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1972-05-16 第68回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十六日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————   委員異動  五月十六日     辞任        補欠選任      藤原 房雄君     沢田  実君      浅井  亨君     峯山 昭範君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                 沢田 政治君                 田中  一君                 沢田  実君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        建設政務次官   藤尾 正行君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省住宅局長        事務代理     沢田 光英君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省都市局下        水道部長     久保  赳君        自治省財政局地        方債課長     石原 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件  建設事業並びに建設計画に関する調査  (大阪千日デパート火災に関する件)  (首都高速道路工事事故に関する件)  (古河鉱業公害に関する建設政務次官発言に  関する件) ○委員派遣承認要求に関する件 ○下水道事業センター法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として沢田実君が選任されました。
  3. 小林武

    委員長小林武君) 連合審査会に関する件についておはかりいたします。  公有地の拡大の推進に関する法律案について、地方行政委員会に対し、連合審査会開会を申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
  6. 小林武

    委員長小林武君) 建設事業並びに建設計画に関する調査を議題といたします。  まず、このたびの大阪千日デパート火災及び首都高速道路工事事故について建設大臣から説明を聴取いたします。西村建設大臣
  7. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 去る五月十三日二十二時四十分に大阪市千日デパート火災によりまして、多数の犠牲者死者百十七名、重軽傷者四十九名の多数の犠牲者を出しましたことはまことに申しわけない次第でございます。  この建築物は、昭和七年、大阪歌舞伎座として竣工いたしたのでございますが、後に、昭和三十三年、千日デパート用途変更をいたしておりまして、多数の犠牲者が出ました「プレイタウン」を開設したのはその後でございまして、昭和四十二年でございますが、その間、いろいろ改造等が行なわれておる模様でございます。  このような古い建築物に対しまして、たいへん防火上の欠点があるというようなことにかんがみまして、昭和四十五年に建築基準法改正をやりまして、防火避難規定整備強化をはかってまいったところでございますが、法律改正前から存在しておったこのような多目的で使われておる、いわゆる複合用途建築物並びに最近は御案内のように地下街がたいへんできております。また、その後、高層ビル等もたいへんできておりますが、こういうような建物に対する建築災害発生が非常に心配されますので、これに対していろいろ努力してまいったつもりでございます。  今回の事故にかんがみまして、建設省といたしましては関係行政機関との密接な連携のもとに、この種の特殊な建築物に対して今後は十分総点検をいたしまして、必要な是正措置を講じたいと思っております。  また、これは消防庁関係ではございまするが、管理体制等につきましても建設省消防庁が一体になって、ひとつ指導を徹底させなければならぬというふうに、今回の事故からさように思っておる次第でございます。  はなはだ申しわけありませんが、非常に国民皆さま方に対して相済まない次第でございます。  なお、事故の詳細につきましては、いろいろ後ほど政府委員から説明をさせたいと思います。     —————————————  次に、去る五月十五日午前八時四十五分ごろ起こりました首都高速道路四号線二期工事——その位置は甲州街道下り線桜上水交差点付近でございまするが——高速道路工事につきまして橋げたの落下によりまして、清掃用タンク車を一台、ライトバン一台を押しつぶしまして、そのため四名の死者、二名の重傷者を出しましたことは、これまた建設省といたしましては、私といたしましては非常に残念に思っている次第でございます。  このような事故を未然に防止するため、従来から工事の安全に対して指導監督強化につとめてきまして、また、この工事につきましても公団等に確かめますと、いろいろ工事現場訓示等をいたして、指示等をいたしておるように聞きまするが、なおもう少し徹底してそういうような指導をしなければならぬと考えております。  事故原因でございますが、これもはなはだ技術的な問題で、ただいまこれを徹底的に調べておりますが、警察当局等関係もございまして、十分断定するようなところまでまだ調べがいっておりません。  いずれにいたしましても、これまた、たいへんな犠牲者を出しましたことを、この委員会を通じて国民皆さま方に深くおわびを申し上げる次第でございます。  この事故につきましても、後ほどお尋ねがございますれば、政府委員から詳しく御説明申し上げたい、かように思う次第でございます。  以上でございます。
  8. 小林武

  9. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 資料に基づきまして、火災被害状況補足説明をさしていただきます。お手元に三枚刷りの資料がいっておると思いますが、読みながら補足説明をしていきます。  まず、この火災のありました建物概要でございますが、千日デパート——日本ドリーム観光株式会社のものでございまして、取締役社長松尾国三という者でございまして、この建物責任者は常務の伊藤隆之というものでございます。また、この防火責任管理者中村稔と申すものでございます。所在地は大阪市南区難波新地三番町一番地。建物の構造・規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地上七階、地下一階。建築面積三千七百七十平米、延べ面積二万五千九百二十四平米。これは、後ほど三枚目の簡単な図面で御説明を申し上げます。地域地区関係は、商業地域——千日前の繁華街にございまして、商業地域防火地域容積地区でいきますと、第八種の容積地区となっております。この建物用途は、地階機械室、喫茶店、お化け屋敷——これは催しもののお化け屋敷、こういうようなものを常置しております。一階、二階が千日デパートでございます。三階、四階がスーパーマーケットでニチイ——日本衣料の略だと思いますが、そういうことで、衣料品等主体にしての販売をしておる。それから、五階が百円ストア、そのほかの事務室。六階がゲームコーナー、ボーリングでございますが、これは計画中で使用してございません模様でございます。問題の人命被害が出ました七階はキャバレーでございまして、チャイナサロンプレイタウン」という名前キャバレーでございます。ただいま大臣から説明ございましたように、この建物は、昭和七年、大阪歌舞伎座として竣工いたしました。それが戦後の三十三年に千日デパート用途変更をされました。その後、幾つかの増築改築等がございます。これはそれぞれ基準法の手続を経ております。四十二年に問題の「プレイタウン」が七階に開設をされた。カッコに書いてございますのは、本建築物には、昭和四十五年改正建築基準法施行以前の建築物でありますので、その基準が適用されております。したがいまして、後ほど補足説明いたしますが、四十五年以後に改正されました、非常に厳重になりました防火避難の問題につきましては、既存不適格ということで、法律上は適用されておりません。ただし、詳細にはいま調査中でございますけれども旧法以上に市当局建築、消防の指導によりまして、実際は避難階段その他を備えております。  次に、災害状況でございますが、火災覚知は五月十三日二十二時四十分ごろ、鎮火は十四日の七時四十一分ということでございますが、火災によりまして、二階から四階まで延べ八千八百平米が焼失しました。七階で営業中でございました「プレイタウン」のうちにおりました百九十一名が煙に巻かれ、屋外にのがれようと窓から飛び降りたりいたしましたが、大部分窒息死ということで、百十七名という多数の犠牲者が出たということでございまして、火はここにはいっておりません。煙による窒息死ということでございます。かような多数の人命被害が出ました直接の原因は、私どもが現在判断しておる範囲内におきましては、「プレイタウン」に通じます階段が実は三カ所設けてございます。それにもかかわりませず、日常これが使用されることなく、エレベーターのみで下から上にお客を運び、従業員もこれによって上下しておるという利用状況でありまして、事故当時にも避難階段にはとびらが施錠されておったと推測されております。また、唯一の通路エレベーターは電気が切れまして停止をしたこと。それによりまして完全に避難路が断たれまして、それが直接の原因となりまして多くの被害が出た、かような被害状況でございます。  今回の、私どもが現地で一応見ました上での問題点と考えておりますものが、次に掲げられておりますが、この建物は、ただいま私が説明いたしましたように、数社による分割管理されました建物でありますので、火災覚知、警報、避難誘導、すなわち管理体制がどうも適切を欠いていたように思われます。下で工事をやり、そのほかのところには人がおらず、上ではキャバレーが営業しており、その間のどうも連絡もなかったように思われます。常日ごろ管理体制も、そういうふうに管理者が非常に多うございますので、十分であったかどうかということも問題点だろうと思います。かような多目的ビル問題点として浮かび上がろうかと思います。  二番目に書いてございますのが、適切な階段が配置されているにもかかわらず、これが施錠されていた。あるいは品物がその階段室に置かれておった。したがいまして、施錠されていなくても、なかなか逃げるのが困難であるという状態でございます。そういうものの避難通路維持管理というものが十分でなかったというふうなことが考えられます。  三番目が、これが建築的に問題のあるところだと思いますが、最上階の七階には火害が認められておりません。必要な防火区画が十分ありながら、そのガス、煙が大量に流入した。この経路は、私ども一見したところではなかなかわかりませんでした。調査中でありますので、おいおいわかると思いますが、その解明が十分必要なことだろうというふうに考えております。  図面で御説明を申し上げますと、上が七階の平面図でございまして、建物の床の形は、大体かようなことで地階から七階まで通じておりまして、この七階の上は屋上でございます。そして、バツじるしで大きく書いてあります「元千日劇場跡吹抜け」というのが、下の図面右側に書いてございます「吹抜け」ということで、劇場あとのがらんどうになっておるわけでございます。これらは防火区画で完全に区画されておりまして、この「プレイタウン」とは隔絶しております。「プレイタウン」は、ここに名前が書いてございませんが、上の図面右側三角部分、それから、この吹き抜け部分に細く階段室まで入っておりますこの部分でございますが、これが「プレイタウン」の部分で、客席はおもにこの三角部分にございます。で、先ほどの説明にもありましたように、客は一階から、このAという階段がございますが、Aという階段の前にエレベーターが三基並べて書いてございます。そのうちの左の二基はここでは使っておりません。右の一基のみを使っております。これに下から入りまして、ここを上下をして、そこで内側に——客席に直接降りずに、この図でいいますと下手に降りて、細いところを通って便所の前のカウンターを通って客席にいっておる、かような状態でございます。そして階段は、この階につきましては、いま申しましたAというのとBというのと、さらに上のほうにFというのがございます。それからEというのもございますが、これは、実はEの右側の細い部分更衣室になっておりまして、ここは実際上あまり使えなかった。日ごろも使えなかったと思います。  結論から申し上げますと、いずれもこれらの階段、A、B、F、E、これに施錠がされておりました。ことにFの、ステージというところの横の左のぎざぎざがございますが、これはシャッターで、上からずっとたれ下がったかなり広い出入り口でございますが、これが閉じられていた。キャバレーの中でございますから、おそらくこれが何か見えないようになっていたのじゃないか。したがいましてここからも逃げられない。それからAのところの階段で、下ないしは屋上に行こうというときに、これがそのAのところの左すみドアがロックをされていた。それから一番厳重な階段としてBの階段が、これは特別避難階段という階段に該当しますが、旧法では要求していないような階段がここにあるわけでございますが、これもドアが施錠され、その踊り場のところにはいろいろな荷物が置かれておる、かような状態火災発生をしたわけでございます。その結果、下の図面でごらんになりますと、赤く書いた部分の三階から出火したといわれております。それが、まん中の辺にエスカレーターがございます。エスカレーターは一応使わないときにはふたをして火を防ぐような旧法規定になっております。そういう装置もあります。しかし一部あいていたのがあるらしゅうございまして、それのみを伝わりまして四階と二階に火災が広がった。しかし、それ以上は赤い線の防火区画で広がりませんでした。したがいまして、五階、六階、七階は火は全然入っておりません。しかし、この二、三、四で燃えました衣料品主体とします燃焼ガスあるいはそういうものがどういうルートかでこのチャイナサロンに到達した。ところが逃げるべきところがロックされていたということでかような被害が非常に大きく起こった、これが被害状況の報告でございます。  以上でございます。
  10. 小林武

  11. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 首都高速道路四号二期線下高井戸工事関係事故状況につきまして補足して御説明申し上げます。  事故発生日時は昨日の午前八時四十五分ごろでございます。事故現場は杉並区下高井戸一丁目でございます。関係施工業者株式会社片山鉄工所でございまして、架設関係工事は下請の横河工事株式会社実施をいたしておりましたものでございます。工事内容は、単純の合成げた十連と三径間連続げた一連を含めます三億三千五百万円の請負工事でございます。  事故概要でございますが、甲州街道下り車線桜上水交差点付近でございまして、架設作業中の三径間連続げた側径間用耳げた、これは長さ四十七メーターで、重量が四十トンのものでございますが、それが架設作業中に下り車線上に落下をいたしたものでございます。このため、たまたま同地点を通行中のライトバン一台及び清掃用タンク車一台が落下したけたの下になりまして、ライトバンに乗っておりました四名が死亡いたしまして、清掃用タンク車の二名が負傷したというふうな人身事故内容でございます。なくなった方、負傷者の氏名はお手元資料のとおりでございます。  それから事故発生状況及びその原因でございますが、本工区のこのけたの架設工法は、それぞれ二本を一組にいたしまして地上でけたを組み合わせまして、これをつり上げまして、もうすでに立っております橋脚の上に乗っけるわけでございます。そうして隣接げたとのジョイントをいたすわけでございますが、その工事につきまして工事人は、耳げた二本一組——落下いたしたものでございますが、それをまず橋脚中央部分に乗っけまして、これを橋脚の上で引っ張りワイヤー控えワイヤーで制御しつつ移動する、いわゆる横取り工法というものを実施いたしておりましたものですが、この移動の工事中にバランスがくずれまして、けたの片一方が橋脚から落下したものと思われます。具体的な落下の直接の原因等につきましては、現在関係者を取り調べ中でございまして、十分まだ真相を究明いたしておりませんが、目下この辺の状況調査中でございます。  事故後の措置につきましては、なくなられました方々あるいは負傷者方々に対しましては、昨日、大臣代理としまして私、それから公団理事長関係業者責任者の方が弔問に参りました。現場につきましては、さっそくこの転落げたを切断いたしましてこれを撤去いたし、昨日の十二時五十分ごろに作業を終わりまして全線開通を見ております。  今後の措置につきましては、まず原因を究明いたしますことが先決でございます。とりあえず本事故につきましての対策本部公団の中に設置をいたしております。それから、この四号二期線でございますが、同じようなけたの架設工事実施いたします工区が九つばかりございますが、この九工区全線につきまして、昨日をもちまして全部工事をストップさしております。総点検を現在実施をいたしております状況でございます。  以上、簡単でございますが、事故の概況の補足説明でございます。
  12. 小林武

    委員長小林武君) 本件につきまして、質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 相次いで二件の建設省関係死亡事故があったわけでありますが、これについて私はこの場で建設省の諸君に対して追及とか責任ということを申し上げたいと思っておりません。しかし、あまりにも大阪千日デパート惨事はひど過ぎるというふうに思うのでございます。史上最大といわれた航空機事故にも匹敵するような惨事が、大阪という繁華街のまっただ中で起こりました。これは私どもに大きなショックを与え、また一面一つの警鐘でもあろうかと思います。まだ事件が起きたばかりで、ただいまの建設省説明をお聞きしても、ほんとうに概括的なことしかわかりませんけれども、おそらく今後国会においても自治省などの件もあるようでありますし、だんだん問題点が出てまいろうかと思いますけれども、端的な点について二、三お伺いしてみたいと思います。  建設大臣もちょっと触れておられましたが、この建物昭和四十五年の法改正以前の建物である、しがたって、四十五年の建築基準法改正以後のものでないために幾つかの問題点のあったことは了解できます。ただ法改正以前のものであるから、これはもう法的に、いわゆる建築基準といったような面から問題がないといったようなことであってはならぬと思うのですが、ただいま大臣は、これを契機に、いわゆる四十五年改正以前以後を問わず、こういった建物に対する総点検をしたいということでございますが、それはもう私も了といたします。  私がお聞きしたいのは、この建物が、歌舞伎座という劇場としてつくられた建物が、いわゆる使用目的変更してデパート的な使用に供せられたということが一つと、それから、いわゆる普通のデパートならば単一経営であります。ところが、この千日デパートは非常に複雑な内容を持っております。こういうところに、やはり今度の思わぬ大災害を起こした原因があるんではなかろうかと、こう思うわけであります。  たとえばこの図を見ますと、これは劇場部分、「元千日劇場跡」りありますが、ここが歌舞伎座であったとすれば、四階以下ないしは、いわゆる吹き抜け以外の、今度問題が起こった「プレイタウン」とは、もともとほかの目的に適用するような建物であったかに思うのでありますが、これはいかがでございますか。
  14. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 古い書類につきまして、市当局のほうもいまさがしておりまして、詳細はわかりませんけれども、話を聞きましたり、それから私どもが推定いたしますのに、おそらくこの吹き抜け部分というのは、かなり下まであったのではないか。舞台あるいは一、二階の観客席の上が吹き抜けになっていた。そうしてこのいわゆる「プレイタウン」に当たるこの部分が、ずっと、劇場の前にいわゆるホールのようなものがよくございますが、ああいうことで、そこで劇の合い間休んだり、あるいはお茶を飲んだり、売店があったりと、そういうことに利用されていたのではないかと私どもは想像しております。しがたって、その後の増築でおそらく床がずっとつけられたように私どもは想像しております、この下の部分の床は。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いわゆる劇場、これは全体的に私はちょっと見て、もともと一階から五階までは別の使用目的に使うためにつくり、この五階から上の吹き抜け部分劇場かと簡単に思ったのですが、いま説明を聞きますと、そうではなくて、全体が劇場としてつくられて、いわゆる劇場関係用途につくられた、これを改造してこういうふうになったと。こうなりますと、劇場でありますと、窓が非常に少ないですね。普通のいわゆるデパート等に初めからつくった建物よりも窓が非常に少ない。そうなりますと、今度の惨事ども、そういった点から二階、三階、四階の煙やガスが上のほうに抜けざるを得なかった。外に出る余地がないということがあったんではなかろうかと、こういうように理解するのですが、いままだ具体的な調査はないけれども、そういうことはいかがですか。
  16. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 最初の建物の形につきましては、いままで聞きました推定でございますから、間違っていましたら、後ほど訂正いたしますが、おおよそ劇場——これはもともと劇場だったわけでございますから、形からしますと、建築的に見ますとそういうことだったろう。したがいまして、通常、劇場の場合には窓が少ない。したがって、これを売り場に改造して使ったときに、窓が少なくて、それで煙の行き場がなかったんじゃないかと、こういう御質問かと思いますが、この窓は改造した段階についたか、あるいは初めからあったか知りませんけれども相当程度の窓がございます。そうしてこの改造した段階におきまして、基準法では増築改造模様がえの場合にはまた確認を得ることになっております。それを得る場合には、新しいその時点での基準法が適用されることになっております。で、おそらく百貨店として基準法が適用されて、必要な窓なりあるいは避難階段なり、そのほかの施設は旧法でそのつど要求をされて、そのようなごとにつくられておる。私ども外から見ましても、また現在の詳細な設計図を見ましても、この下の部分、焼けた下の部分につきましては、周囲に相当の適法の窓があるというふうに見て参りました。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設大臣にこれはお伺いというよりも、あなたも冒頭の御発言で、この種の建物を総点検したいという御発言があったわけですが、おそらくこの種の建物はすでにかなりあろうと思うのです。したがいまして、これはひとつ建設省、ことばで言うのでなくて、早急に、かなりの時間もこれはかかるでしょうし、費用も伴いましょうか、しかし、再びこういった災害を起こさぬために、これはやっぱり大都市におけるこの種の建物の総点検を早急にひとつやっていただいて1全くこれは明白な話でございまして、百十七名の死者、四十何名の負傷者、これはほんとうにお気の毒というよりほかにことばはございません、自分の責任でないわけですから。全く偶発的に起こったものであります。こういうことが再び起こらぬように、ひとつ、ぜひあらゆる力を総合して点検をし、どこにいても、自分の責任以外でけがをしたり、死んだり、そういったことのないような状態にしていただきたいと思うが、大臣の決意のほどをひとつお伺いしたい。
  18. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 法改正をやったが、既存の建物について、なかなか法改正のようにやるのはたいへんだろうという、多少温情的なことであったために、やはりある程度は進まなかったのじゃないがと思っております。また、事実私もよく法改正目的を調べておりますが、なかなか既存の建物では容易じゃないと、改造でもしなければ容易じゃないということもありますけれども、これはひとつ早目によく調べてやらなければならぬと思っております。  大阪の場合を聞きますと、大阪市は私の聞いた範囲ではたいへんよくやっておるようでございます。四十四年も相当点検をして勧告もし、命令もした、四十六年も相当に命令もし、勧告もしたと。いままさに大阪市の消防局、建設局が一緒になって、こういう複合的な建物ももう一ぺんひとつ見ようじゃないかというやさきにこういうことが起こったというんですから、非常に私も残念に思っております。  しかし、これを契機にして、ひとつ建設省自治省と相談をいたしましてやり方を強化する、やり方を強化するということについては、こういうことを私は聞いたのでございますが、つまり、非常に、いわゆる複合のあれですから、いろんなところのものが使っておるんです。たとえば、一番上の七階は、まあチャイナサロンみたいなキャバレー、六階は遊び場所、しかも、行ってみますと、ボーリング場を大林組がまだやっておるんです。五階は、今度はいろいろあって、もうたくさんにいろいろなものが複雑しておるわけでございますから、こういうものの取り締まりの方法、実はこの取り締まりを、大体検査は昼行ってやるらしいんです。昼やっておりますと、この場合は非常口もたくさんある、救命袋も備えておる、何もかもりっぱだと、こういうふうに見受けられるわけです。現にそろっておるわけです。ところが、これが一たん営業の場になるとそうはいかないんです。営業ができるように、いろいろな救済の措置——全部使われないようになっておるんです。そこで今度は、大阪の消防局長の言うのには——私もだいぶハッパをかけたんです。夜やりなさい、大ぜいの方が集まっている夜やらなければ、どうなっておるかわからぬじゃないかと——今度は夜やります、抜き打ちでも夜やります。まあ、こういうことを言っておりました。  それから改造の場合ですが、改造が、やっぱりやる場合にはどっかに無理があるんです、どっかに無理がある。この場合も、やはり建築基準法上のミスは、私はあんまり大きいものはないと思います。おおむね建築基準法に準拠しておると思います、思いますが、小さな点について、つまり火炎は防げたけれども有毒の煙がどこから上がってきたかというようなこと。こういうことについて、やはり改造の場合には、なかなか初めからうまくいかないと私は思いますから、建物改造の場合と、それから点検のやり方、こういうことについて十分注意しなければならぬのじゃないかと思っておるわけでございます。エレベーター三台ありましても、私は行ってみましたが、右二台は五階まで上がるわけです。左一台が、結局チャイナサロンに、そのキャバレーに上がるエレベーターになっておるんです。したがって、入るところは別なんです。それは初めから予定したものじゃございません。このBと書いてあるエレベーターはこの正面からは入れない、裏側から入ることになる。後ほど改造したものには相違はないんです。まだ、言えばたくさんな点が、この改造のために起こったのじゃないかということがあるんです。その他いま検察当局が調べておりまするから、私は言いたいことがたくさんありまするけれども、いま逮捕されていろいろ調べられておる方もありまするから、あまり詳しい言及はできないと思いまするけれども、私のほうと、とにかく自治省と、今度はいまあなたがおっしゃいましたように、この既存の多目的に使われておる複合の建物につきましてはたいへん注意しなければならぬ。  さらに申し上げますと地下街の問題です。しかし、地下街の問題、私は強化したいんです。道路占用を許可しない——こうやれるかやれぬかの問題です。これは、道路の地下街に一たん火が入りますと、まさにたいへんな事故になるんでありまして、これは消防庁でもいろいろ実験等はいたしておりまするが、一たん火が入ると、そう訓練のようにうまいことにいきませんので、たいへんな問題になると思っておるのでございます。しかし、今後は研究を、好むと好まざるにかかわらず、高層ビルもたくさんふえてきますし、地下街もおそらくふえてくるでしょう。したがって、既存の建物につきましても、今後はひとつ、十分建設省自治省関係の省、ひとつ協力しまして取り締まりを強化したいと、かように考えておる次第でございます。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ぜひ総点検をしていただいて、悪いところがあったらどしどし改築、改造をひとつ指示をして、こんなことが起こらぬように、ひとつお願いしたいと思います。  この建物は、先ほど言いましたように、建物所有者と各階のまた使用者が違うわけですね。しかも、火災発生場所と被害を受けたところは違う。非常に複雑なわけですが、これは建設省関係ではないかもしれませんけれども、この死亡者を出した責任、これはほかのところかもしれませんけれども、私は、非常に何と申しますか、疑問に思うのは、建物責任者が千日デパート日本ドリーム観光株式会社でございますね。これがおそらく各階それぞれ賃貸しておるんだと思うんですが、しかも、火災が起こった場所と被害を受けたところは違う。このあたりは複雑になるわけですが、建設省当局から考えて、このいわゆる、またあといろいろお聞きしたいんですが、百十七人というたいへんな死亡者を出した。この方々は、先ほど言ったように自分の責任じゃなくてこうなったわけですが、補償問題とか慰謝料問題とか出てまいります。これは建設省所管じゃありませんけれども、しかし建物管理責任者と各階の責任者が違うといった場合、こういったものの責任の所在はどこになるのか。ひとつ建設省の見解がありますならば伺っておきたいと思います。
  20. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) これは、正確に法律的なお答えになるかどうか私わかりませんけれども、私の考え方といたしましては、建物全体が安全で、しかも使用目的に十分有効である、有効に利用できるという責任は、まず全体の責任としてあろうかと思います。しかし、各部分がまたそれぞれ賃貸で分かれておる。そうしますと、たとえば火の問題だけに考えますと、私ども目的の違う、たとえばアパートがもしあったといたしますと、アパートとその店舗というふうなものの用途が違う場合には隔絶すると、防火区画で隔絶するという法体系になってございます。したがいまして、これも一応、相当隔絶をしておる、こういうかっこうになっております。この隔絶をしておる思想から申しますと、隔絶した中では、その中で事故が起こらぬように、安全に人々が行動できるように、あるいはそこでいろいろな動作ができるようにという責任は、やっぱり一義的にはその防火区画を考えました一つの単位、借り主のほうにあろうか、かように思います。さらにそういうものがいま言ったように、時間の相違とか、あるいはそういう使用時間の相違とか、そんないろんな問題を調整すると申しますか、そういうふうな問題は、おそらく全体の建物の所有者の管理責任相当部分を占めるのではないか、かように考えております。
  21. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は、そのことをお聞きしたいのは、これはまことに遺憾でありますし、再びこういうことが起こらぬように努力しなくちゃなりませんが、ものごとが起こったわけですね、起こって、現に百十七名の死亡者を出した。四十数名の負傷者を出した。私は、この人たちの霊に対しても、再びこういうことが起こらぬようにすることが一番大事だと思うんでありますが、起こったいわゆる死者に対する手厚い、やはり何と申しますか、事後処置が必要だと思います。そうなりますと、やはりこれは責任の所在というものがわかりませんと、いわゆるこの建物の所有者であるものと出火をしたものとのそういったいろいろな……さらにまた、この現場でありまする「プレイタウン」ですか、これの責任者と、いろいろありますが、そういうものがいわゆる何か責任のなすり合いを始めて、結局なくなられてしまったのですから、こういう人たちの遺族の方に結局大きな迷惑をかけるのじゃないかと心配いたします。これは先ほど申しますように、建設省責任とは私は思いませんし、これはそれぞれの所管のところでひとつ適切な措置をしていただきたいと思うのですが、建設省もやはり建築の監督その他の立場上、責任ないとは言えません。したがって、これは大臣にひとつお願いするのですが、大臣、いま申し上げますように事態は非常に複雑でございます。複雑でありますけれども、私はやはり一番この際大事なのは、なくなった人たちのために、再びこういうことを起こさぬことが第一。同時にまた、なくなった方々や負傷された方々に対して万全の措置をしていただきたいと、こう思うのです。これに対してやはり建設大臣、私はあなたの責任とは断定しませんけれども、しかし全然これは建設省責任ないとは言えません。したがって、それぞれの部署の方々と連携と相談をされまして、遺族や負傷者に対する万全の事後処置をしていただきたいと思うのですが、大臣、ひとつ御答弁をお願いいたしたいと思います。
  22. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 責任云々というようなことは別といたしましても、なくなられた方は、たいへんこれはもう何にもかえがたいことでございまして、しかも聞くところによれば、新聞紙上でも伝えられておりますが、御婦人の方々にたいへん死傷者が多いわけです。相当に年齢の方が多いようです。私も大野病院をちょっと見舞いましたが、やはり子供の一人か二人ぐらいあるような年齢の方ですから、ああいうところに晩に働くにはそれぞれ家庭の事情があってやっておることなんです。したがいまして、責任云々ということは別といたしましても、十分政府としては力を尽くさなければならぬと思っております。具体的な問題は、私も大阪市長の大島さんにも……あそこにやはり対策本部ができております。対策本部ということは、そういうことをも含んで、これも大阪市長の直接な金を払う責任ではないにしても、やはりいろいろ調整をとって、なくなられた方、負傷された方々に対してはできるだけの厚意をもって報いなければならぬのは当然であろうと思います。私も、きょう閣議のあとで塚原労働大臣に、あなたにもやはり関係がないわけじゃないのだ、いや、大いにあるのだ、それで私も心配しておるのだ、こういう話もしましたから、直接の具体的な問題になれば大島市長を通じていろいろこちらもひとつお願いをするし、また強力に指導もしたい、かように考えておるものでございまして、いまそれどころじゃなく善後処置に一生懸命ですから、あなたのおっしゃるようなこと、これからの問題でございますから、十分気をつけたい、留意したい、かように思う次第でございます。
  23. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 沢田さんにお伺いいたします。  これは屋上はなかったのですかね。私はあのテレビを見ながら、すぐ屋上に逃げることができたならば、あるいはかなりああいう被害が防げたのじゃないか、高いのですから。下に飛びおりた人もありますけれども屋上があれば、屋上に行けば、火事が起こったのじゃないのですから、煙ですからああいう悲惨な状態は防げたのじゃないかと端的に考えますが、その点いかがですか。
  24. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 私も現地にその直後に行きまして、まさにそういう感じを受けました。と申しますのは、この平面図の下のほうに階段があるわけでございます。たとえばAの階段——それからもちろん各階段全部屋上に通じておるわけでございますが、たとえばAの階段一つとってみましても、このAの階段ドアがもしあきましてそこを通ればすぐ上が屋上でございます。もうほんとうに二十メーターもないくらいのところが屋上でございます。しかも、この煙のあとはそれほどひどくございません。それから屋上に出るには、その階段を上がって屋上に出るとびらはガラスでございます。したがって、そこがもし施錠されておってもこれは破って出られる。そこらが小鳥売り場か何かちょっと小さくなっております。そこのドアが二つございます。これがガラスでございます。したがって屋上に簡単に出られる、こういうような状況でございまして、まあ結果論でございますけれども、私、ここに出れば相当様相が違っていたのじゃないかというふうに考えて、非常に残念な感じを受けて帰ってまいりました。
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私もそう直感しましたところでありますが、結局全部錠がおりていたのですね、そういうところに。先ほど大臣もおっしゃった、昼に点検した場合、それぞれ適格である。ところが昼は人はいないけれども、夜お客さんなりホステスさんが来て、百人以上の人が入って一番大事なときになると、その場所に錠がおろされる。そうなると、結局法的に見て昼間の検査は合格しておるけれども、実際必要な場合にはそれが全部シャットアウトされておる、こういうことでございますね。そういうところに法の欠陥もあろうかと思うのでありますけれども、いまお聞きすると、屋上には出られたのだ、それが肝心なところにかぎがかかって出られないということになると、これは全然意味がない。今後そういう点にもぜひ対策を立てていただいて、夜の点検もけっこうでしょうし、問題は一番人が集まるときの時点における施策が重要でありますから、そういう点も留意されて御指導願いたいと思うのでありますが、ひとつ再びこのようなことを起こさぬように万全の策をお願いして一応私の千日前の質問を終わります。  続いて道路問題です。これは私は端的にお伺いしますが、これは技術上の問題か、私ちょっと心配になるのは、労務者が労働強化のために疲労して、いわゆる私ども見ますと、ああいう工事はかなり強い労働力を要するようでありますし、時間的にもかなり長時間働いておるようでありますが、私は技術的なミスよりも労働者の労働強化による疲労からくる何か問題点があるのじゃないかと、こういうことを感ずるのですが、この点はいかがでしょう。
  26. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先刻お答え申し上げましたように、直接のこの事故原因につきましては、詳細まだきわめておりませんので、お尋ねの点につきましては確たる御返事ができないと思いますが、いろいろ関係者の意見を聴取いたしましたところ、やはり架設工事中の工法上のミスがあったのじゃないかという、いわゆる技術上の操作の誤りということが事故の直接の原因じゃないかというふうに私どもは推測をいたしております。しかしお尋ねのように、たまたまそこに従事しておりましたとび職その他の労働者がどういう肉体的な条件にあったかというようなことにつきましてはまだ詳細をきわめておりませんので、その辺は断定的なことは申し上げかねますが、現状におきましてはそういうふうに私どもは考えます。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ぜひ、その点もよく調べていただきたいと思うんです。まあ、とび職なんというものは、これは専門職でございますが、かなりああいう場所には、農村の農閑期を利用した出かせぎの人たちが使われております。そういう人たちは、いわゆる特殊な作業については、あるいは仕事に携わっていないかもしれませんけれども、人手不足によって、いわゆるとび職、専門の人がやるべきところにやはり下働きその他に使われている面もあろうと思います。これはやはり私は労働強化等による労務者の疲労の度合いの強い場合に起こることもあり得ると思うんです。ぜひ、その点も調査されましてそんなことのないように御指導を願いたいと思うんです。と同時に、もう一点は、請負業者は片山鉄工所でございますが、これは首都高速道路公団の仕事でございますから、これもたまたま下を通りかかったために死亡、負傷するということは全く迷惑千万でございます。ああいう大きな仕事をする場合、しかもあの路線はかなり車や人の多い場所でございますから、交通どめもこれはできないかもしれませんが、何か適切な措置をしなければ、これは今後も起こる可能性があると思うんです。したがって、ぜひこの原因究明とともに再びこんなことが起こらぬように、ひとつ適切なる措置をしてもらいたいということ、それから、やはりこのなくなった方、負傷した方に——その責任公団にあるか、あるいは請負にあるかは別として、公団責任ないとは言えません——ひとつ十二分な事後処置をしていただきたいと、こう思います。このことを要望したいのですが、これも大臣、全くもう迷惑な話です、言語道断と言ってもいいですし、なくなった方にすれば、ほんとうにもう何と申しましょうか、神ならぬ身の知る由もなく、そこをちょうど通りかかって、上から四十トンものものが落ちてきたのですから、全くこれはお気の毒というほかはないですから、千日デパートのことと同様に、もっとこれははっきりしておりますから、十二分な事後処置をしていただきたいと思いますが、大臣、よろしく。
  28. 西村英一

    国務大臣西村英一君) どうも専門の方からいろいろ聞いても想像がつかぬと、こういうようなことを言うわけですけれども、結果的にはこういうことなんです。そこで、やはり、できたことは申しわけないとしても、これは警察のほうとの関係がどうなっておるのか。四十トンもあるメンバーをクレーンでつり上げるといえば、それは警察が通すはずはありません。それは交通規制をしますよ。ただ、上に乗せかけてシュートする場合に、それくらいはいいだろうと言っておったのですけれども、今後は、これは一日とめおるわけじゃございませんから、こんな仕事はもうわずかな時間で勝負がきまる仕事なんですよ。四十トンのものをつってロープが切れたといいますけれども、ロープは四十トンのもので切れるときには油が出ますよ、ロープから。それですから、非常な監視の目を向けておらなければ、ストップをかける人がついておらなければやっちゃいかぬ仕事ですよ、交通どめしないならば。それですから、まあ私はそう思うんだけれども、現実には、こういう人に言われぬような事故というものが、建設省の、しかも直轄工事で起こるなんということはほんとうに申しわけありませんよ。人に言われる話じゃございませんよ。したがって、何を申しましても、能率よりは、これを契機にセーフティ・ファースト、安全第一の態度をとらなければならぬと、私はこう思っております。工事を急いではいけません。少し工事を急ぎ過ぎるのじゃないか。万博のときに、けたを一つ落としました。あのときはあのときでまたちょっと違うのです。今回で二回目です。したがいまして、これはいませっかく警察も調べておる、調書をみな持っていっておりますから、的確なことは言えませんが、常識的に考えて、ひとつこれは警察当局とも打ち合わして、どうしても交通どめは警察当局のほうになりますから、十分注意をすると、また、いずれ原因がここであると断定するようなものができましたら、皆さまにあらためて御報告いたしたい、かように思っておる次第でございます。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、両事件に対する建設大臣の誠意のほどは理解できます。ぜひそれを具体的に御遂行願って、たびたび申しますように、再びこういう事故を繰り返さぬというための施策をお願いするし、さらにまた死んだ方、負傷者の方にも十二分なお手当をいろいろと関係方面に御指示をいただいて、ひとつ手厚い処置をしていただきたい。こういうことを御要望申し上げて私の質問を終わります。
  30. 沢田政治

    沢田政治君 千日デパートの今度の不慮の災害といいますが、不慮の災害ではないんですね。いまも御報告を受けたわけですが、結果的には起こるべくして起こった、これは管理体制のミスといいますか、こういう欠陥があると思うんですね。だから、不慮じゃないと思うんです、結果的に見ましたら。しかも大臣も言っておられるように、もちろん建築物の構造が満点だとは言えないにしても、いま既存の設備が全部作用しておったなら、こういう事故にならなかったということも大体常識的にうかがえると思うんです。だから、やはり維持管理あるいは防火体制というものの欠陥が多くを占めていると思うのです。  そういう意味でございますから、追及するとか、そういう意味ではなく、一体この種のものを今後どうするかと、こういう観点から質問なり問題提起をしたい、こういうように考えるわけです。たとえて言うならば、「プレイタウン」に三つの通路があった。この三つの通路が使えたならばこれは相当助かったでしょう。エレベーターもとまらなかったらよかったでしょう。また避難訓練を受けて、その設備をフルに使ったならば、これは全然死亡者がなかったかどうかは別としても、これだけの大惨事にもならなかったでしょう。さらには、またそういう混在混用しているものを法律的に何か規制があったらば、もし「プレイタウン」に何といいますか、深夜に人がおらなかったならば、これは単なるビル火災に終わったと思うんです。そういうことで、不可抗力じゃないし、不慮ではない、起こるべくして起こったと、こういうことになると思うのです。  そこで自治大臣だと思いますが、きのうか、おとといのテレビで、こういう問題提起をしておりました。こういうところは大都市にはかなりあると、該建物ばかりじゃなくてたくさんある。だから、将来の問題として、どの法律改正するかは別として、やはり用途規制をしたい、設備を一回に直せといったって、これはできっこないから、だから用途規制をしたい、そういうところを使わせない、こういう可能性のあるところは。深夜まで人がいるような劇場とか、あるいは何というか、ボウリング場とか、そういう遊技場に使わせないと。こういうことですが、これはどうお考えですか。大臣としては、今後も十分こういう事故が起こらぬようにしますと言うけれども、いつの場合も、これは何か手を打たなくちゃならぬというやさきの不慮の事故ということばを私どもはそらぞらしく感ずるわけだ。だから、私は補償するのも、なくなった人の霊を弔う一つの方法であるわけですけれども、ともかくこの事故を再び起こさぬ措置を事前にとっていく、これを契機にして。これが一番の供養だと思うんです。だから、その面についてどう考えるか、先ほど答弁があったようですが、非常に抽象的ですから、もう一度お聞きしたいと思うんです。
  31. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 自治大臣用途規制の問題云々ということを言ったという話ですが、私はその意思がどうであったかちょっとわかりませんが、いずれにしても、たいへん違った業種が入っていますから、やはり全体の管理の問題、個々の管理の問題、これが、もうほとんどいまではばらばらでございまして、その辺のやっぱり統一的な考え方をしなければ、こういう商売はこういうところにはやらせないと、たとえばキャバレーは何階以上にはやらせないとか、あるいはデパートはどうだとかいう、そういう制限がなかなかできないと思うんですよ。また、簡単に考えると、ああいう高いところに、七階に二百人も三百人も集めるようなことをしちゃいかぬと言ったら、高いところほど、いまのような東京のビルは人がよけい集まっておりますからね、見晴らしがいいとかいうことで。したがって、そう簡単に、用途規制ということはどういうことをいうのかちょっとわかりませんが、なかなかむずかしい問題だと思います。思いますが、一つの大きいビルの中に、初めからつくる場合は、それぞれいろいろな準備をしてつくりますけれども、既設のビルを直す場合に、これは一体どうするかということは、私も確信は持っておりません。しかし、私のほうも、これは大いに検討しなければならぬ。現に検討の第一番は、現状が一体どうなっておるのか、したがって、それは自治省と消防のほうと私どものほうの建築のほうで一緒にやる。昔は警察がおそらく担当しておったと思うんです。いまはそういうような力がないもんだから、やはりさいぜんも申しましたように、点検をするといっても、いいところばかりしか見せてもらえないというようなことがあるんじゃないかと私は思っております。しかし、今回のこの事故を契機にいたしまして、強力にひとつ管理体制を取り締まる、消防法の改正等もちょっと要るんじゃないかと私は思っております。これは、しかし他省の問題ですから言及するわけにいきませんが、いま一つ建物は、電気のほうには電気技術者というものがおりまして、電気に対して全責任を持つんですけれども、これは何も常時おるわけじゃなくて責任だけを持つんです。消防のほうも五十人のところに一人責任者がおるような制度になっております。五十人のところに一人責任者といっても、それは形式上でございまして、とても五十人のところに一人責任者なんか置けるものじゃございません。したがって、やはりそういうような消防の取り締まりもAランク、Bランク、一級消防士、二級消防士、そういうようなやっぱりランクをして、格づけをしなければならぬのじゃないかと思っております。私のほうの建築につきましても、これはひとつ、十分ささいな点は注意しなければならぬところがたくさん私はあると思っております。  私は、今度見て参りまして、昭和四十五年の基準法改正によってどういうことを要求されたか、そのうちでどういうことが抜けておったかということを見ますと、十分でなかったということが二つほどございましょう。しかし、それが十分であれば今回の事故は防げたかというと防げません。したがって、もういろいろな場合がございますので、昭和四十五年の改正どおりにやったとしても防げないと、私はかように思っておりまするから、いろいろ今後とも検討をしたい。また、十分この事故につきまして、ほかにいろいろ問題があるようでございますが、用途区分の問題については、私は自信がありませんから、もし沢田君のほうで何か答弁ができればと思っております。
  32. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 建物用途区分−使い方を禁止すると、こういう問題、私どもも何度か話題にいままでしたことでございますが、大体の感じは大臣のおっしゃったようなことで、なかなかできておりません。しかし実際に、もしそういう危険なもの、特殊建築物の中で危険なものがある場合には、これはむしろ設備面あるいは施設面、こういうものを厳重にやらせる。たとえば、あの「プレイタウン」の場合には相当ありますけれども、ほかと全然隔絶した階段、今度の階段は各階おのおの使っておりまして、それがたとえば防火とびらで締まっておる。こういうものでございますが、そういうものもなくして、直線的にその階だけに行くと、今度の場合でございますれば、七階だけに行くというようなものを二本つけろ三本つけろ、しいて申しますれば穴でございますね。そのほかのところがどうなろうと、そこは影響ない。たとえば、そういうふうな非常にきつい設備の制限をやっていく、下のほうで火災が起ころうが上のほうは安全に逃げられる。さようなことで、それだけ設備をしなければ、そこにはそういう多数の人が集まって危険なことをしてもらっちゃ困る、というふうなことで対処をできるんじゃないか。今度は私ども点検をやりますし、さらに、この事故は非常にいままでのタイプと違っております。焼死ではございません。ほかのところの火事で、ガス、煙で死んだ。そういうことで、これを事故調査と申しますか、調査委員会と申しますか、そういうものを、私、至急に設けたいと思っております。これを科学的に調べまして、どういう機構構造でこういうことになったかということを調べまして、結論も至急に出しますが、そういう中で、もしほんとうにいま先生のおっしゃるような問題があれば、自治大臣のおっしゃるような問題があれば、私どもは、さっきここで言いましたような、装備の何と申しますか、加重と申しますか、そういうことで新しいものにはやっていこう。それから既存不適格が非常に問題でございますが、既存不適格は、実際そういうものを、私が重装備をやれと言っても実際にはできない場合がございます。できないときには現行の基準法の十条で、これは遡及するに近いような、要するに改善命令が出せます。是正命令、使用禁止、使用制限、こういうものがやられるようになっています。で、これの活用と申しますか、これを特定行政庁に十分やっていただく、それによって、むしろ制限なり禁止なりをするというふうな、ほんとうに危険なものであればやらざるを得ないと思っております。また、特定行政庁がやらぬときには大臣の監督権限の発動ということも、非常に危険な場合には私どもは考えざるを得ないというふうに思っております。
  33. 沢田政治

    沢田政治君 最後に——最後といっても二つですから最後ですが、もちろん構造そのものを、そういう災害が起こらぬようにやる。もし災害が起こっても上下に波及させないようにする。そういう構造上の改革、これもいいんですよ。しかし、今度の場合は、もしかりに、七階ですか、「プレイタウン」は。そこで火災が起きたとしても同じであったと思うんだよ。全然何をして、どこに逃げようかという全然予備知識もないし、全然そういう感覚がないわけですね。だから大小は別としても同じような災害が出ていたんじゃないかと思うわけです。それで、大臣も実際の用途規制については不可能だと、どういうところのどういう構造には何をつけてはいかぬという、これはまあ考えとしては出てくるけれども、現実的にそれを規制するということはなかなかむずかしいと、これもよくわかります。しかし、これは建設省サイドじゃなく、風俗営業でしょう、ああいうところは。しかも遊劇場とか、ああいう風俗営業の場合は不特定多数ですから、毎日そこに日参しているわけじゃないし、そこに居住しているわけじゃないし、もし火事が起きたならばと酒を飲みながら考えている人はないと思うんだね。全く本人にとってはたいへんな災難だと思うんですね。だから訓練ができておらぬと。だから、これは建設省のサイドというよりも、これを認可許可する自治省になるのか消防のほうになるのかわからぬけれども、そういう不特定多数の者が集まる、集合する、こういう場所については、やはり一定の義務を、防災訓練とか防災措置とか、そういうものを義務づけるべきだと思うのです。それをやはり怠った業者に対しては営業をさせぬ、停止をさせるとか、何らかの行政指導だけでよくやっていますかぐらいじゃいかぬと思うのですよ。やはり同じことを繰り返すと思うのです。何か手を打たなくちゃならぬという先にこういう事故が起こって、今後この是正に努力する所存でありますという繰り返しでいくと思うのです。これは直接建設省サイドの問題じゃないけれども、やはり建設省としては、設備、構造というものにもっと抜本的に力を入れるとしても、やはり器をつくるほうだから、つくったら管理はどうでもいいというわけにいかぬと思うのです。同じ政府ですからそういう面をやはり話題に供して早急に手を打つようにしてほしいと思います。ここだけじゃありません。最近の何といいますか、そういうキャバレーとか風俗営業はほとんど上にいっておるのです、大臣が言われたように。ぼくはわからぬけれども、看板を見ると、たいがいそういうところが多いですね。だからそういう意味で、これを契機にして、月並みのお互いのなぐさめじゃなく、再びこういう事故を起こさぬという手を打つように前向きになって検討していただくということを心から要望してこの質問を終わります。
  34. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 一つだけお伺いしますが、いま茜ケ久保先生、それから沢田先生から御質問がありましたので、重複を避けまして御質問したいと思います。  一つは、煙の問題でございます。煙が非常に問題になって、私もよく承知してはおりませんが、四十五年の建築基準法改正のときに煙に対する対策というものが基準法に盛られた。それに沿って強い指導というものがやられておると思いますが、この場合にも衣料自体から相当煙が出たということもございましょうが、壁その他について煙の出る材料が相当あったのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。今後総点検をされて、そうして建築基準法十条の発動をどしどしやられる、こういう建設省の御方針ですが、そのことは、いわゆる壁その他の新建材を使っておるものについてもやっていくのか、この場合の実態はどうなっておるのかという点をひとつ御質問したいと思います。  それから、ちなみに法第十条の発動件数というのはいままでどれくらいあるのか。また、これはあぶないと目をつけておる建物あるいは不衛生の建物は一体どれくらいあるのか、これに対してどれくらいの法第十条の発動をやっておるのか、その点をお尋ねしたいと思います。  それからもう一つあるのでございますが、あとは管理の問題でございますが、ビルの管理が、火災責任者とか、あるいは電気の責任者というような、いわゆる所有者なり管理者側の責任体制というのはとられておると思いますけれども、また、これを監督、規制していく役所側でもやっておるとは思いますが、なかなか役所のほうも人間が足りないというような問題があると思います。そこで何か第三者といいますか、公認会計士のような建築管理士のようなものを設けて、そうしてその者が責任をもって絶えず第三者の立場から建物管理者に勧告したり、あるいは何かをしていくというような、そういう制度が考えられないものかどうか、この点をお伺いいたします。
  35. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 御質問は三点だと思いますが、まず第一点の内装の問題でございます。内装につきましては、実は四十五年の改正の以前から非常に火災のたびに問題になっております。ことに新建材から煙、ガスが出るということで、これは法改正を待たずに政令で、要するに不燃材、準不燃材、難燃材、こういうものにつきまして、従来は耐火性能だけを、不燃性能だけを規定しておりましたけれども、今度はその条件の中に煙を出さないこと、こういう条件を入れました。これでその後全部新建材はチェックしたわけでございます。したがいまして、現在防火材料に指定されておるものは煙を出さないというものでございまして、そういう前提に立ってその後の建物は、ことに内装制限のかかります特殊建築物あるいは大規模建築物あるいは高さの高い建築物、こういうものはすべてそういうものでやることになっております。しがたって、そういうもの以前のいわゆる既存不適格のものは煙の出る内装材でやられておるわけでございますが、指導でももちろんやっておりますが、今度の総点検に際しまして、もちろん煙の出ない——煙の被害が大きいわけでございますから、そういうことは重要な項目になる。したがいまして是正命令の対象になると思っております。ただ、それまでの指導でもだいぶ進んでおります。これは特に是正命令の前でも、いわゆる飲食店とか、そういう環境衛生金融公庫に関するものにつきましては、そこらから融資が出ます。合計一億をこえる金が一年間に出ております。そういうものを使ってどんどんとできるだけ指導で進めておる次第でございます。  それから十条の件数でございますが、これはいま全国にトータルがないので、至急問い合わせておるところでございますけれども、ただいま手元にありますのは、実は私どもいつでも春秋に大体防災の週間と申しますか、そういうことをやっております。秋は大体風災害などが多く、春は火災が多うございます。したがいまして、春に既存不適格を含めました特殊建築物、この年はホテルをやるとか、あるいはこの年は飲食店をやるとか、そういうことをやっております。実はこの三月にもやっております。で、これの結果、全国で四千五百件に余ります査察を——これは消防庁と共同でやっておりますが——やっておりまして、それのうち問題になりまして命令及び勧告をされましたのが三百七十九件、この四十七年の三月ではかような結果になっております。これが十条に基づきますものもありますし、基づかざる事前の勧告でやらせておる、こういうものもある次第でございます。  それから最後の管理の御提案でございますけれども、まさに管理は一元化してやらなければならないというふうな問題がございまして、管理の問題も、建築管理の問題もございます。それから技術管理の問題もございます。それから消防庁が所管しております防火管理の問題もございます。この辺が一番大事なところでございますが、先ほど沢田先生からの御発言のように、業態管理のような問題もございます。いずれにいたしましても、その辺を総合するのは、どういう仕組みかという問題がございますが、それに準ずるものとしまして実は四十五年の改正で私どものほうがこういう特殊建築物に関しましては定期検査、報告の事項を強化しております。で、これは定期的に検査をして、建物の所有者、管理者がそれぞれ特定行政庁にその建物状況を報告する。報告する際に一級建築士あるいは大臣の指定する機関の試験を合格した者、これが建物点検をいたしまして、それの結果を書類にいたしましてこれを報告する、かようなかっこうになっております。でございますから、常時点検ということには法律上なってございませんが、それに準ずるものとしてかような制度ができておる。したがって、その辺で一級建築士その建物管理者あたりが関係ができてまいりますれば、常時そういう相談にいくということになろうと、こういうような指導を現在はしておるわけでございますが、先生のおっしゃるような、常時一人で管理というところの体制はまだできておりません。
  36. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 この建物については、いまの材料の問題は煙の出る材料は使ってなかったわけですか。
  37. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) 焼けたあとでございますので、ちょっと焼けあとを見たわけでございますが、焼けあとにつきましてはちょっとつまびらかでないわけでございます。しかしこれが最後の改修がたしか四十四年でございます。したがって、おそらく煙の出るものも相当あったのじゃないかというふうに考えられます。
  38. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 そうしますと、いままでの点検の過程ではそこまで手が及ばなかった、今後総点検をして——十条の発動もいままでは件数が少ないようですけれども、今後はこれをどしどしやっていかれる、こういう御方針だと思いますが、何か十条の発動をちゅうちょするような事情があって、なかなか十条の発動ができないというようなことはないんですか。
  39. 沢田光英

    政府委員沢田光英君) いままで十条の発動の件数をとってみると、どうも案外少ない結果が出てくるんじゃないかと思います。それは二つ原因があろうかと思います。一つは、なかなかこの施主といいますか、所有者に対して負担が大きいということで、先ほど大臣が言いましたように多少シュリンクするという問題が潜在的にあろうかと思います。もう一つは、この十条を背景に持ちまして、それを出すぞ出すぞということで、勧告なり、口頭指示、口頭命令ということで実際の効果をあげているという改善の結果が出ております。そういうことのために、実際にこの十条というものの数字はわりに少ないということになっているのじゃないかと思います。特に前者の原因は、既存不適格で著しく危険なものに関しましては、この際過去のそういうシュリンクということは絶対やらずに、もし地方公共団体がシュリンクすることがあれば、先ほど申しましたように建設大臣の監督権限まで発動するような時期ではないかというふうに考えております。
  40. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 せっかく基準法改正され、あるいは政令を改正されても、既存不適格の形であぶないものが残っていくという状況では困りますので、いまおっしゃられましたように、危険な既存不適格の建築物に対してはどしどし点検をし監督をして、勧告、命令も発動するという体制にぜひ持っていっていただきたい、こう思うわけです。  これで終わります。
  41. 小林武

    委員長小林武君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時十二分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  42. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  琵琶湖総合開発特別措置法案審査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  45. 小林武

    委員長小林武君) 下水道事業センター法案(衆議院送付)を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  46. 春日正一

    ○春日正一君 第三次下水道五カ年計画の進捗状況について、昭和四十六年、四十七年度の事業額、それから普及率、それから普及の見込み率はどのくらいになっておりますか。
  47. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 三次五カ年計画、四十七年度が第二年目でございますが、進捗状況につきまして、まず進捗率で申し上げますと、公共下水道の進捗率が四十六年度末が一三・四%、四十七年度末の見込みが二三・八%でございます。なお普及率でございますが、普及率につきましては四十六年度末が二四・九%、四十七年度末が二五・八%というふうな状況でございます。
  48. 春日正一

    ○春日正一君 まあいまの答弁にもあるように、四十六年で三千七百八億円かけて二四・九%、これ前年が二二・八%ですから、それだけかけて一年に二・一%ですか、そのくらいしか普及率はふえてないわけですね。そうすると、昭和四十七年度の事業費は三千四百九億円、四十六年度の補正分含めた分三千七百八億円に比べても少なくなっているわけですね。そうすると当然四十六年度ほど普及率が上がらぬ、まあそういうことになるわけですけれども、そういう状態で五カ年計画の目標の普及率三八%が、私どもが非常に低いもんだというふうに感じておる、これは先進国に比べてもそうですし、いまの必要度からみてもそうなっておるわけですけれども、その三八%の目標さえ達成できないというようなことになるんじゃないかというような気がするんですけれども、その見通しどうですか。
  49. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 今後の五カ年間の計画達成の見込みでございますが、その断定的なことは申し上げかねますけれども、投資額でいきますならば、大体四十八年度以降は、投資額で三〇%ぐらいの平均伸び率の投資額を確保すれば五カ年計画が達成できるというふうな見通しを立てております。したがいまして、投資額におきましては、十分この二兆六千億の投資は確保できるというふうに、私どもは予想を立てておるわけでございますが、事業量の面でございますが、事業量につきましては、これは単価との関係がございまして、まあ今後の経済情勢の推移等とからみがございますので、一がいには申し上げかねますけれども、大体この計画のペースでいきますならば、何とか五カ年計画が達成できるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  50. 春日正一

    ○春日正一君 四十六年度では大幅な補正があってやっと二・一%上がったと、それで五カ年間に  一五・二%上げなきゃならぬ。しかも、新全総でいけば、当然その間にも市街地の面積なり下水道を設置しなきゃならぬ面積というのはふえていくわけですから、そういうことになると初めの計算よりはどうしたって普及率が落ちてきますね。そういうふうに考えて見て、はたしてできるかどうか、そこらの辺、もう一度確かめておきたいんですが。
  51. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 五カ年計画を立てます際には、将来の市街地面積というものの増加傾向、増加の見通しというようなものを各般の資料をもとにいたしまして予測をいたしております。したがって、四十五年現在の市街地面積が五千九百四十五平方キロということになっておりますけれども、これが五十年度末にはふえると、五十年末時点におけるところの市街地面積を想定いたしまして、それに対しまして下水道を整備していくというような考え方で、普及率もそういうことで最終年度末の市街地面積に対するところの三八%の普及率と、こういうことなるという考え方で計画を設定しております。前段に申し上げましたような考え方で、まあこのペースでいきますならば、大体計画は達成できるというふうに見通しを持っておる次第でございます。
  52. 春日正一

    ○春日正一君 その点、わかったんですけれども、昨年の六月に政令——下水道法施行令を改正して、昭和三十三年の下水道法制定以来、三十四条の国庫補助の規定があるにもかかわらず、十数年間きめないままにしてきた国庫補助率を明記することにしました。そうして同じく十月には、この規定に基づいて、公共下水道等について補助の対象となる主要な管渠の範囲を建設省告示としてきめておりますけれども、この補助率、補助対象が従来と変わったのかどうか、その点聞かしていただきたいと思います。
  53. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御指摘のように、下水道法に基づきますところの補助政令というものが昨年制定されたわけでございます。その際に、補助率の関係につきましては、従前は法令に基づかずして予算上の措置でやってまいっております。それを今回は明確に政令の上におきまして補助率等を明記いたしたということでございます。  中身につきまして若干変わっております点は、特定公共下水道につきましての考え方が若干変わっております。これは先般の公害国会におきまして、いろいろ企業者負担とのからみにおきまして、新しい制度ができましたのに合わせまして、特定公共下水道関係の企業者負担を従前よりも多くするというふうな考え方に変わっております。  それから補助対象率につきましては、これは三十四条関係の告示でもって、いわゆる主要な環境というふうなものの対象を明確にしたわけでございます。で、従前はその辺が非常に不明確でございまして、予算の範囲内において補助対象——個々の都市につきましては補助対象率といったものを考え、セットいたしまして補助をしてまいるというふうな経緯でございますが、五カ年計画の発足にあたりまして、まず全国的には補助対象率をアップいたしまして、同時に御指摘のように新しく下水道法の法例上におきまして補助対象となるべき施設の範囲を政令に基づきます告示で明確にしたという点でございます。
  54. 春日正一

    ○春日正一君 特定公共下水道を除いては大筋では変わっていないと、公共下水道は従来十分の四、それから流域下水道は二分の一ということですね。そこで、この主要な管渠の範囲をきめたことによって、従来補助の対象となっていたものが補助されなくなってしまうというようなことはないですか。
  55. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 補助対象となり得る最低基準といいますものは、従前は内規的なものできめておりました。今回は補助政令並びに告示によりまして、先ほど申し上げましたように、従来と異なりまして施設に着目しまして管渠の大きさと、その機能に従って補助対象となるところのものを特定いたしました。したがいまして、都市ごとに見ますならば、従前の補助対象施設が今回の措置によりまして補助対象とならなくなるようなものも出てまいっております。で、これはいろいろな過去の経緯がございますが、まあ従前は内規的に一つの線を引きまして、それ以上のものは補助対象になり得るということであって、必ずしもそれは全部補助として取り上げるということじゃなかった。今回は基準を明確にいたしまして、そのかわりその基準に合致するものは全部補助対象として取り上げるというようなことになりましたので、その辺、従前の実行上、今回の措置と比較いたしました場合、都市によりましては、御指摘のように、そういう若干の食い違いも出てくるというようなものもあろうかと思います。
  56. 春日正一

    ○春日正一君 一般の都市では山形、それから三鷹、小田原、寝屋川、伊丹、それから特定都市では北九州市というようなところでは、この補助対象率が五カ年を通じて五〇%以下になる。まあ一般では七四%ということになっているわけですけれども、これはよく幹線ができているところだから、こういうところは、まあ告示の四の一などでやるようにしているというようにいわれているんですけれども、こういう形で著しい差異が生じるところは一体どういうふうにされるのか、その点の扱いを聞かしてほしいと思います。
  57. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先生御指摘のように、非常に今回の新しい基準と従前の扱いとで補助対象率が下がるような都市、まあ北九州、山形、それから三鷹とか小田原等の都市がございます。まあそういうことは十分私どもは予測をしておりましたわけでございまして、こういうふうな都市につきましては、補助対象率の激変を緩和するという意味合いにおきまして、先刻申し上げました建設省の告示の中で、告示の一番最後の四項というところをごらんいただきますと、その四項の中で、そういう都市につきましては、特別な激変緩和のための措置をとることにするというふうな扱いをいたしまして、経過的な措置をとってまいりたいと思います。
  58. 春日正一

    ○春日正一君 著しい差異が生ずるところは、そういう手当てをするというふうに言われるんですけれども、著しくなくても、補助対象率を広げていこう、そのことが問題になっているときに、逆にいままでより下げるというのは、一体どういうことなのか、なぜこういうことになるのか、そこらの事情を説明してほしいんです。
  59. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 補助対象率といたしましては、全体としては過去からずっと率は上がってまいっております、全国的に。個々の都市につきましては、その都市のやりますところの各年度の事業の内容によりまして、若干その補助対象割合は差があるということであったわけでございます。今回の措置によりまして、まず全国的な、一般的な、平均的な補助対象率というものがございますので、これは指定都市と一般都市で区分けをいたしておりますけれども、その平均的な補助対象率とを比べまして、それとの関係でそれより低いものにつきましては、いま申し上げましたような規定で激変緩和の措置をとってまいりたい、かように考えます。
  60. 春日正一

    ○春日正一君 その点、わかるんだけれども、なぜ、つまり補助対象率をこれからもっと広げていこうというときに、下げるような措置をとらなきゃならぬのかということです、部分的であってもですね。
  61. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下げるのではございませんで、たとえば三次五カ年計画におきましては、補助対象率が全国平均で五七%に全計画から比べますと上がったわけでございます。指定都市、一般都市で差がございますけれども、この基準と比較いたしまして、この基準に満たないものにつきましては、この基準まで引き上げようというふうなことでございます。この基準そのものが低いじゃないかという御意見は当然あろうかと思いますが、これは五カ年で一応そういう節としては発足したばかりでございます。今後の課題としまして、補助対象率そのものを引き上げる努力をしてまいりたいとふうな考えでおります。
  62. 春日正一

    ○春日正一君 こういうことじゃないんですか、いままで補助対象に当然なるものを単独事業でやってきたところがあった、そういうものを全部拾って補助対象にすると、五カ年計画で了解されている七四%、これをこえることになる。だからそういう落とすところも出てくるというような事情なんじゃないですか。拾い切れないから、七四%のワクの中に。だから、それをそこに合わせようとすると、都市によってはいままでより下がるというようなことが出てくる、そういうことなんじゃないですか。
  63. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 都市によりましては、若干そういうふうな御指摘のような点はあろうかと思いますが、全国的に見ました場合において、新しい補助対象の施設の基準を主要な管渠の対象を告示で客観的にきめておりますので、この基準に合致したものを補助対象として取り上げるというのが五カ年計画の中身になっております。この基準といいますものが、決して絶対的なものではないわけでございます。まあ突き詰めて言いますと、下水道全体の投資額の中での、いわゆる国費の割合といいますものが確かに低い、これを、さらに対象率を引き上げるべきであるというふうな考え方も当然あるわけでございます。この対象率が上がりますならば、この告示の考え方もまた変わってくるというふうなことになろうかと思います。
  64. 春日正一

    ○春日正一君 まあ対象とする基準に合致しているものを単独事業でやらせてきたということがすでに問題だと思うのですよ、つまり、金を出さなかったということですから。それを補助対象率を少し高めるためにいままで補助してきたものを対象外にするということでは、これは筋が通らないのじゃないか、そこのところはどうなんですか。
  65. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 今回の措置は客観的に補助対象となるべき施設を明確にしろというふうな強い御意見なり、そういうふうな御要請がございまして、私どももこれは非常にむずかしい政令の基準であったわけでございますが、いろいろ努力いたしまして、こういう基準をつくったわけでございます。したがいまして、基準をつくりました以上は、今後はこの基準に従いまして客観的に各都市ごとの下水道につきまして補助すべきものというものを明確にしてまいりたい。  それから、この基準以下のものにつきましては、当然この基準までは対象にしてまいるわけでありますから、基準以上のいままで補助を受けておりました都市がこの基準まで下げるのはおかしいじゃないかというふうな御指摘でございますが、これは、全国的な立場でこういうものさしをつくりましたので、ものさしそのものは、これは私ども不満でございますけれども一つ基準をつくった以上は、ひとつこれにならいまして各都市の下水道事業を進めてまいりたい、せっかく基準をつくりました以上は、その基準に従うのは当然でございますので、そういう考え方でまいりたいと思います。基準そのものの引き上げにつきましては、別途私どもは努力してまいりたいと思います。
  66. 春日正一

    ○春日正一君 今度の省令では一般都市では口径六百ミリ以上、下水排水面積一ヘクタール以上のいずれかに該当しなければ、補助事業にならないということになっていますね。しかし、私が四年前に質問したときには、当時の竹内局長は三百五十ミリや四百ミリでもあるいは〇・三ヘクタール以上であれば、補助対象にしているというように答えているのですね。私は速記録を重いものだから持ってこなかったけれども、そういう答えがされている。そうすると、やはり六百ミリの一ヘクタールという基準がきめられても、事情に応じては基準をもっと下げて考えるということがやられるのじゃないか、その辺どうなんですか。
  67. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 過去におきましての下水道の補助対象の取り上げ方は確かに不明確でございました。その年々の予算のワクの中において操作をしてまいったということが事実でございます。  それから御指摘のように、〇・三ヘクタールというふうなそういう最低基準を設けた時代もあったようでございます。一これはその〇・三へタタールは内規できめました最低基準でございまして、それ以上のものについて補助対象として取り上げることができる、こういう考え方であって、必ずしもそれでも全部補助対象にいたしますというふうなことでなかったようでございます。今回の基準につきましては、先刻申し上げました一般的な基準のほかに従前との関係で特に著しくアンバランスになるという都市につきましては、激変緩和の措置を講じまして、急激に下がらないというふうなことは考えていきたいと思います。
  68. 春日正一

    ○春日正一君 具体的に問題出して見ますと、埼玉県の大宮市の場合ですね、現在までのこの敷設管の延長が十四万三千メーター、その口径は二百五十ミリから二千ミリということになっているわけですけれども、このうち大きいほうから補助対象率の七五%をとって、三百五十ミリまでは補助対象になっていたというふうに聞いております。ところが、今度の省告示でいきますと、予定の処理面積五千ヘクタール以上というのが適用される。これでいくと一番高いところですね、この表でいくと。それが適用されて口径は八百ミリ以上、それから下水の排水面積三ヘクタール以上と、どちらかでなければ適用されないということになったために、実質的には補助対象率が五〇%近くに落とされることになっている。これが大宮市の実情です。それで大宮市では四十七年度はそういう事情で補助対象率がそういうふうに高いところへきめられたものだから、それに合うように幹線をやるようにして、何とかそれを維持するというようなやり方をとっているようですけれども、しかし、太い幹線ばっかりやってられませんから、細いほうに入れば八百以下になれば対象にならない。そうすると大宮なんか一般都市ですから、七四%の当然対象率になるべきものが、五〇%前後に落ちてしまうということになるわけですね。そうなると、結局補助率が新しい告示によって引き下げられるということになるわけです。そういうわけで、大宮市では補助対象になる管渠の口径、下水の排水、排除面積をどのように続けていくかということで、予定の処理地域の取り方を問題にしているわけです。つまり建設省のとり方では、荒川左岸流域下水道完成時の面積ですね、昭和六十年五千ヘクタール以上、この中には都市計画の調整区域も含まれているんですね、現在調整区域になっているところも。これだと口径は八百ミリ以上になってしまう。ところが市のほうでは、現行の五カ年計画の完成時の面積ということをとりますと、これは千七百二十ヘクタール、この面積でいけば、口径七百ミリまでが補助対象になるということになる。そうすると、これでも七百と八百というこの対象の違いでも、対象率にして約一〇%の差が出てくるし、金額にすれば五カ年間で五億四千万の差が出てくる。だから大宮市としては、こういうとり方をしてもらえぬものか、つまり、荒川左岸流域下水道の完成時、そこまで含めてですね、六十年の、そうしてこの五千ヘクタール以上ということで八百ミリというとり方じゃなくて、五カ年計画でやっていくんだから、いまの五カ年計画の完成時の面積千七百二十ヘクタールで対象率をとるというようにしてもらえぬかということを問題にしておるわけですけれども、この点はどうですか。
  69. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 大宮の具体的なお話でございますが、私ども実体をまだよく大宮について準備をしてまいっておりませんので、よくわからない点がございますが、一般的に五ケ年計画としては、各都市ごとに五カ年で成立すべき下水道の面積というものをセットいたしまして、それで投資額というものを積み上げております。それをやりました結果、五ケ年間の補助対象率が大宮の例で申し上げますれば五〇%になるというふうなことになりますならば、一般の基準が七四%でございますから、非常にこれは激変的な問題になる。したがって、そういうものにつきましては、七四%になるようなそういう考え方で区域のとり方とか、そういう点についてアジャストをしたい。まさに激変緩和の措置というのはそういうふうなこと、そして規定が設けられた趣旨でございます。具体的には大宮市をどうするかということはいろいろ検討いたしたいと思います。考え方はそういうことでございます。
  70. 春日正一

    ○春日正一君 大宮の問題、私以前にも問題にしたことがあるんですが、やはり、そのときからこの問題は問題になっているわけです。それで建設省の告示の中で考えても、現行の五カ年計画完成時でなくて、十数年先の流域下水道完成時の予定処理面積というようなものを土台にして、それで現在市街地でない調整区域までも含めて処理面積として、それをもとにして適用対象として八百ミリというのをきめるというのは、現実的じゃないと思いますよ。いま局長も言われたように、いまの五カ年計画の中での事業計画なり対象面積というものを積み上げてみて、それを補助の対象として扱っていくということでなければ、これはかなり無理が出てくる。だから、そういう点では、いま言われたことは、先ほど私が言ったように、大宮市としては、だからいまの五カ年計画の終了時の面積ですね、千七百二十ヘクタールですか、そういう面積として扱ってもらえれば八百ミリが七百ミリに下がる、そうすれば対象率はせめて一〇%は上がるんだ、そういう扱いしてもらえないかというようなことを現に問題にしておるわけですね。だからそういう点から言えば、いま局長も五カ年計画の対象面積なり事業量なりを積み上げていくという話をされたんですけれども、むしろ大宮市の言っていることが認められ得るというような気がするんですが、しかし、ここで局長のほうも、この問題については具体的に知らぬと言われますから、ここで私はすぐにそれを適用してくれるかくれぬかという返事をしてくれという質問をすることは無理だと思いますけれども、しかし、その点は一度研究してみてほしいと思う。ああいう大きいところで、大きい管だけ補助を受けても、やはり小さい管が伸びていかなければ下水道として役をなさぬわけですから、やはり一般の対象七四というようなことをきめたんなら、それに近いものになっていくように、当然やらなければそこに不公平が出てくる、そういうことになるわけですから。  そこでもう一つ一般的な問題として、著しい差異ということが出た場合には考えるということですけれども、この省の告示の矛盾の一つとして、管渠のとり方を別に考えるということで言われているんだけれども、著しいというのは一体どの程度の、七四%といわれているそれとの差がどの程度の場合に著しいということばが当てはまるのか。さきに都市の名前が出たところは大体五〇%というふうに言われているのですね、適用率。二四%違いが出るわけですから、そうすると、かりに七四%という一般的な基準に比べて五%低くなってもこれはたいしたことじゃないと、あるいは一〇以上下がればこれは著しいということになるのか、その辺の目安ですね、これどの辺に置いておられるのですか。
  71. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 私どもの中の考え方としましては、平均的な基準に対しまして二〇%程度の差が出る場合には著しいということでございます。
  72. 春日正一

    ○春日正一君 まあそれはあまりひど過ぎると私は思うけれども、しかし、この省の告示の最低六百ミリ以上とか一ヘクタール以上という数字は、ここから先は補助の対象にすべきであるとかすべきでないとかという明確な合理的な理由、そういうものがあってきめておられるのですか。この六百ミリあるいは一ヘクタールというような基準ですね。そこを補助の対象の基準にきめているわけだけれども、そこの合理的な根拠というものはあるのですか。
  73. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) これは先ほどもお答え申し上げましたように、なかなか明確な合理的な根拠ということになりますと、非常に説明がしにくいのでございますが、要は主要な管渠、下水道はいろんなパイプがあるわけでございまして、そういう主要な管渠について国が補助をするというたてまえになっております。その際、主要な管渠とは何ぞやというふうなことから、こういう告示でもって予定処理区域の面積、それから特定の管渠が受け持つ排水区域の排除面積でございますか、それとの関係、関連を見ながら、まあここにございます一般都市の場合でございますならば一ヘクタール以上の下水道排除面積、そういう受け持ち区域の面積については六百ミリ以上が主要な管渠でございますよ、そういうものにつきましては国が補助をいたしますという基準をきめたということでございます。
  74. 春日正一

    ○春日正一君 この補助対象率をこの五カ年計画の中できめるのに、大蔵省との間で五七%ということにきめたんで、この五七%のワクの中にはめるには六百ミリと一ヘクタールということにすればはまるというような、つまり予算上の理由からこれきめたというような事情じゃないんですか。
  75. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 先ほど申し上げましたように、下水道投資の全体の中の国費の割合というものがございますので、そういう国費の総ワクとのからみにおきましてこういうふうな基準をきめたという面もございます。
  76. 春日正一

    ○春日正一君 しかし、補助対象率が、比較的整備の進んだ都市とか大都市は起債能力があるからというようなことで補助対象率を落としている、そういう傾向があるわけですけれども、これはぐあいが悪いんじゃないか。というのは、そういう大都市では下水道をつくるという必要が非常に高いわけだし、そのために多くの予算もとらなきゃならぬわけですから、当然やはりそういうところに応じて、たとえば東京とか大阪とか考えてみても、大規模な下水道をつくらなければ河川の浄化というような面から見てもならないようになって、非常に大きな下水道の需要がある。こういうところへは対象率なんかうんと富裕都市とかなんとかという形で低くなっているというようなことですけれども、いま言ったように、そういう都市ほど一方では河川のよごれもひどいし、環境保全のために最も下水道の整備が必要になっているところだというふうに考えると、やはりこういう点でこの差別をつけてくるというようなことは一つの矛盾になってくるので、補助の対象率を引き上げて、もっと早くそれができるようにするということにすべきじゃないかと思うのですけれども、その点では小さいところは小ないなりの事業に補助も必要になるでしょうし、同時に大きいところでは大きいなりにより多くの下水道の需要があるわけですから、当然それに対して必要な補助を出すということにしなければこれは追いつかなくなる、そういうふうに思うのですけれども、その点どうなんですか。
  77. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねのことに関しましては、もう確かに御指摘のとおりだと私ども思います。過去のいろんないきさつがございましてなかなか先生御趣旨のような現状になっておりませんことは非常にこれは私ども残念なことだと思っております。補助対象率につきましては、全体の補助対象率を上げるということと、大都市と一般都市との差をなくしていくという二つの実は形があるわけでございますが、なぜ差があったかということにつきましては、これはずっと過去の問題でございまして必ずしもつまびらかにいたしませんが、まあ、財政力が大都市は一般都市よりかはある。したがって、起債能力もあり償還能力もあるから、補助金もさることながら起債でもって下水道をやったらいいじゃないか。そのかわり起債の充当率は大都市は十分見てあげましょう、こういうふうな考え方が実はあったと思うのであります。ところが今日におきましては、下水道が全国的な一般都市にも行なわれるようになりましたしいたしまして、起債の充当率なんかも大都市も一般都市も変わらぬわけです、差がないわけでございます。まあ、そういうようなことからいきまして、私どもは、今後はこれはやっぱり大都市も一般都市も差をつけるべきじゃない。やはりこれと合わせるような、均衡のとれたような方向で補助対象内容を考えていくべきだという基本的な認識に立っております。これは何しろ国費の総ワクがございますので、なかなか総ワクというのは急にふえませんので逐次近づけるような、差をなくすような方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  78. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、やはりそういうことだと私も思うのですよ。これは建設省とすれば、いまの下水道がどんなに緊急に整備しなきゃならぬ状況になっているかということは十分知っておられることだし、そのために必要な予算というものは請求しておると思うのですけれども、それがやはり十分満たされない。そこからくる矛盾がいまのような形で随所に出ておるということだと思うのですけれども、その点では四十五年十二月の公害国会のときに、下水道法改正の審議の際に、私は新五カ年計画でも政府のきめた環境基準を維持することはできない。やはりその規模をもっと拡大し、補助率を引き上げ、補助対象事業を拡大する必要があるということを主張して大臣の意見を求めたのですけれども、当時の根本建設大臣は、まず新五ヵ年計画の規模を認めさして、その上で今度は負担の問題、補助の問題に努力をしていきたいということで、建設大臣としてのえらい苦心のほどを披瀝されたんですけれども、しかし、現実にはいま言ったように基準がきまってくると、そのために補助対象率が下げられるというようなところが出てきておるというような状態になっておるわけです。  そこで、大臣にこれは最後にお聞きしたいんですけれども、補助率なり補助対象率の拡大の問題。それから、下水道の予算をもっとふやすという問題について所信をお聞きしたいと思うんです。  きょうの審議は下水道センターの問題の審議ですけれども、私どもセンターを設置することにはちっとも反対じゃないんですけれども、しかし、やはりセンターを設置するにしても、下水道予算をもっとふやして、もっとたくさん、早く下水道をつくらなければいまの環境汚染を防いでいくということに間に合わなくなるのじゃないかと、そういう立場で下水道の予算の問題をお聞きしたんですけれども大臣のそれについての所信をお聞きして、私のこの質問は終わりたいと思います。
  79. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 下水事業がもういわゆる生活環境の改善のもとになっておりますので、政府も力を入れておりますが、力を入れたといってもごく最近からでございます。さかのぼりますると、私は前の建設大臣のときに初めて、第二次の五カ年計画相当にがんばったんですけれども、五カ年計画で九千三百億円、これでは絶対だめだといったんだけれども、政府全体のことでああいうふうにきまったんです。ようやく世論が、また皆さま方のお力によりまして、実は九千三百億円の第二次計画の二倍以上のこんな第三次五カ年計画のような膨大な五カ年計画はほかにありません。それは全くこの国民の声、世論でこうなったんでございます。しかし、これによりまして、十分今後やれるかというと、五カ年でようやくさいぜんも申しましたように、まだまだ低いレベルにしかならない。非常にこれは歴史がございまして、いままではどちらかというと、下水道はまああまりとんちゃくは非常になかったので、われわれのほうでも、建設省でもとんちゃくはなかったし——とんちゃくは全然なかったわけじゃありませんけれども、大蔵省もそうでございましたけれども。  そこで、その補助率、補助対象はまた都市によって違う。同じ下水でも、ものによっても違う、所によっても違うと、種々雑多でございます。これは非常に長い歴史があるようでございますから、一がいにこれは直すわけにいきませんけれども、いまあなたが指摘されましたように、何と申しますか、その地区によりまして全部補助率は違う。私は、それは大蔵省とどういう話をしておるのか知りませんけれども、管渠の大きさでもって補助率が違うと、こういうようなこと、どうもよくわからないんです、私自身が。しかし私は整理してみたいと、かように思っております。整理する方法はあると思います。下水道は始末をする処理場とポンプ場と管渠です。管渠はその大きさ、長さを相手にするんではなしに、管渠はおのおの任務があると思うのです。毛細管から枝線から目になるところ、ですから、そういうところは都市のいかんを問わず、もう少し統一的にやらないと、事務的にもう繁雑で、そのために、非常にわれわれが繁雑なのみならず、現地はもっと繁雑であろうと思う。施行するほうはもっと繁雑になりますパイプの大きさといっても何種類あるかわかりません。二メーターから小さいのは二千ミリメーター、二千三百ミリメーター、二千四百ミリメーター、もうたくさんあるんですよ。そこで将来人口もふえることでございますから、やっぱりある程度の見越しをして今後統一的にやらないと、ことごとくこれは施行に能率が悪い、製作にも能率が悪いということになりますから、この点につきましては、いまようやくその緒についたばかりでございますから、私は十分今後このやり方につきましても考えたい、かように思う次第でございます。  もう一つ、予算が少ないじゃないか、そんなことじゃどうにもならぬじゃないか、五カ年計画を改定してでもやれということを申しますが、これは一応五カ年計画としてきめたのでございまするから、きめたばかりですから、あまり改定をする気持ちはありませんが、改定しなくても、繰り上げ施行ができるわけです。したがいまして、やろうという気があれば、現在の五カ年計画は五カ年計画として、繰り上げ施行したらいいんです。私も役人でございましたが、昔の五カ年計画即継続工事というのは、初めの率が大きかったんです。初めはその三〇%くらいいって、そうしてだんだんしまいのほうで、それは初めに効果を、公共事業のためには初めに投資したほうが得だという考え方、それからだんだんしまいにいくほど少なくなった。いまの五カ年計画のやり方は、初めは非常に少ないんです。そしてじわじわやる。それから最後になればそれは持ちこたえられぬ、それで五カ年たたずに三カ年で改定と、いろいろ順送りで悪いこと重なっておるんでございます。政府はもう発想の転換と申しておりまするから、これはひとつこういうことにつきましても十分これは新全総の関係もありますが、そのうちでも下水道等は最も建設省としては強力にひとつ主張しなければならぬもんだと、まあかように考えております。いろいろなむずかしい、いろいろこまかい点もありますけれども、私は建設省として最も大きい、国の仕事としては最も大きいのは生活の環境の仕事、かように思っておる次第でございますから、どうぞ御協力をお願い申し上げます。
  80. 田中一

    ○田中一君 私は、いままで四氏が質問されたもの以外の点についてただしておきたいと思うのであります。  最初に伺いたいのは、下水道利用者の地元負担金であります。地元負担金と申しますか、結局、利用者の負担金、これが一応きめられておりますけれども、各市町村等におきましては、その公共団体の財政力によっていろんな形で負担に差異があるということがいままで指摘されております。  そこで、原則的なものは示しておられるようでありますけれども、その点はどういう形で、それが実施されておるか、現状について御報告を願いたいと思います。
  81. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいまのお尋ねの件は、受益者負担金のことだと思いますが、もう先生御存じのとおり、受益者負担金につきましては、私どものほうで標準条例というものを設定いたしまして、それで今日まで指導してまいっておりますが、その標準条例の考え方は受益の測定と申しますか、受益者負担として関係の権利者に負担をしていただく総額を、この標準条例では総事業費の五分の一から三分の一というふうなものさしを一応きめております。ただし、これはその地区全体の総事業費でございまして、その中で道路とか公園といったようないわゆる公共用地が、こういうものは減免の措置というものが当然なされることになりますので、実額といいますか、一般の宅地として受益者負担金を納めますところの総額は大体総事業費の一割から一割五分というふうな範囲におさまっているところが多いというふうに承知をいたしております。具体的に負担金の実額はどうかということでございますが、これは平米当たり百円から二百五十円程度の負担金ということになっておるようでございまして、しかも、これは徴収方法は三年から五年に分割いたしまして納めてもらうというふうな扱いにしております都市が大部分かと思います。基本的な私ども指導の考え方はそういうことです。
  82. 田中一

    ○田中一君 これは自然と申しますか、人為的に農地がどんどん蚕食されて市街地を形成する。かつて地元負担金の率等を完成した区域までさかのぼって新しく負担させるという傾向が各中小都市に多いわけです。おれの前にはもう下水道がきているんだというにかかわらず、下流の下水道の施設をつくるその場合にも負担をさせるというようなことが新都市に行なわれておりますけれども、それらは何か明確な基準で示して同じような公平な率を課しているのか。いま言うとおり、相当な幅があって、その幅を公共団体そのものが自分のところの事業費並びに補助金等から勘案して負担金を課しておるのか。その点は非常に格差があるように承知しておりますけれども、その点はいま言うようなあいまいな、この幅からこの幅までいいんだというようなことでは、今日のように消費者が相当大きな声でものを言う段階になりますと、問題が各地方で起きております。この点は実情はどうなっておるか。実態論として現在あるところの、いま推進させようとするところの下水道の普及という面から見てどの程度になっておりますか。
  83. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) お尋ねの点は、ある都市におきましてすでに下水道がもう完成している区域と、それから新しく新市街地で下水道をこれからやっていくというふうな場合に、すでに完成しております既成のところにも、下水道がもう整備されている区域にも、新しく整備する下水道投資の一部を受益者負担金として負担をかけているという例があるんじゃないかということかと思いますけれども、先ほど申し上げました標準条例には、そういう場合の扱いについては取り上げてないようでございますが、私ども指導としましては、やはり住民の負担の公平をはかるというふうな見地からいたしまして、何も下水道がもうすでに完備しているところの住民に対してそれを遡及して負担金を取るということではなくて、これから新しく下水道を整備して、そういう新市街地にこれこれの下水道投資をやる、それについてのいわゆる受益者負担金的なものについて負担の公平という点から、ひとつみんなでこれを持ち合ってもらう、新しく下水道が入るところの人だけでなくて、すでに下水道を享受している住民も含んで一緒になって負担をしてもらうというふうな考え方で、完成したところの地域の住民に対して負担をかけているという都市があるようでございますし、これは当該市町村の考え方、市長さんの考え方とか、そういうふうなもので、最終的にはきめられることではございますが、負担公平の原則からいきますと、そういう考え方もあってよろしいのじゃないかというふうに私どもは理解をし、そういうふうな指導をしてまいっているような状況でございます。
  84. 田中一

    ○田中一君 市町村の長は選挙によって出ているわけであります。だからなるべく負担は直接の利害関係者、利用者にかけたほうが得である、損得の問題を言うとおかしいけれども、選挙の場合に。そうしたいと思っても、建設省のほうでそうじゃないのだ、それはもうかってできておるところのものに、その区域を全市とは言いません、その区域全体に負担させたほうがいいのだというような指導をしておるのですから、ケース・バイ・ケース、いろいろな地域における実情から、おまえのところはこうしたほうがいい、おまえのほうはこうしたらいい、こういうような指導をしているのですが、えてして建設省指導によって、それを市会で強行しようとする傾きがある。したがって地域住民の意思じゃなくして、建設省一つの仮定した方法を、おまえのところにはこの方針でやれ、こういうような指示をする、そうすると、それは議会に広域の負担をかけるというような方法を市議会に上程するということがトラブルのもとになっている。これはそういう例はたくさんあります。したがって、実情から見て、当然これは負担すべきではないかという判断はどういうところからきているのかということを伺いたいのです。そうかと思うと、いやこれはその地域住民だけに負担させたほうがいいのだというような指導をしている場合もある。私が常に言っているのは、政令等によって非常に地方の都市でも最近は下水道があるところとないところはたいへんな違いです。ことに新興都市、市民の知らないうちに自分の市が膨張している、そうして区画整理もしないところにどんどん住宅が建てられる。また、宅地が開発されるという場合に上流のものにも同じような負担をさせるということ、これは非常に市全体として、市全体の公平という面は、一面いいかもしらんけれども、市理事者の提案というものでものがきまっておりますから、その場合に、どういう場合にそういうことを指導するか、こういう場合にはこうするかというケース・バイ・ケースできまっているのだと思いますけれども、本省の指導によってそのような判断を市長が、事業の主催者がして、それを提案するという形がある。こういう問題はやはり大きなトラブルを生むだけでありますから、完全に自主的に、市の自主性によって市議会がきめるというものならいざしらず、これを市長は聞かなければ補助金等が軽減されるのじゃなかろうかというような判断から強行するという地域があります。こういう点については、そういう混乱のないような形の、市民に納得させるような形の負担方法を定着させなければならぬと思うのです。むろん地域差、この格差がありましょうから親切に出向いて、そうして、そこでこの場合にはこうだというような指導をしているものと思うけれども、そういう問題が一つのトラブルになり、また、政争の具に使われるということになると、これは地域住民ははなはだ迷惑な話なんです。こういう点については何かはっきりした具体的な指導、出向いて行ってこの場合にはこうだ、だからこうしたほうがいいんだというような納得をさせるような方法をとっておるかどうか、その点もう少し詳しく話していただけませんか。もし、また場合によっては一つの事例をあげて、たとえば大阪府下の例をとっても急速に市街化されてきている地域、どの辺だろうかな、東大阪地域でもいいし、どこでもいいから例をあげて説明していただきたい。
  85. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 具体的な都市についての東大阪と、こうおっしゃいましたけれども、ちょっと……それじゃ、後ほど部長からその辺の状況の御報告をさせますが、その前に、建設省の基本的な姿勢でございますが、これはもう先生御存じのとおり、旧都市計画法時代は受益者負担金関係建設省が省令できめておりました。ところが、新都市計画法になりましてから、すべてこれは条例でもって受益者負担金はきめるというふうな立て方に変わったわけでございます。でありますから、新法以後におきましては、これはあくまでも市長が市議会等にはかりまして、そういう制度をつくってやるかやらぬか、やる場合はどうするかということがきめられるという性質のものでございます。ただ、私どもがいろいろこれにつきましての行政指導をいたしております。その際の考え方は先刻ちょっと申し上げましたように、下水道事業というのは長期にわたりまして継続して実施してまいっておる事業でございます、各都市ともでございますから、過去においてすでに整備されたところと、これから大いにやらなきゃならぬ、そういう地域住民が同じ都市の中にあります際に、やはり負担の公平といいますか、そういう基本的な考え方がありまして、そういう観点から、すでにもうできたところの人にも御協力をいただくということがベターじゃないかというふうな、そういう考え方が根底にあるんじゃないかと思います。私どもはそういうふうな負担公平論からいきまして、この受益者負担金をこれから整備するところに限らず住民全体の下水道の受益を受けるところの区域の関係の権利者から見てもらうというふうにしたほうが、この負担金制度の趣旨にも沿うじゃないかというふうな考え方に尽きると思います。しかし、これは何も強制をする性質のものではさらさらございませんし、相談を受けました際に、私どもはそういう考え方でアドバイスを申し上げておるという事柄でございます。  具体的な東大阪市の例につきまして、下水道部長からお答えいたします。
  86. 久保赳

    説明員久保赳君) 受益者負担金に対する具体的な指導をどうしておるか、現地に出向くなり、あるいは市町村段階でどういうふうにしてやっているかと、こういうことに対してお答えいたします。  下水道受益者負担金は一般的には、先ほど局長から御説明がございましたように、標準条例をお示しをして、それに基づいていろいろ地元で御検討いただくわけでございますが、標準条例だけではなかなかわかりにくい、こういう場合がきわめて多うございます。したがって、私どもでは地元からの要請に応じまして、地元に出向きまして、たとえば受益者負担金特別委員会であるとか、あるいは担当の下水建設委員会であるとか、そういう委員会の諸先生方と十分標準条例の不明確な点あるいは各市民の方々の疑問と思う点についてお答えをしてきております。現にたとえば大阪付近の、先生が御指摘の、急速に市街化している地域一つの例としまして門真市というのがございますが、門真市等に対しましては、数回にわたってこの特別委員会の先生方と意見を交換をいたしておりまするし、この近くでは、たとえば東京都下の武蔵野市が数年前にこの制度を取りましたけれども、その場合にも武蔵野市の市議会まで出向いて参りまして、そこで御説明を繰り返し、あるいは御質問に答えるとか、意見の交換をいたしておりますが、基本的にはこの制度はやはり住民の方々の負担の公平ということが原則でございますので、その公平の原則に沿ったことを中心に私どももアドバイスをいたしますし、最終的には市議会の議を経て条例化されるということでございます。この件につきましては、一般の土地の所有者の方々にだけ負担をさしていただくのではなくて、下水道の区域の中に国有地があれば、国でもその負担金を予算化をして支払うことにしておりますし、その中に県有地あるいは市有地のような、たとえば市立病院であるとか、県立病院であるとか、そういうような病院が下水道の整備される区域の中にあれば、この区域、その当該土地の所有者である県あるいは市、これらも予算化をすることにいたしておりますので、いろいろお話を申し上げている間に大体御理解がいただけて、最終的な成案を得るというふうな事例が非常に多いということでございます。
  87. 田中一

    ○田中一君 下水道に流れ込む自家用の排水と雨水との比率はどんなふうに、地域差がこれはむろんあると思うのでありますが、その場合には自分の家から出る排水と、それから雨水ですね、こういうものの比率はどんなふうに考えておりますか。そういう面から負担というものが考えられておるのかどうか。何といっても、たとえば少数の家族のものが広いうちに住んでいれば、これは流すものは少ないわけです。むろん面積といっても、それは流れるのは小さなうちならば雨水が流れる。道路の上でも広い道路だと必ず水は、コンクリートの道路ですと、雨が必ず下水に流れます。その負担の率というもの、範囲というものには幅があるけれども、どれを、どういうものを基準にして、君の地区ではこうだとかいうように算定するのか、これは非常にケース・バイ・ケースで問題があると思います。むろんいままでは所有する土地の面積、それから利用者にすれば、住んでいる家の面積が基準になると思うけれども、その点は公平公平といって、公平であるはずのものが不公平になる。また、相当年間の雨量が多いところは雨水のためにあるのじゃなかろうかというような懸念もある。こういう点はもっと科学的な分析というか、比率を求めておるのかどうか、これは久保君に伺います。
  88. 久保赳

    説明員久保赳君) 一般的に下水道計画全般、これは平均でございますから、場合によっては若干ずつ食い違う場合もございますけれども、下水道全体の施設のうち雨水を処理するに必要な部分は約七〇%でございます。残り三〇%ぐらいが汚水を集め、かつ処理をする経費でございます。場所、地形によって若干相違がございますが、平均的にはそのようでございます。  それからなお、受益者負担金が総事業費の三分の一ないし五分の一ということを先ほど都市局長から説明をいたしたわけでございますが、これは雨水、汚水を含めまして総体の下水道事業費の三分の一ないし五分の一ということできめておるやけでございますが、そういたしますと、下水の総排除面積について単位当たりの平米当たり大体百円から二百五十円ぐらいになるのが実態でございます。そのような平米当たり百円ないし二百五十円というものが、いろいろ議論をしているうちに下水道の受益というものは大体平米当たり百円から二百五十円ぐらいの範囲ではなかろうか、そういうことが関係者みなの合意に達して条例がきまるというような結果が非常に多うございますから、それから逆に下水道施設の受益というのは大体その範囲じゃなかろうかということを経験的に、あるいは過去からの積み上げによって測定をした。そうしてその数字を用いているというのが実態でございます。
  89. 田中一

    ○田中一君 そうして求められた数字というものが市長の、事業主体の意思によって提案される。そうして市議会の決定を見るということなんですね。門真の例を出しておりますけれども、門真などはそれぞれそれに対する負担の、完成区域と未完成区域の負担の問題を公平という名において、完成区域にもそれを賦課させようという考えに立って、たいへんな長い間それに対する問題で市議会が紛糾した例を、これは久保君御承知のとおりです。そうなると、その地域ではなかなかそれが推進されないわけです。ただ、その場合に一つの推計の累積から一応の単価、負担金というものが出た場合、これがひとつ動かないものであることを望みたいわけです。これはむろん地域における差異はございます。門真は二百五十円、ところがここは傾斜地が相当あって、こういうものだからもっとその負担が軽くていいんではないかというような点で安いところもあるわけです。それがさっき言ったような幅で、それを示していると思いますけれども、そういう点が、全体の監督をするのは本省の建設省のはずでありますから、これについては最初に、それに対する国全体の推計からくるところの累積というものじゃなくて、ケース・バイ・ケースで一つの標準をきめるというような方法を、不動のものを示すということが先行したほうが問題が少ないわけなんです。したがって、今後ともそういう方向でいっていただきたいのが一つであります。  それからもう一つは、下水道といっても都市下水道、公共下水道、流域下水道、特定公共下水道等があります。この特定公共下水道、これはまあ公害国会でこれが生まれて、初めて個人の工場等の排水を処理する法定されない下水道ということだと思いますが——違ったら教えてください。それでこれに対してどのくらいの財政補助をしているのか。またこれはその掃き出すところの汚水の水質によって違ってくるのか。あるいは発生源であるところの工場その他がどのような形でこれを負担しているのか。またどのような率で負担しているのか。その点も説明してほしいと思います。
  90. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まず不動の基準を示したほうがかえって混乱を起こさなくていいんじゃないかという御意見でございますが、これはなかなか下水道を実施しております都市によりましていろいろ事情もございますので、はたしてそのほうがいいか悪いか、これはもう少し議論をさせていただきませんと、簡単に私は結論が出ない問題ではないかと思います。十分これはこれから検討させていただきたいと思います。  それから特定公共下水道でございますが、これは新しい下水道法で新しくそういう名前をつけられたわけでございますが、これは主として工場排水を処理するためにそういう工場が主体になりまして、事業は公共団体がやるわけでございますが、行なわれますところの下水道を特定公共下水道と言っておりますが、これにつきましての財政負担の考え方でございますが、現在の新しい制度におきましては、全体の事業のうち三分の一を企業者が負担をする。つまりイニシアルコスト、建設費の三分の一を企業が負担いたします。残りました三分の二につきまして国が三分の一の補助をいたします。ですから国の補助は九分の二になるわけでございます。残りの分は公共団体が負担をする。この場合におきましては、県が事業主体であります場合は、県と地元の市町村がそれを折半するとか、何とかというふうな例が多いようであります。  そこであと水質の問題でございますが、いま申し上げましたのは、イニシアルな建設費をそういう割合でもって負担してもらうという考え方でございますが、あとの維持管理等につきましては、水質との関係相当管理費がかかるということが当然予想されますので、これは使用料という面におきまして、従前の単に水量の量だけの使用料でなくて、水質を加味したようなそういう使用料を取るべきであるというふうな考え方から、先般の下水道法の一部改正におきましてもそういう手当てをしてあるわけであります。したがいまして、今後この特定公共下水道につきましては、そういう水質使用料を加味したような使用料の制度がだんだん定着してくるというようなことになろうかと思います。そういうような指導を私どもこれからやっていきたいと思いますが、これは非常に新しい問題でございまして、非常にむずかしい問題がございますが、今後十分私ども勉強いたしまして適切なそういう水質使用料が取れるような指導を徹底してまいりたいと考えております。
  91. 田中一

    ○田中一君 農地の転用によって相当大きく農地がつぶされております。そうすると大体都市周辺の農地、市街化されてしまったところの地域の農地、これに必ずといって農業用水があるわけです。この農業用水、これはもはやその地域が市街化されてまいりますと、これは都市下水道と同じような役割りしか持っておらないわけです。むろんそこにそれこそ無秩序に、かって気ままにそこに、場合によったらごみ捨て場になっている、物を捨てている、それから汚水はどんどんかってに流し込むという現状。これは少なくとも、その用水路に対して都市下水道という指定ができれば、これは管理者がそれに対してごみの投げ込みとか何とかというものは規制できますけれども、所有者が農民だ、農民がかつて開さくした用水路であって、というふうなものが残っているものが相当あろうかと思うのです。今度の都市計画法によって市街化区域、調整区域と分かれましたが、市街化区域の中でこれがどのくらい残存しているか。いわゆる農業用水が農業用水としての機能を失って、無主物的なものになってしまっている。場合によると、利水組合などは解散してしまっている、だれのものかわからぬ。ただそこに掘り割りが、用水路が残存している。だれも維持管理しないのだというようなものが相当数あると思うのです。これらを久保君のほうで調べてどのくらいあるか。それはこの場合には、これはどうしてもその用地は民有地でありますから買い上げるなり、あるいは寄付させるなりして、完全に都市下水道として接収して、地方公共団体の、区なら区、市なら市がこれを下水道として管理をするというような方向をとらないと、それこそ埋没してしまうというようなことになろうかと思うのです。したがって、こういうものがどのくらい、今度の都市計画法によるところの市街化区域に残存しているか、そうして、それに対する手当てがどのように行なわれているかという点を伺いたいと思います。
  92. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 残存いたしておりますところの農業用排水路がどのくらいあるかというお尋ねにつきましては、ちょっと現在手元に数字的なものを持ち合わせておりませんので、これはすぐ調べがつきますかどうか検討さしていただきたいと思いますが、市街化区域設定の作業等におきまして、まあ先般第一次の分について鋭意線引きをやってまいったわけでございますが、この市街化区域の面積が百十八万、約百二十万ヘクタールでございます。で、この百十八万ヘクタールのうち、土地利用の現況からいきまして、農地が三十万ヘクタールというふうな数字が出ております。で、この三十万ヘクタールの農地につきましては、当然そういうかんがい排水関係の用排水施設水路があるというふうに考えられると思います。で、これらの扱いにつきましては、先刻先生も御存じのとおり、市街化といいますのは、そう一ぺんにできるわけではございません。十年とか十五年かかって、まあ逐次市街化が行なわれていくわけでございます。その間、当然農業というものが継続されるということになりまして、片や市街化のためのいろいろな都市投資、なかんずく下水道とか、そういうふうな整備をもやってまいらなければいけません。片やその間におきまして経過的にやっぱり農業というものが当該地域において営まれるということが当然予想されるのでありまして、その間に農業用排水路と都市排水との調整をどうするかと、非常にこれはむずかしい問題が実はあるわけでございます。で、手当てをどうするかということでございますが、これは結局まず基本的には市街化区域を設定されますと、総合的な当該区域内の総合排水計画というものを立てなさいというふうに都市計画法ではなっております。その総合排水計画に基づきまして、これはむろん都市河川——河川にも関係いたします。都市河川並びに下水道の整備というものもやってまいるわけでございますが、その際に、農業用排水施設の関係もそこにおいて考えていかなければならぬという基本的な考え方になるわけでございます。具体の話としましては、これはケース・バイ・ケースでございまして、完全にもう農業用排水としての機能を喪失したような、そういう水路がございますならど、これはまあものによりましては都市下水道として取り込み、あるいは公共下水道の雨水関係の排水施設としてそれを取り込むとかいうふうなことになろうかと思いますが、ものによりますれば、経過的には、下水の関係の雨水渠と、それから農業の用排水施設、これを兼用させる、そういうふうなのも相当あろうかと思います。その際におきましては、当該水路の断面等が現状でいいかどうか、これを少し改築をしなければならぬとかというふうな場合におきましては、下水道の管理者と土地改良区等のそういう用排水施設の管理者とがその維持管理につきまして協議をしなさいというふうな規定があるわけでございます。これは土地改良法の関係のほうにおきましても今国会におきまして一部改正の法案が提出されておりますが、その中におきましても、土地改良区のほうからそういう費用負担等につきましていろいろな要請ができるというふうな規定が設けられております。それから下水道のほうにおきましても、下水道法の二十七条の二項におきまして、都市下水路に指定いたします際におきましては十分協議をしなさいというふうな規定がございまして、両者間におきましてそういうふうな話し合いをしながら、その時点におきましての当該水路の管理というものをどうしたらいいかということを考えるというふうなことでございます。
  93. 田中一

    ○田中一君 これは市街化されることのほうが早いのです。話し合いをしなさいといったところが、農業用水を使っておったところが、もう全部農業用水の必要がなくなった場合にはこれを放置するのです。しかし、自分の所有権は持っている。したがって、これをどうするかという点の、これは市街化され、住宅が乱立しているという場合に、どちらがそれを協議の場合に申し出るかということになるのです。これを再利用しようという側が一つの意思決定をして申し込まなければ協議なんかしません。だから、そのきれいだった用水路が、農業用水路が、もうどうにもならないものになってから初めて何とかしなければならぬということになる。下水道行政をもっている建設省としても、その点は失行するように各地方公共団体に指導しなければならない。これがその付近のそれを利用しているところの農地、いま変じて宅地になっているところが民有地の場合には、そんなもの全然相談なんかしないわけです。また市町村におきましても、それに対して働きかけをしないのです。うっちゃっておけばいいのです、いい下水道があるということで。そこに、道路を横切ってかってに土管を入れて流し込んでいるのが現状なわけです。農業用水の用途を失った農民は、利水組合などは放置しております。見ないのです。また自分でも、その流域に住宅を持っておれば、そこに排水路として土管を、これも道路を横切って土管を埋没して流し込んでいるのが、もういわゆる昔のことばで言うと、新開地の実情であります。だから、行政指導としてはそれが先行しなければならない。民有地、ことにそれも大資本を持つところの不動産屋などがどんどんそこを宅地化して、そこに家を建てて分譲する。いわゆる下水道の負担金なんというものはゼロです。あるものにどんどん流し込んでいる。これではほんとうの——下水道に二兆六千億をかけて五カ年間で相当実施をしようというこの段階で、それに対するところの逆なコースが出てくる。それは既成事実が生まれる。したがってこの点は、そういう調査項目を持っておらないのかどうか知らぬけれども、金は幾らでも出ると思うのです、予備費もあるのだから。下水道五カ年計画がこうしてできて、そうしてまたそれに対するところの工学、理学的な下水道センターもできるのであるから、そういう実態の調査というものは先行しなければならぬと思うのです。これはあまり長いくだくだした答弁を聞くと時間がなくなってしまうからやめますが、そういう方向でいっていただきたいと思います。これは西村さん、こういうことなんですよ。市街化された地域の農業用水路がそのまま放置されておる。これは下水道でも何でもない。しかし、その周辺は開発されて、どんどん小住宅が乱立している。堤防に穴をあけて、まあ用水路に堤防はありませんけれども、道路に穴をあけて、そしてそこに流し込んでいるのが現状なんです。これは放置したら困るわけなんです。だからそういう調査費用を要求してないとするならば、予備費からでも出して、その調査をさっそく行なうということです。道路を横切って、かってに自分の排水の土管を埋め込むなんていうことは、これはあり得るはずがないはずなんでありますけれども、これは地方道であろうと、あるいはまあ県道ぐらいはあるでしょう。そういうことがないように、調査費がなければ調査費を捻出して、その仕事をやっていただきたいと思うのです。それだけ短く、やるとかやらぬとか言ってください。答弁してください。
  94. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 部市整備というのはやはりそういうことを言うんですから、やはり実情をつかまずに机上の空論だけしたってやはりいかぬと思います。したがいまして、法律でも、皆さん方から市街化区域、市街化調整区域と、こうやったのですから、これは実情をつかむために、そういう調査は十分私はやらなければならない、そのために金を惜しんではいかぬと思います。やり方の方法はいろいろありましょう。自治省との相談もありますが、これは進めたいと私は思います。
  95. 田中一

    ○田中一君 自治省のほうの見解はどうですか。じゃもう一ぺん自治省にあらためて言おう。下水道の受益者負担金のこの率の定着、これを要求しておったのです。あるワク内で自主的に条例できめればいいのだということだけじゃなかなか、下水道の完成区域の者にも負担をさせるというような指導建設省はしております。そうするとそこに、その地域においてはいろんな問題が起きるわけなんです。事業執行者は、市の場合には市長でありますから、市がそれを議会に提出する。そうすると、かつて完成している下水道を持っておる地域の諸君は、これは不当ではないかという問題が起きる。だからいま久保君のほうからは、そうした一つの類型したもので指導しているのだ。そうして完成した区域にも公平にそれを分担させるのだということを言っておりますが、自治省としては、地方財政の面からいって、それが妥当と思うか、あるいはまた都市局のほうの方針にのっとって手当てをいたしますということになるのか、その点が一つと、もう一つは、地域に農業用水路が相当かつてあったわけなんです。市街化区域になったためにもう農耕ができない、それはだれかに売ってしまう、あるいは自分でもってそこに宅地化して小住宅を建てる、それで売る。そうすると、いままでの用水路というものは、利用することがないのなら、だれも、利水組合等でもこれは管理をしません。そうなると、きれいな用水路が、いまはもうちりやあくたでもって埋められてきたり、あるいは自分のところの汚水を道路をはさんで、まあ堤防といってもいいです、堤防に横穴をあけて、それに流し込んでいる現状がたくさんあるわけなんです。こういうことでは、何年か知らなかったでもって過ごすと、いつの間にかそれが問題を起こすもとになる。まあ川幅によっても違いますけれども、源流を持つ河川と同じような形の用水路が崩壊する場合もあります。これらのものをいまも話をしているように、都市下水道に話し合いで編入するが、あるいは、都市下水道にするかという点の発想は、発想、発議は、その地域の下水道管理者がこれに対する態度をきめなければならぬと思うのです。したがって、その場合に自治省としては、それに対する指導をどうするか、また、そういう話し合いを水路を持っている権利者に持ち込んだ場合に、市町村のほうから発議をしなければならないのじゃないかと思うのです。その二つの問題に対する自治省の態度を伺います。
  96. 石原信雄

    説明員(石原信雄君) 初めのお尋ねの受益者負担金の問題につきましては、地方交付税の算定及び地方債の許可の基礎となります事業費の積算におきましては、建設省とも十分連絡をとりまして、当該事業について、一般的に要請される受益者負担金相当額を控除した残りについて所要の財源措置をするという方法をとっておりまして、いわば財源面では、建設省のほうで指導しておられます線で所要の措置を講じておるわけでございます。  それから第二点の、農業用水路が事実上放置されておるという問題につきましては、その水路が当然、河川法の規定による河川として位置づけられますれば、河川費の対象になるわけですが、それに至らない状態のものにつきましては、現在は普通河川として、事実上市町村が責任を持って必要な措置を講じておるわけであります。これらにつきましては、一般的に市街地の面積を基準にとりまして、その中に含まれる普通河川の管理費、経費を全国的な傾向をもとにして財源手当てをしておるわけでありますけれども地域によっては、もちろん、それでは足りないケースが起こってまいります。そこで、特に大きな事業費になるような場合には、一般単独起債の対象として取り上げるというケースもあるわけであります。いずれにいたしましても、各地域地域の実情に応じて、各自治体が所要の措置を講ずるよう指導しておるわけでありまして、財源面におきましても、ただいま申し上げましたような措置を講じておるわけでございます。
  97. 田中一

    ○田中一君 下水道センターにどういう科目というか研究、下水道に対する、技術の開発を含む工学的なものか理学的なものか、二色しかないと思うのです。その場合に、私はかつて下水道という学問が、理論がどのような形でもって日本の各大学教育課程に含まれておったかということを調べたことがあるのです。ことにわれわれがいつも利用しているところの国会図書館で保有するところの書物というものを全部調べた。洗い出した。そういう先進国等のものもございますし、また、日本でいままで下水道というもの、下水道施設というものに対する教育過程というものはどうなったか調べた。そこで日本で、私は久保君あたりは、下水道部長は、もうおくれていないというように、ぼくは認めているわけなんです。君は一日も早く下水道部長なんかやめて、そしてどこかこれは適当な大学に行って、そこで下水道センターなんというものじゃなくて、基礎的な将来への下水道そのもの、汚水処理の問題等について研究したほうがいいと思うんです。もったいないです。こんなところに出て、下水道部長として、われわれから、何だかんだと引っ張り出されるよりも、そういうところに一つの立場を与えて勉強してほしいと思うんです。  そこで、いままであるいろんな文献等を調べてみても、まだ、今回二兆六千億の五カ年計画計画してもこれは足りません。そうしてまた、この中においてどういう形のセンターにおいてどういう形の研究なり、あるいは実験なり、あるいは新しい日本の今日の現況、河川あるいは海面の汚濁等に対処するか、ただ単につけ焼き刃の下水道という、地下を掘って管を埋めてその道をつくるんだと、あとは汚水の処理だけをどこかでためてやるんだということだけでは済まないと思うんです。これは西村さん、あなた早く東京大学でもいいし、あるいは十分に研究できる大学があれば私立大学でもいいんですよ、どこかに久保君を優遇して、そういう地位を与えることが私は必要だと思うんです。これはまあひとつ私は進言しておきます。  そこで、河川局長にいまの前提として聞くわけですが、河川法では河川に対する工作物は認めません。日本は幸いなことに中高の立地条件であって、水は自然流下という形でもって排水される可能性が強い地域であります。だからただ単に河川という定義を、この中に、いまの河川法にあるところのいろんな制約というもの、これを越えて——建設大臣よく聞いてくださいよ。
  98. 西村英一

    国務大臣西村英一君) よく聞いております。
  99. 田中一

    ○田中一君 大下水道を併設するというような考え方はどうであろうかと思うんです。私は、数年前から広域下水道ということを主張している。場合によれば、社会党の主張が——五都市あるから調布、三鷹、その他の市町村を全部集めて広域下水道をやろうじゃないかというようなことを言ったことを久保君も覚えておると思うんです。それは、まあ流域下水道という方法で今日それは事業としては定着されている。これは非常に喜ばしいことであります。しかし、これをもう一歩進んで、たとえば荒川、隅田川でありますが、この上流を見て、その流域は各都道府県にあそこもまたがっております、一行政都道府県じゃございません。利根川においてもしかりであります。だから流れるところは海に流れるんです。河川敷を下水の自然流下ということを考えながら、これはもう現在ではそれにたれ流しをしておるのが現状なんです。下水道施設によって一カ所に下流の東京湾なら東京湾のある一カ所にそれに集水する、そこに新しく大規模な終末処理をつける、こうして還元する水はまた生かすなり、あるいは放水するものはそのまま流していくというような、いわゆる広域——今度は大きい大流域だ、超流域の下水道というものを考えないと、——これはむろん河川法を守っておる人たちからはとんでもないということが出ると思うけれども、もうその段階にきているんではなかろうかと思うんです。私は、三年後には二兆六千億のこの下水道の五カ年計画というものは改定される、改定されて、ただ全体のささやかなりとも下水道が敷設されたということじゃいけないんであります。環境庁も来ていると思いますが、何といってもこの水の汚濁ということが主眼となって化学処理をするということになりますと、かって気ままに利根川なりあるいはたくさんございます河川の流域の地域の工場等から廃水をなるべくわからないようにして流し込むという行為がなくなってくるわけなんです。何も道のまん中を、国道のまん中をまた穴掘ってそこに大下水道をつくるなんということは——パリにはりっぱなものできております。日本にはもう不可能です。そうなると、幸いなことには大河川がある。これらを利用する方法はどうであろうかという発想を申し上げるわけなんです。しかし、これはただ単に事業の単位が市町村になっておる、それが流域下水道の場合には都道府県知事になる。これはあげて直接環境保全という大眼目とともに国がその役目を果たすという、これに事業主体として参加するというような段階がきているのではないかと思うんです。これは西村建設大臣、こういう構想に対してあなたはどうお考えになるか。そうしてまた私は、これは断言しますが、必ずやいまのままの二兆六千億程度の下水道の予算ではできません。かつて私言ったこともあるんですが、丸ビルくらいの建物を海底に築造するんです。こんなことは不可能じゃありません。そこで、たとえば一秒五十トンでもあるいは二百トンでも水をこれに流し込んで下までくるうちにすっかりきれいな水になっちゃう、こういうような施設を考えたらどうであろうか、私はこんな——これ沖積地域でありますから、これは仕事は容易だと思うんです。そのくらいの技術は日本でも持っておると思うんです。ジュネーブのモンブラン橋のすぐわきに地下三階の地下駐車場を湖底につくっております。これはせんだって見てまいりましたけれども、湖底につくっています。御承知のように、ジュネーブにはもうあき地が全然ございません。あの風光明媚なレマン湖はそのまま残して、そのかわり水面下につくっておる。なるほどこういう考え方があるんだなと思って感心してまいったのです。だから隅田川流域でも、あるいは各河川の流域に、流域というよりも河口にそれらのものを築造して河川を通じて流し込む、河川でも決して現在のたれ流しじゃございません。そこに大きな口径一メートルでも二メートルでもいいから、これに流し込んでそして処理をするというような考え方にいったほうが早いんではないか。そうして神田川にしても、その他小さな中小河川がたくさんございます。これらももう今日河川としての効果はなくなっております。ここにこれを暗渠として大下水道にかわらせながら町の中には緑をたくさん植える、その周辺にはたくさん木を植えるなんて構想はどうでありますか。これひとつ西村建設大臣、私の提案考えてみてください。
  100. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いろいろ御高見を拝聴しましたが、まず第一番に久保部長を早くやめてもらい、こんなところにおらんで、もっと活用してもらったらどうだという、これはやめられてはたいへんでございます。そう簡単にいきません。  それから下水道の問題ですが、これはいわゆる緒についたばかりでございまして、なかなか一足飛びにはいかぬと思います。いわゆる無から出発するようなものですから、しかし、これはいろいろ建設省も考えておりますが、四十五年の九月ですか、佐藤・ニクソン会談で日米公害会議を年一回開くということで、いままで二回開いておった。その日米公害会議でもって取り上げる議題は何だと、これは下水道ということになった。もう少し下水の処理問題をやらなければならぬということで、今度第一回の、日本で下水道処理技術委員会がことし開かれたわけでございます。それで久保部長のような人がいなければ、こっちはどうにもならないんです。非常にむずかしい技術になっている。向こうは環境庁の長官が、アメリカから見えまして、第一回の下水道のこの技術会議を開きまして、日本政府代表としては久保さんが出たわけです。向こうは相当な専門家が出ました。まああなたのいろいろ常日ごろおっしゃっておることを、よく久保部長も聞いておるんでしょう。それから出たのか、独自の見解で出したのか知りませんが、次には第二回がワシントンで開かれることになっておりますが、第二回のワシントンの会議には、日本政府が提案をいたしましたのは、総合下水道計画という計画を、これは私は全然知らないんでありますが、日本政府として久保委員会のほうでそういう議題を出しておるんです。あなたがおっしゃる、いわゆる大流域下水道というようなことに似た計画であろうと、私は想像いたしておるのでございます。したがいまして、まあ一歩一歩前進はしなければなりませんが、やがてあなたの御意見のようなことにまで発展しなければならぬというふうになろうかと思っておるわけでございます。私もそういう案につきましては、今後ひとつ関心を持ちたいということでございまして、久保さんだけはひとつ追い出さないようにお願いを申し上げたいのでございます。御意見には賛成でございます。
  101. 田中一

    ○田中一君 河川局長お願いします。
  102. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 河川の管理の考え方でございますが、先ほど大いに下水道に河川敷その他を使わしたらどうだというような御意見だと思います。御承知のように、非常に日本の河川の下流部は主として沖積層、洪積層の非常に弱点の部分を流下しておるものが多いわけでございます。したがって、いろいろ不同沈下といった現象がございますと、すぐ河川の堤防なり、高水敷、こういったところに影響が出てくるわけでございます。  それから、河川といたしましては、やはりある程度今後の地域開発による流量増、こういったものもよく考えて余裕を持っておりませんと、やはり堤防を広げるということがむずかしければ、高水敷を切りまして低水路を広げて流下能力をふやす、こういうようなことでなるべく河川の、河川敷の縦断的な占用、こういったものについては厳重にわれわれこれを取り締まってきております。しかし、こと下水道につきましては、これはやはり河川の水質の保全と同時に、下水を川にまで運搬する機能を持っておるわけでございますので、基本的には河川と同じ機能を果たしておるものだという私どもは認識をいたしております。したがって、どういう場合にそういった利用が可能になるか、これは構造上の問題、それから河川のやはり利用の状態もあろうかと思います。浄水場等が下にある場合とか、いろいろなケースがございますが、そういったケース・バイ・ケースで、私どもも今後は大いに協力する姿勢で考えていきたい。たとえば、これは関西の兵庫県と大阪府を流れております武庫川でございますが、こういったところでは、すでにそういった河川敷に治水上その他の支障がないというようなことで、一部流域下水道を埋設しているところがございます。また一方淀川等におきますと、これはまさに京都市の相当な人口の下水が、そのままこれは淀川に流れておって、河川でございますが、また別の意味では、そういった排水路にもなっておって、しかも、それを下のほうでは飲んでおるという非常にむずかしい秩序になっておるわけでございますが、こういった点につきましても、流量が許せればひとつ何か水質保全水路、こういったものも考えられないだろうか。ただ、むやみにこれを海に流すだけではまた困りますので、その間、何らかの処置をして、できるだけ河川の水質保全と、それから在来の河川の機能の保持、こういったものを心がけながら、ケース・バイ・ケースでひとつ処置をしていきたいと考えておる次第でございます。
  103. 田中一

    ○田中一君 そんな長く言わぬでもいいよ。どっちみちケース・バイ・ケースでやるんだよ。やるんだけれども、その方向でやりますということになったらしいから、それでけっこうです。  環境庁はどうです。
  104. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いまお話の大流域下水道でございますか、私どもやはり河川の汚濁防止につきましては、下水道の果たす役割りというものが非常に大きいと思います。現状につきましては、お説のとおり、なかなかその普及というものにつきましては、御努力をいただいておりますけれども、なかなか遠い将来でなければ一〇〇%いかないという問題がございます。そこで、先生のおっしゃる大流域下水道につきましては、技術的な問題はあろうかと思いますけれども、方向としては大賛成でございまして、なるべくそういうような新しい下水道処理というものが、急速に進むことを私どもは願っておるわけでございます。
  105. 田中一

    ○田中一君 今度久保大先生に伺いますが、いまのような方向は技術的に絶対だめだというものじゃないと思うんです。そこで、君のこれに対するひとつ意見を述べていただいて、これはこの仕事やるのはもう都道府県じゃないんです、国です。国がしなければならぬ。国が具体的にそういう施策に参加するという姿勢を私は求めているわけです。したがって、久保君の説明を聞いて、それから建設大臣のそれを集約したところの国の参加という点について御答弁を願いたい。
  106. 久保赳

    説明員久保赳君) 水質保全をはかるために、下水道の現在の流域下水道よりもさらに大規模な下水道計画、あるいは先生がおっしゃる超流域下水道というようなことで考えることは賛成でございます。ただ、問題は何でもかんでも下流側に持っていく、たとえば、東京でいえば利根川あるいは荒川の水を、全部東京湾に持ってくるということは、必ずしもこれは水の再利用という点を考えますと、適当ではないというふうに考えます。  それからなお、国が下水道事業に参加をする参加のしかたでございますが、これは現行下水道法は地方公共団体が下水道に対するあらゆる責任を持つということで、法律が組み上げられておりますので、国が直接参加するということは、これは一つの将来の大きな検討の課題であろうかと思いますが、現在の法制の検討を含めまして、一つの検討課題というふうに思う次第でございます。
  107. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま久保部長から日米間に出された流域と言わないで、総合下水計画というものを提案をしておるのです、日米の下水道技術委員会に。これはどういうことであるか、私もまだ久保君から聞いておりませんが、私はそういうことかなと実は思ったんです。私はまあ国が参加しなさい。いまでも国が参加していると思いますけれども、いまは、つまりこの補助率とか、あるいは補助対象とか、そういうもので参加しておるのでありまして、直接手は下さない。実は私もよくわからぬけれども、端的に思いましたときに、流域下水道は国が直接やるために地方建設局にやらしたらどうかという提案をいたしたことがあるんです。とんでもないですよ、それは地方公共団体の長が聞くものじゃございませんよということを言われ、——ここにも事務当局がおりますが、そういうことで、私は……。
  108. 田中一

    ○田中一君 官僚独善だ。
  109. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ちょっと待ってください。地方建設局にやらしたらどうかと、私はちょっと思ったことがあるんで、そこでそういう提案をしたんです。私は何も知らなくて——やはりそういえば、地方公共団体の固有の仕事を侵してはいかぬなと、こう考えまして、一応いまでも関与していろいろやっておるんだから、流域下水道の建設は県のほうでやる。行く行くはそういうことを飛び越えて、もう少し第三次処理でもやるんだというようなことになれば、なかなか地方公共団体では振り回せないような時代が私は来ると思います。したがって、そういうときは、いまも多少は関与しておりますけれども、今度はもっと深く政府が関与する。アメリカの場合のこの技術委員会の提案を見ますと、そういう意味のことが入っています。政府が、アメリカの環境庁が州の下水道に対する助成の方法という問題を提案をいたしておるようでございますから、せっかくの御提案でございまするから、今後十分見通しをつけましてひとついきたいと、かように思っておる次第でございます。
  110. 沢田政治

    沢田政治君 関連してお聞きしますが、どうもくろうとの論議で、しろうとが入るようですが、どうもわからぬわけです。というのは、先ほど田中議員から専門的に一体何を技術開発するんだ、何を研究して、何を生み出すんだ、こういう質問があったようです。そこで私も、下水道行政が非常にわが国は立ちおくれておる、技術も劣っておるだろうと思うんですけれども、特に田中議員は、開発するということになっても、これは工学的か理学的か二つしかないじゃないかということまであげて質問したわけですが、一体何をやるのか、私どもしろうとにはわからぬわけです。そういうことで、たとえば土木工学的にはそう日本は外国から立ちおくれて——下水道つくるったって、そう外国の技術を学ばなければ下水道つくれないというものじゃない。もちろん二次処理、三次処理の問題もあるんですけれども、入れものはわかりますよ、やはり下水道行政がおくれているということもわかりますよ。だから、われわれは入れものをつくるのにいいとか悪いと言うんじゃない。何をここから生み出すか、何を開発するか。こういう点がなければ、私どももこの法案を審議した関係上、今度はこういう下水について技術開発をしていくんだという説得もできないわけですね。ただ単に、官僚機構一つ多くつくることに賛成してきたということだけでは、みずからに対する説得力はないと思うんです。そういうことだから、何をやるのか具体的に。当面何から手がけて、どういくのか。これをぼくらのようなしろうとでもわかるように——にわかにこれは反対とか賛成言っているんじゃないんです。わからないんだ、その付近。だから、その付近のことをこまかくぼくらのようなしろうとでもわかるようにお知らせ願いたいんです。
  111. 久保赳

    説明員久保赳君) 下水道事業センターが何をやるかということであろうかと思いますが、これは、ほかにも幾つも業務内容がございますけれども、いまの先生の御指摘の二点にしぼりまして言いますと、まず第一には、技術者の養成訓練ということでございますが、この技術者も土木だけではございませんで、特に処理関係、化学、あるいは生物を使った処理をいたしますので生物、その他の、下水道からいえば、土木プラス特殊な役割りを持った技術者の養成訓練ということを考えております。  それから、技術開発とその実用化の問題でございますが、これは現在非常に要請されておりますのは、水の高度処理の問題でございます。これは環境庁のほうで環境基準というものがきまってまいりますが、環境基準を達成するには現在の処理の程度では不十分だ、さらにもう少し水の処理をしなければならない、あるいは地域によってはそれの再利用をはかっていかなければならぬ、こういう要請がございます。したがいまして、そういう要請にこたえられるような技術の開発、特にこれを直接実用化していく、フルプラントの施設として実用化していく。そういうための試験、これを考えております。そのような高度処理をすれば、逆にまたきたないものをきれいにするということは、きたないものは今度汚泥のほうに移っていくわけでございますが、発生の汚泥量が非常にふえてくるわけでございます。処理の程度を高めれば高めるほどふえてくる。したがって、そのふえてくる汚泥をどういうふうにして最も経済的に処分をするか、こういうことが非常に重要な問題でございます。しかもそれの実用化、これを当面の目標にしたいというふうに考えております。  それから、さらには今度、都市の下水道の区域の中に大小幾つかの工場排水がございます。工場排水も下水道のほうに受け入れざるを得ない。こういう地理的な条件にあるところでは、一つの条件といいますか、工場内で除害施設を設けてから下水道に受け入れるということを法律上義務づけられておりますが、その除害施設は、工場の種類によりまして、その種類ごとに非常に違った処理法をとらなければならない場合が多うございます。しかもなお、それが現在非常におくれておりますので、それの実用化、これあたりを当面の目標にしたい、こういうふうに考えておるところであります。
  112. 沢田政治

    沢田政治君 どなたかの質問で、国が直轄事業とか委託工事をやる、これを主たる目的にするのじゃないのだ、やはり技術者を養成して、地方公共団体等でもそういう、何というか、事業をする場合に、そういう技術者をやはり開拓していくんだ、こういうことですから、これは永久にこの機関というものが、センターというものが存続しなくてもいいわけですね。たとえばヨーロッパあるいはそれ以上の技術水準を地方公共団体が持つという段階では、これは必要なくなるわけですね。その段階は、大体どれだけの技術者が地方公共団体にもできて、もう大体できるじゃないかという段階は人員的にどれだけの技術者が必要なのか、それを養成するまでの年月というものはどれだけかかるものか、一応の想定がありますか。
  113. 久保赳

    説明員久保赳君) 現在下水道事業に従事している職員、技術者という者は約八千七百名ほどおります。しかし、この二兆六千億を実施をしていく、年次計画に従って実施をしていくわけでございますが、この最終年度である昭和五十年、これには現在の約三倍ぐらいの技術者が必要だということが推定されております。しかし、それがかりに完全にできましても、全国の三八%ぐらいしか下水道は普及しないわけでございまして、第四次あるいは第五次と下水道整備計画を続けていかなければならないかと思います。  そこで、現在建設省のほうで長期的な計画として一応考えておりますのは、昭和六十年度ぐらいまでに下水道の完全整備ということを当面の長期目標にいたしておりますので、六十年ぐらいまでの間に先生おっしゃるようなことになれば非常に幸いであるというふうに考えております。
  114. 田中一

    ○田中一君 とりあえず本年度は何人の研修生というか、学生を呼ぶのですか。
  115. 久保赳

    説明員久保赳君) 本年度はおおむね千人ぐらい、延べ千人ぐらい。
  116. 田中一

    ○田中一君 この人たちは地方公共団体から出向してくるのですか、それとも休職になってここへ来て、月給はセンターからもらうのですか。
  117. 久保赳

    説明員久保赳君) 失礼いたしました。養成をするのを千人というふうに考えておりまして、今年度のセンターの職員数は、定員が六十名ということで発足いたします。養成するのが千人です。
  118. 田中一

    ○田中一君 養成するのが六十名ですか。
  119. 久保赳

    説明員久保赳君) 養成するのが千人です。研修でございます。
  120. 田中一

    ○田中一君 その六十名の職員は、やはり地方公共団体から集めてきて携わらせるのですか。それとも、はっきりした国家公務員として採用するのですか。
  121. 久保赳

    説明員久保赳君) これは、センターの職員として採用になると思うわけでございますが、そのセンターの職員としての、特に技術系統の人は、主として大都市からセンターの職員に出向するという形になろうかと思います。
  122. 田中一

    ○田中一君 出向するのですか。出向すると、もとの原局——そこはどういう形で、休職になって来るのですか。
  123. 久保赳

    説明員久保赳君) 休職になって、身分上は当該公共団体——国から出向した場合は国。身分は継続される予定になっております。
  124. 田中一

    ○田中一君 御承知のように、休職になって自分の、建設原局——もとのところに籍がある。そこで新しくその六十名の職員が労働組合をつくるという場合に、それは労働組合がつくれるのですか、つくれないのですか。
  125. 久保赳

    説明員久保赳君) センターで労働組合がつくれるというふうに考えております。
  126. 田中一

    ○田中一君 そうすると、休職になって来て、いや、出向して来た職員は、全部、そこで労働組合をつくることが可能なんだという理解でよろしゅうございますね。
  127. 久保赳

    説明員久保赳君) はい。
  128. 田中一

    ○田中一君 そこではいなんて言わずに、ちゃんと立ってはいと言いなさい。
  129. 久保赳

    説明員久保赳君) 御指摘のとおりでございます。
  130. 田中一

    ○田中一君 そこで、労働問題に関連して伺うのですが、これは建設大臣に伺うのですが、私はいままで何年間のうち、しばしば、日曜日は現場はお休みなさいということをすすめているのです。最近、こうして政府から週二回の休みをやろうではないかというような提案も、ちらほら聞くようなことになっておりますが、これは原君でしたね、そういうようなことを言ったのは労働大臣でしたね。そこで、いま建設現場では、土曜なら、場合によったら半ドンで帰っちゃう。日曜日はぴたっと、だれも出て来ないです、監督員は。そうして、作業をする請負人は出てきている。そうして、だれも監督のいないところで仕事をしているわけなんです。これは、実際にそんなことはないであろうというので、地建の担当者を呼んで聞いてみると、みんな休んでいますと。これは全建連ずいぶん強いですから、なかなかそうはいかない。休みなら休むと、むろんこれには例外はありますね。当然、継続してやらなければならぬ仕事があった場合には、これは出る場合もあるということを前提としながら、日曜日の全休はその方向でいたしますということを各大臣言っておるのですが、まだ実施されておらないのですよ。これは公共団体の公共事業、ことに建設省の仕事の場合、建設省の仕事に行った場合でも、現行の監督の役にあるところの国家公務員は日曜日は来ない。当然これは来ない。むろん祭日も来ません。そうして請け負った請負人が仕事をやっておる。労働者も来ておるからその職員は現場に出てやっぱり仕事をしなければならない。それが、かつて、月に二日だけの日曜日はそれをやりましょうということになっていた。どうして日曜日を、現場を完全に休むような工程をつくらないかということなんです。おれたちは休んでもいいけれども、お前たちは出て来いということじゃ、もはや今日では通らなくなっておりますよ。そこで、むろん、落札して契約する場合には、契約約款がついて契約いたしますけれども、それにも何にも書いてないわけです。いや、日曜日は休むんだということを契約の場合に明文化しておくということがなければ、建設業者は自分の職員のほうの要求をけ飛ばしているわけなんです。この点を、ひとつはっきりと、日曜日は休むんだと。むろん建設のほうの監督官も来てはおらない。一緒になって休むんだという方向を明示するような契約をつくってほしいと思うんですよ、契約約款の中に。官房長、現在、どういう形でもって契約上のその休日の問題を取り上げているか、説明を願います。その説明を聞いて、これはもうそんなものは聞かないでも、当然日曜日は休むんだって西村さんなら言うと思うんです。何も監督員もいないところにいたってしようがないじゃないかということになると思うんです。だから、大津留君の話、聞かないでも、建設大臣が、ぴしっと明確に契約上にそれをうたう。きのう私は北海道行ってきまして、北海道では、その問題は開発庁ではそれをはっきりときめていると、こう言うのです。しかしながら、地域的な差があって、暑いときにどんどん仕事をしなければ冬場に困るというので、業者側のほうでそれをまあまあやってくれということを言っているそうであります。それじゃ困るのでありますから、これからもうはっきりと、現場はもう日曜日休むんだと。いまの段階では祭日なんというのは言いませんけれども、祭日にも、あなた方のほうの人は来ていないんです。それでりっぱな仕事ができると思うなら大きな間違いでありますから。だから、日曜日は必ずもう六月から、ちょうど都合がいいから六月から休むんだというような方向をきめていただきたいと思うんです。その点について答弁願います。そんなたいした答弁要らないんですよ。おお、そうしよう、それでいいんです。大津留君、何かそれに対する説明があるなら聞きます。説明というか、答弁があるなら聞きます。
  131. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 建設省請負工事契約をいたします場合には、工期の算定をする場合には、一カ月に二十五日働くという前提で計算しております。したがって、一月のうちに五日ないし六日は休むという前提で計算はしております。しかし、それをいつ休むか、日曜日に休むかどうかということは、契約の上では特段の定めはしておりません。
  132. 田中一

    ○田中一君 私の伺っているのは、日曜日はお休みなさい、休ませなさいということなんです。だから、二十五日の稼働日数ときめてるならば、日曜日は四・五ぐらいだから、四・五、日曜日は休むときめてもいいわけなんです。建設大臣、いま官房長は二十五日と——二月はちょっときびしいことがあるけれども、これももう日曜日は休むんだという前提できめれば、そういう契約上の工程のつくり方をすればいいわけなんですよ。これは何ですよ、雨が降ってどうしてもできなくて、二十五日稼働するのが二十日しかできない場合もある。これは不可抗力という形で認めているのだから、それならば、みんなが休むときに休みたいというのが、いまの人間の要求です。労働者の要求です。だから、それを二十五日と言わないで、日曜日は全休するのだという約款の契約上の明示をしてほしいということなんです。建設大臣、どうですか。
  133. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も建設省関係の労働組合の方々と懇談をする機会があります。そのときに、あなたのおっしゃいましたように、それぞれ労働者の方々からその希望が出ております。しかし、私は、日曜は休みなさい、それはもう原則だと。それから現業であるからやむを得ないこともあるかもしれぬけれども、それは日曜日は休むべきだ、おまえたちは休まないから悪いんだ、こういう極端なことを言っておるのでございます。しかし、それを契約上云々ということになれば、われわれはこの労使の関係、契約にあれするわけにいきませんが、指導としてはこれは当然私はそうあってしかるべきじゃないかと、かように考えておりますから、今後ともいろいろな面におきまして御希望のあなたの御意見のように善処したいと、かように考えておる次第でございます。
  134. 田中一

    ○田中一君 ちょっとこれ大臣、誤解しているんです。私が言っているのは、当然建設省の職員は休んでおります。現在でも休んでおります、日曜は。そこで施工の仕事をしている請負人です、請負人というか建設業者です。建設業者は現場は休んでおらないんです。監督員はいないんです。こういうことが現在行なわれておるんです。いま官房長はいつ休んでもかまいません、一カ月に二十五日働けばいいんです、こう言っているわけなんです。契約書にはそう書いてある、こう言っているわけです。それは建設省の労働者じゃございません。その現場というもので働く建設業者が現場を休まないというわけです。それをその現場が必ず休むという方向に持っていってほしい。これには何かというか、契約もくそもありません。ただ大津留官房長が言っておるように、二十五日稼働日数と言わないで、日曜日は必ず休んでよろしいということを書けばいいんです。それはあなたの部下であるところの職員じゃないんです。建設業者も監督員と一緒になって休むということをきめればいいんです。その点は可能か不可能か、まず、大津留君に説明してもらって、それから大臣からひとつ答えてください。
  135. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 現場に働いております労働者は請負会社の職員なり、雇用者でございますから、それの就労の条件を発注者があまり事こまかくきめるのもいかがかと思います。したがいまして、発注者が日曜もなく働かなければならないような発注をいたしますと、やむなくそういうことになりますので、したがいまして、発注者といたしましては、一月のうち二十五日程度の稼働ということでやっておりますから、その先は雇用主の御判断によってやっていただくというのがいいんじゃなかろうかと思います。
  136. 田中一

    ○田中一君 やっぱり官房長、その辺しか答弁できないかね。大臣、こういうことを言うんですよ。発注官庁の建設省が、建設省で監督員がいない場合にはその仕事を休みにすればいい、監督員がいないときには仕事をするなということです。わかりますか。大津留君は施工者と職員の間はその労使関係にあるんだから休みたければ施工者が休めばいいんだ、こういうことを言っているんです。休めということの命令はできませんと、こう言っているわけです。それも一つの官僚的な言いわけであって、監督員がおりませんから仕事の段取り等も間違いがあると困るから、これは当然施工者も日曜日は全休するように当然なりますと、こういう答弁をしなければいけない。当然であります。そうすると、喜んで施工者のほうは休むわけなんです。というのは、日曜でも現場が働いていれば精励だ、などと誤認をする。そして工事の入札者の指名を手心するやのことが往々にある。いまの建設業というのは指名を受けなかったら、そんなに仕事はほしくないけれども指名をもらわなければならない。日曜日は監督員がいないのだから作業してはならない、それは当然でございます。こう言えば解決するんですから、その点をそういう理解で答弁してもらいたい。大津留君、私がいまそう言って、いまのような答弁ならば、君、何も責任ないね。いわゆる監督員がいないところで仕事をかってにしたら困ります、だからその日は同じように現場を休みにしたほうが好ましいんだ、こういう答弁をしていただきたい、建設大臣
  137. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 原則的には賛成でございます。しかしだれにも同じように、われわれでも仕事をしなければならぬ日曜もあるように、いろいろそれは仕事は日曜にもどうしてもやらなければならぬ仕事、やはり人の休むときに休ませまた昼働かせる、夜は仕事をさせないというような指導は、これは発注者の、人の心がけで、指導で、スケジュールをそうつくればそういうふうになることもあるわけでございますから、原則的には賛成でございますけれども、官房長のあれはそういうことを役所から指示するわけにもいかぬというのですが、原則的には私は官房長も賛成しておると思いますから、そういうふうな指導をしたい、かように思っておる次第であります。
  138. 田中一

    ○田中一君 ただね、あいつは熱心だ、不熱心だというような評価をされることが一番業者としては困るわけです。だから日曜日は現場は休みなんだというきめ方をすればいい。一カ月二十五日働けばいいのだよという、こういうのではなく、日曜日は休むのだというふうにきめればいいのです、契約に。日曜日は現場は休みなんだということを契約にきめればいい。大津留君、そういうきめ方をして支障があるかい。日曜日は休むのだ、君のところでも休んでいるじゃないか。監督員がいないところで仕事をするなんというのは仕事の性質から言っても困るのだというふうに、そういう認識に立って、そういう契約に盛り込めばいいのだ。これは建設大臣の精神がよくわかっているはずだかち、官房長が事務的に可能だと思うならばそれやってもいい、可能だと思わなければ、もう一時間くらいやります。
  139. 大津留温

    政府委員(大津留温君) ただいま建設大臣がお答えいたしました線に沿いまして指導いたします。
  140. 田中一

    ○田中一君 それから、最近この四月一ぱいで指名願いというのが全部移っておりますが、どうも最近建設労働者、建設業者の中にも目ざめた労働者がふえてまいりまして労働争議をやって、いま春闘で一緒にやっている。これはどこの上部機関にも入っておりませんから、それぞれの立場でやっておる、労働交渉なんです。そうすると、最近建設省関係の発注官庁というとあなたのほうの地建、それからその他の部局、契約部局、それから道路公団、住宅公団その他のそれらの関連の実施官庁、現業官庁等では労働組合が相当な労働争議をやる。あるいは労働争議は御承知のように、労働法できめられている憲法上の権利でありますから、これは当然やるのであります。しかし田中建設——私のことを言っているのですよ。田中建設の労働者、職員はどうも猛烈な労働争議で現場休んだ、あんなの今度指名はずせなんという声も聞こえるのです。そういうことを言っているように私の耳に入ってきているのです。こういうことはあり得ないのです。あり得ないから、その現在のそういううわさというか、風潮が流れているということはどこに原因があるか。そうして、かつまたその発注官庁にせんだって官房長に調べてくれといったのです。調べたらどうなっているか、故意に指名からはずす、干すなんというようなことがないような西村さんの方針だろうと思うから、調査の結果どうか、集約してそういうことは絶対にさせません、そういうことはいたしません、こういう結論が出ればいいわけなんです。
  141. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 先般、田中先生からそういうお話がございましたので、地方建設局並びに建設省関係公団につきまして末端まで調べましたところがそういうようなことは一切ございません。また今後におきましても、そういうことは一切ないように指導いたします。
  142. 田中一

    ○田中一君 建設大臣それでいいですね。
  143. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、いまあなたおっしゃったことは初耳でございますけれども、これは成績が悪いところはみな見ておって、それはなかなかうまくいかないようなうわさも立ってますし、それですから、成績を見てとやかく言うのじゃないけれども、やっぱり仕事を仰せつかったら仕事を仰せつかっただけのことはちゃんとやっていく、特にこれをにらんでというようなことは私はしてはおらないと思います。あなたのお話はいま初めてですが、そういうことをやっておるとすれば注意はいたします。
  144. 田中一

    ○田中一君 ちょっと、御答弁長かったから、また言わなきゃならなくなってくる。労働争議、労働行為によるところの事業の中断というものは、一種の不可抗力という見方を裁判所もしているわけなんです。じゃなきゃ、私の争議でもって非常に大きな人間の労働力、報酬等がなくなっておるという現状ですね。そういうことを容認すべきもんじゃないのです。しかし、これははっきりと認められる行為なんです。憲法に明らかに争議権というものが確立しているんです。だから、仕事のよしあしは関係ございません。仕事はりっぱな仕事をするはずであります。けれども、仕事の面でそのために大きな仕事の支障があった場合には、取り返すことのできない支障があった場合には、それはその行為によって、仕事のできばえでもって罰金もとるでありましょうし、あなたの契約にちゃんと出ています、建設の契約には。しかし、その争議があったがゆえに、これは違法であるというんじゃない、これは合法なんです。そういう点はあまりストライキやると、すぐにとんでもないやろうだ、あいつは国民の敵だなんということがすぐぷっと頭に浮かぶ体質の皆さん方、これは言い過ぎかもわかりません。そういうことであってはならぬと思いますから、その点ははっきりしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ、これはせんだって建設業法のことこまかい解説が出ております。地方に通達が出ております。非常に実情にそぐわない政令等の、政令で規定しているものがたくさんあるのです。非常にむずかしい。たとえば北海道で一つ工事業者というものを、専門業者をつくる場合、北海道とあったかいところの鹿児島とは条件が違うのです。一つのことばで説明しても、その受け取り方が違ってくるのです。やはりそこに混乱があるわけです。だから、今度の建設業法の改正に伴う政令その他の問題については懇切丁寧な地方別的な解説を通達していただきたいと思うんです。ことばだけじゃ、やり方も違うんです。仕事のやり方も違えば、また業種そのものも違うてくるわけです。そういう点については、これはだれなのか——官房長にひとつ、そういう点は、私がこんなこと言っても、大臣はそういう下々のことがおわかりにならないから、官房長、それ説明して、答弁してほしいと思う。
  145. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 法改正に伴います新しいやり方につきましては、ブロック別に説明会を開きまして、よく業界の方々にわかりやすく徹底させるようにいたします。
  146. 田中一

    ○田中一君 これはこの問題と関係ないんですが、せんだってちょっと西村建設大臣に耳打ちしておいたんですが、会期の延長、あなた主張しているんですか。ほんとうに全部の法律案通すということならば、通すようなかまえ方をしなきゃならないので、あなた自身の考え方をここで述べていただいて、あなた自身の考え方ですよ、これは閣議の決定じゃございませんが、あなたが非常に佐藤さんには力持っている説得者ですから、それを伺っておきます。それを伺って私の質問終わります。
  147. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあわれわれは法案を相当に出しましたが、いずれも法案を提出するまでにはわれわれの立場から非常に吟味して提案をいたした次第でございます。したがって会期中、もうあと幾ばくもございませんから、ひとつなるべく会期中に全部上げて通していただくようにこれはお願いをいたす次第でございます。会期延長問題等もまあ新聞ではちらほらいわれておりますけれども、その点については私は言うべき立場ではございませんから、会期中にひとつ全部お通ししていただくようお願いを申し上げる次第でございます。
  148. 小林武

    委員長小林武君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  149. 小林武

    委員長小林武君) 午前に引き続き、建設事業並びに建設計画に関する調査を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言願います。
  150. 春日正一

    ○春日正一君 藤尾次官に質問いたしますけれども、五月十日の夕刊を見ますと、大きい見出しで、「陳情団を追返す」、こういう見出しで「〃百年公害〃の足尾鉱毒で、群馬県太田市田島宗仁市長ら代表十人が九日、渡良瀬川公害対策の要請書を持って関係省庁や足尾銅山の古河鉱業に陳情攻勢をかけたが、建設大臣に陳情するため、藤尾正行政務次官に会ったところ、陳情もそこそこに追返された。住民の怨念を訴えようとした田島市長はじめ市議会代表らは「いまさら足尾鉱毒とはなんだ、バカヤロウとどなられた。一国の責任者のとるべき態度ではない。市長・議長名で正式に抗議しよう」とカンカンだ。」云々というような前書きで、この問題が報道されているのですけれども、私はこれが事実としたら、建設行政の姿勢としては非常に遺憾なことだし、すぐにもはっきりさせて改めなければならぬ問題だというふうに思います。  そこで最初にこの点について、次官のほうから見た事実を、こうだという点を聞かしていただきたいのですが。
  151. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) 実は私の非常な不徳からそのような報道が出まして、これはいま委員長の横に茜ケ久保先生がおられるわけでございますけれども、参議院の公害対策委員会並びに衆議院の建設委員会におきまして、即日きびしいおしかりをちょうだいをいたしました。その場で申し上げたのでございますけれども、私は新聞記者を二十年やっております。ございますから、新聞というものがどういうものであるかということは、私は私なりに承知をいたしておるわけでございます。御案内のとおり、その記事には、本体の記事は私には全然御案内はなかったわけでございますけれども、おまえはそう言った事実があったそうだがどうだというお問い合わせがございまして、私はそういう事実はない、ばかやろうなどということを、いやしくも国民に対して言うわけはないじゃないかということを申し上げまして、それはそれで別個のそれに添え記事として出ております。一番最後に、一緒に来られたわけでございますから、太田市長さんのお話といたしまして、ばかやろうなどということは言っていないということもその中には出ておるわけでございます。でございますから、その記事の中の真実性、こういう問題につきましては、私はその記事が間違いであったというようなことは申しません。と申しますることは、私自身が二十年間新聞記者をやっておりましたから、新聞といいまするものは、それぞれの起こった事件、それを取材をする記者の主観、それによって記事が書かれまして、さらにそれが編集者の主観によりまして編集をされるわけでございます。でございますから、その事実が全然なくてそういうものが出ていますならば、それは明らかに誤報であり、私はそれに対しまして取り消しを要求をし、あるいはこれに対して抗議をするという権利は持ちますけれども、そうでなくて、事実、私の部屋に太田市長をはじめ皆さま方がおいでになったことも事実でございまするし、その事実の内容が渡良瀬川の鉱害に関連しておった、これも事実でございます。私がそれに対しまして私なりの見解を述べて、そこに見解の相違があるから、ここは議論の場じゃございませんからお帰りを願いたいと言ってお帰りを願ったことも事実でございます。でございますから、その記事全体が一体どこまでが真でどこまでがうそだと、こういうことになりますと、これは私は言い争いになるだろうと思います。そこで、私自体が新聞記者をやっておりました経験からいって、その御批判は編集権といたしまして、朝日新聞社のこれは権利でございますから、それに対して抗議をする私は何ものも理由はない。私は甘んじてその抗議は受けます。その御批判はちょうだいする。ただし、その中にありますことが全部が全部ほんとうだということは私はないと思います。これはおそらくいままで長い間の活動を続けられまして、春日さん御自身が御経験になられましたいままでの幾多の事件がおありになったと思いますけれども、そのたびごとの報道がはたしてどれだけが真で、どれだけが偽であったかということについての御判断がおありになろうと思いますけれども、私は私なりにそういった判断を持っておりますけれども、しかしそれはそれといたしまして、そういった事実が筋としてあったのでありますから、それに対してとやかくのことを言うということは男らしくございませんし、私の性格にも合いませんから、一切それについては文句は言わぬ。それに対する御批判は御批判としてちょうだいをして、それに対する私の見解を述べさせていただきます。まあ、こういった機会が与えられたときに、私は私なりに見解も述べますし、また今後の、私もまだ五十六でございますから、これからかなりの、生きておりさえすれば政治活動を続けるつもりでございます。そういった実際の政治活動の中で、私が一体どういうことをやるかということによりまして御批判をちょうだいする以外にはないであろう、かように私は考えておるわけでございます。ただ、私は大臣にもおわびをいたしておりまするし、また、委員会の先生方にもおわびをいたさなければならぬと思いますのは、大切な法案を審議しておられますこういった重大な時期に、そのような不用意な私の発言並びに非常に粗野な私の態度、そういったものによりまして非常にいろいろな問題の提起を新たにつけ加えまして、そうして非常に御配慮をわずらわさなければならない、そういった事態に立ち至ったということにつきましては、これはまことに申しわけのないことで心からおわびを申し上げたい、かように存じ上げておるわけであります。
  152. 春日正一

    ○春日正一君 新聞記事、それを私も見まして、これはまあ事実としたら建設行政をやっていく上でもたいへんなことだし、たださにゃならぬと思ったのですけれども、時間が延びたものですから私太田のほう照会して、当日行ったほうの側からの事情もいろいろ聞いてみました。そうしますと、やはり、いま次官は私の粗野な態度と言われましたけれども、まあそういう点もあったようでありますけれども一つ大事な点は、話をおしまいまで聞かぬで議論にしてしまった、これが一番まずかったのじゃないかと私は思うのです。要望書を取り寄せて読んでみますと、これは建設、農林、環境庁に提出するというつもりでつくられたようですけれども、これ読んでみますと、初めに「渡良瀬川流域鉱害に関する要請書」となって、鉱害の問題がずっと書いてあります。そうして群馬県が足尾鉱山の鉱害だということを断定したからというようなことも書いてあります。しかし、その最後の具体的な四という項目になりますと、——まあ原因者であることを認定してほしいとか、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令に銅を加えて云々というような建設省関係のない問題もたくさんあるわけですけれども、第四項にいきますと、「足尾山元の鉱害防止対策事業を積極的に推進されたい。特に渡良瀬川の水質流水基準」云々というような形でやはり建設省関係のある川の問題の陳情があるのですね。そしてあそこには草木ダムというようなダムがあって、それについて具体的な陳情も持ってきておった。だから私聞いたのですよ。この鉱害の問題で何で建設省へ持っていったんだと言って聞いてみたら、やはり建設省にそういう省接関係する問題もあると、だから建設省にも持っていく、環境庁にも持っていくというようにしたのだと言うのですね。だからそこまで話を聞いて、それでこの鉱害の責任の問題とか何とか、こういう問題は私の立場じゃ言えないのだとか、あるいはこの問題は農林省の問題だとか、そういうふうに分けて、そして建設次官の立場としてできるものはこれだけだとか、あるいは何もないとかというように、わかるように説得して帰すということだったらこういうことにはならなかったと思うのです。ところが鉱害で、鉱毒でと出たらとたんに大議論になってしまって、お互いにエキサイトしていますから、そのときの思い出しを、行った人たちの書いたものを私もらっていますけれども相当なやりとりがあります。それでまあおこってけんか別れみたいになってしまうようなかっこうになっていますが、これは非常にぐあいが悪い。だから、その点は単に新聞記事がどうこうという問題じゃなくて、実態としても非常にぐあいの悪いことがあった。その場合やはりどっちが反省すべきかという問題ですね。やはり私は次官のほうが反省すべきだろうと思うのです。私どもも議員をしておってそれでいろいろ陳情受けたりするときに、ずいぶん気にさわることも言われますけれども、やはりこれは国民から選ばれている一つのそういう立場からして、やはり十分耳を傾けて聞いて、そしてその道理を説いてわかってもらうという努力をしなければいかぬと思っているわけですけれども、その点で、このとば口で議論してしまったということは非常にぐあいが悪いし、やはりそのために何か建設省の姿勢が疑われるというようなことになるわけですね。そこらの辺にやはりただ新聞記事があるから——しかしそれを行なう事実まあもとはあったんだけれども、この記事どおりじゃないのだということでなくて、やはりそこの点ですね、受けとめ方、そこら辺についての反省ですね、そこらが非常に大事じゃないかと思うのですけれども、その点どうですか。
  153. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) 非常に理にかなった春日委員のおしかりといいますか、御指導と申しますか、いまちょうだいしたわけでございますが、私は一々ごもっともだと思います。ただ、私が申し上げたいと思いますのは、いま建設省という立場で言われたわけでございますけれども、その陳情受けましたときに、私はそこのところが非常にいかぬことかもしれませんけれども、私の部屋で会ったわけでございます。しかも、その来られましたのはお隣のお隣の中島さんの女の秘書さんが、ちょうど先生がおられないから聞いてやってくれということで来られたわけですから、おそらく道路の陳情か何かだろうかということで、私は気軽にそこで受けちゃったものでございますから、もしこれがテーマがこれだといって言われれば私はお断わりしただろうと思いますよ。ただそこで問題は、建設省として、おまえは政務次官としてふさわしくないではないか、私はまことにほんとうにそうだと思います。と思いますけれども、その問題の第一は、非常に重大な点は、足尾のいまの鉱業所ですね、それは管理しておりまするのはこれは通産省でございますし、水質の問題ということになりまするというと、これは環境庁でございますし、あるいは経済企画庁でございますし、あるいはそれがもしかりに人体に影響を及ぼしておるということになれば、これは厚生省の問題になります。あるいはこれが農業に被害を及ぼしておるということになりますると農林省の問題になります。そういった政府の各機関の合意、そういったものがなくして、一建設の代表である私が、その非常に各般にわたりまする問題について、春日さんの言われるように、第一条はこうだ、第二条はこうだというような御説明をすればよかったのでございますけれども、まあそういうことをやること自体が政府に対する私の非常な行き過ぎである。私の関連、もしかりに御指摘のとおりの問題であるといたしますと、これは私は河川に残った、残留した汚泥の問題だろうと思います、もし建設省に問題あるとすれば。でございますから、その問題がもし出てまいりましたならば、建設政務次官の立場として私はお答えができたわけでございますけれども、その問題が出ない前に問題がぐじゃぐじゃになっちゃいまして、ほんとう言いますとその問題は一つも出ておりません。ただその中で、それらしきものがあったと思いますのは、水質のこれからの基準を厳重にいたしまする際に、重金属としていままで問題になってなかった銅を一体取り入れるかどうか、こういう問題が関連をいたしておると思います。しかしながら、それにつきましては、そういったものの認定は私どもの所管ではございませんということを私は答えておりますし、また、じゃそれでは残留したカドミウムの、そこがまあ一番けんか別れになっちゃったところでございますけれども、カドミウムのいままでの農業災害というものに対してどうだと言われましたときに、私は、そのカドミウム米というものに対しましては少なくともいままではそれぞれの府県がそれを買い入れておるという事実がございますと言ったときに、もう出られたわけでございますね、そこでもうけんか別れになっちゃったわけです、事実は。しかしながら私は私なりに考えまして、その後もいろいろと反省をいたしておりますけれども、私はほんとうはこう考えるわけです。この前もそれは公害委員会でよけいなことを言いまして、もっと短くするようにとしかられましたけれども、全体の、これは足尾だけでございません、いままでのこれは三井金属の問題にいたしましても、あるいは水俣のチッソの問題にいたしましても、全部が全部川の上流で、つまりものを取っておるところでございますね、そこに鉱業所があって、それが川の水の中に流れ出てきて、それが魚に入ったり、あるいは農産物に入ったりして公害という問題が起こっているわけでございますから、私ども政治家の態度といたしましては、そういうところの根源の問題、山の上にそういう鉱業所があっていいのか悪いのかということを突き詰めていかなければいけないんじゃないか。むしろ、これはまあはなはだ言い過ぎなことがございますけれども、私は一政治家といたしまして将来ともこの問題に取り組んでまいりますけれども、私が考えますと、いまはとにかく日本の国にたくさんの外貨がございます。そういった際にわざわざ、貧鉱の足尾の場合なんかわざわざこれ、買鉱しているわけですね。二倍も三倍ものものを買鉱して、わざわざ足尾へ持っていって、そうしてそこで製錬しなければならぬ理由が一体どこにあるのだろうか。そうでなくって、それならば外貨がたくさんあるわけでございますから、銅が必要なら銅そのものを買えばいい。カドミウムが必要なら、そんなことありますまいけれども、カドミウムも買えばいい。水銀が必要なら水銀を買えばいい。そうしていまの鉱業所を、山の上にある鉱業所を、これを、むしろいまの石炭問題の、石炭におきまして閉山いたしております、閉山したものを政府は買い入れております。それと同じ方式をもちまして、公害を将来とも絶滅するように、そういったもとになるその山元の、山の上にある鉱業所を、むしろ今後はつぶしていくというようなことこそが、私どもに与えられた仕事であり、これが公害というものに対しまする私どもの姿勢でなければならぬ、私はそういう考え方を持っておるわけでございます。でございますから、その部分部分のこの問題をつかまえてきて、そうしてこの問題はどうだ、この問題はどうだという問題のとらえ方、そういうこととは私の所見が全く違っておる、そういう点を強調したかったわけであります。しかしながら、まあ問題がそこまでいかぬ間に、これはもうまことに申しわけのないことでございますけれども、ただいまも先生御案内のとおり、私の声が、こう普通の声出しておりましてもでかい声でございますし、ましてや、いま私は病気でございますから、かっかときますとすぐ、でかい声の上に多少の大きな声がよけい加わりますから、そういったことで、非常な、そこに異常な空気をかもし出してしまったということだと思います。まことにこれはそういった粗野な態度、応接のしかた、よろしくないと私も考えております。しかしながら、私自身も、これは私の先生が実は高碕達之助先生であったわけでございますけれども、私は政治家になりましたときに、決して巧言令色をするなと、いいことはいい、悪いことは悪いと言えと、そうしていいことなら全身全霊でやれいと、悪いことは拒否せい、ということをきびしく私はたたき込まれたつもりでございます。そういったことと、私のこの粗野な性格が一緒になりまして、そういうことに発展いたしましたわけで、実は私の部屋の中におきます陳情の方々とのそういったもの別れみたいなことは、ほんとうは、まことにこれほんとに自慢にも何にもならないことでございますけれども、いままでも何回もございます。そのたんびに私は大声あげてお帰りを願ったというようなことになっております。まことにそういうことはよろしくないことで、先生の言われまするように、一つ一つをこまかく砕いて、そうして、これはこうだよ、これはこうだよというようにやっていかなければならないもんだということを、つくづくいま反省をさせられておるわけでございまして、今後、私がこれに対しましてどのような態度をとっていくかということにこれがあらわれてまいると思いますから、ひとつ、そのおしかりは、今後の私の行動の上でひとつ御批判をちょうだいをいたしたい。御迷惑をかけましたことにつきましては、くれぐれもこれはおわびを申し上げます。
  154. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、公害のもとになっている銅山をどうするかというような問題については、私は私なりの意見もありますしするけれども、これはここでやる議論じゃないですからやめますけれども、ただ私言いたいことは、やはり役所の中心にすわる人だったら、これはまあ局長でもそうですし、だれでもそうだけれども、やはり国民の声を十分に聞いた上で結論をくだす、その場合に、私は正しきをもって正しきをなすでですね、それは間違っていると、受け入れられぬとはっきり言われたらいいと思う。それはうちの窓口と違うんだ、あっちへおいでになったらいいと、はっきり言われたらいいと思うけれども、非常に遺憾だったのは、さっきから言うように、みんなまでこの陳情を聞かずに、とばっ口でもってわんわんわんとやっちゃってけんか別れにしたという、そこのところが、つまり特にいま建設省の仕事なんてものは、ダムつくるにしても、道路つくるにしてもいろいろ問題が起こってくる。住民との関係で。そういう住民の陳情や要求というものをよく聞いて、どうこなしていくかということで仕事の成敗がきまってくるぐらい大事な立場ですわ。そこで、それやらなんだということが問題だと、そこをわかってほしい、そこを改めてほしいと……。十九日にまた建設省へ来るらしいですよ、私聞いてみますと。この前来たときは大臣お留守だったんで、それで次官のところへということで、私、聞いてみましたら、この陳情書のあて名も建設政務次官藤尾正行殿と、こういう形になっておるんだそうです、議会の事務局の見解では。だから、建設大臣が留守と思って、そこへ持っていったところでこうなったということで、まあ非常な不信がそこに起こっておるわけですから、まあ今度来られたら、その点は十分に話も聞き、誤解も解くというようにやってほしいと思います。これは建設行政の基本ですからね。  それからもう一つ、ついでの問題ですけれども、この草木ダムというのは、私もよく事情知りませんけれども、上流にあって、これができると、まあダムにカドミウムやその他いろいろ含んだ汚泥がたまるんじゃないかとか、それをもし放流した場合に、それがどっと下へくるんじゃないかというような非常な不安があって、そうしてこのダムをつくる場合に、そういうことの起こらぬように十分に検討をし、設計をしてやってほしいということを陳情の中に一項入れて、口で言うつもりで来ておったんだということなんですね。だからその点は建設省としても当然直接関係のあることですし、環境庁へ行ったら環境庁の長官は、それは建設省と相談して十分に対処したいと思いますという答えだったそうですけれども主体はこっちですからね、こちらのほうでも十分に考えて、住民の安心のいくようにダムづくりはやってほしいと、そういうふうに思います。その点については、これは次官の考え方をお聞きして、私、この問題では質問を終わりたいと思います。
  155. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) 私どもは、これは技術者じゃございませんから、たとえばいま御指摘の草木ダムというようなものが、どのような役割りを果たして、もしそれを放流した場合にどうなるかということについての研究はいたしておりません、実際のところ。でございますから、これから大いに勉強いたしまして、どういうことになるかということを十分に考究をいたします。そうして最も適切な答えを、最も適切な表現でお伝えをするつもりでございますから、その場でこの前のようなことのないように心していたしますから、どうかひとつ御安心をいただきたいと思います。
  156. 小林武

    委員長小林武君) 本件につきましてはこの程度にとどめます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      —————・—————