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1972-05-11 第68回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十一日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      中村 登美君    久次米健太郎君      戸叶  武君     足鹿  覺君      山田 徹一君     塩出 啓典君  五月十一日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     岩本 政一君      足鹿  覺君     戸叶  武君     —————————————    出席者は左のとおり。      委員長        高橋雄之助君      理 事                 亀井 善彰君                 園田 清充君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君      委 員                 梶木 又三君                 河口 陽一君                久次米健太郎君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村滝一郎君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 山崎 五郎君                 足鹿  覺君                 川村 清一君                 工藤 良平君                 辻  一彦君                 村田 秀三君                 塩出 啓典君                 向井 長年君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君        国 務 大 臣  大石 武一君    政府委員        北海道開発政務        次官       上田  稔君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農地局長  三善 信二君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        食糧庁長官    亀長 友義君        建設省都市局長  吉兼 三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農地局管        理部長      堀川 春彦君        建設省河川局河        川計画課長    宮崎  明君        建設省道路局路        政課長      宮繁  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○土地改良法の一部を改正する法律案(第六十五  回国会内閣提出、第六十八回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告します。  昨十日、山田徹一君、中村登美君及び戸叶武君が委員辞任され、その補欠として塩出啓典君、久次米健太郎君及び足鹿覧君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続きこれより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 足鹿覺

    足鹿覺君 足腰がまだちょっと十分なおっておりませんので、たいへん失礼でありますが、すわったままで質疑をお許しください。どうぞ大臣政府委員の方もすわったままでひとつ……。  今国会に持ち越されました土地改良法の一部改正審議にあたりまして、基本的な問題と具体的な問題に分けましてお尋ねを申し上げたいと思います。  十年前の政治、経済農業事情を顧みまして、今日の日本農業はあまりにも急速に激しく、しかも、きびしい荒廃への道をたどり、その存亡すら案じられるに至っております。したがって、日本農業について憂いを同じくする人々や団体は、いかにこの状態に処すべきか真剣に検討し、共通対応策と行動を起こすことを迫られておるであろうと考えるのであります。そういう立場から赤城農相農政基本姿勢について、まず御所見を承っておきたいと思います。  この辺で先ほども述べたように、われわれが考えなければならぬことは、日本国民主要食糧などはだれが供給するのか、それは日本農業なのか、それとも外国農業なのか、これを長い目で確かめることから再出発しなければならぬと思います。日本国民食糧などを外国に依存し、開発輸入によって安くまかなう。安ければどこの国からでも買えばよい、いわゆる経済合理主義で割り切るのかいなか、この問題について所信をひとしくする者は、その政党のいかんを問わず新しく立ち上がっていかなければならない重大な段階であろうと思います。高度成長経済のために、美しい日本国土と自然をめちゃめちゃに破壊し、大気も海も山も川も土地も汚染をした今日、マンモス化する都会生活のため緑の空間を保持するための農業などと考えておる行政庁や役人やあるいは農政学者評論家も最近多いようでありますが、人間生活中心は、はたして都会であり、そのために農業を存在せしめようとする考え方は正しいかどうか。また、都会そのものがはたして人間生活にふさわしい状態にあるのかどうかを考え直すべきだと思います。  財政問題を一つとって考えてみましても、米が過剰だから米の国家管理は税金のむだ使いだと、こういう考え方で対処しようという人々が多く、四月一日から物価統制令から米を削除し、事実上、米は自由化されました。米価が上がるか下がるか、消費者考えてみることだと思いますが、このごろ米屋の店頭には自主流通米が大きい幅で飾られ、政府配給米を買いに行く人は片すみに並べられたものを肩身を狭く求めていかなければならないというのが実情だと聞いております。諸物価が上がり、公共料金を軒並みに価上げして、不況だというのに物価の抑制すら政府考えていないようにも思えます。今日まで、事実上、米価は三カ年間据え置きも同然、休耕転作奨励金は一二年で打ち切られるやに聞いております。私の郷里でも転作してつくったサトイモなど、野菜が暴落し、農民はネギでも、キャベツ、あるいはサトイモども都会の主婦にただでやり、自分たちは出かせぎで土方に出て、人夫賃をかせいで家計を補い、経営の借金の利息を払わなければならないありさまであります。これでも農業農民は過保護かいなか、財界御用学者評論家たちの皆さんに伺いたいと私は問いたいんであります。この際、私が衆議院時代に、十数年前、農林大臣としての赤城農相に相まみえましたが、十幾年ぶりに農相として、この危機に登壇をされました赤城農相の、これらに対する農政基本姿勢を明らかにしていただきたいと思います。
  5. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一の基本的な考え方でございますが、私は、農業における、農民農業において生活できるということが一つの基本的な考え、進むべき道じゃないかと思います。もう一つは、農業者がやはり農業者以外の者に食糧を供給する、自分だけが食べているというだけじゃなくて、供給する立場にあると、こういうのが一つ農業者としての、国民としての責任ではないか、こういうふうに考えます。そういうところから考えまするならば、農民として農業によって生活ができるということ、それからもう一つは、食糧の供給を、自分だけが食べていくということだけじゃなくて、国民に供給できるという立場を確保させていかなくちゃならぬ。そういうことから考えまするならば、いま御指摘のように、安いものならば外国のものも入れて、そうして国民に供給するというような立場であってはならない、やっぱり自給して、日本国民が、日本農民日本国民食糧を供給できるというような立場で、安いから外国食糧品を買って、それで供給するというような立場はとるべきではないと、こういうふうに考えます。  第二に緑の空間都会のために農業あるいは農村があるということではないと思います。農業自身がもう緑を保持して、あるいは環境をよくしておる立場農業自体があるのでございます。でございまするから、緑の空間と、こういうことを言いますが、私はたとえば米が、いま田植えしていますが、田植えして水田が緑になった。これはひとつ別に空間をつくらなくても、そのこと自体が緑を保持しておるのだと、農業自体環境をよくし、あるいは緑を保持しておるのだと。だから別に都会の人にこれを提供するというようなことでなくて、農業自体農業の本来の姿をあらわすようなことにしてあれば、これは緑を提供しておると、こういうことだと思います。  第三は、米があるいは自由化方向にいっているのじゃないかと、農業に対しての過保護というようなことが言われておるというようなことでございますが、私は、農業自体というものは国が支持しなければ成り立つものではないと思っております。いつかもここで申し上げましたが、工業農業を比較してみましても、工業のように農業においてマスプロといいますか大量生産をするようなことはできません。機械化をする——機械化は進めなくちゃなりませんが、機械化において、農業において使う機械というものは、一年じゅうその機械をフルに使う必要はない。年じゅう機械を動かしておるわけじゃございませんから、機械償却というような面からいっても、工業機械農業において使う機械というものについては、非常に不利があります。あるいは天候に支配されることもございます。あるいはまた、先ほども申し上げましたように、大量生産的に工場を拡張するというような、農場を無制限に拡大するというようなこともできません。生産物は、物によっては毎日生産するのでなくして、一年に一回とかあるいは長年かかって生産する、こういうようなことでございますから、どうしても農業というものは、工業などと自由に競争させるということであれば、農業というものはだんだん衰微していく。しかし、農業というものを民族の立場から維持しなくちゃならぬということになれば、どうしても農業に対して国が財政的な支出といいますか、そういうものをしなければ、農業というものの維持はどこの国でもできない。ですから、世界どこの国においても、日本ばかりでなく、農業に対しては国がある程度の財政的な支持をしていかなくちゃならぬ。それを過保護だと言うことは、これは間違っておると思います。当然なすべきことだと思うのです。そういうことから考えまして、価格政策等におきましても、あるいはその他の財政投資、こういう面におきましても、国が当然価格支持政策をしたり、あるいはまた財政投資をしなければ、これは国民あるいは業界に対して公平でない、こういうふうに考えるわけであります。  以上三点について私の考え方を申し述べたわけであります。
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、いま一つ冒頭お尋ねをしておきたいのですが、最近農政思想転換ということばが使われだしておるのです。つまり、いま私が指摘したこと、大臣が明快に御答弁になりましたものの、四十六年に農林省農業の新しい役割りという文書を公表いたしております。最近経済企画庁は緑の空間計画提唱と称して、研究会報告の形式でこれを発表いたしております。いずれも農村空間を緑の空間として再編成する新しい政策理念追求ないしは確立を要請しておるものと言わざるを得ません。しかも、農林省内部に、このようなただいまの大臣意見と全く対立、ないしはこれの線に沿わないこのような文書が公表されるということは、私はきわめて遺憾に思います。この農林省意見といい、経企庁の提唱といい、両者とも農林漁業の第三次産業化を、大同小異、立場を異にしておりますが、提唱しておるにすぎません。この点をしかと、大臣の権威といままでのキャリア立場から、省内のただいまの大臣の方針に反するがごときものに対しては、私は断固たる態度をもって対処してもらいたいと思います。でない限り、農林省自身が空中分解せざるを得ない危機を迎えないという保証はないと思うからであります。  こういう危険な提唱考え方に対しての農民対応は、緑や農地や美しい山林を破壊したのは一体だれだ。いまになって、そのやった連中に迎合して、緑の空間農業で確保せいとは、白々しいもほどほどにしなさいというのが農民感覚であり、私ども同感である。ほんとう国土の保全や緑の空間が必要なら、ただいまも大臣が言われましたように、農民の営む農業や林業をきちんと行なわれるようにすべきである。それで完全に生活が保障されるような農政があってしかるべきであるにもかかわらず、農林業お手上げ状態に追い込んだこの現状をそのまま放任して、政策転換をはからずして、農林漁業を第三次産業化していくような考え方には、大臣とともに私どもは賛成できない。こういう農政思想転換に対して大臣は、どのように省内をきちんと統制をし、農業位置づけに対する共通認識に立って、今後政策を遂行していかれようとされておりますか、この点、きわめて重要でありますので、伺っておきたいと思います。
  7. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 社会が非常に変わってきておりますことは、私から申し上げるまでもございません。ことに高度成長というものには、私は必ずしも賛成はしなかったのでございますが、現実には高度成長下において工業化するといいますか、地方への工業の進出も非常に多くなっておりまして、本来の農業だけを営んでおられないような環境になっていることも一事実でございます。でございますので、産業の新しい役割りとして、第三次産業化するということは、私は考え方がこれは間違っていると思うんです。というのは、第三次産業化するということではなくて、農村の妨げられている緑を回復するということであるならば、私はこれは当然なすべき方向だと思います。でございますから、たとえば自然休養村というようなもの、あるいは山林自然休養林、そういうものは、第三次産業化とか都会の人に提供するということではなくて、本来の緑を回復する仕事だ、こういうふうに私は認識するわけであります。  ですから、新しい農業をそういうふうな第三次産業化するという方向農林省として持っていくということではなくて、少なくなった緑を回復するという意味で、自然休養村とか自然休養林、そういうものをつくるという意味認識して、いまの仕事を進めなくちゃいかぬと思います。ですから、農村を第三次産業化していくというような方向農林省としても進めておるのではないと、私はそういうふうに認識しておるわけでございます。  ちょっとなお加えますれば、いつかもここで申し上げたのでありますが、非常に自然の環境というようなことをいわれておりますが、国土計画というものは、自然農村建設ということでなくちゃならぬと思います。それから都会都市計画というものも、まあ、理想的にいえば、自然都市建設というような形に持っていかなければほんとうではない。国土開発というものについては、私はそういうふうに考えております。
  8. 足鹿覺

    足鹿覺君 農林大臣の御意向は、よくわかりました。まだ御病気も十分に回復しておられないと思いますので、しつこくは申し上げませんが、もう一点だけ申し上げます。これは土地改良法と直接の関係を持つものでありますので、伺っておきたいのであります。  昭和四十四年から米の生産調整という新しい事態、つまり米過剰論を踏まえて、新しい農業もしくは農村への公共投賛は押えていく、抑制していく。つまり、農業生産の拡大に刺激的に作用する財政支出であっては、国民的合意を得にくいし、したがって、新しい公共投資はこれを押えていく。そういう考え方財界その他を支配し、そうしてそういうことの変形として、冒頭から申し上げたような、農業位置づけを誤まらしめるような方向をとろうとする人々が出てきておると思う。つまり、一番問題は、第一には土地生産性追求型ではない、労働生産性追求型に切りかえていかなければならぬ。そのためには、新しい農業経営体を創出することを基盤としなければならぬ。つまり、農業生産コスト国際化に目標を置いておるようであります。第二には、農村地域空間開発整備ということ。この二つの方向を目ざさねばならぬ、こういう議論のようです。先ほども申しましたように、一番問題になるのは、農地造成開発、つまり干拓とかあるいは開拓、普通の農地造成とかあるいは土地改良というようなことについては、これを抑制していく、そういう考え方が漸次幅をきかせるような傾向にあることを私は遺憾に思います。  そうではなくて、農業存在意義の再発見は、あくまでも食糧生産の本来的使命が農業にある。こういう見地から、農林大臣先ほど述べられたことに対しては、全く同感でありまして、そういう立場から農林省はこの際、姿勢を整えて内部から、私がいままで指摘したような議論が出るようなことに対してきびしく指導、統制してほしい。そうでない限り、外部からわれわれ見ておりますと、きわめて敗北的思想が、消極的思想といいますか、そういう思想がだれしもあることを認めざるを得ない。それを私は一番農民を理解し、長いキャリアと信念に立たれた赤城さんに、私は求めておるのであります。それなくしては、私は、この土地改良法の問題については、どのような大計画を立てましても、今後いろいろな支障に出会ってくるであろうと思うのです。  これはまことに余談でありますが、あまり前置きが長くなりますけれども、非常に痛感したことでありますので、大臣ひとつ聞いていただきたいのですが、私は元来、防衛問題なんというのは苦手なんです。外交もよくわかりません。が、新しく防衛問題に私は、今国会認識を新たにしたことが一つあるのです。つまり、第四次防の目玉と言われる飛行機一機分の単価ですが、偵察機RF4E、これが十九億八千七百万円、輸送機CI二十九億九千三百万円、高等練習機丁2十四億一千三百万円、全くその高価なことに驚いた。これが四次防の先取りとして問題になって、いま議長凍結が行なわれておるわけでありますが、このCI輸送機が配属されます山陰の境港地域米子地域にまたがる美保基地というのがありますが、この基地の大部分を占める境港市の一年間の、昭和四十七年度の予算を調べてみましたら、二十五億六千万円であります。CI一機が二十九億九千三百万円に対して、その基地が置かれておる地方自治体予算が驚くなかれCI一機分にもはるかに足りない。このような事実を私は発見したときに、はたして今日の自治体としては、自治体というにふさわしい期待と事業が持てるかどうかということを非常に疑わざるを得ませんでした。きわめて現実的な感覚でありますが、そういう点から考えまして、思い切った私は計画的な、この狭い日本を、国土そのものを広くし、改良していくことは必要でこそあれ、決してあとずさりする必要はないという考え方を持つ。財源をこのCIをやめて持ってこいというのではありません。CI一機の予算にも足りないような地方自治体、しかも一市が一体どのように農業問題と取り組めるか、これを大臣にもよく考えていただきたいという観点から、私は申し上げておるのであります。これは別に御答弁を要しません。真剣にひとつよくお考えをいただきたいと思います。  そこで、最初に伺いますが、今回の改正におきましては、非農用地をも土地改良法の対象として取り込んでおるのは、私はそれなりに評価ができると思っております。そこで、農林大臣の構想といわれる今年度から始まる農村基盤総合整備パイロット事業等は、土地基盤整備として行なわれるが、農村環境整備を含む総合事業とされております。このような事業土地改良法によって行なわれることとなると思われるが、このような事業を真に成果あらしめるためには、土地改良法農業中心としつつ、総合開発が行なわれるような法体系整備する必要があるのではないかと私は、思うのであります。  前段に述べた基本問題を踏まえて、土地改良法ではなくして、土地改良制度とでもいいますか、とにかくこれらの法体系を一ぺん基本的に総括的に考え直す段階ではないか、そういう点から見ますと、今度の改正は、私どもはきわめて不満であります、そういう意味からいうならば。この点について、大臣の御所見を承りたい。
  9. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 公共投資のうちで、農業に対する投資を抑制しているのじゃないかというような御意見でございましたが、先ほどから申し上げましたように、農業に対しては償却といいますか、効果がほかよりは少ないわけであります、工業などと比較しますと。そういう関係で、どうしても工業とか農業外のほうに公共投資が多く出てきておるという事実は、私も御指摘のように認めざるを得ないと思います。しかし、それはあまり好ましいことじゃないと思います。それで土地改良関係しますが、私は土地というものは、これは国民全体のものだと思うのです。ですから、こういうものに公共投資をするということは、これはほんとうに必要である。それで、それが労働生産性にばかり力を入れておるのじゃないかと、こういうことでございますが、私は土地、の生産性労働生産性と両方を上げるために、土地改良というものが必要だ、こういうふうに考えておるわけでございます。でありますから、公共投資は、土地改良等につきましては、相当増額すべきものだ。まあ、事実、形の上では土地改良公共事業ということになっていますが、そういう点におきましては、土地改良等国土造成といいますか、国土改良公共投資というものは相当出すべきものだ、こういう基本的な考えを持っています。  そこで、これが米子美保飛行場CIの一機の金だけと地方財政と比較されるようなことでは困るというお話でございましたが、私はただ防衛の点についてよけいなことですが、私は日本防衛というのは、やはり一つ抑止力だと思うのです。戦争をするためにというよりも、戦争をなくするための一つ抑止力として防衛というものもやっていかなくちゃならぬ。で、抑止力としてそれは核の問題は、これは日本では持ちませんが、兵器として通常兵器による抑止力というものは、やはり国として持っていかなくちゃならぬと、こういう点でいろいろな計画があり、四次防計画とかなんとか出てくると思います。でございまするから、一つ一つみなどうこうという批判はいたしませんが、抑止力として必要なものだけは、やはり防衛としても整えておかなくちゃならぬ、こういう考えを私は持っております。  で、足鹿さんもそれと比較して土地改良をどうこうというわけじゃないと、こういうことでございますから、私も一々比較はいたしませんが、土地改良に対する公共投資は、相当増額すべきじゃないか、そうしてその土地改良というものは、農業中心として法体系をつくるべきだと、こういう御意見でございましたが、私は、土地改良法は、自分では耕地整理法から関係したことがございますが、いまの土地改良法は従来の耕地整理法よりもまずいです。耕地整理法のほうが体係がよかったです。長年土地改良耕地整理法でやっていたのですが、あの体系のほうがよかった。そこで、今度の土地改良法改正ももとの耕地整理法に戻るような形でこれはできていますから、足鹿さんは不満であると、法体系の十二分な考え方から見れば不満だという御意見はわかりますが、私は、現在の土地改良法よりも今度の改正案は、耕地整理法に含まれているようなことが相当入ってきておりますから、私は非常な進歩だと思います。それをさらに法体系を拡大して、農業中心としての方向に持っていかなくちゃならぬじゃないかという御意見は、十分研究、検討の価値があると思いますので、これは検討を続けていきたいと思いますが、現在の提案しておりまする土地改良法は、足鹿さんは非常にその点から不満でしょうが、私から見れば非常な進歩だと、こういうふうに思いますから、ぜひひとつ早く通していただきたいと思います。
  10. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は不満ではありますが、これを阻止したり、どうこうという考え方で質問はしておりません。ただ、食い足りない、もっと総合的に、抜本的に考えるべきではないか、こういう考え方でありますが、つまり、農業中心とした開発立法的なものとして考える余地はないかどうかということです。大臣、さっきもパイロット問題を申し上げましたが、地域の多目的開発をはかるためには、新しくできた環境庁との関係もあります。また、都市計画法との関係もあって、建設省との関係も出てきております。この公害対策、都市工業農業との調整、総合的事業の実施、スプロールの防止、環境等の自然保護について、もっと私は、農林省自分たちの構想と技術と経験に基づいて国土造成していくならば、それぐらいの雄大な構想をもって対処してもらいたいと思うから申し上げておるのであります。それと同時に、農民の負担の軽減もはかっていくということが、今後の農業基盤整備の重要な問題だと、私は思っておるのであります。  そういう見地から、最近土地改良法に基づく干拓が農用地の造成を目的としていることは明らかであるにもかかわらず、当初農用地として計画されたものが、計画の変更とか他用途への転用によって、工場用地等への転用がなされている場合が多いようであります。まず、このようなことが許されるかどうか、許されるとするならばどういう根拠によってやられておるのか、これに対する歯どめ対策は、どのようにあるべきか、このことについて御所見を承っておきたい。
  11. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 何といいますか、高度成長下において工業化の進度も非常に進んできておったわけでございます。それで一面、非常に土地価格が暴騰している。これは非常に大きな問題だと思います。そこで、土地造成する、そういう方面から造成する人の意見などを聞きますと、埋め立てや、1まあ東京湾なんか埋め立てたほうが土地を買収するよりも非常にコストが安い。そういうことで土地造成というものに非常に力を入れている面もございます。そういう面で、私ども土地改良に対しましても、工場用地等に使いたいというような希望を申し出る面もございます。たとえば、私が最初に取りあげたのでございますが、御承知の笠岡の干拓等につきましては、多目的で工場用地にも一部使いたい、こういうことがございました。これは岡山県の藤田干拓、あの辺が非常に工場用地になっているものですから、笠岡を干拓する最初に、工場用地にもある程度ほしいというような希望がありましたので、これはよく調整しまして、いずれは工場用地として土地改良しても、侵食されるというようなことがあっては、土地改良の目的を失うわけでございますから、初めっから区画をして、ある程度は土地改良の部分をこういう工場用地として併用していくというか、一緒にやっていくということも、これはやむを得ないといいますか、あるいはやむを得ない必要じゃないかというようなことでやったこともございます。で、これは非常な世の中の動きに、あるいは土地問題、地価問題等に関連して、そういう要望もある程度はいれなくちゃなりませんが、しかし、これは、最初に計画するときにそういうことでいくべきではないか、とこう思います。途中においてそういうことになってきて、所期の目的を変更するということは、あまり私は当を得たことじゃない、策もまた上策、いい策ではないと思います。でございまするから、なるたけそういうことはしたくないと私は思いますが、いろいろ状況の変化等によりまして、そういうこともある程度認めざるを得ないものも出てくると思いますが、しかし、それにはやはり所期の土地改良農地造成の目的を阻害しない、あるいはこれと調整できる、調和のできるようなことでやっていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
  12. 足鹿覺

    足鹿覺君 ここで干拓に関する主要資料の御提出をお願いしたいのでありますが、最近における経済発展に伴いまして、農業外の旺盛な土地需要等による農地の壊廃が急速に進んでおります。農林省の耕地面積調査によりますと、三十六年から四十五年の十年間に七十一万五千六百ヘクタールが壊廃されたと私の資料にはあります。特に四十四年以降は、米の生産調整とも関連して、年間十万ヘクタールをこえている、こういう資料を私は持っておるのであります。一方この壊廃に対して造成される農地は開墾、干拓によって同じく十年間に三十五万九千三百ヘクタールでありまして、壊廃、造成差し引き三十五万六千三百ヘクタールの減少を示しております。これは、たいへんなことではないですか。年間にして平均三万五千ヘクタールとなっております。これは全国にいろんな事例があります。きょうは、詳細を申し上げることは省略します。  過般の決算委員会におきましても、九州の森中委員が途中において計画の変更を追及した事例もありますし、たくさんあります。このような農地造成のもとに干拓事業における他用途転用が年々増大しているわけであります。それには適正な手続論だけでは、済まされない一つの恣意性も動いておると思うのです。高度成長には、なりふりかまわぬという立場もあろうかと思います。農地造成を目的とした事業が単なる土地造成事業に終わろうとする懸念すらあることは、私は非常に心配をいたします。よって干拓事業の概要を把握するため、左記の資料を提出していただきたい。  干拓政策の主要な変遷、戦後でけっこうです、主要な事項の要旨であります、中身は。第二、干拓事業の実績、これも戦後であります。年度別、事業主体別、事業費、予算決算がどうなっておるか、入植数、配分面積、売り渡し価格、転用実績(用途別、売り渡し価格、転用年月日、面積)、入植後の転用実績(同上)であります。三、現在施行中及び計画中の干拓事業の概要、内容は二の事項に同じものでありますから省略いたします。  そこで、きょうは、これらはこういう膨大なものをいただくわけにはまいりません、後日でけっこうでありますが、すみやかに御提出願いたいが、概括されていま私が述べた昭和二十一年以来現在までの完之地区数、面積、事業費等について承りたいと思います、その結論だけ。
  13. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 四十六年度までに完了しました干拓の地区数は百九十五地区、面積にしまして三万二千百ヘクタールでございます。それから四十六年度までに他目的に転用いたしました地区数が一千五地区、その面積が二千八百ヘクタールでございます。そういう実情になっております。
  14. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 農地局長、いまの足鹿委員の要求された資料の提出、よろしゅうございますね。
  15. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 提出いたします。
  16. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで続けてお尋ねを申し上げますが、多目的に転用されたものが二千八百ヘクタールあるということであります。それにはそれらしい理由と手続が経てあると思いますが、法律上一応他用途への転用が説明できるといたしましても、農用地の造成を目的として一連の手続を土地改良法は規定しております。この法には、他用途への転用の規定はないのであります。その意味では、はっきりといかなる場合に他用途へ転用できるか、また変更できるかを法上明記すべきではないかと思うんです。あるいは大臣先ほど述べられたように、私も十年前から提唱しているんですが、当初から多目的に計画をしていくべきではないか、時代の変遷に従ってそれに即応する対応策は必要だと思うんです。がしかし、いまの場合、転用規定はないんです、法律上。これをやる場合には、最小限度、大臣がただいま述べられましたような歯どめ措置というものがなけらねばならぬと思うんです。この長期計画によりますと、計画の期間は十年を一期とする、「計画を作成するに当たっては、農林大臣は、関係行政機関の長、関係都道府県知事および農政審議会の意見をきいて案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。また、計画につき、閣議決定があったときは、その概要を公表しなければならない。」こうなっておるんです。現在の土地改良長期計画は、昭和四十一年三月二十五日閣議決定されたものであります。したがって、その長期計画によると、「土地改良長期計画策定の法的根拠は、昭和三九年の本法の一部改正により与えられたが、長期計画作成に必要な基礎的調査として、昭和三八、三九の両年に「土地改良総合計画調査」が実施された。この調査の結果明らかとされた要土地改良面積を基礎として各般の計画作成作業を行ない、本法に定める各種手続をへたのち、昭和四一年三月二五日、次のような土地改良長期計画が閣議決定された。」こういうことになっておるんです。したがって、このような手続を経てやらなければなりませんが、はたして手続を経ておるかどうか。こまかいことをきょうはお尋ねをしようとは思いません。  ここで一つ伺っておきますが、ただいまも大臣も私に対して御答弁になりましたように、社会的、経済的情勢が変わっておる。土地改良長期計画は、いつを目途にその改定を考えておられますか。この改定の際は、きわめて慎重に、いままで大臣との質疑応答のあった点を十分考慮されまして遺憾なきを期していただきたいと思いますが、いかがでありますか。
  17. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 実務の農地局長から答弁さしたいと思いますが、私は長期計画におきましては、変わるべき用途等は、いまのお話しのように考えの中に入れて、長期計画を立てるべきだと思います。ことし中に長期計画を改定するつもりでございますが、こまかい点につきましては、局長から御答弁申し上げます。
  18. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ただいま大臣から申されましたように、現行の土地改良長期計画は、私どもできるだけ早くこれを改定したいと思いまして、実は四十四年から調査をいたしまして、その調査に基づいていろいろのデータを現在整理いたしております。ただ、土地改良長期計画は、基本的に十カ年計画でございますので、今後十カ年の農産物の需給の見通し、そういった一つの大きな目標に立った計画をつくらなければなりませんので、いろいろと作業の段階で手間どっておりますが、やはり今後の農業方向ということを十分踏まえまして、しかも、やはり農業のグルントをなす生産基盤整備、これが根本的に必要でございますし、現在の土地改良長期計画の中においても、まだ要改良面積というのは相当残っております。現段階では、そうまだ進渉状況が現実にははかばかしく進んでいないという面もございますので、今後の土地改良計画につきましては、そういった意味基盤整備事業費等を相当大幅に計上いたしたいということで、現在作業をいたしている段階でございます。いま大臣から言われましたように、四十七年度中にこれを実現するように努力をしているところでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿覺君 「土地改良長期計画」の「土地改良事業の実施の目標」のところに、「国が行ないまたは補助する事業および融資事業をあわせて、総額二兆六〇〇〇億円に相当する事業を実施するものとする。」となっておりますが、今度の構想なり規模というようなものは、まだ目標もありませんか。
  20. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ただいま申し上げましたように、現在作業中でございますし、一つはたとえて申しますと、農用地開発、これを私ども計算いたします場合に、やはり品目別の需給見通し、その上に立って考えていかなければなりませんし、そういう意味でまだ額については最終決定をいたしていない段階でございます。大体大まかなところをできるだけ早い機会に、これは一応のワク組み等も見通しもつけてみたいと思って、鋭意作業をいたしている段階でございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこで、具体的な一例を申し上げて、私は大臣に伺います。  中海干拓事業についてであります。地域は島根県、鳥取県両県にまたがるものでありまして、干拓地域の面積は二千七百六十九ヘクタール、土地改良区地積面積四千七百七十二ヘクタール、卒業費が三百十億円、四十六年度までに約四五%、工期が昭和三十八年から五十五年というものであります。これは中海の水面の約三分の一に当たる大事業であります。八郎潟が完工した後に、この中海を御着工になったわけであります。昭和三十八年計画が立てられ、五十五年に終わるわけでありまして、あまりにも長期間のために、その間の条件が急激に変化してきておることはやむを得ません。  そこで、現在この二千八百ヘクタールになんなんとする広大な農地をつくり、中海を淡水化して農業用水に使用するというこの計画に便乗して、計画の一部を変更し——つまり縮少するんですね。一部が他用途に転用されようとしておることを御存じでありますか。もし公害発生企業等が入ってきたならば、そこで描かれていた広大な農地を使った営農は不可能となるのみならず、環境は悪化し、美しい風物は損われ、悔いを百年に残すことになるでありましょう。  そこで、いかなる法的根拠に基づいてその計画を縮少し、変更し、他用途に転用しよりとしておるのかを私は問題にしたいのであります。  十一時四十分から環境庁長官がお入りになるそうでありますので、あわせて伺いたいと思っております。  大臣、これは申し上げるまでもなく御存じだろうと思う。島根半島がこう出ていて、弓浜半島がこうあって、そのふところに中海があるわけであります。真ん中の辺に大根島と江島という島がありまして、その島を取り込んで全部干拓してしまう。その他数カ所行なう。特に江島と本土である弓浜半島との間に、中浦水門というものを設けまして、そうして引き潮のときには樋門をあけ、上げ潮のときには閉めて約二カ年たてば、かんがい用水になるというのが当初の計画でありました。この中浦水門はすでに完成まぎわのところまでこぎつけております。その上を道路が走って、そうして松江市に向かうのでありまして、道路交通上も非常に貢献するところ多大であろうと思います。ところが、この江島、大根島、本庄工区——一番大きな千四百九十八ヘクタールの本庄工区に、一期二期あわせて約三百ヘクタールを工場団地化していこう。閘門につながる江島に沿って干拓されるところに、一万トン船舶を一バース係留する岩壁をつくる。森山堤に沿って五千トン級の船を一バース横づけする岩壁をつくる。こういう計画が一方的に提案をされて、そうして鳥取。高根両県でもめにもめ抜いたのであります。それがどういう事情によるかは、私はよくわかりませんが、急速に本年の二月に話がつきまして覚え書きが交換されておるのであります。これは環境庁長官が二月二日、農林大臣に向かって干拓の中止の申し入れをされるという重大な申し入れが行なわれ、現在、島根県においても賛否両論に分かれて、この干拓事業に対して重大な影響をもたらすような状態に立ち至っておることは御承知のとおり。この江島・森山地区工業開発計画に関する覚え書きというものが、すでに昭和四十七年二月二日両県知事名において合意書に署名がなされておるのであります。これを読んでみますと、驚くべきことが、いま述べたような概要がもっとこまかく規定されておるのです。この事実を農林省は御存じでありますか。
  22. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 連絡を受けております。
  23. 足鹿覺

    足鹿覺君 覚え書きを締結したことに対して、あなた方は知らぬ顔をしておってよろしいんですか。
  24. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 両県知事の覚え書きが調印をされたという事実と、その内容についても承知いたしております。ただ、これは両県知事がそういう覚え書きを交換をしたということで、その内容について両県知事からまだ正式に私ども申し入れを受けておりません。法的手続としては、計画変更のそういう申し入れと申しますか、そういうことを両県知事が申し入れてこられるものと考えております。
  25. 足鹿覺

    足鹿覺君 そこでお尋ねしますが、中海干拓計画事業の施工地域の縮小——以下計画の変更と私は言いますが——は、土地改良法——以下法と言いますが——第一条の目的及び原則に違反しておりませんか。もう現実にこの覚え書きはあなた方も見て知っておるわけです。この計画大臣にもお見せしてよろしいですが、ここにちゃんとできておるんです。こういうことがやみからやみに……、農林省は知っておる。しかし、これに対して何らの反応も示さない。第一条の目的と原則に私は違反しておると思うが、いかがですか。
  26. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 第一条の目的がございますが、目的の一部の変更で、そういうことがあれば変更ということになると思います。でありますので、そういう計画が出てきまするならば設計変更ということになると思います。その設計変更することが適当であるか適当でないかということを審査して、設計変更するかしないかということをきめていく。いま話を聞きますと、そういう計画は耳にしておるがまだどこまでどういうふうにするというような具体的な申し入れはないようでございますが、それを見まして第一条の目的の一部変更でございまするから、設計変更になると思うんですが、それはなお検討する余地があると思います。そういう手続で、第一条の違反ではないと思います。設計変更すべきもあということであれば、設計変更をするというようなこともあり得ると思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿覺君 違反ではないということでありますが、それでは施行地域の縮小は農業生産の増大、農業生産性の向上を意図してこの計画が行なわれておるのだと、その目的に反しないと、こうおっしゃるのでありますか。おかしいではありませんか。
  28. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 第一条の二項にはやはり「土地改良事業の施行に当っては、その事業は、国土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに国民経済の発展に適合するものでなければならない。」ということで、やはり正面からは、先生言われますように、干拓地というのは、やはり私どもがやっております干拓地は、農用地を造成するというのが、これは正面からの目的でございます。ただし、御承知のように、これまで最近の農業事情のいろんな変化によりまして、特にこの中海干拓の場合、多少経緯を話さしていただきますと、当初は水田を造成するということでスタートをいたしました。たまたま先ほど来先生も言われておりますように、生産調整、開田抑制、そういう全国的な一つ農林省の施策に基づいてこの水田造成の干拓地、中海干拓地をそれではどう持っていこうかということで、両県の知事——島根県、鳥取県知事とも十分時間をかけて相談をしまして、そのときたまたま島根県側でもひとつ島根県の総合開発地域総合開発の一環としてここに工場を持ってきたい、また、ここに貯木場をつくり、バース等もつくりたいというような話が実はあったわけでございます。で、それに対して鳥取県側のほうは、島根県のそういう意向に対してあまり賛成はしておらなかったということも、先生御承知のとおりでございます。そういうことで、しばらく両県協議をいたしました結果、鳥取県側もやはり一つの貯木場とか、あるいは木工団地と申しますか、一応私どもはそう聞いておりますが、そういったものを島根県と共同でつくりたいという一つ意見がまとまりまして、そのまとまった結果がこの先ほど言われましたことしの二月の覚え書の内容になっているというふうに考えているわけでございます。そこで、やはりそういう水田計画でやったのが畑作に転換する、その場合に私どもはやはり早急にすぐ畑地に切りかえても、なかなか入植者もそう簡単にいないであろうというようなこともおもんばかりまして、また両県知事もその辺のところを非常に心配をされたという経緯がございまして、その間はいま申し上げましたような地域総合開発一つのプランというものが出てき、それを両県知事が協議し、意見の一致を見たというような段階であるわけでございます。先ほど申し上げましたように、私ども正式にはこの覚え書についてどうしてくれというような申し入れ——これは法的な手続の問題ではございません。そういう申し入れを受けてはおりませんが、いずれその覚え書の線に沿ってこの中海干拓の当初計画を一部変更する、してもらいたいという要望が出てくると思っております。で、やはり従来から非常にこの中海干拓が工期的にもおくれておりますのは、そういったいろいろの事情、経緯がございましたので、おくれているわけでございますが、幸いこの干拓事業というのは、県の知事さんに積極的に協力していただかないと、また法的にも協議をすることになっておりますし、協力していただかないと、円滑に事業の促進ができないという面もございまして、私どもはもともと農用地造成ということでやってきたわけでございますから、できるだけその趣旨は生かしたい。しかし、一部分についてそういう両県側のせっかくのこれまでの経緯がまとまった問題があれば、そういう点も若干なりとも生かしていくようなことで、この計画の変更ということをやる必要があろうかと感じております。ただ、三百ヘクタールというようなことを考えておられるようでございますけれども、そういう面積的にももっとしぼれないか、具体的に工場等はどういうのが出てくるのか、出てきた場合、やはり私どもは公害の問題、そういう点を十分チェックしていかなければならない。で、チェックするにも公害のチェックというのは、なかなかむずかしいという御意見もおありのことは当然でございますが、こういうチェックの問題等につきましても、やはり企業者と知事あるいは農林省も中に入って協定を結ぶとか、そういうようなことも考えていかなければならないかということも考えているわけでございます。そういうことでまあいろいろ経緯がございましたし、ひとつこの中海干拓の計画の変更の問題というのは、できるだけ縮小したかっこうで考えていったらどうかというふうに思っているような次第でございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿覺君 私が聞いておるのは、施行地域の縮小は、農業生産の増大、農業生産性の向上の目的に反しないかと聞いておる。いいですか、的には。それを、あなた方は土地改良法第一条二項を適用して、「土地改良事業の施行に当たっては、その事業は、国土資源の総合的な開発及び保全に資するとともに国民経済の発展に適合するものでなければならない。」ということをいっておられるが、つい目と鼻の先には、鳥取県側に六十ヘクタール以上の工業団地が新しくできております。何のためにあなた方は、巨費を使ってこの境水道を七メートル五十からの水深に掘り下げておるのですか。境港は、日本海側における最大の良港でしょう。いまソ連船も南洋船もたくさん入っている。近く中国船も入ってくる予定です。狭いのでさらに外港をつくっておるのです。なぜ行政セクショナリズムに基づいてこのような至近の、目と鼻の間にこういうものをつくらねばならないのか。第二項をあなた方は考える根拠がないじゃありませんか。私は、感情論やその他で言っておるのではありません。経済合理性から見て、このような先行投資は百害あって一利もない。この背景には、島根県側が計画しておるものの中には、企業立地の適用業種としては木材工業機械工業、食品工業などを想定しておるんです。このようなものが——木材工業はともかくとして、工業、食品工業等がきた場合に、中海の水質に及ぼす影響がないとは言えない。煙突が立てば、この閘門の上を通って松江へ行く一番風光明媚な道路のそばに、工場団地ができたときに、一体環境庁は黙っておりますか。私は、おそらくそういう意味からも、大石長官は問題を提供しておられるのではなかろうかと思う。つまり、かってなときには第一項を読み、都合が悪くなれば第二項を読む。そういう安易なものではないはずです。私は、必要があればあるとしてそれを認めます。しかし、あなた方が境海峡を七メートル五十にまで掘り下げて、境水道における船舶の運航あるいは岸壁への係留、これは万全の措置がとられておるにもかかわらず、新しくこのようなものをつくろうとしておる。  私は、このような事態をとやかく言っておるのではありません。長期計画に基づいてあなた方は、このような事態を想定しておりましたか、−ないでしょう。それを私は、言っておるのであります。つまり、あなた方の解釈は、法四条の二の規定による土地改良計画の十分な調査の見通しを持っておらなかったということを言わざるを得ない。特に土地改良長期計画は、法四条の三の規定によりまして、農業事情の変更があったために、必要があるときは改定できることになっております。いいですか、あなた方は法律を読んでおるでしょう。したがって、たとえば米の生産調整の要請から中海干拓事業計画変更、または廃止をするような土地改良長期計画の改定も考えられるが、水田を畑地に切り変えた、こういうことでしょう。このような場合は、すでにこの地の干拓事業計画が実施されておるという現実を尊重して、他の未実施の事業計画の変更または廃止によって、農業事情の変動に対応すべきじゃありませんか。事なかれで妥協して事を済ますということは、法を曲げることになりはしませんか。このような申請を認めれば、あなた方の事業そのものは、自業自得で滅んでいきますよ。もう少し真剣な御答弁を願いたい。  このようなことは、言うまでもないのでありますが、農地局長の事務局答弁では私は満足いたしません。どこに第二項を適用するようなその必要がありますか。江島海岸には、境港市には全国にもまれな大木工団地がすでにできている。先般は、水産庁の対策によって、食品加工関係、漁業加工関係の全国五つのうちの一つの団地がすでに形成されておる。ほとんどできておるではありませんか。そして保税倉庫も、最近認可をされて、境港にできておる。一体このような至近の地に二項を適用される理由は、私はないと思うのです。この島根県側の総合的開発を理由とする考え方は私どもには納得がいきません。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 特に先般も申し上げましたが、農家の期待が意外に大きいのですね。島根県の農地課の調査したところによりますと、どの工区も造成面積を入植または地元増反の申し込みが上回っておる。それくらい海岸線に沿った農家というものは、経営面積が少ない。したがって、この干拓に寄せておる期待は大きい。農業規模を大きくし、生産性を向上しなければならないはずなのに、三百ヘクタールも縮小するということは、これはどういうわけでありますか。農業生産の増大、農業生産性の向上を目的とするこの第一項の本旨にもとる。しかも農民の意欲が減退をしておるならともかくも、中海とはいえ、造成面積を上回っておるのです。どこから見ても、合理性、合法性はないと私は、断定せざるを得ない。この点大臣の、まあ、これから起こることでしょうから正式な覚え書きも受理されておりませんが、よくひとつ真剣に考えていただきたい。御所見いかがでありますか。
  30. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまの工場用地をつくるということは、土地改良法の第一条とは違うと思うのです。第一条は、法律的にいえば農地として転換するとか、いまの畑地に転換するとかというようなことの規定だと思うのです。工場にするということは、もっとこれは、土地改良法と別の点から、工場にするかしないかという問題は検討をすべき問題だと思うのです。そしてまた、工場にするということになって、それを入れるということになれば、いまの計画を変更するということになって、土地改良法内の問題じゃない。私は法的解釈から言うとそう思います。  そこで、やっぱり農業土地改良は、農業のいろいろないまの目的があるわけでありますが、そういう目的に反するか反しないか、また、その区域の広さが適当であるか適当でないか、こういうようなこと、あるいはそこに来るところの工場が、公害をもたらすかもたらさないかというようなこと、そういう全般的な検討をして計画を縮小するかしないかということはやっていかなくちゃならない問題だと、こう思います。まあ私は、法的な解釈と、これからの申請があった場合の考え、対処する方法等いま申し上げるにすぎませんけれども、そういうことを申し上げました。
  31. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣考え方わかりました。これは昭和四十年ごろ出た本でありますが、「土地改良法解説」という農地局監修で全国土地改良事業団体連合会が発刊しておる「土地改良法解説」農地局監修ですね。これによりますと、ちゃんと載っているんです。その二十一ページに、念のために読み上げますよ、大事な点ですから。「土地改良事業であることの要件の第一は、それが土地改良法によって行なう事業であることである。海面を埋め立てて工場用地を造成するように、字義的には法第二条第二項第四号に該当しても、土地改良法の目的の範囲外にあるものや、海岸法にもとづく海岸堤防の改修或いは全く法律の規定にもとづかない開田等土地改良法によらないものは土地改良事業ではない」と書いてある。いいですか、あなた方がつくった本ですよ。土地改良法改正になって、昭和三十九年改正になって四十年実施に出されたときの本ですよ、いいですか。しかも二十三ページによれば「埋立て又は干拓とは、盛土をして水面を埋め立てること(埋立て)と溜水を排除して地盤を露出させること(干拓)とをいう。造成される土地は、農用地たるべきを主体とするが、その農用地について農業経営するために必要とされる土地も含まれる(法第九十四条の八第三項参照)。しかし、造成された土地について農業が全く行なわれないようなもの(工場用地の造成の如く)は本法の目的に反し、この事業の範囲外である。」といっておるじゃないですか。
  32. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま私が答弁したのは、そのとおりに答弁したんです。ですから……。
  33. 足鹿覺

    足鹿覺君 さっきの農地局長答弁私は非常に……、さっきの答弁を取り消すなら、私は了承いたしますが、農地局長大臣答弁のとおりだと言えば……。あなたたち官僚が、大臣答弁に対して事務的な干渉をすることは許せない。ただいまの農林大臣答弁でよろしい。さっきの君の答弁、取り消せ。
  34. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 私が先ほど、言いわけじゃございませんけれども、法の一条の目的、この目的のところで申し上げましたのは、第一条の目的は、あくまでこれは農用地の造成である。ただ、そういう地域開発等も、施行に際しては考慮するようにしなければならないということでございまして、目的としてそれができるということを申し上げたわけではないと思いますが、いまになって何か先生、非常に言いわけをすると言っておしかりを受けるかもしれませんが、そういう趣旨であったということを御了解願えればしあわせだと思います。
  35. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣答弁のとおりだと言え。大臣所見のとおりと……。
  36. 三善信二

    政府委員(三善信二君) そうでございます。
  37. 足鹿覺

    足鹿覺君 いいですね。
  38. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ、足鹿さんの言ったような答弁を私も申し上げたんですが、ただ一つそれ以上つけ加えたことは、土地改良法の目的と違う目的として、そういう目的を別の方面から入れざるを得ないときには、設計変更というか、計画変更というようなことにもなる、こういうことをつけ加えて申し上げたわけです。
  39. 足鹿覺

    足鹿覺君 それは大臣、蛇足です。ただいまの大臣のあとの後段は、まだ予見されざる問題について蛇足と言わざるを得ません。赤城さんともあろう者が、蛇足ですな。
  40. 三善信二

    政府委員(三善信二君) こういう解釈で私どもは実施しているわけでございます。  土地改良法のこの事業計画を変更いたしますと、その変更された部面については、土地改良事業ではない。ただし、それは工業用地の造成事業ということと共同して事業を実施する、いわゆる共同事業といいますか、そういう共同事業になっていく、法的にはそうなる。その共同事業というのは、これは土地改良事業をする際に、農林省の設置法でも、受託を受けて共同事業はやれるようになっているわけでございます。現に先生、御承知のように、多目的ダムなどが共同事業をやっておるわけでございますが、そういう実施のやり方としては、そういうふうにやっておるわけでございます。
  41. 足鹿覺

    足鹿覺君 大臣がやむなく勲章の伝達とかにお出でにならなければならぬので、あまり農地局長が長談義をされると、大臣の時間を制約することになる。  最後に、中を全部飛ばします、多目的干拓事業について大臣の御所見を承りたい。その第一点は「第八十七条の二(申請によらない土地改良事業)第一項の規定により国が行なう同項第二号の事業は第九十四条の八第三項の規定により配分すべき農用地等の造成のほか入植者の共同利用施設用地、公共用地、工場用地等(以下『公共用地等』という。)の造成もできるものとすること。二 公共用地等を譲渡する場合の価格は、時価に相当する金額とするものとすること。ただし、政令で定める公共用地等については、これを減額することができるものとすること。三 前号の譲渡した金額の総額のうち同号により譲渡した土地造成に要した費用の総額を超える部分があるときはその金額は、第一号の農用地等の配分を受ける者の負担金の軽減に充てるものとすること。」つまり計画的に自然破壊、公害あるいは経済社会情勢の変化に即応するために、今後の干拓事業は、関係各省ともよく連係を保って多目的干拓事業の性格を帯びさせるべきではないか。ただし、工場用地等に売る場合は、相当時価に準じて高く売って、その利益差を農用地の入植あるいは地元増反に、分譲価格の引き下げに補てんをする、こういう趣旨であります。いかがでありますか。
  42. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 多目的は、先ほど申し上げましたように初めから計画をすべきものでございまして、途中でやむを得ずそういうことにするということはやれないので、原則的なあれではございません。それでその買収、売る価格でございますが、何か干拓している人の話などを聞きますと、非常に干拓のほうが工場用地、宅地造成より安くつくと言っております。でございますから、時価あるいは工事費以下であっては、これはまずいと思います。できるだけ高くそれを転用の価格を高くして、そしてそれを工事費のほうに回すとか、地元の負担のほうに回すということが農林省としては当然やるべきことだと、そういうふうに考えます。
  43. 足鹿覺

    足鹿覺君 将来、法改正等をやられる場合は、そういう規模、構想のもとに当初から計画的に——しかも農民は、この世論調査にもあらわれておりますように、十アール十万円ないし二十万円、もう最高が。現在の想定価格は、中海の場合は二十九万円ぐらいにつくという話であります。したがって、その差額を計画的に農民の規模拡大に必要な援助措置として考えるべきだ。少なくとも総合農政を言うならば、ここまでおりてきて構造改善から出発をし、農地造成から出発をしていかなければ、政府の臨時の農林大臣が一時の思惑や思いつきで総合農政などと言っても農民は信用いたしません。赤城さんならばよく理解もされておりますし、あなたに寄せる期待が大きいだけに、私は、あえて今日きびしくこの問題を取り上げたわけでありまして、十分善処されんことをお願い申し上げます。何か御所見があれば承っていいです。
  44. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまの御意見方向を十分頭に入れてこれから対処していきたいと思います。
  45. 足鹿覺

    足鹿覺君 大石長官は宍道湖、中海汚染を心配されたが、その理由はよく、私は真意はよく聞いておりませんので伺いますが、三月の四日赤城農林大臣に対し、中海干拓については、これ以上自然破壊を広げないよう事業を中止してほしいと申し入れをされました。そこで伺いたいのは、いまも赤城さんに伺ったんですが、これが島根半島で、これが弓ケ浜半島……。
  46. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 私、現地を三年ばかり前に見たことがありますので、大体お話わかります。
  47. 足鹿覺

    足鹿覺君 この大事なところに、いま島根県側は工場団地をつくろうとしたり、一万トン並びに五千トンの岸壁をしたり、係留施設をつくろうとしておる。しかも中浦水門の上にできる道路の真下になるんですね。この中海の一番風光明媚な、しかも農林省が配慮に配慮を加えた当初の計画を、鼻っ柱を折るようなことをやろうとしておる。やむにやまれない総合利用であるならば、私は、あえて異議は申し立てません。しかし、近くには境海峡を深さ七メーター五十に掘り下げて、岸壁を整備し、保税倉庫からすべての施設が整い、木工団地も全国にまれなものもできており、水産加工場、食品加工場も水産庁の肝いりで共同施設の膨大な施設もできておるのに、何を苦しんで目と鼻の先にこういうものをつくるのか、私にはその意味がわかりません。しかも、三百ヘクタールの干拓を縮小し、この団地と岸壁に当てようというのでありますから、当初の目的に反することは、これはもう言わずもがなのことであります。  そこで、もし一部が転用されるとしたならば、公害の発生企業等が入ってきましてもチェックの方法がない。日本海は西北風が非常に年じゅう大部分を占めておりますので、風下にあたる鳥取県側は、これはまたその被害は予測できると思います。まあいずれにせよ、環境破壊を誘発するような機械工業あるいは食品工業、いろいろなことを考えておられるようでありますが、農林省はまだ正式に二月三日に取りかわされた両県知事の覚え書きは受け取っておらないそうであります、この計画変更縮小は。で、まあ今後慎重に対処するということでありまして、農林大臣の御所見を聞いたわけでありますが、環境庁長官が中海干拓中止の申し入れをされましたその根拠のおもなるものは何であるかということを、ひとつ明らかにしていただきたい。
  48. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 実はあそこの中海ですか、中海の問題につきましては、私も以前に決算委員長をしておりましたときに視察をしてまいりまして、これはまだいまの米が余らない時期だったものですから、やはりこれは私も早くそれじゃ干拓したらよかろうという考えを持っておりましたし、当時はなかなか鳥取県と島根県との話がつかないで、非常に農政局で苦労しているという話を聞きまして、まあ、そういうことじゃ困る、やるならきちんと早くやりなさいということを言ったことがございます。  で、そういうことでおりましたが、去年かことしか、二、三回この地方人々が私のところへ陳情に参られまして、ずいぶん白鳥とかいろいろな問題で、自然保護問題でいま干拓によって片っ端からそれがいなくなり、非常ににごってきたと、中海は何としてももとのようなすばらしい自然にしておきたいので、ぜひともこれをとめてほしいという陳情がございまして、私もそれにつきましていろいろな私見の考え方を申し述べたのでございますが、それがどのように伝わりましたかわかりませんが、いまその真意を申し上げたいと思います。  私は、この干拓の趣旨は米を中心とするいろいろな耕地をつくることに初め目的があったと思います、一番先はですね。それでいまではいろいろな陳情によりますと、大根島との間は非常にいままで不便でどうにもならぬから、ここを埋め立てて便利にしなければならぬとか何とかいうことを島根県側の人は申されますけれども、それはあとの話で、米をつくることにあったと思うんです。ところがなかなか工事が進まないで非常に苦労している間に、今度は米が余って耕地がもう日本ではそう無理をしてまでつくらなければならないという状態でなくなってきたわけなんです。しかも、りっぱなたんぼとしていままで働いてきた既耕地、既耕地帯ですね。これさえいまわざわざ国が補助金を出して耕作をとめている現状でございます。ですから、これをどうしたらいいのか。おそらくは目的は米を増産しようという目的がいまの時代にそぐわなくなってきております。しかし、工事はだいぶ進んでいる。したがって、これを一体どのように処理したらいいか、十分考えまして、中途はんぱなわけのわからない考えでは困るから、ある目的に向かってこれをきちんと整理するようなことが必要である、あくまでやはり米をつくるならつくるでよろしい。しかし、また別なことに使うなら使うでよろしい。とにかくわけのわからないような、米をつくっていいような悪いような、わけのわからない方針では困る。これをきちんとした一つ方向をきめて、そうしてそれによって計画を立てて整理をするなり事業を完了することが必要であるということは考えておったわけなんです。そこで、ここにおられる三善農地局長なんかにも来てもらいましていろいろと話をしたんですが、聞いてみますと、この工事はだいぶ進みまして、これはやはりいままでやった工事は完成しなければならないと思います。その場合には、その完成するための目的が何であるかということをはっきり方向をきめてやってもらわないと困る。行政上、中途半ぱな目的では困るということを申しました。  それからこの中海ですが、聞いてみますと、これは中浦水門を中心としまして、これを真水に置きかえる、そして、いろいろな農業その他の水に使うのだという問題は、けっこうなことですが、ところが逆に今度は、米子とか出雲町ですか、東出雲町ですか、こういうところでは、港をつくられまして、三千トンの船を入れるのだとかいうような意見もあるようでございまして、そうなってくると、全然目的がめちゃくちゃなんですね。そういう船がここのところを横行しましたら、海がよごれて、とても農業用水に使えるようなものではなくなると思います。ですから、そんなわけのわからぬようなことをやってもらっては困ると。きちんとした方向をきめて、そしてこれを整理してもらいたい。しかも、聞いてみると、一反歩つくるのに百万円以上の金がかかります、これは。いま、わざわざ既耕地を、たんぼを休ませて、三万円か三万五千円の補助金を出して休ませて、米の減産をさせて、なぜ一反歩百万円以上の金をかけて米を増産しなければならないのか。いままでやってきた方針、それは無理もないけれども、しかし、それは、弓ケ浜の側の手をつけないところにも、耕地をつくるという考えが何カ所かある。そういうことは無理する必要がないじゃないか。いままでやってきたところは、ある程度考えなければならぬけれども、これから計画中で、まだ手をつけていないところへ、百何十万の金をかけて耕地をつくる。草地にするという話ですから、つくらないよりいいけれども、そのような無理をするよりも、なぜいま休ませている耕地を利用することを考えないか、そういうことを話をしまして、そういう点は、これ以上耕地をふやさないで、自然を守りながらきちんとした方向で整理をしてもらいたいということを赤城さんにも言いましたし、農地局長にも話したように、そのように記憶しております。
  49. 足鹿覺

    足鹿覺君 その後、覚え書きの交換となり、それで、いま水質の問題を申されましたが、私どもは当初から弓浜半島の、畑地ですから、水田は五%しかないところですから、この中海の淡水化をはかって、これを米川用水に一たん入れて、そして、さらに導水して畑地かんがいをするという計画であります。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 この水を農民が買う計画になっておるのであります。ところが、事実上、中海のすべてとは言いませんが、相当部分が都市下水に汚染をされて、中海、宍道湖の周辺には非常に都市開発が進んで、住宅その他ができている。そういう関係で宍道湖や中海が水が著しく汚染をしておる。そこでこれを、いま長官がおっしゃるような状態になったといたしますと、建設省もきょう呼んでおりますが、都市下水の整備というものは、言うべくしてなかなか行なわれない。したがって、汚染は急激に進むであろうと思う。これが常識でありますが、農林省の言い分によりますと、この中浦水門によって、潮の緩満に従ってこれを操作することによってこの境、海峡を七メートル五十に掘り下げてあるから、潮流が早く、したがって、汚染度が軽くて済む、こういう見解を持っておるわけでありますが、そのいずれになるかは私、よくわかりません、なってみなければ。つまり、いまの勢いでいけば、建設省が特別の協力をしない限り、この淡水化の真水化したものは、畑には使用ができません、これは。  私は農業の専門家として申し上げますが、あの地帯は葉たばこの全国でもまれに見る、一戸で二ヘクタール以上つくっている農家がたくさんにあります。それから、高級園芸、施設園芸、そういう園芸地帯でありまして、そのような汚濁した水をだれが金を出して買う者がありますか、まっぴらごめんこうむるというのが、初めからこの地域の住民の素朴な意見でした。しかし、なったからにはやむを得ないというので、米川水路も完成をし、またこれから揚水ポンプ場が三カ所できまして、米川水路にこれは繰り入れることになるのでありますが、まだ先のことであります。それまでには、もっと弓浜半島のスプロール化は進むでありましょう。したがって、私は物理的に見ても、農林省がいかに強弁をしてみましても、この淡水化そのものには、私はあまりにも長年月を経たために、また情勢が変化したために、これは使用目的が工業用水に変わらざるを得ないと思うのです。したがって、われわれは愛知用水で一ぱい食った、木曽の御岳山の水を知多半島に流すなどという美しい幻想を、われわれは一ぱい食って、愛知用水公団法で一ぱい食いましたが、現在は知多半島はいわゆる都市化し、特に元の東海製鉄、現在の新日本製鉄の水に利用されております。関西電力の発電源として、あの水は活用されておりますが、はたして何ほど農民がこれを活用したでありましょう。これに反して工業化が進まず、付近に工場もない渥美半島の豊川用水は、みごとな成果をあげて、農業用水としてりっぱな成果をあげております。ただ、惜しむらくは、そこの生産物の価格が安定しないので困るというのが、先般、私どもの視察のときの農民の声でありました。現地を見てまいりました。したがって、愛知用水は農民のためのかんがい用水だという美名のもとに、事実は製鉄工業、ダム、発電に貢献度が多く、農業用水としての貢献度においては、私は疑問を持たざるを得ない。もし中海がそれにならないという保証は私はないと思う。いわんや大臣がおっしゃるように、渡り鳥等がこなくなることは、これは三分の一埋め立てるわけでありますからそうなるでしょう、減るでしょう。しかし、水だけはきれいにしておきたい、こういう御趣旨だと思いますが、あそこへ、高根県側がいま考えている工場団地が三百ヘクタール、岸壁をつくって二万トンと五千トンの船を入れるというようなことは、経済効率の上からいっても、私は少し無理がある。何か行政庁地方自治体ともどもセクショナリズム的な考え方にとらわれ過ぎていやしないか。  私は、その当否をここで一々これを反対だ、賛成だといっておるのではありません。問題を提起して、将来の干拓事業等については、現在あなた方が考えておられます自然保護法ですか、自然環境保護法ですか、そういった面ともよくにらみ合わせて、当初から多目的でいくべきである。そして、自然を破壊しない最小限度にとどめ、しかも、多目的に効率的にやって、多目的で有利に売ったその差額は農地の入植者、地元増反者に希望価額でもってこれを払い下げていくようにしなかったならば、干拓事業の意義そのものもなくなるし、長官が心配されるように、自然破壊や海水の汚濁に通ずるし、一もとらず二もとらずという結果になりはしないか。残るものは、いわゆる都市化と工業化、それに要する水の提供ということに尽きはしないか。しかも大臣申し上げておきますが、島根県が先般行なった中間アンケートによりますと、造成面積を農家はみんな上回る希望を申し出ておるということでありまして、決してまだ、日本農民は米の減反などにめげないで、増反をしてやっていこうという熱意を持っておる農家がたくさんおるということです。  したがって、敗北主義ではなくして前向きで、もっと農林省も取り組むべきであるし、将来はそういった多目的の方向はどうかというので、いま赤城さんも同感の旨を述べられたわけでありまして、少なくとも私は長官の水の問題を中心とする自然破壊、環境汚染については、岸壁、工場用地化については、これをどう処理されるかということについては、農林省あるいは通産省その他関係地方自治体とも十分意見を交換されまして、長官の趣旨が具体的に生かされるようにお願いしたいと思うんですが、何といっても計画の変更ということは、これは非常に大きな問題であります。これは立法的には無理がある、農林省の見解では。私はそれをいまいつまでもしつこく追うことはしておりません。特に両県の知事が水質調査を環境庁に申請すると伝えられております。申請があったかどうか。あった場合は、地域別現況とこれを調査の結果を公表され、将来に備えた御所見も含めて公表していただけますか。
  50. 大石武一

    国務大臣(大石武一君) 私は、いまこの中海地区の水質の調査をわれわれのほうに依頼されたかどうかということをまだ聞いておりませんが、あれはたとえ依頼されなくとも、主要な日本の水質はできるだけ積極的にその水質を調査して、将来のその保全のあり方を考えてまいらなければなりません。もちろん、われわれが調査しました結果は、全部これは公表いたしております。われわれの社会では、データを秘密にするということは、一番これは国民に不信、不安を与えますので、全部われわれは秘密はございません。出てきた正確な数字は、必ずこれは公表いたすようにいたしておりますので、その点は何も隠すことはございません。
  51. 足鹿覺

    足鹿覺君 建設省おいでになってますか。
  52. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 都市局長来てます。
  53. 足鹿覺

    足鹿覺君 下水関係はいますか。まあ両方一緒にやってもいいです、もう時間もだいぶたちましたし。  建設省に伺いたい点は、現在の土地改良法に基づく、あるいはかつての耕地整理法に基づく農用地に用排水施設がある。ところが、最近の都市化が進むことによって、この上流のほうに都市化が進んで海に近い、あるいは川に近い排水の下流に当たる地帯は、農業用水をみな利用しておるわけなんですね。そのよごれ水がみんな下流に施設がありませんからよごれたまま出ていくんですね。で、使用水量もばく大になりますから、集中豪雨のような場合には、下流の農民は全部畑地浸水を起こし、あるいはそんなところへ家を建てた連中は、家財道具を運び出さなければならぬというような状態が、私ども地域にはきわめて多いのであります。建設省の下水道整備計画はけっこうでありますが、テンポがのろい。一面においては、下水道そのものをもっと公共的な農業排水路としてできたものを、あなた方は無断借用しておられるという形になっておるわけです。その公共性を認めて、これに対する適切な施設を講ぜられる必要があろうと思いますが、いかがでありますか。
  54. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 非常に一般的な御質問でございますが、お尋ねの都市化地域におきますところの市街化の進展に伴いまして、お尋ねの上下流といった関係で、まだ農業用地が存在しておりますし、それとの調整をどうするかといいますことは、非常にむずかしい問題でございます。こういった問題につきましては、私どものほうで所管しておりますところの、たとへば土地区画整理事業をやりますところの土地区画整理法でございますとか、あるいは都市施設としての下水道を整備いたします下水道法、そういったような関連の制度の中におきましても、あまり面的な市街地整備事業にあたりましては、その関連の排水施設につきましては周辺もしくは下流の農業用排水等の施設に被害を与えないように十分注意をしてやるというふうなことになっております。具体的にはそういうふうなことで指導いたしておりますが、制度的にもそういう農業用排水施設等の管理に影響を及ぼすおそれがあると認めます場合におきましては、その施設を管理いたしておりますところの土地改良区等の意見を十分徴した上で、事業計画を推進するというふうなことになっております。  そこで、お尋ねの具体的にどうするか、どうしているかということでございますが、これはまあケース・バイ・ケースでいろいろな場合があろうかと思います。面的な土地区画整理事業等をやります際には、当然地区内におきましては、完全に都市下水としての排水施設を整備することになっております。問題は、地区外との関連かと思います。地区外につきましては、直接工業用水域に都市用水として都市下水を流す、汚水等を流すことが理想でございますが、そういかない場合におきましては、既存の用排水路等一部兼用して、それを使うという場合も多かろうと思います。そういう場合におきましては、土地改良関係の管理者とたとえば水路の断面をどうするかとか、あるいはその施設を利用するにつきましてのいろいろな水質の問題等についてどういうふうな調整をするとか、そういう点につきまして関係者間で十分協議をいたしまして、納得といいますか合意の上で事業が進められるようなことになっているかと存じます。個々の場合においていろいろな場合があろうかと思いますが、一般論的に一応お答えを申し上げましたような次第でございます。
  55. 足鹿覺

    足鹿覺君 時間もなくなりましたのでごく簡潔に私もしぼりたいと思いますが、この性格的な面から見て農林省が行なっておる土地造成あるいは土地改良というものが多目的、復合的にならざるを得なくなっておるのです。その端的なあらわれがいま私が例を引いた排水路の問題で、用水路の場合に都市下水が入る場合だってあるのです。これは非常に困った問題なんです。これをいわゆるただ単に農林省の責任としては、今度の土地改良法改正では目的達成ができないのです、できないんですよ。そこであなた方をわずらわして今後用排水の公共性にかんがみて、これに対する必要な維持管理上施設の拡張、改造、そういったことに対してあなた方が農林省と共同して当たられてほしい、これは政治次元の問題かと思いまして、西村さんの御出席を願ったんです。御多忙のようでありますが、大臣になったつもりでひとついかがですか。
  56. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 問題になりますのは、下水道の中におきましても、主として都市下水道であろうかと思います。公共下水道につきましては、そういう問題はなかろうかと思いますが、都市下水路につきましては、御指摘のように、まあ、下流との関係で溢水でありますとか、あるいいは水質の問題とか、そういった点で非常にこれはトラブルの多い問題である。これは私ども上番頭の痛い問題であると認識いたしております。具体的には、前段に私お答え申し上げたわけでございますが、当該農業用排水施設を、完全にこれを都市下水路として転用するような場合におきましては、当然都市下水路の管理者が当該施設を引き取りまして、責任を持って維持管理をするというふうな場合もあろうかと思います。あるいは排水路等につきましては、当面これを共用するというふうな場合があろうかと思いますが、そういう場合におきましては、その維持管理等につきましての費用の負担につきましては、都市下水路の管理者と土地改良区等の管理者とが十分話し合いもいたしまして、双方が応分の負担をして、その施設をまあ、御指摘のような多目的にこれを使っていくというふうなことになろうかと思います。私どももまあ、そういうふうな方向で、できるだけ都市内のそういう施設が多目的、効率的に使われるような方向で、下水道関係のサイドからも一行政指導をやってまいりたいと思います。
  57. 足鹿覺

    足鹿覺君 しかと西村さんに伝えて、大臣にお伝え願って、しかといまの御答弁が具体的に実り、予算的な措置を講ずるように、来年度予算措置に実りとして実績があらわれるように御尽力になりますね。それがなかったら、いまの御答弁は、ふいになってしまう。
  58. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 十分御趣旨の点は、大臣に御報告を申し上げます。  それから都市下水路関係は、私ども下水路の五カ年計画の中で、都市下水路の整備事業も相当にこれを促進させるというふうな体制になっておりますので、そういう長期計画の中におきまして、御趣旨の点を十分反映していきたいと思います。
  59. 足鹿覺

    足鹿覺君 最後に、この農地といえども国土です。日本の市価地も国土です。したがって、国家的な土地整備計画というようなものが、前段の農林省への質問の際にも、いろいろ赤城さんに申し上げたんです。実際は西村さんにおいでをいただいてやりたかったんですが、これは決算委員会その他でまた問題にいたしましょう、私は、そう思っておる。そして、それはただいま複合的な将来を見通した計画が立てられなければならぬと思います。そのためには地区、地形、水系を考え基本的な土地整備区というようなものに分けまして、たとえば都市近郊というようなところにおいては、まっ先にあなた方が農林省と協議をされて、そして整備関係をやらなければいかぬ。現在、土地改良法によって改良造成された土地は、八年たたないと多目的に利用できないことになっている。しかし、現実においては都市近郊の区画整理、土地改良地区は、大体いま基幹農道五メートル、区画三十ヘクタールという大規模なものでありまして、それに支線道路や支線用排水路がついておる。あなた方は労せずして土地区画整理をやっておるんだ。あなた方がおくれおくれにして、現在の入り組んだ土地区画整理事業をやろうと思えば、移転補償からもういろいろな問題がからんで、難航に難航を重ねて十数年を要しておる。  われわれの町のある一つの地区を見ても、あなた方は農林省がやったこの区画整理事業に乗っかって、あえて便乗というようなことは言いませんが、同じ国家の官庁ですから、こういうものをこういう点から考えなければならぬですね。もっと建設、農林、両省にあっては、よく協議協調し、そしてこれを生かしていくことが国費の節約であり、地域住民の福祉に通ずることだと私は思う。環境汚染を防止し、これを防ぐためにも役立つと思います。そういう点においてですね、国家的な土地整備計画的な意味合いから、今後対処されんことを強く要請をいたします。これも西村さんに御要望をしておきたい。いずれ、この続きは、決算委員会において数字を踏まえて私は、やるつもりでおります。いかがですか。
  60. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 非常に大きな問題でございます。先生、御指摘の点は、十分私からも大臣に御報告を申し上げておきたいと思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿覺君 まだ農林省には一ぱいあるんです。ありますけれども、もう時間が来まして、これ以上同僚の皆さんに御迷惑をかけることはどうかと思いますので、法律関係その他の点についてもっと詰めるべく準備はしてきておりますが、本日は、この程度に質疑をとどめておきます。  委員長におかせられましても、私の質問の趣意については、よく御了解いただいたと思います。本案の取り扱いについていろいろ御検討になると思いますが、私の質問の趣旨、また農林大臣答弁の要旨が何らかの形で、法案の改正とまでは言いませんが、取り扱いの上において、たとへば附帯決議の上において、その他の点について配慮されることを強く御要請を申し上げ、私の質問を終わります。
  62. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 採決の中でいろいろあれしていきたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  63. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  午前に引き続き土地改良法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  64. 宮崎正義

    宮崎正義君 私も失礼してすわって質問をいたしたいと思いますので、大臣あるいは政務次官の方々もどうかおすわりになったままで、御答弁願えればけっこうでございます。  一昨日、私が茶内地区の総合開発計画総合事業の問題を取り上げまして、そのときの明渠排水事業についてのオラウンベツあるいはノコギリベツの幹線の明渠排水工事の計画の中の仕様書がなければならないというふうに私は申し上げておったのでありますが、実は昨日、仕様書が届けられてまいりまして、仕様書が現地から届けていただいたことは、非常に感謝するわけですが、この届けられたものの中を見ますと、一般の工事の施行細則の一般規約、規則のものが届けられたのです。さらには特記事項を、特記仕様書といってこの特記仕様書が一枚ついている。私の質問に対して工事内容というものは、これだけでどうしてわかるのかということです。私は非常に無責任もはなはだしいと思うわけです。せっかく仕様書を届けてもらったのはいいですが、その当該工事をどうして検討するかというようなものは、この届けられたものでは何ら得ることがないということを私はやかましく言いたいと思う。と申し上げますのは、この農林土木工事仕様書、こういう開発局で出しておる仕様書では、総体的なことが出ていない。たとえば伐開なんかの事項をとってみましても、オラウンベツ、ノコギリベツの伐開は、どうしてやらなきゃならないのかという工事の契約の設計及び施工というそれの仕様書というものがなければ、たとえば伐開の利用土としない切り土の個所あるいは軟弱地盤の盛り土をどうするのか、このような工法をやって、そして施工しなければならないというその当該工事の契約の仕様書でなければならないのが、一般の仕様書を送りつけたままで、仕様書を送ったというその考え方、非常に私はその考え方がおもしろくない、このように思うわけなんです。しかも、先ほども言いましたように特記仕様書、オラウンベツ幹線明渠排水工事の特記仕様書、これが契約書の特記仕様書、特記事業ということは、申し上げるまでもなく契約上では一番大事なことでございます。大事なことでございますから、当然つけられてくることは、あたりまえでありましょうけれども、ほかの設計仕様書、そういうものが何にもない、これでは検討のしようもなければ、この工事が設計上のミスなのか、工事の施工人の手抜きなのかということの検討がひとつもできない、このものを送りつけられているということを非常に私は心外に思っている。この点、上田政務次官のお考えをひとつお伺いしておきたいと思います。
  65. 上田稔

    政府委員(上田稔君) ただいまおしかりをちょうだいをいたしましたのですが、北海道開発法によりますと、実は十二条によりまして北海道開発庁におきましては、直轄の農業に関する工事については、主務大臣のみが北海道開発局長を指揮監督すると、こういうことになっておりまして、直接に設計書が当開発庁にはございませんのでございます。したがいまして、とりあえず一般的な仕様書を実はお届けしたのではなかろうかと思うのでございますが、その点ひとつ御理解をちょうだいいたしたいと思うわけでございます。現地のほうの開発部で設計を出しておりますところの仕様書、これにつきましては、ただいま現地の部長が現地のほうをよく先生からいろいろとお写真もちょうだいをいたしましたので、ずいぶんノコギリベツ側のほうの護岸が非常にこわれておる写真を見せていただいたのでございますが、そういうふうにこわれているんじゃないかということを申しましたところ、いやそんなにこわれてないはずですが、もう一回確かめますと言って、さっそく現地のほうへ実は飛んでおるような次第でございますので、そういうこともございまして、本日はここに来ておりませんが、明日には参って事情を御説明申し上げると、こういうことになっておりますので、どうぞひとつ御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  66. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話ありましたけれども、それだったらなぜこの特記仕様書だけが一枚だけ来たのですか、いまのお話ですとあまりうちには関係ないんで向こうのほうの、現地のほうが直接関係あるみたいなお話しで、そうして一般的なものを送られたんでありましょうというお話しですけれども、なぜ特記仕様書だけがこうやって送られてきているか。
  67. 上田稔

    政府委員(上田稔君) お手元に差し出しました仕様書につきましては、これは一般の仕様書というのがございますが、それを参照しまして現地のほうへ電話で聞き合わせたのだそうでございます。その電話で聞き合わせしましたところ、こういうようなものを出しておるということでございましたので、それを写しまして仕様書をお出しをした、こういうことでございます。
  68. 宮崎正義

    宮崎正義君 この仕様書のオラウンベツのほうですね。特記仕様書の一番として「伐開範囲は敷地内とする」と、こうなっておりますね。そうしますと、先ほど私が一番最初申し上げましたように伐開ということになる。伐開の基準というのは、この開発局で出しているこの仕様書ですね、この基準のどこのどの範囲が適合するのか、現地では利用土としない切り土を何カ所くらいにやるのか、軟弱地盤の盛り土をどんなぐあいにするのかというようなことも何も出ていない。ただ、「伐開範囲は敷地内とする」と、これだけで伐開基準を設けているということは、何をとらえてその施工工事を検討すればいいのか、検討のしようがない。それでお伺いしているわけですが、しかも私、こうしてこのことで長い時間を要してやりとりしている気持ちは全然ございません。いま政務次官がおっしゃいましたように、現地の係りの方が見えるということでありますが、まことにお気の毒であります、忙しい中、私はそう思います。しかし、考えてみれば、この工事をやった四十六年の工事が、おとといも申し上げましたように四十六年度までに一億五千九百六十二万八千円という金がかかっているわけです。そうしてその工事が写真でお見せしたようにこわれているわけです、破壊されているわけです。そうしますと、四十七年度以降の三十・三三三キロというもの、三億五千七百四十五万四千円で四十七年度以降やろう、四十七年度の分を約一億一千万かけて次の上流下流のものについて引き続いて工事をやろうというその予算措置もなされようとして、工事もかかろうとしている。現地ではおそらくこの工事の着工の煮詰め方をいま盛んにやっているのではないかと思うのです。予算の措置の上からずっと考えていきまして、当然そうあると私は思うのです。そうすれば現地にいる建設部長の立場というものは、一番最前線に立って一番大事で、いま指揮をとっていかなければならない大事な時期であります。その時期に東京に来るということは、この釧路の先のほうから来るということは、相当な現地の業者の人にも、農民の人にも大きな負担がかかってくる。こうも私は、思えてなりません。そうなら、よけいこういう工事が、ずさんな工事ができ上がったということが原因をして、そういう事態まで引き起こしてきているということになるわけです。したがいまして、この工事をずっと追っかけていってみますと、その幹線の排水工事が追加事業等を含めて追加事業が十七キロ、四億四百七十万、改定の総事業費が十億千九百七十九万六千円というふうに、この将来の希望を持ちながら、この工事が進められていくわけであります。ところが、これが一とんざを来たしておるということになってくるわけです。ですから、心配ですから一昨日の本委員会においてその扱い方をどういうふうにするかということまでお話しを申し上げたら、明快な回答も出ましたので、私は、一応この問題はこのままとどめようと思っておりましたところが、こういう仕様書を送られて、そして事足りているという、そういうふうな考え方姿勢、そういうものに私は、心外を感じているわけです。しかも、これが、国が七一・六〇%、道が十三・八三%、地元が一四・五七%、約十五%地元の負担になるわけです。そうしますと、この地元の約一五%の負担というものは、わずか特別会計等、一般の財政規模においても八億くらいしかないと、この負担をかけさせるようなことがあってはならないといって私は申し上げました。それに対して農政局長は、農林省で責任をもってやるということですから、一切私は、この話はしないつもりでいた。ところが、あまりにも、早く言えば私どもを甘く見過ぎているというようなことで、私はもう腹に据えかねて申し上げたわけです。いずれにしましても、いま政務次官の御答弁がありましたので、私は、この程度で申し上げませんけれども考えてみれば、その一つの工事の施行上に大きなミスがあると、どこまでも波及していきながら、それが戻ってくるのはどこへくるか。国民農民のふところに戻ってくるわけです。したがって、私はやかましく申しあげたわけでありますが、どうかその点もひとつ十分に御考慮なさって、指導監督等をよろしくお願いいたしたいと思います。御所見を伺っておきたいと思います。
  69. 上田稔

    政府委員(上田稔君) 先ほどの仕様書でございますが、仕様書では測点の間隔が書いてあるだけでございますので、これをごらんになられても、お話のとおりなかなかどういう設計であったかということがわからないのではなかろうかと思う次第でございます。したがいまして、そういう点も十分わかるようなものを持参をいたしまして持ってくると、こういうことでございます。御了承いただきたいと存ずる次第でございます。  なお、これから後の工事でございますが、工事につきましては、これは先ほども申し上げたとおり、開発法によりまして農林省のほうで指揮監督をやっていただきますので、開発局長が、また開発部長が、農林省の指揮監督に従って十分やるように、私どものほうからも十分に注意をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  70. 宮崎正義

    宮崎正義君 大臣農林省の指揮監督のもとに行なうということなんですが、これはどっちにもこっちにも、私はやったことに対してあっちへなすりつけこっちへなすりつける問題ではないと思うのです。したがって、一昨日の大臣の御答弁等にもありますけれども、いまの政務次官の御答弁を通して所管の大臣の御所見を伺っておきたい。
  71. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私どもとしては、現業をやっている、担当しているようなかっこうですから、北海道開発庁を督励しまして、いろいろ御批判を受けたような点を、受けないような方向で十分やっていきたいと思います。
  72. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこで、農地局長にお伺いいたしますが、この九十四条の四のところでございますが、「農林大臣は、次に掲げる場合には、一般土地改良施設に係る土地等を土地改良区等に譲与することができる。」云々というのがございますが、旧法でいきますと、「農林大臣は、左に掲げる場合には、土地改良施設を構成する土地改良財産たる土地又は工作物その他の物件(以下この条において「土地改良施設に係る土地等」という。)」というのを、「一般土地改良施設」というふうに改めるということですね。このことばをこのように改正されているわけなんですが、これに対して説明をお願いいたします。
  73. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) いまお尋ねの点でございますが、現行の改正前の規定ですと、九十四条の三という規定にいまお読みになりましたようなことがあるわけでございます。この場合に「政令で定める土地改良施設」となっておりまして、政令のほうで譲与できる土地改良財産としまして政令できめておりますのは、水路、揚水施設「道路、堤等がきめてあるわけでございます。で、今回条文が少しずれまして、九十四条の四というところに、いま御指摘になりました改正条文では、「農林大臣は、次に掲げる場合には、一般土地改良施設に係る土地等を」というふうに書いてございますが、これは九十四条の三のほうで、そこで「政令で定める基幹的な土地改良施設以外の土地改良施設を構成する土地改良財産たる土地又は工作物」、こういう規定が九十四条の三のところで入りました関係で、「(次条において一般土地改良施設に係る土地等」という。)」というふうに定義を、条文上整理してあるわけでございます。
  74. 宮崎正義

    宮崎正義君 その点は了解をしましたけれども、そうしますと、この九十四条の三があるがゆえに三をまとめたと、前の九十四条の四の規定というのが三にいったということなんですか。
  75. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) ちょっと説明のしかたがまずかったかと思いますが、現行の九十四条の三というのはそのままあるわけでございますけれども、その九十四条の三の中におきまして、今回改正をいたしました、つまり「政令で定める土地改良施設」というのを、今回の改正文では「政令で定める基幹的な土地改良施設以外の土地改良施設」と、こういうふうにやった関係で、九十四条の川が条文的に整理されたと、こういう意味でございます。
  76. 宮崎正義

    宮崎正義君 九十四条の、もどって二でありますがね。これの既略の説明をお願いします。
  77. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 現行規定の九十四条の二の内容についてのお尋ねと思いますが、農林大臣は、特定の土地改良事業で道路、水路等をつけかえ工事をやりましたときに、これはっけかえ工事でありますから、そのつけかえで新たに生じました道路とかあるいは水路、そういったものをつけかえによって用途を廃止しました道路なり水路の部分と交換をするということによってつけかえの目的を達しようと、こういう規定でございます。
  78. 宮崎正義

    宮崎正義君 農業用排水施設等の利用していく関係を調整するその効力として見た場合、この法の、何といいますか、改正していくその成果といいますか、効果といいますか、そういう面からいきますと、国または地方公共団体の立場の上からいえば、「資源の有効な再配分を図り、都市用水等の需要増大に有効に対処することができる。」「他種水利事業者の負担により土地改良投資の財源を確保することができる。」という面と、それから土地改良区の立場の上からいえば「過大施設に対する過重な負担から解放される。」また、農民立場の上からいえば「管理費負担が軽減される。」「地域土地改良事業が一般より遥かに軽減された農民負担で実施しうる。」と、効果という面をとらえてこのようにいわれておりますが、この点はどうなんでしょうか。私の申し上げたことが筋違いであるかどうかですね。
  79. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生言われましたのは、一つは、国営施設について共有持ち分権を与えて、そしてそれを他転ずるという方向一つある。一方では、水が逼迫して非常に困っておると、それをほかから確保できない。一方では農地等が転用された等の結果によりまして、水が余っておるというようなところで、しかも大規模な施設についてそういう事態が起これば、余った水は逼迫しているほうへ他転して分けてやると、これは先生おっしゃいましたような、そういう効果が一つ大きな効果としてあらわれてこようかと思っております。その場合に、私ども十分注意しなければなりませんことは、水を他転ずる場合、やはりそこの農業用水は、将来も考えて十分これは確保していく、その上に立って他転をするということが必要であると、そういう点をどういうふうに運営の面でやっていくかということが一つの大きな問題でありますし、私どもはそれを確実に一つの水量測定ということをやりましてやっていこうというふうに考えております。それからもう一つは、都市近郊の排水路、そういうところで都市下水との密接な関係が深く、で、その点につきましては、やはり市町村に協議をするとか差しとめ請求するというような問題もございますけれども、市町村に協議して、市町村と協議の結果、その都市管理的の負担、あるいはそれが最も農業用水としての効果があまりなくて、都市下水的な効用を発揮するというようなふうになってくれば、市町村に移管する。そういうようなことで、片や農民の負担の軽減ということにもなりますし、また、その施設が有効に利用され、また、その管理がうまくやれるというような、そういう利点があろうかと思っております。
  80. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうした場合に、工事がスムーズにいっておりさえすれば問題ないわけでありますし、管理上もでき上がった上の管理上ということにもなるでありましょうし、いま私の指摘してまいりました茶内地域の明渠排水工事等がああいうずさんなものでありますと、今度は逆な効果が出てくると思う。といいますのは、過重な負担が今度は、私は、農民立場の上から論じているわけですから、農民立場の上からかかってくれば作業はできない、また、その水が活用できないというようなことになってくると、その反対の負担を逆に感ずるようになってくる。そういうことから考えていきましても、先ほどお伺いしておりました九十四条の四においてこの「一般」という一つの規定されたことば、それが第二条でいわれているところの「かんがい排水」の字句を取って「土地改良施設」という、そういうことばに変えていっているんじゃないか、そうしたときには部分的に「一般」というものの中に入れてしまって、たとえば申し上げましたようなかんがい排水等のことを規定しなくてもいい、自由にやれるんだというふうに思えるわけなんですが、この点、どうなんでしょう。
  81. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) ちょっと意味を取り違えておるかも存じませんが、この二条のほうの改正をやりまして、土地改良施設について定義をしておるわけでございます。従来は、この二条二項一号のところに何も施設についての定義的な規定はないわけでありますが、今回一号の、この資料でいいますと、新旧対照表の六ページの上の欄でございますが、その辺の中ほどに「(以下「土地改良施設」という。)」ということで、農業用用排水施設なり、農業用道路なり、その他の施設を一括して総称することばを置いたわけでございますがこれは現行の五十七条というところに「(施設の管理)」という規定がございまして、「土地改良区は、土地改良事業の工事が完了した場合においてその事業によって生じたかんがい排水施設、」云々「(以下「土地改良施設」という。)があるときは、その施設を管理しなければならない。」、まあ、この辺が、同様のこれは趣旨でございますが、規定があるわけでございます。これはまあ、こういう総称を置くことが、他の条文でいろいろと引用いたしましてやるときに、一々かんがい排水施設、あるいは農業用道路、そういうようなふうに一々繰り返して言う必要がないという便宜のためにやった整理でありまして、こういうことばで総称はしておりますが、具体的に適用する場合には、個々のこれはかんがい排水施設、あるいは農業用道路、こういうふうにまあ、読むべき性質のものでございます。  それからなお改正法のほうで五十四条の四のところ、これはさっきも申し上げましたんですが、五十四条の三のところにまず出てくるわけでございますが、、定義的に一般土地改良施設ということばがその辺に——いま五十四条と言い違えたかも存じませんが、九十四条の四でございます。これはさっきもちょっと申し上げたんでございますが、その九十四条の三のところで政令的な、法改正的な「土地改良施設以外の土地改良施設」ということばを新たに使ったものでございますから、それ以外のものを一般土地改良施設というふうに呼ぶということにしたわけでございます。おおむね内容においては、若干の政令のきめ方の差は出てまいりまするけれども、大きな違いはないということでございます。
  82. 宮崎正義

    宮崎正義君 その若干の違いというのは、どんなところがちょっと違うんでしょうか。
  83. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) これは現行法の規定では、ただ「政令で定める」というふうになっているわけでございますが、九十四条の改正法の三の中で使っておりますのは、政令というよりも「基幹的な」ということばが入りまして、「土地改良施設以外の土地改良施設」、まあ、かような形になっておりまするから、これは政令でどういうふうにでもきめられるというものでなくて、たとえばダムみたいな非常にでっかなものですね。これの譲与というふうなことは、普通は考えられないので、まあ、こういうことばを入れてはっきりさしたと、こういうことでございます。
  84. 宮崎正義

    宮崎正義君 「基幹的」とかあるいは土地改良施設とかいうことの「政令で定める土地改良施設」、それを今度は「政令で定める基幹的な土地改良施設以外の土地改良施設」というふうに「基幹的」と、これ入れてあるわけですね。この「基幹的」、それだけの違いなんだとおっしゃるんですが、この意味がよく私にはわからないんですが……。
  85. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 先ほどもちょっと御説明のときに申し上げたんですが、現在のところ水路以下の施設名を政令で規定をいたしておるわけでございまするが、今回まあ、非常に大きなものを、ダムみたいなものはやはり国営でつくったものを国として管理をしておるということが必要であるというようなことから、これは基幹的施設以外の施設については譲与ということが考えられるということで、その辺のけじめをはっきりさしたというにすぎないわけでございます。
  86. 宮崎正義

    宮崎正義君 了解しました。  そうしますと、この二条の「かんがい排水施設」というものは、この五十七条によってそういうような区分けははっきり残っているんだから心配ないんだと、ただ二条の「かんがい排水」というものを削除しているだけだと、こういうふうにとってよろしいわけですね。
  87. 堀川春彦

    説明員(堀川春彦君) 五十七条の規定は、土地改良区が一般に土地改良事業の成果として造成をいたしました施設を良好に管理させる意味で、管理の根拠規定を書いておるわけなんでございます。その場合にその施設名は、施設の内容といたしましては「かんがい排水施設、農業用道路、その他の農用地の保全または利用上必要な施設」ということになるわけでございまして、たとえば土地改良区が農道だけつくりました、で、その農道を管理しなければならないという場合を想定いたしますると、その農道の管理の根拠になる規定は、この五十七条の規定になるわけでございます。その場合は、土地改良区は、その事業によって生じた農業用道路があるときは、その施設を管理しなければならない。かように読むわけでございます。  それから二条二項のほうの規定は、ここでその「「土地改良施設」という。」といいましたのは、道路であれ水路であれ、いずれにいたしましても土地改良施設はさまざまなものがございます。それらについて共通的にいろいろの事業計画でございますとか、いろいろのことを規定をしておるわけでございますから、一々農業用道路、かんがい排水路というようなことを繰り返しているのが不便でございますために、便宜ことばを節約するために、一括総称して前のほうでいっておるというだけのことでございます。
  88. 宮崎正義

    宮崎正義君 一応了解をいたしました。  次に、八郎潟のことにつきまして、また干拓事業等につきましてお伺いをいたしたいと思います。  この八郎潟は私がいまさら申し上げることもなく、古くから、形成上からいきますと、湖岸の各所で小規模の干拓や埋め立てが行なわれてずっときてまいりました。そして本格的な干拓事業というものは、御承知のとおりに二十七年に秋田市に農林省が八郎潟干拓調査事務所というものを設置されて、そしてその現地調査を始められて、二十九年には、オランダのヤンセン教授の来日を契機として、これは世界銀行調査団と、あるいは三十年には国際連合食糧機構調査団の人たちが現地調査をした結果、事業の有効性が、これは確かによろしいということで、国内においても、外国からもこういうことは干拓事業としては非常にいい場所であるというふうに認められたというようなことから、三十一年には農林省がオランダの対外技術援助機関の技術協力を得たというように聞いておりますが、そして八郎潟干拓事業計画が完成をした。そして三十二年の五月から秋田市に八郎潟干拓事業所が設置された。そして国の直轄事業として着工された。これはもう私がいまさら申し上げることもありませんけれども、こういう経緯のもとから、四十一年の五月干陸が完了して、そしてこの間、三十九年の十月に大潟村が設置されて、四十年の八月には八郎潟新農村建設事業団が設置されて新しい村づくりができ上がって、これは内外注視の的になりまして、着々とそれ以後進められてきて、四十二年の春に第一次の入植者が、五十六軒ですか五百五十一ヘクタールで営農の開始を見たということは、もう本会議においても委員会等におきましても、こういう経緯のことはるる述べられてきておるわけでありますが、四十四年の九月に国の直轄事業の大部分が終了したということで、農林省は八郎潟干拓事務所は閉鎖するというので閉鎖してしまい、残工事は八郎潟新農村建設事業団が全面的にこれを受託して、そして施工をして今日まできている。  当初、世界の脚光を浴びながら、そして干拓事業に出発をしまして、これは農林省も、ひとつ農林省をあげての誇りとしてやっていこうというようなことで打ち込んでこられたということは、これは事実であると思うのです。先ほど申し上げましたように、この当時には国会農林省の本会議における答弁も、委員会等における答弁も確信のある御答弁がなされておりました。そしてこの水田地帯としての将来に希望を持たせる回答は何回か言われておるわけであります。  ところが、先ほど申し上げましたように、四十四年の九月に国の直轄事業の大部分が終了したということ、そしてその後閉鎖をしたというようなことは、私は大部分の直轄事業が終了したというより、むしろ四十四年の二月十日付で次官通達が出ておる。「新規開田の抑制について昭和四十四年二月十日付四四農地A第一六五号次官通達」というのが出されておりまして、さらに局長通達、「開田計画の、取り扱いについて」、このような通達が出されまして、そしていままでの夢を打ちくだいていくような、この通達によって前途をまっ黒けにしてしまったのではないかというふうにも思うわけであります。当初の計画を立てられたことが、諸般の状況の変化で、あるいは食糧関係の事情の変化、経済上の事情の変化等々ということをこの理由としてあげられますけれども、さらに四十五年の二月十九日付に、四五農地第二一七号の農林次務次官通達というのが、さらに「新規開田抑制通達」として出されているわけです。こうしたことから考えていきますと、八郎潟が途中で大きく計画変更されてきたということ、これは日本農業のあり方の大きな前途の見込み違いをしていたんだと、このように私は言わざるを得ないと思うんですが、この点いかがでございましょうか。
  89. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 八郎潟干拓事業の経緯につきましては、いま先生が述べられたとおりでございますが、この事業を始めましたのは二つのねらいがあったわけでございまして、一つ食糧の増産、これは水田を造成する、それから一つは、新農村建設をやる、この二つの目的を持ってやったわけでございます。で、先ほども言われましたように、開田抑制という関係もあって、残り五千ヘクタールについては、畑にこれを切りかえて、畑作のモデル近代経営を打ち立てていこうということにしているわけでございまして、ただ、水田の造成をやめたからといって、八郎渦の事業団の目的が中止になったとか、あるいはそれが挫折したというようなことには私どもならないと思っております。と申しますのは、やはり畑作につきましても、今後やはり最も推進していかなければならない一つ土地基盤整備方向でもございますし、また、特に畑作については、経営規模の大きい機械化農業を入れた一つのモデル的な高能率の生産を上げていく、経営をやっていくということが、最もこれまた現在要請されているようなわけでございます。そういうモデル的な一つ経営を樹立していくということは、やはり何と申しましても干拓地等さら地を造成したようなところでないと、なかなか現実にはうまくいかないという問題もございまして、目下その畑作の一つのモデル経営をつくるということで事業を実施し、また畑作については試験実施している、こういうことであります。私ども決して途中で挫折したと、なるほど水田は畑地に変わって造成されていかれるということでございますが、八郎潟事業団の目的が変わってきたということにはならないかと思っております。
  90. 宮崎正義

    宮崎正義君 残された五千ヘクタールを畑作に切りかえていくから目的というものはくずれないという、目的は変わりないんだというようなお話ですけれども、当初は水田を基盤にしてやっていったわけでありますし、いま私が申し上げましたように長年の経緯をずっとたどってみましても、水田を主力にしてやってきたわけです。それが途中で五千ヘクタールのものは事業団のほうにまかしてしまって、そして畑作のほうに切りかえていくといいますけれども、畑作営農を第五次の入植から行なわせるということでおりますけれども、これは畑作用地としていけば、経費の点なんかでも相当違ってくるんじゃないでしょうかね。この点どうなんでしょう。
  91. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 畑作の経営をやっていきます場合に一番問題になりますのは、やはり経営面積をどうするかということ、それからその大規模な機械化の作業、協業形態をつくっていくというような問題、もっとも何をここで栽培していくかということが、基本的に問題になります。そういった作物の試験あるいは機械化の試験、それから何ヘクタール程度配分すれば大体収支規模は、収支経営はこのぐらいになるであろうというような営農の計画、そういうこともいろいろと私ども専門家の方々の意見を聞き、また、会合を持ってこれまで検討し、現実にそういった実験もやっているわけでございます。まだ、これからその五千ヘクタールについては、畑作とします場合には、圃場の準備等で水田の場合よりももっとかわかしていくという問題もございますし、現在そういう造成事業もやっているわけでございますすから、どのぐらいの経費になるかということまでの試算は、まだいたしておりませんが、水田については、そういうことを一応試算をいたしているわけでございます。
  92. 宮崎正義

    宮崎正義君 私、そこに問題があると思うのですが、四十四年の二月に次官通達を出されて規制されて、そして今度それを残されたものを今度は計画変更して、畑作地帯に変えていくといってから、もうすでに四十五年、四十六年、四十七年、三年の歳月がたっています。この間まだ試験段階であるというようなこと自体が、私は、どうも納得できないのですが、この点どうなんでしょうか。
  93. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 四十四年から実験農場で作物の栽培試験をいたしておりますし、現在はその大型機械化による一つ経営のやり方も実験をいたしております。この前たしか作物の実験農場について多少触れたかと思いますが、ここの現在実験しております作物はタマネギ、それからバレイショ、それから牧草、麦類、そういった畑作物を実験をいたしております。四十四年からその実験を始めておりまして、だんだん実験の度合いを深めて重点的にやっているというのが現状でございます。大体非常に、実験の結果というのはわりあいいい成績が出ておりまして、たとえば牧草でございますけれども、実験農場で実験しました場合に、全国の平均より非常に収量が高い。それから秋田県の平均なんかよりうんと高い。それから小麦につきましても全国平均より多少落ちますけれども秋田県の平均の二倍以上になる。それからバレイショにつきましては、実験農場が秋田県平均の倍近く、倍近くと申しますか、倍近くの収量をあげております。タマネギにつきましては、これも秋田県の平均の倍、全国平均より多少劣っているというような結果が出ております。ただ、一、二年のこの結果でもございますし、せめて三、四年というふうにこの実験をもって面積等も広げてやっていきたいと思っております。  それからもう一つは、大型の機械化のそういう実験等もやっているわけでございまして、そういうやはり畑作であります場合に、単に畑作に切りかえるということだけではなく、そういう確実に営農がなし得るという見通しで切りかえていくということがやはり私は、一番重要なことだろう。もともと成り立ち得るという目的で考えたわけですが、現実に、もうそういう見通しが非常に明るくなってきているというのが現状でございます。そういう意味で多少おくれているというのは、これはやむを得ないかと思っております。一面、圃場の整備のほうは先ほど申し上げましたように、二段階に分けまして、最初明渠排水路みたいな簡単なのを掘って、それで乾燥をし、地下水の水位を下げる。そのあと圃場整備をやる、そういうようなことで念を入れてやっております。そういう関係もございまして、若干おくれているということは事実でございます。
  94. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまおっしゃいましたけれども、タマネギとかバレイショ、牧草、それから小麦というものが、五千ヘクタールにどのような作付計画が出されているのでしょうか。たとえば現地の五千ヘクタールの農地面積からいきまして、どの範囲がどうだというような計画がもう立っているんでしょうか。
  95. 三善信二

    政府委員(三善信二君) いま申し上げましたような実験をして、確実な見通しがついた段階で、今度は残り五千ヘクタールにつきまして、それをまずどういう配分のやり方をやるか、新規の入植者を募集するということも当然考えております。それから、地元の方が増反を希望しておられる向きもございます。それから、現に入植しております四百六十戸の水田の農家の方、これが大体十へタタール水田を経営しておられるわけですが、もう少し畑地として配分をもらいたい、こういう希望もあります。そういうことを勘案して、大体一戸当たり何ヘクタールぐらいが今後の畑作のモデル経営として一番適当であるかというようなことを専門家の方々と研究をいたしているわけでございます。大体いままで検討しました中間的な状況では、八郎潟においては、畑作としては十五ヘクタールぐらいやはり配分する必要があるんじゃなかろうかという見解が非常に強く出ております。もっとも営農としては、その十五ヘクタールぐらいを配分受けた農家が、四戸から五戸集まって六十ヘクタールぐらいの一つの単位で大型機械の体系を確立していく、協業形態で確立していく、こういうようなことも研究会でいろいろ検討いたしております。その場合に、それじゃ作物をどういう配分で植えたらいいか、そういうことも専門家の方を入れて現在研究をしているところでございます。
  96. 宮崎正義

    宮崎正義君 大体いつごろできるのですか。
  97. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 残り五千ヘクタールの圃場整備全体がこれは確実には申せませんけれども一、四十九年から五十年ごろには完成するというふうに、私どもはそういう目的で一応事業を進めているという段階でございます。そうしますと、大体それに合わして実験のほうもだんだん強化、拡充していくというようなことも考えているわけでございます。
  98. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は、またその計画を立てて四十九年から五十年の目途でやっておられるとおっしゃって、いま実験段階にあるのだといわれておりますけれども、いままでの先ほど経緯をずっと申し上げまして、その水田のための干拓事業をやってきて、それで第一次には先ほど申し上げましたように五十六一尺五百五十一ヘクタール、第二次では八十六戸で八百二十四・七ヘクタールですか、第三次四十四年で百七十五戸千七百四十三・七ヘクタール、第四次四十五年が百四十三戸、千四百九十八・六ヘクタール、この中にずっと入植者が入ってきまして、そして先ほどは四百十戸とおっしゃっておりますが、私のあれを見ますと、四百六十戸になっておりますが、まあ、いずれにしましても、こういうふうなことで、政府の方針としては、昭和五十年までには農家戸数が千三百戸にする、非農家は二百戸、合計が千五百戸にしてやっていくのだということが現在、三一%の程度でおさまっているわけです。しかもこの収穫の様子を見ていきますと、大体反当たりが四百二十キロから四百八十キロ程度というふうな実績が今日まで上がっているということも聞いております。時間があればこの面も二つずつ聞きながら進めたいところですが、一応私どもが調べたものからいまお話を進めていきながら質問を続けていきたいわけなんですが、大体品種もだんだんよくなってきているといいますけれども、四等米あるいは五等米と非常に等外米等が多いということも聞いて、さらにはこのごろになりますと、だいぶよくなっておるということも聞いております。いずれにしましても、最初の入植者の人たちは、単位をかえて十ヘクタールとか七ヘクタールとかいうふうに段階をきめて入植させておりますこともご存じのとおりであります。四十四年に規制をされてから四十五年には二〇%、四十六年には三五%、四十七年には十二・五%と減反をしていこう、こういうふうなこともいわれております。この減反のことなんかにつきましては、いま私が申し上げた数字に誤りがあるかどうか、この点だけちょっとお伺いして、次に進めていきたいと思います。
  99. 三善信二

    政府委員(三善信二君) その前に、先ほど私、四百十戸と申し上げたのであれば、それは誤りで、四百六十戸でございます。  それから生産調整のことだと思いますが、現在、生産調整を八郎潟も実施をいたしております。四十六年などは、先生も御承知と思いますが、生産調整をした水田でカボチャ等を植えて畑作を現実にやっているところもございます。そういうことで、生産調整は数字的には先生おっしゃいました、二割五分とおっしゃいましたが、これは四十六年でございます、二割五分から六分でございます、生産調整をやって実施しております面積。
  100. 宮崎正義

    宮崎正義君 いまお話がありましたように、その生産調整も行なわなきゃならないというような水田で始まって、その水田自身が生産調整もしなきゃならないという時点の中にあるわけです。いま入っている入植者の人たちの負債の状態といいますと、平均二千五百万から三千万、このように私は思うわけですが、これが誤りかどうかわかりませんけれども、その内容なんかをちょっと取り上げてみますと、水田が反当たり十九万円で、これを十ヘクタールとすれば千九百万、家屋が百六十五万、機械導入費が三百五十万、計二千四百十五万、大体こんなふうになりますが、二千五百万から三千万、これは一つの例を上げてみたのですが、大体そういうふうな実情であります。また返済方法というのは、昭和五〇年から返済をして、部分竣工は五〇年から始まっていくんだというようなことも言われております。そして、この中には管理費というものが二五%これに加算されていくということなんですが、この点なんかはどうなんでしょうか。それで、さらに利率はどういうふうな利率になっておりますか、六・五%だと私は記憶しているんですが。こうしていきますと、たとえば家屋の、先ほど言いました百六十五万、三年据え置きで二十印月賦として、これは二割五分の二十五%をかけますと四十一万二千五百円、管理費が二五%だとしますと、そうしますと先ほどの百六十五万と四十一万二千五百円を足しますと二百六万二千五百円、これに利子が六・五%かかってまいります。機械の面で取り上げていきましても千八百万円、これは大体六人が一台を共用してやったとすると一人が三百万ということになりますと、二分の一が国庫補助になってきますと百五十万、この百五十万に今度は管理費の二五%がかけられてまいります。そうすると三十七万五千円というものが負担になってまいります。この百五十万に三十七万五千円というものを足しますと、百八十七万五千円が負債額というふうになってきまして、ひっくるめて言いますと二千七百六十八万五千円ということになっております。こんなふうな負債状況の中で五〇年度から返済をするようになりますが、第一次に入植した者と第四次までに入植した者、これが同じような形で進められて返済をするようになるんだというふうに聞かされておりますが、この点どうなんでしょうか。
  101. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは、私どもひとつの一戸当たりの大体の平均といいますか、モデル的に計算をいたしますと、いま先生が言われました数字と大体同じような数字かと思いますけれども、たとえば、入植者の支払い金額でございますが、私どもの一応の計算では、土地代の負担金が千三百万円、それから整備費、それから農業用地費とか機械費——農業機械費なんか先生言われました百八十八万で、トータルで二千三百九十四万、大体二千四百万程度だというふうに一応モデル計算をいたしております。そこで、それぞれのこれの償還につきましては、土地の負担金は、これは据え置き期間を含めて二十五年とか、それから機械はこれは七年、据え置き期間は三年、それから利子についても、大体六分五厘でございますが、土地は六分でございます。そういうことで償還が始まりますのは——先生いまちょっと部分竣工は五十年というお話のようでございましたが、一部につきましては、四十七年から部分竣工をしたいということで、現在作業もいたしているわけでございます。そこで償還金のお話でございますが、一次入植者の方の償還金のピークになりますのが大体四十八年から四十九年にかけてがピークになりますし、それからだんだん下がっていく。それから四次入植者の方の償還では大体五十一年ごろがピーク、五十一年、二年ごろがピークになっていくというふうに考えております。これは個々人の計算をしたわけではございません。大体の一つの試算をしたわけでございます。ただ、償還額は、先ほど申し上げましたように、一応二千三百万から二千四百万というわけでございますが、ここの経営の粗収入というのが非常に高うございますし、そういう意味では十分これは償還はやっていけるということで、私どももその点は全然心配はいたしていないような状況でございます。
  102. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間がございませんので、私もっとずっと深く入りたいのですが、省略をいたします。そうして、いまお話がありましたけれども、粗収入というものは確かにあるでありましょう。私も計算したものを持っております。ですから、いまの負債金額から差し引いてみましても、ある程度まではうなずけるわけでありますが、そうかといって、途中で計画変更されたり、生産調整をされていってみたり、管理費が、田地にも家屋にも機械にもあらゆるものに二五%ずつ管理費を取られていくというようなことは、これは将来考えてもらわなければならないことだと私は思うのです。この点なんかはどうなんでしょうか。
  103. 三善信二

    政府委員(三善信二君) それは事業団の事務費と申しますか……。
  104. 宮崎正義

    宮崎正義君 事務経費、管理費。
  105. 三善信二

    政府委員(三善信二君) そうでございますね。半額はたしか国から出ております。その半額をもっていくということだろうと思います。
  106. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは二五%というのは、その個人の負担額ですか。私は、そう思うのですが、どうなんですか。それが国で半分というのではないのですか。——まあ、けっこうです。これはあとでまたやっていただければいいです。  同僚の塩出委員も質問があるので、私は途中でやめるわけなんですが、きょう建設省の宮繁政課長さんはお見えになっていますか。そこでちょっと管理上の問題で一言だけ伺っておきたいんですが、この八郎潟の一級幹線道路と二級幹線道路というふうに区分けをされていることなんですが、これなんかは御存じなんでしょうか。
  107. 宮繁護

    説明員宮繁護君) いまお話しの具体の道路につきましては、ちょっと承知いたしておりません。
  108. 宮崎正義

    宮崎正義君 この明渠にしましても、当然大臣の御答弁がありましたように、河川法の中小河川のほうに入れるほうがいいように思うけれども、すぐそれをそうするというふうにもいかないというふうに御答弁がなされておりますけれども、聞くところによりますと、この一級幹線道路というのは県の所管にしていくというような話も聞いているんです。そういう点もおわかりにならないんですか。
  109. 宮繁護

    説明員宮繁護君) 元来、道路法上の道路は、一般の交通の用に供するものでございまして、その性格に応じまして県道とか市町村道に区分けをいたしておりますし、土地改良事業によりまして整備いたします道路は、元来、農地の利用の増進というふうな観点からつくっておるのでございまして、それぞれ目的、性格が違っております。しかし、現実の道路といたしましては、たとえば土地改良事業整備いたします道路につきましても、将来道路法上の道路になるということを予定いたしました場合には、路線の、ルートの位置であるとか、構造上の問題であるとか、そういう点、事前に相談をいたしまして、でき上がったあとで道路法上の道路にいたしまして、道路管理者が管理をいたすと、こういうふうな方法も考えられておりますし、また、農道としてでき上がりましたあとで、諸般の事情から見まして、道路法上の道路にするにふさわしいも一のであれば、認定をいたしまして管理してまいると、こういうふうな考え方でやっております。
  110. 宮崎正義

    宮崎正義君 秋田の干拓のほうの事情を御存じないようでございますので、これ以上いろんなことをお聞きしてもしようがありませんので、私は、これでやめますけれども、きょうは、その統調のほうからの局長も見えておいでになるだろうと思いますし、また、園芸の局長のほうもおいでになっていると思うのですが、統計資料の問題等につきまして、こまかく質問をしたいと思っておりました。先ほど五千ヘクタールを畑に変えていくんだという、それが四十九年でしたか——四十九年から五十年を目途にしていくんだと、そういう計画がまた日本全体の作物の、野菜、たとえてみればタマネギとか、あるいはジャガイモとか、それが一年間日本の需給に合った量というものから考えてどのぐらいの位置に位置づけをしていきながら、この八郎潟のタマネギをつくるとかジャガイモをつくるとかいう、総括的なお話もこまかく聞いていきたいと思いまして、統計の方もお呼びしたわけでありますが、時間がありませんので、せっかくおいでになりましたけれども、いろいろなことから聞けなかったことを、失礼したことをおわび申し上げます。  それからなお、統計の方々の苦労の点を一言だけ申し添えて、日ごろの感謝にかえたいと思いますが、災害がありましたときでも、まっ先にかけつけて行かれるのは統調の方々です。で、いまは情報化時代といわれておる時代でありながら、まあ、こうして私どもの手元にいろんな資料が出されてまいりますけれども、いまの畑作のたとえばニンジンにしても、大根にしましても、それからタマネギにしましても、ジャガイモにしましても、出されたものは、四十五年の統計資料でございます。ところが毎月のように特送で報告がありますけれども、なかなかこれが現時点に統計が集計されていないというのは、人員的な不足、あるいは機械力の不足、コンピューター等がどのように各県、末端機構まで生かされているかというようなことから考えていきますと、統計というものが早ければ、統計資料というものが早くわかることによって次の手を打っていくということで、大きな作業をするようになるわけです。これらの問題を考えていきますと、非常に統計資料というものが二年前、三年前、過ぎ去ったものが統計されて、われわれの手に届くわけでありますが、これにはやはり農林大臣は思いをおかれまして、機械力も導入をする、また、若い活力のある統計局の活動を私は期待をしているわけであります。こういう県から吸い上げて、また、国で吸い上げていく統計の調査の実態のあり方等を見ましても、その末端機構の統調の要員のことが将来どのように考えられているか、最後に大臣からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いまお話しのように、統計の仕事は非常に大事な仕事でございますが、直接生活に利益になるとかなんとかいうようなことに来ませんものですから、とかく統計の職員に対する労苦に対しての何といいますか、思いやりが足らぬようでございます。しかし、実際、基礎的な統計こそすべての政策の基礎になるものでございますので、十分お話しのようなことも注意いたしまして督励もし、また努力もさせたいと思います。
  112. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは、今回の土地改良法改正について質問したいと思いますが、まず最初に、この土地改良法の第四条において、土地改良事業に対する長期計画を作成をすると、それは閣議決定を経なければならない。そういうことで、私、いただいた資料は昭和四十一年の土地改良長期計画というものがあるわけでございますが、まず、この計画が、これは十年計画の中途でございますが、また新たに計画をつくると、そういうお話も聞いているわけでございますが、この四十一年の長期計画というものが大体予定どおり進行してきたのか、その点どうですか。
  113. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 現行の土地改良長期計画は、ただいま先生申されましたように、四十年から四十九年までの十カ年間の土地改良長期計画でございます。この長期計画では、一応マクロ的な事業費をそれから書いてあるわけでございますが、その進捗状況について御説明申し上げますと、この十カ年の長期計画は、事業費にしまして二兆六千億でございます。もちろん融資事業も含めて二兆六千億でございます。四十六年までの実績が、事業量にしまして進捗率は八〇・五%でございます。四十七年度の予算を入れますと約一〇〇%ということになるわけでございますが、これは専業費ベースでいきますと、そういうことになります。  面積で考えてみますと、一応この算定の基礎に考えました岡場整備の進捗率が三二%、これはもっとも四十年から四十五年の実績をとって三二%でございます。長期計画の目標が八十五万ヘクタールという圃場整備事業をやるということに対して二十七万六千ヘクタール、進捗率三二%。それから農地造成が三十五万ヘクタールの予定をいたしておりましたが、四十五年までの実績は十五万七千ヘクタール、進捗率四五%。それから草地造成が四十万の計画に対して四十五年までの実績か十五万七千ヘクタール、進捗率三九%。もっとも四十六年、四十七年の二カ年を加えますと、面積的にも進捗率はもう少し伸びるはずでございますけれども、一応事業費ベースでいった場合、それから現実に実施してまいりました面積ベースの事業量、完了面積でございますが、だいぶ差が出て、全般的に申しますと、なかなか進捗は思うようにはかどっていないと言えるかと思います。
  114. 塩出啓典

    塩出啓典君 いまお話しでは、金額では一〇〇%で、けれども実際においては大体四十五年までであれば六年間ですから、六割までいかないといけないけれども、三二%というように、やはり半分ぐらいおくれているわけですね。そういう点でこれはいろいろな理由あると思うんですが、これは省略いたしまして、私はこの四十一年における閣議決定の計画というものが、どういう十年後の姿を予想してそういう計画をつくられたのか。具体的に申しますと、たとえば圃場整備事業におきましては、水田の区画整理に該当するのは約二百万ヘクタールですか、それからその中で八十五万ヘクタールを圃場整備すると、そういうように、私これはちょっと取り方が間違っているかもしれませんが、そのように感じているわけなんです。  そこで、大体この十カ年計画におけるいわゆる圃場整備事業等において、この農業生産性というものを、これを完了すれば大体四十年当時に比べればどの程度の生産性を上げることができるかという、そうしてそれはすなわち裏返して言えば、区画整理の対象にいたしましても、非常に山地の段々畑とかそういうところは、そういうものに適合しないと思うんですけれども、最低これだけの面積があって、そしてまあ、こういう条件を備えておれば、結局圃場整備事業をやればこれだけ生産性が上がると、そういうひとつの、こういう計画の基準になる考え方が私はあったんじゃないかと思うんですけれども、それはどういうものが基準になっているんでしょうね。
  115. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先ほどちょっと触れました圃場整備事業量二百万ヘクタール、これは整備一つの長期的な目標として一応四十年の当時とらえて、それで十カ年間にその中で八十五万ヘクタールを整備する。その進捗状況が先ほど申し上げましたとおりであります。それから、やはりこの長期計画をつくりますときには、私どももいろいろ将来の農業のあり方、ビジョンと申しますか、そういうことは当然考えてやるわけでございますが、特にまあ、ひとつ申しますと、生産性の向上というのは一体どの程度を見込んでおったかという例を申し上げますと、まあ、水田については、四十年当時の十アール当たり百五十時間、それを五十時間に下げていこうというような一つの目標を持っております。それから畑作物について、これは非常にそれぞれ違いますけれども、まあ、大体当時の二百三十時間を四分の一くらい下げていこう——まあ、上げていくと申しますか、そういういろいろな試算はしておりますが、現実にこれを私ども実際上そういう計画を運営いたしていきます場合に、この事業の採択をいたします場合に、やはりそういう一つの目標、そういうのをつくらせながら現実には採択していく。水田の場合は、大体そういう方向で進んでいると見てよかろうかと思います。  畑の場合には、作物によって非常に違いますから、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、その四分の一程度上げていこう、——まあ、上げていくと申しますか、そこまでいっているかどうか実績としてはっきりした数字はいま持っておりませんけれども、そういう目標を持って事業も実施してきているという状態でございます。
  116. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで私も、先般広島県の三次というところへ参りまして、そこでもやはりたしか二百町歩くらいのところに圃場整備をやる、そういう計画でいま、いろいろ組合において検討している段階でございますが、大体この農民の皆さんの意見は、圃場整備を借金までしてやって、そして、いま減反とかで非常に先行きが暗い、そういうような不安を感じている人が非常に多いわけですね。私はそれは当然じゃないかと思うんですけれどもね。それで農林省においては、いわゆる農業生産地域指標、そういうものもつくって、そして昭和四十四年から九十万ヘクタールの水田を減らすとか、それからまた、一方では、新都市計画法によって、いわゆる市街化区域というのは、もう十年間にともかく百姓をやめろと、あの法案は一年延期になりましたけれども、やがてそういうようにその宅地というものにどんどん転換していく。また、一方では、今回のいわゆる法案の改正によりまして、そういう非農地土地改良の中に組み入れることができると、それは二割から三割だと、そのようになっていくわけでございますが、しかし、農民の側からすれば、一体何をつくればいいのかということで、非常に大きな迷いがあるわけですね。現在、政府は水田については生産調整で全国的に計画を持ってやっているわけですが、それ以外は何をつくろうと、これはまあ、農民の判断にまかせられておるわけで、これはやっぱり全国的な情勢のわからない農民の皆さんにそうした判断をしいることは、私はそもそも無理なんであって、農林省としても、たとえば昭和何年においては、どの地においては水田は幾らと、野菜においてはこれだけ、幾らと、くだものはこれを幾らなんだと、草地は幾らにするんだと、そういうようなやっぱりある程度、それは非常にむずかしいかもしれませんけれども、そういうものはやっぱり早急につくらなきゃいけないと思うんですけれどもね。いま、そういう作業を非常にやっているということを聞いているわけなんですが、これはどうなんですか、いつごろまでにできるんですか、これは。
  117. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生申されておりますのは、地域指標に即したような土地改良事業等の長期計画から、あるいは現実の事業の実施、そういう一つのガイドライン的なものをもってやっていくべきじゃなかろうかという御意見じゃなかろうかと思いますが、土地改良の長期計画、いま、現実に作業いたしております。いたしておりますが、その一番基本になりますのは、やはりそういう作物の需給の見通し、これが出ませんと、たとえば農用地造成はこの十年後どのくらいの目標を置いてやっていったらいいかというような問題も、一応そういうあれは算定ができかねますし、そういう意味でいま農林省内部で、そういう土地改良の長期十カ年計画と並行して、そういう需給の見通しの作業をやっているところでございます。   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 もっとも土地改良の長期計画は、四十七年度においては改定をするということで作業をいたしております。それから、もう一点の地域指標の問題、私どもこの問題も十カ年の長期計画の中に一応考慮しながらやっていくということが必要だろうと思っております。ただ、具体的になりますと、この土地改良長期計画というのは、非常にマクロで見た一つの目標でございますから、非常にこまかい積み上げをして品目ごとにどのくらい造成するということは、現実にやっていませんし、一応の将来の見通しに基づいたマクロ的な計画をやるわけでございます。したがいまして、地域指標をどう織り込むかということをあまり具体的に織り込み過ぎてもこれは弾力性を欠く、事業の運営上弾力性を欠くということにもなりますし、だから広い意味で、また大きな意味でこういった地域指標等を織り込みたいとは思っておりますが、その辺非常にむずかしい問題もあろうかと思っております。
  118. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、これは非常にマクロ的なあれですけれどもね、これはあれですか、これしかないんですか。たとえば各県における土地改良の長期計画とかいろいろ、いろんな法案見ますと、たとえば農村地帯に工業の導入計画にしても、国の方針があり県の実施方針があり実施計画があると、そういうようにやっぱり、これじゃ非常にばく然として、単なる現実に合うのかどうかもう少し、この計画自体は、その基礎になるものが各県のそういう計画とかそういうものはないわけなんですか、これは。
  119. 三善信二

    政府委員(三善信二君) ほかの計画みたいに県で計画をする、あるいは市町村で計画をする、そういうのを積み上げてやったということではございませんで、やっぱり全国ベースで考えてこの土地改良の長期計画はできているわけでございます。そうしませんと、非常にこまかく積み上げていきますと、かえって事情の変更等しょっちゅうこれが左右されて、弾力性を失なうということもありますし、現実問題として、そういう意味事業を実施する段階において、運用の面においては、そういう一つ地域指標的な、地域指標を非常に参考にしながらやっていくということは、これ必要でございますけれども、あまりこまかい具体的な、地域別な、そういうものに基づいてきちっとした積み上げを計画していく、これは現実にやってもまた、かえって私は円滑を欠くんじゃないか、こういうふうに思っております。現実に、そういうことはいたしておりません。全国的なベースで考えているわけでございます。
  120. 塩出啓典

    塩出啓典君 それは確かにあまりこまかくすれば、そういう弾力性のないということはわかりますし、非常にいまのような情勢の変動が激しいときには、常に計画というものを検討をして、さらに変更もしていかなければならない、そういう点からいえば、こういうものがあれば自由にどっちでも行けるわけですが、気がついたら計画は半分ぐらいおくれているわけです、圃場整備だってね。これじゃあ計画自体が何の意味もないわけでありまして、やはりもう少しこまかいだから計画は立てなきゃいけない、そういう点で農民の皆さんとしても、一体先がどうなるかということが全然わからないわけですよ。これはもうどこへ行っても、一体日本農政はどうなるんだと、政府の方針はしょっちゅう変わっているじゃないかと、そのように言われるわけで、これはわれわれも野党議員としても責任があるわけです。ほんとうに申しわけないと思っておりますが、そういうやっぱり土地改良計画にしても、もう少し具体的な線を出さなきゃいけないと思うのですよ。だから、じゃあ具体的にお聞きしますけれども、たとえばいま新しい土地改良計画をつくっているわけですが、それはあれですか、圃場整備事業は、いままでは二百万ヘクタールということが目標だったわけですけれども、今度の新しい計画もやっぱり二百万ヘクタールを最終の目標にしてあるわけなんですか。
  121. 三善信二

    政府委員(三善信二君) それはやはり現在まで圃場整備の済んだところを差し引いて一応面積というものはどの程度あるかということではじいていきたい、いかなければならない。もちろん、その中で十カ年にまたどの程度やるかということを考えていくわけでございます。
  122. 塩出啓典

    塩出啓典君 たとえば需給計画がわからなければいけないと、それは確かにおっしゃるとおりですよ。しかし、やっぱりそういうことを農林省の一番、農地局長がそういうことをいつまでも言って、なかなか計画が進まなければ、ましてや全国の農民にとっては、わかるわけないんですからね。だから、そういう大体衆議院におけるこの法案の審議を伺いましても、大体検討中とか、調査中とか、そういうことばっかり多くて、一体これはどうなるのかなと思って、さっぱりよくわからないわけですよ。たとえば水田はあれですか、いわゆる昭和四十四年から五十二年までに九十万ヘクタールを減らすと、これはもうきまっているわけなんですか。これは大体いまこの方針でいくようになっているんですか。
  123. 三善信二

    政府委員(三善信二君) こういうふうにお考えになったらいいかと思います。数字的に申し上げますと、土地改良計画の長期計画を私どもさぼっているわけではございませんで、四十四年から全国的に調査をしまして、それでそれの整備状況がどうであるかということは、調査をいたしております。圃場整備、水田、畑について圃場施設あるいは道路条件あるいはかんがい排水の施設がどの程度整備されているかという——非常に進捗がおくれております。そういう資料から全体の面積等も割り出していくわけでございます。  もう一つは、やはり需給の問題から見て一体十年後にどの程度の需給のバランスをとっていくか、それに必要な水田あるいは畑を一応考える。その場合に水田を畑に転換していく、そういうこともまた、その検討の対象に当然なっていくわけであります。そういうことをやっていきませんと、はっきりした数字と申し上げますか、それじゃ、あとどのくらいやればいいんだということは、なかなか出てこないというのが現状だろうかと思っております。その他人口の減少率、御承知のように、また最近は新経済社会発展計画、そういう外の計画ともやはり関連をとって、これは公共投資一つの大きな問題でもありますから、いろんなそういう問題とも関連をとってやっていかなきゃいけないということでございますものですから、一つの要素でどうだというわけにはなかなかいかないという点を御理解願えればと思っております。
  124. 塩出啓典

    塩出啓典君 農林大臣、やはりそういうように情勢がしょっちゅう変わることは、もうやむを得ないと思うんですよね。だからといって、基本になるものがきまらないんじゃいけないのであって、早急に一つの、農林大臣もそういう自給率をどうするかとか、各地域における生産品目をこのようにしていくんだと、それはやはり当面の目標、そういうものはいまつくっているわけでしょう。これは私は早く早急につくるべきだ。農林大臣、それは賛成ですか。
  125. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話しのように自給率も国から各県に下げて検討して相当進めています。この自給率に従ってこの土地改良のほうの計画ども十分それとにらみ合わしてやるべきだと思います。ことに大きな線としては、いまお話し中にもありましたように、圃場整備やなんかでおくれているのは、水田よりも畑地帯であります。畑地帯につきましては、いわゆる選択的拡大といいますか、果樹だとか、あるいは畜産とか、そういう方面にも力を入れよう、野菜も。そういうことに考えていますから、そういう一つの自給計画や方針というものが土地改良計画とにらみ合わしてできてこなければ計画計画倒れになる、こういうことになると思いますので、十分そういうところとにらみ合わした土地改良計画というものをつくっていきたいと思います。
  126. 塩出啓典

    塩出啓典君 やはりそういう一つの方針がきまって、それから土地改良の具体的の方針がきまってくると思うんですね。それで、この先ほどの閣議決定の長期計画昭和四十一年に閣議決定をされた。その当時は米を増産する、そういう体制にあったわけですね。ところが、四十三年ぐらいから米はだんだん余ってきて、かなり情勢は変わってきているわけでございますが、それがいまごろ四十七年度にようやく新しい計画が出る。これはやっぱり土地改良法の中の情勢が変われば長期計画も変えることができる。絶えずそういうように検討していかなきゃいけないと思うのですね。また実際に計画どおりいっているか、いっていないか。実際いま振り返って見れば、六年も過ぎて六割いかなければならないのに、まだ三二%ということで計画も非常にそごを来たしているわけですね。そういうことで、やはり長期計画の実績の検討あるいは今度の目標の検討、そういうのはもっとすみやかにやるべきじゃないですかね。いまごろになってやはり次の十年を考えようなんというのは、これは過ぎたことを言ってもしかたがありませんが、農林省としてはちょっと怠慢じゃないか、私はそう思うのですが、どうですか、その辺。
  127. 三善信二

    政府委員(三善信二君) おしかりを受けているわけですけれども、私は、こういうふうに考えていただいたらどうかと思っております。と申しますのは、この最近の社会経済情勢、それに関連しまして農業情勢の変わり方というのは、非常にやはりテンポが早いということが一つあろう。それから片やその土地改良の長期計画と申しますのは、やはり五カ年でつくったらどうかという御意見も、実はあるわけでございまして、   〔理事園田清充君退席、理事亀井善彰君着席〕  これはやはりどうしても五カ年ということでは、残存事業みたいなのですぐ一ぱいになっちゃうというような継続事業でございます。やはり十カ年でつくるのがこれは適当であるということで、一応いま十カ年の計画というのは、先生も御承知のようにあまりないわけですね。けれども土地改良は、やはり一つ事業の範囲か長いわけでございます。しかし、五カ年くらいで計画をつくれば、すぐ継続事業みたいなので一ぱいになっちゃうというようなこともございまして、で、十カ年にしている。そういう片や非常に長い計画、片や世の中の農業事情のテンポというのは、特に最近は早く進んでおります。そういうときにあわててつくったほうがいいのかどうかということも、やはり半面考えていく必要はなかろうかと思っていたわけでございます。作業としては、四十四年から調査をしまして、作業としては昨年度も一応いろいろな作業を試算的にもやってみたりなどいたしましたわけで、そういうふうに世の中のテンポが早くなってくるし、片や経済企画庁では新経済社会発展計画等をことしつくっていく、そういういろいろな回りの情勢とタイミングを合わせてやったほうが、十カ年計画でございますから、まあ、そのほうがかえってよかろうかという判断も、実は、事務当局としては持ちまして、そういういろいろの情勢を受けておくれたおしかりを受けてもやむを得ませんけれども、そういう事情もあったということを御理解を願いたいと思います。
  128. 塩出啓典

    塩出啓典君 私は、やはり農業をめぐる情勢が非常に変動が激しいことはわかります。また、土地改良というものも、やはり十年あるいはそれ以上の長期計画農業にしても、たとえば水田から果樹に転換するミカンにする、ミカンにしたって、やはり六年、七年成木までにはかかるわけですから、そういう点ではやはりそういう長期的な見通しも必要だと思うのですよ。だからこそ、方針というのが絶えず時代を先取りしていかないと、あとになって取り返しがつかないのですから——そうでしょう。ひとたび、じゃミカンをつくるときめちゃえば、ミカンがまずいからといって、じゃ野菜にかえることはできないのです。やはりそういう点で、常に将来の見通しを絶えずつかんで、やはり軌道修正をしていかなければいけないと思うのですがね。そういう点からいくと、あなたの考え方は、まことに泰然自若として、ほんとうに時代錯誤もはなはだしいと思うのですね。四十四年からやっているという、それは四十四年からそういう必要を感じてやってるわけですが、四十四年からやっているのが、まだいまだにできない。これじゃやはり調査始めた最初といまじゃ情勢が変わっているのですから、先ほど宮崎さんも言っていましたが、もう少し私はそのあたり——統計調査の関係の人が苦労されている。その御苦労のほどはよくわかりませんけれども、やはりコンピューターもあるわけですから、もう少しそのあたりを機械化して、やはり作付の動向とか、それからやはり需要の動向、そういうものをもつとすみやかにキャッチできて、そうして軌道修正ができるような、そういうやはり体制というものに持っていかないといけないんじゃないかと思うんですけれども、そういう点でそういう常に情報をキャッチして、そして次の手を打つ。そういうわけで、農林省には特に統計調査の関係のそういうセクションもあるわけですから、そのあたりをもう少し根本的に改造していかなければならないんじゃないか、そういう点はどうなんですか。四十年に調査を始めてまた、いまごろになって始める。計画のきまったときには、ほとんど情勢も変わっている、これじゃ話にならぬと思うんですが、その点どうですか。
  129. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 土地改良のこの調査というのは、四十四年にできたわけでございますけれども、調査の内容が非常にひとつはむずかしい点もございます。何か型にはめてすぐいけるというようなことにも、なかなかなりにくいかと思います。といいますのは、ひとつの圃場整備の条件でも、いろいろのこうひとつの案の基準を置いて、そして調べていかなければいけないという問題もありましたので、実際長く調査がかかり過ぎるとおっしゃればそうかもしれませんけれども、私どもも相当動員をしてそれはやったつもりでございます。  なお、やはりそういう点は、努力をしていく必要は当然あると思っております。ただ、現実にそれじゃすぐどうするということまで私いまお答えできませんけれども、そういうことでやはり一応今後はもっと早くやっていく、調査等も早くやっていく。しかも、それも改定する前に一回だけやるというようなことじゃなくて、できるだけ間隔を狭めて、そういう状態を把握していくというような努力も必要かと思っております。
  130. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういう調査は、いろいろファクターがあって、なかなかたいへんだということはわかりますけれども、だからといって、どうしてもやらなければいかぬことであれば、やはりそういうことじゃなしに、そういう難関を越えて何とかそういう情勢をつかんで手を打っていかなければ、結局それによっていつも悲しい目にあうのは農民なんですから、一生懸命つくった作物が暴落をしたり絶えず予定の変更をしなければいけない。そういうことでやはり農林省としても、万難を排してそういう農民の人たちに行くべき方向を示す。そういう点においても、ひとつ農林大臣としても、そういう情報の収集ということは、どうしてもこれは農林省がやらなければ、これはほかにやるところはないわけですから、いろいろ問題もあると思うのですが、その点については、ひとつさらに御検討いただき、また、次の機会にいろいろお話も承りたいと思います。  そこで、土地改良事業に非農用地を取り込むことができる、その非農用地の大体の割合、これは法律案の中では、農用地の集団化その他農業構造の改善に資する見地から、適切な位置にあり、かつ、妥当な規模をこえないもの、そういう非常にばく然とした表現でありますが、それに対して農地局長は先般も大体二、三割だとそういう答弁だったのですが、大体二、三割というのは、どういう根拠で二、三割なんですか。一割はまずくて、一割じゃなくて四割でもない、二、三割というのは、どういう根拠で二、三割と言われたのですか。
  131. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 正直に申し上げまして算定の根拠、基準というのはございません。私どもやはりこの非農用地の取り込み、これは農業サイドから見てやはりスプロール化を防止する、あるいは農業の集団化、優良農地は残す、そういう農業のサイドから見て経営がやはり合理化される、能率化されるようにというのが大きなねらいでございます。  片や、そういう意味考えておりますので、妥当な規模、適正な位置、そういうことで法的には抽象的な表現をしているわけでございます。  ただ、それでは歯どめがないじゃないかという叱りを受けるかもしれません。大体、圃場整備をやりまして、そういう用地を生み出す場合に、常識的に言って二、三割という程度をこえない範囲でやるのか、これは地域の実情によって非常に違うと思う。やれば必ずそういう生み出さなければいかぬということではございませんし、そういう必要のあるところは、それをやるということでございますから、必ずしも一律に地域によってやるという話でもございません。  そういう意味で、一応の私どもの運用指導の方針としてこれを指導したいと申し上げているわけでございます。もちろん、チェックのしかた、これは事業計画を立てるそういった際に、また換地計画の承認、そういった法的な手続をとる際に、チェックをしていくということで規制はできようかと思っております。もっとも運用を誤りますと、ややもすれば変な方向に動かないとも限りません。そういう点、よほど慎重に厳格にやっていくという心がまえで運用しないといけないというふうに考えております。
  132. 塩出啓典

    塩出啓典君 結局二、三割というのは、何も根拠はない。また何となく二、三割ということでそういういいかげんなことを農地局長が言うようでは困ると思うのですね。たとえば次の十カ年計画でもし百万ヘクタールをいわゆる基盤整備するとすれば、そうするともし二、三割ということになれば二、三十万ヘクタールということになりますね。  それから、やはり市街化区域にある農地というものが宅地に転用されていく。そうすると、そういう点からも、やはり何方ヘクタールというものがそちらにいく。また市街化調整区域の中では、二十ヘクタール以上あれば農地転用もできる。そういう方面より農地がつぶされていくわけですからね。そういう点で結局農林省としては、将来の水田の面積をどうするかとか、そういうようなやはりはっきりした基準のもとにこういうものが生まれてこなければいけないと思うのです。そういう基準ができていないのに、ただ単に二、三割という、これは場合によっては一割くらいしかしてはならないところもあると思うし、場合によってはやはり四割や五割も転換したほうがいいという場所もあると思うのですね。そういう点で、それを一律に二割とか三割とか、そういうことは私は、言えないと思うのですが、どうですか、その点は。
  133. 三善信二

    政府委員(三善信二君) やはり圃場整備を実施するところでございますから、それは一応農村地域へいけば農用地区域も当然入ってきますし、あまりこれを広げてもまずいという感じは当然持っております。農業をむしろ攻勢防御的に守っていくという一つの方法でもあるという感じもしているわけであります。ある地域では五割とか六割とかいうところもやりたいというところはあると思います。圃場整備を通じてそういうふうにほとんど大半がそういう農用地域になっているということはいかがだろうかという気もいたしております。さればといって、それでは一割に限定したら、もっとつぶれる面積が少なくていいんじゃないかという御指摘もあろうかと思います。しかし、私はやはり農村のそういう圃場整備をやる地域で、特にやむを得ず必要なところということで、やはりこれは運用していくということが、やはり基本になろうかと思っております。まあ、純農村地帯に参りましても、すぐそういうところを非農用地として生み出しても、工場がすぐ来るというわけにもなかなか単純にはまいりませんでしょうし、また宅地をつくって、それをいつか売れるだろうというような安易なことでやってもらっては困ります。だから相当必要性が強いということは、工場なら工場が農村工業導入等との一つの関連においてどうしてもその村に来る。そのためにどうしても必要だ、しかも来ることが大体はっきり見通しがついている。いつくるかわからぬような土地を空けて置くとか、準備して置くというようなことじゃなくて、大体その施設、用地を必要とする一つ事業が、あるいは公共用施設であれば市町村がそこへ一つの公民館をつくるとか、そういう大体確実なものを目標にして、その運用はしていきたいというふうに思っております。
  134. 塩出啓典

    塩出啓典君 どうですか、午前中も足鹿委員の質問のときにいわゆる農地として干拓したところが工業用地になる。そういうことで非常に質問があったわけですけれども、非常にそういう点でどうしても資本の力に押されて、そういう農業の基本というものがくずれていくことが、非常に心配だと思うのですね。そういう点で、たとえば土地改良における非農地の占める面積等においても、どういう場合はこれを認めるか。それは農林省の運用のよろしきにやっていくということですけれども、しかし、農地局長農林大臣にしても、立法のときとは変わっていくわけですから、そういう点でそういうものに対する一つの審査の基準というものを政令なり省令なりによってはっきりきめておくべきじゃないか、私はこう思うのですが、その点はどうなんですか。
  135. 三善信二

    政府委員(三善信二君) まあ、政、省令でこういう基準をきめるということになりますと、まあ弾力的な運用ができないという、あまり弾力的に運用しちゃいけないわけですけれども、そのきめる場合に、非常に何かよほど基準をきめる根拠というのがはっきりしないと、なかなかきめにくいという点もございますし、現在やっておりますのは、地域の実情によっても違いますので、やはり二、三割の範囲内に押えるような必要がある場合には、先ほど申し上げておりますように、確実に見通しのあるものを取り上げて、それは事業計画あるいは換地計画の際に当然チェックできるわけでございます。そういう要は、運用していく方々の一つの心がまえでもありまして、現段階では通達でそういう点を詳しく一つのいろんな角度から検討をしたのを通達で指導していきたい、こういうふうに考えておるわけです。
  136. 塩出啓典

    塩出啓典君 次の問題でございますが、このいわゆる構造改善事業ですね。たとえば圃場整備事業等に当てはまらない土地があるわけですね。たとえば山間部の段々畑とか先般広島県の神石町、非常に中国山脈のふもとでございますが、そのあたりに参りますと、非常にネコのひたいみたいな田をつくっているわけで、こういうようなところに田をつくっておったんでは、将来は農業は成り立つまい。みんなそう言うわけですね。そう言いながらお年寄りがずっとやっているわけなんですが、こういうやっぱり土地改良事業の条件に当てはまらない、そういう土地に対しては、大体どう考えておりますか。答弁は簡単に、ひとつ時間ありませんから。
  137. 三善信二

    政府委員(三善信二君) まあ、山村地帯、過疎地帯、こういうところだろうと思いますけれども、やはりそういうところは、広い面積の圃場整備というのは、なかなかできにくうございます。現実に土地改良事業をやります場合に、採択基準というものを普通でありますと二十ヘクタールを十ヘクタールに引き下げる、そういうことをやって圃場整備がやりやすいように、実は、して実施してまいっておるわけでございます。
  138. 塩出啓典

    塩出啓典君 こういう意見がありました。やはりこういうところは非常に空気もきれいだし、農林大臣も聞いておいてもらいたいと思うのですが、やはり農業もそういう傾斜地ですから、なかなかそういう十ヘクタールにももちろん当たらない、そういうところは多いわけですね。やはりたとえば、そういうところに病院をつくるとか、あるいは老人ホームをつくるとか、あるいは道路さえよくなれば、たとえば神石町あたりでは、福山の工業地帯に対してそう遠くないわけです。交通の便さえよくなれば一時間でも行けるわけです。そういうような、これはやはり農林省だけじゃなしに国全体としてやはりやっていかなければいけないと思うのですけれども、そういうような点について農林大臣農林省としてはどう考えているのか。ところが、最近はそういう山村地帯というのは、これは御承知のように山村振興法とかにおいては、そういう山村地帯においては「道路その他交通施設、通信施設等の整備を図ることにより、山村とその他の地域及び山村内の交通通信連絡を発達させること。そういうふうなこともあるし、農業基本法の第二条には「農村における交通、衛生、文化等の環境整備生活改善」等に尽くす、法律にはそうあるわけですけれども、現実には今度岡山に新幹線がまいりまして、だいぶローカル線も時間帯が変わりまして、その結果、急行がふえたけれども、急行待ちのために通勤列車の時間がいままでよりもおそくなる、過疎地帯においては、バスはだんだん減っておる。また、一方においては医者は非常に少なくなってきている。電話にしても、東京の場合は、電話はすぐ申し込めばつくわけですけれども、いなかのほうでは二年待ってもつかない、そういうような状態ですね。それではやはり青年も農村に残らないわけですよ。また、そういうところにはなかなか工業もこないわけですね。そういう点で、私は、やはりそういう農業基本法あるいは山村振興法の趣旨に沿って農林大臣としては、ただ農林省だけの施策ではなしに、もっと国全体のそういう施策のとれるように、非常に空気のいいところに病院とか老人ホームとかあるいは住宅街とか、そういうようなこともやはりぼくは積極的にやっていくべきじゃないか、そう思うのですけれども、その点はどうですか、農林大臣
  139. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 総合的といいますか、総合農政ということばがありましたけれども、私は総合農政じゃなく総合国政というか、国政全体からそういうことを考えなくちゃならぬという考えを持っているのですが、御意見は非常にりっぱな御意見であり、また、そういうふうにしなくちゃならぬ、こういうふうに考えます。
  140. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあ、ひとつこれはなかなか一朝一夕の問題じゃありませんけれども、いずれにしてもそういう方向でまあ、やっていただきたいと思うのですね。それで農村に青年が残らぬわけですね。みなよそへ行っちゃうのですよ。やはり農村になかなかお嫁さんのきてがないわけですね、農村の青年には。そういう点でやはりもう少し農村に花嫁が来るような、そういう政策も少し農林省考えてもらいたいと思うんですけれども、それで私は、まあ、いろいろ考えたんですが、農村に花嫁が来るにはどうしたらいいか、それにはやっぱり農村にいわゆる新婚住宅でも建てて、そうしてまあ、農業をやる家には非常に家賃の安い、しかも非常にいい住宅でも建てれば、そうするといま都会は住宅難ですから農村に行けば、やっぱりそういう住宅があれば行こうかなという人も出てくると思うんですね。そういう点で、公営住宅というのは全部都会ばかりに建って、農村のほうはあまり建たないわけですね。農村にそういう住宅を建てる、そういうような点はどうですかね。
  141. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ、それも一つの大きな示唆だと思います。私は、農村に青少年が残る、あるいは嫁さんが来るようなことで、やっぱり農業経営が相当よくなれば農業が一番いいんですから、お嫁さんなども来るわけなんですが、なかなかそれがうまくいかなかったんです。いかないんです。そういうことで、それに最近は私、見るのに、やはり都会へ一たん出ても、また農村のほうへ帰ってくるという傾向が少し出てきているんじゃないかと、こういうように私は思っています。それはいろいろ公害とかあるいは都会文明といいますか、そういうものの欠陥があらわれだしてきて、やはり自然というものでどうやらやっていけるなら自然を、土を愛した生活をしたいというような傾向も少し出てきて、非常に喜ばしいことだと思っています。いまのお話のような点なども一つの大きな示唆であると思いますので、そういうことも頭に入れていろいろ検討してみたいと思います。
  142. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ時間もありませんので、最後に、この「土地改良区は、その行なう土地改良事業により特に利益を受ける組合員以外の者があるときは、都道府県知事の認可を受けて、——事業費の一部を負担することができる」と、こうなっておりますが、この場合集めるのは土地改良区の人が集めると、しかし、これはうまく集まればいいですけれども、非常にまあ、集まらない場合が多いように聞いているわけなんですけれども、それともう一つ、この集める費用の中で建設費も含むのか、管理費だけなのか、そういう点については、たしか衆議院の委員会のときに農地局長は、これはまだはっきりきまってないと、そういう答弁だったように思うんですが、やはりこういう点は、はっきりきめておかないと、集まらないからといって、一々裁判をしなければならないようじゃ困ると思うんですね。そういう点で、このあたりをもっとはっきりさすべきじゃないか。  それからもう一つは、いわゆる廃水の差しとめ権というのは認められているわけでございますが、これはその気がなきゃどうしようもないわけですね。そういう点で、たとえば農地を転用する場合に、やっぱり家が建つ、あるいは何かが建てば、やっぱりその土地改良組合のそういう施設の中へ、たとえば廃水を流すとすれば、どういう水を流すかということは、もうちゃんと前もってわかるわけですからね。だから農地転用の場合に、やっぱり一つの条件としてそこでチェックする、そうしておかないと、そういう点やっぱり事前に手を打っておかないと非常に困るんじゃないか、その点についてはどうなのか。  もう一つ、まとめて——それからいわゆる基幹的な土地改良事業というのは、関係市町村の議決で実施を申請できると、その場合はやはり関係土地改良区等の意見を聞くというようになっておりますが、やはり市町村の議会の議員というのは——どうしても農民の団体等は構成分野が変わってくると思うんですね。やはり土地改良組合員は農民ですから、市会議員とか町会議員になると、これは全体から選ばれているわけですから、そういう点で、私は、農民の意思というものとは離れた方向にいくんじゃないか、それを心配するわけですが、そこで、まあ、土地改良区等の意見を聞くようにはなっているようですけれどもね。そういう点もう少しやっぱり、たとえば公聴会を開くとか、その点をこまかく規定しておかないと一つ農民の意思とはまた違った方向にいきはしないかと、そうしてその事業計画がきまっていけば、その負担金を払うのは農民が払うわけなんですから、そういう点でちょっと農民の意思が十分反映されないきらいがあるんではないかと、そういう点心配するわけですけれどもね、その三点について。
  143. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) もちろん、いまのような傾向は私あると思うんです。市町村議会の議決だけいいますと、市町村の議員というものは、最近は都市化的傾向があるんです。町村合併なんか見てみますと、町村会の議決だけ得ればいい、住民の意思なんかはあまり考えないで、町村会議員は、たとえば市会議員になったほうがいいというようなかっこうで、すぐ市のほうへ持っていくというようなことで、農村関係生活共同体的な考えがだんだん薄れていく傾向があります。ですから、私は土地改良やるのに一々全住民、農民の同意をとるということはなかなかむずかしいことであるから、市町村の議決で済むということは、一つの方法でいいとは思いますが、同時に住民、ことに農民の意向というものを相当しんしゃくして聞いておかないと、大きな間違いをおかすこともあると思います。いま御指摘のような傾向が相当あるんじゃないかと私は見ています。   〔理事亀井善彰君退席、委員長着席〕
  144. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 第一のお話は、管理費の中に償却費等を含められるかどうかということの御質問と思います。先生おっしゃるとおりに、私、早急にきめなければいかぬけれども、まだそこまで検討が行き届いていないから、早急にこの問題は解決していきますということで、現在もまだちょっとどちらにするかということをきめかねているというのが正直なところでございます。やはりまあ、そういう施設が老朽化してくれば、また、つくりかえればいいというようなことで、そういうやり方を土地改良事業じゃやっているわけでございますから、必ずしも償却費みたいなのを含めていくことが適当であるかどうかという問題もあろうかと思うのです。いずれにしましても、もう少し詰めさしていただきたいと思っております。できるだけ早い機会に、それをどちらかにきめて、やはり運用上、指導上誤りのないようにまたやっていかなければいかぬと思っております。できるだけ早い機会にきめたいと思っております。  それから農転なんかの場合に、条件か何かつけてきちっと縛れないかというようなお話ですけれども、これは一応農地転用のときには縛れますが、あとそれをどこまで追及していけるかという問題がありますし、その辺のところが実はなかなか実際と現実とうまくかみ合って実効が確実に期せられない点もあるわけでございます。何かそういういい方法があれば、私どもぜひその点は、前向きで検討していきたいと思います。  それから、市町村特別申請事業の場合に、もう少し農家の方々の意見が反映するようなやり方はないかという御指摘であろうと思います。土地改良区その他の意見は当然聞くわけでございますが、その意見を聞く際に、やはり土地改良区の役員の方、その方たちが農家の方の意見も聞き得るように、また、聞くように私ども指導の面でそれはぜひ徹底するようにやっていきたい。そこで、土地改良区の役員、そういう方だけの意見で走っていくというようなかっこうで、指導の面でそれはひとつ徹底していくということをやっていきたいと思っております。
  145. 工藤良平

    ○工藤良平君 それでは、私は、前回いたしましたけれども、ごく一、二の内容に触れた程度で、前回の残りにつきまして、いまから若干質問をしたいと思います。  限られた時間でありますから、論点をしぼって御質問したいと思いますが、今回の土地改良法改正によりまして、特に土地改良事業の組織化という問題が出されているわけであります。もちろん私も地域農業開発が広域的に行なわれなければならないという状況になってきたということは、承知をしているわけでありまして、特に最近の土地改良事業の実態が単一の開発目的のために、一定の地域における、たとえば既墾地あるいは未墾地、水田あるいは畑、牧草地、さらに水、農道、こういったそれぞれの区別なく、一体としてとらえなければならないというような状況になってきたわけでありまして、したがって、今回の総合的な土地改良事業ということについては理解ができるわけです。ただ、私どもが現地に入りまして、ミカンなりあるいは畜産のパイロット地域の状況を見てみますと、その点が必ずしもうまくいっていないような気がするわけでありまして、この前、私、果樹災害関係の法案の際にも、この点については指摘をしてきたところでありますけれども農業技術あるいは営農、さらに消費市場等の総合的な関連における計画性というのは一体どこでつくって、どこで指導性をとっていくのか、その辺についてのお考え方をひとつ伺っておきたいと思います。
  146. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生のお尋ねは、やはり土地改良事業等をやって、果樹園等について、樹園地等についてそういう基盤整備をやっていく、その場合に、やはりできた生産物等のそういう流通とか、そういう面も総合的に見ていく必要がどこかであってしかるべきである、こういう御指摘であろうかと思いますけれども、私ども土地改良事業とそれを直接関連づけてやっていくということは、なかなかむずかしい点もあるかと思います。ただ、その事業計画をつくります場合には、一応そういう問題も私ども当然加味して、たとえていいますと、事務的な問題でございますけれども地方農政局の中で各担当の部長、課長、そういう専門の人に寄っていただいて営農計画を十分審議していく、あるいは市町村、県庁のそういう専門家の方と、そういう点も一応議論していくということにはしておりますけれども、なかなか現実問題として、それじゃすぐそこに流通施設の何が必要であるというふうに現実につながっていかないという問題は、これは非常に多いだろうと思っております。ただ、構造改善事業とか、あるいは最近——最近と申しますか、広域流通営農団地、それから四十七年度から始めております農林省の営農団地、団地対策、そういうところにはむしろいま先生がおっしゃったようなこともあわせてセットで考えていくというところに、いままでと違った、一つの団地的にまとまりを持って基盤整備からそういう流通の問題、これは道路もございますし、あるはそういう施設もございますし、そういうことで団地的にやっていくということが、やはり新しい行き方であろうかと思っております。土地改良だけですぐ結びつけていくということは、なかなか言うはやすくして現実には非常にむずかしい面もありますけれども、今後の事業の進め方としては、そういう問題は当然やはり頭に置いて考えていかないと、せっかく事業は始まったけれども、あとがうまくいかぬという問題が非常にいままでより以上に多くなろうというように、非常に重要な問題だと私も思っております。
  147. 工藤良平

    ○工藤良平君 たとえば大分県の国東半島でミカンの開拓パイロットが行なわれているわけでありますけれども、たとえば四国の宇和島から参りました六人のグループが三十ヘクタールのミカン園の経営をしているわけです。そういたしますと、国や県の指導に基づいた開発計画をやりますと、たとえばスピードスプレーヤーが入らない、こういうような計画になっている。したがって、基本設計をやる際に百五十万の全然別個の金というものを生産者がそれに上積みをして、基本設計からやりかえなければならないという実態が現実に起こっているわけです。したがって、そのような実施計画を進めている圃場というものと、それから一方、国や県の計画に基づいて進めている他の圃場が三年たち五年たった段階では、全く異なってくるわけです、目の前にありながら。そういうような状態というものが全体に起こっていると私は思っているわけです。もちろん、これは農家の側の負担能力の問題も、非常に大きな関連を持ってくるわけでありますけれども、しかし、広域的な農業開発をやる場合には少なくともやはり、もちろん、これは地形その他の条件によって画一的になかなかいかないと思いますけれども、やはりある程度画一的な条件のもとに、もちろん、それはそれぞれの立地に応じたという意味が含まれるわけでありますけれども、そういうことがやはり進められていかなければ、せっかくやったものが、部分的には成功しますけれども、他のある部分は失敗をするということは、さっきお話がたくさんありましたけれども、私は、今後の広域農業開発の問題については大きな支障が起こるのではないだろうか、こういうような点から、その点を指摘をしておきたいと思うわけでありまして、あとで触れますけれども局長なり本省のそれぞれの担当官が一度やはり現地でそういうものを現実に見ていただいて、具体的な計画の中に生かしていただくことが必要ではないか、このように思います。その点について御意見を伺います。
  148. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 私もあまり現地を知らな過ぎるというおしかりをあちこちから受けておる一人でございます。できるだけやはりそういう現地の実態というのを頭に植え込んでおけば、非常にいろんな考えも自然に浮かぼうかと思っております。ぜひそういうところを視察さしていただきたいと思っております。
  149. 工藤良平

    ○工藤良平君 次に、今回の法改正では新たに市町村の役割りというものが、非常に重視をされているわけであります。これはいろいろ各委員の方々から御質問があったわけでありますけれども、新たに市町村の申請による事業の実施、あるいは土地改良事業の実施にあたっての市町村長との協議、あるいは施設の管理方法、費用負担等に関する市町村の協議など、いろいろの市町村の意見聴取等が制度化されているわけでありますが、これは土地改良施設の機能が、単に農業生産面だけでなくて、地域全般に及ぶことを農林省自身が認められたと、このような説明もあったわけであります。一方、費用負担につきましては、非農地受益者賦課は別といたしまして、農民負担が原則とされているような現状でありますので、この種の地域全般に及ぶ開発というものが考えられるとするならば、現実に、いま、農道とか、あるいは排水ポンプ等については、市町村が負担ないし助成をしているという例も少なくないわけであります。ただ、問題は、法定的負担ということで、自治体の自己財源を圧迫しているのではないか、こういうことが言われるわけでありまして、この点については特に衆議院の附帯決議等にも書かれておりますけれども、やはり起債等の措置を講じて、自己財源を圧迫しないような形でこの事業が拡大をされていく、こういう措置が必要ではないかと、このように思いますので、その点に対する農林省考え方をお聞きをいたしたいと思います。
  150. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生御指摘のように、土地改良を実施していきます場合に、市町村特別申請事業の実施、あるいは市町村の意見を聞くという意味で、市町村が地域農民あるいは地域一つの相談役的なことで、市町村長の意見というのを非常に重視をしてきているわけでございます。また、農業政策の一環としましては、農振法に基づいて市町村が具体的にその計画をつくり、そういう方向で対策を考えていくことになっておりますので、そういう農振計画との関連においても、農業政策の一環としては、市町村の意見というのを十分重んじていくということのために、あちこちで市町村の意見を非常に重要視したということでございます。  そこで、やはり事業を実施していきます場合に、土地改良法でやるということは、先生御承知のように、一応原則は、国の補助、県の補助ございますけれども農民負担というのは、これは原則になっているわけでございます。ただ、最近、申されますように、大規模農道とか、あるいはそういう非常に大きな施設の土地改良事業というのが多くなってきますと、やはりその公共的色彩というのもまた加味されてくる点もあるわけでございます。で、市町村でも、現実に市町村で負担をしてもらっている事業も相当あるわけでございます。ただ、市町村の財政事情によって、なかなか負担し切れない、また、負担しても起債とかそういうめんどうを見てくれないというようなことで、積極的に市町村も負担をしていくということになりにくいという問題は、現実問題としてございます。で、私ども、その起債の問題につきまして、自治省なんかと事務的にいままで相談はしてまいっておりますけれども、これもそう簡単に自治省も了承してくれるような状況でも、現在まではなかったわけですけれども、今後この土地改良法改正を契機に、やはり市町村のウエートというのが相当多くなっていくわけでございますから、ますます重要になっていくわけでございます。いま、事務当局としても自治省とその点じっくりひとつ相談しながら、何とかそういう一つの糸口が見出せるようなことで前向きに私たち努力をしていきたいと、この問題については考えております。
  151. 工藤良平

    ○工藤良平君 この点については、他省とも関連のあることでありますので、できれば、農林大臣のほうから、ぜひひとつ、前向きの御回答をいただきたいと思います。
  152. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま農地局長からお話し申し上げましたように、土地改良の中でも、公共的役割りを演ずるといいますか、大きな農道とか、あるいは水の関係の用排水などを見ても、広域にわたる土地改良というものが必要になって、広域的な要素が非常に多くなってくるわけであります。そういう場合には、関係農民の負担ということでなく、やっぱり自治体のある程度の負担というものを期待したいと思います。しかし、町村財政が必ずしもいいような状況でございませんから、その財源はやっぱり起債等によらざるを得ないと思います。そういう点は、自治省などとも積極的によく相談しまして、そういうことができるようにし向けていきたい、こういうふうに思っています。
  153. 工藤良平

    ○工藤良平君 次の問題は、今回の法改正におきまして、国営の農業水利施設について水の他転の道を開いたということになっているのでありますけれども、県営、団体営の造成施設については今後どうなっていくのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  154. 三善信二

    政府委員(三善信二君) お説のとおり、国営の土地改良施設について一つ法的に道を開いていく。そこで、県営の施設、団体営の施設につきましては、私ども、この法改正でいろいろ土地改良区、県、市町村等の要望等も一応聞きましたのですけれども、まだ、そこまで要望もなかったし、そこまで困っているという実情も、実ははっきり察知できなかったという問題も、一つ実態問題としてございます。もう一つは、法的な問題として、県有施設は、これは県有財産でございますから、地方自治法にしばられるわけでございます。国有の施設は、今度措置したわけですけれども、県有施設については、どうも、地方自治法との関係というのがなかなかむずかしい問題もございまして、今回はそこまで整備はしなかった。また、実態もそこまで緊急性はなかったということで、法的な裏打ちは今回はしなかったというのが正直なところ現状でございます。
  155. 工藤良平

    ○工藤良平君 これは建設省参っておればお聞きしたいわけでありますけれども、河川法上は、このような農業用水の他転というのは認められているかどうか、お伺いしたいと思います。
  156. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 河川法上、このような他転が認められているかどうかということでございますが、今度の措置は土地改良施設に共有持ち分権を付与する。共有持ち分権を他転ずる場合に付与することは、その付与されたほうが水を分けてもらうわけでありますので、その水を使用する場合には、新しい水利権の許可を河川法に基づいて得なきゃいけないというふうになる。ただ、共有持ち分権を与えた、水利権は許可されないということになると変なかっこうにずれてまいりますので、そういうそごを来たさないように、私どもとしましては、建設省ともこの点、十分協議を事前にいたしておりまして、その共有持ち分権を与える前に、事前に一応建設省と協議をして、持ち分権を与えたら必ず水利権は付与されるように、その点円滑にいくように、建設省とはすでに協議も相談も十分しておるわけでございます。
  157. 工藤良平

    ○工藤良平君 特に最近における都市用水側の需要の伸びといういうものが非常に著しいわけでありまして、水の問題については、従来のような流水を利用するという形では、とうてい足りませんので、ダムをつくり、あるいは河口ぜきをつくって、水の高度利用をはかるという措置は、とられているわけであります。しかしながら、現状を見ますと、その全体の年間雨量から推測をして、流量のうちの一体何%を利用しているのかということを考えてみると、非常に憂慮すべき状態が生まれておるわけでありまして、これは経済企画庁来ておればお聞きをしたいわけでありますけれども、一体、これからの水需要、それに対する水の供給、この関係は一体どういうような逼迫した状態にあるのか、そういう点を踏まえながら、私はやはり他転の問題等についても検討していく必要があるのではないかと、このように思っておるわけなんですが、現在の水の長期的な需要、さらにそれに対する供給の関係を、ちょっと概略御説明いただきたいと思います。
  158. 宮崎明

    説明員宮崎明君) すでに御承知かと思いますけれども建設省のほうで、去年、広域利水調査報告というものを発表したわけでございます。一応、六十年時点の水需要の見通しというものを想定しまして、それに対して積極的に水の供給をはかっていかなきゃいかぬというたてまえから、そういう想定をやったわけでございます。私どもの想定に基づきますと、六十年時点と四十年時点と比べまして、水需要増が一・九倍ほどになる。その内訳的には、生活用水が三・四倍ほど、工業用水が四・数倍、農業用水が二割増しくらいというような想定でございます。工業用水の需要想定につきましては、これは、当てにならぬというような声もだいぶありますけれども、まあ、ともかく、現況の原単位から回収率の向上等も十分見込んで想定した数字でございます。それによりますと、全国的に約一・九倍という水需要になるものですから、これに対しては、ダム、河口せきの建設等によって水の流況の平準化をはかっていくということは、当然でございます。そのために、五百個近いダムを今後つくっていかねばいかぬというふうに、私どもは想定しておるわけでございます。しかし、それによっても、やっぱり地域的にはかなり、首都圏とか、そういう大都市集中地域には、どうしても絶対量が不足するということが予想されるわけでございます。したがって、やっぱり今後の対策としては、そういう積極的な水資源開発施設の建設もさることながら、やっぱり産業の再配置、地方分散、あるいはいまの水の利用の高度化ということ、合理化ということも十分取り入れて対処していかねばならぬと思います。しかし、それもある程度想定はしてやっても、なおかつ不足するということも予想されますので、その時点において、ある時点において必要ならば、やっぱり相当広域的な水の導水ということも、ある時点においては考えねばいかぬだろうというようなことを想定しておるわけでございます。
  159. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまちょっとお話を聞きましても、水の需要というものは、非常に大きくなっていくわけであります。農業関係のこれからの水に対する総需要量といいますか、もちろん水田は若干減らすようでありますけれども、畑かんあるいは畜産に対する水需要は増大をしてまいると思うのですが、この点について農林省としては、昭和六十年、どういうような目標を設定をされているか、もしおわかりになればお聞きをしたいと思います。
  160. 三善信二

    政府委員(三善信二君) その実態調査につきましては、あまり的確なのをやっておりませんが、いろいろ企画庁あるいは建設省で全国的な水需要を想定される場合に、私どももそういう御意見を申し上げたり、そういうことでタッチしておりますが、この農業用水の需要量、これも六十年ぐらいの需要量をはっきりつかむということは、なかなかむずかしい話でございますけれども、一応想定というようなことをやっていきたいと思っております。で、一応考えられますのは、水需要の問題で最近水田から、土地改良でも、畑地かんがい等に切りかえておりますし、特に樹園地等につきましては、農道もあわせてそういうかんがいということが非常に必要になってくる。したがって、水田が多少面積が減るからといって、その他やはり逆にふえる面も相当出てくるわけでございます。やはり、先ほど建設省から言われましたような伸び方というのは、そういうほかのあれに対しては多くはないといっても、伸びるのはかなりの伸びを示していくんではなかろうかと、一応そういうような大ざっぱな考えは持っております。
  161. 工藤良平

    ○工藤良平君 私、この農林漁業金融公庫から出ております冊子ですか、この中に水資源公団の安井さんがそのことをかなり詳しく指摘をしておるようであります。昭和四十年に大体農業用水が年間五百億トンと、こう推定をされておるようでありますが、これが昭和六十年には畑かん、畜産用水あるいは雑用水等を合わせて大体八百六億トン程度の需要が必要ではないか、こういうような指摘がなされておりまして、年間降水量が六千億トンと、こう見込まれておりますけれども、その利用率というものは、一〇数%というような非常に低いものであると、こういう指摘から、さっきお話がありましたように、やはりダムによって水資源を確保するということが、今後も行なわれるだろう。しかし、このダムというものは、おのずからダムサイトの問題から限界が出てくるわけであります。したがって、これから相当ダムをつくるとしても、水のコストというものは、相当大きなものになるだろう。これが都市用水と農業用水の比較から考えまして、はたしてコストの高い水に農業用水というものが、今後どのような依存度を持っていけばいいのかという、非常に重要な問題が提起されるような気がするわけであります。したがって、そういう点から考えまして、私はかって下筌、松原ダムの有名な蜂之巣城のあの室原さんと、ずいぶんこの点については勉強させていただきましたけれども、あそこに一億数千万トンと言われる二つのダムができるわけでありますが、そのすぐ隣接地にある高台で農業を営もうと、現にいま続木という部落があるわけでありますけれども、そこにある小学校のぞうきん水までも、飲み水はもちろんでありますけれども、ぞうきん水までも使う水がないという状態であります。目の前に多目的ダムが二つできるわけです。その水をとろうとしても、なかなかとれないという状態が、多目的ダム法でつくられた水の配分という問題が実は提起されるわけですね。このことを、なくなりました室原さんが、いわゆる水の開発というものを、総合性ということを非常に強調いたしまして、私は現実にそういう農業開発なりあるいは学校の水さえもとれないという現実を見まして、さっき午前中に足鹿先生からお話しがありました愛知用水の問題もありましたけれども、私はやっぱり水の他転という問題が非常に大きな問題として私どもとらえていかなきゃならない問題だと思うわけです。  そこで、長くなりますけれども、「逐条河川法」の二五五ページにその点に対することが書いてあるわけであります。これによりますと、たとえば河川「承認は、河川管理者の自由裁量行為であるが、次の諸点に注意を要する。」と、こういうことで、ごく一部ですけれども、「権利の具体的内容は、個々について検討されなければならないが、最も重要な要素は、目的である。たとえば、上水道のための流水占用の権利と、かんがいのための流水占用の権利は、同じく消費型の流水占用を内容としており、流水の支配形態等も類似しているが、両者は、目的を異にしているので、その間の譲渡は認められない。」、このようなことが、実はこの解説として書かれているわけであります。そこで、私どもとしては、このようなことからいたしまして、これは、当然川の水は国のものであり、農業水利権の権利性は、現実に農業生産に必要な限りでしか認められないのではないか、したがって、不要となった農業用水については権利を取り消して、河川管理者が新たな需要者のうちだれに水を使わせるのが最も公共的利益に適するのか判断してきめる。したがって、旧水利権者と新規需要者との間の直接的な売買は、一切認めないという考え方によると、このように解釈できるわけであります。もちろん治水、利水を統一的に行なうという新河川法の私はこの体系が成立した現在でも、この解釈を正面から否定をするということは、それはむずかしいだろうと思います。しかしながら、このような考え方に固執する限り、水資源の円滑な他転は行なわれるはずはない。農林省が主催した農業水利問題研究会の中間報告というのがあるようでありますけれども、これによりますと、極端には、水は公共物であるとして、新たな用途に対し自由に取り上げ得るかのような主張さえ行なわれることがあるが、このような単純な考え方で希少資源、少なくなった資源の再配分問題が解決できるはずがないと、このように実は批判をしているわけであります。で、さらにまた同じ報告で、農家の、いわゆる農家の意識では、農業用水はその支配地域に属する多数の農家の共有物であって、多くの場合、多額の費用と労力とを投じて造成し、長い、数百年にわたる努力によって維持してきた歴史的な資産である、このような理解をされているわけであります。そのような努力によって多数の農家に不満を感じさせないような維持管理の体系も整備されて今日まできた。このような努力と所有意識によって管理されている水資源を他用途へ転用しようと考える場合には、いわゆる転用を期待するにふさわしい、いわゆる経済的な動機か与えられなければならないと言っているわけであります。で、このような関係を一番はっきりさせる方法は、いわゆる土地改良法農業水利権をいわゆる民法上の物権として認めさせる、このことがやはり必要ではないかと、こういう考え方があるわけでありまして、これは確かに現実問題として、さっき言いましたような河川法上の解釈からいたしまして、なかなかむずかしいことではあるけれども、運営の段階でこの河川法の解釈を骨抜きにする、これは建設省が負って悪いわけではないんですけれども、骨抜きにするというようなことは、私は必要があるのではないか。そのようなやはり考え方の上に立ちながら行なわなければ、この土地改良法が実際の問題として動かないのではないかという気が私はするわけでありまして、この水の問題きわめて重要な問題でありまして、中村先生もこの問題指摘しておりましたけれども、私は、特にいま、そういった意味から農林省の水に対するやはり真剣な取り組みというものが必要ではないか、このように思いますので、この点はひとつ局長、さらに大臣からも私は御意見をいただきたいと思います。
  162. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 先生、いま申されましたように、私ども検討会をやっている段階では、そういう学者の方にはそういう見解、意見を持っておられる方がございます。また、本質的に慣行水利権として非常に歴史的に長い一つの権利を得た水利権というのは、現実的にそういう解釈であるわけでございます。基本的な問題として、私どもは、その慣行水利権を今後どういうふうに、この複雑な内容、先生も御承知のとおりだと思います。非常に地域によって実態はまちまちでございますし、非常に複雑なこの権利の内容になっているわけでございます。それを現在、相当私ども実態調査をいたしておりますし、その上で基本的にひとつこの権利の内容、今後どういうふうにひとつ考えていくか、こういうことを検討をしたいと思っております。先ほど先生申されました検討会では、都市近郊と申しますか、そういった農業地帯の問題をとりあえず検討し、そういう慣行水利権的な基本的な問題については、今後検討していこうということになっております。で、この土地改良法改正で、今度他転を認めていくという場合に、スムーズにいきそうもないじゃないかという御懸念があろうかと思いますけれども先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、やはり河川法の現行の体系でやはり処置していく以外に方法はないわけでございますから、現在は他転します場合には、一応水は、現行の水利権を他転ずる場合については取り消して、新たに他転を受けるほうに設定していくということになるわけでございます。それがスムーズにいかないと、他転も、共有持ち分権を与えるというようなことをせっかく開いても、うまくいかないということになるわけですけれども、それを事前に建設省なんかとも十分相談してやっていこうという話も、現在建設省とはついておりますし、私は、そう運用がうまく円滑にいかないということは心配はしておりませんが、ただ、それじゃ水量をどの程度他転をするかという、そこの辺の問題が実は相当問題になろうかと思います。それをきちっと水量の測定等をして、これだけ残しておけば農業用水としては将来も見通して十分あるんだという判断をして、その残りを逼迫している上工水に回していくというようなことを納得ずくでやっていけば、これはうまくいくんじゃなかろうかと思っております。その水量の測定調査は農林省でやって、それに基づいてきめていくということになるわけでございますが、現実の運用としては、都道府県にそういった協議会的なものをつくらせまして、県、市町村、土地改良区、そういう学識経験者あるいは関係者の方々で、そういう運用が円滑にいくようにやっていこうということで措置することにいたしております。
  163. 工藤良平

    ○工藤良平君 私がこれほどまでなぜ強調するかと言いますと、確かに三十五条の「協議」という問題はあります。「協議」という問題はありますけれども、かつて四十二年の大干害の際に、私ども非常に苦しい辛酸をなめているわけであります。あの際に、非常に干害を受けたというのは、水源地域が干害を受けたので、下流地域ではなくて、ダムを目の前に見ながら、その周辺の水源地域というものがたいへんな干害を受けたという経緯がありますので、私は、この第三十五条による「協議」というものがあるけれども、第三十四条の解釈というものが、そういう解釈をするとするならば、今後大きな問題が出てまいりますので、この点については、特に農林省としての強い態度を私は望みたい。そうしなければ、せっかくこの開発計画をつくったとしても、たいへんな問題が起こるのではないか、このように思いますので、その点の指摘をしておきたいと思います。  さらに、これは先ほどもお話しがありましたけれども、水の汚濁が非常に進んでまいっております。悪いほうに進んでいるわけです。この問題をもっとたくさん詰めたいわけでございますけれども、ただ一点だけ——このような汚染がぐんぐん進んでまいりますと、御承知のように、作物には三要素が必要でありますけれども、その中で窒素が非常にふえるわけであります。窒素過多になるわけでございます。そうすると、作物に対する影響というのは、たいへん大きいわけであります。将来、やはり用排水の分離ということが当然考えられてくるだろうと思う。用排水の分離というのは、極端にいいますと、パイプライン方式等もあるいは採用しなければならぬのじゃないか。そうなると、これまたコストがたいへんかかるのではないかと思うんですが、将来にわたって、それらの構想なり、その際のやはり長期的な展望というものを当然私は、持っておかなければ、そう長くないうちに、これは起こってくるのではないかと思うんですが、農林省考え方を伺っておきたいと思います。
  164. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 御指摘のとおりだと思います。用排水で排水路が特に都市近郊とつながっている農業地帯、そういうところでは下水化するようなかっこうにだんだんなりつつあるというのは、御指摘のとおりでございまして、やはり基本的な方向としては、この用排水の分離ということを進めていきたい。で、先生もよく御承知のようにコストの面、これがなかなか高くつきますものですから、それとこの事業を促進します場合に、どの程度マッチしていくか、その辺が今後の一つのポイントだろうと思っているわけです。で、コスト低下のための研究も、これは当然しなければいけないことでございますし、できるだけそういう用排水分離の方向へ今後としては基本的に進んでいきたい、こういうふうに思っています。
  165. 工藤良平

    ○工藤良平君 次に、最近、圃場整備事業がたいへん進んでいるわけでありますけれども、工事のほうは進捗いたしたといたしましても、換地がなかなかこれに並行して進んでいかない、こういうようなことから、機械化その他の関係につきましても、実際上支障を来たすということがしばしば見受けられるわけであります。あるいは紛争のもとになっているということがあるわけでありますが、そのような意味から、換地技術者の現状あるいはこれからの待遇、これらの問題について一体どのようなお考えを持っているか、お伺いをいたしたいと思います。
  166. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 換地のおくれというのも、これも現実の問題として私ども頭をかかえている一つの問題でございます。現在、進捗状況を調べてみますと、要換地面積に対して、四割ぐらいは進捗していますけれども、まあ、六割ぐらいなかなかはかどらないという数字はございますけれども、これを何とか早くやっていかないと、御指摘のようにいろいろな問題でこれは差しつかえてくるわけです。一つは、登記所の事務職員が非常に足りないという問題がございます。これは私ども常に法務省に折衝しまして、人員をふやしてもらいたいという要望をして、これが非常に少ない人数でございますけれども、多少ずつはふやしてきていただいているわけですが、その程度じゃなかなか追いつかないということも、これは現実でございます。  それから、今回の改正で、まあ、通称換地士と私ども言っておりますけれども、国家試験を受けて、それでそういう資格を持った人、そういう人を優遇していく、たとえば法的にもそういう人の意見を聞くようなかっこうで仕組んでいるわけでございます。まあ、そういう国家試験を通ったような方が、現実に腰を据えて仕事に励めるようなやり方ということを、今後真剣に考えていかなければいけないのじゃないかと考えております。とりあえず、四十七年に五百人ぐらい、また四十八年にはもっとそれ以上国家試験でおそらく採用、国家試験にパスされるだろうと思いますが、それをできるだけ早くそういう資格を得させるということが一つと、それから、もう一つは、三千八百人か九百人、全体として換地の技術者の方三千八百人おられますが、県士連あるいは土地改良区、市町村、農協、農業委員会、こういうところに非常にばらついておられるわけでございます。できるだけ早く講習とか、あるいは実習とか、そういう一つ予算措置でそういうこともどんどん進めていって、早く国家試験を通るようにしていきたいということと、それからもう一つ、将来の問題として、やはりこういう換地の技術者の方を、これは県士連なんかにプールして身分の安定をはかる、また、必要に応じて出向いて手助けをするというようなことをやっていったらどうかという御意見を持っておられる方も非常に多うございますし、何かそういう方法を考えながら、今後の問題としてやはり換地技術者の身分の安定に即するようなやり方、これを真剣に実は考えていきたいと思っております。
  167. 工藤良平

    ○工藤良平君 いま一つの問題は、同じ技術屋の問題でありますけれども、先般、昨年の八月三日の公明党の宮崎委員の質問を私ちょっと聞いておったのですけれども、国営の第二田沢改良事業ですか、ここの工事の内容かきわめてずさんであるというような質問がありまして、私も速記録読み返してみたのですけれども、確かに技術的に土地改良事業の場合に非常にアンバランスが、私はあるような気がするわけであります。せっかくできたたんぼが、耕うん機を入れたら全く耕うん機が食いつかない、表面に大きな石があるというような、極端にいいますとそういうような状態があるわけであります。この点については、私は、農地法の改正のときに熊本県に参りまして、非常に感心したのですけれども、りっぱな圃場整備ができて感心しましたけれども、必ずしも全国的にそうではないような気がするのです。ですから、この点については、やはり土地改良事業における技術開発、これが非常に必要じゃないか。たとえば、具体的に申し上げますけれども、業者の指名においても、やはり農業土木の専門家のいない業者についてはオミットしていくと、こういうような措置が私はとられてしかるべきではないか。もちろん、これは法律的には困難でありましょうけれども、具体的な技術指導ということにおいて必要じゃないだろうかという気がするわけでありますが、現にそのような指導をなさっておるとするならば、あえて言う必要はないと思いますけれども、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  168. 三善信二

    政府委員(三善信二君) まあ、最近土地改良事業というものは、非常に伸びてまいりましたし、予算的にも、まだ少ないという御批判は仰いでおりますけれども、現実問題としては毎年伸びてきておる。事業量が伸びますと、やはりどうしても技術者の方が不足になるというのは、これは当然のことでございます。その場合に、やはり設計のやり方、そういうのを非常に簡便に機械化できる基準か何かつくってすぐやっていくという方法が一つある。そういうことは、いま本省でもむろん非常に研究しておりまして、一部実行してます。それと外部のコンサルタント、技術者をかかえておられるそういうコンサルタントの方で、協会等で非常にいいところがあれば、どんどんそういうところへ分業的に出していくということも、これも促進の一つでございます。やはり先生言われますように、いい技術者の方がおられないと、施工の面、設計の面、やはりいろいろうまくいかないという点は当然あろうかと思います。そういう面では、私どもも、県あるいは十分関係のところを指導していきたい。入札のやり方等も、そういうことも一つの案であろう、方法であろうと私も個人的には思っております。
  169. 工藤良平

    ○工藤良平君 それはさっき塩出委員から質問がありましたけれども、せっかく十カ年計画——これは私は十分ではないと思います。道路整備五カ年計画あたりに比べますと、これは話にならない小さな問題だと思っているのですけれども、もっともっとやはり大幅な大規模の土地改良計画ともいうものを出すべきだと思うのですが、そういたしますと、さらにこの技術関係が追いついていかないという状態が出てくるだろうと思うのです。そういう意味から、このせっかく基盤整備をやることはいいとはわかっているのですけれども農民がなかなかついてこない、食いつかないということ、これはやっぱりそういった面が多分にあるわけであります。私は、やっぱりその点については農林省としてもできるだけ、これは法律でそういうことをしようということではなくて、やはりこれからの運営として当然指導すべきではないだろうか、こういうふうに思っておりますので、その点については、ぜひ御配慮いただきたいと思います。  それから次に、土地改良事業農民負担の問題であります。これはまあ、技術の問題とあわせまして、農民負担の問題が非常に大きな問題だと思うのでありますが、水田の圃場整備について具体的に、たとえば四十年、四十三年、四十六年と、こう水田の圃場整備の十アール当たりの単価というものを出してみると、一体どのような推移をたどっているか。もちろん、これはそれぞれの立地条件によって違いましょうけれども、平均的には農林省としてはどのように把握しているか、ちょっとお聞きしたい。
  170. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 圃場整備事業費を例にとって申し上げますと、四十年ごろからの数字でございますが、反当の事業費、四十年が六万八千円、四十二年に八万三千円、それから四十五年に十二万六千円というふうに反当の事業費というのは非常に上がってきております。
  171. 工藤良平

    ○工藤良平君 それに比較して、たとえば生産者米価の推移というのはどういうふうになっておりますか。
  172. 三善信二

    政府委員(三善信二君) これは四十年の六十キロ当たりの価格でございますが、六千二百二十八円、それから四十二年、七千五百九十二円、四十五年に八千百五十二円、四十六年は八千四百八十六円、こういうふうになっております。
  173. 工藤良平

    ○工藤良平君 いまお話しのように、この十アール当たりの事業費は、四十年に比較をいたしますと約倍になっておるわけですね。米価のほうはなかなかそう伸びていかないわけです。これはもちろん据え置きという問題もありまして、他の農外所得によってまかなっておりましょうけれども、この圃場整備関係から見ると、非常に出費がかさんで、収入が停滞をしているという状態があるわけですね。したがって、私は農民の負担というものが非常に過重になってきているということが言えるだろうと思うんです。これを一体どういう形で救っていくのか、これからの土地改良事業の問題で、大きな問題ではないかと思うのですが、そのためにはやはり何といいましても補助率の引き上げ、さらに補助残に対する融資の金利、現在六分五厘ですか、これを少なくとも私は、三分五厘金利のワクをさらにふやしていくという、これは借りかえされるほうから利子補給をすればいいわけだと思うのですけれども、この点について私ぜひやはり考えていかなければ、さっき言ったように十カ年計画出したとしても、やはりこのような状態で工事費のほうは倍額で進んでいくし所得は上がらないということになると、私は問題だと思いますので、この補助率の引き上げ、さらに補助残に対する金利の引き下げですね、この点についてやはりきわめて積極的なこれは大臣のほうからの御答弁をいただきたいと思います。
  174. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 御意見は私もごもっともに考えています。ちょっと余談になりますがね、私はこういう提案をしたことがあるんですよ。米価の問題、土地改良したところの米は高く買えという提案したことがあるのですよ、土地改良するくらいの、それだけの貢献をしているところの米は高く買え。ところが、土地改良できないようなところの人がそれじゃ不公平じゃないかということで、この案はだめになりましたけれども、しかし、今後農民の負担というものは軽減する、この点につきまして、いまのお話のように補助残の利率などだんだん下げるようにしなくちゃならぬと思います。いますぐに請負ってどうするということは申し上げられませんが、十分検討してそういう方向へ進むように骨折ろうと思っています。
  175. 工藤良平

    ○工藤良平君 ぜひ私は、大臣に期待をいたしたいと思います。  これは、私の若干の提案でありますけれども、時間がちょっと延びますけれども、お許しをいただきたいと思うのですが、きょうも食糧庁長官に出てきていただきましたのは、私はそこに含みがあるわけであります。今度、物統令を廃止いたしまして、米は、小売り価格は自由になった。もちろん政府の保有米はありますけれども、これは一俵七千五百幾らということで卸に売られて、亀井先生おりましたらたいへん失礼でありますけれども、お許しをいただきたいと思うのですけれども、私は、これ問題になりますのは、一俵七千五百幾らで卸に売却されたものが、標準価格米では千五百二十円で売るわけでありますけれども、それが十キロ当たり二千円で売ろうと二千二百円で売ろうと自由であります。それを同一の売却価格にすること自身、私たいへん問題だと思っているのです。どうせ物統令を廃止するならば、私は米の品質に応じて売却価格は差額をつけるべきだ。ただ、千五百二十円の米については七千五百幾らで卸してあげますよということは当然だと思う。したがって、私は配給の消費のやり方として、クーポン券を出して、米屋さんが千五百二十円で売ったものについては七千五百円で卸しましょう、こういうことが私は当然ではないか。いま六分五厘の金利を、補助残で三分五厘にした場合に、一体どのくらいの金が要りますか、食管会計で。いまいう卸に売却すると、米屋さんにもうけを持っていかれるわけですよ。一般会計から繰り入れる二千七百億のうち、おそらく三分の一か四分の一くらいはいま米屋さんがもうけているんじゃないかと思うのです。この前、分科会で食糧庁長官議論しましたけれども、実際に消費者が受けている米の割合を見ますと、配給が五二%で、あとがいわゆる自由米だと、こういっているんですから、米は全部政府が買い上げているから、一体だれがどこでもうけたかというのは歴然とするわけなんですよ。その点でこの前から何べんも聞くんですけれども、釈然としないのです。たとえばそのうちの三百億でもいいから利子補給をしたとするならば、私は、かなり大幅な補助残に対する金利の引き下げが行なわれるんじゃないか。これは簡単な、議論になって申しわけありませんけれども、そう簡単にはいかないと思いますけれども、私は、一つ考え方として、どうせ物統令をはずすとするならば、その金が中間に流れていったんでは、私、意味ないと思うんです。実際消費者は、私ども三千二百円で米買っているわけです。米屋さんに行ってみなさい。千五百二十円というのは黒板のすみっこにちょこっと書いてある。あとはみんな高い米なんです。私はそういう意味で、これはぜひ配給の制度について、クーポン券を発行するなりして、これは売却の価格というものに格差をつけるべきだと、もしそれができないとするならば、もとに戻すべきだと思いますが、その点、食糧庁長官、どうですか。横道にそれますけれども、ちょっと一言だけ聞いておきたいと思います。
  176. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 御指摘のようなことから申しますと、切符制度を復活するということになると思いますけれども、御承知のように、過去数十年来切符制度というものをやっておりますが、どうもこれがいまの時代に必ずしもマッチしておらないという実情がすでに発生しておるわけであります。もちろん現在でも、本来購入手帳というもので売るたてまえになっておりますけれども、実際のいまの慣行として、必ずしもそれが十分できておらないという面も、私ども非常に遺憾に思っております。ただ、物統令を撤廃いたしましても、実際の米価の動きを見ましても、物統令があったときとほとんど変わっておらないという実情にございます。また、自主流通米は前から物統令の適用がございませんので、これは価格が自由になったからといって、米屋がかってに高い値段をつけて売るということではないと思います。当然、これは新規の小売り業者の参入というものも相当あり、そういうものによって競争ということで、むしろ競争上自分がかってに高く売ろうと思っても、それはかえってだれにも相手にされないということになるわけでございます。また、コストの面から見ましても、大型精米によるコストの軽減ということもかなり進展をいたしておりますので、法律上の制限はなくなったけれども、実際上の価格のあり方というものは、やはり妥当な価格が生まれるような経済環境をつくり出していくという方策をとっておるわけでございまして、決して米屋自分だけの意向で、法律がなくなったから上げて売れるんだという結果には、実際にもなっておらないと考えております。
  177. 工藤良平

    ○工藤良平君 この問題は横道でありますから、私は長官とまた後日、日をあらためてゆっくりと議論したいと思うのですけれども、毎日の、私は米の動きを見ておるわけでありますけれども、九千幾らでやはり売買されておるわけですね、いわゆる卸売りの段階で……。ですから、長官そういうことを言いますけれども、これは一ぺんデータをしっかりそろえて、あなたとゆっくり議論をして、その実態をはっきりさしたいと思いますけれども、一応その点は申し上げておきます。  最後に、これは阿蘇・久住飯田地域以下数地域について全国的に広域農業開発の問題が進められておるようでありますけれども、この大規模な畜産基地開発のための調査がすでに行なわれておりますが、県ではすでにこの先発として一部進めているわけでありまして、農林省としてはこの調査がどの程度進んでいるのか、これはやっぱり早く方針を出して進路を与えていかないと、農家の皆さん非常に生産意欲を喪失をしてまいりますので、私は、そういう必要があるんではないかと思いますが、一体いつごろ済んで、いつごろ事業化できていくのか、おおよそのめどというものを私は、明らかにしていただかないと、すでに先発地域としては進んでおりますから、その点もしわかりますならば、明らかにしていただきたいと思います。
  178. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 阿蘇・久住飯田の広域未開発地域開発につきましては、御承知のように、四十七年度で一応調査を終わることになっております。それで私ども本省から人をしょっちゅう派遣いたしまして、また、農政局からも現地に参りまして、現地の調査事務所あるいは児、それから最近は市町村長、これは十数カ市町村長関係しております。市町村長や農協長、常にだいぶ精力的に打ち合わせをしながら、一体この地域開発をどう持っていくのか。現地では一番最初出てきましたのは、何か大規模の農道みたいなものをつくってくれという話が出てきたんです。正直なところそれじゃ困る、早くはっきりした畜産の大基地建設をやるんだということで、久住飯田地域は、肉牛の大体昔からの生産地でございますが、酪農といってもなかなか思うようにあの地域ではそうなじまない。やっぱり肉牛の生産ということで、ひとつしぼって、どの程度今後いけるか、そういうことをいま地元の農家も含めた、そういう方と相談をしているところなんであります。ごく最近の、先週の話でございますけれども、現実的な話で恐縮でございますけれども、九州農政局がもう少し現地の方々が積極的な——こうしたいと、こうするんだという抽象的なことじゃなくて、経営の面も含めて具体的に何か案をひとつ出してもらいたいというようなことも含めて相談をしている段階で、基本的にここで開発事業をやります場合に問題になりますのは、先生も御承知のように、入り会い権の問題でございます。大体七 〇%以上、八〇%近く入り会い権の地帯でございます。この入り会い権の解消をどういうふうにやっていくのか、借り上げの方法もありますでしょうし、また、買い上げの方法もありますでしょうが、いずれにしてもそれをやるにつきましては、市町村がもっと真剣になって取っ組んでもらわないと、なかなかうまくいかないという問題もあります。その問題と肉牛の生産、それをどこまでどう割り切っていくかと、まあ、小さな地域であれば、これは簡単にまとまると思いますけれども、相当な広大なまあ、四万ヘクタールぐらいを考えたらどうかということで私ども進めております。そういうことで、できるだけ早く一つの対策といいますか、考え方といいますか、地についた具体的な案をつくりたいと思って、いま、努力をしているところでございます。御承知のように、全国四カ所、これの調査をいたしておりますし、すでに北海道の根室地区につきましては、四十七年度から一部自主設計にも入っておりますし、内地では北上・北岩手それから阿武隈・八溝、この地区は調査期間ももうちょっとずれますので、一番早く調査が済むのは阿蘇・久住飯田でございますから、この地域を何とか見通しをつけたいと思って、鋭意やっているという段階でございます。
  179. 工藤良平

    ○工藤良平君 たいへん時間が過ぎますけれども、この問題については、これからの農業開発の非常に私は指標となるのではないかと、実は思っているわけであります。そういう意味から土地さらに水、すべての面で立地条件もそろっているようでありますので、非常に広域でありますが、問題は、いま言った入り会い権の問題等も部分的にはあるのでありますけれど、、やはり広域的な開発という点については、先ほど冒頭に申し上げましたように、総合的な開発というものが、今度の土地改良法一つの大きな柱にもなっているので、あるものは国営、あるものは県営、あるものは団体営、こういう形ではなくて、やはり広域的な二万町歩なら二万町歩の開発をするとするならば、それを全体的にやはり国の大きな計画の中で同じような条件のもとに進められていく、こういうことが実は非常に大切ではないかと、このように思っているわけで、との点については、さらに県なり、あすこには事務所もあるようでありますから、私ども現地に入りながら具体的に検討をし、さらに、いま停滞をしている農家の後継者などがやはり農業をよりどころにしてやろうという意欲を持ちつつある新しい現象も出つつあるわけでありますから、私はやはりこの芽を最大限に生かして広域開発を目ざす、それが日本農業のこれからの一つの指標になるのではないか、このように思っておりますので、ぜひこの点については局長並びに大臣のほうからも、ひとつ積極的な展開と御指導をいただきたい、このように思います。
  180. 三善信二

    政府委員(三善信二君) 私たちが考えておりますのも、まあ、従来の手法でこれを開発していくといっても、なかなかこれは無理なことですし、やはりもっとわれわれがいままでやってきた以上に、大きな角度から総合的に開発をしていきたいということで考えているものですから、そこで構想が多少大き過ぎるかもしれませんので、地元はなかなかそこまでついてこれないという点もあろうかと思います。やはりこれは要は農家の方々がほんとうにどこまでついていけるかということを真剣に考えていただければ実現ができることと思いますので、そういう点、なお農家、市町村の方あるいは農協、そういうところともっと積極的に折衝をしながらできるだけ早い機会に、できれば私、二、三カ月内に一つのめどをつけたいというような感じで実はいるわけでございます。なかなかそこまでいくかどうかというのは、まあ今後の問題であろうと思っております。
  181. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 広域の開発につきましては、私の考えている一つの団地構想の一環としての重要なものでございまするから、いま農地局長の言うように、ぜひ強力に早く進めたいと、こう思っています。久住飯田などにつきましては、私も前から関係しておりまして、中央畜産会長として木下知事が明治百年祭の記念事業としてやりたいという私に相談がありまして、私もあそこに行ってずいぶん見たこともございます。入り会い権の問題がきまらないとこ——れは冗談半分の話ですが、私は、入り会い権がきまらなければ、だれか税金を滞納して、そうして滞納処分やって、だれかにぱっとこう落札させて、そうすれば入り会い権片づいちゃうのだから、そういうような方法をやれないかということを言ったことがあるのですが、どうもそれもむずかしいということでしたが、まあ、そういうような冗談でございますが、とにかくいま農地局長が言っておるように、これはぜひ調査も早く進め、実現に移したいという気持ちを持っております。
  182. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。    午後五時十二分散会