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工藤良平君 近ごろ、特に
農業に対しましては、貿易の自由化という大きな外圧というものがますます加わってきております。そういった
意味から、
日本の
農業への、たとえば価格支持
制度の問題、こういう問題が非常に大きな問題として提起をされているわけであります。あるいは国内的にも、製造部門の
国際競争力の強化のために、
農業部門の
生産力の
向上、特に安い低廉な農産物を供給をしていくという任務、そういうものがより一そう
要請をされ、いわゆる労賃コスト軽減という
意味からもたいへん大きな問題として提起をされてきているわけであります。それはますます圧力は加わるというように見なければならないと思うんであります。
しからば、そのような外圧にわれわれがどのように対していくのか。国際的に見て、
日本の農産物がきわめて割り高であるというようなことから、
農業というものを放棄していいのかということになりますと、これは全く論外だと私は思っておるわけであります。そうすると、私
どもがそのような外圧あるいは国内における低廉な農産物を供給して賃金コストを下げていこうとする大きな圧力の前に、どのような方策というものを考えたらいいのか。もちろん、それは、たとえば機械化の問題もありましょう、あるいは経営
規模をさっき申し上げましたように拡大をするという行き方もありましょう。これはただ単に
面積だけということでなくて、やはり立体的に
土地を
利用するという
意味からも、拡大ということはもちろん含まれると思います。それから
土地生産性の
向上ということですね、これは
土地改良事業を
中心としてそういうことになると思いますが、このような方法が考えられてまいります。そこで、さっき
局長からもちょっとお話がありましたが、特に今日まで進められてきた
日本の
土地改良事業というものが、主として
水田ということに置かれてきた。しかし、それは
農業の多様化という
意味において、畑地の
生産性向上のために、いろいろな
土地改良事業が行なわれておるのであります。圃場
整備あるいは水の開発、安い水を安定的に供給できるような態勢というものがとられつつあります。私も昨年参議院の農水の調査で鳥取、島根のほうに参りましたけれ
ども、あの砂丘の
地帯で、ラッキョウを植え、あるいはナガイモを集団的に栽培することによって、従来出かせぎ農家であった農家が、逆に百五十万、二百万という収入をあげる
専業農家に転化をしたという
実情も見まして、いわゆる水の
農業への有効的な開発によってどのような
農業が生まれるかということを現実に見てきたわけでありますけれ
ども、そういう
意味から非常に新しい技術開発によって新しい
農業というものが見出され、取り出されているということになるわけですね。そういう
意味から、特に
水田では、かん排水方式の
改善というものがいかに大切なものであるか、こういうことも実証されております。さっきちょっと
局長も触れておったようですけれ
ども、私もかつて何年か前ですが、この水稲の稲の問題で
議論をしたことがありますが、たとえば、みな刈りすれば、六百キロ取れる圃場を、周囲をずっと回りを二列だけ坪刈りをすると、それが十七石とれるというような計算が出るんだという話をある学者の
先生から聞きました。私
どもは、それが現実に可能であるというやはり目標を立てて、このみな刈り六百キロを十七石とれるような努力をして、そのための研究をしてまいりました。その研究をした結果、どこにそういう関係があるのかというと、それはいわゆる土壌の上の部分と、いわゆる下にはえる根の部分の相関関係によってきまるのだと、それはさらに突き詰めてみると、いわゆる土壌改良の中において地下水の水位が一体どこにあるのかということによってその作物の生育、収穫というものがきまるのだということを私は聞いたことがあるのでありますけれ
ども、そのことは特に
水田のかん排水方式の
改善というものが、そういう
土地を多角的に
利用できるという、しかも高収穫をもたらす
水田として
利用できるということですね、そういう実証というものがなされている。ということになると、やはり水秩序の
改善あるいは個別圃場でのそういった自由な用水操作の実現ということ、こういうことが技術的な問題としては、きわめて重要な問題となってくる、このように私は思うわけでありまして、そういう
意味からやはりこれからの
農業の中における特に
基盤整備について、いまウエートが畑地かんがいなり、あるいは果樹に対するそういった団地形成の中における
土地改良事業が相当積極的に進められておりますけれ
ども、もっとも
水田地帯というのは平坦地が多いわけでありますから、その
土地改良というものが途中で打ち切られて、こちらにウエートが移ってしまうということになると、これまた
日本農業に対しては、大きな問題があると思うのです。ですから、本来やっぱり平坦地の
基盤整備というのが一番やりやすいわけだと思うのです。そういう
意味で、これを徹底的に早急にまず態勢をとり、もちろんそれと並行的に私がさっき言った
山中部に対する
農業の方向というものを打ち出していかなければならぬと思いますけれ
ども、そういう点に対して、その
考え方はどうなんですか。そうしないと、たとえば米の
作付制限が行なわれる、もう
水田の
土地改良事業なんというものはということで、やはり農家そのものが非常に
土地改良事業に対する意欲を失うという
状態が起こっておる現実を私は知っておるだけに、非常に
考え方として重要じゃないか、このように思っているわけで、その点もお聞きをするわけです。