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1972-03-30 第68回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月三十日(木曜日)    午前十時四十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         玉置 猛夫君     理 事                 寺本 広作君                 増田  盛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 若林 正武君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 和田 静夫君                 上林繁次郎君                 中沢伊登子君    政府委員        自治政務次官   小山 省二君        自治省財政局長  鎌田 要人君        自治省税務局長 佐々木喜久治君    説明員        大蔵省主税局税        制第三課長    福田 幸弘君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 占部秀男

    占部秀男君 地方税法の今回の改正にあたりまして、私は大きく分けて二つの点をお聞きしたいと思うんであります。  一つは、いま指定都市の方々からも要望がございましたが、これらはいずれも指定都市財政上の問題に関連をして、税制関係についての要望があったわけでありますが、一つは、今回の地方税改正の問題と地方財政との関連についてお伺いをしたい。それからもう一つは、提案されておる個々改正点についてお伺いをしたいと思います。  そこで、まず今回の提案理由説明を見ますと、今度の一部改正は「地方税負担現状にかんがみ、地方財政実情を勘案しつつ、個人住民税及び事業税減税中心として、負担軽減合理化をはかることといたし」ましたと大臣説明をしておるわけであります。個々の点については、今度の税の改正負担軽減合理化にほんとになっているかどうか、こういう点については税目別にこまかくあとで聞きたいと思いますので、まず地方財政関係についてお伺いをしたいと思うんであります。  言うまでもなく、今度の減税は結局千五十三億の減税、いわばそれだけまあ収入地方税で減るわけでありますが、この減税と、それに伴う地方財政計画の立て方から見て、大臣説明をされたような「地方財政実情を勘案しつつ」と、こういうことが口先だけでどうも案外行なわれていないんじゃないかというような、案の内容にあらわれていないんじゃないかというような気がするわけであります。そこで、四十七年度地方財政現状、この現状から見て、ここ数年の地方財政見通しの点について、ざっくばらんなひとつお話伺いたい。あわせて、税収についても、ここ二、三年の見通しをできたらひとつお話伺いたいと思います。
  4. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 明年度の、四十七年度地方財政見通しでございますが、御案内のとおり税収伸びが七%しかない。また、ほっておきますというと、国税三税の自然増収に伴いまする交付税のいわば自然増収、これも七%程度しか見込めないということでございまして、早い話が、四十六年の財政計画を立てました際、四十五年に対しまして地方税譲与税交付税合わせまして一兆五百九十二億というものがいわば自然増収の形で入ってまいったわけでございますが、それに見合いまするものが、ほっておきますというとその半分以下、四千億程度しか見込めない、こういったような状態でございまして、地方財政計画の編成というものが、策定というものが、未曽有財源難におちいったわけでございます。そういう中で、なお租税負担軽減ということに対しまする強い要望もございますわけでございますので、そういう減税も織り込みながら、御案内のとおりの千五十億の特例交付金あるいは千六百億の特会借り入れ、そういったものを合わせまして、かろうじて七千四百億の自然増まで、財源増まで持ち込んでまいったわけでありますが、国の財政におきましても、御案内のとおり一兆九千五百億という空前の規模の国債を発行する。国税自然増収は五千五百億程度でございまして、その中の二千八百億余りのものは交付税特例交付金、あるいは沖繩臨特、こういった形で地方財源に付与するわけでございますので、これ以上、国の一般財源から地方財源に回すという余裕もないところでございましたので、財源対策意味も加味いたしまして、三千五百億の地方債の増発ということで例年並み財政運営というものを確保することができたわけでございます。で、私どもは、今回の措置につきましては、一応いろいろの御意見があろうかと思いますが、この措置によりまして四十七年度地方財政運営というものはおおむね、社会資本の充実あるいは社会福祉の拡充、こういったことを二本の柱といたしまして、支障なく財政運営ができるのではないかという確信を持っておるところでございます。  ただ、問題は、明年、四十八年度以降、一体この地方財政運営見通しはどうだ、こういうことでございます。御案内のとおり、ことしの大体十月ころから景気上昇過程に転じて、四十七年度経済成長率は名目で一二・九%、まあこういうことに相なっておるわけでございますが、この景気上昇過程に転ずるかどうかということが、これは地方財政だけでございませんで国の財政も同様のやはり困難な局面に際会いたしておるわけでございますので、結局、かかって景気回復過程というものがどういう過程をたどってまいるかということにすべてがかかると思います。ただ、私ども、もちろんそういうことにつきましてはいわば門外漢の域を脱しないわけでございますけれども、少なくとも四十年代の四十二年、三年、四年、こういった時代にございましたような高い経済成長率というものはやはり今後はもう期待できないのではないだろうか。そういうことになりますというと、やはり毎年地方税なり交付税なりが二割程度のテンポで自然増収で毎年伸びていく、こういったような財政規模の拡大というものは望めないのではないだろうか。そういうことになりますというと、私ども、いわゆる地方財政長期ビジョンというものをかつてつくったことがございます。そういった考え方というものを練り直しまして、長期的、計画的に地方行政水準というものを、たとえば五年先はここのレベルまで持っていく、十年先はここまで持っていく、そのための所要の地方財源はこれだけ、そういうものをどういう形で毎年毎年調達しながら計画的な財政運営を行なっていくかということが必要になってくる。そういう考え方からいたしまして、私ども現在、長期計画の練り直しというものを、内々作業といたしましては進めておるところでございます。まあ、明年度以降の財政見通し、おそらくこの税あるいは交付税というものの自然増収がどういう姿になってまいるか、ちょっといまの段階ではまだつけがたいところでございますが、やはり現在よりも若干は景気は上回ってまいる。そうなりますというと、地方債に対しまする依存度というものがある程度減じて、交付税なり税なりというものに対する依存度というものが四十七年度財政計画よりも高まってまいる、こういう姿になろうかと思います。
  5. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 財政局長から申し上げましたのとほぼ同じような感じを持っておるわけでございますけれども税収は、ここ三、四年の間、毎年二〇%前後の伸び率で推移してまいりました。この伸び率は、財政規模伸び率をやや上回るくらいの伸び率であったということが言えると思います。しかしながら、こうした伸び率が、昭和四十六年度を境にいたしまして税収の実質的な伸びというものは一〇%前後のところまで落ち込むというような状況になってまいりました。これが将来、昭和四十五年度までのような伸び率が確保し得るような経済情勢になるかどうかという点につきましては、私どもやや悲観的な感じを持っておるわけでございます。これはやはり国際経済情勢の変化ということが非常に大きく響いてまいりまして、やはり経済成長率というものは従来のように高い伸び率を維持することはとうてい困難であろう。そういたしますならば、やはり税収伸びというものも、たかだか一四、五%の伸び率くらいしか確保できないような状況になるのではなかろうかというふうに心配いたしております。そういたしますと、やはり財政需要伸びをその割合まで圧縮できるかどうかという点を考えますというと、最近のような、特に都市中心にいたします財政需要増加率ということは、これを圧縮することがなかなか困難であろうということを考えますと、どうしても税制につきましては、そうした財政需要伸びに対応する税制というものをこの段階で考え直していかなきゃならない。あるいはまた、新しい税制をこれに追加していかなければ、財政需要増加税制が対応し得ないようなことになるのではなかろうかというような心配を持っておる次第でございます。
  6. 占部秀男

    占部秀男君 両局長説明、ともに私もそうだと思うんですが、非常に先行きにもあまり安心ができないと、こういう説明であったと思うんでありますが、特に四十七年度の、せんだってあなた方がつくられた地方財政計画を見ますと、十一兆七千四百幾らの規模ですけれども伸びが、いま言ったように、全体の規模伸び自体も二〇・九ですか、こういう伸びになっているわけですが、国の一般会計伸びよりは今度は下回っているわけです。従来はほとんど下回るということはなかったわけです。それは過去十年、十五年前にはそういう場合もあったかもしれませんが、おそらく四十年代になってから、ぼくは初めてか、あるいは一回あったかなかったかじゃないかと思うんですが、いずれにしてもこういうことは、非常に規模自体伸びが国の一般会計予算伸びに比べて落ちている。このこと自体は、私はもう端的に都道府県市町村財政が非常に苦しくて国の予算伸びに追いついていけないような状態にいまはっきりとなってきているんじゃないか。つまり今度の村方財政計画を頂点として、それ以前の状態と以後の状態では、やはり地方財政に対する取り組み方あるいは考え方、こういう点も大きく変えて扱わなければ都道府県市町村財政はもっていかないんじゃないか、こういうような感じがするんですが、そういう点はいかがですか。
  7. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 端的に申しまして、この現在のまれに見る長期停滞といわれるわけでございますけれども、この経済不況というものがいわば、非常に荒っぽい言い方でございますが、一時的なものであるのか、あるいはまたやや慢性化するという形になるものなのか、そこの判断の問題が一つあると思うわけでございます。私ども——政府全体ということになりますと少し大げさになろうかと思いますが——判断といたしましては、やはりこれは先ほども申しましたように、ことしの秋口から上昇過程に転ずる、こういうことでございまして、その転じ方あるいは伸びぐあいというものが一体どういう形になるのかどうか。大かたの観測といたしましては、先ほど申しましたように、このいままでのような高いペースでの伸びというものにはならないだろう、こういうことになるようでございますが、そういうことが一つ考え方判断の基礎になろうかというふうに思います。ただ、いま御指摘になりましたように、財政需要の面におきましては、これは少なくとも地方行政水準が非常に低いわけでございますから、これを計画的に高めてまいる、そういうことと、それから地方財政の底というものがやはり何と申しましても浅いわけでございますので、その底を厚いものにするということのためには、やはり地方税制あるいは地方債あり方あるいは交付税あり方、こういったものにつきましてはやはり常時見直しと申しますか、検討してまいらなければならないだろう。そういうふうに考えまして、せっかく地方制度調査会あるいは税制調査会あたりでもそういう検討の場を広く持っていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  8. 占部秀男

    占部秀男君 局長説明では、いままでのような高い形の伸びということはこれはちょっと望めないだろう、しかし十月ごろから景気がややよくなるほうへ転ずるのじゃないか、こういうようなことを言われておりますが、私はそれは少し甘いのじゃないかという感じがする。というのは、これはいろいろな経済条件ですから、経済条件の問題をいまここで論じてもあまり幅広くなり過ぎるので、きょうはやめたいと思うのですが、今度の地方財政計画歳入面を見ると、私の言うようなことがひしひしとあらわれているように感ずるわけであります。これはむろんぼくが言うまでもなく、税収というものは七・二ですか、これしか見込めない。これはもう最近にない落ち込みですね。たとえば決算面でいま出ている四十四年、四十五年、この四十四年当時なんかはたしか二〇%以上だったと思うんですよ。そうすると三分の一にこれは落ち込んでいるわけです。国から配分される交付税の問題も、いまあなたも言われたように伸びないわけですね。今度のこれを見ると、いわゆるふえているのは国の支出金地方債、この二つの比率というのは確かに四十六年度の二九・六%に比べて三三・九%ですか、これは伸びている。これは国からくるこの金は借金ですね。こういうような現実をみると、どうも局長が言われたように先行きがこれはもっともっと不安な感じがする。十月に景気が大きく転ずればいいけれども、なかなかいまの経済情勢ではそこまでいかないのではないか。特に、ドルショック以降の日本自体のおかれている輸出入の問題あるいはその他の関係から見ても、もっと締めてかからないとこれはたいへんなことになるのではないかと思うんですが、しつこいようですけれども重ねてその点をお願いしたい。
  9. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 端的に申しまして、いまの、ことしの秋口から上昇過程に転ずるということにつきましてはいろいろの意見があろうかと思います。楽観、悲観の両論があろうかと思います。したがいまして、四十八年度地方財政問題、これは私は四十七年度地方財政対策にまさるとも劣らないような困難な状態になるだろうということを覚悟いたしておるわけでございます。で、ただことしのような税の極端な落ち込みというのはやや緩和されるのではないだろうか。ただ、それにいたしましても、やはり四十八年度もかなり公債依存度というものがことしと同程度、あるいはことしより若干上回る形になるのではなかろうか。これは私は実は予測いたしておるわけでございます。したがいまして、かりにことしと同規模地方債の発行というものがもう一年続き、四十七、四十八年ほぼ同程度地方債依存度になったという場合の、地方債のいわゆる公債費負担というものが将来の地方財政にどういう影響を与えるであろうかという試算も実はいたしておるわけでございます。私は非常にいまの段階では困難な判断になると思うわけでございますが、そういった意味での荒っぽい前提での判断だとおとりいただきたいと思いますが、四十八年度までは公債依存度というものがことしと同様な形ということになりましても、そう将来の地方財政に重大な圧迫を加えるという判断は持っておらないわけでございます。私が先ほど申しましたように、今度の不況というものがある程度一時的なものなのか、あるいは慢性的なものなのか、そこによると思いますが、四十九年度以降さらに四十七、四十八年のような状態が続くということになりますというと、これはなかなか容易ならざる事態になるわけでございまして、そういう事態にならないように事前に、やはり制度面等においてもそういう見通しでございますので早急に手を打つ必要があろうか、こういう判断でございます。
  10. 占部秀男

    占部秀男君 確かに、今度のドルショック以降の経済情勢先行きの問題では見通しが非常にむずかしい、特に地方財政の面ではそういう感じがするわけですから、なかなかはっきりできないところもあるということは私も考えておりますが、ただ、あなたのほうからいただいた今度の「地方税に関する参考計数資料」、これを見ても、どうも突っ込んだ収入の、しかも実財源税収状態を見ても、なかなかどうもこの委員会で二回、三回繰り返しやってもいいんじゃないかと思われるような傾向が出ているわけです。というのは、このいただいた資料の中の「国民所得地方財政規模地方税収入等の推移」、これを見ますと、見込みは、決算見込みというか見込みになっているのは、地方財政計画はもちろん見込みですが、四十六年度もまだ見込みになっておりますけれども決算の過去十年間の地方税収伸びを見ますと、これはもう何というか、非常に心配しなければならない情勢決算面で出ているんじゃないかと思うんです。これは見込みの問題ならとにかく、決算面ではっきり出ているわけですから。たとえば三十八年以降の十年間をとってみると、三十八年は一四・八%前年度よりは伸びている。三十九年は一五・四%、四十年は一〇・七%、四十一年は一四・一%、四十二年は二一・五%、四十三年も二〇%、四十四年が一九・八%、四十五年は二一・四%伸びておる。それが急に昨年九・一%に、これは見込みですけれども、落ち込んでおる。さらに、本年の地方財政計画では七・二%になっておる。こういうことですね。これはまあ非常に何というか税の扱い方の問題についての一つの転機に具体的にひっかかっているんじゃないかというような感じがするわけです。  そこで、税務局長にお伺いしたいのは、この見込みでありますけれども、この二カ年、急にこれほどどかんと落ちたそのおもな原因は何でありますか。
  11. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 四十六年、四十七年におきまして税収入が落ちましたのは、主として法人所得課税の面におきまして大きな落ち込みが見られたことでございます。これは住民税における法人税割り、それから事業税における法人事業税というものが非常に大きな落ち込みを見せております。それからなお、若干こうした景気との関連におきまして、たとえば軽油引取税でありますとか自動車取得税というような景気に非常に敏感な消費課税の面に落ち込みが見られる、こういうような形になっております。したがいまして、その税制から見ますというと、そういう法人所得課税あるいは消費税中心にいたします府県税の面において大きな落ち込みがあり、そして、個人所得割りあるいは固定資産税中心といたします市町村税のほうにおいて落ち込みはそれほど大きくない、こういう傾向が見られると思います。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 いずれにしても、原因法人関係にあるとしても、落ち込んだことは事実だし、したがって、法人税関係の問題が、税の回復がすみやかでなければ、なかなか今後の見通しも暗いわけになってくるわけです。  ところが、同じページの地方財政歳出総額を見ますと、この同じ三十八年以来の決算関係ではっきり見ると、財政需要というものはそう減っていないんですね。たとえば、三十八年が一四・八伸びている。三十九年は一五・四伸びている。四十年は一四・四、四十一年は一五・五、四十二年が一三・九、四十三年が一八・二、四十四年が一九・八、四十五年が二一・九、かように対前年度比の財政需要というものは平均して上昇伸びている。それが昨年は——昨年はまだ本年度ですが、四十六年度は、これは見込みですけれども、急に四・四にうんと落ち込んで、そうしてさらに、ことしの地方財政計画では一五・八になっている。  そこで、ぼくはお伺いしたいんですが、四十六年度に急に落ち込んだ原因は、これは、財政局長、どこにあるのか。また、四十七年度地財計画でこれを急激に回復させるような計画を立てたのはどういうところにあるのか。それもひとつお伺いをしたい。
  13. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) この表の注の3に書いてございますが、歳出総額は四十五年度までは決算でございまして、四十六、四十七は地方財政計画の額でございます。それから、四十六年度実績見込み地方財政補正措置を勘案して調整した数字のようでございまして、四十五年度までの数字と四十六、四十七とは、これは御案内のとおり、地方財政計画地方財政実績決算実績とは、これはかなり大きな差がございますので、ちょっとこれでは比較にならないというふうに考えます。おそらく、この四十五年度に続く実績見込みといたしましては、二〇%前後のものに相なるのではないだろうかというふうに思います。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 いずれにしても、総体的にいって税収伸びは減った、そうして財政需要は減らない、こういう中でことしの財政計画先ほどもあなたが言われたように、また、私が言ったように、財政計画自体を見ますと、結局、国庫支出金が幾らか上がっている。これは二四・六から二五・九に上昇している。大きくふえたのは地方債で、四・六から八%ということで二倍近くはね上がっている、こういうことになるわけですね。  そこで、時間がありませんから、私は歳入総額の中に占めるこうした点についての検討もしたいと思うんですけれども、もうそれはやめにしますが、いずれにしても、地方債が非常にふえておる。現実的には四千四百七十一億から九千三百七十九億にふえておる。こういうところに、今後の不足財源の問題に関連をして、一つの大きな新しい問題点が出てきたんじゃないかと私は思うんですが、そこで、いまのような財政事情から、今後、税収をどうしていくかということについてはあとでお聞きをしますが、その前に、地方債の問題だけひとつ簡単にお伺いをしたいと思うんです。  この九千三百七十九億の中には、政府景気浮揚策として行なわれた公共事業地方負担分ですね、これのつまり財源といいますかな、に、およそ充てると予想されるのはどのくらいあるのか。
  15. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) これは、その前に、直接のお答えにならないわけでございますが、ただいま御指摘になりましたように、明年度地方財政計画、これを前提にしましての歳入構成状況を見ていただきますというと、結局交付税につきましては前年度とほぼ同様の伸びというものを維持した。地方税につきましては、これは惨たんたるものでありまして、二〇%の伸びが七%に落ちた。したがいまして、結局、結果的には地方債というものが地方税の減の、地方税落ち込みというものをいわばカバーするような形になっておる。こういうことでございまして、いまの地方債の前年度に対しまする増加額四千九百八億の中でどれだけの分が公共事業の増に回っておるかということにつきましては、ちょっといまここに資料の用意をいたしておりませんが、と申しますのは、結局公共事業伸びに伴う裏面負担、それから単独事業例年並み伸びを維持しておりますので、それに伴う裏負担、それからいままで交付税で、たとえば事業費補正といったような形で交付税の中に取り込んでおりましたものを、交付税からいわば取り出して起債に回しておる、こういうもろもろの操作に入っておりますものですから、ちょっとそこの分別がむずかしいわけでございますが、端的に申しまして、やはりこの交付税基準財政需要の中の投資的経費から地方債のほうに回しておりまするものが大体二千五百億ぐらいに相なろうかと、これもこれから各地方団体ごとに国の公共事業張りつけが始まってまいりますので、それに伴いまして数字の異同がございますが、大体それだけのものが交付税から回っていく。こういうことを一つのめどに置いて考えていただけたらどうであろうというふうに思います。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 この点は、もちろんなかなか計数的にもむずかしい問題もあろうかと思いますが、いずれにしても、地方債は税の落ち込みをカバーするという意味もあり、今度の景気浮揚策負担分というのは相当それでまかなわれておると見なければならぬわけです。これは地方にとっては非常に迷惑、という言い方はおかしいのですが、これは思わない支出といいますか、率直に言えば迷惑な支出、しかも借金ということになるわけなんです。したがって、少なくともこの景気浮揚に使った裏金というか、地方負担分についての借金は、何らかの意味で国の一般会計でこれを補てんするとか、あるいははいわゆる元利償還の問題ですね、こうした問題をやはりいまのうちから考えて大蔵省と折衝をしてはっきりさしておかないと、これはもうたいへんなことになるのじゃないかと私は思う。特に、いまの財政局長お話では、まあことしの十月の景気転回の情勢もあるけれども、もう一度くらいは地方債があるいはふえるかもしれぬと、来年度あたりに、ということになると、これは非常にその点が大きく問題になってくると思うのですが、ざっくばらんに言って、そういう点について、局長としては、自治省としてはどういうふうなお考えを持っているのか、お伺いをしたい。
  17. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 確かに御指摘の点は一つの大きな重要な問題点であろうと思います。ただ、これはちょっと私見にわたって恐縮でございますが、私ども端的に申しまして、地方財政というより地方債と申しますか、地方債あり方というものについての考え方というのが一つあろうかと思います。やはり従来ある程度地方税伸び交付税伸びしておったわけでありますから、かなり後年度に恩恵を及ぼすようないわゆる建設投資というものにつきましても一般財源をもって措置をしてきておった。これは、ある意味におきましては、それがいい悪いという判断の問題ではないと思うわけでございますが、ある程度やはり比較的ゆとりのある一般財源増加状況ということに裏打ちされておったわけでございましょうが、また角度を変えて見ますというと、ある程度地方債というものが地方財政のいわば財政手段といたしましてもっとウエートを高めていいのじゃないだろうか。後年度に恩恵を与えるわけでございますから、それをそのときのものだけが負担をするという形でなしに、いわゆる世代間の負担の分配ということになろうかと思いますが、地方債というものをもっとやはり積極的に財政手段として使っていいのではないだろうか。したがいまして、財源構成の中で、地方債に対します依存度というものが従来四%程度でございましたけれども、これが、今度は八%になる。公債費の面で逆に考えてみますというと、やはりこれまた四%程度のものに歳出構成比ではなっておるわけでございますが、その辺のところはもう少し公債というものを活用するということを考えていいのではないだろうかという気持ちを持っております。ただ、御案内のとおり、地方団体と申しましても、これは文字どおり財政力におきましては強いもの弱いもの、三千幾つあるわけでございますから、その場合におきまして、比較的資金コストの安い政府資金というものはいわば財政力の弱い団体に重点的に回していく、あるいは縁故債等につきましてはある程度財政力の総体的に強い団体に回していく。それの償還というものにつきましては、税、交付税というものが伸びていくわけでありますから、それをもってカバーをしていく。こういう仕組みというものは、それ自身、私どもそう公債依存度が、べらぼうに高くなってはなんでございますけれども、まあ現在の程度のものであるならば、ある程度財政運営としてはそう適切でないということは言えないのではないだろうか。  ただ、将来の問題といたしまして、ある程度税も交付税不況が慢性化して伸びない、そういう中で、交付税も御案内のとおり去年とことしで両年引っくるめまして、三千億近い借り入れ金も行なっておるわけでございますので、そういうもの全体を引っくるめまして地方財政が借金に追われておる。こういう状態になりまして、長期的に収支のバランスがつぐなわない、こういう段階になりますというと、やはりただいま御指摘になりましたような点も含めて考えなければならないのではないだろうかというふうに思うわけでございますけれども、まあ現在の程度で四十七年、四十八年と推移するのであれば、地方財政全体として何とか回っていくのではないだろうかという感じを持っております。で、いまの元利補給の問題につきましては、そういったことも引っくるめまして検討課題とさせていただきたいというふうに存じます。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 検討課題にしてもらいたいというお話ですからそれでけっこうだと思いますし、また、国会はこれだけじゃないのですから、その点について検討の結果をお聞きをする機会もあるのじゃないかと思いますけれども、その御答弁でけっこうでありますが、ただ私注文をしておきたいことは、いま財政局長が言われたように、国の公債の問題と地方地方債の問題、機能の違いというものは私もある程度はそうだろうと思います。特に、地方団体の場合には後世に残る——地財法ですか、地方財政法にもはっきり出ておるような問題もあるわけですから、それはわれわれも決してむげに否定しようとは考えていないのですが、問題は、地方債の量が非常に大きくなっていくというような場合ですね。これは、ただそれだけでは済ましていられない問題があるのではないだろうかということが一つと、もう一つは、いま言ったように、今度のやつは国の景気浮揚政策の一環として扱われているという性格があるわけですね。この性格の上から見て、やはり元利償還というか、あるいはこれに対する補てんの何らかの措置というか、そういう点は真剣にひとつ考えてもらわなければならぬと思うわけでありますが、この点は注文ということにしておきたいと思います。  そこで、なぜ私が地方債の問題をしょっぱなに取り上げたかというと、このままの状態でいくと、いま言ったように税収は落ち込んでいくわ、さらに国の三税の伸びがないので、交付税の絶対額がふえない、一方では国の支出金は幾らかふえるけれども、まあ借金政策が広がっていく、こういう形でふえてくる地方財政需要というものをまかなわなくちゃならぬ。こういう事態が続きますと、ちょうど十四、五年前だと思うのですが、これは鎌田財政局長よく御存じだと思うのですが、当時、赤字再建問題というやつが起ったことがありましたが、あれの二の舞いに都道府県市町村がほうり込まれてはたまらぬ、こういう心配が実はあるから、この点をやったわけです。特に念を入れたわけです。あの赤字再建のあのときはたしか一兆円にならないですかね、四、五千億でしたか、何か赤字の再建の問題だったと思うのですが、古いことで私もちょっと忘れたのですが、あのときの急所だけちょっと教えていただきたいのです。
  19. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) ちょっと私も記憶が正確でございませんが、四百億程度の赤字ではなかったかと思います。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 当時の貨幣価値ですから、四百億というものはまあたいへんなものだったのでしょうが、いずれにしてもそれを五カ年なり十カ年なり、一番多い府県ではたしか十七、八年かかったのじゃないかと思うのですが、そんなものもたしかあったように思うのですが、再建計画をつくって、国から金を借りて、そのかわり一方では事務費の切り下げをする、他方では職員の首を切って人員整理をする。そうして五年なり七年なり再建計画をつくってやったと私は記憶しておるのです。そういうようなことが起こらない前に、やはり今後は自治省としては手当てをいずれにしてもしておいてもらわなくちゃならぬ。こういうことから、私は特にこの問題に触れたわけでありますが、そういう点については万々ぬかりないようにひとつやっていただきたいと思うのですが、財政局長いかがですか。
  21. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) まあそういうこともございまして、先ほどちょっと申し上げかけたわけでございますが、かりに、ことしと来年ほぼ同程度地方債の増発というものを行なっていく、それからこの先行きは、四十六年度以前に一定の倍率をかけまして、公債の発行額をいろいろなモデルをつくりまして、想定をいたしまして、それから税、交付税譲与税、この一般財源というものの伸びにつきましても、これはある程度将来にわたることでございますから非常にブレがございますけれども、一応ことしの経済成長率、名目一二・九%程度伸びというもので伸びていくということになりました場合に、将来、公債費というものが一般財源でどれぐらいの割合になるだろうかという試算を幾とおりもやっておるわけでございます。大体一〇%程度にとどまるのではないだろうかという数字を得ておるわけでございます。ただ、これはあくまでも三千の団体一本にしての数字でございますから、大体の傾向といたしましては、やはり府県、市町村都市、こういったところ、それをまた個々に分けて判断をしませんというと、全体の観察ではこれは正確でございませんので、そういう個々の団体につきましても、ある程度個別的な検討を行なってまいりたい。そういうことを行ないながら、いま仰せになりましたように、この今回の措置というものが将来の地方財政にとり返しのつかないようなことにならないようにという、これは私どもはそういうことになっては相すまないことでございますので、万全の措置を考えてまいりたい、この点ははっきりお約束を申し上げられると思います。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 そこで税の問題に入っていきたいのですが、いまのような地方財政現状先行きから見て、何といっても財源をつくり上げるというか、確保するということが、これはもうあらゆるくふうをしてやっていかなければ追っつかない、いわば一つの至上命令のような形にここ一、二年はなってくると思うのです。財源を確保する場合に、われわれはいつも安易に、地方債だとかあるいはまた国のほうから金をもらうとか、そういうようなことを考えやすいのですが、その前に、やはり地方自治の本旨から言っても、自主財源を確保するということが私は一番大事ではないかと思うのです。つまり税の問題になってくるわけです。  そこで、税務局長にお伺いをしたいのですけれども先ほど私が税の先行きのときの質問の中で、局長は、税収入伸びも従来のようにはいかないであろうということと、それから、ふえてくる財政需要に対応してやはり新しい税財源の問題を考えていかなければならぬのじゃないかと、こういう点をちょっと言われたんですけれども、ぼくも全く同感なんです。そこで、具体的にお伺いしたいのですが、先ほど指定都市のほうから陳情なさったわけですが、最近中小市町村よりは大都市なんかが今度は苦しくなってきているという話ですけれども、この陳情の中にもあるのですが、事務所税とか事業所税とかいう問題が、あれは地方制度調査会でも税制調査会でも答申が行なわれておる。で、自治省もこれに手がけたが、まだ不発に終わっておると、こういう状態だろうと思う。ぼくはこの地方財政がこういうような形になっているときにこそ、この問題を早くひとつ日の目を見せてもらいたいと思うのですが、自治省は、いまこの問題でどういうような内容の案を考え、どういうふうな扱い方を現在までしておられるか、この点についてひとつお伺いしたい。
  23. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 先ほどお答え申し上げましたことに関連をいたしまして、さらにふえんして申し上げますと、確かに税収伸びというものは、財政需要伸びに現行のままでは対応し得ないような情勢になるのではないだろうかという心配を非常に強く持っておるわけでございますが、特にそうした財政需要伸びの大きいところ、大きい地方団体はどういうところかということになりますと、やはりただいま御指摘ありましたように、特に大都市中心にいたしますその周辺都市、あるいはまた、それに次ぐ都市がその財政需要伸びが特に著しいということが言えるのだと思います。そういう意味におきまして、地方税制として、その税源を強化していくという場合の方向としましては、都市税源を充実していくということになろうかと思いまして、その意味におきまして、昨年の税制調査会なりあるいは地方制度調査会におきましては、一つ地方税源対策の税目として、事務所、事業所税という提案がなされたわけでございます。これに対しまして、私どもももその事務所、事業所税についてどういう組み立て方をしていくかということについていろいろ検討したわけでありますが、昨年の場合、最近の経済情勢等との関連におきまして、どちらかというと不動産取得税型の事務所、事業所税という形でその創設を検討したわけでございます。  この事務所、事業所税につきましては、その内容としていろいろなやり方があるだろうというふうに考えております。一つは、所得課税の方式があろうと思います。一つは、どちらかというと固定資産税に似たような形の組み立て方があるだろうと思います。あるいは、昨年私ども検討いたしましたような不動産取得税型のものもあるだろうと思います。こうした税の組み立て方の問題が一つあります。と同時に、この事務所、事業所税をどのような団体の財源として考えているかという問題があったわけでありますが、昨年の場合、私ども検討いたしましたのは、まあ都市及び都市に準ずるような町村にこの税源を付与していきたいという方式を考えたわけでございます。これにつきましては、やはり地方制度調査会考え方税制調査会の考え方にはややニュアンスの相違があるというような感じがいたします。特に、地方制度調査会考え方には、大都市税制としての問題、税制としての事務所、事業所税を考えたらどうだろうかというようなことでございます。税制調査会のほうは、それよりもやや広い、いわば都市財源としての事務所、事業所税というニュアンスを込めながら、地方制度調査会考え方も相当部分入れたということになるかと思いますが、実はこの点がやはり昨年、この税を創設しようといたしましていろいろ議論が出た結果、もう一度検討し直すということで引き下がらざるを得なかったという点は、やはりその税についての目標というものについて、やや議論が分かれたというところに問題があったと思います。これにつきましては、先ほど申しましたように、今後の税制として都市税源を強化していく。それについては事務所、事業所税のみならず、ほかの現行の税についてもいろいろ検討していくべき問題があろうかと思いますが、そういうものも含めまして、新しい税制としての事務所、事業所税をどういう団体の税として、そしてまたどういう項目を盛った税とするかという点について、いま私ども四十七年中の課題として幾多の案を考えながら、他の税制改正との関係も十分考慮しながら、何とか四十八年に実現する方向で、この事務所、事業所税の最終的な検討をいたしたいと考えております。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 まあこの点については、この内容自体を別の機会にもっと詳しくわれわれの意見も言い、お伺いもしたいのですが、ただ、やはりこうした税の、特に都市税源を確保するという意味からいくと、不動産取得税のように一回限りという形はやはりまずいのじゃないかと私は思うんですが、その問題はそれ以上触れません。いま局長お話では、四十七年度中の課題として、四十八年度には何とか実現したいというお話があったのですが、この点はまたあと大臣にぼくはお聞きをしたいと思いますから、一応この問題は、ひとつぜひ実現するように計らってもらいたいということで終わりたいと思います。  その次にもう一つ、自主財源の問題で、やはり指定都市のほうからもそういうあれがあるわけですけれども法人所得課税の配分割合の問題ですが、私は寡聞にしてほかのほうは知らないのですが、東京都を調べた場合に、国が七六・九%、都が一八・四%、特別区と市町村が四・七%の分け方をしておるというのですが、何か指定都市では、現在七%のやつを一〇%以上にしてもらいたいというようなあれですが、これはいま東京都以外の分け方はどういうふうになっておるわけですか。
  25. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 年度によって若干の数字の差がございますけれども、大体平均的に見ますならば、国が六五%、府県が二八%、市町村が七%というのがまず大体平均的な姿であろうと思います。あと一%程度の上下が年度によってございます。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 どうも地方のほうに行きますと、やはり法人の企業活動からの収益に対する分は大部分がまあ国税に吸収される、こういうことで、これはやはり不安があるわけですね。特に税収落ち込みということになると、この点は大きくクローズアップしてくるようになるのじゃないかと思うのです。そこで、自治省はこの配分について、これを是正するように努力をする考え方で立ち向かっているのかどうかということをお聞きしたい。同時に、大蔵省側の考え方もそれについてお話をいただきたいと思うのです。
  27. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 従来の地方税制考え方としましては、法人に対する所得課税というものは、その性格上、税収としましてはやや安定性が欠けている面がある。さらにはまた普遍性の面において、これも他の税に比べた場合にやや問題があるというようなことで、どちらかというと、そうした税制上の問題点を吸収し得る財政規模を持つ府県の税制としてむしろ適当であって、市町村としてはやや適正を欠くのではないだろうかというような観点からの税制の組み方があったと思います。しかし、こうした経済情勢あるいは財政需要伸びというようなことを考えてみますというと、やはり都市における財政需要伸びが非常に大きい状況になってきている。あるいはまた法人の企業活動に伴うところの市町村の行政経費との関係というものを考えるならば、いままでとってきましたような考え方については、やはり修正を加えていくべき時期にきているのじゃないだろうかというような感じがいたしております。ただ、法人所得課税について、これの配分を変えるということになります場合には、やはり国、府県、市町村間のいろいろな財政上の問題がこれにつきまとってくるわけでございます。しかしながら、一面におきましてもう一つの観点から見ますならば、法人所得課税というものが、国全体の租税負担から見ました法人租税負担率というものが、わが国の場合に、他の国に比べて見てはたして高いのか低いのかという議論が当然これは出てくるわけでございまして、現在の法人所得課税負担というものは、他の国に比べました場合に、やや低目にあるのじゃなかろうかというような感じを私どもは持っております。そういうような点において、法人負担率をもう少し引き上げることが可能であるというようなことになるならば、そうした部分については、何とか市町村税に配分をするような方向で考えていくべきであろうというふうに思っているわけでございまして、その点はさらに税制調査会等で十分論議を進めていただかなければならない問題でありますけれども、私どもの気持ちとしてはそういうことでございます。
  28. 福田幸弘

    説明員(福田幸弘君) 法人税に関する国と地方関係だと思いますが、現在、先ほど税務局長の御説明がございましたけれども、正確に申しますと、四十五年度決算額で申しまして、国が法人税で全体の法人課税率の六五・九%を収入としてあげているわけでございます。地方のほうで三四・一%、これは、四十五年度決算額でございます。地方が三四・一%ということでございまして、そのうち道府県が二七・四、それから市町村が六・七ということになっております。それに交付税関係で調整をいたしますと、法人課税で国が徴収をしましたものが御存じのように交付税へ変わるものがございますので、これの調整をいたしますと、国の法人課税による純収入といいましょうか、これは四四・七ということになるわけです。これは交付税を調整した国の収入でございます。したがって、地方のほうは五五・三ということになります。その際の五五・三の内訳としては、道府県が三八・七、市町村が一六・六というのが、国が吸い上げてまた交付税で調整した場合の実際の法人税収入の配分ということになるわけでございます。  それで、まあ非常に長期的な問題と短期的な問題があると思いますが、先ほど来御論議ございましたけれども、四十七年度、これは地方が非常に収入が悪いわけでございます。で、計数で申しますと、税収で国が一三・二%の伸びで、地方先ほどのように七・七%。この場合、市町村民税のほうは一四・一%の伸びを示しておるのでございますが、これはほとんど国と同じ、もしくはそれ以上という感じでございますが、府県税のほうが二・五と非常に落ち込んでいるわけでございます。これは法人関係税収景気を反映して非常に悪かったということで、国のほうは法人関係落ち込みを所得税で埋めた、それから市町村のほうも大体同じような形、こういうのが短期的な形。長期的な形でいいますと、いつを起算にするか、いろいろございますが、三十年度を起算にしでおるのもあったかと思うのですが、四十年度を起算にしましても、四十年度を一〇〇にしまして四十五年度決算で見ますと、国及び地方ともに長期的には大体同じ伸び率を示しておるわけでございます。たとえば四十年度一〇〇で計算をやってみましたが、一〇〇にしますと、国が二三七%、約二四〇%ぐらいになるわけですが、地方全体でも二四二%。だから、景気のサイクル一つをとれば大体同じ伸びを国、地方はしておるわけです、税収としては。ただ、府県税伸びのほうが高いわけです、地方が二四二になっております。これは四十年度一〇〇として二四二と地方はなっておりますが、このうち府県は二七〇、市町村のほうは二一四ということで、府県税法人税収に依存している割合が高いということで、長期的な景気、ずっと経済伸びておった過去で見ますと府県は非常によかったのですが、景気が悪くなるとそれが裏目に出るわけです。  そういう法人税の仕組みがございまして、先ほどのように不安定性という問題が一つございます。これも今後の検討の際のデータになるかと思いますが、特にこの短期的な問題の際、四十七年度では一・七五%の法人付加税率、これが非常に問題になりまして、現在御審議願っております租税特別措置法、これで延長するように提案申し上げておるわけでございますが、この関係だけでも、地方に対する影響は、交付税を含めますと約五百億程度の影響があったわけでございますが、この一・七五を、この景気の悪いときには本来は一・七五が制度的にはもとに戻ってなくなるわけですが、これを一・七五を維持するということを確保したわけでございますが、この法人負担力というのが非常に景気によって変わる。特に現在におきましては、法人の税負担力という点が、短期的にはこの一・七五の維持にからんで非常に問題があるという状況でございます。長期的には先ほどのように不安定な要因を持っておる。  話がちょっとぱらぱらかと思いますが、都市財源とのからみで申しますと、都市財源としては、集積の利益があるから法人課税は適当ではないかという御議論が当然あるかと思いますが、法人都市の集積の利益はうらはらと思いますが、法人があって集積ができ、その集積がまたはね返る相関関係みたいなものもございまして、一般的に法人がその集積の利益を受けているということもございませんので、この辺、また全体的な都市問題という中での法人課税ということになるかと思いますが、短期的には非常に問題がある。的には安定性の問題がある。さらにまた偏在の問題がございまして、法人課税の場合、特定の業種、繊維とか自動車とか、それが一つ市町村に偏在している場合、非常に偏在性の問題も含まれるかと思います。したがって、いろいろの面から検討を要するということで、内部的には、従来とも検討しておりますが、今後とも自治省といろいろ連絡して検討いたしたいと思います。
  29. 占部秀男

    占部秀男君 いまぼくは聞き漏らしましたが、延ばすというのは現在の法人税率の特例の問題ですか。
  30. 福田幸弘

    説明員(福田幸弘君) そういうことでございます。特別措置法によって一・七五%付加しております付加税率の延長の問題でございます。二年間延長されることになります。
  31. 占部秀男

    占部秀男君 それだけでも延びればなかなかいいわけですが、この問題は課題としてとっておきたいと思います。  次に、いろいろの特別措置の整理、廃止の問題が、これは毎国会いろいろ、国のほうもそうですし、うちのほうの地方行政でも問題に出るのですが、いまの税務局長の、最近の決算面といいますか、最も新しい決算で、特別措置によっていわば軽減された額ですね、国と地方の額はどのくらいになりますか。
  32. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 決算額というものは計算いたしておりませんが、私ども昭和四十七年度について減収見込み額を試算したものがございますので、それを申し上げますと、国税の租税特別措置によって地方税において影響を受ける減収見込み額が千四百五十八億でございます。それから地方税法の規定によりまして非課税措置あるいは課税標準の特例措置等によります減収見込み額が千七百六十一億ございまして、この合計が三千二百十九億というふうになっております。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 地方のほうは千七百六十一億……。
  34. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) はい。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、これは自治省側と大蔵省側にお聞きをしたいのですが、私は特別措置というもの全体が要らないのだという、そんな機械的な考えは持っていないわけです。持っていないのですが、あるものによってはもう整理してもいいのじゃないかという考え方を持っております。たとえば所得税の中でも法人税の中でも、社会資本の充実をするために土地その他の収用あるいは換地、こういう面についての所得の特別控除であるとか、科学技術の振興のためのそれの一部の問題であるとか、時間がないのでこまかい点は申し上げませんが、中小企業近代化のための措置の一部であるとか、こういう点については私は残していいのだと思うのですが、どうもこの特別措置そのものがいわば資本の蓄積を主とした目的でなされたというような、創設されたというような事情、さらにまたこういう措置が、税としては一番大事な公平の原則であるとか中立性であるとか、これは階級的な意味も含めてですが、そういうようなものを犠牲にしてこれが行なわれているというような事実、そういう点を考えると、少なくとも、たとえば資本蓄積のための、これはまあだれも取り上げる問題ですけれども、配当などの法人税の軽減の問題であるとか、あるいは資本構成の改善の特別の税額の控除の問題であるとかいろいろ問題が、こまかく実はきょうは聞きたいと思ったのですが、時間がありませんから、それはもうやめておきますけれども、そういうような点については、この際、そのものを整理するとか、あるいは、そのものを整理できなければ、せめて課税標準などのはね返りを地方税法の中で遮断すると、こういうような措置でもやはり具体的にとっていくことを考えなきゃならない時代ではないかと。特に、いま言ったように、自主財源が少なくなっている現状では、税の問題をいじる場合に、この問題はほうっておけない問題ではないかと考えるのですが、その点、次官はどういうふうにお考えになっておりますか、局長もあわせて。
  36. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 先生御指摘のとおり、方向としては私どもも賛成でございます。国の租税特別措置が自動的に地方税に影響されまして、免税あるいは減税等の措置がなされるということについては、いろいろ私ども問題があるように考えられるのであります。しかしながら、実際上これを回避いたします場合に、課税技術上の問題もございますし、また、計算上いろいろ問題点になるような面も多いわけでございますが、しかし、国の税制調査会の答申にもこのことをはっきり指摘をされて答申がなされております。したがいまして、私どもにおきましても、できるだけこれらの面は早急に検討いたしまして、調査会の答申の線に沿って整理すべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 私は、時間の都合で、もうこれでひとつやめたいと思いますが、最後に超過負担の問題について、これは財政局長にお伺いをしたいんですが、まあこれは十年くらい前に、超過負担の問題、この委員会でも取り上げて、自治省も努力されて、年度計画を立てて超過負担の解消につとめてこられたのですが、ところが、最近まだまだ超過負担地方に行くと従来よりはふえているというような話も聞くんですが、この事情はどういう経過になっておるか、現在どのくらいの超過負担があるか、そういう点をまずお聞きしたいと思います。
  38. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 御案内のとおり、超過負担の解消につきましては、四十二年と四十三年に自治、大蔵その他関係各省庁で調査をいたしました。それに基づきまして、四十三年度以降四十六年度までに千三百億近い超過負担の解消の措置をとってまいったわけでございます。ところが、御案内のとおり、年々物価が上がっていくということもございます。あるいはまた、人件費でございますと、給与が上がっていくということもございまして、超過負担の存在ということが強く訴えられておるわけでございます。昨年の秋でございましたか、全国知事会で、府県で六百億程度の超過負担がある、市町村でも千四百億程度の超過負担があるという数字をお出しになりました。私どももいろんな機会に、各省が大蔵に予算要求をいたしますその際に、超過負担の解消ということにつきましては、毎年度予算の概算要求の前段階におきまして、各省に強く申し入れをいたしておるところでございますけれども、遺憾ながら一〇〇%の実現を見ておらない、こういったことがございまして、この超過負担の解消ということにつきましては、これは釈迦に説法でございますけれども、ある程度、単価差あるいは対象差、数量差、 こういう三つに分類をいたしておりますけれども、なかなか、ものによりますと、これが超過負担であるということがしかく客観的に明確に線が引きがたいものもございますので、比較的超過負担の多いと思われる項目につきまして、今年、四十七年度におきまして、自治、大蔵その他の関係省の御協力もいただきまして、共同で調査をいたす、その結果に基づきまして早急に解消の措置をとる、こういうことにいたしたいというように考えておるところでございます。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 その超過負担の問題は、いま私たちがやりとりの中で明らかにされたような財政状況税制状況ですから、よろしくひとつお願いをしたいと思います。  最後に、東京都の問題で二点だけ聞いておきたいのですが、一つは、例の不交付団体だというので、国庫支出金その他の特別の扱いを——いい扱いならいいけれども、悪い扱いですから問題ですが、これはちょっと四十七年度のやつを調べてみたところ、義務教育の国庫負担法の関係の問題で三十八億、道路譲与税が六十億、法人事業税百二十五億、そしてこれの例の固定資産評価割りの問題その他があって、これが四億五千万という、三百億以上普通の計算よりは東京都は少なくなってきておる。いま、都の場合は、今度の税収伸びは当初額で〇・八%だというのですね。全国的には七%ですから、都は全国から比べるといいほうなんだが、一%もない〇・八%、こういう中で、こういうような特別の削減措置というものを改善する余地はないのかあるのか、また、そういうような気持ちがあるのかどうか、その点をひとつ教えていただきたいということと、それからもう一つは、交付税の例の府県分、市町村分の扱いの問題で都は非常に困っておるという、こういうことなんかも、何らかの手当てをして、都の財政というものをあまり窮屈にならぬように、追い込まれないようにしていかぬと首都の建設というものはなかなかできないんじゃないかと思うのです。その三点だけ、簡単でいいですから、ひとつ。
  40. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 前段の、いわゆる交付税財源超過団体に対しまする義務教育費国庫負担等のいわゆる制限措置でございますが、これにつきましては、やはり団体の財政力というものに応じまして、まあある意味におきまして、限られた資源の配分ということになるわけでございますので、現在のような措置がとられるということについては、私どもはやむを得ないところであるというふうに考えておるところでございまして、これを廃止するということは考えておりません。  それから、東京都及び特別区の交付税の配分につきまして、都と特別区と分けて計算をしてもらいたいという点につきましては、これはもう御案内のとおり、東京都の都と特別区の関係、これはまあやっております仕事の内容、あるいは税の配分におきましても、たとえば普通ならば市町村税としてとっております固定資産税なり、あるいは法人税割りを都がとっておる、あるいは東京都におきましては、他の地方団体にないような特別区の財政調整交付金、こういった制度があるといったような関係がございまして、あるいはまた、職員におきましても、派遣職員が特別区の職員では大多数を占めておる、こういったような関係から、やはり都と特別区というものは行財政上離ちがたく結びいておる、一体としてやはりこの財政上の問題というものは考えていくべきではないだろうか、こういう考え方のもとに現在のような一本で算定をいたしておる、交付をいたしておるわけでございますが、この考え方は、やはり現在の都と特別区の仕組みというものがこのような状態で推移するという前提に立ちますというと、やはりこれは現在のやり方をそのまま維持するというよりほかにしかたがあるまいというふうに考えておるところでございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 それでは、私は時間の関係がありますから、先ほど質問を予定していた今度の税制改正財政関係の問題だけはこれで終わりたいと思います。  あと個々の税目についての今回の改正の内容の点と、それからみなし課税の問題点、これはまたあしたでも時間があったらひとつやらせていただきたいと思います。
  42. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する午前中の、審査はこの程度にし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  43. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  44. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 午前中の質疑占部委員の質疑で、今後の地方財政の確立、こういった点についてどうあるべきかというような質問があったわけです。これに対して、自治省の答えを聞いておりますと、景気回復がそのかぎを握っておるのだ、こう言っておる。こういう感じに受け取られたわけです。で、この点は、私の受け方はそういうことなんです。景気回復がそのかぎを握っているというのだ、この二、三年の地方財政の確立ということについては、景気回復ということが大きな問題である、こういう答弁であったように感じられるわけです。私はそういう考え方だけでは解決できないと思います。ということは、御承知のように、いままでは景気落ち込みというのは、昨年、ことしに入って、こういうことです。それまでは景気がずうっと上昇してきたわけです。その中で、地方財政というのは、いろいろな面で地方財政というのは非常に多様化してきた、そういう中で赤字というものが累積をしてきた。だから、それでは抜本的にこれを解決するためにはどういう処置をとったらいいか、対策を講じたらいいかということが一つの大きな問題になっているわけです。ですから、私は、そういういわゆる現実、実情というものをとらえた上で、ただ景気回復すればここ二、三年の地方財政というものが確立されるというような言い方、もしそういう考え方を持っているとすれば、私はそれは誤まりじゃないか、こういうふうに思うわけです。その点をどうお考えになっておるのか。
  45. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 先ほど財政局長並びに私からお答え申し上げましたのは、現在の財政収入落ち込みは、確かに景気の影響が非常に大きく作用していることは事実であります。しかしながら、景気回復したからといっても、今後の経済情勢見通した場合に、いままでのような高い税収伸びを期待できるような経済情勢までに回復できるかどうかという点はきわめて疑問である、国際経済情勢から見て、これまでのような高い経済成長率というものは期待し得ないのではないだろうか。そういう点から見て、税収入伸びが従来のように二〇%前後の高い自然増収が期待できるようなことはとうてい考えられない。たかだか一四、五%ぐらいの伸び率ぐらいしか期待できないのではないだろうか。そういうことから考え合わせるならば、現行の地方税制についても何らかの税源増強の方策というものを考えていかなきゃならない時期にきておるというふうに私どもは考えるということを御答弁申し上げたわけでございまして、財政事情は、景気回復だけではなかなか問題としては解決しないだろうということを申し上げたつもりでございます。
  46. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 地方財政の確立は、景気回復と多少の関連性はないではございませんが、それをもって地方財政の確立をはかるという考えではございません。あくまでも急増せる地方財政需要あるいは多様化しておる地方財政需要にこたえるために、そこにはできるだけ財源の確保をはかって、そうした財政需要にこたえるような税制度の確立を考えるという点で私ども地方財政の確立を将来考えていかなきゃいかぬというふうに考えております。
  47. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これは、こういう論議はいま始まってきた論議ではないということ。ですから、当然この税の再配分というか、税制の面で今後考えていかなきゃならない問題だと、こういう考え方については、これはいままで地方財政の健全な育成というか確立というか、そういう問題についてはその点を考えていかなきゃならぬと、こういわれてきたわけです。ですから、いまあらためて自治省のほうから景気回復だけではない、そういう税制面からも考えていかなきゃならないという考え方を披瀝されたわけだけれども、それならば、いま言ってきたように、きのう、きょう論じられてきた問題ではないので、そういうある程度具体的な考え方、どういう考え方をその点について持っておるのか、その点をひとつお聞かせ願えればと思うんですが。
  48. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 地方財政の確立をはかります場合においては、いま御指摘のように、国と地方の税の再配分というようなことも当然検討の中に入れなければ私どもいかぬというふうに考えております。しかし、何といっても、やはり真に地方財政の確立をはかりますためには、そこには安定した独立財源というものが私ども必要ではないかというふうに考えております。したがいまして、特に都市財源については、従来からいろいろな面で検討されておるわけであります。まあ私どもとしても事務所、事業所税等、昨年来より鋭意検討を進めておるわけでございますが、これらの税につきましては、その税の性格、配分等につきまして十分なまだ結論に到達するところまできておりませんが、少なくとも明年度は、これらの税制についても何とかひとつ確立をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。また、近く御審議をいただく航空機燃料譲与税等、これらも地方財源確立のために私ども多年要望しておりました税制度でございます。また、将来地方財源についてはあらためていろいろな角度から検討をいたしまして、できるだけその地方財源確立のために独立税の確保をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  49. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 非常に私は抽象的なお答えだというふうに思うんですね。それで、昨年の地方税法改正案、これに対しては附帯決議がついたわけです。「都市とくに大都市並びにその周辺都市において、都市環境整備のための財政需要が著しく増大している実情にかんがみ、すみやかに国、地方を通ずる税源の配分について再検討を加えるとともに、大都市については特有の事務配分に伴う必要な税制上の措置を講ずること。」、こういうふうに附帯決議がついているわけです。これについては、当然大臣が前向きで検討しようという答弁があったはずです。で、そうだとするならば、この一年間、この問題についてどういうふうに検討されてきたのか、その点をひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
  50. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 昨年度地方税法改正にあたりまして附帯決議がなされておることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、この附帯決議の精神を体しまして、私どももできるだけ税制改正につきまして鋭意検討を進めておったわけでございますが、それらの事情を体しまして、御承知のとおり、特に都市財源の充実につきましては、従来から自動車重量譲与税の創設等、できるだけ措置を講じてきたわけでございます。昭和四十三年度におきましては、自動車取得税を創設いたしまして、その七割を市町村に交付するという制度をつくったわけでございます。四十五年度におきましては、法人税の負担の引き上げに伴う都道府県民税の増収分を全額市町村に移譲し、さらに、四十六年度からは自動車重量譲与税を創設し、これを市町村に配分すること等、できるだけ都市財源の充実につとめてきたわけでございます。  なお、御指摘のとおり、税制調査会の長期答申におきましては、その都市財源の充実の必要性を認め、法人所得課税市町村への配分を強化すること等六項目の具体的な方法を検討し、適切な処置を講ずべきであると勧告されておるわけでございまして、政府といたしましても、都市財源の充実の必要性を痛感いたしまして、今後ともさらに積極的に具体的な措置を講じたいというふうに考えておる次第であります。
  51. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのお話ですけれども、部分的に多少の改革をはかってきたということは、これは大体においていままでもなされてきたことであります。問題は、先ほども申し上げたように、都市自体が非常に多様化してきて、それに伴ってその財源措置がだんだんと大きくなってきた、市町村のですね。で、そういう中でただ小手先の操作だけではどうにもならぬ、いわゆるそういう時点にきているということ、そこでいわゆる税制問題というのが大きく取り上げられているわけです。ですから、そういう、言うならば抜本的な対策というものを国自体が考えていかなくちゃならない時点にきておるということ。ですから、そういう大きな立場から、いわゆる地方財政の確立については、今後、たとえばですよ、これは私が言うまでもなく御承知のように、国税の三二%をどうのこうのという、そういうまあこれは一つの基本になった、そういう基本的な大きな問題に対してはどういう考えを持っておるのか、そういうような点がどういうように検討されてきたのか、そういうもう少し突っ込んだ抜本的ないわゆる対策についてどのような話がなされてきておるのか、そういう経過についてひとつお話をいただくと同時に、また、経過と同時に、今後自治省として、この地方財政の確立については、こうあるべきなんだという確信をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  52. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 昨年の当参議院における地方税法改正に対する附帯決議、あるいは、昨年の税制調査会の長期答申における答申の具体化というような観点から、昭和四十七年度税制改正として私どもが昨年秋以来検討を続けてまいりましたものは、一つは、都市の税源充実の方策の一つとしての事務所、事業所税の問題、それからもう一つは、道路目的財源の強化というような観点から軽油引取税の強化の問題、この二点について、まず四十七年度税制改正の際にこれは織り込みたいという観点からいろいろ検討を続けてまいったわけであります。  事務所、事業所税につきましては、先ほど政務次官よりお答え申し上げましたとおり、その税の構成並びにその課税団体というものについていろいろその具体化にあたって意見が結局まとまらずに、税制調査会におきましても、方向としてはこの創設の方向を検討すべきであるけれども、なお内容についてもう少し詰めていく必要があるというような観点から、早急にその具体化をはかるということで、いわば税制調査会も昭和四十八年度までにもう少し検討を続けていきたいというような観点からの答申が行なわれて、ついに四十七年からの実現はできなかったわけでありますけれども、私どもとしましては、これを四十八年度税制改正の際にはぜひとも実現をしたい、こういうことで、さらに問題点として指摘されました事項についての検討を続けておるところでございます。  また、軽油引取税につきましては、当初、平価調整に伴うところのいわば原油の輸入価格の引き下げが可能であろう、そういう意味におきましては、軽油引取税については若干の税率引き上げを行なってもおそらく軽油の販売価格に影響することなく税率の引き上げが可能であろうというふうな見通しのもとに、その作業を進めておったわけでありますけれども、御承知のとおり、OPECとの関係において、この平価調整に伴う原油価格の引き上げというような問題があって、軽油の販売価格に影響をしないで、税率を引き上げるということは非常に不可能な状態になったわけでありまして、この点について、いわば最近の経済情勢から見て、物価に及ぼす影響といったようなことも問題となりまして、ついにこれも断念せざるを得ないというようなことになったわけでありまして、そういう意味におきましては、四十八年度改正におきまして、特に都市税源の強化対策というものを具体化することができなかったということは、きわめて私ども遺憾といたしておりますけれども、さらに、地方税税制改正としては、都市税源を充実強化をするという方向で、その具体策をさらに検討を続けてまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  53. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、先ほど申し上げたように、そういったことで、いままでもどれだけかの点についてはそういった改正がなされてきたという事実もあるわけでしてね、それで、はたしていまのいわゆる地方財政の窮状というものを、これをいわゆる救っていけるかどうかという問題があると思うのです。これは現実論かもしらぬけれども、現実に照らして、それでできるかどうかという問題がある。そうなると、先ほどから言っているように、抜本的にこれは改正を考えなければ、対策を考えなければ、どうにもならなくなってしまうじゃないか、こう私は憂えるわけであります。ですから、その辺のところを、どう現実を踏まえた上で、どうとらえておるのか。これもやりました、これもやりました、それがどれだけいまの地方財政の窮状を救うことができるのかという問題、そういったものを踏まえた上で考えた場合に、はたして、それでもっていつまで続くのか、また、現在の窮状をほんとうに救えるのかどうか、それが心配です。ですからそういったことでは、その程度のことではどうにもならぬので、もっと大きな立場からこれを改革していかなければならぬ。その対策を考えていかなければならぬということが論じられているわけで、その辺の大きなところを、いまたとえば例をあげて言ったように、国税の三税の三二%を交付するという、そういった、これはいまも言ったような議論です。そういう議論に対してはどのように考えているのかというような、もっと突っ込んだところをお話し願えればということでお聞きしているわけです。  そうしますと、まあその辺のところを、徐々にいきたいことはわかっていますよ、徐々に改革されたいことは、いま局長説明でもわかります。だけれども、私はもう一歩、いまの実情をそれでほんとうに救えるのかどうかということを言っているわけです。たとえば——たとえばの話、保育所をつくるにしても何をつくるにしても、国の補助率あるいはその基準単価それ自体が、いまの時代に合わないような低いものであるということは、これは絶えず論じられてきていることです。そういった現実の問題を取り上げてみれば矛盾だらけなわけです。ですから、この点を上げたから、あの点を上げたからというそれだけは、それは認めます。認めるけれども、はたして、それでもってそういう実情を打開することができるのかということになると、これはまた問題が違うと思うのです。そういった点から、私はさっきから現実の問題、現実の問題と言ってきているわけです。はたして、そういったものを踏まえた上でこれをやれば、もう当面の問題これは心配ないんだという考え方なのか、あるいはもう一歩突っ込んで、もっと大きな立場からの問題についてはどういわゆる検討をされ、自治省として、大きな問題についてはこういうふうに考えているんだという的確な御答弁を願いたいんだということをさっきから言っているわけですね。ですからそれは、そちらから言うと、答えたじゃないかと言うかもしれないけれども、私はもう一つ、現実のいまの実情を踏まえた上で、お話をしてもらいたいわけなんです。その辺がちょっと理屈が合わないかもしれませんけれども
  54. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 現実の財政需要の要請にこたえて、地方財源を抜本的にどう改善強化をしていくのかというようなお尋ねでございます。もちろん、私どもは、今後の済経の推移あるいは税収の実態等を見定めませんと、いま直ちに具体的にこういった方法で財政の確立をはかるというわけにもまいりませんが、もちろんこれらの問題は、国、地方を通して当然考えなければならない問題でございます。また午前中、租税特別措置法の自動的な地方税への影響というような問題につきましても御指摘をいただいておりますように、あるいは交付税の税率の配分につきましても、もちろん今後、それらの情勢を十分見定めまして、今後の検討の課題としてわれわれは検討しなければならぬというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、やはりもう少し、景気見通しでありますとかあるいは税収の実態等を見定めませんと、この段階で、抜本的にこういうふうに地方財政の確立をはかるんだという具体的な考え方をお示し申し上げることができませんことは残念でございますが、十分御指摘の点は、私どもも今後検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  55. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、その問題はこのくらいにしまして、具体的な問題を取り上げてお尋ねをしていきたいと思います。  たとえば今度の、配偶者控除もあります、心身障害者の扶養共済制度の問題もあります、障害者、それから未成年者、これはそれぞれ免税点の引き上げをやっているわけですね。たとえば一万円という線が出ているわけです。この一万円という線を出した根拠というものはどういうところからきているんですか、この点ひとつお答え願いたいと思います。
  56. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 御承知のとおり、昭和四十七年度財政収支の見通しはきわめて困難な情勢にあったわけでございまして、地方制度調査会におきましても、現状のままでは住民税減税はきわめて困難だというような判断もなされたくらいだったわけでございます。しかしながら、住民税負担現状、あるいは所得税の課税最低限等の推移というものから判断いたしますというと、やはり住民税におきましても最小限度の減税を行なわなければならないというような判断のもとに立ちまして、税制調査会等における審議の内容等も考慮いたしまして、所得税との間においてこれ以上課税最低限の開きを大きくしないというような方向で最小限度の減税を行なうとするならば、どれだけの所得控除額の引き上げを必要とするであろうかというような観点から、その試算を行ないまして、この所得控除額をきめたわけでございまして、こうした各種の所得控除額を一万円ずつ引き上げるということによりまして、給与所得控除の引き上げと相まって、給与所得者の標準世帯における所得税の課税最低限、それから住民税の課税最低限というものをいわば一歩でもその縮小の方向に前進するという計算をいたしまして、各種控除額について二万円ずつの引き上げを行なったというのが実情でございます。
  57. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうすると、いまのお話ですと、基本的な考え方としては、所得税の課税最低限、これと、いわゆる住民税における課税最低限、これとの差をこれ以上大きくしまいという配慮があったということをいまおっしゃったわけですが、そうしますと、たとえば四十五年度の所得税、夫婦子供三人で、これに対する課税最低限が出されているわけですが、これによりますと、四十五年度は百三万八百三十三円、四十六年度住民税、これに対するものは八十六万四百七十一円、差し引きしますと十七万三百六十二円のいわゆる開きがあるんですね。これはいわゆる自治省流の比較のしかたなんですけれども、こういうこと。そこで四十六年と四十七年——四十六年の所得税における課税最低限、これは百十七万五千百八十一円である。四十七年度住民税における課税最低限、これは九十五万四百八十九円、差し引きしますと二十二万四千六百九十二円、これは前年度に比べて開きが大きくなってきます。いまのお話からいうと、こういった点は非常に矛盾を感ずるわけです。これ以上その差を大きくしまいという、そういう考え方から言うならば、こういう差が出てきているわけです。ですから、こういった点はどういうふうにお考えになられたのか、ちょっといまお答えになった点と矛盾するのでお尋ねをするわけですけれども、この点どうなんです。
  58. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 昭和四十六年度の所得税は、御承知のとおり、当初におきまして減税を行ないまして、さらに、四十七年度に実施すべき所得税減税をいわば景気対策のために繰り上げ減税をするというような形で、昭和四十六年度は補正予算におきまして相当大幅な追加減税措置がとられたわけでございます。したがいまして、昭和四十六年度の所得税における課税最低限は、その点から見まして、相当大幅に引き上げられたわけでございます。そういうことで、昭和四十六年度当初における所得税の減税額と、昭和四十七年度住民税課税最低限の額というものとを比較いたしますというと、その課税最低限の割合というものは、わずかではありますけれども、上がっておるはずでございます。また、昭和四十七年度その当初同士の比較をいたしましても若干の課税最低限の、いわばその差の縮小がされているというふうに私ども考えております。
  59. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあこの点について深くどうのこうのということで議論を戦わす考えはありませんけれども、いまのいわゆる局長お話ですと、所得税のほうも繰り上げ減税をやったので、そこにおのずから開きが出てきた、それから比べれば住民税はいままでよりも多少よけいに上がっているはずなんだと、こういうことなんです。そのお話はわかります。そうかもしれない。しかし、先ほど局長がおっしゃったように、あくまでもその開きというものは所得税という、所得税の課税最低限を、これを基準にして、言うならば、この住民税の振り合いというか、割合というものはそういうものを見てきているという、こういう過程が私はあると思う。そうだとするならば、これは繰り上げ減税だと言うけれども、四十六年度減税には違いない。これをなぜやったかといえば、それだけの意味があったわけでしょう、繰り上げ減税をやったという、国がそれをやらざるを得ない一つ意味があった、それをくどくど言いませんけれども。ですから、住民税においてもそれにやっぱりこたえていくだけの考え方、姿勢というものが私はなければうまくないんじゃないか、こう思うんですね。その点、どうでしょう。
  60. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 国の租税の中には、国の経済政策というものを非常に強く取り入れて税制改正が行なわれることがあるわけでございます。その場合に、地方税がそれに対応してどの程度まで国の経済政策というものにつき合っていくかという点は、いろいろ御議論のあるところだろうと思います。いまの所得税の減税は、昭和四十六年度の追加減税分は、昭和四十七年度の繰り上げであるということの証拠として、昭和四十七年度においてはほとんど所得税においては減税は行なわれなかったわけでございます。そういうことで、単純に昭和四十六年度の追加減税後の姿と住民税の四十七年度の課税最低限というものを比較いたしますというと、数字が少し開いてくるわけでございますけれども、そうした所得税のいわば景気対策的な面につきましては、いまの地方財政現状から見ますならば、そこまではなかなかつき合いかねるというのがいまの私ども考え方だったわけでございます。
  61. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、これは将来にわたって国の景気浮揚対策、そういうものについて、つき合い切れないんだという考え方とすると、しかし、こういうふうな差が出てきたということは現実です。また住民の生活というものも、現実の問題、いわゆる景気が下降してきたので、生活それ自体にもそれが影響してくるということなんですから、そういったことを踏まえて考えた場合に、やはり所得税のほうは景気浮揚対策が含まれているんだから、それにはとても追いつかないんだ。また、それとさらにつき合いができないんだという考え方は私は全く進歩のない話だろうと思うんですね。そこで、今後そういういわゆる差が、いまの考え方からいきますと、そういう差が出たということは、将来もう追いつかない、また追いつく必要はないんだ、こういうふうに感じられるわけなんですね。ですから、その点についてはどう考えていられるんですか。これから、住民税における課税最低限は、つとめてこの所得税に近づけていこうという考え方を持っているのか、またそういう努力をしていこうという腹があるのかどうか、この点どうなんですか。
  62. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) まず最初の点でございますけれども、所得税が、昭和四十七年度分としては課税最低限の引き上げというのが行なえなかったという意味におきましては、おそらく来年度住民税と所得税を比較いたしますというと、大体なだらかな線が出ていくだろうというふうに私どもは考えております。そしてまた、今後所得税と住民税の課税最低限というものをどういうふうに持っていくつもりかということになりますと、住民税負担状況から見まして、この課税最低限というものはなお引き上げていく必要はあるだろうというふうに考えておりますけれども、私どもとしましては、所得税の課税最低限と住民税の課税最低限は、これを合わせる、完全に一致させる必要はないというふうに考えております。この点は、住民税市町村税であって、その市町村ごとに現在の情勢のもとにおいては、やはり地域的な経済格差というものがなお存在しておる。そしてまた、住民税なり、その地域社会における経費の負担というものをこの税によって相当部分を実現していくという場合におきましては、やはり課税最低限は、現状のままにおきましては、とうてい所得税の課税最低限には一致させ得ないであろうというふうに考えております。この辺は、住民の税負担の問題と、それから、それが市町村税である住民税の性格から見まして、どうこれを調整していくか、今後とも問題としては残る点でございますけれども現状のままにおきましては、なかなか一致させることは困難であろうというふうに考えております。
  63. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ現状のままでは一致させることは無理ではないかと、こういうことです。そこで、そうしますと、それで自治省の見解がはっきりしたわけですけれども、人事院の調査によりますと、これは標準生計費、夫婦子供二人の場合をとってみますと八十三万七百六十円、こういうふうに出ているんですね。そうして住民税課税最低限は夫婦子供二人で八十万四千八百七十一円と、こういうことになるんですね。私は、いわゆる人事院の調査による標準生計費八十三万七百六十円、これがいわゆる標準生計費である。こういうことであるならば、せめて、いわゆる住民税における課税最低限も、これはその線にまでは上げてくるべきではないか、こんな考え方をしているわけです。これはしろうと考えかもしれませんですよ。だけれども、そういうふうに思うわけです。それでなければ、何のために人事院が標準生計費というものを出したのかということで、こういったことをどういうふうにお考えになるのか。
  64. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいま御指摘のとおり、現在の住民税の課税最低限というものは、人事院が出しております標準生計費の金額に比べますと、課税最低限のほうが低いということは御指摘のとおりでございます。ただ、この標準生計費というものの性格でございますけれども、これは公務員の給与水準を算定いたします場合のいわば標準的な生活を前提にした場合の生計費試算でございまして、これが直接住民税の課税最低限に結びつけなければならないかどうかという点はやや問題があろうかと思います。まあ私どもは、住民税負担を求める立場で考えます場合には、やはりこうした標準生計費の線ぐらいまでには少なくとも課税最低限は持っていきたいものだというふうには考えております。ただ、先ほど申しましたとおり、この住民税を課税いたしております全国各市町村の実態というものを見ます場合に、なかなかこの標準生計費までに、いわば住民の所得水準がいっておらない町村も相当あるということを考えますとき、やはり地域社会の経費負担というものをどういう対象に求めるべきかという問題とも関連してまいります。その点もかみあわせまして、こうした標準生計費等の数字も十分参考にしながら今後の税制改正には配慮してまいりたいと、かように考えております。
  65. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次の問題は、今回の減税措置によりまして住民税の納税義務者はどれくらいの数になりますか。
  66. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 住民税所得割りの納税義務者が、昭和四十六年におきましては二千九百八十五万というふうに推定いたしております。これが改正しないままで四十七年に移行いたしますというと、大体納税義務者としましては約一〇%の増加になるというふうに見込んでおりますけれども、この改正をすることによりまして、納税義務者数の増加は大体三十九万人程度増加、その増加率としましては一・三%程度増加と見込んでおります。
  67. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、減税措置地方税法改正によって行なう、これは減税措置をとっても、なおかつ、またこの納税者がふえてくるというそういう姿。そこでこれは、何か一面からいえばその目的を、いわゆる国の減税という問題について、何かそういう姿は逆行しているみたいな感じがするわけです。そこで、この納税者の数を、これはもう際限なく、いわゆる今後も納税者の数をふやしていこうという考えなのか、ある一定のところで歯どめをしていくという考え方を持っているのか、その点はどうなんでしょうか。
  68. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 租税の中でも特に所得課税の場合に、その一つのねらいといたしましては、所得の再分配のある機能を持たせるというのが、こうした所得課税の機能になっているわけでございますが、そういう意味におきましては、所得課税の納税義務者というものを際限なく伸ばしていくということは、所得税、所得課税の機能の一部が失なわれるということになるわけでありますから、そういう意味におきましては、やはり納税義務者の数というものは、ある程度のところで押えていくということになるだろうと思います。その意味が、いわば課税最低限ということによりまして、どの範囲の人に租税負担を分配していくかということになってくるわけでありますけれども、ただ、御指摘のように、この住民税は、確かに所得課税ではございますけれども、これが市町村税であり府県税であるという問題がございます。  私ども昭和四十六年度実績でとらえております所得割りの納税義務者というものが、これを市町村におろした場合にどういう状況になっているかということをいいますというと、人口比の数字が出ておりますけれども、人口に対してその所得割りの納税義務者が一%〇以下の市町村というのが約二百八十町村という、率からいいますと八・六%もある。それから一〇%から二〇%の町村が約千二百五十ぐらい、三八%の市町村がこの納税義務者の割合が人口に対してそういう割合になっているということでございます。そういたしますと、就業人口に対して比べてみますというと、この比率が大体倍ぐらいの比率になるだろうと思いますが、そういうふうに国全体としてながめてきた場合に、おそらく所得税の場合ですと六割近い、就業人口に対して六割近い納税義務者の割合になるだろうと思いますが、住民税もおそらくそれに近い比率になるかと思いますが、個々市町村におけるいわば所得課税というふうにして考えた場合に、はたしてこうしたこの課税最低限の額というものが個々市町村にとってみた場合に、いわば租税負担を配分する場合の基準として高いのか低いのか、その辺がひとつこの地方税の場合には問題が出てくる、こういうことでございます。ただやはり国の立場として、国民全体の租税負担というものも考えなければならないわけでありますから、その辺の調整がどうしても私どもの場合、地方税の場合には必要になってくるということでございます。
  69. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、結局地方税の場合にはそういう限度を設けるわけにはいかないと、また、その見通しもそれは立てられないと、こういうことでございますか。そういうふうにこちらは理解してよろしいですか。
  70. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 必ずしもそういうことではございません。やはりこういう問題は税制だけの問題ではなくなりまして、やはりこうした地域的に見まして、所得水準の低い地域をいわば他の行政施策、政治によって引き上げていって、東京におっても、いなかの過疎市町村におきましても、所得水準というものが変わらないような姿になってくるという時代になってまいりますというと、おそらくこうした課税最低限の数字というものについては、よほど判断がしやすくなってくるのではなかろうかというふうな感じがいたすわけでございまして、そういう意味で、こうした、この課税最低限を少し引き上げることによって、税収がいなかの町村において非常に減ってくるというようなことのないように、いろいろな行政施策というものをあわせてとっていただきたいというのが私どもの立場でございます。そしてまた、納税義務者はむやみに無制限にふやしていくということではなくて、やはりそういうことを目標にしながら、一定の人口比率あるいは就業人口比率というものを考えていかなければならないだろうというふうに思っているわけでございます。
  71. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 次にいきますけれども、これはもう絶えずいままでに論議されてきた問題ですけれども、電気ガス税の問題ですね。これは、佐藤総理もこれは悪税だと、こういうふうにはっきり言っているわけです。はっきり言っているにもかかわらず、多少の改善はあったとしても、一向にこれが……、課税をしているというのが実情です。そこでこの問題について、自治省としては、これは大臣がいらっしゃれば大臣に聞くわけですけれども、自治省としてはこの点をどういうふうに将来考えておるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  72. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 電気ガス税については、いろいろと批判のあることはわれわれもよく承知をしておるわけでございますが、逐年、御承知のとおり免税点の引き上げを行なっております。今回も免税点の引き上げを行ないまして、今回の電気ガス税の免税点の引き上げにつきましては十分ではございませんが、この税制につきましては、引き続き、常に免税点の引き上げを行ないまして、需用者の軽減負担については十分配慮をいたしておるつもりでございますが、現状ではこれを廃止するということは、地方のそれぞれ財源にも大きな影響力を持っておりますので、直ちにこれを悪税であるという理由のもとに廃止するという考えは、現在、自治省としては持っておりません。
  73. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、これも絶えず言われていることですけれども、そのいわゆる市町村財政にこれの及ぼす影響は大きい、そういうところから、これはだんだん結論がはっきりしなくなってきたと思うのです。そうであるとするならば、これはいわゆる大企業に対する考え方、非課税の問題、これはその点についてはどういうふうにお考えになるのですか。
  74. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 電気ガス税は、御指摘のとおり、消費税として構成をされておるわけでございます。その意味で、こうしたこの税の消費税としての性格からいえば、電気が原料として使われているような状態になっておる場合に、これに課税をするということはどうしても原料課税になってしまう。そして、それがとりもなおさず物価等にはね返っていくというようなことがございますので、税制調査会におきましても、この取り扱い方についていろいろ御議論を願いまして、いわば重要な基礎資材になりますような物の生産に必要とする電気、しかも、その電気の原価に占める割合が相当高いものについては電気ガス税を非課税にするという扱い方をしておるわけでございまして、こうした基礎資材についての非課税措置というものにつきましては、絶えずその毎年の生産の状況なり、あるいは電気の原価に占める比率等を絶えず洗い直しながら、その措置を継続していきたいというふうに考えておるわけでございまして、これはあくまでもこの税の消費税としての性格からくる非課税措置ということで、やむを得ない措置であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  75. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますと、小山政務次官もいまおっしゃったように、現状としては、現在のいわゆる地方財政からいって、現状ではこれを廃止するということは無理である、こういうふうにおっしゃった。私がお尋ねしているのは、佐藤総理もこれは悪税だと言っている税金なんだけれども、だけれども、それがなかなかなくならない。将来この問題については自治省としてどう考えていらっしゃるのかということをお尋ねしたので、現状どうのこうのではなくて、将来どうするんだ、どうお考えになりますか、その点ひとつはっきりしてください。
  76. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 電気ガス税の将来の問題でございますが、もちろんこれは地方税制にとっては有力な一つ財源としての構成をなしておりますので、将来この問題をどうこうするという場合におきましては、もちろん税制調査会でありますとか、その他関係機関の十分な答申等もまたなければならないわけでございますが、これにかわるべき有力な財源が得られるというような、そういう状態がまいりますれば、できるだけこうした批判のある税制については改善をしなければならぬというふうに考えております。
  77. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 政務次官の話も私はおかしいと思うのですよ。有力な財源が出てくれば、それは、そういうことだったら、みんなすべておしなべてそういうことが言えるわけでして、これは悪税だということなんですね。言うならば生活必需品だ、そういうものにまで税金をかけるということはおかしいんじゃないかということなんで、それを悪いんだということを認めつつ、しょうがないんだ、しょうがないんだと、いつまでやっているんだ、悪いということは、これはもうこの税金については悪税なんだということは総理までがはっきり認めているんだからね。それを踏まえた上で、それじゃ将来、悪いんだからどう解消していくか、そしてそれにかわる財源——政務次官はこれにかわる有力な財源がもしあるとするならば、それはあなたのほうが積極的にそれを見出す立場であって、それを私に、ありましたらなんていう話をする問題ではないと思う。ですから、その辺の考え方は私はおかしいと思うのですよ。で、そういったことで、これはいまのお話を聞いていると、ちょっとこのまま、現状ではとにかく廃止するわけにいかない、将来も見通しつかぬ、こういうお話なんです。そこで私は、いわゆる自治省の腹がわかりましたから、それならば免税点の引き上げということは、私から言わせればごまかしだ、こんなものは。いま文化的な生活がどんどん各家庭で営むようになって、電気にしても、ガスにしても、その使用料というものはどんどん上がってきているんですよ。意地悪い質問をするならば、その辺の上がりぐあいをちょっと説明してもらいたいと、こういう意地の悪い質問のしかたがあるんですけれどもね、上がっているんですよ。ですから、多少免税点を上げたからといって、それが即国民全体に大きく反映するというものではない、私はそう思うのです。  そこで、やはりそうだとするならば、これは税率の改正というもの、これは池田内閣の時代に池田さんは三回にわたってやっていますよ、税率の改正を。で、佐藤さんになってから八年間というのは全然その税率の改正というのはありませんよ。悪いと言いながら、池田さんはちゃんと三回にわたって税率の改正をやっている。現内閣になってから、佐藤さんは一回もやってないじゃないですか。これは住民のそういう面での負担を解消しようと、少しでも軽減していこうというねらいがほんとうにあるならば、その腹がほんとうにあるならば、これはやはり税率を改正すべきだ、こう私は思うんですね。ですから、その点についてはどうお考えになりますか。
  78. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ただいま御指摘のとおり、過去において三回にわたって一%ずつ税率の引き下げを行なっております。したがって、一〇%の税率が現在七%になっていることは御指摘のとおりでございます。ただ、その際には、その電気ガス税の税率引き下げに伴う減収分につきましては、たばこ消費税の税率引き上げという形で減収補てん措置をとって行なったわけであります。これをさらに税率を引き下げるかどうかという点は、やはりこの税が市町村税として非常に普遍性の高い税でありますだけに、そうした財源措置ということをあわせて考えていきませんというと、この税率の引き下げは困難であろうというふうに考えております。これにかわるべき税源措置というものが、現在たばこ消費税の場合には、御承知のとおり、ほぼ国と地方の分け合い分が半々に近いところまでいっております。たばこ消費税の税率引き上げということがいわば限界にきているということにもなるかと思いますが、そういう意味で、ほかに何らかの税源を求めるということについて見通しが得られるならば、私どももそういう点については検討していく必要もあるかと思いますが、当面、現在の生活の状況等から見まして、むしろいまのところは免税点の引き上げということによって措置していくべきではないだろうかという感じを持っているわけであります。確かにこの免税点の引き上げは、御承知のとおり、毎年消費水準が上がってまいっておりますので、気、ガスの消費量もそれぞれふえてきているということは事実でございます。しかしながら、現在の引き上げ額は、そうした消費水準の上界を相当上回って免税点の引き上げを行なっている状況でございまして、免税世帯は若干ずつふえていっておるということでございますので、今回、この免税点の引き上げによっていわば零細負担をなくしていくという方針でまいりたいと、かように考えているわけでございます。
  79. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 先ほどからも言っておりますけれども、悪税だと言うのだから、それが基本になっているんです、私のいましゃべっていることは。だから当然なくすべきだと思う。それができないならば、いわゆる税率を変えるべきじゃないか。そうすることが消費者の税の軽減ということで、これが消費者に反映をしていく、こういうことなんです。だから、それが必要じゃないかと、こういうふうに言うわけなんですけれども、それに対して、いま局長お話などで、これは幾らここでもって、ああでもない、こうでもないと言っても、そう簡単に結論が出そうもありませんので、これはこのくらいにしておきます。  そこで、今回の改正の中にはないんですけれども、この前ちょっと私も触れたのですが料理飲食税ですね。これもしょっちゅう問題になると思いますけれども、料理飲食税、いま免税点が千八百円、こういうことになっておりますね。で、基礎控除が千円になっている、こういうことなんです。これは非常に矛盾していると思うんですけれども、これは全くいまの時代にそぐわない、合わない、マッチしない免税点だと思うんですよ。なぜ今回改正をしなかったのか。これでほんとうに役に立つと思うのかどうか、これは形式的じゃないかと、こういう感じがするんですけれども、もう少し実際を踏まえていった上で、どうして変えなかったかということと、それじゃ、これからどういうふうに考えていくかという点についてひとつお答え願いたいと思います。
  80. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 実は料飲税の免税点、基礎控除につきましては、昨年の地方税法改正によりまして、昭和四十六年の十月から改正法が施行されたばかりでございます。この改正によりまして、旅館の宿泊者のほぼ半分が免税点の適用になるというような状況でございますし、また、飲食店なり、あるいはチケット食堂の利用については、ほとんど課税されないというような状況になっておるわけでございまして、そうしたまず昨年の改正が実施をされて、その効果が相当大きい範囲に及んでおるし、そしてまた、この改正が実施されたばかりであるというような観点から、本年の場合にはこの改正をいたさなかったわけでありますけれども、ただ、こうした宿泊料金なりあるいは飲食料金というものは、物価に相当影響されるものでございますので、そうした物価の状況なりあるいは財政状況等も勘案しながら、こうした免税点、基礎控除についてさらに検討を続け、調査を続けてまいりまして、必要な時点において改正をしていかなきゃならないというふうに考えております。
  81. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 改正していかなきゃならないというふうに考えているということが結論ということですね。その前に、いまお答えの中には、四十六年の十月に改正したばかりだという、改正したばかりだから改正しなかったという一つの理由づけがあるわけです。いわゆる千八百円という旅館に泊まった場合、千八百円という免税点がはたして実情にマッチしているかどうかという、そういう観点から言うならば、これはだれが考えても、いまどき千八百円で泊まるというわけにいかないのですから、当然これの改正をやるべきである、こういうふうに私は思うわけです。  もう一つは、たとえば千八百円が免税点だと、現在は。そうですね。基礎控除額は一千円だと、こういうことですね。これは常識的に考えて、大体千八百円こえるにきまっていますよね。千八百円こえると、これは基礎控除額が千円なんですから、たとえば二千円になった場合には今度千円についてかかってくる、こういうことになりますね。その辺が私しろうと考えなんですけれども非常に矛盾していると思うのですよ。いわゆる千八百円までは税金は取られぬ。千八百円をこえると、いわゆる今度は基礎控除額が千円で、それ以上のものについては、いわゆる千八百円をこえた二千円だとすれば、いわゆる千円に今度は課税されるということですね。千八百円というものを私は基準にすべきじゃないかという、これはしろうと考えかもしれませんけれども、私はもうごく常識的に考えてもそういうことが言えるのじゃないかと、こう思うのですね。その点何か変な操作しているような気がしてしようがないのですが、ひとつその点を明確に御説明願いたいのです。
  82. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この免税点と基礎控除の関係は、いわば零細な消費については課税をしないという考え方をとっておりますのが免税点でございますが、この基礎控除は、いわば宿泊の最低必要経費部分については課税の対象にしないという趣旨によるわけでございます。理屈を申して申しわけございませんが……。ただ、先ほど申しましたように、この免税点によりまして実際には宿泊客数の約半数が免税点以下というのが実績でございます。そういう意味におきまして、私どもはこの免税点制度は十分よく働いておるというふうな判断をしておるわけでございます。さらに、この実態等につきましては、調査を続けながら、適正な課税のあり方というものはなお考えてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  83. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これ以上申し上げませんけれども、これは話です。たとえば、公務員の宿泊費というのですか、旅費というか、これは幾らになっているのか、千八百円以下じゃないですよ。ということは、国がそれではまかなえないのだということを承知の上で、こういう線を出していると言わざるを得ないのじゃないかと、こういうふうに思うのですよ。これは答えていただく必要はありませんけれども、私はそう思うのですよ。国は公務員の出張旅費を三千数百円という線を出していて、そして免税点は千八百円だ、その千八百円じゃとても泊まれないのだという、これは常識です。そういう判断のもとに、そういった旅費規程なり何なりができていると思うのですよ。これはあくまでも話です。私はそう思う。そういった点からいっても非常に矛盾を感ずると思うわけです。  それはそれとしまして、あと次の問題にいきます、もう時間もだいぶ過ぎましたので。今度自動車税が、特にバスの標準税率というのが上がりますね。一般乗り合いというのですかな、これについては、言うならば大幅に下がる。ところが、自家用についてはこれは大幅に上がる。こういうことなんですけれども、その理由づけ、その理由づけについて、そういう計算をなさった根拠についてひとつお話をいただくということと、それからもう一つは、「その他」とかいろいろ非常にぼやかした表現で出ておりますけれども、そういうものはどういうものが含まれるのかということですね。そういった点についてひとつお話をいただきたい。
  84. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) バスの税率につきましては、従来の税率区分が、主として観光貸し切り用が年額四万五千円、その他が一万四千円というような区分になっておったものでございます。バスにつきましては、こうした税率のできました当時におきましては、バスの種類といたしましては、定期路線に使いますバスと観光貸し切り用のバスというふうな二種類のバスの区分がこの時期にはあったわけであります。当時はほとんど自家用バスというものがなかったわけでございます。そこで当時の、いわば観光といいますかレジャーといいますか、レジャーというものが、いわばぜいたくだというふうな感じ方、あるいはレジャーは悪だといったような考え方がどうしても前提になっておったのではないかと思いますけれども、一般の乗用車が営業用と自家用とにおいては約三倍の税率の開きをもっておるというような観点から、このバスにつきましてもそういうような扱い方の税率にしておったわけでございます。そのうちに、次第に自家用バスというものの使用がふえてまいりまして、最近は自家用バスの台数はむしろ一般の路線バス等の数よりもふえるような状況になってまいりまして、現実の税率のきめ方としましては、府県の条例におきまして、従来の税制のその他の区分の税率を使いまして、その税率の五割増しで自家用バスについて現実には条例措置を行なっておるというのが実態でございます。そしてまた、今回この税率についての改正を行なおうとしておりますのは、観光貸し切り用のバスについては、その使用の実態が修学旅行でありますとか見学等の使用内容というものが相当ふえてきておる。単にレジャーといったような内容だけではなしに、そうした使用内容が非常に多様化してきておる。そしてまた、一面においては路線バスに近い、いわば公共料金としての料金統制も行なわれてきておる。こういうような実態から見まして、観光貸し切り用というものにつきましては、そうした公共料金のもとにおける使用がなされておるというような実態を見て、今回税率の区分を変えていきたいということを考えたわけであります。また、自家用バスは次第にその台数が増加をしてきておりますけれども、この自家用バスは、ゴルフ場の送迎用でありますとか温泉旅館等における客の送迎用、あるいは民間会社における従業員の通勤輸送用に使用されておるのが大部分でございまして、そういう意味におきましては、路線バスの区分にすべきか、観光貸し切り用のバスと同じ区分にすべきかというふうな問題があるわけでございますけれども、やはり使用の実態等から見ますならば、むしろ路線パスの区分ではなしに観光貸し切り用のバスの区分に合わせるべきではないかというようなことで、こういう税率を変えたわけでございます。これは通常の乗用自動車におきましても、営業用、いわばタクシー用に使われておりますものと一般自家用に使われておりますものとにおきましては、税率に相当の差がございます。それとの均衡をとりながら、この税率区分について今回改めさしていただきたいということにしたわけでございます。
  85. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そうしますとね、いまのお話からいうと、こういう措置をとったということは、使用の実態というものを十分に見きわめた上、そこでこういう措置をとったんだと、その使用の実態とは、いわゆる公共性と非公共性という二つに分かれると、こういうふうに解釈していいかどうかですね。そうしますとね、この自家用という問題については、その内容ですね、自家用にもいろいろな内容を含んだものがあると思うんです。で、おのずから内容においては相違がある。たとえばスクールバスのような、これは公共性を多分に持っておる、こういったものについてはやはり自家用としての扱いをするのかどうか、こういった点ですね。これは一例をあげたんです。そのほかにそういったことに当てはまる問題があると思う。そういったものについてはどういうふうに措置をなされるのか、その点ひとつ明らかにしていただきたい。
  86. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御指摘のように、最近のバスの利用についてはなかなか実態が複雑であります。したがいまして、いま先生から御指摘のように、通園バスのような問題につきましては、現在府県におきましては全額を免除しておるというような実例等も相当ございます。したがいまして、今後は行政指導の面で、そういう実態を調べまして、できるだけ減免の措置を講ずるように行政指導の面を強めてまいりたいというふうに考えております。
  87. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 これで政務次官のお話よくわかります。ですけれども、これはすぐ実施されるわけです、この法律が施行されればですね。改正されて、すぐ実施されるわけです。そうすると、たちまち法律に基づいて、この公共性を持ったものであっても自家用なるがゆえにいままで以上の多額の税金を納めなければならぬ、こういう事態が生じてくるわけです。ですから、いわゆる自治省の基本的な考え方からそういうものは除くとか何らかのはっきりした措置を私はとらないと、いわゆるいまのお話ですと、ある地方公共団体では、そういうものについては無税という措置をとっているところもあると、それはそういうところもあるかもしれない。だけれども、全部が全部そういうふうになっているわけじゃないわけですから、そこにいわゆる問題があるのじゃないかと思うのです。ですから、それをいつの時点で——こうやってお聞きするのは、ある程度前向きの答弁さえもらえばそれでいいというものではなくて、実際、現実の問題ですから、ですからこれはやはり急を要する問題だと私は思うので、やはりある程度見通しを聞かしていただかない限りは、ちょっと納得できないのですけれども
  88. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在、自動車税の税率につきましては、非常に税率区分が大まかにきめてありまして、ほとんどが各県の税条例の規定にこまかい税率区分はゆだねておるというような状況でございます。そうした税率の規定を通じまして、府県によりましては、その自動車の使用の実態に応じて税率を軽減し、あるいは課税免除をする等の措置を講じておるわけでございまして、この点は、いまの各県の税条例の規定のしかたから見まして、はたして税法の上ではっきりこういうものについては税率を半分にするとか、あるいは非課税にするとかという措置をとるよりは、それぞれの府県の実態に応じ、また、その自動車の使用の実態に応じた扱い方をそれぞれの府県にまかしたほうがいいかというふうに、その辺が意見の分かれるところかと思いますけれども、現在、自動車税の場合には、各県の自主性に、いわば自主的な判断にまかしておるというのが現状でございまして、私どもは、いまのところではそうした税条例にゆだねておることによって、特に不都合は生じておらないように判断いたしております。
  89. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 それじゃ、最後です。そうすると、先ほどお話ですと、公共性、非公共性ということが問題であり内容になっているわけであります。この公共性を持ったものについては、これはいわゆる法律の上でそういったことをはっきりうたうということよりも、いわゆる地方公共団体に対する行政指導の面で配慮をしていきたい、こういうお話です。そうしますと、それはそういう公共性、非公共性という内容、これを明らかにして、公共性を持ったものについては、いわゆる自家用であってもこうだという指導を早急になさるという、こういう考え方なのか。それともう一つは、日本全国の市町村においては、そういうスクールバス等については、いままで税金がそれでは全然取られておらなかったのか、自動車税については。この点どうなんですか。
  90. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 通学用のバスについてどういう税率をとっているかということでございますけれども、全額非課税措置、いわば課税免除の措置をとっております県、それから、一般の路線バスと同じ税率で取っております県、これはいろいろございます。大体大きく分けて、一般路線バスと同じ税率か、あるいは課税免除かという二つ扱い方があるように思います。それからまた、特に幼稚園だけを抜き出しまして、幼稚園の通園バスについては全額課税免除をするけれども、そのほかのバスの場合には、路線バスと同じような扱いにするといったような扱い方をしておるところもございますので、大体いままでの行政指導の線で、その公共性の判断あるいはその公共性の濃度の判断というものは、府県の自主的な判断にまかしていっていいのではないだろうかという判断をしておるわけでございます。
  91. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 最後に。  私は、いま申し上げたことが心配なんです。いま局長お話になったように、やはり県によってまちまちである。これは税法によって、税法を変えることによって、いままでたくさん取られたのが安くなるわけです。そうですね。そこに矛盾があるかないかという論議についてはこれはさておいて、少なくとも、それを分けた基準になったものは、公共性か非公共性かということがいわゆる判断の主体になっておるということであるならば、幼稚園の通園バスにしろ、学校のスクールバスにしろ、それは当然公共性があるものだ、これはその点についての見解というものは一致しなければ私はうまくないんじゃないか。あるところでは取り、あるところでは取らない。税法を変えるのですから、一方では、そういう措置をとりながら、一方では、非常に何だか知らないけれども弾力性を持っておって地方にまかせるということは、非常にそこに不公平な感じを抱かざるを得ないということなんであります。その辺をもう少し明確に私は市町村に対する行政指導というものをすべきじゃないか、こう思うのですけれども、この点どうですか。
  92. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 確かに、公共性についてはいま御指摘のような見解に立つと思います。したがって、それらの趣旨を十分体しまして、行政指導の面を通して、できるだけ統一する見解のもとに指導の強化をはかっていきたいというふうに考えております。
  93. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ことしは減税が行なわれておりませんけれども、昨年のようにまたあるいは年内減税ということが行なわれるかもしれませんし、あるいはまた、来年度当然減税が行なわれるものと思います。  そこで、今度は、中堅所得層を優遇する立場から税率の改正をしてはどうかと思うわけですが、妻の座を重視する意味から、ことしは国税で二分二乗方式が見送られましたが、四十八年度の所得税の課題になると思います。そこで、四十九年度住民税からこれを採用してはどうか、これを一つ提案するわけです。最近は働く家庭の婦人がたいへん多くなっておりますので、婦人労働力も相当に評価をされています。そうしてこういういい制度を考えてみてはどうか、このように私ども考えるわけですけれども、政務次官の御所見を伺いたいと思います。
  94. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御指摘の提案につきましては、まだ私どもも十分内容を検討しておりませんので、いま直ちに申し上げるわけにもまいりませんが、いずれにいたしましても、税制改正につきましては、従来から一応調査会の審議を経まして、その答申をまって改正に踏み切るというのが慣例でもございますので、御指摘の点は調査会のほうにも十分伝えまして、こういう税制について検討をしていただきたいというふうに考えております。
  95. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 この妻の座の優遇の二分二乗方式ですね、これはもうことしずいぶん納税者から期待をされまして、新聞でも相当議論をされたことは御承知のとおりだと思います。こういういいことは、ひとつ自治省のほうでも、率先をして、やる方向に考え方を向けていただいてみてはどうだろうか、これはぜひやっていただきたい。そういう考え方があるかどうか。妻の座というのは、われわれ女性の議員も特にこれを要望をしているわけですけれども、そういう考え方でひとつ検討をしていただけるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  96. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 中沢先生のたいへん強い御希望でもございますから、その趣旨はよく大臣に伝えまして、一応大臣のほうがどういう決意をいたしますか、御趣旨の点は十分大臣に伝えるつもりでございます。
  97. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 次に、老人扶養控除が今度十六万円になりましたね。四十八年度から新しい制度として税額控除、こういうものを設けてはどうかということも一つ質問をしたいわけです。今度は扶養控除というものができたわけですけれども、最近また、日本の政治の中でも老人問題がたいへん大きくクローズアップされておりますし、老人福祉が国の政策の大きな柱にもなってきた現在ですから、一番身近な地方税の面からも、老人をあたたかく遇する意味において、たとえ五百円でも千円でも税額控除ということを取り入れてはどうですか。これを一つ御質問するわけです。もしも、これができないということであれば、特例としてでもこういう問題を取り上げたら、どんなにかまた、老人対策として、老人から喜ばれるのではなかろうかと、こう考えておりますので、いまの二分二乗方式ですね、こういう問題にしても、いいものはいいと、こういうことで、国がやらないからうちもやらないのだということではなくて、いいものはいいものとしてやっていこう、こういうお考えがあるかどうか、伺わしていただきたいと思います。
  98. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 確かに仰せのとおりだろうと思いますが、所得税におきまして昭和四十七年から老人扶養控除が創設されるということになったわけでございますが、まず、現在の段階では、住民税においてこの老人扶養控除を創設するかどうかという点について、現在いわば検討の問題になっているところでございます。老人対策として、税制において、こうした所得控除の方式をとるのか税額控除の方式をとるのかという点は、税負担と所得との関係において非常に問題の点でございます。  確かに、御指摘のとおり、むしろ所得控除よりは税額控除にしたほうが、いわば低所得層に対しましては、その負担割合としましては軽減度合いが高いということになるわけでございますが、ただ現在、住民税と所得税におきましては、できるだけ課税手続、納税手続あるいはまた所得計算等におきましては同じような方式をとっておって、納税の負担というものを、いわば手続の負担というものをできるだけ軽減していこうということを考えておりますので、私どもの立場からいたしますと、所得税と同じような扱いをしていきたいというのが現在の気持ちでございます。なお私ども検討の時間的な余裕もございますので、さらに御指摘の点もあわして、この老人控除の問題は検討を続けてまいりたいと思います。
  99. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで、もう一つ、私は同じようなことで提案をしたいことがあるのです。  それは、今度、住宅政策として、国税で最高二万円の税額控除をやることになりましたね。これも最近の持ち家制度を奨励するということであれば、当然住民税でもこれを取り入れてはどうか。おそらく、これもまた同じような返事が返ってくるかと思いますけれども、こういうようにして、以上三つの点を私きょうは特に、何というのですか、私の意見もまじえて、こういうものを取り入れてみてはどうか、そして、こういう問題について、いいことはいいのだからぜひともやろうということで前向きに検討していただきたい。この問題もひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  100. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 実は、住宅対策は、国税よりは地方税のほうが進んでおるというふうに私どもは考えております。と申しますのは、すでに固定資産税と不動産取得税におきまして、だいぶ前から固定資産税の場合におきましては、新築住宅につきまして、通常の木造住宅の場合は新築後三年間、それから中高層の住宅につきましては、四階建てまでは五年間、それ以上の、五階建て以上のものにつきましては十年間、税額の二分の一軽減措置を講じております。さらに、不動産取得税につきましては、住宅を新築いたしました場合には、百五十万円の控除をやっております。そういう意味におきまして、不動産取得税の場合は、大体通常の住宅建設の七〇%が不動産取得税がいわば免税になっておる。それから新築住宅用の土地については、約九〇%くらいが不動産取得税が免税になっておるというような措置を講じておるわけでございます。国税のほうの扱い方というものが、いわば地方税あとを追ったんではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、住宅対策は、まあ国税より少し進んで先にやっておるということを御承知願いたいと思います。
  101. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私どもは、一軒の家を持ちますと、それぞれ相当の支出があるわけでして、固定資産税も払っておりますし、今度は水道料金に加えて下水道料金というものも取られておりますし、なかなか一軒の家を持ちますと借家住まいとはまた変わって思いがけない支出が出るものですから、こういうような御提案をしてみたわけですけれども、まあ住民税のほうが国税よりも先んじていた、こういう御答弁をいただいてたいへんうれしく思いましたけれども、しかし、今後もさらに物価は高いし、なかなか教育費も費用がかかるし、いろんな点でさらに前向きに検討していただきたい、こういうことを要望申し上げておきます。  それから次に、個人事業税の事業主控除、この問題について御質問を申し上げるわけです。前年度は三十二万円から三十六万円と四万円しか上げられなかったわけですね。ところが、今度は一ぺんに二十四万円、つまり三十六万円から六十万円までに引き上げられた。これはたいへんけっこうなことだと思いますけれども、これだけ大幅に引き上げられますと、次にですね、来年度以降ですね、もうこれは引き上げないんだと、これで打ち切りなんだと、こういうような心配がなきにしもあらずです。そこで、これで終わってしまうのか、やっぱり来年度からもまだ多少くらいでも引き上げられていくのか、その辺をひとつお伺いさせていただきたい。
  102. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) ことしの個人事業税の事業主控除は、相当大幅に引き上げたいということで御提案申し上げておるわけでございますが、一つは、この事業主控除の引き上げ額がこれまでやや低かったのではないか。そういう点がございますのは、例の事業専従者の平均給与額というものの推移をながめてみますというと、最近の情勢におきましては、事業主控除の額にほぼ追いつくような情勢になってきておって、事業主と従業員、いわば従業員の月給が同じような状態になってしまっておる。こういう点が一つ問題がございましたのと、もう一つは、国税におきまして青色事業主特別経費準備金制度、これが四十七年から青色申告控除制度というものが設けられて、いわば十万円の控除が行なわれるということになったわけでございますが、この制度について、事業税としてどう取り入れるかという問題があったわけでございます。この点は、事業税におきましては、すでに事業主の勤労部分の概算控除としての事業主控除制度が設けられておりますので、そうした国税における制度というものは直接事業税の中に取り入れるべきではなくて、むしろ事業主控除の引き上げという形で取り入れるべきであるというようなことで、こうした国税における制度、あるいは事業専従者の平均給与額の推移というものをにらみ合わせまして、今回相当大幅な引き上げを行なったわけでございます。今後これをどういうふうにしていくかという点は、やはり一般のこうした事業に従事しております従業員のいわば給与の状況でありますとか、一般の給与所得者の給与額の上界の程度とかいうものを勘案しながらこれを検討していかなければならないわけでありますけれども、まあこれによって一切引き上げませんということは申し上げないわけでありますけれども、ただ今度の引き上げ額はやや前向きの前進をしております。そういう意味におきまして、来年度引き上げるか引き上げないかという点は、ここではっきり申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、相当前進をしたつもりでございますので、引き上げ額を計算いたします場合には、それらも十分あわせまして検討してまいりたいと思います。
  103. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その問題も相当衆議院なり参議院なりの地方行政委員会の委員の皆さんがいままでずいぶん努力をして、質問を重ね、要望してきた結果だと思いますけれども、この間の、青色申告をなさるいわゆる中小企業の人たち、その人たちの間で多少御相談があって私お伺いをいたしましたけれども国税において、初めて十万円の控除がなされたということで非常に喜んでおられました。  そこで、もう一つ伺いしたいことは、中小所得階層の負担軽減のための税率改正についてお伺いしたいわけですが、現在、住民税の中で道府県民税の所得割りの税率が二段階層になっておりますね。百五十万円以下が百分の二ですか、百五十万円をこえる人は、それは青天井で、どこまでいっても百分の四です。こういうふうな二段階で、いわゆる比例税率が採用されておりますが、いろいろ住民税所得割り税率についてもナミ段階の超過累進税率が採用されておりますね。同じ住民税といっても、道府県民税と市町村民税とは異なった考え方が混在しているわけです。そこで、二段階の税率であるのは中小所得階層に過重な負担をしいている。応能負担の原則に立ち返ってみるならば、道府県民税も超過累進税率を採用するとともに、税率のきざみをもっと小さくして、特に中小所得階層に過酷な負担をかけないように留意してはどうか、これは私ども考え方で、ぜひともこれはきょうはいい答弁をもらっておいてください、こういうことでございましたから。そうすれば、むしろその二段階制ではなくて、もっときざみを小さくすれば、いま景気が悪くて地方税落ち込みが大きい大きいといわれておりますけれども、こうすれば税収確保の一助にもなるのではなかろうか、このように考えているわけですが、いかがでございますか。
  104. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 住民税の税率構造のあり方がどうあるべきかという問題が実は基本の問題としてございます。所得課税が、国税において所得税があり、地方において住民税がある。そうした場合には、そうした所得再配分機能というものを所得税に強く求めるならば、所得税において非常に強く累進課税をして、住民税の際にはむしろ財政収入に重点を置くという考え方をとって、そうした累進構造をぐっと少なくやわらかに緩和していくという方式のほうがいいのではないかという議論もございます。そうした意見の端的なあらわれが、市町村民税と道府県民税の税率の違いというところに出ているわけでございますが、もう一つは、府県民税の場合、昭和三十七年におきまして、所得税からいわば税源移譲が行なわれたわけでございます。そうした所得税の税率との調整におきまして二%と四%の税率がきざまれたという経緯がございます。ただ、その後そうした税源移譲の関係で、所得税の税率についてそれだけの改正が行なわれたのでありますけれども、課税最低限がそれ以後相当額引き上げられました関係で、所得税におきまして、この税源移譲した部分の税率というものはもう完全に消滅をしてなくなっておるわけでございまして、そういう意味では府県民税の税率について、いわば再検討をすべき段階、時期にきておるというふうに私どもも考えております。  その場合に、市町村民税とどう調整していくかという問題があるわけでございまして、どちらかというと、市町村民税の累進税率は所得税に比べるとややきつい段階の刻みになっておるわけでございます。どっちかというと、低い階層にきつい税率になっておるということは御指摘のとおりでございます。ただ、府県民税とあわせて見ると、うまいぐあいにその辺が調整がとれて、いわば所得税に似たような傾斜になっておるという点がございます。ただ、特にこの税率を直します場合には、どうしても、いわば減収額が相当出てまいりますので、いろんな課税最低限の引き上げと税率というものを、いわばこの減税をする場合にどう組み合わせていくかという点でやや技術的な問題、財政上の問題がございますが、いずれにしましても、ただいま御指摘のとおり、住民税につきましては税率について再検討の時期にきておると、こういうことで私ども検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  105. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほど上林先生から電気ガス税のことについて御質問があったわけですけれども、私どもはこの電気ガス税を撤廃するように、これは悪税だから撤廃するようにと、こういうふうにずっと言い続けてまいったわけですけれども、急にそれができないとすれば、私ども調べたところでは、電気のほうの免税点が八百円でガスの免税点が千六百円ですね。こうなっておりますけれども、電気の免税点にかかる世帯、これが一六%になります。ガスのほうの免税にかかる世帯が五三%です。こういうことでございますけれども、それならば電気の免税にかかる世帯もガスと同じように五三%ぐらいに上げてみてはどうか。片方が一六%で片方が五三%、これを同じようにしてはどうか。これを御提案申し上げるわけですが、いかがでしょうか。
  106. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 現在、電気とガスにつきまして、免税点の額に差がございますのは、どちらかというと徴税技術上の問題が一つございます。それからもう一つ負担の問題があるわけでございますが、電気は大体全国どこに行きましても使用されている。したがいまして、全国的な規模で税負担の調整を考えていけるものでございます。ところが、ガスにつきましては、この電気ガス税の課税対象となっておりますものが、いわゆる都市ガスの使用について課税をされているということになりますと、その課税範囲というものはおのずから限界がございます。そしてまた、ガスにつきましては、プロパンガスでありますとか、あるいは灯油でありますとか、同じような燃料として競合するものがございますわけで、それらの税負担との均衡というものをどうしても考えざるを得ない。そういう点で、プロパンガスでありますとか、灯油の使用を見ますというと、大体零細使用というものが多いわけでございます。そういうものとの均衡上、ガスにつきましては、比較的広い範囲で零細負担を排除するという方式をとられておるわけでございます。そういう点は、電気の場合には、必ずしもガスと同じような考え方をとる必要はありません。やはり競争になりますものがないだけに、全体的な税負担ということで考えればいいと、こういうことで、いま大体ことしの免税点の引き上げで、月六十キロワットというものを一応の目標にしながら免税点というものを計算したということでございます。
  107. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 最近、もうカラーテレビというのが非常によく売れて、カラーテレビをお使いになるうちなんかが相当あるわけですね。そうすると、やっぱりいまの世相の流れとして、低所得国だからカラーテレビが見られないということではなくて、みんな多少無理してでもカラーテレビなんかごらんになるわけですね。それですから、いまのいろいろお話を伺っておりますと、そうかなとは思いますけれども、まあそういう時代ですから、やっぱり私は電気の免税点、これももっともっと引き上げたほうがいいんじゃないかと、こういうふうに思います。  それからいまのガスのほうですけれども、ガスのほうは、プロパンガスのほうには税金かかっていないわけですね。そうしますと、プロパンガスを使う人には税金はかかっていないで、都市ガスを使う人には税金がかかるということであれば、それはほんとうに私どもが申し上げているように、いっそのこと、ガスの税金もやめてしまったほうが善政ではないか、こんな感じがするわけです。どうですか。
  108. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この問題は、プロパンガスが普及してきます段階におきまして、プロパンガスに課税をすべきかどうかという点でいろいろ検討したことがございます。その場合に、プロパンガスにつきましてはやはり販売をする業者が非常に零細業者であって、税金をかけました場合には、税負担が転嫁されずに業者負担になる可能性のほうが非常に強いというようなことがございまして、課税することが技術的に不可能だという結論になったわけでありますが、その反面におきまして、やはりプロパンガスの使用の実態は、通常の家庭におきましては、その使用状況は零細使用がほとんどである。そういう意味におきまして、プロパンガスとの均衡上から、いまガスの免税点が相当大きく引き上げられておるというのが現状でございます。ただし、その使用の実態が、非常にこまかに調べてみますというと、必ずしもそうでない場合がございますけれども、通常の家庭におきます使用の実態から見ますというと、プロパンガスには課税をされておらない、それに相当する消費については課税をしないというたてまえで免税点の計算をしているつもりでございます。
  109. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私どもは、引き続き、この電気ガス税の撤廃を目ざして今後もがんばってみたいと思っているわけです。  最後に、自動車税についてお伺いします。先ほど、この点も上林先生がお触れになったわけですけれども、私はまた少し方向を変えておりまして、自動車の割賦販売について所有権留保という制度がございますね。これが採用されているわけですが、このために、自動車の割賦販売側では年間数十億円の立てかえ金をしているわけです。そうすると、支払い途中で人と自動車が不明になってしまってどこにいるかわからなくなってしまうことがありますので、約一割の、金額でいいますと五、六億円だそうですが、欠損になることがあるようです。今度の改正では、先ほど見たわけですが、法律上問題がないのかどうか、あるいは手続上不安は持っていらっしゃらないのかどうか、一点お伺いします。
  110. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 自動車の割賦販売が次第に増加してまいりまして、その割賦販売に伴いますところの自動車税の問題は、確かに御指摘のとおり、各府県の数字を集計してみますというと、大体そういうふうな数字になっておるのでございます。ただ、この自動車税の性格は、いわば自動車の所有に対して課税をするというたてまえをとっておりまして、その税の性格から見ますというと、固定資産税と同様でございます。いわば財産課税の性格を持っているわけでありまして、したがって、納税義務者は、固定資産税と同様に所有者ということにしておるわけでございます。しかしながら、自動車の割賦販売をいたします場合には、買い主としましては、実は買ったつもりで、所有権も取得をしているつもりでございますけれども、いわば債権を、まだ自動車の代金全部を払い切らない。そういう意味で、債権の確保のために売り主が所有権を留保しておくということになっておるわけでございまして、現実には、買い主にいわば所有権を持っておったと同じような状態がまあそこに形成されるわけでございますので、そうしたこの実態を見ながら、現在の制度がいまから約十年ばかり前に、買い主についても連帯納税義務を負うんだというふうに改正をいたしまして、できる限り買い主に税負担を求めるというふうにするほうが納税意識に合致するんじゃないかということでその指導をしてまいりました。しかしながら、どうしても現在の徴税事務からいいますというと、まことに申しわけない点もあるわけでございますけれども、安易な徴税態度というものが、府県にとってなきにしもあらずだろう、そういう意味におきまして、ただいま御指摘のような数字が出ているわけでございます。  そこで、今回のこの徴税の方式につきましても、今回の法律改正になりました部分は、これはもういわば徴税の最終段階のところのぎりぎりの点を規定したわけでありますけれども、徴税の事務の取り扱いとしましては、いわば滞納処分に至るまで、買い主のほうに追及をしていく、そういうことを強く推し進めまして、いわば売り主が立てかえ払いをするとか、あるいは現実に税金を全部ひっかぶってしまうというようなことのないような方式をとってまいりたい。こういうことで、むしろ私どものほうとしましては、この法律改正部分よりは、この税務の執行上さらに合理化を進めてまいりまして、そちらのほうで売り主のほうにあまり御迷惑のかかることのないような措置をとってまいりたい、こういうことで、各都道府県ともそういうことで取り扱いを同一にしていきたいということで、いまその方向でいろいろ話し合いをしているところでございます。
  111. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうしても、やっぱり人と物とが不明になってしまった場合、自動車の使用者の行くえと支払い能力をだれが調査して、どこまで追いかけて、そしてだれがそれを立証するのか、この辺を伺います。
  112. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) この改正の法律の規定によって、売り主の負担を免除するという場合には、やはり売り主との協力関係というものがなければいかぬだろうというふうに考えております。その場合には、同時に、売り主のほうにおきましても、買い主の所在を追及しているということになるだろうと思います。税務事務所、府県のほうとしましても、同様に買い主を追及しているというようなことになるだろうと思います。これは両者相まって、その協力によってその処理をしていかなきゃならないだろうというふうに考えておりますけれども、自動車税の面におきましては、その最終判断は、やはり府県がその最終判断をしなきゃならないわけでございます。したがいまして、それぞれ売り主が買い主に対してどういう処理をしていったかということも一つ判断資料になるだろうと思います。売り主が買い主に対しまして請求をした配達証明の郵便物でありますとか、あるいは貸し倒れ処分をせざるを得なくなった、そうした貸し倒れ処分というものについて、その状況を調べまして、最終的には府県が判断をしてこの取り扱いをきめていくということになるだろうと思います。
  113. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そういたしますと、今度の法律改正で、自動車の使用者、自動車を買った人、それを保有者と見なして課税をすることになるわけですか。そこまではまだいってない……。
  114. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 最初に申しましたように、この自動車税の性格から見て、やはり自動車税の納税者は所有者であり、そしてまたこの特例の規定によりまして、買い主と売り主が両方納税義務を負うというたてまえは変わっておりません。ただ、現実の徴税事務の執行面において、いわば社会的な所有者であるところの——社会的なと申しますと少し変でありますが、いわば社会的に認められる所有者であるところの買い主に、いわば最終段階までは追及していきたい、こういうつもりでおるわけでございます。
  115. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 わかりました。それで、この法律改正でなおもう少し問題点が残っているとお考えになりますか。残っていれば、どの点が問題点だとお考えですか。
  116. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) まあこの問題につきましては、税務の執行面において、十分そうした現在の法律の趣旨あるいはまた私どもの考えております行政指導の線に、各府県が十分それを理解して執行に当たるかどうかという点が一つ問題でございます。  それからまた、使用者課税をもしやらなければならないというようなことになりましても、その自動車の登録事務の関係が、その使用者についてやや問題点があるわけでございまして、その辺は私ども運輸省と最近におきまして調整をいたしまして、所有者についてもそれを確認する措置を講じてもらいたいということを申し入れをいたしまして、大体そういう方向で今後の登録事務というものが直される予定でございますが、それらの状況も見きわめながら、ことし一年はこの体制で、まずこういう点についてさらに不都合な点がないかどうかということをよく確認をしてみたいというふうに思っております。もし、これでやってもどうしてもいかぬということであれば、次の段階において別な方式を考えざるを得ないであろうというふうに思っておりますけれども、まず大体、いままで売り主のほうから指摘されておりました問題点というものは、ことしの段階でやや解消できるのではなかろうかというふうに私ども期待をいたしております。
  117. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは最後に、売り主のほうとしては、どうしてもこれは法律にすっきりと買い主から、つまり、使用者に税金をかけるようにという、これが希望でございます。ですから、ことし一年この方法でやってみて、また問題が起これば、おそらく前向きに販売者のほうの希望も入れられるかと私期待をいたしますけれども、ここでひとつ、問題は違うんですけれども、こういう話があって、私は警察のほうにもお願いはしてあるんですけれども、自動車を買いますときに、たとえば、ガレージがなくても自動車が買えますね、ガレージをまだ持っていなくてもいい都市がございます。それは私のおります宝塚なんかまさにそのとおり。それはいままでそれが野放しになっていたわけですけれども、それがなぜわかったかといいますと、実は私のところに、尼崎の方が、自動車を買ったんだけれども、尼崎ではガレージがないと自動車を持つことができない。自分の家はとても小さくて道ばたに置くわけにはいかないので、ガレージをつくるわけにいかないので、私の名前にして、宝塚で買ったことにしてもらえないかという話を聞いて、びっくりしたことがあるんです。それで、警察のほうにもお願いはいたしましたけれども、ちょうどこの問題が出ましたので、また警察とも連絡をおとりいただいて、これからは、いままでは大都市周辺の都市に、特にガレージがなければということが政令できめられておったようですけれども、できれば、これだけ自動車がふえてきますし、交通事故も多いときですから、各都市、そういうところに、ガレージがなければ自動車を持つことができない、こういうような政令が早く施行されますように、ひとつ自治省のほうからもお願いをしていただきたい、このことを要望して質問を終わります。
  118. 河田賢治

    ○河田賢治君 地方税法の一部を改正する法律案について、他の委員がだいぶ質問しておりますので、主として公害防止の問題を中心にして少し質問したいと思います。  今回の改正案に砂利汚水処理施設とか、あるいは海洋汚染防止法の廃油処理施設、粉じん処理施設、ごみ処理、産業廃棄物処理施設等、公害防止施設の固定資産税の非課税措置を拡大しようとしておられますが、これによってここ二、三年来のことはわかると思うんですけれども、四十七年度、新しいこの方向で非課税になる、あるいは従来のものも加えて減免税がある場合に、一体公害防止施設における固定資産税の問題は、国においてどのくらいこれがなされておるか、それから地方税でどのくらいになるか、また国の固定資産税の減額によるはね返りが地方税にどのようにかかってくるか、この辺のところを少し数字で示していただきたいと思うんです。
  119. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 国の公害対策のための課税の特例、これは減価償却につきまして特別償却が認められている問題、それから公害防止のための準備金制度の問題等がございますが、これによる国税の減収額というものが三百三十八億円というふうに見込まれておるようでございます。これに伴いまして、地方税におきましては、それの事業税住民税、この両方でございますけれども、あわせまして百六十億円というふうに見込んでおります。  なお、固定資産税における公害防止施設の減収額でございますが、今回の改正分は二億五千四百万という数字でございますが、従来から非課税措置あるいは特例措置が講じられておりますものも含めました減収額が、固定資産税において約三十一億円というふうになっております。
  120. 河田賢治

    ○河田賢治君 こういうふうに公害防止の施設についてかなり国も、また地方自治体もいろんな形で優遇の措置をとっております。しかし、御承知のとおり、地方自治体というのは、けさから話がありましたように、ずいぶんどこでも、大都市といわず、農村といわず、地方自治体の財政状態はかなり困難な状態になっておる。まあ東京あたりを見ましても、御承知のとおり、電桂について取る何というんですか、手数料、いろんな手数料その他を引っくるめて、五十円のものを百円にするというようなことをやって、どうにか三十二億ばかり増収をして、それで埋め合わせるというようなことをやっているんです。ところが、公害防止施設について政府のほうでは、公害防止施設というものはこれは全部非生産的なもので、したがってこれは非課税なりあるいは減免すべきものだというふうにお考えになっているかどうか、この点をひとつ聞いておきたいと思うんです。
  121. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) 公害防止施設につきましては、実は一昨年の公害国会等におきましていろんな公害対策の措置が講じられたわけでございます。その際に、公害対策基本法につきましても同じような問題があったのでありますけれども、公害対策基本法におきましては、国及び地方公共団体は、事業者が行なう公害防止施設の整備について、必要な税制上の措置を講ずるようにつとめなければならないという趣旨の規定が設けられておりまして、今回の改正も、このような公害対策基本法の趣旨によりまして、公害防止施設につきましての非課税措置あるいは特例措置をきめたものでございまして、一昨年の公害国会における各種公害対策立法に伴う税制上の措置が、いわばことしでそうした一連の措置が完了したというようなところでございます。そういう意味におきまして、いまの税制上の措置は、こうした公害対策基本法の規定によりまして、いわばこういう措置をとってきたということでございます。
  122. 河田賢治

    ○河田賢治君 確かに、公害を防止することに対して税制上の処置をするということはありますけれども、しかし、産業によっては公害の範囲もずいぶん違うわけですね。たとえば最近の重油の脱硫装置、これによって副産物としてそれから硫黄が出る。したがって、硫黄は、硫黄価格が非常に低落するほどたくさんものが生産された。したがって、松尾鉱山などはつぶれてしまったということがあるわけです。したがって、公害工場であっても、その中には非常に生産的になるものもあるわけです。だんだんそういう方向にきているわけです。  御承知のとおり、先月あたりでしたか、新聞にも出ております。これをあなた方のほうがあまり固定的に考えるのは私は正しくないと思う。たとえばパルプ。富士川の問題は国会でもよく問題になりました。大昭和製紙なんかがやっておりますが、このパルプ問題について新聞ではすでにこういうふうに伝えている。「紙・パルプ業界では東洋パルプがこのほどパルプ製造上悪臭の原因となる硫黄化合物を使わず、排出物も一切出さない無公害パルプ製造法を開発」した。こういうのですね。そのほか鉄鋼なんかにつきましても、その公害設備も、部分的に焼却装置をつけるとか、いろいろ生産の工程をだんだん変えていく。それによってその製品も新しい生産工程でできるようになっていく。したがってだんだんコストも下がっていく。またコストを下げるためにもそういう方法をとっておる。鉄鋼業その他でもそういう措置をとっているわけですね。セメントその他ここにたくさん例があります。だから、一度公害が出たからといって、一つの方法によって——まあ公害をだんだんとなくしていくような装置もつける、また生産設備もする。そうして公害をなくしながら、一方においては生産性の上がる製造工程をつくっている。そうして相当の利益をあげておる。こういう実例が今日出ておるわけです。だからこういうふうに、それぞれの業種によっても公害問題というものはかなり違ってまいりますし、また資本の大小、あるいはその他によってもいろいろ変化があると思うのですが、こういう実際の公害防止事業の問題というのは、これは大蔵省が一番大きな責任を負わなくちゃなりませんが、同時に地方自治体も、これらの非課税や減免措置をとっておる場合に、一体こういう問題に対してどの程度の関心を払っておられるのか、この辺をひとつお聞きしたいと思うのです。
  123. 佐々木喜久治

    政府委員佐々木喜久治君) その公害防止対策というものは、最近非常にこの問題が取り上げられてきたわけでありますが、本来、こうした公害防止対策の仕事というものは、その原因者がそれに的確な対策を講ずるというのがたてまえであるというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、環境汚染という問題が急激に深刻化してきて、それに対する対策というものを緊急の課題として取り上げなければならないというような時点になってきておるわけでございまして、そういう観点から、国もあるいは地方公共団体も公害防止のためにはできるだけの施策を講ずる、こういう趣旨で現在の税制が設けられてきたというふうに私ども考えておるわけであります。もちろん、こうした公害防止対策について、当然企業者が負担してこれを行なうというのがたてまえでありますけれども、そうした公害防止対策に対するいろいろな考え方というものの変化に対応いたしまして、私どもとしましても、こうしたものについてのいろいろな税制上の措置というものは弾力的に考えていくべきものであるというふうに思っておるわけでございます。
  124. 河田賢治

    ○河田賢治君 御承知のとおり、去る二月九日から十一日ですか、パリで開かれたOECD環境委員会、ここでは「公害防止費用は発生源たる企業が負担すべきである」という汚染者負担原則、PPP原則というものを採択して、この五月にOECDの理事会に提案される。理事会に提案されますれば、これは日本の政府も代表が出席することになりますけれども、これが一応各国に勧告されるというような場合が近づこうとしておるわけですね。もちろん、最近の新聞を見ましても、ECあたりでも公害問題についてはずいぶんと規制をつくろうとしております。どこの国もいま公害では非常に悩んでおりますけれども、特に、日本は御承知のとおり経済成長が世界一だと、しかし、同時に公害も世界一で、日本公害列島といわれるほどその汚名を日本は着ているわけです。外国の科学者あたりが来まして、あの美しい富士山麓のふもとの富士市あたりは、これこそ世界の公害の見本だといわれるほど折り紙をつけて帰ったわけです。これは日本側にとっては大きな恥辱なわけです。こういう措置に対して、従来、政府はいろんな優遇措置——たとえば補助金を出すとか、あるいはまた開銀なんかを使って資金の安いのを出すとか、あるいは償却資産の非常な短縮をはかって企業の補助をするとか、あるいはまた地方税におきましても非課税などたくさんやっているわけですね。もしもこの基準が、汚染者負担原則、PPP原則というものが採択されますれば、当然日本も率先してこういう中でやらなければならぬと思うのですが、環境庁長官あたりは、御承知のとおり、この間も公害問題について発言されております。やはりPPPのこの原則を受け入れながら、これをやっていかなければならぬ。そのためには公害税ですか、何かそういうような費用も、公害税を取る制度をつくりたいというようなことを三月二十三日におっしゃっているわけです。これは「日本経済」なんかに出ております。こういう、大臣なんかでもPPPをできるだけ早く採用して、現在の環境基準をきびしくしたいというお考えになっておる。そうすると、自治省にしましても、地方自治体の今日の財政や、あるいは公害を最も受ける住民、これらの利益を守り、これらの人々のいわば代表としてこういう問題にも取り組まなければならぬと私は思うわけです。  特に、日本のように、この公害が、御承知のとおり、工場の中、製造工場の中ならば、そういうことは許されないでしょう。労働者が働く、衛生や、あるいは災害を起こすような設備は、工場の中に置いておったら、これは生産ができません。ある程度それはやるわけですね。しかし、工場から一歩外に出れば、そこで発生したものはどんどんたれ流しをやり、あるいは空気で外へ出してしまう。こういうのが今日の公害のあれになっている。公害というものは、やはり防止設備も何もつくって初めて一つの私たちはセットだと思うのです。ワンセットだと思うのです。工場の中で安全設備がなければ、労働者はどんどんけがしなければなりません。災害受けなければなりません。ある程度それに対して企業家はやっているわけですね。今度、住民に対してやるのがこれは企業家の責任でなくちゃならぬ。そうしますと、私たちは、公害の防止設備というようなものについてあまりに恩恵を施して、税金を免除するとか非課税にするというようなことをやれば、もうこういう親方日の丸で、日本の企業家、資本家という人々が、いつでも自分でなすべきことをなさずに、怠って、そうして国から補助金を取るとか、税金を払わないとかいう、こういう姿勢が続くと思うのです。だから、私たちは、せっかくPPPの原則を、近く日本の政府としてもきめなきゃならぬという場合には、私は、自治省あたりがこういう立場に立って、やはりこの問題に取り組む。そうして国際会議でも、日本が率先してこのPPPの原則を打ち立て、そうして日本でみずから実行する。今日の科学技術の発達等々があれば——先ほど読み上げましたような、いろんな製紙工場や、あるいはセメント、鉄鋼、その他の公害なんかもかなり防げるわけですね。また、そして副産物も出るという事態にいまなっているわけなんです。基本的なそういう研究や、あるいはそれらの基礎的なものはできるだけ金をつぎ込んで、そうして各会社はそれを応用さしていく。もちろん中小企業は今日の資力では十分でありませんから、かなり国が援助しなければならぬと思いますけれども、独自に、やはり企業家自身がみずからこの公害をなくしていくという姿勢を私たちはつくらすべきだと思うわけです。この点、大臣はおられませんで政務次官が来ておられますが、こういう問題に対して一番悩んでおるのは地方の住民なんです。現にたくさんの裁判事件が起きている。公害問題は、なかなか大きな会社になりますと、みずから取り上げてない、こういう不幸な事態をいま招いておるわけですから、やはり自治省としましても、こういう問題ではっきりした——国際会議もあることですから、こういう問題に対して、私は一応公害に対する見解と、そうしてまた、企業に対する政府の姿勢というものをお聞きしたいと思うわけです。
  125. 小山省二

    政府委員(小山省二君) PPPの原則が国際間の取りきめとして承認され、わが国もこれを認めました場合におきましては、公害対策に対する国並びに地方考え方というものはおのずと私は変化をしてくるのではなかろうかと思っております。そのような場合、公害税というような問題が、仮定ではございますが、いま論議されておるのも、私はそういうことを反映して環境庁の、長官も発言をされたのではなかろうかと考えております。しかし現状は、御承知のとおり公害対策基本法がございまして、この基本法の規定によりまして、これらの施設を行ないます場合には、国並びに地方公共団体は財政上、金融上、税制上の援助をしなければならぬというような規定もございまして、ことに、公害問題というものがきわめて新しい課題として登場されておる関係もございまして、今日、これが、発生源であるすべての責任を企業に負わせるということだけでは問題の解決にはならないという現況から、今日、そのような援助措置を講じておるわけでございますが、私が先ほど申し上げますとおり、そうした原則が国際間の取りきめとして確認されました場合においては、私どももそれらの協定に基づきまして、今後、公害対策については根本的に改めてまいりたいというふうに考えております。
  126. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま、法律があるからといって、これをいつまでも存続させるという、こういう考えでは私は正しくないと思うんですよ。やはりそういう法律がありましても、適用においてこれをいろいろと変えていく、企業のいろんな条件が変わるのですから。また、日本がほんとうに公害をなくして、少なくとも世界で第二番目の生産力を持っているというのですから、したがって、また、公害対策においても世界第二位くらいに少なくともなるべきじゃないかと思うのですが、そういう自負心を持って公害に取り組みませんと、いつまでたっても、今日の企業は、できるだけ税金は払わぬわ、補助金はぶったくるわという、この姿勢が直らぬと思うのですよ。世論は、どんどんと、いま住民が公害に対しては取り組んでおります。だから、政府みずからがそういう姿勢を私は保たなきゃならぬ、こういうふうに考えるわけです。今後とも、近づく五月にはこの会議も開かれるし、また、日本もそういう方向を、みずから早くこれをやっていくという、こういう姿勢を私は政府に望むわけです。  特に、もう一つ、これは要望ですが、最近の租税特別措置の問題でも、ずいぶん、朝、議論がありました。これは御承知のとおり、大都市の、指定都市でも、租税特別措置による減収の状況というものを、四十六年度ですけれども、国の租税減収見込みが千三百八十二億、それからまた、地方財政で千六百二十七億、計三千十億と、こういう計数もあげております。しかもまた、この問題については、この指定都市の租税特別措置等の整理合理化ということを要望しているわけですね。「租税特別措置、非課税規定等のうち、主として国の政策によるものおよび課税の均衡上適当でないもの等については、大幅に整理合理化すること。」ということを政府要望している、税制改正について。そしてまた地方制度調査会も、御承知のとおり第十五次でこの問題に触れまして、地方税の「非課税、特別措置による負担軽減措置については、この際抜本的に見直しを行ない地方税収入の確保をはかるもの三する。」と、こういう答申を第十五次地方制度調査会は出しているわけです。まあ地方制度調査会などというものはあまり政府は重視をされておりませんけれども、しかし、こういう答申が出れば、やはりそれに沿った、税制改正のあるたびにこういう問題を少しでもなくしていく、これはやはり諮問機関で多くの専門家の方々の意見がここに集中されておるわけですから。ところが、こういうものはほったらかして、絶えず非課税だ、やあ減免だというような方向にいきますれば、特別措置というものはどんどん拡大して、結局地方財政も大きな今日穴になるわけですね。こういう点を、自治省は率先して、まあ超過負担の問題もありましたが、とにかくこういう租税特別措置なんかについてもひとつ大きく一ぺん洗ってもらって、必要でないものはどんどん削って、そうして企業なりあるいはその他の責任は責任として果たさせていくというふうにしてもらいたいと思うわけです。  大体以上をもって私は終わります。
  127. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御指摘のように、租税特別措置法がいろいろな面で思案検討されておりますことは私どもよく承知いたしておるところでございます。したがいまして、この租税特別措置がそのまま地方税に適用されまして減免の措置になるということは、地方税法のたてまえでいうといろいろ問題もございますことでございますので、将来、このように地方税に自動的に及ぼすような面については、十分検討をいたしまして、これが改善をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  128. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、明日午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三分散会      —————・—————