○江藤智君 私は、自由民主党を代表して、
政府の施政方針に対し、
わが国が当面する重要問題について
政府の所信をただしたいと存じます。
一九七二年の
わが国の
外交は、
サンクレメンテの
佐藤・ニクソン
会談によって幕があけられたと申すべきであります。
まず、
わが国一億の同胞が多年悲願といたしておりました
沖繩の祖国復帰が、両首脳の合意によって、来たる五月十五日と決定されましたことは、まことに喜びにたえません。(
拍手)これは多年にわたる
佐藤総理の政治生命をかけた御
努力と、これにこたえるアメリカ
政府の理解と協力のたまものでありますが、これはまた、わが党が
沖繩百万同胞の念願と一億
国民の正しい世論を背景として、力強く推進してまいった
努力の成果であると存じます。(
拍手)
かくて返還日も決定いたしましたが、長い間
米国の支配下にあった施政権を譲り受けることでありますから、その処理は、通貨問題公用地問題をはじめ、きわめて複雑多岐にわたっております。この際、
政府は、これらの処理を円滑に行ない、
沖繩県民にいささかの不安も与えることなく、復帰の
実現をはかるよう強く要望いたします。
沖繩百万の同胞は、戦中、戦後を通じて大きな犠牲を払われました。われわれはこれに報ゆるの道を講じなければなりません。そのためには、将来にわたり、
本土との格差、基地による変則的な
経済構造などを是正し、平和で豊かな島づくりの実をあげるため万全を期さなければなりません。以上に関し、
総理の御決意を伺います。
サンクレメンテ会談における両首脳の隔意なき
会談によって、日米両国間の緊密かつ友好的な関係について再
確認され、特に
アジア政策については、今後とも緊密に協議することについて
確認ができたことは大きな収穫であります。しかし、率直に申しまして、昨年七月発表された
ニクソン大統領訪中のいわゆる
頭越し外交と、これに引き続き発表されたアメリカの新
経済政策とは
わが国民に大きなショックを与え、繊維問題ともからんで、一時的にもせよ、
わが国世論に対米不信感を呼び起こしたことは事実であります。このような感情が尾を引くことは両国間のためにきわめて遺憾であって、再び繰り返されてはならないと思うのであります。この点に関し、
総理はいかなる話し合いをされ、将来に対していかなる確信を得られたかを明らかにされたいのであります。
次に、この
会談において先方は、貿易自由化と関税引き下げを強く要望し、具体的折衝は、牛場・エバリー
会談にゆだねられ、これも最近合意に達したと伝えられますが、
会談における先方の
基本的
態度はいかなるものでありましたか、
総理並びに
通産大臣のお答えを願います。
国際政局の上において、近時
日本の地位はきわめて重要なものとなりつつあります。そのことは、最近行なわれた日米首脳
会談及び日ソ定期協議が
世界の注目を集めたことをもってしても明らかであります。いまや多極化した
国際情勢下において、自由
世界第二の
経済力を持つ
日本を無視することはきわめて困難になったと思います。世上、多極化した
世界外交のかなめとなるものは、米、ソ、中三国による三極
外交であるとの説をなす者もありますが、私は、これに
日本並びに
拡大ECを加えて、五極
外交と称すべきであると思います。それは、
アジア太平洋地域に位置する豪州、ニュージーランドを含む十数カ国の
国民総生産の総合計のうち、
日本の占める割合は実に三分の二以上であって、まさに
アジア太平洋地域の
経済に及ぼす影響は絶対であることを見ても明らかであります。
わが国は、そのような自覚と自信を持って今後五極
外交を推進すべきであると思いますが、
総理の御
所見を承ります。
この多極化した国際
社会の中での
わが国の今後の
外交を
考えてみますと、第一に、
わが国は紛争解決に武力を行使しない平和国家であります。したがって、
外交の背景として力となるものは、
わが国の
経済力と国際世論の支援しかありません。
第二に、
わが国は国際貿易を
拡大していかなければ繁栄することのできない国であります。したがって、
世界が平和で自由に貿易ができる状態と盛衰をともにするものであります。
以上のことから、
わが国外交の
基本は、国際
社会において、第一には、平和維持に最大の
努力を払うこと、第二には、国際信義を守って諸外国の信頼を得ること、第三には、
経済協力や
経済援助などによって、いわゆる南北問題の解決に協力し、
世界の
緊張緩和に貢献すること、第四には、貿易にあたっては、一方的に利益を追求し、エコノミック・アニマルなどといわれないように、自制の精神を忘れず、相手国にも応分の利益を分かつように配慮すること、第五には、特に情報文化活動を盛んにし、関係諸国との間に相互理解と信頼を深め合うことにあると思います。
世界がいかに多極化し、
外交が複雑微妙になりましょうとも、この
外交上の倫理は絶対に守らなければなりません。
そこで、若干
質問をいたします。
わが国が専守防衛の立場を守り、平和
外交の実をあげますためには、相互の
国民が相手国の事情を十分理解し、知り合うということが必要であります。しかるに、現実には、
世界の多数の国々は、まだ
わが国の平和国家たるをも知らず、あるいは
戦前のイメージが残存し、はなはだしきは
わが国に軍国
主義復活のきざしありとする国すらあるのであります。また、
軍事力によらずとも、
わが国の
経済進出があまりにも急速かつ強力なため、
経済的侵略者として警戒を強めている国々もあります。
私が驚きましたことは、この正月放送されたNHKの番組「七〇年代われらの
世界」におきまして、アメリカ、イギリス、ソ連、タイ、ガーナの五カ国において、
平均的市民おのおの五十人を選んで各種の
質問をいたしましたが、その答えの中で、
日本は
核兵器を持っているかという問いに対する回答では、ソ連を除き他の四カ国はいずれも、持っていると答えた人が過半数を占めていたことであります。これは全く意外のことでありましたが、同時に、
わが国だけが平和
主義に徹していると思い込んでいても、相手の国々は必ずしもそうは思わないものであるということを深く反省させられたのであります。
日本人はもともと宣伝べたといわれています。その上、外務省などの関係
予算や定員を見ましても、諸外国に比して著しく貧弱であります。来年度から外務省において国際交流基金を設立されることはまことに時宜に適したものと思いますが、この際
政府は、国の内外における文化活動、情報宣伝活動を飛躍的に強化し、平和
主義と国際協調を
基本とする
わが国の立場を諸外国に十分理解せしめることにつとめると同時に、国内においても、この点について
国民の理解と協力を得るよう一そう
努力することが必要であると思います。
外務大臣の御意見を伺います。
また、
わが国の貿易の
姿勢にいたしましても、相手国に広く門戸を開放してもらわなくてはならない立場にある以上、
わが国といたしましても、極力自由化を推進するとともに、食糧、原材料等の輸入にあたっても、国内産業に対する
対策を講じつつ、一次産品のみならず、ある程度現地で加工したものをも買い付けるなど、
輸出国側の産業育成にも心を配り、加工の利益に均てんし得るよう配慮するなど、きめこまかい考慮が必要であると思います。
政府の御意見を伺います。
中華人民共和国との国交正常化については、近時各種の交流も盛んになり、
政府においても、日中両国
政府間の直接の話し合いを望むという前向きの
姿勢を示していることは全面的に賛成であります。ただ、その進め方については、
国際情勢が多極化して複雑にからみ合っておる状態でありますから、よくその動向をも見きわめながら慎重に行なうべきであると思いますが、
総理の御
所見を伺います。
最近、ソ連外相の訪日により、従来全く壁にぶち当たった感のあった日ソ平和
条約締結のための
会談について合意ができ上がったことは、
沖繩返還とともに、多年にわたる
国民の悲願である北方領土返還について一脈の光明を見出したここちがいたします。しかし、この問題も忍耐強い交渉が必要であると思われます。そこで、この際、最も緊要なことは、返還の具体策についてまず国論を統一することであると思います。現在のところ、遺憾ながら各党の間において必ずしも意見の一致を見ていないのであります。われわれは、すでにたびたびその根拠を明らかにして、平和
条約締結の絶対
条件として、歯舞、色丹、国後、択捉の四つの島の同時返還を強く主張し続けてまいりました。私はこの際、すみやかに各党の意見を一致させることに
努力し、全
国民的支持をバックとして交渉に当たるべきだと思いますが、
総理の御意見を伺います。
また、シベリア開発について、チユメニ油田の開発とパイプライン布設の問題が話題になっております。ただいまの段階では、深く立ち入るわけにもまいりませんが、私見として一言申し上げたいと存じます。まず、
経済的には、将来の激増する原油の供給及び輸送問題からいっても、また、チユメニの油が、
わが国の最も必要としている低硫黄原油であるという点からいっても、
わが国として関心を持つべきプロジェクトであると思います。また、政治的には、日ソの
経済協力を通じて相互協力体制ができること、また、海上輸送と陸上輸送の二系統が得られることは、
わが国の安全保障の面からいっても意義深いものと思います。できれば外務、通産両大臣の御
所見を伺いたいと思います。
来年度
予算原案の編成にあたり、自由民主党は
福祉最優先の党議を決定し、その旨を強く
政府に申し入れたのであります。このことは、従来の
経済中心の
考え方から、思い切って
人間中心の
社会づくりに軌道修正をはかろうとするわが党の
政治姿勢を強く
国民に示したものであります。すなわち、来年度
予算案の特徴は、「日の当たらぬ人に光を」という一語に尽きます。
予算案には、党の要望した
老人対策費をはじめ
社会保障関係費はほとんどことごとく計上されたのであります。さらに住宅、上下水道、公園、
廃棄物処理施設等の
生活環境施設に対しても画期的に
予算が盛り込まれております。
わが国は自由
世界第二の
経済大国となり、個人
所得も英国を上回るに至りました。いまや先進諸外国に対し著しく立ちおくれた
社会資本を充実し、
社会福祉と相まって真の
福祉国家建設に立ち上がるときであります。
そもそも政治の目的は、すべての
国民が物心ともに豊かで、しかも生きがいを感じる
社会をつくることにあります。ひるがえって現在の
国民生活を見ますと、総体的にいえば、物質面においては確かに豊かになりましたが、
公害や環境破壊あるいは交通
戦争などがあり、精神面においては、よき環境の破壊と価値観の変化とによって、いら立ちと混迷を感じているのではないでしょうか。いまこそ原点に立ち返り、真に
人間としての幸福な
社会を建設しながら、しかも、安定的
経済成長をなし得る方策を強力に推進しなければならないと思います。これについて
総理の御
所見を伺います。
「居は気を移す」ということばがあります。この観点に立ってわれわれが住んでいる国土を
考えますと、まず注目すべきことは、
わが国は
世界に類例のない高密度
社会を形成しているということであります。
経済企画庁
昭和四十五年度年次
経済報告によりますと、
人間の住める
土地、いわゆる可住地面積当たりの
わが国の
国民総生産はイギリスの四倍、アメリカの十倍、エネルギー消費量はイギリスの二・五倍、アメリカの八倍、自動車保有台数はイギリスの二・四倍、アメリカの八倍という驚くべき高密度
社会を形成しております。しかも、この高密度
社会の中において、さらに著しい産業及び人口の偏在を来たし、過密過疎現象を起こしているのが現在の
日本の姿であります。いまこそ、限りなく押し寄せてくる集中の圧力を排除して、住みよい大都市を建設するとともに、人口流出に悩む地方都市を魅力ある産業・文化の中心地とし、農山漁村をこれと結びつけることによって、豊かで均衡ある国土を建設すること、すなわち、都市
政策、
全国総合開発を強力に
実施しなければなりません。新
全国総合開発
計画、いわゆる新全総は、この目的をもって策定されたものでありますが、その後の経過を見ますと、過密過疎の現象は依然として絶えておりません。私はこの際、この
計画を見直しながら、いかにしてこれを実行するかという観点に立って
質問をいたしたいと存じます。
まず、
総理にお伺いいたしたいことは、御決意のほどであります。この仕事は、何ぶん国土の大改造でありますから、
総理の強い御決意がなければとうていできません。また、その行政は各省にわたりますから、これを同じ目標に向かって推進させるような行政機構がぜひとも必要になります。しかし、とりあえずは、関係の深い閣僚をもって国土開発本部——仮称ですが——をつくり、
総理が直接これを指揮されたらいかがかと思います。あわせて
総理の御
所見を伺います。
次に、新全総の内容でありますが、これは次の理由により再検討の必要があると思います。
以下、その項目に従って
質問いたします。
その第一点は、
公害、交通
戦争を解消し、自然環境保全について、より強い関心を持って
計画を遂行すべきことであります。たとえば、大都市周辺において、住宅建設のため、緑の山野を破壊して大団地を建設するというようなことは再検討する必要があると思います。都市改造の一環として、職住近接の原則に従って都市高層化を強力に進めるべきではありますまいか。道路、鉄道などの建設についても、いずれが
公害や自然の破壊が少ないか、選択的配慮が必要であります。先般党議決定をいたしました
自民党の総合交通
政策には、そのような
考え方が取り入れてあります。すなわち、海陸空にわたる各種交通機関がそれぞれの機能を十分に発揮し、公正な競争を行ないながらも、原則としては長短相補って最大の効率をあげ、もって過密過疎を解消することを目的といたしております。しこうして、その建設運営にあたっては、極力自然環境の破壊と
公害の防止につとめるとともに、
人間優先の思想を強く取り入れております。以上につき
政府の御
所見を伺います。
第二点は、過密都市を再開発して住みよい都市とするため、産業、人口の流入を抑制し、地方都市への分散誘導策をさらに強力に実行しなければならないということであります。そのためには、先行的に地方の中心都市、たとえば県庁所在地、あるいはこれに準ずる都市に大学、研究所、病院、文化施設等を整備拡充して魅力あるものとし、都市、農村を通じて文化的
生活ができるよう強力な施策を講ずるべきだと思いますが、
政府の
所見を伺います。
第三点は、
わが国のような狭小な国土において長く安定
成長をはかるためには、産業構造の改革について
政府が積極的な誘導策を講ずる必要があるということであります。まず、現在のように、原材料を輸入して、製品まで全工程を
わが国で行なうことは、将来、
土地、
公害、輸送の面からもとうてい不可能に近いと思います。したがって、半製品までは現地において処理すべきであると思います。かくすれば輸送量は半減し、
公害も少なく、これはまた原材料提供国にも利益を与え、一挙両得であると思いますが、いかがですか。
次に、
わが国のように
世界一の高密度
社会における産業は、付加価値の高い産業で、しかも常に他国に一歩も先んじた技術を持つことが必要であると思います。たとえば、スイスのように資源も
土地も労働力も少なく、しかも風光明媚な環境の中で高い
生活水準を保ち得るのは、時計をはじめ、
世界に一歩先んじた技術の高い機械工業を、しかも農工
一体の姿で持っているからであります。
わが国の産業も、将来、このように誘導し、農工
一体の実をあげるよう強力な施策が必要であると思います。
通産大臣の御
所見を伺います。
第四点は、
土地政策についてであります。現在、しばしば見受けられるように、
計画のうわさが立てばたちまち
土地は暴騰し、一部ブローカーや地主に開発利益を独占されるのみならず、
計画実施をもきわめて困難ならしめ、
公共事業の遂行は
土地政策にかかっているとさえいわれております。
土地は生産できず、移動もできません。この限られた
土地の上に、すべての
国民の
生活と生産活動がかかっていることを
考えれば、開発利益の還元、
社会的不公平の解消のため、私権より公共
福祉を優先させることは当然と
考えられますが、御
所見を承ります。
第五点として、今日各種の
社会的困難は、多年にわたる
社会資本投資と民間設備投資とのアンバランスに基因することは明らかであります。新全総などにはこの適正比率が示されています。そこで、この比率について
昭和四十年度からの実績を調べてみますと、
昭和四十五年度に至るまでは好景気の影響を受けて
社会資本投下の比率ははなはだしく低下し、四十六年度
補正予算によってやや改善され、来年度はさらに改善される予想でありますが、まだ
計画の数値には達していないのであります。この
計画からの落ち込み額を累計いたしますと、
昭和四十年度からわずか六カ年間で約二兆円と推定されるのであります。ただいまの
公害、交通問題などもここに基因するところが大であると思われます。そこで
政府にお尋ねいたしますが、将来にわたって
社会資本投資と民間設備投資との適正比率は維持されるかどうか。もし、従来のように民間の景気が上がれば
社会資本投資が相対的に下がるような
政策をとれば、
社会資本の充実は立ちおくれて住民の
生活環境は悪化するばかりであります。生産優先から
福祉優先への
政策転換の実証は、この適正比率を維持するかいなかにあるとも思われますが、いかがでございますか。
第六点は、新全総は
社会資本を先行的、先導的に投下するための
基礎計画であり、あわせて民間の投資活動に対しても指導的、誘導的役割りを持つものであるとしております。しかし、実際にはこれがなかなか行なわれておりません。
公共投資の実態を見まするに、ほとんど目前に対応する施策であって、いわゆるあと追い的に投資をしております。その結果は産業及び人口の集中地帯に投資が片寄り、かえって過密過疎現象を助長する結果ともなっております。先行投資は国土の価値を高め、やがて還元されるものでありますから、
国民全体の資金と蓄積を活用して先行的投資を重点的に行なうべきであると思いますが、
政府の御意見を伺います。
以上、豊かで住みよい国づくりについて重要な諸点をあげて
質問をいたしましたが、
政府は、これらについて十分検討の上、適切な処置をとられるよう要望をいたします。これについて
政府の御意見を伺います。
次に、物価問題は
国民生活に直接関係する重大な問題であります。ことに、このたびは国鉄、郵便、タクシーなどなど、数多くの
公共料金が一斉に値上がりする予想でありますから、世論も相当きびしいものがあります。この際、
政府は、できるだけ詳細にその
値上げ要因の内容を
国民に説明し、真にやむを得ない事情を納得してもらうよう
努力すべきであると思います。また、
値上げ時期が一斉に重なることは避けるべきであります。したがって、
公共料金値上げは一斉に何年間ストップというようなことは避けるべきだと思いますが、御
所見を伺います。
次に、物価問題に対する
政府の
姿勢について
総理にお伺いいたします。
明治以来の殖産奨励
政策のなごりのためか、各省の機構はそれぞれの産業の保護育成のほうに強く目が向いていることは事実であります。現在
経済企画庁や公正取引委員会などはありますが、世論に耳を傾け、消費者側に立って行政を行なう機構がいかにも弱体であるように思われます。今回、農林省に食品流通局が新設されることは、まことに時宜に適したものであります。しかし、今後とも中央、地方を通じ、一貫してきめこまかい消費者行政の実をあげるためには、行政全般にわたる機構をいかに整備すべきか、さらに検討を進める必要があると思いますが、御
所見を伺います。
最後に、人づくりの基盤である教育問題についてお尋ねいたします。
近年、大学紛争を契機として、教育制度の再検討が強く叫ばれ、教育改革に寄せる
国民の期待はきわめて大なるものがあります。
佐藤総理はこれまで再三にわたり、教育改革は中央教育審議会の答申を待って着手することを
国民に約束されました。ところが、昨年六月、「第三の教育改革」といわれる中教審の答申が出され、すでに六カ月、今日なお
政府は教育改革に取り組む
基本的
姿勢を明確に示されておりません。四十七年度
予算案においても、育英奨学資金の大幅
拡大や、私学補助金の増額など質的な改善は行なわれておりますが、第三の教育改革の第一号とも言うべきものは、何の方針も、思想もあらわれていないように思われます。教育の改革は、国の将来をきめるきわめて重大な
課題でありますから、世論の支持と
総理大臣の強い御決意があって初めて可能であると
考えます。
そこで
総理にお尋ねをいたします。
第一は、中教審の答申をどのように評価されておられるかということであります。
第二は、答申を尊重され、実行されるのであれば、大学改革、幼児教育、六三制の改善、教職員問題などの中で、何から取り上げ、どのような手順、
方法で
実施されようとするのか、その青写真をお示し願えれば幸いであります。
第三は、答申について教育関係者の一部に強い反対の
動きが見られますが、これをどうお
考えになりますか、お伺いいたします。
最後に、教育界の現状は、日教組などの教育権論争に見られるごとく、反文部省、反
政府的運動が顕著であることは御承知のとおりであります。このことはきわめて遺憾なことでありますが、このような中で、真の教育改革はきわめて困難と思われます。私は、このような状態を正すことこそ第三の教育改革の大前提と
考えますが、
総理の御
所見を承りたいと思います。
以上、わが党の
基本政策である「物心ともに豊かな国づくり」に焦点を当てて
質問をいたしました。
政府においてもわが党の趣旨を十分取り入れて
国民の要望にこたえられるよう強く希望いたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣佐藤榮作君登壇、
拍手〕