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1972-05-30 第68回国会 参議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十日(火曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      松本 英一君     西村 関一君  五月三十日    辞任          補欠選任      藤原 房雄君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田中  一君                 西村 関一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    衆議院議員        修正案提出者   金子 一平君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        近畿圏整備本部        次長       朝日 邦夫君        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        水産庁次長    藤村 弘毅君        通商産業省企業        局参事官     田中 芳秋君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君        自治大臣官房審        議官       立田 清士君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        環境庁水質保全        局水質管理課長  山村 勝美君        厚生省環境衛生        局水道課長    国川 建二君        農林省農地局参        事官       住吉 勇三君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        水産庁漁政部漁        業振興課長    岩崎 京至君        建設省都市局下        水道部長     久保  赳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○派遣委員報告に関する件 ○特定多目的ダム法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○琵琶湖総合開発特別措置法案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、松本英一君が委員辞任され、その補欠として西村関一君が選任されました。また、本日、藤原房雄君が委員辞任され、その補欠として二宮文造君が選任されました。     —————————————
  3. 小林武

    委員長小林武君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  琵琶湖総合開発特別措置法案審査のため、明後六月一日の委員会学識経験者等参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 小林武

    委員長小林武君) この際、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  先般、当委員会が行ないました琵琶湖総合開発特別措置法等審査に資するための委員派遣については、報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 小林武

    委員長小林武君) 特定多目的ダム法の一部を改正する法律案衆議院送付)を議題といたします。  質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより特定多目的ダム法の一部を改正する法律案討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  特定多目的ダム法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  11. 小林武

    委員長小林武君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  13. 小林武

    委員長小林武君) 琵琶湖総合開発特別措置法案衆議院送付)を議題といたします。  まず、政府側から趣旨説明を聴取いたします。西村近畿圏整備長官
  14. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  琵琶湖は、京阪神の大都市地域に近接するわが国最大の湖であり、これを適正に開発し、及び保全することは、近畿圏の健全な発展のためきわめて重要であります。特に、近年、大都市地域における急激な水需要の増大に伴い、淀川水系最大の水源である琵琶湖について、その水資源開発を緊急に実施することが待望されております。そこで、国において琵琶湖総合開発計画を策定し、その実施を推進する等の措置を講ずるため、この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、琵琶湖総合開発計画は、琵琶湖及びその周辺地域開発及び保全に関する基本的な方針と、その方針に基づいて実施すべき各事業概要について定めるものとし、内閣総理大臣が、滋賀県知事作成した案に基づき、これを決定することといたしております。  また、琵琶湖総合開発計画に基づく毎年度事業については、当該事業に関する各主務大臣が、滋賀県知事作成した案に基づき、年度計画決定することといたしております。  第二に、国は、琵琶湖総合開発計画実施に要する経費負担する地元地方公共団体等に対し、必要な財政上及び金融上の援助を与えることといたしておりますが、特に、河川事業下水道事業等特定事業については、国の負担割合引き上げることといたしました。  第三に、琵琶湖水資源開発事業により琵琶湖及びその周辺地域について生ずべき不利益を補う効用を有する特定事業については、その経費負担する滋賀県その他の地元地方公共団体は、当該水資源開発事業により受益する淀川下流地域利水関係地方公共団体との協議により、その負担額の一部をこれに負担させることができることといたしております。  なお、この法律は、昭和五十六年度までの限時法であります。また、昭和四十七年度特例として、同年度分事業にかかわる国の負担割合引き上げ差額は、昭和四十八年度に交付することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  15. 小林武

    委員長小林武君) なお、本案衆議院において修正議決されておりますので、これよりその修正点について説明を聴取いたします。修正案提出者衆議院議員金子一平君。
  16. 金子一平

    衆議院議員金子一平君) ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法案に対する修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、政府原案におきましては「水質保全」という表現が用いられているのでありますが、この際、最近における琶琵湖水質汚濁の現況にかんがみ、単に保全をはかるだけでなく積極的に「水質回復」をはかることとするとともに、琶琵湖総合開発計画決定及び変更に際し、住民意思を反映せしめる等、所要の修正を加えようとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。  第一に、本案目的を「琶琵湖自然環境保全と汚濁した水質回復を図りつつ、その水資源利用関係住民福祉とをあわせ増進する」ことに改めることとしております。  第二に、第二条を改め、琶琵湖総合開発計画内容に、「し尿処理施設に関する事業」を加えるとともに、同条中に一項を加え、「琶琵湖総合開発計画は、琶琵湖水質保全及び汚濁した水質回復について適切な考慮が払われたものでなければならない」こととしております。  第三に、第三条第一項後段の規定を改め、「滋賀県知事は、公聴会を開催してその住民意見をきき、かつ、当該県関係市町村長意見をきかなければならない」等とするとともに、「関係県知事は、滋賀県知事意見を述べるときは、あらかじめ、関係市町村長意見をきかなければならない」こととしております。  なお、同条中に一項を加え、「琶琵湖総合開発計画は、情勢の推移によりこれを変更することが適当であると認められる事態になったときは、変更することができる」こととしております。  その他、条文中「開発及び保全」とあるのを「保全及び開発」に改めることとしております。  以上が、本案に対する修正の大要でありますが、何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  17. 小林武

    委員長小林武君) 引き続いて、本案について補足説明を聴取いたします。朝日近畿圏整備本部次長
  18. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) ただいま議題となりました琶琵湖総合開発特別措置法案につきまして、逐条説明申し上げます。  まず、第一条は、この法律目的規定しております。この法律は、琶琵湖について、すぐれた自然環境保全をはかりつつ、淀川下流地域のための水資源利用増進と、観光資源等その他の資源利用増進とをあわせ行なうため、琶琵湖総合開発計画を策定し、その実施を推進する等特別の措置を講ずることにより、近畿圏の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。  なお、本条については、衆議院において修正がなされており、琶琵湖の汚濁した水質回復及び関係住民福祉増進がこの法律目的に含まれる旨が明確に規定されました。  第二条は、琶琵湖総合開発計画内容たるべき事項を規定しております。琶琵湖総合開発計画内容としては、まず、琵琶湖及びその周辺地域開発及び保全に関する基本的方針について定め、次に、その方針に基づいて昭和四十七年度以降の十年間に実施すべき治水事業下水道事業淀川下流地域における水の需要に対応する琵琶湖水資源開発事業水道事業工業用水道事業土地改良事業造林事業林道事業治山事業都市公園事業自然公園事業道路事業港湾事業水産業構造改善事業漁港事業について定めるべきものとされております。  第三条は、琵琶湖総合開発計画決定及び変更の手続について規定しております。琵琶湖総合開発計画は、滋賀県知事作成した案に基づいて、内閣総理大臣決定し及び変更するものとされており、これによって、琵琶湖総合開発計画が、国の計画として策定され実施されるものであることを明らかにするとともに、その案を作成する権限滋賀県知事に与えて、琵琶湖総合開発計画内容に関し、地元の主体的な意思もとに、その具体的な事情に即した適正な調整が行なわれることを期待しております。この場合において、滋賀県知事は、琵琶湖総合開発計画の案の作成に関し、あらかじめ、関係県知事意見を聞かなければならないことといたしております。  なお、本条についても、衆議院において修正がなされており、地元住民意思琵琶湖総合開発計画の案に反映し得るようにするため、滋賀県知事に対し、関係県知事意見聴取のほか、公聴会の開催、関係市町村長意見聴取及び滋賀県議会への付議が法文上義務づけられることとなりました。  第四条は、琵琶湖総合開発計画を適正かつ円滑に達成するため、毎年度年度計画決定すべき旨を規定しております。年度計画は、琵琶湖総合開発計画に基づく各事業ごとに、当該事業に関する主務大臣が、滋賀県知事作成した案に基づいて決定することとしております。  第五条は、琵琶湖総合開発計画に基づく事業、すなわち、総合開発事業実施については、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法令の規定が適用される旨を、注意的に規定しております。  第六条は、琵琶湖総合開発計画実施についての関係行政機関の長等の協力義務内閣総理大臣勧告権等について規定したものであります。  第七条は、総合開発事業実施する者に対して、当該事業の被補償者の申し出に基づき、その生活再建のため必要な土地または建物の取得等のあっせんにつとめるべき義務を負わせた規定であります。  第八条においては、琵琶湖総合開発計画実施を推進するため、特定総合開発事業について、国の負担または補助割合等特例を定めております。すなわち、総合開発事業のうち、別表規定する治水事業下水道事業土地改良事業治山事業都市公園事業及び自然公園事業については、国の負担または補助割合を、別表に定める割合の範囲内で政令で定める割合引き上げることとしております。なお、総合開発事業たる水産業構造改善事業及び漁港事業については、別途、沿岸漁業等振興法を適用して、これにより新たに国の補助が行なわれ、または国の補助割合引き上げられることを予定しております。  第九条は、総合開発事業の用に供する必要のある国の普通財産を、関係地方公共団体に譲渡することができるものとした規定であります。  第十条は、国が、総合開発事業実施する者に対して、必要な財政上及び金融上の援助を与えることができる旨を規定しております。  第十一条は、いわゆる下流負担に関する規定でありまして、総合開発事業琵琶湖維持管理事業並びに琵琶湖及びその周辺地域に設けられる施設維持管理事業のうち、特定事業については、その経費負担する滋賀県等の地元地方公共団体は、総合開発事業たる水資源開発事業によって受益する淀川下流地域利水関係地方公共団体との協議により、その負担する経費の一部をこれに負担させることができるものとしております。そして、このような負担調整の対象たり得べき事業は、総合開発事業たる水資源開発事業実施により琵琶湖及びその周辺地域について生ずる不利益を補う効用を有する事業として政令で定めるものとされております。  なお、第十一条第四項においては、淀川下流地域利水関係地方公共団体は、同条第一項の規定に基づく負担のほか、滋賀県その他の地元地方公共団体に対し、必要な資金の融通をすることができるものとしております。  第十二条は、琵琶湖管理基金に関する規定でありまして、滋賀県その他の地元地方公共団体は、地方自治法第二百四十一条の基金として、琵琶湖維持管理事業並びに琵琶湖及びその周辺地域に存する施設維持管理事業に要する経費を確保するための琵琶湖管理基金を設けることができるものとされております。  附則第一項は、この法律施行期日を公布の日と定めております。  附則第二項は、琵琶湖総合開発計画決定前に実施された昭和四十七年度事業についても、国の負担または補助割合引き上げに関する第八条の規定を適用する旨等規定しております。  附則第三項においては、この法律は、一部の規定を除き、昭和五十七年三月三十一日限り、その効力を失う旨を定めております。  附則第四項は、昭和四十七年度年度計画作成時期についての特例を定めております。  附則第五項は、昭和四十七年度分事業に限り、第八条の規定による国の負担または補助割合引き上げ差額昭和四十八年度に交付する旨を規定しております。  附則第六項は、この法律に基づく内閣総理大臣権限に属する事務処理を、近畿圏整備本部所掌事務としております。  なお、衆議院においては、さきに述べた修正点のほか、第二条の琵琶湖総合開発計画に含まれるべき事業として、し尿処理施設整備に関する事業を明定し、また、同条第二項に琵琶湖水質保全及び汚濁した水質回復についての配慮規定を設ける等の修正が行なわれております。  以上をもちまして、この法律案逐条説明を終わります。
  19. 小林武

    委員長小林武君) それでは、これより本案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  20. 西村関一

    西村関一君 本法案につきましてはただいま説明がありましたように、衆議院におきまして根本的なあるいは大幅な修正がなされました。その修正趣旨は、私どもが理解するところによれば非常に大事な問題が含まれておると思いますが、それは開発保全かという問題でありまして、原案では、開発保全ということになっておりましたのを、まず環境保全水質保全ということが先になっておるという点であります。環境保全水質保全なくしてこの総合開発はできないということがこの修正の中身の大事な点の一つだと私は思うのでございますが、また二十八日でありましたか、奈良市において行なわれました全国自然保護連合の第二回総会において、大石環境庁長官が演説をされました。大石長官もまたその点に触れて、今日全国をおおっておるところの公害元凶は新全総であるということを言っておられるのであります。新全国総合開発計画、これが公害元凶である。これと戦うためにも全国破壊の現状をどしどし報告してもらいたい。環境庁はこれをもと該当省庁に勧告し、聞かなければ総理大臣にも訴えるという強い発言をしておられるのであります。私は琵琶湖そばで生まれ、琵琶湖そばで育ち、今日まで生活を続けてまいったものでございまして、琵琶湖がいかに汚染されておるか、琵琶湖を包むところの自然環境がいかに破壊されておるかということを身をもって体験しているものであります。この自然環境破壊もとに戻す、よごれた水をきれいにするということなくして私は開発はあり得ないというふうに考えるのでありまして、今回の衆議院におけるところの修正趣旨もそこにあると思うのでございますが、まずその点から建設大臣——近畿圏整備長官である西村長官の御見解を承りたいと思う。
  21. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この法律案でございますが、なるほど衆議院通過のときには相当部分修正がございましたが、私はまあ修正は、大事なところではございまするが、法それ自身の精神についてはわれわれが考えておったこととあまり差はないのであります。つまり、立法技術の上について多少の手違いが原案にあった、法律精神においては委員の方々との食い違いはあまりないと、こういうふうに私は思っておるのでございます。あなたが言われるように、第一条におきまして水質保全という、水質のことを入れてないというのですが、私は自然環境保全ということは水を第一番に考えた自然環境で、自然環境の中に全部が含まれておると解釈したから、あえて一条にこの水質云々ということを入れなかったのでございます。  それから、今度修正案の第一条の目的で一番大きいところは、「観光資源等利用」、これを省いてあるのですが、この観光資源ということについて私の考えておったのとどうも世間の考えておるのが、どうも誤解されやすいものだから、私はこれは自分の考えておるようにはいかぬかと思って、それを省くことに同意いたしたのでございます。つまり観光ということは、これはもちろん私が申し上げるまでもなく、シナからきたことばでございまして、その土地によって山川草木に人間が接して、そのときのいい気持ちをくみ取ってくる。国の光を見るわけだ。それがややともすると、現在は観光というと戦後の実行面レジャー、遊びだというふうに考えられがちなんです。私は、琵琶湖及びその周辺はあなたも知っておるがごとく義仲寺その他昔の清少納言その他いろいろなそういう歴史の残したものがあると思うのです。そういうものに接してこそ初めて観光の意義があるのだから、そういう趣旨で、観光資源をひとつ利用するということを入れてもいいんじゃないかと私は解釈して入れたのです。ところが委員会は、やはり観光というものがレジャーにとられがちだから、そうでなくても非常に乱雑なレジャーが行なわれておるのだから、これ以上法律の中に観光なんかを入れたらたいへんじゃないかという気持ち修正されたかと思いまするから、私はやはり立法技術上の問題で直されたのであろう、委員会の志す精神は立法したわれわれの気持ちとあまり変わりはない、そういうように私は大体思って修正案にもあえて同意をいたしたのでございます。  その他大きい修正としては、とにかくこの計画をつくる上において地域住民意見を聞くためにいろいろな修正がありますが、それとても私は、県を代表する知事意見を聞けば、知事さんがいろいろな地域住民意思をくみ取ってやってくれるであろうということであえていろいろなことを入れなかったのでございまして、根本的な法の精神、法の志す意味、これについては全く私は委員会と同じ気持ちだと、こういうふうに私は解釈いたしておるのでございます。
  22. 西村関一

    西村関一君 いま大臣修正案修正条文原案とは精神において考え方において全然変わりがないというようなおことばでございましたが、そういうことでありますならば、衆議院においてあれだけの論議をして修正案が出てこれが可決されたということは、文言上の問題だけであってあまりたいした意味がないというふうに政府当局は受け取っておられる、こういうことになるかと思うのであります。それは私は根本的な間違いじゃないかと思うのです。やはり修正案趣旨がどこにあるかということを政治当局は深刻に考えていかなければならない。この修正案趣旨に沿うたところの措置を講じていかなければならないし、事業計画変更も当然考えていかなければならないと思います。なぜ、新措置法案、つまり修正案におきまして「自然環境保全と汚濁した水質回復を図りつつ、その水資源利用関係住民福祉とをあわせ増進するため」云々と、第一条の目的前段におきまして「自然環境保全と汚濁した水質回復」ということが強く打ち出されておりまするのは、それなくして水資源利用関係住民福祉もあり得ないということを意味していると思うのであります。利用開発よりもまずよごれた水をきれいにするということを前段に打ち出しておるということは、そのことをまずやらなければ、利水の問題も関係住民福祉もあり得ないというふうに考えますが、いかがですか。
  23. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それはそのとおりでございます。琵琶湖及びその周辺につきましては、具体的には水質保全を進んで元に返さなければならぬ、それはもう当然でございます。ただ、その字句は事業計画の中に入れて、それで目的に入れなかったということは、自然環境ということで代表されておったと、代表されて意味はそこにあるのだと、こう私たちは言っておるので、入れたことについてそれは少しも妨げはないと思います、それを入れたことについて。もちろん、実際問題としても琵琶湖及びその周辺環境保全をしようという場合、琵琶湖水質をネグレクトして、等閑視して論じられることではございませんから最も一番重大なことであるということはわれわれ全く同感でございます。それをやらなければ意味はございません。全く同感でございます。
  24. 西村関一

    西村関一君 政府は琵琶湖の水が年々歳々いかに汚染されておるかということについて的確なデータのもとに御承知になっておると思うのでありますが、まず、政府委員から琵琶湖の水がいかに汚染されているかということについて政府がどのように受け取っておられるかということをお伺いしたい。
  25. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 琵琶湖につきましては、北湖、南湖について建設省としてもそれぞれ水質に対する観測地点を持っております。観測地点を持っておりますからそこで観測しましたデータは政府委員から説明させます。
  26. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 琵琶湖水質につきましては私どものほうで滋賀県の衛生研究所、こういったところと連絡をいたしまして、昭和四十一年ごろから北湖、南湖あるいは瀬田川、こういったところにつきまして調査地点を設定をいたしましてその推移を調べておるわけでございます。大体琵琶湖につきましては定点で約五十カ所程度の地点につきまして調査をいたしております。  それで、北湖につきましては、汚濁度は四十六年度の現状で一以下でございます。BODで〇・九三PPM、CODで〇・九四PPMでございます。  なお南湖につきましては、これはただいまお話しのように、かなり水質が変化いたしております。四十一年の時点で濁度が五、BODが一・一八PPM、CODが一・一九PPMでございましたが、四十六年の時点では濁度はほとんど変わりませんが、BODで一・七一PPM、COCで一・五二PPMになっております。  以上でございます。
  27. 西村関一

    西村関一君 いま河川局長から御答弁がありました点につきましては、私も承知しております。しかし、琵琶湖は御承知のとおり、南湖も北湖も湖流と申しますか、湖の流れ、そういうものがありまして、やがて北湖も南湖同等に汚染される。南湖の汚染が北湖にも及ぶし、また北湖も汚染度がそれ自体が深まっていく、そういうことは河川局長も御存じだと思いますが、年年その汚染度が広がっていく、その傾向にある。いま御答弁にもありましたように、南湖はやがて魚も住まない、他の生物も住むことができない、したがって、その水を飲むこともできないというような状態になる。それは南湖だけの問題じゃなくって、琵琶湖の湖沼の水の流れが北湖に及ぶということは、京都大学の臨湖実験所が北湖の一番北のほうのところに観測機を設けまして、観測をしてデータを出しているということでも論じられる問題でございまして、現状のままでも琵琶湖の水は汚染度が高まっているということが心配されているんでありまして、こういうことに対して、西村大臣、こういう汚染を、水の汚染をどのようにして防ぐことができるというふうにお考えですか。まあ今度の法案の関連事業として下水道、これを十年間の計画を五年間につづめてやろう、し尿処理も含めてやろうということが修正案の中に出ております。ただ、単に下水道やし尿処理の問題だけでは片づかない、それだけの対策では琵琶湖の水をきれいにすることはできないと思うんでありますが、他にどのような方策をお考えになっておられますか。
  28. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もう先生も御案内のとおり、基本的には、やはり下水道の整備が一番重要であろうと思っております。そのために、この琵琶湖総合開発計画経費のうちでも、四千億何がしの全体計画のうちでも五百億以上の金を使おうと、約六百億ぐらいの一番大きい事業でございます。それから御案内のように、周辺にたいへん工場ができました。したがって、その工場に対する排水の規制、これも強力にやる、この二つが主眼でございます。しかし、いろいろ聞くところによりますと、また調査によりますると、いろいろその他重金属の問題もあるようでございまして、いろいろな問題がございます。いずれにいたしましても、そういうようなことについて今後逐次調査をしつつ改善をしていく。しかし、何といっても、やはり一番重点的にやらなければならぬのは下水道の整備と工場排水の規制、これが主眼であろう。その他重要なものはもちろんたくさんあると思いますが、大体私はそう考えております。
  29. 西村関一

    西村関一君 下水の問題、し尿処理の問題、工場排水の処理の問題を重点的に取り上げていくということであります。私は、それだけではないと思う。それも大事でございます。第一、工場排水の規制につきましては、どの法律でどのように規制していこうとお考えですか。
  30. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 工場排水の排水の規制につきましては、水質汚濁防止法によりまして全国一律の基準がきめてございます。それが、地域に関係なく適用されます。しかし、琵琶湖のように、非常に工場排水によってよごれておるという地域につきましては、やはりこれは水質汚濁防止法を根拠といたしまして滋賀県条例によりまして、上乗せ排水基準と通称言っておりますけれども、一律基準よりもきびしい基準を設定いたしまして琵琶湖水質が守られるように条例で定めていく、こういう制度になっております。
  31. 西村関一

    西村関一君 そのことは私も承知しておりますが、はたしてそれだけで規制ができるかどうか。滋賀県の県条例は国の基準よりは高いということも承知しておりますが、しかし、現にその問題で、地域的に滋賀県の草津市であるとか彦根市であるとかいうようなところで、汚水の問題で問題が起こっているということも御承知だと思うのですが、なかなか、それだけの水質汚濁防止法ですか、だけ、あるいは県条例だけで、それではたして十分な規制ができるかどうかということを心配するものでありますが、どうお考えですか。
  32. 山村勝美

    説明員(山村勝美君) 琵琶湖の汚染の原因を、たとえばCODという値について見ますと、工場が七六・五%、それから家庭下水が一九・六%、その他三・九%になっております。御指摘のとおり、工場排水による汚染が非常に高い値を示しております。  そこで、水質汚濁防止法によります、あるいは条例によります排水規制が、七六%を制御していく必要があるわけでございますけれども、御案内のとおり、滋賀県下は非常に中小企業が多うございまして、必ずしもこの水質汚濁防止法ですべて解決ということは考えておりません。言いかえますと、この中小企業につきましては三つの流域下水道が計画されておりますので、その流域下水道で最終的には消化していくということを予定いたしております。
  33. 西村関一

    西村関一君 今度の法案の根底には、三府県の知事西村大臣のあっせんによって合意点に達したといわれる覚え書きと申しますか、ものがあるのであります。それが土台になってこの法案の提出に取り組んできたという、このように伺っておりますが、それは水量におきまして毎秒四十トン、湖水の水位を一メートル五十を下げるという点において合意に達した。こういうことになりますと、少なくとも南湖は一体どうなるか、南湖の水位がどうなるか。そうなりますと、一・五メートル下がりますと、水の汚染が急速に悪化状態になるということが言われております。学者たちはこのように警告をしているのでありますが、その点につきまして、近畿圏整備本部としてはどういうふうに理解しておられるか、伺いたい。
  34. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 南湖の水質は、北湖に比べますと御承知のようにかなり汚染が進行をしておるわけでございます。で、今回、在来よりは水位の変動幅を広げることになるわけでございますが、それじゃ現在の琵琶湖に流入をしております汚濁物質の量がかりに変わらないといたしまして、水位を低下すればはたして汚染が進行するかどうか、こういう疑問じゃないかと存じますが、これは南湖の容量が非常に北湖に比べて水深が浅いために少ないというようなことで、一そう汚染が促進されるんではないかという御意見もございます。しかし一方、南湖が水位低下をいたしますということは、北湖も並行してやはり水位低下がするわけでございます。したがって、琵琶湖の出口は瀬田川一本でございますので、自然やはり北湖からの、南湖に比べますと数段いい水質の水がやはり南湖を経由して瀬田川に流出するわけでございますので、そういった場合には、在来よりはむしろ、南湖自身の容積は減ってまいりますけれども、水の移動量とすれば、むしろ逆に今回四十トン開発いたしますので、多くなってくる。したがって、直接水位低下が水質の汚濁に結びつくものではないというような御意見も一方ではあるわけでございます。この辺につきましては、さらに私どもも十分調査なり、あるいは先生方の研究の結果をわれわれなりに研究いたしたいと思っておりますけれども、基本的にはやはり流入してくる汚濁物質をできるだけ少なくするように食いとめる、こういったことがやはり第一じゃなかろうか。水位低下が直接南湖の汚染に結びつくかどうかということにつきましては、いろいろまだ説もあるようでございますので、私どもはやはり本質的にはそういった汚染物質を少なくするということに重点を置くべきじゃないかと考えておる次第でございます。
  35. 西村関一

    西村関一君 私は、寡聞にして水質汚濁関係があまりないだろうというような学者の意見を知らないのですが、もし河川局長知っておられるなら考えてください。
  36. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) これは直接そういった論文を出されておることはございませんけれども、昭和三十六年から数年にわたって南湖の生物資源の調査、あるいは水質の調査、こういったことをいろいろしたわけでございます。そのときの、はたして水位低下が直接南湖の水質に響くかどうかということにつきましては、その際、参加された学者の先生方の中にも意見が分かれておったということを記憶いたしております。
  37. 西村関一

    西村関一君 いつの、どういう調査で、その責任者はどなたですか。
  38. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 第一次の調査を昭和三十年から四十年度にわたって琵琶湖の生物資源調査といったようなことで、私どものほうで、委託をいたしまして、京都大学、それから滋賀県の臨湖実験所、こういったところの先生方が中心になりまして、団長は京都大学の宮地伝三郎先生だったと存じますが、その際に、もちろん生物資源といたしましていろいろプランクトンの問題とかあるいは魚類、貝類、こういったものの総合的な調査がなされましたが、その際やはり水質なり琵琶湖の水流の関係、こういったものの基礎的なものがございませんと、生物環境も調べられませんので、かなりの年月をかけて基礎的な調査が行なわれたわけでございます。そういったときに、お話しのような問題も議論になったわけでございますが、やはりよくなるということはもちろん期待はできないけれども、それが直接結びついて悪くなるというような断定をするのには少し問題があるのじゃないかというような御意見であったと記憶いたしております。
  39. 西村関一

    西村関一君 いま御承知のとおり、京都大学の臨湖実験所、大津市にありますね。それから滋賀大学の湖沼研究所、これはあげてその問題を心配している、現在この法案に関連して。これはもうあげてこの学者たちは心配している。そういう心配はないということを言う人はそれは一人や二人いるかもしれませんけれども、大学の責任ある機関が資料をどんどん出しておるわけなんです。私の手元にも大学の資料が幾つか来ておるわけなんであります。「びわ湖・瀬田川・大津市の河川ならびに観光施設水質と湖底泥の重金属について」あるいは「琵琶湖の堆積物の研究琵琶湖底表層堆積物中における微量重金属成分の分布について」「セタシジミの生息に及ぼす瀬田川底質の影響について」「びわ湖塩津湾の流況−湾口の流況とその経時変化」私の手元にありますものだけでもこのような滋賀大学の研究発表が出ておるわけなんでありまして、非常に心配しているわけなんです。ちょっとこの際、簡単でありますから申し上げて、政府の参考にしたいと思うのでありますが、「びわ湖の湖沼科学的現状と水位の低下が及ぼす影響について」これは四十七年の四月、滋賀大学の湖沼研究所から出した一般向きの簡単なものでありますけれども、「びわ湖の水の循環」「水位低下が及ぼす水質への影響」「水を入れる容器の面から見た琵琶湖の現状」「水位低下が及ぼすびわ湖の魚類への影響」「びわ湖と生物」「びわ湖への夢」というような通俗的な題目にわたってるる述べられておるのであります。これによりまして私が心配しておりますることが学者たちの科学的な研究の結果にもあらわれておるということを承知したのであります。  ですから、水位が低下しても、毎秒四十トンの水を送っても、そうたいした心配はないと言われても、私は、科学的な心配がないという資料を提供されない限りは、それをすなおに受け取ることができないわけなんであります。特に、ここにこういうことが書いてございます。「鉛、亜鉛、カドミウムは、自然状態で堆積した泥に比べて非常に高い価を示している。この事実は湖の水中にもこれらの元素が標準より多く含有することを意味する。」「マンガン以外の下記のすべての元素が、地球化学的にみて、琵琶湖底に異常に分布している。この事実は、それらの元素が、琵琶湖流入水域中の特定の地域から多量に供給されたこととみるべきである。」「コバルト、亜鉛、鉛、ストロンチウム、銅、カドミウム」と、「数種の金属元素についての結果からも、すでに湖底は相当に汚れてしまっている。これらの金属が洗剤の混入した湖水により幾らか溶出して、水をさらに汚すものと考えるから直ちに、湖底を現在以上に汚さぬ様あらゆる手段を講じなければならぬ。」という警告をしております。これは阿賀野川の状態と同じ状態である。琵琶湖のフナはもう食べられなくなったというようなことも言われておるんであります。非常に奇形の魚も出てきておるという状態であります。琵琶湖の湖魚は五十一種類からおりますが、これらの魚がもはやだんだん少なくなってきておる。やがては生息することのできないような状態になる。これらの漁獲量は、魚の全漁獲量の四分の一を占めております。その特殊な湖魚——魚類、そういうものが人間生活にとっても大事なものであり、沿岸の住民にとっても大事なものでございますが、そういうものが減っていっておるということ、そういうことから考えますと、「水銀、カドミウム、PCBなどの蓄積が相当進んでおる。」、ここに書いてありますが、阿賀野川のフナの水銀蓄積量とほぼ同じくらいのものが検出されるということでありまして、これは「水銀は〇・五PPM、カドミウムは〇・四PPM、PCBなどは一〇PPM」そういうものが魚の体内に入っておるということが検出されております。  こういうことになってまいりますと、特に南湖におきましては、魚をとってもその魚を買って食う者がいない。現に堅田の浦の漁師たちは、漁業を専門にやっておりますところの漁師たちは、もう、ちょっと南湖を出たくらいのところでは魚がとれない。とっても、だれも買ってくれないから、ずっと北湖の、一番北の大浦寄りまで出かけていって、そこまで自動車で漁師たちは出ていっています。そこまで行こうと思いますと、それだから一時間半は優にかかります。そこまで自家用の自動車でガソリンを使って出かけていって、そこにつないであるところの漁船に乗って漁労をやり、魚をとる、こういうことをやっているのであります。そうでないと、魚をとっても、だれも買ってくれない。これはわれわれもこういう状態では湖水の魚を食うことができません。これは重大な影響を与えます。これは水位が低下すれば、そういう状態がますます激化していくということは学者が警告しているところであります。  こういう問題を、ただ下水道、し尿処理、工場排水の規制ということだけで解決するとお考えになることは、私は甘いと思う。もっと根本的なこれに対する、水質保全するということに対する対策を政府はお立てにならないといけないんじゃないか。下流といえども、汚染された水を取って、それを生活用水に使うというようになるならば、健康にたちまち差しさわる。京都の水道は、御承知のとおり、カビくさくて飲めない。カビくさいということがよく言われました。そういうものがだんだんひどくなってまいりますと、京都府、京都市の府民、市民の生活になくてならぬところの水も安心して飲めないということになるわけであります。大阪、兵庫にいたしましても、私は同様だと思うんであります。  まず、水質保全する、水をきれいにする。私どもの子供のときのようなきれいな水、そういう水に還元するということをまっ先に政府はやらなければいけないと思う。私は子供のときには、大津ですが、大津の湖畔で、朝起きて、湖水の水で口をすすいだものです。そういうことはもうとうていできません。おそらく琵琶湖のうちの一部分、北湖の一部分しか、そういうことはできないと思うんです。そういう情勢に返さなければ、私は利水の問題など考えることはできない。生活用水であるところの、水道水源になるところの——水道は、京都は琵琶湖の水で古くから水道源をまかなっておる、府の生活用水をまかなっておる。大阪も兵庫もこのことは無視できない。まず、琵琶湖の水をきれいにする。少なくとも昭和四十一年度ぐらいの状態にまで引き戻す、復元するということを政府は考えなければ、私はこの法律の持つ意義は出てこないと思う。ただ単に、工場用水のために琵琶湖の水を使うというんじゃありません。一千万下流国民の生活用水、それがよごれた水であるならば、これは意味をなさぬのであります。  その点、建設大臣として、この法案の担当責任者、最高の責任者であられる西村大臣としては、もう一度その御見解をお述べいただきたいと思います。
  40. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私ども全くあなたと同感でございまして、とにかく滋賀県それ自身も水を使うし、ないし京都も同じようなことでございますし、大阪、兵庫、これはもう水質はうまくなければいけないんであります。その点については、全く同感であります。  ただ、やり方について、いろいろ方法があろうと思っているんです。重金属の点、重金属はまた重金属対策でもっていかなければ、下水道をやったからすぐ重金属が取れるもんじゃございません。それはきれいにする方法はいろいろあるのですが、とにかくきれいにしなければならぬということは当然でございます。したがいまして、今度のこの開発事業につきましても、第一番は水質保全、これはもう一番根幹でございます。その点はあなたと全く同じ考え方でございます。それから、水位が下がるとますますひどくなるのじゃないかということでございますが、これは私もよく知りませんが、水面がいつもゼロラインにあるわけじゃない、上下するのです。そこでそれじゃ、利水水位を一メーター五十にするといっても、常時一メーター五十までしておくというわけじゃないですから、それですから、三百六十五日のうちに何日一メーター五十まで下がるかということですから、同じ低水位でもって、ゼロラインにあったものを一メーター五十下げて、それだから水質はますます悪くなるじゃないかという議論と、三百六十五日のうちに一・五メーター下がる日が何日あるかというようなことで、いろいろこれは議論がある。水が減ったからますます水が悪くなったということの議論は、その辺がたいへん実際問題として私はあると思うのです。とにかく入ってきた水をきれいにしなければならぬ。入ってきた水をきれいにすれば、それはだんだん水質がよくなります。それが第一ですから、入ってきた水をきれいにするには、下水道から入ってきた水、工場から入ってきた水、自然に雨が降って入ってきた水も、それはきれいにする。それが第一ですから、要するに、いまのままでほうっておけば、絶対に悪くなるということですから、その水質保全につきましては、もちろん、この法律の主眼の主眼でございますから、その点は全くあなたと同感でございます。
  41. 小林武

    委員長小林武君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  42. 小林武

    委員長小林武君) 速記を始めてください。  再度、大臣の答弁を願います。
  43. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 西村関一先生と西村英一とのやりとりで、問うほうも、答えるほうも同じことを言っているのです。私も精神的な面だけじゃ直らぬと思いますから、予算措置は十分講じ、また実行もやっておるのです。それで西村さんのほうは、やはり出身は大津で、昔のあのきれいな水にその水を直さなければいかぬのじゃないか、こう言っておる。直すためにこの開発をこの法案でもって措置しようというのです。予算がそれじゃあるかといえば、予算は十分用意しております、四千億で開発しようというが、そのうちの五百九十億円は下水に充てております。なお私は、下水道はそれでも足らぬ。それから下水処理も、工場規制だけではいかぬ面があるから、それは、その重金属等は他の方法でピュリファイをはからなければいかぬと、こう言っておるんですから、西村さんのほうも、それは一生懸命やれと、私はやりますと、こう言っておるのですから、話は合っておると私は思います。
  44. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私の申し上げましたのは、今度水位をかなり低下する場合が渇水時にはあるわけでございますが、これは常時水位を低下するわけでございません。しかし、この水位低下がそれじゃ直接水質の悪化にどの程度影響をするかということにつきましては、いろいろ議論がございます。しかし琵琶湖水質全体が水位の低下にかかわらず、先ほどの西村先生のお話しのように、底質に重金属等がかなり蓄積をしておるという調査もございますので、そういった問題についてはわれわれもさらに調査を進めていきたいと思います。  なお、どういうような調査なり過去に検討がなされたかというようなこと、あるいはどういう意見があるかというようなことにつきましては、本日要求されております資料の中に、そういった水質保全の見通しに対する条項がございますので、その資料の中でできるだけ提出いたしまして御了解をいただくようにいたしたいと存じます。
  45. 西村関一

    西村関一君 それでは政府当局政府委員にお願いをしておきたいと思いますが、衆議院参考人意見陳述、公述の中で、京都教育大学教授の木村春彦氏及び滋賀大学教授の立川正久氏、このお二人の方から、いま私が触れております水位の低下は必ず水質汚染をもたらすという意見の陳述がございました。それは御承知のとおりだと思う。それから自民党推薦の方の御意見の中には、そういう問題については一切触れておられません。米花稔神戸大学教授、この方は自民党推薦の方でありますが、この方は地方自治体などの関係機関の協力方式という問題について意見を述べておられまして、水質の問題については全然触れておられません。もう一人の方も同様であります。もう一人の方は、澤竹慶三氏、これは鋳鉄管協会顧問、つまりこれは水道の事業の専門家ですが、水は必要だということを言っておられるのであります。水質の問題については何も触れておられません。私は、先に申しましたお二人の参考人の御意見に対しまして、後ほどでけっこうですから、水位の低下によって水の汚染は進行しないということを政府が考えておられるならば、その心配がないというデータを出していただきたい。そういうことに対する科学的な資料を出していただきたいと思います。それは大臣、よろしいですか。そういう資料をあとで出していただきたい。議論をしていますとね、資料が不十なようですから、議論が並行する。西村大臣西村委員とが精神論議をすることになると思うので、やはり科学的なデータに基づいて、私は心配がないということは科学的なデータを持っておりますけれども、それに対して、少なくとも、衆議院参考人から述べられた御意見に対しまして、政府の見解を述べていただく、そういうものを出していただきたいと思いますが、委員長、それよろしゅうございますか。
  46. 小林武

    委員長小林武君) 先ほど河川局長から話されたことでいいんでしょうね。
  47. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 御希望に沿うようにいたします。
  48. 西村関一

    西村関一君 水質の問題は、私は質問を保留いたします。これはこれだけじゃ満足できませんので、次の機会に政府のほうから見解が出ました上で再度質問をいたします。私は衆議院のこの修正案の中で、特にその点を重視すべきだと思いますから、環境保全水質保全ということがことさらに加えられております点を重視したいと思いますから、この問題についてまず質問をしたわけであります。  それから水位の低下に伴いまして、京都へ琵琶湖から水を送っている第一疎水、第二疎水がございますが、これは影響がございませんですか。
  49. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 水位が低下いたしますと、当然まあ自然流下をいたしておりますので流入量に影響があるわけでございます。これにつきましては、すでにこの疎水は明治以来の疎水でございますので、第一次河水統制事業で現在マイナス一メートルまで下げるというルールになっておりますが、特にそういった機能に支障のないように補償のポンプ施設等を増設したわけでございますが、今回さらにこれを利用低水位一メートルというような計画がきまりましたので、こういったもの、それから非常渇水時の事態に対応する処置等を含めまして、しかるべき補償施設をいたしたいと考えております。
  50. 西村関一

    西村関一君 やはり変化がある。だから、それに対してポンプその他備えつけるための補償を考えている、こういうことでありますが、まだ議論は平行線でありますが、より汚染された水、しかも少なくなった水、そういうものを京都へ送るということですが、京都の府知事あるいは京都の市長ですね、これはその点に対して関係府県だと思うのでありますが、滋賀、大阪、兵庫というのが関係府県になっておりますが、京都をお入れになってはどうですか。そうでないと、水の問題と京都は非常に密接な関係がございます。その点どうですか。
  51. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) ただいまのお尋ねの前提といたしまして、今回の法案の提出ないしはその内容の基本的な事項の合意にあたって、上流の滋賀県知事と、それから下流の大阪府知事、兵庫県知事、これらの方々の間のお話し合い、合意だけで、京都府知事なり京都市長がいまの疎水の問題もあるにもかかわらず、話し合いに入っておらないのはなぜか、それは当然お話し合いに入っていただくべきではないか、こういうことが前提にあるかと思いますが、なぜ大阪府知事なり兵庫県知事とお話をしたかということにつきましては、これは今回の琵琶湖総合開発計画の経緯からいたしまして、新たに毎秒四十トンの水利権を付与いたしますのが、下流の大阪府ないしは兵庫県内の団体でございますことと、それと関連をいたしまして、御承知のように、この法案でそういった利水団体が受益をいたしますことに伴いまして下流負担の制度を設けておりまして、その話し合い等もございましたわけでございますから、今日までの経過といたしましてはさようなことに相なっておりますが、お話しのような琵琶湖疎水の問題等との関係関係府県に入るのかどうか、入れるべきではないかということにつきましてはなお今後その事業内容の問題と関連をいたしまして早急に検討させていただきたいと思います。
  52. 西村関一

    西村関一君 この問題につきまして京都府は淀川水系に非常に重要な関係のあるところであります。それから、京都府知事関係府県の中に入れて、関係府県の長としていろいろ相談をするということが私は当然だと思う。ただ、京都市に供給されている水道の問題だけでなしに、淀川水系全般について淀川水系の水資源の確保、それから京都の下水道、し尿処理の問題が淀川水系の水を汚染していると、非常に京都市の下水道及びし尿処理は不十分だと言われている。桂川が非常に汚染されておる。それがみな淀川水系に行って大阪に行くのです。どうしたってこれは関係府県の知事としてこの相談に乗らすべきだと思うのであります。自治省はどう考えておられますか。自治省おいでになると思いますが。
  53. 立田清士

    政府委員(立田清士君) ただいまの点でございますが、近畿圏次長からお話がありましたとおり経緯的に申しますと、今回の新規増量分については京都府が受益府県にはなっておらない、こういう点と、いきさつ上は先ほどのようなことがあろうかと思いますけれども、しかし、先ほど建設省のほうからもお話がありましたとおり、従来の京都に対する送水との関係において補償工事等が行なわれているという過程におきましては京都とのお話し合いというのはあり得ると思います。それから、やはり基本的に琵琶湖自身の水質保全等、それらに関連しました事項につきまして、いろいろ先ほど今後今回の琵琶湖総合開発との関係を検討されるという御答弁があったわけでございますが、そういうふうな検討の過程におきまして必要があれば、京都とのお話し合いということもあり得るのではないかというふうに私たちも考えておるわけでございます。
  54. 西村関一

    西村関一君 それから、先ほど西村大臣の御答弁の中に観光事業というのを原案からはずした、これは自分の考えておる観光事業とは違った観光事業についての心配があるからはずせということだから、はずすことに同意したのだというような意味の御答弁がございました。西村大臣観光事業ということに対してどういう御見解をお持ちですか、あらためてこの際伺っておきたい。
  55. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いわゆる観光事業というのは、私はやはり他のいろいろなところを見て回りまして、やっぱり風物に接していい気持ちを養うというふうに私は解釈しておるのです。もういわゆる字のごとく私は解釈しております。それ以上の考えは持っておりません。
  56. 西村関一

    西村関一君 いまのおことばで私なりに解釈しますと、あまり人為的なものでない、人工を加えないで、自然の中に、人間が自然に返って、そこで精神及び肉体の休息をとる、いわゆるレクリエーションの場として自然に返るこういうことが観光の正しいあり方だというふうにお考えになっておられるわけですね。それは私も同感なんです。そういうふうに考えてよろしいですか。
  57. 西村英一

    国務大臣西村英一君) そのとおりです。
  58. 西村関一

    西村関一君 そういうお考えであるから、あえて人為的な観光事業観光センター、そういうものをつくろうということに対しては反対であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  59. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それはものによって、やり方によってです。ものにより、やり方によってでありまして、ただ、自然を見るだけがいわゆる観光といっても、近代はやはり施設をつくらにゃならぬし、またそのためには、やっぱり皆さんが利用されやすいように道路もつくらなけりゃならぬでしょうし、それはいろいろあると思います。そのやり方、方法、そういうようなものをやはり目的に沿うようにやるということが大事なんでありまして、しかし、とにかく戦後のいわゆる観光というのは、ややもするとレジャーというふうな解釈が、それは実際面が俗悪になる施設をするからそういうふうになってくるんですから、観光という面は、観光資源というものは大事にし、観光施設というものはやっぱりつくらなきゃならぬ。ただ、何にもやらないで自然を見ればいいんだと、そういうわけには私はいかないと思います。ここはやり方の問題、考え方の問題というふうになるんじゃないでしょうか。私はそう考えております。
  60. 西村関一

    西村関一君 考え方及びその施設内容の問題だと思います。たとえば、この法案が通った暁におきまして、滋賀県知事事業計画案を出すという段取りになります。すでにそういうことを予定しながら、滋賀県が出しておる事業計画の中に観光センターを安曇川下流の地域に設けようという案が出ております。それから、伝えられるところによりますと、琵琶湖の大津の途中に人工島をつくろう、レジャーセンターをつくろう、そういうことが考えられておる。これは私は問題だと思うんでございます。安曇川の河口地帯、琵琶湖の湖辺地帯に、自然を破壊して、そういう観光センター、レジャー・センターをつくる、あるいは途中に人工島をつくって、レジャー・センターをつくるというような考え方は間違いだと思うんです。そういうことも内容によってはよろしいというふうな御答弁のようでありましたけれども、具体的にその問題を私は申し上げましたが、それはどういうふうにお考えになっておられますか。
  61. 西村英一

    国務大臣西村英一君) そういうことは、滋賀県非常に観光施設に力を入れておる、これは私はけっこうだと思います。それでなくても、好むと好まざるとにかかわらず、大阪、神戸等の大都市を控えて、休養にやってくる。しかし、いま非常に乱雑であるから、もう少し秩序ある観光施設をしようという考え方ならいいんですけれども、やっぱりちょっと聞きますると、非常な行き過ぎの自然破壊というようなこと、いまあなたが一つ例をあげましたが、たとえば周辺に道路をつくってというようなこと、私自身はその実際計画については批判的なものもあると思います。したがいまして、今後これをどういうふうに展開していくか——施設を全然つくっちゃいかぬとは私は申しませんが、施設によってやっぱりどういうふうにこれを展開していくかということは大事でございます。しかし、県自身は相当観光に力を入れておるようにいままでは承っておりますが、実際の実行にあたっての注意は十分しなけりゃならぬ、こういうふうに私も考えております。あなた、いま言われました湖の中に島をつくるというようなことについては私は批判的でございます。まだ、その他批判的な問題はございます、滋賀県が考えておる観光施設について。しかし、それは実際面につきまして十分に討議したい、検討したいと、かように考えております。
  62. 西村関一

    西村関一君 人工島につきましては、かつて大津市が計画した、それを県がストップをかけた、今度は県がそれをやろうと、私はそうは思いたくはないのですけれども、業者との癒着があるんじゃないかという心配をしておるんです。そういうことはないと思いますけれども、純粋な意味から観光施設として人工島をつくろうということを知事は考えておるんだと思いますけれども、またそういうふうな批判も出ております、これはよほど慎重に大臣としては考えてもらいたい。  それから観光行政につきましては、私もこれを進めることに反対するものではございません。諸外国の例を見ましても、たとえばスイスはもちろんのこと、西のドイツ、東のドイツ——ドイツ連邦共和国、ドイツ民主共和国を回りましても、いかに観光に力を入れておるかということは、世界各国、イデオロギーの違いを越えて、これはどこでも競うてやっておるところであります。しかし、その観光の中身は、先ほど大臣が申されましたように、自然の環境破壊しないで、自然の中にあすへのエネルギーを養うほんとうの意味におけるレクリェーションの場として、休息の場として、そういうことができるような場所を提供する、そういうことにふさわしいあるいは簡易なホテル、あるいは周辺の芝生であるとか、いろんなことがあると思います。そういうことで、そういうところを慕って、ヨーロッパの各地から多くの人たちが太陽と緑と水を求めてやってくる、わが国の観光行政というものはそういうことでありたいと思うんです。ところが、観光といいますと、何かやはり羽を伸ばしてどんちゃん騒ぎをする、また、いかがわしい施設があって、そこで風紀を乱すような行為が行なわれるというようなことが観光だというふうに考え、観光施設だと受け取っておるのは大きな自然に対する冒涜だと私は思います。そういうことはやはり規制しなければいけないと思うんです。いかがでございますか。
  63. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 全く同感でございます。だからその内容次第でございまして、十分その内容が、いわゆるわれわれが期待する観光目的に沿うような施設というようなことをやって、これは進めていかなけりゃならぬと思います。しかし、ややもすれば、この事業は行き過ぎがございますので、その行き過ぎについては十分これは注意しなけりゃならぬと、かように考えております。
  64. 西村関一

    西村関一君 いま、滋賀県の計画している人工島については批判的である、それからまた行き過ぎについては十分に是正していくつもりである、こういうことであります。また、観光のために湖岸周遊道路もこれは必要であると考えるという御答弁もございました。この湖岸周遊道路にはずいぶんたくさんな予算が盛られている。それほど琵琶湖観光のために周遊道路が必要だとお考えですか。
  65. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 一応滋賀県の希望もありましたから、こういうワクの中に入れましたが、私は批判的でございます。したがいまして、このワクのときもだいぶこれは首を傾けたのでございまするけれども、やり方によるんだからと思いまして一応はこのワク内になっております。ばく大な金がかかることになっておりますからこれも私いまどうだと、こう詰め寄られれば批判的だとこう言わざるを得ません。しかしこれは琵琶湖滋賀県の希望もあるようでございますから、やり方の問題だと、ことにこの道路は洪水の堤防を築いたらどうかというようなことから発展したんだろうと私は思っておるんです。したがいまして洪水になったときは、これは渇水のみならず洪水にも琵琶湖はなりますから、それの堤防をしなきゃならぬところもありましょう。そういうようなことからだんだん発展したんじゃないかと、同じことならその上を道路にしたらいいじゃないか、そうすれば琵琶湖を取り巻いたらいいじゃないか、こうだんだん発展したようでございまするが、一口に君はどうだと、こう言われれば、私はきわめて批判的だ、こう言わざるを得ない、そういう気持ちでございます。
  66. 西村関一

    西村関一君 湖岸堤につきましては、これは洪水のときのためのもの、これは限られた地域でございます。これは道路とは別に、しかも水辺植物の繁植を妨げない配慮をしながら、予算委員会の分科会で私も述べましたが、レニングラードの湖岸工事の例などを私は申しましたが、水生植物の繁茂を妨げない配慮をしながら、そういう洪水時に備えるところの湖岸堤の建設は私は必要だと思うんです。しかし、これはもうコンクリートで固めてしまうということではない、配慮しながらやるべきだと、それと道路とは私はごっちゃにすべきではないと思うんでございます。で、湖岸周遊道路をつくって一体だれが利益を得るか、滋賀県民はその湖岸周遊道路によってどれだけの利益を得る。で、また、ほんとうにレジャーを楽しもうとする琵琶湖周辺にやってくるところの心ある人たちはそういうことがどうしても必要だというふうに考えるかどうかこれは疑問だと思うんです。滋賀県では、われわれの反対の意向を察して水辺から、湖畔から百メーターぐらい下がったところにつくる計画に変えるというようなことを言い出してきておるんです。そんなことでは、そんなごまかしと言っちゃ変ですが、そういう場当たり的なこと、最初の計画を変えて百メーターほど引き下がったところにつけようというようなことを県のほうは言い出してきている。私はそういうことはよくないと思うのであります。学者の説によりますと、五、六百メーター引き下がらないと自然環境を守ることはできないということを言っておりますが、それよりも金のかかるところの湖岸周遊道路、これはさっきお話しになりました下水道、し尿処理の予算よりもはるかに上回るところの金がかかる、そういうものをいますぐ着手する必要はない、批判的だと大臣はおっしゃいましたが、大いに批判していただきたい、大いにその点に対してはチェックをしていただきたい。だれが一体この道路をつくって利益を得るかということであります。私はそれ以上申しませんけれども、その点をよくお考えいただきたい。現にいまありますところの奥琵琶湖のハイウエー、これは美しい奥琵琶湖の景観を破壊いたします。これはもし風水害でもありますとたちまちあの道路はこわれる。いまでさえもきれいな湖岸の山がくずれて切り取られて、ときどき土砂が落ちておるという状態であります。景観を破壊される、しかも自然が破壊される。そういうことで、ごく少数のものがマイカーで奥琵琶湖の景観を見るためにあのハイウエーを通るのでありますからそう大した私は国民の利益にはなってないと思う。自然が破壊されるから琵琶湖地元住民はこぞって反対したにかかわらず、県はあれをやっちゃったということであります。そういうことは建設省としては十分に監督指導をしてもらいたい。湖岸周遊道路につきましても私はこの際この計画は取りやめるべきだ。もっとすみやかにやらなきゃならぬ事業がたくさんある。  特に先ほど来申し述べてまいりましたところの水をきれいにするということのために幾ら予算があっても足らないと思います。周遊道路をつくるということがそれほど急ぐところの事業だとは考えられません。ほんとうに琵琶湖が自然のままで守られて、その中で京阪神の一千万の人たちあるいは名古屋を含んで多数の人々が琵琶湖にやって来る。自然を楽しむ。自然の中にあすへの活力を求めてほんとうの精神と肉体の休養を求めてくるというような場を提供する、そういうことに力点を置いたやり方に考え直すべきじゃないか。関連事業計画、これはこの法律が発足しましてから滋賀県が出す。そして建設大臣及び総理大臣がこれに決裁をするということになっておりますが、そういうことの前に、まだ法律も何も通ってない、修正案衆議院においてなされた。附帯決議もなされた。附帯決議の精神から申しましても、文言から申しましても、あの事業計画案は白紙に戻すべきだ。いま大臣が批判的だということを二度おっしゃいましたが、白紙に戻して練り直すということをすべきだと思いますが、いかがですか。
  67. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いまの計画はほんとうのその大ワクでございまして、これはほんとうの計画滋賀県知事がやはりつくって、今度修正によって、それぞれの公聴会を開いてやるんですから、その内容につきましては相当に変化があると思っております。したがって、私は、琵琶湖総合開発のほんとうの精神にのっとったようにこの内容がきまっていくことを期待いたしております。  端的に申しますると、やはり下水道処理あたりにいまあるワクを考えておりまするけれども、私はいまのワクでは下水道はできないと思う。最終的にはもっと金がかかると思っております。それらのことは、まあ一応の大ワクはそれぞれきまりましたが、これは相当に修正があるものと、計画をつくる前に修正がある。もう予算がきちっときまったわけではございません。大ワクだけが大蔵省との合意できまったわけで、その範囲内において内容はこれからの問題ということに私は理解いたしておる次第でございます。
  68. 西村関一

    西村関一君 予算の大ワクは大蔵省との話し合いでできておるけれども、内容については今後の問題だということでございますが、そうでありますれば、事業計画案なるものは白紙に還元して練り直す。特に湖岸周遊道路なんか金がかかるのです。それよりももっと大臣が力説しておられますところの下水道、し尿処理施設、そういうものをできるだけ早くしないと汚染がますます進んでいくということでありますから、この点は練り直すと、関連事業計画については練り直すというふうに大臣は考えておられるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  69. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 大体そういうふうに考えております。滋賀県知事計画をつくるときにやはり相当に考えていただくということがたくさんあるわけであります。そのように私も考えております。
  70. 西村関一

    西村関一君 次に、水産庁来ておられますか。——琵琶湖の漁業の問題につきまして、大体水産庁の内水面漁業の取り上げ方についてはきわめて問題があると思う。これは内水面の漁業をやっている漁民の数も少ないし、特に専業でやっている者の数も少ないし、また琵琶湖などもたいしたことはないということで、滋賀県のことばで言うと、いわばほったらかしになっている。もう捨てざりにされている内水面漁家の問題、内水面漁業の問題はあと回し、あと回しになっているという印象を受けるんであります。そういうことでは、零細な琵琶湖の専業漁民がかわいそうだと思う。これは補償の問題だけで私は解決できないと思うのです。補償さえやればそれで解決するということは、これは零細漁民の立場を無視した考え方で、かつて琵琶湖大橋ができますときに、補償金をもらった漁師はほとんど大半堕落をいたしました。そんな金、見たこともない漁民たちはまともに、苦しい、朝の三時ごろから起きて琵琶湖の奥に出て、魚をとるというような仕事はばからしくてやらないというようなことで、そこから道を踏み誤った者もたくさん出てまいりました。現在でも生活が苦しいですから、イケチョウガイを盗むところの漁民が幾らつかまってもつかまってもふえておるんです。そういうことをやらないと生活ができないということなんです。私のおります堅田の部落というところには、御承知のとおり琵琶湖の専業漁民の集落があります。その対岸の沖ノ島にもあります。湖北地帯にもございます。その琵琶湖の魚をとることを専業にしている漁師たちは、この法案が通りますというと、さきにもちょっと触れましたように、南湖では魚がとれない、私ども子供のときには、シジミ売りが、私どもの町の風物でありました。大津市などは昔、「シジミはいかが、シジミはいかが」といって呼び声をあげながらシジミ売りがいた。もうそういうようなのは見られません。「セタシジミ」の収穫量も半分以下になっておる。しかもそのシジミはもう「セタシジミ」を食べる者がいないんです、汚染がひどいですから。それからシジミをとる漁師が、それは仕事ができない。それから沖ノ島の漁師でも、もう沖ノ島は先祖伝来の沖ノ島を捨てて、平家の落ち武者の集落を捨てて——平家の落ち武者の集落だと言われておりますが、何かほかへ出ようとしますけれども、ほかへ出ても転業する余地は全然ないということで、私のところへ相談に来た者もあります。どうしたらいいでしょう、非常に困っているわけなんです。一体、水産庁は内水面漁業、特に琵琶湖の漁業に対してどういうお考えか、今度の法案と関連してどういうふうにお考えか、どういう対策をお持ちになっておられますか。
  71. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ただいま御指摘のように、全国の内水面の生産は、漁場環境の悪化等によりまして、漁業者の放流、増殖の努力にもかかわらず、あまり伸びておりません。琵琶湖につきましても同様でございますが、今度の琵琶湖法案につきましては、水位が下がることによりまして、漁業に対して影響が出ます。漁場の喪失あるいは取水不能になるとか、いろいろな影響が出ますので、これに対します影響をできるだけ少なくしたいということで、いろいろ事業を考えております。たとえば温水性のコイ、フナ等の魚類につきましては、現在すでに人工採苗で養殖する稚魚が多量にできる技術がございますので、こういう点で対処してまいりたい。それから冷水性のアユとかマス等につきましては、現在十分な技術は、マスにつきましては人工採苗技術はございますが、アユにつきましてはそこまで到達しておりませんが、琵琶湖につきましては人工河川を造成するのと、ブルドーザーを使いましてできるだけ人工の産卵床をつくってアユの産卵を確保してまいりたいというふうに考えております。それから湖岸の天然の稚魚の育成場でございますモ場等が失われるおそれがございますので、人工のモ場等をつくるというようなことも考えております。それから、水が減らないように水門等をつくりまして人造の内湖をつくって、ここで「イケチョウガイ」等の増殖をはかってまいりたいというようなことでございますので、一応それらのことで現在の生産額を維持できるような、影響を少なくするようなことを考えているのが第一段階でございます。  それと同時に、琵琶湖は現在、漁業法上も海面の扱いになっておりますし、現在やっております海面の第二次構造改善事業というのがございます。そこでは県知事が都道府県に設置されました沿岸構造改善協議会というものをつくりまして、それの意見を聞きまして目標を立てまして、その目標には生産性の向上、所得の増大の見通し等も立てまして、沿岸漁業経営の育成目標というものを設けます。それによりまして、生産基盤の整備なり、流通の改善事業等を行なうようになっておりまして、第二次構造改善事業によりましてここを指定地域にいたしまして、積極的な沿岸漁業としての促進をはかってまいりたい。  それから漁港につきましては、先ほど申し上げましたように、水位の低下によります復旧工事を二十港予定いたしておりますし、さらに修築事業といたしまして、堅田を含めまして四港に修築事業を行なうために実施してまいりたいというふうに考えておりますし、それから漁港の修築事業につきましては、沿岸構造改善事業に指定されましたところにつきましては、一種漁港が四〇%の補助金が五〇%の補助金になるということがございますので、あわせてお答えいたしておきます。
  72. 西村関一

    西村関一君 沿岸に準じて内水も構造改善をやろう、そういうことは私も承知しておりますが、それは長いことできなかったんですね。内水面漁民の強い要望もあって、そういう取り扱いをやっとするということなんです。おそまきながらそれは幾らかの益にこれからなっていくと思うのであります。しかし、根本的にそれは全体の零細な漁民の利益になるとは考えられない面があるわけなんです。で、内水面漁業につきましても、水産庁の試験研究機関は非常に脆弱です。私は、日野の内水面漁業の試験場に行ったことがあります。予算も少ないんだろうと思いますが、内水面漁業は無視されておるんじゃないか、軽視されておるんじゃないかという印象を、東京都下の日野の試験場を見ますと、そういう印象を受けたんです。苦労しておるわけです、予算が少ないからではあると思いますが、苦労をしておられますが、琵琶湖だけではございません、河川あるいは湖沼等に対する専業に魚をとっておる、漁労をやっておる、そういう漁民に対する対策につきまして、今後とも十分に配慮してもらいたい。特に今度の琵琶湖総合開発措置法案につきまして、琵琶湖の漁民たちは言い過ぎかもわかりませんが、戦々恐々としている。この間の参議院の建設委員会委員が現地調査に行かれましたときに、私も地元の議員として、漁民の代表は、この法案には反対である。反対ではあるが、いろいろ政府の配慮もあることだから、最終的には根本的な反対ではないということと述べておられましたが、それはやはりその代表の方の意見はそうでありますが、根本的には反対だ。なぜ反対するかということは、この法案によって漁民の生活権が奪われる、少なくとも縮小されるということも心配しているからだと思うんであります。なお、これは答弁は要りませんが、これは建設大臣にもお願いをいたしたい、それから水産庁長官にも、農林大臣にも、内水面を専業にしているところの漁民のために十分に考慮してもらいたい。そういうことがなければ、この法律を私は賛成するわけにはいかないんです。衆議院で大幅の修正がありましたけれども、そういうことが裏づけられない限りは、賛成するわけにはまいりません。それをお願いいたしておきます。  それから次は、農民の問題でありますが、これは農民もまた大きな犠牲者であります。農林省来ておられますか。この法律は通ることによりまして、琵琶湖の水をかんがい用水に使っておるところの農民、私どもは的確な、いま何名くらいそういう人がいるか、どれぐらいの面積が琵琶湖の水によってかんがいされているかということを承知しておりませんが、それはあなたのほうでおわかりですか。
  73. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) 琵琶湖周辺の農地の御質問かと思いますが、琵琶湖の水を揚水して使っております農地面積は一万四百ヘクタール、なお農家戸数は四万一千戸でございます。
  74. 西村関一

    西村関一君 それは伏流水といいますか、地下水を利用しているものも含めているのですか。
  75. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) ただいま申し上げましたのは、地下水等を利用している面積は含んでおりません。琵琶湖の水を直接揚水している面積でございます。
  76. 西村関一

    西村関一君 これは水位が低下しますと、御承知のとおり地下水に影響するのです。滋賀県の湖北地方はいつでも地下水が湧いているところでありますが、それが農業のかんがい用に使われている。そういうことが大きな被害を受けるのです。一・五メートル下がると、それは常時ではないという大臣の御答弁、それは私も知っておりますがね、この地下水の影響する面が非常に大きいのです。これによって生活用水——つまり飲み水にも影響がありますが、水道も普及しているところとしていないところがある。一番困るのは農業用水、それが被害を受けることになるんです。それから、さっき言われたのは、おそらくそのまま琵琶湖の水を原始的な方法で水を水車で揚げている、また逆水工事をやっているというところの面積及び農業人口だと思うのですが、地下水も影響を受ける、相当の琵琶湖の零細農民に被害が出るということは考えられます。それを、農林省としてはどういうふうに考えておられますか。
  77. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) 琵琶湖開発計画によりまして、ただいま御質問がございましたように用水改良、排水改良、また、これに伴いました圃場整備事業というものが必要だと思って、そういう事業を予定しております。用水改良といたしましては、約三万一千ヘクタールの農地を対象に考えております。排水改良につきましては二千四百ヘクタール、圃場整備事業につきましては二万七千ヘクタールというような面積を対象に事業を考えております。
  78. 西村関一

    西村関一君 ちょっと聞き取れなかったのですが、それは今度の法案に関連して、そういう措置をすでに講じておられますか、どうですか。
  79. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) 今度の琵琶湖開発事業に関連いたしまして、ただいま申し上げましたような事業計画いたしまして、これらにつきまして、補助率もアップいたしまして、事業を進めていくというような考えでございます。
  80. 西村関一

    西村関一君 農業の問題につきましては、なおお伺いしたいことが残っておりまするけれども、もう私のきょうの時間の制限がございますから、次に琵琶湖の下流において、どういうふうに利用する計画があるか、利水計画、その点は河川局ですか、お答え願います。
  81. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 淀川水系の水資源開発の需給の計画でございますが、これにつきましては、現在経済企画庁のほうで、水系全体の昭和五十五年を見通した水の需要と、供給等の計画の案が現在検討されております。それによりますと、淀川水系全体で大体予想されます事業量は、昭和四十六年から五十五年までで、毎秒にいたしまして六十七・四立方メートルでございます。これに対する供給の計画でございますが、今後やはりダムの開発、それから水の利用の合理化、こういったものをあわせて、こういった需要量に対処するわけでございます。当面開発を予定されておる数量といたしますと、毎秒で約四十九・三立方メートルになっております。この中に琵琶湖が四十立方メートル、毎秒入っておるわけでありまして、いずれにいたしましても、まだ予定されております需要量の六十七・四立方メートル・毎秒といったような数字から見ると、この四十トンが開発されてもなお追っつかないというような実情でございます。今後の需給の対策等についてはいろいろ検討すべき問題があろうかと存じますけれども、当面やはり琵琶湖開発というものが、下流の京阪神間におきましては一つのきめ手になるんじゃないかということで、私ども大いに促進をいたしたいと考えておる次第でございます。
  82. 西村関一

    西村関一君 下流の水がこれこれ必要だということで、この総合開発を急がなければならないということの大きな要因であるという政府の立場は私は理解できます。それがよいか悪いかということにつきましては議論のあるところですが、政府の立場はよくわかります。そこで、その水はどういうものに使われるか。たとえば上水道、つまり生活用水に使われるのはどのくらいか、あるいは工業用水に使われるのがどのくらいか、また、河川に利用するいわゆる化粧水と言われる、そういうものに使われるのがどのくらいか、それはいかがですか。
  83. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 今回新しく生まれます四十立方メートル・毎秒につきましては、これは農業用水あるいは維持用水は含まれておりません。主として阪神間の都市用水、上水道、工業用水が主になっております。それぞれの都市に、大阪府の府営水道あるいは大阪市はじめ沿線の都市の水道、それから兵庫県におきましては阪神上水道、こういったものがございますが、それぞれに対して幾らずつ割り当てるかということは現在協議中でございまして、その上で決定を見ることになると存じます。
  84. 西村関一

    西村関一君 滋賀県民の県民感情といたしましては、下流一千万の人たちの生活用水のためには、どんな犠牲を払っても水を送ろうという気持ちはあると思います。しかし、工業用水のために大事な命の水、琵琶湖の水をそんなたくさんとられたんじゃたまらないという県民感情があると思います。いま河川局長のお話では、生活用水は含まれていないということでございます。飲料水は含まれていないということ、主として工業用水ということでありますが、その工業用水が一体どういうふうに、何回ぐらい回収されて工業用水が使われておるんですか。
  85. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私の申し上げましたのは農業用水は含まれておりません。それから河川の維持用水等も含まれておりません。主として上水道と工業用水でございます。  それで、現在需要の要望量が五十五年を見渡しますと、六十七・四ございます。したがって、これに対して琵琶湖で新しく生まれてまいりますのは四十でございますから、これをどのように配分するか、結局、かなり不足をいたしておりますので、それぞれの都市なりで需要に対するやはり強い要望があるわけでございますが、そういったものは十分調整をいたしまして、きめていきたいと考えておる次第でございます。  なお、四十トン自身の内訳は、ただいま申し上げましたように検討いたしておるわけでございますが、六十七トンの中で上水道は四十二・七立方メートル・毎秒、それから工業用水につきましては二十三立方メートル・毎秒でございますから、いわゆる上水道が約二、工業用水道が一ぐらいの割合で配分されることになるんではないかと存じます。
  86. 西村関一

    西村関一君 工業用水につきましては何回ぐらい回収して工業用水に使っておられるか、これは通産省のほうにお伺いしたほうがいいんじゃないかと思いますが。
  87. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 工業用水の回収率でございますけれども、大体下流の大阪府で見ますと五〇%の回収率でございます。なお、兵庫県では六〇%という形になっているわけでございます。全国を平均いたしますと、現在は約四八%という回収率になっておるのでございます。
  88. 西村関一

    西村関一君 これは、企画庁に対してお伺いしたほうがいいんじゃないかと思いますが、きょうは企画庁をお呼びしてないようですからどなたでもけっこうでありますが、つまり工場の配分の問題ですね、無制限に大阪に工場がどんどん建っていくということになりますと——大阪及びその周辺に建っていくということなりますと、やはり工業用水がふえてくる、どこかで制限しなければいけない。今度商工委員会にかかっております工業再配置法ですか、それがいまかかっております。その中で取り上げられておる問題だと思うんですが、そういう点につきましてはどういうふうに考えておられるか。
  89. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 先生御承知のこととは存じますけれども、すでに近畿圏におきまして、既成都市区域の工場の立地を制限いたしますために、工場制限法が大阪から堺あるいは尼崎、神戸、一部京都も含んでおりますが、こういったところに法が施行されております。したがいまして、これらの地域におきましては、工場の新増設が許可制になっておるのでございます。私どもこれに対しまして、通産省といたしまして、ただいま御指摘の工業再配置促進法を今国会に提出いたしまして現在御審議をいただいておるところでございますが、この法律は現在の近畿圏で行なわれておりますこうした工場等制限法、これは工場の新増設の制限でございますけれども、私どもといたしましては、むしろ単に新増設の制限にとどまらず、既存の企業をこれからむしろ地方へ分散させるという形のほうが好ましいのではないか、もうこういった水の問題あるいは公害問題、そういった問題の基本的解決のためには、できる限り環境保全に留意しながら、そういったものの豊富な地点に工場を出していきたい、こういう考えで進めておるわけでございまして、ただいま工場制限区域として指定されております地域につきましては、工業再配置促進法では移転促進地域という名前でいたしまして、これからここにおります工場が地方へ出てまいります際には、私どもといたしましてはある程度の助成を行なって、できる限りこうした過密の問題の解消をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  90. 西村関一

    西村関一君 排水処理水の使用につきまして、つまり下水あるいはし尿、そういうものの使用につきまして工業用水との関係はどういうふうに考えておられますか。
  91. 田中芳秋

    政府委員田中芳秋君) 工業用水需要が増大をいたしてまいる一方、御承知のとおり、上水をはじめとする全般的な水需給の逼迫がきわめて大きな問題になってきておるわけでございます。したがいまして、私ども先ほど御指摘のありました回収率、これをまずできるだけ高めてまいりたいということで、当面昭和六十年には、現在約四八%の回収率を七〇%ぐらいにまず引き上げていくことが必要ではないかというふうに考えておるわけでございますが、それに加えまして、ただいま御指摘のありました工場から排水されましたいわゆる下水処理水、これを再び工業用に使うという方向を考えなければならないというふうに思っておるわけでございます。現在、私どもといたしまして、東京都の南砂町であったと記憶いたしておりますが、私ども補助金を出しまして日量千立米程度の処理をできます下水処理施設をモデルプラントとしてつくっておるわけでございます。ただ、いまの段階ではなお水の質の問題等に若干の解決すべきところが残っておるわけでございますが、今後こうした方向を極力進めまして限られた資源の有効な利用をはかってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  92. 西村関一

    西村関一君 私は西村大臣にあとで、最後にもう一点お伺いをいたしますが、近畿圏整備本部次長はいまの通産省の御答弁に対して近畿整備圏としてはどういうふうにお考えになっていますか。
  93. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) ただいまお話がございましたように、私どものほうでは、近畿圏におきます人口、産業の過度集中の抑制に対する制度といたしまして規制都市区域の指定をいたしまして、その区域内におきまして一定の制限施設、すなわち、一定の面積以上の工場の新増設であるとか学校の新増設につきまして制限をして、これを許可ないしは届け出にかかわらしめておるわけでございます。なお、さらにこの点制限を強化すべきかどうかという問題も実はあるわけでございますけれども、その点に関しましては近畿圏といたしましては目下いろいろな調査をいたしまして資料をなお勉強しておる段階でございます。  まだこれ以上どうするということにつきましては、ただいまのところ結論を得ておらない段階でございます。
  94. 西村関一

    西村関一君 私もう時間が参りましたので、本日の質問についてはあと一問大臣にお伺いして終わりたいと思います。しかし、いまの質疑応答の中で問題は十分に解明されておりません。特に水質保全自然環境保全開発関係等についてなお質問が残っております。その他の問題につきましても私は用意いたしました質問、半分ぐらいしかまだいたしておりませんから、これは委員長にお願いをいたしまして、理事会にはかっていただいて、ぜひ残っておる質問を適当な機会に質問をさせていただくことをお願いしたいと思います。  いま大臣にお伺いいたします前に、きょう出席をしてもらっております林野庁にもこの際、時間がありませんから簡単にお伺いして、簡単にお答えを願いたいと思います。  水資源の涵養につきましては、水源涵養保安林というものが滋賀琵琶湖周辺にございますが、それが全国的な傾向として保安林がどんどん伐採されておるということであります。これでは幾ら公団をつくって水源を涵養する事業を振興するといいましても、保安林を野放しにしておいたのではこれは何にもならないと思うのですが、そういう点については林野庁としてはどう考えますか。
  95. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたように、保安林の指定につきましては、一応四十五年度をもちまして全国的な視野における水源涵養保安林等を中心にいたしました指定業務につきましては実は面積的には終了いたしております。しかし内容的には、ただいま伐採等のこともございましたけれども、この指定されました個々の山につきましては、それぞれ指定要件というものがございます。それには伐採のこと、植栽のこと、あるいは土石を取ってはいいとか悪いとか、そういうそれぞれ指定いたしております。したがって、これが伐採されます場合も、伐採しようとする場合には、知事の認可を必要といたすということに指定されておりますので、十分私どもそういう批判のないようにかねがね注意いたしておりますけれども、今後とも一そう注意してまいりたいと思っております。
  96. 西村関一

    西村関一君 林野行政につきましては、この法案とも関連しまして滋賀県の実情を、資料を持っております。きょうは時間がありませんから次回にいたしますけれども、これがあなたのいまおっしゃったような指導監督が十分行なわれていないというきらいがございますので、次回にこの点具体的に場所及びその状態を申しまして質疑をしたいと思います。きょうは林野庁に対してはそれだけで終わります。  時間がありませんから厚生省はせっかくおいでいただいておりますが、きょうは質問を保留します。  最後に西村建設大臣にお伺いいたします。再度大臣の決意を伺っておきたいと思うのであります。  琵琶湖の水の問題は、いままで、ごくわずかではございますが、私が質問いたして各関係省庁からお答えをいただきましたことで、また大臣も私の考えとほぼ同じだというふうにお答えをいただいておるので、これは了といたします。それほど琵琶湖の水は大事な水でありますから、水質保全環境保全ということをまず第一着にやらなければならない。私は若干諸外国の例を調べてみました。たとえばアメリカにいたしましても、カナダにいたしましても、あのアメリカ、カナダにまたがっておる五大湖の水質保全の問題にいたしましても、非常に厳格な立法措置を講じておるのです。それから、ドイツ民主共和国——東のドイツにおきましても国土文化の計画的形成に関する法律という法律をもって保護規制をやっておるのであります。そういう点から考えまして、アメリカのような、カナダのような水質源の豊富な国でありましても汚染はこれ以上進ましてはいけないということで、学者を動員し、専門家を動員いたしましてやっている。これは私は、ニクソン氏はベトナムでああいう非人道的な戦争をやっている、もう一つの顔はやはりこういうことに力を入れているという、こういうニクソン氏のもう一つの顔は、評価してもいいじゃないかと思える。かなり強いきびしい法律をつくっておるわけなんです。州の法律もございます。そういうことと比べまして、わが国の自然環境と人間の問題についての法体系はきわめて弱いと思うのです。企業本位にしかなっていないと思うのです。これは、いま大臣のお考え先ほど来伺っておりましたが、あくまでも自然環境を保護するという立場を重点的に考えているんだと言われるならば、諸外国のこの立法措置だと考え合わせて、ただ開発開発ということだけじゃなしに、開発の前に自然環境保全、そこに人間がある。この五日から開かれますストックホルムの国連人間環境会議の重要テーマは、そこにあるわけなんです。そういう点に対して大臣の見解を最後に伺って、本日の質疑を終わらせていただきます。
  97. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 今回、いま仰せのように、五日から開かれます、ストックホルムで開かれます人間環境保全の問題につきまして、政府といたしましては環境庁長官の大石長官が政府代表で、随員約二十名とともに出発することになりました。これは今回が初めての会議でございまして、あと、この第二回目を続けていくかいかぬかということは、今後のこの会議で問題になろうかと思っておる次第でございます。  わが国といたしましては、最もその点についておくれがありますので、この会議でどういうことが議論されるか知りませんが、非常に重要な会議でございますから、私のほうも十分注意をしておりたいと思います。なかんずく、いま公害公害といわれるいろいろたくさんな問題がかかえられておりまするが、きょうも環境庁長官が申しまするのは、何といっても一番結局重要な問題は水問題だということを申しましたが、私も、まさにそのように考えております。しかしながら、これは言うはやすく行なうはかたしでございまして、長い間の放置と申しますか、これは非常に残念なことでございますが、長い間あまり関心を持たなかったためにこのようになっておるのですから、なかなか一朝一夕には、結局手っ取り早くはいかないとは思います。また予算にいたしましても、きょうも私は閣議で、あとの会議で言ったのですが、瀬戸内海の水質を、全部を下水道をやるといたしましても、いまの二兆六千億円ぐらいな金ではやれないわけです。したがいまして、今後相当な金を注ぎ込まなければいかぬと思います。しかし、また、そう金ばかりあっても急によくなるわけではございませんが、いずれにいたしましても、水の保全の問題につきましては相当に政府も力を注ぎたい、これは私もきょうの話でそういうことを言っておきましたが、十分この点につきましては予算的に、また最近は法律を、これは下水道の事業センター、これも技術者の不足の問題がございましてなかなかいろいろな問題をかかえておりまするが、やはり公害のうちでもまっ先に重点的にこの水質保全の問題を取り上げたい。これは私のみならず政府全体の考え方でございますから、今後ともひとつ御指導をお願い申し上げたいのでございます。
  98. 小林武

    委員長小林武君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  99. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、琵琶湖総合開発特別措置法案質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  100. 山内一郎

    ○山内一郎君 最初に、建設大臣にお尋ねをしたいと思います、基本的なことがございますので。今度新しく琵琶湖水資源開発がやっと決定されようとしている。お聞きをしますと、昭和三十六年から建設省において本格的な調査を始められたということでありますので、約十年間かかっているわけであります。そこで私も、自民党の琵琶湖の小委員長としていろいろ勉強さしてもらいましたが、どうしてこんなに長くかかったんであろうか。無理もない点がたくさんあるわけであります。  まず第一に、琵琶湖の水は公水でありますけれども、滋賀県の県民とすれば、これは滋賀県のものである、下流側から言わせれば、琵琶湖の水はばく大にあるんであるから少しぐらい分けてもいいんじゃないか、こういうような感情的な対立の問題、それからさらに、従来の水資源開発促進法あるいは多目的ダム法、また河川法、これらの法律によって水資源開発する場合には、いわゆる水源権、それは、補償だけをされて、十分な補償とは言えないぐらいの補償だけをされて下流側のほうへ水を供給をしてきた、こういうような問題が山積をして十年間もかかったようなことだと思います。  そこで、今度の法律を見てみますと、水資源開発というものを含めて琵琶湖の流域の総合開発事業をやるんだ、こういうようなまことに新しい考え方だと思いますけれども、非常にたくさんの省庁にまたがるものをよくまとめられまして、建設大臣も最後に非常にお骨折りをいただいたということを聞いております。  そこで、まず大臣から、今度の法律の考え方の骨子の問題、非常に御苦心をされた各県知事との話し合いの問題、こういう点についてお述べをいただきたいと思います。
  101. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 昔はずいぶん水のことについては権力者が握っておって自由にならなかったのはあなたも御承知のとおりで、和歌山の紀ノ国は、紀州公が治世のときは一滴の水も奈良県に落とさせなかったのです。そのために奈良県は、しようがないからため池をたくさん弘法大師がつくったということを——私はうそかほんとうか知らぬけれども、猿沢池はため池であったということを私は聞いておりますが、ところが、こういうような民主主義になれば、やっぱり水は全人類のものだということになったわけでございましょう。  そこで、やはり上流は、やはりたくさん水をやっちゃ困ると言うし、下流は、水はもっと使わしてもいいんじゃないかという議論があってなかなか——それでいままで紛争してきたのでございますが、今日、この琵琶湖総合開発特別措置に上流県、下流県がやっぱり同意をしたということは、とにかくどちらにしても水がきれいにならなければならぬということの一点です。滋賀県も、このままにしておいては、それは自分のところもやはり使わなければならぬのだから。しかし、こんなによごれた水をもとに直すようにするのには滋賀県の能力だけではやっぱりやれないということを考えたと思うんであります。そこで、使うほうにも協力してもらうという考えも自然のうちに起こってきたので、その点がやはり重大な上流県、下流県が一致した点でございます。もし琵琶湖の水が従来のごとく何も手を施す必要がないならば、やっぱりこの争いがおそらく続いておったかもしれません。とにかくきれいにしなければならぬじゃないか、滋賀県のほうは、それにしては利水者のほうの協力を得なければ自分のところの財政は続かない、こういうことから、これはやっぱり時代の流れでございまして、水をよくしようということから出発したと思うのであります。しかし、政府も、これをやはりやってもらうのには、どうしても普通の場合よりも財政的な援助、物心両面の援助をやらなければならぬということで、利水者が負担をするだけのことは政府も負担をいたしますと、こういうことでありましたので、大局的見地から両県の同意を得て今回法律を提出した次第でございます。いま委員会でいろいろ議論をされて、微に入り細にわたって議論をされておりますが、実のところ、その詳細な開発の点についてはこれからの問題と私は思っております。これはほんとうの大筋でありまして、これからの問題と、かように考えておりまするから、当建設委員会の皆さま方にも、ひとつ、その点は十分御了承を賜わりまして、ひとつ、今後ともわれわれの施策に御協力を賜わりたく、むしろ私のほうから委員会にお願いする次第でございます。
  102. 山内一郎

    ○山内一郎君 これは琵琶湖に限らないと思いますけれども、これからの水源権の水の開発というのは同様な状況に置かれるかと思います。非常にいまダムを各地でやっておりますけれども、いろいろ補償の問題で困難をしている。したがって、将来は、まあ即答はどうかと思いますけれども、やはり水源権の水の開発というものは、こういう考え方でこれからやるべきである、これは私の私見でございますけれども考えておりますが、大臣のお考えいかがでございますか。
  103. 西村英一

    国務大臣西村英一君) やはり建設省もこれからたいへんダムをつくって水の保存をしようということを考えておりますが、やはりその場合に、相当に土地を取られたり、あるいは自分の家を立ちのくという非常な犠牲を払っていただかなければならぬ方がたいへんあるのであります。いままでもそれに対する物心的な補償はそれぞれいたしておりましたが、私は、やっぱり物心的な補償を越えて、さらにやはり地域住民福祉をはかる、また、かたがた生業に対してもあとう限りの努力をするというような新しい観点からしないと、なかなかこれはたいへんじゃないかと思うのであります。人のことなら簡単ですが、自分が住みなれたところを立ちのけ、それは公共のためだと一口に言っても、それはなかなか自分のことになると、そう簡単にはできぬと私は思います。したがいまして、ダムのためにひとつ犠牲になっていただく方に対しては新しい方策を講じてやらなければ、ダムそれ自身の建設も進まないというふうに考えておりまするから、制度その他の問題につきましても、いませっかく事務当局に命令をいたしておるような次第でございまして、この辺につきましても知恵をおかし願いたいと思っております。
  104. 山内一郎

    ○山内一郎君 次に、経済企画庁にお尋ねしますが、今回決定されようとしている水資源開発促進法に基づく基本計画、これの骨子となる開発水量、それから利用低水位の問題、あるいはそれに何らかのさらに条件がつくかどうかという問題、この点についてお答えを願います。
  105. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいま先生の御質問にございました淀川水系におきます水資源開発基本計画は、これは昭和三十七年の八月に閣議決定をいたしました計画が現行の計画でございますが、これを全面的に改定いたしまして新しい計画にする考え方でただいま措置を進めておる次第でございます。そこで、現在、現段階では一応この基本計画の案をつくりまして関係各省、あるいは関係地方公共団体に対して御意見を伺っている段階でございます。  そこで、その内容といたしまして、淀川水系全体と申しますか、淀川水系に水資源を仰ぐ地域の水の需要というものが、一体どういうものであるかという点につきまして、これをいわゆる水道用水、工業用水、農業用水、こういう三区分に分けまして各県の需要というものをいろいろ各県とも相談し、あるいは各省とも御相談しながら、私どものところで取りまとめた数字がございます。  これについて、まず水道用水について申し上げますと、まず、淀川水系に水道用水の水源を依存しなければならない地域、この地域の人口を近畿圏整備基本計画に基づきまして想定いたしました計画、さらに、これに対して水道の普及率でありますとか、あるいは一日一人当たりの給水量を想定して各地域の需要というものを求めたわけでございますが、この結果昭和五十五年までの新規の需要水量というものを平均毎秒約四十三トンと推定いたしました。  さらに、工業用水の需要でございますが、これは下流の京阪神地域の需要について考えたわけでございますが、この問題につきましては、原則といたしまして現有の工業用水等の供給力の充実をはかるために必要とする水量を計量したものでございます。これで大阪府が毎秒一五・二トン、兵庫県毎秒六・二トン、これらはほとんどが地盤沈下地帯における地下水、現在地下水を利用いたしておりますが、その地下水の代替用水でございます。また上流部の工業用水の新規需要につきましては、三重県、京都府、滋賀県の工業基盤整備用として毎秒五・三トンと想定いたしました。  さらに、工業用水でございますが、この新規需要量は奈良県の農業開発のための毎秒一・五トンと、三重県のための〇・二トン、このような需要を見たわけでございます。  これに対しまして、供給サイド、いわゆる供給量の点から申しますと、いろいろな水資源開発施設整備いたしますことによりまして、新たに開発できる水量というものが、本日御審議いただいておりますこの琵琶湖開発で四十トン、その他四ダム、室生、天ケ瀬、日吉、比奈知、このダムにおきまして九・三トン、ごく荒っぽく申しますと、この新たな供給施設によって約五十トンの水が生み出せる、それに対して需要は約六十八トンございます。したがってその差、十八トンがこの新規の施設においてもまだ需要を満たし得ないというかっこうになるわけでございます。したがいましてこの点につきましては、いわゆる下水処理水の再使用でありますとか、あるいは工業用水の使用済みのさらに回収使用でございますとか、あるいは農地の既得権の農業水利でありますとか、そういうようなものの合理化というようなものも考えまして、これを生み出していく必要があるという考え方でございます。  そこで、琵琶湖の具体的な問題について申しますと、先ほども申しましたように、毎秒四十トンの新たな水を供給するという考え方に立っておるわけでございます。
  106. 山内一郎

    ○山内一郎君 琵琶湖の水位の点は入らないのですか、基本計画に。
  107. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 失礼いたしました。この開発計画には、新規に開発する水量は先ほど申しましたように毎秒約四十立方メートルといたしました。さらに利用低水位は琵琶湖水位マイナス一・五メートルであるということを明らかにいたしております。ただしいわゆる異常渇水時の処置等の問題がございますので、この異常渇水時の処置に万全を期し得るように琵琶湖総合開発計画の各事業の施行でございますとか、あるいは補償等については十分に措置をしなければいかぬ、いわゆる一・五メートルというふうに一つの利用低水位というものに限定さるべきものでないという考え方に立って、計画を立てております。
  108. 山内一郎

    ○山内一郎君 いま関係知事と折衝中だと思いますけれども、この特別措置法が国会を通過すれば、それは相当促進すると思いますけれども、今国会で通った場合にはいつごろその基本計画はまとまるのか、大体の予想をお述べ願いたいと思います。
  109. 岡部保

    政府委員(岡部保君) この国会におきまして、本法案が採決されますれば、確かに先生のおっしゃるとおり、この水資源開発計画自体にも、非常に何と申しますか、プラスになるという考え方を私ども持っておる次第でございますが、その場合に、この基本計画が閣議決定されるのは、いつごろかという点につきましては、まだこの段階でどの時期であるということをはっきり申し上げるという段階ではないと思いますが、いずれにいたしましても、現段階で先ほども申しましたように各地方公共団体に、関係の府県にただいま意見を伺っておるところでございます。そこで、この意見照会に対しまして正式に回答がありますれば、その上でまた各省との協議も、これも回答があり次第、水資源開発促進法に基づきまして水資源開発審議会を開いて、ここで御審議をいただいて、閣議決定に持ち込むということでございますので、でき得れば来月末、あるいはおそくも七月の初めに決定をするように私どもとしては取り計らいたいという考えでございます。
  110. 山内一郎

    ○山内一郎君 確かに予算も四十六年度、十億でございましたか、四十七年度、三十億予算もついておることでありますので、できるだけ早く着工できるように準備願いたいと思います。  次に、河川局長にお願いしますが、四十トン、それから利用低水位の問題ですが、なかなか将来どういうふうに四十トンを追加してとる場合に既得の水位とあわして水位の変動はどうだというのはむずかしいと思いますけれども、たとえば過去の四十八年間ですね、約五十年間の記録があるそうですから、その記録に基づいて四十トンを追加してとる場合には水位はどういうことになるか、たとえば一メートル五十になる頻度はどうだとか、一メートルにはどのくらいになる、その頻度について御説明を願いたいと思います。
  111. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 琵琶湖の新しく四十トンの開発されます水と、この琵琶湖の水位の関係でございますが、これにつきましては琵琶湖では明治の初めから約百年くらいの水位水文の記録がございます。ただこの水を大阪に、阪神間に向かって補給いたしますときには、琵琶湖の流域だけではなくて、淀川には木津川それから桂川こういったような大きな支川がございますので、これをあわせまして淀川の水位なり、水量を調節をして阪神間の水を供給するわけでございます。したがって、絶えず淀川本川の流況を見詰めながら補給をする必要がありますので、水文資料等もそろっておりますのは、木津川、桂川につきましては大正七年くらいからだと思いますが、したがって、そういった淀川流域全般の資料の整っております大正七年から現在に至るまでの過去の水門水位、こういった資料をもとにいたしまして、今回の、新しく四十トンが開発された場合に、どのように琵琶湖の水位が変動するかというようなことを私どものところで試算をしてみましたが、この期間が四十八年間でございますので、日数にいたしますと約一万七千五百三十二日になります。で、この中で、いわゆる一メートル五十を利用低水位といたしまして操作をするわけでございますが、もちろん木津川、桂川といった流域を半ばするような面積からかなりの水量が流れておりますので、両川の水量が多い場合には特に補給する必要はないわけでございますが、渇水期になりますと、かなり琵琶湖のウエートが大きくなってくるわけでございます。そういったことを踏まえまして、補給の計画を積算いたしますと、大体一メートル五十でございますが、異常の場合にはどうしてもこれを割るときがございます。野放しにいたしますと約三メートル十ぐらいにまで下がるというような計算の結果になりますが、今回の、大臣のまとめられました裁定によりますれば、異常渇水時には関係府県の知事意見を聞いてまた特に操作を考えるということでございますので、かりにこれが二メートル以内にとどまるとすれば、約四百日ぐらいが一メートル五十を割る日数でございます。したがって、全体から見ますと、一万七千五百何日かの中の四百日でございますので、約二%程度が一メートル五十以下に下がる非常渇水の事態というふうに計算されるわけでございます。しかもこの二%というのは、毎年毎年二%の割合で年間一週間なり十日なり起こるかといったような性質のものではございませんで、この四十八年間の大体の毎年最低の水位に下がった場合の最低水位の数字をずっと平均いたしますと、大体マイナス九十センチぐらいになります。したがって、普通の年では大体一メートル前後ぐらいまでしか下がらない。一メートルを上下するような水位の変動状態を重ねるわけでございますが、たとえば過去の、昭和十四、五年のような渇水期になりますと、そういったものが集中的にかなり長期間あらわれて、一メートル五十をなお割って低下をするおそれがあるということでございます。したがって、これは水位の変化等につきましても非常におそいテンポで起こるわけでございます。それにしましても、いろいろやはり問題がございますので、私どもといたしますれば、非常に備えましてマイナス二メートルまでの手当てはいたしておきたいと考えておる次第でございます。なお一般の、流域の小さいといいますか、普通の河川の計画では、渇水に対する対策といたしましては、まあ九〇%程度の安全度で水補給の計画を立てておるわけでございますが、そういった点では琵琶湖につきましては危険な時期が二%ぐらいでございますから、安全度でいけば九八%確保できるという点ではかなり安全度が高いと思っております。ただ、そういったものが集中して起こりますので、できるだけ補償その他に適切な措置を必要とされるんじゃないかと考えておる次第でございます。
  112. 山内一郎

    ○山内一郎君 過去の記録で、昭和十四年ですか、現にマイナス一メートル〇三ですかの実績があるそうでございますけれども、それがゼロに回復するのにはどのくらい日数がかかっておりますか。——あとで調べて答えてください。  それでは次に、琵琶湖総合開発計画の問題に入りますが、先ほど西村委員も話をされましたように、いろいろ事業をやりますが、お互いの事業の関連性、それは単なる羅列ではないと思います。それからさらに修正されておりますように、自然環境保全と汚濁した水質回復、なお水資源利用、これは一番わかりやすいのですが、関係住民福祉、まあこういうような観点から、これらの事業をやる、そういう点について近畿圏朝日次長から概略御説明願います。
  113. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) この総合開発事業は、全体の事業予定といたしましては、ただいまのところで約四千二百七十億円予定いたしておるわけでございますが、その中でいわゆる水資源開発事業が約七百二十億程度で、その他のものはすべていわゆる周辺の地域開発事業に振り向ける予定をいたしておるわけでございます。  それらの事業を取り上げます考え方でございますが、これはやはり、先ほど山内先生からの当初の御質問にもありましたように、単に水資源開発事業だけをやるということではなくて、直接的な補償等を別にいたしまして、やはり地域の開発と申しますか、住民福祉に寄与するような事業を行なわなければならぬということでございます。その事業の選択の基準といたしましては、水資源開発事業に伴って直接的に影響を及ぼします事業につきましては、これはたとえて申しますれば、港湾、漁港、あるいは河川の改修と申しますか、そういった水位低下に伴う事業、さらに水道の事業でございますとか、あるいは土地改良事業でございますとか、そういった直接的に被害を及ぼします部分につきましては、これは当然補償の措置の範疇での問題であろうかと思いますが、そういたしました際に、単にそれのみにとどまらず、その際にあわせて事業を行なったほうが、より投資効果としても、地域住民福祉のためにも適切であるというふうな範囲にこれを広げてまいるわけでございまして、たとえば土地改良事業でございますと、水位低下に伴って直接やらなければならぬものと関連をいたしまして、さらに広くこれを行なっていくというふうなことでございます。  それから一番重点に考えております下水道事業でございますが、これは直接に水位低下と関係はございませんけれども、今回の修正にもございますように、やはり琵琶湖水質の問題、これが大臣からもたびたびお答えがありますように、最も重要なことでございますが、それの保全措置として現在最も有効適切と考えられますものは、何と申してもやはり下水道事業であるということでございまして、これを約六百億程度の事業を予定しておるわけでございますから、これが地域開発事業の中で占める割合は一番大きな事業に相なるわけでございます。  それからあと、いわば自然環境保全という見地から、自然公園なり、あるいはこの地域が都市計画公園の部面もございますから、そういう都市公園事業と両方かね合わせまして、湖周辺にいわゆる公園の造成をいたします。緑地を設けまして景観の低下を補うようにいたしたい。それからしばしば御質問がございます、御意見がございます点でございますけれども、いわゆる琵琶湖のヨシその他の水生植物の維持でございますが、これに関しましては、治水工事等に伴って生じます場合にも極力埋め立て等をするのでなくて、自然をそのまま保持できるように配慮することはもちろんでございますが、さらにそれ以外にこの事業の中で土地の保有事業を考えているわけでございます。これはもちろん民有地の場合でございますが、民有地でそういう自然景観の保持上必要であるところであるとか、あるいは自然の保護のために取得をしておくことが適切な林地でございますとか、あるいはそういう湖沼のような自然の植物の生育地、こういったものを買い上げる計画も実はこの中に入っておるわけでございます。  それからこの際でございますので、あわせてお答えを申し上げておきたいと思いますが、この観光事業というのが、非常にことばから受けます印象で、何かいかにも民間資本の乱開発のような印象を受けるんでございますが、この事業の中で考えておりますのは、こういう地域でございますから、好むと好まざるとにかかわらず、極端な言い方をしますれば、琵琶湖にへいでもしてシャットアウトでもしない限りは相当な人口が入ってくるわけでございます。そういったものがみだりにこれを乱すといいますか、そういったことでなくて、適切な駐車場でございますとか、あるいは休養の施設でございますとか、極端なことを申しますれば下のほうの施設も含めたりいろいろとそういう自然なり観光資源利用施設をするということは、これはやはり乱開発を防ぐ意味でも必要かと思いますが、これらについてもお話しのようにいろいろ規模の問題あるいはその施設内容の問題等があろうかと思います。これが十分破壊につながらないように配慮の必要があるかと思いますが、そういったものもあわせて考えておるというふうなことでございまして、もちろん、詳細につきましては、これから滋賀県知事原案作成されます開発事業計画によるわけでございますけれども、これまでの検討の段階でもただいま申し上げたような考え方で関係各省なり滋賀県といろいろと打ち合わせをしておる、こういう経緯でございます。
  114. 山内一郎

    ○山内一郎君 したがって、これらの事業というのは、自然環境保全、それから国民福祉、こういうような観点が基本になると思います。  そこで、ちょっと話はこまかくなりますけれども、イの「保全上重要な治水事業」これには湖岸堤が入るわけですね。
  115. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 入っております。
  116. 山内一郎

    ○山内一郎君 その湖岸堤について自然環境ということを考えなければ、湖岸堤ですから湖の中へつくってもかまわない。最も安いようなところへつくれば建設費が助かる、こういうような点がありますけれども、これも私の私案でありますけれども、相当水際線からバックしてつくったらどうか。湖岸堤と水際線の間はこれは公有地の取得の問題がへでうたわれておりますように、その間はいろいろたとえば河川で言えば、高水敷というような考え方で、家族連れで弁当持ってその辺に寝ころがって食事でもやろうというような、ほんとうに休息になるようなところをつくったらどうか、これは私の私案でありますけれども、ともかく湖岸堤ののり線については十分その配慮を願いたいと思っております。その点についてはいかがですか。
  117. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私どものほうで現在試算をいたしておりますのは、琵琶湖湖岸の総延長が約二百四十キロくらいございます。その中で洪水時に堤防をぜひ必要とするこういったようなところが約その六分の一の四十数キロでございます。こういったところにつきましては、お話しのように、あるいは湖岸堤をずっと引きまして実質的ないろいろな処置をとるということも考えられるわけでございますが、主としてこの場所は琵琶湖の湖西の安曇川デルタのところでございますが、非常に農地等の開発が進んでおりますので、琵琶湖の過去の記録からいいますと、洪水時には一メートル四十くらいは上がるんじゃないかという計算になっておりますが、そういったものにやはり対応しましてできるだけ農地を守る必要があるというようなこともございますので、その区間につきましては水際線に現在は湖岸堤ののり線を考えておるわけでございます。  それからもう一つは、湖岸堤をつくります場合に私どもが検討を必要と考えておりますのは、できれば逆にこれを前に前しまして、一部内湖を人造的につくれないか、それによって産卵場の確保だとかあるいはいわゆる魚の一番の栄養源になっております水草等のモ類の確保をはかりたいというようなこともございますので、ただいま先生のお話の趣旨も含めまして、そういった湖岸堤をつくるところにつきましては、水産場の面あるいは景観の面そういった面も総合的にさらに検討をいたしたいと考えております。
  118. 山内一郎

    ○山内一郎君 多少ニュアンスの違いがあるようですが御検討願いたい。  それから次に、下水道の整備の問題でありますけれども、口のいま考えている下水道が整備をされれば、これ以上汚染は進まないのですか、どうなんですか。ただ事業量をふやすだけでなくて、技術的な問題として窒素とか燐の問題でまだ技術開発を要する問題があるように聞いておりますけれども、そういう点はあるのかないのか、そういう点御説明いただきたいと思います。
  119. 久保赳

    説明員久保赳君) 琵琶湖対策の下水道事業でございますが、これは基本的に浄化の目標は現在の環境基準に置いておるわけでございます。環境基準は、御承知のようにCODできめてございます。したがいまして、そのCODできめてある環境基準を達成するまでに必要なだけの下水道事業費が見込まれておるわけでございまして、それが流域下水道が二百八十億、それに関連する公共下水道が三百十億合わせて五百九十億の下水道事業が見込まれております。しかしその中には、ただいま先生御指摘の、たとえば窒素であるとかあるいは燐の除去こういうことは入っておりません。この問題につきましては、環境基準が公害対策審議会できめるおりに将来の問題として近くそれに対する回答を得るというふうにいわれておりますので、それらの状況と対応して窒素なり燐の除去の施設をさらに付加していかなければならない、かように考えておるところでございます。
  120. 山内一郎

    ○山内一郎君 環境庁にも同じような質問でありますけれども、琵琶湖の水位が下がらないにしても非常に汚染が進んでおります。これに対処して基本的にどういうふうに考えておられるのか。こういうことをやれば、もう琵琶湖の水はもとどおりになるんだ、この目的にも、これは修正でありますが、「汚濁した水質回復」ということがうたわれております。そういう点について基本的な事項を御説明願いたいと思います。
  121. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 琵琶湖水質につきましては、まず、これはCODで一般的に汚染を測定いたしておりますが、現状を申し上げますと、北湖につきましては、大体平均いたしまして一PPM以下でございます。そこで、先般、三月に環境基準を設定いたしまして、北湖につきましては、AAクラスという環境基準を設定いたしております。  それから、南湖につきましては、平均いたしましてCODで一・二四という程度でございまして、これでは現状におきましてはAクラスにはなりがたいわけで、私ども現在Aクラスというふうに指定をいたしておりますが、南湖につきましては、できるだけ近い将来、AAクラスまでこれを浄化をするということを私どもは考えておるわけでございます。  で、対策でございますけれども、環境基準をきめましても、このまま放置いたしますれば、周辺からの汚濁によりましてさらに琵琶湖の汚濁が進行するというふうに考えております。現在、私どもの推定によりますと、汚濁源のおもなものは工場排水、これが琵琶湖の汚濁の大体七六%を占めておりますし、家庭下水が約二〇%というふうに私どもは推定をいたしております。そこで、私どもは、現在の琵琶湖水質を維持するのみならず、さらに、これをきれいに持っていくためには、まず工場排水につきましては排出の規制をいたしたい。これにつきましては、現在、水質汚濁防止法によりまして、一律ではございますけれども、琵琶湖のように水の交換の悪い水域につきましては、さらに規制を強化する意味におきまして、滋賀県で汚濁排出基準をつくって一部設定をされておりますけれども、今後さらに強化をするという方針でございます。  家庭下水につきましては、すでに建設省のほうからお答えがございましたとおり、私どもの水質基準を守り、さらによくするために、積極的に下水道の整備の推進をお願いするというふうに実は考えております。  なお、残っております富栄養の問題がございますが、現在、琵琶湖につきましては、北湖の問題はまだ富栄養の状態とは必ずしも申せませんけれども、南湖につきましては、窒素並びに燐ともども、すでに富栄養の状態に到達しているというふうに私ども考えております。これの対策といたしましては、私ども、現在すぐ着手するというふうなものではございませんけれども、考えておりますのは、まず、下水道のほうにおきましても、できるだけ早く、いわゆる三次処理といいますか、これを整備していくということも考えておりますし、それ以外の窒素、燐等の排出の原因と考えられます家畜排水等につきましては、できるだけ早く水質汚濁防止法の対象にいたしましてこれを規制するということを実は考えております。そういうような施策をできるだけ早く実施することによりまして、琵琶湖水質を維持し、さらにこれをきれいに持っていくというふうに考えたいと思っております。
  122. 山内一郎

    ○山内一郎君 いまお聞きをすると、三次処理の問題が研究の途上であると。まず、これはいつごろめどがつくものであるか。  それからもう一点、いまの下水道の処理した水を、具体的な例でありますけれども、瀬田の洗いぜきの下流まで持っていって放流したらどうだろうかという、こういう点について建設省から御説明願いたいと思います。
  123. 久保赳

    説明員久保赳君) 下水の三次処理の問題でございますが、これにつきましては、現在、三次処理の技術の実用化ということを目途に、建設省におきまして、技術開発実用化の準備をしております。すでに、この近くの下水処理場の敷地の中にパイロットプラントを設けまして、一部実験を実施をいたしております。しかしながら、窒素を取るとか、あるいは燐を除去する、こういう技術には現在のところかなり金がかかると、建設費もそうでございますが、維持的経費もかかると、こういうような実情でございますので、実用化の段階までにできるだけ経済的な方法を開発したいということで、現在準備をしている状況でございます。なお、その時期は、現在の第三次五カ年計画の後半期ぐらいまでには実用化の技術開発を進めたい、かように考えておるところでございます。  それから、先生の御意見の二番目の問題でございますが、処理したものを琵琶湖に出さずに、瀬田川、しかもなおずっと洗いぜきのほうまで持っていって放流したらどうかと、こういう御意見でございますが、これらの問題につきましても現在私ども検討をいたしておりますが、あの洗いぜきの下のほうに天ケ瀬のダムがございまして、そこのダムのところから、京都府の一部都市への上水道の水源になっております。したがいまして、天ケ瀬のダムそのものは滞留時間も比較的短うございますけれども、やはりある一定の期間滞留をするわけでございますから、天ケ瀬のダムのほうに富栄養化の問題が移っていく、こういう問題もございますので、琵琶湖の汚染対策からいけば先生の御指摘の方法も考えられますけれども、さらに下流のほうをも考えますと、そういうことも軽々にはでき得ない、かように思いますので、いずれにいたしましても、高度の処理をした上で、琵琶湖なりあるいは瀬田川なりに放流しなければならないというのが現状かと思うわけでございます。  以上でございます。
  124. 山内一郎

    ○山内一郎君 経済企画庁に提案しておきますけれども、いまお聞きのように、水質の問題が非常に重要です。従来は、水の量だけあれば基本計画というのはよかったのでありますけれども、下流のほうはどんな水でもいいからよこしてもらいたいという意味ではないと思うのです。したがって、基本計画においても、そういうようなことを将来いろいろ研究をされて明記すべきであると思います。これは私の提案でありますから御研究願えればいいと思いますけれども、いかがですか。
  125. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 確かに先生のおっしゃるとおりだと、私どもも考えておる次第でございます。そこで、従来、水資源開発の基本計画という問題では、そういう点が、ややもすれば忘れがちと申しますか、わりに軽視されていたことも事実かと思いますが、今回の基本計画原案におきましては、いわゆる需給計画というもののあとに、その他の水資源の総合的な開発及び利用の合理化に関する重要事項というところで、何と申しますか、水資源利用にあたっては水質保全自然環境保全に十分留意しつつ次のような利用の合理化をはかる措置を講ずるのだということで、合理化の内容は、先ほども申しましたような、いわゆる回収利用でありますとか、再利用でありますとか等々のことが書いてあるわけでございますが、こういう点についても十分意を用いるように、この計画としても考えておる次第でございます。
  126. 山内一郎

    ○山内一郎君 それでは次に、水資源開発のための事業——これは建設省ですね。どういう事業をやるのか、水資源開発のため。  それから、この中に補償工事が入っていると思いますが、どういう補償をやられるのか。大体概略の御説明を願いたいと思います。
  127. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 水資源開発、まあ私ども基幹事業と言っておりますが、これには琵琶湖の湖周辺の治水の問題、それから淀川水系全体の治水の問題、並びに下流の水資源開発の問題、こういったことが、この基幹事業の中心になっておるわけでございます。したがって、琵琶湖の湖岸の治水につきましては、もちろん、これは内陸部におきましては流入河川の改修等が急がれるわけでございますが、主として湖岸につきましては、計画高水がプラス一メートル四十ぐらいでございますので、これに対応いたします湖岸堤を約四十七・五キロメートルぐらいになりますが、建設をいたしたいと思っております。なお、これに伴って生じます内水の問題、あるいは湖岸の問題、それから先ほど先生から御意見のございましたような琵琶湖環境保全との問題、いろいろございますが、そういったものはさらに今後十分検討してまいりたいと思います。なお、流入してまいります河川の河口部におきましては、水位の変動に伴いまして、いろいろ河川管理上もあるいは魚の産卵のための遡上のためにも、いろいろ問題がございますので、そういった点も今後は検討しながら、この事業で、補償工事ということで促進をしてまいりたいと考えております。  一般的な補償の対象といたしましては、農業施設、これは主として現在湖岸から逆水かんがいをいたしております施設の取水が不十分になりますので、水位低下に際して十分支障のないような施設を行なうと同時に、これは関連開発といたしまして、琵琶湖周辺の農地に対する土地改良事業との関連で調整をとりながら、進めていきたいと存じております。その他上水道等につきましても、地下水位低下の問題がございますので、予想される地下水の影響圏につきましては、今後の上水道の供給に支障のないような補償施設実施いたしたいと考えておる次第でございます。その他港湾とか船だまり、漁港あるいは文化観光施設といたしまして堅田の浮御堂等がございますが、そういったものにつきましては、それぞれ機能に支障がないように、あるいは景観の保持が十分保たれるような対策を講じていきたいと考えております。  なお水産関係につきましては、まず第一には、やはりできるだけ現状を維持して減産を防止するというのがたてまえでございますが、なおやむを得ないものにつきましては、適正な減産のワクの算出をいたしますと同時に、今後の水産資源の維持のための事業、それから振興のための事業、こういったものとあわせて、琵琶湖の淡水資源の確保と、これに従事をしておられる方々の生活の問題、こういったものを十分考慮いたしながら、実施をしていきたいと考えておる次第でございます。
  128. 山内一郎

    ○山内一郎君 水産庁おいでになっていますか。——いま建設省から大体の水産業に対する補償の話がありましたけれども、それをもう少し詳しくと、それからこの事業のチですね、「水産資源の保護培養及び開発のための事業、」こういうのがありますけれども、これについて御説明いただきたい。
  129. 岩崎京至

    説明員(岩崎京至君) このたびの琵琶湖水資源開発、それに伴います水位の低下ないし変動、これはやはり水産業には、産卵場の縮小とか漁場の縮小、その他水産関係施設の影響というようなことで、いろいろ影響が多面に及ぶことは先生御指摘のとおりでございますが、これに対しまして、資源の減産なり、あるいはそういう被害を最小限にとどめるというために、総合開発事業におきまして、資源の維持、培養の事業といたしまして、たとえて言えばコイ、あるいはフナといった、そういった魚類の種苗生産施設整備費、これで種苗を放流する、あるいはアユとかビワマスといったものにつきましては、これもいろいろ増殖の手段がございますので、そういった種苗生産施設整備をはかりまして資源をふやしていく。あるいはモロコ等の魚種におきましては、天然繁殖の保護の助長の手段をいろいろ講ずることがある程度可能でもありますので、そういった施設整備する、あるいは内湖、あるいは今後もし人工、人造内湖といったものができますれば、そういったものを利用しまして、たとえば種苗の中間育成場というものをいろいろ手段を講じてつくる。さらに、そこで育成したものを本湖に放す、そういった施設利用のしかた、あるいは貝類につきましては、いろいろ湖底の底質に若干手を加えて、底質改善をして、貝類の繁殖をはかる、あるいは真珠母貝等につきましても、人工採苗をある段階までやってふやしていく、こういったことをあわせての調査、研究をして、こういった事業を水産資源保護培養対策の事業として実施していきたい、かように考えております。
  130. 山内一郎

    ○山内一郎君 いろいろおやりになるようでありますけれども、たとえば、アユの問題についていえば、どういう施設をやっても二、三割は減収になる、こういうような話を聞いております。そこで、いま言われたようなことを全部やれば、従来と同じように漁業ができ、漁獲高が上がるものであるかどうか、わからない点はわからないでけっこうでございますが、どういうものか私、専門家でありませんので、その点を特にお聞きをしたいと思います。
  131. 岩崎京至

    説明員(岩崎京至君) 結局、水位の低下、変動のあり方によって影響が多面にわたって、やはり水産の場合起こるということが想定されるわけでございまして、私どもとしましては、やはり県とも御相談しながら、それの影響を極力最小限にとどめる、できれば逆に積極的にふやす、こういった形での施策を、研究の進展もあると思いますが、極力とっていくというのが第一前提でございます。ただし、そうはいっても、やはり被害なりあるいは影響というものは、操業上の縮小とか、現実に漁業経営の中において起こるかと思います。それにつきましては、やはり十分な補償といったものは当然行なわれるというように私ども承知しております。
  132. 山内一郎

    ○山内一郎君 私は、補償ということを金だけで解決するのはどうかと思うのですが、できるだけ施設をやりまして、従来どおりの漁獲が得られる、これが計画の第一前提になると思いますが、なかなかいろいろな人に聞いても、水産業——漁業というのはむずかしゅうございます。そこで、西村大臣にひとつお考えを願いたいと思いますが、水産業について補償対策、あるいは開発事業をやりましても、まだ不確定な点が残るのじゃないか、そこで、補償金というものを積み立てて基金制度といいますか、そういう制度をつくって、状況の変化によって施設をやっていくと、補償金を一時的に渡さないというような考え方はどうであるか、私の私見でありますが、考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  133. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 一つの提案でございましょうけれども、それは実際交渉に当たってみないとなかなかわからぬ。実は私のところは瀬戸内海でございますが、塩田のときに私はやったのです。塩田廃止、三十万トンの第一回の塩田の廃止のときに、塩田を持っている人に全部金を渡さなかった。さしあたり必要な資金だけで、あとはみな凍結したんです。じわじわやらぬと、日ごろ持ちつけない金を持たせるとろくなことは起こりません。そこで、しかしそれはあくまで金をもらう人の了解を、補償を受ける人の了解を取らないといかぬですから、それはその場合によって、それは担当してやる人のやり方と思います。私のところはそうやりましてたいへん喜ばれたのでございますから、それはまあ現地でひとつ十分交渉をすると、そのようなやり方も一つの提案であろうかと私はそう思っております。
  134. 山内一郎

    ○山内一郎君 ひとつお考えをいただきたいと思っております。  それから、四十トンの水が出るわけでありますけれども、いろいろ本計画についても批判があります。既得の水利権を再検討して十分に活用すれば間に合うんじゃないかというような意見もあります。しかし、四十トンは必ず要るんだ、こういう説明をひとつわかりやすく御説明を願って、その誤解を解いていただきたいと思います。どういう根拠からそういう意見が出るかといいますと、既得水利権にも農業用水にもだいぶん使われているんじゃないか。  それからもう一つは、維持用水の問題、河川維持用水というのは何であるか、これは使えないのか使えるのか、さらには先ほど工業用水の回収をやって何回も使うということもありましたけれども、下水道水の処理をやって、再使用をもっと積極的に進めたらどうか、なお、水道の漏水の問題があります。これは厚生省の問題かと思いますけれども、まあ各省にまたがって恐縮でありますけれども、四十トンだけでもまだ足りないんだ、なお工場の疎開の問題、こういう点が全部からんで、そんなに要らないという説がありますけれども、こういう点の誤解を解いていただく、こういう意味で、わかりやすく各省別に御説明をお願いしたいと思います。まず、建設省から伺います。
  135. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 水需要の全体につきましては、先ほど経済企画庁からお話しのございましたように、今後の需要に、約七十トン近い需要に対して手当てのできるのはもうほとんどこの琵琶湖だけといっても過言ではございません。したがって見通しとしては、ぜひ四十トンの水を確保する必要があると、こういうことでございます。  それから現状でございますが、現状につきましては、私ども、過去に淀川下流の取水の実績を見てまいりますと、すでに私どもが付与しております水利権以外にかなりの新規需要が起こっておるわけでございます。で、これは琵琶湖開発というものがもう早晩実現をするというようなことで、私どももその機会に水利権等の整理をがっちりとやりたいということで、現在の状況からいきますと、そういった新しく生まれてくるものにつきましては、むしろ維持用水を節約をして、まあ市民が飲んでおるというのが実態でございまして、平均約毎秒五立方メートル、夏期とか冬期のピークには二十トン近いものが維持用水を割愛することによって現状を何とか維持をしておるというのが実態でございます。したがって、維持用水というのは非常に大きな、いろんな多角的な意味での安全弁を果たしておるわけでございます。現在、淀川には約八十八・五トンの維持用水というのが第一期河水統制事業のときに計画で定められたわけでございますが、その後、水需要の進展に伴いまして、緊急用水として、約十立方メートル、それから中津川運河、これは新淀川を建設するときの建設材料を運搬するための運河として、これに八・五トンを流しておったわけでございますが、これも現在、水資源開発公団の手によりまして水路の処置をいたしまして、これを利水に転換をいたしておるわけでございます。したがって、すでに十八・五トンは利水に転換済みと、こういうことでございまして、残るのが七十トンでございますが、これにつきましても十トンぐらいは神崎川のほうに分派されまして、神崎川あるいはこれに関連する水路の維持用水、こういう形で使われております。したがって、本川につきましては六十トン余りでございます。今後、琵琶湖開発で新しい水が生まれましても、先ほど申し上げましたように、必ずしも非常渇水時の場合には安全ではないときもあるわけでございます。そういったときには、この維持用水が貴重な働きをするんじゃないかと、私どもは確信をしておるわけでございます。  なお、それから農業用水といたしまして、夏期に毎秒十六・八立方メートルの水が水利権として設定をされております。で、これの実際の需要は若干下回るようでございますけれども、やはり同じような需要が現在も続いております。で、かりにこれを全部生活用水に転用いたしましたとしましても、この十六・八というのは、いわゆるかんがい期のピークの量でございまして、いわゆるしろかき水の一番水の要るときの最大量が十六・八ということでございまして、かんがい期の総量、あるいはこれを年間にならしますと約二トン余りぐらいになります。したがって、まあこれも貴重な水ではございますけれども、今後の需要等から見ますと、あまり大きく寄与するものではないというふうに思われるわけでございますが、なお、こういった耕地の都市化に伴う水の合理的な使用等につきましては、さらに私どもも合理化に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  136. 岡部保

    政府委員(岡部保君) ただいま河川局長からお話ございましたように、私どもといたしましても、先ほど申しましたように、非常に水の需要が、これは相当にしぼった考え方での需要計画でございますが、これにいたしましてもどうも供給施設整備を十分いたしましてもまだ足りないと、したがってたとえば例を申しますと、先ほども申しましたように、工業用水道等の需要という問題は、これは先ほどの先生のお話にもございましたように、いわゆる過密地域の工業というのはむしろ分散させるべきであるという考え、これはもうそのとおりだと存じます。ただ、現実の問題といたしまして、これは工業のいわゆる再配置と申しますか、そういうことを進めるにいたしましても、なかなか目に見えるように所要水量が減るわけではございませんし、したがって、現段階では工業用水の需要というものは、主として地盤沈下対策のためのいわゆる地下水の代替の水道というものに限定した需要でございます。まあこのような考え方に立っておりますために、残念ながら需要と供給がバランスをするところまでまだいっていないということでございます。したがって、これは専門の方おられますが、下水道水の回収利用であるとか、あるいは工業用水の再使用であるとか、水道の漏水防止であるとか、そういうような点についても十分現状をプラスしていただくような施策をしていただかないと、とてもこれは間に合わないという感じを持っておるわけでございます。
  137. 国川建二

    説明員(国川建二君) 水道の、まず需要水量の伸びでございますが、やはり生活水準の上昇と申しますか、そういう一般的な背景のみならず、都市の周辺が都市化されていく、あるいは下水道の普及によりまして水洗化が促進される、その他水を使う需要がどうしても伸びてまいっておるわけでございまして、特に琵琶湖関連と申しますか、阪神地域におきましては、非常な勢いで都市化が進み、さらに宅地化が進んでおるということから、やむを得ない生活用水としての需要が伸びてきておるわけでございます。そこで、今回の計画におきましても、その辺の事情も十分検討しながら、過去の需要の伸びと同時に、水の使い方等につきましても今後十分考えなきゃならない点がございます。  その中の一点といたしまして、ただいま先生が漏水についてお話がございましたが、まあ漏水はこれはかねてからの水道でも技術的に非常にむずかしい問題でございまして、もう十年以上前でございますが、三十五年に厚生省といたしましても水道に関する漏水防止対策要綱というものをつくりまして、極力各都市におきましてそれを実行するように指導いたしております。しかし、残念ながら現状を申し上げますと、給水量のうちの、まあ漏水と一口に言われますが、無効——有効に使われない水量がいまなお二十数%、二二、三%はございます。しかし、これは逐年まあ改善されつつありまして、昭和三十五、六年ごろが有効率で七一%程度でございましたが、現在七七・六%まで昭和四十五年度で上昇しております。  この漏水は、いわゆる地上にあらわれるような水の漏水と地下で目に見えない場所で漏水する分がございまして、まあ地上で発見される漏水は、これはきわめて発見も容易でありますし、対策、工事も直ちにできるわけでございますが、地下の漏水、これをとめるという作業がまことに困難な仕事ではございますが、特に水需要の大きい都市におきましては、そのための専従の職員等も多数かかえておりまして、常時定期的に給水区域内の配水管の点検を行なっております。特に、作業は夜間作業になりまして、いろんな状況もむずかしゅうございますが、そういう形で極力押えているところでございます。  で、この漏水防止対策の仕事は、そういういわゆる直接的な漏水をとめるという、まあ何といいますか、受け身の対策のみならず、やはり都市交通と申しますか、交通機関等の重量化に伴いまして、あるいは地盤の不等沈下とか、あるいは他の地下埋設工事等によりまして、特に配水管やそれ以下の家庭への引き込みパイプと申しますか、そういうところからのきわめて一つ一つは少ない水量の積み重ねがあるわけでございまして、したがいまして、そういう老朽したようなパイプも積極的に取りかえるという施策も進めておるところでございまして、まあ水道の経営のサイドから見ますと、給水原価をはるかに上回る費用を投じて積極的に進めておりますが、なおこの点につきましては、水資源の有効な利用という立場からさらにこれを今後とも十分強めていきたいというふうに考えております。
  138. 山内一郎

    ○山内一郎君 だんだんと水資源も枯渇をしてくる状況になりましたので、使うほうもひとつ大いに考えながら使う、あるいは何回も使用するとか、その辺はよく御研究を願って、これからも水資源を大切にしてもらいたいというふうに考えます。時間になりましたので、あと二問ほどで終わります。  第八条の「(国の負担又は補助割合等特例)」、これはどういう特例を考えておられますか。別表を見ると、幾ら以内という点だけでありますが、あるいはあとは政令に譲る、どういう政令内容を考えておられるか、これを御説明願います。
  139. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) 法律別表では仰せのとおり最高額をきめておりますので、それぞれの事業別の負担率、補助率につきましては政令で予定をいたしますが、河川事業につきましては、直轄の河川改修、中小河川改修、小規模河川改修の一種と称しておりますもの、これにつきましては現在、四分の三の特例が働いておりますが、これが五十年度以降になりますると、現在の河川法施行法によります特例が期間が切れますけれども、その際にはこれを十分の七といたす予定にいたしております。  それから水資源開発公団の治水事業あるいは砂防事業あるいは治山事業、これはいずれも——治山事業のうちで特に復旧治山と予防治山でございますけれども、河川事業と同断でございます。  それから下水道事業でございますが、これは流域下水道につきましては三分の二、公共下水道につきましては十分の五・五を予定いたしております。  それから土地改良事業につきましては、これは国営かん排事業、あるいは県営かん排事業、団体営かん排事業、圃場整備事業等、それぞれ補助率が異なっておりますけれども、いずれにいたしましても五%の補助率アップを予定をいたしております。  それから都市公園事業並びに自然公園事業でございますが、これは十分の五・五を予定をいたしております。  なお、そのほかに水産業につきましては、沿岸漁業等振興法の適用によりまして、従来補助対象でございませんでした事業について補助対象にするということと、漁港の整備について補助率アップを適用すると、こういうこともあわせて予定をいたしておるわけでございます。
  140. 山内一郎

    ○山内一郎君 先ほどの十年間四千億の事業費を使うとすれば、どのくらい県の負担が軽減されるか、それが第一点。  それから時間がございませんから次に移ります。  第二点は第十一条、非常にわかりにくいんだと思いますが、この負担調整下流負担金の問題だと思いますが、「琵琶湖及びその周辺地域について生ずべき不利益を」「補う効用を有する事業」、これをわかりやすく御説明願いたいと思います。また、これは大体どのくらいの負担を考えているか、二点をお伺いします。
  141. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) 先ほどの申し上げました全体の事業費、ただいまのところ約四千二百七十億予定をいたしておりますが、このうちで滋賀県の負担が千百億、それから市町村が二百五十億ぐらいを予定いたしておりますが、国庫負担額につきましては千八百五十億に相なりまして、このうち約百五十億が、この特例による負担増でございます。したがいまして、その分が県なり市町村の負担の軽減に相なっておるということでございます。  それから、十一条の政令で定めます下流負担の対象事業でございますが、たとえば湖辺の緑地等を造成するための都市公園事業でございますとか、自然公園事業、あるいは水質汚濁の防止に資しますところの下水道事業、水位低下の緩和に資します造林事業、あるいは水位低下に伴って生じました干陸部の汚物を除去する清掃事業等、それから水産資源の保護培養事業等を考えておるわけでございまして、この下流負担の額は、先ほど大臣からもお話がございましたように、国の特例負担の額に見合う額は下流も負担をしようという合意でございますので、ただいまの事業費を基礎にした百五十億程度を——国庫負担の増額を百五十億円程度に相なるといたしますと、下流負担も同額の負担ということになります。
  142. 山内一郎

    ○山内一郎君 時間がなくなりましたので、最後に、大臣にお願いをして質問を終わりたいと思いますが、いろいろ考え方が複雑といいますか、問題点が非常に多い内容だと思います。したがって、いろんな批判とか、疑問の声もちらちら聞こえてきますし、そういう点は十分に謙虚にお考えをいただいて、解決できるものはやる、間違った点は大いにPRをしていただく、こういうことで、下流の水の緊急事態に対してできるだけ早く送水できるように、一そうの御甚力をお願いをするわけでございますが、大臣の御決意を聞いて、私の質問を終わらせていただきます。
  143. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 非常に大事業でございますから、それで十カ年もかかるということですから、しかし、やる事柄にはやっぱり緊急があると思いますから、早くやらなければならぬことです。——どれも早くやらなければならぬのでございますけれども、それは一時にはなかなかできませんから、やはり実際計画になると、五年計画ぐらいでもって片づけてしまうものと、それ以後に着手をするものと、そういうことを考えてやらなければならぬと思っております。したがいまして、幸い皆さま方の御賛成を得まして結局法律が通過すれば、これは各省に関係することがずいぶん多いわけです。別に委員会をつくるわけじゃありませんが、各省の連絡会はいまと同じように続けていってもう少し詰めてものごとを考えていきたい、そうして、実行計画滋賀県知事がつくれば早くそれに協力してほんとうの軌道に乗っかけたい、かように思っておる次第でございます。
  144. 小林武

    委員長小林武君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会      —————・—————