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1972-03-23 第68回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十三日(木曜日)    午後一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田中  一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        経済企画庁総合        開発局参事官   桜井 芳水君        大蔵省主計局主        計官       藤井 直樹君        農林省農地局参        事官       住吉 勇三君        林野庁指導部長  松形 祐堯君        通商産業省公益        事業局水力課長  吉田 方明君        建設省住宅局調        査官       沢田 光英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  治山治水緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る十四日、趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 四十七年度の予算の編成を見ますと、建設省所管のうち、ダム調査費等相当大幅に伸びております。かつては発電等多目的ダムの施工に当たって、それらを原子力発電並びに他の火力発電等によって補うというような考え方から、非常にダム工事が減っております。しかし、今回のダムが、はたして多目的であるか、あるいは調査の結果、それがただ単なる防災的なダムの築造か、あるいは他の用途におけるものか、今回相当数多く調査する対象というものの根本的な方向を、まず最初にお示しを願いたいと思います。この五カ年計画というものを遂行するにあたっての、かまえ方であります。
  4. 西村英一

    国務大臣西村英一君) かまえ方というわけでございますが、私、今度の五カ年計画、三次五カ年計画を四次改定したのは、ちょうど一年ほど残っておりましたけれども、大体の感じといたしましては、河川、ことに直轄河川が非常によくなっておると思います。中小河川が非常におくれておる。しかし今日、いままで第一次から第三次までを見ますと、非常にわずかな金を使っていながら、わりあい効果をあげているように私は見受けるわけでございます。ここで緊褌一番、ひとつもっと大きい金をつぎ込めば、河川に関する限りは相当効果をあげるのじゃないかという私は感じがいたしまして、実は、新全総が来年できるのだからそれを待てというような話もございましたけれども、ぜひひとつ改定したいということで、これが改定した最も大きい理由ですが、第一次から第三次まで計算をいたしましても、河川に関しては、ほかの道路その他の五カ年計画に比べまして、非常に金のつぎ込み方が少ないにもかかわらず、相当効果をあげている。しかしいま一歩だというような気がいたしまして、今回も、従来の二倍ぐらいな予算改定をいたしたのでございます。  ですが、あと一体どこに重点を置くのか、こういうことでございますが、これはもう、いままでやりました各事業をますます拡充していくということはもちろんでございまするが、まだ直轄河川といっても、それは比較的なことでございまして満足ではございません。ことに水需要の問題がこれはまた非常に逼迫いたしますが、少なくとも、開発をしなければならぬという問題と、いわゆる都市河川というのがあまりよくない。都市河川のみならず、一体、中小河川というものが非常によくない。災害が起こって、現地に行ってあちらこちら見ますと、中小河川市町村にまかせておりますが、市町村がどうも維持管理がよくない、保守がよくないということであります。昔のように川のふちにごみを捨てるというようなことはなくなっておりますけれども、少なくとも、あまり市町村が手を入れたような形跡が見受けられないのでございます。したがいまして、今回のこの新しい五カ年計画でも、そういう中小河川について、なかんずく都市河川について力を入れなければならぬのじゃないかと、こう思っております。  いま田中さんがおっしゃいました、これはもう少し御意見を聞かないとわかりませんが、多目的ダムに非常に力を入れておる。一方、多目的ダムのみならず治水ダムもやっております。で、もともと私は治水ダムは、この前の建設大臣のときに、露骨に言えば、大蔵省もだいぶ反対したのですが、やはり降った水はためておけ、多目的であろうと単目的であろうと、降った水はためておけというような考え方を私どもはいたしておるのでございますが、いずれにいたしましても今回の五カ年計画、二兆何がしかの投資をすれば河川相当によくなる、ほかの五カ年計画に比べて相当よくなる。ほかの五カ年計画と申しますのは、下水道であるとか道路とかというようなものに比べて、これは相当に金をつぎ込んでおりますけれども河川に関してはいま一歩というようなところじゃないか。かような感じを持って、今回は改定をお願い申し上げた次第でございます。
  5. 田中一

    田中一君 では、局長からでいいですから。たとえば、利根川水系は未開発のものがもう少ないのじゃないかというように伝えられておりますけれども利根川水系一つとらえて、その中で、まだそうした開発をしなければならないのだというような地点が求められるか、どうか。むろん、いま大臣が言われているように、水の需要というものがこれから増大する。新しい全国総合開発計画によって、どういう水需要の算定をしているかという点をまず伺いたいと思います。利根川水系だけを一つのモデルケースとして説明していただきたい。  それと、その後に、水の需要というものの見通し現況等について経済企画庁から説明を願う。どちらを先にやってもいいが、水の需要というものを、かくかくの需要見通しがあるのだ、それに対して、利根川水系だけをとらえてみるとこういうことになるのだ、というような説明でもけっこうですから、両者から願いたいと思います。
  6. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私どものほうで、数年ばかりかけまして全国水需給調査を行ないました。一応、広域利水調査ということで報告書にまとめてございますが、これで見ますと、昭和四十年、これはいろいろ統計等関係がございまして四十年を起点にいたしておりますが、四十年から六十年までの水需要の新しい伸びが、年間で約四百六十一億トンくらいになります。すでに四十年時点で五百億トンばかりの水需要がございますので、六十年時点には、九百六十億トンくらいの年間の水の需要量発生をするということでございます。これらにつきまして、水の需要につきましては、昭和六十年時点工業出荷額なり人口なり、こういったものを一応仮定をいたしまして積算をしたわけでございますが、一方、供給につきましては、われわれの試算で参りますと、全国でまだ七百十億トンばかり新規開発できるのじゃなかろうかということでございます。したがって六十年時点だけを見ますと、まだ余裕があるわけでございます。  しかしこれも、やはり地域地域によって考えますと、水資源はかなり偏在をいたしておりまして、たとえば関東地域等でございますと、京浜京葉等におきましてはかなりの水不足が生じまして、約三十億トンばかり足りなくなるのじゃなかろうか。近畿地方におきましては、約二十億トン弱の不足を生ずるというような結果が出ておるわけでございます。したがいまして、今後こういった水の需給をどういうようにバランスをさせるかということにつきましては、これからのやはり地域開発なりあるいは産業の発展の状況等とのかね合いが出てくるのじゃなかろうかと思いますけれども相当真剣に取り組む必要があるのじゃなかろうかということが予想されるわけでございます。もちろんこの調査は、主として山間部ダムによって水をためて補給をする、こういう観点から調査をいたしておりますので、平地の河川での流況を調整いたしましたり、統合的な管理によって新たに生み出される水、それから河口ぜき、湖沼等によってさらに合理化できる水、こういったものについては、さらに現在調査を進めていきたいと考えておる次第でございます。  以上のような仮定がございますが、関東では、新規昭和六十年で約百十億トンぐらいの需要発生いたしますが、これに対しまして供給可能量は約九十億トンぐらいということでございます。したがいましてかなり不足を生じますが、中でも京浜京葉が非常に水の需給度が逼迫をする。一方、関東でも東北部の、いわゆる茨城県の北部等に行きますと、久慈川、那珂川等の大きな水源がございますので若干余裕がある。しかし、それでもなおかつ関東域全体をとらまえると、やはり二十億トンくらいの水の不足を生ずる、こういう状況でございます。
  7. 田中一

    田中一君 利根川の今後開発される地点というものを、詳細に説明していただきたい、利根川水系
  8. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 利根川につきましては、大体今後ダム分といたしまして——もちろん広域的な水の需給でございますので、利根川水系だけをとらえるというのは非常に困難かと思います。隣合っております荒川あるいは相模川、こういったところも広域的に一連開発をする必要があろうかと思いますが、それで、開発予定されます量が、ダム数にしまして約五十カ所くらいは開発可能じゃなかろうか。ただし、これもやはり水源地域には問題のあることは御承知のとおりでございます。物理的には、五十カ地点で、開発量といたしましては、二百二十六トン毎秒くらいの開発量予定をされておるわけでございます。
  9. 田中一

    田中一君 経済企画庁、だれが来ていますか。——どうなんです。水需要という面で区分するわけです。農業用水工業用水、それから飲料水等区分けいたしますと、増減は、どういう比率でいままで進行してきているか、また将来どういう方向に行くであろうかという推計がなされていると思いますが、それを説明していただきたいと思います。それは全体のものよりも、いま言ったように関東なら関東、いま河川局長が言っているように、ただ利根川水系といいますけれども供給先関東人口稠密の区域というように考えて、説明していただきたいと思います。
  10. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) 先生の御質問に十分な御返答にならないかもしれませんが、実例を、ただいま基本計画を定めている利根川水系の、水開発基本計画に例をとって御説明申し上げたいと思います。  ただいま政府では、水資源開発法に基づきまして、全国で五つの水系を指定いたしまして、これの開発基本計画を立てております。利根川、木曽川、淀川、四国の吉野川、さらに九州の筑後川でございます。その一つ利根川について申し上げますと、三十七年から四十四年までの間に開発いたしました量でございますが、上水で見ますと、いわゆる上水道で約二十五トン、二十五立米毎秒でございます。工業用水で六・八、農業用水で十五・六、これがすでに開発されました立方メーター毎秒でございますが、これをさらに四十五年に改定いたしまして、四十五年から五十年までに需要想定をいたしておりますその数字を申し上げますと、上水道で約五十四トン毎秒、工業用水で約三十九トン毎秒、農業用水で四十一トン毎秒、合わせて約百三十四立方メーター毎秒ということで五十年度の需要想定をいたしております。これは、もちろん関係各県の意見も聞きますし、各省とも協議の上で、こういう予定を立てて現在各調査が進み、建設に入っております。各所のダムあるいは霞ケ浦の開発、こういうものをその水源に充てて工事を進めている状況でございます。
  11. 田中一

    田中一君 そうするとこれは結局、新しくつくるダム分から新しくこれが行なわれるという予想のものでございますですね。
  12. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) はい。
  13. 田中一

    田中一君 そうすると現在、農業用水にしても十五トンから四十一トンに増大しているけれども、この用途はどういうところに使うのですか。
  14. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) これは農林省のほうが農業用水主管省でございますが、農林省と各県との間で将来の地域的な土地利用計画等が立てられまして、それをもとにして水の需要量を協議して想定しているわけでございますが、おもに茨城県等におきまして、既成田補水ということもございますが、あわせて、大きいのは畑地かんがい、御承知のように生鮮野菜等のいわゆるかんがい干ばつ害等を防止するための畑地かんがいというようなことがおもな内容だったと思っております。
  15. 田中一

    田中一君 茨城県は下流地区になるわけです。だから利根川の水を使ってもいいと思うのです。いまお話の分は、新しく水源を求める、備蓄する水の増大というように伺っておりますが、それでどうなんですか、農林省、きょう呼んでおりませんか——。  水耕野菜にいたしましても、あるいはビニール栽培にしましても、おそらく今後、空気汚染等によって、野菜にしてもいろいろな問題が起きております。したがって、水がたくさん供給されるならば、おのずから日本農業というもの、ことに都市周辺近郊農業というものを変革しなければならないと思うのです。遠隔地から輸送すればいいんだということでなくして、近郊において求められるならば、それを推進するのは当然であります。そういう形のものが、新しい基本的な農業政策転換によって需要増大が見込まれているのかどうか、その点が明らかでないと、関東平野の農耕地水耕地相当減ってくるのではなかろうかと思うのです。で、今度のいろいろな水田変換農地変換等も、これは水田に限られておりますから、相当水田需要農業用水というものも減るのじゃないかと思いますが、それが非常に大きく十五トンから四十一トンに増大しているから、その点はあなたのほうでわかりませんか。農業政策が新しくこういう角度でこういうところにくるんだということにならなければ、わからぬ。ただ、上水道等は、これは伸びが非常に少ないと思う、いわゆる倍になっているわけでありますけれども工業用水にいたしましても、これは関東としても、ことに東京都などが工業用水というものを制限しょうという方向にあります。したがって、都市周辺工業用水需要というものは、これも相当伸び悩むということが実情ではなかろうかと思うのですが、その点、もう少し詳細に説明していただきたいと思うのです。
  16. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) それで、私先ほど、農業用水につきまして約四十一トン、新規に五十年までに需要想定をいたしております、こう申し上げました。この内訳で見ますと、茨城県で約十九・三トン、栃木県で七・五トン、群馬県で約二十トン、千葉県で九・八トン、これらはそれぞれ、御存じのように農林省では、数千ヘクタールにまたがります大きな農業用水改良事業になりますと、農林省直轄事業というものを行なっております。それからその下の、面積が小さくなりますと県営事業、県が施行している事業、こういうのがいわゆる大きな団地になるわけでございますが、こういう団地用水改良あるいは新しく排水、かんがいをやるというようなことがその対象になっておりまして、なお詳しい中身の手持ち資料をちょっと持っておりませんので申しわけありませんが、しかし農林省におきましても、片やにおいて、先ほど先生指摘のように、だんだん農地もスプロール化しておりますし、そういうような地区につきましては、たしか四十七年から農業用水合理化事業というものを計画されておるようでございます。これはまだ予算的には少ないようでございますが、新しくこういう事業を設けまして、農地の転用の多いような地区等につきまして、その水路あるいはかんがい施設等の整備を行ないまして、余剰の水と申しますか、合理化した残りの農業用水等を他用途転換していこう、そして新しく他用途需用者の方にもそのための事業費の一端をになってもらう、このような構想で、四十七年から農林省でも事業を新しく推進するというふうに聞いておりますが、片やにおいてそのように農業用水等合理化事業を進めていただく、片やにおいてまた、将来の国民の要望に基づきます新しい生鮮野菜等々のためのかんがいというようなことが進められておると、このように理解しております。
  17. 田中一

    田中一君 どうもあなた農林省の人じゃないものだから……。あなた農林省でしたかね。
  18. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) 農林省から出向してまいっております。
  19. 田中一

    田中一君 もう少しわかるはずだと思うんです。どうも私納得いかないんです。  これは建設大臣に伺いますがね、水田をつぶせ、水田をつぶせという声が非常に高くなって、相当数のものを毎年つぶしております。これは水田に限っておりますから、水の需要は減るわけであります。合理化ということは、おそらく水を倹約しろというところにあると思うんです。いままでのような、たれ流し農業じゃなくして、合理化ということは、水を十分に大事にして再度生産に使おうということが合理化だと思うのですが、私は寡聞にして、政府農業政策について、水田をつぶせという声は聞いておりますけれども、新しい意味の、新しい農業政策というものを聞いておらないんです。何かこれであなた、閣議でそういう問題について御承知の点があれば——農業政策転換というもの、これはいま伺っているように、五十年までの計画で新しい水の要求をしているということでありますから、これは利根川水系だけの問題でありますけれども、その点はどうなっておるか、あなた御承知ならば、ひとつ説明していただきたい。日本農業政策というものはかくかくの方向転換していくのだということ、これは、いまの水の需要という面からいくと、相当大型な水を相当強く要求する農業政策に変わらなきゃならぬと思うんです。その点で、もし知っておれば——あなた昔農林大臣やりましたかね、やってなかったかな——ちょっと伺っておきます。閣議でそういう話が出ているのですか。
  20. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 農林大臣はやりませんが、農林大臣代理は二回ほどやりました。
  21. 田中一

    田中一君 じゃあ詳しいですね。
  22. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それはもうわずかな期間です。詳しくありませんが、まあどの分野でも、それはいまおっしゃいましたように、水田がつぶれるんだから水は少なくてもいいんじゃないかと、そう端的に結びつけるわけにはいかないと思うんです。やはり水田ばかりじゃありませんし、水が要るのは他の農業用途にも、ますます向上していこう、生産をあげようということでありますから。しかし、いま四十一トンは適当であるか適当でないか、この吟味はなかなかむずかしいと思います。したがいまして、閣議ではそういう話があったことは、一度も私は聞いておりませんから、あまり農業のことについては私は言及するわけにはいかないと思います。
  23. 田中一

    田中一君 大都市近郊農業というものは畑作が多いんです。この畑作にしても、かん水の野菜といいますか、水耕といいますか、水だけで栽培するのが、アメリカが日本を占領してからそういうことがはやっておりますけれども、まあビニール栽培等、そうしたものはいいと私は思うのです。私は、そういう声が政策として打ち出されたということを聞いておらないわけです。したがって、いまこれは群馬県等は、われわれの仲間の茜ケ久保君なんかがずいぶん詳しく知っているかもわかりませんけれども、私は、こうして十五・六トンの水が四十一トンまでふえるということは、農耕そのものが変わってきたのかということです。よくあるんです、農林省砂防予算建設省が一応取ると、すぐ山腹砂防同額程度予算を取るというような、結局各役所セクト主義ですね。自分勢力分野を守るために、そういう要求をするのがいままで往々あるんですから。水の分配を、とにかくおれのほうは取っておかなきゃならないというので、きているものなのか。  私は、そういう国民生活に必要な水というものは、どこまでも豊かにしなければならぬと思うのです。また日本には水源が、あるいは水があるわけなんです。そういう点については、非常に水のたくさん製造されることは望ましいことでありますけれども役所分取り主義じゃ困るんです。非常に困るんです。むろん、一連都市における地下水の汲み上げの禁止とか、いろいろな規制が行なわれます。しかし、だからといって、各役所自分のなわ張りでもって水を分取ってしまうことは、困ると思うんです。いまここにありますように、上水にいたしましても、二十五トンから五十トンにふえるという程度ではないと思うんです。水冷式の空調も相当ふえるでありましょうし、そういう点で水全体の、この一つ利根水系を比較いたしましても、まだまだかたわな分配じゃなかろうかと思うのですが、その点、経済企画庁のほうでは、われわれが納得できるような何か説明はありませんか。
  24. 桜井芳水

    説明員桜井芳水君) 経済企画庁でも、ただいま先生の御指摘のように、たとえば限られた水源上水工水農業用水と、どのように割り当てるのが最も国の土地利用計画その他から見て適当であるかということは、非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、私どもこの水計画をきめるまでの間には、たとえば利根川の場合でも、約一年間作業にかかりました。まず各県から、やはり各県で独自のいろいろな計画をお持ちでございます。こういうのも伺いました。さらに各省、たとえば農林省、通産省、厚生省あたりでも、やはり基本的な計画をお持ちでございます。こういう計画をいろいろ私ども教えてもらい、さらにそれを内部でも検討いたしまして、その需要発生時期、それから必要度等を一応私どもなりに考えまして、水の配分というものをつくって、それをまた各省にいろいろ御相談申し上げまして、そうして各省とは協議いたしまして、それから各県の知事さん方からも意見をいただきまして、そういう手続を踏んで、こういう水の配分を最終的にきめておるわけでございますが、率直に申し上げまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、この配分が一番いい配分であるかどうか、こう言われますと、私どもの段階としては、いまのような手順を踏みまして、こういう水の配分がよろしいのだということでやったわけでございます。もちろん、基本計画というものは不変のものではございません。その間に、またいろいろ需要等の大きな変革があれば、それに応じて基本計画の変更というものは当然やっていくことにいたしております。
  25. 田中一

    田中一君 川崎君に聞きますが、あなたは自分でいままでの経過から見て、いまのような用水分配がこんなものだろうという気持ちを持っているか。どうもおかしいんじゃないかという気持ちを持っているか。同じ政府だからといっても、違うんです。あなたはあなたの立場でひとつ意見を言っていただきたい。
  26. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 非常にむずかしい御質問でございます。私どものほうで先ほど申し上げました全国調査をいたしました時点で、どのくらい農業用水伸びるかという点につきましては、四十年から六十年までの新規需要が、四百六十億トンぐらい年間予想されますが、そのうちで八十億トンくらいの程度、約二〇%弱ぐらいが農業用水じゃなかろうか、その程度に私どもは予想をしておるわけでございます。  ただいま経済企画庁からお話しの数字につきましては、これは、それぞれ各省とも主管をして、将来の妥当な計画ということで算定をされておるわけでございますが、一つの私の感じたことを申し上げますれば、確かに農地の開田とか改良というのは短期にいかないわけでございます。都市用水、特に工業用水は、すぐに需要発生してくる。しかし、そういった基礎的な農業等につきましては、かなり事前から準備をしていかないと水量の確保が非常にむずかしくなる。どんどん都市用水等が伸びてまいりますと、将来の地域の農業開発のための水がなくなるのじゃないかというようなやはり懸念もあって、できるだけそういった安全をとった水を確保したいというような気持ちも強く働いておるのじゃなかろうか、というように感ずる次第でございます。しかし、それではどういつだ調整の方法がいいかということになりますと、私どもちょっと自信がございませんけれども感じとしては、いま言ったようなことであろうかと思います。
  27. 田中一

    田中一君 農業用水は、これはアロケーションがないわけですね。いままで、たとえば利根川のある支流から出ている水、これをカットしてダムをつくった、その場合には、水路をつくる費用は農業団体が持って、ダムの築造に対するアロケーションはあるのですか、それとも慣行水利権としてそのまま認めているのですか。
  28. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 農業用水につきましては一般に、在来からある農耕地の渇水補給といったものについては全部公共費で分担をしております。それから、新しく新規に開田をして専用の施設をつくって引かれる、こういうようなものについては、費用の分担をやはり治水、都市用水と同じような割合でやりますが、負担としてはその十分の一を対象にいたしまして、残りは公共費で持つ、こういうシステムになっております。
  29. 田中一

    田中一君 もう一つ伺います。工業用水ですね。今度は下水道の整備がされるはずであります。そうすると、終末処理によって再生産される工業用水、これはどれくらいあるわけですか。どれくらい想定されますか。これは都市局長でいいですよ。下水道の完備によって、何年ごろにはどれくらいな工業用水、また飲料水だってできるというように聞いておりますけれども、これらの再生産される水はどの程度になるか。何%ぐらいになるのか。
  30. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 御質問の点につきましては、お尋ねのような、将来下水の処理水が何%工業用水に使えるかというふうな、そういうふうなデータを持ち合わせておりません。といいますのは、現在まだ下水道の処理技術がそこまでいっておりませんし、試験的に一部の処理場におきまして工業用水に転用されておるものもあるやに伺っておりますが、全体としての今後の下水道計画の中において、どのくらい転換ができるかというふうなそういう見通しというものは、まだ持ち合わせておりませんのが実情でございます。
  31. 田中一

    田中一君 私はそう理解しておらないんですがね。たとえば芝浦の浄水場、終末処理にいたしましても、あの中から相当の量は再生産されて、供給している事実があるというように聞いております。将来、下水道の整備によって相当大きく処理ができるならば、当然これは使えると思うのです。これは新しく生み出す水になりますね。そこで、これはあなたのほうも大体一元化してきているから、どのくらいどうなっているかというものぐらい、下水道整備のための、何というか、副産物といってもいい、またそれを目的物にしてもいいし、水の需要というものが増大する、都市における水の不足相当増大するという面から見れば、それらが算定されなければならぬと思うのです、計画に。いま、それがそうなっておらぬということはどういうことか。これは建設大臣に伺って、都市局長から御答弁願います。
  32. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 御案内のとおり、いまの処理は二次処理しかやっておりませんから、特別な場合でなければこれは工業用水になりません、二次処理でございますから。さらに三次処理をやれば、これは飲料水までいくと思います。したがって、いま二次処理の段階でもってそれを工業用水に使っている個所は、一、二カ所だと思います。大阪の淀川処理場ですか、これは相当にその水を売っております。普通の料金の何分の一ですか、やっぱり十分の一ぐらいでしょう。私が見たときは、トン三円ぐらいで売っているということを聞きました。その他、芝浦の問題もそういうことをちょっと聞いておりますが、私は確認をいたしておりません。したがいまして、当然これから、下水道でもって処理するその水を、二次処理でもってなるべくよくして、それがあるPPMに下がれば、それを工場に向けて安い金で売る。さらに三次処理をやればこれは飲めるのですから、飲む程度にいかなければならぬ。したがって、水の開発の問題は、上でもって開発するとともに、やっぱり循環サイクルをとらなければ私は将来に対処できないと思う。しこうして、それもあまりむずかしいことではないと思います。いわゆる海水の淡水化というようにむずかしくはないと思います。私はしたがって、いま都市局長がお答えができないのは、あまり多くやっておりませんからで、これからはやらなければならぬ、かように思っておる次第でございます。
  33. 田中一

    田中一君 下水道五カ年計画でそういうものを持っておらないわけですか。何かまた考えておられるならば、どの程度に考えておられるか、説明してほしいのです。
  34. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 下水道五カ年計画の中で、下水道の処理水をどのように転換するかというふうな計画は、五カ年計画の中には特に予定はいたしておりません。いま大臣お答えになりましたように、要するに処理技術を高めていく。そのためには、三次処理の技術開発をこの五カ年間相当進めていくというふうな点は、五カ年計画の大きな目玉になっております。しかし方向としましては、いま先生の御指摘のような、やはり東京都の例で、いま手元の資料によりますと、東京都の区部でございますが、一〇〇%の下水道が普及いたしますと、下水道の計画、その処理能力といいますか、処理水というものが、一日に五百三十一万トンという膨大な処理水になります。したがって、この貴重な水資源をさらに再転換して活用していくという問題は、これから大いに取り組まなければならぬという問題の一つと、私どもは思っております。
  35. 田中一

    田中一君 それから、新しく導水計画新規にその地域に相当大量に供給しようという事業は、四十七年度に幾つくらいありますか。導水計画ですね。
  36. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまのお話は、流域変更あるいは河川問の連絡水路、こういったものでございますが、大規模の分水計画は、ただいまのところ、あまり大きなものはございませんが、各河川間を結んで、できるだけ相互の流況を見ながら合理的に水を活用したいというようなことで、当面、利根川水系の河口部で、江戸川と利根川の本線を結ぶような水路、それから木曽川、庄内川等を結びまして、木曽川の水を名古屋のほうに引っぱってくる、こういったような事業計画いたしております。  利根川の場合には、現在、利根川の下流部では鬼怒川等の河川が合流いたしておりますが、これは冬季は通常は渇水期でございますが、積雪その他の関係で、非常に鬼怒川は冬に水量の多い河川でございます。一方、江戸川には、利根川の中流部からの農業用水の残水が、夏季にはかなり流れてくる。したがいまして、そういったものを結びますと、ある程度年間安定した水資源が確保できるのじゃないかというようなことで、四十七年度から、そういった新規の、低地部の水の合理的な利用、こういったことを考えていきたいと思っております。
  37. 田中一

    田中一君 私は、御承知のように流域変更万能論者です。要求のあるところに水をくれと。水は結局、民族の宝である。決して地域だけの問題ではない。きょう私は、農業用水相当減っているんだという前提でこれから質問しようと思っていたけれども、ふえてくるのだということになると、質問するほこ先が鈍ってしまうのですが、私は減るものだという前提で考えておった。ところが、ふえるのだということで、それも三倍からふえるということになると、これは一体どういうことになるか。農林省呼んでくれないかな。どうも、ほこ先が鈍って困るのだがね。  川は、それじゃ大体において今日の日本で取られる水というものは、何%ぐらいわれわれの国民社会において生存のために活用されておるか、それをお知らせ願いたい。何%ぐらい生きておるか。あとはどうなっておるか。わかりますか。
  38. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 年間の雨量等からマクロ的に推算しますと、大体五千億トンあまりがいわゆる河川に流れ出てくる量だというふうに推定をいたしておりますが、こういったものについて、現況はおそらく一〇%程度じゃなかろうかと思います。それで、やはり地形的な特質でこういったものを全部貯留できない、あるいは季節的に、台風等のために一時に流出するというような非常な制約がございますので、せいぜい二五%ないし三五%くらいの範囲でしか利用しきれないのじゃないかというように考えております。
  39. 田中一

    田中一君 そういたしますと、降雨量の一〇%ということになるんだと思うのですが、浸透とか、その他いろいろ見て。そうすると現在、いわゆる水ため、いわゆるダムという水槽は、どのくいらの水を常に備蓄している容積を持っているものでございますか。
  40. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私どもの推算では、将来約四百数十カ所のダムをつくりまして、日本全体で、私どもの調べました可能の地点からいきますと、約七百六十地点ぐらいのダムをつくる可能性のある場所があるのじゃないか。それによります貯水量が、約百八十億トンぐらいは可能じゃなかろうかと思います。ただし、これはダムの貯水容量でございますから、雨の関係によっては回転するわけでございまして、いろいろ河川流況等を補完していきますと、年間で約六百八十立方メートルぐらいの水資源が生み出されるのじゃないかという試算でございます。
  41. 田中一

    田中一君 そこで、そうなりますと、現在あるダムの水量はどのくらいになりますか。
  42. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在すでに完成いたしておりますダムが、これは多目的あるいは発電かんがいと、たくさんございますが、全国で約二千六百カ所のダムがございます。それから国といたしましてこういう利水、治水の事業に助成をしまして、最近になって完成しておるダムが、その中で約三百四十ダムでございますが、ちょっと貯水量の資料をいま手元に持っておりませんので、まことに申しわけございません。
  43. 田中一

    田中一君 水は非常におそろしいものでありますから、干ばつになれば、かつての東京のようにどうにもならない。七、八年ぐらい前の話ですがね、どうにもならない。それで、よその県の水をかっぱらってくるなんということもある。そういうことでありますから、計画としては、まず水を確保するということは、あらゆる都市計画にいたしましても、その他の地域計画にいたしましても総合開発にいたしましても、これはもう、そこに基点がなくちゃならぬと思う。立地条件というのは、常に要求するだけの水が供給されるかどうかというところにかかっておるわけなんです。したがって、もっと水の全体の計画というものが、われわれが伺っても、どうもその役所の守備範囲だけ、その府県の言い分だけでもって積算されるものでは、これは不安心なわけなんです。  事実、いま局長が言っているように、一割程度の水しか活用されておらない。あとの九割というのは全部たれ流しでもって、地下に浸透したりあるいは蒸発したり、多くは川に流れているという現状から見ますと、もう少し——これは世界的な傾向なんです。世界的に水の問題や水資源の問題は、人類の生存に大きな役割りを果たしておるだけに、たいへんな問題になっておるのです。これは日本だけじゃございません。しかし、日本は台風常襲地帯であって、年々歳々台風さまさまが水を持ってきてくれますから、まだいいほうなんです。ことに正常な水であって、そのまま水道から飲める水なんということは、世界で何カ所もございません。それが九〇%もどこかに蒸発したりたれ流したりしている現状から見ると、これは水に対するところの感覚というもの、終戦後はいわゆる農業をやるために、食糧のためにあらゆる水が供給されて、河川法を見てもわかるとおり、慣行水利権というものが大きな役割りというか、権力をもってのしかかっている現状から見ても、もうこの辺で水の管理というものは、いわゆる許可水利権的なものに変わらざるを得ないのじゃないかと思うのです。  むろんこれには、過去における慣行水利権という、長い問人類がずうっと水を自由に使っておったという、この生存への唯一の食糧というもの、これに対する配慮をしなければなりませんけれども、全体におきますところの水の管理というものは、もう少し合理的な、あらゆる産業、媒体としての産業にもあるいは社会生活の上においても、均てんされるものでなきやならぬと思うのです。したがって、この一〇%の水というものを一二%、一五%に増大することによって、われわれ国民がもっと幸せになるのじゃないかと思うのです。雨さえ降れば水が一ぱいになるんだ、小河内ダムの問題にいたしましても、しばらく干ばつがありますと干がたになるという例も、つい数年前にあったわけであります。これらに対する対策というものは、平時いまのような場合に、十分に政府として政策上の計画と資金を導入して持っていくということが必要だろうと思うのです。  今度の五カ年計画の中におきましても、まだそのような点は計画として足りないのじゃないかと思うんです。いまの全国総合開発計画というものがまだすっかり固まっておらぬという、これだって、みんなそれぞれの立場からそれぞれの要求をして、それが積み重なったということです。まあ、チェックできるという安本時代とは違うから、水行政が分断している。工業用水は通産省、農業用水農林省上水道も、ようやく一元化したとはいえ、まだ厚生省と共管になっている。それぞれの立場で過大な量の水を要求するだけであります。根幹をなすところの計画というものは、政府全体で一つの基本的な方針を立てなければならぬと思います。常に国会議員の力によって、道路政策に片寄ったり、あっちに片寄ったりで、ついふらふらしております。ことに、災害がないと河川などというものはとうてい日の目を見ない。したがって、先ほども大臣がおっしゃっておりましたけれども日本河川行政というのは災害待ち行政です。どの地方におきましても、台風が来ると、しめたと言ってその選挙区の人に電報を打つ。こういうゆがんだ河川行政というものが、今日の水の問題を、せめて一二%、一三%に伸ばすということにならないという、これは大きな欠点であります。一〇%の有効の水ということは、これはもういま始まったことじゃございません。何十年も前からそういうことを言われておるんです。一割程度の水しかわれわれが使っておらないのだ、あとの九割の水はたれ流しなんだということであっては、あまりに大資源です。日本における唯一の一番大きな資源というものをむだ使いするという、この国民的な認識というか、政府のそれに対するところの態度、これが国民にそういう間違いをおかさしておると思います。こういう点は、十分に今度の五カ年計画では考慮されなければならぬと思うんです。  それで、もう一つ伺いたいのは、いま計画されているもののうち、多目的ダムの場合ですが、工業用水あるいは上水あるいは発電用に、どういう形でそれを使っておるかという点を伺いたいと思うんです。  私は昨年の夏に、そこにいる同僚の古賀君と一緒に富山県、新潟県をずっと見てまいりました。ほんとうに一年おきに災害があったというような大きな川も見てまいりましたが、また小さな川で、それが大きな災害をもたらしたという地点も見てまいりましたけれども、その中に、古賀君の発案の防災ダムという、小さなダムがありました。私はこれを見て、もう少しこれは多目的に持っていったらどうだろうかといって、古賀君にそういうことを話したのでありますが、これも、その時点においては必要であったろうと思いますけれども、そうした小手先でない多目的な方法をダムにというか、電力あるいは農業用水工業用水上水等々の水の確保という点に思いをいたしていただきたいと思うのであります。その地点だけの供給、その地点だけの防災というだけではもったいなさ過ぎます。小さなダムでも二、三億かかるのでありますから、もう少し、そういう地点が背後に水の源流があり、また水を集水することができるならば、そうした規模の大きなものに変えてもいいのではないかという気がするわけであります。したがって電力は、いま考えられておるところの、五カ年計画で考えておるところのものは、四十七年度には少ししか出ておりませんが、全体の計画を通じて、このダムの新設というものに対する発電のほうはどういうふうに考えられておるか、伺いたいと思います。通産省来ておりますね。
  44. 吉田方明

    説明員(吉田方明君) 水力発電所は、基本的には非常にすぐれた特性を持っておりまして、電力供給上ぜひ必要である。すなわち、負荷の急激な変化に対応しましてすぐ応じることができるということ、あるいは事故の発生する確率が低くて供給信頼度が高いというようなこと、それからさらには国内資源の有効利用である、しかも循環資源であって、これは尽きることなくエネルギー資源として使えるということから、通産省としては積極的に水力発電所の建設に取り組んでいるわけでございます。  で、これが水資源等の多目的との関連でどの程度になっておるかということを申し上げますと、昭和四十五年時点におきまして、発電用ダムが総数三百四十五つくられておりますが、うち多目的目的を持ったものが、三分の一の百十四地点でございます。それから昭和三十年以降最近の計画で取り上げてみますと、発電用のダムでございますが百六十三ダムができまして、そのうち多目的のものは実に五九%の九十六地点に達しております。それから現在工事中のものは、発電用のダムが五十三地点でございます。そのうち多目的関連のものがやはり過半数を占めまして二十九地点、五五%に達しております。さらに今後計画中のものでございますが、われわれが各電気事業者から現在まで聞いております段階では、これは計画でございますので変動いたしますが、昭和五十四年度までに着工する予定のものが六十五ダム地点でございまして、そのうち約半数の三十一地点が多目的関連ということになっております。以上のような状況でございまして、われわれとしましては、今後とも水力の開発、特に水資源あるいは洪水調節との関連の開発に積極的に協力していくという考え方でございます。
  45. 田中一

    田中一君 発電は、現在、総需要にどのくらいなパーセンテージで火力で供給し、あるいは原子力で供給する、あるいはいま言っているようなダムから水力でもって供給していくのかという比率を示していただきたい。
  46. 吉田方明

    説明員(吉田方明君) 発電用の目的につくられております水力、火力、原子力は、それぞれ特性が異なっておりまして、設備として出力を受け持つと同時に、発生電力量としてのエネルギー源を生み出すという、両方の性格を持っております。設備出力で申しますと、これは四十四年の末の数字が手元にございますが、おおむね火力発電所が六三%、水力発電所が三五%、原子力が二%というような数字になっております。しかし、今後の見通しにおいては、五十年末の推定でございますが、五十年末までには現在工事中のものができ上がりますので、その段階に至りましては、水力発電所が二一%、火力発電所が七〇・四%、原子力が八・六%、そういったような数字になるという予想でございます。
  47. 田中一

    田中一君 そこで建設大臣、いまこうして水力発電というものがだんだん後退していく。これはむろんプラスマイナスですから、何もさびしくなることはありませんけれども、治山治水という面を考えた場合に、治水利水という面が大きくならなければならぬと思うのです。ここで、そういう役割りを持っていると言いながらも、そこからわれわれはそのようなものを分担をして、人類が生存するという、人類のしあわせのためにということが、効果として出なければならぬと思うのです。したがって今後、私はかつて言ったことがありますが、どうも日本の本土を飛行機でずっと縦断してみると、どこにも湖が多いというような国づくりにならなければならぬと思うのです。その場合に、水力発電をした水がそのままたれ流しになるというのではなくして、これは還元できるわけなんです。たとえば天竜川にいたしましても、水の再生産調整ダムもできておりますから。そういう形のものにしなければならぬと思うのです。  それから、いまのお話のうち、電力の要求量はどれくらい想定されてふえるのですか。現在と、五十年にはどれくらいふえるということになりますか。それを説明してほしいと思います。
  48. 吉田方明

    説明員(吉田方明君) 電力全体の設備は、年々一一・六%今後数年間は必要とされているという数字がございます。そのうち水力発電所が、絶対数で申しますと、年々約百三十万キロワット開発されていくという予定になっております。
  49. 田中一

    田中一君 そこで、これは大臣に伺いますが、発電所に対しては、御承知のように水利権を許可によって与えております。これはむろん建設大臣が与えるものもあれば、あるいは府県段階でやられるものもありますが、かつて十数年前でありましたけれども、一体、許可水利権というものがどれくらいあるか、開発されないでそのまま放置されている、いわゆる利権的な許可もあるのじゃなかろうかという質問をして、それに対する地点を調べろといったことがありますが、二年くらいたってようやく調べた結果が自分の手元にまいりました。これは、ほかにあまり出さないでくれというから、出さないで私が持っていますけれども、もう古くなりました、十何年前でありますから。  そこでこの際、発電用の水利権というものが現状どうなっているか。府県において許可したものはどうなっているか。許可したものは、おそらく建設省のほうにはきているはずであります。全国的な面から見て、発電用の許可水利権、これはどういう形で分布されているかということを、ひとつこれは、いまことばで説明して答弁いただいて、資料を出していただきたいと思います。それから、それに対する通産省のほうも、これはわかっているはずでありますから。私が心配するのは、許可を受けたら一年以内に着工しなければならないということになっているはずであります。ところが、そこへ行って、棒くい一本打っ立てて着工でありますよということになれば、毎年毎年継続できるわけであります。その点を資料としてひとつお出し願いたいと思います。
  50. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまお話の未開発水利権につきまして、昭和二十九年だったと思いますが、調べました当時は約百三十七件ばかりでございました。これはもちろん旧河川法に従っていろいろ処置しておったわけでございますが、その後付与したものについては、現在の未開発水利権というようなものはございません。したがって、その当時の百三十七件が、逐次これは減らしていっているというのが実情でございまして、現在では約四十五件程度になっております。これはまた後ほど資料で提出をいたしますが、主として東京、関西、それから中部その他、まあ自家用等が中心でございまして、期限が三十年というような許可期限になっておりますので、そういったものがきた段階で内容を調べまして、もう取り上げる必要のないものはこれを取り消すという措置、それから中には、地域開発等によりまして治水利水の多目的ダム等に自動的に転換されていくもの、こういったものを合わせまして、いま言ったような数字に減少はしておるわけでございます。
  51. 田中一

    田中一君 それを資料で出していただきたい。それから通産省のほうも、あなたのほうの所管だから、いま言っている発電用の水利権ですね、水利事業というものがどことどこにあるか、出してください。昔はこういうものを出すと、これは軍機の秘密だなんと言ってなかなかやかましかったのですが、いまは文句ないと思いますから、それを出してください。委員長、お願いいたします。
  52. 小林武

    委員長小林武君) 資料の点についてはよろしゅうございますね。
  53. 田中一

    田中一君 それから、いま住吉さん来ていただいたのは、利根水系だけに例をとって伺ったところが、現在、三十七年から四十四年までの農業用水が十五・六トンの計画である。それが、四十五年から五十年までのあなたのほうの要求、これは四十一トンだと。約三倍くらい、二倍以上になっているわけです。水田転換というものが、農民の反対を押し切ってまでも非常に強力に進められております。したがって利根水系の地域においても、将来農業用水需要は減るのではないかという想定のもとに質問していったところが、経済企画庁のほうでは、これはそうじゃないんだ、ふえるんだと。いわゆる根拠は、それはなかなか経済企画庁わかりませんけれども、各府県なり農林省のほうでそういう要求があるからそうであろうということなんですが、そうしてまた農耕も、相当水を要求するような政策のほうに農政も転換してきておるんだということもありますけれども、私はまだ寡聞にして水耕栽培なんということも聞いておりませんし、農業生産がどのように変わったかということも実は知らないわけです。  建設大臣閣議でその話が出なかったかと聞いたら、そんなことは自分は知らないと申していましたが、実情は、昭和四十五年から五十年にかけて、どういう形で農業用水要求が行なわれるか。私、これは必要だと思うのです、たとえばビニール栽培にしても、空気の汚染等からのがれた清潔な野菜、あるいはカドミムウその他の地下の毒物から離れた水耕野菜等は必要だと思うのです。そういう政策転換は望ましいのであります。ことに都市近郊野菜生産供給も行なわれなければならぬと思うのです。そういう意味において、現在考えられている将来への農業政策方向を、水を倍以上もこれから使うんだという前提において、どう変わったかをひとつ説明していただきたい。そうして、あまり長くなるならば簡単に御答弁願って、あとでこれも、十五・六トンから四十一トンにふえたということを立証するだけの農業政策転換というものを、ひとつ資料でお出し願いたいと思うのです。
  54. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) ただいま御質問ございましたように、利根川の下流地帯は、従来より農業用水の比較的不足しておった地帯でございます。御承知のとおり新しい農政に対応していくためには、この地帯は、ただいま先生のお話にもございましたように、大消費地の都会を控えた地帯でございますので、いわゆる近郊農業をやっていく面で、主として畑地かんがいでございますが、こういう水の手当てをすることが緊要でございまして、ただいま先生からお話のございましたのは、これらの地帯で畑地かんがい計画をやっておりました地域、そういう計画に基づきまして新しく水需要がふえた地帯でございます。しかし、ただいま先生お話ございましたように、また半面、この地帯は都市化の現象も非常に活発に行なわれているところでございますので、これにつきましては、農業用水合理化対策調査という調査費をつけていただきまして、この農業水利権の実態の把握とこれを合理化していく方法、そういうことにつきまして、この実態調査を四十五年から、全国のそういう合理化の可能性のある地帯を選びまして実施しておるというような状況でございます。
  55. 田中一

    田中一君 だから十五・六トンが四十一トンになるのだということは、抽象的でわからないのですよ。もうとにかく、農地をいかに宅地にもっていくかということに大わらわな現在の土地政策のわけなんでありますが、私は、あなたの言っているようなそういう方向に、農林省の行政指導でもって持っていこうとするのでしょうけれども、実効はあがらぬと思うのです。私はそう思うのです。だって、大勢はそうじゃないですから。だから、もしそういうたとえばビニール栽培で、あるいは水耕野菜でもつくるということがあるならば、そういうものを端的に、どの地区でどういうものをやるんだということを、資料でお出し願いたいと思います。
  56. 小林武

    委員長小林武君) ちょっと速記を止めて。   〔速記中止〕
  57. 小林武

    委員長小林武君) 速記起こして。
  58. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) ただいまお話のございました十五・六トンから四十一トンにふえた、これにつきまして、その数字的にこまかいものがございますので、一応資料として提出させていただきたいと思います。
  59. 田中一

    田中一君 どっちみち将来への問題でありますから、あなた方も将来の問題としての見込みだと思うのですが、ただ私は、農業政策の面においてそうした大きい転換があるならば、もっと国民に知らしめなければならぬと思うのです。いま水は、大体災害もありませんし適当に雨も降っておりますから、まあまああまり心配ないという段階にありますが、しかし、今後どういう事態になるかわからぬです。かつてわれわれはそういう目にあっておりますから。これはただ単に利根水系のみならず、全国的な水の配分というものが大きくものをいうときが、非常時がくるわけなんですから、あなたのほうで、ただ将来こうだから、この水をこれだけのものをとっておこうじゃないかということだけでは、困るのであります。非常に困るのです、そういうことでは。したがって、四十一トンというものが必要だということの根拠を明らかにしなければ、将来の水の配分というものの正しさというものが求められないと思うのです。  だからくどく伺っているのですが、経済企画庁のほうでは、みんな方々から要求があるから、その要求を積み重ねればこれだと、こう言っておりますから、あとは経済企画庁のほうには質問することができませんから、あなたに来てもらったのですが、これはいま言うとおり、倍以上になるのですよ。しかしまあ、大体野菜等の栽培に水を使うのは、その傾向になってきておりますから、いいと思います。しかし、その近郊農業というものが、どんどん宅地化して農業が追っ払われてきているのです。また、それに対して農林省だって、ちっともそれを踏みとどまらせない。そこでそうした野菜の栽培でもやろうというような意気込みが、ちっとも見えないのです。率先して宅地化しようというようなものが見受けられます。ただおれのほうに取っておくのだ、権利を取るのだという考え方ではなりません。したがって、それをぜひお出し願いたいと思う。  それから次に伺いたいのは、アロケーションに対して、これは特定ダム関係では先行して払わなければならぬということになっておりましたね、負担金というものは。この資金源というものはどういう形で処置していますか。これは川崎君に聞きます。
  60. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) これにつきましては、それぞれ利水者が特定しているわけでございますが、通常の場合、したがってそういった利水者がそれぞれ資金を調達しまして、一部工業用水等には水源費補助等の制度もございますが、そういった形で調達した資金を持ち寄って、多目的ダムに参加して建設をする、こういう形をとっております。
  61. 田中一

    田中一君 今度は、何でしょう、先取りしょうということになるのでしょう。今度これは法律改正するのでしょう。
  62. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまのお話は、そういった多目的ダムの在来のやり方に加えまして、中には、水需要相当逼迫をしており、したがって当然これを使う方も予想されるわけですけれども、その利水者間の調整がつかない、たとえば工業用水のほうは先行するけれども上水道のほうは若干おくれなければスタートできない、あるいはそれぞれが水が逼迫しておるために、もっと水を自分のほうへたくさんほしい、こういうような、調整がつかなくてダムの着工がおくれる。こういった場合には、非常にそのためにむだな時間を費やすわけでございますので、大体三年程度を目途にいたしまして、そういった未特定の利水者の負担分に相当するものを、国で財政投融資の資金を借り入れまして立てかえて施工する、こういう制度でございます。
  63. 田中一

    田中一君 だから五カ年計画が、衆議院で詰まっている河川関係の法律がこっちへきてもらわなければ、一緒に審議できないのじゃないかと、ぼくは自分意見を言っておったんです。  そこで農業用水については、これはアロケーションは、一部あるけれども少ないんです。開田はあるけれども、開田なんてそうはありませんよね。印旛にしたって手賀沼にしたって、全部いままでのものは、開田どころじゃない、放棄している現状でありますし、特に新田の開田というのはないと思います。そうすると、農林省がワクをたくさんとることによって、建設大臣聞いてくださいよ、あなたの仕事にやはりじゃまになるわけなんです。ほかの水利権者の場合は、それは相当負担金というものを資金運用部資金なりあるいは国の財投でもってまかなうかしらぬけれども農林省の仕事というものは、これはもうそのまま全部国が持つのだということになっておる。これは何ですか、そういう場合には、四十一トンの水は金を出して買うんですか。買うんじゃないでしょう。これは慣行水利権として当然農民が享受すべきだということであって、与えられるわけでしょう、開田のときだけはこれは特別な施設だといって持つけれども、負担はしないわけでしょう。しないものに、そういう四十一トンもとられてしまうということによって、今度は、いま衆議院にかかっている法律、いずれこちらにくるでしょうけれども、その、先に金を借りて建設資金としてそれを投入するんだということの実体というものは、弱まるということなんです。それじゃ困るわけです。だから私が追及するのは、そういうものを当然の農業用水としてわき取りしてしまえば、仕事そのものはやはりおくれがちになり、また、建設大臣大いにがんばって予算をたくさんぶんどったとしても、時間はかかると思うんです。それじゃ困るから、その数字というものをはっきりと求めたいという気持ちになっているわけなんです。その点は川崎君どうです。
  64. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) いまの利根川水系のような場合には、経済企画庁が中心でいろいろ各利水者間の調整を行ないまして、それが正しいかどうかは別でございますが、妥当だというようなことで、それぞれ治水の持ち分、それから都市用水持ち分、農業用水持ち分等をきめておるわけでございます。で、先ほどの四十一トン何がしは、ほとんど特定農業用水だと私は承知いたしておりますが、したがいまして、多目的ダム法でやれば、その負担金のうちの十分の一を、それによって利益を受ける農業関係の方が分担をするというたてまえになっておるわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 十分の九というものはどこになりますか。
  66. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) いわゆる治水負担として、公共費で国並びに地方が分担をして負担をしておるわけでございます。
  67. 田中一

    田中一君 だから、農林省政策を明らかにしろと言うのです。新田開田の場合にはこれは負担させる。しかし、いまのように十分の一は地元に負担さすけれども、十分の九は国の負担で行なうのだということ、こうなりますと、数字が少ないほうがいいのじゃないか。ことに、大きな政策として農耕に対する新しい方法、水はこれだけ使うのだという計画があり、こういう生産をするのだということにならないで、抽象的に、こうするのだ、ああするのだというだけでは、いずれ本院にも回付される法律案の審議にあたっても、非常に問題になることなんですよ。その点が問題になるのです。まだこちらへかかってくる河川関係の法律、たとえば琵琶湖の開発の問題にいたしましても、これはやっぱりこの五カ年計画には関係の深いものなんです。そういう点について、この負担、アロケーションの問題は、やはり工事全体の面から見て相当重要な役割りを果たすことになるわけなんです。で、あなたがたがよくわかっておらないで、ただ単に、おれのほうはいままでの慣行でこれだけ水が必要なんだということであるのではないかと思うから、こうくどくどと言っておるのですよ。私は、ただ単なる一目的ダムがいいんだというのじゃなくて、多目的ダムがいいんです。そういう意味で言っておるのですから、よくこれはわかっていただきたいと思いますよ。  そこでもう一つの問題は、現在この計画の中に、今後の計画ですよ、五カ年計画の中に、流域変更を積極的にしなきゃならないのだという地域をあげていただきたい。そうしてまた、流域変更をしてそうして効果をあげるのだという、川が、御承知のように水が低いところに流れちゃうものですから、だから相当計画的にしないと途中から導水路をつくることもできなくなりますし、私は先ほどから言っておるように、必要な地域に十分に水を供給しろというのが流域変更、いわゆる水は全国民のものであるということの出発点からものを言っておるわけなんです。ただ単に、この水はおれの村を流れているからおれの村のものだということだけでは、もはや今日、日本の大きな富と言ってもいいこの水の問題は解決されない。幸か不幸か、農民はいま水田を放棄しようということになっておる。また放棄するように農林省要求しております。したがって、いまがチャンスですから、水を十分に水のほしいところに、たいてい上流が近いですから、下流だと距離が広くなりますけれども、上流のある地点で、経済的な地点でもってそれを隣の川に流し、また隣の川に流し、また隣の川に流して、そこに水を持ってくるのだということだってできるわけなんです。  その際に、今度は問題になるのは発電の問題です。発電の問題は、これは福島県の水だといっているやつが宮城県でもって発電され、おれのほうで水利権取ったと。いままでずいぶんありますね、そういう問題が。そういう一つ目的でない、他の目的というものの権利、一種の水利権ですね、これを、二県、三県にわたるような場合にどう処理していくのか。むろん、これは建設大臣が許可すればいいんです。しかし建設大臣も、なかなか選挙ということもあるから、国会議員にしても県会議員にしても、なかなかこれは問題は大きいですよね。県民が、これはおれの水だ、おれの川だと考えておるものが、隣の県の川になる。これは、かつて歴史的に銅山川の水問題というのが、幕府時代から騒ぎになって、ようやく明治でしたか、大正でしたかな、解決がついたという問題もあります。こうした問題を、積極的にこの五カ年計画で推進していくには、相当な決意と、利害関係県民が納得する形の方法を持たなきゃならない。それをひとつ伺いたいと思う。
  68. 西村英一

    国務大臣西村英一君) あなたも御存じのように、流域変更、これはいままでやったものは、四国の吉野川、それから山陰の江の川、これは現在やっておる代表的なものでございます。  そこで、やはり河川は、いずれも分水嶺から分かれて、そこで西東になるのですから、上のほうで結ぶのが一番経済的なんです。そういうことは、最近いろいろわれわれも考えております。しかしこの五カ年計画において、どこで流域の変更をするかということは、私は具体的には知りませんが、後ほど河川局長から、いま考えているところがあれば述べると思いますが、やはり今度の新しい導水の方法、これは下流で結んですれば導水の方法になる、これもいいと思います。いずれにいたしましても、やはり変化に富んだ新しい考え方を持ってひとつこの五カ年計画に対処したい。決して、昔の徳川時代のように、紀の川の水はおれの水だからということで、奈良県には一滴も水を落とさぬという紀州公の話も聞いておりますが、今日は民主主義でございますから、また、今日は水は国民のものでございますから、昔の紀州公の言うようなことは言われないと思いますから、つとめて広域的にこの水利を考えたいと思っております。  それから、いまお話のありましたことにはなかったですが、どうも田中さんの御所見を聞いておりますると、やはり電気を起すにしても、もう少し河川を使ったらどうだ、と。電力にしても、昔のような水主火従ではなくて火主水従というようなことになっていますが、もう少し多目的で使ったらどうだ、電気を起こしたらどうだ、油ばかり使って公害を起こさぬでもいいじゃないかという御意見もあるやに聞きますが、これも同感でございます。できるだけ水力電気を起こす。しかし、これが非常に価格が高くて、インスタントにいかないのです。工期が、水力でございますと大体火力の二倍から二倍半、コストにいたしましてもおそらく二倍以上かかるでしょう。そういう経済的な問題が水力のほうは火力に劣るものですから、どうもいま世の中がインスタントでございますから、さあといえば火力に急ぐのですが、やはり根本的には、まだ水力の開発されるところは相当にあります。しかも、水利権をとっておいて開発しないというようなことに対しましては、建設省としても今後十分に注意をしなければならない。私自身も相当知ってもおりまするけれども、前の問題でございますから、せっかく調査の御要望がございますから、これはひとつ通産省の公益事業局と私と十分打ち合わせまして、この際、総点検をして、発電可能なところはどんどん水力を開発しようということを述べたいと思っております。
  69. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ちょっと補完して御説明申し上げます。  現在、分水あるいは流域変更、そういったことで当面考えておりますのは、利根川水系につきましては、先ほどの低地部の利根川を中心とする事業、それから中部地区では木曽川、庄内川を中心とする事業、それから関西地区におきましては、すでに紀の川の水を一部奈良に分水しておりますが、さらに現在大滝ダム建設いたしておりまして、もう少し大規模に奈良平野に分水をしたい。さらに大阪地区の泉南には適当な河川がございませんので、やがては、やはり紀の川と大阪との問題も出てくるのじゃないか。こういったことはひとつ予備調査をいたしたいと思っております。  それから中国地方につきましては、先ほど大臣からもお話しございましたように、江の川から広島に抜いておるわけでございますが、まだほかにも水資源があるようでございますので、山陰から山陽といったような分水の予備調査も、ひとつやっていきたい。なお岡山県あたりでは、岡山に三川ございますが、こういったものも、ひとつ農林省とよく相談をいたしまして、さらに合理的な活用方法が下流のほうであるのじゃなかろうかというようなことで、調査をいたしたいと思っております。それから申し忘れましたが、近畿地方でも、裏日本側の水はかなり、九頭竜川、円山川、由良川と豊富でございますので、こういったものの分水についても、現在予備調査を行なっております。  それから四国につきましては、御承知の早明浦ダムを中心といたします一連開発が進んでおりますが、さらに銅山川の上流の新宮ダムでございますが、ああいったところにつきましても、これを瀬戸内海のほうに分水したいというふうなことで、水公団事業で現在実施をしております。それから九州地区にいきましては、筑後川の水を当面、北部九州地区にやはり持っていかなければいけないだろうということで、江川ダム、寺内ダム等を着手いたしておりますが、今後開発されるところにつきましても、やはり北九州の水資源というものを頭に置いて、そういった分水計画とあわせて実施をするように進めていきたいと思っております。
  70. 田中一

    田中一君 そこで、そういう傾向が顕著な時代の要求ということになるならば、一応納得するものも相当あると思います、利害関係者が。要綱をつくってください。むろん、そういう場合には、害がはっきりある場合には反対します、利のある場合にはだまっておりましょうけれども、そうじゃない者も、何か自分の県の水を向こうへ持っていかれるということになると、やはり多少ひっかかりと抵抗があると思います。そういうものを、今日の国の方針として、かくかくの方向でこのように措置する、したがって共通の利益であるということを徹底するような、納得させるような一つの、何といいますか、かつて補償の問題でも、閣議決定した要綱があります。買収の補償とか何とかいう問題ですね。そうしたものをつくって、そうしてこれは堂々とやるのだということを声明することが、今日一番必要だと思うのです。問題が起きればストップする場合もあるし、また紛争が続く場合があるということでなく、これが今日ほんとうの日本の民族共通の利益だということの、はっきりした態度を政府が示さなければならぬ。これは議論や論文じゃないのです。実際にその仕事を行なおうという、当面の政府自身が態度を明らかにする。この方法でいくのだ、たとえば府県段階で行なう仕事もあります、いわゆる補助工事もありますし、国の直轄の工事もありますし、地方地方でなかなかむずかしい面も起きる可能性が相当強いのです。これからそういうことの検討を始められて、そして、この方法という方法をつくっていただいて、閣議決定していただきたいということをお願いしますが、その点、建設大臣どうですか。
  71. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 十分検討したいと思っております。
  72. 田中一

    田中一君 次に都市河川の問題ですが、いま都市河川でその地域だけの利用に供されているもの、いわゆる河川として利用されているもの、これは幾つくらい残っておりますか、都市河川として残されているもの。  私は、今日もう開発し尽くされたところの、都市といっても三万、五万という都市じゃなくて、大都市、中都市等における都市河川というものは、河川としての機能は当然なくなっておる。いわば都市下水道としての効用しかないのではないか。たとえば、かつては農業用水として、何組合といいましたか、みんなずっとつくっておりましたね、そういう農業用の組合等もいまでは放置しております。管理もしない。だれの所有物かわからぬという河川がどの都市にもあるわけです。散在しているわけです。これは都市局長、そういうのは全国的に見て——むろん都市河川河川という範疇に入るものであるけれども、これは事実において河川としての機能がない。あるいは何といいますか、もとがあって、それが大きくなって川になっているというものじゃないですね。かつての用水のようなものですね。こうしたもの対してお調べになったことがありますか。今日でも農業用水はこれはどぶ川になっておりますが、ほんとうの都市下水としての機能だけしか発揮していないものとか、あるいは農林省が行なっている、最近までまだずいぶん都市用水というものに対しては金をかけてやってるんです。しかし事実いまでも、上流にも下流にも水田がないという場合でも、補助してやっているようなものもあるわけですよ。こうしたものが、もうそのままじゃならぬという場合、農民と相談して、それを都市下水道にするというような方向が、どの程度になっているか、ひとつ説明していただきたいと思います。
  73. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 都市部の河川、いわゆる河川法上の河川じゃなくて、通常は普通河川とか末端河川とか申しておりますが、したがって、これらが直接一級河川なり二級河川に入っておるものもございますし、支川等に流入しておるわけですが、非常に地域性といいますか、そういった特殊性を持って網のように張りめぐらされておりますので、実態は非常に把握しがたいわけでございますが、四十二年か三年でございましたが、全国で八府県程度、モデル的に取り上げましてこの実態を調べましたところ、大体われわれが河川として指定しておりますものの延長の二倍くらいあるのじゃなかろうかと思います。で、現在できるだけ、今年じゅうにでもというようなことで、全国の県並びに市町村に協力をお願いいたしまして、非常にやっかいな作業でございますが、ある程度の実態を今年じゅうに把握して、ひとつ整理をしたいと思っております。したがいまして、そういう結果が出ますと、マクロ的な数字並びに実態の把握ができるのではないかと期待をしているのでございます。  今回私どものほうで、準用河川というような制度を、在来一、二級以外の単独の水系にだけ適用いたしておりましたが、できればこれを一、二級の、先ほど申し上げましたような末端河川に適用いたしまして、そういたしますと、市町村がこれを管理することになりますので、かなり地域の利用の実態に応じた管理ができるのじゃなかろうか。これはもうすでに都市下水になっておるから、むしろ今後の下水道整備の一環として、下水道にしたほうがいいのじゃないかとか、あるいは、これはまだ農地に対する水の補給の役をなしておるから、しっかりした管理者をつけて在来どおり管理すればいいのじゃないかとか、あるいは、これはもう当然河川として河川改修事業をやらなきゃいかぬという実態等もわかろうと思いますので、そういった上で、私どももすっきりした河川管理ができるようにいたしたいと、現在検討をいたしておるところでございます。
  74. 田中一

    田中一君 どうもいままで都市河川のはんらんというものを、大臣も今度の国会の冒頭に都市河川の問題に触れておりますが、しかし、触れておったって、何にも調べてないじゃありませんか。災害があれば都市河川都市河川だ、こう言う。都市河川じゃないんですよ、これはもう。下水なんです。都市下水道なんです。だから、こういう点を、ただ災害があれば反射的にものをわあわあ言って、さもさも何かしてくれるだろうというような印象を国民に与えるだけであって、根本的に、じみでありますけれども、そのじみな仕事をじっくりと腰を据えてやる。これはあなたの性格によく似合っているんですよ。したがって、あなたがじっくりとその問題に取り組む。五年、十年後に、ああ西村建設大臣というのはこういう仕事をしたのかと。それでいいじゃありませんか。  それで私は、目の前に見える問題だけを取り上げるということじゃなくて、現在どうにもならない——河川法のあれは恥部ですよ、河川法上の。河川とすればですよ。はっきりしなければならぬ。したがって私は、埼玉県のある地点でありますけれども相当な金をかけて農林省用水をつくった。まだ多少それをつくりつつあるんですよ。ところが上流にも水田が何もない。大体市街化されている。下流にも何もないんです。しかしこれは用水として残っている。これは利根川から水を引いています。満々と水は流れている。しかし何も農業用水として、かんがい用水としての役目を果たしておらないものがあります。そういうものは結局都市問題として取り上げて、もう周辺は全部都市化しているんですから、その場合には、水の導入を、満々じゃ困るんですからある程度に押えて、都市下水道としての性格を持たす。そうして、大きくいえば、中央官庁としていえば建設省のほうにまかす。建設省はその地方にまかすというような仕組みにしないと、非常にあいまいな都市河川がたくさんあるわけなんです。それが、管理責任者が明確でないものだから、その河川敷に、狭いところにいろいろな構築物を設ける。集中豪雨があればすぐに流れ出す。そのためにはんらんを起こす。水は流れていれば、流量一ぱいなら決して災害はあるものじゃないんです。塩水はないんです。ところがそこに、管理機能が欠除しているために、いろいろなものが流れてくる。すぐはんらんする。橋げたにぶつかってはんらんするという悪循環をやっているわけなんです。  この際、これは農林大臣と御相談願って、建設大臣、そうしたものを全部とにかく調べる。調べ尽くして、それをどうするか、ケース・バイ・ケースでいいんです。この用水堀はこうしようじゃないか、この河川は源流がない、源流というのはたとえば深大寺のわき水のように、たしかあれは神田川でしたか、何かそんなもので、川になったって、なに源流から水が流れるわけじゃない。ただ都市化された住民の排水が流れ込んでくる、汚水が。その問題を、ある流量を計算して、工作をさせないということにして、全部暗渠にしたらどうかというんです。暗渠にしたらどうか。暗渠にすれば、一面都市交通の便宜にもなるわけなんですよ。全然、悪臭ふんぷんたる、異臭ふんぷんたる川を管理する者はだれもいないんです。これを道路にしなさい、幹線道路に。神田川なんか実にいいところですよ。あそこを貨物なら貨物専用の道路にする。あるいはそこに小公園をつくる。ある部分は子供の遊び場にする。道路にするのがいやなら、そういう形の、いわゆる都市における河川を変貌させるということが根本的に必要であると思う。すべて利用によってのみ価値があるということは、土地の問題で申し上げました。利用によって価値づけられるんだと、土地というものは。そうすれば悪臭もない。そのまま隅田川に全部流れておりますから隅田川に迷惑でしょうけれども、ただ、いろいろな汚物とかが流れない。一定の規模の一定の施設によってのみ排水が流れるということになりますから、これはパリの大下水には及びもつきませんけれども、そういう方向都市をきれいにするという考え方を、ここではっきりと確立するような方向に調べていただきたいと思うのです。  これは何でもないんですよ。建設大臣が命令してそれを調査させて、これはこう行こうじゃないかということを言えばいいんです。一つの発想なんです。これはむろん、しゃくし定木でどれもこれもそうするのじゃございません。権限が違うんですから、その権限によって、閣内調整してやればいいのです。いわゆる用水などは、もう、とうてい用水の機能も何もないものがある。そうして、ものによればその上にコンクリートでふたをして使っている。無主物的なものだ。農業用水なんて、だれのものか、もう農業の組合なら組合はどこかへなくなってしまっている。用水路だけ残っている。無主物は国が見るのですから、きっと公共団体が見ているでしょう。結局だれかいれば、だれも見ません。とにかく維持管理ができないわけですよ。こうした農業用水並びに都市河川というものを、全国的に一つ一つお調べになって、それを握ったら、それに対する態度を都市問題として取り扱っていただきたいと思うのですが、建設大臣、その点どうですか。
  75. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 都市河川とは何ぞや、非常にむずかしいのです。それはやはり東京と大阪というようなところの都市河川、この都市河川というものをどういうふうに、まあ上のほうからきれいな水が流れるわけじゃないのだから、それは下水路にしなさいというようなこと。もう一つは、いなかの都市における都市河川、それはやはり考え方が違わなければならぬと思います。  私は田中さんとはちょっと意見が食い違うようなことになるか、気持ちが違うのか知れませんが、現実の問題は、大体この東京都のごときは、ほとんど河川らしい河川はない。それは都市河川と言っていますが、それを下水路に使う、こういうことは必要かと思いまするけれども、なるべく河川として残したいもの、残さなければならぬものは、やはり河川として残しておく。それは都市一つの資源として、非常に私は潤いを与えるものだと思うのです。一つの市街地に河川が通っておるということは、やはりたいへんに都市に対して潤いがあると私は思うから、なるべく河川として残したいところ、残すべきようなところはきれいにして、下水路は別につくる、こういうようなことでいくべきじゃないかと思いまするが、残念なことには、東京都のようなところはもうほとんど、上からきたない水が流れるものだから、河川らしい河川はございません。そういうところは、下水路に使わなければならぬと思っております。  しかし、これはいずれにいたしましても、今度の五カ年計画にいたしましても、中小河川、なかんずく都市河川に力を入れるということでございまするから、またあなたは農業関係河川のことをおっしゃいましたが、やはり、実情を十分把握していかなければならぬと思っております。しかし御案内のように、中小河川といっても、数からいけばどれだけあるかわかりません。私ども調査をいたしまするけれども、今度は少なくともこの五カ年計画では、皆さん方からほめられるように、実情をつかんでこの場に臨んで考えないと、全部そこをふさいでしまって道路でもつくれ、それは、そういうのにふさわしいところもあります、現に私も東京都でそういうところを見て、そこは公園にしておるというようなものもあります。が、やはり一がいにいかないと私は思うのですが、ひとつこの点は調査をいたしたいということだけは申し上げておきたいと思います。
  76. 田中一

    田中一君 そんな姿勢じゃ困りますよ。あなた知らないのです。なにも隅田川にふたをしようというのじゃないのですよ。そういうものが対象だといっているのじゃないです。農業用水でも、利根川にどんどん流れている水なんていうのは、逆にとめたらどうですかと言っているのです。きれいな水が流れ一また、いい桜並木でもあるようなものをやめろと言うのじゃない。そういうものじゃないのです。東京を一日歩いてごらんなさい。都市局長、君案内しなさいよ。これは、東京都の知事がだめだからなんて言っちゃいけませんよ。そんなことないですよ。あなたのほうで根本的な態度をきめるのです。  そういうものはたくさんある。たとえば大阪のいわゆる道頓堀その他の川というものは、あれはぼくより村尾君のほうが詳しいかもしらぬけれども、あれは道路と同じなんです。海運のためにつくったんです。同時にまた、城のためにつくった、何といいますか、築城のためにつくった、防衛のための堀なんです。同時に舟運のためにつくったんです。いま、大阪の堀を見てごらんなさい。きれいな水なんか流れていませんよ。どろどろですよ。あれも対象になるでしょう。しかし、東京の場合、その他中小の河川の場合は、もっと極端なものなんです。なにも、どれもこれも全部ふたをしろと言っているのじゃございません。都市下水路と同じ性格しかないものは、暗渠にしたらどうですかと言っているんですよ。ふたをしたらどうですか。悪臭も出ません。子供が落ちる心配もございません。暗渠の上にまさか家をつくる人もいません。そうしなければ、そこにいろんな物をつくるんです。いろんな物をほうるのです。それが都市災害、都市河川災害になるわけです。これはどこの町にもあるものなんですよ。どの町に云々と言うのじゃない。ケース・バイ・ケースで調べてごらんなさい。あなた御存じないんですよ。極端な例を言えば、自然な河川ですね、源流のある河川、これは農業用水のようにそのために水を導入しているのじゃなく、きれいな水が満々と流れております。しかしその流域にはもう水田がないんです。そういうものはよく調べられて的確にやったらどうかと、こう言っているわけなんです。  私は、かつて新潟の大地震のときに、さっそく来てくれと言ったから行きました。北村君の知事のとき、来てくれというから行ったのです。あそこの川端町というのですか、あそこにいい柳の堀割がありましたね。あれを全部つぶしなさい——あれも舟運のために、しいて言えば観光のために、しいて言えば芸者遊び、花柳界なんて言っていいか、ことばはちょっと悪いんですが、両方に花街があるということで一つのあれでしたが、いまはとてもそんなものじゃありません。したがってケース・バイ・ケース。都市の機能をほんとうに生かすためには、そうした異臭、悪臭を流すような川はふたをしなさい、完全なる都市下水として目的を変えなさい、こういうことを言っているのです。当然、都市というものは建設大臣の所管であります。同時にまた、河川そのものもあなたの所管のものなんです。それが、ああでもないこうでもないということじゃなくて、姿勢はいいけれども、あなたの知っている範囲だけのことで、調べもしないで答弁するのはいかんよ。だから、いま後段に言ったように、よく調べて、正しい用途に向かってこれを検討して、目的を変えていくということにやっていただきたいと思うのです。  もう時間がきましたからこれでやめますけれども、また機会があれば、都市問題その他についてももう少し伺いたい点がございます。いまは、もう五カ年計画改定期でありますから、都市河川の問題も大きく仕事をするのだといっているのならば、都市河川として仕事をするのじゃなくて、都市問題としてこの現象を扱っていただきたいと言っているのです。都市河川という範疇に入らないものは変えなさいと言っているのです。むろん予算も組みかえたらいいのであります。実施段階においてあるいは仕事をするには、ふたをするにも、都市河川といってふたをしても一向差しつかえありません。そういうことを申し上げているのです。農業用水等は、組合で持っている土地がたくさんあります。用水路があります。これらもお調べになって、的確な方法で、それを道路にするとか宅地にするとか方法があります、公園にするとか方法がありますから、そういうものは、まだまだ東京周辺並びに地方の、新都市計画法であなた方が市街化区域として指定した場所に、たくさんあるんだと言っているのです。そういうものがあったのでは困りますと言っているんです。御理解を願いたいと思います。この辺でやめますけれども、いまのことについては、もう一ぺん建設大臣から姿勢をひとつ言ってください。何も一々反発する必要はありませんよ。
  77. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いや、反発しているのじゃございませんでして、言い方は違っても、気持ちはあまり違わぬと思います。十分よくわかります。私も理解ができますし、またそういうふうにしていきたい。実情を把握するのが第一でございますから、十分検討して、そのようにしていきたいと思っております。  それから、ちょっとつけ加えさしていただきますが、御参考のために申しますが、先般田中さんから、いろいろ水を大事にせよという問題で、下水の処理水がどういうぐあいに使われておるか、と。ちょっといい例がありましたので御参考のために。  三河島の処理場でございます。これは私もちょっと記憶が明らかでなかったと思ったら、やはりこれで思い出しましたが、三河島の処理場は、現処理能力が一日に四十六万二千八百トンでございます。そのうちで工業用水供給している量は、一日に九万九千五百八十トンでございます。その値段は、基本料金として工業用水に使っているものは四円五十銭パートンでございます。したがって、四円五十銭ですから、約十万トンですから一日約四十五万円になります。おもに送っておるところは、東京瓦斯のクーリングウオーター、三菱製鋼、旭電化工業、こういうようなところで使っているようでございます。もう一つ、さいぜんあなたのおっしゃいました芝浦です。芝浦は、これは一部は新幹線の車両の洗浄用に使用しているようでございます。いま料金を調べましたが、わかりませんので、後ほどわかりましたらお知らせしたいと思います。それだけ、つけ加えさせていただきます。
  78. 田中一

    田中一君 これでやめます。機会があればもう少し時間を許してください。
  79. 沢田政治

    沢田政治君 ただいま田中委員から非常に詳細多岐にわたって質問されましたので、あまり重複しないように質問いたしたいと思っています。  今度の法律改正そのものの内容は、治山治水の第四次五カ年計画、これを今年の四十七年度発足するということでありまするから、法案の内容そのものはたいした問題はないと思いますが、行政の内容としては、相当重大な問題を多岐に内蔵していると思っています。そこでまず基本的にお聞きしたいことは、去年まで第三次の計画を行なってきたわけでございますが、これらの進捗状況並びに功罪ですね、どういう影響をしてきたのか、こういういままでの経過をやはり反省なり評価をして、最近のことばで言えば、いまわしいことばの一つになっているのですが、総括をして、そうしてどうやるのかという、こういう現状認識なりいままでの評価をお伺いしたいのですが、大臣いかがですか。
  80. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いままでの経過でございますから河川局長にひとつ……。
  81. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 昭和三十五年から治水事業の五カ年計画が発足いたしておるわけでございます。第一次の五カ年計画におきましては、三十五年から三十九年までの間に、事業費にいたしまして約四千三百億を実施いたしております。それから第二次五カ年計画は、四十年度から発足をいたしまして四十二年までの三年間でございますが、これにつきましての実施いたしました事業の額が四千七百四十億でございます。第三次の五カ年計画につきましては、一兆五千億の中で、四十六年、本年度は四年目を迎えておりますが、消化いたしました額が一兆六百億ということで、それぞれ五カ年計画でございますが、中には短縮をして切り上げたものもございますが、事業の規模としますれば、大方それぞれ達成あるいは計画に近い程度の進捗を見ておるわけでございます。これで第三次の四十六年までの大体実施額が、一兆九千億余りになろうかと思います。  それを内容的に見ますと、やはりちょうど高度経済の成長期にあたりまして、治水事業というものが決して十分じゃなかったと思います。また在来から、災害の非常に大きい大河川を中心にやってまいりました。したがって、そういった面では、今後もう少し中小河川と、きめのこまかい河川の行政が要るのじゃないか。特に最近の環境保全、こういった面から見ますと、都市の環境の問題で、河川事業もやはり環境の保全あるいは河川の河道の整備といいますか、そういった面でも今後は積極的に取り組んでいく必要があるのじゃないか。また一方では水資源でございますが、これも在来ともかなり努力はしてまいったわけでございますが、まだまだ十分ではございませんで、特に最近の都市水需要等からみますと、格段の促進をはかる必要があるのじゃないかというように反省をしておる次第でございます。
  82. 沢田政治

    沢田政治君 治山についても、同じようないままでの経過、実績、総括、こういうものを評価を聞きたいわけですが、それは必要ありません。特に治山の場合には、おもに林野庁の所管等もあるので、これは農林水産委員会等で聞けばいいと思いますが、しかしこの治山と治水、山と水、これは不離一体なわけです。そういうことで、この功罪を聞く必要ないというのは、やはり国有林ですね、林野庁、これは一面においては公共性というものが主張されておるわけです、義務を課せられておるわけです。一面においては、企業性というものをまた負荷されておるわけですね。そういう面からいって、特に企業性に傾いているのではないか、そうならざるを得ない一つの行政の仕組みなり、課題というものを持っているのじゃないかと思うのです。特に最近、外材が相当入ってきておる。国内需要のおそらく五〇%を、外材の占める地位というものは越したのではないかと思うのです。そうなると、材木の原価が下がる。そうなると収入が減る。そこで独立採算的にいうと赤字黒字で、特に二百五十億の赤字ですか、こういうものが出ておる現況である。そこで、何といってもその赤字を埋めるためには、営利採算の方向に重点を志向して木を切らなければならぬ、こういうことになると思うのです。  そこで私は、治水という問題と非常に関係してくると思います。そこで、この治水と関係するから、私あえてここで聞くわけですが、林野、特に国有林ですね、これは私有林を含めて山を管理しているのは林野庁でありますから、ひとつ国有林というものの存在、林野庁というものの存在を、この際評価を見詰め直す時期にきたのではないか、こういうふうに考えるわけです。どうしてもいまの仕組みでいくと採算制、赤字黒字、こういうところにぶつかるわけですから、そうじゃなくて、思い切って公益性というものを重点にすべきじゃないか、こういうふうに考えています。  最近の高度成長によってそれぞれ生活水準なり技術革新なり、あるいは文化的な生活が向上しておるわけですが、その反面において、水、空気、大洋、そういう資源というものが非常によごされていく。これはゆゆしい問題だと思うのですね。そういうことでありますから、国有林の存在というもの、林野庁の存在というものは、やはり次の世代のために環境を保全する、緑を守っていく、こういうところに私は評価のしかたをするならば、年間二百五十億円や三百億円の赤字を出したとしても、国民が許容すると思うのです。いまの国有林のあり方でいくと、これはどんどん黒字にするために木を切らざるを得ない。あるいはまた、環境保全問題も忘れたわけじゃないけれども、採算制度という一つ目的からいって、木を切らざるを得ない。そうすると、環境庁との問題も起こってくるということが随所に出てきておるわけですね。そういうことでありますから、思い切って国有林は、木材を供給する、そうして採算を保持する、こういうことをもう脱却すべき時期にきたのじゃないかと思っています。これはひとつ林野庁からもお聞きしたいわけですが、何せやっぱり大蔵省のお考えも影響すると思うんですね。そういうことですから、大蔵省と林野庁のほうからお聞きしたいと思うのです、率直にですね。
  83. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話しございましたように、従来の国有林事業というものが、御指摘のように、国土の保全とか、水資源あるいは環境整備あるいは保全というふうな公益的機能の充実という面と、木材の安定的供給という二面を持っておったと思うわけでございます。ただいま御指摘ございましたように、緑の価値観というようなものが、非常に急激に変わってまいりつつございます。したがって私ども、そういう世論あるいは要請というものをつかまえまして、新しい施業方針というようなものを現在編成いたしておるところでございます。こういたしますことによって、従来からございました保護林とか、あるいは都市近辺には自然休養林もつくっておりますけれども、そういうもの等、あるいは保安林制度もございますが、こういう安全、休養という面のうち、保安林の整備を拡張するとかいうようなこと等をはかりながら、そういう世論にこたえてまいりたい、かように考えておるわけでございます。ただ私ども、おっしゃったように天然林というものも非常に重要でございますので、なるべく天然林を残すような、そしてまた間伐いたしますにいたしましても、非常に面積を小さくするとか、分散するとか、あるいはこの周辺には保護地帯を残すとかいうようなことで、きめのこまかい施業方針を従来以上に充実してまいって、ただいまお話ございました将来のビジョンというようなものを展開すべく、現在検討いたしておるわけでございます。  なお、御承知かと思いますが、国有林問題等につきましては、御承知のとおりの赤字も出てまいっておりますが、そういうものを踏まえまして、抜本改正というようなことを現在、鋭意検討いたしているところでございます。
  84. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 国有林野事業が、林産物を供給するという機能を果たしておりますほかに、国土保全とか自然環境とか、そういうような公益的機能を有することはもちろんでございます。ただ、国がこういう事業を膨大な面積を擁してやっているということになりますときには、やはりその林産物供給という面だけでなくて、公益機能も一緒に、一体となった特別会計として経理をまかなっていくということが必要になってくるのではないかということで、どうも公益的な機能だけを切り離しての議論をするということはどうかという気がいたします。しかしながら、実際問題として、ことしのように非常に経営が悪化いたしますときに、それをこのままに放置しておきますと、なかなか治山等の事業もできないということで、本年度は、従来の十大領域をさらに広げまして、そして二十二億円という従来の治山事業の規模を六十六億円にして、それを一般会計のほうから財源を見るというようなことをいたしておるわけでございます。  で、実際問題として四十六年度に二百億、四十七年度に百億の赤字が出るという現在の国有林野事業の実態からいいまして、抜本的な経営改善ということを講じない限りは、なかなかこれから運営がうまくいかない。そういうようなことで、公益機能の問題も含めて、現在林政審議会等で抜本策も検討中でございます。そういう意を受けまして、大蔵省も国有林野事業のあり方というものをこれから検討してまいりたいと考えております。
  85. 沢田政治

    沢田政治君 また環境庁のほうからもお聞きしますが、どだい、いまのようにテンポの早い時代に、商品がたくさんあるわけですが、森林とか木材、こういうのは商品としてでき上がるには、その種類にもよりますけれども、大体五十年ぐらいたたなければ商品にならないわけですね。しかも、相当早い速度で経済なり社会というものが変遷していくという、貨幣価値も変遷していく、物の価値もどんどん変わっていく、こういう時代には、商品として見詰め、企業として見詰める場合にはどうかなという時代に、特に、森林資源の場合は減っているんですね。これは私有林を持っている方もございますけれども、これはまあ幸いにして五、六十年前、二、三代前の祖先が植えてくれたから商品になっているので、将来の利潤のために山を持って植えてやるという人は、少なくなると思うのですね。そういう面からいって、やはり一面においてはこの企業性というものを全然度外視せよというわけではありませんが、どうしても公共性の方向にウエートというものを強く置きかえていく必要があるのじゃないか、こういうふうに考えているわけです。したがって、いまの採算制の特別会計から、ほんとうに緑を守る、こういう方向に関する保安林とか治山治水、こういうものについては一般会計でこれを見ていく、こういう方向予算の内容そのものを変えていく必要があるのではないか、こういうように考えておるわけです。  先ほど経済企画庁のほうですか、五千億トン海に水が流れておる、その一〇%ぐらいを利用しておる、こう言っておるわけですが、まあそのとおりでしょう。しかし、これは森とか林とか、木があるかちコンスタントに五千億トン流れるわけですよ。かりにまた木がなくても、これは五千億トン雨が降ると、その雨水が流れるかもしれません。しかしそれは使えませんね、一挙に流れるわけですから。コンスタントにまいらないわけですから。そういう面で、やはり大蔵省のほうでも、環境の保全とか、空気等も緑が空気の供給源ですから、そういう面で公共性というものを相当見詰めていくべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。この点については非常に現場の林野庁の方々も、ゆゆしい問題だ、一面においては公共性をいわれるので、これはやはり治山上悪いな、治水上悪いなと思っても切らざるを得ないという窮状を、現場の方々が訴えているわけです、これは管理者といわれる方々が。そういうことだから、重ねて大蔵省のほうから御所見をお伺いしたいと思うのです。
  86. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 確かに、国有林野事業にそういう公益性が与えられていることは事実でございまして、最近は、自然保護という面から採伐を制限するとかという、伐採方法の改善等を現在行なっているわけです。そういう点で、確かに御指摘のように、そのとおりだと思いますけれども、他方、いまの国有林特会の赤字というものが、そういう公益性があるから赤字になったというだけではなくて、むしろ、木材価格の低落という面もありますが、やはり人件費が、全体の五五%をこえるというような体質にも根ざしているわけです。そういうことで、この際、その辺のところも全部あわせまして根本的に再検討したいということで、現在、国有林野経営の中身を検討している段階でございます。
  87. 沢田政治

    沢田政治君 人件費が、しからば国有林に働く方々は膨大に高いかといいますと、これは地場賃金とちょぼちょぼであって、生活保護対象者より低いということが例外としてあるわけですよ。しかしそれはここで議論しません。大蔵省、けっこうです。  そこで環境庁、やはり環境を保全するという環境庁ですから、環境庁の面からも、そういう保安林はもちろんのこと、これは治山治水ですから一自然の風致を守る、こういう意味から相当林野庁と話し合って、自然を残す、自然というのは十年や二十年で取り返せませんから。そういう面についてどう考えているかということです。
  88. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 先生のお話のとおり、国有林野は現在の国立公園あるいは国定公園、そういったようなものが非常に大きな部分を占めております。したがいまして、そういうところの森林を守っていくということが、こういう風致景観にすぐれた地域の、一つの重要な問題であることは申すまでもないことでございます。そういうような観点から、従来から自然公園法の運用におきまして、その守るべき森林について、十分林野庁との間において話し合いを続けておりまして、これは具体的に申し上げますと、特別保護地区の設定でありますとか、あるいは特別地域の中に第一種、第二種、第三種の特別地域の区分を設けまして、それぞれについて、施業の面についての必要な制限についてお話し合いをしておるわけでございます。先ほども林野庁のほうからお話がございましたが、その施業方針というものも、私どもも従来から、さらに自然保護面にウエートを置いた形でやっていただきたいということを言っておりまして、今回また、そういうような面からも施業方針を、さらに自然保護にウエートを置いた方向に改めるような案を考えておられるというふうに聞いておるわけでございます。私どもは自然保護の見地から、今後とも国有林の伐採問題につきましては、十分私どもとして自然保護の観点から意見を申し上げ、十分に調整をとってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  89. 沢田政治

    沢田政治君 治山治水、特に治水というのは、これは非常に昔の治水といまの治水と概念が違うと思うんですね。果たされている意味も違うと思うのです。かつて治水ということは、洪水を防止する、水を制御する、こういうのが治水であったわけですが、最近は、利水とか、いろいろな河川、水に課せられておる意味というのは、非常に多様化しておると思うのですね。だから、分水嶺から海に無事に送り届ければいいということだけじゃないのです。水質も非常に重要な問題だと思うのです。  これに関連して、沖繩国会と称される昨年末の予算委員会で私が質問した記憶がありますが、特に農林大臣と環境庁長官にお伺いしたわけですが、今日、国有林が、やはりこれも合理化の一環として人件費が高い、こういうことで、いままでは小さい苗の雑草を取り除くために人力で行なっておったわけですが、大量にヘリコプターで薬剤を散布する。これが非常に地域住民の争いになって、どこか裁判も起こった例も聞いておりますし、非常に問題を起こしておることは事実です。そういうことで質問したわけですが、その際に農林大臣と環境庁長官が、これを使用させないようにする、こういう御答弁をいただいたように私としては理解しているわけです。ところがその後、全林野の組合と交渉した結果、あれはそう言ったのだけれども、まあまあそうばかりではないとか、すべった、ころんだ、言を二つに使い分けておるようですが、そうなると、私は非常に当時の約束と違うと思うのです、これは。議事録にもはっきり残っていますしね。だから、きょう大臣、長官に来ていただくというわけでしたが、衆議院の予算委員会の分科会に出ておるそうですから御無理と思いますので、責任を持って答弁できる方ならば、大臣が出なくてもよろしいだろうというように私も許諾したわけですが、重ねてその御所見をお伺したいと思うのです。両方、林野庁と環境庁のほうからお願いします。
  90. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先般の沖繩国会で御質問がございました、農林大臣、それから環境庁長官からお答えしたわけでございますが、そのときの環境庁長官のお答えは、現在林野庁におきまして、害虫の駆除のために空中散布によりまして薬剤をまいておりますけれども、この薬剤は、従来からまいていた薬剤でございますけれども、二四五TとBHC、それからクロレートソーダ、三種類がおもなものかと思います。  二四五Tにつきましては、御質問の中でも、いろいろ催奇性の問題があるかどうかという御質問でございましたが、これは林野庁とも相談いたしまして、すでに使用の中止をいたしておりまして、今後使用させるということは、環境庁といたしましても、また林野庁といたしましても考えておらないわけでございます。  それからBHCでございますけれども、BHCにつきましては、昨年の四月まではいろいろ農業用並びに林業用に使われておりましたのを、昨年の四月以降は、林業用に限りましてこれを認めるということで実施をいたしておったのでございます。その後さらに私ども、林野庁とも御相談をいたしまして、昨年の末でございますが、BHCにつきましては、販売の禁止の省令、農林省令でございますけれども、これは御相談の上、出していただきまして、十一月三十日に省令を出し、十二月三十日から公布をするということにいたしまして、BHCの全面的な販売の禁止をいたしております。それからBHCにつきましては、農薬の登録が従来ございましたけれども、これは全部、農林省の御指導によりまして、登録を取り下げるということにしていただきまして、現在BHCの登録はないわけでございます。また従来、BHCにつきましては、指定農薬としまして、林業のみ、特定の使用方法によりまして使用を認めておったのでございますけれども、この政令を改正いたしまして、十二月十日に公布、十二月三十日施行ということで、全面的にわが国からBHCの使用を除くというような措置をいたしたわけでございます。  残りのクロレートソーダでございますが、これにつきましては、従来からいろいろ御議論がございましたけれども、私どもは厚生省等からいろいろ聞いておりますところによりますと、いろいろ安全な使用方法を講ずれば、人畜に対しまする影響はほとんどないという報告を得ておりますので、現在、林野庁に対しましては、厳重な使用方法を守るように、そういうふうな安全性を確保した上で使用するようにということを、要請をいたしておるというのが現状でございます。
  91. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) ただいま環境庁のほうからお答えございましたとおりでございまして、私ども現在空中散布で使っておりますのは、塩素酸塩類を主成分とする除草剤でございます。この点につきましては、お話しございましたように、非常に使用の厳重な、あるいは慎重な散布をする場合は無害であるというふうないろいろデータがございまして、それらをもとにいたしまして、現在、主としてこれを使っておるものでございます。御説明がございましたように、BHCあるいはDDT、二四五T等は、全面的に使用を禁止いたしておるところでございます。
  92. 沢田政治

    沢田政治君 現在禁止したのは、それでけっこうです。残されている、散布しておるものは、使用方法といいますか、散布方法といいますか、そういう方法によって無害だというデータがあるわけです。だからこれは継続するのだということが、結論としてはなると思うのです、しかし、それは絶対ですか。絶対と言い切れますか。たとえば厚生省のデータとか言っているのだけれども、私はあまり信用できないと思うのです。一〇〇%疑っているわけじゃないけれども、一〇〇%信用もできないと思うのです。たとえば、厚生省が認可した公認の薬でさえも、スモン病であるとか、サリドマイド児を出しているでしょう。人体に、何というか臨床実験したやつですよ。それを、どういうデータをとってやっているかわかりませんが、特に事公害に関し人命に関する問題については、データがどうこうじゃない。一〇〇%これは絶対だという以外は、しかも国が使うべきではないと思うのですよ。どう思いますか。これは大臣でなくちゃ答弁できないと思うけれども、これは使うべきではないと思うのですよ。一〇〇%、絶対もう経験上だいじょうぶとなったならば別ですよ。もっと試験なんかして、こういう地域住民が不安を感じ、まだ未知の不安が残っているものについては、使用を禁ずべきだと思いますがどうですか。
  93. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 私ども承知しておりますのは、やはりクロレ塩素酸塩ですか、クロレートソーダといわれておりますが、これは主として急性毒性の面において問題があると思います。いろいろ散布のときには注意するということと、さらに安全をとりまして、除草剤を散布した後、二週間程度でございますか、家畜等が入ってこないようにというような、そういう注意はして散布が行なわれたというふうに私どもは聞いておるわけでございます。もちろん、現在私どもは厚生省のほうから、こういうような使用方法を守れば人畜について害がないというように聞いておりますが、お話しのとおり、新しい治験等がわかりまして、これはやはりそういうような農薬等に使うべきではないということが明らかになれば、私どもは、そういうことに対処いたしまして、使用禁止の措置等もとりたいと思っておりますけれども、現状においてはそれほど、そういうような措置まで講ずる必要は必ずしもないと、実は考えておる次第でございます。
  94. 沢田政治

    沢田政治君 これは水掛け論になりますので別の機会に、農林水産委ででも質問したいと思います。きょうはその本旨じゃありませんから、その面については一応切っておきます。  そこで、治山治水の問題に入るわけですが、一次が終わって二次、三次、四次と出ているわけですが、これは惰性でやっておるわけじゃないと思うのです。ある程度の長期構想に基づいて、治山治水のあるべき姿に基づいて、一つの構想を持ってやっておることだと思いますが、たとえば昭和五十五年なら五十五年、六十年なら六十年、どういうような長期構想に基づいて第四次治山治水の計画がなされたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 治水関係五カ年計画考え方でございますが、私どもといたしましては、昭和六十年を目途にいたしまして、ある程度日本の治水事業を安定して、よほどの大災害のない限りは、洪水のはんらんによる被害というものをほぼ防御してなくするというような、長期的な目標を一応立てておるわけでございまして、しかし最近の都市環境その他を見ますと、どうしても都市周辺、こういったところはかなり手当てを急ぐのじゃないかというようなことで、新しい都市計画法ができましたときにも、十カ年くらいで都市施設を整備する、こういうような目標が掲げられております。  で、都市関係につきましては、できるだけ河川都市計画の施設に組み入れまして、おおむね十カ年くらいでそういった目標を達するように努力をいたしたい。それから水資源関係につきましては、これは現在非常に逼迫をいたしておりますし、今後も需要増大をいたしまして、現在、供給があとから追っかけておるというような実情でございますので、これも、できれば五十五年程度には安定するような方向に努力をいたしたいというようなのが、大筋の計画でございます。  そういった点から見ますと、現在のたとえば中小河川等でございますと、進捗率で言いますと一五%ぐらいでございます。砂防等も大体同じような進捗の状況でございますが、これを、第四次の五カ年計画の終了時点では、それぞれ二五%程度に上げたいというような目標を持って、五カ年計画の案を策定いたしておるわけでございます。
  96. 沢田政治

    沢田政治君 どうもこれで万全だと、こう言えないと思うのですね、いまの計画の行き方、進行速度を見ておって。これはすべての行政について、これを百点満点だということはないと思うのですけれども、事、人命とか財産に関する問題ですから、やはり現状認識なり、将来のあるべき姿とか、努力目標というものを明らかにしておく必要があると思うのです。  そういうために聞くわけですが、たとえば、日本のはんらん区域は全国土の一〇%ですか、約三万六千平方キロくらいであって、ここが洪水防御の対象地域であるわけですね。昭和四十年から四十五年までの五年間において、はんらん区域内の人口は約五千万人であった。これが五千四百万人と、四百万人の増加が見込まれる、こういうように言われておるわけです。そうして、各種の資産も非常に集中して、約五十八兆円から百兆円に増加していると、こういうように推定されるわけです。これに対して洪水の危険、はんらん区域内の治水の費用の伸びは、資産が年平均一八%の伸びをしておるにもかかわらず、治水の粗資産の伸びが一四%であって、したがって、年ごとに両者の開きが四%ずつ逆に拡大されていく。したがって、治水の備えというのは、こういう数字から見る限りにおいては、年々弱まっていくじゃないか。それに比例して被害額がふえていくじゃないか。こういうものの見方も、見方としては成り立つわけですね。特に今年の要求予算の決定額を見ますと、その感をいなめないわけです。建設省の長期構想と比べて見て、これでやはり万全だと思っていますか。自信ありますかね。どうですか。
  97. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先生のお話のように。最近非常に、国民生産等から見ますと、どんどんそういったものは伸びておるわけでございますが、それに対して、確かに治水事業伸びというのは、非常に低い率で最近まできたわけでございます。そういった点で、はたして、それでは国民生産あるいは経済成長、こういったものと治水とが必ず比例すべきかどうかという点につきましては、これはいろいろ議論があろうかと思います。要は、やはり地域開発、経済発展におくれないように、治水事業を早くいかに促進するかということに尽きようかと思いますが、そういった点では、私どもが長期的に試算をいたしました構想では、約三十六兆ぐらいになるのじゃないかということでございます。これにつきましては、建設省全体で、六十年までのいろいろ長期計画の検討を現在いたしておりますので、多少またそういった点では内容の変更があろうかと思いますが、それを見ますと、現在までに投資しておる額というのはきわめて微々たるものでございますので、非常に完成がおぼつかないのじゃないかという点も、確かに御指摘のとおりかと思いまけれども、しかし、今回の四次五カ年計画の規模は、第三次の規模からいたしまして、ちょうど倍になっておるわけであります。ことし四十七年を初年度として見ますと、大体平均伸び率で二一%くらいの伸びになろうかと思います。そういった点では、経済の成長等もかなり過去は順調でございましたが、今後は、いろいろ紆余曲折もあろうかと思いますし、そういった点では二一%の事業伸びというのは、かなりのものではないかという気もいたしますので、必ずしも私どもも満足はいたしておりませんけれども、第三次に比べてかなりの量の治水事業が消化できるのじゃないかという点では期待をしておるわけでございまして、できるだけ効率的に、これをむしろ運用の面でカバーをしていきたいと考えておる次第でございます。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  98. 沢田政治

    沢田政治君 最近、何というか、本河川といいますか、一級河川とかそういう本河川のはんらんは、絶無とは言えないにしても、伊勢湾台風、さらには富山、新潟等もありますけれども、あまり顕著じゃなくなりましたね。ところが、それに逆比例して、本流のほうがある程度治水が、ある程度ですね、よくなっておる、その反面において、都市河川、さらには中小河川、こういうもののはんらんが、非常に件数として多くなっているわけですね。その傾向は、建設省としてもこれは認めておるようですが、こういう方向にやはり重点を置いていかなくちゃいかぬと思うのです。  これは、道路と同じですね。高速道路ができて、非常に快適になるけれども、これは産業効率の面からいってそうなるかもわからぬが、一般の市町村道は非常に悪くなって、交通事故が起きておる。こういうことと非常に似ておると思うのです。特に都市河川も、先ほど田中議員が聞きましたように、非常にたいへんな状況だ、憂慮すべき状況だと、こういうようになっているわけですが、大体、時間当たりの降雨量が三十ミリあるいは五十ミリ、まあ百ミリということもあるでしょうが、どれを想定して、そういう中小河川なりあるいは都市河川、特に都市河川の対策をしておるのか。三十ミリの場合、あるいは五十ミリの場合、どういうような被害——被害というか被災、人的な問題、どういう想定を持っておるのか。一応の想定があると思いますから、この際お聞かせ願いたいと思うのです。
  99. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 都市河川と申しましても、やはり一級河川の幹線が都市部を流れておるというような場合もございますので、都市河川それぞれにつきましても、安全率というのはその河川の規模によって変えております。たとえば大河川でございますと、これは一たびはんらんをいたしますと、首都とか、あるいは阪神間を壊滅に近い状態に持ってまいりますので、できるだけ安全度を高めたいということで、大河川につきましては、これは二百年に一度というような洪水を対象にしておる。それと少しランクの低い一級河川等につきましては、百分の一というような確率の安全度で実施をいたしております。その他の一般の都市河川につきましては、それぞれ河川の持っております流域の規模等によっても異なりますが、都市部では、大体時間雨量五十ミリぐらいの雨に対して支障のないような計画で、五十五年までにこういったものを完成したいというようなことで、先生のお話のように、一級河川でも特に大河川等につきましては、これは改修も古い歴史を持っておりますのでかなり進んでおりますが、先ほど言ったような基本的な方針で、やはり着実に安全度を上げていきたいと思います。  しかし、何といいましても最近は、地域開発あるいはこれにまた集中豪雨が加わりまして、非常に地区地区の災害がふえておるわけです。こういった点では、中小河川をできるだけ促進する必要があるというようなことで、大まかに言いまして河川の改修費を直轄と補助に分けますと、大体、補助というのは中小河川が中心でございまして、四十五年までは直轄事業の改修費のほうが多かったわけでございますが、大臣からの御指示もございまして、できるだけ中小河川、補助河川にひとつ力を入れるというようなことで、四十六年からこの比率を逆転をさせておるわけでございまして、同じような趣旨で今回の第四次五カ年計画の内容等も検討して作成をしたいと、こういうように考えております。  なお、何ミリになるとどのくらいはんらんが違うのかというようなことにつきましては、ちょっと手元にそういった検討した資料がございません。これは、非常にいろいろはんらんの場合のケースがございますので、想定のしかたによっても資料がまた違ってこようかと思いますが、概略の見当等については、また機会があれば資料等で御説明を申し上げたいと思います。
  100. 沢田政治

    沢田政治君 これは建設省で、四十五年ですか、都市河川水害危険区域調査というのを行なっているわけですね。それによりますと、これは皆さんのほうの調査ですからね、たとえば毎時間五十ミリの降雨では、面積で一一・四%、人口で一一・五%、つまり全市街化区域の八百四市町村調査のようですが、六百六十八万人が床上浸水をする、こういう調査、これは正確であるかどうかは別ですよ、こういうことになっている。そうして想定被害額二千五百億円、こういうことになっているわけですね。そういうことですから、私これをあえて聞くのは、なぜ都市河川河川法適用の河川としないかというわけですね。これはもう、同じ中小河川でも、都市における、特に市街化区域内における中小河川の与える影響というのは、これは全然違うわけですね。そういうことだから、これを河川法適用の河川として治水事業を行なう必要があるじゃないか、なぜやらぬかと。これは要求はしたと思うのですね、そういう意向は持っておるようですね。これは、将来もその意向は持っておるでしょう。どうですか。
  101. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私ども予算上いろいろ取りまとめをいたします上に都市河川と申しておりますのは、これはいずれも河川法上の河川に指定をした河川でございまして、その中で、市街化区域あるいは十年以内に市街化しそうな区域、こういったものを対象にしまして、できるだけそういったグループの事業の促進をはかるという姿勢をとっておるわけでございます。  そのほかに、今回河川法の改正をお願いをいたしておりますが、それにつながるような都市部の小さい末端河川でございますが、そういったものも、管理を円滑に行なうために、重要河川等の制度を適用をいたしまして、河川の適正な管理を行ないたいということでございますが、もし改修を必要とするこういったような河川につきましては、やはり積極的に河川法の河川に取り込みまして事業をやっていくというようなことで、年間かなりの河川新規に指定をしておるわけでございます。ただし、先ほど田中先生からいろいろお話しがございましたような、非常にまあ下水路化したものとか、そういったものについては、これはまた別の考え方で検討をする必要があるのじゃないかという感じがいたします。
  102. 沢田政治

    沢田政治君 都市における河川は何でも河川法上の河川として扱って管理しろ、ということを言っておるのじゃないのです。これは田中委員が言ったとおりです。ただ与える影響が、水量がどうとかこうとかじゃなく、非常に影響が大きい。これはいい場合と悪い場合とありますから、特に管理上、非常に被害を及ぼす、影響がある、こういう面については、水域の長さがどうとか、流量がどうとかこうとかじゃなく、やはり管理を的確にするという意味から、この扱いを法定河川にすべきだということを主張しているわけですね。この点については、去年の七月ですか、都市河川小委員会中間報告でも、非常にはっきり明確にしていますね、報告していますね。したがってこれはやはり実現すべきだと思うのですが、今度の河川法の改正の際、その点が見送られているように——まだ出ていませんが、どうですか、これは見送った理由は何ですか。政府委員川崎精一君) ただいま先生のおっしゃっているのは、都市河川の補助制度をしいておる河川でございますか——。  これはやはり根本的には治水事業の投資ワクが少ない。で、在来から当然、市等においても単独で施行しておって、そのために費用の負担がかかるというようなところにつきまして、何とか補助してもらえないか、こういうような話がございまして、それじゃ国と県とで三分の一ずつ持ちましょうというようなことで、いわゆる河川法上の補助制度ではございませんが、できるだけ応援したいというようなことで、そういったものを大蔵省とも話し合いましてつくったわけでございます。しかし、これはやはり地方の財政上の問題等もございますので、そういったものを普通の市町村に適用して、かえって負担が増加するというようなことも考えられますので、現在では、指定市から若干拡大いたしておりますが、人口五十万程度都市で、財政力もある、管理能力もかなりあるというようなところには、その制度でひとつ促進をいたしましょうということでございます。したがって、いずれも河川管理の体系は、やはりこれは府県知事が管理をする河川法上の河川になっておるわけでございます。  われわれといたしましては、そういったもの以外の都市河川等につきましては、むしろ河川法の河川に取り込んで、積極的に河川法上のルールに従った改修もあわせて促進をしていきたいと考えておりますが、大都市部につきましては、いま言ったような補助制度をやっておるものですから、それを何かひとつ法制化できないかということにつきましては検討をしておるわけなんですが、これは先ほど申し上げましたように、河川法上の負担の制度と若干異なったところからスタートしておるということ、それからそういった河川に指定しました上は、やはり水系一貫といいますか、河川は国あるいは府県知事が管理をすることになっておりますので、それに市町村管理をどういうようにかみ合わせるかというような点で、いろいろ各省とも協議をいたしましたが、意見がまとまりませんでしたので、今回の改正では見送っておるという実情でございます。
  103. 沢田政治

    沢田政治君 補助事業は指定都市からワクを拡大する傾向が出ておる、それはけっこうだと思うんです。が、しかし、非常に人口の密集地帯で、本来の河川法からいえば、河川としてはどうかと思う河川もあると思いますが、やはりその及ぼす影響ということを考えて、将来は河川法上の対象河川に組み入れていくということに、今後は努力をすべきじゃないか、こういうように考えております。  それで、もう一つ、急傾斜地ですね。水ばかりじゃありません、土石流の流出によって崩壊というか、非常に被害を受けることもあるので、したがって今回の第四次治水五カ年計画に、急傾斜地の崩壊、土石流の流出、こういう関連をどういうふうに位置づけされておるか、こういうことです。それは、もっと具体的にいうと、治山治水緊急措置法の第二条に、治水事業とは何々である、こういうふうにありますが、この中に明定がされてないと思うのですね、急傾斜地の崩壊の場合が。なぜはっきりあの中に明定しないのか、非常に疑問を感じるわけですよ。これはどういう理由ですか。
  104. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 国土保全とか災害の防止とか、こういった意味では急傾斜地の崩壊防止の対策事業も治水事業も同じ趣旨であろうかと思います。ただ、急傾斜地のこの法律をつくりますときの趣旨からいきますと、これは非常に局地的な急傾斜地の崩壊によって人命等が失われるということに対しまして、何らかの対策を立てなくちゃいけないということから、この法律ができたわけでございます。したがって、そういった事業も一般会計で経理をいたしておるわけでございます。  緊急措置法の治水事業等につきましては、これはやはり水系を一貫しまして、河川ダム、砂防といったような事業を起こすことによって、公利の増進あるいは公害の除去、軽減というようなことを、いわゆる河川事業の趣旨に従ってやっておりますので、急傾斜地の崩壊防止の法律ができました趣旨とは多少違うわけでございます。なおこの緊急措置法は、この法律によって、治水特別会計等の経理の根拠にこの法律がなっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、急傾斜地は一般会計でこれをまかなっておるというのが現状でございまして、まあ、入れてなぜ悪いかということになりますと、いろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、現在はそういうことで、別に経理をいたしておる次第でございます。
  105. 沢田政治

    沢田政治君 第二条に地すべり等防止法が入っているわけですね、対象地域として。地すべりと急傾斜地の崩壊は、地すべりよりも急傾斜地の崩壊のほうが大きいかもしれないんですよ、事実上。その場合場合によってですけれども。一般的には、地すべりの場合は非常に広い層で、急傾斜地の場合は、これと比較して非常に軽微だという  ことが言えると思うのですけれども、ケースによって違うと思うのですね。だから、これを入れて何が悪いという根拠はないと、いみじくも言っておりますけれども、これもひとつ研究してもらいたいと思うのです。いま、どうこうという確答を求めるわけじゃありませんがね。  次に地盤沈下です。これも治水上非常に大きい問題だと思うのです。特に大都市あるいは工業地域振興都市、それから新産都市、こういうところに非常に率にしても多いようです、地盤沈下が。その理由にはいろいろあるでしょうが、特に地下水のくみ上げが非常に決定的な原因だと、これは自他ともにいわれておるわけですね。したがって、これを規制できぬものかと思うのです。水の場合でも、先ほど田中委員が、非常に各官庁にばらばらになっておる、こういうことじゃいかぬじゃないか、事、水に関しては一貫行政を行なうべきじゃないか、こういう意味のことを指摘しておるわけですが、特に私もこういう感をいなめないわけです。特に、地下水をくみ上げる、これは工業用水に使う場合には工業用水法ですか、通産省がおやりになるわけですね。これは使うほうですね。下がるほうまでは関係がないわけですよね。だけれども、水を一貫管理する、治水を一貫行政するということになると、やはり工業用水という観点よりも、むしろ治水という行政分野からこれを規制しなくちゃいかぬわけですね。そういう意味からいって、やはり地下水をくみ上げることを規制して地盤沈下を防止するためには、地下水法とかいうような規制法をつくって、これを規制しなくちゃならぬ段階にきたのじゃないかと思うのです。もちろん、工業用水をかわりに設備して、それに肩がわりさせるということも目下しているようですけれども、何しろ値段が違うでしょう。どうしても地下水のほうが安い。こういうことで、地下水が多く使われている傾向が非常に多いようです。そういうことですから、そういうような立法を必要と考えるかどうか、この点についてはいかがですか。大臣どう思いますか。地下水の問題です、地盤沈下。
  106. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 仰せのとおり、やはり原因は地下水を取るために、水の利用のために、そしてそれによって地盤沈下というものが起こるのでございまするから、建設省としても最も関心を持たなければなりませんが、いまの制度といたしましては、それぞれの分野に分かれておるわけでございます。したがいまして、これはまあ統一する、と。いろいろな面からこの地下水のために地盤沈下が起こっております。これらにつきましても、工業用水あるいは飲料水それぞれの規制はありますけれども、やはり規制がまだ十分でない、統一がとれていない、こういうことはあなたのおっしゃるとおりでございます。しかし、ますますこれがひどくなることにつきましては、これはぜひその是正をしなければならぬ問題でございまするから、今後十分に検討してまいりたいと、かように思っておるような次第でございます。
  107. 沢田政治

    沢田政治君 これは、まあその答弁でけっこうですが、即答を求めるのではなく、これ以上大都市の地盤が沈下するということは、六十九年周期とか、関東大震災説もあるように、やはり不測の大事になると思うのですね。そういうことだから、大臣が言われるように、工業用水分野工業用水法で言われているので、分野が違うと思うのですが、やはり人命を守るという意味から、治水という大局的な見地から、何かこれは規制しなくちゃならぬと思うのですね。地下水規制法というか、私はそういう仮称でもいいから、これをひとつ研究課題として、将来研究してもらいたいと思うのですね。ここで即答してもらって、どうとかこうとかいう問題じゃないから、これはたいへんな問題だと思いますから、ひとつ研究課題として要望しておきます。  それから河川敷、特に都市河川敷ですね。これもまあ次官通達とか何か出して、一つの基準を設けておるようですね。公共のためということを五項目ぐらい出しておると思いますが、しかし、まだ過去の権利といいますか、そういう関係から、ゴルフ場ですね、ゴルフも公共かといいますと、大衆の利便かと申しますと、そうでもないと思うのです。やはり、やる人は限られていると思うのです。ゴルフの愛好者はふえておるそうですけれども。しかし、これはやはり児童が遊ぶとか、緑地とか、一般大衆がだれでも、平均的な大衆の利便に供されるものとはちょっと違うと思うのですね。こういうものはやはり早く回収をして、一般の公共の用にさせる、こういうことは非常に必要じゃないかと思うのですね。まあ今度都市公園に関する法律も出てくるようですが、しかし大都市にどんどん人口が密集してくると、土地事情が悪いと、そうふんだんに、都市公園の立地があるわけじゃないと思うのです。そういう意味で、やはり河川敷というものは非常にこれは脚光を浴びてくる、注目をされると思うのです。そういうことだから、いまどれぐらい営利あるいはゴルフの、特定の人に貸しておるものがどれだけあるのか、もしお調べがあったなら、この際明らかにしてほしいと思うのです。
  108. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 河川敷につきましては、これは全面積が約九十二万四千ヘクタールほどございます。これは都市部ばかりではございませんで、全国でございます。その中で、一級河川、二級河川を合わせまして、いわゆる占用といいますか、利用されておる面積が約五万三千六百ヘクタールございます。その中でゴルフ場等に利用されておりますのが千八百五十三ヘクタール、約三・五%ぐらいでございます。御参考に、公園緑地あるいは運動場等に利用されておりますのは、約二千七百ヘクタールぐらいでございます。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  109. 沢田政治

    沢田政治君 まあ、率にしては三・五%ですか、非常に少ないようですが、何せ大都市の土地事情が事情だから、これはやはり早急に公衆用に開放すべきだと思うのですね。したがって、過去の権利関係もあるでしょう。あるけれぞも、いつごろまでこれを、今度そういう都市公園をどんどん拡大するというような法律案も出ていることだから、必ずこの問題は問題化してくると思うのですが、いつこれを回収しますか。そのめどはどうですか。
  110. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまお話のように、やはり河川敷をできるだけ公共あるいは不特定の用に供したい、できれば公園緑地とかあるいは運動場、こういったものに利用をしていただけば非常にけっこうじゃないかというようなことで、私どもとすれば、積極的にむしろ推進をしておるわけでございます。で、御承知のようにゴルフ場が約千八百ヘクタール余りございますが、これの中には、まだ十分緑地の残っておる、いわゆる市街化してないような地域にあるものもございますし、市街化区域につきましては逐次整備をしておるわけでございますが、やはりそのあとを適当に公園緑地なりにし、管理をしてもらえる都市計画、あるいは中には都市施設として都市計画の中にも乗せる、こういったようなすっきりとした計画がとれましたならば、逐次そういったところは一般の用に供するように開放をしていきたいというのが、私どもの姿勢でございます。また、ゴルフ場等につきましても、これはなるべく、河川敷を利用しておるということから考えますと、特殊の会員制じゃ困る。したがってパブリック制等にいたしまして、利用料金等も、許可条件の際にできるだけ安くするように条件をつけまして利用をさせておる、こういうのが実情でございまして、御承知のように最近はかなりレジャーもふえてきております。特に中高年齢層になりますと、適当な休養なり運動の場もないというようなことで、これを全面的にはたして指定してよいかどうかというのは、やはり国民の健康保健上いろいろ問題があろうかと思いますが、趣旨としましては、先ほど来申し上げましたようなことで私どもも処置をしていきたいと思っておる次第でございます。
  111. 沢田政治

    沢田政治君 千八百ヘクタールあるのを、どこに貸しているのか、どういうクラブか、組織か、わかりませんが、いつ回収するめどがあるのか。まあ国民一般のレジャー、そのレジャーの中にゴルフが入るか入らぬか、そのレジャーの定義ですね、これは議論しようと思いませんが、しかし国民の大多数というのが、八〇%、九〇%が利用し得るというのが公共だと思うのですよね。そういう意味からいって、都市公園法というのが、非常に法案も出ている関係上、これは先に通されないと思うのですね。しかもその面積が膨大なら、これはあるいは非常に過去からの権利関係でたいへんだということになると思いますが、そうでもない、非常にもう率から見たならば少ない面積だから、私の意見としては、これは可及的すみやかに回収すべきだと思うのです。どこに貸しているのか、どういう契約になっているのか、あとでこれは資料でお出し願いたいと思います。  それと都市局長にお伺いしますが、今度都市公園を拡大しようという法案が出ておるわけですが、その中に占める河川敷というものの緑地化、公園緑地ですね、こういうもののウエートをどういうように考えているかということであります。まあ淀ですか、あすこにもやるようですが、あれは国で。だから、土地がそうないのだから、いずれにしても都市と名のつくところはそういうところだから、これに相当のウエートを持っていかなくちゃならぬと思います。その前提は、治水というものはこれは完全にやらなきゃなりませんから、その前提に立ってこれを利用するということは、非常に私は今日の土地事情から言って必要だと思うんですね。そういう関係で、どういうウェートを考えているのか、御答弁願いたいと思うんです。
  112. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 都市公園につきましては、別途緊急整備の五カ年計画の法案を御提案申し上げておるわけでございますが、公園の整備につきましては、もう申し上げるまでもなく、用地を確保するということが非常に大きなウエートを占めるわけでございまして、今度の五カ年におきまして、数字的に申し上げますならば、約一万七千ヘクタールの公園用地を確保しなきゃならないという五カ年計画の内容になっております。したがいまして、極力一般の民地の買収もいたしますが、河川敷でございますとか国公有地の活用をはかるということに重点を置いております。  河川敷の点でございますが、これは河川局とも十分調整をいたしまして、都市河川環境整備事業との関連におきまして、公園に利用できますようなそういう河川敷を二千ヘクタール、公園に活用するような計画にいたしております。これは一万七千ヘクタールの一二%程度になろうかと思います。なお御参考までに、現在都市公園として開設をいたしております面積は二万五千ヘクタールございますが、このうち、すでに河川敷として利用しておりますものが千五百でございますので、六%でございます。したがいまして、今度の五カ年では、それを倍の一二%のシェアの河川敷公園を拡充整備していきたいと、こういう内容になっております。
  113. 沢田政治

    沢田政治君 これは積極的に進めてほしいと思うんです。  次に、先ほどの田中委員とこれは重複するようになるわけですが、まだちょっと理解しがたいので。慣行水利権ですね。これは河川法施行法の第二十条で水利権の許可を受けなくてもいいわけで、まあ農業かんがい用が多いと思いますが、こういう慣行水利権は一体どれくらいの件数があるのか。この点を明確にわかったならばお知らせ願いたいと思うんです。特に、聞くところによると、取水量毎秒〇・一トン未満、これが半数以上占めておると、こういうように理解しておるわけです。したがって、都市計画区域のうちでこういう慣行水利権については、これは慣行水利権があるんだけれども、どういう態様になっておるのか。先ほど田中委員が聞いたように、実態をもう少し明確に洗い出す必要があるのじゃないか、握ってみる必要があるのじゃないか、こういうように考えています。これが現在までやられてきたかどうか。これはいまでなくてもいいから、はっきりしたものがあったならばここで出してもらいたいし、将来やるならば、やった結果については、ひとつ資料としてお出し願いたいと思うんです。非常に整備されておらない、法制的にもルールが非常に不備なわけですね。だから、こういうルールをこれは明確にしてもらいたいと思うんです。  それと同時に、これもまた田中委員がお聞きしたと思うんですが、農林省で、これは農地局ですか、市街化区域内における農業水利の実態を調査しておると、こういう話を仄聞しておるわけです。これも先ほど答弁がありましたようにちょっとわかったようなわからぬようなことなので、この実態というものをどういうように把握しておるのか、この点を、いまわかるだけでもいいから、これは明確にしてもらいたいと思うんですね。まあ田中さんに答弁したように、将来資料で出すなら資料で出すでけっこうですが、これはやはり問題が非常に多いと思うんです。そういうことでひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  114. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 慣行水利権につきましては、先ほど田中先生からお話のございましたいわゆる都市河川の実態とあわせて——非常にまあ小さくて、その対象も膨大なものでございますから、なかなか実態が把握しがたいわけでございますが、私どもの過去の概要の調査によりますと、大体慣行水利権の件数が、一級河川で約八万件程度、それから二級河川で四万件、合わせますと十二万件程度あったようでございます。で、やはり問題は、今後の都市水需要に対応いたしまして、市街化区域の慣行水利というものがどういう形をとっておるか、もっと合理化できないかどうかというようなことは、当然これは今後考えていく必要がある問題でございまして、実は四十四年度から、四十八年までの五カ年の間にある程度の実態を把握をいたしたいというようなことで、現在調査を進めておるわけでございます。で、これにはやはり農業用水が主でございますので、必ずしも私どもの中だけでは実態のわからない面もございますので、その点については農林省とも打ち合わせをしながら、現在進めておるというのが実情でございまして、こういった全貌がわかりましたら、それによってやはり水合理化方向も出てくるのじゃないかということを期待をいたしておる次第でございます。
  115. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) 農業水利権の調査につきましては、農林省といたしましてもかねがね調査を進めてまいっておるところでございます。ただいまお話のございました、特に都市化の進んでおると思われる地区におきましては、ただいまお話のございました農業用水合理化対策調査を四十五年から始めておるわけでございまして、この調査の内容といたしましては、農業用水合理化の可能性があるかないか、また、あるとした場合に、それはどういうような方法が考えられるかというような調査と、農業用水合理化し、あるいは再配分するための調査、また農業用水を、農業用の施設がございます、この施設を多目的に利用することをねらいました調査というような内容になっております。なお、専門委員の調査としまして、用水問題の専門家の方にお願いいたしまして、合理化に対しましての調査検討をしていただくというような内容になっております。
  116. 沢田政治

    沢田政治君 先ほど田中委員が聞かれたように、非常に問題が多いようです。したがって、これはここで議論をしたり質問をしても長くなると思いますから、きょうはその程度農林省はけっこうです。  それで、話が戻るようですが、治山と治水ですね、これはなかなか、どこまでが治山だか、どこまでが治水だか、接点が非常に微妙だと思いますね。たとえばこの事業分野でも、林野庁ですか、それと建設省で過去二、三度協定してきたようですね、この事業分野、行政分野をね。これはそれなりにいいと思うんですが、私の個人の意見としては、やはり水系の一貫管理だ、上は分水嶺から海まで、すべてこれは行政が一体化しなくちゃならぬ、一本化しなくちゃならぬと、こういう意見を持っておるわけです。しかし、いろいろな歴史的な背景もあるようですが、特に建設省なり林野庁はわかっておるわけだね、大体どういうものはどの分野に入るということ。いままでの実績もありますからね。ところが、末端の地域住民なり地方団体は、これがはたして林野庁の治山のほうに入るのか、砂防に入るのか、建設省の治水のほうに入るのか、わからぬ。こういうことで、逡巡している面が非常に多いんですよね、われわれと話している場合でもね。これはやはり行政は地域住民のためにあるわけでありますから、したがって、できればこれは水系の一貫管理、治水行政の一本化と、こういうことは望ましいが、次善の策として、それができなければ、三十八度線のようにこれはできないにしても、だれが見てもわかるように、これは林野庁の分野だ、これは建設省の仕事だ、こういうふうに、たとえば、山を通る場合まではどうとか、里に入った場合はどうとか、もう少し普通の人がわかるように事業分野を、行政分野を、これは次善の策ですよ、一本化する必要があると思うのですが、これは林野庁どうですか。特に建設大臣どうですか。これは非常に困っているのですよ。そのために行政が遅滞しているかどうかわかりませんが、これは非常に住民としては困ると思うんですね。どうですか、行政的な面から考えて、西村建設大臣
  117. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この水行政の問題ですが、これはだれが考えても、ことにたくさんの省が、建設省、それから通産省、厚生省、農林省と。そこで、水行政を一元的にしたらいいということは、概念的に考えられます。しかし、実際問題は、やはり農業にも水が要り、生活には生活用水が要るというので、実際問題はなかなか一元化ということは私はできないと思うのです、行政上は。そこで、しょうがないからこれは経済企画庁にその調整を持っていっておるんです。しかしこういうやり方が、経済企画庁という役所は、ここにおいでになるかどうか知りませんが、悪く言ってはあれですが、現場を持ちませんから、あまりよくわからぬと言えば語弊がありますけれども、なかなか、そこのところが痛しかゆしのところです。  そこでいま言ったように、四十一トンの問題なんかもさいぜん議論がありましたが、しかし、これをどうするかということは、行政上はいまのような組織でいくよりしようがないと思うんです。しかし私は、少なくとも水に関する主管省と申しますか、水を一つの最も大きい行政の柱としているのは建設省であるから、たとえそれが生活用水であっても工業用水であっても、あるいは地盤沈下であっても農業用水であっても、やはりすべてのことを相関的に見なきゃいかぬよと。それは建設省は、おれだけ使っておればいいんだと、そういう考え方では水を行政する値打ちがない。私は利根川のことなんかもよく聞くのですが、どうもやはり水のこの問題は、もう少し詰めて考えなきゃいかぬ。役所は、非常に雑用が多くて申しわけありませんが、私は、詰めていないと思うんです。したがって私は今度、利根川関東、首都圏範囲内なら、コンサルタントの相当な人を使って、やはり計画はオーソライズされたような計画を持たないと、いいかげんでやってと言っちゃ悪いですけれども河川局長を信用しないことになりますけれども、どうも心配なところが多々あります、正直なところ。したがいまして十分今後、水行政の中心官庁である建設省としては、さらにくふうをこらしたいと思っております。  農林省との間の問題、まさにそのとおりでございます。しかも私はうまくいっていると思いますが、ただ心配しますのは、やはり一貫性がなくちゃいけませんから、治山のほうの農林省予算と、それから建設省のほうの砂防の予算がバランスがとれておるのかどうかということに、常に注意をいたしておるつもりでございます。どうしてもやっぱり継ぎ目ができるわけです。川には継ぎ目はございませんけれども、行政上はそこが、私がいつも言っているように弱点になるわけですから、それ以上のことは申し上げられませんが、何かいい方法はないかと、いま連絡会議を持っていろいろ打ち合わせをしておって、私は特にトラブルは聞いておりませんが、なお非常に非難がありますれば、さらにこれは連絡会議もありますから、建設省農林省の間、十分気をつけたい、かように思っておる次第であります。
  118. 沢田政治

    沢田政治君 そのとおりですよ。建設大臣が言うとおりにやってほしいですよ。あなたは非常にずばり言うので明快です。やはり、水の主人公は建設省にある、治水の主人公にある、こういう姿勢は、ぜひともこれは貫いてほしいと思うのですね。古今東西たがわず、歴史的に見ても、我田引水、水かけ論とかあるように、少なくとも国民に非常に重要な水ですから、その姿勢は貫いてほしいと思うのです。  そこで、やはり私の言っているのは、だれが考えても地域住民が、ここまでは建設省だ、ここまでは林野庁の仕事だというふうにわかるように、地方の行政体にもわかるように、通達なんか出して——協定というのを見てもぼくらわかりませんよ、どの分野まで入るのか——もう少し混乱しないようにやってほしい。こういうのが私の趣旨です。  次に、河川法の第三十二条の流水占用料、料金ですね。これの徴収規定で、これは都道府県の収入になるのでしょう。しかも、何トン幾らと、こういう規定がないわけですね。これは全く地方自治体にまかせられておるわけです、都道府県に。これはちょっと不合理だと思うのですね。もちろん不合理は、これのほかにもたくさんありますよ。たとえば九電力の料金も、これはしかし電力会社のことですから、しかもこれは国民の財産である水とか骨材というものほどばらばらだということはないですね。資料要求して、いただきましたが、あまりにも差があることにぼくは驚いておるんですよ。これを見て、どう直しますか。これをもう少し、何といいますか、はっきり基準というものをきめるべきだと思うのですね。これはがんじがらめにはできないでしょう、需要供給関係も若干あるし、運賃等の問題もあるのですけれども、少なくともいまのようなばらばらじゃ、たいへんです。ばらばらの代表、低いほうから高いほうまで一ぺん読んでみてくださいよ、代表的なものを。こういうことではいかぬと思うのですね。どうですか。
  119. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お話しのように、非常に占用料につきましては、これは流水占用料等ということになっておりまして、発電関係の水利につきましては、これは私どものほうできめて、それによって府県が徴収をいたしておりますので、まあ大体全国一律になっているわけでございます。なお、この発電につきましては、最近の社会情勢等踏まえて、現在改定等も検討いたしております。それから一般の占用料でございますが、お話しのとおりに、いろいろその地域地域によりまして、何といいますか、占用の目的なり内容なり効果なりが違うものですから、河川法の施行令の十八条で「基準等」と書いてございますが、土地の占用あるいは土石の採取料、こういったものについては「目的及び態様に応じて公正妥当なものであること。」というようなことで、具体的な数字をもって基準を定めてないわけでございまして、一応都道府県にまかせてあるというのが実態でございます。ただし、最近の各県の占用料等の実態を見ますと、先生お話しのとおりに非常にばらつきが多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在の段階でどの程度が妥当かというなかなか線は出しにくいわけでございますが、やはり全国の実態はこのようになっておりますよと、したがって、それぞれの府県もやはり実情に合った、現段階に合ったような占用料をきめて徴収をするようにしてもらいたいというようなことで、そういった資料を全国に流しまして、そういった点から逐次改正なり統一の方向に持っていきたいと考えておるわけですが、いま直ちにそれじゃ全国一律のこういったものについてはこの値段でというところまではまだ考えていないわけでございます。
  120. 沢田政治

    沢田政治君 これで終わりますが、流水の占用料、これはそう極端じゃないようですが、特に土石ですね、これも非常にばらつきというのが、差があると思うんですね。これはあまり差をつける必要ないじゃないかと思います。これは同じ石ですからね、砂ですからね、土ですからね。だから、こういうのをばらばらにまかせておくというのは、特に水以上ひどいと思うんですね。そういうことですからね、これはやはり何かの基準というものを設けて、都道府県等にあまり極端な差別がないように、大げさに言えばこれは行政差別になりますからね、これはばらばらじゃね、そういうことじゃね。これはやっぱり何か基準をつくるように努力すべきだと私は思いますね、それ要望しておきます。  ちょうど時間がきましたので、きょうはこれで終わって、たくさん残されていますが、これ河川法の分野にも相当入らざるを得ないし、入っているわけで、残された問題については河川法の改正の際にさらに質問したいと思います。これで終わります。
  121. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 今回、治山治水緊急措置法の一部改正の法律案が提案されました。まことにけっこうな法案でございます。先ほど沢田委員からお話がありました、法案そのものの内容につきましてはあまり問題はございませんが、これらの実施に伴って問題が起きてきますので、それに関連しまして質問をさせていただきたいと思います。  従来から、ここに第四次五カ年計画とありますように、数次にわたって五カ年計画改定されてまいりました。毎年、要求額に対してその査定額というのは若干下回っております。また、今回の第四次五カ年計画も、建設省の四兆七千億の要求に対しまして四兆五百億という査定でございます。四兆五百億というのは非常に膨大な量でございますが、治水の事業が非常に先行投資性のものであるということを考えますと、特に、先ほど沢田委員からお話がありましたように、国民生産に比べて非常に治水の粗資産が少ない、非常に伸び率が少ないというような事態を考えますと、たとえばいま起きている水質汚濁の問題だとか、あるいは水不足とか、いろんな社会的な現象になってあらわれてまいります。したがいまして、従来の五カ年計画——まあ私ももと河川を担当いたしておりましたので若干記憶がございますが、第一次五カ年計画は達成率はまあまあ一〇〇%に近い達成率であったかと思いますが、ほかの五カ年計画はなかなか達成ができずに年度途中で、その五カ年計画の途中で改定されたといういきさつもあります。また、道路整備五カ年計画、いろんな計画もさような実態になっておりますが、今回は非常な努力で四兆五百億という査定、五カ年計画でございますが、これも非常に縮小されておりますので、従来の経験にかんがみまして、この四兆五百億はどうしても確保してもらわなきゃいかぬと私は思うわけでございます。この四兆五百億の伸び率を考えてみますと、大体二一%ぐらいの今後の伸び率になります。正確に言うと二〇・七%のようでございます。そこで、従来の五カ年計画の経験にかんがみまして、この治水の四兆五百億の達成にあたりまして、今後の達成についてひとつ建設大臣の御所信をお伺いしたいと存ずるわけでございます。
  122. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もちろん、計画がスタートしたんですから、ぜひとも達成したいと思います。  なお、従来の五カ年計画は、どっちかというと、非常にまあ計画全体のワクが少なかったということでございますが、これは、大体道路等は、その財源について、ほかのいろいろな財源があるんですが、この河川については、これはもうもろに一般会計がかぶるのでございます。したがって、どうしても一般会計を圧迫するものだから、なかなか伸びなかったというのが、一つの原因であったと思うんです。しかし、今度は計画をぜひとも満足にやりたい。それで、これは多々ますます弁ずというものじゃないと私は思うのです、河川の改修については。やるだけをやれば、あとは道路とかその他のものと違って、多々ますます弁ずるというものではなしに、基本的なことをちゃんとやれば非常に効果があがると思いますから、ひとつ早期に河川を直すということは、ぜひこれは完遂させたい、こう思っておる次第でございます。
  123. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ただいま大臣から非常に力強い御発言をいただきまして、国民各位は非常に大臣の力強い御発言を期待することだろうと思います。どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで私は、治山治水事業緊急措置法と治水事業に関連いたしまして、二、三の問題点をひとつ御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、先ほど沢田委員からお話がありましたように、治山事業と砂防事業のいろんな関連性の問題でございます。まあ林野庁の行政が、林野行政、営林行政、林業行政といった立場から、その企業性を持っておるわけです。したがいまして、国土保全の立場という観点を遂行すれば、なかなか林野庁としても乗りにくい面があろうかと思います。しかし、四十年の山梨県の足和田の災害等を見てみますと、私はそこに、そのような立場からすれば、非常に問題が残っておるのじゃないかという気がいたすわけでございまして、まあ足和田を、現地を見させていただきましたけれども、やはりどうしても治山行政と砂防行政というのはほんとうに連絡を密にしてひとつ今後やってもらわなければいかぬと思うわけでございます。連絡を密にするだけじゃなくて、やはり国土保全という立場からどうすればいかぬという問題を主眼点に置きまして、最近の、いわゆる山岳、渓谷に住んでおられる、非常に苦労して山に住んでおられる方々が、貴重な人命を失われるという事故もたくさん起きております。それらの問題を解決するために、従来のような形じゃなくて、もっと積極的な国土保全の立場を持った林野行政なり砂防行政をやっていただきたい。そこで、具体的にどういうぐあいなことをただいま林野庁と河川局、建設省の間で話し合って、今後どういうぐあいに進められようとするか、御所見を各担当局長から伺いたいと思います。
  124. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 先ほども沢田先生からお話もございましたように、非常に一般の方には何かわかりにくいという感じが私どもも実際しておるわけでございます。まあ内容から申し上げますと、私どもの砂防事業自身は、これは河川の治水上と、こういった立場に立ちまして、砂防工事によって渓流における土砂の生産あるいは流送土砂をとめたり調節をするといったようなことで、直接まあ河川の改修あるいははんらん防止、こういった面に重点を置いておるわけでございます。一方、治山事業は、水源の涵養、土砂の崩壊流出の防止、こういったことをはかることによりまして、森林を造成、あるいは維持管理をしておるわけでございます。したがって、それぞれに一応の守備範囲はきまっておるわけでございますが、すでによく御承知のように、それぞれの区域が、これが隣接をし、あるいは一部的には重複等もいたしておりますので、事業の実施の点ではいろいろ調整を必要とする場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、昭和三十八年から、そういった点の円滑な実施をはかりますために、双方で事務的な連絡、調整、こういったものを行ないまして、会議をたびたび開きまして、両方の所管の区分の明確化とか、あるいは事業実施の円滑をはかっておるわけでございます。  なお、ついででございますが、そういった区域が非常にはっきりしないというような御指摘もございますので、できるだけ砂防指定地等においては標識等をふやしまして、一般の方にもここからが砂防指定地だといったような認識を十分にしていただけるような措置もこれからとっていきたいと考えております。なおしかし、お話のように、単にそれぞれの事務的な連絡、調整、こういったものに終わったのでは、やはり国の国土というのは、大臣のお話のように、一体のものでございますから、そういった立場では、単にこの連絡会議を事務調整に終わらせないで、やはり今後の国土保全——特に日本は山地が大半を占めているわけでございますから、そういった点で、私どもも一体になって、やはり国土保全ということを重点に置いて今後の施策を考えていく必要があるんじゃないかと痛感しておる次第でございます。
  125. 松形祐堯

    説明員松形祐堯君) お答え申し上げます。ただいま河川局長から申し上げましたように、お互いの連絡調整会議等を中央並びに都道府県等にそれぞれ持ちまして、お互いの連絡をとりながら調査計画あるいは事業の執行に資しておるところは同じでございます。  なお、御指摘がございましたように、国有林につきまして、特に特別会計とか、そういうことで、切り過ぎることによって、山の周辺の方々、あるいは下流の方々に御迷惑をかけるのではないかという御指摘でございます。私ども、先ほど沢田先生の御質問にお答え申し上げましたように、特に私どもは、近ごろの公益性の要望——要請と申しますか、それに対応いたしまして、新しい保安林制度というものを現在委員会を設けまして検討いたしておるところでございますし、同時に国有林の赤字という問題もございます。したがって、企業内の徹底した合理化という面も含めて、抜本的な改正を準備いたしておるところでございます。以上でございます。
  126. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 先ほど沢田委員からお話がありましたように、現地に住んでおる国民の方が、ここは林野かあるいは砂防かということがわからない、そういった場面が出てこないように、十分ひとつ行政連絡を密にしまして、事業実施に至るまでひとつ調整をお願いしたいと、こう思うわけでございます。  それから、都市部における小河川と下水道の問題でございますが、これは先ほど田中委員から御質問がございました。私は若干考え方を異にいたしますけれども、要するに、下水であるべき筋合いのものと、河川であるべき筋合いのものとは、おのずから私は区分がつくだろうと思うわけでございます。たとえば、都市部における下水では、大体たとえば五カ年間に一回ぐらい降る雨に対処できるような下水道計画でございます。また河川は、五十分の一とか、三十分の一とか、五十年に一回、三十年に一回というような降雨量を対象にしております。したがいまして、下水がもしも都市部のはんらんをなくするとすれば、かなり膨大な費用がないとなかなか達成できない。また、受益者負担という問題がございますから、これまたなかなか実施が困難でございます。また、国土保全という立場から、われわれは、そういった河川、下水道という問題をこの際ひとつある程度——ある程度と申しますか、はっきり区分をきめて、そして実施していただくように要望したいんですが、その点につきまして、今後どういうぐあいにされていくのか、いままでどうされておるのか、今後それらの問題についてどう対処されるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  127. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 都市地域におきますところの都市河川、下水道の問題でございますが、御案内のとおり、新都市計画法で市街化区域というものの設定をいたしてまいっております。この市街化区域が設定されますと、土地利用計画とか、都市施設の計画的な配置並びにそれの事業化ということをやってまいらなければならぬわけでございます。その中で一つの重要な事業といたしましては、都市の総合排水計画というものを立てなければならぬという大きな課題があります。この総合排水計画におきまして、いま御議論になっておりますような都市河川と下水道を調整しましたような、そういう当該地域の排水計画というものを立てなければならぬわけであります。ところが、過去におきまして、御指摘のような都市河川と下水道の分担関係、それからそれぞれが計画を立てます際のいろいろな確立以前の問題とか現段階の問題で、若干食い違うといったような点があったことは事実でございますが、そういうことでは困るわけでございますので、私どものほうの具体の作業としましては、都市計画法の都市排水施設のいわゆる技術基準というものを法律上政令で定めることを要請されております。その技術基準の策定の作業に、いま河川局と共同作業で検討中でございます。早急に結論を得まして、御指摘のようなそういう不適当なことがないような、両方の計画が整合して事業がなされるように、あるいは分担関係をできるだけ明確にいたしまして事業化をはかっていくという方向に努力をしてまいりたいと、かように考えております。
  128. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 最近、大河川は、大臣もさっきおっしゃいましたように、非常にじょうぶになってきたと言われております。ところが、中小河川は非常におくれておりまして、毎年災害が繰り返されているというのが現状でございます。しかし、河川水系一貫でございますから、中小河川を拡大強化すれば、当然下流の流域に、大河川の部分に移ってまいります。どうしても水系を一貫しまして調整ある治水事業が行なわれなければならぬと私は思うわけでございますが、特に最近小河川対策というのが叫ばれております。たとえば、法定河川でない準用河川の部分あるいは普通河川の部分の災害が非常に多発しておりまして、この前の九州の川内川の上流の災害、それらの問題はまさに小河川の災害でございまして、法定的に何も財政的な裏づけもない非常に困った現状でございます。もちろん、そういう普通河川については、御説明がありましたように、準用河川にするとか、あるいは管理を強化するとか、あるいは法定河川にするとか、いろいろな態度を出しておられます。しかし、準用河川にしても、市町村管理でありましようし、財政的にも非常に困難でございます。これらの問題を今後、財政的にも、また法的にも位置づけして解決していかなくちゃいかぬと思うんですが、それが非常に大事なことであるし、またそういったところは概して過疎地帯でございますが、毎年災害をこうむるのでこの土地を離れたいといったような場合、非常に悲惨な状況になっております。したがいまして、都市河川の問題につきましては、ある程度補助率をきめまして都市河川対策が行なわれるようになりましたが、一番悲惨なところに住んでおられる、生命の危険を感じられるようなところに住んでおられる方々、いわゆる過疎地帯の小河川対策をどういうぐあいにやっていくか、現在までは災害待ちというのが現状でございまして、そういう点につきまして、今後財政的に、法的にどういうぐあいに処置されるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  129. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) やはり、中小河川、それからこれにつながります小河川の問題というのは、非常にこれから大きく浮かんでくるのではないかと思います。小河川につきましても、山間部等のいわゆる砂防指定地内にあります渓流等につきましては、これは砂防法によって砂防ダムなりあるいは流路工、こういったものでカバーができるわけでございますが、それ以外のやはり小河川につきましてはまだ手がつかないというのが実情でございますが、やはり、その河川の持っております流域の面積とか、あるいは地域の生活環境に及ぼす影響、こういったものを考えまして、むしろ普通河川のままで放置するよりは積極的に河川に取り組んで、河川法上の改修工事を進めていきたいというのが、基本的な姿勢でございます。  なお、準用河川の制度の改定を私ども意図しておるわけでございますが、これはやはり、非常に地域性の強い小さな河川であまり改修も伴わない、あるいは改修も進んでおる、こういったものについては、これは河川の利用等からいきまして、むしろきめのこまかい管理面のほうが重要じゃないかというようなことで、これを市町村におまかせをする。この場合に、準用河川等の実態も調べまして、どういった行政需要があるかというようなことも調べました上で、そういった通常の管理に要する費用等の大要がわかりますれば、何らかの財政措置を講じられるように関係省とも協議はいたしたいと思っております。したがって、先生のお話の基本的な小河川につきましても、地域に影響するものはむしろ河川改修に取り組んで災害をなくするようにしていきたいというのが考え方でございます。
  130. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。特に準用河川として管理を強化されるとすれば、それに相応するまた財政的な援助、そういったものが必ず必要であろうかと思います。したがいまして、そういった方面につきまして、今後ひとつ格段の御努力をお願いしたいと思います。  それから、いま大都市で宅地開発がたくさん行なわれております。人口増に備えて宅地を開発するというのがもう緊急の課題でございまして、ところが河川改修との関連でなかなかその宅地開発ができないという場面がございます。あるいは、砂防事業との関連でもあります。たとえば、多摩ニュータウンでは、堰堤を築いて水を一時ためなければいかぬ、そうしなければ下流が承知しない。また、万博が行なわれました万博の用地でさえ、やはりダムを築いて下流改修を待って処理したというような次第でございます。そういったのが家賃にはね返る、また地方の公共団体の負担にはね返ってくる、これらの問題につきまして、どのような基準でそれらの河川改修の費用の分担を家賃に相対させる、また公共負担に相対させようとか、その辺につきましてお答えをお願いしたいと思います。
  131. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 最近、各地で大規模な宅地開発等が行なわれております。またあるいは、まとまった開発でなくとも、スプロール的に開発されていくといった状況も非常に多いわけでございます。そういった場合に、その地域の開発状況を先取りいたしまして、私ども河川改修がむしろ先行すれば、これは非常に理想的な姿になるわけでございますが、やはり河川改修費もそう潤沢でもございませんので、どうしても後手に回る場合が多いわけでございます。しかし、基本的には、そういった大規模な宅地開発等が行なわれます場合には、できるだけ関連事業というような意味で、同じような場合には圃場整備事業といったようなものもございますが、われわれの改修費の配分にあたりましてできるだけ配慮をしていく、あるいはまた調整費等をできるだけ活用していくというのが基本的な姿勢でございます。しかしまた、民間のまとまった開発等におきましては、そういった措置をとりましても十分まあ追っついていかないというような場合には、やはり一部これを開発者に負担をしていただくというようなことも当然考えなくては円滑な事業の推進が期待できないと思われますので、特別なルールとしては定めておりませんが、現在はケースバイケースでやっておりますけれども、たとえば流域全体の面積と大規模の開発をされます面積との比率というようなことで、河川に与える影響の度合い等を勘案しまして、あまり超過した過重な負担にならない範囲でそういった原因者にも金を出していただくというようなことで、できるだけ地域開発河川改修の調和をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
  132. 沢田光英

    説明員沢田光英君) ただいま家賃の問題が出ましたので、その分についてお答えしたいと思います。  河川局長からお話がございましたように、応分の負担を宅地開発のほうでしておるということでございまして、私どものほうといたしますと、開発事業者の開発費の中にそういうものが入り込んできまして、結局は地価になってはね返ってくるわけであります。この上にたとえば公団なり公社なりが賃貸住宅を建てたといたしますと、それの家賃の中に地価、いわゆる地代の上がる分として入ってくる。そういうことで、非常に間接的でございまして、その上がりは比較的大きくない範囲でただいまのところは済んでおります。
  133. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そういった公共的な施設の負担が家賃にはね返るということは、非常に残念に思うわけです。これも、私は治水事業不足しているという一語に尽きるというぐあいに思うわけであります。ほかの道路整備事業にしてもしかり、あるいは下水道整備事業にしてもしかりでございます。そういうことにつきまして、ひとつ今後より一そうの御努力をぜひお願いしたい。  一番最初に返りますが、治水事業の五カ年計画達成さえ現在まで相当無理があった、非常にできなかった。これをどうしてもひとつこの際、再度確認いたしますけれども、四兆五百億を確保していただくようにお願いいたしたいと思うわけであります。御答弁は要りません。  それからまた、海岸事業の問題がございますが、これは治水事業と関連ありませんが、これも国土保全の一環として重要な事業でございます。そこで、いま治水事業、いわゆる国土保全問題としてたくさんのいろいろな事業がございますが、これらの国土保全の事業として基本的な考え方を一本貫く必要があるのではないかと私は思うわけでございまして、だんだん各省連絡調整会とかいろいろなことによってその目的を達成しつつあるように思いますが、やはりたとえば国土保全の基本に関する考え方等について、各省の一致した意見をぜひひとつまとめていただきまして、それらの基本的な考えのもとにぜひ進んでいただきたいと思うわけでございます。国土保全に関する基本法とも申しますか、そういった法律になるかどうかわかりませんが、そういった考え方もあり得るんじゃないかと思いますので、ひとつぜひ御検討を願いたいと思うわけでございます。  それで治水事業関係は終わりますが、私は、この治水事業の中に、根本的、基本的な財政投融資を入れて先行開発をやっていこう、あるいは流域調整河川をつくって水の合理的配分をやっていこうというふうな意欲的な面が見られます。非常にけっこうなくわだてであります。多々ますます弁ずではありませんが、それらの問題を積極的に伸ばしていただきまして、水質源の開発にひとつぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。  先ほどから、水の全国的な、また地域的な需給関係につきましては、御説明がなされて、質問を省略しますが、現在やはり水は国民各層から要求されております。したがいまして、どうしても多目的に使う必要がございます。また、一つの例を言うならば、水道用水について見ますと、各住民が飲む水が各場所によって極端な水道料金の差が——ある地区では五十円もとられるし、東京では二十一円、そういったような基本的な問題がございます。それらの問題もありますし、それからまた、最近経済の発展等に伴いまして河川流況が悪くなったとか、あるいは水の使い方が悪いのか水質の汚濁が起こりまして、いろんな住民の生命、財産まで脅かしているという状況でございます。また、生活水準の向上によって今後水需要がふえてまいります。ところが、水は、利水三省と言われておりまして、農林省、通産省、厚生省と言われておりまして、そういった関連でなかながいままで調整が困難でございました。そこで私は、水資源開発というのが今後わが国のエネルギー対策と同様に非常に重要な問題である。水がなくなる、だんだん少なくなる、また人口がふえる、水の需要量がふえるということで、ますます逼迫の度を加えてくる。そうすると、非常に重要な問題でございます。また、経済開発にも水問題はどうしても解決しなくちゃいかぬ問題でございまして、そういう意味で、水の開発を今後どういうぐあいにして進めていくのか。もちろん、水を開発するには水系一貫あるいは水系相互間の広域利水的な考えを十分入れていく必要があると思いますが、また水系一貫は、ダムから河口せきまで、あるいは河口湖に至るまですべて処理しなくちゃいかぬと思います。そういった意味で、今後の水開発は非常に重要な問題でございますが、これらにつきまして基本的な御方針を建設大臣にお伺いしたいと存じます。
  134. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 基本的なというのですけれども、とにかく開発することはいいけれども、土地の利用がいまのような、いわゆる東海道ベルト地帯にこのように集まることは今後避けなければならぬ。これが、そういうようなやり方をほったらかしておいて、それじゃ水をどんどん持っていけといったって、それはなかなかできないです。また、それはたいへん高い水になってくる。ですから、やはり水のあるところに産業を持っていく、水のあるところに人口を持っていくというような行き方がやはりいまの大きい行き方じゃないか。つまり、平たく言うて、国土をあまねく使うということです。また、政府はその方針でやっておるわけです。あまりはかばかしく進んでいないというところの非難は受けますが、そういう方向でやらなければならぬと思います。それから、もちろん水を開発しますけれども、やはり水の使い方、節約ということも一つにはありましょう。さいぜんの、処理水をまた再び還元して使うというようなことですね、そういうようなことももちろん問題になります。とにかく、水がなければ、生活もできませんし、産業も興こりませんから、これはもう私が言うまでもないことです。したがって、あらゆる面について、これは開発もしますし、利用の面についても合理的に使ってもらうというようなこと、もうこれは私が言わずもがなでございます。したがいまして、長期的な観点で建設省もさいぜんから河川局長がいろいろ述べておるようにやっておるわけでございまするが、さらに地区的にはもう少し精密に少し調べぬといまのではあまりばく然過ぎちゃっていけないと思いますが、大かたの概念はみな持っておりますけれども、さらにこれをひとつ精密にもう少し合理的に調査をやるということに私は力点を置きたい、かように考えております。
  135. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ただいま水の開発に対する基本的なお考えをお伺いしました、全く同感でございます。東京に非常に水が必要だからといって、東京にだけ水を持ってくるとするならば、ほかの地域はなかなか産業もできないし、ましていわんや、東京は工業再疎開をやろうというような状況でございますので、どうかそういった観点から水問題も処理していただきたいと念願するわけでございます。広島の水を東京まで持ってくれば、たいへんな金になります。したがいまして、その広島なら広島、九州なら九州——九州はちょっと大き過ぎるかもしれませんが、区分的に大きいかもしれませんが、その中における水資源開発可能量というのが全体的に考えられるわけでございます。そういった開発可能量を見て、ある程度の居住人口の可能性も考えられる、経済開発の可能性も限度があるということでございまして、いま東京の状態はまさに限度を越えた開発が行なわれてきた結果だろうという気がいたします。そういった意味におきまして、大臣のいまの御発言につきまして、まことにけっこうな御発言でございます。どうかひとつそのような方向で、今後とも地域の全国的なバランスある発展のために御尽力を願いたいと思います。  そこで、水の問題は非常に重要な問題であるし、また過去年来の非常にふくそうする問題であります。慣行水利権の問題もございますし、いろいろな問題がたくさんございまして、困難な問題でございますが、私はここで一、二点だけ水管理の問題で提案——提案と申しますか、意見を述べさせていただきたいと思います。従来から、河川の中に低水が流れております。ところが、この低水管理各省ばらばらで行なわれておる。たとえば、上流では農業用水で取って、下流で工業用水に取る、そういったようなことになりますと、上流で農業用水をよけい取り過ぎますと、下流が困る、あるいは生活用水が困るといった状態も現出しますし、また農業用水のせきが二つありましても、上流から先にとか、いろいろな問題があって、血の雨を降らしたというのは過去の実例でもありますし、現在でもさような事態がたくさんございます。したがいまして、水行政を一元化するためには、どうしても私は低水管理方式を採用していく必要があろう。低水の管理を合理的に一元化していく。もちろん、そのためには、私は、水のダムに貯水量が幾らあるとか、あるいは水が幾ら流れおる、いろいろな状況を知悉した方が低水管理をやっていったほうが一番いいんじゃないかと私は思うわけでございますが、その低水管理がうまく行なわれないために、水争いが起こるし、あるいはある地区は非常に水が豊富である地区は非常に干ばつで悩む、いろいろな問題が起きております。したがいまして、ただいま申し述べたような、今後、水の開発と同時に、低水管理をどうしていくかということは非常に重要な問題である。不足するけれども、均てんに分けるのか、あるいは重点的に分けるのか、そういった問題もあろうかと思いますが、どうか今後はその低水管理を十分厳密にやって、やはり地域的な不満が起こらないようにやっていきたいと思うわけでございまして、これらに対しましてひとつ御所見をお伺いいたし、またもう一つは水利権行政の問題でございます。水利権行政は河川法できめられております。したがいまして、水利権の移動というのは、要らなくなればやはり河川法の処分を待って廃棄処分にするとか、あるいは要るところに水利権を許可するといったような、合理的な処分がなされなくちゃなりません。ところが、ままにしてそういったことが行なわれてなくて、たとえば水を売る等いろんな問題が起きております。この際、私は水利権行政の確立のためにどういうお考えで河川局長が進まれるのかお伺いしたい。また、慣行水利権の問題につきまして、合理化の問題につきまして、調査はいたしたが、今後水利権のそれらの問題につきましてどういうぐあいに処理されようとしているのか、その辺を住吉さんにひとつお伺いしたいと思うわけでございます。これをもって質問を終わりたいと思いますが、お答えをお願いいたします。
  136. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 水管理のお話が出ましたが、建設省事業といたしましては、在来からやはり国土保全ということを第一にいたしておりまして、どうしても高水管理、こういうようなものに在来は重点があったわけでございます。しかし、昭和六十年ぐらいの水需要見通しをいたしますと、相当逼迫が予想されますので、需要の多いところ、やはり水に対するきびしさというものも要求されるわけでございますし、双方が乏しいものをひとしく分け合うというようなことがますます要求されてくるんじゃないかと思います。そういった意味で、特に最近、河川の河口部におきましては河口せき等の施設もどんどんできてまいりましたし、四十七年度からは流況調整河川、こういったような新しい事業も出てまいります。こういったものは、やはり低水を広域的に、合理的に管理して初めて生まれてくるものでございますので、私どもも幸いいろいろ、流量資料なり、あるいは水利権の実態なり、かなり長年にわたる河川管理者としての蓄積もございますので、そういったものをせいぜい活用いたしまして、できるだけ合理的な水利用のできるような低水の管理体制をしきたいということで、その第一着手をこの新五カ年の四十七年度を初年度としてスタートをいたしたいと企図しておるわけでございます。  なお、水利権等につきましては、お話のように、非常に今後合理化をしていく必要もあるわけでございます。やはり、在来からの利用の実態、それからどういった方向にこれを合理化すべきかという点にまず問題があろうかと思います。まあやはり、河川の水というものは、水利権は一応排他的でございますが、用がなくなった場合には、これはやはり自然の天水でございますからもとへ戻して、公共的な見地からこの利用の方法をきめて、その上で納得のいく水の有効利用が行なわれる、こういうことが一番望ましい姿だと思いますので、それぞれ関係者とも十分協議をしまして、水の円滑な公平な合理化のために私どもも努力をいたしたいと考えております。
  137. 住吉勇三

    説明員(住吉勇三君) まず初めの低水管理の問題でございますが、農業側といたしましては、農業用水を極力確保するということが農林省の立場でございますので、農業用水の確保につとめなければならないのは当然でございますが、現行の河川法のワクの中でこれは考えるべきものでございますし、また、先ほどお話がございましたように、農業水利間の競合もございますし、他の利水との関連もございますので、これらの点、河川法のワクの中で各利水者の間で十分に連絡をとりまして、円滑に今後運営してまいるように努力してまいりたいと思っております。  次に、都市化が進みましてかんがい面積は減少しておるというのは事実でございますが、先生御案内のとおり、都市化した間に農地が残っておるというような非常に錯綜した現状にございますので、これらの残りました農地にはかんがいを続けていかなければならないという問題がありまして、かんがい面積の減少が即水の余剰ということにならない点もございますし、またいろいろ施設等の問題もございますので、これらの点を現在合理化対策事業調査検討中でございまして、極力この農業で必要な水を確保するとともに、余剰水を、他用途に使っていただくような水を極力農業区から出したい、そういう面で合理化の対策調査を四十五年度から実施しておるような状況でございます。
  138. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 お答えをいただきまして、ありがとうございました。特に国民生活に重要な水でございますので、ひとつこの水の利用が最大に有効に利用されますように、また最大に有効に開発されますように、事務当局で知恵をしぼっていただきまして、国民生活の向上に資していただきたいと念願いたしまして、質問を終わります。
  139. 小林武

    委員長小林武君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会