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1972-04-13 第68回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  四月十二日     辞任         補欠選任      村尾 重雄君     向井 長年君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         高橋雄之助君     理 事                 園田 清充君                 中村 波男君                 前川  旦君                 宮崎 正義君     委 員                 梶木 又三君                 小林 国司君                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 初村瀧一郎君                 星野 重次君                 山崎 五郎君                 川村 清一君                 工藤 良平君                 辻  一彦君                 塚田 大願君                 中村 登美君    国務大臣        農 林 大 臣  赤城 宗徳君    政府委員        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        外務省欧亜局長  有田 圭輔君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林大臣官房長  中野 和仁君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        農林省農政局長  内村 良英君        農林省畜産局長  増田  久君        農林省蚕糸園芸        局長       荒勝  巖君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    太田 康二君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省農地局参        事官       住吉 勇三君        運輸省海運局外        航課長      山地  進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十七年度農林省関係施策及び予算に  関する件)     —————————————
  2. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十二日村尾重雄君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。     —————————————
  3. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。赤城農林大臣
  4. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  農業災害補償制度につきましては、制度創設以来、農業経営の安定のため多大の寄与をしてまいったことは御承知のとおりでありますが、近年における果樹農業の著しい進展と農業生産に占めるその地位の重要性にかんがみ、その健全な発展経営の安定をはかるため、果樹農業についても本制度対象とすることが強く要請されるに至っております。  政府におきましては、このような事情にかんがみ、昭和四十三年度以降果樹保険臨時措置法に基づいて果樹共済制度化のための試験を行なっているところでありますが、その試験期間昭和四十七年度をもって終了いたしますので、その実績を踏まえて、昭和四十八年度から恒久的な果樹共済制度を創設することとし、この法律案を提出いたした次第であります。  次に法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、果樹共済種類及び実施体制でございます。果樹共済につきましては、果樹の永年性作物としての特性にかんがみ、年々の果実の収獲を対象とする収獲共済樹体そのもの対象とする樹体共済の二種類といたしております。また、この事業実施は、農作物共済等の場合と同様に、農業共済組合または市町村共済事業農業共済組合連合会保険事業及び政府の再保険事業により行なうことといたしております。  第二に、対象果樹につきましては、温州、ミカソ、ナツミカン、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃その他政令で指定する果樹といたしております。  第三に、果樹共済内容でございますが、収穫共済につきましては、風水害等災害によって生じた果実減収等が三割をこえた場合に、樹体共済につきましては、これらの災害による樹体枯死流失等によって生じた損害が一割をこえた場合に、それぞれ、その減収または損害程度に応じて、共済金を支払うことといたしております。  第四に、果樹共済加入方式でございます。果樹共済への加入は、農業者任意といたしておりますが、事業の安定的な運営ができるよう、農業共済組合等がその旨の議決をした場合には、関係農業者がこれに加入する義務を負うこととする道も開いております。  第五に、共済掛金国庫負担でございますが、農家負担の軽減をはかるため、共済掛け金の二分の一を国庫が負担することといたしております。  第六に、農業共済基金業務範囲の拡大でございまして、基金は、果樹共済共済金等支払い円滑化に資するため、必要な資金融通等ができることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  5. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に補足説明を聴取いたします。小暮農林経済局長
  6. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。  まず第一に、果樹共済実施体制でございます。果樹保険臨時措置法による試験実施におきましては、農業共済組合連合会保険政府の再保険による二段階制により運営いたしておりましたが、今回の果樹共済におきましては、事業の円滑な実施をばかるため、農業共済組合または市町村共済の元受けをし、これを農業共済組合連合会保険し、政府が再保険する三段階制で運営することといたしております。  なお、果樹共済事業またはその保険事業は、各地域果樹農業の実態に応じて選択実施することができることといたしております。  第二に、果樹共済種類は、収穫共済樹体共済の二種類といたしておりますが、これらの内容は、まず収穫共済につきましては、果樹種類またはその品種等による区分ごとに、風水害等自然災害、火災、病虫害及び鳥獣害による果実減収または品質低下によって農業者のこうむった被害が三割をこえた場合に、共済金額にその損害程度に応じて定められる支払い割合を乗じて得た金額共済金を支払うことといたしております。なお、品質低下による損害につきましては、果実品質程度を適正に把握できる地域として主務大臣が指定する地域に限って共済金支払い対象にすることができることといたしております。  次に、樹体共済につきましては、果樹種類またはその生育の程度による区分ごとに、これらの災害による樹体枯死流失等によって農業者のこうむった損害が一割をこえた場合に、損害額共済金額共済価額に対する割合を乗じて得た金額共済金を支払うことといたしております。  なお、共済金額につきましては、収穫共済では基準収穫金額の七割を、樹体共済では共済価額の八割をこえない範囲内で、農業者が選択することといたしております。  第三に、果樹共済共済関係につきましては、農業者が、果樹種類ごとに、その共済事業対象となっている果樹のすべてについて申し込みをし、組合等がこれを承諾することによって成立する仕組みといたしております。  第四に、本制度における責任分担につきましては、組合等がその共済責任のうち一〇%を歩合で保有し、残りの九〇%を超過損害歩合保険方式により農業共済組合連合会政府分担することといたしております。なお、この場合の超過損害歩合保険方式は、農業共済組合連合会保険責任のうち異常責任部分に対応する部分の九五%を政府が再保険することを内容といたしております。  第五に、共済掛け金率につきましては、農林大臣が過去の被害率を基礎として定める基準共済掛け金率を下らない範囲内で組合等定款等で定めることといたしております。  第六に、果樹共済についての政府の再保険事業の経理は農業共済保険特別会計において行なうものとし、同特別会計果樹勘定を設ける等農業共済保険特別会計法につきまして所要の規定の整備を行なうことといたしております。  最後に、本制度実施時期でございますが、現在行なっております果樹保険臨時措置法による試験実施期間昭和四十七年度限りとなっていること等を考慮して、昭和四十八年度からといたしております。  以上をもちまして農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案提案理由補足説明を終わります。  なお、引き続きお手元にお配りしてございます関係参考資料について簡単に説明さしていただきたいと思います。  第一ページでございますが、「農業共済事業現況」を図示いたしております。農作物共済——水稲、陸稲及び麦——蚕繭共済、それから家畜共済、以上が必須共済でございまして、そのほかに任意共済事業がございます。  それから、二ページでございますが、「果樹農業概況」ということで、「主要果樹栽培面積推移」を表にいたしてございます。温州、ミカンが、昭和三十五年を一〇〇とし四十五年で二五八、以下主要樹種ごとにそれぞれの栽培面積の増加の状況が図示されてございます。  三ページには、これに照応いたします「主要果樹収穫量推移」を表にいたしてございます。  それから、四ページに経営規模別果樹農家概況を図示いたしております。農業者全体が次第に兼業化していく中で、果樹関係農家専業率が比較的高いということがこの資料からうかがい知れると思います。  五ページには、「果実農業生産に占める割合」を図示いたしてございます。昭和三十五年に農業生産の六・三%でございました果実が、昭和四十五年は、概算でございますが、九・四%ということに相なっております。  それから、六ページにまいりまして、「果樹保険試験実施実績」でございます。延べ五十県につきまして四百十の区域について試験実施をいたしました。四万九千九百十四戸の農家がこの試験実施に参加いたしまして、全成園面積の約六%に当たります一万二千二百七十一ヘクタールについて試験実施が行なわれました。  七ページは、これにかかわる支払い関係でございます。  八ページに、今回御提案申し上げました果樹共済制度仕組みを一応図示いたしてございます。  九ページは、先ほど申し上げました責任分担関係、これを図解いたしてございます。  それから、十ページに主要果樹の花芽の形成期、あるいは果実収穫期等、これは保険期間、あるいは樹体被害等のものがございます。  最後のページにまいりまして、農業共済基金資金状況を図示いたしてございます。一番下の欄をごらんいただきますとわかりますが、約四十九億円の基金を持っておりまして、そのうち長期の貸し付けに二十三億が向いておりますが、短期の運用をいたすことができるものが約二十七億、こういう現況でございます。  以上でございます。
  7. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  8. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 次に、昭和四十七年度農林省関係施策及び予算に関する件を議題といたします。前回に引き続きこれより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 梶木又三

    梶木又三君 農業団地から御質問を申し上げようと思っておりましたが、官房長お見えになりませんので、ことしから設定に入りました緑農住区に関して若干お尋ねをいたしたいと思います。  四十七年度から緑農住関係関連事業あるいは農業用水合理化対策事業、こういう、何といいますか、都市化が非常に進んでおる地帯でのそれとの調和といいますか、対応策としての基盤整備がやられたということで、私も非常に喜んでおるものでございますが、御承知のように、だんだんスプロール化が進んでおる、こういうものを防止する観点からも何とか都市近郊での土地高度利用をはかる、こういうことで緑農住区の仕事を待っておったわけでございますが、ただ、この土地改良法は現在改正案が出ておりますがまだ通っていない、こういうことでやりにくい面もあろうかと思うのですが、構想として今度考えられておるのに市街化区域も含めて、調整区域市街化区域と合わせて緑地帯、それから住宅地帯、こういうことを分けてやるということでございますが、何かこの市街化区域制限区域があるのかどうか。というのは、全体を一〇〇として市街化区域が何十%以上あれば、これはとてもできないとか、そういう制限をつけられておるのかどうか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  10. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 緑農住事業につきましては、ただいまお話しございましたように、市街化区域一体として土地利用計画考えるのが当然でございますが、ただいまのところ、市街化区域農業調整区域との割合というようなものは考えておりません。市街化区域内におきましては、都市計画事業に基づいた都市区画整備事業等でやっていただきまして、農林省のたてまえといたしましては、市街化区域外仕事農林省のほうでやる、そういういうな仕組みになろうかと思います。
  11. 梶木又三

    梶木又三君 それはわかるんです。その市街化区域内で住宅関係仕事、これを他の関係のところが実施される、これはわかるんですよ。ところが換地等一つ事業区域として考える場合に、市街化の中では、いまあなたがおっしゃるように、都市部局なりいろんなところがやることは、これはわかるんです。総合してやるわけでしょう。道路にしても、それから換地も、そしてたとえば市街化の中で公共用地とか、そこの人が今度逆に調整区域に出てきて農業を続けたいというような場合もあるわけですよ。そこでいろんな関係があるから、私の言うのは、仕事をどうするじゃなくて、その一つ緑農住区として区域を設定するのに割合がないかということなんですよ。そしていまお答え考えていないという御答弁なんだけれども、ということは、幾らでもいいかというと、全部市街化じゃこれはとてもいまの土地改良法あるいは農林省立場等から見てだめだということは私はわかるんですが、極端な言い方をすれば、調整区域が一〇%で市街化区域が九〇%でもいいか、こういうお尋ねなんです。
  12. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) ただいま市街化区域との割合はどうかというような御質問でございますが、現在考えておりますのは、市街化調整区域内における緑住区をここにつくろうという場合には、団地規模は二十ヘクタール以上を一つの例に考えております。別に比率どの程度というのは、現在考えておりません。
  13. 梶木又三

    梶木又三君 私の言うのは、住区の二〇ヘクタール未満とか、そういうことじゃないんですが、それじゃそれはそのままにしておきますが、これは初めての仕事ですから、いろいろ制度上でむずかしい問題があると思うんですが、これは私も理解できますが、いずれにしても、農林省単独でできる仕事ではございませんから、一番関係の多い建設省都市局とこれは密接な関係がないとうまく仕事が進まないと思うわけなんですよ。そこで、ことしは直接事業の着工をやっていく段階じゃないんで、設計段階ですからいいんですが、しかし、設計をやるについても、都市局との間に中央段階で、農林省のほうと建設省のほうでうまく調整をしておいていただきませんと、末端都市部局のものと農林部局のものとで話し合いをいろいろつけろ、こう言われても、中央段階大筋がついていないと、なかなかうまくいかないと思うんですよ。末端じゃ、いまのままぼっと出して、おまえらは話つけてこいと、こう言われますと、末端では非常に混乱が起きる、こういうふうに考えますので、これは要望に近いんだけれども、何とか早く建設省都市局といろんな面で調整をしていただいて、特にアロケーション方式なんですよ、市街化外道路もある、それから排水路もある。ところがこの排水路市街化排水路でもあり、同時に農業排水路でもあるわけですから、一番問題になるのはアロケーションなものですから、この設計段階調整つけていただいて、どういう方法でやるんだという大筋を一応中央段階で立ててもらって、それの指示に基づいて末端が動かぬと、なかなかやりにくい面もある。これは事業実施に取りかかる前に、調査段階設計段階でやっていただくと設計そのものもうまくいく、そういうことでございますので、それに対して何か都市局のほうと話を進めておられるかどうか。もし進めておられるなら、いまどういう段階にあるか、これをちょっとお尋ねいたします。
  14. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) いろいろ新しい考え方に基づく事業であるのでありますから御心配をかけておりますが、この緑農住開発につきましては、都市における最近の生活環境の悪化とか、あるいは都市近郊地帯スプロール化によって、農業都市との間の調和のある発展、これを期するために生活環境整備するという観点から、これは農林省一省ではこれはできないわけであります。建設省と、特にいまおっしゃるように都市局あるいは住宅局、そうしたところとも話し合いを進めながら推進をしていかなければならない、こういうことで、実はいま申し上げましたような建設省都市局あるいは住宅局、私ども農林省側といたしましては農地局農政局あるいは官房企画室とか、そうしたところのスタッフと学識経験者を含めて、緑農住開発事業実施について、具体的な進め方をひとつ検討していこう、このために緑農開発計画調査委員会というものをつくりまして、そしていま検討いたしておるところであります。そういうことでございますので、この調査委員会もとにして、遺漏のないように両省で具体的に話を進めていきたい、かように考えております。
  15. 梶木又三

    梶木又三君 政務次官のいまの御答弁大体わかりましたですが、いまのお話の中の調査委員会ですね、これはどういうふうな構成になっておるんですか。
  16. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) いまほどもちょっと出ましたように、建設省側では都市局それから住宅局、私どものほうでは農政局農地局官房企画室、それに加えて学識経験者、これらを含めて二十三名からなる委員会でございます。
  17. 梶木又三

    梶木又三君 できるだけ早く、ひとつただいま申し上げましたアロケーションとか、いろいろな面で調整をお願いいたしたいと思うわけでございます。  そこで市街化区域が含まれて、その中で住宅関係仕事あるいは公園緑地、こういうようなものは、他の部局がつくる、これはわかるわけなんですが、先ほども申し上げましたように、農道の延長になるような、いまの一つ緑農住宅になっておるんですから、調整区域市街化区域の境界で、こっちは緑農住仕事でやる、こっちは市街化だから市街化道路、こういうように分けられないと思うんですよ。ずっとアロケーションの問題もあると思うんだけれども、これは一例ですが、そういう道路とか水路、いろいろなものがあると思うんですが、市街化区域内で、それでアロケーションは別にして、農林サイドといいますか、農林省で一応この予算を計上して、緑農住区の関連基盤整備だということでやれる仕事範囲ですな、仕事種類範囲、これはどういうものがあるか御答弁願いたいと思います。
  18. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) ただいまの御質問の前に、先ほどの御質問に対しまして答えが十分じゃなかったようでございますので補足させていただきます。先ほど質問市街化区域を含めた場合に、その比率はどうかというような御趣旨であったようでございますので、市街化区域を含めましたこの緑農住区におきましては、市街化区域内の面積対象面積の三〇%以内というような線で考えていきたいと思っております。  なお、ただいまの御質問に対しまして、市街化区域内で農業サイドでどういうような事業ができるかというような御質問趣旨かと思います。先ほどお話ございましたように、周辺農用地との関連農道とか、排水路と、その周辺農用地整備とか、保全関係でこれと関連する事業、また換地等土地権利調整、こういう事業市街化区域内におきましても農林省実施する必要があるのではないかと、そういう方向で検討中でございます。
  19. 梶木又三

    梶木又三君 市街化区域の話でいまお答えがあったんで、もとへ話を戻しますが、先ほどお答え考えていないと言うから安心しておったんですが、三〇%ということになると、何かそこに残された区域を、やはり一律に考えないとうまく計画が立たないという面があるんじゃないですか。三〇%というのは、えらく少ないような感じがするんですがね。これをもっと、せめて五〇とか、ほんとうなればぼくは野放し、野放しというとちょっと言い過ぎですけれどもね、もう少し率を上げていただくというようなお考えはないですか。これ、何か要綱か何かきまるわけなんですか。
  20. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 先ほど申し上げましたのは、一応要綱をまとめたいという方向で検討しておるわけでございます。  ただいまお話はございましたけれども、やはり緑農住地区主体農業振興地域となっておりまして、市街化区域に隣接したところでは、一部緑往とか、その他の関係市街化区域内とも一体となってやる場合もあり得るというようなことになっておりますので、一応やはり農業関係面積主体になりまして、市街化区域を従というような考え方、三〇%程度というような考え方でいまおるわけでございます。
  21. 梶木又三

    梶木又三君 いや、農業の面を少なくするとか、市街化区域市街化区域といいましてもね、私は決して都市企業ばかりであると、こんなこと言っているんじゃないんですよ。市街化区域内でもこれからは、みなし課税のときもたくさん話が出たように、生産緑地を残していく、むしろ今後それを、緑の地帯を残していこうということが強く叫ばれておる時代だから、それで小さな面積でも蔬菜とか花とかつくって、市街化区域でも農業をやるところがあるわけです。あの市街化の線の引き方のいろいろな問題、これはあると思うんですよ。これはまあそのままいま問題にしませんけれどもね。だから農業仕事が従だから調整区域ばかりだと、こういうお考えを捨てていただいて、市街化区域内にもいろいろ農業地帯があるんだと、現にあるんですから、線引きのまずさのために。だからそれも考えて、もう少し率をふやしていただきたい。だからケース・バイ・ケースでやっていただけないかということなんですわ。  そこで、具体的に、それじゃ神戸市の岩岡地区調整区域市街化区域割合は、どのようになっていますか。
  22. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) ただいまお話のございました神戸市の岩岡地区につきましては、いまいろいろ調査等段階でございまして、まだ計画につきまして具体的な打ち合わせ等やっておりませんでございますから、ただいまのところ、はっきりしておりません。
  23. 梶木又三

    梶木又三君 それじゃ御要望いたしておきますが、岩岡は、これは実際現地に行っていただきますとわかりますが、まだほとんど線引きに入っておるが農業地帯が残っておるんですよ。それで一部取り残されると非常に困る面がありますので、その点十分御検討願いまして、まあいまの三〇%にこだわらないで、設計書なり計画書をおまとめ願いたいと思います。  それからこの区画の問題なんですが、これは非常にこまかい問題になって恐縮なんですが、これはこの緑農住区だけでなくて、一般の圃場整備でも最近都市近郊都市近郊といいましても、これは決して大都市だけじゃなくて、地方の中小都市の近郊でもあるんですが、水田を転換したい、畑地にしたいと、こういう希望を兼ねて、あるいは田畑輪換したいのだ、こういうことでどうも三反区画じゃ排水もうまくいかない、あるいは作業能率がむしろ落ちる。米ですと、私は三反でも小さい、もっともっと大きな区画をすべきだと考えるわけなんですが、どうも畑地で実際問題三反というと、花とかいろいろなものできないわけですよね。そこで、一般の圃場整備でもそういう問題があるわけなんですが、特に今度のこの緑農住計画の場合は、都市の近郊とはっきりしておりますし、先ほど申し上げた神戸のこの岩岡地区は全部、全地域田畑輪換なんです、水田は。あとは全部畑地帯なんですね。だから全面積が畑だといってもいいわけなんです。こういうところを三反区画をやられると、将来いろいろ農作業やるにも不便だと、こういうことでございますから、二十アール区画にやっていただけるかどうか、この点についてひとつお伺いします。
  24. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 圃場整備事業におきましては、ただいまお話がございましたように、現在は三十アール区画を一応標準として事業実施しておるわけでございます。これもただいまお話ございましたように、稲作の将来を想定いたしまして、稲作地帯に将来機械化営農を実施していくというような点から、三十アールという基準は全県に定められているわけでございます。したがいましてただいまお話ございましたように、都市近郊地帯等で稲作から蔬菜とか花卉とかの畑作系に転換していく地帯におきましては、現在の三十アール区画必ずしも適当なものと考えておりませんので、将来の畑作営農基盤としてふさわしい区画にしたいということで検討いたしております。地域農業方向と地元の要望、現地の状況等勘案いたしまして、そういう畑作に適応した区画というものを検討してまいりたいと思っております。
  25. 梶木又三

    梶木又三君 ぜひいまの線で御検討願いたいと思います。  それから、市街化区域内に現在養豚あるいは養鶏の施設があるわけなんですね。これが今度の緑農住計画で全体的な立場に立って、あるいはまた公害対策上から調整区域のほうに移転したいと、移転したいじゃなしに移転しないとうまく緑農住、こういうものが確立しない、こういうところがあるのですよ。だから、それに対して養豚、養鶏場あるいは施設園芸のいろいろな施設もあると思うのですが、こういうようなものの移転補償、これを緑農住事業費の中で補助対象にぜひしていただきたいと思うのですよ。現在どういうふうな仕組みになっているかどうか。
  26. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 養豚、養鶏等の施設が市街化区域の中にあるということは、公害防止等の観点からも、決して好ましいことではございませんので、地域全体の総合的な土地利用計画を定める段階で、適正な位置に配置するよう強く指導してまいりたいというように考えております。なお、この緑農住開発事業は、一応土地改良事業の一環として実施していくことを考えておりますので、ただいまお話ございましたように養豚、養鶏施設のようないわゆる上物というものを補助対象にするということは、困難だと思っておりますが、この緑農住開発事業という事業の特殊性にかんがみまして、事業促進上近代化資金等の融資等の方途を考えるとか、あるいはこの補償につきましても、今後検討の必要があるのではないかというように考えております。
  27. 梶木又三

    梶木又三君 いや新しく養豚、養鶏場をつくるというのではないのですよ。現在あるやつを圃場整備なりいろんなことをやる、だから私は当然この事業を補償すべきじゃないかと、こう思うのですがね。新しくつくるものなら、土地改良事業だからその補助対象でないということ、これははっきりわかりますよ。私の言うのはそうじゃなくて、現在あるやつを今度事業の一環としてどうしても移転せぬとうまくいかない、だから補償じゃないかと、新設で対象にしてくれというのではないのですよ。補償として見てもらえるかどうか、こういうことなんですがね。
  28. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) ただいま申し上げましたのも緑農住地区内の養豚、養鶏施設の移転ということも考えましてお答えしたわけでございますが、この土地改良事業対象として含めるということは困難と思いますが、事業実施上必要と思われた場合は、補償等につきましても検討してまいりたい、このように思います。
  29. 梶木又三

    梶木又三君 話を進めますが、先ほど市街化区域内の仕事関連するのですが、緑農住道路を一本どんとつけた。こうした場合、先ほどお話したように市街化区域内でも現在農地が残っておる。そこで一本幹線道路がつきますと、住宅区域内になったところは道路に面して住宅が建ちますわね。アパートが建ったりあるいはマーケットができたりすると、裏側に農地が残るわけなんです。ところが、それが分断されるから連絡道路といいますかそこに行く道路がなくなる。これは都市事業対象、そんなのじゃなくて当然農道としてこれは排水路もあると思うのですが、農業上の仕事としてやっていただけるのではないかと私は思うのですが、これに対する御見解をちょっと伺いたい。
  30. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 先ほどお答え申し上げましたように、やはり調整地域内の市街化区域周辺農用地との関連ということが前提になろうかと思いますが、そういう関連におきまして、ただいまお話しのようなことがありました場合には考えていかれるのではないかというふうに思っております。
  31. 梶木又三

    梶木又三君 それから、都市計画事業と同時施行をやれば、これはほんとう一番理想的にうまく進んでいくわけですが、先ほど佐藤政務次官から御答弁いただきましたように、うまく本部で調整やっていただくわけですが、事業実施も同時施行になるとうまくいくのだけれども、あるいは農林省のほうが先行するかもわからぬと思うのです。現実問題として都市事業のほうが若干話し合いはついても、実際金がついて事業やっていくには、若干おくれるのではないか。その場合どんどんいいところを土地ブローカー等が買っていくわけです。そうなると、なかなかあと非常にむずかしい問題が残るので、そういう土地ブローカー等が繁殖するのを、スプロールを防ぐ規制措置、これがなかなかむずかしいと思うのですが、何かお考えがあるかどうか。これは農林省だけじゃなくてもいいのですが、都市局と御相談願っても何でもいいのですけれども、その点何かお考えがあるかどうか。
  32. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 関連事業として実施するたてまえ上、ただいまお話ございましたように、そういう跛行性が起こることは最も憂慮すべきことだと思います。先ほど政務次官から答弁ありましたそういう建設省農林省との連絡委員会とか、連絡を密にしまして、特に事業に手をつけましてから、あとというのはそういう問題が大きくなってまいりますので、調査計画段階建設省とも十分連絡調整をいたしまして、そういうことのないように細心の努力を払っていきたいと思います。
  33. 梶木又三

    梶木又三君 連絡調整をやっていただいて、そういう調整委員会でうまく話をつけていただいて——計画は立つと思うんですが、現実に、しかし、計画が立ったからといって、土地を買うのを制摂するものがないかと思うんですよ。だから、緑農住区ということを設定して計画を立てた以上、そこでは何か土地の売買をうまく防ぐ方法はないかと、こういうことなんですが、これに対するお考えを。
  34. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) 先ほどお話ししましたように、私ども一番憂慮しておるところでございまして、特に市街化区域内とか、近接したところでございますとか、そういう土地の権利関係というのは、非常に注意せねばいけないと思います。計画の表面だけではなしに、そういう権利の調整等につきましても、連絡会議で十分に両方の検討をして慎重にまいりたいと思っております。
  35. 梶木又三

    梶木又三君 十分、これはほんとうに大事な問題だと思いますので、ひとつ御検討を真剣にお願いいたしたいと思います。  それから、換地をやるわけですね、市街化区域調整区域を通じて。そこで、この農地の保有合理化法人ですか、これがたてまえ上農振地域なり、あるいは農振地域が将来必ず指定されるという地域でないと、あの法人の事業区域に入らない。これはそのとおりだと思いますが、しかし、農林省が今度新しく、非常に勇気を出してりっぱな仕事を、緑農住区をやっていただくわけですよ、農林省が。だから農林省緑農住区と銘を打つ以上、この緑農住区に限って特例を出していただいて、市街化区域内の農地であっても、一時立てかえとか何とかを合理化法人でやっていただけないかどうか。これはばく大な金が、一時に立てかえが要ると思うんですよ。そうすると、利子だけでも膨大なもので、何とかそれを、市街化という観念じゃなくて、市街化調整地域も含めて、いわゆるりっぱな農業地帯、りっぱな緑の地区をつくるという仕事なんですから、そこまで法人の作業範囲を、緑農住区の仕事に限って広げていただけないかどうか、この点についてひとつ。
  36. 住吉勇三

    説明員住吉勇三君) ただいまお話がございましたように、農地保有合理化促進事業は、農業経営規模の拡大と、農地の集団化というような方法を通じまして、生産性の高い農業経営を育成していくということが、この合理化事業の目的となっておりますので、このたてまえからまいりまして、この事業実施区域農業振興地域内の農用地としておるわけでございまして、ただいまの目的、趣旨からまいりまして、事業実施区域市街化区域まで拡大していくということは適切ではないのではないかというふうに思っております。しかしながら、ただいまお話しございましたように、市街化調整区域市街化区域との接点のようなところでは、ただいまお話ししましたように一律にいくことが非常に矛盾のあることもあろうかと思いまして、農地合理化法人の事業として実施する必要があるかどうかというような点で、検討してまいりたいと思っております。
  37. 梶木又三

    梶木又三君 ぜひひとつ、そういう資金面でこの仕事ができなくなるというようなことがないように御検討願いたいと思うんですよ。  それで、いまお話のように、合理化法人で、これはたてまえから非常にむずかしいことはよくわかるんです。ところが、これは一体仕事ですし、それで特にこの公共用地なんかを今度創設換地して生み出すわけですが、生産費が一時的に非常に大きい。だからできるだけ何とかこの農業生産性を高めるんだということを、市街化区域の人も調整区域に出る場合もありますから、そういうことを考えていただいて、応用動作を広げていただくということと、だめなところはだめでやむを得ぬと思うのですけれども、そのだめなときには農林省のほうでもお力添え願って、起債等をつけていただくとか、あるいはひとつ金利の安い融資を受けられるとか、こういう道をぜひ御検討願いたい。これは非常に一時的にほんとうに大きな金が要りますので、その点ひとつ強くお願いを申し上げておきます。  それから官房長見えましたので、緑農住区は大体それくらいにしまして、次、農業団地について若干お尋ねをしたいと思います。  ことし非常に大臣、力を入れておられます。予算書の初めにも一番大きく農業団地が取り上げられております。競争力うんとつけて、とにかく国際的にも負けないようにしたいと、こういうお気持ちもわかりますし、私もぜひそういう方向でやっていきませんと、今後うまくいかないということはわかるわけでございます。ただ、従来この営農団地ということばが使われておりましたが、現在も二番目にこういう営農団地ということばがあるわけです。ところがその営農団地のほかに高能率生産団地、こういうことばが出てきたわけなんですがね。高能率営農団地だったらまずいのかどうか。営農団地生産団地というものに実質的に何か違いがあるのか。これは私もよくわかりませんよ、わかりませんが、一ぺんことばをかえて清新策をやったのかどうか。その点ひとつ見解をお願い申し上げたいと思います。
  38. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいまの営農団地生産団地いろいろの関連ございますが、実は農協が昭和四十二年に大体数農協、一群と言ってもいいのですけれども、一群ぐらいの単位を取りまして、それぞれの作物——その地域地域の主産地の作物について生産から流通、加工まで一貫した体制の整備をする、それを農協が計画を立ててやるということで、この事業が始まっております。聞くところによりますと、全国で三百十七団地ある、こういうふうに言っております。われわれもその一部は承知しておるわけでありますが、先ほどお話がありましたように、農林大臣のお考えといたしましては、特に自由化の問題、それから米の生産調整農業再編成の問題から、急速に団地的な整備をしたいということから発足をしたわけでございます、農林省の場合は。ただその中身ということになりますと、名前は末端のほう、高能率生産団地という名前をつけたために、営農団地とどう違うのかという問題が起こってまいりすけれども、この生産団地という名前を特につけましたのは、これはやはり一つ生産単位を考えまして、そこへ機械なり設備なりを導入して一つ生産単位のまあ経営といいましょうか、そういう考え方末端を固めていきたい。その辺は最初に申し上げました農協の場合は、一つの群単位の程度の大きさを取りました生産、流通、加工ですけれども末端生産の面においてよりこまかい、何といいましょうか、生産の組織化というところまでは手が及ばなかったというふうにうかがわれる。もちろん、やっていないということではありません。そこで今度は、まず末端にそういう生産単位をつくりまして、それを有機的に関連をさせまして、流通加工団地という意味で、過去に、もう梶木先生も御承知のように、農道を中心にしまして広域営農団地というものをつくったわけです。そういう名前があったものですから、それをそのままにしておるわけです。いわば前の分は流通団地であったわけです。したがいまして、生産団地と流通団地と足しまして、そうするとある意味では、全部これを足したものが営農団地といえるかもしれません。これは余談になりますけれども、この問題が起きました際に、大臣と農協の宮協会長と懇談をやりましていろいろ話し合いをされましたら、結局名前がちょっと違っているけれども同じじゃないか、こういうお話もあったくらいでございまして、今後の運用といたしましては、当然役所だけでやれることではありません。当然県の段階末端の町村の段階でも、町村と農協等がタイアップしてやっていただくという考え方で進めたいと思っておるわけでございまして、名前のつけ方が非常に前とまぎらわしいということが若干あるかと思いますけれども、いま私が申し上げましたような趣旨でございます。
  39. 梶木又三

    梶木又三君 そこで、大体気持ちはわかりましたが、高能率生産団地あるいはいまの広域営農団地の——時間がございませんので、この辺のこまかい内容については、御説明は要りませんが、関連、高能率生産団地と広域営農団地の相互関係といいましょうか、何かこれについてのお考えを。
  40. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 理想的な形といたしましては、一つ地域をつかまえましてそこに生産団地、この地域の中におきましては畜産が中心のもの、あるいは果樹が中心のもの、いろいろあるかと思いますが、そういうものの単位をつくりまして、それを結び合わせましたものとして流通団地がある。したがいまして、末端生産から流通加工まで一貫したような形が理想的だと思います。ただ、この事業は、国際競争力をつける、急速にやろうということでございますから、一つの地区だけに重点を置きまして、そこで生産団地をたとえば五十つくる。その五十を合わせたものを流通団地にするというふうには、一挙にはいかないかと思います。  したがいまして、それからもう一つは、広域営農団地のほうが、まあどちらかというと、数年前から発足をして流通の面から能力をつけ、そして流通加工施設あるいは管理センター等をやっておるのでございます。そういう現実的なことから申しますと、一挙に有機的関連ということにはいかないかと思いますけれども、気持ちとしましては、生産団地と流通団地が有機的に関連をしていくという考え方をとっていきたいと思っております。
  41. 梶木又三

    梶木又三君 そうすると、この広域営農団地は、生産団地が幾つか、いまのお話のように、そこで広域営農団地と流通加工というのは一つの広域でできるでしょう。その場合に——あとで組織化の点でちょっとお尋ねしますが、一つの広域営農団地にも流通加工を通じた何か組織体ができるわけでしょう。もしそれができれば、それと高能率生産団地の、何か今後新しくできる組織体ですな、この間に、ことばはちょっとぐあい悪いですけれども、指揮命令系統というか、こういうものがあるわけですか、有機的な。
  42. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 本来ならば、いまお話のように、生産団地を結び合わして広い意味での広域営農団地ができて、それを一つで運営するということが一番望ましいと思います。現にこれは、地域によりましてでございますけれども、広域営農団地単位で農協を統合したいという運動も——運動と言いましょうか動きも、宮崎県とかその他で起こってきております。ただ、そうかといいまして、日本全国、それじゃ五百とかあるいは六百の広域団地に分けてしまう。それで、全部農協一本にして、そこが指揮命令権を持って末端生産単位を動かしていく。これは、理想的に考えればそういうことがあり得ますけれども、一挙にはそこまでいきません。ただ、広域営農団地の場合には、単なる流通加工の施設だけではなくて、やはりその一定の地域団地内の指揮命令と言うとおかしいかもわかりませんが、計画生産計画出荷のための管理センターですね、そういうものを置いていく。それをだれが経営するかといった場合、ある場合には一つの農協の場合がありましょうし、また場合によっては県の経済連がそれを経営していくということもありましょうし、いろいろ地域の実態に応じてやっていかなければならぬのではないかと思っております。
  43. 梶木又三

    梶木又三君 そこで、いま申し上げました組織化の問題なんですが、私、これが実際一番むずかしい問題じゃないかと思うのですよ。それで、広域営農団地の場合ですと、いま官房長お話しのように、農協というようなもので流通加工ができると思うのだが、一番末端の農作業まで入ってくるときの組織化、これは私は、ほんとうに、現実問題として、いまの意識水準から見て、非常にむずかしい問題があると思うのですよ。また、これは地域によっても違いましょうし、お茶やらミカンだとか、いろいろな作目によってもこれは違うと思うのですがね、これをどのように今後進めていかれるか。また、これを、うまく完全なものにはできぬでも、何か能率的な組織をつくりませんと、生産団地と銘打っても、結局いままでと同じようなものじゃないかと思うのですよ。この点についてひとつお考えを。
  44. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) まさに御指摘のとおりだと思います。従来、とかく、機械あるいは施設を導入いたしまして補助金を出す、補助金を出せばそれで終わりということになっておったのが——全部だとはもちろん申しません、そういうことが往々にしてあり得たのでございますが、今回の農業団地というものの考え方といたしまして、機械施設の導入には、当然のこととしまして、それをどうやって動かしていくかということが問題だと思います。その場合に、理想的に申しますれば、一つ生産単位を一つ経営にしたほうがよろしいわけです。そのやり方としましては、昔からあります完全な協業経営ということもありましょう。しかし、なかなか、共同経営というのはむずかしいわけです。現に、協業経営が全国でどのくらいあるかといいましても、これは二、三千しかないわけでございます。そういうようなこともございます。それからまたもう一つは、一つ生産単位を一つ農業生産法人の経営ということも考えられるわけでございます。しかし、一挙にはそういうことにはいきません。そういう例もあります。ありますけれども、一挙にはいきません。そこで、われわれといたしましては、最小限度一つ生産単位について、ものによっては違いますけれども、品種の統一をする、そうして作付時期なり出荷時期なりの栽培協定をやる。それから、機械や設備の共同利用についての取りきめを、その生産単位としてやる。そういうことは最小限必要な条件だと思います。それ以上進めるということになりますと、これは非常に問題が介在をしてきまして、なかなかそういうふうには参りませんけれども、やはり場所によりまして、また作物によりましては、共同作業あるいは作業の受委託、それから場所によりましては、農協の経営の委託なりということも織り込み得ることもありましょう。それから最後に、最初に申し上げました共同経営なり農業生産法人の農業の組織化ということもあると思うのです。こういうことを、農林省としまして、一律に、こういう形でやれということはなかなか言いにくいものですから、いろいろなケース考えて、生産の組織化はこういうふうにやっていくのだということをつくった上で、これは県それから市町村におろしまして、そしてその地域の実情に応じた生産の出荷をはかることを、今度の事業一つの非常に大きな眼目にいたしておるわけでございます。これらをやっていきませんと、最初に御指摘がありましたように、従来と同じような形になるということでありますから、これは十分気をつけまして、いろいろな指導、宣伝、啓蒙等をやっていきたいというふうに考えております。
  45. 梶木又三

    梶木又三君 いま官房長お話しのように、土地の所有権、これが一番むずかしいと思いますので、これはどうしても、何といっても、高能率生産団地をうまくやるかやらないかの私はポイントになるのはその問題じゃないかと思いますが、経営がいろいろまた人によって違うから、だからまた盛り上がる力というか、やはり農民の気持ち、これが一番大事だと思うのです。それなりになっておると、また、これは進歩ないから、だから、上からも指導する、しかし、下からのいろんな意見も聞く。この調和が大事だと思いますので、この点について十分に御指導を願いたいと思います。  それから、いままで構造改善等でやられて、せんだっての委員会でも、この構造改善で、コンバインがだいぶん大型で遊休しておるという指摘が辻委員のほうからあったわけですね。今度果樹とかいろんなもので、畜産でもそうですが、いろいろな大型の高能率機械を入れると、こううたっておるんですが、そういうふうに理想的になれば一番いいんだけれども、いま官房長お話生産組織の問題——国から県へ、県から市町村へ、市町村から地元へと、これがうまくいっておれば、結局これが一番眼目になるんだけれども、機械が大型で遊び過ぎると遊休が多くなる。こういう点がやはりできてくるんじゃないかと思いますので、これは御答弁要りませんが、その点についてもひとつ十分お考えを願いたいと思います。  それから、ことしから総パがいよいよ設計段階に入ったわけなんですが、これはまあ御承知のように、二、三年前から環境整備をやる必要があると、それから生産というものだけを対象にする仕事はだんだんだんだん薄くなるんじゃないか。それも必要だけれども、それ以外に人を対象にするというか、そういう仕事土地改良でもほかの構造改善でもいろいろふえてきておるわけですね。こういうことで総パが出発したと思うのですよ。ところが、ことしのこの予算書を見ますと、総パがモデル団地ということでまあ農業団地の中に入っておるわけなんですね。で、これ、もうちょっとページ繰りますと、一五ページにいくと「農村整備の推進」ということになっておるんですけれども、私はこの「農村整備の推進」というのが、本来的な一義的な目的だろうと思うのですよ。どうもこの農業団地ということば、これが出まして、まあそれも大切な仕事であるけれども、あまりに団地にとらわれ過ぎて、本来農村整備であるべき農村基盤総合整備パイロット事業——いわゆる総パですね。これが団地の中に入ってしまったと、もちろん総パの中に先ほどの高能率生産団地が幾つかできる、これはわかりますよ。しかし、どうもそのために、これからの農村というものは農業者も、あるいは非農業者も含めて新しい村づくりをやるんだと、新しい村づくりをやらないと都市に対抗できないと、こういう機運が出て、一番大事な仕事になりつつあるわけですね。だからどうもこの農業団地に入ると、そういう生産的な面だけが強く出ておるような感じがするわけなんですよ。どうしてこういうまとめ方をされたのか、それについてひとつお答えを願いたいと思います。
  46. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 実はこの問題、農林大臣が昨年御就任になりまして、御発想になりました際に、一番言われましたことは、工業に工業団地があるごとく、また住宅にも住宅団地がある、農業には農業団地がないじゃないかということを言われた。その農業団地という意味は、単なる生産の問題だけではなくて、やはりその生産を担当しておる、そこに住んでおる農家生活環境といいましょうか、環境整備といいましょうか、そういうものをあわせたものでなければならない。そうしますと、日本のような高密度社会の農村においては、農業一点張りの純農村地帯ももちろんありますけれども、そういうところでも、もうすでに一つの部落の平均をとりますと、非農家が半分を占めておりますから、やはりそういうものもひとつ含めて、一つ団地をつくっていったらどうかということを言われたわけでございます。そこで、それを受けまして、われわれこれを考えた際に生産の面から入りましたものが生産団地、それを流通加工ということで結びつけて広域営農団地ということにしたわけでございますが、それとあわせまして、これはもう前から私どもともども総パについては梶木先生とやってきたわけでございます。ああいう発想がありました中にも、あれは生産生活環境整備を一緒にあわせてやりたいということでございます。そこで、いろいろなものの言い方でありますが、農業団地全部といった場合は、いまの生産団地、広域営農団地、モデル団地——これは農政局のほうでも基盤整備の済んだところへ施設を入れるということもモデル団地、こういってはいますが、そのほかに、これも数年前から計画しておりまして、今度一部実施設計に入る広域未開発地域事業でありますね、これも農業団地の中に入れておる。まあいわばこれは農業団地といいますか、その場合は一つの構想なんです。構想としましては、そういういろいろなものが入っている。しかし、その中身を貫くものは、生産とそこの環境整備を一緒にやっていく気持ちがなければいかぬ、こういう気持ちで入れておるわけでございまして、先ほど御指摘がありましたように、一つの村の生産と生活をあわせた整備をやっていこうということをこれによって薄めるという気持ちは全然ございません。  それから予算書のことを言われたわけでございますが、政策的に予算を分けますと、農業団地のところにもこのモデル団地は入れておりますし、それから農村整備のところにもこれを入れておるというふうに、まあそういう分け方でこれが入っておるというふうに御了承いただけばと思います。
  47. 梶木又三

    梶木又三君 私は、官房長のお気持ちわかりましたが、何か私は最後のほうにちょっと言われた薄めているという気持ちはないというお気持ちのお話しがあったんだけれども、皆さんにはそんな気持ちはないと思うんだけれども、受ける感じが、団地というものが、ぼくはまあ団地というと、どうも生産団地もこれから入ってくるんだろうけれども、住宅団地とか、いろいろな団地というもので受ける感じが農村という一つの広がりからくる感じを受けないわけですよね。だから、薄めていないというおことばだけれども、この一五ページの「農村整備の推進」、このほうがぴったりくると、またそれでなければならぬと私は思っておるのですよ。これどんどん進めていただくのに、これから新しい農村をつくっていくためにやる仕事なんですから、どうもモデル団地というよりも、これはもう私はモデル農村の建設だと、むしろモデル農村というくくりをやっていただいたら、私のそういう不満がなかったのだと思うんだが、「モデル農業団地」ということばの中に入れられたものですから、中野官房長と一生懸命堂々やってきた感じとだいぶ離れてきたので、非常に残念がと、まあこのことを申しておきます。じゃ、もう答弁は要りません、同じ答弁がはね返ってくると思うので。
  48. 小林国司

    ○小林国司君 関連。  地域分担ということにつきまして、次官にお尋ねしたいと思います。  米の生産調整で、去年までは地域分担、つまり地域指標が三分の一の要素を占めておりましたが、ことしの生産調整では二分の一の要素にこのウエートが重くなってきている。さらに来年以降からは、できれば三分の二ぐらいなウエートに高めていきたいというようなお気持ちが農林省にあるようでございます。さらに、転作の場合、一体何をつくったらいいのかということが、全国の農家がとまどいを生じておる一つの現象に相なっております。それから、需給の面から見ても、まあ日本のいまの農業の中で極端に不足する作物が何品目かございます。で、それを高めるという目標をどのように定めるかということもこれからの大きな課題でございます。それから農地局でいまやっております農用地の新しい開発利用、そういう計画についても適否を定める基準というものが農林省に残念ながらはっきりしたものがないという問題、さらにこの経営の安定という面からいいましても、地域の特性に応じた適地適産主義ということに徹することが、狭い日本の国土の有効利用ということにつながってまいるということも、当然これは考えなきゃならぬ問題でございます。それから農林省各局でいろいろ長期の計画をお立てになる際に、一体何を基準にして長期計画を立てるのか。これもせんじ詰めてみますと、地域分担ということがある程度はっきりしてこなければ正確なものが立てられない。ただいま梶木委員からいろいろ質問の出ておりました生産団地の育成にしても、いわゆる総パのこれからの新しい事業の進展の上からいいましても、この地域分担ということがはっきりしておる必要が痛切に考えられるのではないか。特に農業白書等で将来の需要の見通しについては、相当こまかく見込みが立てられておりますが、残念なるかな、品目別に供給の限度をこの程度計画に持っていくんだということがはっきりしておりません。こういうことから考えまして、いま農林省では、二年ほど前にガイドポストというのが定められてたいへん御苦労なさったわけでございますが、これを一歩もに二歩もお進めになりまして、国全体の農業地域分担ということ、いわゆる適地適産主義に基づく、つまり農業の将来の日本の目標というものを全体的にはっきりさせるということがこの際たいへん必要ではないかと思いますが、これに対する——大臣いらっしゃいませんが、大臣のかわりに次官の御所見と、それに対する作業がいまどの程度進んでおるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  49. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 一番いま農林省計画的な問題で大きくとらえて検討を進めているのが、実は地域分担であります。先ほど申されましたように、米の過剰という傾向から、生産調整をきめるにあたっての要素の中に、地域分担の思想をどの程度生かすかというようなこともきめる必要もあったし、そのほかいろいろの要素がございまして、おっしゃるように、四十五年の十二月ですか、三地域十四ブロックのガイドポストというものを示しまして、誘導指標という形で示したわけでありますが、国自体の計画、それを押しつけるというふうなやり方は、あまり好ましいやり方ではない。しかし、国全体の需要と供給、そういうこともある程度考えた上で、ということで、あわせてまたこれも県段階あるいは地域ごとに——地域ごとのそれなりの地域分担というものもまたあろうかと思います。というようなことで、実は先般来、各県ごとの地域分担の策定を督励し、急がせておるところであります。現在、二月現在で県別生産見通し作成状況というのが、作成公表済みが十四県、作成中が二十三県、作成予定が六県、作成それ自体について検討中であるというのが三県、こういうことになっております。末端農家の方々が三地域十四ブロックのガイドポストに基づき、われわれの農業はどうなるのかということで、相当不安な気持ちを持っておられることもわれわれよく承知いたしておりますので、早くこの地域ごとに策定された地域分担というものと、国自身がガイドポストという形でとりあえず示しました三地域十四ブロックのガイドポストというものとあわせて見て、はたしていかなるまた政策が必要になってくるか、実は急がせているところであります。しかし、日本列島全体を一時に地域分担をやるということは、これはなかなか困難であります。たまたま北海道におきましては、去年の冷害という悲惨な状況、これらも原因してかと思いますが、北方農業というものについて相当積極的に考えておられますので、実は明日北方農業、北海道農業の北海道農業連絡協議会というものを農林省、それから北海道開発庁、それから北海道庁、この三者で連絡協議会を明日実は発足することにいたしております。で、ここでまず北海道農業の、地域分担の思想に基づいての北海道農業のあり方を十分検討をしてみたい、こういうことにいたしておるわけであります。  なお、先ほど需要と供給の関係についても触れられましたが、五十二年度を目途としての何は一応数字はすでに御承知のとおりでありますが、もっと長期計画を練り直す必要があるのではないか、こういうことでいま練り直しつつありますので、御了承いただきたいと思っております。  そのほか、あるいは答弁漏れがあるかもしれませんが、ありましたら官房長のほうからでも補足をさせたいと思います。
  50. 小林国司

    ○小林国司君 いや、けっこうでございます。
  51. 温水三郎

    ○温水三郎君 実は大臣に伺いたいのですけれども、新聞紙上で通産省案というものを見たんですが、これはほんとうかうそかわかりませんが、四年ぐらいで農産物の自由化を大幅にやるような計画が書いてありました。農林省において主要農産物の自由化を赤城大臣が先頭に立っていろいろとまあ阻止と言うと語弊があるかもしれませんが、しばらく日本の農業の体質からしてこれをとめられるということは、非常にありがたいことでありますが、しかし、自由化が永久に阻止できるとはわれわれも思っていないのであります。農林省において主要農産物をはじめとする農産物の自由化について将来どういうような所見を持っておられるか、政務次官あるいは官房長から伺いたいと思います。
  52. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) たしか、いま御指摘の数日前でしたか、ある新聞に通産省の自由化スケジュールというのが出ておりました。農林省としては、全然関知しておりません。それどころか、それよりしばらく前に農林省の案で昭和五十年でしたか、ちょうど米の生産調整が五年計画ですか、その五年に合わしながら自由化スケジュールを農林省がつくっておるという推測記事が出たことがあります。そういう作業は全然やっておりません。農林省考え方といたしましては、昨年来、農林大臣が申し上げておりますように、基幹的な農作物につきましては、先ほど農業団地の御議論等もあったわけでございますが、国際競争力がある条件のもとでつくのをまずやりまして、それがついた上で考えるということでございますので、基幹的な作物につきましては、当面そういう自由化をするという考え方は基本的に持っておりません。むしろいまわれわれが考えておりますのは、先ほど小林先生からもお話がありましたが、まあ自給率といいましょうか、需給見通しといいましょうか、主要な作物につきまして従来はとかくこういう傾向だったから、こういう傾向に今後なるだろうという需給見通しをつくったわけでございます。今後はそれぞれの作物についての生産性をどこまで高められるかということは、もちろんやらなきゃなりません。それを前提にいたしまして、主要な作物ごとについて国内でどの程度生産ができるか。またそれが可能性があるかということをまずやりたいと考えております。それをやりますと、一方需要の面からいいまして、国内でまあできないもの、あるいは足りないものがございます。そうなりますと、そこで国内生産というものの調整の問題が出てくるはずでございます。そういう問題にその次に取り組もう。その場合の輸入の方式はどういうふうに考えておるかということをやってみたらどうかということも幸い今度の四十七年度予算が通りますれば、総合農政調査費等もたっぷりいただいておりますので、そういうことをもとにいたしまして、これから検討を進めたいということでございます。
  53. 温水三郎

    ○温水三郎君 私が伺いたいのは、そのような農林省の方針は承知いたしておりまして、非常にわが意を得たりと考えておるのでございますけれども、しかし、わが国の貿易自体の傾向は、これは国自体の考え方だけでいけるものではない、世界貿易の中における日本の貿易を考えなければならぬのですから、自由化を、もっと端的に申し上げるならば、何年阻止できるかということが問題であると思うのであります。この点を端的にひとつ、御所見があれば、お答えを願いたいと思う。それはもちろん三年だとか十年だとか、そういう答えは出てこないと思いますけれども、相当長期間にわたって自由化を阻止できるか、あるいはそこまでは考えられないか、その点を承りたいと思います、端的にひとつ。
  54. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 端的に言えと、こういうお話でございますが、いま現在省内で、何年先にこの品物は自由化をする、逆に申し上げれば、それまでは阻止できるかということになるかと思いますが、そういう具体的なプランはまだ立てておりません。私が先ほど申し上げましたように、自給率の計算からいきまして、そして輸入をあるものについては、そのとき自由化することになるかもわかりません、あるいは輸入割り当ての方法でやるかもわかりませんけれども、そういうことを立てた上で、それぞれの品目ごとにそういうことをきめていかなければならぬと思っておるまだ段階でございまして、たとえば牛肉なら牛肉、あるいはオレンジならオレンジは、いつどうするかというところのメドは現在立てておりません。
  55. 温水三郎

    ○温水三郎君 農民はいま非常な不安におののいている。これは通産省の案のように四年ぐらいで自由化するというような案が出ておりますが、これはおそらくそうなるのではなかろうか、その場合にわれわれは一体どうなるんだ、日本の農業は立っていけるのかどうかという非常な心配におののいているわけであります。農林省計画どおりいけば、ものごとは何も心配することはないと思いますけれども、この間の貿易自由化の日米交渉等にもあるように、好まないけれども押しつけられるという形が必ず出てくる。この危険を考えなければならぬ。そうすると、いま農林省考えておられることは、品目ごとに自給率のことを考えて、逐次国内体制を整えながら自由化していくという考えのようでありますが、世界の大勢というものは、そうなまぬるいものではない、非常にシビアーである。この場合に、私は、農産物の国際競争力をつけるための大きな、むしろ乱暴とでも言うべき政策が早急に行なわれなければならぬと思うのであります。しかるに、わが国の実情は、どうも逆行しているといいますか、高度経済成長政策のうみが一度に農産物に吹き出してきているように思うんです。たとえば、国鉄の赤字線廃止の問題にいたしましても、また長距離輸送割引の廃止の問題にいたしましても、これを農業問題から見るというと、非常に重要な問題であるわけであります。これについて農林省は、一言半句もものを言っていない。また市街化区域農地の問題にしても、これもいろいろと問題があります。必ずしもこれに反対するものではないけれども、農村の問題、農業の問題から見ますというと、これはやはり大きな問題でなければならぬ。それについて農林省はどうも姿勢が弱い。郵便貯金金融の問題にいたしましても、私は、金融自体の問題から見て、これについてはたくさんの意見を持っておりますが、しかし、これについていま申し上げる時間はございませんが、これも農業の立場から言うと、非常に大きな問題である。農協をどう強化しなければならぬかという問題を考えるときには、これは非常に重大な問題である。しかし、農林省はこれに対して対応する姿勢を示していない。今日国際競争力をつけるためには、団地だとかあるいは農産物の地域分散というような、こういう重大な問題を片づけることは最も必要でありますが、単にこの問題だけで解決できる問題ではない。農村の工業化も必要であろうし、あるいは輸送網の整備も必要であろうし、あらゆる問題が急速に行なわれなければならぬ。したがって、私は、これらの問題を解決することは、予算規模においても二十億を下だるような金額では、とうていできるものではない、かように思うものであります。しかるに、農林省の姿勢は、私の見るところ、きわめて弱い。私は、これらの問題について、農林省が勇猛果敢に、むしろ乱暴なぐらいに取り組んで、日本の農村の不安を除いて、日本農業を確立してもらいたいと考えておるわけであります。大臣がおられませんので、政務次官の御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  56. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) ただいまるる今日政治問題化いたしております農業問題の具体的な事柄をお述べになられました。私どもそれぞれについて慎重に判断しながらかまえておるわけでありますが、いずれにいたしましても、ほんとうの総合農政という立場で、どれだけ思い切ったことがやれるかどうか。こういうことで、実は四十七年度予算案におきましても、総合農政を具体的に思い切ったやり方で進めるための検討費ということで三千万円を計上いたしまして、そうしてほんとうにことし、このたびこそ思い切った考え方で四十八年度予算案作成に対処いたしたい、こういう考え方でおりますので、ただいまの御意見重々含めまして検討を進めてまいりたいと思います。
  57. 梶木又三

    梶木又三君 割り当て時間がまいりましたので、最後に、農村工業の導入について一問だけお伺いいたします。またこれにつきましては、出かせぎ農業等と関連いたしまして、機会をいただいてひとついろいろとお伺いしたいと思うのですが、きょうは時間がございませんので、またにいたします。  先般四月十一日付の「日経」に「合計規模は六兆円」「政府目標の三分の二」、こういう記事が出たのですがね。農林省のほうでも何かこういうことをまとめておられるかどうかということが一つ。  いろいろまだこまかくあとでお伺いする機会があると思うのですけれども、今度通産省が出しておる工業再配置促進法案ですか、あれに対して農林省はどうお考えになっておるか。  私は、先ほどお話があったように、農村工業を、昨年六月できたのだから、ひとつ何とかこれをうまく生かして、とにかく出かせぎしなくて、自分の家から通えて現金が得られる方途をこれからもどんどん見つけ出していかなければならぬと、かように考えておるのですがね。何か四十六年度中にはあまりまとまっていなかったようなお話を聞いておったわけなんですよ。ところが、政府規模には達していない、三分の二程度ですけれども、相当数の実施計画なりが出ておるのですがね。これについて農林省でまとまっているかどうかということと、先ほどの通産のほうの法案に対する農林省の御見解、これを伺いまして質問を終わりたいと思います。
  58. 内村良英

    政府委員(内村良英君) まず最初の農村地域工業導入基本計画は、県がいろいろ立てているわけでございますが、それの集計が日本経済新聞の責任において集計したという形で新聞に出たわけでございます。そこで、工業導入の基本計画につきましては、政府としては昨年十一月に昭和五十年目標で、工業出荷額約九兆円、それから就業人口百万人、そのうち六十万人は農業者が行くであろう、それから工業敷地といたしましては一万五千ヘクタールというものを基本計画として昭和五十年目標で示したわけでございます。それに基づきまして県が基本計画をつくりまして、すでに四十二県におきまして、それができまして本省にまいっております。これにつきましては、御承知のとおり農林、通産、労働三省共管なものでございますから、現在三省で所定の手続を進めているところでございます。そこで正確な数字はまだ現在固まっておりませんけれども大体の感じといたしましては、最近のドル・ショックあるいは景気の後退による状況からまことに遺憾でございますが、九兆円という目標は、若干下回るということになるのではないかと思っております。ただ、これは五十年目標でございますから、県の計画は幾らでも状況に応じて修正できるという余地は残っておりますが、現在のところ若干下回るのではないかと私は考えております。  それから、次に通産省から今般国会に提案しております工業再配置促進法案に対する農林省の見解はどうかということでございます。この法案が政府部内でできるまでには農林省も非常に通産と強力な交渉をやりまして、その結果大体いわゆるこの法律に基づいて工業を入れる地域すなわち誘導地域につきましては、農村地域工業導入促進法に基づきます地域と非常にダブる。そこで、そういったものとの調整をとって農村地域工業導入促進法による計画のあるところに大体指定していく、すなわち農村地域工業導入促進法によりましていろいろな制度的な利益が与えられておるわけでございますが、さらにその上に上積みするという形でやりたいというようなことを大体通産省とは話がついておりますので、両方相補完して工業導入の問題を進めたいというふうに、われわれは考えておるわけでございます。
  59. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 午後一時三十分再開することとして暫時休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会
  60. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  61. 川村清一

    ○川村清一君 私は、農林大臣の所信表明に対しまして、水産のサイドから質問をいたしたいと思うのです。農林大臣がおいでになっておらないのは、まことに残念ですが、大臣のお留守の間に私がいろいろ質問した事項につきましては、ひとつ水産庁長官、あるいは官房長のほうからその主意をお伝えしておいていただきたい、かように考えて、一番先にお願いを申し上げておきます。  最初にお聞きしたいことは、農林大臣の所信表明演説についてでございますが、この演説の草案ですね、これは農林省のどこでまとめられるのか。官房でないかと思いますが、これに対してどこでまとめているか知らせていただきたいと思います。
  62. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) まとめておりますのは、事務的な話を申し上げますと、官房企画室で草案を書きまして、そうして、農林省全部の所信表明になるものですから、各原局に御相談を申し上げまして、その上で大臣にお見せいたしまして所信表明を仕上げる、こういうことになっております。
  63. 川村清一

    ○川村清一君 大体その構想ですね、各局あるいは水産庁、林野庁から出てくるわけでありましょうけれども、それをまあこういうふうにまとめられますね。そうすると、そのスペース等は官房長のほうで考えられて構成されるのですか。
  64. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 大臣の所信表明のスペースを官房のほうで、どこの局は何行と、こういうふうなやり方はやっておりません。やはり大臣の御方針に従いましてその年の重点事項を中心にまとめるということでございます。
  65. 川村清一

    ○川村清一君 この問題につきましては、私三、四年前にも、これは倉石農林大臣のときだったか、西村農林大臣のときだったか、ちょっと忘れましたが、お尋ねしたことがあるのです。と申しますのは、ことしのこの所信表明もそうですが、演説は、これは一〇ページにわたって書いてある。このうち水産庁のほうに関して、いわゆる水産行政に関しましては、わずか七行、それから林野につきましては、これは八行です。一〇ページに及ぶ演説草案の中で、水産はわずか七行、林野は八行、あまりに格差があるような気がするわけです。もちろん現在、日本の農業というものは、たいへんな段階にきておりますから、農業について大臣の基本的な考え方なり、それを展開しての具体的な政策、これを書くわけですから、相当のスペースを必要とすることは、これは言うまでもないと思うわけであります。しからば林野の問題、水産の問題は問題がないかというと、これも山ほどあると私は思うのであります。  言うまでもなく、日本の水産というのは、昭和四十五年度におきましては、生産が九百三十万トン、世界的に言うならば、南米ペルーに次いで世界第二位、生産量においては。生産高におきましては、これは世界第一ですね。そうしてこの九百三十万トンに及ぶところの水産生産というものは、日本人の重要な食糧になっています。動物性たん白質資源の六割以上を水産物からとっている。それでこの水産というものは、いま国際的にも国内的にも非常にきびしい情勢に置かれている。これに対処してどういう政策、行政を施行していくかということは、重大な問題だと思うわけであります。  まあ林野にいたしましても、木材の国内生産の日本全体の需要に占めるシェアというものは、もう五〇%を割っている。五〇%以上を外材に依存しておる。そうしますと、日本で使うところの木材というものは、五〇%以上が外材ですから、外材が主体であって国内生産がそれを補完しておると、こういうアンバランスな状態です。これに対してどうしていくかということは、これは重大な問題ですね。  こういう問題をかかえておる水産なり林野というものを、一〇ページに及ぶ演説の中でわずか七行か八行しか書かれておらないということは、まことに私は遺憾なんですが、それをまとめられた事務的な作業をされておりますところの官房長は、どういう見解を持たれておりますか。
  66. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) ただいま御指摘のように、農林省の官房がこれをとりまとめる段階におきまして、内容的に農業のほうが非常に重要であって、林野水産についてあまり問題ないから短かくしたというふうには、われわれは考えていないわけです。ただ御指摘のように、できましたもの自体が七行であったり八行であるものですから、そういうおしかりをこうむるわけでございますが、その点につきましては来年以降つくります際に、もう少し考えさしていただきたいと思います。
  67. 川村清一

    ○川村清一君 先ほど申し上げましたように、私は、このことは三年前に取り上げているわけです。大臣の御見解を承っておるんですが、そのときにおきましては、大臣も官房長のおっしゃったようなことを私に答弁されているんです。何にも変わらないんです。ですから七行か八行のスペースしかありません。この中において具体的な政策というものは、何もないわけです。われわれ議員に対して大臣は所信表明をされましたが、さて農水委員会におきましては、どういう具体的な、どういう政策を展開していくかということを、この演説の中に読み取れないわけですね。この点を申し上げているわけですから、あなたがそうでないということをおっしゃいましても、私はそう受け取らざるを得ないわけです。いわゆるこれが農林大臣の水産やあるいは林野行政に対する姿勢ではないか、こういうふうにまあ受け取るわけです。ですから、そういう姿勢でありますから、昭和四十七年度のまあ、私は水産のサイドから申し上げますから、水産だけを取り上げますが、この農林省の総予算に対する水産庁所管の予算というものを対比してみれば、これはわかる。私は、この問題も前に取り上げまして大臣並びに本会議のときは、大蔵大臣まで質問している。その当時は農林省の総予算は、六千五百億円である。これに対して水産庁の予算、これは漁港であるとかあるいは大型漁礁であるとか、こういうものを含めてわずか二百八十四億円であった。そのときに農林省の一般会計から食管会計に繰り入れ額が二千五百億円、これを差っ引いたところで、水産の予算というものは農林省予算の一〇%に及ばない。農林省予算に対しましては、五%にも及ばない。こういったばかげた予算があるか。これが世界一の水産王国日本の水産予算かというようなことを伺いまして、当時水田さんがやはり大蔵大臣であったんですが、本会議における私の質問に対する御答弁として、水産予算の少ないことがわかったので、前向きで事務当局に命じて検討させる、こういう答弁がなされた。自来その傾向を見ておりますと、若干確かにふえております。ふえておりますけれども、やはり農林省予算に対して五%というこの比率は、守られているわけです。たとえば、昨年の当初予算を見ますというと、農林省の総予算は一兆八百五十億、これに対して水産庁予算というのは五百億ですね、五百億。五%に及ばない。ことしは若干ふえまして、農林省予算が一兆三千億、一兆三千億に対して水産庁の予算が六百五十億、ようやく五%というところにきたわけです。五%以上に上がっていかない。しかもその五%の水産庁予算というものをさらに分析してみますというと、今年度は公共事業費が四百七十九億で非公共事業費が百七十四億円です。いわゆる漁港であるとか大型漁礁であるとか、こういう公共事業に大半の予算はとられてしまって、そうしていわゆる水産の施策ですね、水産振興のための施策、沿岸漁業対策、こういったようなものは、わずか百七十億、これで日本の沿岸漁民のいろんな要望にこたえることができるかどうかということを、私は、疑わざるを得ない。いま私が申し上げているようなことは、ぜひ、これは大臣にどういうふうになっているか伺いたい、どうですか。  水産庁の長官にお尋ねしますが、長官は一体予算要求の場合に、水産庁から要求したところの予算というものが、農林省でいわゆる全部それは区切られておるのかどうか、そうして大蔵省へいって大体どの程度これは査定されるものか、この程度で満足されておるのかどうか。水産庁長官は、一体この農林行政の中において水産というものは、軽視されていないのか。どういう御見解を持たれておるのか、率直に水産の行政の責任者である長官の御見解を賜りたいと思う。
  68. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御指摘のとおり、今年度の私ども水産庁関係予算は、六百五十三億でございまして、農林省全体の予算が一兆二千九百九十六億でございますから、五%ということに相なっております。実は、この点につきましては、前々からいろいろ議論があることもよく承知しておりますし、特に一次産業の中の産出額から見ますと、水産の占めるウエートが一四、五%であるにもかかわらず、五%というのは、いかにも少ないではないかというおしかりをいつもこうむっておるわけであります。私どもといたしましては、今年度の予算編成にあたりましては、できる限り部内で詰めまして最大限に大蔵省に要求をいたしまして、取るべきものは取ったということでいるつもりでございます。ただ、農林省予算も先生、実態十分御承知のとおりでありまして、食管特別会計の繰り入れ、あるいは生産調整の経費、こういった経費がかなり大きなウエートを占めているわけでございまして、実は、全体の中で米関係予算が圧倒的に多いというようなことも、現段階においてあるわけでございます。その中におきまして御承知のとおり、前年度の予算の要求に対して二五%という形で大蔵省に要求するという線もきまっておりますから、省内における配分というのをいろいろな形で、まあ変動もあるわけでございますけれども、確かに私どもといたしましては、これで十分であるということは、申し上げることはできないかと思います。なお、制度等の面におきまして、農業に比べて価格安定制度等にも、確かにおくれているというような点もあるわけでございます。そういった点につきましては、今後われわれは水産庁の総知をあげまして努力をして、予算化につとめたい、かように考えておる次第であります。
  69. 川村清一

    ○川村清一君 私がこれから質問申し上げることは、やはり予算関係してくることでありますので、ただいま長官から御答弁がありましたように明年度予算編成につきましては、十分ひとつ御努力を賜わりたい、こう思います。  そこで、質問申し上げます。これは所信表明についての質問ですけれども、これを取り上げますが、この所信表明の中でわずか七行、この七行の所信表明の中でまあ、一番柱になっている大きな政策は、こういうことが書かれている。「海洋新漁場の開発と沿岸における増養殖の推進による水産資源の開発をはかるとともに、」その次にも書いてありますが、一番ここに重点を置いて書かれておりますので、この問題について質問を申し上げたい、かように考えるわけです。  昨年の通常国会におきまして、われわれは海洋水産資源開発促進法、この法案を審議成立せしめ、制定されたわけでございます。そこで、この法律が制定されてからどのような行政が推進されてきているか、それをお尋ねします。この法律の第三条に基づき農林大臣が定める開発基本方針は、これは資料いただきまして、昨年の十月六日に公表されているようでありますが、この第五条に定められている都道府県知事による沿岸水産資源開発区域の指定、これはどの程度に進められているのか、すでに指定をきめた県は何県であるのか、それはどの県であるか、これをお示しいただきたい。
  70. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、法律第三条に基づきまして、昨年の十月六日に海洋水産資源開発促進法によりますところの開発の基本方針というものを策定いたしまして公表いたしたのでございます。さらに、第五条の開発区域の問題でございますが、開発区域につきましては、まあ開発区域を設けた趣旨等も実はあるわけでございまして、これらにつきまして、実は都道府県と従来ずっと話し合いを進めてまいったわけでございます。残念ながら、現段階におきましては、開発区域の指定というのは、いまだ行なわれていないというのが、率直に申し上げまして、現状でございます。われわれ、事務的にたいへんおくれたことも恐縮なんでございますが、このほど私どものいままでの県と打ち合わせてまいりました考え方がまとまりましたので、指定をする場合にあたっての指導、通達というようなものも県に通達をいたしまして、これに基づきまして、必要な海域につきましての開発区域の指定というものが行なわれることを期待いたしておるわけでございまして、われわれも今後精力的に県と打ち合わせ、指導等もいたしまして、すみやかに開発区域の指定が行なわれるように持ってまいりたい、かように考えております。
  71. 川村清一

    ○川村清一君 昨年の国会に提案されまして、私どもがこの委員会で慎重審議いたしまして、そうして制定された法律に基づく行政が、ただいまの御答弁によるというと、いわゆる開発区域の指定というものが今日何もされておらない。まだ、一県も指定した県がないということになりますれば、その法律を審議したわれわれとしては、納得いかないわけなんです。これは明らかに行政の怠慢です。怠慢であると言われても、弁解する余地が、私はないのではないかと思うんです。どうですか、責任者の長官。
  72. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 先ほども率直に申し上げたとおりでございまして、確かに私どもの怠慢であるというおしかりをこうむってもやむを得ないと思います。
  73. 川村清一

    ○川村清一君 確かに怠慢です。で、私は、どの県が指定されたかということを知りたいと思って、実は、今月の六日から七日に質問通告とともに、この資料を出していただくように要求いたしましたところが、この資料をいただいた。これは四十七年の四月八日に農林事務次官から各都道府県知事に通達された書類ですね。そうしますと、私が六日か七日にひとつ資料出してくれということを要求したんですから……。ところが八日に出している。そうしますと、私がその状況を知りたいんだと資料を要求してから、初めて事務次官名をもって各都道府県知事に通達が出ている。これはまことに行政怠慢です。こんなようなことじゃわれわれが熱を込めて法律案を審議する必要がないわけですね。はなはだ遺憾であります。そこで、この法律案を審議するときに、私がいろいろ質問をしたわけでありますが、そのときに私はいろいろ指摘して申し上、げた。この指摘したことは、二つ三つあるわけですが、第一は、私は水産庁がよくこれまで踏み切ってやったということを高く評価したわけです。この法律案をまとめるにつきましては、各省庁からいろいろなじゃまや牽制があっただろう。特に通産あたりからは、いろいろな足を引っ張るようなそういう点があっただろう。それをあえて踏み切って、この法案をまとめたのはなかなかりっぱであるといって、私は評価したんですよ。そしてもう一点申し上げましたのは、さて、この法律案ができても、この内容では、なかなかこれは実現は困難であろう。と申しますのは、まず水産庁と各省庁との話し合いがなかなかつかないだろう。たとえば、開発区域を指定しようとしても、片や通産ベースでは、工業開発をしようという計画がある。これとが競合するという問題があります。それから各都道府県知事でありますが、知事の開発に対する姿勢というものは、必ずしも沿岸漁民のために、水産資源開発のための開発区域を指定するために、一生懸命やろうとする姿勢がないというわけでもないけれども、これと競合して工業開発という問題が出てくれば、どちらに知事はウエートをおいてやろうとするかといえば、これは言うまでもなく、工業開発のほうにウエートを置いて行政を指導するでありましょう。したがって、そういう知事の姿勢に対して、この法律の趣旨を生かすということは、なかなか困難だから、単に都道府県知事にまかせるということでなく、政府が強い行政指導をしなければ、この法律の趣旨を生かすことは困難ですよということを申し上げた。当時、大和田水産庁長官は、いや心配ないと、最近知事の姿勢も非常に変わってきたから、あなたの心配するようなことはないのだということを私に答弁された。ところが、現実の問題としては、私が指摘したとおり、ただいま長官がお話しになったように、やはり各省庁との間の話し合いがなかなかつかないままに一年たって、今日、まだ開発地域も指定されないというような状態になってきておる。いま、あなたがそういうふうにおっしゃったわけですね。どうですか、今後これはだいじょうぶですか、この法律の趣旨を生かすためにやれますか。ひとつ長官の明確な決意を込めての見解をお示しいただきたい。
  74. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 前の国会で海洋水産資源開発促進法を御審議いただいたわけでございますが、そのねらいは三つございまして、一つは、まさに国が開発の基本方針を示します。それに基づきまして沿岸におきましては、開発区域制度、あるいは沖合いにおきまする指定海域の制度を設けまして、特に沿岸におきます増養殖につきましては、開発区域制度によりましてこれを進めるというのが一点でございます。二番目には、開発センターを認可法人として設けまして、これによる新漁場の開発。それから三番目には、開発区域、指定海域につきまして他産業との調整をはかるというのがねらいであったと思うのでございます。  したがいまして、これからやはりとる漁業からつくる漁業へというようなことが、沿岸におきましては、特に大切であるという認識を持っておるわけでございまして、そのために政府も栽培漁業、あるいは構造改善事業等を実施いたしておるのでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもの基本方針の策定それ自身も、まあ初めてのことでもございまして、若干おくれまして昨年の十月六日にこれを公表したと、自来、この基本方針に基づきまして、これに即して県の計画が立てられるわけでございますので、実は県とも何回か会議を開きまして打ち合わせてもまいっております。いま、先生も御承知のとおり、一方で構造改善事業をやっておりまして、県は、地区を全国でたしか百八つだと思いましたが、区域を指定して実施いたしておりまして、おおむねこれらの区域開発区域対象になるというふうに、われわれ考えております。  まあ、私ども、たいへん怠慢で、いまおしかりをこうむったように、指導通達もようやく先日発出したというようなことでございますけれども、ただいままで県と精力的にいろいろ事務のとり進め方につきましての打ち合わせもいたしておりますので、これに基づきまして私どもといたしましては、すみやかに県を指導いたしまして、開発区域の指定が円滑に行なわれるように努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  75. 川村清一

    ○川村清一君 この件につきましては、やはり法案審議の場合に、予算面からも申し上げたわけです。これは四十六年の通常国会で制定した法律でありますが、で、そのときにもう四十六年の予算には、いま長官の言われた三つの柱のうちの一つ、すなわち海洋水産資源開発事業のために、開発センターをつくって事業をやる。この開発センターについての予算は、出資金を含めて約十一億ということが四十六年度予算に書かれておった。ところが、その法律のもう一面である沿岸の、いわゆる資源開発のための事業、このほうの予算というものは目新しいものが何もない。いま長官のおっしゃったように、構造改善事業の中の予算だけなんですね。これではいけないんじゃないか。こちらのほうには新しい予算があるのに十一億つけている。こちらのほうには何もないじゃないかということを申し上げましたら、長官は、まあ、ことしは構造改善事業でやるんだと、明年からは予算をふやすと、こういう御答弁であったわけであります。ところが、現在国会に提案されております四十七年度予算を見ますというと、これとていわゆる開発センターのほうの予算はついております。しかしながら、沿岸のほうの予算は、目新しいものはほとんどない。長官がこの委員会で約束されたような予算は、ないわけです。まあ、しいて言えば、新規事業として大規模増殖場の開発調査費というのが千四百万ついている程度ではないでしょうか。これではちょっと約束が違うのじゃないかと私は思うのですが、長官どうですか。
  76. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 私ども沿岸水産の資源開発関連予算といたしましては、四十六年度が全体で二十九億、四十七年度はこれが三十九億ぐらいだというふうに理解をいたしております。その中でおっしゃるとおり、新規の事業といたしましては、大規模の増養殖場開発調査費、これはまあ三ヵ所でございますが、新規の事業として約千五百万ほど認められております。この予算は、まあ、私どもがかねて考えておりますような海底牧場の形成をこれによってやっていきたいということで、まだ調査費の段階でございますから、金額としてはあまり大きな金額ではございませんけれども、将来事業化が見込まれる場合にはかなりの、まあ、私ども恒久事業として取り上げてまいりたいと考えておりますので、増額の期待ができるのではないかというふうに考えております。  それ以外に、開発漁場の保全調査ということで、開発区域が設定されますから、そこにおきますところの漁場の保全のための調査の経費が一千万計上いたしております。  それ以外に、栽培漁業でございますが、これも実は、事業化の予算は、御承知のとおり現在は瀬戸内海が実施いたしておりませんので、たいした額にはなっておりませんけれども、実は、四十七年度予算におきましては、従来日本海についての調査をやっておりましたが、今回新しく栽培漁業の全国化ということを目ざしまして、四十七年度におきましては、日本海につきまして引き続き調査を継続するとともに、新しく太平洋の北区、中区、それから有明を含んだ東シナ海、沖繩を含めまして、全国新しく三地域につきましても、試験研究機関を動員して将来の栽培漁業センターをつくって、事業化するために必要な調査のための費用も新規に計上いたしております。まあ、いずれもそう申し上げては何でございますが、調査の経費でございますので、確かに金額的にいいますと、まだたいした金額にはなっておりませんけれども、将来、事業化ということになりますれば、相当多額の予算を要求し計上いたしたいと考える次第でございまして、いま直ちに予算化というような面で申しますと、まあ、構造改善事業実施地区数がふえたというような形でふえたものもありますが、おっしゃるとおりの面もあるわけでございますので、これらの調査をすみやかに終了いたしまして、また新しい調査も加えるようにいたしまして、事業化をはかってまいりたいと、かように考えております。
  77. 川村清一

    ○川村清一君 いまお話のありました海底牧場ですが、大規模増殖場開発事業実施することとして、四十七年度においては、まず三ヵ所について開発計画策定の準備のために必要な調査実施すると、こういうことで調査費千四百万計上されておりますが、この調査する三ヵ所というのはどこですか。
  78. 太田康二

    政府委員(太田康二君) この場所につきましても、まだ最終的には確定いたしておりませんけれども、私どもといたしましては北海道を含めた大体北の圏を対象に四十七年度は考えてまいりたいというふうに考えております。
  79. 川村清一

    ○川村清一君 農林大臣が公表しました「海洋水産資源開発基本方針」の第二の、「海洋の新漁場における漁業生産の企業化の促進に関する事項1」というのがありますが、それによりますと、「新漁場における漁業生産の企業化による漁業生産の増大の目標」は四十万トン。それから「漁業生産の企業化を促進することが適当な新漁場の予定海域」として世界じゅうの海につきまして海域を指定しております。  ところが一方、沿岸海域については、水産動植物の増養殖による漁業生産の増大の目標として、魚介類が二十二万トン、海藻類が九万トン、計三十一万トンがあげられておりますが、予定海域が示されておらない。地球上のあらゆる海域について、いや世界の海域について予定海域を示されているわけですね、この基本方針によれば。ところが、肝心の自分の国の、日本の海域については何ら予定海域が示されておらないというのは、これはどういうことなんですか。よその国の海域については、全部あげられている。自分の国の海域については、一つもあげられていない。そして三十一万トンという数字だけ載せているわけですね。その辺のことがさっぱり納得できないのでありますが、なぜ日本の予定海域は示されないのか。そして魚介類二十二万トン、海藻類九万トンというこの数字の根拠は何なのか。どこから積み上げてきたものなのか。これについて御答弁いただきたい。
  80. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、基本方針におきましては、沿岸につきましては「沿岸海域における水産動植物の増殖および養殖の推進に関する事項」ということで、まず第一は、対象になりますところの「適当な水産動植物の種類」をきめております。これは魚介類と海藻類に分けてきめておるわけでございます。その次に、お尋ねの「漁業生産の増大の目標」がきめられております。それからその次に、いま対象になりました「水産動植物の種類ごとの増殖または養殖に適する自然的条件に関する基準」というものをきめておりまして、さらに、いまの生産目標を達成するために、「必要な漁業生産の基盤の整備および開発ならびに施設の整備に関する基本的な事項」ということをきめておるのでございます。  そこで、まあ、対象になります魚介類、海藻類をこれで確定をいたしまして、さらに、これらの水産動植物が生育するに適当な自然的な条件の基準もそれぞれきめておるのでございまして、われわれといたしましては、この増産を期待する海域といたしましては、当然これから指定されますところの開発区域を重点に考えておるのでございます。  そこで、増大の目標をどうはじいたかというようなお尋ねでございますが、この点につきましては、私ども最近におきますところの増養殖による生産増加の趨勢、あるいは現在及び将来におけるところの主要生産施設等の整備状況及び天然資源確保の見通し、こういったものに基づきましてさらに新しい技術開発というようなことも期待できるわけですから、これらを勘案いたしまして四十四年度を基準といたしまして三十一万トンということを当面の五ヵ年先の増大の目標ということにいたした次第でございます。
  81. 川村清一

    ○川村清一君 ですから、私のお聞きしたいのは、漁業生産の企業化を促進することが適当な新漁場の予定海域としまして世界じゅうの海を指定しているわけでしょう。たとえばニュージーランド沖合いであるとか、中部太平洋海域であるとか、オーストラリア南方海域であるとか、アフリカ東南海域であるとか、アフリカ西岸沖合い海域であるとか、それからビスケー湾、北海、ノルウェー海、アイスランド周辺海域、ツアモツ、ソシエテ、ツブアイ諸島周辺海域、どこだかわからぬですが、こういうところも書いてある。サンゴ海、フィジー諸島周辺海域、シエラレオネ海盆なんていうのは、どこですかね。北アメリカ、南アメリカ、全部書いてあるわけでしょう。予定海域というのを予定しているわけでしょう。ところが、自分の国の日本の予定海域というのは、何もないというのはどういうことなんですか。いま長官は、われわれこれから指定するところが予定海域になると。よその国のところまで予定海域にしておいて、こちらのほうは一つも予定の海がないというのは、どういうことなんですか。
  82. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 答弁にならないかもわかりませんが、先ほど申し上げましたように、対象になる魚種、海藻類をきめておりまして、それの自然的な条件もきめておるわけでございますから、それに基づいて開発区域が指定されるということになるわけでございます。そして、法律的に言いましても、新漁場のほうははっきりと法律で適当な新漁場の予定海域ということをはっきり基本方針で定めろということになっておりまして、片一方は増大の目標ということで、どこで増大をするんだというようなことは言われておりませんが、私どもといたしましては、いま申し上げたような理由で、おのずから開発区域を重点にそこを対象にしてこういった沿岸の水産動植物の増養殖が行なわれる、そこで増産をはかりたい、こう申し上げておるのでございます。
  83. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、四月十一日のある新聞ですが、まあ新聞名は省略しますが、ある新聞に、農林省が十七日に開く中央漁業調整審議会にはかった上、今月末に政令を出し、全国三十一の主要漁場を指定海域に指定する方針である、こういう記事が出ている。それから、具体的に三十一の指定海域というものが出ておるわけですが、これはいま農林省が予定している指定海域でございますか。
  84. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、法律の第十二条で、開発区域とはダブらない、「開発区域以外の一定の海域で、海底の地形、海流、餌料生物の分布その他の自然的条件がすぐれているため漁場としての効用が高く、かつ、漁業生産において重要な地位を占める海域として政令で指定するもの」、これを指定海域といっているわけでございますが、そういう制度をこの法律では設けておるわけでございまして、この指定海域は、われわれの考えでは、開発区域よりももちろん以遠のところである主要な沖合いの重要漁場というふうに考えております。実は、これは先生が先ほどおっしゃいましたように、関係各省と非常にやり合いまして、いろいろ海底開発なんかの計画もあるわけでございますから、調整が難航いたしたわけでございますけれども、このほどおおむお話し合いがつきまして、いま御指摘のとおり三十一海域を指定をするということで近く政令を公布いたしたいということで、いませっかく準備を進めておるところでございます。
  85. 川村清一

    ○川村清一君 そうしますと、この指定海域三十一というのは、どこの海であるかということが新聞に出ておりますが、ある新聞だけでほかの新聞に出ておらないんですが、しかも、これは十七日に中央漁業調整審議会にかける、かける前に出たわけですが、これは農林省ばスクープされたわけですか、これは公表したわけですか、この問題が一つ。  それから法第五条に基づくところの開発区域というのは、これは一体見通しとしていつきまりますか。
  86. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 実は、この政令につきましては、法律の十二条第五項で中央漁業調整審議会を十七日に開くということになっておるわけでございまして、通常公表は審議会等が終わったあと公表しておる。新聞に発表いたしておるということでございますが、特に公表いたしたものはございません。  それから開発区域につきましては、先ほど申し上げましたように、確かにざっくばらんに申し上げまして、県によって多小でこぼこがあるようでございまして、すみやかにやれる県もやれない県もあろうかと思いますが、私どもといたしましては、できる限りすみやかにやるということで具体的に県の予定計画を五月末までに出してもらって、それからすみやかにやっていくということで現在取り進めておるのでございます。
  87. 川村清一

    ○川村清一君 いずれにいたしましても、いままでの質問を取りまとめますが、法律案を出してわれわれに審議をさせて、それを制定された。その法律の運用が手続上といいますか、行政的に非常におくれてしまって、せっかくの趣旨が何も生かされないで一年損してしまったことは、まことに残念で、この点を私は鋭くついておきたいと思います。それから、ぜひこの法律に書いてあるところの開発区域というものを指定してもらいたい。指定するにつきましては、一番先に申し上げましたように、各都道府県知事がやることになっておりますが、知事の力だけではとてもできないんです、これはじゃまが入りますからできないんです。そこでやはり国が、政府が相当強力な行政指導をしていただかなければ、一つには知事の姿勢を直すこと、知事がやろうとしてもほかの中央官庁の出先あたりにじゃまされるということがありますから、こういう点をやってもらわなければせっかく沿岸漁民のために、水産資源を開発していく、増養殖していく、むしろあなた方は口を開くというと、とる漁業から育てる漁業、育てる漁業はこれなんですね。これができないとすれば、どうにもならない。それをやるためには、ひとつ早く開発区域を指定してもらうということ。それからつくった以上は、仏つくって魂入らないではしょうがないので、やっぱり予算をつけてもらう。予算の裏づけのない開発指定では、何にもならないんです。開発指定といっても、何にもなりませんね。この法律を見ると、すべて知事にまかしておるが、知事だけではとてもできませんよ。やはり開発指定区域がきまるというと開発計画ができますね、知事が開発計画をつくり、その開発計画実施するためには国が強いてこ入れをしなければ、できっこないわけですから、この点をひとつ強力にやっていただきたいということを要望して、この問題についての私の質問は、一応これで終わりたいと思います。  次に、お尋ねしたいことは、これは水産庁、外務省に関係しておる事項でございますけれども、ソ連の漁業船団によりまして三陸沿岸漁船が相当大きな被害を受けてきておるわけであります。この問題についてお尋ねしたいわけでありますが、昭和四十六年十一月から四十七年二月にかけてソ連の漁業船団が岩手、三陸沿岸沖で操業いたしまして、そのためこの沿岸海域で操業中の沿岸漁船が漁網を切られるとか、ロープを切断されるとか、その他漁具を破損されまして、多大の損害を受けております。この被害の実態については、当然調査の上把握されていると思いますので、この際、その実情とそれに対処してどのような措置をとられたか、水産庁長官と外務省のほうからひとつ御報告いただきたいと思います。
  88. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御指摘のとおり、四十六年十一月八戸沖あるいは久慈沖等でソ連漁船がかなり操業しておりまして、母船、スタントロール、まき網、イカ釣り、まあ私ども明確に確認したわけではありませんけれども、約六十隻ぐらいが操業いたしておるということを承知をいたしております。そのために、おっしゃいましたように、沿岸海域、特に太平洋の海域におきましてこういったような航行、操業等によりまして沿岸漁業者の各種漁具に被害を生じておる。その実情は、私ども自身も調査をいたしておりますし、各県からの報告も聴取をいたしておるのでございますが、これによりましてかなりの件数が発生をいたしております。十一月三日から四月二日までの間に、相当の件数が出ておることは事実でございます。そこで、私どもといたしましては、かねてからこういった操業が多くなる時期におきましては、これらの海域に対しまして国、関係県等の取り締まり船というものをまず重点的にこれらの地域に配置するということのほか、外国漁船の操業に関する情報というものをすみやかに把握をいたしまして、これを関係県並びに漁業者に連絡をするということをいたしておりますが、さらに一方、被害の発生を未然に防止するということで、敷設いたしますところの漁具につきましては、外国船が十分確認できるような標識を設置するように指導をいたしております。それからまた、外務省を通じまして関係国に対しましては、日本近海におきますところのわが国の漁業規制措置の内容あるいは漁具の敷設状況、こういったものを説明して協力方を呼びかけておりますが、漁具被害が発生いたします場合には、実は、そのつど相手国に対しまして所要の申し入れと、必要に応じて損害賠償を請求する権利の留保というものを行なってきておるわけでございます。さらに、昭和四十七年度におきましては、約三百万程度の経費でございますが、特に外国漁船の操業の実態を把握するということ、あわせて被害等が生じないように重ねて指導していくということにいたしておりまして、特に県の調査船等に対しまして経費を委託いたしまして、これらの操業の実態の把握、紛争の未然の防止というようなことにつとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  89. 有田圭輔

    政府委員(有田圭輔君) お答え申し上げます。  ただいま水産庁長官のほうから申し上げましたことでほぼ尽きておりますが、私どももこのソ連の船団が三陸沖にあらわれて、いろいろ本邦漁船に対して被害を与えているというようなことは承知しております。したがいまして、この事実の確認を待ちまして、ソ連側に、ただいま長官からも申し上げましたように、日本の沿岸漁業の実態と様式とを詳細説明いたしまして、このような被害が起こらないように、ひとつソ連側では十分注意してほしい、またソ連船が被害を与えたというような事情が諸般の様子から明白な場合には、厳重にこういうことのないように、また必要に応じて損害賠償の請求権を留保するという趣旨のことを、在京大使館の担当の者を呼んで注意をいたしております実情でございまして、また、今後ともそのような方針でソ連側の注意を喚起し協力を求めていきたいと、かように存じております。
  90. 川村清一

    ○川村清一君 この問題につきましては、ただいま御報告がありましたように、一回二回でなくて数度にわたってあるわけですね。したがって、そういう事件が発生するつど、岩手県知事であるとかあるいは県議会、釜石市議会、岩手県底曳漁業協同組合ですか、こういうところから農林大臣水産庁長官、外務大臣に対して、いろいろ報告とともに陳情がなされてきておるわけであります。沿岸漁民の要求を大別しますと二つありまして、一つは、沿岸漁民は多大の被害を受けているのですから、この被害に対して損害賠償をしてもらいたい、これが一点。もう一点は、こういう事故が起きないように、安全操業ができるような措置をとってもらいたいということであります。これはソ連船が操業しているのも、これは違法行為ではないわけです。公海上で漁業をやっているわけですから、決して違法ではない。それじゃ日本の漁船は違法をしているかというと、日本の漁船も違法をしているわけじゃない。許可を得た漁業をやっているわけです。たまたま両方とも違法じゃないわけでありますけれども、そこに、向こうのほうは大きな船ですし、大規模な漁業でありますから、こちらのほうの沿岸漁業のほうが被害を受ける、こういう実態ですね。したがって、こういうことが起こらないように、何とか外国漁船が入ってこられない専管水域というものを、これを設定してもらいたい。少なくとも十二海里ぐらいは専管水域を設定してもらいたい。そうして沿岸漁民が安全に操業できるような、こういう調整をしてもらいたいということであります。この要求は、私は当然の要求だと思うのです。したがって、国はこの当然の要求を実現するために努力するのは、これも当然だと思います。  そこで、水産庁長官も欧亜局長も、ソ連に対して賠償を保留しておるが、賠償請求はぜひしてもらわなければならない。もしもソ連が賠償しないならば、日本政府がこの損害を何らかの形で補償してやるべきではないかと私は思うのです。何も悪いことをしているわけじゃないのですから、漁業調整規則に従って法律の範囲内において漁業をやっているわけですから、それをソ連漁業団と摩擦しまして、こういう事件が起きているわけですから、政府は当然その損害を補償すべきじゃないかと私は思います。  それから、専管水域の問題、これも私は数回にわたってこれを委員会でも質問し、あるいは漁業白書の質問等で、総理大臣、外務大臣に質問を展開してきております。そのつど領海三海里というものは、もはや時代に合わないのである、広げなければならないということを総理大臣もおっしゃっておられます。しかし、いまだその実現がない。聞くところによれば、明年ジュネーブで開かれる万国の海洋法会議の結果によってそれをやりたいという政府の意向のようでありますが、これはぜひ早期にこの処置をしていただかなければならないと私は思うわけです。これに対する見解、特に賠償問題について一体、外務省は、ソ連に強く要求しているのか。それに対するソ連の対応はどうなのか、これを明らかにしていただきたいと思います。
  91. 有田圭輔

    政府委員(有田圭輔君) 先生御指摘の御趣旨は、よくわかっております。ただ、問題は、事件発生の実情というものが、必ずしも全面的にはよくわかっておらないという点が、従来のケースであるようでございます。したがいまして、ソ連の、いつの時期に、どのような船がシーアンカーを切り、あるいは漁網に被害を与えたかということは、それぞれのケースについておおよそのことは、日本側の関係者の事情聴取によってわかってはおりますが、今度はソ連側がこれを確認したかと申しますと、率直に申し上げて、ソ連側のほうでは、その一々について確認しておりません。したがいまして、わがほうの申し入れに対しましても、それを関係当局に伝達するということで、現在のところ終わっているのが実情でございます。もちろん、われわれとしては、これは関係者の、日本側の知る限りにおいては、ソ連側のものがやったに違いないから、したがって、これを十分に検討してほしいということは、われわれとしては強く申し出ております。ただ、相手側はこれに対して、それではソ連の責任を認めると、したがって、これについて適当な措置をとるということは、残念ながら正直に申し上げて言っておりません。それが実情でございます。しかし、先ほど来申し上げましたように、本来こういう問題を未然に防ぐ、将来再発しないようにするということもまた大切でございますので、水産庁長官も、標識を十分にするというようなこともおっしゃっておられましたが、ソ連側にもそのような実情を説明し、また、沿岸漁民がたくさん出漁してる海面においては、ソ連側において十分な注意を行なって、このような事件が将来とも発生しないように、日本の沿岸漁民を刺激しないようにという点は厳重に申し入れてございます。ただ具体的に、それでは損害賠償に応ずるかというような点は、遺憾ながら先ほど申し上げましたように、ソ連側としては、まだその点についての確認を行なっていないというのが実情でございます。
  92. 川村清一

    ○川村清一君 それじゃあ、ソ連側が損害賠償しないならば、当然日本国政府がかわって補償してやるべきじゃないかと、私はそう思うんですが、ひとつこれは大臣、日ソの漁業の問題については、赤城さんはベテランでございますので、これは北洋漁業じゃございませんが、日本の漁船が、しかも沿岸漁船ですが、こういう損害を受けてるんですから、政府がかわって補償すべきだと思いますが、大臣の御見解をひとつ承りたいと思います。
  93. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 非常にまあ、率直に言って、むずかしい問題でざごいます。実は、御承知のように日韓交渉のときにも、日本の船が拿捕されて、損害を受けておりました。それを日韓交渉で向こうから賠償を取れなかったものですから、日本で、日本政府でその賠償を払うことにいたしましたが、これを政府と折衝するにずいぶん骨折りました。それで、このソ連の日本漁船に対する、何と言いますか、いろんな不法行為かなんかしりませんが、過失なんか、これにつきましては、いま外務省の局長からも話がありましたように、こちらでは被害があったと、ソ連のほうでは、ソ連のほうにそういう過失はない、打撃は与えてないということで、損害を受けたことに対しての立証といいますか、向こうがそれを応諾してないような状況でございます。でございまするが、それを今度は日本で肩がわりして賠償するかしないかという問題は、被害状況やら、あるいはまた、なかなか政府としてそれをのみ得るか得ないか、こういう問題もまだ相当残ってるんじゃないかと思います。日韓のときの私ども折衝の経験から言いますと、なかなかむずかしい問題であったものですから、この問題もいますぐはっきり割り切って申し上げるということは、ちょっと私にはむずかしい問題でございますが、それはよく頭に入れてこれから検討してみたいと思います。
  94. 川村清一

    ○川村清一君 まあむずかしいとおっしゃいますけれども、ソ連が賠償しないとすれば、これは被害を受けた貧乏な沿岸漁民に対して泣き寝入りだということは、これはあまりにむごいんではないかと思う。たとえば、北洋の安全操業のように、まあ、こちらのほうは絶対領海を侵害しておらないと、こう言っても、ソ連のほうはそうじゃないんだと、領海を侵犯したからつかまえたんだ、拿捕したんだ、こう言われれば、これはこっちも困りますけれども、また、いまの船ですと、みなレーダーを持っているわけですから、領海侵犯しないと言ったところで、それは機械でもうちゃんとわかるわけですから、こちらのほうもそうじゃないと言えるかもしれませんが、この場合は、もう被害を受けた実態があるわけですよ。ソ連がしないと言ったって、それじゃあだれがしたかということになるわけです。当然賠償を要求する権利はあるわけです。ですから、賠償要求を留保されているという御答弁がなされている。しかし、しないならば日本政府が肩がわってやるべきじゃないか。大臣からは、いま朝鮮の拿捕の問題等ありましたが、いずれ私も韓国の拿捕船に対する問題と関連して、北洋の拿捕船に対する損害見舞いといいますか、こういう点についてお尋ねしたいと思いますが、その問題とは違うわけですね。ですから、ぜひこれはやってもらわなければならないと思う。  私の手元に現地の新聞——これは河北新報でありますが、これの切り抜きが来ておるわけです。一、二読んでみます。これは岩手県議会の代表の方が、ソ連大使館に参りましていろいろ陳情等したときに、ソ連大使館のほうで言われたことでありますが、「ソ連大使館のチャソプニコフ参事官は「三陸沖で、日本側漁船に危害を与えた事実はない。しかし同問題についてソ連漁船の船番号がわかれば再調査したい。そしてソ連側が被害を確認すれば補償問題を検討したい」と答えた。」、こういう記事が一つあります。そこで、これは河北新報で提供された写真ですから、外務省で検討してください。これソ連の船ですが大きな船、これは拡大鏡で見れば船名が判明します。  それから、まだ記事があるのですが、一体ソ連船団というのはどういう構成になっておるか「釜石海上保安部の観測では、ソ連船はサンマ、サバ、イカ、底びきの各船団に分かれ、一船団が一万トン級母船一隻、六、七千トン級仲積み船一−二隻、補給船、タンカー、これに千五百−三千トン級漁船三−五隻の大編成。最も多い時には総勢三、四十隻が三陸沖の各所に散開、岩手沖を中心に魚群を追って北上、南下しているという。」こういうことであります。「沿岸の各港を基地に操業している日本漁船は、せいぜい五十トン前後の小型船。ソ通船と比べると、まるで大型ダンプと軽四輪かバイクなみ。「根こそぎ獲物を持っていかれそうだ」と語る漁民の口ぶりは真剣そのものだ。」そこで、見出しにこういう記事が書いてある。「公海だ、とはいっても領海ギリギリ。庭先同様の三陸沖で、ソ連船が気まま勝手、われわれの方がビクビクしながら操業するなんて……。こんなバカげた話がありますか。」、これは漁民の偽らざる感情の吐露でないかと思うわけであります。これをさらに、やや詳しく書いた記事は、「好、不漁の心配よりもソ連船への警戒が先行する三陸沖——。地元漁業関係者の不安は高まる一方だ。県を介しての申し入ればもちろん、政府やソ連大使館への直接、間接の要請、陳情は数え切れないほど。にもかかわらず、これまでのところソ連側はいたって冷ややか。なんの反応もないという。また”味方”であるはずの政府機関に「それは大変ですね」の一言で片づけられた陳情団もあるといわれ、漁民感情は複雑だ。」と、こうある。まあ、これは、漁民のほんとうに素朴な感情を率直に表現していると思う。ソ連にはさんざん痛めつけられ、そこで日本政府のほうへ陳情に行くと、それはお気の毒ですねと言うだけであって、何にもしてくれないということであれば、これはたいへんですね。それは、ぜひこの損害というものをソ連に肩がわりして日本政府で補償するように措置していただきたいと、こう思うんですが、再度ひとつ、大臣、御検討していただけませんか。むずかしいことは、わかりますよ。むずかしいで済まされない、かわいそうで。両方ともこれは違法行為をやっているわけじゃないですからね。ソ連の大きな船でもってトロールに引っかけられてしまったら、日本の小さな船の縄は、網は、みな切られてしまいます。これは当然ですよ。これはぜひやってもらわなければならないことだと思いますが、いかがですか。
  95. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 何といたしましても、第一段階といたしましては、ソ連から賠償をとるというのが一番の筋でございますが、それがはっきり、少なくとも損害を与えているということをはっきりするというふうな段階でないと、日本政府が肩がわりしてやれと言っても、なかなか政府・国が賠償を払う位置にはございませんが、政府全体としてそこまで踏み切れるかどうか、実際にむずかしいと私は思うんですよ。むずかしいからやらないというわけじゃありませんが、やっぱり運び方がむずかしいもんですから。私は、よく御趣旨はわかります。しかし、いろいろな運び方があると思います。ですが、第一段階は、やっぱりソ連側から賠償をとる、また、その損害というものを確認させるということでなければならないと思います。そういう意味におきまして、いろいろな運び方をとるについても、検討してみませんと、勢いのいいことばかり言っても何にもなりませんから、払うとかやるとかということは、とうてい言えませんけれども、あまり勢いのいいことを交渉して発言するわけにまいりませんから、まあじっくり——じっくりと言っても、おそくというわけではありませんが、よく検討して……。よく承りましたから、まあ、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  96. 川村清一

    ○川村清一君 まあ、じっくりでもかまわないですから、なるべく急いで検討してもらいたいと思います。  そこで、私も、実は、北海道の沿岸で、このソ連の船団というのは、二回も三回も見ているわけです。いま、客観性を持たせるために、新聞の記事を読んだのですが、私は、ひょっと見たところ、これは何だろう、軍艦が来ているんじゃないか、軍艦となればこれは日本の軍艦じゃないだろうから、一体これはどこの軍艦が来ているのかと思って、驚いたことがあるわけです。日本の領海は三海里ですから、三海里といったら五千四百メートルでしょう。五千四百メートルといったって、海のことですからすぐそこです。手の届くところです。公海ですから、ここで三十隻から四十隻もの船が全部とまっているわけです。そこで、その母船というのは一万トンくらいのものが、もう多いときには三隻も四隻もとまっているわけですね。そこで、ソ連の船団は、先ほどから何回も言うとおり、これは違法行為ではないわけです。公海にいるわけです。しかし、日本のわれわれといたしましては、あまりいい気持ちはしませんよ。すぐ目の前にまつ黒い大きな船がいるわけですから。これは、民族感情もありますから、あまりいい気持ちはせぬものです。ただ、そこに停泊しているだけならいいですよ。これが操業するわけですからね。しかも、ソ連は決して個人経営の漁業ではないわけですから、国営でございますから、したがって、とるだけとれば——計画生産ですから、とるだけとれば終わるわけですが、近代的な装備を持った船が、たとえばサバなんかでも、これは旋網でやるわけですよ。これがだんだん南下して行く。前には千葉県の沖くらいまで来たじゃありませんか。千葉県では、県の漁業調整規則で、資源を守るという立場から、サバ漁業というのは一本釣りでやっている。その海域に、日本では一本釣りしか許可しないところに来て、ごっそり旋網でもってとられてしまったら、一体どういうことになりますか。こういう漁業をやっておるわけですね。ですから、専管水域を、少なくとも十二海里沖出しをして、外国漁船が入ってこないように、日本の漁業を守ってくれという当然の要求でしょう。これを私も数回言っておるわけですが、実現されないのであります。そうして相も変わらず、日本政府は領海三海里、いま世界の国で領海三海里なんということをいっておる国がどこにありますか。南米のペルーなんか二百海里をいうておる。いままでは、日本の漁業というのは、世界中に進出して、アフリカに行ったり、オーストラリアに行ったり、ニュージランドに行ったりやっておるわけでありますから、外国の近くまで行きたいものだから、それをいまの政府は国益と称する。国益というのは、何のことかわからない。大漁業者の利益を国益といっておるのかどうかしりませんけれども、そばまで行けるものですから、それで領海三海里、いまはそうではなくて、外国の漁船が日本の沿岸に来て、日本の漁船を困らしておるという実態になってきておる。一日も早く領海三海里というものをやめて、少なくとも領海は六海里、その外側にさらに六海里、合計十二海里の専管水域を設定するのは当然なことだと思うのでありますが、大臣、いかがですか。
  97. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 領海の問題は、ことしか来年、先ほど話があったと思いますが、片づくと思います。そういう世界的な情勢から見ても、日本の国内も、そういう方面に各省とも大体方向が一致していますから、そういうふうに近いうちにきまると思います、大体。そういう見通しです。  いまの、ソ連船が来ている状況につきまして、立ったついでですが、実は私も向こうへ行くと、向こうに言われるのです。向こうへ日本の船が来て、カムチャッカあたり、漁民が眺めているところで、日本の船団が入ってきて、そうして、ガラガラガラガラ、カニなんか取って、工場が上にあって、そこで、上でかん詰めまでつくっているのを指をくわえて眺めていることもあるのだ、何も味方するわけじゃございません。それを聞いても、日本の漁民の感情というものはよくわかります。そういうようなことでございますので、この点は私のほうもよく考えて、どういうふうな方法をとるかというようなことをよく検討してみたいと思います。いまの話は、何もソ連の味方をいたしたわけじゃございませんが、ソ連でもそんなことをいっているぐらいだから、日本の漁民の感情なんというものは十分わかります。ことに領海が三海里ですから、なお近いソ連じゃ遠くのほうで見てもそのぐらいだから、近いところで見ちゃなおだと思います。よくわかりますので、よけいなことでございますが、ちょっと私も感じを申し述べました。
  98. 川村清一

    ○川村清一君 それでは、時間もございませんので、最後に少しの時間をいただきまして、日ソ漁業委員会における交渉の経過あるいはその展望などについてお尋ねをしたいと思います。  三月二十三日付の新聞報道によりますれば、「二十二日モスクワで開かれた日ソ漁業委員会の第四回本会議でソ連側はサケ・マス、ニシンの大幅規制案を提示してきた。」として、「サケ・マスについては日本海側にも広域の休漁区を新たに設置、太平洋側でも全面禁漁に近い休漁区設置、」そうして大幅減船を提案してきた。ニシンにつきましては、「オホーツク系抱卵ニシンの禁漁を続けながら索餌ニシンも一昨年の水準に制限するきびしい姿勢で臨んできた。」と、それで、こういうような記事が出ておったんです。そうして具体的に休漁区であるとか、あるいは漁期というものにも数字が示されておるわけなんですが、これを私、読んでみまして、サケ・マスにつきまして、もし日本海側に広い休漁区域を設置する、あるいは太平洋側のこれまでの禁止区域の南に休漁区を設けてきたということは、これは重大な提案であると思うわけであります。もし、これが提案どおりされるということになりますれば、B区域において操業しているこの太平洋小型サケ・マス流し網漁業、あるいは日本海の流し網漁業、これにつきましては、もう致命的な規制案である。沿岸漁民の死活の問題である、こう考えるわけです。したがって、漁民の生活を守る、生活権を守るという立場からは、この提案は絶対にのめない。のむべきでないと、かように考えておるわけでありますが、その後新聞記事出ておりませんので、このソ連の二十二日提案されてきたこの案に対して、日本政府は、どういうような姿勢でこの交渉に臨んでおるのかどうか。経過がどうなっておるのか。そうして展望はどうなのか。外交交渉でありますので、ここでは具体的に述べられないこともあるかと思いますが、述べられないとするならば、しかたがございませんが、できるだけのことはひとつ報告をいただきたいのであります。  それから、減船というものを言い出してきておるわけでありますが、これとても母船式漁業の減船、それから四十八度以南の減船、あるいは太平洋小型流しの減船、あるいははえなわの減船、日本海のほうの減船、どのくらいの減船かわかりませんが、減船ということになりますれば、また問題が起きてくると思うわけでありますが、減船に対する補償とか、こういうものは、どのようなことになるのか。これらについても、農林省考えられておることをひとつ説明をしていただきたい、かように考えます。
  99. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 最初の提案は、毎度のことでございますから、確かにかなりきびしい提案であったわけでございますけれども、サケ・マス、ニシンについて審議いたしております日ソ漁業委員会につきましては、なお現在非公式会談が続けられております。大体問題も煮詰まってまいっておる段階でございまして、現在残されておる主要な問題点はサケ・マスの漁獲量の問題、それと、これも毎度ソ連側は提案をいたすわけですが、太平洋側二割、日本海側は五割の減船ということを言っております。  それから、いまお尋ねの禁漁区、休漁区の設定の問題、それからソ連監視船のB区域への乗り入れ、それからオホーツク海の索餌ニシンについての規制措置、こういった問題がまだ煮詰まっていないわけでございまして、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こういったソ連の強硬な規制要求というものに対しましては、強く反対をいたしておるのでございまして、いずれにいたしましても、過去におきますところの経緯等もあるわけでございますから、これらを踏まえまして、わが側の、何と申しますか、それこそ国益でございますか、これの十全なる確保ということを基本にいたしまして、現在強く折衝に当たらしておるということでございます。
  100. 川村清一

    ○川村清一君 減船補償。
  101. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 減船の問題につきましては、まだ、そういうことを言っておりますが、わがほうとしては減船問題は国内問題であるということで、従来も対処いたしてきておるわけでございますから、そういったことを基本の方針として現在折衝いたしておるということでございます。
  102. 川村清一

    ○川村清一君 水産庁の姿勢というものはわかりましたが、しかし、まあこれは外交折衝でございますので、向こうは大幅の規制案を出してきたと、こちらのほうは反対だと言っておる。しかし、反対反対でこれは通せないというのが過去の例で明らかですね。やっぱりだんだんこう日本もどこかで手を打たなければならない、こういうことになりますね。その際に、私はぜひここで強く要望しておきたいことは、先ほど申し上げましたように、四十五度以北の母船式の流し網漁業、あるいは四十八度以南の流し網漁業、これは比較的資本漁業の部類に属すると思うのであります。これの漁獲量の問題あるいは休漁区の問題というものにからんできて、いわゆるそれを守るために太平洋の千三百隻近くあるところのこの十トン未満の小型流し網漁業あるいは日本海のマスの流し網漁業は、ほんとうに沿岸漁業ですね、こういうものがしわ寄せを受けて犠牲になるということに対しましては、私は絶対これはもう承服できかねるわけです。いわゆる比較的資本漁業なり大漁業の犠牲になって、沿岸漁業というものが押えられる、規制を受けるということは、断じて私は承服できかねるのでありますが、そういうことは絶対にないかどうか、ひとつ水産庁の姿勢をはっきり示していただきたいと思うわけです。これが許されるということになればたいへんです。  それから、減船補償の問題、確かにこれは国内問題。漁獲量がきまって、その漁獲量が減ってくるわけですから、それを船が多ければ企業採算がとれないわけですから、ペイしないわけですからね。そうしますと、どうしても国内操作として船を減らさなければならないということが出てきますが、国の責任においてその減らした船のやはり補償というものは考えるべきではないかと思うわけです。これは昨年抱卵ニシンの全面禁漁のときにもずいぶんやり合ったわけです、水産庁長官と。しかしながら、漁業権の補償については絶対これはやらないということになりました。どうしてやらないのかということをまあ、聞いたり推測してみると、昨年ニシンでもってそういう措置をすれば、来年は必ずサケ・マスでもって減船がくるだろう。そのときにニシンでもって国がこの漁業権を補償するならば、サケ・マスのところで漁業権を補償しなければならだいというところに国が追い込まれるというので、大和田水産庁長官、断固としてこれをはねのけた。初め自民党の保利幹事長なんかもやろうなんということが新聞に出ておったが、とうとう水産庁長官、け飛ばしちゃったといういきさつがありますが、それは、まあ、そのやったことは、それでいいと思うわけでありますが、この場合は、一体これをどうするのか。この点は、全然考えていないわけですか。これをもう一度お聞きしておきたい。
  103. 太田康二

    政府委員(太田康二君) この交渉は、日本じゅうが注目していることでもございますので、最終的な解決までに、先生のおっしゃいましたように、もちろん、場合によってはある程度のところで妥結をするというようなことも万やむを得ずあるわけでございますけれども、その際、お話のございましたように小さな漁業者が非常な犠牲をとうむるというような形での解決ということは、絶対にないように私どもはがん張っていきたいと、こういうふうに思っております。  それから、減船の問題でございますが、まだ減船につきましての最終的な話し合いについてのまとまりがこうなったということも入っておりませんので、いまお答えはできないわけでございますけれども、もちろん過去におきますところのニシン等の例もあるわけでございますから、もし減船等が実際に行なわれなければならないというようなことになりますれば、国としても何らかの対策を考えなければならないだろうというふうに考えております。
  104. 川村清一

    ○川村清一君 時間がありませんので、これで最後にいたします。いずれ北洋漁業の問題につきましては、赤城農林大臣はこのほうのベテランでございますので、いろいろと質問を申し上げたいと思います。  本日は、あと一点お聞きしたいのは、カニの問題です。カニ漁業の問題でございますが、これも四月六日付の新聞の報道によりますれば、カニについては政府間交渉で双方の主張が歩み寄り、二十日ごろには調印の見通しとなってきた、こういうことが出ておるわけです。そして具体的なやつも出ておるわけです。それから、政府は四月の十一日にカニ船団に対し、四月十五日を前に洋上待機を指示した、こういう記事が出ております。で、このカニ交渉の見通しというのはどういうことになっておるのか。これが一点。  それから、まあ昨年カニの問題が非常に暗礁に乗り上げまして、ついに赤城さんがわざわざモスクワまで飛んで行って、向こうのコスイギン首相なんかと話し合って、カニの問題を解決した。ところが、本来ならば日ソ漁業条約に基づいて東京で日ソ漁業委員会が開かれている。この日ソ漁業委員会においてサケ・マス、ニシン等の漁獲量であるとか、その他規制措置というものは、ここで検討され決定されるべきであるにもかかわらず、政府間交渉やっておる。カニの交渉を、モスクワに赤城さんが政府の全権として飛んで行って、そこで向こうの最高首脳と話し合って、そこでサケ・マスからニシンまできめてしまった。条約に基づくところの日ソ漁業委員会というものを、まあ形式的には最後にここできめましたけれども、実際的には両国の大使が行ってきめるわけですから、トップクラスでもってきめてしまったものを、これを否定するなんていうことはないわけですから、いわゆる条約に基づくところの正式委員会をそっちに置いて、たな上げしてきめてしまったということ等があったわけですけれども、しかし、カニはきまったんですね。そのカニのためにといっちゃ語弊があるかもしれないけれども、そのかわりニシンは全面禁漁ということになった。そこで、そのカニの一番交渉のネックになっておるものは、大陸だな資源、ソ連の言う大陸だな資源。日本は大陸だな資源でないと言う。ここにコンセンサスを得られないままに難航を続けておると、私はそう思うわけです。で、ことしはカニの問題が大体片づいたということは、この大陸だな資源論というものについて両国コンセンサスを得たのかどうかという問題が一つなんです。  それから、もう一点は、ツブ漁業です。いわゆるいままでツブなんていうものは、全然問題でなかったわけですね。ところが去年あたりからソ連は、ツブは大陸だな資源である、いわゆるソ連の資源であるという見解に立って、日本漁船というものをもう全然ツブ漁業させないような措置をとったわけですが、このツブ漁業は一体ことしはどうなるか。ツブはとれるのかとれないのか。これは北海道の漁業にとっては、やっぱり大事な資源でありますし、漁業者は非常に注目しているわけです。この点について大臣からひとつ報告と御見解を承りたいと思います。
  105. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) カニの問題、カニが大陸だな資源か公海資源かということは、もうずっと政府間交渉になってから引き続き争われておることでございます。いま川村さん御指摘のように、去年もこれで一月半ぐらい大陸だな資源だ、公海資源だといって実質的な審議に入らなかったのでございます。  それで御指摘でありますが、そういうことがあるものですから、水産庁長官も一緒に去年の十月、九月ソ連に行きまして、これからの交渉で主張はあるだろう、おれのほうは公海資源だということを譲らぬ。あなたのほうでも大陸だな資源は譲らぬかもしらぬ。しかし、これで一月半もこんな議論をしていたんじゃかなわないから、結論はどっちもたな上げして、交渉を続けたわけでございます。しかし、来年の交渉はするかしないかというような問題も、去年までは毎年あったんです。去年ようやく——去年から言えばことしですが、ことしの交渉もするということをきめておったのでやったんですが、ことしは大陸だな資源、公海資源の争いはほとんどなくて、実質的な漁獲量とか漁区とかの交渉に入ったわけです。しかし、私は大陸だな資源であるということを捨てちゃいないと思います。しかし、これを争っていたんじゃどっちもそのままでもの別れになるよりほかない。それじゃどうもいかんからということを言っておきましたので、これはあまり争わないようでございますが、大陸だな資源だという主張は捨てたというふうではないと思います。そういうふうに申し上げます。  それから、ツブは向こうは大陸だな資源だと、こう言っております。しかし、これはまた詳細、水産庁長官から報告いたしますが、ことしとれないということはございません。去年十月に行きまして、とらせるように話しまして、それで、ことしもツブの問題が出ておりますが、これも大陸だな資源だという主張はしていません。主張はしていませんが、向こうでは大陸だな資源だというたてまえで臨んでおります。しかし、これは争ってはおりません。ですからツブ漁業は、ことしもやることはやります。その海域とか、いろいろ折衝中でございます。  それから、去年私が向こうへ行って、東京で行なわれているサケ・マスの漁業交渉を、私が向こうへ行って、それを飛び越えてきめちゃったということなんですが、そうでもないんです。向こうへ行きましても、こっちと打ち合わせて、向こうの要求を少し押えるように向こうで話して、少しずつ押えて、こっちの様子を始終電話で聞きながら、そうしてまた向こうの様子をこっちに打ち合わせながら、こっちが交渉の舞台ですから、その舞台できまるようにやったんで、こっちをそっちのけにして、向こうできめちゃったというわけではございません。よく打ち合わせていたわけであります。  なお、私の報告より以上詳しいことは、水産庁長官から申し上げます。
  106. 太田康二

    政府委員(太田康二君) カニの交渉でございますが、ただいま大臣のお話もございましたように、去年みたいに大陸だな資源の繰り返しというようなことはなしに、昨年大臣が十月に行かれた効果も十分あったかと思いますが、わりあいに進展をいたしまして、西カムチャッカのタラバガニ、西ベーリングのズワイガニ、オリュートルの問題、それからサハリン東のアブラガニの漁獲量の問題、これを残しましては、他の水域については、おおむね前年どおりということで大体合意を見ておるのでございます。ただ、はなはだ残念なのは、私どもは全く関係ないじゃないかと言っておるわけでございますけれども、交渉事でございますので、ソ連側は実はカニ交渉とサケ・マス、ニシンの交渉の同時解決ということを主張いたしておるのでございまして、まあ、一応カニは、当時私のほうは十五日に操業、向こうは二十五日と言っておったわけでありますが、最終的には一応二十日ということで、これもおおむねの合意が得られたということでございますから、私どもといたしましては、先ほど先生のお話にもございましたように、許可証を交付いたしまして、洋上待機という形で備えるという措置をとったわけでございます。いずれにいたしましても、私どもはそれを切り離してやれということでいませっかく現地にその努力をいたさしておるわけでございますけれども、まだ必ずしも楽観を許さないというようなことにもなっております。いずれにいたしましても、サケ・マス等につきましても、だいぶ話が詰まってきておりますので、こういった状況を見ながら満足の得られるような結果が実現できますよう今後も引き続き努力をしてまいりたいと、かように考えております。  それから、ツブの漁業につきましては、これまた大臣からお話があったわけでございますけど、御承知のとおり、これにつきましても昨年十月に大臣が行かれまして、昨年の操業も認めたわけでございますけれども、さらに、明年は明年で話し合おうということになりましたので、モスクワで話し合いが行なわれているということは、御承知のとおりでございますが、そうしてソ連側はやはりツブにつきましても大陸だな資源であるというようなことを申しまして、まあ、何といいますか、わがほうがとらしてやるんだというようなことでございますので、一応現段階におきましては、操業区域を東樺太に限定をいたしております。そして、漁船数とか漁獲量にいたしましても、一応提案はいたしておりますが、従来わが国が確保いたしておりました実績に比べますと、かなりきびしい規制案を提示をいたしておるということでございます。  そこで、私どもといたしましては、これまた従来の実績確保ということに主眼を置きまして、こういった規制案はできる限り撤回するということを強くソ連側に申し入れをいたしておるわけでございまして、今後もこの方向でさらに折衝を続けるということにいたしたいということでございます。
  107. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私もその水産関係のことを続いて質問をしたいと思います。  そこで、私の場合は、漁業生産に関する諸条件というものがものすごく変わってきているという状態のもとで話を進めて、公害を中心に進めていきたいと思います。  いまさら申し上げるまでもなく、産業、企業の経済というものの、政策の優先的な施策が、都市の人口集中をはかっていくというようなことから、自然環境というものが非常に悪化してきておる。このうち灘であるとか内海、これらを中心とする沿岸漁業、漁場及び河川、あるいは湖、沼等の内水面漁業というものが、各種の工場だとか、あるいは事業場から出される廃水から起きるもの、都市下水の流入、あるいは船舶の廃油とか、あるいは事故による油の流出とか、屎尿とか、廃棄物の投棄とか、農薬等々による水質及びその底質がまことに汚濁しておる。こういう海洋汚染が急速の度を増してきて、どんどん悪化している。これからこのままいきますと、漁場の喪失はもちろんのこと、日本列島全域が荒廃をしてしまう。日本の沿岸漁業というもの、大臣も九〇%は沿岸漁業によって今日まできているというお話もありますように、このままの形態でいけば、いままで川村議員のほうから論議をされておるような、この新漁場の開発とか、あるいは指定海域とかいうような論議も、現在の公害のままで、公害のそのままを放り出したままでいくようになれば、これはえらいことだと思います。したがって、水産を話す者はだれ人といえども、その水産に対する農林省の、日本政府全体の考え先ほどお話がありましたように、まことに微々たるものなんです。先ほどお話がありましたから、私はこれを省略をしましても、五%の六百五十三億六千七百六十九万一千円というものが、その水産庁の総予算である。ではこの中にいま私が申し上げた公害をどうしなければならないのか、この公害を日本列島海域の荒廃していくところの状態を、じゃどのような手を打って、どれだけの予算でやっていこうとしているのか、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  108. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御指摘のとおり、公害問題が沿岸漁業の大きな問題になっておることは、御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、御承知のとおり、公害の諸立法が制定をされましたので、その中で特に水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、こういった公害関係の諸法律、これは厳正に運用してもらいまして、少なくとも現在以上に公害が進行しないということをやはり当面の対策にすべきではないかというふうに考えておるわけでございまして、この点につきましては、公害に対する認識というものも、企業の側におきましても、被害をこうむる漁民の側におきましても、最近高まっておりますので、これらをさらに規制措置の強化等によりまして漁場の環境をよくしていくようにつとめたい。それから生産力の減退いたしました漁場につきましては、その生産力の回復をはかるため客土とか、しゅんせつとか、作澪等をやる事業につきましての助成ということも、実は考えておるわけでございまして、御承知のとおり、公害につきましては、加害者負担というのが原則になっておりますので、なかなかこの予算化もむずかしかったわけでございますけれど、そういった予算金額はたいした額ではございませんけれど計上いたしまして、生産力の低下した漁場の回復をはかるというような事業考えておるわけでございます。まあ、こういったことによりまして、現在以上に漁場の悪化を防止すると同時に、生産力の維持回復をはかることによりましてこの問題に対処したい、こう考えておる次第でございます。
  109. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 考え方は、聞いていますといまにでもできそうな姿で、だれが聞いても、そうなればその防止もできるんだなというふうに思われますが、私が質問しましたのは、六百五十三億六千七百六十九万一千円ですか、その中で占めている公害の対策費というものは、どれだけ占めているかということを私、伺っているはずなんです。
  110. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 私どもの直接漁業にかかる公害対策ということで計上いたしております予算は、四十七年度は一億九百六十万六千円でございます。しかし、これは直接いま申し上げましたようなオイルフェンスの設置の助成とか、先ほど申し上げました漁場の環境の維持保全対策、そういった関係の経費でございます。  それ以外に、公害の対策として金融上の措置等も、それぞれ近代化資金あるいは公庫資金等で講じておるわけでございまして、公害対策プロパーの予算としてはそれだけでございますが、なお四十七年度からは漁港施設費の中にも、漁港の公害対策事業費補助ということで約五千二百万円くらいの経費を計上しておりますが、これはいま申し上げました数字の中に入れておりませんが、そうした予算も計上いたしております。
  111. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この公害の日本列島全部の海域についている公害被害状態というものがどんなふうになっているか、水産庁のほうから資料をいただいておるわけですが、この資料を見まして、非常に私はずさんな資料であるというふうに思うわけです。  と同時に、もう一つは「漁業の動向に関する年次報告」この白書の中を見てみますと、この「四十五年度に発生した水質汚濁等による突発的な漁業被害は、都道府県の報告によれば、総件数百四十七件で、被害額は、十五億五百万円(被害額不明が八十四件)であった。」、このようになっております。この八十四件というものが明確になったのが、これは四十五年度のことですから、さらに「四十四年度の都道府県報告によって水質汚濁に起因する継続的被害による被害額百四十五億八千百万円を加えると、総被害額は、百六十億八千六百万円に達」すると、このようになっておりまして——時間がもったいないですから、そのあとは私は省略いたしますけれども、こういう時点の八十四件がまだ不明であるという、こういうことも水産庁からいただいた資料に載っているのか載っていないのか、この点を伺いたいと思います。
  112. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 白書でも御報告申し上げておりますとおり、実は、公害による突発的被害等につきましては、私どもも手足を直接国の機関として持っておるわけではございませんので、県を通じて調査をいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のとおり、四十五年度は百四十七件、そのうち県の報告で被害が明らかになっておるものが六十三件で、その報告によりますと、被害額が十五億五百万円ということでございまして、なお、残りの八十四件については、被害額についての報告が出てないわけでございますので、なお、これから県も督促いたしまして、これらの被害についても明らかにしてまいりたいということでございます。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういうふうな不確定のことに予算考えるんですから、基本的なものが定まっていないで予算を立てようとするところに、私は対策の手も打てようがないんじゃないか、こう思うわけです。  それで、これは一つの公害キャンペーンの一環として全漁連の調査したものがございます。これは御存じだと思います。これは四十五年の八月を基準にしたものでありますが、この一つのキャンペーンの一環としてやったことから考えていきましても、この資料によりますと約二百億をこえるだろうと、こういっております。で、私どもがさらにそれを細かく全国の状態を集計してみますと、約二百五十億ぐらいの被害があるというふうに、私どもは調べてきておるわけであります。そこで、水産庁自体も調査や統計の資料が不ぞろいであるという、こういうことも、やはり大きな研究機関だとか調査機関だとか、施設に関するものが、人的配置等で非常に欠陥があるんじゃないか、それらがあるがゆえに、総体的なものがつかめないんじゃないかというふうに私は心配するわけなんです。私どもが日本列島全部を——そこから見えないかもしれませんが、あとでごらんくださればわかります——この地域被害状況を全部、どのくらいあるかということを大体チェックしてみました。水産庁でも、それじゃ私たちのこのものよりりっばなものが当然備えられて、つくられて、こういうふうに、日本列島の海域は、こういう状態であるんだというふうに、海図で、私が示しているように国民に示して、こんなふうな被害状態になっているんだ。だから、国民も一緒になってこの問題には取っ組んでいくようにして、一ときも早く、PCBなんかを含まないように、また、そういう公害におかされていない魚介類を食生活の中に入れなきゃいけないんじゃないかということを私は言うべきだと思うんです。どうなんですか、こういうふうな海図かなんかで日本列島全海域の状態を示したものがございますか。
  114. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 先ほども申し上げましたように、最近というか、数年来の都市廃水とか産業廃水、あるいは漁船等の廃油による漁業の被害、いわゆる公害でございますが、非常に数多くあることは、御指摘のとおりでございます。そこで、実は、私どもといたしましても、昭和四十四年度から調査に着工をいたしまして、もちろん全部をいたしたわけではございませんけれども、各県に委託をいたしまして、主要な水域におきますところの水質、底質、重金属類の魚介類への蓄積等についての総点検を実施いたしております。これの具体的な中身でございますが、水産にかかる環境基準に適合しないという調査検体が河川で七・四%、湖沼では三〇・六%、海域では一三・二%ということになっておりまして、まあ、これは全部ではございませんから、かなり幅広くやったわけでございますけれども、全国の地図の上に落して、こういった状況になっておるというところまでは、実はつかんでおりません。まあ、それ以外に、先ほど先生の御指摘のように、公害によって継続的に被害が発生している、それは海面でどうだとか、内水面でどうだとかいうような状態にしましても、実は、それは県にお願いして、県からの報告に基づきまして私ども集計いたしております。突発的事故につきましては、先ほど御報告申し上げたようなことでございまして、まだ十分ではございませんが、漸次県等におきまするこれらの体制につきましても、最も関心のある問題でございまして、私どもも内部の体制を整備すると同時に、県等も督励いたしまして、もっとこういった調査が的確にすみやかにつかめるような体制をこれからつくっていかなければならないというふうに考えております。
  115. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 お話がありました県から吸い上げてこなければわからない、それは国の立場で言えばそうかもわかりませんけれども、それを待っていればいつまでたったってわからない。といいますのは、全漁連の方々が苦労して調べた中でも未掌握の県がある。全漁連の面からいきますと、北海道とか岡山とか島根とかがあるわけです。で、水産庁のほうでまた未掌握だというのは、岩手、福島、埼玉、静岡、島根、高知、熊本というふうに、この中では数字が全然あらわれていないところからみれば、そういうものは全然これに公害を受けていないというふうに見ることになるわけです。これは全く違うわけです。事実上岩手県なんかも、先ほどお話がありましたが、三陸沖なんかも、あのきれいなところまでおかされ始めている。あそこ以外に、あと日本海の一部分、その日本海も新潟ではどういうことになったかということでございますね。いま新潟の話を私しましたからついでに申し上げますが、千葉のあの大型タンカーの油の放出によって一夜にして八億八千万という被害が起きてきている。これに対して、じゃあどういうふうな処置をしているのか。また新潟県等につきましては、昨年のあれは十一月三十日でしたか、リベリアのタンカー・ジュリアナ号ですね、あのときにはもう赤城農林大臣あるいは佐藤政務次官等のすみやかな手の打ち方、活躍によって直ちに六億九千万ぐらいの金を出して、暮れから正月を迎えるというこの零細な漁民にあたたかい手を、融資をされたということは、これはまことにうれしいことでございます。あれなんかも、やはりわが党が直ちに行きまして、全地域にわたって調査をして、衆議院におきましても本会議あるいは委員会等で申し上げて、その結果、いまのようなことで手が打たれたわけです。この問題でも、私はたいへんだと思うのです。考えてみれば、水産庁自体の予算は、これはわれわれ国民全部の血税であります。さらに、この被害を受けているその地域の人たち、魚を食えないわれわれも入ってくるでありましょうけれども、その地域の人たちにすれば、二重の苦しみを受けていることになる。さらに今度は、もう一言言えば、日本の水産物がだんだん少なくなってくるから、また安いものであるがゆえに、輸入をどんどんしてくる。それは国民は、輸入された水産物をまた金を出して買っていく。三重にもこのしわ寄せを食っていくのが、国民という立場になるわけです。こういうことから考えていきましても、私は、いまお話がありましたように、まだこれからでございますとか、すまぬことでございますとか言っているだけでは、私はいけないんじゃないか。きょうのこの委員会一つの大きな出発点として、さらにもう一段の手を打たれることを私は申し上げたいと思うんです。  さらに、いま申し上げましたジュ号は、四月の中旬といいますから、いまですね。これが第二次の、水産庁はその状態を調査して、そしてその被害総額というものを考えて対処しようというふうに報じられていますけれども、これはどうなんでしょうか。
  116. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 新潟沖におきますタンカーの事故につきましては、ああいった漁場におきまして外国船による原油の事故であるというような特殊事情にかんがみまして、御承知のとおり、実は現行制度には何もないわけでございますけれども、これに見ならうべき制度として天災融資法という制度がございます。天災融資法の中には、実は発動の内規がございまして、地域的に、局地的に非常に激甚な災害につきましては、被害額が十億をこえるとき、しかも二県以上にわたっているときには、天災融資法を発動するというような事例もありますから、これにならいまして、実は先ほどおっしゃいましたような天災融資法の激甚災に準ずる措置を講じたことは、御承知のとおりでございます。その後、水産庁といたしましては、いろいろ県ともタイアップし、私どもの日本海区の水産研究所がたまたま新潟にございますから、ここを中心にいたしまして、漁場の調査をいたしたわけでございます。その結果によりますと、海の自浄作用によりまして、タンカーが座礁した近辺におきましては、なお油による被害があるらしいということでございましたが、それ以外の地域につきましては、たしか二月の初めだったかと思いますが、全部漁業を解禁いたしまして、もうすでに漁獲が始まっておるわけでございます。なお、最近まだ最終的な結果ではございませんが、私ども調査官の調査によりますと、いま、座礁を見ましたところにおきましても、もうすでに油の、何と申しますか、においが残るようなことは、ほとんど考えられないということでございますので、もう一度私どもの担当の調査官を派遣いたしまして、現地でつぶさに検討会を開きまして、その結果支障なしということでありますれば、直ちにそこの禁止も、県と相談をいたしまして解除をするということに考えておるわけでございまして、大体この四月の十七、八日ごろ現地でそういった打ち合わせをいたしまして、解除をするということを考えております。  なお、損害賠償の問題でございますが、この点につきましては、実は総理府の中に関係県、これは新潟にも入ってもらっておりますが、関係各省集まりまして、どういうふうな形でこれをやっていくかというような打ち合わせもいたしております。なお、それぞれ弁護士をつけて話し合いも行なわれているようでございまして、被害額が最終的に確定いたしますれば、それに基づくところの損害賠償請求というようなものにつきましても、私どもは十分指導をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  117. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外国船の関係等で非常にむずかしい問題だと思いますので、なかなか被害額というものもこうだというものは打ち出せないんじゃないかという事情はわかるわけです。ところが、その調査のしかたに問題がある、こういうふうに思うわけなんです。と言いますのは、新潟県、山形県等にわたって、五十嵐浜のほうから山形県の境の沖のほうまで相当な被害があったわけですね。それが調査している部分というものは、地元の人たちが納得のできないような範囲内で調査をしていると、新聞等にも報道されておりますが、それはともかくとしまして、一九六七年英国で起こったあのトリー・キャニオン号ですね、あのトリー・キャニオン号事故における賠償請求というものは、英国政府がキャニオン号の姉妹船を差し押えて停船させるという強い態度をとりながらも、事故発生後から二年八ヵ月かかって、しかも示談金というものは、請求額の千六百万ドル——五十七億六千万円の半分に満たない結果になったということが過去にあるわけです。したがいまして、これは非常にむずかしい問題ではありますが、水産庁長官も大臣も御存じのように、わが国における石油消費量は、年間約二億キロリットルといわれております。これはほとんど、もう全部が全部外国からくるわけです。この油送船の事故というものが、非常に起きている。このジュ号のことばかりでなくて、今日まで日本列島海域で油の公害による被害の訴訟をしている事件件数、それから解決されたもの、まだ訴訟中のもの、これらについて詳細にひとつ御報告願いたいと思います。これは運輸省でしょうか。水産庁でよろしいですか。
  118. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 御承知のとおり、海洋における油による被害の問題につきましては、海洋汚染防止法の所管官庁が、言いわけするわけじゃございませんけれども、運輸省でございますので、私どもとしては、ちょっといま手元に資料もございませんので……。
  119. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 運輸省の人来ているでしょう、要求してあるわけですから。
  120. 山地進

    説明員(山地進君) まことに申しわけございませんけれども、いまの訴訟件数並びにその成立の件数につきましては、私、いま手元に資料持っておりませんので、後刻調べまして御報告したいと思います。
  121. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 資料としてひとつ皆さんにもお渡しするように、全体的にお願いしたいと思います。
  122. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) いま要求されました資料も、後刻皆さんにも渡るようにしてください。
  123. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そのことが、私はほしかったわけです。それによって話をもっとこまかく進めていきたいという考えで用意をしていたわけなんですが、それをまたいただいてから、私どものほうの実際に調べているものと照合いたしまして、また後日に譲っていきたいと思いますが、いずれにしましても、先ほど総点検ということをおっしゃいました。この総点検をして、いつごろまでに総点検をやって、そして国民の方々、特にその海域の被害をこうむっている漁民の方々、二重苦を受け三重苦を受けている方々に対する状態というものは、こういう姿になっているんだ、国民の皆さんがこういうひどい状態なのかということを明確にしていかなければ、私は海洋汚染法という法律をつくっても、海洋汚染法という法律ができたら、こういうわけでできたのだから、だからこれひとしく皆さんも、これをお互いが国民の一人として守り合っていかなければならないんじゃないかという、国民側のほうにもはっきりしていく上においても、一時も早くその総点検、海図によって示されるのもけっこうでありましょうし、また、その資料によって示されるのもけっこうだと思いますけれども、一時も早くそれを示してもらいたいと思います。これは大臣いかがでしょうか。
  124. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) お話方向に努力を進めていきたいと思います。
  125. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは運輸省の方が見えておりますので、廃油処理施設の整備というものについてどんなふうなお考えなのか、ちょっと伺っておきたいと思うんですけれどもね。
  126. 山地進

    説明員(山地進君) 廃油処理施設は、ただいま各港のほうに共通の処理施設をつくりまして、そこに廃油処理船というもので集積をして、そして処理しようということを計画中でございます。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その計画地域は、どの辺にどうなっているんですか。もうすでに昭和四十六年度の予算がついているわけです。ですから、どういうふうになっているのかと聞いているわけですから、今後またどういうふうにしてこれをやっていこうとするのか。財投あたりで年間の廃油処理施設の整備なんというのはどうなっておるのか、開発銀行等による融資額の問題なんかどういうふうになっているのか、もう少し親切に、立った以上説明を願いたいと思います。
  128. 山地進

    説明員(山地進君) まことに申しわけございませんけれども、廃油処理施設のほうをやっている担当の課長がいま出張しておりまして、私はその件につきましては、不肖にして先生に御説明するほどの知識を持っておりませんので、これもあらためて後刻御説明させていただきたいと思います。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 困りますね。私、予告してあるんですけれどもね。大事な短い時間に、貴重な時間しかないんですから、前もってお願いをしておったわけなんです。やむを得ません。無理を言ってもしょうがありませんので、後日に譲ります。  環境庁の方は見えておられますね、局長さん。あの水質汚濁防止対策に要する対策費用と同時に、どんなふうな考えでおられるか伺っておきたいと思います。
  130. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 水質汚濁防止法につきましては、施行になりまして、まあ、実施につきましては半年後、一年後というものがございまして、昨年の十二月で一部の施設につきましては、法律によります規制を受けているという状態でございます。私どもは今後さらに規制の対象の強化、並びに規制の基準等につきまして、一律基準のほかに、都道府県が実態に応じた規制をするというたてまえになっておりますので、そういうような規制の強化といいますか、それを指導してまいりたいというふうに思っておりますけれども、それらの基本になりますのは、やはり水質の状態等につきまして監視しましてどういう状態にあるか、それが環境基準点にそれが維持されているか、維持されていないかというような状態を常に監視する必要があるのでございまして、私どもは法律に基づきまして四十六年度から各都道府県が調査計画を立てまして、それによって毎年使用方につきましては、毎月一回という頻度でございますけれども調査をしているということになっております。まあ、それらの結果等もおいおい集まってまいりますので、私どもは順次きめのこまかい措置を講じていくというふうに考えているわけでございます。  それから、海洋につきましては、やはりまあ、水質汚濁防止法の対象によりまして、公共用水域としての海洋に排水、汚水を出す場合には、規制がかかるわけでありますけれども、それ以外にたとえば廃棄物等を海洋に捨てる場合の基準等につきましては、廃棄物処理法によります政令並びにことしの六月から海洋汚染防止法の政令等によりまして、きびしい基準を設けまして、海洋が廃棄物の処理場所であるというようなかっこうにならないように、私どもはやむを得ざるものに限りまして、海洋に、しかも、それも所定の場所に捨てるというようなことで、規制してまいりたいというふうに、実は考えておるわけでございます。  で、予算の御質問がございましたので、こまかいものは別にいたしまして、一括して申し上げますと、水質汚濁防止関係予算、四十六年度におきましては、全体で二億二千七百万円あまりございましたんですが、四十七年度現在お願いしております予算額は、環境庁といたしまして三億八千九百万円ということで、主として監視、測定等を中心に重点的に予算の配分をいたすということにいたしております。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 測定体制なんかは、どんなふうに。
  132. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 測定のやり方を申し上げますと、まず私どもは主要河川、湖沼、海域につきまして、環境基準を設定をした。これは全国の主要の四十七水域につきましては、国がこれを決定いたしますけれども、それ以外は都道府県が設定をする。この設定をされました水域を中心にいたしまして、毎年定められた時期に監視をするというたてまえになっております。四十七年度におきまして、私どもは全国大体二百ぐらいの水域につきまして、環境基準が設定されるというふうに予定をいたしておりまして、四十七年度はこの二百水域を対象といたしまして、月一回の割合でもって水質の調査をするということに予定をいたしております。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 時間がございませんので、こまかいことをいろいろお伺いしようと思ったんですが、時間の関係で省略いたしまして、最後に、環境庁のほうにも、また水産庁のほうにもお伺いしたいんです。欧米における公害対策について、事業調査研究所等、どんなふうなことをやっておるか。モニターをやって立地条件等調査をしてみたり、あるいは立地前後には生産関係のプロパーの検討もやりながら、大幅な予算処置をして対策を講じているということなんですが、この公害を防止すべき対策として、どんなふうなキャッチのしかたをしていくかということについてお伺いしたいと思います。
  134. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) ちょっと御質問趣旨がわからない点もございましたので、ちょっと見当は違うかもしれませんけれども、私どもはやはり公害というのは、きわめて地域的な問題でございますので、地域の実情というものを早急に把握するということにつとめねばならないと思っておりますけれども、環境庁といたしましては、直接の出先を持っておりません。私どもは大幅に権限を都道府県のほうにゆだねておりますので、都道府県が常時いろいろ監視をするということによって状況をキャッチする。さらに、新しい公害発生源といいますか、そういうものの検索等につきましては、あらかじめ当該企業等と公害防止協定その他を結びまして、周囲の汚染がないようにということで進めてまいるというのが、大体私どもの現在のやり方でございます。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 水産庁は別に……。
  136. 太田康二

    政府委員(太田康二君) 実は私、不勉強でございまして、欧米等の公害にあれがどうなっておるかというようなことは、よくわかりませんですけれども、原子力による温排水の問題とかというような問題につきましては、たしか各国の連合の機関がございまして、そこで調査をしておるというようなことを聞いております。それから、もちろん私どももそうでございますが、それぞれの水産研究所等におきまして公害についてのそれぞれの調査研究を進めておると思いますから、その点につきましては、わが国におきましても当然私どもの水産研究所で、公害の基本的な調査と研究というものをやっておるわけでございます。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 水産関係をもっとやりたいんですが、時間が何時までいいんですか。
  138. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) ちょうどいいころです。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ちょうどいいですか。何がちょうどいいか、これからやってちょうどいいか。もう一段落ちょっとやらせてください。  農産物の需給見通しの改定ということで、これは日経に出ておりましたのですが、昭和四十五年度の実績を通して五十二年度の見通しとして大臣のお写真が入っているのが出ているわけです。「主産品に自給率設定」「自由化進展などに対応」というふうに出ている。この中に米や小麦、大麦、はだか麦等があるんですが、特に私は、昨日物統で農林大臣にお伺いするのが時間がなくてやれなかった。この点につきまして、わが国の自給のあり方というものを、農林大臣とはしばしばお会いしているから、農林大臣のほうはあとまわしにして、そして通産大臣のほうの質問を一問だけでやめてしまった。そういうきのうの経緯があるわけですが、そこで、飼料需給安定法という法律がございます。この法律の精神といいますか、このことについてお伺いをしたいんですが、さらにその大臣の言われております自給のあり方という見通しというものはどんなふうな見通しで、こういうようなことが発表されたんでしょうか、この点について伺っておきたいと思います。
  140. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 根本的には、やはりどうしても自給も困難だというものは、これは別でございますが、できるだけ国内において農産物は自給するという方向は、とるべきだと私は思います。ことに農産物においても、重要な農産物と特に言われているものなどは、特に自給度を維持していかなければならぬ。これは国際的に自由化の問題もありますし、そういう面からいいましても、重要農産物等につきましては、自由化をしないでいかなくちゃならぬと思いますから、それに従っても自給度を維持していく、こういうつもりでございます。それから、また、いろいろ情勢が変わってきまして、先ほども衆議院の土地改良のほうの審議に出ておったんでございますが、土地改良などの面から見ましても、地域使用というようなものを十分しんしゃくして土地改良の計画ども練らなくちゃならぬ。そういうのにつきましても、自給度、自給率というようなものを強く参考にしなくちゃならぬ。いろいろございます。また、団地経営農業をやっていくという点につきましても、地域使用とかあるいは全体としての自給度というようなものを、そういう面からも見直していかなくちゃならぬ。こうも思うものですから、それから価格政策からいいましても、自給度によりまして価格政策、価格支持政策誉もいろいろ見ていかなければならない。あらゆる面から見て自給率というものを見直して、それを確保して進めていきたい、こういう関係から自給度の再検討というか、あるいはまた見通しにつきましても、少し改定するというか、よく見直していかなくちゃならぬのじゃないか。こういう観点から考えておりますので、ああいう新聞記事が出たと思います。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 自給のことにつきまして、いま大臣からお話を伺いましたけれども、輸入飼料から生じてくる差益金でございますね、差益金というものの還元がどのようにされているのか。  それから、先ほどちょっと触れましたが、飼料需給安定法の精神といいますか、第二条等では「この法律において「輸入飼料」とは、輸入に係る麦類、ふすま、とうもろこしその他農林大臣が指定するものであって、飼料の用に供するものと農林大臣が認めたものをいう。」となっております。これはたしか麦類だけというように私は記憶しております。この二条があって、いまなぜ私、こういうことを言うかというと、この穀類の輸入の中に九〇%を占めているのはトウモロコシだと思う。このトウモロコシが、昨日の通産大臣がトウモロコシだけ——質問もしないのにトウモロコシの話だけ出しておしまいになってしまったのですが、そのように頭の中にトウモロコシが一ぱいあるように、これは今後重大な課題になってくると思うのです。麦については、自給率のこともなければ……、わかってくると思いますが、こういうふすまとかトウモロコシ、畜産用にも欠くべからざるものである。これに対する考え方というものをどんなふうにお持ちになっているか、この点について……。
  142. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 飼料の中で濃厚飼料をなかなか国内で自給するというのは、非常に困難だと思います。でございますので、いまのトウモロコシなどは相当輸入せざるを得ない。飼料についても草などは御承知のとおり国内でやれますが、濃厚飼料は輸入しなければならないものもあります。トウモロコシなどもそうでございます。こういうのは輸入しなければならないが、一国からばかり輸入しておりますと、どうしても相手方に支配されるというか、引き回される。こういうことでございますし、船員のストなどいろいろなこともありまして、あるときには入らなくなるというようなこともございます。ですからこれを多面化するという方向でいくべきだ。ことにトウモロコシなどは開発途上の国などからかなり輸入するようにして、国際関係にも及ぼしていく。それは開発輸入というような関係で十分やっておりますが、そういう方向も進めなければならない。こういうふうでございますので、輸入の相手国、これを多面化する、そういうような形でできるだけ安定して、あるいは幾らでも安く輸入できるような方向をとりたい、こう考える次第でございます。
  143. 増田久

    政府委員(増田久君) 計数にわたる点につきまして、私から補足さしていただきたいと思います。  いま、先生から差益の還元は一体どうなっておるのかというお話あったわけでございますが、御存じのとおり、国際通貨調整といいましても、アメリカだけでございませんで、いろいろな国から入っているということで、一律になかなか計算しにくい。しかも総計が変わっている。それからえさの価格に非常に響きやすい、フロートが、しょっちゅう動いているというようなことで非常に計算しにくいというのが実態でございますが、非常に大ざっばに申し上げまして、たとえば、昨今の価格を前提といたしまして、それで三百八円レートだということでいいますと、おそらく差益として三百億から三百五十億くらい出るのではないかと、われわれ推定してございます。それに対して先生御存じのとおり、昨年の十二月とことしの一月に配合飼料を合わせまして三千四百円値下げされました。これが御存じのとおり、配合飼料は全国で、全体で千五百万トンの生産でございますから、これを掛けますと、値下げ幅は五百五十億ということに相なってくるわけでございます。これは決して差益だけではなくて、商品の値下がりということもありましたから、それから単体等のことも考えますと、六百億程度すでに還元されているというふうに相なっておるかと思います。これは非常に不確定のある話でございますので、この数字が正しいというふうに、現実には申し上げられないと思います。  それからもう一つ、トウモロコシはなぜ操作しないのか、こういう問題が御指摘ありました。先生御存じのとおり、この法律が制定されたのは、昭和二十七年でございまして、その当時はトウモロコシもフスマも全部統制物資であったわけでございます。割り当て制度になっておったわけでございます。それに対しまして、その後麦類を除きましては、全部自由化されてしまったというようなことで、これは全部何と言うんですか、政府のコントロールの外に出てしまったということでございます。したがって、われわれとしてトウモロコシはどうするかということで一時調整保管をやろうではないかということで、政府のほうである程度の操作をやろうということで計画を持ったことがありまして、六万トン持っていたことがあるわけでございます。ところが、実際いま輸入されております量が大体四百万トンでございますから、それに対して六万トン、それを調整保管するための有効な量を持とうといたしますと、これは猛烈な差損と申しますか、これは価格が上がれば、最初の話でございますけれども、一般的にいえば差損、倉庫料、人件費というものがかさんでくる。とてもこれは、なかなか手に負えないのではないかということで、実は現在そういうことをいたしておらないのが実態でございます。しかし、全体としてまあ食管制度と非常にからみ合う問題でございますので、どうするかということは、今後の検討課題でございますけれども、実は四十四年に検討会をもってもらって、どうするかということでいろいろ検討していただきましたけれども、さしあたりは麦類を中心にやっていく以外にないのではないかという御答申をいただいておるというのが、実態でございます。
  144. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 皆さんの御都合もございますし、私もいつまでやっているとうまくないから、これは論議をすれば切りのないほど一ぱい問題が重ねられているんです。そこで、いまお話ありましたように、確かに昭和二十七年の法律なんです。二十年たっている。したがって、この流動している、激動しているときに、しかも日本の畜産業というものに対する視野というものは違ってきているわけです。こういう点から考えられて、抜本的な対策を講じなきゃいけない。いまお話の中にも、そういうふうなニュアンスを私はうかがったわけですが、いずれにいたしましても、少なくともトウモロコシというのが第二条で名前がちゃんと輸入飼料として載っているんですから、この時点において一応の法の活用というものも考えなきゃいけないでしょうが、なかなかいまのお話ですと、政府が買い入れるということは、容易じゃないということになれば第九条、これは麦だけの問題だけでいっているから、第九条は麦だけのことだからといって、ぽんとけってしまえば、それまでのことなんでありますが、この九条の問題でも、現在の総合商社、あるいは全農ですね、今度合併しました全農とかあるいは飼料メーカー、そういうものがどんどん入れているわけです。実際は入れていますが、安いお金で入れておいて、そうして実際使う生産者に、その手に渡るまでには、相当な金になる。私は細かい数字みな持っている。きょうはやりません。その実態持っているわけです。それから商社から直接にいくものと、あとその系統をたどって、そうして農家のほうにいくものと二通りあるわけです。これらの資料をみな持っております。こういうところからずっと調べてみましても、相当な利幅がある。ここに立ち入り調査を行なうということが、出ているわけです。「販売の数量、価格その他必要な事項に関し報告を徴し、又は当該職員に事務所、事業場、倉庫その他必要な場所に立ち入って調査させることができる。」云々と、こう出ております。ですから、当然いまの輸入しておりますものの中の穀類のことについては、ある一定の基準価格というものが、私はわかるのじゃないかと思うのです。それだから聞いているのです。ここにデータありますから、その一応のデータの平均基準でどれだけの差益が出るということを、これは考えられるものと思う。こういうふうなことを御参考に、私は御存じだと思いますけれども、実際のいわゆる物価の上昇を避けていくのには、やはり生産資材費というものが、低下していけば当然安くなる、消費者にも安くなる、これはあたりまえのことなんです。したがいまして、そこをチェックするのはどこかといえば、これはやはり農林省なんです。関係のところでやらなければいつまでたっても——輸入関係のもの、輸入飼料のものについて大きな将来かなめになっていくのじゃないか、こう思うわけです。その点のことについて大臣の所管の局長から御回答を承って私の質問を終わりたいと思います。
  145. 増田久

    政府委員(増田久君) 先生、御指摘のとおり農業資材をできるだけ実勢に合わせて安く押えていくということは、これは重要な政策であろうと私ども思っております。そういう意味で先ほどお答え申し上げましたとおり、配合飼料について値下げを指導し、あるいは政府の売ります価格、大麦、フスマにつきましても、今度予算でお願いしておりますけれども、一俵当たり三十キロ、二十キロ、単位数が違いますけれども、おおむね三十五円程度値下げさしていただくというような措置もとって、それができるだけ末端まで浸透していくようにという指導を強くいたしておるつもりでございます。しかし、いろいろ事情がありまして、なかなか思うようにまかせない点もございますけれども、われわれ業界からは実は毎月きちっと報告を取りまして、ことしも到着したトウモロコシは何トン、それはCIFで幾らということを毎月報告を実は私ども取っております。そういうことで個別的には、検討を加えているつもりでございますけれども、先生の御試算でございますが、なお、そういう点は厳正に行ないたい、さように考えております。
  146. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) いま局長のほうから御答弁申し上げましたが、そういう線に沿って私も督励するといいますか、よくやらせるようにいたしたいと思います。
  147. 中村波男

    中村波男君 本日は、国有林の経営の問題を中心にいたしまして、林業問題について質問をいたしたいと思いますが、国有林野事業は、一昨年来から経営が悪化しまして、すでに昭和四十六年度予算におきましては、五十億円という赤字予算を組んだわけでありますが、聞くところによりますと、四十六年度決算において二百億円の赤字が出るといわれておるわけであります。したがって、まずお聞きしたいのは、四十六年度の決算見込み、さらに昭和四十七年度は百億という歳出超過の予算が組まれて提案になっておるわけでありますが、したがって、四十六年度の決算の見込みと、さらに四十七年度百億の赤字予算で、   〔委員長退席、理事園田清充君着席〕 はたして乗り切れるのかどうか。また、乗り切るためには、具体的にどのような方針を持って今後対処されようとしておるのかということをまずお聞きして、次の質問に移りたいと思うわけです。
  148. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 四十六年度の決算でございますが、歳入では千五百四十二億二千二百万円、歳出では千七百四十三億二千七百万円、その歳入と歳出の差は、マイナスの二百一億五百万円、こうなっております。なお、四十六年末の持ち込し現金の出来高は百五十一億六千九百万円、かような状態になっております。  それから、四十七年度の予算でございますが、ただいま御指摘のように、歳入と歳出の差が百億となっておるわけでございます。歳出合計では千七百五十五億九千七百万円、歳入合計では千六百五十五億九千七百万円、かような内訳でございます。これを四十六年度の予算と対照いたしますというと、歳出では一・六%の減、歳入では四・五%の減と、かような状態でございます。で、一般会計の伸びが平均しまして約三割ぐらい伸びているわけでございますけれども特別会計はかような状態で、前年度に比較しますというと、縮小しているわけでございます。それは、先ほどちょっと御説明しましたように、歳入と歳出の差額は、従来歳入のほうが多くて、歳出のほうが少なくて済んだわけであります。その差額をずっと積み立てまして、持ち込し現金として持っておったわけでございます。四十六年度の当初にはそれが、つまり預金が三百五十億あったのでございますが、ところが四十六年度中に木材価格の伸び悩み、それから人件費の高騰、主たる理由はこれでございますけれども、その三百五十億のうち先ほど御説明しましたように、約二百億を使用してしまったわけでございます。   〔理事園田清充君退席、委員長着席〕 したがいまして、残りは百五十億でございます。四十七年度の予算は、この百五十億のワクの中で組まなきゃならぬ、こういう状態になるわけでございます。ただ、年度の当初に運転資金としてやはり特別会計としては約五十億ぐらいはどうしても必要でございます。したがいまして、百五十億から五十億を取りました残の百億しか埋める財源がない、かような状態でございました。したがいまして、四十七年度の予算は対前年度比それぞれ歳入歳出において減少しておると、こういう状態でございます。
  149. 中村波男

    中村波男君 四十七年度予算を私なりに検討してみますと、いわゆる逆算的に数字を合わせたようなきらいがあるんじゃないか、こういう感じを強く持つわけでございますが、これらの内容につきましては、時間の許す限りでお聞きをしていきたいと思うのでございますが、問題は、端的に言いますと、国有林の今日的な危機というものは、私は赤字にあるのではないと思うのです。いわゆる山が荒廃をしたと、言いかえますと、公益的な要求が強くなっておる中において緑がなくなったと、これが山の問題として一番重大であるというふうに考えるわけです。したがって、今日の国有林の財政危期を招いたのは、どこにあるかということを少し掘り下げてお聞きをしたいし、林野庁としても大臣としても明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。  で、私は、国有林の特別会計が悪化した原因はいろいろありますが、これを決定的にし、構造的にしたのは、昭和三十三年から始められた国有林の生産力増強計画、すなわち林増計画であったと、私は見るのであります。林増計画は、言うまでもなく、おもにパルプ産業界の原木要求を外圧にして発足したものであることに否定できないと思うのです。林野庁は、生産力増強計画を策定されまして、拡大造林による成長量の増加を引き当てにして蓄積の先食いによる大増伐を始めたわけでありまして、さらに三十六年には、木材増産計画に置きかえられて、蓄積の先食い増伐は、一そうエスカレートいたしまして、言うならば、架空の成長量を当て込んでの伐採量を大幅にふやしたところに、大きな誤りがあったと見なければなりません。  具体的に指摘をいたしますれば、林増計画を見ますと、林木品種の改良、林地肥培等の技術面の強化や理想的な林道網などで生産力を今後四十年間、すなわち昭和七十二年度までに二培に増強することが十分可能であるとし、さらに三年後の昭和三十六年には、木材価格緊急安定対策の一環として高度成長即応の木材増産計画に組みかえられて、そこで強調されたのは、必要かつ実行可能と思われる新技術の採用及び諸施策の拡充等を行なうことによって、七十五年までに従来の計画——林増計画に比べまして一八%から二二%の増収を期待するというものであったと思うのであります。新技術として、密植——スギ、ヒノキ、エゾ・トドマツ、ヘクタール当たり三千五百本を四千五百本に、カラマツは二千五百本から三千五百本に、一七%の収穫量増加が期待できる。植えつけの深耕を実行して、障害物の寄せ焼き及び下刈り回数の増加を行ない、造林事業の集約化をはかると、こういっておられます。林増計画によります長期収支計画では、合理化四十年の長期収支計画における剰余金は、昭和四十二年までに百五十五億円、それ以降急激に増加をして、昭和七十二年度までの累計は、約四千億に達する見込みであるとしておりました。合理化先行投資を一切自己資金でまかないながら、連年平均百億円、まあ当時の貨幣価値でありますが、の剰余金をつくり出すという合理化計画であったのでありますが、この計画が失敗に終わったことに対しまして、私は失敗したと断定を申し上げたいのでありますが、赤軍ではありませんけれども、総括をしなければなりませんし、されておると思うんです。これらの点について具体的に御説明を願いたいと思うわけです。
  150. 福田省一

    政府委員(福田省一君) ただいま先生から御指摘ございましたように、昭和三十二度は、実は生産力増強計画、次いで三十六年度には木材増産計画、こういうことで従来の伐採量を増加してまいりました。そ背景には、やはりいろいろな事情がございますけれども、御承知のように国有林の直営生産事業というのは、明治九年から始まっているわけでございます。長い歴史がございます。その時代その時代の要請があったわけでございますが、ここでは省略いたしますけれども、戦争中は、第二次大戦中は、やはり軍用材の増産という要請もございました。また戦後は都市の復旧用材ということで、増産の要請が強かった。それから、また燃料としての木炭、薪炭の増産という要請も国有林事業に課せられておったわけでございます。それで三十三年、三十五、六年、このころにおきましては、特に三十六年におきましては、木材の価格が非常に上がりまして、この価格安定対策として、どうしても国有林は増産しなければいかぬではないかというふうな要請もありまして、それにこたえるという一つの背景もあったわけでございます。先生御指摘のように、その当時の計画におきましては、国有林の場合は、特に民有林と違いまして、老齢過熟な天然林が非常に多いわけでございます。たとえて申しますと、北海道のように、すでに二日年も三百年もたったような老齢なエゾ松、トド松の林もございます。  それから、二十九年に風倒木が出まして、台風で一ぺんに倒れたわけでございます。その処理に五年ぐらいかかった。  そこで、私たちはこういう老齢過熟の天然林が非常に国有林に多いために、これを伐採いたしまして、生長がないわけです、これは。原則的には生長している分だけを切ればいいわけでございますけれども、国有林の場合は、特に生長していない林がございます。したがって、こういう林を一応切りまして、ある程度若い生長力のある造林計画をしなければなりません。そこで、生長齢を終えた一つの標準の伐採量というものを、そのためにつくっているわけでございます。そこで、この標準伐採量に従いまして、国有林におきましては地域施業計画、これは全国で八十ヵ所ございますが、その計画ごとに、五ヵ年ごとに十年の計画を立てまして、その中で計画的に伐採をしておるものでございます。で、先ほど先生御指摘ありましたように、肥料をやるとか、育種の問題、密植の関係等、いろいろ技術的な要素を加えまして、三十二年の生産力増強計画あるいは三十六年の木材増産計画の際には、先食いということばを使われてはおりますけれども、ただいま申し上げましたような理由で標準伐採量をこえて計画しているが、それは老齢過熟の天然林の林相、樹種の改良をはかっているためであります。
  151. 中村波男

    中村波男君 そういう計画が立てられたということについては、一口で言えば、時代的な要請もあったと思いますが、いま私が指摘したようにいわゆるパルプ資本の強い外圧というものもあったことは、言い落としてはならぬと私は思うのでありますが、それはそれとして、私が一番聞きたいのは、そういう計画のよい悪いということはさておきまして、いま私が指摘いたしましたように、昭和七十二年度までに累計四千億に達する剰余金をつくるのだという計画ですね。これはまあ、まだ昭和七十二年までには、二十何年ありますからやるんだということであれば別でありますが、いまの状況から言いますと、そういう計画というものは、絵にかいたもちに終わるのじゃないか、こういうことが言えるわけでありますが、そのことは計画どおり進まなかった。計画どおり進まなかったのは、どこに問題があるのだ。いま長官のお話聞いておりますと、生長量を上回る伐採をやったことは認めます、しかし、もともと国有林には木がなかったのだから、木を切って植えるためにやったのだろう、こういう説明があったのでありますが、これにはいろいろ問題があり、議論がありますが、いま私が申し上げて聞きたいのは、そういう財政的にこれをとらえた場合に、みごと失敗したのではないでしょうか。このことについてどういうふうに総括をされるのか、お聞きしたいわけなんです。
  152. 福田省一

    政府委員(福田省一君) ただいま申し上げましたのは、木材の伐採量についての御説明でございます。御指摘のこれを財務の面について見るならば、どうなるであろうかという御質問であろうと思います。実は、最近こういう国有林の財務の状態が苦しい状態になりました。原因は、御説明するまでもなく先生御承知かと思いますけれども、四十二年度は特別会計が始まって以来の最高の決算額であったわけです。損益におきましても、それから収支差におきましても二百億を突破する利益と申しますか、収益をあげております。これはやはり原因は、木材価格がほかの物価に比べて非常に上がり方が強かったということが一つございます。それと人件費がそれほど上がっていなかったのであります。生産性の向上で十分人件費のアップをカバーできたということにあるわけでございますが、四十四年度以降から急激にこの状態が変わってきたのでございます。これは御承知のように、外材が相当ふえてまいって、内地材が圧迫されたということの原因もございますし、とにかく木材の価格が非常に上がらなくなってきた、むしろほかの物価並みになってきた。最近におきましては、むしろこれが横ばいの傾向あるいはダウンしてきておるということでございます。そこで、一方人件費のほうは、最近は十数%ずつこの二、三年上がってきております。これはどなたが見ましても当然、状態が悪くなるのはあたりまえでございます。収入の約九割以上は、木材の販売収入でございます。支出の約六割が人件費でございます。ただいま申し上げましたような理由によりまして四十七年度は、先ほどお話しましたように、持ち越し現金も実はゼロになって、前年度からの予算のワクが減少したわけでございます。したがいまして、四十八年度以降は、従来のような方式による予算編成は不可能でございます。  そこで、現在この国有林の行き詰まりをどのようにいま打開していったらいいかということにつきまして、林政審議会に国有林部会を設けまして、ただいま検討をお願いしておる段階でございます。
  153. 中村波男

    中村波男君 ことばじりをとらえるわけじゃありませんけれども、林野庁の今日的な態度は、林政審議会の答申を待って検討する、私たちから言うと、実にゆうちょうな——林野庁自身でどうするかというような方針がまだ煮詰めておられない。また、煮詰める熱意すらないのじゃないかと疑わざるを得ないのでありますが、そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣がちょうど農林大臣の時代にできたかと思うのでありますが、森林基本法ができまして、その森林基本法に基づいて森林資源に関する基本計画並びに重要林産物需要及び供給に関する長期見通しというのが立てられたわけですね。この長期見通しが大幅に私は狂っていると思うので、こういう狂った見通しの上に今後日本の林業を行なうということは、これはもうもともと目標が狂っておるのでありますから、早急に私は改定をする必要があるんじゃないかということを痛切に思うわけです。時間もありませんから、その狂っている内容について二、三の例にとどめたいと思うのでありますが、需要量において昭和四十五年度で一億立方メートルをこえておるわけでありますが、長期見通しでは昭和五十年の水準であるわけです。それから、国産材の供給量の形態についてでありますが、見通しでは昭和五十年が七千六十万立方メートルとしておりますのに、昭和四十二年をピークにして供給量は漸減の一途をたどりまして、昭和四十五年度には四千八百二十万立方ですね。これほどさように大きく食い違いが出てきておるわけであります。したがって、これは早急に長期見通しというのを再検討して、それに基づく林業政策というのを打ち立て、それに適応する行政というのを乗せなければ、ますますたいへんなことになるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  154. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 林産物の需給長期見通しがいろいろな事情によって当を得なかったといいますか、変わってきております。私もいま数字を見たんですが、昭和五十年度の見通しに対して、用材需要などの実績は、非常にふえてます。国産材は供給量からいって減っておるし、外材が非常にふえておる、こういう見通しを現在見てみますと、狂っているといいますか、変化しています。こういう見通しのままでいくと、なお国有林野の経営やその他の林野のあり方が、まずくいくと思います。昭和四十七年度には、これは当然見通しを変えていかなくちゃならない、こう私も思います。いまその作業も進めているような状況でございます。
  155. 中村波男

    中村波男君 いま大臣から長期見通しについて作業を進めておるというお話がありましたが、その作業が終わりまして、正式に改定をされる期日というのは、どこにおいておられますか。
  156. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 四一年につくりました需給見通しと、もう一つは資源に関する基本計画、この二つが林業基本法で定められておるわけです。ただいま大臣から御説明ありましたようなこの二つ、需給の見通し、それから資源の基本計画、この二つをいま改定する作業をやっておりすす。ただ、資源の基本計画につきましては、基本的には最近の広域的な森林に対する要請ということを十分取り入れまして、内容が変わってくるわけです。需給の見通しにつきましては、当初予想しましたよりも、木材の需要量が非常にふえておるわけです。したがいまして、外材が非常に入ってきた。従来の見通しのつくり方としましては、国内の需要と国内の供給との差が、つまり外材であるというふうな見通しの立て方であったのでありますが、やはり外国の事情も十分調べなければならぬ。向こうがはたして資源を持っておるのか、出せる態勢にあるのか、そういう点も一応調べまして、そこでこの三者の関係、国内の需要と国内の供給と外材の輸入の可能量を検討中でございます。  ただ、この見通しをつくりますのには、御承知のように、経済の見通し、伸びにおいて経済企画庁との関連がございますので、そちらとの作業と関連しまして、四十七年度にはできるだけ早い機会にこれを確定したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  157. 中村波男

    中村波男君 いままでもお話がありましたように、国有林特別会計が赤字になったということについて、ただ、私は一方的に責めるだけでは、解決にはならないと思うわけです。国有林のみならず、山林の持つ公益的な機能、それにあわせて経済的な機能を両立させるということについては、むずかしさがあることは、十分認識しておるつもりです。したがいまして、私は国有林野の特別会計を検討する必要があるんじゃないかということを、痛切に感じておる一人であります。申し上げますまでもなく、特別会計法の改正が行なわれまして、林木育種事業関連林道、海岸林拡充、民有保安林買い入れなどの事業が拡充され、さらにあげた利益の半分を民有林協力のため一般会計へ繰り入れることを義務づけられておると思うわけです。したがって、このことが一つの赤字の要因になってもおるというふうに思うわけです。四十六年度の予算では、森林公団へ四十九億出資をいたしまして、一般会計繰り入れ分としては三十億五千万円、さらに四十七年度百億という赤字予算を組んでおきながら、一般会計へは二十七億八千万円、それから森林公団出資が五十九億円、これだけ予算が組まれておるわけでありますが、したがって農林大臣の御努力があったと思うのでありますが、一般会計から国有林野内治山事業費繰り入れ金六十六億、昨年に比べますれば大幅な金額になるわけでありますが、繰り入れを行なったといたしましても、森林公団出資まで問題にすることは、どうかとは思いまするけれども、まだまだ国有林野特別会計から、いわゆる公益的な機能を満たすために出す金というのも多いわけですね。こういうことは、おかしいのであって、私は森林経営というものの長期性というものを考えます場合に、国鉄や電信電話郵便事業と違っておると思うんです。価格決定の機能を持たないわけでありますから、価格決定の機能は持たないけれども調整機能は付与されておる、これが大切な機能でもあるわけでありますから、したがって、国有林の特殊性から考えれば、単年度収支均衡の原則というものを改めて、長期的収支計算による財政制度の確立ということをはからない限りは、これは、赤字というものはついて回ると思うのです。さらに公害がどんどんと進み、都市化が進みます中で、公益的機能要請というものが、国有林に多くのしかかってくるという現実を見ますると、この点を、これはぜひ、ひとつ実力大臣の赤城さんの時代に前進をさせてもらいたいことを強く私は期待をし、要望をいたして私の意見を申し上げたわけでありますが、これらの点について御所見を伺いたいと思うわけです。
  158. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) まあ御意見に対しては、全く同感でございます。森林は、私有林たると国有林たるとを問わず、森林というものは、本来、公益的機能を持っております。そしてまた、これを財政的に経済的に見れば、長期的に資源を、資源というか収入を得ているわけでありますから、国鉄や何かみたいに営業的に毎日、毎年収入を得たり支出したりしてというようなものとは、本来違うと思うのです。ですから、長期的にこれは見なければ——単年度でやらせようとすればどうしても乱伐というようなことになるし、資源がなくなっていく。公益的機能をだんだん阻害してくる。こういうことで、基本的には私は、中村さんのおっしゃるとおり全く同感でございます。  で、これを長期的にどういうようにやっていくか、実力大臣だからやれといっても、それはなかなかそう簡単にはまいりませんが、考え方は同じでございます。ですから、そういう方向に私は持っていく。ですから単年度会計でも公益的な仕事に役割りが多いのですから、一般会計でほんとうは持つ。これは特別会計でやっているのはおかしいのですから、少しづつでも一般会計からの繰り入れを多くしようということで努力しているんでございますが、これ一般会計でなくて、特別会計にしておくということが少し私としてはおかしいと思うのです。でございますから、御意見の方向で私は進めていくべきだと、こう思っております。また、そういうふうにしたいと思います。
  159. 中村波男

    中村波男君 まあ大臣の今後の御努力をそう期待するわけじゃありませんが、そこで、林政審議会がいまいろいろ検討しておるようでありますが、聞くところによると、正式な答申というのはしてないんだと、こういうことでありますが、やはり私は諮問をする姿勢として、農林省として、林野庁として、国有林特別会計の企業性というものをどう追求するかという、この上に立ったやはり諮問をし、それに基づく林政審議会における検討というものがなされなければならないんじゃないかと思うのです。林政審議会のいろいろな検討の内容を漏れ承ると、やはり一番先に出てくるのは、企業性という問題であります。企業的経営をどうやったらいいか、そのためにはどう合理化をするか、その合理化も人減らしのほうに重点がかかっておる、こう私は見ておるのでありますが、したがって、いま大臣があれほどはっきりと私の意見に、まあ賛成と申しますか共感をお示しいただいたんでありまするから、やはり林野庁自体の姿勢としても、これをどう企業性から脱却するかという方向で進めていただくことを考えるわけなんですが、その辺長官からひとつお伺いしたいと思います。
  160. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 特別会計制度が発足しましたのは昭和二十二年でしたか、戦前は一般会計でございました。森林から伐採した収入はなかなか森林に返りませんで、ほかの会計のほうに回されて、約四割くらいしか山に返らない。山は荒れる。つまり略奪林業という状態があるという批判があったのでございます。  そこで、戦後林政を統一されました際に、やはり山で伐採した収入は、山に返して治山事業なり林道事業なり造林事業を徹底的にやるべきであるということが、特別会計制度を発足させた理由でございます。そこで現在では、約収入の九割以上は山に実は返っているわけでございますけれども、現段階になってまいりますというと、先ほど来御説明申し上げましたように、非常にむずかしい状態に実はなっているわけでございます。特に、従来は木材の生産主体にしておったのでございますけれども、最近では自然保護、水源涵養、国土の保全、そういう公益的な機能についての森林に対する要請があり、特に国有林に対しては、強くなってまいっております。そこで私は、経営につきましては、従来やっておりますところの事業、これはやはり国有林自体は、林野庁の山というよりは国民皆さんの山であるわけでありますから、国民の皆さんの財産を預かったからにはやはり慎重に、合理的に、企業的に——企業的という意味はただもうけるという意味ではございません。そういうふうな管理を徹底してやっていかなければならぬと思うわけであります。それをやった上で、公益的な機能についての国の財政負担をお願いするという順序ではなかろうかと、かように思うわけでございます。いま大臣のおっしゃった趣旨も、さような点にあると私は思うわけでありますが、まあいずれにしましても、これをやりますには相当大きな制度改正が必要でございます。四十七年度は、初めて先ほど先生おっしゃいましたように六十六億の治山費を一般会計から回していただきまして、その中の二十三億は、特別積み立て金から一般会計に回したものでございます。差引六十六億から二十三億を引きまして四十三億というものが、初めて一般会計から投入されたものであります。あとの六十六億のほかの六十一億は、木材を販売した代金でもって治山費を出しているわけでございます。六十一億と六十六億足しますと百二十七億、これが国有林の治山事業総体でございますけれども、一般会計に比べまするというと、非常に伸び率は少ない。今後の五ヵ年計画はもっとピッチを上げていかなければならぬ、こういう問題もかかえておるわけであります。したがいまして、そういう財政問題につきましても、あり方については私たちも鋭意検討はしておりますし、林政審議会にも、もちろんお願いしているわけでございますけれども、そのほかの機関等につきましても、いろいろまた御検討をお願いし、御意見をいただきながら鋭意検討を進めている段階でございます。
  161. 中村波男

    中村波男君 もちろん国民の山でありまするから、経営が放漫であってはならぬということは、言うまでもないことであります。しかし、ややもすると、企業性の追求が先になりまして公益性があとになる、そういうきらいが多々あるというふうに指摘せざるを得ないわけでございます。  まあ、ついででありますから、私いろいろ質問にあたって調べてみました中で、国有林野事業特別会計法の第一条では、「国有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、」云々と、こうあるわけですね。林業基本法の四条におきましても、「国有林野の管理及び経営事業について、その企業性の確保に必要な考慮を払いつつ、」云々とあるんですね。これは名は体をあらわすといいまして、もうすでに法律の上において、企業的といいますか企業性がうたわれておる。ここにも問題があるような感じがいたすわけです。そこで、財政が悪化すればするほど、私は、よい意味の合理化、むだを排しまして、それから国有林野の特別会計の収入というものは、ことしは低下したようでありまするけれども、大体九三%をいわゆる材木の販売によってまかなっておるわけでありますから、したがって、販売面においても、または行政費、いわゆる事務費等においてもむだがあってはなりませんし、また、特定な企業が利益を得るような販売方法であってはならぬというふうに思うわけです。したがって、時間がありませんから、いろいろ詳しくお聞きはできないわけでありますが、木材販売ににおける問題点としていろいろの問題があろうと思いますが、第一番には、御承知のように、販売方法としては一般競争入札と指名入札と随意契約の三通りがあるわけだと思うんです。随意契約というのは、そもそも地元の関連産業、いわゆる木材関連企業を育成するということにおいて随意契約、特売が行なわれると、これが私はたてまえだと思うわけですね。しかし、その実態を調べてまいりますと、そういう形というのはきわめて少なく、パルプ会社等への販売において随意契約が多くある、こういう点を指摘せざるを得ないわけです。したがって、素材、立木等の一般競争、指名、随契の割合ですね、これをこの機会にひとつお示しをいただきたい、こう思うわけです。
  162. 福田省一

    政府委員(福田省一君) いま販売方法としましては、立木販売の方法と、それを丸太にしたいわゆる素材販売の方法と二種類ございますが、立木販売のほうから申し上げますと、昭和四十五年度、一般競争が一八%、指名競争が一一%、随意契約が七一%。それから素材販売のほうでございますが、これは一般競争が三四%、指名競争が一九%、随意契約が四七%。以上のようになっております。
  163. 中村波男

    中村波男君 私たちがいろいろ調べたのによりますと、随契と指名あるいは一般公売による販売額——販売の値段と申しますか、これは大きな値開きがあるわけですね。したがって、やはり国民の山を売るわけでありますから、できるだけいわゆるほしい人に売る。それから販売をする上において公正に売りつけるというたてまえからいえば、あまりにも随意契約が多いんじゃないか。随意契約でなければならぬものも、私はあると思うんです。よく調べてありませんけれども、こういうものを売る場合には、原則的にはいわゆる一般競争入札、いわゆる一般公売、そういうのがたてまえになっておって、どうしてもそういうことのできないものに限って随意契約をする。これは売る場合でも買う場合でも、これが原則だと思うんですよ。林野庁の場合は、いま御説明のように、一方は七一%、一方は四七%が随意契約である。これを、全部とはいかないにしても、やむを得ないものを除いて一般競争あるいは指名等に販売方法を変えることによって私は企業収入というのが相当ふえるんじゃないか、そういうことを考えますが、これについては現状やむを得ないのだということであるならば、詳しくひとつ説明をしてもらいたいと思うわけです。
  164. 福田省一

    政府委員(福田省一君) ただいま御指摘のように、立木処分におきましては、特に随意契約の比率が高くなっておるわけでございます。これは、実は、従来、わが国におきましては、木炭とか、まきの消費量が非常に多かったわけでございますが、最近は炭焼きもプロパンガスを使うような時代になってきまして、あまり薪炭材を使わなくなったわけであります。これがパルプの原料にどんどん回っているわけでございます。そこで、大体、奥地のわりあいに木の質の悪い林とか、特に薪炭林のようなものにつきましては、早く生産の上がる、また用途も広い針葉樹に切り変えていくという作業をしているわけでございまして、私たちはこれを拡大造林と申しておりますが、この量を最近非常にふやしてまいっておるわけでございます。薪炭材が非常に減ったという分が、パルプの原料に回っておるということでございまして、しかも、その売り方としましては、これは、低質材というものは、ほかに柱にもなりませんし板にもならぬ。パルプとか、それぐらいの用途しかないわけです。したがって、これは、原則は、おっしゃるように公売ではございますけれども、随契で売っておる随契の比率が最近ふえてまいりました。特に立木でふえてまいりました大きな原因の一つは、そこにあるわけでございます。それから、それ以外の貴重な材、たとえば木曽ヒノキとか、あるいはその他の国有林だけにしかないような貴重な材というものにつきましては、できるだけ公売の原則で販売をしておるのでございますけれども、最近、御承知のように買手市場がなかなか公売しても落札しない。売りに困るというようなケースもだいぶ出てまいっております。私たちは、相当需要の大きい貴重材、しかも国有林にしかないものは、競争原則に従いまして公売を広めてまいりたいのでありますけれども、一般の造林木のような一般の民有林にあるようなものも、有林には最近ふえてまいっております。これが非常に零細な状態で分散しておりまして、国有林は、一口に七百五十万町歩という面積を持っておりますけれども、これも三百五十の営林署、五百以上の貯木場で零細な実は売り方をしておるわけでございます。民有林はなおさらであります。したがって、これが外材に圧迫されておるという大きな原因になっておるわけであります。私は、やっぱりこういった造林木の売り方については、公売がはたしていいのかどうか非常に問題があると思います。むしろ、価格を建て値制にして、——これは試案でございますけれども、大量に相手をきめて安定した取り引きをする団体取り引きのような形、それが今後、外材に対抗して国内材の振興をはかっていく一つの方法ではなかろうかと思われるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、原則としては公売ではございますけれども、その場合場合によってやはり随契ということも考えていかなければならぬと、地域あるいは樹種によっていろいろなケースによってこれは判断していかなければならぬと、かように思っておるわけであります。
  165. 中村波男

    中村波男君 一つの営林署なら営林署の具体的な実績調査等をして議論をすれば明瞭なわけでありますが、関連企業等が何とか材木を手に入れたいというような人たちの批判として、いわゆる直売にされるのは、最も上質のものが売られて、われわれが競争入札するのは、次の品質のものなんだと、こういう批判があります。それから、私は二、三年前に当農林水産委員会から北海道の国政調査に参りまして、パルプ会社等を視察したわけでありますが、その貯木場を見ますと、相当建築材あるいは家具材として使えるものがあるわけですね。ある調査によれば、三〇%程度そういうものが混入されて、パルプ材としていわゆる随契で販売されておる。したがって、もう少し販売の上において努力し、知恵を働かせれば、そういう建築材なり家具材というものは、これはパルプ材と比べれば単価はぐっと違うわけでありますから、そういう企業努力によって収入を上げる。赤字になればなるほど、林野庁もなるほどいままでのやり方について反省をして努力をしているんだと、こういうやっぱり形が出ないと世論の袋だたきにもあうんじゃないかというふうに思うわけです。時間もありませんから、これ以上この問題については議論は差し控えまするけれども、それから素材販売でも、山元と最終貯木場では、立木売り払いと素材売り払いと同じぐらいの金額の差が大半であるということがいわれておるわけです。これは調査によっても明らかになっておるわけです。したがって、今後の国有林の素材、立木等の処分については、やはり公正な販売方法というのを十分ひとつ実行に移されることを強く要望、期待をいたします。  それから、もう一つこの機会にお聞きしたいと思うのでありますが、いわゆる植林で請負作業がふえたために、成林率がものすごく低下をしておるということが指摘できるんじゃないかと思うんですね。木を植えるのに請負に出しております等々の理由によって成林率が低下をしておる。私の手元に資料がありますが、函館営林局管内のカラマツ造林の実態調査によりますと、昭和二十三年から四十五年までの植栽面積が三万三千ヘクタール、四十六年三月三十一日現在の現存面積は一万九千ヘクタール、差し引き焼失面積が一万四千ヘクタールにのぼっておる、こういうことがいわれて、調査の結果出てきておるわけです。したがって、この損害というものは十億円以上にのぼるんじゃないか、こういうふうに一応計算ができるわけであります。したがって、特に造林について請負作業をふやしていくということは、これは私は問題があると思うんです。この点についてどういう理由で——植林に特に請負率が高いと思うのでありますが、その割合比率ですね、またそういうのが高いのはどういう理由があるのかということについてこの機会に承っておきたい。
  166. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 造林の請負の比率でございますが、地ごしらえと、それから植えつけに分けて申し上げます。地ごしらえが四十一年が五二%でございました。請負の比率が四十六年現在の見込みは四六%、かようになっております。それから、植えつけが昭和四十一年が五五%、四十六年の見込みで五四%、大体半分が請負だという全国統計でございます。ただ、私のほうで調べました——おっしゃる請負と直営を比べて、成林した林は請負のほうが少ない、こういう御指摘のようでございますが、これはまだ全国統計が手元にございませんけれども、高知営林署で調査したのがいまここにございますけれども、杉の例でございますが、杉の場合は、活着率が直営が九三%、請負が九五%、杉の場合は請負のほうがよくなっております。これは四十一年の調査でございます。ヒノキは直営が九五%の活着率で請負が九三%の活着率、ヒノキはちょっと請負のほうが悪い、こういうデータが出ております。ただ、これは杉の木の場合でございますけれども、カラマツの場合は、直営と請負の差というよりも、むしろ別の問題があるのではなかろうかと思います。カラマツは先生御存じかと思うのですけれども、天然林を切ったあと造林した場合に、一番生育がいいというので大面積に造林したものがあります。要するに、最大のセルローズをつくろうということを考えたら、カラマツが一番いい。大面積にカラマツを植えたのは、特に北海道、東北に多いわけであります。このあとで先枯れ病とか、そういう被害にかかったりして成林したものがきわめて影響を受けておるということはございます。これにつきましては、やはり今後はその点を十分検討しまして、エゾマツとかトドマツの北海道在来の樹種をふやしていく。特に御指摘もありましたように、最近森林の公益的な要請が非常に高まっております関係上、何も繊維をつくることだけが目的ではございませんので、風景なりその他公益的な機能を十分勘案して樹種の選択をしてまいらなければならぬと、かように考えております。先ほど申し上げました資源の基本計画の中に、そういう公益的要請を十分入れて改定いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  167. 中村波男

    中村波男君 私が指摘するまでもなく何といっても木を植える作業というのは、林業労働の中で最も大切な作業であると思うわけです。したがって、やはり国有林の常勤というのは、まあ、国有林に働くという意味でありますが、働く労働者は一定の教育を受け、経験を積んでおるわけでありますから、できる限りやはり植林等については、特に下請けに出す率というものを下げて、自分の手で相当丁寧に植えるんだ、こういうことが必要だというふうに私は思うわけであります。それから、比較を申し上げただけでありまして、成林率の悪いのは、ただ、植林の下請と直営によるというふうに私も申し上げたつもりはないわけです。もう一つやはり成林率を低めておるのは、自然条件を無視した大面積皆伐による拡大造林というやり方が、問題があるというふうに思うわけです。したがって、拡大造林による生産力増強主義というのを改める必要がある。これは植林という経済的な立場だけではなくて、大面積皆伐によって水害あるいは土砂の流出、崩壊を来たした事例は、幾らでもあるわけです。時間があれば、それらももう少し具体的に事例をあげて反省を試みたいというふうに考えておったわけですが、四十七年度こうしようという施策を読みますと、できるだけ皆伐植林というのはやめていくのだという考えが出ておりまするけれども、これは極力やめてもらいたい、こういうふうに強く私は思うわけであります。したがって、結論的に申し上げれば、植林事業の請負化というのは、林地を荒らして不成績造林を大量につくり出す。そのことがいわゆる財政悪化の長期的に見て大きなまた原因としていわゆる悪循環をつくり出すわけでありますから、こういう点については、いま申し上げますように、下請作業というのを極力減らしていくということを望むわけでありますが、これについて長官の御所見を伺っておきます。
  168. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 御指摘のように、国有林は、みずからいろいろの事業を実行すべきであるという先生のお考えも十分尊重したいと思うわけでありますが、先ほどちょっと触れましたけれども、国がみずから仕事をやるべき範囲というものについても、非常に基本的な大きな問題があるかと思います。明治の八年のお話をしましたが、あれは明治八年に当時の海軍省が天城山でケヤキを切ったのが、官行伐採の始まりでございますが、それから明治九年になりまして木曽谷それから秋田、静岡の門桁山、ここでやはり官行の伐採が始まっております。その当時は、やはり国家財政に対する一つの寄与という問題があったわけでございます。民間にまたそういうことをやれる者がなかったといういきさつもございます。で、明治の三十七年から非常に大きくいわゆる官行研伐事業というのが国の直営で始まりまして、これがやはり奥地林の林相改良、国家財政に対する寄与、産業の振興、こういう目的を持っておったわけであります。こういったような長い歴史を持ったものが、やはり国の直営生産事業の歴史でございますけれども、特に昭和の初期に入りましてから、奥地林の開発ということで国がみずから伐採をし、みずから製材をし、みずから大阪、東京に販売場を持ちまして国がみずから販売までしたことがございます。戦争中はパルプがないので、パルプの製造まで国がみずからやったことがございます。そういったようなすべての事業は、その当時当時のやはり要請にこたえておったものだとも思うわけでございます。で、直営事業の現段階における意義はどういうものであるかということを目下いろいろ私たちも検討しているわけでございますけれども、やはり国がみずからこれをやらなければならぬということは、技術開発という問題に関連した森林の経営に関する基本的な一つの態度でなかろうかと思います。たとえば機械化の問題にいたしましても、その他の具体的な例は、こまかいから省略いたしますが、やはり技術開発的な面における仕事は、国がやらなければならぬ、直接に、というふうに考えるわけでございます。しかし、一ぺん切りました木、倒れた木は、別に緑をつくるわけでもございませんし、酸素を出すわけでもございません。これを出します仕事は、いわば輸送業、運搬業だと思うわけです。こういったものは先ほどお話ししましたように、国がみずからやってはおりましたけれども、産業の高度化によってやはり分業するのが原則であろうと思います。分業化された一つの形態があるならば、それを育成していくのが国の役割りではなかろうか、かように考えるわけであります。この辺の限度をどこに引くかということは、なかなかむずかしい問題でございまして、全国一律にこれを引くということは、やはり私は困難ではなかろうか、現状を無視して、遠い先のことをきめて一挙に切りかえようとすると、非常な無理があります。先生御承知のように、国営には四万人の定員内職員と、最盛期は七万七千人の作業員を持っております。こういった実態を踏まえまして、地域地域の実情に応じた一つ経営形態のあり方というものを早く確立してまいりたいと思うわけであります。しかし、先ほどお話ししましたように、四十八年度にはどうしても新しい制度を発足しなければなりません。いま御指摘のような問題含めまして、五月中には林政審議会の答申をいただきまして、政府としての態度を早く決定して予算編成にかかりたい、かように思っておるわけでございます。
  169. 中村波男

    中村波男君 いま福田長官のお話の中に、私として意見を申し上げたい点もありますが、また、それは別の機会にいたしまして、基本的に聞いておきたいのは、すべての仕事を、すべての作業を全部直営直業でやれなどということは、私は言っておるわけではありません。しかし、現在いま御指摘のように、林野庁のいわゆる職員ですね。それはまあ、常用、作業員合わせての意味でございますが、この人たちを十分活用して、そうしてできる仕事は部内でやるという、これはだれが何といっても必要なことではないかと思うわけです。それがどんどんと請け負いに出して、あたかも林野庁には人が余っておらんのだというような姿勢がないだろうか、ここに私は一番問題があるというふうに思うわけです。したがって、傾向としては青年毎年下請化がどんどん進んできた。もう一つあわせて私は、指摘しておきたいと思いますのは、下請化が事務部門においてもどんどん進んでおるということなんですね。時間がございませんし、この問題は別な機会でもう少し議論をしてみたいというふうに思っておるわけでありますが、具体的に申し上げますと、境界の測定、林道、治山の設計から竣工検査まで一切を下請に出す、この中でも出さなければならぬものもあるかもしれません。それからもう一つは、外郭団体として山林弘済会がありますね。これは役員の方々は、林野庁のかつての高級の職員であった方たちでありますがね。これが下請機関というような形になりまして、資料をいただきましたのによりますと、三十二億円という収入を得ておる。その中にはいろいろな部がございまして、仕事をおやりになっておるわけでありますが、説明によれば大体四割程度がいわゆる林野庁関係団体以外の事業量だということでありまするけれども、いろいろな業務が行なわれておるわけですね。林業機械、機具類等、あるいは車両、標識板類、あるいは定期刊行物——林野庁が関係をされる刊行物というのは、全部ここで引き受けてやっておるわけですね。これは林野庁のみならず、すべての官庁がこういう機構を持っておるわけでありますから、これは問題は林野庁だけの問題ではありませんけれども、しからば、この林野弘済会の組織、機能というものが、別に印刷工場をお持ちになっておらないのじゃないかと思うのです。全く下請で、注文を受けて印刷会社に発注をして、これを納める、こういうことのようであります。その他いろいろなことをおやりになっておるわけでありますが、これは林野庁が使用される用度品等についても、やはり中小企業の育成ということからいって、官公需の確保をはかる法律というのをかつて社会党が提案し、そういう法律ができたわけでありますが、そういう立場からいっても、これらの運営については、私は問題があるように思うわけです。したがって、全く設計なり調査なりが、営林署なり局の能力がなくて出されるのであれば、これはやむを得ぬと思うんですよ。しかし、実態はそうではない。まだまだ余力はあるのだ、しかし、そういうものがありますから、これは出さなければならぬと、出しておると、こういう経営のやり方、これは早急にひとつ検討をして改めてもらう必要があるのじゃないか。私は、具体的なことについては、きょうは申し上げません。抽象的に、また一般論的に指摘を申し上げるにとどめるわけでありますが、これは大臣、ひとつこの点については十分考えていただきたいと思います。したがって、部内でやれば一つ設計が五万円でできるのが、部内でやる場合には人件費が要らぬわけでありますから——しかし、外へ出せば十五万なり十三万なりかかるという。このことは、これは赤字要因の一つにも私はなるのじゃないか、こういう官庁の親方日の丸式の運営というところに、問題があるというふうに私は指摘をせざるを得ないわけです。こういう点について、ひとつ具体的にこうするという答弁は出にくいと思いますけれども、私が指摘したことが事実でない点があれば、これは間違ったことを一方的に申し上げることは誤りでありますから、反論をしていただいてけっこうでありまするけれども、私の言いたいのは、できるだけ部内で消化できるものについては下請に出すな、こういうことが言いたいわけです。それから、そういうものをつくって、そうしてただ口銭かせぎというか、リベートとは言いませんけれども、いわゆるこちらからこちらへ持ってきて収益をあげるような、そういう物の買い方、そういうことについては、できるだけ民間から買うなり、民間と比べてみてやはり安いところから買うという姿勢が私は大事だと思う。これが物を買う最も必要な態度ではなかろうかと、こういうふうに私は考えて御指摘を申し上げたわけであります。
  170. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 部内で調達できたら、やれることはできるだけ部内でやって下請なんかに出すべきものでなし、また、外から購入したり、あるいは売却するというようなものも、自由競争というか入札する制度一つの原則でございますから、売るものは高く売れるように、買うものは安く買えるように、こういうような方法でいくのが当然であると思います。よく林野庁長官もそういうことは注意していると思いますが、なお一そう、そういうお話のような方向が私は一番適当であり、そうすべきだと思います。
  171. 中村波男

    中村波男君 たいへん時間がおくれておりまして、大臣もお疲れのようでありますし、まだ共産党の質問が残っておりますから、いろいろまだ質問が残りましたけれども、いままでの質問関連して外材が昭和四十五年で五五%に達した、さらにふえる傾向にあるということ、このことがいわゆる国内林業を圧迫しまして、私は御承知のように岐阜県で、林業地帯でありまするから各地域から、林業の危機に対して何とかしなければならぬという声が各地に起こっておるわけです。したがって、国会でも決議をいたしておるわけでありますが、「国内需要の過半を占め、当面さらに累増する傾向にある外材の進出に対処して、長期的な観点に立った外材輸入の適正な調整措置を講ずるとともに、外材に対する輸入課徴金制度もあわせて検討すること。」、これは林業関係者が山林業危機突破大会等開いたときにも、このような趣旨の決議をし、政府に強く要請をいたしておるわけです。したがって、絶対量が足らない状況でありまするから、外材の輸入の全面的規制などということを考えて私は申し上げるわけじゃありませんけれども、いまのような無秩序な輸入を続けることは、問題があると思うわけです。それから外材輸入依存の体制をこの辺できっちりと整理をしませんと、林業白書にも書いておるように、行く末外材が幾らでも輸入できるという状況には、世界の材木事情としてないようでありまするから、そういう点から考えましても、やはり何らかの方法で調整をし、具体的な措置としては、課徴金等々の方法を検討して実施すべきではないかと思うわけです。大臣の御所見を伺っておきます。
  172. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 外材の輸入がふえたということは、一つは高度経済成長で建設ブームというか、そういうのに押された結果もあると思います。ですから、やはり需給計画などにも外材の輸入等をどういうふうにするかということを組み入れて考えていかなくちゃならぬと思います。しかし、外材の輸入を、これを押えるために課徴金を設けたらどうか、これは、課徴金制度は、いま各国とも自由化の方向へいっているものですから、なかなか国際的にやかましい問題がたくさんございます。この間のアメリカで円の切り上げの問題に関連したときにも、アメリカで課徴金というのを設けまして、これは世界からだいぶ袋だたきにあって改めたようなかっこうのこともあります。でありまするので、これは国際的にもいろいろ慎重に考えなくちゃならぬ問題を含んでおると思いますので、お話の点も私も頭にないわけじゃございませんが、これはすぐにというわけにはいきませんが、よく検討してみたいという課題として承っておきたいと思います。
  173. 中村波男

    中村波男君 最後の締めくくりとして雇用安定の問題について御質問をいたしておきたいと思うわけでありますが、昭和四十一年の三月二十五日に当参議院の農林水産委員会で、これは大臣も何度もお聞きになっておると思うのでありますが、当時の坂田農林大臣から、国有林の経営については中央森林審議会の答申もあり目下検討中であるが、国有林の経営の基本姿勢として直営直用を原則としてこれを積極的に拡大し、雇用の安定をはかることを前提として検討してまいりたい。なお、通年化については、努力してまいりたいということをお述べになったわけであります。  さらに、昨年の国会におきまして、衆議院、参議院で林業振興に関する決議を行なったわけでありますが、この中の五で「林業労働者の確保を図るため、雇用の安定、他産業従事者と均衡する賃金水準の確保、労働条件の改善、労働基準法及び各種社会保険の適用ならびに労働災害及び職業病の絶滅について特段の措置を講ずること。  また、国有林野事業の基幹労働者については、常勤職員の雇用条件との均衡を配慮して処遇の改善に特段の措置を講ずること。」と、こういう決議を行なったわけでありますが、なるほど昨年までは、われわれから言えば、不十分ではありましたけれども、定員繰り入れが行なわれてきましたけれども、四十七年度では十一名の定員繰り入れが予定されているというのをお聞きをし、全くその後の繰り入れについては計画がないんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。したがって、坂田農林大臣の公約をたてにとり、国会の決議の尊重を迫るだけでは、問題の解決にはならないわけでありますが、いろいろむずかしさのあることは、十分わかっておりますし、時間もありませんから、こまかく質問をし御意見を聞こうとは思いませんけれども、四十七年度で十一名だけ定員を繰り入れされるということに対する基本的な考え方ですね。それから、今後の方針について、福田長官並びに大臣から御説明をいただきたいと思うわけです。
  174. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) この直営直用事業は、御指摘のように近年増加ぎみに推移しております。そこで、坂田農林大臣が約束した問題もございますが、いま、るる御指摘のように、林業に対しては取り巻くきびしい情勢の変化もございますし、それによって経営の健全化をはかる必要にも迫られております。こういうことでございますので、国有林野の経営を抜本的に改める方向で、いま検討を進めているのでございますので、国有林野の今後のあり方については、雇用の安定に十分配慮しながら、合理的に事業執行ができるように鋭意つとめていきたいと思います。  定員外を定員内に繰り入れるかというような問題、これはもう毎年というか、長い間少しずつは入れておりますが、なかなかこれも事業量がふえるということと見合っての問題でございまするし、それから定員法は全体としてこれは各省の全部の関係もございまして、割りふりというようなこともあって、いまお話がありましたように、なかなか困難な面もあります。しかし、これはできるだけ原則が直営直用というのが原則でございますから、方向はそういう方向で進めるのが私はいいと思っております。
  175. 川村清一

    ○川村清一君 ただいまの中村委員質問に対する大臣の御答弁でございます。わからないわけじゃないんでございますけれども、これは数年前に坂田農林大臣時代、それからまた倉石農林大臣時代も、われわれこれを取り上げまして、いろいろ大臣に対しまして、われわれの考え方を述べ、そしてその結果、坂田農林大臣のああいう御答弁が出てまいりまして、また、倉石農林大臣からもそれに近いところの御答弁があった。要すれば、国有林経営は直営直用を原則とする。そして、それを拡大し、その結果、山林に働く労働者の生活を守る。また、国有林経営において労働力を安定させ、そういう中から国有林の経営の安定化をはかるということであったわけであります。しかし、現段階における国有林の置かれておる情勢の中から、経営の健全化をはかるということで、何か原則がくずれている。直営という方針が、請負化という方向にひとつ傾斜していっているのではないかというふうに、先ほど林野庁長官の御答弁の上から伺い知るわけでございますが、それではやはり国会の決議というものを軽視しているというふうに言わざるを得ないわけでありまして、ただいまの大臣の御答弁だけでは、じっくりと納得できかねるわけであります。この点、もう一度さらに御答弁がいただきたいわけであります。それから、先ほど林野庁長官のいろいろの御答弁を伺っておるわけでございますが、その中でふに落ちない点が一、二点ございますのでお尋ねいたします。  まず、第一に中村委員の指摘いたしました立木、あるいは素材の販売の方法、あるいは一般入札、それから指名、それから随意契約、この点でございますが、まあ立木の販売の面をひとつとらえてみますと、中村委員の指摘によれば、七〇数%がこれが随意契約になって販売されている、これはおかしいじゃないか。やはり一般公入札によって、公正な価格によって販売すべきである。これは言うまでもなく国有林というのは、国民全体の財産でございますから、その財産を売却するという場合には、国民に損害が与えられないように、適正な価格で売られなければならないことは当然であります。それが七〇数%もこれが随意契約で売られていることは、おかしいのではないか、こういう中村委員質問に対しまして、林野庁長官答弁は、これは昔はまきや、それから木炭、薪炭材に多く広葉樹であるとか、あるいけ雑木は使われておった。ところが、薪炭用に木材が使われなくなったので、これが全部パルプ材になっていった、そういう結果、こういうことになっているんだという御答弁でございますが、これは私は裏を返せば、たいへんなことになるのではないかと思う。七〇数%という木材は、これはほとんどがそういう雑木なのかどうか、こんなばかなことはあり得ないと私は考えるのですがね。それじゃ一体昔は七〇数%の木というものは、全部まきか木炭になったのですか、そんなことはないと思う。もちろん林相は悪化してまいりましたし、それから森林は奥地のほうにどんどん入っていっていますから、非常にめんどうな要素があることはありますよ。ありますけれども、そんなに粗悪品ばかりあるとは思わないのです。それじゃ、七十何%のうちに何%は一体そういう薪炭材になるのか、ここをお聞きしなければならない。指名入札、一般公入札が三〇%程度であって、七〇%は、これはそんな木材であるというふうには、私は考えられない。ですから、ついているところは、そういうことではないのですね。できるだけこれは国民の大事な財産なんですよ。しかも、いわゆる、いま国有林の経営というものが困難な状態になってきておるのであるから、できるだけ収益をあげるというところにやはり、国は商売ではないかもしれませんが、しかし、特別会計ということでやっているわけですから、やはり経営は商売にもなるわけですね。だとすれば、適正な価格によってできるだけ高い価格で売って、しかしながら、これは国ですから、一般の商売でやっている木材業者と違うことは明らかでありますけれども、しかしながら、損をするというふうな価格で売るということは、了解できないわけですね。ですから、一体七十何%のうち、昔なら木炭やあるいはまさに使用されておるところのものは、一体何%だったのか、これをひとつ明らかにしていただきたいですね。  それから、もう一つは、われわれは国有林活用法というものを審議いたしまして、最終的にはこれは成立したわけでありますが、しかし、これも国有林活用法が国会を通るまでには、やはり数回かかっているのです、廃案廃案で。そうして昨年の国会ですか、ようやくこれが通ったと、こういう経過があるのですね。この審議の中で、われわれはなぜ安易に国有林活用法に賛成しなかったかということは、やはり基本的な問題として、いま申し上げましたように、国有林というのは、国民の大事なこれは宝なんだ、財産なんだ、そしてまた、日本の国土を守っておる大事なこれは森林なんだ、だから、国民全体でこれを大事に守らなければならない。この大事な国民の財産である森林というものは、一部の木材業者であるとかあるいはボスによって左右されるようなことがあってはならないのだ、国民の財産を守り、国土の保全を全うするために、これを守らなければならないというのが、われわれがなかなか賛成しなかったこれは基本的な考え方なんです。ですから、これを通すにつきましては、いろいろな決議をしているわけですね。その決議の中の一つには、やはり現在国民の使う材木の五〇%以上が外材に依存しておる、これはまことに尋常な姿ではないでしょう。なぜならば、木材というものは、国民の生活にこれは離して考えられないんですね。いま大臣は、高度経済成長のために非常に建築がふえてきた、そのために木が必要だと。ですから、いま国民の一番大きな問題は、やはりいかにして自分の住む家を持つかという住宅の問題、これが最大の問題ですね。ところが、なかなか家を持てない。家を持てない理由は何か。土地が高くてなかなか取得できない、せっかく土地を得ても、今度は家を建てようとするときに、また非常に建築費がかさんできておる、木材が高くなってきておることも一つの事情でしょう。こういうことを考えてみるならば、とにかく日本人の使うところの木材というものは、大かたを国内生産でもってまかなう、足らないところは外材に依存する、いわゆる外材というものは、あくまで補完するという姿でなければならないはずです。ところが、いまは全くこれがびっこでしょう。五〇%以上を外材に依存するというのは、おもなものは外材で、国内材がそれを補完しておるという、こういう姿でしょう。こういう現状を打破するためには、どうしてもこれは木材の生産をふやさなければならない。生産をふやす第一は造林でしょう。次には、林道ですね。林道をどんどんつくっていって、そして奥地にあるところの木を切り出すのに、便利な方法をとっていかなければならない。それから、もう一つは民有林ですね。いわゆる民有林においては、なかなかよう切らないわけですよ。切り惜しんでおる。こういう問題も解決しなければならないのですね。こういうような問題をいろいろ検討した結果、われわれといたしましては、造林というものに非常に力を入れた。民有林においてもいわゆる官行造林のような、ああいうような方法をとる必要があるのではないかというようなことも、これは決議に入れているわけですね。いま中村委員も指摘されたようなこういう問題、これが決議となって出てきておるのです。ところが、このどうも決議をしたけれども、そのわれわれの決議したことが、ほんとうにやろうという姿勢でもって林野行政を推進されているのかどうか。これはちょっと疑問を感ずるような御答弁を長官がなさっておるわけです。ですから、私はここであえて申し上げたいのでありますが、いま私がいろいろ申し上げましたが、これらのことを踏んまえて、そして国会が決議しておるわけです。この決議をしっかりと踏んまえて、これを実現するように林野行政を指導してもらわなければ、私はいかぬと思うのです。長官いかがですか。
  176. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 御指摘のとおり活用法案を通します際に、決議されました単独決議の内容は、それぞれ非常に主要な項目であると考えております。その中におきまして、若干すでに実現したものもございますけれども、大かたは非常に今後基本的に最も林野庁が力を入れて、林野庁だけではそれはもちろん、できない問題も多く抱えております。各官庁とも連絡をとり、それぞれの御意見を伺いながら、できるだけ早い機会に単独決議の趣旨を尊重して実現してまいりたい、かように存じておるものでございます。  なお、ちょっとつけ加えますけれども先ほどお話ししました七〇%の問題でございますが、あれは薪炭林が非常に大きい影響を与えているということを申し上げたのでありまして、全部があれは薪炭林ではございません。あの中には、地元工場用として配材されるものもございますし、それから用途指定材として販売しております、そういう貴重材もございます。しかし、ああいう大きな数字の出た原因は、薪炭林が大きく影響しているということを申し上げたわけでございます。
  177. 川村清一

    ○川村清一君 もう一点、最後のところね。中村委員の指摘されていることは、随契というものをできるだけ少なくすればいいのじゃないか、それで一般公入札をふやしたらいいのじゃないかということなんですが、これに対してはどうですか。
  178. 福田省一

    政府委員(福田省一君) この点につきましては、先ほど先生の御質問お答えしたのでございますけれども、原則は、会計法によりまして、これは公売でございます。ですから、随契をする場合は、特にこういう場合に限るということを法律できめているわけでございます。非常に限定しているわけでございます。ただ全部が全部なるべく随契をふやしたらいいかどうかということは、実は問題があるということを先ほど申し上げたのですが、随契をしておりますものは、すべて安く売っているというものでもございません。値段は、それぞれの市場価格を全部調査いたしまして、売り払いいたします場合には、市場価格というものを厳密に第三者を入れて調査をして、価格は厳正にやっております。ただ、随契いたしますものについては、もう一度申し上げますけれども、国営の中にもあります貴重材のようなもの、これはだれでもほしいもの、これは競争原理でいいと思いますけれども、造林木のように、たとえば杉とか代表的なものでございますが、民有林もたくさんある。しかし、これは外材と——非常に外材がおっしゃるようにふえてきたために、そういう造林木なんか非常な影響を受けております。全部これは競争に出しましても、あんな小さなあっちこっちにばらばらになっておるものを買いますか、やはり外材のほうへと、こうなるわけです。だから、それを競争して高く買ってくれる場合はいいのですが、競争にして高く売れない場合が非常に多いのでございます、最近は。そして、できるならば買い手と売り手が大きくまとまって、そして一定期間、一定の価格で公表して、そこで安定した取引をするということが、大事な問題じゃなかろうかとも考えておるわけでございます。そういった問題を含めて販売方法の改善についても、私たちも鋭意検討しておりますが、やはり原則は公売でございますけれども、随契のやり方についても、やはりいまお話ししましたように、やり方を改善しまして、やるならばむしろ外材と対抗してやっていける道があるんじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  179. 中村波男

    中村波男君 これのあとを受けて川村委員が木材の販売方法についての質問があったわけでありますが、いろいろ長官は、私に言わせれば、強弁をされておりますが、これは昭和四十年度の総合監査報告書にはっきりと公売比率が低過ぎることを指摘したわけで、公売による販売価格と予定価格の値開き率を見ると、北海道では素材三〇%、立木六四%、内地では素材一三%、立木一六%であり、注目すべき点は、北海道各局における立木の値開き率の傾向で、八〇%前後を示していることは、十分検討を要するものがある、こういう指摘をいたしておりますね。きょうは時間がありませんから、その後これは四十年の総合監査の指摘だから、改善をいたしまして、北海道においては、八〇%などという値開きがないということであるならば、ぜひひとつ委員長にもお願いいたしますが、資料として出していただいて、改善されたあとを示していただきたいと思うわけです。  それから、私さいぜん質問した中に、四十七年度において十一人だけの定員繰り入れが考えられておるということでありますが、十一人だけ定員繰り入れをされたという根拠ですね。私の聞いておることが間違っておれば、御指摘をいただいてけっこうです。  それから、もう一つは、まあ農林大臣も定員繰り入れについては、前向きに検討するというお話でありますが、この問題は、いわゆる行政管理庁の定員削減等との関係もありまして、これも私は理屈に合わない規制だと思うんでありますが、むずかしさというのはわかります。だとするならば、待遇改善の上で、定員内職員に準ずるような方法というのを考えるべきじゃないかと思うわけです。聞くところによると、組合と当局との団体交渉で、一応定員外職員に対する待遇改善の案というものをお示しになっておるようでありますが、この案が不満だと、また定員繰り入れの要求というのを全然林野庁は認めようとしないと、そういうことから、私たちとしても好ましいこととは思いませんが、二、三日前に、全山ストといいますか、ストライキが行なわれた、まだまだ今後この労使の対立というのは続くということであります。したがって、私たちから考えれば、できるだけ早く団交に団交を重ねて、こういう問題について解決を強く望んでやみません。したがって、定員内にはほど遠い改善案ではありまするけれども、一応の待遇改善の案というものをお示しになった。しからば、これを四十七年度から実施するのか——四十七年度から予算がすでに提案されておるから、四十八年度からは確約できるのかということになりますと、林政審議会の答申待ちなんだと、これでは私は団交にならぬと思うのです。したがって、定員内繰り入れば、いま確約ができぬにいたしましても、少なくとも十五年、二十年と林野の中で営々として働いてきた、せっかく長い間働いてきたのだから、ほかに仕事を変わりたくないと、こういうまじめな人たちを、同じ仕事をしながら定員外として、いわゆる社会保障等についても、十分な何と申しますか適用を受けずに定員内の繰り入れを待っておる多くの労働者のことを考えていただいて、待遇改善の上において定員繰り入ればできないけれども、実質的には林野庁としては、それはもう働く労働者の期待にこたえたんだというものをぜひひとつ出していただき、これはひとつ特に大臣にお願いを申し上げるわけです。まあ、いろいろ質問したいことがありますが、以上で私の質問を終わりたいと思いますが、いまの問題について長官なり大臣からそれぞれ御答弁をいただきたいと思うわけです。
  180. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) たいへん筋の通ったお話ですから、私から何も言うことありませんが、実際定員繰り入れば、行政管理庁の行政整理の関係から非常に定員を増すことは、抵抗を感じるわけであります。これも一律に各省幾ら幾らというやり方は、私は当を得ていないと思いますが、実際にそれでずっときておりますので、この定員繰り入れというものは、非常にやりたいと思いますが、困難であることは、御指摘のとおりでございます。  そこで、待遇の改善ということに力を入れろということでございますが、これもまだ御指摘のように団交できめることでございます。団交できめるのでございますから、その団交の中で、林政審議会のあれがないからというのは、団交の一つの条件にならないと思うんです、お互いに団交は、話し合いですから。でございまするから、そういう面を頭に入れて待遇がよくなるように、団交の当事者がおりますからここにも、そういうことを頭に入れながら、いい方向でこれを妥結するように進めていきたいと、こう思います。
  181. 福田省一

    政府委員(福田省一君) 大臣から申し上げましたように、私もこの林業の振興に関する決議の第一項、これを十分尊重して早く実現に努力したいと、かように考えておる次第でございます。なお、先ほど御発言がありました定員繰り入れ十一名ということばでございますけれども、これは常用化の十三名の違いではなかろうかと思います。
  182. 中村波男

    中村波男君 常用が十三名、十三名というのはいかにも少ないですね。
  183. 福田省一

    政府委員(福田省一君) この常用化につきましては、従来定員外の作業員の中の定期作業員を常用作業員といたしまして、過去において一万一千人ございます。私ども仕事の組み合わせ、たとえば植森事業と造林事業との組み合わせ、あるいはほかの収獲調査なりあるいは林業事業、そういう仕事の組み合わせをできるだけやりまして、あるいはまた期間を通じて夏の仕事と冬の仕事の組み合わせ、それからある営林署の中で場所をかえて、あるいは営林署と営林署の間のそういう組み合わせとか流動化ということをできるだけやって、この数年努力してまいったわけでございます。しかし、大体御承知のように、林業の季節性というものは、幾ら技術革新を行ないましても、ある程度の限度がございます。で、たとえば、造林に使いますところの機械化、なかなかこれは素材の生産に比べてむずかしい問題でございます。季節性を克服するために機械化をはかる、あるいはポット造林と申しまして、紙のはち、苗によりましてそれを持ってきて植えると、これは雪が降らなければいつでもできるわけであります。はちのまま植える。そういう季節性の克服とかいうこともやりまして、いろいろ組み合わせたのでございますが、最近は、どうもそれがなかなかむずかしくなってきたというのは、これも季節性というのを克服するのも限度がございまして、極端な例でございますけれども、冬に除伐をやったところが、春になって雪が解けたら一メーターくらい除伐が残っておった。もう一ぺん切り直した、こういう事例も実はあるのでございます。そういうことで、しかも今度は、先ほどお話しをしておりますように、収穫量が減少してまいります。したがって、造林業も減少するという中で、この常用化をはかるということは、なかなかむずかしい問題になってきております。そこで、私は林業のほかに、農業全般として、場合によってはその他の産業も含めて、その地域における労働力の安定ということは、やはり絶対必要じゃなかろうか、かように思っておるわけであります。そういうことも含めまして努力してまいりたい、かように思っております。
  184. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間がたいへんおくれましてあれですけれども、許された時間内にいろいろ大臣その他からお聞きしたいと思います。  きょうは、せっかく大臣がいらっしゃるので、まず第一に今度打ち出されたあの農業団地の構想、これについてひとつお聞かせ願いたいと思うのです。この問題は、先ほどお話が出ましたし、前回のこの委員会でも御質問が出ましたが、とにかく農業団地というような新しいことばが出ますと、とかく専門家でもかなり戸惑っているわけです。ここの委員会だけではありません。私、地方へ行きまして、かなりの専門家でも農業団地の話をいたしますと、何か戸惑った表情をしております。まして一般の国民や農民の方々にとっては、農業団地というこの構想、これはなかなかわかりにくいんですね。で、そこで私、考えるんですけれども、どうもお役所というところは、新語をつくりたがるところだ、特に農林省はいささかそれが多いのじゃないかという感じがするんですね。農業基本法では自立経営であるとか、農業協業であるとかいうことばも出ましたし、その後は総合農政なんていうことばが出ましたし、あるいは営農団地、そして、今度は農業団地と全く目まぐるしいほど新しいことばが出るんですが、そういう状態の中で町のうるさい雀たちは、どうもあれは農政に新味を出すために、出さないと大蔵省が予算をくれないから、ああいう新語をつくるんだろうと、こういう皮肉なことも聞きます。あるいは新聞などでもとにかく、大臣もよくごらんになっていると思うのですけれども、「ノー政だ」——かなで書くノー政ですね。政治のない、ノーのほうの政治だと、こういう調子のことを書いてありますが、私はそういう意味では、このことばの真偽のほどはともかくとして、みな戸惑っているということは確かだと思うのですね。そこで、私はそういうことを別にせんさくするつもりはございませんが、率直に私自身の感じから申し上げまして、この数年間、この日本の農政というものは、試行錯誤の連続であったと、こういうふうに言っていいんじゃないだろうか。先ほど赤城さん、実力大臣ということをみずからおっしゃったんだけれども、実力大臣といえども、やはりそういう状態は今日続いてきたんじゃないかと思うのですが、まず最初にそのことについて所感をお聞きしたいと思うのです。
  185. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 私は、農業基本法というものは、いろいろなものを掲げてありますから、決してこれをまずいとは思いません。悪いとは思いません。しかし、その中で自立経営農家を育成するという考え方、その考え方方向等もございますが、これも間違いはないと思います。ただ、個人的に自立経営農家を多くするということが、いまの日本のいわゆる国際的な関係からいっても、日本の現状からいっても、できるかできないかということを考えますと、その経営規模を大きくするというのは、これは一つの正しい方向だと思うんです。ただ、経営規模——個人で経営規模というものを大きくするか、大ぜい集まって団体的に経営規模を大きくするかというようなところに問題があると思います。それから、また、現状からいいまして、兼業農家が非常にふえている状況でございます。自立経営の専業農家ばかりでありますと、土地問題もありまするし、できない。なかなかはかばかしくない。こういう点から考えますと、この経営一つ規模、個人的じゃなくて、団体的に多くの人が集まって、経営規模もあるいは作業の規模も大きくしていく。こういうことは、これは経済の原則といいますか、資本主義の経済の原則からいっても、当然であるし、そのことが国際的にも日本の農業の体質改善に寄与するし、また、国内的にも食糧の生産というものが農業者ばかりではなく、一般消費者といいますか、大衆、国民全体に対する食糧の供給でございますから、そういう面から考えまして、生産性を上げるという面では、国際的にも国内的にも非常にいいことだし、また、需給の調整というものをしませんと、骨を折って損をするといいますか、そういうようなことになりますから、やっぱり需給の調整という面からいっても、団地的な経営というような形で需給の調整をしたほうが、これは非常に調整もスムーズにいく。そういう点から考えて、どうしても高能率の農業経営をしていくというようなことでは、いろいろこれは作業面だけでもありまするし、それからまた、兼業農家どもそれに含めて土地を提供し、そして出かせぎなんか近くでできるようにするというようなことで、労働力の点にもいい。こういう点で、すべて畜産にしても、果樹にしても、あるいは稲作にしても、養蚕にしても、そういう面で、団地という名前が適当かどうかわかりませんが、経営を大きく共同的なものでしていくというねらいが私はいいんじゃないかと、こういう点から、団地経営農業ということを提唱しているわけでございます。
  186. 塚田大願

    ○塚田大願君 大臣の主観的な意図というものは、私は買っていいと思うのです。確かにこの規模の拡大ですね、それから需給の調整、これはみんなやらなきゃならない。しかし、問題は、一体だれがどういう立場でやるかということが、むしろ私は問題なんじゃないかと思うのですね。がしかし、このことはあとでまた結論のときに私は申し上げたいと思うのですが、とにかくそういう立場から団地形成という構想が打ち出されたと、そこで農業団地内容でありますけれども、これは先ほど官房長からもいろいろ説明がありましたし、いろいろ報告書にもるる書いてございます。要するに、国際競争力を持った近代的農業を確立する。そしてまた、供給体制を整備して、農業生産の再編成をはかる、これが大きな柱だと、こういうことを言われておるのですが、しかし、いままでの農政を見ましたときに、第二次構造改善事業あるいは営農団地特別整備事業、稲作転換促進特別対策事業、こういった事業がずっと続けられてきた。そしてその中身を見れば、どれもこれも圃場、農道などの生産基盤の整備あるいは機械の導入、あるいは近代化施設の導入、生産組織云云、こういうふうにうたっておられるわけなんで、あえて農業団地を引き出すまでもなく、いままでの政策ではみんなこういうことをやってこられた。だとすれば、なぜ今度新しく出された、農業団地でなければ、この農業団地でなければ、いま言われたような課題が解決できないのかどうか、という問題ですね。つまり、もっと具体的に言えば、いままでの構造改善事業や営農団地特別整備事業などではできないのかどうか、どこが一体違うのか、変わっているとすれば一体どこが変わったのか、その辺の説明を、簡単でけっこうでございますが御説明願いたいと思います。
  187. 中野和仁

    政府委員(中野和仁君) 簡潔にというお話でございますので。  先ほど農林大臣が申されましたけれども、従来は個別経営規模拡大ということだけではございませんけれども、それを中心に考えてきたわけでございます。しかし、一方では国際競争力の強化を急速に自由化に対応してやらなきゃいかぬということと、それから土地問題の解決ということが、なかなか所有権の移転ということが、規模拡大がむずかしいということから、やはり先ほど大臣も申されましたように、土地につきまして、単に所有権の移転だけではなくて、むしろ賃借権あるいはその他のやり方でもって生産単位として規模を拡大する。その中で働く農家は、中心になるのは当然専業的な中核農家でございましょうが、兼業農家が一部労働力を提供する場合もあり、あるいは場合によっては土地をその生産単位に提供をして、自分は地代をもらって他産業に働く、こういうことを考えました上で、一つの何といいましょうか、いろいろ差し上げておると思いますが、それぞれの品目に従いまして適正な規模というものを考えた上で、ひとつ大きく規模の拡大をはかっていくというところに、私は非常に大きな違いがあるというふうに思います。ただ、御指摘のように、第二次構造改善事業といたしましては、全部自立経営だけをねらっておるわけでございません。やはり協業経営も一緒にやっていくということもありますので、今度はそれぞれの作物もやはりとらまえまして、先ほど申し上げました生産単位を大きな規模でつくっていく、こういうところに違いがあろうかというふうに思います。
  188. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまの御説明によりますと、要するに作物別にやるとか、あるいは兼業農家が非常にふえたので兼業農家を含めてやるとか、まあ重点がそっちに移ったというふうなお話です。まあ、それも確かにあると思います。しかし、どうも私どもは本質を見ましたときに、何にも本質的に変わっているようなことじゃない。やっぱり一定のレールの上を走っているに過ぎないじゃないかという感じがどうしても吹っ切れないわけです。  そこで、私は、ここで時間もないのに抽象的な論議をしていても始まりませんので、具体的な例をひとつお話ししたいと思うんです。  これは北海道の根室管区の標津地域の営農団地がございます。これは先ほどども視察してまいりました。まだこの営農団地、酪農集団でありますから、これが農林省農業団地と直接的に結びつくかどうかわかりませんけれども、とにかく一つの例だと思うのです。で、この標津の営農団地というのは、大臣も御存じでしょうが、四十四年度に朝日賞を受賞した集団でございます。いわば模範的な集団です。農林省が大いに宣伝しておるんです。お隣の別海村は、御承知のとおり、いまは別海町です。あれは失敗した例、こういうことになっております。こっちの標津のほうは成功した例だと、こういうふうに宣伝をされている。そこで私どもそういう成功した団地はどういうふうになっているのかということで視察に参りましたが、これはもう御承知のとおり機械化利用集団として最も代表的なものとして、この朝日賞の受賞を受けたわけでありますが、ここへ行きましたら、農家の方々、酪農民の方々が十数名集まっていただきまして、いろいろ陳情を聞かせていただきました。そこでお聞きしたんですが、ここでは規模拡大が現在集団の平均で成牛が二十八頭までなった、平均してですね。しかし、これ以上は第一労働力の面からも限界にきているんでふやせない。規模は拡大しても、一頭当たりの乳量、乳の量は落とさないように努力してきた、平均して大体年間一頭四トンだそうであります。しかし、ここでこういうふうにおっしゃるんです、しかし、元金の利子、元金の返済期を迎えて、もう非常に多額の負債をかかかえていてそのめどがつかない、その返済のめどが。大体そこでどのくらい負債ありますかと言ったら、私は七、八百万円ですかと言ったら、いやそんなことじゃありませんと言うんですね、一千万円だと言うんです、低くて。多い人は二千万円持っておると聞いて、私のほうがびっくりしました。こんなに借金してどうして、規模拡大したと言うけれども、借金をしたんじゃ、それはとてもじゃないけどちょっと払えるという金額じゃないだろうというふうに私も考えました、農民の方々の表情を見ましてもね。しかし、農民の方々は、もうここまできたら酪農と心中する以外にないんだと、あくまでもやると。しかし、何とか——この高額の負債をかかえているんで、何とかこれは政府としても考えてもらいたいと、こういうふうにおっしゃっておられたんです。この負債の問題は、私は、ここでもしばしば問題にいたしました。大臣もそれなりにいろいろ対策を考えておると、利息ももっと低くするようにしたいということをおっしゃっておられたんですけれども、とにかく実情は、こういう実情です。  そこで、私、問題にしたいのは、そういう規模の拡大はやったと、しかし借金はふえたと、これはまあ借金は借金としてまた別に考えるといたしましても、さしあたってやっぱり問題としては所得率の低下という問題ですね。これはやっぱり一つ問題ではないかと思うんです。で、ここでお聞きしたんですが、一戸平均で約年間八十トンの牛乳を生産して、その生産額が平均で約三百七十五万円だと、これは農協の指導員も、その点は確認しております。しかし、飼料代その他経費の値上がりの中で、年々この出費がかさんで所得率というものは今日二五%だと、こうおっしゃっておるんですね。農林省の統計なんか見ると、四〇%くらいあるようなことを書いてありますけれども、現地へ行くと二五%だと言っているんです。三百七十五万円の二五%というと大体九十三万円でしかありません。こういう状態なんです。所得率が下がったと、じゃもっとその所得をふやすためには、乳量をふやせばいいじゃないかと言われるかもしれないけれども、しかし、その乳量をふやすためには一頭当たりの乳量をふやすかあるいは規模拡大、つまり頭数をふやす以外にないと、ところが規模を拡大していけば負債をふやすことになってしまうんだ。じゃ一頭当たりの乳量をふやしたらいいじゃないか、しかし、一頭当たりの乳量をふやすには、飼料のいいものを使わなければいけない。ところが、いまその飼料は先ほども問題になりましたけれども、外国の輸入品で非常に高い、ちっとも下がらない。したがって、この経費がかさんで所得率が一そう引き下げられてしまうと、こういう苦衷をるる述べておられました。したがって、大臣は規模を拡大すればいいんだと、こうおっしゃるんだけれども、しかし、現実にこの成功したといわれている地域においてすら、この規模拡大の矛盾というものに農民は悩んでおられるんですから、この点一体どういうふうにお考えになりますか、どういうふうに判断をされますか、お聞きしたいと思います。
  189. 増田久

    政府委員(増田久君) ちょっと数字にわたる話でございますので、私からお答えいたします。  いまの標津村というのは、私、実は行ったことがないわけでございまして、ものの本で読んだり、耳学問という範囲お答え申し上げるので、まことに恐縮でございますが、朝日杯を受けられた際のデーターというものを私どものほうでもいろいろと勉強さしていただいたわけでございます。そこで、確かに先生のおっしゃいますとおり、酪農というのは資本集約的な部門でございますので、相当の多額の金額がかかる。あるいはその人によっては一千万あるいは二千万あるということも事実であろうと思います。しかし、私どもが朝日杯を受けたときのデータをもとにして調べてまいりますと、あのときの、受賞のときのデータといたしまして、所得率は四五%ということに相なっておるわけでございます。それで、購入飼料の比率は一八・二%である、こういうことを言っているわけでございます。それから、もう一つ、その際の生産費が出ておるわけでございますが、生産費によりますと、一キロ当たり三十七円七十五銭ということで、もう国際水準並みであるというようなことまで書かれているわけでございます。で、先生御存じのとおり、その後おそらくいろんなことの諸物価の値上がりがございますから、生産費はこれは四十四年でございますので、その後一割程度上がったかという感じもいたしますけれども、それにいたしましても約四十円と、そうすると、しかもその生産費の中に、見てまいりますと、資本費は利子代として三円八十九銭という金額が、実は出ているわけでございます。それでしかも現在の保証価格というものが、今度は一円上がりましたから四十五円四十八銭、去年は四十四円四十八銭ですけれども、その間に少なくとも五円近い価格差があるということを見れば、いろいろ言われますけれども、はたしてこの地帯において非常に借金がものになる経営なのかどうかという点にわれわれとして率直に疑問を持ち、なお、そういう現地の声があるならば、そういう点はもう少し検討をしてみなければならないのではないかというふうに考えているわけでございます。  御存じのとおり、総合資金というものがございます。総合資金というのは二十五年、据え置き十年以内、金利は五%、ただし据え置き期間は四・五%という金利でございます。これはおそらく現在の金融体系の中では、最も安い金利体系になっていると思うわけでございますので、はたしてそういうことがここの標津村のような経営の中で、ほんとうに払えないような実態なのかどうかという問題については、なお検討を要する点があるのではないかというふうに、私ども考えておるわけでございます
  190. 塚田大願

    ○塚田大願君 きょうは私も標津の資料はたくさんもらってきまして、この出ている数字と、そうしてまた現実のこの姿というもののギャップをいろいろ感じました。しかも、これは四十四年度ですから、もうだいぶ、三年もたっておりますので、情勢も変わってきているということで、いろいろこれは農林省としてもひとつ十分御調査願いたいと思うんですね。実際になまの現場でやはり直接農民の声をお聞きになるということが、一番勉強になるんじゃないかと思うんです。われわれ自身もそのことは絶えず考えておりますが、なかなかこのもので読んだのと、現場に行きますのとでは、非常に違いがあるということでございます。いつも感ずるわけでございます。そういう意味でせひこの点は、なお調査をしていただくことにいたします。  きょうは農業団地の問題、この基本問題についてお聞きしたいので、標津の問題だけ突っ込んでいるわけにいきませんから、次に話を進めますが、この標津の場合は、行って見ますとわかったんですが、非常にいままで山林の仕事をなさっていた方々が入植されて開拓を始めた。したがって、非常にそろっておるんですね、農家の方々の状況というのが。それから規模も大体似たり寄ったりということ、まあそういう点では非常に条件がよかった。だから、まあ一応朝日賞も受けるほどのところにいったと私は思うんです。しかし、先ほど大臣や官房長がおっしゃったように、農業団地の場合は、今度は兼業農家も含めて、とにかくやるんだ、こういうことだ、だとすると、とてもじゃないけれども、私はそんなように絵に書いたたなぼた式に、単純に構想どおりにいく感じがしないわけですが、とにかくそれはこれからの問題点でありますから、ここで抽象的に論議しても始まらないと思うんで、これはもっと実績を見なければいけないと思いますが、そこで、私は次の話としてお聞きしたいんですが、とにかくこれは大臣にお聞きしたいんですが、農業の体質改善の事業、あるいは施策というものは、私の考え方によれば、とにかく目新しいものを絶えず追うんではなくて、非常にねばり強く、長い目で見て成り行きを見ていく、これが必要なんじゃないかと思うんです。いままで申し上げました別海村の開拓パイロット事業の失敗であるとか、あるいは第一次構造改善事業の失敗とまではいかないかもしれないんですけれども、とにかくうまくいかなかった。思うようにいかなかったというようなことを見れば、あまり目先を追っていった農政では、私はやっぱり実績というものはあがってこないんじゃないか。大体新しい構想を、あるいは新しい事業実施ああどについては、あまり関心を示してくれないんですね。じゃあ、何が質問が出るかというと、生産調整がどうなるんでしょう。米価はどうなるんでしょう。日本の農業はどうなるんでしょう、もう全然われわれが想像したような問題や要求、質問が出てこない。みんな自分の農業がどうなるんだということで頭がいっぱいなんですね。少々労働条件なんか悪くても、それは問題にしない。私どももいろいろ問題を引き出そうと思って聞くのですけれども、あまり出してくれない。むしろやっぱりこの米価の問題、生産調整の問題、もうこれに尽きるんですね。私は、そういうところへ行きましてね、つくづくやはり日本の農民というのは、やっぱり農民だ。土に生き、農業に生きようとする意欲というものは、やはり一生涯忘れないものだなあということを強く感じているんですけれども、そういう点からやっぱり考えましたときに、いままでの農林省のいろいろなこの農政、あるいは今度の農業団地の構想もそうですけれども、そもそもどうも農民の存在というものを無視してたきらいがあるんじゃないか。一口で言えば、農民不在の農政だったというふうに、これは極論ですけれども、言えるんじゃないかというふうに考えるんですけれども、その点大臣どんなふうなお考えでしょうか。
  191. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) どうも農民不在の農政だというふうにも言われておりますし、そればかりじゃなく、日本の国政、政治そのものが農業不在だというようなふうにもとられておることが、農業者を非常に落胆というか、勢いづけないでおると思います。しかし、やっぱり塚田さんの言われたお話は、農業というのは、農民中心だと思うんです。どういうところがそうかというと、抽象的でありますが、農業というものは、やっぱり創造するといいますか、ものをつくり上げるというところに農業の精神、無から有を生み出すというわけじゃございませんが、生み育てる、こういう創造的な気持ちというものは、農民の伝統精神だと思います。で、これが一般の農業でない人、資本主義の影響もあります——資本主義というものは、消費経済ですから、創造するんじゃなくて、大体使い果たす、だから、工業生産などでもだんだん新しいものをつくって、そして、古いものはもう捨てさしてもらって、そして、新しいものをどんどんつくらなきゃ工業生産というものは続かない。こういうことですから、物を大事にするといいますか、創造するという考え方に逆行していると思います。物を粗末にするようにしなければ、生産して物を売るほうはくっついていけない。農業はそういうことはもったいない、こういう気持ちがありますから、何でも生産をして物を大事にする、こういうような精神的な面があると思います。でございまして、そういう精神的な面で育ってきた農民、農業者というものを大事にしていかなければならない。だから、農業におきましても、農民不在の農政であってはいけない。また国政でも、農業というものを無視したような国政というようなことでは、私は国全体がうまくいかぬ、もたないじゃないかという感じを持っております。でございますから、農民はほんとうに農業というものに終生を捧げているばかりではなくて、何代となく捧げておるのでございますから、政治の姿勢といいますか、政治の姿勢が農業を無視しているのではない、農業というものをほんとうに大事にしなくちゃならないのだというような姿勢が、まず日本の農業を維持していくというか、やっていく上において、農政をやっていく上において、まず一番大事だと思います、国政全体から見て。その次には、農業者農林省農林省として、やっぱり農民不在ではなくて、農業も農民を中心とした農業というようなことに頭を置いて、それから施策というものを割り出すといいますか、考えなくちゃいかぬ。まあ、基本的にはそのような考えを私は持っているわけであります。
  192. 塚田大願

    ○塚田大願君 その基本的な問題について、最後にもう一つあれしたいのですけれども、大体日本の農業は、作業技術的には先ほど大臣がアジア的農業だとおっしゃったけれども、作業技術的には昭和二十五、六年ぐらいまでは、ほとんど明治時代とたいした変わりないですね、御存じのとおり。だから、本来体質を急速に変えるような技術的基盤というものは、あまり育っていないのです。ところが、そういう状態の中で、急速に体質改善だ、それ規模の拡大だと、こういうことをしようとしても、そもそもは少し無理があった。これが今日いろいろの形で矛盾となって出てきていたのじゃないかと私は考えるのですが、しかし、なおかつこの現状のもと農業の体質を、大臣たちがおっしゃるように、国際競争力に対応したものにしなければいけないと、あと何年間にしなきゃというふうなことになりますと、私はこれはそれこそ革命的な手段に訴えなきゃ解決しないと考えますね。それこそ日本の政治体制、社会体制、経済体制が変わらなければ、そういうことは手品でない限りできないわけです。しかし、問題はそういうところでなくて、とにかく現状を率直に認めて、今日の資本主義的な生産様式、私有財産制度の上に立って問題を考えるならば、私は、そういうせっかちな上からの押しつけた農業団地、やれ近代化、機械化という構想でなくて、私はやはり農民自身が自分の知恵で、自分の体験を通じてやはり徐々に体質を変えていくような協業化の方向ですね、これを政府が援助し、これを保護して進めていくというふうなあり方でなければ、せっかくの大臣の構想というものも、私はほんとうには実ってこないのじゃないか、こういうふうに考えるわけですよ。ですから、その点で、先ほどからるる申し上げているのですけれども、とにかくやっぱり農民を大切にするということが、そうしてまた、農民のイニシアチブというものを尊重し、その意欲というものを大切にするというところに、やっぱりもう一度立っていただく必要があるというふうに考えるわけです。もう繰り返しですから、これはお答えは必要ございません。  最後一つ具体的な政策の問題でひとつ御意見を聞きたいんですが、私はいま言ったような農業の体質改善なんというむずかしいこと、あるいは農業団地というふうに、みんな戸惑うようなそういう構想でなくて、それよりもいま緊急に必要なのは、徹底した価格保護政策、これが必要なんじゃないだろうかというふうに感ずるわけですね。こうすれば農民は、先ほど申しましたように、働く意欲を持って、価格が保障され、そして農業で暮らしていけるということができれば、見通しがつけば、私は農民はもっともっとその協業化の問題にしても共同化の問題にしても、いろいろ知恵を出してやってくれるだろう、そういう例が地方にはないわけではないですね、部分的だけれども、そういう芽のあるところもございます。そういう点で私は、この価格保護政策ですね、これをぜひもっと積極的にやっていただきたい。たとえば、ここに京都の野菜の価格対策の京都方式と言われているものがございます。これは農林省も御存じだろうと思うのですけれども、京都の蜷川さんがとられた方式は、これは従来の価格補てん方式ですね、農林省なんかがやっていらっしゃる価格補てん方式でなくて、経営それ自体を安定させるための資金制度なんですね。ただ、値段が下がったからちょっとそのとき手当てをするというのではなくて、つまり経営そのものが、安定できるような資金制度を設けてやられているのが、これが野菜価格対策の京都方式と言われまして、かなり今日各県で関心を持っている政策ですけれども、こういうものはもちろん、私もこれだけで一〇〇%だと思っておりませんけれども、とにかくこういう経営を安定させるための政策をむしろ当面おとりになるのが必要ではないかというふうに感ずるんですが、この点はいかがでしょうか。
  193. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) 価格維持制度あるいは対策というのは、当面私は必要だと思います。しかし、これは私から申し上げるまでもなく、塚田さんなんか十分御承知だと思いますが、やっぱり農業生産も最近は商品生産です。商品生産は、農産物ばかりでなく、工業製品はたくさん出ています。これは工業においては、大量生産もできますし、あるいは機械の改良もできる。ですから、生産性が実は工業のほうが上がります。それから、農業の方面は、なかなか工業生産みたいにマスプロダクションもできないし、あるいは機械化といっても、御承知のように、基盤が大きな機械なんかを使えるようなわけではありませんし、農業機械というのは、年じゅう稼働するものじゃございません。工業のように稼働しない。農業には天災もあり、そういうことで生産性を上げるといっても、工業と比較すると、どうしても農業生産性が上がらない、土地生産性も、労働の生産性も。そこで、その価格としては、商品ですからどうしても価格は生産だけは上がったが、実際からいうとそう価格を上げないでも済む。ですから、農業の価格支持政策一本でいくとすれば、非常にこれは工業の価格よりももっともっと高いものにしていかなければほんとうは均衡とれないわけです。ですから、価格支持政策というものは、非常に大事なことで、また、当面それをやっていかなきゃ農業というものはもっていけませんから、やっていかなければならない。しかし、長く考えれば、農業というものの原点に帰って、いろんなことができるような構想というものに直していくというか、体質改善——それを体質改善といいますが、そういうものにしていかなければ、なかなか農業がやっていけないんじゃないか、こういうふうに考えます。でございますので、お説のとおり、当面は、価格支持政策というものは必要でございますが、どうしても構造政策を基本において農業生産、農産物の生産土地生産性も、あるいは労働の生産性も上がるような、原点に帰った体質改善基盤の整備というようなことからやっていかないといかぬじゃないかと、こういうふうに考える次第でございます。その点、御了解いただけると思います。さように考えております。
  194. 塚田大願

    ○塚田大願君 大臣のお考えは大体わかりました。この点で、いまの問題ではいろいろまだ大臣とも意見をかわさなければいけないところがあると思いますが、とにかく一応大臣の考え方もわかりましたので、しかも、実は時間がこんなにおそくなって、私はなるべく時間内に、与えられた時間内にやりたいと思っておりますので、このことは次に、またの機会に譲りまして、次に、お伺いしたいのは、輸入自由化の問題ですね。  農産物の自由化の問題、これは先ほども出ました、午前中に。そして官房長からお答えがあったが、例の三月二日の日本経済新聞に出ました、この五十一年度までに残存農産物品目は全部自由化するということですね。新聞にも出ました。これは先ほど官房長からも答えがございましたし、それから、この間の衆議院の農林水産委員会、これは三月十五日でございます。この委員会、それから十七日の予算委員会、ここでもまあ問題になりまして、大臣がお答えされております。もうそんなことは夢にも考えていなかったんだと、農林省としては、そういうことは全然考えていないと、こういう答えがあったわけですが、この点はどうなんでしょうか。確かにそういうことは全然、これは火のないところに煙立たないということもあるんですけれども、大臣に言わせると「火をたいた覚えはない」と、こうおっしゃっているんですね、この議事録を見ると。だから、それはうそだとおっしゃるんですが、この点はどうでしょうか。特にこの十五日の農林水産委員会、それから十七日の予算委員会で若干ニュアンスが違うんですけれどもね。たとえば、十五日の場合には「当分自由化はしない」と、こうおっしゃっておる。ところが、十七日の予算委員会では、「これは自由化しないという方針はきめている。」と、だからしないんだと、こういうふうにおっしゃっているんですが、これはことばのあやですけれども、そういう点もございますから、ここでもう一度あったかなかったかということだけでけっこうです。事実無根だったのかどうかということですね。その点をお答え願いたいと思うんです。
  195. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) その新聞記事は、いわゆる何と言いますか、想像記事と言いますか、記事を書いた方の主観的の記事だと思いまして、私としてはそういうことはございません。これはきのうもガットのロング事務局長が来ました。それから、再々アメリカのほうから、外人のいろんな関係の人が来てますが、私はもういつでも繰り返しておりますように、日本の農業は自給自足的な農業で、輸出産業というような状態でないんだから、輸出産業的な国と同じに、それがあるいは工業と同じように、日本の農産物を自由化するというようなことは、これはできないんだと。これをどんどんどんどん工業みたいにすぐやったら、日本農業はつぶれちゃう、競争力がないんだから。それで、いま競争力をつけるためにいろいろな施策をして、また、米の生産調整もしていろいろやってるんだから、当分というばかりじゃなく、考えられるいまの時期において自由化をするというようなことはできないん、だというようなことは、これはアメリカに行きましても、レアードですか、国務長官との話でも、私は堂々と日本の農業の事情を説明して、できないんだと、こう言ってきております。その他の人々に会っても、私はうちそと隠したり、いいことなんか言ってるわけじゃございません。ですから、その新聞記事は、ちょっと私どもの方針と違うようなことでございます。
  196. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃ、最後にこの問題で一言お聞きしたいのですが、だとすると、大臣としては、あるいは農林省としては、たいへん迷惑であったわけですね、ないものがあったように言われて。痛くもない腹を探られたと、こういうことになる。これについて新聞に抗議をなさいましたか。いま国会で、外務省の電報の問題で、新聞記者までが逮捕されるというような事件になっておりますから、こういう新聞記事が出たとすれば、当然農林省としては、しかるべき措置を講ぜられたと思うのですが、それはどうでしたか。
  197. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) その中に、農林省がそう考えたかどうかということは書いてないと思います。こういうふうな見通しでやるんじゃないかと、こういうふうに書いているんじゃないかと思いますが、農林省考えたとか、農林大臣が談話をしたとかいうことなら、私は抗議するつもりでございますが、しかし、まあその新聞記者に会ったときに、ひどいことを書いたなというような、抗議じゃないが、違うじゃないかと、こういうようなことを言ってます。正式に文書やその他をもって新聞社に抗議したというようなことはございません。
  198. 塚田大願

    ○塚田大願君 時間が参りましたので、最後にお聞きしたいのです。問題が違いますが、それは、農協組合の短大の解散問題、これについて一言お聞きしたいと思います。農協の短大の問題は、もう数年前から問題になっておって、この参議院の農林水産委員会でも問題になったことがあるようでございますけれども、いよいよ来年の三月に一応学校を閉じるという方針で進んでおる。したがって、関係者にとってはたいへん重大な問題である。連日私どものところに陳情が参ります。で、この経過については、もう時間がございませんから、申し上げる必要はないと思いますが、とにかく農協短大は、四十八年の歴史を持った、日本の農業運動にとっては、非常に大きな業績を持った学校だと、それが農協中央会の意向で廃止されるという事態なんですが、私ども公平に考えてみまして、やっぱりこれは、どこに——学校に欠陥があるかというんではなくて、ただ何となく、農協では新しい学園をつくったから、もう農協短大はやめるんだというふうなことのようですけれども、私は、この農協の考え方について、またやり方については、農林省としても私は一定の責任があると思うんです。もちろん学校法人としての監督は、文部省でございますけれども、まあ農協がやっておった学校である。しかも学園をつくるときには、農林省が一千万円の補助金も出しておる。あるいは農林省の課長が委員会にも参加したと、こういう状態があったようですが、そういう点で、農林省としてもやはり一定の見解をお持ちになって、この問題の処理に当たっていただきたいと思うんですが、その点ではどういうふうになっておりますか、それをお聞きしたいと思います。
  199. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 農林省といたしましても、農協の健全なる発展という点から考えて、農協がそのような教育施設を持つということは必要であると思っております。しかしながら、どのような学校を経営するかという問題につきましては、やはり農協の意思というものを尊重しなきゃならないんじゃないか。  で、ただいま先生から御指摘がございましたけれども、いろいろな経緯がございまして、農協の系統組織として四十四年の九月から協同組合中央学園というものをつくってやろうと。その結果、従来の短大はもはや必要なくなったという判断で、農協がそのような方針をきめたということは、私どもといたしましてもやはり尊重したいというふうに考えております。
  200. 塚田大願

    ○塚田大願君 問題は農協の問題だというふうにまことに簡単にお考えのようですけれども、やはりその農協の事業というものは、農林省としても非常に大きな比重を持った事業だと思いますし、したがって、その農協のこれからの活動家を育成するための学校というものについては、一定のやっぱり見解というものを持ってしかるべきだと思うんですね。  そういう意味で、やはりこの農協短大のこういう廃止というものがいいのか悪いのかということについては、やはり一定の見解をお持ちになる必要があるんじゃないか。もちろん、いまここで私は、そのお答えを聞こうと思っておるわけではありません。しかし、少なくとも四十八年、まあ五十年近く日本の農業のために活動をされた方々の出身校が、ここであえなく簡単に廃止になるということがいいか悪いか、今後の日本の農業発展のためにとっていいか悪いかくらいの判断は当然私は出るだろうと思うのです。そういう立場で、この農協の短大の問題について、ひとつ農林省としても慎重に御検討願って善処していただきたい、こういうふうに考えているんですが、その点はいかがでしょうか。
  201. 内村良英

    政府委員(内村良英君) ただいまも申し上げましたとおり、やはり私どもといたしましては、農協の系統の意思というものを尊重したいと、こういうふうに考えております。と申しますのは、申し上げるまでもなく農協というのは、やはり基本的には自主的な組織でございますから、その自主的な組織が総意として従来の学校法人、短大のワクの中では、農協運動の貴重な経験を持ったような人を講師にできないとかいろいろな制約があるので、時代の進展に即応し三年制の新しい学園をつくるのだということでやった意思というものは、やはり私どもとしては尊重したいと考えております。
  202. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうすると、いまここであなたと私とが論議しているもう時間がないのですが、農林省としては、この農協短大の廃止には賛成だと、つまり農協がきめたんだから、それには賛成だと、よろしいと、こういうふうな見解だというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  203. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 私どもといたしましては、賛成だとか反対だとかということを離れまして、やはり系統がそういうふうにきめて、系統が自主的にやったということは、尊重したいというふうに考えております。
  204. 塚田大願

    ○塚田大願君 コンニャク問答になってしまって、いいとも悪いともないということなんですが、だから、私は先ほどから言うんです。とにかく農協の学校ですから、そして大きく言えば、日本の農業にとってやはり将来とも非常に大きなかかわり合いを持つわけですから、木枯し紋次郎のせりふじゃないけれども、私にはかかわりのないことでござんすということで、私はどうも済まされないのじゃないか。特に農林省は金も出した通信学部ですか、設置のときには一千万円の金を出した。それから今度の新しい学園の設立のときには、農林省の課長がわざわざ委員会にオブザーバという形だけれども出ていると、こういうことになりますと、かかわり合いがないというわけにもいかぬと思うのですね。そういう点で、やはり私は、単に知らぬ存ぜぬというのじゃなくて、一定のやはり見解をお持ちになって、しかるべく指導援助をなさることが、やはり役所の義務ではないかというふうに考えるんですけれども、どうでしょう。もう一度大臣にひとつお聞きしたいのでございますけれども、もう最後ですから。
  205. 内村良英

    政府委員(内村良英君) 大臣にお答えいただく前に、事務的なことをお話しいたしますが、補助金が出たことは、事実でございます。それは、たしか昭和三十四年か五年の話だったと思います。その後、やはりいろいろな情勢の変遷の中で、農協が教育組織について改組をしたいということで、系統の総意としてきまったということでございますから、私どもとしては、やはりそういった系統の総意というものは、尊重しなければならぬのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  206. 赤城宗徳

    国務大臣赤城宗徳君) せっかくそういうふうな教育機関があるということをやめるということは、私は好ましいことではないと思います。しかし、これに干渉したり、ぜひ継続しろとか、あるいはまた、立て直しをしろとか、そういう介入といいますか、出ていく立場では、農林省はないと私は思います。でございますので、これは農協のほうできめることにまかすよりほか方法がないと思います。
  207. 塚田大願

    ○塚田大願君 それでは、もう大体質問終わりましたから、これで終わります。しかし、この問題は、いまの農協短大の問題は、これからやかましくなっていく問題だと思うのです。私どものほうには、陳情が盛んにくるのです。手紙も毎日来ます。そうして自民党を除いた野党の方々は、大体賛成されているというふうな経緯もございます。全部ではないと思いますけれども、そういうあれもありますので、また、この問題については、あらためていろいろお聞きしたいと思います。きょうは、これで終わります。
  208. 高橋雄之助

    委員長高橋雄之助君) 本件に対する質疑は、これをもって終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十三分散会