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1972-05-30 第68回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十日(火曜日)    午前十時五十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 世耕 政隆君                 田口長治郎君                 長屋  茂君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 峯山 昭範君                 岩間 正男君    国務大臣        国 務 大 臣  江崎 真澄君    政府委員        防衛庁参事官   高瀬 忠雄君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案(第六十七回国会内閣提出、第六十八回国  会衆議院送付) ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。江崎防衛庁長官
  3. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由内容概要について御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  第一は、自衛官の定数を、海上自衛隊六百六十三人、航空自衛隊六百四十三人、統合幕僚会議五人、計千三百十一人増員するための改正であります。海上自衛官増員は、艦船の増加、対潜航空機の増強及び後方支援部隊充実等のため必要となる人員であり、航空自衛官増員は、主としてナイキ部隊の編成のため必要となる人員であり、統合幕僚会議増員は、情報機能強化のため必要となる人員であります。  第二は、防衛庁附属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設けることであります。これは学識経験者を含めた五人の委員をもって構成するものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一は、自衛隊予備勢力の確保のため、陸上自衛隊予備自衛官三千人、海上自衛隊予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万九千六百人とするための改正であります。  第二は、現在、離職した隊員営利企業役員等就職しようとする場合には防衛庁長官承認を要することになっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは、隊員営利企業への就職の際の承認について、一般職の例に準じ、部外者を含む特別の機関審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  5. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 国の防衛問題に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次発言を願います。
  6. 源田実

    源田実君 まず、実は昨年の夏起きましたあの重大な航空事故関係について、これは実は重大な問題があの事故に関連してあると思います。相当のミスアンダースタンダィングとか、また一般にもずいぶん理解されていないか、あるいは誤って理解されておる点もあると思います。そういう問題を、これは、実はなぜそういうことをこの委員会で私がお聞きしたいかというのは、私はもちろん自衛隊出身でありますから、自衛隊に好意を持つのは当然である。しかしながら、もっともフランクな立場で考えてみても、不当な攻撃を受けた場合には決していい結果は出てこないので、自衛隊もやはり日本の一国民であることは間違いはない。それが実はあの当時の、これはあとからあの当時のいろんな新聞記事その他を見た場合に、はなはだ理解に苦しむような点が多々あります。こういう問題については、自衛隊の士気、あるいは国の防衛に対する意欲、こういうものが衰えることがないようにするためにも、また一般国民に正しく自衛隊理解してもらい、また国の防衛に対する正しい理解を持ってもらうためにも、ほんとうに正しいところを究明しておくことが必要であろうと思うのであります。したがいまして、この事故に関しては本日調査団長にお伺いするつもりでありましたが、まだ報告も、何でも六月末らしいというのでありまして、これは調査団長にお伺いするのは報告が出てから、時間をいただいてお伺いすることにしまして、本日は、やっぱりこの事故に関連する問題は、これは防衛庁及び運輸省、この両者でどういうような対策をこれについてはとられたか。そしてまたあの事故あととられた対策は、いろんな面において、自衛隊はもちろん、民間にもいろんな訓練上の障害とか、そういうものを起こしたと思います。逐次解消されておるとは考えておりますが、これがどういう程度に影響しておるのか、将来どうこれを解決するつもりかということについてまずお伺いしたいのであります。  そうしてその前に、ちょっとこれは技術的になってはなはだ、技術的といったってそれほど技術的じゃないんですが、実はこういう、これは自衛隊から出ております裁判の、裁判長か何かに対する幕僚長の石川君の報告として、目標発見してからぶつかるまでの間が、この間の山県調査団長の話では十四秒必要である。それは前から聞いておったんですよ、そういう結論をちょっと出しておるところがあるということ。それからその次にここで上田先生が聞かれた場合にも、調査団長はやはり十四秒と言ったのです。それから今度は、どこからそういう基礎が出ておるのかということを、こういう「航空法務研究」という航空法調査研究会編のもの、この中の論文にひとつ載っておりますれ。これを見たところが、これは学者ですね。その学者は、アメリカもとであり、日本自衛隊医学実験隊の幹部がやはり研究して出したものがここにある。五・七秒か何かというのは、自衛隊のほうで研究してアメリカのとつきまぜてひとつ出したというやつです。ところがこういうところに私は問題があると思うのですよ。十四秒かからなければ回避できないならば、日本の上空から一切の飛行機が飛ぶことをとめるべきである。五・七秒、これは専門家ですよ、自衛隊の。これも私は医学実験隊担当者、名前はちょっと避けますけれども、呼んで聞いた。どうしても譲らない。いやこうなんです。そんなことはない、絶対に、それは私はパイロットであるから、いまも飛行機で飛んでおる、だからそんなばかな話は絶対にないということを言える。五・七秒というのがなければ回避できないとなったら、これはもうほんとうはあぶなくて飛べない。それで、これについては防衛庁にも前にいろいろお話を伺いましたんですが、あの五・七秒という時間について、防衛庁としては何かその後見解を改められたかどうか、その点、これは局長ですか、ひとつお伺いしたいと思うのです。
  7. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 自衛隊のほうでは終始五秒台という数字を持っておりますが、私ももちろん完全にしろうとでありますので、米側資料によりますると、これは米空軍航空医官教育資料、フライト・サージェンス・ガイド六八年版であります。詳細などういう部門についてそれぞれ〇・何秒あるいは何秒かかるかという数字もございまするけれども、それによりますると、パイロット発見をし、回避をするという積極的な意思を持って飛行をしている場合、これは通常の自動車運転の場合でも同じことでありますが、パイロットにはそういう義務が課せられておると思いますけれども、そういう場合には、物体を見てから衝突の回避に必要なだけ飛行経路を変えるのに要する時間が五・四四五秒、大型機の場合には六・九四五秒となっております。自衛隊操縦士視覚反応の時間も大体この程度、五秒台であるというふうにいわれております。ただ操縦士見張り回避意思がなくて、ただ漫然と飛行している場合、自動車の場合にはそういうことはあり得ないと思いますけれども、そういう場合にはいろいろの秒数がかかりまして、判断の決定時間が三秒ないし八秒加算をされる。ケースによって違うのでありましょうが、したがいまして合計いたしますると約十秒ないし十五秒であるということであります。それから、これはあるかないかわからないのをあらかじめ発見をしようと努力、つとめている場合でありますが、かりにパイロット目標を見ている場合、これは私ども調査では、見ているのは、見得たのではなかろうかとなっておりますけれども目標を見ている場合には、感覚とか眼球を動かすための運動神経の反射、あるいは眼球を動かして網膜の中心に焦点を合わせる、それから知覚、頭の脳にそれを覚えさせる、どうしたらよいかという判断、これまでの時間が三・〇四五秒かかるそうでありますので、あらかじめ見ておればその分が減らされますので、あとは操作をする機体の反応だけの時間である。そうなりますると、小型機で二・四〇秒、大型機の場合に三・九〇秒で回避が可能である。これは私ども航空医学実験隊からのいまの点は調査であります。  以上であります。
  8. 源田実

    源田実君 実はね、そういうのが、科学者とか学者のやる研究をそのまま実際に適用するということがいま流行しておるのです。ところがそこにほんとう誤りがある。いま私はこれをはっきり申し上げます。飛行機乗りは準備しておれば避けられるが準備していない場合には避けられない——その準備してないようなパイロットを採用するところにもともと誤りがあるんです。わずか二時間ぐらいしか飛ばないですよ、いま日本内地で。五時間も六時間も、太平洋のまん中ならともかくも、この間も北海道からここまで一時間、一時間ぐらいの間どんなことが起きても即座に即応できるような態勢を整えないようなパイロットは、そもそもパイロットとしての資格が第一欠けておる。だから準備しておったらどう、準備しなかったらどうということは、この場合、はずれてくると思うんです。  次に、それじゃ準備しておった場合ならどうなるか。準備しておるのを、これをほかの例で言いますと、いまプロ野球なんかやっておりますね。あのプロ野球の場合、ピッチャーからキャッチャーまでくるたまが、まあいピッチャーならもっと速いが、まあ大体平均〇・四秒から〇・六秒なんですよ。〇・四秒から〇・六秒の間に、王選手だとかやれ長嶋選手なんというのは、そのもっと前、手を離れてから〇・四秒で捕手に入るのだから、その前にあのたまにバットを当てておる。そうしてホームランを打っておる。五秒とかなんとか、かかってないですよ、これは。これは準備しておるからだと。準備していなかったら長嶋がホームラン打つのに十四秒かかるのか。こういうことは絶対にあり得ない。したがいまして、この点についてはアメリカ研究もとになると、はなはだこれは——私はアメリカ空軍は尊敬しているんですよ、大体ね、大体。しかし尊敬しないところもあるという例を私がここで、時間もちょっとしかもらってないのに言うとぐあいが悪いんですが、ただこういうことがある。はっきりしていただきたい。あれを、どれもこれもそのままとってはぐあいが悪い。  実はいまから十三年前、アメリカに例の戦闘機の問題で行ったとき、私の会って聞いた全パイロットも、機銃、陸軍式にいえば機関銃マシンガン、これは必要ない、ミサイルがあれば全部間に合うんだから必要ない、こう言った。私はどうしてもマシンガンというものは必要だと思うが、おまえさんたちはそういうことでいいのかと言ったら、いやこれで絶対だいじょうぶ、これが全部でした。ああそうか、人のことですから……。私はF104にはマシンガンはどうしてもつけなきゃならぬというので、全部はつけてもらえなかったけれどもその中の八十機だけはつけた。ところがベトナム戦争が起きたときどういう結果が出てきたか。あのファントムなんかもどうしてもマシンガンが必要である、これがなきゃ困るんだというので、あのかっこうの悪いやつを胴体の外につけた。これはアメリカの雑誌に載っておったそうです、そのことが。こういうことを私が言って、結局あのほうが正しかった。これは一つの例で、自分のことをあげて話すのは恐縮ですが、実は何もかも当たっておるわけじゃない。それからベトナムにおいてアメリカ戦闘機が、ミグに対して若干空中戦闘の率があんまりよくなかった。いまそれで、F14とかF15というエア・スペリオリティを主とした戦闘機を開発しているのもそこらに原因があるようです。したがいまして、そういうところの見当がどうも違っておるようなことがあるんであって、アメリカの言ったことをまるまるとるということは、はなはだものによっては危険な場合があると思います。  一つの例はこれである。結局ね、どういうことかというと、五・四秒は実際はかからない。この中にいろんな感覚化時間、目玉を動かすための時間とか、それから眼球運動中心視知覚化時間、判断に二秒もかかっておるのですね。操舵が〇・四秒、航空機運動が二秒とか、こういうぐあいにちゃんと学者が計算して書いてある。実際はこの中のほとんど全部は一つの時間の中へ入ってしまう。たとえば、われわれはどうしてやるかというと、何かそこにぱっと見えた、わからぬ、かじは先にとっておるのです、もう。だから時間はほとんどコンマの一秒かコンマの二秒で対策は先にとっておる。それから何だったか、こう見る。したがって、日本武士道というものを非常に昔からとうとんでおる。あの宮本武蔵とか、荒木又右衛門というのは、この感覚でいったら絶対に出てこない。太刀先三寸、太刀風三寸で身をかわすなんということはあり得ないんですよ。しかし現実にはある。こういうところは、こういうパイロットのごとき非常に高度な感覚を要する者の教育については、単なるコンピューターではじき出しておるようなことだけでやられることはきわめて危険である。要するに、もし五秒以上もかからなきゃできないんなら野球は成り立たない。この五秒の間にはピッチャーからキャッチャーたまが来て、それからファーストに行って、セカンドに行って、サードに行って、ショートに行って、ライトぐらいまで行って、それからキャッチャーまで返ってきますよ、うっかりすると。その間に対策が立たないなんというばかなパイロッドは、これはもう、これも理屈でどうしてもゆるがないんだけれども、これ、はなはだどうもおかしい。もう一ぺんひとつ防衛庁として、それから航空局長のほうも、将来の事故防止で、瞬間的に事故を避けるんだという気迫がなければ、五・四秒かかるんだといったら、五・四秒先に見ても、十四秒先に見ても何もしないということなんです。実際はそんなことじゃないんですよ。まっすぐ当たって、十四秒かかるとしても、まっすぐにこう向かってきて、この場合どれだけかわせばいいかというと、まっすぐぶつかって十四秒後にぶつかる、ちょっと押せばいいんですよ、ほんのこのくらい、向こうの飛行機から上下かわせば衝突しないです。十四秒なんか実際はかからないのであります。これは学者の計算であります。この点はひとつ、私は、この点は特に今後非常に高いところに理想を置いて、そうしてこれに達するような努力をやるべきであって、これではもう避けることはできないですなんという考え方では、はなはだどうもぐあいが悪い。これはひとつ長官にお願いするのですが、日本的な武士道的な指導をひとつお願いをしたいのですが、目で見なくても飛行機は勘でわかる、こういうことはあり得るのです、実際は。時間がかかりますから、私は自分経験はここじゃもう言いませんけれども、これひとつお願いしたい。  そこで、いまの問題はそれでおきまして、次に、この訓練をあのとき中止した、それから逐次回復をされた、そうしてその間に運輸省とお互いに、私は若干聞いておりますけれども、非常にこまかい熱心な談合が行なわれ、調整が行なわれた。そうしていままできたんですが、現在のところ、この調整は全部終わって、そうして訓練は全面的に開始されておるのですか、どうですか、そこのところ。
  9. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 全日空機接触事故につきましては、これは調査会に、われわれのほうとしてはゆだねておるわけですから、あとう限りの資料を出して、公正な結論が出るようにということを念願して協力体制に入っておりますが、パイロットとしての経験のある源田先生の先ほどの御発言はきわめて重要だと思うんです。全く、われわれが自動車運転経験しても、これはやはりうまくなれば自然にブレーキのほうが先に踏んでおるんですね、アクティブに。しろうとだとアクセルと踏み違えたりいろいろあるんですが、全くさっきのお話なんというのは、私は専門家の貴重な言だと思います。今後パイロット養成については、これは源田精神を体して、ひとつ大いにそういうことを注意喚起してまいりたいと思います。全く、なるほどお説のように、これは新聞等にもあまり出ておりませんが、一時間ですからね、あの北海道と羽田の間というのは。天候が悪くても一時間半、その間に前方注視を怠るという、一体服務態度というものが問題にされる。これは私非常に重要な点を御指摘になったように思います。このことは、いまわれわれ防衛庁としてとやかくいう立場ではありませんが、今後のパイロット養成につきましては、十分留意してまいりたいと思います。  それから、いまの訓練制限状況についてでありまするが、これはだんだんおかげで旧に復しつつあります。運輸省側ともいろいろな話し合いをしておりますが、こまかい点については政府委員から詳細申し上げさせたいと思いますが、まあおおむね目的を果たしつつある、旧に復しつつあるというのが現状でございます。
  10. 源田実

    源田実君 詳細については、まだ質問事項がたくさんあって、時間が制限されておりますから、詳細は別個にお伺いをするとして、大体いまのところ、訓練が何十%ぐらいまで回復、いま訓練制限を受けておるところが全体の何%ぐらいになっておるか、それをちょっと。
  11. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 訓練基礎になりまする訓練空域でありますけれども、われわれのほうの希望といたしましては、民間航空の事情を考慮いたしました上で、また航空安全を考えた上で、低高度について十四カ所、高高度について十六カ所を希望しておるわけでありますが、そのうち低高度については九カ所、高高度については十一カ所認められております。そこで昨年の末あたりでの訓練時間のおくれというものは、大体七、八割程度まででありましたが、年度末で大体訓練時間そのもの回復をいたしております。ただ海上訓練空域を設けているのが、特に高高度の場合に大部分でありますので、途中があまり訓練にならない、したがいまして訓練の質がまだ十分でないという面がございます。  それから、現在航空局のほうとも折衝し、航空局でも熱心にわれわれに協力していただいておるわけでありますけれども航空法改正がまだでき上がっておらない、これによってさらに航空安全とわれわれのほうのある程度の便宜もまた向上するだろう。  それから、運輸大臣防衛庁長官の航空安全に関する覚え書きはできましたけれども、それに基づく要撃管制の、これは局長同士でありますけれども、これができておらない。この点について、要撃管制に基づく訓練というものが必ずしも十分でないということで、量的には一応回復したけれども、質的にはまだ十分でないという点が残っております。いずれこの夏ごろには体制そのものは一応でき上がるのじゃないかというふうに思っております。
  12. 源田実

    源田実君 その訓練関係の問題については一応それくらいにしまして、この事故防止対策ですね、あの重大事故が起きてからその後とられた事故防止対策、いろいろあるんですがね、それにやられた内容について、詳しいことはいいです、項目だけでいいですから、これはまず航空局のほうにひとつお尋ねします。
  13. 内村信行

    政府委員内村信行君) 先般の事故に基づきまして、それを契機といたしまして事故防止対策というものをやっておるわけでございますが、まずその短期的なもの、それから長期的なものと二つに分かれております。短期的なものといたしましては、先刻御承知と思いますけれども、先ほど来の訓練空域あるいは試験空域というものを設定いたしました。要するにこれは交通分離の思想でございます。違った交通は分離していこうというのが基本であります。  そこで、訓練空域及び試験空域を設定する。あるいは特別管制空域というものをさらに拡大いたしまして、VFR飛行といえども交通量の多いところにおきましては管制を受けて飛行する、こういうふうな特別管制空域を拡大いたしました。さらに、その雲上有視界飛行というものを原則的に禁止をいたしました。  短期的に申し上げますと、大体こういうことでございますが、それから長期的に考えますと、まず航空保安体制というもの、五カ年計画においてきちっとしてまいるということが一つございます。  そこで、第二次空港整備計画、これが五カ年間で五千六百億ぐらいの原資で考えておる次第です。その中で航空保安施設整備に約七百億ぐらいを投入いたしまして、航空路及び空港保安施設を整備してまいるということを基本的に考えております。そこで、その御指摘の問題でございますが、そういう計画をつくっても、これがほんとうにできるかどうかというのが問題でございまして、そのためにはやはりその裏づけとなる原資と申しますか、予算というものが的確に裏づけられなければしょせん絵にかいたもちになってしまうということで、空港整備特会充実というものを考えておるわけであります。そこで、その方法といたしましては、航空機燃料税でありますとか、あるいは航行安全利用税というふうなもの、いわゆる受益者負担制度というものを大幅に取り入れまして、それによって財源というものを確保する道を開きたい。したがいまして、この五カ年計画というものは財源的にも裏づけがございますので、これは十分にやっていけるだろうというふうに考えております。  さらに問題になるのは、人の問題でございます。お金がついて施設ができても、人がいない、運用する人がいない、これは非常に大きな問題でございまして、これはやはりある程度電波関係その他の技術が要りますので、一朝一夕にはなかなか人が集まらない。相当技術を持っておる人でございますから、いわゆる一般の安い給料ではなかなか人が集まってこないというふうな問題点がございます。したがいまして、そういう点につきましては、特に無線関係その他のメンテナンスにつきましては、やはり初任給の引き上げ、その他の給与の改善ということもやはり同時に考えていかなければならぬということで、その点も考えております。  それからもう一つの問題は、機構の問題でございます。これはいささか我田引水になりますけれども、やはり航空安全、特に航空行政の航空安全というものを重点的にやってまいりますためにも、やはり航空行政機構というものもやはり責任体制を確立して、拡充強化すべきであるということで、今国会におきましていわゆる航空局の行政機構の拡充をお願いした。同時に事故調査委員会というものも、従来はおりに触れて臨時に設けられておりましたが、これを常設的な、独立した事故調査委員会をつくるということで、これも今国会に審議をお願いしておるわけでございます。そういうことによりまして機構が整備でき、それから保安施設が実際にできてまいります。  それからもう一つ、最後には航空規則の問題でございます。先ほど来お話しになっておりますような航空法改正ということによりまして安全を担保すべく、主として航空規則の面の一部の手直しをいたしたいというふうに考えております。  それから最後に、先生の御指摘になりましたエアマンシップと申しますか、こういったものが非常に重要であることは御指摘のとおりでございます。そこで、これにつきましては、航空のいわゆる教育という面につきましても特段の力を入れたいと思っております。ただしかし、私ども考えますのは、エアマンシップというのは確かに必要でございますが、しかし航空の安全というものはそれにたより過ぎてはいけない。やはり機械のほうでも、フェールセーフということを言っておりますけれども、一カ所間違ってもその次で食いとめるということが必要でございまして、安全を守るたてまえからしますと、たとえ失敗があっても、次の歯どめでもってこれが食いとめられるということを制度としては考えるということで、それをやると同時に、一方エアマンシップについても強力にその養成をはかりたいと、こう考えております。
  14. 源田実

    源田実君 いまの航空局のほうはわかりましたが、防衛庁側のほうのその後の対策についてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  15. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) これは政府レベルで初めに航空交通安全緊急対策要綱というものをつくりまして、いま航空局長が御説明しましたような内容を早急に実施をしたわけでありますが、防衛庁内部では飛行安全対策協議委員会というものを私の手元に置きまして、いろいろの航空安全に関する調査及び立案、検討を行なっております。  この結果につきまして行なわれている事柄でありますが、たとえば曲技飛行などを行なう空域を限定をする、あるいは操縦練習の空域の限定、これは先ほどの緊急対策要綱とも関連をするわけであります。  それから従来言っております衝突防止のための見張りの強化、さらに航空管制用の器材及び人員充実。これは四十七年度予算に特にあとで追加要求をいたしまして、従来の年度の二倍から三倍ぐらいのものを陸海空ともにそれぞれ整備をいたしております。まだ十分ではございませんが、さらに来年度にもその追加要求をしたいと思っております。  それからニアミスの報告義務の明確化及びニアミスの形態を具体的に指示をしておるということであります。  それから飛行場周辺の障害物の除去。昨年もP2Vの事故がありました。そういったことを避けるための障害物の除去。  それから教官指導能力の強化。これも従来いわれていることでありますが、そういうこと。  それから防空レーダーによる飛行訓練の監視。これは昨年の連合審査会以降、各委員会、各議員の方々から御要望があり、私もお約束したわけでありますが、飛行訓練をやる場合に、通常のバッジ組織でもって、レーダーによって管制をし、見張りをしておる。地上で見張りをし、衝突の防止をはかっておるということをやっております。  それから、一般的な安全教育の徹底というような事柄であります。  先ほどの般空法の改正によりますれば、相当にまた具体的な改善案が出て、実施されると思いますが、その航空安全とそれからまた航空自衛隊側の訓練の適切なる調整を今後もはかってまいりたい、かように考えております。
  16. 源田実

    源田実君 一応そういう対策をとられていることについて、これは私は異存はないわけなんです。ところが、いまさっきエアマンシップというのがちょっと出ましたが、これについて御質問申し上げたいのは、実はICAOのアネックスの二に——前から皆さん御存じでしょう。この三の二の二「ライト・オブ・ウェイ」、「進行権」というところですね、そこにどういう意味のことを書いてあるかというと、進行権を持っておる飛行機は優先権をもってそこを走り得るのだ、これはそれだけの権利を持っておるのだ、しかし、この権利あるがゆえにどんなことがあっても、この権利をたてにして衝突防止を怠ることはできないのだ。こういうことが、これはICAOのアネックスの三章のジェネラル・ルールの中にはっきりある。  それから、これは同じく私が昔おったころは、航空自衛隊のレギュレーションは、米空軍のレギュレーションを大体翻訳して使ったんだから、似たようなものが載っとった。とにかく人間の命を助けるためには、生命を助けるためにはこのレギュレーションに違反することができる、パイロットの責任において。しかし、それを違反するのはこういう場合、こういう場合、こういう場合においては違反してよろしい。しかし、違反した場合においては、直ちに、これは二十四時間以内ですか、道を通して上に報告せよということがあるわけです。ところが、最近の日本航空法を見ましても、いまのこのライト・オブ・ウェイのところにそういう意味のことは載っていない、航空法にも。また航空自衛隊のレギュレーションを見ましても、それはもうなくなってきておるのですね。これはひとつ重要な問題であろうと思う。なくなってきておるのを、これを航空自衛隊に聞きましたところが、これは当然そういうことは言わぬでもわかっておることだから削除したという話でありました。  ところが、ここに問題があると思うのです。問題は、私はこういう見解でおるのです。事故防止のためにいま施設をやるとか、レーダーを整備するとか、飛行場をよくするとかいうことは、事故防止に対して、もちろん重要ではあるが、第一次的な問題ではない。それが一番効果があるのは、能率をあげることである。いままで一便しか運航できなかったのが、こういうことをやれば二便にふえるとか、こういう天気にはいままでは飛べなかったのが、こういう施設をやればこの天気でも飛べるという。能率をあげるのには、施設をよくしたりすることにすれば効果がある。ところが事故防止については、それによって若干効果はあるけれども、その飛行場が広くなったら、広くなったつもりで、なったらなったように乱暴な大まかな操縦をやればやっぱり事故は起きる。まあエアマンシップというのはそこだと思う。  問題は、事故を全然なくすためにはどういうことであるかといえば、全然飛行機が飛ばなければ事故はない。その次には、あぶないとみたら飛ばなければ、事故がまあほとんどない。しかし、どうしても飛ばなければならないということがあるわけです。その場合に飛ぶときは、普通の場合にはやらないような手だてをやらなければならない。たとえば私のことばかりでぐあいが悪いですが、ちょっと参考になるから私は言うのです。というのは、われわれ戦闘機乗りというのは、敵の飛行機が見えたら大急ぎでみな出てくる、演習でも何でも。F104なんといったら四百ぐらいありますよ。計器とか、サーキットブレーカーとか、ノブとかいうものを全部点検するのに一分ぐらいの間にパッとやってしまわなければならない。ところが、いま、もうリーダーはどんどん出ているからぐずぐずするとおくれる、大急ぎで出なきゃならぬときにはみんな大急ぎでやるわけです。これが事故もとなんです。それで、私はどういうことを自分でやり、また人にもそれを言ったかというと、非常に急ぐときには二回やれというんです、点検を。非常に急ぐときには、念入りにやったつもりでも、実はあせておるから見落としがある。だから、非常に急ぐときは時間を半分にするのじゃなくて、時間を倍にする。要するに事故を起こしたほど——どんなに急いでも事故を起こせば、どのくらいよけいおくれることはないわけであります。したがって私は、そういうしつけ教育といいますか、こういうことが一番重要な問題である。  したがって、私がきょうお聞きしたいことの一番の重点は、パイロットを選定する場合に、いままで、あれは勘がいいとか、早く単独になるとか、やれ頭がいいとかなんとかいうことを盛んにやるわけです。したがって——またことに自衛隊とか軍隊においては、ある一定時間の間にある程度まで練度を上げなきゃならないから、そういう点、悪いやつは落としちまう。それに追っつかないやつはというんでエリミネーションが行なわれる、これは普通ならあたりまえなんですね。ところがいまの自衛隊のように、もう数もそうたくさんはない、世界においても非常に少ないほうのパイロットしかいない、そうして、ことにパイロット志願者なんていうのはうんと多いわけであります。したがいまして、こういう場合に、これは私の提案ですが、勘がいいとか、有能とか、頭がいいというのを優先的にパイロットにつくり上げるんじゃなくて、本人の性格ということに重点を置いてパイロットをつくる、そうすれば私は、その人が単独になる時間はほかの者の倍かかるかもしれないが、しかしながら、いわゆる大器晩成型であって、いよいよ最後に到達をするのはうんと高いところへ到達する可能性が多分にあると思うんです。  したがって、いままではずっとアメリカ空軍のやり方をそのまま輸入してやってきたわけですが、もうここから先はあまり自衛隊は数はふえないですからね、たぶん。したがって、そうするとここから先はすばらしくいい練度の者をつくる必要がある、これはあとにも技術の問題で関連して申し上げたいと思う。それには性格、どんなに器用で、どんなに頭がよくても、性格の悪い者を採用すれば、うまくなくっても事故は起こすんです。その証拠には、事故を起こしたケースと事故の件数とパイロットの熟練度、年数と、この比較をごらんになれば、年をとったベテランがやっぱり若い者と同じように事故を起こしておるんです。率はそれはベテランのほうが少しは少ないけれども、それほど変わらない。どんなベテランといえども飛行機はへまをすればみんな墜落して死んでしまうので、ベテランなるがゆえにどんな飛行機でも墜落しないということは絶対に言えない。  したがいまして、私は、今後航空局民間パイロットを養成される場合も、民間のほうは自衛隊とことに違うんですね。パイロットはともかくとして、あれはお客さんを乗せるんで、自衛隊パイロットや軍隊のパイロットは、まさかの場合事故が起きて自分は死んでもこれはやむを得ない、死にたくはないけれどもやむを得ないというだけの腹はみな持っておるはずです。ところが民間機に乗るお客さんは、あれは事故が起きても、死んでもやむを得ないとは、これは考えない。これはもう絶対安全を要する。そのために一番重要なことは、パイロットのうまいへたじゃない、性格なんです。さっきの長官お話にもありました、どんな場合でも、時間が何時間かかろうが、とにかくお客の命を助けるためには、自分は五時間の間はほんとうに真剣になって見張りをやる、そういう性格が必要なんであります。  したがいまして、この事故防止対策、いろいろな施設も、それから法規もいいんですが、法規は幾らやっても——法規はやるなということじゃないですよ、間違えないでいただきたいのは、法規をやっても、これは二千五百年前に、あんまりそういうものにたよってもだめだぞということを中国の偉い孔子さまと老子という人、あの偉い人が二人とも同じことを言っておる。あのくらい偉い人はちょっと世界中いないと思うんですけれども、どう言っているかというと、孔子さまのほうは「之れを道びくに政を以ってし、之れを齊うるに刑を以ってすれば、民免れて恥じ無し」、要するに法律で縛り上げて、これを犯した者は刑罰に処するということをやれば、法網をくぐることをやり出す、うまくくぐったやつがりこうであるということになる。それで、その反対に徳をもってやれということを書いてある。老子のほうはどう書いてあるかというと「法令滋彰らかにして盗賊多く有り」ということ、うまいことを言ったと思うんです。ああいうものを幾らやっても、やらないよりはいいかもしれないが、やっても抜け穴があるんだから、人間の精神というものがとにかく一番重要であるということを言われておると思うんです。  ところが、それをいま一般の社会全部にやろうなんて言ったって、それはそう簡単にいかない。しかし限定された数であって、多くの人々の中で特に洗練された人をもってつくるパイロット団というものぐらいは、私は、さっきのライト・オブ・ウエイのときに申し上げたように、これは明らかに法規違反になる。しかしながら、これによって人が助けられるとなれば、あとの責任はパイロット自分で責任を負って罰せられるだけの覚悟をもって事故を防止する。これは専門家ならばだれでもおわかりになると思うんですよね。離陸、着陸をやり直す。前に、離陸した飛行機がおる、普通ならば、そこのパターンが右ならば、右を通って前に出なければいけないのです、法規でいえば、航空法でいえば。ところが、その場合にそれをやったら衝突の可能性があるから、これは航空法違反によって左に避けてそれで前へ出ていくというようなことはあり得ると思う。こういうのは幾らでもある。そういう場合に、これを一々法規で詰められたら、これは罰せられる。しかし罰せられても、パイロットは罰せられることをその場合おそれちゃいけない。人間を助けるためには、自分は法規違反して罰せられる、これだけの覚悟のない者を——全部の人に持てというんじゃない、私は、パイロットぐらいのものは、このぐらいの覚悟を持った者をパイロットにしなければならない。しかし、いまのところ、現実は、とにかく一定のスタンダードに合うためには、とにかく合うだけの能力のあるやつをとにかくそこまで早く持ってくるために、その性格的な面が非常にゆるやかだと思うんですよ。したがいまして、これは航空局及び防衛庁、この両方に対して私はこの点について十分な要望を申し上げたいと思います。この点については、まああまり長い御答弁必要ないんですが、実は私があまり長くしゃべり過ぎた。ところがこれについて何かそういう着想でおやりになっているかどうか、それだけひとつ航空局長官にお願いします。
  17. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) たいへん経験に基づく貴重な御意見の表明だと承っております。これは、具体的にそういう指導方法をしておるかどうか、これは政府委員から答えさせますが、いまの、私、記録をよくひとつパイロットに回して、長い経験による源田議員の言ということで、これは航空自衛隊に指図をいたします。これはお約束いたします。  これは全くそのとおりで、いまの戦闘機乗りもさることながら、背後に百数十人ないし五百人近い、今後ジャンボ・ジェットの時代ですから、それだけの命を預かっておるパイロット精神というものがこうなくちゃならぬといういまの御意見は、私非常に貴重だと思うんです。当然一時間、二時間航行を続けたあと、彼らには相当な休養が与えられるはずなんですから、計器飛行で十分事足れりと、それからまた前方注視する必要がないといったようなことで片づけられたのでは、これは乗客のほうもたまらないという感じがいたします。(「そんなところへ持っていっちゃいかん、その話をしているわけじゃないのだから。」と呼ぶ者あり)しかしその点は私重要だと思うのです。やはりこのパイロットの性格という点、それからパイロット民間航空に占める重要な点、これは私御指摘のとおりだと思って、何も牽強付会の説をなそうと思ってやってるわけじゃありません。十分その点については今後自衛隊パイロット養成に配慮をしてまいりたいと思います。
  18. 源田実

    源田実君 それから次に、実はあの事故あと及び——その前はあまりなかったでしょうが、このごろのいろんなこの記事を見ますと、防衛庁航空局の間がうまくいっていないというような記事もある。それからまた、その記事の中に、自衛隊日本の空をわがもの顔に飛んで運輸大臣のあの管制権も何も、無視しておるとは書いてないが、無視しておるがごとき印象を与えるような記事がたくさんある。それについて、まず防衛庁——これも私がおるときには、わがもの顔に飛んだおぼえは一つもない、運輸大臣管制権に忠実に従って飛んだのです。それからそのままやっておるだろうと思っておったのですが、どうもあの新聞記事を見ますと、わがもの顔で、管制権も何もみんな無視したような飛び方をしておるようなことがあるのですが、その防衛庁自衛隊機は事実はどうなんですか。それを防衛庁から。
  19. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 自衛隊機及び民間航空機の航空交通の安全ということを第一義にして、運輸省と協議をした範囲内の航空航行方法をとっております。したがいまして実情を申しますと、個々のパイロットの感じから言いますると、まあ手足を縛られながら航行しているという感じが実際はあるだろうと思います。しかしながらその点については、やはり航空交通の安全ということは昨年来特に打ち出されました大原則であるので、まずそれを第一にして、その範囲内で航空訓練をやりなさいという指導方法をとっておりますので、私はわがもの顔ということではなくて、逆の立場にあるのであろうと。また、それはしかし今日の情勢からすればやむを得ないものであるというふうに認識をいたしております。
  20. 源田実

    源田実君 航空局にお尋ねしますが、もし航空局のほうとして、自衛隊機がわがもの顔でやって全く困るのだと、もしそういうことを自衛隊機がやっておるようなら、これに対しては相当な措置を要すると思うのですが、そういう事実があるかないか、そういうことを一つお伺いします。
  21. 内村信行

    政府委員内村信行君) 私はそういう事実は聞いておりません。かりにそういう事実があるとすれば、これは厳重に抗議を申し入れてしかるべきものでございます。現実にその訓練空域等につきましても、先ほど久保局長からのお話のように、必ずしも全面的な御要望に沿い得ないという点はあったかもしれません。しかしこれはやはり基本的には、防衛庁も含め、航空というものの発達を考えるためにはやはり安全が第一でございます。そういった意味で、私どもの意のあるところを十分申し上げ、それによって防衛庁側の御了解を得ておるというふうに考えております。
  22. 源田実

    源田実君 大体、実はもう少しあるのですが、こいつは調査団長がきょうはおいでにならないので、航空事故関係は一応また次の機会にやらせていただくとしまして、今度は実はこういうことについてちょっとお話を伺いたい。  自衛隊の質の問題ですが、先般、例の自衛官の五人の者が防衛庁まで出かけていって、それで、あれは休暇をとったらしいんですが、それで長官に面会を求めて、例の沖繩自衛隊移駐反対とか何とかというようなことを直訴というかそういうことをやろうとした。もちろんこれは規律違反で、これは自衛隊はやめさせられたのでありますが、ところが、あの事件は私はきわめて重要である、というのは、自衛隊国民が信頼するのは、まさかの場合に自衛隊自分らがたてになってほんとう国民を守ってくれるからだ、こういう信頼を国民自衛隊に持たなければ、自衛隊というものは存在意義というものはほとんどなくなってくると思うのです。ところがその自衛隊員が、実は政府、あるいはいまでいえば統率系統を逆に上がっていって、しかもそれが指揮系統を順序を経ないで、そうして曹とか、曹はいたかどうか知りませんが、士か何か知らぬが、そこらのところが直接長官にものを言う。こういうことは、ああいう、日本のは軍隊ではないけれども自衛隊においてもそういうあり方は、こういう組織を健全に保つゆえんでは毛頭ないし、またこれは極端にいうと、政治的な問題に介入することなんです。朝からお伺いをした文民統制の問題についても、これについては、これはちょうどそれの逆をやっておる。したがってこの自衛隊員の質というものは、全国民から信頼されるようなそういう質のものを集めなきゃならぬ。ところがなかなか人が集まらないので、いろいろ話に出るように、地連なんかが非常に苦労して集める。ところが集めたのはあまりよくないから、よくないのがちょいちょいある。いいのもおる、よくないのもおる。そのよくないのが途中から出ていくというようなことは、そうすると、こういう人が出ていったあと自衛隊に対してこれがはたしてどれくらいの好感を持つか持たないかは疑問だと思う。したがって私がここに言う——お聞きしたいことは、いままで国会で盛んに定員不足をやかましくつつかれるのでありまして、そのために防衛庁側としては何とか定員を充足したいと思うので、質のほうを少し下げても定員を充足するような傾向がなきにしもなかった、いやあったと思うのですね。ところがそういう質の悪いものを——これはそのほうが多いとは言わないんですよ、大部分はいい。しかしその中にちょっとでもよくないのがおると、これは非常に悪い影響を与える。たった一人の自衛隊員がどっかでどろぼうをやるとかいろいろなことをやったら、こいつはもう全自衛隊員がやったかのごとき感じを受けるわけですよ。新聞報道でも何でも、元自衛隊員とかいって、もう十何年も前にやめたのが、やっぱり元自衛隊員で出てくる。これではあとに残っている自衛隊員はもうやるせがないと思うのです。  したがって例外なくいいものだけを集める。そうするとどういうことであるかというと、大体各国の軍隊で平時から戦時編制をやっておる部隊はほんのわずかですね。一番大きな整備された陸軍を持っておるのはソ連ですね。ソ連のも、欧州におる部隊が一〇〇%充実されておって、その次が中東あるいは極東方面がその次である。これはもうだいぶ減っておる。四段階に分かれておって、最後は五〇%ぐらいしか充員されていないんです。海上とか航空とかというのは九〇何%の充員を要するかもしれないけれども、陸上に関して、昔は戦時編制と平時編制とあった。しかしいまは全部戦時編制並みになっておるのです。したがってこの点をもう一ぺん考え直して、悪い者が入っておることは、悪くても若干プラスになるとは考えられないので、悪い者はかえってマイナスになるのであって、だからいい者だけで、数が少なくてもいい者だけで自衛隊をつくっていく、こういうようなお考えはこれはあるかないか、ちょっと聞いてもどうかと思うのですが、そういうような考えに対してどういう見解を持っておられますか。これは長官にお願いしたいのですが。
  23. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 反戦自衛官の問題もありまするが、まあしばしば、これは例外的な問題ではありましても、自衛官の不行跡とかいろんな問題がよく新聞に見受けられます。これは非常に自衛官全体からいいますると小部分ではあるといいますが、この任務の特殊性からいって、御指摘のようにきわめて重要な問題だと思います。しかも全体の士気をスポイルすることおびただしい。そこで、量より質ではないか、私も全く同感でありまして、まあ補任以来日も浅いわけでありまするが、このことをやかましく言っておるんです。先般も地連の部長会議がありましたので、何とかくふうはないのか、大体三万人くらい応募、まあ二万五千人くらいですか、応募があるというと、四カ月くらいで四、五千やめていくというのですね。そして一年くらいでまたそれに相当する、あるいはもっと上回るくらいがやめていく。そうすると、やめていくというのは自衛隊に決していい感じを持っていない、やはり不満があるからやめる。そうすると、員数を合わせるために一体そういう不満を醸成するような隊員をつくることになるわけですね。一体この不合理ということにお互いに気がつかぬでいいだろうか。まあ人事教育局長等も非常にこの点には最近留意をいたしまして、先般の地連の部長会というものではこの点を中心にディスカッションしたわけです。私確かに源田議員が長い経験に基づいておっしゃる一つの主張としていま傾聴いたしました。そのとおりだと思います。定員は確保しなければならぬ、これは何かたいへんな侵略か日本に対する侵入意図が激化したときに、やはり定員は確保しておく。たとえばきょう提案理由を説明しましたものによっても、三万九千六百名の予備自衛官増員することに対する御同意をお願いしておるわけですね。したがってこの予備自衛官というものがきっちりしておれば、また日本人の特殊性からいいましても、何か事があればやはり国難に身をもって当たるという人も相当あると思うんです、この多数の国民の中には。ですから少数でもしっかりした自衛隊というものがそこに整備され、防衛大学の卒業生をはじめとするこれも一流の幹部要員というものがシャンとしておれば、いざというときには間に合うのではないか、ことさらに員数合わせのために何か募集にいろいろ疑義のあるような方法で人集めをしてくるということは、これはやはり退けていかなければならない。ただこれについて、私、いまちょうど源田議員と同じような疑問を持って地連部長に質問しましたところが、たまたま愛知県で質を重点に採ろうという方針で試みてみたそうです。そうしたところが、この質という点にこだわったあまり、応募者の数も減ったがどうも質も横ばいみたいな同じような者しか採れなかったといいます。これは一つの例です。しかしそれはどこかに欠陥があるだろう。なお全体にすぐそういう方針で募集することが危険であるというならば、数県を指定して、特にこの質重点で募集してみろ、それからもっというならば、たとえば隊友会、これがありますが、これがつかめてないんですね。ですから隊友会という、少なくとも自衛隊の同窓会みたいなものです。昔でいうならば在郷軍人みたいなものですが、在郷軍人とは性格が全然違いますが、この隊友会というものをもう少し防衛庁そのものが把握することはできないものか、何かそのあたりに合法的な、また募集と表裏一体になって今後動いていくような明知はないものか、目下実は検討をしておるわけであります。私、実は防衛庁長官をやめたら少し隊友会に力を入れてみたいと思っております。これは源田議員におかれてもよろしくひとつ御支援を願います。
  24. 源田実

    源田実君 実は私はこの場合ちょっと誤解されては困るのですが、これはいまの陸上十八万というああいう数がはたして今後の兵器その他の進歩によってどこまで適正なものであるか、これはこちらだけが、日本だけがかってにやってもぐあいが悪いですね。したがってこういうものをよく検討して数をきめなければならぬのですが、しかし、いま長官がおっしゃったように、定員というものはこれははっきり確保しておく必要がある。しかしながら現員というものと定員というものの間に、いままでは実は充足率何十%ということでやられておったが、定員と現員というような新しい概念でこの問題を処理していく、こういう必要があるんじゃないかと思う。したがってこの点についてのことは特に今後十分な検討をお願いしたいと思います。  続いて、結局そういうぐあいに重点を質に置くとすれば、数は一般的にどうしても減ってきます。そうすると同じ戦力を——自衛隊は戦力ではないというのですが——要するに同じ防衛力を、これを高く維持するためには非常に装備が必要だと思うのですよ。装備がいいことが必要である。ところがレアード長官——私はあの人にお供したわけではないのです、あとから聞いたのです、そして防衛庁から聞いたのですね——何でもこんな古いものをもってよくやっておるとかいう話を聞いたのですがね。これははなはだぐあいが悪い。したがって私はいまの自衛隊の持っておる兵器、その数をというか、人間の数が十分でない場合に、兵器と人間の質をうんとよくする、今後の行き方は私はここにあると思うのですよ。  それはこういうことがあります。実はこれは一つの計算した例ですが、CEP、半数必中帯ですね、サーキュラー・エラー・プロバビリティーというのですが、これが三百五十フィート、約百メーターちょっとの場合に、普通の防御をされた橋をぶちこわすためにこれだけの能力を持っている飛行機ならば二百機要る。半数必中帯の半径が三百五十フィートの場合です。大体そのくらいでいいのですが、ところが今度は三百五十フィートから約六分の一の六十フィートになりますと、いままで二百機要っておったのが九機で足りる、計算上。ところが、いよいよ最近のレーザーで爆弾を誘導するということになりますと、一機で足りる、十分。こういうことはいかに質というものが重要であるかということを物語っておると思うのです。  それともう一つ、これは、この間のモスコーにおけるアメリカとソ連の戦略兵器制限協定のあの内容を見ますと、いままではずっと戦後もうこの二十何年間、圧倒的な優勢を示しておったアメリカのロケット戦力というものが、発射台——ランチャーの数が、潜水艦でやるものも、また陸上に備えたものも、いずれもともにソ連より相当少ないですね。それで妥結しておる。そうして、今度はソ連のペイロード、弾頭の大きさというのは、ソ連のミサロルのほうがアメリカよりはるかに大きいのです。なぜこういうような、パリティ、パリティといっても、なぜこういうような、アメリカがこれほど——金がなくて兵力ができないんじゃない。しかしながら、ソ連より相当、八割とかいうような数のパリティ以下なんですね。それでやはり妥結しているわけですね。私は、こういうような問題は、やはりその裏に、アメリカとしては、自分のほうは技術的に相当自信を持っておる。これは、技術的な自信とかいうものが協定に入らないから、これははっきり言うわけにいきませんけれども、そういうものがあるんじゃないかと思う。  そうすると、単なる有形的な兵力だけではなくて、技術的に非常に高度のものを保持するということが今後の防衛力整備に一番重要な問題ではないかと思う。ところが、これを実は、そういうことはこれはもうわかりきって、政府のほうでも技術開発には重点を置く置くというので、毎年、これは総理の施政演説にもあるかどうか、それはよくわからぬが、とにかく重点を置くことはいつも言われているのですよ。ところが、これは最近のじゃないです、六九年度の各国の防衛関係研究開発費の表、これは防衛庁から調べてもらったもので見ますと、アメリカが二兆八千億円、そうして国防費に占める比率が一〇%余り。イギリスが二千億円、これも国防費に占める率は約一〇%。フランスが九百六十億円、これが国防費に占める率が七%。西ドイツがやはり九百六十億円、国防費に占める率が五・七%。このくらいあるわけです、みな。ところが、日本がどうなっておるかというと、日本は約百億なんです。アメリカの二百八十分の一、それからイギリスの二十分の一、フランス、ドイツの十分の一であって、国防費に占める率は二%ということになっておるのです。私は、日本防衛力整備の重点の置きどころというものについて、この技術開発関係というものが、非常に口では言われておるけれども、実際は置き去りになっておる。ことしが百幾らですか、百三十億か何かですね。ことしが、技研のほうの予算が。ともかくもこの技術というものに対してもっともっと力を入れる必要がある。それを別の面からいいますと、この技術に力を入れるということは、単に防衛だけでないんですよ、こいつが影響するところは。あらゆる、防衛関係で開発した技術というものが、すべて、数年後、少なとも十年以内にはほとんどいわゆる平和産業といわれるものにこれは還元しておるのですね。F104で入った技術というものが、今度は一般の平和産業に相当これが入っております。これは非常にひとつ御理解を願いたいことがたくさんあるんです。そうしてああいう高度のものは、共通日本一般の電子産業なんかも、カラーテレビだとか何とか、そういうものは日本相当進歩しております。しかし、もうちょっと程度の高いものになると、日本技術というのはなかなかアメリカやソ連なんかに及ばない、いまのところ。したがってそうすると、いまの日本は、ますますこれはそういう方面がおくれてくる。これは先々は日本全体の国力に大きな影響を及ぼすと思うんです。したがってここは抜本的な政府施策として技術研究というものに対してよほどの力を入れるという、根本的な対策を建て直す必要が私はあると思うのですよ。いままではとにかく一応数だけそろえることが精一ぱいだった。しかしこれから先は、私は必ずしもそうはいかない。数だけそろえたって、いま言ったように、一機で二百機に当たるようなことも可能なんですね。そのために、世界最高レベルの技術水準を日本自衛隊が持つということになると、それ自身が大きな戦争抑止力に私はなると思うのですよ。こういう点について、ひとつこれは何度もいままでにお伺いしたのですが、技術開発はやるやるというあれはあるんですが、現実は、ひとつもこれはあまり進んでないのです。この点をどういう——私の要望を申し上げるのであって、必ずしもすぐそうはいかないと思いますが、御所見をちょっと伺いたいと思います、長官に。
  25. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これまた非常に重要な点の御指摘でありまして、全く私も同感だと思います。ただ、まあ私ども微力で、十分その予算の裏づけができぬのが残念ですが、これはやっぱり総理大臣になりたくなるですな、こういう話を御質問を受けますと。特に日本技術というものが、これから世界の経済に対処といいますか、戦いをいどんでいく、競争をするというたてまえからいいますと、高度な技術産業というものが要請されると思います。で、たとえば低い技術、繊維というものがどんないいものができても、後進国もすぐまねができる。もう今日テレビでも、簡単な白黒のテレビぐらいなら、もうこれは後進国に市場を奪われる。奪われなくても、アメリカなどから規制をしいられるというようなことで、低い技術では、もう今後日本の産業というものは勝負できなくなっておる。それならば、高度技術を駆使し得る高度な産業に、やはり日本の産業自体が意欲を燃やさなけりゃならぬ。そうなると、やっぱりいま御指摘の、私、兵器産業における技術開発費、これを重視しろということは一番大事だと思います。そして、これがやはりもとになって日本の高度な技術産業というものが伸びていく可能性があります。とかく産軍癒着だとか、いろんな声がアメリカにあるものですから、日本にもあるんじゃないかという疑惑の目でもって見られますが、これは業界自身も自粛してもらわなければならぬ点もあろうと思いますが、そういう声におびえてなおざりにされていけないのが、私、高度な技術開発だと思います。これはひとつ、まあ総理大臣にはちょっとなれそうもありませんが、そうかといって、総理を説きつけて予算措置をする大事な問題だと思いますので、今後ひとつ努力いたします。
  26. 源田実

    源田実君 この問題に関連しまして、実はこういうことがあるわけです。先般アメリカが北ベトナムの爆撃を再開したときに、最初にB52が入った。B52はいままで入ってなかった。B52が入ったときに、北ベトナムのレーダーが、全部雪が降ってくるか、まっ黒になるかして、飛行機がさっぱり見えないことがあった。そういうのがあるんです。これは電子対策で、B52は非常にいいのを持っていますから。ところが、これは要するにECM、エレクトロニック・カウンター・メジャー、それに対する対抗がECCMというカウンター・カウンター・メジャーですね。ところが、こいつがいまの日本にはだれも教えてくれない。いわんや英米の間でも、アメリカは英国にさえこれは教えないんです。一番の極度の機密であります。そうすると日本は、いまこういろいろやっておるけれども、電子対策というものが行なわれなければ、これは相当な妨害を受ける可能性がある。そうするとこの電子対策をやるのに、いまの自衛隊なり、防衛庁なりが、部内の工場がないわけですね。民間にやってもらわなきゃならぬ。そうすると、今度民間でこの問題に対する機密が漏れた場合には、この間も機密問題いろいろありましたけれども、機密が漏れたときどうにもこうにも手が出ないんです。  したがって、いわゆる報道関係を抑制するとか何とかいうようなそういう意味ではなくて、少なくともこういう兵器に関するような研究の機密を守るようなことは、これは私は防衛庁としては当然特殊な立法措置とか何とかで、一般の報道を取り締まるというようなそういう意味ではなくて、言論の自由は自由だけれども、しかしながら、こういう兵器の機密のごときものを、アメリカから譲渡されたやつの機密は守ります。しかし日本で開発したやつの機密は守り得ない。それが役所でやれば守り得るわけですよ、公務員だから。しかしながら、民間の会社でやるしかほかに手がない。それでやった場合に、会社の良心による以外にはこれは守る手はないと私は考えておりますが、現実にはどうでしょう。それはどうですかね。
  27. 岡太直

    政府委員岡太直君) ただいまの機密保全の問題でございますが、そういう重大なものは、試作なり委託なりする会社とは機密保全に関する契約を結んでおるわけであります。そして会社は、その際できた秘密は守るということを契約上の義務づけをやっております。そしてそれの裏づけとしまして、秘密保全の付帯条項というものがございまして、具体的にどういうふうにして機密を守るか、つまり会社の中に秘密保全の規則をつくるとか、それから複製する場合にはどうするとか、場所に立ち入ってはいけないとか、そういうふうなことで、契約上相手方を縛っております。従来、先ほどおっしゃいました高度な秘密であるところのECMとか、ECCMだとか、三次防においても数億程度の仕事をやっておるわけでございます。それによって、われわれ承知していないのかもしれませんけれども、漏れたというようなことはないというふうに考えておりますが、これはわからぬのですが、直接に漏れてどうこうというような話は承知いたしておりません。
  28. 源田実

    源田実君 そうすると、こういうぐあいに了解していいんですか。これは法律的な処置は必要ない。実はほんとうは法律的な処置が必要なくて機密が守れば一番いいと思うんですよ、この方法が。ところが、いまの日本のそういう防衛庁の仕事をやっておる会社は、非常に紳士的で信頼ができて、もうそういうものがなくても、会社との紳士協約でこれは守り得る。これは大体そういうぐあいに了解していいんですか。
  29. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 防衛あるいは軍事上の立場のみを考えますると、そういったものを保護する法律があったほうが、私の立場から言えば望ましいということは言えます。現実問題としましては、いま話がありましたように、実害はどうも出ていないように思いますけれども、可能性の問題がありますが、それと同時に、外国と提携をして研究開発をやる場合に、わが国では機密保護の体制がない、制度がないということで、外国側がやや消極的になるという実例はございます。そういったものを実害というなら実害でありますが、しかし、現在の日本の体制からいえば、そういったもので縛る、そういうような制度をつくるということは、全般的な立場からいえば望ましくないということになろうかと思います。
  30. 源田実

    源田実君 この問題については一応このくらいにしておきます。  この問題に続いて、四次防、ことしの初めの国会で、やっぱり私はだいぶミスアンダスタンディングがあるんで、防衛庁側どういう考えであるか。これは私は、実は自民党内でもやり方についてはあまり感心していないわずかなものの中の一人であります。ところがあの場合、F4EとかT2、C1を四次防の先取りだということで、これは盛んに論議になった、ところがはたして四次防の先取りであるかどうか。この問題は例の国防会議の中に、国防計画の、防衛計画の大綱、それから防衛力整備計画の大綱、そういう問題があるわけですね。こういうところに引っかかってくる。防衛産業関係の大綱とか、それに関連するこういうものがあるけれども、しかし、これはこの中のいかなる機種も現実にいま部隊はあるんですな。一番いい例がF4Eである。これはいまRF86Fの偵察隊が一個飛行隊現実にある。その飛行機がだんだん古くなってきて、ことにあの偵察機・写真機を持っておるのはあとあまりない。あと十七機かしか予備機がない。ここ数年の間にゼロになる。だんだん古くなる。それに対してかわりに、補充としてこの飛行機を入れようとしておるのであって、新しい兵力増強でも何でもない。ただ新しい飛行機だから、わざわざ古い、生産をしていない飛行機を買ってきて、いまごろ埋めるばかはいないのであって、こういう新しい飛行機を埋めるんなら、そういうのを埋めるのが当然であると私は了解して、決してこれは四次防の先取りとか、四次防云々でいわれる筋のものでないと私は思うんですが、これは防衛庁の見解はどうですか。
  31. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私どもも実は、先取りではございません、四次防というものとは関係なく、予算の査定に当たっては大蔵省も査定をしましたと、終始実はそういう主張できておるわけであります。現在でもそういうことでずっと流れがあるわけですが、ただ問題なのは、防衛庁の原案といいますか、当時の中曽根原案の中にそれらの機種の名称があった。そこで野党側から言われるならば、あの当時防衛庁の原案の中にありながら四次防は策定できなかった。その四次防はまだできないといいながら、防衛庁原案の中で、いわゆる目玉と言われるような機種がこの予算査定になっておるのではないか。いやそれは四次防とは関係なく、いま源田議員が御指摘になりまするように、減耗分である、武器の、兵器のいわゆる更新分であるということで、終始答弁をしてきたわけですが、そのあたりには意見の食い違いといいますか、疑義ありということになって、議長裁定がおりてああいう形になったことは御承知のとおりであります。したがいまして、防衛庁側としては、いまおっしゃったような一つの主張を貫いておった。しかし、これが疑義ありということになって議長裁定がなされた以上は、この裁定に従ったと、こういう経緯でございます。
  32. 源田実

    源田実君 これは、あの場合、ああいう状況で、結局は押し切られたようなことになったと思うんです。ところが、問題はそれだけじゃ済まないと思うんです。非常に重要な問題は、このF4Eというこの飛行機なんです、一番の問題は。御存じのように、日本はいまやっぱり攻撃はやらない、専守防御ということを言っている。専守防御ということばがどうか、ちょっとこれもおかしなことばですが、要するに専守防御、戦略的防御の意味だと思うんです。ところが、これをやるのに一番重要なものは、防御するために、相手方の情勢を全然知らないではこれは防御できないんですね。たとえば外国軍が来て上陸するとする。それがどこへ上がるのかを上がるまではわからないというんじゃ防御はできない。ところが、他の外国はどういうのを持っているのかというと、戦略の偵察機であるとか、あるいは人工衛星であるとか、要するに望遠鏡で偵察しているんですね。そのほかに、こういう近距離の偵察がある、ELINTという例の電子偵察もある。日本が持っている偵察手段というものはほかに何ものもない。ただ一つこの偵察隊、わずか十八機の、航空自衛隊が持っている十八機の写真偵察機、これ以外に何ものもない。あとはいわゆる——それも近代的なこの偵察のできるのはこれしかない。しかもそれは日本の周辺だけなんですね。日本の付近の海域付近、こういうところを偵察する。これはまた同じくこういうものが、やたら大きな災害の場合なんかに通信連絡がとだえたときなんか、何でその状況がわかるかといえば、無線でわかる以外は現実に目で見るのはこれしかないんです、大災害の場合なんか。そういう飛行機がいまのところちょっと議長裁定で宙ぶらりんになっているんですが、こいつについては、私としては一日も早くこれを軌道に乗せてもらいたい。  これは実は日本防衛、これがなしにやるとなれば、いままでのところ、ちょっと例で言いますと、ほかの国がみんな望遠鏡とかそういうもので偵察しておる。日本はいままでそいつを肉眼でやっておった、それもだいぶ目が近いほうの肉眼で。ところがこいつが成立しないとどうなるかというと、日本はめくらで防衛をやるということになるんですよ。めくらで防衛やるということになるね。これはちょっと見込みはない。机竜之助みたいなぐあいに、これはいかないと思う、自衛隊は机竜之助じゃないんですから。したがってこの問題について一つ長官にお願いしたいのは、なるたけ早く四次防問題を解決していただいて、そうして国防会議で決定して、すみやかにこの問題が、こういう大きな防衛上の穴があかないようにしていただきたい、こいつを私は要望として申し上げておきます。
  33. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) はい、わかりました。
  34. 源田実

    源田実君 それから次に、いろいろあるんですが、あと三十分ですから、次にこの問題についてお話を承りたい。  実は今度の国会では、いろいろこの自衛隊関係がこのくらい攻撃されたことはちょっとないと思うのですね。ところがその自衛隊そのものがね、何か先ほど言ったように異質のものであるかというと、そうではあるまい、これは。やっぱり一つも変わらない日本民族の一人なんですね。それが国防という重要な問題にみずから入ってきた。あんまり評判は、人には受けないけれども入ってきた。しかしそれがね、長官以下、あるいはこの文官というところがいろいろやられるんだが、これはまだ政治に関係あるから、ある程度恕すべき点もあるけれども、ユニフォームがこれまたことごとに攻撃を受ける。これは自衛隊員に与える影響というものは決してよくないと思うんです。何でわれわれだけがこんなにまで一々攻撃を受けなければならない——それは中には悪い者はおるだろう。それはそれで処罰すればいい。全体がなぜこうまでやられなければならないか。政治なら政治の場で、政治だけでやるべきである。自衛隊そのもの、ユニフォームそのものがこうまでに攻撃を受けなければならないか、これはわからぬと思う。したがいまして、この問題の一つの重要な問題として出てきたもので文民統制というのがある。ことごとに文民統制にこれがきておる。その文民統制というのでね、実はこういうのがあるんですね。この間のね、立川にね、これは国会でもない。国会じゃないから、この審議の問題じゃない。しかしながらこういう理解がある。私はあのあと立川へ行って、それで市役所の前で街頭演説を頼まれていってやりました。途中で頼まれたのです。何でも、あのとき暴力団がどうのこうのというような話がありましたが、何も私がこの暴力団頼んだわけでも何でもない。知りもしない。しかしながらその街頭演説のあと、新聞記者会見をやりました。そのときにどういう質問が出たかというと、東部方面総監から立川に入る時間を繰り上げたいという意見具申が長官になされた。そうしてこれによって長官から許可が出て、それで何分間か何時間か早くなった。このことのいい悪いは別問題。ところが、こういうことは文民統制にはずれるものではないかというような質問があったんですよ。私は全くそのとき驚いた。文民統制というものをこういうように把握されたら、自衛隊のユニホームというものは一人前の人格を与えられていない、意見具申もできない、意見も何も述べられない、要するに人形みたいなものである、命を的にした、こういうぐあいになるんですが、これについての御見解をひとつお願いしたいと思うんです。
  35. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) やはり御指摘の点には一つの大きな意味があると思います。ただ、あの立川の場合は、しょっちゅうああいうことを自衛隊がやっておるわけではありません。新たな反対のある場面に新しい部隊を送り込む、こういう特殊な場面でありまするから、一々最高の命令を仰いできた、こういうふうに御理解願っていいと思います。一つずつの問題に一々陸幕長が次官を通じ、次官もまた私に右左裁断をしろということではこれはございません。例外中の一つのやはり例外である。それは、いま前段で申し上げたとおりの理由で、そこへ新しい部隊が入っていくということですから一々指図を仰いだ、こういうことに御理解を願いたいと思います。
  36. 源田実

    源田実君 それから、実は先般の参議院の本会議で安永君の御質問の中に、沖繩に物を運んだときのあのいきさつについて、防衛庁のユニホームに対する監督をもっと十分にやれというあれがありましてね、それに対する答弁の中に、これは総理大臣でしたか、その中に、自衛隊の予算執行に対する十分なコントロールは文民統制の実をあげるための基本的な条件であることは申すまでもありませんということばが、これは総理のことばで、あるわけです。これは文民統制、予算執行に十分なコントロールをやるということは文民統制の基本的な条件であるのかどうか。文民統制というものはそういうものなのか。この予算執行に十分なコントロールをやるのは、何もユニホームじゃなくて、ほかの者でも、各省でやろうが自衛隊のほかの部門でやろうが、何に対しても十分なコントロールをやるべきであって、文民統制というと、シビリアンで——見解も違います。見解にもよるけれども、シビリアンでユニホームを握ることであるということに解釈すると、予算執行に対してこれに十分なコントロールをやることが文民統制の基本的な条件というような見解については、私はちょっとこれはわからないんですよ。実はちょっと総理大臣の見解ですからね、私はまあきょう総理もおいでにならないし、十分にお聞きすることはできないけれども、こういうのが、私は何もユニホームにだけこういうことが適用できるんじゃなくて、全部に適用できることだ。十分なコントロールをやることは文民統制とは関係ない、こう思うんですが、いかがでしょうこれは。
  37. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 総理がどういう意味でそういう御発言になったかは私詳しくはわかりませんが、私が察しまするのに、そのことは軍が独走をする、それから、いまは自衛隊ですが、自衛隊が独走をする、それからまた、その装備を更新することに熱情を感じて次から次へと防衛費がふえていく、そういうことについては、文民である総理、防衛庁長官等々が、予算査定、それからまた予算の執行、そういう面で決して自由にはなっておりませんと、そういうことを言いたかったんだろうと思います。これは私の推測でありまするが、そういう意味で、その予算の面でもやはり基本的に制約をしておりますと、こういうことを言ったものだというふうに私は理解できるのですが。
  38. 源田実

    源田実君 その問題はそれでいいですが、いいかどうか別問題として、おきます。ただここで、これは多くの政治家の見解として、ことに総理大臣もここではっきり言われたんですが、文民統制とは何かという質問、それは社会党のどなただったかの御質問に対して、これは政治優先という考え方と理解しておるというような意味の御答弁があった。ここに私は問題があると思う。政治優先ということが文民統制なのかどうなのか。私は政治優先ということになると、いままでのいろいろな政治と戦略との関係に対する通説となっておる見解と若干違うように思うんですね。政治優先というのは、政治というものと戦略というものとが二つあって、そうしてすべての場合に政治のほうが優先するのだというような見解のように受け取れる。ところが、これはクラウゼウイッツとかレーニンとかそういう人の見解は、これは一応正しいというか、完全でもないでしょうが、一応いいことを言っておる。それは、戦略——あるいは戦争とも言っておりますが、戦略というほうがほんとうでしょうな——は政治の延長である、あるいは他の手段をもってする政治である、こういうふうなことを言ってあるわけです。ところが実際これをもっと精密に私は言うとすれば、戦略というものは、政治が優先したり、あるいは他の手段をもってする政治とかいうようなものではなくて、政治がここにあって、その中には、政治の中には、経済とか教育とかあるいはいろいろな内政問題とかいろいろある。その中に戦略がある。要するに政治全体の中のある部分に戦略がある。したがって政治全体の面からこの戦略を統制するのが文民統制である、シビルコントロールである、こういうぐあいに考えないと、このシビルコントロールというものは妙なかっこうに理解されてくると思うのです。私があと残った時間で、この問題は特に重要な問題でありまして、非常にはっきりしておきたいと思うのですが、私のいまの見解、政治全体の中の一部としての戦略であるというように私は理解しておりますが、これは長官はどういうぐあい理解されておるか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  39. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 私は広義に政治を解釈したら、いま源田さんが御指摘になるとおりだと思います。われわれがよく政治が軍事に優先するということをこういう国会で御答弁申し上げておる意味は、政治が軍事の方向を決定していく、こういう意味をとらえて、そういう表現をしておるというふうに御理解を願いたいと思います。そしてもっと端的に言うならば、少なくとも過去の軍隊というものは国民に命令する軍隊のような形になっておりました。天皇大権という名をかりて。ところが、この民主主義の時代は国民が命令をする自衛隊、これでなくちゃならぬ。したがって、国民を代表する政治家集団が国民の多数意思を体してこの軍事の方向を決定づけていく、これが文民優位の原則だというふうに考えます。
  40. 源田実

    源田実君 いまの長官お話のように、政治が軍事を決定する、これはそれでいいと思います。ただこの場合、現在の日本でいわれる文民統制というものの考え方は、少し、その中の一部をとってこれだけが大きくいわれて、この文民統制が何がゆえに必要であるかということについてはずいぶん違った見解があるのじゃないかと思うのです。いま日本の文民統制というものは、ユニホームが暴走することを防ぐのが文民統制の目的であるかのごとき印象をこの論議では受けるわけです、すべてについて。ところが、実はいまから十三年ばかり前に、ハーバード大学で出しておる何とかいう雑誌の、——名前は忘れましたが——その中に、このシビルコントロールに対する名論文があるのです。これはアメリカの国防次官補をやったヘンセルという人、これは学者らしいですね。国防次官補をやってる。この人の論文は、このシビルコントロールに対して非常に的確な見解を持っておって、私はこういう見解が正しい見解ではないかと思うのです。それはどういうことであるかというと、この文民統制、まあシビルコントロールですね、シビルコントロールというのはどういうのであるかということについて、第一の目的は、軍事的な効果を最も能率的にあげるために必要な措置の一つである、ほとんどこれなんです。もう一つは、軍人が暴走することを防止する。これが二番目の目的である。  ところが二番目のほうから先に申し上げますと、二番目はあまり心配ないと言うのですよ。昔の日本はなぜああいうぐあいになったかというと、昔の日本では、軍人の人事権というものを総理大臣とか何とかが握ってなかったのです。内閣でもつぶれたわけですよ。陸・海軍大臣は軍部が出すのであって総理大臣の任命ではない。いやだと言ったらもう、あとの者を持ってきて陸・海軍大臣にも置くことができない。内閣がぶっつぶれるという、人事権というものが全然別個になっている。ところが現在は、自衛隊のユニホームの人事権は確かに、二佐ぐらいまで内局を通るのですか、もうとにかく長官もとに全部集まって、その上は総理大臣である。人事権を全部握られておって、このユニホームの暴走のしようがない。悪そうなやつはやめさせればいいんですから。(「なかなかね」と呼ぶ者あり)いや、すぐやめさせられる。長官の力は、わけないのですね、一ぺんです。ぱっといくのです。したがって私は、この人事権が長官のところにないようなことは、こういうことはもちろんいけない。こういうことをやっちゃいけない。がしかし、これを握っておる限りは、暴走なんていうものはあり得ないと思う。  問題はそうじゃないのであって、この効率をよくするためには、こういう見解を言っておるのですよ。その論文は何を言っておるかというと、近代の軍事というものは単なる軍事的な専門家だけでできる問題じゃないのだと。これは政治、経済、教育、それから科学技術、それから報道、宣伝、それから輸送とか、まあ社会のありとあらゆる全部のことをわかってない人には、軍事を、軍隊の使用、そのまた軍隊に与える目的、それを使うことの決断、こういうものに正しい判断はできないのだと。軍人をこれじゃスペシャリストと見ておる。そうするとスペシャリストというのは、日本のことわざにあるように、シカを追う猟師山を見ずという、まあ軍人は兵力さえ多ければいい、ただそれだけを考える。軍人だけじゃない——この論文にも、軍人だけじゃない、そのほかのいわゆる専門家というものはすべてそうなりやすいのだと、こういうことが出ている。したがってそういう狭い見解から、兵力の使用とか兵力の規模とかあるいは国防計画とかというようなものを判断されると誤りやすいから、そういうものではなくて、全体のわかった人、いわゆるゼネラリストが軍隊を握るのだ。そのゼネラリストはどういうところにおるかというと、多くの場合、政治家の中とか大実業家の中にこういうゼネラリストを見つけやすい、こういう見解なんです。だから、たとえユニホームであっても、ゼネラリストの性格を持っているものはこれはシビルコントロールの主流たることができるのであるという論文なんです。その証拠には、証拠というか、それはどういうことかというと、アイゼンハワーが大統領になったりあるいはマーシャルが国防長官になったのは、軍人の中には彼らのようなゼネラリストはなかなか見つからないのだが、彼らは偶然そういうりっぱなゼネラリストである。だからあれは大統領になり、国防長官になったのであるという論文なんですね。これは私の論文じゃない。ところが私はこの見解というものは非常にいい見解である。したがってこのいまの日本にいわれておる文民統制ということは、ユニホームをがんじがらめに縛りあげることばっかり言われておるが、もっと大きな、総理大臣とか防衛庁長官というようなものになる人は偉い人ですから、こういう人がみんなわかっておる。そうして全体の指向方向をどこに持っていくか、そういうことが十分に正しい判断ができる人を持っていく。これが実は国防力を最も経済的に有効に使う一番大きな要件であるというように、この論文からいえばそういうことになるわけです。したがいまして、私は、このシビルコントロールに対する一般的な日本のいまの考え方について、これは今後改めなければならない、こういうぐあいに私は考えておるのです。これはひとつ御意見だけ伺っておけばけっこうなんですが。
  41. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 全く御指摘の点は重要なことと思います。ぜひひとつその論文は、いま久保局長も拝見したいと言っておりますし、私も拝見したいと思いますから、あとからちょうだいできたらしあわせだと思います。御趣旨の点は十分体しながら、シビルコントロールというものを日本においても模範的にこれをつくりあげていくということは大事なことだと思います。
  42. 源田実

    源田実君 大体これで実は終わりますが、私はスペシャリストであり、ゼネラリストではありません。ただ、私は端的に申し上げますが、いまの自衛隊員、私はその中で育ってきた。自衛隊員、ことにユニホームですよ、これが、あの中にたまには悪いことをするやつがおります。こういうものをなくさなければならぬ、これは当然やるべきである。ああいうものが一人でもおるとそれだけマイナスであって、一人悪いものがおればそれによって全部が不当な迷惑を受けて、自衛隊の戦力がうんと減る、こういうものはもちろんなくするようにやらなければならない。しかしあの大部分の自衛隊員というものは、ほんとうにいまこの社会の中であまりちやほやされないということを覚悟の上で自衛隊に入ってきて、そうして災害でも何でもやっておる。有事の場合彼らはやります。それをもう少しこれに対して同情的な目で見ていただきたい。決して日本に反逆するようなそういう者は彼らにはいない。あれほど一生懸命まじめにやっておるものも実は珍しいと思うのですよ。この点を特に私はお願いをいたしまして、時間もちょっと残っておりますが、なるべく早くやめたほうがいいでしょうから、こういうところで質問を終わりたいと思います。
  43. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 源田さんの御意思はよくわかりました。十分御意思を体して、自衛隊の質の向上に努力してまいりたいと思います。
  44. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会      —————・—————