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1972-04-13 第68回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)    午前十時十分開会     —————————————    委員の異動 四月十一日     辞任         補欠選任      村尾 重雄君     向井 長年君 四月十二日     辞任         補欠選任      向井 長年君     村尾 重雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                 沢田 政治君                 田中  一君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省理財局国        有財産第一課長  藤原 重信君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        自治省財政局財        政課長      近藤 隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本道路公団職員の汚職問題に関する件 ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。西村建設大臣
  3. 西村英一

    国務大臣西村英一君) このたび、日本道路公団幹部職員について不祥事件が起こりましたことにつきまして、つつしんで国民の方々に遺憾の意を表する次第でございます。  その概要及びとった措置につきまして、御報告申し上げたいと存じます。  元日本道路公団名古屋支社長池上雅夫が、同公団建設第二部長及び名古屋支社長として在任中の昭和四十四年十二月ごろから昭和四十六年十二月にかけて、同人の担当する高速自動車国道建設工事に関し、建設業者藤開発株式会社代表取締役国正源一郎から、数回にわたり、現金二百十万円を受け取り、同社を下請業者として使用するよう働きかけた容疑、また、山崎建設、鴻池組、三井建設からも、現金計約百七十万円を収受して、工事上の便宜をはかった容疑で起訴されたものであります。  公団におきましては、池上雅夫については、逮捕された二月二十五日付で休職処分にし、事実が確認された段階で、四月十二日付で懲戒免職処分にいたしました。  監督者責任につきましては、四月十一日付で私から日本道路公団総裁に対して文書による厳重注意を行ないましたが、公団におきましても次の処分を四月十二日付で行なっております。  総裁 前田光嘉 減俸五分の一 一ケ月  副総裁 尾之内由紀夫 減俸十分の一 一ケ月  理事 板倉創造 減俸十分の一 一ケ月  理事 斎藤義治 減俸十分の一 一ケ月  理事 三野定 減俸十分の一 一ケ月  また、このような事件の発生を防止するため、二月二十六日付で事務次官名をもって建設省管下の各機関に対し綱紀粛正について依命通達を発し、役職員に一そうの注意を払うよう指示いたしました次第でございます。  まことに残念なことでございますが、これを機会に、建設省といたしましても、十分綱紀粛正につとめる次第でございます。  以上、御報告申し上げます。     —————————————
  4. 小林武

    委員長小林武君) 治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 先般の当委員会において、同僚田中沢田議員から総括的な質問が行なわれたわけであります。私は、本日は、具体的な問題について若干のお尋ねをしたいと思っております。  具体的な問題に入る前に、先般の、田中沢田議員質問関連をいたしましてお尋ねしたいと思います。  その第一は、沢田議員質問に対して、川崎河川局長答弁をされておりますが、それは、第一次五カ年計画、第二次、第三次と、いままでの計画の遂行について、金銭的な費用の面の答弁がなされておるわけであります。これについては、さらに、建設大臣は、田中君の質問に対して、治山治水五カ年計画の実体が非常にすばらしい、少ない金で非常な効果をあげているという御自慢もされております。私は寡聞にして、その第一次、第二次、第三次五カ年計画治水事業がどういうふうに具体的になされ、どういった現実的な効果をあらわしているかわからないので、ひとつこの点について、河川局長から、もちろんこまかいことは必要ありませんから、少なくとも、大規模な第一次、第二次、第三次の実施の具体的な面を明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。
  6. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 治水事業の過去の五カ年計画につきましては、前に申し上げましたように、昭和三十五年に治山治水緊急措置法が制定されまして以来、逐次、その計画に従いまして実施をいたしておるわけでございます。  各五カ年計画の中で完成をいたしましたおもなものを申し上げますと、第一次五カ年計画におきまして、直轄河川完成の中で主たる工事を申し上げますと、常陸利根川におきます常陸川水門利根川上流田中菅生調節池工事、それから淀川水系でございますが、瀬田川の洗いぜきの改造工事筑後川の島内可動ぜきの工事並びに石狩川和捷水路工事、こういったものが河川のおもなものでございます。  次に、第一次の五カ年におきますダム関係では、直轄多目的ダムといたしまして、荒川の二瀬ダム、それから揖斐川の横山ダム淀川天ケ瀬ダム、こういった七ダム完成いたしております。補助目的ダムにつきましては、個所はちょっとたくさんになりますが、合計十九ダム完成いたしております。  第二次の五カ年計画でございますが、河川関係で申し上げますと、石狩川馬追排水桟場、雄物川の大曲の捷水路、渡良瀬川の岩井山分水路利根川利根川上流引き堤工事、それから狩野川の放水路、同じく豊川の放水路、同じく中国の太田川の放水路、こういったものを完成しております。  ダム関係につきましては、利根川水系につきましては、薗原ダム、川内川の鶴田ダム利根川矢木沢ダム、こういった六ダム完成いたしております。補助につきましては、十六カ所の多目的ダム完成を見ておる次第でございます。  さらに、第三次の五カ年計画でございますが、現在までに完成しておりますおもなものは、石狩川下流の砂川の捷水路天塩川の歌内の捷水路利根川上流渡良瀬遊水池の第一期調節池計画信濃川下流関屋分水路、それから近畿の淀川の支川でございます猪名川の万博に伴います緊急の河川改修工事、それから岡山の旭川の百間川の河口水門、こういったものがおもなものでございます。  なお、ダム関係につきましては、直轄で北上川の四十四田ダム、日野川の菅沢ダム、天竜川の小渋ダム北海道天塩川岩尾内ダム、名取川の釜房ダム、熊本の緑川緑川ダム、福井の九頭竜ダム筑後川の下筌ダム松原ダム、矢作川の矢作ダム利根川下久保ダム淀川水系高山ダム並びに青蓮寺ダム利根川水系利根川河口ぜき、石狩川では豊平峡ダム、重信川の石手川ダム吉野川水系の早明浦ダム、こういったものが約十七ございますが、大体完成並びに概成をしておるわけでございます。  補助につきましては、多目的ダムといたしまして十七ダム完成を見ております。  大体、以上が現在までの五カ年計画実施いたしましたおもなものでございます。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この説明によりますと、第一次五カ年計画は大体五カ年を要して完了しているようでありますが、第二次については三年間、第三次については四年で計画が変更されておる。もちろん、これにはいろいろ実情があろうかと思うのでありますが、このいわゆる第二次、第三次の五カ年計画が途中にして計画が変更されたおもな理由について、ひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  8. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 第一次、第二次五カ年計画につきましては、これは当時非常に治水投資規模が小そうございまして、しかも、かなりの天災その他による水害が多発をしておるというようなことで、第一次、第二次、当時は合わせた十カ年計画ということでスタートしておったわけでございますが、その前期の第一次五カ年計画実績で、先生もごらんになられますとおわかりいただけますが、治水投資計画時点で約三千六百五十億でございましたが、これを上回ります四千三百億程度の投資額実績はなっております。そういったことで一期、二期につきましては、いずれもはるかに現実災害に伴う復旧の促進、こういったものがとても計画ベースよりもはるかに上回って実施をせざるを得なくなった。こういうようなことから、実質的に計画内容を変更したというような状況でございます。したがいまして、第二次の五カ年計画では、三年まではその計画に従って実施をしたわけでございますが、四年目から新しい現在の第三次五カ年計画に乗りかえざるを得なかったというのが過去の実情でございます。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 要するに、計画よりも実際の実施面のほうが先行するというか、とにかく実情においては上回ってきておるということで、これはやはり変更せざざるを得ないと、こういうわけでございますね。
  10. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お話しのとおり、現実のぜひ改修をしなくちゃいけない、こういったものが、実際のわれわれの計画しました規模よりもはるかに上回ることが予想されましたので、こういった計画改定に踏み切ったわけでございます。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 今度の五カ年計画は四十七年度から五カ年ですが、約金額にして四兆五百億ですかのかなり膨大な計画でございますが、この四十七年度を初年度とする新しい第四次の五カ年計画事業施行の大体予定があろうかと思うのですが、そのおもなものをここで明示してもらいたい。
  12. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在の第三次五カ年計画でございますが、これは四十三年度から始まっておるわけでございます。しかし、この第三次の五カ年計画におきましても、たとえば河川環境整備事業等は、第三次で予定をしていなかったわけでございます。なるべく弾力的に五カ年計画を運用していきたいということで、河川のたとえば環境整備事業あるいは地盤沈下対策あるいは地震対策事業、こういったものが現在の三次五カ年には当初予定をしておりませんでしたが、やはり実態から見て、そういったものも積極的に対策を講じていく必要がある。また、都市河川補助制度も四十五年度から発足をしておるわけです。こういったように、内容的にかなり現在の治水環境に即応したやはり計画に変更をしてまいりませんと、弾力的な運用にも限界がある、こういうようなことで、今回の第四次の五カ年計画を策定したわけでございますが、したがって、その重点といたしますと、都市河川対策の強化、それから最近の集中豪雨等の被害の実態を見ますと、非常に中小河川改修がおくれておるというようなことで、ぜひ中小河川改修促進をいたしたい。  それから、最近の水需給等実態を見まして、水資源開発と、それからもっと水の高度的な利用を進めていく必要がある。さらに、最近の集中豪雨等災害によります土石流対策、こういったものを積極的に手当てをしていく必要があるんじゃないかといったようなおもな問題点を中心にいたしまして、今回の第四次五カ年計画改定を企図したわけでございます。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 続いて少し具体的な問題についてお尋ねをしたいと思います。  たびたびいままでの委員会でも提起をしたわけでございますが、八ツ場ダムの問題でございますが、これは今日ただいまの時点でどういうふうな、状態になっておるのか、概略説明をお願いしたいと思います。
  14. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 八ツ場ダムにつきましては、これは四十二年度から実施調査に入って現在に至っておるわけでございますが、現段階ではまだ地元の十分な了解が得られません。したがって、本格的な工事着手するまでに至っておりません。しかし、首都圏その他の治水事情あるいは水需給状態等を見ますと、私どもとすれば、早急に建設着手をしたいということで、現場等におきましてはいろいろ問題はございますけれども、できるだけ地元の理解と、それから今後の地域開発等をどういうように進めていくかというようなことで、県も含めまして協力して、なるべく早期に着工できるように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは、当初予定では四十年度から調査実施することになっていたのですが、何年に建設を開始して何年度に終わる予定でありましたか。
  16. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 当初は五十年時点水需要に何とか八ツ場ダムを間に合わせたいということで、実施調査に入ったわけでございます。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 たしか四十六年度から建設を開始して四十八年度ぐらいに完了するという予定でしたかと記憶しているんですが、その点いかがですか。具体的な数字はありませんか。これは何年に始めて何年に終わるという予定は当然あると思うんですが。
  18. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 四十五年に工事着手いたしまして、四十八年には実質的な効果のあがるように期待をいたしておりました。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 四十五年に着手をして四十八年には完成したいという当初の予定であったということでありますが、現在、いま局長の御説明のように、全然建設のめどがついていないということでございます。これはいろんな事情もありましょうが、一番大きな原因は、地元関係者了解が得られないところに大きな原因があるかと思うわけであります。そういうようなことでありますときに、地元建設事務所の当事者がいろいろとあせったり、いろんなことがあることはこれはもうわかるんでありますが、そういうことと相前後して起こりました最近の問題でございますが、これは大臣局長も御承知のように、三月二十一日の衆議院予算分科会で、同僚山口代議士お尋ねをしておるし、いろいろ申しておるようでありますが、ちょうどそういうようなあせっている時期にダム建設予定地上流護岸決壊等がありまして、これに対して地元から護岸工事をやってもらいたいという陳情が出たようであります、町長あたりから。私がこれは御説明するまででもなく、すに御承知でありますが、この地点は全然ダムとは関係ない地点でございます。  そこで問題は、ダム関係ない地点護岸工事促進するという点で、それが当然やはりダム関連を持っていくという実態がありまして、かなり地元混乱をしているようであります。私は最近行っておりませんけれども、いろんな情報を見ますと、かなり混乱をきたしておる。そこで、先月の二十一日の予算委員会分科会のときの衆議院山口代議士質問となったわけでありますが、このときに河川局長は、いわゆる現地責任者にこの護岸工事と、いわゆるからみ合わした便乗と申しましょうか、便乗測量と申しましょうか、そういったことに対して指示をした覚えはないという御答弁があったようであります。もちろん、当然だと思うんです。これにつきまして、この二十一日の衆議院における予算委員会分科会のこのやりとりのあと、建設省はこの問題に対して、現地に対して何らかの指示なり指導をされたかどうか。その結果、それに対して現地ではどういうふうな対策をとったか、もしありましたらば御説明をお願いいたします。
  20. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまお話の山口先生からの御質問がございまして、お答えを私その際申し上げましたが、当然現地とすれば非常に積極的にダムを推進したい、あわせてダム建設に伴いますやはり地域開発のあり方とか、今後の生活再建、こういったことであの周辺等調査いたしておりますので、そういった関連で、地元要望協力をしたいというのが現地事務所の考えであったかと存じます。しかし、やはり本来としますと、直接工事そのものダム関係のあるわけではございませんので、そういった趣旨をはき違えて語誤を生じては困るというようなことで、ちょっと私日にちを忘れましたが、関東地方建設局局長に私からの趣旨、それからそのときの山口先生お話し等を伝えまして、現地混乱を生じないようにという指示はいたしました。その後特別の報告は受けておりませんが、群馬県の土木部長等も参りましたので、やはり同じ状況を伝えまして県としても今後どういうふうに進めるか、町並びに関東地方建設局とも十分連絡をとってひとつ善処してもらいたいという趣旨要望をいたしておきました。  なお、現地状況といたしましては、三月の三日に私どものほうに、何とか崩壊防止対策を配慮してもらいたいという陳情書が参っておりまして、その後現地事務所では調査協力をしましょうということで、文書町長あてに出しております。これが三月の八日でございますが、その間まあこれに関連しますいろいろな水準測量その他の方法等について多少混乱があったようでございます。そういった点につきましては、十分誤解のないようによく町当局と接触をとりなさいという指示はその後いたしましたが、報告によりますと、三月の二十二日に町長から現地所長あてに、崩壊防止実施調査について一部関係住民との意見の調整ができてないので、いましばらく調査について延期をされたいという趣旨文書が参っておるようでございますので、現地ではいろいろその辺の調整をしておると承知いたしております。
  21. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この三月八日付の八ツ場ダム工事事務所所長長谷川重善氏から吾妻長野原町長に対する「吾妻川直轄区間崩壊防止について」という文書は当然いま局長おっしゃるように御承知と思うのであります。この内容が(1)(2)(3)(4)(5)そして、さらに調査範囲等が出ておりますが、このいわゆる(1)(2)(3)(4)(5)に記載されている水準測量三角測量平面測量縦横断測量地質調査等関連地区は全然崩壊防止地点とは関係のない地点であるということは河川局長も御承知でございますか。
  22. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) やはりまあ工事設計なり計画をいたします場合に、何がしかやはり河川の絶対的な標高との関係だとか、そういったものを調査いたしませんと、構造物その他の設計の場合にやはりそごをきたすということも考えられますので、こういった項目については、ぞれそれ必要な項目であろうと思います。ただ、それを実施します場合に、やはりダムと一連の関係実施するか、あるいは端的に崩壊防止工事そのものだけを頭に置いて実施をするかといった点ではやはりやり方もいろいろあるんじゃないかと思います。そういった点では、必ずしも崩壊防止工事そのもの実施するための必要な範囲から見ますと、いろいろ異論が出てくるんじゃないかと思います。で、そういった点につきましては、先ほど申し上げましたように、地建局長並びに県の土木部長等にも、この際なるべく誤解を受けないような方法調査協力するようにひとつ進めてもらいたいという趣旨を申しておきました。
  23. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あなたの間接的な部下のやったことでありますから、あなたとしては、できるだけ堤防工事関連があるように指示したのは当然だと思うんですが、しかし、現地を知ってる私としては、この文書に出ている地点等はどう考えても堤防決壊防止工事とは関係ないと思うんですよ。特に吾妻郡の松谷あたり地点なんというものは、これはまるっきり関係ないわけですよね。こういう地点もあげて、これはやっぱりこういうことをやるということは、明らかに便乗測量と断ぜざるを得ない。これはあなたがどう弁解されても、事実として、第三者に見せても、これはそうだと言わざるを得ないと思うんです。この点について、これはもう山口代議士もかなりやったようでありますから、私はここであえて申し上げようと思っておりませんが、やはり一応あなたの上司としての部下に対する心情はわかりますけれども、こういうことがあるところに、四十五年から着手して四十八年には完工すべきダムが四十七年の今日、いまだにどうにも手がつかぬということは、こういう出先機関のこういうところに問題がたくさんあると思うんです。これはまた、はっきり申し上げて、長谷川所長の前の所長、名前は失念したが、かなりこれは強引な所長だったようでありまして、いろいろとあちこちに問題を残して去りました。長谷川所長は、前の所長と違って、かなり柔軟な態度をとり、一応現場でも良識的な所長と評価をしていたようでありますけれども、やはりだんだん日にちが過ぎるため、いま言ったように、あせりも出ましょうし、いろんな策を弄する。これは昨年の四月の選挙のときも問題あったんですが、これは私深追いをしなかったんでありますが、そういうところにやはりますますダム建設を困難ならしめる原因をつくっているかと思うんです。  そこで、私は大臣にここでちょっとお尋ねしたいんですがいまお聞きのように、また衆議院でお聞きのように、明らかに功をあせるという立場から、現場責任者が、ちょうどダム予定地上流に起こっている堤防決壊防止作業便乗して、ダム関係測量を一気にやりたいということであったわけです。それは、私はよしあしは別として、そのことは、いわゆるダム関係のない上流住民が、これはダム便乗しようと何としようと、自分の周囲の堤防決壊に対して、費用は五億円くらいかかるそうでありますが、そういった多額の費用のかかる工事であるし、もちろん、長野原町としてはどうにもなりませんし、県としてもどうにもならぬということで、これはぜひこの際やってもらいたいという大きな要望がある。ところが、いま申しますように、そのことを建設省が無条件になさるんならば問題はないんでありまするけれども、いわゆる現地責任者がやりましょうと、そのかわりこういった測量をさせてもらいたいと、それがいままで実行し得なかったダム関係測量を、そのこととからめて一気にやってしまおうという魂胆は、先ほど言ったように明らかである。したがって、そのことが今度は、ダム関係の特に反対期成同盟という組織に結集されている関係者は非常な刺激を受けている。これはたいへんだと、これはもうとんでもないことだといっていきり立ってきたということでございます。さすがに強引な町長も、いま局長の御説明を承ると、地元関係でいましばらく延期してもらいたいということを言っておるわけであります。大臣長野原町長のことを御存じだと思いますが、かなり強引な町長であります。今日までかなり無理をしてきたと思うのでありますが、その町長すら、いま申しましたように、当分の延期を言うんでありますから、かなり長野原町内関係者の中に混乱が起こっていることは事実だと思う。それで、これは大臣にぜひ心していただきたいことは、もちろんダム促進についての御心痛はわかります、わかりますが、よほど現地責任者の諸君が現場関係者要望なり気持ちを常にそんたくしておりませんと——急ごうとすることは、結果的には反対の状態を起こしておる、これは現にそうであります。これは建設省当局の、やはりそういう場合における、何と申しましょうか、私は西村建設大臣を人間的にも信頼をしておるのでありますが、その人間的な面が行政の中にも出てまいりませんと、こういったことが起こりやすいと思うんです。河川局長のあれによると、それぞれ対応されたようでありますが、しかし、事はそれだけでは終わりません。したがって、そういう結果を招来しているのでありますから、ここで私はこの文書を正式に撤回すべきだと思うんです。町長あてに出したこの文書を撤回することによって、一応地元の感情をひとつ、何といいますか、やわらげると申しますか、そういった処置をすることが当然であるし、また望ましいと思うんだが、大臣としてそういう処置をおとりになることについてどういうふうなお考えをお持ちであるか。これは、やったことはしょうがないということで過ごされるのか、あるいはあやまちがあれば改めるに何らはばかるところではありません。したがって、ひとつ三月八日付の八ツ場ダム工事事務所長の長野原町長あてのこの文書を撤回すべきであると思うが、大臣はいかようなお考えであるか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  24. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 八ツ場ダムの問題でございますが、この八ツ場ダム現場所長並びに職員としては、八ツ場ダムのことについて命を受けて行っている方でありまして、一生懸命何とか地元との調整をはかって、一日も早くひとつ工事着手するような段階に持っていきたいというその職員の心情は私はくんでやらなければならぬと思っております。一生懸命やっておると思います。しかし、その方法を誤ってはかえってそれが災いになる。それは、やり方の問題でございまして、どうもいろいろ聞いてみると、私も、ずいぶん長い間の係争でございまするからいろいろ問題があったんだと思いますが、結局やり方がずいぶん、まずいとかえってトラブルを起こす。ここで私は箇条書きでもっていろいろなことを調査するということは、これがそのダムに直接に関係があるのかないのかわかりませんが、あなたの説明ではあまり関係ないということなんです。
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ダムとは関係ある。その堤防決壊の場所と関係あるんです、ダム関係ある。
  26. 西村英一

    国務大臣西村英一君) だからそういうことですね。やはり何と申しましょうか、俗にいえばだますというか、つるということをしてはそれは正当な進み方じゃないと思います。心情はわかると思いますが、そういうやり方はまずいです。したがいまして、私はいまこの書面を撤回するかどうかということでございまするが、しばらく考えさせていただいて、この書面は私が出したものじゃございませんから、これがどういう経過になっておってどうしておるのか。この場所も確かめてやはりしないと、一ぺん役所の職員として出した書面でございまするから、この場でこれはすぐ撤回させますというようなことを言ってもちょっとまずいと思います。したがいまして、十分調査をいたしたいと思っております。結局、それからいろいろな話を聞きますが、この前の衆議院山口代議士の話もこのウイークデーにゴルフに連れていったと、そういうことでもってという話である。ウイークデーにゴルフに連れていって自分は休みを取ったからというようなことで、いろいろ苦心をしてやっておったようでありまするけれども、それを日ごろやっておるならばともかく、日ごろやりつけぬことを、その場でやっても子供じゃないんですから、反対派の感情を非常に刺激する。むしろ反対の理由の根本がこのいろいろな補償問題とか、なんとかで折り合いがつかないとか、その根本的な問題ならいいんですが、それ以外にどうも感情的になっておるような気持ちがいたすのでございます。したがいまして、私もひとつ皆さま方の御協力があれば絶対にダムはつくりたいと、そういう感じを建設省としても持っております。持っておりますが、それがやっぱり住民のほんとうの気持ちがわからないと、またほんとうにそういうことを理解しないと、これはなかなかやりにくい。いままでは、姑息なやり方で曲がった道でひとつ何とかしようというようなことを考えておったんじゃないか。しかしこれも私は上司として、一生懸命わらをもつかむ思いでやったことについては、それはばかばかしいことだとただ単にしかりつけるだけでも私はいかないから十分この辺の事情を聞きまして、もし必要と認めれば、これを撤回するようにさせるようにこれも指示したいと、もうしばらくこれをこの場で撤回させますからと断言することだけはちょっと保留させていただきます。あと考慮したいと、かように考えておる次第でございます。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ大臣答弁、満足とは言えませんけれども、苦衷はよくわかります。しかし、先ほども指摘しましたように、結局急ぐあまり問題をこじらす原因をつくったのではこれはいかぬと思うんですよ。先ほども言ったように、非常にこのことがもう不必要に感情を刺激して、そしていきり立っておるということであります。私、実は来週早々に現地に一ぺん行ってまいります。そして現地所長にも会いたいと思いますが、それまでに早急にひとつ実情調査をして、またこれは追って、多目的ダムの問題もありますから、ほかにも問題あるし、私はこの問題についてもう少し突っ込んだ話がしたいのでありますが、きょうはもうそれには触れません。あらためて、この問題はほかの観点からもいろいろ問題がありますので、これは後日に譲りますが、ひとつ当面はこの問題が非常にこじれてまいっておりますので、このよし悪しは別として、早く解決する必要がありますので、ひとつこれは河川局長ももうおそらくいまおっしゃったように、土木部長等にも会って話もあったようですが、さらに今後のこともありますから、ひとつこういったことがないように、これはもう気持ちはわかるけれども、わかるだけにもつと地元住民の気持ちもそんたくをして、適切な処置をするような指示をあらためてしていただきたいし、来週早々私現地に参いりますから、たぶん月曜の十七日の午前中になるかと思います。これはひとつぜひ現地所長も、事務所に私参いりますからいろいろ説明をしたり実情をひとつ私のほうから聞きたいと思っておりますから、十七日の午前中九時から十時前後に在所するようにぜひ御指示をお願いしたいと思います。  この点については、いま申し述べましたように大臣のお気持ちもそんたくをして私としてはこの文書は撤回されることのほうが今後の問題の推移に対してはより効果的ではなかろうかと、こう思うわけであります。したがって、いまここで大臣もおっしゃるように、即座に撤回を指示することは容易でないかもしれませんけれども、しかし、そういう方向に向かってひとつ御努力を願いたいということを申し上げて、この件は終わります。  次に、四十七年度の利根川水系ダムの問題についてどういうふうな調査をされる予定であるか。四十七年度における利根川水系におけるダム調査の予算は幾らとっておられるか。その中に、下仁田町と南牧村にまたがる跡倉、山口ダムというのがありますが、これが四十七年度分にダム調査費用として入っておるか。入っておれば幾らくらい入っておるか、この点についてひとつ御説明を願います。
  28. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 利根川上流につきましては、いろいろな治水計画あるいは利水計画こういった総合的な立場から上流ダム群といたしましてまとめて調査費を計上いたしております。で、四十六年度が全部で六千二百万円ばかりでございましたが、大体四十七年度もほぼまあ同じ程度のものを予定をいたしておるわけでございます。非常にダムをつくる適地も少なくなっておりますので、在来から幾つか候補地点はございますが、そういった中に山口ダムあるいは跡倉ダムといわれるダムの候補地点等調査の対象にはいたしております。  金額的には四十七年度は約百万程度じゃなかろうかと思います。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 跡倉、山口ダム調査対象には入っているけれども、これに幾ら使うというその予算的措置はないということですか。
  30. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 二つのダムは、これはまあ全体でのいろいろな関連の流量等になりますと相互にいろいろ計算をします場合、関連がございますので、直接山口ダムに幾ら、跡倉ダムに幾らというふうな割り振りはちょっとできないわけでございますけれども、まあ現地的な地質の踏査なりその他については大体二つのダムで約百万円程度を予定しておるようでございます。
  31. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大体あれですか、両方のダムで貯水量はどのくらいの予定をしておりますか。
  32. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 山口ダムで貯水の総容量といたしまして、約七千六百万立方メートル、跡倉ダムは約一億二千五百万立方メートル程度を予定いたしております。
  33. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは実地調査に入る時期は大体まだ検討つきませんか。
  34. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これは上流ダム群の一環としての予備調査でございますので、現在具体的なスケジュールを非常に立てにくい段階でございます。それから、ただいま申し上げましたような規模になりますと、かなり水没家屋もそれぞれ相当な戸数になるようなダムサイトのようでございますので、私どもといたしますれば、一つでも実調に入れるような段階になれば、非常に治水対策、利水対策の上からは促進されると期待はいたしておるわけでありますが、いまちょっと具体的な計画までは立てておりません。
  35. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 次に、昭和四十年十二月二十三日付の次官通達の問題について少しお尋ねしたいと思います。「河川敷地の占用許可基準」というものですが、具体的な問題としては、大臣も新聞で御承知かと思うのでありますが、四月四日の朝日新聞の夕刊に大きく取り上げられております。「堤防の緑化に“待った”、調布・東久留米両市にまたがる野川の堤防に調布市がいわゆる市街地緑化の推進という点から堤防のはたに桜の木を植えた。ところが、これがいわゆる治水上非常に危険である、すなわち、いま申しました昭和四十年十二月二十三日付の「河川敷地の専用許可基準」に違反をしているから即刻これを撤去せよというきつい達しが都当局から市当局にいったと、こういう問題であります。私はこの次官通達なるものについては疑問を持っているのであります。法的な拘束力あるいは法的なことについては疑問を持っておるのですが、その点はきょうは問題にいたしません。きょう問題にしたいのは、この次官通達が、まあよしあしは別として、現存しているわけですが、もちろん治水上、堤防に大きな樹木を植えて、それがまあ何か新潟の大地震災害のときにも問題が起こっているようですが、確かに部分的には危険を帯びたこともあろうかと思いますけれども、それが全国の河川敷に一律に適用してどうにもこうにもならぬといういわゆる金縛りの状態であってはならぬと思うのであります。行政は末端の住民のしあわせと、そして住みよい環境をつくるのが、これはもう大事なことであります。調布市が、しかも市長さんが地域住民とたびたびの話し合いを通じて、地域住民のたっての要望にこたえて、当初申しましたように、緑化、美化、そういった観点からかなりの費用をかけて植樹をされた。ソメイヨシノ桜ですが、桜を植えた。全部では六百本ほど植える予定であったようですが、百二十本植えた時点で、どういうことになりますか、建設省のこれが耳に入って、建設省から都を通じていわゆるおしかりを受け、しかもこの植えた分については撤去をしろというきつい達しを受けた。こういう事態があったことは当然御承知と思うのでありますが、こういうことに対して大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずひとつ大臣の御所見を承っておきます。
  36. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ちょっとその前に、次官通達のことでございますが、これは四十年当時に都市部の河川で非常に高水敷等の利用について、地域の方々からできるだけ公園とか広場に解放しろと、こういうような趣旨がございまして、河川審議会等でもいろいろ御意見をいただいた上で、この次官通達が出たわけでございます。したがって、この次官通達の内容といたしますと、河川敷という表現を使っておりますけれども、主として高水敷を対象にして、できるだけこれを公共的な目的に、あるいは一般的な解放の広場として使うというような趣旨からこの通達が出ておるようでございまして、いろいろ樹木の高さなりその他の数字を見てみますと、やはり堤防あるいは堤防のまあ内側に類するようなところを対象に置かないで、もっぱら高水敷をどういうように扱うかということからいろいろな準則等が出ているようでございます。したがって、今回のまあ野川なり仙川の問題でございますが、これに直接当てはめるのにはやはり現在の社会情勢なり何なりを考えて判断をする必要があるのじゃないかという気持ちを、私も新聞を見ましたときに受けたわけでございます。  で、現地的には、東京都と現地の調布市なりとの間にいろいろとやりとりがあったようでございます。実績がまず先行して、手続がとられてなかった、手続上は何かまあ灌木を植えることになっておるのが、申請ではそうなっておったのに、実際には桜を植えているじゃないかといったような、現場的な多少、何といいますか、トラブルといいますか、誤解といいますか、そういうものは若干見受けられるわけでございますが、そういうものはさておきまして、この川の断面を見ますと、新しく高い堤防をつくった上に木を植えるというのじゃなくて、堤内地もかなり高いわけでございますから、ある程度治水上の安全性の確保とかという問題と環境の問題とを調和させる余地は十分あるのじゃないかという感じがしておるわけでございます。  したがって、今後のこういった面の取り扱い等につきましては、現在私どものところで治水課を中心にしていろいろ検討させておりますが、やはり単に国土保全の意味からの、狭い意味から治水上という問題だけを重視しないで、やはりまあ住みよい環境といいますか、そういったものにも河川改修の結果生まれた土地が有効に使われるように、私どもも配慮をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  37. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま河川局長から話がありましたが、結局理屈を言えば、河川敷というものは、その水を流すんだから、そこは何にも手をつけちゃいかぬぞという理屈でございます。これは通達が出たときに、その出たときの状況でやったんでございましょうが、私は必ずしもその原則論にとらわれる必要はないと思う。やはりケース・バイ・ケースで、そういうことも許していいところはたくさんあると思うのです。したがいまして、行政上の指導としてはやはり弾力的に指導しないと、理屈一点ばりではいかないと思うのです。しかし、事務次官が通牒を出したときの社会的な環境の事情もあったかもしれません。なお私のところでよく研究はいたしますが、考え方としては植樹をしてそれが河川に対するたいした支障にもならない、かてて加えて環境の整備がいわゆる自然をつくっていくというようなことがありますれば、それは私はむしろこちらから進んで植えるべきじゃないか。古い河川についても相当に河川の、森林地帯として相当にいいところを残しておるところも昔からあるわけでございますから、むしろ進んでやってもいいところもないわけではなかろう、かように考えておる次第でございます。
  38. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は二、三日前に現地に行ってまいりました。調布市の全体の町の形成から、それから大体の調布市を流れる野川の流れ等も全部見てまいりました。ちょうど調布のまん中を流れている川でございまして、川というより掘り割りといったほうが適切ではないかと思うのです。川の状態大臣、普通の堤防は盛り上がっていますが、こうやって野川は平地なんですよ。堤防のところが平地で、下のほうが掘り割ってある状態です。堤防といっても普通の常識でいう堤防じゃないわけです。と同時に、もう一つ問題は、市がその川のふちから一番端のほうに、その広さが普通自動車が優に通れる道が、上があいています、そこに植えたわけです。植えたすぐそばはほとんどが民有地なんです。民有地でみんな木を植えているのです。新しく植えた桜の木と以前から植えてある木の間は一メートルないわけです。したがって、木はもう植えてあるわけですからね。問題あるないは全然心配ないわけなんですよ。河川敷というよりも、河川敷はさらにそれから二、三メートル下がってまたありまして、そのまたまん中に川が流れている。しかも川の歴史を聞いてみますと、いわゆるずいぶん昔は非常に川が狭くてあふれることがあったそうですが、しゅんせつしました以後は、全然どんな大雨でもあふれることもありませんし、また、あふれたとしても堤防決壊なんというおそれはないという状態である。そういうところでありますから、しかも町のまん中を流れている川でありますし、市としてはいまかなり水質がよごれておりますが、下水道その他の整備もしながら、これをきれいな水にしたいという計画もあるようであります。これが、もしここへ六百本の桜が植わりましたならば、最近東京都内には桜の名所がほとんどございませんが、これは新しい東京都における桜の名所が生まれるであろうと、こう期待されるわけです。したがって、将来は調布市だけじゃなくて、東京都二十三区の都民に対してもこれは大きないこいの場所になるのじゃないか、こう期待されるわけであります。したがいまして、いろいろ申しませんが、いま大臣河川局長のおっしゃるように、これは当然ケース・バイ・ケースでいくことは当然であるし、とにかくここなどは実態調査されれば、これは何らいわゆる治水上の危険その他はございません。でありますから、ぜひひとつ市の要望をいれて、あと五百本近く植えたいようでありますが、まだ撤去しろという指令があっただけで、その後何らの指示もないようであります。東京都と何か、局長のおっしゃるように行き違いがありましたならば、それはぜひ建設省でひとつ植える方向に、あと五百本近い桜を植樹する方向へぜひ指導を願いたい。そうしますと、これを契機に、私は、全国至るところの河川敷や堤防に植えるというのじゃありません。調査の結果いわゆる治水上支障がないところは桜だけじゃございませんが、あらゆる樹木を植えて、そしてやはり緑化への協力、また花におおわれた国土の建設といった面にぜひ御協力願いたい、こう思うのでありますが、そういう処置をとっていただけるかどうかひとつお答えをお願いします。
  39. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も先生の御意見に賛成です。したがいまして、現地もよく調べさせて、できれば支障がないところであれば積極的にそういう植樹をやってもしかるべきである、かように思っておりますから調査をいたしまして善処したいと、かように考えておる次第でございます。
  40. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは余談みたいになりますが、あの市長の本多さんは大臣承知のはずです、大分県出身でありますからあなたと選挙区が同じなのであります。あの人は三選でありますが、住民ともこれはむしろ美濃部さんよりも先に住民と対話をされたり、非常に市民との心のつながりを持った人なんです。したがって、市長としては、強引にしたくはないけれども、場合によっては私自身も西村大臣にひとつ知らぬ仲じゃないからお会いをしてお願いをしたいとおっしゃいましたが、ちょうど十三日に委員会がありますから私がかわってひとつ市長の気持ちを大臣にもお伝えして、これはまた私の責任においてもぜひこの予定せられた六百本だけは植樹できるような努力をしたいと思うから、これはひとつということを申し上げたわけなのです。いまの大臣の御答弁をおそらく市長、これは市長だけではありません、全市民が聞いて非常に喜ぶことだと思うのであります。特に、私心配したのは、あれを無理にとめますと、いわゆる関係住民の希望と要望に基づいて起きたことでございますから、またぞろ住民のパワーが起こって、いわゆる市民運動なり陳情運動などが起らぬともこれは否定できません。そういったことが起こってからやるのではおそいのでありまして、そういうことのない以前に、ぜひいまの大臣のお気持ちをひとつ具体的に行政面に生かしていただいてぜひ六百本の桜が完全にひとつ植え終わって、やがて先ほど申しますように、東京名所として野川堤防の桜が全都民のいこいの場所になるような方向へ強力な御指導を御期待申し上げまして、私の質問を終わります。
  41. 小林武

    委員長小林武君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 小林武

    委員長小林武君) 速記を起こして。  零時二十分まで休憩いたします。    午前十一時十九分休憩      —————・—————    午後零時二十六分開会
  43. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  44. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案についてお伺いをしたいわけでありますけれども、すでに今日までに各委員がそれぞれ質疑をされておりますので、なるべく重複を避けながら質問をしてまいりたい、このように考えております。  そこで、河川行政にしぼってお伺いをするわけでありますけれども、要するに、河川行政というのはなかなか私なじめません。いままで具体的な、あるいは局部的な問題につきましては質問もいたしたことはありますけれどもなじめませんので、非常に概括的な諸般の問題についてお伺いしたい、このように思うわけです。河川行政といいますのは、すでに申すまでもありません。国土の保全、開発、あるいは利用を通じまして民生の安定とか、産業基盤の育成とか、あるいは生活環境の整備と、そういうことをねらいとするところがありますけれども治水、あるいは利水の両面にわたりまして、国民生活と密接に関係を持っております。そこで、建設大臣として、基本的な問題ですが、河川行政に対してどのような考えで臨み、また、これから臨まれようとしておるか、非常に抽象的な質問になりますけれども、その点からお伺いをしたい。
  45. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあ、私建設大臣でもございますので、一年か二年かやっておるわけでございます。建設行政それ自身がずっと私の考え方できたわけではございませんでしょうけれども、いませっかく基本的にはどうだと、こういうことでございまするが、大体私はまあ少し理屈になりますけれども、申し述べますと、日本があまり資源がない、資源がないと、こう言われておるのですが、まさに見るべき資源はないとやっぱり思っております。しかし、この水が、降雨量が日本に多いということは、これは日本にとりましては一大資源だと私は考えておるわけでございます。しかも、雨量が、もし雨が降らないと、雨量が少ないということになりますれば、これは全く国土というものが違った形になるので、その点は非常に私は日本の一大資源と考えておるわけです。しかも、その降雨が平地に降るのとは違って日本は幸いにして山岳地帯が多いので、山岳地帯に降るということになれば、これは一方山においては樹木の育成のためになり、水が下ってきて生活用水、農業用水、産業用水になる。しかも上のほうから下のほうに下ってくる間には水が大きいエナジーを持っている。私はそういうことを考えますると、日本に降雨が多いということは一大資源だ。しかし、これは使い方をうまくやらないと、結局これが災いするというようなことになるのでありまして、この水の利用、利水、こういうことを日本としては少ない資源でありまするから、有効に使わなければならぬと、私はかように基本的には考えておるのでございます。  そこから考えますると、私は昭和三十五年に始まりました第一次五カ年計画は、やはりいろいろな理由がありましたでしょう。敗戦国でございまするから、水に対する投資が非常に少なかった、これは端的に申します。したがって、いろいろ五カ年計画はありまするけれども実績においては大体五カ年計画というのは、初めのワクよりは実績は少ないのです、一般会計に金がないものだから。ところが、治水事業に限って、治水五カ年計画に限って初めのワクが四千億であったにもかかわらず、五千数百億の金を使ったということは、必要に迫られたからであろうと私は思っております。したがいまして、今回皆さま方の御協力を賜わりまして、第四次の治水五カ年計画をやることになりましたが、この四兆でも私は少ないと、もうちょっとやはり奮発してくれれば、これは道路というようなものと違いまして、ある程度やれば効果は非常に出るのです。追っかけ追っかけのものではありません。住宅政策ともちょっと違う。そういうことで、私は今回の第四次五カ年計画の四兆何がしとかいう金も、少ないがまあまあしょうがないというふうに考えておりますが、大体水は非常に日本の一大資源だ、これがあるからいろいろ樹木も茂り、産業も興るのだという、こういう考え方をいたしておりますが、それはあなたの問いに答えられるかどうかわかりませんが、そういう考え方を持っておる次第でございます。
  46. 二宮文造

    ○二宮文造君 国土も非常に狭隘だ、また、日本にとって降雨量あるいは水の利水といいますか、それが日本のすべての分野に非常に影響がある、水は大切だという御意見そのとおりだと思います。ただ、大臣のいまおっしゃいましたように、そういうふうな姿勢の中でも、たとえば政府委員から答弁を求めてもいいのですが、資料いただいておりますから私のほうで申し上げますけれども建設省関係の行政投資の推移という資料いただいております。それを見ますと、三十五年度における行政投資の構成比です、構成比率を見ますと、道路が五九・二%、それに続いて河川、海岸——海岸を含みますが、二二・六%、こういう構成比率になっております。それに続いては住宅の一三%、それがずっと六年、七年、八年、九年、四十年と、こうずっと経過をたどってみますと、絶対額はふえております、予算がふえておりますから。ですけれども、四十六年度におきましては道路が構成比率が六〇・四%に対して河川、海岸が一三・五%、住宅が逆に盛り上がってきまして一五・一%と、こういうようになっております。ですからおくれおくれになっているという大臣答弁がそのまま比率の上に、予算の上にあらわれてきているわけですね。ですから、結局いま水の需給の逼迫というものが局部的には起こっておりますし、それから、十年もたてばたいへんなことになるというふうなことをいわれておりますけれども、これはもう構成比を見ますと、こうなることは明らかだったのじゃなかろうか、こう考えるのですが、大臣いかがでしょう。
  47. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いままでのことはまさにあなたがおっしゃるとおりです。やはりいろいろな理由がありましても、結局非常に投資が少なかった、この比率を見てもわかります。したがいまして、今後の問題でございまするが、私はこの投資は、ほかの投資もそうでございますけれども、この投資は特に急速にやらなければならぬ、急速にやれば効果が非常にてきめんに出る、たとえばやはりこれをほったらかすと——災害等につきましてもいま実はわずかな投資でございますけれども、事故を見ますと、やっぱり戦後間もなくのような事故とは違いましてだいぶよくなりました。それは直轄河川の大はんらんがないからです。もし大はんらんがあったらたいへんな被害を受けますが、やや直轄河川はよくなっておる。しかし、中小河川は非常にまだおくれておるというようなことを考えますと、もう少し投資が進めば必ずこれは非常な国民生活に対する利益をうながすと、こういうことを私は考える次第でございます。したがいまして、いままでのことはわれわれは過ぎたことでございまするからしょうがございませんが、今後につきましても、ひとつ十分この治水事業には力を入れたい。しかし、この治水事業に力を入れることにつきまして、非常に残念なことは、昔でございますと、ダムをつくるにしても今日のような困難はないのです、もう非常にスムーズにいったのですが、今日はいろいろな関係において非常に困難さができました。また、新しい問題としては、水は量だけではなしに質の問題ということがこの経済成長のあおりを受けまして非常なむずかしい段階になっておりますから、水行政は量とともに今度は質、それをいかにしてうまくするかという新しい問題をかかえ込んだ、いままでの河川改修にしても、ダム建設にしても、いままでとは違ったような困難さを一つ加えるようになったから、われわれは同じことをやるにしても、今日の段階では非常に苦労しなければならぬ、こういうふうに考えられまするが、せっかく五カ年計画改定いたしましたので、これを機会にひとつ強力に河川行政を進めていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  48. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣答弁のように、確かに投資の面もおくれておった、しかし、また、私は管理の面もいままでややなおざりにされておったのではないかと、こういう感じもいたします。それらの問題についてきょうは質問をさせていただたいわけです。参考までに伺っておきますが、河川、海岸となっておりますこの構成比の、この河川、海岸とこう大別しますと、どういうふうなパーセントとなりましょうか。
  49. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 大体、海岸が約三%くらいの割合でございます、三十対一くらいの割合でございます。
  50. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、四十五年の五月一日に閣議決定を見ました新経済社会発展計画において、四十五年から五十年までの六年間に治水関係部門の計画投資額を二兆九千億、先ほとの金額とちょっと違いますが、これは五カ年計画のほうですが、二兆九千億と見込んでいるようであります。これに照らしますと、四十七年末の進捗率というのは一体おおむねどのくらいになる見通しを、この発展計画というのは持っておったのでしょうか。
  51. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 新経済社会発展計画の公共投資が五十五兆でございますが、この中で国土保全関係が三兆七千億、さらにこれを治山等と分けまして、先生お話しの二兆九千億という数字が治水事業で見込まれておるわけでございます。で、この計画は四十五年から六カ年の計画に相なっております。この二兆九千億の中で、いわゆる基幹的な治水事業と、それから災害関連の地方単独と、この二つに分かれますが、二兆九千億の中でいわゆる治水事業が二兆四千二百億円くらいになります。この計画でまいりますと、大体平均の伸びにいたしますと、一六・一%くらいの平均の伸びになろうかと思います。それで、四十五年から四十七年までのその中の進捗率でございますが、大体三九%を計画では消化するということになっております。これに対しまして第三次の五カ年、それから四十七年度の今回の計上しております予算を加えますと、四十五、六、七の三カ年での消化率が四二・七%になります。これは、若干四十六年度の補正等もございまして、かなり率が上がったんじゃないかと思いますが、そういった点では十分に、経済社会発展計画のワクからは若干はみ出るくらいに消化しておるというような感じでございます。
  52. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、この発展計画によるあれは五十年までですから、だから、残りの三カ年で約六〇%近くのものが消化されなければならないわけですが、その辺はどうでしょう。
  53. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほど申し上げましたように、現在の経済社会発展計画治水関係を見ますと、平均の伸びが一六・一%でございますが、今回の四十七年度を初年度といたします第四次の五カ年計画では、平均の伸びを二〇・七%にしておりますので、現在の経済社会発展計画治水関係のぺースよりはかなり上回っておるというのが実態でございます。
  54. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、過去のいわゆる実績に非常にこだわって、いやな質問ばかりするわけですけれども、それがゆえに、今度新しい五カ年計画を策定したと、こういう言い方にもなりましょうけれども計画の遂行の途中でやはり変更されるわけですね。ですから、計画が設定されても達成できない。たとえば現行の五カ年計画、当初四十三年を初年度にして四十七年度までの計画が策定されました、その進捗状況はどうでしょう。
  55. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 四十七年から新しい五カ年計画に乗りかえるわけでございますが、これをかりに四十七年を第三次の五カ年の延長と見ますと、大体九七%くらいでございます。若干一兆五千億の基幹の治水事業を下回っております。
  56. 二宮文造

    ○二宮文造君 四十六年度末では大体七〇・七%ぐらいとお伺いしているのですが、そうすると、ことしの四十七年度予算で二七%も見込まれているわけでしょうか。
  57. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 四十六年度までが先生のお話のとおりでございまして、これに四十七年の消化額を足しますと、九七%になりますから、間違いございません。
  58. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、現行の五カ年計画を繰り上げて、たとえば四十七年度は、四十三、四十四、四十五、四十六、四十七と、これは現行の五カ年計画ですね。それを繰り上げて、新五カ年計画を策定なさったこの理由はどこにあるのですか。
  59. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在の第三次の五カ年計画が発足してから以降につきまして、たとえば、計画当初に想定をいたしておりませんでした環境整備の事業、それから都市河川に対します補助の制度、最近の地盤沈下あるいは地震、こういったものに対します整備事業、こういったものは当初の五カ年計画では想定しておりませんでした。かなりそういったものの今後内容を充実していく必要がある、かなり内容的にも弾力的な運用の限界が来ておるんじゃないか。一方、水資源開発の最近の逼迫の事情等もございますし、さらに、大臣からのお話にございました中小河川改修が非常におくれておる、こういったものにやはり内容的にも対処するような計画が望ましいというようなことを踏まえまして、額の上では先生のお話のとおりでございますが、私どもとしますれば、できるだけ積極的に内容も並行して新しい五カ年計画として発足をさせたいということで、今回改定を企図したわけでございます。
  60. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、非常に初歩的な質問で恐縮なんですけれども、わが国の法定河川、法定河川として一級河川とか二級河川、準用河川と、こういうように大別されるわけでありますけれども、それぞれの指定基準並びに指定河川数、これをお伺いしておきたいと思います。
  61. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 法河川の指定基準でございますが、これにつきましては、一級河川について昭和四十五年に建設省において一級河川の指定基準内規というのを設けております。これは主としてその河川の流域にございますいろいろな利用状況等を勘案すること、それから、その河川工事計画なりあるいはダムとかせき、水門、こういったものの施設の状況を考慮する、それから河川がどのように利水その他で利用されておるか、こういったような問題について考慮をする、そういったような数点をこの指定基準にしておるわけでございます。二級河川につきましては、やはりこの一級河川の指定基準の内規に準じまして、それぞれ河川管理者が指定するようにいたしておる次第でございます。  それから河川数でございますが、水系で申し上げますと、一級河川が百六水系でございまして、河川の本教にいたしますと一万一千八百四十二河川になります。それから二級河川につきましては、水系数で二千三百七十水系、河川数にいたしますと五千八百八十二河川になります。  それから、先ほど申し忘れましたが、準用河川につきましては、これは特に市町村長の判断で定めることになっておりまして、基準は設けておりませんが、水系数が十四水系で、河川数が三十四河川になっております。いずれも四十六年の三月の調査でございます。
  62. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、あとでもまた質問したいと思うのですけれども、このほかに普通河川というのもありますね。要するに、普通河川も含んで河川数というのは一体日本に幾つあるんでしょうか、河川の数。いま法河川はざっと合計しますと約一万七千ぐらいですね。ですから、そのほかに普通河川というのは、河川数としては、一体どれぐらいだというふうにおつかみですか。
  63. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これは非常に毛細管的な小さい河川がたくさんございますので、実は悉皆調査をしたことはございませんが、数年前に八府県を取り上げていろいろ調査したところでは、大体まあ一対九で、いわゆる法河川が一に対して普通河川が九というぐらいの割合でございます。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ、さっき大臣直轄河川のところはもう非常に被害が少なくなった、おそらく二級のほうもある程度手が入ったと思います。これから、問題が起こってくるのが、毛細管的なとおっしゃっている普通河川のほうに問題が起こり、それが住民の生活にまた非常な被害を及ぼしているということが心配されるわけです。そして、いま一対九という割合であると、一が法河川、九が法定外の河川だと、その中で市町村が管理を要するものとして、準用河川というものが設定されている、こういうお話でございますが、その準用河川の数があまりにも少ないんではないか。水系にして十四、川の数にして三十四と、こういうふうな準用河川の指定数が非常に少ないわけですね。これは一体どういうことでしょう。たとえば、ちょっと調べてみますと、三月一日現在の全国の市町村の数が三千二百四十二あるんです。対象になるべきものとも言い切れないでしょうけれども、先ほどおっしゃったように、普通河川は一対九の割合であると、市町村の数は三千幾らある、その中で準用河川に指定した市町村というのはわずかに三十四しかない、川の数にして。なぜ準用河川の指定というものがこんなに伸びないんです。
  65. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) いわゆる、われわれ普通河川と申しておりますのは、一級河川、二級河川、それからそういう法河川に準ずる準用河川というものを除いたものが普通河川でございます。で、現在の準用河川の制度は、いわゆる一級水系あるいは二級水系の末端につながる……いわゆる普通河川というのは、それぞれ水系は一級水系、二級水系でございますので、準用河川とする規定がないわけでございます。いわゆる単独で、小河川ですが、単独で海に出ておる、こういったものに限って河川法を準用する制度ができておるというようなことで、この準用河川が非常に少ないというのにはいろいろ原因があろうかと思いますけれども、おそらく、一、二級水系の末端につながるものが、いままで取り上げる制度がなかったというところに大きな原因があるんではなかろうかと考えます。今回、河川法の改正をお願いをいたしておるわけでございますが、その段階では一、二級水系の末端につながる河川についても、河川法を準用するというような道を開きたいと、考えておるわけでございます。
  66. 二宮文造

    ○二宮文造君 普通河川の数は悉皆調査をやってないのでわからないという答弁が先ほどありましたけれども、それじゃ、そういう普通河川の財産管理というのは、どういう形でされているんでしょうか。
  67. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これは、普通河川のいわゆる水面につきましては、これは国有財産ということで、国有財産法の体系で建設省の所管ということに相なっておりますが、したがって、その機関委任を受けている府県知事が財産管理をしておるわけでございます。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 実態がわからないで府県知事が管理できましょうかね。まあそれはあとでまた関係方面にお伺いしましょう。  それで、ただ自治省にお伺いしますけれども、地方公共団体のほうで管理条例をつくって、そして、これらの河川の行政管理をやっているという話も聞いたのですが、こういう管理条例を制定している公共団体というのは幾つぐらいありましょう。
  69. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) われわれの調査しましたところでは県で十県、町村で九十六市町村、管理条例をつくっているようでございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、いまお聞きのとおりなんです。河川は法定河川との割合が一対九、ですから一万七千法定河川があるとしますと、その九倍普通河川がある、だから膨大な数です。しかも、その財産管理というものは、国有財産法に基づいて府県知事がそれを管理している、こういうふうな答弁が返ってきたわけでありますけれども、大蔵省として国有財産法に基づいてこういう普通河川の管理が無事に行なわれていると、こういう理解でしょうか。
  71. 藤原重信

    説明員(藤原重信君) 先ほど河川局長のほうから御説明ございましたように、いわゆる普通河川につきましては、公共用財産ということで、建設省に所管してもらっているわけでございますが、その実態につきましては、先ほどからお話しございますように、必ずしも十分把握されてないというのが実情でございまして、その辺につきまして、さらに実態を明らかにつかめるようその整備方をかねて建設省のほうにお願いしておるわけでございます。私どもといたしましても建設省協力いたしまして、何らかの整備をするような方向で体制を検討してまいりたい。このように考えております。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、実態は現在のところ全くわからない、それで、いわゆる法の上で国有財産として府県知事が管理をしている、ただし、やっぱり何としても実態を把握しなければならぬという問題にいま差し迫っているわけですね。この点どうでしょう。河川局長、万難を排しても実態を把握しなきゃならぬという段階にきているかどうか。あるいはこのままじんぜん抽出調査みたいな形で積み上げてやっていくゆとりがあるのかどうか。その辺はどうでしょう。
  73. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほど申し上げました四十三年に八県ばかりを抽出して調査したわけでございますが、その結果かなりわれわれも実態の中にいろいろ一方では都市環境の悪化等にからみまして問題があるということで、実は昨年来各都道府県の御協力を得まして、早ければこの年度末までにというふうなことで調査を現在集計中でございますが、若干実情はおくれておるようでございます。あとまあ二、三カ月のうちには曲がりなりに数字はつかめるのじゃないかということを期待いたしております。ただそれぞれの態様というのは非常に複雑でございますので、はたしてそれがどの程度正確さを持てるかという点は若干疑問がございますが、しかし少なくとも在来よりは実態がつかめるのじゃないかということを期待しておる次第でございます。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、先ほど局長のほうから四十三年度に全国の四十六の都道府県の中で八県を抽出して実態調査を行なった。このようなお話しでありますけれども、その実態調査をやって、その中でいわゆる市町村の要望として二級河川として県が管理する、あるいは準用河川として市長村が管理する、そういうことが望ましいと回答した普通河川の数が相当数あったと聞いておりますけれども、この点はどうでしょう、八県の抽出調査の結果。
  75. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) この抽出調査の結果を、これはいろいろ立場によって考え方が違い、あるいは県は県なりの考え方をいたしておりますし、市町村は市町村なりの考え方をしておるようでございますけれども、総括的に見ますと、約二五%くらいは何らかの形で管理を必要とするんじゃなかろうかというような数字が出ておるようでございます。で、その中でさらに二八%程度は、これは県の管理がふさわしいんじゃなかろうか。それから残りの四七%については当然市町村が管理すべき性格のような河川じゃなかろうかというような状況でございます。
  76. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、やっぱり市町村としては住民の生活あるいはまた国土の開発とか、そういうふうな面から見て、つづまるところは経費の問題だと思うんですね。管理経費あるいはまた投資的な経費、そういうものの問題だろうと思うんですけれども、さて、その市町村では、その維持に非常に頭を悩ましているというのが端的な表現じゃないかと、このように思うわけです。  そこで、自治省に伺いますけれども、これらの普通河川に対する財政的な援助、これにつきましては普通交付税の中で見ていると思うんですが、その基準といいますか、算出のしかたといいますかはどうでしょう。
  77. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 普通交付税の中の基準財政需要額でございますが、市町村の河川に要する経費につきましては、その他の諸費という項目の中で、面積を基礎といたしまして、経常的な経費、それから投資的な経費を算入しております。その算入の基準でございますけれども、経常経費につきましては標準団体というきめ手、それからいろいろ規模の違い等によりまして補正することになっております。その標準団体としましては、面積百六十平方キロというのを想定いたしまして、標準団体の一般財源を二百十万円、単位費用を四十六年度でございますと十四万円といたしまして経常費の算出をしております。それから投資経費につきましては、同じく標準団体百六十平方キロの面積の団体を想定しているわけでございますが、一般財源七百二十万円というものを想定いたしまして、四十六年度単位費用四万五千円ということで算定いたしまして、その結果、四十六年度で申しますと、経常経費では総額二十四億、投資経費では百十一億、合計百三十五億を措置しております。四十七年度、これは現在国会で審議中の地方交付税法の改正法によりまして計算するわけでございますけれども、一応経常経費二十八億、投資的経費百四十二億、合計百七十億円というものを予定しております。
  78. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、ここのところひとつ建設省としても抜本的に改正をしていただきたいと思うんですが、実態が明らかでないからやむを得ないと言えばそれまでのことですけれども河川に関する普通交付税の算定のしかたが、行政面積にいろいろな可住地面積の補正とか非可住地の補正だとかかけて、それで割り出しているわけですね。そうすると、北海道の別海村というのがあるわけです。ものすごくでっかい。その中の普通河川実態がどうかというのを、私、現地知りませんからわかりませんけれども、当然考えられることは、河川の延長キロ数にその単位費用をかけるというやり方にすべきものを、行政面積でかけていくという交付税の算出のしかたは、これは、河川に関する費用を見ているとは言いながら、所期の目的を達しないのは事実ですね。この点は当然延長キロ、それが的確な判断ということはまだ先のものになるでしょうけれども、とりあえず、つかんだものの中からでも、そういう普通交付税の算出のしかたというものをもうこの辺でやらなければ、いつまでたっても、普通河川の管理もできなければ維持もできない。川をかかえているだけ損をする。そうしてそれだけ被害が発生するというかっこうになりますがね。また、市町村の財政運営というのも非常に困るという問題が出てきますけれども大臣の所見どうでしょう。
  79. 西村英一

    国務大臣西村英一君) その前の段階ですね、つまり正直なところ、あんまり地方公共団体の方々が河川に関心を持っておらない。事故が起こると初めて関心を持つんですが、それは財政の前です。自治省も、このような面積でやらなければならぬというような不合理なことをするのは、河川実態がわからないからです。わかれば、河川の延長によって、河川規模によって、自治省も交付税の算定をすることもできるし、やかましくいえば、自治省だって、交付税をやるんですから、重点を置きますけれども、そう言っちゃ申しわけはないのですが、私はあっちこっち回ってみますが、関心がないんですね。いまは、ごみあたりを捨てるような愚かな人はおりませんけれども、昔は、ごみばっかり河川に捨てておった、二級河川でも準用河川でも。したがって、これは私のほうも悪いんですが、私は、河川につながる毛細管を——建設省直轄河川だけをやればいいんだということではない、やはりすみからすみまでしなければ、もとは毛細管なんだからという、これは一に河川行政をやっておる建設省に私は大部分の罪はあると思います、思いますが、しかし、それですから、やはり地方公共団体に対するPR——私は地方に行けば、口幅ったい話ですが、市長、町長あたりに言うのは、河川都市を通っておるということはたいへんな資源ですよと、これをりっぱにすれば、その都市の景観からいっても、人情をやわらげることからいっても、また利用の面からいっても、たいへんな財産ですよと、こんなにほったらかしておるからこんなになるんですよと。二級河川にいたしましても、ほったらかしているところは、河川の幅の二分の一も三分の一も狭くなるように、寄り州がたまっており、中州がたまっており、ごみがたまっておるわけです。したがって、私は、財政問題より前に、われわれのほうで地方公共団体に対するPRというものをやらなければならぬと、こう思っております。なお、直轄の部分も広げていくことはいいでしょう、二級河川も広げていくことはいいでしょうし、準用河川の部分も、これは非常に広げていって、もとを正す政策をとるべきじゃないかと、かように私は思っておるのです。お答えになるかどうかわかりませんが、そういうような率直な感じでございます。
  80. 二宮文造

    ○二宮文造君 だから私伺っている。市町村が川に対する認識がないと、認識がないんじゃないんです。やっぱり裏づけになるものがないから、市町村にしても手がつけられないわけですよ。ですから、たとえば普通交付税の河川事業費に関する算定のしかたにも、行政面積を頭に置くようなやり方をしておると。PRもけっこうですよ、RRもけっこうですけれども、それの裏づけになるPRをして、市町村が活動し、実態をつかみ、川に対する認識を深め、さらにプッシュしていくのは、やっぱり交付税の算定のしかたにも、もうこの辺で変更する、延長キロ数を相当数考慮に入れるような算定のしかたにすべきではないでしょうかと、こう私は伺っているわけです。
  81. 西村英一

    国務大臣西村英一君) あなたの説に賛成でございます。そうすることによって、自治省が予算をつけるということになれば、地方公共団体につきましてもその河川の延長その他キロを調べけることになりますから、いまのやり方はあまりにも不合理でございますけれども、自治省に言わせればやはり何も出てこぬもんだからというで、面積でやっておるということになるんでしょうから、これからひとつわれわれのほうも自治省のほうと十分連絡をとりましてやはりしっかりした基礎的なものを、それからやはり地方河川は非常に荒れています。したがって、地方交付税のほうもなるべくその辺でよけい重視していただくように自治省とも連絡をとりたいと、あなたの言うとおりでございます。
  82. 二宮文造

    ○二宮文造君 ところで、河川局長せっかく全国的な悉皆調査、それが抜本的なものかどうかということには疑問があるというような答弁でしたけれども、一応いままで手をつけなかった全国的な普通河川実態が何がしかの形でしばらくここ二、三カ月の間に上がってくるわけですね。そうしますと、それをデータにしてやはり普通交付税の算出、算定というものについて建設省の意見といいますか、要望といいますか、それを自治省と折衝するその材料にいまの調査をお使いになるつもりですか、どうですか。
  83. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 調査の結果に基づきましてやはりまあ計画的に改修等かなり市町村の負担を伴う工事、こういったものを実施する必要があるといったような普通河川あるいは準用河川につきましてはむしろ法河川に昇格させ軌道に乗せていきたい。まあいわゆる通常の財産管理あるいは行政管理、こういったものを必要とするものにつきましては、ただいま大臣からのお話のような趣旨で、その資料をもとにしまして自治省と協議をいたしたいと考えております。
  84. 二宮文造

    ○二宮文造君 自治省はどうでしょうか、やっぱり普通交付税を算定について、河川の延長キロにかかわらず行政面積で算定するというのは、データがないからやむを得ずそうしているんであって、データが出てくればそういうことを算定の基礎の中に繰り入れていこうという用意はあるのでしょう。
  85. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 交付税を算定いたします場合には、できるだけ客観性のあるデータを使うということでございまして、このほかに使っておりますのは、みな法律に根拠のある数値であるとか、指定統計とか、そういう確実な数値以外のものは不公平になりますので使っておりません。したがいまして、この普通河川につきましては、現状どうなっているか。そのうちで市町村が管理を要するものはどれだけあるかというようなことを法律あるいは指定統計等によりまして建設省でつかんでいただければ、それを使うことにやぶさかでございませんけれども、現状ではまあそういった形になっておりませんので、次善の策として面積を使っておるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、面積もなま面積を使っているんじゃございませんで、可住地であるとか、人口集中地区であるとかといったようなところにウエートを相当大幅に持っていっておりまして、実態に即するように算定する、そういうつもりではおります。
  86. 二宮文造

    ○二宮文造君 大蔵省も当然やっぱり悉皆調査をやっていわゆる国有財産としての普通河川の管理が望ましいと。で、そういうことで何とか督促なんかやっているんですか。
  87. 藤原重信

    説明員(藤原重信君) おっしゃるとおり実態をできるだけつかむことは望ましいと思っておりまして、かねて建設省にお願いしているところです。
  88. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、やっぱりもとに返ってきたんですが、河川局長、やはり実態をつかまなきゃなりません。これからの災害というのは、おっしゃるとおり毛細管のほうに出てきます。人間だって動脈じゃないんですから、脳の中で毛細管が破烈しますと、それで一巻の終わりなんですから、やはりひげ河川だからといって放置もできませんし、また、都市周辺では宅造も行なわれておりますしね、もう焦眉の急だと思うんです。だからそういう面で普通河川実態の把握、そしてまたそれに伴ういままでの不合理を早急に是正されるように私は強く要望しておきたいと思います。これは答弁求めません。  それから、普通河川の問題に関連しまして都市河川対策についてお伺いをするわけでありますけれども都市内の普通河川、これは排水とか、それから都市に必要な空間をつくるとか、それらで非常に住民の生活に密着をしておるわけです。防災とか環境整備の見地、これからも非常に焦眉の急な、適切な管理が迫られているわけです。そこで、治水や利水という立場から、その流域に重大な影響を及ぼすような普通河川、これは河川法の河川に指定して、これに接続する法河川計画的にこう管理していく、一体的に管理していく。そういうふうな道を開くべきだと思うのですけれども、今後の方針を伺いたいと思います。
  89. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 最近非常にスプロール的な都市化現象というのが目立っておるわけでございますが、そういったところではいわゆる普通河川はまあ在来の水田を主体にした農業形態から宅地へ次第に移行をしておるわけでございます。主たるやはりネックは、何といっても環境問題がかなり目立っておるのじゃないかと思います。それからあわせましてだんだん遊水機能をなくしていきますので、これは流出量の増大とか、こういったような現象がはね返ってくるわけでございますが、そこで、都市地域につきましてはかなりそういった社会の開発に伴って大きな集積ができるわけでございますからどうしても水の自然の循還形態というものを守っていくことができないというようなことで、下水道を無視することはできないと思います。  日本の、平地の実情はやたらに水路が多いわけでございますので、かなりこれは整理統合していく必要があるのじゃないかと思います。そういった都市周辺部、もちろん都市内もそうでございますが、そういったところについては結局は下水道と河川と両方の立場から普通河川を整理統合しておさめるべきところにおさめていくというようなことがひとつ必要じゃないかと思います。  それにはどうすればいいかというようなことでございますが、現在都市の水質も含めました総合排水計画というようなものを私どものほうと、それから下水道部門の担当部局とでひとつまとめていきたい。それによってやはり下水道処理では十分飲みきれないようなものはこれはやはり河川として残す必要がございますし、都市にも大河川があるわけでございますが、いわゆる末端河川等につきましては適当にいわゆる家庭汚水、それから雨水等を河川まで運搬する系路でそれぞれ処理をする必要のあるものは下水道に、また処理をする必要がないものは都市下水路なり河川に、こういった仕分けをして、それぞれ適当なやはり機能なり容量を持たせるようにしていくべきだというようなことで、現在各都市につきまして少なくともモデル的にでもそういった整理の方向をさがしていきたい。その結果によりましてまた基本的ないろいろ制度面、財政面の処置が要るか、さらにあわせて将来検討していきたい。現在の段階ではそういったことを考えておる次第でございます。
  90. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの局長のお話の中になかったのですが、農業用の排水路ですね、これは管理はどこですか。
  91. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 非常に農業用の排水路で所管の不明のものがたくさんあるようでございます。機能しておりますものはおそらく都市改良区の所管だと思いますが、また、あるものについては河川自身自然水がそれに流れ込んでおるのもございますし、河川自身がもちろん農業の用排水路の機能を持っておるものもあるというようなことで、これはケース・バイ・ケースでいろいろな実態がございますので、一がいには言えませんが、常識的には土地改良区が管理をしておるというのがたてまえだろうと思います。
  92. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、すいませんお休みのところ。都市の排水に、いま局長が言われましたように、法河川とか、普通河川とか、公共下水道、それから都市下水道、さらに一番やっかいな農業用排水路と、こういうようなものがあるわけですね。しかし、それでいまの局長答弁では、これからのことを考えて総合調整をすると、こうしなければならぬと、これは当然だと思います。だからそのときの局長答弁は、下水道のほうとも相談をして総合調整をする、単なる河川と下水路、これだけの総合調整ではできませんね。いまおっしゃったように、農業用の排水路があるわけですから、そういう総合調整という道を何らかの形で開かなきゃならぬと思いますがね、ひとつ大臣の構想なり、こういうふうにすべきだという望ましい総合調整のあり方というのは何かお考えありましょうか。
  93. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 眠っておったんじゃない、考えよったんですが、私はいろいろ役人の方から聞くんですけれども、いわゆる都市河川と下水道ですね。どうもわからないのです。非常に入り組んでおるわけです。その間隔それ自身が、またやり方それ自身も入り組んでいる。しかもあなたの言ったように、農業用水路があるわけです。一体これを総合的に、総合的にと言うけれども、なかなかこれは方法がつかないんです。つかないと言っちゃ申しわけないんですが。そこで研究会等もやらして、ひとつそれを詰めてもらいたいと、これはその都市によってもいろいろ違いますけれども、たとえば一番問題になるのは、東京なら東京だけでもそれを限ってこうあるべきだ、必ずしも都市全部について共通しない点があるかもしれぬけれども、一つのここでもって基本線をつくれば、ある程度総合性のあれができるわけですから、いまこうすべきだというあれはないんですが、非常に入り組んでおるんでございまするが、いずれにしても、ほんとうに都市河川、いわゆる都市の下水路、これはどういうふうな分け方を一体すべきか、こういうことをいませっかく基準をつくろうといって、私は調査を命じておるわけなんです。なかなかむずかしい問題でございまするが、絶対に看過できない重要な問題でございます。ことに、都市においては非常に災害を受ける、ほとんど文句を言われるのは、この問題ばかりでございまするから、十分今後研究いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  94. 二宮文造

    ○二宮文造君 むずかしいのは、むずかしいからいままで放置されてきたんで、しかしまた、手がつけられなかったために一方で被害が起きているわけですね、少々の雨でも。これはやはり住民の立場から言うと、何とかしてもらわなきゃならぬ、だからむずかしいから総合計画を策定しなきゃならぬわけです。ですから、これはひとつ急いでいただくことにして、都市の排水というのはいまもたいへんな問題ですし、今後ますます重要性が出てまいりますので、よろしくお願いしたいと思う。  それで、都市の小河川補助制度というものがありますね、都市河川補助制度。これは私、現在は指定都市——大都市だけなんですが、やはり対象範囲を大都市以外、指定都市以外の都市にも拡大をしていく必要があるんじゃないかと思うのですが、この点の考えはどうでしょう、都市河川補助制度について。
  95. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 都市河川制度につきましては、四十五年から実施をいたしておるわけでございますが、大体のわれわれの採択の基準といたしましては、流域面積が三十平方キロメートル以下くらいの河川を対象にいたしまして、これは下水道との関係調整等もございますが、こういった小河川をできるだけ範囲は広げるように考えていきたいということで、四十七年度には人口五十万あるいはこれに近いような都市も加えていきたい。今後それじゃどういうように進めるかという点につきましては、これは河川計画的な治水事業規模なり、それから地方の市の財政事情等もございますので、そういったものを勘案しながら、拡大の方向につとめていきたいと考えております。
  96. 二宮文造

    ○二宮文造君 問題はちょっと変わりますけれども都市河川上流部にいま御承知のように大規模な宅地開発事業が行なわれております。その場合に、宅地開発業者にいわゆる水の流出量が多くなるというような関係もあって費用の一部を負担させている、こういう話を聞くんですけれども実情はどうでしょう。
  97. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 河川上流部にかなり大規模開発がまとまって行なわれる、こういったような場合には、いわゆる一般の治水事業の立場からいきますと、長い目で見れば当然治水事業として、改修事業として実施すべきかと思いますけれども、やはり集中的な投資が伴う、こういったようなことでなるべく範囲を限定をいたしまして、関連する河川について開発のテンポに合わせて改修もできるようにといったようなことで、いろいろ河川の財源にも限度がございますので、そういった点で開発業者と契約をいたしまして、一部河川改修費用を負担をさせているというのが実情でございます。  具体的な例を申し上げますと、たとえば茨城県の研究学園都市あるいは多摩ニュータウン、港北ニュータウン、それから京都の洛西ニュータウン、大阪の泉北ニュータウン、こういったようなところではそれぞれ開発事業主体のものと話し合いをいたしまして、改修費の一部を負担させているわけでございます。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 いただきました資料の中に、たとえば住宅公団、それから空港公団、そういう政府機関みたいなもの、あるいは地方公共団体が開発者になっておりますが、ただ一カ所だけ、南海電鉄の狭山ニュータウン、これが費用を一部負担をするようになっておりますけれども、ほかの開発業者というのはこの適用を受けていないのですが、どうなっているんでしょうか。これはたしか狭山ニュータウンは開発面積が二百三十ヘクタール、負担したのが南海電鉄だけというのは、この面積に類する民間の宅造がないわけでしょうか。
  99. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これだけというわけじゃないようでございます。やはり適当な大規模の宅地造成が行なわれて、そのために関連河川改修事業を急ぐといったような場合には、やはり住宅公団とか、あるいは空港公団以外の民間デベロッパーといったものにも相当な負担をさせておりますし、今後もさせていきたいと考えております。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると、ここにいただきましたものはすべてではなくて、たとえばの例だと、こういうことでございます。たいていの場合がやはり将来にわたって河川改修に要する費用を宅造の際に負担させるという大原則に立って進めていると、また今後も進めていくと、こういうことでよろしいんでしょうか。ただ、その場合に、負担率がばらばらなんです。これは何か明快な基準というものを示して、負担率をきめているんでしょうか。この点はどうでしょう。
  101. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お手元に提出しました資料の分は、私どものほうではっきり契約関係がつかまえられたものでございまして、それぞれの府県等で、業者と話し合いをしてきめておるというのもあろうかと思います。それから、河川の、当然近いうちに改修予定しておるというような場合と、それからかなり将来でなければ改修が困難であるといったような、地域によっていろいろ条件も異なっておるわけです。したがいまして、何か一定のルールがあれば、非常にそういったものの徴収も楽じゃないかというような意見もかなりございますので、私どもとしても、そういった現状を一応調べた上で、何がしかの指標になるような形のものをつくる努力も私たちはしたいと思いますが、非常にケースが千差万別でございますので、その点はかなりやっかいな問題があるんじゃないかと思っておりますが、原則的には、負担してもらってもいいようなところはできるだけ負担をしてもらいたい、こういうのがわれわれの気持ちでございます。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 しかしそれじゃ、私まずいと思うんですがね。それぞれが話し合いによって負担率をきめるなんということを野放しにしておきますと、力関係とか、結局、最後にはまた忌まわしい、黒い霧の問題なんかが出てくるんじゃないか。ですから、やっぱり建設省として、たとえば標準的なものでも差し示して、それで、私、大臣にまた最後に伺いたいと思いますが、いまのような関係方面のばらばらの負担率なきめ方ではまずいんではないか。能様は千差万別なことはわかります。しかし、たとえば予想される工事費のどの程度をどういうふうに分担するんだという標準的なものは出てくるんじゃないか。それはやっぱりきめて、その上でケース・バイ・ケースで進めていくというような指導、育成が大事なんではないかと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
  103. 西村英一

    国務大臣西村英一君) たてまえからいきまして、都市計画法でも、民間デベロッパーがいろいろ開発をするときは、当該公共物の管理者と相談をしてやりなさいと、こういうことになっているのは、あなたも御承知のとおりです。道路は道路、河川河川と。そこで、やっぱりそうしないと、デベロッパーがやって、そのために影響を受ける費用というのはやはり地方公共団体が負担しなければならぬから、それはかわいそうだからということで出発しておるんでございます。今日までは、それはケース・バイ・ケースで当事者間の協議でやって、あるいは民間デベロッパーに大きい負担をぶっつけたところもありましょうし、あるいはあなたがおっしゃいますように、軽い場合もあるし、そこで、これも非常に個人個人の好みでやられては困りますから、これは審議会にどういうふうな標準でやろうかということをいま研究をしてもらっておるところでございます。幾ぶんかの負担はしなければならぬ。しかし、あまり極端に個人個人の恣意によってやられても、これは困る。一部に弊害は起こっているんです。あまり業者の負担が多過ぎるのではないか、これではたいへんなことになるんじゃないかというようなこともございますから、十分、ひとつ今後は御趣旨に沿うように、りっぱな基準はできなくても、指標ができるように心がけたい、かように考えておる次第でございます。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 おっしゃるとおり、そう進めていただきたいと思いますが、先般も、茜ケ久保先生からお話しがあったんですが、そういうものが、結局、家賃にはね返ってくる、けしからぬじゃないかというような具体的な設定がありました。ですから、やはりおっしゃるとおり、標準的なものを早急に取りまとめられる必要があろうかと思います。ぜひ進めていただきたい。  それから次に、水利権の問題。これも私ほんとうにうわさにはいろいろ聞き、非常に手をつけてもむずかしい問題だということをいままで教えられてもきまして、その上で質問するんですから、非常に大ざっぱな質問になります。また、将来、機会をとらえて具体的な問題等について詰めてまいりたいと思いますが、そういう意味で、きょうは非常に大ざっぱな質問をいたすわけでありますけれども、水利権の法的性格、これをどのようにわれわれが理解をすればいいのか、それをひとつ御答弁を願いたい。
  105. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) いわゆる河川の流水は、私権の対象にすることができないということを河川法で規定をしておるわけでございます。したがって、非常に特殊な権利でございますが、河川の流水は、ある特定の目的のために独占的に継続をして使用することができるということを河川法で認められた一種の権利でございます。したがって、非常に性格とすれば、流水もやはり公物でございますから、そういった点では、特殊の使用権でございまして、これは所有権ではないわけでございますが、したがって、特定の目的が消滅したときは水利権も消滅する。したがって、不要となったような権利が売買されるとか、そういったことはあり得ないということでございます。河川法には、若干権利の譲渡等をも条項では認めておるものもございますが、これは当初使用した者とその使用目的の同一性が保持される限りにおきまして、そういった譲渡を認めるということで、いわゆる一般的な売買とかといったような譲渡は認めていないという、こういう権利でございます。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、水利権が成立した当初においては、特定の経済目的を有しておった。ところが、後に至って、その目的を喪失した。そういう場合には、これはすでに水利権は遊休化していますね。その遊休化した水利権の転用あるいは移転、そういうものが行なえるものなのかどうなのか、これはどうでしょう。
  107. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 一番やっかいなのは慣行水利権でございまして、これの実体なり、権利の範囲というものが非常に認定がしにくいということで、いろいろ問題があるわけでございますが、一般的には、たとえば農業用水等で、これが都市用水に転換をする、こういった場合には、当初の農業用水の水利権の内容を変更いたしまして、まあ減量するとか、そういった措置でございますが、あらためて都市用水の需要者に対して水利権を付与する、こういうたてまえをとって進めております。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 その場合に、やっぱりかんがい用水という慣行水利権ですね、それはもう面積がなくなった、転用する、こういう、先ほどおっしゃった一定の経済目的というものから見ますと、これはもう終わったわけですね。だけれども、そういう場合にも、やはり感謝金等が支払われて、実質的な移転とか転用というようなかっこうにされているというのが慣例のようですがね。ですから、河川法の上でははっきり一定の経済目的が喪失したときは、これはだめなんだと、こううたわれておりながら、実体はやっぱり続いているんじゃないだろうか。その辺が私どうも理解できないんですが、行政指導としてはどういうお考えで進めているんでしょうか。
  109. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 考え方としますと、先ほど申し上げたとおりでございますが、実体的には、いろいろそういって消滅したように思われる水利権でございますけれども、やはり下流で在来どおりの農業を営む人も若干あるとか、あるいはそのために減量するために漁業の補償を伴う、こういったことで、在来の利用形態を縮小するために、また補完的な施設が必要になると、あるいはその農業水利を取得するために、たとえばダムその他の施設をつくって水を生み出したといったような場合には、その財産権に対するやはり何らかの対価というものが払われておるという実態はございますが、おっしゃったような単に何というんですか、見舞金というんですか、そういったもので一見売買されておるような形というものはとってないと、私は思っております。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、水利権の優先制、これは非常に大事なもので、これこそ水利権の本質と、こう言っても過言ではないかと思うんですが、河川法には水利権の優先制、あるいは優先順位、そういうものについて明文の規定がないわけでありますけれども、もし紛争が起きた場合にそれをどう調整される、されてきたか、またこれからもされようとしておるか、この点はどうでしょうか。
  111. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 特に優先水利という表現はとっておりませんが、新しく水利権を付与しますときに、やはり既得の水利をできるだけ尊重する。したがって、下流等の水の秩序に支障がないという同意なり、あるいは管理者のそういった判断の上に立って水利権を処分をしておるということでございます。なお、たとえば渇水時等の場合には、これはまあいわゆる既存の水利権のすべてを含めまして、やはりその需要の実態とか、被害の実態に応じて河川管理者が中に入りましてその間の調整をとることができるようになっております。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 局長答弁としては、実に支障のないような答弁の筋が返ってくるんですが、これは実態に照らしてまいりますと、相当な私は問題が各地に起こっているんじゃないかと思います。具体的な例はまた後日申し上げるとして、なかなかおっしゃるような簡単な調整はついていません。ひとつ記憶にとどめておいていただきたいと思います。  そこで、水利権に、法の二十三条にきめられたいわゆる許可水利権、それと先ほどおっしゃった八十七条による慣行水利権とありますけれども、この許可水利権、あるいは慣行水利権、との法的な性格はどのような差があるんでしょう。
  113. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 河川法ができましてからは、先ほど申し上げましたように、水利権を付与します場合には、それぞれやはりいろいろ下流の水の利用の状況等も調査をいたしまして、どの程度の範囲で水利権をおろすかといったような、水量、あるいは取水の方法、こういったものについても十分調べた上でおろしておるわけでございますが、いわゆる旧河川法の制定以前からございます、主として農業水利が大半でございますけれども、そういったものについては、これはいわゆる法に基づきます水利権の許可があったものとみなすという規定になっておりますので、法的な効果は変わりませんけれども内容といたしますと、私どもで非常につかみにくいといいますか、実態のかなり明らかじゃないものがたくさんあるということでございます。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 私は、これから慣行水利権のことについて若干触れていきたと思うのですが、その本意は、慣行水利権をぶっつぶせというのではないんです。これは誤解されると困ります。やはりそれに基づく利益を受けている人も相当いるわけですから、その現在受けている、また、これまで受けてきた利益というものは当然にこれは守っていかなければなりません。しかし、行政の中身としては、やはりいままでのようなやり方では、そういう権利の保護もできないのじゃないか、力関係によって。こういうような感じがするので、あえて慣行水利権の問題をお伺いするわけです。そういう立場で質問してまいりますので、慣行水利権を取り上げてしまえというような極論ではない、そういう趣旨質問するのじゃないというふうに御理解願いたいと思うのです。  ただ、いまお話がありましたように、許可水利権というものは法的な規制を受けてやっているわけですね。ところが、慣行水利権は従来の慣習に基づいてやってきているわけです。ところが、内容というものはおっしゃったとおり、非常に不明確なものが多い。その法的な効果というもの、性格というものは変わらない、こういう状態に置いておきますと、やはり疑義が出てくるのではないかと私は思うのですがね。どうでしょうか。一方、許可水利権のほうは権利の内容、それから水利権者の法律関係ですが、そういうものは明らかに規制を受けておりますね。慣行水利権のほうは従来の慣習に基づいておりますね。ところが、両者の法的な性格は現在のところ全く差異がない、こういう取り扱いは、法的に見て疑義が出てくるのではないかという感じがするのですが、どうでしょうか。
  115. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 法的な効果とすれば、同じ扱いをいたしておるわけでございますが、お話しのように、たとえば新規の開発等をやります場合に、慣行水利権というものを、こまかい数字の上で、計画論の中でどういうふうに認識するかというような場合で、いろいろ新しい土地改良事業、あるいは水資源開発事業ももちろんでございますけれども、いろいろお話しのような調整の問題というのがずいぶんたくさん出てくるわけでございます。そういったつど、その水系につきまして実態を調べること、それから、慣行水利権の水利使用者との話し合いと、こういったもので、調整に努力をしているわけでございますが、必ずしも十分でない点があるのは確かでございます。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 もうちょっと実態を伺いたいのですが、慣行水利権者ですね、これは現在どれくらいあるのでしょうか。
  117. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これは河川法が制定されましてから、慣行水利権を届け出るようにということをさせているわけでございますが、昨年の二月の調査で、全国で約十二万件弱が届け出られております。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは届け出られたものでしょう。届け出られていないものも含めて、全体でどれくらいありますか。
  119. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 大体、私どもの感じでは九〇%ぐらいは届けられているのじゃないかと思っております。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 おそらく全体の取水量も、実態としてははっきりおつかみじゃない、河川法か制定されてもうすでに何年か経過しているわけですがね。それで一年以内に届け出ることになっているわけでしょう。法ではそうなっているにもかかわらず届けられていない。まだ九〇%程度、一〇%程度残っておる。そして、全貌というものははっきりしない。この慣行水利権の調査というものはやられてきたのでしょうか、今日までどのような調査をされてきたのか。
  121. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまの届け出でございますが、新法ができましたときに、その時点で新たに一級河川になるとか、二級河川になるとか、こういった指定をされたものにつきましては、一年以内に届け出るということでございますが、いわゆる旧法からの水利権でございます。これにつきましては、新しい法律で二年以内に届け出なさい、こういう形をとっておるわけです。いずれにしましても、その期間が経過しちゃっているわけです。私どもも非常にそういった点で慣行水利権の全貌を早く把握したいということで、実は昭和四十二年から四十三年にまたがりまして、これはとりあえずの基礎的な調査というようなことで一級河川の指定区間外、いわゆる大臣管理区間でございます。それをまず取り上げようじゃないかということで、その区間の取水量なり受益面積、そういった基礎的な実態調査を行ないました。そのトレーニングに従って、四十四年からひとつ全国のそういったものを調べるに先立ちまして、主として水の利用の合理化対策の要るような都市地域をモデル的に取り上げていこうじゃないかということで、四十四年から五カ年くらいで非常に慣行水利の実態も明らかでないために、今後の水利用の合理化に支障を来たすであろうというような地域につきまして、取水の実態あるいは既存水利施設の利用状況、それから周囲の宅地化の進展の状況、こういったものを調べまして、できるだけ私どもなりに転用の可能量というものを早くつかみたいということで現在実施をいたしておるわけでございます。これに使いました調査費は、最初の四十二年、四十三年の基礎調査で約四百八十万円、それから四十四年以降のモデル調査につきましては、初年度が二百九十万、四十五年度が同額でございますが、四十六年度につきましては六百五十万、さらに四十七年度につきましては八百万といったようなことで、できるだけ手を広げて早く実態をつかみたいと考えておる次第でございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまおっしゃったのは、年次別に調査費がふえているという、努力しているという、その説明のためにおっしゃったのだろうと思うのですがね。だけれども、最初に断わられたように、都市周辺、やはり慣行水利権というのは、先ほどの普通河川のときにも私いやみのような質問をしましたけれども、これは全国的に早急に実態調査しなければならぬでしょう。全体にそういう調査実施するとしますと、どれくらいの予算額を要しますか。もうほんとうにいまやっているのは小手先で、もう何か放置しているのじゃないかと、何か言いわけのために先ほど一番冒頭に大臣がおっしゃったように、あとからあとから追っかけるようなやり方になっているのじゃないかと思うのです。しかし、それでは問題がやはり絶えず起こってまいります。ですから、抜本的に一斉調査といいますか、どれくらいの調査費を要するかどうか、試算されたことありますか、もしされてないとすれば、やる気がないと言わなければならないと思うのです。
  123. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) この調査につきましては、これは私どもの守備範囲だけでは、現状とそれから今後の動向といったものも調べないと十分つかめないというようなことで、特に農業関係につきましてはこれは農林省でもあわせて調査をいたしておるわけでございます。その両方足すとどのくらいになって将来要るかということにつきましてはちょっとわかりかねますが、私ども調査の過去に投じました費用から類推しますと、やはり十億近くは要るのじゃなかろうかという感じがいたしております。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 ということは、それほどやはり対象が多いですし、実態がばらばらですし、実態がばらばらだから問題があちこちに起きてくる、こういうことにもつながっていくわけですね。  そこで、ただ私一つこの河川法の上から疑問に思いますことは、先ほどもおっしゃいましたように、その指定のあった日からあるいは一年あるいは二年とおっしゃっていますが、建設省令で定める様式に従って届け出をするように規定を設けておりますね。にもかかわらず、その期間が経過しても届け出がない場合はその水利権は消滅したと見るのですか。これは法の上からどう見るのですか。
  125. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 届け出につきましては、一応義務づけておるわけでございますが、これが水利権そのものに法律的な効果を及ぼすものではございませんので、やはり水利権を消滅するということにはならないと思います。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうすると空文化しているわけですね、消滅もしない、届け出は義務規定はある、しかし、それ以内に規定どおりの届け出をしなくても権利自体には何ら変更がない、ちょっと私その辺のことが河川法というものを見たときに、こんな重要な法律の一部がそういう実態で放置されているということに率直な疑問を感ずる。これはしかしPRも必要でしょう。それから、また公共団体の協力も得なければなりませんけれども、そういう面の建設省の努力というものが、今日までなされてきたのかどうか。私、消滅させることに賛成じゃないです。もう一日も早く実態をつかみ、そしてトラブルをなくするという意味あるいは水利権者の利益を守っていくという面からも必要だろう、その積極的な姿勢というのがほしいので、どういうふうなPRをなさってきたかということをお伺いしたいわけです。
  127. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほど申し上げましたように、全体で約九割くらいの届け出件数があるのじゃないかと考えておりますがこの届け出によりまして一応既存の水利権というものが、その川筋にどういう状態であるかというようなことがこの届け出で確認されるわけでございますので、したがって、今後新しい水利権を付与するなりあるいはダム開発によって水を生み出す、こういった場合にはこの届け出によっていろいろわれわれも水の行政をやる上に重要なやはり資料になるわけでございます。したがって、そういうような既存の届け出があったものについては、新しい水利権を付与します場合にもその内容を十分調べてそういったものが侵害されないような処置がやはりとりやすいわけでございますので、できるだけ漏れておる、届け出のないものについては、これをひとつ拾い上げていく、それから、届け出の内容についてもできるだけ調整を進めるというような考えで今後とも努力をしていきたいと思っております。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 おそらく大臣も御賛成だろうと思うのですが、やっぱり慣行水利権、重要な問題だと思います。早く実態をつかんで、そして何といいますか、それに、いわば河川法の規定そのものが空文化されている面もありますし、それからまた、今度は利水という立場からもやはりその実態をつかんでその余剰といいますか、そういうものはまた他に利用していく、こういう積極的な開発の意味もありますし、早急に実態を調べて、そして慣行水利権に基づく水の利用というものについて新たな利水の方策を生み出していくためにも必要だろうと思うのですが、大臣の御所見を伺っておきます。
  129. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 新らしい河川法の場合の許可水利権は、これは比較的簡単であろうと思いますが、慣行水利権となるというと河川法の前からのものもある。徳川時代からずっと、利根川の見沼代の取り入れのごとき、習慣的に、なかなか困難であろうと思います。それからまた、非常に小さなものもありますし、しかし、それが権利である以上は、利水の面からはそれはまたつまびらかにすることは大事でございます。ちょうど河川法の変わり目であって、十分今後、これは建設省だけで正直なところできません。農林省と十分な連絡をとらないといかないと思います。農林省とも連絡をとりましてつまびらかにするような努力をいたしたい、これは少々くらいな金がかかっても、それはいたしかたございませんから努力したいと、かように思っております。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 この水利権の問題に関連して、河川法の三十二条に規定しております流水占用料、このことについてお伺いしたいと思うのですけれども、北海道とか、石川県、福岡県においては、水道用についても流水占用料というのが徴収されている。あとずっとデータを見ましても、水道用についての流水占用料というのはないんですが、この北海道、石川、福岡で水道用の流水占用料が徴収されているというのはどういうわけでしょう。
  131. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お話しのように、原則として公共性の高い事業のために使用しております流水についての占用料に関しては、これは免除する措置をとっておるわけでございます。したがって、水道法に基づく水道事業に関しては、そういった占用料を取っておる例はございません。  それで、いま御質問に出ております北海道、福岡でございますが、これはいずれも鉱山関係を経営いたしております会社の自家用水道に使用しておるものでございます。それから石川県にも若干ございますが、これは個人の酒造用の水道に使っておるというようなことで、いわゆる公共性のある事業じゃないということで、占用料を取っておると承知いたしております。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 なるほどわかりました。流水占用料は土石の採取料などと一緒に都道府県の一般会計、これに繰り入れられておるようでありますけれども、私ども考えますと、流水占用料ですね、これを一般会計の中へ繰り入れて、河川の整備のための費用に充当するように使われるべきじゃないかと、こう思うのですけれども、その使途を限定するということは、また地方公共団体のやりくりの立場でやっかいだろうとは思いますけれども、考え方としてはそういうふうな行政指導はなされているのでしょうか。それとも一般会計に繰り入れられて財源として使われておると、こういうことでしょうか。私はむしろやはり河川の整備費というものを表に出して使用されるべきではないかと、こう思うのですけれども、この点いかがでしょう。
  133. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在いわゆる河川工事あるいは河川の管理に要する費用につきましては、これは特別のいわゆる財源によらないで、一般財源によって支弁されておるわけでございます。各都道府県の現在の流水占用料、特に中でも発電の水利使用料が大半だと思いますが、こういったものにつきまして、この占用料がいわゆる河川工事に要する費用等を上回ってない状況でございますので、特に現在の段階ではその占用料の使用目的を限定をするというようなことはいまのところする必要はないのじゃないかという考えでございます。しかし、県によりましては、水源県等では今後流水占用料がかなり多額になる県もあるやと存じます。したがって、こういった収入のほうが実際に支出しております工事費を上回るというようなことになりますと、お話しのようなやはり問題が生ずるかと思います。そういった点につきましては、できるだけひとつ河川工事あるいは河川の管理に要する費用に充当するようにというようなことで、昭和四十年の十月でございますが、占用料が直接河川から生ずる収入であるというようなことにかんがみまして、もっぱら河川事業費にひとつ充当するように配慮願いたいという通達を都道府県に出しまして指導をいたしておるわけでございます。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、あとの通達は意味わかりますよ。ですけれども、当初おっしゃった河川の管理とか修繕とか、その費用に達しないからというふうな受け取り方、こういうところに先般来ずっと話してきた、普通河川実態の把握とか、慣行水利権の実態の把握とか、要するに、河川行政のいままでに打たなければならない手がなおざりにされておった、あるいはあと回しにされておったという共通した考えがあるような気がするのです。ですけれども、それはまた一面から言いますと、利水計画というものがいままで整然としていませんでしたから、今度は水は非常に貴重になってきます。各地で水不足になってきます。要するに、利水という面が非常に強調されてきましたから、当然その維持費、管理費、修繕費、そういうものに上回る占用料というものも想定できるような今日の状況になったわけです。しかもまた一方では、何度も言いますけれども河川に対する考え方というものが非常に大事になってきた、そういう面で通達もけっこうですけれども、さらにそれを一歩進めて、積極的な河川のための財源にしていくと、そういう姿勢をとられる必要があるんじゃないか、こう思うわけです。答弁がありましたから繰り返して申し上げませんけれども、そういう姿勢で進んでいただきたい。  それから最後に、これは水資源の問題ですが、これは代表質問のときにも、私、各地の状況というものを概括的に取り上げながら大臣答弁もいただいたつもりでおります。しかし、建設省河川局で昨年の四月にまとめた「広域利水調査第一次報告書」、これによりますと、もうすでに水資源開発の限界までダムづくりを進めたとしても、昭和六十年には、京浜京葉地域では年間に三十一億トン、それから京阪神地域では同じく十九億トンの水不足が生じますし、そのほか仙台湾、常磐郡山、それから備後、私の住んでおる高松、東予、松山、こういうような地域では水不足が懸念され、全国で五十五億トンの水不足が予想される、このように第一次報告書は警告を発しておるわけですね。その地域では、もう水というのはたいへんですから、それぞれ対応策というものを、その狭い範囲では検討しておりますけれども、まだまだ抜本的な対策が見つからない。したがって、大臣に概括的に、昭和六十年の五十五億トンの水不足というとてつもない数字が出てきたんですが、それに対する構想というものをどう推し進めていくか、対策を立てていくか、ひとつ大臣のお考えを冒頭に伺いたい。
  135. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 一応建設省で広域利水調査をやりまして、ああいうような結果が出ています。しかし、私はもう少しやはり各地区についてやっぱりデテールにわたってもう少し再調査をする必要があると思う。したがいまして、河川局長にも話しておるんですが、建設省も一応の調査はいいであろうけれども、やはり専門家にもう少し調査をさせる必要があるということでございます。地区的にあんなアンバランスがございまするから、基本的にはそれは水のあるところ、土地のあるところに人口、産業をなるべく持っていくというのは、これは基本的な問題でございますけれども、それにしても、やはり足らないところは足らないのでございまするから、水の生み出し方をやはりやらなければならぬと思っています。それですから、さしあたり降った水はたくわえなければならぬのだから、ダムをつくるということが一つでございましょうが、その他やっぱり水利用の再くふうを考えなければならぬ。つまり、廃水になるべきものを再生産をして回すようにするとか、いろいろな方法があると思います。下水から出てきた水をまたもう少し第三次処理をしてそれを使うとか、よく言われておることは、その一つの方法としては、これは余分な話になりますけれども、つまり海水の淡水化ですが、これはいい方法ですけれども、私は経済的に乗らないと思うんですけれども、どうも、遠き将来は知りませんけれども、近いうちは採算に乗らない。したがって、やはり降った水をなるべくたくわえていく方法と、地理的には水の多いところから水の少ないところに導水をするとか、あるいは循環水にするとか、あるいは節約をするとか、いろいろな方法をやらなければ、組み合わせをしなければならぬと思っております。したがいまして、最も困る地域に対する水のほんとうの需要供給の関係をもう少し再調査をしたい、金をかけても再調査をしたい。そういう調査はどこに依頼するかという、私はここで構想を持っておりますけれども、この場所ではちょっと言いたくありませんから許していただきますが、非常に詰めていって、いずれにしても、これは水問題が、あなたのおっしゃるように、最大の問題に遠からずなります。なりますから、建設省としては十分ひとつ調査研究をして、これについての権威のある、自信を持って言えるような対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣のいまの御答弁で、第一次報告書は出た。しかしまた、デテールに調査をしなければならぬと、こういうふうな大事をとったような答弁ですけれども、たとえば松山市を中心とした中予の三市四町です。これは松山市、伊予市、それから北条、それから松前と砥部と重信、川内と、この三市四町ですけれども、このところは都市用水の水源も不足しているから、共同して開発しようということで、道後平野広域水源開発協議会、こういうものをつくりまして、一月の二十一日に第一回の打ち合わせをやった。深刻な打ち合わせです。議題になりましたことは、松山市の調べによると、六年間における三市四町の上水道の需要量、これは日々二十九万一千トン必要とすると、こう推定されている。現有の水源では約十四万七千トンの不足が見込まれている。特に、伊予市とか北条市は深刻な問題をかかえておりますし、松山でもいま建設中の石手川ダム、これを計算に入れても六十年には再びまた水不足になり、道後平野で未開発河川がまだ三つほどありますけれども、これにダム建設しても日々七万トンぐらいしか給水が見込まれない。もうありとあらゆる水源をしらみつぶしにさがして、そこにもう可能な限りダムを設置しても、なおかつこれらの地域では六十年には水は完全に不足してしまう。これはもう私はいわゆるデテールなその地域調査だろうと思うんですが、完全にお手あげになっておるわけです。伏流水を入れてもどうしようもない。私の住んでいる高松も、もう御承知のように全然水源がありません。いま困っているところが宇和島です、これは六十年度とか、何とかいうんじゃなくて、いま問題になっているんです。一次報告書の中で六地域がありました。量は違いますけれども、京葉、京浜地区とか、大阪地区とは量は違いますけれども、四国に三地域、こういう問題が出ている。夏になりますとたいてい渇水で問題になってくるわけです。こういう地域に対しては、大臣には構想があるけれどもいまは言えないというから、あえて私は的確な答弁は求めませんけれども、そういう焦眉の急に迫られた実態というものを頭の中に入れられて、これらの地域に対しては国費による水資源開発のための調査費、こういうものをつけて、そして当面の問題を解決する一助にするべきじゃないか、こう思うんですけれども大臣のお考えを伺いたい。
  137. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も別に新しい構想があるわけじゃございませんが、私が政策をしたいというのは、結局水の供給の問題につきましても、供給の問題は、いろいろ今回のこの調査でもあまり大きい狂いがないんです。需要の問題については、これは相当な狂いがあると思います、これは仮定の問題によってやっていますから。こういう工場がこう来るだろう、こういうものがこうなるだろう。それは相当な私は何と申しますか、オーバー・エスチメートがあるかもしれませんし、また水がなければそういう水の要る産業というものは行くべきじゃないんで、やっぱり第一番は生活用水が先ですから、そういう面について地区的に水不足——需給関係のアンバランスのところはもう少し精査すべきだ、また方法は他にあるかもしれないと、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、もう少しこれは建設省といたしましても大事なことでございますから、相当に前広にやっていかなければ、あと相当に水資源を生み出すのは相当に日にちがかかりますので、前広に地区地区についてもう少し精査してみたい、こういうことでございます。それだけの話で、私にこうすべきだというような新しい構想があるわけじゃございませんが、調査方法とかあるいはわれわれの努力のしかたを、川崎局長にいま相談をし、命じておるわけでございますから、十分ひとつ今後も皆さま方の御協力を得たいと、こう思うわけでございます。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 最後に大臣に伺いたいことは、建設省関係の長期計画には、道路とか住宅、下水道、公園あるいは治水、海岸、こういうふうにありますけれども、それらの特定の財源があるのは道路だけですね。治水の場合は特別会計を組みながら、特定の財源はない、こういうやり方。これで治水計画が所期の目的あるいは大臣が冒頭におっしゃったおくれおくれですね。これを時勢に合わして、そうしてさらに先行投資——先行投資ということばが当てはまるかどうかわかりませんけれども、現在の段階に合わせて進めていくためには、これはちょっと特定の財源がないということは問題じゃなかろうか、こう思うんですが、この点大臣は率直にどうお考えになりますか。
  139. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあ特定の財源がないほど大事なものなんです、たとえば空気と同じように。結局自動車のようなものはやっぱり特定のもので、政府の金も足りないというところで生み出した制度でございまして、やはりこの水はほんとうに人間のみならず生物も——それほど不特定と言えば不特定で皆さんが一様に一日たりとも水がなくては生きていられない。それだからこれは特定の財源がないんで、したがって、政府は一般会計でこれは全部まかなうべきでございます。ただその金が少ないだけでございます。ただ、しいて特定財源といえば、ほんとうに利用する水道とか、あるいはそのあれはありますけれども、財源そのものについては、そう大きい道路のような特定財源がないのは、やはり不特定な方々が広く使うからだ、最も重要なものだというふうに考えなければならぬと、私は思うんですが、今後も特定財源は水の行政についてはさがすことはできないだろうと、私は思いますがね。まあよくわかりませんが、そういうような気持ちがいたします。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 きょうは、私はほんとうに、冒頭に申し述べましたように、概括的な、入門的な質問をいたしました。またあと河川法がかかってくるようでございますので、そこで、具体的な問題をとらえて、また質疑さしていただきたいと思いますが、要するに、きょう質問をしました私の感想は、非常に重要であり、膨大なものである、なるがゆえに実態というものが全く掌握されてない。でも、大臣はその点は率直に認められて、あとからおっかけるようなかっこうになってと、こうおっしゃっていますから、あえて声を大にしませんけれども、しかし、そのために行政のあらゆる部面でいろいろなひずみが起こっているということも、これまた御承知のとおりであります。どうかひとつ、指摘をいたしました普通河川、あるいはそれに対するその地方交付税の問題、あるいはまた慣行水利権の問題、これらについて積極的に実態調査されて、おくれている河川行政の部面を回復するように努力をしていただきたい。これを本日の私の要望としまして、質問を終わりたいと思います。
  141. 春日正一

    ○春日正一君 最初に、この法案の出し方について、少しお聞きしたいんですけれども、こういう治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案関係資料という形で、これだけのものをいただいているのですが、それで、そこの法律を見ても、中身とすれば「第三条第一項中「昭和四十三年度」を「昭和四十七年度」に改める。」と、「(施行期日)」を「四十七年四月一日から施行する。」と、まあそれに関係の法案の一部を手直しするというだけの法律なんですね。そうして、提案理由説明でも一枚ですね、「この間、国土の利用開発が著しく進展しました結果、山地及び大河川における災害の被害がきわめて深刻なものになるおそれが生じ、また都市近郊の山地及び中小河川災害が頻発し、さらに各種用水需要が急激に増大しております。  このような情勢に対処するために、」というそれだけの説明なんですね。そうすると、一体私どもは何を審議したらいいのか、つまり五カ年計画を変えるというんだけれども、五カ年計画の中身をここに出して、こういうものをやりたいんだと、こう変えたいんだからというものが出てこないんで、日付だけ変えるんだと、そして説明によれば、金額はいままでの倍にふやすというような程度のことで、ほんとうに審議ができるものかどうなのか。その点ではこの前の第三次のときには、まだこれだけのものを説明資料つけてくれたんです。今度はこれもない。一体これはどういうことなんだろうかと、ここら辺から一つお聞きしたいんです。
  142. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これは、まあ年次計画の法律改正のときは、いつもこの例でやっておるわけなんです。もちろん、あなたおっしゃいますように、中身がなくてなんだと、こういうわけですが、これは慣例によってずっとやっておるのですが、その中身の問題は正確にワクはきまっておりますけれども、まだ閣議の決定をしていないので、そこで、こういうふうなことでやりたいという中身は非公式に皆さん方にお配りをしておるので、別に意味があるわけじゃございませんが、いままでの慣例に従って、こういうふうに簡単に年度を続けて新しい計画をつくるのだからお認めくださいという法律で、いままでの慣例によってやっておる次第でございまして、中身の問題は別途お配りをしておるような次第ですから御了承を賜わりたいと思います。
  143. 春日正一

    ○春日正一君 いままでの習慣で、こういうことになっておるということですけれども、当然まあ第三次もやってこられて、四年目まできて一年繰り上げても計画改定しなければならぬような事情が生じておるということなわけですから、いまの五カ年計画の進行状況がどうなってその間にどういう問題が起こったのか、それを打開するためには、どういうことが必要なのかというような点をはっきりせられ、そして新しい計画事業内容等、あと一年残しても改定する必要性というようなものをはっきりせられて、そういう政府原案がきまって、それがかかってくるのがほんとうじゃないだろうか。これは大臣言われましたように、いままではそういうことになってきています。そして、この点では四次防の問題でもそういうことだと思うのです。四次防の閣議決定がやられぬまんまに予算の中に組み込まれてきた。そういうことと、これは本質的には同じことだと思うのです。法律を変えるということだけ、そして予算の中には金額が組まれておって、そうしながら計画の中身はきまってない。だから四次防はああいう防衛上の問題ですから大きな政治問題になったけれども、本質的には同じような形のことがここにやられているわけですね。五カ年計画、これをきめて、そのあとで閣議決定をするわけでしょう。第三次の場合は四十三年から発足したのだけれども、ここを見ますと、四十四年の三月二十六日治水五カ年計画閣議決定となっている。一年後に閣議決定となっています。だからそういうことでいいのだろうか。つまり、国会議員は、ただ五カ年計画を変えますよと、そして、まあこれぐらいの規模で大きくしてこうやりますよというような程度のことで、それに承知したといえば、あとその中身の決定は、もう言ってみれば、白紙委任状をとられるようなものですね。それではいけないのじゃないか。だから私ども治山治水に限らず五カ年計画というようなものはその実態を国会に報告もし、国会の審議を経て国会で承認するというようなことにならなければ、ほんとうに白紙委任状を政府に与えるようなことになってしまう。そこらの点をどう考えておいでになるのか。この点は、私非常にこれからも大事だと思います。
  144. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはだいぶ四次防の行き方よりはもっとはっきりしているのです。四十七年度からちゃんとやるのだ、やるのだからお認めください、内容の数字を言えないのは、内容の五カ年間の河川の行政はこれくらいのワクでやりましょうということは、別途皆さん方に御相談をするけれども、やることは四十七年度から四次としてやりますよ、こういうことをはっきり法律で皆さん方にお示ししたわけなんでございまして、まあ金額それ自身としてはあるいは財政の都合によりまして、ワクはきめたけれども、最終年度までいかなかった場合もできるでしょう。またそれよりオーバーすることもあり得るわけですが、あえてそれを法律にちゃんと数字をうたえば、それはもうそのとおり法律に入れなきゃならぬけれども、一応の目標でワクを定めてございますから、法律それ自身の中にはうたっていないわけでございます。したがいまして、あまりそれに深い意味があるわけじゃございませんが、ひとつ改定をしたい。  それからもう一つ、これは当委員会でございまするから皆さん方の御了承を得たいのは、私は、実はこの前の三次の治水計画はたった一年を残したわけです。四十六年でやって、四十七年に一年を残したわけです。もう四十七年でただいま二宮委員の御質問にもございましたように、今年の予算を入れれば九七%というのだから一〇〇%に三%ほど足らないわけです。だからして、あえて改定をしなくても残っているやつを全部やってくれればそれでもまたいいということになるのだが、しかし、このワクは相当に私は多く取りたいということで、あえてこの来年度を初年度としてワクは二倍——二倍以上取りたかったのですが、力足らずしてわずか二十割にしかならなかったのですけれども、まあそういう意味でございまして、比較的五カ年計画としては年度別に言えばよくこなした計画じゃないかと、私はこう思っておるのですけれども、どうかそういう意味でございまして、他意はありませんから、ひとつどうぞよろしくお願い申し上げます。
  145. 春日正一

    ○春日正一君 他意があるないじゃなくて、私はよく大臣のそういう気持ちはわかりますが、どうも国会の審議のあり方としては年次を変えるというだけ……法律はそれでもいいかもしれませんけれども、やはり五カ年計画というようなものは計画そのものを国会の審議にかけてきめるというようなふうにするのがほんとうに民主的な審議のあり方だし、そうしてきめれば実施段階での困難というものははるかに少なくなるだろう、そう思いますよ。だからその点は大臣のほうからもくみ取って考えていただきたいと思います。  それから、その次の問題ですけれども、これも水資源開発の問題ですね。それで今度の新しい五カ年計画でのこの計画は、大体概算要求の時点建設省がお出しになった計画案の概要、あれに沿って実行するということになるわけですか。
  146. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 概算要求の段階では、私どもの案は四兆七千億の数字が出ております。したがって、その内容についてもやはりかなりまあ修正をしないと、今回の五カ年計画におさまらないことは確かでございます。したがって、まあできるだけ当初の趣旨が反映するように、いまお話の水資源の問題だとか、そういったものにはできるだけまあ重点を置いて、多少まあ最終的な整備率は落ちるかもしれませんが、弾力的に運用するというようなことで、現在まあ計数整理をいたしておるような最中でございます。
  147. 春日正一

    ○春日正一君 まあ私はそれにいまさっき言ったように、計画そのものがここに議案としてかかっていないものですから、だから概算要求のときの計画の概要というようなものが出されておる、それに基づいてお聞きするよりしようがないということで、それを使うのかという趣旨をお聞きしたわけなのです。それで、金額は減りましたね、七千億が五百億になったわけですから。しかし、それはそれとして概算では「水資源開発については、昭和五五年までに水需給の安定を図ることを目途にあらたに利水容量約二七億立米を確保し、これにより年間約九三億立米の水を開発する。」というように言っていますけれども、この「水需給の安定をはかることを目途に」云々という、そういう推定の根拠は一体どこからとっているのですか。
  148. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほど来話題になっております私どものほうで調査をいたしました広域利水調査、そういったものを踏まえまして、水の各地の需要に対応した水資源開発治水の施設の拡充、これを計画をしておるわけでございます。
  149. 春日正一

    ○春日正一君 広域利水調査、第一次の報告書にもこれ出ておりますけれども、それで見ますと、需要の想定が昭和四十年の時点の経済の予測値をもとにして、六十年の人口、工業出荷額を設定して推算したと、そういうことになっておりますね。そうして人口一億一千六百万人、製造業出荷額百三十兆円という数字を出しているわけですけれども、これは大体新全総の計画されたときの推定とほぼ一致している、そういうものですね。
  150. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ちょうど広域利水を作業をしておる時点で新全総の計画が出てまいりましたので、それと調整をいたしまして人口とか出荷額等はほぼそれと整合した形で積算をしたものでございます。
  151. 春日正一

    ○春日正一君 そういう前提で、生活用水が二百一億立米、これが三・四倍、それから工業用水が三百九十四億立米、これが四・六倍、農業用水が五百八十四億立米、一・二倍、合計で千百七十九億立米、一・七倍、四百八十三億立米の増、河川からの取水量が四百六十一億立米というようなふうになっておりますけれども、しかし、この中には新全総の大規模開発が具体化して大都市圏が予想以上に都市化が進展したというようなことによる水需要の再検討分は反映されていない。だからそれらに対応できていないというような話だったのですけれども、その点はどうですか。
  152. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) やはり広域利水調査をスタートいたしました時点と現在とではかなり事情も変わってきておるのじゃないかと思います。で、私どもが広域利水調査を行ないましたのは、第一の目的は、大体どのくらいの水の貯水が可能であろうかというところから出発したわけでございます。で、主として産地流域で水の貯留がどのくらい可能か、それと対応して需要を煮詰めた場合にその需給がどうなるかというようなことでございまして、多少第一次の広域利水調査報告書自体は少し貯留事業に、ダム事業に片寄ったような形をとっております。しかし、水そのものはやはり反復利用されますし、今後農業用水等の動向を煮詰めますと、平地部における合理的な水管理によってもさらに生まれてくるじゃないかというような当然問題があるわけでございまして、そういった低地部の水需要、あるいは水利用をさらに広域的に管理することによって、そして地域の変貌と都市用水とのバランスもおのずからとれるじゃないか、あるいは回収水の利用も考えていく段階になってくるのじゃないかというようなことで、先ほど大臣からお話がございましたが、そういった一切含めて、今度は平地の流れておる水の管理をもう少しうまくやる方向の調査をさらに追従していきたいと考えておるわけです。で、その段階では現在の社会情勢なり今後の環境の問題も含めてやはりわれわれも考えていく必要があるのじゃないかと思っております。そういった点では、必ずしも広域利水調査の需要そのものが正確を得ているかどうかということはちょっと自信はございませんけれども、まあ大体全国各地の大まかなものさしは示したというつもりでおるわけでございます。
  153. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、そういう需要にこたえる供給対策として琵琶湖あるいは霞ヶ浦等の総合開発あるいは多目的ダム三百十カ所、河口湖、遊水池の多目的利用、分水その他広域利水をやって、九十三億立米を五カ年計画で生み出すということのようですけれども、これだけの水を取るために、たとえば琵琶湖の開発とか、あるいはたとえば阿賀野川、信濃川の水を関東に持ってくるとか、吉野川の水を讃岐平野に持ってくるとか、そういう全国の河川の水を取ってくる。いわゆる広域利水計画というようなものが考えられているようですけれども利根川あるいは富士川、新宮川、紀ノ川というようなものの分水と、新全総にもこういうものがありますけれども、こういうふうなことはこの五カ年計画の中でどのぐらい考えられているんですか。
  154. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 五カ年計画の中では、現在でもすでに山陰と山陽の江川と太田川、こういった分水はすでに進行しておるわけでございます。それから四国の吉野川につきましては、これを四国四県にほとんど分水等で活用しておるわけでございます。それから筑後川関係等もやはり水需要が北部に片寄っておりますので、筑後川あるいは関連河川から北部九州への導水というのは今後考えていかなくちゃいけないと考えております。関東地域につきましては、主として現在四十七年度から、流量調整河川事業ということで、低地部の水をなるべく合理的に使いたいということで、当面利根川と江戸川本川を結ぶ水路、こういったものをスタートさせたいと思っておりますが、大規模の北陸と関東を結ぶ河川とか、そういったところまでは今回の五カ年計画じゃまだ考えておりません。関東地域自身にまだダム計画地点が現在あるものでございますから、やはり、まず域内開発を先行すべきだろう。そのうちに、やはり関東といいますか、首都圏自身のまた新しい発展の姿も出てくれば、それに対応した考え方で、将来必要であれば分水事業等も考えていくことはやぶさかじゃないと、こういうことでございます。
  155. 春日正一

    ○春日正一君 そういう形で、琵琶湖の問題は別に法律が出ておるようですけれども、ああいうようなものでも相当たいへんな自然条件の変化を生み出すし、問題があると思っておりますけれども、これはまた出たときに問題にしますけれども、しかし、そういうふうな形で、広域利水というようなことをすれば、たとえば分水嶺を越えて水を持ってくるというようなことをすれば、当然自然条件に大きな変更を与えるような、そういう事態が起こると思うんです。つまり、どういうふうな変化が起こるか、それに対してどういう対策をするのかというようなことが十分研究されてなきやならぬはずだと思います。いままででも、たとえばほかの問題でも、尾瀬に道路をつくるというような計画が、自然が破壊されるということで中止になったし、ダムの問題でも、吉野川の上流ダムですね、あれが自然破壊ということで問題が起こっている。だから、そういう点を考えてみますと、ただ水がほしいからあそこからここに持ってくればいいということで、無準備にこういう大きな自然条件の変更をやったら、これは非常に大きな災害をもたらすだろうし、自然に対して致命的な破壊を与えるようなことにもなるだろう、そういうふうに私は考えるんですが、十分に研究をした上で、しかも学者やそれから地元の人たちも納得するというような条件でやらなきゃならないんだけれども、一体そういう研究がどういうふうにしてやられておるのか、どういう成果があがっておるのか、あればそういうものをここへ出してもらって、そうしてそういうものを土台にして、もっと議論を深めていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。そういう研究はやられてもう相当進んでおるんですか。
  156. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほど申し上げましたたとえば江川の分水、それから古くなりますが、熊野川の上流の十津川から紀ノ川に分水をいたしております。いずれにしろ、こういったものは主として下流の生活環境に支障のない範囲で、したがって、その河川の支配的な流量というようなものには手をつけないで、主として降水をダムでためて、下流の余剰水の範囲程度で分水をするというようなのが在来の考え方でございます。したがって、その下流の河川にそうダメージを与えるというようなことは、あるいはダムの下流の局部的な所にはあるわけでございますが、全体として大きく自然の秩序を変えるというようなことはあまり考えられないのじゃないか。しかし、実態とすれば、漁業補償の問題だとか、いろいろ出てまいりますので、そういった場合には、それぞれ専門の学識経験者の方に委嘱をするなり、そういう委員を設けるなりということで処理しておるというのが実情でございます。
  157. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、常時建設省としてそういう問題を研究しておるというのはどこでやっているのですか、利水、治水のそういう関係
  158. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 分水することによります流量の問題等につきましては、本省並びに土木研究所等でやっておりますが、いわゆる環境面ということになりますと、これは非常に最近やかましくなってきたわけでございまして、われわれも十分配慮をしていく必要があると思いますが、それぞれ直接担当しておる部門で、道路は道路で、ダム関係につきましては、私どものところで問題点についてそれぞれ検討をして対策を立てておると、こういうことでございます。
  159. 春日正一

    ○春日正一君 私の聞いたところでは、土木研究所で利水関係はやっておいでになるようですけれども、しかし、農漁業に与える影響というようなものは、これは農林省がやる、あるいは総合的なものはテーマをきめて学者に委嘱をするというような形でやっておって、まとまって総合的に深く研究していくというような仕組みにはなっていないようですね。これから、これだけ大規模に自然をいじっていこうということになれば、その点をほんとうに真剣に科学的にやらなかったら、一つ間違ったら取り返しのつかぬことになる。そういう意味では、研究体制というのは弱いし、不十分なんじゃないですか。その点どう考えておいでですか。
  160. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お話のような、いわゆるエコロジーとか、そういったものを考えた総合的な判断ということになりますと、いま先生のお話のように、多少まあ不十分な感じがしないわけでもございませんが、本来治水事業そのものは、やはりそう大きく、何というのですか、環境を破壊するということが趣旨じゃなくて、むしろ国土保全というものを中心に進めておるわけでございまして、ここには、やはり開発と保全というものの調和というのは、どの時点にもあるわけでございますが、そういった面では、私どもももっと真剣に取り組む必要はあろうかと思いますが、いま、それじゃ、どういう体制で、そういうものを処理していけばいいかということになりますと、非常に個々のケースによって問題の所在が違うわけでございますので、そういった点ではいろいろまた問題もあろうかと思いますし、最近は個々の問題については環境庁等もできましたので、それぞれ十分担当のほうで連絡し合いながらものを進めておるということでございます。
  161. 春日正一

    ○春日正一君 ことばじりをとるようですけれども、それはあなたのほうで水害を起こそうとかなんとか考えて仕事をおやりになっていないことは、これは明らかです。しかし、そうならぬつもりでやってきたいわゆる高度成長政策が、その中に建設省の仕事も組み込まれているわけですけれども、いろいろな公害を起こしたり、災害を起こしたり、交通地獄を起こしたりというような矛盾を激成してきたわけです。だからこれは、建設省なり政府なりの主観的な意図が悪いからどうという問題じゃなくて、やっぱり善意を持ってやったものがそういうまずい結果になっておる。まずい結果がたくさん起こっているということですから、研究の問題にしても——琵琶湖の問題は私は本格的にはあとでやりますけれども、たとえば研究がやっぱり十分やられているとは思えませんよ。しかもあの問題について、関係市民にほとんど知らされていないで、あれだけ大きなことがきめられている。だからこの間も大阪だの滋賀県へ行って聞いてみますと、あの四十トン一メートル半というものは、私は斜めに切ったと思うけれども、四十トン二メートル、三十トン一メートルというのを斜めに切って四十トン一メートル半ということにしたと思うのですけれども、滋賀県に行けば一メートル半の間におさめさせるのだ、だから一メートル半に近づけば節約させるのだ、こういう説明がされている。しかし大阪に行けば、一メートル半までは絶対にもらえるのだ、それで一メートル半を割って二メートルに近づくまでもらえるのだという、自分に都合のいいようなことが説明されて、だから両方の受け取り方が違っている。そんな水の量をきめる大事な問題でもそうなっているし、じゃ湖水の開発で漁民がどうなるんだ、あの地域の水の汚染がどうなるんだという問題についてのこまかいことは、住民にはちっとも知らされてない。だからそういうような意味から見ても、もっともっと民主的に研究して十分安全を確かめ、そして住民が納得してやれるようにするという意味では、広くまあそれは学者の知恵も借りてやらなきゃならぬけれども、同時に、建設省自体がそういうものについての総合的な研究の体制というものをもっと強めていく必要があるのじゃないか。その点、これは大臣、問題だと思うのですけれども、どうですか。
  162. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま先生お尋ねは、こういう開発をやって、いわゆるいま最もわれわれが考えなければねらぬ環境保全というようなことに相当に悪い影響を及ぼすのじゃないかと、こういうことでございますが、実は、あなたと考えが違うかもしれませんが、私は公共事業のうちでは最もこの環境保全ということについて非難のないのは、この河川のほうの行政じゃないかと思っております。むしろこれを放置して災害等を起こして、そうしていままでのりっぱなところが破壊されるということのほうが、むしろ結局環境保全から言えば悪いのじゃないか。それからダムをつくる場合に、もちろん原形にするわけにいきません、土木工事をやりますから。しかし、その場合でも一番非難を受けるのは、やはりあとの排土とか、土ですね、それをむやみな所にほうっておくとか、そういうようなことでいままで非難をいろいろ受けておりました。しかし、でき上がればだんだん水がたまって、むしろ景観を添えるというようなことも、河川行政ではむしろ積極的に感情をよくするのじゃないかという面も忘れることはいかぬ。道路行政でございますと、これはまさに点ではございませんで、あっちこっち通りますから、たいへん環境の問題には影響してくる、けれども河川の問題については全然ないとは申しませんが、むしろよくなる場合もある。またこれをほうっておけば、むしろ自然環境を非常に破壊するのだというようなことも言われると思います。  それから、研究体制が実は足りないのじゃないか、そのとおりでございます。役所といたしましても、非常に突っ込んだやはり研究というものはそれぞれ研究機関でないと、やはり水行政はいわゆる水行政でございまして、ほんとうの意味の研究というようなことについては、私もまだ河川局だけでは非常にもの足りない。土木研究所もありますけれども、それでももの足りないというような感じはあなたと同じことでございまするが、環境に関する限りは非難を受けるところがあれば直しますが、あまり非難を受けるところはないのじゃないか。また、ないようにしなければならぬというような気持ちがいたす次第でございます。
  163. 春日正一

    ○春日正一君 確かに、道路よりは河川のほうは非難を受けるところが少ないという問題はあるのですけれども、私は参議院へ当選してきて一番最初に取り上げたのは、佐久間ダムの放流被害の問題ですよ。あれからあと、私も何回か水害があればダムが問題になるようなダム管理の問題、そういうものが出てきたということを知っていますけれども、しかしいままでは、まだ川の水を、いま大臣が言われたようにダムにためておいてそれで調節するというような段階だったから、被害がいろいろあってもその範囲というものはわりあい限定されておったけれども、今度は琵琶湖の水を湖水の水面を動かしてもやっていくというような問題になりますと、これはいままでと質が違ってくるし、あるいは分水嶺の向こう側の信濃川や阿賀野川の水を関東に持ってくるというようなことになれば、これは向こうへ下りるものをこっちへためておくということは、違った影響が出てくるだろう。そういう意味からいえば、いままで自然の水をやっておいて間に合わしておったのが、限界にもうぶち当たってきてよそから持ってこなければならぬ、   〔委員長退席、理事茜ヶ久保重光君着席〕 無理して持ってこなければならぬというような状態になっている時期だから、私は特にこの問題を重視しているわけです。  それで、結局、いままでの水開発の考え方というのは、需要がこれだけある、だからこれだけの水の需要にこたえるためにはどれだけの開発をするかというようなまず水需要を考えて、それに応じての水をどこから持ってくるかというような考え方であったと思うのですけれども、道路でもそうだし、つまり自動車がどれだけふえるから道路をどれだけ広げなければならぬという形でやっていっている。そういうやり方をしてきた結果が、御承知のように、公害だの交通事故だの環境の破壊、過密と過疎というようないろいろな矛盾が激しくなってきて、そういうふうなやり方については、総理自身もこのところ施政方針演説なんかでも、いままでのGNP第一から国民福祉第一の方向に考え方を変えなければならぬ。この間の演説では、発想の転換を行動に移すべきだというようなことを言っておられる。そういうふうな事態にまで、矛盾が深刻になってきておるわけですね。これを何とかしなければならぬ。そうしてそのためには、やはり高度成長という立場で考えられてきた新全総というようなものも、ここで洗い直していかなければならないのじゃないか。つまり、国民福祉優先という立場からの経済の運営なりということを考えれば、当然GNP第一で立てられてきた新全総というものは洗い直さなければならぬのじゃないかということが、いま問題になってきているわけですね。そういうときに、水資源のほうは、いままでの新全総の想定なり、その目標に沿って、従来の延長線上で開発を進めるということでは、これはいわゆる土台と矛盾してくるんじゃないかと、土台がもうどうにも矛盾がひどくてやりきれぬからこのやり方を直さなければならぬ、過密、過疎を直さなきゃならぬ、工場を疎開しろというようなことも出てきているというような時期に、首都圏で足りないから水を持ってこい、近畿が足りないから琵琶湖の水を持っていけというような形で、とにかく足りないところに無理して水を持っていくという考え方がはたしていいのかどうかと、これが私は今度の法律の中では一番根本問題だと思うんですが、そこの点はどうなんですか。
  164. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 流域を変更するというようなことは、もう最後の最後の手段でございまして、それよりも水のあるところに産業を持っていけばいいわけで、水のあるところに人口を持っていけばこれはいいわけなんです。しかし最後の最後は、そういうこともしなきゃならぬということで、決してわれわれはもう流域だけ変更していこうと、こういうようなことは考えておりません、もうそれは最後です。したがって、基本的にはすべてのことは、水と土地とはこれは有限でございまするから、もうあくまでも土地のあるところにやはり産業も人口も持っていくというのは、産業が興り、仕事がなければ持っていけませんから、産業も人口もやはり土地、水これがもう絶対的に必要でございまするから、非常に生活にとってはそれはもう第一義的な問題でございますから、この今度の五カ年計画で流域変更ばかりやっていくんだと、そういうようなことは絶対に考えておらないつもりでございます。
  165. 春日正一

    ○春日正一君 さっき一番冒頭の答弁でも、今度の五カ年計画の中にはそういうものはあまり入っていないと、自然にやっているという話だったんですけれども、やはり計画としては、私もここに書き抜いてみたんだけれども、ずいぶん言われているのはたくさん将来にわたってあるわけでしょう。阿賀野川、信濃川を関東に、相模川、荒川、多摩川の分水、天竜川を豊川に、由良川を桂川に吉野川を讃岐平野、銅山川を伊予三島にという形でいわれているものをいろいろ集めてみると、日本全土にわたって一応そういうことが考えられているんですね。そしてそういうもののはしりとして江川みたいなものも出てきているし、琵琶湖が特別の法律として出てきているということですから、私も決して種のないところで心配しているのじゃない。将来そういうことが必ず問題になってくるだろう。ただ、そうならぬうちにいまから議論を詰めておかなければ、そのときになってはもう追っつかぬと、そういう意味で、私は少し先走っているようだけれども、そういう議論、自然条件を根本的に変更するような大問題だったら真剣に研究してかからなければならぬし、そのためには、中心になっている建設省がまず研究のためのしっかりした組織をつくって本格的に取り組むべきだと、そして民主的に学者の意見も聞き、住民の意見も聞いてやるということをやるべきだし、同時にまた、まず一番やらなきゃならぬことは新全総のやはり洗い直しだし、大臣の言われるように、水のあるところに人を持っていけばいいんで、人のいるところに水を持ってくるということじゃない。そういう考え方の転換をやらなきゃならぬし、それが政治の上に出てこなければならぬ。ところが、やはりいま見ていますと、それが政治に出ていないんですね。やはり琵琶湖の水を持っていってしまう。私は法案出たときに議論しますけれども、あれはたいへんな問題を含んでいると思いますよ。だからそういう点で、やはり集中の規制というようなことが必要になってくるだろうし、あるいは工業用水を節約してあるいは循環的に使うというような形で、わずかな水を有効に使うというようなことも当然できるはずだと思うんです。で、この点ではどうですか、建設省のほうとしては、工業用水の節約といいますか、循環して使うやつですね、あれで現在のいわゆる用水の量、単位当たりにしてどのくらい減らせるか、また減らすかというような一つのあれ持っていますか。
  166. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 最近の大規模の鉄鋼業なんかではもうほとんど水を循環使用しておってロスはわずかばかりでございます。そういうように、まとまってそういった回収水を使うというようなところでは、かなり合理的に使われておるわけでございますが、最近の工業用水の主たるものは地盤沈下対策に伴ういわゆる中小企業の地下水くみ上げを、表流水に転換しなくちゃいけない、こういうような点にかなり工業用水の需要の伸びが出ておるわけでございます。それから飲料水にしましても、都市市街化区域内のいわゆるビル用水というようなものが非常に多いわけでございます。これはまあほとんど地下水と上水道にたよっておるわけでございますので、こういったものがうまく回収ができるかどうかという点には非常に問題があったと思います。したがって、下水道水の高度処理、こういったものがいま検討されておりますし、一部は工業用水等にも利用されております。ただ、専用の工業用水道に対するやはり廃水施設とかといったものも伴いませんと、非常に割高になってくるもんですから、むしろ高度処理をした回収水が全部は利用されてないというのが実態でございます。したがって、いますぐこれが何パーセントくらい転換可能かということになりますとちょっとこまかいデータがございませんが、ここにはどういう水のどういう業者はどういう利用のしかたをしておるかというようなことは私どものほうでも概要がわかりますし、通産省の工業用水課等ではこまかい資料を持っておると思います。
  167. 春日正一

    ○春日正一君 そのこまかい資料の問題はあとでお聞きするとして、私がいま言っていることは、工業用水が先ほどの第四次計画の概要でも一番ふえる率が大きいし、大きくなっていっているんですね。だからそういう意味でも、たとえば工業用水にしても、まあ鉄鋼にしても、化学にしても同じ原単位、仕事をしておって原単位が一から百くらいばらつきがあって非常にむだに使っておるところもあるし、有効に使っておるところもあるというようなことが指摘されておる。だからそういうような点から見れば、水をどこから取ってくるかということもやはりひとつの大事な問題だけれども、同時に、水をどれだけ有効に使わせるかという点ですね。そういう意味で、この五カ年計画で利水の計画を立てる中で同時にその利水というものを川から持ってくるということだけに限定せんで、たとえば工業用水の使用の効率を何パーセント上げるとかというような目標を立てるというようなことをして、その面で詰めていく必要があるのじゃないのか。ただ、一般的にそのほうは自然にまかせる、ある人にいわせれば、工業用水をうんと値を高くすればいやでも節約するだろうというような論もありますけれども、どういうやり方にしろ、とにかく節約、有効に使わなければならぬ、乏しくなってきた水を。ということになれば、当然こういう計画の中で、取ってくる計画だけじゃなくて、節約させるめども、特に産業で大きく使うわけですから、そういうことも必要なんじゃないか。そういう意味で、建設省としてどのくらい減らせると見込んでおるのかということをお聞きしたんです。もしそういう計画なり何なりなければ、これは考えてもらう必要があると思うのですが、どうですか。
  168. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私どもが広域下水の調査をやります時点でかなり通産省等の需要見込みとは違っておりました。主として私どもも工業用水の伸びというのは通産省の意見のようにどんどん成長して伸びるものじゃないじゃないかというようなことで、一応いろいろの過程を置いて出しておりますが、かなり低い原単位で私どもとすれば積算をしたつもりでございます。ただ、都市用水と工業用水をあわせてみますと、合計した水資源のほうからいけばやはり依然としてどうしても供給が追っついていかないというのが、これが実態であろうかと思います。したがって、工業用水の分にどの程度見るか、あるいはこういったものを国として工場の分散なりあるいは税制なり料金制なり、こういったものでどうやって節水なり抑制をしていくかということになりますと、これは大きな政策かと思いますが、少なくとも、水は大事だから、相当、今後考えて使っていかなくちゃいけないというような意味を、広域利水から少しでも認識していただけるんじゃないかということで、あの調査報告書も企図したわけでございます。したがって、新全総を受けた形にはなっておりますけれども、需要量の想定等につきましては、多少五カ年計画のワクの圧縮等もございますので、やはり今後、弾力的にといいますか、有効に使われるように、私どもとすれば、これは供給サイドでございますので、足らぬ足らぬと、こういう意見に対して、追っかけて精一ぱい供給をしておるというのが実情でございますけれども、やはりできるだけ合理的に使っていただきたい、そういった意味で、私ども調査したり、あるいは水の需要の実態というものをよくPRをして、今後とも進めていく必要があろうと考えておる次第でございます。
  169. 春日正一

    ○春日正一君 その点、大臣、政治的に見てどうお考えですか。工業用水の節約というものを、こういう計画の中でめどを立てて、やはり進める、建設省でやっていく仕事とかね合わせて進めていくというような問題について、大臣はどう考えますか。
  170. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それは最も必要なことでございまするが、私たちも考えまするけれども、企業それ自身もそろそろ考えております。そろそろじゃない、相当考えております。というのは、必ずしも工業用水安くはございませんから、したがって、相当に考えております。しかし、そのために、何といいますか、地下水をくみ上げるというようなことをやるんですが、これはもう絶対に許しちゃいけないと思いますから、もちろん企業それ自身も考えますが、われわれもそれはPRしなければならぬ。  ことに、これからは、下水処理の問題が、下水第二次処理でも相当使えますから、これを、われわれとしては、つとめて、使えるところはやっぱり使ってもらうということを進めなければならぬと、私は思っておりますから、これは両者でおのおの自覚してやられなければならぬ、かように思っております。大事なことでございます。
  171. 春日正一

    ○春日正一君 私は、そういうことを積極的にやる必要がある。むしろそこに非常に重点もあるし、そのための研究のためにはもっと金をかけるべきだというふうに思います。  それから、生活用水の問題ですけれども、大阪の水道のパーセントについて見ますと、家庭用水が二八%、業務用が三九%、官公庁が一三・三%工場が一九%と、大体こんなことになっておりますね。そうしますと、この水はすべて飲めるいい水でなきゃならぬというものじゃないと思うんですよ。当然、車を洗ったり、あるいは暖房用、冷房用に使ったり、それから水洗便所に使ったりというようなものは、飲む水よりは質が落ちてもかまわないわけだし、そうすれば、やはり浄水場の水の浄化ということがもっと進められていけば、こういうものに対して、やっぱり供給水管を二つに分けて供給するというようにすれば、そこからも新しい水利用の道が開けてくるんじゃないだろうか。いまの比率を見ても、飲む水というのは、家庭用水——洗たくまで含めても二八%ですから、だから相当部分がそれができる。大臣は、第三次処理はまだちょっと実用に供するにはというように言われておりますけれども、やはり実際には、こうすれば浄化できるという方法はわかっているわけですね。そうして小規模に実験的にやっているところもある。とすれば、これは琵琶湖開発に何年かかるかといえば十年ぐらいかかるだろうという話ですけれども、そうすると、その十年の間に、水の高次処理をやって、いい水を取るという研究に、琵琶湖を開発するくらいの金をかけたら、私は十分できると思うんです。自然をこわさんで、水が十分供給できる道がある。安易な道に立ってやろうとするから、あと取り返しのつかぬことになる。だから、そういう意味で、ビルやホテルなんかの冷暖房の業務用の水とか、車を洗う水というようなものは、やはり雑用水を供給するというような形にするという方向で、それのできる研究もやるし、そういう方向を広めていく必要があるんじゃないか。各家庭に水管をこれから二つつけろということはたいへんなことですけれども、これからどんどん建っていくビルに初めっから二つつけろということにすれば、これはそうむずかしい問題じゃないと思いますよ。だから、そういう面も研究し、開発をしていくというようなことが必要なんじゃないか。海水の淡水化ということは、コストが高いというような話もありますけれどもね、それだって将来研究しなければならぬでしょう。だけれども、そういう問題、特にいま言われた、一度使った水をもう一度浄化して使う。しかも、それも均一なものでなくて、飲み水とか料理に使う水と、自動車を洗ったり、便所に使う水とは分けて使う、質の違ったものを分けて使うというような、使い道を分けるという方向で、新しい水の資源を生み出していく、そういうことを考えなければ、もういま言われたように、水資源が取れるところでは一っぱいになっちゃって、分水嶺の向こうから持ってこなければならぬような状態になっているときに、ただ、ある水を持ってきてまかなうというような考えではもう追っつかぬし、また、そういうことをやれば、非常に大きなやはり日本の自然条件に対する変更をつくり出すようなことになる。  だから、私は、そういう意味で、やはりいま言ったように、工業用水を節約するとか、家庭用水をいま言ったような形で節約するとかいうような方向で、水の新しい利用なり、そのための水の浄化、この方向を急速に開発していくというようなことが必要なんじゃないか。その点で、どうですか、建設省で、今度の計画の中で、水の浄化というような問題について、どういうふうに考え、どれくらいの予算を取ってやられるんですか。そういうことは全然考えていないんですか。
  172. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私どものほうは治水事業でございますので、直接そういったことについて、特に中心になって調査をするということはいたしておりませんが、しかし、結局は、河川に還元されてくる水でございますし、川がきれいであれば、幾らでも多目的に有効に利用されるわけでございますので、やはり河川の姿として、下水道等とタイアップして水質の改善に取り組んでいきたいということで、土木研究所に水質研究室というのをつくりまして、そういった点で、あるいは下水処理水に正常な河川水を加えてやれば、かなりよくなるんじゃないか。あるいは三次処理等の高度処理がどのように経済的に進められるか、こういったことは土木研究所を中心にいたしまして、現在進めておるわけでございます。  それから、一つ、いまの雑用水なんかにできるだけ回収水を使えないかというお話しでございますが、ヨーロッパのパリとか、その他の都市でも過去にいろいろな経緯がありまして、そういったことをやったことがございます。しかし、非常にそのために、逆にいま小さい子供のためにとか何か、そういった点で混乱を生じて、日本ほどに過密でもございませんし、いろいろ施設も整っておる関係もあろうかと思いますが、結局廃止しちゃったというような実績も若干ございます。したがって、処理された水がやはりこれは普通の河川の水と違うものですから、うまく使えるように結局需要側の範囲がうまくまとまっておりますと都合がいいのですけれども、個々にビル用水等でこの水をまとまった処理施設から送るということになると非常にそういった点で施設の費用がかさむ。それから使用上で若干混乱の不安がある、こういうようなことも一つはネックになっておるわけです。しかし、まとまった、たとえば大規模の団地等では何か手があるんじゃないかというようなことは、私どももいろいろ議論をしておるわけなんですが、やはり今後は日本のような土地も狭いし、水も不足でございますので、何かやはり打解の一つとしては検討していく必要があろうと考えておる次第です。
  173. 春日正一

    ○春日正一君 これは水をきれいにするというのは下水道のほうですか、建設省の中の仕事でしょうか。そういう点でだれかそっちのほうのわかる人がおったらそのきれいにする、いわゆる水の汚染をきれいにするほうの仕事ですね。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 そういう意味で、しかもそれを一般的にきれいにするのじゃなくて、それを再利用するというような意味でどういうことが考えられて、また、いまどのくらいな金でそれをやろうとしておるか聞かしていただきたいのですが、いまあなた河川のほうだから流れる水なんだけれども、使った水をきれいにする建設省の役所だれかこの中においででしょう。
  174. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはつまり下水処理の場合、御案内のように、一次処理と二次処理、それでこれを三次処理をやることにつきまして、これはアメリカにもいろいろ五つぐらいな方法があるようです。  そこで、先般これは山中長官が環境庁長官であったときに向こうへ行きまして、公害の技術委員会というものができまして、その中で特別に下水道の三次処理の研究会がアメリカとの間に相互に会議を持ちたいということで第一回は日本で先般やったわけです。ところが、こちらも、私のほうは下水道部がありまして相当な技術者もおります。方法がいろいろありますので、五つぐらいの方法があるようですが、その五つぐらいの方法で一番コストの安いものはどれか。ところが、いま大体比較してみますと、一次処理、二次処理をやった金よりも相当やはり三次処理は三次処理だけで五割ぐらい高くなる。しかも、三次処理をやると非常に大きい面積が要るのです、土地が。それが非常に欠陥になっておるのです。しかしそういうような雑用水を、これをピュアリファイすれば、これは完全な飲料水になるのですから、この問題は私は、わりあい早目に解決ができると思うのです。きれいにするためにも、程度がありますけれども、いま二次処理の問題だけではせいぜい工業用水に使えるくらいでわれわれの家庭の雑用水にはちょっと向きませんから、もう少しよくすれば、これは雑用水にもりっぱに使える、飲料水まではならぬけれども、雑用水に使える程度まではわりあいに早くなろうと思っております。このためには、今度建設省といたしましてもこれは今日、金の面ははっきりしませんが、相当大きい金を横須賀の試験所につぎ込むことになっておる次第でございます。方法それ自身は私は詳しくは知りません、なまはんかにしか知りませんが、私が申すよりもまた他日そのほうの専門家が来て申し上げたほうがいいと思いますが、一生懸命やっておる次第でございます。
  175. 春日正一

    ○春日正一君 じゃ、その問題はこのくらいにして、要するに、私の言いたかったのは、今度の五カ年計画の中では、利水ということが非常に大事な問題になってきている。そういう意味でどこから水を取ってくるか、生み出してくるかという問題について、ただそこで、水、なまの水持ってくるということだけじゃなくて、いままである水をどう有効に使うかというその使い方の問題でもっと研究もするし、考える時期に来ているのじゃないかという意味で後段の質問はしたわけです。  そこで、今度は治水対策の問題ですけれども、提案理由によると、開発の進行によって山地、大河川災害の被害がきわめて深刻なものになるおそれが生じ、都市近郊の山地及び中小河川災害の頻発に対処するためにというふうに説明されているのですけれども、どういう状況になっておるのかあらまし説明してほしいのですけれども
  176. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 大河川等につきましては、たとえば利根川等におきましてもかなり上流部の河川改修促進、それから地域開発に伴いまして遊水の面積が減ってくる、こういうようなことが当然起こってくるわけでございます。そういったものについてはやはり下流の河川にそれだけよけいに荷がかかってくる、こういうことでございまして、当然雨の降り方が同じでもあらわれてくる災害は自然と大きくなってくる、そういった傾向が、特にこの経済成長の激しいここ数年非常に顕著な現象としてあらわれてきております。したがって、大河川におきましてはやはりいままでの安全度といいますか、疎通力というものだけではとても万一のときには防ぎ切れない、したがって、河道改修ダム建設を組み合わせた形でさらにいままで以上に安全度を守るためには改修規模なりあるいはテンポを促進をしていく必要がある、こういうことでございまして、一応昭和六十年くらいにほぼ大河川については百年に一度程度の雨に対して何とか耐えられるというような程度に概成をしたいというのが私どもの長期的な構想でございますが、そういった線に沿って、今回の第四次五カ年計画をその第一期の計画というようなことで進めたいと考えたわけでございます。補助河川あるいは都市河川等につきましてもやはり同じような現象でございますが、特に都市河川関係につきましては五十ミリ程度の雨でもかなり浸水するところが多くなってきておる。これは河川改修がおくれておったということに尽きるかもしれませんけれども、そういった点ではできるだけ都市災害をなくするという意味でも今度の五カ年計画で重点的に取り上げたいと考えた次第でございます。
  177. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、治水という、水害の防止政策が非常に重要になってきておるわけですけれども、そういう意味で、現在の第三次五カ年計画の進行状況ですね、これを、投資額事業計画量に対する進捗の状況、これを聞かしてほしいのですが。
  178. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 第三次五カ年計画の中で、基幹事業治水事業投資額計画で一兆五千億でございます。その中で、四十六年度を終えまして、これで第四年目になるわけでございますが、消化しました額が一兆六百三億でございまして、約七一%の進捗率になっております。計画時点では七一%の消化率になっております。
  179. 春日正一

    ○春日正一君 事業量ではどうですか。
  180. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 実は第四次の今回の五カ年計画を策定いたしますときに、整備指標、こういったものを一応試算をいたしまして、第四次の五カ年計画から初めてそういったものを採用したということでございまして、過去の五カ年計画の第三次自身で何%消化をしたかということのちょっと具体的な資料がございませんが、現時点までの現況としてどのくらい整備ができておるかという点につきまして申し上げますと、補助河川関係改修の進度が、四十六年度で大体一五・四%ぐらいでございます。それから、直轄河川ダム河川改修をあわせまして三二・五%ぐらいの進捗になっております。それから砂防につきましては一五・一%、それから土石流対策でございますが、これの進捗率は非常におくれておりまして、渓流等につきましては五・四%の進捗率でございまして、こういったものは今回の五カ年計画で、まあ長期構想を目標にしまして、できるだけ進度を向上させたいと考えておる次第でございます。
  181. 春日正一

    ○春日正一君 建設省からもらった資料を見てみますと、投資額では、先ほど話のあったように、四十六年度末で進捗率七一%、大体予定どおりいっているんですけれども事業量のほうではだいぶおくれておって、特に補助事業が悪いんですね。中小河川の竣工、これは計画では百四十一竣工する計画になっているのが五十六しかできていない。これは四十七年度末というこれで。それから小規模河川の竣工は、三百九十三の計画が百八十四ということになっているし、それからダムは、多目的は直轄が二十の目標が十七、補助が二十二の目標が十七、それから治水ダムのほうは悪くて、新規着工百十七、これが八十二、竣工の予定が十四というのが五つしかできていないというような形で、非常に事業そのものとしてはおくれているわけです。だから事業量から見れば五カ年計画四年間の進捗状況というものは決していいということは言えないと思うんです。  そこで、一つ出てくる疑問は、金は予定どおり使った、ところが、仕事は計画どおりに進まないというのはどういうわけなのか、どこに問題があるのかということですけれども、その点説明していただきたいと思うんです。
  182. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 個々にいろいろ事情があろうかと存じますが、やはり事業費の消化のわりに実質的に——ただいまおっしゃいましたのは竣工河川数だと思いますが、これにつきましてはやはり事業費の増大といいますか、そういった物価の面と、それから一番支障を来たしておりますのは用地が難航して、金額の問題じゃなくて完成がおくれおくれになっておる。この二つが一番大きな原因じゃなかろうかと存じます。
  183. 春日正一

    ○春日正一君 治水というのは人命にもかかわる重要な問題なんで、やはりどうしてもそのために必要だという仕事の量をきめて、そうしてそれをやるためにどれだけ金が要るかということで取り組んでいくべきものなんじゃないか、そうしてそういう点がほんとうに住民に理解されて、自分たちの災害を守ってくれるんだということになれば住民協力というようなものも得られるし、工事をやっていく上での障害というものはもっと少なくすることができるであろうと思うんです。ところが、いままでのあれを見ますと、大体どのくらい金を使うかという金をきめて、その金のワクの中でどう割り振りしていくかというような形で事業量をきめていくというようなふうに私には受け取れるんです。だからその点では一番必要なものに合わせて、それをやるために必要な金を使うというようにしていく必要があるだろうし、今度の五カ年計画でもそういう立場からつくられる必要があるんじゃないかと、そういう意味では最初に申しましたように、計画だけ、金のワク組みだけがわあっと出てきて、中身はちっとも説明されていないという点では、これはさか立ちしているように考えるんですけれども、やはりそういう形でいくと、同じようにこういう、金は全部使いましたけれども仕事はだいぶやり残しましたというような結果になるんじゃないか、その点どうですか。
  184. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまの本数等につきまして、これは非常に低く出たりしているわけでございますが、中には計画の変更をして改修計画規模を大きくした、そのために若干竣工の時期がずれたとか、そういったいろいろな要素が入っておりますので、必ずしも全体の河川の進率をあらわしておるかどうかということになりますと、やはり問題があろうかと思います。しかし、傾向として金に比較しまして仕事が若干ついていかないという点は、これはいなめないと思います。したがって、今回の第四次五カ年計画につきましては、基礎的な事務的な資料とすれば、いろいろ積算の作業を、これは府県等通じまして作成をして一応検討したわけでございますが、若干やはり最終的な四兆五百億の線に従って、今後これを調整あるいは修正することになると思いますが、やはりただいまお話しのように、できるだけ現実に即して、しかも有効適切な方向に私どもも努力はする必要があると思っておりますので、今後具体的に個々の河川あるいは砂防、こういったものを計画の中に位置づけしますときには、お話のような趣旨で私どもも作業を行ないたいと思います。
  185. 春日正一

    ○春日正一君 まあ、そういうことで、必要なところに必要な予算を組むということになると、いま建設省が検討している六十年までの長期構想というもの、これに出ていますけれども、これを見ても必要な投資規模は三十六兆円だというふうに見られておるのですね。前述の治水長期計画の整備目標を達成するために約三十六兆円、昭和四十六年からの投資額を必要とし、その内訳は抄録のとおりであるというようなふうになっているのですね。そうしますと、まあ今度は四兆円入るわけですから、その残りの十年でもって三十二兆円投入しなければならないということがこれで言われておる、長期構想で言われておる必要な投資規模を満たすためには、そういうことになるわけです。しかし、それがそれだけあと十年で三十二兆円投入できるというふうにはちょっといまの状況では考えられないというふうにしますと、こういう程度の五カ年計画の投資規模で目標水準まではたしてやれる見通しがあるのか、この点が非常に心配になってくるわけです。だから、その点につきまして一体五カ年計画というのはどのくらいのことまでできるのか。それから将来どういうふうにそれをふやしていこうとするのか、そこらの辺を聞かしてほしいのです。
  186. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) まあ六十年の時点かどうかは別といたしまして、一応概成するのに、概算をいたしますと約三十六兆というお話しのとおりの数字が試算では出ております。これを目標にいたしまして、先ほど現況を申し上げましたが、いま現在まあ事務的にいろいろ作業いたしておりますので、多少数字が動くかもしれませんが、直轄河川につきましては現況が約三二、五%でございますが、これをまあ四一%前後にいたしたいと思っております。補助河川につきましては現況が一五・四でございますが、これを二〇%前後におさめたい。それから砂防等につきましては補助の砂防も一五・一%ですが、これを二二、三%までレベルアップをしたいと思っております。それから土石流につきましては、これは非常におくれておりまして、現在五・四%程度しか進んでおりませんが、これを大幅に引き上げまして二七、八%まで持っていきたいと考えている次第でございます。なお、まあこれは一応概成の目標を六十年に置いて試算をしたということでございますが、それでは六十年までに十分予算の見通しがあるかというような問題になりますと、これは財政事情等もございますでしょうし、ちょっとお答えをするわけにもまいりませんけれども、このまあ概成目標に向かってできるだけぜひ努力をしたいということでございます。
  187. 春日正一

    ○春日正一君 この問題は、局長ではちょっと無理な問題だと思うのですけれども大臣にお聞きしたいのですけれども、この治水費のGNPに対する割合、これを見ますと昭和三十年が〇・六%、三十五年が〇・五%、四十年が〇・五%、四十五年は〇・四%ずっとこう逓減していっているのですね。治水資産のほうもまあ五カ年、五カ年でふやしていっているのですけれども、GNPとの比率で言いますと三十年が九・一%、三十五年が七%、四十年が六・五%、四十五年が五・五%というように年々下がっていっているのです。まあ国民総生産というものが急速に伸びていっているそのことの中で、災害の問題も出てくるし、いろいろ起こってきているのだけれども、それを防ぐほうの金の支出というものが相対的に見れば少なくなってきている。そういう点考えてみますと、いま局長もずいぶん苦しい答弁だったと思うのです。三十六兆円と自分のほうでそろばんをはじいておいて、それがとても取れそうもありません。これは局長に言っても無理な話ですけれども、そういう点でこういう逓減傾向にあるわけですから、もっと治水費用というものを大胆にふやす必要があるのではないか。そのために大臣には努力もしていただきたいと思うのですけれども、その点どうですか。
  188. 西村英一

    国務大臣西村英一君) その長期計画を見ますと、六十年には一〇〇%にしたいと、直轄は一〇〇%にしたい、補助は一〇〇%にしたい、土石流も一〇〇%に、何もかも一〇〇%、河川に関する限りは手を着けません、全部できましたと、こういうふうにしたいということで、金を逆算してこうしたらしいのですね。それと五カ年計画はもっと別なんです。かりにこれでもって三十兆円なんというようなことをしますと、もう、今度の四次計画は四十七年から五十一年ですから、あともう五次と六次しかないのです。そうするとそれに到達するはずはないのです。だからこちらの問題は六十年には河川は要らないように一〇〇%にしたいといって金をはじき出すし、今度は計画のほうは逆にこっちから追っていく。しかし私は、その計算は別として、総体的に私は前から河川にかける費用は少なかったと、第一次計画のごときは総ワクはたった四千億なんです。しかしほかの大体五カ年計画というのは、前にもちょっと申し上げましたが、大体五カ年計画のワクよりも実際は少なく使っているのが普通なんですが、この五カ年計画は第一次は四千億にかかわらず実際は五千億以上使っておる。それは必要に迫られたから使っておるのです。これは災害は別ですよ。ほんとうにワク以上に使っておる。したがって、いまから考えるとワクというものがいままで非常に少なかった、必要以上に少なかったと、そういうことに帰着すると思います。したがって、私は今回の第四次計画の四兆円ということも正直に申し上げると私は気に入らないのです。相当に大蔵ともやり合ったのです。けれども、国家全般の計画からそういうふうになったのでございまして、私はもうほんとうにこれは最後の最後まで。実際、正直なところ非常に少ない。なぜ私がそう言うかというと、公共事業はすべてやはりそれは多いほうがいいのですが、河川はある程度やってしまえば大きい災害を受けぬで済むのです。もう年々災害で終戦のときから非常なたいへんな災害を受けて、死人が出ております。私は年間平均水害で五百人くらいと踏んでおりましたが、幸いにして近ごろは、これは水害にもよりますけれども、大体としては大河川のはんらんがございませんからまあ二百人から三百人くらいで——これも非常にお気の毒な次第ですが、これは大河川のはんらんがないからと思っておるわけでございます。したがいましてもう少し金をつぎ込みたいと、こう思っておりまするが、いまの計画からいたしますると数字的にはまことに合いませんが、したがって今後の四次計画、五次計画というようなものについてはさらに力をいたしたいと、金をつぎ込みたいと、かように考えておる次第でございます。
  189. 春日正一

    ○春日正一君 ではあとダムの問題お聞きしたいのですけれども、これは予定の時間が参っておりますので、あと一分間しかないのですよ、それで私のほうでまとめてお聞きします。  問題は、いままでダム災害というものが方々で問題になってきて、ダムそれ自体についても上流では堆砂がたまっている問題が出て河床が上がるとか、水位が上がるという問題が起こりますし、下流では掘られて堤防が決壊するとかはんらんするという問題があるし、また異常放流なんかで水害が起こったというような例はこれはたくさんあります。そうしてそういう問題、特に異常放流なんかの問題は開発用のダムが問題になっておりますけれども、しかし、建設省や府県でつくっている多目的ダムでも、治水ということが主でなくて利水ということが主になれば、やはり発電ダムと同じように異常放流ということにもなってくる、こういうことがしばしば起こって、この対策をどうするかというようなことがこの委員会でも論議をされてきたわけです。  そういう実態についてのいろいろな質問は私は省きまして、結論的にお聞きしておきたいことは、やはりそういう場合に一番問題になるのは、ダムの管理が常時適正にやられて、その気象状況、その他に応じて適正に運用されるのかどうなのかということが非常に大事な問題になってくる。だから、ダムをつくるということ自体は一つ大事なことだけれども、同時にその管理を十分よくやっていくということが非常に大事な問題だと思います。  そこで、そういう意味で見ますと、ダムの管理、あるいは管理に当たっておる人員なり、予算なりというものが一体どうなっているのか。私の聞くところでは、ダムの管理の人員も少ないし、あるいは予算も非常に少なくて、十分いろいろな気象条件その他の変化に応じるというようなことになってないように聞いているのですけれども、この点どうなっているのか。一つのダム当たり平均で人員が、昭和四十二年度で二十一・五人だったものが、四十五年度では十九・三人になっている。つまり減っているのです、管理の人が。そうしてまた管理費のほうも、四十二年に四千三百三十九万円のものが、四十五年では五千六百十万円と、わずかふえていますけれども、これはこの三年間の物価の値上がりその他のことを考えてみますと、人は減ったし、金もほとんどふえてないということになっている。そういう意味で、ダムの管理の問題でもっと金も人もふやして、特にこれからダムがたくさん一つの水系にできるわけですから、総合的な管理と運営というようなことを十分強化すべきじゃないかというのが私の考えなんですけれども、その点について建設省としての考えなり、どうしようと思っているかという方針がおありなら聞かしていただきたいと思うのです。
  190. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先生のお手元の資料は、直轄ダムの管理の職員数だと思いますが、これにつきましては、在来は個個のダムにつきまして職員を約二十名前後になりますが、張りつけておったわけでございますが、最近まあいろいろたくさんのダムの数ができてまいりますと、統合管理というようなことが必要になってまいりますので、できるだけまとめて統合管理所から指令を出す。したがって、個個のダムの組織の中におりました事務職員とか、こういった人はかなり人数の減員が可能になったわけです。そういったものは統合管理所でなるべくまかなうということで、いわゆる実際にダムの点検なり、操作なり、あるいは気象観測、こういったことをやっておる職員につきましては、特に私どもは減らすというようなことは毛頭考えてないわけでございまして、今後いろいろ施設の機械化なりテレメーター化というようなことができてくれば、また検討の余地もあろうかと思いますが、現在の段階では特にそういったことは考えてないわけでございまして、そういった統合管理の一環から、多少事務系の職員の冗員ができたということで数字的には少し低くなっているというのが原因じゃないかと存じますが、やはりダム自身は、操作規則も含めましてかなり重要な河川上の位置を占めておるわけでございますので、お話しのような心配のないように、私どもも人員並びに管理費の面でもできるだけ努力はいたしたいと存じます。
  191. 田中一

    田中一君 いま春日君の質問の中に、ちょっと大臣答弁でふに落ちないことがあるので、私から念を押しておきたい。  私は、この水というものは、自分の地域に流れておるから自分の水だと言うべきでないという持論を持っております。少なくとも水というものは、天から降ってくる雨がその水の原資であります。したがって、水は流れます。たとえば自分の土地を通って流れているものはその水を使用することが可能でありますが、それを隣の家が小川がないから私の水をくましてくれぬかという場合には、必ずくましてやるのが水の運命だと思います。したがいまして、ダム部門をつくるとか、あるいは分水をするとかいうことは、原則として分水すべきもの、あるいは流域変更すべきもの、そうして水の不足の人に水を供給するのが水の本来の性格であり、かつまたそれが政治でなければならぬと思うのであります。  春日君の質問に対して大臣は、最小限度どうにもならぬときにはやむを得ずそういうことをするのだということを言っておりましたが、私はこれはとらないのであります。水を私有化するもとであります。ただし、提案されようとする琵琶湖総合開発の問題はこれは別でございます。まだ詳細知っておりませんが、地域住民の水を取り上げて、そうして大阪並びに兵庫に大量のものを渡して地域住民がそれで水が飲めない、使用はできないということがあれば、これは論外であります。したがって、水というものは少なくとも国民全部のものである、民族全部の共有すべきものである。せんだっても土地の問題を申し上げましたが、土地と同じように、当然水の恩恵は権利であるという見方をしているのが私の持論でありますが、建設大臣、たとえば隣村は水が流れない、そのために自分の村から隣の村に水路をつくって水を供給する、これは政治の姿であります。したがって、最小限度のぎりぎりの場合にこれを考えるという考え方に対しては私は賛成できないのでありますので、建設大臣の率直な大胆な水に対するところのあなたの考え方というもの、少なくとも政治のあり方というものをはっきりしていただきたいと思うのです。
  192. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この水それ自身についての考え方、それについては私は田中さんと意見が違うわけじゃございません。これは個人のものじゃなく、全人類のものです。しかし、春日さんの質問の場合は、導水をするのに遠い所から持っていってずいぶん環境を破壊するじゃないか。たとえば東京ならば、それはもうずいぶん遠い所から水が足らぬというから持ってくる、そういうことがこの計画の中にあるのか、それはずいぶん環境の破壊になるのじゃないか、こういうことでございまするから、私はこの現状を見れば、むしろ人口がそういう所に、足らないような所に集中するよりも、というのが東京あたりを考えて、大阪あたりを考えて、それよりもやはり水がある所あるいは土地がある所に人口、産業が分散したほうが第一義的にはいいでしょうと、やむを得ないときは、それは当然そこに分水しなければならぬことは当然である、こういうような言い方をしたのでございまして、水それ自身に対する考え方はあなたと少しも違わないので、前の紀州侯が言ったようなことは、私は、——紀州の紀ノ川の水は一滴なりとも奈良県には落とさないと言った、そういうような思想は私は持っておりません。それは一方の問題でして、思想的にはあなたと——、水というものはほんとうに全人類のものだと、こう考えておる次第でございます。
  193. 田中一

    田中一君 十年、十二、三年前に調べてみた場合にも、水は日本の領土に降り注ぐ雨、この雨量の一〇%しか利用しておらぬのが現状であるという統計が出ております。私はそれを中心にしていろいろものを考えてみた。ところが最近いろいろ書物を調べてみますと、現在でもやはり水は一〇%をこえておらない。水がほんとうに飲料水として少なくとも生存に必要なもの、あるいは水によって生産されるもの等を含めて一〇%しか利用されておらぬという現状からみて、これはもう日本国中どこでもダムをつくりなさいと言いたいのであります。そこに水源があるからそこに行って仕事をするなんということは、これは原始の時代には当然そのような道をとりました。御承知のように、港あるいは川のほとりに水耕、いわゆる稲なりなんなり耕したというのが日本の民族の流浪の姿であります。これは原始の場合はそうであります。しかしいまはこれだけ高度に成長したところの科学、技術面からみても、その地域における水がそのままでは大きな効果がない、また、そこに一カ所の水源地に何万人移住したところが何も生存できるものじゃございません。それはやはりそれぞれの地域に分散しながらそこに水を供給するということが行なわれてきているのであります。したがって、九〇%の水をいかにこれをたれ流しをしないで、海に流さないで、これをいかにわれわれのしあわせのために、民族の生存のために活用するかが水に対する政治であります。私はこれは水の社会主義と言っているのであります。えてして自分のたんぼを流れている用水の水はおれのものだといって、それが一ぱいになった場合どうするか。これは効果はないのであります。やはり水は流れているものであります。流れるものであります。したがって、そういう形の水の行政を根本的な考えとして立たなければならないと思うのであります。だから本年度非常に多くのダムに、全部で、いままでのもの、それからこれからのもの計算してみても、百六十四ダム。いわゆる貯水です。湛水する場所を建設しようとするもの、これをもっともっと大きく、多くつくらなければならぬと思うのです。これは単にあなた方提案したところの二兆六千億という下水道のものを考えてみても、下水道がその地域完成すれば、水洗便所をつくります。少なくともそれは憲法できめられた文化的な生活の一つであります。一部分であります。したがって、これに要する水を考えると、これからまず多々使う用途があるのであります。ただ、これは資本主義経済の中の大きな役割りを果たしているのだというものでなくして、生存に必要だということを考えます場合には、このダム群というものは、もう少し科学的なあるいは立体的な調査の上、数多くの貯水ダムというものをつくらなければならぬと思うのであります。むろんこれには、水というものを自分の、その地域だけのものじゃございませんで、全国津々浦々、水のないところには必ず水を供給するという姿勢こそ正しいのだと思うのでありますが、建設大臣、いまことばの上でもって、私が伺ったものはそうじゃないのでありますから、春日君の追及をはずそうというのでそのような安易な御答弁をしているようでありますが、実際にこの問題についてはあなたの腹の底からの水に対する考え方を伺わなければならぬと思います。むろんこれは、あなた治水の面の所管大臣でありますが、当然これには全国総合開発の問題もございますが、少なくともせめてその付近、地域の水の社会化というものがあなたの根幹をなさなければならぬということを申し上げておきます。したがって、これに対して安易な答弁をしないで、あなたの信念を持っている考え方、当然治山治水並びに水の利用、利水の面についても確固たる信念をもって御答弁していただかないと、はなはだ不満でございますから、その点をもう一度御答弁願いたいと思います。
  194. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それは両者にうまいように言うわけじゃございません。結局私は水に対する考え方としては、結局あなたが水というものは全部の人の使うものだと、これについてはもう同じ考え方でございます。したがいまして、私はやはり降った水は、これはもうたくわえなければならぬということは、これは私の根本的な考え方であります。それであるからこそ、いままでは多目的ダムしかなかった、しかし私は降ったものはたくわえなければならぬからということで、単目的のダムを初めてやったわけなんです。したがって、それを使うと。それからこれは流水変更にしても、現在もう江川もやっておるし、吉野川もやっておるし、必要ならば、それはやらなければならぬけれども、もう大都市に、たとえば東京都に人口を追い込むようなおろかなことをしてはならぬと思う。そのためにずいぶん遠いところから導水することも程度の問題だということを言ったんでありまして、考え方につきましては私はあまり変わっておらないと思います。  結局、春日さんの質問をはぐらかすようなことを言ったわけではございませんが、それはそれといたしまして、相当にダム群を今後つくらなければならぬと思っております。結局このダムをつくる場合も、非常にいろいろいまはむずかしい条件がたくさん出てきたわけでございます。したがいまして、このダムをつくる場合に、やはりそれは上のほうの、水源地の人のやっぱり了解も受けなければ、これはもう当然使うのだから簡単というふうなことじゃいけない。これはあなたに申し上げるまでもなく、よくわかっていることと思いますが、一割しかないという水の利用をもう少し私も力を入れて考えなければならぬ。あなたのこの質問にお答えできるかどうかしりませんが、水に対する根本的な考え方は、私は全然変わっておらない。大事にしなければならぬ、こういうことをあらためて申し上げる次第でございます。
  195. 田中一

    田中一君 これは川崎君に聞きますがね。五カ年計画の中に治水工事規模、予備費四千五百億。それから農林省のほう、これには治山のほうには予備費が八百五十億というものを計上されておりますが、予定されておるのはこれはどういう考え方に立っておるのか。これはむろん、治山治水のこれは災害とは違いますから、先行投資のはずでありますから、これはどういう性格のもので、どこにどうもっていこうとするのか説明してほしいわけです。
  196. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 予備費の額を想定いたしました根拠といたしましては、三十四年の伊勢湾台風で起こりましたいろいろな災害に伴いまして大規模改修等をやったわけでございます。こういった問題を現在の時点で振り返って、いろいろ対策なり施設等を積算いたしますと、大体まあ四千億ないし五千億という数字になったわけでございまして、そういったものも含めてその後まあ幸いに大台風も来ておりませんので、そういった予備費を使ったという実績はないわけでございますけれども、そういったときのいわゆる備えというような意味で計上をしておるわけでございます。
  197. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま河川局長のほうからお答え申し上げましたように、治山の場合にも、たとえば伊勢湾台風等のような激甚な災害等が発生した場合に備えまして、予備費を取りくずすというような意味で計上しておるものでございます。以上、同じでございます。
  198. 田中一

    田中一君 こんなあいまいなものは、閣議は了承したかしらぬけれども、われわれはこれを了承することはできない。少なくとも、膨大な四千五百億などという金が計画の中の空なるものとして、これを計上するなんということは、私は、いままで、これだけの金を予備費に計上したという計画書を見たことがないと思うんです。ただ、この内容が多岐にわたるいろんな事情から、こういうものをつくらなければならないんだということならば、これは林野庁並びに建設省のほうで、大体これに対して想定する内訳を出してください。建設省がこうしたから林野庁もこうしたんだということじゃ困るんです。  きょう、これを委員長から採決しようという御要望がありますが、これが明確にならぬと、私は採決にはちょっと疑問があるんです。したがって、これを責任を持って、これが明らかにされるという資料を後に出すならば、これは、皆さんの御意見にも従いますけれども、その点を、どうか、建設大臣並びに農林大臣責任を持ってこれを出すんだと、そうしてくれるというなら了承いたしますが、その点を伺います。
  199. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 事務的には一応積算をした内訳はございますので、後刻、御説明申し上げたいと思います。
  200. 田中一

    田中一君 委員長、そうすると、きょうの採決はやめるんですか。
  201. 小林武

    委員長小林武君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  202. 小林武

    委員長小林武君) それじゃ、速記を起こして。
  203. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) この予備費の考え方につきましては、第一次から第三次に及びますいろいろな、それぞれの災害の激甚なものにつきまして、その積算をいたしておるわけでございます。それに現時点における単位とか、そういうものの時点修正等をいたしておりまして、後ほど、資料として御説明申し上げたいと思います。
  204. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現行の第三次五カ年計画で、これが二兆五百億の総投資規模でございますが、これに対して予備費が二千五百億計上されております。で、基幹事業治水事業が一兆五千億から、今度は三兆と倍になったわけでございますが、予備費については、これはそのままスライドして倍にするというのは少しおかしいじゃないかというようなことで、いろいろ検討をしたわけでございます。その結果、やはりそういった災害の想定されるような規模があるなら、それは計上してもやむを得ないではないかというようなことで、伊勢湾の対策を現在、再現をいたしまして、たとえば直轄の高潮堤の延長が約五十キロ、補助の高潮の堤防が約百キロ、こういったものに対するそれぞれの建設費、それから排水ポンプ、こういったものを積算いたしますと、排水ポンプの費用が約千億、それに先ほどの直轄並びに補助の堤防がそれぞれ千五百億並びに二千億、こういうようなことで四千五百億という数字が出たわけでございます。しかし、これは一つの仮定で積算したものでございまして、当面、予備費はどこまでも予備費でございますけれども、そういう場合には、これを支出できるという意味を含めて計上をいたしております。
  205. 田中一

    田中一君 これは建設大臣、あなた責任を持って、この内容を資料として出すと言うならば、認めます。しかし、それが目的外に使おうというのが予備費の性格だろうと思うんです。それは積算の根拠としてはそういうものを持ったかしらぬけれども、予備費はどこへ使ってもいいわけです。したがって、そういうあいまいな点を政府に委任するわけにはいかないんです。しかし、人柄のいい西村さんだから、あなたが、おれがそれをはっきりさせると言うならば、これはおまかせしないこともありません。資料を出していただきたいと思うんです。赤城君だって、いい人だから、信用するから、ひとつ林野庁、それを資料として出してください。出してくれるかどうか、委員長ひとつ。
  206. 西村英一

    国務大臣西村英一君) こういう五カ年計画には、私たちは、全部の項目にぶっつけて、これは一つの目安ですから、全部をぶっつけてやりたいわけでございます。しかし、大蔵当局との話し合いにおいては、多少の予備費的なものは取っておきたいというようなことで、いままでやっておるのが慣例でございます。しかし、その予備費も、われわれとして、こういうものに使いたいという希望は持っておるんでございまするから、これは農林省であっても同じだと思いますが、予備費は予備費でございますけれども、こういうものに取りくずしたい、こういう考え方は持っておる次第でございますから、それはお示ししてもいいと思います。
  207. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) ただいま大臣からお答えございましたような考え方でございます。
  208. 田中一

    田中一君 そんなに金が余っているなら、もう少し使ってほしいものをこれから申し上げます。  たとえば、本年度の予算の上にも、砂防の分は少ないわけです。ちょうど十何年前になりますか、一河川——これは支流を含んで、一河川一カ所の砂防を行なえということにきめたことがあります。そうして、自来、相当大きな災害があっても、その支流を含めて一河川一カ所の砂防施設によって相当災害が防御された例がたくさんあると思うんです。したがって、いま一万河川以上あるはずです。この河川に対する砂防施設というものがどのような数字で施工されておるか。今回の砂防地域補助砂防を含めて——大体において、補助砂防のほうが多いんですが、二千二百八十一渓流があるといっております。この一河川一施設という点、これも資料としてお出しを願いたいんです。  それからもう一つ、次に、本年度の予算の中でもって四百十五地区、これはやはり地すべり対策費として計上されておりますが、これもせんだって中央道の地すべり等の新聞記事を見ましても相当大きく全国的にやはり何千カ所という地すべり地区があるということがいわれております。これらに対しても、ただ前年度の比が〇・四ふえたとか、一・二ふえたとかいうことじゃなくて、やはり抜本的な先行投資をしなければならないということは当然であります。  私は一番治山治水、国土計画の面から見て気にくわないのは、建設省が砂防予算を取ると、それに見合っている山腹砂防の予算を取るのが林野庁の癖なんです。いつもいつも同じような金額が、きまったような金額のところがあるわけではございません。どっちかを見合って、話し合うか、見合うか知りません、とにかく似たようなものをやっている。しかし、建設大臣並びに農林大臣の守備範囲というものはおのずから違っているはずなんです。それが同じようなワクを取る。いわゆる林野庁は林野庁の自分の守備範囲の人間の配置、これによって予算定員がきまるものですから、事業関係なくしてただ予算を取るのだと、ワクを取らなければ局長部長に格下げになるような場合も起こるわけですから、そういうようなことを考えながら官僚諸君が予算をぶんどる、実態にそぐわないもので現状維持という形で行なっているのがいまの現状だと思うのです。これは西村さんもずいぶんそういう点は気がついていると思いますが、地すべり地区についても数千カ所——一万くらいあるかな、数千カ所あるといわれるこの中に、四百十五地区だけを取り上げて本年度の事業を行なう個所だと言っておりますが、そういうものじゃないはずです。むろん、これは地方の小さな建設業者たちは一ぺんにやられちゃとてもできない、何回かに分けて災害がきてくれれば自分たちは商売ができるのですよという、ほんとうに実態に即した悲痛な声を聞いたこともございます。一ぺんじゃ困る、おれたちはコンスタントにしょっちゅう災害が出るようにしてくださいと、天に祈っているか、建設省のあなた方に祈っているかわからぬけれども、そういう実態からして、当然しなければならない仕事もいわゆる大衆の声を聞かないと、これに手をつけないという悪い習慣がまだ今日戦争終わって二十七年もたっていながらまだ風習が残っている。これが今日まで災害を招くもとであったわけなんですよ。したがって、あなたいつおやめになるかわからぬけれども、あなたの在任中に、その辺の姿勢をちゃんと固めておいていただきたいと思うのです。あっちゃならないということですね、まだあります。これもいまの補助砂防の一渓流一カ所という砂防施設の資料と地すべり地区というものの全国的な個所の資料をこれは調べてあるはずです。これを当委員会にお出し願いたい。これひとつ委員長から、出してくれるかどうか。
  209. 小林武

    委員長小林武君) 資料の提出、よろしいですか。
  210. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま、田中さんからおっしゃいましたその砂防法ですね。これは私も実際もう少しやらなければならぬ、そうすればもとへ返ってこの四兆というワク、実は正直なところ気に入らなかったのです。しかし、国家全体のことでやむを得ず私もこれでのんだわけでございます。なかんずくそういう意味は、砂防、それから中小河川都市河川、たいへんなこれは金が要るわけでございまして、それを早くやっぱり何とかしたい、こういうことであったのですが、総体のワクがきまったからやむを得ないわけでございまして、砂防に関する考え方はあなたと少しも変わりません、十分注意いたしたいと思います。  地すべりの問題は、これはこちらも調査がありますから提出いたします。
  211. 田中一

    田中一君 そこで、完成したダム上流の支流、これはダム地点の下流と上流に分けてひとつ出していただきたいと思います。この上流地点の砂防施設を行ないませんと、結局ちょっとした出水でもまた崩壊しますとダムが埋まってしまうわけなのです。そうすると、それだけの数量というものは保てませんし、分けてひとつ川崎君、出していただきたい。そして、もうこの問題は非常に長い間当委員会はあなた方に対して要望している問題でありますが、第四次五カ年計画ができる場合には三年くらいたったらまた新第五次五カ年計画が出るものである、だからいま林野庁で言っているように、その場合に、物価がどうの賃金がどうの、単価がどうのなんということは寝言でありまして、必ずそうなった場合には三年目くらいにまた次の新計画をつくるものでありますから、物価の値上がりとか、賃金の値上がりなんとかいうことを言ったのではそんなものは通りませんから、その点はよくお考えになってだまさないようにしていただきたいと思います。  これだけで私の質問を終わります。
  212. 小林武

    委員長小林武君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。  なお、修正意見のある方は、討論中にお述べ願います。
  214. 山内一郎

    ○山内一郎君 本案に対し、修正案を提出いたします。  まず、修正案を朗読いたします。   治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第一項中「昭和四十七年四月一日」を「公布の日」に改める。  以上でありますが、修正案は、本案の昭和四十七年四月一日施行が不可能となりましたので、これを公布の日とするため必要なものであります。  何とぞ御賛成をお願いいたします。
  215. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、本改正案に対する反対討論を行ないます。  この改正案は、治山治水事業五カ年計画の発足年度を昭和四十三年から四十七年に改め、第四次五カ年計画を四十七年度から発足させることの承認を求めるという形をとっています。しかし、重要なのは、向こう五カ年間にわたって、政府の治山治水政策をきめる五カ年計画内容であります。にもかかわらず、本改正案は五カ年計画内容については何の規定もしていません。本来、新五カ年計画改定にあたっては、従来の計画の進行状況問題点を明らかにして、そうした問題点状況の変化が新しい計画の中でどう生かされるのかというような点を明確にし、政府の原案を定めた上で、国会の審議にかけるべきものであります。このような手順を経ないまま計画改定に承認を求めるのは、国民に重大な影響のある治山治水対策を政府に白紙で委任せよというにもひとしいものと言わなければなりません。わが党は、新五カ年計画内容を法律に規定し、国会の審議を受けるよう改善することを主張するものであります。  次に、新五カ年計画案の投資規模についてであります。さきの閣議了解によれば、現行の二兆四千億円を四兆七千三百五十億円と、約二倍に拡大することになります。こうした投資規模の拡大は、災害条件の特に激化している今日においては、一般的には望ましいことであり、建設省昭和六十年までの当面の対策に必要であると推計している三十六兆円に対比しても、むしろ過小なものと言わなければなりません。しかし問題は、その投資の内容であります。建設省の構想によれば、治水対策の重点は新全国総合開発計画の想定する人口、産業の配置や工業出荷額の増大に対応する利水中心に置かれ、多目的ダム河口ぜき等の建設、遊水池の多目的利用、琵琶湖、霞ケ浦等の総合開発、分水などの広域利水を重点として行なわれることになっています。もとよりわが党は、国民に必要な生活用水、産業の発展に必要な工業用水や業務用水の開発を否定するものではありません。しかし、こうした大規模水資源開発は、自然条件に大きな変化を与えます。自然を保存しながら、その恩恵をいかに利用するかという立場に立って行なわれるべきものであります。また、流域に与える治水上の影響、住民への社会的影響その他十分総合的、科学的な研究の結果に基づいて行なわなければなりません。利水の限界に合わせた人口、産業の配置等も考えられなければなりません。さらに、水源地域住民の十分な納得の上で計画されるべきであります。ところが、政府の水資源開発は、これとは逆に高度成長政策によって無計画促進される人口、産業の都市集中、それに伴う工業用水などの需要確保を第一とする独占資本中心の政策となっています。  このような政策の進行は、都市における必要な用水の計画的な確保を決して保障するものではありません。治水上も危険を増大しかねません。また、農民からの水の収奪を一そう強化することになります。  何よりも、従来の高度成長優先の政策、新全国総合開発計画が国民に批判され、公害、災害の防止、環境の改善と保全を優先させる方向での計画改定が問題になっている今日、従来の政策の延長線上でこのような利水中心の新五カ年計画案が立案されることは正しくありません。まず国民の批判に沿って民主的な国土の開発計画を立案し、それに基づいて治水、利水の計画もつくるようにすべきであります。  わが党は、当面治水対策の強化、水質の保全対策など、必要な施策を強めるとともに、水資源開発は学者、専門家の総合的な研究の結論と住民の納得のある開発に限定し、工業用水の節約、回収率の向上、ビルなどの業務用水の雑用水への切りかえ、下水の高次処理など、水質の保全、海水の淡水化などの開発と研究、実施に重点的に取り組むことを主張します。  以上で反対討論を終わります。
  216. 小林武

    委員長小林武君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、山内君提出の修正案を問題に供します。山内君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  218. 小林武

    委員長小林武君) 多数と認めます。よって、山内君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  219. 小林武

    委員長小林武君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  220. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      —————・—————