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1972-03-16 第68回国会 参議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十六日(木曜日)    午後一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                 沢田 政治君                 田中  一君                 松本 英一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省道路局長  高橋国一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        建設省住宅局調        査官       沢田 光英君    参考人        日本住宅公団総        裁        南部 哲也君        日本住宅公団理        事        島  守一君        本州四国連絡橋        公団副総裁    柴田  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○都市公園整備緊急措置法案内閣提出) ○建設事業並びに建設計画に関する調査  (昭和四十七年度の建設省北海道開発庁、首  都圏整備委員会近畿圏整備本部及び中部圏開  発整備本部基本施策並びに予算に関する件)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査のため、本日の委員会日本住宅公団及び本州四国連絡橋公団役職員参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 小林武

    委員長小林武君) 都市公園整備緊急措置法案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。西村建設大臣
  5. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ただいま議題となりました都市公園整備緊急措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近時、都市化進展に伴い、市街地は急激に拡大しておりますが、都市における緑地オープンスペースはむしろ減少する傾向にあります。このため、都市における児童、青少年の健全なレクリエーションの場所は著しく不足し、また、都市の構造が公害や災害に対して脆弱なものとなっている等、都市環境が悪化しつつあります。  わが国の都市公園の現状を顧みますと、都市計画区域内において一人当たり公園面積は二・八平方メートルであり、欧米諸国都市と比較しても十分の一から二十分の一と著しく低い水準にあり、その整備はきわめて立ちおくれているのであります。  このような情勢にかんがみ、都市の基幹的な生活環境基盤施設である都市公園を緊急かつ計画的に整備することにより、都市環境改善をはかることは現下のきわめて緊要のことであると考えます。  このため、政府といたしましては、新たに昭和四十七年度を初年度とする都市公園整備五カ年計画を策定するとともに、その実施のために必要な措置を講ずるものとすることにより、都市公園の緊急かつ計画的な整備を促進すること等を内容とする都市公園整備緊急措置法案を提出することといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  6. 小林武

    委員長小林武君) 続いて補足説明を聴取いたします。吉兼都市局長
  7. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいま議題となりました都市公園整備緊急措置法案につきまして、逐条的にその内容を御説明申し上げます。  まず第一条は、この法律目的規定いたしております。すなわち、この法律は、都市公園の緊急かつ計画的な整備を促進することにより、都市環境改善をはかり、もって都市の健全な発達と住民の心身の健康の保持増進に寄与することを目的とすることとしたものであります。  第二条は、この法律における用語の定義について規定したものであります。  まず第一項は、この法律において都市公園とは、次の各号に掲げるものをいうことといたしております。第一号は、都市公園法第二条第一項に規定する都市公園、すなわち地方公共団体が設置するものを規定いたしております。第二号は、都市計画施設である公園または緑地で国が設置するもの、すなわちいわゆる国営公園について規定いたしております。第三号は、国及び地方公共団体以外の者が設置する都市計画施設である公園または緑地政府関係機関または地方公共団体補助金貸し付け金等財政援助にかかるものについて規定いたしております。たとえば、いわゆるレクリエーション都市区域内において、公共民間共同出資による特殊会社日本開発銀行の融資等を受け、都市計画特許事業として整備する民営の公園緑地等がこれに該当いたします。  次に第二項は、都市公園整備事業とは、都市公園の新設または改築に関する事業をいうことといたしております。  第三条は、都市公園整備五カ年計画内容及び策定の手続を規定したものであります。  まず第一項でありますが、建設大臣は、昭和四十七年度以降の五カ年間に実施すべき都市公園整備事業計画、以下都市公園整備五カ年計画と言っておりますが、その案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。  第二項は、都市公園整備五カ年計画内容について規定しております。すなわち、都市公園整備五カ年計画には、五カ年間に行なうべき事業実施目標及び五カ年間に行なうべき事業の量を定めなければならないことといたしております。  第三項は、建設大臣は、第一項の規定により都市公園整備五カ年計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、経済企画庁長官と協議して長期経済計画との調整をはかることといたしております。  第四項は都市公園整備五カ年計画の公表の規定であり、第五項は、都市公園整備五カ年計画を変更しようとする場合の準用規定であります。  第四条は、都市公園整備五カ年計画実施に関する規定であります。すなわち第一項において、政府都市公園整備五カ年計画実施するために必要な措置を講ずるものとし、第二項において、地方公共団体は、都市公園整備五カ年計画に即して、都市公園の緊急かつ計画的な整備を行なうようにつとめなければならないことといたしております。  最後に、附則でありますが、この法律は、昭和四十七年四月一日から施行することといたしております。  以上、都市公園整備緊急措置法案につきまして、逐条的に御説明申し上げた次第であります。
  8. 小林武

    委員長小林武君) 本案につきましては、以上の説明にとどめ、質疑は後日に譲ることといたします。
  9. 小林武

    委員長小林武君) 建設事業並びに建設計画に関する調査議題とし、昭和四十七年度の建設省北海道開発庁首都圏整備委員会近畿圏整備本部及び中部圏開発整備本部基本施策並びに予算に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設大臣に対しまして、建設事業全般にというわけにも、時間がありませんのでまいりませんで、本日は住宅問題を中心に、その所信と今後の問題点についてお伺いをしたいと思っております。  昭和四十七年度の予算が、周知のごとくドル・ショックによる日本経済不況、そして、それを中心国民生活にいろいろな影響が出ておるわけでありますが、これに対して政府は、十一兆余の膨大な予算を組んで、しかもその根幹が、公共投資公共事業等を含んだ建設関係の仕事を通じて景気てこ入れ景気浮揚をしようとしております。そのよしあしは別として、今日、建設行政というものは、そういった面から日本政治経済に非常に重要な位置を占めておると思います。西村建設大臣責任は非常に大きいと思うのでありますが、私はそういった観点から、今後の建設行政に対して、もちろん政治要諦が、民心の安定といわゆる将来に不安のない生活を確保することが政治要諦と思います。その政治形態が、資本主義経済基盤としたいわゆる保守の政治であれ、社会主義的な形態を持った政治であれ、とにかく政治要諦は、民心の安定と不安のない生活を確保することにあると思うのでありますが、そういった観点から、四十七年度の、いま申しましたような建設行政を通じて日本の当面する不況対策景気浮揚てこ入れをするというのでありますが、私はそういったものを眺めながら、佐藤内閣のとってきました政治姿勢から申しますと、いま私が指摘しました政治要諦である、民心の安定と生活不安を除去し豊かな国民生活を確保するという立場とそぐわないものが出てくるのではないか、という危惧を持つわけであります。と申しますのは、これは、膨大な公共投資を含んだ建設行政予算というものが、一部の建設業者あるいはそれに関連する資本家の一集団がその大部分の恩恵を受けて、一般の国民は、そのらち外に置かれるというよりも、反面そういったもののために、むしろ、ひずみの中に押し込まれる可能性が出てくるという危惧を持つわけであります。これは私の危惧であればまことに幸いでありますが、佐藤内閣七年間の実績から考えまして、そういうものを感じるわけであります。  そういったことを踏まえながら、私は、西村建設大臣はいままでの御答弁の中で、常に国民目標に、相手に、国民の利害に敏感にこたえながら行政をしていきたいという答弁があったかに思うのでありますが、第一に、この四十七年度の膨大な建設予算をかかえて、いわゆる日本経済なり国民生活に大きな浮揚政策をするという観点を踏まえて、どのような所信で具体的に建設行政を御推進されるお気持ちであるか、その所信冒頭にお伺いしたい、こう思います。
  11. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 仰せのとおり昭和四十七年度の公共投資は、非常にいままでに例を見ないほど大きい額になっておりまするが、これはいま仰せられましたような、大資本方々に奉仕するとか、建設業者をもうけさせるとか、そういうようなことでは絶対にないのでございます。あくまでもこれは、いままでのことも反省しつつ高度福祉国家をつくりたいと、かようなことでやっておるのございます。  この公共投資がふえましたことによって、それは景気浮揚じゃないかと、こういうことを言われますが、もちろん、景気が沈滞すれば、それで困る国民もたくさんおりまするから、景気浮揚することにも重要な意義がありまするけれども、私はそれよりももっと重要なことは、やはり高度福祉国家をつくっていく。この高度福祉国家をつくることにつきましては、私がもう申し上げるまでもなしに、ただ単なる——ただ単なるというか、社会保障のみでないわけで、あらゆる面についてこの福祉国家は形成されるものでございまするから、ほんとうに住みよい生活環境をつくっていくということも、これは高度福祉国家の重要な役目でございます。したがいまして、この予算実施します上において、私の気持ちは、やはり高度福祉国家をつくる手段としていろいろやっていきたい、かように思っておる次第でございます。お答えになるかどうか知りませんが、決して、一部の方々がこれによって利潤を受けるというようなことを予期するものではございません。過去の実績を反省しつつ、この予算の執行にあたりましては、あくまでも福祉国家建設、こういうことで進みたいと、かように思っておる次第でございます。
  12. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 逐次これは法案等についても、また別な機会に具体的な問題と組み合わせながらお尋ねする機会もあろうかと思うのであります。きょうは、必ずしも大臣の御答弁が私にとって満足するものと思いませんけれども、ここでこの問題についてこれ以上やり取りいたしましても、いまおっしゃることが続けられると思いますから、きょうはやめます。あと、具体的な問題について、いろいろとお尋ねしたり、また要望したりしたいと思います。  そこで、そういった建設行政を通じて国民福祉を増進するというお立場をとっていきたいとおっしゃるのでございますが、そういう関係から、私は、住宅の問題にひとつ限定してこれからいろいろとお尋ねしたいと思うのでありますが、建設行政は、これはいろいろな意味において国民生活とかなり密着をしている点も多いと思うのです。道路にしても、あるいは河川にいたしましても、特に区画整理等に至りましては、これは非常な国民生活に重大な影響を与えている問題であります。わけても住宅問題は、さらに深刻な関係があろうかと思うのであります。  そこで、住宅建設五カ年計画が第一次、第二次と、いま第二次でございますが、佐藤内閣は、住宅問題を解決するために努力をしているという宣伝はかなりなされておりますけれども、しかし、残念ながら実態はまだまだ需要に追いついておりませんし、計画も完全に遂行されたとは思っておりません。これは大臣も御承知のとおりであります。逐次具体的な問題についてお尋ねしますが、この膨大な予算をかかえ、特に住宅関係についてもかなりのパーセントの伸びがあるようでありますが、今後大臣は、住宅問題に限って、何かいままでと違う意欲を持たれて遂行せられる御所存であるか、あるいはまた、いままでのやってまいりましたことをそのまま踏襲しておやりになる気持ちであるか、最近の情勢変化等にかんがみて、何か四十七年度、住宅問題について特殊なお考えがもしおありならば、その点について所信をお聞きしたいと思います。
  13. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま政府としては第二次の五カ年計画をやっておりますが、私は、これはこれとして、これを強力に進めていきたいということは、基本的にはそう考えております。しかし、ただ二期計画だけでもってということでなしに、また二期計画を十分こなす上において、実行上いろいろな点を考えなければならぬと、かように思っています。  ちょっと、感じでございまするが、住宅のいまのわれわれのやり方も、何か曲がりかどに来たような感じがいたすのでございます。実際問題、たとえば政府が公的にやっておる公営住宅あるいは公団住宅にいたしましても、公営住宅等も、相当住宅に困っている人が地方ではあるのだから、うんと地方公共団体希望があるだろうと思っておりまするが、あにはからんや、われわれがびっくりするほどの希望がないのでございます。ところがそれは、住宅希望がないのではなしに、住宅を建てる、提供することについて、いろいろな支障があるから公共団体はあまり進まないというような形じゃないかと思うのでございます。たとえますれば、土地も要るし、いろいろ文句も言われる、とかく十分な家を提供することはできませんから、公営住宅にしても何とかこれは考えてやらなければ満足な行き方はできないと、こういうような感じがつくづくいたしております。したがいまして、いま、それに対して対処をどうするかということの具体案は持っておりませんが、これは曲がりかどに来ているので公営住宅考えなければならぬ、こういう気持ちは十分あります。したがいまして、今後その点についても十分検討したい。  また、公団住宅の問題でございまするが、公団住宅については、皆さん方から非常な指摘をいろいろ受けております。しかし私は、過去におきましては、やはり中堅の勤労者方々に住居を提供した意味で、相当に貢献はしておると思います。思いますが、ここに至って、やはり公団も曲がりかどに来ておる。地価が高い、家賃は上がる、通勤距離はますます遠くなる、欠陥の住宅ができたじゃないかといってしかられる、いろいろな問題がございます。したがいまして、いずれにいたしましても、これらの問題につきまして十分考えなければならぬ。年々歳々、質の問題も言われております。年々歳々少しずつはよくなっておりまするが、これも国民皆さん方から、ほんとう住宅はよくなったというようなおほめを少しもいただいておりません。せっかく一生懸命やっても、少しもほめられておりません。ここには、時代の進展とともに、われわれが考えなければならぬ多くの問題を含んでおるんじゃないか、かように考えておるわけでございます。  そこで、具体的に何かおまえは考えを持っておるのか、と。いまここで発表するような考えは持っておりませんが、やはり直面してみまして、この住宅政策は、少し曲がりかどに来たなというような感じがいたしておりまするから、十分建設省といたしましても、今後これに対処していきたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣の率直なお考え、たとえば、今日当面する住宅問題はいろんな意味で曲りかどに来たと、これは率直な大臣の御所見だと思うのです。ただ残念なことには、それはそう思いながら、これに対してこういう対策をやるんだ、そしていろんな問題を解決していくんだという対策のないということは、これはまあ率直におっしゃるお気持ちはわかるけれども、やはり国民とすれば、それほど大臣がお感じになっているならば、もう間髪を入れずに、それではこういう具体的な解決策をひとつ遂行しようというものがなくちゃならぬと思うんですよ。これはやはり大臣責任だと思うんですよ。そのために住宅局というものがあって、とにかく国民のサービスのためにやっているわけですから、これは大臣の率直な、曲がりかどに来た、何とかしなくちゃならぬという気持は了としますけれども、そこは政治的責任をお持ちになっている大臣ですから、ひとつぜひ、これはもう早急にそれぞれのセクションに指示をして、どういう対策を立てることが一番、冒頭に言ったいわゆる国民のための住宅政策の遂行になるか、こういった施策を早急に検討をし樹立して、当委員会にお示しを願いたい、こう思うんです。これは強い要望をしておきたい。  次いで具体的な問題に入ってまいりますが、これは住宅局に御答弁をお願いします。  大臣は、五カ年計画の今日までの進行状況は新聞その他でいろいろ発表はしておりますが、ひとつ責任者からこの委員会に、具体的に今日までの第二次住宅建設五カ年計画推進状況を御説明願います。
  15. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 第二期住宅建設五カ年計画は、御存じのとおりに四十六年度から始まりまして、四十六年度、それからいま四十七年度の計画が出されておる次第でございまして、全貌は、総数で九百五十万戸の五カ年間の建設量内訳は、そのうちで四割に当たります三百八十万戸を公共住宅供給をする。公的施策供給をする。残りの民間施策は五百七十五尺かような計画になっております。  そこで、いままでの出来高でございますけれども、四十六年度の実績を申し上げますと、四十六年度の当初の計画は、公的施策におきましては六十六万四千五百戸でございます。それが、民間落ち込みに関連をいたしまして、財政投融資弾力条項の発動及び補正予算追加、こういうことで戸数追加されまして、結果的には六十六万七千九百戸というふうな数字になっております。民間のほうはそれではどういうことになっておるかと申しますと、現在のところの推計では百二万一千戸になろうと思っております。これは、当初の予想よりも落ち込んでおりますけれども、先ほど申し上げましたような公共住宅の増で、ある程度カバーしております。したがいまして、合計では百六十八万九千戸というふうなものが第一年に建てられております。  四十七年度は、これは計画でございますけれども、私どもいま計画しておりますのは、公的施策住宅として六十八万五千尺これは相当やはり民間落ち込みがあるだろうということを予想しまして、相当馬力をかけた数字でございますが、こういうものが案として出ております。これに対しまして民間戸数は、これは四十七年度のことでございますからよくわかりませんけれども、いままでのことから推計をいたしますと、百八万戸ぐらいになるんではなかろうか。したがって合計で百七十六万五千戸、こういう数字になるのではなかろうかと推計をしております。この両年度の片方は実施でございますし、四十七年度のほうは計画でございますけれども、両方合わせますと、おおむね三六%の進行状況、こういうことでございまして、進行程度からいきますと、ほぼ定率の順調な伸びというふうなことになっております。
  16. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 四十六年度の当初の目標実施との間に、幾らかの差が出ておりますか。
  17. 沢田光英

    説明員沢田光英君) これは五カ年計画は、五カ年間で総量をきめておりまして、この内訳は正式には割っておりません。したがいまして、定率割り方もあり、定差割り方もあるわけでございますが、当初、私どもの心づもりといたしましては、四十六年度におきましては、民間は百六万戸程度できるだろうというふうに思っておりました。それが、いま私が申しましたように、百二万一千戸に終わろうとしております。そこで、ここで約三万九千戸というふうなものの民間の穴があいた、こういうかっこうになっております。公的の分は、ただいま申しましたようにいろいろ追加がございまして、二万三千三百八十戸というものがプラスされております。差し引きいたしますと一万五千何がしというものが、当初の私ども腹づもりよりは低いということは申せるわけでございます。  四十七年度について、ついでに申し上げますと、これにおきましては、民間落ち込みが、昨年秋ごろから横ばいになってまいっております。そこで、これがそのまま順調にいけば百八万戸ぐらいになるだろうと予想しておりまして、こういう予想に基づきますれば二千戸ぐらい、当初の考えたものより上回るのじゃないか、上回らせようという計画でございます。したがいまして、この二年間で一万余の落ち込みと、当初の腹づもりよりは落ち込むということはございますけれども、何せ五カ年の計画でございますし、あるいは膨大な数の中の一万程度のものでございますので、今後の動向、あるいは私ども努力でこういうふうなものは十分回復して、実績をあげる自信を持っておる次第でございます。
  18. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 全体的な計画からいたしますと、一万何千戸の落ち込みは五年間には達成できる見込みのように伺いますが、とにもかくにも、予定の建設が完全に消化できないという原因にはいろいろあると思うわけですが、それの一番大きな原因はどこにあるというふうに、あなた方は御認識されているかを伺います。
  19. 沢田光英

    説明員沢田光英君) おっしゃいますように、いろいろ原因はございますけれども、ただいまの情勢では、何といっても景気落ち込み、したがいまして民間住宅建設意欲、あるいはその意欲需要の対象といたします供給業者の建て控え、こういうふうなものが一番大きいやに考えております。ただし、その底にはやはり土地問題、地価問題、こういうものが大きくあるというふうに思っております。
  20. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 まあ景気の問題もありましょうし、土地の問題ももちろんありましょうし、しかし、やはり今後の問題としては、四十七年度の景気浮揚予算がどういうふうに具体化してまいりますか、その実行がどのように景気の上昇に役立つか、これはまだわかりませんけれども、そうなりますと、ますます土地問題が私は大きくなってきょうかと思うのであります。  そこで、これは大臣にお伺いしたいのでありますが、建設省はかなり熱心にいわゆる市街化区域等の問題をやられまして、そのよしあしは私は別として、せっかく一応きまりまして、A、B、Cのあれもきまったし、これでまあ土地の先行投資なり先行取得なりができるという、一つの見通しをおつけになったわけでございます。ところが、最近の情勢になってまいりますと、どうもいろんな関係方面の反対に押されて、だんだん後退しつつあるかに伺っております。きょうあたりの新聞を見ますと、全く骨抜きになるという状態であります。そうなりますと、これはいまもお聞きしたように、いろんな問題はありながらその一番大きな問題は土地の問題だろうというふうに理解するわけでございます。そういう観点から、ひとつ建設大臣としての、いわゆる市街化区域におけるA地区に対する、いま自民党の諸君をはじめ、その他いろいろ問題になっておりますが、これに対してひとつどういうふうな御所信をお持ちであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 西村英一

    国務大臣西村英一君) もともと一つの都市について市街化区域とか市街化調整区域とかきめた意味は、やはりだれもが考えるように、土地の利用計画をうまくやらなきゃいかぬ、都市はだんだんと無秩序になるじゃないか、人口がふえるにつれて非常に秩序のない都市になるのじゃないか、それは土地の利用計画がしっかりしていないからだということで、それでは都市の中で、今後、住宅を建ててりっぱな都市としてのところと、そうではなしに残しておきたいところと区別しようじゃないか、こういうことで市街化区域、市街化調整区域というものが私はきまったと思うのです。  市街化区域はやはり都市のりっぱな環境をつくりたいということであり、もう一方、調整区域はりっぱな農地としてあまり家をつくらせんで残しておこうじゃないか、環境を保全しておこうじゃないか、こういう二つの面から考えたことでありまするが、私は方向としては、建設大臣でなくても、方向としては私はりっぱな方向だと思うのです。しかしまあ、そのことそれ自身はりっぱな方向としましても、農地が宅地並みになるということで、農民の方々にいろいろ御都合がございます。わが党におきましても、あるいは皆さま方の党におきましても、いろいろ所見があることは聞いておりまするが、政府立場といたしましては、やはりこれを法律によってきめられたとおり——その法律は簡単に成立したものではございません。いろいろこれは各党におきましても、あるいはこの委員会におきましても、議論を尽くした上でああなったのでございまするから、方向としては私はおおむねいい、こういう感じを持っておるのでございます。しかし、いまあなたが御指摘のように、いろいろ党のほうにおきまして問題があり、毎日毎日、状況が変わってくるような状態でございますので、私は、はなはだ残念だと実は思っております。そういう感じを持っていますが、あの方向は私はりっぱだ、これはただ図面で線引きをしたのですから、多少の調節というものがこれはあってもいいのだ、しかし方向としてはおおむねいい、こういう考えを持っておる次第でございます。
  22. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 方向がいいということだけでは相済まぬと思うのです。というのは、たびたび申しますように、四十七年度は、あなたの政治的な手腕によって、これは日本景気浮揚国民生活を安定するという重大な責任を負っていらっしゃる。そこで、自民党員西村としてはいろいろなことがありましょうけれども、少なくともそういったものに政治的に責任を持っていらっしゃる建設大臣としては、あるときは職をなげうつ決意もして所信を遂行するだけの、やはり信念と申しましょうか、が必要であろうと思うのであります。  特に、私はこのことについて申し上げるのは、そのことのよしあしは先ほど言ったように別としましても、四十七年度の住宅計画を予定どおり遂行するためには、かなり思い切った土地政策をお持ちにならぬと、これは容易じゃなかろうと思うのです。あなたも先ほどおっしゃったように、そういったものは国民の側に立ってこれはやらなくちゃならぬ。もちろん農民も国民であります。農民の方のいわゆる生活をおびやかしたり、またはその土地を収奪するようなことがあっては相ならぬと思いますけれども、しかし、現実にかなりの地価高騰よってたいへんな利潤を、利潤と申しましょうか、所得を得られる方がたくさんあるわけです。今日、日本の長者番付を見ますと、土地による所得がもう非常に上位にある。いかに土地が、これは場所にもよりますけれども、値上がりしているか。またこれは別な観点から問題にしたいと思うのでありますけれども、その土地の所有者が、営々として自分の汗とどろによって築きあげた結果がそういう所得になったならば、これはもう当然でありますけれども、本人の努力もなければ何もない、ただ偶然その場所が都市の周辺であったということ、あるいは宅地造成に適した土地であったという偶然からくる、ばく大もない所得であろうと思うのであります。これに対しては、私は、ある程度の処置はやむを得ぬであろうと思うのです。いわば、不労所得とは申しませんけれども、まあ、それにやや類するような点もあると思う。  したがって、私は市街化区域におけるA地区に対する処置は、大臣として、やはり住宅政策を完全に遂行するためには、いま問題になっているような——私はそれこそ政策的なあるいは国政の運営上、きめた法律を変える特別な状況変化とか、事情が起こった場合は、これはやむを得ぬとしても、この法律は一年前にできて、その後何ら状況変化もなければ、同じ条件なわけです。ただ関係者の反対が強いからということで、ここではっきり申し上げると、特に今日、総選挙が近いであろうという見通し、私も総選挙を何年かやってまいりましたが、総選挙を前にして問題化されている。そこに私は非常に遺憾の点を感じる。もしいけないことなら、一年延期など言わずに、取り消すなり別な対策を立てるならまた話はわかる。一年延期しなきゃならぬという根拠はないわけです。したがって、私はこれは総選挙対策としか考えられない、こう断定してもはばからぬと思うんです。そこに国民の不信も生まれてくるし、また、いわゆる建設行政のやはり一つの行き詰まりも出てきょうと思うのです。したがって、方向としてはいいけれどもということばでおっしゃったのだが、それなら、建設行政を担当していらっしゃる、責任を持っていらっしゃる西村大臣としては、これはやはり自分の立場から、ひとつ断々固として、一つの強い方針を打ち出していくというだけの決意がおありになってもいいと思うのですが、重ねてその点、もう一ぺんお伺いしたいと思います。
  23. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 先生の前のお尋ねは、感じとしてどうかというような言い方で、その感じを申し上げたのですが、これはいまの段階ではまだ、わが党におきましても党の段階でいろいろの議論をしている最中でございます。政府としては当然、いまの法律によってやるべきだと、かように考えております。政府としての交渉はまだやっていないわけでございます。総理大臣も、これは既定方針どおりやるべきだ、法律に従ってやるべきだと。私もまたそう考えます。  また、選挙に云々というようなことがございましたが、こんなもの、一年これを延ばしたからといって、われわれに票が集まるとは思いません。かえって少なくなるんじゃないかと思うくらいですから、これは、私はそういう気持ちは全然いたしません。あくまでも政策としてこれは議論されなければならぬ。しかし、また一方、農民の方々が税金が一ぺんにふえるというようなことも、これは政治として考えなければなりませんけれども、一年延ばしたからそれがどうなるというような問題じゃないと思います。政府としては、これは既定方針どおりやるべきだと、建設大臣もさように思っておる次第でございます。
  24. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 住宅局にお伺いしますが、いま大臣がああいう御答弁になったんですが、あなた方は、四十七年度の計画を遂行されるために、土地の問題についてどのような見解と対策をお持ちであるか、ひとつ、あったらお聞かせ願いたいと思います。
  25. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 四十六年度におきましても、建設に際しまして土地の取得、確保にはたいへん苦労しております。したがいまして、四十七年度においてもたいへん苦労すると思います。しかし、これを抜本的に解決するというふうな手法も、ただいま私どももございません。そこで、やはり努力を積み重ねるよりしかたがない、かようなことでございますが、たとえば盛んに話題に出ますが、国・公有地、こういうものを大いに利用していく。たとえば東京都あたりでは、車庫の上にアパートを建てる、こういうことをどんどんやっております。各事業主体ともそういうふうなことをやっております。さらには、古い公営住宅の建てかえをやって、前の敷地の上に三倍の住宅を建てる、こういうふうな細工をする、細工といいますか、そういうくふうをするというふうなこまかい積み重ねもあります。さらには、何といいましても多摩ニュータウンのような、ああいうふうな計画を、できるだけ宅地化を早くする。そういうふうなことで、まわりからいろいろな条件を攻めて、早く宅地化して、公共住宅建設に使える、こういう状況を現出するように最大の努力をするというふうな所存でございます。
  26. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 そこで、いまいわゆる平屋建ての公営住宅の中高層化のことに触れましたね。その点についてお尋ねしますが、今日、全国で木造平屋建ての公営住宅は、どれくらいまだ残っておりますか。
  27. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 約三十五万戸でございます。
  28. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 三十五万戸というのは、その敷地はどのくらいになりますか、概算。
  29. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 千五百万坪くらいかと思います。
  30. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 その木造建築物ですね、これはかなり古いものだと思います。いま千五百万坪これがあると。これがいわゆる中高層の住宅に建てかえができるならば、その三十五万戸の敷地にどのくらいの戸数が建てられるのか。中高層といってもこれはいろいろありましょうが、五、六階から十四、五階と思いますれけども、こういったものを平均して建てて、何戸分くらいの住宅が建つか。これはほんの概算でけっこうですから、ちょっとお示し願いたいと思います。
  31. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 二倍ないし三倍の戸数になると思います。
  32. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それは、かなりの緑地なりそういったものを残しておくためには、いま言った二戸建てはほとんど一階でしょうが、たとえば五階、十階、十五階というものを建てても、二倍、三倍にしか伸びませんか。
  33. 沢田光英

    説明員沢田光英君) いま三十五万戸の木造の団地は、大体非常にこまかい団地がかなりあります。それから、戸山ケ原のように木造で非常に大きな団地もございます。こまかい団地のほうは、これは建てかえても、大きなものは建ちません。したがいまして倍率も少のうございます。通常は、平均をいたしますと中層の五階建てくらいに勘定をいたしまして、しかも、中層の団地として適当なオープンスペースなり公共のスペースをとるということで計算をいたしますと、二倍ないし三倍ということになります。
  34. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 現在建設省で、いわゆる建てかえの方針によって、具体的にこの地区は建てかえるべきであるという指示とか、あるいはその公共団体建設省と連絡をして、いわゆる再開発をしたいという地区がかなりあると思うのでありますが、その数を把握されておればその数と、それから現に進行しておる場所があったら、それと、また、これはなかなかしかし簡単ではないと思うのです。いろいろ問題点があります。その点について、具体的な現状を、わかりましたら御説明をいただきたいと思います。
  35. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 実は大都市におきまして、私がいままで申しましたように、公共住宅の宅地難というものが出てまいりました。そこで、その時点で木造の老朽住宅の建てかえ問題が出てまいりました。しかし、建てかえにはいろいろと入居者に御迷惑をかける。そこでなかなか計画が進まないということがございまして、四十四年に公営住宅法の改正をお願いしました。その中には幾つか筋もございましたが、その大きな一つに、建てかえをやるときに、一時収容施設か何かにいていただいて、仮説にいていただいて、そしてまた戻ってもらう。それを強制すると申しますか、ぜひお願いする、こういう制度が入れられたわけでございます。そういうことで、その手続きといたしまして、実は正式には、地方公共団体がそういう建てかえの計画をつくったときには、大臣のところに出てまいりまして、それを承認をするというふうなかっこうの手続きを経た上で、いろいろ諸手続きの末その建設にかかる、かようなかっこうになっております。もちろん、そういう手続きを経ずに話し合いがついているものも、どんどん建っておりますけれども、法的にはそういう制度に現在はなっております。  そこで、そういう法律ができまして、その後、建てかえの希望を聞いたわけでございます。第二期五カ年計画中におきます建てかえ計画のヒヤリングの結果は、全国で除去戸数といたしまして五万四千戸という一応の希望が出ております。これらにつきましては、大きいものも中くらいのものもございますが、その一部につきましては、その一々について審査の承認をしたものもございますが、相当部分はいま審査中でございます。で、いまの五万四千戸の建てかえの結果、何戸になるかというと、おおむね十四万四千戸になる、そういうふうな計画でございます。たとえば、建てかえの具体的例でございますが、これは法律改正の前からやっておりました有名な東京の戸山ケ原団地、あれは古い終戦直後の公営住宅でございまして、あれはこの法によらず、その前からやっておりますけれども、一番大きな例でございます。
  36. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 大臣に一つお尋ねをしますが、いま聞いていますと、非常に困難性はあると思うのです。これは現に住んでいるところでありますから、私も私の地元にそういう問題を抱えておりますが、しかし住宅政策全般から考えますと、これはやはりどうしてもやらなくちゃならない方向であろうと思うのです。と同時に、土地は現にその公共団体等が持っているわけでありますから、居住者と話し合いがスムーズに行きますならば、これは一番いい方法だと思うのですよ。大臣はこの点に対して、非常に意欲的な施策を遂行される気であるのか、あるいはまた、それぞれ問題を抱えておりますことですから、なるたけならば触れないでおきたいというお気持ちか、どっちか。積極的な意欲をお持ちかどうか、この点をひとつお聞きをしたい。
  37. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ことにこの問題は、土地利用の問題からしてもそうですが、それよりもさらに、都市における木造住宅、これは地震、火災、そういうことからいってもやはりすみやかに改めなければならぬと思います。その点からしても、土地利用の点からも、これは十分推進しなければならぬと思っております。ただ、現に居住しておる人がいろいろな理由でたいへんな不服を言っておること、これは私も実例はたくさん知っております。しかし、それはそれとして、やはりこの問題は大都市においてはことに早目に、強力に推進しなければならぬ一つの事柄であると、かように思っておる次第でございます。
  38. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は高崎線に乗るのでございますが、上野から出まして、日暮里から王子付近を通りながら見ますと、木造建築が密集しているのですね。端的に申し上げると、まきが積んであるのと同じですね、道も狭いし。まあよくあの辺が火災にならぬと思って感心しているのですが、火災にでもなったらたいへんだと思うのですね。最近、大地震の問題が騒がれておりますが、私はあそこを通るたびに思うのですが、これをひとつ思い切って取っ払って、鉄筋のマンションのような建物を建てて整理したならば、どんなにか住んでいる人もいいだろうし、東京都としてもこれはすばらしい町づくりができるだろうと、これは私の一つの夢ですが、いつもそう思うのです、あそこを通るときに。しかし、それは都市開発の問題でございましょうが、むずかしい問題はわかります。私はやはり、美濃部さんおこるかもしれませんけれども、東京などはそういう一つの思い切ったことをしなければならぬ。これは、私は東京都だけではできぬと思うのです。国がかなり思い切った措置をする。  そういうことで、先般、西村建設大臣は、東京都の都営住宅建設促進、戸数増加について、美濃部さんと会うというお約束をされた。ところが、会おうと思ったら、直前に何か故障が起きたのか、クレームがついたのか、お会いできなかった。これもおかしな話なんです。大臣が知事のところへ行って会おうとなさった。東京都知事ですから、大臣が偉いか知事が偉いかは別として、これは大臣が会おうとなさった気持ちは了とするのですよ。いいと思うのです。問題があったら、会って話し合って解決する。ところが途中で、新聞の報ずるところによると、大臣が都知事のところに行って会うのは何か見識がないというようなことで、やめられたという報道をしました。その報道の真偽は別として、私は、そのあなたがお会いになるということを承知して、たいへんこれはいいことだと、このように、いわゆる肩書きや能書きにとらわれていたのではもう仕事はできません。やはり私は、東京都の公営住宅の促進もさることながら、いま言った東京都全体の都市開発についても、大臣が知事と、これはどこで会うか、どっちからお会いになるにしても、東京都全体の都市開発についての大きなビジョンを私はこの辺でつくることが非常に望ましいし、望ましいというよりも緊急中の緊急事ではないかと思うのですが、私は、あなたならできると思います。したがって東京都の、これは住宅問題と関連して、そういった点に対してきちっと懇談して、ひとつ大きなビジョンをつくるだけの意欲をお持ちになってほしいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  39. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私、美濃部さんに公営住宅の問題で会おうと思ったのですが、これは何も、新聞はあれはうそです。私、ちょっとかぜを引いて、床の中で考えたのですが、どうも頭が上がらぬが、役所には出ていかなければならぬし、それで、これは公営住宅で東京都が一万八千戸と言っているのに二万戸つくってもらいたいと言うだけでは、これは能がない、もう少しほかの問題がある、江東区の問題もある、いろいろな問題もあるが、これは自分だけでやったのじゃいかぬだろうから、これはいずれ局長をつけて会見をすることもあるが、この問題だけなら、こっちも気分がすぐれないし、電話でもって済まされるのじゃないかと電話をしたわけです。役所におそく行って電話したわけです。おたずねすることになっていたけれども、少しぐあい悪いし、公営住宅二万戸つくってください、これだけですと、こういって電話でやりとりし、私のほうも考えましょうということで、あとから美濃部さんもたずねてきたのです。それは、新聞はうそです。そういうことです。  そこで、将来に向かってどうかということがございますが、これは東京都につきましてはいろいろな問題がございます。したがいまして、これも私のほうで重要な問題を整理しましたら、美濃部さんのほうもやはり担当官を連れてきてもらって、そうして実質的な打ち合わせをしたいということを、いまでも考えておる次第でございます。たいへん東京都は重要なところでございますから、その気持ちを持っておるわけでございます。私は公営住宅考えましたのも、さいぜん申しましたように、どこもここも、公営住宅はもうたくさんだという、押し返しの傾向があるのです。ノルマで公営住宅を五カ年計画で何戸はかさなければならぬということは、それは地方に持っていけば幾らでもできるのですが、最も住宅難で困っているのは東京であり、大阪であり、名古屋なんです。それが、どうしてもいろいろな原因で、土地問題あるいは超過負担の問題等で逃げ腰になっているわけでございます。そこで、来年は東京都については予定どおり二万戸何とかしてもらいたい、いやそれはできません、あなたは土地をどうしてくれますか、超過負担をどうしてくれますかというような話がありましたので、特にああいう計画をいたしたわけでございますが、今後とも、私は東京都の都市計画につきましては、地震問題もございます、いろいろ問題がございますので、日をあらためて、こちらで計画がちゃんとできましたらまたそういう機会もあろうかと、かように考えておる次第でございます。
  40. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ぜひお会いいただいて、これはもう、具体的にすぐできる、できぬは別にして、やはり東京都に対して、日本の顔ですから、国の責任でございますから、ひとつあなたが先鞭をつけて、知事さんとも話し合って、ぜひとも進行してもらいたい、こう思うわけでございます。  そこで、少し観点を変えて公団の方にお伺いをしたいのでありますが、いま公団住宅の家賃は、最低が幾らで最高が幾らか、ちょっとお知らせ願いたいのですが。
  41. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団の最低と申しますが、実は公団の管理開始は昭和三十一年度でございます。三十一年度の管理開始した団地の家賃の平均は、四千六百円でございます。それから逐次上がりまして、四十五年度は平均家賃で一万七千七百円というふうになっております。最高をお尋ねでございましたが、最高は三万円をちょっとこすという、東京の大島六丁目の団地、このようになっていると思います。
  42. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 四十七年度に建てられる見込みの家賃の最高は、どのくらいの予定でおりますか。まだわかりませんか。
  43. 島守一

    参考人(島守一君) お答え申します。ただいま御質問のございました件につきまして、来年度の建設計画を目下策定中でございまして、具体的に幾らになるということはまだわかっておりません。
  44. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 公団の家賃は、公団法施行規則第九条で決定をされることになっておりますが、最近の家賃の算定は、この公団法施行規則九条の規定からはみ出している点があるのではないかという危惧があるのでありますが、いまの公団の家賃の算定は、あくまでも施行規則九条によってなされておるか、あるいは他にいろいろな要素が入ってきつつあるか、この点はいかがでしょう。
  45. 島守一

    参考人(島守一君) 所定の規定に従って算定しております。ほかにそれをはみ出している要素というものは、いま考えておりません。
  46. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは新聞記事でありますけれども、家賃の中に、道路あるいは公園、そういった用地の費用が負担をされたり、あるいは市道改修費や河川改修費までも含めているという状態があることが指摘をせられております。施行規則第九条の規定とは、はずれているような気がするのですが、この点はどのように理解していいですか。
  47. 島守一

    参考人(島守一君) われわれが土地を取得いたしまして、それから建設するまでに、地方公共団体といろいろ折衝するわけでございます。その場合に、地方公共団体は、そこに住宅を建てるためにはこれこれの費用を負担してもらわないと困ります、そういうふうな話が出まして、そこで合意に達して住宅建設するわけでございますが、そのときに、たとえば負担金というものがございます。これは公共団体に限りませず、ガス会社にガスを引いてもらう、そのときにはガスのほうの会社の規程によりまして、一定額以上になった場合は受益者が負担する、そういうことになっております。そういう負担金、あるいは公共団体でそこに排水をするためには河川を改修してもらう、そのためにはこれこれの負担をしてもらいたい、そういうふうな負担金がかかる場合がございます。これは要するに、その土地を取得して、その取得費以外に、その土地を使用する場合に必要な経費である、そういう観点から、用地費の一部としてわれわれそれを出しているわけでございます。つまり、土地が実際に関連公共施設ができて使えるようになるまでに要る費用、必要な費用としまして、そうして、それは建設に要する費用の一部、用地費の一部と考えてわれわれは家賃計算をしております。
  48. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それでは、河川改修費なり道路改修費なり、そういったものを、これは新聞記事だけじゃなくて、現に公団が家賃の中に繰り込んでおるということでございますね。
  49. 島守一

    参考人(島守一君) そういうことでございます。
  50. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 それは、少なくともこの施行規則第九条に違反するのじゃないか。それは用地費の一部とあなた方は認定するのはかってですが、認定された居住者は迷惑ですね。当然それは公共事業体のものですから、これは居住者が負担すべきものじゃありませんよ。もしその取得をする場合に問題があるならば、それは公団が何らかの形で負担すべきものであって、居住者に転嫁すべきものじゃないと思うのですが、この点は総裁はどう思っておるか。問題だ、これは。
  51. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) お答えいたします。  従来、団地を建設する場合、そこに人を住まわせる環境の整った住宅をつくるためには、ただ土地を買って家を建てればいいということではないわけでございまして、そのために、駅からの通勤バスが通るようにとか、あるいはそこで出てくる汚水の処理をどうするか。そうしますと、これは、それを放流いたします河川が流出の能力がないときには、その改修も起きるというような、いろんな事業がほかに出てくるわけであります。私どものほうでは、これを関連公共施設費と申しまして、団地内の道路の舗装その他は全部、公団のほうで実施しておりますし、その他、団地に住民が入ることによって、それが原因でいろいろな改良を必要とするという場合には、従来、公共団体との話で折半負担をする、国庫補助の残額の地方負担の分の折半負担をするというような、いろいろなケースを持っているわけでございます。  で、これらの費用は、それならば公団自身でかぶればいい、家賃に負担をはね返すということは不当ではないかというお尋ねだと思います。公共事業で立てかえられるもの、たとえば学校の建設費というようなもので、あとで補助金なり国の支出がありまして、そうしてこれが財政的な措置ができるというものにつきましては、地方公共団体とのお話し合いで、二十年なりあるいは十年なりというような長期の割賦で返していただくということで、家賃の負担ではなくて、その間の利子の分だけが家賃の負担に入るというような措置をしておるというようなものもございますし、建設にどうしても必要だというものにつきましては、やはり建設に要する費用の中からこれを使用いたしまして、その分の償却といいますか、これは家賃で見るというように、おのおの分けて、現在まで創立以来十六年間やってきているわけでございます。
  52. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私が言っているのは、施行規則第九条のどこにそれが当てはまるのか。この九条にそんなことは全然ありませんよね。これは改正したら別ですよ。第九条のどこに当てはまって、それをされたのか。十何年問かやったなら、十何年間あなたたちは不当な家賃を徴しておったことになる。法律違反でもあると思うんですよ。明快に、第九条のどこに当てはまるのか、ちょっと御説明していただきたい。
  53. 島守一

    参考人(島守一君) われわれは、土地の価値上昇と認められる限度内において、そのために土地を使用できるように投下する資本は、これは用地費である、そういうふうに解釈しております。
  54. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 下水や上水、河川、これは公共事業ですね。当然、公共団体なりがやるべきことなんです。じゃあ、町で家をつくった場合に、だれが下水道や上水道なんかの施設費を負担するか。河川改修をしたら、だれが負担をするか。負担しておりません。負担すべきものじゃないんだ、これは。それを、あなたたちは弱い借家人に向かって一方的に強制している、へ理屈をつけて。  私も実はきょう調べて、あ然とした。これじゃあ、あなた、家賃が上がるのは当然なんだ。入居者は、長い間家がなくて困っているから、そういうことも検討しないでとにかく入る。最近はいろんな問題が起こっておりますが、これはひとつ建設大臣、聞いていましたか、公団は家賃の中に、いま言ったように当然公共事業体が負担すべきもの、あるいは公団が負担すべきもの、しかも、公団法施行規則の第九条でちゃんと家賃はきまっている。これにないものを公団は十何年か徴収している。このばく大ないわゆる借家人の受けた被害は、これは収奪ですな、強制収奪。これをやってきている。今後もやろうとしている。私は、何と説明しても、その費用は家賃に入れるべきじゃないと思う。大臣は、あなたは監督者としてそれをいままで見のがしていたんだが、これ、どうされる気ですか。あなた、話わかりましたか。何か本を見ていたようだが、聞いてなかったですか。
  55. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 第九条を見ておったんです。  いま、あなたが言われたようなことが全然ないとは申しませんが、おおむね私は妥当にいっておると思います。つまり、やはり家をつくるからには土地の造成をしなければならぬ。土地の造成費はやはり家賃にかかってくるのでしょうが、その場合に、土地を造成するについては、川を直さなければならぬこともあるでしょうし、いろいろあると思います。そういう費用は土地造成費の中に入ってくる。それがまた家賃の計算になるというようなことであろうと思うのですが、それがどこからどこまでの範囲ということでそれはきめることでございましょう。しかしおおむね、いわゆる公共事業というようなものを家賃に組み入れるはずはないと私は思います。実例は私は知りません、いま精細はすべてを見ておりませんから。  これはまあ、だれが考えても公共団体が持つべきもの、そういうものを家賃に組み入れるはずはないと思いますから、家を建てるということに必要な、やむを得ないものがあると思うのです。そういうものが多少入っておるかと思うのでございます。したがいまして、これは全体の家賃の中に占める、そういう何と申しますか、不明瞭なものがどのパーセンテージくらい入っておるか、私は、どの程度入っておるかということは数字は知りませんが、あまりそういう数字は入っておらな  いのじゃないかと私は思うのですが、もし非常に不合理なことがありますれば、あなたがいま言ったとおり、これは家賃から除去しなければならぬものだということでございまして、この条項に、どこかそういうものがあるかなということで見ておったんですが、いまあなたがおっしゃいましたように、ぴしゃっと当てはまるようなものはないわけでございまして、土地の造成の場合に、いろいろなものがあると思います。どうぞ御了承を賜わりたいと思います。
  56. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 時間もありませんので、この問題はまたあらためて、これは私も現地をひとつ調査をして、いろいろとやります。公団もひとつ検討をして、やはり間違ったら間違ったとはっきりする。どうもこの委員会答弁は、何かその場を終わればいいということでいろいろなことを言いますけれども、私はそれは承知できません。私も具体的な事例を調査をして、次の機会にまた徹底的にやります。公団も、もしこれが正しいというなら、ひとつ明快な、第九条との関連について検討していらっしゃい、これを指摘しておきます。  それから先般来、公団の古い安い家の家賃に対して値上げをするような御意向がいろいろ伝えられましたが、これに対しても、いろいろ反対も出てまいりました。同じく公団法施行規則の第十条によりますと、「(家賃及び敷金の変更等)」という欄になっておりますが、法律でまいりますと、「物価その他経済事情の変動に伴い必要があると認めるとき。」「賃貸住宅相互の間における家賃の均衡上必要があると認めるとき。」「賃貸住宅について改良を施したとき。」、さらにまた「賃貸住宅について家賃が著しく高額となるため、相当な期間を定めてこれを減額する必要があると認めるとき。」まあ四つほどありますが、家賃の値上げについては一応第十条があるようでありますが、しかし、私も長い間公営住宅に入っておりましたが、安いといっても、今日建てる住宅と十年前、十何年前の住宅とは、それぞれ条件が違うわけです。したがって、いま建てる住宅と比較して安いから、古い住宅を値上げするというのは、私どもはどうも理解できないのでありますが、何か最近聞きますと、大臣も、公団住宅の古いものについては値上げをしないというふうな御指示だったように伺うのでありますが、公団側としては、いわゆる古い安い家賃の公団住宅に対して値上げはしないというふうな御決定をなさったのか、また、値上げする方針なのか、この点を総裁からお聞かせ願いたい。
  57. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 公団といたしましては、先ほど申しましたように、設立当初の家賃と今日の家賃と大体三倍から四倍の差がある。これは、いまお話にありましたように、いろいろな面で比較が、ただ金額だけの比較というわけにはまいらないと思います。しかし、いろいろな点で公団自身の住宅の今後を考えますと、七十年間の償却ということになっておりますので、この間には、いろいろな建てかえその他の必要も出てきましょうし、いままで十五、六年やってきた経験から、どうも修繕費その他の問題についても検討の余地があるというようなことで、全体のいろいろな検討はいたしております。しかし、これは御承知のように、建設大臣の御方針というものがなければ動かないということになっておりまして、われわれとしてはあらゆる面の検討はいたしますが、これについて、お説のように、家賃の値上げをやめたとか、きめたとかいうものではなくて、あらゆる観点から、将来に向かってどうあるべきかというような検討をいたしまして、というのが現状でございます。
  58. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 建設大臣の御意見はいかがでございますか。いわゆる古い初期のものに対する、低家賃の公団住宅の家賃を上げるという、巷間だいぶ騒がれまして、居住者の反対もたいへん強かったのでありますが、いま公団総裁のお話を聞きますと、上げるとも上げないともおっしゃらないのですが、それはやはり大臣の認可と申しますか、大臣の方針によって決定するということになりますが、どうですか。大臣の御所見を伺いたい。
  59. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 実は正直なところ、ことしも公団住宅の家賃についていろいろな問題がございます。私はやはり初め、相当古い方々が、その当時の適正な家賃で入っておるわけでございます。しかし、いろいろな社会情勢が変わりまして、いろいろ諸物価も上がっておるし、また、自分の所得もふえておるということですから、必ずしもこれをそのまま、一回きめたものだから、それをずっと何年もいじれないというようなことは、これはまた公平の原則からいっても必ずしもいいとは私は思いません。しかし、大体家賃は、われわれの精神としては、やはりなるべく低廉な家賃で提供するというような精神でございますから、これが非常な反発を受けておるというようなことでは、せっかくわれわれが親切心をもって勤労者住宅を提供するという意義も消えるわけでございますから、やっぱり家賃問題は慎重に取り扱わなければならぬということで、今回は見送ったのでございます。  将来、この家賃問題は、古い家賃のみならず、これからつくっていく上の家賃につきましても、これは一つの問題点があります。したがいまして、この全体の家賃政策としてもう少し統一的に考えてみたい、こういう気がいたしておるのでございます。もちろん公団法律は、私はよく知りませんが、家賃は上げてもいいことになっておると思います。当然そうなっておると思いまするが、しかし、われわれが勤労者に提供するのは、安い住宅を提供するということであることも十分考えなければなりません。そういうような意味から今年は見送りましたが、しかし将来にわたって永久に上げませんよと、こういうことは申し上げるわけにはいかない。もう少し家賃全体について統一ある考え方をしたい、かようにいま思っておる次第でございます。
  60. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 この問題、まだいろいろと意見がありますが、これはまた後日に譲りまして、ひとつ公団総裁にお尋ねしたいのは、最近、収入上限をきめたいという記事等が出ていますね。いわゆる入居者の収入の上限をきめたいという。これは、私は収入の上限もさることながら、公団家賃の上限をきめる必要があるのじゃないか。もちろん、地価の問題とか建築問題とか、いろいろございまして、簡単にはいかぬかもしれぬけれども、しかし、少なくとも公団住宅はいわゆる勤労者中心だと思うのですよね。そういう高額な収入上限をきめるとおっしゃるのだから、これはやはり勤労者中心住宅だと思うのですよ。そうならば、収入上限をきめることも必要かもしれませんけれども、むしろ家賃の上限をきめて、もちろん最近は質の問題が出ておりまして、内容の充実あるいは間取りの関係もございます。けれども、それもさることながら、やはりある程度家賃の上限をきめるということが私は当面必要じゃないかと、こうつくづく思うのでございますが、そういうことをお考えになったことがあるかどうか。なければ、今後そういうことについて検討する用意があるかどうか、この点をひとつ……。
  61. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この問題は、私からお答えしたほうがいいと思います。  私は、実はあなたと同じような考えを持っておるのでございます。結局、家賃のアッパーリミットをきめるというその意味は、それ以上の家賃を払える人は民間のほうにまかせればいい。いろいろと民間で家をつくっておりますから、われわれは、政府がいろいろ努力してやって、そうして家賃が高くておこられるようなおろかなことよりも、いわゆる民間のデベロッパーをわれわれが助けてやらしたほうがいい。ないしは金融公庫の制度もありまするから、それだけ高い家賃のものは、いわば持ち家住宅の推進のために、金融でもって措置したほうが得じゃないかというような考えを、まあいたしておるのでございます。  しかし、アッパーリミットをきめると申しましても、このアッパーリミットを現在の状態できめて、これを十年も二十年も据え置くというわけにはいかないのでございます。やはりある時期には、所得も上がりましょうし、社会経済も変わってきまずから、ある程度、アッパーリミットもまたいじるというようなことを考えたい。もしアッパーリミットよりも高い家賃であったら、つとめてわれわれは金利を下げるとか、あるいは建築費の問題について考慮を払うとか、そういう意味で、上限を守って、多くの住宅を提供したい。それ以外の、アッパーリミット以上に負担にたえる人は、なるべく民間でやってもらいたい。私自身はそう考えておるのでございまするが、もし皆さま方の御賛成を受ければ、そういう制度もひとつ考えてみたいということを思っておる次第でございます。
  62. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 最後に、大臣にもう一つ伺いたいのは、最近、マンション建築について、日照権問題がかなり問題になっております。内容をいろいろと調べてみますと、問題はいろいろあるようであります。このことは、ただ単にマンションの建設ということだけではなくて、先ほど申し上げた市街地の再開発等につきましても起こってくる問題ではないか。この点は、これはマンション建設者をどうするとか、日照権だけをどうするということではなくて、やはり一つのはっきりした方針が確立されておりませんと、今後いろんなところで問題が起ころうかと思います。したがいまして、私はこの件に対して建設大臣の公式の意思表明がなかったかに思うのでありますが、ありましたら、これは私の認識不足でありますけれども、それにしても、この席上であらためて日照権問題に対する建設大臣の御所見を最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  63. 西村英一

    国務大臣西村英一君) たいへん重要な問題でございます。したがいまして、先般から建築基準法を改正しまして、この日照権問題についていろいろ対処しておるのは御案内のとおりでございます。しかし、それにもかかわらず、たいへんこれは重大な問題でございます。やはり土地を高度利用するためにますます高い家が建ちますので、そこで私も、この問題はなかなかつかまえがたい問題でございまするから、先般、宅地の審議会に小委員会をつくりまして、諮問をいたしております。どうするかという諮問をいたしておりますが、この秋ぐらいまでには答申を得たいと思っております。  建築基準法を先般改正しまして、斜面の、北側の斜線を引く問題もそれに対応する一つの問題でございましょうが、それから、苦情もたいへん来ております。大臣の家にもやはり電話をかけるような人もある。これはしかし、人ごとならそれはほっておきますけれども、自分の家がそうなると、これは日当たりが全然ないということになったらたいへんなことなんですが、ますますこれが進んでくるとたいへんなことになりますので、私といたしましても、この答申を待って、ひとついろいろ考えたいということを思っておる次第でございます。
  64. 二宮文造

    ○二宮文造君 申し合わせの時間がありますので、私も引き続きまして住宅の問題と、それから若干、本州四国連絡橋の問題と、この二点についてお伺いをしたいと思うわけです。  質問に先立ちまして、ちょっと数字を伺っておきたいのですが、第二期五カ年計画の四十六年から五十年までの数字が、あらかた出ております。公営住宅五十九万、改良住宅八万、公庫住宅百三十七万、それから公団住宅四十六万、その他の住宅九十二万。約二七%弱の数字ですが九十二万戸という、その他の住宅が出ております。この内訳はおわかりでしょうか。
  65. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 申し上げます。  厚生年金住宅が四十一万戸、雇用促進事業団の住宅が十四五戸それから、いわゆる農住法によります農家の賃貸住宅が五万一戸公務員住宅が七万戸、地方単独の公務員住宅が十四万七千戸それからその他が、これは災害とか、同和の改修とか、炭鉱その他でございますが十万八千一戸かような計画でございます。
  66. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、あるいは数字がありますか、どうか。先ほど茜ヶ久保先生が質問されたときに、公的資金による四十六年度の実績を六十六万七千九百戸こうおっしゃいました。その中で、いまおっしゃった厚生年金とか、雇用促進事業団による促進住宅、国家公務員住宅、それから、あなたはその他に含められましたけれども政府関係機関住宅計画としては三万五千戸ありますね、その他の中に含まれております。それから地方公務員住宅、単独住宅ですね。それの実績はどうでしょう。
  67. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 実績数字はいま手元にございませんが、計画を、一応四十六年度の当初につくりましたときの数字がございます、申し上げさせていただきます。  厚生年金住宅が八万九千一戸それから雇用促進が二万八千戸国家公務員住宅が一万五千五百一戸地方単独が二万二千五百戸それから農住が二千戸その他が二万一千一戸合計で十七万八千一戸かような計画をいたしておりました。
  68. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで大臣にお伺いしますが、先ほども住宅問題ですね、いわゆる政策というものが曲がりかどにきている、こういうふうな大臣の率直な御答弁で、それにどう対処するか、それぞれいま検討中だろうと思います。私が二月二日に代表質問で申し上げましたように、たとえば団地を取り上げてみましても、雨漏りするとか、あるいは水がないとか、あるいは通勤に不便なところだとか、あるいはまた大都市では災害に全く無防備な木造賃貸アパート、こういうものがいま問題になっているわけですね。で、ちょっとこの計画一つ見てみましても、公団あり公庫あり、それからまた公営住宅あり、さらには厚生年金あり雇用促進住宅あり国家公務員住宅あり。住宅行政というものが、それぞれ公的資金を使って、使用目的は一般を対象にするか、あるいは公務員を対象にするかですけれども、あらゆる方面から手が伸びておりますね。行政全般が非常に、種類もいろいろありますし、それからまた各官庁にまたがっている。こういうことで、はたして住宅行政というものが円滑に推進できるかどうか。そういうことで、私は、総理府にそれらのものをまとめた住宅対策本部みたいなものを設置して、これはもう大事な問題なんですから、総合的な計画立案、あるいはまた実施面における隘路の打開、そういうものを調整すべきじゃないかと、こういうことを申し上げたら、佐藤さん、にべもなく、そんな考えは毛頭ございませんと、こういうふうな御返事が返ってきた。それから数日しますと、大蔵省で何か住宅対策庁ですか、趣旨は全く私が申し上げたのと同じような趣旨で、住宅対策庁というものを考えたらどうだろうかというふうなことが述べられているわけですがね。これは一体、大臣、この住宅対策庁を大蔵省等で考えておりますこと、それに対しての大臣の見解はいかがでしょうか。
  69. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さっき申しましたように、住宅がばらばらだということなんです。ここは一つの考えどころなんです。しかし、よく考えなけりゃならぬことは、それがやはり、あそこもやる、ここもやるということで全体の戸数がふえるという考え方もあるわけです、一つの事柄で。しかしまた一方、その弊害はたいへんあるわけです。私は、いまあなたが言いましたように、九十数万戸という非常に大きい数なんです、ばらばらやっておる数が。それですから、こういうものについては、ある程度のこれは統制をとらなけりゃならぬぞということを考えておるわけでございます。  それから大蔵省の問題ですが、大蔵省がああいう住宅庁を打ち出したと。これは、大蔵省は全然知らぬということを言っておりますが、それはおそらく、大蔵省が知らなかったかどうか、私もそれはわかりませんけれども、結局、やはり住宅が非常に大事であるから、建設省だけにはまかしておけぬよ、これはもう少ししっかりやってもらわなければならぬという、一つのあらわれではなかろうかと私は思っております。  そのように、住宅国民皆さん方から非常な要求をされておるということでございまするから、この住宅庁のことはさることながら、やっぱり第二次五カ年計画をただ達成すればいいんだ、いいんだという一つ覚えじゃいけない。この際、いろいろな面について、ひとつ建設省としても住宅について研究しなければならぬと、かように私は思うわけでございまして、これは具体的に住宅庁がどうだと、こういうようなことはおそらくないと思いまするが、そういう意見を持っておるような方々、それは、住宅をもう少し強力に政府としてすべきではないかという世間の意見も私はあろうかと、かように考えておる次第でございまするから、住宅行政の主管庁であります建設省として、その点に相当思いをいたさなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
  70. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣ですね、あっちこっちがやるから、競争してやって数がたくさん建つからいいじゃないかという、そういう意見もあるというふうなお話ですけれどもほんとう国民のほうは迷惑しているんです。といいますのは、いろいろな制度があります。しかし、ほんとうにその制度が一つ一つ国民にPRされているか。それぞれ条件も違います。結局、そういうふうな各省にまたがるいろいろな制度があるということが、住宅政策を混乱させているわけです。ですから、いまなお三百万世帯が住宅難世帯だと、こうも言われておりますし、毎年毎年建てかえもしなければなりませんし、そういう重大なときに向かっての政府の受け入れ体制というのが、いまのようななわ張り根性であってはならない。  どうですか。端的に言って、あったほうがいいでしょう。そういう総合調整をする住宅対策庁みたいなもの、あるいは住宅対策本部、各省を網羅したそういう機関があったほうが、住宅対策を総合的に調整推進できるでしょう。やり方はむずかしい、どうするかというのはむずかしいとしても、これはまたあとから考えるとしても、そういう機関があったほうがいいか悪いか、必要ないか。この点の単純な見解、いかがでしょう。
  71. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 統合すべきような方向に向かったほうが、私はいいと思います。
  72. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、たとえば各省にまたがるということを私言いました。しかし今度は、建設省の所管する公団あるいは公営住宅あるいは公庫——公営住宅はちょっと要素が違いますけれども、公庫の業務とそれから公団の業務がやはり錯綜していますね。公庫は単に金融だけじゃない、分譲もやっている。公団と公庫との業務の錯綜した面も非常に多いわけですね。これらは調整する必要があるかどうか、この点はどうでしょう。
  73. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 建設省にしてしかりでございます。たいへん錯綜をいたしております。これらもひとつ相当考えなければならぬと思っております。しかしやはり行政組織ですがね、これは、私も役所におりましたんですが、なかなかいろいろ錯綜するわけです。しかし、ある目的のためにはそこが中心になって簡素にしなければならぬ、こういうことは十分考えております。
  74. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、簡素にしていかなければならぬということ、けっこうです。それは考えだけじゃなしに、やっぱり進めていただきたい。  それでまた、その一部なんでしょうか、いまの住宅公団ですね、これの、さらに分割案というのが報道されておりますね。そういうお考えがあるのか、ないのか、これは別の問題として、たとえば、住宅だけを建設管理する住宅建設公団と、用地取得と再開発などの都市環境整備に専念する都市整備公団、こう二つに分けたらどうだろうか、こういうふうな考え方が建設省のほうから出ているようですがね。これは実際には、そんなに分けてみたって、総合的なものがなければ単に人員の膨張を招くだけで、実際の住宅建設促進にどこまで寄与できるだろうかという批判的意見もあるようですけれども大臣は、こういう公団の分割の構想についてどういうお考えを持っておられるか、ちょっとお伺いしたい。
  75. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いまは考えてはおりません。それは建設省からそういう案が出たというんですが、それは、何かそういうことでいろいろ研究しておるのか知れませんが、私は現在考えておりません。
  76. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、また内局が暴走しているんでしょうか。官房長、いかがですか。
  77. 大津留温

    政府委員(大津留温君) 私どももまだ、そういうことは全然考えておりません。
  78. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあ、事新聞報道に関する限りは、本日、大臣は三つ、わしゃ知らぬと、こうおっしゃったわけです。先ほどは会見の問題それから今度は住宅対策庁の問題、それから建設省公団の分割構想の問題。しかし、こういう委員会で、私は、考え方としてあるとかないとかいうそういう議論は、大いにやるべきじゃないかと思うんです。おそらく私は、考え方はあると思います。あると思う。また、あってしかるべきだと思います。そういうものを、やはり成案を持つ前にいろいろ議論をして、そうしてお互いの考え方の中から、より妥当なものが出てくるのじゃないか、こういうふうにも考えるのですがね。それは議論になりますから。私は、そういうやり方、そういう姿勢は不満です。やはり公開し議論の種をまいていただく。そして切磋琢磨して、よりよき果実というものをつくったほうがいいのじゃないか。  そこで、私は住宅公団の具体的な問題で質問を進めていきたいと思うんです。大臣にも折り折りまたお伺いするようになります。ちょっとこまかな、具体的な質問になるかもわかりませんけれども内容をよくお聞きとりいただきたい、こう思うわけです。  公団にお伺いしますけれども公団の発足以来の建設戸数と管理月数、これを賃貸と分譲と、こう大別してお伺いをしたいわけですが。
  79. 島守一

    参考人(島守一君) ただいま手元に四十五年度末の資料しか持っておりませんが、合計で五十七万七千戸、賃貸住宅が三十五万一千戸、分譲住宅が二十二万六千戸余りでございます。
  80. 二宮文造

    ○二宮文造君 すみません、もう一ぺん。
  81. 島守一

    参考人(島守一君) 四十五年度末、合計で五十七万七千六百十八。
  82. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってください。おたくのほうから四十六年末のは出ていますよ。じゃあ、四十六年十二月末の建設戸数
  83. 島守一

    参考人(島守一君) 建設戸数ですか。
  84. 二宮文造

    ○二宮文造君 建設戸数と、現在の管理戸数でけっこうです。当然、建設中のものにギャップが出てくるでしょう。
  85. 島守一

    参考人(島守一君) 一月末の管理戸数でございますが、賃貸住宅三十八万一千六百十四戸でございます。分譲住宅二十四万一千七百五十九戸でございます。
  86. 二宮文造

    ○二宮文造君 建設戸数は。
  87. 島守一

    参考人(島守一君) 手元に四十五年度末の資料がございますが、賃貸住宅四十四万二千二百二十七戸、分譲住宅二十五万二千五百九十三戸でございます。
  88. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってください。先ほど四十七年一月末の管理戸数が、三十八万一千六百十四、これは賃貸、それから二十四万一千七百五十九、これが分譲。これは管理ですね。いま伺ったのはこれはいつの建設戸数ですか。
  89. 島守一

    参考人(島守一君) 四十五年度末の発注ベースにおける建設戸数でございます。
  90. 二宮文造

    ○二宮文造君 おかしいですね。管理戸数が四十七年の一月末まで出て、建設戸数が四十六年三月しか出ないというのはどういうわけですか。
  91. 島守一

    参考人(島守一君) 手元に持っております資料がそれでございますので、至急ここで計算いたします。
  92. 二宮文造

    ○二宮文造君 大体私伺ったところによりますと、現在工事中の賃貸あるいは分譲が十万二千百十八戸。そうしますと、昨年度の公団計画数は八万八千戸ですから、建設期間が、逆算しますと、おおむね一年三カ月から四カ月かかっている。いわゆる昨年度の八万八千戸をオーバーした十万二千幾らがいま工事中ですから、民間の場合とだいぶギャップがあり過ぎるのですが、なぜ——一年三カ月、四カ月というのは、数字から出た計算ですよ、実態はどうかわかりませんけれども。たとえば高麗川みたいに、建ったままはい  れないものもありますからね、そういうこともあるでしょうけれども、どうしてこういうふうな計算になるのか、この点の説明をお願いしたい。
  93. 島守一

    参考人(島守一君) ただいま住宅建設の工期が約十五カ月、少し長いのではないかという御質問だと思いますが、従来の団地は、五階建ての中層住宅がおもでございました。これは大体平均工期十カ月、それにその後の付帯工事、建物ができて付帯工事が、入居までに十二カ月ということでございます。ところが、最近高層住宅がふえてまいりまして、高層住宅の標準工期は十九カ月ないし二十三カ月ぐらい、階層が多うございます関係で、工期が長くなっております。そういう関係がございまして、高層住宅の比率は、四十六年度では約四五%ぐらいに達しております。そういうことで、全体平均いたしますと十五カ月ぐらい、現状はなっているわけでございます。
  94. 二宮文造

    ○二宮文造君 ただ、住宅難というのは、いま深刻な当面の問題なんです。それで、こういうたとえば国会あたりへ資料が提出されましたときは、この住宅局予算説明資料を見ましても、すでに四十六年、四十七年で進捗率は三〇何%と、こういうふうな数字が上がってくるわけです。しかし、実際問題として、住宅難の解決になっていないわけですね。一年、それ以上も工事にかかっているわけですから。だから、住宅難は一向に解決しない。解決しないはずですよ。とにかく、あと追いあと追いのかっこうで進んでいっているわけです。こういう考えからいきましても、この五カ年計画が終わったとき、先ほども大臣もおっしゃったようにこのまま進んだとしても、そのときまた相当住宅難世帯を抱えている、こういうあと追いの姿になりますね。ですから、予算措置というのはもう少し、何といいますか、当面困っている問題を取り上げて、その当面の問題に重点的に施策を加えていくということが行政の姿勢としては必要ではないか、こう思うわけです。  それからなお、都道府県別に建設戸数の、建設状況の資料をいただきました。ところが、私どもが住む四国の四県、あるいはそれを含めまして二十五県で賃貸住宅が一戸も建設されていないわけです。住宅難はあえて大都市だけではない。中小都市においても相当な高家賃に困っております。住宅には困っておるわけですが、そういう、いわば開発途上国ではありませんけれども、大都市以外のそういう府県で、なぜ公団賃貸住宅建設されなかったか、その理由をお伺いいたします。
  95. 島守一

    参考人(島守一君) 住宅公団の賃貸住宅は、行政区画をこえまして、非常に住宅難の激しい大都市に集中的に建てる、そういうような方針でいままで進んできたわけでございます。ただ、地方都市においても、現在のところ、団地で言いますと、おおむね周辺を合わせてでございますが人口五十万以上、それから市街地住宅でいいますと四十万以上、そういうところは、もしその所在の地方公共団体がその建設に非常に積極的であり、建設管理においても公団に協力する、そういう場合には建てております。具体的に申しますと、首都圏中部圏、近畿圏北九州以外に、たとえば札幌であるとか仙台、そういうところに建てた例はございます。
  96. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、もっとこまかくなりますけれども公団の分譲住宅制度、この分譲住宅制度の発足の趣旨をお伺いしたい。
  97. 島守一

    参考人(島守一君) 分譲住宅制度につきましては、当初、おもに事業者に分譲して、そこの従業員に住宅供給する、そういうふうなねらいがおもにございまして、それには、たとえば土地から建物全部を公団でつくって、でき上がったものを募集する方法、それと、洋服でいいますとイージー・オーダーといいますか、とにかく先方でこういう土地にこういう形式のものを建ててほしいというような注文を聞いて、譲り受け人をきめてから建てる特定分譲住宅、そういう二つの制度を当初からやっておりました。
  98. 二宮文造

    ○二宮文造君 その分譲と、それから特定分譲、それから特別分譲、この中身をもう少し説明いただきたいのですが。
  99. 島守一

    参考人(島守一君) 当初、先ほど御説明申し上げましたような方法でやっていたわけでございます。ただ、普通分譲住宅つまり既製の分譲住宅におきましても、わずかですが個人にも分譲したわけでございますが、昭和三十六年十二月になりまして省令の改正がございまして、それ以後、普通分譲住宅、レディメイドの分はおもに個人、それから特定分譲とわれわれ言っていますイージー・オーダーの分は事業者の居住住宅、そういうふうに変わってまいりました。ところが、さらに四十一年度になりまして、この普通分譲住宅は支払い条件が、現在と同じでございますが、大体二十年で割賦する。そういう状態ですと、たとえば比較的所得の少ない階層には、その普通分譲住宅に申し込む機会が少ないじゃないか、そういうことから特別分譲という新しい分譲住宅、これもレディ・メイドのものでございますが、償還条件を、最初の五年間は元金を返済せずに、利息だけ返済していく、そして五年たってから元金も返済していく、そういう新しい制度ができまして、現在それが三本立てになっております。
  100. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、三十年から四十五年度まで総合計で賃貸住宅が四十四万二千二百二十七戸ですね。それから分譲のほうが二十五万二千五百九十三・五戸ですか、こういう総計になっておりますか。
  101. 島守一

    参考人(島守一君) はい。
  102. 二宮文造

    ○二宮文造君 その内訳はどういう比率になっておりましょうか、普通分譲と特別分譲と特定分譲と。
  103. 島守一

    参考人(島守一君) 二十五万二千五百九十三戸の内訳を申し上げますと、普通分譲住宅が、これは四十五年まででございますが、三万六千十三戸でございます。それから特別分譲住宅が三万二千戸でございます。特定分譲住宅が十八万四千五百八十戸でございます。
  104. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、分譲住宅とはおっしゃっても、特定分譲住宅の割合がもう四分の三ですね。だから、公団における分譲住宅というのは、その大部分、もう七割以上が特定分譲住宅だと、特定分譲住宅のための分譲住宅の制度だと、こうも言い返しができるのじゃないかと思うのですが、この辺はどうでしょうか。
  105. 島守一

    参考人(島守一君) 公団が発足しました当時から、分譲住宅のねらいとしまして、企業に住宅を譲渡する、そしてそれを従業員が安い家賃で借りる、そういうねらいが一つございます。それがまあ当初のねらいでございましたが、その後、個人の分譲住宅、個人の持ち家という点も入ってきて、それが年々強化されてきたわけでございます。ただ、個人の持ち家と申しましても庭つきの一戸建てでございませんで、住宅公団は、耐火構造の住宅を建てまして、それから、土地を有効利用するために共同住宅になります。そういう関係で、そのうちの一部分を自分のものにするという制度になじみがございませんでした。公団発足以来相当期間、それに対する需要が非常に少なかったわけでございます。最近それがだんだんふえてまいりまして、現在では、普通分譲、特別分譲のような、個人持ち家的なものが相当量ふえております。
  106. 二宮文造

    ○二宮文造君 いや、そういうことを伺っておるのじゃないのです。それに、現在普通分譲住宅が、戸数としてはふえてきたとは言いながらも、分譲住宅の割合というのは、たとえば四十五年度、単年度を見ましても、二万六千戸の分譲住宅の中で、普通分譲はわずかに三千三百でしょう。二万六千の中で三千三百。特別分譲が六千二百、特定分譲住宅は一万六千五百。相変わらず、やはりここでも大きな割り合いを示している。だから、分譲住宅という公団の制度は、いわば特定分譲住宅のために開かれているようなものじゃないかと、こう私は言っているわけです。単純に割合を計算して、その趨勢というものを公団としてお認めになっていただければ、私、次の質問に進めるわけです。それはもう、何か鼻毛みたいなものを取り上げて、それもあります、これもありますと言っていると、次へ進めないわけです。
  107. 島守一

    参考人(島守一君) ただいま先生のおっしゃった通り、比率としてはそういうふうに、大部分が特定分譲住宅になっております。
  108. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、特定分譲住宅に焦点をしぼりたいと思います。四十六年度の特定分譲住宅建設状況を見ますと、金属鉱物探鉱促進事業団分として七戸本州四国連絡橋公団分として三十一戸農地開発機械公団分として八戸水資源開発公団分として十六戸、阪神外貿埠頭公団分として十五戸というふうに、政府機関がそれぞれ譲り受けておりますけれども、それらの建物の使用目的は一体どういう目的になっておりますか。
  109. 島守一

    参考人(島守一君) それらの公団、公庫の職員の社宅に使われております。
  110. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、地方公共団体が八百四・五戸譲り受けておりますけれども、その使用目的はどうでしょう。
  111. 島守一

    参考人(島守一君) 地方公共団体に譲渡する場合には、二つの場合が考えられます。一つは、われわれ俗に公営賃貸と言っておりますが、ある都道府県に、公共団体にわれわれが住宅を譲渡します。それを今度は、公共団体が一般の住民に賃貸をする。そして比較的安い住宅で、たとえば公営住宅から出てもらわなければいけない人とか、そういう人をねらって貸し家を経営する。そういう場合が一つあります。それからもう一つは、地方公務員の、たとえば病院なんかを経営している場合、病院の職員の住宅がないのでそれに社宅として提供する。そういう二つのケースが考えられると思います。
  112. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、国家公務員住宅というのは、別に五カ年計画の別ワクにあるのです。「その他住宅」の中に政府関係機関住宅もあるのです。それから地方公務員のための単独住宅もあるのです。公団のこういうふうな資金を使って、政府関係機関だとか、あるいは地方公共団体のそういうものを建てて分譲する、あるいはそれを賃貸しする。これはどうでしょうか、こういうやり方はよろしいでしょうか。それぞれ予算も持っているのです。その中で手当をすべきじゃないでしょうが。
  113. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 詳細に調べなければわかりませんが、必要があるのでしょうが……。
  114. 二宮文造

    ○二宮文造君 いま詳細に数字をお並べしたわけです。
  115. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 数字はわかりましたが、あまりよくないですな、ちょっと、いまだけの話を聞きますと。それは、国家公務員のやつは大蔵省が持っていますしね、それぞれやれるんですから。しかし、特別の場合もあるかと思いまするから。私は、いま簡単に聞いただけでは、あまり感心しないと思います。
  116. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、この特定分譲住宅に対して、いわゆる分譲の対象、これは施行規則の二十条ですか、それのどの部分に該当するのでしょうか。
  117. 島守一

    参考人(島守一君) お答えいたします。  たとえば先ほど申しました都道府県あるいは市役所が公団から譲り受けて、さらに一般に賃貸する、そういうケースは、二十条の一項一号の二に「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し居住性の特に良好な住宅を賃貸する事業を行なおうとする者」そういうふうに書いてあります。
  118. 二宮文造

    ○二宮文造君 おっしゃるとおり「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し居住性の特に良好な住宅を賃貸する事業を行なおうとする者」。それが、政府関係機関だとか、あるいは地方公共団体に限られているのはどういうわけでしょう。
  119. 島守一

    参考人(島守一君) 政府関係機関の従業員は、むしろ口で「事業者でその使用する従業員に対し住宅を貸し付け、又は譲渡しようとするもの」、これに当てはまると思います。
  120. 二宮文造

    ○二宮文造君 要するに、公団とかあるいは地方公共団体が大家さんになって、そしてそれぞれ関係の職員に貸すわけですね。だけど、この第一項一号のニにおいては、そういうことは明言してないわけですね。第一項一号のニは「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し」と、こうなっておって、地方公共団体とか政府関係機関に限るとは書いてない。一般のものに対してだけどうして——イあるいはロに該当するものにしろと、こういうことでしょうか。
  121. 島守一

    参考人(島守一君) 地方公共団体に譲渡するもののうち、公営賃貸でございますね、一般に賃貸するものはニに該当すると思います。ただ公共団体でも、その従業員に社宅としてあるいは給与住宅としてなにする場合はロでございまして、それからまた政府関係機関の場合もロでございます。
  122. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうですか。地方公共団体を「事業者」と読みかえるわけですか。
  123. 島守一

    参考人(島守一君) そうです。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 なるほど、事業していますね。  それじゃ、とにかく私もわかります。民間の不動産業者にこのニを適用しないということは、いろいろ隘路がある、また別な意味で問題が起こって、それは公団の内部の規定としてそういう道を開いていない理由は、それなりにわかります。ですけれども大臣もおっしゃったように、私は、政府関係機関だとか地方公共団体がこういう公団資金を使うということは、傾向としては好ましくないと思います。しかも、その戸数があまりにも多いのです。  特に私が納得いきませんのは、財団法人富山県赤坂会館、これが港区の赤坂で六十八戸。富山の赤坂じゃないんですよ、東京の赤坂でですよ、六十八戸。それから福岡県が千葉県の松戸の大金平、そこで三十戸それから香川県住宅供給公社が吹田市桃山台で三十戸、こういうふうに県域を越えて建設している事例があるのですが、これはどうでしょうか。
  125. 島守一

    参考人(島守一君) この財団法人富山県赤坂会館、これは六十八戸でございますが、これは県の東京事務所の勤務者、それからまた、県から一年以上にわたって東京に出向している者、そういった人のために財団法人が赤坂に借りたものだと、こういうケースでございます。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと、つかぬことを伺いますがね、富山県の東京事務所の職員、何人いらっしゃるか御存じですか。
  127. 島守一

    参考人(島守一君) いま存じません。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 三名。これは宿舎になるんでしょう。いわゆるホテルになるんですよ。会館的なものになるんです。富山県から上京してきた方が宿泊する場所なんだ。住宅じゃありませんよ。
  129. 島守一

    参考人(島守一君) ちょっといま手元に資料がございませんので、はっきりしませんが、これは後ほど調べて御報告いたします。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 課長さんいらっしゃるでしょう。契約書を御存じでしょう。宿舎的なものでしょう。聞いていただいたらすぐわかります。
  131. 島守一

    参考人(島守一君) われわれ審査するときには、宿舎的なものとして審査していないと思います。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 よく煮詰めなければ、おかしくなりますよ。
  133. 島守一

    参考人(島守一君) ただいま聞きましたところでは、職員が二十数名、その他、出向者合わせて相当数いるということは、譲渡のときにチェックしてあるそうでございます。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 もう少し実態を正確におつかみになること。ただ契約の時点に所定の書式がそろっていれば、あとはどうなってもいいということでは、私はよくないと思います。大体、こういう公団の資金を、そういう公的な機関が使うこと自体を私は問題にしている。しかもその中身が、私がいま言ったようなことにもし——もしとしておきます、もし利用されるのであれば、これはもう、こういう制度は早急に改廃をお考えにならなければならぬ、こう私は申し上げておきたいと思うのです。  香川県の場合、どうですか。
  135. 島守一

    参考人(島守一君) 香川県の住宅供給公社が建てたものでございますが、これは香川県に本店を有する企業が、大阪支店等に勤務する場合、その大阪に勤務している人に貸すための住宅でございます。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 それもよく内容を御調査願いたい。やっぱり契約だけでなしに、追跡調査もひとつやっていただきたいと思います。  そこで問題なんです。公的機関、たとえば政府関係機関とか公共団体とか、そういうものを除いて、いずれの県も見ますと、そのほとんどが大企業なんですよね。大企業は、自分自身の資金ルートがあるわけです。あるいは、場合によっては開発銀行の資金も使えるわけです。ところが、またここでも大企業が食い込んできて、そのパーセントは非常に大きいんですよね。たとえば三十八年からの総合計を見てみますと、特定分譲住宅の三十八年から四十六年の計画まで含めまして十一万四千八百六十七戸ですね。それで大企業が七万八千八百九十五真六八・七%、それから、先ほど言いました公益法人を含めた公的なものと申しますか、それが一万六千六百一・五戸 一四・四%、中小企業はわずかに一万九千三百七十・五戸、十六・九%なんですね。むしろ私は、こういう公団の特定分譲住宅の制度というものは、市中銀行なんかで貸し出しが受けにくい、そういう中小企業に、より門戸を開いてこそ、この意味があるのじゃないか、こう思うのですが、他にあらゆる方面に資金ルートを持っている大企業が、こういうところへ割り込んでくる。これもこの制度のガンじゃないかと思うんですが、この点どうでしょうか。
  137. 島守一

    参考人(島守一君) 住宅公団では、特定分譲住宅の募集に際して広くPRしているわけでございますが、そこで申し込みがありまして、譲り受け人を選定するわけでございます。そのときに公団の方針としまして、中小企業を最優先する、そういうことにしております。そして、具体的に申しますと、その中小企業の中でも、企業規模の小さなものほど優先しなさいということを指導しております。  しかし現実には、中小企業の申し込みが総体的に非常に少のうございます。具体的に申しますと、四十六年の申し込みでございますが、中小企業の申し込み百三十二件、四千百二十三戸ございます。そこで、それをわれわれ審査するわけでございますが、たとえば従業員の住宅ほんとうに困窮しているかどうかとか、それから、その敷地が住宅に適しているかどうか、いろんなことをなにしますが、譲渡対価の、つまり建ててお譲りしたあとの割賦金の支払い見込みは確実であるかどうか、そういう点もなにするわけでございます。そこで具体的にいまの四十六年で申しますと、百三十二件、四千百二十三戸の中小企業の申し込みの中で、その経営内容が悪くて、たとえば現在赤字を出しておる、したがって割賦がちょっと無理じゃないかというふうな点で実際に承認しなかったものが百十二戸ございます。それ以外は全部承認しているわけでございます。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはそうですよ。先ほど、私が冒頭大臣に申し上げたことはそうなんです。要するに、制度があちこちにありますと、あなたのほうではせっかくPRしているといっても、事業者のほうでは、あまり公団の特定分譲住宅になじんでないのです。私も知らなかった、はっきり言えば。ただ、何か見ていますと、大企業の大きなものが、どんどこどんどこ建っておりますから、これは一体どういうわけなんだ、どこから金が出ているんだということで調べ始めると、おたくから出ている。特定分譲住宅制度というものが初めてわかったわけです。私も四、五年建設委員をやっておりますけれども、一切知らなかった。要するに、制度がばらばらです。一般の大衆というもの、国民というものはその制度を知らないわけです。だから総合調整をして一本にして、パンフレットにして、希望者はこういうものがありますよと。住宅金融公庫のあれはPRされております。ああいうものと同じようなパンフレットの中に、こういう制度があります、ああいう制度がありますと、こう出しておけば、それは、もし中小企業最優先という方式をとられるなら、このパーセンテージは逆になっていいはずなんです。私はそう思います。
  139. 島守一

    参考人(島守一君) 御意見ごもっともだと思いますが、われわれといたしましても、できるだけのPRをしたいということでございまして、もちろんパンフレットもつくりまして、この窓口は、実は各県の住宅課にお願いしているわけでございますが、そこでわれわれのほうの支所の職員も出向きまして、年に一、二回、ダイレクトメールでその所在の企業に働きかけて、説明会などもやっております。ただ私、個人的に考えるのでございますが、公団の場合は耐火構造で、一応のかなりの戸数といいますか、少なくとも七戸、八戸になります。そういう点で、中小企業の中でも比較的規模の小さい、たとえば住宅二戸二戸がほしい、職員住宅二月二戸がほしいという人に向かないという点はあると思います。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 中小企業といったって、従業員三百人以下は中小企業ですよ。資本金五千万円以下は中小企業ですよ。二月二戸の住宅の規模だけが中小企業じゃない。そういうような言い方をされるところに——私思うんです。この特定分譲住宅というのは、申し込み者が用地を用意しなければなりません。この用地を用意して、そうしてここへ社員を対象に住宅を建てます、こういうことでしょう。公団としますと、予算がある、それからまた建設戸数というものも非常に問題になる。そうすると、特定分譲住宅の対象に大企業を選び、あるいは政府関係機関みたいなものを選ぶと、もう資金が返ってくるのは間違いないし、そういう安全度を踏んで、一方では建設戸数を消化するというメリットがある。建設戸数を消化する、一方では資金が安全に返ってくるというので、この特定分譲住宅制度というのは勢い公的機関に走るか、大企業に走らざるを得ないような仕組みになっているんじゃないでしょうか。したがって、おっしゃるとおり中小企業を最優先する、こういうたてまえで発足するならば、もっと中身のPRも必要でしょう。さらにまた運用の中身を再検討すべきじゃないか。そして中小企業のほうに門戸を開くべきじゃないか。むしろ大企業や、あるいはそういう公共団体政府機関はシャットアウトする、それくらいの姿勢で進められていいのじゃないかと思うんですが、この点、総裁どうです。
  141. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 特分の問題につきましていろいろ御指摘いただきまして、特定分譲の実際の需要を見てまいりますと、非常に景気に左右されております、非常にこれが申し込みが多いときと、それからあまりないときと。本年あたりは、おそらく一万戸もこなすことができないというような状態になっておると思います。いまお話しのように、中小企業に対するPRというものが十分であったかどうか、この点は十分私どもとしては反省しなきゃならない点だと思います。実際の窓口を全部府県の住宅課にお願いしておりますので、そこで十分県内の事情もおわかりであろうということで、今日までこの制度を運用してまいったわけでございますけれども、ただいま先生がおっしゃるような面では、種々再検討しなければならない点はあろうかと思いまして、十分検討さしていただきたいと思います。
  142. 二宮文造

    ○二宮文造君 これは御承知のことだと思いますけれども、青森県におきましては、四十六年度の建設状況ですね、契約です、四十六年度の契約は、青森県が十二戸、青森県の中央病院関係が十二戸、同じく青森県が六戸、そして太平洋金属という会社ですね。これは八戸市の会社ですが、ここで十六戸。だから大企業——これは大企業か中小企業かわかりませんけれども、こういう公共団体がずばっと入ってくるわけです。青森県に、住宅を要しない中小企業は一軒もないということは考えられない。これはワクがあり、そしてそういう制度を、PRされている内容をよく知っているところが先がけて食い込んでしまう。こういう傾向にあるんじゃないかと思いますよ。それから宮城県におきましては、宮城県関係が三口で、二十四戸二十戸、二十戸で六十四戸そして東京時計製造株式会社というのが十戸、これも青森県と同じような状況を示しております。  ですから、これは単に景気、不景気の問題ではなくて、景気、不景気にかかわらず住宅の要望というのはあるわけです。また、公団の特定分譲住宅の趣旨が、再三ことばじりを取るようで恐縮ですけれども、中小企業を最優先する、零細企業ならさらに最優先する、こういう基本方針がある以上は、むしろ私はさっき要望したように、この比率が逆転する、相なるべくはそういう公的なものはシャットアウトしてしまう、こういう方向に進めていくおつもりがあるかどうかということを伺っているのであって、そのことに対する明快な御答弁はないわけです。この点はどうです。
  143. 南部哲也

    参考人(南部哲也君) 御趣旨のような方針で今後の特定分譲の建設を再検討いたしたいと、このように申し上げたわけでございます。
  144. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣、いま総裁はその方向で進めたいと、こういうことでございますが、短い時間ですから、私が取り上げたのはほんの部分的な問題です。だから中身をもっとしさいに報告を受けて、大臣もその趣旨に沿って指導していただきたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  145. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 公団もだいぶ、やはりいろいろ発達の歴史があったと思います。しかし、それはそれといたしましても、やはり公団が尽くさなければならぬのは、普通の方に持ち家住宅を提供するということが主眼でなければなりません。したがって、いまおっしゃいましたようなことにつきましては、十分今後注意をいたしたいと、かように考えております。
  146. 二宮文造

    ○二宮文造君 若干こまかい問題、資金率の問題とかいろいろ用意はしたのですが、時間の関係住宅問題、特定分譲だけを問題にしましたけれども、そのほかにもずいぶん問題があるわけです。  一応時間の関係で、次の架橋のほうへ移りたいと思いますが、連絡橋公団が一昨年の七月に設立されて、今日まで一年半、営々として業務をなさってきたわけでございますが、この一年半の経過を、ごくかいつまんででけっこうですが、おっしゃっていただきたい。
  147. 柴田護

    参考人(柴田護君) 公団が一昨年七月発足いたしまして、当時、道路公団と鉄道建設公団でやっておりました調査工事を引き継ぎまして、今日まで調査をいたしてまいりました。調査の経過は、今日までほぼ順調に進んでおります。  どういうところを調査したか、どんなことをやっておったかということでございますが、おもなものを申し上げますと、経済調査を一つやっております。これは事業経済効果あるいは採算性等につきまして、昭和四十二年に建設省。運輸省から一応の工費、工期の発表をいたしておりますが、その基礎になりました経済調査を、新しい時点に置きかえまして再検討いたしてまいっております。  それから自然条件調査は、海象、気象の調査、これは観測塔をつくりまして風向調査をいたしましたり、あるいはその他の地震の観測、また航行安全の調査、こういった自然条件調査をずっと続けてまいりました。  それから測量につきましては、陸上部及び海底部の地形図をつくってまいりました。これは一部は完了いたしております。それから地質地盤関係調査でありますが、これは陸上部の道路、鉄道についての土質調査、あるいは海峡部の長大橋の基礎につきまして概査ボーリングをやっておりまして、概査ボーリングを完了いたしました。引き続いて精査ボーリングにかかっております。路線調査につきましては、それぞれ道路、鉄道路線につきまして計画設計を進めてまいりまして、大部分は終わりつつありますが、各種比較路線を目下検討いたしております段階でございます。  それから長大橋の設計調査につきましては、海峡部の長大橋について計画設計図を作成し、あるいは設計方法、材料の研究などを進めてまいっております。  それから施工方法の調査でありますが、海底の岩のさく岩機の開発、あるいはハッパによる掘さく実験、海中コンクリートの打設法の実験等を進めてまいるとともに、施工機械を種々開発してまいりました。たとえば海底の岩を掘ります場合の掘さく機を、どういう方法でやれば一番能率的で効果があがるかというような観点から、各種の掘さく機をつくりまして実験をしてまいってきております。また作業用船舶を開発いたしましたり、特に足場関係の、海中の足場あるいは投錨船、いかりを入れる船でございますが、こういったものの開発、また航行安全施設、作業をやります場合の航行安全、できましたあとの航行安全、これらにつきまして、どういう施設をつくるべきかというようなことにつきまして開発をしてまいりました。  それから用地補償関係につきましては、関係の地域の地価あるいは特殊権利関係調査を進めてまいりました。  大体、今日の段階では、事業計画を立てる、つまり実施に移ります直前の段階でありますが、そのために必要な調査は、ほぼ本年昭和四十七年度中には完了する、こういう段階でございます。
  148. 二宮文造

    ○二宮文造君 それで、いただいたパンフレットによりますと、四十三年に建設省、運輸省の試算によりますと三ルートの工費ですね、これが神戸−鳴門は三千七百二十八億円、それから児島−坂出が二千五百五十一億円、それから尾道−今治が千四百七十八億円、合計しますと七千七百五十七億円という多額の工費を試算しております。しかし、その後の物価の変動がありまして、それをそのまま置き直しましたら、工費はどの程度にかさ上げをしなければならないでしょうか。そういう試算はできておりましょうか。
  149. 柴田護

    参考人(柴田護君) 計画設計をきめてまいりました段階で、そこで一ぺん工費、工期を計算をし直します。したがいまして、大体現在の予定では、ことしの秋ごろになりますと、再算定をしたものが出てまいると思います。ただ、おっしゃいますように、昭和四十二年度ベースから比べますと、その後物価の変動等がございますので、ごく大ざっぱに見積もりまして、その当時の五割くらいはふえるだろうというふうに私ども考えております。
  150. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、一兆円をこえる金額になるわけです。それで、いただきましたパンフレットによりますと、「六十年完成をめざし、四十八年度には三ルートそれぞれ着工できるよう鋭意調査および技術開発を進めております。」と、こういうふうに書かれておりますし、いまもお話になったように、四十八年度の着工ということを目の前にして、諸般の調査あるいはまた開発が進められていると思うんですが、この三ルートそれぞれ着工するということばの意味は、同時に着工いたしますということに読みかえてよろしいんでしょうか。
  151. 柴田護

    参考人(柴田護君) 私どもに与えられました任務は、三ルートについて架橋の調査をすることが一つでございます。どこからどういうぐあいにやるかということは、政府でおきめになって、そして施工命令が下るという手続になるわけでありまして、私どもといたしましては、どこからやれと、三本一緒にやれと言われましても、あるいは一本でも、ここからこのぐらいの期間でやれと言われましても、できるように調査をする、こういう態度で進んでおります。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 大臣にお伺いしなきゃなりませんがね。かねがね同時着工ということが伝えられているわけです。公団のほうにいまお伺いしたら、返ってきた答弁は、ここからやれ、こういうふうにやれということに話がなれば、そのとおりいたします、そうできるようにいま調査、準備を進めております、こういうことなんですが、当初言われておりました同時着工ということ、これはいまも変わらないかどうか。あるいはまた、もう新聞等では、また大臣、これ知らないとおっしゃるかもしれませんが、どこからかかるんだというふうに、すでに、これは公団の発表じゃなかったかと思うんですが、あるいは推測記事かもわかりませんが、一月の末ごろ、ないし二月の中旬までにローカル紙に出た覚えがございます。たとえば神戸−鳴門については、大鳴門のほうを始めるんだと、それからまた尾道−今治のほうは、要するに因島へ向かって伸びるんだと、それからまた児島−坂出は香川県側のほうから進めていくんだと、こういうふうに出ておりましたが、そういう同時着工の考え方に変わりがないかどうか。なぜ私確認するかと言いますと、資金の問題もありましょう、あるいはまた技術の問題もありましょう、さらにはまた労務者の確保という問題も出てきましょう、こういう面を考えますと、なかなか至難なことじゃないか、こういうふうに思うんですが、方向として、同時着工ということを言われてきたその姿勢に変わりはないかどうか。これはひとつ大臣のほうから、将来変わるとしても、現在の時点はどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  153. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 一言で申しますれば、同時着工で変わりはないと思うのであります。しかし、その同時着工ということが、時間的にも、二、三日おくれても同時着工じゃないか、一カ月おくれても同時着工という意味じゃなかろうと思うのです。やはり、その架橋はそれぞれ注意しななければならないところがありますから、やはり四十八年度中にはそれぞれの分野において着工する、こういう意味に私はとるべきだ、また、とらざるを得ないだろう。一日も違えないで同じ日にやるのだというような固い意味にはとれない、かように存じております。
  154. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういたしますと、大臣のいまの考え方は、四十八年度に三ルートそれぞれ着工をする方向で進めていく、こういうことでございますか。
  155. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さようでございます。
  156. 二宮文造

    ○二宮文造君 さらにもう一つ詰めておきたいのですが、着工するとしても、場所の問題になるわけです。どこから着工するか。一ぺんにはかかれませんから、そのそれぞれのルートが四十八年に着工するとして、その場所。今度はそのルートの着工順位ですね。ルート別の。それは大体いつごろまでにおきめになる予定でしょうか。先ほど公団側では、秋ごろまでに大体計画はできる、こういうことでございますが、こうやれと言われたとおりやるということですから、これはやはり大臣からお伺いしなければならぬ。それぞれのルートの着工順位、これは大体いつごろまでにおきめになる予定なんでしょうか。
  157. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま公団としては、せっかく来年度、いずれのルートも着工できるように調査を進めておりまして、その結果がおおむねこの秋ごろには、十月か十一月には出ると思います。その結果を見て、このルートはここから始めるべきだ、このルートはこちらからやるべきだというような、その個所あるいは方法、そういうようなことは、その時点で考えなければならぬ、かように私は思っております。いま直ちに、具体的に申し上げるわけにはいきませんが、結果がわかれば、それによって判断する、こういうことになろうかと思います。
  158. 二宮文造

    ○二宮文造君 詰めるようではなはだ申しわけないのですが、来年度着工となりますと、概算要求もしなければなりません。予算措置もしなければなりません。そうしますと、どうしても本年度中にはきまらなければならぬ制約がありますね。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  159. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これは、予算概算を出す八月ごろまでにはこれがきまりません。やはり特別な事業として、調査が十分進んだその時点で予算を組むのでございまして、これは一般の事業のような取り扱いはできないと思っております。
  160. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、また先ほどの答弁が狂ってきたのですが、四十八年度着工には間違いございませんか。
  161. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 間違いないです。
  162. 二宮文造

    ○二宮文造君 じゃ、そこまでにしておきます。公団の方、けっこうでございます。なおまた計画が進みましたら、漸次その機会に具体的にお伺いしたい、このように思いまして、きょうはほんとうに頭だけで申しわけないのですが。  それで大臣、先ほどの住宅の問題に返りますが、第二期五カ年計画、これも九百五十万戸という膨大なものを持つ、その中で、いわゆる自己資金によるものが五百七十万戸ですか、三分の二近くが自己資金によるわけです。ところが、これも非常にいま、隘路にぶつかっておるといわなければならぬと思うのです。ある金融機関の調査によりますと、昨年あたりは、景気落ち込みもあって少し鈍化してきた、その調査によりますと、こういうふうなことを言っておるわけでありますね。  東京、大阪で持ち家を建設した人、この人のアンケートをとってみたところが、大体平均するところ、年収二百六万円の人が土地百三平米、約三十一坪、それから建て坪が大体六十三平米、約十九坪、これだけのものを建てるとして、六百六十万円の資金が要る。そうして三百万円は自己資金である。あと三百六十万円は、あるいは銀行借り入れとか、あるいは社内借り入れとか、そういうものによってまかなっている。大体持ち家をつくっている人の傾向は、年収の一・五倍の貯蓄のある人、そうして年収の一・八倍の借り入れのできる人でなければ持ち家は建たない。東京、大阪ですよ。ところが、全国サラリーマンの貯蓄の高を別途、数字をとってみますと、大体平均が年収の〇・九倍しか貯蓄がない。持ち家をつくるためには、年収の一・五倍の自己資金が要る。こういうところで、いわゆる中堅層の持ち家というのは進まないわけです。  そこで、これは党でも決めたわけじゃありません、ただ私はその話を聞いてなるほどなあと思ったことは、その人たちが提案をしておりますことは、法人の場合は、銀行の借り入れ金は全部、損金算入できる。ところが、個人が持ち家をつくった場合、銀行からローンしますね、銀行ローンで持ち家をつくり、その利息というものは、現在では所得控除はないわけです。もしも——もっとも金額でリミットをつけなければなりませんし、それからその家の規模、これにも制限をつけなければなりません、野放しには行きません。ですが、持ち家のために銀行ローンをした場合に、その利息をいわゆる所得控除する道を開けば、大体それに充てる所得税の減額は約四百億円から五百億円だと。こういうふうになりますと、もしそれを損金算入する道を開くと、持ち家が非常に進むのじゃないか、こういうふうな考え方を持っている人がおりますがね。私はその話を聞いて、計画はあっても、このように鈍化してまいりますと、一方では住宅に困っている人が、ただ自分でお建てなさいということだけでなくて、具体的に提案になったこういう銀行ローンの利息の所得控除、こういうようなのも、そろそろ考えるべきときが来たのじゃないか、こう思うのですが、この点どうでしょうか。もっとも、いろいろな悪用される面は考えなければなりませんよ。
  163. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 中堅階層、中堅勤労階層の建設が鈍化しているのは、それは確かにそのとおりだろうと思います。考え方といたしまして、いろいろな手を打たなければなりません、中堅階層に対しては。これは税制、金融、財政、あらゆる面にわたって打たなければならないと思っております。たとえば、いま先生のおっしゃる一つの方法、これも私どもも検討しております。これは、この前の減税では、やはり持ち家を建てたときには一律に三年間減税するという減税をやりました。しかし私どもは、さらにそれを、ローンにくっつけた減税をやっていただいたほうがいいのではないかということで、案を検討しております。諸外国におきましても、利子について減税をするというようなことをやっておりますので、前向きに検討しているところでございます。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 事務当局でもそのような御検討は始まっているようですが、ひとつ大臣のほうもこれを督励をして、どうぞひとつ、自己資金で建てるということについてもこまかい配慮をしていただく。同時にまた、くどいようですけれども、総合調整の問題、これはもう抜本的にお考えをいただいて、この住宅行改を進めていただく、このように希望をいたしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
  165. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ローンの問題ですが、これは実際考えないどころじゃない、建設省としては非常にことしの税制の改革でねばったのです。ところが、ローンといってもいろいろあるものだから、住宅ローンをやるとほかのローンに波及するからというので、なかなかこれ大蔵省が一いまおるかどうか知りませんが、大蔵省のことにまたなりますけれども、なかなかこの壁は破れなかった。そこで、例の二万円を限度として税金をまけるということになったのですが、これはローンとは意味が違うわけなんです。そういうことでございまするから、われわれも、このローンの問題はさらに強力に努力したい。そうしなければ、あなたがおっしゃいますように、なかなか自力では建たないという、また、そのほうに金を生かしたほうがいいのだ、こう思いますけれども、一方、いろいろなローンがあるものだから、これはなかなかその壁を破ることは、今年はむずかしかったわけでございまして、十分努力したいと思っております。
  166. 春日正一

    ○春日正一君 私は、生活環境道路の問題についてお聞きしたいと思います。  昨年の五月二十五日に、「騒音に係る環境基準について」というものが閣議決定されたのですけれども、その内容と、建設省としてこれをどのように実施しようとしておいでになるか、そこから聞かしていただきたいと思います。
  167. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 昨年五月二十五日に、環境基準を閣議で決定したわけでございますが、その際に、道路に面する地域につきましては閣議決定の内容がきわめてきびしい内容でございますので、若干基準値を下げられまして、道路に面する地域については、設定後五廣以内を目途としてその達成をはかるようにつとめるものとする、ということになっているわけでございます。ただいま現在、この道路に面する地域につきます基準値も、現在の各地区におきます国道ないしは東京都内の幹線道路の周辺におきましては、この基準値を通常五ないし一〇ホン程度は普通こえておりまして、この基準を守ることはなかなかむずかしいというふうな状況にございます。  一方、新しく道路をつくる場合につきましては、この基準を厳守するために、あらゆる面におきましてわれわれはただいま検討を加えております。たとえば道路の路線の選定にあたりましては、住宅地とか、そういうところを避けるような路線の選定を命じておりますし、どうしても住宅地等を通過せざるを得ないようなルートにつきましては、環境基準の範囲内におさまるように道路の構造を考えるなどいたしまして、基準の数値の以内におさまるような計画を立てておる次第でございます。
  168. 春日正一

    ○春日正一君 いまのお話ですけれども道路に面する地域については、A地域、つまり第一種、第二種の住居専用地域、それから住居地域は四五ないし六〇ホン、B地域は、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域が五五から六〇ホン以下、それからAA地域、療養施設とか社会福祉施設、文教施設が集合して設置されている地域は三五から四五ホン以内、こういうことですね。それで、五年以内に達成するようにつとめる。それから幹線道路、これは自動車国道、都市高速道路、国道等については五年をこえて、可及的すみやかに達成するようつとめること、こうなっているわけですね。しかし、これは五年以上でできますか。幹線道路以外のところは五年以内、それから幹線道路は五年をこえてというけれども、大体いつごろまでにそれができるのか、その点の見通しを聞かしていただきたいのです。
  169. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいまも御説明申し上げましたように、幹線道路に面した地域におきましては、大部分、基準を一〇ホン程度こえている場合が多うございます。われわれの調査によりますとそうでございますが、すでにもうでき上がっている道路につきましては、一〇ホンも下げるということは非常にむずかしい問題でございまして、また、たとえて申しますと、もし一〇ホン下げるためには、道路の側方に約百メートルの土地を確保いたしませんというと一〇ホンは下がりません。したがいまして、そういうことは、ほとんど大都市においては不可能かと思われます。たとえば、そのために、それ以外の方法といたしましては、遮音壁を設けるとか、あるいは遮蔽壁をするというような方法もありますけれども、これにいたしましても、一〇ホンはなかなか下がりがたうございます。したがって、大都市における道路を一〇ホンも下げるということは、われわれ、至難のわざと考えております。  現在考えられます方法といたしましては、たとえば交通量を、特に音を出す交通をなるべく減らすことは必要ではないかと考えるのでございますが、たとえば交通量にいたしましても、現在の交通量を四分の一に減らしましても、わずかに六ホンしか減らない。ですから、たとえば東京都内の交通量を四分の一に減らすということは、ほとんど不可能ではないかとわれわれ考えます。それから速度を制限する方法もございます。ただいま走っております速度を平均六十キロといたしますと、これを二十キロぐらい減らしまして四十キロといたしましても、わずかに五ホン程度しか、われわれの調査では減らぬのじゃないかと思われます。  そういうような事情もございまして、なかなかこれは現在の、すでにでき上がっている道路、大都市におきます道路、これを一〇ホン下げるということは、いろいろわれわれ検討しておりますが、単にわれわれ道路サイドだけでは非常にむずかしいというように考えております。まあ考えられますことは、車の構造エンジンの構造ないしはタイヤの、あるスピード以上になりますとタイヤの摩擦音のほうが大きくなりますが、大都市においては大体エンジンのほうが大きいようでございます。四、五十キロ程度で走っておりますので、こういうような車の構造そのものをまず改造することが、最も効果的な方法じゃないかというふうに考えておりまして、道路サイドだけでなく、車の製造するほうとも十分連絡をとって、今後五年以内に何とかしたいと考えているわけでございます。
  170. 春日正一

    ○春日正一君 だいぶむずかしい問題だという話ですけれども、幹線道路を五年をこえてとしたことに対しても、これじゃ甘過ぎるのじゃないか、大体幹線道路のないような地域が大都市にあるのか、というような批判も出ておるわけですね。だから、それすら、いまの話だと五年以内だというけれども、とてもじゃないけれども、ただその程度のことでできるかどうかということは、私はちょっと心配なんですよ。  そこで、もう一つの問題、いまある道路を、少なくとも五年以内に基準以下に押えるし、それから幹線道路でも五年をこえて、できるだけ早く押えるということなら、新しい道路をこれからつくっていく場合は、当然初めから、この基準以内のものをつくらなきゃならない道理だと思う。その点は、これは厳格におやりになりますか。
  171. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 都市都市を結びます道路、一般に国道なり高速自動車国道でございますが、これにつきましては、この基準どおりにやるように、いまいたしておりまして、これまた不可能じゃないというようにわれわれ考えております。  ただ、別に街路というものがございます。東京都内をはじめ大都市の中にあります街路、これにつきましてはなかなかむずかしゅうございます。もし、そういうふうな基準を設けるといたしますというと、街路に大きな遮蔽壁をつくるというようなことになりますと、商店街等にあります街路になりますと、これは、ほとんど街路としての効用をなさなくなりますし、そういう面において、街路につきましては、われわれは実はどういうふうにするか、迷っているわけでございます。街路以外のものにつきましては、いま申し上げましたような方法でもって、構造上何とか基準の範囲内に押えることができるというように考えております。
  172. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、もう少し具体的にお聞きしますけれども、最近、住宅団地を貫通する形の幹線道路、これが計画され実施されている例が非常にたくさんあるわけですね。私がほんのちょっと調べただけでも、東京で烏山団地、これは中央道が突っ切る。それから埼玉県の原市団地、これは県道バイパスが貫通している。それから江東の都営の辰巳団地、これが首都高速九号線が、成田空港へ行くのが突っ切っている。それから旭ケ丘団地、これは東京の清瀬ですね、これは関越道が突っ切ってしまっているし、それから干草台団地、これは千葉、これは住宅公団ですが、これを国道十六号のバイパスが通る。それから神奈川のほうでも、相模原市の相武台団地、それから茅ケ崎の鶴ケ丘団地、それから茅ケ崎の浜見平団地、こういったようなところですね。それから関西のほうへ行っても、これは明舞団地、それから中津川のリバ−サイド・コーポ、これは大阪市の住宅供給公社の分譲ですが、これは阪神高速の第二環状線が横切る。こういったように、こういうふうな住宅の密集した団地のまん中を、あるいはその一部分を幹線道路が突っ切るというような事態が非常に多い。  そういうことにどうしてなるのか、という問題ですね。だれにもわからぬ問題ですね。しろうとが考えても、住宅環境のいい住宅をつくろうということで、そこに住宅をつくっておいて、そのまん中に騒音を出す高速道路をつくろうというような、どうしてそういうようなことになるのか。それからまた、どのくらい実際あるのか。私が、しろうとがちょっと見てこれくらいある。建設省が見て総数どのくらいありますか、こういうのが。
  173. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 最初のほうの御質問は、住宅団地をどうして突っ切るようになるのかということでございますが、ただいまの時点におきましては、もし住宅団地なんか通るような場合には、先ほど申し上げましたように、十分な配慮をいたしまして、騒音基準に合うような構造にするようにつとめているわけでございますが、すでに数年前から計画したものの中には、住宅団地の計画道路計画とが、たまたま一致する場合があるのでございます。住宅団地のすでにでき上がった中を突っ切るというのは、きわめて少ないのでございますが、たまたま一致する場合があるのでございます。ただし、工事をしますと、住宅のほうが先にできますので、外見には、住宅のできたあとに道路が突っ切るようなかっこうになっております。従来は、大体計画を一応一致させまして、相談してやったわけでございますけれども、いまほどに騒音の問題が大きくならなかった時代に、そういうふうなことでやった例が全国各所に出ておりまして、これがただいま方々で問題になっているわけでございます。烏山団地しかりでございますし、それから先ほどの、関西のほうの明舞団地しかりでございます。それから清瀬の団地もしかりでございます。そういうことを勘案いたしまして、現在は、そういうもののうち、特に騒音の問題の大きな団地につきましては、ただいまからでも、構造上何とか処理できないかどうかというのを、各所においていま検討されておる状況でございます。  それから第二点の問題でございますが、現在、どのくらい団地の中を通っている道路があるかということは、いま私手持ちにはございませんが、高速自動車国道だけのデータはただいま持っておりますが、高速自動車国道につきましては、各所においてそれぞれ個々に折衝いたしまして、それで、構造上こういうふうに通って、これくらいのホンになるが、これでいいかどうかということを相談しながら、各所で実は住宅関係でやっておりますが、これが九カ所ございます。  一例を申し上げますと、中国縦貫道の北神第一団地、それから常盤道の北守谷団地、それから関越道の高坂丘陵地区の団地、同じく鶴ケ島の団地、それから東京川越道路、これは関越の一部でございますが旭ケ丘団地、これは先ほど清瀬の団地と言ったものかと思いますが、それから東関東道の小仲台団地、京葉道の袖ケ浦団地、それからこれは高速自動車国道じゃございませんが、南横浜バイパスにあります港南台団地、それから、これは直轄と道路公団の両方でやっております京都と滋賀、大津をバイパスいたします京滋バイパスが宇治団地、以上、ただいま私の手持ちにありまして、ただいまそれぞれ交渉しております大規模なものは、これだけでございます。
  174. 春日正一

    ○春日正一君 私も建設省の役人に聞いてみたら、わかりません、無数にあります、というお答えだったんで、無数というのはどのくらいかはっきりしないので、相当そういうものがあるということだけは事実ですが、そうして、この点については、去年の五月に生活環境審議会が要望書を出して、ここにありますけれども、「最近住宅団地等を貫通するかたちでの幹線道路の敷設が計画されるなど住民の生活環境保全の見地から十分な配慮が払われていないと考えられる事例も少くない。政府におかれては、今後新設される幹線道路については、あらかじめ住宅との関係等に十分な考慮を加えて、建設計画を樹立し」云々と、こういう要望書が出ているんですね。生活環境審議会は、御承知のように厚生省の管轄なんで、建設省の問題に口を出すというのは、諮問されてもない問題にこういう要望書を出してきたということは、よほど見かねた問題だからだと思いますよ。こういうものに対して、建設省はどういうふうに受けとめておいでになるのか、そこのところを聞かしてほしいですがね。
  175. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) ただいま御指摘のございました、昨年の五月の生活環境審議会の申し入れにつきましては、建設省にもまいっておりまして、われわれはその線に沿いまして、道路計画ないしは建設管理の各段階におきまして、住宅公団なり地方公共団体等と十分な連絡調整を行ないまして、そういうふうな御趣旨に沿うように努力するよう指示しております。なお、事前の調整が不十分であったために、現在すでに問題になっておるもの等についても、道路構造上、もし構造を変えることによりまして、その騒音が少なくなる個所がございましたら、これは直すように、ただいま関係の機関に相談しております。
  176. 春日正一

    ○春日正一君 そこで大臣にお聞きしたいのですけれども、こういうふうに、道路交通の及ぼす生活環境破壊の問題というのは、排気ガス、騒音、日照権、電波障害、振動あるいは交通事故というような、非常に広い範囲にわたって、しかも非常にひどくなってきておる。こういうことを考えますと、これからも、いま言ったような生活環境の破壊ということを考えずに幹線道路建設というものはもうできないのじゃないか。そういう場合に、どっちを重視するのか。つまり生活環境の保全ということを第一にして、そうして道路考えるというふうにいくべきだと私は思います。特に、六〇年代の高度成長の中で道路がたくさんできて、その結果、今日こういう問題が全国で起こっているわけですから、そして佐藤総理も、発想を変えなきゃならぬと言っているわけですからね。当然、この七〇年代では、六〇年代につくられたそういう生活環境の破壊というものを直していかなければならぬし、まして新しいものをつくる場合には、絶対生活環境を破壊するということはしないというような、生活環境第一の立場から考えなきゃならぬのじゃないか、そう思いますけれども、その点についての大臣のお考えをお聞きしたいんですが。
  177. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 道路の問題でございますが、これはやはり相当に反省しなければならぬ面がたいへんあります。まあ、日本道路が悪かったというので、戦後じゃんじゃんやったのですが、いまやかましくいわれております交通事故ですね、歩道一つその当時は考えなかったのです。で、大体車ばかり通して、人間は通れぬようにするのかというような、やかましい世論があって初めて、歩道をつけるのだ、やれブリッジをつくるのだというようなことに気がついたくらいで、まことにお恥ずかしい次第でございます。  私は先般、郷里の大分県に帰りまして、十号国道、これは非常な危険なところがございまして、そこで、歩道をそこへつくらぬと学校の生徒が危険だということで、わずかな金で歩道をつくってあげましたところが、もう小学校の生徒がみな手紙をくれて、安心して毎朝学校に通えるということです。そこを私は見ましたが、それ以外は十号国道は歩道がないのです。そこで考えますと、なるほど建設省は、うちょうてんになって道路ばかりやっておったが、これは、ほんとうに大いに反省しなければならぬということをつくづく考えました。ちょうど地建の局長もおりましたので、私は、やはりわれわれは自分だけのことしか考えないでやっておったが、これは反省しなければならぬよということを申しましたが、まあ話は余談になりましたけれども、そこでこれからの道路問題でございますが、いまは騒音の問題でございま す。  いろいろな、この道路をつくる上において問題が起こると思います。しかし、あなたは、道路をつくるか、生活環境を優先するのかと、こういう端的なお尋ねでございますが、これはやはりその場所場所で考えていかなければ、道路道路のためにあるのじゃないのです。道路は、やはり国民生活に必要なためにあるのでございまするから、道路道路のためにあるのじゃない。しかし、それが生活環境に支障を起こしてくる場合が多々ありまするが、それはケース・バイ・ケースに考えなければならぬと私は思っております。しかし、これから相当道路計画を進めなければならぬと思っていますが、道路は、御案内のように、点ではございませんで、もう道路建設関係したところでは線でございますから、いろいろなブレーキがかかっております。まあ、非常に難儀をいたしておるのが現状でございます。しかし騒音に関する限り、これは金がかかっても、ひとつ騒音は絶対にこれを防止する、またルートについても十分考慮する、こういうことをお答えするよりしようがないのでありまして、第一は生活環境だから道路はやらぬ、こういうわけにもいかないというふうに私は考えるのでございまして、調和をとって、そうしてやると、こういうことでございます。
  178. 春日正一

    ○春日正一君 生活に必要な道路のために生活環境をこわすという矛盾が出ているので、この問題は一番あとにしますけれども、具体的な例でもう少し問題を詰めてみたいと思うのですけれども、烏山団地に中央高速道路が通る問題あれについて、大体貫通する計画、それからいまの状況、それを簡単に説明してほしいのですが。
  179. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 中央道が烏山団地の中を通過する地点におきまして、たいへん従来からもめておりますが、その経緯等を御報告いたしますと、たまたま、団地の建て物と道路とが非常に近接しております。そのために、騒音問題が居住者の間から出てきておりまして、反対の運動が起きているわけでございますが、この中央道は、実は都市計画道路の上につくられる高架の道路でございまして、これはすでに都市計画決定されている道路でございますが、この住宅団地は、一方、都の住宅供給公社が事業実施しているものでございます。いずれにしましても、ただいま、この区間につきましては工事は中止しておるわけでございますけれども日本道路公団と、それから東京都、下のほうが街路になっておりますので東京都と、それから住宅供給公社とで、いろいろ三者で検討しました結果を、地元と話し合いをしているわけでございます。昨年の十二月に地元との問の第一回の会合を持ったわけでございますけれども、円満な話し合いがつかずに、ただいまそのままの状態になっておる次第でございます。
  180. 春日正一

    ○春日正一君 あそこは、御承知のように中央道が通って、その下が都道になるわけですね。二階建ての道路になる。二階建てというものは、下を通るやつも反響しますし、上のほうの高速道路もひどい。私もどんなことかと思って、行って写真をとってきたのですよ。これを見てほしいのですが、こういうふうに住宅が、こっち側にも公社の住宅があって、それからこっち側にもたくさん住宅があって、そのまん中をずうっと通るのですね。私、これも非常に参考になると思ってとってきましたけれども道路敷になるところは、いまは芝がはえて、子供が野球やっておって、あそこの子供は非常に健康状態がいいそうです。これ、大臣見ていただきたい。八メートル三というところ、近いところを高速道路が、しかもげたばき道路が、公団住宅の密集地帯をぐっと通るというようなことですね。これは、生活環境をまるきり台なしにしてしまうことになると思うのです。だから、そういう意味でいえば、これに、あそこの住民の人たちが強力に反対しているということは、道理のあることですね。供給公社の住宅を買ってお入りになった方もあるようですし、あるいは借りておいでになる人もある。それにしても、せっかく静かないいところを、行ってみると、現状では世間並み以上に静かなところなんですね。そこを高速道路をばあっと通される。何でこういうことにしたのかということ、これは大臣考えてほしいと思うのですよ。  この住宅を建てるほうを監督するのも建設省なんだし、それから道路をつくるほうを監督するのも、受け持ちは建設省なんです。建設省が、同じ建設省の中でそういうことをやっておるということですね。これはどうしても、やはりこの問題は住民の生活環境が守られるように解決されなきゃならぬと思うのですけれども、特にその点で私、住宅局のほうにお聞きしたいのですが、住宅局のほうは一体こういう問題について、特にこの烏山の問題に限って、どう考えておいでになるのか。やむを得ないと考えているのか、どうなんです。
  181. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 道路局長からいろいろお話がございましたけれども、これが三十八年に用地買収されまして、三十九年に、これは都市計画の一団地住宅の経営ということで、東京都できめられております。その段階で、ここに道路がくるだろうという予想があったようでございます。そこで、ある程度の敷地をまん中に取ったということでございますが、その後決定をみたわけでございますけれども、いずれにしましても、その当時、私どもの判断の未熟と申しますか、担当者の判断の未熟と申しますか、道路騒音の公害の程度、こういうものに、現在のような状態になるかどうかという判断に誤りがあったと思うのです。その点、たいへん申しわけなく思っておりますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうなことで、そこに二層のものが乗ってくるということは、環境は大いに破壊されるだろうと思います。したがいまして、住宅サイドといたしますれば、ただいま都なりあるいは公団なり、それからそのほかが話し合っております。そのときに、できるだけ住民に迷惑がかからぬような方法でひとつ解決をする方向に、私どもも力を及ぼしたいと思っております。
  182. 春日正一

    ○春日正一君 まあそういうことで、いま東京都で、住民からの請願を採択して、そうして東京都と公団と、それから自治会と、それから供給公社、四者で協議をして、そうして解決策を見出すということで協議をしておるようですけれども、これは一つの新しい形だと思いますけれども、私あそこへ行ってみて、やはり建設省の側に、何でかんで押しつけるという姿勢があるのじゃないかという感じがしたのですわ。  というのは、あの道路ですね、問題になっている団地のあるところだけは、いま着工していませんけれども、あそこの、写真にもある川のふちに立って見れば、こっちのほうにもう高速道路が見えているのですね。甲州のほうからずっときて、見えている。こっちのほうへ行っても、そこまできて見えている。ほんとうにぎりぎりのところまで、どんどんどんどん初めからつくってきて、既成事実をつくってしまって、あれでは地下にしようとかなんとかと言ったって、もうあの地区じゃ、ちょっと地下になりませんわ、狭くて。そういうところまで追い込んできて、ここまでやったんだからしかたがないという形で押しつけようというようなことになってしまうのじゃないか。ほんとうにこの問題を、住民と協議して、住民の要望も要れながら解決しようというなら、問題の起こった時点に、まだ工事をやっていなかったんだから、もっと遠くのほうから、どういうふうにやるかという問題を考えるならば、まだ何とかやりようが、別の考えようがあったのじゃないか。しかし、私はしろうとだから技術的な提案はできませんけれども、あそこの部分は二階にせんで、半地下にするというような方法もあるのじゃないか。そういう点では、十分住民の要望も入れて、この問題は、閣議できめられたそういう精神にも沿って解決する、無理押しをしてもらいたくないというふうに思います。その点どうですか。
  183. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) お話のように、決して無理押しをやるのではなく、何でも皆さん方の御納得のいく方法で工事にかかりたいと考えております。  先ほど申しました第一回を、昨年の十二月一日に行なったわけでございますが、その後、ことしの三月四日、つい最近でございますけれども、第二回の四者協議を持ちまして、地元の要求でございます地下道の案でございますね、これについて種々検討した結果を報告しております。で、これは地下道にすることは、別に金がかかることなどをわれわれはおそれているわけじゃありませんけれども、地下道にするための斜路が相当強うございまして、その周辺における騒音が非常に大きくなるということと、それから地下道にすることはまた、幅員を広げなければならぬという別な要素も出てまいりまして、そういうことから、好ましくないという説明をいたしまして、地元の人が、完全な納得じゃございませんけれども、地下道もぐあい悪いなということで、第二回目は終わっているようでございます。これはつい十日ほど前でございますが、第三回は三月末ないしは四月早々に四者会談を持つ予定になっております。  われわれといたしまして、いま考えております方法といたしましては、いまの高架の高速道路に、両側に高いへいをつくりまして、騒音を全く両側の住宅に及ぼさないようなへいをつくったらどうかということで検討しておりますが、五メーターでございますから、普通の建築限界以上でございます。非常に高いわけでございます。ただ、それが日照権に及ぼす影響がございますので、透明なプラスチックのものをつくってやったらどうかということで、実は検討を進めていただいておるところでございます。それから、そういうことで検討しますが、実は、簡単に申しますけれども、そういうものを建てますと、風圧が非常に高うございまして、構造上、相当また方々に手直しをする必要が出てまいりますが、それが、いま考えられます高速道路としての一番いい方法じゃないかというような検討を加えております。  以上でございます。
  184. 春日正一

    ○春日正一君 この問題は、かりに上だけそういうものでおおっておいたところで、下も通すということになれば、二階の下というのは車の反響があって、騒音というのはほんとうに大きくなるものですよ。だから、下をそのままにしておいたのじゃ、やはりどうにもならぬし、だから、あの部分は二階建てをやめるというようなことも考えれば、私はあのスパンでも半地下ならできるんじゃないかというような気がしますよ。そして、ふたをすれば子供の遊び場にもなる。そういう点も十分考えて、拙速で、とにかくあせってやるんじゃなくて、居住環境と高速道路の問題を正しく解決するという一つのテストケースとして、りっぱにやってほしいと思うのですわ。どうですか。
  185. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) おっしゃるとおり、住民の皆さん方が納得いくまでは、もちろん施工いたしませんし、できるだけの手当てをしたいというふうに考えております。ただ地下の道路というのは、地元の方々がお使いになる道路でございます。実は、高速道路ができないというと、その道路はなかったわけでございます。高速道路のために、多少地元のサービスのためにつくった道路でございますけれども、おっしゃるとおり、高架の道路のために反響はあろうかと思います。ただ、高速道路と違いまして、必ずしもスピードも、のろいわけでございますし、反響ということは、ないわけじゃございませんけれども、高速道路ほどじゃございませんので、その辺の調査も十分にさせたいというふうに考えております。
  186. 春日正一

    ○春日正一君 まあこの問題、これ以上申しません。とにかく、生活環境が騒音でかき乱されるということは、私も高速道路の近くの病院に入院しておって、昼間はそうでもないけれども、夜になると何十秒おきかに、があがあと瞬間に大きい音を出すんですね、高速で通るから。あれで一晩じゅう眠れなくて、部屋をかえてもらった覚えがありますがね。そういうことですからね。そして子供の通学とか、遊び場のすぐそばをぐっと通って、遊び場のへいを一部こわすんだそうですね。そういうことを考えると、これは単に騒音だけの問題じゃなくて、あそこの静かな生活環境というものを相当痛めてしまうということになるわけですから、十分、とにかく住民の意見も聞き、納得のできるような解決をしてほしいと思います。  それからもう一つ、具体例として出しますのは、例の東京外郭環状の埼玉、千葉の部分ですね。あれは、東京の部分は西村大臣のときに再検討ということで、いまもって凍結されて、再検討になっているわけですけれども、埼玉県、千葉県の部分はかなり仕事が進められておって、そういう条件の中で、やはり同じように地元のほうから反対が起こっておるんですね。それで、あなた方は、この道路で沿線住民にどういう影響を与えるかというようなことを、十分考えてこれをおきめになったのかどうか、その点からお聞きしたいと思います。
  187. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 御指摘の東京外郭環状線につきましては、東京都内のたいへんな交通難を解消する最良の手段の一つといたしまして、外郭環状線の早期完成を実はわれわれ担当者は考えているわけでございますが、ただいまの御指摘の、それによりまして、地域住民にどういう影響があるかということを考えたかというようなお話しでございますが、外郭環状線の約三分の二は国道に認定いたしまして、したがいまして、外郭環状線そのものは将来、高速道路的な機能を持つわけでございますが、その両サイドに、一般国道として整備しまして、地元の人たちのための利便に供するように実は考えたわけでございます。一番大きな問題は、環境の、特に騒音の問題の関連かと存じますけれども、これにつきましては十分留意いたしまして、道路の構造上、騒音ができるだけ少ないような、しかも両側の住民の方々に御迷惑を与えないような構造を検討させまして、そういうことで現在着工をする準備を進めているわけでございます。
  188. 春日正一

    ○春日正一君 この問題は、反対しているところの状況を見てみると、たとえば草加の場合ですが、学校が六つ、これが百メートルから二百五十メートル、一つは四百五十メートルですけれども、そういうところにあるし、それから団地も百メートル、二百五十メートルというような距離にあるというようなことで、騒音とか、排気ガスとか、そういったようなものの公害、そういうものが非常に心配されるし、特に町の中を分断するというようなことになっているし、それから松戸市川のほうでも小、中学校、高校、そういったようなものが沿線にずっとたくさんあるし、ここに地図がありますが、ここについているのはみんなそうですわ。これだけのものが十一キロ余りのところにある。そうして、そのほかに医療施設なんかもあるし、それから国定史蹟の堀の内貝塚といったようなものがある。あれはこの間聞いてみたら、そういうものは知らなかったと。道路から数メートル離れたところにあるんですね。道路敷にかかってないから知らなんだというだけの話なんです。史蹟なんというものは、そのものをこわさぬでも、そのまわりをこわされたら台なしになってしまう。そういうようなところを、知らなんだでやっているんですね。それから風致地区の指定地区を通過して、これが破壊される。それから町が分断されるということですね。  だからあの地域では、草加の場合でもそうですし、それから松戸、市川の場合でも、あの地域の住民の自治会とか、市議会も一致して反対している。市議会でも県議会でも、凍結して再検討してほしいということを決議をしているし、草加でも、やはり市議会としてこの問題の功罪を検討するから、それらが終わるまでは待ってくれというような意見書も、大臣のほうに出しておりますけれども、そういう状況ですから、だからこれは当然凍結して、そうして住民の納得するような形で解決するということを私はやるべきだと思う。この点どうですか。
  189. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 御指摘のとおり、ただいま外郭環状線につきましては、各地で反対があるように聞いております。特に千葉県の松戸地区、市川地区の反対は強いように聞いておりますが、いずれにいたしましても、地元の皆さん方と接触いたしまして、納得のいく線でなければ着工しないということになっております。ただいま調査の段階、要するに事業費としてはついておりますが、地元との折衝はまだ詳しく入っておりませんので、まず地元の人たちの御了解を得た上で工事にかかりたいというふうに、われわれは考えております。
  190. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、地元が了解しなけりゃやらぬ、無理押しせぬということは言えますか。
  191. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 地元の人が反対すれば、いたしません。
  192. 春日正一

    ○春日正一君 そこでもう一つ、私は、この経過を聞いてみてもそう思うのですが、なぜこういうことになるかという問題ですね。こういう大きな計画、これは地元の新聞が出しているあれですけれども、この東京外郭のこれを見ると、こういうことでしょう。ぐるっと、こう回っていって、これが湾岸道路へつながって、こうなって、それが、鹿島のほうからもくるし、成田の空港からもくるし、それから越谷のほうには大きな貨物駅ができて、流通センターもできるという形で、そういうものが全部、外郭環状に乗るわけでしょう。地元の人は知っているんです。そこを、町の中をトラックにぶんぶん通られたのでは、やり切れるものじゃない。そういう計画をつくるときに、なぜ事前に住民と相談なさらぬのか。これなんかも、四十四年にきまったといわれておる。ところが、地元でその話が出て問題になったのは、昨年の、早いところで二月、おそいところは五月、そのころですね。それから皆さん心配されて、対策協議会というものをつくって、いろいろ調べて、こういうようないまの道路関係も調べて、どのくらい騒音が出るかということも調べて、これじゃ困るということで反対しておいでになる。つまり、計画をきめてしまって、さてやるというときにくる。  だから、地元の新聞なんかを読んでみますと、そういう反対運動やっておいでになる人たちの意見として、とにかくわれわれは何にも知らんで、いきなり、かってにきめてこられる、それは困るじゃないかという問題と、それから、役所が説明に来るということで説明会というのを聞いてみると、七月一日から用地買収のための測量をさせてくれという伝達集会であって、住民が、ここはどうなる、ああなるということを聞くことには、何も答えてくれぬというようなことですね。つまり、ほんとうに腹を割って相談をして、それでみんなが納得するというものならやるというような、徹底した態度をとらぬ限り、これから道路なんというものはできるものじゃないですよ。  成田の新幹線だってそうでしょう。江戸川と江東でもって反対をして、まっぴらごめんだと言っております。みんなそうなりますよ。これからそれをほんとうにやろうと思えば、やはり住民とよく相談もし、住民だって住民組織もあるし、つくればできるんだから、よく相談をして、これはどうしても必要なものなんだ、そのためにはここを通すのが一番いいんだと、そのかわり、みんなのために道路で犠牲になるなら、そこを立ちのく人には、損をさせないようにきちんとするという話をして、それで住民も納得して、そうだということになればできるんだけれども、そういう手続はいままでちっともやられていない。自分たちで決定しておいて、これでとにかく押しつける。そのために、たいしたことありませんよというような形で、小さく事柄を見せようとするものですから、ますますこじれてくる。そこら辺もやはり根本的に改めませんと、これから道路というものはできないのじゃないかと思うけれども、その点どうですか。これは大臣にお聞きしたほうがいいと思うんですけれども
  193. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 大臣も別に変わった考え方はありませんが、やはりこれから道路を進める上におきましては、いろいろな困難性があると思います。しかし、いまの、住民の方々が納得するように、これはもちろんでございます。あなたがおっしゃるように、確かに行き届かないところはたくさんあろうかと思います。したがいまして、そういうことでは仕事は進みません。ですから、つとめて皆さん方に納得いくように、また、窮すれば通ずということもありますから、一生懸命考えて、ひとつ被害の最小な方法でやるということを考えて、また建設省といたしましても、だいぶ前に、道路をつくるという態度がだいぶ変わってきました。また、変わらざるを得ないのでございます。  昔は非常に簡単に、ただ車が通る道だから道路をつくればいいんだというようなことで、技術の問題にしても、それを主眼に考えておりましたけれども、いまは、環境の問題につきましても、相当にこれは注意を皆さんも払って、また、払わなければならぬというようなことでございますから、今後とも皆様方の御協力を得ましてひとつ進めたいと、かように考えておる次第でございます。
  194. 春日正一

    ○春日正一君 いまの問題、いろいろ不行き届きということですけれども、ただ部分的に不行き届きということじゃなく、いままでの道路の問題というものの経緯を見ると、どこか上のほうで計画がきまって、筋を引かれてしまって、それからぼつぼつ住民のほうへ土地の買収にかかる。そのときになって初めて住民が知るということで、トラブルが起こるんですね。だから、そこらの問題を根本から考えてもらわなければならぬ。とにかく、これほど公害の問題がうるさくなった状態では、道路というものはできぬのじゃないか。だから、「建設月報」なんかを見ても、ある人は、新しい道路なんかもうつくるな、さしあたって、とにかく古い道路を何とかするということをまずやるべきだ、というような意見まで述べている人がある。そういうくらいですから、やはり道路をつくる場合でも、ほんとうに住民の望むようなものを、住民の納得のもとにつくるということでなければならぬ。  そういう立場から言いますと、いまの外環の千葉、埼玉の部分でも、十分納得のいくようにというからには、再検討するということも含んでもらわなければ、これはできないのじゃないか。どうしてもきめたとおり通すのだ、通すために住民を納得させるのだということではなくて、納得してもらうためには、役所のほうでも再検討もする、そういう腹でなければ話にならぬと思うんですよ。そこらの辺、どうなんですか。
  195. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 外郭環状線につきましては、役所が長年かかって秘密に調べておいて、突如発表したものではございません。これは内部で調査したことは事実でございまして、ルートをきめるには、幾多の調査を行ないまして、長いことかかってきめたわけでございますが、たとえば新大宮−綾瀬川は四十三年十月、それから綾瀬川−市川間は四十四年五月までに都市計画を決定しております。これは旧法でございますから、十分な地元の意見が反映したかどうか、問題があろうかと思いますが、少なくとも都市計画決定をいたしまして、地元の住民の意見が反映されておるようにわれわれ考えたわけでございます。いずれにいたしましても、ルートについて再検討されるかどうかということでございますが、われわれといたしましては、このルートは、長年かかって最終的に、これが最良だというふうに考えておりますので、ルートについての変更は現在考えておりませんが、ただ、先ほど申し上げましたように、周囲の住民の方々に御迷惑をかけないような、環境を乱さないような、できるだけの措置は講じたいというふうに考えておるわけでございます。  つけ加えて申し上げますと、今後、われわれ道路計画、特に大都市周辺におきます大規模な幹線道路につきましては、すべてこれは都市計画決定をして行ないます。したがいまして、その時点におきまして、十分住民の方の意見が反映できるように思いますので、その点もつけ加えて申し上げておきます。
  196. 春日正一

    ○春日正一君 どうも長年前からきめたんだからと、こういうふうに言われるんですがね。四十四年にきめたということは私も知っておるけれども、それが地元にわかったのは去年でしょう。そういうことなんですね。だから問題だと言うんです。そうして、そういうように、まあ、都市計画中央審議会できめたとか何とか言いますけれどもほんとうに一部の人たちがきめて、これなんかを見ても、結局、鹿島にできる、それから成田に空港ができる、だから、そこから北千葉道路とか何とか道路を引っぱってこなければならぬし、それから関越道に、中央道にというふうにずっと引っぱってきて、そうしてそういうものをここで受けるんだというようなことで、そういう計画でもってぐっときめて、つまり産業の利益を第一にしてこの道路をきめているわけですわ。地元の住民とか、そこに住んでいる業者とか、そういう人たちの利益ということじゃなくて、つまり産業の利益、それを第一にしてきめている。だから、こういうことになってくるんですね。  産業優先のそれじゃいかぬということは、もう総理大臣も何回も言われています。いかぬと言う。そして発想の転換もしろ——総理大臣は今回の演説の結びで言われて、まさに発想の転換を行動に移すべきときであるという大演説をぶたれた。だとしたら、当然いまの新全総に基づくようなそういった計画まで考え直して、東京に人口や車や物をこれ以上集中するというようなことをどうして防ぐか、むしろ減らしていくかというような形で、新全総全体が再検討されなきゃならぬ時期にきているんじゃないか。そうだとすれば、当然、そういうものの一部として考えられている外郭環状というようなものも、住民との関係、そういうものの中で再検討されるべきものだ。この点は大きな政治問題ですから、大臣にお答え願いたいんですけれども、やはり私は、去年の予算委員会で新全総の再検討の問題総理にもお聞きしたんですけれども、いまになると、ますますこの問題は再検討しなきゃならぬ、そういう時期にきているんじゃないか。そういうものの一部として外郭環状というようなものも、計画としても再検討すべきだし、当然、施工の計画としても、いままで考えておったものを再検討するというようなことがあってしかるべきだ。そこの点、ぜひ聞かせていただきたい。
  197. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 発想の転換ということでございますが、それは、そのとおりに政府もやっておるし、また建設省もその心がまえでやっておるわけでございます。それは事柄によりまして、大きく言えば、元来がわずかな土地に人口が集中したから、だからだ。それだから国土を全部使うんだということから発想する。しかし、それかと言って、いまやりかけておるものをすぐ御破算にしてやめる、こんなふうにもいかぬいろいろな問題がございます。しかし、われわれはただ産業優先ということを、これは総理も言っておるように、やはりわれわれも改めなければならぬ、かような気持ちをもってすべてに対処しなければならぬことは、当然でございます。したがって、これから、いままでやりかけておることを、それだから全部やめるということにもまいらないと思いますが、気持ちとしては、姿勢としては、やはり発想の転換と申しますか、考え方を変える、これは確かにわれわれも心がけねばならぬ、かように思っております。
  198. 春日正一

    ○春日正一君 じゃあ、私、約束の時間がきたものですからこれでやめますけれども、この問題は、私もこれから先も、非常に建設としては重要な問題ですから、追及していきたいと、そういうふうに思います。
  199. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私、きょうのこの委員会に、建設大臣をはじめ、総務長官、運輸大臣、ぜひおいでいただきたかったのですが、衆議院の予算委員会の都合でほかの大臣が見えないのは、たいへん残念に思っております。それで、時間もたっぷりありませんし、いままた沖繩では、五月十五日に復帰を迎えて、いろいろな問題が起こりまして、非常に不安とあせりを感じている、そういう情勢の中でありますので、特に私は沖繩問題にしぼって質問をいたしたいと思います。きめこまかなことをお聞きしたいと思いますが、その前に基本的なことを三つだけ明らかにしておきたいと思います。  まず第一は、建設大臣が沖繩開発構想を持っておられるわけですが、その内容は、すべて琉球政府との合意を見て、その結果に基づいて進めていらっしゃると、こう受けとめてよろしゅうございますか。
  200. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さように受けとめてけっこうでございます。
  201. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次の一点は、今日までいろいろの問題について検討しておられる中で、この補助率が本土の補助率と比率して配慮されている、このことは十分うかがわれます。その補助率を本土より高くするということは、これはもう当然だと思うのです。私たちからしますと、すべてに十分の十を要望いたしたいわけですが、そういうわけにもいかない面もあるでしょうが、とにかく補助率が配慮されている、そのことは認めます。しからば、その補助率はいつまでの配慮を持っておられるのであるか。あと何年とか、そういうことについてお尋ねいたします。
  202. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 補助率の特例は、時限はなかったと思います。私はそう記憶いたしております。したがいまして、あの法律によってずっと続くのではないか、こういうふうに思っておりますが、間違っていれば訂正しますが、前の法律がそうなっている、時限はなかった、かように思っております。
  203. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いま、ずっと続くとおっしゃいましたが、そのずっとというものが、あと何年とか、あるいはどういう時期にとか、そういう具体的なめどがお聞きしたいところなんですが。
  204. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 振興計画は、十カ年を目標にして計画はつくっております。おおむね十カ年でこの振興計画をやれるだろう、やらなければならぬ。それですから、その補助率は仕事のある間は続くのではないか、かように思っております。
  205. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 もう一点明らかにしておきたいことは、建設省の沖繩開発計画を見ますと、非常におくれている格差がある、その前提に立って、その格差をすみやかに是正するために努力したいといった御配慮がありますが、その格差を、一応何年計画で格差をなくしていきたいという、そういう御配慮はいかがでしょうか。
  206. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それは格差と言ってもいろいろありますが、公共事業についてであろうと思います。私は、実は正直なところ、あまり広くない土地に、早く格差をなくする、道路にしても水の問題にしても、それは早く格差をなくするということは必要でございますけれども、また反面考えなければならぬことは、あまり急ピッチにやれば、土地も上がるし物価も上がるという問題がございますから、やはりこの格差をなくするスピードは適正に考えないと、これはかえってわざわいを招くのではないかと思っているわけでございます。もちろん、格差を早くなくするのはいい。しかしこれによって、そう急ぎますると、いろいろな悪影響が出てまいります。したがいまして、何と申しますか、そろそろ急ぐといいますか、やはり気をつけつつやらないと、非常に私は悪い影響がくるのじゃないか。現に、これは公共事業を一ぺんにばく大な金をつぎ込むようになっておりますが、最も沖繩の開発については注意しなければならないところである、かように考えております。もちろん格差を早くなくすることは必要ですけれども、注意が要ると、かように考えているのでございます。
  207. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ具体的なことについてお尋ねいたします。このお答えは大臣でなくてもけっこうでございますから。  まずお聞きしたい一つは、項目別に、公園計画がございますね、公園の面積、これが第一。それから下水道の計画がございますね。それから街路の改良計画がございますね。それから道路舗装の計画がございます。次に住宅。この五項目について、沖繩と本土との比率ですね、これをひとつお聞きしたいのです。
  208. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) まず、都市局の所管の関係から申し上げてまいりますが、公園でございますが、整備水準でございますが、公園につきましては、内地の整備水準と比較いたしまして、沖繩の公園整備が非常におくれております。数字で申し上げますと、都市計画区域内人口一人当たりの公園面積で申しますならば、内地の平地の平均が二・八平方メートルが現状でございます。これに対しまして沖繩は〇・七一平方メートルということで、これは他の公共施設と比較いたしましても、非常に立ちおくれていると申し上げてよろしいかと思います。公園につきましては、五カ年計画というものを四十七年度から発足させるということで、これの関係の法案を御提案を申し上げておるわけでございますが、この沖繩を含みましてこの五カ年におきまして、公園整備水準を五十一年までに一人当たり四・二平米というような目標で発足させたいという考え方でございまして、沖繩も、したがいまして五十一年までには、内地並みの水準に引き上げるという方向で今後努力をしてまいりたい、かように思っております。  それから下水道でございますが、こちらのほうは公園に比較いたしまして、沖繩は比較的整備水準が高うございます。内地との比較で申し上げますならば、本土の排水面積対比の普及率が、公共下水道で申し上げますならば、二四・九%の本土の普及率の現状に対しまして、沖繩は二二%でございます。四十六年度末の推計でございますが、この二二%といいますのは、内地の類似府県と比較いたしますならば、沖繩は比較的進んでいる、こう申し上げられるかと思います。下水道につきましても、昨年から五カ年計画が発足いたしております。これによりますと、最終年次五十年に、沖繩も含みまして三八%の排水面積普及率というものを確保すべく、事業を進めてまいりたいということでございますので、沖繩の下水道も、その水準にまで確保できるというふうに私どもは思っております。それから道路関係のうち、街路でございますが、街路につきましては、改良率と舗装率というふうなことで申し上げますと、本土の平均の街路整備状況、改良率は二八・五%、舗装率は二二・八%でございますのに対しまして、沖繩の各都市整備率は、改良率で一六・二%、それから舗装率で八・五%ということで、非常に立ちおくれております。なおかつ道路整備内容におきましても、たびたび申し上げておりますように、交通安全施設等の配慮が非常にまだ立ちおくれているということが言えると思います。これは、街路のみならず道路全般につきましては、道路整備五カ年計画進行中でございますので、この五カ年計画に合わせまして、内地並みの整備率を確保するという方向で、沖繩の街路事業整備を促進してまいりたい、かように思っております。
  209. 沢田光英

    説明員沢田光英君) 住宅について申し上げます。  沖繩の住宅事情は、本土に比べましてたいへん悪うございます。その指数を申し上げますと、四十五年の十月で、沖繩には普通世帯が二十一万四千八百というふうに推定されておりますが、そのうち、われわれが資料に基づきまして推定した住宅難世帯は四万七千五百ということで、この住宅難率は二二%に当たります。これを本土と比較いたしますと、本土は総世帯数の一五%ということでございます。それにつきまして、そういう水準をいかに回復していくかというふうなものの考え方でございますが、私どものほうでは、この第二期建設五カ年計画がただいま進行中でございます、第二年目に入ろうとしているわけでございますけれども、沖繩につきましては、復帰と同時にこの五カ年計画を改定をいたしまして、いま申しました住宅難を解消するための計画を盛り込む、こういうつもりでございます。  したがいまして、その沖繩の住宅事情の回復というものは、五十年、すなわち第二期建設五カ年計画の終わります昭和五十年には本土並みにするというふうな計画に、現在のところ考えております。その内容を申し上げますと、そういうふうなことで計算をいたしますと、公共住宅といたしましては、公営住宅が五カ年で九千戸建てる必要がある。それから沖繩振興開発金融公庫からの融資住宅でございますが、これは二万九千戸、四カ年でございますが、四カ年のうちに建てる必要がある。公的資金による住宅計画合計は三万八千戸ということでございます。そのほか、五カ年計画は、この公的住宅にさらに民間住宅計画されるわけでございますが、これは私ども推計では、公的住宅とほぼ同率の三万八千戸程度推計されるのではないか。そういうことで、追加されます沖繩分の五カ年計画量というものは、合計で七万六千戸というふうなことに、ただいまのところ計画をしております。
  210. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの御計画、よくわかりました。それじゃ、いまの項目につきましてもう少し明らかにしていただきたいと思います。  公園事業の中で、復帰記念公園八カ所とございますね。この八カ所はどこどこであるか。——ちょっと関連がありますので、数字がごたごたしますから、ほかのこともお聞きしたいと思いますから、一括してあとで資料を出していただいてけっこうですから。いまの復帰記念公園の八カ所の内容。次に、下水道事業の中で事業個所、公共下水道が八カ所。この八カ所の中身はどこか。それから都市下水道五カ所となっておりますね。この中身、どこどこか。次に、街路事業で主要幹線街路二十二線となっておりますね。その二十二線というのはどこどこであるか、その中身ですね。次に四つ目に、土地区画整理事業の中で、公共団体施行土地区画整理事業八カ所となっておりますね。この八カ所の中身、どこどこか。  次に五番目に市街地再開発事業昭和四十七年度にはこの事業が行なわれないと、こううたわれておりますが、その理由をお聞かせ願いたい。あとは数字的に表にしていただきたいと思います。
  211. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) ただいまの沖繩関係の、都市計画関係事業の四十七年度の五点の問題でございますが、現在、まだ予算案が国会で審議中でございますので、それの状況を見ました上で、後刻資料で提出をさしていただきたいと思います。
  212. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次にお聞きしたいことは、これは大臣にお聞きいたしたいと思いますが、沖繩の特殊事情によって未買収地となっている政府道及び市町村道の敷地の取得についての、いわゆるつぶれ地についての実態は一体どうなっておるか、それに対する処置はどう考えていらっしゃるのであるか、その二つのことについてお聞きしたい。   〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕
  213. 西村英一

    国務大臣西村英一君) これはちゃんと数字がありますが、道路局長がここにおりますから、数字の問題になりますから道路局長から御説明申し上げます。
  214. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 沖繩におきます政府道の未買収用地は、琉球政府調査資料によりますというと、全体で二百十三万平方メートルでございます。この未買収用地の処理につきましては、一九六七年度、昭和四十二年から琉球政府がみずから買収を行なっておりまして、一九七二年までに八十万五千平方メートルの処理をいたすことにいたしておりますので、復帰後、処理を要するものは、残りの百三十二万四千平方メートルとなるわけであります。これらの処理につきましては、復帰後すみやかに、国及び沖繩県によって地主との買収交渉を進めまして、円滑に処理したいというように考えております。  なお、市町村道の未買収用地につきましては、まだその実態が明らかにされておりませんので、当面は、まず四十七年度から調査を行なうこととしておりまして、実態が明らかになりました時点におきまして、政府道同様に買収交渉を進めることにしたいというように考えております。
  215. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 じゃ、いまの問題は、具体的に把握して、解決の方向に進めていらっしゃるということですね。そういうことですね。
  216. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) はい。
  217. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それではまた次の問題をお聞きしたいと思います。  これは、いままでの委員会の中でも、特に私強調しておいたのですが、去年沖繩がまれに見る干ばつにあいまして、水資源の問題が非常に話題になったわけですが、その水資源の開発に対して、特に私は、災いを転じて福となす、この災いのピンチを最高のしあわせに転じていただくことが、沖繩の県民のためにいわゆる親心であるし、また復帰の意味にもつながる、こういうことを特に強調しておいたのでありまするが、その後、福地ダムの建設も進められておるわけですが、その福地ダムが予定どおり完成する見通しがあるのでありましょうか、どうでしょうか。これが第一点。  次に、たしか大臣もお答えなさったと思いますが、沖繩の水資源を開発する抜本的な計画は、降雨量が年間二千三百ミリ、全国で一番降雨量が多い。本土が千七百平均だったと思います。ところが、すぐ海に流れる。貯水ができぬために水に不自由しております。それを解決するためにはダム以外にはないと、こう述べておられたことを記憶いたしておりますが、そのダム計画を具体的にどのように進めておられるのであるか。この二つについてお聞きしたいと思います。
  218. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 福地ダムは、初めの予定よりはだいぶおくれておるわけなんですが、沖繩が復帰の時点、つまり五月十五日現在でどれくらい進捗するかということは、これは私のほうではつかんでおりません、五月十五日現在ではですね。しかし幾ばくも残っておらぬと思います。その他の河川のダム、新川その他の河川のダムについては、大体ダムのおくれるのは、調査期間が非常に長いのです。だから私は三河川、これは北のほうにありますけれども、同時に全部調査は進めたいという考えを持っておる。これこそ、なるべく早い機会にこの調査を進めてかかりたい、かように思っております。福地ダムが五月十五日、復帰の時点においてどのくらい進んでおるかということにつきましては、後ほどお知らせをしたいと思います。河川局では大かたわかっておるようでありまするが、きょうは河川局見えておりませんから。
  219. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 念を押しますのは、復帰が五月十五日にきまったということとの関連があるかどうか知りませんが、アメリカがあまり熱がなくて、非常に逡巡しておるという、こういうことも耳にいたしておりますし、また、福地ダムから石川までのこの送水路の施設点検に対して、軍施設に立ち入って調査しなければいけない、それを拒んでおるとかいう、こういうことも耳にしておりますが、そういう点いかがでしょう、大臣のお立場からは。
  220. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、福地ダムからの導水路のことについてもあまり詳しく知りませんが、いずれにしても、いまあなたがおっしゃるように、復帰が目前に迫っておるから、向こうの工兵隊もあまり見受けなかった。私の見た時点におきましての想像をすると、相当工事量は残っておるであろう、かように私はいま思っております。何%できておるかということは、私は知りませんが、導水路については私は存じませんが、ひとつそれを調べまして、お知らせしたいと思っております。
  221. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまの件、これは一例でありますけれども、いろいろな面においてアメリカ側が、復帰が近くなっておるからというこういった打算的な考え方かもしれませんが、いろんな面においてスムーズにいかないで、てこずらしておる面があるわけでありますが、特に水に関係する問題は、いろいろ大事でありますけれども、特に水の施設については最もこれは関心事であり、重大な問題でありますので、どうか大臣におかれても、これをはっきり実情を調査なさって、強くひとつそういうことのないようにアメリカに折衝して、現地軍に折衝していただきたいことを強く要望申し上げたいと思うんですが、いかがでありましようか。
  222. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いや、アメリカに要望するといっても、日にちがないんでございまするから、むしろ引き継いでから、引き継ぎをすれば、こちらでもって十分自由にやれるんですから、引き継ぎをいたしましたら、十分われわれのほうで促進をさせるということでございます。復帰ができなければ手が下せません。  それから、もう先生よく御存じのとおり、ほんとうは私は水の問題は、少し力を入れれば、あまり皆さん困るようなことはなかろうと思います。むしろ離島でございます。これは離島によってもいろいろありまするが、やっぱり離島について少し力を入れたい。私は建設省の水関係方々も、離島についてひとつ十分の注意をしてもらいたいということを申しているんでございまするが、いずれにいたしましても、国民生活、産業振興についても、水がなければ絶対にだめでございまするから、十分復帰の後におきましては力を尽くしたい、かように考えております。
  223. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、海洋博については、建設大臣のお立場は、これにどう取り組んでおられますか。
  224. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 海洋博は、その開催地が本部半島の突端ということでございまして、これに対しまして、一番建設省としては注意しなければならぬのは、道路問題でございます。  道路問題を、いろいろ沖繩から来られる方々希望を申しておりますが、いまのところ非常にばらばらでございます。そこで私は、きょうも朝八時半から道路局長その他と会いまして、とにかくひとつ統一した見解を持たぬといかぬから、いま沖繩の方々がいろいろ忙しいし、いろいろな問題でもって混雑しておるから、とにかく建設省として一つの案を出して、こういうところはこういうふうにやる。しかしこの問題は、海洋博まではできません。が、この建設省の案をつくって、そうして皆さん方に示してやらなければ、もうあまり日にちがございません。したがいまして、一つの素案をつくって、海洋博に間に合うもの、海洋博に間に合わないもの、あるいはここをこうして直してもらいたいというなら、いまから準備を十分しておかないと、あと正味二年しかないよと、こういうことで、きょうも道路局長と話をしておったわけでございまして、そのためには、先般から道路局の相当の技術者が、たいへん沖繩でごやっかいになって、ようやく帰って来たところでございまして、まだおそらく道路局長も、十分帰って来た報告を聞いておらないと思います。きのうぐらい帰ったそうですから、それを十分調査団から意見を聞いて、そうして一ぺんとにかく青写真をつくらせます。それによって進めたい、かように考えておる次第でございます。
  225. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 その件でたいへん気になりますので、この沖繩における海洋博が世界でも初めてである、こういったこともさることながら、きまるのがおそい。しかも場所が北部の本部である。こういったいろいろの条件で、非常に時間と金をかけなければいけない情勢にあるわけなんです。ところが、これを成功させなければいけないということは、もう申し上げるまでもありません。現地側としましても、いろいろな問題を復帰に向けてになっておるわけでございますので、実は、一体間に合うだろうか、こういうことで現地の新聞も非常に心配しまして、そのことを一ぱい書きあげているわけでございますが、これは何としても成功さしていただかなければいかぬし、特にまた建設省の役割りが大きい、こう思っておりますので、特に道路建設は金と時間がかかります。こういうわけで、特にお聞きするわけです。  その道路建設予算が幾ら見込まれているんでしょうか、どうなっているんでしょうか。
  226. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 海洋博の開催が閣議了解になったのが、二週間ほど前かと存じます。二月の下旬だったと存じますが、したがいまして、四十七年度の予算原案、ただいま審議をいただいております予算原案の中には、海洋博の予算は見込まれてございません。ただ、閣議了解になりましたので、実際に海洋博が昭和五十年の三月から始まりますというと、年度にしますと、わずかに三年度になります。四十七年、四十八年、四十九年度末でございますから、三カ年間でやることになりますというと、やはり四十七年度予算に計上されてないと、二カ年間でやるということになりますと非常に困難な状況になりますので、おそらく、これは私の希望でございますのでどうなるか存じませんが、あるいは、いずれ補正予算が組まれることがございますとか、何かのときに手当をしてもらわなければ、おそらく二年間の予算では、いわば困難ではないかと思います。なお、さっき大臣からお話がございましたように、道路建設というのは、三年間ではなかなか一貫した計画は、非常に日数が少なくてたいへん困難だということを痛感しておりますが、政府で決定されましたので、全力をあげて実施したいと考えております。
  227. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に念を押して申し上げたいのは、この集会場が本部になっておりますが、一応地元側の結論としては、その関連施設ですね、それも強く要望し期待いたしておるわけですが、たとえば中部に国際会議場、南部に漁業センター、それから八重山と慶良間に海洋性レジャーセンター、それから宮古に養殖漁業センター、これを関連施設としてぜひ実現してもらわなければいけない、こういう強い要望も加わっておりますが、それに対してはどうお考えでありましょうか。
  228. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まだ正式にそういう具体的な話は、私のほうには来ておりません。いずれそういうことは、例の大浜さんのところの協会でつくることになっております。具体的な話は少しも聞いておりません。しかし道路に関する限り、具体的な話が来ておらなくても、およそ本部半島にこの開催地がきまるということであれば、われわれもあの地形を見て、ここをこうしなければならぬ、ここには高速道路を通したほうがいいだろうということは、おのずから調査をいたしておるから、道路は、そういうことは聞かなくても、ある程度まで本島についてはやれると思っておりますが、いまあなたがいろいろあげました条件については、まだ正式にこちらは何も聞いておりません。
  229. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に海洋博、復帰団体も一緒でありますが、単にお祭り騒ぎに終わらせてはいけない。ほんとうに実のある、沖繩の復帰の機会を記念して、この施設がさらに今後の沖繩開発にこれが一つの基盤になる、これを特に要望しておるわけでありますので、ぜひひとつ、特に道路建設が、港湾と道路がおもになると思いますが、建設大臣にお願い申し上げたい点は、寄り合い世帯といいますと、どこかで、だれかがやるだろうという安易な気持ちになりがちでありますが、ぜひひとつ建設大臣、おれがやらなければだれがやるんだと、こういうお気持ちでハッパをかけていただいて、建設をスピーディに進めていただきたい。このことを強く御要望申し上げたいのですが、御決意はいかがでありましょうか。   〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
  230. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 建設省に関する限り、十分力をいたすつもりでございます。
  231. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは建設関係につきまして、もう一点だけお尋ねいたします。  私が最初に、沖繩開発に対する具体的な内容については、琉球政府側も合意の上で進めていらっしゃると判断してよろしゅうございますかとお聞きしましたのは、例の西表開発に関連して縦断道路計画がございますね、西表の縦断道路計画が。ところが、この地元民から反対があって、あるいは陳情を受けておられるのではないかと思いますが、そういう声もありますが、そのことについては、どういま判断していらっしゃるのでしょうか。
  232. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ちょっと存じませんが……。
  233. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それでは後ほど文書を持ってあがりたいと思いますが、一応縦貫道路計画をされておるけれども、記念道路ですね、地元民がそれに対して、いわゆる自然の保護と開発とのバランスの問題にも関係すると思いますがね、開発と保護との。そういうことで意見が対立して、反対陳情がある、こういうことでございますが、まだお耳に入っておらないとおっしゃいますが、それでは、後ほど資料を持ってあがりたいと思いますから、その点、ひとつ御検討をお願いいたしたいと存じます。  じゃ、建設関係につきましては、大臣に対しては以上でございます。
  234. 小林武

    委員長小林武君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  235. 小林武

    委員長小林武君) 速記を起こして。  以上をもちまして、本件の質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十四分散会      —————・—————