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1972-04-14 第68回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十四日(金曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員異動  四月十三日     辞任         補欠選任      佐野 芳雄君     小野  明君  四月十四日     辞任         補欠選任      小野  明君     佐野 芳雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 温水 三郎君                 渡辺一太郎君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 塚田 大願君     委 員                 石本  茂君                 片山 正英君                 小林 国司君                 竹内 藤男君                 二木 謙吾君                 小野  明君                 佐々木静子君                 鶴園 哲夫君                 安永 英雄君                 萩原幽香子君                 青島 幸男君    国務大臣        文 部 大 臣  高見 三郎君    政府委員        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   野本 松彦君        大蔵省理財局次        長        小幡 琢也君        文部政務次官   渡辺 栄一君        文部大臣官房長  井内慶次郎君        文部大臣官房会        計課長      須田 八郎君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        文部省管理局長  安嶋  彌君        文化庁次長    安達 健二君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察官   門田 英郎君        文部省大学学術        局審議官     安養寺重夫君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和四十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十四  年度政府関係機関決算書(第六十五回国会内閣  提出) ○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十五回国会内閣提出) ○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十五回国会内閣提出)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十三日、佐野芳雄君が委員辞任され、その補欠として小野明君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 昭和四十四年度決算外二件を議題とし、本日は文部省決算につきまして審査を行ないます。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 小野明

    小野明君 私は、北九州市におきます教育研究会の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。それで、文部省は言うまでもなくこの教育行政全般に対しまして指導し助言をするという責務があると思うわけでありまして、本日お尋ねをいたします問題は、北九州におきますほんの一例といいますか、ささやかな例を若干お尋ねをしたいと思うのです。  それで、北九州教育研究会というのが発足をいたしました。これは昭和四十五年の十一月二十一日と思います。これに対しまして国から補助金が出ておるわけです。従来は、四十五年度の決算につきましては、教職員研究会というものについては、北九州小中学校教職員教育研究会、これに対しまして、政令市でありますから、国と市を合わせまして百七十万円出ております。この内容になっておる構成会員数は二千四百三十五名、こういう内容構成を持ちます研究会に対してそれだけの金額交付をされております。四十六年度になりますと、この小中学校教職員教育研究会が、国と市を合わせまして百三十四万円の国庫補助金、市と合わせましてこの金額交付を受けている。これに加えて、北九州教育研究会というのが、国と市と合わせまして二百二十万円が補助をされておるわけでございます。いまの資料教育委員会月報文部省の発行しておる資料によりますとそういう金額に相なります。そこで、当然これは、この補助金につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、いわゆる補助金適正化法、この制約を受けるものと、こう見なければならぬと思います。それはいかがですか。
  5. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 仰せのとおりでございます。
  6. 小野明

    小野明君 そういたしますと、この補助金適正化法の第五条、この五条によりますと、(補助金等交付申請)、こういうことが規定をされておりまして、「補助事業等目的及び内容補助事業等に要する経費その他必要な事項を記載した申請書に各省各庁の長が定める書類を添え」、云々と、こういう規定がございます。でありますから、先ほどあげましたこの北九州小中学校教職員教育研究会、また北九州教育研究会二つの会にかかわる目的及び内容補助事業事業内容等をしるしまして文部省には補助金申請がなされていると思います。これを四十五年、四十六年、二ヵ年にわたりましてこの資料提出してもらいたい、こういう要求をしておりましたが、いまだに提出がございません。これは、この法律の第五条及び施行令の第三条で申請手続が明記されておる問題でございますから、この資料提出をされないというのはきわめておかしい話でありますから、これはひとつ初中局長、きちんと私の手元提出をするようにお約束をいただきたい。委員長もそのようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  7. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御案内のように、教育研究団体補助二つに分かれておりまして、一つ中央研究団体に対します補助がございます。これは直接研究団体から私どものほうに補助金申請というものが参りますけれども、各都道府県内の、あるいは指定市内研究団体に対しましては、これは私ども直接相手にいたしますのは都道府県あるいは特別市でございまして、そういう市からその市の中の研究団体補助金は一括して私どものほうに申請がございまして、それに対しまして私ども補助金を与える。具体的に個々の研究団体に対してどういう補助金を出したかということは、これはある程度都道府県あるいは特別市おまかせをしてある、そういうような状態でございます。したがいまして、私どものほうに参っておりますのは、特別市からの補助金申請でございます。その関係書類は、ただいま先生からのお話によりまして、私ども提出をしたいというふうに考えております。
  8. 小野明

    小野明君 そういたしますと、その特別市に対しまして、その北九州市に対してこの当該の会から同様の申請書がやっぱり出るわけでございますね。それは、当然この適正化法制約を受けるわけでございますから、おそらくまあ、当該の会から市に申請された書類と、市から文部省に参ります書類というのは、同様のものでなければならぬと思います。同様の目的事業内容を持っておるものでなければならぬと思うのですが、いま本省に出された分については御提出いただくようにしておりますが、さらに市に対しましていかなる申請書が出されておるのか、この書類提出も同時にお願いをしたいと思いますが、この点はいかがですか。
  9. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この点につきましては、これはいわゆる間接補助みたいなかっこうになるわけでございますけれども、私どもは、その事業がどういうふうに行なわれ、どういうふうな配分をされたかというふうな報告は受けますけれども補助金申請ということになりますと、これはその県なりあるいは市なりの予算を一ぺんくぐるわけでございますから、私どものほうで直接それを出せということは、これはちょっと言えないんじゃないか。北九州市のほうでそういうものを任意にこちらのほうに出すということであれば格別でございますが、私どものほうからこれを強制するというわけにはちょっとまいらないというふうな気がするわけでございます。したがいまして、それに関する報告書、私どものほうに参ります報告書等提出しろというお話でごさいましたら、これは御提出申し上げたいというふうに考えております。
  10. 小野明

    小野明君 しかしながら、この二つ研究会というものが、一体どういう事業をし、どういう目的を持っておるかという点については、当然この文部省としても十分な把握をしておかなければならぬ問題であると思います。それは申し上げるまでもなく、(補助金等交付の決定)、この適正化法第六条によりますと、「交付申請があったときは、当該申請に係る書類等審査及び必要に応じて行なう現地調査等により、当該申請に係る補助金等交付法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか、補助事業等目的及び内容が適正であるかどうか」、この点を、この法の命ずるところによりまして、本省としてもきちんとこれは把握をしておかなければならぬ問題ではないのか、こう考えます。そこで、これはまあ金額にしては、さほどの金額ではないと思います。これは通常そう大きな金額ではございませんが、これも国民の血税でありますから、この事業がいかなる事業であるのか、目的はどうなのかという点を詳細に把握をしておらなければならぬ問題であろうかと思います。それは、全国研究団体中央団体、あるいは地方団体、たくさんありますけれども、その詳細はやはり把握をしておかれるべき問題ではないのか、こう考えます。そこで、当然この会の事業内容が端的に記載をされておりますのはこの申請書類でありましょうし、あるいは申請書とその実際の事業内容ははたしてどうであるのかと、実際はどうなのかという点をやはり把握をされておかれてしかるべきではないのか、まあこういう観点から、先ほど申し上げた点もあわせてこれはひとつきちんとこの国会に対して報告ができるようにしてもらいたい、こう思うわけです。その点についてひとつ御答弁をいただきたい。
  11. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 仰せのとおりでございますので、私ども事業計画とか規約とか必要なものにつきましては御提出を申し上げたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、これは私ども補助をいたしておりますのは二種類ございます。中央研究団体でございますと、これは相当内容その他をしっかり見てやらなければならないということは、ただいま御指摘のとおりでございますが、まあ都道府県とか、市町村とか、こういう公的な機関を通してやります場合は、ある程度数が多うございますし、それからまた、都道府県市町村という公的な信用のできる団体を通じてやるわけでございますから、まあ私どもも、事務の繁雑を避けるという意味もございまして、そういうものを一応信用いたしまして、ある程度おまかせをするというふうな態度でまいってきておるわけでございます。そういう意味から申しまして、必ずしも、ただいま御指摘ございましたように、完全に把握をしているというふうなことにつきましては、やや御指摘のような点で十分ではない点があるかもしれません。まあ私ども、必要なものだけはとっておるようなつもりでございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、事業計画だとか、規約だとか、そういうものにつきましては、先生のお手元提出をいたしたいというふうに考えております。
  12. 小野明

    小野明君 きょう私が質問をいたしますのは、信用ができるというまあことばがあります。以下質問内容にもわたるわけでございますが、北九州教育委員会がやられておる教育行政について信用ができない、信用ができないから私はこのことを申し上げておるわけなんです。ですから、間接補助ということで、この事業内容についてあまり的確に御存じなければ、再度私はそういう立場で御質問をするわけですから、申し上げるわけですから、その内容についてさらに次の機会に詳細に説明ができるように、また要求資料についてはそれを出すように、ひとつ御努力がいただきたいと思う。
  13. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  14. 小野明

    小野明君 それで、いまの補助金の使途につきましては、次の適当な機会を見て、あるいは北九州市におきます教育行政内容の推移から見て再度質問をいたしたいと思います。  それで、現在までの問題点につきまして若干これからお尋ねをいたしたいと思います。文部省全国文部省から教育長として派遣をされて——派遣をされてということはちょっと適当でありませんが、天下りで教育長をさしておるところは政令市を入れまして七都市だと私は思います。それで、現在、文部省給食課長々しております高石君、彼が北九州市に教育長としておりましたのは昭和四十二年から昭和四十六年の十月ではなかったかと、こう思いますが、この点はいかがですか。
  15. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 私もちょっと正確な記憶はございませんが、たぶんそのとおりじゃないかというふうに考えます。
  16. 小野明

    小野明君 それから、この高石君が教育長をしておりました期間というのが、非常に問題のある教育行政が行なわれた。その点を私は以下若干指摘をしてみたいと思う。  これは、文部省のほうではっきりその事実を掌握をされておられるのかどうか、その点が私も不安でありますから、現地教育委員会委員長、それから高石君は本省給食課長でありますから、同時に北九州教職員組合委員長、できればこの三人をこの場に来ていただいて、参考人として出席していただいて、それぞれの見解を述べていただく、これが一番公正ではないか。私の一方的な資料によって、一方的な見解によりまして質問をするよりも、そういった場のほうが適切ではないのかということを考えまして要求をいたしました。しかしながら、一部不同意がございましてそれが実現をしておりませんのは、はなはだ残念であります。この点も次回に保留をいたすとしまして、本日ははなはだ一方的になるかと思います。一方的になるかと思いますが、以下問題点指摘をいたします。この北九州教育研究会、これは、先ほど申し上げたように、昭和四十五年十一月二十一日に発足をしております。それがこの高石教育長との関係であります。この教育研究会というのは会報を出しておりまして、りっぱな会報です。ここに現物が四冊ばかりございます。この会報によって問題点を申し上げたいと思いますが、ちょっと現物がここに若干ございますから見ていただきたい。この現物研究会報の第七号に次のような点が記載をされております。それは、高石教育長に対しまして、この「会の発足に当っては、常に高石教育長の力強い励ましや指導をいただき、今日まで育成されてきました。一、この一文が、これは会員であると思うんですが、記載をされております。でありますから、この教育研究会というのを発足をされるにあたりましては、高石教育長が非常に大きくあずかって力があった、いわば市の教育委員会がこの研究会発足をさせた、こう言っても私は過言ではないと、育成強化をしてまいった、こういうことが判断をされると思うんです。  それからこの会の趣意書文部省から提出をされましたこの趣意書によりますと、表面あまり問題になる表現はございません。これは、北九州教育研究会を結成する趣意書という内容を見ますと、職能団体を結成するんだと、こういうことであります。ただ、この趣意書に付随をいたしまして、ここにこの趣意書を補説している部分の冊子がございます。これは「北九州教育研究会発足にあたって」という表題がついておりまして、その表題の下に、「すでに趣意書に述べたとおりですが、その用語の中に抽象的な語もあり、判断に迷う点もあるように思われます。そこで註詳補説を加え、また関係法規等をあげて会の性格を明らかにする資料といたします。」と、こういう資料が出ております。これも、この三月一日、二日と私が現地調査に参りまして、会の幹部の方とお会いをいたしました際に、確かにそういう資料は発行しておりますと、こういう言明をいただいておりますから、これは秘密文書でもなければ、私が担造されたものを持ってきたという性格のものではないと思うんです。これによりますと、とにかく記述をされておる内容というのは全部北九州教職員組合に対する攻撃であります。若干例を読み上げたいと思います。これの三ページに、「激しい対立と抗争」、こういう部分があります。「教育現場を不当に長期にわたって混乱させるというおよそ教育界にあるまじき事態が惹起され、そしてその責はいかに巧言をもってしても、一方的に組合にあるといえる。」、こういう問題です。  五ページでございますが、「教育公務員特例法第十九条第一項に研修の義務を課する規定があり、研修参加を義務づけられているにもかかわらず組合は、研修という行為の特殊性から、あくまで自己流の自発的・自主性なものが望ましいという観点を固執し、ただ「官製研修会の強制」ということばを楯に」云々と、はなはだ一方的でありますが、この内容につきましては、十九条の解釈につきましても、これは職場研修——職務研修自己研修二つ立場が並記されておるというのが通常解釈であろうかと思う。ただ、自己研修というのを全然認めないで、組合研修に参加しないんだ、こういう一方的な書き方でありますが、あくまでも当事者は組合になっております。  次に八ページですが、「まして教師を「教育労働者」と規定する日教組にしてみれば、自然のなり行きかもしれないが、それでは「教育中立性」を主張する資格を自分から放棄したことになろう。」、これも組合相手にした、組合を当面の目標にした表現であろうと思う。ただ、この表現につきましては、最近の静岡の高教組の最高裁判決を見ましても、教師は法的に労働者であるという判断が示されております。ですから、この点については、最高裁による判断が示されておるわけですから、こういうふうに一方的に規定をすることはどうかと思いますが、間違っていると思うのですが、この表現は、その内容ではなくて、あくまでも北九州教職員組合相手にしておるんだということがはっきり読み取れる内容であります。  次の事例を申し上げますが、「「教育正常化」とは」何だ、こういう表題が、第二項ですか、ついております。「教育正常化とは組合をつぶすことである。」、明確に書かれておるわけです。  さらに、「関係団体と協力」、二四ページにございますが、その中に日本教師会というのがあがっておりまして、反日教組団体である日本教師会があがっておる。  さらにこの資料には、「正常化への問題点」としまして、これは第四項ぐらいになりますが、「組合離脱」という項目があがっております。そうして、組合というものは加入、脱退は自由であると、特に組合離脱という点を大きくクローズアップして 関係法令が掲げられております。ですから、以上の、これ一つ事例をもって見ましても、きわめて問題のあるところである。地公法によって、職員団体に対する使用者介入、あるいは当局の介入ということは厳に禁じられておるものであります。まさに法律違反のこれは事業内容を持つものであると、こう指摘をしなければならぬ。特に私は、問題でありますのは、「教育正常化とは組合をつぶすことである。」と、こういうことを堂々と表現をして、ここに文章に出しまして全会員に配っている。千三百五十名ぐらいの会員を持っておるということがこの研究会報に出ておりますが、この方々、中には純粋に研究をしたいという人もあるでしょうし、これはほんとうにまあ組合についていけないという人があるかもしれない。しかし、大部分組合を否定していない、もちろん否定していない、百歩譲ってそういう考え方をいたしましたとしても、とにかく「教育正常化とは組合をつぶすことである。」というようなことを堂々と書くなんというのは、まことにけしからぬこの会のあり方ではないかと私は思います。この点についてひとつ、初中局長政務次官の御見解をいただきたいと思います。資料はここにございますから、これをひとつ……。
  17. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 政務次官からもお答えがあるかもしれませんが、私からまずお答えいたしますけれども、私ども教職員のいわゆる職員団体に対しましては、これは使用者といたしましては、まあ相互不介入と申しますか、お互いに相手立場を尊重しながら教育の運営を行なっていくということが必要であろうというふうに常々考えているところでございます。また、研究団体と申しますのは、これは純粋な研究に徹するということが使命でございまして、いやしくもそういうふうな職員団体に対していろいろ関与するということは、これは誤った行き方じゃないかというふうな気がするわけであります。そういうことを念頭に置きまして、ただいま先生のいろいろ御指摘を伺っておりますと、まあこれはやはり、こういう研究団体としては少しその性格がおかしいんじゃないかというふうな感じがしたわけでございます。  ところで、ただいま特に先生から御指摘がございました、「教育正常化とは組合をつぶすことである。」ということ、これは私もちょっと驚いたわけでございまして、その真意を確かめてみましたところ、これはちょっと文章の読み方が、あるいはその書き方がおかしいということでございまして、そこには「教育正常化とは組合をつぶすことである。また、校長教頭の服従型であるとの誤った考え方がある。」、それが両方とも関連をしている文章でございまして、教育正常化とは組合をつぶすことであるというふうな誤った考え方があると、そういう考え方は誤りであるということを言おうとしておりますのが、その文章自体の続きぐあいがおかしいものでございますから、「教育正常化とは組合をつぶすことである。」というところで一ぺん切れておりまして、そういうふうなちょっとひどい表現に受け取られるようなかっこうになっているようでございます。これは文章を続みました限りでは、まあどういうふうにこの文章を理解したらいいかということは、これはちょっと意見が分かれるかもしれませんが、確かにこういうふうなことを言うということ自体がおかしいわけでございまして、あるいはこういうふうな組合をつぶすことであるというふうなことは誤った考えであるというふうに受け取ったほうが、これは正確ではないかというふうな気もするわけでございます。しかし、いずれにしましても、これは書いた方の意見も聞いてみませんとよくわかりませんが、私どもが聞きました限りでは、そういうふうな説明を受けているわけでございます。まあしかし、先ほども申し上げましたように、全体的に教育的研究団体あり方という点から見ますと、あまりそういう本来の教育研究目的をはずれたような性格を持つということは、これは望ましくないということは言うまでもないことでございます。
  18. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) ただいま初中局長お答えを申し上げましたところでございますが、文部省としましては、これらの教育研究団体に対しまして助成を行なっておりまする北九州市に対しまして補助金交付いたしまして、その活動を促進をし、初等中等教育の振興をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。したがいまして、いまそれぞれお答え申し上げましたようでございますが、文部省としましては、教職員研究団体は本来純粋に教職員の資質の向上を目途といたしまして活動すべきものでございまして、かりにも組合対策的な活動を行なうというようなことがあってはならない、さように指導してまいらなければならぬと考えております。
  19. 小野明

    小野明君 局長、あとの文章が若干書いてございまして、それとのつながり等も言われたようでございますが、この「教育正常化とは組合をつぶすことである。」——マルですね。これかやっぱり端的にこの会の運動の、事業内容を言いあらわしていると、これはいなめない事実なんだと、これを認めてもらわなければ私は困ると思うのです。  さらに、この研究会報、この第三号によりますと、「教育正常化団体の元祖”栃木県”をたずねて」というのが特集されております。日教組からの脱退の状況を記述をしております。  さらに、研究会報第四号、これには「いよいよ躍進の新年度」、「昭和四六年度が正常化への決戦の時である」と、こう書かれております。「決戦の時である」という以上は、こういう思想をもって、「教育正常化とは組合をつぶすことである。」という根にある考え方をもって組合に対して決戦をいどむ。決戦というのは、敵がおらなければ決戦ができぬわけですから、はっきりこれを敵としておると、こう言わなければならぬと思うのですが、こう受け取られてもいたしかたのない問題ではないかと思いますが、再度御見解をいただきたいと思います。
  20. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) この文章につきましては、先ほど私が申し上げましたように、うしろのほうと続けて読むほうが私は常識的ではないかというふうな感じがするわけでございますけれども先生の誤解を受けるような、これがここで切れてしまう、「教育正常化とは組合をつぶすことである。」ということで切れてしまうように受け取られるような性格を持っておったという点は、これは確かに御指摘のとおりでございます。そういうふうなことであれば、本来の教育研究団体としてはこれは不適当であるというふうな気がするわけでございます。したがいまして、そういう性格を、もし先生からお疑いを受けるような点がございましたら、これは改めてまいらなければならないというふうな気がするわけでございます。
  21. 小野明

    小野明君 次に、北九州教育委員会とこの研究会関係でありますが、当初に申し上げたように、この高石教育長が在任期間中にこの研究会発足をしておる。さらに、そういうことから、きわめて教育委員会、いわゆる使用者側とこの研究会との関係の密接であることは、これは類推ができるところです。しかし、地公法でも禁じておりますように、この研究会員であるからということで一般の組合員との間に差別取り扱いはしてはならぬと思いますね。これは法で禁じられている。ところが、実態はそうではありませんで、こういう取り扱いがなされている。この問題についても、私は、私の一方的な言い方ではなくて、参考人がおれば反論してもらってやればいいと思いますが、これは次期機会に譲るとして、次のような事実を申し上げる。この研究会に対する出席の取り扱い、これは職免あるいは出張の取り扱いが現場でなされておる。職務免除ですね、職免の扱いあるいは出張の扱いがなされる。ところが、組合員の自主的な研究、教科研究会、そういうもので学校を出ます場合、これは必ず有給休暇届を出さなければならない、あるいは時間休暇を出さなければならない。非常に取り扱いに極端な違いがなされておるとされております。そういう事実があります。  さらに、昭和四十五年度の県外出張、これについて申し上げますならば、昭和四十五年度北九州教育委員会の県外の出張については、全体が百八名、研究会員でない組合員の県外出張は三名、それから研究会に参加している組合員については三十六名、それから研究会員で非組合員——組合を脱退している先生方、この出張が六十九名、百八名の出張ですね。これは結果論でありますが、そういう差別がなされている。次に昭和四十六年度、この県外出張について申し上げます。百三十六名が出張しております。組合員で出張に当たっておりますのが十一名、それから研究会員で組合員である者六十九名、それから研究会員の非組合員、これが五十六名、合計百三十六名、こういうふうに、組合員でありますと極端に県外出張の研究機会が与えられていないという、法律上もきわめて問題になる違法な取り扱い、差別取り扱いがなされております。大体この県外出張というのは、現場の教職員先生方につきましては、非常にまあ、希望をするといいますか、県外で広く研修機会を持つというのはめったにない機会ですから、非常にうれしいものなんです、端的に言えば。それを、組合員であるからということで全部押えて、こういった差別取り扱いをするというのは、これまたきわめて問題のある行き方ではないのか。これも高石教育長の遺産なんだ。在任中にやったことですね。  いま一つ申し上げておきたいのは、教頭人事、昭和四十六年度教頭昇任人事、これは四十六年度でございますが、次のような分析がされると思います。総員が三十六名教頭になりました。それで、去年は七月十日、十一月十三日に日教組が人事院勧告の完全実施を要求して統一行動をやりました。二回あったと思います。その両方に参加した者で教頭になった者は三名、それから両方とも参加しなかったという者は十七名教頭になっておる。それから非組合員、市教委から転出をした者、これは十五名。まあ一名は色がつけられないわけですが、三十六名の中で、そういうふうに、組合員である、だからこの統一行動に参加をすることが当然であって、これから落ちるということはほんとうは許されないわけなんです。しかし、両方に参加した者についてはごく少数、全部非組合員あるいは参加をしなかったというところでほうびの意味で教頭にしてやる、こういう人事が行なわれております。そして、こういう公開の席であまり申し上げたくないことですが、局長北九州には「高石もうで」ということばがあります。土曜あるいは日曜日、教育長の自宅に来ましてね、そして掃除をしたり、庭の草むしりをしたり、そういう家政婦、あるいはそこに何かさげていくかもしれませんがね、そういうことをしますとすぐ教頭やら校長になる。非常に極端なんです。これは北九州のようなところで、局長も御存じないかもしれぬが、そういう風評が現場五千の教職員の中ではもっぱらである。その傾向はますます助長をされつつあった矢先に、高石君が本省給食課長に来た、こういうことなんです。こういう事態もありますから、本人がおればなおよかったんですが、そういう事情で来れぬが、こういう研修の取り扱い、そういった風評がもっぱらである。もう北九州の市民の中じゃ常識になっておるんですよ。そういう点についての御見解を、局長や、あるいはこれまた政務次官からいただきたいと思います。
  22. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 私ども行政に携わります者は、これは行政の組織で動いているという点から申しまして、特にその責任者である者は、これは自分の恣意でもって、人事でございますとか、あるいは先ほどお話しのような出張でございますとか、そういうものを個人の恣意でもって左右するということは、これは厳に戒めなければならないものであるというふうに考えるわけでございます。御指摘のような事実につきまして、たとえば教頭の昇任につきましては、教頭の試験とか、そういうふうな客観的なものに立ってやっているわけでございますから、必ずしも個人の恣意が入ったということは言えないと思いますが、しかしながら、いずれにしましても、まわりからいろいろとやかくそういう大事な問題につきまして言われるということは、これはやはり責任者としましては恥じなければならないというふうな感じがするわけでございます。今後組織の責任者として行政に携わります者は、そういうことがないように、私どもも一そう指導してまいりたいというふうに考えております。
  23. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) ただいまのお話の件でございますが、私どもは、現在までは、北九州教育委員会としましては、ことさら教育研究会以外の者を差別して扱ったというようなふうには聞いておらなかったのでございますけれども。いまお話しのようなことにつきまして十分承知はいたしておりませんが、お話のような事実があったといたしますならば、われわれといたしましても十分指導いたさなければならぬところでありまして、ただいま局長が申し上げましたように、われわれも十分今後注意してまいりたい、かように考えております。
  24. 小野明

    小野明君 次に、この教育研究会発足と同時に、この会則を見ますと、第二十六条第三項で賛助会員という制度がございまして、「賛助会員は応分の会費を納入しなければならない。」、こうあります。それと、これは文部省提出資料です。この四十六年四月二十六日、収支決算書、これは予算書みたいな決算書ですが、この事業費の中に拡大部というのがございます。予算八万円、決算五万九千二百十円、こういう決算がなされておりますが、この研究会に拡大部というようなものが予算計上されている。この拡大部というのは、結局、組合を脱落をさす、組合攻撃の費用である。こうとしか見られませんですね。これはきわめて予算上あるいは事業内容からいって問題のところではないか。同時に、この賛助会員制度であります。この賛助会員というのは、この資料についても御提出がなかった。現地から現物を私もらってまいりました。それによりますと、賛助会員加入申し込み書というのがございまして、年間一口千円なり、教育研究会の趣旨に賛同し、会費を添えて賛助会員となります、こういうものですね。ここに切り取りがある。これは趣旨に賛同するわけでありますから、そう問題がないかとも考えられます。しかしながら、この賛助会員の加入申し込みというのがどのような手続でなされておるのか。そうして、いま、この教育研究会報の一周年記念号によりますと、約千四百名の賛助会員がおられる、こうなっておる。一口年間千円ですが、千円ずつであるとしても百四十万くらいのものになるわけですが、この募集の方法はどのようにしてされておるのか、局長は御存じありませんか。
  25. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 承知をいたしておりません。
  26. 小野明

    小野明君 実際の募集方法が明らかでございません。この点は、私も伝え聞いてはおります。しかし、確かではありませんから、この席では申し上げられないわけですが、一体先生方の研究に——この委員会月報によりますと、先生研究会員になりますと三千六百円負担をされているわけですね。先生が負担をされている。国や市からも補助金が出ておる。先生方は自分の研究をなさるわけですね。それに足らなければ、市がもっと出し、あるいは国がもっと出してやればいい性格のものではないかと思うのです。それに父兄を集めて、一口千円のものを、あるいはもっと高額出そう、あるいは中には極端に教組をつぶせというような御父兄もおられるかもしれません、もっとよけい出そうという御父兄がおるかもしれませんが、しかし、それが公式に研究会規約の中に組み込まれ、そうしてこの一翼として研究会を育成、強化しておる。いわばその研究会に所属しておる先生方と父兄との直結をはかる、いわば組合員である先生方との分離をはかる、孤立をはかる、こういうように解釈もできないわけはないと思うのです。  いま一つ問題点は、義務教育無償、国も父母負担の軽減というようなことで年々努力されてまいっております。そういう観点から見て、さらにこの先生方の研究のために父兄から金を出してもらう、こういう趣旨の事業が許されていいものか、私はきわめて疑問があるし、問題の点ではないかと思います。この点についての御見解を伺います。
  27. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 教員の研究が、地域社会の方々の御理解を得ながらやっていくということにつきましては、私はそういうこともけっこうじゃないかというように感じたわけでございますけれども、ただいま御指摘になりましたように、研究団体で賛助会員をつくり、そこから寄付金を受けるということになりますと、これは少しやはり考えなければならない問題を含んでいるのではないかという気がするわけでございます。特に、教職の立場になりますと、父兄との関係が強制的になりがちだというような面もございます。そういう点から申しますと、このような方法が望ましいかどうか検討してみる必要があるんじゃないか。特に、もしそういうようなことをやります場合にも、これは経理は別といたしまして、どういうようなものに使われるのか、そういう点は明らかにして、やはり父兄の方、その他関係の方の御納得をいただくのが少なくとも必要じゃないかという気もするわけでございます。いずれにしましても、こういう形というのは、ほかにあまり例のないやり方でございます。これは十分再検討する必要があるというような気がいたします。
  28. 小野明

    小野明君 次官、先ほど申し上げたように、自主的な研究会——私は、教育公務員特例法にいう研修というのは、職務研修という点を重視するんではなくて、自発的なやっぱり先生方の研究がそこにありませんとほんとうの研修にならぬ。で、福岡県というところは、美術にしても、音楽にしましても、非常にすぐれた教科研究が従来なされておるところなんですよ。そういった自発性に基づいた研修、自分たちがまた金を出していくならば、それに私は援助を与えていくというのが本旨じゃなきゃならぬ。しかし、父兄に回って金を集めて、そうしてこの研究会を助長していく、強化していくという行き方については、疑問なしとしません。次官の御見解を再度伺っておきたいと思います。
  29. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) これは、先生御承知のとおりでございまして、教育研究団体の助成というものは、まあ自発的な研究の助長を目的とするものでございます。そこで、研究会教職員以外の者が賛助会員として入るということも問題でございましたが、このこと自体は、地域住民あるいは教職員の間の相互理解を深めるというような意味もあって、このこと自体を直ちに私は是非を論ずることも、まあいろいろ意見があろうかと思いますが、少なくとも、賛助会員からいまお話しのように多額の会費等を徴収する、しかもある程度強制的に徴収することになると思うのでございますが、まあそういうようなことにつきましては、これはやはり住民——父兄に過重な負担をかけるということにもなりましょうし、好ましいことでばもちろんないというふうに思うのでございまして、やはり私どもといたしましては、こういうことはやらせないようにしなければならぬ、かように考えております。
  30. 小野明

    小野明君 少し時間はあるようですけれども、あと大臣が出席をされて、それからの質問に譲りたいと思います。
  31. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十四分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  32. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員会を再開いたします。  昭和四十四年度決算外二件を議題とし、休憩前に引き続き質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  33. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、私からお伺いさしていただきます。  このところうっとおしい事件がずいぶん続いてきたわけでございますが、そのうっとおしい事件をすっかり忘れさしてしまうような、戦後最大といわれるすばらしい明日香村の高松塚古墳の発見というものが三月末にございました。そして、全国民の心が、この千何百年もという日本民族の昔の文化というものをいまさらながらに誇らしく思ったわけでございます。この明日香の高松塚の遺跡発見に続きまして、また大阪府の玉手山古墳の発見その他、あるいは本日の新聞によりましても、飛鳥朝の池跡が確認されたなどというふうに、遺跡が次々と私たちの目の前にあらわれてきているわけでございますが、文化庁といたしまして、遺跡の保存、われわれ日本民族が誇るべき民族の遺産ともいうべきこうした遺跡の保存、文化財の保護ということについて、どのまうな姿勢で取り組んでいらっしゃいますか、時間の都合がございますので、簡単にお述べいただきたいと思うわけです。
  34. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) 文化財の保護につきましては、御承知のように、文化財保護法が制定をされておりまして、この法律に基づきまして、文化財の保護が適切に行なわれるように努力をいたしておる次第でございます。御承知のように、文化財を保護するにあたりましては、そのうちから重要なものを選んで指定を行ないまして、重点的に保護すべき対象を限定をいたしております。また、このように指定されました文化財は、その保存のために必要な各種の規制を受けることになっておりますが、これとともに、その管理、修理、復旧、買い上げ、環境整備、公開、調査等につきまして、国の指導と財政援助を行なっておる次第であります。  また、指定されました文化財の保護とは別個に、埋蔵文化財を保護するために、埋蔵文化財を発掘調査しようとする場合には、御承知のとおり、あるいは埋蔵文化財包蔵地として周知されている土地を土木工事等によって発掘しようとする場合には、文化庁長官に対する届け出が必要とされておりまして、これに対しまして文化庁長官は必要な指示をいたしますし、また、発掘調査等の場合には、発掘の禁止、停止あるいは中止を命ずるようになっているわけでございます。  そういうような状況でございますが、最近の急速な地域開発や都市化の進展等に伴いまして、各種の文化財、特に遺跡は非常な影響を受けておることは、御指摘のとおりであります。こういうような事態に対処しまして、貴重な文化財を破壊から守り、あるいはまた積極的な保護対策を講ずるために、史跡の買い上げ、あるいはまたその環境整備、埋蔵文化財の緊急調査、あるいはまた収蔵庫の建設ということに努力をいたしておる次第でございます。
  35. 佐々木静子

    佐々木静子君 私は、これは文化庁に備えつけられているものだと思うのでございますが、遺跡文化地図——これはずいぶんたくさんあると思うのですが、これは文化庁備えつけの遺跡文化地図でございますか。
  36. 安達健二

    政府委員(安達健二君) はい、そうでございます。
  37. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは正式の名前は何というのでございましょうか。
  38. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 全国遺跡分布地図でございます。
  39. 佐々木静子

    佐々木静子君 この全国遺跡分布地図を拝見いたしますと、たとえば高松塚古墳は、これは載っておらないのでございますが、いまの時点では載っているのかもしれませんが、このついこの間文化庁からいただいた分には載っておらないわけでございますが、まだ遺跡であるということに文化庁のほうではなっておらなかったわけですか。
  40. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 全国遺跡分布地図は、昭和四十一年ごろからつくり始めたものでございまして、三年ほどかかりましてでき上がったわけでございますが、そこに登載されておりますのは、全国の遺跡十四万ヵ所というのでございますけれども、実はその地図ができましたところが、なおその地図に載ってない遺跡が相当あるのじゃないか、こういうことがわかりまして、現在もう一度その改訂版をつくるための調査を、昨年度、今年度、来年度と三ヵ年計画でやることになっておるわけでございます。
  41. 佐々木静子

    佐々木静子君 私は与えられた時間が非常に少のうございますので、結論だけおっしゃっていただきたいのですが、そうしますと、全国で遺跡と思われるものは、いま文化庁の推定では全国にどのくらいあるとお思いですか。
  42. 安達健二

    政府委員(安達健二君) まあ数え方その他によりますけれども、三十万カ所というような説もございまするが、まあ十四万から三十万ぐらいの間だろうと思っております。
  43. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、先ほど文化庁のお話では、遺跡が土地に埋蔵している場合、発掘については文化庁のほうに届け出なければならないということをおっしゃいましたが、この遺跡地図に載ってない場合には、一般の国民はこれが重要な遺跡であるかどうかということはわからないわけですね。そうすると、早くこの遺跡地図に遺跡を載せなければ、遺跡の保存ということができないんじゃないですか。
  44. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 文化財保護法では、周知の遺跡——あまねく知られておる遺跡というふうにしてございます。その地図は周知のものを例示をしたという考え方でございまして、たとえば、地図になくても、その土地の人々の間で、これはやはり何か遺跡であるというような、長年の伝説と申しますか、そういうものがございますので、そういうものはやはり周知の遺跡として取り扱っておるわけでございます。
  45. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま、その土地の人たちが大体遺跡であるということを知っておればというお話でございましたけれども、このごろでは土地の開発会社などがもう遠いところから土地を買い占めて開拓するということが往々に行なわれておる。この高松塚古墳も、ブルドーザーをかければ四十分ほどで全部破壊できるぐらいの、いまブルドーザーはそのくらいの開発能力を持っておるということでございますので、この遺跡分布地図に高松塚古墳が載っておらなかったということは、これはあるいは開発業者の手に渡ればあっという間に全部破壊されてしまったのではないかというようなことを考えると、私どもぞっとするわけでございます。これは一刻も早く、この全国遺跡分布地図に、この三十万でございますかと言われている遺跡を載せなければ、これは一般の人には、それでもなかなか周知徹底しないところ、載っておらなければなおのことだと思うんですが、これはどのぐらいの間に文化庁のほうでこの全国遺跡分布地図を完全なものにするという自信がおありなんですか。
  46. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 先ほど申し上げましたように、安全なものというのはなかなかできませんで、できるだけひとつ現在段階でわかるところを載せていこうということで、いまの予定では、昨年度、今年度、来年度中には完成をすると、こういうことでございまして、完成したところはできるだけそれで直していくというようにいたしたいと思っております。
  47. 佐々木静子

    佐々木静子君 その文化庁のほうの遺跡分布地図に載っただけでもなかなか周知しないと思いますので、さらに文化庁のほうとしまして、一般の国民にPRをしていただく、わかりやすくしていただくということに万全を期していただきたいと思うわけです。  それから、次の問題に移りますが、これはやはり古墳の保存ということで、昨年の七月にも、奈良県の北葛城郡で、笛吹古墳ですね、これは五十基ほどがブルドーザーであっという間にこわされてしまったという例もございます。これは遺跡分布地図に載っていたにもかかわらずこわされてしまっておる。そういうふうなわけですので、よほど注意していただきたい。  それから、今度山陽新幹線が建設されますが、山陽新幹線の中にも大事な遺跡がたくさんあると思うわけです。これは最近に出ていた新聞記事なんでございますが、広島県の福山城ですか、それからあるいは広島県の三原城などが、山陽新幹線の犠牲になって、全部じゃありませんが、その一部が破壊されておる。それに対して、新聞——一流紙の掲載しているところでは、これは文化庁の相当な立場のお役人の方だと思うんですが、まさか国の史跡まではとびっくりしたという意味の談話が載っているわけなんですが、こういうふうに、国鉄、あるいは道路の場合もあると思いますし、あるいは住宅公団の場合もあると思いますし、あるいは工場用地の場合もあると思いますが、文化庁のほうは、こういう重大な遺跡を開発のためにあるいは犠牲にされてしまうというようなことに対してどのような態度をとっておられるのか。これは新幹線の路線にそれがひっかかっているというようなことは文化庁ではっきりしたことだと思うのでございますけれども、まさかこんなことまではというようなことが一流紙に載っているところから見ますと、文化庁の意思があるいは十分に反映されないままに開発のほうが優先されているのではないかと思うわけですが、その点いかがなんですか。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  48. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 山陽新幹線の建設に伴いまして、その建設予定地に遺跡等があるかどうかということを事前に所在調査をするということが第一点でございます。これはそのとおりにやっておるわけでございます。それから、その遺跡がそれにかかった場合に、その遺跡の性格、重要性等勘案いたしまして、特に重要なものはそれを避けると。ただし、他に類例等がたくさんあり、その価値が比較的軽いと思われるものについては、記録をとって、記録による保存をはかるというようにいたしておるわけでございます。  それから、いまお話のございました三原城等の問題につきましては、この山陽新幹線の建設当局とも十二分にお話し合いをいたしまして、三原城跡等につきましては、現在残っておる石垣等につきましては、できるだけこれを保存するようにいたしまして——駅のところはほんとうに近いわけでございますが、少しかかったところはございますが、全体的には三原城の歴史的価値は一切減じないような程度でございまするし、さらにその美観等にも十分意を用いて、三原城跡をむしろ一そう国民に近くするというような観点をも加えておる次第でございます。
  49. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま例にあげましたお城という場合は、地上に出ておるわけですから、わりにわかりやすいと思うのですが、地下に埋没されている遺跡などで非常に問題が多いんじゃないかと思いますが、こういうふうに、あるいは幹線道路、国鉄などで史跡が犠牲になるような場合、文化庁のほうでは保全に万全を期していると、こういうふうなことでございますが、そうした調査あるいは保全のための費用は、文化庁は十分な予算を取っておられるわけですか、どうなんですか。
  50. 安達健二

    政府委員(安達健二君) この山陽新幹線とか、そういうような大規模な工事、あるいはその他たくさんの工事に伴いますところの遺跡の調査を必要とするわけでございまして、このため、文化庁の文化財保護の経費の中で、埋蔵文化財の緊急調査費の補助というので、四十七年度予算には一億二千七百万円の要求をお願いいたしておるところでございます。これは大体県とか市町村等に補助をするものでございますが、そのほか、いまお話の出ましたところの鉄道の建設とか、あるいは住宅建設とか、大規模な経済的余裕のある人がやる場合につきましては、これは原因者負担だということで、それぞれの、国鉄とか、あるいは住宅公団とか、そういうところでその経費を出していただくということで運用いたしております。
  51. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま御答弁にもありましたように、道路公団等と文化財包蔵地の取り扱いについて文化庁は契約していられますね。これと同じようなものを、国鉄との間、住宅公団との間でいろいろ契約されているのを見ますと、そういう費用は、道路建設の場合は道路公団、国鉄の場合は国鉄が全部持っておりますね。これは、どうして文化庁の費用でなされないのですか。この費用を全部あなたまかせにしたのでは、文化庁は対等の立場でものが言えないのじゃないですか。ですから、いま言ったように、まさかこんなことはというような結論が出ているのに、どうして文化庁自身が文化の保全のために必要な予算を、国の予算をお取りになって、道路公団あるいは国鉄あるいは建設省に対して対等にものをお言いにならないのか。そういうふうになさるおつもりはないですか。もしないとすれば、これは本気になって文化行政をやろうとするお気持ちが文化庁にないためだと私は思わざるを得ないと思います。どうですか、そのように改善されるおつもりはありませんか。お答えは時間がないので簡単でけっこうです。
  52. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 御説もっともだと思いますが、現在、世界のどの国でも——ドイツ等でもございますけれども、そういう工事等に伴う場合につきましては、その工事によって利益を受ける者が負担をするというのが一応の原則になっておるわけでございます。したがいまして、現在の段階におきましては、私どもは、従来どおり、その原因者が負担するという原則は、これはやはり持つべきだと思います。
  53. 佐々木静子

    佐々木静子君 私は、外国の法律がどうだこうだということを言っているのじゃなくて、日本がどうすればよいかということを言っているわけで、日本のように、いま非常な勢いで開発が進んでいる——これは世界に例がないんじゃないか。そういうふうな、この非常に開発していこうというような路線の強い力を持っているときに、この文化財保護というようなじみな、しかし民族の文化を守るということにおいて一番大事な事柄に取り組んでおられる文化庁とすると、ただ外国がそうやっているからこっちもそうやるというような弱腰じゃとても日本の文化は守れない。もっと強い姿勢で、文化庁の予算、文化庁独自の力で日本民族の文化を守るように、そういうふうにしっかりやっていただきたいと思います。いかがですか、そういうことについて責任者のほうから御答弁いただきたい。
  54. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 政務次官からお答えいただくと思いますが、その前にちょっとだけ申し上げますと、この原因者負担の原則は、考え方といたしましては、その工事者もまた文化財を尊重するという、そういう気持ちをやはり持ちませんと、両方が対立してということでなくて、やはりその経済力に応じて負担もして、一緒に文化財を保存していくという、そういうところの意味もこれはあると思うわけでございます。もちろん、先生のようなお考えもあるわけでございますけれども、いろいろな観点を考慮して、将来の課題としてはなお検討の問題だと思いますけれども、現段階におきましては、われわれとしては原因者負担の原則でもいいんではないかと思っております。
  55. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) 予算のいわゆる費用支出の、出所の仕組みにつきまして申し上げたのでありますが、仕組みはいま御説明いたしたような次第でございますが、そういう仕組みになっているからといって、別に文化庁が遠慮をしているわけでもございませんし、現実に文化財は保護しなければならぬ、こういう基本線に立ちまして強く指導いたしておるつもりでありますし、今後ともまたそういう方向で努力いたすつもりでございます。もっとも、いまの先生のお説につきましては、今後とも検討はいたしてまいりたいと思います。
  56. 佐々木静子

    佐々木静子君 文化財の保護のために万全を期するという御答弁をいただいて、非常に心強く思っておりますが、いま私の申しました趣旨も御勘案いただいて、これは民族の遺産を守るという重大な立場にお立ちでございますから、十分に文化の保全ということ、文化財の保全ということにお力を注いでいただきたいと思うわけです。  時間がございませんので、次に宮内庁のほうにお伺いしたいわけでございますが、宮内庁のいま管理しておられる御陵——あるいは天皇や皇后、皇太后、太皇太后の御陵、あるいは皇族のお墓など、全国に七百三十六ですか、あるいは参考地百五十六とか承っておるわけでございますが、宮内庁はどういう姿勢でこのような陵墓の管理に当たっておられるのか、これも時間の都合で一、二分で基本的な姿勢をお述べいただきたいと思います。
  57. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この陵墓は、皇室の御祖先のいわゆるお墓でございますので、大切に保護しなければいけない、保全しなければいけないというのが基本線であります。で、そのための職員が書陵部というところの陵墓課であり、なお地方には陵墓監区というのがありまして、このそれぞれ任に当たって一生懸命にやっているわけであります。
  58. 佐々木静子

    佐々木静子君 今月の四日に、この羽曳野市にある応神天皇の御陵のこれは陪塚を、これ国の史跡とすることに宮内庁が御同意なさったということを一流紙で報道されておるわけでございますが、御陵の陪塚地、あるいは参考地などというもの、これはいままでもかなりの数、史跡に指定されているわけでございますか、どうなんでございましょうか、宮内庁のほうからお伺いしたいんでございます。
  59. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) そう多くはございませんが、その陵墓参考地、陪塚につきましては、その周辺との関係で史跡に指定してこれをよく保存したいという文部省の、文化庁の御意見がありました際に、十分相談いたしまして、この面についてはこれを認めているわけであります。
  60. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま、宮内庁のほうで、天皇家の御先祖をお祭りするということで、その聖域を汚さないというようなことで、その陵墓の管理に当たっておられるということを伺ったわけでございますが、この管理しておられる御陵ですね、御陵というのは、御陵にもよると思いますけれども、どこまでを御陵というのか、これまあいろいろと論じだすと時間がかかると思うのですが、考古学的に言う御陵と宮内庁で言われる御陵とが非常に違っていると思うんです。  たとえば、私大阪なんでございますが、大阪にも大和時代の御陵がずいぶんたくさんあるわけでございますが、この御陵のうちの墳丘だけを宮内庁が御陵として、このごろ特に有刺鉄線を張ったりコンクリートで口をされたりして保存をしておられる。ところが、御陵というものについては、宮内庁はどういうふうに御陵というものを受け取っておられるのか。文化財、考古学的に言う御陵と、多少その御陵の概念が違うんじゃないかと思うわけなんです。その件について宮内庁のほうから伺いたいと思います。
  61. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 御陵と申しましているものは、天皇、皇后、皇太后、そういうような方のお墓、これは御陵であります。それから墓というのは、皇族方のが墓であります。で、どなたがそこにしずまりますかということがはっきりしておるのは陵墓となっております。それほどはっきりしないので、そうかもしれないがという疑いのあるのが陵墓参考地、それから陪塚は、その臣下の人とか、あるいは火葬された灰、副葬品とかいうようなのが陪塚であります。陵墓につきましては、先ほど申したようなことでございますが、これは皇室御祖先のお墓ということで大切にお守りをするということで、一般の史跡という見地と必ずしも観念でぴったり合わない点はあるかと思います。
  62. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、先ほど話に出た応神天皇の御陵にいたしましても、考古学的には三重の堀があったのではないかといわれておるのでございますが、いまはこの三重の一番外側の三番目の堀は全部なくなってしまっている。二番目の堀ももうほとんど埋められて、はなはだしきはそこが工場になっている。そしてさらに、開発の波が押し寄せてきて、この一重目の堀すら、これは御陵というよりも、そこへまた埋め立てでもしていこうかというような雰囲気で侵食されてきている。特に応神天皇の御陵の場合がそのようでございますが、また特にその近くにある、これは世界最大のお墓といわれている堺市の仁徳天皇の御陵、これなども、仁徳天皇の御陵の堀に下水が流れ込んで、はなはだしいときには中性洗剤のあわが一ばいたまっている。あるいは、宮内庁で結われている御陵のさくから一歩外へ出れば温泉マークの旅館がひしめき立っている。そういうことから考えますと、これ宮内庁のほうで祖先を守るということを強調されておられても、あまりにもそのなわ張りの中だけ守っておられても、その外が放置されているんじゃないか。特にこれは考古学的に見ると、御陵というものは、堀の外側の周庭帯というところまでは、これは御陵として非常に大事な意味を持っている。文化財の保護ということから考えると、そのあたりに多くの埋蔵品やら埴輪が隠されている。ところが、それが、宮内庁がそこまで管理なさらないで、ごく一部だけ管理しておられるために、貴重な埴輪なり文化財というものが、もう開発の波に荒されて、もう日本民族の前から永遠に姿を消そうとしている。そういう事柄について、宮内庁はどういうふうにお考えになっているのですか。
  63. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この古い御陵につきましては、先生おっしゃいますようなこともございます。できれば、ずっと最初におつくりになったときのように、広い範囲を御陵としてお守りすればもちろんよろしいのでありまするが、明治以来一応いろんな方の民有地になったりいろいろしているところ、一時買うのもなかなかたいへんな点もあったのではないかと思います。結局、一番大事な御墳塋のところ、これは必ずお守りしていく。なお、その周辺についての形はできるだけ昔の形でお守りしたいと思いながら、最初のところまでそう広い範囲には至っていないというのが現状であります。その点は遺憾な点ではございますが、現状はそういうことでございます。
  64. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、いまその御先祖の霊のあるところを中心に宮内庁がしっかり守っておられるということなんですが、それはその天皇家の御先祖の霊を守るということのたてまえで御陵というものを管理しておられるから、そういう結論になるわけなんで、これは当然だと思うのでございますけれども、しかしながら、御陵というものは、一面、日本における貴重な文化財である。日本における古墳の最大の、最もその当時の文化の粋を集めたものが日本の御陵である。そういうものから考えると、当然に、宮内庁が管理される御陵であると同時に、日本の重大な文化財として、御陵自体をこれは文化財の指定の対象にさすべきではないか。そして、その範囲が、いまおっしゃったこの聖域、あるいはこの墳丘のところだけいま宮内庁が管理しておられるとしても、文化財ということになれば、もっと広い意味においてこれは民族の大切な遺産であるということになれば、もっと広域において文化庁で管理することができるのではないか。そういう点において、宜内庁のお考えはいかがですか。
  65. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この史跡を維持するという点では、先生のおっしゃいますような点があると思いますが、また一面、先ほど申しましたように、陵墓は皇室の御祖先のお墓でありまして、現在も大切にされ、そこでお祭りが行なわれているところでありますので、その部分を普通の文化財と考えることはどうかという点がありますが、文化財になりますと、またそれに伴ういろいろの制限がまいりますが、保護の点はよろしいですけれども、また調査というような面でも義務を負う点もあると聞いておりますので、普通の文化財というふうに考えるには、ちょっとあとを祭る方のない古墳なんかの場合とは違うというふうに考える次第であります。
  66. 佐々木静子

    佐々木静子君 今度、大阪府教育委員会が、府下の高槻市にある今城塚古墳、これは宮内庁の管理にはなっておらずに、文化財になっていると思うのでございますが、それの発掘を、調査、学術研究を始めるということでございますが、これは天皇の御先祖の霊をどうこうというよりも、そのこともむろん御陵の意義はございますけれども、それと同時に、あるいはそれより以上に、これはその当時の民族の英知を集めてつくり出した文化の遺産である。そして、これは天皇家の先祖というよりも、日本民族の先祖がみな力を合わせてつくり上げたもの、単なる一家族のもの、一家系のものではなくて、それをつくるために、その当時の日本民族が、当時の国民が汗を流してつくり上げた遺産であるというようなことを考えてみますと、また、この皇室費、この陵墓の保存費というものが、これが個人の財政の支出でまかなわれているのではなくて、国民の税金でまかなわれているという事実から考えますると、この天皇家のお墓というもの、陵墓というものは当然に国民の産財ではないのか。また、国がいまこれを何も掘りあばいてどうするということよりも、これは国民の遺産として、民族の遺産として、そのまま大切に保存して、民族の遺産として保全の万全を期して、後世の子孫に伝えなければならない。ひとり天皇家の問題ではないと私は思うんですが、宮内庁はどういうふうにお考えでございますか。これはけさの新聞でございますが、昨日の国会の模様が出ているわけでございますが、それに対しましても、各政党がこぞって、陵墓はこれは国民の学術研究の対象とすべきだ、文化財として、日本の歴史をひもとく上に、あるいは日本の文化、日本の民族を研究していく上に非常に大事なものだから、だからこれは学術調査の対象とすべきである、文化庁においても文化財として保管すべきであるというようなことが強く要望されているのですが、宮内庁は、このような国民の声に対しまして耳を傾けようとなさらないのですか、どうなんですか。
  67. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) そういう御意見のある点は十分にお聞きしておりますが、しかし、先ほど申しましたように、いわゆる一般の、古墳というよりも、無縁塚的な、あとをお祭りされる子孫のない、いわゆる俗なことばで言いますと、死んでいるお墓と違いまして、実際にお祭りされて生きているお墓という点がございまして、そのお墓を絶えず守っているわれわれの立場から言いますと、そこを発掘されるということは忍び得ない気持ちがするわけでございます。
  68. 佐々木静子

    佐々木静子君 いや、これを発掘するということを私たち言っているわけじゃないわけです。ですけれども、これは天皇家のものだ、天皇家のものだ、国民にはさわらせないのだと言って、宮内庁が全部責任を持って管理してくれるならともかく、いまも言っているように、仁徳天皇の御陵にしても、御陵の一部しか管理しておられない。そうすると、その付近は全部ブルドーザーで荒されて、それこそ、民族の大きな遺産というものが、もう雲散霧消してしまって、天皇の名前において遺産をなくしてしまうことに結果的に宮内庁は協力されていることになる。そのことについて、宮内庁自身とすると御反省はなさいませんですか。お考えを改めなければならないと、いまお思いにならないですか。
  69. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 宮内庁の所管でない面についての、史跡としての保存という点は、文化庁のほうでいろいろ御検討をお願いできることと推測しておるわけでございます。
  70. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、御陵の中で、いま宮内庁の領域でないとされている部分において、考古学的に文化財的価値の多いものがたくさんあるわけです。たとえば堀とか、いま言いました周庭帯とか、そういうものの下にいろんなものが隠されているわけです。入っているわけなんです。それを文化財に文化庁が指定されることについては、宮内庁はもとより御異議がないわけですね。
  71. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) それはありません。
  72. 佐々木静子

    佐々木静子君 ないということを伺いまして、非常にこれは民族の文化を守るということにおいての明るい光がさし込んできたように思うわけでございます。これはほうぼうにおいてそういう問題があり、私いま、応神天皇と仁徳天皇の御陵のことだけを申し上げましたが、そういうものがいま非常にたくさん起こっておりまして、考古学的に見れば御陵だと思うのに、宮内庁の領域からはみ出ているために、ごみ捨て場になっているところもあるわけなんです。遠方からごみの捨て場がなくて自動車でごみを持ってきて、そこへもう一ばい滞積されているというふうなところもあるわけです。そういうふうなことが、これが宮内庁では聖域に入らないとすれば、これは文化庁のほうでしっかりと守っていただきたい。単にごみ捨て場ということであれば、土の中のものは残るかもしれませんが、これでブルドーザーをかけられてしまうと、もうおしまいなわけでございますので、文化庁といたしましても、これは今後文化財の指定ということに、そして文化庁の責任において保存していくということ、あるいは学術調査の対象としていくということに対して、これは日本の民族の大きな進歩にもつながることと思いますので、ぜひ御協力を、そのようにお考えを、そのような姿勢で取り組んでいただきたいと思います。最後に、文化庁のほうの次長に、この件についての御見解を伺いたいと思います。
  73. 安達健二

    政府委員(安達健二君) 先ほど来お話がございますように、御陵は天皇家の代々のお墓でございます。が、同時に、文化財という面からすれば、古墳に該当するものであると考えられるわけでございます。この保存につきましては、われわれの第一の考え方といたしましては、文化財が保存をされるということが第一の要件でございます。したがいまして、宮内庁のほうで陵墓につきまして十分な保存をされるならば、われわれとしてあえてこれを指定する必要はないのではないかと考えておるわけでございます。それから参考地、陪塚等につきましては、これはそういう、つまり保全について十分でない場合が、ございますので、その場合につきましては、宮内庁とお話し合いをいたしまして、史跡としての指定をいたしておるわけでございます。これが、城山古墳、丸山古墳に次ぎまして、このたび墓山古墳についても指定を行なったわけでございます。また、陵墓等を修理される等の場合におきましては、発掘調査も関連いたしますので、その際には文化庁にも十分御連絡をいただいて、その際の資料、あるいは研究等について協力をいたすようにいたしていきたいと、かように考えているわけでございます。
  74. 佐々木静子

    佐々木静子君 文化庁が、この御陵も含めて、民族の残した文化の遺産を守っていくために万全を期していただくということを特にお願いをいたしまして、時間の関係がございますので、私の質問を終わらせていただきます。
  75. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  76. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 速記を起こして。
  77. 安永英雄

    ○安永英雄君 まず第一番に、一連の教育問題に関する裁判の問題についてお尋ねをいたします。  文部省にかかわっております裁判の中でいわゆる勤評に関係する裁判というのを見てみますというと、すでに東京都教組事件、あるいは佐賀事件、福岡事件、和歌山事件という、こういった一連の刑事裁判についてはすでに最高裁の判決が出ておりまして、いずれもこれらについては無罪という判決が出ておるわけでございます。あるいはまた、行政裁判の関係で、昭和四十六年八月十日に佐賀地裁におきまして、三・三・四割休暇の闘争というものが地公法三十七条一項の禁止する争議行為に該当しないということで全員の停職処分を取り消すという判決が出ておるわけです。さらに、四十六年の十月十五日には東京地裁で、これまた同じく公務員法三十七条一項の合憲性という問題について、これはっきり違憲だというふうには言っていませんけれども、非常に強い疑いというものを保留しつつ、教育公務員の争議行為の正当な展開について注目すべき判決が出て、これまた懲戒処分を全面的に取り消すという判決が出ておる。さらにごく最近では、四月の六日の日には、いわゆる時間外勤務の手当訴訟の問題について最高裁で、勤務時間外の職員会議に出席した教諭に対しては労働基準法に基づく時間外手当を支払うべきであるという判決を出しておるわけです。こんなふうにして見てきますというと、現在の文部当局ではなかったにしろ、大体昭和三十三年ごろ以降に、あの三、四年の間のできごとが十何年かかってようやくいま白日のもとにさらされて、そしていま申し上げたように次々に文部省側のいわば敗訴というふうに大体なっておるような状態です。私は、ここで文部省にも、その判決一々を見てみました場合には、ある部分では言い分があるところもあると思いますけれども、しかし、総体的に最高裁の最終判決であり、結審でありますから、これが無罪が出た限りにおいては、どう言おうともやはり文部省の敗訴になっておるし、そしてそのことは、私がいま申し上げた昭和三十三年ごろから以降の文部省がとってきた行政そのものにはっきりと裁判所の判決が下された。言いかえますというと、あの当時行なった行政というのはいろんな意味でやはり間違いであったというふうに私はすなおにとるべきではないかと思う。一つ一つの項目をとっていけば、何とかかんとか言いますけれども、私はここで文部省とその内容について公判廷みたいな展開をしようとは思っていませんけれども、しかし、すなおにこういった一連の判決を見ていった場合には、どうしてもやはり文部省の行政というものの中で間違いがあった点は、私は率直に認めるべきではないか。これは全面的に認めるとか認めぬとかという問題ではなくて、私はそういう意味で、まず第一番に、一般的にこういった傾向にあるときに、やはり文部省としては行政の面で反省すべきものはないのか。そして、行政面でこういった判決を受けて、これはやはり行政の進め方について変えていかなければならぬような点はないかということであります。この点については時間がありませんからいままでの経過は申し上げませんけれども、あるときは、最高裁の判決が出れば、それは刑事事件の問題であるから文部省としては関係がないんだとか、それが出るまでは最高裁の判決がないんだから何とも言えませんという逃げ方をして、一たん最高裁の判決が出ると、これは刑事事件ですからと、非常に関係があるにかかわらず、また裁判所の意向も、行政と非常に関係があるんだということまではっきり言ったにかかわらず、これは刑事事件であるからという逃げ方をされる。あるいはまた、行政の裁判、この結論が出なければというふうに言われる。さて、いま申し上げましたように、佐賀地裁あるいは東京地裁の判決が出るというと、これは第一審だからと、こういうふうな言い方をされるわけでありますけれども、私は、こういった問題については、裁判で争うとかなんとかということじゃなくて、行政の面ですなおにやはり改正すべきは改正すべきだというふうに思うわけです。争った相手のほうについても、これはやはり反省しなければならぬ点があるかもしれない。しかし、私は、まず第一番に、そういった判決を受けて、文部省のほうもやはり反省し、行政の上にその判決を尊重した行き方というものがあってしかるべきじゃないかというふうに思います。大づかみにそういった点の文部省見解、あとで大臣が来られれば聞きたいと思いますけれども、ひとつ次官のほうからでもお答えを願いたいと思います。
  78. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 率直に申しまして、最高裁の判決が出まして、私どもが従来考えておりましたところと異なる点はもちろんございます。そういう点につきましては、私どもが反省をすべきだというふうな御指摘につきましては、私は同感でございます。しかし、たとえば行政事件につきまして、佐賀地裁の判決、あるいは東京地裁の判決というものにつきましては、これはまだ考え方そのものが固まっていない点がございます。たとえば、佐賀の地裁の三十七条一項に対する判断は、いわば比較考量論というような立場のように見受けられるわけでございます。それから東京地裁の判決というのは、これはまあ回復可能論と申しますか、そういうふうな立場の相違というものがあるわけでございます。したがいまして、私ども、そういうふうな判決が出ましても、それが統一的な最終的な意見として出るまでは、いままでの行政のやり方というものを改めるということは事実上困難であろうというふうな感じがするわけでございます。もちろん、最高裁の判決で示されました、たとえば超勤の問題につきましては、これは事実上教特法の制定によりまして問題は解決したわけでございますが、なお係争中のものがございます。それらにつきましては、最高裁判断に基づきまして、適切な行政指導を行なうというふうなことはやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  79. 安永英雄

    ○安永英雄君 そういうふうにお答えになれば、私もまた、佐賀地裁あるいは東京地裁の判決の問題についてとりょうもあるし、討論したいと思いますけれども、時間がありませんから、   〔理事小谷守君退席、理事温水三郎君着席〕 ただ私は、総括して、いまおっしゃったように、最高裁の判決あたりで明確に出ておる点というのは、どしどしやはり反省をし、それで行政にあらわしていくという当初の発言がありましたが、一応大づかみにそういった文部省の態度について了承しますが、内容については別の機会に反論もしたいと思います。  そこで、時間もありませんから、一番最後に加えられましたこの時間外勤務手当の問題について多少触れられたのでありますけれども、いまおっしゃった、昨年制定されたといわれる教特法というものでこれは一切片づいておるという見解を述べられましたけれども、これは私は片づいていない、そして、むしろこの判決を受けて、去年制定された教特法の改正はやはりすべきであるという見解を私は持っておるわけです。これで超勤問題についてはすべてが決着がついている、それ以前の問題として出たんだというふうなとり方は、私は間違いであると思う。この点について、全く現在の昨年制定された教特法という問題で超勤の問題は一切片づいたというふうにお考えなのかどうか、これは重要でありますから、お聞きしたい。
  80. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 私どもはそういうふうに考えております。
  81. 安永英雄

    ○安永英雄君 そう言われれば、いまから多少やらなければならぬと思いますけれども、これは一応議会を通過したときの経過は御存じのとおりで、相当強行採決、あっという間にやったといういわく因縁つきの法律なんで、野党にとっては非常に不満で、これを認めるとか認めないという立場もいろいろ各党であるようでありますが、まあ一応法律として制定されたというふうな立場をとるにいたしましても、いまようやく各県の段階で、この文部省のきめた教特法に基づいて、各県段階の条例その他で、いろいろ、終わったところもありますし、まだ話のつかないところもあるようであります。そういう中で、はっきり超勤が命令できないという部面がたくさんあるわけです。いや反対に、命令できるということのほうが非常に少ない範囲になっている。このことからして、やはり従前と同じようなこの超勤をめぐっての問題は、これは起こってくると私は思うんです。だから、私は抜本的に変えろという立場はとりません。と申しますのは、われわれとしてもあのときに、いわゆる把握できるような超勤の実態というものが、これは調整ということで私ども意見を持っておったわけですから、この点は私は、まあ昨年制定された問題でありますからあれとして、残った問題は、やはりあの法律で、超勤か超勤でないのか、命じられるのか命じられないのかという問題は依然としてずっと続いていくと思いますので、やはり昨年の、いわゆる現行法の教特法というものについては、ある程度の修正というものが私は必要じゃないかというふうに考えるわけです。これをいまから申し上げますと時間がたってしまいますけれども、そういった部分について、これは私は内容は明確にここで示す必要はないと思いますけれども、私は多少のこの問題についてのこの判決を受けてのやはりよりよい現行法の教特法というものを完成させるためにはっけ加える点があるんじゃないかというふうに考えますが、その点どうですか、大づかみでけっこうです。   〔理事温水三郎君退席、委員長着席〕
  82. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 私どもは、先ほど申し上げましたように、ただいまのところではこれは超勤の問題は教特法の制定によって解決をしたと考えておりますけれども、社会の実体が変わってまいりました場合に法律内容について手直しをしたほうがいいというような問題はもちろんあると思います。ただいまの時点で私どもは、教特法が制定され、しかも超勤の内容につきましては、これは組合とも十分話をいたしまして、具体的な条例の制定というものが全県で行なわれておるわけでございます。まず私どもはそういうものを実施いたしまして、また現実の問題として不備な点が出てまいりました場合には、それは法律を改めるということもこれはあり得ることでございます。しかし、まだことしの一月から施行されたばかりでございますから、現時点におきましては、私どものほうはその実施を見守るというふうな立場でございます。
  83. 安永英雄

    ○安永英雄君 これは長くなりますから別の機会に譲りたいと思います。  先ほど触れられたときに、との判決を受けて、そうして現在行なわれておる係争中のものについても何とかこれを収拾したいという簡単なお答えがありましたけれども、私はやはり、はっきりといま現在の教特法で超勤の問題は片づいたという立場をとられるとすれば、それ以前の問題として、二十二件くらいたしかあると私は思うんですけれども、これはたまたま職員会議という問題で取り上げておりますけれども、全然二十二件の内容を見てみると似たり寄ったりなんです。あるいはそれがクラブ活動の時間になってみたり、いろいろのあれは違いますけれども、大体見ようによっては同じなんです。だからこれは時間をかければ二十二件とも、最高裁まであがってくれば、同じようにこの問題は支払うべきだという判決が出るに違いないと思いますけれども、これをあるときは人事委員会の提訴に持ち込んでみたり、あるいは行政裁判に持ち込んでみたり、とにかくこういった過去の問題については、判決が出たんですから、これに基づいて、やはりこの線で、とにかく各教育委員会——地方の教育委員会とか、あるいは市町村とか、こういったものに文部省としては指導をして、この問題については早く収拾して片づけろというふうな方向で指導すべきであるというふうに私は思うわけです。いまおっしゃったように、教特法でもう今後の問題は、超勤の問題はもうこれはいまのところすきがないものだという立場をとるとすれば、過去の問題について、教育界の中でこういった問題で争うという状態は、私は好ましい状態ではないと思う。そういった点について、これは実際当事者同士ですけれども文部省の行政指導としてどうかという点をもう少し明確にお答え願いたい。
  84. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 基本的には、私は先生のお考えと同感でございますが、ただ、事実関係とかあるいは金額について争いのないもの、これはすみやかに解決したほうがよろしいと思います。しかし、事実関係とかあるいは金額等につきまして争いがございまして、両方の間で意見の調整ができないというものにつきましては、これはある場合には裁判で決着をつけていただくということもないとは言えないわけでございますが、基本的には先生のお考えに私は同感でございます。
  85. 安永英雄

    ○安永英雄君 さらに最後に、これはこういうことがあってはならないと思いますけれども、いろいろ各方面から連絡を受けるわけであります。文部省は、この静岡の超勤裁判の結論が出て、あと各地方の教育委員会に対して文書で出したのか口頭でやったのかどうかは知らないけれども、この点、現在の教特法というふうなものがあるので、この問題は裁判はよしにして和解ということで、金を払わぬでいいというような方向で和解をしろという指導をしておるというふうなことを聞くわけですけれども、私はこれは確証は持ちません。持ちませんけれども、いま局長のおっしゃったような趣旨から言えば、もしあるとすれば、相反することだ、これはあってはならないと思いますが、どういうふうな見解を持たれるか、ちょっと最後にお聞きしたい。
  86. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) そういうことは私ども指導をいたしておりません。したがいまして、そういうふうな考えはないわけでございますが、ただ裁判の結審までいくというのはなかなか時間がかかることでございます。したがって、場合によっては和解というふうなことも、これはあり得るわけでございます。私どものほうが積極的に指導しているというふうな事実はございません。
  87. 安永英雄

    ○安永英雄君 以上で、まあ裁判関係の問題については、別にまた機会を求めて質問をいたします。  二番目に、浪速医科大学の設立をめぐる不正事件の問題について質問をいたします。  この事件の発端というのは、この設置の認可をめぐって起こった問題であるわけでありますが、昨年の九月末に文部省に医科大学の設立計画書というものを出して申請をしてきておると、この計画書の中の寄付金というものが二十億だったというものを、実際に五十六億ということで、三十六億のサバを見て申請をしてきておったと、いわゆる架空の寄付金をつけ足しておったと、これが発覚をしたあと、何とかこの設置を認めてもらいたいということで、私立大学審議会の有力委員、あるいは文部省の係官、こういった者に働きかけをいたしておる。そして、一月の十九日には、この審議会の会長が率先して、この建築中の校舎、あるいは図書館、こういったものを視察に行った場合、ここでさらに、料亭で酒食のもてなしをやったり、物を贈ったり、こういう贈賄が行なわれておる。こういう不正があるというのが大体事件の内容であります。そのために、設立準備財団の前の理事長寺中、生野病院の経理販売課長の榎、それから財団事務局次長の石村らが次々に逮捕をされて、いま取り調べを受けておる、こういう実態であるわけであります。特に、ごく最近明らかになったのは、この審議会の委員というものが贈賄を受けております。公江、古武、こういった委員が贈賄を受けておる。あるいは、文部省の係官二名が現地調査に行って、これも酒食のもてなしを受けておる、物をもらっておる。さらに、現存では、政治家、政界筋にも金をばらまいておる。これはいま私は調査中でありますから、ここでは申しません。そして、驚くべきことには、この二、名のほかに、文部省筋に数千万円の金額をばらまいておるという、このことを本人も自白を石村というのはやっておりますけれども、この点の事実があるというふうに疑いを持たれて、いま捜査の段階に入っておるということであります。  そこで、私はお聞きしたいのでありますけれども、まあ文部大臣も見えたら責任のある答弁をしてもらいたいと思いますけれども、ほのかに聞きますというと、不正があったということは、これは確かだけれども、しかし認可せぬでよかった、認可という行為が、決定が行なわれていないので、したがって、もらった、そういう贈賄を受けたということにはならぬでしょうというふうな言い方で、極端に言えば、不正があっても認可してないからいいじゃないかというふうな空気も文部省の中に流れておるやに聞いておるわけです。これでは私は済まされないと思う。そういった意味で、文部省としても言い分があろうと思うし、文部省独自でこの問題についての真相もこれは調査されて当然しかるべきだと思いますし、この点についての真相を文部省としてはどうつかんでおるのか、それをまずひとつお聞かせ願いたい。
  88. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま浪速医科大学の設置認可に関する御質問があったわけでございますが、最初に事実関係の経過を申し上げたいと思います。  浪速医科大学につきましては、昨年の四十六年一月三十日に寺中達夫から準備財団の申請が出されまして、これが二月の十九日に大阪府知事に進達されております。大阪府知事は、これを審査をいたしまして、五月四日に文部省提出をいたしておりますが、私どもその準備財団の資料を検討いたしましたところ、きわめて不備な点がございましたので、これを許可しないままに留保いたしておったわけでございます。そういたしますところ、九月の三十日に学校法人浪速医科大学の正式な申請がございました。そこで文部大臣は、十月の十二日に私立大学審議会に寄付行為を認可することの可否について諮問をいたしております。同じく十月の十四日に、大学設置審議会に対しまして医科大学設置の可否について諮問をいたしております。御承知のとおり、私立医科大学、私立大学の認可の事務は、施設、設備、教職員の人事、教職員組織等の教学面につきましては、事務的な審査は大学学術局で行ないまして、諮問機関といたしましては大学設置審議会に諮問されるわけでございます。それから資金面につきましては、事務的な審査は管理局において行ないまして、諮問は私立大学審議会に行なうという仕組みになっております。私立大学審議会におきましては、十一月の十九日に実地審査を行なっております。大学設置審議会におきましては、十一月の二十二日に実地審査を行なっております。この間、実地審査と並行いたしまして書類審査も行なっておるわけでございますが、資金計画の中に重大な欠陥があるということが審査の過程で明らかになりましたので、私どもはその理由をもって——私どもはと申しますか、私立大学審議会はその理由をもって、認可すべきでないという決定を十二月の十五日にいたしております。で、文部省の従来の慣行によりますと、審議会で不可になりましたものは、申請者に対して取り下げの勧告をいたします。その勧告に従うことを申請者はかなり渋っておりましたが、二月の十五日に寄付行為の認可申請を取り下げております。それから大学の設置認可につきましては、口頭によって取り下げの申し出がございましたが、文書の提出がなかったために、三月の二十五日付で不認可という決定をいたしております。  その間、ただいまお話によりますと、文部省職員あるいは私立大学審議会の委員に不正があったかのお話でございますが、私ども大学の認可につきましては厳正な態度で臨むように日ごろ注意をいたしております。さらに、浪速医科大学の場合は最初から、つまり準備財団を許可しなかったという段階からすでに要注意の申請であるということを明確に意識をいたしておりましたので、非常に注意深くこの件には処してまいったわけでございます。新聞等にいろいろ報道がございますが、そうしたことにつきましても、私、関係の係官にただしたのでございますが、絶対にさような不正はないということでございまして、私もさように確信をいたしております。ただその間、物品の提供と申しますか、申し込みといったようなことがあったことは事実でございますが、これははっきり拒絶をいたしております。  それから、私立大学審議会の委員関係でございますが、これも毛布等を持って自宅を訪れたというようなことがあったそうでございますが、これも各委員は断わり、あるいはぜひ持って帰るようにということをその場で申しておったということでございます。そういったようなことでございまして、私は、この私立大学審議会の委員の間におきましても、そうした問題はないものと信じております。  ただいま安永先生から経過につきましていろいろお話がございましたが、文部省といたしましては、昨年の十二月十五日に不可という結論を出しておるわけでございまして、その後はこの問題について審査を進めるというようなことは全くいたしておらないのでございます。
  89. 安永英雄

    ○安永英雄君 いまのお話、聞いていますと、浪速大学のこの問題については、文部省としては一切何も責任がないんだ、また誤ったことをした覚えはない、こういうことですけれども、全くそのとおりですか、文部省としては。事実、事件としては起こっておるんです。あるいは、あなたのことば信用すれば、文部省とか審議会の委員とかというものにとっては手落ちはなかったんだというだけであって、働きかけるほうは働きかけて、認可をしてもらおうという動きを——いまの毛布の問題でも現実の問題でしょう。金をばらまいたのも問題でしょう。そういった問題も含めて、文部省としては、私どものほうには一切手落ちはございませんでした、これでは済まされないんじゃないですか。教育法の問題なんです。あなたたちの管轄の問題ですよ。認可されるかされないかという問題、それだけじゃなくて、その問題については何ら責任を感じないというふうな受け方をされるわけですが、これは重大ですよ。この点は、どういうことをおっしゃっているんですか。経過をただつぶさに述べたということでありますけれども文部省としては、特に文部大臣としては、この浪速医科大学の問題について、こういう事態が起こっておるということ自体について責任を感じないかということ、その点をまずお聞きしたい。
  90. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま警察当局において捜査中の問題でございますので、詳しいことは私ども正式な連絡は受けておりませんのでわかりませんけれども、警察で正式に事件として取り上げております点は、これは公文書の偽造行使という点でございます。その他につきましては、新聞等に載っておりますように、捜査の段階でいろいろ問題が明らかになってきておるということでございます。ただ、そのことが警察当局において確認をされておるという連絡は私どもまだ受けておりません。  それから、この件について文部省は全く責任がないかというお話でございますが、ただいま申し上げましたように、認可権の行使という点につきましては、私ども全く問題がないというふうに信じております。ただ、先生がおっしゃいます文部省の責任という意味が私どうもよくわからないわけでありますけれども、今日、医科大学に対する希望者がたいへん多い、医師の不足というようなものがやかましくいわれておる、そういう事態を背景にいたしまして、こうした不正な手段を弄してまで医科大学の設置認可をはかろうとするような、こういうことがあらわれてきた、そういうことにつきましては、私どもはなはだ遺憾なことだというふうには考えております。
  91. 安永英雄

    ○安永英雄君 私は、壁頭に、こういう事件というものについては文部省としても当然責任があるんです。この点については、国民の皆さんにやはりおわびすべきだと思うんです。また、こういうことが絶対に起こってはならないという、これについての手だてというものもはっきり文部省の責任において示さるべきだと私は思うんです。これは一番初めに出ることばじゃないかと私は期待しておったけれども、そうじゃないとするならば、私はもう少し聞いてみたいと思う。私はここであなたのいまのことばを聞いておるというと、従前もとにかくきびしく注意をしてきました、だから現在この事件が起こっても文部省として一切の手落ちはないし、いまのとおりの指導あるいは実務というものを進めていけば何らの間違いがないというふうに私はとれてならない。しかし、私に言わせると、今度の事件がよって起こった原因というものは、そういうものを贈った者のいわゆる手段というものが、ごまかしてみたり、いわゆる偽証罪に該当するようなことであったり、偽造罪になってみたり、あるいは贈収賄、こういうものに発展する。その本人というものについては、これは本人の問題でしょうけれども文部省としては、やはり現在こういったことが起こり得る素地というものがあるのですよ。その点について文部省としては考えてもらわなければならぬと思うのです。何も責任がないとか、従前の指導どおりにやればよろしいということではないと思う。たとえば、偽造してみたり、あるいは贈収賄、こういうことをやってまかり通って認可されておる学校も、私はわかっておるのですよ。あなたたちが現在十分注意をしてやらしておると言いながら、建っておる学校それ自体も、非常に手抜かりのことをやり、ごまかしをやって何とか学校が認可されておるという事実のところもあるのですよ。あるいはまた、物を贈ったり、酒食のもてなしをやって、それでも不許可になったという実例もあるわけです。文部省にこういう例もありますよ。設置基準というもので、図書館を見に行くと、図書館はちゃんと基準に本が何冊ということが示してある。この調査に行ったときにはちゃんと本がそろっておるけれども、また調査官が帰ったあとはその本をどんどん持ち出して、そうして図書館から本が出ている。こういう実態もあるのですよ。要するに、そのときに見せかけのためにどこからか買ってきて、本の冊数をただ基準に達するように並べておる、こういうこともある。あるいはまた、ひどいところでは、よその建物を平気で、これを実験室に使うのですとか、調査に来た者に中まで入れずに見せておいて帰らせるという、そういう方法をやっても認可をとろうとすることをやったところもある。あるいはまた北九州歯科大学、あるいは今度新設しようという福岡歯科大学、これは結果としては福岡歯科大が継続審議になって今度は認可されなかったわけでありますけれども、たとえば北九州歯科大の先生の二十数名、大半に当たる教官のところに福岡歯科大の準備委員が行って、私の学校に来ようと来まいとそんなことは関係ありません、あなたの名前だけをかしてください、そして行く希望があるという名前とともに判こを押してください、それをそろえて申請してきて、教官はかくのごとくそろっておる、基準どおりにそろえております、こういうのでありますけれども、その実態というものは、私は直接こういう教官に会いました。いや先輩から言われて、名前だけかせと言われておるから名前をかしただけの話であります、私はこの学校から、いわゆる北九州歯科大から福岡歯科大のほうに行く気持ちはありません。こういう形で申請をしていって、名前だけは並べて、そしてとにかくやっておる。先ほどの寄付金の二十六億もごまかしたということ、まだたちが悪いです。すべてこういうことが、私はあえてきょうはその実例について、実際のあれはきょうのところいたしません。しかし、あなたの言うように、いままで十分注意はしてきておる、間違いがない、ただ今度の浪速大学だけの問題で、これも手落ちはありません、こう言われるけれども、これは現在の文部省の特に医科、歯科関係についての方針からいったらまだまだこれはあるんです。二十六億の寄付金の架空だというのをたまたまとらえたからこの問題はよかったですけれども、いまの場合、書類審査をする、実地に行くといいますけれども、実際にこれは網の目を漏れて認可された傾向は私は実際に握っておる。そういうことで、局長が言われるように、文部省はいままで厳重な、とにかく設置の基準というものを守って万全の策を講じてきて、たまたまこの問題だけはこういったことでありますけれども、しかし、私どもに責任はないと、こうは私は言わせない。そういう風潮があるんですよ、いまの文部省の医科、歯科の問題に。医科、歯科のこの医者の養成、こういった長期の見通しの計画が全然ないということから、国のほうで設置をしないで、私学のほうにまかしていく。私学のほうはむずかしいから、次々に設置基準等も緩和していっておる。できさえすればよろしいというふうな関係に雰囲気としてなってきておる。やはり文部省がつくらなければ私学、私学のほうはもうけ主義だから、何とか設置基準でもごまかして、そうして学校をつくるということにしても、そう文部省はうるさく言いはせぬのだというふうな空気、こういったものが私はこういう事件を生んだ原因だと思う。文部大臣、こういった事件というものは全く文部省の手落ちはありませんか。また、よってきた原因というのはどこかにあると思うし、また、こういうものがありてはならないということで行政の面で配慮すべき問題は私は多々あると思う。この点についての文部大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
  92. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 安永先生の御意見、私は端的に申しまして全く同感だと申し上げざるを得ないのであります。と申しますのは、私立医科大学が急激にふえるようになりましたのはここ二、三年のことであります。それまでは国立の医科大学が、あるいは公立の医科大学が中心で日本の医学教育というものは行なわれておったのであります。ただいまのところでは、国公立と私立との大学の差はわずか二校になっております。国公立のほうが三校多いというような状態になっておるのであります。ただ、私はこういうことをひとつ考えてみたいと思っております。実は、私立の医科大学をつくるということになりますと、まあたいへんな金が要ることは、安永先生も御承知だと思います。そこで、まあ今度の場合のごときは、むしろ見せ金をつくるために、ざっくばらんに申し上げますというと、山を売ったと、土地を売ったという謄本を出してまいり、その謄本に疑惑があるというので、文部省のほうから高槻でありましたかの法務局へ調査を依頼してみましたところが、これがまっかなにせものであるということがわかりました。その後あちこちの法務局から出ました資料が二十数件、公文書偽造のものであった。これは、そういうところに文部省が気がついたのはまあ不幸中の幸いであったと考えておりますけれども、一番大事な問題は、医育の中心は国公立に置くという考え方を基本的には持たなければいかぬと思いまするし、同時にまた、私立で医科大学をやろうというだけの情熱をお持ちになっておる方については、まず病院をつくる、施設をまずつくらなければならぬということになりまするというと、病院の建設費だけで何十億という金要します。そしてその結果不許可になったということになりまするというと、まことに気の毒な結果になりますので、実は審査を一段の審査で片づけるということでなしに、私は、二段審査にして二年かかって審査をする、最初は書面で審査をする、そしてこの書面で大体いいじゃないかということになれば、今度は施設もつくってもらいましょうし、図書も集めてもらいましょう、その図書が集まらない、その施設ができないというときには不合格にする、それくらいの文部省の親切さがなければならぬのじゃないかと思います。書面上見ましてたまたま発覚したからいいようなものでありますけれども、発覚しなければあるいは認可しておったかもしれませんということでは、日本の医育の将来の発展というものを期することはできません。  私は、ことに医育については特別な関心を持っておりますのは、医育というのはお医者さんを養成することだけが目的じゃない、その地域のお医者さん全体の医療水準を高めるために国立の医科大学というものをどんな辺地にも実は持つという考え方を政府は持つべきじゃないか。まあ神奈川や埼玉は別としまして、島根県にしましても、高知県にしましても、へんぴなところであってもやっぱり医育機関というものはきちんとしたものを持って、そこで辺地のお医者さんが学習の機会を、その医育機関によって享受することができる機会をつくるという意味からいうならば、むしろ国公立の大学を中心にふやしていくということを考えなければならないと思います。しかし、特殊な、非常な情熱のある方が医育機関をつくりたいという御熱意があるならば、その審査は一回きりの審査で、一年こっきりの審査で、ここがいかぬからあなたのところは一年延ばすというのではなしに、むしろ審査の方式を二段審査の方式に変えるとかということで、設立の希望者に非常な迷惑をかけないような形を文部省としてはつくるべきじゃないだろうかというような考え方を実は持っておるわけであります。これは非常にむずかしい問題でありますけれども、やらなければならぬ問題だと思っております。そういうふうにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  93. 安永英雄

    ○安永英雄君 時間がありませんから、最後に私は注文をしておきます。言いたいことたくさんありますが。また文教委員会等でやりたいと思います。  私はやはり、いま大臣がおっしゃったのも、一つのこの事件を契機にしての反省、それで行政に移してもらう一つの点だと思います。しかし、大きな点で私は注文をつけておきたいと思う。それは、医師養成の問題については、文部省のほうで長期の計画というものを持たれないところにこの事件が起こってくる。これは私の言いたかったところで、行き当たりばったり、私はごく最近の数年のあれを見ましても、国立で四十五年以降の設置でありますが、秋田の大学に医学部を設置した以降は国立はない。医学部では、私学で十二校について設置している。それから歯のほうでも、五校全部認可したのは私立大学、国立は一つしかない。こうしたところに問題があるわけで、私立に全部まかしてしまっておるというところに問題がある。私立も公立も含めて長期を見通した文部省の計画がはっきりしておれば、将来ここで国立の大学ができたりするということがあれば、そこのところにはつくらせない。また、つくりませんよ、そこのところには。ともかくも、いま行き当たりばったりで、金と土地と先生さえ集まれば医科大学商売は簡単にどこでもできるというふうになっているところに問題がある。これは文部省が長期にわたっての計画を持たないからいかぬですよ。福岡だって、先ほど言いましたように、北九州に歯科大学がある、福岡にも九州大学歯学部がある、今度またつくろうというのです、三校。多いほどよろしいのではないんです。四国に行ってごらんなさい。あの四国各県に一校も歯学はない。歯学養成機関はない。こういった全国的な分布というふうな形で文部省が長期計画をするならばです——ないと思うのですよ。北九州あたり、悪いことばかりこのごろ新聞にぎわしておるのは歯科のお医者さん、ちょっと横道ずっと路地見たら必ず一軒は歯医者さんがあるくらいにかたまっておる。あるところに行ったら、全然四国全島に歯科大学がない、歯医者さんのところまで行くには泊まり込みで行かなければならないという状態がある。こういった問題はただ単に文部省だけではないと思いますけれども、これは厚生省の関係もあると思いますけれども、学校を建てるという問題の長期の展望の計画というものをぜひひとつつくって、そしてこれを広くやっぱり知らしておく、こういうことが私は問題の解決の一つだと思う。  それから、私は、私学というものに金を与えるけれども口は入れるなという私学の特殊性というものについての文部省の配慮というのは、これは正しいと思う。私学は私学のいいところがあるわけです。しかし、それは、学校というものができて、その教育活動が行なわれて、その教育内容について文部省がいろいろ口出しをするなというのが原則であって、学校をつくり上げるまでについては、これは文部省十分責任を持たなきゃならぬ、私はそう思っております。私の見解はそうなんです。だから、でき上がるまでについてはそういった不正がないように。そして、私は言いたかったのでありますけれども、年次計画あたりでどんどん基準をゆるめていっておる。足らぬものですから、私学のほうで医者を養成してもらうために、年次計画を立てて、まあとにかく事業に差しつかえがなかったらこの基準はこのくらいで許してあげますなんてどんどん下げていっておる。こういうところにも問題があるわけです。首振っておられるようですが、第一、文部省自体に設置基準がないじゃありませんか。医科、歯科の設置基準がありますか。この認可基準はあるけれどもへ設置基準は別に定めると言って、いまだにないですよ。そしてその設置基準というのは審議会のほうにまかしてしまっているじゃないですか。文部省にこの医科、歯科の問題について設置基準がないというところにも大きな問題があるのです。その点をはっきり言っておきます。あるというならば、あると言ってください。別に定めると言っておいて、そして審議会のほうのあれを使っておるでしょう。ここらあたりも、文部省は、一ぺん申請文部省に来たときに機械的に審議会にほうり込んでおるという証左ですよ。厳重にやはり文部省の基準というものに照らしていかなければ、よその持っておる、諮問機関の基準というものにまかせていくところにも、私は問題があると思う。  それと最後に、私は、いま文部省の中に数千万円の金額がばらまかれたとか、あるいは二人が酒食のもてなしを受け、物をもらった、こういう事実関係のあるということは知っておりますけれども、調べておりますけれども、いまのところ、まあ局長がおっしゃるように一切ないにしても、私はそういう疑いがかけられるようなことは綱紀がたるんでおると思う。このことについては一つ文部省当局は触れないけれども、そういったやはり疑いを受けるような、そしてもらう、持ってくるというようなすきを与えるような態度そのものに問題がある。そのことをやっぱり反省しておかなければならぬし、そういった指導上の機構の問題もさることながら、これに当たる係官のやはり綱紀粛正という問題も、何もそういうことは本人調べたところありませんということでなくて、やっぱりそういうものをもらうすきを与える、またそういう機会があるということについては、これを厳重にやはり粛正をしなければならぬというくらいの反省は、私はなさらなければならぬと思う。一言も出ない。私は、以上四点について、もうこれは時間がありませんから、注文をつけておきたいと思います。  以上で終わります。
  94. 小野明

    小野明君 午前中に引き続きまして、今回は大臣にお尋ねをするわけであります。概要については、大臣も初中局長からお聞きのことではないかと思います。それで、あらかた申し上げますと、いま文部省給食課長をしておる高石君、彼が北九州市の教育長の在任期間中に教育研究会というものをこしらえた。これを研究団体、こういうふうに言っておるようでありますが、内容を見ますとそうではない。研究の面ももちろんありましょう。しかし、国から補助金を受けておる。国から百十万という補助金を受けながら、北九州教職員組合という職員団体を分裂させる、これからの脱退を策謀してきた、それの実現をはかってまいった、こういう経緯なんであります。この事実関係というのは、午前中、初中局長のほうで全部認められておるわけなんです。  そこで、時間もありませんことですから、大臣に端的に質問を申し上げたいと思うのですが、特に教職員組合職員団体、これは法に保障されておる団体でありますが、これに介入をするなんということは、これを分裂させるなんということは、地公法違反である、けしからぬ。そういう事実があるかという点については、初中局長からお聞きをいただけばわかることですが、ここに趣意書というものがありまして、教育研究会発足にあたってという趣意書がありまして、「教育正常化とは、組合をつぶすことである。」と明確に書かれておるわけです。こういう行為を、こういうやり方をやめさせるように指導してもらいたい、これが第一点です。
  95. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) ひとつその書類をあとで見せていただきたいと思いますが、私どもがやっております教職員研究団体に対する行政は、日教組をつぶせというようなことが許されることでないことは申すまでもございません。教育研究のために——なるほど、この文章見てみると、行き過ぎもはなはだしいと思います。私は基本的には、日教組も健全な成長を遂げてもらわなければならぬ。同時にまた、教員としての、専門職としての身分をわきまえて研修をし、教養を高め、人格を高めていく努力をしていただかなければならぬと思います。こういうことは、私きょう初めて、拝見いたしました。これは行き過ぎも行き過ぎ、はなはだしいものであると、かように存じます。
  96. 小野明

    小野明君 そういたしますと、当然この指導助言という行政の基準にのっとって強力な御指導がいただけるものと思います。  第二点は、この研究会員になりますと、組合員と違って県外出張に便宜が与えられる、あるいは教頭の承認に利便が与えられる。このデータについても、午前中申し上げておきました。  で、ちなみに申し上げますと、昭和四十五年度で県外出張を見ますと、組合員の者が三名——これは全体で百八名の県外出張がありましてね、組合員が三名。それから研究会に参加している組合員——これは二つのあれを持っておりますか、組合にも参加しておる先生がおられるわけです。それが三十六名。それから研究会員で非組合員の者が六十九名。大臣も現場の経験がおありになるから、県外出張の意味するものというのは十分おわかりでありましょうが、例を県外出張にとりましても、そういう地公法で禁ずる差別扱いがされておる。特に研究会に行くのには、現場ではいわゆる職免あるいは出張扱いにされるが、この先生が自主研修等で出る場合には、全部有給休暇届け、時間休暇等を出して出るか、あるいは時間外でなければできない、こういう不当な扱いがなされておるわけでございます。  で、教頭昇任人事についても同様のことが高石君の在任期間中に行なわれてまいった。午前中も申し上げたわけですが、北九州には「高石もうで」というのがありましてね、高石君のところに行って、土曜の午後庭掃除をする、あるいは日曜日に行って草むしりをする。ほんとうなんですよ。あるいは、行くときには何かさげていくかもしれませんが、それをやれば教頭になる、校長になるということです。研究会に入るというのも、その一つの手がかりなんです。結果からそう出ておる、数字がね。  だから、私は、きょう、大臣、私だけの一方的な資料で言うんじゃない。ここへ高石君を呼び、現地教育委員長も呼び、あるいは北九州教職員組合委員長も、責任者も呼んで、三者呼んで尋ねてみろと。そしたら、一部反対があって、それが実現できなかった。この次ぐらいにそれをやりたいと思いますがね。  そういう差別扱い、研修や人事に関する差別扱いというのは、当然地公法違反であるから、これを是正をしてもらいたいというのが第二点です。
  97. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 小野先生お答えいたしますが、まさかと私は思いますけれども……。
  98. 小野明

    小野明君 そうです。それがまかり通っておる。
  99. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 思いますが、日教組組合員であるから出張に差別をつけるというようなことがあり得べきことではないし、また、私、文部大臣としておる限りは、さようなことを許すつもりはございません。この点だけははっきり申し上げておきます。差別は一切なしということだけ申し上げておきます。
  100. 小野明

    小野明君 第三点。これは、この研究会発足と同時に、賛助会というのをこしらえておるわけです。賛助会員制度。これは自主的な教育研究団体である。で、先生だけが研究をするのならばいざ知らず、この賛助会員というのをこしらえて、父兄から一口千円の会費を徴収しておる。これが千四百人というんですがね。実際、文部省から出た資料を見ましても、教育研究会には拡大部会という支出の項目がある。組織拡大部会というのがね。それに金が使われておるんですが、賛助会員制度というのもきわめて問題がある。教育費無償あるいは負担軽減ということで、大臣も父兄負担の軽減ということで努力をされておると思うんですが、教育研究団体で、先生方が金を出し、国から金をもらい、市から金をもらうという、そこまでは百歩譲っていいにしても、父兄から金を集めて、そうしてこれに使う、こういうことは私は許されぬことだと思います。この点について御見解をいただきたい。
  101. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 父兄や地域住民から強制的に金を取るというんだったら、これは許されることじゃございません。先生と父兄とが一緒になって教育研修をやろうというために必要な経費を父兄が負担をせられるということも、文部省はこれを禁止するわけにはまいりません。ただ、これは御承知のように程度の問題になってくるんですね。父兄の金でもって先生研修をやるんだというのであれば、そのこと自体は決して好ましいことでないことは申し上げるまでもございませんが、一緒になって勉強するために会費を出してもらうということを、初めから頭からけしからぬと言って拒否するわけにはまいりません。この点、ちょっと先生意見を異にするかもしれませんけれども、私はそういう考え方でおるのであります。
  102. 小野明

    小野明君 なるほど、この趣旨に賛同する者という、募集の要項を見ますと、ありますよ。そこで、どのようにしてこの賛助会員を募集しているのかという方法を聞いてはおるが、的確には私もわからない。しかし、学校の先生あるいは校長がね、この趣旨に賛同してください、一口千円ですと回った場合に、断わり切る父兄がおりますか、おるとお考えになりますか。ほんとうに心から賛同するなら、千円か二千円でも——反日教組という父兄もおるでしょうしね、まあそういう人は別ですが、千四百名というものを集めておるんです。だから、募集の方法にも関係があるが、この研究団体に賛助会員制度を設けて、その中に予算化していく、そういうことは望ましいこっちゃないんじゃないか。必要なものなら、そうして合法的な運動をしておるならば、事業をしておるならば、国が出すべきであるし、市が出すべきである。むしろ個人負担というものは負担を下げるべきだというのが私の主張である。この点、大臣と見解が違うが、再度お尋ねをいたします。
  103. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 私は、先生の言われんとする気持ちはよくわかります。それは父兄の立場になると、校長や教頭から言われるというと断わり切れない場合が多々あると、これは私は日本のPTA組織そのものに非常な疑問を持っておる一つなんでありますが、そういう意味から、金銭的な協力を求めるという場合には、よほど慎重な態度をとらなければならぬと思います。だから、これは強制にわたるものであるかどうかということについては、私のほうでもひとつ再検討さしていただきたいと思います。
  104. 小野明

    小野明君 最後にお尋ねをしたいのは、この会というのはりっぱな研究会報というものをこしらえておるわけです。この会報はあとでごらんに入れますがね。そうして、この中に、特に高石教育長が熱心にこれを指導し、育成強化をされてきた、そういう表現がされております。そこで、組合を分裂させたり、不当労働行為、地方公務員法違反、あるいは補助金適正化法にいう事業——これは当然研究団体であるということならばいざ知らず、そういう分裂させるというような証左がたくさんあがっておる。補助金適正化法違反、こういう事例を、実績を、高石教育長、現給食課長はやってこられた。  いま、高石君の後任として、文部省から斎藤君というのが教育長をしておるわけです。文部省から行っておるというだけに、派遣をされたというだけに、私は大臣の責任がおありになると思う。現に職員ですからね。ですから、私は、事実関係こうまではっきりしてくるならば、高石君を処分すべきだと思います。大臣の見解をいただきたいと思います。
  105. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 処分するかしないかということは、これは行政府の最高責任者である私の権限に属することでございますから、これは立法府のほうからの御注文ですぐに応じるわけにはまいりません。十分私は調査をしてみたいというふうに思っております。  それから、いま行っております斎藤君は、私の文部省から出てはおりますけれども、これは北九州市の職員として行っておるわけでありますから、直接の監督権を私が持っておるわけではございませんから、この辺は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  ただ、ややもすると、そういう体質的な空気がかえって現場を非常に混乱をさしておる事実があるということだけは、私も率直にこれは認めざるを得ないと思うんです。だから、それを何とか是正しようというのは私が就任以来の念願であり、いろいろな批判を受けながらも、私は今日までその道を貫いてきておったものとして、ひとつ私におまかせをいただきたい、かように思います。
  106. 小野明

    小野明君 大臣が、いろいろ党内でも問題のある中で、日教組槙枝委員長とお会いになったということについては、私も評価しております。それで、大臣の言われるそういった一つ性格というのは何を意味するのか、私も的確にはつかめない。しかし、私は斎藤君のことをここで言っておるんではない。これはまた問題になればあげてまいりますが、高石君のことを言っておるのです。現場の先生は、去年は、大臣も御承知のように、日教組先生方が人事院勧告の完全実施を要求して、何回か統一行動をやりました。三十分やりましても、全部処分を受けておる。二十九分でも、全部処分をしてきました。これが高石君ですね、教育長時代に処分してきておるわけです。四年間にわたって、しかもこういうことをやっておる。現場の先生にはきびしく処分しながら、当の高石君には、栄転か転任か知りませんが、のうのうとしてこの斎藤君にしりぬぐいをさせているというか、そのことばは適当であるかどうか知りませんが、御本人がここにおられるということは、これは国民としても市民としても納得できないところなんです。大臣のお気持ちはわかるような気がしますけれども、再度御答弁をいただきたいと思います。
  107. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 私は行政の最高責任者であります、事文教に関しては。したがって、私の判断において私が処置いたしますからおまかせをいただきたい、かように申し上げたわけであります。
  108. 小野明

    小野明君 それでは最後に、大臣が十分先生方のお気持ちなり、あるいは文部省から出ておるから、おれのところにおるからという、そういう甘いお考えでないように、公平な見方をされることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  109. 塚田大願

    ○塚田大願君 大臣にお伺いしたいと思いますが、先ごろ起こりましたあのあさま山荘事件、そして引き続いて起きましたあの大量リンチ殺人事件、こういういわゆる暴力集団の問題というのが今日非常に世論から激しい糾弾を受けておるわけですが、特にそういう暴力集団の中心になっております全国の各大学の毛沢東盲従集団であるとか、トロツキスト暴力集団であるとか、こういう各派の実態というものにつきましては、共産党はすでに共産党国会議員団の名で資料も発表しておりますし、衆議院では予算委員会で松本議員が大臣に質問もしておる。あるいは、その他の委員会で絶えず私ども問題にしておりまして、この実態につきましては私はここでこまかく申し上げる必要はないだろうと思います。  きょう私がお聞きしたいのは、そういう、全国にも大学はたくさんございますが、その中でも国立大学の問題、特に京都大学の問題についてお聞きしたいと思うんです。国立大学といえば、東に東京、西に京都大学、これが一般的な代表的な大学だと思うんですが、この西の代表であります京都大学におきましても、依然として今日学生暴力集団の横行が激しい。これはついこの間、十一日でありますが、十一日に行なわれました大学の入学式の記事が当日の夕刊に載りまして、大臣もごらんになったと思うんですが、特に京都大学の入学式というものはひどいもので、私はここに持ってきましたのは読売新聞の切り抜きでありますけれども、とにかく前田学長が式辞を読んでおるところにあのヘルメットをかぶった学生が演壇にかけ登っていって、学長を羽がい締めにしてしまって、入学式はたった五分で中止された、こういう事態になっておるのであります。もちろんその他の大学でもいろいろありましたけれども、とにかくやはり京都大学のこの状態というものは一番典型的な姿だと思う。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕  そこで、この京都大学でございますが、とにかく、ことしになってからも相当その暴力事件が発生をいたしました。けが人も出、重傷者も出るというような状態がやはり続いておる。しかも、この京都大学というのは、例のあさま山荘事件、リンチ殺人事件を起こしましたあの連合赤軍の母体であります、いわゆるブンドの赤軍派というものの発祥地です。この大学が中心になってあの赤軍派というものが生まれ、あの「よど号」のハイジャック事件も起きておるわけです。で、この連合赤軍のいわば発祥地、そうして拠点であるこの大学が、今日どんな状態にあるかということが、やはり非常に問題だろうと思います。そしてまた、文部省としてこれに対してどのように対処していらっしゃるか、これがやはり問題だろうと思うんです。  そこで、私は具体的に質問に入りますが、この京都大学には京都大学出版会というものがございます。これは各大学どこでも大体出版会というものはございます、出版部とか出版会。これは大体サークル組織として大学が認可するものであります。京都でも京都大学出版会というのがございまして、これが例の京都大学事件が起きた昭和四十四年の四月に設立をされ、そして大学から認可を受け、そして部屋、あるいは電話番号、電話、こういうものが貸与されているわけであります。ところが、ここに京都大学出版会なるものがどういうものであるかというのは、その出版物を見れば非常に明確だろうと思うのです。どういう出版物が出ておるか。私どもがちょっと調べましただけでも、最初は例の京都大学紛争事件の記録が出されました。「京大闘争——京大神話の崩壊」という題目の単行本でございます。それから大菩薩事件、これの裁判記録文書がこういう形で出ている。これは「蜂起貫徹戦争勝利」という題目で、こういう本が出ておる。そのほかに定期刊行誌として「序章」という雑誌が出ております。これが定期刊行物で、今日七号まで出ております。昭和四十四年から今日まで。大臣、こういう出版物のこの題目だけ見ていただけば——目次ですね、目次を見ていただけば、大体この出版物の内容がおわかりだろうと思います。いま大臣に差し上げましたこの雑誌のほうの、この「序章」という雑誌の目次を見ても、驚くべき論文ばかりであります。たとえば、いま大臣にお渡ししましたのは七号でありますが、この巻頭論文が「革命戦争派の綱領問題 塩見孝也」——この塩見孝也というのは京大の卒業生であります。赤軍派の議長で、「よど号」ハイジャック事件の首謀者で、そして今日小菅刑務所にいる人物でありますが、これが議長であります、赤軍派の。京大出身であります。この人物の論文が巻頭論文。これはもちろん、獄中で書いて、獄中から送ったわけであります。それから「革命戦争の戦略問題によせて 林慶照」——これも赤軍派の政治局員であります。これも獄中におります。獄中からの論文であります。さらに、まあ時間がありませんからあまりこまかく申し上げるひまもありませんが、ここに「確実に反撃を開始しよう」——滝田修という人物が論文を書いております。これは大臣も御存じだろうと思うのですが、この人物は、例の自衛官殺しの容疑で全国に指名手配を受けておる、あの京大の経済学部の助手の竹本という人物のペンネームであります。警察が指名手配をしている人物の論文が堂々とこの雑誌に掲載される。しかも、これが京都大学出版会、京都大学の公認した出版会として、住所、電話番号全部その裏のところに載っている。こういう形で出版されている。この出版会は大学がとにかく一度認めたものなんです。電話も貸さなければいけない、部屋も貸さなければいけないということで、これを見過ごしている。はたしてこういうやり方が正しいのかどうか。あれだけの事件を起こした背後にあるのはこういう組織、こういう活動、これが大学の庇護のもとに置かれて、はたしてそれでいいのかどうか、この点について、まず大臣から所見をお伺いしたい。
  110. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) これは、塚田先生がおっしゃるまでもなく、民主主義社会においては理由のいかんを問わず暴力が許さるべきものでないということは、これはもう鉄則でございます。ことに、いわんや学問の最高の府である大学が暴力の巣になるというようなことが許さるべきことでないことも、申し上げるまでもないことであります。私どもは理由のいかんを問わず暴力は絶対に排除するというかたい決意で臨んでおりまするし、また大学当局に対しても、大学の大学人としての自覚を促してきておるのであります。この点、いま先生からお示しをいただきました文書は、憲法が保障しております出版言論の自由という立場から申しますると、これが直ちにけしからぬというわけにはまいりませんけれども、連合赤軍があの凶暴な事件を起こしましたことは、私は少なくとも大学教育に当たっておる大学人というものは自分自身の問題として責任を感じなければならぬと思うのであります。同時にまた、これは、大学が責任を感ずるだけでなく、文教行政をあずかっております私自身が責任を痛感をいたしておるのであります。このことを踏まえまして、私は大学に対して管理運営について特別な注意を促してまいりました。たまたま京都大学で、この間入学式で総長がけがされるという事件が起こりました。京都大学に対しても厳重な警告をいたしておりますし、これは名前を一々あげることはいかがかと思いますけれども、あれに関係のありました大学についてはそれぞれの厳重な処分を私は要求をいたしております。ただ問題は、御承知のように、大学は教授会、評議会の議を経なければ学生の処分ができない。学長さんがどんなに歯ぎしりしてもそれができないというところの制度上の問題があるのであります。この点、まことに手ぬるいといえば手ぬるいという感じがするのでありますけれども、大学人には反応がなさ過ぎるのじゃないかといって聞いてみますと、そうでもないのですね。皆さんみんな責任をお感じになっておる。おるが、反応はまことに鈍い。きょうあすのうちに教授会を開きまして、評議会を開いて除籍の処分をいたすことにいたしておりますという御返事で、全くどうも植物性の反応だなと言って笑ったのですが、まことに反応が鈍いというところに、塚田先生あたりのもどかしさが私は端的にあらわれておるという感じがするのであります。これは、あなただけでなしに、私自身もその感じを持っております。暴力はいかなる事態といえども断じて許さないという大学人に決意がなければならぬということだけは、この機会にはっきり申し上げておきます。
  111. 塚田大願

    ○塚田大願君 もちろん、出版の問題は、言論出版の自由は、これは憲法で保障されております。したがって、私はここでこの問題を論じようと思ったわけではない。問題は、こういう犯罪を犯しているような、あるいは犯そうとしているような、そういう国立大学の団体に対して、文部省の監督下にある大学当局はこれに対して非常に甘やかし、これに対して断固たる処置ができないという点を私は問題にしているわけでありますけれども、なお大臣、これと似たようなことが幾つもあるのです。  少し次に進みますが、ここに「京都大学新聞」というのがございます。これは大学の新聞、やはりこれもサークルで、組織でございます。この「京都大学新聞」というのは、かなり古い伝統を持った、戦後すぐできた新聞であります。これがやはり今日暴力集団によって占拠されておりまして、毎号毎号、見ますると、相当ひどいことが出ておるのです。ここにございます新聞は三月六日付の新聞でありますが、例の連合赤軍の問題を非常に評価をいたしまして、決死の抵抗を貫徹をしたと、こういうことで、「八時間に及ぶ死力を尽した抵抗戦を貫徹した。その反撃のなかで警察に少なからぬ打撃を与え、決死隊として組織された警視庁第二機動隊の隊長、中隊を撃滅した。」、こういう調子の論文です。これがこの新聞に出ている。ところが、このサークルに対しましても、大学側は部屋を与え、電話を与えているわけである。間接的にこれを援助している。こういうことなんですけれども、しかも大学側はこの新聞を毎月百部ぐらいずつ買い上げて金を払っておるのです。その金はもちろん国の費用であります。なるほど、百部という金は、紙代はそれほど大きいものではないかもしれない。しかし、少なくとも、こういう新聞に対して大学は部屋を与え、電話を貸して、しかも金を払っておる、国民の税金をこういう連中に渡しているというところに、やはり問題があると思うのです。しかもその反対には、もう一つ、この大学には同学会の機関紙というものがあるのです。名前は「京都大学学園新聞」という新聞であります。これはいわば民主的なまじめな学生たちの組織でありますけれども、そういうものに対しては何の便宜も与えてない。部屋も貸してない、電話も貸してない、もちろん買い上げなんかしてない。ここにはっきり、こういう暴力集団を泳がしている、あるいは援助する、現にこれを援護する、そういう姿勢というものがやはり出ていると思うのですけれども、この点については、大臣、どんなようにお考えでしょう。
  112. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 私どもも過激派集団を泳がしているというような御批評をときどきいただくのですが、断じてそういうようなことはございません。これは治安当局も断じてさようなことはございません。ただ問題は、御承知のように、大学の自主性を尊重するというたてまえから、大学の行動を一々文部大臣がチェックするわけにはまいりません。これは文部省の権限をごらんいただけばわかることであります。願わくは、私は、各大学の教官、学長が教育者としてのりっぱな自覚と責任感を持って事に当たっていただくということのみをこいねがっておるので、必要と思う場合には助言をいたします、勧告をいたします。これ以上のことが文部大臣の私には与えられておらない権限であるということは、塚田先生御承知のとおりであります。ただ、繰り返して申し上げておきますが、かような暴力集団を政府は泳がしておるなどというようなことは断じてないということだけを申し上げておきたいと思いまするし、また大学当局に対しましても、ただいま御指摘の問題については厳重注意を促すつもりでおりますから、その点はひとつおまかせをいただきたいと存じます。
  113. 塚田大願

    ○塚田大願君 泳がせ政策の問題については、まだまだ論議をしなければならないと思いますが、もう一つ大臣に具体的な事実についてお伺いしたい。  これはこういう事件であります。昨年の六月十五日に起きた事件でございますけれども、大学職組の組合の書記長が暴行されましてひどい目にあった事件があるのです、組合が襲撃されましてね。京都のやはり大学の職員組合事務所を暴力学生集団が襲撃をいたしまして、書記長を拉致しまして暴力を加えて相当のけがをさせた、こういう事件でありまするが、この暴力集団の中に大学の職員が一人やはり入っていた。やはりヘルメットをかぶって、彼らと同じ集団であった。これは山田某という人物でありまして、これは大学職組新聞にもはっきりと出ておる。繰り返し繰り返し職組は訴えております。これは昨年の七月一日号でありますけれども、これにははっきり公表されております。その他ビラもたくさん出ております、職組の名前でこういう暴力に対する抗議文が。ところが、このときに参加したこの暴力集団の中に、施設部の職員で山田某という人物が入っていた。この人物が、これは書記長だ、これはだれだと言って、この暴力集団を指揮した。そういう人物がある。ところが、この人物は、今日やはり依然として公務員として、これだけの行為を犯してですよ、公務員としてそのまま放任されておる。はたしてこれでいいのかどうか。大学の職員でありますから公務員でありますけれども、この事件について組合側が再三当局側にも抗議をしたけれども、当局は何も手を打っていない。それで、もう今日一年近くもなろうというわけであります。こういう問題について御存じなかったのかどうか、そうしてまた、こういう問題についてどのように処置すべきか、この点について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  114. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 初めて伺う話であります。暴行を受けた職員がその際告訴、告発の手段に出れば、司直の手はそのまま伸びたはずだと思うのでありますが、そういう事態があったことを私は存じません。当時そういう事態があるかないかということは、これから調査してみなければわからないことでありますけれども、ただ、被害者が泣き寝入りになっているというところに、私は何かこれはセクト間の争いでもあるのじゃないがという感じがするのでありますが、むしろ堂々と、暴力に訴えられてこういう状態だということを訴えたらどうだという感じがするのであります。私ども文部省としては、そういう暴力をふるうような人物の存在を、刑法上の問題になれば断じて許してはおきません。それは塚田先生にひとつ私のほうからお願いしたいところなんですが、そういう被害の実態があるならば、訴え出るようにひとつ御指導を願いたいと思います。
  115. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃ、最後に締めくくりをしたいと思うのですが、いま大臣が、これは当事者が、被害者が訴えたらいいじゃないか。それもありましょう、もちろん。しかし、これは組合として、こうやってもう公然と抗議運動をやっているわけですね。ですから、問題は、むしろ私は、当事者がどうこうというよりも、文部省としてこういう事件について何も知らなかったということのほうが、ちょっとやはり納得できないのです。大臣は、何かセクトの争いではないかというふうに感ずるなんて、すぐセクト間の問題にすりかえてしまいますけれども、問題はそんなセクト間の問題ではありません。明らかな暴力行為、犯罪行為なんです。ですから、そういう意味で、先ほど大臣が言われました、泳がせ政策なんか断然とっていないと言って開き直られましたけれども、こういう事件を、直接自分が管理している大学に起きたこういう事件を、大臣も知らないし、文部省も知らなかった、局長も知らなかったというところに、私はやはり問題があるのじゃないかと思うのです。ですから、大臣は、泳がせ政策は絶対ないとおっしゃるのだったら、やはりこういう大学の実情をほんとうにつかまえて一つ一つ強力な指導をやっていただきたい、これを要求しいと思うのです。もし大臣に一言お話があれば一言お聞きして、私の質問を終わります。
  116. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) 御意見、ごもっともでございます。私のほうでも十分調査をいたします。いたしますが、繰り返し申しますけれども、私どもは、いかなる主義主張があろうとも暴力は断じて許さないという基本姿勢については変わりはないということだけは、ぜひひとつ塚田先生に御理解をいただいておきたいと思います。
  117. 石本茂

    ○石本茂君 私は、各種学校のことにつきまして若干お伺いしたいと思います。  まず初めに、現在ただいま文部省が所管されておりますいわゆる国立の養成所といいますものはどういう一体種類がありますものか、また、その養成所、各種学校の数でございますね、それも幾つございますのか、冒頭お伺いしたいと思います。
  118. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いまのお尋ねの種類は、ちょっとわかりかねる点があるんでございますが、文部省で管轄をいたしております各種学校全般にわたるその件数はかなりたくさんございますが、いま石本委員指摘の各種学校とおっしゃいますのは、あるいは看護婦関係の、看護学校関係のことであろうかと思うのでございますけれども、看護婦の養成に関する各種学校という点で概況を申し上げますと、現在、看護学校としての各種学校は、学校数で国公私立合わせ四十四校でございます。准看護婦の養成学校としての各種学校は八校ございます。助産婦関係は各種学校が十八、保健婦関係は各種学校が合わせて一というような概況でございます。
  119. 石本茂

    ○石本茂君 私がお伺いしておりますのは、そういう看護関係学校の、何といいますか、だけに限って聞いているんじゃございませんで、文部省がいわゆる国立の各種学校で、いま申されました、たとえば国立の大学の医学部に属しております看護学校のことと、同時に私立のほうも申されましたが、私は私立のことを聞いているんじゃないんです。文部省が直接予算を計上して、そして所管をしております各種学校、いわゆる養成所がどういう種類がありますかと、そしてその数は幾つですかと聞いているわけです。
  120. 木田宏

    政府委員(木田宏君) お答えを申し上げます。  文部省の国立学校の中で持っております看護学校は、学校数合わせまして八十八校ございます。その内訳は、看護学校が二十四、助産婦学校が十八、保健婦の学校が一、診療放射線技師学校が十、衛生検査技師学校が十六、臨床検査技師学校が十五、歯科衛生士の学校が一、歯科技工士の学校が三、以上でございます。
  121. 石本茂

    ○石本茂君 いま申されました種類は、ほとんど医療保健関係のものが多いように見受けるわけです。  で、私は、大臣が御退席になります前に、一つだけ大臣にお考えをお伺いしておきたいと思うんですが、いま局長の申されましたいわゆる看護学校、医学部の付属でございます。それともう一つ、いま幾つかの大学の中にいわゆる学校の児童生徒のための養護の教員養成所がございます。これは大学でも短大でもないと心得ております。で、この養成所と看護学校との比較をいたしますとき、入学する学生の資格はともに高校卒業であって、三年以上の教育ということになっております。片一方の養護のほうは、そこを出ますると一級の養護教員免許証を持ちますので、そのまま学校の養護教員になってまいります。看護婦のほうは、さらに国家試験がございますので、国家試験を受けまして、そして国家免許証を持って全国の至るところの病院あるいは保健所等で仕事をするわけでございますが、私の考えがいささかひがんでいるかもわかりませんが、いま申しております比較にとりました、同じ養成所という名称でありますが、設置基準とかあるいは指定基準等の相違があるのだと思う。それは質問がちょっとあと先になってしまったんですが、そういういきさつがあろうかと思うのですが、養護教員の養成のところを見ますと、いわゆる教師の陣容も、教授、助教授等そろえましてなかなか充実した体系が仕組まれている。看護学校のほうを見ますと、もう二十何年前にできたものでございますが、これは設置基準等のことがあると思うのですけれども、専任教員と申しますと、同職のいわゆる看護婦であります先輩が専任教員ということで、三名あるいは四名そこに仕事をしております。で、あまりにも、同じような社会の中で保健衛生のことをしていく仕事の場に携わる者の教育でございますのに、片一方は教育職ということでそういう教育体系、いわゆる学校の内容体系を整えてあるのか、片一方は、もう中心である医師がいるのであるから、その脇役的なものを養成をするのだということで、大学当局のお考えの中でああいうふうなざらっとしたかっこうになっているのかという、私自身の何かちょっと納得できないことが一つあるわけです。  さらにもう一つ納得できませんのは、こういうことです。私は、御承知のように、看護婦でございます。で、非常に私の親しい友だちがやはり国立の所管であります医学部付属の看護学校に教務主任をしておりました。ところが、いまから数年前に、岡山、徳島でございますが、この二つの大学にいわゆる保健、養護の教習課程の養成所ができたときに、その教務主任はそれぞれ資格があるというのでそのままいわゆる勤務の配置がえになったわけでございます。きのうまで教務主任として非常な、夜昼寝ないような苦しみの中で仕事をしておりました。かわりますと、とたんに身分は助教授待遇ということかどうかわかりませんが、持ちました科目だけの単位について努力をすればよい。ところが、いただきましたその俸給でございます。一ヵ月後にもらった俸給で、初めのうちは、これは違うんだろうというようなことを言って、さっそく事務当局にお伺いいたしましたら、看護学校の職員は、これは高等学校の教職員並みの俸給なんだ、しかし、いま申しております養護、保健のほうの養成所のほうの教師は、これは大学程度の、いわゆる大学教職員の給与表にあてがわれておりますので、あなたの俸給は突然にわかにまあ一万、二万という高額の増給を見たのだということだったわけでございます。で、それを私聞きました当時から、そのことについて一度聞いてみたいと思っておりましたが、なかなか機会がございませんので、本日、そういうような系列になるための何か体系的な仕組みがあると思いますけれども、なぜそのような大きなアンバランスを文部省当局お持ちになっていらっしゃるのか、そのことについての詳しいことば後ほど局長さんにお伺いいたしますが、大臣のそういう状態に対します御見解ですね、それを一点伺っておきたいと思います。
  122. 高見三郎

    ○国務大臣(高見三郎君) これは、石本先生お話しになるところ、私はよくわかります。したがいまして、今度は学校教育法を議員立法で改正しようという動きがありますのも、この問題も含めての問題であります。私のめいが高等看護学校へ入りたいというのを、病院につとめております同じ親戚のめいが、看護婦さんにだけはなるなと言ってとめておるという話をゆうべ聞きまして、いかに看護婦さんが激職でありながら待遇が低いか、しかもそれは学校体系の上においてすでに差別があるというところに私も実はつい最近気がついたばかりでありますが、これはぜひ是正をするという方向に持っていきたいと、かように考えておるということだけ御理解をいただきたいと思います。
  123. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いま御指摘になりました看護婦関係の養成は、国立の医科大学の養成施設だけの問題でございませんで、厚生省が指導、監督をいたしております看護婦、保健婦、助産婦関係の学校全体にかかわる問題でございます。で、その大部分が現在の段階では学校教育法によります正規学校以外のいわゆる各種学校といわれるもので取り扱われておりますところから、いまのような制度としての位置づけがどこにどうなるかという問題が生ずるかと思います。対比して御指摘になりました養護教諭の養成所は、大学に準ずる、小中学校の重要な職員の一つである養護教諭を養成する機関でございまして、教員養成学部に準じた三ヵ年の養成所として法律で特別に制定をされたものでございまして、その位置づけが他のいま御指摘になりました看護関係の養成学校と基本的に異なっておるというところから、いろんな取り扱い上の差が出てくるものと思います。問題は、看護関係のもろもろの各種学校をどういうふうに位置づけたらいいかという医療関係職員の養成全般にわたることでございますから、国立の病院の付属学校のことだけで措置をとっていくというわけにはなかなかまいりがたいものがあろうかと思います。しかし、看護婦等りっぱな養成機関でしっかりした教育を受けていただくということは文部省としても望ましいことでございまして、最近では高等学校におきましても、正規の高等学校教育の課程として衛生看護科が五十二校にもわたってつくられておりますことは、御承知のとおりだと思うのでございますが、正規の看護婦の資格がとれるようにいたしますために、国立につきましても短期大学を設けまして、短期大学で看護婦あるいはエックス線技師の養成をはかるということを今後の一つの課題と考えまして、数年来からブロックごとに医療技術短期大学を設置し始めておるところでございまして、養成全体のあり方を基本的に整備していくことによって逐次その改善をはかっていきたいというふうに考えます。
  124. 石本茂

    ○石本茂君 ちょっと質問があっちこっちしてしまったんですが、先ほど申されました幾つかの種類別の養成所でございますが、この養成所が年間消費いたします予算的な経常経費でございますが、これの四十五年度のものでよろしいのでございますが、大体その運営費を含めた一切の計上額を、生徒一人当たりがどれくらいの一体割り当てになっておりますか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。
  125. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) お答え申し上げます。  学校運営の全経費を一人頭に割ったというような計算はいまいたしておりませんが、明年度の予算のいわゆる学生当たり積算の校費、その単価で比較をいたしますと、医学部付属の看護学校では生徒当たり積算校費が単価といたしまして一万一千三百円、これに対しまして国立の養護教諭養成所の学生当たり積算校費は一人頭二万八千五百円、かような数字になっております。
  126. 石本茂

    ○石本茂君 先ほど来の局長お話等を参照いたしまして、片っ方はそういう別の時点での資格要件ということでございますから、これは異なりましてもいたし方がないと私思うのですけれども、何かこう文部省当局、先ほど大臣も最近わかりましたと申されましたけれども、これは大臣が最近おわかりいただいたのは当然だと思うのですが、どうもお役所自身が何となしに今日までの、これは私の感触でございますけれども、直接に二十幾つもの付設の看護学校を持って、そこには一学年五十名といたしましても、三学年百五十名に掛ける二十四校分ということになるわけですが、何かこう差別といいますか、要するに文部省教育畑でございますから、将来教育の分野で働く者ではないというようなこととあわせて、医療というものは厚生省の所管であって、しかも看護にまつわるものはほとんど厚生省が分担しておりますものですから、そういうことから勢い無関心に放置されてこられましたのか。これは非常なひがんだものの言い方なんでございますが、何かこう、何をお伺いいたしましてもちょっとぴっとこないものがあるわけです。先ほどやはり質問がありましたけれども、医師養成問題、これは非常に重要な問題でございまして、文部省当局も肩入れをなさるのは、これは当然でございますが、医師養成をする段階で一番重要な条件を持つのは医学生が実習をするということだと思っております。これは、実習する場所は病院でございます。この病院というものは、患者と医者と医学生だけがおればそれで一体片づくのか、私はそうじゃないと思っております。やはり一番人材をかき集めていかなきゃならぬのは看護婦でございます。その看護教育に対して一体どういうふうに考えていらっしゃるのか、この際、政務次官にこういうことをお聞きするのはちょっとどうかと思うのですが、当局のお役人に聞くのが一番いいように思いますけれども、ひとつ御意見を承っておきたいと思います。
  127. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) 石本先生の御説に、私も全く同感でございます。最近におきまして、この看護婦が非常に不足をしておる、そういうことのために非常に医療機関の成果があがらない、そのためにいろいろな施策を講じておるわけでございまして、また現在、国立大学等を新設をいたそうと思いましても、実際は看護婦の充足がなかなか困難であるためにその設置すらもなかなか見通しが困難である、これが現状でございます。そういう意味におきまして、いろいろな面から施策をしてまいらなければなりませんのでありますが、先生のおっしゃいますように、看護学校と養護教諭養成所、こういうものの間に、いまお話しのような一万一千三百円と二万八千五百円、それぞれ設置の目的性格は異にしておるとはいいながら、非常な差があるということは事実として明白になっておるわけでございまして、先生のおっしゃいますように、別に看護学校はそういう意味であるから文部省が力を入れないと、こういう別に気持ちはないと私は思っておりまするが、現実にそういうような結果がいまあらわれておるわけでございまして、今後におきましては、いろいろな施策をもって看護婦の充足はしていかなければなりませんけれども、その養成をまずするということが当面の急務でございますから、私どもといたしましては、国立大学医学部の付属看護学校、そういう立場にございますものつきにましても十分ひとつ努力をいたしまして整備をはかってまいりたい、そして極力養護教諭養成所との格差を縮めるように努力をいたしたい、文部省としてはそういうふうに考えております。
  128. 石本茂

    ○石本茂君 ほんとうにありがたい、いいおことばだと思うのですが、この看護婦の場合は量の問題だけではございませんで、現に千葉大学でああいうふうな大きなミスをいたしまして、これも看護婦でございますが、非常にこの質の問題がやかましく要求されてきているわけでございまして、二十数年前にできました指定規則などが今日生きているというようなところに大きな問題があるわけでございますが、どうかひとつ文部省は、医師養成の場である病院の中で同様にこの看護婦の養成をしているわけでございますから、やはり質的な条件をも十分に考慮くださいまして、文部省の背景にあります看護学校の卒業生はほんとうにすばらしいのだと言われるものを私は期待するわけでございます。  それからもう一つ、この場でこんなことを言いますとおしかりを受けるかわかりませんが、私は大蔵省に、これはもう何年か前になりますから、今日来ていただいておりませんけれども、この看護婦の問題でお伺いいたしましたときに、ほんとうに大きな責任を持つ方のおっしゃったことは、大学病院の看護婦の学校はあれは大学じゃないのですかと、いやああれは各種学校ですかということで、その方自身が実はびっくりされました。これはもうお一人に限っておりません。代々そういう傾向でございまして、私、大学といえばだれでも、要路の職におありになる政治家の皆さん方だれもが、あそこにある学校は大学だと思っていらっしゃるくらいの状況でございますので、ぜひひとつ、いま申された意味で、将来に向かって気をつけていただきたい。  それからなお、先ほど大臣もちょっと触れてくださいましたが、ぜひ私は将来に向かって、せめて養護教諭養成所と同じような条件まで看護学校、各種いわゆる養成所を、文部省当局におかれましては格上げするというたてまえを見せていただきたい。それによってまた厚生当局をわれわれは存分にむちうっていくことができるわけでございまして、何だかんだ申しましても教育の場は文部省が中心なんだ、いかなるものの教育といえども文部省がお手本なんだというものをぜひお示しいただくことを私は心の底から希望するわけでございますが、このことをもう一ぺんお役所の立場で、それは必ず何とかしていくというようなお答えいただけますでしょうか、どんなものでございましょうか。
  129. 安養寺重夫

    説明員安養寺重夫君) いろいろ先生の御指摘のような問題ございます。現在私どもが当面しております問題の一つに、各種学校で看護婦養成をすることをぼつぼつ改めるという改め方の中で、学校教育法の正規の学校でそういう医療技術者の養成をはかるべきではないかというような議論がございます。これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、現在の付属の各種学校にございます看護学校その他の医療技術者の養成の施設を統合いたしまして短期大学を併設するというほうに切りかえてまいっておるわけでございます。実は、明年四十七年度の予算にも、国立としまして第三番目の医療技術短期大学を設置をしたいということで、現在法案の審議をお願いしておる最中でございます。ただ、これにつきましては、いろいろ教官陣営の構成等にむずかしい基準等がございまして、これがネックになっておるというようなことで、まあはかばかしくいかないというようなこともございますけれども、実は各方面からの御要請もございますので、ぜひ当面各ブロックに、ここはそういうような切りかえをいたしまして正規の学校で養成をしたいというように考えておるような次第でございます。現在しかし、各付属の施設として各種学校があるわけでございますから、これにつきましては、教官の待遇等につきましては、年来、人事院に、現在の高等学校の俸給表ではなしに、最小限高専の俸給表の適用をしてもらいたいというような要望もしておりますし、いろいろ関係の校費等につきましても、予算のたびごとにできるだけ増額をいたしたいというように鋭意努力はいたしておるわけであります。今後もそういう課題をもって取り組んでまいりたいと思います。
  130. 石本茂

    ○石本茂君 これはいま審議官が申されましたことの関連になりますが、かりに学校の資格を格上げしていただきましても、残念なことに看護を担当する専科の教員が、正規の資格を持つ者がほとんどおらないというのが現状でございます。そこで、この教員養成というものについて、一体どのように将来お考えいただけるか。本日はそのことに触れる意思はございませんでしたので特に言っておりませんけれども、これはひとつぜひ御研究くださいまして、もうほんとうに一日も早くそのほうに手をつけていただきたい。いまそういう、国立じゃございません、私立関係で、かなり短期大学あるいは四年制大学を持とうとしておりますが、まず行き当たりますのが、看護教員がおらない、資格を持たないということが第一番の問題になってきておりますので、ぜひこれはひとつ、できますことなら、来年度と言っても無理でございましょうけれども、その次の年度くらいからは、もう臨時措置でもけっこうでございますから、特別の看護教員養成ということをお考え願いたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。そのことについて、ちょっと御見解だけ承ります。
  131. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) ただいま先生からるるお話がございましたが、文部省も医師養成ということに非常に努力をしておりますけれども、結局看護婦が充足をされなければその目的は十分達成されないわけでございまして、私どもその必要性は十分認識をしておるつもりでございます。いろいろな関係機関にはそれぞれの意見があろうかと思いますが、少なくとも今日まで石本先生をはじめ皆さま方の御推進をいただきまして、ようやく軌道に乗ろうとしておりまする、その看護婦の養成をいたしまする第一歩を踏み出す立場でございます。お話のように、看護学校をさらに充実し、その内容を充実いたしますと同時に、教員養成というようなことにつきましても御趣旨に沿うように努力いたしてまいりたい、かように思います。
  132. 塚田大願

    ○塚田大願君 大臣への質問に続きまして、文部省お尋ねしたいのでありますが、現在、港区の芝公園の中にあります正則学院が、昭和四十五年、大林組の不動産部長赤尾某なる金融業者から六億円の根抵当権の代物弁済として学院の引き渡しを求められておる。したがって、非常に今日では正則学院が深刻な経営危機に直面しておるわけでありますけれども、この事実について文部省は御存じですか。
  133. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私立の正則学院でございますが、御承知のとおり、これは東京都知事所管の私立学校でございます。東京都のほうから正則学院の状況について報告を徴しましたところ、高等学校生徒の急増期に、校舎の増築でございますとか、体育館の敷地の購入並びに体育館の新築を行なったことがもとで赤字が生じまして、昭和四十二年度以降は、生徒数が減少した上に、職員の給与費の増と物価高で経営が困難になり、負債が増加した。その結果、金融業者ということでございますが、赤尾という人物から約五億円の借り入れ金をした。この借り入れ金の扱いをめぐりまして理事者間にいろいろ内紛があるというふうな報告を聞いておりますが、都知事所管の法人でもございますし、かつまた事実関係がかなり複雑なようでございます。したがいまして、文部省におきましても関係者一々文部省においでをいただいて事実を確かめるというようなこともまた所轄庁でない関係から困難でもございますので、ただいま申し上げました東京都の報告を一応了承しておるということでございます。
  134. 塚田大願

    ○塚田大願君 正則学院という学校は、明治二十二年に創設されましてから、非常に多彩な方々が学校を卒業しておられるわけです。私ここに創立七十周年記念の雑誌を拝見さしていただきましたけれども、これを見ると、政界、学界、財界、あるいは文化界、非常に傑出した方々が多いのですね。たとえば、一、二を申し上げますと、自民党のワンマンこと吉田茂元首相も卒業しておる。あるいは元農林大臣の内田信也氏とか、あるいは東大学長であった長興又郎さんであるとか、あるいは一橋大学長でありました上田貞次郎さんであるとか、あるいはその他俳人の荻原井泉水なんという非常に有名な人たちが卒業している学校なんです。そういう意味ではいわば名門校でありまして、いまでも、教職員であるとか、父母の方々とか、あるいは理事者の方々の努力によりまして、非常にすぐれた教育をしているというふうに評判のある学校であります。いま文部省局長は、生徒の応募者が減って非常に経営が困難になって借金したと、こういうお話でしたが、確かにそういう傾向でありました、かつて。しかし、最近は非常に応募者数もふえ、ここに統計がございますが、非常に生徒数もふえてきた。こういうやはり評判のいい学校だからこうやって発展の方向をたどっておるわけでありますけれども、このことについては文部省は御存じなかったのですか、ちょっと  一言お答え願いたいと思います。
  135. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、詳細な最近の実態は承知をしておらないのでございますが、生徒の募集状況等は決して悪くはなくて、昨年の場合でございますが、募集人員の九〇%以上の志願者がある。したがって、私立高校でこの程度の志願者があるということは、東京都内の私立高校の現況といたしましては決して悪いほうではない。むしろ中程度の状況ではないかというふうにうかがっております。
  136. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこでお伺いしたいのですが、先ほど局長は、私学の高校は東京都の所管だから私ども報告を聞いている程度だと、こういうふうにきわめて冷淡な態度をとっておられるのですけれども、しかし私ども考えてみますと、日本の国の私学というものは非常に学校教育の中では大きな比重を持っていると思うんです。これは、あなた方専門家だから、よく御存じでしょう。大学の七六%、短大の九〇%、高等学校の三五%、この学生、生徒が私学で教育を受けているわけです。したがって、教育行政を所管されておる文部省としましても、これは単に東京都の所管だからというふうに簡単に私は片づけられないものがある。しかも、今日では非常に進学の要求というものが強くなってまいりまして、高等学校への進学率というものが今日では八〇%、戦前などには考えられなかったような事態が生まれているわけです。そういう中で、やはり国や文部省がこういう国民の教育に関する要求にほんとうにどのようにこたえようとしているのかという問題です。したがって、私立大学については文部省はかなり関心をお持ちのようだけれども、高等学校になりますともう非常に人ごとのような態度をとられておるのですが、一体文部省としては高校の新増設計画というものはお持ちなんでしょうか。
  137. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私立高等学校以下に対して文部省が冷淡であるというお話でございますが、私どもは決してさような気持ちで事柄を処理しておるわけじゃございません。学校教育における私立学校の重要性ということは、ただいま数字をあげておっしゃいましたとおりでございまして、私どもも私学振興ということにつきましては近年特に力を入れておるつもりでございます。具体的には、ただいまお話がございましたように、大学、短大、高専につきましては、これは文部省直接の所管学校でございますから、国が直接補助金を支出する。特に一昨年度からは、私立大学等に対する経常費の補助というものを計上いたしまして、その振興をはかっておるわけでございますが、高等学校以下につきましては、これは冷淡であるとかないとかということではなくて、やはり行政事務の分配の体系から申しまして、これは都道府県知事の所管だということでございまして、都道府県知事に行政的な指導も財政的な援助もお願いをしておるという状況でございます。もちろん、国といたしまして、それじゃ高等学校以下に何もしていないかと申しますと、そうではないわけでございまして、補助金といたしましては、産業教育に関する補助金でございますとか、理科教育に関する補助金でございますとか、あるいは定時制、通信教育に関する補助金でございますとか、そうした、何と申しますか、一般的ではない、特殊な行政分野、行政目的に対する補助金を私立高等学校以下に交付をする。それから、私学振興財団を通じてではございますが、私立高等学校以下の学校に対して長期低利の貸し付けを行なうといったような方法を講じておるわけでございます。それからなお、ただいま申し上げましたように、私立高等学校以下に対する一般的な補助は、いま申し上げました行政体系の区分の問題からいたしまして、都道府県が助成をする、都道府県から助成をしていただくというたてまえをとっておりまして、その財源に対する国の裏づけといたしましては、御承知のとおり、地方財政計画あるいは地方交付税制度というものを通じまして国としての裏づけをし、都道府県が私立高等学校以下に助成が容易にできるように措置を講じておるわけでございます。昭和四十五年度におきましても、こうした関係から約百六十七億円の助成というものが都道府県から私立の高等学校以下に行なわれておるという状況でございまして、四十七年度におきましても、さらにこれを拡充するために必要な財源措置を自治省と協議をしているというような状況でございます。
  138. 塚田大願

    ○塚田大願君 お話を聞いていますと、たいへんりっぱなことなんですけれども、しかし、現実にこの高等学校に対する助成というものは、もちろんゼロと言っているわけではありません、それなりのことはやっていらっしたと思うのですけれども、やはり非常に不十分だったというふうに私ども考える。とにかくいま過密都市においては、五年間に幾つ高等学校をつくらなくちゃいかぬかなんていうことで、たいへん四苦八苦しているという実情は、御存じだろうと思います。しかし、さりとて財源がない、地方財政はもうまことにひどい状態になっておる、こういう矛盾。また、私立学校にいたしましても、とにかく借金で首が回らなくなってきているというふうなことで、非常にこの私立高等学校の場合にはそういう矛盾が集積をしておる。そういう状態の中での文部省の助成というものは、ゼロとは言いませんけれども、たいへん不十分だったと思うのです。この点につきまして——自治省の方来ておられますか、自治省はおらませんか、じゃあ自治省の見解はいいでしょう。とにかく文部省にすれば、これはいわゆる設置者負担主義で、私立高校はもう設置者がやればいいんだと、都がやればいいんだということのお考えのようですけれども、事態は、私は決してそんなことで片づく問題ではない。事は、国民の教育、後期中等教育の問題でありまして、きわめて重要な問題です。それだけに、この助成という問題については、ほんとうに文部省として真剣に考えていただきたい、こう思っているわけです。  この点は、いま局長も言われましたが、この間、高見文部大臣は、衆議院の文教委員会におきまして何回もこの問題については発言をされております。私はここに議事録を持ってきておりますが、去年の、四十六年の十二月三日の文教委員会におきましては、とにかく今日の金利状態から申すと、これが非常に私立学校にとって大きな負担になっておると、いろんないままでの投資がですね。ですから私学振興財団の資金を思い切って貸す必要があると思うと。で、それには国費をもって補てんするということになりますと、私学振興財団に対する国の出資金をふやす以外にはない。「これはただの金ですから金利がかかりませんから、したがって金利がそれだけ下がる、それによって肩がわりをさせていくことを考えるというような道も講じてやるのでなければ、これからの私学の振興というものを期することはできないのだ、かように考えておるわけであります。」、こういうふうに言っておられるし、去年の十二月二十一日の文教委員会でもやはり同じようなことを言っていらっしゃる。「これは、何と申しましても、私立大学が、御承知のようにベビーブームの影響を受けまして一時に拡張いたしました旧債の償還金というものが相当のウエートを占めておるというところに私学経営の困難さがあるわけであります。」、だから利子補給の道を講じてやりたい、低利長期の融資をしてやりたい、こういう趣旨のことをおっしゃっておる。いま局長のおっしゃったようなことと大体大同小異だと思うのです。こういう立場でやはり問題を解決していかなければ、この今日の私学高校の問題というのは解決できない、まあこういうふうに考えているわけですが、この点ではあれですか——ここでも大臣が言っていらっしゃるのですが、既往債務の弁済費ですね、私学振興財団貸し付けの。これで、この正則学院の場合には四十七年度のこの計画の中に入っておるのでしょうか。この既往債務弁済費というものですね、貸し付けですね。その点はどうなっておりましょうか。
  139. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 昭和四十七年度の私学振興財団の貸し付け総ワクは三百十億円でございまして、そのうち既往債務の弁済費に充てる分として予定をいたしておりまする額は四十六億円でございます。しかし、これは総ワクとしての積算でございまして、まだ具体的にどこの学校が入る、入らないというようなそういう決定もいたしておりませんし、また積算としてもそういう積算はいたしておりません。執行の問題といたしまして、各学校から申請がございましたものを審査をいたしましてこれを貸し付けるということになっております。ただ、既往債務の弁済費と申しますが、これはただ単に昔の債務の肩がわりということではなくて、その目的にも制限がございまして、校地、校舎の整備のためということがございますし、それから既往と申します範囲にも一定の年限上の制約がございます。それから債務の条件といたしましては、借り入れ利率が日歩二銭五厘以上といったような制限がございまして、したがいまして、具体的にこの条件に当てはまるかどうかということは、こればただいま申し上げましたように、個別の審査の問題になるかと思います。
  140. 塚田大願

    ○塚田大願君 わかりました。私もこの私学振興の雑誌でその内容については存じております。がしかし、とにかく非常にピンチに立っているこの名門校が、まあ生きるか死ぬかという境で、やはり文部省としても積極的な施策をとっていただきたい。このことをまずひとつお願いをしておきたいと思います。  次いでお聞きしたいのは、この正則学院が赤尾某なる金融業者に担保として入れている土地はもともと国有地でありまして、国有地を学校が払い下げを受けたものである。これを金融業者が担保にして六億円の根抵当を設定した。しかもこの業者は、学院がこの六億円の金を不動産銀行に肩がわりしてもらって、この六億円の金を返すとこう言っても、いやその金は要らない、その土地がほしいのだと、こう言ってがんとして受け付けないというのですね。これはちょっとふしぎなおかしな話なんです。そこで私は、不動産業者が、こういう芝公園の一等地ですね、日比谷通りですか、あれに面した、かつてはあの芝公園全体のあれになっていたところでありますが、そういうところをねらってやっておると、そして学院の経営難につけ込んで国有地の取得をはかろうとしている、こういうふうにも見られるわけです。この点につきましては、大蔵省はこういうやり方がはたして正当だというふうにお考えになっているのかどうか、大蔵省から見解をお聞きしたいと思います。
  141. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 正則学院に対しまして売り払いましたのは昭和三十九年の十一月一日でございますが、この八百七十坪の——これは現在体育館の用地になっているところでございますが、こういった国有地の売り払いに際しましては、大蔵省といたしましては用途指定をするということにいたしております。ただ用途指定の期間が、これは原則として七年というふうになっておりまして、七年間はこの指定用途に供さなければいけない。もし供さなかった場合には違約金を取って契約を解除することもあり得ると、こういったような契約条項にいたしまして厳正に移管しているわけでございますが、何ぶん七年を経過いたしますと、これは相手方が完全なる所有権——もちろん所有権はもとからあるわけでございますが、処分権が出るわけでございまして、ややもしますとそれを転売するという、まあ国の立場から見ますとこれは適当ではないと、こういう事態も考えられるわけでございますので、実は私どももこの用途指定の期間につきまして、こういった土地の値上がりが激しい時期におきましては再検討する余地があるんではないかということで、目下こういった関係事務処理法規につきまして検討しているところでございます。
  142. 塚田大願

    ○塚田大願君 文部省としては、この問題についてはどういうふうにお考えですか。
  143. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほども申し上げましたように、この正則学院の借り入れ金の関係並びにただいま御指摘のございました土地の売却の問題につきましては、そのあらかたの話は伺っておりますが、まだ間違いのない事実であるというものを文部省としてはつかんでいない状態でございます。
  144. 塚田大願

    ○塚田大願君 それだったら、至急ひとつ事態をよく調査していただいて、とにかくこれは東京都の責任だというふうにお考えにならないで、やはり日本の教育立場からの重要な一つの問題だというふうにお考えになって取り組んでいただきたいと思います。  そこで、若干正則学院の問題をおきまして、せっかく大蔵省が来ておられるので、このやはり芝公園の中の土地の問題について、国有地の問題について関連してお伺いしたいと思います。  昭和四十六年十月十一日、大蔵省関東財務局は日本電建社長上原秀作氏にこういう土地を交換して払い下げております。東京都港区芝公園第一号地十、十一、十二、十三の四筆、千二百六・九二平方メートル、この土地を、東京都文京区小石川三丁目八十八の二外三筆、九千六百七十三・九四平方メートル——この中には千葉市長作町の土地を含んでおります、これと大蔵省は交換して払い下げられましたが、この社長の上原秀作というこの相手方は、先ほど申しました正則学院のやはりもとの金貸し業者でありまして、この上原秀作氏からいまの赤尾某に肩がわりをしたという経歴の人でありますが、この人に大蔵省はこの国有地を交換して払い下げております。それからもう一つ、同じく芝公園の第一号地一の三の土地、建物、工作物を約三億三千万円でやはりこの日本電建社長上原秀作氏に払い下げておりますが、この後者の国有地の払い下げにあたりまして、用途の指定五年間駐車場という条件で払い下げているんですが、これはこのとおりでしょうか。
  145. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) おっしゃるとおりでございます。
  146. 塚田大願

    ○塚田大願君 では、この日本電建という会社が、この港区芝公園の第一号地にホテルの建設を計画しているということですけれども、これは国有地を払い下げられるにあたって大蔵省はその計画をつかんでおられましたかどうか、そしてまた、いまあなたが認められましたこの駐車場なるもの、ホテルの駐車場だということですけれども、この計画は聞いておりましたか、あるいは設計図などを見ておられましたか、どうでしょうか。
  147. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 先生の御指摘の後者の、現在関東財務局の芝寮が建っておる土地の処分の問題でございますが、これにつきましては、事はいろいろいきさつがございまして、この芝寮が昭和二十七年の建築にかかる非常に老朽の木造建物である、それから騒音が非常に激しい——といいますのは、都道の放射二十号線に面しておりまして、とても宿舎施設としては適当ではないということで、かねてから移転先を物色していたわけでございます。それで、隣接の土地が、実はかつて国が社寺等に無償で貸し付けておりました国有財産の処分に関する法律によりまして増上寺に譲与した土地でございますが、その増上寺が実はこれを日本電建に譲渡したわけでございます。したがいまして、日本電建が、隣接の国有地になりますこの芝寮のあと地を取得したい、こういう希望を申しておりまして、この移転先として国が物色しておりましたことを聞きまして、同社の所有の豊島区駒込所在の土地、これを提供して、ここに代替施設をつくったらどうか、こういった申し込みがございましたので、国としましてはこれを適当と認めまして、これを実質的に交換ということで処理しようということにしたわけでございますが、何ぶん日本電建という、まあ株式会社でございますので、随意契約の適格がございませんので、国としましては三割増しの有利随契という条項を適用いたしまして、三割増しで処理したわけでございます。ところが、実はこの地区は昭和三十二年に東京都が公園地区に指定いたしまして、都市計画法上のいろいろな制限がかかっているわけでございまして、日本電建がこれを取得いたしましても、もうホテルにはとても直接当てることが不可能でございまして、もちろん指定が解除されれば別でございますが、現段階においてはこれはホテルは不可能。しかし、ともかく都市計画の制限に反しない、要するに都市計画法に触れない範囲で利用するからということでございましたので、利用計画を検討いたしまして、都市計画法上の利用の制限に反しない範囲内で駐車場等で利用すると、こういった利用計画、これを指定用途にして指定したわけでございます。で、もちろん日本電建がホテルの建設の場所を有していることは十分知っていたわけでございますが、それはこちらといたしましては、とてもホテルにはならぬではないかということは十分申しておりますし、都市計画法にあくまで抵触してはいかぬ、こういうことは厳重に条件をつけてございます。
  148. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうすると、なおおかしくなるのですね。日本電建という会社がどんな会社であるか、これは子供でも知っているわけです。いわゆる建築業者、土建業者です。で、こういう人たちが、会社が土地を取るということは、ただ土地を遊ばしておく、そして駐車場ぐらいつくっておくというふうなものでないことは、これは私は常識だろうと思うのですね。しかも、もう駐車場ということは十分承知の上で許可をされたというわけですから、ますますもっておかしい。しかも、確かにあなたがおっしゃるように、この土地は都市公園法に基づいて東京都が公園計画をちゃんと立てておる土地ですから、こういういわば緑地として非常に大切な土地です。それを一土建業者に売り払うということが、まことに疑惑を生む根拠だと思うんです。  そこで、まあ都市公園法の問題についてはもう御存じだから申し上げませんが、もう一つお聞きしたいのは、この芝公園の一号地の国有地の払い下げは、あなた方がお出しになりました、昭和四十一年五月十九日でありますけれども、大蔵省国有財産局長から各財務局長あての通達がございます。この通達を見ますと、ここに写しがございますが、「なお、この通達の趣旨は、従来、普通財産である土地の売払いに当たつては、土地のもつ特殊性にかんがみ、これを公共の用、公益事業の用又は国民経済的にみて重要度の高い用途に優先的に活用するという趣旨から、」云々と、こういうふうに書かれておるんですが、あなた方自身が出したこの通達とこの払い下げとはどういう関係になるのか。  また、もう一つ関連してお聞きしましよう。国有財産中央審議会というものがございます。この中央審議会で、昭和四十七年三月十日付で大蔵大臣への答申がございます。この国有財産中央審議会の会長石坂泰三氏の名によって出されました答申によりますと、やはり「国有地は従来よりも一層公用、公共用の用途に優先的に充てることとし、都市の再開発に関連なく民間へ処分することは、原則として行なわない。」、そして都市の緑地あるいはオープンスペースを確保して良好な生活環境を考えなきゃいかぬ、あるいは災害というふうなものにも対処しなければいけない、こういう答申がございますし、また、この答申に基づいてお出しになったろうと思うのですけれども、その前に出されました、いま申し上げましたこの国有財産局長からの通達、こういうものに照らしまして、はたして今度の払い下げというものは妥当であったのかどうか、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  149. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) 御指摘のように、国有地を処分いたします場合に、できるだけ公用、公共用の用途に優先的に充てると、この原則つきにましては、私どももさらにこれを推進すべきものであると心得ておりまして、現に、去る三月十日に国有財産中央審議会から正式に答申をいただきました後にも、御指摘の答申の線よりもさらにもうちょっと強く公用、公共用ということに優先的に充てる方針を打ち出しておるわけでございますが、ただ中には、こういう公用、公共用に直接適しないような土地、あるいは規模とか、立地条件とか、いろいろ、そのまま公用、公共用に充てるよりも、これを交換処理いたしまして、交換で受けたものを有効に使うというほうが適当ではないだろうかというような事案もございますので、そういうものにつきましては、例外としてこのような特別の処理を認めざるを得ないのではないか。で、現にこの芝寮のあと地の処理につきましては、御批判の向きもあるかと思いますが、私どもは、何しろそこに建っております木造老朽の芝寮というものの代替施設を何とか確保したい、そういう気持ちが先に立ちまして、それで適当な相手がたまたま出てきたものですから、それと自主的に交換で処理する、しかもそれは御批判を受けないように三割増しという有利随契、こういう条件で売り払う、こういうような処理にいたしたわけでございまして、まあ事務的には必ずしも不当ではないのではないか、さように考えておるわけでございます。
  150. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまの御答弁を聞きますと、とにかく宿舎が非常にもう老朽して新しいものを大蔵省としてはほしかったと、だから原則は原則として、まあ例外としてこういうこともあり得るのだという、まことにこれはてまえがってな私は論理だと思うのです。しかも、三割だけ値上げをしたのだから、国としても損をしてないのじゃないか、こういった調子ですけれども、問題は、とにかくこの都市公園法によって東京都がちゃんと公園地として決定をして計画も進んでおる。また、港区の区議会といたしましても、こういうあれについては、都知事あてに、こういう変なものがだんだん入ってくるけれども、こういうものは都知事として押えてもらわなければ区民としてはまことに迷惑だと、こういう陳情がちゃんと出ておるのですね。都民の立場、国民の立場から考えれば、今日、公害だ、交通事故だといって、生活環境がどんどん悪くなる、せめて緑がほしい。芝公園は、御承知のように、芝増上寺の、いわば一つの文化財でもあるんですね、あの地域全体が。そういうものであるだけに、非常に住民とすれば、また都民とすれば、国民とすれば、これはほんとうに大切に保存しなければならない国有地であったにもかかわらず、わずか宿舎がぼろになったから、適当ないい宿舎がほしかったからと、そして値段も少々上げたからいいではないかと、こういう理屈ですけれども、私どもは、こういう言い方、考え方には、納得できません。そこで、行政管理庁見えておられると思うのですが、行政管理庁の見解はどうですか、この問題について。
  151. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) ただいま御指摘の点につきましては、私ども事情をはっきりとまだつかんでおりませんですが、その関係から、ただいまのところ大蔵省御当局の御説明のとおりかというふうに存じます。当庁といたしましても、現在のところ国有財産の管理及び処分に関する行政監察を実施中でございます。その段階におきまして、その一環といたしまして慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  152. 塚田大願

    ○塚田大願君 ぜひおことばのどおり慎重に御検討願いたいと思います。やはりこれは非常に重大な政治問題でもあろうかと思うんです。と申しますのは、いま申しました日本電建という会社、ここの社長さんはいま——いまではありません、当時ですね、大蔵省が払い下げた当時の電建の社長は小佐野賢治という人です。いまは上原氏にかわったわけですけれども、この人は例の虎の門事件、虎の門公園あと地問題にからんで名前のあがった人です。当時の参議院の決算委員会、これは昭和四十一年の九月一日であります。ここの決算委員会におきまして、この虎の門公園あと地問題というものが問題になりまして、このときに、当時有名なあの田中彰治から一億円の恐喝を受けたということもある人物です。これはもう参議院の記録に残っているのです。そういういわば札つきの政商と言ってもいいような人物だ。相手がそういう人物なんです。それを大蔵省は簡単に払い下げているわけです、国有地を。しかもこういう芝公園の一等地を。しかも、この日本電建、そして大林組——大林組というのは先ほどの正則学院の金融業者ですが、ともに、日本電建にしても、大林組にしても、「東洋経済」の三月二十五日号に載っているんです。「巨大企業が進めるニッポン列島買い占め!」、あらゆるところを買い占めているんですね、この日本電建とか、大林組というのは。これごらんになると非常におもしろいんです。こういう企業なんですね。こういう企業に大蔵省が簡単に土地を渡す、そしてまた渡した。また今度は正則学院、すぐこの土地の近くでありますから、正則学院の土地をねらっておると、大林組が。こういう関係を考えてみましたときに、正則学院の問題が単に一私学の問題にすぎないということにはならないのです。全体としてやはり国有地を守る、そしてまた高等学校教育、後期中等教育の発展を考える上におきまして、私どもは、こういう問題はほんとうに真剣に調べ、そしてそれに正しく対処していく必要があると考えておるわけですが、そういう意味で、最後にもう一回、文部省、大蔵省の御見解をしかと承っておきたいと思います。
  153. 渡辺栄一

    政府委員渡辺栄一君) これは、正則学院というのは非常に名門であるというお話もございましたが、文部省としましては、学校であるということにおきまして、真剣に考えてまいらなければならないという気持ちでおります。ただ、局長申しましたように、原則論としては、私立高等学校に対しまする助成措置は、行管庁でありまする東京都知事においてその実情に応じまして適切な措置を講ずべきものである、こう申し上げてきたわけでございますが、文部省としましては、昭和四十七年度におきましても、算に交付税の積算の中におきまして、相当大幅な財源措置を講ずるように努力をしてきたつもりでありますから、その点は御了承を願っておきたいと思います。原則論はそういうことでございますが、文部省としましては、今後合理的な解決策等を見出すことができましたならば、極力ひとつ助言等も行ないまして御協力してまいりたい、かように考えております。
  154. 小幡琢也

    政府委員(小幡琢也君) いろいろ先生から御批判を賜わりましたので、大蔵省といたしましては、今後このような国有地のことにつきましては極力慎重に検討して取り扱うことにしたい、こういうふうに存じます。
  155. 小谷守

    ○理事(小谷守君) 他に御発言もないようでありますから、文部省決算につきましてはこの程度にいたします。  これにて散会いたします。    午後四時三十二分散会