○矢山有作君 いま私は大石長官の
お話を承っておりましたが、あなたは、
予算審議を中断させてすまないと、このことをおっしゃっている。それだけじゃないんですよ。
予算審議を中断させたことだけがすまないということじゃないんです。あなたには事態の基本的な認識というものが全く欠けておるんです。その理解がないことをすまないといって反省しなきゃならぬ。たとえば、請求権問題というのは、これは
沖繩国会当時に非常に論議になった問題です。特に、
政府としては、十項目からにわたる請求権としてアメリカに請求できるものをいろいろ検討した結果、軍用地の復元補償というのはこれこそまさに一番請求しやすいし実現しやすいものだと、こういう判断から、これを実現するためにこの一点にしぼって請求権問題では
政府は取り組んでこられたはずなんです。そうして、
国民に対して、国会に対しては、これはアメリカから出さすことにしたんだと、決してわれわれのほうから出すんじゃないということで突っぱってこられた。三億二千万ドルの中身についていろいろ論議されたときも、この請求権はこれはもうアメリカが払うんだということで押し通してきたわけです。ところが、その経過というものが、今度の電報で、内容がそうではなかった、実は日本が出した金を向こうの金のごとくに装って支払いに充てるんだと、こういう実態が暴露されたということで問題になったわけですよ。したがって、これは外交交渉のあり方として問題なんですよ。こういうものをなぜ秘密にするんですか。請求権としてどうしても向こうが支払いに応じないんなら、応じないという実態を明らかにして、
国民にあるいは国会に報告をすべきなんです。そういうことまでことさら秘密でやってこられて、いまになって事態が暴露した。その外交姿勢のあり方が問題なんです。そのことを一つはお考え願いたい。
それからもう一つは、これは問題になっておる例の
予算審議にかけ引きが多過ぎると、こうおっしゃった。これはおそらく
予算審議が今日まで停滞したことについてのあなたの
意見を述べられたんだと思うけれ
ども、今日まで
予算審議が停滞した理由は何かということをお考えになったことはありますか。これは決して
野党の
責任で停滞したんじゃないんですよ。私
ども仄聞するところによりますと、見ておりませんが、どこかのテレビで、この国会の延引は
野党にも
責任があるんだというようなことをしゃべった方が
政府の中におありのようです、閣僚の中に。しかも、それは、主要閣僚の中におありのようですがね。これは何も
野党の
責任で延びてきたんじゃないんです。考えてみてください。まず一番に問題になったのは、例の四次防の
予算先取り問題でしょう。これは明らかに憲法違反の疑いがあるということでたいへんな問題なんです。さらにその次に問題になった台湾の帰属の問題にいたしましても、これは全く
政府答弁が精神錯乱
状態でしょう、支離滅裂だった、そういう答弁をしておるから問題になる。これは
政府に外交方針が何もないということを暴露したことですわね。それからさらに問題になった例の自衛隊装備の沖繩搬入の問題にいたしましても、立川基地に自衛隊が抜き打ち的に入ったあの問題が論議の最中に自衛隊の装備が沖繩に持ち込まれたわけでしょう。しかも、自衛隊の配備については、
沖繩国会で
総理みずからが国防会議にかけるのだということを再々言っている。しかも、立川基地の問題で国会で論議をされておるそのときに、防衛庁長官はどういうふうに答弁したんですか。沖繩配備については国防会議にかけるんだ、正々堂々と沖繩移駐はやるんだと、こう言って大みえを切っておる最中に、沖繩向けの装備はもう海を渡っていきおった。こういうでたらめなことをやっておるから、それで
予算が今日まで
審議が延びてきたんですよ。
野党の
責任じゃない。一にかかって
政府の無為無策、憲法違反、議会軽視、この
責任なんですよ。そこの認識がない。これはたいへんな問題だと思う。そのことは、あなた一人の問題ではないと思う。私は、
先ほどの
お話じゃありませんが、あなたは非常にまじめな人だと思っておる。そのまじめなあなたがこういうことを言うぐらいだから、
佐藤内閣の体質に根深くこびりついた、これはとてもじゃないがたいへんな病根だと思う。それを今度あなたによって証明されたわけですよ。そういう点についての反省がなけりゃいかぬのですよ。中断させてすまぬと言って済むようなそんな軽々しい問題ではないということをあなたには認識していただきたい。そして、この問題については、私
どもは徹底的に追及しますよ。たとえば、なべかまを持っていくぐらいのことは何だというようなことを言っているわけでしょう。沖繩になべかまを持っていってもたいしたことはないと。なべかまを持っていってたいしたことはないのに、なぜ
政府は送り返したんですか。たいへんなことだから送り返したんでしょう。これは国防会議を無視した、いままで国会で堂々と公言してきたことをまるで破った、これはたいへんだというので送り返したのじゃないですか。こういう逐一についての事態の本質的な認識というものを閣僚というものは持つべきだと思う。それをなしにおるから、こういう問題がしょっちゅう起こってくる。この点については、私
どもは、今後徹底的な追及を重ねていきますよ。幾らあなたが陳謝されても、陳謝で片づく問題じゃない。まして、いわんや、一議員を、一年生議員だ、何だかんだと言って誹謗する。あなたは何期日か知らぬが、めしの数が多いことがすぐれておるのじゃないんですよ。当選回数が多いことが議員としての価値じゃない。年が寄っておることが議員としての価値じゃないんですよ。そこのところをはき違えないようにしていただきたい。こういう問題をあわせて徹底的な追及をいたします。
それから私は、
総理についても、あなたが任命した閣僚に認識が足らないということは、
総理自身あなたに認識が足らないことなんですから、あなたが
最高責任者、任命権者としての
責任を感じなさい。さらに、
先ほど上田君の指摘した問題について、私は午前中の
竹田議員の質問に対するあなたの答弁を聞いておりました。角福戦争の問題についての
新聞報道、あなたは見当違いをしておられると思う。ああいうことを指摘されたとき、大
新聞の報道がけしからぬと
新聞に向かって怒りをぶちまける前に、そういうことが日本の一流大
新聞に取り上げられるということは、そういうことがわが党内にあるんではないだろうか、この反省をまずやって、そこのところをあなたは改めていくという観点に立ってものを言うのが良識ある
政治家なんです。それを、そのほうは知らぬ顔をしてしまって、大
新聞がけしからぬ、報道がけしからぬ。これは、そういうことは言ってはいけません。おとなげない話ですよ。これは一国の
総理のとるべき態度ではないと思う。そういうことをやられることが、やがて進んでは、あなたが言われたプライベートな問題では済まなくなっていく。いまはあなたは
総理という
立場でプライベートだと言っておられるが、
総理という
立場でいま上田君が指摘されたようなことをやっている。それで、あなたは、これはプライベートだから中身は言わぬとおっしゃる。これが高じていくと、今度は権力を表に振りかざしてやるようになるんです。そういうような誤ったことをやってはいけませんよ。
総理は。だから、数え上げれば切りがないほどあなたは誤りをおかしておる。しかも、その誤りは、あなたの
政府、内閣の体質に根ざしている。その根源は、憲法無視、議会軽視、このことについては私は深い反省を求めますし、私
どもは、今後、
衆議院においてもまだいろいろな問題が懸案として残っておるときですから、徹底的な追及をやらしていただかざるを得ないということを私は申し上げておきます。
何か言うことがあったら、言ってください。