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1972-03-14 第68回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十四日(火曜日)    午前十時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 石原慎太郎君                 山本 利壽君                 森 元治郎君     委 員                 杉原 荒太君                 塚田十一郎君                 増原 恵吉君                 加藤シヅエ君                 田  英夫君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 渋谷 邦彦君                 星野  力君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省欧亜局長  有田 圭輔君        外務省経済協力        局長       大和田 渉君        外務省条約局長  高島 益郎君        外務省情報文化        局長       和田  力君    事務局側        常任委員会専門        員        小倉  満君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査日中国交回復に関する件) (台湾問題に関する件) (朝鮮問題に関する件)     —————————————
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 大臣、今国会はしょっぱなから、四次防とか中国の問題とか、あるいは最近では、防衛庁の資材の沖繩無断搬入などでごたごたしたために、政府が意図しているこれからの外交の進め方というほうの論議にはまだ入ってないわけですね。そこで、きょうは私、特にどの問題について追及するなどということは主眼ではなくて、この間、三月の三日だか四日だかに、佐藤さんの発言から問題になった中国問題に対する統一見解、あれの後段のほう、すなわち日本サンフランシスコ条約関係台湾法的地位については云々する立場にはないが、台湾中華人民共和国の一部であるといったような向こう——中共側主張理解できる、こういう前提日中国交正常化実現努力するという、そのあとの段階の話をきょう聞きたいと思うんです。「実現努力する」と言うんですから、たいへんな力の入れ方、どういうふうにしてどういう努力をされるかということが質問の重点です。  その前に、けさ新聞を見たら、とうとうイギリスも、世界に先がけて中共成立と同時に承認をしながら、なお台湾法的地位については未解決という独特の見解をずっと二十二年も堅持してきたイギリスが、ようやく今度はっきりと、中国の言うとおりと言っていいでしょう、台湾中共の一部であって唯一合法政府だということで、初めは臨時代理大使、今度はいよいよ正式大使への昇格、この問題に対する大臣の感懐ですね、どういう感じをこういうイギリス動きを見て感ずるか、これを最初に承っておきたいと思います。
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 英国は長い間、大使交換中国との間にいたしたいと、こういう感じを持っていろいろ折衝してきたようです。で、今回の妥結によりまして大使交換に成功した。そのかわり、台湾にあります領事館を閉鎖するということ、失った、と言うと語弊があるかもしれませんが、そういう譲歩をしておる。一面において、長い間の懸案の台湾帰属問題、これについてある程度の妥協をしたのじゃないか、こういうふうな受け取りをしておるのです。妥協と申しますのは、コミュニケにもありますが、中華人民共和国が、台湾はその一部であると、こういう主張をしておることをアクノレッジしながら台湾における機関の撤去を行なうと、こういうようなことを言っております。その文言自体ではどうも問題がはっきりしないので、在外公館をして、これはどういう意味なんでしょうかということを聞かしたのです。これは根掘り葉掘り聞かしてみたのですが、はっきりした答えがない。ノー・モア、ノー・レスだと、こういう答弁があがってくるわけなんです。そこで、昨晩の十一時半に英国国会ヒューム外相が労働党の外交通の人から質問を受けた。それは台湾帰属に対する従来の英国の所見を変えたのかと、こういう質問です。それに対しましてヒューム外相はまともに答えないのです。まともに答えないで、コミュニケを読み上げるような調子で、つまり英国政府は、台湾中華人民共和国の一地方でありとする中国政府立場をアクノレッジする、中華人民共和国政府及び台北の双方が台湾中国の一部であると主張しておる、カイロ、ポツダムにおいて英国政府は、台湾中国に返還さるべし——この中国というのはチャイナ——中国に返還さるべしとの見解をとったが、この英国政府考え方は変わっていない、台湾問題は中国の内政問題として中国人自身により解決さるべき問題であると考える、そういう答弁になっておりまして、それで切れておりまして、まともにこの帰属問題について、変更がありとも、あるいはなしとも答えておらない。こういうことで英国政府立場は非常に把握しにくいのでありますが、冒頭申し上げましたように、何とかして大使交換までこぎつけたいというためにある程度の妥協をしておるとこういう受け取り方でございます。それを広く考えてみまするときに、とにかくアメリカは長い間中国封じ込め政策をとってきた、それをやめたというのが米中会談の意義であろうと思うのです。そういう対中緩和世界的なムードの中の一つ行動であると、こういうふうな理解ですね。
  5. 森元治郎

    森元治郎君 なかなかイギリスらしい。時間をかけて情勢に、そのときそのときに応じながら、自分主張はなおかつ巧みにこれを保持しながらやっておる。この現実のやり方は相当うまいものだと思うんですがね。振り返って、もうイギリスの批評をしてもしかたありませんから、日本の、「国交正常化実現努力する」というあのうたい文句、これは単なる衆議院におけるごたごたの収拾のためばかりでなく、かねがね言っていることですから、どういう努力をしているのかですね。たとえば昨年の国連総会の前に保利さんの書簡を持って行った、あれが一つ努力のあらわれかもしれませんが、これはあくまで幹事長であって、政府として努力するという手は打っているのか、打とうとしているのか、その手だて、順序ですね、これをひとつ、今国会初めて披露してもらいたいんですがね。
  6. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、日中関係ですね、これが非常にむずかしい関係にある。米中に比べると、日中関係というものは、貿易の面において、あるいは人事の交流の面において進んだ面もあるんです。しかし、おくれた面がある。それは政府間の接触がないと、こういう点です。日本中国とは隣同士であるが、また長い歴史を持っておる交流関係がある。それにもかかわらず、この政治的接触という面で欠けておるというゆえんのものは何であるか、こういうことを考えてみると、そうしますと、やはりこの四十年間日中間というものがこれが国交正常化されておらない。しかも、その間には、特にその前半におきましては戦争状態である。そういうようなことを通じまして、中国日本との間に、相当お互いに知らない、こういう面があると思うんです。特に私は中国の側におきましてわが国に対する誤解、それから不信、そういうものがかなりあるんじゃないか、そういうふうに見ておるわけであります。その誤解、また誤解から出るところの不信、そういうものの一番大きな問題は何であろうかというと、やはりこの四十年間の国交のない間の前半期における日本との間の戦争の問題、この問題を思い起こすのではあるまいか、そういうふうに考えるわけであります。そういうことから、日本のほうからまた侵略を受けるような危険はないかというようなこと、ことに日本経済力が最近かなり強いものになってきておる。そういうようなことから、その危険、可能性というものをさらに強く感ずるような状態ではないかと。一方におきましてわが国は、もう再び戦争はすまいということを深く決意いたしまして、そしてそのような行動をとっておる。そういうようなことについての正しい理解、そういうものが非常に中国側において欠除しておるんじゃないか。そういうところに、私は日本の日中政治問題における接触の立ちおくれ、そういうことの最大の原因があるのではあるまいか、そういうふうに見ておりまして、その辺からほぐれていかぬと日中問題というのはなかなか解決されないんじゃないかと、そういうふうに思うんです。しかし、わが国わが国として中国問題に対して正しい正確な立場を表明しておかなきゃならぬというので、森さんにおかれましてもかねて御承知のように、わが国は、中国一つである。中華人民共和国中国を代表する政府である、つまり交渉相手となる政府である、そういうふうな認識に立って国交正常化をひとついたしましょう、そのための政府間接触をいたしましょうと、こういう呼びかけをいたしておるわけなんでありまして、まあ、いろいろ、間接的ではありますが、中国側はそれに対して反応を示しておる。その反応として中国は、中華人民共和国中国を代表する唯一正当の政府であると認むべきである、台湾中華人民共和国不可分一体の領土であるということを日本認むべきである、日華平和条約はこれを廃棄すべきである、こういうようなことをその交渉に入る前提として主張しておるようでありますが、私どもは、・そういう問題それらの諸問題は、なかなか、またわが国の置かれておる立場として、これを具体的に意見を言う、これにはそれなりのまたいろんな複雑な問題をかかえておる。そこで、わが国としては、とにかく、中華人民共和国わが国交渉相手となる中国を代表する政府である、こういう認識ですよ。ひとつ話をしてみましょう、話せばわかるじゃありませんか、こういうことで、その話の過程においてこれらの問題はそれなり結論が出ることじゃありませんか。とにかく、中華人民共和国わが国交渉相手とする、中国を代表する政府であるという認識を持っておるわが国でありまするから、その他の諸問題もおのずから結論の出るところがあるであろう、こういうふうに考えるのですが、まだそこまでの中国側態度というものが見られない。こういうのが現状なんでありまするが、執拗に私どもといたしましてはそういう態度を繰り返し繰り返し中国側に申し伝えまして、そして何とか政府間接触までこぎつけたい、こういうふうに考えております。
  7. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、その政府間接触にはいわゆる具体的行動を起こさないとこれは接触にならぬですよね。いまのところは電波を通してお互いに空に向かって吹いているわけですね。保利さんのような書簡以外に、何か第三国を通じ、あるいは直接外務大臣からの手紙であろうと、あるいは中国接触をしている人を通じて、いまおっしゃったようなこと——話せばわかるんじゃないか、したがって、接触を始めてもらいたいという申し入れ、行動、そういうのは一切ないのですか、秘密ですか。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは手紙ぐらいじゃなかなかわかっていただけるような私は問題じゃないように思う。先ほど申し上げましたように、非常に根が深い。そこで、やはり手紙——これも無益じゃないと思いまするけれども、しかし、それ以外において、いま中国側に、日本はこういう考え方を持っておるのだということを、それとなくというか、間接的な方法で伝わるような仕組み、そういうものについてはいろいろと考えておりまするし、なお、これからも新しい仕組み、そういうものについては考えていきたい、こういうふうに思っておるのですが、これまた、どういう具体的な方法だということになりますと、これはいろいろまた機微な影響も出てくるわけでありまして、それが必ずしもこの問題の解決に益するというふうにも考えませんので、それは差し控えさせていただきますが、とにかく一言でいえば、私は、日中国交の打開、日中の国交正常化、これはもう歴史流れだというところまでの理解を持ってあらゆる努力をしておるのだと、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、具体的なものは表面的にも秘密にも、政府間接触まで持っていく中国とのかかわり合いというのは何もまだないのですね。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まだ政府間接触が具体的に始まるであろうというようなプログラム、そこまでは行っておりません。しかし、私は、そういういまいろいろな中国との間に基本的な理解を深めるというような努力をいたしておりますので、政府間接触が始まるということにつきましては、これは必ずそうなるであろう、こういうふうに考えております。
  11. 森元治郎

    森元治郎君 佐藤内閣相手にせずというような向うの表面的な態度ですが、こういう態度であるならば話のしようはないと言って手をこまねいているというか、ちゅうちょしておるというか、そういう面はありますか。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そういうことはありません。佐藤総理自身が非常にこの問題については積極的な考え方をいたしております。しかし、わが国が置かれておる立場がありまするから、これを政府間接触の事前にいろいろ言うということにはおのずから制約があります。ありますから、そういう制約はもとより考慮しなければなりませんけれども最大限努力をしておるというのが佐藤総理、また総理の率いる佐藤内閣現状でございます。
  13. 森元治郎

    森元治郎君 いま、総理最大限努力をしていると言うが、何も具体的な動きは表面的にはないし、もちろん発表できないようなほんとう動きもしていないんですが、そこらがちょっとずれて感じられるのですがね。最大限努力と言いながら、表面的な動きはもちろんない。そうかといって忍者のような政府ほんとうの代表、有資格者の人が裏でこっそりとやっているというようなこともない。ただ、努力するつもり、というふうにしか解せないんですがね。努力している最中というのではない。その一歩前で、やりたいと思うんだ、ということだけしか感じられないのですが、どうでしょうか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、努力するつもり、ということじゃありませんです。努力しておる最中である、こういうふうな御理解でよかろうと思います。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 私、少し福田さん喜ぶかもしれませんがね、こういうことと理解していいのですか。話せばわかる、ということですが、おれに向かって台湾の首を切ってこいと。あなたの群馬県には国定忠治がいましたね。ちょっと余談になって悪いが、板割の浅太郎とかというのが、何かおじさんの目明しに忠治から疑惑がかかっておったので、それを切って親分のところに持ってくんですよ。それほどしなくてもいいのに、というような場面があります。幾ら何でも、いま平和条約を結んで国交を持っている自民党の立場からいって、これを首切って持ってこい。はい首を切ります、あるいは首を切って持っていくということをおれにさせるのは酷じゃないか。会ってくれ。会ってくれれば十分わかってもらえるはずだと。いまそこで、条約を結んでいるのに、これをすっ飛ばして、あなたと仲よくしましようじゃ、いまの日本台湾との関係で、そこまで佐藤内閣に言わせるのは酷じゃないか、会ってくれればあなたと同じなんだよと、実際は。そういう腹なんですか。これが一番のポイントだと思うんですがね、政府の腹。おれに言わせるなと、公の場、国会の場、委員会の場で。裏はほんとうはあなたと同じだ。台湾はそれはあなたのほうの一省として承認する、合法政府はあなただと。しかし、いろいろ台湾との関係もあるから、これを断ち切ってこちらにスイッチを切りかえるのにもいろいろ手続その他もあるし、いろいろな事情もあるから、会ってみればあなたと同じなんだと。こういうつもりをお持ちなんですか。会ってもなおかつ国会で言うようなもたもたしたようなことを言うんじゃ、これは問題にならぬ。相手と同じなんだから、おれにそれを表面で言わせるな、世界に公約させるな。そのつらさを察してくれというところですか。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たいへん御理解のある、かつ、非常に鋭い御観察を承るわけなんですが、私もそのお話、よく傾聴いたします。傾聴いたしますが、私にこの席で、そういう理解にあるか、そういう理解をしてよろしいかとお尋ねくださるのは、これもまた少し酷なような感じがいたすのでありますが、まあ私は、話せばわかる、こういうふうに申し上げておるので、それで万事ひとつ御理解を願いたい、こういうふうに思います。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 しかし、これは人間は意思を通じるときには、目で見るとか、宇を書くとか、口でしゃべるとか、どこかでしゃべらなければ意が通じないんですよね。やむを得ないんですね、こういう委員会では。しかし、そういうことがはっきり読みとれるんならば、おのずから方法があるんじゃないがと思うんですが、その道を切り開く大政治家がいないんだろうと思うのですね、大政治家が。こまかい法律論などばかりやっているから始まらないんで、大きくこの問題を把握してやる、そういう接触。こういう気持ち向こうに伝われば、私は中国は受け入れるんじゃないか。いまは日台条約廃棄というハードルが、三メートルも五メートルもあるようなハードルが立ててあるもんだから飛び越えられない。飛び越えられないことをいいことにしてまたやらないという状態がいまの日中関係日本国政府側態度だと思うんだが、私に言わせるのは酷だとおっしゃる。そこはこれ、あうんの呼吸理解しますがね。そういうふうな気持ちがあるんならば、私は日中問題は大きく展開ができると思う。ただ大政治家がいないと思うんですな、大政治家が。それが一つと、もう一つは、佐藤内閣はいつまで続くんだかどうか。続かないと言う人もあるし、いや、秋まで続くと言う人もあるんですが、こんなにごたごたしてたんじゃ、こういう大問題を持って一致して進むという態勢ができないんですよね。だから、やはりこの内閣では、これ以上問題を進めて変にこじらせるよりは、じっとしていたほうがいいということも、言ってみりや一つ方法だと思うのですね。何でも進めりゃいいというもんじゃない。進めたってできないし、その事情はどう考えますか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 森さんがいま、大政治家がいないと、こういうようなお話であります。私は、最近の国会でまあ台湾帰属の問題がいろいろ論議をされた。また中国側では、日本政府中華人民共和国唯一正統中国を代表する政府と認めよというようなことを言っておる。日華平和条約はこれを廃棄すべきであるというようなことも言っておられます。そういうようなことが非常に日本の国内でも議論になりますが、私は、そういう、まあいわば法律的な議論、これがとにかく多過ぎる。そうして日中正常化の大筋というものがそういう議論の中に埋没されるというか、そういうかっこうになってくることをおそれておるんです。私は、いま、あうんの呼吸ということを森さんはおっしゃられましたが、その辺が非常に大事な問題じゃないかというふうに考えるんです。お互いの間に、ほんとう戦争を再びお互いにしないようにしようじゃないか、これからは相携えてアジアの平和のために協力しようじゃないかというような機運、これが出てくるということが、これが日中国交正常化最大の課題で、かなめになってくると、こういうふうに見ておるんです。そうでなければ、かりに法律的に、あるいは条約的にいろんな問題が解明されて政府間の接触が始まりましたといっても、日中関係、これは長続きいたしません。私はまあそうじゃなくて、日中国交正常化というものは、ほんとうにこれは歴史流れである。非常に大きな見解お互いが立って、そうしてじっくりとアジアの平和のこと、また日中百年のことを話し合おう、こういうことにならないと、ほんとう日中国交正常化というものはできないんじゃないか、長続きしないんじゃないか、そういうふうに思うのでありまして、あなたが大政治家がおらぬとおっしゃられる意味、それがそういうようなことであるとすれば、私はもうそのとおりじゃないかと、こういうふうに考えます。まあ、あんまりこまかい法律論を、あるいは条約論をやっておって、この問題をこじれにこじらかすということは、日中両国のために、またアジアの平和のために、これはほんとうにとらざるところと、そんなような感じもいたしておるわけであります。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 この中国とかソ連とかという共産圏との外交は、日本なんかと違って、根回しなんといって、下のほうがいろいろ会ってもだめなんですね、向こう局長の優秀なやつとか、そういうところと話してみても。トップでこれは話ししなければならぬから、幹事長なんという資格中国ソ連あたりでは受けつけないと思う。やっぱりそれは内閣の閣員、国の政策を決定する立場にある大臣というようなものでなければこれは受けつけないんですよ。こういうところが非常にむずかしいところ。したがって、がっちりしたところを持っていかなければ話にならぬというむずかしいところがあるので、やはり総理なり外相なりが向こうへ飛び込んでいくという大きな姿勢だけはやっぱりぜひ中国に示すべきだと思うのですよ、ほんとう日中国交正常化を願うんなら。私が行ってもいいよなんという軽いんじゃなくて、やはり正常化のため、話せばわかるという、さっきおっしゃったような意味も腹に秘めて乗り込んで話をするんだという呼びかけもする必要があると思うんです。受け入れるべきであるというなら、必要であれば私が飛んで行くと。そこらのところの、大きい、やるんだという姿勢がさっぱり出ないということが、国交正常化実現努力に熱意の足りない——もちろん用意も足りないでしょう。いろいろの意味用意が足らないところがあるでしょうが、そういう明快な明るい大きな姿勢というものをやっぱりとるべきだと思うのですね。それが一つ。  もう一つは、中国との国交正常化。私の言う「正常化」というのは、中華人民共和国中国一つ合法政府であるという立場ですよ。アメリカと相談しなければいけないのか。この間のサンクレメンテかどっかの会談でも、中国問題、アジア政策なんかについては十分隔意なき協議をしていくんだという条項があったと思うんですね。アメリカの行き方と日本の行き方は、おのおの置かれた立場が違うんですよ。そこをはっきり、自分のやりたいことをやっていこうとするのか、相談して、ということなのか、その点、二つをちょっと。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日本は、対中国関係では、アメリカとまるで違うんです。まあ、いろいろの面がありますが、一つは、わが日本中国との間に歴史的な非常に長い関係がある、それから、地理的に隣の国である、こういうこと。また逆に、わが日本日中戦争という長い不幸な事態を経過して客、こういうこと。それから、アメリカはこれに反しまして、米中戦争というものはなかったわけです。しかし、日本と違いまして、つき合いは非常に浅い。ことばなんかの関係、また人種、そういうようなことからいいましても、日本とは非常に違った面があるわけです。それから台湾に対する関係、これもわが日本とは非常に違うわけです。そういうようなことで、おのずから日中間、また米中間には考え方の相違が出てくる。サンクレメンテではこの中国問題をかなりの時間をかけて日米間で話し合ったわけでありますが、一致した点は、この中国という国、これはもう七億、八億の民を擁する大国である。この大国世界の、戦後二十六年間の流れから見て、国際社会の外にあるということは妥当でない。日米両国ともこの国と接触し、お互いに門戸を開くべきである。こういう点については完全に意見の一致を見たわけであります。ところが、違った点がある。違った点は、そうは言うものの、日米両国が中国接触するその過程、方法というものにはおのずから差違があってしかるべきである。そういうことであります。非常に特徴的な点は、アメリカ中国との関係について米中問の関係正常化ということを目標にしておるようでありますが、わが国はこれに反して、日中国交の回復、日中国交正常化ということを掲げておる。基本的な考え方、基本的なアプローチの指標として掲げておる。その辺は非常に違うところであります。それからアメリカは、問題の台湾につきましては、対台湾政策は一切変えません、また、台湾政府に対する軍事上のコミットメントはあくまでもこれは守り通しますということを基本的な考え方として中国に臨む、こういうことであります。そういうようなことで、アメリカ日本は、中国接触をするその接触の行き方につきましてはおのずから違いは出てくることはやむを得ない、そういうことで合意をいたしたわけであります。しかし同時に、どこでどういう違いが出てくるんであるかというその理由につきましては、その事前において十分にお互いの国が理解し合っておこうじゃないか、また、具体的に対中接触の措置をとったその際におきましては、お互いにその結果について通報しようじゃないかという合意をいたしたわけであります。  でありまするから、森さんの御質問にお答えいたしますれば、米中接触、日中接触、これは行き方は違うことはあり得る。このことはやむを得ない。わが日本はわが日本接触の道があるということにつきましてアメリカもこれをよく理解しておる、こういうことでございます。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 いま、お話は長い御説明だったけれども、要するに、日本が是と信ずればまっすぐに進んでいく、結果は通報する、相談してやる場合も、言われたからやめたというのじゃなく、日本日本の道をまっすぐ行くんだというふうに解していいですか、簡単にいえば。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よろしゅうございます。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 最後に一つ簡単に。日中国交正常化というものをぎりぎりに詰めていけば——こまかい論議は飛躍しますけれども——日中平和条約という形になるんだろうと思うのですが、そういうふうに理解していいでしょうね。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは平和条約という形になるのか、平和宣言という形になるのか、何か、とにかく日中国交正常化されたという両国の明確な意思表示が必要であると、こういうふうに考えます。その形が平和条約になるのか、どういう形なのか、それは日中国交正常化交渉、その過程において結論が出てくる。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 まあ、戦後の処理、ことに領土問題をはさんで国交の取りきめを結ぶ場合には、やはり平和条約という実体を持つことになるだろうと思うのです。これはまあ先の話として、私は平和条約であろうと思うのです。形式は宣言であろうと平和条約の形になると思いますし、ならなければならぬと思うのです。一方にソビエトと平和条約が、これはもう政府間接触というふうに、政府交渉に入って、いよいよ年内に具体的な話し合いに入るという段階。中国のほうから来る話を聞くと、領土問題は、第一には台湾問題だと、中国から見れば。まあ、沖繩返還がある。その次は台湾で、北方領土は第三番目だ。おれのほうが先だというような感じを受ける放送が向こうからあるわけですね、中国のほうから。聞いたソビエトとしては、あなた三番目だなんていい思いがしない。これを一番目にしてやりたい。中ソ間は御承知のようになかなか、これは後世の歴史が証明すると思うんだが、きわめて深刻な葛藤があると思う。日本はその間に処して、今度は両方から誘いがかかるような面もあるわけですね。いま日中は誘いはかかっておりませんが、実態は、やはり日本との国交が穏やかになるということは中国だってこれは喜ぶところであって、へたにまごつくと、日本がうまくあやつろうなんということをしたらとんだことになるのじゃないかと思うのですね。北方領土問題を先に片づけちゃ日中が悪い。日中を先にやっちまうとソビエトがいい顔をしないんじゃないかというようなむずかしい段階にここ二、三年追い込まれてくると思うんです。初めて日本外交らしい外交、裏にアメリカがあり、中国、ソビエトの中にはさまってどう動くかということは、将来によほど慎重な基本原則を立てていかないと、思わぬしっぺい返しを食い、窮地に立つと思うのですね。この間をどうさばいていくのか。日中、日ソ、中ソが非常に仲よければまた話は別ですが、あちらを立てればこちらの反響が複雑な結果が出てくるというようなことが、これからいろんな面で出てくると思う。まあ、石油のチュメニの油田の開発にしろ、経済協力にしろ、こちらはどんどん進む。中国としてみりゃ、日本中国の問題はいいかげんにして北とばかりくっついていくんだというような感じを持たしてもこれまた悪い。あまり気をつかい過ぎても悪い。その間に処する外務大臣。これはほんとう外交はいまから開けると思うのですね、日本の場合。いままで外交はなかったと思う、戦前までは。ことに平和外交のたてまえからいったならば。その根本の腹ですね、それをお聞かせ願いたいと思う。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 先ほど、ちょっともとへ戻りますが、平和条約という森さんからのお話がありましたが、平和条約ということばでまあ日中間を表現しますと、わが国といたしますと若干ひっかかるものを感ずるのです。つまり、当時私ども合法政府と認めておりました国民政府との間にもう平和条約ができておる。戦争状態は終わったという理解なんです。これはわが国立場。ところが、中国側としますと、まだ戦争は済んでいないんだということを言ってくるかもしらぬ。そういうようなことがありますので、先ほど日中国交打開につきましては、この打開を表明する形式にはいろんなことがあるだろう。これは日中国交正常化交渉の過程できめる問題だということを申し上げたわけなんで、それはそういう趣旨であるということを御了承願います。  それから、これからの外交、これは私は多極化時代に入った日本外交、こういうことを広い世界に向かって考えざるを得ない、こういうふうに考えておるわけであります。ことにただいまのアジアについて見ますと、アジアの平和は一体どういうことになるかといえば、これはやっぱりアメリカ、ソビエト、中国、また日本、この四つの国のバランスということがアジアの平和をきめていく要因になっていくのじゃないか。そういうふうに考えるわけです。わが国の出方というものは、したがいまして、非常に重要な立場にあるというふうに考えているのであります。そういう際に、ある一つの国だけを見詰めまして事を判断をするということがあると、これは事を誤る。やはりある国を相手にしてその国との接触を考える、施策を考えるという際には、他の国々に対する影響は一体どうなるであろうか、その結果、この四つの勢力のバランスがどういうふうになるであろうかということを大きく踏まえながら一つ一つ行動をとらなければならないのじゃないか、そういうふうに考えておるのであります。ただ単に一つの国の問題を考える、そういう特定の一つの国との関係だけにとらわれて他の国々との関係、それを毀損をする、あるいはそれによってアジアのバランスが変わってくるというような状態を出現させては断じて相ならぬ、そういう認識でやっていきたい、こういう考えでございます。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 非常に多極化時代になってくるときの外交は、たいへんえらい人でもない限りは、普通に正々堂々と一つ一つの問題をやっていったほうが、変にタレーランのようなかっこうをしていろいろするよりは、よほど着実な外交だと思うんですね。あまり世界的な視野に立ってかき回していこうなどという野心でも起こしたらとんだことになるので、これはやっぱり思い上がらないほうがいいと思うので伺ったわけです。ただ、もとへ戻って平和条約のことばじりをつかまえるわけではないが、私がぎりぎりと言ったのは、中国と話し合いをして台湾の問題についても十分話をする、関係を断つというようなことも交渉の過程であるでしょう。そういうふうな段階になれば、おのずから平和条約のような形が日本に抵抗なく受け入れられる時代になるだろうと思って私は「正常化」と言ったが、きょうの段階とすれば宣言もいいかもしらぬが、あうんの呼吸もすっかり合って、実際あなたとよく話がわかるんだということになれば、結果は平和条約になってひとつもおかしくないと思うのです。意見だけ申し上げておきます。
  28. 西村関一

    ○西村関一君 私は先般衆議院の予算委員会、それから外務委員会で取り上げられました外務省和田情報文化局長の山形市における談話、そのあとの一問一答の形で質疑応答せられましたその問題についてお伺いしたいと思います。これは衆議院においてこの問題については予算委員会の理事会に預かりという形になっており、まだ決着がついておりません。しかし、このことが世間に明らかにせられました以上、参議院外務委員会におきましても事の真相を明白にしてもらいたいということで、私はあえてこの問題を取り上げた次第であります。その点について情文局長からその事の真相についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  29. 和田力

    政府委員(和田力君) ただいまお話しのございました私の講演は、九月の二十五日に山形県の県勢懇話会という場におきまして行ないましたものでございます。この県勢懇話会と申しますのは、山形新聞が主催——と申しますか、肝いりでおやりになっているものと了解いたしております。私のほうといたしましては、この出席者が三十名ぐらいだったかあるいは四十名ぐらいだったかもしれませんが、非常に限られた有識者に、会員だけに対する講演であるという了解でもってお話をいたしまして、新聞紙上にはきわめて簡単な概要だけを出しますからという、そういう了解を私のほうはいたしておったのでございます。なお、事柄が事柄でございますので、国際的にはややデリケートな問題に触れるかもしれませんが、そういうときにはこれはひとつ編集上十分注意していただきたいということを申し上げたつもりでございます。で、全体の速記抄録ということで記事が出ております。私としては、あのように詳細なる速記抄録なるものが出るということは考えておりませんでございましたが、全体的に見まして、抄録は約二時間半にわたります私の講演及び質疑応答を圧縮して書いてございますので、私の考えを十分に伝えてないという点があるように感じております。その点につきましては、私のほうからも、当時山形新聞のほうにその旨をお話し申し上げてございます。全体の状況はそういうことでございます。
  30. 西村関一

    ○西村関一君 いまの答弁は、この講演会がどういう性格でどういう主催者側との話し合いによって行なわれたかということについてのお話でございますが、問題点は、あなたが、この山形新聞の記事にありますように、台湾の独立の問題について触れておられる点であります。この点につきまして、いま非常にデリケートな国際情勢であるからそういう問題に触れるかもわからぬというふうに山形新聞へ話があったということでありますが、ほかの問題は、私もこの抄録を読んでみましたが、講演内容につきましてもいろいろ問題があると思いますが、それは触れません。ただ、あなたが一問一答の中で触れられました佐藤山形テレビ監査役の質問にこういうふうに答えておられるということが出ております。「日本としては台湾中国本土と一つでない方が、いろんな意味でいい。現に貿易も九億ドル以上と中国本土より大きいし、投資も数千万ドルに及ぶ。親日感情もある。台湾には現在千二百五十万人の本島人と、中国大陸から逃げてきた蒋介石グループの二百万人がおり、後者によって支配されているが、台湾問題はこれを区別しないでは考えられない。台湾人の自由意思によって中共から独立したいと望むならば、それが一番いい。もちろん台湾人も中共政権下にはいりたいとは思ってはいまい」という発言をしておられるわけですが、これはこのとおりですか。
  31. 和田力

    政府委員(和田力君) このとおりとは思いませんでございます。私は台湾の問題につきましては講演内容のほうでも触れておりますが、根本的には日本には台湾をどうする力もないし、どうする立場にもないということを再三申し上げたわけなんでございまして、したがいまして、台湾は独立したがいいとか悪いとか、私としては申したつもりはないのでございます。ただ、状況の分析といたしましてはいろんな考え方がある。あるいは台湾が独立に行けるのではないかというような考えもあり得るけれども、いろんな状況からしましてそういうことはむずかしいであろうということを御説明申し上げたつもりでございます。
  32. 西村関一

    ○西村関一君 台湾の独立についての動きがあるか、そういうことはむずかしいであろうというふうに言われたのと、この新聞によってあなたが語られたとしるされております「中共から独立したいと望むならば、それが一番いい」という表現とは大いに違いますね。その点はどうなんです。
  33. 和田力

    政府委員(和田力君) どうも、先ほど申し上げましたように、これは非常に抄録その他、何と申しますか、正確なる発言をそのまま記録しているとは思えませんので、どうもこれを土台にして御質問を受けますと非常に苦しいのでございますけれども、私としては、独立したがいいと、すべきであると、そういうことを申したつもりは全然ございませんです。で、なおそれに関連しましては本文のほうにも若干言及いたしておりまして、アメリカがこれは非常に関係があるんだと、それで結局はアメリカは平和的な解決を望んでおるであろうということを言っておりますが、そういうことでありますと、結局は、どうしてもここに書いておりますように、どちらかといえば、合作の方向しかないだろうということを申したつもりなんでございます。
  34. 西村関一

    ○西村関一君 私はあなたの講演の速記抄録というものも克明に読みました。が、しかし、私がいま問題にしておりますのは、一問一答、質疑応答の中で語られたこと、いまあなたが言われました点と、台湾の人たちが独立を望むならばそれがいい、という発言と、それがどうかみ合うかということが問題だと思うのであります。この発言が、私はことばのあやをとらまえて言うのではありませんけれども、こういうことが天下に公表されました以上、質疑応答の中でこういうことを言われたのか言われないのか。講演の中ではいろいろ言っておられる点が出ておりますが、質疑応答の中で、台湾が独立したほうがいい、ということを言われたのか言われないのか、その点はいかがですか。
  35. 和田力

    政府委員(和田力君) 私は言っておらないつもりでございます。しかしながらこういうことで、ことばが足りませんか、あるいは私の言い回しが悪かったか存じませんが、そういうことでこういうふうに理解されたとすれば、非常に申しわけないことであると思っております。
  36. 西村関一

    ○西村関一君 あなたは、言わなかったとも言われない。ことばが足りなかったというような表現で言っておられますが、しかし、これは非常に大事な点です。あなたがこういう質問に対し、質問者も名前が出ておりますから、その質問に対して、独立したほうがいい、ということを言われたならば言われたとおっしゃっていただけばいいと思うのです。それを、自分のことばが足りなかったとかというようなことであいまいにせられることはよくないと私は思うのです。いかがですか。
  37. 和田力

    政府委員(和田力君) 私の意見として、独立したほうがいいと申し上げたことはございません。
  38. 西村関一

    ○西村関一君 そうであれば、この重大な問題に対して、あなたが言ってないことを山形新聞が書いたということは、これまた重大なことである。これに対して抗議をせられましたですか。
  39. 和田力

    政府委員(和田力君) 当時山形の東京支局を通じまして、私の真意を伝えていないという旨の抗議をいたしております。口頭でございますので記録にはなっておりませんけれども、抗議はいたしました。
  40. 西村関一

    ○西村関一君 これはまたあなたのお話、新聞に出ておりますところの、これはことしの三月七日の「読売」でございますが、「私は台湾独立を支持すると言ったおぼえはない。台湾独立は無理だろうと言ったのが誤って伝えられたのだ」云々ということがあなたの談話として載っております。そうであろうと私は思いたいのであります。ところが、岡崎恭一山形新聞主筆の話では、「和田局長との一問一答をのせた昨年十月五日付けの山形新聞の記事につき、同局長から東京支社へ電話があったのは事実だ。だが話の内容は、私が″沖繩返還協定に対する野党の激しい反対ぶり″について質問した答えについてで、″少しどぎつく書かれているが……″といったものだった。しかし、書かれている内容については本質的に間違ってはいないと答えたところ、別に訂正してくれということでもなく、そのまま話は終わってしまった。台湾問題についての話はまったく出なかった」と、こう主筆は言っているのであります。そのとおりでございますか。
  41. 和田力

    政府委員(和田力君) これを見まして一番驚きましたのはこのタイトルで、「望ましい台湾独立」ということが書いてありますので、これにはびっくりしまして、その点を私は申し上げているつもりでございます。
  42. 西村関一

    ○西村関一君 私の質問は、この主筆の談によりますと、これはあなたからそういう抗議を受けたことはないと、台湾問題について話は全く出なかった、こう言っているのですが、これどっちがほんとうですか。
  43. 和田力

    政府委員(和田力君) 私のほうは第一に題目を見てびっくりしたのでございますので、台湾独立という点に中心を置いてお話を申し上げたつもりでございます。
  44. 西村関一

    ○西村関一君 非常に食い違いがありますね。あなたが抗議せられた点と、向こうが受け取った点と非常に食い違いがありますね。このことに対してあなたはそのままにしておられるのですか。
  45. 和田力

    政府委員(和田力君) ただいまの時点での話でこざいましょうか。別にただいまの時点といたしましては何もいたしておりません。
  46. 西村関一

    ○西村関一君 ただいまの時点において、と言われますが、この新聞記事は、ほかの新聞にも出たんじゃないかと思います、私はたまたま「読売」のコピーを持っているんですが。これはあなたの真意が伝わってないということに対する抗議は受けていない、この問題台湾の独立問題については受けてないということを、この山形新聞の主筆の岡崎恭一さんがそういうことを言っている。この新聞記事は間違いであるかどうか、そこまで私は確かめておりませんが、こういうことが新聞に出た以上は、あなたはいままで何もしていない、抗議をしていないということもおかしいじゃないですか。どうですか。
  47. 和田力

    政府委員(和田力君) この問題は国会で取り上げられまして、その場でお答えすべきものと、こう思っておりましたので、私としては山形新聞のほうと、あるいは読売新聞のほうとじかにお話すべきものと考えておりませんでしたものですから、実は何もいたしておりません。
  48. 西村関一

    ○西村関一君 衆議院の予算委員会で取り上げられている問題であり、問題の決着は衆議院の予算委員会の理事に預けられておるという問題でありますが、しかし、あなたが言った言わないということは、これは非常に重大な問題です。台湾の独立を支持するかのごとき発言をせられた、またせられなかったということは、これははっきりしなければならぬ問題だと思いますが、それを国会の場ではっきりしたいと言われることもわかりますが、予算委員会の理事会に預けられている問題であるから私はあえて読売新聞にも山形新聞にもそれ以後何もやっていないと言われることもわかりますが、それでは、これは時日がたてばたつほど、あなたが台湾独立は望ましいということを言われたという疑惑が、これは国民の間に深まっていくばかりだと思うのであります。なぜそれをはっきりしないのですか。
  49. 和田力

    政府委員(和田力君) 理事会の場でも私は、台湾が独立すべきものだというようなことは一切言ったことはないということをお答え申し上げましたが、私自身、台湾が独立可能であると、それを支持すべきであるともいままで思ったことも全然ございませんので、そういうことは言ったか言わないかという水かけ論は非常に困るのでございますけれども、まるきりそういうつもりはなかったということは、いろいろな機会に申し上げております。
  50. 西村関一

    ○西村関一君 あなたは政府の外務省のいわばスポークスマン的存在、情報文化局長であられる。それだけにあなたの発言は非常に重大であります。予算委員会で取り上げられることも、私は、こういうことが新聞に出た以上は当然だと思うのであります。そういうことがまだ衆議院の段階で決着がついておらぬのではありますけれども、いまのあなたの御答弁では、言った覚えはないと。これは速記抄録から出しておる記事でありますから、速記録を見ればすぐわかることじゃありませんか、あなたが言ったか言わないかということは。しかも、山形新聞の岡崎主筆が、そういう抗議を受けたことはないと、こう言っている。これはあなたとしても、私は言わなかったと、そういうことは言わなかったと、こういうことを主張しておられる、この委員会答弁しておられる。そうでありたいと私は思うのであります。しかし、人間はだれでも自分のことばが言い足りないということもあるし、また、真意がそのまま伝えられないという場合もある。しかし、この国会の場でも同じでありますが、速記をとられておる。速記録によって明白になっておる。あなたが、自分のふだんの考えとは違うことではあるが、しかし、台湾の独立は望ましいということを何らかの形で言われたならば、これはまことに重大なことだと思うんです。ほんとうにそのことを一問一答の中においても言われなかったのですか。その点もう一度、重ねてではありますがね、これははっきりしておかないと、言われなかったと言うならば、私は山形新聞に照会します。
  51. 和田力

    政府委員(和田力君) 私は申しておりません。
  52. 西村関一

    ○西村関一君 言ってない。
  53. 和田力

    政府委員(和田力君) はい。
  54. 西村関一

    ○西村関一君 言ってないのが、いま私が指摘いたしましたように、あなたの抗議はこの問題に対する抗議でなかったということを、山形新聞の主筆は言っているんです。電話であなたが東京支局に言われたことはこの問題ではなかったということは、この新聞記事をあなたが公認しておられる、認めておられるということになるんじゃありませんか。どうですか、この点は。
  55. 和田力

    政府委員(和田力君) 先ほども申し上げましたように、私のほうとしてはこの題自体に問題があるということを自覚しておりまして、当時、その問題を中心に山形新聞にお話をしたつもりでございます。
  56. 西村関一

    ○西村関一君 これは和田さん、私はあなたを責めておるんじゃないんですよ。あなたが非常に大事な外務省のスポークスマン的な役目をしていらっしゃる情報文化局長というお立場は、非常に重要なポストであります。それだけに私は、人間だれでも言い違いがある。真意がよく伝わらないこともあるということを頭に浮かべながら、あなたが言ったか言わないかということを聞いておる。言ったんだが、しかし、それは自分の真意でなかったということを言っていらっしゃるのか、全然言わなかったのかということを言っておられるのか、その点を聞いているんですよ。
  57. 和田力

    政府委員(和田力君) 先ほどからこれは申し上げておりますけれども台湾の独立支持というような形の発言は一切いたしておらないつもりでございます。
  58. 西村関一

    ○西村関一君 私は、きょうは時間がありませんから、これ以上追及をいたしませんが、これはいずれ衆議院の予算委員会において決着がつくと思いますが、あなたはいまのような、いわばのらりくらりとした答弁ではこれは済まされない。これは重大な問題を含んでいると思うのであります。しかも、公器でありますところの山形新聞の記事、また国会におけるところの衆議院予算委員会外務委員会におけるところの質疑応答、予算委員会の理事会における扱い、これは私はいずれ明確になると思うのでありますが、この点、私はあなたが自分の言ったことに対して責任をとる。言ったか言わないかということについてはっきりする。言ったならば、言ったことに対してあなたは、間違いであった、言ったとするならばそれは間違いであった、これは政府の方針と違うことであったということを、これは天下の前にはっきりしなければいけない問題だと思うのであります。事が国際情勢の中において非常に微妙な問題、日中問題の中におきましても、あなたは政府の要路の局長であります情報文化局長でありますだけに、これは国際的にも非常に大きな影響を与えると思うのであります。言ったんならば、自分の真意ではなかったが、そういうことを言ったとするならば、それは間違いでしたと、取り消しますという男らしい態度が私は必要だと思うのであります。抗議をしたが、別な抗議をしている、台湾問題について何も抗議してないということを、少なくとも新聞の主筆が言っている。そういうことに対して、いままで何もこれに対する反駁をしてないということもおかしいじゃありませんか。いずれこれは衆議院の予算委員会の理事会において決着をつけられると思いますから、私は何べんあなたに聞きましても同じようなのらりくらりとした答弁をしておられるから、これ以上申しません。これ以上申しませんが、これは重大な問題であるということだけは、しかと心にとめて、衆議院におけるところの取り扱いに対して、あなたはこれを明確になさる、はっきりなさるということが必要だと思います。時間がありませんから、私はこれ以上はあなたの答弁を求めません。以上で終わります。
  59. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 本論に入ります前に、いま西村委員との質疑応答を伺っておりまして、全然あの当時の新聞の内容を御存じない方でありましても、少なくともいまのやりとりをお聞きしておる範囲におきましては、どうもふに落ちないという印象を受けるのは私一人ばかりではないと思います。天下の新聞が何もかも、いま情文局長の言われた事柄について、全然違った報道の記事を掲載されたというふうには私も考えたくありませんし、また、それについても局長自身の釈明がこれまた釈然としない。ここらあたりも、やはりこの中国問題をめぐりまして、外務省自体のそういう取り組み方というものはたいへん問題ではないか。  そこで私は福田大臣にお聞きしますけれども、いまのやりとりをずっと聞いて、なるほど決着は衆議院の予算委員会の理事会か何かで出るかもしれない。しかし、こちらも外務委員会です。当然、どこで決着がつこうと、その結論が出されてしかるべきではないかと私は受け取りました。そこで、あえて私はいまの問題に関連して、くどいようでありますけれども、これはむしろ大臣答弁を伺ってはっきりさせていただきたいと、こう思う。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国は、先ほど森さんにお答えいたしましたとおり、これは日中国交正常化歴史流れだと思います。そういうところまでの理解をしているんです。それを妨げる要因というものは、一つ一つ消していかなければならない。一番大きな問題は、いま中国から問題とされている、日本の中に台湾独立運動を支持する動きがあるんじゃないかという点のように心得ております。したがいまして、これは総理大臣も非常に透徹した考え方を持っておりますが、これはもう日本の中における一切の台湾独立運動を支持しない。もしそういう動きがあればこれを戒める・こういうかたい方針でございます。私どもいつもそういうことを実践をいたしているわけであります。そういう際に、こういう和田局長をめぐってのいろいろな論議が巻き起こされたということは、非常に残念に存じておるわけでございますが、私もそういう新聞を見まして、和田局長から真相を伺ったんですが、和田局長は、そういう独立運動という動きがある、しかし、これは実現はしない問題だろうということを言ったということを申しておりますが、この独立運動を支援するがごとき言動、それはいたしませんということをきわめて明瞭に私に申しておるわけであります。なお、その言動につきましては、慎重の上にも慎重を期せられたいということをいま強く要請をいたしておるのが現状でございます。政府といたしましては、全体いささかもこの考え方には狂いも間違いもございませんから、さようひとつ御信頼のほどをお願いいたします。
  61. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにこのところ、あえて申し上げるならば、特にことしに入ってから、政府考え方というものがだんだん整理してこられたという印象を受けるわけです。まあ、昨年九月のできごとでありますので、あるいはその時点では固まっていなかったと言われれば、そういうこともあり得るかもしれないというような憶測もできないわけではございません。この台湾問題をめぐりまして、ともあれいま明確に御答弁がありましたように、確かに総理もまた外務大臣も、この台湾問題については相当ぴりぴりして神経をお使いになっていらっしゃると思うのですね。けれども、一番信頼される局長さん方の発言の中の水をかけられるような行き方というものは、一体日本外交というものの将来性はどうなっていくんだろう。絶えず国会での答弁あるいは外務省の考え方というものは食い違いがあるというようなこともこのところ指摘もされていったようであります、ほかの問題等からですね。そうした点を考えますと、やはりこれから日中国交正常化というものに取り組むにあたって、はたしてこれでいいんだろうか。聞くところによりますと、まああまり立ち入ったことを言うべきではないかと思うのですけれども、省内においては特に中国問題に対してはオーソライズされたようなそういう人たちが少ない。一体こういう状態ほんとうに取り組む姿勢があるんだろうかというようなそういう話を聞いたこともあります。それはともかくとして、いずれにしても、今後そういうようなことがないようにと言えば今度は口封じが始まるだろうと私は思うのですけれども、しかし、結局は部内の意見というものが統一されていないというところにそういう問題が発生したというふうに理解せざるを得ませんので、少なくともいま大臣答弁されたその方向に向かって、本気になって日中問題を前向きに進めていくんだという取り組む姿勢がやはり必要ではないか。私の意見を交えて、これは御答弁は要りませんが、切に私は要望しておきたいと思います。  次に、先ほども日中問題について御意見がおありになりましたけれども、確かに衆議院の段階における答弁を伺っておりましても、統一見解がだいぶ後退したというような評価もございましょう。そしてまたいま中国問題についてこのように考えているという所信の一端をるるお示しになりました。その中では、「話せばわかる」という表現、あるいはまた中国側日本に対しての誤解不信を持っているがゆえになかなか隘路が開けないということで、せっかく努力をしておるけれども現状は非常にきびしい。さらに、あるいは、最善の努力をいま傾倒している段階であるということばもいまおつかいになったようであります。しかし、もしかりに、政府間折衝が突然開けるというようなことはあるいは無理かもしれない問題ですけれども、しかし、そういう仮定は十分考えておいたほうがよろしいと私は思う。しかし、何もなくて——これはいままで何回か繰り返して議論をされたはずではございますけれども——何もなくてただ行けばいいんだ、話せばわかるということではたして中国側がそれを受け入れることができるかと、再三原則論の問題も話題になりました。そういういろんな要素というものを踏まえて考えた場合、こちらもある程度の考え方、これからのいろんなプログラムというものをつくっておかなければ、いわゆる青写真というものをつくっておかなければ、向こうに話し合いをする糸口というものを見出すことがはたして可能であろうかということが、一向に、いままでの政府答弁を伺っておる範囲では、依然として疑問が残ると、こういう感じが私自身するわけでございますけれども、そのむずかしい条件としては台湾問題もありますけれども、そういったことを一応含んだ上で、いまこういう考え方で進めておるということは明らかにできないものでしょうか。しばしば福田外務大臣はアヒル外交のことを言われますけれども、どこにアヒルが泳いでおるかさっぱり見当がつかない。具体的にどうなっておるだろうか、こういう、国民が最大の関心を持っておる課題であるだけに、当然明らかにすべきところはある程度のことを明らかにしつつ、その方面に政府としては前向きに取り組みもし、そして、いま中国側接触の段階に入ろうとしておるというならば、前向き、前向き、中国問題についてはこうだという政府姿勢というものもまだわかろうというものではないかと、こう思うのですけれども、その辺はやはり依然としていままでの答弁の繰り返しでございましょうか。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、先ほども申し上げましたように、こういう問題は話せばわかる、こういうふうに、ほんとうにそう思っております。これは前広にいろいろ結論を明らかにするということは、決してこれに対していい結果をもたらすゆえんではないと、こういうふうに考えております。問題はその誠意の問題、お互いに誠意を披瀝し合って話せば解決される。解決されるということは、私どもは、中華人民共和国交渉相手である、中華人民共和国中国を代表する政府である、そういう認識に立って、これはアメリカもまだそこまでふん切りをしておりませんけれども、私ども国交を開こうとしておる、国交正常化をやろう。アメリカ国交の改善を積み上げ的に、なしくずし的にやっていこうという。そういうまだるっこしい考え方ではない。日本は、一挙に国交正常化をやろうじゃないかというそういう姿勢なんです。その間に台湾の問題やあるいは日華平和条約の問題、いろいろあります。これは先ほど森さんからも話がありましたが、話している過程においておのずから結論が出てくる、そういうふうに考えております。その辺のあうんの呼吸というか、これが私はこういう話し合いでは大事じゃないか。もう全部結論を出して話し合いに臨むというなら、これは話し合いも何も要らないはずです。そうじゃないですか。こんなむずかしい問題がある、それはそういう善意を披瀝し合って話し合おうじゃないか、これは正しい行き方であると、こういうふうに思う。それは、人によりましてはそうではないんだ、中国がこう言っておるからこれはみんなそのとおりの考え方でということでいかなければ話し合い自体が始まらないじゃないかということでございますが、私はそういうものじゃないと思う。話し合う過程においていろいろ結論が出てくる。その間の一番むずかしい問題は何といっても台湾の領土帰属の問題。これについては統一見解でも示しておりますように、深い理解を持っておる、そういうような態度でございますから、これは私はこの辺で中国との間の接触が始まってしかるべきである、こういうふうに考えております。
  63. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その辺の御答弁は何回か私も伺っておって了承しているつもりでありますけれども福田さん御自身は、かつて申された答弁の中で、確かに中国は原則を重んじる国であり、その点は非常にきびしいと、こういうふうに申されたことがあるように記憶しております。事実この原則については、おそらくいままで一貫して、変更されたという過去の事実を私聞いてないんでございますけれども、そうした原則論を踏まえてのいま当座のお話だと私思いますけれども、最近の米中接近というそういう事柄から、おそらく中国側でもきわめて柔軟な外交姿勢日本に示すであろうというような感触のもとに、いま申されたようなことがこれからの一つの糸口になっていくんだと理解してよろしいんでしょうか。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 米中会談が、わが国に対して、日中国交打開の糸口になると、こういうことですか。
  65. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いや、そうではなくして、米中会談でたいへん米国と中国が接近をし、ここに柔軟な外交折衝というものがいま展開されているわけです。そうした過去の事実を踏まえて、原則はきびしいけれども中国の今後の日本に対する外交姿勢として、同じようにその柔軟な姿勢をとりながら日本に接近してくるであろうという可能性を踏まえて、そうしたことから日中間の糸口になり得るとお思いですかと申し上げているわけです。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえばカナダとの交渉なんか見ておりますと、台湾の領土帰属問題、これが政府間接触が始まってから二年かかっていますね。そうして、二年たってぎりぎり決着というところで、お互い妥協でしょうね、これは。中華人民共和国は、台湾中華人民共和国の領土であると主張しておる、その主張をテーク・ノートいたしますということで最終的な結論が出て、そうして国交が回復される、大使交換されるということになっておる。わが国の段階は、それとは非常に違うんですね。まだ話し合いは始まらない。カナダの場合は話し合いが始まって、そうして議論が二年間戦わされて、やっと出た結論がテーク・ノート方式だと、こういうことで、わが国は、まだ国交が始まらない前に、とにかく台湾帰属問題につきましては、カイロ宣言でありますとか、ポツダム宣言でありますとか、あるいは国連に中華人民共和国が入った、こういうような事情から見まして、中華人民共和国が、台湾中華人民共和国の領土であると主張することに深い理解を示すと、こういう態度をとっておるんですからね。これはカナダなんかの中国交渉に臨んだ態度とはかなり違っておる。私は、ほかの国とわが日本との立場中国については違うと思いますのは、とにかく日中戦争というものを経過しておる。また、その前にも満州事変だ、支那事変だがあった。とにかく四十年間の国交空白というものがあったんですから、これは非常に違っておりまするが、その点は考えなければならぬ。ならぬがゆえに、そこまでのふん切りをいたしておるわけです。まあ、そういうようなこと。また、カナダばかりじゃない。ほかの国でもこの問題は非常な問題でありまして、一種のタブー視されておる。そういうようなことで、はっきりと台湾中国の領土であるというような認識のもとに中国との間の国交を開いた国はない。こういうような状態です。そういうようなことを考えますと、われわれの苦心をいたしておるという点も御理解をいただけるのじゃあるまいか、こういうふうに思いまするが、まあ、国際情勢もずいぶん動いておる。今度の米中会談、これなんかも、私は、わが日本に対しまして、日中関係ということから見ますると、私はこれはいい影響を持っておるというふうに思うんです。つまり、いままではまあアメリカ中国封じ込め政策をとってきた。まあ、日本はその手先になったというような理解であったと思うのです。つまり、中国敵視政策というふうに中国がわが日本を見ておる。そのゆえんの最大のものはそこにあった、こういうふうに思うのでありまするが、その封じ込め政策の御本尊が今度は手を握ったというのですから、その手先だと、こう見ておった日本に対する感触、こういうものも私はいい影響を持ってきておる、こういうふうに思うんです。まあ、いろいろ世界動きを見なきゃなりませんけれども、私は、これはもうどうしても中国との間に誤解不信をなくし、そうして堂堂と政府間でぶつかって、あるいは首脳でもいい、あるいは外相でもいい、あるいは特使でもいい。すみやかに日中問題の解決をはかるべきである、こういうふうに考えております。
  67. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで、いまの御答弁もそうでありますけれども、先ほど冒頭に申されました中でも、誤解不信感があるということの中で、いまのその敵視政策というものもございましょう。そのほかにどういう一体背景と要因がおありになると思いますか。やはりこの誤解というものは取り払わなければなりませんでしょうし、当然不信感というものはそれを払拭して、そうして信頼感をやはり今後生み出していくという何らかの日本政府としての言動がなければならないというのは、これは常識だと私は思うのですね。その点についてはどういうふうにこれからお取り組みになるわけですか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、中国問題の一番のネックになるものは何であるかというと、これは再び日本中国を侵略しやしないかというその危惧の念だと、こういうふうに思うのです。その点については非常に中国といたしましてはまあ関心を持っておった点であろうと、こういうふうに想像する。その一番具体的な問題は、アメリカ中国封じ込め政策、これに加担をする可能性というものであったと、こういうふうに思うんですが、この問題は、私は今度の米中会談の結果、かなり緩和されてきておるんじゃないか。あとは、いま日本経済力がたくわえられてきて、経済大国は必ず軍事大国になるんだ、その結果が一体中国に対してどういうふうにはね返ってくるかというようなことだろうと思いますが、これは、わが日本が平和国家、文化国家を目ざしておる、決して軍事大国にはならぬということを宣言をしておる、そういうような点について透徹した理解が北京のほうに届きますれば、これは私は日中間のもやもやした疑問は大きく一掃されてくるんではないか、そういうふうに思います。
  69. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで考えられるその問題の一つに、まあ、日本として完全に中国に対する敵視政策という態度を改める、あるいは、いままで敵視政策をしてきたことはなかったというような答弁もあったように覚えておりますけれども、具体的に、じゃあどうするかというと、これはなかなかたいへんだろうと私も思う。手っとり早い話が日米安全保障条約を撤廃し、その体制を解除するというようなことも一つの大きな方向ではないだろうかというふうに感じられますけれども、この点についてはいかがでございますか。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日米安全保障条約については、私はそう中国が深い関心を持っておるとは思いません。つまり、特に米中会談アメリカと北京との間がこれは非常に緩和されてきておる。こういうような事態のもとにおいて、日本アメリカと防衛上提携しておるということにつきましては、私は北京はそう神経質な考え方はしておらないんじゃないか、こういうふうに思います。その日米安保条約をやめたから日中改善が急速に進むのだと、こういうふうなつながりにはなっていかないじゃないか、こういうふうな基本的な考え方を持っております。
  71. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いずれにしても、その体制というものは仮想敵国というものを想定した上に立てられるということは、これは十分認識できるところでありますだけに、じゃあ、いままでその仮想敵国というものはどこに一体想定していたのか。しかし、この問題については、すでに福田さん御自身が衆議院の予算委員会で明確に申されていらっしゃいますね。総理大臣もその点ははっきり言っていらっしゃる。仮想敵国なんかは持ってはならないんだと、こうおっしゃっておられる。とするならば、いまのこの機構というものは、これは名目的なものであるだけに、あるいは刺激を与えるようなそういうものをむしろ一挙に、あるいは段階的でもけっこうでしょう、これは大体のめどをつけておいて、そうしてその撤廃をするんだというような確約といいますか、宣言といいますか、重ねてお尋ねするんですけれども、できないものかということなんです。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) わが国はとにかく有史以来初めて戦争に負けまして、国民の間にはもう戦争は再びいたすまいという気分、これは私は一億国民の全体のコンセンサスだと、その上にさらに憲法というものが——有名な憲法第九条によれば、わが国は他国を脅威するがごとき軍備を持つことはできない、こういうことになっておる。特に、核の問題なんかになりますると、わが国世界で初めて核の洗礼を受けた国でありまするから、これは大きな核アレルギーというものが国民の間にみなぎっておる。そういうことを考えてみまするときに、わが国が他国を侵すというような軍備を持つことは、これは許されないし、わが国政府の基本的不動の姿勢であります。しかし、そういう憲法の制約、また国民のコンセンサスのもとにおいて可能な自衛力を持ったという場合に、あり得る侵略に対するわが国の抑止力、それは十分であるかというと十分ではない。そこで、日米安全保障条約というものがその抑止力の不足を補う、こういう役目をする。どうも渋谷さんのお話を聞いておりますと、何か無防備・中立でいいんじゃないかというようなお話でございますが、私どもはそういう見解をとりませんですから、やっぱり世界は、緊張緩和、非常にけっこうなことであり、わが国もこれを推進しなければなりませんけれども、しかし、世界じゅうの国が、どこの国も、もう間違っても他人の国は侵しませんという国ばかりでありますれば、それはそれでよろしゅうございましょう。あるいは、国際連合が強大な警察力を国際社会において持ち得る、こういうような事態になれば、それもそれでよろしゅうございましょう。しかし、現実はそうじゃないですね。やっぱりあり得べき事態に国としては備えておく必要がある。しかし、他人の国を侵してはならぬ。これが私は新しい平和世界における最も正しい行き方じゃあるまいか、そういうふうに考えるわけでありまして、そういう、他人の国は侵かさず、また、みずからの国は侵されずという姿勢をとること、これが中国に対しまして私は悪い感情を与えるというふうには全然考えておりません。
  73. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 しかし、現実に考えてみた場合に、言うまでもない話なんですけれども、三次防の予算の規模が二兆三千億、四次防が五兆八千億。それは物価の値上がり、賃金の上昇ということを考えましても、一体どうしてそんなに防衛費を膨張させる必要があるのか。今回問題になりましたT2やあるいはC1あるいはRF、そういった新装備を必要とする理由は一体どこにあったのか。そういう単純に考えましても、国民感情の上から見た場合、やはりこれは日本の自主防衛という名のもとに軍備の強化拡充というものをはかっていく。何かますますエスカレートしていく。何のためにエスカレートするのか。それは近隣諸国に対してやはり刺激を与えるということはいままでも論議されてきた話じゃないのか。そういうことを含めて、日本としてはいま中国との正常化というものを考えるその段階において、そうしたこともむしろ縮小の方向へ、あるいは現状維持、いろいろ行き方があるのじゃないだろうか。せめてまずそういうところから足がかりをつくって、政府間の折衝への何とか話し合いを持つ糸口がつくれないものか、こういうふうに回りくどく申し上げたわけですけれども、そういう点についてはどうなのか。きょうは時間がありませんので、その点だけ一つ結論的に伺って終了したいと思います。
  74. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国の安全を犠牲にしてまで中国との国交を開くという考え方は、私はこれは妥当ではないと考えます。やっぱり国の安全は安全、しかも、わが国の自衛力はどうだといいますると、わが国経済力に対しましてGNP対比〇・九、そういうような状態。ほかの国は一体どうなんだ。普通の先進国であると、三%から四%のものを使っておるわけです。私は、自衛力は漸増と言っておるわけでありますが、この〇・九というくらいな水準、これはそう変化があってはならぬ、こういうふうに考えておりますが、しかし、わが国がこれだけの大工業を擁する経済国家になってきた。その国の安全を確保するそのために、GNPの〇・九%くらいの金を使う。これはどこへいっても私は承認される行き方じゃあるまいか。私ども日本国は、もし欲すれば〇・九の軍事力じゃないのだ、GNP対比三%、四%でも使うという、わが国がその方法をとれば、これは強大な軍備が持てる。また、さらに核まで持てる。そういう力があるのですから、それをあえてしないで〇・九%にとどめておる。これはどこの国からも、日本は平和主義的な立場をとっておるというふうな理解になってくると思うのですが、どうもお話を伺ってみると、日本の国だけは自衛力はなくてもいいんだ、中国は二百五十万の軍隊を持っているが、日本は二十六万人で、それでもっとこれを減らしてもいいんだ、こういうような議論につながってくるような感じがしましてね。
  75. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 大臣、そういう意味じゃないですよ、質問は。やむを得ない、きょうは。
  76. 星野力

    ○星野力君 私、朝鮮の問題についてお聞きしたいのですが、その前に一点だけ外務大臣にお聞きしたいのは、衣笠統幕議長のサイゴン訪問のことです。直接には防衛庁にかかわる問題でありますが、日本の最高の地位にある軍人が南ベトナムの戦場を訪問して、アメリカ軍、サイゴン軍の首脳と会見したということは、国際的にも反響を呼ぶ可能性のある問題であります。外交にも大いに関係のある問題だと思うのですが、外務大臣は、この訪問について事前に御存じであったかどうか、また、この訪問についてどうお思いになっておられるか、お聞きしたいのです。
  77. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前には何ら承知するところはなかったわけです。ただ、最近新聞でそういうことを見まして承知したわけでありますが、私が承知している限りでは、バンコクで各地駐在官の会議がありまして、そこへ統幕議長が来ておったその帰りがけにサイゴンに立ち寄って、ベトナム軍事情勢の見聞をして帰るということは、これは何ら統幕議長として支障のある問題であるというふうには考えておりません。
  78. 星野力

    ○星野力君 自衛隊の統幕議長が南ベトナムを訪問してベトナム戦争の状況を聞くのは何ら差しつかえない、こう言われるんですが、これは国際的にでもありますが、国内的にも問題が大いにあると思います。何で自衛隊の統幕議長がベトナム戦争の状況を聞かなければならぬのか、ということ自体が大きな問題だと思います。国内的にも制服の独走であるとか軍の暴走などということがいわれ、問題が次々に起きておるときに、何でそんなことをする必要があるのかどうか。ないと思うんですが、また、国民感情をさかなでするようなことをしながら、これは当然のことだと言う。そういう考え方に私は問題がありはしないかと思いますが、どうですか。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、当然とは言いませんが、まあ、別に国民感情をさかなでしているというようなこともない。バンコックに行った帰りがけにその隣のベトナムに立ち寄る。これはごく自然にあり得ることじゃあるまいか、そういうふうに考えております。
  80. 星野力

    ○星野力君 私は承服できないんですが、そこでひっかかっておると進みませんから、それだけにします。  朝鮮の問題ですが、言うまでもなく朝鮮は最も近い隣国でありますし、歴史的な関係も非常に深いことは言うまでもない。しかも、植民地支配を日本が行なった。朝鮮民族には非常な苦しみを与えてきたという点では、中国に対する以上に日本は罪深い立場にあるとも言えると思うんです。外務大臣自身もときどき善隣外交ということを言われるようでありますが、それならなおさらでありますが、一日も早く朝鮮民主主義人民共和国と国交を樹立すべきであるし、その前にも在日朝鮮人の祖国との往来の自由あるいは貿易などについて、政府がいまとっておられるどの国に対するよりも過酷な方針というものは是正すべきものだと思いますが、どうでございましょうか。
  81. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、朝鮮半島が南北に分かれておるという事態は、長期的に見ますると、これは望ましからざる状態である。これは朝鮮半島の事態は、長期的展望として、これは統一国家になってもらいたい、こういうふうに考えておるわけです。現実には、非常に不自然な三十八度線というものがありまして、これを南北に隔てておる。その南の、わが国に一番近い韓国との間に日韓基本条約というものを結んで、この間の関係はきわめて緊密である。そういう状態でありまするので、北のほうの朝鮮民主主義人民共和国との関係、これは非常にデリケートなものがあります。私は、私の外交方針として、イデオロギーを超越した国交を結ばなければならぬ。こういうふうに考えておるわけでありますが、しかし、それとてもケース・バイ・ケース、緩急の順序がある。そういう際に、韓国と基本的な関係を結んでおるわが国とすると、それと相対立するような形にある朝鮮民主主義人民共和国との関係、これは、私ども立場とすると、非常にデリケートで、なかなかそう私どもが頭に描いているような状態にはいかぬというのが現状でございます。
  82. 星野力

    ○星野力君 韓国があるから問題は非常にデリケートだと、こう言われるんですが、その韓国ですね、御承知と思いますが、日朝友好促進議員連盟、その訪朝団というのが一月十六日に出発しまして、二十九日に帰ってきました。私自身も参加したのでありますが、帰国後新聞で知ったんですが、私たちが平壌で貿易促進に関する合意書というものを取りきめましたが、あとで新聞で見ますと、一月二十六日の韓国国会、それを取りきめたのが二十五日でありますから、その直後の二十六日の韓国国会で金溶植外相が二十五日に日本政府があんなものというのはその合意書でありますが——ああいうものについては、日本政府は一切協力しないのだ、インベストメントなんか与えないのだ、実行不可能な文書である、数字の羅列であると、まるで紙くずと言わんばかりのことを言っておるということを報告し、貿易事務所の設置や長期の延べ払いも日本政府はやらないのだ、そういうふうに回答したということを報告しておりますが、政府はそういう回答をした事実があるのでありますか。
  83. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その問題について公式な見解は表明しておりません。おりませんが、いまここであの合意書に対する私の感想を述べますれば、あそこに出ておる数字まで日朝貿易が行くのは、これは容易なことではあるまい、こういうふうに思います。また、今日の経済交流の現段階といたしますと、貿易事務所を設置するということも、これは時期尚早であるというような感じがいたします。ただ、これは御質問にはありませんけれども、日朝関係、先ほども申し上げましたように、イデオロギーを越えて各国との間に友好関係を深めたい、こういう考え方を持っておるわけでありますが、北朝鮮、すなわち朝鮮民主主義人民共和国との間におきましても、まあぼつぼつ人事あるいは文化の交流、そういう点につきましてはケース・バイ・ケースの問題になりましょうが、考えていきたい、こういうふうに思っております。
  84. 星野力

    ○星野力君 いまの訪朝団の問題ですが、あのときには国会議員が十一人参加いたしております。そのうちの十人は公用旅券で行っておりますし、帰国してから、話を聞いてからでも意思表示をなすってもいいのではなかったか。公式には返事をしておらぬと言われるけれども、いま大臣のお答えにもありますように、さっき言った内容のことを向こうに伝えたのはおそらく事実だろうと思うのですが、あの代表団には自民党の議員も参加しておる。団長は自民党だったわけですが、先ほどの新聞見て知ったことですが、同じ一月二十五日の夜に韓国の内閣が、もし日本側が、さっき言ったような回答をした措置をとらなかった場合には、韓国政府は適当な対抗策をとるということを決定した、こういうふうにもいわれております。一体、なぜ韓国にこう思い上がった態度をとらせなければならぬか、また、日本政府がそれほど韓国政府に気がねをしなければならぬか。もう韓国政府にかき回されているような感じもいたすのでありますが、大臣は、イデオロギーを超越し、ケース・バイ・ケースで北との関係を進めていく、まず人事からなどと、こういうことを言われましたが、ということは、これからはいままでのようなかたくなな態度を変えていくんだどいうふうにもとれるのでありますが、たとえば、御承知のように、在日本朝鮮人総聯合会の副議長の李季白氏を団長とする代表団が祖国の祝賀行事に参加するために政府に申請しておる、再入国のできるようにという申請をしております。これは私たち当然の要求だと思いますし、人権という点から考えましても、また、日本が民主主義国であるからには当然こういうことは承認しなければならぬと思いますが、この問題についての考えはいかがですか。
  85. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはいわゆる再入国の問題になりますね。これは法務省の専管事項でありまして、私がここで権威ある答弁をする立場にはないわけでありますが、法務省は大体において、これは再入国を拒否する、こういう考え方のようです。その考え方はいろいろあるのだろうと思いますが、私ども外務省としますと、そういう申請に対する法務省の考え方、また背景というものを聞いてみると、多分に政治的な要素もあるようだというようなことでございます。そういうようなことで、私ども意見を聞かれますると、いま、政治的な要素を含めての人事の往来、そういうことは好ましくない、こういうふうに考えておるんです。スポーツだとか文化だとか、あるいはそういう方面の人事の往来、これは考えていくべきだというふうに考えておりますけれども、まだ政治的な人物の往来という問題まで踏み切るというわけにはいかぬ、私ども意見を求められれば、そういうふうに答えますが、いずれにしてもこれは法務省の専管事項でありまして、私はここで有権的なお答えをすることはできないということでございます。
  86. 星野力

    ○星野力君 イデオロギーを超越して関係の改善をはかっていく、ケース・バイ・ケースと、こう言われるので、こんな問題ぐらいにはもっと積極的な回答が出るのかと思ったら、そうでもない。私自身としてはまことにこれは残念なことに思いますが、政府は考え直していただきたいということを申し上げます。  七日に発表されましたアメリカのロジャーズ国務長官の外交報告、あの中に北朝鮮とも関係改善をはかりたいという意味のことがありますが、あれについて大臣、どう思いますか。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) あれはアメリカ政府にも聞いてみましたが、一般的に共産主義国とも友好関係を深めていきたい、こういうことを申しております。それはちょうどわが国考え方と同じようなことですが、その同じ考え方で朝鮮民主主義人民共和国にも臨むということであって、一般原則と特に違ったことを言っているわけではない、こういうことでございます。
  88. 星野力

    ○星野力君 日本政府考え方と違わないのだ、こうおっしゃいますが、一般的なことを言っているのだ、こういうお答えでありますが、その程度の問題ではないということはおそらく外務大臣御存じなんじゃないか。実際いろんな動きもあるんじゃないかと私想像しますのですが、もしいまお答えの程度のお考えだと、朝鮮の問題でもまた頭越しということになって、またショックに悩まされなければならなくなるのではないかと思うのです。私は、日本外交アメリカより一歩も先に出てはいけないというようなことではなしに、自主的な、平和的な外交をやっていただきたい、そういう意味から申し上げでおるのでありまして、何よりも私は、日本政府が朝鮮政策というものをもうここで大きく転換していかなくちゃならぬ、そういう時期に来ているのじゃないかということを申し上げたいわけでありますが、たちまちにして時間が来てしまいました。残念でありますが、こま切れ時間でやるものだから中途はんぱになってきましたし、次の機会に続きを質問させていただくというごとにして、これで終わります。
  89. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会