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1972-04-07 第68回国会 参議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月七日(金曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  四月七日     辞任         補欠選任      木島 則夫君     田渕 哲也君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 白井  勇君                 玉置 和郎君                 西田 信一君                 初村滝一郎君                 若林 正武君                 松永 忠二君                 矢山 有作君                 鈴木 一弘君                 向井 長年君     委 員                 小笠 公韶君                 長田 裕二君                 梶木 又三君                 川上 為治君                 楠  正俊君                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 内藤誉三郎君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 細川 護煕君                 矢野  登君                 山崎 竜男君                 山本敬三郎君                 山内 一郎君                 上田  哲君                 大橋 和孝君                 工藤 良平君                 佐々木静子君                 杉原 一雄君                 竹田 四郎君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 松井  誠君                 和田 静夫君                 塩出 啓典君                 三木 忠雄君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君                 岩間 正男君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        法 務 大 臣  前尾繁三郎君        外 務 大 臣  福田 赳夫君        大 蔵 大 臣  水田三喜男君        文 部 大 臣  高見 三郎君        厚 生 大 臣  斎藤  昇君        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        通商産業大臣   田中 角榮君        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君        労 働 大 臣  塚原 俊郎君        建 設 大 臣  西村 英一君        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  大石 武一君        国 務 大 臣  木内 四郎君        国 務 大 臣  木村 俊夫君        国 務 大 臣  竹下  登君        国 務 大 臣  中村 寅太君        国 務 大 臣  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        内閣法制局第一        部長       真田 秀夫君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        公正取引委員会        委員長      谷村  裕君        公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君        警察庁刑事局長  高松 敬治君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        経済企画庁国民        生活局長     宮崎  仁君        経済企画庁総合        計画局長     矢野 智雄君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        環境庁企画調整        局長       船後 正道君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        法務省刑事局長  辻 辰三郎君        外務大臣官房長  佐藤 正二君        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省欧亜局長  有田 圭輔君        外務省経済協力        局長       大和田 渉君        外務省条約局長  高島 益郎君        外務省国際連合        局長       影井 梅夫君        大蔵省主計局長  相澤 英之君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        文部大臣官房審        議官       奥田 真丈君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省畜産局長  増田  久君        食糧庁長官    亀長 友義君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    太田 康二君        通商産業省通商        局長       山下 英明君        通商産業省公害        保安局長     久良知章悟君        通商産業省重工        業局長      矢島 嗣郎君        特許庁長官    井土 武久君        自治大臣官房参        事官       立田 清士君        自治大臣官房参        事官       森岡  敞君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    説明員        外務審議官    安川  壮君        郵政省電波監理        局審議官     太原 幹夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十七年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十七年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。佐藤内閣総理大臣
  3. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 昨日上田君から、御意見をまじえてのお尋ねがございました。それにまずお答えをいたします。  なかなかむずかしい問題を幾つも提供されたように思いますので、簡単に申し上げるとこれまた議論を生む、かように思うし、それかと申して、全然答えないというわけにもいかないように思っております。  ところで、話の筋道から見まして新聞協会がつくったいわゆる倫理綱領、これが一つの問題であると私は指摘いたしました。しかし、この新聞でつくった倫理綱領、これは、どこまでも新聞協会そのものが判断されるのが最も権威のあるオフィシャルなものだ、かように解釈せざるを得ないと、かように私は、それまではよろしいように思います。私の見ところと、きょうも協会事務局長が声明をしております。それはだいぶ食い違っておるようですが、ただいまその議論をいたしましてもどうかと思いますから、それはしばらく預からしていただきたい。ただ、最初に、この新聞倫理綱領のできたその時期についての御議論がありましたが、そのできたときがいつであろうと、また、その補正がいつ行なわれようが、これはやはり広義に解釈して、法律全体がその範疇に入るものだと私は解釈しておりますから、さように判断できれば、同一の見解ができれば、たいへん私はしあわせに思います。  問題の点で、非常にむずかしいのは二つばかりございますが、この新聞綱領自身ができたいわれは、御指摘にもありましたように、わが国が戦後、民主国家として再スタートするにあたって、新聞人自身がみずからを規制されたそういう行動規範自己規制に基づくきびしいものであると、かように私は理解しておりますが、ここに情報化社会の発展があり、そうして、そこに言論の自由、報道の自由、表現の自由、それらがやはり保障されておる。お互いに話し合ってそういう結論に到達したものだと、かように私は考えております。したがって、やはり国民から申せば、新聞報道を信頼し、日常活動の指針としている点もこういうところにあるのではないか、新聞基本的態度、これを信頼するがゆえではないかと、かように私は思っております。このことを私は特に最初に申し上げて、どうかそういう方向であってほしいと、こういうことを申し上げたのでございます。ただ問題は、国家公務員法違反容疑を受けるというようなことになったことについて、これは率直な私の感想を申し述べたのでございまして、ただいまどういう事態になっておるか、これはただいま取り調べ中でございますから、これは国家公務員法違反容疑を受けておる、その段階だ、かように御理解をいただきます。  そこで、国益とは何か、また、秘密はどうしてきまるのか、こういう問題でありますが、国益議論は、これはなかなかむずかしい議論だと思っております。結論を申し上げますと、上田君からも、国益は、最後には何といっても直接間接に国民の監督のもとにある、国の進むべき方向を探究する過程において、おのずから国益の何たるかはにじみ出てくるものと思う、また国益は、そういう意味で最終的に世論が判定するものである、こういう御議論に対しましては、これは確かに傾聴に値する御議論だと思っております。こまかな議論は省略さしていただきます。  また、秘密はどういう方向できめられるか、これが一つの問題だと思っております。私は、ただいま取り扱っておる行政府自身がその秘密範囲をきめるものだ、かように思いますが、それだと申しましても、妥当性がなければそのきめ方について御批判を受ける、そうして、そういうものを改めていく。これは当然なことでございまして、民主主義国家において、そう何もかも都合のいいような秘密秘密と、こういうわけにいかぬこと、これは私にも理解できることであります。  まあ、あまりこれという答弁にもならないような答弁をいたしますけれども、私は今回の問題を顧みまして、いろいろの問題を含んでおる。そこで最終的には、いまの国益の問題あるいは国家秘密国益秘密、そういう問題は最終的な煮詰まるべき問題ではないだろうか、かように思います。  以上簡単にお答えいたします。
  4. 上田哲

    上田哲君 総理から、内容についてはともかくでありますけれども、とにかく答弁に苦労をされて、何とかひとつ形を整えて答えようという努力があったことは、半歩の前進だというふうに考えましょう。しかしながら、そういう立場で、ただいまの総理の御答弁の中には、少なくとも私どもがこれから、国益なりあるいは行政府の設定する秘密なりというものについて、討論をしていく出発点というものを与えられたということでは、大きくこれをとらえていきたい重大な御発言だったというふうに思います。  ただしかし、昨日委員会終了後に、私のほうの質問を具体的な文書にして提出を申し上げて、そして総理も、本予算委員会では初めてその答弁資料を補充されて御答弁をされたのだけれども、その誠意は認めるにやぶさかではないが、それにしてはどうも十分でないところがあり過ぎると思います。そこでもう少しく、もしそこに書いてあるのを読み落としたというのであれば、そういう部分も含めてきちっとお答えいただきたいと思うので、その点を申し上げます。  まず新聞倫理綱領、この新聞倫理綱領を私どもがまず問題にするのは、新聞倫理綱領とは、あくまでも各新聞社あるいは放送局を含めて、マスコミの内部できめた自分たちのモラルであり、憲章であります。歴史的に言えば、これが戦後の言論統制からの自由の解放の叫びであったということがあるわけです。これは、みだりに政治権力ないしは法律によって規制されてはならないのだ、そもそも踏み込んではならないのだというところに問題があるわけでありまして、一番初めの事務的なところで、統一見解が出られればたいへんけっこうだというお話があったから、それは納得しておきましょう。つまり私が申し上げたのは、この新聞倫理綱領ができたときには国家公務員法がなかった、だから新聞倫理綱領をつくるときには、国家公務員法を予想して、想定してつくったものではないという趣旨であったということを言っているわけです。それは合意に達するならば、そのことはそのことでけっこうです。  しかし、それはあくまでも細部の問題でありまして、先ほど総理は、新聞協会事務局長見解が出たが、この見解とは大いに違う、したがってこれについてはしばらく意見を預からせてもらうということでありましたけれども、いやしくも、根本的に新聞倫理綱領に向かって、法律解釈や、あるいは政府が、政治権力意見を述べるということ自体が、解釈を与えるということ自体が間違いなのでありまして、そのことについて、法律解釈屋である、解釈専門家である法制局長官が答えようとすることに、私たちは質的な言論の自由をかけての反対を先ほど陳述したのでありまして、今後とも、根本的な姿勢の問題として、新聞倫理綱領を持ち出されるようなことは政府側としては厳に慎んでいただきたいということを、まず  一つ申し上げておきたいのであります。  それから国益の問題であります。国益について、まず政府が持つ秘密については、みだりにきめるばかりが能ではないというようなおことばでありましたので、政府は一方的に秘密を設定する権限を全能に持っているのではないというふうに受け取っていいと思います。国益については、総理お話しになったのは、最終的には国民がきめるものである、こういうくだりの御説明がありました。どうもその部分だけ声が低くなったのでよくわかりませんが、そういう趣旨でありました。ということを結論的に申し上げれば、少なくとも国益とは、政府が一方的にきめるべきものではないということに理解をしていいと思いますが、それでよろしいかどうか。もう一つは、秘密ということと国益との関係というものが、どういう外延、内包の関係に立つのかということを、ひとつ明確にしていただきたい。  それから総理は、昨日の委員会のあとで記者に対して、今回の問題は報道の自由の問題ではなくて、これが政争の具に供されていることが問題である、そしてこれは倒閣運動ということに目的があるのであって、それならば断固戦うと言われたようであります。そのように報道されております。私どもは、もちろん野党として政府を追及する姿勢は根本的なものではありますけれども民主社会根底にある、基本的な立場である言論の自由の問題に対する政府権力介入という問題については、一政府命運ということをはるかに越える問題だと考えておりまして、倒閣ごとき次元における問題でこれは言っているのではありません。もっと大きな、民主社会命運をかける問題として議論をしているつもりでありますが、佐藤総理はこれを、政争の具である、倒閣運動であると言われたのは、一体どういうことでありましょうか。  最後に、もう一つ。本日の毎日新聞によりますと、問題になっております四百万ドルの問題が、二十九日付のデイリー・ニューズの電報の中に、三億二千万ドルの中に入っているということを認めたというふうに報じております。われわれはこの確実な裏を持った話ではありませんから、情報として電文でお話をすることになりますけれども、これについては外務大臣からでもけっこうですが、あわせてこれについての御見解をこの機会に承っておきたいと思います。  総理から、以上申し上げた点について明確に御答弁をいただきたいと思います。
  5. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まず第一に、新聞協会がきめられた新聞綱領、これを私はいま敬意を表して、新聞協会事務局長がその趣旨説明しておられるから、あえて異は唱えませんと、これはこれとして。しかし、私は私としての判断がありますと、かように申しました。何だか、新聞協会がきめたんだから政府がそれを批判することは権力介入だと、こういうおしかりのようですが、これはとんでもないことではないでしょうか。私は、新聞協会は最も常識の府として、これは良識の府である新聞協会人言論の自由を守る、そういう立場から断固言論の自由の宣言をされたと、かように私は理解しております。したがいまして、そういうものをだれが批判しようと、また、それが政府であろうと政府でなかろうと、そういうことは自由じゃないでしょうか。また、そういうことを喜んで受けるだけの、それはもう基本的な問題があるんじゃないでしょうか。  私はその意味で、いま上田君の御指摘になりました第一点、私の考え方をはっきり申し上げておきます。私は別に、これによって言論の自由を圧迫しようとか、あるいは言論の自由を制限しようとか、また表現の自由について関与しようとか、さような意図は全然ないことを、この機会にはっきり申し上げておきます。しかし私は私なりに、新聞協会がかような綱領をつくられて、そうして言論の自由を守られておる、それについては敬意を表しながら私の所見を述べていると、かように御理解をいただきたいと思います。  第二の問題。私は、国益という問題、これはなかなかむずかしい問題でございます。結論から申せば、最終的にこれは国民がきめる、かように申し上げたとおりでございます。またその秘密、それはどうしてきまるのか、こういうことですが、これは、私はただいまのように政府がみずからきめる、その行き過ぎがあれば、これは皆さま方から御批判を受けることにやぶさかでないと、かように申し上げておりますから、誤解のないようにお願いしておきます。  そうして、第四点の四百万ドルの件につきましては外務大臣からお答えいたします。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 三億二千万ドルの中に問題の四百万ドルが入っておるんだと、こういうような報道があるよしでありまするが、私はまだその報道に接しておりません。おりませんが、いまお聞きした範囲内で申し上げますと、さような情報があり得ようはずがない、こういうふうに思います。
  7. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 上田君、簡単に願います。
  8. 上田哲

    上田哲君 総理の御答弁がまるっきり落ちておりますから、残念ながらもう一ぺん立ちましてさらに御見解を承ります。  新聞倫理綱領の問題は、何びとがこの新聞倫理綱領議論することも自由であります。総理もまた自由であります。しかし、私どもが問題にしているのは、法律解釈対象として新聞倫理綱領を、つまり、法律の禁止しない限りと書いてあるところがこういう法律をさすものであろうなどという解釈を、政府の側から有権的になさることは間違いであると、こういうことを申し上げているのであります。これが、そうあたりまえだと言っては、民主社会は、言論の自由は根底から破壊されることになる。つまり、政府法解釈範囲でなければ言論の自由がないということになるのでありますから、尊重されると言われるならば、政府の有権的な法解釈対象にされてはならないのだということをはっきりさせていただきたい。これを御確認いただきます。  それから国益の問題について言えば、はっきり私は伺っておきたいのは、まず秘密はみだりにきめるものではない、これはこれでいいです。それから国益については、国益は最終的に国民がきめるものだと言われたことは、いろいろ長いことばをお使いになりましたけれども、少なくとも政府が一方的にきめるものではないのだというふうに受け取ってよろしいですねと申し上げております。もう一つは、それは手続と言いましょうか、成り行きの問題でありまして、国益とはその中身は何かということも問題です。これはひとつ、お答えになっていただけるならお答えになっていただくし、しからずんば、しかるべき機会統一見解として、これはいざこざがあってもいけませんから、しっかり御答弁いただいてもけっこうでありますけれども、そのことが、だれが最終的にきめるのかということと、何を基準に何をきめるのかということとは違いますから、そこはちょっと、いまは区別しております。法制局長官、いいですね。  それからもう一つ総理が全く落とされたのは、きのうの会見で、今回の問題は政争の具であって倒閣運動である、それならば断固戦うと言われたということの真意は何か。どんどん答弁が落ちますと、また立たなきゃなりませんので、ひとつゆっくり正確にお答えいただきたいと思います。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの法律あるは第一に書いてある制限項目、その法律は列記はされておりません。そのことは、私も新聞綱領を読んで、どの法律だけだと、かようには私は考えておりません。ここに私の相違があるのでございます。何か、わいせつ罪だけは除外するのだ、こういうような事務局長の談話が出ていたようですが、私はその点は、どの法律は除外するのだとか、どの法律範囲に入るのだとか、そういう議論はしない、これが私の考え方でございまして、これが事務局長との相違でございます。  それで、倒閣運動云々お話がありましたが、私は倒閣運動に利用されていると、そこまでは話をしておらないはずです。私は、政争の具に供された、こういうことは申しましたが、倒閣運動ということば使っておりません。もし倒閣運動というようなことばがどこかに出ておれば、それほど新聞記事は間違ってくるのです。私の指摘したいのはそういうことなんです。倒閣運動というようなことを私は申しておりません。
  10. 上田哲

    上田哲君 じゃ、政争の具という意味を言ってください。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はやっぱり政争の具ということは、これは国会で議論になって、そうしていろいろ論議される、それがやっぱり政争の具に使われていると、かように私は表現しておる。これがやっぱり政争の具でなくてあるいは政争の論議でなくて何でしょう。
  12. 上田哲

    上田哲君 言論の自由ですよ。
  13. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 言論の自由にしろ何にしろ、これはやはり野党の使われるところは、ただ言論の自由として意見を述べるだけじゃない、私はかように考えます。  それからさらに最後国益の問題ですが、私はこれは国益は最終的には国民が決定する、こういうことはたいへん意義のあることだ、かように考えるからこれはよく検討すると、こういう意味の話をいたしました。だが、最終的にその方法は一体どういうことかと、こういうことにもなりましょうから、それまでこういう場所においてこの問題が取り上げられ論議されること、これはやはり国論の動向を見きわめるそのゆえんでもあろう、かように思いますので……。
  14. 上田哲

    上田哲君 政府が一方的にきめるものではないと思っていいのですね。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さようでございます。これは政府がきめたのだから一切さわらさない、こういうものではございません。その点は御批判あってしかるべきで、そして最終的に国民大衆の支持するところできまる、かように私は思います。
  16. 松永忠二

    ○松永忠二君 委員長
  17. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 関連でございますから……。
  18. 松永忠二

    ○松永忠二君 聞きのがしのできないことが一つあるのです。
  19. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  20. 松永忠二

    ○松永忠二君 政争の具ということについては、これはとてもじゃないが、こんなことばをわれわれは承知はできませんよ。この問題を参議院が取り上げ、衆議院が、われわれ社会党なり野党が取り上げているのは、これを政治の争いの道具にしようとしているのではないので、これはもう明らかにわれわれがいま主張していることは、いわゆる秘密はありといえども、できるだけ国民に知る権利を確保するために、ある一定の時期には正しくこれを国民に訴えていくべきものである、いわゆる知る権利の保障をすべきであるという、この点について、政府秘密外交ではない、機密はあるが秘密外交ではないと言っているけれども、われわれはむしろ、これは四百万ドルというものを実は提供しながら、向こうが提供したかのごとく印象を与えている、また事実そうなっているそのこと自体秘密外交ではない、そういうことでは、国民が正しく知るという権利を保障することはできないのではないか。国民は、政治のこまかいことを関知をし承知をし、そうして政治を監視をするところに初めて政治の正しい運営がなされると、こう考えているがゆえに、この四百万ドルを中心とした電文の内容の問題を議論をしているのであります。何も、これを政争の具にしているのではありません。また、その後蓮見事務官が逮捕され、あるいはまたこれが懲戒免され、あるいは西山記者が逮捕をされたことについては、われわれはやはり、取材の自由、つまり表現の自由が認められるならば報道の自由は当然うらはらに認められなければならないし、その報道の自由を確保するためには取材の自由が確保されなければできないという意味から、これは表現権の自由を確保すること、即、同時に取材の自由を確保することになるという立場から、西山記者を逮捕するということは行き過ぎではないか。しかも、教唆の事実などということを、もうすでに政府の考えている内容が明らかになっているのに、その書類がどこに行くとか、どこから来たかということにまで関与して、それを逮捕しているということになれば、明らかにこれこそ取材の権利を侵害するものである。  しかも、正しいことをやったならどんどん言ったらどうだなどと言うようなことは、取材に秘密があるということは当然承知しながら、そういうことをあえてこの場で言うということは、明らかに総理の、取材権の問題についての認識に誤りがあると指摘をして議論をしているのである。何も、これをわれわれは政争の具に供しようとしているのではないのであります。正しい国民の権利を主張し、正しい政治を実現をし、そのための報道の自由を主張しているのに、何が一体それが政争の具ですか。そんなことをまた聞くことが、一体行き過ぎだなどというようなことを考える疑義があるならば、この問題の本質を全く見誤って、みずからそんなことをこの中に考えているから、そういうことを言うのでしょう。われわれは、そんなことを考えてこの問題を取り上げているのではないのであります。したがって、政争の道具に使ってこれを国会で問題にする、そういう考え方を持っているから、閣僚の中にも、こんなつまらぬことは早くやめたらどうだなんというようなことを言わざるを得ないようなことになってくると思うのです。こんな基本的な問題を明白にしなくて、何が一体国会の役割りを果たすことができるでありましょうか。それを、野党が政争の具にしている——私は倒閣のあれとは言わぬというが、それと同じことで、政争の具などということは、ことばの行き過ぎであったということを、あらためて言明をすべきである。当然なことですよ。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政争の具ということばがたいへんお気にさわったようですが、これは、もしお気にさわったら、それを取り消すに私はやぶさかでありません。私が申し上げたいのは、新聞報道というものは、ちゃんと自分たちが持っている新聞紙があるのです。どうして新聞記事にならないのか。新聞記事にならないで、それがわざわざ野党の諸君のところに出ていく、そういう資料が行くという、こういうところが問題なのです。私は、新聞紙に堂々と出ているなら、これは、いわゆる政争の具だとかなんとかいうようなことばは使わない。その点を私は申し上げている。これはもう、ニューヨーク・タイムズでこういう類似の事件があり、そしてそれに判決がありました。アメリカと日本との場合は違ってはおらないのです。私が申し上げるのは、そういうことなのです。だから、われわれが報道の自由、知る権利、そういうものはやはり一つの機関を通じてではないか、かように私は思いますので、そういう点を大事にすることがやはり秩序をつくるゆえんだと、かように思うから、だから私は、いまの不適当なことばがあれば、そういう点を取り消すにやぶさかではありません。
  22. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 昨日に引き続き、大橋和孝君の質疑を行ないます。(発言する者多し)大橋君、質問を続行願います。お静かに願います。お静かに願います。
  23. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 きのうに引き続いて、吉野局長が来ておられるようでありますから、吉野局長にひとつピントを合わして質問さしていただきます。  吉野局長は十二月の十三日の衆議院の委員会において、あらゆる重要な問題は全部電話をもって本省と連絡をしておるので、書類というものは一切ないと言われておるが、間違いありませんか。
  24. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) その点は誤りございません。(発言する者多し)
  25. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 やかましい。質問できぬじゃないか。  そうしてまた、一面には、四百万ドル云々の問題に対しても何にもないと言っているが、間違いないですね。
  26. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 昨年の十二月の七日及び十三日におきまして、政府委員といたしましてこの問題に関していろいろ答弁さしていただきまして、その間におきまして、私としてはあとで議事録を読み返しますと、はなはだ表現に不適当なものがあったということは認めます。ただし、たとえば電報があったかどうかと、こういうことにつきましては、あえて弁解さしていただきますならば、まず第一に、われわれの記憶はそれほど完全なものでなかった、それから第二は、いずれにせよ、このような機密にわたる内容の電報は、われわれの外務省内の慣行といたしましては、その存在すら明らかにすることでがきない、こういうような立場にあったわけでございますし、またさらにその内容自体が、相手方もあることであるし交渉のやりとりでもありますし、またこれを、この存在を認めることによりましてさらにいろいろ問題が紛糾いたしますと、日本の対外的な信用も失墜する、こういうような私の主観的な考慮から、そういうものはないと、こういうように否定した次第でございます。  この点につきましては、私としても責任を感じておりますし、また非常に不穏当な点がありましたことはお詑びいたします。
  27. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 そうすると吉野局長は、実際にはそういうものがあったけれども、いろいろな配慮でもってうそを言った、とにかく現実と違ったことを言ったということだけは間違いないですね。
  28. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 電報があったか、なかったかということにつきましては、そういうものは一切ございませんでしたと、この点につきましては、残念ながら事実と違うことを申し上げた、こういうことは確かでございます。ただし、たとえば四百万ドルの交渉とか、その実質問題につきましては、われわれとしてはうそを言ったということは一切ございません。また特にあの質問の経緯は、初めメモがあったとか秘密協定があったとか、こういうような形で始まりまして、そのようなことはいまでも絶対ございません。
  29. 矢山有作

    ○矢山有作君 委員長、ちょっと。  簡単明瞭に聞きますから、簡単明瞭に答えてください。  いま私どもは、交渉経過云々を問題にしません。ただ交渉経過を示すようなメモか、記録か、文書か、何かがあっただろうと言ったときに、あなたは、一切そんなものはない、口頭電話でやったのだと、明確にこれは否定したわけです。このことは明らかに国会をだまかした、国民をだまかした。これは認めるのか、認めないのか。簡単に言ってくれ、もうほかのことは言わぬでいいから。
  30. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 電報の点は、明らかに私が事実と違う発言をいたしました。
  31. 矢山有作

    ○矢山有作君 「事実と違う発言」じゃだめなんだ。うそを言ったのか、うそを言わぬのか。みんなにわかることばで言ってくれ、いいかげんなことを言わずに。うそを言ったなら、うそを言ったと。
  32. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) うそということばになりますと、われわれも守らなければならない主観的な国益というものもございますから、したがって、事実に違うということを申し上げた次第でございます。これをどのようにお解しになっても、これはやむを得ないと思います。
  33. 矢山有作

    ○矢山有作君 委員長
  34. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢山君、簡単に願います。
  35. 矢山有作

    ○矢山有作君 局長、事実と違うということは、みんなにわかる平たいことばで言うならば、うそを言ったということなんです。うそを言った責任をどうとる。あんた責任をとるとるって、口先で言ったんじゃだめなんです。内閣のまねをして、責任を感じております、責任をとりますだけじゃだめなんだよ。一政府委員が国会に行って、うその答弁をした。その責任のとり方だよ、その責任の。
  36. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 責任の点につきましては、私は一公務員でございますから、私の身分につきましては、上司にすでに処分をおまかせいたしております。
  37. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま吉野局長からお答え申し上げたように、昨年の沖繩国会で、電報をちらつかせるがごとき態度で議員の方からいろいろと質問があったわけです。その質問に対して、メモの点、これは私はなかったと思います。あるいは正式の記録があったかということ、これもなかったと思う。それから裏取引があったか、これはありません。そういう点は、私は吉野局長の言うとおりだと思います。ただ、愛知・ロジャーズ会談と本省との間に何か電報があったかと、こういうようなことに対しまして、これは電話でやっております、こういうようなお答えをしておる。これはいま吉野局長から言ってるとおり、事実に違っておる、こういうことがはっきりしておるわけなんであります。  しかし問題は、交渉の経過というものはこれは非常に機密を要する。これが一々漏れるということでは相ならないわけです。そこで、委員の質問に対しまして吉野局長は、これは申し上げられません、そういう答弁をすれば、これは問題はないことだと思うんです。それが、電話で全部やっておりますという点は、これは妥当を欠いたかと思うんです。しかるがゆえに、吉野局長も私に対しまして、まことに遺憾なことであったと、そういうことを申し述べておるわけなんです。私も、これらのことにつきましては妥当を欠いたと、こういうふうに判断いたしまして、衆議院の委員会におきましても、また本委員会におきましても、これははなはだ遺憾なことであったと、こういうふうに申し上げておるわけであります。その遺憾なこと自体が起きたその責任につきましては、私は、行政内部の規律に即しまして私が処置をすると、こういうふうに申し上げておるわけでありますから、それにて御了承のほどをお願いいたします。
  38. 矢山有作

    ○矢山有作君 もう一つだけ関連。
  39. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢山君、簡単に願います。
  40. 矢山有作

    ○矢山有作君 あのね外務大臣、吉野局長がうそを言ったことは、あなたもその当時、吉野局長の言ったことを肯定されたことによって、あなた自身もうそをついたことになる。吉野局長だけの責任じゃないのですよ。これは、吉野局長のうそを言ったことを、そのとおりだと肯定した大臣の責任なんです。うそを言ったということについては同じ。  しかも一体、国会でうそを言うということはどんな重大なことか、認識があるんですか。少なくとも国会は国権の最高機関でしょう。その国権の最高機関たる国会で、重要な外交問題の論議をやっておるんですよ。そのときに、公務員の立場からするならば、少なくともうそを言ってはいかぬでしょう、うそは。公務員の服務は、うそを言ってもいいことになってますか。そうなってない。ただ公務員がうそを言った場合に、それを直接どうこうするという法律の規定がないから、これは私にまかしてもらいたいという、いいかげんな答弁で済まされることは納得ができないんです。このほうが国家公務員法違反の問題より重大なんです。国権の最高機関である国会をだまかした、国会でうそを言った、国会審議を妨害した、それが吉野局長のやったことなんだ。それを助けたのがあなた。その責任は、一公務員法違反の問題よりもはるかに高い次元で重大な問題なんだ。この責任を明確にしてもらいたい。この責任を明確にしないで、ほかのほうに問題がすりかえられているのだ、今度の問題は。私どもは原点に立ち返って、その内閣の責任、そしてまた高級公務員が国会でうそを述べた、国会を愚弄した、だました、その責任をまずきちっと整理をしてもらいたい。そこから問題を発展させなければいけない。どうなんですか。
  41. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私がただいま申し上げました限度において事実と違ったことを申し上げておる、こういうことは私もよく承知しており、また、皆さんにもそのとおり申し上げておるわけなんです。その責任の重大さにつきましては、これを深く遺憾とすると、こういう政治的な責任の表明をいたしておるわけなんです。また総理みずからが、過ぐる予算委員会におきましては、それらのことも含めまして所信の表明をしておる。そういうような事態で、決してこの問題を軽々視しておるわけではございませんから、とくとひとつ御了承のほどを願いたい、こう申し上げておるわけであります。
  42. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いまの議論を聞いておりますと、たとえば議員が国会に対してうそを言えば、これは懲罰の対象になりますね。そういう規定があります。ところが、政府の大臣なりあるいはまた高級官僚がうそを言っても、規定がない。これは一体、おかしい。それじゃ法的解釈でどう法制局長官は考えておられるか。
  43. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) お尋ねがございましたが、たとえば議院証言法というような規定がございまして、証言を求められた場合に、拒んだり何かする場合の処罰の規定はございます。そのほかの場合は、法律問題と申しますよりも、いままでお聞きになっていたことの判断をどうするかということであって、法律的にどう処理しなければならぬかという問題ではないと思います。したがって、私がここで御答弁申し上げる筋合いの問題ではないように考えます。
  44. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 法的解釈では、何にもしなくていいという法制局の考えですか。
  45. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 法的にこうしなければならぬという規定はございません。そのことを申し上げております。
  46. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それじゃ法制局長官は、法律的になぜそういうものを対象としなくていいと考えるか。
  47. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) ちょっと御質疑の内容をつかみかねておりますので、あるいは見当違いの御答弁になるかもしれませんが、私がお答え申し上げる立場から申しまして、法律上これをどうすべきか、たとえば議院証言法みたいな場合について、一定のきまりがあるものについてはそのことを申し上げますけれども、これについて法律上きまりがあるものがあるわけではございませんので、私が申し上げる立場にないと、こういうことを申し上げておるわけです。
  48. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃ、ひとつ総理考え方をただしておきたいと思うのですが、たとえば英国あたりでは、この間のキラーの問題なんかを見ましても、国会にうそを言ったということが非常に大きな問題として彼は責任をとった、とらされた、こういう状態ですね。私は、いまのこの問題で、議員あたりにはまだ規定があるけれども、少なくとも政府の高級官僚あるいはまた政府の大臣各位が、国会に対しては絶対にうそを言わないものだ、忠実に国会に尽くすものだという前提で、いろいろな規定はしなくていいという状態になっていたんじゃないかと思いますが、その点どうなんですか。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの新しい憲法下において、三権分立のもとで、それぞれがそれぞれの分野を守っていく、お互いに侵すようなことがあってはならないと、かように思っております。したがいまして、私は衆議院の段階において、この問題を含んで私の所信を表明したのもそういう意味からでございます。私はその統一見解で、実はたいへん遺憾の意を述べておる次第でございますから、それで御了承いただきたいと思います。  ただいまお尋ねになります件は、おそらく行政府がどういう行政処分をするか、その行政処分は政府におまかせくださいと、かようにただいまの段階では申し上げたいのでございます。
  50. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 先ほどからぼくは申しているように、こういうふうな政府の高級委員が、あるいはまた閣僚が、ことに外務大臣が、同じようにやはりこの事実を知っておりながら、こういううそを言ったのを認めていく、こういうようなことがしばしばあってはいけない。私は二度と繰り返すべきじゃないと思うのですが、こういうことは、そういう観点から言えば、この問題をすりかえた形でいくのじゃなしに、悪いところは悪いと、必罰をちゃんとしなければ、やはりまたこれが繰り返されるという心配のもとに、法的にこれをどう処理するのかということを私は尋ねているのです。その行政的に云々だとか、政治的なレベルじゃなしに、法的にこれをどうするかということを、ひとつ、ぴしっと正していただかなきゃ、そういうことについてこういう問題は何べんでも繰り返されるのではないか、私はこれを非常に憂えるわけであります。少なくとも、うそとか、事実を隠していくとか、こういうようなことがどんどん行なわれたならば、これはもうファッショと同じことなんです。考えたら何でもやれるということになる。これは絶対に許してはいけないということが民主主義じゃないか、また、議会の民主的なルールではないのか、こういうことを考えますと、この問題をおまかせください、あるいはまた遺憾と思いますと、これでは私は許すことはできないと思うのです。だから、法的にこれをどうしていくということをぴしっと出して、今後そういう類似なことは政府委員といえども十分注意をしなければいかぬという、この気持ちをぴしっとしていただかなければいかぬ。この問題は、私は重大な問題だと思います。総理見解を聞かしてください。
  51. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは外務部内で起こった事件でありますから、私からお答え申し上げますが、国家公務員法に照らしまして政府において責任のある処置をとります。
  52. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 この問題は、先ほどからも矢山委員からも言っておりましたが、こういうことをやっているときには外務大臣おったですね。そのときは認めておったわけですね。吉野局長が言っている答弁を、あるいはうそ言っていると思ったならば、なぜそこで正さなかったのか。言うなれば、あなたも責任があるじゃありませんか。むしろ教唆的なものだ。だからあなたは、それに対して何と責任をとりますか。
  53. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、弁解するわけじゃありませんけれども、あの席上で初めて何か電報があるらしいということをちらちらとちらつかせられ、こういうことがあるのかなというようなことを、まあ薄々感じもし、疑問も持ったということなんです。私が最も信頼する局長です。その吉野局長の言うとおりであろうというふうに考えたこと、これは事実でございますが、私は何も国会に対して、良心において何か違うことを言っておると、こういうことじゃないのです。しかし、私も最高の監督者としての責任は、これは今日は感じております。これはまあ部内のこと、外務部内のことは私は外務部内において責任を持って処断をいたしますが、私がそういう最高の責任者であるということについては深く遺憾の意を表明しておる。そういうことであり、また総理も、そういうことも含めまして先般衆議院でわざわざ所信の表明をしておる、こういうことなんですから、まあひとつその辺で御了承願いたいと、こういうふうに申し上げておるわけです。
  54. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連。最後です。
  55. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ひとつ、矢山君、簡単に願います。一問だけ。
  56. 矢山有作

    ○矢山有作君 いま外務大臣はあいまいなことをおっしゃったけれども、あなたが言われておることを言ってみましょうか。横路委員がこう聞いているのですよ。前の経過は抜きますけれども、「私は何も共通のメモなんて言ってない。共通のメモなんて言ってない。日本側のですよ。」、こう言ったら、あなたは、「日本側にいたしましても、アメリカ側からこういう要求があり、これに対してこういう答弁があり、またアメリカからこういう話があった、そういうことを一々記録をいたしておらないと思います。」——あなたは、吉野局長と同じように口裏を合わして、そういうメモだとか文書だとか電報だとか、そういう記録的なもの一切の存在を否定しておられた、明確に。だから、あなたは吉野局長と共同正犯ですよ。この責任を私どもは言っている、それで、しかもその責任に対して、あなた、所信表明をしましたとか、遺憾だとか言いましたが、あなた方は刑事罰に直接かからないから、遺憾でございます。所信表明をいたしましたで済む、そうして、ほこ先をそらして、国家公務員法を発動して刑事訴追をやるというやり方が悪らつだと言うのです。まず人の責任を追及するなら、自分みずからの責任について、えりを正した処置をみずからとりなさいよ。それをやらなければいかぬと言うのです。それをやらないでおいて、どこに政治の姿勢が正されますか。それが一点。  それから、あなたがけしからぬのは、これから政府答弁をするときに政府の役人どもに知恵をつけた。何かというと、そういうものは一切ございませなんだと言ったのが悪かった、その問題については答えられませんと言えばよかったと、こう言っているわけです。これは、政府職員に知恵をつけた。しかも、もし大事な問題について、すべて、答えられない、答えられないという論法で政府職員がこれから国会答弁をやったら、国会審議が進みますか。国会審議は形骸化してしまいますよ。これは、そういう悪らつな陰謀まで秘めて、あなたは政府職員に知恵をつけている。こういう責任は許せませんよ、これは。
  57. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先般の沖繩国会における答弁を思い起こしますが。バリと東京との間の往復につきましてメモがあるか、記録があるかと、こういう質問であります。それに対して、吉野局長から、それはありませんと、こういう答弁をしておる。なお、それに関連いたしまして、私も外務部内の仕事のしっぷりというものはよく見ておりますから、それについては一々記録はないはずだと、そう思っております、また、記録等もとってはおりません、そういうふうな答弁がありますから、そのとおりに私は信じ、そのとおりにお答えをいたしておる。ただ、そのとき、電報があるのかないのかということは私は聞かれておりませんから、その点だけは、はっきりひとつ御了承おき願いたい。  それから第二は、私が外務当局に対して知恵をつけた、しかも悪知恵をつけたというお話でございますが、そうじゃないですよ。これは、当該問題、問題になっているこの問題につきまして、あのとき、これは漏らすわけにはいかない問題である、であるから、これは漏らすわけにはいかない問題であるという意識のもとに、これはお答えできません、こう、はっきり申し上げればよかったものを、そうじゃなくて、そういう事実はありませんというようなお答えをしたことは妥当でなかった。しかし、漏らすことができない問題である。それをどういうふうにお答えしようかと、いろいろ政府委員も考えたことだと思う。その結果、事実はありませんというような表現をした。そういう表現をしたことは遺憾なことであった、こういうことを申し上げたわけなんであります。したがって、不規則発言ではありまするけれども、矢山さんが言っておる、答えられませんと言えばよかったじゃないかと、あなた自身が言っているが、そのとおりのことを私が言っておるのであって、悪知恵をつけておるというようなことは言い過ぎじゃあるまいかと、そういうふうに思います。
  58. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まだ外務大臣はそのときには知らなかったからと、これはもう六月の話なんです。それだからして、あなたは外務大臣として、そういうふうなことが取引されておったし、また別に、裏にそのようなことがあったということは知っておって、あなたはこの十三日の日には——十二月十三日ですから、半年たっているわけだ。それであって、まだ知らないでそれを言っておったということを、まだぬけぬけ言うことは、私はこれは非常に疑義があると思います。ですから、私は、もう時間がありませんから、よけい追及はいたしません。あとからまた、ほかの委員がやると思います。ですけれども、こういうことが明らかになって、あなたは事実と違うことを言ったということを認めておる。事実と違うことを言うということは、うそを言うことだ。うそを言ったということで、うそを国会に対して言ったということは、いま言ったように非常に重大問題である。この問題をいいかげんにしておいたのでは、私は、これからの民主的な議会の運営もめちゃくちゃになってしまうと思うのです、この問題が一つくずれてしまえば。私は、それだからして、今度だけは責任を明確にとってもらいたい。その明確な責任を、いっどういうふうにとるかということは、少なくともここで明らかにしておかなかったならば、今後の議事が進まないのじゃないですか。もう、もとがくずれてしまって、うそっぱち言ってもいいということが認められているような議会で、まともにわれわれがものを言って、ものが通りますか。こういう重大な問題だとすれば、そこでどうしてもあなたのほうが、いついつまでに出しますというくらいのことを国民の前に言ってあたりまえだと思うんです。それで初めて、この議会の運営、委員会の運営というものがスムーズにいくと私は思うんです。少なくとも重大な決意でこれを答弁してください。
  59. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは私からお答えする限りじゃございませんけれども、すでに衆議院の予算委員会でそれらの問題を含めて総理大臣が所信の表明をいたしておる、これで御了承願い得る問題であると、かように考えております。
  60. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 簡単にやります。  衆議院で、これ、済んでいるんじゃないですよ、私は、いまここで、あらためてこれを問題にしているんです。私の言うことは、あなた認めないんですか。おまえの言うことは要らぬことだ、衆議院で済んでおる、と言うのか。私は、そんなことを言われるんだったら、絶対これ、納得することはできない。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまのが政府の責任だと、その政府が責任をとれと、こういう事柄については、私が衆議院の段階で閣議の一致した所信表明をいたしました。これでその点は理解されております。  ただいまのお話は、あるいは外務当局に対する処分の問題だと、こういうことで外務大臣にいろいろ聞いておられるならば、これは外務大臣も決意すること、もちろんそのとおりだと思っておりますが、その点では、まあしばらく時間をかしていただいて、そして最終的な結論を出すと、必ず皆さん方の御期待に沿うような処置をするだろうと……。
  62. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 総理は責任を持ってくれますね、それであるならば、ぼくは引きさがります。
  63. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、外務省の問題ではございますけれども、これは一体の関係でございますし、私は外務大臣とよく相談して最終的な結論に達します。
  64. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 大橋君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  65. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、杉原一雄君の質疑を行ないます。杉原一雄君。
  66. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 冒頭に、報道の自由並びに取材権の問題について若干の時間をさいて首相の答弁を要求したいと思います。  先ほどの見解表明の中で、日本新聞協会事務局長の談話等について私は見解を異にするものがあるけれどもそのことはここで明らかにしません、こうおっしゃったわけであります。私は、そのことと加えて、きょうの朝刊に、読売だったと思いますが、日本新聞協会の会長の白石さん——京都新聞の社長だそうでありますが、この綱領をおつくりになった世話係だそうでございますが、この方の談話も実は載っているわけであります。その談話は、きのうの首相発言等について、新聞綱領等について、明らかに政府は、権力の座にある政府権力による介入をしたんだ、このことについてきびしい見解表明が実はあったので、総理はお読みになっていると思いますが、先ほどの事務局長見解に対する見解並びにいまの会長の見解に対する考え方を明らかにしてほしいと思います。
  67. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府は、言論の自由、これに政府権力介入さす考えは毛頭ございません。もしさような誤解があるならば、そういう意図のないことをはっきり申し上げておきます。
  68. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ただ、きのうの発言なり、会場の雰囲気等から考えて、やはり新聞の道を歩いている人たちにとっては非常に無言の圧力を感じていることは間違いないと思います。それは、単に主観的な問題として投げかけることのできない、やはり政府新聞界、総理新聞記者との力関係の問題等がございます。こうしたことについて、報道の自由なり取材の自由等についての若干の総理見解をお聞きしていく前に、繰り返し総理が言っていることは、西山記者が蓮見さんからニュースをとった、そのことを新聞を通じて発表すればいいじゃないか、そのことを堂々とやらないでと、このことを繰り返し、きょうもおっしゃったわけであります。しかし、そのことは、総理が言う新聞発表の形態というのは、どういう条件を整えたることをもって新聞発表とみなされるのか、まず、その辺の条件をひとつ明らかにしてほしい。
  69. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどの答弁で不十分だったのは、事務局長が言っていることと私の言っていることは違うと、こう申しましたのは、事務局長は何か、わいせつ罪その他一、二をあげて、そういう法律は尊重するがというような言い方のようです。けれど、私は、大体法律できめられるものは全部入るのじゃないか、この法律倫理綱領の適用外だと、こう言われているんじゃないと、かように思いますから、私はその点では事務局長の言われていることはやや私と考えが違うと、こういうことであります。  また同時に、いまの杉原君のお尋ねでございますが、私は、新聞社の方も、やはり自分のところの紙上でそういう報道、取材したものが載る、また、それが表現されると、こういうことは望ましいことではないだろうか。もしも、それが自分のところの社の新聞に載らないで他で利用されておると、こういうことがあっては、これは違うのじゃないだろうかと、かように私思いますので、その点を声を大にして申し上げておる。この点は私は当然だろうと思うのですよ。毎日新聞の方は、毎日新聞のために、やはり社業の発展のために記者に給料を払っていらっしゃると思うのです。その方がせっかく働いたのが、よそのほうでその材料が使われるということになれば、これは幹部の考えとは違うだろうと、かように思いますから、私は、そういうことで堂々と紙上でそういうものが載るという、そういうことが望ましいのではないかと、こういうことを申し上げておるんです。
  70. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それで、総理ね、先ほどぼくが言ったことはお聞き取りにくかったと思いますが、新聞に発表するという条件はどういう形のことをおさしになるかという質問を実はしたけれども、それはまあ総理お答えにならなかったわけです。これはどうでしょう、これは編集局長が警視総監と談話をしておいでになる中で、毎日紙が去年の六月十八日に、「米、基地と収入で実とる」と、「請求処理に疑惑、あいまいな〃本土並み〃、交渉の内幕」と、その内幕暴露記事が載っておるわけです。この記事は首相もお読みだと思いますが、「(政治部・西山太吉記者)」と署名入りで載っているわけです。これは繰り返し編集局長もあらゆる機会で言っているわけですから、これを総理は読んでいるだろうと思います。それで、これ、まあ公の場でございますから、何を言っているかわかりにくいと思いますから、私はいま問題点になっている外務大臣の責任問題等も含めて考えていただきたいのは、西山記事は非常に勇気を持ってこういうことを記録しておるわけです。「四つの懸案のうち、VOAを除いて、すべて日本側の要求が通った形になっているが、このうちの対米請求に対する「自発的支払い」(見舞金)については、不明朗な印象をぬぐいされない」、こう書きながら、中ほどで、「日本側は三億一千六百万ドルという対米支払額に見舞金の四百万ドル(この額に頭打ちしたこと自体が問題)を上乗せし、ちょうど三億二千万ドルという切れのよい数字にしたのではないか。そして、米側は、議会で「四百万ドルは日本側が支払った」と説明して、その場をしのごうとしたのが実情ではないのか。」——ここらからは非常に用心深い表現をしております。「ただし、そう説明するためには、日本側から内密に〃一札〃とっておく必要があったはずである。」——この「一札」が電文であります。「交渉の実態は、大体こんなところである。」、こう書いてあります。でありますから、西山記者は、せっかく苦労して、新聞記者はみなそのような苦労をしているということを上田君なり田君等から事情を聞きましたが、たいへんな苦労をしてこれをニュースを手に入れて、それを首相がおっしゃったとおり、新聞記事に載せているわけです。他の新聞記者の皆さんから意見を聞きますと、あの記事を読んだときに、西山君はたいへんな努力をしてたいへんなものを取った、政治記者として高く評価すべきだというのが新聞記者同士の間の評価だったということを、あとの話でございますが、伝えられているわけです。でありますから、総理が終始繰り返し強調しておる、新聞記事に載せている、いない、発表の方法等の問題について、いま申し上げたことによって、すべて歴然としております。このことを総理は承知しておいでの上のお話だと思っておりましたが、どうもうなずいておられるところを見ると、御承知でなかったようでありますが、その辺のところが明らかになったこの時点において、総理はこうした問題に対する考え方を何ら訂正する必要はないのかどうか、その点を明らかにしてください。
  71. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事柄は昨年の六月のことだと、こういうことですが、私はそういう記事が載っていたということを、いま頭に記憶はございません。また、ショッキングな記事だと、かようにも当時は考えておらない。問題は、この国会になりまして、参議院でまた衆議院で、これ、問題になって初めてこの事態を認識している、かような状態でございます。
  72. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 これ、お読みください。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この記事はたいへん大きい見出しの記事であり、署名入りでその責任の所在も明らかだと、かように思います。しかし、これが当時問題にならなかったのはどういうわけだろうかと、かように私もふしぎに思うのでございます。
  74. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 私に対して挑発みたいな感じですけれども、そのことを根拠にしてわが党の諸君が沖繩国会で論陣を張っているわけですよ。そこにヒントを得ているわけですよね。そのことを、あなたまだそういう言い方をされるとちょっとぐあい悪いんじゃないですか。問題にしているわけなんです。それに対して答えが違っていたということなんですよ。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはいま読まされたということでございまして、私自身記憶がないことは——ないんです。それだけは御了承いただきたい。これは記事になっていて、当時、しかしこれはなっていれば、私が言っていることは違っていると、堂々と新聞記事で争うべきだったと、かように私は思います。だから、その点は記事になっていたので、私の考え方を訂正しろとおっしゃれば、これは記事になっていた、そのことを私も認めます。はっきり申し上げておきます。
  76. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 だから、きのうきょうの総理のいろいろな発言の基礎になっているのは、新聞記者がニュースをキャッチしたら、新聞紙を通して堂々と発表しなさいということをおっしゃっていたわけでもあり、いわんや、きのうの廊下における異様な記者団会見の中におきましても、毎日新聞の編集局長を名ざしをしながら、あえてそういうことを言うならば堂々と戦う決意があるという戦争宣言をまあ平和首相がおっしゃったわけですから、これなども、先ほど、たいへんな発言だと私は思いますが、それは単に中谷編集局長に対する戦争宣言でなくして、総理の目当てはどこにあったのですか。あくまで目的はそれ一つしかなかったのですか。戦争には敵がありますからね。ぼくは防衛庁長官やったことないけれども、そういうことなんです。だれが敵なんですか、これ。
  77. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中谷編集局長が、これは政府権力介入であり、これは言論の自由に対する挑戦であると、かように思うと、こういうのが冒頭の書き出しでございます。私も挑戦を受ければ、当然その挑戦に対して防衛の姿勢をとる。これが自衛隊の姿勢でもございます。(笑声)御了承いただきたい。
  78. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それではね、論点を展開いたしますが、総理新聞、マスコミが今日のような民主主義の近代社会においてどのような任務とどのような責任を持っているか、その総理新聞観なり、マスコミ観というものを、簡単でようございますから、一応はっきりしてください。
  79. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 最近の民主主義の国民に定着をした、これにはマスコミ、新聞記者、記事、これはたいへん貢献があったと、かように私は思っております。大体、敗戦国、ドイツ、日本、これがマスコミの最も自由な国だといわれております。最も制限を受けるのがイデオロギーの強い国だと、かように表現されております。だから、まあ共産主義の国ではそれは統制されておる、かように理解しております。
  80. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 で、私たち理解では、マスコミ、新聞報道陣の責任、任務というものは、報道の自由であることはもちろんでありますが、その別な任務として、特に政府の動向なりを監視する、あるいはきびしく批判する、これもまたマスコミに課せられた重大な義務であると、このように理解いたします。その辺は総理どうですか。
  81. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、とにかく表現はあるいは不適当かと思いますが、やはり新聞、これ反骨精神がないとやはり記事の公平が保てないということもあろうかと思います。私はやっぱり記事が公平でなければならぬ、偏向しては困る、かように思います。私は秋の新聞週間、それにはたびたび招待を受けて、みずから顔を出したこともございます。私は、その倫理綱領というものはそういう意味において非常に役立っていると、かように思っております。これは高く評価しておる、このことをつけ加えさしていただきます。
  82. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 関連して。  先ほど総理は六月十八日の毎日新聞を見られて、あなたは前言を取り消したわけですね。いままで、西山記者はそういうニュースを手に入れたならばそれは自社の新聞で書けばいい、そういうことを西山記者はやっていないからけしからぬと、いままで言い続けてきたわけですね。それを取り消したということになれば、あと西山記者のどこが悪いのですか。なぜ告発をし送検をしなければならないのですか。身柄を、そういう意味では、さっそく釈放すべきだと思います。どこに原因があるのですか。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも私が西山記者を逮捕しているような言い方ですけれども、私は逮捕しておりません。これはいま検察当局、警察当局が取り調べている段階でございます。これは疑惑のあるときには警察権が発動する、あるいは検察権が発動する。これは当然のことだと思います。だから、その疑惑を晴らすことが必要なんじゃないか。そのことを早く晴らされると、これが明確になれば、これはもう青天白日の身になるだろう、それをまた心から願っている一人でもあります。
  84. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 竹田君、簡単に願います。
  85. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、総理はいま検察がそういうふうにして身柄を拘束しているということが、これは間違っているとは思いませんか。
  86. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは思いません。
  87. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほど政府の動向の監視あるいは批判をする、それも当然のマスコミに対する義務であると私は言ったのでありますが、総理はまともにそれを答えないで、公平の原則を訴えたのであります。ただ、うしろのほうにいま三権分立の話が出たのでありますが、報道の自由性というのが、特に民主主義社会において立法、司法、行政という三権の分立はもとよりでありますけれども、学者の定説では、新聞報道の自由性はその三権に並ぶ第四権であると、このような主張が行なわれております。首相の見解を求めようとは思いません。われわれは敗戦のとうとい経験によって憲法を持っております。この憲法のもとに、国民立場から言うならば、政府国民に知らせる義務があります。報道機関は政府情報の提供を要求する権利があると私は思います。国家の機密はどこでそれを判定するか、行政レベルだと繰り返し外務大臣が言っている。私は、国家の機密は同時に国民の機密である、国民の納得のできないようなその種の機密は機密としての位置づけは間違ってくるんじゃないか。たとえばアメリカにおいて、先般来上田君が指摘しているベトナム関係の国防総省の文書が暴露されたときに、そのことが裁判ざたになり、判事はこのことに対してこのような判定を下しておるのであります。——この文章が公表されたことで、国務省や国防総省の役人は困惑するでしょう。しかし、国民のすべてに知る権利がある以上、役人はある程度その困惑を受容しなければならない——裁判官でございますから、かなりその点やわらかく表現をしておりますけれども、こうした事実、民主主義国家の範としておいでになるアメリカ等に出る明確な判決であります。わが国内におきましても、博多駅のテレビ・フィルムを提出せよというあの問題をめぐって、学生運動の過剰警備を描写したテレビ・フィルムを新聞関係が拒否した事実がございます。それは、報道機関に対して押収、捜査を行なうことは、単なる物件の押収ではなく、思想の押収であるということを福岡地裁のほうから見解を表明いたしております。軽々と記者を逮捕し勾留することは思想の逮捕、勾留であると私はそのことを置きかえてもよのいではないでしょうか。だから、今日の西山逮捕事件の問題をめぐって、いま一度政府は、先ほど申し上げた立法、司法、行政、そして報道の自由性という第四権的な存在としてこの点を明確に把握しながら、今後の対処方を特に要望したいと思うのでありますけれども総理はいままで私の言ったことをお聞きになって、お考えがもしあるならば、この際、お述べをいただきたいと思います。
  88. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御意見は御意見として伺っておきますが、ただいま捜査の段階であるということだけ御了承願いたいと思います。(「公安委員長に聞いてみろ」と呼ぶ者あり)
  89. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 公安委員長
  90. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 西山記者の逮捕の件でございますが、これは蓮見外務省事務官が先日警視庁に出頭いたしまして、そうして秘密文書を西山氏に手交したという自首がありまして、蓮見氏を調べておる段階で西山記者の行為が国家公務員法百十一条に該当する行為であるという、違反行為としての容疑がきわめて濃厚になってまいりましたので、任意出頭を求めて捜査を始めましたのでございますが、その捜査の過程で、逮捕をして捜査を続ける必要があるという見解に立って逮捕したわけでございます。
  91. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 一応この問題は後ほどの、……。だれかやりますか。
  92. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょっと関連。(「きりがない、委員長」と呼ぶ者あり)
  93. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢山君、簡単に願います。
  94. 矢山有作

    ○矢山有作君 大きな声をするなよ。重大な問題なんだからね。
  95. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢山君、質問を続けてください。
  96. 矢山有作

    ○矢山有作君 国家公安委員長にお伺いしますが、西山記者を逮捕したのは国家公務員法の百十一条によってやったわけですね、あなた方は。われわれはこれはきわめて不当だと思っているんですよ。しかしだ、百十一条によって逮捕しておって、そうして蓮見事務官なりあるいは西山記者との関係というものはもう明確になっているわけだ。それをなぜ検事拘置までしなければならぬのか。それがおかしいと言うんですよ、われわれ。しかも総理大臣は、問題の最大点として今日までずっと発言され続けてきたその点は何かといったら、西山記者が取材したものを報道にあげなかったことが悪い、それをどこかに流したのが悪い、その点を総理はいままで悪い悪いと言い続けてきた。ところが、その点については、ただいまの質疑で明らかになったように、十分西山さんは報道にこれを利用しておる。だから、総理は自分の認識の誤りを認めたわけです。そうすると、そこで問題は終わちゃう。あなたは早く釈放しなければだめじゃないですか。何のためにいままで拘置しておる。けしからぬ。それこそ人権侵害なんだよ。そういう警察行政をやることが人権侵害なんだ。国家公安委員長の責任どうなるんだ。
  97. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。  国家公務員法百十一条違反に該当する容疑が濃厚であるという見解に立って捜査を進めておるのであります。その捜査がまだ終了いたしません間は逮捕を続けざるを得ないのであります。それは捜査の過程でございますから、いまこの場で申し上げるわけにはまいりません。
  98. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 これから残された時間をこういうテーマで進めます。昭和四十四年の五月発足いたしました新全国総合開発計画——新全総のいろいろな問題点を明らかにして、この問題の今後の方向について手さぐりをしてみたいと実は思います。  冒頭に、去る二月一日、本会議において自民党の江藤議員が代表質問をなさった一節があります。速記録に即応して申し上げます。「新全総は社会資本を先行的、先導的に投下するための基礎計画であり、あわせて民間の投資活動に対しても指導的、誘導的役割りを持つものであるとしております。しかし、」——これからが大事だと思います——「実際にはこれがなかなか行なわれておりません。公共投資の実態を見まするに、ほとんど目前に対応する施策であって、いわゆるあと追い的に投資をしております。その結果は産業及び人口の集中地帯に投資が片寄り、かえって過密過疎現象を助長する結果ともなっております。先行投資は国土の価値を高め、やがて還元されるものでありますから、国民全体の資金と蓄積を活用して先行的投資を重点的に行なうべきであると思いますが、政府の御意見を伺います。」そこで、総理が答えていわく、「次に、国土総合開発計画の強力な実行による過密過疎の解消や将来にわたる経済成長を維持するための基本的方策、さらに土地政策等につきまして、江藤君からいろいろ御意見を述べられ、そうして、豊かな社会をつくるようにという御希望が述べられました。これは、他の機会にゆっくりと意見の交換をいたしたいと思います。」と、これは首相と江藤さんの間では納得のできる答弁だと思います。しかし、われわれ野党議員も同席をしておったわけです。きわめて重大な問題の提起を江藤議員がなさったのにもかかわらず、総理は、あとでゆっくりとお話をすると、こういうのでは、議会人であるわれわれはどうもわかりません。そこで、きょうこれからそのことについて総理並びに所管の大臣に明らかにしてほしいのであります。  それは、いま申し上げたように、新全国総合開発計画が手始めされましてから満三年近くたちました。しかし、江藤議員が指摘するとおり、さまざまな問題の行き違いやひずみが出てきている。この点は一体どういうことなのか。  第二点として、それが出る原因——原因はあると思います。機構、方法、手段等につきましてもいろいろ問題がありますが、こまかいところは経済企画庁長官が答弁することといたしましても、総理は、大づかみにしてどのようなことが原因になっているか。  同時に、このときの答弁の中で、企画庁長官は、だから、新全総のことにつきましてはいま総点検を開始しているという答弁をいたしております。私は、そのような答弁では、後ほどあっても承知しませんから、総理として、担当閣僚に対して、どのような新全総に対する修正、改正、改定等についての高い次元の指示をなすっておられるか。ただ単に総点検しなさいなどというようなことはおそらく佐藤総理立場からおっしゃることはないだろうと信じておりますので、この三点、現象、原因、総理としての高い修正への指示、内容等について御披露いただきたいと思います。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、今日までいろいろ産業開発、これと取り組んだこと、これはそれなりに私も評価されてしかるべきだろうと思います。しかし、ただいまのような計画そのままを続けてまいりますと、その計画によってもたらされる幾多の問題を提起している。その問題の最もはなはだしいものが、いわゆる公害問題であります。だから、これから開発計画を立てる場合に、幾ら産業の地域的配分だとか何とか申しましても、ただいまの公害問題を抜きにしてはこれはできないことであります。これらの点について詳細にそれぞれの官庁がこれに対しての対策を立てるべきだ、こういう指示はいたしておりますが、そういう意味で新全総が新しく計画を見直し、樹立されるわけであります。ただ単に積極的な工場誘致あるいは分配、そういうだけの問題でないと、かように御承知願いたいと思います。
  100. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 予期したように抽象的ですが、ただ公害とか具体的なことを一、二指摘されているわけですけれども、本会議答弁では過密過疎の現象等が出ていることなども指摘されておるわけですが、そうしたことについてもう少し総理のほうに情報が集約され、内閣では統一的な判断をしておられると思いますが、もっと具体的に現象的な問題を分析することと同時に、あわせてその根本にある原因の問題についてやはりはっきりつかまないと、指示も何も出てくるものではおそらくないと私は考えるわけです。その辺、もう一度総理答弁を掘り下げた形でできないものでしょうか。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) やはり、基本的には、産業の分布、これがいわゆる新全総の骨子をなすものであります。そういう場合に、ただいまのような点を考えて、やはり不都合があってはならない。最近の鹿島灘あるいはむつ開発等々、次々に問題がございまするから、それらの計画に対しての十分な用意をしなければならないと、これが一つ大事なことだと思っております。この問題においてやはりこれからまた問題になりますのは、水をどうして確保するかとか、いろんな基本的な問題があるだろうと思います。労務や住居の問題はもちろんのことでありますが、そういう産業立地条件の確保に、いままで考えなくてよかったものに加えて、ただいまの公害という問題もあること、これをいま簡単ではありますが追加して申し上げたような次第でございます。
  102. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは、経済企画庁長官から、新全総に対する今日までの基調というものはこれは明らかに文章になっているわけだし、それを進める過程においてどのような問題があって、しかもその原因は何だということとあわせて、あなたは、先般、だれかの質問に答えて、総点検をするとおっしゃったわけですから、総点検以前の問題として、今後改定の作業をどういうシステムでどういう機構で改定しようとしておられるのか、そしてそうした作業には作業目標があるはずですが、そういうことを担当長官として明らかにしていただきたいと思います。
  103. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 大筋は総理お答えしたとおりでございますが、先般本会議で江藤議員からの御質問、これは、私は、新全総の結果の批判よりは、むしろその前の旧全総計画に対する御批判がおもであったかと思います。御承知のとおり、新全総計画は、昭和四十四年から始まりましてまだ二年間、これは昭和六十年を終点とする長期計画でございますから、まだ新全総計画の成果をかれこれ言う時期ではないと思います。したがいまして、旧全総計画の反省というものは、これは大いに私どもやらなければならぬ。拠点開発主義にのっとったああいう開発方式が、いろんな点で非常にまずい点が露出しております。まず第一には、この産業開発重点ということが私は生活重点に置きかえられるべきだと思います。したがって、地域開発の真の目的は、やはり地域住民の福祉であるということが眼目でなければならぬ。それが、産業開発、経済成長の急激な段階におきまして、ともすれば生活関連施設が非常に手おくれになったという点に旧全総計画の大きな欠点が出てきたのではないかと思います。  したがいまして、そういう旧全総計画の成果と反省の上に立ちまして新全総計画というものが確立されたわけでございますが、しかし、その後におきましても、この数年間における経済社会情勢の変化というものは非常に大きいものでございます。まず、第一に、計画策定当時に比べますと、経済成長というものがわれわれの予想以上に急激かつ高度のものであった。また、それにつれまして、それから出てきましたいろんな社会的障害、この中には国民のいろんな意識の変化もございましょうが、そういうような変化、それが特に重要になってまいりましたのは環境問題への対応でございます。したがいまして、新全総計画の総点検におきましても、旧全総計画のはっきり申し上げれば欠点、新全総計画では取り組み方のまだまだ足りない点、そういうものを踏まえて新全総計画の総点検をやろうとしておるところでございます。  したがいまして、新全総計画の総点検におきましては、いま申し上げましたようないままでの成果と反省の上に立ってこれを見直すということに重点が置かれるわけでございます。
  104. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そこで、企画庁長官に——長官ちょっと待ってください。点検をなされる場合ですけれども、点検には各省庁にひとつ点検をお願  いしますということで終わるわけでもないだろうと思うから、こことこことこことということで、点検の手段と申しますか、目標と手段とを指示されていると思いますね。それは、どういう目標と手段とそのプログラムですね、それをお示しできないでしょうかね。それで、最終的にいつごろをタイムリミットにしてそうしたものをきちっとするかということですね。これは地方行政の関係ともいろいろ関連してまいりますし、その辺のところをこの席を通じて明らかにしていただけないでしょうか。そこまでいっていなければ、しかもまた、マル秘ならいいですわ、また逮捕されるとおそろしいから。
  105. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 大体、私どものもくろみでは、ことしじゅうに、おそくともことしじゅうに、その総点検の取りまとめをしたいと思います。もとより、経済企画庁から指示する立場にはございませんが、特にいま申し上げたような環境問題、あるいは産業の分散配置の問題、これは当然環境庁を中心とし、また通産省とよく協議して進めることでもございますし、また、農業との農工合体——一体と申しますか、そういう面については農林省が主になって考えていただくというような、それぞれ所管に応じて十分調整をはかっていきたいと、こう考えております。
  106. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 これは私から言う筋合いのものでございませんけれども、焦点をしぼれば、いま総理のおっしゃった公害、住宅の問題、水の問題と、こう現象的に分ければいろいろあると思いますが、これをもう一度機能別に分けていけば、あるいは財政金融の優先配分の問題とか、あるいは公共・民間の今日までとってきたPPBS方式というものがはたして効率的であったのかどうか、こういう問題、つまり、政府の働く場がもっと強く大きくなっていいんじゃないかという問題もフランスのごとく出てくるだろうし、あるいは広域行政の問題等についていろいろまた種々検討をしておいでになると思いますが、その辺のところもどうなっているんだろうか、あるいは、土地問題、こういう問題等が幾つか想定はされるわけです。ただ、私は、これは後ほど閣僚の皆さんから打ち破っていただければ非常にうれしいのでありますが、旧全総、新全総、こうしたものを通じて、私は新都市計画の県段階における専門委員をしておった関係もありますので、かなり期待と結果とについてのズレが大きいのでありますが、突き詰めていけば日本は後進国的な条件にあったわけです。その日本が、いま、高度成長、GNP第一主義、生産第一主義ということで、じゃんじゃんと馬車馬のように走り出した。それが結果的に——それは総理も非常に気に食わないことだと思いますけれども、東南アジアに向かって大きな膨張をした経済力が進出していくと、結果的には、満州事変のような状況によって防衛問題と関連をしてくるのじゃないか。だから、ある学者がこういう警告を発しているわけです。新全総の行き着くところは東亜共栄圏であり、東亜共栄圏方式は終着駅は戦争だと、こういう結論すら出している学者がありますが、私はまだ十分胸の落ち着くところまでその議論には納得を与えておりませんけれども、そうした危惧の面が出ているわけです。こうしたことに対して私、午後、問題別によって——問題というよりも現象的にあげながら整理をしていきたいと思いますが、午後の討論の柱を示しておきます。  第一点は、旧全総と新全総との移り変わりの段階で、これこそ岩上知事でないけれども、鹿島灘の開発、それは農工両全であり、かつまた人間性の勝利であると岩上知事が胸を張って県民に公約したわけですが、この現状の問題、続いては、いま新全総の最大の期待とエネルギーを集中されようとしているむつ小川原湖の巨大開発の現段階、加えて農政の観点から八郎潟の現状の問題、こうした問題をめぐって、それぞれの個々の現象を通じて、いま、抽象的に、公害だ、土地問題だ、過疎過密だということでなしに、それぞれの進行形の状態のところにおいてどの種のなまなましい問題が起こっているか、私も情報を持っておりますけれども、それでなしに、皆さんが真剣に行政をして指導していかれる立場からこの種の問題を掌握しておられると思いますから、そのことを午後に問題に分けてお伺いし、その集約としてもう一度最後に新全総のたどりつつある問題点を浮き彫りにしていきたい、このように私は考えておりますので、許された時間の中でその問題の論議をしていきたいと思いますので、午前はちょっと時間がこれでないようでありますけれども、終わりたいと思います。
  107. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、杉原君の質疑の途中でございますが、午後一時再開とし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩      —————・—————    午後一時九分開会
  108. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、杉原一雄君の質疑を続行いたします。杉原一雄君。
  109. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 午前の終わりごろに予告をいたしておきました問題点にしぼって時間が短いですから問題の焦点を明らかにしていきたいと思います。  第一点としては、先ほど申し上げた旧全国総合開発計画昭和三十七年十月五日決定の分について、その計画の進む最終的な段階において、鹿島工業地帯の開発の問題が大きく取り上げられ、特に茨城県知事が自信を持って立ち上がったこの計画が、今日の時点において、あるいは、黒沢町長との間に取りかわした公害の未然防止の問題緑化地帯の造成の問題、いろいろ公約をして、知事も全力をしぼってがんばったはずだと思いますけれども、今日の時点では、必ずしも皆さんが期待する方向に進んでいないだろうし、それは、問題としては、公害だけでなしに、農民、漁業のあるべき姿がいろいろ期待を裏切った形で出ているのではないだろうか。そうした問題点について、とりあえず企画庁長官のほうから概括的な報告をいただき、補完的な意味において各経済関係大臣から指導、行政の立場からどのような状態になっているか説明があれば、幸い問題が明らかになると思いますので、とりあえず企画庁長官のほうから概括的な報告をいただきたいと思います。
  110. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) 御承知のとおり、鹿島地区の開発は、旧全総計画に基づいた開発でございます。もうすでに十余年を経まして、昭和五十年を目標にしておりますが、まあ概観すれば、立地工業も相当入っておりますし、工業生産はほぼ順調に進んでおると見ております。ただ、この鹿島開発の総合的な成果と申しますか、そういう面を率直に申し上げますと、まず、就業機会が増大したこと、これは統計をとりましても、昭和四十年の一これは県の統計です、四五%から六二%に就業機会が増大しております。また、所得水準の向上、これは昭和四十年から四十四年にかけて七七%から八一%に増大しております。また、交通施設と社会資本が整備されておる。これは一つのメリットと見ていいと思います。ただし、その反面におきまして、生活関連施設の整備が非常に立ちおくれております。すなわち、その進捗率はわずかに二四・四%、それに対しまして生産関連投資の進捗率が七六・七%、こういうところに旧全総計画による鹿島開発の非常に反省すべき点があったかと思います。したがいまして、それに基づく公害の発生、また農工両全のおくれというものが、ただいま相当顕著に鹿島開発の面にあらわれております。  以上、概括だけ申し上げました。
  111. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 鹿島工業地帯には、工場施設の建設と排水処理施設とかまた公害施設の建設との間に時期的にズレがありましたために公害問題が起きたことは事実でございます。これは、水に含むシアンの問題、それから粉じんの問題等々いろいろございましたが、共同処理施設等をつくりましたりしまして、現在では公害基準にもとるような状態ではないわけでございますが、しかし、国、茨城県、市町村等と十分連絡をとりながら万全の対策をとっておるわけでございます。しかも、この鹿島工業地帯というのは大きなプロジェクトでございますし、これからの工業地帯整備とか下北半島等の問題に対しても、この現象を十分参考の資にして、再びこういうことのないようにしなければならないというふうに考えております。  それから工業地帯のまん中に取り残された住宅部分がございますが、住宅に不向きであるこれらの地帯の住民に対しましては、住民の意向も十分しんしゃくしながら適地に移転するようにいま計画を進めておるわけでございますので、一時指摘をせられたような鹿島工業地帯の公害問題というものに対しては、おおむねめどがついておるというのが現状でございます。
  112. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 御承知と思いますが、鹿島工業地帯を開発するにつきましての敷地の問題でございます。土地が暴騰しては困りますので、その土地を買わずに、その土地のかえ地をつくったわけであります。でございまするから、約六割をかえ地で土地を農民に与える。そのかえ地は、全部土地改良をしまして、区画整理をしまして、そうして団地として農業がやれるようにし、ことに野菜などの団地として区画をつくり、そして一カ所にまとめてかえ地を提供した。でありますので、従来、あそこは、砂地で、砂丘地帯で、稲作なんかも、米なんかもとれないところも、かんがいをしたり排水をして米をとれるようにする、それから畑地帯として野菜団地等をつくるということで、その土地の暴騰を防いだということ。それから農業の方面におきましては、一面、工業団地がつくられるに引きかえて、農業団地をよりよい土地でもってやれるようにした、こういうことに非常に効果があったと思います。しかし、現在開発が非常に進んでおりますので、土地がどんどんどんどん周辺が値上がりしております。したがって、この生産団地としての農業団地のうちでも宅地化が少し進んでおると、こういうことで、土地利用の面で困難を来たしておるという面が出てきております。大体、ここは、都市計画法によって、いわゆる線引きの対象となっておりますので、都市計画区域として指定されておりますから、今後この地区において都市と農業との土地利用についての線引きが行なわれるはずでありまして、それによって合理的な調整をはかるということが必要だと思います。農業のほうとしては、非常によくいっていると言ってまいってきておりますが、これからの問題であります。  漁業の方面でございますが、漁業の方面では、工業団地ができましたので、鹿島港の堤防のところから六キロメートルまでの海岸線で工業廃液によって魚類が死んだという事故が昨年の三月にちょっとありました。現在はそういう問題は起きておりませんが、県としては、水質汚濁防止法の厳正な運用をはかるために、水質基準について上乗せをして行なっております。関係企業に対しましても、処理施設の整備、水質監視体制の強化等について指導しておりますので、漁業被害の発生することのないように万全の策を講じておるような状況でございます。
  113. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ただいまの答弁等について、再確認なり掘り下げる問題がございますけれども、次の問題提起と共通した部面がございますので、次の問題で明らかにしていきたいと思います。  それは巨大開発——新全国総合開発計画の幾つかの拠点のうち、特に北のほうの問題だけとりますが、むつ小川原湖の開発計画でありますが、企画庁のほうから、企画の全貌といいますとたいへんな時間かかりますけれども、要するに期待する全貌。しかも、それが今日思わしく前進していると総合的に判断できないと私は思いますけれども、それはなぜか。どの点でそういう問題を起こしているか。特に地域住民のことばの共通語の中に、いま農林大臣なり通産大臣の報告を受けますと、かなりよくなっているのだというような、結果的には甲乙丙丁の点数をつければ乙ぐらいのところだという評価になっているようでありますが、むつ小川原湖の住民の皆さんからすれば、鹿島開発の二の舞いはしてはならないと、これが住民の間における共通の合いことばになっているようでありますから、そういう点はないのだというような否定的な答弁があれば私は幸いだと思いますけれども、正直に現在進行過程のむつ小川原湖の総合巨大開発がどういう状況になっているか。お互いに日本の国土開発の観点から共同して考えるという問題提起という意味で、企画庁長官から率直な報告を受けたい、こう思います。
  114. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) むつ小川原湖、これは、御承知のとおり、新全総計画に基づく大規模工業基地の構想でございますが、ただいま青森県知事を中心にいたしまして地域住民との話し合いが始まったばかりでございます。したがいまして、旧全総計画に基づく鹿島開発、これはいろいろ批判もあろうかと思いますが、そういうような批判と反省の上に立って新全総計画というものは進められておりますので、確かに、先般、青森県の六カ村の方々が鹿島開発の現地を視察されまして、これでは、むつ小川原湖の開発もたいへんなことになるとお考えになったのも、これは道理でございますけれども、むつ小川原湖の今後の開発は、鹿島開発の批判と反省に立って進めらるべきものであるし、また、そういう欠点が毫もないような考え方で今後進まなければならないというのが基本的考えでございます。まだまだこれからの問題でございますので、私どものほうにおきましても、いままでのようなことがかりにあったとしましても、特に環境問題との対応が少なくとも不足してはならないということを重点にいたしまして、今後特に地域住民との対話ということを十分考えてこれを進めたいと、こう考えておる次第でございます。
  115. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 先ほどの場合、通産大臣の報告の中である程度予定どおり進んでいると、しかし問題はやはり公害なんだ、こういう表明が実はあったわけです。これは、岩上知事がその土地の町長との間に取りかわした覚え書き等の中でも、仕事に入る前に、計画が具体化する以前に、公害は未然に防ごうじゃないか、知事の責任において防ぎますと明確な取りきめをしたけれども、結果的には、通産大臣も認めるように公害は出たんだと、これからひとつ気をつけます、こういうことに現実はなっていると思います。そうしますと、いま新しくむつ小川原湖の問題にしましても、住民がもちろん一番心配していることは公害の問題だ、こう思います。  そこで、環境庁長官に、一昨年の十四の法律を上げた公害国会、十四の法律によって公害行政が一つの軌道に乗って後進国から先進国に進もうとするステップは一応できた。しかしながら、それにしてもまだ問題点のあることは、言うまでもございません。そこで、それをより補強する意味において、公害撲滅への戦いとして、特に宇都宮一日内閣の総理の約束等を含めて、無過失賠償責任に関する法律というものが政府部内で立案された。これはだれもスクープしたわけではなくて、新聞には原案が発表されました。しかし、いま政府から国会に提出されているものは、私たちはそれを骨抜きの法案だと言っております。長官は、その点について、骨抜いているのなら、どこが抜けたんだ、同時にまた、なぜ抜けたんだ、これでもやっていけるのかどうか、そうした問題についての経過と決意をお聞きしたいと同時に、なおまた、長官がきわめて熱心である環境保全の問題につきましても、単独立法が準備され、作業が進んでいる。これもまた、聞くところによると、いろいろな圧力がかかってきて、それが逐次骨抜きにされている。しかも、その圧力は、外部ではなくって、内閣内の相互の圧力ということだそうであります。それは端的に言って農林省だと思うのですが、そうしたこと等について事実を明らかにしていただいて、できれば私たちは期待する方向で法案が出なかった場合には対案ないし修正案で臨みたいと思いますけれども、現状はどうか、国民に問題を提起していただいて、私たち、いま二つの開発計画等から得た結論として、公害はなかなか防止できないというのはいなめない現実でありますから、これをできるんだという、必ずやることができるんだ、企業も規制できるんだということを明確に国民が確信としてつかむためには、長官から、いま申し上げた経過を含めながら、十四の公害立法を補強する二つの立法の経過と問題点ということで、なかなか長官の立場から言いにくいことだと思いますが、見解表明をいただければよろしいと思います。
  116. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) いまお尋ねがございましたので、無過失責任制度と自然環境保護法案の内容についてお話しを申し上げたいと思います。  無過失責任制度につきましては、去る三月二十二日に衆議院に提案をいたしました。いずれ近く御審議を賜わることになっております。これはいろいろと世間ではうわさ、批判がございますけれども、この国会に提案した案そのものが環境庁の最後の決定的な案でございます。もちろん、われわれは、このような案に落ちつくまでの間にいろいろな過程がございまして、あるいは一部われわれの考え方新聞紙にも出まして、いろいろ御批判を賜わったことがございます。おそらく、そのうちで、われわれは因果関係の推定という条項を初め考えておりましたが、これを最終案には取っております。そのことにつきまして骨抜きであるということの御批判が出ているのだろうと私は思うのでございます。御承知のように、この無過失責任の法律案は三年ごしの内閣の公約でございます。ようやく今回できたわけでございますが、どんなことがあっても一番大事なことは、このような新しい思想、行政も、ものの考え方をやはりここで確立することが一番大事であると存じます。同時に、それが被害者の救済並びに公害の防止に役立つというものであることが望ましいのでございます。私は、その二つを中心として考えました。何としてもこの思想を確立しなければならぬ。同時に、内閣が、直接患者、被害者の擁護なりあるいは公害の防止に役立つということは、結局は、一番大事なことは、いわゆる複合汚染の状態を持つ物質を確実にこれをとらえることでございます。そういう意味で、われわれは、硫黄酸化物、粉じん、あるいは窒素酸化物のようないわゆる複合汚染の状態を持つものをまっ先にとらえまして、それをその対象にしたわけでございます。同時に、われわれは、まずこの適用を人間の健康被害のみにとどめました。それは、きのうの午後の委員会における答弁でも申し上げましたように、将来はいろいろな大きなやはり総合的なものを考えなければなりません。近い将来には必ず生業を中心とする財産の補償、賠償についても考えなければならぬ、必ずそういう事態になると思います。しかし、まずこの思想を打ち立てることが一番大事だと考えました。そして、きのう申し上げましたように、これは要するに民法の大きな例外でございますので、まず法律的には間違いのないものであるということ、そういうことを中心に考えまして、明確な範囲内に限定したわけでございます。その結果が、お話しのとおりの水質汚濁防止法と大気汚染防止法の二つの改正の内容にとどまったと私は考えておりますが、財産にまで入りますと、これは非常な大きな法案になります。また、それに対しては、まだまだ財産の補償につきましては不確定なものがたくさんございます。赤潮にしましても、まだ必ずしもその因果関係が完全に究明されておりません。こういうことを考えますと、まずこの考え方を行政に打ち立てることが大事であるという前提が、大きな法案を考えましてはとうていこの国会に間に合いません。そういう意味で、とりあえずこの思想の橋頭保田を築こうという考え方から、このようなある程度の内容に限定したわけでございます。  ただ、この場合に、因果関係の推定でございますが、これは、御承知のように、公害というものはあらゆる千枝万葉の様態を持つものでございます。したがいまして、公害のすべてを包含するような一般的な因果関係の推定は、これはつくることがほとんど困難でございます。そういう意味で、私どもは、因果関係の推定というのは、ある一つの型にかけた狭い範囲のものだけを考えておったわけでございます。たとえて申しますと、いま煙突からいろいろな煙が出て硫黄酸化物その他が出る、この出ることは事実でございます。その硫黄酸化物によってぜんそく等の公害病が発生することもこれはわかっております。同時に、その範囲内に患者がおります。まあ公害病、ぜんそく患者がおります。この患者がぜんそく病であることは間違いございません。それも、その硫黄酸化物の影響によって引き起こされたと、これもはっきりわかっております。ただ、わからないのは、その煙突からその煙が出て、それがその患者に到達するまでのいわゆる汚染経路でございます。これを間違いなくその煙突から出た煙によってこのようにこの病気が発生したんだという因果関係の証明を患者に求めることはまずむずかしいのでございますので、それは当然、その分をわれわれは推定のきめで持っていこう、そのような範囲をわれわれは考えておったわけでございます。ところが、そのようなことは、その後このわれわれの考え方が公表されますると、いろいろな御批判がございました。いろいろな各界に不安もございました。そういうものを総合いたしまして、これは何と申しましても、やはり政治というものは国民の中に不安を与えるものではいけないとも考えました。また、同時に、現在の判例におきましては、その程度の因果関係の推定はすでに判例がございまして、いまの裁判ではそれは必ずしも必要ではないという御判断がございました。それは、法務省の御見解でも、そのとおりでございます。さらに、もしわれわれ考えます場合に、いまわれわれが因果関係推定を考えておりますが、さらにそれを上回るようなすばらしいものの考え方、判断のしかたが出るかもしれません。そうなりますと、われわれのこの推定の条項というものは、むしろ新しい考えの足を引っぱることになる可能性もございます。また、このような推定の条項ができ上がりますと、これは次第に一人歩きをいたしまして、千枝万葉の態様を持つ公害の中にどのような方面にまで拡大発展してまいるかわかりません。非常な不安がございます。そのような各界のいろいろな方々の御意見がございましたので、これはやはり削っても被害者の擁護には十分に役立つと、こういうことを考えまして、いま一応これは削除したのでございます。  そういうことで、私は決して骨抜きではないと思います。この法律を橋頭堡として今後ともこれを総合的なものに進めてまいれば、必ずや私は被害者の十分な擁護にもなり、あるいは公害の防止にも役立ち得るものと確信いたしておるわけでございます。  それから自然環境保全法でございますが、これは、お説のとおり、現在その法案の作成中でございます。そして、いま一番ぶつかっておりますのは、林野庁との見解の見方の間に多少相違がございますので、いまその意見の調整をいたしておる段階でございます。いずれ数日中には調整ができると思いますので、できましたならば、できるだけ早く提案をいたしたいと願っている次第でございます。その内容につきましては、自然保護基本法と申しますか、基本的な自然保護に関するわれわれの考え方なり心がまえ、そういうものを一応盛り込んでおりますが、さらに、われわれの自然を何とかしてりっぱに保全したいと考える考え方をいろいろ段階に分けまして、たとえば原生保存地区というような、ほとんど人為的な手を加えないで——へたに手を加えれば滅んでしまうような弱い自然でございますから、そのような地域は、手を加えないで保存をする。その他、いわゆる自然良好保存地区と申しますか、われわれが十分に自然の保護をしながらそれをわれわれの生活に利用活用していくような、自然のあり方を段階的に応じましてそのような地区をきめていく。それからさらに、各県におきましては、いま自然保護条例をつくりましていろいろと心こまかい自然の保護をやっておりますが、これには法的な根拠がございませんので、これに対してもそのよりどころを与えてあげるというようなことも考えておる次第でございます。いずれにしても、近く調整ができると考えておりますので、いずれ皆さまの御批判を仰ぐことになりますが、まあよろしくお願いを申し上げたいのでございます。
  117. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 政府部内の自然保護法についての内部的ないろいろなごたごたということはいまの説明では出ておらないわけですが、あえて追及をしなくてもいいと思いますけれども、その点は住民サイドで問題を処理していただくということで長官に今日までの勇気とバイタリティをもって問題を善処されることを希望することをもって、質問をとどめておきたいと思います。  ただ、ここで、総理には通告してないのですけれども総理、あまり急ですから申しわけないけれども、いま二つの開発地域の問題でやはり問題として浮かび上がってくることは、むつ小川原湖の場合にも住民が一番心配していることは、やはり公害なんですよ。そこで、実は、それと直接関係があってなきがごとき状態ですけれども、先般四月四日の日に玉置委員から質問があって、総理はそのときにこういう回答をしてられることを覚えておられますか。いまちょっと予告してないことですから読みますが、これは速記のほうからとってまいりましたが、「ただいま三国同盟当時の新聞を持ち込まれまして」云々と、そのあとでどういうことを言っておるかというと、「どうも付和雷同していると、こういうような批判もあるのではないかと思っております。私は、過日金沢大学の学長である中川善之助先生が、どうも取り上げられた問題は、私ども納得のいかない公害の問題ではありますが、どうも無批判で署名し、あるいは無批判で動く、これこそ大衆の暴力ではないかと、こういうような送別の辞をされておりますが、私は、ただいま御指摘になったような点があの中川先生の卒業生に対する告別の辞とよく似ておる。そういう見方があり、それがわれわれ日本人の欠点であると、だからその点を十分注意して」云々と、こういうことで金沢大学の中川善之助学長の告辞のことをわざわざ取り上げられたわけですが、これは一つの例としてあげられたことだと思います。ただ、そこで、総理のほうであと追いされて——中川さんがどんなことを言われたのか十分御承知の上でのその種の発言なのかどうか、総理、十分内容を全部御承知なんですか、どうですか。
  118. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中川先生の発言を私は全部聞いたわけではございません。ただ一部をマスコミから報道されている。その点で、これはわれわれが考えるべきこと、そこに触れておられる。やはりお互いにりっぱな判断能力を持っているのですから、自主性をもってやはり判断すべきだと、こういう点を中川先生は強調されているのだと、かように私は理解したのでございます。
  119. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そのサイドからとらえられたことについては、それでいいと思いますが、学長がいろいろ触れておられる内容の問題について、文部省を通して私は全文をとりました。この中で、「これは政治問題でありますが、中国の国連加入問題だとか、台湾の独立だとか、中国がひとつだとかふたつだとか、日本の政府はいつもアメリカの政府のしりにくっついて、」——あなた、これで納得できますか——「ずいぶん苦しいたたかいをたたかいながら全部負けたようなかっこうであります。」——あなた、負けたんですよ——「日本の地位は非常に悪くなり、非常に苦しい立場においこまれて今日にきているのであります。あれだけアメリカのために働いたのだから、」——この評価も正しいかどうか知りませんが、ぼくら盛んに追及するところですが——「アメリカもどんなにたいせつにしてくれるかと思ったら、ニクソンは頭ごしに中国へ行ってしまった。この頃になって、アメリカは、日本を見すてないなどということを言っているようであります。日本の政治家ももう少ししっかりやってもらわないと、」——これはあなたも私も含めて言っているわけです。それから途中を抜きますが——「いままではアメリカ一辺倒できましたが、」——これは佐藤政府指摘しているわけであります——「最近はまた中国一辺倒になりかねないいきおいで、周恩来に会ったとか、毛沢東に会ってきたとか、彼が私の顔をみて笑ったとかなんとかいって、日本に帰ってきて言う。そうすると、また新聞がそれを書きたてる。このような状態でありますので、これからの日本は、よほどしっかりしなければいけないと思うのであります。」——反面教師として参考になるところはございますが、かなりわれわれに対してきびしいのであります。——「民主主義は多数決の社会でありますから、多数が喜べば、それでよいに違いないのでありますが、ほんとうに今の民主社会、民主政治というものは、多数が欲するところに向かっているのかどうか。多数がほんとうの多数であるのかどうか。多数決というのは、いつもそこが問題になるわけであります。なんでも、大勢が集まって大きな声を出すと、それが多数であるかのようにみられる。」——これは自民党の単独採決のことを言っているんだろうと思いますね——「ちっとも多数ではない人たちが多数のような顔をしている場合も少なくない。多数の人が「賛成」といった。ところが、その「賛成」といった人がよく考えてみると、本当は賛成でなかったというようなことが、いくらでもあると思う。街でよくやっている街頭署名運動というものは、私はきらいですが、あの署名をするときに、「まあ、どうぞどうぞ」、「これは何々の署名ですから」とたのまれて、つい署名してしまい、あとで「あれは何の署名だったのなあ」——というようなこともあります。そのあとで、首相が取り上げられた——「せん動され、付加雷同した「多数」というものは、いくら数が多くなっても真の多数ではないのであります。しかし、そういう「多数」が非常に多い。いいかえれば、今の世の中では、本当の多数でない「多数」が支配していることが多いように思われます。」——これは自民党のことを言っているのかどうか、ちょっとそこまでは推定できません——「だから極端にいえば、そのような「多数」は一種の数の暴力だともいえると思うのであります。」と、これは総理が非常に気に入ったところであります。それから、いろいろ中国のことばなど引用なさっているわけでありますけれども、特に私は非常に気がかりになるのは、「私は、細かい事は知りませんが、この間金沢で行なわれたイタイイタイ病の控訴審で、本学の医学部の教授が」——これは武内重五郎教授——「カドミウム説に対して、ビタミンDが原因だという」——ビタミンDが原因じゃない。この学者も間違っている。ビタミンDが不足だということなんです。——「ようなことを言われた。素人の私には、その科学的結論は解りませんけれど、あれだけの勇気はたいしたものです。私はそれを非常にほこりとしております。新聞記事などには、原告のすなわち被害者側弁護人の反対訊問で、教授がカブトをぬいだかのようなことが書かれていましたが、これでは一部新聞記者諸君の科学的知識がどうかと思われるのであります。」と。なおかつ、この中では、弁護士の問題を非常に悪く言っているわけです。弁護士はしろうとである、わかりもしない者が専門家に食ってかかることはけしからぬなどというようなことを盛んにおっしゃっているわけであります。  私は、この中で、民主主義の問題、多数決原理の問題そういう問題もいろいろ問題でありますけれども、なかんずくイタイイタイ病の問題がいま名古屋高裁金沢支部において公判が重ねられて結審状態にいまあります。判決も近づいております。こういう状況の中で武内教授が果たした役割りというのは、裁判上においてもきわめて重大な任務を果たしております。同時にまた、このことに対するイタイイタイ病患者は、きのうきょうの患者でないということです。にもかかわらず、中川学長が何もそういうことを詳しく知らないで思いつきでわあわあ騒いでいるような印象づけを、しかも、大学の千二百の学生の集まっている講堂で堂々と講演をされた。私は、そうした事実等を聞くにつけて、どうも心外にたえないのでありますが、総理はそのことを含んでおいでになったのかどうか、いま申し上げたこの事実に対してどうお考えであるか、また、環境庁長官も、イタイイタイ病の問題等のいままでの経過等にかんがみて、昭和四十三年五月に厚生省の見解のイタイイタイ病の原因はカドミであるというその厚生省見解をこの場を通じてもう一度確認していただかないと、金沢の学長のような迷いごとが出ると思います。この点、二人の方の見解をお願いします。
  120. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 中川先生の話は、先ほどお答えしたように、私は部分的でございますが、しかし杉原君がただいまお読みになったように、またみずからが目を通されたことと思いますので、私はこれは中川先生としてもたいへん満足のことじゃないだろうか、かように思います。私どもは、要は、問題はやはり自主的な判断を持つこと、りっぱな大学を出て今日的な判断を持てないようでは困る。これが中川先生のおっしゃりたかったことではないだろうかと思います。私はそのことをみずからも、中川先生の言をかりるまでもなく、実行しておるつもりでございます。  以上で私の感じを率直に申し上げておきます。
  121. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 環境庁といたしましては、イタイイタイ病の原因はカドミウムであるとはっきりきめてございます。しかしこれは、行政上の私どもの判断でございます。ただし、科学の分野におきましては、カドミウムが原因であるか、あるいはビタミンDの欠乏か、いろいろな御意見もございましょうけれども、そういうものがあっても私はけっこうだと思います。科学の分野というものは常に疑いを持って、常にその真相を究明をしようとする努力が一番大事ではなかろうか。そういうことで、そのような見解を持つことに対しては何ら私は疑問を感じません。ただし、行政的にははっきりとカドミウムが原因であるときめております。
  122. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で杉原君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  123. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、和田静夫君の質疑を行ないます。和田静夫君。
  124. 和田静夫

    ○和田静夫君 理事会を通して要求しておきましたが、安川審議官、お見えになっておりますか。
  125. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 見えています。
  126. 和田静夫

    ○和田静夫君 まず、郵政大臣に尋ねますが、五日の夜に毎日新聞の記者逮捕と報道の自由の問題をめぐって、NHKで番組の企画が一度なされました。そして取りやめになっていますが、いきさつを御説明ください。
  127. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 私、そのことをまだ聞いておりませんですが……。存じません。
  128. 和田静夫

    ○和田静夫君 調べてください。
  129. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 調査いたします。
  130. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 事務当局、だれか来ているかな。
  131. 太原幹夫

    説明員(太原幹夫君) お答えいたします。  事務当局も、その点につきましては承知いたしておりません。
  132. 和田静夫

    ○和田静夫君 調べてもらえますか。
  133. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) 直ちに調査いたします。
  134. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は明確にこれは調べてありますから、企画が取りやめになった経過がありますが、佐藤総理は、これについて一定の動きは示されなかったと私は判断をしますが、 いかがですか。
  135. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、私は覚えておりませんし、また、その関係は知りませんし、また、そういう企画のあった、そういう番組のあったことも知りません。
  136. 和田静夫

    ○和田静夫君 たいへん私は残念な質問で四十分を過ごさなければならぬような状態になっていますが、それは、あなたが先日読売新聞が総裁選をめぐる自由民主党内の黒いうわさを報じた際にたいへん立腹をされた、そして社長に電話をかけられた、こういうようなことが伝えられますし、かつて、あなたが自由民主党の総裁をしている自由民主党の幹事長が、ある新聞を推薦をして、そして大いに販売に協力する通達を出した件が御存じのとおりございます。私自身は、この問題を昭和四十五年の十一月四日の参議院決算委員会で取り上げています。こうした件と、新聞倫理綱領との関係、そのようなことについてはお考えにならずに、昨日のような答弁があるというようなことについて、たいへんな疑念を持つからなんです。これについての見解を承りたいことと、当時、総務副長官は、山中総務長官と相談をして善処をいたしますと決算委員会で約束をしていますが、その後の善処はどうなりましたか。
  137. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうもお尋ねの件がよくわかりませんが、もう少し具体的に、おすわりのままでもけっこうですが、私は別に時間をとらさなくてけっこうなんですから、ひとつ、もう少しはっきりわかるようにおっしゃってください。
  138. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) それは、私がかつて自由民主党の幹事長のときのことであろうと思いますから、私からお答えをいたしますが、私の友人等が——私も新聞社にいろんな友人がございます。で、友人は、一応みな販売拡張の経験を持たなければならないということで、第一線に出されるわけであります。私たちは、ある時期に、私の関係会社でみな十部ずつとりなさいと言って、目標を消化してやったこともございます。これは非常に親しい個人的な友人という関係でそういうことをしたわけでございますが、それと同じようなことを私と二階堂副幹事長その他が雑談をしておったわけでございます。雑談のたぐいでございますが、そのときに機敏な事務当局でございまして、各県連に対して、某新聞を、購読拡張に対して配慮せられたいと、こういう自民党通達を出したわけでございます。それが御指摘になったわけでございますが、これは、自民党幹事長としてというのではなく、幹事長個人として、副幹事長個人としてというような感じのもとに出したものでございますが、時に私が幹事長であり、出した者が副幹事長だったというようなことで、公の立場でこの問題は議論をいたしました。それでこれはまあよその国などでは、好きな新聞、政党が好きでない新聞というのがありますから、これはアメリカなどではわが党はこの新聞をとろうということでもって一向差しつかえないというような議論もありましたことは事実ですが、それは日本の状態でそんなことを言ってはだめなので、これはありのままを述べて取り消そうということで、これは自民党の支部に取り消しの通知をしたわけでございますから、事情は、一件落着ということで、ひとつ御了承のほどをお願いいたします。
  139. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は、新聞倫理綱領との関係で、このことには佐藤総理が昨日ああいう答弁をされているのですから、少しは反省をされる必要がある。山中総務長官全然御存じないような顔でありましたが、四十五年十一月四日参議院決算委員会の議事録を後ほど一ぺん読んでおいてもらいたいと思います。  そこで、こういうことを前提にしながら、逮捕したしないは自分の関知するところではない、こういうふうに佐藤総理は先ほど答弁をされました。西山記者が総理の政治的判断で逮捕された、こういう毎日新聞のきょうの一面の大きな記事をまっこうから否定をされますか。
  140. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 西山記者が私の政治的判断で逮捕されたと、こういう記事が書いてあっても、私はさようなことをした覚えはございません。私の判断でさような指示もしなければ、また逮捕もできませんから、御了承願います。
  141. 和田静夫

    ○和田静夫君 けさの閣議後の記者会見で、赤城農林大臣は、これら一連のことに触れられた中で、佐藤総理のいろいろの言動については全面的に了とすることはできない、こういう意味での十二時におけるニュース報道がすでになされています。閣内の中においても、言ってみれば、けさ来の答弁をずっと総合的に考えてみて、やはり、あなたのおやりになっておることはどうもわからぬと、こういうような考えにおちいっている方々もいらっしゃることはこれで明らかであります。そして私は、いまその人の名前をあげることもできるのでありますが、けさのこの記事の中に、御存じのとおり、某外務省高官の発言として出されている部分、この部分についてはいかがですか。
  142. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ちょっとその新聞記事、どういうように書かれているか、ちょっと読んでください。
  143. 和田静夫

    ○和田静夫君 たいへん時間がないものですからあれですが、「また五日夜、某外務省高官は「西山記者問題は佐藤首相が感情的になっており(今後の捜査も)首相次第ではないか」と語り、事件の処理に首相の意思が強く働いていることを裏づけた。」。
  144. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは完全に私は否定いたします。
  145. 和田静夫

    ○和田静夫君 国家公安委員長国家公務員法第百十一条が適用されて、刑事事件になった事例として、過去どのようなものがありますか。
  146. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 刑事局長から答えさせます。
  147. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) いままで国家公務員法第百十一条で検挙された事件は、現在までのところ、昭和四十二年十一月に検挙されたいわゆる外務省スパイ事件、この事件一件でございます。
  148. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまお聞きになったように、国家公安委員長、これはあなた知らずにこれからの措置をやっておったら、あなたは何も知らずにやっておったということに実はなりますよ。きわめて異例なスパイ事件が一件あるだけです。今度の場合、新聞記者の取材活動として何らの異常さはなかった。政府部内の人から秘密に話を聞いたり、資料の写しをもらったりというのはほとんどすべての記者がやっているきわめて通常な取材パターンであります。政府部内から取る話なり資料なりが極秘のものであればあるほど優秀な記者と言われる。この記者の職人的とさえ思われる取材行為、これはともすれば、国民が知らないところで事を運びがちな行政官僚性政治のもとにおける一点の光明でさえあるわけであります。このことは総理も暗にこれまで認められてきました。総理が問題にしてきたのは、こうしたスタイルの取材行為そのものではなくて、それがみずから新聞に発表されないで、たとえば野党の手に渡ったということ、そういうことであったようであります。それが、さきの答弁で基本的には撤回をされたのであります。  国家公安委員長、あなたがほかならぬ国家公務員法百十一条で西山記者を引っぱったということは、新聞記者のこの通常の取材パターンに対する挑戦であります。あなたはこのことを意識して百十一条を発動されたかいなか、明確にしてください。
  149. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。  この事案は、先日、新聞等でも御承知のように、蓮見外務事務官が警視庁に出頭しまして、そうして国家公務員法百条に該当するような、いわゆる機密文書の収受の問題について自首して出たのであります。それを取り調べております過程において西山記者との関連が出てまいりまして、百十一条に該当する容疑が濃厚になってまいりましたので、西山記者の任意出頭を求めて、そうして調べておる段階で、逮捕をして、そうして捜査する必要があるということになって逮捕いたしたものでございます。
  150. 和田静夫

    ○和田静夫君 答弁になっていない。
  151. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) ただいまの大臣の答弁に補足して申し上げたいと思います。  いまの御質問の、こういう取材が取材としての通常のパターンであると、こういう御質問でございますけれども、私どもは、本件についてはこの取材のやり方は通常のパターンとは異なっておると、かように思います。(「どう違うんだ」と呼ぶ者あり)つまり、取材活動の自由というものも、やはりそれは法の範囲内で行なわれるものでなければいけない。たとえば窃盗をやる、あるいは机の引き出しにあるものをかってに持ち出すというふうな取材活動は許されない。これはもう当然であろうと思います。本件の場合において、婦人秘書に対して、幾たびも断わっている婦人秘書に対してあえて頼み込んで、そして機密文書のコピーを手に入れる、こういう形のものは、いわばこれが窃盗になるかどうかは一種の問題でありますけれども、その方法においては窃盗と実質的にはそう異ならないものがある。こういう点は非常に私どもは問題である。コピーが窃盗になるかどうかについてはいろいろ異論がありますけれども……。(発言する者多し)
  152. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと静かにお聞きいただきたいと思います。
  153. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) コピーの問題については、いろいろございますけれども、たとえばこの前の産業スパイ事件についての東京地裁の判決では、コピーをとることは、ただ一枚の感光紙を盗んだのではなしに、現実に複写した決裁一覧表自身を窃盗したものだという判決も第一審ではありますけれどもございます。しかし、これについては学説も、いろいろな反対の議論もありまして、私どもも必ずしもその点については窃盗が成立するとは思いませんけれども、しかし、実質的にはそういう行為に等しい行為を教唆している、そそのかしているという点においては間違いない。そういう点では、いま和田議員がおっしゃいましたけれども、私どもはこれが正常な取材活動の方法である、あるいは一般の現在行なわれている取材活動の正常なパターンであるというふうにはとうてい考えられないと、かように思います。
  154. 上田哲

    上田哲君 関連。  ただいまの政府委員解釈は非常に問題を含んでおります。なるべく簡単に申しますから、省きますけれども、引き出しから何かを盗んだ場合などということを例にあげることも、報道記者が行なう取材活動の適法、不適法ということを問題にする場合に、引き出しがら盗んだ場合というようなことを例にあげることがそもそもあなたの不勉強を物語る。例にあげるならば、もう少し説得性のある例をあげることが正しいと思いますから、これはひとつ厳重に申し上げておく。  そこで、具体的に、ただいま蓮見事務官から西山記者が云々ということがありました。それを窃盗という話でおっしゃった。たとえば、そのコピーをもらってきた、そのコピーを社会党に渡したという、これが一本線がつながった場合に窃盗ということがあるいは出てくるかもしれない。たとえば、あなたは一体、西山記者から社会党に、まぎれもなくそのものが渡ったという例証がありますか。どこをどう回って、違ったものが行ったかどうか、それすらもあなた方のほうでは明らかにしていないと言っているじゃないですか。明らかにしているならば、容疑事実がないならば直ちに釈放すべきじゃありませんか。そのことがわかっているならば、(「それを調べるために」と呼ぶ者あり)調べるためならば、わかっていない段階で、それならば窃盗になるというような断定ははなはだ軽率ではありませんか。しかも、たとえば、そのコピーを見た段階であれば、見ることも窃盗ですか。人間の目の視力は窃盗になりますか。そういう判断をこの段階で具体的な罪名として、容疑罪名としてお出しになることは非常に穏当を欠いております。この辺のところは正確な表現で御説明を願わなければならない。  なお、十日間の勾留を認められた。この勾留の理由がはっきりしていない。どのような勾留理由になっているか、はっきりしていただきたい。
  155. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 私が申し上げましたのは、正常な取材活動というものは法のワク内で行なわれるべきものであると、取材活動だからといっていかなることも許されるということは、これはあり得ないと、その一つの例として、たとえば窃盗というふうな問題を申し上げたわけでございます。たとえばそういうものになると。それから今度の問題の場合につきましては、実際に窃盗になるかどうかという点については議論がありましょうけれども、あるいはその点に疑いは確かにあると思いますけれども、その取材のやり方が、その実質においてそういうふうな窃盗に非常に近いような一つの実質を持っていると、こういうことを申し上げたわけでございます。(「近いということをはっきりしたらどうか。」、「それは予断じゃないですか。」と呼ぶ者あり)それは別に、(「見込み捜査だよ。」と呼ぶ者あり)いや、その点は別に、そのコピーがさらにどこへ流れていったから窃盗になる、流れていかないから窃盗にならぬというものではないと思います。まあその点はいろいろ調べているわけでございます。  それから勾留の問題ですが、勾留の問題につきましては、これは検察庁で勾留の請求をやったわけですけれども、理由は両者の言い分にまだまだ食い違いがある、よってなお取り調べを継続する必要があるというのが勾留請求の理由のように聞いております。
  156. 和田静夫

    ○和田静夫君 私は、もうあまり高松さんとやりとりする気はないのですよ。  国家公安委員長、あなたは責任者なんだから、西山記者の取材のやり方に、あの外務省スパイ事件に匹敵をするところの異常さをあなた認めたわけでしょう。認めたのですか。佐藤さんは異常さはないと言っている。
  157. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、蓮見事務官の自首によって国家公務員法百条に違反しておるという容疑がきわめて濃厚になってまいりました、その容疑に関連して西山記者の百十一条に該当する容疑がまたきわめて濃厚になってまいりましたので、任意出頭を求めて捜査をしたいと、捜査の過程においてこれはやはり逮捕して捜査を進める必要があるという見解に立って逮捕をいたしたものでございます。
  158. 和田静夫

    ○和田静夫君 一件しかないのですよ、判例は。その外務省スパイ事件に匹敵をすると判断をしたのかとぼくは言っているのです。質問に答えてください、時間がないからね。
  159. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) この事案は、公務員法百十一条の違反に該当するという容疑がきわめて濃厚になったという判定に立って逮捕をいたしたのであります。
  160. 和田静夫

    ○和田静夫君 それでは国家公安委員長に聞きますが、国公法の百条、百十一条の秘密ですね、これを行政罰で処理するのでなくて、刑事事件にするについては、その秘密の内容がその刑事事件にするに値するほどのものでなければならないという判例があるのを知っていますか。あなたに聞いているのだ、あなたに。
  161. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 刑事局長から答えさせます。
  162. 和田静夫

    ○和田静夫君 国家公安委員長、何にも知らないということか。
  163. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 秘密の問題につきましては、いま御指摘のような点が判例の一貫した、大体大部分の判例の認めておる見解でございます。
  164. 和田静夫

    ○和田静夫君 じゃ、国家公安委員長ね、したがって、それなら今度の事件はスパイ事件に匹敵するということになるんだが、あなたはどう考える。あなたに聞いてるんだ。
  165. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、国家公務員法の百条に蓮見さんは該当するし、西山君は国家公務員法百十一条に該当するという見解に立って捜査を進めておるのであります。
  166. 和田静夫

    ○和田静夫君 テープレコーダーを回したような答弁じゃ話にならないじゃないですか。委員長、正確に答弁させてくださいよ。
  167. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 先ほどのいわゆる外務省のスパイ事件というふうな事件がございまして、この事件の中身は、北鮮帰還協定に関してソ連駐在の中川大使及びジュネーブ駐在の青木大使から三木外務大臣に来た電報、そういうふうなものが外へ漏泄した、こういう事件でございます。事件の形から言いますと、今回の事件と非常によく似た形の事件でございます。
  168. 和田静夫

    ○和田静夫君 国公法百十一条違反容疑で引っぱったということはね、国家公安委員長、要するに、極秘書類を新聞記者が何らかの取材方法で得たということ、そのことが逮捕の対象になるということなんですよね。これはたいへんなことですよ。これはたいへんなことだ。ほとんどの新聞記者がみんなひっかかるではありませんか。国家公安委員長、どう考えますか、これ。
  169. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、あらゆる記者の取材がひっかかるとは思いません。この西山君の事案は、やはり国家公務員法百十一条の違反に該当するという見解であります。
  170. 和田静夫

    ○和田静夫君 じゃ、各大臣に。それぞれ所管の省の極秘書類の基準、それの判定をする人。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外務省では、内規をきめておりまして、部局長が機密性を判断する責任者になっております。
  172. 相澤英之

    政府委員(相澤英之君) ちょっと不確かでございますが、これは、訓令かなにかで文書取り扱い規則というものを定めております。それで、文書についての極秘、秘等の取り扱いをきめておるというふうに思っております。
  173. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 和田君に御相談ですが、外務省の問題、外務省だけではいけませんか。
  174. 和田静夫

    ○和田静夫君 いえ、新聞記者全部ひっかかると言うのに、ひっかからないという判断……。答弁しないから、国家公安委員長
  175. 徳永正利

    委員長徳永正利君) じゃ、おも立ったあれにお願いします。
  176. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) ちょっとお許しを得ていま離席をしておりましたので、前後の事情がわからなくて恐縮でございました。  秘密事項をどういうふうに扱っておるか、こういうお尋ねのようであります。防衛庁における秘密は、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法に基づきまするいわゆる防衛秘密と、それから防衛庁の業務に関する秘密、いわゆる庁秘と、この二種類になっております。その秘密区分は、両者ともに、機密、極秘、秘——ただの秘ですね、三種類に分けられ、このうち、機密は、秘密の保全が最高度に必要であってその漏洩が国の安全または利益に重大な損害を与えるおそれのあるもの、これが機密。それから極秘は、機密に次ぐ程度の秘密の保全が必要であって、その漏洩が国の安全または利益に損害を与えるおそれのあるもの。秘は、極秘に次ぐ秘密の保全が必要なもので、関係職員以外に知らせてはならないもの。これが秘密区分指定の一般的基準であり、それらの秘密区分の程度に応じて厳格な取り扱いをするように定めておる、こういうわけであります。
  177. 廣瀬正雄

    国務大臣(廣瀬正雄君) さっきの放送番組の変更の問題でございますが、申すまでもなく、放送番組につきましては放送業者の自主的な見解によって編集させることになっておりますので、いまの問題につきましては、先刻NHKに聞いてみたんでございますが、四日と五日の特集については、最初から春闘のことを報道するということにいたしておったそうでございまして、そのとおりにやったそうでございます。言論の自由につきましては、六日に特集を編成いたしまして放送したようでございます。  それから、機密文書の取り扱いでございますが、郵政省といたしましては、文書取扱規程というのがございまして、これに基づいて部局長が判断をいたしまして、そのような取り扱いをするということになっておるわけでございます。
  178. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 大体、和田君、この辺で……。
  179. 和田静夫

    ○和田静夫君 文部。
  180. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 文部大臣。——わかりませんか、文部省。
  181. 高見三郎

    国務大臣(高見三郎君) 私のほうにはいわゆる極秘という文書はありますけれども、これは期限つきのものでございます。たとえば人事の案件は、決裁が終わって公表するまでは極秘、これは次官がきめます。それから秘に属しまするものについては、局長が決定することになっております。いずれも無期限のものはございません。一応、処理いたしまするというと直ちに解除をいたしております。
  182. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 和田君、大体この辺でひとつ……。
  183. 和田静夫

    ○和田静夫君 総理ね、いまお聞きのとおり、大臣はほとんど知らない、こういう取り扱いについてね。局長もほとんどわからない形、たいへんもう有能な主計局長が御存じないでしょう。こういう形です。こういう形のものですからね。先ほど国家公安委員長が述べたような基準でものごとをやっておったならば、一昨日来のずっと討議で大体総理大臣は認められていますが、取材パターンというものが否定をされますよ、ああいう答弁をされておったら。そうお思いになりませんか。
  184. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) まあ、普通の状態では取材が問題にならない。問題になるのは非常なレアケースだと、かように私も理解しております。
  185. 松井誠

    ○松井誠君 関連。
  186. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 関連は簡単に願います。
  187. 松井誠

    ○松井誠君 きのう私は外務大臣に、職務上の秘密というのは一体何なのかということをお尋ねをしました。きょう同じことを国家公安委員長にお尋ねをしたい。  委員長、さっきから、これは公務員法百条の「職務上の秘密」だということを当然の前提として言われておる。一体、秘密というのは、何を根拠に秘密と言われるのか。極秘という判こが押してあったから秘密なのか。実質的に秘密なのか。もし実質的に秘密であったとしたら、どういう理由で何が秘密だという考えで捜査を始められたのか、この点をまずお尋ねしたい。
  188. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 実質的に秘密事項に該当するものを秘密解釈いたしております。
  189. 松井誠

    ○松井誠君 実質的な秘密事項の具体的な内容を聞いている。
  190. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 先ほども申し上げたと思いますが、いままでも公務員法百条にいう秘密については幾つかの判例がございます。それでいきますと、結局公務員法に秘密の定義がありませんので、どうしてもそれは解釈になる、それは裁判所の判断によってきめていく、こういう態度でございます。そこで大体一貫しておりますものは、実体が、いわゆる保護に値する実体を含むものでなければならぬ。ただ形式的に秘密という表示がされておるだけでは足りない。いやしくも刑事罰を科しているのだから、実体的にもそういう保護に値する秘密であるというのが大体の考え方でございます。ただ、一般に国の機関がそういう秘密という指定をした場合には、それは秘密としての取り扱いを受けてしかるべきであるという考え方が非常に強うございます。しかし、中にはそういう指定があっても、これが実際秘密にはならないということで退けられている判例もございます。以上でございます。
  191. 松井誠

    ○松井誠君 具体的にいまの場合何が秘密かということを聞いている。
  192. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 本件の場合でございますか。本件の場合について、少なくとも昨年の外交交渉の過程における往復文書はこれは秘密である……。
  193. 松井誠

    ○松井誠君 なぜ秘密なのか。
  194. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 先ほど申し上げました、たとえばこの前の北朝鮮帰還協定の交渉関係文書につきましては、判決におきましては、そういう北朝鮮帰還の交渉内容についてのそういう往復電文は、これは当然国の秘密に属するものだという認定をいたして、二審で確定いたしております。私どもはこういう点から考えましても、今度の少なくとも交渉過程における電文につきましては、これは実体的にも秘密に該当することである、かように考えたわけでございます。
  195. 松井誠

    ○松井誠君 そういう答弁だから……。
  196. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  197. 松井誠

    ○松井誠君 一問で済むところが二問三問になるのです。私が聞いているのは、実質的に秘密だと言うんならば、どういう理由で実質的に秘密なのか、具体的にいまの場合、そういうことを聞いているわけです。それをいまの判例を引いたって答弁にならぬじゃないですか。
  198. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 松井さんは外務省のこの事件のことをお聞きのようですが、今回の外交交渉がその過程において漏れることは外交交渉の執行上支障がある、こういう見解を持っておる。そういうことで機密漏洩、こういうふうに言うわけであります。
  199. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  200. 松井誠

    ○松井誠君 私は国家公安委員長に聞いたのですけれども、国家公安委員長、いまの外務大臣答弁でいいのですか。同じですか。
  201. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) いいと思います。
  202. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 松井君、簡単に願います。
  203. 松井誠

    ○松井誠君 きのう外務大臣は、そういう答弁もありました。しかし、最初には、外務省が秘密と認定したからだということがまず基本にあった。しかし、いまの場合、外交上の支障があるという理由で秘密だと言われる。このこと自体、私はまず一つの問題があると思う。これはあとの取材との関係でまた問題になってきましょうから、別の機会議論さしていただきたいと思います。しかし、もし実質的な機密ということが理由であるとすれば、その秘密は、たとえば極秘という判こを押したんならば、これは極秘という判こを消すまでは秘密だという形式的な秘密論が出てくるかもしれない。しかし、実質的な秘密だということであれば、時期によっては秘密であったものが、時期によっては秘密でなくなるということが当然あり得るわけです。先ほど文部大臣の説明にもありましたけれども、ある時期は秘密だけれども、ある時期になれば当然実質的に秘密でなくなるという事態ももちろんある。したがって、実質的に秘密だとすれば、私はそのこと自体をどう言うものじゃありませんよ。ありませんが、外務省、外交の交渉の途中におきまして秘密だとしても、それが未来永劫に秘密だということにはなりませんね。
  204. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外務省でその機密性を判断する場合におきましては、期限を付しております。いつまで秘密であるとか、これが永久に秘密であるとか、そういうふうな、あるいは当分の間秘密でありますとか、とにかく期限を付するものと付さないものがある。付さないものにつきましては、それを解除するまでは秘密である、かように御了承願います。
  205. 和田静夫

    ○和田静夫君 委員長ね、もうこれは秘密でなくなってるんだ。国家公安委員長、アメリカの側でもちゃんと発表してしまっているわけだ。秘密でなくなっているんです。
  206. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は蓮見事務官が、この秘密書類を西山記者に渡しました経過というものは、やはりこの機密書類を西山氏に渡したということで、これがきわめて国家公務員法百条に該当する、あるいは西山氏の取材の姿が百十一条の違反に該当するという容疑がきわめて濃厚であるという見解に立って捜査を進めておるのでございますから、その捜査が済むまでは、やはり捜査は続けてまいる所存でございます。
  207. 和田静夫

    ○和田静夫君 四日の朝五時半に、蓮見事務官が警視庁に出頭していますが、これは自宅から、国家公安委員長、一人で出頭したんですか。大臣まず答弁してくださいよ。あなた答弁できるか、どうなんです。
  208. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、同僚の山田事務官と同行したというようなふうに聞いております。
  209. 和田静夫

    ○和田静夫君 五時半というのは非常に早い時間ですがね、前夜この人はどこにいました。
  210. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 前の晩どこにおったか。
  211. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) ちょっと聞き漏らしましたが……。
  212. 和田静夫

    ○和田静夫君 前の晩はどこにいましたか。
  213. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) だれがですか。
  214. 和田静夫

    ○和田静夫君 蓮見さん。
  215. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) それは私は存じません。
  216. 和田静夫

    ○和田静夫君 佐藤さんね、いわゆる外務省の。部内で取り調べられた方法、内容。
  217. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 新聞にも発表いたしましたとおり、三十日の日に蓮見事務官から告白がございまして、それ以来ずっと蓮見君自体の話も聞きました。それからそれ以外の関係者の話をずっと詰めておりました。で、順々に呼びまして、方法と申しますれば、呼びまして聞きました。
  218. 和田静夫

    ○和田静夫君 内容は。
  219. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) その蓮見君自体は、当然どういうふうに流したと申しますか、とったかとか、流したかとかいうような話を聞きましたが、非常にわかりにくうございました、話としては。女でございまして混乱しておりましたと思います。それからほかの人間につきましては、この書類にどこでどうさわったと申しますか、どこでどういうふうにこれを持ち回ったとか、どこで受けとってそこの帳簿につけたとか、そういうふうな点をその接近し得る人間に全部に聞きました。
  220. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこであなた方は、蓮見さんが自供するまでの間に、さっき杉原委員佐藤総理の間で確認をしたあの六月十八日の西山記事ですね。それを類推をして西山さんの名前を出しながら自供を強制をしている、こういう調べ方をされているでしょう。
  221. 安川壮

    説明員(安川壮君) 一部の新聞報道に、私が本人を呼びつけまして本人を問い詰めた結果、本人が事実を告白したという報道がございますけれども、これは事実に反しております。事実をそのとおり申し上げますと、蓮見事務官に嫌疑と申しますか、かかる前にはっきり事実、日時を申し上げますと、去る三月三十日木曜日の午前十時ちょっと過ぎておったと思いますが、蓮見事務官がみずから私の部屋に参りまして、みずから自分の行なった行為を私に対して直接告白したのが事実でございます。
  222. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、さっきの秘密の問題に戻りますが、この秘密の書類を引っぱり出したのが悪いと、国家公安委員長は言うんですね。ところが、この前の日曜日のNHKの政治討論会で愛知外務大臣、あの当時百十数通をこえる電信文があった。そのうちたった三通など問題にならない、こう言ってわが党の横路議員を責めているわけですね。こういう趣旨発言をしている。そこで、国家公安委員長、この点ですがね。蓮見事務官が百十数通の電信の中からきわめて核心に触れた三通を選んだ、こういうことを偶然だと思いますか、あなたは。
  223. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) ただいま蓮見事務官、それに西山記者等に対して、この事案は目下捜査中でございますから、この事案に対していまの時点で私からとやかく申し上げることは適切でないと存じます。
  224. 和田静夫

    ○和田静夫君 だめですよ、答弁なっていませんよ。私の質問に答えてください、質問に。質問に答えてくださいよ。
  225. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 高松刑事局長
  226. 和田静夫

    ○和田静夫君 いや、刑事局長関係ないじゃない。
  227. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 三通だけであるかどうか。それからなぜその三通が、もし三通だけであるとすれば、なぜその三通がそういうふうになったのか。これはただいまいろいろ取り調べているところでございます。
  228. 和田静夫

    ○和田静夫君 刑事局長、いま答弁になってないでしょう。国家公安委員長ちょっと聞いてくださいよ。いわゆる愛知前外務大臣が、愛知外務大臣が百十数通をこえる電信文の中でたったの三通なんか問題じゃないと、こう言っているんですよ。問題ないのになぜこんな状態になっている。
  229. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) この事案は、私は先ほどから何回も言いますように、国家公務員法百条——まあ聞いてください。とにかく百十一条に抵触する容疑がきわめて濃厚であるという警察が見解に立って捜査を進めているのでありますから、そういうことで御了承願いたいと思います。
  230. 和田静夫

    ○和田静夫君 あなたみたいに、そういう答弁を聞いている人たちがどういうふうに思う。そういうのを名答弁というのかもしらぬけれども、そんなわけにいかぬですよ、質問に答えてくれなきゃ……。
  231. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 和田君、あの、時間には入れませんから、ちゃんと立ってもう一ぺん質問してください。
  232. 和田静夫

    ○和田静夫君 秘密書類引っぱり出したのは悪いというのですよね、あなた方。私は普通の新聞記者諸君の取材のパターンだと言っている。このことは佐藤総理も過日来の論議の中でお認めになっている。記者会見の中でもそのことを了とされている。それをあなたはいかぬとこう言う。こういう佐藤総理のお認めになっているのが常識です。常識だから日曜日のNHKの討論会で前愛知外務大臣は胸を張ってそう言っているのです。それをあなたは常識でないとこう言う。窃盗だとこう言う。そんなことにはならないと言う。そこであなたに聞くのだが、百十数通の電信文、その中から三通が選ばれるのは偶然だとお思いになりますかと聞いておる。
  233. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、愛知君のそのどっかの発言を聞いておりませんのでわかりません。
  234. 和田静夫

    ○和田静夫君 愛知前外務大臣の言ったことだという例で私が言っているだけでしょう。
  235. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) この事案は先ほどから申しますように、警察としては法に触れている容疑がきわめて濃厚であるという見解に立って捜査を進めておるのであります。世間にはいろいろこの問題についての見解があるかもしれませんけれども、警察としてはそういう観点に立っていま捜査を進めておる段階でございます。
  236. 和田静夫

    ○和田静夫君 まあ、そういう答弁ばかりしていて恥ずかしくないか、胸に手を当てて考えてもらいたいものだな。  それじゃ国家公安委員長、あなたに確認しますがね。三通の書類の確認です。一通は昨年五月二十八日の愛知・マイヤー会談の報告電文、あとの二通は六月九日の井川・スナイダー会談のパリにいる中山大使への報告電文、同時にパリで行なわれた愛知・ロジャーズ会談の外務省への報告電文、この三通ですね。あなたに聞いている、あなたに。こんなこと知らないで、大臣こんなこと知らないで何であなたさっきから答弁されているのだよ。
  237. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 刑事局長からお答えさせます。
  238. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 一通は四十六年五月二十八日外務大臣発在米大使あての至急電信文、一通は六月九日外務大臣発フランス大使あての極秘大至急電信文、一通は同年六月九日、駐仏大使館発外務大臣あての至急電信文、こういうふうになっております。
  239. 和田静夫

    ○和田静夫君 この三通とも蓮見事務官がコピーにとったのですか。
  240. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) その点はただいま調べているところでございます。
  241. 和田静夫

    ○和田静夫君 私はそうではないと思う。二通はもちろん外務省に保管されている正式文書ではないにしても、何通か外務大臣、コピーされますね。そうして安川審議官が目を通して焼却するはずの書類の実物が外に出ていませんか。安川審議官、あなたはそれを知らないと。まあ、あなたはこれを知っている。言ってみれば、あなたの手で書類が外に出たのではないか。
  242. 安川壮

    説明員(安川壮君) 来電の処理につきましては、私が見ました後は書類箱に入れまして、それを極秘のものは必ず秘書が焼却することになっておりますので、私は当該電報も、私が特にこの電報を特に焼けと命じたことは私の記憶に関する限りございませんけれども、ほかの極秘の電報と同様に当然焼却されるものということの前提のもとに私の書類箱に始末をいたしました。
  243. 和田静夫

    ○和田静夫君 それじゃ安川さん、あなたが進退伺いを出した理由をお聞かせください。
  244. 安川壮

    説明員(安川壮君) 私は、当該蓮見事務官の直接の監督責任者でございますから、その監督上の責任を感じまして進退伺いを出したわけでございます。
  245. 和田静夫

    ○和田静夫君 外務大臣、いかがですか、いまの答弁は。
  246. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 安川審議官からお答えしたとおりに承知しております。
  247. 和田静夫

    ○和田静夫君 そういう抽象的な責任なら、最も責任を感じなければならないのは、外務大臣、あなた自身ではありませんか。福田さんこそいまこの場で佐藤さんに進退伺いを出してしかるべきであります。
  248. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府部内の責任につきましては、ただいま慎重に検討中であります。数日中に処置をいたしたいと、かように考えております。
  249. 和田静夫

    ○和田静夫君 私の質問そのものに答えてください。あなたの進退について。
  250. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の進退につきましては、佐藤総理大臣に御一任してあります。
  251. 和田静夫

    ○和田静夫君 ともあれ、あの機密事項を知っていた外務省高官の——私は一定のインフォメーションがなかったならば西山記者の取材、蓮見事務官の行為はあり得なかったのじゃないだろうか、そういうふうに私はしろうとの論理で思うのです。国民の多くはそのことをふしぎに思っておると思う。百十数あるところの電文の中からなぜ三通が選ばれたんだろう、くろうとの皆さんはいざ知らず、われわれしろうとはそう思いますよ。そこで、このインフォメーションをとるという、この記者としてきわめて通常な取材活動として、外務省から出されたインフォメーションの上に初めてでっち上げられた国公法違反事犯だ、私は国公法を考えてみた場合にはそうとしか言えぬ。したがって、純法律的にもきわめて問題があります。この問題だけでも参考人を呼んで措置をすべき筋合いのものだと実は思う。これは理事会に預けます。  そこで、法務大臣、あなたの判断で西山記者の勾留期間が結果的には延長されたわけですが、その判断の根拠を示してください。
  252. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 検察当局が、証拠を固めるためには必要と、そういうことを考えたと推察するのであります。事件をまだ調査中でありまするから、私は存じません。
  253. 和田静夫

    ○和田静夫君 おそらくあなた方が判断をした基準になっておった佐藤総理考え方というのは、もはやきょうのやりとりを通じてなくなった。前提がなくなったのですからね。即時に釈放してしかるべきですよ。良識ある法務大臣としてはそうお思いになるでしょう。
  254. 前尾繁三郎

    国務大臣前尾繁三郎君) 司法権の問題でありまするから、われわれといたしましては判断できません。
  255. 和田静夫

    ○和田静夫君 個々の部分について後ほど総括的に、法務大臣と外務大臣との関係におけるものは総理にもう一ぺんお聞きをします。  そこで、私はもうちょっと具体的に実は入っておきたいのです。  今回の外務省極秘文書、私は極秘なんていうふうには思いませんが、あなた方がこう言うから一応そのことばを使うとして、そのすっぱ抜き問題が、政府によってその文書の入手経路の問題にすりかえられていることをたいへん残念に思います。それは勇気あるすっぱ抜きをやった横路議員の本意でもないと私は思うのであります。そこで、まず私は、ほんとうに政府が言うように密約がなかったのか、   〔委員長退席、理事西田信一君着席〕 この点でさらに詰めてみたいと思うのです。外務省が外務省にあるものとお認めになった外務省電信案総第二八一八一号という文書、これで通産大臣にお聞きいたしますが、実はこの中に、時間がありませんから早口で読みますが、「ス公使より、沖繩において、米企業側に対し、本大臣書簡案を説明したところ相当の不満、不安があるも、大筋においては納得したと認められた旨説明、ただし、(イ)保険会社、(ロ)INDAIRCO及び(ハ)フェアチャイルドその他数社の原料輸入割当(フ社は通産省との間で、在沖繩合弁企業設立方合意したが、生産開始にはなお相当期間を要し、そのときになっても輸入割当確保が心配)の問題が残っているので、事務レベルで引き続き検討したいと述べた。」、こうあるのです。そこで、この保険会社、そうして先ほどローマ字を並べた部分及びフェアチャイルド、その他数社の原料割り当てとはどういう問題であるか、お答えください。
  256. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 突然の御質問でございまして、用意がありませんので、事務当局が至急調査の上、御報告いたします。
  257. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) お答えいたします。  これらのうちの輸入関係の会社につきましては、御存じのとおり、沖繩は現在までほとんどあらゆる物資が自由に輸入されることになっております。したがって、それが日本にそのまま返ってまいりますと、彼らとしては、従来どおり幾らでも何でも自由に輸入ができる。ところが日本の政策は必ずしもそのとおりではない。脱脂粉乳にしても食牛にしても、いろいろなものはみな割り当て制になっている。ところが在沖繩の外国系企業は、これは彼らの既得権である。したがってあくまでも自由に輸入さすべきだと、こういうことを主張していたわけでございます。したがって、その間にいろいろのむずかしい交渉がありまして、最終的には、ともかく過去において輸入した実績は認める。しかしながら、いまわが国で輸入しておるそれらの物品についての制度が割り当て制度であれば、割り当て制度にせざるを得ない、こういうことで最終的には妥結したわけでございます。   〔理事西田信一君退席、委員長着席〕 それがその電報にあらわれている経緯の一部だろうと思います。
  258. 和田静夫

    ○和田静夫君 その問題を事務レベルで引き続き検討した結果、どうなりましたか。
  259. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) その電報は、実は交渉経緯の一部について単に事務的に書いておるものですから、全体としての連絡というものが、必ずしもさだかに覚えておりませんが、先ほど申し上げましたとおり、これらの脱脂粉乳の輸入業者、あるいは肉の輸入業者、それらにつきまして、関係省といろいろ調整いたしまして、そしてまたアメリカ側と当たる、こういうようなことを何回も繰り返したわけでございます。また先方は先方で、沖繩の商工会議所その他を通じまして、彼らの内部でいろいろ相談しまして、また米国大使館を通じてわがほうにいろいろ言ってくる、こういうような過程があったわけでございます。
  260. 和田静夫

    ○和田静夫君 さっきの横文字をちょっと読んでください。
  261. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 一つは脱脂粉乳などを輸入しておるインデルコーと称しておりますが、インターナショナル・デアリー・プロダクツ・コーポレーションとか何とかいうのだろうと思うのですが、それの略でございます。それからフェアチャイルドは、御存じのとおり、エレクトロニクスの会社でございます。
  262. 和田静夫

    ○和田静夫君 そのフェアチャイルド社が通産省との間で合意したという在沖繩合弁企業とは、通産大臣、どういうものか。
  263. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 早急に取り調べて御報告いたします。
  264. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それじゃ、次の質問に……。
  265. 和田静夫

    ○和田静夫君 この文書には、さらにこんなことが書かれています。「大使より最近施設・区域の表や企業に関する書簡案等が紙上に漏れ、本国政府も迷惑しているが、関係者によろしく御注意願いたいと述べたので、本大臣より、実は自分も困っており、常々よく注意しているが、日本のプレスは容易に防ぎ切れない。しかし、最善の努力を尽すと述べた。」ここで、この文書について、経過はいろいろあった。しかし、最終段階の決着はこの文書のとおりではない、こういう趣旨のことを言われてきている。外務大臣、このプレス対策の部分ですね。この、新聞記者には困ったもんだというくだり、これは結着後もいまも、あなたの本音ではありませんか。
  266. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは、当時の愛知外務大臣見解、所感を述べられたと、こういうもんだろうと思いますが、私は、きのうも申し上げたんですが、報道の自由、これはたいへん大事なものである、これによって正しい世論が形成される、そういうことになると国家は繁栄する、そういうふうに思うんです。ただ、問題になっておりますのは、それはそうなんです。そうなんですが、一方において、またわが国において公共の福祉という問題がある。それをいろいろな法律の形において表現されておる。その表現されておる法律と相背反するということは許されない。これは、先ほど高松刑事局長が申し上げたとおりであります。つまり、法を犯すというようなことになっては困るんだと、こういうことなんですね。しかも、今回の事件につきましては、西山記者が直接漏らしたというわけじゃない。これは漏らされたほうなんです。その漏らされた西山記者と漏らしたほうの蓮見事務官との間に幇助の関係あるいは教唆の関係があるかどうかということがいま問題になっているんじゃないかと、こういうふうに思います。
  267. 和田静夫

    ○和田静夫君 さらに、この文書にはこうあるんです。「本日の会談」——五月二十八日の愛知・マイヤー会談ですね。——この「本日の会談については、会議の後、会談によっていまだ若干の懸案(P3、VOA、請求権等)が残っていることが認められたが、鋭意歩み寄りの努力を続けることとした。他方、」云々。で、ここから、この五月二十八日の時点で、P3、VOA、それから請求権等の問題がまだ懸案であったということは言えると思う。それでは、いつこの懸案が解決したのか。この文書によれば、「他方、OECDの閣僚会議に出席するロジャーズ国務長官とパリで会うこととなったので、その際仕上げを行なうこととした。」、こういうふうになっていますから、これは六月九日の愛知・ロジャーズ会談である、そう考えて、外務大臣、よろしいか。
  268. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その当時の正確な日時の記憶は私は持っておりませんけれども政府委員のほうからお答えいたさせます。
  269. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 御指摘のとおり、五月二十八日ごろから六月九日に至る間、非常に最終段階の詰めをやっておったわけでございます。しかしながら、いつの段階で全部まとまったかと申し上げますと、これはわれわれの記憶もさだかではないのでございますが、ともかく調印のまぎわまで、まだいろいろまとまらないものがございまして、一生懸命でやっていたように覚えております。しかしながら、大体パリ会談を境に、おもなるものはまとまってしまったと、こういうように考えております。
  270. 和田静夫

    ○和田静夫君 外務大臣、ここでもう一ぺん尋ねますが、要は、問題になっているのは密約があったかなかったかということなんですね。そうすると、私は、しろうとなりにひねってみましたが、経過はいろいろあったが結論的には密約はなかったとあなたは言われるけれども、あなたのその発言で、私を含めて多くの国民は戸惑っていますよ。そうでしょう。横路議員が証拠を出してとにかく迫った。復元補償費四百万ドルを日本が支払ってやるという問題です。これはやっぱり福田外務大臣が言われるように、交渉過程の中で浮き沈みした、そういう問題なのだろうか、たいへん疑問です。あなたはこの文書が、外務省が認めたわけですから、その文書が国民に与えた衝撃がどのようなものか知っているのですか。そして時の外務大臣がこれに対して、交渉の経過でそういう話は出たけれども結論はそうならなかった、こう言われるときの国民の戸惑いというのは否定できないでしょう。いまそういう状態があるわけです。とすれば、あなたは口で言うだけではなくて、口では相当事実に反することを平気で言ってきて、あのとき現時点で答えられないと言うべきであったなどということをおっしゃっているわけですから、口で言うだけではなくて、積極的に証拠をお出しになって、結果としては密約はなかったということを証明すべきである。それが佐藤内閣にいまかけられている大きな責任です。佐藤内閣総理大臣、いかがですか。
  271. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩返還協定の実態は、協定がある、それに付属してもろもろの文書がある、それが全部なんです。その裏に何か説明できない秘密の約束がアメリカとの間にある、さようなことは絶対ありませんから、この点だけはひとつ御信用を願いたい。これはもうくれぐれもひとつ御理解願いたいと、かように存じます。
  272. 和田静夫

    ○和田静夫君 絶対ないということになったら、そうしたらあなた、秘密なんてないじゃないですか。秘密事項がないのに、何で蓮見さんが切られてみたり、西山さんが逮捕されてみたりしているんですか。秘密事項はないわけですね。ない。なかったならば隠す理由はない。なかったならば、いってみればこういう事態をいまからも延引するようなことはない。国家公安委員長、すぐやめなさい。そうなるじゃありませんか。
  273. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は日米間に権利義務としての関係が設定されたこの協定、その裏に密約は全然ないと、こういうことを言っているのです。その交渉の過程ではいろんなことがあります。これはアメリカとの間のやりとりでありまするから、これを一々公表することはできない。当時においてはなおさらです。今日においてもアメリカ政府の了承を得ざる限り公表はできませんです、これは。
  274. 和田静夫

    ○和田静夫君 これはもうアメリカの側は発表しているのですから、あなた方秘密秘密と言うたって、もう秘密じゃないでしょうが。
  275. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ側におきましても、われわれの説明と矛盾する何らの発言も聞いておりません。この間新聞報道で、多少疑義のあるような発言があった。そこで聞いてみると、その発言はしておらぬということをはっきり答弁しております。
  276. 和田静夫

    ○和田静夫君 けさ明らかにもう向こう側がしているんです。  そこで私は、それじゃそう言われるのなら、P3についてはいつか、それからVOAについてはいつか、請求権についてはいつか、それを確認したい、一つ一つについて。
  277. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) これらはいずれも重要な問題でございまして、交渉の最後の段階までも残ったわけでございます。そしてこれらは結局いまの協定で最終的にケリがついたと、それまではやはりどれが一つ先に片づいて、どれがあとに片づいたというようなことはなかったとわれわれは記憶しております。
  278. 和田静夫

    ○和田静夫君 まあ時間がありますからあれですが、一般、さらに引き続いて外務委員会その他で追及をしますが、再び食言問題が起こらぬようにしておいてくださいね。復元補償費四百万ドルの私は財源問題だけでも、あなた方が言う交渉過程における秘密事項、これは幸か不幸か、出てしまいましたよ。とすれば、もう外務省としてこの問題で隠しておくべき何ものもないはずでしょう。それが浮き沈みして消えていくその交渉経過を示す電信文でも何でもあなた方は出すべきじゃないですか。そういうものをお出しになりませんか。
  279. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど申し上げたとおり、交渉経過は、これは公表できませんです。なお、電信を出すということになると、われわれの大事にしておる暗号解読という問題にもつながってきますので、これは非常にむずかしい問題でございます。
  280. 和田静夫

    ○和田静夫君 井川・スナイダー会談が東京で開かれて、同時に愛知・ロジャーズ会談がパリで開かれた昨年の六月九日の時点で、協定調印の日、六月十七日に余すところ約一週間の時点ですよね、これは。そうでしょう。少なくともこの時点では、この四百万ドルの扱いをめぐって日米間にはまだやりとりがあった、これはお認めになりますか。
  281. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 交渉の経過でいろいろ論議があったと、これはそのとおりなんです。しかし、いま問題になっておるのは何だ。国民に対する問題です。国民に対する問題としては、決着したその協定、それによってわが国がアメリカに対して負う義務、またアメリカに対して要求する権利、これが問題になるんです。その過程でいろいろまあやりとりがありますよ。それは率直にやりとりがあったことを認めまするけれども、結果におきましては、何ら裏取引がありませんから、これはほんとうに正真正銘私はここで申し上げたいと、かように存じます。
  282. 和田静夫

    ○和田静夫君 その六月九日の時点でのやりとりの内容でありますがね。それは、日本政府は米政府による見舞い金支払いのための信託基金設立のため四百万米ドルを米側に支払うものであるという愛知外務大臣の書簡を出すか出さないかというものであった、それはお認めになるわけですね、じゃ。
  283. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この問題はいろいろの交渉のやりとりがございました。しかしながら、結局いま言われたような書簡を愛知大臣なり日本政府が先方に渡すというようなことはなかったわけでございます。で、なぜそういう形で解決したかと申しますと、先方は最終段階になりまして、四条三項による復元補償の金をアメリカの議会から新たに請求するわけにいかない、したがって、何とかそれが日本に払えるように日本側でも便宜をはかってくれ。たとえば日本がアメリカ側に支払う三億二千万ドルのうちからそれが払えるように、たとえば特記というのか、別記するようなことができないのかと、こういうことを先方は迫ってきたわけですね。これに対してわがほうは、そういうことは一切できない。われわれの払うのは三億二千万ドルでこれで打ち切りだと、しかも三億二千万ドルの内容は、協定第七条に書いてあるように、資産の承継、それから労務費、それから核の撤去、これらを考慮して支払うんだと、それ以上のことはわれわれとしては一切払う義務はない。そもそもこの復元補償の金は米側が払うべき金である、したがって、これは米側がくめんしてくれなきゃ困る、こういうことを言ってあくまでも突っぱねたわけでございます。したがって、そのような手紙も一切出してございませんし、先方も最終的にはそれで納得したわけでございます。それが現在の協定でございます。
  284. 松永忠二

    ○松永忠二君 関連。  私は、いまこの問題が実はわれわれにわからないのですよ、実際。そうすると、今後出たこの極秘の電文は正しいという話だが、そうすると、「財源の心配までしてもらったことは多としているが、議会に対し見舞い金については予算を要求しないという言質をとられ」云々という、つまり財源を心配までしてもらったことは多としているがという大使の発言というのはうそなんですか。この電文自身が間違いなんですか。  それから「ス公使より第四条三項日本案の文言では、必ず議会に対し財源に関する公開の説明を要求され、かえって日本側が困るのではないか」ということ自身が、一体これは事実ではないんですか。これは事実だと、これは間違いなくこの電文であるという、正しい電文の内容だというならば、これは事実であると私は思うのだが、これは事実じゃないんですか。
  285. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 吉野アメリカ局長
  286. 松永忠二

    ○松永忠二君 それから——ちょっと待ってください。まだ質問も終えないのに、そんなあわててやらぬでもいいですよ。
  287. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それはたいへん失礼いたしました。
  288. 松永忠二

    ○松永忠二君 本大臣より重ねて何とか政治的に解決する方法を探求されたく、なおせっかくいわゆる三億二千万ドルという数字が出ているのに、三億一千六百万ドルという端数となっては対外説明がむずかしくなると言っているわけなんですね。これがうそなのか。これがほんとうだといままで言ってきているならば、これはこの交渉の過程の中でこのこと自体がほんとうであるということになれば、結果は遺憾であるとしても、第四条三項とは違うではないかということになるわけです。これがほんとうであるならば、これはいまのいわゆる最終的に結論が出たそこまでの過程の中でこういう事実があったのかなかったのか、そこを聞かしてください。私はあったということははっきりしていると思うんです。これが正しい電文だと言うなら、この事実はあったんだ。この事実はあったんだということは言えると思うんだが、何か外務大臣発言で一番われわれがわからぬのはここなんですよ。この事実はあったのかどうか——そんな、局長に聞かぬだっていいんだ。あなた、この事実があったのか、なかったのかということを返事してください。
  289. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ非常に簡明に申し上げますれば、この返還交渉において三億一千六百万ドルというものが出て、そうしてさらに復元補償という問題がありまするもんですから、それを承諾させるためにわがほうから四百万ドル積み増しをいたしまして三億二千万ドルとしたと、こういう経過にはなっておりませんです。これははっきり申し上げます。逆に三億二千万ドルというものが出てきた。で、これで対米支払いは妥結しましょうと、こういうことになったんです。かたがたわが国は復元補償問題の交渉をしておった。これはアメリカは頑強に拒否する。で、アメリカ側の言い分は、これはアメリカ国会は、日本政府に対して補償の支払いは許さないと、こういう空気だ。ですからこれに応ずることはできないと、こういうことです。そこで三億二千万ドルが、しかしわが国の立場というものがだんだんと向こうにも理解されて、復元補償にも応じましょうというような空気になってきまして、そうして、この復元補償費をめぐってアメリカ側でアメリカ国会に説明する必要上、この四百万ドルというものを別除して、まあ何か特別なものとすると、こういうような意向がありまして、それをめぐっていろんな論議が行なわれたと、こういうことなんです。そういうその過程における電報がただいま御指摘の電報である。この電報は事実われわれの間の電報であったということはここで確認いたします。
  290. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、この、文章は間違いなんですね。日本側の「かつ財源の心配までしてもらったことは多としているが」ということは間違いですね。三億二千万ドルという総額がきまったということについてはわかりました。そういうことで話をしていたということはわかる。それならばこの財源まで心配までしてもらったことは多としているが、というこれはうそなんですか。これは間違いなんですか。
  291. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その電報の文言は私もちょっとひっかかるものが感ぜられるのです。そこで、まあ当時の衝に当たりました吉野アメリカ局長に聞いてみると、そうしますと、私がただいま申し上げましたように、三億二千万ドルというものがとにかくきまった。アメリカもこれで満足だ、そういうことを表明している文言であろうと、こういう説明を受けておるわけであります。つまり、私は当時大蔵大臣、そこでこれはいつだったか私もはっきりしておらないのですが、総理大臣からお呼び出しがあったんです。そしてそこに愛知外務大臣がおる。で、愛知外務大臣から、もう最終段階に入りましたと、一番問題は支払うべき金額の問題でありますと、これは大蔵大臣は非常に渋いことを言っておるが、この際この三人の間できめたいと、こうおっしゃる。  私は大蔵大臣だから渋いことを言っておるのは当然なんです。しかし、その中身をその席上で聞いてみますと、核の問題というものが入ってきた。私は核の問題というものに非常に関心を持っておったんです。そこで私は、核の問題がこの協定の文言まで引用されるということでありますれば、これは大蔵大臣としても何をかいわんと、私は賛成だと、賛成すると、こういうことを申し上げたんです。そういう経過を申し上げますことは、三億二千万ドルというものがまずきまったんだと、三億一千六百万ドルがきまって財源提供までして復元補償をお願いした。そういういきさつにはなっておらぬということを、当時大蔵大臣としても考え得られないことであると、こういうことを申し上げておるわけであります。
  292. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  293. 松永忠二

    ○松永忠二君 しかし、これはちょっと失礼だけれども、三億二千万ドルという金がきまったということについては、この文言は何も異議はないわけです。ところが、いわゆる財源の心配までしたことは多としているがという大使のそのことばと、それから三億一千六百万ドルという端数となっては対外説明がむずかしくなる旨、大臣のほうで言ったというのですから、だから三億二千万ドルという数字がきまってきたとか、きまったとかというそのことについては何も異議はないわけなんです。しかし三億二千万ドルという数字がきまると同時に、一面いわゆる復元補償の問題が出てきて、そうしてその話の中で財源を心配してもらって多としているけれどもという、このことがあったという事実、それが事実だと言い、また三億一千六百万ドルということになってはまずいと言っている。この事実であるということになれば、当然この四百万ドルという金が三億二千万ドルの中に含まれているという、つまり交渉の経過というものはこれは正しいわけです。それでなければ、財源を心配までしてもらったことは多としているがという大使のことばが全然わからないし、三億一千六百万ドルというその意味もわからないわけです。あなたは三億二千万ドルの中にそういうものはありません、最終的にはこれを提出し、そして復元補償は向こうが出したんですという、その結末についてわれわれはあなたのおっしゃるとおりだけれども、この交渉の経過の中にはこういう事実があったということ、これがうそでないなら私の言うほうがつまり理解ができ、正しいと思うのです。そうでないと言うなら、財源を心配してもらったことは多としているがということはどういう意味なんですか。それから三億一千六百万ドルという端数となっては対外説明がむずかしくなる旨、というこの三億一千六百万ドルというのはどういう数字なんですか。この二つを説明してください。どういう正しい、いわゆるものなのか。
  294. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その大使の電報というのは、私も先ほど申し上げましたように、多少ひっかかるものがありますものですから、よく聞いてみましたところ、これはもう三億二千万ドルというものがきまったんだと、それと並行して復元補償交渉というものがあった。そこでですよ、そこでまあアメリカ政府は、三億二千万ドルは三億二千万ドルときめましょうと、しかし、きまったその交渉とは別に、復元補償につきましては、これはまあ四百三十万ドルというふうに沖繩当局は言っているが、その辺のことを考えましょうと、これは自発的に考えましょうと、こういうことにきまったわけなんですが、それをアメリカ当局としては、アメリカ国会の承認をとらなきゃならぬ、その承認をとるためには何かこれは別のものだというような形をつくらなけりゃならぬ事情があったんじゃないかと、こういうふうに思うんです。で、三億一千六百万ドルということを言われますが、これはもう簡単なことであります。引き算なんです。四百万ドルを三億二千万ドルから引けば、ちゃんと三億一千六百万ドルになるんです。引き算の結果、形式的に出てくる金がそういう金額になるというだけのものでありまして、これが先に出て、そして積み上げて三億二千万ドルにしたものじゃないと、こういうこと、これを御了解願いますれば、その文言もまあひとつ御理解願えるんじゃあるまいか、そういうふうに思います。
  295. 松永忠二

    ○松永忠二君 委員長最後に……。
  296. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  297. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは全くそういう言い方をされているからわからない。それならこの文章というのは、この電文はうそだということでしょう。さっきから言っている財源の心配までしてもらったことは多としているがということはどういう意味ですか。財源の……、大使より、米側としては日本側の立場はよくわかり、かつ財源の心配までしてもらったことは多としているがと、私の言っているのは、いろんな者の言っていることは、こうでなければできなかったというなら、なぜそれを正しく言わなかったかということを言っているわけです。それをありません、ありませんと言っていたところに秘密外交がありわせぬかということを言っているわけです。それをあなたは全然そんなことはないと、全然ないと、三億二千万ドルだけだと、こう言っているので、それじゃこの電文はうそだということになってしまう。だれが読んでみたって引き算なんだから、財源を心配してくれたといえば、四百万ドルは心配してくれたんだと、それを引けば三億一千六百万ドルになるから、端数じゃ困るから三億二千万ドルという数字にしておいてくれと、そうしておいて四百万ドルは心配してもらったんだから、それから出しますよということだと理解するのが、これが電文が正しいというならその理解のしかたでしょう。あなたのような理解はこの電文の中からできないでしょう。そこであなたはいろいろなことを言うから、私の聞いているのは、日本側の立場はよくわかり、かつ財源の心配までしてもらったことは多としているがというこのことばはどういう意味ですかと、三億一千六百万ドルは差し引きを、引き算をした数だということはわかった、それは。だから、確かにそうなんです。引いた数であることは事実。それじゃその前の財源の心配までしてもらったことは多としているがというのは、これはどういう意味ですか、どういうことなんですか、それを聞かしてくださいよ。
  298. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は当時大蔵大臣でありますから、まあ非常に実は渋いことを言っておったんです。二億ドル台とかなんとかいう主張をしておったんです。さればこそ、愛知前外務大臣は私を総理の前へ呼び出して、そして納得さしたと、こういうことだろうと思います。そういう状況もおそらく愛知外務大臣の手からアメリカ政府のほうへ伝えらておるんじゃないかと思う。そういうことを駐米大使がアメリカ側に説明いたしまして、それに対する返答がそういうことばになってはね返っておるんじゃないかと、いまになって私はそういうふうに解釈をいたしております。
  299. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうなると、あなたは三億二千万ドルの交渉にいろいろ話して外務大臣とそれをきめたいと、その交渉の過程の中で実はいろいろむずかしい渋い、問題があって、復元補償の問題は交渉していたけれども金が出ない、向こうはやらぬと言うし、そういうことでつまりその話と関連をして三億二千万ドルという金が出て、そうしてこの間にこの電文があるということならはっきりそれでわかるわけなんですよ。それだからそこでみないろいろなものが書いていることは、それならばこのいわゆる四条三項の自主的なという、「自発的支払を行う。」というのがこの電文と比べるとおかしい、そういう素朴なとり方ができないんじゃないかという疑念が一つあるのと、それからこの条文はまず置いていたとしても、そういうことがあるということならば、当時の国会における答弁のしかたもまた非常におかしかった、全然知らないというようなことではなしに、現実にそういうことが——あなたはどうかしらぬが、そういうことが行なわれていろいろ交渉の結果で三億二千万ドルが出てきていて、私は三億二千万ドルを理解しているんだということになれば、そのところでそういう交渉がいろいろ話が出たというこの事実を調べまして、こういうことがあるならなぜそれをもう少し早い時期に話をしなかったんだと、また知らぬ存ぜぬとは言わずに、いわゆる申し上げることはできませんと、さっきの委員長が言ったように、知らぬ存ぜぬという、——言えないということならまだそこにもあるのに、知りませんと言った、そうしてまたそういうことを国民に発表させることのほうがいわゆる取材として記者として正しいのではないかという意見もそこから出てくるわけなんですよ。そういう事実があったとすればそれをできるだけ巧みに探り出してこれを発表して、そうしてそれを世論に訴えていくという方法も従来の記者のとったやり方であるし、またその方法というのは認められるのではないか、それを逮捕することもおかしいじゃないかということになってきて、すべてここに関連をもってくるわけなんです。しかし私はまあ……
  300. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  301. 松永忠二

    ○松永忠二君 わかりました。  いままでいろいろ御説明を聞いていたけれども、いままでこの問題について私は発言をしなかったけれども、どう考えてみてもいまのいわゆる私の理解、あなたが最後に少しずつ歩み寄ってきた理解は、私は、しかし三億二千万ドルをきめる中にはいろいろな話があったんでしょうと、そうしてこの電文はうそじゃありませんということになれば、その間にこういう話もあったということだと私たちは思うんです。だからそれでそういうことであるならば、結果的になぜ言わなかったか、なぜある時期にこれを正直に発表しなかったのか、またそれを発表していわゆるこの問題について正しい世論を起こす、訴えるという記者のこの考え方も正しいのではないか、それは並みたいていで出すわけじゃないんだから、あらゆる手段、方法を通じてこういう重要な秘密を取っていくということは新聞記者としてのいわゆる死命をかけての仕事ではなかったのか、それを簡単にさっき話したとおりその中に仲介する人を調べることなくして参考人として呼ぶことなくして直ちに逮捕に踏み切っていったということも妥当ではないじゃないか、しかもいま、なおかつ一応の公務員法の違反事実が明確になっているのに、その現物がどこにある、どうして社会党に渡ったとか、どこからきたとかという、そこを調べる必要というのは、これは全く記者に対してないのだから、これを解放して、釈放しなさいという意見も成り立ってくるわけなんです。これのほうが素朴にこれ常識的なものの判断だから私は申し上げているのです。われわれは政府立場というものが全然ないとか、機密が全然ないということを言っているわけじゃないんであって、こういう点についてまあわからなかったので私はお話を聞いたところが、いまの最後の御説明でわかりました。  三億二千万ドルという数字は、あなたが総理の前で外務大臣と交渉した数字である、三億二千万ドルが決定する経過の中でこれが正しいというならばこういう事実もあったということをこれは認めざるを得ぬ。これはうそだというなら別でありますが、うそでないというならこういう事実もあったんだということを明らかにしてもらいたい。そのほかの方法、考え方については私と必ずしもあなた方御意見を一緒にしないでしょう。しかし私たちはいま言ったような観点から問題にしているのです。それで、これは多くの人たちの支持を得ると私たちは思い、これは単に政治の具にこれを供して、政争の具にしているのではなくて、正しい外交を推進し、正しい政治をつくり上げ、正しい表現とわれわれはその取材の権利を確保していく、知る権利を確保するに大事だということから追及をしている、この事実を、考え方を申し上げたわけです。一番わかりにくかったところがわかったので一応理解しました。  たいへんどうも長く失礼いたしました。申しわけないと思います。
  302. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうもわかったと言って簡単に片づけられたらちょっと困る点があるんです。つまり、松永さんがおわかりになった点は、三億二千万ドルということがまずきまったと、これはおわかりになった。それからその三億二千万ドルと並行していろいろいきさつがあったと、その点ですね、それは電報のとおりそういういきさつがあったと、こういうことは私はそのとおりもう異議を差しはさみません。しかし、だからといって今度きまった沖繩交渉の裏に何か裏取引があるんだと、こういうふうなにおいを感じますので、その点はそういうことは全然ありませんということをはっきり申し上げます。
  303. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それじゃ和田君、質問を続けてください。
  304. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 先ほど失礼いたしました。  沖繩のフェアチャイルド社に関し、通産省とフェアチャイルド社との間の原材料の輸入割り当てその他について申し上げます。  フェアチャイルド社は、沖繩本土復帰に関する日米共同声明発表直前に琉球政府に子会社設立の認可申請をいたしました一〇〇%出資の子会社でございます。同社は昨年春に沖繩が本土復帰した後の同子会社の取り扱いについて通産省の考え方を照会してまいりました。通産省といたしましては、同子会社は資本自由化をしていない集積回路の生産を目的としている会社でありますので、本土復帰時までに適当な日本企業の出資を求めて合弁会社に改組することを希望する旨を伝えたわけでございます。同社はこの考え方を了解し、現在適当な合弁相手の相手企業を物色中でございまして、交渉中であるということでございます。結論はまだ出ておりません。進行形である、こういうわけでございます。  なおICの製品ないし半製品の輸入割り当て問題につきましては、上記合弁計画が固まり、将来の生産計画が明らかになった段階であらためて当事者から話を聞き方針を固めるということになっておりますので、以上が同社に対する実態でございます。
  305. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこでもう一ぺん繰り返しますがね、この六月九日の時点でのやりとりの内容で尋ねたんですがね。いわゆる日本政府は米政府による見舞い金支払いのための信託基金設立のため四百万米ドルを米側に支払うものである、こう愛知大臣の書簡を出すか出さないかというものであった、それは認めたわけですね、さっきの答弁は。
  306. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) この点は先ほど御説明したとおり、このような書簡を先方が出してくれということを言ったわけでございますが、わがほうはこれを断わりまして、結局そういう書簡は出ておりません。したがってそういう書簡はないわけでございます。
  307. 和田静夫

    ○和田静夫君 大臣ね、これは書簡をめぐるやりとりであるということは、いま認められたわけですね、出す出さないは別として、書簡案をめぐるやりとりは。
  308. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 電報に書いてあるとおりでございます。
  309. 和田静夫

    ○和田静夫君 十分私わからぬのですがね。ついこの間の、いまの答弁にもありましたが、三月二十八日の衆議院の予算委員会で、福田外務大臣は、「最終的というか、三億二千万ドルというものが最終段階でまずきまったのです。しかし一方におきまして、補償費の支払いをわがほうは要求した、それに対しまして米側がこれを拒否した、そういういきさつがあります。そして、特別のファンドを設けるかどうかというような議論があり、わがほうはそれは応諾しない、こういうふうになりまして、その電報に、いわゆる愛知書簡ついに発出に至らなかった、こういう経過があるわけであります。」こういうふうに述べているんですね。そこで、ここで「特別のファンドを設けるかどうかというような議論があり、」となっておりますね。そうすれば、この議論がいつの会談にあったんですか。
  310. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) ちょっと、あの聞きはずしたんですが、最後の、ファンド、いつから議論になったかということでございますか。
  311. 和田静夫

    ○和田静夫君 いや、議論がこれは行なわれたわけでしょう。そうすれば、いつの会談で行なわれたのですか、これは。
  312. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) それは、六月の九日の会談で行なわれたことはたしかでございますが、その二、三日前からおそらくそういうような話があったんだろうと思います。そして、先方は事務当局が応じないもんだから、おそらく大臣のところまで持ってきたんだということかと思いますが、同時に、六月九日、われわれはパリで交渉しており、また日本では井川君が先方とやったわけでございます。したがって、そのころ、その前後においてこの会談が行なわれていただろうと思います。
  313. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっとすみません。何が行なわれたんですか。
  314. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 六月九日前後におきまして、この特別のファンドをつくってくれというようなことを、先方が、つくることに対して日本が承諾してくれとかいうようなことを先方は言ってきたんだろうとわれわれは考えております。
  315. 和田静夫

    ○和田静夫君 福田答弁の中に、「いわゆる愛、知書簡」とありますがね。これはいつの時点で、どのような形で問題にそれじゃなったんですか。
  316. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 愛知書簡は、先方はその電報にも書いてありますように、六月九日の会談の際に、井川君のところに先方は持ってきたわけでございます。したがって、そのころ、その交渉が行なわれたわけでございます。
  317. 和田静夫

    ○和田静夫君 沖繩担当大臣はこのことを御存じでしたか。——このいきさつ、先ほど来やっているいきさつですね、電報を含んで、電信文を含んで、担当大臣としての山中さんは御存じでしたか。
  318. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 私は存じておりません。
  319. 和田静夫

    ○和田静夫君 愛知書簡というのは、六月九日の井川、スナイダー会談でアメリカ側が要求した日米政府は、米政府による見舞金支払いのため、四百万米ドルを米側に支払うものである、そういう内容のものでしょう。
  320. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 愛知書簡というものは、現実に存在するのは沖繩におるアメリカの企業をどういうように取り扱うかということを主とした日本の方針を説明したものでございまして、これは愛知書簡でございます。  それからいまの請求権に関するファンドに関する書簡というものは、先ほども申しましたとおり、ないわけでございますが、かりに、そういうものが出たか出ないかというようなことで、いま愛知書簡という話があったのだろうとばくは想像しまして、そこで、その交渉は六月九日ごろ行なわれた、こういうことを申し上げたわけですが、愛知書簡というものが出た、唯一出た書簡は協定付属についております書簡でございまして、これはずっと前から長い間の積み重ねによって、徐々に交渉していって、最終的にはああいう形になったわけでございます。その辺ぼくもちょっと、愛知書簡と言われたもんですから、どちらの、片方のやつは実はないわけですから、愛知書簡でもないですが、愛知大臣があるいは書簡としてサインするかしないかというところでこっちが断わったわけですから、したがって、その意味の書簡はない。しかし、米企業に関する書簡は、御存じのとおりございます。そういうことでございます。
  321. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまの答弁、大臣よろしいですか。
  322. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりなんですが、いまよけいなことを答えているのですが、いわゆる米系企業のほうはいま問題になっておりませんから、それはお答えする必要はなかったのだと思いますが、いわゆるいまここで愛知書簡と言われるのは、そういう書簡を愛知外務大臣からマイヤー大使あて発出方をアメリカ政府が要請をした、こういう事実はあるんです。しかし、愛知外務大臣は書簡は出しておりませんです。
  323. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうすると、発出を要請をされた内容のものがあった、その内容の、いってみればやりとりというものもあった、こういうことになりますね。
  324. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) これは御存じのとおり、先ほどから御説明しておりますように、先方はその最終段階になりまして、復元補償の支払う金をアメリカの国会に請求することはむずかしくなってきたと、したがって、何とか三億二千万ドルのうちから、そういうような手紙を書いてもらって、出しやすいようにしてほしいというようなことを言ってきたわけでございます。しかしながら、それに対しましては、先ほど申しましたように、わがほうとしては、そういう義務はないと、お金は三億二千万ドルもたくさんアメリカ側に払っておるんだから、少なくとも、金がないということは言えないじゃないかと、こういうようなやりとりがあったわけでございます。それがその電報にも一部あらわれているやりとりだろうと思います。
  325. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうだから、その書簡をめぐるやりとりがある、あったと、ね、内容的にはそういうことでしょう。それだけはイエスかノーかで。
  326. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 書簡をめぐるやりとりがあったかどうかと、こういうことでございますね。それはその電報に書いてあるような形であったわけでございます。
  327. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、書簡をめぐるやりとりであるということは、一定の結論が出て、それを文書に確認をするかしないかの問題なんでしょう、大臣。
  328. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうじゃないんです。先ほどからるる申し上げているんですが、三億二千万ドルというものがきまったと、これをアメリカ政府は、政府側として国会にどういうふうに説明するかと、こういうことで、まあいろいろ考え方を打ち出してきたと、それに対していろいろ議論があったと、こういうことでございます。
  329. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうだから、私の言いたいのはこれからあとなんだが、前後してまた錯綜してあれですが、書簡をめぐるやりとりがあったことはあった。それは確認された。そうすると、常識的に考えてみると、結論が出て、文書で確認をするかしないかの問題になるはずでしょう、書簡をめぐるやりとりがあったということは。そうじゃないんですか。
  330. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 三億二千万ドルがきまったと、それと並行して復元補償問題があったと、三億二千万ドルというのは私どものほうからアメリカ政府に払う問題なんです。復元補償というのは、アメリカ側からわがほうへ払う問題なんだと、そういうことが並行して行なわれておったと、こういうことでございます。
  331. 和田静夫

    ○和田静夫君 それだから、四百万ドルの問題というのは経過の中に出てきた話であって、結論ではそうならなかったという福田発言というのは、どうも私はうそのような気がするんですよ、そうだから。
  332. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御質問ですか、御所感ですか。
  333. 和田静夫

    ○和田静夫君 いや、質問です。
  334. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、どう尋ねられましても、三億二千万ドルというものは、これはそれとしてきまり、別に復元補償交渉が行なわれておったと、こういうふうにお答えするほかはないのであります。
  335. 和田静夫

    ○和田静夫君 じゃ、これは時間をとっててもあれですから、こうしておきましょう。先ほど私が読み上げました議事録で確認をしておくほうが確実だと思いますから、昭和四十七年三月二十八日の衆議予算委員会議録第二十号の福田国務大臣が答えている十四ページの部分、「最終的というか、三億二千万ドルというものが最終段階でまずきまったのです。しかし一方におきまして、補償費の支払いをわがほうは要求した、それに対しまして米側がこれを拒否した、そういういきさつがあります。そして、特別のファンドを設けるかどうかというような議論があり、わがほうはそれは応諾しない、こういうふうになりまして、その電報に、いわゆる愛知書簡ついに発出に至らなかった、こういう経過があるわけであります。」という発言と、きょうのやりとりを通じての発言に間違いがあった場合、その政治責任は当然外務大臣にある。外務大臣は明確に、後ほど百十一条の問題にもう一ぺん返りますが、おやめになるはずですが、この問題でも再びやめなけりゃならぬ。この約束はできますか。
  336. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が衆議院の予算委員会お答え申し上げたことと、きょう申し上げておることは、間違いがございませんです。
  337. 和田静夫

    ○和田静夫君 いや、それは違う。衆議予算委員会で言ったこと、発言、そしてきょうの発言、これと違った——どっちみちこっちは資料をもって出すわけですが、違った結果が出た場合に、あなたは政治的責任を当然おとりになりますね。その政治責任とは、抽象的な政治責任ではない。外務大臣をおやめになることだ。
  338. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、そこまであなたからお尋ねを受けてお答えする私は義務はないと思います。私の責任は私がきめます。
  339. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで佐藤総理に返りますが、百十一条の問題について先ほど来ずっと論議をしてきたように、前提になっているところの条件というものが一つ一つ、こう除かれていった。そして、ついには、安川審議官とのやりとりの中で明らかにいたしましたように、たいへん抽象的な理由で進退伺いが出ている。そういう抽象的な理由で進退伺いが出ているというようなことになれば、むしろ、進退伺いを出さなければならないのは福田外務大臣その人だと私は言いました。そうして福田外務大臣はその進退については明確に佐藤総理にまかせてあるんだと、こういうことをお言いになりました。そこで、佐藤総理は、これについて、どのように処理をされますか。
  340. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも話をいろいろ持って回られるから、どうも私もつかみかねるんですけれども佐藤内閣の責任は、冒頭に申しましたように、この論議をめぐって衆議院の審議の段階で明らかにしたはずでございます。これで私は一応皆さんも、国会の方々も、その問題については済んでおると、かように御了承はいただけるんではないかと思っております。これもただいま言われるように、総理がいつやめるかと、こういうような意味でお尋ねがございましたけれども、そう簡単にその時期を申し上げるわけにはいかない、これが当時の私の表明であります。だから、したがって、ただいまの問題は、そのことの一連の問題でございますから、それは私に預からしていただきたいと、かように思います。  それから公務員法百十一条の問題、この問題は、これはどうでしょう。われわれも行政府として司法権にあまり介入したくありません。また、立法府御自身もですよ、そういうことについてお指図をなさろうとはしておられないだろうと思います。私は、やはりこれはただいま捜査の段階ですから、それはもう捜査の段階、その筋にまかしておいたらいかがでしょう。私は、もう皆さん方の御意見は十分聞かれたと思いますから、それで事足りるんじゃないかと、かように思います。
  341. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっと筋道が違うのは、私たちは、法の適用が間違っている。したがって、この問題だけでも参考人を呼んで——別の機会というのは、これは理事会に預けましたけれども、これに対してわれわれが見解を述べ、そして総理自身がまあ、かなりの時間をかけた論議の中で前提的になってきた総理のお考えの幾つかの部分は、きょう変わったわけですからね。そうすれば前提的になった幾つかの部分というものが状況的な判断として存在をしながら、百十一条適用というものが——国家公安委員長一つ答弁できませんけれども、国家公安委員長のいわゆる理論構成になっているわけですから、その辺は総理としても見解を明らかにされてしかるべきだ、こういうことですよ。
  342. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この問題は、ただいま捜査の段階だと、かように私は思っております。捜査の段階でどういう結論が出ますか、しばらく捜査当局にまかしておくべきだと、かように思っております。
  343. 矢山有作

    ○矢山有作君 関連。  私は、総理にこれまでの経過の中でひとつ所見を伺っておきたいんです。  それは、私は、記者の取材活動というものに公務員法百十一条を適用するということは、これは全く不当だと思います。というのは、報道の自由という立場から言うなら、やはり取材活動の自由を認めなきゃならぬ。取材活動の自由という立場に立てば、これは何とかして秘密のものを手に入れようとする、この活動はあるわけですよ。行政府のほう、役所のほうは、できるだけそういうものを出すまいとする。出すまいとすればするほど、やはり国民に知らせるという立場から、それを手に入れようとする。だから、そのことに対して百十一条を直ちに発動していくというのは、私は、これは間違いであるということをまず冒頭に申し上げておきます。  そこで、私が申し上げたいのは、あなたのきのうからきょうにかけての論議を聞いておって、この報道の自由云々の問題については、取材したものを西山記者が新聞報道しておれば問題はないんだが、報道しないで他に流したのが問題であると、こういうふうに強調し続けてきたわけですよ。ところが、きょうの午前ですね、杉原、竹田両委員の質問で、西山記者は、六月の十八日に、自分が取材したものを新聞紙上で明らかにした、つまり報道しておったということが指摘されて、あなたは、自分の認識の誤りを全面的に認められた、間違っておると。そうなると私は、なぜ、西山記者を今日まで不当勾留——今日、勾留をしておるということ、これは私は不当だと思うんです。これに対してあなたの見解を伺いたいんです。もう、あなたが言った問題は、解決してなくなったんだ、なぜ不当勾留するのですか。この点が、あなたの見解ですよ、これは間違いでないかと私は思うから、あなたはどう思うのかと言うんです。
  344. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 取材の自由、これは私も認めます。しかし、おのずからそれば限度があると、かように私は考えております。したがって、そこに責任もなければならないと、その責任は六月十八日、これは果たしておるんじゃないかと、そのとおり記事にはなりました。記事になった後なら、その材料は何度使ってもよろしいと、こういうものでもないでしょう。記事になったが、その後に、その問題が、どうも、使われようが気に食わないというか、そういう問題で、やはり捜査当局の対象になるという、これはどうもしかたがないことじゃないだろうか。私は、そういうことが記事になったと、それで私は、一応この取材活動の自由は認められた。しかし、その記事がやはりどういうところから取材されたか、こういうようなことで、やっぱりただいま捜査活動の材料になっているんだ、かように私は思います。
  345. 矢山有作

    ○矢山有作君 それは違いますよ。(「関連は簡単にしてください」と呼ぶ者あり)
  346. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 簡単に願います。
  347. 矢山有作

    ○矢山有作君 よろしいか、ね、総理。もし、あなたが百十一条を適用されて、国家公務員法による百十一条、いわゆる「そそのかし」ということで西山記者を逮捕したというなら、この段階、その百十一条に関する限りは、もう蓮見事務官もその事実を認め、西山記者も認めておるわけですね。だから、このところに関する限りは、もう何もいままで、まだ勾留しなきゃならぬ理由がないわけですよ。もしあなたが、それをあえて勾留しなきゃならぬと言うなら、あなたが、いま、はしなくも言われたように、そこから後の、どこへその文書が流れて行ったか、その流れを追おうとする意図でしょう。それはあなた、てんで意図が違うじゃありませんか。百十一条の適用とは無関係ですよ。百十一条に関する限りは問題が解明されておる。あなたは、それ以後の、最終的にどこに資料が出ておるかということを重視されるから、そこで別件逮捕ということで、別件の見込みでやっておると、それだからあなたは、それを肯定しておるんです。そんなばかな話はないでしょう。
  348. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、総理ではありますが、捜査当局のやることを指揮しておりません。したがって、ただいまのようにですよ、私が何か疑惑を持って別件逮捕さしたのだと、かようにきめつけられることは、およそ実情についてですね、あまりにも、うと過ぎやしませんか。私がこれを指揮するようなことはございません。
  349. 矢山有作

    ○矢山有作君 あなたは……
  350. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢山君、簡単に願います。
  351. 矢山有作

    ○矢山有作君 その後を知らなきゃならぬと、後の流れは百十一条には無関係ですよと言うのです。百十一条の問題は、蓮見事務官と西山記者の間で、もう検察当局なり捜査当局がつかんでおる。それでもう百十一条の問題は片づいておるのですよ。ところが、あなたいまの答弁で、その後にどこにその文書が行ったかということを知らなきゃならぬと言っている。それは別じゃありませんか、全然。そういうことで不当勾留を正しいと言うのは、それは間違いだと言うのです。文字どおり不当勾留だと、そう思いませんかと言うのです。
  352. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、捜査当局がやっておることで、これは不当勾留だとかなんとか私自身が判断することはどうかと、かように思います。
  353. 矢山有作

    ○矢山有作君 見解を聞いておる。
  354. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま、見解はどうかとおっしゃるが、見解は述べる立場にございません。
  355. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまの答弁の中でね、言ってみれば、その前段において、取材活動に異常パターンはなかった、これは、佐藤総理いまお認めになったんだからよろしいですね。
  356. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 六月十八日の新聞記事にされておると、その意味において、この当時の取材活動、その責任のある処置はとられたと、しかし、そのこと自身が免責になっておるとは必ずしも思わないと、これは別です。
  357. 和田静夫

    ○和田静夫君 それから、異常パターンではなかったと、この辺は、それはもうあたりまえのことだと思う。そこで、百十一条問題というのは、まず、くどいようでありますけれどもね、すでに終わっているのに、言ってみれば、その後を追うために、百十一条というようなものに擬装をして、国家公務員法違反というものをでっち上げて、そうして国家公安委員長は、言ってみれば、拘置を請求をしながら取り調べを進めていく、こういう状態というのは、基本がね、基本が異常じゃないんですからね、その辺のことは、もはや、おやめになるのがあたりまえだと言っているのです。
  358. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、公務員法の百十一条の該当事項として捜査が終わっておればですよ、それは解放せいとおっしゃる、しかし、捜査の途中でございまして、まだ終わっておりませんから(「終わっておるじゃないか」と呼ぶ者あり)捜査を続けておるので、それはそういうことでございますから。
  359. 和田静夫

    ○和田静夫君 国家公安委員長ね、前段の部分については、佐藤総理とのやりとりの中で明らかなように終わってるんですよ。だから、無理してですね……、(発言する者多し)不規則発言はやめなさいよ。一ぺんも不規則発言したことないんだから、三日間、黙って自分の発言のときまで待ってたんだ。黙ってなさい。あなたはどうして百十一条ということの疑いをそれじゃお持ちになるのですか。
  360. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、警察当局はですね、あなたのように捜査が終わっておるということになればこれは放すと思います。しかし、終わらないうちは、捜査の過程で、途中でございますから、放すわけにいきません。これは見解相違でございますから。
  361. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうだからですね、国家公安委員長のきょうの答弁というのは非常に答弁になってませんしね、たいへん問題でありますが、あなた、たいへんな見込み捜査をやっておる。このことはもはや明確であります。  次に移りますが、外務大臣、外務省の三宅課長が北ベトナムを訪れた目的といきさつを聞かせてください。
  362. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いつかは忘れましたが、パリにおきまして、パリの日本大使館の者と、それから北ベトナムのパリ駐在の者との間に話し合いがあった。その話し合いで、日本のほうも、北のほうの実情を見られたらどうでしょうかと、こういうことなんです。そこで、すなおにそれを受け入れまして、じゃ、そういたしましょうと、こういうことでですね、個人の資格というような立場におきまして三宅課長を北ベトナムに派遣をすると、こういうことになったわけです。そうして、北ベトナムに行きまして、三宅課長は財界人に会いまして種々懇談をいたしまして帰ってきたと、これが実情でございます。
  363. 和田静夫

    ○和田静夫君 そのパリにおいて、実情を見られたらどうですかと誘いをかけたのはだれですか。
  364. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは北ベトナムの多交官でございます。
  365. 和田静夫

    ○和田静夫君 北ベトナムの外交官、どなたですか。
  366. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は承知しておりません。
  367. 和田静夫

    ○和田静夫君 あなたが許可されたのでしょう。
  368. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さようです。
  369. 和田静夫

    ○和田静夫君 だれから、誘いをかけたということを御存じなくても、こういうふうに安易に許可されるわけですか。それが日本の外交、外務大臣がこれまでやってこられた措置ですか。
  370. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何も特定のだれだれというようなことは、必ずしも私の判断の材料として必要じゃないと、かように考えます。
  371. 和田静夫

    ○和田静夫君 三宅課長が北ベトナムを訪問をされるにあたって、アメリカとの間にやりとりがなかったですか。
  372. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、そういうふうに決定をいたしましてから、アメリカ政府並びに南越政府に、三宅課長を派遣をするという旨の通告をいたしております。
  373. 和田静夫

    ○和田静夫君 その通告の内容、アメリカの政府それから南越の政府に対する通告の内容はどんなものですか。
  374. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 三宅課長が北越を訪問する、こういうことでございます。
  375. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、内容的には全く相談をされてない……。
  376. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 内容の相談はございません。
  377. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは電信文のやりとりですか。
  378. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 在米の牛場大使から国務省のほうへ話をしております。
  379. 和田静夫

    ○和田静夫君 ここの部分については、秘密はないわけですね。
  380. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ大かたないんじゃないかと思いますが、大体そのように御承知願ってよかろうかと思います。
  381. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは局長でいいと思うんですが、これは、言ってみれば、さっきから、いきさつになっているような意味での極秘文書、そういうものはありませんか。
  382. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が承知しておる限りにおいては、極秘文書というようなものはありません。ただ、秘というか、部外に漏らしちゃ困るような機微な問題もある、こういうことだけは申し上げておきます。
  383. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、先ほどは、三宅が北ベトナムに行きます、こういうふうに言っただけだ、通知しただけだ。いまになってくると、やっぱりたいへん機微な問題だけれども、秘ぐらいに属するようなやりとりはあります、この違いは一体何を意味するんですか。
  384. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、アメリカとの間のやりとりのことをいま言っているんじゃないんです。いま三宅課長訪越、これ全体についてのことを言っておるわけであります。
  385. 和田静夫

    ○和田静夫君 あなたがそうじゃなくたって、私の質問はアメリカとの関係、南越との関係においてという質問なんですから、その質問に答えてもらえばいいわけです。
  386. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは相手のあることでありますから、そういう意味においても、そのままのことを一々お話しするということはなかなかむずかしい、そういうふうに御了承願います。
  387. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは、もう一ぺん、悪いけれども念を押しておきますが、アメリカとの間に密約がありませんね。
  388. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 密約といわれるようなものは全然ありません。
  389. 和田静夫

    ○和田静夫君 アメリカとの間で、外務省の秘以上の扱いのやりとりはありませんね。
  390. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そうむずかしい機密はございません。しかし、相手のあることでございまするから、その一々をそのとおりに申し上げることは、これはむずかしい問題である、そういうふうに御了知願います。
  391. 和田静夫

    ○和田静夫君 政府は、確かに、形式的にはベトナムに対する第二次大戦の賠償は終わったとしていますが、実質的には、鶏三羽で、南ベトナムにいってあれですね、それをしただけで、ほんとうに被害を受けた北ベトナムに対しては、それを何らなされていない。そこで、この問題の実質的な解決なしには北ベトナムとの友好はあり得ない。この実質的解決について、三宅課長は何らかの話し合いを当然されたわけでしょう。
  392. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その点は、はっきり申し上げてよろしゅうございますが、その話には全然触れておりませんでございます。
  393. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、内容的にはどんなことを触れられましたか。
  394. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ内容的というよりは、北ベトナムの状況視察、また状況についての説明を聞くと、こういうことが主題であります。その間、文化だとか、あるいは人とか、そういうような交流の問題なんかも話題になったと、しかし、別にこれは個人の資格で行ったんだから、私ども何も交渉の使命を託したわけじゃございませんから、したがいまして、そこで何か取りきめをしたとか、そういうことはもう全然ございません。単なる視察というか、視察というのがまあ多少軽ければ、気軽にベトナムの状況を視察してきたと、この程度のことでございます。
  395. 和田静夫

    ○和田静夫君 個人の資格で気軽に視察をしてくる、何の任務もないわけですか。
  396. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何の任務もないというわけはありませんよ。これは、やっぱり私どもは南北ベトナムがああいう状態にあることを、これは非常に心配しておるんです。そこでわが国は、南越との間には基本関係を持っておる、しかし、北越のほうには何も持っておらぬ、何らの情報もないというような状態です。そこで、私ども日本国といたしましてもアジアの一国です。ですから、チャンスがあれば中へ割って入って和平の一助にでもなればと、こういうことも考えております。そういう機縁にもつながるかとも思いまして、まず、そのためには、北越との間に知識を相互に持っておらなければならぬ、こういうふうに考えまして、三宅課長の訪越を実行せしめる、こういうことなんです。平和外交、その一環というと少しオーバーかもしれませんけれども、そういうような趣旨を込めて派遣をいたしたと、こういうふうに御理解願います。
  397. 和田静夫

    ○和田静夫君 当然旅費は外務省から出ているんでしょう。
  398. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 旅費まで私は見ておりませんけれども、おそらく外務省が出しておる、こういうふうに思います。
  399. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうすれば、役人には帰ってきてからの報告の義務がありますね。その報告の内容はどういうものですか。
  400. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は三宅課長からじきじき報告を受けております。ただいま申し上げたようなことが報告の内容でございます。
  401. 和田静夫

    ○和田静夫君 何かコンニャク問答でありますがね、この時期に——正確に言えばあの時期に、日本の外務省のすぐれた課長が北ベトナムにとにかく行かれた。それが、あなたが述べられるように、まさにぶらりと、ふらりと視察だというようなことに、だれが一体考えますか。特定の主たる目的をあなたがもし付与させずにこういう形でやっているとすれば、外務大臣としてはたいへんな不見識だと思う。それはかなりの旅費をかけて出られる、調査費もお持ちになって出るなどという形になるのですから、一定の外交的な成果というものを期待をされるわけでしょう。特に、先ほども触れましたように、賠償問題の実質的な解決なしには北ベトナムとの関係の回復などということはあり得ないことは、これは常識でしょう。その問題に全然触れずに、そのことについての可能性をあなた自身が調査をさせないなどというような形で出されるわけがないじゃないですか。
  402. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、私の考え方は少し大きいのです。つまり、南北ベトナムというものがああいう激しいいくさをしておる、こういう状態については、アジアの一国としてのわが日本としては見るにたえぬと、こういうようなことから、何か機縁がありますればお役に立ちたいと、こういうふうに考えておる。しかし、北越のほうは、御承知のとおり、わが国としてはほとんどこれという関係ないのです。商社の活動ぐらいのものなんです。   〔委員長退席、理事西田信一君着席〕 そこで、政府の役人がまあ現地を視察して、そして予備的な知識を持っておく、こういうことが大事であると、こういうことなんです。これは、事は一挙に平和条約の締結だ、国交の開始だと、こういうようなわけにはいきません。順を追っていくわけです。その順を追っていくところの第一歩を三宅課長に託したと、こういうことでありまして、まだ具体的な政治的な話というものは一切やっておりません。
  403. 和田静夫

    ○和田静夫君 それじゃ、三宅課長の調査、帰朝報告をもとにして、今後外務大臣としてはどのようなことをお考えになるわけですか。
  404. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 不幸にして南北ベトナムの情勢は非常にこの数日険悪化しておる、そういうようなことから見まして、いまこの段階において手も足も出るというような状態じゃございません。ございませんけれども、とにかくそういうことが長続きをするとは思いません。これがまあ平和になる、そして両国の間にも、同じ民族じゃないか、何とか結合しようじゃないかと、こういう動きもあるのです。そういうような動きが表面化してくるという際に、わが日本も何かお役に立つ一つのチャンスもないとは言えぬじゃないか、そういうふうに考えておるんです。ですから、具体的にそれから何かステップをとったかというお話でございますが、具体的にまだありませんけれども、これから何かステップをとるよすがにはなっていくと、こういうふうに考えております。
  405. 和田静夫

    ○和田静夫君 そのステップをとるよすがになったものは何ですか。
  406. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 三宅課長を通じて北越の状態がつまびらかになった、また北越との間に三宅課長を通ずる人と人とのつながりというものもできたと、こういうことでございます。
  407. 和田静夫

    ○和田静夫君 再確認をしておきますが、三宅課長と北ベトナムとの話し合いが、ベトナムの戦争終結に伴う賠償などアメリカの政府の措置とのかかわり合いにおいてなされる、そういうような形のことが全然ありませんか。
  408. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) どうもずいぶん何回もお聞きになりますが、そういうことは全然ありませんから、さように御了承を願います。
  409. 和田静夫

    ○和田静夫君 一九七一年八月に、環境問題の指導的な科学者が集まって討論したキャンベラの国際会議では、   〔理事西田信一君退席、委員長着席〕 最も至急に全世界的調査を要する汚染物資として、水銀、鉛、カドミウム、DDT、PCBの五つがあげられたわけですね。水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病、PCBによるカネミ油症というように、実に五つのうち三つまでが日本で世界最初に発見されるという事態、わが国はまさに公害先進国でこの限りではあるわけでありますが、この公害先進国としてわが国は、世界各国に日本の公害実態を詳しく知らせて、そうして前者のわだちを踏ませないように努力をする義務というものが当然あると思うんですが、佐藤総理いかがですか。
  410. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまの公害についての責任はまことに重大だと思います。公害、さらにまた化学兵器、あるいは核兵器等々、いろいろ人類に及ぼす影響、これを考えて、それらについての反省を深く求める、こういうことはわが国としてはその中立的な立場からもやりやすいと、かように思いますので、そういうことを積極的にやるべきことだと、かように思います。
  411. 和田静夫

    ○和田静夫君 それだけの決意をお持ちの佐藤総理は、この六月にストックホルムで開かれます予定であります国連人間環境会議のために提出をされました日本政府のレポート、このレポートをごらんになりましたか、総理はごらんになりましたか。
  412. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 総理はごらんになっておらぬと、ただいまここで申しております。
  413. 和田静夫

    ○和田静夫君 ごらんになっていないことまで、他人の口をかりて答えなくてもよさそうなものです。  環境庁長官、この報告書どうですか。
  414. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 一応目を通しております。
  415. 和田静夫

    ○和田静夫君 そこで、これは英文、それからこちらが日本文ですが、これ全部で二二ページあるんです。このうち日本の公害実態について触れた部分というのは二ページ足らずですよ。しかも、水俣病あるいはイタイイタイ病のおそろしさについて、佐藤総理、あれぐらいの決意でさっき答弁されましたが、一つの名前も出ていません。一体これはどういうことなんです。こういうものを佐藤内閣は国連にお出しになるわけです。これでもって、いま佐藤さんが決意を述べられた任務、国際世界に果たそうとするところのわが国の任務、それが果たされるとお思いになりますか。
  416. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 人間環境会議に提出する報告書、これは字数においても制限を受けておるわけです。そういうようなことで、わが国がこの会議に臨む基本的な姿勢、そういうものを主にして書いたわけでありまして、イタイイタイ病というような個々の問題には触れておらない。まあしかしながら、別途国連に対しましてはもっと詳しく、イタイイタイ病、その他相当詳しい資料を提出してありますので、当然私どもといたしましては、それらの問題が文書としてこの会議で配付されると、こういうふうに思っております。
  417. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうすると、このいまの答弁だけじゃだめです。ほんとうに別の報告書があるなら、別の報告書をくださいよ。
  418. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) このパンフレットは、昨年の三月にこれは国連に提出されております。これはまあいろいろな言いわけもございますけれども、あまりくどい言いわけは申し上げませんが、とにかくおっしゃるとおりの大事なイタイイタイ病とか水俣病についての記述はございません。したがいまして、われわれは日本における公害の実態を国連に提出するにはちょっと不十分でございます。そういう点で、いまわれわれは準備いたしておりますが、これはまだ発表いたしたくなかったのでございますけれども、実は次の国連の人間環境会議に参りますおりには十分に準備しまして、イタイイタイ病とか水俣病、あるいは四日市ぜんそく、そういうものを全部収録いたしまして、その実態のパンフレットをいま作成中でございますので、それを持ってまいりまして、皆さまにそれをお配りする予定でおります。
  419. 和田静夫

    ○和田静夫君 それなら外務大臣、あなた何も、出してありますから配られましょうなんというような、そんな答弁をされたんじゃ、たまったものじゃない。知らないんなら知らないと、それこそ言ってください。  そこで、いまからでもできないはずはないのでありますから、とにかくそういう形でのあれをやってもらわなきゃなりませんが、一応一般的な市民的な団体でりっぱなレポートが幾つか出されている。そういうものもある。で、私は、公害の被害者というような人たちをこういう会議にも連れていって、その痛ましさを世界に訴える、そういうような措置も必要だろうと思う。それからまあ、東大の宇井純さんなんかが中心になっているあの自主的市民団体が短期間でまとめているたいへんりっぱなレポートがありますが、ああいうレポートについても環境庁長官としてはお読みになって、まああなたのことですから当然お読みになっていると思うけれども、この予算委員会の冒頭にあったようなあなたの発言がありますからね。佐藤内閣をただ一人ささえてきた大臣かと思ったら裏が違っていたということじゃここで困るので、ちょっと念のために言うんですけれども、いわゆる市民団体の動きなどに比して政府の会議に対するところの対策というのはあまりにもお粗末じゃないか、こういうことを感じたから申し上げた。  そこで、時間がありませんからあれしますが、環境庁長官はこの会議に出席するにあたって衆参の公害対策特別委員長を連れていくべきであります。そして国民的な合意の上に立ってわが国の政府のレポートを国連において行なうべきである、私はそう考えますが、そのつもりがあるかどうか。  そして最後に一点。この国連人間環境会議で行なわれ、採択されるはずになっている事務総長報告では、捕鯨の十年禁止措置がうたわれておりますね。これに対して政府は一体どういう態度をおとりになるのか。
  420. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) お答え申し上げます。  この六月のストックホルムにおける環境会議には私が出席いたしたいと考えておりますが、まだ確定はいたしておりませんので、まあ少し先走るようでございますが、参加する予定のつもりで申し上げたいと思います。  で、おっしゃるとおり、いろいろな人に私は一緒に行ってもらいたいと思います。たとえば患者につきましてもいろいろ考えておりますが、これは人数の制約、いろんなものがございますので、必ずしもこれは実現できるとは思いませんが、少なくとも十分に患者の実態なり気持ちというものを把握してまいりたいと考えております。また、衆議院と参議院の公害対策の特別委員長を一緒に同行できるようなら、これにこしたしあわせはございませんけれども、まだそのころまで国会が、会期が延長されておりますかどうかわかりませんので、これもやはり国会の御都合もございましょうから、これもまたいろいろそのときになって考えてみなければならないと思う次第でございます。  それから捕鯨の問題でございますが、これは実は私もいま頭を痛めております。と申しますのは、現在世界で一番鯨をとっておりますのは日本とソ連でございます。しかも、そのソ連が今度はこの会議に参加いたしておりません。私は、十年間捕鯨を凍結するということは非常にけっこうなことだと思います。しかし、学者に聞いてみますと、必ずしも期待するほど十年間では鯨はそうふえないけれども、しかしけっこうなことだという意見でございましたが、はたしてそれが直ちにできるかどうか。と申しますのは、ソ連には欠席裁判になります。そういうことで、いろいろいま研究中でございます。でまあ、こう申すと少し先走るようでございますが、最低のところは、いろいろと具体的な、何と申しますか、対策を立てまして、そして資源を増加させながらある程度の捕鯨をやっていこうということに落ちつきやしないだろうかどうだろうか、そういう可能性は十分ございます。そういうことも一応いま検討しておりますが、そのはっきりしたお答えまで申し上げる段階ではございません。  それから一つ、外務省の名誉のために、やっぱり少し私はさきの発言を取り消しますが、確かに外務省から国連に対しましては水俣ディジーズという熊本大学の医学部の研究の論文はすでに国連に提出してございます。
  421. 和田静夫

    ○和田静夫君 それなら、資料要求したのによこさないの。
  422. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 以上で和田静夫君の質疑は終了しました。(拍手)     —————————————
  423. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 次に、三木忠雄君の質疑を行ないます。三木忠雄君。(拍手)
  424. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、きょうは、機密漏洩の問題並びに物価問題、沖繩、防衛等の問題に関して、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。  最初に、機密漏洩の問題でありますが、先般からいろいろ新聞紙面等で、この機密漏洩の問題が問題であります。特に国民は、この秘密電報等の問題に対して多くの疑惑を持っておるわけであります。この際私は、国民がわかる——やはりこういう問題が提起されているということは政府のいろんな秘密交渉があったんだという疑惑の目が国民から向けられていると思うんです。したがって、この極秘電報の問題点であるところの二つの問題点について私はまず最初にお伺いしたいと思います。  第一点は、沖繩の統治者であった米国が当然負担しなければならない補償費を日本政府が持つことになったというこの第一点の問題。  それから第二点は、この秘密電報の中にある、スナイダー米公使が述べている、問題は実質でなく、アピアランスである。この協定のからくりを国民の視点から一切遮断していこうという、こういうふうな問題がやはり私は極秘電報の中にあるのではないかと、こう考えるわけでありますが、この問題についての具体的な御説明をお伺いしたいと思います。
  425. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩国会におきましてしばしば質問があった問題の一つは、対米支払いが三億一千六百万ドルと一応きまって、そして復元補償費の財源といたしましてさらに四百万ドルを積み上げて三億二千万ドルにしたんじゃないか、特にそれが今回秘密電報が明らかになったその文言から見てそういうふうに理解されるべきではあるまいか、そういうふうな御議論のようであります。しかし、私どもはこれに対しましてるる申し上げておるんでありまするけれども、交渉の経過におきましてはいろんなことがある。これはもう百余る電報の往復というものがある、——百どころじゃないんだろうと思うのです。そういう電報でもわかるとおり、これはいろいろないきさつがあるのです。このいきさつの中には、まあそういうふうに御推想なされるような文言もなしとはしない。しかしながら、こうした交渉というものは最後にならなければわからないのです。最後になってきめられました沖繩返還協定、この協定は、もう明らかにしてあります協定の本文並びにその付属文書、これ以外には何もない。裏取引でありますとか、あるいは密約でありますとか、そういうことは一切ない、こういうことを申し上げているわけであります。  それから、スナイダー公使との会談の話で、問題は実質よりはアピアランスだと、こういうようなことが書いてある。これも電報に出ておるのでありまするが、この三億二千万ドルというものがきまる。そうしますと、一体この三億二千万ドルというのを両国の政府は両国の国会に対してどういうふうに説明するかと、こういう問題があるわけであります。この説明が行き違ったんじゃこれは困るのであります。これはきめられたとおりに正確に伝えられなきやならぬ。その説明ぶりというものを打ち合わしておく、これは協定を結ぶ場合の当然のことじゃあるまいか。その当然のことが、そういうアピアランスというような文言であらわされておると、こういうふうに理解をいたしております。
  426. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この電文の中にも、本大臣より重ねて何とか政治的に解決する方法を探究されたく、なおせっかくの三億二千万ドルがうまくいかず、三億一千六百万ドルという端数となっては、対外説明がむずかしくなる旨言っておいた、こういうふうに言われておるわけでありますが、この真意はどういうぐあいなんですか。
  427. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この交渉の最終結果といたしまして、対米支払いは三億二千万ドルと決定をいたしたわけです。かたがた、わが国といたしましては、沖繩県民の要望も受けまして、アメリカ側が今度は日本に支払いをすべきである、つまり三億二千万ドルを日本側がアメリカに払うのです。そのかわりアメリカがわが日本に対して復元補償費を払えと、こういう交渉をいたしておったわけです。これに対してアメリカは非常な抵抗を示して、わが方としても当惑いたしておったわけでありますが、まあだんだんの努力の結果、アメリカといたしましてもこれを了承いたしまして、復元補償だけは応じましょうと、こういうことになってきたわけであります。その復元補償に応じますということにアメリカ側はなりましたけれども、しかし、アメリカの国会が非常に強い。日本に対して復元の補償に応ずるというようなことは非常に困難であるという空気がある。その空気を背景といたしまして、アメリカは何とか復元補償支払いの説明をしなければならぬ。その説明ぶりといたしまして、三億二千万ドルを日本側から受け取ります、ただし、その三億二千万ドルの中から四百万ドルというものを別除いたしまして、そしてこれを支払いの財源に充てましょうと、こういうようなことを考えたわけなんでありまして、そういうことのまあ意見の表明があった。しかし、わが国といたしてそういうことを承諾するわけにいかぬ。アメリカ側はそういう愛知外務大臣の要請の文書までほしいと言ったんですが、そういう要請の文書はもとより、そういう考え方自体にも応じかねるというので、最終段階ではきっぱりと断わった。三億二千万ドルの支払いというものは、協定に書いてありますとおり、これは資産の承継、また労務費の支払い、核撤去等を考慮いたしまして三億二千万ドルというものを一括して支払う、こういうことにきめたわけであります。
  428. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私は、この三億二千万に深く入ろうとは思いませんが、この交渉の結果についてはいろいろとやかく言われますけれども、この結果について、この機密文書であるとか、あるいは極秘文書であるとか、こういわれているこの文書を、昨日の記者会見でも、政府として知らせる義務があると、こういうふうに官房長官も統一見解を示されておるわけであります。こうなりますと、こういう沖繩交渉にからむ、まあ国民から言えば非常に疑惑を持っているこういう問題を、いつの時点において公開をし、政府が知らせる義務があるというこの問題、国民にどういうふうに答えようと、こうお考えですか。
  429. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はしばしば申し上げておるのですが、言論の自由、これは非常に大事なことである。この言論の自由があればこそ健全なわが国の国運というものが維持できるのだ、また発展せしめることができるんだ、こういうふうに思います。私は新聞記者諸君は非常に好きですよ。非常にいいつき合いをいたし、できる限りのニュース資料というものも提供しております。しかし、別に国としては立場がある。いま問題になっておる立場というのは、国家の機密という問題であります。機密も保護しなければならぬ、こういうことがある。報道の自由、これはもうほんとうにわが国の政治として最も尊重しなければならぬ問題でありまするけれども、その報道の自由が守られるためには取材の自由ということがある。しかし、その取材の自由がこれが法に触れるというようなことがあったら、国家の秩序というものは存立しないわけであります。取材は自由であるから何をやってもいいんだ、こういうことであったならば、国家秩序というものは維持できません。それが今度の問題の本質だろうと思います。私はどこまでも、繰り返して誤解のないように申し上げますが、報道の自由、これは尊重さるべきである。しかし、これはあくまでも国家利益を相侵すことはできない関係のものである。こういうふうに考える次第でございます。
  430. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと問題がぼけているような感じなんですが、この沖繩の返還交渉にからむいろんな、一応外務省で言う極秘文書あるいはマル秘の文書、こういう問題がいろいろあると思う。しかしながら、われわれとしても、交渉の過程、今後の問題点として事の結果についてのいろんな報告あるいはいろんな実体というものはもう少し突き詰めて聞いておきたい、こういう問題が私たちをはじめ国民にあると思うのです。こういう点をいつの時点においてもう少し詳細な説明をするのか、もっとあからさまに、たとえば、この返還協定の第七条を見ましても、「復帰後に雇用の分野等」とか、「負担することとなること等」を考えと、非常にぼかした表現でこの三億二千万ドルの表現をしておるわけです。私たちはこれは非常にわかりづらいし、本年度の予算を審議するにあたっても非常にわかりづらい不明な点があるわけなんです。こういう点についてもう少しあからさまに政府は知らせるべきじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。
  431. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩返還の協定並びにその内容につきましては、あの長い長い沖繩国会におきまして私はるる国民に対し説明し尽くされておる、もう尽くされない問題というものはないんじゃないかというくらいまで考えておるわけであります。しかし、いま国会が開かれておるこういう際でありまするから、もしこういう点がなお解明が必要であるというようなお尋ねがありますれば、私どもはすなおにまた全力を尽くしまして御質問にお答えをいたす、こういう決意でございます。
  432. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この秘密電報の問題に関して特に外務大臣あるいは外務省当局がアメリカを非常に気にしている。日本の国民に知らせるというその利益よりも、アメリカを非常に気にしたいろんな発言があるわけです。秘密を漏らしたことに対して、具体的にこの極秘電報等が日本でいま問題になっておる、こういうことに対するアメリカの新聞等はあまり報道はしていないわけです。具体的にアメリカの大使館からこういう問題に対する抗議はあったんですか、この点伺いたい。
  433. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 率直に申し上げまして、アメリカから抗議めいたことはありません。アメリカでも最近こういう事件がありましたので、なかなかそういうことについて日本側に抗議というようなことはなしがたい立場にあるんじゃないか、そういうふうに思います。
  434. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、考えてみれば、外務省は気にしているほどアメリカに気がねすることもなければ、この秘密の基準といいますか、あるいは秘密の文書というものは、当然国民の知る権利としてこれはとどめておくべきじゃないかと思うんです。国民の知るべき権利だと思うんです。ところが、これの機密の基準が非常にきびしいといいますか、情報として一年もたって現在非常に価値がないといいますか、交渉の結果で。こういう問題をあまりにも機密、機密といって、今回の記者逮捕等の問題に発展するようなことについては、私たちは納得できない、こう思うんです。この点についてはいかがですか。
  435. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、交渉の経過につきましては、これは日米双方ともこれを公にしない、こういうたてまえで交渉をいたしたわけであります。ただし、その中で、これは公表したほうがよかろうとか、あるいは公表しても差しつかえなかろうとか、そういう問題につきましては公表をいたしておるわけであります。しかし、交渉の結果につきましては、これは詳細に国会に対しまして報告をいたしておるわけでありまして、その経過であって、消え去って何の意味もないものにつきまして、国民にこれを報告をするということをいたしましても、私はそう意義があることとも存じませんが、とにかく日米両国とも交渉の経過はあまりこれは話さないことにしよう、かえって誤解を招くようなもとになりはしないか。現に今回の秘密漏洩、これによりましていろいろ皆さんに御疑念を抱かせている、こういうようなことになっておる。そういうようなことで、交渉の経過につきましては、今日もなお原則としてこれを公表しない、こういうたてまえでございます。
  436. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、次の問題、公務員法の拡大解釈をして、今回の国家公務員の資格のない者まで国家公務員法で縛ってしまう、適用してしまうという、こういうやり方については、総理いかがですか、非常に問題だと思うんですが。
  437. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) たいへん失礼いたしました。ちょっといま聞き漏らしましたので、もう一ぺん質問の要点をお教え願いたいと思います。
  438. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 公務員の資格のない者が逮捕されるということはおかしいじゃないかということです。
  439. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 国家公務員法の百十一条の場合は、やはり公務員でない今度の西山記者のような者が逮捕の対象になる、捜査の対象になるということもあると思います。
  440. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと聞き取れないんですが、警察庁——昨日警察庁長官が談話を発表しておりましたけれども、警察庁として今回の電報は名実ともに極秘電報であると、こういうふうにきめつけた理由は何かあるんですか。
  441. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私は、警察庁長官の談話を、新聞か何かのものだろうと思いますが、読んでおりませんので、刑事局長から答えさせます。
  442. 高松敬治

    政府委員(高松敬治君) 今回の文書が国家公務員法にいう機密文書に当たるかどうかという点については、先ほども申し上げましたように、慎重にこれを検討いたしまして、前の北鮮帰還協定の事件の場合でもそうであっは、それから外交上のそういう往復文書についての極秘の文書というものは当然これに該当する、こういうふうに判断してやったわけでございます。
  443. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この警察庁の判断というのは、私たちはなかなか納得できない問題だと思うんです。それで、現実にこういう問題が拡大解釈されてくると、非常に取材の自由というか、こういう問題が私は制限されてくる。特に、きょうもある大臣の記者会見の中で、記者が機密を取材するのは当然だ、こういうふうに発言している者が佐藤さんの閣僚の中にいるわけです。こういうふうな発言——閣僚の中にも、今回のやったことに対する取り違えというか、考え方というのは行き過ぎであると、こういう考え方を持っている閣僚がいらっしゃるということも、私はきょうあるニュースで聞きました。こういう点を考えてみますというと、今回のこの報道の自由と国家公務員とはっきり区別してものごとを考えていかなければならないのではないかと思うのですが、この点は総理どうお考えですか。
  444. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのお話、先ほどもお答えいたしましたように、ただいま捜査の途中でございますから、これはどうも捜査機関にまかしておくのが当然ではないか、かように私は考えます。立法府には立法府の権限があり、また行政府には行政府の権限があります。私は行政府を代表はしておりますけれども、しかし、捜査の一々について私が指図するような問題ではございませんので、これは捜査当局、それが独自の立場において権限を執行していると、かように理解しております。
  445. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 関連して。  いま国家公務員法の百十一条との関連で逮捕という話がありますが、その前の三木君からの……。
  446. 徳永正利

    委員長徳永正利君) もうちょっと大きな声で……。
  447. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 その前の三木君の質問にも関連するわけでありますけれども、国家の利益ということを理由に執行している政府が、国民に対して情報の公開を拒否する、それが正当化できるというのには、ある程度の私は限界があるだろうと思う。そこで、少なくとも今回の沖繩の問題——冒頭に三木委員指摘したように、四百万ドルというのは、これは逆にわれわれ国民のほうから見れば、国民の利益に反することになる、過度の秘密ということが国民の利益というものに重大な影響を及ぼしている、こういうことになってくる可能性がある。私どもはそうしか見えない。そういう情報の公開にあえていどんだということになった者を逮捕するということは、私はどう考えても、表現の自由、国民の知る権利を奪う、こういう論点にならざるを得ないのです。そういう点で、これは行き過ぎだ。総理いかがですか。
  448. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは捜査の途中ですから、いろいろの批判があるだろうと思います。結論が出ると、行き過ぎであったか、なかったか、これもはっきりするだろうと思います。ただ、いまこの段階で、いろいろ議論することは、われわれはすべての材料を持っているわけじゃございませんから、おそらくただいまの御意見を述べられた鈴木君にしても、ただ表面に出ているところだけ、実際の捜査の段階がどうなっているか、これはつまびらかでないだろうと思います。したがって、この段階で行き過ぎだとか、行き過ぎでないとか、これを言うことはたいへんむずかしいことだ、かように思います。私はそこで、ただいまのように司法当局に、ただいま捜査途上の問題ですから、そこにまかさざるを得ないのじゃないか、かように申し上げておる次第でございます。
  449. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 関連。
  450. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 矢追君、簡単に願います。
  451. 矢追秀彦

    ○矢追秀彦君 いま総理は、捜査中であるからということで、問題をいつもそらされておるわけでありますが、私がお伺いしたいのは、総理のお考えになっておる国家機密という問題と、それから知る権利の自由ということ、これもずっと議論がされてまいりましたが、私は参考までにアメリカにおける考え方を紹介をいたしまして総理のお考えをお聞きしたいと思います。  アメリカにおきましては、大統領令によりまして、「国防上の情報または資料で、その権限外の露顕が国家に対する重大な損害をもたらすもの」、これが一つの規定になっております。大体の考え方としまして、「軍事または外交上の情報で、その公開が国家の安全を傷つける場合に、その露顕を政府が拒絶する特権」があると、こういうことになっておるわけであります。  で、今回の、アメリカの去年の例のベトナム問題については、最終的には、国民に知らせることが米国民の利益であると、こういうことで最高裁が判決をしております。で、その担当に当たりました判事の考えでありますが、ダグラスという判事はこの補足意見の中でこう言っております。「政府における秘密は根本的に反民主主義的」であると。それから、ブラックという判事は、「よく情報が提供された代議政治を犠牲にして国家の秘密を擁護しようとするのは、共和国に真の安全を供するものではない」、こういう、アメリカは非常に、この国家機密という問題についてはきちんと、はっきりした考え方が出た上で、しかもかなり自由にされております。  ところが、この間からのずっと議論を聞いておりますと、政府は、要するに、国家に対する重大な損害ではなくて、この機密文書というものは、もしあの交渉の過程で完全に暴露された場合、たとえば沖繩がかりに返らないと、そういうことがかりに起こったとなれば、それはいろいろな問題があったかもしれませんが、現時点において出ておる問題でありますから、私は、国家の安全を傷つけたり、あるいは国家に対する重大な損害を与えるものでは決してない、むしろ国民に知らせることが国益であると、こう考えるわけでありまして、その点について、これからの方向というものが、このままいきますと、ますますマル秘文書がふえて、国民が知りたいということがどうも阻害されてしまう傾向を感ずる。これについての総理のお考えが一つ。  もう一つは、記者の取材の問題でありますが、これも西ドイツの場合は、非常にこの記者の取材、情報収集の権利、インフォルマチオンス・フライハイトと、こう言っておりますが、向こうではこれがかなり確立をされている。日本の法律の中では、非常にそういった公開の原則というものをうたわれている、あるいは国会におけるこの請求、調査権、こういったものは非常に狭いわけであります。やはり、こういう記者の人たちが自由に知る権利というものを擁護する立場といいますか、そういう法律というものは何もありませんけれども、ないわけですけれども。非常にそういった点で、こういうふうないろいろな問題を起こすような手段を講じなければならないような取材というものも、あるいはこれはまあ捜査の過程でわかりませんが、西山記者のとった態度がかりに法に触れておったとしても、そういうふうなことをしなければならないということは、記者の知る権利というものがまだまだ日本では保障されていない、こういうところに問題がある、こう考えるわけであります。そういった点についてどうお考えになるか、二点お伺いします。
  452. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) アメリカの例を引き合いに出されました。これは、たしか裁判の問題ではないかと思っております。  ただいま、わが国で機密漏洩、これはただいま捜査中でございます。裁判手続上の問題ではございません。そのことは、明らかにこれは別でございますから、そういう意味でひとつ区別していただきたい。だから、その捜査手続上いろいろなことをやりましても、まあ案外、捜査官、捜査当局が、これは犯罪を構成すると考えましても、裁判では別な判決が出るかわかりません。これはもうそうしたものだと、かように思っております。  ところで、もう一つ問題なのは、重大なのは、外交の問題であります。外交の問題は、基本的な外交政策、これは明らかにしろと、これが内密であったら、いわゆる秘密外交だということが言われております。しかし、途中の問題、いわゆるやりとりの問題、それを一々詳細に発表する、これではおそらく外交はやれない。こういうことで、いわゆる各国とも、その点は、秘密が守られるようにと、結論はしかしはっきりさす。こういうのが普通の外交の案件の取り扱い方のように私は理解しております。ただいまの問題も、捜査途上でございますから、どういうことになるかわかりませんけれども、ただいま外交の文書が、その結論ではなくって、交渉の段階における、そのところで問題が発表されたとか、あるいは漏洩したと、こういうことで、問題だろうと思います。これは外務大臣からもしばしば答えておるように、基本的には、われわれの考え方と、いろんなやりとりはあったけれども、実際は違っておるんだと、こういうことをはっきり申しておりますから、ただいまの矢追君が御指摘になりますように、本来のいわゆる秘密外交をするつもりはございませんけれども、外交というものは、ただいまのような中間的な段階において一々これが公表される、こういうことはやはり避けたいと、こういうような問題ではないかと思っております。  また、ドイツの場合、これはたいへん、一番取材の自由なのがドイツだと言われておる。その次は、やはり日本の場合が言論の自由が保障されておると、かようにいわれております。しかし私は、これはやっぱり、過去のいろんな経験から、まあけさほども問題になりましたが、新聞協会自身が、みずからが倫理綱領をきめるように、やはり新聞の、言論の自由を守る、そういう立場に立って、そうしていま達成されつつある状態ではないだろうかと、かように思います。したがって、私ども行き過ぎがあってはなりませんから一とうも秘密事項というものがずいぶん日本には多過ぎると、こういうような批判もございます。したがって、そういうものの扱い方、また、国益というものはだれがきめるか、こういうふうなことについては、けさほども概括的に私の考え方を申し上げましたが、やはり、ただいまのような諸点については、外国の例ももちろんわれわれは検討もいたしますし、また、わが国におきまして、いわゆる秘密、何もかも秘密秘密と、こういうわけには、それは政府が強力でも、できるものではございませんし、またそうあってはいけませんし、そういう点はやはり民主的ルールによってきまると、自然にきまると、かように私は理解しております。
  453. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ、このような公務員法の拡大解釈をされてくると、やはり取材活動の自由がだいぶ制限されてくるんじゃないか、こういう危惧が私はするんです。日本の民主主義の発展にとって非常に暗い感じを与える今回のニュースではないかと思うんですがね。この点について、総理はこの取材活動の自由が侵されないと、こういう点を言明し、ほんとうにこの国家公務員法の資格の適用できない者までも、実際にこういった方法で西山記者を逮捕していくというような行き方は、今後私は改めていくべきじゃないかと思うのです。この点はどうお考えになりますか。
  454. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 今回の記者の逮捕について、行き過ぎではないかというような御意見等があることは、私も承知いたしておりますが、警察当局といたしましては、今回の事案は、百十一上条にやはり該当する容疑がきわめて濃厚であるという立場に立って捜査を始めたのでございますが、御承知のように、逮捕するとか、あるいは逮捕した場合、その身柄を、さらに逮捕が延びるというような場合は、警察権が被疑者の人権をみだりに侵すことのないように、それぞれ手続を経なければならないということになっておりますから、警察権の行き過ぎ等がある場合には、そこでちゃんと、チェックされるようになっております。そういう手続をそれぞれ完了しまして逮捕もいたしましたし、逮捕の延期もやっておるという点を、ひとつ御理解願いたいと思います。
  455. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 総理答弁——取材活動の自由が制限されるのじゃないかという、こういう危惧があるという点。総理、取材活動の自由が侵されるのじゃないかという点。
  456. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、取材の自由、活動の自由、こういうものは保障されなきやならぬと思います。しかし、それも、やっぱり法律を無視し、社会秩序を破壊してまでと、そこまでは行き過ぎだろうと思いますから、もちろん、倫理綱領でもいっているように、やはり法律範囲内においてと、かように私は理解しております。
  457. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、この問題について昨日総理が記者会見をされて、新聞人に挑戦をすると。特に、毎日新聞の編集局長の、言論の自由に対する政府の挑戦などの声明に対して、総理はまあ開き直ったような形で、新聞に挑戦すると、こういうふうに記者会見でも述べているんですが、この真意は何なんですか。
  458. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府の処置を新聞人のほうが、政府がこれは言論陣営に対して挑戦したものだと自分はとると、こういう論文が出ておりますので、私は、そのことば——私が挑戦したのではなくて、相手方が先に挑戦しているので、挑戦される以上、私も受けて立つと、これが私の考え方でございます。
  459. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこが私はちょっと問題だと思うんですが、言論人が、報道の自由、こういう問題で——いろいろ総理の誤解をされている報道の自由と、この国家公務員法のこの問題をすれ違いにして、刑事事件のほうに引っぱり込んで、それに対する見解があまりにも違っておる。これに対する、言論の自由の問題に対するいろいろ挑戦ではないかと思うんですがね。それを総理はすりかえて、何か国家権力言論人を押えようと、こういうふうないろんな圧力のように私は考えられるわけでありますが、この点についていかがですか。
  460. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さようなことはございません。どこまでも言論は尊重しなければならない、言論の自由はこれを尊重すると。また、取材の自由、これも私ども確保していくと、こういう考え方でございます。しかし、あの編集局長の書かれておることは、政府の、これは国家権力の挑戦だととると、かように言われておるので、私ども挑戦した覚えはございませんけれども、挑戦だと受け取られる以上、こちらもそれに対して備えをすると。これはもうけさほども答えたように、これが自衛隊の本旨でございますから、さように御了承願います。
  461. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ちょっと言い回しが、自衛隊の問題まで引き出して、何かいろんな問題をごっちゃにして、総理は当てつけに何もかも言っているような感じを受けるわけですよ。これはちょっと国民も納得できないと思うんですね。自衛隊の問題を持ち出して、この言論の問題をすりかえるような論議ということは、私は納得できないと思うんですね。それが実際にこのあとの記者会見でも、そのときの中で、こういう問題はたいしたことはないんだから君らもう言わないほうがいいよと。総理、まあこういった発言は、国民が知りたいというような権利をまっこうから否定しているんじゃないか、今後もこういう姿勢総理の中にあるんじゃないか、こう私は思うんですが、いかがですか。
  462. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そんなことはありません。ただいまも申すように、はっきり、言論の自由、これは尊重します。また、取材の自由、これも確保します。しかし、はっきり申しますが、とにかく、秩序を乱したり、法律を無視したり、そういうことはしないようにお願いしたいと、これが私の真意でございます。
  463. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この報道秩序ということをすごく重んぜられるわけですけれども、じゃあ現実に、昨日も官房長官の記者会見がありまして、政府統一見解が出ておりますけれども、この国益と国家機密の問題ですね。特に、この国家の機密というものは何が基準で、たとえば極秘であるとか、あるいは秘密であるとか、こういうことの判断をしておるのかどうか、この点についてお伺いしたい。
  464. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国益あるいは国家機密、これはたいへんむずかしいことであります。これも社会党の上田君にお答えしたように、最終的にはやはり国民の民意によってきまると、こういう言い方が正しいかと思います。それでは何にもきまらないじゃないかというまた疑問も生じますから、やっぱり国民の総意によってきまる、そういう意味合いで国益をきめると。これは国民の総意を代表する、大多数を代表する政府がきめていくというのが、国民の総意に大体かなうものじゃないかと。これは、ときにどんどん政権もかわるじゃないか、こういう言い方もあるだろうと思いますが、とにかく、政府がきめざるを得ないと、こういうことになります。政府がきめるということは一体どういうことなのか、大臣がみんなタッチしてきめるのかと、こうなりますと、これは、それぞれの省によって仕組みが違いますし、扱っておる事項もまた違いますから、またそう簡単なものでもありません。これらの点は、次官会議等で十分協議し合って、極秘、あるいは秘扱い、あるいは一般公表差しつかえないとか、こういうような大体の区分をするように実はなっておると、かように思います。比較的そういうものの多いのは、さっき御指摘になりますように、交渉途上の問題を外へ漏洩しては困ると、こういうような外交上の機密文書、あるいはもう一つは、国家の防衛の基本的な問題だと、こういうところにわりに極秘事項の書類が多いのではないだろうかと、かように思います。また、機密漏洩、こういう事柄についても、いまの極秘あるいは秘扱いというような問題についても、多過ぎるとか少ないとかいうような問題が必ずありますから、そういうものは、また皆さんからも御批判を受け、われわれの姿勢も正されていくと、かように御理解いただきたいと思います。
  465. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、具体的に、けさも総理は、きめ方に対していろいろ批判も受けると、いまも申されましたが、具体的に、私たちは、たとえば防衛庁あるいは外務省のどういう文書がマル秘あるいは極秘になっておるかという文書規程すら要求してももらえないわけですな。こういう点は、何が基準になって極秘なのか。私たちが考えれば、普通に公開してもいいんじゃないか、国民が知るべきじゃないかと、こういう問題までが、極秘であるとか、マル秘であるとか、こういうことが問題点になっておるわけです。これは、総理批判をしてもらいたいと言っても、批判をする範疇がないわけですよ。この問題をやはり国民の前にはっきり出すべきじゃないか、あるいは国会議員に出すべきじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  466. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 発表すること自身が困るような場合もあります。したがって、国会で特別な秘密会議ならお話をいたしますと、こういうようなこともございますから、そこらは運営上の問題でやっぱり考えていただきたいと思います。  なお、外交文書について、いまの中間的な経緯の問題を漏洩しないように、これを守るというのが大体の原則であります。ものによりましては永久秘密、そういうものもございますから、これらの点については、なお外務大臣から私の説明を補足さしていただきたいと思います。
  467. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外務省では秘密文書の取り扱いの規程があるわけであります。その規程によりまして文書の扱いをやっておる。そして、機密事項にするかどうか、そういう判断は部局長がするわけです。防衛庁もそうだろうと思いますが、外務省のほうでは非常にそういう問題が多いわけであります。つまり、大体外国の人との話し合い、そういうことになります。その結果が一々漏れるというようなことになりますると、外国の人がもう話をしなくなっちゃう。日本の外交官と話したらそれが全部漏れちゃうんだと、こういうことになったら、もう外交交渉というのはそれ自身できなくなっちゃうのです。そういうようなことで、他の各省に比べますと秘密事項が多いんじゃないかと、こういうふうに思いますが、まあ、できる限り、報道の自由、また取材の自由ということもありまするから、その秘密事項につきましては整理するというようなことも考えたらよかろうというふうに今回は痛感をしておるわけであります。しかし、いやしくも、機密というふうにきまったことが漏れるということになると、これはたいへんなことになる。外交交渉はできなくなると、こういうふうに思います。
  468. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで、この国家機密の基準ですね。たとえば、各省でいろいろな機密の基準があります。こういう問題は、これは申しわけないのですけれども、一部課長あるいは局長の判断で、何もかも秘密だ、あるいは極秘だと、こういうふうにされていくような機構というものは、もっと組織的に、何とか具体的に検討すべきではないかと私は思うのですが、この点で官房長官。
  469. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これはいま三木さんお尋ねの、直接に当たるかどうかわかりませんが、基準について申し上げます。  昭和四十年の四月十五日、内閣官房長官名をもちまして、秘密文書等の取り扱いについて、各省事務次官に通達をいたしております。で、この行政機関における秘密の保全について万遺憾なきを期するため、各行政機関の長は、左の諸点に留意して秘密文書等の取り扱い規程をすみやかに制定実施するものとする。秘密保全を要するすべての文書及び物件について、原則として左の四種類に区分すること。一、「機密」、秘密保全が最高度において必要であって、その漏洩が国の安全、利益に重大な損害を与えるおそれのあるもの。二、「極秘」、機密に次ぐ程度の秘密の保全が必要であって、その漏洩が国の安全、利益に損害を与える憂いのあるもの。三、「秘」。四、「部外秘」、等々書かれてあります。そこで、それにつきましては秘密文書等の取り扱いについて、たまたま、きょうここへ持ってまいっておりますのは、総理府本府秘密文書取扱規程を次のように定める、こういって定めてあるわけであります。その間に、その限度に、「極秘」の区分は、当該省庁の官房長、局長またはこれらに準ずる者が、「秘」の区分については、当該省庁の課長、またはこれらに準ずる者がそれぞれ指定し、当該文書に作成部課名を表示すること等々、かなり詳しいものが各省に、この通達に基づきまして各省において整備をされておると、こういう実態であります。
  470. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それで、そういうふうに整備されているのですけれども福田外務大臣に伺います。外務省のこの秘密文書の規程ですね、これは国会に提出をしていただけますか。
  471. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 外務省の文書取り扱い規程は、これは、それ自体が機密事項なんです。というのは、どういう手段をもって機密を保持しておるのかということが、これが判明するということになりますると、これは、いろいろ外交の機密を保持する上において支障がある、そういう性格のものであります。これは御理解が非常にむずかしかろうと思います問題でありますが、どうも外交機密というものは非常に高度のものである。そこで、それをどういう仕組みでこの機密を保持しておるかと。これは苦心をしておるところですがね。その苦心の数々をといいますか、それを開示するそのこと自体がまた非常に大きな問題であると、こういうふうに考えております。
  472. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで、私はこの外務省の秘密の規程がなかなかわからない。これが非常に問題だと思うんですね。確かに、言えない問題はいろいろあると思うのです。したがって、これは機密文書であるとか、あるいは極秘文書であるとか、いろいろ取材活動をされて実際に取材をされた。ところが、それは機密文書であったと。まあ最近では、何か新聞でも、全部マル秘になっているというのが外務省の態度だそうでありますけれども、こういう点になってくると、非常に私は問題になってくるのじゃないかと思います。したがって、外務省の秘密規程については、これは予算委員会の理事会か何かで、荒筋の説明か何かをしていただくということにはなりませんか。
  473. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、非常にいま申し上げたとおり、これはむずかしい問題なんですが、秘密理事会、そういうようなところで、ずいぶん厚い規程でございますが、それを御閲覧願うということは、こういう問題が起きておるこの際としては、あるいはやむを得ないかと思いますが、これを印刷して配るとか、そういうようなことになりますと、これはほんとうに外交執行上支障がありますので、お許しを願わなければならぬと、こういうふうに考えます。
  474. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この外務大臣の意向を意としまして、これは委員長に、秘密理事会でこの問題を、外務大臣の意向に沿って聞かしていただきたいと思います。  それではこの問題の最後に、国連における人権に関する世界宣言の第十九条に、こう述べられているのです。「人はすべて、意見及び発表の自由について権利を有する。この権利は、自己の意見について干渉を受けない自由及びあらゆる手段により且つ国境を越えて情報及び思想を探求したり入手したり伝達したりする自由を含む。」と、こういうふうな、人権に関する世界宣言が国連で行なわれておるわけであります。この問題について総理はどのようにお考えでありますか。この点について。
  475. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私から答えると、法律的な問題ですから十分でないように思いますので、法制局長官をして答えさせます。
  476. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) たまたま私、いま御指摘の世界宣言を持っておりましたものですから、特にお願いをして申し上げるわけでありますが、この人権に関する世界宣言というのは条約ではございませんで、国際間の権利義務の関係を定めたものではむろんありませんが、世界の人権の進むべき方向を示したものとして意味があるということは、通常言われておることでありますが、したがって、この十九条に限りませんが、そういう条項に従って、世界の人権に関するそれぞれの憲法の規定というものは、だんだんに、おくれているところはそれに向かって進むということになるものだと思いますが、しかし、この人権に関する世界宣言でも、いま仰せになりましたようなきわめて簡潔なことばで出ておりますが、これはまた日本の憲法でも同様に、きわめて一義的に規定がされているものもございますように、ただこれを、その十九条の規定だけから、文字どおり絶対の権利であるかのように解するのはやはり問題ではないか。先ほど来出ておりましたが、たとえば、ドイツ連邦共和国憲法の御指摘がございました。これも有名な憲法でありますが、しかしこれには、知る権利といううちにはちゃんと限定がついてありまして、一般的に入手することのできる情報源から妨げられることなく知る権利を有するというようなことが、規定の文言として明確にしるされております。それぞれの憲法が、それぞれの国に適応した規定として持っておるわけでありますので、いまは各国の憲法を実はお尋ねがあったわけではございませんので、人権宣言そのものでございますが、確かに人権宣言というものは、最初に申し上げましたように、各国の人権が進むべき道を示すものという意味で大きな意味があるものだというふうに考えます。
  477. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは次に物価問題について、総理並びに関係大臣に伺いたいと思います。  特に、総理の施政方針演説において、物価の安定は、福祉社会を目ざす最重点課題の一つである、こういうふうに述べられているわけでありますが、佐藤内閣発足以来、物価の安定というものを常に重要施策の一つにあげながら、実際は、逆に物価は高騰を続けて国民生活を圧迫したことは、これはだれも認めるところであると思う。特に今回総理は、発想の転換を行動に移すときであると、こういうふうに述べているわけでありますが、まあ過去のいろんな批判を生かして、何か具体的なこの物価政策というか、こういうものを具体的に手を打たれているのかどうか、あるいはそれともいままでどおりの口先だけで実際にこの物価問題を解決しようとしているのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  478. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) なかなか考えても実現しないことがありますが、ことに物価の問題は、これは安定させようとしたり、あるいはまたもっと引き下げようとしても、なかなかこれはできない。これは、いま三木君が御指摘のとおり、最も国民は関心の深い問題であり、政治家もまたこれと真剣に取り組んでおりますが、なかなか実効のあがらない問題だと、たいへん私も悩みを感ずるものでございます。最近は、国際通貨の問題でたいへん輸入物資等においてこれを引き下げる、引き下げ得る、そういうような状態、条件が整ってきたと、かように思って非常に喜んでおりますが、それも予期しないような状態でございまして、なかなか効果があらわれておらない、こういうことで、一そう努力しなければならない、かようにただいまみずからをむち打っておるというのが実情でございます。
  479. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 経企庁長官に伺いますが、具体的に、いまも総理から話がありましたが、輸入物資がどのような形でこの円の切り上げに伴って値下げになってきたか、これの実態調査等はやられたと思うのですが、具体的にこの問題にどのように対処されて、具体的にどういう結果になったかということをお示し願いたいと思う。
  480. 木村俊夫

    国務大臣(木村俊夫君) この輸入しております消費物資、いろいろございます。政府関与物資もあれば、民間の物資もございます。これが円切り上げ後はかばかしく低下していないということは事実でございます。しかしながら、その中で相当値下げの効果が出ておるものもございますし、その後出つつあるものもございます。そこで、私どものほうでは、せっかくの円切り上げの効果を消費者物価の上に還元させるための、まずその実態を把握しなければならぬというので、追跡調査を実施しております。その結果、いろいろ出てまいりますのは、まず第一に、円切り上げ前に輸入しましたまだストックがございますから、それが一巡するまでは値下げに応じないものもございます。また、OPECの原油のように、輸入価格そのものがすでに輸出段階で引き上げられておるもの、こういうものもございます。また、せっかく輸入価格が下がっておりますのに、その流通段階で、あるいは輸入総代理店、あるいはその加工段階の寡占的な状態によってそれが値下げにつながっていないというものもございます。また、消費者の高級品イメージが非常に強いために、それがまだ値下げに結びついていない。いろんな原因がございますが、そういう原因を、円切り上げ後まだ三カ月たったばかりでございますので、厳密にこれを追跡調査いたしまして、その個々の品目について行政指導を強くしていく。もちろん、これは追跡調査だけでは効果があがりません。その実態をよく把握した上で、消費者に対する情報の供与なり、あるいは通産省にお願いしましてその行政指導を強くしていただきますとか、あるいは公取においてそういう独占的な流通過程を洗っていただくとか、そういう面で各般の努力を傾注したい、こう考えております。
  481. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 通産大臣に伺いますが、貿易の自由化と物価対策の問題について通産省でいろいろ取り組まられていると思うのです。特に、四月から自由化された品目もだいぶふえてまいりましたが、具体的に今後、自由化の問題、あるいはまたドルの保有が相当多い今日において、輸入物資の購入促進、こういう問題について通産省としてはどういうお考えでありますか。
  482. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 輸入には大別して二つございます。一つは、鉱石その他原材料の輸入ということがございます。もう一つは、消費物資の輸入ということでございます。日本はケネディラウンドの推進をやっておるわけでございますし、引き続いて新国際ラウンドの推進をすることを明らかにいたしておりますので、一次産品につきましても自由化を進めなければならないということと、関税障壁——関税を引き下げなければならない。また、一次産品国につきましては、特恵の供与等を行なっておるわけでございますので、輸入はふえている。輸入がふえれば、当然価格は引き下げられ、消費物価に寄与する面は非常に大きくなるわけでございます。しかし、この一次産品とか、食糧その他国内産業に対する影響をできるだけ少なくするように、なだらかにやらなければならないという、国内政策の問題がございます。国際的には自由化を要求され、また輸入の拡大をはからなければならない状態にありながら、国内とのバランスをとりながら輸入の拡大をしていくということでございまして、今度UNCTADの会合などが終われば、これらの外からの輸入促進、輸入拡大というものに対しては強い要請があるわけでございますので、慎重かつ適切な輸入政策を繰り広げてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  483. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 農林省としては、この輸入の自由化、特に一次産品が非常に多いと思うんですが、どのような考え方で自由化の問題を対処していこうと考えていらっしゃいますか。
  484. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 輸入の自由化によりましては、国内の消費価格をそれに伴って下げるように指導しておりますが、農林省物資としては大きいものは小麦でございます。小麦は国で管理しております。そうしてまた小麦の価格は、食管法によって米価との比率、あるいは物価等を勘案してきめるということになっていますから、国際価格で安く入れたからといって、直ちにストレートに下げるというわけにはまいっておりません。しかし、その国際価格で下がった分は食管会計の赤字補てんのほうに回っていますから、財政面においては寄与さしております。しかて実際に消費者価格にも影響するように、米価審議会等におきまして小麦の払い下げ価格をきめるときに相当考慮してきめていきたいと、こう思っております。  それからまた、牛肉等につきましては、これは畜産事業団で相当買い入れておりまして、これは国内価格との差額があまりにありますので、この調整をとりながら価格の差額を積み立てさしていて、これを国内の生産のほうに回していくと、こういうような機構で行なっております。飼料等につきましても、国内において直接飼料を使用する方面に、下がった分はそれだけ下がっていくように指導しておるような状態でございます。その他いろいろありますが、全体としては消費者価格にいい影響を与えるように指導をしております。
  485. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 その具体的な問題については、あとで私は指摘したいと思いますが、その前に——公取お見えになっていらっしゃいますか、公取委員長。特に物価政策の上から、私は独禁法の問題が非常に重大な問題じゃないかと思うんです。特に消費者物価、輸入の自由化等に伴って、あるいは円の切り上げによって、消費者には相当還元されると、まあ総理も前々から言われてきて、国民も非常にその期待を持っておったわけでありますが、現実にこの円切り上げの効果というものは輸入物資にはあまりあらわれていない。いろいろ私も調査をしてみまして、経企庁はいろいろ調査をされているそうでありますが、私も私なりのいろんな具体的な調査をしてみました。あとでこれは指摘をしたいと思いますが、その前に、最近、非常に消費者運動等の影響によって物価——カラーテレビ等のいろんな効果は出てまいりましたが、公取は独禁法違反としていろいろ価格協定等の問題は消費者の側に立って摘発をするわけでありますが、その結果、協定の破棄だけであって、具体的に物価を下げる役割りは何も果たしていないんじゃないか。きまった協定はそれを破棄しろと、この程度のことしか公取は言えない、権限がない。それを廃棄してあとはそのまま値上がりしてしまうと、こういう結果になって、公取の消費者に対する考えというものは、ちょっと消費者は戸惑っているんではないか。ある意味では、物価政策の隠れみのに公取はなっているんではないかと、こういうふうにもいわれているわけでありますが、この点についていかがお考えでございましょうか。
  486. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 昨年も同様の御質問を私受けたと記憶いたしておりますが、現在の独禁法では、お説のように、私どもが競争条件をいかにして適正に維持するかということでありまして、物価それ自体に対する私どもは権限を持っていないという状況でございます。そしてまた、そういうことをどう考えるかという問題は、私は、独禁法体系とはまた別の問題として、別の角度から考えられなければならない問題であろうと、かように思っております。
  487. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは総理に伺っておきたいんですがね、この独禁法の問題がいつもうやむやにされてしまって、まあ行政管理庁とか、あるいは公取とか、こういう所轄官庁は非常に骨抜きにされているような感じを私は受けるわけです。こういう物価の具体的な問題を一切、取り締まり官庁である公取に権限がない、独禁法を改正しなければならないような問題いろいろあるけれども、なかなかこういう問題が進まない。この結果、生産者には保護になるけれども、消費者の保護というものは全然抜き去りにされてしまっていると、こういう点が私は考えられるわけです。昨年もこの問題を私は指摘したはずなんです。この点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  488. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも公取の十分の機能を発揮しておらないと、こういう御批判があれば、これは、公取委員長がちょうど参っておりますから、それらの点について十分お聞かせおき願えるとたいへんしあわせだと思っております。これはどうも、政府機関ではありますが、私が直接指揮するようなものではございませんので、これはやっぱり別個の機関として独自性を持っておりますから、十分それらの点で忌憚のないところをひとつ教えてください。
  489. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 すぐにあれになるのですが、じゃ公取、もう一つつけ加えて、この問題を含めて、独禁法の改正をどういうふうな手続で、どういう方向でやるかということについてお聞かせ願いたい。  非常にいま国際経済の中で、いろいろアメリカ等の会社が日本に進出をしてきております。この関係で、日本の独禁法ではこれはなかなか取り締まれないような問題が、アメリカでは非常に独禁法はきびしくて、いろいろ罰則規定がきびしい。こういう点で、価格協定等の協定というものはなかなかできないようになっております。日本の国においては、ただ協定を破棄さえすればいいんだと、こういう感じになっておる関係上、アメリカの会社等が日本へ来てやりたいほうだいのことをある意味ではやっている、こういう点が私は考えられるわけです。こういう中にあって、やはり日本の独禁法というものをもう少しきびしく取り締まり方法を考え、あるいは独禁法の改正に踏み切っていくべきではないか、こう考えるわけでありますが、この点について公取委員長の率直な意見をお伺いしたいと思います。
  490. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) それぞれ法律については、いわゆる域外適用とか、あるいはその法の主権の問題とかというのがございまして、国際的にまたがりますとなかなかむずかしい問題が出てくることは、御指摘のとおりでございましよう。で、そういった問題については今後どういうふうにするかということは、また別の立法政策の問題として国際的にいろいろ検討される問題だと思いますが、少なくとも日本の国内においては、私ども立場としては、よその国の企業であれ、日本の国の企業であれ、いまの日本の国で立てておる独禁政策の原則に従って行動していただく、それは同じイコールフッティングの立場でやっていただくということでやっております。  さらに、いまちょっとお尋ねがございましたのに関連いたしますが、アメリカにせよ、あるいはフランスにせよ、ドイツにせよ、イギリスにせよ、それぞれの国によっていろいろと法制が違い、またその執行の状況が違うように思います。そして、各国とも新しい経済社会に対して独禁政策をどういうふうにやっていったらいいかということについては悩んでいる問題が多々あると思います。そういう点をいま申し上げますと長くなりますので、別の機会に申し上げたいとも思いますが、なかなかこういう問題は率直に申しまして簡単な問題ではないように私は思っております。
  491. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ非常にむずかしい問題かもしれませんけれども、この独禁法の考え直しをしなければ、やはり消費者の保護という問題は私は考えられないと思うのです。具体的に、輸入の自由化になってきた、こういう点でいろいろ輸入製品の問題が——特に輸入協議会、あるいはいろいろな商社の団体が、特に民間団体等がいろいろな組織を構成しているわけであります。実際にこの輸入協会あるいは協議会等がいろいろ民間団体として、あるいは公益法人あるいは任意団体として、これがいろいろな輸入制限、こういう行動を実は起こしている例が数多くあるわけです。具体的に言えば、これは洋酒の問題を一つの例にとって考えてみましても、ジョニーウォーカーは昨年から自由化になっているわけです、洋酒はですね。ところが、一向に値段は下がってこない。なぜ下がってこないかいろいろ分析をしてみますと——輸入は自由化になっている。政府の割り当てではない。割り当てのときはいろいろ制限があったかもしれないけれども、しかしながら自由化になっているんだからもっと入ってきてもしかるべきではないか。そのジョニーウォーカーが入らないようにやはり輸入協議会等が民間団体としてつくられている。こういうふうな行為がいろいろ各所において、輸入製品について協議会等で輸入制限、割り当てが行なわれている事例がいろいろあるわけですね。こういう問題については、もう少し公取が、独禁法の八条一項一号ですか、この問題等を適用してどんどん摘発していかなければ、消費者保護だ、あるいは円が切り上げになって安くなるのだという、こういうふうに政府国民に訴えても、現実にそういうところにメスを入れないで、ただ流通過程がこうだとかああだとか、そういう理由だけを言っているだけでは、幾らたってもこの物価政策は成り立たないと私は思う。この点について公取委員長はどうお考えになりますか。
  492. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 御所論のとおり、国内において輸入業者等の団体が何らかの形で競争を制限し、あるいは不公正な取引方法を用いておりますときは、私どもは極力そういうことの発見につとめ、これを排除することに努力いたしたいと思います。しかしながら、たとえばただいま御指摘になりましたウイスキーの問題とか、あるいは、別の機会に申し上げましたが、レモンの問題とかいうようなことについての、たとえばパイプをしぼってくるというふうな問題は、多分に海の向こうでやっておる問題もあるように思います。その辺になりますと、なかなか問題の処理がむずかしいことはございます。ございますが、しかし、そういうことまで含めまして、私どもとしてはできるだけの努力をいたしたいと考えております。
  493. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、輸入協議会あるいは公益法人等が輸入制限を行なっておる行為について、公正取引委員会にはこの輸入団体の届け出義務があると思うんです。これについては、具体的にどの程度届けられておるのか、あるいは公取はどのようにこの問題に対して処理されておるのか、この点。
  494. 谷村裕

    政府委員(谷村裕君) 御所論のとおり、事業者団体として必ず届け出なければならないということになっておりますが、輸入関係業者の団体としての届け出は四月五日現在で三十団体からなされております。しかしながら、私どもといたしましてはまだ全部届け出が済んでおるとは思えませんので、未届けの団体に対しては、さらに届け出をするように促進をしておる状況でございます。
  495. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 総理、ここが非常に問題になっているんです。私もいろいろ調査をしまして、具体的にどこに輸入製品が下がらない原因があるかいろいろ調べてみますと、やはり輸入商社の協議会とか、あるいは公益法人等がそのネックに介入をしているということが、具体例がいろいろの面で私は判明をしたわけです。こういう点については、やはりもっと政府が具体的な問題として指摘をしていかなければ、幾らたってもこの輸入製品というものは下がらないと思うのです。で、ちなみにいろいろ私も具体的な調査をしてみましたので、総理に一ぺんこの資料をもとにして御説明したいと思うのです。これはあとで説明します。その一つは、公益法人が具体的に介入しているという場合、あるいは公益法人では政府の監査があるということで、輸入商社協議会あるいは任意団体をつくって、そこで輸入制限をしているという実例が非常にあるわけです。いま総理にもお渡ししましたが、先ほど農林大臣が言われた小麦あるいは飼料あるいは牛肉等の、この三品目について私は具体的な調査をしてみました。あきれたことに、あまりにも公益法人あるいは任意団体が多くて、そこで流通過程に一つ一つからんでおるということなんです。その結果、流通をとめてしまう、あるいは制限をしてしまっている。この結果、物価のつり上げ操作になっている一つの団体になっているんじゃないかという、こういう問題が実は判明をしたわけです。  この点について、実は小麦の問題一つを考えてみましても、具体的に総理に資料をお見せしてありますが、この輸入の小麦がトン二万六千円で入ってくる。しかし、食管法の関係等ありまして、政府は三万六千円で実は売っているわけでありますけれども、製粉工場あるいは製パン工場、こういう過程を通って消費者にいろいろパンとかあるいは小麦類が入ってくるわけでありますが、その過程で十あるいは二十の外郭団体が一つ一つリベートを取って、あるいは賦課金を取ってこういう行動を行なっているという点について、私は非常に問題点があると思うのです。特に、これは非常に卑近な問題でありますけれども、四月の六日から小学校が始まりまして、実はパンが値上げをする、給食費の値上げはどこに原因があるかといろいろ調べてみると、小麦粉の値上げだったと、こういうわけです。この小麦粉の値上げは何だというと、やはり加工賃が値上げになったと。それはどこに原因があるかといろいろ調べてみますと、やはり一つ一つ製粉工場あるいは製パン工場あるいは輸入商社あるいは倉庫、いろんなところに、その外郭団体あるいは任意団体が非常に食っているということなんです。具体例をあげますと、実は食糧庁が倉庫に輸入小麦を保管をしておる。ところが、食糧庁の小麦の保管の料金を一〇%アップするための外郭団体が、実は全国食糧保管協会というのが、昨年——四十六年の四月から、徴収料金を集める専門の公益団体として、わずか十人程度の職員で役員が七十人もいる、こういうふうな公益法人ができ、六百万、七百万を保管料として、ただ料金を徴収するだけでこういうふうな問題を扱っている。この点を考えてみますと、あまりにもいろんな外郭団体があって、この小麦の流通過程において私は問題点があるのではないかと思うのですが、この点については農林大臣にいろいろ役所を通して私は指摘をしておいたと思うのですが、この点どうお考えになっているか、お伺いしたいと思うのです。
  496. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 政府委員から説明させます。
  497. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 私どもで小麦を売っております相手の製粉業者、あるいはそれを受けまして二次加工業者といわれますめん類あるいはパン類、そばというようなところのめん類業者、たくさんございますが、政府の売りました小麦に直接売買行為に参加をしている団体はございません。私どもは、すべて小麦であれば製粉会社に売る、製粉会社はそれをパン屋に売る、こういうような過程になっております。ただ、業界としていろいろお互いに共同利益の増進をはかるために、技術の開発をする、あるいは消費の宣伝をする、かような団体がたくさんございます。いま御指摘のものはそのような団体でございまして、それぞれ業界の利益を増進するためにつくられておるものでございます。  それから食糧保管協会につきましては、運輸省と共管でございますが、食糧庁の払います保管料が相当多額にのぼっておりますので、これを一々の業者に支払うということは非常に会計上も繁雑でございますので、業者から委任状を受けまして一括受領をする、かような協会ができた次第でございまして、これも直接小麦の売買というものに関与するものではございません。
  498. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 売買には関与しない、しかしながら食糧庁が委託をして倉庫に保管をしておる。その保管料の中に、実際に賦課金として一つ一つむしばんでいるという問題があるわけですね。この点は、やはりもっともっと合理的に考えていかないと、何でもかんでもかぶせては小麦の値段がつり上がってくる、こういうふうな結果になってくる。現実に、日本パン工業会、あるいはパン技術研究所、あるいは日本パン科学会、名前は同じような団体がいろいろあります。いろいろ公益法人のいろんな問題点を調べてみますと、同一業種なんですね。ほとんど同じ仕事をしている。この賦課金は全部、小麦粉が製パン工場に売り渡される、その小麦粉消費量一トンについて幾ら、こういう形で全部賦課金を取っているわけです。その団体が何に使うかといえば、ほとんど人件費に使っているわけです。人件費が事業費の比率から比べれば五〇〇%にもなる。こういうような、ほとんど人件費が主力を占めるような団体で、その課徴金というか、リベートというものは全部国民が負担をしなければならないような実態になっている。この点はお認めになりますか。
  499. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) いま御指摘のように、同じパンの業界でいろいろな組織がある、研究所もよく似たものがあるということでございますが、これは発生的に見ましても、業界のことでございますので、いろいろな経緯がございます。業界の中で非常なパンの研究家がある、それを推戴して一つのグループがパンの研究所をつくる、また別の形でのパンの加工技術の研究所ができるということでございまして、いずれも公益的目的を持っている以上、私どももこれは公益法人として認めざるを得ないのでございます。もちろん私どもも、不必要なものは逐次整理統合するように勧奨はいたしております。  それから消費者価格にはね返るという問題でございますが、これはもちろんそういう団体でございますので、業界で寄付を募るという形に大部分が相なっておりますが、結局、業界から出るといえば、それは事業の利益から出るということに相なりますので、御指摘のような印象を持たれるのかと思いますけれども、私どもはあくまでそれは企業の改善、発達というものに寄与するという形で業界も自主的にそのような形をとっておるものと考えます。  人件費の率が多いという点でございますけれども、必ずしも御指摘のように半分以上というわけではございませんで、団体によりましては一割八分とか三割とかいうふうになってございます。また多いものもございます。これはその団体の性格によりまして、たとえば研究所等でございますと、研究員の俸給が大部分でございまして、あとは試験研究の金でございます。また、普及宣伝等を行なうということになりますと、かなりこれは普及事業に相当な金がかかりますので、人件費の率も低下をいたしてまいります。したがいまして、団体によりまして人件費の率というものはかなり変化をいたしておるのでございますが、いずれにいたしましても、私どもは団体の監督につきましては、業界の相互の利益、改善に役立つようなこと、長期的には消費者にも役立つような方向で今後とも指導いたしてまいりたいと考えております。
  500. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これだけ詰めていると時間がかかりますので、具体的には、資料を経企庁長官、持っていらっしゃるので、具体的に見て検討してもらいたい。決算委員会でありませんので、私はこういう問題点を指摘してとどめておきますが、もう一つ食肉の、輸入牛肉の問題を私は具体的に指摘をしておきたいと思う。  先ほど農林大臣から、畜産振興事業団が消費者の保護のために、あるいは生産者の保護のために差益調整金を取っていると、こういうふうに言われているわけでありますが、畜産振興事業団のこの差益金、あるいは日本食肉協議会というもう一つの輸入ルートをつくっている団体があるわけですが、これもやはり公益法人としての協議会をつくっているわけです。これはトン二万円の賦課金を取っているわけです。一トン輸入するたびに二万円の賦課金、これが日本食肉協議会。約五億五千万程度の賦課金を食肉協議会は公益法人として取っているわけです。あるいは畜産振興事業団は、九億円ばかりを生産者保護という美名のもとにやはり差益金を取っているわけです。その差益金はどこにいっているかというと、たとえば一例をあげますと、日本食肉協議会の具体例がある。実際に食肉を輸入販売するところのいろいろな公益法人、任意団体にこの賦課金が全部流されてしまっている。それは何に使われているかといえば、人件費に流れてしまっているということなんですね。公益法人の職員を養うための人件費に流されてしまっているということなんです。こういう点は、生産者保護だというこの美名はありますけれども、実際に生産者保護の団体に入っていない。消費者の流通過程だとか、いろいろな流通対策費であるとか、あるいは生産者の対策費であるとか、いろいろな名目はあるけれども、現実にいっているのは、ここに示してあるとおりです。食肉協議会であるとか、あるいは日本冷凍食肉協会だとか、十二月まである大臣がやっておった、そういう協議会。こういうふうな問題が、具体的に国民の肩がわりをし、ある意味では利益を取って、それが一部の公益法人を養うような実態になっているということについては、農林大臣はもっとしっかり改めていかなければならないと思うのですが、この点について農林大臣どうお考えでありますか。
  501. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) よく実態を調査して対処していきたいと思いますが、畜産局長からちょっと御説明申し上げます。
  502. 増田久

    政府委員(増田久君) 先生御存じのとおり、牛肉につきましては、世界的に供給が不足している。そういう観点から、いろいろ自由化その他の問題ございますけれども、国内において、どのように需給体制をとっていくかということが、今後の牛肉政策の非常に重大な問題になっているわけでございます。残念ながら、現在の輸入肉との間におきましては、国内ものとの間に相当価格差がある。そういうものを現在の流通機構の中で放置しておきますと、残念ながら、それは流通段階に吸収されまして、それが直接に消費者のところに届かないという実態があるわけでございます。そういう意味で、そういう過渡期的段階におきましては、民貿分あるいは事業団分を割り当てる分につきまして、それぞれ事業団あるいは日食協において差益を徴しまして、それを生産対策、流通対策というものに使っているわけであります。われわれといたしましては、その使途については十分厳正を期しておるつもりでございますけれども、いろいろ御批判もあろうかと思いますので、今後われわれは新たに管理委員会というものを設けまして、このガラス張りの中で、この差益金というものを十分厳正に使っていきたいと、かように考えて対処している次第でございます。
  503. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 農林大臣、具体的にいま局長から管理委員会をつくるというような話もありますけれども、農林大臣は、もう少しこの問題について、生産者保護、あるいは輸入食品、輸入牛肉がどういうぐあいになっておるかということを、やはり大臣としてはもう少し管理すべきじゃないかと思うのですね。この点が、非常に私は行政面における輸入物価を下げようという努力が、消費者保護という観点というものが非常に甘いのではないかと思うんです。特に、農林省において、小麦とか、あるいは、きょうは飼料のほうは進みませんけれども、具体的にこの飼料であるとか、あるいは牛肉であるとか、あるいは小麦であるとか、こういうふうな問題が具体的に、公益法人のところにこの差益金あるいは一部のリベート金が流れてしまって、それがあるためにやはり流通機構を複雑にしてしまっているという点が私はあるんではないかと思うんです。これがあるためにかえって流通機構が複雑になり、農林省として生産対策費あるいは物価対策費として百五十億もいろんな形で補助金を出しておるけれども、それは倉庫をつくるためだとか、あるいはいろんな協会を養うための補助金みたいになってしまって、それがいろんな物資が流れないような歯どめになってしまっているんではないか。ある意味では行政介入が行なわれると同じような形態がこの農林省の物資の流れの中にあるという点について農林大臣は反省してもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
  504. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 御指摘のように、公益法人が多くて流通機構を複雑にしているとか、あるいは消費者物価のほうへ、末端まで流れないというような御指摘がございました。これは具体的に、えさでも、小麦でも、肉でも、よくなお検討いたしまして、そういうことがないようにしていきたい。ことに、農林省としても、流通関係というものは非常に大事だと、また物価対策も大事だというので、その方面に力を入れていくことにしておりますから、御指摘のような点を十分注意していきたいと思います。
  505. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 この物価問題について総括して総理大臣に御意見を伺っておきたいと思うんです。こういうふうにいろんな問題点を指摘すればもう切りがないほどあるんですけれども、現実にいろんな団体が介入をし、物価、流通を妨げているという実例を、もう少しやはり政府自身が真剣になって取り組んでいかなければならないんじゃないかと思うんです。  もう一つ、前回も私は公益法人の問題等を指摘しましたけれども、新しく認可する公益法人というものについて、やはり所轄の省で認可をするというふうなことは、これはあまりにも官僚組織を培養するみたいな感じになっているんではないかと私は思うんです。したがって、この公益法人の認可については、総合的に検討できる認可基準、あるいはどこかそういう委員会とかいうものをはっきりとつくるべきじゃないかと思うのです。たとえば、農林団体の流通関係に農林省が認可をすれば、必ず利権が実際にからんでくるのは当然だと思うのですね。あるいは、それが天下りを養うための具体的操作になってしまう。これが物価をつり上げる一つの元凶になってしまっておるんじゃないかと思うのです。この点については、政府は、もっと消費者の側に立ち、あるいは国民の側に立ってこの問題を考えていかなければならないと思うのですが、その点どうお考えになりますか。
  506. 山中貞則

    国務大臣(山中貞則君) 各省庁で認可いたします公益法人のあり方がいろいろ問題になりましたので、総理府において、各省庁がそれぞればらばらで認可をしないように、認可の基準、また、それらの目的等が公益法人たるにふさわしいものであるか、それらの判断の基準、そしてまた、その後の運営についてそれをきびしく監督あるいは実態を調査、把握するという点についてのあり方、並びに、それが守られないで、当初の目的に反し、したがって公益法人としての認可の資格を失ったと判断される場合においてのその認可の取り消しの基準、そのようなものを作成をいたしまして各省庁に流しましたので、いまも逐次行なわれておりますし、今後の新認可についても、その基準を乱るような設立はなされないものと思っております。
  507. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの公益法人の設立の問題整理の問題、これは山中総務長官がお答えしたとおりでございます。先ほど来、物価の問題について、消費者の立場に立って最も大きいと考えられるウイスキー、あるいは小麦、あるいは肉、そういうものについてただいま御指摘になりました。私は、いま資料をいただきながら、関係する団体がいかにも多いので実は驚いております。これは、もっと積極的にこれを整理して、生産者も生産者、その保護に十分力はいたしますが、もっと消費者の立場にも立って十分考えてやらないと、このせっかくの新しい試みといいますか、この国際通通貨の円レート、これあたりもちっとも役立たないと、こういう状態では国民はほんとうに失望するであろうと思います。ただいま三木君から御提示になりました資料は、企画庁長官のほうでひとつさらにトレースするようにいたしますから……。
  508. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 三木君の質疑の途中でございますが、本日はこの程度といたしまして、明日は午前十時に開会することといたします。  これにて散会いたします。    午後六時一分散会