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政府委員(
安原美穂君)
法務省の今
国会に
提出を予定いたしております、あるいは
提出いたしました
法案の
概要を御
説明申し上げます。
お手元に「第六十八回
国会(常会)
提出予定法案」
昭和四十七年一月十八日という名のリストを差し上げておりますので、これに基づきまして順次御
説明を申し上げたいと思います。
第一は、
法務省設置法の一部を
改正する
法律案であります。これは
所管は
内閣委員会でございます。すでに二月八日に
衆議院内閣委員会に付託されております。
その
内容は、ごらんのとおり、第一は、
松山刑務所の
所在地が
松山市から愛媛県温泉郡重信町へ移転することに伴いまして、その
位置を別表で改めるということであります。
第二は、北海道の樺戸郡
月形町に
月形少年院を設置し、一方、愛知県の知多郡南知多町
所在の
豊浦医療少年院を廃止することであります。
第三は、
入管関係でございまして、
岩手県
大船渡市
所在の
大船渡港ほか五カ所における
出入国者の
増加等に対処いたしまして、
岩手県
大船渡市に
仙台入国管理事務所の
大船渡港出張所を、茨城県
日立市に
東京入国管理事務所の
日立港出張所を、それから大分県
佐伯市に
福岡入国管理事務所の
佐伯港出張所を、熊本県の
八代市に
福岡入国管理事務所の
八代港出張所を、それから
沖繩県の石川市に
那覇入国管理事務所の金武
港出張所を、
沖繩県コザ市に
那覇入国管理事務所の
嘉手納出張所をそれぞれ設置いたします一方、
出入国者の減少にかんがみまして、
札幌入国管理事務所根室港出張所と、それから
沖繩県に
那覇入国管理事務所のほか、
出張所の設立されることに伴いまして、
出入国者の減りますことの予想されます
鹿児島入国管理事務所の和泊
港出張所をそれぞれ廃止するものであります。
第四番目は、市町村の
廃置分合等に伴いまして、
札幌法務局及び
函館地方法務局の
管轄区域内の
行政区画の名称の一部と、
旭川刑務所、
交野女子学院及び
東京入国管理事務所直江津港出張所の
位置をそれぞれ改めるものであります。
以上が、
法務省設置法の一部を
改正する
法律案であります。
その次は、
裁判所職員定員法の一部を
改正する
法律案であります。これも、すでに二月八日、
衆議院の
法務委員会に
提出、
付託済みであります。
内容は、ここに書いてありますように、第一審におきます
事件の適正迅速な
処理をはかる等のため、
判事補の
員数を九人、
裁判官以外の
裁判所の
職員の
員数を三十一人
増加しようとするものであります。
その次は、一枚めくっていただきまして、犯罪者予防更生法の一部を
改正する
法律案であります。
なお申しおくれましたが、コメじるしのありますものは
予算関係法案という趣旨であります。
犯罪者予防更生法の一部を
改正する
法律案改正の理由は、
中央更生保護審査会は、御案内のことと存じますが、内閣に恩赦の申し出をし、また、仮出獄の取り消し決定等についての不服申し立てに対する裁決をするなどの権限を行使しているのでありますが、
委員長は、審査会を代表して会務を総理する等の責任を負い、また、すべての審査対象
事件を事前に精査するなど、その職責も
事務量も大きいので、常勤として職務に専従させる必要があるということであります。
したがいましてその
改正の要点は、
中央更生保護審査会の
委員長を常勤に改め、これに伴いまして「
中央更生保護審査会は、
委員五人で
組織する。」を改めまして、「
委員長及び
委員四人で
組織する。」こととし、附則におきまして、
特別職の
職員の給与に関する
法律の一部を
改正いたしまして、日額の手当とせられておりました審査会
委員長の給与を、国家公安
委員会委員、中央公害審査
委員会委員長等並みの俸給月額四十万円とする
内容であります。
その次は、
刑事訴訟費用等に関する
法律の一部を
改正する
法律案であります。現行の
刑事訴訟費用等に関する
法律におきましては、
国選弁護人に支給すべき
旅費は、運賃の等級が三階級に区分されております船舶による旅行の場合には、上級ではなくて中級以下で、
裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとされておりますが、
国選弁護人の社会的地位にかんがみまして、これを
裁判所が相当と認める等級の旅客運賃によって算定することとし、上級の旅客運賃を支給することができるようにするものであります。
その次、五は、下級
裁判所の設立及び
管轄区域に関する
法律の一部を
改正する
法律案であります。
これは市町村の
廃置分合等に伴いまして、若干、広島簡裁ほか五ないし八つの簡易
裁判所の
管轄区域を変更いたしますほか、下級
裁判所の設立及び
管轄区域に関する
法律の別表中三十七カ所、八王子簡裁等約三十簡裁の
行政区画の名称を
改正しようとするものであります。
その次は、民法等の一部を
改正する
法律案であります。この
法律案は、いわゆる主務官庁の許可を得て設立されながら何にも
業務をやっておらない、いわゆる休眠民法法人を整理する方途を講ずるため、民法等の一部を
改正しようとするものであります。
御案内のとおり、民法法人は、主務官庁の許可によって成立いたすものでありますが、法人の中には全く
事業活動をしていないいわゆる休眠法人が多数存在し、弊害をもたらしております。しかしながら、主務官庁がかかる法人を解散させることができるかいなかにつきましては、民法上疑義がありますので、民法等を
改正いたしまして、正当な理由なくして引き続き二年以上
事業をしていない場合には、主務官庁がその設立許可を取り消すことなどによって、その法人を解散させることができるというようにするということをおもな
内容とする
改正案でございます。
しかしながらこの
改正につきましては、わが省の
法務大臣の諮問機関である法制審議会等にかけるというような手続がまだ終わっておりませんので、
提出できるかどうか、はなはだ未確定の状態であることを申し添えさせていただきます。
それからその次は、商法の一部を
改正する
法律案、それからその次のページの資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する
法律案、それから商法の一部を
改正する
法律等の施行に伴う
関係法律の整理等に関する
法律案、これらは一連のものでございますので、便宜一括して御
説明申し上げます。
商法の一部を
改正する
法律案は、まず先般来問題になりました粉飾決算防止のために監査役の権限を
強化いたしまして、監査役は会計監査だけではなくて、
業務監査をも行なうものとし、これに必要な権限を与えるとともに、適正な監査が行なわれるよう任期その他、その地位の独立性の保持等の措置を講ずるということ。
それからもう一つは、会社は、計算書類につきまして、定時株主総会前に、公認会計士または監査法人の監査を受けることとし、会社の株主、従業員、取引先及び下請企業者等の
関係者の
保護をはかるということが一つの柱であります。
その次は、経営の安定をはかるという観点から、累積投票制度につきまして取締役の
選任について、定款をもって累積投票の請求を完全に排除できることとし、
業務の運営の安定をはかるということが一つ。
それから会社の資金の調達の便をはかるという意味におきまして、転換社債は、新株の発行と同様、原則として取締役会の決議によって発行できることとし、また準備金を資本に組み入れた会社は、株主に対しまして発行価額の一部の払い込みを要しないものとする株式を発行できることとして、資金調達の便をはかるということ。
以上がおもな
内容でございます。
ただ附則におきまして、会計監査人に関する規定を一律に株式会社に適用すること。同時に適用することについては、制度の円滑な
実施という観点から考えまして、段階的に
実施する。たとえば資本金一億円以上の証券取引法適用会社、いわゆる上場会社については、
昭和四十八年一月一日から、それから上場会社ではない、資本金一億円以上の証券取引法適用の会社でないが資本金三億円以上の会社については、四十八年七月一日から施行する等、段階的施行を附則で定めております。
その次は、資本の額が一億円未満の株式会社に関する商法の特例に関する
法律案の中身でございますが、御案内のとおり、株式会社は全国で九十万ございまして、資本の額におきましてきわめてバラエティーに富んでおりますので、一律にただいまの商法
改正の点を適用することはまた問題があるという中小
規模の株式会社の実情にかんがみまして、まず資本金一億円未満の株式会社についての特例を設ける。その特例の
内容は、一億円未満の株式会社の監査役は、従来どおり会計監査のみを行なうものとする。あるいは資本金一億円未満の株式会社については商法の適用除外といたしまして、これらの会社については公認会計士または監査法人の監査を受けることを要しないものとする等の
内容を盛らんとするものであります。
それから
最後の、商法の一部を
改正する
法律等の施行に伴う
関係法律の整理等に関する
法律案は、商法の一部を
改正する
法律、ただいま御
説明申し上げましたような
法律の施行に伴いまして関連する諸
法律について
所要の
改正を行おうとするものであります。
以上が、商法
関係三つの
法案の
概要であります。
その次は、
罰金等臨時措置法の一部を
改正する
法律案であります。
刑法その他の刑罰法規に定める罰金及び科料の額等につきましては、現行の
罰金等臨時措置法、
昭和二十三年
法律第二百五十一号でありまするが、によりまして暫定的な臨時特例を定めておりまするが、同法制定後二十三年の間に、物価は約三倍、賃金は十倍以上に上昇しておりますので、罰金及び科料等の額を現行のままにとどめておきますことは、これらの
財産刑の刑罰としての機能を低下させるばかりでなく、
刑事司法の適正な運営を阻害するおそれがある。そこで、罰金及び科料の額等を現在の
経済状態、それに適合をするように
改正する。
改正の要点は、要するに
罰金等臨時措置法に定める罰金及び科料の額等をいずれも一律にその四倍に相当する額に改めることをおもな
内容とするものであります。
最後は、
出入国管理法案であります。現行の
出入国管理令は、
昭和二十六年に、いわゆるポツダム政令として制定されたものでありまするが、制定後二十年を経過する間に、国際旅行の普及、航空機による大量輸送によりまして、
わが国への入国者が飛躍的に
増加しております。このような最近における出入国の状況から、現行制度を全面的に
改善して、今日の国際的な諸要請及び
わが国の国情に応じた
出入国管理制度を
確立する必要があるのであります。
この
法案は、第六十一回
国会、第六十五回
国会に
提出し、いずれも審議未了になっております。今
国会に再び
提出しようとする
法案の
内容は、おおむね第六十五回
国会に
提出したものと同様でありまするが、ただしこの前回の
国会に
提出いたしました
法案に対して寄せられました各方面からの御批判を十分にくみ入れ、しんしゃくいたしまして、近く成案を得て
国会に
提出するつもりであります。
以上が、
法務省提出予定法案の
概要であります。