油の備蓄は四十五日しかないのでありますから、六十日ぐらいにするとか、鉄鋼石だって買い取ってどこかに積んでおけば、やがては使えるものであります。国際相場でもって自由に操作、影響されるようなことではなく、これはやはり五、六十億ドルのものを買っておくのが、どこに置くかは別にして、そのほうがやはり日本の利益でもあり、国際的利益でもある、こういうことで大蔵大臣にいま陳情しておるわけでございます。  大蔵大臣と二人でいま案をつくって、この国会中に外貨活用の法律を提案をしよう、御審議をいただこうと考えて、検討しておる過程では、いまと同じような議論をいたしておることを申し上げておきます。
  36. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま、流動性を完全に確保して保有している外貨は、大体百十億ドルぐらいでございますが、これは外貨が支払いの準備資産であるという性格の上から、流動性と安全性というものを基本として、収益性も考えながらこれは運用すべきものであると思っておりますが、しかし百十億ドルという保有は、支払い準備としては非常に多額過ぎる。ここまでは日本の現状において要らないというふうにも思われますので、そうしますと、流動性の維持というものは五、六十億ドルにして、そのほかは、流動性よりも、むしろ収益性そのほかを優先させた活用のしかたを考えることがいいという方針で、さしあたり五、六十億ドルの外貨の活用方針として、まず第一に、外銀にこれを預託する。いま通産大臣からお話しがありましたように、外国に対して短期の債務を七、八十億ドルは持っておりますので、これがやはり外貨のかさ上げになっておることは確かでございますし、その肩がわりとして外銀への預託というようなこと、それから中期・長期の外債を持つというようなことで、輸出の促進というようなことについては、すでにもう実行しておるところでございます。  今後はさらに、いま資材の購入のお話が出ましたが、これは、日本が開発のときに約束しておって、引き取ることになっておる資材の引き取りをしていないというようなことは、これは非常にこれからの国際的な信義の問題にもなりますので、こういうものの引き取りを可能とするための措置というものは、すでに通産省と大蔵省相談の上で、ユーザンスの非常に長期な延長というような形で解決しておりますし、そのほか、さらにこれに類する考えをしようとしますというとなかなか現行制度の上ではむずかしい、必要ならば法令の改廃というような問題まで考えなければいかぬだろうというような点で、いまいろいろ検討をしておるところでございます。  そういう形で現にすでに活用されておるということを考えますというと、百億ドルを固定してこれを用いるというようなことば、いまの運用の実際から見ましたら、ちょっと現実的ではないということが一つであります。  それからもう一つ、対外経済協力援助ということから見ますというと、IMFに寄託して五億ドルの利子を得るということも、一つのこれはむしろ国際外交的な考えからの意味は持つかもしれませんが、実質的な意味におきましては、いま、本年度すでにGNPの〇・九三、四%の援助になっておりますので、これをさらに強化するという目標を持っております以上、少なくともこれからの対外援助は二十数億ドルということになりますし、また、そのうちで、政府援助をもっと比重を多くしようということになりますというと、これも相当の金額、二十億ドル前後の金額というようなことが考えられるということになりますというと、やはりいまの輸銀法、基金法、このままの運営では、これはなかなか対処を私はできないと思います。したがって、日本が本格的に開発途上国に対する援助体制を強化するというからには、こういう援助の機構を整えるということから本格的にやっていかないと、実際にはむずかしいと思いますので、外貨の活用の問題ともからんで、こういう問題の検討にまでいま入っているところでございますが、そういうことから見ますというと、IMFへ寄託して云々ということは一つのアイデアであって、これから検討する価値はあると思いますが、いまの場合としては、外交的な意味は持っても、それで解決できるような問題ではございませんので、そういう意味で私はあまり現実的な案ということは言えないと思います。
  37. 西村関一

    西村関一君 国連憲章の改正の問題がございますが、いままで、国連憲章を改正しようという問題が、国連の総会においてしばしば論議されてまいりました。これに対して、日本政府としての態度も出してきておられるのでございますが、今秋の総会におきまして、何らかの案を日本政府としては出さなければならない段階にまいっておると思うのでございますが、いままでの経過と、それから現時点における、今秋の総会における日本政府の、どういう考え方に立って憲章改正に臨もうとしておられるかをお伺いしたいと思います。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私どもは、国連はこれは非常に重要な世界平和機構である、こういう基本的な認識のもとに、国連中心主義外交ということを申しておるわけであります。  ところが、最近の国連の運営を見てみますると、どうも平和機構というものにそぐわない実情が出てきておるわけであります。国連で、何といいましても一番大事な機構をなしておるものは、安全保障理事会である。その安全保障理事会の中で特に重要なものは、これは常任理事国の制度である。この常任理事国を構成する五つの国、一つ一つがみなヴィトーというものを持っておる。そういうことで、常任理事国というものがどういうふうな姿であるべきかということを考えてみまするときに、今日、世界情勢が、軍事的色彩の強い世界から非常に変貌してきておるということを感ずる。つまり、核兵器が開発された、そういうようなことを考えてみますると、逆に核兵器というものが大戦争の勃発の抑止力にもなっておる、そういう世界情勢になってきておる。そういうことを背景として、最も大事な安全保障理事会の常任理事国、この五つの国が、くしくも核兵器を保有しておる国のみによって構成されておる。これでは私は、どうも戦後の軍事的色彩の非常に強かった世界情勢、これから抜け切らない旧態依然の姿ではないか。これで、はたして平和社会を運営する中心機構としての任務が果たせるのかと、こういうふうに思うのです。  そこで、安全保障理事会の中核をなすところのこの常任理事国、これに、平和国家というか、非核国家といいますか、また臣大な軍備を持たない、しかしながら世界に対しまして影響力のある国、そういうものの参加を考えるべき時期にきておるのじゃないか、そういうふうに思いまして、かねがね、そういう主張を展開しておるわけなんです。ほかにもいろいろの問題点は、憲章に関連いたしましてありますが、それらの経過につきましては、政府委員から御説明いたさせますが、基本的にはそこに最も大きな重点を置いた憲章問題への取り組み、こういうことを考えておるわけであります。
  39. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。  ただいま外務大臣から答弁申し上げましたとおりでございまして、その線に沿いまして、この問題はもう御高承のとおり日本一国だけではなかなかできかねる、実現可能性が少ないということで、この問題に関心を持ちそうな他の国を見つけまして、日本側のいろいろな案を出しまして現在打ち合わせ中と、そういう段階でございます。
  40. 西村関一

    西村関一君 憲章改正問題につきましては、かつてフルシチョフあるいはケネディ等の提案があり、世界の全軍備を完全に撤廃しようということが千九百何年ですか、八十二カ国の全加盟国の全会一致で可決採択されているのでございますが、そのような原則が国連において貫かれていないという点は、核を持つところの安保理事会の常任理事国が、かなり拒否権なるものを行使する。拒否権の行使について、何らかの制限を加えることも大事な点だと思うのでございますが、憲章の改正問題の中で、やはり完全軍縮ということが強くうたわれてこなければならぬと思うのでございますが、わが日本外務省としては、何らかの案をこの総会に提示しなければならぬと思うのですが、案の作成は、作業を急いでおられるやに聞くのですが、現在どのようになっておりますか。
  41. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。  問題点は、安全保障理事会の常任理事国、現状におきましてはこの常任理事国の権限が強すぎるというところに問題があろうかと考えております。したがいまして、考え方といたしましては、こういう問題の一部、これを安全保障理事会の、特に常任理事国のヴィトー、拒否権に服さない方法はないか、こういう線で現在検討中でございます。
  42. 西村関一

    西村関一君 さらに、いまの大臣のお答えにもありましたように、局長も触れられましたように、安全保障理事会の常任理事国によって、国連がかなり当初の憲章の精神からはずれていく方向に進められている。つまり大国中心主義の国連になっている。国連は、国連の普遍性というものが貫かれていかなければならぬと思うのでございますが、昨年の総会において、中華人民共和国が国連に加盟いたしました。その時点におきまして国連の様相も少しく変わってくると私は思うのでございますが、大国中心主義の国連じゃなくて、国連の普遍性が貫かれる、そういう国連に変えていこうというお考え、ひいては、敵国条項というのがございます、この敵国条項というものを、日本とかドイツとかイタリアとかというようなものに対するこの敵国条項を削除するということ、こういうことにつきまして、これはもともと国連は、ドイツ、イタリア、日本を討つために連合国がつくったのが始まりでございますから、そういう敵国条項というものを削除するということは当然のことだと思いますが、これは御答弁の中にはありませんでしたが、そう理解してよろしいですか。
  43. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国連では、わが国はすでに非常に重要な役割りを演じておる。これが敵国である、国連の敵であるというようなことは、全く事実と相反する条項でございます。もう論ずるまでもございませんけれども、憲章が改正されるという機会には、これは削除さるべきものである、さように考えます。
  44. 西村関一

    西村関一君 国連の普遍性の問題につきまして、まだ国連に入ってない国が、どこと、どことございますか。
  45. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。  これは日本立場から申しますと、換言いたしますと、日本が現在外交関係を有していないということ、これを一応問題外といたしまして、現在問題にされておりますのは……。
  46. 西村関一

    西村関一君 そんなこと聞いてないですよ。
  47. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) スイスが入っておりません。それから、一般的な概念から申しまして東独、北越、北鮮、それから韓国、南ベトナム、これらの国は現在まだ国連——それから先ほどドイツを申し上げたと思いますが、東独、西独、これらの国でございます。
  48. 西村関一

    西村関一君 国連局長はまだ就任日が浅いですから、失礼だけれども、勉強をこれからしていかれるのじゃないかと思うのですが、いま私がちょっと口をはさんだのでいろいろおっしゃいましたが、分裂国家が入っていない。スイスはもともと国連に協力できないという、セキュリティーパワーを出すことができない、また負担金も出すことができないということで入っておりませんが、その他の、いまあげられました国は、みな分裂国家である。分裂国家が入っていないということにつきましては、これは国連の普遍性という点から申しまして、非常に遺憾でございます。そういうことに対しまして、地球上にあるところの全部の国が、イデオロギーの違いを越えて、国の体制を越えて国連に入るということでなければ、国連の普遍性は貫かれないと思いますが、その点、大臣いかがでございますか。
  49. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 世界のすべての国が国連に加盟する、これは私は理想だと思います。ただ、いま御指摘のように、分裂国家におきまして、いまこの加盟が実現できない、こういう状態でございますが、逐次、そういう国連に加盟できないというような状態が改善されまして、加盟が実現されるということを期待したい、こういうふうに存じます。
  50. 西村関一

    西村関一君 ドイツの場合は、いままで東のドイツにつきましては、西のドイツ連邦共和国側は、ソ連占領地区といって東のドイツ民主共和国を認めなかったのでございますが、最近ではこれを認めて、やはり国名を使って、二つのドイツということで折衝をしております。両ドイツがそれぞれ交流を密にしようと、いろいろな外交問題その他、内政問題について折衝している。こういう時点において、早晩、二つのドイツ、ドイツ連邦共和国、ドイツ民主主義共和国が国連に入る、ことしむずかしければ、来年には必ず入るというふうに、私は諸般の情勢から判断しているのでございます。  また、いまの朝鮮半島につきましても、大韓民国も入っていない、朝鮮民主主義人民共和国も入っていない。これはなかなかむずかしい問題だと思いますが、北の朝鮮民主主義人民共和国の金日成、金一副首相は二回にわたって、われわれは平和的統一ということを求めておるけれども、またそれを願って努力しているけれども、それができるまで、南北両朝鮮、二つの国家がお互いに平和的に暫定的な連邦をつくってもいいじゃないかという手紙を、国連のウ・タント前事務総長に書いて送っている。そういう動きが出ておるのであります。もちろん究極的には南北の平和的統一。  インドシナ半島につきましても二つのベトナム、これはベトナム一つだということは大前提にございますけれども、しかし現時点におきましては、南におきましては、平和、中立、民主、国民和解の政権をつくる、中立政権をつくる。それで、北と南とはお互いに交流するという動きになっていることも御存じのとおり。私は、インドシナ半島におきましても、ラオスもカンボジアも、これはそれぞれ、革命政権を含めまして、現政権だけでなくて、革命政権を含めまして中立を要望している。  私は、やはりこういうことが地域的な連邦という線につながってくると思うのでございますが、それは、やがて一つの国連の中で、お互いにイデオロギーを越えて、国の体制を越えて一つになっていこうという動きを進めていかなければならぬ時代がくる、近い将来において必ずくるというふうに見ているのでございますが、もう一ぺんその点について大臣の御見解を承りたい。
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 一民族が一国家をなす、これは私は理想的だと思いますが、不幸にして、今日いわれておるところの分裂国家は、一民族が二つの国家を形成しておる、そういう状況でございます。  で、これらの、あるいはベトナムにつきまして見ましても、あるいは朝鮮半島について見ましても、一民族でありまするから、その分かれておる南北の双方から、とにかく一緒になりたいという気分があると思うのであります。これは、私は自然の流れであると、こういうふうに思います。ですから、それぞれの国々を指導する政治家も、当面のことは別といたしまして、長い先の問題とすると、この統一ということを目ざしていろいろ手を打っているのじゃあるまいか、そういうふうに思うわけであります。  さて、そういう状態下におきまして、そこへ至る過程の、今日この段階におきまして、南北に分かれておるそれらの国々が、どういう態度を国連に対してとるか、これは非常にむずかしい問題だろうと思うのです。つまり、国連に別々に南北に分かれておる二つの国が入ってしまうというと、この分裂国家ということが定着してしまう、こういうようなことにもつながってくる。そういうようなことで、考え方として非常にむずかしいことかと思うのでありますが、これはいずれにいたしましても、朝鮮半島なりあるいはベトナムにおける、それぞれの国民の決定する問題ですから、われわれが介入する問題じゃありませんけれども、私が申し上げたいことは、とにかくどこの国もみんな国連に入ってもらいたい、そうして国連が真に全世界平和機構であるという実をあげてもらいたいと、こういうことでございます。
  52. 西村関一

    西村関一君 国連の問題につきましては、私はまだたくさんお尋ねしなければならぬことがありますが、きょうは、もう一つの大事な点についてお伺いをする問題がありますので、国連問題、国連外交につきましては、私は次の機会に譲りたいと思います。  次は環境外交の問題でございます。  環境外交ということばが使われるようになってまだ日が浅いのでございますが、日が浅いですけれども非常に重要性を帯びておるということは、いまさら私が言うまでもございません。特に、この六月に開かれる、一カ月余り後に開かれますストックホルム会議、国連人間環境会議、ただ一つの地球のための人間環境会議、これが開かれようといたしておりますが、この会議に臨むところの日本政府態度、これは外務省が中心になって、環境庁その他関係各省庁と連絡をとって準備を進めておられますし、また国連の機構の中で準備を進めておられるのでございますが、このストックホルム会議の重要性と主要問題点について、外務大臣あるいは環境庁長官、どちらからでもよろしゅうございますから、お聞きしたい。
  53. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 六月五日から開かれまする人間環境会議、これはわが国とすると、非常に重要視しておるわけであります。また重大な役割りを演じ得る国である、こういう認識を持っておるわけであります。  つまり、七〇年代の世界における課題の一つの大きな問題は、この人間環境問題である。そのための初めての会議が開かれる、こういうわけであり、かつ、わが国はこの問題につきましては、まことに残念ではございまするけれども、非常に豊富な体験と学識を持っておるわけでありますから、この会議は、わが国ばかりじゃない、七〇年代の最大の国際的課題はこの問題である、こういうとらえ方のもとに、過去二年間にわたって国連ではこの会議の準備を進めてきておるわけでありまして、わが国もこの準備のための準備委員会、二十七カ国の一員といたしまして、相当積極的な貢献、活動をしてきておるわけであります。  したがいましてこの会議には、そういう重要な会議にふさわしい内容の代表団を送り、またすでに資料も提出してありますが、わが国の実情も、参加する国々に将来の参考のために御披露する。また、わが国がとっておる施策、これにつきましても詳細に御説明をする。また諸外国の考え方、また諸外国の実情、そういうこともつぶさにお聞きいたし、これから七〇年代の最大の課題として取り組むべき国際問題の一つであるこの人間環境の改善、その実をあげるために大きな成果があがるようにということを念じておる次第でございます。
  54. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) ただいま外務大臣から申し上げましたことで大体尽きておると思いますけれども、なおつけ加えて私の考えを申し上げますと、いま、われわれの大事な地球が非常に汚染をされまして、このままのような様子で進んでまいりますと、われわれの代はもちろん心配はありませんが、われわれの子供や孫の代、あるいはその子供の代に至りますと、重大な人類の生存問題にまで発展してまいろうと考えられます。そういうことに初めて全世界の国々が、そのように十分な関心を持ちまして、これについては、今後お互いに地球をりっぱに守っていこうという方向に進んでまいりましたこと、これが、今回の大きな会議の意義だと私は思います。  もう一つは、やはり南北問題があると思います。いままで南北問題は、経済問題だけとらえられてまいりましたが、やはりこれは経済問題だけでは済まされないことでございます。同時に、地球を守るためには、いわゆる先進国だけが、北の側の国々だけが、これが幾ら協力をいたしましても、南が協力しないとどうにもなりません。そういう意味で、お互いにすべての人類が共同して地球を守っていこう、われわれの生活環境を豊かに守っていこうというところに大きな意味がある、このような第一回の会合であろうと考えておる次第でございます。
  55. 西村関一

    西村関一君 この大事な会議に臨むわが国としては、国連の準備委員会の中に加わって、この会議の成功のために協力してきた、また有力な代表団を送り込もうということでございますが、どういう方針でこの会議に臨まれるか。いま大石大臣のおことばの中にもありましたように、また外務大臣のおことばの中にもありましたように、わが国としては公害国として、まことに残念ながら、悲しむべきことではあるが、多くの事例を持っている。こういうものに対して、これを世界の専門家、学者、政治家、そういう人たちの前に出して、これを一つ問題点として、ただ一つのかけがえのない地球を守っていこうということのための提案をするのか。そういうものは伏せておいて、どうも日本の報告の中には水俣病とかイタイイタイ病のことが書いてございません。これはどういうことであったのか、ちょっと私はその点、奇異に感じたのでございますが、どういう方針で臨まれるお考えでありますか。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、せっかく国連が準備いたしまして、しかも二年間も準備しまして開かれる重要な会議でありますから、その会議の成果をどうしてもあげるようにしてもらいたいと思っておるのです。それには、わが国といたしましては、やっぱりわが国はずいぶん不幸な経験等を持っておるわけです。これなんかは全部さらけ出して、皆さんの御参考に供するという姿勢でよかろうと、こういうふうに思います。  ただ、いま西村さんが御指摘の、わが国のこの会議に臨む報告書の中には、そういう現状は書いてないんです。わが国考え方、対策についての考え方を示しておる。これはなぜかといいますと、事務局側から要請されました報告書の要領というか、それによりますると、非常にページ数が制限されておる。わが国の言いたいことを言いますると、もう過去の体験とかなんとかいうものを言っておるページがないんです。そこで、そういうものにつきましては、別途国連に資料を出しております。たとえばイタイイタイ病でありますとか、水俣病でありますとか、そういうものにつきましては別途詳細な資料を出しておりまするから、これは各国の御参考になると思います。  それで、いずれにいたしましても、わが国は率直にわが国状態を述べ、また、その状態から出てくるところのわが国の環境問題に取り組む姿勢を申し述べる、そして、まあ各国の状態もよく聞く、その中におのずから世界の生活環境をよくする知恵というものが結集されるであろう、その知恵をよく整理する、そしてその整理された方針にのっとって各国が努力する、こういうことになることが期待される、かようなことでございます。
  57. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 先ほど申し上げましたように、われわれはやはり、この地球を破壊から守らなきゃなりません。そういうことで、あらゆる、世界の各国が協力してその対策に当たることになるわけでございますが、そのためには、やはり、われわれが過去に経験をしました数々の公害の問題を、お互いが率直にこれを知り合って、そのようなあやまちを二度と繰り返さないようにすることも大事だと考えます。  そういう見地から、私どもは、国内の実態、たとえば水俣病であろうと何であろうと、率直に、これはそこに実態を示しまして、そうして各国に対する一つの大きな参考にいたしたいと、こういう覚悟をいたしております。それから、わが国の報告書の中に、いろいろなことが初め入っておらなかったようでございますが、その後は、外務大臣の話にありますように、いろいろな病気の実態については、学問的な立場からも、いろんな考え方からも、十分に報告が出ております。なお、その足りない分につきましては、全部これをまとめまして、いまその資料を作成しておりますので、十分その会議にはその資料を持参いたしまして、やはり実態を皆さまにはっきり示そうと考えておる次第でございます。
  58. 西村関一

    西村関一君 この会議の重要性につきましては、両大臣からおことばがありましたが、これに臨むために、また、この会議を成果あらしめるために、予算の裏づけがなければならぬと思うのです。その点はどうなっておるのか、大蔵大臣
  59. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  61. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) 現在、私どもが検討中の問題といたしまして、環境のための国際的な基金という案がアメリカから出されております。これは、ニクソン大統領がことしの初めに、環境教書であったと思いますが、出しました際になされました提案でございますが、今後五年間に全世界で一億ドルを拠出いたしまして、この基金を設けたいという考えが出ております。なお、私どもの調べましたところでは、アメリカはそのうちの四割、四〇%は持ってもよろしいという案が出されております。現在、この基金が一体どのように使われるかと、その予定その他を検討いたしまして、日本もこれに積極的に参加したいという根本姿勢で検討中でございます。
  62. 西村関一

    西村関一君 ニクソン氏が、国連環境基金を七二年の環境教書の中で出していなさるということは、私も承知いたしております。これに対して、言い出しましたアメリカは、この基金の四〇%を持とうということを言っているようであります。わが国としては、この大事な会議を成果あらしめ、今後、持続的に環境問題を、グローバルな国際的な視野で取り組んでいく上において協力していかなきゃならぬ。この基金、ファンドにつきましては、少なくとも、アメリカが四〇%持とうというならば、一〇%以上は持たなきゃならぬと私は思うのであります。この点、大蔵大臣、こういう問題については、あまりいままでお触れになったことがないから、突然お伺いしてもどうかと思いますけれども、両大臣がこもごも言っておられますように、非常に重要な問題でございますから、この会議のためだけじゃなくて、今後の持続的な、ただ一つの地球を守るための環境問題を国際的な立場に立ってわが国が指導的な役割りを果たしていくためには、相当な予算的な裏づけがないといけないと思うのでございます。そうでなくても、エコノミック・アニマルというようなことが言われたりする状態でございますから、われわれは、この点においても大いに本腰を入れてやっているんだということを示さなければいけないと思います。私は、少なくとも一〇%以上を日本はこのファンドに責任を持つべきだと思うのでございます。これはまだ関係閣僚の中で、もちろん、総理にも御相談があったわけじゃないと思いますが、ぜひひとつ御相談の上で、一〇%以上の協力をするということをきめて——これは首席代表以下、わが国代表がストックホルムに行かれます前に、その点をきめて行かれることが適当じゃないかと思います。  それからもう一つは、三年後か何年後になるかわかりませんが、第二回の国連人間環境会議が開かれるということが予想される。それは日本でやるべきじゃないかと、日本で引き受けるべきじゃないかと思うのでございますが、この点につきましても、私はここでそういたしましょうということを御発言になることはできないでしょうけれども、私は、大蔵大臣外務大臣の御意見だけでも伺っておきたい。そして閣内の御意思を統一していただいて、この会議に臨む姿勢をつくっていただきたいと、こう思うのでございます。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まず、基金の問題ですが、いま、うわさされておるというか、話に出そうな構想は一億ドルというのです。これを五年間。そうすると、その一割をいま日本で持ったらどうだと、こういう話ですが、千万ドルを五年間というと、一年には二百万ドル、そういうことにまあなるわけですね。二百万ドルぐらいのことなら、これは水田大蔵大臣もそう渋いことも言わぬと思いますから、これは、会議が開かれる、代表団が出発するという、その前に話題が出た場合にはどう対処するか、はっきりした方針を聞いておきたいと、かように考えます。  また、次回の会議がどうなるか——いま、次回の会議、第二回目を開くか開かないかということにつきましては、まだ話が定着しておらぬような状態でございます。しかし、第二回のものをいつやろうというようなことになるかもしらぬ、そういう際に、日本でという空気が多少でもありますれば、私は、それはたいへんけっこうなことだと思います。大石長官は、日本で開かれる、そうなれば非常に光栄なことだ、こういうふうにも言っておりますが、誘致運動みたいなことまでするかどうか、これは問題だろうと思いますが、そういう声が出てくるということになりますれば、喜んで受けて立つということが妥当である、かように考えます。
  64. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 基金の構想がきまって、そうして、各国の態度もきまるし、日本協力してこれくらいの分担を日本はしたいというような管轄庁からの予算要求がございましたら、これはもう、そういう費用は惜しまないで支出するつもりでございます。
  65. 西村関一

    西村関一君 各国から、人間環境についての報告書が出ているのですが、事務局に。その翻訳が日本で出版されつつある。一巻と二巻が出ました。これはかなりの労作だと思うんです。私は、一巻と二巻を読みまして、非常に勉強になりました。伝え聞くところによりますと、一部の新聞に報道されたところによりますと、これを出版するのにも、外務省には金がない、非常に苦労している。また、翻訳をする人手も少ないということで難儀している。その難儀しておる中から、とにかくこの翻訳が出版されておる。これは私は非常に大事な文献だと思うのでございますが、そんな金がないのでしょうか、外務省に。福田大臣、どうなんですか、これは。これは外務省の国連局の監修になっていますよ、この本は。新聞なんか誤報であれば、それはいい。金があってやっておるんならいいんですが、どうですか。
  66. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) これは、政府委員のほうからお聞きになったら一番いいと思いますが、まだ外務大臣、大蔵大臣も新聞の記事を見ておらないそうでございますので、おまえから話せということでありますが、私も外務省の事情はよくわかりません。ただ、たくさんの膨大な翻訳するものがあると思いますが、その翻訳をする、つまり事務員、職員がもし少なければ、やはりそれは、よそに翻訳を委託することもやむを得ない、そういう方法もあると思います。それから出版のことでございますが、それもやはり、どういうことなんですか、これはひとつ、恐縮ですが、政府委員のほうからお聞き願えればありがたいと思う次第でございます。
  67. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  69. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) これは、はなはば遺憾でございますけれども、私どもの役所にそういう予算がないという理由で、遺憾ながらこれはできない。しかしながら、こういう各国のリポートはできるだけ入手したい、これはわがほうから積極的に事務局に働きかけまして入手いたしまして、そして何らかの方法で国民にお伝えしたい。しかし、片一方で予算がないという事情がございましたので、やむを得ず、こういう手段に訴えたわけでございます。御了承願いたいと思います。
  70. 西村関一

    西村関一君 外務大臣、大蔵大臣、お聞きのとおりでございます。私は、外務省の国連局が金のないのに苦労しながら、人手が足りないのに苦労をしながら、夜の目も寝ないでこの問題に取り組んでいる、環境外交に取り組んでいるということにつきましては、私は評価するにやぶさかでございません。しかし、何といっても人がなければいけません。今後環境外交を進めていく上から申しましても、たとえばファンドの、いまの環境基金の事務局に有能な日本の専門家を送り込むということも考えられるでありましょうし、今後この問題に対して国際的な協力をしていくということにつきましても、人が必要でございます。また、金が、予算が必要でございます。この大事なレポートを出版するにつきましても金がないということで、おそらく新聞にもあまり広告が出ないから、売れないと思います。しかし、これは非常に貴重な文献であります。こういうことに対して、外務省はもっと思い切って予算をとったらどうですか。とる努力をしておられると思いますけれども、大蔵大臣、これは予算をもっとこういう方面にも使ったらどうですか。その点、いかがでございますか。
  71. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この問題、いま外務省の事務当局からお答えがありましたように、民間の手で翻訳出版をした、外務省監修のもとに、したということでございますが、この予算要求というものは大蔵省になかったのでございますので、したがって、その予算は持てなかったということでございます。今後こういう問題が起これば、予算の要求があれば、また考えていいと思っております。
  72. 西村関一

    西村関一君 この会議におきまして人間環境宣言が出ることでございますが、これの作業も準備段階で進められておると思いますが、この人間環境宣言につきまして、わがほうといたしましては、どういう方針でこの宣言の起草に当たろうとしておられるか、その点、伺っておきたい。これは非常に大事な宣言になると思います。
  73. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) お答え申し上げます。  これは、各国共通の関心事のほかに、日本といたしまして特にこの宣言の中に盛り込んでほしいということで提案しております事項が二点ございます。第一点は、核実験によります大気汚染、これはぜひやめてほしいということ。それから第二点は、この環境問題に関しまして、広く教育と申しますか、この環境問題の意識、これを全世界に徹底させる、各国でその環境問題、特に汚染問題に関する教育が大事である。この二点をわが国として特に強調しておる次第でございます。
  74. 西村関一

    西村関一君 この環境宣言の中に、「人とその環境は、兵器、特に大量破壊兵器の、ひきつづく実験又は戦闘行為における使用による重大な影響から免かれなければならない。」という一項が草案の中にあるようでございます。それに対してアメリカが反対しているということも私も仄聞しておりますが、アメリカ、フランスが反対しておる、わが国としてはこれはあくまでも貫いていくというお考えでございますか。
  75. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 私は、その会議に出席する場合には、当然その主張を貫いてまいる考えでございます。
  76. 西村関一

    西村関一君 私は、この第二回作業部会の作成いたしました人間環境宣言案、この中に非常に重要な部分があることに気づくのでございまして、一々その問題点を私はここで列挙いたしません。しかし、これは苦心の作であって、問題点はあるにしましても、かなり苦心の作でありますので、いまあげられました、日本として強くこの点は主張したいという点を、日本代表団としてはぜひ強く主張していただきたいと存じます。  この環境外交に関連をいたしまして、私は環境庁長官、また近畿圏整備本部西村建設大臣にお伺いをいたしたいのであります。  それは、琵琶湖総合開発の問題でございます。私の郷里でありますから言うのではございませんけれども、これは環境保全とそれから開発と、両方がやはりからみ合っておる。どうしてそれを調和させていくかというところに問題があると思うのでございます。琵琶湖を包むところの美しい自然環境、またきれいな琵琶湖の水、そういうものの保全をはかりながら沿岸及び下流地域の開発に資していく、こういうところに私は問題点があると思うのでございます。西村大臣が琵琶湖の総合開発につきまして、意見の対立する滋賀県、大阪府、兵庫県の三知事の中に入って意見の調整に努力せられた。私は、その努力に対して、その労を多とするものでございます。そうして、伝え聞くところによりますと、ある程度の合意ができまして、琵琶湖総合開発特別措置法案なるものが国会に提出される運びにまでなったということを聞いております。  その中で、いま私が提起いたしました環境の問題、琵琶湖を包む自然環境がいかに守られていくか。これは水利の問題、水質の問題、それから全体を包むところの自然環境——もうすでにだいぶん破壊されております。汚染され、破壊されております。あの美しい、世界でも珍しいと思うくらいに美しい琵琶湖の自然環境というものが破壊され、汚染されております。これをどのように守りながら周辺及び下流の開発に資していくことができるかということに対して、両大臣の私はお考えをこの際伺っておきたいのでございます。そうでないと、これは一つの、これからの自然環境保持並びに開発というものの調和の問題、一つの典型的な問題になると思いますので、これがゆるがせにされたまま開発本位の、利水本位の事業になりますと、これは日本全体の問題に影響してくると思いますから、私はその点をお伺いしておきたいのでございます。  私は、ときどき帰りますと、琵琶湖に水鳥が浮かんでいる。ここ数年来そういう景観は見なかった。私は、環境庁が努力せられた、滋賀県もこれに協力して全区域禁猟区にしたということ等もあり、自然を守っていこう、また、自然の中にある動植物を守っていこうということがございます。その点、さっきの国連環境会議の問題につきましても、私は最後に一点、水産庁長官に伺っておきたいと思いますが、琵琶湖の問題はそういうことでありまして、ようやく少しずつでも破壊が、汚染がとどめられようとしているやさきに、今度の法案によりまして、今度はまた、その歯どめがとられるというようなことになってまいる。また、周辺の工場その他の汚水の問題、いろいろな問題がございます。汚染の問題がございますが、どういう配慮をしておいでになったかということだけは、ぜひこの際伺っておきたいと思います。
  77. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 御案内のように、いままでは水の問題につきましては、量ということにたいへん力を置いてきましたが、これからは量のみではとうていいかない。水質の保全ということは、もう私が申し上げるまでもありません。ことに、この国会に琵琶湖総合開発特別措置法案を出しましたのは、第一は、やはり琵琶湖のこれは環境保全の問題でございます。水利用は、それから後の問題でございます。  西村さん御案内のとおり、この問題も長いおおよそ十四、五カ年の間の係争がございましたが、幸いにいたしまして、上流県の滋賀県知事も滋賀県民も、この私の調停に応じたということは、やはり琵琶湖は今日のような状態にそのまま置かれれば、これはたいへんなことになるという非常な県民の方々の理解、幹部の方々の理解があったからと私は思っておる次第でございます。  したがいまして、建設省といたしましても、この琵琶湖の水質保全については、早急に力を入れなければなりません。現に、琵琶湖の工場から出る汚水等につきましては、それぞれやっておりまするが、何と申しましても、流域の下水道の整備をしなけりゃなりません。したがって、建設省としては、四十六年から少しずつやっております。しかし、大々的にやるのには、総合開発の計画のもとにおいてやらなければ、とうてい滋質県自身ではその負担にたえないと私は思うのでございます。したがいまして、この総合開発におきまして、流域の下水道あるいは公共の下水道、しかも、流域下水道と一口にいいましても、たいへんな大事業でございます。おおよそ、これを完成するのには、やはり私のほうの試算では五百九十億円となっておりまするが、五百九十億円、もっと私はかかると思うんですが、したがいまして、これから総合開発の法律が通過しますれば、やはり長浜、彦根のグループ、あるいは草津から大津のグループと、こういうようなグループに分けまして、流域下水道を早くやりたい、かように思っております。その場合も、これは現在の一般的な補助金の負担からいきますと、とうてい滋賀県は負担に私はたえ得ないと思いまするから、この法律案によりましても、特に国家が一般の補助率よりも高い補助率を出して、急速に進めたい、かように考えておるものでございます。  したがいまして、何と申しましてもこれはりっぱな水にして、そうして下流のほうのまた大阪、兵庫県等につきましても、りっぱな水を供給するということでございまして、第一の目的は環境保全の目的、こういうことでございます。それには、すべての問題を総合的に考えたいというのが今回の私たちの法律を提案いたした次第でございます。しかも、あなたは御出身が滋賀県でございまするから、いろいろ土地勘は非常にたくさんあると思います。どうぞ御指導のほどをよろしくお願い申し上げる次第でございます。
  78. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 琵琶湖の総合開発につきましては、ただいま西村大臣からお話がありましたように、私は、いまの段階におきましては、十分に環境保全ということを中心にして、この総合開発を考えておると信じております。で、やはり何と申しましても、この琵琶湖の水質を保全すること、よい水にすることが一番大事でございます。そのためには、いま申しましたような下水道、そういうものを中心として、まず汚水、下水、あるいは屎尿の問題、あるいは家庭汚水が流れ込まないようにするために全部整備するということが大事でございましょう。そしてその水は、やはり環境保全のために、生活環境を豊かにするために、ぜひそれを中心に使っていただきたいと思います。ただ単に、工業用水として多く使うことはあまり賛成いたしません。そういうことです。  それからもう一つは、この琵琶湖の周辺は、何と申しましても、私は、京阪神地区——これはおそらく一千万人もいましょう、勤労者、その家族の大事な命の洗たくをしなきゃならぬと思います。そういう意味では、ぜひともこれを俗悪な開発をさせないように、ほんとうに自然を守りながら、土曜、日曜の休日に十分一週間のからだの疲労なり体力を回復し得るような、そのような健康の保養地にいたしたいと、私はこう考えております。そのためには、俗悪な開発は避けさせるように、ひとつ西村さんからもその辺は県のほうに御指導願いますし、場合によっては、私は、これを国立公園に指定いたしまして、そうしてある程度これを守るようなことまでいたしたいと考えている次第でございます。
  79. 西村関一

    西村関一君 場合によれば、国立公園に指定してもいいという考えを持っているという——いま国定公園でありますけれども、そこまで大臣が言われたんでありますから、両大臣の御趣旨は私もしかと胸にとどめます。実は反対も起こっておるんです、あの法案につきましては。御承知のとおりです。また、反対する理由もありますので、そういう点につきましては、今後よく話し合いをしていかなければならぬと思います。  これとは別でございますが、少し琵琶湖よりは大きくなりますが、南氷洋の捕鯨の問題です。これは、今度のストックホルム会議におきましてもこれが問題になりまして、あの愛すべき動物——鯨の何種類かのものがもう絶滅の危機に瀕しておるということで、これをとることをやめさせようと、やめてもらおうと、そういう国際条約をつくろうと、こういうことが出ております。それで私は、この点につきまして、商業的捕鯨をある種類に限って十年間はモラトリアムする、つまり禁止する。そういうことについて、最後に水産庁長官から御見解を承って私の質問を終わります。
  80. 太田康二

    政府委員(太田康二君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のとおり、この国連の人間環境会議の準備のための事務局で、多くの種類の鯨資源が近年低下しておる、そうして世界の著名な研究学者が参加いたしておりますところの国際自然保護連合の見解を引用いたしまして、絶滅の危機に瀕する幾つかの種類をこの連合があげておるということを前提にいたしまして、商業的捕獲の十年間禁止のための国際的条約を考慮することということの勧告をいたしておるのでございます。  御承知のとおり、鯨につきましては種類、海域等によりまして資源の状態等が異なっております。特にセミクジラ、コククジラ、シロナガスクジラ、ザトウクジラ、こういったものは資源状態について問題がございますので、こういった特定の鯨種につきましては、全面的な禁漁措置をとることが必要であるという考え方のもとに、すでに国際捕鯨条約に基づきますところの国際捕鯨委員会におきまして、現在、勧告案のとおり禁止の措置をとっておるのでございます。しかしながら、ナガスクジラ、イワシクジラ、マッコウクジラ、こういった鯨種につきましては、資源上問題がないということで、妥当な管理機構の管理措置を講ずることによりまして、資源状態を悪化させないで商業的な利用が可能であるというふうに考えておりまして、この見解につきましては、国際捕鯨委員会はもちろんでございますが、FAOの水産委員会、それから先ほど申し上げましたところの国際自然保護連合においても、おおむね支持をされておるわけでございます。したがいまして、私ども水産庁といたしましては、やはり鯨種を特定のものに限って、こういったことはしごくもっともであるというような考え方で対処すべきではないかと考えております。いずれにいたしましても、政府部内におきまして、これらに対する基本的な考え方を今後取りまとめてまいりたいと、かように考えております。
  81. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で西村君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  82. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、初村滝一郎君の質疑を行ないます。初村滝一郎君。
  83. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は、離島問題、特に、離島の中の航路、医療、この二つの問題を中心に政府の見解をお尋ねいたしたいと思います。  まずその前に、離島の実態を各大臣は知っていただきたいと思います。まず、東京までの所要時間について、鹿児島県の離島を例にとりますれば、与論島を朝五時に出発をいたします。途中、沖永良部島、徳之島、奄美大島、種子島等を経由して、翌朝の午前六時に鹿児島に着きます。鹿児島駅から東京行きの最も速い列車「はやぶさ」号で十二時三十分に出発いたしますと、新幹線を利用しても、東京へは翌日の午前十時三十分に到着します。延々五十三時間三十分を要するのでございます。北海道の利尻島からは約三十五時間、長崎県五島列島の黄島からは約三十時間、同じく長崎県の対馬からは約二十九時間、このようにほとんどの離島からの東京までの時間は三十時間前後を要しているのでございます。  医療の例を見ますと、人が住んでいる島は三百十三ありますが、その約半数の島々は、お医者さんがおらないのが実情でございます。昭和四十四年の調査によりますと、全国平均が人口八百八十人に一人の割合で医師がおりますが、離島では人口千五百人に医師一人という実情でございます。人口四千三百人の町に歯科医が一人もいなく、船で一時間かけて歯医者に行く人もあり、まる一日間を歯の治療に要しているのでございます。月給手取り五十万円を出しても医師が見つからないのが離島の現実の姿です。離島は、全国に比べて第一次産業の比重がきわめて大きく、就業者一人当たりの所得を見ましても、四十四年度現在、離島は全国平均の二分の一、わずか四十八万二千円でございます。さらに社会資本の蓄積が非常に小さい。また、台風の危険に常にさらされているのが離島でございます。これは離島の現実の姿を私が一部紹介したのでございます。  そこで、離島振興法は、昭和二十八年七月議員立法によって制定、公布され、現在二十六の都道府県、二百七市町村に適用され、三百三十の島に十四万四千人が住んでおるのでございます。離振法が制定されて以来、今日の離島は、この法律に基づく施策の成果によって多大の恩恵をこうむっているのでございます。いまや、離島振興法は、離島の開発振興のための一大支柱として定着をいたしまして、同法に基づく財政的援助によって振興策が展開されていることに対し、離島民は感謝の気持ちで一ぱいでございます。離島振興法は、離島振興の基幹的施策として、また離島民の島づくり運動に対する精神的ささえとして、その成果は多大なものがありまするが、離島の発展よりも本土の発展のスピードがより速いために、離島における諸問題はますます深刻化しているのでございます。  そこで、経済企画庁長官にお尋ねをいたしまするが、今日までいろいろと離島振興に御努力をされてきているにもかかわりませず、離島の後進性が依然として残っており、本土との格差を縮めるどころか、むしろその格差が拡大の方向にある原因は、一体どこにあると思いまするか、今後の対策について御所見を承りたいと思います。
  84. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま、いろいろお述べになりましたとおり、離島振興について政府も、国会の特別の御協力によりまして、昭和二十八年離島振興法が制定されまして、四十六年までの間に、国費としてすでに千五百億円を投入しております。また昭和四十七年度も、ただいま御審議をいただいております予算の中には三百十八億円の離島振興事業費を計上しております。しかしながら、先ほどいろいろお述べになりましたような原因、自然的、経済的、社会的、いろんな条件が非常に悪いということ、したがいまして、産業構造からいいましても、生産性の低い第一次産業にたよらざるを得ない。いろんなそういう後進性といいますか僻地性といいますか、それが離島の振興をやはり妨げておる一番大きな原因であろうかと思います。私ども、いろいろ御協力によりまして、予算によって振興をはかっておりますが、まだまだ私は、離島振興についての財政援助というものが決して十分ではないというようなことを考えておりますし、また、離島振興法によっていろいろやりました私ども考え方も、この際、やはりその観点を新たにして取り組み直す必要がありはしないかということを私ども最近考えておるところでございます。
  85. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 運輸大臣にお尋ねするわけでございますが、国会の運営上、私は政府委員でがまんするわけでございまするが、いやしくも、予算委員会の審議の場合には、ぜひ各大臣の出席を——少なくとも出席できるように特にお願いいたしたいと思います。  今日、陸上輸送機関である自動車あるいは鉄道、こういう機関、さらにまた、航空機による輸送力の発展は脅威的なものがございます。しかしながら、海上の輸送機関である航路、特に、離島航路については、陸上交通機関に比べて運賃が著しく割り高でございます。さらに天候等による問題などもございまして、陸や空の輸送機関に比べて非常に発展がおくれております。その原因はどこにあると政府委員はお考えですか。
  86. 鈴木珊吉

    政府委員鈴木珊吉君) 大臣にかわりまして、僭越でございますが御答弁申し上げます。  ただいま御質問の離島の航路の現況でございますけれども、もちろん、離島航路整備法とか、あるいは船舶公団等を通じまして補助とかあるいは新船建造等をやっておりますけれども、御指摘のように、本土の幹線とはいいませんけれども、そういった幹線の区間に比べますと、非常にそういった面ではおくれておりますことは事実でございます。いま先生が、そういった原因は何だろうかということでございますけれども、やはり私どもといたしましては、いろいろ助成はしておりますけれども、何ぶんにも輸送需要というものが非常に少のうございます。それからまた、担当しておりまする輸送機関が、零細な中小企業にたよっておるということもございまして、そういった面から、やはり資力等からいいまして非常に優秀な船をつくるとかいうことも制約されるんじゃないか、かように存ずる次第でございまして、その点につきましては、まさに御指摘のとおりに存じます。
  87. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  89. 松永忠二

    ○松永忠二君 いま、初村委員が質問しておるわけですが、一体、運輸大臣を要求しているのに欠席をしておるのはどういうわけですか。委員長、承知しているんですか。まだ私たちはそういうことを全然聞いていないので、だれが一体それを認めたんですか。
  90. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をつけて。  これは質問者の初村君が了承して、私のところには、皆さん御了承の上で質疑に入るというふうに委員長の耳には聞こえておりますが、いかがなものでございましょう。
  92. 松永忠二

    ○松永忠二君 われわれ、全然そういう話を聞いておりませんよ、そういうことは。また、初村君自身は与党でもあるので、そういうことについて、簡単にあるいはお認めになったかもしれませんけれども、一体、一般質問をやっていて、そうして、こちらで大臣を要求しているのに、どこに行っているのか知らぬけれども、他の委員会かどこかか、あるいは本院であればすぐ呼びつけるのがあたりまえだ。たいへんであっても、こういうことは一つの例として、そういうことはないはずです。本人が承知したからといって、こういうことをそのまま認めているのでは、これはやはりこれが一つの例になって、非常にルーズにこういうことが行なわれるようなことになるわけです。こんなことは認めることはできませんね。
  93. 徳永正利

    委員長徳永正利君) わかりました。以後そういうことのないように注意いたします。  初村君の質疑の途中でございますが、午後は二時四十五分再開として、休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後二時五十四分開会
  94. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  初村滝一郎君の質疑を行ないます。初村君。
  95. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 運輸大臣にお伺いいたします。  離島航路のおくれの原因にはいろいろあるということで、先刻来答弁をいただいたのでございまするが、私は、近代技術をもって現在日本の造船界かつくられておる外航船毎などを見ますと、決して技術面が立ちおくれているとは思いません。これはすなわち、離島航路事業者が零細業者であり、資金力が弱く、そのほとんどが赤字経営を余儀なくされて、したがって、高速船の購入とか船舶の整備が思うようにならない、こういう原因で私は離島航路が立ちおくれておる、かように考えておるものでございます。昭和四十一年十月二十七日に海運造船合理化審議会が運輸大臣に対して次のような答申を行なっております。すなわち、「現行の離島航路助成制度は、困窮した離島航路の最低限の維持にも困難で、いわんやサービスの改善をはかることは、とうてい不可能である。それ故、国及び地方公共団体は、社会開発推進の一環として、離島航路の助成制度について、抜本的改正を行ない、離島の地域格差の是正をはかる」という基本方針など、八項目にわたって答申をいたしております。しかしながら、私には、この答申がなされまして六年を経過しようとしている今日においても、答申が指摘する問題点をそのまま指摘できるように思います。この答申以前と今日を比べるときに、実際にどのような改善が行なわれたのか、運輸大臣に具体的な御答弁をお願いしたいと思います。
  96. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま初村先生から御指摘がございました離島航路につきまして、改善が遅々として進まぬ——まことに現状はそのとおりだと思う次第でございます。実は、ただいま御指摘がございました海運審の答申によりまして、その改善につきましては、すでに御承知のとおり、この離島航路に対する赤字の補助率、欠損の補助率に対しまして、いままで五〇%でございましたものを七五%に引き上げ、集約航路につきましては、八〇%に引き上げるというようなことで大幅な引き上げを行なっている次第でございます。また、船舶整備公団でもって共有船をする制度を設けまして、これらも、一般航路が七割でございますのを、これを八割に引き上げまして、船舶公団が八割を引き受ける、船の所有者が二割と、こういうようなことをやっております。  その他、また、離島の港湾の整備につきましても、鋭意、私ども予算の許す範囲におきましては改善をしている次第でございますが、将来も、私どもいま計画をしておりますところのものは、就航船舶の近代化、フェリー化、これをはかってまいりまして、離島にお住まいの住民の方々の足をぜひとも確保してまいりたい、こういうふうな考えで、いま計画中でございます。
  97. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 大臣から前向きの積極的な御答弁をいただいたのでございまするが、やはり私は、それをさらに積極的に改善していくように希望をいたします。離島航路数は全体で五百二十六、この中で観光などを除いた生活航路が四百八十三、この四百八十三の生活航路の中で補助対象の航路に指定されているのは、四十六年度現在において六十九航路にすぎないと聞いておりまするが、現状はどうなっておるでしょうか。
  98. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) お答え申し上げます。  四十六年度におきまして国が補助金を交付しております航路は、五十八事業者で六十七航路でございます。そのほか、唯一の交通機関でありながら補助対象になっていないものが九十七航路ある次第でございます。
  99. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 そうすると、九十七まだ指定航路にしなければならないということがわかったわけでございますが、私は、この四百八十三の生活航路の中で補助対象として指定されない航路を、全部補助対象の路線に指定せよと主張するものではございません。少なくとも、その航路が唯一の交通機関であるものとか、他に交通機関があってもそれを利用するには非常に不便であり、事実上その交通機関が唯一のものと同じような状態にある航路は、これはやはり補助対象の航路として指定すべきだと私は考えます。このように考えてきました場合に、わずか九十七航路しかないのでございますから、先ほども申し上げましたように、離島航路事業者は零細業者である、ほとんどが赤字経営が大部分で苦しんでおる。運輸大臣は四十一年の答申を完全に生かす意味からも、さきに申し述べました九十七の航路を補助対象航路に指定して離島交通の飛躍的発展を期するお考えはないでしょうか。
  100. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの九十七航路を全部補助対象にする考えはないかという御質問でございますが、漸次そうしていかなきゃいかぬと、こういうふうに思っておる次第でございます。四十七年度におきましてはとりあえず九航路ふやしまして、そして御要望に応じたい。これはやはり財政規模との問題がございますけれども、私のほうは、ぜひともそういうふうな位置にできるだけ早くやってまいりたいと思う次第でございます。
  101. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 運輸省は、この零細企業の集約統合、また公営移管によって経営規模の拡大をはかってきたそうでございますが、どのような状況になっておりますか。  また、集約統合、公営移管のために必要な集約統合資金、あるいは累積欠損額を解消するために必要な不良債務解消資金と申しますか、そのような資金を事業者に長期低利で融資する制度をつくる考えはないか、お尋ねをいたします。
  102. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 非常な脆弱企業につきまして、その赤字を解消するために赤字解消資金をつくる考えはないかという御質問でございますが、実は、そういったような脆弱企業を強化してまいりますためには事業を集約化させる、できるだけ富裕な事業と一緒に合併をさせるとか、いろいろ方法がございますが、これはまあ、大蔵省自体もそうでございますが、私どもといたしましても、実は、先生御承知のように、国鉄の再建の問題につきましても、これはただに赤字解消ということだけでなく、良質サービスを提供する、それでまた経営の内容の近代化をはかる、そうしてその基盤の強化をはかる、また、いろいろ事業を拡大して、そして需要を非常に増進する、いろいろの手段によりまして自然に赤字が解消になるという積極資金の導入をすることが一番必要ではないかということでございまして、私どもも、やはりそういうような方針を、いまとっている次第でございます。この離島の問題にいたしましても、また具体的になりますと非常にこれはむずかしい問題もございますけれども、陸上におきましても、過疎バス対策にいたしましても、できるだけやはり近代的な車両あるいは船舶を購入する、その資金は大いに出す、そして良質サービスを住民に対して与える。それがために、これは幾ぶん恐縮な話でございますが、ある程度の料金も、それに見合う料金はやむを得ぬじゃないかというようなことで、なるべく積極的な方策を講じまして、そして体質の改善をするということによりましてやっていくという、いま実は方策をとらしている次第でございます。そういうような離島航路につきましても、ほかの航路に対しまして需要も非常に少ない面もありますから、具体的にはそれほど思い切った、幹線の船舶と同様なものを供給するわけにはまいりませんが、できるだけやっぱりフェリー化をはかるとか、いろいろいたしまして、そういったような近代化の資金は、ひとつ思い切って出して、それによりまして基盤の強化をはかって、自然にやはり赤字が解消するというふうに持っていきたい、こういうふうに思っておる次第でございますが、せっかくの御提言でございますから、ただいまの救済資金のほうも一応検討はしたいと、こう思っておる次第でございます。
  103. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 大臣、私は、国道、高速道、新幹線は、いずれも陸上における時間的距離を短縮して、経済、産業、そして国民生活環境などの整備に寄与するために大いに役立っておる、かように考えておるものでございます。離島航路の中の主要航路の時間的距離を短縮することは、結局、離島の経済、産業、島民の生活環境などの整備改善に大いに寄与するものであり、国道と同じように私は考えていいのではなかろうか、かまうに考えるものでございます。海上交通機関の花形と言われる空を飛ぶ船——ホーバークラフトあるいはまたジェットホイールという新型の水中翼船などの高速艇を、これら先ほど私が申し上げました二十二の主要離島航路に就航させることによって、本土と離島間の時間的距離を大幅に短縮する。本土と離島間の格差というものがこれで是正されると私は確信をするわけでございます。そういう意味合いからいたしまして国道と同じような——離島の主要航路に国道と同じような一つの航路を考えてはいかがでしょうか。
  104. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 離島航路を国道と同様の整備を考えたらどうか——御趣旨はごもっともでございます。ただ、いまの私ども運輸行政に携っておる者といたしまして、いま一番の論議になっておりますのは、イコールフッティングの問題でございます。イコールフッティングの問題からいたしますと、わりあいに海上交通は、港湾もほとんど国と地方公共団体の費用でもってこれができている、陸上でいいますると、あるいは信号、踏切等に当たる、あるいは踏切番、あるいは交通巡査に当たる航路標識、これも国の費用でやっている、まあ道路の補修費は要らぬ、こういうふうなことでございまして、わりあいにその点は国の財政が出ているんじゃないか、離島は別といたしましてですよ。海上交通につきましては出ているんじゃないか。いま一番問題になっておりますのは、そういったようなところのイコールフッティングをいかにして見ていくかということが一番いま運輸行政の中心になってきていることでございまして、究極的におきましては、離島航路が、ただいま先生がおっしゃいましたような快速船、少なくとも二時間以上もかかるというような距離につきましては、できるだけ快速の舟艇をそこに就航せしめることが必要でございます。ただ、御提案になりましたホーバークラフトにつきましては、今回は、御承知のとおり、沖繩でこれを試みることになりまして、すでに予算も国から二億円出しまして、できることになっておる次第でございますが、これは、沖繩は御承知のとおり、水平海面、潮の浅深の度が非常に激しい、まわりにサンゴ礁があるというような特殊の事情でございまして、これを、する次第でございますが、いまのホーバークラフトの技術改良面からいたしましても、先生御承知のとおり、いまドーバー海峡でやっておりますが、しかし、それに乗りましても相当な疲労度を持つとか、それから国鉄が一時、宇高線と申しますか、四国で新幹線ができた場合にこれを利用しようじゃないか、つくろうじゃないかという計画も一応ございましたけれども、やはり海上安全の面から、まだ検討中でございます。将来の問題といたしましては、十分検討いたしまして、それらの問題も、できるものはこれを就航するように、実現をさせたいというふうに持っていかなくちゃならない次第でございますが、ただいまのところといたしましては、経済上からいたしましても、やはりカーフェリーというような快速艇を相当多量につくりまして、それらを就航するほうが経済的にも安全性においてもよいというような見解に立ちまして、いませっかくその計画を進めておるところでございます。御了承願いたいと思う次第でございます。
  105. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 ことしの予算に二億円計上して沖繩にホーバークラフトを就航させるということは、私は非常に賛意を表するものでございます。  そこで、沖繩にフェリーを運航させるについて、おそらく三十人ないし五十人乗り程度と思いまするが、総額の総予算、それからそのうちの地元負担はどういうふうになるのか。さらにまた、航路権等について、新しい会社に経営をさせるものか、その点を御説明願いたいと思います。
  106. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これは、今回の建造費は、大体五十人乗り程度と承知している次第でございますが、約二億円、これは全額国庫の出資でございます。国庫負担によりまして二年間でこれをやるということになっておりまして、すでに昨年と本年でその予算を御審議願いまして、ただいま建造中だと聞いておる次第でございます。その運営につきましては、地元の竹富町と、いまの既存業者との共同出資による新会社が、これに当たることになっておる次第でございます。既存業者の調整につきましては、新会社が既存業者を全部吸収するということで解決をするということで、琉球政府において、ただいま当たっている次第でございまして、これは円満に進行するというふうに私ども聞いておる次第でございます。
  107. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 建設大臣にお尋ねをいたします。  全国と離島の道路普及状況を一般国道と都道府県道で見ますと、全国の実延長が十五万二千三百八十二キロ、そのうち改良済みが七万一千八百二十三キロ、約四八%、舗装済みが六万一千五百四十九キロ、約四〇%となっております。離島では、道路の実延長が三千二百八十九キロ、うち改良済みが千百三十八キロ、これで約三五%、舗装済みが五百五十八キロで、わずかに約一七%でございます。この改良率と舗装率は、いずれも離島が劣っております。現在、離島の主要地方道は二十四路線あります。その舗装率はわずか三九・七%でありまするので、これらを順次国道に昇格をさせて、改良、舗装を早急にやる考えはないかどうか。また、いろいろと聞いてみますると、法的に離島の主要県道の国道昇格がなかなかむずかしいということを聞きますが、これは法改正をすれば私はいいんじゃないかと、かように考えるわけでございます。今回、沖繩が復帰しますというと、沖繩の県内の県道が国道に昇格するということを聞いておりまするが、これは道路法の第五条第一項の何号を適用して国道に昇格をするのか。また、その起点と終点、これをお聞かせ願いたいと思います。
  108. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 離島の道路がおくれておるということでございますが、これはまことに申しわけありません。そういうような比率になっておることは確かでございますが、今後力を入れたいと思います。  そこで、離島のうちでも現在主要地方道となっておるところは、御指摘のように、二十四線ございます。それらをいろいろ国道に昇格するのには、これは国道に昇格するということでございますから、離島であるから昇格しないということはございません。その国道に昇格するのは、主要地方道から、その交通の重要性、交通量等を勘案して、なおまた国道には国道に昇格する一定の要件を満たせば国道に昇格させるつもりでございますが、先般も、四十五年でしたか、相当に国道に昇格いたしましたけれども、そのときには離島の昇格はなかったようでございます。そこで、沖繩が今度復帰しますというと、沖繩の現在の軍道、あるいは現在の政府道のうちから重要な路線を選びまして、それを国道にするつもりでございます。国道にしますからには、道路法にいいまする第五条の条件を満たさなければならぬということになっておるわけでございます。今回、沖繩が復帰しますと、そのうちで二百七十五キロメーターの道路を国道に指定をしたいと考えております。二百七十五キロ、そのうちで、従来の軍用道が百五十キロで、いまの政府道−内地の県道でございます、これが百二十五キロで、二百七十五キロだけは復帰とともに国道に指定したいと、かように考えております。  しかし、一体それは第五条に該当するのかと、こういうことでございますが、大体そのうちでもって、鹿児島から沖繩の国頭村を経て那覇市に至る路線、これは道路法の第五条の第一号該当でございます。県庁と県庁をつなぐという、この該当でございます。それから第二番目には、名護から石川−与那原を経て那覇に至る路線、それからコザから那覇間の路線、及びコザから与那原−糸満を経て那覇に至る路線、この三路線は道路法の第五条の第三号に該当する線でございます。それから、那覇空港線は五条の第四号に該当する線でございます。合計五路線を国道として指定する考えを持っております。
  109. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 国道二十八号線ですね、これは、神戸を起点として淡路島経由で高松市までと聞いておりますが、海を通っている国道はどのくらいあるものか、これらの道路が国道に認定されたときの事情等がおわかりであれば、御説明を願いたいと思います。
  110. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この国道ですが、海上を経て国道に指定をされておる路線が相当にございます。ちょっと御参考に申し上げますと、十六号線というのがございますが、十六号線は富津と横須賀間を結んでいる。二十八号線——あなたがおっしゃいましたやつは、明石海峡と鳴門海峡。それから三十号線というものがございます。これは玉野−高松間でございます。それから五十七号線というのが島原−三角間、百九十七号線というのが三崎から佐賀関間、三百二十四号線が長崎から苓北間など、十二路線が海上を通って国道に指定されておるのでございます。妙な関係になっておりまするけれども、実は、やはりその両端から来まして、海上も一つの国道だと、そして、その交通を確保するためには、船舶を使ってやることもこれは必要になりますから、一応そういう考えをいたしておりますが、現在のところ、国道といたしまして、海上を通過するものは十二路線あるわけでございます。
  111. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 先ほど私は、大臣がおらぬ留守に——離島の主要航路が二十二あるわけなんです。そこで、この離島航路が五百あるのですね、全国で。その中で、本土と離島を結び、しかも、時間が二時間以上要する航路が、さっき言った二十二航路あるわけなんです。そのおもなものを拾ってみますと、東京−大島間が四時間、新潟−佐渡間が二時間半、松江−隠岐島間が四時間半、小倉−対馬間が六時間、鹿児島−種子島間が四時間、鹿児島−那覇間は二十時間、長崎−福江間は三時間半、博多−壱岐−対馬間が八時間、こういうふうに時間がかかるわけなんです。そこで、先ほど大臣も言われたとおり、私は、この航路を国道として、何とかして昇格ができないものか、かように現在考えておるわけなんですが、ひとつお知恵があれば、貸していただきたいと思います。
  112. 西村英一

    国務大臣西村英一君) あまり知恵はないのですが、とにかく離島と言えば非常に不便である、しかも、主要県道に指定されておるといえば、交通上やっぱり重要なことでございます。しかも、離島の特殊性にかんがみまして、まあ、いずれ主要県道から国道に引き上げる場合には、やっぱり優先して離島の関係考えてやらなければならぬのじゃないかと思っております。実は、私も離島の生まれでございまして、妙なことに私のところは、船が通うのを、それをやっぱり道路になぞらえて「県道」という船の名前になっております。したがって、それは、郵便物を運ぶとか交通を確保しなければならぬという昔からの習慣であろうと思います。船の名前が「県道」という名前になっておる。そのように、離島は、何かとめんどうを見てやらなければならぬということは、私自身が離島の生まれでございますから、非常によくわかるんでございます。いずれ主要県道から国道に引き上げる機会がありましたら、ひとつ、私のところをするわけじゃありませんけれども、主要県道のところは優先的に考えてやるべきじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  113. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 まことに希望ある御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  運輸大臣、私は、昭和三十九年に英国の政府の招待でホーバークラフトの試乗会に参加した。そうして、ホーバークラフトで英仏間のドーバー海峡を渡ったのであります。このホーバークラフトは、大臣御承知のとおりに、通常八十ないし百二十キロの速力を持っております。また、水陸両用の特性を持って、発着施設の建設費が非常にわずかで済む、また、少数の乗務員で運航ができます。さらに、波浪に強いので、波高が二・五メーターまで乗れるわけなんです。そういたしますと、時速八十から百二十キロといえば、現在の離島航路を走っている船の三倍ないし四倍の速さがあるわけなんです。そうすることは、本土−離島間の距離は、ホーバークラフトを使えば大幅に短縮されることになります。したがって、離島の振興に画期的な利点をもたらすものと私は思います。  現在、イギリスでは三十人乗りから六百人乗りのホーバークラフトがあります。しかも、実用化をされております。カーフェリー等にもこのホーバーを利用しております。ドーバー海峡に就航しております。私は、わが国のこの離島航路に就航させるには、やはり百五十人ないし二百人乗り前後のものでよろしかろうと、かように考えておるものでございます。先ほど申しました離島間で二時間以上の航路が、全部これを利用した場合に、二十二航路でございまするから、しかも、スペアを考えましても、二十五隻建造すれば問題が解決するということでございます。  現在、ホーバークラフトは、日本国内においても調査研究をされまして、国産化をされております。私が聞いたところでは、百五十人乗りの一隻の単価が七億円と聞き及んでおりまするけれども、これを、量産をはかるものとすれば、価格もある程度安くなると思います。そこで、百五十億円程度の予算があれば解決をすると思います。  特に、これを希望している私の地元の長崎県では、昭和四十年以来、この就航について、県議会で取り上げ、ホーバークラフト導入協議会をつくって、いろいろと調査研究をしてまいっております。特に近年、政府に対しても、離島全体の問題として取り上げまして、まあ国で建造して、県や関係市町村、関係団体等が新しい法人をつくるから、その法人に貸与してほしいという陳情を続けてまいったのでございまするが、これが、惜しいかな受け入れられずに、船舶整備公団の融資をもって建造してはどうかという運びになりまして、いろいろと研究したのでございまするけれども、建造費の業者負担、これに伴う利子負担、償却、こういうことを考えますと、運賃を高くしなければ経営が成り立たないということで、経営面に大きな赤字が出るということで、地元の受け入れ体制ができずに、ここ二年間、政府の予算がつかなかったのが実情でございます。  政府は、今国会に、空港整備特別会計法の改正案を提出して、沖繩でSTOLという飛行機を購入する場合に、購入価格の残存価格を一割と見て、残りの価格の七割五分を補助するという制度をつくっているとかと聞いておりまするが、そこで、ぜひともこの離島の実情をおくみ取りくださいまして、四十八年度にはホーバークラフトの問題も前向きの姿勢で取り組んでいただきたいと思う次第でございます。この二十二航路一ぺんにしなくても、テスト航路として数航路でもようございますから、ぜひ運輸大臣にこれを取り上げてもらいたい。強くお願いをして御答弁をお願いしたいと思います。
  114. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 離島航路、ことにその二十二航路にホーバークラフトを就航させろ、先生の御意見は十分私も、承知している次第でございます。御承知のとおり、ただいまも御質問中お触れになりましたが、建造費が非常に高くかかりまして、カーフェリーの約三倍かかるというふうにただいま承っている次第でございます。そういうようなことで、経済的理由からいたしまして、また、ただいま航路によりましては安全性の問題というようなことからもいたしまして、まだモデル・ケースでも実現を見ない、こういうふうな実情にある次第でございます。沖繩の場合は、御承知のとおり海の、海面の性質が、非常にサンゴ礁が多くて、やはりホーバークラフトでないと、普通のカーフェリーや何かは就航しにくいというような問題がございます。また、それらの点につきまして、普通の飛行場をつくるわけにいかぬ。足の短いSTOL機でないと、ぐあいが悪い。まあ、御承知のとおりSTOL機は非常に金がかかるもんですから費用が非常にかかりますし、沖繩の復帰直後の住民に対しまして料金をあまりに高価に取るというわけにまいりませんので、それらの点につきまして特別措置といたしまして、その赤字に対しまする七割補助というのをきめて、これは沖繩復興対策の一環として始めた次第でございます。しかし、まあ漸次本土におきましても、離島の方の御不便は十分わかっている次第でございます。それからまた、いろいろ料金その他の問題もございますけれども、やはり漸次国民生活が向上してまいる、収入が上がってまいりますると、料金の面におきましても幾ぶんお互いの調和がとれるのじゃないか。いろいろの点もございます。先生の御意見ば非常に私、貴重な御意見として十分胸にたたみまして、これから真剣に検討してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  115. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 次に、第二点の医療問題に入りますが、先ほど厚生大臣がおられませんので、他の大臣には重複になる点もありまするが、あらためて説明する場面も出てきます。  私がいまさら申すまでもありませんけれども、僻地における医療危機は年々深刻化してきております。特に離島は、海に囲まれているという一つの悪い特殊な条件があるわけです。一般の僻地よりも医療問題は一そう深刻である。先ほども触れたのでございますが、昭和四十四年現在において、全国平均では八百八十人に一人の医者。ところが、離島では千五百人に一人という割合となっております。有人島、すなわち人が住んでいる島が三百十三あるわけですが、その約半分には医者がおらないというのが実情でございます。そこで、全国僻地の無医地区は約二千カ所あると聞き及んでおりまするが、実情はどういう状態にあるのか、さらにまたその中で離島の無医地区はどのくらいあるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  116. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) おっしゃいますように、全国で無医地区がだんだんふえているんじゃないかという感じがいたします。昭和四十一年四月一日現在の調べでは、全国の無医地区が二千九百二十、それから離島二百三十七の中で無医地区が百十カ所ということになっておりまして、これがその後の変遷を調べるために、昭和四十六年一月三十一日現在で再調査をいたしまして、ただいまその結果が集まりつつあるのでございますが、概括をいたしますると、それが若干ふえているのじゃないかと、かように思うわけであります。ところが、この無医地区というきめ方、考え方は、御承知のように、半径四キロの地域内で五十名以上の住民があってそこに医療機関がないというのをまあ無医地区と、こう称しているわけであります。そこでこの無医地区のとりようによって、四十一年にこういうとり方をしておった、ところが今度はこういうとり方をする。とり方によって若干変わってくるというような点もございます。そこで、いま無医地区をもう一ぺんさらに洗い直すということをやっておるわけでございます。ただ概括的に申しまして、いまおっしゃいますように、過疎地域においては、いままであった診療所にも医者が得られなくなるという状態が相当あるわけです。ましてや、新しくそこに診療所を設けて医者を呼ぶということはきわめて困難だという状況がございまするので、したがって、そういった意味の実質的な無医地区、無医村というようなものがふえておるんじゃないかと、かように考えます。
  117. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 いま大臣の答弁で、無医地区の数が非常にある、年々とりようによっては、計算のしかたによっては非常にふえつつあるということを聞いたわけでございますが、こういうことを私は解消してもらいたいというふうに考えておるのでございますが、今日なおたくさんの無医地区がただいまの説明でわかったわけでございまするが、この無医地区を解消する施策をやってきたのでございますが、どうしてもこれが解消されないという原因、この点を具体的にお示し願いたいと思います。
  118. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) この原因は、何といっても医者の数が少ない、また、医者があってもそういうところには行きたがらない、幾ら給料を出してもいやだというようなことが一番大きな根本的な問題であろうと、かように考えます。そこで、いままでやってまいりました方策は、その地区に医者はいない、診療機関はないけれども、しかし、患者移送車であるとか、あるいは巡回の車を回してそして巡回診療をやるとか、あるいは国公立病院から医者を定時的に派遣をするとかいうようなことをやって、無医地区ではあるけれども無医療の地区ではないというようにいたしていきたいというので、三カ年計画でやってまいったわけでございます。これは四十七年度に終わるわけでありますが、離島においてはこれの実施は相当困難であろうと存じます。一般僻地では、たとえば交通がよくなってまいれば、いまのような巡回指導するにしましても、患者移送車を設けて、患者が起これば診療所まで運ぶということもできるわけでございますが、しかし、これとても、過疎の現象から、いままで定期便のあったものが、もう定期便が廃止されるというようなことで、かえって過疎地域になる、いま言ったような無医療地区になるということもあるわけです。ところが、離島におきますると、いま申しますようなことがなかなかむずかしい。先ほどからも伺っておりますると、とにかく海を越えて行かなければならぬということになりますと、今度沖繩が復帰いたしますので、そういうのにはこれを運ぶヘリコプターを補助によって設けさせるということも考えておりますが、先ほど伺いますると、ホーバークラフトというようなものを使って便利にするというようなことも一つでございましょう。しかし、相当な島であれば、そこにはどうしてもやはり、現在も若干やっておりますが、国立病院附属の診療所を置いて、そして国立病院の医者が定期的に週に一回、二回そこへ行ってみるというような組織、これを国公立病院にまで押し広めていくというようなことなどが今後推進していく方法ではなかろうかと思って、その線で進んでいるわけでございます。
  119. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 大臣、この四月一日の新聞に、自治医科大学で無医地区解消のために医療通信網と電子計算機、それに移動診療チームを一体としてフルに活用する辺地医療に関する総合システムのモデルをつくり始める、というようなことが記事に出ておるわけです。これを厚生大臣は御承知と思いまするが、その自治大の案についてどういうふうなお考えがあるか、お聞かせ願いたいと思います。
  120. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) これも、無医地区ではあるが無医療地区ではないということを進める、非常にこれからやっていかなければならぬ構想だと、かように考えます。私は非常にけっこうな構想だと、かように考えます。厚生省におきましても昨年からそういった構想で研究を進めているわけであります。これも、しかしながら、実際に実用化をし、どんな病気にでも適用させるということには相当の費用と施設を要する。そうしてまた、そのためには無医地区におきましても、そういうデータを得る能力のあるやはり人的な要素も必要ということになりますが、しかし、今後これは僻地無医地区というだけでなしに、やはり非常な専門的な、いわゆる疾病の治療については全国を通じてこういう考え方が必要である、いわゆるデータ通信の採用ということがやはり医療行政の上においても非常に必要だと、かように考えて、その方向で研究を進めております。
  121. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 大臣、現在離島に八十七の診療所があると聞いておりますが、その中で五十七カ所は赤字経営である。その赤字の総額は八千七百万円にものぼっておる。そしてこの赤字診療所五十七カ所に対する補助金は四千三百万円となっておりますが、これは日本全体の僻地診療所運営補助金一億八千万円の二四%にしか当たっておりません。診療所ごとの一年間の赤字を調べてみますると、高知県の宿毛市の沖島診療所で五百八十万円、鹿児島県十島村の中之島診療所で四百七十万円、福岡県新宮町の相島診療所で四百三十万円、鹿児島県屋久町の栗生診療所で三百万円、長崎県松浦市の青島診療所で二百九十万というふうになっておるわけなんです。そのほかに、これに伴って各市町村ごとの一年間の赤字のベストの上から五番を言うてみますると、高知県宿毛市で七百十万、鹿児島県の十島村で六百三十万、宮城県の牡鹿町で五百万円、長崎県福江市で四百七十万円、福岡県新宮町で四百三十万というふうになっております。これらの赤字は市町村の乏しい財源の中から補てんしておるのが実情でございます。私が調べたところによりますと、医者一人雇うのに、七百万ないし九百万ぐらいを支払っているところが非常に多い。それでも医者が見つからないのが現状でございます。長崎県五島のある町の例をとってみますと、住宅を無料にして光熱費を町で負担をして、年俸一人六百七十一万円払って二人雇っておる。この町の町長さんの年俸が百九十七万円、町役場の課長クラスで百十九万円、一世帯平均の年間所得が約九十万という事実を考えてみまするときに、いかに大きな犠牲を払っておるかということが考えられるのでございます。あまりにも私は離島民がかわいそうでならない、かように考えておりますので、この際、ほんとうに思い切って補助金を増額する考えはないか、お尋ねいたします。
  122. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 僻地の医療施設に対する補助金といたしましては、ただいま別途考えているわけであります。その中で特に離島をよけい見るかどうかという点、いろいろまあ議論のあるところでございますが、私は総括いたしまして、僻地あるいは離島等に金があれば無医療地区にはしなくても済む、あるいは無医村にしなくても済むというようなことであれば、合理的な算定のもとにそういうところはやはり私は補助金を増していいと、それ以外に道がないと、かように考えております。したがいまして、今後具体的にそういう点をさらに検討いたしてまいりたいと、かように考えます。問題はそれよりも、むしろ幾ら金を出しても医者の行き手がないというのが一番困った問題であります。私は三重県でございますが、松阪から一里半の診療所に医師を迎えようとしても、学校を卒業して医師試験を通ったばかりの者でも、月額六十万円、官舎つき、それでもいやだと言うて、得られないというので、非常に弱っておるようなわけでございますが、これらはいまの自治体病院その他、医者をその僻地に迎えることのできるための医者の養成方法等もいろいろとそれぞれくふうしておられますが、そういうことも勘案いたしまして、いまの僻地における診療のための補助金を増せば、無医療地域としてでなくて済むというような点はできるだけ考えてまいりたいと、かように思います。
  123. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 あわせて看護婦ですね、看護婦が非常に少ない。これに対する対策を御答弁をお願いしたいと思います。
  124. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 看護婦も全国的に非常に不足をいたしておりますことは御承知のとおりであります。全国対策といたしましては、看護婦のいわゆる離職を少なくさせる方法、養成施設、その他いろいろございますが、離島、僻地におきましては、そういうところの保健所に看護婦を雇い入れるという場合には補助率を高めるというようなことをいたしまして、そうしてまず保健所中心に看護婦を充実するということを現在としては考えておるわけでございます。
  125. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 私は大蔵大臣にお尋ねをいたします。  ただいまいろいろと医療問題を御質問してきたのでございますが、医療問題は国民の生命の問題でございます。今日までの大蔵省の姿勢を見ていますと、予算の投入、予算をつける場合に、あまりにも効率ということばかりにとらわれているような気がするわけなんです。そういうことで、離島の無医地区解消とか、離島、僻地の医療施設の整備費には、対年度比の伸び率にとらわれず、思い切った予算措置を行なうべきではないかと思います。これまでも、厚生省が要求した離島、僻地の医療対策費の中で、予算がついていないものがあると聞いております。離島医療の現状をどのように理解しておられるのか、お伺いをいたします。私は、四十八年度には、少なくともこういう予算は前向きで措置してもらいたいと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょう。
  126. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 離島につきましては、四十七年度は、公共事業におきましては、一般の公共事業よりも離島の公共事業のほうが伸び率ははるかに多いというような配慮をいたしておりますし、いま言われております医療対策も昨年に比べてことしは強化しておりますので、私はそう比率にこだわった予算というふうにも考えておりません。と申しますのは、御承知のように、予算は、内閣が編成して、そうしてこれを国会に出して御審議を仰ぐものでございますが、その際、各省庁から概算要求を求め、これを審査するだけではなくて、広く一般の意見も留意し、また、議院内閣制度であります以上は、与党の政策が予算に反映しないようであってはこれは民主政治になりませんので、したがって、与党との連絡を十分にとって予算編成をやっておりますので、したがって、与党がいやしくも国民に選挙で約束した公約というものは、この四、五年来ほとんどこれを予算に取り入れないということはただの一つも項目としてない。一〇〇%じゃなくて、与党が二百項目を約束したら、二百何十項目が予算化されるということで、公約は常に一〇〇%以上実現しているというのが最近の予算編成の実情でございますので、したがって、各省庁、あるいは与党側の政策要求というようなものが予算からほとんど抜けておる、全部抜け落とされておるというような事例というものは、私の関知している限りでは、私は一つもないんじゃないかと思っております。したがって、今度の予算のように、いままでの編成方針が変わって、国民福祉の向上というようなことに重点を置くというようなことになりますというと、もう従来の伸び率にこだわらないで、やはり予算の重点配分をするということで、たとえば公共事業におきましても、従来の伸び率ではなくてもう一〇〇%、生活環境に関した公共事業のごときは平均五〇%近い伸び率というふうなことになっていまして、伸び率にはもうこだわらない査定をしております。離島予算についても、私は、今年度は、やはり相当一般公共事業の伸び率よりは離島のほうがはるかに重点的に考慮されているものだというふうに思っております。
  127. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 総まとめに関係大臣である経済企画庁長官にお尋ねをいたします。  四月四日の私の地元の「長崎新聞」に、離島医師不足が慢性症状となった離島医療の実情を、お手元に配付したように報じておりますので、かいつまんで御紹介を申し上げてみたいと思います。「慢性症状となっている離島の医師不足は、全く解決のメドがつかないまま、その悩みはますます深刻になっている。中でも最近の歯科医師不足は深刻そのもの。玉之浦、奈留、上五島町では相次いで〃歯医者不在〃となり、それぞれの町長は文字通りワラにもすがる思いで歯科医捜しに走り回り、思い余って台湾にまで〃歯医者さん〃のスカウトの手を伸ばしている。玉之浦町民は福江市まで通院している。治療時間は十分とはかからないが、船・バスを乗り継ぎ、片道二時間、往復四時間もかかり、交通費だけで五百六十円、それに治療費、昼食代を加えると千円近い出費になるという。」と報じております。  山口県の離島相ノ島の御婦人は、先日東京で開かれた全国離島婦人会議に出席をしたおりに、離島の悩みを訴えたそうでございますが、医療についても次のような訴えをいたしております。「月に一、二回、本土から医師が巡回に来ますが、海が荒れたりすると一カ月も二カ月も来られない実情で、いったん急患が発生したら、昼夜を問わず小船で海上十四・二キロの日本海を一時間もかけて行きます。せめて常駐の看護婦・保健婦をおけないものだろうか」と、かように訴えております。  長崎県だけでも年間三十回近く自衛隊にヘリコプターの出勤をお願いし、本土に急患を運んでいるのが実情でございます。医療問題は、すべての島の人々にとって切実な問題であり、一日も早く解決されることを心から願っております。人命尊重の立場からも、このような状態を放置することはできません。今日までの経過を見ると、これまでの行政ベースの解決は非常に困難であると私は思います。したがって、政治でもって解決する以外に方法はないと思います。無医地区の現状、相ノ島の婦人の訴え等についてどうお考えでしょうか。  離島振興法は、昭和四十八年三月三十一日で期限が切れますが、同法は、離島の悩みを直接に肌で感じ、それを早急に解決しようと議員提案で立法化されたもので、現在補助率アップ等の内容改正も含めて再延長すべくその作業が進められております。  離島に生まれ、離島に育ち、離島振興に取り組んでいる者の一人として、離島民のなまの声をもとにして、離島振興、特に航路、離島医療等の改善について、担当大臣である企画庁長官は、厚生省、運輸省、大蔵省等関係省庁に対し特に強く要請をして、早急なる解決を考える御意思があるかどうか、御意見を承りたいと思います。
  128. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いまいろいろ伺いまして、離島と本土の特に生活水準上の格差というものが非常に大きい。特に医師の不足のためにそういう診療を受けられない方がおるということは、まことに深刻な問題でございます。そういう面におきまして、従来もいろいろ国会で御立法願いました離島振興法に従って政府も極力努力をしてまいりましたが、やはりいままでのような観点ではとうていこの大きな問題を処理できない。先ほど政治問題として取り扱えとおっしゃいましたが、承れば、国会におきましても、与野党御協力のもとに、新たに医療の確保あるいは国の補助あるいは負担割合の引き上げ等を内容とする立法の準備が進められておるように承っております。幸いにしてこれが国会で御審議の上成立しましたならば、その御趣旨に沿って政府は全面的に努力をいたしたいと考えております。
  129. 初村滝一郎

    ○初村滝一郎君 最後に、私は大蔵大臣に御要望をいたします。  先ほど大臣の予算編成に関して御意見を承ったのでございまするが、私は少々意見を異にいたします。今日までの予算編成を見ていますると、まず大蔵省が経済状勢等を勘案して、対前年比率を何%というふうに一定のワクをはめる。そのようなものをきめて、そのワクに従って各省庁は作業を進め、大蔵省に要求をしているようでございます。そして、最終段階において、まあ公開財源ということでしょうか、公開財源を総予算額のわずか一%足らずの金額を提示して、ことばは悪いけれども、各省がその奪い合いをしているのが現在の姿ではないかというような気がしてならないのでございます。いやしくも政党政治の今日、与党であれ、野党であれ、国民に約束した政策をすみやかに実現させていくことが政党の責務であり、政治に対する国民の信頼をもっとつなぎとめることができると私は思います。そういう意味からも、政府与党は、今日ある姿よりも、さらに国民の声を聞き、党が主導権を持って政府との意見の調整をはかり、予算編成を行なうべきであるとの意見を私は聞きます。私は先ほどごく一部を申しましたが、特に人命に関するような無医地区解消など急を要するものは、対前年比率の伸び率にとらわれることなく、思い切った財源の裏づけをもって積極的に実行しなければならないと思います。どうか、公開財源を、現行の総予算額の一%足らずにこだわらず、大幅に増額をすることによって、国民は喜ぶと思います。また、私ども政治家も喜びます。これを大蔵大臣に要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  130. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で初村君の質疑は終わりました。     —————————————
  131. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、竹田四郎君の質疑を行ないます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  132. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。  竹田四郎君。
  133. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵大臣、四十七年度予算の柱というのは、景気回復と国民の福祉の充実の二本柱だと、こう考えてよろしゅうございますか。
  134. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そのとおりに存じております。
  135. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 国民福祉の充実ということでは、どういう点に重点を置かれて予算を組まれたんでしょうか、その点をお尋ねします。
  136. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まず、景気を回復するために大型予算を編成する、そうして公共事業以下の予算の増額をはかって内需の需要増大をはかるということをいたしましたが、   〔委員長退席、理事白井勇君着席〕 内需の需要増大をはかって、景気回復のための手段として従来のとおりのやり方で民間設備投資を刺激するというようなことでやるんでしたら、また景気がかりに回復しても、もとと同じような成長政策の型をとることになりますので、問題は景気回復の手段でございまして、公共投資の中でも特に国民の生活環境に直結しているもの、社会福祉に最も近いものというものに力を入れるということを考えて、そういう社会資本の充実ということについては、一般公共事業の伸び率とは倍以上の伸び率を確保するというような予算の配分のしかたをいたしましたし、同時に、社会保障制度の強化ということをはかるためにもろもろの予算の重点配分をしたというようなことで、従来の予算編成と比べてそういう方面への転換の一歩を踏み出したのが今度の予算編成の一つの特徴であるというふうに考えております。
  137. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 確かに、前年度の金額に比べますと、住宅とかあるいは生活環境整備の金額はふえているわけです。しかし、構成比という形から見ますと、必ずしもそんなに大きくなっているというふうには私ども受け取るわけには実はまいらないと思います。公共事業関係費の予算の構成比を見てみますと、むしろ、産業基盤整備関係というものは、昭和三十五年の七一・七%から、四十五年度には七〇・一%、四十七年度には六八・三%という形で、若干これは下がっておりますが、生活環境整備のほうでは、まあわずかに昨年度に比べまして一・六%ぐらいの伸びにしかすぎない。こういってみますと、どうも大蔵大臣がおっしゃるほど生活環境整備のほうに金が投ぜられているというふうには私ども感ぜられないのですけれども、どうでしょうか。
  138. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまおっしゃられた数字でいいますと、昭和三十一年ごろの比率が生活環境関係の公共投資は一五%前後と約倍になっておりますが、これをさらにこの比重を変えていくというためには、本年度の予算だけでこれを実現するわけにはまいりませんので、したがって、ここで今後どういう計画で予算の重点配分をはかっていくかという長期計画を立てる必要が出てまいりましたので、したがって、住宅計画に加えて、さらに下水道計画も、従来九千億の計画に対して二兆六千億の新五カ年計画をつくる。それから都市公園についても新たに五カ年計画をつくりましたし、また、廃棄物処理の計画も新たに五カ年計画を持つというふうに、今後の公共投資についての計画をきめて、それに従った予算配分、経費配分をするということを今度の予算編成と同時にこれをきめましたので、これによってこういう比率というものは、相当今後変わってくるだろうと私は考えます。
  139. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いままでもいろんな長期計画というのが組まれたわけですけれども、しかし、一番極端なのは道路整備の長期計画でありますが、こうしたもののこれは産業基盤整備の私は最たるものだと思うんですが、こうしたものは、三年ぐらいで新しい計画にどんどんどんどんと乗りかえて、そしてその事業量というのは、どんどんどんどんと増してきている。ところが、その他の長期計画というものは、なかなかその達成をするのが精一ぱいということで、それをさらに新しい大きな計画に進めていくというようなことは、どうもあまりいままでなかったというようなことで、私はそういう長期計画だけつくれば、それによって国民の福祉充実が今後はかられていく、いままでの経済の仕組みが転換していくというふうには、私は考えないわけであります。もう少しこの金の流れ、こうした面でもう少し明確な歯止めをしていかないと——四十年代、これはこのときも財政新時代と言いました。財政主導型の財政経済運営だと、こういうふうに言われまして、これは何回も言われておりますように、総理は、人間尊重、社会開発ということばを出していましたし、当時の大蔵大臣は、ゆとりある家庭と蓄積ある企業というすばらしいことばで発足した。しかし、それが一年か一年半たたないうちに、実はそうした形の財政主導型あるいは社会資本を充実していくというような形のものはなくなりまして、いわゆる民間設備投資主導型の超高度成長というふうな形になってしまったわけでありますけれども、私は、どうもいまのままでいきますと、今回も同じような方向にいくんではないだろうかという心配が非常に強いわけでありますから、私はそういう長期計画だけでなしに、財政計画というものもぴしっとつくって、国民のほうにわかるような形にしていただきたいと思います。たとえば、よく言われることでありますが、国民総支出に占める民間の設備投資、それから政府の固定資本形成あるいは政府の財貨サービスの購入、こういう割合を見ていきますと、せいぜい政府財貨のサービス購入の割合と固定資本の形成を入れまして一六、七%、しかし、民間の設備投資のほうを見ますと、二六、七%という形で、たいへん大きな相違が私はあると思うんです。しかし、西欧の場合には、その逆で政府の財貨サービス関係のものが大体三〇%ぐらい、民間設備投資が一〇%ぐらいという形だと思うんです。ですから、今後三カ年なら三カ年、五カ年なら五カ年の財政のあり方というようなものも、国全体の国民経済のあり方というようなものも、私は当然そういうような計画をつくって進めていくべきじゃないだろうか、こういうふうに思うわけですが、どうでしょうか。
  140. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 当然財政計画がやはりできなければいけないと思いますが、これはいま企画庁において長期経済の見通しを立てているときでございますので、それに対応してやはり財政計画も見通されるということになろうと思います。その場合には、やはり国民の負担のあり方というようなものも、当然検討の日程にのぼってくるのではないかというようなことを考えますというと、私は、この福祉政策への転換という前途にはいろいろむずかしい問題があるというふうに考えますが、これを乗りこえなければほんとの福祉国家はできませんので、政治としては一番むずかしい問題でございますが、これからがほんとの財政政策をいかにするかという時代にわれわれが直面していくんだというふうに考えております。ただ、幸いと申しますか、いままでそういう考えで財政政策の転換というようなものを考えておっても、いまおっしゃられましたように、すぐにくずれたということは、やはり国際収支の壁にぶつかって、どうしてもここで輸出中心あるいは民間設備投資中心という政策に戻らざるを得なかったという拘束があったのでございますが、幸いに国際収支の心配ということからいま一応免がれておりますので、したがって、これからはいままでのように逆戻りしない財政計画というものが、私は立てられるというふうに思っております。
  141. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵大臣のおっしゃる点、ことばの上ではわかりますけれども、私は実際上はなかなかそういう国際収支の天井がなくなったから国民福祉の財政が組めると、そう簡単には、可能性はありますけれども、現実化するということになりますると、それは相当多くの問題を私はかかえているんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。  もう一つ、この点はもし今後の七〇年代というものが、大蔵大臣の言うところの新しい一本の柱であるということでありますれば、こうした次に述べるような点についても、私は十分配慮をしていただかなければいけませんし、さらにあとで質問申し上げます公共料金等の問題にも、非常に関連してくる部分があるだろうと思いますが、社会資本の充実、公共的事業というものは、一般会計で行なわれる部面、それから財投で行なわれる部面、こういう二つの方向に分けられるというふうに思います。  私は、それを分けてみて見ますと、一般会計を中心とする公共事業関係費ということから見ますと、やはり生産基盤のほうには半分以上の六五%、少なくともその辺へいっている。しかし、生活基盤についてはせいぜい一五%以下。財投のほうで見てみますと、それが逆に生活基盤のほうは五八%、それから生産基盤のほうは四〇%台という形で、その割合が私は逆転していると思う。そうなってまいりますと、これは当然生活基盤の先ほど申されましたような下水にいたしましても、ごみ処理の問題にいたしましても、その他の問題にしても、財投でそうしたものを多くやっていくということになりますれば、私は当然に、それは公共事業のほうにいって公共料金のほうにはね返ってくる。結局負担を高く取られるということになるわけでありますから、この辺の財政構造というものも変えていかなければ、結局いままでと相変わらずの生産優先の形で、国民生活がないがしろにされるというものが、私はまた出てくると思うのです。こういうものの割合というものを一ぺんにことし変えてしまうということも、それはなかなか実際できないでしょう。こういうものも今後変えていくような計画をつくっていただかなければ、生産が伸びて国際収支が黒字になっても、国民に返ってくるものは非常に少ない。それをほしければ国民は高い料金を払わなければだめだということになったのでは、国民福祉に連なるものではないでしょう。この辺もひとつ変更してもらうような計画をつくってもらわなければいけないと思いますが、どうでしょう。
  142. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 問題は、私はいま、住宅政策におっしゃられるような財投資金も一兆円以上使っているということから、比率で言いますと、そういう数字が出てくると思いますが、もしこれを考えるとするなら、やはり住宅政策において今後考えるべき問題が残っているんじゃないかという気がいたします。で、いまはこういうときでございますから、政府自身が住宅をつくる、あるいは地方公共団体が公営住宅をつくるということに相当の比重を置いておりますが、これは税制その他金融政策、いろいろな配慮によって民間がこの住宅建設をもっと多く引き受けてくれるというような方向へ行くとしますと、問題が非常に変わってくるということで、将来の方向としては、はたして家というものはみな国がつくらなければならんものか。そうでなくて、民間に非常に住宅建設の優遇をして、民間資金をどんどん動員して住宅をつくってもらって、国民の福祉向上に資するかというような、この政策の転換がうまくいくということでございましたら、国のこの財政政策の転換というようなことについても、非常に合理的な改善がなされるんじゃないかというふうにも考えます。これは研究問題でございます。
  143. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がないですから、私はいまの問題についてはいろいろ意見を持っておるわけですけれども、ここでそれをあまり議論しておりますと時間がありませんので、これはさらに次に譲りたいと思いますが、少なくとも世界的には、住宅は国で与えていくという方向が先進国の間では、私はそういう方向が一番強くなってきていると思うのですよ。それをいまのように民間資本を使ってやっていくということになれば、私は問題は逆戻りしてしまう。この点は、私は十分ひとつお考えをいただきたいと、このように思うわけであります。  問題を進めます。四十六年度の税収の自然増は、大体どのくらい見込まれますか。
  144. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四十七年度でございますか。
  145. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 四十六年度です。どのくらい見込まれますか。
  146. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 四十六年度は税収……
  147. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 自然増。
  148. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 自然増は、当初の見込みは大体六千億前後だと思います。
  149. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いいですか。主計局長でもいいですよ。
  150. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) 予算に対する自然増収でございますか。
  151. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 予算に対する……。
  152. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) まだ的確な見通しは立っておりませんけれども、予算額は確保いたしまして、若干まあ自然増収が出るのじゃないかと、で、大きいところは例の不動産の譲渡所得に対する課税収入でございまして、これがまあ昨年まで分離課税の一〇%ということになっております。それでかなり不動産の譲渡所得がふえているのじゃないかということでございます。まだ数字は、確かなところはわかりません。   〔理事白井勇君退席、委員長着席〕
  153. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 かなり出てくるのではないだろうかというふうに私、思いますけれども、その点はまたあとでひとつ教えていただきたいと思います。  大蔵大臣、ことしは一兆九千五百億という大型公債を発行したわけでありますけれども、公債依存率もたいへん高いわけであります。いままで財政審議会等においては五%程度というようなことの答申があったわけでありますけれども、今後この公債依存率というものは、どういうふうにしていくつもりなのか。相変わらず一七%ですか、こうした公債依存率を続けるのか、この前の四十一年からのように、これは逐次減らしていくのか、この辺はどのようにお考えですか。
  154. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 公債政策としましては、好況のときには依存度を減らすし、不況のときには公債の依存度が上がると、そうして財政調節をするというのが公債政策の活用策でございますが、これを何%が適当かということについては、この事情によることでございまして、いままで財政審議会が五%というのが適当であろうという答申をしたのは、当時成長期で自然増の非常に多いときを背景にして、そうして年々公債の発行額を減らして五%前後のところまでもってくることが望ましいという意見を述べたことでございまして、これはそれなりに意味があったと思いますが、しかし、こういう不況のときに公債依存度をどうするかということになりますというと、この不況が今後どういう形で克服されていくのか、そうして今後の経済情勢がどうなるかということによって、これは何%がいいだろうというような、これは簡単にそういう結論と申しますか、というようなものは、私は出てこないんだろうと思います。いまのこの不況が克服されたというときになったら、そのときの経済情勢で公債の依存率はもう下げるということをやればいいのであって、そのときの経済情勢に従って判断してやるよりほかにしかたがないだろうと思います。まあ私は来年は、必ずいまの不況は今年の末ごろからこれは解決すると思いますので、したがって、来年の公債発行、公債の依存率というものはいまより——ことしよりはこれは少なくできるというふうに思っております。
  155. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その辺をひとつ、ただ景気の波のまにまにという感じを非常に深くするわけでありますが、その辺の考え方を基本に置いていただかないと、ことしの公債発行が資源の再配分のためにたくさん発行するのだといった一兆九千五百億の発行のときの話とだいぶ変わってきてしまう。要するに、景気克服だけに公債政策を使っていくというようなことで、大量の国債発行の議論というようなものが、どうもどこかへ途中で吹っ飛んでしまうということになると思います。真に資源の再配分ということで考えていくならば、当然私は、この五年間のおおよその公債発行の見通しというものはついていくんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけであります。まあ、いまの御答弁を聞きまして、どうもこの公債発行というものが、必ずしも国民の福祉の充実というところに結びついて生きていかないような感じがしてならないわけであります。  問題を次へ進めてまいります。  通産大臣にお聞きしたいと思いますが、今後の日本の景気と日本の外貨の蓄積の状況というようなものについて通産大臣はどのようにお考えですか。
  156. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 景気は年率七・二%にしなければならないという一つの見通しを政府は持っておりますが、現在どのくらいなのか、まあ五%台ではないかと思います。これはさだかな数字ではありませんが、四十六年度の全部の数字で四・七%ということでございますから、まあ五%台と見るのが当然だと思います。そうすると、いま官需が非常に旺盛でございますし、これから大きな予算が執行されるわけでありますので、四−六、七−九の上期は私は相当上がると思います。上がると思いますが、公共投資に付随して起こる民間の設備投資というのはとても考えられない。いまの状態ではそういうことでございますので、十−十二月、一−三月ということを考えて年率七・二%というものに持っていくにはやっぱり努力をしなければいけない。政策的な努力が必要であるという考え方でございます。年間を通じて、四十七年度の経常収支の黒字は四十七億ドルぐらいだと思います。数字は一応そういうふうにきめてございますが、まあ、いまの状態では五十億ドルと考えているわけです。そうすれば、何らかの処置をしないとやはり外貨は積み増しをされる。いまの百六十七億ドルというものも、私は必ずしも正常にたまった外貨ではないと思います。これは、拡大ECの公定歩合の状態を見ても、西ドイツが三%のときに日本が四・七五%であるというような状態では、これはもうやっぱり集まってくるということであります。ですから、外国の安い金利で銀行から借りて輸出入をやるというよりも、両建てになっておる七、八十億ドルの債務というものを一ぺんに減らすわけにはまいりませんが、こういうものが相殺されればもっと姿のいい外貨準備高になるんだと、こう思いますが、これからは低金利政策、それから外貨の活用政策というものを相当強く実行して行かないと、外貨は依然として積み増されるという考えでなければならない、こう思います。
  157. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 通産大臣は、外貨の活用政策というのはどういうふうにお考えですか。——外貨の活用政策というのは具体的にどうお考えですかということです。
  158. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 外貨は百七十億ドルに近いといわれておりますが、しかしその中で百億ドルもIMFに寄託をしてという御議論もあったようでございますが、通産省の立場から見ますと、石油はまだ四十五日間の備蓄しかありません。これを六十日間にしたいということで法律案を審議をいただいております。しかし、ヨーロッパは九十日間にしようということでございますので、積み増しということを考えなきゃなりません。それから、いまは、鉄鉱石も、それからマンガンも銅もみな計画どおり引き取れないということで、鉱石は全部現地で野積みされておりまして、トラブルを起こしておるわけであります。これはしかし、長期的に見ては必ず七%ないし八%、場合によっては九%台の成長がある時期に必要でございますと経済企画庁長官も答えておるわけでございますから、そういう意味から言うと、備蓄というものは当然やらなければならないということでございます。ですから私は、開発輸入の問題もございますし、それから備蓄もしなければならない、そういうことで、いま三億五千万ドルばかりめんどうを見てもらっておりますが、これからは四、五十億ドルぐらいの外貨の活用を思い切ってしなければならない。まあ、余ったからやってしまう——私たちは、一生懸命で外貨を積み増すために努力をしてきておる省であるだけに、外貨べらしということはどうもあまりいい感じじゃありません。外貨を活用すべきである、外貨がないために、四十年に、外貨準備が二十億ドルから十七億ドルになったときに、いかに困難な状態にあったかということを考えれば、外貨は活用すべきである、こういう考えです。
  159. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 企画庁長官にお伺いしますけれども、四十七年度の国際収支の見通しというのはどういうふうになっていますか。
  160. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま通産大臣がいろいろお答えしましたような背景におきまして、なかなか私どもの見通しどおり輸入がふえてまいりませんし、そういう意味からいって、現在私どもは大体四十七億ドルという見通しを持っております。
  161. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 通産大臣のたいへん力を入れております第二外為会計の創設というようなこと、あるいはうわさに聞いておりますが、第二輸銀を民間でつくってやろうというようなお考えはあるわけですか。具体的にお話しいただきたいと思うのです。
  162. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) これはもう本来なら大蔵大臣が答えるべきものでございますが、私のほうから言い出した問題でございますし、私からまず答えて、大蔵大臣もしかりでございますと、こう言っていただけば、もうそこできまるわけでございますから、私から先にお答えをいたしますが、外貨は活用しなければならないということでございます。しかし、いまの外為法の改正案を提出しないと外貨の直接貸しはできないようになっております。言うなれば、去年の円対策八項目の中の一つだけが実行されておらないわけですが、八項目をきめたときには当然この実施を考えていたと思います。しかし、いろいろな問題が起こって、こんなになるとは思わないということもあったでしょうが、今日に至ったわけでございます。ですから、第二外為というのか、いずれにしても外貨を直接利用できるようにということでございまして、これはもう焦眉の問題として、私と大蔵大臣との間に、とにかく外貨活用に対してはこの国会で御審議をいただかなければ間に合わないということで、私は去年の七月から国際経済調整法案という考え方を打ち出して、しかも外務、大蔵両当局とも話をしたわけでございますが、まだ多少時を、じんぜん日を送ったような気がいたします。しかし、いまでもおそくないし、いまこそやらなければならない、このままでもって何にもやらないでいてと、ほんとうに、うわさではございますが円平価の切り上げなどということになったら、これはもうほんとうにその責めを負わなければならぬということでございます。責めを負うだけじゃない、これは日本の国益を守れないということでありますので、大蔵省との間にいま詰めております。できるだけ早く、ほんとうは今週中にと思っておったんですが、時間の関係もございましてなかなか今週中には詰められないというなら、来週ということで、私のほうはせっついておりますが、大蔵大臣も比較的理解を示していると、こういうことでございます。
  163. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 何かありますか。
  164. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 外貨問題はきょう午前中にちょっとお答えいたしましたが、いま活用策はもうすでに実施されております。もう一ぺん申し上げますと、いま流動性を確保して保持しておるのが百十億ドルぐらいと。この半分ぐらいをとりあえず活用したいという方針のもとにいろいろやっておりますが、やはり七、八十億ドルの短期の対外負債がございますので、それが外貨のかさ上げになっていることは事実でございますので、今後外貨がどんどんこれ以上ふえないということと、そうしてこれが少しでも活用されて減るということを考えるとするならば、これは為銀に預託して、そうして、これが返済の肩がわりになるというような方向で活用することは、これは非常に意味のあることでございますし、同時に中期、長期の外債によって資本輸出の促進ということに活用されることであったら、これもいいことでございますので、それもやっております。いろいろなことを現在やっておりますし、さらに材料備蓄、原材料の問題につきましても、外貨を預託することによってユーザンスの期限を非常に伸ばして、そうして約束の品物は外国からみな引き取れるという道も、やはりこの外貨の活用の一つ方法として実現していることでもございます。そのほかに外貨を直接に貸せいという要望が財界から非常にございますが、御承知のように、この政府や日銀が保有している外貨というものは、これは民間の保有するドルを求めによって円対価によって政府が買い取ったものであって、そうして、今度は民間の希望する場合には、いつでも売り戻さなければならないという、これは公的な資産でございますので、この公的資産というものを民間に直接貸すということは、どういうことかということになりますと、しょせんこれを借りる意味というものは将来の危険——リスクを免れるということについては、これを借りる人に相当のメリットがあることでございましょうから、したがって、政府にそういう要望があったにしても、それじゃ、どういう範囲に貸すかといったら、やはり民間の一部の人にこのメリットを与えるということは、公的資産の運営方法としてはあまりいいことじゃございませんので、そういう形で外貨の運営をするということは、私どもは避けたいということでございます。そうしてまた、いま通産大臣が言われましたように、今度は民間にそれを直接貸しをするというようなことで活用するのでなくて、政府自身がこれを活用する方法があるかということは、やはり一つの問題でございまして、これを考えるのには、いまの現行法ではいけませんので、ここでいろいろなことを考えなければいかぬ、法的な準備もしなければいかぬ。そういうような点でいろいろいま両省でも検討しておる最中でございます。むずかしい問題は別にそれはございませんが、政府自身がやるということでしたらむずかしい問題はないと思いますが、問題はドルという、いま政府の持っている外貨というものは、外貨がそれ自身単独に政府の手にあるのじゃなくて、この背後にはみんな円を出して、円が市場に出て、その結果政府の手にドルがあるのですから、それをそのままにしておいて活用するということは、やりそこなうというと、これは大きいインフレの原因もつくりますし、その辺において非常にむずかしい問題がございますので、相当慎重を期した活用方法考えなければならないだろうと思います。また、対外援助の必要がございますので、援助の方向において活用されるということも必要でございますので、そうなりますというと、いまの輸銀法とか、それから基金法とかというものも、これはある程度手を加えないと十分な機能を発揮させるということはできないだろうということで、問題は、そこまでもくる問題でございますので、国会にお願いして、立法を必要とするような問題だけがいま残されて、そのほかの形においてはいま相当広範にわたって活用されていると言ってもいいのではないかと思っております。で、御承知のように黒字幅の縮小の気配というものは、いま見えてまいりましたが、しかし黒字基調というものは依然としてまだ続くものと思われます。そうすればいまの保有量に対して、さらにまだ今後しばらくの間増加するということも考えられますので、したがって、外貨の活用法も私ども考えなければなりませんが、それよりもいま各国で問題になっておるのは、きょうも海外に行っている日本政府関係者が帰ってきて、報告を聞きましたが、米国においても欧州の諸国においても、問題は日本の、ドルがたまることについて、みなそう大きい憂慮はしていないと、これは通貨調整があっても、一年、二年の間はそう急に変わるものではないので、しばらくの間日本に黒字基調が続いて、外貨の蓄積がある程度続くだろうということについては、みな了承しておって、これは心配しないと、しかし、何カ月たっても貿易収支の姿が変わらないで、いまのまま進んで黒字幅が広がるようなことであったら、これはたいへんだと、みんなその点に非常に関心を持っておる状態なんでいま円の切り上げを迫る国なんというものは、実際において、公的な場で一つもない。そういう問題はないけれどもあと、ことしの末とかというまでに少しも日本のいまの姿が変わっていないということは、国際摩擦の大きい原因になるので、したがって、たまった外貨について活用というよりも、そういう無制限にたまってくる姿を直すことが当面の急務だ、ということになりますというと、いまの予算が、早くこれが動き出して、そうして景気回復への機能を発揮し出すとか、そうして、そのほかに自由化、また関税の引き下げとか、いろいろなものが機能を発揮してくるというようなことによって、対外均衡、対内均衡が回復してくるということが、やはりこの問題の一番の解決策になると思いますので、やはり政府努力すべきおもな方向というのは、そういう方向であろうと考えまして、たまった外貨の活用策と、一方、外貨がそういうようにたまってくることをやはり合理的に防ぐ策というものとを並行して考えなければならないだろうと考えています。
  165. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 両大臣からいろいろお伺いをしたのですが、どうも大蔵大臣のおっしゃっていることは、要するに、集中しないで、散らばしてしまって、政府のところにあるのは少なくするというような形の、いわゆる粉飾的な考え方のようでありますし、通産大臣考え方は、どうも一そう将来への輸出の拡大、あるいはいまのドルを先に持ち越していくというような感じしか私はないと思うのですが、通産大臣にお伺いしたいのですが、最近、日本の輸出に対して、ダンピングではないか、ダンピング課税をすべきだというような動きもありますけれども日本の輸出というのは、かなり出血輸出をしているのか、どうなのか、私は交易条件の数値から見ますと、そうは思いませんけれども、外国では、かなりその点、日本は出血輸出をしているのじゃないかというような非難もあるわけですが、この実情はいかがでしょうか。
  166. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 輸出が対前年度比二六%近くも伸びておるという事実、また、拡大EC、ヨーロッパの特定市場に対しては五〇%対前年度よりも伸びているということで、各国が問題にしておることは事実でございます。その中で、よかろう安かろうと、こう言っておるわけですが、その安かろうという面が、それじゃダンピングだと、こう言っているわけです。その中では、私は、去年の九月からアメリカと再三交渉しておるわけでございますが、ダンピングじゃないんだと、こういうことを言っておりまして、まあサンクレメンテ会談では一つの収穫として、ダンピング法の適用については事前に調整を行なおう、これを放置すると日米間非常に感情的によくない問題が起こることとなる。そうしてアメリカはもう何でも簡単なものでもすぐ裁判に持ち込むが、日本では裁判に持ち込まない。持ち込むにはよほどのことがなければ持ち込まぬということだから、国情は違うんだから、裁判にぽんぽん持ち込まれては困る。そういう意味で事前に専門家会議でもって、十分政府間でもって話し合いをして、やむを得ざるもの以外はダンピング法の適用は困るということで合意に達したわけでございます。ですから、専門家会議をやっておるということで収穫はあったわけでございます。そうしてドルショック以来、円平価の調整が行なわれてからは、自動車などは一五%ないし二〇%以上も販売価格の値上げをしておるんですけれども、やっぱりそれでもどうしても値上げが不足であるということでございます。私自身も輸出の状況をよく見ておって、いま追跡調査を行なっておるのでございますが、第二弾の平価調整があるなどということを前提にして、中小企業や下請に対しては二百七十円ベースでなければ引き取らぬと、こういう事実があるといううわさがあるので、あるのかないのか、それは実態を調べなさいということで、商品別に追跡調査を行なっております。中小企業は金繰りがつきますから、いま超緩慢といわれる金融情勢下で。それはもう内需がどうしても起きなければ、輸出で息をつなぐ以外にありません。これは言うなれば自転車操業である。こういうことでありますから、輸出品の価格を引き上げなければならないというときに、国内の中小企業をたたいておるというなら、それはもう遺憾なことである。それはもう通産省の責任でもあるということで、そういうことをするなら、それはもう輸出ワクも実績中心主義をとりませんよというような強い行政指導を行なっておるわけでございます。まあ、しかし、円平価の切り上げ後、販売価格を全部一ぺんに上げるということも、これは実際上非常にむずかしいんです。まあ半年とか一年の間にだんだんとスライドしていくということが望ましいことは、実際的にはそうでなければならない。いずれにしても、対前年度比五〇%−二〇%以上の値上げをしても、自動車は対前年比二一六%という数字ですから、倍以上出ておると、こういうのでありますから、いろいろのことを言われてきておって困っておるんです。実際問題として困っておるんです。日本人のたくましさというのでありましょう。非常にそれが戦後の経済発展をもたらしたものではあるが、よほどやっぱり調整をして、オーダリー・マーケッティングというものをほんとうに国民的に考えないと思わざる結果を招く、こういうおそれがありますので、強い行政指導を行なっております。
  167. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 新聞の報ずるところによりますと、通産大臣はいまもおっしゃられたんですが、業者にひとつ相当輸出価格を上げて非難を受けないようにと、まあこういうことでありますが、おそらく出血輸出でないということになりますれば、それは企業の大きなもうけになっておるわけです。これは私個人の考え方でありますけれども、私はいまのようなことが続く限りはおそらく年内二百億ドルラインというものに近づき、あるいは場合によれば突破していくだろうというふうに考えます。したがいまして、そうなってくれば、まあ先ほど大蔵大臣は、よそから日本の円切り上げを言うようなものはないと、きょうも帰って来た人からはそんなことの話はなかったんだと、こういうふうに言いますけれども、どうも大蔵大臣の耳が聞こえが悪いのかどうか知りませんけれども、私ども新聞で見る限りは、かなり日本の円の切り上げ幅が少なくて、もっと切り上げろという世界的な世論というものはかなり強くなってきている。けさの新聞でしたか、アメリカの国会議員の一人もそうしたことを主張しているというし、数日前の新聞によれば、フランスあたりの高官も円の再切り上げをしろというふうなことを言われているわけでありますし、しかも、景気については、そう急速に回復して輸入がふえて需給ギャップがなくなるというようなこともちょっと予想できないということになれば、どうも近いうちに二百億ドルの台というものはこえざるを得ない。もうすでに百六十六、七億ドル近くになっているわけでありますから、増勢は鈍ったにしても、何かの拍子に短資も入ってくるということになれば、二百億ドルをこすということになれば、これはもう完全に再切り上げの国際世論というものはまた急に私は起きてくると思うのです。こういうものを事前に防ぐと、しかも、そのことが国民の利益になるということであれば、これは私の個人の考え方でありますけれども、ある意味で輸出税などを考慮してもいいんじゃないか。これは通産大臣立場でいうと、そういう縮小的な考え方、消極的な考え方はけしからぬと、こういうお考えかもしれませんけれども、私はある程度その税金をいままでのおくれた社会資本への方向に向けていくためにも、私はそういう輸出税というものもある程度考えていいんじゃないかと、こういうふうに思いますけれども、これはひとつ大蔵大臣と通産大臣、お答え願いたいと思います。
  168. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 私は、輸出税とか、輸出課徴金とかいうものには反対であります。これは、ただ反対というんじゃないんです。そういうものをとる前にもっとオーソドックスな政策をとらなければいかぬということなんです。確かにあなたが御指摘のとおりです。このままの状態で公定歩合の引き下げも行なわない、実効金利も下げない、このままでいけば、私は年度末を待たなくとも、ある意味では早い機会に外貨準備が二百億ドルをこすという場合があり得ると思っています。そうじゃなく、そういうことをやらないようにしなければならぬというのが、オーダリー・マーケティングの問題もございますし、先ほど申し上げたとおり、百七十億ドルに近い外貨の中で、実質的には高金利のために日本に流れ込んできているものもあるんです。安い金利のドルを直接貸し付けて、これで商売をさせ、ドルでもって返済させるという制度を外為法の改正か、もしくは第二外為会計の創設によってつくって行くか、もしくは拡大EC並みに金利を下げれば、いまはもう円でもって十分輸出入ができるわけです。円の輸出入のとにかくウェートがうんと上がれば、外貨の積み増しはしないで済むわけであります。ですから、そういう問題を全然やらないでおけば、私はあなたが指摘するとおりになると、こう思うのです。やらないでおいて輸出税を取るとか、課徴金制度をしくということは、私はもうほんとうにその場の押しつけの政策であって、私賛成しません。それはもう、もしそういうことが万に一つできる、百に一つできるというなら、それは先ほど言った二百七十円ベースでもし買いたたかれておるような状態があるんなら、それは特別な財源として、中小企業の、零細企業の転廃業資金として全額これを出して、それに上回るものを国庫から支出をするというような暫定的なものに局限をされるなら、また別な考えでありますが、そんなことまでしなければならない——まあそんなに輸出業者が悪いとも思っておらないんです。通産省はそのくらい力がないとも思っておらないのであって、世界でもって高く評価をされている行政指導権もあるわけでありますから、ここらでやっぱり通産省、力を出さなければだめだという感じなんです。ですから、もうこれは大蔵大臣はお答えにならぬと思いますが、輸出税などというものを考えたら、これはみずから日本の貿易というものはもう税金でも取らなければ処置ないのだということを天下に公表することになる。私は、そういうことには遺憾ながら賛成はしません。
  169. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵大臣、答弁ないですか。
  170. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私もまだやり方がたくさんあると思います。この輸出についての節度を守る方法はたくさんあると思いますので、たとえば、ある一部の業界について私は申しましたが、円を切り上げるということは、それだけ日本からの売り値が高くなることであって、そこにこれからの労働賃金の分配が行なわれたり、いろいろのことでメリットが出てくるのを、これをもとと同じように安売りしてしまうんなら、この円の切り上げの意味というものはないんだと、しかるに、これをもう一ぺんの再切り上げがあるんだ、あるんだなんていって、下請を二百何十円のあれでたたくというようなことをやって、依然として円が切り上がったのに、輸出値段を上げないで、もとよりも低い値段で売って輸出力を増そうというようなことをするというと、これは国際摩擦を起こしてくるもとになるんで、こういう点について、いま田中大臣の言われたように、通産省がほんとうの行政指導力を発揮するというんでしたら、ここらにまだ直る点がございますので、すぐに税までいく構想を持たなくても私はいいんじゃないかと思います。同時に、さっきこの円の切り上げを迫られていると、そういう声が耳に入らないかというようなことでございましたが、これは、きょうアメリカから来ているんですが、アメリカ自身も昨年きめた通貨調整は各国で守ろうと、わずかの間にこれがくずれるようであったらいかぬので、各国でこのレートは守ろうと、そのためにはいろいろ金利の問題について、輸出の節度の問題についていろいろ考えられる問題があったら、各国は国内政策として、それぞれ考え合おうというようなことで、たとえば、欧州のOECDの場においては日本の金利の問題が若干出たというようなことでございますが、そういう批判というものはお互いの国にあることはありましても、円の再切り上げを迫るというようなことはなくて、むしろきまったこれをお互いに守って国際通貨の安定をはかろうというのが、いま国際間の当事者のみんな一致した考えでございますので、これを迫られておるとか、再びあるだろうとか、はなはだしいのは六月には円の再切り上げがあるだなんていうようなことを言って、せっかく立ち直ってきているのを、経済の上向きになってきているのをまたここで心理的にいろいろ撹乱するという要素が出てくることを私どもは非常におそれておるんですが、実際問題としてそういうことはないんだと、また、それは私どもとしては再切り上げなんというものはここ当分の間しないと、どこの国がしろといっても、通貨主権というものがあるんですから、日本はしないと言えばしないんであって、絶対これはないんだということの上で、ひとつ急速に日本の内需の拡大をとにかくはかって、それによって輸入の増大をする、そして国際収支の対外均衡の回復ということについて、これはここで一段と努力すべき時期であって、そのほかのいろんな流言飛語みたいなことを、ここではやらないことを、私はもう心から希望しております。
  171. 羽生三七

    ○羽生三七君 ちょっと関連。  先ほど来の話を聞いておると、政府のお考えは緊急避難的な要素が非常に多いと思います。本質的な、オーソドックスな形で外貨がたまるのを阻止するにはどうしたらいいか、そういうことが、何か非常に欠けているように思うのですが、実は、十日ほど前にアメリカの上下両院議員が大ぜいわが国に参りました。大臣方お会いになったかと思います。私も約三時間、この人たちと話し合いをしました。そうしたら、円の切り上げということでなしに、なぜ日本はもっと国民生活を豊かにするようなことで問題を解決しようとしないのか、なぜもっと公害対策を徹底的にやらないのか、これに協力しろということを徹底的に主張して、われわれと長時間論議をしたわけです。だから、そういう意味の、まあきょうあすにすぐにできることではないけれども、そういうレールを敷かなければ、いまの輸出入の基調が続く限り、この種の問題は永続するわけですね。だから、その基本的な課題にオーソドックスな方法で取り組みながら、当面の緊急避難的な対策は、これはやむを得ないことですが、そのことを考えなければ、問題の根本的な解決にならぬと思いますが、これはいかがです。
  172. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私が申しているのはそのことでございまして、内需の拡大と、これによって対外均衡の回復ということが本質的なことであって、これに力を入れたいということで、たまった外貨の活用というよりも、そっちのほうが大事だということを私は述べておるところでございます。で、そういう意味から申しましても、何しろまだ今年度の予算というものは動き出してはおりませんので、早くこれが動くということが、はっきりこの決着がついてから、次の問題にいろいろ私どもはかからなければならぬと思っておりますが、本年度の当初予算すらまだきまらないときでございますので、この問題で実際は私どもももしここで何らかの対策を立てようとしても、国会の中途であっては、また予算の補正、修正というような問題に発展するんでしたら、これは困りますし、一たん、ここでもう本年度の発足をしてから、こういう問題に真剣に取りかかることが私は急務であるというふうに思っております。
  173. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 急場しのぎをやっているんじゃありません。これは輸出、輸入というもののバランスをとるためには、内需を拡大しない限りにおいてはだめなんです。それで、そういう意味では予算が早く執行されること、まあ早くなくても、いずれにしても来月からは執行できるわけでございますから、そうなれば、私が先ほど申し上げたような、上半期は財政主導型で非常に景気は浮揚すると、しかし、年間を通じて見ると、政策的な、誘導政策をとらない限りにおいては、後半期の第四・四半期というものがほんとうに恒常的な上昇をするかどうかということには、いままでのように三十七年や四十年のようにはいかない、こういうことでやはり政策というものは急を要すると考えておるんです。これは円平価の切り上げということは行なわないし、また行なったら中小企業はこれに耐えられないんですから、これはたいへんなんです。ですから、そんなことは考えてもおらぬと、しかし、そうでなければ別なことでくるんです。なぜかというと輸入規制でくる。これはもう必ずくるんです。ですから、これは同じことなんです。同義語なんです。ですから、少なくとも外貨の積み増しが行なわれておる。先ほど申し上げたように、政府が控え目に見ても四十七億ドル経常収支でもって黒字になるといっておるんですから、それよりも景気浮揚のテンポはおそいし、輸出は伸びておりますといえば五十億ドルをこすということになる。それで積み増しになるにきまっておる。そうでしょう。ですから、積み増しをしないためにはどうするかといえば、輸入を拡大する以外にない。景気浮揚でもって輸入を拡大できなければ、将来的に必要な原材料、トラブルを起こしておるようなものを引き取ればいいじゃありませんかと、これはもう私はすなおな気持ちでございます。  それからもう一つは、これを根本的に片づけることということになれば、やっぱり相当大幅な減税等を考えて国内消費を拡大するということになるんですが、まあそれはいま予算も審議中でございますので、とてもいま申し上げられませんと、言外に大蔵大臣述べておることでございます。  それでもう一つは、外貨の百七十億ドル近いものが水ぶくれじゃないのかということですが、どういう制度をとっても外貨の百七十億ドルというものは、これは固定的なものであって、日本からは流出をしないんだという感じを持っておったんじゃ対策はできないと思う。私は少なくとも西ドイツが三%の公定歩合をやっているときに四・七五%、少なくとも、西ドイツ並みに下げるというのじゃありませんが、〇・七五下げて、実勢金利が〇・七五下がれば、私は三、四十億ドルの外貨というものは流出すると思っておるんです。そういうものを総合的にものを考えないで、一つだけの施策でもってすべてが解決できるという考え方は、私は誤りだと思う。私自身は、もう現在アメリカから陶磁器の規制をやりなさいと、強い要求を突きつけられておるわけです。陶磁器というものは自主規制をやっているんだからこれでいいじゃありませんかと、手紙をやったり、電話をかけたりしておるわけです。きょう、また毎日の新聞を見ると、今度はテレビである、あしたは自動車であると、こういう、まあそれは簡単に受けるつもりはありません。ありませんが、形の変わった状況日本経済を圧迫するとしたならば、これは事前にあらゆる配慮をしなければならない、こういう考えであります。ただ外貨をばらまいて輸入ユーザンス期間を延ばして、普通なら受け取りとなる外貨をなるべく受け取らないでくれというような、急場しのぎの外貨対策というものでは、私は片づく問題ではないと、こう考えております。
  174. 松永忠二

    ○松永忠二君 大蔵大臣に聞きますが、竹田君から、各方面から再切り上げの声があるのじゃないかというような話が出ていますが、現に何かIMFに後進国を入れて拡大をする、そしてその変動相場制をとっていって、非常に黒字がたまったところには、課徴金を取ろうじゃないかというようなことが相当詳しくアメリカ側の主張として出ているんですね。こういうのは一体どこからそういう声が出るんでしょうか。  それからもう一つは、いま御承知のとおりベルギーとか、そういうような国でも、いわゆるドル安に対する買いささえをしなきゃできないというようなことで、つまり結果的には、アメリカがちっとも自分自身のドルのたれ流しをやめない、国内の経済の政策について、明確にそういうふうな点についての対策をしない、あるいは他国籍企業に対しても、たいした規制もしないでいると。そういうような問題は、アメリカ自身のあの通貨調整後における経済の政策というものが、いわゆる国内重点的に、まあ極端なことを言えば、たとえば選挙目当ての政策をやっているんじゃないか。そのためにちっともドルがアメリカに返ってこないというような点が、各国にこういうふうな脅威を、またもたらしておるという点が出てきていると、こういうふうにまあほとんどの国が見ているわけです、こういうことについて一体あれだけの通貨調整をした後に、日本あたりにそういうふうな声が出てくるということについて、やはりアメリカの責任というものがあるのじゃないか。こういうようなことについて、日本あたりは、今度キッシンジャーも来るし、いろいろ話もしている中で、どういうことを一体アメリカ側に要求されておるのか。  まあ、その最初の点は、比較的具体的に出ている。しかも、それはアメリカ側も、すでに提唱的な形でそういうふうなこともいわれてきているので、こういう考え方というのは一体どこから出てくるのか。一体アメリカの国内の経済政策というものに対しての、もっときちっとしたやり方をしてほしいというような要望については、日本は一体どういうふうな機会に、どういうふうな考え方で、アメリカにその対処を求めていくのか。こういう点をひとつ聞かしてください。
  175. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま国際間にはいろいろな意見がございまして、たとえば残存ドルの処置についての意見としては、各国とも残存ドルをIMFにみな供託すると、そうしたら、IMFに供託したら、それはアメリカの債務として、アメリカがこの供託国に対して一定の利子を払うというような形で解決するのが、まず一つの最初のステップを踏む方法であろう、というような意見も出ておって、IMFにドルの預託というようなことも公然と、一つの案として述べられておったり、そういうものを中心にしていろいろの構想が出たり、いまたくさんの意見が出ておりますが、まだ別に各国に対して、こういう意見はどうかというような、責任のある打診が行なわれているというようなことはございませんし、むろんどこかの正式な会議で、そういう話が出たというようなことは一回もございません。しかし、まあアメリカにいたしますというと、基軸通貨国でございますので、できるだけこの自国の国際収支は赤字にならぬような、やはり将来の通貨制度を考えたいということは、これは当然考えるでございましょうし、そうしますというと、この責任はむしろ黒字国にあるんで、黒字国が今後どういう態度をとることが、世界の通過安定に一番資するゆえんであるか、というようなことを考えておるかもしれませんが、これはいまおっしゃられたように、赤字の国にも責任があるんだという、この責任をみんな分かち合うということが、今度の切り下げたり、切り上げたりする多国間の通貨調整でございましたので、黒字国だけに、この責任を負わせるなんということが、国際的に通る意見ではございませんし、これから開かれる国際会議の場においては、こういう問題を中心にいろいろ討議が行なわれることと思います。とりあえずは、どういう場面でこういう相談を、これからしていこうかということが、当面の問題でございますので、したがって、いまのGテンの場でいくのか、あるいはIMFの外に一つの場を設けて、もっと参加国を拡大するのか、あるいはIMFの中において拡大された別の場をつくるかというようなことについて、いま各国ともいろいろ考えておるときで、現在アメリカからボルカー氏が来られたことも、実質的な問題ではなくて、今後こういう国際討議の場をどうつくったらいいかということの、やはり一つの相談に来られたと私は思っております。これは、ことしのサンクレメンテの会談のときも、お互いに今後そういう場について考えておこうと、そうして、いずれのときか一ぺん相談しましょうという約束になっておりますので、この相談は当然これから日米間でもしたいと思っておる問題でございますので、こういう相談をこれからしたいと思っております。そういうことで、そういう場面ができてから初めていろいろな意見というものが出てくるでしょうが、いま出ている意見というものは、全然これは公式的なものでも何でもございません。
  176. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも国民にとっては、外貨対策というものが二頭立てだか三頭立ての馬車のような気がするわけです。公定歩合一つとっても意見がまとまらない。こうしたものからよけいに二百億ドルを上回るんではないかという考え方というものが出てくるわけであります。確かに容易でないことはわかりますけれども、この辺はひとつ早くやっぱり意見を統一してもらわないと、毎日の新聞に通産、大蔵はどうもお互いに意見が違うようだ、というようなことが出るような事態でありますから、この辺はひとつ統一した見解というものを、やっぱり出していただくことが必要だろうと思いますが、問題を先に進めたいと思います。  建設大臣にお答え願いたいと思いますが、最近の金融が超緩慢になって銀行、商社あるいは一般大企業というものが、その余裕金で土地の買いあさりをたいへんやっているわけなんです。すでに彼らに言わせれば、大きな土地はもうなくなってしまったと言うほど、全国各地です。都市の近辺だけではなくて全国各地ですでに買い進んでいるわけであります。岩手県あたりでは、六月に七十円の土地が年末には千円にもなったというような、ものすごい暴騰であります。こういうことをそのままに放置しておくということになりますと、今後国土の開発をしていくという点において、私は合理的な国民的な立場での土地の開発利用ということにも大きな差しつかえがあると思いますし、また同時に、これからの社会資本を充実していくという中で、地方公共団体にとっては、大きな土地代を負担するという大きな問題が出てくると思うんです。しかし中には、町村長が一緒になってそういうお手伝いをしているという状態もあるようですが、これもわからぬことはないわけですが、こういう形というものは何とか阻止をして土地の有効利用のために考えなくちゃならぬ、建設大臣どうお考えになるのか、あるいは自治大臣も、そういうものに町村長が協力をしているという問題は、私はゆゆしい問題だろうと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  177. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 最近の金融緩和で、大手業者が土地を買い占めておるということは新聞にも報道されておりましたし、まあその場合に、大体地方の関係者の方々に相談をしておるところもありますし、また、その規模とかあるいは事業の目的とかいうようなものも必ずしも画一ではありませんけれども、主としてやっぱり観光的あるいはレジャー設備をするというようなことが多いようでございます。しかし、これを放置しておきますると、非常にスプロール化するようなことは土地政策上おもしろくありませんので、私としては、いま建設省といたしましては、ひとつ実態調査を命じました。なかなか簡単にはつかめるものではございません。それは非常に数が多いし、いろいろ状態も違いますから。これが市街化区域内でございますると、これははっきりつかめるわけでありまするが、今度の国会にも公有地の拡大の法案も出しておりますが、それはその目的でございます。少なくとも、あらかじめひとつ、そういう業者が土地を買いたいときは、地方公共団体に届け出て公共的なものに使わせようというのがこの目的ですが、今回の金融緩和によって行なわれておるのは市街化区域内ではなしに地方です、これから発展していけるだろう。その中で、やっぱり正当な事業の目的のためにもあると思いますが、それ以外に、やっぱり土地投機のような考え方がないということも保証できません。したがいまして、私は、実態を調査するとともに、できれば今後は、こういうようなある一定の用地を買うときには、地方公共団体が条例をつくって、少なくとも届け出をさせる、相談をさせるというような方法をとることが第一番。また、第二番には、やはりいままで問題になっておりました法人の投機的な思惑による土地に対して、やっぱり税をもって、課税で抑制をしていくということを考えなければならぬのじゃないか、かように思っておる次第でございます。いずれにしても、実態調査をやるように極力やっておりまして、ひとつ対策を講じたい。講じたいのですが、やはり地方公共団体が、ある地方公共団体はそういうような条例をつくって臨もうというところもあるようでございます。やっておるところもありますが、いずれにしても、実態をつかみたいということで、いま一生懸命になっておるところでございます。
  178. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 地方公共団体が住宅用地あるいは工業団地その他に対しまして、その地方の、何と申しますか、ほとんうに環境整備を正正堂々と行なうためにあっせんするというふうなことはあり得ましても、単に、いま竹田委員御指摘のような無分別なあっせんをするというような行為はやるべきでないということは当然のことでございます。この間の、おそらく見分けといいますか、区別がつけにくいというところに、そういうふうな声が聞かれるのじゃないかと思いますから、今後一そう、その地方公共団体の目的に沿うような立場においてやる行動以外は、そのような行動を誤りをもって起こさないように、十分注意してまいりたいと思います。  なお、地方公共団体の今後の公共事業を実施していきますについて、土地の取得ということが非常に困難になっておるということは、いま竹田委員御指摘のとおりでございまして、建設大臣からもお答えいたしましたように、公有地拡大の推進の法案もそのために本国会に提出させていただいておるような次第でございまして、資金面から、制度面から、できるだけ公有地拡大、整然たる環境整備のためになり得るような公有地の確保のためにつとめてまいりたい、かように考えております。
  179. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、この点、私、大蔵委員会で指摘をしておいたわけでありますが、金融機関にそのような無目的な、しかもこの時期に、そういうものを規制するようなことをお願いしておいたのですが、大蔵省としては金融機関に対してどういう措置をされましたか。
  180. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  181. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  182. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは検査のときに特にそのつど注意しておるという、銀行監査をやっているときに、それと関連して注意するという措置と、最近ではまた日本銀行を通じてこの問題についての指導をしてもらっておることと、また最近銀行局は各銀行に対してひとり土地問題だけではなくて、法人が株式所有することについてのいろいろな問題がございますので、それとあわせた指導を銀行にするという方針になっております。
  183. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次、物価の問題に移りたいと思いますが、公取の方にお願いをしておいたわけでありますが、コダック社が日本に対するコダックの写真関係のものを値上げしてきたわけでありますが、これに対する調査結果を御報告願いたいと思います。
  184. 吉田文剛

    政府委員吉田文剛君) お答え申し上げます。  長瀬産業から、コダックとの取引に関する国際的契約成立届出書、これは当委員会に提出されております。それによりますと、いままでのところ特に独禁法上問題となるような条項、内容は見当たっておりません。なお、コダックと長瀬産業は、書面による契約はこれ取りかわしておりませんで、両社の関係は事実上の慣行と口の約束、了解によっているとの説明を長瀬産業から受けております。なお、現在引き続いて両社の輸入代理店契約、それから今回カラーフィルムが値上げになりましたが、そういう実情については現在調査中でございます。
  185. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この間通産大臣は、こうした問題について輸入商社をふやせばいい、こういうことをこの席上でもおっしゃられたわけでありますが、しかし、国民が一番不満に思っている点は、国民の直接使用をする輸入商品、こういうものはなかなか値下げにならない、ここに非常に私は国民の不満があると思うのですけれども、輸入総代理店などというようなものが、いま公取事務局長がお話しになりましたように、正式な書面で契約が結んでない、口頭だけだと。しかも、おおむねこういう種類のものは輸入総代理店が一店しかない。こういうところに、こうした問題が私は起きてくるんであろうと思うんですけれども、まあこの数はたいへんな数だろうと思うんですけれでも、公取でもそれを一つ一つ調べるだけにいま体制ができてないんじゃないかと私は思いますけれども、ただ単に、輸入商社をふやせばいいというふうにおっしゃられたんですが、実際ふやすことができますか。
  186. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) いま三十三品目に対しては輸入割り当てを行なっておるわけでございます。これらのうち輸入業者の数が少ないものは現にふやしております。そのためには、また、輸入価格が消費者価格に反映をしないというものに対しては、新しい商社の参入を認めるということで拡大をしております。しかし、コダックのように有名商品の場合は総代理店が一つであるとか、それからまあサンキストレモンもそのとおりでございます。これはまあ電算機などを自由化を絶対にしないと、こう言ったときにIBMの世界市場における独占の問題を指摘してきたわけであります、私は日米の会談で。これは世界的な八〇%も九〇%もシェアを持っているようなものが自由化してきたら、力もあるし、下げるときは徹底的に下げてしまう。そしてほかの会社がつぶれれば、今度は引き上げは自由であるということは、これはとてもわれわれはそういうものに賛成しがたいということで、私は電算機の自由化というものには強く反対して今日に至っておるわけでございます。確かにコダックは去年のドルショックでもって下げたんです。円平価の調整で下げて、それで今度四月一日でございますか、五月一日でございますか、今度は一〇%上げると、こういうことを言ってきたわけです。それで長瀬産業に対して、通産省からも調査をしてみましたら、コダック社が二月一日からの輸入品に対して一〇%上げると、こういうことを言ってきたので、言っておるのはどういう理由なんだと——いや、とにかく向こう側がそういう通告をしてきておりますので、私のほうではいかんともなしがたいんですと、こういうことなんです。だから、これは自由化をされているものでありますので、自由化をされているものに対しても、その輸入総代理店が一社であるということの場合は、こういうことが間々起こるわけでありまして、これは公取のほうからいま述べましたように、いま調査中でありますが、どうも法律的にはどうにもならないという見解であります。まあこれはやっぱり商道徳というものに訴えなきゃいかぬわけですから、これは日米間の話では、これはもう直ちに私も一つのテーマとしてやろうと思っているんです。いろいろ私自身も興味を持って調査をし、こんなことなら困るということで調査をしておるんですが、大体日本におけるコダックのシェアというものが大体一三%ぐらいにきまった、これ以上ふえない。そうするともう雇客は定着をした、だから少しこれは高いウィスキーを飲むのと同じことであって、どうもコダックの製品というものはもう固定をしたので、ここで一〇%引き上げても客は減らぬと、こういうような考えで言ってきているんじゃないかということしか、われわれはいま考え至らないわけでございます。  しかし、こういう問題に対して全然このままほうっておくわけにはいきませんから、こんなことを認めれば、ほかもみんなやると思うんです。これはもう力の強い会社は当然そうやってくると、こういうことでありますので、通産省でもいま公取と連絡をしながらどういう手があるだろうということで、いま真剣に検討をいたしておるのでございます。
  187. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ手がないということが私は実態だろうと思うんですけれども、しかし、これから国際の自由化というものは一そう進んでくるわけでありますから、この点については手をこまぬいておられては困るわけでありますから、国民はそういうところに一番不満があるんですから、ひとつ——何か御答弁ありますか。
  188. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) これでコダックが引き上げて、国産メーカーにみんな引き上げられたら、これはもう目も当てられないことになってくるわけです。そういう意味で国産メーカーとは連絡をいたしました。コダックが引き上げても国産メーカーは引き上げないということを確約させておりますので、まあせめてものことと、こう考えております。
  189. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次は、農林大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、四月一日から米価の物統令ははずされたわけでありますけれども、したがいまして今後、米の小売り店というものも、スーパーあるいは百貨店、生協というところで売れるようになってきたわけでありますが、どうも農林省は、自由価格にしても、米を引き下げるブレーキをかけているというふうに私にはとれるわけでありますが、三月の二十三日に、それらの代表者を食糧庁に呼んで、十円以上下げてはいけない。こういうことでありますが、実際にはスーパー等では、当然そのくらいのものは一キロ当たりでも下げられていくと思うんです。何か食糧庁がそういうものの下ささえをやって——しかもこれは、国民の生活費に占める割合というものは決して低くないわけであります。そうした点は、前にお酒の六十円の値上げのときに、大蔵省の主税局が六十円ぐらいはいいだろうということで、それとなしに、お酒屋さんに値上げを暗示したと同じようなことだろうと思うんですが、こういうことを農林省はやるべきじゃないと思うんですが、どうですか。
  190. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 物統令を適用排除してから、下をささえて、あまり下げるなというようなことは指導はしておりませんけれども、どこかそういうことがあるんでしょうか。食糧庁長官にそういう実情等も御説明申し上げますけれども、そういうことは私はないというふうに考えていますし、そういうことを聞いておりません。
  191. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私ども、物統令ははずれても、米価は上がらないように各般の施策を講じておりますが、下ささえをするというような考えは毛頭ございません。ただ、御指摘の話は一部新聞等に出たのではないかと思いますけれども、私どもさっそく調査をいたしまして、新しく入ってくるスーパーとか、デパート等を集めまして、担当の課長が、やはり食管法のもとでの新規参入であるから、配給秩序等は厳正に守ってもらいたいという指示をいたしました際に、まあスーパーが目玉商品だとか不当廉売だとか言われるが、その限界はどこかというような質問があったようでございます。まあそれに対しまして、大体現在の政府の標準価格米で計算をしておるマージンからいえば、卸は大体このぐらいのマージンである、小売りのマージンはこのぐらいであるという計算があるから、それを大幅に割るというようなことになれば、あるいは不当廉売というようなことになるかもしれない。しかし、それは個々の場合に限って、何かあって初めて起きる問題であって、特に食糧庁があらかじめ何円以下下げてはいけないというようなことを意味するものではないと、かように説明をしたとのことでございます。したがいまして、何か新聞報道に誤解があったようでございますが、食糧庁が幾ら以上下げてはいけないと、こういうような指示はいたしておりません。
  192. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 下げてはいけないとは私はおそらく言わなかったろうと思うのですけれども、しかしほかの者が聞けば、やはりこれは食糧庁の企画課長も、十円以上はまずいという意味のことを言ったと、はっきり本人が新聞で言っているわけです。これはですね、それ以上は禁止だと言っているわけでは確かにないと思いますけれども、しかし、いままでの関係からいけば、これはもう明らかにそういうことを——十円以上は下げてはいかぬと、こういうことを言っているのと同じだというふうに解されると私は思うのですが、どうですか。
  193. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私もその新聞を読みまして、翌日さっそく課長を呼びまして、その真意をただしたところ、自分のほんとうの説明とは違っておるということでございましたので、新聞等にもその旨、話をいたして、説明をいたしております。誤解のないように今後とも業界を指導してまいりたいと思います。
  194. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それならば、長官ね、指示をし直したらどうですか。
  195. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) そういう指示をいたしておりませんので、誤解を解けばそれで足りると考えております。
  196. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも素直にお答え願えないんですけれども、私はこの点はあるだろうと思うのです。これは今後どうなっていくのか、私どもも監視したいと思いますが、そういう意味では、こういう工作まで——明らかにされないような工作までやっているということになりますれば、私は、物統令を廃止した以後の米価というものは上がっていくということは必然であろうと、こういうふうに思います。現実に、自主流通米というものは、次から次へと毎月のように実際上がってきているわけでありますから、物統令の廃止された後の米価というものは、私は当然上がっていくと思いますが、そこで統計局の局長さんにお伺いいたしますけれども、今回、四十六年から施行されました消費者物価指数、この指数は、私はどう見ても公共料金に対する評価というものがどうも低いように思うのですが、どうですか。
  197. 関戸嘉明

    政府委員(関戸嘉明君) お答えいたします。  いま先生御指摘の、公共料金のウエートが非常に低いんではないか、改定によりまして高くなった、低くなったという問題ではなくて、もともと公共料金のウエートが指数作成のときに低いんではないかと、このように了解いたします。私ども、公共料金というものをどの範囲でとればいいかということになりますと、いろいろ議論がございまして、一番まあ常識的にこういうものが公共料金であろう、しかしここまではやや無理だろうというようなもの、ボーダーラインのものが幾らかございます。私どもといたしまして、毎月発表しております指数におきます公共料金といった場合には、できるだけ常識的に皆さんにおわかりいただけるものを公共料金に取り上げる。いろいろ昨日先生からのお話もございましたけれども、たとえば政府がいろいろ料金に関与し得る商品、それも公共料金と考えていいではないかというような御指摘もございましたが、たとえば酒というようなことになりますと、一般常識的に酒が公共料金だというふうに入れてしまいますと、利用する立場のそれぞれの人によりまして、それが便利だという方もございましょうが、また、これが非常に不便だという方もおられると思うんでありまして、いつかのビジョン討論会等におきまして、私テレビを見ておりました場合にも、タクシーの料金が公共料金だと、これはもう常識になっておりますので、これは公共料金で別にそれほど疑問は出てこないであろう。こういうことで、私どもそういう観点からいたしまして、公共料金というものをつかまえていくのには、一般常識的に考えられるものを公共料金としたい。で、それのウエートは、先生も十分御承知だと思いますが、私どもの家計調査によります、家計支出上に占めましたその料金のウエートということ、金額のウエートということでつくっておるわけでございまして、全体で一万、総数一万にいたしまして、私どもがとっております公共料金のウエートは千二百五十七でございますので、一二%あるいは一三%というものが公共料金のウエートと、こういうふうになっておるわけでございます。いろいろ使い方によりまして、先ほどから申し上げておりますように、公共料金の範囲に入れてもいいというものが、一般常識的に安定いたしまして定着いたしました場合には、私どもそれらをまた公共料金の中に入れて指数計算をしていきたい、このように考えておりますが、目下のところ千二百五十七のウエートで、一万分のうち千二百五十七というのが公共料金になって指数を作成しておると、こういう次第でございます。
  198. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、酒を統計局の公共料金の中に入れろということを言っているつもりはないんです。統計はおそらく世界的な利用関係もあるでしょうから、そうした点から、統計局ではサービス関係の公共料金、これだけを公共料金として入れていると思うんです。こういう点から考えてみますと、たとえば自動車費などを考えてみますと、自動車の免許証の交付等は入れているわけです。ところが、有料道路の通行料金、こういうようなものはもう抜いちゃっている。しかし、現実にはこういうものがかなりこれからどんどんどんどん毎年のように多く占めてきているわけです。こういう私が考えつく一つを見ても、そういうものが抜けている。そういう点がありますから、どうも消費者物価指数というものが国民のはだに合わない、どうも低く見過ぎているんじゃないかという批判も私はその辺から出てくるんじゃないか。そうした点で、時代とともにそれは変わっていくだろうと思いますけれども、その辺はどしどしひとつ補正をして実態に合うようにしてもらわないと困りますが、どうですか。
  199. 関戸嘉明

    政府委員(関戸嘉明君) お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございまして、やはり私ども、生活の実態に即応したウエートを使い指数を作成するということが私ども統計局に課せられた任務だと思っております。で、先生も十分御承知だと思いますが、従来四十年を基準にいたしておりましたが、五年間隔で大体生活実態に合わせろということで、四十五年を基準にいたしまして指数改正をいたしました。その際にも、いろいろ廃止しなければならない品目、当然入れなければならない品目等におきまして国会におきましてもいろいろ御議論をいただきまして、いろいろの品物を入れたということもございます。ただいま御指摘のように、自動車の通行税でございますか、高速道路等に入りましたときの料金、こういうものは確かに消費者の中でだんだんふえてまいっております。私ども、いろいろの調査におきまして、そういったものが消費生活全体の中でどれくらいのウエートを占めるかということを客観的な資料として、私ども家計調査その他におきましてつかんでいく努力を重ねておりますので、そういうものが生活の中で大部分を占めるということになってまいりました場合には、それらを入れていくということで前向きに考えておる次第でございます。
  200. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 経企庁の長官にお伺いしたいと思うのですが、四十五年度の経済白書によりますと、公共料金のウエートを経企庁としてお考えになっている。その中には米、食塩、たばこというような、いわゆる統計局で公共料金の中に入れてないようなものを含めてやっているわけでありますけれども、この公共料金という考え方は非常に狭い範囲で考えておる。したがって、公共料金の消費者物価全体に及ぼす影響というようなものも、これは、そういう点で非常に低く過小評価をしているんじゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、この点、どういうふうにお考えですか。
  201. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) いま統計局から申し上げましたとおり、公共料金を狭義に用いる場合と広義に用いる場合、いま御指摘のウルチ米とか塩とかあるいはたばこ、こういうものは広義の公共料金の中に入れておりますが、私ども、その公共料金の消費者物価指数に対する影響というものを、ただいまのところ狭義に用いておりますが、これは決して、そういう意味で公共料金のウエートを軽くした意味ではございません。一応の統計上の分類として用いておりますので、それら全体を包含した消費者物価指数そのものに私どもは関心を持っていろいろ扱っておるわけでございます。
  202. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 今度は米が自由価格になりますが、今度、米はこの中から除くということになりますか。
  203. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 米の末端消費者価格は、今度物統令廃止で確かに除かれるわけでございますが、政府売り渡し価格の段階はやはり残るわけでございます。そういうこともございまして、まだ正式に、このいわゆる物価閣僚協議会における決定事項としてどういうふうに扱うかということはきめておりませんけれども、私どもとしては、やはりこの広義の公共料金としての扱いで当分はやっていったほうがよろしいのではないか、こういうふうに考えております。なお、これは今後また検討をいたします。
  204. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これはまだはっきりしないですか、抜くか入れるか、その点はどうなんですか。
  205. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) いま大臣から御説明いたしました広義の公共料金といいますのは、専売物資と食管物資でございまして、したがいまして、これは言ってみれば物価の、公共料金の扱いといたしましては、いわゆる物価閣僚協議会等によってきめるのではなくて、国会の承認を得るものもありまするし、あるいは閣議決定できめられるものもあるというような形になっております。ちょっと扱いが普通のものと違うわけでございますが、そういうこともありまして、広義の公共料金というかっこうにしておるわけであります。今回、末端の段階ははずれますけれども政府売り渡し段階は依然として残るわけでございますから、それから当然ある程度末端の価格は出てくるといいますか、関連をもってきめられるはずでございます。したがいまして、公共料金という形で広義の中に入れておいて差しつかえないのではないかと、私は考えておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、これはもう少しこれからの価格の動き等も見まして、その上で場合によっては検討いたしたいと、こう思っております。
  206. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういうお考えでしたら、いままでどうしてこれは小麦を除いたんですか。
  207. 徳永正利

    委員長徳永正利君) わかりましたか、いまの質問の要旨が。
  208. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) あの小麦につきましては、確かに公共料金という扱いをいたしておりませんが、これは申し上げるまでもなく、小麦そのもので流通するというものではございません。これから製粉をされ、さらにいろいろの製品になっていくというかっこうでございまして、末端ではパンであったり、あるいはうどんであるというかっこうでございます。こうなりますと、その間相当の段階がございますので、しかも、外食ということになるようなものも相当あります。そういうことで、ちょっと公共料金という形で扱うことは不適当ということで従来除いておった、こういうふうに理解をいたしております。
  209. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は、そういう点で、どうも経済企画庁の考えている公共料金、したがってその影響というものをなるべく過小評価する、こういう癖があるように思います。そのほか、たとえば酒も、先ほど私は例に出しました。その他住宅関係でも、分譲住宅なども統計上は確かにこれは入れるべきじゃないと思いますけれども、しかし企画庁は——考え立場では、こういう点もやはり考えなければ、ほんとうの意味で——庶民の公共料金という思想の中にはそういうものも入っているわけですし、またその影響というものは、おそらく白書で分析している以上に私は大きいものがあろうと思うんです。そういう点でこの辺はひとつ再検討をして、形式的ではなしに、実際上に影響のあるものは含めて、そして公共料金の物価への影響というものを考えてみる、この必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣どうですか。
  210. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 確かに、政府自身がきめるそういう公共的な物資の価格、それも消費者物価には大きな影響もございますし、また、国民の受ける感じといたしましては、普通の公共料金以上の価値を持っておりますので、そういう問題も並行して、公共料金の中で、一つの何と申しますか、カテゴリーとして考えていきたい、こう考えています。
  211. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 さらに物価については、お尋ねしたいんですが、時間がありませんから、別の機会にまたお伺いをしたいと思うのです。  自治大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、いままでの地方債の許可額と、それから計画額というものは一体どんなふうになっておりますか。
  212. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 計画額に対しまして、ワク外債等で最終的に決算額では増加いたしております。その数字につきましては、いま、調べさしておりますので、事務当局から答弁させます。——四十六年度は、計画額で一兆八百六十億でございますが、これに対しまして五千億程度のワク外債が出ておると見込まれておりますが、まだ精算額は出ておりません。四十七年度の計画額は一兆七千二百七十八億でございます。
  213. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私の調査では、たとえば、ことしと似たような四十一年をとってみますと、一般会計債だけで見てみますと、計画額が千五百九十六億、許可額が三千四百二十五億、実にその差は千八百二十九億、こういう数字が出てくるわけでありますが、四十七年度も、私はこの点で一般会計の計画額というものに対する許可額というものは、大きくなるんじゃないかと思うんですが、どうですか。
  214. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ワク外債等で、計画額に対しまして最終的な許可額というものは大きくなると思います。
  215. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 さらにお尋ねしますが、普通建設事業費のその財源内訳から見まして、一体、起債にどの程度依存しているのか。四十一年以降の都道府県、大都市、その他市町村、そうした数字がありましたらば、ひとつ御提出を願いたいと思うのですが。
  216. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  217. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  218. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま、手元に資料を持ち合わせておりませんので、後刻資料として提出さしていただきたいと存じます。
  219. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私の調べた点によりますと、大都市、それからその他の市町村の場合には、これは四十一年以降も非常に起債に対する依存率というものは高いわけです。都道府県の場合には、その依存率というものは非常に下がってきているわけでございます。私は、ここに一つ問題があるのじゃないかと、こういうふうに思います。したがいまして、その歳出中に占める公債費においても、都道府県の場合にはこれは下がっていくわけでありますけれども、大都市、市町村の場合にはこれが下がっていかない。こうなりますと、この大型国債発行を契機にして、私は、地方財政というものは非常に危機に追いやられる、こういうふうに思いますが、どうですか。
  220. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 都道府県の公債依存額と、それから市町村の公債依存額とでは、大都市を含む市町村に非常に多いと、都道府県のほうがむしろ少ないという御指摘でございましたが、私、いま資料を手元に持ち合わせておりませんので、もしそれが事実であれば早急に出したい。私が考えますのには、市町村は公営企業と特別会計の分を相当持っておりまから……
  221. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 一般会計。
  222. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 一般会計——それでございましたら、ただことしの財政運営につきましては、非常に一般会計の税収入が少ない、交付税も少ない。したがいまして、地方財源は非常に一般財源が少なくなっている。一方、社会資本の充実という需要、どうしてもこの需要を満たしていかなければならない。そのために公債の発行に依存せざるを得なかったというのが実態でございますが、このためにはぜひとも三千余りの各地方団体を、財政力に応じ、また弾力性を持っておるものに応じまして運営をきめこまかく行なわなければならないと、このように考えます。そのために、交付税におきましては、昨年度と同様の伸びまで交付するという額にまで引き上げさしていただきましたが、その交付税の分にあわせまして、市町村の主として起債にたよるべき分は弾力性を持っておる府県その他の都市でも、大都市等で運営していただいて、一般普通の市町村に対しましては、そういった起債にたよるような財政運営が行なわれないよう、健全な財政運営ができるよう、できるだけきめこまかく指導していきたい。このような方針で臨んでおるのが、四十七年度に対する私たちの指導でございます。
  223. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 新聞によりますと、自治省はもっと法人税の超過税率を適用して取れと、もしそれをしない場合には、交付税の配分を削るというような態度で臨んでいるというんですが、どうですか。
  224. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) そのような指導は、私は聞いておりません。また、聞きましたらそのような指導をせないように厳重に注意いたしますが、私は、ただいま聞くのが初めてでございまして、おそらく、そのような指導はいたしておらぬと思っております。
  225. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは渡海大臣、あなたのところで出された「改正地方税制詳解」四十六年度版、これに「このような」——略します、時間がありませんから。「このような自らの努力が先行してはじめて指定都市に対する税制上の特例について一般の支持が得られる」、前のほうには、ここに、こういうところ、こういうところ、こういうところは制限税率一ぱい取っているぞと、ほかも取れと言わぬばかりのことがこの「詳解」に述べられているんですね。これはどうですか。
  226. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私、その書きものを読んでいないものですから内容は知りませんけれども、いま事務当局から聞きましたところ、企業努力と申しますか、そういうふうな意味を含めて、そういうふうな記事が出たと、しかしながら、これは自治省の正式な見解でないという意味がいま事務当局からありましたから、後刻よく精査いたしまして、そういうことがございましたら、私の監督としてよく注意さしていただきたい。
  227. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がありませんから……。いままでの社会福祉的な仕事というのは大体市町村から始まっているわけです。児童手当にしてもそうです。老人の医療の無料化にしても市町村から始まっているわけです。そういう点について、いまの市町村財政というものでは私は非常に金が窮屈だ、やりたくてもやれない。公害病にいたしましても、厚生省の基準だけではとてもまかない切れない。だから、市独自で公害病にかかっている人の医療費を市のほうが負担しなくちゃならぬ。そういうような点で、特に市町村の行政費というものは、その地域の特殊性あるいは住民と密着しているというような点が非常に多いわけです。したがって、地方財政計画で示された費用だけでは、そういう項目の費用だけではとてもまかなえないというのが私は実態じゃないかと思うんです。そこで、土木関係には単独事業費という名目のものが財政計画にあります。私は、そういう意味でここで提案したいのは、行政費についても、財政計画の中に単独行政費というような項目を入れるべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点で大臣の御意見をお聞きして、また、こまかい点は、税制等については、あとでまたお尋ねをすることにして、ひとまずお答えをいただいて終わりたいと思います。
  228. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 住民に直結した行政を行なうのが地方公共団体の姿である、これは御指摘のとおりでございまして、そのために、一般的の水準を予定いたしました歳入、歳出の見積もりである地方財政計画より絶えず決算面におきましてはオーバーしておりますことは、地方財政を担当された経験のある竹田議員よく御承知のとおりであろうと思います。しかしながら、その額を予見し得る限りにおいて縮めていくことに、今後ともに私たちは努力しなければならないと思います。そういった意味から、単独事業費あるいは行政事務に対するところのそういった経費も地方財政計画の中にあらかじめ盛っていくということは当然のことであろうと思います。私たち、その他経費の行政費という姿で、公共事業費における単独事業費のごとく地方財政計画の中にも含ましていただいておるのでございますが、その額がおそらくそういった御要望にこたえるだけの額まで出ていないというところから、いま御指摘があったのでございましょうが、今後ともその他経費、その分の財源を充実できるように努力いたしていくことによって御了解賜わりたいと思います。
  229. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で竹田君の質疑は終了いたしました。明日は午前十時開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会