○渋谷邦彦君 確かにこのところ、あえて申し上げるならば、特にことしに入ってから、
政府の
考え方というものがだんだん整理してこられたという印象を受けるわけです。まあ、昨年九月のできごとでありますので、あるいはその時点では固まっていなかったと言われれば、そういうこともあり得るかもしれないというような憶測もできないわけではございません。この
台湾問題をめぐりまして、ともあれいま明確に御
答弁がありましたように、確かに
総理もまた
外務大臣も、この
台湾問題については相当ぴりぴりして神経をお使いになっていらっしゃると思うのですね。けれ
ども、一番信頼される
局長さん方の
発言の中の水をかけられるような行き方というものは、一体
日本外交というものの将来性はどうなっていくんだろう。絶えず
国会での
答弁あるいは外務省の
考え方というものは食い違いがあるというようなこともこのところ指摘もされていったようであります、ほかの問題等からですね。そうした点を考えますと、やはりこれから
日中国交正常化というものに取り組むにあたって、はたしてこれでいいんだろうか。聞くところによりますと、まああまり立ち入ったことを言うべきではないかと思うのですけれ
ども、省内においては特に
中国問題に対してはオーソライズされたようなそういう人たちが少ない。一体こういう
状態で
ほんとうに取り組む
姿勢があるんだろうかというようなそういう話を聞いたこともあります。それはともかくとして、いずれにしても、今後そういうようなことがないようにと言えば今度は口封じが始まるだろうと私は思うのですけれ
ども、しかし、結局は部内の意見というものが統一されていないというところにそういう問題が発生したというふうに
理解せざるを得ませんので、少なくともいま
大臣が
答弁されたその方向に向かって、本気になって日中問題を前向きに進めていくんだという取り組む
姿勢がやはり必要ではないか。私の意見を交えて、これは御
答弁は要りませんが、切に私は要望しておきたいと思います。
次に、先ほ
ども日中問題について御意見がおありになりましたけれ
ども、確かに衆議院の段階における
答弁を伺っておりましても、
統一見解がだいぶ後退したというような評価もございましょう。そしてまたいま
中国問題についてこのように考えているという所信の一端をるるお示しになりました。その中では、「話せばわかる」という表現、あるいはまた
中国側が
日本に対しての
誤解と
不信を持っているがゆえになかなか隘路が開けないということで、せっかく
努力をしておるけれ
ども、
現状は非常にきびしい。さらに、あるいは、最善の
努力をいま傾倒している段階であるということばもいまおつかいになったようであります。しかし、もしかりに、
政府間折衝が突然開けるというようなことはあるいは無理かもしれない問題ですけれ
ども、しかし、そういう仮定は十分考えておいたほうがよろしいと私は思う。しかし、何もなくて
——これはいままで何回か繰り返して
議論をされたはずではございますけれ
ども——何もなくてただ行けばいいんだ、話せばわかるということではたして
中国側がそれを受け入れることができるかと、再三原則論の問題も話題になりました。そういういろんな要素というものを踏まえて考えた場合、こちらもある程度の
考え方、これからのいろんなプログラムというものをつくっておかなければ、いわゆる青写真というものをつくっておかなければ、
向こうに話し合いをする糸口というものを見出すことがはたして可能であろうかということが、一向に、いままでの
政府答弁を伺っておる範囲では、依然として疑問が残ると、こういう
感じが私自身するわけでございますけれ
ども、そのむずかしい条件としては
台湾問題もありますけれ
ども、そういったことを一応含んだ上で、いまこういう
考え方で進めておるということは明らかにできないものでしょうか。しばしば
福田外務大臣はアヒル
外交のことを言われますけれ
ども、どこにアヒルが泳いでおるかさっぱり見当がつかない。具体的にどうなっておるだろうか、こういう、国民が
最大の関心を持っておる課題であるだけに、当然明らかにすべきところはある程度のことを明らかにしつつ、その方面に
政府としては前向きに取り組みもし、そして、いま
中国側と
接触の段階に入ろうとしておるというならば、前向き、前向き、
中国問題についてはこうだという
政府の
姿勢というものもまだわかろうというものではないかと、こう思うのですけれ
ども、その辺はやはり依然としていままでの
答弁の繰り返しでございましょうか。