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1972-05-16 第68回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十六日(火曜日)   午前十時二十二分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         杉山善太郎君     理 事                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 森  勝治君     委 員                 郡  祐一君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君                 松本 賢一君                 塩出 啓典君                 青島 幸男君                 松岡 克由君    国務大臣        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君    政府委員        郵政大臣官房長  森田 行正君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省貯金局長  石井多加三君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省人事局長  北 雄一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       松川 道哉君        国税庁徴収部徴        収課長      山田 幹人君        中小企業庁計画        部長       西田  彰君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社職員局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社営業局長    遠藤 正介君        日本電信電話公        社計画局長    清水 通隆君        日本電信電話公        社データ通信本        部長       朴木  実君    参考人        日本銀行理事   渡辺 孝友君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵便貯金等利率引下げ及びいわゆる庶民金  融に関する件) ○電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する  法律等の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  3. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のため、日本銀行理事渡辺孝友君を参考人として本日の委員会出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  鈴木君より質疑の申し出がございますので、これを許します。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 渡辺参考人には、たいへん御多用の中を御出席いただきましてありがとうございました。実は、当委員会に直接関係いたします郵便貯金担保にして庶民金融をやりたいというのですね。そういう意見が強く出ておりまして、御承知のように、いま政府間で調整をしているような段階でございますが、それとの関連で、郵便貯金利子引き下げでございますね。こういう問題も、いま話題になっておるわけでございますので、きょうは御出席をいただいて、これらの問題を特に中心にして御意見を承りたいと思います。  それで、時間も制約を受けておりますので、ごく簡単にいたしたいと思いますが、日銀のほうでは、もちろん、これは政府とも御相談の上、大蔵省からの御指示等もありましたかどうですか——ないとしても、現在の、四十五年以来続いております日本経済長期不況ですね。こういうものを克服するための、いろいろな財政面金融面からの、特に日銀の場合は、金融面からも御苦心をされていると思います。それで、いままで公定歩合も第五次まで引き下げがなされておりまして、近く第六次の引き下げもなされるというようなお話も承っておりますし、同時にまた、四月にも話題になりましたが、預金金利引き下げでございますね。これは当時廣瀬郵政大臣が、郵便貯金大衆のものであり、郵便貯金の設立の目的というものが、ただ単に預金をして金利をかせぐという、そういうものではなくて、国民福祉増進するというような目的で設置されておるものですから、それに直接影響を与える預金金利引き下げ、特に、郵便貯金引き下げについては、たいへんな反対をされておりました。それは、私はもう大臣として適切な措置であった、御信念であったといまでも敬服をしておりますが、一面ではそういう動きが四月にはありました。  しかし、そういうことがありまして、預金金利引き下げは一応は見送られたのでございますが、どうも第六次公定歩合引き下げ預金金利引き下げが実現するのじゃないか。しかも、一部の観測によりますと、この十九日ころには、そういう正式な決定をするのじゃないだろうかというようなふうに私たち仄聞する面もあるのでございます。そこで、公定歩合引き下げをやり、さらにこの低金利政策への踏み出しを、金利引き下げということによっておやりになって、そうして現在の景気にどのような影響を与え、景気回復への一つの大きなファクターにしようとするのか、こういう点を最初に伺いたいのです。
  7. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) まだ第六次公定歩合引き下げというようなことは、全然きめているわけじゃございませんが、ただいまお話のございましたように、最近、景気は、ようやく底入れのきざしを見せてまいりましたけれども、なおこれが本格的な回復過程に入ったというふうには言い切れないものがございまして、まことに設備投資、非常な需要不足であるということからいたしまして、なかなか回復しないであろう、あるいは輸出伸びも、従来不況の打開のために輸出に口を求めたということは、今後許されないというようなことから、ただいまのところ財政輸出の拡大とか、あるいは金融緩和ということで徐々に効果は上げつつありますものの、なお全体の景気を立ち直らせるためには、ここで各種の政策努力が要るものと考えられるのでございます。  日本銀行といたしましては、お話にございましたように、一昨年の不況以来、五回にわたる公定歩合引き下げをいたしまして、その間市中貸し出し金利も極力下げてまいったのでございます。いわゆる標準金利と申します申し合わせ金利申し合わせの短期の一般貸し出し金利最高でございますが、これは八・二五%から六・七五%、これが最高限度といたしまして、一・五%以上下げたわけでございます。そういうことで、できるだけ貸し出し金利下げてまいったのでございますが、ここにきて、ただいま申しましたような観点から、市中貸し出し金利、これは長期貸し出し金利も含めまして一段下げをはかることが適当ではないか。そのためにはずっとこれまで預金金利のほうは据え置いておりましたので、どうしても預金金利下げなければならない。金利体系の上から申しましても、さようでございます。そういうことで今後貸し出し金利一段下げをはかるためには、預金金利引き下げはどうしても必要で、その預金金利引き下げます場合に、民間金融機関金利と、郵便貯金との関係でございますが、これは全く預金という点では同じものでございまして、民間金融機関だけ下げて、郵便貯金だけ下げないというのでは、どうしてもたてまえとしても、筋としてもできないのではなかろうかと思うのでございます。  確かに郵便貯金は、個人貯蓄が多いのでございますけれども民間金融機関個人貯蓄は非常に多いのでございます。たとえば個人預金、全部の銀行で見ますと、十七兆円でございますし、相互銀行は三兆七千億でございますが、総預金の中に個人預金が五五%占めております。信用金庫に至りましては六兆円で、総預金の中の約七割を占めているということで、民間金融機関個人預金の占める比率は非常に高うございます。農業協同組合信用組合等につきましては、その割合は、ちょっと手元に資料が間に合いませんでしたが、もっと個人預金比率は高いであろうと思います。そういうことから預金金利下げる場合、それがどうしても必要であるとすれば、預金者立場から言えば、若干の不利益をこうむることになをわけではございますけれども、本来金利が弾力的でなければならない、時の景気情勢、あるいは金融情勢に応じた適正な水準でなければならないということから申しまして、どうしてもいまの金利でなくてはならないということもいえなのではなかろうか。特に定期預金金利になりますと、そう弾力的と申しましても、限界がございますでしょうが、これまで預金金利を据え置いておきながら、貸し出し金利引き下げは、何回も努力してまいった。現時点におきましては、そういうふうに考えられる次第でございます。  私どもとしては、こういうことによって、もちろん景気情勢といたしましては、金融だけで、あるいは金利引き下げだけで直ちに景気が急速に回復するというふうには見ておりませんけれども、そのときの財政、そのときの施策と相まちまして、これによって景気を回復させる。いわゆる経済安定的成長を軌道に乗せ、対外均衡化方向に向かって努力をする、そういうことがほんとう日本国民経済全体のためである。そのことは、つまり、所得の安定とか所得水準伸びとか、あるいは雇用の安定というふうなことから言っても、全国民的な利益である。ましてただいま福祉優先という財政金融政策がとられておりますけれども、そういう公共投資、そういうもののコストを少しでも安くしていくとか、あるいはこれによって住宅ローンあるいは消費者金融等へもよい影響を及ぼし得ることを前提といたしまして努力すること、これが全国民経済のためである、あるいは国民福祉のためである、そういうふうに考えておる次第でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 一般的なあなたのお考えについては、私もよくわかります。ですから、現在の長く続いております不況を克服するために、実は思い切った国家予算の面でも公共投資考えているわけです。しかも、これが上半期に昨年以上の契約と支出をするというような面で、財政刺激をしておるわけですから、そういう一環からみると総括的には私はいいと思うんですね。  ただ一番問題になるのは、小口預貯金、これはただ単に郵便貯金だけでなくて、一般小口預金の場合でも、御承知のように、現在一人百五十万円までの預貯金と、百万円までの国債、それから百万円までの財産形成貯蓄、百五十万円までの郵貯とか、いずれも少額貯蓄非課税制度というのがありまして、その対象になっているわけですね。特に郵便貯金の場合は、郵便貯金法を見ますと国民の、大衆の生活の安定と福祉増進のための制度である。こういうふうに定められておりまして、非課税制度というのは、単なる貯蓄増強の手段というよりも社会政策的な、やっぱり国家的見地からの私は制度だと思う。ですから、廣瀬郵政大臣が、それをとらえて、少なくとも郵便貯金金利引き下げ反対だ、こういうふうに国民の前にはっきり言っていただいたと思うんですね。これは大いに支持されていますよ、一〇〇%支持されていますよ。ですから、私はそういう意味において、郵便貯金なり小口預貯金というものは除外すべきである、こういう考え方を持つわけですね。  一般的に西独でも、カナダでも、フランスでも、海外の諸国が、もうすでに六〇年後半から金利自由化ということをやっていますね。それから最近は各国におきましても、イギリスあたりでも、そういうような方向にいま動いておりますから、いずれ日本金利お話のように申し合わせ一つの協定ですね、こういうふうな時代になってきておるんですけれども、やがて自由化方向までいくと思うんですね。ですから、先ほどの一般論はわかりますけれども、いま申しますように、小口預貯金、特に郵便貯金については、この際除外をすべきだ、こういう考え方です。あなたのおっしゃるように、ローンなんかをとりましても、それによって下がるだろうとおっしゃいます。それはそうでしょう、それはけっこうですよ。  しかし、私が調べた資料によりますと、現在、市中銀行の総貸し出し額というのに占める個人向けローンの残高というのは、住宅など一切を含めて、わずかに四・五%ですよ。その程度しかない。これに対して個人預金は、預金総額の三五%を占めているわけですね。この比率からみますと、一部の人は、確かにローンで借りるほうが利益を得るのですけれども、大多数の預金者というのは、これによって不利になるわけです。しかも、それが大きな産業のために使われていくというようなことになると、何のことはない、少額零細預貯金者というものが犠牲になって、一部産業が得をするというかっこうになるんじゃないですか。  だから、そこで現在全体の預金金利引き下げの中で、こういう小口預貯金については、ひとつ政策的な面から、私は今回は除外する、かりにやるとしても除外してほしい、こういう点を強く主張したいんですよ。この点は渡辺さんどうでございましょうか。この点はひとつ大蔵省のほうからも伺いたいんです。
  9. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ちょっと関連して。  これ関連質問は、スタイルはともかくとして、お許しをいただきたいと思いますけれども、私がいま位置づけられている席は、逓信委員長でありますけれども委員という立場関連してちょっとお尋ねをしたいと思います。  実は、私が本委員会委員長になりましたのは、一月の二十九日だと記憶しておりますが、その際、お隣においでになる廣瀬大臣との出会いがあったわけでありますが、そのとき、私は、私の持つ政治的感覚で、とにかく郵政事業が手がけられ、足がけられて百一年目に、あなたは庶民金融先べんではないけれども、一応郵便貯金にひとつ風穴をあけようというニュアンスを持っておられて、国民支持を得ておられるようですが、預かるだけ預かって——大体、案によれば、総ワク一千億になる。そして、十万円で、それは、これこれということは、規模が雄大で国民支持を背景におやりになることはけっこうでしょう。私も、庶民金融サイドである労働金庫種まき権兵衛なんです。私は、金利の問題に関連をしても、庶民サイドの側である庶民が、金が余りに余って預金をするのでなくて、不時のときを思って、身を削って預金しているものに対して、金利下げるなんというようなことは、郵貯の問題については、今後審議されるべき問題としても——現に、既存の労働金庫は、やはり最初信用金庫というものから発足して、そういう借り着じゃだめだというかっこうで、今日労働金庫法で位置づけられて、やはりひとつの格づけがありますけれども、これにしても、これこそは、やっぱり真の勤労者サイドにかわって、庶民金融先べんをつけた金融でありますが、これはやはり次元が違いまするから、このことは、また別の窓で、金庫自体がものを申すでありましょうけれども、やはり金融の総合低金利政策の中から、それでも金利下げるのだというぐあいに権力の座で——日本銀行は別として、大蔵省がとにかく法律をしいて、超低金利政策一環として、すべての預金金利下げるのだということになれば、大きな政治問題がかもし出されるということを、私は危惧を持つのであります。  今日の次元は、私はいま、私の因果話を申し上げましたけれども、とにかく庶民金融郵便貯金がやるということは、非常にこれは、国民支持と信頼の上に立って、そういうことを待望しているわけであります。だとすれば、さらに、それを今度、預金金利下げるという、総合的な超低金利政策一環としてやるということを、強行されるということをいたしまするならば、これは、やはり庶民の側に立つ、郵便貯金の、やはり今度貸し付けワクが設定されるということを待望している国民は、失望するでありましょうし、その要望の先頭に立つ、庶民サイドの側に立つ者は、総抵抗で、その預金金利引き下げということと、貸し付けとは次元が違うのだという形の抵抗が出てくるというふうに——私は、それだけの先読みをした杞憂であればいいのでありますけれども、そうではないかというふうに考えております。  試みに、たとえば、これは五月十一日の朝日新聞の夕刊には、こういうふうに書いてあります。「預金金利引下げへ。石が浮んで木の葉が沈む。石は財界木の葉はなけなしの貯金大衆。」と、確かに得をするのは、預金金利——公定歩合が下がれば、やはり何といっても、石が浮くような、つまり、財界では、一番は新日鉄でしよう。その他それに準じたる財界でしよう。しかし、庶民は、預金大衆——言うならば、郵便貯金窓口安全度が高い、都合がいいというかっこうで、預金しているという人に対して、せっかく風穴があけられた、窓口ができた、しかし預金金利が下がるということになれば、これは非常になげかわしく思うでありましょう。これは次元が違いましょうけれども労働金庫は全国の働く労働者を基本としているから、総抵抗を持つのだということを一応参考にしていただきたいということでありますので、関連でありまするので、これは、主として鈴木委員質問に重点を置いてお答えをいただいてけっこうでありますけれども、これは異例かどうか知りませんけれども、私は大事な問題でありまするので、あえて関連質問さしていただいたわけでありますが、ひとつ……。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 いま委員長の御意見の中にもございましたが、私が言っております小口預貯金ということはそういうものも含めているのですね。そういう意味において、私は小口預金と申し上げて、さらに特に郵便貯金を指摘したわけです。もう一つ庶民金融については、私このあと整理して伺おうと思っておったのですが、これが出ましたから、これは大臣からも、大蔵省からもお答え願いたいのですが、先般の予算第三分科会で、私が、庶民金融というのは、国民がひとしく期待しておることであるから、直ちに実施してほしいという意見を基礎にして、大蔵省大臣に伺ったのですが、大蔵省のほうでは、まだ、その当時いろいろと関係者相談をしているというお話でございました。その後いろいろ展開があるようでして、特に、今回の郵便貯金利子引き下げとうらはらに、庶民金融というのを大蔵省側が認めて、そのかわりに郵政省側金利引き下げを不承不承ながら認めていく、こういうふうな取引的なものが出されたという報道が盛んに行なわれているのですよ。  これは朝日の連続の記事の中に、郵政大臣の写真まで入って、五月十二日から三回ばかり、きょう三回目が出ておりますが、それで記事として述べられておるのですけれども、その中にも、そういうことが端的に述べられておりますね。ですからして、私は、もしそうだとすれば、これはたいへんなことだと思いますけれども、その点でひとつ大臣からも、はっきり伺っておきたいと思うのですけれども、「利下げて譲って庶民金融をとった方がトクという郵政族の計算が見える。」というのですね。そういうふうな記事の表現になっております。ほかにも、同様の趣旨の記事がありますから、この点はひとつ、はっきりしておいていただきたい。そうしてわれわれは、庶民金融はそういうことにかかわりなく、とにかくこの国会で成立すべきである。社会党も、従来申し上げておりますような、一口で三十万——皆さんのほうで考えているようなのは、十万円と少ないようですから、三十万円ということでちゃんときまっておりますから。一部の新聞では、社会党が何か反対をしたというような記事が載ったけれども、それは間違いですから、ですからその点をはっきり申し上げて、ひとつ、ぜひ政府として、この国会に出してもらいたいということも考えておりますから、関連をして質問が出ましたので、そのことも申し上げて御答弁をいただきたいと思います。
  11. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 庶民金融、いわゆるそういうことばを使っておりますわけでございますが、正確に申しますと、郵便貯金者郵便貯金担保といたしましての小口貸し付け創設、並びに郵便貯金金利引き下げは、あくまで反対すべきであるという御激励を賜わりまして、まことにありがたく存じております。いろいろ最近、新聞あるいは週刊誌等で、私が庶民金融創設と、金利引き下げを取引の具にいたしましておるというような報道があっておりますけれども、これは全く事実に相違いたしておりますわけでございまして、さようなお話しも、私は現在まで全く受けておりません。そういう相談も全然いたしていないわけでございます。私は、庶民金融郵便貯金金利引き下げの問題は、これはもう全然別個の問題であるというように確信をいたしておるわけでございまして、この考えも変わっていないわけでございます。  庶民金融につきましては、もうすでに御承知のように、郵政省といたしましては、もう長年の懸案であったわけでございますから、庶民福祉増進という時勢、このときに、ぜひ実現さしたいということで、努力を続けておりますわけでございますが、まことに残念ながら、今度の国会政府提案で出すというような目途、そういうような見込みというものが、非常に最近薄らいできておりますわけでございまして、これはしょせん私の努力が足らないということになるかもしれませんけれども関係の省庁が理解してくださらないわけでございます。事務段階におきましても、私ども段階におきましても、かなり努力をいたしておりますわけでございますけれども、微力で、まだこの国会政府提案で出すという域にまで達してないということを、ほんとうに恥ずかしく思っておりますわけでございますが、幸いに、御承知のように、与野党とも、議員サイドにおきまして、これはきわめていい制度だから、ぜひ創設すべきであるという強い御意見が出ておりまして、そのような動き与野党とも非常に活発でございます。  与党のことを申し上げて恐縮でございますけれども自民党の中におきましては、衆参合わせまして半数というのが二百十七名程度のようでございますけれども、すでに三百名近くぜひやるべきだという意図を持って、この郵便貯金個人貸し付け推進議員連盟というものが建設されておりますわけでございますが、こういう方が推進力になりまして、いま議員サイドで話が進められておりますようでございまして、自民党ではせんだって党の政調会にかかり、また、その際その道を開くということを前提といたしまして、政調会長に一任をされたようでございます。その政調会段階で、大蔵省あるいは農林省サイドに立っております国会議員のほうから、いろいろな御意見が出たようでございまして、それも政調会長としては参酌されて、調整などをとられるということになろうかと思っておりますけれども、それは党の御意向でございまして、私のほうには、全然そういうふうな話は政調会長からもございません。そういうことになりましても、私といたしましては、ただいま申しましたように、庶民金融金利の引さ下げということは全然別個の問題であると、こういう観点に立って郵便貯金金利引き下げについては、応ずべきではないという現在考え方を持っておりますわけでございます。  と申しますのは、ただいま日銀渡辺参考人からもお話がございましたけれども、私は、政府の中におきまして、重ねて公定歩合引き下げをしなければならない、それには、預貯金金利引き下げなくちゃならないという意見があったにかかわりませず、日本銀行としては、意見を異にしておる、そういうような必要はない、公定歩合引き下げもいま考える必要はない、また、預貯金金利引き下げるべきではないという考え方を最近まで持っていらっしゃったように、私は考えておりまして、非常にりっぱであると思っておったわけでございますけれども、にわかに最近御態度が変わって、ただいま渡辺さんのような御発言があったわけでございます。その間の事情について、どうしてそういうことになったかということを、私としては承りたいわけでございます。まあとにかく豹変ということばは、非常に失礼なことばでございますけれども、態度が変わったということは事実だと、こういうように考えております。  そこで、私といたしましては、郵便貯金は、銀行預金とは異質のものである、いわば銀行預金というのは、短期に例をとっていいますと、七割までが法人、会社の預金でございます。長期を含めましてもまあ大半と申しますか、五割ちょっと上が会社、法人の預金でございまして、しかも短期のごときは、預託の期間が、わずかに〇・四カ月、きわめて短期でございます。ところが、郵便貯金は、国民大衆庶民の粒々辛苦によって積み立てられましたところの、ほんとうに生活資金である。その郵便貯金の大部分、九割九分六厘が、こうした国民庶民の一人一人の貯金の累積である。しかも、預託の期間は、短期に例をとりましても、一方がO・四カ月であるに対しまして、七カ月という長期のものでございます。そういうようなことを考えますと、非常に性質の違う預貯金であるというように言わざるを得ないわけでございます。  また、別のことばをもっていたしますれば、銀行預金産業資金でございます。郵便貯金は生活資金、貯蓄性のきわめて高い生活資金でございます。しかもまた消費者の資金である、こういうふうに考えられますわけでございます。したがって、現在のように、消費者物価がどんどん高騰してまいっております際に、この郵便貯金の利率を、この上さらに下げるということになりますと、国民は貯蓄心をなくしてしまうわけでございまして、絶望におちいる、こんなことであれば、お金をたくわえておっても、何にもならない、むしろ使ってしまえということになりますわけでございます。それが消費者物価を刺激いたしまして、ますます事情が悪くなるというようなことも考えられるわけでございますから、そういうような意味におきましても、いまの消費者物価が高騰しております時節には、どうしても郵便貯金の利率を引き下げることはできないということを主張して、現在に至っておりますわけでございます。その信念は、たびたび申しますけれども、現在も変わっていないわけでございますが、  ただ、昨年十二月ごろ、私はそういう主張を申しまして、現在まで引き続き申しておりますわけでございますが、日本の全体の金融、全体の経済あるいは外貨事情というようなことが、どうしても郵便貯金引き下げなくちゃならないというようなことに、私がほんとうに心から理解するということになれば、考えなくちゃならぬと思っておりますけれども、そういう意味で、私は、いま各方面の知識を吸収いたしたいということで、強勉を続けておりますわけでございます。現在までのところ、そのような信念に変わりはないということを申し上げたいわけでございます。また、この郵便貯はすべて私の管理下にありますわけでございます。私の方針によってきまるわけでございます。その責任を全うするには、郵政審議会の御意見も聞かなくちゃならぬことになっておりますわけでございますが、軽々と大蔵省日銀が御要請をされましても、そう簡単に同調するというわけにはいかない性質のものであると、こういうふうに考えておりますわけでございます。  いろいろ委員長さん、また鈴木委員から御鞭撻をいただきまして、ほんとうにありがとう存じますが、そういうことを十分踏まえまして、今後あやまちのない態度をとりたいと、庶民福祉増進と国益が、どういうふうなつながりがあるかということを検討することは必要であるかと思っておりますけれども、現在のところ、まだ従来の信念が変わっていないということをお答え申し上げたいと思います。
  12. 松川道哉

    説明員(松川道哉君) ただいまの鈴木委員の御質疑並びに関連して発言のございました委員長の御質問に対しまして便宜一括して御説明させていただきたいと思います。  まず第一点でございますが、ただいま金利引き下げる、貸し出し、預金両面においての金利引き下げるということを、私どもが検討するに至りました背景となっております景気情勢ないし金融情勢につきましては、ただいま日銀渡辺理事から御懇篤な説明があったとおりでございます。私、わきで拝聴いたしておりまして、一つ気になりました、また、その点を後に委員長が御発言になりました預金金利引き下げというのが、若干預金者の不利になるのではないか、こういう点につきまして、私どもといたしましては、そこを補足して御説明をしたほうがいいのではないかという感じを持っております。と申します意味は、預金金利が下がりますれば、これは、たとえばの数字でございまして、決してそれを考えておるということを申し上げるわけではございませんが、世上伝えられておりますように、〇・五%の金利引き下げがあると、こう仮定いたしますと、たとえば十万円たとえば二十万円の預金を持っております者は、それによりまして、年間それぞれ五百円または千円の減収となります。その意味で、直接的に消費者ないし庶民または預金者、そういった人たちが手取りが減るということは、これは事実でございまして、直接的には不利益を受けると申すことも、これは間違いないと思います。ただ、そういうことを、そういう政策をやらなければならないという背景になっております事情、そして、その政策が非常にうまくいけば、ただいま低迷いたしております景気の回復が、現在予想されておりますよりは早くいくのではないか、そういう期待を持って、私どもそのようなことを推進しておるわけでございます。  これは例になるかどうか存じませんので、もし間違っておれば失礼でございますが、たとえばことしの春闘でも五けたの賃金というものが獲得されました。この五けたの賃金を獲得する背景になっておりますものは、やはりそれ相応の経済活動である。これが沈滞しておれば五けたがならず、あるいは七千円とかあるいは五千円ということになったかもしれません。もししかりとすれば、この〇・五%によってあるいは五百円あるいは千円というものをがまんしていただくことにより経済活動が興って、それによって賃金ないし所得が上がるということであれば、これは長期的に見れば、この政策というものは、国民各位、広く産業のみならず、庶民を含めた国民各位の利益になるものと私は確信しております。その意味で先ほどの、石が浮かんで木の葉が沈む、という表現、これはまことに感触をとらえて適切な表現と思いますが、もう少し長い目で経済政策を見る、もう少し長い目で国民各位の福祉ということを考えますと、私ども、ただいま考えております貸し出し、預金、両面におきます金利引き下げというのは、終局的には、国民福祉に還元するものである、このように確信いたしておる次第でございます。  次に、鈴木委員の御質疑の中に、金利下げるにしても、小口貯金を除外したらどうかというお話がございました。私ども金利というのは、やはり全体一つのバランスを保ちながら動かしてきておりまして、御案内のとおり、一昨年の秋から五回にわたる公定歩合引き下げ、これによりまして実に一・五%という大幅の公定歩合引き下げをやってまいったのでございますが、できるだけ預金のほうには手をつけないでやっていきたいという希望があり、ただいま鈴木委員の御質疑の中にもあらわれておりました御精神、これを私どもも同様に持っておりまして、できるだけの限りではそこを動かさないでやっていきたいということで本日まで推移いたしたのでございます。  しかしこの段階になりますと、郵便貯金金利を含めまして全体の金融について再検討しなければならないのではないか、そういう時期が来たように私ども考えております。現に、これは、私から御説明するまでもなく、郵便貯金法第十二条の中に、郵便貯金金利を定めるのについて二つの原則が示されておりますが、その一つは、一般金融機関預金の利率も考えろということでございます。したがいまして、全体を、何らかの政策をとります場合には、今回は、郵便貯金も含めたもので政策を考えなければならないのではないか、このような考えで、私ども内部で検討いたしておる次第でございます。  それからさらに、今回のいわゆる庶民金融関連いたしまして取引があったのではないかという、新聞報道についての御質疑でございますが、ただいま考えております公定歩合の切り下げ、これは、たとえば特定のこの公定歩合の切り下げという表現で御説明いたしますと、今回のこの切り下げについて、郵政当局とまだ話をいたしておりません。ただ、おそらくその誤解のもとになったであろうと思われますのは、庶民金融制度全体が問題になりまして、私どもと郵政当局との間でしばしば意見の交換をいたしました際に、この庶民金融というものを認めるのであれば、現在の郵便貯金金利のきめ方も臨時金利調整法のもとに移行すべきであるということを私ども提唱いたしました。このことは、具体的に焼き直しますと、公定歩合が下がるときには、郵便貯金金利も、それに対応した動きを示してほしいということを意味しますので、そのことが今回の特定の問題と結びついて、あるいは報道されたのではないかと考えます。私ども、ただいま当面しております具体的な行政措置の問題、長期的にわたる制度の問題、この二つはさい然と区別して考えるべきものであると考えております。
  13. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 預金金利引き下げの問題についてお答え申し上げたいと存じましたが、ただいまの松川審議官のお答えで大体尽くされておりますのですが、先ほどの大口預金だけ金利下げて、小口預金は据え置いたらどうかというお話がございましたけれども、前に申し上げましたように、小口預金と申しますか、個人預金というものの民間金融機関において占める比率も非常に大きいのでございます。確かに個人預金について政策的配慮も、社会的見地から必要かと思いますけれども、それは、全体の預金体系の中で個々の分について減税を行なうとか何とかという配慮は確かに必要かと存じますが、いまこの金利体系から考えますと、預金者立場ということがございますけれども、どうしてもこれを除外するわけにはいかないのではないかと、実効を期せられないのではないかと存ずる次第でございます。  なお郵便貯金だけということになりますと、いよいよこれは同じ貯蓄の手段を講じます官業と民業との関係を、どう考えるかという問題にもなろうかと存じます。確かに、預金金利引き下げという問題は、十分に慎重に検討するべき問題でありまして、日銀といたしましては、かねがね検討はいたしておったのでございます。ただ、公定歩合は大体いよいよ決意するときまではまだ下げる必要はない。いよいよ必要になったときに下げることを初めて発表しますので、従来は、そういうことを口にしてはおりませんでしたけれども、ただいまの段階では、一般貸し出し金利水準下げる、どうしても長期貸し出し金利を含めて下げることが必要である。そのためには預金金利引き下げは、どうしても必要であるということを申し上げざるを得ない次第でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 あるいは予算委員会を通じて日本経済の、特に今後の長期見通しもいろいろ論議になりましたけれども、特に四十七年度、単年度の予算経済見通しというような論議の中で、さっきも郵政大臣がちょっと触れられておりましたけれども日銀側としては、非常にいま直ちに公定歩合の問題とか、あるいは預貯金の問題については触れておらなかった、それは慎重だったのです。ですから、何か、日銀が大きな政策の中で、みずから示すものを示さないで、そしていろいろな他動的な情勢の中から、日銀が、あとから腰を折るというようなこと、そういうふうに見られたってふしぎではないのですよ。そういうことであってはいけないのじゃないですか。確かに実施する、しないの、幾ら上げるとか、下げるとかは、これはいろいろの影響がありますから、慎重を期さなければならないが、経済の見通しの中で公定歩合下げ、あるいは郵便貯金預金下げなければ、四十七年度予算における国の財政的ないろいろな腰だめ政策、景気回復策をやっても、なおかつ所期の目的を達成しないというなら、そういう点をはっきり国民に示すように、もっと理解と納得を得るような努力があってしかるべきです。そういうことをやらないで、結論だけが国民の前に来るものですから、その間の過程は、一体日銀はどうしているかということで批判と不満が出てくるのはこれは当然です。  ですから、いま大蔵省側からもありまして、一応理屈的には、そうしたほうが日本経済の活動を活発にし、景気を刺激して回復していくために必要だという考え方に立っておられる。郵便貯金は原則としていまおっしゃるように、これは十二条で、「政令で定める利率により、利子をつける。」これは郵政大臣の権限です。あなたは二項のうしろのほうだけ読んだ。「あわせて一般金融機関預金の利率についても配意しなければならない。」これは前のほうにあることが大事なんだ。これは「郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定と福祉増進のためにあまねく国民大衆の利用に供される制度であることに翻意し、その利益増進し、貯蓄の増強に資するよう十分な考慮を払うとともにあわせて一般金融機関預金の利率についても配意しなければならない。」。これは両輪なんですね。ですから、ここにあなたがさっきちょっと概念的に述べられたそのことが、むしろ卑近な例で、ベースアップのことを言われましたが、そういうことの逆の効果が、逆に千円損することによって二千円の利益を生むんだという、そういう簡単なことをあなたに言われたって、日本経済がはたしてそういくかどうか。そこにはもっと不当な利潤を受けるものがあるのかどうか、物価がはたして何%のところでとどまるか、そういうことをはっきりしなければ、にわかにここでそうだというわけにはいかない。  時間があまりないから、ほんとうはやりたいのですけれども、論争の時間がありませんから——それほどこれはなかなかむずかしいわけですよ。ですから、郵便貯金というのは、一般預貯金と違う性格を持っているのだということを、十分、皆さんは専門家ですから、御理解をいただいていると思うのですけれども、その上に立ってあえてやろうというわけですから、それには、それなりの理屈があるということは私たちもわかるのですけれども、まだ現段階において、大臣おっしゃるように、われわれとしては理解できない。だから、こういうものは度外視しなさい、もしかりに金利を上げるにしても、度外視しなさい。こういうことを申し上げているわけです。大臣も非常に信念をかたく持たれているようですので、私はたいへん安心しました。取引もしないし、したがって、郵便貯金金利下げない、これはおれの権限なんだ、郵政審議会に諮問されるということは言われておりますが、安心しましたが、ただ、ちょっと気になるのは、さっきの大蔵省の言い分で、私も多少ひっかかるような発言をしましたけれども、その辺が非常に大事なんですね。ですから、大臣もいま勉強されているということですから、そうしごく簡単に郵便貯金預金者が、ああそうですが、ここでかりに〇・二五%なり、〇・五%金利が下がっても、その分が全体に潤ってきますかということにならぬ。  たとえばベースアップのことを言ったけれども、春闘に参加できない人は一体どうするのだ、一般国民、年寄りはどうするのだ、そういうことだってすぐ疑問が残ってくるわけです。だから、しごく簡単にそういう理屈は成り立たないので、そういう意味から言うと、これはほんとうに慎重に、日本経済の今後の方向を見きわめるために、どうしたら克服していけるんだと、そういう全体の問題と、それから一面には、国際的な経済動きもあるでしょう。ですから、そういうことも関連して慎重にやらなければならない。当面私は非常に心配しておったものですから、きょうは緊急にこの問題を提起して伺ったわけです。だから、大蔵省のほうでもそういう点を十分理解してもらいたいし、それから日銀のほうは、若干われわれがちょっと豹変したような危惧を持っておりますから、その辺についての考え方だけ述べていただきたいと思います。
  15. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 松川審議官、私は、あなたの預金金利に対しての御解明に対しては納得いたしませんから、他日、大蔵委員会なり、労働委員会に差しかえをいただいた時点で究明したい。大体あなたが七二春闘ベース論なんかをここで持ち出して言うことは、実は、あなたたちの独善と主観に属するもので、解明の答弁にはなりませんよ。だから、これはいただきかねるから納得はしませんけれども、一応これは次元が違いますからここでやめておきます。
  16. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 日銀の態度が豹変と申しますか、急変したのではないかというお尋ねでございますが、確かに一部新聞にそういう報道がされているのを見たこともございます。ただ、私どものあり方といたしますれば、具体的に公定歩合を、いつ、どれくらい下げるんだというようなことを事前に——下げるとか、上げるということは、決して事前には、言わないというのがたてまえでございまして、もちろん、それを実施するときには、十分まあ努力は、なお、しなければいけないかもしれませんけれども、実施にあたっての説明、御納得を得ることについては、できるだけの努力はしておるつもりでございます。  今度の場合も、経済の分析とか、あるいは見通し、そういうことにあたっては、われわれの考え方といたしましては、そのときそのときの指標の見方に、いろいろ多少の変化はございましたけれども、基本的にはそう変化はないつもりでおります。そうして、今度の問題につきましては、まだ第六次公定歩合引き下げをするとか、というふうには申しておらないのでございますが、ただ、貸し出し金利水準引き下げるために、どうしても預金金利引き下げが要るということを申して、それが公定歩合引き下げを当然予測させるというふうなことになったように、私は理解いたしておるのでございます。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 渡辺さん、あなたは専門ですから、私たいへん失礼かと思いますけれども、いまお話しになったように、確かに、いつから何%の引き下げをするとか、しないとかということは、これは慎重にやること、これはそうです。ただし、ことしの経済が、一体この状態でいいのかどうなのか、財政面金融面から一体どういう措置をしなければならぬかということは、絶えずあなたのほうでも検討されていると思うのですよ。だから、日銀総裁に何回かやはり国会へも来ていただきまして、意見を伺った場合に、それは日本経済がこういういま状態、底入れをしたとか、しないとか、したとすれば、そこから抜け出していくためには、どういう措置をしたらいいか、財政面からあるいは金融面からどうしたらいいかということは当然考えておられる。だからして、公定歩合を上げれば脱出できないとか、できるとか、こういう見通しをはっきり言っているでしょう。ところが、今回はそういうことについては口を緘して言わなかった。だから、言わなかったということは、下げなくてもよろしいという国民は理解をしている、従来の例から。そういう意味において、非常に豹変したのではないかということを申し上げたわけですよ。ですから、もう少し経済見通しについては、あるいはそれは当たるも八卦当たらぬも八卦みたいなもので、現在の経済の見通しなんというものは、さっぱり当たらぬから、政府の見通しというものは、消費者物価にしてもそうですが、だから、あなた方は専門家ですから、こうしたら日本経済はこうなるのだ、したがって、公定歩合引き下げもある段階でやらなければならぬということはいままで言っておったでしょう。今度はそういうことをさっぱり言わなかったじゃないですか。そういうことを少し、基本的な問題との関連ですから、少しおとなげないようなことを言っておりますけれども、そういうことを私は申し上げているのです。だから、その辺の国民に対する経済見通しを示さなかったということはまずかったじゃないですか。豹変と言われてもやむを得ないじゃないですか。
  18. 渡辺孝友

    参考人渡辺孝友君) 私ども公式的には、月々、月例報告といたしまして経済報告、調査報告をいたしまして発表いたしておりますが、公定歩合に関しますと、どうもこれまでの考え方といたしましては、公定歩合はいつごろどうすべきかというふうなことは、事前には公にしない。経済の見通しがこうなるであろうという、そこからおのずから出てくるということはあり得ようかと思います。また、逆に申しまして、いろいろの話の過程で、ともかく近く公定歩合の引き上げあるいは引き下げがあるのじゃないかということを聞かれます場合に、それを具体的にその実施直前、実施に至るまでは、極力否定しなければならないということ、とにかく事前には発表しないということのために、逆にたとえば、引き下げがあるかという場合にも、とにかくそれを考えていないということが、いまは考えていないということが、これは据え置きでいいのだというふうに強くとられる場合もあるような感じがいたします。しかし、先生のおっしゃるとおり、経済の見通しはなかなか容易でございませんけれども金融政策をやりやすくするためにも、大方の国民の御納得を得ることが非常に重要だと考えておりますので、そういった月例報告その他の面で、できるだけの努力はいたしたいと考える次第でございます。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 今後あまり豹変したというような批判を受けないような方法で、国民にもよく理解できるように説明をしてもらいたいと思います。  それで、庶民金融については、松川さん、あなたは何か郵便貯金も当然引き下げが含まれる、そういうふうな見合いの中で考えらるようなこときニュアンスにとったんだけれども、具体的に庶民金融郵便貯金金利引き下げとの因果関係といいますかね、俗に言う取引的なそういうものはあるのですか、ないのですか、それが一つ。  それからもう一つは、すでに日本クレジットビューローで、これは三和、三井などの都市銀行ですね。これが十二日の日にこの六つの銀行の会員を対象とした無担保、無保証人の小口金融というものを今月の二十五日から実施するということを発表しましたね。これは融資額も百万円ですね。で、期間も三年以内というようなあれでしょう。これ、許可をするのか、まあ、これは認めたわけだね。そのほかに、いま第一勧銀とか、富士、三菱など、ほかの都市銀行五行についても、ユニオンクレジットというようなことで、あるいは東海銀行の場合でも、日本クレジットビューローと同じような趣旨による小口融資というものを認めようとしておるのですね。こういうことを一方でしておきながら、郵便貯金についてどうも——庶民金融ですね、庶民金融については態度が煮えきらぬ、見ておってね。一体どうして民間銀行に対してそういうことをどんどん認めておいて、郵便貯金のほうは、あなたのほうでは、庶民金融のほうは、さっぱりどっち向いているのかわからないような態度で終始しているのですか。われわれ納得できないのですね。その二点をお伺いしたいと思います。
  20. 松川道哉

    説明員(松川道哉君) 御質問の第一点につきましては、私ども郵便貯金による庶民金融をかりに大蔵省が賛成することができるとすれば、どういう条件のもとでならば賛成し得るのか、はっきりしてほしいという強い要望が、私どもが郵政当局と議論をしております過程におきましてございました。そこで、その中で私どもは、現在総預金の中で一割は、まるい数字一割、十兆円ほどを占めておるという郵便貯金というものが、その金利の定め方が臨時金利調整法のらち外に置かれておるということであれば、金融政策全体の斉合性というものに疑問が残るので、この点を再検討してもらいたいということを申し上げました。それで取引というおことばは、私どもの口から申し上げるのは何でございますが、私どもがいろいろ郵政省と折衝いたしております間に、先ほど郵政大臣からもいろいろお話がございましたが、また、私ども当局者と別なところで何とかうまい妥協ができないか、という努力が払われているということを聞いております。まあそういったこと、そのほかの要請がいろいろ混然となって、新聞報道の際に、あたかも当事者が取引をしておるような報道がなされたのではないか、このように考えます。  それから第二の点でございますが、いわゆる庶民金融と申しますのは、外国で申しますとパーソナルローン、個人に対する金融ということになろうかと思いますが、わが国においてこういう個人を対象といたしました金融というものは、かつてはございませんで、大体企業、大企業から中小企業までを含むそういう産業金融が主でございました。で、ここ十年ほどの間に、初めには住宅ローンというような形で出まして、それからピアノローンであるとか、いろんな名前がついて発達してまいりました。で、過去十年間の間はほとんどある特定の目的のために、個人が金融機関から金を借ります場合、これを見てやろうというものでございましたが、ここ一、二年の間に急速に、何と申しましょうか、万能ローンといいますか、目的を固定いたさない一般的な対個人のローンというものが普及してまいりました。こうなってまいりました背景には、もちろん戦前のように、人からなるべく金を借りないという、そういう儒教的な思想が各個人にありました背景もございましょう。また、最近のように、国民のいろいろな需要を刺激して、新しい欲求を起こさせるようないろんな環境になってまいりました。そうなりますと、航空機会社は金を貸してハワイに連れていく。いろいろ個人に対する貸し出し攻勢が片一方では盛んになり、それを利用する国民の側から、いろんな形で金融機関となじみができてきた次第でございます。  そこで各民間金融機関といたしましても、個人金融と申しますか、パーソナルローンをそういう形でいろいろなものを整え、そして各個人のいろいろなニーズにこたえていくかということを検討いたしております。私ども現在のわが国の置かれております経済発展段階における金融機関のビヘービア、これと諸外国と比較いたしまして、この個人の貸し付けというものはこれからもっとふえていくであろう。先ほど先生御質問の中で御指摘ございましたように、日本の場合には大きいところでも五%前後というのが庶民ローンかと存じますが、外国におきましてはこの比率があるいは一割をこえる。アメリカは私、はっきりは記憶いたしておりませんが、二割ぐらいになっておろうかと思います。そういった意味でわが国の金融機関がこの分野に入り、この分野において国民の各種のニーズを満たしていくためいろいろなものを考え出すことは大いに奨励してしかるべきものと存じます。  ただ、他方、これを認めることと郵便貯金のいわゆる庶民ローンというものにつきましては、私ども一つ疑問を持っております。  それは、御案内のように、郵便貯金の場合には、創設以来ここで国民の貯蓄を集めて一つのパイプ、すなわち財政投融資計画というものを通じまして、いろいろな需要にこれを配分するという日本独特の制度がございます。そしてそのため、貯蓄奨励のこともございまして、あるいは他に例を見ないような定額貯金という制度がございます。これは貯金しても解約するときにあまり不利にならないように特別に認められている制度でございます。先生御専門でございますから、こまかくは申しません。あるいは税制面におきましても、当然税務署の申告は要らないというような金融制度上、また税制上特別な制度がつくられております。そこで片一方で民間のいわゆる金融機関が種々のパーソナルローンに足を踏み込んでまいりますと、これを奨励いたしますときに、こちらのほうで、そういう貯蓄の専門機関であるがゆえをもって、ほかの民間金融機関と異なった制度に立っております郵便貯金というもの、これはやはり従来しょってまいりましたその使命というものを引き続き負担していただいて、財政投融資計画を通じて国民福祉のために貢献していただくのが筋であろうと、このように考えておりますので、片一方では民間庶民ローンを奨励しながら、片一方のほうでは郵政省の御提案に反対すると、このような次第でございます。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 やっと大蔵省側庶民金融なり、郵便貯金利子引き下げに対する問題についての考え方が、いまの松川さんの発言でわかりました。それはたいへんな私は、あなたの考え方というのはまあ大蔵省の全体の考え方になっておるかどうかわかりませんけれども、われわれから見ると、郵便貯金そのものの認識が非常に足りないと思いますよ。ですから、この庶民金融とは、要するに定期貯金に入れて二十万円持っている人が、たまたま不幸ができたとか、それからまた何か急に金が要るという場合に、人間は、どっかへ行って頭を下げて金を借りるということは、たとえ一万円でも千円でもいやなもんですね。ところが、郵便貯金の通帳を持っていけば、直ちに下げてもらえるという、そういうところに庶民の願う金融というものがあると思います。金融というか、預金の引き出しですよ。そういうふうにこれは考えていくならば、必ずしもこれが金融であるかどうかということについて疑問を持つわけですね、厳密な意味においては。ですから、その辺を松川さんおっしゃるような、しゃくし定木なものの考え方でいいかどうか。  しかも十兆の預金というものが、国の発展のために、いろいろな面において大いに役立っているわけでしょう。ですから、大衆の皆さんが貯金をしてくれてしていただいたものなんですから、そういうその人たちに、利息を下げるということは直接に不利になるものですから、ですから、その面で考えると、やはり郵便貯金の場合でも利息についても、そう考えなければならないし、庶民金融についても、いま私が申し上げたようなことは、一つの理屈として出てくるわけですから、どうもあまり、民間郵貯が根本的に制度そのものが違うという、違うのは確かにそうでしょう。しかし、違いは、私らが言う違いさと、あなたが認識している違いさは、さっきからこまかいこと論議しておりますが、食い違いがあると思うんですね。これはおそらくそういうことが影響して、この逓信委員会でも何回かそういう決議もしておるし、意見も出ておるにもかかわらず、いろんな要素から、これが法律改正として政府の手から出ていないということだと思うんですよ。しかし、何とかして国民のためになることであれば、これはやったらどうかというのがわれわれの考え方ですよ。庶民大衆のためになるならばいいじゃないか。民間でおやりになってもけっこうだし、農協もどうぞおやりください。郵便貯金においても、この制度ができるような方法を、何とかやってもらえないかどうかというのが、われわれの希望であるわけです。ですから、そういう点も十分あなた方も理解していただいて、何とか早く、制度が実現できるようひとつ検討してくれませんか。  そこで大臣、どうもこれは容易でないように私も思いますが、何か事務当局間での話のときも、大蔵省からは預金金利引き下げというものを認めてくれるならば、やっぱり庶民金融制度は認めるというような、いまニュアンスはそうですよ。庶民金融制度を認めるとすれば、こうだということで話をした、その中で、郵便貯金金利引き下げが入っておるわけですから、これは世間一般にいう、取り引きをしておるのではないかという疑問を受けておるのは当然ですよ。松川さんおっしゃるような、政府間レベルよりも何か違ったところで、いろいろなアクションもあるようだが、したがって、そういうものも頭の中に置きながらやっているということですから、両省ではなかなかうまくいかないから、何か第三者的なものが出てきて、まあまあ庶民金融を認めてやれや、そのかわり郵政省のほうも金利のほうは引き下げるようにしなさいよという、こういうあっせん案みたいなものが動いておるような気がするのですよ。これは非常に重大なことであって、もしわれわれはそんな動きがあるとすれば、庶民金融制度、そのものにも、もう一回再検討を加えなければならないというくらいに思っておるのですよ。  ですから、郵政省のほうとしても、大臣レベルの話し合いもしたと思いますし、また事務当局でもいろいろと話をしてあると思いますけれども、どうも大蔵省側の言い分というのも、まだわれわれも納得できないのですから、今後とも大臣のおっしゃったように、所信に向かってやっていただきたい。われわれは全面的にこれを支持します。そういう点も含めて大臣から——大蔵省は先ほど私が申し上げた点を含めて御検討いただくということで、時間がだいぶ、一時間以上過ぎましたから、これで終わりたいと思います。大臣から最後にひとつ御所見を伺います。
  22. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 大蔵省の理解を深めていただくということについては、鈴木委員から、るるお話になりましたから、つけ加える必要はないかと思いますけれども、ちょっと重要な問題でございますから、私からも申し上げておきたいと思うんでございますけれども金利の問題につきましては、先ほど私の信念を申し上げたとおりでございます。  それから、いま大蔵省の御説明によりますと、郵便貯金の個人貸し付けの問題について、金利の問題をからませて何かお話があったように、事務段階で御説明ございましたけれども、いま事務当局に聞きましたところが、そういうような話じゃなかった、郵便貯金の利率の問題、そういうことをすべて制度として、大蔵大臣の権限に移してもらいたいというかのごとき要請があったそうです。そういうことは、私は全然問題にならないと考えております。したがって、庶民金融についての今度のいわゆる金利引き下げについての具体的なお話はなかったように承っております。  それからちょっと申し上げておかなくちゃならないことは、財投に非常に小口貸し付け関係あるようにおっしゃいますが、私はいま鈴木委員からおっしゃっていただきましたように、郵便貯金を引き出そうというものに、生活の不時の出費のために、その必要に迫られて引き出そうとされます方に、郵便貯金を長く預けておくほど有利だから、そういうことはやめなさい、その間に別途お貸し付けできるという制度でございますから、おそらくそういう制度がなければ、郵便貯金は引き出すわけでございますから、財投とは私は全然関係ないと思っております。財投にいかにも大きな支障があるように考えておりますということは、まだ大蔵省の認識が改まっていないという御発言だと思いますけれども、これは非常に不認識きわまる意見だと思っております。  それから郵便貯金は古来預入だけの制度であって、貸し付けるということが、いかにも邪道のようにおっしゃっておりましたけれども、現在の制度から申しますと、これは非常に大きな変化であるかもしれませんけれども、私はちっとも邪道と思っておりません。邪道ということばは使わなかったわけでございますけれども、悪いことのようにおっしゃっておりますけれども、これはいままではそういう制度でございましたけれども、こういう時節になりまして、庶民福祉ということが重点的に考えられる現在、この制度は、神様のつくった制度でも何でもないわけでございますから、悪いことは改めて融資の方法を開く、そういう道を新しく開く、そういう制度の改革こそ今日必要ではないか。これは大蔵省は間違った認識じゃないか、このように考えております。  また、特別に定額貯金制度をつくってやっているじゃないか、これは一時引き出しても、何ら利率に関係ないような説明でございましたけれども、これまたたいへんな誤解でございます。定額貯金というのは、まさにあることは事実でございますけれども、これは長く預けておけばおくほど有利でございまして、途中で引き出すと非常に不利でございますから、そんなことをやめて、別途貸し出しをいたしますよ、ということを申し上げておるわけでございます。途中で引き出しても、利率に何ら影響ないということであれば、根本的に庶民金融、個人貸し付け制度ということが必要でないということになってくるわけでございます。これは私はきわめて重大な間違いだというふうに考えております。  それから税制の上におきまして、特に優遇しているということでございますけれども、これは全く銀行と同じでございます。申告の手続が必要であるかないかのだけの違いでございまして、銀行預金も、郵使貯金と同様に、百五十万までは無税の取り扱いができるわけでございますが、税制の上においても、何ら郵便貯金が優遇されておるという事実はないわけでございますから、そういう間違った認識の上に立っての郵便貯金の個人の貸し付けに対して反対であるということでは、いかに私ども努力いたしましても、徒労に帰するというような、まことに残念しごくな問題になってくるわけでございます。前から事務段階で、いかにただいま努力いたしましても、先入観がそういうふうに非常に違っておるわけでございますから、お話が進まないということになるわけでございます。これはひとつ何とか大蔵省——もうすでに野党の三党も賛成をされ、与党も賛成をいたしまして、話が進んでおります庶民金融に対しまして、そうした認識をもって大蔵省が対処されるということは私は残念千万でございますので、これはひとつ認識を改めて、庶民金融に対する深い理解をもって、そういう道を開いてあたたかい気持ちでひとつながめて育成していただきたい、こういうことを切にお願い申し上げる次第でございます。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 松川審議官は、この問題については直接の大蔵省の責任者だと思いますね。ですから、いま大臣も述べられましたけれども、確かに郵便貯金そのものに対する認識が根本的にまだ食い違っておるんですよ。ですから、これは人間ですから、いろいろと話をし、理解し合えるものならばやっぱりして、妥協点を見出すということが必要だと思いますね。概括的に大臣おっしゃるように、自民党も賛成し、社会党も賛成をし、国民大多数も連日の新聞投書なんか見ますと、これは非常にいい制度だから、早くやってくれないかというような意見が圧倒的に多いわけですから、大蔵省のほうとしても、いこじになっているとは思いませんけれども、何かニュアンスの点でも食い違いがある。特にさっき庶民金融制度をやるとすれば、認めるとすれば、こういうふうなものがあるということで、預貯金の問題も出ておるというお話を聞きました。これはニュアンスの問題ですから、われわれのとり方は、やはり金利引き下げるならば、庶民金融制度は認めてやろうと、こういうふうにはっきり言っていると同じだと思うんです。そこが若干ぼかされる、そして対外的なそういう動きがあるということで逃げているわけなんだが、問題は、あなたのほうでよく理解をし、納得してもらわなければ問題が進まないことも事実だと思うんです。  これは政府間の話ですから、大臣間でもやってもらわなければならないけれども、問題は事務当局がそういう接触を十分持っていくことが一番大事だと思うんですよ。だから、お宅の課長なり、郵政省の課長なり、審議官なり、参事官なり、そういう人たちもおるわけですから、そういうレベルでも、もっともっと進めた話をしていただいて、私は時間がないからあげませんでしたけれども大臣がたまたまおっしゃったけれども、そういう幾つかの点については、あなたのほうの認識が足りないところもありますよ。ですから、あなたの郵政省との円満解決のための努力というものは、ぜひしてほしいということを強くお願いをしておきます。で、大臣にもきょうの質疑の状況については、ひとつ報告をしていただいて、われわれが期待する制度の実施ができるようにお願いしたいと思います。まごまごしていれば、これは国会のわれわれの固有の権利である議員立法もあるわけですから、これも考えなければならない。だがしかし、ここまで大勢がきたら、いろいろ問題があっても、それを克服して実施していくというような方向に一歩を踏み切らなければこれはいけませんよ。そういう意味でひとつぜひ努力をしてもらいたいと思うんです。また、これはあなたは審議官ですね。その責任のある立場ですから、答えをしてもらってもいいんだが、時間がないから、私の強いそういう希望を述べて今後の御努力をお願いしたいと思います。  大臣におきましても、郵便貯金の利息はあなたの決定ですからね。あなたのほうがきめるわけですから、あなたがやらない限りは郵便貯金金利引き下げはできない。金融制度については、ぜひまた頭を押えぬような方針で進んでもらいたいと思います。これでいまの問題は終わります。
  24. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それではたいへん参考人でいらっしゃる日本銀行の理事さん、それから松川審議官もありがとうございました。たいへん御苦労さまでした。  それでは本日の調査はこの程度にとどめます。     —————————————
  25. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は御発言を願います。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 最初に、この法律案の提出のしかたについて大臣からお伺いしておきたいんですが、長田委員も若干触れたと思いますけれども、この法律案の内容を見ると、三本の法律一つにまとまって出て提案されているわけです。確かに、こういう提案のしかたは沖繩復帰の場合とか、他にも例はございます。しかし、私はこれはベターな方法ではないと思います。やはり、本来、一つ一つ法律案の制定の趣旨なり、内容等についても必ずしも全部が共通しているということではございませんし、それは各党の法案に対する過去の審議の中で、たとえば質権法は社会党は賛成をする、それから他の二法については反対をするというような、そういう意思表示をしてきているわけです。ところが、今度は、こういうふうにまとめられてしまいますと、みんな反対になっちゃうんです。これは主権在民の民主的な議員の意思を反映するという立場から見ても、政府みずからが議員の賛成、反対意見を拘束してしまうような形にもなるわけでありまして、非常に私は問題があると思います。  ですから、今回はこれは提案をされてしまって、衆議院も済んで、衆議院から参っておるわけですから、それを手直しするといっても、なかなか無理だろうと思いますけれども、今回はやむを得ず私ども審議を続けますけれども、これからは少なくともこういうような提案のしかただけはやめてほしいと私は思います。いろいろいままで論議をされておりますから、この点に対して大臣から私の意のあるところに対して誠意のある回答があれば、それで私は次に進みます。
  27. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいま鈴木委員から御質問の点が、今度の法律案の一番御疑念の多いところでございますし、また本質的な御質問であろうかと、こういうふうに考えておりますのでございますが、どういうわけで三法律案を一括して提出したかということについては、またただいま答弁の御要求もございませんから申し上げませんけれども、これはちゃんと理由がありますことは従来衆議院でも御答弁し、また、参議院でも、せんだっての長田委員の御質問に御答弁申し上げたところで御納得いただけると思いますけれども、将来の問題については、なるほどそうおっしゃられますれば、そういうふうな点もなきにしもあらずでございますから、十分、今後こういうような類似の例はほとんどないかと思いますけれども、こういうような場合は十分おっしゃることを体しまして、御審議のしやすいように、こうしたことのないように検討してまいりたいと、こういうように考えております。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣、私は論議したくないんです。ですから、検討なさるということは、やっぱり、やるということにもなると思うんでして、ですから、はっきり言っていただきたいんですよ、大臣として。これわれわれが賛成、反対の意思表示をする場合でも、この場合ですと全部反対になっちゃうんですね。中には賛成の法案があるにかかわらず、反対の意思表示をしなければならぬ提案のしかたというものは、これはやめてほしいと思うんですよ。大体こんなものは、あなた過去の国会の審議のあれを見れば、何党はどうであったかぐらいのことはわかるはずです。われわれの賛成反対の意思表示の拘束をするような出し方をするのはおかしいから、今後は——法律的に、あるいは法制局あたりで立法技術上、提案技術上はこれは差しつかえないと言われるでしょう。その点はきょうは私は触れません。ただ政治的立場に立って、われわれが考えました場合には、審議をしやすいからこうしたという論もある。ところが、肝心な意思表示については、逆の立場から、われわれは反対立場をとらなければならぬという、そういう羽目に追い込まれるわけですから、法案の内容等も十分考えて、賛成反対を込みにしたような提案のしかただけはやめてもらいたい、これは大臣が政治家としてわれわれに約束してもらいたいんですよ。
  29. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御趣旨は非常によくわかるわけでございますから、今後十分尊重いたしまして対処いたしたいと思います。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 くどくて恐縮ですが、審議いたしましてということで、あとがよくわかりませんでしたけれども、最後の締めくくりが。私の主張しておる意見というのは、もっともだと、あなた認めておるわけですね。そうであれば、これからは、こういうふうな提案のしかたはやりませんと、こういうふうに、はっきり言ってもらいたいです。
  31. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) いま、私のことばがおわかりにならなかったそうでございますが、御趣旨はよくわかりますので、今後十分尊重して対処してまいりたいとお答え申し上げたのでございますけれども、それでも御不満でございますれば、この三つの法律案につきましては、将来このようなことは繰り返しませんということを、はっきり申し上げて差しつかえないと思います。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それですから、それであれば、今度はやむを得ませんから、その提案された形式のまま質疑を続けていきます。  それで、まず第一番に伺いたいのは、三つの法案の施行期間ですが、電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律、これは「昭和五十八年三月三十一日までに廃止するものとする。」と、こうなっていますね。それから質権法案につきましては、「昭和五十八年三月三十一日までに第五条の規定により登録された場合には、公衆電気通信法第三十八条第四項の規定にかかわらず、同年四月一日以後も当該質権の目的とすることができる。」、これはよくわかります。それから、もう一つ電話設備の拡充に係る電話交換方式の自動化の実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律、これには「昭和五十八年三月三十一日までに退職した者につきするものとする。」と、いずれも昭和五十八年三月三十一日までに施行期間を延長するという、そういう法律案だと思います。  それで、この十年間にさらに施行期間を延長した理由というのはどこにあったのでございましょうね。一番大きな理由というのをひとつ最初に聞かしてもらいたいと思います。
  33. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  この電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律等の一部改正案、これが現在政府から提案されているわけでありますが、この中には、まず電話の拡充のための十年の延長の問題と、それから電話の拡充に関連いたしまして交換要員等が電話が自動化するために退職するという、そういう退職者に対します退職手当を増額する問題と、それからもう一つは質権の——これはまあ公衆法で電話に対して質権を適用しないことになっておりますけれども、それに対しまして、これを十年まで適用すると、この三つの内容が入っているわけでございます。  なぜ、ただいま十年ということをやるかということでございますが、この中の最初の電話の拡充のために債券を電話の架設者に負担していただくという、これが最初に出てくるわけでございますが、電話の現在の積滞というものが約二百五十万ございまして、これを昭和五十二年度末におきましては全国的な規模において積滞をなくなすということを目標にまずしております。しかし、それでは五十二年以降の問題についてどうなるかといいますと、一ぺんなくなりました積滞というものは、やはり今後とも積滞というもののない状態を継続する必要がある。したがって、五年の延長ではなくて、ほぼ各家庭に電話が普及する時点、すなわち昭和五十七年末までの十年というこの期間に対しましては、電話がおそらく毎年三百万なり、あるいはまた、五十二年から五十七年末に対しましては、毎年二百六十万というような、非常に数の多い架設が行なわれる必要がある。このような際に、拡充法によってこれまで認めていただいておりました電話の架設者が、債券を負担するということがなしでやれれば確かにそれはいいのではございますけれども、実際問題といたしまして、たとえばこの七カ年計画の中におきまして見ても約三〇%というもの、全体の拡張資金の約三〇%がこの拡充法による資金ということになりますし、また、そのあとの時点におきましても、やはり二〇%以上のものが、この拡充のための資金として必要であります。しかも、その額というものが毎年二百六十万あるいは三百万というような数字になってまいりますと、建設投資も非常に多い。  この拡充法の制定が行なわれました昭和三十五年の時点におきまして、第二次五カ年計画を改定したときに、この拡充法というものを認めていただいたのでありますが、その時点におきましては、五年間の電話の架設というものの数全体が二百二十万であった。すなわちその当時は、これを五で割りますと約四十万ちょっとというような架設の状態におきまして認めていただいたわけでございますけれども、それが電話が、国民の生活必需品になったということ、あるいは核家族化によって電話というものが非常に普及する必要が起こってきたこと、その他経済の発展であるとか、あるいは国民生活の充実、そういうようなことのためにこれが非常に必要になってまいりまして、そのような大きな建設計画をやらなければならなくなった。したがって、このなくなった積滞というものを維持し、しかも非常に多くの架設を継続しなければならないという五十七年度末までに対しまして、この拡充法の延長をお願いしている次第であります。  なお、この退職手当の増額の問題につきましては、これは、今後まだ自動局が約二千七百局くらい残っておるのでありまして、これが五年間というわけにはいかない、なお十年ぐらいまで、特にその際には、いままでと違った非常に過疎地帯——山村とかあるいは離島とかいうようなところにおきまして、電話局の自動化ということが必要になってまいります。そのために、ぜひ十年の延長をお願いしたい。  もう一つは、質権に対しましては、現在これが適用されている数が約四十万件まだ残っております。理論的にいいますと、確かに質権を適用するのはどうかということでございますけれども、現在まだ四十万件も残っておるというようなことから考えまして、やはりこの電話の拡充を、大幅な拡充を継続しなければならない時点までこれを延長したい、お願いしたい、こういうことでございます。  なお、表現の違いということを御質問になったんでございますか……。それにつきましては所管の局長から答えさせたいと思います。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 私どもは、今日までこの法律案の審議に参画してまいっておりまして、やはりこの際明確にしておいていただかなければならない点がございますので、その点だけは私ははっきりここでしておきたいと思うのですが、といいますのは、いま総裁もおっしゃられましたが、戦後荒廃に帰した、いわゆる電信電話事業復旧のために長期計画を立てられて、いろいろ御苦労されて輝かしき成果をあげていると思います。そういう過程の中で、非常に電話の需要が多くございまして、これを消化するためには膨大な資金がかかる。一本電話をつけるのに三十五万ないし三十六万というんですね。金がかかるけれども、そういうことでいうならば、建設資金の調達というものが非常にむずかしい段階にありました。まあ電気通信省から電電公社、そして今日に至っているわけですが、いっときは内部資金にかなり依存をして、外部資金というのがパーセンテージから見ると非常に少なかった時代があります。二百億円近い余裕金がございまして、これが二十億は無利子で、残余の額は二分何厘かの非常に低利で大蔵省運営している。そういうこともありまして、現に法律改正等も、そのための法律改正を私は自分で提案したことも覚えております。  そういういろいろないきさつの中で、とにかく加入者に建設資金の一部を負担してもらおうという考え方が出てきたのが昭和二十七年ですね。そしてその年の十二月二十七日に御承知のような電話設備費負担臨時措置法、こういうものが制定されて、三万円以内の負担金というものを五カ年間に限って一応負担をしてもらいたい。これが法律制定の趣旨でございました。それからその法律——失礼いたしました、昭和二十六年の六月九日です。いま私が申し上げましたのは、昭和二十六年六月九日に、電話設備費負担臨時措置法というものが制定されて、三万円以内の負担金を加入者にしていただくということになりました。一年ちょっとたちまして、昭和二十七年十二月二十七日に、この法案が一部改正になって、債券負担というものが六万円以内で引き受けていただく。そのかわりに従来三万円負担をしていただいた設備費というものを一万円にすると、こういうふうな改正がございまして、さらに引き続いて昭和三十一年三月二十九日に施行期間が五年間延長された。そうしてまた、昭和三十五年の四月二十八日に債券の引き受け額が最低二万、最高十五万円というので、安保条約よりも長いといわれた十三年の施行期間の延長がなされて今日に至っているわけです。  この審議の過程をずっと、私のおりませんでした昭和二十五、六年ごろの議事録もずっと読んでみましたが、終始一貫しておりますことは、原則としては、やはり国家資金と電電公社の収入の中でまかなっていくことが原則です。ただしさっき申し上げたような事情もありまして、なかなか外部資金も入ってこないというので、一部加入者に負担をしていただけるよう、できるだけ早く外部資金を導入して、そうして政府資金等も多くして、加入者に負担していただくのはやめますと、こういうようなことがこの審議の中でずっと終始続いてきているわけです。そのなくする時期というのは、たとえば昭和四十七年末、申し込めばすぐつく電話、全国どこへでもすぐ、即時に通ずる電話、こういうふうな形になったときには、この法律案は当然なくなってけっこうですと、こういうことが、いままでずっと述べられておったのでございます。ところが、昭和四十七年度末には、総裁のおっしゃったように、非常に需要が倍以上にふえまして、とても消化できない。したがって、これを延ばしてもらいたい。これはわかります。ただ問題があるのは、需要供給のバランスがとれた時期において、当時は申し込んだら三カ月以内にはつけます、そういう時期になったら、需給のバランスがとれて、建設資金のほうも負担が軽くなるからということだと思いますが、したがって、この法律案は十三年の延長で昭和四十七年度の末、要するに、昭和四十八年三月三十一日まででけっこうですという、こういう話になっているわけです。その理論からいきますと、いまの総裁の話から言いますと、五十二年には需給のバランスがとれるわけです。この時期になりますと、申し込んだらすぐつく電話、いわゆる三カ月以内につくという状態になるのかどうなのか。また需給のバランスがとれてもなおかつ昭和四十八年以降、五十二年に需給がとれても、五十三年以降は何ぼかわかりませんが、二百五十万かあるいは三百万という新しい需要が出てくると、積滞はないけれども、その需要を満たすためには、やっぱり金が必要だと、こういうお話だと思いますけれども、従来から主張してきた需給のバランスがとれるというときに、この法律案は要らなくなるという趣旨からいけば、五十二年になれば、需給のバランスがとれるならば、五十三年以降はこれは要らなくなるんじゃないか、こう思うんです。  ですから、あとから十カ年間の計画についていろいろ伺いますけれども最初にそういう思想的な一つの中で、この法案というものが動いてきておりますから、この際もしそういうことをどうしてもやらなければならぬ、あと五年間というならば、従来の主張されていたことは、これはひとつ撤回しなければいかぬ、修正しなければいかぬ。その点だけははっきりしておきたいと思いますから、お答え願いたい。
  35. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいま御質問の昭和五十二年度、これを一応目標に置いておりますわけでございますが、これまでにはいわゆる積滞はなくなるという目標でありますことは、現在も変わりございませんけれども、五十三年度以降五十七年度までの五カ年間、これも非常に需要が多いであろうということがただいま予想されておりますことは、さっき総裁がお答えしたとおりでございまして、その需要を充足していかなければ、また新しい積滞というものができてくる。大体、需要につきまして、この五カ年間で千三百万個ということを推算しておりますわけでございまして、したがって、五カ年間で割りますと、二百六十万個平均ということになりますけれども、毎年平均二百六十万個というものを完成をしてまいらなければ、毎年毎年の積滞というものができてくる。  そのような大きな国民的な需要と申しますか、全体の世帯に生活必需品として電話を架設するというような、国民生活の水準がなっておりますわけでございますから、そういうことを考えますと、五十三年度以降におきましても、たいへん多額な建設資金というものを必要とする。それで、さっき総裁がお答えになりましたように、それには、どうしても自己資金あるいは財投の金だけでは足らない。五十二年度までは建設資金の三割を占めております加入者債券、これが五十三年度以降は二割程度に、多少パーセンテージが下がるようでございますけれども、しかしそれでも金額といたしましては、非常に多額な金額でございます。それを御負担を願う、御協力をいただかなければ、建設に非常な支障を来たして、積滞を来たすというような状態が、あとさらに五十三年から五十七年度まで五カ年間は続くということが考えられますので、このように十カ年ということにいたしてお願いをして申し上げておるわけであります。この五十七年度まで御協力を願って建設を続けてまいりますと、もう五十八年度以降は、五十七年度の段階において大体普及率がアメリカ並みと申しますか、百世帯に対して九十五人というような普及率になりましたわけですから、その後、もちろん新しい需要はあるかと思いますけれども、その需要に応じた充足、架設につきましては、そう多額な資金というものは必要とするものでなかろう。五十二年末までには、どうしても多額な資金を必要とするというような、充足の資金というものが必要であるというようなことを考えておりますものですから、それでぜひ加入者にも御協力をいただきたいということで、こういう法律案考えたわけでございます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 昭和四十七年までの第四次五カ年計画までの論議の中では、昭和四十七年度末になれば、当時予想された期末の総需要数二千三百万に対して、二千七十四万という加入者数になって二百二十六万の積滞にとどまる。二百二十六万ですね。したがって、二百二十六万にとどまりましても、申し込んだら、すぐつく電話、二百二十六万の積滞を、四十八年度以降かかえて実施していっても当時の、前の三十五年の四月二十八日の改正になったときの審議のときのいきさつですが、四十七年末に二百二十六万の積滞があるが、これをかかえて、なおかつやっても、三カ月以内に引けますと、したがって、この法律案は十三年でよろしゅうございますと、こういうことになっていたのですが、これが今度二百六十万なり二百八十万、今度五十三年以降二百二十六万よりもかなりふえて、そうして当時の二百二十六万では加入者債券は要らなかったけれども、今度は三百万だから債券が必要だということであれば、その資金計画というものが、そういうふうな形で出されなければ私はいけないと思うのですよ。  当時は、少なくとも四十八年以降はこの法律はいいです、十三年間でけっこうですと、こういうことでやったことは事実ですから、その辺は四十七年末の積滞と、今度は五十二年末の積滞、それから五十三年以降の新規需要というものの数が、そうたいして差がないように私は思うのですね。だから、この辺はどうなんでしょうか。当時の財政規模なり、物価の問題なり、いろいろまあ比較検討しなければならぬと思いますけれども、私の言うのは、二百二十六万の積滞があって、これを四十八年以降新しい需要とあわせてやるんだけれども、まあ当時はよかった——なくてもよかったというわけではないけれども一般によかった。今度はそれがだいぶ狂ってきて、五十三年度以降はいまお話のように、千三百万の電話を五年間でつけなければならぬということになる。二百六十万くらい、三百万近い電話の需要が出てくる。だからして、前回言った四十七年度末の国民に約束したこととは違ってきたから、あと五年延ばしてもらいたいというような、そういう理屈づけをしないと、いままでの論理からすると、どうもおかしいということを申し上げている。だから、その辺だけ解明してもらえればいいんですがね。その辺どうなんでございますかね。
  37. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 昭和三十五年度時点におきまして、従来ありました負担法を改めまして、拡充法が制定されたのでありますが、その拡充法制定のときに、十三年先の昭和四十七年度末におきましては、申し込んだらすぐつける、それはまあ大体三カ月以内につける、ただいま御質問の中にございましたように、三カ月以内につける。それから全国即時化するというこの二つがおもな目的だったと思いますが、その中で、全国を自動即時化するということは、ほとんど実現いたしました。しかし、当時予想いたしました四十七年度末におけるそのときの日本の総需要というものが、約千百万だというふうに考えたのでございますが、ところが、日本経済成長が予想よりも伸びたこと、あるいは国民生活の充実が進んだこと、あるいは核家族化が進んだというようなことで、現在でも、すでに二千万を突破いたしまして、四十七年度末におきましては、おそらく二千三百万くらいになる。  ですから、最初三十五年の時点で、この法案の制定をお願いいたしましたときには、四十七年度末で千百万と考えておりましたものが、実際には、その倍になったと、これは確かに予測を間違えたという点でありまして、まあこれがいわゆるプラスサイドに間違ったということではございますけれども、確かにそのときの数字と違っていること、非常に違ったというのが事実でございます。したがって、先ほど申し上げましたように、これからもなお四十七年度末における積滞と、さらにそれに対しまして四十八年から五十二年に新たに起こってくる需要千二百万、それからまた五十三年から五十七年末にまいります千三百万の需要と、これらに対しまして、非常に旺盛な需要に対してやらなければならぬ——拡充法制定をお願いいたして、制定していただいたときの時点におきます電話の架設というものが、第二次五カ年計画の改定時において二百二十万、五カ年間二百二十万であったものを、毎年二百六十万から三百万近いものをやらなければならぬというように、非常に変わってきたということが、まず一つの大きな問題でございます。  ところで、それでは五十二末までで積滞がなくなるかということにつきましては、これは、ことしもすでに二百八十万つけておるような状態でございまして、毎年三百万ぐらいずつつけてもらえば、五十二末におきましては、積滞が全国的規模においてなくなる、こういうふうに考えておるわけでございまして、なお詳しい数字は局長から説明させたいと思います。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 第四次五カ年計画、すなわち四十三年から四十七年の間の当時予測した需要というものは、総裁おっしゃったように千五十八万ですね。その期間中千七十七万を、期間中には、五カ年の間に新規に架設をしておって、結局二百二十六万が四十七年度末の積滞数になったというわけですね。ですから、これといま言った五十三年から五十七年までの期間の千三百万の新規需要というものが、年にすると二百六十万ですが、一年間に二百六十万つけていけば、大体五年間で千三百万の新規需要を満たし得る。こういうことになるわけでありまして、少なくとも五十三年以降は、需要供給のバランスがとれて、建設計画が進んでいくと、こういうふうに理解するわけですね。  ですから、私の一番聞きたいのは、第四次五カ年計画、いわゆる四十七年度末のこの二百二十六万の期末積滞というものと、それから五十三年から五十七年には積滞はないということですが、当時予想しておったこの二百二十六万で三カ月以内には四十八年から引けますということが、五十三年度以降は実際にはまだそこまでいかないということなら、そういうふうに言ってもらいたいのです。もしいくとすれば、従来からの思想からすれば、当然ここでもう拡充法はいいんじゃないか、そうすれば、五年間でもいいんじゃないか、ほかに事業債とか政府の援助はもちろんこれは約束をされなければいけませんけれども、そういうことで、論理的に私は一貫性をもっておきたいと思いますから、その点私しつこいようですけれども聞いておきます。
  39. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 少し計画につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、ただいま鈴木委員の御指摘にございました四十七年度におきます積滞の二百二十六万というこの数字は、現在考えております数字でございます。したがいまして、拡充法制定当時、この四十七年度末で先ほど総裁が申し上げました約一千百万、すなわちこのときの一千五十七万という総需要数を想定したときの積滞数ではないのでございます。で、前に拡充法制定の当時には、すなわちこの二百二十六万に該当するものはゼロだと、実質的には三カ月ぐらいでございますから、まあ幾らかございますが、大体ゼロだというようなことで、当時計画を立てておったわけでございます。で、当時の計画につきまして少し調べてみました結果、先ほどの一千五十七万、四十七年度の総需要数に見合うような計画でどうなるかということでございますが、この場合、昭和四十七年度におきましての電話増設数七十一万という数字を実は考えておりまして、その後の四十八年度、すなわち積滞がゼロになりました時点におきましてどうかといいますと、四十八年度六十五万を増設する、こういうふうに実は考えておったわけでございます。  ところが、先ほどから総裁からも説明いたしましたように、その後の需要が非常に急速にふえてまいりました結果、先ほど申し上げましたように、四十七年度で二百八十万以上も増設をしなくちゃいけないというようなことで、全くその計画が一つの年度を見ますと、かなり狂ってきているというのが実態でございます。したがいまして、ただいまの二百二十六万というのは、今日時点におきます数字でございますので、よろしくお願いいたします。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 計画局長、いただいた資料で見ると、第四次五カ年計画の五年間の期間新規需要が千五十八万ですね。
  41. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) さようでございます。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 そうですね。  それから期間新規架設数が千七十七万でしょう。そうすると千七十七万をかりた五年間で架設したとすると二百十五万ですかね、数字的にはなるんじゃないでしょうか。いま言った七十一万というのは、これはどういうことですか。
  43. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 当時考えておりました四十七年度、一年間の開通数を七十一万と想定いたしております。そういう積み上げでまいりますと、四十七年度積滞がゼロになった状態におきます日本全国の加入数が一千五十七万ということで、ちょうど今日の現在ございます加入者数の半分で大体積滞がゼロになるという想定を立てた、そういうことでございます。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、いずれにしても、第四次五カ年計画の間には千七十七万という新規の架設はなし遂げるわけですね。そうすると年間二百十五万余の新しい電話が架設されると、こういうことになるわけですね。ところが、大体それとほぼ匹敵するものが、実は、第四次五カ年計画の四十七年末に残っちゃったと、したがって、二百二十六万を含めて、さらに四十八年から五十二年末の、従来から言う第五次五カ年計画というものの中で——この間   〔委員長退席、理事古池信三君着席〕 千二百万の新規需要が出てきて——二百二十六万と合わせて千二百万の需要が出てくると、それを五年間で努力していって、五十二年度末にはゼロになりますが、さらに五十三年以降第六次の五カ年計画については平均二百六十万、要するに第五次五カ年計画を上回る需要が出るんですね。したがって約二百六十万平均してつけていくとすれば、その建設資金の点で非常に問題が出てくると、こういうことかな、こういうふうに理解していいのかな。
  45. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいまおっしゃいましたとおりでけっこうだと思います。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 それではその辺はわかりました。それで五十三年以降二百六十万の架設をするんですが、要するに、この需要供給のバランスがとれたわけだ、五十二年度末で。そうすると、申し込めばすぐつく電話という思想が残っているわけです。それが、五十三年以降になれば、前に約束した三カ月以内につくと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  47. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) そのとおりでございます。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、まあ従来申し込めばすぐつく電話、全国のどこへでも、すぐ通ずる即時化ということが実現したら、この拡充法は要りませんと、なくてもけっこうですと言ったんだけれども、非常に需要がふえて、借金もかさまるし、なかなかうまくいかないので、あと五年間やっていくんだと、こういうことですね。それでそこまでわかりました。けっこうです。  もう一つ、さっき最初に聞いた十年間の延長のところで、法案には「昭和五十八年三月三十一日までに廃止するものとする。」と、こういうふうにいっているわけですね。これはまあ衆議院のほうでも、いろいろ論争があったようですけれども、まあ立法解釈上は、昭和四十八年三月三十一日が来ても、廃止のための法律を提案しない限りは、この法律が生きてくるんだと、こういわれているわけですね。私は、それでは法律解釈はそれであるならそれでもいいと思いますがね。いいと思いますが、大臣として政治的に、要するに四十九年以降ですね、一体この法案がなくてもやれるのか、やれないのかというやっぱり政治的な判断を私は求めておきたいと思うのですね。それには四十九年以降の需要供給というものは一体どうなってくるのか。この点は、非常に、これから私伺おうとする需要の測定ですよ、需要予測の測定というものが非常に問題になって、それとの関連だから、非常にむずかしい質問ですけれどもね。はたして四十八年三月三十一日で廃止して、それ以降は絶対にこれはもう要らないと、どういう事態になっても要らないというふうに判断をしておるかどうかですね。
  49. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 昭和四十八年度から十カ年の五十七年度末、暦年で申しますと五十八年でありますわけでありますけれども、それ以後は、先ほど私から御答弁申し上げましたように、百世帯当たり九十五人というような普及率になりますから、架設の新規需要がございましても、たいした経費を必要としないので、加入者まで御負担をかけなくてもよろしいという見込みでございますから、そのような必要なしというように考えておりますわけでございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 百世帯当たり九十五ですか、人口ですか、どちらですか。   〔理事古池信三君退席、委員長着席〕
  51. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 正確に申しますと、百世帯当たり九十五加入だそうでございます。九十五人と私申し上げましたけれども、九十五加入。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 それで、まず改定七カ年計画というのを拝見したんですけれどもね。その間、千九百七十万の一般加入電話、それで事業所集団が四十四万ですか、それから地域集団が七十三万、ここにこう入っておりますがね。この需要は、これは予想だと思いますけれども、需要の算定はどういうふうになさいましたかね。たとえばさっき総裁、特に需要予測間違ったとこうおっしゃって、これは率直で私、いいと思いますね。やっぱり人間だから間違うこともあると思いますから、しかも日本経済は非常に異常な発展をしたというようなこともあるし、それはまあそれでいいのですけれども。  そうそう、私のいま言いかけた質問の前に一つだけ伺っておきたいと思います。  申し込めばすぐつく電話というのは、この事業計画では、いま申し上げた一つには経済の異常な発展、それからもう一つ住宅電話というものと一般加入電話との需要の予測というのは非常にむずかしかったのですね、当時。ですから、今度を見ましても、改定七カ年計画では千九百七十万のうち、事務用電話がわずか四百万、住宅電話千五百七十万加入となっておりまして、圧倒的に住宅電話に需要が多いということがいえるのですけれどもね。この想定は三十五年拡充法が一三年延長された当時に予想をしたその予測からこういうかっこうが出てきたのですか。予測を修正してこういうかっこうになってきたのですか。
  53. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) お答え申し上げます。  ただいまの七カ年計画におきます数字は、国の新経済社会発展計画及び新全総等を参考にいたしまして、それを十分取り入れまして予測を立てたときの数字がただいまの千九百七十万でございます。ただ、四十七年度の需要数等につきまして、昭和三十五年、すなわち拡充法の制定当時にいろいろ予測を立てましたときには、実はまあいろいろな数字も少のうございました関係もございまして、当時国民所得というものとの関連で、大体それと直線的に電話が伸びるのじゃなかろうかということを想定いたしまして予測を立てたわけでございます。ただ、その中で、ただいま鈴木委員からも御指摘ございましたように、住宅電話というものに対します伸び率につきましては、私ども、数字もなかったせいもございますが、大体四十七年度末におきまして百世帯当たり十九、大体その百世帯のうち二十世帯ぐらいが、電話がつけば、それで一応需給が均衡するんじゃないかということの想定を立てたのが一つでございますし、もう一つは当時世帯の構成人員というものにつきまして、大体世帯四・五人ぐらいという数字を予測しておりましたのが、現実には、核家族化がかなり進みましたために、今日では三・六二人というふうに、一世帯の構成人員がかなり変わってきたということでございます。このように住宅の需要率、構成人員が変わったということが、この見込みを狂わせた一番大きな理由であるというふうに考えているわけでございます。  ただ今後につきましては、かなり過去におきますデータも積み上げてまいりましたし、だんだんその先進諸国並みに近づいてまいっておりますために、諸外国の普及率等も参考にして、計画が立てられるという時点になっておりますものでございますから——七カ年計画の時点には、国の計画、あるいは諸外国のデータを参考にして予測を立てた、こういうふうなことでございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。住宅電話が予想以上に多かったために、当初の需要測定からはみ出してしまった、こういうことのようですから、それはわかりました。  そこでそういう批判、反省の上に立って、千九百七十万というものをおきめになったと思うんですが、その中には、たとえば(3)に出ておる地域集団電話というのが七十三万あるんですが、現に有線放送設備ですね。それから有線放送の中でも、電話に接続をしておる有線放送電話と有線放送とございますね。それから地域団体加入というのも幾らかでしょうけれどもございます。それからいわゆる住宅用二共同電話とそれから農集、いわゆる農集といった地集ですね。そういうものがどのくらい数としてはありますか。それ資料でわかりますでしょうかね。
  55. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいま地域集団電話、昔の農集と言っておりました地域集団電話が、四十七年度末で、大体百五十三万ぐらいになるであろうというふうに考えておるわけでございます。それから有線放送でございますが、これは確実な数字というには少しあやしいかと思いますが、大体四十五年度末の数字が最も確からしいんでございますが、これが施設数にいたしまして千九百八十カ所、約二千カ所でございました。これの端末の電話機数に相当するものが三百二十万ほど、こういうような数字を現在把握いたしておりまして、そういった数字に基づきまして今後の計画を立てたいと考えておるわけでございます。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 この有放の場合ですね。電話と接続したものが三百二十万ですか。接続しないものがそのほかにあるはずでございますね。そういうものはどのくらいですか。
  57. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいまのは全部の数字でございまして、公社との接続されておりますのは約百万と、こういうことでございます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 それから地団は何ぼありますか。
  59. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 百五十三万でございます——どうもただいま、ちょっと私、地集と地団とを取り違えて御説明を申し上げてたいへん失礼いたしました。地団につきましては直営と自営の分がございますが、先ほどの四十五年度末の数字で申し上げますと三百カ所でございまして、これの電話機が約六万個でございます。  それから、有線放送につきましては先ほどの数字でよろしいわけでございますが、接続されておりますものの個所数で八百八十ほどで、局線数が、——ちょっとこれ数字はわかりにくくなると思いますので先ほどの百万でけっこうでございます。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 将来この改定七カ年計画でなくて、むしろそのあとの五カ年計画、すなわち五十七年ですかね、の年度までの需要予測とも関連があると思いますが、まず地集ですか、この地集の百五十三万というのは、もちろん電話が非常に農村地域に普及しないときに、公社が英断をもってこれはやっていただいた施設でして、当時また非常に特に農村僻地の住民の方々は喜んでおるのですが、だんだんと需要供給のバランスがとれてまいりますると、いわゆる改定七カ年計画から最後の段階に入ってきますと、そろそろ一加入一電話の原則に戻って各個に電話を引きたいというそういう動きが顕著になってくるのですね。現在は、一回線で、多いところは、九つか八つくらいぶら下がっておるのですが、これではだめなんで、ひとつ四つにしてくれないか、という意見もずいぶん出ておりますね。ですから、この地集のとらえ方ですね。この計画の中で七カ年計画の中で、どういうふうにとらえておるかですね。  それから、これはまあ継続していきますからあとの五カ年間、これからの十年間でこの地集というものをどういうふうにとらえていくか。現在のこの電話に対して、公社は四共同にしてほしいというわれわれの強い意見に対して、いろいろ研究をされて、個別登算の方式も、技術的には可能なところまで研究をしていただいたのですが、これを実際にやっていく場合に、かなりの設備投資が必要になっていきますから、なかなか一回線四共同に切りかえても、さらにまた一加入一世帯一電話の原則に戻ってくると、それとのかね合いで、どこまで四共同でがまんしてもらえるかということもありまして、なかなかこれも踏み切ってもらえないように思います。これもまた無理もないことだと思いますけれども、そこで、いずれにしても、百五十三万というのはこれから十年先は、今後どの程度が単独電話として変わっていくのか。単独電話に移行していくのか。こういうような予測の問題。  もう一つは有放ですが、三百二十万のうち百万は接続であとの二百二十万は電話との接続がないわけですね。これはいろいろ技術基準その他もありまして、簡単にはいかないと思いますが、私どもが現地でよく見ますのに、有線放送電話に移行したいのだけれども、移行するよりもむしろいま有線放送に入っている人は、一挙に電話を引いてもらいたいというような意見も出てきているわけですね。ですから、この残された二百二十万というものをどういうように需要予測をしてこの千九百七十万のうちに入れたのか、こういう点が問題になると思います。ですから、この辺のつかみ方について、ぜひひとつお伺いしたいと思います。  それから住宅電話もいま二共同でやっておりますけれども、こういうシステムは、もちろん公社の施設として単独、共同でやっておるんですけれども、この二共同システムに対して、やはり個々の利用するお客さんの意見というのを聞いてみると、やっぱり単独にしてほしいというような意見も強くありますので、おそらくこれもやがては単独に切りかえていくということが予測されると思います。そういうようなことをもろもろに考えて、この千九百七十万ないし千三百万というものをおつくりになったと思うのです。やがて社会経済の発展計画にいたしましても、新全総にいたしましても、手直しをしなければならない。きょうは時間の関係経済企画庁にはおいでいただかなかったけれども、十年先のことですから、なかなかむずかしいと思いますけれども、手直しをすれば手直しをしただけの、こちらも手直しをしなければならぬと思いますが、さっき言われたような百世帯あたり九十五の電話がつかるということですから、五十七年末にいけばかなり、先進国の例なんかも研究されておいでですから、まあまあ絶対間違いないと思いますけれども、ただ、改定七カ年計画とあとの五カ年計画ですね。すなわち千九百七十万と千三百万の中に、具体的にどういうふうな形でこれらの問題を取り入れたか。もし、めんどうであったら、私は、これは資料でもあとでいいですけれども、わかっておったら教えてもらいたい。
  61. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) お答え申し上げます。  七カ年計画を想定いたしました時点、すなわち四十五年の八月の時点におきましては、地域集団電話というものにつきましては、これはそれなりの存在価値が十分あるであろうという予測を立てておりましたわけでございまして、そのために七カ年計画の時点におきましては、五十二年度末に約二百万の地域集団電話が残るであろうというように想定をいたしておったわけでございます。しかしながら、その後いろいろと各方面から地域集団電話に対します苦情等も出てまいっております。それから、各先生方からの御指摘もございますし、これらにつきまして、七カ年計画を策定した時点と大体パラレルにいろいろ作業をいたしておったわけでございますが、その結果、実は今回御提案いたしております数字の中には、地域集団電話につきまして、これは何とかお客さんの御要望に応じるように改善していかなくちゃいけないということを織り込みまして、五十二年度末の状態で、地域集団電話二十万だけはこれは一般加入のほうに切りかわるものというふうに想定いたしております。そして、残りの地域集団電話は、少少金はかかるわけでございますけれども、お客さまの御要望に沿うように、五十七年度末には、大部分のものを一般の加入電話に切りかえたい、このような構想のもとに計画を進めておるわけでございます。  それからもう一つ、地団でございますが、これは先ほど御説明いたしましたように、加入者数もわずか六万ほどでございますので、これも地集の撤去品等利用いたしまして、まず地集化を進めてはどうかということで、これを大体五十二年度末までには終わりたい。その後、二段階になるかと思いますが、一般加入化の方向への切りかえを五十七末までに考えたい、このような計画を考えております。  それから、有線放送でございますが、何ぶん非常に数も多うございますので、これらについて、どのように計画を立てたらいいかということについて、まだ公社の中で十分議論をいたしていないわけでございますが、ただ、いま大体こんなことで考えておるということを、これはひとつ事務当局の案でございますが、ちょっと申し上げてみたいと思うのでございますが、大体五十二年度末までには、有線放送は、新しくふえるのは二十万くらいじゃなかろうかと。一方、八十万ほどがなくなっていって、差し引き六十万くらい減るのではなかろうか。この減った六十万というものは、大体電電公社のほうの一般加入電話あるいは地域集団電話、そういったふうなものに切りかわってくるであろう。そういうふうに考えますと、五十二年度末には大体二百六十万、四十五年度末の三百二十万から大体六十万くらい減った姿が有線放送の姿ではなかろうか。五十三年以降につきましても、現在いろいろと作業をいたしているわけでございますけれども、これはやはり急速に一般加入化ということがなかなか困難でございますので、これらについては、お客さまの御要望等を十分考案しながら計画を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほどございました、住宅の現在二共同電話のものにつきましてどうかということでございますが、これも地域集団電話と大体同じような傾向で、一般単独電話への切りかえ要望がだんだんと強くなっておりますものでございますから、この辺はお客様の御要望に応じるように、逐次単独に切りかえることを考えなくてはいけないというようなことで、計画も進めてまいったわけでございます。その結果が先ほど申し上げましたような五十二年度末の姿であり、あるいは五十三年以降の新規需要としての千三百万というふうなものの中に、それらが総合して含まれておると、  こういうようなことでございます。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、結論的に、いま昭和五十七末には有放、地集、地団、こういったふうなものはほとんどが、一般加入電話のほうに移っていくであろうというような判断で、十年間の計画を立てておる。簡単に言ったら、そういうふうに理解していいですか。
  63. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 地域集団電話につきましては、大体そういうことでけっこうかと思いますが、有線放送につきましては、かなりのものが残るであろうという想定を立てております。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 幾ら、どのくらいでございますか。
  65. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) この数字、ちょっとまだ私ども十分把握いたしておりませんが、大体一つの傾向線をたどってまいりますと、五十七末で、約二百万くらいの有線放送電話が残るのじゃないかということでございます。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、有放は、五十二末までに二十万ふえるという予測ですね。これは五十二末ですか。さっきの説明だと有放を二十万——有放は五十二末までに二十万新規の需要があって、なくなるやつが約八十万、差し引き六十万というのが、一般電話ないし地団と、こういいましたね。全体が三百二十万でしょう。いま百万は接続しておるわけですから残りが二百二十万あるわけです。この二百二十万の有放が、十年間に差し引きが新規需要二十万を予想されておるのだが、五十七末までの計算はないのですか。
  67. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) この辺の数字、概略のこととして御了解いただきたいと思いますが、また後ほど必要がございましたら、別途あれいたしますが、先ほど四十五年度末で三百二十万という数字を申し上げたわけでございます。四十六年から五十二年度までの七カ年計画で新しく二十万ふえ、それから減るものが八十万、差し引き六十万減りまして、五十二年度末の姿が二百六十万というふうに申し上げて、ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございます。五十三年以降どうなるかということを——先ほど大体、私は五十七年度末までが二百万と申し上げたのでございますが、五十三年度以降は、ほとんど新設はなかろうと。したがいまして、廃止されるものが六十万ということで、五十七年度末において、大体二百万という数字を一応考えておるわけでございますが、ただこの有線放送の場合は、公社と接続されておるものとそうでないものがございます。  それから周辺の現在手動局等がございますが、そういったものの自動改式あるいは地集の新設あるいは付加増、こういったふうないろんな客観情勢の変化とリンクいたしまして、非常に動きが出てまいります。そういったことから、今後の七カ年計画の中におきます自動化の進展とか、あるいは地域集団電話の一般加入化あるいは共同電話の減少、そういったふうなものとお互いに関連し合いながら、有線放送電話も推移していくのではないかということで、これらのものにつきまして、もう少しこまかい厳密な調査が必要かと思って、いろいろ作業をしておる状態でございますが、ただいま申し上げました数字はごく大ざっぱな概略を申し上げたわけでございます。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 計画局長ね、大ざっぱな数字は、途中のやり取りは、どうでもいいですから、結論だけはっきり言ってもらいたいのですが、もう一回、要するに、いまお話のように、五十七年末に差し引き六十万減っていきますから二百六十万ということですね。二百六十万でしょう、二百六十万。五十七末に有線放送というものが残るということですが、そのうち百万は現在も接続しておるわけですね。三百二十万のうち百万は接続ですね。そうすると、簡単な話いって二百万残るという中に、百万は公社の接続がやられたものが四十五年末でそれだけあるのですから、四十五年末で百万接続されておるわけでしょう。ですから五十七年末にはもう少しこの接続がふえるかもしれませんね。それで、かりに二百六十万であったとすれば、接続したものと接続しないものの内訳はどうなるか、そこのところだけ伺いたい。それで、接続されないで残ったものは五十八年に移っていく、それは一体どうなってくるのか、そこまでまだわからぬですか。
  69. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 私ただいま申し上げました数字は、接続、非接続をトータルした数字を申し上げているわけでございまして、結果だけ申し上げますと、四十五末は三百二十万、五十二年度末が二百六十万、五十七年度末は二百万というふうに六十万ずつ減るということを申し上げたわけでございます。この内訳としまして接続と非接続はどうなるかという数字は実は把握いたしておりません。ちょっと先ほど申し上げましたように、いろいろな事情がありまして、公社のほうの電話に切り変わります場合に、必ずしも非接続のものばかりくるわけではございませんで、なかなかその辺複雑な様相でございまして、ちょっと把握しておりません。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 十年後の話までありますから、非常にむずかしいと思いますけれども、やはり私は現在の少なくとも有線放送の中で接続をしておるものも、それから非接続のものも合わせて、要するに、五十七年末二百万残るといいますから、二百万の余が残ってくるわけですから、これがやがて一般加入電話に切りかえてくれということになると思うんですよ。ですから、そういう判断は持っておると思いますが、そうなると、五十八年度以降、私が聞こうとしているんですが、一体幾らの積滞が五十七末で残るかというとゼロです、積滞はありませんと。五十八年以降一体新しく需要というのがどの程度出てくるかということを何か想定されていますか。五十八年以降の姿はどうなるのか。そうでないと、五十七年度末までで拡充法は要らないと大臣もはっきり言っているが、その辺われわれとしては多少危惧が残るから聞いている。またそのときになって延ばしてくれと言っても困る。
  71. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) その辺につきまして実はいろいろと予測いたしておるわけでございますが、先ほども御指摘ございましたように、有線放送電話からの移行分もございますので、そういったものを全部含めまして四百万から五百万ぐらいが五十八年以降の五年間に新規需要が出るのではないかということで考えておったわけでございます。したがいまして、ただいまの有線放送が二百万ぐらいございますから、新規需要としては大体四百万ぐらい、あるいはもうちょっと下回るかと思いますが、そういった数字を一応予測を立てでおります。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 その段階で資金調達というものはどういう姿になるのか、もし試みの案でもあったら示してもらいたいと思いますけれども、その当時になりまして貨幣価値がどうなるか、物価がどうなってくるのか、日本経済がどうなってくるのか、なかなか予測がつかないと思いますけれども、いずれにしても、電電公社の電話は四千万、五千万近い量になると思いますね。これがフルに働いてもらうわけですから、料金収入の面でもいろいろとかせぎ高が多くなってくると思いますが、一面また借金財政ですからそれも返さなければならない、従業員の待遇も、要員措置もやはりちゃんとしてあげなければならないということで、資金の面ではどういう姿になるのか私ちょっとわからないのですけれども、たとえば、この間の基本料金とか、設備料とか、こういうものが一体どうなってくるのか、あるいは七円の度数料というものを十年間全然上げないでいくのかどうなのか、そういう問題と、これから私の聞こうとする資金計画、十年間の資金計画、あるいは五十八年以降の資金計画はどうなるか、新しく事業債という政府保証のない事業債がことしから発行されていくわけですけれども、こういうものをかろうじていまの段階では手を出してきておるのであって、やはり二兆何ぼとか大きな財政投融資を五十八年まで二兆二千億ですか、こういう全体の一九%の財投なりを考えておるようですが、これはあとから私はいままでの政府援助についても伺いたいが、なかなか歴代の大臣だいぶ苦労してくれておるけれどもなかなかしぶい、出してくれないということで、はたしてその資金計画というものをわれわれは自信を持ってここで承認できるのかどうか非常に確信が持てないんです、いろいろな不確定要素がありますから。  そこで五八年以降の姿、それから五十七年までのいま言った建設資金の調達のあり方というものは、およそどういうものを想定しておられるのか、これらもひとつ大まかなところでもいいけれども、私たちに知らせていただけませんと、どうも自信を持ってわれわれはこれでよろしいというわけにはいかないので。
  73. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先ほど有放あるいは地集からどんなふうに十カ年間に公社電話に移行するかということを計画局長から御説明いたしました。ただいま御質問がございまして、公社といたしましては七カ年計画あるいはその後の五カ年——五三年から五七年までの五カ年計画に対しまする投資計画並びに投資の規模並びにその資金というものにつきましては、わりあいはっきり把握し、またいつでも御提出できるように用意してございます。  それから収支計画につきましては、私はこれは日本経済発展なり、そのときの日本経済成長に一番関係がある部分ではないかと思います。したがって、これは国の今度の新経済社会発展計画の改定版が出てくる、そういうものの要素によって変わるというふうに考えております。これはそれらの国の経済成長ということに一番影響するのではないか、投資計画や資金計画という、こっちのいわゆる建設関係の分につきましては資料がございますので、これはいつでも提出いたしたいと思います。  それからいまの収支計画につきましては、資料というほどではなくて大体こんなふうになるのだということを答弁させていただきたいと思います。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 いまの答弁するというのはここでやってもらえますか。
  75. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) それは七カ年計画につきましては、あるいはもうすでに資料は提出してあるかもしれませんが、その数字につきましては所管局長から御説明させます。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 ここにいただいておるこの資料を読まれるなら時間のロスですからいいですよ。そうではなくて、これは一応わかりました——わかりましたというか、拝見しました。拝見しましたが、一体この七カ年間の電信収入なり電話収入なり、専用収入なりあるいは減価償却、債券発行差損、これらのこの「資金調達見込」、それから2の「資金調達見込」、ここにずっと書いてありますから、大体これは数字としてはわかりますがね。ただこの間に、たとえば料金の面においては、手をつけるのかつけないのか。あとから伺うデータ通信というものに対して、はたしてどれだけの規模のものをいま想定されてやっていかれるのか。これらもなかなかいままでは私どもが幾たびか五年か十年の青写真を出してもらいたいと言っても、そこまではなかなか出し得ないということもありましたことは事実なんです。  そういう中で、少なくともこれから十年間のデータ通信というものを描いて、そしてこれを計画の中に入れるわけですから、これは後ほど全体の情報化社会の問題とからめて私は伺うんですが、それからまた総合回線通信網とか、また、電信のCATVの問題とか、通信政策に対する一連の動きというものも出てきておりますから、そういう問題との総合的な判断の中でいま考えられる一つの案としてこれは私はわかりますよ。わかりますけれど、そういう変化が一体どうなっていくのか。郵政省あたりではCCISとか何とか調査会をつくってやっておられるし、何かこの前もここで問題にしたんですが、課長以上の人たち、課長補佐ですか、集めて何かやってみたり、そういう中に非常に論議が煮詰まらないで、中途はんぱなものを外に出したりして誤解を受けるようなこともやってます。そういうことから一連の通信政策の一元化ということが一体どういう姿になっているのか。新しいデータというものがふえてきて回線を開放して一体どういう姿になっておるのか。それはいろいろとわれわれは心配があるんです。そういう中で、大きなそういう事業計画とともに、一面におきましては、その資金調達が一体どうなっておるのか。  その間に料金値上げをかりに七円を十円に上げるとして、あるいは基本料に手をつけるとか、設備料の五万円をもっと上げるとか、いろいろあると思うんです。電報の料金を十年間、この間上げないというのか、そこらのことはさっぱりわからぬわけです。そういういま私が指摘したような、さっきも申し上げたようなことについてのお考えがあれば、それを述べてもらえばいいんです。これを読み上げてもらっても同じことですからね。そういう意味で発言を求めたんです。
  77. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいま非常に広範な御質問がございましたので、あるいは答弁が不十分ならばまた御質問願いたいと思います。  この資金計画、資金の調達見込み、それから七ヵ年計画そのものというものはわりあいにはっきり把握しておるつもりであります。その次の五年間、すなわち五十三年から五十七年につきます投資計画とそれから資金調達、この二つはもうすでに資料としてごらんになっていると思いますので、その説明は省略させていただきたいと思います。  ところで、まず電報についてどういうふうに考えるかという御質問がございました。この電報につきましては、先般、昨年電報の近代化ということと関連いたしまして料金制度を改めることが公衆法の改正において認めていただきました。ことしの三月の一日から料金制度の改正ができました。これにつきましては、四十六年の三月一日からの六ヵ年間にわたりまして電報の赤字がどうなるかということをこれはマクロ的に試算したのでありますが、その際の六ヵ年間にわたりまして、正確に言いますと六ヵ年プラス一ヵ月でありますが、赤字が約六千億円累積してくる。しかし、合理化等によりましてそれが約一千億円セーブされる。すなわち六千億円の累積赤字が五千億円の累積赤字になるのではないか。その一千億円の内訳に対しましては、収入の増加が六ヵ年間で約三百億円、それから支出の減が約七百億円、こういうことになっておるわけであります。  したがって、先ほど御質問ございましたこの十年間に対してどうだということに対しましては、ことしの三月一日から新しい料金制度が出ましたので、電報を今後どんなふうに、いわゆる国民の皆さんが、それを使っていかれるかということを、特にこの一年間にわたりまして詳しく結果を把握いたしたいと思います。その結果、なお電報の第二次の近代化がいつ必要になるか、私はこの問題はいずれは問題になってくるので、それが七ヵ年計画の中で起こるかどうか、それはまさに疑問でございますけれども、十年間の間には電報の近代化というものの第二次がやはり必要なのではないかというふうに考えております。しかしそれをどうするかということはいままだないのでございまして、この電報の今後の状態というものを詳しく——配達状況その他を含めて十分データをもとにしてやる必要かあるのではないかと思います。  それからその次に料金の問題についてはどうかということでございますが、公社はたしか一昨年でございましたか、時日はちょっとはっきり覚えておりませんが、この七ヵ年計画をつくる時点におきまして、市内の電話料金七円を十円にする、そのかわり遠距離市外を下げてプラスマイナス・ゼロに調整をしたいということを政府に提案したのでございますが、この問題は将来の問題として結局認めていただけませんし、また、公社もその方針に従って、昨年の公衆法の改正が行なわれたんでございますが、この問題は、私は日本の電話の原価的に見て市内と市外の問題はいつかの時期にやはり調整する必要があるのじゃないかと思いますが、これはいつやるかということにつきまして、昨年も、たしかこの委員会でもお答えいたしましたけれども、七ヵ年計画の中でのおしまいのほうに一ぺん検討させていただきたいということを申し上げたのでありますが、その点はいまも変わっていないのでありまして、値上げになるかどうかは今後のいろいろな状況を考えまして、とにかく市内を上げて、市外を下げるという問題につきまして、七ヵ年計画の中で検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  設備料を上げるかどうかということにつきましては、私どもこの十年間上げないつもりでございます。これはいまの五万円をそのまま維持していきたいというふうに考えております。  それから基本料につきましては、これは現在の時点ではいろいろ考えておりません。しかし最近こういう新しい問題が起こってきているのでありまして、これは公社の方針というよりも、おそらく国の方針として、たとえば過疎過密の問題、たとえば大都市にあまりに人が集中し過ぎておる、あるいは過疎があまり激しくなるというのは好ましくないので、日本全体を国土開発する必要があるのじゃないかというふうな御意見もちらちら聞くのでありますが、そういう際に何と言いますか、電話料金の体系というものをもう一回見直す必要があるかないか、私はこれは政府の方針がきまった後に考えればいいのでありまして、いまのところ基本料をいじることは現在の時点では考えておりません。
  78. 鈴木強

    鈴木強君 それでは五十八年以降の問題については、後ほどお聞きするデータ通信の計画がどうなっておりますか、これにも影響すると思いますが、いずれにしても、一般加入電話の場合で見ると四百万前後の新しい需要が五十八年以降五カ年間に予想される。しかしそれの建設資金については財投その他いろいろなくふうをし、拡充法がなくなりましても資金調達はそれによって可能になる。したがって、少なくとも前回のように、いろいろな四七末申し込めば、すぐつく段階になったらよろしゅうございますといったことが、もう一回、五七末になって出てくるようなことは断じてない、こういう点だけははっきりできるわけですね。それでいまの建設計画収支を含めまして、そういうものについては、いま総裁のおっしゃったような一部度数料については再検討の余地を残しているけれども、あとについては大体現状でいくという、大まかな考え方で、われわれは了承してよろしゅうございますね。
  79. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま五七末以降すなわち五十八年以降につきましては、ただいま御質問の中にも出ましたように、大体五ヵ年間に四百万程度のものが新規に出てくるのではないか、したがって、この資金対策というものに対して拡充法の延長は必要ないというふうに考えております。  それから、あと収支関係につきましては、国の経済政策その他にも非常に関係ありますから、私がいまあまり先のことを言うのもいかがかと思いますが、私が先ほどお答えいたしましたように、市内、市外の調整、これはいずれ出てくるのではないかと思いますが、基本料の大幅値上げ等については、いまの時点では考えていない、国の新しい経済政策が出てきた時点でまた考えるというふうにしたいと思います。
  80. 鈴木強

    鈴木強君 大臣ね、この点ははっきり確認をしておきたいんですけれども、午後からも私また伺いますけれども、いずれにしても改定七ヵ年計画では一兆三千百十億ですね、財政投融資等の規模が。それから、その後の五ヵ年計画、五十三年から五十七年までは二兆二千億という財投を考えておるようですから、合計三兆五千百十億というものが、これは縁故債、公募債いろいろあるでしょうけれども、そういうものを含めまして三兆五千百十億という財投に期待しなければならない部面があるわけですね。これはやっぱり政府のほうがはっきり責任持って少なくとも投入をしてもらわないと計画が狂いますよ。そういうことをやらないでおいて、また、あとになってまた延ばすというようなことを言われたのでは困りますから、その辺ははっきりしておいてください。それだけ確認をして午前中の質問を終わります。
  81. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) まことにそのとおりだと、私も同感でございます。毎年、郵政大臣努力してまいったと思いますが、今後におきましても、さらに——現在の状態が必ずしも十分ではないと思っておりますが、幸いに四十七年度は前年度に比べますと財投も倍額になっておりますし、金額は少のうございますけれども倍額になっておりますし、それから新しく資金の多様性ということで公募債——政府の保証のない公募債、それから事業債、この道も開かれることになったわけでございますから、そういうようなことも勘案いたしまして、財投の面は申すまでもなく、国全体といたしましては、社会資本の拡充というようなこともあろうかと思いますし、それとの調和ということも考えなくてはならぬ問題でありますけれども、電話の拡充整備については、財投がぜひ必要であるということはよくわかっておりますので、今後も十分御指摘のように努力してまいりたいと、かように考えております。
  82. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時十三分休憩      —————・—————    午後四時二十分開会
  83. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  休憩前に引き続き鈴木君の質疑を続行いたします。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 私の都合でたいへん再開がおくれまして、皆さんに御迷惑をかけて申しわけございません。  次に、データ通信の設備計画でございますが、いただきました資料によりますと、改定七カ年計画中に、二百十システムの計画を持っておるようでございます。それから五十三から五十七の五カ年間については、やや抽象的でございまして、よくわかりませんが、どの程度のシステムが工程として考えられておるのかちょっとわかりませんが、いずれにしても、この十年間に電電公社がサービスを提供しようとするデータ通信はどういうものなのか、この点をひとつ教えてもらいたいと思います。
  85. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 七カ年計画につきましては、ただいま先生のおっしゃいました数字でございますが、五十三年度以降五年間につきましては、いわゆる販売、在庫管理、それから科学技術計算、こういったようなもので、この五年間に大体二万端末、それからそれ以外の各種システムで一万五千、合計で三万五千端末というものを一応公社の直営のデータ通信として考えているわけでございます。でそのほかに回線といたしまして、特定通信回線、あるいは公衆通信回線、そういったものも一応それなりの計算をいたしまして、大体建設投資額といたしまして、この五年間に、一兆五千億という数字を計画いたしております。  なお、七カ年計画におきましては、データ通信では七千五百億円でございますから、大体残りの五年間でこの倍程度の規模ということを計画いたしております。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 改定七カ年の場合に二百十システム、七千五百億、そうですね。
  87. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) さようでございます。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 その七千五百億で、いま提供している具体的なデータのサービスのほかに、何か考えておられますか。特に五十三年から五十七年の五カ年間には科学技術とか、あるいは在庫サービスとか、そういうふうなもので二万、その他一万五千、合計三万五千ということですが、新しいサービスはその程度のものなんですか。
  89. 朴木実

    説明員(朴木実君) お答え申し上げます。  現在電電公社の提供しておりますデータ通信サービスは、まあ先生お話しのとおり、販売、在庫管理、あるいは科学技術計算、あるいは電話計算というような一般大衆を相手にしましたサービスと、そのほか特定の企業、あるいは企業集団を相手にしましたサービスをやっておりますけれども、将来は、現在東京、大阪、名古屋でやっておりますいわゆる公衆データ通信サービス、これを全国的に拡大していきたい。大体公社は公平にあまねくサービスを提供するということを使命にしておりますので、できる限り早い時期から、このような公衆データ通信サービスを、全国の皆さん方に利用していただけるように、設備を拡張していきたい。この投資額が相当の額になるかと思います。  そのほか、いつも総裁が申し上げておるわけでございますけれども、全国的広がりのシステムでありますとか、あるいは公共的性格の強いシステム、あるいは開発先導的なシステム、これを重点的に推進してまいったわけでございますけれども、今後も特に公害防止システムであるとか、あるいは医療、教育、流通あるいは行政関連のシステム、こういうような社会開発型と申しますか、人間福祉向上型と申しますか、そういうような関連のシステムに重点を置いて、積極的なデータ通信事業の展開をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 これは、なかなか、従来からの推移の経過からしてみても、情報化社会というものは、一体、五年先どういう形になっていくのか、あるいは十年先に情報化社会というのはどういう形になっていくのか、この青写真を示すことは無理だと思いますが、私も無理だと思いますが、いま、データ通信本部長が言われた程度の公社として、データ通信サービスというものを考えているのですか。もう少し多様なデータというものが想定されるのでございますが、それに対する研究、技術的な研究も当然進められていると思うのですけれども、いま、大よそ予想される姿というものは、おぼろげながらもわからないのですか。
  91. 朴木実

    説明員(朴木実君) お答え申し上げます。  なかなかデータ通信事業、まだ公社は始めたばかりでございますし、将来の予測もむずかしゅうございますけれども、私ども将来は、国民の方、どなたでも、手軽に高性能のコンピューターを事務所に置いて、あるいは家に置いて自由に御利用いただける、いわゆるコンピューターユーティリティーと申しますか、そういう時代が必ずくるだろう、また、そういうような時代を招来しなければいかぬだろうというふうに考えております。その場合には、相当な設備も必要でございますし、また、いろいろなそれに必要な技術開発も必要だろうと考えております。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、おそらく改定七カ年計画の二百十システムというのは、少なくともある程度見当つけた数字だと思いますが、あとの五年に至っては、ここに書いてあるのはきわめて抽象的で、一体何を考えておるのかよくわからないですね。ここに、「情報化社会の進展に寄与するため、公共的システム、全国ネットワークを形成するシステム、開発先導的システムに重点をおき、とくに経済社会の発展、国民福祉増進に寄与するナショナル・プロジェクトを積極的に推進し、データ通信サービスの開発とその普及をはかる。」、これは何を開発して何を普及していくかということについては、プロジェクト・チームか何かつくって、それでやっていくのか、こういうことが一つですね。次に、「電気通信サービスの高度化の要請に応えるため、映像伝送、高速模写伝送、テレビ電話等のサービスを拡充する。」、こういうふうになっているわけです。で、おそらくここのイのところが一つの具体的な研究課題として、これから取り組んでいかれると思うんですけれども、こういうものが一体、五十三年から五十七年の間、このうち、どれと、どれと、どれは実用化されるのか。むしろ、この中でも、改定七カ年計画の中で、やられるものもあるかもしれませんですね。  そういうようなことを想定した場合に、具体的に、ここに拡充方法を開始するという前提に立って長期計画を立て、それに対する資金の裏づけを考えてつくられた案でございましたら、もう少し具体的に、これがいつごろ研究が済んで、そしてサービス開始ができるというような、めどくらいはきまっておらなければ、それに対するこの一兆五千億という算出の根拠自体も、ちょっとおかしくなるんじゃないですか。だから、おそらく、いまここで、時間の関係等もあって、具体的にお答えができないかもしれませんね。  ですから、私は、もう少し、無理なことは承知しておりますけれど、こうせざるを得なかったのでありますから、この最終年間における一応資金調達計画の見通しというものは、相当にやはり権威あるものでなければならぬと思いますから、そういう意味で伺っておるんでして、その辺もう少し具体的に、このイに書いてありますようなサービスを、この期間に、どういう形でサービスを開始していくのか、その回線設備のために、研究のために、どのくらい金がかかって、そのトータルが一兆五千億という、その積算の根拠があるわけですから、それを、もし時間がかかるというのであれば資料として出していただけばいいわけです。むしろそれは、事前に資料をいただいておけばよかったと思うんですけれども、その辺はどうでございますか。
  93. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 時間の点もございますので、こまかい数字等につきましては、また、別途といたしまして、五十七年度末につきまして、いろいろな需要予測を計算いたしておるわけでございますが、たとえば販売、在庫管理及び科学技術計算、こういったふうなものの予測につきましては、現在、いわゆる事業所がございます、そういった事業所を、従業員の規模別あるいはそのほかのいろいろな資料をもとにいたしまして、まず層別をいたしまして、一方、いろいろとアンケート調査等をいたしまして、それらの事業所では、大体どの程度の、こういうデータ通信に対します要望があるかというふうなことを、需要率という形で求めまして、そういった層別ごとの需要率というものを、もとにいたしまして、予測をしたわけでございます。これらが、先ほどちょっと申し上げました端末数になるわけでございます。  一方、各種システムでございますが、これは、ただいまデータ本部長からも申し上げましたように、いろいろと、今後、一般国民の要望等に応じ、あるいはそのほかもろもろの情報が社会の発展等にフォローできるように計画をしなくちゃいけないということから、ここに書いてございますように、ナショナルプロジェクトというようなもの、たとえば行政システム、流通システム、あるいは公害、医療、教育、こういったふうなものの中で、電電公社が行なうのにふさわしい全国的な規模のものとか、あるいは非常に公共的な内容を持っておるもの、そういったふうなものにつきまして、一応予測を立ててみたわけでございます。  ただ、これは、まだこれからのものでございますので、電話の需要等に比べますと非常に予測がしにくいわけでございますが、これらにつきまして、一応、今後十年間程度を見通してみますと、大体、五十二年末に百三十システムぐらいできるであろうと。そうしますと、これのあと五年間で、大体倍ぐらいはそういったものを実施することが適当じゃなかろうか、こういうふうな想定をいたしまして、そういった想定が、日本全体の、たとえばGNPみたいなものの伸び、あるいは世界の中におきますコンピューターの伸びの予測、特に、その中からオンラインシステム等が、どのように伸びていくかというふうな予測がございますが、そういったふうなものと大体対比いたしまして、先ほど申し上げましたような数字が一応考えておかしくないのじゃないかというふうなことにいたしまして、その結果それを積み上げてみますと、先ほど申し上げた一兆五千億、こういうふうな数字が出てまいっております。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 その詳細は、一応資料でぜひいただきたいのです。  それから、いまの問題と関連しましてね、五三−五七の中の、データ通信等という、さっきちょっと私が読み上げた中に、たとえば公共的システムですね、それから全国ネットワークの形成、こういうことが載っておるわけですが、公共的システムの場合、いま、たとえば国鉄だとか、労働省関係の職業紹介事務とか、いろいろ自前で各官庁がやっているのもございます。それから、やがて、たとえば郵政省の場合でも、貯金局というのがございますね、こういうのは、全国的に貯金局がございまして、言うならば一つ銀行と同じような形でございますから、おそらく将来、いずれの日か、コンピューターを入れたデータ通信的な公共的なシステムによってやられる時期も来ると思いますね。  ですから、そういうまず国家機関に対する公共的システムを、どういうふうに電電公社がお世話をしていくかというような問題も、一つの問題として残ってくると思いますし、また、さっきもちょっとお話がありました特定通信回線あるいは公衆通信回線、こういうものが今後どういうふうに総合通信網との関係伸びていくのか、そして特に公衆通信の開放ということが出されましたので、さっきもちょっとお話がありましたように、これから十年の先に、公社がやるべきサービスはどういうものがいいのか、それからまた、民間の会社が、公社の通信回線の余裕のあるところは借りてそうしてサービスを開始していくと思います。そういう場合に、必ずしも、公社が自分でやったほうがいいと思ったものでも、民間の方が回線を貸してもらってやる場合もあるでしょう。そこはまた、公社と民間との話し合いもやらなくちゃならないでしょうし、そういった幾多の問題が出てくると思うのです。  で、私は、総裁がいつもおっしゃるように、データ通信は独立採算の形でやるべきだ。私どもこれを主張いたしました。総裁もそれを是認しているわけですね。ですからして、今後、総体的な電電公社の長期計画の中で込みになっています、たとえば建設資金、その中で、一体データ部門の点は、過去から現在、将来に向かって、独立採算の基本理念というのは、どういうふうにしてこれを組み込まれていくのかというそういう点も、この資料ではつまびらかでないわけですよ。はたして十年先に、そういうオンラインシステムにおける開放された通信、公衆通信、電話回線を使用するデータというものが、どの程度開発されていくのか、おおよそそういう見通しも立てておかなければ話にならぬじゃないでしょうか。だから、その辺は一体どういうふうに考えておられるか。
  95. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま、特に五十三年から五十七年に至る五カ年間のデータ通信の投資額あるいはその採算の問題等について御質問ございました。  投資額につきましては、この五年間で、データ通信関係が一兆五千億ということになるわけでございますが、独立採算でやるということは、これはいわゆる経費を主体に考えておるわけでございまして、現在データ通信でやっておりますのが在庫管理とか、あるいは科学技術計算、これはまず東京とか大阪あるいは名古屋というごく一部分、それから全国的なネットワークといたしましては、たとえば地方銀行協会の為替交換業務とか、あるいは運輸省がやっております自動車登録、これらは将来データ通信のナショナルプロジェクトに発展し得るものだと思います。  ところで、この五十三から五十七年度の時点を考えましたときに、公社として、特にこれまで研究開発の面で、DIPSという新しいコンピューターの開発をやりまして、まだすっかり完成しているわけじゃございませんが、大体ハードウエアのほう、いわゆる装置のほうは研究所でできまして、特にそれを利用する場合の利用技術、ソフトウエアの問題をいろいろやっておる次第であります。で、こういうふうな、いわゆる標準型のDIPSみたいな、これは世界の最高水準にあると思うのでありますけれども、やはりこういうものを持ち込むことによって、しかも、また、そこに必要な応用プログラム、あるいは応用ソフトウェア、アプリケーションプロというふうなものを、どんどんつくっていくことによって、データ通信自体も、現在は赤字の形になっておりますけれども——しかし、電話の収入をもつてデータ収入というものを補うということをやらない。それからまた、データ収入というもので電話を補うものではなくて、データ通信本部というもののいき方というものを、一つのプロあるいは一つの大きなプロジェクトについて考えれば、八年間において大体採算というものを明らかにする。初めのうちは赤字であっても、後年度において黒字を取り返して、そうして、それを適当な報酬率を含めて収支を合わしていくという方法であります。  それから、資金の点につきましては、電話の債券、いわゆる加入者債券というものをもって、このデータ通信のほうの資金に回すということは考えていないのでありまして、データ通信のほうは、たとえばこの拡充法の中でも、たとえば端末等については、データ通信の端末を架設する方から債券をいただく。いわゆる電話債券というものをそっちに回するということは考えておりません。ただ、中央装置等につきましては、これはいわゆる縁故債というようなものをもって補おうということでございまして、この電話加入者債券、いわゆる電話の加入者の引き受けていただく加入者債券というものは、電話の架設に充当するというふうに考えておる次第であります。  それから、ナショナル・プロジェクトとして、先ほどデータ通信本部長が答えましたように、これからいろいろなものが出てくるんじゃないか。これは、一つ一つのプロジェクトが非常に大きなものでありまして、百億とかもっと大きな投資額が要るものが出てくるのではないか。現在、とりあえず問題になっておりますのは、政府のいろんな統計、たとえば財務関係もあるでしょうし、あるいは経企庁がやるような統計のほうもありましょう。そういうものに対して、あるいはまた医療、あるいは公害防止等のような問題につきまして、それを投資する前の段階として、まずシステムサーベーをする。いわゆるシステムがどうなるかというようなサーベーを主体にしてやって、そうして、それをだんだんだ利用技術をくっつけて本物に持っていきたいというふうに考えておるわけでありまして、在庫管理あるいは科学技術計算のような、いわゆる公衆データ通信のようなものは、先ほども部長が言いましたように、大都市ばかりではなくて、さらに、それを全国的なほうに広げていくということ、それからあとは、いわゆるナショナルプロジェクトとしていくものに対して、現在の時点では、いわゆるシステムサーベーをやっているわけでございますが、それをだんだんものにして、本格的な利用の道を開いていく。  そのテーマといたしましては、国のいろいろな統計、ただいま御指摘がございましたように、国がやるようないろいろな統計なり、あるいはその他のものに対して、ある行政的なもの、それから公害防止——これもいろいろな公害があるわけでありますから、そういう公害の防止に使う。あるいは医療といいましても、また、これは非常に複雑なものがありますが、そういう医療のいろいろな関係をやる。あるいは流通機構の改善、あるいはさらに、将来には教育関係に使うというような問題もあります。そういうものに対しまして、公社はデータバンク、情報そのものをやるわけじゃございませんが、その際のソフトウエアを含んだ設備を提供する、こういうことで、いま大きなプロジェクトに対しては、システムサーベーをやっておる、こういう段階でございます。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、いまちょっと公共的システムの中に入るかどうかわかりませんが、たとえば各官庁の行政面における事務近代化の一環として、こういう問題が考えられると思うのです。しかし、このやり方によっては、労働問題との関係で非常にこれはむずかしいのですけれども、さらばといって、それを全くやらないというわけにもいかないので、最小限労働問題、要するに、雇用関係ですね。首切りというようなことがあっても困るわけですし、無理な強制配転とか、職種転換というものがあってもなかなかむずかしいので、そういう非常にやっかいな問題がつきまといますけれども、それにしても、ある程度そういう歯どめをやりながら、コンピューターを入れた面における事務近代化ということは、好むと好まざるとにかかわらず、やっぱりやられてくると思うのです。そういう場合に、将来まあこれは一つの機運として、われわれがいままで申し上げておったようなIBMのソフト、ハードにおける上陸等も、これは資本の自由化なんかの点からも想定される。  したがって、早い時期にわが国の国産によってやらなければならないし、そのサービスは、電電公社の、いわゆるデータ通信サービスというものの中に、公衆データ通信サービスとして入るかどうか、これは疑問ですけれども、いずれにしても、いまの国鉄なんかでやっておられるような、そういったシステムを、電電がその中に入ってやるような、そういう配慮というものを、各行政にわたって配慮しておく必要があると思うのですよ。その点はひとつ内閣レベルの問題だと思いますから、大臣も心にとめておいていただいて、機会あるごとに、閣議等において各大臣に、そういうことを啓蒙していただくということをしていただけないかと思いますが、いかがでしょう。
  97. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) データ通信も郵政行政の一環であると考えておりますわけであります。他の省庁への利用方の促進ということについては、もちろん努力してまいりたいと思っておりますが、郵政省内におきましても、保険、あるいは貯金、郵便というような各面で、できるだけ利用というものを考えていかなくちゃならないというのが、将来の私どもの課題ではないかと思っておりますが、ただ、いま御指摘のように、私どもは相当たくさんの従業員をかかえておりますわけでありまして、機械の導入、省力化というようなことにつきましては、すべて一々組合と御相談いたしまして、組合の了承を得て、機械の利用に移るというようなことをいたしておりますわけでございます。その伝統的な精神というものは尊重して、きわめて慎重にやらなくちゃならない、こういうように考えております。それとともに、ただいま御質問のうちにございました国産品の奨励、利用というようなことについても特に配意すべきだというように考えておりますわけでございます。全く先生と同感でございます。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 いま総裁も言われましたし、それからデータ本部長も言われたのですが、五十三から五十七に至る間におけるいわゆる公衆データ通信サービスですね。こういうものが現在は東京とか、大阪とか、きわめて限られた地域でやられておるわけですけれども、これはお話しのように、できるだけ早い機会に、全国的にネットワークをつくってやる必要があると思うのです。これの各会計のものを含めて各年度別の拡張計画といいますか、各年ごとにどうしていくかという、そういう計画はありますか。
  99. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) ただいま御指摘のものにつきましては、第五次五カ年計画という作業の途中でございます。で、この作業の途中でざいますので、この夏ごろまでには、これを固める予定でございますが、七カ年計画では、一応これをマクロにとらえておりますが、五次五カ年計画ではこれをミクロ化するわけでございまして、各年次別の数字を固めつつございますが、大体いま総裁及びデータ本部長から申し上げました計画の中で、販売、在庫管理及び科学技術計算、そういったようなものにつきましては、大体五次五カ年計画、すなわち七カ年計画中に、全国的に大体要望のあるところへは行き渡る予定でございます。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、さっき私がお尋ねした中で、特定データ通信回線とか、あるいは公衆データ通信回線、こういったような計画の中で、特に民需といいますか、民間が公社と競合する場合もあるでしょうし、あるいは民間が独自にサービスを提供する場合もあるでしょうけれども、そういうものが十年間にどの程度、電電公社の回線を利用さしてもらいたいというような、需要というか、あれですが、申し出があるかどうか、そういうふうな予測はしておりますか、それでどこから言われてきたって、すぐ回線があいているというわけじゃないでしょうからね。ですから、やはり総合回線通信網との関連の中で、当然考えなければならぬのですけれども、まず公社としては、かりに公衆通信回線の開放を求めるような、民間からの要求があった場合には、現段階ではどの地域ならいいと考えるのですか。それともいまはだめなのか、そしていつごろになったら、そういうことが可能なのか。少なくとも、一般、電話通信の機能に支障がないということがあくまでも前提でございますから、そういう前提に立っていま考えたときに、それらのスペースは、どこら辺にあるのでございますか。
  101. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これは公衆回線につきましては、御存じのように、広域時分制が実施をされましてから、逐次行なっていくわけでございまして、その場合、昨年、御審議をいただきました公衆法に基づきまして、郵政省令で基準が出され、あるいはまた、今回御審議をいただいております拡充法の中で、それに伴います債券の金額等もきめられることになります。また、さらに同時に、そのものも早く申しますれば、郵政大臣の御認可をいただいてきめてまいるわけでございます。そういった外回りのことがきまりました上で、広域時分制が実施をされました段階から、昨年の御審議でも、いろいろ御議論が出ましたように、公衆回線のために、一般の黒電話の積滞が圧迫をされるということのないように配慮しつつ、実施に移していくことになろうかと思っております。したがって、いまのところでは、その準備段階でございますので、広域時分制実施と同時に、そのことが行なわれるわけでございます。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 四十七年度の通信設備計画の中に、遠隔データ処理方式というものの導入構想があるのでございますか。これは現在どういうふうな姿になっておるんですか。
  103. 朴木実

    説明員(朴木実君) 遠隔データ処理方式、非常にわかりにくい名前でございますが、要するに、現在東京、名古屋、大阪で、たとえば、販売、在庫管理サービスをやっております、ぜひそれ以外の地方にも需要があるので、そのサービスを提供したいというときに、まだその需要が少ない時期に、大がかりなセンターをその地域に設けますと、非常に投資効率が悪うございますので、小型のコンピューターと申しますか、現地で手軽に処理できて、重要な問題は、遠くにある大型のセンターで、処理してもらうというような形式のサービスを、考えているわけでございます。  具体的に申し上げますと、たとえば、広島なら広島に、販売、在庫管理サービスを始めたいというときに、終局的には、広島にある販売、在庫管理のセンターを設置することになろうかと存じますけれども、当面の間は、もよりの、たとえば大阪とか、あるいは福岡のセンターから線を延ばしまして、そうして広島のお客さんは、あらかじめ大阪や福岡のお客さんと同じようなサービスを受けることができる、そういうような仕組みのものでございます。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 これは、四十七年度から、いまお話のような構想は、実施をしていくというふうに理解していいんですか。
  105. 朴木実

    説明員(朴木実君) そのとおりでございます。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 それならばひとつ具体的に、遠隔制御装置を入れてサービスを提供する地域とか、あるいはその隣接される貸与区域はどこなのか、そういうことはおよそきまっておるようでございますね。これはあとからでもいいですから、資料として出していただけませんか。  それから在庫サービスの場合と科学技術計算のサービスと、それから電話計算サービス、これはどうなんですか。やっぱり遠隔制御装置というか、やっぱりセンターつくるわけですか。
  107. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 資料の提出はようございますね。
  108. 朴木実

    説明員(朴木実君) 後ほど資料をもって御説明申し上げたいと思います。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 これはDIPSの導入をしなければ、こういう遠隔データシステムというのは、これはできないのですか。処理方式というのは、これはできないのですか。
  110. 朴木実

    説明員(朴木実君) 直接的にはDIPSでなければ、いまの遠隔制御システムができないということではございませんけれども、どうせそのサービス地域を広げるためには、DIPSのような非情に高性能な、また、たくさん業務を処理しますと、コストも安くなりますので、そういう高性能な大型のコンピューターを使ったほうが、いまの遠隔制御システムに向いておるということで、DIPSができ次第、そういうような地域を広げていきたいというふうに考えておるわけでございますが、本質的にDIPSでなければできないということではございません。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 総裁、電信事業の将来展望は一体どうするか、こういうことについては、先般の拡充法の際に、いろいろと公社側の意見を伺いましたし、料金改定の問題も、それにからんで伺いましたが、それで三十八年ですか、前回のこの法案審議の際に、電信に対しては一言半句も書いてないですが、一体、電信を将来どうするのかという私の指摘に対して、この十年間に電信の近代化といいますか、将来展望についての一つの構想をまとめられたことについて、私は感謝をしておりますが、特に私が心配をするのは、そういう中で、総裁が先細りになっていく電信事業、しかし、これは明治六年以来、電電公社の先駆者としてその電信というものが果たしてきた使命というものは、非常に大きなものがある、今日の電話があるのは電信があったからだということが言える。  そういう立場からいくと、細りいく電信、いわゆる斜陽的な電信事業への将来展望を持つのは、一体われわれとしては、これから先、一応、広域化の線で将来展望を出していただきましたけれども、これがまたどうなるかということは、絶えずわれわれの心配の一つの種なんです。どうかすると、もう電話とかデータというものは、ほとんどの電電公社の事業のかなめになっておりますから、それぞれの方々の頭の中に、電信というものが薄れていく。これも無理からぬと思いますけれども、しかし、薄れていっても、過去において非常に重要な役割りを果たした電信というものが、最後までどうなるかということは、公社総裁以下絶えず御検討をしていただかなければならぬと思うのです。それでそういう将来展望の上に立つならば、将来、電信が縮小していく、細っていく、それはデータ通信によってカバーする、いわゆる電信の中にデータをミックスして。データ通信というのは電信事業である、そういう受けとめをして総裁は今日までこられてきていると思うんですね。  したがって、そういう角度からいうと、いまどんどんと電信の合理化が進んでおるのですけれども、残念ながらデータというのは東京、大阪、名古屋というふうな一部の都市に偏在しているわけですね。したがって、札幌とか、仙台とか、あるいは九州の熊本とか、そういうところの電信合理化には何にも役立たないのですね。何にも役立たないというと語弊があるかもしれませんが、九州から東京に出てくることも、あるいは大阪に出てくることも、名古屋に出てくることも可能でしょうけれども、実際に東京まで来るということは、なかなかむずかしい事情もあると思いますから、そういう意味において、私は、できるだけすみやかに全国各地になし得るサービスを実施していくということを、むしろ早目にやっていただかないと、総裁が言われた趣旨が生かし得られないような面も出てくると思うんです。そういうものを十分配慮してやっていただきたい。そのためにはまあ相当大きな金をかけてDIPSの開発をなされたわけでしょうし、これは世界的にも非常に称賛されているりっぱなコンピューターだと思います。ですから、そういうものを十分に使っていただいて、そしてそれらの問題の解決に役立たしていただきたい、こう思うんです。これに対してひとつ総裁からもお答えをいただきたいと思います。
  112. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 電報事業につきましては、午前にもお答えいたしましたが、その近代化ということについて、これは労働組合にも関係あり、配置転換等については労働組合と十分話し合いをしながら現在進めておる次第でございます。  私は、電報のだんだん通数が減っていくことは、これは電報に携わる職員の責任ではないのでありまして、電報の職員というのは、非常に一生懸命仕事をしておるということで、結局これは全般的なある世界的な傾向ではないかというふうに考えておるわけであります。しかし経営面におきまして、これをやはり適当にさばいていかなければならない、そのために近代化を現在進めておるわけでございます。  ところで、私は広い意味でデータ通信も電信というふうに理解しているわけでありますが、このデータ通信自身も、ただいま鈴木委員が御指摘になりましたが、ただ東京、大阪、名古屋だけでなくて、第二次的には、たとえば札幌、福岡、仙台とか、そういうところに広げていくし、さらにそのあとでは県庁所在地に及ぼしていく。いきなりセンター設備が要るというところまでいかない場合には、遠隔的にコントロールするというような方式を入れて、私は、だんだん県庁所在地に公衆データ通信、あるいは専用データ通信を含めてセンター設備が置かれていくのではないかというふうに展望しておる次第でございます。御趣旨の点につきましては、十分その方向でやりたいと思っております。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと私の都合で時間がだいぶ延びましたから、その分質問の点で短縮をしていきたいと思っておるので、非常に時間がなくなりまして残念ですけれども、できるだけ簡潔に私も申し上げて議事進行したいと思います。  それで、最近通産省とか産業界の中に、テレビを通じて情報の対話を行なう未来の実験都市、いわゆるCATV都市の開発ということを積極的に進めようというような空気が強くなってきておるわけであります。これが、日立、東芝、古河電工ですね、わが国の代表的な電機、電線メーカー十社が、十二日の日に、東京・芝のプリンスホテルで、映像情報システム開発協会というものの設立総会を開いております。そうしてCATV都市の建設に必要なシステム、CATV機器の開発に本格的に取り組む、予算的にも五年間で約四十億、こういうようなものを考えて計画を持っておるんですが、これに対して通産省は積極的に協力をしようとする考え方が出ておる。この中で私どもは、有線テレビ、いわゆるCATVというものと、それから公衆電気通信の分野との間に一体どういうはっきりした区分けをしていくのかということが問題になると思うんです。  それで、電気通信事業の一元化ということを、私どもはいつも強く主張し要求をして、大臣もこれを認めてきておられるわけですけれども、一体、双方向CATVという新型の有線テレビシステムというものを、これまで、電電公社もそうですが、開発をしている。単方向CATVといわれるのは、一方通行的なものであって、これでは、なかなか国民の真に必要な情報を得られないということからして、これをやろうとしているけれども、このCATVの回線の建設は、一体だれが将来やろうとしているのか、回線の提供については、一体だれがしようとするのか、また、双方向的なCATVを認めた場合には、公衆電気通信との関係で一体どうなっていくのか、こういう非常に重大な問題も含んでいると思うんです。  特に、私が重視するのは、通産省がこれに積極的に参加しているんですね。われわれは先般の公衆法で、一応回線開放ということを、きびしい条件をつけて認めましたが、そのときも通産省はかなり積極的にこれの推進役に回ったことも事実であります。したがって、私は、これらの問題については電電公社を監督する郵政大臣として、これはゆゆしき問題であろうと思いますから——ゆゆしき問題というとおかしいですが、非常に重大な問題でありますから、もうすでに重大な関心を持たれて、それぞれ通産大臣等とも話し合いをされているのではないかと思うんですが、どうも、片方ではCCISというような委員会をつくって何かやっておられる。こういうものの性格、目的、意図なりが一体どこにあるのか。ただ単に技術開発に重点を置いているのか、それとも、将来の電気通信の姿というものは、こうあるべきだという一つの課題を与えてそこでやろうとしているのか。その辺の区分けがはっきりつきません、率直に言って。ですから、このCATVの双方向性テレビを通じての情報提供、こういったものが、いま積極的に開発され考えられていると思うんですが、これらの問題に関連をして大臣のこれに対する所信を承りたい。
  114. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) CATVの問題でございますが、これにつきましては、山間部でこのCATVを利用いたしまして、テレビの難視聴を解消するという問題、従来共同視聴ということをやってまいりましたわけでございますが、これはだんだんNHKの中継所の増設というようなことで、末細りの現象にありますわけでございますけれども、大都会におけるCATVの利用というのは、だんだん高層建築がふえてまいりまして、都会においても、その建物の妨害による難視聴の現象が非常に大きくなってまいっておりますから、これをCATVで解消したいという課題が、だんだん大きく重くなってまいりましたわけでございますから、これにつきましては、先年来、法律案国会に提出いたしまして、ただいま御審議を継続的に願っておりますわけでございます。  そこで、ただいまのCATVの御質問は、主として、双方向の通信ということについて、電電公社の分野を脅かすような将来性を持っているんじゃないかというようなことでございますが、これについては、いまからきわめて真剣にまた、慎重に検討していかなくちゃならない大きな課題でありますことは、ただいま御指摘のとおりだと思うのでございます。データ通信につきましても、開放することによって、そういう心配があったわけでございますけれども、これはただいまのところ、郵政大臣の認可事項としましては、そのような例が出ておりませんことを喜んでおりますわけでございますが、そこでCATVにつきましては、そういった将来の技術の可能性と申しますか、また、社会的なニードの問題、重要性、また、はたしてそういうことがそろばんに乗るかどうかというような、経済的な価値性の問題もあろうかと思うのでございまして、そういう問題を検討していかなければならないというのが、私どもの課題でありますわけでございまして、ただいま国会に出しておりますCATVの問題は、再送信並びに自主送信までの問題でございまして、双方向の通信については全く考えていないわけでございますけれども、そういうような技術的な可能性も考えられるということが問題であるわけでございます。  そこで、CATVは、そういうような多方面の可能性ということになってまいりますと、これは単なるCATVではない、いわゆる同軸ケーブル情報システムというような大きな問題になろうかと思いますわけでございまして、そこで、そういうCATVの可能性、将来性を把握いたしまして、昨年来CATVの多方面の可能性をとらえて、特にCCIS、同軸ケーブル情報システムということになってくるわけでございますから、その調査会を郵政省の中に置きまして、これに各方面の英知あるいは経験というものを集めて、何らかの結論を得たい、いろいろ教えていただきたいということで、調査会をつくって、ただいま運営をいたしておりますわけでございます。  で、私ども考えといたしましては、CATVは、双方向の通信ということになりましても、これは非交換性でございますし、また地域も限定されている。ただいまの公衆電気通信と違って——これは交換性を持ち、また全国的な組織を持っておりますわけでございますけれども、CATVは、地域を限定され、また交換性を持っていない双方向の通信にすぎないというように考えておりますので、一応は現在の電電公社のおやりになっております公衆電気通信とは競合しないというように考えておりますわけでございますけれども、しかし将来の可能性ということを考えますと、やはりいろいろなことも事前に心配しておかなければならぬということになってくるわけでございます。  そこで、ただいま申しましたような、CATVの域を離れたといってもいいぐらいの、大きな問題であります同軸ケーブル情報システムということに着眼いたしまして、その調査会を郵政省の中に置いて真剣に検討を続けていこう。また、他面、CATVにつきましては、多摩ニュータウンに実験の地域をつくりまして、CCISの調査の結果に基づきまして実験をしたい。これにつきましては、もちろん電電公社の非常な御協力をいただいておりますわけでございますけれども、実験地域も指定いたしまして、そこで実験をやっていこう。また、実験の結果によって、CCIS調査会で取り上げて、机上で調査研究を続けるというようなことになるかもしれませんけれども、両々相まって将来の、先ほど申しました技術的な可能性、また社会的な重要性、さらに経済的な価値性、こういうようなものを総合的にひとつ検討いたしまして、そして、あやまちのない利用の方向努力いたしたい、こういうように考えておりますわけでございます。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 いまの大臣の御答弁でちょっと私、気にかかる点があるんですけれども、一体通信とは何か。通信というのはやはりお互いに意思を疎通し合うものでしょう。放送というのは、一方的に自分の意思を伝えるだけであって、返ってこないんです。だから、そういう意味からいうと、いまあなたは、CATVはある地域を限っての双方向通信であるから、そういう心配はないというようなニュアンスに受け取れる御発言がございました。それはもうたいへんな問題だと思いますよ。将来、東京なら東京の三多摩エリアにおいて、青梅、あるいは多摩ニュータウン、あるいは調布なり、そういう各所における広範囲の連檐した地域におけるCATVというものが、線路設備の延長その他からして、技術的にやろうとすれば可能になってきますよ。そうすると、将来——将来というよりか、前に問題になりましたようなマウンテントップ方式の広域CATVというものが出てこないとも限らない。こうなりますと、通信事業の一元化というものから見て、明らかに反する方向になる。当時、田中角榮氏が郵政大臣のときに、私はこの問題で大臣意見を聞きましたけれども、田中さんは即座に、それは電電公社にやらすべきであって、民間が回線布設なんかするのはもってのほかだ、こういうふうなはっきりした御意見が出て、その動きを封殺されたことがあるんですけれどもね。ですから、これは欲と二人連れですから、どういうことが将来展望されるかわからぬと思うのです。ですから、簡単に地域が限定されるからよろしいだろうというような、そういう考え方は、非常に危険な考え方に通じるように思うのです。大臣は非常に慎重なお方ですから、私の思い過ぎであればいいのですけれども、そういうふうな経験もありますから、どうかこの扱いについては非常に慎重にしてほしいと思うのです。  それからCCISの委員会については、大臣のおっしゃるように、ただ単に技術的な研究開発だけでなくて、それにまつわる通信政策までそこで論議するとすれば、これはたいへんな問題が起きると思います。これは高度の政治判断によってやらなければならない点がありますから、その辺のCCISの運営については、私は技術面における研究を加えていくということについては賛成です。これは各方面から大いに集まって御研究いただくということはいいのですけれども、そうでないとすれば、政策の面までそこでやるとすれば、かなり監視をする必要がある。むしろ、そこでは、そういう高度の政治性のあるものはやらせてはいけない 私はこういうことまで思っておるのです。ですから、その辺を十分意に介しておいて運営をしてほしいということをお願いしておきたいのです。  それから電電公社も、いま言ったCCISなんかに関連していると思うのですけれども、多摩ニュータウンのモデルケース的なCATVの建設というものは、これはどうなんですか。郵政のほうでも考えておる、同時に、いま私が申し上げましたように通産が、てこ入れをしている。民間の十社のメーカーの皆さんがやろうとするのも、これも多摩ニュータウンです。これはいま大臣がおっしゃったようなCCISが一つの研究課題として取り組もうとするものの中に入ってくるのですか。それとも、別に実験的にそこでやろうとしているのか。その辺は私はよくわかりませんけれども、そうではないですね。別にまた、これをやろうとするのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
  116. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) さっきいろいろ御心配の点を御指摘くださいましたけれども、そういうことにつきましては、最も慎重にやるべきだということは、私は全く先生と同感でございます。  それから多摩ニュータウンの実験の問題でございますが、これは御指摘のように、通産省でも、そういうような御意図があるようでございまして、そこで、できれば、郵政省の多摩ニュータウンの実験、これにも何人かの委員をもちまして、委員会をつくってやりますわけでございますが、その委員会と通産省の実験についてのグループ、これとが一緒になって進めて、協議とか準備とか進めていくほうがいいと思っておりましたが、双方じっくり話し合った結果、早急に発足するためには別々にやろうと、そして随時連絡をとって合流しようという話し合いができておるようでございます。そこで、おのおの役所の立場もございますから、その立場を踏まえて実験を進めるようにいたしますわけでございますけれども、絶えず連絡をとり、また協調し、適当なときには、合流して一緒にやろうというようなことを話し合っておりますようでございます。私は、最初から一緒にやったらどうかと言って、だいぶすすめたのでございますけれども、だいぶ事務段階で協議の結果、そういうことになったそうでございます。それに、いまのところまかしておるわけでございます。
  117. 鈴木強

    鈴木強君 これはいずれ私は、通産省にも当委員会においでいただいて、私の意見も申し上げて、慎重にやっていただくようにしたいと思いますが、大臣もよく私の趣旨を御理解いただきましたので、どうか、あやまちのない運営をやっていただくようにお願いしておきます。  時間が過ぎましたから、もう一つ……。  拡充法で第二条の政令にゆだねられる「単独電話に係る加入電話加入申込をした者」の債券負担額ですね。それから「共同電話に係る加入電話加入申込をした者」の負担額、これは自動化されたところと、そうでないところとございますが、先般公衆法の改正によって、基本料が五段階になりましたね。今度はこの債券負担については、たしか六段階か七段階になっているかと思うんですが、これをひとつ整理統合する必要があると思うんですが、おそらくそういうものも含めて「政令で定める額」ということになるわけでございますが、これは非常に大事でございますから、ただ、われわれは、政令で定めるから、それでよろしいということで、これを通すわけにいきません。したがって、この際ひとつその政令の内容について、はっきりと国会に示していただきたい。
  118. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これはいま先生お読みになりましたように、法律上政令で定めると、こう書いております。それで、私どものほうから郵政大臣のほうに政令案として、こういうお願いをしたいと思っておることを申し上げたいと思いますが、このお手元の参考資料のこの表で見ていただいたほうがわかりやすいと思うのでございますが、八九ページに、現在の「級局別の債券払込額および基本料一覧表」というものがございます。  それで私どもといたしましては、いま先生がおっしゃいましたように、幾つかの原則に基づきまして政令案を郵政省にお願いしたいと思っておるのでありますが、その第一のプリンシプルは、ここにございます基本料級局が五級局から一級局まで、度数制局についてでございますが、その現在の債券級局でございますが、これが六段階に分かれておりまして、ごらんのようにその線が相互に食い違っておるわけでございまして、これをそろえたい、つまりいま先生がおっしゃいました基本料にあわせて債券級局を五段階にして、それを横でそろえたい、基本料額と債券払い込み額が、ちぐはぐにならないようにいたしたいというのが一つでございます。これが第一の原則でございます。  それから第二の原則は、たとえば四十七年度、今年も、全国で電話をずいぶんあちこちで販売いたしますわけでございますが、その方式別あるいは共同・単独別いろいろございますが、四十七年度で売る場合、現在の債券級局払い込み額で債券の引き受けをいただきますが、その全体の債券払い込み総額と、新しくできました債券級局で、それを仮定をいたしましたときの債券払い込み総額が、あまり大きな差のないようにいたしたい、ふえるということもなく、また減るということもなく、できれば同じようにいたしたいわけですが、それもむずかしいので、できるだけ接近した形にしたい、資金計画に大きな、そごを来たさないような五段階制度にしたい。  それから第三のプリンシプルといたしましては、先生のおっしゃいましたように、この現在の十五万円から二万円までの線をできるだけ上がらないようにしたい。これは拝借いたしますお金ですから、そういうことはあまり神経質に考えなくてもいいのかもしれませんが、少なくともこの金額がいままでよりも上がらないようにいたしたい、こういう第三の原則をとりたいと思うのでございます。  そういたしますと、具体的に申し上げますと、現在私どもが、事務的にいま申し上げました三つの原則に従って検討をいたしておるわけでございますが、この法律が通りましたあと、いまの法律に基づいて郵政大臣にお願いいたします点は、この横の線を見まして基本料級局の一級局、すなわち債券級局・払込額の欄で申しますと、下の二万、五万と八万の半分まででございます。つまり旧級局欄のところの一級局から五級局、これを二万にいたします。それから二級局ですが、横の債券級局・払込額欄にあるように、現在はこの二級局に相当する額として十万と八万ございますが、これを全部ならして八万にいたします。三級局は、現在の払い込み額を横にとりまして十二万が残るわけでございますから、これは変化ございません。それからその上の四級局は、現在の払い込み額は十二万のところと、十五万のところがございますが、これを十二万ないし十二万程度ということにすれば、先ほどの原則に合う範囲になり得るのではないかという作業をいたしておるわけでございます。それから一番上の五級局の線は、現在の払い込み額を横に線を引っぱって大体いまの形、つまり十五万円とする。このようにすれば、いまの三つの原則が政令が適用されればうまいこといくのではないか、こういうことで郵政省のほうにお願いいたしたいと思っておるわけでございます。
  119. 鈴木強

    鈴木強君 郵政省もいいですね。
  120. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま事務段階での下打ち合わせでございますが、ただいま公社のほうからお話がありましたような原則は、中には、私のほうからも積極的にそのような意向を、特にその現在の級局別負担が上がらないようにという点についても注文を出しまして、ただいま遠藤局長からお話のようなところで作業を進めておるところでございます。
  121. 鈴木強

    鈴木強君 その原則であれば私も賛成ですから、その原則をくずさないようにひとつ債券負担をしていただきたいと思います。  それじゃ、あと時間がありませんから、要望だけしておきますが、一つは広域時分制という先行実施ということを先般おきめになりました。これは非常に重大なことでございますから、この実施についてはぜひ万遺憾なきを期していただきたいと思います。  同時にどういうわけか、この先行実施される電話局ないし電報電話取り扱い局は四通信局管内の五道県六・MA区域というようにきめられたわけでして、これらの方法は先行実施であっても、実際に効力ははっきりしておるわけですから、普通のテストとは違います。したがって、直ちに三分ということに切りかわっていくのでありますから、われわれが法案審議の際にも、たいへん心配いたしましたような感情が利用者の中に、まだ残っているように私は思います。ですから、市民の皆さんに対する周知宣伝等については、プラマイゼロという公社の単位料金の設定するいきさつを、よく理解していただいて、地域においてトラブルの起こらないようにやっていただきたい。  それからもう一つは、これは公社の職員全体が一致協力してやらなければできないことですから、労働組合側の理解を深めて、万支障のないようにこれをお願いしておきます。  それから最近テレビに出ました「おかしな両替機」ということで、百円の両がえをするたびに、七十円とティッシュペーパーが出てくるというのがございまして、これは最後のほうに何か、機械をつくり赤電話を置いてある商店などに貸しているのは、シンワ電機株式会社、千代田区外神田六の十一の十ですが、ここでは、両がえと書いてあっても、ちゃんとティッシュペーパーのことが大きく書いてあるから問題はない。うちでは、赤電話協会である全国電話協会を通じて電電公社に世話してもらっているから、七月までに五千台は設置したい。こういうふうなことを言っておりますが、これは非常に誤解を受けるものでありまして、できれば公社が、まだテスト的にやっておりますが、両がえできるような自前の機械も開発しているようですから、できるだけああいうものを貸し付けるものに対して、こういうものはあまりかかわり合いのないようにしたほうがいいと思います。公取のほうでもこういう表示は適切でないというような見解が出ておりますから、この点もひとつ御注意をいただきたいと思います。  それからもう一つは、せんだって今月の十一日に東京永田町の地下の電話、通信線中継ケーブルに火事がありまして、ずたずたになって地下溝にある通信回線が燃えちゃったというのを拝見しました。非常に防災については特段の配意をしておる電電公社に、こういう事態が起きたことは非常に残念でございます。この内容を読んでみますと、情報化東京がボヤのために狂った、そういう内容でありまして、適切な措置で短期間に解決はしたようですけれども、こういうことがたび重ならないように万全な保守体制をつくっていただくことをお願いしておきます。  以上で、非常に時間がありませんから、私は拡充法に対する質疑は終わります。  それから、あと質権の問題で、きわめて簡単になりますが、時間がおくれましたから質疑をしたいと思います。  きょうはたいへんお待たせしておると思いますが、中小企業の振興部長さんと、それから国税庁の徴収課長さんにおいでいただいておりますが、最初にこの点をちょっと伺うことにいたします。  たいへんお待たせしておりまして恐縮ですが、まず振興部長さんにお伺いしたいのですけれども、電話を質権に設定するという法律が通りましてから、いろいろ中小企業振興策の一助として中小企業庁では何かと御配意いただいておると思うんですが、法律制定のとき、あるいはその後に至りまして、この法運営の中でいろいろ問題が出ておる点がございます。それについては、すでに昭和三十五年四月十八日に、中小企業庁から、三五企庁第六五九号という公文書で、加入者の質権の目的として認めるようになった電話の質権設定に対する最初の指導文書を出しておられますが、翌年の三十六年二月十七日に、電話加入を質権の目的として金融事業に携わっておる事業協同組合の運営の指導について、三六企庁第一五〇号という通達を都道府県あてに指導文書が出されております。その後皆さんの御努力もありまして、この前に、私どもが法案審議したときのような苦情は多少減っておると思いますが、なお依然として悪質といわれるような業者も横行しておるわけでありまして、非常に残念だと思いますが、この指導文書を二回出して、その後、この問題に対しては、中小企業庁として、どういうふうに適切に運用されておるかどうか、また、問題がありましたら、どういう問題があったかということを、この際教えてもらいたい。
  122. 西田彰

    説明員(西田彰君) ただいま先生御指摘のように、三十五年から三十九年くらいにかけまして、主としてこの質権を設定して行ないます金融のうち、事業協同組合を加入者がつくりまして、そのあっせんで金融をするという形態につきまして、多少の問題がございましたことにつきまして指導通牒を出したわけでございます。これは、都道府県のほうに監督をお願いしておりますので、都道府県単位で、なるべく大きな事業協同組合をつくっていただきまして、その運営のよろしきを得るような指導を行なったわけでございます。  で、先生御承知のように、この制度をおつくり願いましてから、たいへん中小企業者の金融の利便というものは増したわけでございます。その一部の事業協同組合の問題につきましての問題で、この全制度が強化されるようなことがないように努力したわけでございますが、その後、多少時勢の変化もございまして、電話の加入権自身の値段の問題も、多少値下がりをしたというようなこともございまして、金融自体は、昭和三十三年から四十年にかけて伸びましたような勢いでは、伸びておりませんけれども、その後、問題となるような事項もあまりございませんで、安定した形で金融が行なわれておるというように了解いたしております。また、この事業協同組合を通じないで、要するに、その加入権を担保にする金融というもの自体も、全体の金融の中ではございますけれども、その意義を発揮いたしまして円滑に行なわれているというように私ども理解いたしております。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 具体的には、この二回の指導文書の発送によって、それぞれの事業協同組合のほうにおきましても、姿勢を正してうまくやっておった、特別に中小企業庁として取り上げて問題にするようなことはなかったと、こういう御趣旨でございますか。  それから当時、これは振興部長が担当しておられたのですが、今度は計画部長にこれはかわったのですが、その辺の機構上の変革があったら教えていただきたい。これは私の不勉強で申しわけありません。
  124. 西田彰

    説明員(西田彰君) 当時振興部と申しておりました中小企業庁の機構を、主として名前を計画部というふうに変えましたので、所管はずっと継続いたしております。  それから御指摘の事業協同組合の問題に関しましては、大体昭和四十年以降さしたる問題はないというふうに御報告申し上げたいと思います。ただ、本質的な問題ではございませんで、協同組合のまとまりといったような点での問題点というのは若干ございますが、制度の本質に触れる問題でございませんで、適当に私どもが指導を行ないたいと思っております。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 現在、電話加入権を質権の目的として金融をやっている事業協同組合というのはどのくらいございますか。
  126. 西田彰

    説明員(西田彰君) 現在全国にあります事業協同組合が中央に連合会を組織しておりますが、その連合会に加入している協同組合の数は二十二組合でございます。そのほかに五つ連合会に加入していない組合がございますので、——加入者の事業協同組合といたしましては全部で二十七でございます。
  127. 鈴木強

    鈴木強君 この事業協同組合の中央連合会のアウトサイダーになっているこの五つですね、これは詳しい内容は時間がないから伺えないのですけれども、何か特別に理由があるのですか。
  128. 西田彰

    説明員(西田彰君) この点は、多少先ほど私が、まとまりの問題というふうに申し上げました問題に関連いたしますので、なお指導をいたしましてまた御報告にあがかりたいと思います。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 これはやっぱり事業協同組合としての連合会が設立をされ、その指導下に運用したほうがよりベターだと思いますね。ですから、できるだけアウトサイダというものを置かないで、おやりになるような方法を、もう少し積極的にやってほしいと思うのです。  それから郵政省に伺いますが、この法律制定直後には、電話取引業者の中には、加入電話による、他人の名義による虚偽の申し込みや、無断で売却する行為というのが、かなりありました。で、この法律制定当時、このことが非常に問題になりまして、政府に対しましては、これらの業者に、よい行政指導をしてほしいというような附帯決議がついておるのですが、その後、昨年の十二月になって、社団法人全日本電話取引業協会というのが設立されているようですけれども、これは直接質権の問題と関係あるかどうか、私、まだよく、この内容をつまびらかにしておりませんから、わかりませんが、これは一体、どういう目的で設置をされたものでございますか。郵政大臣が認可をした公益法人であるのかどうなのかですね、民法上の。
  130. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) これは、昨年の十二月四日に設立を認可されました社団法人でございます。この目的は、必ずしも質権ということだけではございませんですが、目的とするところは、電話売買の価格決定の適正化と、それから売買に関します苦情処理の円滑化ということでございまして、主としまして、電話取引場及び苦情処理機関を運営するということで、実際、そのような業務を、目下開始をしているわけでございます。要するに、電話加入者の利益を保護するとともに電話加入権取引業界の健全な発展をはかるということが、この主な目的となっておるわけでございます。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 すると、これは、電話の申し込みをしたいという人たちのお世話をし、同時に、加入質権の問題にもこれはタッチするのですか。
  132. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 先ほど申しましたように、一応質権の関係だけを目的としたものでございませんで、電話取引の価格につきましての適正な、あるいは電話売買につきまして、その中には、加入質権に関連するものも当然一部入ると思いますが、要するに、加入者との間におきましての苦情処理というようなものがいろいろございますが、それを適正にここで第三者を入れました苦情処理機関を通じまして、円滑な解決をはかるということを、主として意図しているわけでございます。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 これはあれでしょう。いろいろ言っているが、電話の取引業者なんであって、加入質権を目的とする金融事業者ではないですね。だから、たまたま、そういう質権の問題について相談があったとき、それに応じてやるというようなそういう性格のものでしょう。
  134. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま御指摘のように、電話の取引業者間の問題でございまして、必ずしも質権を設定した者とか、あるいはその人に金融を行なうものというような業者団体ということではございません。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 電話取引業者の違法行為、いわゆる悪質な虚偽行為というものについては、いまさら始まったことではないので、どうして昨年の十二月ごろになって、こういうものをつくったんですか。もっと早く法律制定当時に、問題にしておったものを、去年あたり、もうだんだんと積滞も少なくなって——少なくなったというか、東京あたり、二十三区は、申し込めば、すぐつくような状態になっていますけれども、いまごろやるのは、どういうわけですか。何かこれは、ほかの目的があるんですか。
  136. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) これは、従来から問題でございます電話取引業態についての指導、善導というような宿題の上に立った一つの団体でございますが、特に行政指導を従来強くやっていたというわけではございません。たまたま、昨年ごろから、業者間での、そのような動きがかなり活発になりまして、認可申請等、昨年の夏ごろだと思います、はっきりした日を覚えておりませんが、ありまして、その結果認可になったものでございます。
  137. 鈴木強

    鈴木強君 これは、後ほど、定款とか、それから収支目論見とか、あるいは役員等もきまっておると思いますから、それは資料として出していただきたいと思います。  それで、ちょっと、質権との関連はあるわけなんだが、電話の取引業に対する善導といいますか、指導の面から、こういうものをつくったということですから、これはまたちょっとあとで伺うことにいたします。  それで、国税庁からも来ていただいたんですが、電話の加入権に質権を設定しておる、そういう加入者に対して、国税を滞納して、その処分が行なわれるというような例がかなりあると思うんですが、これについては、国税庁のほうで、大体その数をおつかみになっておられるかどうか。  実は、これは公社のほうにちょっと私申し上げたかったんですが、資料の面で、前回改正案を出したときには、いろいろ資料をいただきまして、参考になったのですが、今度は、最後に一つだけ、「電話加入質権に関する臨時特例法関係」といって「電話加入質権の取扱い状況」ということだけこれ載っておりまして、ほかは何にもわからないのです、これ。ですから実態がどうなっているかということがよくわからないのでございますが、質権者別質権設定状況とかですね、それから特に、質権設定に関して取り扱いができる国民金融公庫、中小企業金融公庫、それから商工中金、信用金庫、信用協同組合、相互銀行、その他政令で定める金融機関これはおそらく労金等も入っていると思いますが、そういったものが、一体どの程度、この間に質権設定をしておるのか、そういうことがよくわからないのですよ、これは。そのほか、信用保証協会、事業協同組合、いろいろあるのですけれども、こういうものは、ひとつ、できたら各通信局別——県別までわかれば一番いいのですが、そういうものを、あとからでもいいですが、出していただけませんかね。そういうものがあればすぐわかるのです。私の手元にあるのがちょっと古くて、四十五年の資料しかないのですけれども、これでも、全国、国税滞納処分、及びその例によるものですから、地方税とか、あるでしょうけれども、三十二万五千百五十七件ありますね。それで、実際に、三十二万五千百五十七件の質権に対する差し押えがありまして、実行をされたものはどのくらいですか。こういう統計的な数字はおわかりですか。
  138. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) ただいま先生のおっしゃいました資料のうち、詳細な通信局別のものは、後刻つくりましてお手元へお届けをいたします。とりあえず、私どものところで、いま参考資料にございます四十五年度のほかに、四十六年度の新しい数値で、先ほど先生のおっしゃいました質権設定での業種別の内訳を概略申し上げます。
  139. 鈴木強

    鈴木強君 遠藤さん、それはあとで資料でいい、時間がないから。
  140. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) それじゃ、いまおっしゃいましたもの全部を資料で提出いたします。
  141. 鈴木強

    鈴木強君 それで、できれば国税滞納処分の分だけでも、加入質権が設定されたものに対して、差し押えをされたというものの件数はわかりませんですか。
  142. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 質権実行件数ですね。
  143. 鈴木強

    鈴木強君 実行件数を知りたいのですけれども
  144. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これも国税滞納処分によるものと、民訴法によるものと二つございますので、ちょっといま整理をいたしまして、あとで御提出いたします。
  145. 鈴木強

    鈴木強君 これはひとつ正確に統計をとっておいてほしいですよ。あると思いますからね。だから、あとでひとつ資料は出してもらいますが、国税庁のほうで大体実行件数というのはおつかみですか。
  146. 山田幹人

    説明員山田幹人君) 私どものほうの統計でございますけれども、全体として統計の簡素化の見地から、こまかいことはとっておりませんので、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、電話加入権に対する国税の滞納処分による差し押えは、推定で、約五万件前後ではないかとつかんでおります。先生のお話のように、もし三十数万件が正しいとするならば、残りは地方税ないしは国税滞納処分の例によるということで、最近、社会保険関係の処分がかなり進んでいるように聞いております。  それから、先ほどお話がございました質権が設定されている電話加入権につきましても、あとから追っかけての差し押えというのはできます。また、その場合の優先劣後の関係につきましては、差し押えがありました国税の法定納期限等の日と、質権設定の日とどちらが早いかということでもって優先劣後の関係を判定することになっております。なおつけ加えますならば、電話加入権の差し押えを行ないましても、通話が制限されるわけではございませんので、その点あわせて電電公社に対する差し押え通知だけで、ものごとが済みまして、対外的に信用その他に関係もいきませんし、手続も簡単でございますので、小口の滞納処分ないしは先ほど申し上げました社会保険関係でそういう数字があらわれているのではないかと考えております。
  147. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に大事なところですから伺っておきたいのですけれども、国税徴収法第十五条によって質権の設定されておる電話に対して差し押えは可能でしょう。ただし、その場合には、いまおっしゃるように、質権設定の日とそれから納税の告知書を出した日のどっちが早いかということによってきまると思うのですが、それは原則として私はあなたのおっしゃるとおりだと思いますが、ただしその場合、私たしか条文を忘れましたけれども五十何条ですかに第三者等の云々という規定がありまして、そうであってもこれを慎重に発動しなければならぬというか、実施しなければならぬというのがございますから、その辺多少競合するように思うので、これのやり方についてはかなり慎重を期してもらいたいと私は思うのです。  ただいま課長おっしゃるように、確かに電電公社といろいろ協定というか、話し合いがされておって、こういう差し押えをいたしましたという通知を出した場合に初めて、公社のほうでは、原簿に差し押えされたということを記入するわけですね。しかし、電話がかけられないわけでもないし、かかってくるから、確かに差し押えたことが対外的にはわからない。その加入者と電電公社しか知らないわけですね。しかしおそらく、そういうことを私はあまり勘ぐりたくないんですけれども、国税を滞納した、よしこれを取り上げてやれという、皆さんそういう役職だから、あの手この手でやるでしょう。しかし、その場合に、電話を差し押えるというのは、いま言ったように影響があまりない。しかし、非常にこれは信用にかかわりますからね。何回か督促をして、いよいよ三回目に、いつ払ってくれというときに払わなければ、これは公売すると。そうなると、官報で告示する。そういう手続になると、信用問題で、たいへんなことですから、一回くらいはちょっとがまんしているかもしれないが、二度目には急いで、あわてて納めるということになると思うのですね。  私は、五十何条だか、はっきり条文はわかりませんけれども、第三者保護という規定があるわけですから、必ずしも十五条だけでやるのだという、それがやりやすいからやるのだという、そういう考え方がもしあるとすれば、改めてもらわなければいけないと思う。私があるいはあなたのような立場になれば、安直に、しかも一番徴収するのにやりやすいですからね、そういう考え方をめぐらすかもしれませんけれども、しかし、その際に、五十何条か何かにあることをやっぱり私は思い出して、たとえば、他に差し押え物件がある場合には、それをやって、できるだけ電話のほうばあと回しにするとか、そういう誠意のある——いずれこれは中小企業の方だと思いますがね、中には、悪意があって税金を滞納するということはいけません。やはり国民である限り税金は正しく払わなければならぬけれども、しかし、いろいろな事情で滞納する場合もあるわけですから、滞納するほうだってこれは心の中では済まぬと思っているでしょうし、早く払いたいと思っているわけですから、だからもう少し、時には威嚇だとか、おどしだとかというふうに、それらの人たちからとられるような、そういうことだけは、厳にこれは慎んでもらいたいと思うのですね。  この競合の問題については、法律改正をしたらどうかと思いますけれどもね。いまにわかにそう申しても、問題が残るから、これは検討課題とするのですけれども、いま申しましたような点、ひとつ皆さんの基本的な姿勢として、私の申し上げたようなことをひとつ念頭に置いて、少なくともこれらの方々が、国税庁は威嚇的な行為をしてやったというような非難が起こらないように、ぜひしてもらいたいと思うのです、この点いかがでしょう。
  148. 山田幹人

    説明員山田幹人君) 先生御指摘のとおり徴収法四十九条には「差押財産の選択に当っての第三者の権利の尊重」という題でございまして「徴収職員は、滞納者の財産を差し押えるに当っては、滞納処分の執行に支障がない限り、その財産につき第三者が有する権利を害さないように努めなければならない。」という規定がございますし、また、その次の条では、第三者からの差し押えがえの請求ができるというような保護規定がございます。私どももこの趣旨に沿って第一線を指導しておりますし、今後とも先生お話のような趣旨を体しまして、他に適当な財産があれば、すでに質権の設定されておる加入権の差し押えは、なるべくこれを避けるように今後とも指導してまいりたいと思います。そういったことが行なわれているがために、先ほど申し上げましたように、国税としては五万件程度にとどまっておるのではないかと了解しております。
  149. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。私の五十何条というのは、四十九条でございましたから、私、ちょっと条文を記憶違いしていましたが、わかりました。どうぞひとつそういう御趣旨で、これからもやっていただきたいと思います。ありがとうございました。  それから監理官、さっきの社団法人全日本電話取引業協会ですね、これがつくられたそうですが、趣旨は私はけっこうだと思います。  ただ、いろいろと最近になりましても問題が出ておりましてね。たとえば、これは私のところへ特別に山口の方がこういう具体的な例があるからといって、こんな書類を一緒に送ってよこしたのですがね。これはあとから監理官に見てもらいますがね、公社の方も見てもらいたいのですが、こういう事件です。昨年の十月ごろから、山口県の柳井市というところを中心にして、日本電債というセールスマン数名が家庭を訪問し、日本電債に委任すれば、いかにも早く電話が架設できるかの発言をして、一件につき三千五百円あて徴収しています。一応書類上では、公社、警察とも詐欺にはならないという見解をとっているが、今回、徳山市から、この事務所が引き揚げてしまったんですね。このため実質上事務処理というものが不可能になって、多数の市民が迷惑を受けておる。これは、昨年の十月ごろから多くの人々から苦情が持ち込まれて、いろいろ調べてみたんですが、電話がつかないと言うんですね。こういう事情をよく心得ておって、それをネタにして、悪罵業者が、こういう悪いしわざをするという、これは具体的な例でございます。  で、ここには債券の契約事項とか、いろいろ事務手続き変更についてのお知らせとか、それから委任状とか、こういうものが全部書類がありますのですが、それから「電話債券は日本電債へ」と、こんなりっぱなパンフレットをつくっているんですね。こうして三千五百円という手数料を取って、善良な電話を引こうとする人たちに、迷惑をかけている例があるんです。これはたまたま一つの例だと思いますけれども、今後も、こういうふうなことはまだあると思いますから、出てくると思いますから、こういう取り引き業協会ができた以上は、活発な、ひとつ活動をしていただいて、悪罵業者を征伐して、善良な加入者を守ってもらいたいと、こう思うんです。  電電公社のほうでも、いつのでしたか、古い資料で月日は、はっきりはこれに書いておりませんけれども、こういう悪罵業者がはびこったころに、具体的に漫画で書いて、電電公社が周知宣伝をしたことがあるんです。公社のほうでも絶えずこういう宣伝をしていただいておると思うんですが、公社のほうとしても、これはひとつよく監視をしていただいて、そして、たとえば電話を引く場合に、債券を持たせます、加入者債券を持たされますね。この債券を、場合によっては、売って換金して、百円のが百円以上になっており、逆に債券の値段が上がっておりますからね。いまはあまりそうないでしょうけれども、九十何円というのは、当時はよくごまかして、できるだけ自分のふところに多く入れるような形で、中にあっせん業者が入ってやるケースがあるんですね。だからこれは、しっかりした取引業者というものが、中に入るようにしませんといけませんので、その辺は非常に法律的には取り締まりがむずかしいと思いますけれども、何かりっぱな証券業者あたりとも、よく日常相談をして、そういう方々が債券を換価するような場合には、お世話をするというようにすれば、あまり問題が起きないのじゃないかと思うのです。これは一つの例ですけれども、こういうような例があるだけに、最初申し上げましたように、おそきに失した、いまごろつくるのは、少し時期はおくれておるけれども、つくったことはいいことですから、ひとつこれを活用して、力を発揮してもらいたいと思います。
  150. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいまの案件につきましては、早速調査いたしまして、御趣旨に沿うように善処したいと存じております。
  151. 鈴木強

    鈴木強君 まだまだこの質権についても意見がございますが、時間の関係で、残念ですけれどもこの程度にしておきます。  それから最後に、この退職手当のほうの法律のことですけれども、これはなかなか私心配をしておる点が一つあるのですが、たとえば、五十七年末になりまして、聞くところによりますと、電電公社から郵政省に委託をしていて、残るマグネット方式の局が四百局とか聞いておりますね。五十七年末で四百局になるんじゃないでしょうか、五十八年以降はほとんどマグネットの局は残らない、五十二年末になったら四百局ですか、そうして五十八年以降はもうその心配は全くないというのかどうなのか、その場合に、公社でもこの法律の適用を受けるわけですから、電電公社の面で、そういう心配はないのかどうかということが一つですね。  それからもう一つは、電話というのは、これは特殊なお仕事でして、日本では、婦人の方々が、電話の交換手さんとして、長い間職場を守ってきていただいております。また、いまも守っているわけですね。将来も守っていくでしょう。しかし、これがやがて郵政省、いま申し上げたように、全然委託というのがなくなって、いまの働いている女子交換手というのが、なくなってしまうという事態になる、また、電電公社のほうも、ダイヤル即時というのが、どんどん進んでいって、交換手さんの職場がなくなってしまう、そういうことが予想されるわけですけれども、今後、これらの婦人労働者に対する対策というものは、一体郵政省はどう考えておるのか、あるいは電電公社のほうでは、それに対してどういう考え方を持っておるのか、この点をひとつ。
  152. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) お答えいたします。  先ほどの委託局が残る件でございますが、これは五十二年度終わりましてもなお残るのが約四百局ということでございます。それから、これは五十七年度末までにできるだけ早く改式をするということで考えておりますが、その場合に、郵政側の委託局は自動改式でございますが、私たちのほうはそれに伴いまして、郵政の委託局が自動化するに伴いまして、市外通話を自動化するという関連があるわけでございますが、これは郵政の委託局が改式されますと、同時に市外通話の自即化に持っていくということでございますので、時期的にもそれでできるのではないかというふうに考えております。  それから、最後にございました女子の職転、配転等でございますが、これにつきましては、労働組合とも十分話し合いをしておりまして、先般、四十三年でございましたか、女子の職域拡大ということで、女子はオペレーター部門だけでなくて、営業、共通、それから保全の機械部門というようなところへ職転をするということで、現に営業部門関係で、通信局によりましては、五〇%程度が女子になっておるというようなところもございまして、女子の職域拡大等で、これを措置していくということで考えております。  それからこういう自動化が行なわれましても、市内の番号案内、あるいは市外の番号案内、これは加入者がふえますと、自動的にこの利用がふえていきますので、全部相対的に減っていくということではございませんで、自動改式とか、市外の通話の自即化に伴っては減りますが、市外、市内の番号案内はふえていくわけでございます。  それから、そのほかに、市外通話をオペレーターを通して通話する部門もございますので、これもある程度ふえていきます。ふえる部門と減る部門がある、こういうことがございますことと、先ほど申し上げた女子の職域拡大というようなことで、これに対しましては組合とも十分打ち合わせをしながら労働不安の生じないように対処していく、こういうように考えております。
  153. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 前段につきましては公社と全く同じでございます。  後段につきましては、私ども全体の職員の中で約六万名弱が現在女子でございます。そのうちで、二万名くらいが交換の仕事をやっております。したがいまして、差し引きまして、約四万名というものが、電話の交換以外の仕事に女子として現についておるわけでございます。現実に、電話の交換が自動化ということになりまして、要員が過剰になりました場合に、そういったことで、付近の郵便局等に配転を、現実に女子の場合いたしております。御案内のように、無集配郵便局でありますとか、あるいは集配郵便局でありましてもそうでありますが、あるいは普通局、そういったところで、この郵便の仕事は、外勤のほうは、これは女子でございますので、あまり適しませんが、内勤方面には、本人の考え方というものも聞きました上で回わしておる、こういうことでございます。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 総裁ですね、これから十年間、相当思い切った計画を遂行していくわけですけれど、技術革新その他の面での研究もかなり予算をとっておやりになると思うんですけれど、と同時に、要員的な、全職員に対する全事業を運営するために必要な要員措置の問題、同時に、この仕事をしょっていく全職員に対する待遇改善の問題、こういう点については、従来から、電電公社は、第一次五カ年計画を実施する当時から、労使間で非常にお互いに合理化というものか、どういうテンポで進んでいくか、終局的にはどうなるか、それに対してあらかじめ、どうしなければならぬかということをお互いに話し合い、理解し合って、一つの協定も結んで今日まできておるわけです。ですから、郵政の労使慣行等から見ると、私は、電電の場合は、全く月とすっぽんの差があるくらいよくなっている、いいと思います、率直に言って。ですから、そういう労使関係というものは、まことにお互いの真摯な気持ちといいますか、謙虚な気持ちの中に、よき労使慣行が出てくるので、その立場を尊重し合っていくというところに、私は今日の電電のあり方があると思うんです。これは、一朝一夕の中で出てきたわけではなくて、長い歴史の中で今日の実績をつくったと思います。そういう意味では、この事業をなすも、なさないも、そこに私は、かかってきていると思いますから、こういう点については、ぜひひとつ総裁として最大の留意をして、要員措置の問題、待遇改善に関する改善その他をやってもらいたい。これをひとつ最後に総裁から伺いたい。
  155. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  電電の労使関係につきましては、ただいま鈴木委員の御指摘のように、長い経過をたどりまして、特に昭和四十年以降は、労使近代化路線というものが、いろいろ曲折がございましたが、それを走っている次第でございます。今後、非常に大きな拡張もやらなきゃならないし、また、いろいろ配置転換、職転等も起こりますが、十分労働組合等の理解と協力を得て進めていきたい、こういうふうに思います。
  156. 鈴木強

    鈴木強君 要員その他はいいですか、待遇改善については……。
  157. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) もう一つ、処遇の改善等につきましては、現在たとえば、生産性協力向上手当というようなものも特別に支給しておりますし、今後もそれらにつきまして、全般的によく生産性のあがっている面につきましては、十分配意して努力いたしたいと思います。
  158. 鈴木強

    鈴木強君 これはもう一つ大臣に対するお尋ねですが、私は、たまたま議事録を見たのですが、昭和三十五年の四月十九日に拡充法、延長の際に、私が十三年前に討論をした速記録がございます。私は、この点がやはり現在におきましても一番公社経営のかがみになると思うのですね。郵政大臣と公共企業体のあり方について、つい意見をかわす機会がなくてまいりましたので、非常に残念に思うのでありますが、歴代郵政大臣と私はこのことについては、幾たびか意見を戦わしてまいったのですが、非常に大事なことでありますから、ちょっと私ここに当時の速記録を読み上げてみますけれども、こういう問題点をぜひ解決をして、公共企業体本来の機能を発揮できるようにしてもらいたい。こういうことで、当時の考え方と私の考え方といまも変わっていませんので、最後に大臣の所見を承りたいという意味で、私は、この意見を申し上げるわけですが、ちょっと聞いてもらいたいと思います。  私は、このときには反対をいたしました。その「反対理由を申し述べる前に、公共企業体経営の問題点について指摘し、政府に対し、厳重なる警告と反省を求めておきたいと思います。  御承知の通り、わが国の電通事業は、明治二年に国有国営の形態をもって発足し、昭和二十七年八月一日公共企業体経営に移行されたのであります。しかしながら、今静かに過去八年間の歩みを振り返ってみるときに、公共企業体とは何かの疑問が大きく残されているのであります。すなわち、公共企業体経営の基本方針は、国営の長所と民営の長所を織り混ぜたものであり、この思想に立って、経営の独自性と自主性を経営者に与え、一方、職員に対しては、一般公務員と異なり、職務の内容と責任に応じ、かつ、発揮した能率を考慮して、適切な待遇が与えられることになっておるのであります。しかるに、今日これらの諸点が、ほとんどぼかされているのみか、逆に、事業に対する不当な干渉と介入が強くなされて、経営の自主性は失われ、国有国営形態に戻りつつあることは、まことに重大といわなければなりません。これは政府の公共企業体に対する認識の欠如とともに、現行公社制度上の不備欠陥に根本的な原因があると思うのであります。極言すれば、公共企業体経営は、アメリカの直輸入であって、わが国においては、これを受け入れるだけの準備態勢がなかったともいえるのであります。しかるがゆえに、今日まで二回にわたり、公企体のあり方について審議会から答申がなされ、その都度抜本的な改革が強く要求されているのであります。  ところが、政府は、これらの答申に対しても、われわれのたび重なる追及があるにもかかわらず、検討をして実施に移すという答弁をしつつ、何ら具体的な検討を行なわず、放置していることは、無責任もはなはだしいものであって、絶対に容認することはできないのであります。  かくのごとき情勢に立たされつつも、これらの悪条件を克服して、すでに電電公社は第一次五カ年計画を完遂し、サービスの面においても、能率の面においても、また事業収入の面においても、戦前の水準を大きく上回る成果をおさめておるのでありますが、これは設備の近代化、オートメ化、合理化等、職員の労働条件を圧迫する諸問題が、次々に発生する中にありながらも、全職員の事業を思う一念と、言語に絶する涙ぐましい努力がなされたによるものと信じます。従いまして、公社が第二次五カ年計画の拡大修正に踏み切るにあたり、政府が、何よりも先に実施しなければならないのは、事業の生々発展をはばみつつある現行公社制度の不備欠陥の是正にあると存じます。  しかるに、この不可欠の必須条件については、何ら手をつけず、事業の持つ公共性を無視して、加入者負担金を増大することによって、無理な建設資金の調達を考え、職員の労働条件についても、その特殊性は何ら認められず、職場のすみずみに至るまでみなぎりわたっておる不満をそのままにして、事業の拡充発展を推し進めようとする公社と政府の態度は、本末転倒もはなはだしく、これでは、今後長期にわたる計画が画餅に帰することは必定であり、われわれの絶対に自信と責任の持てるものではありません。  法案審議の中で、植竹郵政大臣は、私の質問に答えて、明らかに制度上の不備を認めておられるのでありますから、今からでもおそくはありません、すみやかに審議会の答申に検討を加え、一つ、拘束予算制度を撤廃して、決算主義を採用すること。二つ、公社の取扱いにかかる現金の国庫預託制度を廃止すること。三つ、公社の自主性を強度に確保すること。四つ、職員の退職手当制度は、現行の国家公務員退職手当暫定措置法の適用を除外して、団体交渉によってきめること等々の法改正を行ない、以上の改正が行なわれた後に、拡大のための長期計画を樹立されるよう、要求するものであります。」  これは十三年前ですから、内容は、ここに非常にことば上当てはまらない点があることは、率直に私も認めるのでありますが、私が、いま問題にしたいのは、公社法の改正ということについて、二十九年、三十一年と二回にわたって、公共企業体審議会から、自主性の確保ということを中心にして、予算制度にもわたる答申がなされております。これが毎年毎年、検討する検討するということで、延ばされて今日に至っていることは、非常に私は残念なことでございます。そういう意味で、大臣に対して公共企業体の本来の姿に持っていくための、答申の内容の尊重と実施をお願いしたいわけです。あと、表現上、あるいは問題点として、私が言っていることは、これは、時代の推移で、当時から、たいへんよくなっていることも、たくさんあるわけですから、その点はひとつ聞かないことにしていただいて、いまの点だけ大臣の所見を承っておきたいと思います。
  159. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) たいへん示唆に富んだ御意見だと思うのでありますが、問題は当事者能力ということが根底になっているようでございまして、この点につきましては、今日、公務員制度審議会で検討が続けられているわけでございますけれども、そういうようなものも含めて私どもの検討課題として、将来十分勉強してまいりたい、こういうふうに考えております。
  160. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。次回は明後十八日に開会することにいたします。  この際、委員長から申し上げておきます。鈴木委員から各種、多様な御要望あるいは意見もございました。そして関係資料の要望もありましたので、可及的すみやかに資料の御提出を御要望申し上げておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十分散会      —————・—————