運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-03-23 第68回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十三日(木曜日)    午後一時三十一分開会     —————————————    委員の異動  三日二十三日     辞任         補欠選任      森中 守義君     野上  元君      山田 徹一君     塩出 啓典君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         杉山善太郎君     理 事                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 森  勝治君     委 員                 今泉 正二君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君                 塩出 啓典君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君    政府委員        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        文部省大学学術        局視学官     遠藤  丞君        郵政省電波監理        局放送部長    江上 貞利君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会専        務理事      竹中 重敏君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会専        務理事      大村 三郎君        日本放送協会専        務理事      松浦 隼雄君        日本放送協会専        務理事      藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会理        事        吉田 行範君        日本放送協会理        事        坂本 朝一君        日本放送協会理        事        斎藤  清君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いまNHKから出していただいた資料をざっと見たのですけれども項目は出ているようですが、私が要求した資料は申し上げたように、もう少し具体的に知らしてもらいたいということを申し上げました。これは何も何かはじくり出そうというのじゃなくて、あなた方が二十億程度の非常に節約をされたということを聞きまして、どういう方面にどういう努力をされたかということをよく知りたいんです。そういう意味要求したんですけれども、たとえば、一番初めに書いてありますが、経費節減ですね、支出面経費節減、ずっと項目書いてありますが、たとえば、中継放送局その他の施設の維持運用経費の減、五億円と書いてありますね。これなんかは、おそらく具体的にどこの中継局をどうするというようなことを積み重ねて、五億の積算が出たと思うのです。だからどこどこをどうして五億というものが出たんだということを、具体的に知らしていただきたい。これは当然あなたのほうにも資料があるから、五億円というものが出たんだと思いますから、五億をお出しになったのは、どことどこをどうやって五億を浮かせました、どういうことだと思いますが、御承知のように、これは言うまでもないことですけれども、たとえば、官庁経費節減なんてことを行政官庁でよくやられますけれども、そういう場合には、たとえば定員は百名削りました。物件費の中で合理化を、こういうような方法によってこれだけ削りましたというようなふうに、非常にこれは具体的にあげられるわけですが、そうしないと、何といったって出てこないわけです。だから、五億なり、二億なりと書いてございますが、これの積算根拠になる具体的な事実をなるべく詳細にあげて、資料としていただきたい。  それから、契約をされた方で受信料の徴収ができないという方のここに数字であがってますけれども、大体こういう数字は、いろんな機会に伺って了承しておるのですけれども、問題は一番最後に書いてあります滞納契約者に対する施策と書いてございますね。三つほどあげてますね。おそらく、これも毎年のように同じようなことを繰り返しておられると思います。思いますが、それについて知りたいことは、たとえば、外務員が理解を求めて促進するために戸別訪問をしたりして回わっておる。それで、四十七年度はこれからですからわかりませんが、過去において毎年同じようなことをやっておられるのですけれども、どのくらいの効果をあげておられるかということを知り得るような資料はありませんか。  それから、受信障害の解決、これは有線に直したり、あるいはアンテナを直したりというので、いろいろ基地の周辺とか、あるいは新幹線とか、あるいは国際空港とかというようなところで、協力しておられる事実は知っておるのです。知っておるのですが、それで、どのくらいの、過去において四十五年度はこうだ、四十六年度はこうだというような実績があるはずですね。これだけ努力しているんだけれども、これだけの効果しかあがらなかったということになるんじゃないかと思いますけれども、その実績を知らしていただきたい。  それから、文書による督促等とありますけれども文書によって督促して、ほんとうに受信料払ってくれればこれはありがたいことですけれども、これなんかに対しても、どういう反響があったのか。私はNHKはこれ以外に収入ないんですから、少しこれを詳しく知らしてもらって、ここであなた方とも意見の交換をして、与えられた収入の財源をどうしたら確保できるかということについて、少し討議してみたいと思いますので、そういう意味で、これを具体的にもっと事実のわかるような資料をお出し願いたい。月曜日まででけっこうです。
  4. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 新谷君の要望の趣旨に沿うて、お出しいただくように申し上げておきますが、いかがですか、ようございますか。
  5. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 関係の理事の手元に、いろいろ積算根拠等につきましては十分精細な資料がございまして、非常に膨大でありますので、一応それは御答弁によって補足をしようというつもりでございますけれども、ただいま御要求の御趣旨もございますので、御満足いくかどらかは別として、できるだけ私どもといたしましては、これを補完する意味資料を御提出申し上げたいと思います。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでいいですけれども、これをもとにしまして、一つ一つ項目について答弁を求めますと、たいへんな時間がかかります。だから資料要求というのは、なるべく時間を節約して、審議を促進しようということなんです。ですから、なるべくいろいろこまかい資料出していただくと、質疑の時間もそれだけ非常に短くて済むということですから、限られた質疑時間ですから、なるべく詳細な資料を出されるように御配慮願いたい。     —————————————
  7. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求める件を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。鈴木君。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 NHK昭和四十七年度の予算について若干の質疑をいたしたいと思います。  いまさら申し述べるまでもなく、NHKは全国の視聴者受信料によって、その経費をまかなっておるのでありまして、この委員会はいわば株主総会に当たるのではないかと思います。ですから、私たちは受信者一人一人の気持ちをよく感得をして、そうしてその上に立って意見を申し述べるわけであります。したがって、少しこまかい点や何かもあると思いますけれども、どうぞ協会側から受信者一人一人にお答えいただくというようなお気持ちできょうはお答えをいただきたいと思います。  まず、本論に入ります前に、二、三やはり関連して伺いたいことがあります。それは第一は、電波放送両案の改正の問題でありますが、これは決算の際に大臣から、今国会への提出ができなかった理由については伺いました。その点は非常に不満足ですけれども、残念ですけれども、やむを得ないと思います。それでは今後両法案の改正をどういうふうにお取り扱いになるのか、次の通常国会には必ず出していただげるというようなことになるのか、あるいは昭和三十九年臨時放送制度調査会答申が出て以来かなり年月がたっておりますから、その後の情勢推移等からして、もう一度何かそういう専門的な機関に大臣として諮問をして、それからやろうというようなお気持ちがあるのかどらなのか、そういう点も含めてお答えを願いたいと思います。
  9. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 電波放送法改正の件につきましては、ただいまお話のように、NHK決算審議の際、当委員会で御質問がございましたから、私からお答えをいたしたとおりでございますが、昭和四十一年度の第五十一国会に、その前にできました臨時放送制度調査会答申を大いに参釣いたしまして、政府から両法律案国会出したわけでございますけれども、とうとう審議未了で不成立に終わったわけでございます。その後ずっと郵政省といたしましては、なるべく早い機会国会に両法律改正いたしますような法律案出したいということで考え続けてまいっておりますわけでございますが、なかなか成案を得なかったということで、今日に及んでおりますわけでございますけれども、実は私郵政省に参りまして、問題点もいろいろありますことは御承知のとおりでございまして、そういうようなことを踏まえて、何とか今回の通常国会政府といたしまして提案いたしたい、改正案出したいというように考え勉強を続けてまいりましたわけでございます。幸いに、党のことを申して恐縮でございますけれども、与党のほうにおきましても、そういうような御意図で、御承知新谷委員会ができまして、たいへん鋭意御勉強を続けてくださったのでございます。政府政府といたしまして、これと並行いたしまして自主的な立場勉強もし、検討も進めてまいったわけでございますが、どうも政府といたしまして自信を持って国会に提案するというような成案は今回もまた得ることができなかった、まことに残念千万に思っております。前回も申しましたように、政府が出すということになりますれば、各方面世論も十分拝承いたしまして、放送業者はもちろんでございますが、また有識者、各界の御意見、また各政党の御意見も承りまして、こういうことも参考にいたしまして、最終的に政府の案というものをきめまして出したい、自信を持った案として提出をしたいというように考えておったのでございます。そういうようなことがとうとうできないままに今回終わったわけでございまして、まことに残念に思っておりますわけでございますから、なるべく早い機会に、私ども考えといたしましては、もちろんこの次の通常国会に、かなり大きい法律でございますから、御審議には相当日数を要することでございますから、通常国会出したいと思っておりますので、この次の通常国会に出す目途で、郵政省の中に電波放送法改正のための特別な小委員会でもつくろうと、私みずから先頭に立って、そのように勉強していこうじゃないかということも申し渡しましたので、そのような体制が近々のうちにできる。どうせ電波監理を担当いたしております役人の幹部が中心になるかと思っておりますけれども、そのような体制省内に整えて、そうしてこの次まではぜひ成案を得たい、こういう考えでおります。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 提出の時期についてはわかりました。ただ、あとのほらの具体的な方法やり方——この前私は一般的な形で私ども意見大臣に申し上げましたが、われわれの意見も尊重して十分研究をしていただいておりますけれども、特に前回のような特別な調査会をつくって、そこへもう一回再諮問をするというようなそういう考え方はお持ちでないわけですね。
  11. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 前回は、御指摘のように、昭和三十九年度でございましたか、臨時放送制度調査会ができまして、その御答申をいただいて、それに基づきまして、それを参考といたしまして、四十一年度に両法律案提出いたしたわけでございまして、今度提出ができなかったわけでございますけれども、新しくそのような調査会を設けようとは考えておりません。省内にただいま申し上げましたような特別の小委員会をつくることは考えておりますが、まあ、前回調査会の御意向はわかっておりますので、そういうことももちろん参酌いたしまして、重ねてそういう調査会をつくるという考え方は現在は持っていないわけでございますが、しかし、最近の情勢昭和三十九年度とは多少違っておりますから、各方面世論、御意見というものは十分承りたい、しんしゃくいたしたいと、こういうような機会は十分つくりたいと、こういうように考えております。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 私が方法の問題についてあえて伺ったのは、われわれは年来放送電波両法の改正を促進するという意味意見を述べてきました。それはあくまでも前回、三十九年の臨時放送制度調査会答申というものを踏まえているわけですね。ですから、そういう意味においてのことなんです。その点はわかりました。  ただ気になるのは、その後の情勢の中で、いろいろ意見も聞かなければならぬというようなお話がありましたので、ちょっと心配になりますから念を押すのですが、これは前回も、憲法における言論、報道、表現の自由というような問題はかなり大臣も踏まえてやっていただくということですから、一応安心しておりますが、もう一回念のために伺っておきたいのです。というのは、十二チャンネルの「スクープ」問題なんかも前回出しましたけれども、こういう問題を契機にして、どうかすると、法律によって言論を統制していくというような、そういうような考え方がすぐ飛び出してくるわけですね。これは誤りであると私は思います。ですから、放送番組審議会というのがそれぞれあるわけですから、その審議会——少なくとも放送法電波法に基づいて運営している放送局ですから、その目的なり使命というものを十分自覚されて、国民のためになる放送、役立つ放送、こういうことをあくまで基本にして番組編成していくというためにはあくまでもこの番組審議会というものにやっていただくべきですね。何か少し左寄りだとか、公序良俗の問題というようなことになりますと、法改正が先に飛び出してくる。これは誤りだということをこの前申し上げたのです。ですから、あくまでそういう法律によって規制するということじゃなくて、自主的に判断を公正な立場においてやっていただくという、そういうところに置かなければならぬということを私は申し上げたんです。実はそういう点についてはあまり制限を置かないで、直ちに法改正にいくというその考え方を警戒してほしいということです。そういう意味ですから、大臣、私の前の決算のときには私の意見に賛成をされておるんですね。もう一回そのことを念のために申し上げておきますが、よろしゅうございますか。
  13. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 放送番組内容につきましては御指摘のとおりだと思うのでございまして、各放送業者編成の自由があります。言論の自由というのは憲法で保障されております。これらをあくまでも尊重していかなければならない、そういう立場に立ちまして、私も大臣になりまして、放送業者番組内容についてはどうか自主的にひとつ向上を心がけてやってもらいたいということを大いに機会あるごとに強調いたしてまいったことは鈴木先生も御承知のとおりだと思いますが、また、法律のたてまえから申しましても、四十四条の三項に放送番組内容についていろいろ列挙いたしておりますわけでございますけれども、これは私は準則ということを申しておりますけれども法的強制力から申しますと、これは道徳的な基準と申しますか、よりどころというようなものじゃないかというように実は考えております。というのは、ああいうような三項に列挙いたしております各事項に違反したかしないかということは、放送の瞬間的な事実があってもだめだ、全編を通じてそういうようなことでなくちゃならない。そして、それも一回だけの放送ではだめだ、何回か繰り返さなくちゃならない。まあ政府のほうは、総体的にあれに違反することがあっちゃならないということを説明いたしておりますけれども、総体的というのは、具体的に申しますとそういう意味だそうでございまして、簡単にあれでとらえるということはできないわけでございます。また、たとえそういう事実が繰り返し、また全編を通じてございましたにいたしましても、ビデオテープをとっているわけでもない。そういうことはとっちゃ悪いということになっておりますわけでございますから証拠がない。証拠がないということになりますれば、すぐに電波法の七十六条に持っていって措置をするというわけにまいりません。でございますから、あの放送法電波法というのは強制力があるようで全くないというように私ども考えております。そういう点をいじる必要があるかどうか、これは一つ問題点と思いますけれども、率直に言ってなかなか直接には強制力がないというように考えておりますわけでございまして、しかし、そういうことでありますから放送業者が自主的に御判断を願って、良心に従って番組改善に努力していただくという以外に私は効果がないように考えております。しかし、先生承知のように、最近のように世上暴力が横行いたしております。また、ベッドシーンと申しますか、わいせつに類するテレビの内容のものもよくありましても、家庭でああいうものを見せていいのかどうかということを非常に私ども心配するようなことも多いわけでございまして、そういう暴力あるいはわいせつ行為ベッドシーンと申しますか、というようなことは、四十四条の三項にうたっております公序良俗、これにはひっかかると思いますけれども、含まれておるとは思いますけれども、もう少し、どうせ道徳基準でございましても、やはり暴力とか、わいせつとかいうようなことがあっちゃならないというようなことを具体的にあの四十四条の三項に列挙ずるぐらいは必要じゃないかと私は考えておりますわけでございます。しかし、これはさっき鈴木先生がおっしゃったように、編成の自由、言論の自由というようなこととも考え合わせてどういうふうに最終的には措置すべきかということで、非常に私も苦慮いたしておるわけでございます。最近のように、暴力あるいはわいせつシーンが多いということになりますと、ちょっと考えさせられるということを御参考までに申し上げておきます。しかし、原則としてはあの四十四条の三項、これをあえていまどういうふうに当たろうという具体的な案は持ち合わせておりません。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 個々の番組に対する見方とか、受け取り方というのは、それぞれ見る人によって違うと思います。ですから、大臣のおっしゃるように、確かにわいせつにわたるような、子供に見せたらどうかというような番組が流れるとすれば、これはやはり国民のひんしゅくを買うでしょうね。それからもし暴力を醸成するような番組が流されたとすれば、これは国民批判をしていくと思うのですね。イタリアにこの前行ったときに伺ったのですが、かなり罰則的な規定も設けておるようですけれども、その国その国によって違うと思いますが、日本の場合は、あくまでも、法律のたてまえなり放送基本的な姿勢というものは、国民一人一人が批判をしていくという、そういう考え方前提にしておるわけですから、これは、きわめてまれな民主的なやり方だと思っていますがね。ですから、そういう前提に立っておる放送誇りだと思うのです。その誇りを傷つけないように放送事業者考えなきゃならないでしょうし、またこの四十四条三項というのは、一般放送事業者にも準用される法律ですから、また、ここにもありますように、「中央審議会及び地方審議会は、国内放送放送番組の適正を図るため必要があると認めるときは、会長に対して意見を述べることができる。」というような項もございます。この四十四条の三というものが、大臣もさっきおっしゃったように、「会長に対して意見を述べることができる。」と、こういうふうになっておるわけですから、おそらく、十二チャンネルの「スクープ問題等もこの四十四条三に準拠して事情聴取をされたのじゃないかと思うのですけれども、こういう法律に基づいてやることも、やり方によっては憲法に保障された表現なり言論の自由というものに対しての介入ではないかというようにとられることもある。やり方ですね。これは私は非常にむずかしいところだと思うのです。政府番組も、民間も含めて満点という点はつけられない、われわれもそう思う点があります。それは大いに放送事業者が良識に訴えてやり直してもらうという、そういうたてまえを根拠にしていくのが基本だと思います。ですから、そういう考え方で、今後、新たな法律改正のときにやっていただけばいいんです。尽くすべき手段というのは、あくまでも審議会というものを重視して、そこに良心を求めて適正な番組をつくっていただくという方向にまずいくべきです。そして法律的な統制とか、介入とかいうようなことは絶対に避くべきである、私はこういうふうに思っているわけです。この点が一致していれば問題ない。その点はいいですか。若干、大臣はつけ加えるからまた心配が出てくるわけですがね。
  15. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ニュアンスは多少違うように私も考えますけれども番組内容につきましても、暴力の問題でありますとか、わいせつの問題でありますとかいうようなことについては、鈴木先生が全然顧慮すべき必要がないというようなお考えでございますれば、私は、やっぱりこれは一応考えに入れて慎重な態度でなくちゃならないし、大勢については顧慮すべき課題ではないかと、こういうふうに考えております。そういう点が多少ニュアンスが違うような感じがいたします。  それから各放送業者番組審議会中心としておやりになることは、これはそのとおりだと思うのであります。私が各放送業者に自主的に大いに改善をはかってもらいたい、努力してもらいたいと言うのはその辺にあるわけであります。さらに私は、先般の当委員会でございましたか、御答弁申し上げたと記憶いたしておりますけれども、あの放送番組向上委員会でございますか、NHK、それから民放あたりで共同に委員をお出しになって盛り立ててつくっておられますあの委員会というものをもう少し強化、拡充と申しますか、というようなことをお願いいたしまして、やったほうがいいんじゃないかというような考えを持っておるのであります。ただ各放送業者について番組審議会だけでという先生のお考えとは多少違っておりますわけでございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 やっぱり違うんですね。あなたは法一律改正の際にそれを考慮しようという考え方です。私はその前にやるべき手段があるんじゃないですかと、だから、やはり番組審議会というものの適正な運営と、それから放送業者の良識によって国民からひんしゅくを受けるような番組はつくらないように、流さないようにすることを、その前段のそういう段階があるはずなんです。それを全然やらぬとは言いませんが、あまりやらないで、すぐ飛ばして法律改正にいくことは間違いだということを私は申し上げているのです。大臣にはおそらくもうこの前も申し上げて、若干わかりましたけれども、ひでい番組があるのです。これに対しては多少放送法改正して規制を加えなきゃだめだ、そういう考え方があるんだろうと私は思うのです。それは非常に危険なんです。だから、それはやめなさいというのが私の考え方なんです。ですから、これはNHKの予算の審議ですから、法改正について無限にここで大臣とやりとりするわけにいきませんから、私は大臣意見が対立しているということはわかりました。それはおよしになったほうがいいですよということをひとつあなたに警告というか、要請しておきたいと思います。  それから十二チャンネルスクープのとき、これに関連して、大臣が十二チャンネルの幹部を呼んで事情聴取をされましたですね。そしてそれに対して何か警告というのですかね、そういうようなふうにとれるようなことをやられたのですけれどもね。四十四条の三項というものをどういうふうに解釈をされておやりになったのか、この点は若干私は疑問持っていますから伺っておきたいのです。
  17. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 十二チャンネルのあの爆弾事件でございますか、という番組内容につきましては、あれを取り上げて警察当局が騒ぎ出したような事実もございましたので、どういう番組内容であったかということについては、郵政省といたしましては知っておく必要がございますから、関係者においで願って事情を聴取したわけでございますけれども、警告をしたという事実は全くございません。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 それは大臣が直接お会いになったのでございますか。
  19. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私は直接会いたかったのですけれども、何か非常に忙しいことがございまして、私は会わずに事務当局が私の意を体して会ってくれたわけでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃ事務当局から、ちょっと当時の様子を教えてもらいたい。
  21. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 十二チャンネルの問題につきましては、いま大臣からも御答弁申し上げましたように、警察当局が警告書を出したという話を知りましたので、私どももどういう内容であるかということにつきまして、十二チャンネルの責任者に来ていただきまして、内容を伺ったわけです。そのとき十二チャンネルはこういう内容であったということと同時に、十二チャンネルとしても責任を感じて反省しているというような御答弁をいただきましたので、私どもとしては、それだけをお伺いしまして警告を発するとかということは全然いたしてないという状態でございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 そうであれば、まあ警告的にとれるような何かを言ったということを私、聞いておったものですから伺ったのですけれども、それからこの四十四条の三項というのはどういうふうに解釈をしておられるのですか。この条項によっていつでも事情聴取ができるというふうに判断しておるわけですか。
  23. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 私どもは四十四条の三項があるから、十二チャンネルを呼んで事情を聴取したということではございませんで、これはあくまでも私どものまあいわゆる行政指導の範囲の中で特に警察が警告書を出したという事実があるものでございますから、私どもとしてもどういう警察の警告書の内容であったか、また十二チャンネル番組自体がどうであったかということを伺ったというだけのものございます。四十四条三項とは関係ございません。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 これは設置法上の大臣の監督権というか、行政権というものか、そういうものによってやったというのですか。
  25. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほど申し上げましたように、いわゆる行政指導というものの範囲の中であると、私ども考えております。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 これはなかなかむずかしいですよ、行政指導というものは、こういう場合にはね。ですから、警察のほうで問題になったから直ちに呼んで聞いたということだと思いますけれどもやり方によっては非常に誤解も受けるし、かえって行政指導が行政指導にならないのですね。行政指導というなら、事情を聞いて何か言うべきなんで、ただ事情を聞くのだったら、行政指導じゃない、事情聴取です。行政指導というからには、聞いた上で、こうしなさい、ああしなさいと、法律には拘束されませんけれども、そういう意見を述べて反省を求めるなり、方針を変更してもらうなりするのが行政指導である、行政指導という立場であるなら、あなたが言うように事情聴取だけしたのであって、あとは何にも言いませんでしたというのはおかしい話で、そんな行政指導ならやらぬほうがましだと、私は思うのです。だからどういう意味で、私は事情聴取をしたかということがよく理解できなかったから伺ったのですが、今後こういう場合には私は慎重を期してもらいたいです。行政指導をどの程度まで指導するのか、その辺は非常に問題です。これは厳密に言いますと、藤木さんも専門家ですから、法律解釈は厳格にやっていただいていると、私は思いますけれども、ちょっと間違うととんでもないことになりますから、十分注意していただきたい、いかがですか。
  27. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) その点については、今後とも十分に注意いたします。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 それから、簡単にしますけれども、第二番目は、小林郵政大臣の当時、VからUへの転換方針というのを十年間でやるということを閣議了承を得て、方針を国民に明らかにした。その後、この方針は一体具体的にどういうふうに動いているのですか。前へ進んでいるのですか、とまっているのですか、うしろに引っ込んでいるのですか、これはどうでございましょう。
  29. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 小林大臣のときでございますから、いまから四年前の昭和四十三年ということでございますが、そのときにVからUへの移行の方針を出したわけでございます。その後、私どもとしましてはその方針にのっとりまして、具体的にどういうふうに移行したらいいかということをあらゆる角度から検討してきているわけでございます。ただ問題は、やはり何といいましても、この聴視者というものに迷惑がかかることのないようにしなければならぬという点をま第一とし、それからもちろんこの放送事業者、こういうものに対しまして問題もあるわけでございまして、その影響というものも十分に考える、あるいはまたこのチャンネルを切りかえる際にやはりVの局をそのままUの局に持っていく、こういうことは電波の伝わり方という問題がございまして、簡単ではないわけでわけでございまして、中継局も置かなければならない、あるいは別の場所に移さなければならないということもあるのでございます。そのほか、この移行に必要な経費というものも非常に重大な問題でございますので、そういった点を慎重に検討しているわけでございます。  それで、まず私どもとしましては、一番初めに申し上げました聴視者に対する問題ということを一番重要視いたしまして、ということは結局Uの受信機を普及しなければならないという点が一番大事でございますので、私どもとしましては、その点を第一に取り上げてNHKに東京、大阪に四十五年にUの実験局を設置していただいて、現在でもそれを進めているわけでございますが、それによりましてこの東京、大阪といった一番VからUへの移行をすることによって利益を得ると言いますか、要するに、VからUへの移行というのは移動無線というものの波が足りないために行なうわけでありますから、移動無線の波が足りないというのは東京、大阪といった大都市でございますので、そこをまず第一に取り上げて、いま申し上げた実験局をつくっていただいて、いろいろ技術的な問題を解決すると同時に、Uの受信機の普及ということを現在はかっておるという状態でございまして、まだ残念ながら具体的にVからUへの具体的な措置を進めるのには、もう少しUの受信機を普及しなければならないというふうに考えておるわけでございます。現在御存じのように、メーカーの側におきましても受信機は生産台数のほとんど九〇%以上がUも受かる受信機をつくっているという状態でございますので、相当な勢いで普及するとは思っておりますけれども、まだちょっとそこまではいっていないということを考えておるわけでございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 私は何回も申し上げているのですけれども、やはりこの方針を打ち出すときに、国民に対する理解、あるいは放送事業者に対する理解というものをあまり得られないままに、やや独走的に、独断的にこのプランを発表したところに今日のような足踏み状態が続いている原因があると思う。先般私は逓信委員会の視察で名古屋、大阪のほうに回りましたときにも一般放送事業者から非常に強く要請されたのは、何か思いつきみたいにやられて、現在の放送事業者立場というのはあまり考えてくれないという不満をかなり表明されました。で、いま電波監理局長がおっしゃったように、相当なやはり中継局がUの場合必要になってきますから、それに建設計画に対する費用はどうしてくれるのかとか、そういうことも出ておりました。ですから、そこいらのやはり理解と、一面また受像機もつけたり、何かやっておるようですけれども、それもやはり受信者の利害に関係することですから、将来Uへと、そういう一つの方針を持っておられることはけっこうですけれども、それに対するもう少し鮮明な、明快な国民に対する周知、それから、放送事業者に対する対策というものを考えないと、いまのような足踏み状態は長く続くと思うのです。十年間で皆さん自信を持ってそのとおりやりますというお答えはいまできないと思います。できますか。そういう足らざるを批判し、そうして、それを補って前進するような体制をつくっていただきたいと思います。
  31. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) おっしゃいましたことを十分に尊重いたしまして、また、先ほど申し上げましたように、やはり何と言っても受信者に迷惑をかけないということが第一でございます。また、放送事業者に対しましての問題もあるわけでございますので、さらに検討を進めまして円滑に実行できるように努力したいと思います。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 それから、ラジオのAM、FMの周波数の採用、そうして、それに基づくチャンネルプランですね、これも中波の場合は混信防除というようなことから大電力化の方向にやっていくようです。しかし、これも私が何か聞いておりますと、中途はんぱに思えてしかたがない。現在民放から増力の申請をしているのは何社ありますか、そうして、そのうちいままでに増力をしてくれた局は幾つありますか、残っているのは一体今後どういうふうにされようとするのですか、これを明らかに願いたい。
  33. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) ラジオの増力問題につきましては、これも相当前からの懸案でございまして、昨年増力できる最大限度といいますか、におきまして、NHKの第一放送は三百——五百キロというところまで増力することにし、また民放につきましても、十七社につきましては二十キロから百キロくらいの電力の範囲で増力をやるわけでございます。その増力に漏れているところは、これは物理的に増力ということが不可能でございますので、これはいわゆる外国からの混信が著しい地区に対してはFMに切りかえるという方針を立てまして、いままで進んでいるというわけでございます。しかし、いわゆる中波のサービスエリアにおきまして現在十分でないところもあるわけでございますので、そういった点につきましては受信状態の改善をするという必要もあるものでございますので、そういったところにつきましては、いわゆる中継局を増設するとか、あるいは増力といってもせいぜい小規模の増力という程度のことを、いま検討しているという状態でございます。決してそのままでほったらかしにしているということではございませんので、要するに、受信の状態の改善ということで進めているというわけでございます。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 その残りは幾つ残っておりますか。申請されたうちでまだ認可しないで残っているものがありますね、何局か。
  35. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) 残りが二十八社ございますが、その中の三分の二程度でございます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 残ったものは、いま二十八社あって、その三分の二程度というのはどういう意味ですか。全体で幾つが申請して、幾つが増力を認可して、あと残っているのは幾つかということを聞いているのですよ。
  37. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) 全体で社数にいたしまして四十五社でございますが、その中で十七社につきまして増力をいたしました。まだ増力になっていないところは、これは現在計画中のところでございますけれども満たすようにしてございます。残りが二十八社でございますが、その残りの二十八社中、先生指摘の、増力をしてほしいという希望のあるものが約三分の二という意味でございます。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 その三分の二の希望に対して、物理的に不可能だといういま局長お答えだが、物理的に不可能だということは、具体的にいえばどういうことですか。
  39. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) これは、一つの波をたくさんの局が共用しているという状態でございます。この十七社以外のところはNHKを除きまして、民放につきましては一つの周波数を四局ないし五局で共用しているわけでございまして、これがその希望があるからといって一社だけを増力いたしますと、ほかのほうに今度混信妨害を与えるというわけで、物理的にそういうことはできないというわけでございます。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 いまたとえば、五キロワットの出力で放送している局があるとすると、これを一方だけ十キロにした場合にはそれはそういう状態が出てきます。しかし両方十キロにしてやれば問題は起こらないでしょう。それからもう一つは、共用するということは、波がないということですね、要するにA・Mの波が。これはいまあれですか、残っている波というのは全然ないのですか。
  41. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) これは周波数、波というのはもちろん、現在割り当てられる波の数からいいますと、百七波ということになるわけですが、そのうち、日本におきましては九十五波を使っているわけです。これは、九十五波以外のところは近隣の諸国が使っているというわけでございまして、私どもといたしまして、ほかの国に対する混信妨害を与えることもできませんので、先ほどの増力をしたというのは、そういった点も考慮した最大限の増力をしたわけですが、増力をしていないチャンネルにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、一つの波を数局で使っているというわけでございます。大体四局ないし五局で使っているわけでございまして、これを全部増力する、中継局なんかございますので、そういうこともできないわけでございまして、また、増力することによってほかの国へ妨害を与えるということでは困りますので、そういうことはむずかしいというわけでございます。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 それは技術的な問題ですから、ここでただ抽象論でやってみたところでしょうがないので、それは皆さんが専門的におやりになっていることですから、私もそう抽象論で言ったってしょうがないと思います。  そこで、外国に迷惑をかけてはいかぬというお話なんですが、これは残念ながら、隣の国あたりは、ITUの関係で言うならば、大きな出力でどんどん放送して、日本のほうが混信妨害を受けっぱなしなんです。これは残念なことですから、これがやはり一本化されて、アジアにおけるAMの周波数というのは、幾らあるのかというようなことぐらいはこれからだって大いにやってもらうことですが、この前だって私質問しましたが、中国のITUへの加盟については自由投票できめようとしておられるそうですが、これは当然、中華人民共和国が国連に加盟された以上は、その地域を含めて、アジア地域における、エリアにおける中波の再編というか、そういうことは当然私はやるべきことだと思います。そうして、まず、国交がどうであろうと、通信関係は早くやっていただきたいというのがわれわれの願いであるわけですから、そういう点も考慮してやってほしいし、また四社ないし五社やっているというのですが、その増力が隣の国にどういうふうに影響するなどというようなことも調べてみたわけですが、その国でそういう周波数を使ってやっているかどうか、お互いに至近のところでやらないと効果がないのですから、やっていると思いますけれども、そういう点は、あなたのほうが専門家でありますから、御報告できる点があれば御報告していただきたい。しかも、いま申し上げたような、アジア地域における再編ということもひとつ考慮に置いて、それを基本に置いて、そうして放送事業者に対しても、もっと懇切丁寧に、こういう事態で増力ができませんのですと、政府としてはこうやっておりますというようなことも含めて、理解を深めるようにやっていただきたいと思います。われわれのところには、非は常に不満で、陳情がかなり来ておりますので、ですから私は、その人たちにかわって、いま意見を交えてお聞きしたわけですから、ぜひひとつ今後努力してもらいたいと思います。
  43. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) アジア地域の問題につきましては、現在のところまだ日取りがはっきりしておりませんけれども、大体再来年、一九七四年に国際会議——中波のチャンネルプランの国際会議がある予定でございます。これは、アフリカ地域が主体であったわけでございますけれども、アフリカだけでやっても、これはほかの国とのやはり、ほかのビジョンとの関係がございますので、結局アジアも含めてやろうというようなことでございますので、私どもとしましては、再来年国際会議があるというようになりますれば、おそらく現在電気通信連合に加盟していない国もその時分にははっきりするだろうと思いますので、非常に期待しているわけでございます。  また、先生のおっしゃいました、いわゆる一般放送事業者に対する周知と申しますか、その点につきましては、十分に今後とも注意していきたいと思っております。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 それから次に、沖繩がいよいよ復帰してくるわけですけれども、五月十五日までに、放送部門におけるわが国の受け入れ態勢というのは完ぺきになっておるのでございましょうか、どうでしょうか。具体的には、たとえば、NHKの場合には、OHKを承継するわけでしょうけれども、特にラジオはOHK持っていませんね。ですから、いずれこれは第一、第二ラジオ放送というものを始めなければならぬと思いますが、これは、NHKのほうとしては、四十七年度予算の中にその計画はあると思いますが、問題は波の割り当てですね、さっきからお伺いしておりますように、非常に共用しなければならぬというような窮屈なチャンネルプランしか持っておらないのですけれども、しかし何とかくふうをしてやってもらわなければならぬと思いますが、それらに対する電波監理局の体制は磐石でございますか、だいじょうぶやれるのでございますか。  それから、同時に、いまOHKの場合はこれは公共放送ですけれども、あと、沖繩テレビと琉球テレビがありますね。これはUSチャンネルなんでしょうが、そうであるとすれば、今度日本のジャパンチャンネルになりました場合は、おそらく受像機そのものも多少の変更をしなければ見えないのじゃないかと思いますからね。そういうふうな点と合わせて、早目にチャンネルプランを示しておかないと、問題があるように思うのです。ですから、このラジオ、テレビの周波数の関係をひとつ伺っておきたいのです。
  45. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) ラジオにつきましては、おっしゃいますように、NHKが復帰と同時に、ラジオの第一、第二を実施したいということで計画されておるわけでございまして、私どもといたしましても、それに間に合うようにチャンネルを確保しなければならないということで、数回にわたりまして沖繩に私どもの係官を派遣いたしまして、実際に混信があまりないような波を調査いたしまして、現在、どうやら、いまNHKの計画にそごを来たさないような波を見つけることができたと、まだ申し上げていいかどうかわかりませんけれどもチャンネルプランには織り込みたいということで努力をしているわけでございまして、これはぜひとも、沖繩の復帰までにははっきりしたチャンネルプランをつくりたいと考えております。  それから、USチャンネル日本チャンネルとの問題でございますが、これは御存じのように、アメリカのチャンネル日本チャンネルと違いまして、特に、日本の十二チャンネルというものはアメリカのチャンネルにはございません。また、下のほうの四チャンネル、四、五、六、七ぐらいのところは少しずつずれておりまして、これは二メガぐらいのズレでございますから、受信機の調整で何とか受かるようでございますが、十二チャンネルだけはこれはUSチャンネルにございませんので、処置をしなければならぬということでございます。したがいまして、私どもとしまして、NHKとも連絡をとりながら、沖繩におきまするテレビの放送が、チャンネルの切りかえによってそごしないように、また十分に受信できるように、いま検討を進めているという状態でございます。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 監理局長のいまのお答えで、復帰までにはチャンネルの割り当てをちゃんとしたいと。いま見込みもあることですからいいんですけれども、ただ心配なのは、五月十五日には具体的に放送を開始しなければならないわけですね。そうでしょう。NHKはプランがあるのですが、もしそうだとすれば、早目に放送局を設置して準備しなければならぬのですね。そういう準備もあるのですから、かなり早目にこれは決定してあげないと、十五日の放送開始にはむずかしくなると思いますから、その辺を念のために申し添えておきますから、万間違いのないようにぜひしていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
  47. 藤木栄

    国務大臣(藤木栄君) チャンネルの問題につきましては、NHKとも十分連絡をとりまして、困らないように措置をいたしたいと考えております。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 それから、きょう外務省ちょっと来てもらおうと思ったのですけれども、いろいろ都合で次の機会にしますけれども、VOA、極東放送電波は、どういうふうなものが使われておるか。これが五月十五日になりますと、VOAは五年間暫定的に存続するというようになっていますね。これは外務大臣がよく言われておったのですが、VOAについても、放送番組についてチェックする、モニターをするというのですね。そうして、放送番組に対しては意見を述べられるように留保してあるということで、そういう趣旨の申し合わせができているように思いますがね。それで、そのモニターというのは一体どこでやることになるのですか。そういう準備をしているのですか。どうなっているか、これをひとつ伺いたい。  それから、極東放送の場合、日本語と英語とになっていると思いますが、日本語のほうは、何か法人の代表者が日本人に名義をかえて、そしてこれこそ国内放送法に基づく、電波法に基づく放送局として今後運用していく。ただし、英語についてはそうでないように聞いておりますね。ですから、それらの準備体制といいますか、そういう点はどういうふうになっておられるのでしょうか、この機会に伺っておきたいのですけれども
  49. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 初めの御質問のモニターの関係でございますが、これは沖繩国会におきましても郵政大臣からモニターをするという御答弁がありまして、それに基づきまして私どもとしては予算措置をいたしまして。沖繩が復帰いたしました後に、このVOAのモニターをする——ども郵政省関係にも沖繩郵政管理事務所というものが今度できるわけですが、その中に電波監理部というものを置きまして、その中にいわゆるモニターをする監視課というのがございます。これは現在もあるわけでございますが、そこでVOAのモニターをするということで、いま計画を進めておるわけでございまして、VOAが出す中波一波、それから短波が四波ございますが、それに対するモニターを具体的に沖繩でいたしまして、それをテープに取りまして、それを今度は外務省のほうに渡し、外務省のほうではそれを聞きまして、問題があればアメリカ側に連絡する、そういうようなシステムになっております。  それから、次の御質問のVOAと極東放送の問題でございますが、これはいずれも中波でやっておるわけでございますので、現在VOAは周波数がもうきまっておりまして、これはそのままこちらで認める。極東放送のほうは、おっしゃいますように英語と日本語とございますが、英語のほうは現在のまま五年間暫定的に認める。それから日本語のほうは、これは日本の財団法人としまして認めようというかっこうに、これは例の沖繩の返還協定に関連します特別措置法の中で明記されているわででございまして、それに従いまして私どものほうとしては受け入れの準備を進めているという状態でございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 VOAの内容の点は時間がないからきょうは聞きませんが、要するに、監視体制というのは、切りかえた場合には万全の体制ができるように要員、資材その他万全な措置ができておりますかということを聞きたいのです。  その点と、もう一つは、極東放送のほうは、代表者を変えるというようなことですが、その申請はどうなっているのですか。監理局のほうへきているのですか。やっぱり認可しなければならないでしょう。そういう準備の状況をお伺いしたい。
  51. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) VOAの監視体制につきまして、これは四十七年度の予算で要求しているわけでございまして、実は暫定予算ということになりますと、すぐに工事ができないということがございまして、私どものほうとしましては復帰と同時に万全の監視体制ができるという状態は無理なわけでございます。それで、できますなら、現在、監視の機能もあるわけでございますので、それを使いましてある程度はできると思いますけれども、万全の体制というのは、やはり予算が正式に成立しましてそれに従って器材を発注しなければならぬという状態でございますので、当分おくれるということになると思います。  それから極東放送のほうにつきましては、御存じのように、いま琉球政府のほうに財団法人の申請と、それからいわゆる日本語の放送局の免許の申請が出ております。これにつきましては私どもいろいろ琉球政府とは連絡をとっているわけでございますが、これが復帰までに向こうで処理してもらえばそのままこちらに引き継がれるわけでございますが、そういうことがない場合は、復帰後にこちらで処理をしなければならぬということになっておるわけでございますが、まだその点につきましてははっきりいたしておりません。しかし、申請の内容につきましては私ども承知しておるわけでございますので、琉球政府と連絡をとって、こちらが受け入れられるような内容のものにしてもらいたいということで現在進行中でございます。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 もともと私たちは党の立場からいってもこれは存続を認めないし、こういうやり方はおかしいと反対してきたわけです。  それはそれとして、予算が政府の責任において一カ月ぐらいおくれていますね。暫定には組めない、そうすると、かりに四月の二十八日なら二十八日に本予算が成立するということになりますと、五月十五日までは十七日しかないわけですね。そうすると、具体的に、予算が通ったら何カ月たったらこれはできるという計画を持っておるんですか。
  53. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 現在も、会計法その他で、予算が成立いたしましてもやはり発注する手続がございますので、それからまたメーカー自体も製造する日にちがあるというわけで、私どもとしましては二、三カ月はそれに必要じゃなかろうかと思っているわけでございます。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 それはおかしいじゃないですか。たとえば、三月三十一日に予算が成立するというのが常識ですからね。そうすれば、四月、五月で四十五日しかないわけです。あなたが言うように二カ月も三カ月もかかるというのは、当初から監視体制はできないというある程度の計算に立ったんですか。そうなると、大臣委員会等で発言をされておった考え方と食い違いが出てきますね。
  55. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 沖繩国会のときは、まだ現地の事情もよくわからなかったわけでございますし、また、監視すると申しましても、傍受をすると申しましても、その傍受する場所が必要でございまして、それの調査ということも私どもやりまして、監視課というのが現在もございますので、そこですぐにできれば非常に都合がよろしいわけでございますが、そこでは実際の電波を受けていろいろ調査したわけでございますけれども、完全にはできない、日本の国内でもできないということで、どうしてもVOAの施設があります近くまで庁きまして傍受しなければならぬということになったわけでございますので、その場所を確保すること、それから、いま申し上げた機械その他も発注しなければならぬということで、どうも初めに考えていたよりもおくれてきたという状態でございます。  それからもう一つ、先ほども申しましたように、現在の監視課でも全然できないわけではございませんで、ある程度はできるわけでございます。したがいまして、そこを使いましてできるだけこの傍受をしたいということでいま進めておるわけでございます。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、大臣、当初から二カ月ないし三カ月かりに工事予算が通ったあと監視までかかるということであれば、もう五月十五日からの万全の監視体制というのは無理だったわけですね。たまたま一カ月延びましたから、その延びた分だけおくれていくということならわかりますけれども、そうじゃないでしょう。そうすると、国会に対する大臣発言と全く違う事務当局は考え方を持って進んでおったわけです。これは非常に重大だと思います。ですから、予算も、これこそ政府の失態というか、責任において混乱をし、そして一カ月おくれてきたわけだから、だからして、どんなことがあっても十五日復帰と同時に監視体制がとれるような措置を考えなくちゃならぬ。たとえ十日間であっても、ブランクの状態でやっていくことはいけないと思うのです。とにかく、船をチャーターして機械を積み込んで近くに行って、公海ですから、やるとか何とか、われわれが納得できるような方法をとってもらわないと、既設の監視体制の中でできる点は大いにやっていただくとしても、それが全然カバーできないということであれば、次善の措置をやっぱりとってもらわないとこれは困りますよ。そうしてくださいますか。
  57. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) VOAの傍受につきましては、沖繩国会で私から御答弁申しておきましたように、幸いにVOAのごく近くの——六キロ程度離れておると聞いておりますが、大宜味という場所がありまして、ここで受信いたしまして、それから六十キロ程度離れております那覇でテープにとると、そのものを外務省のほうで、すべて外国語で放送されるわけでございますから、すべての国語の放送を翻訳いたしまして、それに基づいて、一々協定に基づいて日本政府の見解を、まあ、不当だと思われるものがございますれば、アメリカ政府に通告するというようなことになっておりますことは国会答弁したとおりでございますが、ただ、最初私どもがばく然と考えておりましたことではございますけれども、沖繩の本土復帰が七月一日程度ではなかろうかというふうに考えておりまして、あのカラーテレビのマイクロウエーブの工事等につきましても、六月末を工事の完工時期だと考えておりましてやっておりましたけれども、幸いに五月十五日ということになりましたので、まあ、こちらのほうは電電公社のほうで非常に工事を進めていただきまして五月十五日に間に合うように、五月十五日にはマイクロウエーブのカラーが送信できるような工事が十二日にはできるようなことになっておるわけでございまして、だだいま電波監理局長が御説明いたしましたのは、七月実施と考えておりました復帰の期日が、まあ、そのときもさだかにそういうふうにきまっておったわけではございませんけれども、大体そういうところじゃなかろうかと見当つけておりましたのが五月十五日になったという事情変化が一つございましたし、それからさらに暫定予算というようなことにもなって、これまた事情の変化がありましたわけでございまして、そういうようなことで、ちょっとまごつかざるを得ないようなことになりましたけれども、ただいま電波監理局長が御説明申し上げましたように、幸いに監理部というものが発足するわけでございますから、これを最高度に活用いたしまして、VOAの放送については傍受して不適当の放送があれば、アメリカ政府に通告するという、その大原則は曲げずに進められると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  58. 森勝治

    ○森勝治君 関連で一点質問したいのですが、先ほどの電波監理局長の御答弁だと、適当な傍受施設の場所が見つからない、こういうお答えであります。ところが、過ぐる沖繩特別委員会でこの点について私からただしました問題についての大臣答弁によりますと、幸いにして、近くに傍受施設の適当な土地があるからということを大臣は明言されておるわけです。よもやお忘れになったわけではなかろうと思うのです。忘れたら思い出していただきたい。もう今度沖特が終わってしまったから、今度は逓信委員会になったら、もっとも、いま三月ですから、ただでさえぽかぽか頭です、失敬でありますが。だから、もの忘れする時候に来たから忘れたと、こうすなおにおっしゃるなら、私もすなおな立場で質問したいんですが、ものの半年たたないうちに、そういう前言をひるがえすようなことを言われては、われわれはまことに迷惑でございますから、沖特における大臣答弁が是とするならば、局長はすみやかに前言をひとつ訂正していただきたい。そのことの御訂正がなければ、私は関連でありますが、そのことについてまた二、三の質問をしたいのです。鈴木さんがいまおやりですから、私はあまりことばをはさむのは何と思いまして黙っておりましたのですが、そういう前の話とあとの話と違うようですと、あのときは監理局長も同席しておられたはずでありますから、幾ら二十四番の風が終わりごろになったからといって、外気がぽかぽかしているからといって、そうまだまだあなたはど忘れする年でもあるまいと思いますんで、私はその点をただしておきたいんです。
  59. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) たいへん失礼申し上げまして、おっしゃるとおり、私がちょっとことばが足りなくて、その場所を選ぶのにある程度時間がかかったことはたしかでございますが、選んだという時点は、前沖繩国会のときでございまして、まことに失礼しました。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 大臣の御説明で大体わかりました。それでおそらくスペースもあると思うんですがね。ですから、何とか監視体制の中でブランクがなくモニターできるような体制をぜひつくっていただきたいと思う。大臣のおっしゃるように、事情の変化を二つ述べましたが、一つのほうはわかりますけれども、前段のほうはちょっと、当時四月復帰ということで、政府は総理みずからできるだけ四月ということでやっておられたのでしょう。ところが七月という風説もあって、結局中をとって五月ということになったいきさつもあるわけですから、だから最低限四月復帰ということを国民は一日も早いことを念願しておったんですから、そういうことをたてまえにして準備は進めなければいけなかったと思うのです。それを何か七月ごろということだから、そのつもりでおったんだが、五月になったということは、ちょっとこれは私はいただけないと思う。これはまあ、そういう意味大臣おっしゃっていないと思いますから、あえて答弁を求めませんですから、ひとつ海上に船をチャーターしなくても、復帰すれば日本の領土になってくるのですから、もしスペースがあれば、それを持ち込んでしばらくの間そこでやれるということもできるんでしょう。距離が遠いからいまの体制ではできないのでしょうけれども、近くに持っていけばできるんです。新しい機器を買うということになると、これは予算が通らないと買えません。だから現体制の中でできるだけ創意くふうをして、そしてわれわれに約束をしたVOAの監視体制というものは一日たりといえども、一刻たりといえどもブランクはできないというようにぜひ最大の配慮をしてもらいたいと思います。この点だけひとつ……。
  61. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 森先生のさっきの御質問に電波監理局長お答えしましたように、傍受の場所は大宜味ということではっきりきまっておりましたわけでございますから、これはあの当時国会で御答弁申し上げたとおりでございまして、VOAの場所から六キロ程度離れておるというような程度の、ごく近くでございまして、これはさっき局長お答えしましたのは舌足らずと申しますか、ちょっと誤解を招くような節があったと思いますが、それは間違いございませんからご安心を願いたいと思っております。  それから、ただいま鈴木委員の御要望でございますが、そのとおりだと思いますので、十分努力して御期待に沿いたいと、かように考えております。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、これから協会の予算そのものに対しての質問をいたしますが、きょうは文部省からお忙しいところ、遠藤視学官においでをいただきました。局長にと思いましたけれども、ちょうど分科会で衆議院の予算審議に文部省がぶつかっておるそうですからけっこうですから、ちょっと伺います。文部省もお急ぎになると思いますから、最初に伺うことにいたしますが、一点ですが、放送大学について、これはいろいろ紆余曲折がありました。社会教育審議会答申が出まして、以来紆余曲折がありましたが、結局昨年来文部省とNHKの間に、一つの了解点に達して、二月からUHFの波を使って、試験放送、実験放送的なものをやられておるのですけれども、最近文部省では、放送大学設置に関する調査研究会議というものをつくられたように聞いておりますが、この会議をつくった目的は何でございましょうか。私がお伺いしたいのは、従来の基本方針というものがあるわけですね。あの答申の経営主体をどうするかということは、これは社会教育審議会の議論もありまして、NHKに一応放送権をまかしたのだ、放送番組に対する権限というものをまかして、そしてやっておられるわけですね。ですから、そういういままで了解点に達した問題も、再検討の中に含めて、この専門会議の中で研究しようというように考えておられるのか、どう
  63. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) まだ第一回の会合を開いたばかりで、今後の審議のスケジュールにつきましては、はっきりした見通しもございませんけれども、文部省のほうの希望といたしましては、秋ぐらいまでにはまとまった御報告をいただきたい。なおその場合でも、教育内容の詳しいカリキュラムといった点については、これは専門委員会を設けてさらに詳しく検討するというようなことになろうと思いますので、そういう点を含めますと、年度一ぱいかかるのではないかと思いますけれども、大ワクにつきまして、秋ぐらいを目途に御報告をいただきたいというふうに考えております。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 あとで調査研究会議のメンバーをひとつ資料出していただきたいと思います。  それで、そうなりますと、来年度四月からNHKに委嘱をしてNHKでやっていただく、大学放送に続いていくわけですね。そうしますと、その問題はいま研究をしているわけだから、従来の了解事項に基づいて四月からNHKににやっていただく、こういうことになりますね。その際に、文部省として幾らぐらいの予算を組んでおりますか。  それから、われわれは見せていただいた感じだけで率直に言うんで、これは見当違いなことであれば、私はおわびしますけれども、いろんな方に伺ってみますと、率直に言ってあまり評判がよくないんですよ、番組内容については。それは見る人たちの層がいろいろで、大学を出た人もあるし、中学卒の人もあるし、高校卒の人もある中で、いわゆる高校を卒業して大学へという人たちを対象にしてやっているわけですから、見る人によっていろいろ違うと思いますけれども、もう少し放送大学らしい内容にできないだろうかというような、ちょっと批判的な意見も聞くわけですけれども、これはおたくのほうで関係者がそれぞれ集まって、基本的な放送に対する番組編成ですか、そういうものに対する了解事項みたいなものをつくっておるでしょう。——そうですね。そうして、それに基づいてHNKはやっていただくということになるわけでしょう。ですから、その辺の若干の検討を四月からのものについてやろうとしているのかどうなのか、基本的方針というものについてその点はどうでございましょう。それと予算の点。
  65. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 実験放送の四十七年度の予算につきましては、四十六年度とほぼ同額の予算、会議費を含めてでございますけれども、一億三千二百万程度の予算でございます。現在実施をいたしております実験放送につきましては、放送だけではなくて、各科目についてそれぞれモニターを委嘱してその意見を集めるということにいたしてございますので、年度末になりましたら、そのモニターからの御意見を集計した報告をNHKのほうからいただけることになっておりますので、そういったモニターの御意見等も参酌し、また、学識経験者の御意見も聞いた上で、御指摘のとおりの欠点がありまするとすれば、その点は直した形で四十七年度も実施をしたい、お願いをしたいというふうに思っておりますが、予算の成立の時期あるいはそういった検討の時期の時間的な問題もございますので、四月から直ちに四十七年度の実験放送が始まるというわけにはまいらないかと思います。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 四月からできないというと、いつからですか。
  67. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) それはまだNHKのほうとも御相談をいたしておりませんけれども、夏ごろから始めることになるのではなかろうかというふうに私どもとしては考えております。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 やる気があるんですか、文部省は。二月から三月までやって、それを中断して八月からまたやるというのですか。
  69. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) これはもう先生も御承知のとおり、現在行なっております実験放送は、これを聞いたからといって直接単位を認定するという性格のものではございませんで、放送を主たる教育手段とする大学ということでございますので、番組の制作等の技術的な面、いろいろな面で新しいくふうが必要であろうということで、番組の制作のやり方その他について一応NHKに委託しておるわけでございますが、そういった性格のものでございますので、一応放送が十五回で一単位分というようなやり方でやっていただいておるわけでございますので、その一単位分のものが済んだ段階で、モニターの調査結果等もいろいろな角度から分析をするというような時間も必要であろうということでございます。それから四十七年度も、本年度もそうでございましたけれども、十五回で一単位というような考え方でございますので、予算の積算といたしましても、これを三十週と申しますか、三十回で二単位分というようなものを四十七年度の予算案には計上しておるわけでございますので、夏ごろから始めれば、そう無理なく二単位分の放送は行なえるのではないかというような考え方でございます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 これは文部省のほうでいろいろ考えることはけっこうですけれども、どうなんですかね、思い切って協会にひとつ番組その他についてまかしちゃって、そうしてやってみたらどうなんですかね。そういうことはできないのですか。思い切りが悪いですな。
  71. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 本年度の実験放送につきましても、大きな科目と申しますか、文学、家政学、こういったような科目についての実験放送をお願いしたいということは、文部省のほうできめてお願いしたわけでございますけれども、そのこまかい科目としてどういうものを取り上げるか、それからどういう内容のものにするかといったようなことは、すべてNHKのほうにお願いして、NHKの企画でやりていただいておるわけであります。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、政治的な判断についてあなたにお伺いするのはやめておきますが、NHKのほうとしては、二月から実験放送をおやりになっていろいろ考えられている点があると思うのですけれども、どうなんでしょうね、市民大学講座を、この説明によると、どうもかなり強化していくという方針をお持ちになっておるようでありますが、これとの関係で、実験放送というものはどういうふうにやったらいいかという、そういう御所見を持っておられたらこの際聞かしてもらえませんか。
  73. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) その前に、視学官、鈴木委員要求資料はいいですね。
  74. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) はい。
  75. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHKといたしましては、昭和四十六年度の実験について御委託を受けて、NHKの編集権のもとに制作実施するということで、この二月−三月、実施したわけでございます。したがいまして、その結果につきましては、現在調査を進めておりますので、この調査ができ次第、文部省のほうにも報告するという段取りになっておりますが、四十七年度のことにつきましては全く白紙でございますので、この際申し上げるあれはございません。
  76. 鈴木強

    鈴木強君 四十六年度まずやってみて何か感想ないですか。私の質問よく聞いておいてくださいよ。四十六年度実施されてお気づきになったことがありますか、どうですか。  それからもう一つ、市民大学講座というものを強化することになっているから、それとの関係で、大学放送というのはどういうふうにしたらいいかという考え方がありますかと聞いているのだ。よく聞いておいていただきたい。
  77. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHK考えて実施しております市民大学講座と、文部省のこの実験大学とは直接のかかわり合いはございませんで、NHKの市民大学講座は、御承知のように、大学レベルの教育内容のものを生涯教育の一助にもということを含めて、それを実施してそれを拡充していこうという考え方でございます。  なお、現在実施いたしております文部省の実験番組の経過でございますけれども、それにつきましては、現在モニターその他の反響、あるいは報告を集計中でございます。したがいまして、その内容をまとまった形で御報告いたしかねるのでござ
  78. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) まだ第一回の会合を開いたばかりで、今後の審議のスケジュールにつきましては、はっきりした見通しもございませんけれども、文部省のほうの希望といたしましては、秋ぐらいまでにはまとまった御報告をいただきたい。なおその場合でも、教育内容の詳しいカリキュラムといった点については、これは専門委員会を設けてさらに詳しく検討するというようなことになろうと思いますので、そういう点を含めますと、年度一ぱいかかるのではないかと思いますけれども、大ワクにつきまして、秋ぐらいを目途に御報告をいただきたいというふうに考えております。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 あとで調査研究会議のメンバーをひとつ資料出していただきたいと思います。  それで、そうなりますと、来年度四月からNHKに委嘱をしてNHKでやっていただく、大学放送に続いていくわけですね。そうしますと、その問題はいま研究をしているわけだから、従来の了解事項に基づいて四月からNHKににやっていただく、こういうことになりますね。その際に、文部省として幾らぐらいの予算を組んでおりますか。  それから、われわれは見せていただいた感じだけで率直に言うんで、これは見当違いなことであれば、私はおわびしますけれども、いろんな方に伺ってみますと、率直に言ってあまり評判がよくないんですよ、番組内容については。それは見る人たちの層がいろいろで、大学を出た人もあるし、中学卒の人もあるし、高校卒の人もある中で、いわゆる高校を卒業して大学へという人たちを対象にしてやっているわけですから、見る人によっていろいろ違うと思いますけれども、もう少し放送大学らしい内容にできないだろうかというような、ちょっと批判的な意見も聞くわけですけれども、これはおたくのほうで関係者がそれぞれ集まって、基本的な放送に対する番組編成ですか、そういうものに対する了解事項みたいなものをつくっておるでしょう。——そうですね。そうして、それに基づいてHNKはやっていただくということになるわけでしょう。ですから、その辺の若干の検討を四月からのものについてやろうとしているのかどうなのか、基本的方針というものについてその点はどうでございましょう。それと予算の点。
  80. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 実験放送の四十七年度の予算につきましては、四十六年度とほぼ同額の予算、会議費を含めてでございますけれども、一億三千二百万程度の予算でございます。現在実施をいたしております実験放送につきましては、放送だけではなくて、各科目についてそれぞれモニターを委嘱してその意見を集めるということにいたしてございますので、年度末になりましたら、そのモニターからの御意見を集計した報告をNHKのほうからいただけることになっておりますので、そういったモニターの御意見等も参酌し、また、学識経験者の御意見も聞いた上で、御指摘のとおりの欠点がありまするとすれば、その点は直した形で四十七年度も実施をしたい、お願いをしたいというふうに思っておりますが、予算の成立の時期あるいはそういった検討の時期の時間的な問題もございますので、四月から直ちに四十七年度の実験放送が始まるというわけにはまいらないかと思います。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 四月からできないというと、いつからですか。
  82. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) それはまだNHKのほうとも御相談をいたしておりませんけれども、夏ごろから始めることになるのではなかろうかというふうに私どもとしては考えております。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 やる気があるんですか、文部省は。二月から三月までやって、それを中断して八月からまたやるというのですか。
  84. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) これはもう先生も御承知のとおり、現在行なっております実験放送は、これを聞いたからといって直接単位を認定するという性格のものではございませんで、放送を主たる教育手段とする大学ということでございますので、番組の制作等の技術的な面、いろいろな面で新しいくふうが必要であろうということで、番組の制作のやり方その他について一応NHKに委託しておるわけでございますが、そういった性格のものでございますので、一応放送が十五回で一単位分というようなやり方でやっていただいておるわけでございますので、その一単位分のものが済んだ段階で、モニターの調査結果等もいろいろな角度から分析をするというような時間も必要であろうということでございます。それから四十七年度も、本年度もそうでございましたけれども、十五回で一単位というような考え方でございますので、予算の積算といたしましても、これを三十週と申しますか、三十回で二単位分というようなものを四十七年度の予算案には計上しておるわけでございますので、夏ごろから始めれば、そう無理なく二単位分の放送は行なえるのではないかというような考え方でございます。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 これは文部省のほうでいろいろ考えることはけっこうですけれども、どうなんですかね、思い切って協会にひとつ番組その他についてまかしちゃって、そうしてやってみたらどうなんですかね。そういうことはできないのですか。思い切りが悪いですな。
  86. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) 本年度の実験放送につきましても、大きな科目と申しますか、文学、家政学、こういったような科目についての実験放送をお願いしたいということは、文部省のほうできめてお願いしたわけでございますけれども、そのこまかい科目としてどういうものを取り上げるか、それからどういう内容のものにするかといったようなことは、すべてNHKのほうにお願いして、NHKの企画でやっていただいておるわけであります。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、政治的な判断についてあなたにお伺いするのはやめておきますが、NHKのほうとしては、二月から実験放送をおやりになっていろいろ考えられている点があると思うのですけれども、どうなんでしょうね、市民大学講座を、この説明によると、どうもかなり強化していくという方針をお持ちになっておるようでありますが、これとの関係で、実験放送というものはどういうふうにやったらいいかという、そういう御所見を持っておられたらこの際聞かしてもらえませんか。
  88. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) その前に、視学官、鈴木委員要求資料はいいですね。
  89. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) はい。
  90. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHKといたしましては、昭和四十六年度の実験について御委託を受けて、NHKの編集権のもとに制作実施するということで、この二月−三月、実施したわけでございます。したがいまして、その結果につきましては、現在調査を進めておりますので、この調査ができ次第、文部省のほうにも報告するという段取りになっておりますが、四十七年度のことにつきましては全く白紙でございますので、この際申し上げるあれはございません。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 四十六年度まずやってみて何か感想ないですか。私の質問よく聞いておいてくださいよ。四十六年度実施されてお気づきになったことがありますか、どうですか。  それからもう一つ、市民大学講座というものを強化することになっているから、それとの関係で、大学放送というのはどういうふうにしたらいいかという考え方がありますかと聞いているのだ。よく聞いておいていただきたい。
  92. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) NHK考えて実施しております市民大学講座と、文部省のこの実験大学とは直接のかかわり合いはございませんで、NHKの市民大学講座は、御承知のように、大学レベルの教育内容のものを生涯教育の一助にもということを含めて、それを実施してそれを拡充していこうという考え方でございます。  なお、現在実施いたしております文部省の実験番組の経過でございますけれども、それにつきましては、現在モニターその他の反響、あるいは報告を集計中でございます。したがいまして、その内容をまとまった形で御報告いたしかねるのでございますけれども先生がただいま御指摘になりましたような点もございますが、大体において興味を持って聞いていると、あるいは見ているという方が多いようでございます。ただ、それはまだ集計中のことでございますので、断言的に申し上げかねる次第でございます。なお、その調査につきましては、大体二回実施いたしまして、一回目が現在集計中でございまして、二回目は近く集計する予定になっております。大体そういう経過でございます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 市民大学講座との関係はない。これははっきりいたしました。  もう一つ、おたくがいままでやってきている市民大学講座というのは、放送大学の放送がやられることによって、従来のおたくの市民大学講座の放送というのはいささかも変更してはいかない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  94. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) ただいま申し上げましたように、直接関係がございませんので、NHKとしては、市民大学講座の計画は従来どおりの方針で今後も進んでいきたいというふうに考えております。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 それから遠藤さんね、四十七年度からやると言い、四十八年度からやると言い、だんだんと延びてきたのですけれども、いま文部省としては、本放送はいつごろからやろうとするような構想ですか。文部省としての方針がきまっておったら教えてもらいたい。
  96. 遠藤丞

    説明員(遠藤丞君) まだ調査検討中の問題がかなりございますので、いつからというはっきりしたことも断言的に申し上げるわけにもいきませんけれども、現在のところ、四十九年度開設ということを目途に準備を進めております。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、この放送大学の問題については、文部省と、当初から周波数も一つ余分にとっておいて、そうしてこの放送をされる上で相当な配慮をしてきていると思うのですけれども、非常に周波数が少ない中で、いろいろ関連プランも困難をしている中で、いまのところは四十九年度になるのか、何年度になるのかわかりませんけれども、遅々としてこの問題は進んでいかないというような段階なんですけれども、文部省と郵政省は、常時、どういうような御連絡をとってこの問題に対処してこられたのか、その点はどうでございます。
  98. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 放送大学につきましては、できることになりますと、文部大臣と郵政大臣の共管になるかと考えておりますわけでございますが、いずれにいたしましても、郵政省といたしましても非常に責任がありますわけでございまして、郵政省といたしましては、放送大学放送用の周波数、UHF並びにFMということになりますわけでございますが、その確保、また、放送局の置局——本年度の予算も、明廣度の予算も、郵政省といたしましても、この置局の調査ということに重点を置いてやっておりますわけでございますが、その置局の問題、さらに放送大学に対して、どういう法制上の位置づけをするかというような問題があるのじゃないかと思っております。こういうことを郵政省のほうで担当していかなければならないかと思っておりますわけでございますが、その最後の法制上の位置づけというものは、もちろん、放送についての法制上の位置づけということになるわけでございますが、そういうような問題を郵政省では担当いたしておりますわけでございますが、とにかく国民の要望に従って、なるべくすみやかに実現さすべきであるという意見を持っておりますことは当然でございまして、文部省からは四十八年度以降とか、まあ文部大臣——新聞発表によりますと、四十九年度になるとかいうような、どっかの委員会でおっしゃったのかもしれませんけれども、そういうことを申しているようでございますが、とにかく、そういうことについては、ただいま御指摘のように、絶えず協議を緊密にいたしましてとっていかなくちゃならないということになりますわけでございますから、そういうことはやっておりますわけでございますが、なお、具体的なことについては、電波監理局長から説明さしたいと思います。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 時間がないから、これはまたいずれ伺いますけれども大臣が、いま、共管ということもおっしゃっておりますし、そうであれば、なおさら文部省にまかせるというようなことであってもこれはいけないわけですから、ひとつ、いま、くしくも、大臣がどこかの委員会で四十九年といったというようなことをおっしゃいましたけれども、そういうことについても、ひとつ、もうちょっと文部大臣ともこの問題について連携をしていただいて、本腰を入れてやってほしいと思いますから、ですから、これは強く要望をしておきます。  それから次に、前回委員会新谷委員からも質疑がなされましたが、まず第一に、私は放送協会の予算に対する郵政大臣意見書について最初に伺いたいと思いますが、私もずっと国会におりまして、こういう意見書がついたのは初めてのように思います。内容をいろいろ勉強さしてもらいましたが、どうもこの意見書の言わんとするところがよくわからないのですね。ですから、そういう点で、ひとつきょうは特に伺いたいと思います。  それで、この意見書を見ますと、いろいろ書いてありますけれども、第一は、今回のNHK予算の中で、「資本収支から事業収支へ八億二千万円の繰り入れ」をしたことはどうもあまりよくないと。したがって、本予算の執行にあたって、執行の段階で逆に資本勘定のほうへ繰り入れるような努力をしなさいということが一つですね。そのためには、経営の合理化を徹底的にやれ。それから極力経費の節約につとめよ。「特に、受信料の収納不能額の増加は、収入の確保および受信料の負担の公平という見地からきわめて重大であるから、この点についていっそう配意」しろ、こういうことですね。NHKの経営というのは、いろいろといままで苦労され、努力されてきておるが、ことしは予想される九十六億八千四百万円という増収の額を上回った規模の拡大をして資本収支から事業収支へ繰り入れるというようなことになったのは、まさに経営が楽観を許さない状態に至ったのだと、こういうところです。そして「協会は、公共放送機関としての経営責任の重大性をあらためて認識し、合理的な経営組織の確立と事業の効率的運営の実現にいっそうの努力を傾注すべきものと考える。」こういうふうになっていると思います。ここに言う八億二千万円の資本収支からの繰り入れを事業収支にしたことはどうも適切ではない。だから予算の執行の段階でこれを取り戻しなさいというのですが、こういうために経営の合理化をどうするか、経費の節約をどうするか、受信料の徴収をどうするか、こういうことを述べておられるわけですから、あなた方がこの意見書をつけるまでには二十回も事務レベルで話し合いをしておるというわけですから、そういう点についても何回か話し合いをしてきておられると思いますから、きょうはひとつ率直にそういう経過を聞かしてもらいたいと思うのです。どうしたら経営の合理化が徹底し、経費の節約ができるのかというような点をひとつ伺いたいのです。
  100. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私の意見書については何度か当委員会におきましてもお尋ねがございまして、お答えをしてきましたが、そのとおりでございまして、具体的な内容に一々これをこうやれ、あれはどうやれというようなことでなくて、総括的に全体的にとにかく千百十四億円余のNHKの非常に巨額な予算でございますから、その〇・七四%程度の赤字、これは企業努力、経費の節約も十分なさっておることとは思いますけれども、今後また新年度に対しましてもなさろうという意気込みであることとも考えますわけでございますけれども、さらに一そうひとつこういう最近異例の赤字予算でございますから、これを解消するために、大いに御努力願いたいというようなことを述べておりますわけでございまして、もちろん、事務的に折衝をたびたび、また、長時間にわたりまして重ねたことは御指摘のとおりでございまして、まあ事務当局としましてはそれぞれ考え方があると思いますけれども、私といたしましては、郵政大臣意見といたしまして総括的にひとつそういう御努力を願いたい、一々その内容について考えておるわけじゃございません。     —————————————
  101. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 委員の異動について御報告いたします。本日、森中守義君及び山田徹一君が委員を辞任され、その補欠として野上元君及び塩出啓典君が選任されました。     —————————————
  102. 鈴木強

    鈴木強君 大臣のいまの御説明ちょっと私わからないのですけれども、少なくとも、ここに意見書として大臣がお述べになるからには、NHKの経営は一体いま現状どうなのか、ここにもちょっと出ておりますが、「過去数年間における受信契約総数の状況を顧みるに、その増加状況は横ばい的傾向になりつつあり、また、昭和四十三年度以降有力な増収財源となっていたカラー契約は、昭和四十七年度末にはその件数が受信契約数のほぼ三分の二に達する予定であり、」云々と書いてありまして、まさに楽観を許さない経営状態になっておる、こういうことです。私もちょっと予算書を見てみましたけれども、なるほどNHKの負債は幾らあるかと調べてみると、四十七年末になりますと大体五百二十四億七千二百万円に達します。これは放送債券、長期借り入れ金等を含めてでありますが、そういうふうな状況で、NHKの資産総額がおそらく七百億か、それ以上だと思いますから、そういう面から見ると、この点を十分考慮しなければならんと思うが、これにつけてもあなたが責任を持ってここに書かれる以上は、NHKとして経費の節約については一体いままでどういうふうにやってきたか。それからこれからどうしたら経費の節約がうまくいくのかという点も、当然事業計画なり資金計画なり収支予算等を見ていけば、そこに一つ判断として出てくるはずです。そういうことがなければ、ここに私はこういう現象を意見書に述べることはできなかったと思うのです。いま大臣立場としてこの場所で言えないというのか、それは私よくわかりません。だけれども、くさいものにふたをしておったのではいけないと思う。正すべきところがあったら正していくべきだと思う。もしNHKの経営姿勢の中に欠けている点があれば、大胆率直にこれは国民の前に明らかにしていく必要が私はあると思う。中途はんぱな抽象的な意見を述べて誤解を与えるようなことであってはまたいけないし、その辺は意見書をつける場合に相当これは考慮しなければならなかった点だと私は思います。いまわれわれの質問に対してただ抽象的なことしか言っていないのだということであれば私は非常に納得できないのです。しかも郵政省NHKというのは不離一体の仲ですよ。そこには二十数回の事務局レベルの折衝もある。われわれは編成権はNHKにあり、その出てきた予算に対してあなたはよく中を見て意見があればつけて出す。もし変更しなければならぬということになったら、これはNHKに来てもらって意見聞かなければできないというふうに放送法上なっているわけです。だからして、もう少し具体的に協会はこういういま経営の実態であって、まさに危機の状態だ。経営は非常に何というか、あなたの表現で言うと、楽観を許さないところにきているのだ。したがって、一そう公共放送機関としての経営責任の重大性を認識しろ、合理的な経営組織を確立しろ、事業の効率的な経営の実現につとめろと言っているのですから、少なくとも、われわれはどういう点をこうすべきだという、NHKには短所があるならばひとつ教えてもらいたい、こう言っているのに答えられないのですか、おかしいじゃないですか。
  103. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私もこういう意見書を書くについては、もちろん、事務当局からいろいろと説明も聞きますし、事務当局が相当長時間にわたりましてNHKと折衝したことも事実でございます。事務当局にもいろいろ具体的な意見があるだろうと思いますけれども、私といたしましてはNHKの自主性を尊重いたしまして、自主的に節約してもらいたいというのがこの意見の骨子でございます。さよう御承知願いたいと思います。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 それではNHKがいままで経費節減についてどういう努力をされてきたか、ひとつ郵政省側から見た額でもいいです。どのくらいやってきたのですか。
  105. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  106. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 速記を起こして。
  107. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) 郵政省といたしましては、日本放送協会から四十七年度予算といたしましては二十億円の予算を節減につとめたというふうに説明を聞いております。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 聞いておるということなんだが、それはまたNHKのほうに節減やり方についてまた聞きますけれどもね、極力経費節減につとめるほかと書いてあるでしょう。経営の合理化を徹底しと書いてある。これは徹底してないんですよ。経費節減に努力してないでしょう。そういうふうにとれるじゃないですか。節約はしておるけれども、なお一そう節約に努力せいという意味か、そういう意味なら私はわかるのです。これは非常にわれわれが普通に日本語を読んだ場合に、八億二千万円、これは沖繩があるからしかたがないけれどもね。本来の趣旨に沿って資本勘定に節約して戻せということなんだからね。こう読めるんだが、非常にこれは誤解を招きますよ。大臣もひとつどう節減したとかなんとかということを調査したかどうか私は知りませんけれどもね。これは事務当局の責任だと思いますよ。しかも二十数回の、われわれもいつも予算編成に対してはNHK郵政省でよく話し合いをして施行令に基づいて予算編成方法がきめられているんですからね。国会に来ていろいろなことがないように、よく話し合いをしてつくられたものを持ってきてください。公式には何もそういうことをやる必要はないですけれどもね。公式にもそういうことをやってくださいということでやってきたんですから、そういう長い折衝の中で、どうしてこういうことになったかということは私たちにはわからぬでしょう。だから具体的にあるなら、私たちは伺って協会に対しても悪いところは悪いとして反省させなければ困りますよ。そういう意味で、私はただあなたのほうを責めるということではなくて、事実は事実として、あるならこれをはっきりと、それをわれわれに示してくださいということを言っているんですよ。それが言えないならばこれは変えなきゃならない。
  109. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) 私どもは説明をNHKから受けまして、いろいろとお話し合いをさしていただく段階におきましては、私ども基本的な心がまえといたしまして、現在放送法規定してありますところの日本放送協会の自主性ということは、極力尊重するようにいたしたいというふうに存じておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました二十億円節約したというような説明を受けておりますが、その努力というものについてなかったというようなことは私ども考えていないわけでございます。ただ、その上さらに増収の余地なり、節減の余地なり、あるというような感じもいたしますので、その点につきまして努力を求めたということが大臣意見書でございまして、努力をしなかったということを前提にいたしてその意見書を付したということではございません。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 あのね、感じを受けたというんだね。それはちょっと間違いです。感じだけでこの判断をされちゃ困るんです。具体的にこれこれのこういう事実があるから、節約が足りないから、こうしろというならわかるんですけれども、節約はしておると、しかしなお節約をする余地があるという感じを受けたとすれば、この表現は私は少し適切でないように思うんです。
  111. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) ただいまの御指摘の件でございますが、たとえば増収の面でございますと、さらに、受信料収入の面につきまして増収していただくとか、あるいは国内放送費の面、あるいは業務費の面、その他管理費の面と、いろいろと御努力をしていただく点も全くないわけでないというふうに存じますし、それから、日本放送協会が御提出になりました予算の総則におきましても、一応節減ということは予定をされまして、総則はできておるわけでございますので、協会自体は節減は全くあり得ないというふうに、本予算についてはお考えになっていないというふうに、私どもは認識せざるを得ないわけでございます。ただ、そのいたしかたにつきましては、私どもとしましては極力自主性を尊重いたしたいというのが郵政省立場でございます。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 自主性を尊重するのは、それは当然ですよ。いまの放送法に基づく協会なんですからね。それは一つの公共企業的な性格ですから、私が何回も言うように、われわれは自主性を尊重しておるがゆえに款項目節、一般官庁会計のような予算制度をとっておらぬ。こまかいことはまかしてやってもらう。そのかわり経営の面においてわれわれの期待に沿えない点があるならば、これは責任をとってもらわなければならぬ、会長以下に。そういう基本点できている。またそれなるがゆえに、NHK放送法に基づく責任を与えているわけですから、したがって、私は経営の面における、もしあなたがおっしゃるように、非常に経営が悪くなってきておるという、楽観を許さないというような状態になったとすれば、これは経営責任というものはとられなければならぬ。きわめて大事なところなんです。だから何だとかかんだとかいう、そういう考え方でもし意見書を書いたとするならば、これは間違いですよ。私はほかのことは言いません。しかし、経営責任については追及しますよ、経営のやり方が間違っておれば。これは二千万以上の視聴者から受信料を取って経営しているでしょう。さっき私が言っているように株主総会におけるわれわれは代表なんだからね、経営というものは一番私たちは重視しなければならない。そのほか使い方がどうだとかということも、それは経営責任の一端であるけれども、少なくとも、NHKというものは国民の期待に沿って進んでいるのか、とどまっているのか、その辺の判断というものはやはりみな法律に基づいて収支予算なりを見て、うまくいってないかどうかということを判断するわけです。われわれは証拠書類一切にわたって見ているわけではない。だから皆さんのつけてくるこの意見書というのは非常に重要視しているがゆえに、かつてない意見書がついたので私は皆さんに伺っているんですよ。その事実があるならばあるでね、まあそれはあまりこれ以上やると、またどろ仕合いみたいなものを再現するような気もしますから、私はことしは、いまの発言で大体わかりましたから、郵政省考え方が。まあ、それはそれとして今後、いま申し上げたような国会に対してはもっと親切な、あなた方の気持ちを率直に述べたものにしてもらいたい。そうでないと、非常にこれは国民が見た場合には誤解を受けますよ。そういう内容です。これはひとつ実行してもらいたい。
  113. 江上貞利

    説明員(江上貞利君) 御指摘の点を一点だけ訂正させていただきます。感じたということは判断いたしたというふうに訂正させていただきます。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、それは君が訂正するんなら。まあ、国会答弁というのはなかなかむずかしくて、こういう大事なときにはあまり訂正するなんということはていさいよくないんだから、まあそれはいいです。訂正するのはそれは自由なんですからね。そこで、まあ、この意見書がこういうふうなものであるかどうかということは、われわれがこれは判断しましょう。経営がうまくいっているかどうか、われわれが判断します。意見書は意見書として、皆さん方の考え方はわかりました。だから今後大臣、いま私の言っていることはそうむちゃなことを言っているわけじゃないですから、大臣として一応その考え方があったらいま私の述べました意見についてあったら述べてください。
  115. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私はこの意見書に書いたとおりでございまして、それ以外の考えはございません。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 私はいろいろ問題があることをいま指摘したわけなんです、ですから、今後経営に対する意見書というのは十分にわれわれが納得できるようなずばりわかるようなものにしてもらいたいということです。これじゃわからぬですよ、誤解を招くようなものだということを言っているんですから、この意見をあなたが尊重してくれますか。
  117. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) その気持ちはよくわかります。そういう意味の御意見は尊重いたしますが、なかなか事務当局も説明しにくいということもあろうかと思いますし、また、鈴木先生には事前にこういう意見書をつくったということについての御説明に参上したということも承っておりますので、しかし、そういうことは正式の資料にはならぬわけでございまして、今後、御意見の存するところは大いに参考といたしましてやってまいりたいと思います。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 私の趣旨を尊重してくれるようですから一応この問題置いておきます。  協会のほうにちょっと伺いますけれども、私調べてみますと、昭和四十三年度から協会が節約した額がどうなっているかということをちょっと調べてみますと、四十三年度が十七億、四十四年度が十八億、四十五年度が十八億、四十六年度が十六億、四十七年度が二十億、こういうふうに節約されている。ことしの予算編成に対して、この二十億というものは編成時に二十億円分を節約してそれを基礎にして組んだという、こういう意味でしょうね。これはちょっと見ると、何かいまの既定予算の中で二十億円は節約ができるんだというふうにもとれるし、ちょっとこれはそうでないと思いますけれども、明確にしておいてもらいたいために聞くのです。
  119. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま御指摘のとおり、昭和四十三年の第二次、第三次の五カ年構想の発足以来年々経営の努力を重ねまして、御指摘のような節約をいたし、その上にその間における公共料金その他値上がり関係において影響をこうむりましたものがおよそ二十億くらいございます。そういった苦難のそれに耐え、しかも物価の上昇の率も年々ふえ、そういうような状況に耐えて四十七年度予算の編成に当たったわけでありますけれども、在来の節約に節約を重ね、その上にさらに節約するということが非常に困難な問題でございます。ただ、四十七年度予算におきましては、沖繩の復帰に伴いまして総体から見ればやはり収支とんとんにいくようなこれが理想でありましょうけれども、いかに努力いたしましても、そのようなことは不可能でございます。あるいはやるべき仕事をやめてしまうというようなことをやれば別でございますけれども、これは協会の仕事の本質からいたしまして、国民に対する負託にそむくからそういうことはやるべきことでないと思います。そういう意味で極力可能な最大限の節約をいたします限界を求めて、それがこの予算に計上を予定されております二十億の節約でありますし、しかも、昭和四十七年度予算の執行にあたりましては、公共料金その他の値上げの関係の影響を約七億二千万あるわけであります。合計いたしますと約二十七億余の波風に耐えていかなければならないわけでありまして、そういう意味合いにおける節約も十分に重ねてまいっておる。決してこれは甘い考えあるいはある意図を持っての収支不足ではございませんので、最大の努力を尽くしました結果、まことに遺憾でありますけれども、こうならざるを得ないという努力の最大限度のところで編成をいたしました予算でございます。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 二十億を予算編成時に節減をしておる。今後さらにこの上に節約をするということはたいへんだと思いますが、鉛筆もこのくらい短くなるまで使っているようですね。ですから、そういうふうにして紙一枚でも節約をしてさらに今後何がしかの節約をして国民の期待に沿うということは当然協会としても考えておるのでございましょう。
  121. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 意見書にあります問題につきましては、これは直接責任を持って経営に当たります。非常な苦難を身に受けております立場と、また、これによりましてこれを客観的に見て判断する立場では、およそ世の中の常としていろいろニュアンスの違いが出てくることはやむを得ないと思います。意見書には節約を一つ項目あるいは合理化一つ項目、積極的には増収の面によってこの赤字を解消するように、こういうようなこともうたわれております。私どもは、先ほど申し上げましたように、節減の関係としては最大限ぎりぎりのところまで見ておりますので、さらに、この上に切り詰める、節減をして赤字の縮小に向けるというような成算はいまのところ持っておりません。ただ、少なくとも、そういう収支不足を出しております限り、これを解消する努力は当然のことでございます。これはやはり国民に対する国民の機関としての責務であろうと思います。そういう意味合いから申しますならば、意見書の後段の増収の関係、この関係につきましてもいろいろ計数の伸びその他の関係に何ら方策を用いておりません。およそ最大限このくらいであろうと見込んでおりますけれども、なおいろいろな努力を重ねまして、かりにそういう面で予算以上の増収があれば、これを赤字解消のためにまっ先に用うべきは当然でございましょう。と同時に、物価の値上げの関係につきましても、明年度六%くらいを見込んでおるわけでございますけれども、これは私どもの努力によっていかんともいたしかねるわけでございますから、客観的経済情勢の推移が私どもの見通しよりも値上げがとまった場合には、その限度における赤字の縮小ということは可能であろうと思います。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 あまり意見書にこだわらないで答えてください。要するに、二十億円節減の努力をされて予算をつくっているので、なかなか今後実行段階において節減をするということは至難であろうと思いますけれども、私はなお一そうのくふうをこらして少しでも経費を浮かしてこれをどうするかということは、これはまた予算総則に基づいて経営委員会承認を得てきめられることですから、そういうふうな意味においてひとつ努力をしてほしい、こういうことを申し上げたのです。ですから、大体この趣旨小野会長は答えておると思いますから、それで受信料の収納不納額の増加、これは確かに四十六年度の収納率を見ると九九%になっております。それの一%、要するに、未収入、欠損金というか出てくる。そのうちの大体六%くらいをたしか四十六年度は未収欠損金として計上しておったと思いますね。四十七年度の場合には収納率を九八%と見ておりますから二%になりまして、そのうちの一%を未収欠損金として計上しておりますね。これは四十七年度は協会側も未収がふえるという判断をしているわけですね。これは一体どういう趣旨で、こういうふうにふえたのでございましょうか。
  123. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これは今日の時点で急にふえたわけではございませんで、在来四十三年度以降予算には一応そういった未収欠損の関係を予定をいたし、実績がそれによってどうなったか、こういうことが出てくるわけでございますが、四十三年度、四十四年度におきましては、予算で見積もりました未収欠損関係と実績のそれとは大体〇・六%、こういうことで合致して推移をしてまいっております。四十五年度、四十六年度、いずれも予算上は四十三年度、四十四年度の実績をもとにいたしまして、〇・六%をずっと継続して予定をしておりましたが、いろんな収納関係の状態の変化等の関係で、実際はそれが一%ぐらいに実績としては上がってまいっております。そういう推移を経ておりますので、四十七年度予算におきましては実績とかけ離れた予算の計上をいたしますのもいかがかと、こう考えまして、在来の過去二年間の実績に合ったそれを予算の基準として掲げたわけでございます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 いずれにしても、未収額がふえることはこれは間違いないわけですね。したがって、その未収対策について努力をするということ、これは私は適切な意見だと思うんです。ですから、いま米軍の基地周辺とかあるいは飛行場周辺、それから新幹線の沿線、いろいろ電波障害が起きておりまして、そういうことに便乗すると言うと悪いけれども、そういうことが原因で受信料を払わないというような人たちが出てきているわけですね。ですから、これは基地は基地なり、普通の民間飛行場は飛行場なり、新幹線は新幹線なりの、それなりの対策は講じていただいておりますが、まだ、その点も未解決の点が多いわけですね。したがって、この点は郵政大臣はじめ政府当局としても、そういうNHKが被害者の立場にあるわけですから、国家的な見地に立ってそういう問題を解消するように努力をしていただくとしましても、現実にはそういう運動が広まってきているわけですよ。だれかがから手の実況放送をしてくれと言って、協会がやらなかったら逆に未納運動、滞納運動というものを始めているというのを聞いておりますがね。そういうような市民運動が各所に起きているように伺うのですが、ですからこれはわれわれがくどく言うように、放置しておけない。したがって、NHKもたいへんでしょうけれども、今後大いに努力していただいて、そうして正常な契約をしていただくようにしないと、それこそ公平でないです。まじめに払っている人からすればとんでもない話だということになって、また、変な悪い運動に発展していくことをおそれますから、それはそれとして協会側が努力する、郵政大臣は郵政大臣として未解決の問題については努力をしてもらう、そういうような努力を積極的に進めていかなければ、これはむしろ多くなっていくように思うんです。これはひとつ御両所ともぜひ一そうの努力をして、何とかこの未収をなくし、そして契約をカラーになったらちゃんとしてもらう。カラーになっているにもかかわらず、三百十五円の安い料金のほうが得だからやはりそれでやっているということでは、どうもこれは困るわけですから、そのためにいろいろなPRもし、苦労でしょうけれども、協会のほうもやはり努力をしていただいて、一%だから、まあ一〇〇%のうちの一%だからまあよくできているという、これはわかります。わかりますけれども、それだけに安住したらとんでもないことになりますから、その一%を何とか掘り起こして、たいへんですけれども、回収するようなひとつくふうをこらしてもらいたいと思うんです。この辺はどなたに聞いても異議ないところだと思いますので、ひとつ大臣からも、政府としてやらなければならぬさっきあげた三つの点ですね、やってくださいよ。
  125. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘のとおり、あるいは未収を少なくすること、あるいはそれによる欠損金の解消をはかっていくということは、不断に努力しなければならない問題であろうと思います。協会もいろいろ困難な情勢の加わりつつありますさなかにおきまして、そのような努力はいたしておりますけれども、いまの状況をもって満足するわけにはまいらないと思います。不断の努力を、この面には最善の努力を傾注するという気持ちには変わりございません。将来もそういうようなことから、収納の万全を期してまいりたいという気持ちを持っておりますので、どうぞ御了承いただきたいと思います。
  126. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 不当な受信料不払いというような風潮が蔓延するということは、十分警戒しなくちゃならない大きな問題でございますから、政府といたしましても十分留意いたしまして、防止に努力してまいるように指導してまいりたいと思っております。
  127. 鈴木強

    鈴木強君 NHKのほうは、まあ、これは私の誤解であれば解いてもらいたいんですけれども、いままでずっと質疑しておりまして、不在者対策ですね、こういうものに対してはかなりやっていただいていると思うのですね。ところが、市民運動的に故意に滞納しょうという、これは一部の方ですけれどもね、そういう不心得的な人たちに対して、しかしまあ、不心得だときめつけられない面もあるのですね、また一面、さっき言ったような周辺の難視聴の、現にたとえ十分間でも五分間でも障害によって電波が見えないという人からみると、これまたどうしてくれるんだと、ちゃんとはっきりした画像、映像が出てこないのに払えるかということで不満があるんだから、必ずしも間違ったとか、何とかいうふうにもきめつけられないわけですよ。そういう意味で、それぞれやっぱり要因があるわけです、おそらくね、払わないという要因が。大臣の御所信、そういうように大臣もおっしゃいましたから、そういう趣旨で、また、協会のほうも不在者対策だけに私は力を入れてきたと申しませんけれども、もっとそういう市民層に対しても、こういうふうに協会もやっておりますというような理解と納得を得るような積極的な対策を立てていかないといけないと思うのです。同時に、NHKが公共放送として、チャンネルは幾つもあるけれども、自然に第一チャンネル、第三チャンネルへ手が回っていくというような、やっぱりりっぱな番組をつくって、そして放送する。そして、これが国民のため、国家のために役立つという、そういう使命を完遂していただけば、だんだんと不払いがなくなってくると思うのです。ですから、そういう密着をぜひ強めていただきたいと、こういうふうに、心から私はお願いをするわけです。それで未収対策については、これ予算書を見ますと、これはあれですか、関連経費というところに計上されているんでしょうかね。これは幾ら、〇・六%を一%にした場合ですね。欠損金は幾らになりますか。この中に幾らあるのですか、ちょっとわからないです。
  128. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 御指摘の未収受信料の欠損を償却する部分でございますが、これは関連経費の中に含まれてございます。で、ただいま御指摘のございましたように、四十六年度の場合には〇・六%が欠損になるであろうという予定を立てておりまして、四十七年度につきましては、四十四年度、四十五年度の実績によりまして、実態に合わせる意味で一・〇%というようにいたしたわけでございます。で、その金額は、四十六年度の場合には、予算上の数字で申し上げますと五億九千四百万でございました。四十七年度の場合には、総体の収入の増加に対応しての増額もございまして、全体といたしますと十億八千五百八十五万七千円になります。なお、沖繩関係で別に新しい受信料のあり方の中で、沖繩地域についての特別な状況がありますので、これについて一億一千二百七十八万円が追加されまして、総体のこのお手元の予算の数字で申しますと、関連経費の中の四十七年度分の未収受信料欠損償却の総経費は十一億九千八百六十三万六千円になります。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それで、前回決算のときに、私は資料出していただくようにお願いして、予算のほうは書いてあるというものですから、そうなっていると思ったんですけれども、ここにたとえば関連経費は支払い利息、未収受信料欠損償却、放送債券発行償還経費等とか、もう少しこれをこういうこまかい表にやってもらえば幾ら未収があるということがわかり、欠損償却が幾らあるかということがわかるのだが、そういうふうな来年はちょっとわかりやすい資料出してもらいたい、これはひとつお願いします。  それから、沖繩が五月十五日復帰するのですけれども、四十七年度予算で受信料を払う人が沖繩の、だいぶ低いそうですね、少ないそうです。たしか資料にきたと思いますけれども、すみませんが——大体沖繩関係を見ますと収納率四九・九%ですから、五〇%に満ちてないわけですね。これは一〇〇%に上げる努力をさっそくやっていただかなきゃならぬと思うのですが、従来の長い占領下において日本の国内にいる人々とのその感覚というものがちょっと違うと思いますから、相当に親切、懇切丁寧によく理解をしてもらう、宣伝を周知しなければならないと思いますけれども、今年度はどの程度まで予算上は収納できると見て、踏んでおられますか。これは何カ年計画かでおやりになると思いますが、少し馬力を上げて、減額をして特別な沖繩には待遇をするわけですから、日本のわれわれも沖繩の人たちが帰ってくるのですから、その差額はみんなでカバーしてやろうという気持ちくらいは持っているのですから、ですから、できるだけ理解と納得を得て収納率を上げていくということに努力すれば、ひとつピッチを上げてもらいたいというふうに私は思うんですけれども、現状をどういうふうに努力して四九・九%を一〇〇%に近づけていくのか。それから、そうであっても努力してうんと契約してもらえるか、その努力をしてもらえるかどうか、それをひとつ教えてもらいたい。
  130. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいま御指摘のございましたように、現在のOHKの収納率はきわめて低いわけであります。沖繩約二十三万世帯の中で受像機を持っておりますものが十九万世帯、そしてその中でOHKと契約しておりますものが約十二万世帯、その中で受信料を払っておられる方がただいまおあげになりましたように四九%、五〇%を切れているわけでございます。私どもといたしましては、五月十五日に復帰いたすわけでございますが、従来沖繩がなぜそういうふうな受信料の収納が低いかということをいろいろこまかに分析をいたしております。同時に、先ほども鈴木先生からお尋ねがあったようでございますが、現在の沖繩住民の持っております受像機のチャンネル、これがアメリカチャンネルでございますので、今度NHKがその仕事をやります場合に教育テレビはもとより総合テレビにおいても若干の受像機の改造をいたす必要がございます。これらにつきましては、私どもは復帰以前に約六万の世帯と、それから学校につきましては八百個、これの教育テレビを受ける改造をいたしたい。まあ少なくも、学校については五月十五日以前に全部終わりたいということで、ただいま本土のメーカー各社と連絡いたしましてすべて準備は整っております。ただし、これは予算関係がございますから、この予算が御承認いただきましたならば、四月以降早急にこの処置をいたしたい。それからそれらの関係で従来の沖繩のアンテナにいたしましても、そういうふうな受信環境というものはあまりよくはございません。沖繩はああいう島でございますから、アンテナを取りかえましても塩害できわめて早く悪くなるというような実情もございます。そういうことも含めてアンテナ対策とか、その他もろもろの措置をいたします。さらにただいまもお話がございましたように、アメリカ施政権下に二十五年あったというようないろいろな事情もございますし、それ依然の沖繩の特殊な事情もございます。そういうことを含めまして、私どもはやはりNHKというものの性格あるいはNHKというものの番組やり方、そういうことについては十分プロモートをしてまいりたいというふうに考えております。で、そういうことは幾らでもあげればあるわけでありますけれども、そういうことをひっくるめて五月十五日以降はきわめて活発な対策をやりたいというふうに考えておりますが、しかしそれならば、それをやれば受信料はちゃんと取れるかということについては若干問題がございます。私どもの案としては、予算にもありますように、四十七年度内において約三億五千万の受信料をとりたい。その中にはカラー契約の分も入るわけでありますが、そういうものをとりたいということはひっくり返しますと、約六〇%の収納率にしたいということでございます。この六〇%の収納率というのは御承知のとおり、本土に比べますと、それでもなおきわめて低いわけでありますけれども、まあ沖繩の実態を見ますと、私どもが先ほど来申しましたようなもろもろの施策をいたしましても、それが限度であろうと、私は考えております。さらにそれを長期的に考えますと、そういうことをやってまいりまして、五十一年度までに収納率を八〇%近くまで上げたい。ただこの問題はNHKの努力いかんもありますけれども、沖繩全体の社会経済の開発とか、あるいは教育の充実とか、そういうことと相わたる部分がありますので、私どもがいまにわかにこういう計画を立てて、これだけとれるのだ、こういって考えて多少その辺に私も自信のないところがございます。したがって、そういうことと見合った上で沖繩の、まあNHKがまいるわけでございますから、公共放送というものの認識を新たにしていただくとともに契約収納も高めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 これはもちろん、いろいろ困難があることは私も百も承知していますけれども、ぜひ努力をして増収をはかっていただくことをお願いしておきます。  それから、これ大臣NHK予算の編成の問題、ちょっと私伺いたいのですけれども、これは放送法施行令に基づいて郵政省のおっしゃるように組み立てていると思いますけれども、一般の企業会計とか、あるいは国家予算の場合なんかでもそうですけれども、どうもNHKの場合は資本収支と事業収支とに分かれているのですが、資金計画のほうを拝見しますと、年間の金の動きがよくわかるのです、この資金計画見ますと。ところが事業計画だけ見ておりますと、ちょっとたとえば、資本収支からの受け入れ八億二千万円というものがあるんですけれども、何か資本を食いつぶしてここへ持ってきたように一般の人が受け取るんですね。まあ、資金計画のほうでは長期借り入れ金というものも放送法に基づいて額をきめられておりますけれども、認めれらておるし、放送債券も認められているわけですから、NHKの本来収入というものは受信料と、それからそういう外部の資金に依存するものと二本立てになっていると思うんですね。年間まあ電電公社の場合でもそうですけれども、加入者からいただくものと料金からまかなうものとそれから財投からくるものと、こうあるわけです。そういうものが集まって収入になる。その中から支出を考えていくということになりますと、財源措置として借り入れをするかしないかが悪いかどうかはそれは別としましても、すっきりちょっと見てわかるんですけれども、これは放送法施行令でこうなっているからこういうふうにつくったんだと思いますけれども、若干その点の見方が、われわれも初めのうち見たときにそういうふうに感じていままでおったものですから、何か資本収支と事業収支の立て方に対してもう少しくふうをしてみる必要があるんじゃないかという気がするんですけれども、これはNHKのほうからも聞きたいし、それから郵政省のほうからもいますぐここでどうということはないけれども検討していただく価値があると思いますけれども、どうでございましょう。
  132. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) わかりにくい点が確かにあるそうでございまして、やっぱり検討に価するようでございますから十分検討いたしたいと思います。
  133. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お説のとおりでありまして、これは要するに、その年間の借り入れ金が八億二千万円ふえるということなんでございまして、別に資産を売り払って食いつぶしながら経営するという意味ではありません。ただ、放送法との関連、従来放送法ができてからの国会あるいは郵政省の指導方針として、借金はおもに施設のために使えという一種の方向がありまして、したがって、経営上の借り入れ金というものは一銭もない姿になっておるわけでございます。しかし、これは形式の問題でありますから、将来郵政省御当局も御検討願って私どもとしては経営責任を明らかにするためにはむしろそのほうが実態に即しておると、私は考えております。
  134. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。どうぞ検討して、もしできたらこれは郵政省のほうでその気になればできるわけですから、施行令変えればいいわけですから、来年はそういうことで提案されたら幸いだと思います。  これはひとつ会長に伺っておきたいと思うんですけれども、ことしの予算について、さっきから経営の問題で私はいろいろ述べましたけれども、いろいろと数字的に見ますと、たとえば、建設計画と事業規模と財政の安定というたてまえから見ますと、たとえば減価償却費なんかも四十六年度は五・七%でございました。ところが、一〇・六%と約二倍にふえていますね。関連経費というものはこれまた四十六年度八・五%のものが五七・一%とふえてきているんです。こういうふうに見ますと、なるほど第三次長期計画の中では建設計画というものが放送センターをはじめずっと続きましたからね。全国各地の放送会館等もりっぱになりました、私行ってみまして。ですからそういう建設時代で、それにカラーが加わってきてかなり総体の予算のうちからそっちへぶち込まれてきたと思いますね。そのためにこの事業運営費的なものが大小にかかわらず圧迫を受けてきたということは私は事実だと思います。ですから、そういう姿は長期には私は続かないと思うんです。また、事の性格からして大体建設がここ二、三年のうちに終われば安定的な方向にいくと思うんですけれども、特に第四次長期構想というものについて私はきょうちょっと伺っておきたかったのです、料金問題も含めまして。まあ八億二千万がどうとかこうとかいうことも料金問題につながるような心配もなきにしもあらず、したがって、それらの点も含めて会長として現行の料金体制で一体どこまで持ちこたえられるのか、それと同時に、財政を硬直化するような建設計画というものについては、今後もいろいろあるでしょうけれども、やはりある程度手心を加えていただいて、そうして全体のバランスをとる中でやっていっていただいたほうがいいように思います、五百億をこすようなやっぱり負債になってきていますからね。その点もわれわれとしては心配になるわけでして、どうか今後の協会の基本的な運営計画の中では、いま私が指摘したような点も十分配慮してぜひやってほしいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  135. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そういう御印象をお持ちになることは当然だと思います。この点につきましては予算を郵政大臣提出する際にも私の考え方は郵政大臣に申し述べさしていただいておるわけですが、大体放送法によれば、まあ先ほど先生が御指摘された約七百億の三倍まで借り入れ金があってもよろしいという法律にはっきり条項があります。それから現在のNHKの資産の実績は一千二百億円に達していると思います。ですから、そういう意味ではNHKの経営はおそらく企業の経営者が見たらこれほど堅実な経営はないんじゃないかと、私がそう自画自賛してはおかしいと思いますが、しかし聴視者との関係あるいは聴視料との関係、技術の進歩との関係でこれをどう仕切っていくかということが御指摘のとおり将来の問題だと思います。それでたとえば、この減価償却費がふえてくる、あるいは建設費の使い方が一応変わったのは、簡単に言いますと、昭和三十五年度の予算を編成するにあたって当時の政府の御要望及び郵政当局のお考えをある意味で採用したわけです。それは御承知のとおり、所得倍増がスタートを切った時期ですから、それと同時に、NHKは御承知のように民放との関係で申しますと、NHKは全部従来の機械を戦禍で失っております。したがって、民放は新しくできましたからほぼ基礎的機械というものは輸入品の一番新しいやつだったわけです。したがって、そういう意味で、NHKの施設を新しくするということは再建するということと同じことばになりますが、したがって、いろいろ関係当局にも御相談申し上げて、その年度の聴視料からも建設に使えというようなお話もあって、そして一挙に戦争でうちひしがれたいろいろな機極設備、局舎を簡単に言えば第一次五カ年計画と第二次五カ年計画等を通じて今日に引き上げてきた、で、このために建設費というものがかなりの額を持っているわけです。現在御指摘のように、明年度予算で帳面づらで考えられる借金の総額は五百億をこえるかもしれませんけれども、しかし、その減価償却の基礎としてこの借金と相殺すべき分が実は内幸町というものがあるわけなんです。したがいまして、この見地から経営的に申し上げれば、まあやっぱり三百億台に減る可能性を持っているわけなんです。しかし、これは御審議いただく四十七年度では処分いたしませんので、この数字が出てくるのは四十八年度になるかと思っております。ただ、もう一つ指摘の五カ年構想の最終年度、これは私の記憶を申し上げますので、多少の数字の違いはあるかもしれませんが、その五カ年間の私どもは聴視料収入の総額を約六千四百億近いと考えております。問題は、その中で、いわゆる従来方式による建設費がどれだけ事業を圧迫してくるかという問題であります。この点についても、私は予算提出の際、郵政大臣にも御説明申し上げましたが、聴視者と直結して、聴視者のために絶対必要な建設費は投ずべきであるという考え方です。しかし、技術者は全部おそらく理想主義者だと思います。最高の進歩、それよりおくれた施設というものには非常な一種のコンプレックスを持っている。こういう点を是正しながら、その五カ年間の収入に見合って、事業を圧迫しない建設費の実態はどうかということが、御指摘のとおり今後の問題だと思います。しかし、これを処置することは、私としてはそうむずかしい問題ではない、と申しますのは、昭和三十五年からスタートした局舎の建設あるいは機械の更新、あるいは同時にこれは準備期間が長くかかりましたが、近代化のための機械化、これが同時に進行してまいっておりますから、今後五カ年間の構想の中では、私は実は公約としては四十七年度、四十八年度は、値上げしないということを申しておりますが、現在の物価の騰勢であるとか、あるいはこれはことに健保と大きな関連を持ってまいりますが、そういうようなものが一定の歯どめがかりに可能であるとするならば、私としてはかなり長期にわたって、NHKの経営が聴視者の負担を重くするおそれはないというような考え方をひそかに持っております。しかし、少なくとも、今後経済情勢がどうなるか、きのうのニュースで野村経済研究所の発表を見ますと、来年ぐらいからまた岩戸景気が出てくるだろう。しかし、その前提は再び円を切り上げることだというようになっておりますが、この辺は政治問題で、私どもには予想はつきません。しかし、私はこれは日本ばかりでなく世界全体はプラス・マイナスという経済ないし財政でなくて、ボリューム全体が大きくなっていくという、そういう環境の中で、これはNHKの前途に対してはまさに楽観しておるものであります。と申し上げますと、また御批判をいただくかもしれませんが、少なくとも、第四次長期構想の中では耐え得るだけ耐えられる可能性があるということだけは申し上げたいと思います。しかし、それが何年までどうかということになりますと、私もいつもそれでおしかりを受けるのですが、神様でもありませんので、イエス・キリストのような宣言はできませんけれどもNHKの実態と、日本経済のボリュームということを考えますと、そして私どもがいままでやってきたことを基礎として、今後切り捨てられるものは何かということを考えますと、私はむしろ楽観主義者であるということを申し上げたいと思います。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 私の時間がもうないようですから、しかし、質問は三分の一もいってないということでございますが、きょうはこちらの理事会のあれもありますので、私やめますけれども、これは一応留保していただいて、次回に私の質問を譲らせていただきたいと思います。  それで最後に一つだけ。事業は人でございまして、そこに働く従業員が勤労意欲を旺盛にして、一生懸命協会の仕事に熱中してくれなければ、これは幾ら会長が釈明してみたところでうまくいかぬわけです。そこで従業員に対する処遇について、われわれもいつかここでも附帯決議をつけたりしておりますけれども、ことしの場合には幸いというか、昨年の暮れに一応妥結をして、そうしてそれに基づく予算が計上されております。しかし、いろいろと私ども資料を拝見してみますと、他産業の皆さんと比べて固定給においても、夏期年末等の手当につきましても日放労は悪いですよ、率直に言って比べた場合。ですから、一方では財政の問題もありますけれども、やはり皆さんがほんとうにやる気になってやれば、そこにまた経費節減とか、能率の向上、増収というものも生まれてくるわけですから、やる気を持たせるような処遇を与えていただきたい。ですから、そういうことについて今後とも協会は努力していただきたいと思います。現在何か三二%くらい人件費に回っているそうですけれども、外国のフランス国営などを見ましても六八年度で四二%、それから西ドイツの各州放送局のやつ見ましても、やっぱり四五・二%くらいは人件費に回っておるようですね。それから見ると、協会のほうは人件費三二%だそうでございますから、比較した場合にはまだ少ないように思うんです。しかし、財政全体のことがありますから、公共放送ですから、ある程度しんぼうしてもらわなければならぬところはしんぼうしても、やはり基本的には同種産業と比較して下回らないような、あるいは上回ってもいいと思うんですが、やはりそういう処遇を与えていただくこともぜひ考えてほしいと思うんです。  放送センターの土地の取得問題についても、いろいろ各方面で取りざたされておりますので、私は私なりに調べてみましたが、これはこの委員会より、私は決算委員会のほうが適当だと思いますので、これは後日決算委員会のほうで、大蔵省に特に質問をしたいと思っておりますから、これは次回にそちらに譲ります。  いまのことだけひとつ会長から答えてもらって、私はきょうは終わります。
  137. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これは先生もおっしゃるとおり、また、一般的にNHKの給与が社会水準より低いというようなことでは、簡単に言えば、いい番組はできないと思います。ただ、私はこの際、先ほどの五カ年構想の中で数字的なことだけを申し上げましたが、すべてのわれわれの同僚職員が喜んで働ける場を、まずつくる必要があると考えております。そのためにはいままで四十七年にわたって、官庁的な組織をまねしてきたこの組織を、根本的に改めたいと思っております。だれでもが責任を持って働ける場をつくりたい。これとの関連で、私としてはやはり社会的水準は維持していきたい、給与に関してこのように考えております。
  138. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは塩出啓典君。   〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
  139. 塩出啓典

    塩出啓典君 それではまず沖繩の問題について、時間もおそくなりましたので、具体的問題から質問したいと思います。  まず、沖繩復帰することにつきまして、NHKの予算も沖繩地域においては、可及的すみやかに本土と同等の放送サービスを行なうことを目途とし云々、そういうことでやっておられると思うのでございますが、やはりわれわれといたしましては、沖繩の県民の皆さんが日本へ復帰して、ほんとうによかった、それはもうあらゆる面について言えるわけでございますが、やはりテレビの放送とか、そういうような面においても、やはり復帰してよかったというように私はしていくべきである、そのように思うわけでございますが、そういう考えについて異論がないかどうかですね。
  140. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 当然のことと思います。
  141. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでNHKの御努力によりまして、本島におきましては早々に本土並みが実現をする、FMはちょっとおくれますけれども、非常にわれわれも御努力を多とするわけでございますが、ところが本島に比べて先島のほうは、いろいろそういうふうな地理的な条件の困難性もあるわけでございますが、非常に本島に比べれば格差が激しい。結局、今日一番問題であったのは、一つはやはり同時放送でないということ、これはたびたびこの委員会でも申し上げましたように、朝のニュースが夜になったり、夜のニュースがおはようございますというわけで、非常によろしくない。そういう長年の要望があって、本土復帰に伴ってすみやかに本土並みになると、そのようにみな現地の人も期待をしておったわけですけれどもね。これが昭和五十一年、この昭和五十一年はやっぱりもう少し早くならないものですか。
  142. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) できるだけ早くなることを念願しておりますけれども、何ぶんにも距離が離れておりますので、現在の状況では同時放送は不可能でございますけれども、電電公社の海底同軸ケーブルの完成を待たなければそういったことが技術的にできませんのでいたし方ありませんけれども、同軸ケーブルが五十一年よりも先にできわば、これは御要望に沿い得ると思いますけれども、大体現在のところ予定では五十一年ぐらいになるんではないか、こういうことで、そのときをもって本土並み、いわゆる同時放送というような面では本土並みになるというように考えております。もっとも、同時放送ではありませんけれども、総合、教育、ラジオ二波は届きますし、また、カラー放送についてもできるだけの放送をいたしていきたい、こういうように考えております。
  143. 塩出啓典

    塩出啓典君 郵政大臣にお伺いしますが、電電公社の五十一年の海底同軸ケーブルというのは、これは間違いないですか。いま五十一年ということで、五十一年ごろになると、これまた五年くらい延びるというのではよくないと思うのですがね。五十一年はもう雨が降ってもやりが降っても絶対にやってくれるのかどうか。その点電電公社は約束してくれているのですか。
  144. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 先島のテレビの放送につきましては、ただいまNHKの副会長お答えしたとおりでございますが、実は御承知のように、ただいま本島と先島との間に見通し外のマイクロがございまして、これで電話を通信いたしておるわけでございますが、これを調査いたしまして、できますことならば、これを利用いたしまして、テレビ——これは白黒でございますけれども、これを利用いたしたいということで調査をすることにいたしておりまして、実はその調査については明年度大蔵省に予算を要求いたしたのでございますけれども、とうとう予算がつかなかったわけでございますけれども、電電公社の御協力をいただきまして調査をやりたいと思っております。しかし、これがどうしてもだめだということになりますれば、深海用の海底ケーブルというのを電電公社で開発いたしまして、これを利用いたしまして、これはカラーテレビもいいそうでございます。それがいまお答えにありましたように五十一年度を目途にいたしておりますけれども、場合によっては、五十二年度になるかもしれないということのようでございます。しかしまあ、一日も早く沖繩における先島を本島並みになるべく早く放送事業も持っていかなくちゃならないということで、これはNHKばかりでなく、民放にも関係あることでございますけれども、今後十分努力し、そのように指導をしてまいりたい。これは沖繩特別委員会であなたにお答えしたとおりでございまして、間違っておりません。
  145. 塩出啓典

    塩出啓典君 五十一年が五十二年になるかもしれないのではなしに、五十一年が五十年になるかもしれないと、そういう方向でひとつやってもらいたいと思うのです。  先ほど小野会長は、復帰と同時に、総合、教育もあると言われましたけれども、これは総合、教育の二番組ができるのではなくて、その混成の編成であって、これはやはり総合、教育の二番組であると言うことはできない。やはり沖繩本島においては総合が十八時間、また年末までには教育も十八時間、それに対して離島においては両方合わせて十五時間、そういうわけで非常に差があるわけですけれども、そういうのを含んだ上の御発言だと思います。  そこで、このNHKの予算にもありますように、「放送番組の利用については、教育、教養番組の充実に対応して、学校教育面への利用の促進を図るとともに、社会教育面への利用についても積極的に促進する。」このようにあるわけですけれども、私はこれが日本本土のみならず沖繩、しかも先島にも適用する内容じゃないかと思うのですけれども、そういたしますと、やはりとかく私も八重山、宮古等もだいぶ回って参りましたけれども、教育施設等も非常におくれておりますし、そういう点からもやはり教育テレビ等による教育というものが本土との格差をなくする上において本土よりもさらに重要じゃないかと思うのですね。であるならば、教育放送を、同時放送がそういう技術的な面でできないにしても、NHKの総合と教育の、教育の分離編成ですね、これが五十一年になっているわけですよね、これをもう少し早くやれないものか。そういう点、やはり金のかかる問題ですけれども、そういう点はどうなんですかね。検討されたのかどうか。   〔理事森勝治君退席、委員長着席〕
  146. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) その点については検討はいたしました。しかし、将来同時放送というたてまえで検討しますと、そういう形が出てまいるわけですが、私としてなカセットとか、いろんなものが進歩しておりますから、学校教育等に強い希望があればほかの形で教育番組を提供する可能性はある、このように考えておりまして、御質問の点については実際上どういう措置をとるかをあらためて検討したい、このように感じております。
  147. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういう方法もありますけれども、これはあるに越したことはないわけでして、しかもどうせ五十一年にはつくっちゃうわけですから、早くできたからといってその設備がだめになるのではなしに、そういう二波の設備というのは当然五十一年の本土並み同時放送のときには適用できるわけですから、そういう点でやるならば、私はむしろカラー放送を実施するよりもやはり教育テレビを分離することのほうが私は国家的見地から考えても大事じゃないかと思うのですけれども、これはひとつどうですか、郵政大臣はそういう点についてはどう思いますか。私の意見に賛成してくれませんか。
  148. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 教育を尊重するという塩出委員の御意見は全く賛成でございますけれども、いよいよそのような放送を実施するということについては、NHKのお立場もございますし、予算の関係もございますので、まあなるべく早くそのような方向に持っていくように御努力を願って、御意見としましては私もいまの御意見は十分わかるわけでございまして、そのような方向で郵政省といたしましても努力いたしてまいりたいと思っております。
  149. 塩出啓典

    塩出啓典君 ここで早くやれといっても、予算も衆議院も通っておることですから、なかなか私ひとりがんばってもこれはだめですからいさぎよくあきらめますけれども、願わくば、同時放送とともにいわゆる教育テレビの分離も一刻も早くできるように御努力をいただきたい。五十一年に同時放送がおくれたからさらに教育もおくれる、それでは困るのであって、だからそういう教育の放送だけでも早くやるということはこれは技術的には可能です。問題はやはり資金の点が問題になるわけですから、そういう点はひとつ会長としてもすみやかになるように今後とも努力をしてまいりたい、そういうことを強く要望したいんですけれども、その点どうでしょうか。
  150. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 検討し、かつ努力いたしたいと思います。
  151. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで、料金の問題でございますが、沖繩本島と先島との間に料金差をつける、そういう点で、これはどう考えてみても、沖繩本島は二波あって三十六時間、先島は一波しかなくて十五時間、しかも時間的に非常にずれますし、台風期になるとなかなかニュースも届かない、そういうような非常な放送条件の差があるわけですね。そういう点から考えて、しかも、沖繩が本土に返ってきたわけですから、——沖繩本島のほうは、まあ前の八十セントですか、その料金から見れば、料金は変わりないわけですけれども、しかしサービスがよくなっているわけですから、やはり本土復帰してよかったというものがあると思いますし、先島のほうは確かにラジオ放送はふえますけれども、テレビのほうはいままでとあまり変わらない。それではやはり本土に復帰してよかったというものはないと思うんですね。そういう点で、これは先般の沖繩特別委員会においても、佐藤総理は、これは料金に差をつけるように努力をすると、そのように発言をしたわけですけれども、そういう点について、総理はおりませんけれども、そのとき郵政大臣も一緒におられたわけですから、郵政大臣としてこの料金を先島に差をつけるという点については努力をされたのかどうか、NHKに対してそういうことを申し入れていただいたのかどうか。その点どうですか。
  152. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) さきの沖繩国会塩出委員のほうから、先島に対しましては本島よりも多少テレビの料金を下げるようにという御要望があったことは私もよく記憶いたしておりまして、私からもそういうように努力するというようにお答えし、佐藤総理からも御指摘のようにお答えがあったかと思っておりますわけでございますが、ところが、先刻からいろいろ御説明があり、また、塩出委員の御意見がありましたけれども、沖繩が本土に返ってまいりまして直ちにではございませんけれども、着々順を追って本土並みに放送事業の内容を充実してくる、カラーも中波もFMもというようなことになっておりますことは、NHKから先ほどから御説明を申し上げているとおりでございます。そういうように放送内容が非常に充実し、いまおことばにありましたようにサービスが向上してくる、それについてはNHKにかなり大きな負担をかけなくちゃならないということになってくるわけでございまして、それにもかかわりませず白黒テレビは二百五十円、前の八十セントとほぼ同額のその程度、それからカラーが四百円というようなことで、非常に本土と比べますと、料金は安くなっておりますわけでございます。そういうように沖繩全体が日本の本土と比べまして安くなっておりますわけでございますから、諸経費も変わりませずそういうサービスをするということでございまして、しかも在来のOHKも沖繩全体、本島も先島も同一料金でいただいておったという関係もございまして、もちろん、私といたしましては十分努力しますというお約束を申し上げたことはよく記憶いたしておるのでありまして、事務当局にそのようなことをNHKに要望してもらいたいということは申しつけておいたわけでございますけれども、そういうことをきっと申し入れたと思いますが、その結果NHKのほうでもいろいろ御検討されまして、もともと日本の本土よりも安い料金だから、そして在来、NHKが先島も一緒の料金であったので、ひとつということで、先島も本島と同額の料金でごしんぼう願いたいという結論になったわけであります。これは、大いに検討し大いに努力いたしました結果このようになったわけでございまして、御期待に沿えなかったことは申しわけなかったと思っておりますけれども、努力し、検討したことは事実でございますので、御了承いただきたいと思っております。
  153. 塩出啓典

    塩出啓典君 料金をきめるのは、佐藤さん一人が努力すると言ってもできるものじゃありませんし、郵政大臣だけでできるものでもない。NHKも、毎年、経営委員会などで検討してもらった結果だと思うのですけれどもNHKとしては、沖繩特別委員会においてそういうことが問題になり、佐藤総理がそう発言をして、そして郵政省からもそれを踏まえて検討しろと、そういうことはちゃんと知って検討していただいたわけですか。
  154. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 総理がそのような御答弁をされ、また、大臣がただいま御答弁になりましたように、私どもに要請をせられましたことも事実でございます。私ども、それを踏まえましていろいろ検討いたしました結果、サービスの改善を急ぐということを主点とし、料金面では、沖繩を一体といたしまして、その中で、さらにサービスの度合いに応じて格差をつけるということは適当でないであろうということでただいまのような結論に達したわけであります。
  155. 塩出啓典

    塩出啓典君 サービスはもちろんやってもらわなければいかぬですけれども、五十一年も、いろいろ話を聞けば先に延びるかもわからないというのですし、それはいろいろ考え方はあると思うのですけれども、私がかりにNHK会長になったらぱっと下げると思うのですけれども。その点は少しの支障もないと思うんです。先島だけ下げたからといって金額としてはそんなにたいした金額じゃないと思うんですよ。しかも、収納率は悪いわけですから、やはり会長は、そういう住民感情の上からも下げると。払ってないところに行ってごらんなさい。沖繩本島とこんなに差があるのに料金だけ一緒かというので、むしろ、これから新しい分野を開拓できないと思うのですね。そういう点で、なぜ下げてはまずいのか。やはりNHKのたてまえ上、いままでそういう例はあまりないわけですが、今度初めて本土に対して沖繩が格差ができたわけですから、それにさらに格差をつけるということはいままで例がないわけですけれども、そういうことはやはりしてはまずいのかどうか。どういう理由であえてそれをしなかったのか。私は何かNHKの確たる考え方があるんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  156. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私たちも真剣に考えたことは副会長から申し上げたとおりです。ただ、私どもも、率直に申し上げて、いろいろな騒音とか、基地とか、いろいろな関係で本土もかなり悩まされておるわけです。率直に申しまして、そういう格差をつけることが、皆さんもときどきおっしゃる本土の沖繩化になることをやはり考えなきゃいかぬという気持ちもございました。それで私どもは、結論として、とにかく、沖繩本島と比べますとサービスが不十分であるということは、これはテレビが一波しかなく、マイクロウエーブもないという点では歴たる事実だと思います。ただ、それに対して中波二波、それから四十七年度は不可能ですが、四十八年度になれば、まずFMを持っていくと、こういう考え方からいたしまして、やはり料金は聞いている分量で決定すべきではない。NHKの料金というものは、そういう性格のものであるというようなことも検討いたしまして、私どもとしてはやむなく、やはりそういった、先生からお考えになると、ある意味では実情に即しないという御印象もかなり深いかと思いますけれども、料金の根本原則という点から考えまして実はそういう決定をいたし、そのかわり、残念ながらマイクロウエーブについてはいまのような実情でございますので、そのほかのサービスをできるだけ早い時期に完全なものにしたいという考え方でお許しをいただきたいというのがこの予算書でございます。
  157. 塩出啓典

    塩出啓典君 そういう考え方はわかります。しかし、沖繩というのは特殊ですよね、今回は。沖繩が日本に返還されてくるということは、日本の歴史でもこれは一回しかないことであって、だから沖繩の本島については本土との格差をつけるということも異例のサービスをしたことですからね。その趣旨からいえば、やはりさらに一段下げるのが当然である、これは私はそう思うわけであって、NHK会長以下皆さんはそう思わない。そこに非常に残念な結果があるわけで、これ以上は時間もありませんので……。非常に残念である、であるならば、ひとつすみやかに本土並みになるように努力をしてもらいたい。  そこで、実は予算の説明のときに、あるNHKの人がこういうことを発言しましたね。これは私的な発言ですけれども、私は確認しておきたいんですけれども、やはり沖繩の本島と先島というのはあまり料金に差をつけるのを好まないんだ、だから現地の人も料金にあまり差をつけないほうが先島の人は喜ぶんだ、そういう発言をされまして、私は冗談ではないかといまでも思っているんですけれども、そういうこともあるんじゃないかと、私もすぐ、それはちょっとおかしいと思ったんですよ。そうしたら、やっぱりいろいろテレビのサービスの差をなくすということが住民の要望であって、差があるのに料金だけ一緒にせい、そんなことを地元の人が言っているわけじゃない。私はそう思って、八重山のほうに電話をしていろいろ皆さんに調査をお願いして、やはり話をすれば、料金は安いにこしたことはない、そういうことで、NHKがこういう検討においてそういうあさはかな考えでやったとは私は思いたくないし、おそらくその説明は冗談であろう、それは私は善意に解釈しているわけですけれどもNHKは料金の検討において、先島と本島とは料金に差をつけないほうが先島の人のためなんだと、まさかそういう考えではないと私は思いますが、その点を会長に確認をしておきます。
  158. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私にとりましても初耳でして、われわれの審議、検討の場ではそういう考え方は毛頭ございません。私としては先ほど来申し上げたような方向で、お気持ちも完全に理解できますけれども、私どもとしてはむしろ逆にサービスを高めることによって御満足願えるような場をつくりたいという結論に達したわけでして、ただいまのような発言がわれわれの同僚の中に、しかも先生に対してあったとすれば、これはまことに不見識きわまる、私ども考えていない表現でありまして、まことに失礼したと思います。
  159. 塩出啓典

    塩出啓典君 そこで次に難視聴対策でございますが、今回本土におきましてテレビジョンを二百二十地区、それから共同受信施設を千施設やる、大体これによって救済される世帯が幾らであるか、それでさらに難視聴世帯がどれくらい残りますか。
  160. 松浦隼雄

    参考人(松浦隼雄君) 四十七年度内の計画におきまして、中継放送所によりまして世帯数七万五千、共同受信施設によりまして七万一千、合計いたしまして十四万六千でございまして、これにより年度末の残存世帯は、現在の、四十六年度末の六十二万が四十七万というふうに計算されます。
  161. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、このNHK出し資料を見ますと、大体本土内においてはカバレージ九七・六%になる、このようにあります。ところが、沖繩の計画はどうなっておるかといいますと、沖繩は大体いまカバレージは九六%であって、カバレージの面においても沖繩と本土の差はあるわけでございます。そこで今年度の救済世帯を見てみますと、本土においては、さっき、十四万六千世帯が救済されておりますね。ところが沖繩においては共同受信施設が十施設で、改善世帯が七百世帯でありますから、十四万世帯に対して七百世帯しか沖繩においては共同受信施設による難視聴対策が行なわれていない。大体この本土と沖繩を比べますと、沖繩県民百万ですからね、大体本土の一%と考えた場合に、十四万六千の一%であるならばこれは千五百くらいですね。ところが沖繩では七百世帯ですからね。そうすると、先ほどNHKの方針としては、料金は同じだけれども、沖繩におけるそういうサービスを改善していく、そういう趣旨からいいますと、沖繩における難視聴対策というものは本土のペースの半分以下である。むしろ本土のぺースよりもパーセントも低いわけですからね、もっといかなければいけない。これが新設十施設で改善が七百世帯、これではやはりちょっとまずいではないかと思いますけれども、これを見ますと、これでは十施設で七百世帯ということは、一施設七十世帯ですから、非常に八重山とかあのあたりのずっと端のほう、西表のほうでは、先般私参りましたけれども、まだまだ難視聴のところがあったわけです。しかも世帯数は五十とか三十とか、そういうようなところもやはり少なくとも本土並みにする意味におきましても、もっと力を入れるべきではないか。そういう点では沖繩の難視聴対策、新設共同十施設、これはちょっと力が入っていないと思いますね。その点はどうなんですか。
  162. 松浦隼雄

    参考人(松浦隼雄君) 本島におきまして先生承知のとおり九六%でございまして、先島について九八%というふうに推定されます。なお計画におきましても、御指摘のとおりテレビ共同受信施設十施設ということになっております。しかしながら難視地帯の解消ということは、われわれの最も聴視者との関係において基本的なものと考えておりますので、返還の暁におきましてさらに調査を進めまして御期待に沿うように努力したいと思います。
  163. 塩出啓典

    塩出啓典君 それはここで十施設になっているけれども、沖繩を調査して、そういう個所が多ければ、二十施設なり、もっとふやす、そう考えていいわけですね。
  164. 松浦隼雄

    参考人(松浦隼雄君) そういうことを含みます。
  165. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで次に、NHKの難視聴に対する姿勢について私はお伺いしたいと思うのですが、いままでわれわれが考えておったのは、そういう離視聴対策というものは原則としてはやはり原因者負担である。ただ僻地とか、そういうところは、これはNHK放送法によって国民にあまねく見えるようにする義務があるわけですから、これはやはりやっていかなければならないと思いますがね。ただビル障害であるとか、あるいは新幹線の障害であるとか、そういうものはあくまでも原因者負担でなければならない。これがやはりNHKの私は姿勢じゃないかと思いますがね。そういう点で、いままではそういう防衛庁の基地等においても、本来防衛庁が負担すべきものをNHKが負担しておる。それは今回から防衛庁が負担するように変わってきた。それはNHKの料金を税金と考えれば、どこから出しても同じようなものですけれども、やはりものごとの筋としては、NHKの姿勢として私はそれを貫くべきではないかと思うのですね。そういう点で山陽新幹線あるいは東海道新幹線における難視聴の対策については、私の聞くところでは、本来ならばこれは国鉄がやるべきであるにもかかわらず、NHKのそういう何割かの資金を出してきた。こういう点、また、費用の内訳等についても、なかなかわれわれもまだ説明ももらえない。何となく秘密のべールに包まれているような感じがするわけですが、その点はもう少しはっきりさすべきじゃないか、私はそう思うんですが、どうですか。
  166. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) たてまえとして御指摘のとおりでございます。今度山陽新幹線その他、全国の新幹線の問題が必ず出てまいりますし、それからまた地方空港にしてもすべてジェット機が飛ぶ時代は近いと思います。そういう意味で私どもとしては関係当局にお願いして、この原則を認めていただくという努力を昨年来いたしておりまして、部分的には完全ではないとしてもかなり進捗しております。今後も委員会の皆さまの御助力もいただいて、私どもはこれを貫きたい。先ほど来いろいろ経営の問題が出ておりますけれども、私は放送法上はっきりした二つの点でNHKの経営がかなり固定化する部分があると考えております。その一つは、いま先生が御指摘になった問題と関連する、いわゆる聴視料の免除の条項との関係でございます。これは十四条でしたか、十二条でしたか。それからもう一つは、放送債券について毎年減債基金を一割積み立てなけりゃならぬという問題でございます。これらについては前々から郵政当局にもあるいは大蔵省にもお願いしながら、しかし、この点についてはやはり放送法改正との関連がありまして、一部改正ができればこれにこしたことはないと思っておりますが、そういうこととはかかわりなく、私どもとしては現状ではやはりこの原則を全力をあげて推し進めてまいりたいと、このように考えております。
  167. 塩出啓典

    塩出啓典君 国鉄の方もきょう御出席いただいたわけでございますけれども、国鉄さんも非常に赤字がたくさんあって、その御苦労はよくわかるのですけれども、やっぱり、しかし、ものごとには筋というものがあって、やはりそういうような前例を残すことはよくないと思うんです、やっぱり。そういう点で今後の山陽新幹線、いろいろの新幹線ができるわけですけれども、そういうふうにしてテレビの難視聴対策、ほかにもいろいろ総合対策はあると思いますけれども、ここではテレビの難視聴対策についてはどういう方針で、いま言われた原因者負担という方針に沿って努力、そういう方向に持っていけるのかどうか、その点どうですか。
  168. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) いま先生の御指摘の点につきましては、前田日本放送協会会長から書面もいただいております。しかし新幹線は御承知のとおり地方では山間部を多く走りまして、都心に入りますとやはり都内を走ります。したがいまして、都内では都市開発の問題でビル、あるいはその間を縫って走ります。山間部ではやはりテレビの波のもともとデッドであったところを走るかもしれない。したがって技術的にNHKのほうから御相談がありまして、これでわれわれの原因は何%だとおっしゃられれば協議に応じていきたいと、かように思っております。
  169. 塩出啓典

    塩出啓典君 確かに技術的な面ではNHKが大いに協力をして、そうしてその原因に基づいてやると、そういう方向でやはりやっていただきたいと思います。  それで、山陽新幹線あるいは東海道新幹線等で、新幹線による難視聴に対する費用としては大体どの程度全体でかかっているのか。それと、今年度のNHKの予算の中にそういうものは含まれているのかどうか。それは来年度の予算が何ぼくらいで、そのうち何割をNHKが負担するのか。それは山陽線、東海道線について大体の数でいいと思うのですけれどもね。
  170. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 前回、たしか鈴木先生の御質問にも同じようなお答えをしたと思いますけれども、新幹線関係では山陽新幹線について三千五百万円でございます。それから新幹線の中で東海道線の東京都の大田地区、それから名古屋地区、これは俗に品鶴線並びに南方貨物線と申しておりますが、そこの改善をいたす必要がございます。それが合わせて二千八百万円だと、そういうふうに記憶しております。したがって、合わせて私どもの新幹線対策の来年度の予算は六千四百万円でございます。というのは、それ足し算しますと百万円足りないかもわかりませんが、百万円は今後の新幹線の調査費でございます。
  171. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは国鉄のほうは幾ら出すことになっているのですか。
  172. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) NHKのほうから要求のありましただけ出すことにしておりまして、私どものほうは、お聞きしているのは、山陽新幹線だけ考えますと、約二億五千万程度とお聞きしております。
  173. 塩出啓典

    塩出啓典君 ひとつ、こういう点はもうはっきりさしておいていただいて、そしてNHKのほうに聞いてみますと国鉄がなかなかやろうとしない、そうすると、やはりどうしてもテレビが見えないとすぐNHKへくるわけです。そうしてもたもたしてやはり時期がおくれる、これはやはり視聴者に申しわけないと思うのですね。ですから、そのつど相手の出方によってきめるのじゃなしに、この問題はこうするのだ、そういうような現実をはっきりきめて、そしてそれできまった問題はそのもとですみやかにやる、そういう方向で私はNHK、国鉄、ともに努力をしていただきたい、そのように要望するのです。その点どうでしょうか。
  174. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まあ国鉄さんを前にしていかがかと思いますが、ここ二、三年、ことに去年から国鉄も非常に積極的な意欲を示してくださいまして、国鉄ばかりでなく防衛施設庁すらその方向にきておりますので、多少やはりいろいろな予算の関係その他もございましょうから、それが完全に先生指摘するような状態になるには、多少年月がかかるかと思いますが、方向はその方向に向かっている。私はこれを歓迎いたしております。
  175. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 国鉄も同じ考え方でございます。
  176. 塩出啓典

    塩出啓典君 ちょっと具体的な話ですが、この間、西宮市の上大市地区で、共同アンテナの維持費の負担についてどこが持つかというので、ちょっともめている、こういうことで、これは早急によく話し合って解決してもらいたいと思うのですけれどもね、その点はどうでしょうか。
  177. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 地元に協議会がございますので、協議会のほうから話があがりましたら国鉄としましてNHKのほうと協議して処置したいと思っております。
  178. 塩出啓典

    塩出啓典君 次に、NHKはやはり聴視者の聴視料金を唯一の財源として成り立っているわけでございまして、会長もいつも国民NHK、こういう姿勢で経営に取り組んでおられると思うのでございますが、そういう聴視者とNHKの結びつきという点で、NHKはいろいろ視聴者の意向を聞き、またNHK考え方を皆さんにも知ってもらう、そういうわけで、視聴者の懇談会というのが開かれているわけでございますけれども、そういうのは非常に大事な会合であって、やっぱりNHKとしてはそういう国民の声を吸収することに力を入れるべきじゃないかと思うんですね。やはりそういう会合には会長とか副会長とか幹部の人もときどきは出ていらっしゃるんですか。
  179. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) われわれの仕事の許す限り、私ども、まあ私、副会長をはじめ幹部の役員はできるだけ出るように努力いたしております。
  180. 塩出啓典

    塩出啓典君 まあひとつそういう点もNHKの姿勢として、お忙しいと思うんですが、大いにひとつ努力をしていただくとありがたいと思います。それで聴視者懇談会の四十三年以降——この懇談会の内容は別としても、回数とか出席者ですね、これは年々減ってきているように思うんですけれどもね。これはやっぱり私としては、必ずしも回数が多くて人員が多いからといっていいというものじゃないと思うんですが、内容についてはわれわれはそれを評価する資料もありませんから、また出席者とか回数だけで判断する以外にないわけですけれどもね。そういう数字で見る限りにおいては、回数もかなりここに資料がございますが、四十三年は九百十一回、一万八千人、それがその次は八百二十六回、一万六千人、その次は六百五十八回で一万三千人と、それでまあ今年はちょっと回数はふえているけれども数は非常に減っておると、そういうふうになっているわけですけれどもね。そういう点はどうなんですかね。そういうのがいけないというのでまためちゃくちゃに回数をふやして、数だけふやせばいいということになってはそいつは困るんですけれどもね、そういう点どうですかね。
  181. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいま先生資料を持っておいでになるようでございますが、いま御指摘がございましたように四十四年度は八百三十八回、そして四十五年度は六百六十二回、四十六年度の見込みが七百二十八回ということで、四十四年度に比べまして五年度、六年度が若干減っているようでございますが、これにつきましては私どものほうでこの視聴者懇談会と並行いたしまして、四十五年度からは受信相談会とかあるいは料理教室とか、そういうふうなテーマでもって、各地で、単に懇談会というだけでなくてもう少し別のポイントも置いたそういうものを開催いたしておりまして、受信相談とか料理教室とかそういうものが終わったあとで、やはり聴視者懇談会に類することをやっておりますので、つまり聴視者に親しむためあるいは聴視者の皆さんの御意見を吸いあげるという点におきましては、必ずしも結果的に数が減っていることにならないと思うのでございます。
  182. 塩出啓典

    塩出啓典君 ひとつそういう点はよろしくお願いいたします。NHKに対するいろいろの投書とかそういうのは年々ふえてますか。そういうのはどうですかね。いろいろ国民から要望とか手紙とかくると思うんですけれども、どうですか。
  183. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 大体ふえております。それで考査室というところで集計しておりますんですが、年間を通じまして四十六年度は七十万になるんではないかというふうに想定しております。
  184. 塩出啓典

    塩出啓典君 ふえているというのは、その前はどのくらいなんですか。
  185. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) ふえているといいましても、正確に幾らふえたというデータはいまここに持ち合わせてないんでございますけれども、大体五千から一万ぐらいのペースでふえているというふうに考えております。
  186. 塩出啓典

    塩出啓典君 できるだけやっぱり国民の声を聞くために、やはりNHK意見を述べる場合に、たとえばこのはがきみたいなやつでも、無料で、そして切手を張っているやつじゃなしに、来たときに払う、そういうのがありますよね。ああいうのをたとえば配るとか、そういうのもやっぱり投書はしないけれども、心に思っておる人もおるかもしれないし、そういうのは、そういう紙がくれば、やはりやるかもしれない、そういうような点もひとつ、これは一つ意見ですけれども、何もやらなきゃいかぬことはないが、よければそういうこともやって、大いに国民の声というものを常にキャッチして、そういう点についてNHKとしては努力をしてもらいたい。そのように要望をしておきます。  それから次にこの料金、受信契約の問題でございますが、まあNHKも今日までいろいろな経営努力をされまして、収納率については世界に手本となるようなそういう収納率を示しているわけですけれども、収納率というのは、受信契約者の中で何%の人が納めたか、これが収納率だと思うのですね。その中で二%——まあ先ほど鈴木委員からの質問がありましたので、その点はやりませんけれども、ところが実際にテレビは持っておるけれども、受信契約をしてない、そういう世帯ですね、これをやはり開拓していかなければいけないと思うのですね。ところが今年度の予算書を見ますと、今年度末においては大体二千四百万世帯の契約を獲得する。これはカラー契約、普通契約、合わせて二千四百万ですね。今年は大体七十一万ですか、契約をふやすと、そういう方針でございますが、まあ私は、これは先般の委員会でもここで質問したことがあるのですけれども、いわゆるまだ契約をしてない受信契約者の開拓という点について、もう少しやはり努力の余地があるのではないか。これは私がそう思うわけで、まあNHKとしてはそれ以上の努力をされているかもしれませんが、そういう問題についてはやはりどのような努力をされ、どういう考えでいらっしゃるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  187. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいま御指摘の未契約者の問題でございますが、未契約ということばは非常に誤解を私は生みやすいと思うのですけれども、未契約といういままで契約しなかったグループがどこかに方々にかたまっていて、そしてそれに手が出せないんだと、そういうことでは決してございませんでして、いま未契約として残っている数は若干ありますけれども、その未契約者が出るということの原因が、つまりNHKを忌避して、だからNHK契約を結ばないんだというふうな数は微々たるものでございまして、まあたとえば番組について虫が好かぬとか、いろいろなことがあると思いますけれども、そういうことではなくて、現在未契約として残っている人間は、かつて契約者であったということをまず私は申し上げたいと思います。で、いままで契約していた方が引っ越しをされて、引っ越しをした先でわからなくなってしまったというふうな例が非常に多いわけでございまして、これはいろいろな統計がございますけれども、全国で、これは四十四、五年ごろの統計でありますから、いまもっと多いと思いますけれども、移動率が一一・八%である。ことに東京は、これは転入と転出と申しますか、転入と転出とを合わせて三六・何%、三七%に近い世帯が一年間に動いている。それからもう一つは不在でありますけれども、不在が、これは私どもの調査ですけれども、一年間に、家計を預かっている主婦といいますか、あるいはそういう能力のある方、そういう方の不在率が、朝八時から夜九時までの間に二七%である。そういうふうな、何といいますか、いまの、よく言えば生々発展するというか、流動きわまりないというか、よくわかりませんけれども、きわめてまあ何というか、少し悪口を言えば騒然たる社会で、その引っ越した人間を追っかけていくということがきわめてむずかしいというのが実情でございます。そしてなお、その引っ越した人たちの、たとえば東京都の場合は、先ほども申しましたように転出、転入を入れて三六%以上でありますけれども、そのうちでどこへ引っ越すということを郵便局なり何なりに規則正しく届けるという方が二〇%しかない。そうしますと、八〇%の方を、かりに東京都内にいたしましても、あるいはその方が関西に行かれたか、北海道に行かれたか、そういう方をもう一度、何といいますか、契約する、そういう意味での未契約者というのが相当あるんだということをまず申し上げておきたいと思います。  で、まあ私どもといたしましては、それらの対策につきましては、まず、先ほどあげました不在者につきましては、これはもう御承知のとおり、口座とか前納とかいうものを推進いたしまして、これはかなり現在進んでおりますけれども、そういうやり方一つございます。それから、いまあげましたような例は主として大都市でございますから、その大都市のための特別の対策をいろいろ考えているわけでございます。で、たとえば不在世帯に対しましては、主として職員をもって、非常にむずかしいところに当てる、で、一般の受託者は比較的楽に収納なり契約のできるところへ当てる。それから契約者につきましても、特別に契約だけを本務とした人間が三百数十名おりまして、この人間は普通の受託者と違って、そういうむずかしいところをしょっちゅう移動して重点的に取っていく、そういうふうな方法も講じております。まあ現在のNHKの、私どもの持っております外務職員なり、受託者なり、それから先ほど申しました契約の特別のものを任務としている人なり、あるいは郵政委託の方々なり、そういう方々を総動員してやっておりますわけでして、たとえば、未契約等の問題につきましても、先ほど不在が非常に多いということを申し上げましたけれども、もう一つ単身世帯、これも不在の中に入るのでありますが、東京などは学生が非常に多い、学生が地方から、方々から出て参りまして、これも単身世帯ですけれども、そういう人たちの把握、そういうことも非常にむずかしいわけでございますし、それから現在の都市の実態として、一つの家の中に間借りをして住んでいられる方があって表から見てもわからないというふうなのもありまして、したがって、決して私どもがそういう、いわゆる未契約者といわれている方の捕捉をおろそかにしているということではなくて、どうしても見つからないという数が出てまいるわけでございます。まあ、あまり長々と申し上げてもあれですけれども、大体実態はそういうことでございます。
  188. 塩出啓典

    塩出啓典君 たしかに、いまおっしゃったような理由で、いろいろな困難があることはよくわかるのですけれども、それは北海道に移っていった人を北海道まで追っかけていくわけにはいかぬわけですから、やはりそれぞれの地域で、やはり何らかの方法で、警察みたいに立ち入り権はないわけですから、あまりがめついというような印象を与えてはまずいわけですから、そこは非常にNHKもいろいろ訓練はされていると思うのですけれどもね。しかしいつも言うように、負担公平の原則からいっても、また今後のNHKのやはり経営の困難性から考えても、やはりもう少し検討すべき余地があるのじゃないかと思うのですがね。自治省の住民登録ですか、それによりますと、四十六年度で大体三千万こしているわけですね。四十五年が二千九百十四万ですから大体一年間に八十八万一千軒ふえているわけですね。これはやはり核家族化の、社会の一つ情勢じゃないかと思うのです。ところが、NHKの今年度の新しい契約件数は、たしか七十一万件ですかね。そうすると、大体年々八十八万の世帯がふえておる、それは必ずしも全部が全部テレビがあるとは限らないと思いますが、そういう点。それから、しかも、これはやはり住民登録で人間の住んでいるところですけれども、事業所とかホテルとか、いわゆる非世帯のところですね、こういうようなのがかなりあるんですね。NHKとしては、そういうホテルとか、旅館とか、事業所とか、そういうようなところは、大体何軒くらい、何台くらいテレビがあると想定しているのですか、目標。
  189. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいまお尋ねのいわゆる非世帯、ホテルとか、旅館とか、そういうのがどのくらい持っているか、捕捉はいたしかねているというのが実情でございます。
  190. 塩出啓典

    塩出啓典君 大体ホテルなんかは、ホテルとか旅館の部屋は全国でどのくらいありますか。
  191. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) それはかつて調べたことがございますけれども、御承知のように、このごろ日本じゅうでたくさんいろいろなホテルが建ってまいりますので、近い時点での部屋数は捕捉しておりません。
  192. 塩出啓典

    塩出啓典君 古いやつはどうです。
  193. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) 旅館、客室で、四十五年の調査で七十六万でございます。
  194. 塩出啓典

    塩出啓典君 私の資料では、昭和四十五年で八十万三千七百四十三ですね。まあ、これは別に数字はどうでもいいですけれどもね。いろいろモーテルなんかも最近ふえているんですけれども、少なくともNHKのそういう新しい開拓をする担当の人であるならば、やはり常にこういうことも頭に入れて、夢見るぐらいにまでしてやはりそこをうまく努力をしていただいて、そうしてやはり経営を強固にして、そうして一般の受信者の料金の値上げにならないように努力をしてもらいたいということを申し上げたいわけなんですよ。だから、まあいま三千万ですか、NHK放送研究所か何かの調査では、これは一昨年のデータですけれども、九八・三%ですか、九八%以上の世帯がテレビを持っておる。いまでは、九八%と見ても二%が持っていないわけですから、二%といったら六十万世帯でしょう。それから難視聴のところとか、あるいは免除世帯、そういうものの数が——大体全国でホテル、旅館、これは八十万ですけれども、全部持っておるとは限りませんからね、そのほかに事業所があるわけですから、大体それに匹敵するとすれば、全国には三千万くらいな、テレビはそれに近い数字があるんじゃないかと私は思うのですね。だから、そこに六十万世帯が常に移動をして非常に捕捉することは困難だと思うのですけれども、ただそれを、もうこれじゃだめなんだと、そういうような感じではやはりこれはいけないわけであって、いま言われるような御苦労もあると思いますが、一つ一つの範囲ごとに見ていけば、住民登録の数よりもたくさん契約をしている優秀な積極的な人、そういうようにやっているところも、そういうのもあるんじゃないかと思うのですね。また、新しい契約をした場合の手数料をふやすとか、何らかの方法でそういう点さらに努力をしていただきたい。このことを会長に要望しておきたいのですけれども
  195. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そのとおりでございまして、まあ私どもは五十一年度末に契約可能の世帯は三千三百万と予想しております。そのうちカラー契約だけで二千四百万を獲得したいという計算でございます。毎年おそらく四十万から五十万の間——どもはそれを契約源と称しておりますが、その開拓地がある。ただし、この合理的な経営を進めていくためには、やはりかなりの時間的な過渡的な未契約状態も出てくる、こういうことは事実上避けられないわけです。しかし、私どもの仕事は単年度の仕事でございませんので、永久にこれを追求していくという努力をいたしたいと思っております。
  196. 塩出啓典

    塩出啓典君 じゃ、だいぶ時間がなくなりましたので、最後に、NHKの予算の審議のあり方についてでございますが、放送法の第三十七条には、NHKの予算は郵政大臣提出をし、郵政大臣がそれに意見を添えて国会に出す、国会承認をするというようになっているわけですね。それによって料金もきまるわけで、そういうことを思うと非常にわれわれもNHKの予算というものは真剣に、ただおざなりじゃいけない、そのように責任を痛感するわけですが、それにしてはNHKから出る資料というものが非常に、先ほども話がありましたように、わかりにくいわけですね。しかも国の予算の場合には、こういうのがありまして、いろいろかなり、たとえば電気及びガス主任技術者試験委員謝金六十七万五千円とか、謝金、何々旅費、そういうかなりこまかく書いているわけですね。必ずしもいまの国のこういうものがいいと私は言っているわけじゃありませんけれども、そういうのに比べてNHKで出す、われわれが討議の資料とするものはあまりにも簡単過ぎると思うのですが、こういうものが一応数年前からつくられてはおるわけですけれども、これもしかしすべてを網羅しているわけじゃない。ある特定の項目について書いているだけであって、そういう点、これは先ほども話がありましたように放送法の施行規則に基づいてこのようになっていると聞いているわけですけれども、やはりそういう点を先ほども検討するとおっしゃいましたけれども、そういう点を改めて、もう少しやはり国会でいろいろ審議するには、そういう詳しい、少なくとも国の予算程度のものはやはり言われなくても出すようにしたほうがいいんじゃないか、私はそう思うのですけれどもNHKとしてはどうですか。大体NHKはガラス張りで別に秘密はないわけでしょう、ほんとうは。あってはいけないと思うのですけれども、そういう点で、われわれが国会で何だかんだと言うことは別にNHKの自主性を侵害することにはならないでしょう。放送内容は独立ですけれども、この予算の審議においてわれわれがいろいろこまかく聞くことがNHKの自主性をそこねるというふうにとられたのではわれわれも考えなければならないと思うのですけれども、そういう点どうですか。
  197. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お説のとおりでありまして、おそらく施行令と関連する部分も関連しない部分もあると思います。たてまえとしてはやはり詳細な資料提出することが当然だと思っております。われわれも、御承知のように会計検査院の検査も受けておりますし、秘密はどこにもございません。したがいまして今後努力いたしたいと思います。
  198. 塩出啓典

    塩出啓典君 郵政大臣のほうもそういう点で、先ほど、予算書のあり方について検討をする必要がある、そのようにおっしゃったわけですけれども、そのときにやはりそういう点も改めて、書類をこんな厚いものをくれたからといって全部読むわけではありませんけれども、そういうのがあると何となく安心いたしますので、やはりいつでも見れる。それを一々言わなければわからない、これではNHKの皆さんも忙しい中をわざわざ来ていただく必要もないので、印刷した書類があれば、それを見て聞けばいいのだから。そういう点で予算総則、この施行規則と関連した部分、またそれ以外の部分もあると思うのですけれども、そういうような点についてはひとつわれわれが十分な審議のできるような、そういろ資料提出するように郵政大臣としてもよく検討していただきたい。私はそう思うのですが、その点どうですか。
  199. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 承知いたしました。そういう検討をいたしたいと思います。
  200. 青島幸男

    ○青島幸男君 このNHKの予算の審議にあたりまして、その前に、郵政当局の考え方あるいは施策に私たいへん基本的な疑問がありますので、その辺を明快にするところから進めてまいりたいと思います。  大臣がかわられますたびに私、同様な質問をしておるわけでありますけれども、小林郵政大臣が四年前に申されました、全面UHFへの移行ということです。その後、河本さんにかわられ、あるいは井出さんにかわられたということで現大臣に至っているわけですが、その間、小林郵政大臣が言われました趣旨は、そのまま逐次次々の大臣に受け継がれてきたわけでございますけれども、その点に関しまして現大臣の御意見を承っておきたいと思います。
  201. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) テレビのVHFからUHFへの移行については、昭和四十三年度でございますか、小林郵政大臣のときに御承知のような方針を定めたわけでございます。と申しますのが、VHFの周波帯は移動無線に利用する、警察、水防、船、飛行機、まあいろいろな移動関係の無線通信に利用するということが必要であるということで、そういうことを考えておるわけでございます。そこで、その方針は、もちろん、先刻電波監理局長から鈴木委員お答えしましたとおり、変わっておりません。おりませんけれども、これに関連いたしましては送信者の立場考えなくちゃならない、受信者立場考えなくちゃならない、また、その移行についての費用をどうするかというような問題もございまして、慎重でなくちゃならないというようなわけでございますが、方針は変えておりません。十カ年計画でやりたいということでございますから、昭和四十三年度から申しますと五十三年度ということになりますし、もうすでに三、四カ年経過いたしておるわけでございます。方向は方向でございますけれども、先ほどお答えいたしましたように、また鈴木委員からも御注意いただきましたような、こういうような問題がございますから、まだ実施の段階に来ていないというような現状でございまして、しかし、方向はそういう方向で今後も進んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  202. 青島幸男

    ○青島幸男君 小林さんが四年前におっしゃったときは、十年をめどとするというふうに言われておりました。河本さんになりましてから、これを少し短縮したほうががいいのじゃないかというような御意見も出たようでありますけれども、現時点で見ますと、どうもUHFへの移行ははかばかしくいっていないというような実情だと思うのですけれども大臣は、いつごろになったらその方向といいますか、全面移行が可能だとお考えになっていらっしゃいますか。  それともう一つは、記者会見に発表をして、それが後々問題になって、閣議了承という形になって、しかも、こういう重大な問題を閣議了承というかっこうで公にして、それを国民の間あるいは放送事業者に押しつけるというようないままでのあり方が正しかったかどうか、その辺のお考えもひとつあわせて承りたいと思います。
  203. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 計画といたしましては、十カ年間でやりたいという方針もまだ変えていないわけでございます。
  204. 青島幸男

    ○青島幸男君 このいままでの経過についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  205. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほども御説明申し上げたわけでございますけれども、先ほどまた大臣からもお話がございましたように、やはりVからのUへの移行という必要性は、これは現在でも変わりなくて、むしろ順次その必要性が高くなっているというふうに思っているわけでございます。ただ何と申しましても、一般の受信する人、いわゆる視聴者に対して御迷惑をかけてはいかぬ、それからもちろん送信する側の放送事業者に対してもあまり負担にならないようにしなければならぬというような点がございますので、先ほど大臣からもお答えしましたような点を現在検討しているわけでございます。しかし先ほども申し上げましたように、この受信者という問題につきましては何としてもこのUの受信機が普及しなければならないということで、東京、大阪にUの実験局——現在、放送試験局という名前になっておりますけれども、そういうものをNHKにつくってもらって、現在それによりまして受信機普及をはかっているという状態でございます。
  206. 青島幸男

    ○青島幸男君 大臣は五十三年を目途としているということは一向に変わってないという御趣旨お話でございましたけれども、あと六年しかございません。この六年の間にNHKをはじめとする事業者が全面的にuターンをするためには一千億あるいは二千億というふうな金がかかるというふうにいわれております。前回のこの委員会での私の質疑で、NHKは全面的にいまのカバレージのパーセンテージを保持しながら、全面Uターンへ移行するために幾らかかるのかという算出さえもさだかでないということがつまびらかになっております。そういうことで一千億あるいは二千億という、それもよくわからないというような、経済的な裏づけをどこにお求めになって、どういう手だてを講じてこの六年後に全面移行が可能になるのか、どういう筋立てをすればそういう考えあるいはそういう御発言がなされるのか、私はたいへん疑問に思うのですけれども、その点をひとつ明快にしていただきたいと思います。
  207. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほど大臣お答えになりました十カ年という点については、まあ現在、もちろん私ども変えているわけじゃございません。ただ、何と申しましても準備というものがあるわけでございまして、おっしゃいましたような今後の具体的なスケジュールということ、これはまだ具体的にはきまってないという点がございますので、私どもとしては、この聴視者並びに放送事業者という両面の点を十分検討しながら、いま検討を進めているという状態でございます。
  208. 青島幸男

    ○青島幸男君 検討を進められてすでに四年経過したわけですね。あと六年しかないのに、現在の時点で状況を見回してみますと、よくそらぞらしくそういうことがおっしゃられると私は思います、たいへん失礼ですけれどもね。NHKについても、この四十七年度の予算で八億何がしという赤字になるということについても、大臣は御意見を添えておられるという点からしますと、たとえば百億と仮定いたしましても、Uへの費用がNHKだけで百億と仮定いたしましても、十年かかっても十億ずつかかるわけですね。そうすると八億の赤字に対して、経営の合理化を徹底し、極力経費節減をはかり、かつ営業活動等についても一そう効果的な施策を講じて収入の増加をはかっていくというような御意見を付せられておるということからしますと、私はたいへん矛盾を感じます。  それからもう一つNHKに。NHKは聴視料に収入の主体を置いているわけです。そうすると、それを黙って国民が払う、それだけの値上げにたえるか、あるいは国家がこの経済的な補てんをいたしますと言論界への介入というようなことになるかもしれない。それは大臣の好むところではないと毎回委員会で発言なされておりますし、民放についてもそのとおりでございまして、電波法の七十一条を引き合いに出すまでもなく、民放についても相当額の手当てをしなきゃなりませんし、手当てをしてもまだ補えない部分は、これはスポンサーへの電波料の値上げというようなかっこうで響いてくるかもしれませんし、そうなりますと、これが物価上昇への刺激となり得る可能性もあります。そういう、それやこれやを考えますと、Uへ全面的に移行するということは、日本経済にたいへん大きな影響を与えるものだと確信しております。それに大都市のVをあけてほしい、移動連絡用にするんだからというわけですけれども、大都市の移動連絡用にVをあけるために、日本経済の根幹をゆるがすような影響力のあるものと、それから一人一人の聴視者への影響というものとどちらが、かなえの軽重を問うといいますけれども、どっちを重点的にお考えになるのか。いままでの歴代大臣のずさんなやり方、私ははっきり申し上げますけれども、ずさんなやり方をいま現時点で大臣が継承なさるということはたいへん手ぬるいかとも、お立場の上からはっきりしたことはおっしゃらないかもしれませんけれども、私はこの辺にどうしても納得のいかない点がありますが、その辺を明快にしていただきたいと思います。
  209. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 十年という年限を申し上げたわけでございますが、これはいまのVのチャンネルを全部Uにかえるのに十年ということにはならないと思います。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、また先生もおっしゃいましたように、陸上移動あるいは航空移動あるいは海上移動無線は非常に重要な無線でございまして、移動無線というのは電波以外にはほかに通信する方法はないのでございまして、これは人命、財貨に直接関係する重要なものでございまして、それと現在やっておりますテレビというものを比較しましてどちらが大事であるかということをまず考える必要があるかと思います。それで、私どもはその点を検討しました結果、このテレビは、現在、御存じのように東京、大阪以外はUの波が全部出ております。ということは、そういったところではまだ完全にUの受信機は普及してないと思いますけれども、相当現在普及しておる。しかし東京、大阪自体は、御存じのようにVしか出てないということになりまして、しかも東京、大阪という大都市自体がそういった移動無線が一番逼迫しているという状況でございますので、私どもとしましては一応目安を十年ということに置いたわけでございまして、小林大臣のときも十年を目途としてという表現だったと思いますので、十年間に何がなんでも全部Uに変えなければならないという必然性、必要性は必ずしも移動無線にとってはないわけでございまして、しかし私どもとしましては、その移動無線に対する波の需要というものは非常に多いわけでございまして、何とかそれを処理しなければならぬということで、私どもとしましては日夜苦労しているわけでございます。したがいまして、十年をめどにしてということばそれ自体は変わっていないわけでございますけれども、まず必要となるのは東京、大阪といったところでございまして、そのために、先ほど申しましたように、まあ実験局をつくってもらって、まずUの受信機を普及してもらうということでいま進んでいるということでございます。
  210. 青島幸男

    ○青島幸男君 小林さんのときから、全面移行ということは、これはさだかなこと、明らかにそう申されておりますし、文書になっております。全面移行しなければVというものの足の長さと、それと連係して使うための効率のよさというもの、この辺のところから考えれば、たいへんにすみやかに理解するところですし、それからもう一つ、移動用無線の要求が非常に高いと申されておりますけれども、緊急、防災等にさかれ、あるいはそういう面から要求されていることはたしかでございますが、大部分はタクシーその他の営業用のものであるということも私は承知しております。そういう一部のものに利益を与えるために、日本全国をくつがえすような、こういう大きな問題、しかも、いままでの経過を考え合わせると、実に不見識千万だという考え方をせざるを得ないということを私は申し上げるわけでございます。それから、実際に具体的に大都市——じゃ百歩下がってVが必要だ、移動無線用にあけなければならない、それは必要なのは大都市だ、東京、大阪周辺である、そういうことを理解したといたしましょう。そういたしますと、東京、大阪でVをあけて、移動無線にあけるということが、はっきりあと六年後におできになるとお考えになっておりますか。
  211. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) これは、先ほど来申し上げておりますように、何と申しましても、一般の受信者がこれによって非常に迷惑をこうむるということであってはならないということで、Uの受信機の普及ということは何としても第一等でございますので、それをいま現在やっている。そのほかにも、Uの受信機の普及協議会というものを設けまして、メーカーその他にも呼びかけまして、Uの受信機自体はメーカーのほうでとにかくつくってもらわなければいかぬということでやっておるわけでございます。私どもとしてはあくまでも目途として考えているわけでございまして、ここで六年後はっきり一〇〇%移行するという確約は申し上げるわけにいきませんけれども、それを目途として私どもは努力していきたいと考えているわけでございます。
  212. 青島幸男

    ○青島幸男君 なるほどオールチャンネルの受信機はたいへんに普及しておりますし、パーセンテージも高くなっております。それからUのチャンネルがついてない受信機でも、やがてはそこに穴をあけてチャンネルを挿入すべきマークなどもついている。受信機のキャビネット自体に穴があいておりまして、そこに後々挿入されるであろうということをあらかじめ想定した飾りのようなものがついているものも中にはございます。そういうことからして、やがてはUHFになるであろうということを一般に周知徹底せしめるということについてはかなりの効果をあげていらっしゃることは事実だと思います。しかし、その方々も、Uにかえなければならないためにはコンバーターを買わなければならない、あるいはオールチャンネルも買わなければならないという経済的な負担を余儀なくされているわけですね。その一般の方々の経済的な犠牲の上に成り立つような、こういう重大な施策が、いままでの経過のようにやってこられたことに私はたいへん怒りを持つわけです。しかし、ひるがえって百歩譲ってそれも可能だと考えましょう。  この際、今度はNHKのほうにお伺いをいたしますが、NHKで十年後に、現在おたくで誇っていらっしゃる九十何%というカバレージを確保しつつ、大都市のUターンヘの自信のほどをまず技術的な面からお伺いしたいのですけれども会長いかがでしょうか。
  213. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 技術的なことにおいては担当専務から答えさせていただきたいと思いますが、先ほど来の明年度予算の御審議と関連して、私どもは第四回目の長期構想を考えているわけですが、その構想の中では、もちろんこれは五十一年度までですからただいまの郵政当局のめどよりは二年短いわけですが、五十一年度までにはそのことは考えておりません。もし五十一年度までにそういうことをしなければならないということであれば、これは四十三年度予算を審議する際に、やはり先生から御質問をいただいたときに私の考え方を明らかにしておりますが、これはやはりかなり重大な問題だと思っております。ことにNHKはお金をちょうだいするわけですから、したがって、その時期は民放と全く同時期であるということも申し上げております。ですから、これは経営上私としては重大な影響を受けるという考え方でおります。  技術的な問題については松浦専務理事からお答えいたします。
  214. 松浦隼雄

    参考人(松浦隼雄君) 四十五年の当時に試算をいたしました数字でございますけれども、その当時九六%をカバーするのに、非常に概算でございますけれども約九百億円というのが送信設備に要する経費でございました。これはその当時のV局をUに移行する局五百二十八局と、VよりもUが足が短いということから新たに補完する局四百八十七局を足しまして千十五局を建設する、大体これは五百世帯以上のかたまりを対象とした局数でございます。五百世帯以下につきましては微小の中継局の置局と共同受信施設を併用するという考え方で、諸般の条件が確定しておりませんのでたいへん荒い試算でございますけれどもやりましたのが九百億円でございますが、当時はまだ、当委員会でもたびたび問題になっております難視解消の問題が、率直に申して、それほど痛烈でなかった時期であり、特に都市難視の問題がこの中ではかなりゆるく考えられているということを率直に申し上げざるを得ません。そうして数字は申し上げられませんけれども、現在やるとすれば、これをかなり上回るというふうに考えられます。  で、五年間の見通しの中で、先ほども委員会でもお話がありました建設投資の過剰という問題を避けながら、これをやろうとすれば、現在約六千数百億円の受信料収入に対して、五十一年までに建設投資を一千億台というふうにいまのところでは踏んでおり、さらにこれをいろいろくふうしなければならないという状況と考え合わせますと、まずこれを上回る投資がこのことだけで必要であろうということは言えると思います。
  215. 青島幸男

    ○青島幸男君 たいへんよくわかりました。第四次計画は五十一年に終わることになっている、しかも五十一年に終わる第四次計画の中には、そのことは勘定に入れてないんだというふうに私は会長のことばを受け取りましたけれども、といいますと、第四次計画がみごとに遂行されたといたしましても、五十一年現在においてはUへの移行は何ら施されていないことになります。その後の二年間でやらなければ、藤木さんが言われるような結果を得ることはできないわけであります。この御両所の御意見を総合いたしますと、これは全く不可能に近いという見解を私いま持ちましたけれども大臣この点についていかがでございましょうか、大臣からひとつお答えいただきたいと思います。
  216. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 目途といたしましては、十カ年計画を考えておるわけでございますけれども、そういうような経費の面もございますから、十分検討したいということでおるわけでございます。どうしてもこれを実行させることになれば、国の負担にするとか、何か国がやらなければならないわけでございますが、国のほうで負担する考え方もまだ固まっておりませんし、費用は非常に重要な問題であるということは、きょうお話を承りましていよいよ私自身痛感いたしましたわけでございますから、またこの点は検討さしていただきたいと思っております。
  217. 青島幸男

    ○青島幸男君 これ以上追及しても、大臣もお立場があって明快なお答えは得られないかもしれないので、私の見解を多少申さしていただますけれども、簡単にUに移行するのだとおっしゃいますけれども、これからますますビルは建ちましょうし、飛行場はできましょうし、鉄道路線もできましょう。電波障害はますますむずかしい問題を含んでまいります。そこへもってきて、UHFというものの特性からして足が短い。しかもUHFにすれば難視聴を生む傾向はますます大になる。UHF化したところで、この収入面の上で何ら実効があがらないわけです。NHKはいままで、見せているお客さんから聴視料をいただくのにすら相当骨を折っているわけですね。ところが、UHFにするためにはばく大な——いま会計面の御報告がありましたけれども、ばく大な金額の資金の投入あるいは建設をいたしまして、なおかつ収入の上では何ら実効を得られないことは明らかです。むしろマイナスになる可能性すらある。六百メートルのタワーを建てるのだ、そのほかたくさんの技術的なくふうがなされておりましたようですけれども、この辺のところは、いま会長お話でよくわかりましたけれども、とてもNHKさんとしても、政府考えているような五十三年度にVを完全に移動専用に明け渡すということにはいかないということは、大臣、十分いまの質疑で御理解いただけると思う。ですから、この辺、何がゆえにUHFに移行しなければならなかったのかということは、私はその辺にあるのではないかというふうな勘ぐり方をしなければなりません。もしそうであったなら、そうである旨を明らかにして、これは無理なんだということをつまびらかにしたほうが、今後世間につまらない疑惑の念を抱かせたりすることもなく、郵政省の信頼も、NHKの信頼も失うことなく、すみやかにいけるのじゃなかろうか。このことで変にいこじな態度を固持し続けますと、たいへんな政治問題にも発展するのではなかろうか、私はたいへんその辺を危惧しております。ですから、大臣、現在のお立場で早急に、このUHFへの移行が現実に可能であるかどうであるか、可能であるとすれば何年度ぐらいであろうか、そのときには、どういう必要からこれが生じたのか、それにうまく合致するだろうかという辺のところを十分に御検討いただきまして、でき得る限り早い時期に大臣の見解をはっきりと示されることが私は肝要なのではなかろうか。たいへん若輩のくせに差し出がましいことを申し上げるようで恐縮ですけれども、その点を私述べさしていただきまして、この四十七年度の予算の問題につきましては、委員長にお願いいたしましてこの質問をここに留保さしていただきまして、本日はこの程度にとどめたいと思います。ありがとうございました。
  218. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 御趣旨十分理解をいたしました。  それでは、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会