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参考人(
福良俊之君) お答えいたします。
法人税率の問題が第一点かと思います。
先ほど五%の付加税率を加えて四〇%とおっしゃいましたけれども、これは三五%の五%ですから、そうでないということでございまして、
先ほど私が申し上げましたように、
法人税率については現行の
法人税率が高いのか低いのか、よそと比べてどうなのか、実効税率がどうなのか、さらに
法人税というけれども、一体その
適用されるのが
中小法人と大
法人という形の二分類でいいのかどうか、こういう大きな問題が残されております。したがって、今後において
法人税率を上げる
方向にいくのか、あるいは下げる
方向にいくのか等につきましては、なお検討を要する点が多々あると思います。ただ、いままでの
考え方とすれば、五%の付加税率について、二年の期限が到来したからといって、それを廃止すべきではない、なお二ヵ年間延長すべきだということにきまりました点から考えますと、
法人税率
一般について、なお今後引き下げる
方向で検討するというよりは、若干そこに余裕を持って、場合によれば
法人税率の引き上げという余地も残されておるというふうに考えておるわけでございます。
第二の問題は、
基礎控除あるいは
扶養控除、配偶者
控除等につきまして、たとえば一万円というような
控除の引き上げが行なわれる、その積算の基礎が明らかにされていないではないか、まさにおっしゃるとおりであります。はたして積算の基礎をどこに求めるかというのはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、
基礎控除、配偶者
控除等につきましては、いままでの
税制改正のときには大体
控除額の引き上げの幅は同じに見ております。
基礎控除につきましてはいろいろの議論がなされておりますが、
先ほど来
お話のように、基本的な
所得に税が食い込むというようなことがないようにとか、あるいは必要経費というようなものの
控除がなかなか認めにくい。そこである段階までは、
基礎控除という形で見ていかなければならないであろうというふうなこと等がありまして、積算の基礎は必ずしも明らかにされていない。しかし、
基礎控除を一万円引き上げるということは、
減税総額としては幾らだという計算はすぐ成り立つわけであります。したがいまして、
所得税減税をいたします場合には、
減税総額というものがおよそどの
程度のものが可能であろうか、その
配分をどういうふうにするのがよろしかろうかというような、両面から決定されておるのが実情かと思います。むしろこの
基礎控除の引き上げの積算の基礎等については、事務方から詳しくお聞きくだすったほうがあるいは適切であるかと思いますが、この
程度以上には私からはお答えすることがむずかしいかと思います。
さらに、必要経費の問題についてお触れになったわけですが、社会保険医療報酬のこれから
審査が始まるという段階でございまして、私は特別
委員長を仰せつかっておるわけでありますが、今後どのように検討していくのが正しいのか。お医者さんといいましても、技術的にもいろいろ違っておりますし、外科と内科その他だんだんと医師の内容が分類されてきたら、当然そこで考えられる必要経費というものも違ってこようかと思うのであります。御
指摘のように、一応の
基準というものが設けられるのかどうか、そういうことが非常に重要な問題になろうかと思います。ただ
一般的には、こういった
基準というものが公表されていないのがいままでの
状況でございます。どういう業種については、必要経費の
基準をどこまで認めるとかというようなことは、部内ではきめられておるかもしれませんけれども、部外には発表されていないというのがいままでの
状況かと思います。しかし、税の公平な
負担という
意味からいって、これから税務当局がそういうものを
一般的に公表するのかどうか。業種別にそういう
基準というものを設けるのかどうか。それらの点は私どもにはまだはっきりしておりません。しかし、今度の社会保険医療報酬の特別
委員会等におきましては、やはりそういう論議が行なわれることを予想しております。
それからその次の問題として、
租税特別
措置法、これは
税負担の公平の原則を破るものではないか。したがって、そういう
意味では絶えず検討がなさるべきではないか。まさにおっしゃるとおりでありまして、税調といたしましては、できるだけ期限のきた場合には、当然その期限と同時に、もう一度特別
措置の功罪について検討する。そしてもう必要のないものは、これは期限到来と同時に廃止する。さらに新しく産業、社会情勢等に応じて特別
措置を設けなければならないときにも、著しく
負担の公平を害するようなことのないように、しかも、その財源は、できる限り他の特別
措置を廃止した面から捻出すべきであるという基本原則を立てております。そういう
意味では、特別
措置は漸次改廃される
方向に向かっておるかと思います。ただその中で、御
指摘の預貯金の利子あるいは株式の配当等についての源泉選択の
制度、この点につきましては、御承知でございましょうけれども、すでに前年全体として総合
課税の原則に持っていくということをきめまして、そして毎年の源泉選択の税率というものを引き上げる
方向で、経過
措置まで全部きめられておるのが実情でございます。したがって、今日の段階で、すでにきめられておる最終
年度にきていない段階で、もう一段これを急速に検討しなければならないかどうか、まあその緊急性、緊要性等についてはあらためて検討しなければならないかと思います。実情はそういうふうになっておるということでございます。
それから、教育費を必要経費として認めるかどうかということでございます。この点につきましては、税調の中におきましても、教育費について必要経費として認めたらどうかという議論も何回か出たことがございます。しかし、教育費と申しましても、義務教育費は別といたしまして、それ以上の高等諸学校あるいは大学等につきまして、一体大学に
子供を通わせるということが、義務なのであろうかどうなのであろうか。家計費の中からそれぞれ子弟に高等教育を授けたいという形で、かなりの無理をして教育費を捻出している向きと、家計に非常な余裕があって大学等に子弟を通わせておるところとある、その場合に、同じように必要経費だからといってそれを
控除することが、はたして
税負担の上から言って公平なのだろうか。さらに国立と私立の場合に、著しく教育費というものが違ってくる、それらの点についてどう考えるのかと、いろいろ甲論乙駁がございました。必要経費を全面的に認めるということについてはかなり問題があろう、その中で教育費等については、今後の検討課題ではあるかもしれないけれども、直ちにこれを必要経費として認めることについてはいかがであろうかということで、今日まで実現を見ていないのが実情でございます。
最後に、退職
所得についての御議論がございました。退職
所得につきましては前年大幅の
改正をいたしました。しかし、その後の情勢等を勘案いたしまして、退職
所得についてももう一度考えてみたらどうであろうかと、こういう議論が税調の中にあることも事実でございます。しかし、実態
調査を伴いませんと、直ちに退職
所得の額を
拡大するということにも問題があろうかと思います。現行の五百万円というところまで一体中小
企業等々の場合に、永年勤続であってもそこまでいっておるであろうかというと、実態はどうもそこまでいっていない部面もかなりあるのではないか。もちろん、賃金の
上昇の割合、あるいは
物価の
上昇の割合等々を
考慮いたしまして、退職
所得につきましても、今後検討しなければならないということは否定できないと思います。現在の
状況では、むしろ退職
所得の問題よりも、目の前の
一般的な個人
所得税についてどうするかということに重点が置かれておるのが実情かと……。お答えになるかどうかわかりませんが、現段階では。