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1972-03-21 第68回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十一日(火曜日)    午前十時二十二分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月十七日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君  三月二十一日     辞任         補欠選任      野上  元君     森中 守義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         杉山善太郎君     理 事                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 森  勝治君     委 員                 今泉 正二君                 郡  祐一君                 白井  勇君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 鈴木  強君                 松本 賢一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君                 松岡 克由君    国務大臣        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君    政府委員        郵政大臣官房長  森田 行正君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       藤木  栄君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        郵政省経理局長  浅見 喜作君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        外務省情報文化        局海外広報課長  伊藤 義文君        郵政大臣官房首        席監察官     舘野  繁君        郵政大臣官房建        築部長      山中  侠君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会専        務理事      竹中 重敏君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会専        務理事      松浦 隼雄君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会理        事        吉田 行範君        日本放送協会理        事        坂本 朝一君        日本放送協会理        事        斎藤  清君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政事業における労使関係に関する件)  (続発する郵便局盗難事故対策に関する件)  (郵政省における監察行政に関する件)  (浦和郵便局等における簡易生命保険の過当募  集に関する件)  (郵政事業におけるブラザー制度に関する件) ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、塩出啓典君が委員辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。本日、野上元君が委員辞任され、その補欠として森中守義君が選任されました。
  3. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) まず、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。森君。
  4. 森勝治

    森勝治君 先般、郵政大臣に、私ども現場の局を視察した際のトラブルの問題について御質問をしたわけでありますが、それらの問題を中心としていま郵政がかかえておりますもろもろの問題について、当面する問題について質問をしてみたいと思います。  先般の質問の際に、大臣はその不明をいさぎよく釈明されまして、今後さようなことのないように万全を期すというお約束をしていただきました。それはことばの上の約束でございましたが、さて、それを具体的にどう実行されるのか。この点から伺っておきたいと思います。
  5. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 労使問題、労務対策についていろいろ先生から御意見を承って私どもも申し述べたのでございますが、実はこの御指摘になりました問題は、国会議員現業局の御調査につきまして、入り口でたいへん失礼があったということを私ども承りまして、非常に恐縮し、これは絶対に改めなくちゃならない、そして存分に御調査のできますような体制を整えなくちゃならないというように考えておりますことは、御答弁申し上げたわけでございますが、そこで、そういうような趣旨指令各局に流したいと思っておったのでございますけれども、実はまだ一、二の方から御意見を承っただけでございまして、もう少し当委員会でありますとか、あるいは衆議院逓信委員会でありますとか、また社労委員会でありますとかいうような場で、いろいろさらに重ねて御質問、御意見もあろうかと考えるわけでございまして、そういうような考えを十分承った後に集約いたしまして私ども考えをまとめて、そうしてまた先生方の御意見も承って、どうせ指令を出しますのならばりっぱな指令を出したいと思っておりますから、もう少し会議進行状決、お話を承り、御意見を拝聴いたしまして、そうして、まとめてそういう指令を出したいということで、十分熱意を持っておりますけれども、まだ取りまとめいたしておらないわけでございまして、方向については十分考えておりますわけでございます。
  6. 森勝治

    森勝治君 それは文書をもって下部大臣考え方を伝えて、そうして下部大臣のその趣旨にのっとって対処する段階で誤りのないようにする、こういう具体的な指示文書を出す、それをいま検討中、こういうことをおっしゃっておられたわけですね。
  7. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) そういう趣旨でございまして、もう実は私どもの案はできておりますけれども、それぞれの先生方がいろいろ御意見があろうかと思いますので、もうしばらく時間をかしていただきまして、各お立場の方々からいろいろの御意見を拝聴いたしまして、そうしてまた先生方の御意見も承って、骨子はできておりますけれども、そういう御意見を肉とし血といたしましてりっぱな通達事項といたしまして、通達という形式になりますか、どういう趣旨になりますか、その辺はまだはっきりいたしておりませんけれども、何らかの形で具体的に徹底するように姿勢を正したい、こういうふうに考えておりますわけでございます。ただいま先生のおっしゃるとおりでございます。
  8. 森勝治

    森勝治君 人事局長にお伺いするわけでありますが、先般、大臣にお目にかかって大臣真意を私どもがただしましたときに、当該局長であります東京郵政局長が明確に言われたことで二つの特徴点があります。  一点は、三月六日、社会党の国会議員調査団現業局に、東京郵政管内におもむくに際しまして、それの前の三月四日に対策会議を持ちまして、このときに、私が先般も若干指摘いたしましたような内容で討論をし、その結論を求めた模様でありますが、この先般の大臣折衝の際に当該郵政局長がおっしゃるには、大臣真意をはかりかねて私どもは以上の決定をいたしましたと、こういう表現を使われました。人事局長もそこにおられたからおわかりだろうが、そうなると、郵政省ひざ元であります東京郵政局長ですらも、温情あふれる廣瀬郵政大臣の心を推しはかることができないということでありますから、郵政人事管理は相当乱れていると私は指摘せざるを得ないのであります。出先局長が全部拒否したならば、それはそれで一つの理屈が成り立つでありましょうが、私の行った蒲田では最終的にはトラブルがなく、相互理解の点に立って東京郵政局が招集した三月四日の会議内容と違った内容で、私ども会見をしたわけです、違った態勢で。そうなりますと、私はこの前もちょっと触れたような気がするんでありますが郵政大臣の心を心として最終的には蒲田局長措置されたと思うわけです。東京郵政局長は、蒲田郵便局長のやり方は三月四日の会議の違反である、逸脱行為である、これは明快に大臣折衝の場で言われたわけです。先ほど実は東京郵政局長にこの席においで願って御説明いただきたい、こういうことでありましたが、まあ出発のことだからいましばらくという御意見の向きもありましたものですから、私も一応遠慮をいたしまして、当該郵政局長に容喙することは後日といたしまして、いま私は人事局長にお伺いしているわけだが、東京郵政局幹部会議結論を逸脱した蒲田郵便局長が悪いのか、大臣の心を推察することができなくて、大臣の心、この広い心を推しはかることができない能力に欠けた、私はあえて、この際は欠けたという表現を使いますが、欠けた会議主宰者である東京郵政局長、一体人事管理の面でいずれが是なりやいずれが非なりや、いずれが正なるやいずれが不正なるや、この点ひとつ明快にお答えをいただきたい。
  9. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) お説のとおり三月六日御調査いただきました。御調査おいで願いました五局の対応の状況が違っておったということは事実でございます。  で、蒲田、玉川の場合と他の三局の場合とが違うと、こういう御指摘でありまして、そのいずれが正しいのか、こういう御質問と心得ます。まあその前に御承知のように、当然私ども関係郵政局に一定の指示をいたしました。郵政局はそれを受けましてそれぞれおいでいただく局に指示をしたわけであります。東京の場合、その指示は確かに三月の四日に一時間程度、これは全部近間の局でありますので、土曜日の午後に五局長を集めまして一時間ほど郵政局打ち合わせをした事実があるわけであります。しかし、郵政局打ち合わせ内容と申しましてもこれも微に入り細をうがった打ち合わせというものではございませんで、大綱としてはこれはむろん、大臣の御意向ということをおっしゃいましたが、大臣の御意向にあるいはぴったりではなかったかもしれません。若干ニュアンスは違ったかもしれません。その点は恐縮に存じておりますけれども、全然別の方向というわけではなかったと思うんであります。要するに、そういったことで、打ち合わせがなされたその打ち合わせ基本といいますのは、やはり何と申しましても、現場における会見でございますので、したがいまして、むろん、先生方の御調査は十分にしていただく、これは基本に当然あるわけでありますけれども、その場合先生方に随行してまいる人々のこと、こういったことが中心でいろいろ相談がなされたわけでありますが、その場合でもやはり郵政局なりあるいは郵便局側でそのサイドから見ましてこれが理想と思う一つの形もあるわけであります。しかし現実の姿というものは、必ずしもその理想と常に一致するとは限らないわけでございまして、こういう一つ理想の会い方があるということ、これが一つありまして、そして現実にはむしろいろいろな型が出てまいる。そういった場合に、これをいかに扱うかというようなことについて会議が持たれた。で、結局三月六日に至りまして現実先生方がお見えになる。やはり私が申しましたように、郵政局なり現業で御調査いただく場合の理想の形というものと現実の形というものとの間で当然若干のズレがあった。そのズレの処理のしかたということで、いろいろ問題が生じまして御調査いただいた先生方に御迷惑もおかけしたということである、かように存じておる次第であります。
  10. 森勝治

    森勝治君 このことではこれ以上私は繰り返したくないと思うのです。  そこで、一言だけ人事局長注意いたしておきますが、大臣と私ども現場の局の視察に際してのお話し合いをしたことは御承知のとおりでありますね。そのときに大臣は、「皆さんが現場に入られることを喜んでお迎えします、調査には十分御協力いたします。」という約束があるんです。もちろん、立場上見解の分かれるところはこれはもういたしかたないのでありますが、全幅的に調査に協力するということであるならば、少なくとも、労使双方から話を聞かなければそれができないことは自明の理であります。ところがその点は避けておられる。ここが一番そちらさんで、抵抗という表現を使うのは適切でないかもしらぬ――拒否されている、非常にいやがっておられることでありますね。それではせっかく大臣約束した調査の目的が果たせないわけであります。外郭団体のだれそれということはさておきまして、少なくとも、職場職制の長と、その職員団体幹部労使双方から話を聞かぬことには理非曲直というものはさだかにすることはできません。釈迦に説法で恐縮でございます。――ですから、大臣がせっかくこの前もお約束され、いまも通達をされるというふうに了解しておりますから私はこれ以上やりませんが、どうかひとつ、大臣の心とあまり隔たりがないといってあなたは部下をかばっておられるが、全く隔たりがあるんです。具体的に過去に一ぱいあるのです。私たちは指摘をしてきているわけです。郵政本省の威令が行なわれざること今日より大なるはなし、私は、あえてこの点をきびしく人事局長に御注意申し上げて、今後の綱紀のゆるみというものを正していただきたい。  そこで、次の問題に移りたいのですが、どうも大臣、私どもあまり明るい話をしないで恐縮でありますが、私は、この労使のこういう拮抗と申しましょうか、対立というものは、やはり郵政の古い体質の中から派生してくるような気がしてならぬです。アポロ時代で変転きわまりないこの世相の中で、全然変わらない労務管理体質、たとえばこれはすべてではございませんが、その一例として各郵政局に全部官房という何ですか、これは室ですか、職制上どういう資格があるか私は知りませんが、いま他の官庁のいずれをたずねましても官房と名のつくところはいわゆる本省、これに準ずる以外はほとんどないはずであります。郵政局だけが全国にみんな郵政局長のところに局長直属官房を設けておるわけです。もちろん、官制上つくってはならぬのではありません。私も先般調べてみましたが、つくって悪いということではないでしょうが、しかし、他の省は全部大臣官房というだけでありますが、郵政だけはどういうわけか出先官房を置く。私はここに特権が、国民の上にあぐらをかくというこの象徴的な姿がこの官房、あえて制度と呼ぶのはどうかと思うのでありますが、官房と名づけるものを郵政局に置いておるところだと思うのです。したがって、官房そのもの名前が、それはついているから、あながち悪いということで申し上げるのではないのでありますが、やはりこの変転する世代に対応できる機構というものをひとつつくり直すように御検討をわずらわしたい、このこと大臣にひとつお答えいただきたい。
  11. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 各郵政局官房がどういう現状であるかということについては私まだ勉強いたしておりませんけれども、そういうような組織制度を設けられておるということは、これは結局事業の能率の向上というような意味でやっておるかと思いますわけでございまして、まあ、必要であるからそういう機関を設置しておるかと存じますけれども、現在の状態について、どんな運営が行なわれて、どういう機能を発揮しておるかと、それがいろいろ不当な労働の強制でありますとか、あるいは先生方が御指摘になるような不当労働行為の源泉をなしておるとかというようなことが、万々ないと思いますけれども、御指摘でございますから、十分調査研究してみたい、かように考えます。
  12. 森勝治

    森勝治君 どうも官房なんという名前を最初つけたのは、たぶんこれはあるいは私の考え方が間違っているかもしれませんが、太政官布告時代のなれの果てじゃないかと思うのですね。ですから、ひとつ新時代に対応する呼称を持ってしていただきたい。なぜ私がこういうことを言うかといいますと、郵政局長と呼ぶ人は部内にいないのです。大臣、よく聞いてください。一般の人は、たとえばおひざ元東京郵政局では、外部の人は郵政局長さまと、こう呼びますけれども部内では長官と呼んでいるのです。ですから今後、大臣、かりそめにも郵政局長をもって長官という、まあ呼称か職名が知りませんが、そういう名で呼ぶことは厳にやめさせていただきたい。東京郵政局長郵政局長という名前ですから、そういう正規な名前で呼ばせるようにしてください。官房という名前がついているから長官というふうに以心伝心でふっとことばのあやでいくだろうというような、げすな表現はいたしません、いたしませんが、どうもその辺に何か脈絡があるような気がしてならぬわけであります。したがって、官房という名前を廃止するしないはさておきましても、少なくとも、郵政局長をもって部内部下から長官なんという呼称をもって呼ばせることはぜひやめさせていただきたい。このことはこの席上お約束いただきたい。
  13. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 局長という正規の名称のほかに長官ということばを使用しているのはどうも時代にマッチしないという御指摘でございますが、これはまあ部下が尊敬の気持ちでそういうようなことばをあえて使っているのじゃないかと思いますけれども、他の省の例等もひとつ十分調査研究いたしまして、弊害あるということであれば、改めなければならないと思いますので、これもひとつ研究させていただきたい、かように思います。
  14. 森勝治

    森勝治君 付言をいたしておきますが、出先局長をして長官と呼ぶ官庁郵政省おいては他にございません。  そこで次の問題に移りますが、私は、先般、春日部特定局強盗事件について質問をし、その対処方を促してまいりましたが、残念だが陸続として埼玉県では強盗事件がございます。私が指摘して間もなく、今度は直轄局であります春日部郵便局にも侵入し、今度は白昼堂々と大宮市の盆栽郵便局にも強盗が押し寄せてまいりました。あのときに、そういうことのないようにということでお約束を願い、適切な措置をとるというふうにお答えをいただいた模様でございますけれども、なぜこう陸続として、離れたところなら別だが、一連の、次から次へと、次の町、次の町というのは一体どういうことなのか。もっとも強盗は予告なしにやってくるわけですから、私がいま言うのは、ある面では酷かもしれませんけれども、ほんとうに郵政にして、強盗事件や不慮の災害に対処するようなことを私が先般、御注意申し上げた直後におやりになっておるならば、たとえば今度の白昼起こった大宮盆栽町における特定郵便局のような事件はなかったでありましょう。一片の通達をもってこと足れりとするこの姿は大臣どうお考えになっておられるのでしょうか。あれほど約束してまだなまなましい先般の質疑応答ではなかったでしょうか。非常に私は残念です。これはよその県ならいざ知らず、春日部の市内ですね。そしてまた本局、隣の町、一体これはどういうことですか。この席上で口でお約束を何度願っても、実際としてそういう措置はとられてないのですか。この点をひとつ大臣から基本的な問題をお答えいただいて、監察のほうで、そういう指摘をされておるか伺いたい。  それから担当のこれは郵務局長ですね、担当局長は一体どういうことをおやりかですね。郵便局には防犯ベルたくさんつけていますね。しかしそれはそうでしょう。これは郵務局長担当じゃないですか、そういうものは。全然違うの。郵便物がねらわれてもかまわない郵務局長は。私はなぜ言うかというと、どうもその辺が、いま郵務局長は首を振っておられますけれども郵務局長あたりもこういう問題については特にしっかりしていただかなければ、その点一番人数が多い職場ですから、そういう窓や何かがあいていたりなんかすると、ままそういうことがありがちだからあえて私は言うておるわけです。で、これはいま監察や、大臣の話を聞けばこと足りるかも知れません。しかし、なぜ私があなたの名前をここであげたかというと、郵便の中には、最近特に現金を取られたり、書留が途中で行のうをこわされたりしてとられておりますから、そういう所管立場からの対策についてのお答えをいただきたい。そういう意味郵務局長の名をあげたのです。
  15. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 所管の各局長から詳しく御説明させますが、総括的に私から一応お答え申し上げたいと思いますが、さきの国会以来森先生から、局舎への外部からの侵入強盗というようなことについて具体的に事例をお示しいただきまして何かと御熱心な御戒告をいただいておりますわけでございまして、その後も相変わらず同じ事例がときどき起こっておりますことはまことに恐縮に存じ、申しわけないと思っておりますわけでございますが、そこで、先般これではいかぬという先生の御注意もございましたので、私も強く考えまして、ひとつ局舎の総点検をやろうじゃないか、そうして局舎の取り締まりでございますとか、あるいは局内の設備、また防犯ベルのあり方、また、いろいろな施錠の状況というような、強盗予防のために最善の方途を講ずべきである、どうしても不可抗力という面もあるかもしれませんけれども、しかし人力は尽くさなくちゃならない。森先生の非常に御熱心な御指導もいただいているので、その御要望にこたえなくちゃならないというように考えまして、三月の初めであったと思いますが、きょうはあいにく文書を持ってまいっておりませんけれども、あとで参考資料として御必要であれば御提出いたしますけれども、非常に詳細にわたりまして、しかも出したほうの側は依命通牒にいたしたと思いますけれども首席監察官はじめ建築部長郵務局長簡易保険局長、それから貯金局長――関係のありますすべての責任者の連名で、各局に厳重にその強盗予防のための指令を出しましたわけでございまして、その趣旨を十分各現業局で徹底して、人力を尽くして、そういうようなことが最大限に少なくなるように方途を講ずべきだということで指導をいたしておりますわけでございます。なお、詳細については関係局長等かち御説明をさせようと思います。
  16. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 大要、大臣からお答え申し上げたとおりでございます。昨年、先生の御指摘をいただきまして、また当時非常に世上も金融機関その他郵便局等に対する強盗侵入等が目についた情勢にございましたので、その後、機会を見まして、おりに触れ地方に防犯上の注意着眼点の周知といったようなことをいたしてまいりました。最近におきましては、ただいま大玉からお答え申しましたように、大臣依命通達をもって、内容は非常にまあ単純なことでございまするけれども施設警備、業務取り扱い、その他非常に基本的なことをこの際――基本的だけれども不可欠な措置につきまして、もう一度詳しく各郵便局おいて、もちろん、郵政局指導によりまして、各郵便局おいて総点検をする必要があるということを内容といたしました通達をいたしました。また、そのほか特に郵便業務につきましては、最近一、二の郵便物局舎の中で局舎に賊が侵入いたしまして、郵便物をとっていくというケースがございましたので、郵務局長から詳細に業務指導通達を出して、全国郵便業務の遂行についての再点検を命じておるというような次第でございます。
  17. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ただいま政府側からいろいろ御答弁申し上げましたが、結局、郵便局舎全体の局舎警備ということは何といっても一番大事かと思いますので、その点につきましては関係担当部局で十分検討してもらっておりますが、いざ中に入られてから、郵便物というものについて保護するためにはどうしたらいいかということで、主としてこれは大局になりますが、書留郵便物中心にして、その保管授受及び勤務体制――常にだれかが一人以上はその中に勤務しているというような勤務体制をしくとか、そういったようなことを過般通達いたしまして、とにかく国民の郵便物を預かっているわけでございますので、その点につきましては局舎警備のほかに、さらにその部分についての警備保管というものを厳重にするよう過般通達したわけでございます。
  18. 森勝治

    森勝治君 山中さん来ていますね、建築部長
  19. 山中侠

    説明員(山中侠君) はい。
  20. 森勝治

    森勝治君 先般の局舎の構築の問題についてお伺いしたところです。その際、私は付言いたしまして、皆さんの担当の人員の数の少ないというお話もいたしました。その点は確かにそうでしょうたいへんでしょうというふうに申し上げましたが、この配達人員が少ないということを理由に、私がつぶさに指摘し、大臣がお約束しているにもかかわらず、あなたの担当部はいま申し上げたように配置人員が少ないという理由で、その検査等の方法を少しも改めないというのはどういうことなのですか。その点ひとつお伺いをしておきたい。
  21. 山中侠

    説明員(山中侠君) この前、私の答弁が舌足らずのところがございまして、御指摘いただきましてまことに申しわけないと思っておりますが、技術屋連中が、全部設計者が見るわけにはいかなかったということを申し上げたのでございますが、借り入れのときには担当官――事務屋さんも含めての担当官はこれは全部実査させて適合するかどうかということを基準に合わせて審査して借り入れをいたしております。この前の私の最初の答弁が非常に舌足らずの点でそういう御印象を受けたと思いますけれども、事実はそのとおりでございますので、申しわけございません。
  22. 森勝治

    森勝治君 この前もあなたに指摘をしたところでありますけれども、どうも無人の特定局、私はこの前、通勤郵便局という名前で申し上げたような気がするのでありますが、外観はなかなか鉄格子が入って正面はりっぱですが、さて、裏に回ると無防備、警察でもこの点を指摘しております。この点も申し上げたような気がするのです。裏側にも、無人局だったらそういう防犯の設備をしてくださればいいなという現地の警察側の希望があります。この点もこの前伝えた模様でありますが、こういう点もあなた方は御検討してくださらない。これはどういうことですか。大臣に言われっぱなしで、忙しいからほうっておけということですか。この辺であなた方がそういうことも十分会議にかけて改善策を研究しておかれれば、これら全国職場にやがてそういう気持ちが浸透して、無人局でその防犯体制ができ上がるということになるんじゃないでしょうか。人が足りない足りないで、こう次から次へと問題が起こりますと、人が足りないという答弁するのみでは許されない時代がきますよ、やがて近いうちに。
  23. 山中侠

    説明員(山中侠君) 特に無人局の建築施設の防犯に関してでございますけれども、御指摘のとおりの心配がございまして、実は私どものほうも何にもしておらないわけではございませんで、現在全局について調査を進めております。本来、基本方針としては、開口部はどうしろ、こうしろという方針がございまして、新設局はそれにならっていると思いますが、やはりたくさんの数のものでございますから、中には遺漏の点があるかと思いまして、現在全部洗っておりまして、その結果によって、適切な処置をしようということをやっております。
  24. 森勝治

    森勝治君 首席監察官にお伺いをしたいのですが、舘野さん、先般、浦和郵便局に抜き打ち監査をいたしましたね。その理由をひとつお聞かせいただきたい。
  25. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 抜き打ち監査と申しますと、ちょっと、私、思い当たらないのでございますが、通常の考査は、もともと被考査機関郵便局から申しますと、抜き打ちでするのが原則で、また全部そうしておりますが、最近、通常の考査をいたしましたかどうか、東京郵政監察局で受け持っておるはずでありますが、私、聞き及んでございません。ただ、監査、考査ではございませんで、ときどき特別の事柄につきまして、いわゆる調査と私ども言っておりますが、一定の事項をきめまして、実態調査監察局がいたすことがございます。あるいは浦和局について、私自身存じておりませんそういう調査があったのかもわかりませんが、これも、私、聞き及んでございません。
  26. 森勝治

    森勝治君 最近のことは、担当として知らないということですね。保険局から連絡をされて、保険局とあなた方共同して、浦和の局へおいでになったんでしょう。あなたが知らないはずはないでしょう。
  27. 舘野繁

    説明員舘野繁君) これは東京郵政監察局に依頼したということで、保険に関しまして調査をしたということは、私、存じておりますが、あるいはこれは他の一般の業務とともに、考査の一環としてやりましたか、あるいは保険業務についてだけいたしましたか、その実施につきましては、東京郵政監察局長に実施をまかしておりまするので、そういう保険に関しましての浦和局の実態を調査した、こういうことは存じております。
  28. 森勝治

    森勝治君 うそ言ってはいけませんね、前は知らないと言い、いまは知っていると言い、東京監察局にまかしたと言う。あなたが指示したんじゃないですか。知らないとは何ですか、改めなさい。
  29. 舘野繁

    説明員舘野繁君) おことばを返すようで、はなはだ恐縮でございますが、実態といたしまして、本省の簡易保険局が東京郵政局にいろいろの調査を命じ、そのうちの一部分について監察の力もかりたいということで、東京郵政局から調査依頼、まあその機会はどういうことであっても、数局をサンプルといたしまして、保険の業務の調査をするに際し、監察の力をかりたいということで、依頼があった。それで、そういうことをするという報告は受けております。
  30. 森勝治

    森勝治君 これはだれに聞けばいいんでしょうな。たとえば、保険の問題で監察をするときには、本省監察は、じゃ、こちらへ置いておかれるんですね、いまのお話だと。保険局長が当該の東京郵政監察局に直接指示をするんですね。本省監察は全然関係ないんですね。あなたの話はそうですよ。あとで報告を受けたか知れません。そういうたてまえですか、郵政の機構というのは。
  31. 舘野繁

    説明員舘野繁君) お答え申し上げます。  郵便局の考査、調査をいたしまするのは、地方郵政監察局でございます。地方郵政監察局が、その計画あるいは必要に応じまして、郵便局の考査を実施いたしますわけでございますが、あるいはまた調査をいたすわけでございますが、そのきっかけと申しますか、まず第一に、地方郵政監察局自体で必要と認め、独自の計画で考査、調査を行なう、これが一番大宗でございまして、原則かつ通常の場合でございます。それから、地方郵政局長からこの調査の依頼を受けまして、調査なり、あるいはまた特別の考査をするということがございます。それからまた、本省監察からこういう考査をしなさい――これはほとんどございませんけれども、たまにこういう場合もございます。  いろいろの経過で行ないまするけれども、ただいま、先生指摘の保険業務について、私が報告を受けましたところでは、浦和だけではなくて、その他数局、サンプル調査と申しまするか、あるいは臨局をして、郵政局監察局も調査をしておるようでございますが、その中で、浦和局については、東京監察局で考査の機会その他適宜の方法をもって調査をしてほしいということを東京郵政局長からの依頼があったんで、こういう調査を行なったという報告を受けておる次第でございます。
  32. 森勝治

    森勝治君 一般論を聞いているんじゃないですよ。具体的に、先般、浦和を監察したのは、いいですか、火のもとは本省なんです。本省の保険局だから保険局のほうからあなたのほうへ連絡があって、共同でおやりになったんですかという意味のことを聞いたんで、そうすると、いや、私のほうは知らないと、保険局から監察局へやったとか何とか、あとから報告をされたとか。今度の問題は違うでしょう、今度の問題スタートが違うでしょう。ですから、ほかの問題もそうです。いいですか、たとえば、郵務局なりにいろいろの人事のことがあって、人事局がやるときには、郵務局に関係のあることは、郵務局長に黙っているはずがないでしょう。本省が出動するときには、監察関係するときは、監察に相談があるんでしょう。全然ないんですか、各局とも。郵政省というところはそういうところですか。ですから、それを聞いているんです。一般論を聞いているんじゃないんですよ。出先から何か事件が発生して、ということを聞いているんじゃない。今度の火のもとは本省だから、本省がやる場合に、本省監察に黙ってやるはずがないでしょう、それを聞いている。黙っておやりになるんですか、連絡があっておやりになったんですか、そのことを聞いているんです。
  33. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 正式に保険局から調査依頼あるいは考査要求ということを受けてはございませんが、保険局でいろいろのことを調べたいということで、東京郵政に調べさせるが、その際、東京郵政局を通じて東京監察局の活動にも待ちたい面があるということで、保険局のほうから事務連絡があったということは私耳にしております。
  34. 森勝治

    森勝治君 早く言えばいいじゃないですか。そういうことは全然知らないと言っているじゃないですか。いま、あれでしょう、浦和郵便局監察するときには、本省の保険局がスタート、これは火のもとだから、それからあなたのほうにそういう事務連絡をして、あなた方の了解を得て、出先でやらしたんでしょう。知らない、知らないと言っているが、そうでしょう。
  35. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 補足いたしますると、これこれのところで、こういうことを監査、考査をやってくれという要請が保険局からあったわけではございませんので、保険局から、東京郵政局を主体にして調査をするが、東京監察局の力も活用したいということで、それを東京郵政局を通じて、そういう依頼を東京郵政監察局にするつもりであるからという連絡が事務的にございましたということを申し上げている次第でございます。
  36. 森勝治

    森勝治君 何であろうと、それは各局間の連絡でしょう。口頭であろうと、文書であろうと、電話であろうと、連絡でしょう。それは中身によっては、本省監察官がすぐ出てください、あるいは現場ということなんでしょう。いまの場合は、東京郵政局の管内のことだから、こうだと、そういう連絡があったんでしょう。何であろうと連絡がないとあなた言っているんだけれども、あったんでしょうけれども監察官はそんなことでいいんですか、ちゃらんぽらんのこと言って。もっとしっかりしなさい。
  37. 舘野繁

    説明員舘野繁君) ことばを返すようでありますけれども、連絡と申しましても、特に本省監察の何といいますか、措置を求めることではございませんで、全く保険局から東京郵政局、また東京郵政局東京郵政監察局の間の相談と申しまするか、協議で行なわれたことでございましたので、なおかつその結果につきましては、本省の簡易保険局に届けられまする報告を私も目にしておりましたので、先ほど申し上げたようなお答えを申し上げた次第でございます。
  38. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連して。  よくわからないんですけれども郵政省設置法上、首席監察官はどういう立場におられるんでしょうね。昔、本省監察局というものがあった当時と、それから首席監察官制度になった場合とどういうふうに差が出てきたんですか。全国の十の郵政局の中に監察がございますね、郵政局十あるわけですね。それとの郵政局との関係ですね。これはもう監察局というのは独立したものですから、地方でいきますと、それにいろんな考査や監査を依頼する場合、本省首席監察官が何も知らない間に各局ラインに、地方監察局に、監査や考査を依頼していることは、ちょっと私は執行上から見て疑義を持っている。少なくとも、全国監察の実態というものは首席監察官が詳細に把握しておかなきゃならぬというふうに私は思うんです。かりに保険局から地方郵政監察局がそういうあなたが知らない問にいろんなことをやってかまわないんですか。そういう点を設置法上の分限との問題もあると思いますのではっきりしてもらわないと、われわれ常識から考えたらそれはどういうふうにあろうとも、首席監察官というものが、全国十の地方監察局でいろんな監察が行なわれることについて実態を把握されておらなきゃならないと思うし、ましてや特別の考査を依頼して各局がラインごとにやる場合には、首席監察官のほうではそういう事前の連絡をとり、協力を得るということでなくちゃいけないと思うんですけれども、その辺はどういうたてまえになっているんですか。
  39. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 権限とか職務内容につきましては、いわゆる本省監察局の機構の場合と、首席監察官制度の場合とほとんど変わってございません。実際に地方で考査なり、調査なりをいたしまするのは、権限から申しまして、首席監察官から特定の局、事項を示して考査、調査をさせるということはこれは可能でございまするし、たまにございます。しかし、地方の監察局が行ないまする郵便局等に対する考査、調査は、通例といたしまして、独自の地方監察局長、独自の計画あるいは必要性、目的を持って行なっておりまするし、また、通例の場合、地方郵政局長からの依頼により調査をするというのが、これはもう監察制度発足以来通例のやり方でございます。
  40. 鈴木強

    ○鈴木強君 本省の各ラインからやる場合のことを聞いているんですよ。地方のことなんが、そんなことを聞いてない。私の聞いているのは、あなた首席監察官でしょう。だから、本省の郵務局とか、簡易保険局とか、そういうラインから直接地方監察局に対していまいろいろ話をしているわけです。その場合あなたは全然知らない間に、たとえば、保険局から東京監察局に話がいてやったということになって、ただ事務的に報告を受けたということだけで、あなたのところはないがしろにされているんだよ。だから、そういうことはまずいじゃないか、これは首席監察官を通してやるようにしたほうが筋が通る、それが設置法上変わったなら変わった、変わらないなら変わらないではっきりしてもらいたい。もしあなたのほうを通さないでやるとすれば、保険局長の越権行為で直してもらわなければならない。少なくとも、首席監察官がそういうことを知らないということはないと思う。知らないでは通らないと思う。そんなたるんだ、本省と地方が全く分断されたような監察制度だったら、そんなもの直さなければだめです。そこを聞いている。大事なところを答えなさい。
  41. 舘野繁

    説明員舘野繁君) お答えいたします。  先ほどその点御説明申し上げたつもりだったのですが、ことばが足りませんで恐縮いたしましたが、本省の簡易保険から東京郵政観察局に直接調査を要請したりしていることはございませんし、そういうやり方はやっておりません。先ほども申しましたように、本省の簡易保険局、先ほども申し上げましたように、本省の簡易保険局が東京郵政局にいろいろのことについて、都内数局と聞きましたけれども、サンプル調査をする。その際、郵政局だけでは人手の関係ですか、足りないので、東京郵政局から東京郵政監察局に協力を求めることがあるので、連絡しておくという連絡を受けまして、事実また簡易保険局から直接東京監察局長指示ないし依頼したのではございませんで、郵政局監察局の間で事務の分担を協議いたしまして、監察局もその調査に入ったというのが実態でございます。したがいまして、先生がいまご指摘本省各局から地方の郵政監察局長指示ないし要請ということはしておりませんし、今回の場合もそういうことがないわけでございます。
  42. 森勝治

    森勝治君 あなたはいまそういうことを言われている。私の質問にはそう答えておらないですよ。いいですか、保険局から東京郵政局または監察局に頼んで、あとで知らされたから知らないとあなたは言ったんだ、だからそんなことはなかろうと、必ずそれはどういう方法であろうとも、火のもとが本省であるし、あなたの部門には連絡があったはずだと、ありませんとあなた言ったじゃないですか。いま鈴木さんの答えで、簡易保険局か直接監察局を指揮するということはありませんと言っているけれども、最初の答弁とは違う。だから、いまのような答弁を最初からするなら私はくどく言わないんですよ。
  43. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 繰り返してお答え申し上げますけれども、先ほど私の表現があるいは不正確だったのかも存じませんけれども、もう一度繰り返しますると、本省、保険局が東京郵政局に保険の問題で管内数局のサンプル調査をやらせるのだが、その際郵政局の都合もあり、東京郵政監察局の協力を受けさしたい、そういうことで、東京郵政局調査を命じているという事務連絡がございましたということを申し上げたのでございまして、実際本省の簡易保険局は東京郵政局にその全体の構想を示して指示しておりまして、その一部分といたしまして、東京郵政局東京郵政監察局の間で依頼協力関係ということで、その一部を東京郵政監察局が調査を分担したということでございます。
  44. 森勝治

    森勝治君 そういうお答えならいいです。前のようなお答えは困りますからね。いいです、いま直されたから。  次、質問しますが、火のもとの本省では浦和の局をおやりになった。その前後王子の局等もおやりになったようだが、浦和の局を監察されて何か出てきたのですか、どういう目的でされ、結果はどういう結果になりましたか、監察官。    〔委員長退席、理事長田裕二君着席〕
  45. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 私いま十分報告の内容記憶してございませんけれども、たぶん、はなはだうろ覚えの記憶で申し上げて恐縮でございますけれども、保険の募集のしかた、それから保険料の正規徴収と申しまするか、についての実態が報告があったように記憶してございます。いろいろ専門家の検討によって、その中から問題とすべきものがあるならばそれぞれ保険局におい検討し、解明さるべきことであろうと存じます。
  46. 森勝治

    森勝治君 まだわからぬということですか、監察官のところへこなければ、担当局長でいいです。この間調査された中身についてひとつお聞かせ願いたい。中身というか、結論でいいです。
  47. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 簡易保険局で調査を実施いたしましたのは、保険料払い込み団体というものがございます。これは月々の保険料の集金に人手を食いますし、いろいろ問題もありますから、団体を組成しまして、団体の代表者がまとめて郵便局に保険料を払い込む制度でございますが、これが相当集金の合理化といいますか、効率化というような意味から簡易保険局の方針としましても団体を次々に組成していく、こういう基本的な方針をとっておりますが、この団体の運営につきましていろいろ問題点があるわけでございまして、今回東京郵政局本省から命じましていたしましたのは、この保険料集金団体の実態調査でございます。先生がおっしゃっております浦和局、それから王子局のほかに東京都、神奈川県、埼玉県で大局だけを八局ことしの一月に行ないました。目的は保険料団体の運営の実態把握、それから、問題点があるとすればこれの矯正、こういうことでございます。
  48. 森勝治

    森勝治君 今回の抜き打ちは保険局と監察で共同でやったのはいま御報告になったことだけでしたね。ほかの部門についてはやらなかったのですか、やってもわからなかったのですか。
  49. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 私どもが主たる目的といたしましたのは、ただいま申し上げました、保険料払い込み団体の調査並びに指導でございますが、そのほかの部門につきまして直接報告は受けておりませんけれども、この調査に参画いたしましたのが、東京郵政局の保険部の職員と本省の簡易保険局の職員と、それから、先ほど来首席監察官が申し上げております、東京郵政局から東京郵政監察局に協力依頼といいますかに基づきまして東京郵政監察局の職員が若干参加をいたしておりますが、そういう構成で実態調査というものをいたしたわけでありまして、あるいはその調査の中でほかの部門の、先ほど監察官も言っておりました募集のあり方なり、何なりという点についての話が出てあるいは調査をいたしたかもしれませんけれども、まだ私ども報告を受けておりません。
  50. 森勝治

    森勝治君 これは御存じですか、見ましたか、こういうの、いま浦和全市に張りめぐらされておるのです。これは雨に打たれたかっこうですから非常にきたないですが、「浦和郵便局が保険サギ?」と書かれているのですよ。いいですか、天下のお役所が、大臣、これ見てください。あなた方が本省指示によって本省の保険局、本省首席監察官、両方打ち合わせて浦和局を監察した後ですよ、これはごく最近ですから。「浦和郵便局が保険サギ?保険の不正勧誘」云々と、こう書いて、「傷害特約付簡易保険不正勧誘を告発する」、これを参考にひとつ見てください。
  51. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) いまの問題に御答弁申し上げます前に、先刻の森委員防犯についてのお尋ねに関連いたしまして補足を申し上げておきますが、郵便防犯につきまして郵務局長から通達を出しましたのが二月十六日でございます。それから、局舎防犯警備という全般的な問題につきまして非常に詳細に総点検という趣旨依命通達を出しましたのが三月四日でございますので、なお、内容についてもし必要であれば資料は差し上げることにいたします。森委員、よろしゅうございますか。
  52. 森勝治

    森勝治君 けっこうです。   〔理事長田裕二君退席、理事植竹春彦君着席〕
  53. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) それから、ただいまの保険詐欺の、お示しになりましたポスターでございますが、やっぱりこういうことに当たることがあったそうでございまして、その内容につきましては関係局長から御説明をさせますが、とにかくこういう事件が、事の大小にかかわりませず起こったということはまことに申しわけないことであります。今後繰り返してこのようなことのないように十分戒めて指導してまいりたいと、このように考えております。
  54. 森勝治

    森勝治君 いま大臣にお見せしたこのポスターの中身の問題、これの言わんとする問題についての詳細は私は知りません。知らないけれども、かりそめにも国営事業である郵便局の業務に関して一般からこういうそしりを受けるような、いわば疑いを持たれるようなあり方はこの辺で真摯に受けとめて再検討する時期が来たと思うのです。これは私が思いまするに、この郵政省の簡易保険募集に際しましての基本的姿勢というものが、失敬でありますが、一般民間の保険会社とあたかも競合するそれのごときふるまいというものが高じて、今日こういうふうに、市民、国民から指弾を受けなきゃならぬように行き過ぎを招来したものと、私はこんなふうに考えざるを得ないのです。大臣いいですか。名古屋管内に端を発した保険の募集問題たくさんの問題がありました。ああいう問題が出て、われわれもそういう問題について端的に是正方を申し上げたときには、他の地区ではこういうことは一切行なわせません、こういう話がありました。たとえば昨年の十月二十七日の簡易保険局長通達をもってしても、やらないと言われているわけでありますが、それが今日またこういうことがあった。これに対して対外的に大臣担当局長が釈明をするだけであって、この保険募集の基本的態度はいささかも変わっていないのではないか、そんな気がしてならぬわけでありますが、担当局長、名古屋に端を発したこの保険の行き過ぎ募集等に関係して、自粛、改善、粛正、いろいろな表現を用いてあなたは過去にもろもろの指導通達をしてきた模様でありますが、どうしてこういうものが、東京郵政管内で起こってぐるのですか。これは埼玉だけじゃないでしょう。千葉もそうだし、神奈川もそうですね。ただ、よその地域ではこういうビラを張られないだけでしょう。非常に私は残念に思うのです。特にこの保険募集にあたって成績を上げるあまり、どうもあめとむちをもってしておるような気がしてならぬのです。ことばをかえましょう。どぎつい勧誘方法をもってしている。民間でもやらぬようなことをしている。私は残念ながらその一つを、こういうことをあまり言いたくないのでありますが、こういうビラを張られるようになってしまうならば、これはある程度もう公にして、皆さん方にほんとうに固い決意を込めて、国営簡易保険事業はかくあるべきものと、国民の指弾を受けないような方法を展開しなきゃならぬと考えますから、あえて私は言いにくいこともやるのであります。  そこで、ひとつ保険局長に聞きたいのです。民間もそんな模様でありますが、最近は貯金にまで、定期預金をするとタオル等を担当が配る。これは省から出たのじゃなくして、勧誘員個々がそれを買って配っている模様です。ところが、省が、簡易保険募集にあたってはそういうことを職員に窓通している向きがある。かつて日刊紙が購読者募集のために、たらいとかやかんとか、そういうものを景品にして物議をかもした時代がございました。最近はそういうことは各社自粛の模様ですから、あまり見受けませんけれども、ところが、いま国営事業であります簡易保険の募集のときにあたっては、全く目に余る行き過ぎがある。これはやはり正しい募集のしかたをしていかなければならぬと思うのです。はなはだしい問題の一つとして、簡易保険の募集の、何というか、簡易保険の申し込み書すらも勧誘員に買わせておる。役所のものを使わせない。一枚百円で買わしている。これもそうです。これも百円。これも百円。これは当然簡易保険を募集するにあたって、省みずからが用意する資料でしょう。すなわち。パンフレットでしょう。なぜ省がつくったものじゃない、どこでつくったか知らぬが、民間でつくったものを、わざわざ職員が金を出してこれを買わなければ募集ができないようなそういう制度にしたのですか、大臣。こんなべらぼうな募集のしかたがありますか。大臣は首をかしげておりますが、事実そうでしょう、お見せしますよ。百円ですよ、これも百円、これも百円。こういうのを買って、こういうのを持っていなければ、郵便局から外へ出られないんですよ、役所の出す資料では。役所は督励するだけだ、早く募集せい、募集せいと命令を下すだけだ。これが役所の用紙です、これを使うなというのです。こういうのをみんなやるのはどういうわけですか、このことをお伺いしたい。
  55. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) いま先生がお示しになったのは、たぶんアプローチエードといいますか、保険の外務員が見込み客の宅を訪問しあるいは面談をする際に、いろいろその見込み客にそういうものを見せながら説明をし、勧誘の過程に入っていく、そういうものだと思うのでございます。一応いろいろな種類がございまして、本省で用意をいたすそういうアプローチエード、これはもう少し上等で、かたい紙で何色刷りかをしたようなのを相当数やはり取りそろえまして現場に配っております。さらに郵政局でつくる、また非常に多数の職員をかかえております郵便局では、郵便局固有のものをまたつくっておる例も相当数ございます。いま先生がお示しになりましたのは、実は保険の外勤が約二方七千おりますが、その中にいわゆる成績の非常に優績者というグループがあるわけでございます。その人たちが自分で独自に考案し、自分のものとして、そういったものをつくる手製のものがあるわけでございますが、そういうものが非常に有効だというような場合には、官の組織というようなものを通じませんで、自分たちだけでそういうものをつくりまして、ほかの人に分けてやる、こういう慣行があったようでございます。そのことから、印刷費その他で一枚が百円、これは別に強制的に買わしておるというような種類のものでないと思いますが、これは非常に今後の募集に役立つというようなことで、外勤員の人たちが自分の金でそういうものを買う、そういうものがいま先生がお示しになったそのものではないか、かように思うのでございますが、昨年後半以降、保険の募集につきましていろいろ問題が出てまいりましたので、そういう手製のものをつくる、かってに郵政省という名前入りのものをほかのほうでつくらして買う、そういう措置を一切禁止をいたしました。最近といいますか、それ以降はそういう実例はないと、かように考えております。
  56. 森勝治

    森勝治君 いま後段で、その後はないと言うのですが、局長、あるからこうやって私は申し上げているのですよ。ほんとうにこういうことあまり私は発言したくないのだ、正直言って。しかしここまできたら、明らかにしなければ、あなた方が改めてくださらぬから、私はあえて――大臣も聞いてくださいよ、あえて私は勇を鼓舞してこの件に触れておるのですよ。この件について幾たびか私はちゅうちょ逡巡をした。はたして私がこういう席上でこのことについて発言することが、簡易保険事業の将来にとってしあわせになるだろうか、あるいはこのことによって募集成績が落ちるんではないか。いろいろの思いをめぐらしてみましたけれども、世の指弾を今日まで次から次へと浴びてくる段階ならば、もうあなた方の勇断に待つ以外にないから、私は勇を鼓舞して、あえてここで苦言的な発言をしているわけです。それでまあ強制的じゃないとおっしゃるが、簡易保険募集について、それでは募集資料は何と何を省では刷っているんですか。各局にどのくらい配るんですか。さっぱり配らぬでしょう、こういうものばかり買わしているんですから。本来ならば、こういうものは排除せいという指示を出してやるのがしかるべきじゃないですか。いかがわしいものはやめなさい、国家事業であるんだから、国が用意した書類以外扱ってはならぬと、なぜこれをやらないのですか。これをやると競争心をあおるから、だからときには行き過ぎがあるし、ときにはいや気がさして職場を去る、そういうことになるんじゃないですか。ときには苦しまぎれに、あなた方がいみじくも浦和郵便局を抜き打ち監察をやったように、えせ団体を設立して団体補助金を職員がパーで分けているんじゃないか、こういう疑問を持って手入れをしたんでしょう。あまりにもしりをたたくの急のあまり、いろいろの弊害がいま派生してきている。私も、これから一、二具体的に申し上げてみようと思うんだけれども、こういうものをなぜ排除できないんですか。なぜ職員が民間のこういう資料を買わなければ、簡易保険募集にいけないようなシステムにしちゃったんですか。局長は使わなくてもいいですと言うんだけれども、これを使わなければ資料がないから何も募集できないでしょう、こういうものがなきゃ。一切こういうものを排除できるとお約束できますか。おかしいでしょう、大臣。思いませんか。役所がつくった。パンフレットはよそへ、すみへ置いておいて、こういうもので募集するとは何事ですか。いかに熱心とは言いながら、これは省としてあるまじき逸脱した行為ですよ。お答えいただきたい。
  57. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先ほど申し上げましたように、昨年の後半以降におきましては、これはわれわれのほうとしても相当決断が要ったわけでございますが、そういうたぐいの私製、手製というアプローチエードなるビラというものは全部使わないようにということで通達をいたしておりますし、先生が、現実に使われているじゃないかというお話でございましたけれども、それ以降新しいものが出回っておるというふうには、われわれ報告を受けておりません。これは郵政省を通じまして、十分監督をいたしているはずでございます。  なお、御指摘の官製といいますか、国で用意するあるいは郵政局で用意をいたしますビラなりあるいはアプローチエードというようなものが、少し時間がかかりましておくれたわけでございますが、やっと数種類でき上がりまして、現場にまでいっておるはずでございます。
  58. 森勝治

    森勝治君 ですから、こういうようなものを使わないということを約束しますね。当然でしょう、こういういかがわしいものは。
  59. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 当分の間は厳禁をいたすことにいたしますが、これは先生にちょっと私あるいはよけいなことかと思いますが、簡易保険に限らず、保険の募集というのは、やはり募集員の個性といいますか、創造性といいますか、そういうものが相当大事ではなかろうか、かように考えるわけでございますが、したがいまして、自分で考え、自分が得意とするところに、自分でいろんなビラをつくり、あるいはアプローチエードをつくって、それを活用することにつきましてまで実は禁じようとは思っておりませんけれども、これについては、やはり管理体制あるいは責任の帰趨ということをはっきりさせなければいけませんので、いままでのもぐりのようなものでなく、保険課長なりあるいは当該郵便局長が、これはけっこうだというものにつきましては、あるいは使わせてもいいのではないかと、かように考えておるわけでございますが、当分の間はこういうものを使わせるということを考えておりません。
  60. 森勝治

    森勝治君 これは異なことを承った。あなたは国営事業であるということを全く念頭から去っておられる。国家事業ですから、募集の方法にいたしましても、行動半径にいたしましても、おのずから一定の限度があるんですよ。そうでしょう。勧誘員の独創にまかせるなんて民間でもやっておりませんよ、断わっておきます。民間でもその会社でつくったものをみんな使わしているんですよ。なぜ簡易保険の募集で郵政省がつくってやらないんですか。つくってやったって使えないようなものを何でそれならやるんですか。おかしいじゃないですか。申し込み書すらも郵政省所定の様式を用いずして、それで国家事業と言えますか、局長。まさにこれは逸脱した行為でしょう。そう思いませんか。なぜ役所の所定の用紙を使わないんですか。
  61. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御指摘のように、簡易保険も郵便貯金も国営の事業でありますわけでございまして、したがって、募集に必要な資料は国のほうで、あるいは本省でありますとか、あるいは郵政局でありますとか、あるいは現業局でありますとか、こういう段階でつくることが本義だと思うのでございまして、ただ、いま簡易保険局長お答えいたしましたように、募集にあたりましては、個人の個性と申しますか、特性と申しますか、それを生かして、募集に当たるという面もあろうかと思いまして、そういう連中がおのおの、自分が人に説明しやすいということで、自分が独創しまして、国でつくった資料よりも新しいものをつくって募集成績をあげるということもあり得ると思いますけれども、ただ、いま先生がお話になっておりますように、他の人に百円で売る、他の人が百円で買うというようなことにまでもし進むということでありますれば、何かと弊害があるかと思うのでございまして、そういうような、人まで喜んで買うというような資料でございますれば、むしろ、進んで国のほうでそういう資料を調製すべきだ、こういうように私は考えるわけでございますが、そういう実態をよく今後もながめながら、先生の御趣旨に沿って国営事業の体面を失わないように十分戒めていかなければならぬと思っております。私も最近申されておりますような消費者擁護の立場から申しまして、簡易保険にいたしましても、郵便貯金にいたしましても、加入者、契約者の立場というものは非常に尊重しなければならない、そういう現社会の情勢だから、こういうことについては特に気をつけるようにということを関係局長にも申し伝えておりますし、また簡易保険、郵便貯金の勧誘者、募集者の会合でもございますと、必ず私はそういうことは注意をいたしておるわけでございまして、国営事業の体面をつぶさないように生かして、清水の郵便局でまことに簡易保険の募集が行き過ぎのあったという事例も踏まえておるわけでございますから、こういうことをよく考えながら御趣旨に沿うような募集で進めてまいりたいと、こういうように考えております。
  62. 森勝治

    森勝治君 大臣は、これから募集に要するパンフレット等は省のものを使わせる、省作製のものを使わせる、そういう方向で進むと、こういうお答えと私は承りました。  それからもう一つ担当局長に聞きたいのですが、たとえばいま定期預金、積み金など契約をいたしますと、手ぬぐい二、三本どこでも持ってくる。それはたとえば〇〇郵便局という名前で、その郵便局はさっぱり知らない。明快に申し上げますよ。国会郵便局という名で私のうちへかりに持ってきたと、そうすると、持ってきた本人だけが知っていて、上司も知らなければ、いわんや局長も知らない、こういう役所であってはならぬでしょう。たとえ、ささやかなものでも簡易保険事業に協力してくださった皆さん方にささげるとするならば、お上げするとするならば、省が堂々と作成をして記念品等をお上げしなければならぬわけです。いま省がやっているのは何ですか。謝礼と称し、報償と称し、感謝と称して、それもあくどく募集に使っているじゃないですか。なぜそれは成規のものを使わないんです。国家事業としてあるまじき行為でしょう。国営事業ならば役所が責任の持てるもの、たとえそれは紙一枚、鉛筆一本であっても、役所が責任の持てるものを加入者の皆さん方に差し上げて初めてそこで保険事業の意義というものが光を放つのではないでしょうか、だれも知らない。それが郵政省名前を使われ、あるいは簡易保険局の名前を使われている。上司もだれも知らない。知っているのはそれを行使した人間だけで、こういう役所がどこにありますか、局長お答えいただきたい。
  63. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 外勤の人たちが、簡易保険の契約が締結される前、あるいは締結された後に契約者なり、あるいは見込みのお客さんにいろいろ物品を贈呈するといいますか、これはいろいろ考え方があると思うのでございますが、基本的にはやはり先生がおっしゃったように、国がいろいろ用意して、たとえば手ぬぐい一本にしましても、あるいは便せんの一たばにしましても、やはり国がそういうものを用意するのが筋かと思うのであります。これまた募集手当の性格論にもあるいは波及するかと思うのでありますが、募集手当の性格の中には、いわゆる工作といいますか、要するに、募集に要する経費の一部も含んでおるような点があるわけでございます。そういうところから、高額の契約者、契約に入っていただいた方には、その募集手当の中から、その募集に当たりました当事者が、何か謝礼の品を持っていく、こういうことはあり得ようかと思います。また、これを全面的に禁止するかどうかという点については、私どもいまのところこれを禁止しなければいかぬというふうにも実は考えていないわけでございますが、先生がおっしゃいますように、いろんな弊害というようなものが出てきますと、この弊害はぜひ排除しなければいかぬ、かように考えるわけでございます。
  64. 鈴木強

    ○鈴木強君 問題が一緒くたになっているものですから、私たち伺っておって、ちょっと合点がいかないんですけれども、さっき大臣は森委員指摘した不正勧誘ですね、不正勧誘というのを認めたわけですよね、そういう事実があったことを。そうであれば、少なくとも、不正勧誘に当たるような一切のパンフレットですね、これは今後も絶対やらぬという、その基本線をはっきりさしていただいて、それから、その上で、しからば今後募集する場合にそれぞれの募集人の創意くふうを生かして、法律や規則の範囲内において、不正にならぬような範囲内において、理解を深めていくという制度のあり方についても、そういうことまで私はそれは本省がやるか、郵政局がやるか、あるいは当該局でまとめてやるか、いずれにしても、そういう方法をとることがあると思うんですね。それを森委員の言うように、各個人のかってなものをつくらせるということはやめなさい、これは当然ですね。少なくとも、局でやる場合なら、その局の課長なり局長なりがいろいろ検討してみて、なかなかきみのはいいアイデアなんだと、それをもとに局でやって、本省なりなんなりでやってみる、郵政局なり本省としてやってみる価値のあるというものならやる場合もあるかもしれませんね。ところが、全然個人のかってな宣伝ビラなんかをつくらせることを、もし認めるとするならば、これはやっぱり不正勧誘になるような道に通じていくわけですよ。それは断固私はやめてほしいと思うんです。われわれが傷害年金保険の、ここで論議して認めたときにも、それはいろんな保険があるわけですから、ですから、新種の保険を開拓することはけっこうなんだと、けっこうなんだが、しかしそれが荷が重くなってしまって、そして一方では保険金が上がってくる。そしていろいろな種類の新しい保険が出てくる。そうすると、現場の第一線で募集する人たちはかなり荷物が重くなります。そうすると、割り当てられた保険金額を年間に消化するためにはある程度無理な募集をしなければならぬ。こういうことに追いやられてくるわけですね。そして、私のところは一番でございました、二番でございましたということで、統計的には悪いところが非難される。したがって、できるだけ成績をあげようとして努力する。そういうことが、こういう行き過ぎになってくるのじゃないかということも考えられるわけですね。だからわれわれが法律をつくる立場にあるわけですから、いま振り返ってみて傷害保険というものが、そんなに何か不正勧誘だと言われるまでやらなければ、さっきこの程度の当初目標を立ててやっているというお答えもありましたけれども、それを消化するということが無理だったということになるかもしれませんが、だから私はもっと制度そのものを制定した当時、皆さん方が考えた保険の額なりあるいは募集の方法なり、そういうことまでさかのぼってここでもう一回承らなければならぬ時期に来たと思うのですよ。だから少なくとも、個人のかってなパンフレットを認めて、それで募集するというようなことはこれはもうぜひやめさせてもらいたいと思うのですよ。つまりその局でやる場合には局長なり関係の人たちと相談して、これならいい、これなら不正勧誘にはならぬというようなものがありますれば、これは大いに推奨してやってもらいたいと思うのですよ。あるいはこれは郵政局管内全体でやっていいし、郵政省全体として使ってやってもいいし、それを本省は大いに激励してやってもらっていいわけです。創意くふうをこらしちゃいかぬと言っているわけじゃないですよ。創意くふうを生かしていくためには、個人としての考え方は個人として使われるようにしなさい、それをはっきり確認しておいてくださいよ。  それからもう一つは、いろいろやってみて、こういう詐欺とか不正とかいわれるような調査をさっき最初に私がわからぬから聞いた。森委員質問したのだが、首席監察官の知らない間に保険局から東京郵政局に頼んだ、郵政局では荷が重いし、人手が足りないから郵政監察局に頼んだということになっている。初めからわかっているわけだ。こんな不正なものならこれは当然監察局が入るべきですよ。それは郵政局もやってはいけないとは言いませんよ。そういう性格のものなんだから、それは保険局長首席監察官とも相談して、そして両者で話し合いをして、もし東京郵政監察局でやるならやるような方法をとらないといけないということを私は感じましたよ。これは十分施策の中に今後生かしてもらわないと首席監察官というものは浮き上がってしまって、むしろ、そちらでやらなければならぬような性格のものですから、ちょっと質疑の中ではかみ合わないのですね。そういう感じがいたしましたので、私は今後の監察のあり方については、考査のあり方については大臣そんな誤解を受けるような、むしろ監察局のほうにいかなければならぬようなものを郵政局でやったことが問題だと思う。まあことがことだから、そういう方法をとられたと思うのですけれども、それは私はいけないと思うのですよ。やはり悪いことは悪いことでたださなければならぬ。くさいものにふたをするということじゃいけないと思うのですよ。やはり悪いことは悪いことで指弾をして、その中から不正を直してやるということでないと、特に郵政の場合には非常に犯罪というものは内外にいろいろな形になって出てきます。私たちは決算を見ましても、非常に郵政の犯罪事項というものが多いことに対して心配をしている一人でありますが、そういうようないろいろなものを勘案して、ひとついまの不正勧誘というものは一切、それはわれわれ聞いていると何か不正勧誘だと言われているようなそんなパンフレットはしばらくは凍結するけれども、また、時期が来たらやるようにとられるような印象を受けますよ。われわれ聞いておって、国民もそう思う。だからその点ははっきりそういうものはやらぬという上に立って、将来のアイデアを生かす場合に私が言ったような個人的なものを認めない。その局でやるなら局長以下の皆さんで相談して、認めたものでやると、こういうようにしてもらわないと、われわれは法律をつくって、法律の範囲内で募集してもらわなければ、国会の意思にも反するです。法律違反じゃないですか、不正の勧誘するなんということは。しかも、郵政大臣、それを認めたんですからね。事は大事ですからね。そういう意味でもっと分けて説明してくださいよ。
  65. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私は、森委員お答えした趣旨も大体そういうことでございまして、清水の郵便局で起こりましたような不正事件と申しましょうか、つまり簡易保険の傷害保険をあたかも企業者の労災保険だというような説明で募集した、そのような印刷物をつくっておるということについては、いま先生の御指摘の不正勧誘の資料だということになるかと思いまして、そのことは断然禁止をさせなくちゃならぬことだと思っております。  また、後段の保険の募集にあたりまして、なるべく国とかあるいは郵政局とか、また現業局とかで資料をつくるべきだという御趣旨も、私そのとおりだと思うんでございます。ただ、簡易保険局長が答弁いたしましたように、保険の募集なんかは非常に個人の創意くふうと申しましょうか、特性を生かして募集をするという面もまさにあろうかと思うわけでございます。そういう人がひそかに自分だけで使うというような資料を、自分独特のものをつくって募集するということは、これは不正に類しない限りは、私は許さるべきではないかと思っております。ただ、それがほかの人がお金を出して買うというようなことまで効果があるということになれば、いわゆる普遍価値性と申しますか、そういうようなことまで言われるような有効な資料であれば、そういうものは本省でありますとか、あるいは郵政局でありますとか、あるいは現業局でありますとか、そういうところで統一して製作すべきだと、そういうように私は考えておりますわけです。全然個人の創意くふうを説明用として認めてはならないというようなことには私はならないと思うのでございます。それをひそかに自分だけで使うというような程度であってほしいと。これはやむを得ないことであろうと思っております。ただ、それは一般用としてみんなが買うような資料であれば、これは人にまで使わせるということであれば、みんな喜んで使うということであれば、そういうものは国のほうでつくるべきだというように、私は考えておりますわけでございます。そういう意味で、森先生お答えしたわけでございます。
  66. 鈴木強

    ○鈴木強君 それはたいへん大事なことなんですよ、大臣。そういうことをやらしておるからこういうことが出てきたわけです。だからして、私も個人の創造力とか技術ですね、そういうものについて全部をいかぬとか、なんとかいうことじゃなくて、いいものは大いに顕彰し、またそれを全体のものとして取り上げてほしいと。ただ、その場合に、本人が個人でパンフレットをつくったりなんかして持ち歩くことがいけないと言うんです、これはやっぱりそういうことは。そういうことが認められておると、つい募集の額を上げるために不正勧誘と思われるようなことをやっぱり言ってしまうんですね。しかも、対々の場合はわからないでしょう、マンツーマンの場合には。そういう弊害が起きて初めてこれが発生したわけでしょう。その原因は私はそこにあると思う。だから、少なくとも、個人で。パンフレットをつくって、それを勧誘の資料にするとかいうことは厳にやめさせてほしいということを私は言ってんですよ。そういう場合には大いに局内で討議をし、いいものであったら、これは大いに局として公認のものとして出したらいいんじゃないですかと。少なくとも、個人としてそんな。パンフレットをつくって持ち歩いていくということは、これは不正勧誘につながるようなことになる。温床をつくることになる。認めることになるんです。だからそのことは、私は慎んでほしいということを言っておるのです。それはそうでない、あくまでも今後も個人のいいものは認めるということであれば、これはまた出てきますよ。いま不正勧誘が問題になっておる時期に、それを根絶するためにわれわれやっておるのですからね。それのやさきにもう一つ温床をつくるような道を開かれるようなことを大臣から言われましたら、われわれとして納得できません。
  67. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいちずに募集だけのことを考えまして、しかも自分が募集手当ということを念頭に置いて、内容に不正なことを書いて資料として募集に使うというようなことは、これは許されるべきでないことは当然でございます。さようなことについては、厳にわれわれは監視していかなくちゃならぬわけでございますけれども、全然個人個人の創意とくふう、特性を募集に生かしちゃならないというようなことは、私はどうかと思うのでありまして、そういうことは、森先生はそういうことまで申しておりません。ただ、百円で売ったり買ったりするのは不公正ではないかという森先生意見には、私は賛成でございます。売ったり買ったりするくらいに普遍価値性というものを持ってくれば、これは国のほうで取り上げて、有力な資料としてつくるべきだと思うのでございまして、個人が募集にあたって、それを資料にして自分の創意くふうでつくってならないということは、簡易保険、郵便貯金を奨励しております私ども立場から、絶対にそれは取り締まりますよということは言えないのでございます。ただ、その内容が非常に不正なものでございますれば、厳に取り締まらなければならないと思うのでございますが、森先生のおっしゃっておることはそういうことじゃないわけです。
  68. 森勝治

    森勝治君 大臣、後段で言われた創意くふう、それは当然でしょうね。私はそのことを否定して言っておるのじゃない。鈴木さんもそのことを否定しているのじゃない。官業事業である簡易保険につきましては、当然資料その他は役所でつくるべきもので、民間でつくったものを使用せずとも、当然それは役所で作成すべきものではないかと申し上げておる。この点、あなたは同感の意を表されております。不正とか何とかという話がありましたから、このことについて若干触れてみたいと思うのでありますが、このこととは関係なく、このビラとは関係なく申し上げてみたいのですが、いまのような、むちを持って保険募集を強制されるとすると、必ず反動がきます。職員は重荷をしょって道を歩いているような状態であります。ある者には功名心をあおり、ある者には怠惰という罵声を浴びせる。このままでまいりますと、職員は、何でも理非曲直をかまわずに、馬車馬のように募集成績さえあげればいい、そういう面に走る傾向があるから、私は警告の意味できょうは発言をしておるわけです。そこで、不正募集については役所みずからが職員に懲通しておる節がある。だから私はこれから具体的に指摘をする。局長は、先ほど品物について私、タオルという表現を用いましたが、感謝のしるしで職員が自主的にやることはよいでしょうと言うのですが、うそです。日刊紙が競争した例も私は出しました。バケツややかんの例も持ち出しました。いま郵政がやったのは、それよりもっと悪どいという表現はいたしませんが、ぎごちない方法ではありませんか。だからその点は、これから私が具体的に指摘をいたしますから、ぜひとも改めていただきたい。改めるという通達は出した模様でありますが、まだ依然としてあとが絶たないのですから、ぜひとも郵政の名誉のために直していただきたい。たとえば、あなたは、 いま感謝のしるしで出すと言ったが、これは伊勢丹から買った郵政省がいういわゆる金盃、そういうものですね。いいですか、なかなかいかめしいものでしょう。これはたいしたものです。しろうとでは、これはにせか純金か判別がつきません。巧妙ですから。これを職員に七百円で買わせるのです。大臣いいですか。七百円で買わせるのです。あなたは簡易保険に入ってくださったからありがとうと言って持っていくのではないのですよ。加入させるためにこれを持っていくのでしょう。いいですか、郵政省の命令ですよ。命令、はっきり言いますよ。このほかにもあります。また、このマークもありますが、なかなかマークも相当考えて責任追及されないように、のらりくらり逃げられるように、こういう場に出たときに逃げ道ができるように刻印も入っている。大臣よく聞いてくださいよ。こういうものを持っていくときに克明に文書をもって指導をしているのですよ。五十万の保険に入っていただきました、三十万の保険に入っていただきました、ありがとうございましたと言って持っていくのなら私は何をか言わんやですよ。一例を申し上げますと、松本先生を使って恐縮ですが、松本先生は保険に入りそうだと、世俗で言う眼をつけるわけです、見当をつける。入っていないのです。入りそうだということで持っていくのですよ、いいですか。これは東京郵政局の保険、外務のセールス指導要綱です。文書があるのです。ちゃんとこう出ているのです。私の考え方を述べずにこのことについてひとつ私が読んでいきます。いいですか。これを松本さんの家に持っていく。一人では行かんのです。こういうことを言っていくのです。こういうことはあまり言いたくないのですが、私はここで苦言を呈することが正しい簡易保険募集の道につながればと願いつつ、私は申し上げるのです。「このたび、郵便創業一〇〇周年記念に当り、局長が特に平素郵便局に格別のご理解ご協力をお寄せ下さる〇〇様にお礼を申しのべてこいとのことで」ございますのでほんの感謝のしるしにと言って、これを差し出すと書いてある。具体的に出ているでしょう。大臣いいですか。「と金盃をさし出す。」と、ここまで指導しているのです。克明でしょう。それで第一点、ここが「ポイント」と書いてある。「特に選ばれたお客さまであることを感じさせる。」第二点、「郵便創業一〇〇周年記念のほか、一〇兆円突破記念、局舎落成記念など」云々ということをつける。それはその局情局情に応じて適切なことばを差しはさむ。三番、「局長のあいさつ状を添えるのがよい」郵便事業に協力しようとしまいと簡易保険に入ってくれそうな人を選ぶのですよ。「まず、有望な見込客を選ぶ。」とある。その中に云々と書いてありますが、あまり私の言いにくい文句がありますから言いたくありません、御想像にまかせますが、それでこれを渡すのです。「お客さまにさし上げたものに万一キズなどがあっては失礼ですから……といって」お客様に、松本さんひとつこれを開けてみてくださいと言って改めさせるのです。しろうとですから本物かにせものか決してわかりません、金色さん然と輝いておりますから、もう一般の人はびっくり仰天して、ああおれは何もしないのだが郵便局に認められた。そして簡易保険に入らなければなるまいと、こう思い込ませる模様であります。あえて模様だと私は推測する。このあと書いてあるのは、「ここ(お客様に開けさせるのが)ミソ」だとか、こつだとか書いてありますが、こんなことはあまり言いたくないから。いいですか、大臣。「もしお客さまが包みを開ければまず九九%有望」「あとはあなたの腕次第」、この辺の文句はいいですよね。しかし、感謝のしるしじゃなくて、これは独禁法との関係もあるような気が、私は、してならぬ。朝刊紙はそれでやめたはずですからね。いいですか。国家事業である郵政事業がここまで落ちなくてもよかろうと思うのです。それで今度は成果をあげた――個人で四十万も募集したというけれども、わずかの間に、一旬で。一旬というと、上旬、中旬、下旬というから、十日でしょうね。十日で四十万も成績をあげたという実績のある局では、こういうことをやって驚異的な成果をあげた。「さし上げた後、気持ちよく辞去し、おおよそ三日後連行で再訪問する。」一人で行くなというのです。「連行で再訪問する。」、あとは、いろいろありますが、もうこれ以上、ここにもありますがね。大臣、こういう募集は行き過ぎじゃないですか。これは創意くふうじゃないですよ。東京郵政局の保険部から出ている文書ですよ。いいですか、大臣、保険部の文書ですよ、創意くふうでと、個人が、森個人が、松本個人が作成した保険募集の読本じゃないですよ。役所の文書ですよ。どこに感謝のしるしでこれを上げることがありますか。このようなく心をまどわすといわれがちなことは即刻おやめにならなければならぬ。一言付け加えておきますが、非難が非常に多いものですから、最近は自粛せいということになりつつある模様であります。たくさんあるのですよ。全部局長とか上の命令で、指導文書ですね。全部これが創意くふうか。そうじゃないですよ。簡易保険事業なんか国民は知っているのですよ。それをあなた局長が、あなたが名指しで、行ってこい、こういう上司の名前であえてことあげをすることも私はちょっと募集の行き過ぎだと思うのですよ。あなたがだめだとは断じません。ときには局長名前を出すときもあるでしょうが、何でもかんでも上司の名前を出す。これは自分で七百円で買っていくのですよ、こんな文書で麗々しく指導しているから、役所で、まがいものを。これはうまくないですよ。大臣、いいですか、このやり方、役所がこれを作製して公的に郵便局として松本さんに差し上げるなら、私はこんなことは言わないのです。松本さんにねらいをつけて――ねらいということは表現がまずいですが、募集しようという目的のうちにそういうことを装って持っていくというのですよ。これは明らかに行き過ぎではないか。こんなことがこんな国民を瞞着するようなことがあってはならぬ。いいですか、大臣、まだたくさんあるのですよ。だから、お答えによってはこちらも出しますけれども、これはやめていただかなければならぬし、先ほどは募集の申し込み書の関係。パンフレット、今度は、従業員が募集によって募集手当がいただけますから――私は募集手当というのは再生産の用にのみ供さるものと思っておりました。ところが、募集手当というものは募集に要する諸費用が入っているということを局長はこの前も言われたし、いまもいみじくも言われた。私はこれは保険の国家事業という線から考えてまたここに疑問が生まれてくるのです。それは後に譲るといたしまして、職員にこういうのを買わして――こういう文書が上役から来ればいやいやながらこれを買わざるを得ない。そうでしょう。買わなければ、この内容でおまえ募集してきたかどうかと詰問されるからやむなくこれも買わざるを得ない。このように、職員を簡易保険募集に狂奔させる。無理して入れさせる、その結果が解約率が最近は著しく多くなってきている。すべてとは言わぬが、こういうことに相当原因がある。大臣、こういうところどうです。私は口べたですから、これはほんとうは担当局長にここで実演していただけば迫真力がある。私は口べたですから、どうも私はうまい表現が使えませんが、しかし、これは私が言うのじゃないのです。書いた文書をいま読み上げたのです。これがあなた方の簡易保険の大口募集の教本ですよ。こういうことをやめていただかなければならぬじゃないでしょうか。どうでしょう、大臣
  69. 植竹春彦

    ○理事(植竹春彦君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 植竹春彦

    ○理事(植竹春彦君) 速記を始めて。   それでは一時半まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十五分開会
  71. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより森君の質疑を続けますが、午前中の森君の質疑に対する答弁が保留となっておりますので、まず政府の答弁を求めます。廣瀬郵政大臣
  72. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 先刻の森委員の御質問に対しましてお答えを申し上げます。  勧奨用物品の選定にあたりましては、国営事業といたしましての品位をそこなう品物を使わないよう、昨年十月全郵政局通達しております。なお、その際、金盃等につきましては、利用者から非常に高価な品物と誤解を招くおそれもあり、その使用を禁止しておりますので、ただいまは使用されておりません。また、勧奨用物品は、募集活動には不可欠であると考えておりますので、郵便局の経費で購入することを原則としております。しかし、職員の中には、局で購入するのでは十分でない分を自分の募集手当の中から購入して効果をあげている事例もあり、これを一がいに禁止することはいかがかと考えます。しかし、森委員指摘のごとく、国営事業といたしましての品位をそこない、弊害があってはなりませんので、十分指導してまいりたいと存じております。
  73. 森勝治

    森勝治君 大臣のいまのお答えは昨年の話ですね。ですから、こういう私のような発言が出てくるのですよ。最近の郵政事業は、大臣、失礼な話でありますが、上部から下部へ、いわゆる上意下達というかっこうか、そういうことばはないでしょうけれども、最近はないでしょうけれども通達を出しても、しかもこれにならわざる形が出ておるのですよ。これが機能全般にわたって波及されておりますから、労使のあつれきもその余波を受けて次第に熾烈になってきておるんです。この辺のところから正していただかないと、何度通達を出しても下部が従ってくれない。先般、私は下克上という表現を用いましたが、そんな気がしてならない。しかし、かりそめにも事業おいて下克上という姿を露呈するとするならば、これはもう逓信事業の堕落でありますから、やはり職場規律というものは、厳であってもあたたかい愛情のこもったものでなければならぬわけです。大臣はそれを旨として、終始その点は力説をされています。この点、われわれは大いに認めておりますけれども大臣が力説されているにもかかわらず、現場では、私が過去幾たびか、累次にわたって指摘した中身という問題があとを断たないことを残念に思うのです。ですから、たとえばそういう問題で、いま局の経費でおつくりになるということをおっしゃっても、局でつくったものはないんですよ。大臣いいですか、ここ数年来、保険募集について局でつくって民間の人に差し上げたというものは実はないんです。全部個人負担。個人がよそから購入をしている。それが郵便局考え方であり、郵政局考え方であり、簡易保険局の考え方だという、そういうことで行なわれているんですよ。これはむちをもって事業にかり立てる悪い面のみがどうも表面に出てきたようなきらいがあるんです。職員はなまやさしいつもりでやってないでしょう。しかし、上からの圧力と申しましょうか、叱咜激励と申しましょうか、むちと申しましょうか、私は適切なことばは知りませんけれども、かせげかぜげ、動け動けといって追いまくられる姿が、こういう職員をしてあやまたせる募集方法だと指弾を招くような、こういう行ないに走らせるような気がしてならぬわけです。  民間と競合することもときにはあるでしょう。ときにはありますけれども、やっぱり簡易保険事業というのは、もうこれは持って生まれた一つの使命があるわけですから、生命保険にしても、これは民間の事業とおのずから違った範囲で、違った場においての募集をすることが一番当を得た問題でありますから、いわゆる守備範囲と申しましょうか、民間の業務と郵政省の簡易保険事業というものは、おのずから、ある面では画然とするものがあるわけですから、その分野を守っていただければ、こういう世上、ややもすれば逸脱した、あるいはまた逸脱するおそれがあると、よく誤解されがちな――あえて誤解されがちなというやわらかい表現を私は用いますけれども、誤解されがちな行為に、職員が知らず知らずのうちに、どうもおちいり込みやすい、そういう役所の指導と申しましょうか、やり方というものが。あり方といいましょうかな、最近は特に顕著に前面に押し出されてきているような気がするのです。たくさんの問題があるんです。間々、保険募集の名をかりて、とにかく役所が公的にそういう指導をしているわけですから、先ほど私が読み上げましたように、どなたが聞いても、これはちょっと行き過ぎではないかと、こう思われるはずです。もちろん、事業を愛して、保険募集成績をあげようとする関係担当官諸君の努力は、私は労を多としますよ。多としますけれども、簡易保険というものは、おのずからそこに与えられた目的があるわけですから、その目的に沿うためには、民間等が行なわないような、そういう勇み足と申しましょうかな、そういうことはできるだけ避けていかなきゃなりません。  ですから、いま、大臣は、前からそういう通達を出しておられるとおっしゃいますが、それは、通達は弊履のごとく、もう捨て去られているわけですよ。一片の古紙にすぎないのです。私は、はっきり、この点は指摘いたします。そのとおり事業に生かされておるならば、私のようなこういう発言というのは出てこないし、先ほど指摘したこういうビラも張られないし、名古屋管内のああいう事件も起こらないし、先般、当委員会等で、あるいはまた他の場所において指弾をされるような中身というのは出てこないわけです。もちろん、それは一片の通達をもって、それであと能事終われりということであってはならぬし、それだけでは、なかなか事業は直らぬでしょう。それはわかります。ですから、やはりそういうことをおやりになる努力をされるならば、自後もそういう努力をしていただかないと、これはだんだん悪くなると思うわけですね。特に、職員同士の競争心をあたかもあおるがごとき上司の発言というか、指導というものは、この際、再考してしかるべきと思うんです。ですから、いま申し上げたように、私は、具体的に、この大口募集のときの金盃をもって、こうしていざなうという具体的な表現を用いてお伺いをいたしましたが、かりそめにも、今後、そういうようなやり方はやめていただきたい。その点は、ひとつ、ここで明快に、むしろ明確にお約束をしていただきたい。  もちろん、私は、逓信事業に御協力をいただきました国民の皆さん方に、郵政大臣として、また、郵政省として感謝の誠をささげるために、一つの方法をもってするということ、たとえば、感謝状あるいは粗品ということ、そのことをすべてやめろと言っているんじゃない。ただ、それはおのずから筋道があるだろう。皆さんのお話を聞くと、それは郵政局あるいは郵政省簡易保険局と書いてあって、そういう印刷したのを持っていったって、それは郵政省から出したものでないと言って、皆さんはそういう説明なんですな。それは個人のポケットマネーから出したんだと。いいですか、あたかも簡易保険事業が請負のようなそういうにおいすらも漂わせながらのお答えなのですよね。この辺は、私どもはどうも合点がいかないところです。ですから、そういう点もひとつお答えをいただきたい。
  74. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいまお答え申し上げましたように、通達を出しましたことは事実でございまするけれども、いま、森先生のお話によりますれば、私ども本省のほうで考えており、指導いたしておりますことが末端まで徹底していないのだと、むしろ下克上の現象すらあるということで、非常に心配しておると、そういうことでは郵政事業はきわめて憂慮にたえないじゃないかという御指摘でございまして、そういう事実があるということになりますれば、まことにそのとおりだと思うんでございまして、これはしょせん私どもの大きな責任であり、これは私の指導力、郵政大臣、全責任者といたしましての考え方が行なわれていない、これほど私は申しわけないことはないと思うわけでございます。そういうことで、十分心にとめまして、十分踏まえまして、今後、さらに、大臣の責任の遂行に一そうの精進を続けてまいりたいと、勉強を重ねてまいりたいと、こういうように考えております。  また、御指摘の金盃については、先刻御答弁申し上げましたように、いろいろ誤解を招くこともございますので、将来使わないということにきめております。また、お話のように、国営事業といたしまして、品位をそこねるような行き過ぎがあってはならないということは、さっき申し上げたとおりでございます。そういうことを十分考えながら、しかし、事業の成績をあげなくちゃならない、それはもちろん不当な労働強制というようなことになってはならないことは当然のことでございます。そういうことを考えつつ、信頼感を持ち、愛情を持ち、誠意を持って、従業員とともに相携えて、この郵政事業の推進に相ともに邁進いたしたい、こういう気持ちで進みたいと思っておるわけでございます。
  75. 森勝治

    森勝治君 一般民間のいわゆる保険外交員という呼称で呼ばれる方々は、生活給がないのです。生活の保障がないのです。最低の、たとえば五千円とか二万円とかという固定給というのはありますけれども、ほとんど募集の結果を見て、報酬が支払われるわけです。片や、郵政の場合には、職員間では給与は少ないというような意見もありますけれども、一応生活をささえる最低生活の保障はしておるわけです。ですから、置かれておる経済的な基盤も違うわけです。そういう生活の保障のない民間の保険の外務員の方ですらも、その所属する会社のパンフレットをもって勧誘する。一つもありませんよ、自分でかってにつくって、適当に創意くふうと申しますか、アイデアをもって保険募集に歩くということはないのですよ。まるまる保険会社なら保険会社で、そこでつくったもの、その文書をもって勧誘して歩いているんですよ。郵政のように、国家事業でありながら、そんなどこから出たかわからぬようなものを売りつけて、上司が部下に売りつけて、それで募集しているところはないんです。しかし、このことは改めるとおっしゃるから、私はこれ以上は言いませんけれども、民間ですらそういうことはやっていないんです。生活の保障をされていない民間の保険外務員の方々もやっていない。官営事業という、この国家基盤の上に立つ事業としては、民間の皆さんだって、慎んでやっておらないことをやるというるし、それは改めてしかるべきだと思うのです。  特に、こういう問題がたくさん出ましてから、たとえば、何か物品を調製するときには、郵便局のマーク、または簡易保険の文字を必ず記載するとか、郵政省の文字使用はあらかじめ本省おいて調製したかのような印象を与えることになるので、批判されてはならぬからこういうふうに逃げているんですよ。私どもがこういうふうに問題を指摘したのちにこの通達が出されている。郵政省の文字を使い、簡易保険の刻印を押して出したって上司はだれも知らぬですよ、何をくれたか。ところが、募集手当の中には、そういういわば開発手当的なものがあるというので、だから何を調製してもいいということですよ。ここに募集契約成績をあげるために野方図なやり方をあたかも容認しているような気配があるから、これではなりませんから、おのずから法の定めるところに従って募集を限度よろしきを得てやってください、こういうことを私は申し上げているんです。ですからくどいようですが、重ねて大臣この点お約束いただけますね。
  76. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御指摘のように、野方図にならないように十分注意してまいりたいと思います。
  77. 森勝治

    森勝治君 そういたしますと、たとえばこの報酬などというものは、いや報酬ではありません。いろいろ物品をもって加入者に感謝のしるしを届けるというのは勧誘員の個人の何がしのものでなくて、それはあくまで郵政省としての真心のこもったものである、この心は変わりありませんね。
  78. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘のとおりでございます。
  79. 森勝治

    森勝治君 変わりなければ今後個人調製はおやめになりますね。勧誘員個々が物品を調製して民間にかってに配ることは今日ただいま限り廃止するということですね。やめます、こういうことですね。
  80. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、勧奨用物品については郵便局でこれを購入するのを原則といたしておりますが、個人が購入する分につきまして全面的に禁止をするというのは、いまの段階ではいかがかというふうに大臣、御答弁されたと思いますが、そのように思います。
  81. 森勝治

    森勝治君 そうすれば、私が根拠を、心をただしたわけですよ。郵政省として保険加入していただいた皆さんに感謝の心のしるしとして、感謝状とか、あるいはささやかな物品を差し上げる、変わりませんかと言ったら、変わりありません。郵政省の心をもって表現をするというならば、そういう個々人の調製ということは正してしかるべき、所定の手続きに従っておやりになるのが正しいんじゃないか。ですから、局が調製して、じゃあそこが、ここがいいとか、このものがいいとか、あれがいいとか、それはいいでしょう。局内で規格をつくって適当に出すのはいいでしょうけれども、いまの話だと、まだわれわれと約束したときはやりませんと言う、今度は現場では自由に調製しなさいと言うのでは批判はあとを断ちませんから、私は、いままでのことをぴしゃっとやめるのはたいへんでありましょう、たいへんな努力はわかっていますが、しかし、簡易保険事業のこの信用を旧に戻すためには、回復するためには、その辺から始まっていかなきゃならぬのじゃないですか。どうでしょう。
  82. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 物品の購入につきまして、契約ができましたあとにいろいろ感謝の気持ちを込めまして、新しい契約者にいろいろ、たいしたものではございませんけれども、物品を届けるという場合と、もう一つ、契約にまで至る前に、事前にいろいろそれこそ勧奨用の物品をつくり、事前に使う場合とあるわけであります。その比率がどのようになっておりますか、必ずしも正確には出てこないかと思いますけれども、二割から三割ぐらいの間は、この物品の使い方は、契約のできます前に使っている例が相当あるのではないかと、かように考えるわけであります。したがって、先ほど感謝の気持ちをという先生の御指摘、そのとおりでございます。これは郵便局で原則として買うと、これは事前に使う、事後に使うかは別にいたしまして、これを全面的に個人で購入するということを禁止してしまうことは、この物品を非常に購入する予算がたくさんあるというような場合ですと、別だとあるいは思いますけれども、いまの時点でそれほど潤沢に、こういう奨励費、あるいはこういう雑費というようなものも、予算も成立いたしておりません。現在の時点ではやはり何といいますか、個人で購入をして、見込み客なり、あるいは契約者にこれを贈呈するということを全面的に禁止するということは、ちょっとむずかしいのではないかと、このように考えておるわけでございます。
  83. 森勝治

    森勝治君 どうも大臣だの、担当局長ことばは、すなおに受け取れないんですよ。昨年でございますか、そういう通達を出したとおっしゃられたのです。威令が行なわれるならば、即刻全職場改めてしかるべきですよ。下克上の姿を呈しているから、なかなか改まらないのじゃないか。それをあたかも認めたごとく、個人がやるのはというようなことを堂々と言われるのは面はゆい感じいたしませんか。通達が泣くじゃないですか。急に今日あるものを瞬時を待たずぴしゃっとということはできないかもしれないが、それに向かって努力するという話になるならまだしも、あたかも個人調製を片一方ではやっていかぬと通達を出しておきながら、あたかも片方ではそれを是認するがごとき言辞を弄されては、これは関係職員といえども郵政に対する不信感は倍増いたしますよ。そういう文書を出されたならば、なおざりにすることなく、文書の心が事業のほうに反映できるよう、生かされるよう、行使されるように努力されるのがしかるべきにかかわらず、通達は出して、そのままに変わらない、直しなさいで、ことばではまだ当分はと言われたのでは、私どもはこれは聞き捨てならぬことばだということになって、さらに、この問題についての意見をお伺いしなければならぬわけですね。ですから、その辺はやはり皆さんがそういうことはあまりよくないとお認めならば、是正の方針に向かってまっしぐらに進んでいただいてこそ、信頼を回復する一番近道だと私は思うのです。したがって、もう一度ひとつ、このことはむしろ大臣というよりも、所管であります担当局長からお答えいただいたほうがいいでしょう。
  84. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 先生からだんだんの御指摘もございますし、事実弊害というようなものもあるわけでございます。いろいろ御指摘の点も踏まえまして、ひとつ悪い点を逐次矯正し、改善をしていく方向で今後とも努力をいたしたいと、このように考えます。
  85. 森勝治

    森勝治君 承りますと、浦和の郵便局ではどなたかきょう付けで転勤命令が出されたかに承っておるわけですが、その内容というものは、通常の転勤でしょうか、それとも多少そういう誤解を招くおそれがあったものですから、あまりそういう事が荒立たないように、即刻そういう、これからも紛糾させないように、前向きな形でそういう転勤辞令を出したというのですか、その辺のことをちょっと。これは別に私は深い意味を持って聞いているわけではないのです。そういう問題が起こって、処罰を厳にしなさいという意味で申し上げているわけではないのですから、事業の正常な運行を願うあまり申し上げているわけですから、その辺のかね合いについてひとつお答えを願いたい。
  86. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 御指摘の浦和郵便局の簡易保険募集につきましていろいろ問題がありまして、一般市民なりあるいは加入者の皆さん方からいろいろ批判を受け、指弾を受けておりますことは御指摘のとおりでございます。将来これをどういうふうに持っていくかということで、東京郵政局もいろいろ改善指導といいますか、矯正措置について検討いたしておったわけでございます。先生のお話ございました職員は募集技術指導官というポストについておりました。したがいまして、今回も簡易保険をめぐる諸問題につきまして、やはり募集技術の指導について現実にどういう問題があってどこが悪かったということを別にしまして、やはりいささか問題があったということで、その募集技術指導官という職をはずしまして他の郵便局に配置がえをした、こういうことでございまして、やはり今回の浦和郵便局の保険募集をめぐる問題の一つの解決策として前進をしたということ、決して個人の責任を云々ということではございませんで、そういう形で前向きの措置をとった、かように理解をいたしております。
  87. 森勝治

    森勝治君 私どもから見ますと、きょう転勤させられた――私はあえて、させられたということでしょうね。こういう問題が出て、私が質問をしているまつ最中に転勤させるのですから。どういう意味で私が質問の最中にさせたかどうか知りませんが、事の起こりを冷静に判断された結果、省としては適切な手を打ったつもりでおられるのでありましょうが、先ほど私が読み上げたこの「東郵、保険、外務」の指導文書等を見ましても、これは上部にこそ問題があるような気がしてならぬのです。ですから、浦和の局のこの募集指導官がそういうことで指摘されるとするならば、その根拠となるものは、いま私が読み上げたような文書内容で逸脱した指導をしているわけですから、東京郵政局担当の、いわば幹部の中にもそういう責任を問われる者が出てくるのではないか。いわゆるこれは役所の指導の、やはり指導官の単なる誤りでなくて、逸脱した行為をせよと文書にまで明記して下部へ伝達している、この姿を見るならば、一指導官ごとき、と言っては失礼でありますが、そういう末端の者を動かしただけでこれは済む問題じゃなくて、そういう精神で指導している少なくとも東京郵政局指導方針というものについて、これは批判さるべきではないですかね、どうお考えですか。
  88. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) これは直接何といいますか、責任の問題というようなことになりますと、必ずしも簡易保険局だけでこれはお答えするべき問題でもなかろうかと思いますが、この浦和郵便局の保険の募集をめぐりましての郵政局の責任というようなことにつきましては今後十分に検討をいたしていきたい、このように考えております。
  89. 森勝治

    森勝治君 まあ、できるだけこの種のものは世間から指弾を受けるようなことのないように、職員からは不信の眼をもって見られることのないように指導してもらいたいのです。ですから、この契約件数を急ぐのあまり、たくさんの、まあいま  一人のこれは責任論を若干申し上げましたが、責任を転勤させた指導官に押しつけたかどうかはいまの段階ではまだまだ私は知るよしもありませんけれども、どうやらそういう、事の意外に根深いものを察知されて即刻処理されようとされたというように私は善意に解釈をしたいのでありますが、  この際でありますから一つだけ、具体的な勧誘の方法の誤っている問題、行き過ぎた問題について指摘をしておきたいのです。  たとえば、これを一枚百円で売りつけたということを私は申し上げましたが、これはいま皆さんは慎んで、本省はやっておらない、とりやめにしたということでありますからこれは深く追及はいたしませんが、一つだけ簡単に申し上げておくのでありますが、たとえば事業主の傷害特約積み立て金、事業主退職積み立て金、こういう制度はいまの簡易保険事業の中にはないわけでしょう、ないですね、それをお伺いしたい。
  90. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) そういう名称の保険  の種類はございません。
  91. 森勝治

    森勝治君 ないでしょう、ないのをやっているからこう言われるのですよ。だから、私は省の用意した書類以外はだめだと言っているのは、ここなんです、私が固執しているのは。他の団体がつくった、どこでつくったか知らぬが、こういうのがあるでしょう。省が用意した書類じゃないでしょう、契約書じゃないでしょう、これは。これで募集をし、これに判こを押さしているのですよ。判を押したのを一つ私は持ってきましたけれども、これがそうです、青の。いいですか、加入者が署名していますよ。うそじゃないですよ、これ、いいですか。こういうふうに役所は何ら知らぬでしょう、こういうことは事業のどこにもないでしょ、傷害特約付簡易保険なんてないでしょう、ないけれども現場ではこれでやっているのですよ。ところがこれは郵政局指導しているのですよ。じゃ、どうしてやるかというと、積み立て金だと言うのですね。勧誘の場合は積み立て金と称し、絶対に簡易保険ということばは使わない。ところが、加入者があとで送られてきた簡易保険証書なるものを見て、何だこれは積み立て金じゃないじゃないか、簡易保険じゃないかと言って指摘をする、不法勧誘だからやめたいと言うと、それをやめさせない。そして今度は集金人をかえてしまう。何も知らない集金人が次に集金に行ってかみつかれる。正直な集金人は迷惑でしょう。全然かえちゃうわけですよ。募集をしたら取りかえてしまうのですね。手当はその人にいくのです。あと何も知らない善良な集金人は、そこで取りかえちゃうから行ってかみつかれる、ひどいじゃないかと。そこで、集金人が事の重大さに気がついて局に帰って上司に報告すると、あたかもでくの坊のごときばり雑言が浴びせられる。おまえ、そういうことを知らなければ集金の腕がないと言われる。おまえ、うまくやって集金してこい、集金の腕がないじゃないかと言われる。特に上司が常日ごろあれは不服従の意思が上官に対してあるのではないかと、こう上官が一方的に認定をしているような職員を、そういう問題な、加入者から苦情のくるようなところへ充てる。そしてその人があたかも事業意欲がないごとく、力がないと言って無理にそこへ集金におもむかす。加入者がおこっているのだから取りはしません、むしろ加入者に同情して帰ってくる。そうすると無能な、さげすみのことばを投げつける。すでべの局ではありませんが、こういう姿でやってはならぬのですよ。まじめな職員がふまじめにされる。一つ目小僧のサルばかり住んでいる島へ行ったら二つ目玉のある人がかたわに見られると同じように、これではお話にならぬでしょうね。社会通念上からいってもこういうやり方は許されるべきことではないのですね。そうでしょう。加入者がだまされるとおこるのはあたりまえでしょう。そのときに最低二回だけは集金しろと、何とかして二回だけ取ってしまえば手当も出るから――手当は返さぬで済む、一回だけじゃ返さなければならぬ、二回以上ならだいじょうぶだというので、何とか二回は取りつくろってその募集した人たちがやって、三度目はもうやらぬから解約になる。これでは職員の不満がつのる一方です、これではね。だから、こういうやり方は、これはぜひともやめていただきたい。  局長はすでにもうやめる決意で自粛の通達を出されておる模様だが、いま言ったように、一昨年出された文書ですらも職場で守られておらぬわけですから、かえって根強く変な募集を始めておるわけですから、昨年の十月二十二日に出されたような通達現場ではどう受け取られているかということになりますと、なかなかそんなのは顧みられていないという現実の姿があるのです。だから、五カ月もたった後も、役所が通達を出して半年もたって、なおかつ根絶やしにならない。私はこういう悪いやり方について指摘をしているのです。非常にこれは残念なんですよ。一カ月か二カ月なら、なるほどあれは事態が平静になるまでというので、過渡的段階で、これはもう許されることでありましょうけれども通達を出してもなおかつあとを断たない。この辺もひとつ顧みてもらわなければならぬと思うのです。したがって、そういう問題からいたしますならば、やはりこの行き過ぎの募集ということで指摘されたものですね、このものについて、少なくとも局が通達を出した後に募集契約したものは、これは当然、当該局長すらも処断の対象になるでありましょうが、少なくとも、通達を出したたとえば昨年の十月二十二日前に知らずに契約した諸君が、二回かけて、もうその正体が暴露されてからいやになってやめた場合であっても、それは諸規定に従って、やめるのはそちらのかってだということで保険金没収などという荒わざはすることなく、行き過ぎを当局が認めたならば、当然これは善良な契約者に、その継続契約の方はいざ知らず、了解が成り立って契約される方はいざ知らず、契約解除の希望の方については、これは全額返済すべきが正しかろうと思うのです。この点どうですか。
  92. 野田誠二郎

    政府委員野田誠二郎君) 契約者が錯誤によって契約をする、しかもその錯誤におちいった原因が、保険契約を受理した募集当務者のほうに責任があります場合には、いま先生おっしゃいましたように、無効の処理をいたしまして、払い込みました保険料は全額還付をする、こういうことにいたしております。
  93. 森勝治

    森勝治君 その点は明らかになりました。私は、保険の問題についてもう少しやりたいのです。そうすれば、もっと皆さんが自粛され、改善される決意を固めるよき材料になるだろうと思うのです。ただ、もう時間がございませんから、あなた方が、とにかくこの問題については何と申しましても弁解ができないような状態だろうと思うのです。しかし、これは役所の中のどこかに体制として欠陥があると私は指摘せざるを得ないのでありますが、その点についてはひとつよろしく反省をしていただいて、信頼される簡易保険事業の線まで高めていってもらいたいのです。この点ひとつ大臣約束をいただきたい。
  94. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御趣旨の点はよくわかりましたので、十分検討もし、改めるべきことは改めてまいりたいと、こういうように考えております。
  95. 森勝治

    森勝治君 ブラザーの問題に若干触れます。  先ほどもちょっとお伺いいたしましたが、ブラザーは、これは委嘱ですか任命ですか。
  96. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) ブラザーにつきましては、まず指名ということをいたします。指名と申しますのは、要するに兄となります世話をするほうでありますが、こちらのほうについて、今後新しい職員が入ってきた場合に、どの職員かはわからないけれども、あなたがお世話をする側に立ってもらうんですよということについて、本人の承諾を得まして、あらかじめ名ざしをしておくというのが指名でございます。その後、現実にその局に新しい職員が参ります。そうした場合に、現実、具体的に、かねて名ざしをしておきました世話をするほう、その何の何がしとい人は、今度新しく入ってきた何の何がしという人の世話をしてもと、こういう関係でございます。
  97. 森勝治

    森勝治君 その指名というのは、命を指さすという指命ですね。
  98. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 実は名を指さすという意味の指名でございます。ただ従来は、本省がその点について統一した名称等を指定しておりませんでしたので、あるいは区々であったかと思いますが、この二月二十九日に新しく通達をいたしました。その中ではっきり、名ざすというふうにしております。また、それ以前にどういう名前を使っておったかは別として、考え方としてはそういうことだということで、本省としても指導をしておったわけでございます。
  99. 森勝治

    森勝治君 前段私が申し上げた指命、指の命、これで全部呼号は統一されておりましたね。そこで、都合が悪いというので、いま名ざしに、最近二十九日ですか、変えたとおっしゃる。都合が悪いとは言わないが、全部、命という字をもってしておったんですよ。公文書見てごらんなさい、役所の公文書全部、命ですよ。指名などという、名などということば、どこにもありませんよ。どうもこれはよろしくないというので、名に変えようとしておるんでしょう。従来なかなが自説を固持して譲らぬあなた方が、何で命を急に名に変えようとするんでしょう。あなた方の考えからいえば、命でいいんじゃないですか。
  100. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 実はこの指名ということにつきましては、たいへん恐縮でございますが、委員会は実はいま思い出しませんが、昨年段階におきましても、これもたいへん申しわけございませんが、衆参どちらでございましたか的確に覚えておりませんが、どこかの委員会で御質問がございましたときに、指名というのはただいまのような趣旨のものであるということをお答えしております。そのお答えいたしました内容からいたしまして、私ども本省といたしましては、字で書けば名ざすというものであるというふうに考えております。なぜならば、当時の御説明といたしましても、方的に命令するものではないのだということを御説明しております。その限りにおきまして、それに最も正しい名前を当てるとすれば、やはり名を指さすと、こういう字になると、こういうふうに考えるわけであります。
  101. 森勝治

    森勝治君 それは新説でしょう。新しい説でしょう、最近の。それで、文書に命という字をもってしておるわけですから、命ではどうも都合が悪い、それで、名に変えようという動きでそうなったのと違いますか。そうでしょう。当然、命という字を使っておるんですから、あなた方の公文書の中に。
  102. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) そういうことではございませんで、実は指名と委嘱という二つのことばに使い分けておりますことは、これはたいへんわかりにくくて恐縮なんでございますけれども、先ほども申しましたように、やはりだれか新入生を世話するというような場合には、卒然と世話をできるものではございません。やはりどういう世話のしかたをするかということについて、世話をするほうがある程度の勉強もしてもらわなければいかぬわけでございます。そういたしますと、新入生が入ってきます若干前には、現実に世話をする相手がおりませんけれども、一応あなた方が、あるいはあなたが、将来新しい職員が入ってきた場合に、その世話をお願いすることになるんですよということで、あらかじめそういった人をいわばきめておきまして、そうしてそういった準備もしていただく、こういう必要があるわけでございます。この段階を何と言うかということでありますが、これがやはり承諾を前提にするということは、昨年の十二月にたしか国会で申し上げております。ですから、そのことを適当なことばであらわせば、やはり指名、名ざすというほうの指名だと、こういうふうに従来から考えております。ただ、これまで申し上げておりますけれども、ブラザーについての内容的な通達というものを従来本省がしておりませんでしたので、あるいは使用名称が多岐にわたっておったかもしれません。そういったことを今回、従来から考えておる趣旨をそのままあらわすことばとして、指名という、名ざすということばを使ったわけであります。
  103. 森勝治

    森勝治君 それでは、あなたはなかなか明快にはいと言わないんだが、命のほうは、これは命ということのことばではなかったんだが、いままではそういう文字を使っておった、しかし、指名の名ざすのほうが適切だと思うので、呼号を統一した、まあこういう説明だと思うのです。そこでお伺いしたいんだが、いまお世話をするということばがありました。そこで聞きたいんです。ブラザー制度をつくった目的は何ですか。
  104. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 新規採用職員の定着性を確保すると、こういう趣旨であります。
  105. 森勝治

    森勝治君 定着性を確保するということは、あまり抽象的でわかりませんから、もう少しかみ砕いて教えてください。
  106. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 毎年郵政省におきましては、全国で、年によって違いますけれども、約一万七、八千人の新規採用者があるわけでございます。ところが、御承知のように、数年前から非常にそういった新規採用の場合の需給状況というものが、いわば求人側であります当方から見まして、逼迫をしてまいっております。これにつきましてはそれなりにいろいろの手だてを講じまし、その必要な人員を新規採用することに相つとめております。しかし、そういうことで非常な苦労をして新規採用をするわけでございますが、そうしてやっと採用できました者が短時日にして職場にいや気がさしてやめてしまう、あるいは職場になれないでやめてしまうというようなことでは非常に困りますので、新規採用についての諸施策もさることながら、採用できました人間につきまして、これが部内のよい職員、よい労働力として育ってくれるようにということが、ただいま申し上げました定着性を向上させる必要があると、こういうことであります。
  107. 森勝治

    森勝治君 そうすると、いまの後段のほうだと、世話ということばとは若干かけ離れてくるんですが、こういうふうに理解してよろしいですか。職員の充足が最近は困窮してきたものだから、特に遠隔地採用をせざるを得ない。故郷を遠く離れてただ一人見知らぬところで働くのはさぞさみしかろう、したがってそういう諸君のいわゆる肉親同様な気持ちでその無恥を慰めることもあるでしょう、激励することもあるでしょう。そういう文字どおり世話をすると、これでいいんですか、そういう理解でいいんですか、ほかにありませんね。イエスかノーかだけ答えてください。
  108. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 世話するという言い方は非常にばく然としておりますので、的確にポイントをついたことばかどうか知りませんけれども、大体、俗に言えば世話をすると、こういうことばで、もっと具体的に申し上げれば、この新入の職員につきまして、身近な先輩がいて、これがいろいろ指導もし助言もすると、そのことによって職場生活あるいは社会生活への適応を容易にする、あるいは不平不満や疎外感というものをなくしてやる、こういうことだということになります。
  109. 森勝治

    森勝治君 非常にきれいなことばを用いられましたが、どうも私はそういうふうに受け取ってないんですよ。失敬でありますが、私個人の見解をもってするならば、ブラザー制度は職業訓練である、こう言わざるを得ないんですが、これは間違った見方でしょうか。間違っておるならば間違っておると、よろしいならよろしいと、御指摘、それだけしてください。
  110. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) いわゆる訓練というものは別にございます。新期採用者に対する職場訓練というものは別途ございますので、そういう意味合いにおきましてはブラザー制度は別だと、あるいはリーダー制度は別だと、こう考えております。
  111. 森勝治

    森勝治君 私が言ったことが違うと打ち消されました。かりに、失敬でありますが、私はこの説はまだ放てきはしませんよ。しかし、いまの段階では一歩譲っておきまして、あなたのことばを是といたして私は質問をします。  訓練は別にあるということでありますから、文字どおりお世話をするならば、これはいわゆる役所ならば庶務課とか厚生課等がお世話をするのが正しかろうと思うのです。しかるにブラザーは何ですか、所管は訓練課ではないですか、所管は訓練課じゃないですか。訓練課で所管しておって何が厚生、何が世話です。職業訓練の尤たるものじゃないですか。職業訓練は別にあると人事局長は言っておるが、うそじゃないですか。あなたの言うとおりならは、訓練課にあるこれの是正の指示を与えなさい。訓練課の所管とはどういうわけです、これは。
  112. 北雄一郎

    政府委員北雄一郎君) 確かに本省あるいは郵政局では訓練課の所管にしております。ただ郵便局では庶務課というものが中心になります。この本省郵政局におきましては、御承知のように非常に仕事が分化しておりますので、厚生課という考え方もあり得ないわけではございませんが、先生も御承知かと思いますが、ただいま本省にいたしましても、厚生課でやっておりますのは、あるいは保養所の関係でありますとか、宿舎の関係でありますとか、非常に物的な面に分かれております。そして、こういった何といいますか、先ほども申しましたような、一つの人間関係というようなものにつきましては、現在の厚生課になじまない仕事でございます。どちらかと言えば訓練課の訓練方面にもなじまない仕事である、しかし便宜上訓練課のほうに入れてある。また、この定員の需給というような問題、これをとってみますと、これは本省では要員訓練課の仕事でございます。そういう意味合いだとか、実際のそういった見地、そういったところから便宜訓練課にやらせておるわけでありますけれども、訓練課の一方の仕事でありますところの職場訓練でありますとか、そういうものとは一応別の仕事ということをはっきり示してやらせておる、こういうことであります。
  113. 森勝治

    森勝治君 あなたが陳弁これつとめましても、あなたの説をもっていたしましても、いいですか、これは俗に言う厚生課であずかるものですよ。無恥を慰めたり、激励したりするわけですからね。ところが、訓練課に所管を移しておるということは、明らかにこれは時間外にも、いいですか、その職員を拘束しているということに当然なってくるでしょう、本人の好むと好まざるとにかかわらず、あとくっついてくるんですから。あなた方、失敬でありますが、私の立場をもって言うんですからね。これは見解が違うでしょうが。あまりにもこれは職員がかわいそうだと思いませんか。あなたの言う説ならば、これは訓練課でなくして厚生課の所管にする。所管がそれならまだ幾らかわかりますよ。訓練はほかでやっておる、おると言いながら、訓練課所管にして、それで時間外にまで本人を拘束する。いやだと言ったって、ブラザーみんなかってにつけちゃう。少しおかしいのでないですか。その辺。どうも私どもは合点がいきませんよ、あなた。厚生課になじまない仕事だと。職員の生活を世話することは厚生課の担当でしょう、庶務課の担当でしょう、いわばね。それが訓練課に持っていったというところに、もう下心が見えているじゃないですか。そうでしょう。ところで、経理局長にお伺いするんでありますが、いまブラザー制度に用いようとしている来年度の予算額は幾らですか。
  114. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) お答えいたします。  明年度の実行計画につきましては、ただいま省内におきまして検討中でございまして、本予算成立後に確定いたすことに相なります。
  115. 森勝治

    森勝治君 予算を国会に出しておきながら、その歳出根拠の説明ができないのですか。
  116. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ブラザー制度に要します経費につきましては、国会で御審議をいただきます費目といたしましては、物件費の中の需品費と申しておりますが、その総体予算のワク内におきまして実行計画を組むということに相なります。
  117. 森勝治

    森勝治君 そうすると、郵政国会に提出した予算というのは勘でやるんですね。十ぱ一からげで勘でやって、十億なら十億ときまれば、その中で実行予算を今度はぶんどり主義でやるんですね。そうじゃないでしょう。国会に予算案を提案するときは、おのずから歳出根拠を明らかにして出すのでしょう。使用目的を明確にして出すんでしょう。一銭一厘といえども不明確な、いまあなたが言われたような形では出さないでしょう。根拠がおのずからあるでしょう。ことしはブラザー制度で何千万使おう、通信費で幾ら、おのずから出るでしょう。それがあんた、国会を予算通ってみなきゃわからぬというのは、ちょっとたよりない局長だね、失敬だが。もう少し責任を明らかにしたお答えをしていただきたい。
  118. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) たいへん予算編成上の技術にわたりまして恐縮でございますけれども、需品費と申します場合に、たとえば各省庁同一の人当庁費というのがございます。つまり定員一人当たりいろいろの物件費を帰納せしめまして、一人当たり幾らと。したがいまして、定員総数をかけますというと、その省庁の人当庁費というものが確定いたすわけでございますが、そのほかに、私ども郵政事業特別会計におきましては、特別庁費というものもございまして、特段な事業運営に要します特別の庁費は、これは積算根拠を明らかにいたしまして要求申し上げ、お認めいただく、こういうたてまえに相なっております。  で、ただいまのブラザー制度に関します経費は、この人当庁費を年間いかに使うか、これにはもちろん光熱水道料でございますとか、通信費でございますとか、備品消耗品費でございますとか、いろいろなことに使いますわけでございますけれども、その人当庁費の使い方の中でブラザー制度に幾ばくをさくべきかということが省内として議論されて固まってくる、こういう手順に相なるわけでございます。
  119. 森勝治

    森勝治君 どうも明瞭でありませんね。  それでは、その問題さておいて、別な問題を聞きます。経理局長いいですか、よく聞いてください。現場の長が、いわゆる郵便局長がおのれの勘で万年筆を買い、くつ下を買って、自分の勘で適当な人にこれを贈与しておりますね。これも需品費から出ておるでしょう、そうですね。現場の長にそういう幅を認めさしておりますね。そういう  ことも含まれておるからここで明言できないのですか。おかしいじゃないですか。どうして明らかにできないのです。新規採用は何名ときまっておるんじゃないですか、そうでしょう。あなた方が、月に大本千円程度という説明をしばしば乗り返しておるでしょう。逆算していけばそれから数字が出るでしょう。あなた方の説明が全部正しいとするならば出るでしょう。前にも断片的に説明され、小出しに出されておることすらも、こうやってあらたまって聞くと知らぬ存ぜぬというのはどういうわけですか。そのこともあわせて前段の質問と一緒にお答えいただきたい。
  120. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ただいま御指摘の点は、まさに仰せのとおりでございまして、四十六年度、すでにブラザー一組に関しまして月千円というような積算のもとに配算をいたしました実績がございます。したがいまして、四十七年度も同様の方針でやるということでありますれば、当然に四十七年度の新規採用人員をかけますればこの施策のための経費というものは出てまいるわけでございます。  それから、前段のくつ下云々というお話でございますが、これは、実はそれぞれの事業場の長に、事業場の経費全般を運営させますのに、既定経費それからいろいろの特殊の経費を流しますが、数年前から、現場長限りで、庁費中、物件費につきまして、自局の運営上最も有効な使い方をしてよろしいというワクを与えてやっておりまして、その範囲内において、たまたま御指摘のような事例が出てまいったということでございます。
  121. 森勝治

    森勝治君 あなたの前段の説明を聞いておりますと、この需品費なるものは一人当たり幾らでかけるというのでしょう、各省庁とも。そうでしょう。そこで、ブラザー制度に金を出す、局長のポケットマネーに金を出す、よそのところでやってないことをおやりになっておるわけですから、郵政は需品費は、各省よりもその分については多いのですね。そういううがった見方をしていいのですね。
  122. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 人当庁費につきましては、先ほども説明いたしましたように各省庁統一の単価でございまして、私ども特に多いとは考えておりません。
  123. 森勝治

    森勝治君 そうしますと、ブラザー制度は各省庁はやっていない、そうですね。さらに、長にポケットマネーで自由に万年筆、シャープを買う権限を与えていない。そうすれば郵政独自の二つの行為が行なわれているわけですね。いまね。そうすると、ほかの仕事は省いておいて、その問題に金をかけているという指摘を受けてもよろしいですね。
  124. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 実は各省庁が人当庁費をどのようにお使いになっているか、ただいま承知をいたしておりませんので、他省庁との比較をいかがかということはお答えいたしかねる次第でございますが、私ども郵政事業特別会計の人当庁費の使用方につきましては、在来事業運営を円滑にするという目的に沿う限りにおきましていろいろと、一般論的に申し上げますれば、やりくりをしてまいっておるというのが実態でございます。
  125. 森勝治

    森勝治君 簡易保険募集について加入者に感謝の心を述べるときには募集員の手当の中からお出しなさい。いいですか、局長聞いてくださいよ、自分のもらった手当からそういうのをまかないなさい。局長が好きこのんで適当な、くつ下でも万年筆でもシャープでも何でもくれるのは局長が自由裁量でやってよろしい。郵政の経理は一体どうなっているのですか。局長が出すくつ下一足も郵政事業に協力した方々に対する感謝のしるしの表現でしょう。ならば、これは保険事業で協力した加入者にお上げすることと同じ心でしょう。そうでしょう、どうしてそう違うのですか。そういうずさんな金の使い方で経理局長いいと思いますか。たださえ赤字だといわれている郵政事業が、われわれから見れば一見むだ使い的なそんな姿でいいですか。放漫支出じゃないですか、そういうのは。局長の引き出しを開ければ、くつ下や何か一ぱいつまっていて、好きな人にはほいきたほいきた渡す。現場の長にこんな権限許されておりますか、よその官庁で。そんな許された局がありますか。電電公社といえども許されませんよ。経理上黒字だといわれる電電公社の中でも、NHKの中でもそんなことは許されませんよ。なぜ赤字といわれる、経営不振だといわれる郵政現場の長だけにそういう特権というか、かつて、好きこのんだことをさせるのですか。何でそれを認めているのですか。郵政こそ最も倹約してしかるべきじゃないですか。
  126. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 御指摘いただきましたが、私どももちろん経費の節減、効率的運用には在来もつとめてまいっておるつもりでございますし、今後ともつとめてまいりたいというふうに考えております。
  127. 森勝治

    森勝治君 あなた方のその金の使い方は、私が指摘するだけでも目に余るものがあるのです。ですから、これをときには組合弾圧の費用に使われていると、こう誤解されがちなのですよ。もう説明のつかない金の使い方をしているから、せっかく新しい局長として赤字逓信事業を黒字にしようと思っていまあなた熱意を込めておられるようですから、その新局長のあなたに私はこの点を強く要望をして、経営不振といわれる事業でこういう放漫な、放らつな、身がってな現場の長の金の使い方というのは許してはならぬ問題でありますから、あなた非常にぼかしたお答えで私は不満足ですが、実は私の持ち時間越えたものですから、これ以上残念ながらできません。ですから、私があなたに指摘したとおり、どうぞひとつあなたの局長時代にそういう筋道の立たない金は使わない、使わせない、直した、改めた、よくした、こういうふうにひとつされるようにお約束をいただきたい。
  128. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ただいま御指摘の点につきまして十分検討さしていただきたいと思います。
  129. 森勝治

    森勝治君 時間がございません。これ以上、申しわけありません、次の質問者におわびいたします。  そこで大臣、私はきょうは非常にきつい表現を用いました。しかも私の断片的な質問であります時間がない関係上。しかし、私は何も郵政の恥部を表に出そう、こういう考え方を持って以上の発言をしたのじゃありません。今日まで何とかして郵政の中がよくなっていただけることを願いながら、私はこの問題については半年間こらえにこらえて今日までじっとがまんをしてまいりました。私が公式な席上でこういう発言をしなくても直してくださるものと思ってやってまいりました。ところが、そのあとを断ちませんので、私の住まいする浦和市では市民にビラを張られるような、こういうぶざまでありまして、私が質問最中に担当者を転勤させるような、こういう事態になったわけであります。これ自体非常に残念でありますけれども、どうぞひとつ私が批判いたしました、指摘いたしました真意をよくくみ取っていただいて、ひとつ事業の信用の回復のために大臣以下ほんとうにがんばっていただきたい。このことを大臣に御注文を申し上げ、注文はかりつけてほんとうに恐縮でありますが、事業を愛するあまり以上苦言を呈したわけですから、本件について大臣の決意ののほどを承って、私のきょうの質問を終わります。
  130. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 朝来の森委員の、事業を愛するお気持ちからいろいろ御意見をお述べになりましたことはごもっともなことで得るところが非常に多いのでございまして、その趣旨を体しまして事業の伸展向上のために今後も駑馬にむちうって大いに勉強してまいりたい、大臣としてさように考えておりますわけであります。
  131. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ほかに御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  132. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。廣瀬郵政大臣
  133. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和四十七年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会へ提出するものであります。  まず、収支予算について概略を申し上げますと、事業収支におきましては、収入、支出と玉千百十四億八千万円で、前年度に比し、それぞれ百五億円の増加となっており、資本収支におきましては、収入、支出とも三百五十七億八千万円で、前年度に比し、それぞれ二十三億九千万円の増加となっております。  なお、資本支出のうち、八億二千万円を事業収支へ繰り入れることとなっております。  次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及をはかるため、放送網の建設を行なうこと、テレビジョン放送、ラジオ放送ともに放送系統の性格を一そう明確にし、番組内容の充実刷新を行なうとともに、教育、教養番組の利用促進につとめること。積極的な営業活動を行ない、受信契約者の維持増加をはかること等となっております。  最後に資金計画でございますが、これらは収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これら収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付した次第であります。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  134. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 次に、放送協会から説明を聴取いたします。前田日本放送協会会長。
  135. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和四十七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対し、厚くお礼申し上げます。  協会の昭和四十七年度の事業運営につきましては、事業経営の長期的構想のもとに、極力業務の効率化を推進し、テレビジョン、ラジオ両放送の全国普及の早期達成につとめますとともに、すぐれた放送を実施して、国民の要望にこたえ、国民生活の充実向上に資するよう努力する所存でございます。  また、沖繩の復帰に伴い、沖繩放送協会が有している権利及び義務を承継し、沖繩地域において可及的すみやかに本土と同等の放送サービスを行なうことを目途に、放送の拡充、放送施設の整備並びに営業活動の充実強化を推進し、地域住民の要望にこたえるとともに、受信契約者の普及につとめることといたしております。  次に、そのおもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、難視聴地域の早期解消をはかるため、二百二十地区にテレビジョン中継放送局の建設を完成し、百四十地区の建設に着手することといたしております。また、県域放送を実施するため津等二局のテレビジョン局の建設を完成するとともに、二局の建設に着手することといたしております。これらにより四十七年度末におきましては、総合テレビジョン局一千六百七十七局、教育テレビジョン局一千六百五十九局となります。  このほか、辺地における共同受信施設につきましては、沖繩地域を含め一千十施設設置することといたしております。  一方、ラジオにつきましては、熊本第二放送大電力局の建設を完成するほか、広島など第一放送局二局の増力を行なうことといたしております。また、沖繩地域におきまして、那覇など三地区にそれぞれ第一、第二放送局を建設し、沖繩全域でラジオ放送を聴取できるようにすることを計画いたしております。  また一超短波放送におきましては、四十局の建設を完成するとともに、三十局の建設に着手することといたしております。  これらにより四十七年度末におきましては、第一放送局百七十三局、第二放送局百四十四局、超短波放送局三百九十一局となります。  このほか、放送センターの建物整備を完了するとともに、盛岡等の放送会館、カラー放送設備、研究用設備、業務の効率化のための機器等の整備を実施することといたしております。  次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  まず、国内放送につきましては、テレビジョン、ラジオとも放送系統の性格を一そう明確にし、番組内容の向上刷新につとめることといたしておりますが、テレビジョンにおきましては、総合放送は、広く一般を対象として、番組の各分野にわたり調和のある編成を行ない、四十七年度は、特に、変動する社会情勢、国民生活の動向に対応し、報道機能を重視した夜間編成体系の刷新を行なうほか、第二十回ミュンヘンオリンピック大会の放送、沖繩復帰に伴う特別番組の放送等を実施することとし、教育放送は、体系的な教育番組を中心に、青少年、一般社会人を対象とする番組の編成を行なうとともに、大学教育番組の拡充等番組内容の充実につとめることといたしております。  このうち、カラーテレビジョン放送につきましては、一時間三十分増加し、総合、教育放送合わせて一日二十二時間三十分とすることといたしております。  ラジオにおきましては、第一放送は、報道、教養、娯楽番組を中心とする一般向け番組の編成を行なうことといたしまして、ラジオの機動性、速報性を生かした番組の強化等番組内容の充実刷新につとめることとし、第二放送は、全国同一内容による教育番組を中心とする特定対象向け番組の編成を行なうことといたしております。また、超短波放送におきましては、音楽番組及び県域ローカル番組を中心とする一般向け番組の編成を行なうこととし、ステレオ放送等超短波放送の特性を生かした番組の充実をはかることといたしております。このほか、放送番組の利用促進等の諸計画を実施することといたしております。  なお、沖繩地域における放送番組につきましては、通信施設の整備等に対応しつつ充実をはかることとし、カラー放送の実施をはじめテレビジョン放送の拡充を行なうとともに、ラジオ放送については、復帰後早期に第一、第二放送を実施することといたしております。  また、国際放送につきましては、一日三十七時間の規模により、ニュース・インフォメーション番組の充実をはかるとともに、各地域の特殊性に即した番組を編成するほか、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与することといたしております。  次に、営業関係につきましては、社会情勢の変化に即応した諸施策を積極的に推進することとし、受信者の理解と協力を得るよう、協会事業の周知につとめるとともに、電波障害の防止、辺地における共同受信施設の維持等受信改善対策及び沖繩地域における受信の普及のための特別対策等を積極的に推進することといたしております。  これらにより、極力、受信契約者の維持開発をはかり、あわせて受信料の収納につきましても、確実を期するよう一そう努力することといたしております。  調査研究につきましては、番組面において、国民世論調査、番組聴視状況調査並びに意向調査等を行なうとともに、技術面において、難視聴改善一方式等放送技術新分野の開発研究、カラーテレビジョンの改善研究、放送衛星に関する開発研究、放送技術発展のための基礎研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、事業規模の拡大に伴う業務の増大に対処いたしまして、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進し、経費の節減につとめますとともに、職員に対する教育訓練の実施等により企業能率の向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、適正な水準を維持するよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する収支予算につきまして申し上げます。  事業収支につきましては、収入において一千百十四億八千三百万円を予定いたしておりますが、昭和四十七年度における受信契約者の増減につきましては、沖繩地域を含めカラー契約において四百万四千件の増加を見込み、普通契約においては、カラー契約への変更等により三百十四万四千件の減少、契約総数において八十六万件の増加をはかることとし、年度末における契約数を、カラー契約一千五百八十六万五千件、普通契約八百二十七万六千件、契約総数二千四百十四万一千件と予定し、これによる受信料収入を一千八十九億三千九百万円と予定いたしております。  なお、沖繩地域における受信料の月額は、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律の趣旨にのっとり、沖繩の放送業務の実状及び社会的、経済的事情を考慮し、特例措置として普通契約二百五十円、カラー契約四百円とすることといたしております。  このほか、国際放送関係等の交付金収入一億四千八百万円、預金利息等の雑収入十五億七千六百万円、資本収支から受け入れ八億二千万円を予定いたしております。  これに対する支出は、総額一千百十四億八千三百万円で、国内放送費に二百九十七億七千九百万円、国際放送費に七億六千八百万円、業務費に百五億六千四百万円、調査研究費に十五億三千四百万円、管理費に百十六億六千八百万円、給与に三百七十億一千五百万円、減価償却費に百五十五億三千九百万円、関連経費に四十二億一千六百万円、予備費に四億円を予定いたしております。  次に、資本収支につきましては、収入において三百五十七億八千二百万円を予定いたしており、減価償却引き当て金、固定資産売却収入等を百六十九億七百万円と見込み、外部資金の借り入れにつきましては、百八十八億七千五百万円を予定いたしております。  これに対する支出は総額三百五十七億八千二百万円で、建設計画の実施に二百八十億円、放送債券の償還に二十五億八千万円、長期借り入れ金の返還に三十億七千二百万円、放送債券償還積み立て金の繰り入れに十三億一千万円、事業収支へ繰り入れに八億二千万円を計上いたしております。  以上、昭和四十七年度日本放送協会の収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活の向上に放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行に努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞすみやかに御審議御承認を賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  136. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  137. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 若干お尋ねしたいと思います。  実は、私は他の同僚議員の質疑に関連をして断片的なことでありますが、お尋ねをしようと思っておりましたが、いろいろの時間の関係で私は先に質疑をすることになりました。したがって、お尋ねすることは非常に断片的なものになるかもしれませんが、その点御了承おきいただきたいと思います、しかし、今度は例年になくわりあいに早く参議院にこの承認案件が送付されましたので、いままでと違って相当時間をかけて、かりに月末までに議了するにいたしましてもわりあいゆっくりとした時間があると思います。今度は少し時間をかけてもいろいろ質疑をしたいと思います。  第一に伺いたいと思いますことは、この収支予算を拝見しましてだれも気がつきますことは、郵政大臣のつけておられる意見書なんです。これは近年に、近年といいましても、いままでに例がないといっていいような意見書の表現になっております。これについては、いろいろ経過があったことはうすうす承知しておりますけれども郵政大臣にお伺いしますが、この初めにおつけになったように「特に次の意見を付し、やむを得ないものと認める。」ということですが、いままでですとたいていこれは支障がないと、大むね妥当であると、こういう表現でございましたが、今度は「やむを得ない」というような表現をお使いになっております。これはどういう御趣旨か、つまり条件をつけて了承するというように、簡単にいえばですね、そういうふうに考えられますが、どういう御趣旨であるか。おそらくこういう意見書をおつけになるについては、これはいかにまあ部分的な監督権しかない郵政大臣でありましても、いままでこのNHKの予算はあなたを経由して閣議を経、国会に出されるわけですからね、全然これは何らの話し合いもしないで意見も聞かないで、ただそのままお出しになったとは考えられない。その間いろいろあなたの、「やむを得ない」こういうようなことをおっしゃるに至りますまでの間に内部的にNHKどの間にお話し合いがあったんではないかと思うのです。それについては、これは法律上どうこうという問題じゃないでしょうからね。非常にこれは内面的な問題でございましょうから、おっしゃりにくい点もあるかもしれませんが、その経過こういう形でもって出さなければならぬという事態になったその経過、これについて郵政大臣から御説明をいただきたいと思います。
  138. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 昭和四十七年度のNHKの予算に対する郵政大臣といたしましての私の意見書は、御指摘のように、十数年来と承っておりますけれども、なかった異例のものでありますわけでございまして、もちろん、私といたしましてはこういう意見はつけることは好ましくないわけでございまして、事務当局の段階におきましてもNHKとは十分折衝を重ねまして、まあ、そういうような意見がつけられなくても済むような、在来のように「おおむね適当と認める」というようなことで済まされるようなことでまあ何とか予算を考え直していただけぬかということでだいぶ詰めたようでございますけれども、結局最後の段段で快調から私に提出をされたわけであります。したがって、成規の手続をとりまして内閣の了承をいただきましてそのまま国会に提出することになったわけでございますが、そこで、私がどうしてそういう意見書をつけたかと申しますと、NHKも御経営は必ずしも楽ではないと思っておるのでございまして、人件費の高騰、物件費の高騰、こういうような問題もございますし、特に新年度におきましては、新しく沖繩が本土に返ってくるということになりますれば、沖繩に、お約束を申し上げておりますように、放送施設におきましても、本土並みの施設をしなければならないというような責務がNHKにありますわけでございまして、そういう方面の出費もかなり多いわけであります。が、一面考えますと、新年度は九十六億円という相当多額な増収があっておりますし、そして将来の展望に立って考えますと、受信料の引き上げ、公共料金の引き上げということがそう容易に簡単にできるこっちゃない、また、一番大きな収入源でございますカラーテレビは昭和四十七年度の末にはもう三分の二に達するというようなことでございまして、そうしたことを考えますと、将来は経営がますます困難になってくるのじゃないかというようなことが考えられますわけでございますので、そこで全体の事業収支の金額も千百十四億円というかなり大きな金額でございますから、新年度の予算に盛られておりますように、事業費の収支が八億二千万の赤字を出しておる。これはたまたま沖繩で赤字を出しております八億二千万と金額も合致するわけでございます。そこに私は特別な意図があったとは考えておりませんけれども、とにかく八億二千万を資本収支から事業収支に繰り入れなくちゃならないというような非常な困難な事態に立ち至っておりますわけでございます。で、千百十四億円という総額から申しますと、八億二千万というのは〇・七四%というような程度でございますから、いままで十分御努力はしていらっしゃるかと思いますけれども、どうかこの一年間の御実行におきまして、どれほどというわけじゃございませんけれども事業努力をさらにされ、節約もさらに勉強されまして、そうしてまあ何とか八億二千万という赤字を解消するように御努力が願いたい。そういう観点に立ちまして、一応お認めはいたしますけれども、イエスではございますけれども、ただいま新谷委員が御質問のうちに申されたように、いわば条件つきと申しますか、企業努力を前提として赤字を解消するように御勉強願いたいということを祈りながら、希望しながら、お認めするというようなことで、「やむを得ないものと認める」というような異例の意見をつけたわけでございます。
  139. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体郵政大臣真意はわかりましたが、私もまあ大ざっぱに言って、同じような感触を持っておるのです。そこで前田会長伺いますが、この意見書に書いてあるようなことについては、あなたが直接に郵政大臣とお話になったことはないだろうと思いますが、いまもお話のように、事務当局とかあるいは役員の方々たちが郵政省担当の人たちといまのような話し合いといいますか、意思の交換をなさったようでございますが、それはあなたお聞きになっていらっしゃったのでしょうか。
  140. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、最後に郵政大臣に予算書を提出するにあたって、私どもの意図するところをかなり詳細に御説明申し上げました。  それから事務当局には私が指示いたしまして、御理解を得るように努力せよということで、十二月から二月にかけて、二十回にわたって事務当局はそれぞれの項目と関連して説明いたしております。
  141. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それで、結論的に申しますが、率直に言って、まだ郵政大臣のつけた意見書に対しましては、前田会長としては、そのままにはすらっと了承できないという考えをお持ちなんでしょうか。それとも、これは郵政大臣の言っておられることはもっともだから、実行上できるだけその方向に向かって努力しようというお考えなんでしょうか。
  142. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) まず、前提としての御質問に答えたいと思いますが、先ほど私は郵政大臣に提出するにあたって、主要な項目をこれからの経営方針について御説明申し上げて、このいわゆる世俗的に赤字と言われている部分については御心配はない。われわれは全責任をもって経営に当たって、赤字の解消に努力するのだ。で、五カ年間の中で私は申し上げたことは、四十七年度と四十八年度は毛頭値上げなどとは考えておらないと。このことは逆に言えば、私どもは少なくともこの予算面を、郵政大臣及び事務当局がお考えになる方向に持っていけるという確信を持っているからであります。  これと関連する最初の御質問については、私は放送法上、NHKは自主的に予算を編成し、これを国会に提出するルートとしては、NHKは国会と直接関係がございませんから、やはり内閣から出されるのが当然だろうというような気持ちも持っており、内閣の閣議を経る段階において、放送法上、郵政大臣が独自の見解をおつけになることは当然であると、このように考えておるわけです。
  143. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 あとのほうのお答えですがね。内閣は内閣の意見だと、あなたはそれと違った意見だというふうにいまおっしゃったんですか。
  144. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 大臣意見には全く触れておりません。ただ大臣意見として出される前提の御説明の場で、全力を尽くして大臣が御心配になるようなことのないようにするということを申し上げておると、こういうことであります。
  145. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 言いかえますと、大臣大臣意見である、しかし大臣は、いろいろそれについていまおっしゃったような意見をあなたにも言われたようですね。そうすると、あなたはそれを受けて、自分の意見は違うけれども大臣の言ったことに対して全力をあげて実行上措置をしますと、こういうふうな意味でおっしゃったんですかということを聞いているのです。
  146. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は、その郵政事務当局の取り扱い方、及び内閣の審議のしかたは存じ上げませんので、私は意見書が出る前に大臣とお話し合いしているということを申し上げたわけです。
  147. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 意見書の出る前のことは、いま、じゃ御説明になったとおりといたしましょう。意見書が出た現在はどうお考えになっていますか。
  148. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 国会がこれを御承認になれば、当然その方向に従って議論を用いずして努力すべきだと考えております。
  149. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 国会が承認する、しないの問題じゃないのです、私が聞いているのは。私が言っているのは、大臣意見書が出る前に、こう思ったということをおっしゃったから、大臣意見書が出た現在においては、あなたはどう思っていますかということを聞いているのです。
  150. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私は何とも思っておりません。
  151. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 何とも思っていないということは、私の質問が何か不適当だからお答えにならないのですか。
  152. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 会長としてはもう十分お答え申し上げたと思っておりますので、私としてはきわめて単純に私は国会の承認を経た後には、附帯決議もつくかもしれませんし、あらゆる御指示を正直に実行していきたい、こう思っているわけであります。
  153. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 ことばのやりとりで時間をつぶすのは避けたいと思いますから、あまりこういうことにこだわりたくないんですけれどもね。私の聞いている趣旨は、いろいろの経緯があったようです。私は衆議院における段階のいろんな問題はここで参議院においては問題にすべきじゃないと思うのです。したがって、そういうことについてはいま触れてないんです。ないが、とにかくしかしいろいろの実際の事実がわれわれの耳に入ってくることは事実なんです。ですからお伺いしているんです。私は今日の段階では、こういう意見書が大臣から出ておると、それについてはあなたはどういう考えをお持ちになっておりますかということをさっきから聞いているんですよ。
  154. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そこで私は特別の感じ方は持っておらないとお答えを申し上げておるわけです。
  155. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 感じ方を聞いているわけじゃないんです。考えを聞いているんです。
  156. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 特別の考えは持っておりません。
  157. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 考えを持たないで、この予算の執行に当たろうと言われるんですね。
  158. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) そういうことは申し上げておりません。
  159. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いや、考えを持っておりませんと言われるから、考えを持たないままで予算の執行に当たろうというのかと言っているのです。
  160. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) いろいろ大臣意見に対する協会の意見を聞いておられるようでございますけれども、予算の編成にあたりまして、たてまえとしましては、NHKの予算はNHKに非常な自主性を認められております。とは言え、やはり郵政大臣がこれに意見を付されるわけでございますから、予算の編成までの過程におきましては自主的にいろいろ郵政省とは御相談も申し上げ、御説明も申し上げ、またいろいろ御指示によってこれを取り入れ得るものは取り入れると、こういう努力をいたしておりますことは、四十七年度予算のみならず従来そういった例を踏んでおりまして、四十七年度予算につきましても、先ほど会長が答えましたように、二十回にわたりまして、延べ百時間をこえる時間、いろんな項目にわたりましていろんな御要望がありましたでしょうけれども、いろいろ協会の立場も御説明を申し上げ、そうしてこの編成を終わっておるわけでございます。大臣はこれに対しましていろんな予算の説明なり内容なり、そういったものをいろいろ御判断になって意見を付せられることは大臣の法律上認められたお立場でありますし、大臣の権限をもってつけられるわけであります。これに対しましては、国会おいてNHKの予算案と大臣意見とを総合的に御判断になりまして、承認すべきやいなやを御決定になるわけでありまして、予算の内容につきましてはいろいろ御説明も申し上げ、またそうならざるを得ない理由等についても詳細漏れなく御説明を申し上げますけれども大臣の権限に付されましたこれに対する意見について、とやかく申すべき筋合いではないと考えます。
  161. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この委員会や本会議でわれわれがどういうことをしますか、これはわれわれが委員会委員会の同僚と相談をし、本会議では各党の意見がどうなりますかによってきまってくるので、これはあなたからそういうことをおっしゃらなくても、われわれがきめます。ただ私が聞いておりますのは、もっとこだわらないで率直にお答えになればいいと思う。われわれはこの予算案あるいは事業計画案を承認すべきかどうかということをいま議題にして質疑をしているわけです。大臣がこういう意見書を出しておる、それに対してNHKはどういう考えを持っているんだ、反対なら反対でいい、賛成なら賛成でいい、しかし反対にしろ賛成にしろ、どちらでもないと、こういう意見なんですということでもいいんです。しかし、大臣がいまだかつてない異例な意見書をつけておりますから、NHKはそれに対して一体どういう考えを持っているんだということを率直に言ってくださいということを初めから冒頭に申し上げて、そうして意見を聞いているんです。何にも感触はない、あるいは何にも考えはないんだ、こういうことですから、考えがなければないでけっこうです。私たちはこれは同僚議員とよく相談しまして、考えのないNHK、大臣意見に対しては何にも考えのないNHKだということを前提にしてわれわれは審議を進めることにします。それはもうけっこうです。
  162. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 私も何も、会長もそうでございますけれども、あるいはいろいろなこだわりを持って御答弁申し上げているわけではございません。ありのままを申し上げているわけでございますが、抽象的な意見に対する見解はどうかと申されましても、これを批判する立場にNHKはないと思います。内容につきましては、今回のいろいろな意見書のニュアンスと申しますか、それに対する御要望は事務折衝の段階におきまして、赤字なしに済ませるものだろうかどうだろうか、こういうお話がるるございました。私どもといたしましては、明年度カラー契約の関係も増収の面につきましては最大限の努力をいたしまして、おおよそ四百万が最高限であろうと、こういうような収入面について努力もいたしながら、また、いろいろな面につきましては、沖繩復帰に関連もいたしますが、沖繩についても、いろいろと現在の徴収状況の悪い状況をできるだけ早く回復しようと、こういうような意図も含めていろいろ編成に当たっております。その他、収支不足なしに済めばこれにこしたことはないのでありますけれども、これはことさらに出たものではないのでございまして、諸般の公共料金の軒並みに上がっておりますその影響も、この予算執行過程において深刻な打撃を受けるわけでございますけれども、そういったものがかれこれ七億二千万でございます。そのほかに物価の値上がり等の関係につきましても、かなりの影響を受けるわけでございますけれども、そういう面をすべて吸収して、できるだけ収支償った予算を編成すべく努力をいたしまして、既定費その他につきまして、節減可能な対象の費目に対しましては、一五%に当たります二十億の節減をはかっております。そういうようなことで、どう編成をいたしましても、今回のこういう編成にならざるを得ないと、正直に申しましてそういうように考えているわけでございまして、そういう面から八億二千万の収支不足を、予算編成上においてこれを収支とんとんにするということは非常に困難である旨はるる説明を申し上げております。ただ、大臣が予算の執行過程において、そういう赤字が解消できるように努力してはどうか、こういう意見がつけられております。これはもっともでありましょう。あるいは四百万のカラー契約がそれよりふえて、積極的に増収面においてそういったことが可能であれば、その限度において赤字は消えるわけでございますし、また、そのような状態にありながら、主として民放の番組向上のために三億の番組センターの経費も削減をいたしておりません。その他いろいろな関係からきます郵政省の御要求によります経費につきましてもこれは出しながら、やはりどう努力いたしましても編成時におきましては、何らの意図を交じえないで、できるだけ収支償う予算編成をしようという努力を一〇〇%やりながらこういう結果になったわけでございまして、この上は、予算の執行過程にはいろいろな未知数の問題もありましょう、物価がわれわれが想定しておりますように上昇しないということ、あるいは収入面におきましては、カラー契約なり総体の契約の増が見込みを越えて達成し得るような努力が可能でありますならば、その限度におきましては、赤字を解消する努力は――金額はどのくらいになりますか、可能であろうと思います。そういうようなことに考えているわけでございまして、別段に何かこだわりを持って御答弁を申し上げるということではございませんので、御了承をいただきたいと思います。
  163. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 小野副会長がいま答弁をされた中でいろいろありました。こういう努力は当然されたと思います。しかし、その中で、あなたは、大臣が予算執行上、経費節約をし、増収をはかって、そうして八億何千万円かの赤字を解消するようにということを言われたのは、まことにもっともでありますと言われた。あなたは、さっき、初めは、大臣意見書に対して意見を言うのはおかしいということだけだったけれども、いまのようなお話で、一応、それは大臣考えておられるのはもっともなんだと、だから、極力それに向かって努力をいたしますと、そういう姿勢であれば、これは私は、非常にけっこうだと思うんです。あなたのところの会長とあなたの意見が少し違うようですが、私はそういう態度であってほしいと思うんです。それで、この点は次の機会に保留して、もう一ペん質問します。  それで、私、ちょっといまのお話があったので、実はあまり時間がないので、資料だけ要求しておきますが、二十何億かの節約をはかったとおっしゃいましたね、私はそのとおりだと思うんです。十億近くを取りくずして、資本勘定から事業勘定のほうへ組み入れて、それを食ってしまうわけですからね、四十七年度で。こういう異例な予算を組んじゃいかぬと私も思うんです。で、そこへいくにはあらゆる努力をされたと思います。努力が十分であったかどうかが問題だと思うんです。そこで、二十数億の節約をはかったとおっしゃるが、具体的にどういう節約をはかられたのか。具体的に、本来であれば、この費目についてはこのぐらいかかるんだと、これをこういうことをして、こういうふうに節約をいたしましたという資料を、なるべく詳しく、この次の委員会までにお出しを願いたいと思います。
  164. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) なお正確を期しますために、先ほどの赤字解消の努力につきまして、一言申し上げておきたいと思いますが、いま、さらにこれ以上の節約をしてどうこうということは、これは予算編成時におきまして、ことさらに節約を渋って出したものではございませんから、これは現在から予想いたしましても、そういった努力にはもう限界がきておると思います。そういう赤字解消の努力の有効な、それはかりに増収の面で予定いたしております件数よりも伸びることがあれば、――これも非常にぎりぎりを見ておるわけでございますから、むずかしいところでございますけれども、ただ一般的、抽象的には、そういうような増収の道があれば、その限度において収支不足分を縮減できるであろうと、こういうことは申し上げてあるわけでございますけれども、これ以上、まだ節約をして、収支不足分を縮減し得る余地があるとは考えておりません。  なお、御要求の資料につきましては、可能であるものにつきましては御提出申し上げますけれども、実は、この節減も、私が非常に困難な、なかなかやりにくい節減をいたしておると申しますのも、納得ずくで各関係のところから、それぞれをこれでいきますということで積み上げてつくったものではございません。それを待ちましては、一五%というような節約分はなかなか出てまいりませんので、これは経営の意思によって、どこまでも実行過程においては、それ以上は認めないと、こういうことで出しておりますので、あるいは御要望に沿いますような具体的項目ごとのそれが資料として整わないかもしれません。整い得るものにつきましては御提出を申し上げることにいたしたいと思います。
  165. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私はここで釈明いたしたいと思います。  新谷委員は、私の意見と副会長の意見は異なるとおっしゃいましたが、全く同じです。副会長は、私が経営委員会の承認を得て任命している副会長でございます。
  166. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 同じか違うか、これは速記録を見て判断いたしましょう。私は、いま小野副会長の言われたような事柄ですね、それについて、まあ聞き違いもあるし、言い違いもあるから、それは速記録を見て言いましょう。  とにかく、節約をしたとおっしゃるから、どの点で、どのくらい節約ができたのか、それをお出しにならないと、予算の審議ができませんからね、それを要求しているんです。  それから、中で一つ具体的に申し上げてお尋ねいたしておきたいことは、これは名前を言うと、ぐあいが悪いからお話し申し上げませんけれども、あなたのほうの関係の方がやはりたびたび来られて説明をしておられるんです、事前にですね。ある程度具体的に伺った点もあります。そこで、こういった点はどうなんですか。私は、十年も前から、たとえば、これは主としてラジオですけれども、ラジオでどんどん第二放送をおやりになるわけです、広域圏では。一方では、やはりローカル局があるわけですね、各府県単位の。そこでやはりローカル放送をやっているわけですね。つまり、ローカル放送の時間というものは、一日のうち何時間ありますか三時間か四時間でしょう。その残りの時間は何をやっているかといいますと、やはり第一放送や第二放送のような、つまり、キーステーションから出しておられる、大電力で出しておられるのをそのまま同じ放送をしているわけです。むだじゃないかと言ったんです。もう少し何かローカル局を統合できないだろうか。これは速記録をごらんになっても、私は何年間か、何回か言っておるんです。むだだと思うんです。つまり、中央放送局をひねっても、あるいはローカル局をひねっても、一日のうちの大部分は同じ放送をやっているわけです。大電力になっていますからね、広域圏でもそういうラジオが聞こえないというところがあるかというと、ほとんど聞こえていますね。全く二重になっているんです。人件費もかかるし、それから物件費もかかるし、電力も同じにかかりますし、何から何まで二重になっているんです。何とかくふうをしなさいということを言ってきた。この間、説明に来られた方の御説明によりますと、今度はそれをやりますと、こう言っておるわけです。そういうことは、この予算の中に入っているのか、あるいは実行上、これから漸次――これはなかなか各府県の関係があってむずかしいかもしれません。そういうことをこれからやろうというのか。あるいは来年度はやらないのか。そういうことにつきまして、むだを省くという意味では、私はまだまだ余地はたくさんあると思うんです。だから、節約をいたしましたという計数をお出しになるときに、そういった問題がどう処理されているかということもはっきりとわかるように書いておいていただきたいと思います。
  167. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) ただいまの点につきましては、ごもっともでございます。いち早く、会長は、部内に対しまして、大電力の整備に伴いまして、その間にあります中継局は大電力でなかったときに必要であったものでございますので、大電力になれば、当然に整理をすべきものでありますので、早急に整理をするように指示を出しております。目下、関係のところにおいては、そういう作業をいたしておりますので、四十七年度中に全部はできないと思います。理屈としては、これはもう一気に取っ払ってもいいようなものでございますけれども、地域住民等いろいろな関係がございまして、一挙に理屈どおりにいかない面もございますので、そういう面は漸次整理をしつつ、四十七年度から着手をするということに相なっております。
  168. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 で、私の言いたいのは、それはいずれおやりになるでしょう、いまにテレビについても同じような問題が起こってくると思います。しかし、テレビに関しましては、UHFの局がまだできつつありますので、全体の再編成ということはあと回しになると思います。しかし、ラジオについては、一応今後再編成が大きくあるということも伝えられておりますから、一応落ちついていますから、現在の段階でそういうことを考えておる、命令をしたとおっしゃる。四十七年度の予算ではこの予算の中には入っているのか、入ってないのか。これは明瞭な節約ですよ、それが入っているのか、入ってないのか。
  169. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 新谷先生の御質問お答えいたします。第二放送のローカルを四十七年度においては廃止する、そして四十分廃止になりますので、従来第一放送、第二放送合わせて三時間十分のローカルの編成がございましたのが二時間半ということになります。そして、会長の御指示もございまして、将来にわたってローカルはFMに移行していく。ただ、経過的に申しまして、FMの受信機の普及度合い等々を勘案して、第一放送のローカルを漸減していくという考え方でいるわけでございます。来年度におきましては、第二放送のローカルを全廃するという第一着手に入ったわけでございます。
  170. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この問題については、次の機会に資料を少し出していただきましてお尋ねをしたいと思います。  それからもう一つだけ聞かしていただきますが、一方では、出資のほうの節減をすると同時に、一方では、やっぱり収入の増加をはからなきゃならぬ、これは当然のことでしょう。そこで収入というのは何だと言いますと、これは政府からの交付金、いまのところ海外放送交付金が十分とは言えない。これはもっと政府に対して要求をされて、フルにもらわれる必要があると思いますけれども、この点は別として、大部分の収入というものはやっぱり受信料でしょう。ほかに何もNHKは収入ないわけですからね。受信料に関しましていろいろお聞きしたいことがたくさん出てきているわけです。この予算を見たわけでもないのですが、予算と離れましていろいろの機会に研究してみますと、非常に徴収の困難区域とか、あるいは払わないという人たちがふえているようですね。これに対して受信料の徴収費といいますか、これは非常に年々ふえてきている。NHKの収納費、徴収費といいますか、これがふえてきている。にもかかわらず何といいますか、受信料を納めないという、払わないという人の数が一向に減らないのみならず、ふえてきているという事実ですね。これは、私はNHKとしては一番大事な問題として取り上げなきゃならぬと思うんです。法律では御承知のように、ほかの国では、あるいは受信料を支払えと法律に書いてあるのもあるし、あるいは政府が徴収しているものもある。日本の法律はきわめて民主的にやれということで、NHKと契約をしなければならない。その受信契約に基づいてNHKは受信料の徴収をするというころになっているわけですね。そこで、一体受信料の徴収ということについて、NHKも非常にたくさんの人を頼んだり、あるいは自分で抱えたりして、一生懸命になって収納事務を上げようというのでやっておられることは了承しておりますがね。これは一方からいいますと、いままでの法律論からいうと、これは公共負担だと思う。その考え方が非常に変ったとも聞いていないんですね。政府側のほうでもNHKのほうでも。そうしますと、自分は払わないよという人が多ければ多いほど、これはほかの人が負担をしなければならぬということになってくるわけですね。道路なんかでもそうだと思うんです。これは自分も受益者である。しかし、おれは払わないよといいますと、ほかの人がみんなかぶっていくわけです。公共負担というのが原則であれば、これはほんとうにそれだけの権限を法律によって与えられているのだから、どんなことをしたって、これは徴収するように努力をされなければならぬと思うのです。それがいま言ったような結果です。NHKの調べによると、大体三十万ぐらいありますとこう言っておられる、実際はもっとあるでしょう。こういったものを私はほっていいとは言いません。しかし、こういったものに対する努力が非常に欠如しているのではないか、これは何億とは言いませんが、収入を上げることは私は決して不可能ではない。これについては一体どういう方法で、具体的に非常にむずかしい問題もありましょうから、一概には言えぬと思います。中には市会で決議して払いませんなんて言っているところもあるのですから、なかなかむずかしい。どういう具体的な方法をとりまして、この収入を上げるように努力しておられるのか、これは会長でも副会長でもいいですから答えてください。
  171. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) いまお尋ねの点はNHKの最も大事な点でございますし、国民の負託に沿いまして最も基本的な問題であろうと思います。この点につきましては、いろいろ表に出ておりますものは、未収の関係、あるいは、それが欠損になりますものが少しではございますけれども少しふえている。その辺まで客観情勢がむずかしくなっているということが言えようと思います。そういう面からもっと努力すればうまくいくのではないかと、こういうお尋ねでございますが、そういった面もありましょうけれども、実際この面につきましての努力を怠っているわけではございません。いろいろ最大の努力を払って、この問題には対処しているわけでございますけれども、そこにいろいろな法律上の限界、そういったようなこともお尋ねでございました。もちろん、そういう面も関係があろうかと思いますけれども、むしろ、これは、あるいは国の手によって徴収をする、あるいは非常な罰則をつけるというようなことでまいりますことがはたしていいかどうか、この点は非常に疑問だと私は考えております。と申しますのは、やはりそういった受信料の性格につきましてもお触れになりました。性格につきましては、その条文を法理的に解釈をすると、聞き得る状態にあれば契約をしなければならない、こういう法学者の見解で、大多数の見解として受信料の性格を考えれば、これはやはり放送の受信の対象になる方々が、NHKという公共放送機関を必要機関として、これをささえていくための必要な分担金だと、このように解釈されます。私はそういうような面を振りかざして徴収には当たっておりません。そういうことを現実にやりますと、かえって徴収しにくいことになりますので、できるだけNHKに親愛の感じを持っていただくような、そういう高飛車じゃなしに、努力を重ねているわけでございます。この関係に従事しております人員も、全体で、全国で直収といいますが、職員でこの関係に当たっている者が約千人ちょっとでございます。委託関係で三千六百人でございますし、郵政省に委託しております特定局で集金をいたします者が約三千七百でございます。これらを総計をいたしますと約八千ぐらいでございますけれども、現在約二千四百万世帯でございますけれども、ほとんど各戸にわたりまして契約の獲得の努力、並びに集金の努力をいたしておるわけでございます。おそらく簡易保険では、そういった簡易保険の勧奨なり集金に当たっておられる方は、私がおりました当時でも二万人おりましたので、現在はあるいはもっとふえているかもわかりませんけれども、人員としては必要最小限度の人員によって処理をいたしております。と同時に、漸次社会環境の変遷に従いまして非常にこういった面につきましては生活態様の変化によりまして、何度行っても不在で会えない、こういう世帯が、特に大都会においてふえつつあります。アパート住まいが多くなるに従いまして共かせぎもありましょうし、そういう事態が急激にふえつつあります。こういう面で、かつては平均いたしまして二回か三回訪問すれば徴収できたものが、現在では六回、七回重ねてもなかなか徴収に至らぬと、こういうようなことがございまして、この集金の諸君の労苦は非常にたいへんな状態になっておるわけでございます。そういうようなこと、並びに非常に全体を通じまして居所の変更これが非常に多うございます。特に大都会におきましては非常に多いわけでございまして、そういう面からまいりまして非常な困難度がございまして、一応そういう状況が都市の近代化、生活態様の近代化等の関係によりまして困難度が増しつつある限度におきましては収納が非常に困難になってまいりつつあるということは言えますけれども、それでも現在契約をして払わなきゃならぬ、それの九九%はりっぱに払っておるわけでございます。この成績は諸外国の例から見ましても、イギリスあたりはかなり強い罰則を、しかもBBCは職員あるいは自前の人手を要せずして郵便局に支払いに来るたてまえになっておりますけれども、これでも七%から八%の未収があるように聞いております。フランス、イタリア等におきましても日本をはるかに凌駕した三%ぐらいの未収があるようでございますし、また、日本国内におきましても、あの供給ストップできる電気、ガス等の集金の面につきましても、あれほどであれば一〇〇%取れるであろうと思われますそれがNHKの収納成績よりも悪いのであります。国税にいたしましても大蔵省関係からは一度委員会で御答弁になったことがありますけれども、三%は税金を取るべくして取れないものがあるということでございます。そういうような面から見ますと、非常な努力を傾注しておりますということは言えるわけでございます。  ただ、現状をもって満足すべきではございませんし、お説のとおり負担公平の原則からいってそういった状況を実現しますためにはなお一そうの努力をしなければならないわけでありまして、そういう面から地域地域によって困難度も違います。そういう面で、特に困難度の高いところにはベテランの集金人を配置いたしまして、もっぱらそういう困難な地域を分担して徴収に当たらせるというような施策もとっておりますし、また、全国的には小さく区分を、地域を区切りまして、そういった集金区をたくさん設けることによってこれの非常な能率化、近代化をはかりつつ営業活動の一そうの効率を高めていこうというような施策を講じつつあるわけでございまして、何ぶんそういった労苦の面も御了解をいただきたいと思います。
  172. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私も言ったように努力は認めています、一生懸命にやっておられるのはわかる、これ以外に収入ないのですから当然のことですね。ただ、結果的に見ますといろいろな原因があるでしょうけれども、何といいますか、未払いの人がふえてきている。しかも今度の予算で、少しこまかいことを調べてみますと、いままでは大体、あなたいま九九%と、未払いが一%と言われた、いままでは一%なかったのですよ、〇・六%くらいです、未収金というのが。それを今度、四十七年度には一%に上げているのですよ、初めからもうこれだけ未払いがふえるのだということを前提にしておられる、これはいろいろな事情があると思います。困難だけれども、しかしこう安易に未払い金、未払い者のパーセンテージを上げられちゃこれは困るのです。カラーテレビの受信契約者といいますか、受像機を持っておる人が千五百万というのでしょう、一%でも〇・五%でもなかなか大きい数字ですよ。〇・六から一%に上げたというようなことについては、あなた方の努力は否定するわけじゃないけれども、そういうところにわれわれとしては、かりにこれは〇・六でいったら、こんな八億くらいすぐ出るじゃないかという気がするのです、率直に言って。私は責任者でないからそうやりますとも、こうやったらやれるだろうということも、言うだけの具体的な方法というものは考えられない。しかし、あなた方はそれと毎日取っ組んでいるのです。ですから、そういうような考え方が何かしらここに、安易な考え方がどこかにあるのじゃないかという気がしてしようがない、無理もないでしょう、これはことしから急に、急にかどうか知らぬけれども、〇・六%から一%に上げちゃった、未払いの人を。だからもう少し方法を考えて、これはいろいろな原因がありましょうね。あなたの言うように引っ越しした人がどこへ行ったかわからぬとか、しかしその行き先へ行って引っ越した先へ行けばつかまるのだから、これはもう全然あなた方の捕捉しがたいどこか別のところへ行ったわけではない。年々、ことしでもって大体四百万くらいのカラーテレビの増加というものを見ているわけでしょう、そういう人をつかまえて、それもたいへんだと思いますよ。しかし、その仕組みが悪いのか何か知りませんけれども、しかし、こういう状態であるということは、一番、NHKの財政をささえておる受信料の徴収方法としてはまずいのじゃないか、端的に言いますと、もっと考える余地があるのじゃないかということを指摘せざるを得ないのです。これはあなた方を責めてこれはまずいじゃないかということのほかに、ちょっとあなたが言われたけれども、さっき私も申しましたが、これはほんとうに正直な人だけが払っている、いやだと言ってがむしゃらにやる人は払わなくていいのだというようなことが、そういう空気がだんだん広まってくるとこれはたいへんだと思うのです。次の法改正の機会には、もうこれは何か別な方法を考えなければしょうがないだろうというような意見もあるくらいですから、この制度でいく間は、これは多少経費はかかりましょうね、料金の徴収を一件上げようと思ったらあるいは比較にならないくらいのものが上がるかもしれませんけれども、あなたも言われたように、これはやっぱり公平に、法律に書いてあるように国民、受信者に負担をしてもらうという原則に立っておやりにならないと、これはもう公法上の一つの権限を与えられているようなものですからね。そうNHKの恣意によって運用を左右されちゃいかぬと思うのです。少し経費がかかってもおやりなさいということを言わざるを得ないのです。私は具体的にどうしろということをここで言う材料も何もない、またそれを言うつもりもありませんが、いままでの、三年なら三年、五年なら五年をおとりになって受信料の取れない、どうしても払わないという数ですね、あるいはそれの内容ですね、あなたが言ったようにどこへ行ったかわからぬとか、あるいはもう行っても私はきらいだから払わないのだ、こういう人もあるのでしょう、いろいろな種類があると思います。そういったものをひとつ分類されて、できれば、いまの約八千人くらいの人を動員する以外に方法があるのかないのか、そういったものを考えられて、何かここで対策を出してもらわないと、ああ、そうですが、NHKのおっしゃることはもっともですと、ご努力になってるんだから、無理もありませんということだけでは、こういう異例の予算が出ているだけに、私としては納得できない。そういう資料をこの次までにそろえてお出し願えますか。
  173. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 受信料負担の公正を期します上において、いろいろと御鞭撻をいただきました。これはごもっともなことでございまして、ありがたくちょうだいをいたします。なお、いろいろむずかしい面もございますけれども、私どもで知恵を出して、よりいい方法があれば、そういった面を検討してみたいと思いますし、現在よりも成績を上げる面、あるいはその成績を上げる上において何か改革を要する点があれば、そういう面をいろいろ真剣に努力をいたしてみたいと思います。ただ、先ほど〇・六%を急に一%に上げたと、急拠四十七年度予算でそうなっていると、こういうことでございますけれども、これはいわゆる未収に当たりますものではなく、結局はもう取れないものと、こういう見込のものでございます。これが大体〇・六%から一%でございますけれども、それは客観情勢による困難度の推移によりましてそのようなことになるわけでございますが、これは決して先の困難を予想をして、これにくじけて急拠予算上一%に改定したものではございません。四十三年度、四十四年度くらいまでは〇・六%で実績が推移しておりましたが、すでに四十五年、四十六年度、これも実績の上において一%、そういうような状況が実績としてあらわれておるわけでございます。そういう面から、いつまでも〇・六%というような実績に合わない架空な数字を予算に計上するのも、かえって予算の真実性を害することになりますので、過去二年の実績、これをそのまま踏まえましてそのまま計上したと、こういうものでございます。御要求の資料に対しましては、できるだけ御要望に沿い得るものを御提出申し上げたいと思います。
  174. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 資料が出てからまたお伺いいたします。  それからもう一つ、これも非常に大事な問題ですから、これは前田会長に聞きますが、昭和四十三年でしたか、カラーテレビの付加料金ができたのは。あのとき以来当委員会、これは衆議院もそうだったと思いますが、われわれもそういう意見を出したことがある。カラーテレビの付加料金を出して、あの当時はわれわれもラジオを無料にするとおっしゃるもんだから、非常に納得しがたい点もあったけれども、政府とNHKがこれでやっていけますと、こういうことだから、一応これに賛成をしたわけですがね。それからカラーテレビがどんどん普及しまして、あなたの答弁によりますと、その当時は六百万台くらいになったら下げるかと、なかなかそうはいきませんと思いますけれども考えますというような答弁、それから八百万台になったらどうだ、一千万台になったらどうだというので、これは国会で何べんも議論されているのです。あなたはそのときに、まあ、六百万台のときにはそうはっきりおっしゃらなかったですけれども、記録を見ますと、八百万台になったら、カラー料金は減額することを考えるかという質問に対して、その状態になれば、相当考えざるを得ないというような意味の答弁をしておられるわけです。記録に残っておりますね。そこで、物価の上昇もあり、従業員のベースアップもあり、これは当時考えておられたようにはすぐには実行できないということは常識でよくわかりますがね。ただ、この郵政大臣意見書にもその片りんがありますようにね、受信料の値上げということにつきましては、先ほどの御説明であなたは、四十七、八年度は絶対に値上げをする考えはありませんとおっしゃった。四十九年度から先はどうかということですね。これについてお触れになってないが、私たちはむしろこの委員会で何回か附帯決議もつけておりますよ。料金の減額ということは何回か附帯決議をいたしましたがね。それと違ったような反対の方向については、ここで論議もされてないのです。ですから、受信料の値上げという問題は、全国民に対する関係がありますので、われわれ非常にこれは重大視しておるわけです。慎重に考えておる、そうなければならぬと思います。そこで、四十七年度、八年度は上げませんとおっしゃったが、何か四十九年度になると考え直すんだというふうに聞こえますがね。これはそう簡単な問題じゃないのですよ。ですから、この機会に、非常に経済状態が変わってくれば、またそのときは新しい問題として考えることは言うまでもありませんがね。いまの状態で、八百万じゃない、その倍の千五百万のカラーテレビの受像者ができた。委員会の附帯決議なんかを見ても、減額についても考慮しろというようなこともありますから、それをどう受けとめておられるのか、その点をひとつ最後にお聞きしたいと思います。
  175. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 当委員会で四十三年度予算の御審議を願った際に、新谷先生のおっしゃったように、あの当時、月五十円のラジオ料金を無料とし、白黒三百三十円を十五円値下げしまして、そのかわりに将来に期待をかけてカラー契約百五十円の付加料金をお願いしたわけです。このことは、総体的に申し上げますと、百五十円マイナス六十五円でございます。したがって、あの四十三年度を起点とする――四十七年度はその五年目になるわけですが、起点の当時の計算では、五カ年間にかなりの赤字があるものという覚悟をしながらあれに踏み切ったわけです。これと関連して、御指摘のように、たぶん四十四年度は、私の記憶ですから、数字を間違えるかもしれませんが、御審議願ったあの当時の事業計画、予算書の白黒を合わしてカラー契約も含めたテレビ契約の総世帯数は千二百万ぐらいであったと思います。その後御承知のように、先生も御指摘されたように、あの当時第三次五カ年構想を立てたときの物価指数の値上がり指数の平均を、われわれは三・五%と計算をいたしました。その後現在では、七%でとまるかどうかという段階が実情でございます。で、経済企画庁が最近御発表になった経済白書、国民生活白書の中でも、値上がりの四十四年から四十六年までの統計は、三二%の値上がりをいたしております。その中で、公共料金の値上がりは、累積して二三%という数字が経済企画庁から発表されております。こういう事実から考えますと、私はそれを結論にいたすつもりはございませんが、私は、四十三年、四十四年、四十五年等においても御質問をいただいたかと思いますが、値下げを考えるという端的な御答弁は申し上げてないつもりでございます。そういう時期にはあるいは検討を要する時期が来るかもしれないと、もしその時期が検討を要する時期であれば、その検討が必要でありますという答え方だと、私は記憶しておるわけであります。まあ、決算とも関連して御質問をいただいたわけですが、われわれが今後、したがって、四十六年あるいは四十七年等と関連して、私が普通にいま申し上げている、実は国会ではございませんけれども、大体カラー料金が総収入の八〇%から九〇%になった時期においては、料金を考える時期が来るであろうということは、私は各方面に申し上げております。われわれがいま考えている昭和四十七年度を起点とする第四次構想の五カ年後の契約可能の世帯、大数世帯は三千三百万に達すると考えております。そのうちの二千四百万世帯がカラー契約者になるであろうという私は予想を立てております。その数字が、その後経済情勢がどういうふうになるかは別として、非常に単純に考えれば、そういう時期に料金をどうするかということを考える時期が来るんじゃないかと、私は現在心ひそかに考えております。  先ほど来いろいろ御質問もございましたし、副会長からも御答弁申し上げましたが、私としては郵政大臣にこの予算書を提出するにあたって、まずはっきり申し上げられることは、四十七年度、四十八年度は値上げする必要がないと思っております。四十九年度についても私は多少、詳しい説明はしませんでしたが、あるいは値上げなどという問題は起こらないかもしれないということは間接に御説明申し上げました。ただ三年後にはどうなるか、五年後にはどうなるかという問題は、私も神さまではございませんので、ここで確言するわけにはまいりません。しかし、確言しないということは値上げを考えているということとは全く別のものであると、御理解いただければ幸いだと思います。
  176. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 委員長にお願いしておきますが、資料要求をいたします。出てきたあとで、次の機会でもけっこうですし、来週でもけっこうです。若干質疑が残っておりますから、その機会を与えていただくことにして、きょうは失礼します。
  177. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 委員長から申し添えておきますが、新谷君御要望の資料につきましては、よろしくひとつ御配慮をいただきたいと思います。では理事の皆さんにも御相談を申し上げまして、御希望の趣旨については新谷先生にしかるべく配慮するつもりでございます。  それでは長田裕二君。
  178. 長田裕二

    ○長田裕二君 NHKの四十七年度予算に関連しまして、特に国際放送を中心に若干御質問いたしたいと思います。  NHKが放送法第九条の二によりまして、「国際放送を行なうものとする。」とされまして、さらにその四十四条の五におきまして、「わが国の文化、産業その他の事情を紹介してわが国に対する正しい認識をつちかい、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するとともに、海外同胞に適切な慰安を与えるようにしなければならない。」という規定に従って国際放送を行なっているわけですが、今日の日本の状況、特に諸外国との関係がだんだん変わってまいりまして、エコノミックアニマルだとか、あるいは軍国主義だとか、そういうようなことなどもいろいろ言われたりしているような今日の状況あるいは今後の状況からしまして、この国際放送にどのような姿勢で取り組もうとしておられるか、これをどういうふうに評価しておられるか、前田会長の御意見を伺いたいと思います。
  179. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 御指摘のとおりでありまして、昭和三十四年の放送法の一部改正によりまして、国際放送はそれまで命令放送一本でございましたが、NHKの本来業務として自主放送をすることになりました。これは私どもは特に敗戦国として軍閥政策と申しますか、戦前の特別な経緯と実情から見て、命令放送一本ではNHKの海外放送は海外で信用を博することはできないだろう、そしてこれは単に日本ばかりではなく、イギリス等においてもBBCの放送は政府の命令放送になっておりますが、ロイター等は政府の一部通信機関の性格を持っておりましたが、全く株式会社に改組されたわけです。社団法人にですね。で、現在そういう傾向が、ことに敗戦国の場合、ドイツにおきましてもそういう傾向が強いわけです。それによって新しい、ほんとうにそうなんだという実績を示す海外放送が行なわれなければ海外との関係はなかなか改善できないわけです。その点で、四十四条の五の精神を発揮するためにも、当時政府側におかれても、当委員会におかれても、またわれわれ自身の希望としても、やはり国際放送が一応原則としてはNHKの本来業務であることが望ましいという環境の中で、あの法改正が行なわれたわけでございます。  で、その後、所得倍増政策その他を通じて、同時に日本の新憲法によって国策のために軍事力を用いないという大前提のもとに、日本の経済回復はまことに目ざましいものがあり、これによって諸外国では、仰せのとおり一部では軍事力にかえた経済侵略を始めているというような批評も巷間出ているわけですが、私どもとしてはそういう誤解を一掃するために、国際放送は国民の皆さんにかわり全力を注ぐべきだという見解を持っております。ただこれについてはわれわれの波が聞こえないとか、いろいろな意味もございますが、現在一日三十七時間、十八の方向に対して二十三の国語で放送している。この限界においてはNHKの海外放送はかなり全世界的に信頼を博していることは事実でございます。これはロンドンの団体が中心になって毎年海外放送の世界コンクールをやっておりますが、その結果は、最新のものは後ほど担当者から報告いたさせますが、NHKはここ数年来海外の信頼をかなり深めまして、大体第二位ぐらいのところにきているわけでございます。ただ、私は現在の施設と波の数からいって、海外放送をほんとうに国益のために、あるいは国際間の相互理解を深めるためにはまだ不十分であるという考え方を持っております。昭和三十四年の放送法改正のときには、同時にNHKが使う波の方向も原則もきめられたわけですが、そのとき初めてFMなどという問題も出たわけですけれども、その年度のNHKに与えられた海外放送の波はわずかに一波でございました。一方向に対して一波。これは世界まれなる、世界じゅうにない波の数でございます。その後皆さんの御理解を得て、郵政当局の御支援もいただいて今日では波は三波になっております。しかしまあこの三波という波は、海外放送をしている放送機関としては今日依然として最低のものでございます。アメリカ等におきましても最低八波を使っております。イギリス等においてはそれよりも上回っているというのが現状でございます。それからまた、送信機においてもきわめて貧弱でございます。したがいまして、私はNHKとしては九条の二及び四十四条の五の条項に従って、全力をあげたいと思っておりますけれども、放送効果という点から見て、波の数と送信機の問題を再編成すべき時期が来ているというように感じているわけでございます。(「バンコックなんか聞こえないと言ってたよ」と呼ぶ者あり)
  180. 長田裕二

    ○長田裕二君 郵政大臣にお伺いしたいのですが、戦前相当の海外放送を行なっておりましたのが、終戦とともに禁止をされまして、さらに二十七年の二月から国際放送が再開された。その再開されるにつきましては、放送法三十三条「郵政大臣は、」「国際放送を行うべきことを命ずることができる。」という規定に基づきまして国際放送の実施命令が出されておりまして、その後さらにNHKの業務として幅広くやれるというようなことになったわけですが、郵政大臣として、国際放送全般につきましての見方、評価、あるいは現在三十三条という規定が依然として残りまして、若干の経費の裏づけを持ちまして実施命令をしておられるということの意義等につきましての御意見をお伺いいたします。
  181. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 国際放送の使命、役割り等については、先刻、冒頭に長田委員から御質問のありましたことばの中にありましたように、わが国の産業、経済、文化、社会、あらゆる真の姿を諸外国に知ってもらいまして、国際親善に資する、また経済交流に役立たせる、並びに在外同胞に慰楽を与えるというようなことで、非常に重大なものがあると思うんでございまして、これますます盛んにしなければならないというわけでございます。ただいまNHK会長から御説明がありましたように、この国際放送については、NHK本来の自主的な業務としておやりになっておられますとともに、政府といたしましても国際放送に対しましては命令ができると。その命令の内容といたしましては、時事あるいは国策、さらに国際問題に対する政府の意見等を報道したり、解説したりしてもらいたいということでやっております。そういう命令を出しておりますわけでございます。しかし、NHK本来の業務と政府が命令によってやっていただいておりますことを区別することなく、こん然一体と申しますか、その両方をうまく調和いたしまして、適宜な放送をされまして、最も効果を多くあげていただきたいと、こういう念願でお願いをいたしておりますし、政府の命令はさような趣旨で出しておりますわけでございます。
  182. 長田裕二

    ○長田裕二君 放送法四十四条の五の精神は、いろいろな機会に日本全体としてその点を心がけていかなければならないことだとも思うわけですが、特に外務省は、そういう点について意識的に計画的に積極的に取り組んでいくべき立場にあると思うわけですが、放送以外にどういう面でやっておられるかということ、あるいは外務省自体がやらなくても、日本としてどういうことがいま積極的に計画的になされているかということ、それからそういう中で、国際放送というものについて外務省としてはどういう評価をしておられるか、位置づけをされておられるか、それにつきましての外務省側の御意見を伺いたいと思います。
  183. 伊藤義文

    説明員(伊藤義文君) ただいま御指摘になりましたとおり、わが海外広報の精神は、わが国の外交政策、わが国の国情というものを広く海外に認識せしめて、相互の理解と親善に資するということにあるわけでありますが、その方法とそれから内容、そういうものはときとともに必然的に変遷いたすものでございますけれども、最も基本的にわれわれがやっておりますのは、海外広報の主体としては外務省がございますが、御存じのとおり、全世界に百四十三の公館がございまして、ここに広報担当官というものがおりまして、これが講演だとか資料とか映画、写真その他あらゆる機会を利用してこの広報に当たっているわけでございます。  具体的にどういうことをやっておるかという御質問だと思うのでございますが、最も基本的なものは、広報資料を作成し配付する、こういうことでございまして、外務省といたしましては、これは非常にたくさんございます。それからまた、定期、不定期を通じて多種多様にわたります。また、使用語数も数カ国語から三十八カ国語に上るというものを出しております。御承知だと思いますが、最も基本的な「今日の日本」、「リーフレット・ジャパン」、「レファレンス・シリーズ」、「インフォメーション・ブレテイン」というものを在外公館を通じて出しております。あるいは在外公館のいわゆるロジスティックの役割りとして資料を提供するということが根本的な資料提供の趣旨でございます。そのほか、グラフを出しあるいはポスター、カレンダーあるいは地図というものを出しております。これは、単に内容のみならず、印刷、色彩というものを非常に美麗にしておりまして、これは日本の工業水準と申しますか、印刷技術のすばらしさというものをあわせて紹介するというような趣旨から出ているわけでございます。  それからあとは広報映画でございます。それからスライドもございまして、これは御存じのとおり、世界にはまだ相当後進国というものがございまして、文盲率の高いところもございます。そういうところに日本を知らせるには、何といっても目で見せる視聴覚広報というものが最も有効でございまして、そのために、毎年、外務省では四本ずつ広報映画をつくっておりまして、これを在外公館を通じて、向こうの映画館その他を通じて、あるいは映写機等も貸し出して映写しておるのであります。特に中近東とかアフリカとかあるいはアジア、こういった要するに辺境に行きますと、電気施設がございません。そこで、特にジープ式のものを改造いたしまして、広報車をつくりまして、これに発電設備から映写設備、録音機、テープレコーダー、こういったものを全部備えつけまして、どんな片いなかでも広い場所さえあればこれが上映できるというような体制をとっております。現在この配置公館は三十四公館に及んでおります。  それから月に一回、「ジャパン・スクリーン・トピックス」と申しまして、日本のトピックスを取り上げた映画というものをつくりまして、各国のテレビのテレビ上映用につくって、これを大体五十数カ国に流しております。そのほか、写真なんかを各国の新聞、雑誌あるいは百科辞典、教育用図書等に掲載するような写真を年間に三千種、約六万枚というものをつくっておるわけでございます。  それから、何と申しましても、広報も必要なんでございますけれども、やはり、いろいろ日本はいま批判の対象になっておるところでございますので、報道機関の人に日本に来てもらい、日本のいいところも悪いところも含めて見てもらうということも最も有効になると思いまして、現在、外務省は年間四十名でございますが、有力報道関係者を約二週間日本に招待いたしておりまして、日本の外交、内政、経済、社会、文化一般について見学視察せしめておるということでございますが、このほかに、年間大体五百人くらい新聞記者が参りますので、これに対していろいろ見学その他のあっせんということもやっております。  その他外国のテレビチームでございますが、テレビチームというものを呼びまして、そうして同じような便宜供与をするわけでございます。  それから、もう一つは、外国の教科書とか百科辞典等には、いまもって日本に対する誤った記述がございます。そこで、こういった百科辞典あるいは教科書なんかを、在外公館その他を通じて広く集めまして、これは外務省の外郭団体であります国際教育情報センターというものがございまして、ここで誤った資料を全部直して、逐一直し、あるいは正しい写真をやるとかということで、記述の訂正というようなことをやっております。これは、やはり広報というものは、次代をになう青少年というものに対する教育というものが非常に重要でございます。この意味おいて教科書その他の誤った記述を直すということは、非常に肝腎なことだと思います。  それから、各国に現在二十三カ所ございますが、 ニューヨーク、パリ、ジャカルタあるいはアジアその他の地域二十三カ所の広報文化センターというのを置いてございまして、これは要するに、普通の大使館よりも少し選ばれたようなかっこうで、たとえば、展示場とか図書室とか映画教室、生け花教室というような施設を備えた主要な地域二十三カ所でやっております。これが一応広報の中核となるわけでございます。  それから、対日論調の分析把握というのがございまして、広報をやる場合には相手国が日本に対して何を考え、何を思い、何を欲し、何を言わんとしているかということを十分に把握しなければならないというので、おのおのの国の対日論調の把握というのが非常に重要な仕事だと思います。これはもちろん、現地における大使館その他が適宜これを把握して本省に報告しております。あるいは場合によっては対日世論調査を行なうということも行なっております。まあ、これはそのほか特に最近は米国との関係が経済問題というものに端を発しまして、非常にきびしい考え方があったということもございまして、特に対外広報ということで力を注いでおります。これは具体的にはやはり人を呼ぶということでございまして、最近はアメリカの上院のスタンディングコミティーのメンバーを呼ぶ、あるいは議員秘書を呼ぶ、あるいは米国のいわゆる有権者同盟、あるいはそれから最近労働組合のAFL、CIOの議長とか、あるいは学者を呼んでゼミナールを行なうということをやっております。以上がまあ大体わが国の海外広報をやっている種目なんでございますが、そのほか御存じと思いますけれども、いわゆる文化事業部というのがございまして、日本語研究、日本語講座、あるいは日本語学習の推進あるいは文化面の人物交流、こういうことをやっておりまして、幸いにして今年度から国際交流基金資金五十億円が認められまして、一つの橋頭堡ができたというのは御存じのとおりと思います。  そこで第二の問題だと思いますが、国際放送をどのように評価し、位置づけていくかということなんでございますが、広報というものはいまも申し上げましたとおり、海外広報というものには一定の定型があるわけではございません。時代と場所によって変遷するわけでございまして、したがって、その意味おいて特に最近はマス・メディアを通ずる広報というものが非常に重要であるという意味おいて、NHKのやっておられるいわゆる国際放送というものがわれわれとしても大いにアプリシエートしておりますし、これは今後も強力に推進していくへきだと思うのですが、ただ、先ほどNHKの会長が御指摘になりました技術あるいは財政的な理由によってなかなか問題点があるようでございますから、こういった問題点を克服して今後とも強力に進めていくことは非常に重要だと思って、及ばずながらわれわれもできるだけ御協力したいと思っておる次第でございます。
  184. 長田裕二

    ○長田裕二君 外務省は海外に百四十幾つですか、全部あるかどうか知りませんが、非常にたくさんの在外公館スタッフを擁しているわけですし、国際放送について先ほどもちょっとお話に出て、松岡さんからも聞こえないというお話があったようですが、幾つかの問題があることも御存じのとおりですが、そういう在外公館なりスタッフを先ほどおっしゃったような面で十分活用されることはもとよりですけれども、この国際放送についてもどうしたら相手側に非常に訴えるものがよく聞こえるようになるかというようなことにつきましても今後一そうの関心を持っていただきたいと思うわけです。  その次に経費の関係ですが、四十七年度の収支予算、事業計画及び資金計画の冊子の中に、NHKの国際放送費七億六千八百余万円と出ておりますし、それからあとのほうによりましても四十六年度が七億六千五百万円だったというようなことが出ているわけですが、別の資料では、四十六年度に十三億二百万円、国際的な企画をする場合に、あるいは政府交付金との関係なんかで、そういう数字が出ておったりいたしますが、この七億六千八百万の内訳を教えていただきたいことと、それから十三億というのは、それ以外のどういう経費が加わって十三億になっているのかということをお答え願いたい。
  185. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) お答え申し上げます。  七億六千八百万円という御指摘の数字につきましては、予算書の国際放送費という科目に入っております。いわゆる物件費関係でございます。これに、国際放送に従事いたします人員が二百七十二名おりますが、これの人件費につきましては予算書の給与の欄に合算されているわけでございます。この人件費に関係いたしましていわゆる社会保険関係事業主負担分、これの拠出がございます。かような経費等をまじえまして総額が十三億七千九百七十万八千円という数字に相なるわけでございまして、総経費という概念で包みました場合に十三億七千万円というふうになるわけでございます。  そこで、物件費のほうの七億の内訳の件でございますが、これは予算書の事業運営計画のところにもちょっと記載してございますが、番組関係で四億四百七万五千円でございます。番組関係と申しますのは、国際放送に乗せます報道番組、インフォーメーション番組等の製作に要します経費でございまして、さらに技術関係といたしまして通信施設関係、これは御存じのとおり、ただいま国際電電の施設を借用いたしまして短波の送信機を使って電波を発射いたしておるわけでございますが、これの使用料金でございます。それに関係いたします少々の技術的な諸経費等を加えましてこれが三億六千三百九十六万六千円でございます。以上二つの大きな項目を合わせまして七億六千八百万円という数字に相なっております。
  186. 長田裕二

    ○長田裕二君 いまの御説明ですと、七億六千八百万円の内訳が番組制作並びに通信施設の関係の経費だ、それから、それが十三億二百万円になるのは、そのほか二百七十二人の人件費の社会保険関係事業主負担などが加わってのことだと、そういうふうにお聞きしたのですが、そのとおりですか。
  187. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) さようでございます。
  188. 長田裕二

    ○長田裕二君 そうしますと、まあこれは経費の見方ですけれども、たとえば業務費、管理費、調査研究費というようなものなどもやはり国際放送の分野としても若干割り掛け費を分担しなければならないような感じがしますが、そういうようなものは協会の内部ではどういう扱いになっておりますか。
  189. 斎藤清

    参考人(斎藤清君) 御指摘のとおり、管理費等につきまして一般的な意味での諸掛かりといいましょうか、そういうようなものを分計するということはあり得ると思います。ただ御指摘の業務費等につきましては、これは国内の営業活動の関係でございまして、直接国際放送に関係ございません。なお、国際放送の周知費的なものにつきましては国際放送費の番組制作関係に関連いたしまして、非常にささいでございますが、先ほどの金額の中に入っております。総じて申しまして、ただいま申し上げた十三億七千九百万円でほぼ国際放送についてはやっているということは申し上げられると思います。
  190. 長田裕二

    ○長田裕二君 業務費を国内放送費のほうにだけ割り掛けるべきか、その収入を国際放送にも割り掛けるべきかという問題はいろいろ考え方があると思いますが、それはけっこうですが、それらに関連いたしまして、先日もほかの委員からも四十四年度の決算の際に要望があったようですけれども、この大きな項の内訳がもう少しはっきりしますとよろしいわけで、これについては以前御質問しました際に、確かNHK内部では、会計規程といいますか、経理規程といいますか、そういうものをつくって運用しておられるということですが、必須の法律上の資料ではないことはよく承知しておりますけれども、もう少し実態がわかりやすいような資料を今後何らかの形で私どもにもお示し願いたいということを希望しておきます。  それから次に国際放送に対する各国の力の入れ方、目的も、日本は先ほど四十四条の五にありましたような趣旨でやっているわけでございますが、国によっていろいろ目的も違うかもしれません。あるいは放送時間とか、あるいは電力とか、経費とか、そういうようなことで、各国の力の入れ方について概略を伺いたい。その中で日本はどの程度の地位を占めているか、日本がどの程度の地位を占めるべきかということについては、これは視聴者の納める聴取料などとの関連で、どれも一つのファクターになりましょうし、私自身まだ十分な考え方を持っておらないわけでございますが、客観的に見て、いま日本がどの程度の地位にあるかというようなことについて御説明を願います。
  191. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 世界各国の国際放送に対する力の入れ方――これを大体使用国語数と放送の時間数でお答え申し上げますと、ソ連などは、これはああいった国でございますから、その目的はおおよそ御想像いただけると思います。その面では非常に力を入れております。七十三カ国語を使用し、一日大体二百時間の放送をいたしております。延べでございます。続いてアメリカが、これはアメリカの商業放送はこういうことをやっておらないと思いますけれども、VOAその他アメリカのそういった政府機関が行なっておるものだと思いますが、使用国語は三十七カ国語、一日百二十五時間くらいの延べの放送をいたしております。三番目に位するのが西独になります。二十八カ国語を使用し、一日百時間くらいの放送をいたしておるようでございます。まあイギリスでは、昔から国際放送にかなりの力を入れておったわけでございます。これはやはり植民地統治の必要上、そういった面につきまして、純然たる他国相手の海外放送のほかに、ねらいがやはりそういった植民地統治の関係にあったと思われます。現在では植民地が次々と独立をいたしておりますので、コモンウエルスの関係の面を対象にしての放送が多いと思いますが、四十二カ国語を使用し、一日九十五時間の放送をいたしております。続いてオーストラリアが、使用国語は八カ国で非常に少ないのでありますが、放送時間は四十二時間、日本よりもちょっと上回っているようであります。その次が日本でございまして、二十三カ国語を使用し、十八方向に対しまして、三十七時間、一日延べ放送をいたしております。その次がイタリアで二十五カ国語、一日三十三時間放送。フランスが十九カ国語で十九時間ぐらいの放送をいたしておるようでございます。もちろん、との内容と申しますか、その目的は、それぞれ国によって違いはありましょうけれども、およそ海外放送と名を打ちます以上は、国営の機関で、いろいろな宣伝を主たるものにいたしましても、やはり世界に受け入れられなければならぬという筋合いもございますので、日本のかかえております、そういうような各種目にわたっておりますけれども、すべてが宣伝ではなく、間にはやはり音楽放送もありましようし、娯楽関係のものもあろうかと思います。  どのくらいの経費をかけておるかということは、私の手元にはちょっと資料がございませんのでお答え申し上げかねますけれども、大体以上のような状況になっております。
  192. 長田裕二

    ○長田裕二君 日本の国際放送が十分その目的を果たしているかどうかという点につきましては、先ほど会長のお話だと、BBCの調査では第二番目になるのじゃなかろうかということで、放送内容とか、そういうような面については相当の評価を受けているのだろうと思いますが、先ほどからたびたびお話にも出ますように、聞こえるか聞こえないかという問題、あるいは言語の問題などについて十分成果があがっているかという点が、たいへん私、気になるわけでございます。私が昨年参りましたたとえばカイロあたり、あるいはブダぺストあたりでもほとんど聞こえない。NHKの駐在しておられる方が相当自信のある受信機を持って聞いてもあまりよくわからないので、しかし、日本のことはよくわかっているだろうと思って外国のプレスの方からいろいろ聞かれたりする。何も答えないわけにいかないから、BBCで聞いたことに自分の考えをまじえて答えているという話でございましたが、何といいますか、こちらで考えている以上に聞こえない所が多いのじゃないかという感じがするわけですが、それらについてはどういう事情があるのかということと、もう一つ、それからことばなどについてゼネラル・サービスは日本語と英語だと、それ以外はたとえばカイロあたりですと、これはアラビア語なのかもしれませんが、そうするとカイロあたりで聞こえないというのは、ゼネラル・サービスをあまり一般的にやるから聞こえないということで、アラビア語なら聞こえるということになると、一体、じゃ、もうアラビア語で聞く人というのは相当あるのかどうなのか。在留邦人などは日本語で非常にいいだろうと思いますが、現地語なんかでやったりする場合には、相当の受信機をそろえてそれで日本の放送をほんとうに聞いてくれる人というのはどういう人なのか。そういう点なんかにつきましての分析なり何なりしておられると思いますけれども、そこらの実情を少しお話を願いたいと思います。
  193. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 市販の受信機を持って海外に行かれても、そう国内で聞くように聞こえることはないと思います。外務省の方もおられますが、戦前は各公館は特別の受信装置を持っておりました。それをもととして、在留邦人とか関係方面にそのレジュメを配布しておったような状態です。ところが、おそらく、在外公館のほうは知りませんが、在外公館でもいま市販のわりあいにいいという程度のものではないかというように私は考えます。  それと、私は先ほど波の問題を申し上げましたが、毎日毎日、空中状態とかデリンジャー現象ばかりでなく、いろいろな気象関係で聞こえたものが聞こえなくなったりするわけです。そのためには、波がたくさんあって、随時切りかえて聞こえるという方式をとらない限り、海外放送の実効をあげることは困難であろうというように思います。ことばの上では文明国と――いわゆる先進国と後進国では全くの相違があると思います。後進国で現地語を使ったからといって、受信機を買ってそれを聞く余裕は全くないと思います。妙な言い方ですが、私は長く各地におってその印象を深くしているわけです。そういう意味では、全くNHKがゼネラル・サービスということを考え出したのは、これとかなりの関係があるわけです。そうして第二次大戦後は、特に世界じゅうが英語を話すようになった、英語がわかるようになった。そういう意味では、英語のサービスというものは、少なくとも適当な受信機を買って海外放送に興味を持っている人たちは、聞き得る立場に立つということだと思うわけです。  それから日本語放送も必要ですが、これが中南米とかそこへ行って非常な関心を持つことは、日本、たとえば娯楽番組とか在留邦人に娯楽を提供せよという点は、もうハワイを初めとして三世、四世の時代になっておって、一世ないし二世がそれを楽しんでいる。ここに、また新しい問題が起きていると思います。少なくとも、第二次大戦後のそういう三世ぐらいの日本人になりますと、やはりその国籍を持っている国にまず忠誠を誓わなければならないし、それからもう日本語を理解する者はほとんどいなくなっております。これは南米等においてはことに激しい変化でございます。  そういう意味で、私はこの国際放送の内容と放送のしかたについて根本問題は幾つかあるでしょうが、しかしそれは案外軽微な問題であって、少なくとも、やはり波を随時切りかえ得る、そしてだれでもが聞き得る波にすること、これが先決問題ではないかというのが私の印象でございます。
  194. 長田裕二

    ○長田裕二君 ともかく聞こえるような状態というものにすることが一番先決なわけですけれども、いま短波の放送、海外国際放送に使われる帯域というものはかなり各地域に競合して割り当てられていると思いますが、電監局長あれですか、聞こえる状態にするための努力というものがどういうふうにいま払われておりますか。あるいはこれはNHKのほうの方のお答えでもいいわけですけれども、状態によっていろいろ変わる、毎日刻刻と変わるものに対してその適用はできないかと思いますが、できるだけそういう空中状況だとかあるいは季節による変動とかあるいは外国の状況だとかをいろいろ調べながら、絶えず一番聞こえやすい状態というものに、私は郵政省電波監理局も大いに努力をしなければならないんだと思いますが、どういうふうにその面の努力なり協力をしておりますか。
  195. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 先ほどNHKの会長からも御説明がございましたように、国際放送で使う電波というのは短波帯というものでございまして、これが昼と夜で伝わり方が違う、季節によっても違う、あるいは年等によっても違うということで、いつも同じ周波数で放送しているというわけにはいかないというわけでございます。しかも、国際放送に使う電波というものが、国際的に周波数帯が定められておりまして、無尽蔵にあるものではない。したがいまして、各国が適当な波をやはり使いたいわけでございまして、非常に競合する、ぶつかり合う場合が多い。したがって、日本から短波で放送する場合は、できるだけほかの国の波と混信しないような波を使わなきゃならないというのが一点ございます。  それからまた、たとえばヨーロッパあたりになりますと、日本から一万キロ以上もの距離があるということで、電波がどうしても弱くなるという点でございます。したがいまして、日本から出す送信機の電力を強めなければならないという点でございます。ところが、この送信機の電力といっても限度がございまして、そうやたらに強いものを出すわけにもいかないということで、現在は最高二百キロワットという電力を使っておりますが、これはほかの国の放送を見ましても、それほど、二百キロワットというのが少ないわけではございませんで、大体その程度のものであればいいんじゃないかと思いますけれども、いかんせん距離が遠いということで、どうしても電波の強さが弱くなってくるというわけで、それには先ほどの周波数の組み合わせということもございまして、できるだけ到達する状態がよろしい電波、周波数を選んで適当な方向に出してやるということで、私どもその周波数の面あるいは電力の面、NHKあるいは国際電電ともども話し合いを絶えずやっておりまして、何とかして現地においてよく聞こえるようにということで努力しているわけでございます。  しかし、先ほどもお話がございましたように、たとえば長田先生がいらっしゃったカイロというところになりますと、これもやはり一万キロ以上も離れておりまして、この短波の電波というのが、電離層という地球の上にある特別な層がありまして、それに電波が反射して、こう伝わっていくと、カイロぐらいになりますと少なくとも三回ぐらい反射して伝わっていかなきゃならないということで、どうしてもその間弱くなってしまうというような状態でございます。理想的にいえばいま現在、この前も問題になりました沖繩のVOAのようにその近くで放送すれば一番電波が強く到達するわけでございますけれども、なかなかそういうわけにはいかないと。たとえばカイロでございますと、イギリスのBBCあたりから三千キロぐらいの距離にございますから。それから日本は一万キロ以上もあって、日本はなかなか相当な電力でやるのだけれどもどうしても役に立たない。しかもまた、先ほどもございましたような混信ということもございますのでなかなかむずかしいというのが現状でございます。しかし、われわれは、先ほども説明申しましたように、このNHKあるいは実際に電波を出すところのKDDというところと絶えず連絡をとりながら、少しでも受信が良好になるように現在努力しているという状態でございます。
  196. 長田裕二

    ○長田裕二君 いまのKDDによります商業通信なんかも電力でいえば、たとえば五キロから三〇キロくらいで相当遠距離もやっているというようなことから比べますと、二〇キロないし二〇〇キロでやっているというのは日本としては相当電力なんかも高いものを使っているような感じがするわけですが、これを増力することは技術的な困難さというものがあるわけですか、経費の問題でしょうか。どちらでしょうか。
  197. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 両方でございます。技術的といいますか、もちろん、二〇〇キロを五〇〇キロにするということはこれは技術的にはむずかしいわけじゃございません。ただし、経費が相当かかるという点がございます。ただまあ、二〇〇キロをたとえば五〇〇キロにしますと沖繩のVOAで問題になりましたように、周囲にまた妨害を与えるということもございまして、いまのあるところですぐに増力ができるかどうかという点になりますと、相当調査をしなければならないという状態でございます。
  198. 長田裕二

    ○長田裕二君 中近東のようにわりあいに日本と深い関係にあるところでなかなか届かないということはかなり問題なわけですが、さりとて中継局をつくるという問題は、VOAみたいなことにもなるという政策論からも、あるいはいまの法律上の点からもどうなるかいまはっきり私自身も結論が出ておりませんけれども、何かそれについてのどっかからの申し出というか、引き合いというか、そういうような、やってもいいぞというような話でもありますか。これは、あるいはNHKのほうへお尋ねすべきことかもわかりませんが。
  199. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 去年の秋の末からポルトガルでそういうことをやる放送局ができる、それでアプローチ――接触があったことは事実であります。しかしその実態が、はたしてどの程度の能力を持っているか。もう一つの行き方は、日本は敗戦国でいろいろな誤解がまだ解けておりませんからマンデート的などっかに中継所を建てるということは非常に困難だと思います。ただ、たとえばスイスの放送局の放送時間を買うとか、あるいは南米の放送局の放送時間を買うとかという方法は残されていると思います。しかし、これにはやはりかなりの金額が必要となりますので構想としては私どもも持っており、相手も別に反対はしておりませんが、支出の面でまだ未解決であるというように申し上げたいと思います。
  200. 長田裕二

    ○長田裕二君 まあ番組の交換というようなことはいまの放送法の中にもちょっと規定してありますが、こちらの望むものをやらせるということになると両方が合意しなければならないという意味で非常にむずかしいのだろうと思いますが、外務省も国際文化の交流にたいへん力を入れて、基金をつくったり、大いに今後力を入れようとしておられるようですが、そこらについて近く適当なアドバイスなり何なりというようなことも、今後どこの国についてはもし相手の放送局の事情が許すならどういうようなものが向いているとか、向いてないとか、そういうようなことを接触――NHKに対するアドバイスあるいはNHK側のほうにおかれてもそういう面に少し関心を持たれる気はないかどうか、外務省海外文化の広報費、そういうものを、これはまあそこでさくべきかどうかという一つの政策論もありますけれども、できればかなり有効な、その国民全体に対して非常に見てもらえる範囲が広いという意味では一考の価値のあるものではないかと思いますが……。
  201. 伊藤義文

    説明員(伊藤義文君) 御指摘のとおりでございます。先ほど申し上げましたとおり、最近におけるマス・メディアの広報を通ずる有効性ということもございますし、テレビ、ラジオを通ずる広報というものは非常に重要だと思います。外務省としても、いろいろな方策を講じてそのアプローチを試みておりますけれども、その意味で、NHKのやっておられる国際放送というものは非常に意味があると思います。これは適時、当省といたしましても、NHKと御相談いたして、今後とも強力にやっていきたいと思うわけであります。  いま外務省のやっておりますのは、先ほど申し上げました映画というものがございまして、この映画なんかを、これは、大きいのは十カ国から二十九カ国語ぐらいの語版をつくりまして、テレビ局、ラジオ局等を通じて流しておりますが、そのほか「スクリーン・トピックス」というものを毎月つくって、在外公館を通じて東南アジア、中南米、中近東その他にも流しております。それからNHKから出しております「週間テレビ・ニュース」や各種のラジオ放送用テープ、こういったものもNHKから無償または有償で供出していただいて、これを中近東とか、あるいはアジアとか、中南米、こういう方面に流しておるわけでございます。  それから、これは流すのも一つの手なんでございますが、われわれとしては、もう少し積極的にこちらの意図を伝えるという意味で、最近は外国のテレビ・チームというものを積極的に招待して、こちらで指導していきまして、ある程度のガイダンスを与える。最近は、昨年九月にNBCのテレビ・チームが参りまして、そのときもやりとりいたしましたし、それから九月に英国の「ウイーク・エンド」テレビ・チームを招待しました。最近は一月にサンフランシスコのテレビ局の国際問題担当の解説者を招待いたしまして、外務省の企画に基づくテレビ用映画を十五本くらいつくりまして、これはいま作成中でありますが、なかなか内容がいいと思いますので、米国のみならず、全世界の関係国の公館にも配布する予定でございます。それから最近は韓国、タイというところからもテレビ・チームを招待いたしております。これは人を呼ぶというだけではなくて、さらに積極的かつ主体的に放送メディアを通じて日本を知らせるという意味おいて非常に有効だと思います。
  202. 長田裕二

    ○長田裕二君 まだ国際放送についてはお聞きしたい点もずいぶんありますが、時間の関係もありますので、もうきょうはこの程度でやめます。  最後に、放送衛星、まあ日本の宇宙開発計画も少し練り直しの段階に入ったりしておりまして、どういうものをいつごろに織り込んでいくかということがやっぱりかなり大きな問題だと思うのですが、その中で放送衛星の開発状況、今後いつごろ、どういうふうな機能を発揮できるかということについて郵政省あるいはNHKにおかれても、現在持っておられます見通し、あるいは考え方をお示し願いたいと思います。
  203. 藤木栄

    政府委員(藤木栄君) 放送衛星につきましては、御存じのように、直接各家庭で放送を受信できるという時代は、これはまだだいぶ先のことだろうと思います。したがいまして、現在はいわゆる集団的にこの受信をして、有線あるいは無線で配給する、そういうようなことを一応目ざしまして、日本におきましてはそれのまあ前段階と申しますか、という程度のことを考えまして、いわゆる宇宙開発委員会の宇宙開発計画というものの中に、昭和五十二年度に実験用静止通信衛星というものの一環として、放送に使いまする十二メガサイクルという周波数でございますが、それのある程度の実験をできるようにということがきまっておるわけでございます。ただ、その先といいますものは、いま長田先生おっしゃいましたように、まだ具体的な計画がないわけでございまして、私どもとしましては、NHKと連絡をとりながら、いつ、どういうかっこうで実現するかということを、おそらく大きな方向としては大略は今年度中ぐらいにはっきりしておかなければならないと、まあ、そういうふうに考えております。
  204. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) はなはだあれですけれども、先ほど来の御質問に対して補完の意味で多少御説明さしていただきたいと思いますが、まあ、放送衛星については、いま電監局長からお話のあったとおりで、NHKはその一部を分担して御審議いただく明年度予算の研究費の中でも八千万円を投じております。ただ、放送法によりまして、国際海外放送につきましても国際放送番組審議会というのがございまして、外務省の情文局長郵政省の電監局長がそのメンバーになっていただいております。したがって、そういうお話も審議会の中でかわされているのじゃないかと、このように考えますが、私どもがまあヨーロッパの放送連合あるいはアジアの放送連合あるいはアフリカの放送連合、その他中南米、北米、それからカナダ等と密接な連絡をとって、連合相互間の協力を進めていくゆえんも、実はこのテレビが出てきたことによって海外放送の本質がかなり実際的に変わりつつあるということを重視しているからでございます。  通信衛星による各放送連合の中の機関の協力は御承知のとおりであり、ただ具体的に言えば、たとえば韓国等の場合でも、NHKのテレビジョンに多少の受信装置をすることによって韓国では十分見えるわけです。まあ、いろいろな地域でそういう可能性がある。そのためには、やはり放送連合の場で語り合いながら、今度はテレビによるある意味での線としては、番組交換の線あるいは技術援助の線にのっとるわけですが、そういう意味で、別の意味相互理解のチャンネルができつつあるという点もお考えいただく必要があるのじゃないか、このように考えます。まあ、現在のインテルサットでも各放送連合は、一年に最小限度二回くらい全世界放送を各局が参加して行なっている、これが相互理解のためにかなりの効果をあげているということを申し添えたいと思います。
  205. 長田裕二

    ○長田裕二君 質問を終わります。
  206. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会      ―――――・―――――