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1972-03-16 第68回国会 参議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十六日(木曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柳田桃太郎君     理 事                 町村 金五君                 安田 隆明君                 鈴木  力君                 水口 宏三君     委 員                 黒住 忠行君                 源田  実君                 田口長治郎君                 土屋 義彦君                 細川 護煕君                 山本茂一郎君                 足鹿  覺君                 上田  哲君                 山崎  昇君                 沢田  実君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        国 務 大 臣  江崎 真澄君    政府委員        内閣法制局長官  高辻 正巳君        防衛庁参事官   高瀬 忠雄君        防衛庁参事官   鶴崎  敏君        防衛庁長官官房        長        宍戸 基男君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       江藤 淳雄君        防衛庁経理局長  田代 一正君        防衛庁装備局長  黒部  穰君        防衛施設庁長官  島田  豊君        防衛施設庁総務        部長       長坂  強君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        防衛施設庁施設        部長       薄田  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国の防衛に関する調査  (国の防衛問題に関する件)     —————————————
  2. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国の防衛問題に関する件を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 水口宏三

    水口宏三君 総理にまずお伺いいたしたいと思いますけれども、このところ御承知のように四十七年度予算と第四次防衛計画、あるいは立川飛行場への自衛隊駐留、さらに沖繩への自衛隊物資派遣というようなことをめぐって、自衛隊に対する文民統制が非常にきびしく問われている。もちろんこの文民統制の問題につきましては、それは国防会議にかけられたかどうかというような法的な手続も重要でございましょうけれども、むしろそのときの政府政治姿勢軍事優先という立場をとるのか、それとも民意尊重国民生活優先という立場をとるのかということこそ、むしろ文民統制の最も基本的な問題ではないかと考えますが、この点についての総理の御意見を伺いたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま水口君から、文民統制のあり方についてお尋ねがございました。私どもは、文民統制ということは、これはシビリアン・コントロール、こういうことばでも表現されております。そういう意味から、いわゆる制服がどうこうでなしに、やはり文官がこれを統制をはかると、こういうことだと思いますけれども、これをことばをかえて言うならば、いま御指摘になりましたように、政治が優先しなければいかぬ。軍事が優先すると、こういうことではいかぬのだ。政治優先、その形がいわゆる文民統制としての表現だと、かように私は理解しております。  そういう意味で、政府におきましても、内閣、ただいまは制服は閣僚ではございません。まあそういう意味からも、文官がその任に当たっております。同時にまた、国会におきましても、最高の国家機関である国会が最終的には政治優先という形で文民統制の実をあげている、かように私は理解しております。
  5. 水口宏三

    水口宏三君 さらにそれを具体的に伺いますが、いま総理のおっしゃった政治優先ということば。しかし、政治そのもの軍事優先姿勢をとっておったのではそれは意味がないわけです。したがって、そのときの政府政治姿勢軍事優先ではなくてやはり民意尊重国民生活優先という、そういう政治姿勢を持つということがやはり文民統制の根幹であるというふうに考えますが、その点いかがでございますか。
  6. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりであります。
  7. 水口宏三

    水口宏三君 重ねて伺いますけれども、じゃ、佐藤内閣政治姿勢民意尊重国民生活優先であるというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりであります。
  9. 水口宏三

    水口宏三君 次におとといの当委員会での審査のときに、防衛庁長官から、今回の立川基地への自衛隊派遣のおもな目的は、大災害時における民生協力災害救助にあるのだということを防衛庁長官が言っておられますけれども、総理もそう御了承になっておるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私もさように理解しております。
  11. 水口宏三

    水口宏三君 それでは、実際に立川への自衛隊駐留、特に三月七日の先遣隊移駐ということが、最初総理がおっしゃった民意尊重に当たるというふうにお考えでございましょうか。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはいろいろ議論の存するところだと思います。大体、移駐は三月の八日、こういうことであったと思います。これが七日になった。時間的にもそういう点で、まず話をされたことと違っている。同時にまた、立川移駐はずいぶん早く決定をした。六月の二十九日であったと思いますが、そのころ閣議で決定しておきながら、なかなかそれが実現しない。そこにはいろいろの政治問題がございますから、ぜひとも地域住民理解を得べく、防衛庁長官みずからが先頭に立って努力した。なかなかそれができない。できないうちに、ただいまのような先遣隊派遣と、こういうようなことになった。こういう意味でいろいろ誤解を受けておると、かように私考えております。こういうような事柄がないようにしなければならないし、また自衛隊自身といたしましても、ぜひとも地域住民理解協力なくしては、その目的を達することは非常にむずかしい、かように私は考えております。まあ、事柄の性質上、それぞれの地域住民だけの意向で決定するわけにもいかない、国の防衛というような大きな問題でございますから。同時に、災害時におけるその救助と、かように申しましても、やはり基本的な考え方は、国の、国土防衛、かような考え方で取り組まなければならない。それについてはやはり地元住民積極的協力を得ると、こういう意味努力すべきことは当然であります。  今回の移駐に際しまして、それらの努力はずいぶん払われたと思いますが、しかしながら、まだまだ心からの協力を得ることができなかった、かように思っております。その点はまことに残念であります。しかし、今回出てまいりましたのがいわゆる先遣部隊でありますし、本隊そのものはまだ移駐しておるわけじゃございませんし、今後におきましても、われわれはぜひとも地域住民理解協力を得べく最善の努力を払いたい、かように思っております。
  13. 水口宏三

    水口宏三君 いま佐藤総理最初に私念を押したのでございますけれども、立川移駐する主たる目的、これは自衛隊目的には国土防衛もございましょう。しかし主たる目的東京における大災害時の民生協力災害防除にあるということを前提にして、私、実は伺ったのでございますけれども、そういう観点に立った場合に、いま地域住民理解協力ということをおっしゃいましたけれども、この点については、理解協力をどういうふうに得られるのかということは、私は非常に問題だと思うのでございます。  ということは、二、三、具体的な例をあげてまず伺いたいのでございますけれども、昨年の統一地方選挙で、美濃部都知事秦野さんが、片や東京緊急開発五カ年計画でございますか、美濃部さんは広場青空東京構想という、そういう基本的なスローガンを掲げて争われたことは総理も御承知のとおりだと思いますが、そのときに美濃部さんは、選挙公報の中で、広場青空東京を目ざして、平和を脅かす軍事施設の撤去ということを公報の中で明確に公約いたしておるわけであります。その美濃部さんが、秦野さんに対して三百六十一万五千対百九十三万五千、約百六十万の差をもって勝ったということは、これは明らかに、都民の多くの人たちがこの広場青空東京構想を支持したと言ってもいいと思うのです。しかも、この構想基本は、旧都内に偏重しているいわゆる一極的な都市構造を、むしろ多摩のほうにもう一極つくる二とによって二極構造都市に変えるのだ。その多摩のいわゆる極の中心になるのは立川である。しかも、その広場中心立川飛行場ないしは横田飛行場返還されることでつくられるのだというのが、これが基本構想だと思うのです。そうしますと、むしろ立川住民というよりは、東京都民自身が、東京全体の民生あるいは災害時におけるいろんなことを考えてこの美濃部構想を支持したとわれわれは理解しております。それが第一の具体的な民意のあらわれだと思いますし、第二は、昨年の八月の二十二日に行なわれました立川市長選挙のときに、御承知阿部候補公約の中で、立川基地横田基地全面返還をまず要求したい、しかも、このあと地利用につきましては、これは災害時におけるむしろ防災拠点とすると。あるいはこれを解放して学校をつくるとか、公園をつくるとか、いわゆる民生のためのものに利用したいということを、これをスローガンに掲げて、この選挙におきましても二万六千対一万八千という圧倒的多数でもってこの阿部さんが当選をしておる。さらに、御承知のようにこれは多少防衛庁等では疑義があるらしゅうございますけれども、立川市が中心になって行ないました立川市民意識調査でございますね。これは必ずしも学術的でないという批判もあるかもわかりませんけれども、この意識調査を通じて八二・三%の住民自衛隊移駐には反対であるということを表明いたしております。なおかつ、十月の十三日には立川市会、その直後には昭島市会がこれは全会一致でやはり自衛隊移駐反対いたしております。ただ、立川市会の場合には、この一月二十六日に政和会といういわば自民党系市会議員方々単独審議前回決議を撤回するということをきめておりますけれども、内容を見ますと、これはいわば、もし自衛隊移駐するなら、これこれこれこれのという、いろんないわば取引条件を出しているのであって、しかも、この人たち選挙をやりますときに、立川への自衛隊移駐ということを市民に訴えて当選してきたのかというと、全然そういうことではございません。となりますと、十月十三日に全会一致できめた決議を、これをひっくり返すという根拠は何らないわけであります。  以上、東京都知事選挙、あるいは立川市長選挙、それから市民意識調査、それから立川市会昭島市会反対決議等考えましても、総理はこれから説得をしてむしろ理解協力を得ると言っておりますけれども、都民生活体験の中から自衛隊が来ては困るのだということをよく知っているから、こういう民意があらわれたのだろうと思います。総理がもし民意を尊重なさるとおっしゃるなら、これはあくまでこの立川には自衛隊移駐させないということこそ民意尊重にかなうものだと思います。その点いかがでございますか。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もう一度都知事選をやるわけではありませんし、市長選をやるわけでもございません。ですが、ただいま知事さんや市長さんがそれぞれ選挙公約をなすったこと、これは私も調べてよく知っております。しかし、やはり何といいましても災害から地域を守るということ、こういうことは、美濃部さんにしても同時に阿部市長にしても、そういうことには非常な関心を示しておられるのではないでしょうか。私はやはり災害から救助するということは、これは共通の考え方だと、かように思います。したがって自衛隊そのものが、いわゆる本土防衛だとか、こういうことになってくると、それはそれぞれどうも他の場所でやってくれ、おれのところには来ないでくれ、こういうような言い分もされましょうが、しかし、災害を守るということになると、積極的な意向をお持ちじゃないだろうか、かように私は思いますので、ただいまのような基本的な議論をするよりも、出かけるその部隊、そういうものがどういう役割りを主とするか、こういうような点について、もっと地元方々と相談をするというか、話し合う、そういうことが望ましいと、かように実は思っておる次第でございまして、ただいま水口さんのおっしゃるような経過は、私もよく承知しております。したがって、総体といたして、その基本的な考え方についてはずいぶん相違はあると、かように思いますが、いまの、災害から守るとか、あるいは平和な都市をつくると、こういうような意味で必要な協力をお願いするということはどうも望ましいことではないだろうか、かように私は思います。
  15. 水口宏三

    水口宏三君 いまの災害の問題につきましては、あとで私具体的な事例をあげて再質問いたしたいと思いますけれども、——それじゃ、総理もこれまでのそういう経過御存じである。それで今度の移駐につきまして、実は六月二十五日の日米合同委員会で、立川基地その他の返還に伴って合意が得られた。その場合に、立川基地への自衛隊派遣は、八月二十二日の立川市長選挙後に行なうということをきめておるわけでございますね。これは明らかに、自衛隊を先にやったのでは立川市長選挙にマイナスだというふうに自民党さん自身がお考えになったからだと思うのでございます。このことは逆に、民意をなるべくそらそうということだと思います。  それからなおかつ、これはもう衆議院で十分審議を尽くされたことと思いますので、重ねては申しませんけれども、立川市長江崎防衛庁長官は三回にわたって会っておりますけれども、その中で、江崎さんは事前通告すると言っているが、事前通告をいわばほごにした。このことは、事前通告ということを言っておいてある程度市民を安心さしておいて、ふっとやっていくという、これもどうも何か民意の裏を返す、つまり、民意のすきを突くというようなふうにわれわれとしては非常に遺憾に思います。  なおかつ、立川への自衛隊移駐については、通称ふじ作戦と呼ばれておるのですね。われわれは立川市と考えておりますけれども、どういうわけか防衛庁ではふじと呼んでいらっしゃるそうです。どういうわけかというと、立川ということばが出るとどうもうるさいので、あれはふじふじと言っているのだそうでございますけれども、ふじ作戦というのは、これはもう事前から先遣隊派遣には非常に綿密な計画を立てていらっしゃる。——ここに計画がございますから、申し上げてもよろしゅうございますけれども、時間がございませんのでそれは避けます。これはもう防衛庁長官御存じのとおりだと思うのでございます。しかも、おとといのこの席上での防衛庁長官のお話では、どうも事前計画が漏れたらしい。それでそのまま行くと、立川市、市民混乱をする。そのおそれがあったのでひそかにやったのだと。どうも自衛隊機動隊に守られて移駐するというのはかっこうが悪いので、ああいう形でやったのだとおっしゃいますけれども、機動隊に守られてかっこうが悪いなら、夜陰に乗じてひそかに入ることはかっこうが悪くないのかと、むしろこのことのほうが私は自衛隊の権威を落とすと思います。そういう意味で、むしろ、これは初めから仕組まれた——つまり佐藤さんも御了解になっておるように、これまでの選挙なり何なりを通じて、民意は明らかに立川への自衛隊移駐には反対である。これを何とかしてもぐり込もうというふうな、さまざまな手段が講じられたとしかわれわれは了解できないのでございますけれども、この点につきましては、総理並びに防衛庁長官から伺いたいと思います。
  16. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 市長選挙が済んでから配備をしようということは、これは党ではなくて、やはり防衛庁側意向で、新市長のできれば了解を得ることが望ましい。これはもう当然そういうことであったわけであります。私は前後二回お目にかかったわけです。しかも、一回は三時間くらい、いろいろ事情を尽くしてお願いをしたり御了解を求めたわけでありまするが、どうしてもだめなんです。これは水口さんも御承知かと思いまするが、市長さんは、自衛隊立川移駐すれば、これは自衛隊違憲論で告訴するんだということを選挙中おっしゃっておったということを私聞いております。で、そういうものの考え方にお立ちになっておる市長ですから、もの腰はやわらかいが、これだけ、三時間懇請しても、まあ鉄の扉をたたくようなものですね。どうしても御了解していただくことができない。そのときに隣におられた議長さんは、わかったと、それじゃ相談しようという経緯はこの前も申し上げましたから、くどいことは申し上げません。  それからふじ作戦というのは、これはおそらく、自衛隊行動は全部作戦と名づけて行動をします。これはたとえば、伊勢湾台風のようなああいう大災害のときでも、水を敵になぞらえて何々作戦、これは常套語ということで御了解を願いたいと思います。おそらくふじという意味は、あれは富士演習場へ行って、いろいろな、ヘリコプター訓練等をいたしますのでふじ作戦という名称をつけたのではないか、比較的これは単純な意味合いだというふうに御理解を願いとうございます。  それから、機動隊に守られるのはかっこうが悪い、私はそんなことを申し上げたつもりはございませんが、やはり治安に任ずるのは警察であり、機動隊であります。しかしこの自衛隊移駐をめぐりまして、治安任ずる機動隊地元の一部の人との衝突など、混乱があれば、これは決していいことではありませんので、責任者情勢判断に応じて時間を繰り上げることを了承した。この数時間繰り上げることによりまして、阿部市長さんに対する連絡がおくれたことはいかにも遺憾に思っております。今後は、こういうことのありませんように十分考えていきたいと思っております。
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いまの市長との連絡の問題、これはどうも、八日に入ると言いながら七日になった、この点ではたいへん、市長との約束が履行されていない、またその通告もたいへん時間が直前だったと、こういうことで、これはずいぶん批判を受けております。ただいま防衛庁長官も、この点ではまことに遺憾の意を表しております。私は、そこで問題は、一体正しいことだからなぜ堂々とやらないのか。いわゆる反対はあってもそれを押しのけてでもやる、そのぐらいのことが必要なんだ、こういうことは野党の一部からも言われますけれども、私ども、成田の空港で苦い経験をなめております。ああいうような、真正面から衝突した、そうして二つになった、こういうのはどうもあまりいい政治のやり方ではないように思います。避けられる衝突は避けるべきだと、かように思います。ことに、自衛隊を否定されておる政党もあるのですから、そういうところから見ると、やはり今回の問題は事前十分話し合いをし、しかもなかなか説得はできなかった、しかしおそらく市民からは協力を得るだろうと、かように考えたが、さにあらず、市民もまたこれに対して反撃を加えておる。これはまあ、しばしば引き合いに出される八二%の反対ではないか、あるいはまた最近の世論調査から見てもたいへん数は多くなっておる、こういうようなこともございます。これはまあしかし、選挙支持率というものはなかなかわかりかねますけれども、しかしとにかく、前回選挙でこの自衛隊移駐反対市長さんが当選した、しかもそれが圧倒的であったというこの事実は認めなければならない、かように私は思いますけれども、しかしそういう意味からも、今回の問題は、もう少し時間をかけてもおそらく結論は同一であったのではないだろうか。ただいまよりどころは、やはり市会協力を得ておるということで断行せざるを得なかったのではなかろうかと、かように思います。ここらにとにかく、この委員会を通じまして、政府がいわゆる乱暴だと、横暴だと、こういうことのないように、いままでの経緯も明らかにしておきたいと思います。私は、だれが自衛隊を否定しておるとか、さようなことを申すわけではありませんけれども、そういう意味議論のあることも承知の上で、またそういう意味からも選挙が行なわれ、自衛隊移駐には絶対反対だと、こう言われた、その公約をされた方が当選された、そういう事実を踏まえながら、なお防衛庁長官も三回にわたって市長さんとも懇談をし、議長さんもそばにいたということから、やはりやむを得ない点だ。おそらくそのことも、自衛隊移駐に積極的な賛成ではないだろう。また、ことに立川基地というものは膨大なものですから、それらについてのいろいろの要望の出ていること、これがいわゆる取引の材料に使われたということばはまことに不適当だと思いますが、私はそういう意味からも、必要なものは必要だ、また地域住民理解を得るためにあらゆる努力はすると、こういうことが望ましい形だろうと、かように思いますので、今回のこの事柄からも、将来にわたってもわれわれ注意いたし、反省はすることはいたします。ただいま、そういう意味で、いろいろ約束した事項等もあるようでございますから、それらの点について十分理解を得るようにやっていくと。まあ問題は本隊移駐、それがいつ行なわれるかということだろうと思います。いま出ておりますのは管制部員のこれは訓練用のものでありまして、そういう意味からもやはり分けて考えるべきではないかと、かように思います。
  18. 水口宏三

    水口宏三君 いま御答弁を伺っていますと、総理防衛庁長官では多少ニュアンスが違うと思うのでございますけれども、防衛庁長官は二回にわたって立川市長と話をしたけれども了解を得られなかったと——あたりまえですね。民意を尊重する市長ならば、みずからの選挙公約を掲げて当選をしたその公約を守るのが市長の任務ですよ。それがくずれたら民主政治は破壊されますね。しかもあなたは、憲法違反考えて告訴すると言っている市長相手にならぬようなことをおっしゃいますけれども、事実これは憲法論議はいままで国会でも続いているわけです。しかもこの立川市長が出した公約というものは、むしろ基地あと地利用について、これは災害のために利用するとか、あるいは民生のために利用するということにむしろ公約の重点があり、それが支持されたわけですね。その市長を、あなたはいかにも相手にならぬようにおっしゃるということは、これは佐藤さんは反省しているというが、あなたは何も反省していないじゃないですか。  もう一つですよ。あなたは、機動隊に守られるのはかっこうが悪いからということは言わなかったとおっしゃいますけれども、これは速記録を見ていただきましょう。あなたははっきり言っていますよ、ここでもって。機動隊に守られて自衛隊移駐するということはかっこうが悪いと、だから、ということでもってあの作戦をやったんだということをおっしゃっている、はっきり。だから私はさっき、機動隊に守られるのがかっこうが悪いなら、やみでやるならいいのかと聞いたことなんであって、こういうことはすべてみんな皆さん方は、いま私申し上げましたように、先遣隊移駐についても、これはもう一カ月も前からいろいろ綿密な計画が立てられているわけですね。時間がございませんので、資料を持っていますが、きょうは申し上げません。いずれにしても、今度の先遣隊派遣並びに自衛隊移駐に関して、現在少なくとも民意はこれに反対であるということをお認めいただけるんでございましょうか、総理に伺いたいと思います。防衛庁長官はいいです。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの状態では、いわゆる市民直接ではございませんけれども、市会相手にして、市会が多数この事態を早く解決すべきである、かような意味で、市会自身も要望も出しております。同時に、こういう問題の決をつけよう、かような意味で、多数の方々が結論を出しておる、かように私は理解しております。
  20. 水口宏三

    水口宏三君 市会の問題につきましては、ここであまり論じようとは思いませんけれども、先ほど申し上げましたように、政和会方々選挙に出るときに自衛隊誘致、災害防止のための自衛隊誘致ということを選挙公約に出して当選なさった方々なら、昨年十月の全会一致決議というものを、一月になってから自衛隊移駐はどうも防災  にあるらしいから賛成だとひるがえるというのも  いいでしょう。全然選挙では市民には訴えていな  いことですね。だから私は、市会政和会決議  なるものはむしろ市民民意を裏切るものだと考  えております。それはここで議論しようとは思い  ませんけれども、冒頭佐藤総理は、今度の自衛隊  の移駐民生協力災害防除にあるということを理解してもらえればおそらく協力願えるだろうと  いうことをおっしゃっております。その点につい  て私案は伺いたいのでございますけれども、もちろん、大災害としきりに政府は言っておりますけれども、この中にはおそらく大地震ということが頭の中にあるだろうと思うんです。これはここ数年来東京に大地震がくる可能性があるということをいわれておりますが、地震のことで調べたのでございますけれども、大正十二年の関東大震災、  マグニチュード七・九度、昭和八年の三陸沖の地震が八・五、それから三十九年の新潟地震が七・八、四十三年の十勝沖地震が七・八だと、東京にも近く、と申しますか、マグニチュード八以上の大地震が起こる可能性があるということは学者からもいろんな角度から指摘されておりますし、おそらくそれに対する防除ということでお考えになったのではないかと思いますが、まずその点をひとつ確かめておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは以前だと、こういう地震が近くある、こういうことはどうも人心に動揺を与えると、こういってずいぶん慎んだものです。しかし最近は科学がずいぶん進んできました。そういう形から、やはりそういうような事柄も十分の理解を持って、あまり周章ろうばいしないように、そのために必要な防災会議もあるんだから、こういうことで、むしろそのほうを積極的に地域住民理解を得るように積極的な説明をすべきだ、同時に、災害時における防災についての万全を期すると、これが大体最近の大勢のように思います。したがいまして、ただいまの東京あるいは関東地方における地震が起こる、そういう場合に一体どうなるのか、これについての災害対策、こういうものが一応行なわれておりまして、そうして一応の結論まで出しております。いろいろその場合において、航空部隊からするあるいは情報の提供だとか、あるいはまた薬剤の散布等による火災の拡大を防ぐとか、あるいはまた直接救助作業をする等々の計画が実は行なわれておること、これはもう防災会議でそういうことを取り扱っておる、そのまま皆さん方に御報告して、そうして積極的な御協力を得たいと、かように思います。
  22. 水口宏三

    水口宏三君 じゃ防衛庁長官に伺いますけれども、マグニチュード八以上の地震が起きた場合に、現在の立川飛行場の滑走路、あるいは電気系統、あるいは通信関係ですね、こういうものがマグニチュード八以上の地震に耐え得るのか。その後においても十分飛行場として使用できるのかどうかということを専門家の調査によって確かめておられるかどうかということと、それからもう一つは、新潟地震のことを振り返ってみても、立川自衛隊の飛行機が行く以上、相当燃料の貯蔵があると思うんです。そういう場合に、この航空燃料がむしろ誘爆するというおそれが多分にあると思いますけれども、これらについて専門家の十分な調査なり対策をお立てになっておるのかどうか伺いたいのです。
  23. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) 御指摘の点はたいへん重要な点だと思います。そういうことについてはたえず部隊においても配意はいたしております。いまここにちょっと資料がありますので簡単に申し上げますと……。
  24. 水口宏三

    水口宏三君 その点だけ、専門家の調査をおやりになったのかどうかだけ伺いたいのです、時間がないので。
  25. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) それは現時点ではございません。部内調査をしておる。震災の場合は、御承知のとおりヘリコプターですから、滑走しないで上へ飛び上がれるわけで、比較的滑走路が亀裂を生ずるというような場合においてもこれはやはり救助活動は可能であるというふうに御理解いただけると思います。それから、震災の場合の一番の被害は火災を誘発することです。ですから、最後に御質問になりました点等については今後も十分留意をしてまいりたいと思っております。
  26. 水口宏三

    水口宏三君 どうも江崎防衛庁長官の御答弁、まことにどうも子供だましみたいなことをおっしゃるので、ヘリコプターならどこでも飛び立てるのなら、何も立川に行く必要はないのだし、事実立川に行くのは軽飛行機が相当たくさんあるじゃないですか。いずれにしても、これは早急に専門家の調査を依頼して、あなた方がもしほんとうに民生協力なり防災に対する重点があるというなら、至急専門家調査の結果を国会に出していただきたいと思うのです。  それで、その次に伺いたいのは、大正十二年の大震災、これは佐藤総理東京で御経験になっておりますか。ちょっと立ち入って恐縮ですが……。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は当時東京にはおりませんで、長野県下、信州におりました。そこで経験をいたしました。
  28. 水口宏三

    水口宏三君 それは非常に残念なんで、私実は大正十二年の大震災を東京で経験いたしておりますので、大体ああいう大震災の場合、たとえば立川一つとりましても、あそこに大きな飛行場がある。市民はそこになだれ込みますよ。これは当然市民はみずから守りたいですから。それだけでも飛行場の機能は麻痺するじゃないですか。そういうことはお考えになっていらっしゃらないのですか。  それから、それに重ねてもう一点申し上げます。というのは、あなた方は防災防災、あるいは民生協力とおっしゃっておりますけれども、一体東京にマグニチュード八以上の震災が起きた場合、ここでもって、おととい資料要求によって防衛庁が、おそらく一夜づくりだと思いますけれども、防災計画なるものを出していらっしゃる。ところがこんなものがあの大震災の渦中に何が役立つのですか。たとえばヘリコプターの場合なら機外つり下げで器材を空輸するとか、人員を救援するとかいっておりますけれども、もしヘリコプターがおりるとか、あるいははしごをおろしたら、被災民は全部それにむらがりますよ。こういうものを排除するためにはおそらく自衛隊は鉄砲で撃たなければならぬでしょうね。そんななまやさしいものじゃないと思うのです、ぼくは。なおかつ救援物資というものは本来なら——飛行機で運ぶ場合、立川飛行場に集積するのですか。それはあなた、むしろ罹災地のまん中ですよ。本来そういう救援物資というものは東京周辺に置かれて、そこから運ばれるのが当然なんですね。だからこれは、どう考えてみましても立川飛行場自衛隊が行くということは、マグニチュード八以上の地震というものを想定した場合に、危険こそあれ何の役にも立たないのじゃないですか。かえっていま申し上げたような事態の中でマイナスの点だけ出てきます。これは皆さん方は大震災を経験していらっしゃらないし、ああいうときに群衆心理がどうなるものであるか、東京がどうなるものであるかということを御存じないから、こんな机上の計画をお立てになるのです。それはもうおそらく、ヘリコプター一機おりてごらんなさい。そこに何千人という人がむらがって、何とかして自分だけでもヘリコプターで逃げようとしますよ。軽飛行機は大体どこにおりるのですか。被災地のまん中で火事がぼうぼう燃えているところに何でヘリコプターから何か物資をおろせるのですか。そんななまやさしい計画というものは、ぼくは全く大震災を知らない方のおっしゃることであり、なおかつ非科学的なことだと思います。もし佐藤総理が防災ないし民生協力ということに非常に重点をお置きになっておるならば、私は直ちにむしろ立川飛行場から自衛隊の配備をやめていただきたい。非常に危険な存在ですよ。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) たいへん時間をとって恐縮ですが、私の震災の経験を申し上げます。  私は当時信州にいたと、かように申しました。当時の信州においての情報は、東京にああいう大震災が起きておる、こういうことがわからなかった。それほど情報を確保することは困難でありました。で、最初は千曲川断層地震だ、こういうのが信濃毎日新聞に出ている。私が信州を立って東京に帰ったのは三日の日です。ようやく三日に私は帰ってきた。しかもそのときは、すべての井戸という井戸には毒薬が投げ込まれていて、水道はもちろん断水だ、井戸水がない、こういうことでございました。しかし私はただいま事を考えながらも、やはり大震災が起こると、われわれが想像しないようなやはり情報の提供、情報の確保、これは非常に困難だと、かように思っております。でありますから、こういう事柄もやっぱりヘリコプターなどならたいへん役立つと思います。また、ただいま必要のある物資、そういうものがどこか出ていった、これはたいへんだと、たいへんな群衆が集まってきてどうこう、こういうことですから、こういう事柄がやはり多数の群衆が集まれるような状態ならけっこうですが、なかなかそこまでもいかないような状態ではないだろうか、たいへんな混乱じゃないだろうか、私の経験から申しまして、さようなことを考える。そうしてあの被服廠あと、ああいうところへみんな、ここが空地だというので全部が集まる。そうすると、大火災で多数の方をなくする。これはそういうことがやっぱり情報が徹底しないからだ、かように私は思います。そういうことなど考えると、これは十分事前の対策、そういう面でも綿密なものをこしらえておいて、そうしてやることがこれは必要なことです。私はやっぱり自衛隊にもそういう職分があることをこの機会に申し上げておきたい。これはやっぱり御理解を得たいと思います。
  30. 水口宏三

    水口宏三君 いま総理の御答弁の中で私はどうも解せないのが二つある。一つは、防災については本来警察なり個々の自治体が第一の私は任務があると思うのです。それなりに情報なり、あるいは救援のさまざまな準備はしていると思うのですけれども、事、自衛隊に限って申し上げますならば、佐藤総理も現在自衛隊はどういう配備になっているかということは御存じだと思うのですね。これを見ますと、大体自衛隊の配備というものは現在東京に、すでにもう御承知のように、練馬には司令部があり、第一普通科連隊が駐とんしている。市ケ谷には第三十二普通科連隊が駐とんしている。むしろ陸上自衛隊はそれだけでももうすでに三千人近い人が東京に駐とんしておるわけですね。なお、こういう防災の場合に被災地のまん中に航空機のようなものがいるということは、さっき申し上げたように、大体防災対策としては下の下、むしろ危険だというのが学者間の通念だと思うのですね。むしろ飛行場は木更津にもあります。現在群馬にもいるわけなんですね。厚木にもありましょう。むしろそういうところに待機をしていて、それで十分の機能が発揮し得るのであって、むしろ立川に航空機が移駐するということは、現在の自衛隊の配備状況からいっても何ら防災には役に立ちません。さっき申し上げたように、科学者の鑑定をおそらくおとりになれば、あそこに航空機がいるということ自体非常に危険であり、むしろあそこを広場にし、むしろあそこに緑を植えること、このことこそ私は防災にとって一番重要だと思うのでございますけれども、これらの点についてひとつ、佐藤さんの御答弁はなかった。情報情報とおっしゃっていますけれども、立川の大体飛行機隊がどれだけの情報つかめるのですか。いまの情報網なんというのはそんな簡単なものじゃないと思うのですね。なおかつ、申し上げたように、これは防災体制については、自衛隊だけに限っても、いま申し上げたような私は考え方のほうがこれは本道であり、立川から直ちに飛行機をのけて、あそこをむしろ、さっき佐藤さん被服廠とおっしゃいました。被服廠を一度ごらんになりましたか。あれは被服廠あとで何にも緑がなかった、しかも比較的狭かった、あそこに江東の住民が満ぱいになっちゃったのですね。そこでああいう大惨事を起こしたのです。むしろ立川飛行場、あれだけ広いところへ十分緑を植えておくなら、これは立川市民は十分収容できるでしょう。それこそ私は防災対策だと思うのです。あそこがのっぺらぼうの飛行場であって、しかもそこへヘリコプターが飛び、飛行機が飛ぶ、そこに市民が入って混乱をする、航空燃料が爆発をする。これはまさに被服廠の二の舞いでしょうね。私は防災なり、あるいは民生協力ということをほんとうに佐藤さんお考えになっているならば、直ちに総理自衛隊移駐をやめるべきだと思いますが、その辺いかがですか。
  31. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) ちょっと私から申し上げたいと思いますが、これは水口さん、最悪の場面を想定して御質問でありまするが、あの木更津もやはり江東地区、こちらの、南部といいますか、そっちのほうについては確かに木更津でカバーしよう、そういう計画がございます。立川は京浜地区——立川市だけに焦点をしぼっていえば、いまおっしゃるような議論もあろうかと思いますが、それでも震災ばかりでなしに、水害の場面もありましょうし、京浜地区をにらみつける、こういうことです。  それから、かねて地元の市議会とも約束しておりまするように、いまは米軍との共同使用という形をとっておりまするが、米軍から早く全面返還を求めて、自衛隊の不必要なところはこれは地元に返していく、そして緑の形になさろうと、それは地元側の構想によって大いにひとつ利用していただくことが望ましい、こんなふうに考えております。
  32. 水口宏三

    水口宏三君 どうも防衛庁長官はああ言えばこう言うでお逃げになりますけれども、水害もあるだろうし、もちろん火事もあるでしょう。大体、温泉旅館の火事一つ見たって、誘導がいかに困難であるかということがおわかりでございましょうね。しかも私が申し上げているのは、木更津の飛行場は京浜地帯を受け持つのだ、立川の飛行場は三多摩を受け持つのだとおっしゃいますけれども、むしろ東京中心にしての大震災を考えた場合、立川は被災地になるのですよ、被災地に。しかも繁華街のまん中にあるのですよ、飛行場が。全然意味が違います。もしそんなずさんな計画防衛庁が防災対策とおとりになっているなら、根本的に出していただいて検討いたしましょう。こんなばかな話ないですよ。むしろ飛行場というものは東京周辺に配置すべきです、さっき申し上げたように。被災地のまん中に飛行場を置いて何が役に立ちますか。いずれにしても私はさっき申し上げました、冒頭総理がおっしゃった、文民統制の根幹は民意の尊重並びに国民生活優先にあるということを総理がお考えになるならば、いま立川への自衛隊移駐は大災害の場合の民生協力あるいは災害防除にあるから、自分たちはやったのだ、この点を説明すれば、おそらく住民も納得をしてくれるだろうというお話でございましたけれども、いま私の申し上げたとおり、逆である、むしろ危険なものであり、そんなことで民意説得できるはずはありませんし、これまでは少なくとも民意というものは移駐反対だったのですから、私は、これはいさぎよく、佐藤総理がそれをもし御了解になるならば、先遣隊はもちろんのこと、今後の立川への自衛隊移駐をあきらめていただきたい。やめていただきたい。もしそれをあえておやりになるとするなら、ここではっきり、いや実際は民生安定なりあるいは防災以外の目的があるならあるで、具体的にはっきり出していただきたいと思います。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 事柄がたいへんむずかしい問題ですから、わずかの間に全部の懇談を遂げる、そうして結論を出す、こういうことはなかなかむずかしいことだと思います。私は、一つ災害対策にとりましても、先ほど来の御議論のように、水口君御理解を示していただきながらも、私との間にずいぶん意見の相違があるようであります。たとえばいまの立川地区が、これが都市中心だ、かような意味からもこういうところへ救助隊を置くことはたいへんあぶないことだ、こういうような御批判でございますが、私はさようには思っておりません。ここらにももっとほんとうにひざを突き合わせてお互いに話し合う必要があるだろうと思います。そういうことがやはり必要なんで、この委員会はそういう意味の役立つことではないだろうかと思います。私ども防災会議を開いて、そうして対策もいろいろ立てておりますから、そういう点からも、これはやはり説明をする必要があるだろう、また大東京でございますから、一カ所から、防衛について、災害救助について、一カ所からのみするということは、これも困難な状態です。だからこれはあらゆる面からそういうくふうもしなければならない。地方自治体にまかしたらどうか、こういうようなお話もございますが、やはり地方自治体ではまかなえない部分があるのではないか。これはやはり広域の範囲においてこういう問題はお互いに協議する、これが必要ではないだろうか、かように思いますので、どうも十分な時間がないために意を尽くせない点がございますが、私はただいまの状態では、いまの先遣部隊、これは管制部隊訓練用でございますから、ただいま本隊移駐したと、こういうものではありませんし、移駐までにはまだまだ時間があることだと思いますので、この際にさらにさらに実情についても十分の理解を得たい、かように私は思っております。
  34. 水口宏三

    水口宏三君 時間がございませんので、それではいまの防災の問題につきましては、先ほど申し上げた科学的な調査結果を出していただくことと、防災計画に対して私の言ったことが正しいのか、あるいはいま防衛庁のお考えになっているのが正しいのか、もう少し具体的に詰めていきたいということと、それから最初総理がおっしゃった、これから大いに説得をして協力を得たいと言いますけれども、説得の結果、なおかつ自衛隊に対して反対であるという民意が強い、こういう場合にはぜひ立川から自衛隊を引き揚げるということを、ここで確約をしろとは申しませんけれども、むしろ佐藤総理最初民意尊重、あるいは国民生活優先という政治姿勢からいけば当然の帰結だと思いますので、そういうふうに了解いたしておきたいと思います。したがって至急その点を防衛庁お出しいただきたい。  時間がございませんので、あと二点だけ質問いたしたいと思います。第一点は、この前のこの委員会の審議で、江崎防衛庁長官は、政治責任は十分感じておる、適当な機会に責任を明らかにしたいとおっしゃっております。どうも江崎防衛庁長官を前に置いて総理にこういうことをお伺いするのもちょっと伺いにくいんですけれども、昨年来、増原防衛庁長官、西村防衛庁長官二人更迭されておるわけです。しかも増原さんの場合には、申し上げるまでもなく自衛隊機による全日空機との衝突ということの責任をとっておやめになった。西村さんの場合には、外人記者クラブでの失言、閣議後の記者会見での失言、この失言でもって西村さんはおやめになった。今回の事件というのは、むしろ私は防衛庁長官の直接任務である行政行為上の誤りだと思うんです。たとえば四十七年度予算と第四次防との関係、国防会議にかけなかったという問題にいたしましても、あるいは今度の沖繩への自衛隊の物資のいわば先取り輸送の問題にいたしましても、そういう意味ではこれまでの増原、西村両長官とは異なった、非常に重要な責任が私はあろうかと思います。その点は江崎防衛庁長官も十分自分自身感じていらっしゃると思うので、これは追及しようとは思いませんけれども、総理に伺いたいのは、人事の佐藤といわれておいでになるので、いろいろ人事上のやりくりもおありになるのかもわかりませんけれども、国民の目からすれば、増原さん、西村さんはあれでやめさせられた、江崎さんはやめないと、結局今度の事件というのは増原、西村両防衛庁長官のときの事件よりは軽いんだなと、これは一般にそう思いますね。それでよろしいのでございましょうか。その点を佐藤さんからぜひ伺いたいと思います。
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま文民統制、シビリアン・コントロール、これは非常にやかましい際でございます。私は文民統制、シビリアン・コントロールの一そうの実をあげるようにしたい。かように考えますと、防衛庁長官がたびたびかわることは、たいへんその意味ではよほど慎重でなければならない、かように私は思っております。したがってただいままでの、いわゆる二、三の——立川への移駐、あるいは物資の沖繩への移動、これがただいまのように責任をとってやめることにつながるかどうか、これは私、もう少し考えてみたい、かように思っております。むしろ文民統制を明らかにすることがこの際国民に対する私どもの責任ではないだろうか、かように思いますので、御了承願いたいと思います。
  36. 水口宏三

    水口宏三君 むしろ、ことばをとらえて言うようで恐縮ですけれども、文民統制そのものを危うくした行為が江崎防衛庁長官のもとで行なわれたわけですね。そうすると、その責任を明らかにし、前の増原、西村さんは更迭はしたが、江崎さんは更迭はされないというのでは、口で幾らおっしゃっても、文民統制というのは失言問題よりは軽いのだなと、——文民統制をほんとうに尊重なさるなら、まさにそのこと自身を危うくした現在の事件についての責任が明らかにされないというのは私は納得できません。  それから、これは全然違ったことで恐縮でございますけれども、昨日、沖繩返還協定の批准書が交換されたわけですね。佐藤さんとすれば念願が達成されたことになろうかと思いますけれども、同時に、いま沖繩の全軍労がみずからの生活をかけてストライキを戦っておる。ちょうど批准書が交換されると同時に全軍労のストライキが一週間さらに延長されたわけですね。このことを佐藤さんはどうお考えになり、これに対してどう対処なさるおつもりなのか、総理の御意見をお伺いします。
  37. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 沖繩の祖国復帰、この批准交換ができたこと、私は心から喜んでおるその一人でございます。しかしまだこれで祖国復帰が実現したわけではありません。変わらないといいますか、五月十五日には必ず復帰する、こういう状態でありますし、また復帰後においては、沖繩を豊かな平和な県にするためにずいぶんいろんな事柄をしなければなりません。これまたたいへんな仕事だと、かように思いますが、しかしまず何よりも日本に返ってきた、こういう意味で祖国復帰が実現された、こういうことで、これはこれなりに実は喜んでおる次第であります。  ところで、いまの駐留軍の軍労のストライキの問題、この紛争ができるだけ早く平静に帰すように、この上とも私ども心から願っておりますが、ただいまのところはいままだ米軍——米国の施政権下にあります。せんだって、平和物資ではありますけれども、どうも派遣部隊以上の、派遣人員以上の寝具その他を送ったこと、これは少し行き過ぎているではないか、まだ祖国に復帰しないのだ、こういう意味で実は防衛庁もその対策を立てておるような次第でございまして、このほうはそれなりに済んだと思っておりますが、しかしただいまのように、復帰を前にしていろいろの問題がただいま残っておる。それが基本的なドルと円との交換の問題にも関連がある、こういうようなことで、多分に本国、日本政府においてもこれについて関心を持ちながら、いまの推移を見守って、そしてできるだけ私どももお手伝いをしたい、かように思っております。これが日本に返ってくれば、当然防衛庁のいわゆる間接雇用の問題になると、かように思いますので、そういう点からもこれが円満に解決されて、そうして軍労の方々の利益が守られるように、この上とも努力したいものだと、かように思っております。
  38. 水口宏三

    水口宏三君 それではこれで質問を終わりますけれども、いまの佐藤総理の、沖繩への自衛隊の物資の先取り輸送などはむしろお考えにならずに、全軍労の人はこれはまさに労働者の生活がかかっている問題でありますので、そういう傍観的な態度でなしに、もっと積極的な態度でもってこれに対処していただきたいということをお願いすると同時に、論議が非常に不十分でございましたけれども、私は最初から申し上げておりますように、もし民意尊重国民生活優先という立場をとるならば、立川への自衛隊移駐ということには反対であり、これは当然政府はやめるべきであるという意見を持っておりますので、今後ともこの点につきましてはあらゆる機会を通じて追及してまいりたいと思っております。  以上をもって私の質問を終わります。
  39. 沢田実

    ○沢田実君 私の持ち時間がわずか二十分でございますので、私は文民統制、シビリアン・コントロールということの一点について質問したいと思います。  四次防予算の先取りをはじめとする今回の一連の事件は、国政の基本原則である文民統制を無視し、形骸化させるものであるということは、一番議論されたところだと思います。そこで、私どもは平和憲法の精神を擁護し、文民統制の実をあげる、こういう点、わが国の将来に誤りなからしめる、こういう考え方で質問をしたいわけでございますが、文民統制、シビリアン・コントロールの強化について総理はどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずお答えをいただきたいと思います。
  40. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほどちょっと触れたのでございますが、やはり政治軍事に優先する、政治優先、こういうたてまえである、かように理解しております。
  41. 沢田実

    ○沢田実君 その政治優先のためにどういう点を改めていこうとなさっていらっしゃるのか。具体的な点についてお尋ねをしたい。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府部内におきましては、私が最高責任者でございます。また日常の業務につきましても防衛庁長官にこれをまかしております。もうすでに御承知のように、いわゆる制服の大臣というものはおりません。また同時に、あとの次官をはじめ局長部長もこれまたいわゆる文官でございます。そういうたてまえでただいまのような防衛事務を扱っておるわけであります。もちろん防衛事務の具体的な日常の問題につきましては、これは文官ではなくて制服が指導しておりますけれども、基本的な計画その他については、これはいわゆる文官がこれを掌握している、これが今日のたてまえでございます。また最終的には国会において十分御審議をいただいておる、これがただいまの新憲法のもとにおける日本の文民統制、その実態でございます。
  43. 沢田実

    ○沢田実君 そういう体制にありながら、いろんな問題が起こりました。それで、総理といたしましてもこの問題については深く反省をするというような意思表示もございました。したがって、具体的にこういう問題を変えていこうというお考えがあろうと思ってお尋ねをしたわけですが、時間の都合もございますので、私のほうからその問題についてお尋ねをしたいわけですが、まず第一段階は、内局によるコントロール、いわゆる制服組に対する私は内局のコントロールが現状でいいのかどうかという問題が一点あろうと思います。その点については、一昨日の防衛庁長官のお話で、その点を十分改めてから私は私の責任を取りたいんだと、こういうお話でございますので、具体的にこういうふうに、内局によるコントロールについてはこういう是正をしたいんだというお考えがあるのではなかろうかと思います。その次が内閣によるコントロール、それから国会によるコントロールがあると思いますが、まず、その内局についてはどういうコントロールをしようと、改めようとしていらっしゃるのか。その辺はいかがですか。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛庁長官からお答えしたほうがいいかと思いますが、大体内局のコントロールと申しましても、いわゆるそれぞれの権限、それに基づいてやっておりますので、一々はしの上げおろしまで長官が、というわけにはまいりません。それぞれの局、部長が担当業務を持っております。しかしながら、事柄の重要性によっては、これがよし小さいように思えても、新しい問題ならばもちろん防衛庁長官の指示を受ける、こういうことでなければならないと思います。そういう意味からも、先ほどちょっと触れたんですが、長官がたびたびかわる、こういうところにも問題があろうかと思っております。したがって、いつの間にか長官にはこういうことは見せなくてもよろしいのだ、内局だけで処理できるんだ、こういうような慣例ができ上がる、こういうことが官僚の場合にはしばしばございます。私も官僚出身ですから、そういう過去の経験を思い起こしながら、こういう点がどうも官僚の行き過ぎではないかと、かように思っております。したがって、こういう際にこそもう一度内局と制服との関係、同時にまた、この内局でも上下の関係においてどういうように事務が処理されるか、こういうことを十分検討する必要がある、かように思っております。
  45. 沢田実

    ○沢田実君 時間もありませんから、その問題はそれ以上突っ込んで申しませんが、一昨日の答弁によりますと、沖繩に物資を輸送したのは空幕長の責任においてやったんです、こういう答弁です。それでは空幕長の責任ではないかと申し上げましたら、それは内局が当然政治的な判断をすべきであったのだから内局の責任だと、こういうお話で、非常にばく然としております。したがいまして、今後そういう問題が起きないためには、いま申し上げましたように、内局の責任というものをはっきりしておかなくちゃならない。そういう点で申し上げたわけです。  その次の問題は、内閣によるコントロールといいますか、国防会議の問題がございますが、その国防会議基本になっておりますのが、防衛庁設置法六十二条をもとにいたしまして、国防会議の構成等に関する法律ということで国防会議ができているわけですが、これを根本的に考え直しまして、国防会議設置法というようなものを制定して、国防会議というものの位置をもっとはっきりすべきではないか。こんなふうに考えますが、その辺についてのお考えはいかがですか。
  46. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国防会議をもっと活用しろと、これはお説のとおりでございます。国防会議懇談会はたびたび開いておりますが、いわゆる正式の国防会議はなかなか開かない。もっと気安く国防会議が開かれ、国防会議議員懇談会が持たれ、そうして会議をもっと開いて、そうして事柄を明確にすること、これが必要だと、かように考えております。今回の一連のできごと等におきましても、このことが必要のように思います。  ただ、ここで弁解がましくなりますけれども、いわゆる四次防というものは実はまだできておらないのです。おらないのですが、しかし四次防というものがいわれておる。政府はないないといいながら現に翻訳までしているじゃないか、こういうような御指摘まであります。これが問題を一そう紛糾さしている。その程度のものがあれば、これはやはり国防会議——原案ができて外部に発表するような段階になれば、これは単独に防衛庁だけで外部に発表すべきものではない。そういうものはもちろん国防会議にかけて、そうしてその了解のもとに外部に発表する、こういうような段取りをとれば、いまのような誤解はない、かように私は思っております。したがって今回の事柄で、あらためてこの事態からいろいろわれわれも反省し、改めるべきは改めていくと、かように思っておる次第でございます。こういうところもこれからあらためてメスを入れるべき重要な点だと、かように思っております。
  47. 沢田実

    ○沢田実君 せっかく法制局の長官が来ておりますので、いま申し上げました法制上の整備についてはどんなふうにお考えですか。
  48. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 現在国防会議防衛庁設置法の中に御指摘のように出ておりまして、構成等に関する法律が別立てになっておることは御指摘のとおりでありますが、防衛庁設置法の中になぜ国防会議が入ったのか、これはいうなれば、国防会議内閣に置かれるわけでありますからちょっと性格が違うようでございますが、これはくだくだと申し上げることもございませんが、防衛庁設置法は昭和二十九年の法律でございますし、構成等に関する法律は三十一年の法律でございますが、当時は国防会議そのものについて、構成を含めまして、実はまだ固まっていないときにその構想がきまった。そしてそれをやはり制度として急いで設置する必要があるというので防衛庁設置法に入れたということでございますが、しかし、もしも今後国防会議というものをさらにもう一ぺん再検討をするということになりまして、この構成等についても現在の制度と変える、これは政策的考慮がむろん入らなければなりませんが、もしそういうことになりますれば、御指摘のような方法は一つの方法であろうというふうに考えております。
  49. 沢田実

    ○沢田実君 それでは次に、国防会議にかけなくちゃならない事項というものが防衛庁設置法できまっているわけですが、それが非常にあやふやなんで、いま総理はいろいろな問題を国防会議にかけようとおっしゃった。しかしそれははっきりしておりませんから、国防会議にかけないでどんどんやってしまう問題ができるわけです。ですから、国防会議にかけなくちゃならない問題というものを明らかにすべきだと思いますが、その点はどうですか。
  50. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 現在の国防会議に関する防衛庁設置法の規定は必ずしも明確でないわけではございません。これは「国防の基本方針」「防衛計画の大綱」「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」「防衛出動の可否」ということまではきわめて明確でございます。ただ、おっしゃいますのは第五号の「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」という点が、これは意見の相違がものによってはあるかと思いますが、これは総理大臣が必要と認めるかどうかにかかっておりますので、あるいは御指摘のような問題があるのかと思います。これは、この第一号から第四号まで、基幹的なものはきわめて明確に必要的な諮問事項になっておりますので、五号におきましてはいろいろなことが入ると思いますので、それは総理大臣の裁量における運用の問題で、やはりいかにこまかく書いてもこれだけは残ることになるんではないかというような感じがいたします。
  51. 沢田実

    ○沢田実君 防衛庁にお尋ねをいたします。  いま問題になっております設置法六十二条の三号ですが、「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」ということには兵器の国産化ということが入りますか。
  52. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 国防会議事務局での解釈がございますけれども、それは、通常の状態、つまり平時におけるそういった国産問題などは入っておりませんで、有事における産業などの計画、関連計画、それの調整というふうに解釈されております。
  53. 沢田実

    ○沢田実君 法制局長官、そういう解釈でよろしゅうございますか。
  54. 高辻正巳

    政府委員(高辻正巳君) 私も前からの解釈を承知いたしておりますが、これで差しつかえないと考えております。
  55. 沢田実

    ○沢田実君 総理大臣、そういうことになっておりますので、たとえば四次防を計画し、兵器を国産化しようというようなことの大きな問題がありましても、国防会議にはかける必要ないのだと、こういうふうな解釈になっているのです、防衛庁では。いいですか。ですから、いま問題になっている、予算を削減した四次防の目玉商品というようなものを国産化するについても、これは私は、国防会議の必要がないんだと、こういうふうな解釈に問題があると思うんです。ですから、先ほど申し上げておりますように、たとえば、兵器の国産化というようなことについては当然国防会議にかけるべきだというふうに、内容をもっとはっきりすべきだとこう思いますが、総理はいかがですか。
  56. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 兵器の国産化、これはいろいろ問題が、兵器と一口には言いましてもいろいろあると思います。事柄の性質上、こういうものは一体どうだろうとか、この程度はいいだろうとか、これが一つの問題だろうと思います。しかも日本の場合は、いわゆる兵器を外国に輸出しちゃならない、そういう基本的な考え方を持っておりますから、一口に兵器とは言いながらも、これはいまのジェット・エンジン航空機、これが一番金目なもので、航空機、これが国内需要だけを果たすためにはたして適正な価格でつくれるかどうか、これはたいへんな重大な問題だと、かように私は思っております。したがってこれは、いまさっきから言われるように、防衛庁そのものとしてはたいした問題ではないと言っておりますけれども、私自身はこれは重要な問題だと、かように考えております。今回の四次防で問題になり、これは先取り先取りと言われるのもそこに問題があります。これは別に先取りではございませんが、しかしやはり航空機、これなぞはなかなか問題があると、かように理解すべきだと、私はかように考えております。
  57. 沢田実

    ○沢田実君 いや、ここで先取りでないなんとおっしゃると、そんな議論を始めると時間がありませんのでそれは申し上げませんが、それはともかくとしまして、いま問題になっております超音速ジェット練習機というようなものを国産化する場合においても、防衛庁の解釈は、国防会議の必要がないということなんですよ。そういうようなことでいいのかどうかということです。だから私は、国防会議にかけるべき事項の防衛庁設置法六十二条の四つは、いま法制局長官は四つまでは明らかだとおっしゃいましたけれども、決して明らかでない、こういう問題があります。だからもっと明らかにすべきじゃないかという主張なんですが、そのことについての考え方を述べていただきたい。先取りでないなんと言われたんじゃまた議論になってしまいます。
  58. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは重要と認めればもちろんやるべき事柄でございます。  なお、そうして私は冒頭にも申しましたように、国防会議、かように言うから、国防会議国防会議といって非常に開催が手続上やかましいか、そういうように考えるとそうやかましいものでもない、かように思うので、もう少しやはりこの国防会議をよく開いて、そして関係大臣に理解を得るほうがもっと望ましいことではないかと思います。  私はいまの先取り問題で一言(「多かった」と呼ぶ者あり)つけ加えておきますが、これは申し上げるまでもなく、いろいろの議論がございました。いまさらその議論をもう一度申し上げるつもりもありません。しかし、衆議院議長のあっせん案が出た。そのあっせん案を受けることが何よりもこれは大事なことだ、かように思ってそのあっせん案に従った。したがって、あっせん案を受けたその段階で、それまでの議論はやはり一応消しておくのが筋だ、かように思っておりますので、ただいまのようにその点は整理しておきます。
  59. 沢田実

    ○沢田実君 そうしますと、総理は、こういう条文で別に不自由なことはないんだと、十分なんだと、こういうお考えであれば、要するに「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」については、何でもかけられるんだと。ところが、これはかけませんでした。やらなかったということは、国防会議議長の怠慢ですか。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、従来の慣習だとはいいますが、これはむしろかけるべきだったと、かように思います。
  61. 沢田実

    ○沢田実君 これは議長が、これもかけろあれもかけろときめるもんじゃないと思うんだ、ぼくは。国防会議の事務局もありましょうし、防衛庁もありましょうし、そういうことで、私はもう少し明らかにすべきだと、こういうふうに主張しているわけですので、一度もう少し、このままでいいんだなんておっしゃらないで、前向きで考えていただきたいわけです。新規の開発とか、あるいは新規の装備とか、あるいは部隊の編成、配置の転換、あるいは先ほど申し上げました兵器の国産化、それから新しい基地を設置するというような問題については、当然私は国防会議の問題にすべきだ、こう思っております。ということは、いま先ほど来問題になりました立川の問題、米軍基地返還になった場合に自衛隊が使用するかどうかということについて、国防会議できめておりません。それも国防会議の議題にならないというところに問題があるんですから、閣議できめましたということでしょうけれども、私は、こういう問題については明らかにして、国防会議でチェックすることが大事じゃないか。将来のためにそう思うわけです。その点総理はいかがですか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、立川移駐問題は閣議決定をいたしておりますので、ただいまの、国防会議にかけたとかかけないとか、こういうことはあまり問題じゃないと、かように思っております。私どもの内閣では、やっぱり何といいましても閣議決定ということが一番重大なことで、それによって責任の所在は明らかであります。もちろん、国防会議にかけましても、事柄によりましては閣議決定をすると、こういう状態でございますから、やはり最高機関の決定、それを、それ以外にまたやれとおっしゃるのはちょっと理屈が合わない。私はどうもそれには賛成はいたしません。
  63. 沢田実

    ○沢田実君 そういう総理のお考え方に、私はいわゆる内閣によるコントロールが形骸化してきたもとがあると思うんです。閣議できめているんだから国防会議にわざわざかけなくたって、最高の閣議できめたんだからいいんだ、こういうお考えですと、国防会議が形骸化していくことは当然でございます。私はきょうは時間がありませんから議論いたしませんが、国防会議の構成メンバーについても議論すべきだと思いますし、総理がここに入らないほうがいいんじゃないかという考え方もあるわけです。それはきょうは時間がありませんからやめておきますが、総理が入っておって両方総理がやっているから、閣議決定をすればいいんだというお考えに、私は国防会議の形骸化の原因があったと思います。これはもういまの問題は明らかに総理の責任だ、これは。国防会議議長である総理大臣の責任だと私は思います。そういう点を、文民統制の強化ということについて総理はもう少し真剣にお考えをいただきたいと思います。  もう時間になりましたから、最後のもう一点ですが、これは国会によるコントロールということが最終だと思いますが、予算を通じて予算委員会等のコントロールがございます。もう一つ内閣委員会というのがございますが、ここでは設置法等がいつも議論されまして、その議論に入らないうちに終わってしまいます、大体流れて、というふうなことで、国の安全に関するいろんな問題を議論するということが実際問題行なわれることは少ない。きょうみたいに総理が出席してこういうように議論するなんということは非常に、一年に一ぺんあるかないかというようなことで、珍しいことなんです。そういうわけですので、私は、安全保障特別委員会というようなものを国会に設置してそういう問題を議論すべきだとこう思いますが、総理大臣として、また自民党の総裁としてどういうお考えであるか伺いたいと思います。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまも言われますように、防衛関係の法案が流れる、そんなものは審議されない、これはたいへん困ったことです。これはぜひ国会にお願いして十分御審議をいただきたいと思います。またそういう意味からも特別委員会を設ける、内閣委員会で一緒にやらないで別な委員会を設ける、これについては私は政府として賛成だとかとやかく申し上げる立場にはございませんけれども、自民党の総裁として私も賛成でございます。そのことだけを申し上げ、同時にぜひともしっかりひとつ御審議をいただきたいと思います。
  65. 沢田実

    ○沢田実君 誤解を招くといけませんから、時間が過ぎましたが、もう一言だけつけ加えておきますが、総理、私がそういうふうに申し上げますと、法案が成立しないからたいへんだから、法案を上げるための特別委員会がほしい、そういうことを言うから反対するのですよ。法案審議のためには内閣委員会があるのです。法案審議のためじゃなしに、国の安全保障を真剣に検討する、そういう特別委員会をということであれば野党の反対なしにできるのです。そういう考え方をひとつしっかり改めて、文民統制の強化についてさらに御努力をいただきたいと思います。
  66. 中村利次

    ○中村利次君 防衛問題、自衛隊問題に関係するいろいろな事件は、いままでの質問等の中でも明らかにされましたように、やはり文民統制に関する問題と、それから政府政治姿勢だと思うんです。沖繩への自衛隊の物資搬入先取り問題は、これはもう明らかに文民統制の無視であります。立川への自衛隊移駐の問題は、これは日本民族の最もきらいな、いやがる、だまし討ちという、そういうことをおやりになったわけでありまして、これはやみ討ちというよりもだまし討ちですね。明らかにだまし討ちです。議論があればもちろん議論いたしますけれども。でありまして、しかしこれにも私はやはり文民統制がはたして正しく守られていたかどうかという疑いが非常に強いと思いますし、それから、国防会議の事務局、内局を含めて、あるいは政府政治姿勢を含めて、はたして文民統制をやる気があるのかないのか、国民のために。私はそういう疑惑が非常に強くあると思うんですよ。  まず基本的な問題からお尋ねしたいと思いますけれども、総理国会答弁を通じて、沖繩自衛隊駐留についてはこれは国防会議にかけるということをおっしゃっていらっしゃいますけれども、これは近いうちにおかけになるということでありますが、これはなぜ沖繩駐留国防会議にかけなければならないとお考えになるのか。もう一つは、どういう内容でどういうことを国防会議に、沖繩自衛隊駐留についておかけになるのか、まずお伺いをいたします。
  67. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、沖繩が祖国復帰する、もちろんわれわれ自衛隊国土防衛の任に当たる、そういう趣旨のものでございます。ところが、いままでは強力なる米軍が駐留しておる。米軍との間にいろんな問題を起こしては困ります。したがいまして、事前には、米軍との間の問題が起こらないように連携は緊密にいたしまして、皆さん方からいろいろ批判されておる久保・カーチス協定——協定ではございませんが、取りきめなどは、やはりただいま申し上げるような問題を起こさないように、こういうことでございます。  ところで、ただいま米軍がいる、それが順次日本の自衛隊に置きかわる、こういう状態でございますから、事柄はまことに大事なことであります。ことにまた、沖繩自身がさきの戦争において激戦地になった。これはもう住民ぐるみ本土の防衛の第一戦に立った、たいへんな犠牲もこうむった、こういうことで、なかなか軍に対して理解はむずかしいように思います。いま私どもの持っている自衛隊は、旧陸軍あるいは旧海軍だとか、こういうようなものではございませんで、本質的に変わってはおりますけれども、やはりこれを十分理解してもらうためにはなお時間のかかることではないか、かように思っております。したがいまして、私は、こういう事柄をも含めて、自衛隊移駐についてはどういう計画を持っておるか、これは私自身も十分知りたいことだし、またおそらく国民の皆さん方も、沖繩への自衛隊移駐、それにはどういうように思っておられるか。一口に三千二百名とか三千三百名とか言っておりますけれども、その中身等についても、もっと私どもは実情を知ることが必要だ、かように思っております。今日の状態において、それらの点をも含めてこれは最終的に決定すべき事項であり、また同時に、沖繩県民の理解協力を求めるべき事項でございます。そういう意味でこの事柄については慎重であると。
  68. 中村利次

    ○中村利次君 としますと、いまお答えになったほとんどは、これは私は、総理の御答弁の中にもありましたが、久保・カーチス協定と重大な関係がありまして、いまそういうことをおやりになるんでしたら、久保・カーチス協定、これは確かに条約ではないとおっしゃるけれども、しかし、日米双方で取りきめをやってそっくりそのまま実行されるわけですから、こういう重大な事柄がなぜ国防会議にかけられなかったのか。これはどうもつじつまが合わないんですけれども、どうですか。
  69. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ先後の問題がございます、先にかけるとかあとにかけるとか。大体、私どもも官僚育ちでございますから、事務的にものは処理して、そうして一定の準備をする。その状態において、この段階ではぜひひとつ大綱のことできめていただきたい。すべてのものが準備なしではございません。そのためにやはり事務当局も必要なんだ。まるっきり事務当局無用論を言われても困ります。そうでもありません。
  70. 中村利次

    ○中村利次君 そういう体質が私はやはり政治不信を呼んでいると思います。たとえば、もう時間がおしまいになってしまいそうですから全部列挙しますが、先ほどの沢田委員の質問に対する——これはもうここでの問題にはならないでしょうが、四次防はないとおっしゃったが、去年の四月には防衛庁原案なるものを出しているんですね。それによってやはり四十七年度の防衛予算というものは組まれて、これが先取り問題に発展をした。防衛庁原案という形で出さしておいて、それを最高責任者総理が四次防はないんだと言う、そういう無責任な言いのがれが私はやはり政治混乱さしていると思うんですよ。  それから、衆議院の議長あっせんをのんで事態を収拾をしたという御答弁でございましたけれども、衆議院の議長あっせんのあと、この問題に対する政府の統一見解はついにお出しになっておらないんですけれども、この問題についてどういうぐあいにお考えになるのか。  それからもう一つは、いま衆参両院の国会審議を通じて、文民統制の問題はきびしくやはり国民課題として取り上げられています。政府も、文民統制はこれはやはりびっちりやっていくんだとおっしゃるけれども、しかし、先ほど沢田委員からも指摘されましたように、とにかく、たとえば兵器の国内生産はもとより、その性能等、これは防衛庁も専守防衛だと言っておる。ところが、専任防衛にふさわしくない攻撃的な——制服組は、私は、まあ表現は悪いかもしれませんけれども、職人根性みたいなもので、職人さんがやはりいい道具をほしがるのと同じように、すぐれた兵器をほしがるのは、これはある意味では当然かもしれない。そういうものを、やはり専守防衛に徹して、日本の防衛力に照らしてどうあるべきか、どういう兵器、どういう性能のものを用うるべきかというのをきめるのが、これが私は一つの文民統制だと思うのですが、そういうのはしろうとの国防会議議論をされてもこれはしようがないんで、したがって防衛庁長官の専決事項であるという、そういうのが国防会議の事務局、内局にもあるんですよ。こういうのが暴走に通ずるわけでありまして、いまや文民と制服の仕分けではなくて、防衛庁そのものが制服の代弁者になってしまっているようなかっこうですから、そこに文民統制はどうあるべきかという非常に重大な課題が生まれてくると思うんですが、国会ではこのことをきびしく追及をしておりますが、政府自身がこの文民統制の具現化について、具体的なことについてどういう手段・方法を、あるいは形式・機構、そういうものをおとりになるおつもりがあるのか。これは非常に重大な問題だと思いますので、総理にお尋ねをします。
  71. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろお話がございましたが、必ずしも私と意見が一緒ではございません。ずいぶん意見が食い違っております。いわゆる防衛庁の原案、それを四次防とおきめつけになられるようですが、私は、それはどこまでも四次防は四次防、防衛庁の原案は原案だと、こうして区別すべきものだと、かように思っております。これを区別しないと、やはり、そこらに問題が紛糾してくる。これが一つ。
  72. 中村利次

    ○中村利次君 そんなものを出すというところに問題があるんじゃないですか。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そのとおりです。防衛庁から外部に出ていく、そういうところに問題がある。こういうことはやはり厳に戒めなければなりません。また、政府自身がいかにも、外部に発表されたから責任があるかのようにとられる。こういうところに問題があるのでございますから、これはもう政府に関係なしにそんなものが出されたこと、それをこれからチェックしていく。さようなことを今後はささない。こういう考えでございます。
  74. 中村利次

    ○中村利次君 政府に関係ないことはないでしょう。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 政府に関係ないことはないというが……。
  76. 中村利次

    ○中村利次君 防衛庁政府のあれじゃないですか。
  77. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛庁の試案で、そういうものが独走していわゆる政府に、他の官庁が、役所が知らないうちに外へ出る、こういうことは誤解を受けるからさようなことはささない、これから厳重に取り締まる、こういうことを実は申しておるのであります。でございますから、その点では誤解のないように願います。  それから、議長あっせんがあってから後に、統一見解がまだ出てこないと、こういうお話でございますが、おそらくそれは政府の責任問題についての統一見解の問題かと思いますが、ただいまのような点をも含めて、私は、はっきり申し上げておきます。  それから最後の問題といたしまして、武器の攻撃的なもの、あるいは専守防衛、こういうように言われますが、一体何が専守防衛であり、何が攻撃的なものか、これはなかなかむずかしいことじゃないでしょうか。私は、専守防衛だといったからって、近代的な兵器は一切持てないと、こういうものじゃないだろうと思います。やはり近代的な兵器を持たなければ十分の安全は期することができない。ここに、私は攻撃的な兵器と防衛的な兵器、これを区別するのは、片一方で専守防衛あるいはそのたてまえそのものが文民統制になっておるかなっておらないか、そういうところに帰すべきではないか。兵器そのものについて、これは行き過ぎだというような議論は、どうもわれわれは賛成できない。このことを私は……。
  78. 中村利次

    ○中村利次君 防衛庁長官の専決事項として適当だとお考えですか、そういうものをきめることを。
  79. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) そういうことで、いわゆる専守防衛、攻撃的なものだとか何とかいうことについての議論は、いまのところでは中村君とは私は反対の意見でございます。
  80. 中村利次

    ○中村利次君 全くおかしい。
  81. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、しかしそういう事柄防衛庁長官がかってにきめること、そのことが正しいとは私申しません。それは事柄によりましてこれはたいへんな問題を含んでおりますから、そういう重大性については十分私どもは監督しなきゃならぬ、かように思っております。この点は少し時間が進んでも、大事な事柄でございますから申し上げます。
  82. 中村利次

    ○中村利次君 私はその点は保留しましょう。
  83. 上田哲

    ○上田哲君 関連。事実関係だけひとつお伺いしておきます。  四次防の原案については、かってに出したというようなお話がありましたけれども、四次防原案は、昨年度の予算委員会の最中にすでに確定的なものとして審議に付せられておりました。その後そのことについての議論があった後、国会審議に供するということのために、正式に、予算委員会が終局しない間に、防衛庁側から予算委員会に対して、すなわち国会に対して提出されております。かってに出されている、公にされているということではないというふうに私は考えております。  もう一つ、昨年十二月二十日の沖特委員会で、四次防原案は政府案としていつ提出されるのかということを私自身から総理にお伺いいたしましたが、その際総理は、三月一ぱい、年度内には国会に提出するということを御答弁になっておられます。  この二点についての正確な見解をお尋ねいたします。
  84. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 防衛計画はいつつくるか。この問題は私が三月一ぱいに出すと、こういうことをお約束したことはそのとおりであります。しかし、大綱はすでに発表はいたしましたが、どうも三月一ぱいには防衛計画の全貌を明らかにすることができない、こういうような現状でございますから……。
  85. 上田哲

    ○上田哲君 理由は何ですか。
  86. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはいろいろな事柄がございます。これは一々申しません。とにかくできないという、そういう結論だけ申し上げて御了承願いたいと思います。  それから前の問題についての事柄は、いろいろいきさつがあるようですから、これは私も記憶をたどりながら、ただいまのようなあまり独走することだけは、これはこれから注意していかないと、そこらにいろいろ……。
  87. 上田哲

    ○上田哲君 かってに出したのじゃなくて、正式に出したのだということをお認めにならなければいけない。
  88. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ問題があろうかと思いますので、これから十分注意して……。
  89. 上田哲

    ○上田哲君 じゃ、かってに出したのじゃないのですね。
  90. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) これは、簡単にお答えします。  防衛庁試案なるものを表に発表した。したがって予算委員会等でも、その試案というものを一ぺん出せ、こういうことであったから、予算委員会に出した。しかし国防会議の議を経なければ、防衛計画の大綱、これははっきりと国防会議で議するべき項目の中にあるわけですから……。
  91. 上田哲

    ○上田哲君 じゃ、出したのは間違いですね。
  92. 江崎真澄

    国務大臣江崎真澄君) したがって国防会議の議を経ない四次防原案なるものは、これはやっぱりないわけですから、防衛庁の試案を国防会議にもかけない、また大蔵省とか、外務省とかという関連他省とも協議をしないうちに表に出したということは、これはやはり私議論の残るところだと思います。
  93. 上田哲

    ○上田哲君 それじゃ総理政治責任じゃないですか。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間がないから簡単にお聞きしますが、まず第一に、総理は先ほどから自衛隊は国民の信頼と理解がなければやっていけない、こういうことを言われたのですね。しかし今度の立川のこのだまし討ち移駐は、これはどうなんですか。これで国民の信頼、それから理解を、これは大きくそこなっていると思いますが、どういうふうに考えますか。
  95. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だまし討ち移駐というようなものではございません。先ほども申しましたように、これは事前に漏れて、そうして実力で反対すると、こういうようなうわさが立っております。これがいわゆる基地の工事においてもしばしば問題を起こしております。そういうことを事前にわかっていると、まっ正面からぶつかる、これは望ましいことではない、かように考えますので、それを避けた、かように私は思っております。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、全くあなたは事態をごまかしているか、御存じないかですよ。第一に、事前通告はする。しかし実質的には、これは事後通告になってしまった。それから八日に入るとはっきり電話をして、それが実際には七日に入っている。これがだまし討ちでなくて何ですか。したがって理解と信頼を得るなどと言ったって、この結果立川市民理解と信頼をしようにもしようがないじゃないですか。こういうことをやっておいて、理解と信頼をしなさい、そうして民生安定でございます、災害出動のためだから、こういうことを言ったとしても納得すると思いますか。端的にお答え願います。
  97. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いきさつはいろいろあるようですが、なかなか納得がいかない。こういうように壁は強い、かたいといわれておりますが、しかしせっかくいま努力しておる最中でございます。これから努力しようと、そういう際でございますから、われわれもひとつ鞭撻をしていただいて、ぜひこれは解決するようにお願いをいたします。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく遺憾であるとか、反省するとかいうことばは述べましたね。しかし、防衛庁長官自身から立川市民とか阿部市長に対する謝罪のことばというのは述べられたことはないわけです。明らかにこれは、私も立ち会っていますからね。一月二十日、その会見の席上ではっきりあなたは事前通告をすると言った。しかもこれが全然、実質的には何十分か前に練馬の駐とん部隊を出ている。それから宇都宮を出たのはさらにもっと前です。そういう行動を起こしてから通告をやっておいて、そうして理解と信頼などと言ったって話にならぬ。この結果は、私は非常に重大視しなければならぬのは、立川の今度のやり方を通じて地方自治をあらゆる面で混乱させ、破壊しているという問題です。どうですか、御意見。  第一に、先ほど話がありましたが、これは公選された、しかも最も大きな政策として移駐反対の政策を掲げて当選した市長ですよ。この市長を尊重するなどと言っているが、全然これは尊重していないじゃないですか。さらにまた議会の工作というようなこと、いろいろな点で行なわれたこと、私たちは時間の関係からこれは指摘しませんけれども、そういう節がこれは十分にございます。さらにどうです。自衛隊の出したパンフレット、こういうものが何万となくまかれたのです。これは防衛庁からもらったものですがね。しかも自衛隊のパンフレットを見ますというと、実際は自衛隊法に従って何も書いていない。民生安定と災害出動のことは書いているけれども、最も根幹である七十六条の防衛出動の問題、何ひとつ触れていないじゃないですか。治安出動の七十八条のような条項は何ひとつ触れていない。ただわずかに書いているのは「自衛隊は大きな組織と優れた装備をもって、毎日たゆみない訓練に励み、国民の期待にそうよう努力しています。」治安出動それから防衛出動については何ひとつ書いていない。そうして実際はいわば、そのくせ自衛隊法の少し付属文になっているような災害出動のほうにだけ触れている。こういうことで、これは市民の世論をつくり上げていこうとあらゆる努力をされた。しかも私たちは現地を視察したのですが、一月二十六日に議会の決議が引っくりかえされた、これもあの席上で、あなたがずいぶんこれは肝入りでやっていました。記者会見の席で私見ているから、これは詳細にいま申し上げる時間ないけれども、そういうことをやった。その後にとられた反対署名がありますけれども、これは調べてみますというと、これは有権者が八万何がしだと思います。そのうち議会に現在提出されているこの反対署名は一月二十六日から二月二十八日までのこの間に出されておるのが約五万四千です。過半数をはるかにこえている。こういう実態を考えますときに、これは明らかに自治の破壊、こういうことが今度の移駐の問題に起こっているんです。この責任をどうするんですか。この責任に対してはっきり明確な答弁を願いたい。
  99. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 地方自治とこれはまっ正面からぶつかる、地方自治の破壊だ、こう言って岩間君からきめつけられました。阿部市長選挙当選されたそのときには、確かに自衛隊反対移駐反対、それが公約の最たるものだ。大きいものだ。そうして市長当選された。でありますから、市長反対されておるというのが現状においても続いておる、かように思いますが、ここでひとつ考えていただきたいのは、自衛隊そのものあと災害救助にしても、防災というような観点からも、一局部だけではない、これはやはり一地方、いわゆる京浜地区、これの安全確保、防災、そういう意味でただいまその機能を発揮しようとしておる。でありますから、私は、立川市長反対ではございますが、しかし、その自治体が狭い範囲だけにとどまらないで、もっと広域に物事を考えていただきたい、これをお願いする次第であります。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 とんでもない話ですよ。どういう議論が行なわれているか、現地をあなたこれはごらんにならないから、そう言っている。狭い範囲ですか。大きくは日本の平和についてこれは論議されているわけですよ。そういう立場から出られて、しかも、実際はいろいろな圧力が加わっているのは事実です。自民党人たちも、これは最近国会議員団が調査されたようですが、これは新聞でも大きな問題になって、きのうも議会で問題になったようでありますけれども、もうあそこの市役所の中庭で集会が持たれた。それが無届けである。市側が警告をしたにもかかわらず、それを無視して、しかもそれには立川警察の調べによりますと、住吉連合小西組という暴力団員が五十名参加しているそうです。こういう実態、こういう形で市役所の中庭で、一体執務中にこういう何が行なわれていいのかどうか、私はこう考えますというと、もっと地方自治体というものを尊重して、その地域住民の意思によってこれを決定しなければならぬでしょう。理解と信頼によってやるといったって、これじゃ話にならぬ。私は時間の関係からお聞きしますが、こういうやり方をやっておいては、政治不信というのは、これはもう全くぬぐい去ることはできない。信用しろといったってできないでしょう。佐藤総理どうですか。こういうことをやっておいて信用しろといったってこれはできないでしょうが。ですから、今後政府のやることについては、これは国民は非常に不安を持っておる。立川市民だけじゃありません。こういうような前言をひるがえし、だまし討ちをやるような政府のやり方、こういうことの中では、たとえばいままで政府の答弁によりますと、軍国主義の復活はない、それははっきり三つの点から言えるということを国会でもこれは言ってきました。一つは、徴兵制を復活しない、しかない、海外派兵ばしない、非核三原則、こういうふうに国内外の非難に対して答えてきたわけです。しかし、これは必要があればこういうことを平気でやって、これの撤回もできないでいるような政府だったら、もう必要があればいつでもこれを、前言をひるがえしてどんどんやっていく、そう言われたってこれは弁解の余地はないと思うんですね。私はそういう点からお聞きしたいんでありますけれども、どうなんですか一体。口先でしないとかするとか、そういうことを言ったって話にならない。問題はそれを実行するかどうかです。いま政治不信はもうものすごくきわまっている。とてもこれは話にならないと私は思いますが、そういう態勢の中で、何よりも実行によって——このような不当なやり方でやった移駐でありますから、私は当然先遣部隊は撤収する。それからこのような計画市民意向に従って、私はこれは廃棄すべきだと、こういうふうに考えるんですが、この点は佐藤総理どうお考えですか。  それから、時間がもうありませんから、もう一つだけ最後に私は申し上げておきたい。  それは、まあ政治責任の問題です。とにかく四次防の問題、中国の問題、今度の立川のこのようなだまし討ちの移駐の問題、そして沖繩の物資輸送の問題、一つでもほんとうにこれは、政府が真剣にこの問題と対決して政治責任を明らかにしたということは、これはあり得ない。何となく中途はんぱな形でうやむやになっているわけです。こういう態勢の中で佐藤総理は、私ははっきりあなたの政治責任というものを明確にする必要があると思う。きのうの記者との会談なんかによりますというと、あなたはまあこの国会が終わるというと退陣されるやにも聞いておるんです。しかしそんなときを言っているんじゃないんです。いまですよ。こんな重大な問題があるときに、せめて最後に野たれ死にみたいなかっこうで私は退陣すべきでないと思います。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ありがとうございます。
  102. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは佐藤さんにも忠告しておきたい。  最後に、一つだけ政治責任を明らかにして、せめて、こんな混乱してたよりがなくなって全くもうおかしいような日本のいまの政治情勢、そういう情勢の中で、やはり政治責任を負って政治の根本を正すのだというその道を、いままで七年以上もつとめてこられた最後の段階でそれができるかどうかのただ一つのその一チャンスにあなたはいま立っている。私はずいぶん長い間あなたとやってきましたから、最後に私は警告したいと思う。ここで当然やめて、政治責任を明らかにして、一抹の涼風をこれは政界に送る考えがあるのか。当然私はやめるべきだと思いますが、どうですか。
  103. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 立川移駐問題についてただいま新聞等でいろいろ御批判がございましたが、私は今日国内の情勢を見まして、議会制民主主義、これはやはり国民大多数の支持するところのものだと思っております。しかしながら、右翼もおれば、左翼もいる。こういうところに問題があるのではないかと思っております。そういう点でわれわれがなすべきことは、どこまでも議会制民主主義を守ると、そういう立場であってほしいと思います。
  104. 岩間正男

    ○岩間正男君 守ってるじゃないか、守っている。
  105. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは守っておられると思います。また……。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 ああいうだまし討ちはどうなんだ。
  107. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただ私は、共産党をとやかく申しておるんじゃございません。共産党も合法政党でありますから、まさか……。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 話をはぐらかさないでやってください。
  109. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのような法律批判、法律無視と、こういうようなことではないだろうと思います。ただ、いまの新聞を引き合いに出されると、一部にそういうような右翼の団体もいるのだ、同時に左翼の団体もいる。このことを注意して、お互いはやはり民主政治、民主主義、これを踏み誤らないようにしたいものだと、このことをお尋ねに対してお答えをいたします。  その次は、私の政治責任であります。いろいろ……。
  110. 岩間正男

    ○岩間正男君 移駐をやめなさい。撤回……。
  111. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 長い間つき合ってまいりましたので、たいへん最後に御注意ございまして、御親切なる御忠告ありがたく拝聴いたします。
  112. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうです。やめるのか、やめないのか。
  113. 柳田桃太郎

    委員長柳田桃太郎君) 本件に関する本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会      —————・—————