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1972-06-01 第68回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月一日(木曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君        国 務 大 臣  江崎 真澄君        国 務 大 臣  竹下  登君    政府委員        防衛政務次官   野呂 恭一君        防衛庁参事官   高瀬 忠雄君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君        外務省アメリカ        局長       吉野 文六君        外務省条約局長  高島 益郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第六十七回国会内閣提出、第六十八回国  会衆議院送付)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  3. 鈴木力

    鈴木力君 私は、きょうは特にベトナム戦争がエスカレートしたあとに、沖繩軍事基地はもちろんでありますけれども、日本全体の軍事基地に関し、ベトナム戦争の直接影響を受けていろいろな情勢が出てまいりました。これで、もうくどいことはきょうは申し上げませんけれども、いままでに防衛庁長官にもいろいろと御見解を伺いましたし、外務省からもいろいろ御見解を伺いましたが、きょうは特に官房長官においでをいただきまして、やっぱりこういう種類の問題は担当大臣のだれかの見解という形にいつまでもまかせておく時期ではなくなった。政府全体の統一見解を出して、そしてこれに処置をする時期がきているのではないか。そういうつもりでこれから若干の御質問を申し上げますが、まず最初に私が伺いたいのは、事前協議についていままで政府からいろんな見解が出てまいっております。それで、特に事前協議日本側了解事項という三項目がありますね、これは一々読み上げません。この了解事項として政府決定をいたしましたのは、日本側解釈として決定をしたのであるのか、アメリカとの解釈統一手続をとって了解事項となっておるのか、これは官房長官でなくても、外務省からでもけっこうでございますが、まずお伺いしたいと思います。
  4. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 先生のおっしゃった三項目了解事項と申しますのは、配置における重要な変更とか、装備における重要な変更についての見解でございますか——これはわが国だけの見解ではもちろんございません。当時わがほうとしまして米国との間で交渉の結果口頭了解したものを、そういう形でもって国会にもお示ししているわけでございます。なおこの内容につきましては、昭和四十三年四月二十五日に、たしか衆議院外務委員会に紙でもって御報告してございます。
  5. 鈴木力

    鈴木力君 そこで私は、官房長官にお伺いする前に、外務省からはっきりお答えをいただきたいのは、どうも記録を読んでみますと、この了解事項が時と日によってさまざまな解釈が出てきておるんです。国会のあの答弁をずっと見ただけでも、どこがほんとうのことで、どこがうそのことなのやらわからない。  そこで外務省からはっきりと伺っておきたいのは、この三項目了解事項に基づいてのなおこまかい解釈や何かでアメリカ協議してあるものを全部ここで言っておいてもらいたい。それ以上はアメリカ協議したものはありませんというものを御答弁いただきたいと思うんです。
  6. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 先ほど申しました三項目口頭了解以外に、米国の間に正式に合意したというふうなものはございません。
  7. 鈴木力

    鈴木力君 正式に合意したものはございませんが、しかし、それはアメリカと合意したものでございますという意味は、どういう意味ですか。あとであいまいに——いつでも、今日までなぜこういうような混乱が起こっておるのかというと、政府答弁がいままで一貫していなかったからです。だから最終的にアメリカ成規手続をとって合意したものはこれ、正式のものでないものはこれ、それをはっきり明示していただきたい。
  8. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 安全保障条約の第六条の実施に関する交換公文につきまして日米間で正式に合意事項としたものは、先ほど申しました口頭了解だけでございます。
  9. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、この口頭了解のこの三項目事項解釈日本側解釈確認してよろしいですか。
  10. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 先生意味はよくわかりませんですが、日米間で口頭了解しているものということでございますので、日本側だけの解釈ということではもちろんございません。
  11. 鈴木力

    鈴木力君 三項目は文書になっているでしょう、三項目は。これは口頭了解事項である。読みましょうか。それは時間がかかるけれども、読まなくてよろしいですか。つまり先ほど御答弁をいただいた、配置における重要な変更の場合が一つですね。それから装備における重要な変更の場合が一つわが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内施設・区域の使用、これが一つでしょう。それに文章がずっといろいろついているわけでしょう。その中身がどうかということについて、ついているでしょう。たとえば重要な変更の場合というのは、陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合にはこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度配置、そうでしょう。  それから装備における重要な変更の場合というのは、核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込み、並びにそれらの基地の建設、そのとおりでしょう。それから三はこの文章のとおりですね。私が聞いておるのは、これだけが口頭了解事項なわけですね。あとありませんねということを念を押しているわけなんです。
  12. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 先生の仰せのとおりでございます。
  13. 鈴木力

    鈴木力君 そこでもう少し、くどいけれどももう一つ念を押しておきたいのは、いま私の読み上げた文章解釈がさまざま出てきているわけですね。こう解するとかああ解するとかということが出てきている。その解釈は、これは米国とは関係なしに、日本側見解として解釈をしておる、こう聞いて間違いありませんかということです。
  14. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 国会等を通じましても、いろいろな御質疑に対しまして、政府のほうは政府なりに解釈をいたしましてお答えしておるわけでございます。ただ、その結果につきまして、もちろん随時アメリカ側には通報はしてございますけれども、米側協議して合意しているということではもちろんございません。
  15. 鈴木力

    鈴木力君 それははっきりいたしましたので、これから官房長官にお伺いいたしたいと思います。  それはまず、いろいろな解釈がありますけれども、そのうちの、いまベトナム戦争をめぐりましてのいろいろな問題が起こっております。具体的には、時間がむだですから、申し上げませんが、それが国民の側では、これはきわめて危険である、ベトナム戦争日本国内軍事基地が直結をしているという見方で非常に不安にかられておるわけです。それに対して今日までの政府答弁は、まあ防衛庁長官の御答弁も、この程度までは望ましいということはおっしゃらなかったけれども、この程度まではやむを得ないという御答弁をたぶんいただいておると思います。これはまあこの程度までいいか悪いかという御判断ですから、防衛庁側の御判断ですね。ところが外務大臣からは、これは安保条約交換公文に基づくいわゆるこの了解事項ですね、事前協議事項、これがある限りはこの点はやむを得ないということになっておるわけですよ、これはまあ長官御存じのとおり。ただ、そのやむを得ないという尺度が、ものによって次から次へと変わってくる。そこで、当初国民理解をしておる事前協議というものと、今日政府が説明している事前協議というものは、きわめて中身が違ってきているわけです。しかし、いま外務省に確かめましたところが、国際的にといいますか、アメリカ側との責任の持てるのはこの三項目でありますから、少なくとも私はこの時点で、この解釈現状に合った解釈政府統一すべきである、こういう気持ちで具体的にお伺いいたしたいのですが、それは、まず一つは、いままでのこの三項目のうち、配置における重要な変更の場合には、陸上部隊の場合は一個師団程度と、ずっとこうありますね。ところが、このところがきわめてまず最初解釈があいまいなんでありまして、一ぺんに来た場合には事前協議対象になるけれども、何べんかづつ来れば、いままでの政府解釈では、答弁では、分かれて少しずつ日本側配置をされると、これは事前協議対象にはならないわけです。いつの間にか——集まってみれば対象になるものも。こういうような道をもしあけておくとすれば、これはたいへんなことになる。したがって私は、来る態様は、一カ月に何機、その次何機というようにかりに来たにしても、来て編制をされた部隊がこれに該当する場合は、絶対日本事前協議対象にすると、こういう態度をきっちり打ち出しておくべきだと思いますがいかがですか。これは長官に伺いたいのです。
  16. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 鈴木先生の御質問でございますが、このいわゆる了解項目というものにつきまして、私自身原則は承知いたしておるつもりでありますが、個々の事例になりますとしかと承知していない点がたくさんあろうかと思いますので、その点につきましては、私自身はいわゆる組織機構のない役所でありますけれども、外務省なり防衛庁から補足して御答弁を申し上げることをお許しをいただきたいと思います。まず最初にそのことをお願いをしておきます。  そこで、いま鈴木先生の御質問に対する基本的ないわば政府としての認識という問題については私が答えるべきであると思っております。事実、この日米安保条約上の事前協議が行なわれるものとして了解されておる三項目というものは、私はこの原則というものは非常に書き方としては抽象的に読み取れるというふうに私も理解をしております。したがって問題は、そのつどのやはり大きく動く国際情勢認識そのもの尺度をはめて、それぞれ時に応じまあ注意を喚起し、いわゆる安保協議委員会の場ではございませんものの、そのつど外交チャンネルによりまして注意を喚起したり、相互の話し合いをしておるというふうに理解をしておるわけであります。したがいまして、ただいまの陸上部隊の場合一個師団程度という、それがばらばらに来た場合とか、あるいは一挙に来た場合というような問題につきましては、残念ながら私が正確に答弁を申し上げる自信がございませんので、外務省当局からお答えすることをお許しをいただきたいと思います。
  17. 鈴木力

    鈴木力君 長官に私の質問態度をまず御理解をいただきたいわけですけれども、岩国がどうなっているとか、あるいは沖繩の嘉手納がどうかとか、こういう御質問は私は長官お答えをいただくつもりは——つもりはないというとはなはだどうも失敬なことを申し上げますけれども、そういうことについてはそれぞれの担当の省にお答えいただきたい。ただ私が長官に伺いたいのは、そのために私はさっきはっきりしたのでありますから、あとはもう日本側解釈のしようだと、したがってかりに外務省に聞けということになれば、外務省はいままでの交渉いきさつにこだわりますから、この交渉いきさつにこだわっていることを何べん蒸し返したって私はむだだという判断をいま実はしている。この問題が騒がれてからどれだけになるのかわからない。しかし、外務省のいままでの解釈は、国民世論にこたえる解釈よりも、逆に言ったら国民世論をさかなでするような解釈ばっかり出てきている。したがって、私はそういう現状ではだめだから、政府全体としてこれに取り組むために、具体的な岩国をどうするということよりか先に、まず基本的な態度として、たとえば事前協議というのにこんな抜け穴があったらこれは国民が納得しないのだから、こういう点は解釈統一しなさいと、そういう意味で、いま、一つ配置の問題の、そのうちの規模についていま伺ったのです。だから、要するに、長官がいつか新聞にも、記者会見ですか、申されましたように、もはやこれは政治問題になっているわけですから、条約条文とか、そんなことにばっかりこだわっておれないような時勢にきている、そういうことはたぶん長官の談話でも拝見をしたことがございますが、いまそういう意味で、国民的な常識からいっても、国民的な立場からいって、そういう経緯があったにしても、しかし幸いにして、アメリカ側との了解事項というのはこれしかないのです。あと解釈日本ができるわけです。それはさっき確認をしたとおりですから、国民的な解釈をする必要がある。そういう立場で私の御質問にひとつお答えをいただきたい、こう思うんです。
  18. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの、一個師団程度以上の国内への進駐は対象になると、数回に分割して進駐しても同様であるというようなのは、これはいま外務省の過去における答弁の整理したものから見せていただきましたが、それはそれといたしまして、いま鈴木先生おっしゃるような基本的な問題についてお答えをして御批判を賜わりたいと思います。  で、私は、先般、記者会見におきまして申し述べました私の認識の背景について申し上げますならば、まず、今日さまざまな現象が起きておる。これが、そのこと自体が条約上の問題としてそれなり解釈することは可能であったとしても、国民次元においていささかなろうとも不安を感じておることは否定できない事実であろう。したがって、よしんば条約上の問題でやむを得ざるもの、あるいは当然なるものとしても、それそのもの国民次元の中に積極的に説明していく姿勢がまず必要ではなかろうか、これがまあ一つ考え方であります。  それからいま一つは、若干誤解を受けましたのは、近いところ、遠いところという表現をいたしたのでありますが、要するに、極東範囲内における論争は、一九六〇年安保論争以来、国会の中で非常に数多く行なわれておるために、国民次元の中にそれなり理解というものが私はできておるではなかろうか。しかし極東の、いわゆるベトナムをさして申したのでありますが、極東周辺、この周辺論争というもの、またこの周辺における武力紛争というのが、極東範囲内においての緊張を激化し、ひいては日本の安全と平和をも脅かすこととなるというような事態についての周辺論争というのは、いささか今日まで極東論争ほどには議論がされていないだけに、この際、周辺論争等についても議論をし、そうして国民次元の中に受け入れられる努力をすべきではないか、これが第二点であります。  それから第三点は、沖繩が返ってきたという新しい事実がある。したがって、沖繩は今日までは米国施政権下にあったので、とかくイージーな考え方の中に、従来の安保範囲内における考え方の中へまあイージーな考え方がしみ込んでくる危険性がありはしないか。これは観念的に私が特に感じておるから申したのであります。したがって、それだけに今日シビアに一つ一つのケースを洗ってみなければならないではないかということであります。  それからもう一点は、とかく国会等で、国会が終わりましてまあ秋にでもなりましたら安保協議委員会をやろうと思いますというふうな感じ方で受けとめられて、まあ非常にスローテンポではないかというふうな印象国民に与えておってはこれはいけないことである。したがって、現実、私自身考えてみましても、いわゆる個々の問題につきましては、たとえば先般、B52の緊急着陸と、私どもはそう理解しておりますが、緊急着陸の際、アメリカ局長が直ちに米側に対して注意を喚起したという事実、まあそういう絶えず注意を喚起していくという姿勢を持っておる必要はこれは十分ある。  しかし安保そのものについての、やはり先ほども申しました事前協議の三項目などというものは、まあ考えようによれば非常に抽象的な書き方でもあるし、問題はその当時の双方の国際情勢認識というものが基礎になるんではないか。そのとことん突っ込んだ国際情勢認識についての意見交換をするというのには、いろいろな、事務的に見ても、また政治的に見ても整理すべきものが数ありはしないか。それらを絶えず注意を喚起する形で外交チャンネル交渉をも詰めつつ、最終的に協議委員会へ持ち込んだ場合は、非常に突っ込んだ国際情勢認識の点について意見交換をすべきである。  だから、結論からいうと私自身もおよそまあ九月ごろになるであろうということが理解はできるところであるが、そういう問題もスローテンポであるというような印象を与えることなく、事実そのつど起こった問題は絶えず注意を喚起しつつ、最終的に考えられるスケジュールの中でもっと突っ込んだ国際情勢分析等議論をするのだというようなことについても国民次元に対して理解いただけるような努力を払わなければならないというようなことをおよそ申し上げたわけでありまして、その考え方に今日私が大きく偏向しておるという事実はございません。
  19. 鈴木力

    鈴木力君 いまの御答弁の、まあ極東範囲あるいは沖繩返還後の具体的な問題ですね。このことについてはあとで少し具体的に伺いたいと思いますが、やっぱりいまの御答弁をいただきますと、もう一度私は確認をしておかなければいけないと思うのは、さっきくどいように申し上げたのは、いまの抽象的だと長官おっしゃったけれども、この了解事項ですね、これは口頭了解事項です。この口頭了解事項は抽象的であるから、具体的な解釈が生まれてくるわけですけれども、この解釈日本側解釈であって、アメリカとの交渉をしたものではない。これは先ほど外務省からの御答弁ではっきりしておるわけです。したがって、いままで政府がとってまいりました事前協議に対する解釈については日本側のほうの国民的な立場に立って解釈し直すことができるんだ。具体的にどうということは除きますが、基本的にそういうことをまず一つ確認をしていただきたいと思うのです。
  20. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 鈴木委員のおっしゃる意味は私にも理解できますが、結果として今日までまあいろいろな過程を経ておりますが、やはり私はそのつど、具体的な問題についてはそのつどやはりそれについての正確な解釈を下すということではなかろうかと、このように思います。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 答弁をそらしてもらっちゃ困るのです。私はいまどういう解釈をしろということを言っていない。基本原則として、ここにある条文条文といいますか、この文章解釈日本側が主体的に解釈することができる。このことをまず御確認をいただきたい。これは外務省答弁がそういう答弁だったから、政府全体としてこのいまの私の確認確認をしないと、ここから問題が起こっておりますから、ここにひとつ確認を願いたい。
  22. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まあいわゆるこの三項目につきましては、私は非常に書き方が抽象的という表現を使いましたが、その抽象性の中において、それなり解釈はまあ定着されておる。ただ問題は、結局そのつど出てまいります具体的な問題について、私は主体性を持ちつつ、やはり相手のあることですから、協議をし、きめていくべきことではなかろうかというふうに私は理解しております。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 私がさっき外務省からしつこくお伺いしたのは、その解釈相手がないということを伺ったのですよ。この文章に関しては口頭了解事項でございますと、それから以外の、いろいろこれをどう解釈してきたかはアメリカとは関係がありません、そういう外務省答弁。そこを長官ははっきりと認めないで、あとになってその時点その時点でなんてよけいなことを言わないで、日本側解釈ができるということをまずそこではっきりと確認をした上で、将来それはどういう解釈になるかはこのあとの問題なんです。基本的な態度は、そこははっきりとしてもらいたい。
  24. 竹下登

    国務大臣竹下登君) はなはだ不勉強でございますので、絶えず助言者意見を聞きながら御答弁申し上げますことをお許しをいただきたいと思います。  私が先ほど、まあたとえば一個師団程度云々、数回に分割して云々というようなのは過去の答弁に出ておりますし、また一方、過去の答弁を見てみますと、新兵器ができればこれを事前協議の問題にするかどうかについては米と交渉する、だから私はやっぱりその具体例によって、主体性を持ちつつ、相手のあることでございますから、全然相手立場を考えないですべて主体性の中に、まあ表現は悪うございますが、独断解釈をきめていくということは過去の例から見てもないではないかと、そういう答弁にはなっていないというふうに理解をいたします。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 中でどういう相談するかしないかは別です。たてまえだけははっきりしないといけないわけです。要するに、日本側のいままでとってきた解釈アメリカには拘束をされていないんだということですよ。そうでしょう。さっきの外務省答弁はそうだった。そういう変な答弁が出てくるから、アメリカ側交渉して拘束されるようなものを全部出せと言ったら、これだけですと答えている。そうすると、それ以外はアメリカ側との交渉の必要はないものか——それはそのときの判断で、交渉するかしないかは別ですよ。そんなあいまいな答弁じゃだめです。
  26. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 従来とも、もとよりいろいろな答弁集もございますが、日本がそのつどできてきました際の具体例に沿って主体性を持って解釈をしてきて、それは主体的に解釈するものの、それらを米側通報をしておる、その通報に対して今日までのもろもろの問題は異議の申し立てとかいうようなものはあっていない。しかし、さらに将来起こり得るであろう仮定の事実でありますが、の問題について、全部が全部日本独断で、相手側との協議をすることなく解釈を確定をしていくということは、私は現実問題として、安保体制下にあり、そして日本防衛義務を負う米側に対して、およその良識の範囲内でセーブすることはあり得ても、やはり向こうの感触等は絶えずとって解釈を問題によっては行なうべきではなかろうかというふうに私自身理解をいたしております。  ただ残念ながら、内閣のスポークスマンとしまして非常に抽象的な答弁にはなれておりますが、具体的な問題になりますと、確かに私自身非常に、弱いということばは別といたしまして、正確な理解度がございませんので、いまの御質問に対して明確な答弁としてお答えしたかどうかということについては私も必ずしも自信がございません。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 私は、長官がそういう立場であることを承知しているから、いまのようなことを言っているわけですよ。何か言われはしないかと思って弁解のほうを先に言って、そうしてわけわからなくことを過ごそうという、長官らしくもないあくどいことを考えているように思って、私はおかしくなってくる。新しく事前協議をすべき事項が出れば新しい協議事項ですわな、将来こういう事態があればということは。私が聞いているのは、ここにある文字づらに出ているものの解釈は、これはアメリカとのかかわりがないということを外務省から二度も三度も念を押して聞いているわけですね、いま長官の前で。したがって、今日までとってきた解釈というのは、日本側解釈だったんだ。そうでしょう。そうすると、日本側解釈であれば、いままでとってきた日本側解釈国民的な世論に背馳するような場合に、それを政府理解できた場合には、日本側解釈を変えることが可能なはずでしょう。それが可能でないとおっしゃるところがどうも私はわからない。外務省のさっきの答弁を認めればいいんですよ、複雑なことを考えないで。どうです。
  28. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに、日本側主体性においてもろもろの事象についての解釈は今日までなされており、それに対して防衛義務を負う相手側から異議の申し出なり抗議があったという事実は私はないというふうに理解しております。私が申し上げていますのは、鈴木先生の御質問を意地悪く警戒しておるわけじゃございません。元来非常に正直でございますので、その点はきわめて正直にお答えしておりますが、非常に私どもが日常、言うなれば国民の知る権利に対する知らす義務を担当しておりますと、それなりにいろんな問題点がよく出てくるわけであります。その出てくる問題点に対処していろいろ思考をめぐらしますと、そこには試行錯誤も生まれてまいりますものの、将来予測されることについて、すべておよそ良識の中に国際情勢認識というものがあれば、その判断というものが主体的になされた場合、大きなあやまちはおかさないとは思いますものの、異議なり抗議なりが出ることが全くないとは言えないという点について、慎重なお答えをしておる、こういうことであります。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 異議とか抗議というのは解釈を出したあとに出る問題でしょう。私が聞いているのは、解釈を出すことはアメリカ関係がないということを確認をしなさいということですよ。それによって異議が出たり抗議が出たりした場合の対処はそのときの話ですよね。どういうことが出るかわかりませんが。解釈を、政府統一として解釈をする、事前にアメリカと相談をする必要がないということ、これをはっきりしなさいと、こういうことを言っているんです。それもはっきりできないとすれば、よほどいまの政府は何か考えていると勘ぐらざるを得ないんですが、どうですか。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私は、およそ主体的に解釈しても、相互の国際情勢認識なりそのときの緊張状態の分析なりというものが正確におこなわれておったとするならば、事後において抗議が出たり異議が出たりするものでなしに、正当な解釈を下し得るものである、そう考えてはおります。しかし、人間でございますから国際情勢認識にややかりに欠ける点があった場合、そういう解釈をする過程において、あるいは協議なり打診なりということの必要が皆無とは言えないんじゃないかという意味で、非常に正直に申し上げたわけであります。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 名官房長官としての誉れ高い竹下先生が、そんな自信のない答弁をなさるとは思わなかった。佐藤内閣がいままで国際情勢の分析に正しい分析ができないんで、どっかの国から聞かなければ正確な判断ができないような佐藤内閣だったんですか。どうです。もう少し自信があって——いかにいまどういう状況か知らないけれども、そんな自信のない答弁政府から出されるのは、私は心外ですよ。この解釈をするのは——私は政府解釈をすることを言っているのですから、私の解釈をそのままのめとは言っておりませんからね。そのときに、正しい国際情勢判断ができるかどうか。できない場合にはアメリカと相談をしますなんという答弁は、やっぱり取り消しておいたほうがよろしい、政府の権威にかけても。どうです。
  32. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いまの鈴木委員の詰めた御質問に対しては、私は同感であります。あくまで、政府主体性において国際情勢の分析をし、そして、それに基づいて解釈を下すというべきものである。私が申しましたのは、しこうして過去におけるものが、それに対してあとから異議が出るとか、抗議が出たというようなものもないが、今後いろいろな問題が出るつど——されば、いわゆる最終的には先生のおっしゃるように、最終的にはまさに主体的になります。主体的になりますが、問題によって、私はやはりきょうの御質問を受けつつ感じておるのは、一つの問題、具体的な問題あるいは仮定の問題が出たときに、直ちにもってこの場で、あるいは適当な機会に、それに対する解釈を直ちにその場の判断で行なうということに対して、私が常日ごろいわゆる報道関係担当しておりますだけに、そのつどそのつどの解釈を求められるということについて、いささか私はちゅうちょして、それらはアメリカと相談するとは申しませんでしたが、相互のあるいは見解なり、意見なりの交換後に主体性を持ってきめるほうがいいではないか、こういうふうな慎重な答弁をいたしまして、それが、問題によりましては、それはわしのほうでよう理解できぬので、アメリカさんにひとつ国際情勢の分析をし直してもらいましてからいたしますというようなものではございませんので、それはそういうふうにお受け取りいただきましたならば、その点については、私自身取り消してけっこうだと思っております。だから、いささか、いま議論をいたしておりまして感じましたことは、絶えず、起こった具体的事象に対して、即座に一つ見解を申し述べていくという私の仕事からして、こういう事前協議に関する具体的な問題について、この場で直ちにそれの見解を求められる危険性をいささか感じつつ、慎重な答弁をしたではないかという、答弁をしつつ私自身が反省をしておるということを答えさしていただきます。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 私はいま——このあともちろん具体的なことも伺いますけれども、官房長官が即座にここでどういう判断をしろというために、しつこく言っているわけじゃありませんで、日本政府のあり方をいま言っているわけなんですよね。したがって、先ほどもちらと出ましたけれども、新しい米兵器が出た場合には、また協議しなければいけないだろう。これはそのとおりだと思うのです、いままでのうちからでもですね。それは新しい事前協議の、これ以外の協議事項として出さなきゃいけないものでしょう。私はいまあるこれの解釈——その運用についてはまたそれは政府政府なりにやるだろうと思いますよ。政府政府なりに運用はやるだろうと思うが、たてまえとしては、外務省の先ほどの答弁のように、解釈日本側が今日までしてきたのだから、これは日本側ができるのだと。その過程なり、解釈後なりもまた何かあるとしても、それはまた別の話ですよ。その時点でどういう対処をするかということは、それはそのときの政府がやることなんで、そこまで私はものを言っているわけじゃない。しかし、私はいままでのいろいろな国会答弁をずっと読んでみても、私自身もわからぬような答弁ばっかりされておるわけです。これは決して国民向けの答弁じゃなくて、どこか向けの答弁かもしれないとさえ考えざるを得ないような、そういう答弁がある。そうすると、解釈の、統一すべきものがたくさんあるだろうと思うんです、そういうものは、これはアメリカ関係がないことなんだから、手続的にそういうことを確認をして、今後のこの事前協議というものを、先ほど長官がおっしゃったように、洗い直すべきものは洗い直す、点検すべきものは点検をする、こういう姿勢を打ち出すべきだということを申し上げておるんです。ですから、基本原則だけは認めていただいて、それから運用の問題については、まあ政府のやることなんです。基本原則だけ私がいま聞いてるんですから、ここは、はっきりと認めると言っていただきたいんです。
  34. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど来申しましたように、いささか、鈴木先生質問を、事後に来たるものを予測しつつ、勘ぐって私が答弁をしておった、事実、そういう感じが私自身もいたします。その点は、答弁をしつつ反省をいたしておるところであります。したがって、私がいろいろな、わが国の防衛の義務を有する米国等々との協議というようなものも、随時これは協議——外交チャンネルを通じて、もろもろの問題が協議されつつあるわけでありますから、その結果として、少なくともこれらの解釈主体性に基づいてやられたものであるということは、すなおにやはり先生のおっしゃるとおりであると、こういうふうに理解をすべきであると思います。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 もうこの辺でやめますが、私も、どうもそこまで疑われておったとは気がつかなかったんです。いままでの事前協議のこの事項に対する解釈は、アメリカ協議したものでないということがはっきりいたしましたから、したがって、今度は、だいぶ前もって突っかい棒をかっていらっしゃいますから、それなりに突っかい棒をお使いになっていただいてけっこうでございますが、具体的な——これは一つの事例として、私は具体的な問題について見解を伺っておきたい。また、ものによれば、突っかい棒を使って、慎重にということになってもそれはやむを得ないと思いますけれども。  そのうちの、いま、私は具体的に日本基地の中がどうどうということは言いませんけれども、しかし、そのことを想定して、これからお伺いをするのは、だいぶ、国民世論政府解釈との食い違いから、不安をかもしている問題がたくさんあると思いますね。そのうちの基本的なものは、何といっても安保条約そのものです。しかし、これを言い出すと、お前は安保廃棄論者だから話にならぬということになって、この委員会の意味がなくなりますから、ここのところはたなに上げておきます。とっておきます。解釈——せめてしぼって解釈になって——たとえばどういうことかと言いますと、配置という解釈と、それから配置というか、基地の場合に言いますと、移駐ですか、軍の移駐という解釈と、出撃という解釈と、これを全部移駐ということで解釈統一してしまっておる。そこらあたりに、また、これ非常に国民としても心配な要素があるわけですね。早い話、これは具体的に外務省に伺ったほうがいいと思いますけれども、けさの新聞にも出ておりますが、岩国の米軍基地から、われわれの目で見ればアメリカの軍隊がベトナムに出撃をしている。これは米軍の——けさのこの新聞、たぶん毎日新聞だと思いますけれども、米軍基地の責任者もそれを認めておるわけであります。時間がもったいないから、一々は読み上げませんけれども、これは外務省に、調査なさっていますか。情報が入っておりますか。
  36. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) われわれのところは、アメリカ国、つまり、日本国外から日本国内に、いわゆる配置ないし移駐がある場合には、おおむね事前に、かりにその一師団以上でなくても、通報がございます。しかしながら、日本内の基地間の移駐につきましては、特殊の問題がない限り、特に事前に通報はございません。
  37. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、この事実は外務省は知らなかったわけですか。もしあれだとすると、少し読みますがね。これは前から問題になっていることで、いま新しいことじゃありませんよ。福田外務大臣も本会議で答えておる問題です。ただ、いままでの福田大臣の答弁と違ったことを岩国基地報道部長のトーマス・W・ターナー大尉という人が発表している。その発表したことを外務省は知らないんですか。
  38. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 私は個人的には承知しておりません。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 個人の局長に聞いていないんです。外務省はと聞いているんです。
  40. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) さっそく調べまして、あとから答えさしていただきます。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 時間がもったいないから続けますけれども、これは、たとえばこの岩国の「基地から四月下旬、ベトナムへ出撃したのは第一海兵航空師団第一五飛行大隊の二三二、一一五飛行中隊のF4ファントム三十六機と、第一飛行大隊の二一一、三一一飛行中隊のA4スカイホーク三十六機。」、これからずっとありますよ。ファントムはダナンに行っている、スカイホークはビエンホアの基地に行っている、こういう形でアメリカの報道部長がそういう発表をしているわけですね。ところがこれに対して、先日の参議院の本会議で福田外務大臣答弁は、南方に行くという連絡を受けました、したがってこれは、これで言いますと三項でありますが、戦闘作戦行動で出発をしたとは解釈しておりませんと、こういう答弁をしておるわけです。ところが、外務大臣はそういう答弁はしておるけれども、アメリカの報道部長は、ダナンにこれこれは行きました、これこれはビエンホアの基地に行きました、さんざん騒がれた結果かどうかわかりませんけれども、こういう発表があるわけです。私はこのことを言っているんです。解釈によって、あまりにも適当な解釈をやってきているから、あと国民に、また裏切られたという印象を与えるんだ。この辺の経緯はやっぱり調べてはっきり答えていただかないと、この委員会の論議にはなりません。
  42. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) いまの点につきましては、おそらく、先ほど私が申しましたように、日本国内におる部隊の一部が他へ、日本国外へ移駐する場合に、先方はわれわれに注意を喚起する意味で事前に報告してくる、その一例でありまして、その点につきましては、すでに五月三十一日付でこの間水口先生からの質問に対してお答えしたわれわれの提出資料にも書いてありますように、四月六日の日に、F4二個中隊が移動する、それから四月十七日に、さらにA4二個中隊が移動するということをわがほうに通知がありました。しかしながら、これらはいずれも、先方はフィリピンのスビック・ベイないしはクラークフィールドに移駐して、そこからたぶんベトナムへ行くだろう、しかし、ベトナムに行ったとしましても、すぐに戦闘作戦行動に参加するのではなくて、ベトナム基地に移ったあとでゆっくり準備して戦闘作戦行動に移る、したがって、これは明らかに事前協議対象にならない、しかしながら、日本側の心情も十分考慮して、前もって通報すると、こういうように先方は言ってきたわけでございます。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 そこがですね、これは官房長官にひとつ聞いていただきたいんですよ。いまの問題は、移駐あるいは出撃という解釈と、それからこの三項の解釈だと思いますね。わが国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内施設・区域の使用、それをいまのアメリカ局長の御答弁のような解釈をしているから、これはもう国民は、なるほどそうですかと言う人がどこにありましょうか。いま言いましたターナー大尉は、この毎日新聞によりますと、こう言っているんですね、談話で。「岩国基地は常時出動態勢を取っている。しかし、第一海兵航空師団がそっくりベトナムに再び移駐することはない。」。「再び移駐することはない。」と言っているが、さっきのやつは行ったと言っていますね。「常時出動態勢を取っている。」、それを、アメリカ局長のいまの御答弁ですと、ベトナムに行ったことはわかるけれども、ベトナムに行くと、行ってすぐに爆弾を落としたり戦闘をしないで、ゆっくり準備をしてから戦闘をするから、これは移駐であって戦闘作戦行動ではない、こういう外務省お答えです。官房長官に伺いますけれども、これは、ものわかる、わからないは別として、今度は「個人」と言っておこりませんから、個人竹下氏が、いまの外務省の御答弁わかりますか。
  44. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この点については、たびたび記者会見等で質問を受けますので、そのつどレクチャーを受けて、私なりには大体理解できると、こういうふうに思っております。
  45. 鈴木力

    鈴木力君 それでは防衛庁にちょっと伺いますか、これは戦闘作戦行動のうちに、相当長距離を飛行機が飛んできて、あるいは軍隊が行って、準備をしないで戦闘をするという例はあるんですか。
  46. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 準備をしないでと言いますが、その準備の内容によると思います。そこで、いまの新聞の記事は、英語でどう言ったのかかわからないので若干問題があろうと思いますけれども、オペレーショナル・レデイネスというのを普通は米側は使っています。そうしますと、オペレーションがいつでもできるようにということでありますから、通常でありますと——弾薬を持っていくか持っていかないかは別であります、現地にあればそれを積みますから。したがって整備その他十分に、どのようなオペレーションでもできるような態勢で現地におもむくということであろうと思います。そこで通常の場合であれば、もう一度整備上の点検をし、そして作戦行動ができるような準備態勢をあらためてとって出撃するというのが通常であろうと思います。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 これは、今度は外務省アメリカ局長に伺いますが、いま久保局長が答えられたとおりだと思います。それなら、外務省がいまのこの出撃が準備期間をとってやる場合には事前協議対象にならないというお答えをとっておられるが、準備期間は最大何日までは戦闘作戦行為でないということになるんですか。
  48. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) われわれのこの戦闘作戦行動に関する従来の解釈は、実際に飛行機で言えばぱちぱち撃ち合ったり爆弾を落とすこと自体が戦闘作戦行動だ、そのために日本国内基地が使用される場合、すなわち岩国から出る場合に、すでに先ほど申しましたように、爆弾を搭載したりあるいは機銃を装てんして飛び出し、そして直接戦闘行動を開始する、こういうことをもって戦闘作戦行動理解しているわけでございます。したがって、F4なりA4がフィリピンその他を通りましてダナンないしはビエンホアに行きまして、そこで給油をし、あるいは弾丸を積み込みまして戦闘作戦に向かうというのは、これはもう明らかに日本基地が直接戦闘作戦行動に使われたのではない、こういうように解釈しております。
  49. 鈴木力

    鈴木力君 まあその外務省解釈をいま私はここであなたに解釈し直せということは言っていない。きょう官房長官においでいただいたのはそのためにおいでいただいた。——いまのこの解釈が一体国民に通用すると思うかどうかということを私は伺いたい。こう言ってるんです。「ターナー報道部長は魚雷、爆雷、爆弾などが基地東側弾薬庫内に貯蔵され、緊急事態に備えて弾薬庫から整備室に常時搬出して定期的に点検整備していることも明らかにした。魚雷はホーミング式で、P3オライオン対潜しょう戒機に積載するものだが、F4ファントムなどに積載可能であると語り、核の有無については」言わなかった。これはまあ記事でありますけれども、私はいままでもこの岩国基地については何べんか新聞にも報道されましたし、また何べんかこの委員会でもこの岩国基地については議論をしたことですから、状況判断からすると私はこの報道が正しいと思う。しかしそれを、行って準備をしてから戦闘に取りかかるんだからこれは事前協議対象ではありません、出撃ではありませんと、こういう解釈がいまの日本解釈、これはアメリカとは関係のない解釈日本側がした解釈、先ほどの外務省答弁は基本的にそういうことですね。国民には通用しないんです。これは。どうです、官房長官
  50. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私が記者会見質問を受けて答えたときの環境から申しましても、私は国民に通用しないという認識で申し上げたわけではございませんが、国民に少なくともそうした論理構成で質問を受けた場合、不安を感ぜしめるということは認めざるを得ないではないか。したがって、それ以前に、まず安保条約そのものの原点に返って、安保条約が存在するということそのものは両国の信頼関係というものがまず前提条件である、その信頼関係というものを力説し、その中で国民に、いま申しました戦闘作戦行動とは直接戦闘に参加する行動であるという認識を与えていくならば、理解を得ることができるであろう。しかし、確かに私は、いま先生が御指摘になった、国民がこれを理解するであろうかということについて、国民に少なくとも当時の時点で明快に理解ができると、あるいは少なくとも不安を感ぜしめておるという認識のもとにお答えしたわけでありますが、このようにして委員会等で繰り返し繰り返し議論をし、そしてまたそういう問題をも踏まえつつ、まあ九月になりますか、安保協議委員会等で議論を詰め、国際情勢認識をお互いに語るならば、基本的には信頼関係の上に立っておるだけに、国民自身にも理解をいただけるものではないか、その努力をすべきである、こういう基本的な考え方であります。
  51. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞いているのは、もう時間がありませんからずばり言いますけれども、信頼関係に立つということは、それは一応わかりますよ、いまの政府の方針でもある。——事前協議というこの了解事項は信頼関係に立っているのですか立っていないのですか。
  52. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 信頼関係に立っておると思います。
  53. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、この事前協議事項というのは信頼関係に立っているんだ。その日本側解釈をしていることが国民に不安を与える場合には、信頼関係の上で事前協議解釈を変えていくことは何ら信頼関係を害することにならないんじゃないか。それとも日本政府アメリカ政府との信頼関係であって、国民の不安はどうでもよろしいと、こういうことですか。
  54. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 信頼関係に立って成り立っておるものであるという認識国民に信頼してもらえば、私はその主権者たる国民に対し政府がその信頼感を与える努力を続けるべきである。ただし、先生おっしゃっておりますが、事前協議制度の運用に関する検討というような問題について、本国会終了後、国会における各種論議等を十分整理した上で話し合いをするということは、外務大臣からもしばしばお答えしておるとおりであります。
  55. 鈴木力

    鈴木力君 先ほどの長官の御答弁で、国民に通用すると思うかという私の質問に対して、少なくとも不安を与える、そこはお認めいただいておるわけですね。不安を与えるという意味は、少なくとも信頼関係日本国民という場に置いているとすれば、信頼関係をそこなう解釈ですよ、いまの外務省解釈は。そうなりませんか。  ついでだから私はもう一つ申し上げますけれども、さっきは岩国の飛行機の話を申し上げました。佐世保も同じ状況でしょう。これは私は最近佐世保には参りませんから、新聞を読んだだけの知識しかありませんけれども、毎日毎日佐世保も、それから横須賀も報道をされております。これだって、何を持っていっているのか、これはもう一々読まなくてもおわかりのとおりです。爆弾なり、あるいはそうしたベトナム戦争の資材をどんどん運んでいるじゃありませんか。これが沖繩基地になりますともっともっとひどいことになっている、防衛庁の調査にいろいろ出ておりますが。そういう状況になっておるのに、いまのような解釈をしておる。  それから、もう一つ私がついでに申し上げさせてもらうと、補給活動は戦闘作戦行動ではないということを言っていらっしゃいますね。ところが、その補給がなくて戦闘作戦行動というのはあるだろうか。世の中にもし補給活動なしに戦闘作戦行動というものが一体あるだろうか。必ず補給活動というものが戦闘作戦行動にこれもつながっているのですよ。いままでの政府答弁で、密接とか、直接につながった場合には作戦行動だ、直接につながらない場合はどうこうとかという、ことばの遊戯を試みておる。これではいまの国民は信頼できるはずはないでしょう。極端な例は、B52のKC135の給油行動は、福田外務大臣解釈によると、爆撃に行く途中の場合にはこれは戦闘作戦行動と直接結びつく、帰りに給油するものは、これは戦闘作戦行動じゃないという解釈をとっている。これは戦闘作戦行動という、常識的なと言いますか、常識的ということばが悪ければ、国民に通用する解釈だと思いますか。もし、帰りにKC135が行って空中給油をしなければ、この間のように沖繩におりてこなければいけないのです。この沖繩におりてくることが事前協議対象に、緊急着陸だというのでならないと、こう言っている。そのことによってB52の爆撃がささえられておる。それを直接関係がないという解釈は、どこから出た解釈ですか。少なくとも日本語の解釈じゃないはずです。幾ら何でも、戦闘行為というのは、昔日本の軍隊が自爆をすすめられたときは、それは帰りの心配はなかったでしょう。いまの戦争は自爆をすすめてはいないでしょう。帰り着くまでが戦闘行為でしょう。それが、行くときは戦闘行為だが、帰りは遊び、観光ですみたいな、そんなことをいまごろ言う日本政府の古さということを、国民は信用しない。  私はもう時間がありませんからこれでやめますけれども、私は官房長官にはっきりときょうはひとつ御要望を申し上げておきたい。いままでに私がだいぶ時間をとりましてしつこく申し上げたのは、事前協議そのものがこれほど混乱さしておる。そして沖繩は、もちろんせっかく施政権が返還したけれども、沖繩軍事基地の態様がベトナム戦争に直接結びついておって、何ら変化が出てこない。それに対する大きな不満と不安があるでしょう。そして岩国なり横須賀なり、あるいはありとあらゆるアメリカ軍事基地がみんなベトナム戦争に結びついておる。補給活動が戦闘行為でないと、こう言うなら、これはついでだから、外務省に聞いておいたほうがむしろいいと思いますが、それならばどうしてB52が北ベトナムの中国とハノイとの間のあの通路の橋や何かを爆撃するのですか。補給路を断つというために爆撃しているんでしょう。どうです、私の見方は間違っていますか。
  56. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 事前協議戦闘作戦行動と申しますのは、先ほど申しましたように、現実にパチパチやっておることを言うというのが従来の解釈でございまして、もちろん戦争そのものは、あるいは戦闘行動そのものは、補給は絶対必要であり、補給にささえられて行なわれておるということは、われわれも十分理解しております。ただ、御存じのとおり、アメリカ戦争のやり方自体も、たとえば一〇%がほんとうの戦闘作戦、いわゆる事前協議の作戦行動であって、あとの九〇%は補給だといわれておるくらいに補給が重要なことはわれわれも十分承知しておりますが、しかしながら、この技術的な事前協議ということになりますと、もっぱら一番表面の一〇%の部分だけをわれわれは言っておると、こういうように解釈しておるわけでございます。
  57. 鈴木力

    鈴木力君 それだから、話はちょっと横道にそれましたけれども、たとえば日本ベトナム戦争に巻き込まれないんだというたてまえをとっておるんでしょう。巻き込まれないんだというたてまえをとっておって、補給活動は直接戦闘作戦行動でないからそれはいいんだと、いわば野放しにアメリカにそれをやらしておる。補給活動と称し、あるいは移駐と称して日本軍事基地からベトナムに飛行機が飛んでいって爆弾を落とす、沖繩軍事基地から軍艦が行って戦闘行為をやる、そして補給行為をどんどんどんどんやっているわけでしょう。アメリカ自体は、北ベトナムの言い方はいろいろあるにしても、補給路に対して盛んに爆撃をやっているわけでしょう。あるいは機雷を敷設したのも補給を防ぐためでしょう。そうすると、もしベトナムアメリカと同じような根性であれば、日本の補給地に爆撃がこないという保証はどこにありますか、そうでしょう。そういうルートを日本解釈によって開いているということなんです。補給そのものが戦闘行為であるという解釈をすればこそ初めて日本戦争に巻き込まれないという保証がでてくる。そういう解釈をしないで戦闘をやらしておると、相手側にだって補給路をふさぐという戦闘行為を認めざるを得ないでしょう。アメリカはやってもよろしいが、北ベトナムはやっちゃいかぬという理屈は出てこないでしょう。だから、いまの安保条約解釈なり事前協議解釈なりというものは、どうしても日本それ自体が戦争に巻き込まれる道を政府が開いているということになる。反論できるなら反論してもらいたい。  それからもう一つは、いま外務省解釈をいろいろ伺いました。非常に無理な解釈、少なくとも国民レベルには通用しない解釈外務省の中だけか、あるいは首相官邸までそれが及んでいるかどうかわかりませんけれども、そんな解釈を今後も持ち続けるとしたら、これは容易なことじゃない。全国民アメリカとの信頼関係をと言っていらっしゃる。その信頼関係をそこなう行為になっている。したがって、私は、ここでいま私が申し上げた戦争日本は巻き込まれる道を開いているという私の言い方に反論があれば反論をしてもらいたいし、あとこうした解釈については、さっきも伺ったとおり、これはアメリカ了解した解釈ではないんであるから、したがってこの解釈については、ほんとうに国民的な立場に立って政府それ自体が検討すべきです。これは官房長官お答えいただきたいわけです。
  58. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる直接戦闘行動、そうして補給というものが、アメリカ局長答弁にもございましたとおり、戦闘行動というのは、補給というものが非常に重要な役割りを示すという理解は私も十分いたしておるつもりであります。そこで、私どもが放送討論会等々でもたびたび申しますのは、論理的に、されば優秀な性能の飛行機がハノイにあったとして、そうしてそれが日本の補給路を断つという意味において、戦争、いわゆる爆撃をするということが論理的には私はあり得ないとはいえない。しかし現実問題として、この今日戦闘行動というものが、専門家のお話を聞きますと、いうならば理性化しておるとか、あるいは局地化しているという問題点が一つ、そうしてまた信頼関係に立った安保体制において、おのずから、基地提供義務者とでも申しますか、そこにおのずからのわが国の平和と安全を保つために果たすべき役割りというものも存在をしておるというふうな理解のしかたをしておるわけであります。そこで、そうした不安、少なくとも私は不安が全くないとは、国民理解の中に不安感というものが全くないとは申しておりませんので、そうした不安というものを除去するための努力は、国内次元に対しても行なわなければならない努力であろう。一方この事前協議の運用についての問題について、どういうことを話し合うかということにつきましては、具体的にまだ外務省外務大臣のほうでもまとまっておるわけではないのでありますが、先般来国会で論じられておる諸点、ただいまも御議論のあった諸点、そういうものを念頭に置きつつ、今後の政府としての考え方をとりまとめていきたい。そのつどつどの問題については、私は今日外務省がそのつど注意を喚起するという形で米側との折衝をしておる具体例については、それなりの効果は上がっておるのではないかというふうに理解をいたしております。
  59. 鈴木力

    鈴木力君 もうこれでやめようと思いましたけれども、いまの官房長官の御答弁でも、やっぱり客観的でない答弁があります。それは、いまの戦争が局地化しているから、日本は巻き込まれないのだというその見方、そういう見方も確かにある。局地化していますよ。しかし局地化しているといいながら、日本からは北ベトナムまで爆弾を持って運んでいるとすれば、戦地はどうであろうとも、どこかを経由していこうとも、それで向こうから来るのは局地化しているから来ないという言い方は客観的じゃないと思う。ただし私は来ないと思う。これは私自身は、まだホーチミン大統領が生きていらっしゃるときに行ってお会いしたことがある。そのときに、ホーチミン大統領は私どもにこう言っていましたよ。ちょうど前の爆撃を受けている最中に、北ベトナムが、ハノイが爆撃を受けている。それは日本側が非常に大きな役割りを果たしているということは承知している。しかし、ホーチミン大統領が私どもに言ったのは、われわれは日本側に爆弾を持っていこうとは思っていないのだ、はっきりそう言っておる。一方がむちゃなことをするからこちらもむちゃなことをするということじゃ平和はほんとうに求められないし、安全は求められないから、おのれのほうは自分の国内だけで戦っている、こういうことを言っている。そういう姿勢があるから日本は巻き込まれないのだろうと思う。しかしこれが目には目を、歯には歯をと、こうきたら、来ないということにはならない。そういう点から戦争が局地化しているというものを、政府はやっぱり客観的に見なければいけないと思う。  それからもう一つは、安保条約それから事前協議について、さっき長官から検討をするという御答弁をいただいたのですが、これは検討を急がなければいけないし、洗い直さなければいけないし、そのとおりだと思いますが、私がきょうは口をすっぱくして申し上げているのは、それ以前に今日までの日本側がとってきた解釈を直せということ、この解釈アメリカとは一々協議をする必要がないということは、さっき私は口をすっぱくして確認をしたことだ。だから、佐藤内閣が、伝えられるところによると、もうおしまいだとか、もう少し延びるとかということをいわれておりますが、そんなことは私はわからないにしても、かりにやめるにしても、あしたあさってに解釈をやれば、それでこれからの話はしごくできるわけです。こんなことは言いたくありませんけれども、数々の悪政を重ねたという評判さえある。しかし、やっぱり何か一ついいことをして、国民の期待に何か一つはこたえて終わりを飾るべきだ。しかし、いま物価をどうするかといっても、二、三日中には間に合いません。この解釈は、政府がやる気になればできることです。ここらあたりに政府が勇気を起こしてやらないと、ますます国民を不安な道に落とし込むし、アメリカアメリカで、米軍は米軍で都合によればますます軍事基地が騒がしくなってくる。これじゃ極東の安全と平和というような看板と事実は違ってくる。こういう点は勇気を持って私は善処してもらいたいと思います。  それから、極東範囲とか安保条約それ自体も、いまの議論からすると、どうしてもここを直さなければいけないと思いますけれども、きょうは時間がありませんから、ここまで、最後のところは強い要望として申し上げて、質問を終わります。
  60. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  61. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務大臣がおいでになってから伺うつもりでしたけれども、官房長官おいでになりますので、むしろ内閣として、先日のモスクワ宣言に対する評価と申しますか、特にベトナム問題をめぐってついに合意ができなかったということがございますし、まあ一方ではSALTの締約ができたということがございますが、それらについて全体的にいまどういう評価をなさっておられるか。いま外務大臣見えましたけれども、先に内閣として一言。
  63. 竹下登

    国務大臣竹下登君) ただいまの先生からの御質問は、先般の米ソ首脳会談の成果についての評価をしろと、こういう御指示でありますが、先般の閣議で外務大臣からその評価について御説明もあったところでありますし、幸い来ていただきましたので、外務大臣からお答え申し上げるのが適切であろうかと思いますので、さよう御了承いただきたいと思います。
  64. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 米ソ会談につきましては、これを高く評価しております。つまり、この二大国は緊張緩和、平和共存、これにつきまして誓い合った。これは偉大なる事実である、そういうふうに考えます。具体的にはSALTが解決された、そして核軍縮に向かっての第一歩を踏み出したと、そういうこと、大事な成果をあげたと、こういう高い評価をいたしておると、かように御了承を願います。
  65. 水口宏三

    ○水口宏三君 私などが一番当委員会で関心を持っておりましたベトナム問題について、遂に合意に達し得なかった。両者の意見を併記するという形をとっておりますが、この点について外務大臣に、これは評価にはならないと思うのでございますけれども、お考えを伺いたいと思います。
  66. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、最初からベトナム問題については成果はどうかなと考えておったのです。つまり北ベトナムにおいて、大国による頭越しの解決、そういうものについて強いアレルギーを持っておるように見受けたわけであります。おそらくそういうことにつきましては、両大国も気を使いながら会談をしたと、こういうふうに見ております。しかし、まあ世界全体について緊張緩和の空気が出た、ことに二大国が平和共存について誓い合った、そういうことですから、雰囲気として、環境づくりにはベトナム問題にいい影響をもたらすのではあるまいか、そういうふうに考えておりまするし、またコミュニケはああいう状態ではありまするけれども、ニクソン大統領は、テレビを通じましてこのベトナム問題についてソビエト国民の協力を要請しておる、そういうことも何らかの効果があるのじゃないか、意味深長なテレビ演説であったと、こういうふうに見ております。
  67. 水口宏三

    ○水口宏三君 意味深長な点は福田外務大臣の御答弁と非常にまあ似ているわけでございますけれども、実はこの前の委員会のときに私伺って、遂に答弁をいただけなかったので、重ねて伺いたいのですけれども、今回のベトナムにおきますアメリカの軍事行動は、国連憲章五十一条による集団的自衛権の発動として行なったということを国連の安保理事会に申し入れると、そのことについての外相の御意見を伺ったところが、これはまあ安保理事会で決定することで、それを見た上でというお話だったのですが、重ねて私が申し上げたのは、日本自身安保理事国である、しかも非常にアジアの問題として、日本アメリカ軍事基地が使われているという意味においても非常に利害関係が深い。日本がみずからの判断を持たずに安保理事会に出席するなどという、こういう無責任なことはないと思いますので、きょうはぜひその点について外務大臣の明確なお考え方を伺いたいのですけれども、その前に、実はこの前の委員会のときに、外務大臣おいでになる前に、アメリカ局長からさまざまな外交ルートを通じていろいろな情勢を集めておりますので、一応外務省としては相当的確につかんでおるというお話だったので、資料を実は要求したわけなんです。それでいただいたのがきょうの資料なんでございますけれども、これを見ますと、これはどうも新聞記事のほうが詳しいわけですね。新聞記事に出ていることを簡略にしてまとめたようなもので、もしこういう情報しか外務大臣がお持ちにならないとすれば、これは外務大臣おっしゃったように、自分はよく事情がわからないので判断を下せないというのがほんとうかもわかりませんけれども、あれからだいぶ時日もたっておりますし、モスコー宣言も出たことでございますし、外相もおっしゃったように、一応この問題はニクソンとブレジネフの間で話し合われた。そういう状況の中で、一体五十一条の発動として外務大臣はこれを妥当だとお考えになるのかどうか、その点をまずお伺いしておきたい。
  68. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 問題は二つに考えてもらいたいのです。  一つは、アメリカベトナム政策、これをどう評価するか。これはアメリカが国連憲章五十一条による集団自衛権の発動である、こう言っておりますが、私どもはそのアメリカの主張に対しまして理解を示しております。  それから、問題は、対ベトナム政策、これは軍事行動を含めての話でございまするけれども、そのとらえた個々の軍事行動が、これが国連憲章というか、どういうふうに違反するとかしないとか、こういう問題はあるだろうと思う。いま水口さんのお話は、機雷を敷設することが行き過ぎじゃないかというような角度の御質問かと思いますが、そういう個々の戦闘行動が行き過ぎであるかどうかということは、これは私ども、どうも戦闘の状況に詳しくない、そこで国連の判定を待たなければならぬ問題であろう、こういうふうに申し上げておるのであります。それで、国連の理事会につきましては、大国はみんな消極的です。しかし私どもはこれは開くべしという主張を展開しておる、こういう状況でございます。
  69. 水口宏三

    ○水口宏三君 私が申し上げたのは、むしろ機雷の敷設だけでなくて、今度の北爆が非常に問題だと思うんですね。機雷の敷設にしても条約上非常に問題がございましょうが、むしろベトナム民主共和国が一番被害をこうむっているのは北爆の問題でございます。いずれにしても、北爆が非常にエスカレートしている、機雷の封鎖が行なわれる。今度の新しい軍事的な事態、行動、これはアメリカが国連憲章五十一条による集団的自衛権の発動として行なったという通告をしている。この前も、実は外相おいでになる前に条約局長からの御答弁を得たのでございますけれども、この前の北爆のときには、少なくともSEATO第四条の適用を行なった。今回の場合には、SEATOを開催してもおそらく成立しないであろう、したがってアメリカはSEATOを抜きにして国連憲章五十一条の集団自衛権のみを、これを行なったというふうな御答弁を得ておるのですけれども、そういう状況の中で、何も事、機雷敷設が法規上どうこうということでなしに、むしろこういう事態の中でアメリカが北爆を行ない、機雷を敷設し、積極的な軍事的な行動をとっているということが国連憲章五十一条の集団的自衛権の発動として妥当であるかどうかということを伺いたい。
  70. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカの対ベトナム政策、これは軍事行動を含めまして、わが国といたしましてはこれに対し理解を示しておる、こういう態度でございます。
  71. 水口宏三

    ○水口宏三君 軍事行動を含めてアメリカベトナム政策を理解をしておるということと、今回のアメリカの軍事行動がこれは非常に大きな被害をもたらしているわけでございますね、事実上何千人か何万人かの人が殺されている、建物がこわされている、こういう事態を引き起こしたのは、アメリカが北爆を行なっているわけでございますね。だからベトナム政策全体を軍事行動を含めて理解を示しているということでなしに、あなたが、じゃ、もし今度安保理事会が開かれて、出席なさった場合、今回の行動についてアメリカからこういう通知がある、これは妥当だと、積極的に賛成をするという立場をおとりになるのか、国連憲章五十一条の集団自衛権の発動としては行き過ぎであるという立場をおとりになるのか、その点を伺いたい。
  72. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 全体のアメリカベトナム政策につきましては、軍事行動を含めまして理解を示しておる、こういう態度でありますが、個々の軍事行動が国際法規に違反するとかあるいは行き過ぎであるとか、そういうことはわが国としては判定する能力がない、こういうふうに考えておるんです。そこで、安保理あたりで精査して結論を出してくれる、そういうことを期待する、かかるがゆえに安保理の開催についてはこれを要請しておる、こういうことでございます。
  73. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ、今回安保理の開催を要請していらっしゃるのは、少なくともアメリカがそういう軍事行動をとったから開催を要請していらっしゃるわけですね。当然安保理で問題になるであろうことは今回の軍事行動である、このことについては実は私は判断ができません、ぜひ安保理事国の皆さん方の判断を伺ってその決定に従いますという、そういう御発言をなさるおつもりですか。
  74. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 開催された場合に、アメリカ側から詳細な説明があるだろうと思うんです。そういう説明を聞かなければ、どうもその是非を論ずるということはなかなかむずかしいと思う。それから、日本ばかりの主観的な判断というわけにもいくまい。ほかの国もどういうふうに考えるでしょうか、そういうことも頭に入れるべき問題だろうと思う。ですから、とにかく安保理が開かれてこの問題を討議する、これは私は大事なことじゃないかと思うんです。そうすれば、国際的にどういうふうに事態を見るか、そういうことがきまってくる。その上に立って、各国もその行動ができやすくなる。そういうことで、安保理の開催ということにつきましては私どもは非常に積極的な動きをしておる、こういうふうに御理解を願います。
  75. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも私はその脈絡がはっきりわからないのでございますが、あなたが安保理の開催を積極的に要求しているということは、それは重大であるから要求なさっている。もちろん、詳細な事情についてはわからない。あるいはアメリカの言い分も安保理でどういうことを言うかわからない。いろいろ事情はございましょうね。しかし、少なくとも外務省は全然情報を持たない、あるいは何らの知識もない、そういうことではぼくはないと思うんですね。やはりこれだけの重大な問題について外務省はあらゆる手段を通じて情報を集め、情報を分析し、みずからの意見を持って安保理に臨むというのでなければ、まずアメリカの言い分を開いてみなければということでは、これは私どもちょっと国民として納得いたしかねることだと思いますね。何のために外務省はあるのかということになる。
  76. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 何しろこれは非常に灼熱した戦闘が行なわれておる、こういうことです。それは近寄ることもできない。実情がどうであるか、これは把握するということは非常にむずかしいです。ですから、個々の戦闘行動が行き過ぎであるかどうかという判断、これはなかなかむずかしいんです。これは水口さんも御了解願えるんじゃないか、こういうふうに思います。ただ、全体の軍事行動を含めてのアメリカの対ベトナム政策、これには理解を示しておるわけなんです。ただ問題は、個々の北爆でありますとか機雷の敷設でありますとか、そういうことがのりを越えておるのかおらないのか、そういう点につきましては、これは安保理事会、これは世界の平和維持機構の中心でありまするから、その辺で討議して結論を出す、これが妥当である、こういうふうに考えております。
  77. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも、先ほど申し上げたように外務大臣の御答弁は含みが多いんで……。灼熱した戦闘が行なわれておるということはお認めになったんですね。
  78. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そのとおり考えております。
  79. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、これまでのベトナムに対するアメリカの政策については、私から申し上げるまでもなく例の国防総省の秘密報告書がこれはもう天下に公表されておるわけですね。この経過を見ても、むしろこれを知らずに全面的にアメリカを支持してきたこれまでの日本政府の情報不足と申しますか、あるいはアメリカ一辺倒の姿勢について、非常に不満を持ち不信を持っております。  それはさておき、今回のこの軍事行動が非常に灼熱した形で行なわれておることはこれは外務大臣もお認めになっておる。それでは、一体五十一条の集団自衛権というものがアメリカにとっては全くその地球のいわば裏側であるベトナム、しかも、事の起こりはベトナム内部の問題でありますね。そういう場合に、少なくとも国連憲章五十一条の集団自衛権の解釈については大体の定説があるので、その地域の軍事行動が自国の安全を脅かす場合に、むしろ自国の安全を守るという形において、侵略されておる国と一緒に戦うというのが集団自衛権です。そうすると、一体今回のアメリカが北爆を始める以前のベトナムにおける状況というものが、はたして大国アメリカの安全を脅かしたのかどうかということについて、外相としては、やはりアメリカに聞いてみなければ判断ができないということですか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカの行動は、これは南越政府の要請に基づいて起こったと、こういうふうに思うのです。その行動が国連憲章との関係がどうなるかと、こういう問題だろうと思いますが、アメリカは、南越が、その国民が自由に選択する政権を選びたい、その環境づくりのためにアメリカの軍事的参加が必要であると、こういうふうに考えます。つまり、これは国連憲章五十一条にいうところの集団安全保障の行動であると、こういうことなんです。それに対しては、わが国は深い理解を示しておると、こういうことでございます。
  81. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうすると、私が先日の当委員会で条約局長の御答弁をいただいた国連憲章五十一条の固有の集団的自衛権なるものの解釈と、外相は全く異なりますわね。ということは、外相は、南越政府アメリカは支持をしている、それから南越政府からアメリカが要請をされた、だから、南越政府の安全を守ってやるために出て行ったんだと。これでは、集団的自衛権ではなしに、まさに攻守同盟じゃないですか。そんな形でもって集団的自衛権というものが理解されるのですか。これは条約局長、この間の答弁とちょっと違うと思うのです。
  82. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 集団的自衛権の本来の意味につきましては、いろいろ説があろうかと思いまするけれども、もともと起こりましたのは、中南米諸国におきましてチャプルテペック条約というのができまして、南アメリカ州におきまする各国相互の防衛ということを中心にきめたのがこの条約の趣旨で、これを国連憲章のもとで合法化するために、集団的自衛権という名前のもとに、初めて憲章に認められたというふうに考えております。そういう趣旨から申しますると、これは隣接国あるいは南米大陸のような非常に一体的な関係にあった国相互間の相互援助ということを集団的自衛権という名称でもって、そういう権利でもって安全を確保しようというのが発足だったと思います。しかし、その後の国際慣行、特に東西冷戦下におきまする国際慣行、こういう点から見ますと、必ずしも隣接地域、隣接国相互間の関係におきまする自衛権の問題だけではなしに、イデオロギーその他国家相互間の親近性と申しますか、そういったものを中心にいたしまして、東西それぞれの陣営の間で集団的自衛権という名前のもとに集団安全保障条約が結ばれた。これが国連憲章下で認められた集団的自衛権の実際の態様であるというふうに考えております。そういう点から申しますと、なるほど先生のおっしゃるとおり、南ベトナムアメリカというのは非常に地域的に遠いじゃないかというお話はもっともではございますけれども、東西冷戦下に発足しましたこの集団的自衛権の実際の行使の態様と申しますか、条約のもとにおける態様が非常に広範にわたっておりますので、これがあながち国連憲章五十一条にいうところの集団的自衛権の違反であるというふうには考えられません。
  83. 水口宏三

    ○水口宏三君 違反であるかどうかの最終的判断は、これはまさに外相のおっしゃるように安保条約に基づくことでしょう。しかし少なくともこの前の委員会であなたと私との間で公の席で合意した、集団的自衛権の本質が、一国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国がその武力攻撃を自国の安全を脅かすものとして、集団的自衛権の名において被攻撃国を援助し、共同して防衛に当たること、これが集団的自衛権の本来の思想であり、これがある程度拡大されてNATOとかSEATOとかあるいは日米安保条約というような集団的な条約機構がつくられてきた、この一つがまさにSEATOでございますね。そこで、この前のときにも申し上げたように、アメリカが第一次の北爆を行なうとき、あるいはアメリカが自分の軍隊をベトナムに上陸させるときに、SEATO第四条を適用して行なったわけですね。これはまさにそういう意味では、いろいろ議論はあるとしても手続を踏んだ。今回はSEATOとは無関係に、外相の御答弁によると、南越政府からの要請があったから、またアメリカは南越政府を支持しているから、ベトナム民主共和国に対して北爆を行なったのだ、機雷封鎖を行なったのだ、これが一体集団的自衛権の範疇に入り得るのですか。条約局長に伺いたい。
  84. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 個々の軍事行動、特に先般の機雷敷設の行為につきまして、アメリカは国連憲章に基づきまして安保理事会に報告いたしておりまするけれども、このこと自体が南越政府の要請によって米国が行なったということでは私はないと思います。
  85. 水口宏三

    ○水口宏三君 外相の御答弁はそうじゃないか。
  86. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 外務大臣がお話しになったのは、私の理解するところでは、今回の行為ということではなしに、一般的に南越を援助して……。
  87. 水口宏三

    ○水口宏三君 今回の行動についてと限定していますよ。
  88. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 米軍の行動自体は、国連憲章五十一条に基づきまして、南越政府の要請によって介入しているというふうにおっしゃったのではないかというふうに思います。今回の行動について特別に私は南越政府の要請があって米国がああいう行動をとったというふうには全然理解しておりません。
  89. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ちょっと私にも関係がありますから。私が先ほどお答えいたしておりますのは、水口さんがそもそもアメリカが南越援助のための軍事行動をとったその根源にさかのぼってのお話でございまするものですから、先ほどお答えしたような次第でございまするが、今回のことは、これは北越軍が中立地帯を侵犯して、そして南侵をした、そういうことに対する対応措置である、こういうふうに説明しております。
  90. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも外相の御答弁をそう変えられちゃ困る。私は何回も念を押したように、今回の北爆並びに機雷敷設というふうに限定をして申し上げたのであって、日本の自民党政府なり福田外務大臣アメリカベトナム政策を全面的にこれを支持しているかどうかと伺ってない。今回の軍事行動はどうなのかと何回も念を押して伺っているはずなんです。速記録を見ていただけばわかる。その点外相は、さっきおっしゃったように、今度の、南越政府から要請を受けて、それでベトナム民主共和国の軍事行動に対抗する意味アメリカはああいう北爆を行ない、機雷敷設を行なったんだということであるから、それははたして集団的自衛権であるかと発展していったので、それを全然もとに戻しちゃあいつまでたっても議論にならない。その点はどうなんですか。
  91. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 水口さんが先ほど私にお尋ねがありましたのは、もとにさかのぼってのお話、そういうふうに私は受け取ったわけです、聞かれた皆さんはどうか知りませんけれども。私はそういうふうに受け取って、それについてのお答えを申し上げたのです。
  92. 水口宏三

    ○水口宏三君 だから先ほど申し上げたのは、これは、それじゃ速記録見ていただきたいのですがね。今回のアメリカの軍事行動は、アメリカは国連憲章五十一条の集団的自衛権に基づいてこれを行なったと言って安保理事会に申し入れをした。あなたは至急安保理を開けという気持ちだと、安保理の中で討議をして決着をつけたいとおっしゃったでしょう、ちゃんと。今回の軍事行動に限って議論は進んでいるんじゃないですか。
  93. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そうか。
  94. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうかとは何ですか。あなたが自分でおっしゃったんじゃないですか。それだからちっとも進まないのですよ。いかがですか、今回の場合。
  95. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 今回のアメリカのとった軍事行動、北爆以降の問題、これは北越軍が中立地帯を侵犯して南侵をした、それに対応する措置である、これは国連憲章五十一条に基づく集団安全保障権の発動であると、こういうふうに説明しております。これは国連にもそう言っておりまするから、それが、軍事行動が行き過ぎであるのかないのか、これは国連で判定すべき問題である、こういうことを申し上げているわけであります。
  96. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃ、要するにベトナム民主共和国の軍隊が中立地帯を侵して南侵をした、このことが五十一条の集団的自衛権発動の根拠になり得るわけですね。外相の、これはあなたのお考えです。
  97. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカはそう言っているわけです。
  98. 水口宏三

    ○水口宏三君 あなたはどうなんですか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) それから、北越では北越のまた主張もございましょう。
  100. 水口宏三

    ○水口宏三君 いや、あなたのお考えです。
  101. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、この軍事行動の内容がどういうふうなものであるか、これはつぶさに承知しておりません。これが戦闘法規に違反しておるのか、あるいは国連憲章の精神に違反しておるのか、そういう問題につきましては、幸いに安保理に報告されておるんですから、そこで論議し結論を出すべき問題であると、こういうふうに申し上げておるわけです。
  102. 水口宏三

    ○水口宏三君 じゃ、この点は私これ一回でやめますけれども、あなたがつぶさに知らないということはあたりまえですよ、だれだっていまのベトナムのああいう具体的な戦闘行動——あなたがおっしゃった、灼熱した戦闘行為が起こっていることを認めていらっしゃるんでしょう。その灼熱した戦闘行為の中で、どこからどう飛行機が飛んできてどこへ爆弾を落としたかなんてことを全部知っている人はおそらくいないでしょう。また、そんなことが安保理で論議されたことはないでしょう。私が言いたいのは、事の道筋として、国連憲章五十一条で定めている集団的自衛権の発動というものが、今回のベトナム民主共和国がとった軍事行動に対してアメリカが北爆を行ない、あるいは機雷封鎖を行なう法的根拠、国際的な条約的根拠になり得るのかどうか、妥当であるとお考えになっているのかどうかを伺っているんです。これは、灼熱した戦闘行為が起こっていることは御存じです。それ以外に、毎日どのくらいの飛行機が北爆をやっているか、どのくらいの機雷が敷設されたのか、新聞にも出ているじゃないですか。そのくらいのことを外務省が全然知らぬというはずはないんだ。
  103. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国としては、南北双方の立場のいずれにも片寄ることはできない。戦闘の行き過ぎかどうかという点につきましては、これはこの国連安保理事会の判定にまつべきであると、こういうふうに考えます。
  104. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうしてそうお逃げになるんですか。私が申し上げているのは、いまアメリカベトナムを全体的に支持しているのがいいとか悪いとか、あるいは南がいいとか北が悪いとか聞いているんじゃないんです。要するに、今回のアメリカの軍事行動が、これはその国連憲章の五十一条の集団的自衛権に基づいてとったと言っているから、ということは、これからわれわれの防衛問題を論議する場合にこの点が非常に大事だから伺っているんです、外相に。そういうものを五十一条の集団自衛権の発動と一体日本政府はみなしているのか、それを妥当と考えているのか、この点を伺いたいんでございます。それだけでいいんですよ、お答えは。妥当であるか不当であるかですよ。
  105. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 軍事行動を含めて、アメリカベトナムにとっておる政策については理解を示しております。しかし、個々の軍事行動があるいは非人道的だとか、あるいは戦闘法規に反するとか、あるいは憲章の精神に違反するとか、そういう個々の問題の判定について議論がある、そういう問題は安保理において判定すべき問題であって、私どもは戦闘の状態をつまびらかにしない、したがってこれを判定すべき立場にはない、こういうことを申し上げておるわけです。
  106. 水口宏三

    ○水口宏三君 個々の戦闘行為なんて私は申し上げていませんよ。たとえばB52が——もちろんいろいろあるでしょう、人道上の問題も。病院も爆撃をした、学校も爆撃をした、非戦闘員をたくさん殺したということもあるでしょう。これは少なくとも国連憲章五十一条の問題じゃないんでございます。私の伺っているのは、個々の戦闘行為じゃないんです。またアメリカ個々の戦闘行為、毎日毎日国連に通知しているんですか。少なくともアメリカは一回でしょう、通知したのは。これは一連の軍事行動ですよ。それをあなたはすぐそういうふうに逃げて、個々の軍事行動、それは私つまびらかにしていない。あたりまえですよ、そんなことは。アメリカが国連に通告したのは、少なくともこの四月以来北爆を行ない、あるいは機雷で封鎖をし、一連の軍事行動について五十一条の集団自衛権の発動として国連に提訴しているんじゃないですか。そのことを伺っているんですよ。その態様も全然知らない、大体アメリカはB52持っているかどうかもわからないんなら別ですよ。少なくともアメリカが国連に通告をしたこの軍事行動、それがアメリカの言っているように五十一条の集団的自衛権の発動と考えていいのかどうか、その判断を外相に伺っているんです。
  107. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 軍事行動全体を包括して考えるときに、これは集団安全保障の発動であるということにつきましては、そのアメリカの主張に対して理解を示しておる。しかしながら、「個々の」と言ったについて語弊があれば言いかえますが、今回の北爆以降の一連の軍事行動、これが行き過ぎであるのかどうか、自衛権のらちを越えておるのかどうかということに問題がありますれば、これは国連において判定すべき問題であると、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  108. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、少なくとも現在、外務大臣が入手している情報を集めて外相が判断なさる限り、今回のアメリカの軍事行動は国連憲章五十一条の集団的自衛権の発動として妥当であると、そうお考えになっていらっしゃるんでございますね。
  109. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカベトナムにおける軍事行動、これは全体といたしまして私どもは集団安全保障の発動であると、こういうアメリカの主張に対して理解を示しておるんです。しかし、問題になりますのは、その私どもの理解しておる集団的安全保障のこの発動というらちを越えておるのか越えておらないのか。たとえば人道上の見地というような問題もありましょう。あるいは戦時諸法規に違反というような問題もありましょう。あるいは国連憲章の精神に違反するというような問題もありましょう。そういうようなことになると、わが国といたしましては判定しがたい。これは南北両方が戦闘しているんですから、それぞれにそれぞれの主張がある、そういう主張についてどういう判断を下すか、こういうことになりますると、これは安保理事会が判断を下すべき問題である、こういうふうに考えております。
  110. 水口宏三

    ○水口宏三君 非常に遺憾でございますね。日本の、少なくとも安保理事国である日本外務大臣が、少なくともあなたの持っていらっしゃる情報網すべて集めて、そうして当然日本としてのあなたの持っていらっしゃる情報に基づいて、今度のアメリカの軍事行動が国連憲章五十一条の集団的自衛権の発動として妥当であるのか行き過ぎであるのか、そのくらいの判断すらできないということなんですね。そう考えてよろしゅうございますね。
  111. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 戦闘の性質上、そういうことについて是非の判断を下すことは、一国とすると非常にむずかしい問題であると、こういうふうに考えます。
  112. 水口宏三

    ○水口宏三君 それからもう一つ、それじゃ、その集団的自衛権の問題として、これはアメリカが今回の軍事行動をとらなければアメリカの安全が脅かされたとお考えになりますか。
  113. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 安保理事会に米国が提訴しました今回の報告の中に触れておりますとおり、これは単にベトナム自体に対する今回の北側の進攻は、単にベトナム共和国に対する危険であるのみならず、ベトナムにいる米軍自体に対しても非常な危険であるということを言っております。そういう観点から今回の措置をとったということが説明されております。
  114. 水口宏三

    ○水口宏三君 そこで、実は先ほどの共同声明の問題をちょっと伺ったんでございますけれども、共同声明の中でアメリカ側が指摘している問題は、こういうことを言っているんですね。「同地域で捕虜にされたすべての米国人の帰還をもたらす交渉、国際監視下のインドシナ全域の休戦の実施および四カ月以内の南ヴィエトナム駐留全米国軍隊の徹収により、政治問題をインドシナ人民自らの解決に委ねることである、」と、これはアメリカの主張ですね。共同声明の中に出てきておる。これに対して南の革命政府が出した例の七項目、これは御存じですね。少なくとも昨年じゅうにアメリカが撤退時期を明確にし、ここで言っている撤退時期を明確にして、撤退と同時にアメリカ軍の捕虜というものが全部返される、そうしていたならば、少なくとも今回のような戦闘行動というものは起こらなかったであろう、アメリカが起こす必要はなかったであろう。つまりあなたのおっしゃったように、アメリカ軍がまだあそこに残っている。捕虜もいる。その安全を守るためにやっているんだということになれば、それは私はむしろアメリカ側も自己矛盾におちいるのである。当然アメリカ自身がそういうことを、もしほんとうにそうであるならば、そしてあとの問題は、ここにあるようにインドシナの人民自身決定するということにゆだねるというならば、これは昨年のうちに、アメリカが少なくとも撤退を完了しないまでも、撤退時期を明確にし、撤退と同時に捕虜を全部同時に交換していくというのが、これはまあ革命政府側の七項目の眼目だと思うのです。そのことをやらずにおいて、そうしてアメリカ側が、今度ベトナム人民主共和国が南下してきたからと称して、これだけの大きな軍事行動をとっている。しかもその理由は、アメリカの捕虜なりあるいはベトナムにいるアメリカ軍の安全のためだということになってきたら、これは何のことはない、まるでアメリカが自分でかってにひとりでもって芝居をやって、ひとりで軍事行動をやる原因をつくって、そうして軍事行動をとっているようなもんですね。そこで私は最初に申し上げたのは、その後のベトナムに対するモスクワ宣言の中でアメリカが言っていることというのは、まさに自縄自縛ではないか。そう思いませんか。
  115. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は外務大臣に就任以来、ベトナム情勢に非常に関心を持ってきたのですが、たいへんぐあいのいい推移をたどってきたように見て、実は喜んでおったのです。これはパリ会談もうまくいくかなと、こういうふうに思った。ところが、二月のニクソン大統領の北京訪問、あれを契機といたしまして、ちょっとぶきみな傾向が出てきたと見てとったわけであります。まあ果たせるかな、それが北ベトナムの南侵ということになってきておる。現象としてはまさに中立地帯を越えて北越軍が南のほうへ下がってきております。それに対してまた米軍が対応のかまえを示すようになってきておる。そういうようなことで、たいへん私は残念に思っておりますが、ちょうどそういう事態になる、つまり北爆が開始されるというその前に、北越の経済視察団がわが国に視察のため来訪いたしておりますが、そうしてあの激しい北爆下におきまして、わが国施設なんかをずっと見て回ったり、またわが国のこの使節団に対するサービス等については、感謝しながら帰っておられた。そういうようなことで、わが国に対しましては、やはり北ベトナムも非常にアジアの友好国、隣邦といたしまして関心を払っておるわけなんです。まあそれが不幸にして今日のような事態になってきておる。いま水口さんは、アメリカを一方的に責めると、こういうような立場をとられたように私は見ておりますが、こういう戦争、これは灼熱した状態だ、それの是非を一方的に片づけてしまうと、こういうことは私は妥当じゃないんじゃないか、こういうふうに思うんです。やはり両方とも言い分があります。その言い分をほんとうによく聞いて結論を出すべき場というものは国連である、こういうふうに考えまして、先ほどからくどいようでありまするけれども、国連安保理事会がこの軍事行動の行き過ぎであるかないかと、そういう問題につきましては判定を下すべき問題である、さように申し上げておるわけです。
  116. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務大臣は灼熱した戦闘行為とおっしゃいますけれども、どうも新聞の報道によりますと、アメリカ兵は地上戦争に行かないで航空母艦でジャズを聞きながら一生懸命爆弾を積んでいるというような話ですね。あまり灼熱していないらしいのです、アメリカのほうは。   〔委員長退席、理事町村金五君着席〕  それは余談にいたしましても、私が申し上げたのは、そのような外相のおっしゃる灼熱した戦闘行為というものが起きる以前に、ここでアメリカが言っているような捕虜の問題とか、あるいはインドシナの政治問題についてはインドシナ人民自身の手で解決させると、捕虜とそれから米軍の引揚げ、これを同時に完全に行なうということが、これさえきまっていれば、いまあなたが非常に御心配になっておる灼熱した戦闘行動は起こらなかったのではないか。このモスクワ宣言の中でアメリカはそう言っておきながら、それはもうあとの祭りなんですね。アメリカがもしこれを去年やっておれば、あなたの御心配になっている灼熱の戦闘まで起こらなかったのではないかと私は見ておるのですが、どうですか。
  117. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあこれは八年間も続いたベトナム戦争でありまするから、そう一挙にという解決はむずかしいのじゃないか、そういうように思います。さればこそパリ会談というものがまあ一進一退というような推移をたどったんじゃあるまいか、そういうふうに見ておりますが、これはアメリカアメリカの主張を全部譲りました、七項目はうのみにしましたということになれば、これは格別、それはそういうふうに片づくでしょう。しかし、アメリカにもアメリカの私は立場があるんだろう、南越にも南越の立場があるんだろうと、こういうふうに思います。そのいずれの主張が是であるか非であるか、これは第三者が是非の判断を下す、それはむずかしい問題じゃあるまいか。こういう方途をとったら成功したであったであろうというような判断、そういうような判断をするということもこれもまたむずかしい問題じゃあるまいか、そういうふうに思います。しかし、とにもかくにもあの今日の灼熱した北爆から続く一連の行動になる前には、たいへんいい調子でパリ会談が動いておったように見るのです。それが北越軍の南侵という、それに対応するアメリカの応待、こういう形で灼熱化しちゃった。まあ非常に残念なふうに思いますけれども、しかし、アメリカアメリカで和平への道を開いておると、こういうふうに私は見てとっておるのです。アメリカの輸送封鎖、あの措置に関連いたしましても、全面停戦が行なわれる、また捕虜の釈放が行なわれる、そういう際におきましては、もうアメリカも四カ月以内に完全撤兵をいたしますと、こういうこと、これは大きな決意だったと思います。そういう道が残されておる。そこで、もしそういうことになりますれば、パリ会談というもの、これは戦いじゃない、テーブルの上で話が進められていくと、こういうふうな事態になり、たいへん私はとにかくけっこうなことになるんじゃないかと、こういうふうに思いますが、ともかく私は、アメリカは一面においてかなりきびしい軍事的行動をとっておりますけれども、そう膠着した立場をとっておるとのみは思いません。やっぱり和平、和平ということをこいねがっておると、こういうふうに私は私なりに見ておるのであります。
  118. 水口宏三

    ○水口宏三君 この問題ばかりやっていますとほかの問題ができませんので、これはもうけりをつけますけれども、私は何も南ベトナム臨時革命政府の七項目アメリカがのまないから悪かったなんて言っているんじゃないのです。ただ、モスクワ宣言の中でアメリカが出している条件というのは、少なくともその前に出しておるアメリカの八項目と違うのですよ。だから申し上げているのです。いままで七項目から八項目という形で論議されてきた。ところが、モスクワ宣言の中で出している問題は、八項目と異なるわけですね。だから、もし七項目を全部のむとかのまないとかということは別にしても、少なくともアメリカ側がいま申し上げたような、率直な、いま条約局長ですか、アメリカ軍がそういうのでその生命を守るためにというようなお話もあったから申し上げたのであって、つまりここでモスクワ宣言でいっているような条件というものは、これは七項目、八項目という形でいままで進んできた問題について、大きなアメリカ側としては異なった内容を出している。このとおりアメリカが実際はっきり現在ベトナムにいる軍隊を何月何日までに引き揚げる、それと同時に捕虜の交換を始めていくと、そしてインドシナのその後の政治状況についてはインドシナ人民がこれを決定するという、こうアメリカが言っていることを去年やっていれば、これは七項目だ八項目だといわなくたって、私は今回外相の心配なさっている灼熱した戦闘行為が起こらなかったのではないかということを申し上げておるのであって、私はむしろこのモスクワ宣言というものをそういうふうに読んでいただきたいわけですね。それをむしろ相変わらず逆にアメリカだけに何か片寄った形でものを考えていらっしゃることについて、非常に不満でございます。  それはさておき、それじゃ一体今度のこのベトナムにおけるアメリカの、外相に言わせれば行き過ぎであるかどうかは安保理が判定するかもわからぬ、少なくとも国連憲章五十一条の集団自衛権に基づくベトナムでの軍事行動、この最終的判定は安保理にまかせるとしても、それが日米安保条約の第六条の極東条項とどう関連するのか。
  119. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ベトナムにおける戦乱、これはアジアにおける大きな不幸なできごとであります。ベトナム半島は、東シナ海をはさみましてわが国とはとにかくそう遠い地域ではない、安全保障条約対象地域に隣接した地域である、こういうふうに考え、安保条約の適用範囲内である、こういう認識でございます。
  120. 水口宏三

    ○水口宏三君 少なくとも今回のベトナムにおける戦闘行為というものが灼熱した状況にあるとおっしゃっておりますけれども、これは主としてアメリカの戦闘行為によって行なわれているわけですね。私が申し上げているのは、以前の状況でございます。つまり、アメリカが少なくとも日本軍事基地を使ってこれらベトナムへの軍事介入というものを行なっている。それは当然安保条約第六条に基づかなければならない。現状においては、確かに外相のおっしゃるように灼熱しているかもわからぬ。以前の状況において、インドシナにおけるああいう、まさにベトナム内部のこれはむしろ問題だと思います。私は民族自決の問題だと思います。そういう問題について、それが何で一体極東の平和をそれほど脅かすのか、具体的に御説明いただかぬと、どうも納得できないと思うんです。国民自身だってそうだと思うんです。毎日、新聞を読んで、アメリカが北爆をやった、機雷で封鎖をした、さあたいへんだと思うんですよ。少なくともベトナム内部におけるああいう軍事行動、これは民族自決にからむ問題であって、それがそのまま極東の平和の上に直接的な大きな影響を与えると私も理解できませんし、おそらく国民理解しないでしょう。国民がこの点について関心を持ち出したのは、アメリカが軍事行動を起こしたから、これはたいへんだということになったわけですね。その以前の状況において、それがどういう形で一体極東の平和にそれほど大きな影響を持つのか。
  121. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 問題、二つあるかと思いますが、私の感じでは、一つの問題は、ベトナムの事態は完全に国内問題であるというお話のようでございますけれども、これは実は国際間の一つの慣行と申しますかコンセンサスとして確立していると思いますが、一昨年、一九七〇年の国連総会で、諸国間の友好関係及び協力に関する国際法の諸原則についての宣言という決議が採択されまして、その中で一つ原則、多くの原則が採択されましたけれども、その中の特に一つ原則は、各国は、この国連憲章に従ってですけれども、各国は他国の領域を武力をもって脅かすというふうなことは慎しまなければならない、これは国連憲章第二条に書いてあります、この原則をさらに明記いたしまして、その説明の中に、この決議の一部でございますけれども、各国は国際的な境界線、たとえば休戦ラインのようなものを侵すことは、武力をもって侵すことは慎まなければならない義務を有する。いま申しました原則の、さらにその説明でございますけれども、これはわれわれの解釈といたしましては、こういうことはもうすでに国際間の慣行として確立している。たとえば朝鮮における休戦ラインあるいはベトナムにおけるDMZ、こういったものは武力の行使という観点からとらえまする場合には、一種の国境と同じようなものであると、そういう観点から武力を慎まなければならないという原則は、国際連合総会の決議で採択されておりまして、私どもそういう観点で、ベトナムなり朝鮮におきまする休戦ラインというものを、単なる休戦ラインであってこれは自由に侵してもいいもんだとは、とうてい考えられないというふうに考えております。  それから第二点の、先生の、第六条の御質問かと思いまするが、第六条につきましては、これは特に極東の定義につきましての御質問かと思います。私どもの最初から、三十五年当時から説明しておりますることは、極東の平和及び安全のために日本施設・区域を米軍に提供するということで、提供の目的を書いておりまするけれども、その施設・区域を使っての米軍の一般的な補給活動その他活動の範囲につきましては必ずしも極東範囲に限られないということを、従来から申しているように私は考えております。したがいましてベトナムは、そういう意味極東範囲からもちろんはずれまするけれども、この極東の平和及び安全のためにという基地提供の目的に反しない限りは、そういう極東範囲外での活動は、第六条の趣旨に決して反するものではないというふうに考えております。
  122. 水口宏三

    ○水口宏三君 いまの条約局長答弁には、私不満があるのです。大体それを議論し出せば、ジュネーブ協定の問題から、その後におけるアメリカベトナムヘの介入の問題、少なくともジュネーブ協定では十七度線を一体どういうふうに扱っているか、また、あれは一つの国境として、南北の政治的なラインとしては絶対認めないということが、むしろ限定されておる。きめられておる。ジュネーブ協定、いまさら議論して、その後における、アメリカが意図的に、非常に意識的に、書いてありますよ、これは朝日ジャーナルですから皆さんお読みになっているでしょう。この中に一体どうやってアメリカがでっち上げていったか、過程はみんな知っているんですよ、外務省がどんな強弁なさったって。そんなことはわかり切っていることなんであって、私が申し上げるのは、これは北が南をどうしたとか、南が北をどうしたかということじゃなくて、少なくともベトナム統一、このことについては民族自決の問題であって、そのために、明治維新のときに薩長連合軍と幕府が戦ったと、これはアジアの平和を脅かすからといって、もしイギリスなりフランスなりが日本を攻撃したらどうします。おんなじことじゃないですか。少なくともこのジュネーブ協定以後、ベトナム問題というものは、ベトナムが政治的に統一されることについて外国の干渉は行なわないと、このことは私は正しい方向だと思うのですね。また今回の場合も、少なくともベトナムベトナムの領域を出て、たとえばフィリピンへどうこうしたとか、インドネシアへどうこうしたとか、マレーシアへどうこうしたという事実は全然ないですよ。そういうものが、どうして一体極東の平和とそれほど重要な、極東の平和を脅かすような事態になり得るのですか。たとえばジュネーブ協定以後のベトナム問題については、ここで論議するのは時間ございませんから省きますけれども、こんなことは周知の事実なんですよ、外務省がどうおっしゃろうと。アメリカ自身が告白しているんですから。だから少なくとも今度のベトナムの問題というものは、ベトナム内部の問題である、そう限定することは、私は誤りじゃないと思う。ベトナム内部の問題が、何で一体極東周辺の問題として、わが国の安全と関係があるから——極東の平和が必要である、その極東の平和を維持するために、六条によってアメリカ日本軍事基地を持ち、その基地を使うということになっているわけですね。だから極東の平和、さらに日本の安全ということに、一体ベトナムのこの内部のこういう軍事的な問題がどういう関係を持つのかですね。もちろんそれは風が吹けばおけ屋がもうける方式をいえば、この間も申し上げたように、キューバの事件、キューバのあのときに在日米軍が全部スクランブル態勢に入った。いまの兵器なり通信情報網の発達した現在では、これはもう地球上どこに何があったって、それは結びつけていけば全部つながります。どこかで遮断しなけりゃ、これは日米安保条約というものは、この間も申し上げたように、地球上どこで戦闘が起こったってみんな極東の安全に関係してくる。それをどこかで明確にすべきだ。少なくとも今度のベトナム問題というのはベトナム内部の問題だ。しかもそのことが直接六条によってこれまで政府が説明をしてきていたフィリピン、台湾以北、韓国、南千島を含む本土の、日本周辺というこの地域の安全にどういう具体的なかかわりあいがあるか。
  123. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) ベトナムの事態が極東の平和及び安全に全く関係がないというふうには私ども認めませんで、日本に直接関係があるというふうに私ども考えておりませんけれども、極東の平和及び安全に全く関係のない事態であるというふうには考えておりません。そういう観点から、第六条における米軍の基地使用については許容し得るものではないかというふうに思っております。
  124. 水口宏三

    ○水口宏三君 それはことばのあやですよ。全く関係のないことなどというのは、いまやこの地球上にはないんです。まあないんですと言い切るのも私も少しなまいきかもわかりませんけれども、少なくともこの間のインドとパキスタンとのバングラデシュの問題にしても、これは大いに関係あるでしょう。ただ、問題は日米安保条約というこの限定された条約日本の安全のために使うのだ。これは外相、よろしいでしょう。別にアメリカのために使うわけじゃないんです。日本の安全のために日米安保条約をお結びになったわけでしょう。とすると、日本の安全ということを考えた場合に、それと関連する極東の平和、その平和と関係をするという意味で、もし今度アメリカベトナム問題に介入したとするなら、一体その介入以前のあのベトナムの状況は日本の安全に対してあなたは関係ないとおっしゃる。極東の平和には関係ないことはないとおっしゃる。極東の平和に関係のあることなら逆に日本に何か関係があるのか。そんなことは幾らやったって堂々めぐりですよ。日米安保条約というものは一つ条約としてあるんです。しかもそれはこれまで何回か政府答弁しているように、日本の安全を守るためには日本だけではできないんだ。だからアメリカの軍事力にたよるんだ。それで日米安保条約に基づいて日本の安全を守る、そのためには極東の平和がなければ日本の安全は守れない。だから第六条に一項を起こして、それで極東の平和が脅かされたような場合には云々となっているわけですね。そういう観点に立って今度のベトナムの内部の軍事行動がどう極東の平和と関係があるんですか。よそを見てものを言わないで、日本の問題としてとらえてください。
  125. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 安保条約は、これはまさにお話のとおり、極東の平和と安全、こういうことを目的としておるわけです。それはなぜかというと、極東の平和と安全はわが国の安全と平和に関係がある、こういうことだと思いますが、しかし、その適用対象をどういうふうにするか、こういうことになりますると、この条約を締結当時、まあフィリピン以北、台湾、朝鮮また日本周辺というようなことをきめたわけでありますが、これは、とにかくそういう地域におきまして戦乱が起こると、これがわが国の平和に脅威を与えるということでそういう理解をしたわけでございますが、まあ佐藤総理がよく言うんです。火の粉をわが日本がかぶったんじゃ困る。その火の粉を日本にあびるような地域、これが安全保障条約対象地域である、こういうふうに言うんですが、まあ火事にも遠火と近火があるわけで、朝鮮半島なんていえば、これは近火でございます。しかし、ベトナムということになりますると、私は遠火だというような感じがいたしますが、遠火にいたしましても火の粉がわが国に来ないとも限らない。また、極東全体について不安を呼び起こさない問題ではない、こういうふうに考える。そういう意味において、これも安保条約の適用対象地域として考うべきである、こういう結論でございます。
  126. 水口宏三

    ○水口宏三君 いま、外相は遠火と近火という例をおとりになりましたけれども、私が申し上げているのは、アメリカが今度の北爆なり、あるいは機雷封鎖をする以前におけるベトナムのあの軍事状況というものは、これはベトナム内部の軍事状況の問題であって、いわば火ばちの中に火がおこっているわけなんですよ。火事とはいえないんですね。そうでしょう。火ばちの中の火ですよ。それをあなたがかってに遠火とか近火とか、変な例を引くからおかしくなるのであって、むしろそれが問題になったのは、アメリカが軍事介入をすることによって火事になったんですよ。それまではベトナム内部の問題じゃないですか。それがどうして極東の平和に関係がある。遠火とか近火とかというつまらないことを言わないで、具体的に言ってもらいたい。
  127. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、まあシナ海をはさみまして、ベトナムわが国の隣邦である。そういうことを考えまするときに、あのベトナム半島におきまして戦乱があるということは、アジア、極東の平和にも重大な影響がある、こういうふうにまあ考えるわけであります。あれが拡大していくというと、やがてはわが国の平和、安全、こういうことについても重大な影響がくる。これは私はいまのベトナムというものを今日の姿において理解するとそういうことになる。まああるいは遠火だと、たいしたことはないじゃないかというような御理解もあろうかと思いまするけれども、しかし、これがエスカレートした、こういう事態における極東状態というものを考えるときに、これがわが国の安全、これに無縁のものではないと、こういうふうに考えております。
  128. 水口宏三

    ○水口宏三君 エスカレートということばをお使いになりましたけれども、エスカレートさしたのはだれなんですか、アメリカじゃないですか。それを私は指摘しているんです。もしアメリカがあの北爆を行ない、あるいは機雷封鎖を行なわなければ、灼熱した戦争なんというものは起こらない。また、福田外務大臣がおっしゃっている灼熱、灼熱というのは、そのことをいうのじゃないですか。私が申し上げたいのは、つまりベトナムにおけるアメリカ介入以前の状況というものは、極東の平和を直接脅かすものではない。特に日本の安全を脅かすものではないのではないか。したがって、第六条の適用というものは、これは拡大に過ぎる、不当である。それはまあ条約ですから、別にベトナムということばは入っておりません。したがって、これが不法であるかどうかはさてとして、不当である。それなら何で、あなたは近火とか遠火という例をおとりになっているけれども、ベトナムのあの内戦が極東の平和に大きな影響を与えたとアメリカ判断をし、軍事行動をとると——。第四条にこう書いてあるんですね。「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」、こういう条項がございますね。先日、伺ってみると、日本政府はやってない。申し入れてない。ところが、福田外務大臣も、現在の灼熱した状況が国連憲章五十一条の集団的自衛権の発動として妥当であるかどうかは確信が持てないわけですね。しかも条約局長あたりに伺うと、まあ極東の平和と関係のないこともありませんと言う。あいまいなんです。しかも世界的に、まず日本国民にとっては、これはあとで申し上げますけれども、非常にベトナム問題をめぐって国内でもっていろいろな問題を起こしているわけですね。そういう状況から、なぜあなたは第四条によってアメリカ協議を申し入れ、つぶさに情報を手に入れ、判断をし、第一に五十一条の集団的自衛権というものの発動として妥当であるかどうかの判断をより確かめる。さらに第六条の適用が妥当であるかどうかについて確実な判断を持つという努力をなさらないのか。
  129. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国アメリカベトナム政策——このベトナム政策というのは、軍事行動を含めての意味であります。これについて賛成でない、理解は持たないという立場でありますれば、そういうこともあろうかと思います。私どもといたしましては、アメリカの軍事行動全体に対しましては、これは理解を示しておるわけなんです。ただ問題となるのは、個々の軍事行動というものが、あるいは北爆でありますとか、あるいは機雷の敷設でありますとか、それが戦時諸法規に違反するのか、あるいは国連憲章の精神に違反するのか、人道上正しくないのかというようなことになりますると、これはなかなかむずかしい問題であるから、これは専門屋にまかせる、安保理事会の判定にまかせる、こういうのがいいだろう、こういうふうに言っておるのでありまして、私どもはそういう問題の判断を下すために事前協議制度を発動する、こういうような考え方は持っておりません。
  130. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうするとあれですか、今度のアメリカのとった軍事行動——あなたは何か問題を全体へ全体へと広めていって、理解を示している。理解を示しているというのは、大体反対の場合もあれば賛成の場合もある。理解して反対する場合もあるし、理解して賛成する場合もあるんですが、そういうことばじりはどっちでもいいんです。いずれにしても四月以降とられたアメリカの軍事行動、これは少なくとも第六条、極東の平和を脅かされたから、日本軍事基地が利用されているわけですね。しかも、日本軍事基地の利用については、私は一々申し上げません。これは岩国の問題から相模原の問題から、あるいは佐世保の問題から、あらゆる問題が、連日といえば言い過ぎでございますけれども、新聞をにぎわしておる。そして国民が非常にこれに対して重大な関心を持っているわけです。きょう午前中、同僚の鈴木委員から、事前協議の問題に対して質問しました。そのことはあとで触れますけれども、私は、それ以前に、日本国民がこれほど——また新聞自身も非常に大きく取り上げられた。これほど大きな関心を持つということは、言いかえれば、私が申し上げたように、あなたがアメリカベトナム政策を理解し、軍事行動を理解する——個々の軍事行動はわかりません。灼熱した戦争が起こっているのだから、アメリカもいろいろなことをやるでしょう。そんなことで、日本軍事基地を修理、補給、あるいは輸送、さらにあとで申し上げますけれども、私は戦闘行為にすら利用さしているんじゃないか。こういう事態を起こす前に、何でアメリカと第四条による随時協議を行なわないのだ。国民はみんな非常にその点、疑義を持っている。心配している。だからこそ、また新聞も大きく書いているわけですね。何で第四条によってアメリカ協議を申し入れて、アメリカとつぶさにそういう情報を把握なさろうとなさらないのですか。何だったら、きょうのこの委員会で外相、要請いたしますよ。直ちに第四条に基づく協議を行なうことを。
  131. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) くどいようですが、私はベトナム政策——これは軍事行動を含めて、アメリカの政策に対して理解を示しておる。理解を示すということは、何かわからぬという話ですが、これは支持する、こういうことです。ただ個々の行動になりますると、これはわかりませんから、これは国連の判定を待つほかはない、こういうことなんです。その辺ひとつ誤解のないようにお願いいたします。  なお、随時協議を発動すべしというお話でございますが、私はそういう考え方は持っておりません。
  132. 水口宏三

    ○水口宏三君 じゃあ官房長官に伺います。官房長官どうですか。ちょっと隣にいて外務大臣と違ったことをお答えになるのは、あるいは答えにくいかもわからないけれども、あれは何月だったですかね。——きょうの午前中の同僚の鈴木委員からの質問に対してもお答えがあったように、国民が非常に不安になっている。事前協議そのものについては洗い直す必要があるんじゃないか、その原因が少なくともこのベトナムに対するアメリカの軍事行動に伴って起きているわけですね。そうでしょう、そうすると国民というものは、何で一体ベトナムのこの軍事行動にアメリカが介入をし、日本軍事基地が使われ、あるいは相模原からは四十六トンもする戦車があらゆる道路関係の法律を無視して毎夜のように運ばれている。そういういろいろな、たとえば佐世保なり横須賀では、そういった焼けただれた砲塔を持った駆逐艦なり何なりやってきて、それを修理してまた送っていく、そういう不安な状況がつくられていく。その場合に、外務大臣の言うように、アメリカベトナム政策は理解をしている、軍事行動を含めて理解をしている、したがって、国民がどんなに不安であろうが、政府理解を示しているんだから、おまえら政府のやることを黙って見ておれ、ついてこい、そういう態度でよろしいんですか。少なくとも、新聞の報ずるところでは、国民の不安というのは、このままでおけないから何か洗い直さなければならぬだろうということを官房長官がおっしゃったと新聞には出ております。長官としてのひとつお考え方を伺いたい。
  133. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 基本的にはもとよりいま外務大臣から答えられたとおりであります。私が新聞記者会見等で申し上げましたことは、本日もそういう議論がなされておりますが、いわゆる極東範囲、そして極東範囲内における論争というものは、これは確かに一九六〇年安保以来、国会等でもいろいろ議論がなされて、国民次元の中に、それなり理解というものが定着しておるのではなかろうか、しかし、今度の問題がベトナム、言うなれば遠い地域——いま近火、遠火ということばがありましたが遠い地域、端的に申しまして極東周辺というところで起こった事件に対する国民感情のさまざまの反応である。したがって、われわれとしては、この極東周辺というもので起こった先ほど来議論がなされております武力紛争が、これが極東範囲内の不安を醸成し、ひいてはわが国の安全と平和にもかかわりがあるというような問題について、国民理解を求めるような努力をすべきである、こういうことを発言をいたしたのであります。そうしてまた、そういう国民感情に持っておるある種の不安というものに対しては、これを除去する努力をすると同時に、これは外務大臣も本会議あるいは委員会等ですでに申しておられますように、いわばこの沖繩返還という新たなる事態というものを踏まえて、事前協議の運用の問題について、国会論議等々をも勘案、整理して、これが安保協議委員会の場で、さらに国際情勢分析等も含めて、協議委員会に臨んでいく考えである、こういうことを申されておりますので、そういうことに対してすなおに私の感想を述べたものであります。
  134. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務大臣が隣にいらっしゃるので、ちょっと言いにくいのはわかりますが、どうも官房長官歯切れが悪いですね。ということは、今度の六条の適用によって、日本軍事基地が米軍によってベトナム軍事介入に使われている。そのことによって弾薬輸送とか、あるいは魚雷すら運ばれているとか、あるいはなまなましい弾痕をもった艦船が修理をされておる、あるいは四十六トンもするタンクがさっきも言ったように送られている等々、そういう状況が国民に不安を持たしているんですね。私が、ここで申し上げているような、そんな理屈っぽい国連憲章五十一条の集団自衛権がどうのこうのなんということは、国民は別に関心を持っておりませんよ。もっとなまなましい現実に関心を持っているわけですね。とすると、そういう事態が何によって起こったのか。これはベトナムの内戦に対して、アメリカがどういう理由で軍事介入をし、その軍事介入に対して、日本はこういう協力をしなければならないんだということを国民理解させる必要があるわけでしょう。そのために、何で第四条によるアメリカとの協議を十分行なって、確信のある立場国民に対して言わないんですか。何となく舌足らずの形で、官房長官しきりに弁明だけなさっていないで、むしろ総理大臣とお話になって、直ちに外務大臣を通じてアメリカとはっきり話し合いをして、悪いことは悪い——これは事前協議の問題はあとで伺いますが、事前協議だけじゃないですよ。国民が不安に思っているのは、そういう事態全体が不安なんですから、そういう不安な事態というものをすぐ少なくするように努力なさらなければならぬ。その点、官房長官に伺います。
  135. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 確かに素朴な国民感情の中には、それは国会で論戦が行なわれております安保条約第何条、あるいは国連憲章五十一条というような議論そのものよりも、現象として、現実ございますもろもろの事象について、国民感情は、素朴に不安というものが私は存在しておるというふうに認識はいたしております。  そこでそれらの問題に対して、政府としても、あるいは国会の場を通じ、この国民次元に対して私はもっと理解を深める努力もしなければならないと思っております。と同時に、それらの問題についていわゆる事前協議制度の運用について、米側と適当な機会に話し合ってみたいというような御答弁が従来さなれておりますが、そうした問題については、それなりに十分事務的にも精査し、そしてまた、沖繩が本土に復帰したという事情をも踏まえて、また国会でも問題が提起されておるようなものを整理して、私は、国際情勢の深刻な分析をも踏まえてやるべきものであって、一々出ます事象に対しましては、そのつど米側注意を喚起するというようなことで、私は国民次元の中の不安感を払拭するための努力をさらに払うべきであると。そしてまた、そのときどきの注意を喚起しておる事象につきましては、まあ多少の例もございますが、それなりの効果は与えておると、こういうふうに理解をいたしております。
  136. 水口宏三

    ○水口宏三君 まあ官房長官外務大臣の隣にいて遠慮していらっしゃいますけれども、私の考えでは、少なくとも、きょう外務大臣の御答弁によって、国民は、何でアメリカベトナムの内紛に軍事介入しなければならないのか、またその軍事介入のために日本軍事基地をこれだけ使わなければならないのか、その使用によって国民が生活のあらゆる面で非常な不安、障害、脅威を感じておるということを納得できないと思いますね。官房長官、納得できますか、国民の素朴な感情に立って。
  137. 竹下登

    国務大臣竹下登君) これは、私はかねがねそうした考え方国民理解を求めるために述べるべきであると思っております。それは、私自身は納得のできることであります。万一、政府によりまして、その依頼によって米軍が出かけて行って——そしてわが国米国の間にはいわゆる信頼感を基礎とした日米安保体制というものが確立されており、そして私自身国民の多数は安保体制を堅持すべきであると考えておるというふうに信じております。したがって、その信頼感の上に立った場合、おのずから、防衛義務を持つ米国と、また施設・区域の提供義務を持つわが国との間には、信頼感の上に立ちさえすれば、そこにそれなりのお互いの権利義務というものが発生してくるであろう。しかし、それはいわば説明を要することであると思います。そこで、端的な直観からして、いわゆる弾痕なまなましき艦船が修理されておると。戦争というものに対しては、敗戦という体験によりまして、非常にわが国国民戦争ということに対するアレルギー——これはわが国国民ばかりでなく、そういう好戦国民というものは、現在地球上に存在していないと私は思いますが、そういうなまなましい現状というようなものが報道されることによって、少なくとも不安が皆無とはいえない。不安が存在しておることは認める。だから、私が先ほど考えておるような考え方なりを国民次元にPRすることによって、その理解も求めると同時に、さらにそれを除去するためのいろいろな意味における米側との適当な機会における折衝、そしてそのつど起こった問題についての注意の喚起、こういうことをそれぞれ積極的に行なうことによって、私は理解を得ることができるんではなかろうかと、このように考えております。
  138. 水口宏三

    ○水口宏三君 それなら官房長官、ぜひ先ほど私が申し上げましたように、この根源である——根源であることですよね。つまり今回アメリカベトナムの内紛に軍事介入をしたと。それは極東の平和を脅かすものであるということで介入をした。そして日本軍事基地安保条約第六条によって適用されて使っておる。そして、いま官房長官は、機会があるごとにアメリカと連絡をとり、理解を深めていくと言いましたね。ところが福田外務大臣に聞いてみると、いまベトナムは灼熱の状態にあるので情勢がわからない——それなら第四条によって随時協議をなさってアメリカに聞いたらいいじゃないですか。いや断固やる意思はございません。どうもわれわれには納得できない。官房長官すなおにお考えになって、外務大臣わからないそうですから、政府としてアメリカと第四条による協議を行なって、現状を的確に把握する御意思はございませんか。
  139. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この現状、いわゆるベトナムの戦闘、直接戦闘行動自体については、日本の国は直接戦闘行動当事者ではございませんので、従来、私も整理してお答えいたしておりますのは、その戦争当事者でないだけに、戦争当事者にはそれぞれの考え方があるから、それに対しての論評を加えることは、政府としては差し控えたい。ただ国会決議、そしてまた政府の方針として——
  140. 水口宏三

    ○水口宏三君 第四条による協議ですよ。
  141. 竹下登

    国務大臣竹下登君) あらゆる場合における核実験、核兵器の使用を含め、そうしたものに対する抗議というものは絶えず行なう、こういう一つの基本方針を持っております。したがいまして、ただいまのいわゆる随時協議の問題でありますが、私は今日まで、いわゆる注意を喚起——外交チャンネルを通じて注意を喚起するという形の中において、それぞれ、その起こった事象についての問題はそれなり理解され、解決がされておると、このように理解をいたしております。
  142. 水口宏三

    ○水口宏三君 だから私は最初に申し上げたんです。この前の委員会でいま竹下官房長官がおっしゃったと同じことをアメリカ局長言ったんです。さまざまな外交チャンネルを通じて、情勢はそのつどつかんでアメリカに言っておる。その資料を全部出してくれ。これですよ。たったペラ三枚、新聞よりもっと簡単なんです。これで竹下さん満足なさるのですか、官房長官。だから私が申し上げるのは、国会に対してすらこういう不誠実である。まして国民に対して、国民が不安に思っていることに対して、何で第四条によって随時協議をやり、正式にそういう問題についてアメリカとも話し合いをし、納得できない点については十分こちらの意見を言い、納得できる点については納得できる。それを福田外務大臣は、私は灼熱している状況でわからぬと、わからぬけれども、随時協議は断固やりませんなんていうことを言うのは、これはどうも国民に対して不誠実であると思うから官房長官に伺っておるんです。外務省はチャンネルを通じてやっていると言って、国会に出しているのはこれですよ。よく見ていただきたい。これでもって竹下さんわかりますか、官房長官
  143. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 私もその資料は見ておりませんが——
  144. 水口宏三

    ○水口宏三君 見てください。これであなたがおっしゃった各チャンネルを通じて十分つかんでおるということになりますか。
  145. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 「最近における在日米軍の動向に関する日米間の連絡例」というものをお出ししたかにただいま承りましたが、ここに書いてありますような問題は、そのつど私のほうへも、月曜日の午前九時から行ないます外務事務次官との事務連絡を持たずして、そのつど連絡を受けておることであります。が、いわゆる水口先生御指摘のベトナム戦争の実態であるとか、そうした問題についての情報収集というものは、これはもとより外交チャンネルも通じ、また外電その他あらゆるものを参考にして、われわれなりに把握をしようという努力はいたしております。しかし、直接戦闘当事国ではございませんので、その内容についての論評は差し控えておると、こういうことであります。
  146. 水口宏三

    ○水口宏三君 論評をお願いしておるのではないのです。私は、第四条による随時協議は、外務大臣は断固行なわないとおっしゃるから——断固とおっしゃったのですよ。それはどうも理解できないと言うんです。あらゆるチャンネルを通じて——じゃ国会こんなことでいいんですか、一体。私は外務省に注文したのは、各チャンネルを通じて十分情報をつかんでいると言うから、それを出してくれと言ったら、これを出してきたのですよ。そんな国会をばかにした話はないじゃないですか。これはあなた、これでいいんですか官房長官、一体。だから、何で第四条の随時協議をやらないのですか。官房長官に伺いたいんです。
  147. 竹下登

    国務大臣竹下登君) このいわゆる国会の国政調査権に対する資料の提出義務とかいう問題になりますと、これは私が毎度各委員会で御質問を受けておるところであります。したがいまして、この参議院内閣委員会へ提出した資料が、これが水口委員の国政調査権に基づく資料要求に対して適切なものであったかないかは、私もその段階を知りませんので何とも申し上げられません。ただ、私は今日行なわれておるこの外交チャンネルを通じての随時いわゆる注意をお互いが喚起し合っておる中で問題はそれぞれ解決しておるし、また、お互いが理解をしておる課題である、こういうふうに考えます。
  148. 水口宏三

    ○水口宏三君 解決をしていないから国民は不安を持っているのであって、何で第四条によって随時協議をすることを竹下官房長官までがいやがるんですか。どうもわからない。何かあるんですか、随時協議は困ると。それを官房長官に伺いたいんです。
  149. 竹下登

    国務大臣竹下登君) いわゆる第四条に載っかっておる随時協議というもの、今日まで率直に申しまして絶えずわれわれがやっておりますところの相互の注意を喚起するというようなものが、いうなればこの随時協議に当たるものではなかろうか。いわゆる第四条に基づく随時協議としてこれらを取り上げたことは今日までございませんけれども、絶えず外交チャンネルを通じてお互いに相互の注意喚起を行なっておるということがそれなりの役割りを果たしておるというふうに理解をいたします。
  150. 水口宏三

    ○水口宏三君 そうごまかされちゃ困るんですね。じゃあ、適当に外交チャンネルを通じてお互いに話し合っていることを、第四条で言う「随時協議」というんですか。その点はっきりしてください。
  151. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) 第四条の「随時協議」に関しまして、どういう意味かというお話でございますので、私からお話しいたしますが、まず第一番には、条約の実施に関する相談、これがこの随時協議一つの目的でございます。二番目が「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」の協議、二つございまして、いままで随時外交チャンネルを通じての相談というのは、いわゆる条約の実施に関する協議、こういうふうに私たち考えております。
  152. 水口宏三

    ○水口宏三君 それじゃあ極東の平和に対する脅威はないんですね。
  153. 高島益郎

    政府委員高島益郎君) いいえ、私が申しましたのは、協議に二つございまして、一つ条約の実施に関する一般的な協議と、それからもう一つは脅威が生じたときの協議、二つ種類があるというふうにお話をしたつもりでございます。
  154. 水口宏三

    ○水口宏三君 だから、二つ種類があるとおっしゃったから、いま極東に何か平和の脅威があるから第六条に基づいてアメリカ日本軍事基地を使っている、国民は非常な不安を持っている、あなたのおっしゃる第二項目に基づく随時協議をなぜ行なわないのかと、さっきからこれだけ言っているのに、どうして一体そうぐるぐる回るんですか。福田外務大臣が一番はっきりしている。断固行なわないと言っているんですから、これは何かあるんでしょう。竹下官房長官は何が何だかわからないが相談していると。条約局長に聞けば二項ありますと。二項ある二項目ですよ。現にやっているでしょう。第二項目に基づいてやっているでしょう、アメリカは。だから、なぜ第四条の二項目の随時協議をやらないのかと言っているんです。
  155. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 先般の内閣委員会におきましても、この点につきまして、私は、この第四条に基づき特に随時協議をするという形で随時協議を申し入れたということはないんです。しかしながら、この条約の運営に関する限りは、非常に頻繁に接触し協議しておる。その例としてはたとえば最近こういうことであると、こういうふうに申しました。
  156. 水口宏三

    ○水口宏三君 あらゆる外交チャンネルを通じて接触していると、どういうことをいつ接触したかの資料出してくれと言って、あなたが出したのがこれなんですよ。これが、一体これでもって国民が納得しますか。そんなアメリカ局長信用できない。だから私が言っているのは、そんなことをやらずに、むしろ第四条に条約上ちゃんと権利があるのですから、国民がこれだけ心配している状況の中で、当然アメリカ協議をするのは政府の責任ですよ、条約運営上も。官房長官そう考えませんか。それをなぜやらないんですか、一体。
  157. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は、水口さんが、このいまのアメリカの軍事行動は、これは違法と、あるいは不当、そういうふうな種類のものじゃないか、そういう主観的な判断日本政府としてできないか。こういう質問に対しまして、安保理事会がそういう問題は判断すべきであると、こういうお答えをしたんです。それに関連いたしまして、それは事前協議制度があるのだから、そこでひとつ事情を聞いて、日本政府判断したらいいじゃないか、こういうお尋ねですね。そこで、そういう考え方はありませんと、いたしませんと、こういうふうにお答えをいたしておるわけなんです。つまり安保理事会にかわるような任務を持ってこの随時協議、これをする考え方はとらない、こういうことなんです。つまりアメリカに幾ら聞いたって、それは私ども、アメリカはおそらく自分の主張を裏づけるようなことしか言わない、そういうふうに思います。そういうところから私どもが判断すべき材料というものは出てきません。やっぱり客観的な機関がこれは判断を下す、それがよろしいと、こういうふうに考えておりますので、そういう目的をもって随時協議ということはいたしません、こういうことを言っているのです。
  158. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも福田外務大臣、二つ話をまぜておっしゃるんですけれども、私が申し上げたのは、何で第四条を置いたんですか、それほどアメリカが信用できないなら、協議したってどうせアメリカは自分の、てまえのことしか言やせぬと、信用できないんだと、そんなものと協議してもしようがないというなら、なぜ第四条を置いているのですか。第四条にはっきり書いてあるんですよ。また条約局長も言っているんですよ。「国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」と、このことがあって初めて極東の平和の脅威であるという合意が達して、その合意に基づいて、本来なら六条が適用されるべきである。そういう手続を踏まずにアメリカはかってに判断をして、極東の平和を乱すものとして、周辺地域の、われわれに言わせればベトナム内部の軍事行動に介入した。そうして日本軍事基地を使っている。国民は非常に不安である。随時協議をやったらどうですか。いや、随時協議をやったってアメリカはてめえのことしか言わないから信用できませんよ。それじゃ一体国民はどうなるのですか。何のための安保条約を結んだんです。第四条は何のためにあるのです。あなたは何をもって反論するのですか。あなたはアメリカを信頼していると言っているじゃないですか。
  159. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もうアメリカの説明を聞けば、それを了解するということになり、これはアメリカの主張を承認もすると、そういうことになります。しかし、私はあくまでも個々の軍事行動のことを言っているのです。総体のアメリカベトナム政策について言っているのではないのです。個々の軍事行動について、それが是か否かという判断は、これは客観的な国連安保理事会の決定すべき問題である、随時協議というような機構を通じまして決定すべき問題じゃない、こういうことなんです。そこで、わが国としては、とにかくアメリカベトナム戦争をやっていると、わが国の米軍基地にいろいろな波動が及んでくる、これは御指摘のとおりです。しかし大事なことは、わが国といたしましては二つある。一つは、戦争に巻き込まれてはならぬということです。そのための制度がある。これは事前協議であります。わが国基地を作戦戦闘行動の基地としない、こういうことにつきましては、かたくそういう方針をとりたいと思っております。  それからもう一つの問題は、これはわが国は、安全保障条約はこれを必要とする立場に立っておるわけです。どうしたってわが国の自衛力をもってしては抑止力としてたえない。そこで安保条約というものを結んだ。その安保条約の義務というものは、これは果たさなければならない、こういうふうに考えておるんです。その義務を果たす。その上におきまして、米軍の兵器、その修理、補修を行なう。あるいはいろんな資材の補給を行なう。そういう米軍の行動、これは承認をせざるを得ない。もしそういう条約上認められた米軍の権利を承認しないということになると、これは安保条約の規定をゆすぶることになるんです。そこで、これは非常に重大な問題だと、安保条約はどこまでも堅持する、こういう立場はこれはとっていかなきゃならぬ。そこで、その辺が少し水口さんと意見が違ってくる点じゃないか、そういうふうに思いますが、それにしてもですよ、しかし無用の不安を、不当の不安を国民に与えてはならないと、そういうふうに考えております。でありまするからこそ、アメリカに対しましては、ベトナム戦争にもかかわらず、わが国基地においてとる行動につきましては、日本国民感情を考慮し、つつましやかな行動をとってもらいたいということを、事あるごとに要請をしておるというのが現状でございます。
  160. 水口宏三

    ○水口宏三君 どうも外務大臣答弁、私にはわからないのです、というのは——この点はやめます。いずれにしても、第六条を発動するにあたって国民が非常に不安を持っている。第六条というものは、少なくともアメリカは、極東の平和というものをもとにしていまやっているわけなんですね。しかもそれは、これまで日本政府の言っていた極東範囲周辺の、われわれに言わせればベトナム内部の問題なんだ。国民もそう思っておる。アメリカが軍事介入したことによってエスカレートをしてきた。日本基地がどんどん使われておる。非常に心配だと、そういう事態を引き起こした場合に、われわれは、安保条約を廃棄しろとか存続しろとかという議論とは違うのです。条約に第四条という規定があるのだから、第四条に基づいてアメリカと正式に十分協議をすべきではないか。なぜかと言えば、福田外務大臣すらですよ、全体的にアメリカベトナム政策には理解を持っている、軍事問題も含めて理解を持っているとはおっしゃるけれども、今回の少なくともアメリカがとった行動については、灼熱した戦争であるがよくわからぬとおっしゃっている。だから私は、第四条に基づいて、十分、それがどうして極東の平和の脅威になり、それに対してアメリカはああいう行動をとらなければならなかったかということを協議する、それこそむしろ変な話ですけれども、安保条約を正しく維持するための日本政府の責任じゃないですか、国民に対する。何のために第四条をつくっておるんですか。全然外務大臣のおっしゃるのは一人よがりであって、自分だけそう思っていて、国民のことを考えていないことになる。国民は知らないから不安なんです。あなただってわからないと言っているじゃないですか、灼熱した状態。安保条約廃棄しろなんて少しも言ってないです。
  161. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私もとにかく閣僚の一人ですから、国民のことはしょっちゅう考えております。しかし、安保条約というものがある。安保条約を維持していかなきゃならぬ、こういうことについては国民にも理解を持ってもらわなければいかぬ。これはベトナム戦争が行なわれておる、その波及を最小限にしたい、そういうふうに努力をしておりますが、しかし、安保条約というものがあって、とにかく補給、補修、そういう面においてわが国は米軍に協力をしなければならぬ立場にある。この協力を怠るというようなことになると、これは安全保障条約の運命にも関するようなことになってくるんですから、これはわが国としては重大な問題である。そういうことにつきましては、国民にも御理解を願いたい、こういうふうに考えます。
  162. 水口宏三

    ○水口宏三君 外務大臣、どうしてそういう答弁なさるんですかね。われわれは安保条約を廃棄しろなんて言ってないんですよ。安保条約に基づいてアメリカのとっておる行動は非常に国民に不安を与えておると、だからこそ第四条によって協議を行ない、あなた方も十分納得でき、国民を説得できるならそれでいいじゃないですか。そのことを何でやらないんですか。やらない理由はないじゃないですか、何も。だからわれわれとしては、どうしてもその点、何かあるんだろうと考えざるを得ないですね。これはよしましょう。  大体、外務大臣、おかしいですよ。安保条約があるからアメリカ軍事基地を使うことを認めなければならない。無制限じゃないんでしょう。第六条に基づいて使うわけでしょう。第六条には何と書いてあるんですか。私、読んでもいいですよ。極東の平和が脅かされた場合ですね、しかもですよ、最近政府極東周辺の地帯にまで含めてこれを拡大している。しかもベトナムのような、いわばわれわれに言わせれば国内紛争すら拡大して考えている。それを認めたとしてもですよ、あなたのおっしゃっているそれによってアメリカ日本基地を使って軍事介入をしたと、灼熱の状態にある、わけがわかりません。だから、それは国連憲章の五十一条の集団的自衛権の発動として妥当であるかどうか、安保理に聞くということを考えている、われわれは安保条約があるからアメリカの言うことを何でも聞きますという、これでは国民は納得しないんではないか。だから第四条に基づいて当然協議をして、これをあなた方がほんとうに納得をし、また国民に説得するんなら、したらいいじゃないですか、こういうことを言っているのであって、何も安保条約の義務を履行するなとか、あるいは安保条約を廃棄しろと言っているのではない。安保条約の義務を正しく履行しなさいと言うんです。権利を十分活用なさいと言っているのです。それをあなたはなぜ——われわれは安保条約を破棄の立場にあるから、話しても相手にならないような、そんな答弁をなさったって意味ないですよ。何で大臣、協議をやらないですか。
  163. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) わが国ベトナム政策を、軍事行動を含めまして、全体としてアメリカ考え方理解を示し、これを支持しておるわけなんです。そういうアメリカが軍事行動を展開している。これはそのときどきによって軍事行動の態様は変わってくるでしょう。しかし、その態様が、これは国際法規に違反をしておりますとか、あるいは国連精神に反するとか、そういう意味では困る。しかしそうでない限り、わが国アメリカベトナム政策に理解を示し、支持しておるわけでありまするから、また安保条約を結んでおる立場にあるから、アメリカの在日米軍の行動について協力を示すということは当然です。  その補修、補給、そういうようなものが主になりますが、しかしこれは事前協議対象として、制約条項、これ以外の行動はアメリカにおいて自由にとれる、そういうたてまえになっておるのです。ですから、それを制約をする——とにかくいま灼熱灼熱とこういうことを申し上げますが、そういう状態のベトナムにおけるこの状況に対しまして、南北両当局がいろいろな立場をとる。それに対して一方的にこれを制約をするというような態度は、わが国としてはできません。こういうことを申し上げているのです。   〔理事町村金五君退席、委員長着席〕  また同時に、そういう立場をとるわが国といたしまして、米軍がわが国においてとっているところのいろいろな補修、補給の行為、これがあまり行き過ぎになりますると、これは日本国民感情を刺激する。そこで常にそういう行き過ぎのないようにということにつきましては、注意は喚起しておるのです。おるんですが、どこまでも安保条約上の義務だけは尽くさなければならぬ立場にあるのだと、こういうことも御理解を願わなければならぬ、こういうことでございます。
  164. 水口宏三

    ○水口宏三君 答弁になっていないですよ。私、いつそんなことを言いました。アメリカの軍事行動を制約しろとか、あるいはアメリカが国際法規に違反しているから抗議をしろなんて言ってない。第四条を読んであげましょうか、外務大臣。あなたはこれを読まないでもって言っているんじゃないですか。第四条は「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」となっているんですよ。何も、一方の国が国際法規に違反した場合には協議をするとか、あるいは、一方の国が安保条約の義務を怠る場合それを究明するために協議をするといってるんじゃないんですよ。それで、私が申し上げたのは、現在協議をなさらないから、アメリカが一方的にやっておるんですよ。ベトナムに対して軍事介入をやる、六条に基づいて日本軍事基地を使っている、そのことがやはり国民に不安感を与えているということは、官房長官も認めているわけですよ。何とかして国民のほうは解消したいと言っている。四条によって随時協議をすることが、何で相手を制約することになるんですか。そんなアメリカは悪いことをやってるんですか。
  165. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 話はよくわかりましたが、そういう一般的な意味においての日米間の協議でありますれば、これはもう随時に協議をいたしております。第四条というものを引用はいたしておりません。おりませんけれども、しばしば日米間で協議が行なわれておる。そして、この協議を通じまして、アメリカに、日本に脅威を与えないようにということはしばしば警告をいたしておる、こういうふうに御了承願います。
  166. 水口宏三

    ○水口宏三君 それはあなた、外務省である以上、アメリカだけじゃないでしょう、国交のある国と外交析衝するのはあたりまえじゃないですか、そんなことは。私が言うのは、これは条約があるんです、条約が。その条約に基づいて、六条の権利をアメリカが行使をしている。その背景には、極東の平和に脅威があるからだと。極東の平和に脅威が起きたときには、当然第四条によって——竹下官房長官は不安なんだと。あなただって、灼熱している戦争の状態はわからぬと言っているんです。当然第四条に基づいて正式な協議を行なって、それらの点を明確にして、国民にこれを示す義務があるじゃないですか。政府の義務ですよ。また条約上の権利ですよ。それを、何か、随時協議をしておりますからと言っている。これは、だからさっき言ったでしょう。アメリカ局長がそう言うから、それを出してくれといって、出てきたのがこれですよ。こんなものを出して、あなた、一体国民が納得しますか。
  167. 鈴木力

    鈴木力君 ちょっと関連。  いままでの答弁を聞いていますと、もう最初からぐるぐるぐるぐる同じところを回っているのですよ。そして質問には答えていないのだ。いま外務大臣が答えたことは、もうすでにこの前の委員会でも、午前の委員会でも、政府委員からも答弁してある。それから続いてきていることなんです。しかも、竹下官房長官の午前の私に対する答弁ともだいぶ食い違いもある。こんな状態でこの委員会を続けても意味がない。したがって、私は、一応休憩して、この法案の扱いやらなんか、全部理事会でやってもらいたいと思います。だめです、こんなことじゃ。
  168. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) それでは、十分間休憩いたします。   午後三時四分休憩      —————・—————    午後三時四十五分開会
  169. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は御発言を願います。
  170. 水口宏三

    ○水口宏三君 これまでもくどくど申しましたので、簡略にお伺いいたしますけれども、この四月以来、アメリカベトナムにおける軍事行動に、日米安保条約第六条に基づいて日本軍事基地を使っている。しかも、この軍事基地の使用について国民がさまざまな不安を感じ、また国民生活に直接の影響も与えている。そういう状況の中で、私は、この第六条の適用についてその妥当性並びに六条に基づく基地の使用のしかた、そういうものについて第四条に基づいてアメリカに直ちに協議を行なうことを申し入れる意思がおありになるかどうか、外務大臣に伺いたいと思います。
  171. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 日米安保条約は、そこに第四条というものがあるわけです。この条約実施上の問題については随時協議を行なう、こういうふうになっておるわけでありまして、まあこの条文を格別いままで援用したことはございませんけれども、条約実施にまつわるところの諸問題につきましては、随時、協議をいたしておるわけなんであります。しかし、いま水口さんのお話をだんだんと承っておりますと、私どものとっておる行動、こういうものを法的に明らかにしておいたほうがいいような感じもいたしますので、条約実施上協議を要する重要事項が発生したときは、条約第四条に基づく随時協議を行なう、こういうたてまえをとっていきたい、こういうことをはっきり申し上げます。
  172. 水口宏三

    ○水口宏三君 私が申し上げたのは、現状条約実施上非常に重要な事態が発生をしていると。それは、官房長官もお認めになったように、国民が非常に不安を抱いておる。生活的にもいろいろな脅威を受けている。したがって、重要な事態が発生した場合ではなくて、現在発生しておるから随時協議をおやりになるかどうか、四条に基づいてですね、それを伺っておるわけです。
  173. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) こういう場合も考えておるのです。つまり、一番私ども安全保障条約の実施上大事なことだと思っておりますのは事前協議であります。事前協議対象日米間で打ち合わせはしておる、にもかかわらずこの対象となるべき協議事項、これに違反いたしまして、協議を行なわずしてそういう行動をとるというようなおそれを感じた場合、そういうような際におきましてはわがほうはこの第四条を援用いたしまして、当方よりその問題についての討議を申し入れるというようなことも考えておる、そういうふうに御了解願います。  なお、まあ先ほどから申し上げておりますが、いまベトナム関係がいろいろわが国にも波を打ってくるわけです。しかし、わが国の在日米基地において行なわれるところの米軍の補給、補修等の活動、これが国民感情から見まして好ましくないというようなことにつきましては、これはアメリカにもすでに要請をしておる、自制方督促をいたしておるわけであります。アメリカもずいぶん気は使っておるわけであります。そういう意味におきますところの協議というか、これはもうどんどんやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、とにかく条約実施上非常に重要な問題がある、これはどうしてもアメリカ協議をしておく必要があるというような問題を発見いたしますれば、これは第四条を援用いたしましての協議を行ないます。
  174. 水口宏三

    ○水口宏三君 それは納得できないです。私は、現在そういう事態があるから、第四条に基づく協議をおやりにならないか、やる気があるかどうかと伺っているのであって、将来もしそういう必要がある事態が起きましたらなんていうんじゃ、とても私が申し上げたとおりにならない。たとえば、けさの新聞について見たって、けさほど、午前中に鈴木委員のほうからお話があった「ベトナムに出撃」、「岩国基地が認める」、きょうの毎日新聞に出ていますね。あなたのほうじゃそうでないと言っているけれども、外交チャンネルは効果は発生していない。しかも五月二十九日の朝日新聞によりますと、「ベトナム戦争、佐藤政権も共犯、ビン外相、沖繩基地非難」と言っていますね。これは妥当性は別ですよ、こういうものが新聞に報道された場合、一体何で日本ベトナム民主共和国の、あるいはベトナムの南の革命政権から、共犯者であると言われなければならないのだろうか。国民理解できないですよ。非常な恐怖を感じている。疑惑を感じている。そういう事態が起きているんです、現在。だから現在そういう事態であるという認識に立って、まあきょうこれから直ちに行なえとは申しませんよ。いまの事態が第四条に基づく協議を行なう事態であると私は判断をし、協議を行なう意思がおありになるかどうかを伺っているわけです。条約局長がさっき言ったような、必要な事態が起きたら、実施上必要な事態が起きたら協議しますなんということは、こんなことはあたりまえのことで、私の言っていることの答弁にならない。
  175. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 重要な問題でありますので、どういう事項について、どういう目的を達成するために協議を行なうのか、水口構想をお聞かせ願いますればお答えができるかと思います。
  176. 水口宏三

    ○水口宏三君 まず第一に、もう一ぺん読みましょう。読まなければわからないらしい。「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」、こういう条文ですね。いまアメリカが北爆をやっている。あるいは機雷封鎖を行なった。これは極東の平和に危機が生じたからとアメリカは認定したからでしょうね。そうしてそのために、第六条に基づいて日本軍事基地を使用している。しかもその使用のしかたが、これはもう毎度、先ほど述べました、新聞に報じられているように、非常に国民に不安を与えている。このことはけさほど竹下官房長官もお認めになったし、先ほど官房長官も、そのことはすでにお認めになっておる。そうですね。  そこで私が伺いたいのは、何も事新しくアメリカベトナムにおける軍事行動を停止しろということを申し入れろなんと言うんではなくて、まず四条による協議を行なって、アメリカがどういう軍事的理由、どういう情勢判断に立って、ベトナムにおける北爆なり、あるいは機雷封鎖を行なったか。あなた自身も御存じないように、灼熱状況にあるわけですから、そういう事態というものをアメリカ側と十分協議しなさい。しかも、国連憲章五十一条に基づく集団自衛権の発動としてそういうことを行なったアメリカ側の根拠、理由ですね。なおかつ、これまでの事例は全部あげません。新聞にあげられた事例だけでもたくさんあるし、もちろん外務省もこれ以外の事例もたくさん御存じでしょう。こういう事態を引き起こさざるを得なかったアメリカ側の理由ですね。そういうものを十分協議なさい。少なくても基本的にですよ、六条を援用することがやむを得ないと国民が納得し得る、そういうことをまず第一にやっていただきたい。  第二には、たとえ六条によって日本軍事基地を使うにしても、いまの使い方というものは、もう一つあと質問いたしますが、例の事前協議とすれすれの形でもって行なわれている非常に危険な状況です。こういう危険な状況に関して、国民が、それではやむを得ないと、またあなた方も、それはやむを得ない、国民を説得できるというような点について、この二つですね、二点について、少なくとも四条に基づいて随時協議を行ない、アメリカ側の具体的な資料の提出を求め、アメリカ側意見を十分に聞き、あなた方の考え方も十分に述べ、合意に達したものは合意に達したものと、合意に達し得ないものは合意に達し得ないものとして、できれば当委員会に御報告を願いたい。
  177. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) いま水口さんは二つの点に触れられたわけです。つまり、機雷敷設という軍事行動、これがはたしてどういう性格のものであるかと、こういう問題です。それから、第二の点は、基地の使用の態様に関する問題。在日基地ですね。この二つの問題。  第二の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、条約実施上協議を要する重要な事項が発生したときは、条約第四条に基づく随時協議を行なう、こういうふうに申し上げましたが、その趣旨でいままでもやってきておるつもりでございまするけれども、なおこれを厳密にいたしていく。いままでは条約第四条を援用いたしませんけれども、援用いたしたこの協議をいたすということにいたしたいと思います。  それから第一の、この機雷の問題でありますが、これはなかなかむずかしい問題じゃないかと思うのです。これはそもそもベトナムにおける米軍の軍事活動を含めてのベトナム政策、そういう問題の一つのこれが態様である。こういうふうに考えられるのでありまして、どうも私どもといたしましては、アメリカベトナムにおける諸政策、軍事行動を含めましてこれを理解し、支持しておる国といたしまして、これをあらためて協議するというのはどうだろうかと、こういうふうに思うわけです。もしこれに疑いがあるとするならば、国連というような客観的な機関において判定をすべき問題ではあるまいか。そんな感じがいたします。
  178. 水口宏三

    ○水口宏三君 ちょっと外相誤解していらっしゃるので、もう一ぺん私申し上げますけれども、アメリカが機雷封鎖を行なったことがいいか悪いか、の討議をするのじゃないですよ。アメリカ極東における平和を脅かすような事態が発生をしたという認定に基づいて北爆を行ない、機雷封鎖を行なったわけですね。そうなんでしょう。したがって、そのようなアメリカ認識が何に基づいてつくられたのかということについて、これは当然この条文のとおり、さっき条約局長が言った条約の実施上の問題、もう一つ極東の平和が脅かされた場合云々の問題、二項あげた二項目の問題ですよ。この問題に基づいて第六条の基地の使用が行なわれるわけですから、基地の使用の態様についてももちろん問題がある。それ以前の問題と私が申し上げたのは、そう言っても外務大臣はそらすのですけれどもね、安保理の問題ではないのです。アメリカがそういう認識に基づいてベトナムに対する軍事行動を起こし、その軍事行動が当然第六条に該当するような、日本軍事基地を使用している。このことがさまざまな反響を呼び起こしておるわけですね。で、国民は非常に不安である。だから基地使用の態様だけではなしに、基地使用の根源である六条をアメリカが援用する、六条に基づいて基地を使ったということ自体に対する認識について、もっとアメリカとの協議をする必要がある、そういうことを申し上げた。
  179. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) アメリカは機雷封鎖を行なうに先立ちまして、わが国通報いたしておるわけです。そして国連憲章五十一条の発動であるということも言っておるわけです。まあ私どもはそれを了とするという立場にあるわけなんですけれども、その行動が行き過ぎであるかどうかということになると、私どもとしては判断がむずかしい。もうその以前の問題である。つまり、自衛権発動の一つの態様としての機雷敷設、そのことになりますると、これはもう八年前からずうっとわが国アメリカの軍事行動を含めてのアメリカの政策を支持してきておる。こういう立場でありまするから、いま何を協議するのか、私もちょっと当惑せざるを得ないんであります。
  180. 水口宏三

    ○水口宏三君 しかしね、外務大臣、さっきおっしゃったでしょう。いまベトナムでどういうことが行なわれているか。灼熱の戦争が行なわれていることはわかるが、この事態はわからないとおっしゃったでしょう、そうでしょう。そういうことがわからないでいて、少なくとも日米安保条約国民が不安な中でもって、そのまま六条は使用されていいもんですか。そういう、少なくとも外務大臣ですら、そういうことを一番知っている外務大臣ですら、わからないと言っている。国民はもちろん全然わかりませんよね。それをわかろうとする努力、むしろ理解しようとする当然の権利、これは先ほども問題になった知る権利、当然四条による随時協議を通じてそれらの点を明らかにしていくべきである。それが当然六条に基づく日本における軍事基地使用というものに——そこへいくと私とおそらく大臣と見解は分かれるかもわかりませんけれども——大臣としてこれは妥当である、灼熱をしているが、よくアメリカに聞いてみると、こうこうこうだからそれは妥当であるという判断をお持ちになれるかどうか、そこがむずかしいですね。国連憲章五十一条に基づく集団自衛権の発動としてとった行動、アメリカ側にすればそうですね。ところが日本にとってはそうではない。六条に基づく基地提供の問題になってくるわけです。そこら辺のところを明確に協議すべきじゃないかということを言っておるのです。もし全然日本関係なしにですよ、アメリカがたとえば中東戦争でエジプトに対してたとえば爆撃をした、集団自衛権の発動だと言ったと、これは安保理事会のほうで討議しなければいかぬ、そういう場合はいいと思うんです。問題は、事ベトナムに関して、そういう集団自衛権の発動と称してとったアメリカの行動によって日本軍事基地が使われたという、この事実ですね、これは非常に日本国民にとっては重大な問題です。しかも大臣はそれをわからぬとおっしゃるから、それならばアメリカと随時協議をなさい、一切の基地使用の態様について。私はあと一つだけ申し上げますけれども、態様についても非常に怠慢です、態様の規制のしかたが。その二点について随時協議をすべきだと思う。
  181. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 第二点のほうは、私は水口さんと考えは別に変わっておらぬように理解していますが、基地の態様について国民に不安が起こるというような事態がありますれば、まあ自粛というか、自制を要請する意味においての随時協議を行なう、これは私はそのとおりいたしましょう。しかし、この第一点の問題になりますると、私どもはもうベトナムにおけるアメリカの政策、これはもうずっと支持してきておるわけであります。そのアメリカベトナム政策のその時点時点における行使の態様というものは千変万化いろいろあるわけなんです。いま当面問題になっているのは、これは機雷敷設だと、これもアメリカの軍事行動を含むところのアメリカベトナム政策の一環なんです。一態様なんです。そのもとにさかのぼって議論をする、そのための協議、これはなかなかむずかしいんじゃないんでしょうか。これは私ども何といっても五十一条に基づくと主張するアメリカベトナム政策、これについてはもう長い間理解を示し、これを支持するという旨を表明してきておるわけです。その一態様が起こっておるわけなんであります。その問題は、国際法に違反するとかあるいは国連の精神に違反するというようなことでありますれば、これは問題があります。しかしそれをわが国が判定する、こういう立場にもない。やはり客観的な機関においてその判定は下さるべき問題である、こういうふうに考えます。
  182. 水口宏三

    ○水口宏三君 これは判定を求めているのじゃないんですよ。大臣、どうしてそんなに飛躍するのかわからないのですけれどもね。大臣自身も、今度のアメリカの行動が国連憲章五十一条に基づく集団自衛権の発動として妥当であるかどうかは、これは最終的には安保理できめるであろうとおっしゃっている。日本政府としてはそれに対しては明確な判断ができないと、ただこれまでのアメリカベトナム政策を軍事問題をも含めて理解をしているという御答弁だけなんですね。いいですか。しかもいまベトナムでどのような事態になっているかは、灼熱した戦争の状況なので自分にはわからない、判断が下せないとおっしゃる。問題はですよ、そのことが日米安保条約第六条に基づいて、日本軍事基地アメリカが使用し、国民に不安を与えている、これには二つの要素がある。根源はですよ、根源はベトナムにおけるアメリカの軍事行動に対する国民理解がいかない。したがって、その軍事行動のために日米安保条約が使われ、その結果として軍事基地の使用のさまざまな態様が出てくる。こういう因果関係です。私はもとのところですね、それについてあなた自身もわからないとおっしゃるのだから、日米安保条約四条に基づく随時協議をやって十分わかっていただいて、四月以降のこの事態——何も十年、二十年さかのぼって全体のベトナム問題を云々しているのではないのです。四月以降のこの北爆、あるいは海上封鎖、あるいは艦砲射撃、こういう新しい軍事行動が六条にいう極東の脅威に該当するのかどうか、したがって、六条に基づいて日本軍事基地を提供する義務があるのかどうか、これをあなた自身が納得できるような説明を、公式の場である第四条に基づいてまず行なう、そして納得できた、しかし国民が非常に不安であるから基地の使用に対してはこれこれこれこれというまた注文をつける。私は決して無理じゃないと思う。当然だと思うのですね。
  183. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) どうも水口さんに私の言う趣旨が理解されないように思うのですが、私は事を分けて考えておるのです。つまり、ベトナム政策ですね、アメリカベトナム政策ですね、これはわが国としてはもう理解し、また支持をしておる。しかし、こういう議論があるのです。北爆、あるいは無制限な殺傷を行なうじゃないか、無辜の市民を傷つけるじゃないかというような議論でありますとか、あるいは機雷敷設はこれは国際法上から妥当ではないのではないかとか、まあいろいろ議論がある。そういう具体的な戦闘行動に行き過ぎがあるのかないのか、こういう点につきましては、私どもには、これは何というか、そう深入りする立場にもありませんものですから、これは判定できませんと、こういうことを言っておるのです。このアメリカの軍事行動を含めてのベトナム政策につきましては、これを理解し、また支持する立場にありますので、これは安全保障条約、これが適正にわが国において適用されなければならない、そういう立場をとっておる、この点はひとつ御理解を願いたいのであります。でありまするから、したがいまして、機雷敷設が国際法上あるいは国連憲章上妥当であるのかないのかということについての日米間の協議、これは私はせっかくのお話でありまするけれども、お約束することはできない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  184. 水口宏三

    ○水口宏三君 いや、外務大臣は全然私の言っておることと違ったことをお答えになっておるのですよ。機雷封鎖が国際法上どうであるかこうであるかなんということをよりによって協議すべき事項ではないでしょう。それはあなたがおっしゃっておるように、あなたがわからないなら安保理事会の理事国の他の国の意見も聞いて勉強なさったらいいのです。問題は、それらの行動を第六条に基づいて日本にある基地を使っているということ、このことが問題なんですよ。アメリカが機雷封鎖したとか、北爆をしたということ、そのことに対する問題は、これはあるいは安保理でやるべきでしょう。政治的にはそういうことについての、おそらく外相と私とは判断が違うと思う。価値判断、評価も違うと思う。それをここで議論しているのではない。そのために日本軍事基地が使われていることは事実であり、そのことによって国民が非常に不安を抱いている。しかも、アメリカが何で機雷封鎖を行ない、何で北爆を行ない、艦砲射撃を行ない、それが現状どうなっておるのか、それは、外務大臣は灼熱した状況なのでわからぬとおっしゃるから、それなら何で四条に基づく随時協議によってそれらの点を明らかにして、こういう状況なんだと、したがってアメリカがああいう行動をとることは日米安保条約第六条に基づいて極東の平和、その中心である日本の安全を守るためには必要なんだということを国民に明白にするためにも、当然随時協議を行なうべきじゃないですか。それをあなた、すぐ何か機雷封鎖かなんか国際法違反だとか、何違反だとかいうほうに飛んでいっちゃうのです。そんなことは一つも言っていない。安保条約のことを言っているのです。
  185. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 安保条約の適用の議論になりますると、これはアメリカベトナムにおいて行動する、これをわが国としては支持する立場にある。こういう、しかも安保条約上は、これは極東周辺地域である、そういうのですから、わが国基地としては、それに相応する行動をさせなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。この第四条は、条約実施上いろいろな問題がある。そういう問題を随時協議しよう。私が一番この問題で重要視しておりますのは事前協議のことなんです。事前協議に必要な対象となるべき事項を、行動を、これを協議なしに行なわんとする形勢があるというようなことを察知したときには、当方から抗議に類した申し入れをいたしまして、そして事前協議対象にまあ引きずり込むというか、そういうこと、そのことはまあ非常に大事なことである。随時協議の最大の問題はそれだと思います。  それからもう一つ、それとは少し関連がないのですが、もう少し長い目の問題としまして、この事前協議の問題を、この条約第四条を援用いたしまして、そしてまあひとつ日米間で洗い直しというか、そういう協議をしてみたい、こういうふうに考えております。
  186. 水口宏三

    ○水口宏三君 それは大臣、だからね、大体その事前協議事項というものは、これは交換公文であって、第六条で、たとえば日本基地を利用して直接作戦行動に出る場合なんていうのは、第六条の実施が妥当であると認められた場合の行動の一つの制限です。第四条はそうではない。むしろこの安保条約全体の実施に関する事項、特に極東における平和に対する脅威が起こった、そういう場合ですね、あるいは日本の安全を脅かされる事態が起こったと、条約局長、はっきりしているじゃないですか。その二つの場合に、第四条に基づく随時協議というのが行なわれるのですよ。事前協議というものは本文にはないのですよ。六条によってアメリカ軍が基地を使う場合に、むしろその制約条件として交換公文で三つの要素がつくられている。事前協議があぶなくなったときに四条の随時協議をやるなんていうことはどこに書いてありますか。条約の本末転倒ですよ。四条でいうのは逆ですよ。条約全体の実施に関する問題、第二は極東の平和の脅威、日本の安全に対する脅威が生じたという場合、こういう場合に随時に協議ができるというのが第四条でいう随時協議ですよ。それで、いまアメリカ極東における平和の脅威が生じたという、そういう前提のもとに、六条に基づいて、国連憲章五十一条の集団自衛権の発動による軍事行動に使っているわけでしょう。そのことを私は言っているのですよ。それがもし四条が事前協議事項だけのものだというなら、全然条約の構成上逆ですよ。
  187. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私の言うのを御理解願いたいのですが、私は、事前協議でいう事前協議、その協議は、これは事前協議条項に基づく協議なんです。それは第四条ではないのです。ではなくて、事前協議対象とすべき事項、そういうことについて、いろいろ皆さんの間で御議論がある。もっと協議対象を広くしたらどうだとか、いろいろ御議論がある。そういうことを踏まえての日米間の協議、つまり事前協議の、その具体的協議でありませんけれども、協議対象をどういうように観念するかという話し合い、これは第四条に基づく随時協議、そういう……。
  188. 水口宏三

    ○水口宏三君 一つでしかない。ごく一部分でしかないですよ、四条。
  189. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もちろん私は、だからそれが全部だというふうに言っておりません。例示をしたわけで、一番、私は何というか、重要視しておりますのは、そういう事前協議制度の運用に対しまして、いろいろ十二年間御議論があります。そういう問題をこの際整理しておいたほうがよかろう、こういうように考えておりますものですから、その協議は第四条の発動によってやるんだと、こういうことを申し上げているわけであります。
  190. 水口宏三

    ○水口宏三君 そんなこと聞いていないじゃないですか。私は事前協議一つも言っていないですよ。私の言ったような意味での随時協議は、第四条による協議は行なわないのですね。事前協議なんて私は言っていないのですよ。私の言ったのは二つの理由、つまり、六条によってアメリカ日本軍事基地を使う。その極東の平和の脅威というものについて、国民が非常な不安、あるいは疑惑、あるいは生活上の脅威を感じている。それが一つですよ。もう一つは、さらに具体的な、今度は相模原の問題とか、佐世保の基地の問題とか、あるいは岩国の問題と、いろいろありますですね。実際問題としての基地使用の態様の問題、この二点については、それでは四条に基づく協議は行なわないのですね。行なうという考えはないのですね。
  191. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 二つ問題が提起されておるようですね。
  192. 水口宏三

    ○水口宏三君 初めから言っているじゃありませんか。
  193. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 一つは、ベトナムにおける米軍の行動、その本質論、それから第二の問題は、基地の使用の態様の問題である。基地の使用の態様の問題につきましては、第四条により随時協議、これをいたすと、こういうことを言っているのです。いままでも随時協議はしておりますけれども、第四条を援用しての随時協議という形をとっておりませんけれども、事、重要な問題につきましては、随時協議の形をとった協議を行なうと、こういうことを申し上げておるわけなんで  それからベトナム戦争の本質論にまでなりますと、これはあなたのおっしゃる第一の点でありますが、これは私はもうすでに済んでおる問題であり、いまさら事前協議というか、そういう問題にはなじまない問題である、こういうように理解しております。
  194. 水口宏三

    ○水口宏三君 納得できない。
  195. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 条約局長、何かありますか。
  196. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) ただいま大臣のおっしゃられたことをちょっとふえんして説明させていただきますと、第六条は「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」、第六条の日本基地を提供する義務は、安全を脅かされた場合ではございません。安全の寄与及び平和の維持のために寄与する。したがって、必ずしも第四条の「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」ということは直接的には結びつかないわけでございます。もちろんわれわれは、この間に関連はないとは申しておりません。したがって、第六条によりまして、われわれがベトナム戦争のために補給基地を提供しているということは、従来の経緯から見まして、これはわれわれとしては、この八年間続けてきたと、そういうことでございます。したがって、現在、第四条に基づく「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたとき」というような事態には、おそらくいまわれわれとしては至っていないのじゃないか、こういうように考える次第でございます。
  197. 水口宏三

    ○水口宏三君 それでは、いまのベトナムにおけるアメリカの軍事行動というものは、極東の平和を脅かすような事態が起きたからやっているのではないですね。いまあなた、おっしゃいましたね。そうですね。
  198. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) それはアメリカ最初ベトナムに参戦したときはそのような状況であったろうと思います。しかしながら現在の八年間の戦争の結果、いまのような状況になりますと、これはむしろ直接極東の平和及び安全に対する脅威が生じたときではないんじゃないか、少なくともその事態は徐々に改められつつある、このように考えます。
  199. 水口宏三

    ○水口宏三君 大臣、それでよろしいですか。
  200. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 吉野局長の言っている趣旨は、先ほど私が申し上げました、このアメリカの対ベトナム政策、この軍事行動を含めての意味でありますが、それが国連憲章五十一条にのっとってやっておるのだ、それに対しましては、わが国は、これを理解し、かつ支持する態度をとってきておるわけなんであります。その原点にさかのぼって、アメリカベトナム参戦是か非か、わが国がそういう判定をしなければならぬという立場に立ったその当時というと、もうこの条約第四条にいう「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」と、こういうことで、もう過ぎ去ったことである、こういうことを申し上げたんだろうと思いますが、私はそういう意味であるとすれば、そのとおりに理解をいたします。
  201. 水口宏三

    ○水口宏三君 脅威でないと言っているんですよ、アメリカ局長は。アメリカ局長、訂正しますか。
  202. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 私の説明が少しことば足らずでございまして、訂正さしていただきます。
  203. 水口宏三

    ○水口宏三君 ことば足らずじゃないですよ。じゃ何ですか。脅威があるんですか、ないんですか。
  204. 吉野文六

    政府委員(吉野文六君) 脅威はあります。
  205. 水口宏三

    ○水口宏三君 それからもう一つ。福田外務大臣はいつもそうごまかすんですが、私の言っているのは、五十一条に基づく集団自衛権の発動というものは、アメリカは常時行なっているわけじゃないですよ。その前にときにはむしろSEATO第四条に基づく地域として指定して、それで行なっているんですよ。今度の北爆、艦砲射撃、機雷による封鎖、これを単独で国連憲章五十一条に基づく集団自衛権で行なっている。なぜかといったら、おたくの条約局長、こう言っている。「SEATO開いても反対する国が多いからまとまらない、ほんとうならSEATOでやりたいんだろうけれども、できないから単独で五十一条でやった」、こう言っているんですよ。いいですか、そういう行為というものが、だから、さっき申し上げたように、もし日本安保条約と無関係に、アフリカで行なわれているんなら、いま言ったことでいいんですよ。日米安保条約に基づいて極東の平和に対する脅威、ひいては日本の安全を脅かすからといって、六条に基づいて日本基地を使用して補給、修理、輸送、場合によっては直接出動すらしているんです。そこらのところを明確にしていただかないと、適当に二人でかけ合い漫才でごまかして、訂正してみたり、助けてみたり——困ります。そういうことだから、私は四条に基づくアメリカとのはっきりした協議を行なって、この四月、アメリカが国連に通告をした、この行動ですよ、その行動についてきちんとしてください。いままでのばく然とした、アメリカベトナム政策を支持するかしないか、そんなこと聞いているんじゃないのですよ。
  206. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 水口さんのおっしゃることは二点あるわけですがね、第二点は御満足がいけたんじゃないかと、こういうふうに思います。それから、第一点につきましては、もう少しこの協議するかしないか、こういう問題ですから、協議対象は何だ、どういう事項について協議するのだということをもっと短くてよろしゅうございますから、整理しておっしゃっていただきたい。
  207. 水口宏三

    ○水口宏三君 整理しておっしゃっていただきたいと言っても、さっきもあなたに言ったのに、何回言ったらいいんですか。
  208. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) もう一回願います、書いておきますから。
  209. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 水口君に申し上げます。  このまま調査を継続いたしましても、議論が並行しておるようで、前進が非常に困難でありますから、水口委員の議事録をよく読んでいただきまして、政府としてそれに対する明快な御答弁をいただき、書きものでひとつはっきりいただきまして、委員会で十分検討いたしまして、それが前進するものでございますれば、それで進みたいと思います。本日のこの議論に対する政府の回答については、当委員会ではまだ十分了解できませんので、その議事録によってひとつ御回答をまたいただきたいと思います。
  210. 水口宏三

    ○水口宏三君 議事進行。  不満です。というのは、いま国会終末で議事録の作成がたいへんなんですよ。二週間かかるのです。原稿見て、いつやっていただけますか。それをひとつはっきり。
  211. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 水口さん、私もその協議対象というのを、これがまだ明確に頭の中へ入らないのです。そこで、協議対象ということをそれじゃ書きものにしていただきます。そういたしますれば、私どもまた、これはそう時間がかかりません。すぐという程度に御回答できるようにいたします。
  212. 水口宏三

    ○水口宏三君 次の委員会までその問題、あれしなさい。委員長、やめさせてください。
  213. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 福田外務大臣に申し上げます。  次の委員会は来週の火曜日に予定をいたしておりますので、それまでに統一見解をお示し願いたい。その上でまた……。  ほかに御質問ありませんか。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 要望だけちょっと。  いまの問題に関連するのですが、あなたは、必要があるときは随時協議を開くというようなことをさっき言われました。しかし、けさほどからこの委員会が開かれている意味というものについて、私ははっきりしておいてほしいと思う。実は今度のベトナムの問題が発生してから基地のあのような使用、そうして実際は直接の出撃をする、そうしてベトナムとすっかりつながってしまう、こういう事態に対して数々の不安が起こっておる。この国民の要望にやはり当委員会としてはこたえなくてはならない。最も中心の課題じゃないか。こういう問題を論議しないで、われわれ内閣委員会としての責任を果たすことはできない。そういう形でこれは開かれた委員会なんです、第一。そうして問題になっている事前協議の問題、さらにそれと関連して随時協議の問題が出ているわけなんですけれども、それについてどうなんです。少しもあなたたちの姿勢がはっきりしないんです。仮定の上でしょう。はっきりそのような協議を開くというような意向は表明されないし、それからその対象はどうするかということで先ほどから話が出ているのです。これは、国民のいま問題にしている問題というのは、たくさんあるでしょう。これについてあんたたちはどういうふうにこれは検討されているのか、この一つ一つを取り上げて検討すれば、これは問題の出てくる問題だ。そうして何よりもこういう国民の不安にこたえるという意味から、この問題をとにかくアメリカ側と当然これは国民立場に立ってこれを取り付けるということは当然のことじゃないですか。なぜあなた方はそれを避けておられるか。先ほどから、もうこの前には絶対随時協議はしないというような答弁されていて、そういう姿勢じゃ、これは困ると思うのです。そういう姿勢じゃ、これは安保条約そのものにある条文さえもこれは履行しないということになるわけですからね。事前協議では、もういままでこれに対する批判というものは、あらゆる面から起こっている。国会事前協議の論議の中で時間をいたずらに費やして、それに対する三百代言的な答弁がなされている。そういうかっこうの中で、実際は、どんどんどんどん時間を空費している。その間に既成事実はどんどん進んでいっている。そうして戦争の危険というようなものは、これは迫ってきておる。こういうものに対する国民の不安というもの、これを明確にするのは当然です。  もう一つは、沖繩返還後には基地の態様は変わるんだと言っている。ところが何ら変わりはない。そして最もその姿勢を明らかにしたのはB52のあの問題であります。そうでしょう。そういう問題、まあ山積みになってこの問題起こっている。それに答える姿勢があるのかどうか。これは政治姿勢として非常に重大な問題です。だから、これは社会党から出たわけでありますけれども、同時にまあさっきも理事会で論議されたし、それからこの委員会がそもそも始まった。それで特に外相と防衛庁長官官房長官の出席を求めて、そうして、とにかくこの問題をわれわれとしてはあくまでもこれは追及するのが国会議員の任務だ、また内閣委員会の当然の任務だと、こういうことから始まっているんだということを、これは明確にしておく必要がある。そうでないと、先ほどからの答弁というのは全くこれは、速記録を見ればこれは明らかでありますけれども、ひどいことになっておるんです。結局そうでしょう。米軍の行動を合理化する、そういう態勢の上に立って、そして問題がいつでもこれは答弁されてきておるわけだ。極東条項との関連、そういう関連の中で当然この極東条項が生きる限りは、これは拡大解釈されていま適用解釈されている限りは事前協議はあり得ないんじゃないかという議論さえ、はっきりこれは今日出てきているんです。そういう事態の中で、いまの一体外相の繰り返されている答弁というものは、国民のそういうものにこたえることになりますか。はっきり、ならない。外務省の事務当局に至っては、最もこれははなはだしい。問題にならぬ。こういう形で論議を繰り返されるんですから、これに対してはっきり答えるという姿勢をとるべきだと私は考えるんですけど。どうですか。
  215. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 条約実施上重要な案件が生じたときには、条約第四条に基づく随時協議を行なうと、先ほどから何回もはっきり申し上げておるわけであります。御理解を願いたい。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 仮定じゃないですね。何々のときはというふうに先ほど言いましたね。何々のときはという仮定……
  217. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) ちょっと待ってください。まだ……。  それから第二のB52を引用いたしましてのお話でございますが、B52は、これは沖繩に気象の関係上給油ができなかった、それで緊急着陸をしたんで……。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうことはいいですよ。
  219. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) そういうことをもって……。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはまたやるんですから。
  221. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 安保条約の条項が……。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 基本的な姿勢……。
  223. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これがゆがめられたと、こういう私は議論は、これは妥当じゃないんじゃないかと、こういうふうに思います。かつ国民もそういうふうに私は理解されると、こういうふうに……。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 外務大臣ね、大きいところでなにしてください。いまの給油の問題など、これやりだしたらしようがないんだから、それを私はまた追及しようと思っていませんよ、いま。別のところでやります。何かあなたは大きなステーツマンとして、当然いま何をなすべきか。ことにまあ相当なところ、渦中の中にいるわけなんだから、少し腹を据えてものを言ったらいいと思う。そういうあなた、まるで官僚答弁に輪をかけるような答弁していたら、これはだめですよ。失格ですぞ。
  225. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 外務大臣、この問題はわが内閣委員会としましても相当やってきたわけですよ。もう毎回聞いておりましても少しも前進していないわけですよ。随時協議の問題も、現実にいままでこの問題をこの第四条を適用してそして随時協議やったということは一回も聞いたことはないわけです。それで、いままでやったというのを出してもらえばこういうぴらぴらのが出てくるわけですね。こういうものじゃなくて、やはりちゃんとした随時協議をやるべきだと、これはわれわれだけじゃなくて国民の声だと思うんですね、現在。そういう面から考えまして、先ほど外務大臣は、重要事項が発生したときはということをおっしゃいましたけれども、これも非常に抽象的でわからないわけですね。だから水口先生が具体的にいろんなことをおっしゃっているわけです。機雷敷設の問題にしたって、これはいろんな問題を含んでいるわけです。現実に地位協定を適用した、要するに日本基地からいろんな問題が発生しているわけですね。そういう点から考えても、私はどうしてもこの問題については、これは非常に言い回しをいろんなことをおっしゃっておりますけれども、これは非常にむずかしい問題じゃなくて簡潔に答えられる問題だと私は思うんですよね。そういう点から考えましても、きょうの議事録を読んで、この次に明快な回答が出るそうでありますので、そのとおりに私たちは詳細にその答弁を得た上で質問をしたいと、こういうふうに考えているんです。  ただ、きょう大臣がおっしゃった、重要事項が発生したときという、この重要事項が発生したときというのは、大臣はどういうことを考えていらっしゃるのか。こういうことをやっぱりもうちょっと具体的にわれわれに教えていただかないと、われわれは現在起きているいろんなベトナムの今度の北爆、あるいは機雷敷設、こういうようなこと、こういうような一つ一つの一連のことはその一つ一つが重要事項であると、私たちはこう考えているわけですね。重要事項でないとするならば、その一つ一つがどうして重要事項でないのか。そこら辺のところもあわせてこの次に明らかにしていただきたいと、こう考えております。
  226. 中村利次

    ○中村利次君 これは、安保条約に対する考え方、取り組みというのは、各党おのおの立場があるわけでありますから、そういう点の差異はあると思いますけれども、しかし、この第四条の随時協議は、これは私も当然やるべきであると思います。これは具体的に申し上げますと、まあ岩国基地の問題、佐世保基地の問題、本土内の基地の問題、それからこの問のB52の沖繩緊急着陸の問題等がやはり報道されて、これが問題になっておる。ですからこれは、外務大臣はこの内閣委員会で、この爆撃の戦闘作戦行動というのは、基地を発進をして基地に帰ってくるまでという答弁をされたんです。これは会議録をごらんになればわかりますが、しかしそれから、なおかつ空中給油は事前協議対象にならないけれども、地上の給油はこれは事前協議対象になるというたてまえをとっておられた。ところが、現実にやはり嘉手納基地で、この異常な事態によって空中給油ができなくなって、地上給油をやらなければならなくなった。そうしたら、これは行きは戦闘作戦行動であるけれども、帰りはそうじゃないという政府解釈になったんです。ですから、こういう点については、これは国民はたいへんにやはり不満を持つわけです。したがって、そういう問題を含めて、ここへきょう外務省から出された資料を見ますと、「スナイダー在京米臨時代理大使が外務大臣を来訪、F4二個中隊の移動につき連絡した。わが方より本件は事前協議対象となるものではないことを確認。」、次にもあるのです。岩国の問題でも「確認——わがほうが事前協議対象になるものではないことを、何でわざわざ確認しなければならないのか。これはいままでの政府見解事前協議対象にならないものはもうくどいほど確認されているんですね。私どもに言わせると、こういうことをおつけになるのはどうもやはり国会対策という感じが非常に強くある。それからですねB52の立ち寄りは「今後くり返さぬよう注意して欲しく且つ万一にも固定化するようなことはあってはならない。また、B52の戦闘作戦行動のためのわが国施設・区域の使用については、これを認めないとの従来からの日本政府立場を改めて伝えた。」、——これは伝えただけですよね。私どもが要求をしたいのは、こういう点を随時協議対象として、あらゆる想定される事態について日米両国が安保条約に基づいてその合意点を求めて、たとえば緊急着陸の場合があったわけですから、これはそういうことを私は政府は想定をすべきだと思うんですよ。想定をして、随時協議対象として、そのときにはこうするという——事態が起きてから人道上の問題も含めておやりになって、そして何か合理的な、国民をごまかすような見解をまとめるということでは、これは国民は不安であり、政府に対する信頼がなくなると思う。ですから、そういうものを対象として今度の北爆について想定される——日本関係のあるあらゆる問題をやはり協議をして、合意点に達したものをやはり国民の前に明らかにすべきだと、こういうぐあいに考えるんですよ。私はこれは当然であって、そういうことをおやりにならない政府は、国民のやはり信頼を受けるということにはならぬと思うんですね。これはお答えいただければお答えいただきたい。
  227. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) B52の着陸、これはもうまさに天変地異というか、そういう気象上の理由というものが根底にあるわけでありますが、そういう場合、これを着陸しちゃ困るというようなことは、これは人道上の見地からも言えないんじゃないでしょうか。私どもは、これはまことにやむを得ざることであったと、こういうふうに思うんです。ただし、沖繩県民はB52につきましては特殊の感情を持っております。そこで、それが反復されるというようなことになることは、はなはだ私どもとしては迷惑である。そこでアメリカに対しましては、これが反復をしないようにということを申し入れておるのであります。まずまず私は、皆さまの安保条約を否定されるお立場に立ちましても、わが国政府としては妥当な態度をとっているとお考えていただけるんじゃあるまいかと、そういうふうに思うわけです。  なおまた、さらに私どもはつけ加えまして、B52の移駐は、われわれとしてはこれは歓迎しないんだということも申し上げておるわけです。アメリカもこれを理解をいたしておるわけですから、そこまでの処置をとっておるわけでございまするから、立場の相違はありまするけれども、御理解をいただける問題じゃあるまいか、さように考えます。
  228. 中村利次

    ○中村利次君 これはね、そういうことをおっしゃるからおかしくなるんですよ。これはね、安保条約否定の立場と言っておるが、わが党は安保条約をあんた、頭から否定していませんよ。何か言うと、都合が悪くなると、とにかく思想、考えが違うんだ——そういう前提ではないんですよ。そんならばですよ、これはもう緊急事態であって万やむを得なかった、ね、これは人道上も着陸さした、そしてなおかつですよ、今後こういうことがないようにということを厳重に申し入れておる、これどうなんですか、これは。今後それじゃまた緊急事態があって、どうしても緊急着陸しなければならないような事態があったらやはり認めるということでしょう。そんだったら初めからですね、そういうかっこうのいいような、もう絶対に着陸させないということを言わぬで、国民に、賛成反対であってもですよ、政府はこうなんだとはっきりした姿勢をね、ちゃんと随時協議をしてお出しなさいというのが私が言っていることなんですよ。それをね、もうB52の着陸は許さないと言いながら、緊急事態はやむを得ないんだという言い回しをするところにですね、これはアメリカサイドであって自主外交はないんじゃないかといわれる原因がそこにあるんじゃないですか。ですから、想定される事態はいろいろありましょうから、そういう点はうそを言わぬでですね、あるいは反撃を受けてもはっきりと、こういうときにはこうするんだ、ああいうときにはこうなんだということをですね、きめるべきだと、私はこう言っているんです。どうでしょう。
  229. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) まあ安保条約の適用は個々、ケース・バイ・ケース、千差万別だと思うんです。なるべく中村さんのおっしゃるような努力はしてみますけれども、なかなかその、御満足のいくようなことになり得ますかどうかですね、せっかく私ども頭をひねってみます。  先ほど私が安保条約否定と、こういうふうに申し上げましたが、これは私の思い違いでございましたから、つつしんで訂正さしていただきます。
  230. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十五分散会