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参考人(
今野源八郎君) 非常に大きな問題がこの
法案の背後にあると思いますが、それはただいまお尋ねになりました
日本の
交通政策の目標をどこに置くかというようなことだと思います。それから、
航空の発展あるいは
需要というものが将来どこまで
伸びるのかということだろうと思います。
私は、
鉄道は
鉄道としてのメリットがあり、
飛行機は
飛行機としてのメリットがある。これを、ある
程度競争的であり、同じような性格もございますけれ
ども、やはり特有の機能がございます。先ほど、仙台を例におとりになり、あるいは名古屋を例にとられ、確かに
新幹線と
航空は競争的であります。しかし、これは東京と仙台だけを考えるからでありまして、たとえば、あるいはたいへん失礼になるかもしれませんけれ
ども、礼幌−仙台、あるいは新潟−仙台、あるいは仙台−大阪、四国、九州、あるいはその他鹿児島とかいろいろ考えてまいりますと、やはり
日本の国土全体から見ますと、やはり
航空というものが必要でなかろうかと思います。と申しますのは、先ほ
どもヨーロッパ、
アメリカというおことばがございました。
ヨーロッパのドイツ、フランスは
御存じのようにまるい国土の形をしております。
日本は稚内から沖繩まで
——まさに鹿児島まであるわけで、今後沖繩が入りますが、としましても、二千五、六百キロから三千キロほどございまして、
アメリカ大陸ほどのディメンジョンはありませんけれ
ども、
アメリカ大陸の東西じゃなくて、むしろ南北ぐらいの長さ、あるいは
アメリカ大陸の半分ぐらいの長さがあって、しかも四つの島、その他多数の島を入れました島からできている。それで、まん中に大山脈が四つの島とも走っている。そして、裏側は積雪であるというようなことを考えますと、地上のサーフェースの
交通障害を比較的少なくして、ジェット機で克服できるということになってきますと、プロペラ機に想像できなかった機動性を発揮できるのではないかということがございます。それは
一つのフィジカルな
航空機の持っている特徴だと言えましょうが、経済的な特徴から申しますと、地上の
施設をして、非常に労働集約的な、たとえば
鉄道に比べますと、
新幹線は
かなり労働節約型になっておりますけれ
ども、
飛行機の場合は非常に
資本がかかりますけれ
ども、一ぺん入れますと、
かなり、いまここで議題になっています地上の
施設にいたしましても、
空港にいたしましても長持ちいたしますし、
一つの土地は
ストックとして残るわけでございますから、消耗としてはやっぱり
航空器材だけで、これも中古車的に、やはり中古はどこかで、
外国で、
世界のマーケットバリューがあるということでは、
かなり資本負担が少ないものでございます。そうしますと、
資本集約的な
航空輸送業というものは、その大量輸送さえなされますと、
かなり安い
運賃で、長い目で見て運べるものでなかろうか。そうしますと、
日本の地形、
交通地理的な条件から見ますと、やっぱり
日本は
アメリカに近いと。
日本は小さいというお話がございますけれ
ども、国土面積は小さいには小さいのですが、細長くなっていると。山があるということと、非常に急勾配で、
御存じのように国土の八割が山だと。
ヨーロッパの場合は国土の八割が平たん地であるということと、
かなり違っていると思うのです。そんなことで、地上を走る場合に非常に抵抗があるということもございます。そんなことで、私は、
航空というものは供給サイドから見て
かなり日本の
国民の将来の
文明に役に立つということを評価いたします。
仙台とか金沢というところを考えてみますと、東北の中心、北陸の中心であったところが、だんだん、
新幹線ができたり、
飛行機ができますと、どうも中核大都市としての地位が少なくなってくるような気もいたしますけれ
ども、これは
航空機の進歩なり、
鉄道とか、
交通の進歩によってある
程度やむを得ないのですけれ
ども、それをたとえば仙台のいまの
空港は二千メートルきりでございませんけれ
ども、二千五百の
空港ができる、あるいは三千の
空港がかりにできたとしまして、非常に東北の域内からも短距離の
航空で乗ってくる中心になるとか、あるいは仙台から東京だけじゃなくて、全国に結ぶということになりますと、私は
かなり——名古屋の場合でも生きる道があるのじゃなかろうか。そうしませんと、やっぱり、例は悪いんですけれ
ども、
青森とか、下関とか、仙台とかという通過していった
鉄道の、そこを通らなければ北海道へ行けない、九州へ行けなかった
時代と比べまして、自由に、四国の南端を通って鹿児島へ行くとか、沖繩へ行くということになりますと、どうもその通過地点が、昔、
交通の要衝であったあるいは福島その他は、どうもそのままでは私は非常に不便なところになるのじゃないかという気がいたします。そんなことから申しまして、結局、私
ども、たとえば
青森へ行く
新幹線をつかもうと思って、東京で乗りそこなったら、羽田へ行って、どこかで、盛岡なり、仙台で
新幹線に乗るとか、いろんな陸と空の乗り継ぎによることもできるのでありまして、一方があるから一方が要らないというものではない。つまり、インターモーダルトランスポートの
時代です。陸・海・空の立体的な
交通システムをつくっていくというのが能率的な
交通制度としてよろしいのじゃないか。
ただいま宇田川さんから、二重投資
——というおことばはございませんけれ
ども、財政投資の効率化のためにというおことばがございました。これは財政
当局としてよくお考えになる当然のことだと思いますけれ
ども、大体競争がありますと、よく勉強するものでありまして、そういうことで、
国民からしますと、いろんな新しい
交通機関がそろっていて、
国民の
交通消費という点からそれを
選択していく、目的によって違うということでもよろしくないか。要するに、
交通の市場と申しますか、機能としましては、仙台−東京とか、名古屋とかというショートレンジの、短距離の市場もございましょうし、あるいはもう少し長い、岡山−東京という、ああいう中距離もございましょうし、あるいはもっと長距離の、札幌−東京とか、博多−東京とかという、ほんとうに長距離もございましょう。こういうことを考えますと、私はこれから
世界で最先端に立って
伸びていく
国民のための
交通制度としては、あんまり、運輸省がお考えのように、これでなきゃならぬというリジットなものじゃなくて、ダイナミックな動く制度であることが望ましい。しかも、それは経済制度としてのフィジカルな制度だけでなくて、エコノミックシステムとしての制度を設けておいて、
国民が
所得に応じたり、急いで親の死に目に会うとか、その他ビジネスのために行くとか、あるいはレジャーのために行くこともやむを得ないと思いますけれ
ども、要するに、
国民にモビリティを与えるということは生産性を与えるということであって、
交通の側からモビリティを与える。少なくともディスモビリティと申しますか、いままでのように、非常に、並んで切符を買わなきゃならぬとか、羽田へ行って並んで切符をさがすとか、そういうことのないようにしていただければ、私は非常に
国民のために便利じゃなかろうか。
そうしていま問題にしますのは、いまの時点だけじゃなくて、今世紀の終わりにかけての、
空港をいかにつくって安全にしていくかということでありますと、少し話が先走るようでございますが、私は先を見ていただきたい。
それからちょっとおことばの端に引っかかるようで申しわけございませんけれ
ども、
鉄道のシェアが大きいという話がございました。
日本の
鉄道は都市
交通をあの統計の中に含んでいるわけです。ですから、通勤通学、山の手線、中央線の統計が入っていますから、
鉄道の統計が、たいへん人を運んでいることが大きく出ておりますけれ
ども、あれから都市
交通をとって、つまり、定期券の
利用者をとってみますと、都市間の
交通としますと、
かなりほかの
交通機関と競争的になっているということでございます。それが
世界的な統計のとり方でもあるということが
一つ。
で、もう
一つは、くどいようでございますけれ
ども、
所得が上がってまいりましたり、一時間
当たりの生産性が高くなりますと、どうしても
新幹線からさらに
——新しい
新幹線へ
在来線より移るように、どうしても、だんだんやっぱり空の
新幹線に移るということも考えられますので、その辺も御考慮いただければ幸いだと思います。結局、それは古いものが、ある
程度、在来のローカル線のようなものが多少自動車
道路にかわるとか、いろんなことがございますけれ
ども、これは見ようによりましては、新陳代謝といわれるものでございまして、いわば
交通機関のライフサイクルと申しますか、栄枯盛衰というものが、ある
程度やむを得ないと言っては残酷かもしれませんけれ
ども、そういう中で、少しは摩擦もございますけれ
ども、やっぱり大きく
日本の
交通制度が能率的になるのじゃなかろうかと思います。
自衛隊との関係につきましては、私はなるべく分離したほうがよろしいと思いますけれ
ども、やむを得なければ共用していくということは、自衛隊の
空港の設備が比較的よろしいということを考えての話でございます。